美希「蹲る」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/08(日) 16:43:54.63 ID:WEk0vUg+O
「大好きはーにぃ~♪」
今日ね、ミキ、オフだからなんとなくふらふらーってしてたんだけど、とってもラッキーってカンジ!
空は晴れててキレイだし。
ミキが通ろうとすると、信号は青になるし。
いちいち男の人に声掛けられることもないし。
欲しいなーって思ったものがセール中だったりするし。
「いつもこんな感じだといいのに」
そう呟きながら、角を曲がろうとした時のことなの。
「痛っ」
何かを、蹴っちゃった。
でもそれは、よく見ると、人の頭だったの。
女の人が、うずくまってた。
今日ね、ミキ、オフだからなんとなくふらふらーってしてたんだけど、とってもラッキーってカンジ!
空は晴れててキレイだし。
ミキが通ろうとすると、信号は青になるし。
いちいち男の人に声掛けられることもないし。
欲しいなーって思ったものがセール中だったりするし。
「いつもこんな感じだといいのに」
そう呟きながら、角を曲がろうとした時のことなの。
「痛っ」
何かを、蹴っちゃった。
でもそれは、よく見ると、人の頭だったの。
女の人が、うずくまってた。
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/08(日) 16:45:27.83 ID:WEk0vUg+O
「あ……えっと、ごめんなさいなの」
女の人は、返事もしないでうずくまったまま。
「……だ、大丈夫なの?」
返事はない。
「……あの、大丈夫だったら、もうミキ行くね?」
……やっぱり、返事はない。
なんなのなの。
「…………」
ミキ、ちょっとだけイヤな気分になったから、その人の横を通って、そのまま振り返らないで帰ったの。
……ヘンなヒトだったのかな?
女の人は、返事もしないでうずくまったまま。
「……だ、大丈夫なの?」
返事はない。
「……あの、大丈夫だったら、もうミキ行くね?」
……やっぱり、返事はない。
なんなのなの。
「…………」
ミキ、ちょっとだけイヤな気分になったから、その人の横を通って、そのまま振り返らないで帰ったの。
……ヘンなヒトだったのかな?
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/08(日) 16:47:24.87 ID:WEk0vUg+O
「いってきまーす」
次の日、いつもみたいに事務所に行こうとして、家を出た時。
「いたっ……って、え?」
また、うずくまってる女の人を蹴っちゃったの。
家の前のブロック塀に、ぴったり体をくっつけた、昨日と同じ服の髪の長い女の人。
「…………」
なんなの? もしかして、昨日、あの後ついて来てたの?
……このヒト、なんかヤ。
ミキは、そのまま走って逃げたの。
角を曲がる時、ちらっと見た女の人は、いつの間にか頭をミキの方に向けてた。
次の日、いつもみたいに事務所に行こうとして、家を出た時。
「いたっ……って、え?」
また、うずくまってる女の人を蹴っちゃったの。
家の前のブロック塀に、ぴったり体をくっつけた、昨日と同じ服の髪の長い女の人。
「…………」
なんなの? もしかして、昨日、あの後ついて来てたの?
……このヒト、なんかヤ。
ミキは、そのまま走って逃げたの。
角を曲がる時、ちらっと見た女の人は、いつの間にか頭をミキの方に向けてた。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/08(日) 16:49:00.07 ID:WEk0vUg+O
「おはよーなのー」
「あら、おはよう美希ちゃん」
「あ、小鳥、おはよーなの。……小鳥だけ?」
「ええそうよ。他のみんなは仕事だったりオフだったり。プロデューサーさんは、今は他の子の付き添いね」
「ふーん」
事務所についたし、もう安心かな。
さっそくソファーでひと眠りするの。
「あら、寝ちゃうの?」
「うん……時間になったらおこしてほしいの……」
「分かったわ。それじゃ、おやすみなさい」
「おやすみなさいなの~……zzZ」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/08(日) 16:51:10.65 ID:WEk0vUg+O
「……あふぅ……って、あれ?」
目が覚めると、窓からは夕日がさしてた。
事務所には、誰もいないみたい。
「……起こしてって言ったのに。小鳥のばか」
今日のお仕事は、確かお昼からだったの。
今からじゃ間に合わないよね。
……帰ろう。
そう思って事務所のドアを開けると、すぐ目の前に、うずくまってたの。
春香が。
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/08(日) 16:52:08.53 ID:WEk0vUg+O
「えっ……? 春香……だよね? ど、どうしたの?」
返事はない。
「っ……なんなの!」
春香の肩を掴んで、床から引き剥がそうとする。
でも、できない。春香は、すごい力で床に引っ付いていた。
「春香! ふざけるのはやめて!」
春香は、相変わらず返事もしないでうずくまってる。
「っ……! もういいの!」
そう言って、ミキは春香を飛び越えて行って、階段を駆け降りた。
返事はない。
「っ……なんなの!」
春香の肩を掴んで、床から引き剥がそうとする。
でも、できない。春香は、すごい力で床に引っ付いていた。
「春香! ふざけるのはやめて!」
春香は、相変わらず返事もしないでうずくまってる。
「っ……! もういいの!」
そう言って、ミキは春香を飛び越えて行って、階段を駆け降りた。
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/08(日) 16:53:33.66 ID:WEk0vUg+O
「え……?」
事務所のビルを出ると、まず、その静かさに驚いたの。
事務所前のこの通りは、普段は夜でも車が走ってるのに、今は一台も走ってない。
そして、通行人が一人もいない。
人はいる、でも、通行人はいない。
だって……だって、みんな、うずくまってるもん……。
スーツを着た男の人も、学生服の男の子も、主婦みたいな女の人も、赤ちゃんも、お婆ちゃんも、みんなみんなみんな、うずくまってる。
でも、頭だけは、こっちに向いてる。
「なんなの……なんなのなの!!」
ミキはその光景を見て走り出す。
こんなの、耐えられない。
事務所のビルを出ると、まず、その静かさに驚いたの。
事務所前のこの通りは、普段は夜でも車が走ってるのに、今は一台も走ってない。
そして、通行人が一人もいない。
人はいる、でも、通行人はいない。
だって……だって、みんな、うずくまってるもん……。
スーツを着た男の人も、学生服の男の子も、主婦みたいな女の人も、赤ちゃんも、お婆ちゃんも、みんなみんなみんな、うずくまってる。
でも、頭だけは、こっちに向いてる。
「なんなの……なんなのなの!!」
ミキはその光景を見て走り出す。
こんなの、耐えられない。
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/08(日) 16:54:59.07 ID:WEk0vUg+O
道路の上にうずくまってる人達を避けながら、走る。
どこまで行っても、みんなうずくまってる。
でも、いつ見ても頭は全部こっちに向いてる。
どうして……?
「……あっ!」
そうやって走りながら角を曲がると、うずくまってる人達の中、一人だけ立っている人を見つけたの。
「ちょ、ちょっと! そこの人!」
ミキは、思わず近寄って、肩に手を置いた。
でも、すぐに後悔した。
だって、その人の服、見覚えがあったんだもん。
「あ……ああ……」
ゆっくりと振り向く女の人。
ミキは、少しずつ見えてくるその顔から、目が離せない。
「はぁーっ……はぁーっ……」
心臓がバクバクいってる。
身体が震える、汗が頬を伝う。
逃げたいのに、逃げられない。身体が言うことを聞かない。
そして、女の人の顔が──
どこまで行っても、みんなうずくまってる。
でも、いつ見ても頭は全部こっちに向いてる。
どうして……?
「……あっ!」
そうやって走りながら角を曲がると、うずくまってる人達の中、一人だけ立っている人を見つけたの。
「ちょ、ちょっと! そこの人!」
ミキは、思わず近寄って、肩に手を置いた。
でも、すぐに後悔した。
だって、その人の服、見覚えがあったんだもん。
「あ……ああ……」
ゆっくりと振り向く女の人。
ミキは、少しずつ見えてくるその顔から、目が離せない。
「はぁーっ……はぁーっ……」
心臓がバクバクいってる。
身体が震える、汗が頬を伝う。
逃げたいのに、逃げられない。身体が言うことを聞かない。
そして、女の人の顔が──
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/08(日) 16:56:49.54 ID:WEk0vUg+O
「ただいま戻りましたー」
「あ、お帰りなさいプロデューサーさん。美希ちゃんが待ってますよ」
「どこですか?」
「あっちのソファーで寝てます。今起こしてきますね」
「お願いします」
「いえいえ♪ 美希ちゃーん、プロデューサーさんが来たわよー……ほら美希ちゃん、起きてー……美希ちゃーん?」
「…………」
「……あの、プロデューサーさん……」
「どうかしたんですか?」
「美希ちゃん、なかなか起きてくれなくて……」
「そうですか、じゃあ俺が起こしますよ。音無さんは仕事に戻ってください」
「はい、そうします」
「おーい、美希──」
「ふぅ……珍しいわね、あの美希ちゃんが、プロデューサーさんが来ても起きないなんて……」
「あ、お帰りなさいプロデューサーさん。美希ちゃんが待ってますよ」
「どこですか?」
「あっちのソファーで寝てます。今起こしてきますね」
「お願いします」
「いえいえ♪ 美希ちゃーん、プロデューサーさんが来たわよー……ほら美希ちゃん、起きてー……美希ちゃーん?」
「…………」
「……あの、プロデューサーさん……」
「どうかしたんですか?」
「美希ちゃん、なかなか起きてくれなくて……」
「そうですか、じゃあ俺が起こしますよ。音無さんは仕事に戻ってください」
「はい、そうします」
「おーい、美希──」
「ふぅ……珍しいわね、あの美希ちゃんが、プロデューサーさんが来ても起きないなんて……」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/08(日) 16:57:40.32 ID:WEk0vUg+O
「でも、なんで美希ちゃん、うずくまって寝てたのかしら……?」
おわり
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/08(日) 17:19:09.74 ID:BknyJvmLO
乙乙
よかった
よかった
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/09(月) 08:10:07.85 ID:3usti84oo
こわかった
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1423381434/