fc2ブログ

岡崎泰葉「ふたりのひととき」

1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/26(水) 05:39:34.18 ID:ljJVn8eK0


――事務所

泰葉「……」

泰葉「……」ペラ

泰葉「……」

泰葉「……」カキカキ

P「勉強か?」

泰葉「ひゃっ……Pさん、いたんですか」

P「『ひゃっ』だって」

泰葉「……からかいに来たんですか?」
 


2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/26(水) 05:40:22.56 ID:ljJVn8eK0

P「いや、違う違う。何してるのかなーと思ってな。眼鏡かけてるし、学校の勉強か、あるいは仕事の予習のどっちかなーとは思っていたが」

泰葉「勉強です。……そうだ、Pさん、ここ、わかりますか?」

P「どれどれ……あ、なんか見覚えがあるな。この参考書、ちょっと借りてもいいか?」

泰葉「はい。どうぞ」

P「すまんな。……あー、わかった。えーと……泰葉、ここにこの公式があるだろ? それで、この演習問題ではこれがこう使われているわけだ」

泰葉「はい……あっ、そういうことですか。これと一緒で、それから、ここに応用して……できました。ありがとうございます、Pさん」

P「どういたしまして。……まあ、教えるならもっと良い教え方があったかもしれないんだがな」

泰葉「いえ、答えだけを教えるんじゃなくて、きちんと導き方を教えてくれましたから」


3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/26(水) 05:40:51.68 ID:ljJVn8eK0

P「そう言ってくれると助かるよ。……で、それ以外にも何か聞きたいことは?」

泰葉「いいんですか? 忙しいんじゃ……」

P「問題ない。一段落ついたし、たまにはこういうのを見て頭の体操をしなきゃな。まあ、わからないこともあるかもしれないが、わかることならなんでも聞いてくれ。俺が泰葉に教えられることなんて、これくらいだからな」

泰葉「……他にも色んなことを教えてもらっていますよ、私は」

P「そうか?」

泰葉「はい。たくさん」

P「……そうか。じゃ、これもその一つだ。何が聞きたい?」


4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/26(水) 05:41:18.09 ID:ljJVn8eK0

泰葉「えっと……それでは、ここの問題が、ここまではできているんですけれど、ここからどうやったら答えになるのかがわからなくて……」

P「んー……それにしても、泰葉、字、綺麗だな」

泰葉「字が綺麗だと得することもありますから。Pさんももう少し字を綺麗にした方がいいと思いますよ」

P「ぐっ……努力する」

泰葉「はい、努力して下さい。それで……わかりました?」

P「ん? ああ、たぶんな。一応参考書を見せてくれ。……うん、やっぱりそうだな。泰葉、この問題はだな――」


5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/26(水) 05:41:48.41 ID:ljJVn8eK0


――

P「これくらいにしとくか」

泰葉「はい、ありがとうございました。ここからは私一人で……」

P「いや、泰葉、お前も休め。何か飲み物でも入れるよ。ココアでいいか?」

泰葉「えっ、はい。いや、その前に、Pさんが入れなくても、私が……」

P「お前はずっと勉強して疲れただろ? 休んどけ。それじゃ、俺は入れてくれるから」スタスタ……

泰葉「あっ……もう。Pさんも、ずっと仕事だったのに」

泰葉「……ありがとうございます、Pさん」



6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/26(水) 05:42:15.59 ID:ljJVn8eK0


――

P「ん」ズズ……

泰葉「ありがとうございます。……でも、飲みながら渡すなんて、危ないですよ?」

P「いや、ちょっとミスってな。入れすぎたんだよ。それでこぼれそうだったから、仕方なく」

泰葉「……Pさんは、コーヒーですか?」

P「ああ。砂糖たっぷりだけど、な。これが俺には効くんだよ」

泰葉「……おいしいですか?」

P「飲んでみるか?」

泰葉「いいんですか? それじゃあ、一口……」ズズ……


7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/26(水) 05:42:41.94 ID:ljJVn8eK0

P「どうだ?」

泰葉「……甘いですね」

P「甘ったるい、じゃなくてか?」

泰葉「確かに甘かったですけど、そこまででは……十分おいしく飲める範囲内だと思います」

P「そうか。まあ、俺はこれが好きだから褒めてくれて嬉しいよ」

泰葉「今のが褒めていたかどうかは微妙な線かと思いますが、はい、確かにおいしかったです」

P「ココアはどうだ?」

泰葉「おいしいです。飲みますか?」

P「いや、それはやめておくよ。……泰葉は、最近、どうだ?」


8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/26(水) 05:43:08.37 ID:ljJVn8eK0

泰葉「なんですか、その質問? 娘との距離をはかりあぐねているお父さんですか?」

P「なんだその具体的な例……」

泰葉「お父さんみたいだったので」

P「……お父さんには優しく、な?」

泰葉「してるつもりですよ? でも、アイドルになってから色々ありましたし……私も、変わりましたから」

P「……泰葉はずっと泰葉だと思うけど、まあ、変わりはしたな」

泰葉「はい。Pさんのおかげで、Pさんのせいです」

P「『せい』と来たか」

泰葉「違いますか?」

P「違わない。でも、俺だけじゃないだろ?」

泰葉「それは……そう、ですね。アイドルになってから、色んなことがあって……色んな人と、会いましたから」

P「そうだな。……本当に、そうだ」


9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/26(水) 05:43:44.27 ID:ljJVn8eK0

泰葉「それで、変わったという話ですが」

P「うん?」

泰葉「魅力的に、なりましたか?」

P「んっ……それを聞くか」

泰葉「はい、聞いちゃいます」

P「聞いちゃうかー……あー、そうだな。昔から泰葉は魅力的……じゃ、ダメか?」

泰葉「Pさんはどう思いますか?」

P「そう来るか。えー……個人的には、魅力的になった、と思います」

泰葉「どうして敬語なんですか」フフッ


10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/26(水) 05:44:10.57 ID:ljJVn8eK0

P「いや、だって、これ、俺としてはかなりデリケートな話なんだぞ? 昔の泰葉の魅力と今の泰葉の魅力はちょっと違うからさー……昔の『子どもの頃からずっと芸能界で生きてきたんです。だから華やかなだけの世界じゃないってわかってる……』って泰葉も魅力的だったから」

泰葉「わー! わー! どうして今さらそんな話を持ち出すんですか! というか、どうしてそんなこと覚えているんですか!」

P「『誰にも負けたくないから……』『今更私がプロデューサーに教えてもらうことなんて……?』『ステージには慣れてるから平気よ』」

泰葉「や、やめてください! は、恥ずかしいですから! もー!」

P「恥ずかしい、って……俺の好きな泰葉を泰葉はどう思ってるんだ」

泰葉「む、昔のことを話されると恥ずかしくなるのは仕方ないでしょう……!」

P「そうか? ……でも、今もこういう気持ちがないわけではない、だろ?」

泰葉「それは……そう、ですけど」

P「俺に教えてもらうことなんてない?」

泰葉「そっちじゃなくて! ……誰にも負けたくないと思っているのは今でも本当です。それに、芸能界が華やかなだけの世界じゃない、というのも事実です。ただ、今はそれ以上に素敵な世界だと信じているし……みんなライバルだけど、それだけじゃない、ってわかってますから」

P「……そうか」

泰葉「はい、そうです」


11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/26(水) 05:44:40.25 ID:ljJVn8eK0

P「……なんか、やる気出てきたよ。今からちょっと、頑張るか」

泰葉「それじゃ、私もちょっとレッスンをしてきます。今、トレーナーさんはいますか?」

P「確かベテトレさんがいたはずだ。連絡しておく」

泰葉「ありがとうございます。……それでは、Pさん、頑張って下さい」

P「泰葉も、な」

泰葉「はいっ」

P「……レッスン終わったら、何か食べにでも行くか」

泰葉「……楽しみができました。レッスン、頑張ってきます」

P「ほどほどにな」

泰葉「Pさんも、ですよ? ……仕事が終わったら、レッスン室に来て下さい。私も、ご褒美に成長した私を見せてあげます」

P「……」

泰葉「どうかしましたか?」

P「いや、泰葉がそういうこと言うのは、ちょっと意外でな。……期待してるよ、泰葉」

泰葉「ええ、期待していて下さい」

P「……それじゃ、また後で」

泰葉「はい、また後で」







12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/26(水) 05:45:16.43 ID:ljJVn8eK0

終わりです。ありがとうございました。


13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/26(水) 07:35:20.21 ID:i2TpGs+Zo



14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/26(水) 09:21:31.92 ID:J5MHrFqYo

信頼関係があっていい感じだなあ、乙




掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1493152773/
関連記事

コメント欄

プロフィール

amnesia

Author:amnesia
ゆっくりまったり見ていってください( ´▽`)


相互リンクrss大歓迎




Twitterやってます( ̄▽ ̄)

トップ絵紹介

新規キャンバス (1) ぽむ様より頂きました!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
お知らせ (3)
未分類 (24)
アイドルマスター (1174)
悪魔のリドル (44)
Another (21)
甘城ブリリアントパーク (3)
インフィニット・ストラトス (79)
アルドノア・ゼロ (11)
オリジナル (1609)
俺の妹がこんなに可愛いわけがない (6)
終わりのセラフ (12)
空の境界 (3)
ガールズ&パンツァー (526)
ガールフレンド(仮) (14)
艦隊これくしょん (1605)
ガンダムビルドファイターズ (4)
きんいろモザイク (66)
黒子のバスケ (13)
けいおん! (120)
コードギアス (44)
ご注文はうさぎですか? (281)
冴えない彼女の育てかた (15)
咲-Saki- (683)
桜Trick (6)
シドニアの騎士 (3)
SHIROBAKO (23)
STEINS;GATE (80)
ジョジョの奇妙な冒険 (95)
進撃の巨人 (279)
新世紀エヴァンゲリオン (122)
涼宮ハルヒの憂鬱 (281)
生徒会役員共 (16)
ソードアートオンライン (35)
たまこまーけっと (2)
ダンガンロンパ (211)
中二病でも恋がしたい (7)
とある魔術の禁書目録 (194)
NARUTO (68)
ニセコイ (31)
のんのんびより (40)
化物語 (43)
はたらく魔王さま! (2)
氷菓 (37)
Fate/stay night (105)
Fate/Zero (43)
Fate/EXTRA (1)
ペルソナ3 (7)
ペルソナ4 (15)
BLEACH (16)
僕は友達が少ない (9)
ポケモン (52)
魔王・勇者 (392)
魔法科高校の劣等生 (22)
魔法少女まどか☆マギカ (391)
みなみけ (29)
ミリマス (455)
モバマス (4514)
名探偵コナン (182)
めだかボックス (5)
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (460)
結城友奈は勇者である (70)
ゆるゆり (405)
ラブライブ (2037)
リトルバスターズ! (99)
私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! (5)
ひなビタ♪ (43)
響け!ユーフォニアム (15)
グリザイアの果実 (3)
がっこうぐらし (22)
干物妹!うまるちゃん (21)
幸腹グラフィティ (2)
Charlotte(シャーロット) (5)
食戟のソーマ (25)
Fate/GrandOrder (110)
天体のメソッド (4)
ヒーローアカデミア (7)
月刊少女野崎くん (63)
ハナヤマタ (4)
魔法使いの夜 (1)
蒼穹のファフナー (8)
うたわれるもの (1)
だがしかし (16)
グラブル (31)
東京喰種 (1)
ゴッドイーター (3)
甲鉄城のカバネリ (5)
キルラキル (6)
ラブライブ!サンシャイン!! (2)
working (1)
NEWGAME! (21)
君の名は。 (4)
ペルソナ5 (13)
マギ (1)
マクロスΔ (3)
ストライクウィッチーズ (5)
ブレイブウィッチーズ (9)
Re:ゼロから始める異世界生活 (3)
フリップフラッパーズ (1)
小林さんちのメイドラゴン (10)
ガヴリールドロップアウト (319)
けものフレンズ (75)
鉄血のオルフェンズ (10)
ファイアーエムブレム (5)
バンドリ (28)
この素晴らしい世界に祝福を! (4)
グラップラー刃牙 (1)
エロマンガ先生 (1)
アズールレーン (5)
アクセスランキング
フリーエリア
アマゾンランキング
Powered by amaprop.net
タグクラウド

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR
フリーエリア
Powered by amaprop.net
全記事表示リンク