fc2ブログ

ミリP「イツカノミライ」

1: ◆5Zs67o7uls 2017/03/15(水) 23:48:08.87 ID:Onqs0ttV0

ミリオンライブ!のSSです。
 


2: ◆5Zs67o7uls 2017/03/15(水) 23:51:02.66 ID:Onqs0ttV0

彼女はそこに座っていた

つい先ほどまで事務所のソファに

窓から吹き込む風は事務所に入り、そしてそそくさと立ち去り心地よさを与えてくる

明日はかつて夢見た会場でのライブ

夢は現実になろうとしている

明日の開演は18時

そしていまの時間は10時


3: ◆5Zs67o7uls 2017/03/15(水) 23:51:53.69 ID:Onqs0ttV0

彼女はつい先ほど前日リハに出かけて言った

手間をかけたくないと言われて俺はお留守番だ

全てのスケジュールを明日のライブを軸に組んできたからお預けを食らった手前いま現在としては何もやることがない

こうだな、明日の準備の確認でもするか

~~

「3番の方、自己アピールをお願いします」

「はーいっ!すきにしていいのっ?そうだ!ねぇねぇ、こんな感じかな?こうするともっといいかもっ?こんなのすっごくよくないかなっ?」


4: ◆5Zs67o7uls 2017/03/15(水) 23:53:05.80 ID:Onqs0ttV0

「あの自己アピールを言っていただきたいのですが…」



「はい。3番の方ありがとうございました。次、4番の方お願いします」



「次は8番の方お願いしますね」

「あの、私、アイドルになりたい気持ちだけは、1番のつもりです!お願いします!」


5: ◆5Zs67o7uls 2017/03/15(水) 23:53:48.06 ID:Onqs0ttV0



あのオーディションには俺以外に律子と社長がいたんだ

書類選考を突破した10人の中から実質的な社長面接を通過できるのは1人

実を言うと俺は3番の子、翼に票を入れたんだ、彼女には光るものを感じることができなかった

翼はビジュアル、ボーカル、ダンスの全てにおいて抜きん出ていたし、なによりうちの765プロのアイドルはアレくらい破天荒なのがいい、そう思ったからだ

横にいる律子と相談し同意は得られ、最後に社長の了承をとろうとした

翼を採用することに対してはなんの問題もないというが、社長は何か逡巡していた

「ティン!と来たのだよ!」


6: ◆5Zs67o7uls 2017/03/15(水) 23:54:21.83 ID:Onqs0ttV0

あの頃はよくわからなかった

「8番の子だよ、あの子に光る何かを感じてね、あぁもちろん3番の子にもそれを感じてね」

「けど募集枠は1人ですよ?どうするんですか社長?」

「なら特別枠として採用すればいいじゃないか!そうしようじゃないか!」

「こうなった社長は聞きせんからね…」

律子も社長を宥めることなく苦笑をしていた

そんなこんなで2人の採用があの時のオーディションで決まったんだ


7: ◆5Zs67o7uls 2017/03/15(水) 23:55:02.04 ID:Onqs0ttV0

~~

アイドルとしての彼女との初顔合わせは………そう、オーディションのあったその週の土曜日

親御さんを連れての契約に関わる話だった

その時の彼女はひたすらと緊張していた、まぁ無理もなかっただろう

その時は俺と律子、どちらがプロデュースするかすらも決まっていなかったな

「うおっほん!では今日から二人のプロデュースをよろしく頼むよキミィ!」

次週の月曜日、突然社長から通告された


8: ◆5Zs67o7uls 2017/03/15(水) 23:55:46.98 ID:Onqs0ttV0

この日をもって彼女は俺の担当となったんだ

最初の頃はどうだったかなぁ、そうあれは二人を受け持ってから2か月たった時だったな

追加で受け持った二人のプロデュースはもちろん二人で差をつけるつもりはなかったし、実際にプロデュース内容としては差はなかったはずだ

だけど最初の頃で覚えているのはほとんど翼のことだな

そういえばあんなことがあったな

そう、美希と春香宛てにきた仕事を翼がやらせてくれって言ってきたんだよな

仕事の内容的にはあの時の二人でも十分だったんだが、先方さんは美希と春香っていう名前を求めて仕事をこちらにくれたんだ、美希と春香は快諾してくれたあの時の交渉はすごく大変だったんだな


9: ◆5Zs67o7uls 2017/03/15(水) 23:56:37.06 ID:Onqs0ttV0

結果としては成功だった、どうやら引っ張る翼との対比が受けたらしい

そう、この日を境に何かが変わったんだ

~~

トレーナーさんに二人の仕上がり具合を聞いてみた

「二人ともやっぱり素質はありますよ、けどやっぱり翼ちゃんは今の時点でも光るものがありますね」

「けどすごいんですよ!その日の時点で出来なくても次の日までには絶対にできるようになってくるんです!」

へぇ…翼が、あいつが根は真面目なことは知っていたが、そこまで真面目に打ち込んでいてくれたとは思ってなかったな


10: ◆5Zs67o7uls 2017/03/15(水) 23:57:20.70 ID:Onqs0ttV0

「いえ、翼ちゃんじゃないですよ?翼ちゃんが教えてあげてることもあるみたいなんですけど」

へぇ…残って自主練してるのか

「今度見に行ってあげたらどうですか?」

そうしようかな、ふとここで些細な興味がわいたんだ

~~

ダンスレッスンの日、二人の現状を見るためも兼ねてレッスン室に向かった

6時、夕日がレッスン室を差していた


11: ◆5Zs67o7uls 2017/03/15(水) 23:57:48.25 ID:Onqs0ttV0

ちょうどトレーナーさんのレッスンは終わる時間なのでトレーナーさんから状況を聞いた

「二人ともあともう一歩でつかめそうって感じですかね、二人ともこれから横の空きスタジオで残りの練習をするらしいので二人のこと見てあげくださいよプロデューサーさん」

もとからそのつもりで来たんだ、トレーナーさんの問いかけに対し頷いた

「よし、二人とも今日はここまで!自主練やるのはいいけどやりすぎなのは体に毒だってことを忘れないこと!プロデューサーさんもやりすぎには見張ってってくださいね!」

「「ありがとうございましたー!」」

そうして二人にペットボトルを渡したんだ


12: ◆5Zs67o7uls 2017/03/15(水) 23:58:21.50 ID:Onqs0ttV0

「ありがとうございます、プロデューサーさん!」
「ありがとっ!プロデューサーさーーんっ!えいっ!」

抱きついてきた翼を引きはがした

「プロデューサーさん、自主練見てくれるんでしょ!えへへ~、なら私もがんばっちゃいますから!」

威勢がいいことはいいことだ

「私もできなかったところをできるようにしないと…、頑張んなきゃ!」

やる気があるのはいいことだな


13: ◆5Zs67o7uls 2017/03/15(水) 23:58:48.22 ID:Onqs0ttV0

小休憩をはさんだのち隣の空き部屋に3人で移動し二人の自主トレを見学する

1時間もしたら2人のダンスは形になってきた

もうそろいい時間じゃないか?トレーナーさんもやりすぎは体に毒だと言ってたしそろそろ切り上げさせたんだ

「もうちょっと続けたいな~プロデューサーさん、…ダメ?」

翼のお願いはあのころから高かったな、もちろんやめさせたが

そして二人を帰す前に明日の予定を軽く確認したのち二人を見送ったのち、事務所のオフィスに戻り仕事を済ませ事務所のの戸締りを確認しに行ったんだ

いつものように、というかこれは今でも同じ流れだな


14: ◆5Zs67o7uls 2017/03/15(水) 23:59:37.59 ID:Onqs0ttV0

まずオフィスの窓、そして美奈子の城である給湯室、いくつかの会議室も確認して残りのその他の部屋も確認した、そして最後にレッスン室に向かったんだ

今日のレッスンはあの2人で最後だったし、2人とも返したと思っていたからまさか誰か残ってるとは思いもしてなかったんだ

そりゃ当然かのように誰もいないと思ってた部屋に明かりがついていてそこから“キュッキュッ”っていう音がしたらビビったんだ

それで俺は中に誰かいる分かる術もなかったし、その部屋のドアから部屋を伺うように覗き込んだよ

帰したと思うやつがそこにいたんだあっけにとられてしばし見つめていたんだ

シューズが床を滑るキュッキュッという音のみがしばらく時間を支配していた、ただ天井のライトのみが彼女の足元に影を作っていた

「う~ん、だいたいできるようになったかなぁ…、けど翼はすぐにできるようになっちゃうから私も負けないようにもっと頑張らないと…!」


15: ◆5Zs67o7uls 2017/03/16(木) 00:00:16.01 ID:iWpd9L3K0

「よしっ!あともう一回…!がんばろうっ!」

なるほど、これがティンと来る、ということなんだったな、あの時そう感じたんだ

練習が一息ついたのか彼女が独り言をつぶやき、それに呼応して自分も行動し始めた

レッスン室のドアを開き、また練習を始めようとした彼女が再開する前に彼女に軽くチョップを入れた

「わっ、プロデューサーさんこんな時間なのになんでいるんですかっ?」

それはこちらのセリフだよな、とかそんなことを伝えた気がする

トレーナーさんの言ったようにやりすぎは毒だということを再び釘を刺して、帰る支度をさせ今度は事務所の外まで見送ったんだ


16: ◆5Zs67o7uls 2017/03/16(木) 00:00:53.56 ID:iWpd9L3K0

この日から戸締りの確認の時間を早めたんだったな

そうするとかなりの頻度で彼女に、レッスン後のレッスン室で出会うようになったんだ

つまり彼女はかなりの頻度で自主練を重ねてたってことだ

~~

日課は当初の目的であった戸締りの確認ではなくて彼女がやりすぎないように注意することになってたな

大分、もうこのころには気にかけているようになってたんだなぁ

言えばなんだが彼女は天才型の翼とは違って才能は確かに少ないだろう、けどその才能差を努力という形で乗り越えていった


17: ◆5Zs67o7uls 2017/03/16(木) 00:01:31.48 ID:iWpd9L3K0

最初は春香達の代打として行かせてた仕事にも彼女の実力が認められて彼女自身に対して仕事が求められるようになったんだ

そうやって実績を積み重ねてきたおかげでついに明日のライブにまでたどり着いたんだ

自分の引き出しを開き、箱を取り出し手のひらに置き眺める

明日これを……

しばし眺めて再び引き出しに戻す

さて、確認しにでかけるかな


18: ◆5Zs67o7uls 2017/03/16(木) 00:02:04.70 ID:iWpd9L3K0

~~

「プロデューサーさん!見ててくださいこの衣装!ものすごーーーい可愛いです!ねーねー、見てくださいよー!」

開演前に彼女が寄ってくる

可愛い、めっちゃ可愛い…じゃない

励まして送り出す、頑張ってこい

そこからの3時間、俺はこれからの緊張を忘れるくらいに彼女のライブに没頭した


19: ◆5Zs67o7uls 2017/03/16(木) 00:02:37.74 ID:iWpd9L3K0

~~

最高だった

彼女のライブは無事に盛況のうちに終了した

夢は叶ったんだ、今はそんな彼女を連れて事務所に帰ってる最中だ、そんでその後にご褒美としてディナーに連れて行ってやることになってる

その時に…………

緊張しつつ期待を膨らませつつ車を走らせ事務所に戻る、楽しそうに彼女は外を見ていた

「片づけるものがあれば私も手伝いますよ、プロデューサーさん!」

念のために持ってきておいた救急セットの類の箱をレッスン室に戻しにレッスン室に向かう

「ここでいいですかー?」


20: ◆5Zs67o7uls 2017/03/16(木) 00:03:06.99 ID:iWpd9L3K0

手伝ってもらった礼を彼女に言う、そしてあの箱を取りに戻るために彼女に少々ここで待ってもらおう

机の引き出しを開け、箱を手に取りポケットに入れレッスン室に戻る

彼女は踊っていた、相当疲れているだろうにもかかわらず

本当に楽しそうだ、思わず立ち尽くし見とれていた

彼女がこちらに気づき満面の笑みでこちらに振り向いた

その瞬間彼女をこちらに強く抱きよせる

そして彼女に思いを告げ、手を出すように頼む


21: ◆5Zs67o7uls 2017/03/16(木) 00:03:33.24 ID:iWpd9L3K0

手伝ってもらった礼を彼女に言う、そしてあの箱を取りに戻るために彼女に少々ここで待ってもらおう

机の引き出しを開け、箱を手に取りポケットに入れレッスン室に戻る

彼女は踊っていた、相当疲れているだろうにもかかわらず

本当に楽しそうだ、思わず立ち尽くし見とれていた

彼女がこちらに気づき満面の笑みでこちらに振り向いた

その瞬間彼女をこちらに強く抱きよせる

そして彼女に思いを告げ、手を出すように頼む


22: ◆5Zs67o7uls 2017/03/16(木) 00:04:05.18 ID:iWpd9L3K0

顔を真っ赤にしている彼女は拒むこともなく指を差し出してくる

ポケットに入れた箱からリングを取りだし、彼女の左薬指にはめる

彼女はしばし放心したかのような仕草で指輪を見つめたのち…

指輪を左小指にし直したのだ

「プロデューサーさん!あの、これ今は受け取れません!けど、その日が来たらまた薬指につけなおしてくれますか?」

──────────────────いつかの未来に。


23: ◆5Zs67o7uls 2017/03/16(木) 00:06:38.14 ID:iWpd9L3K0

おしまい。
未来ちゃ可愛い、結婚したい。


24: ◆Jnlik0MEGA 2017/03/16(木) 00:26:37.04 ID:8BQHGTp20



25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/03/16(木) 00:36:23.52 ID:7qnWIzqQo

乙未来ちゃ可愛い


26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/03/16(木) 06:04:11.70 ID:ktVzcMYXO


未来ちゃ好き




掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1489589288/
関連記事

コメント欄

プロフィール

amnesia

Author:amnesia
ゆっくりまったり見ていってください( ´▽`)


相互リンクrss大歓迎




Twitterやってます( ̄▽ ̄)

トップ絵紹介

新規キャンバス (1) ぽむ様より頂きました!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
お知らせ (3)
未分類 (24)
アイドルマスター (1174)
悪魔のリドル (44)
Another (21)
甘城ブリリアントパーク (3)
インフィニット・ストラトス (79)
アルドノア・ゼロ (11)
オリジナル (1609)
俺の妹がこんなに可愛いわけがない (6)
終わりのセラフ (12)
空の境界 (3)
ガールズ&パンツァー (526)
ガールフレンド(仮) (14)
艦隊これくしょん (1605)
ガンダムビルドファイターズ (4)
きんいろモザイク (66)
黒子のバスケ (13)
けいおん! (120)
コードギアス (44)
ご注文はうさぎですか? (281)
冴えない彼女の育てかた (15)
咲-Saki- (683)
桜Trick (6)
シドニアの騎士 (3)
SHIROBAKO (23)
STEINS;GATE (80)
ジョジョの奇妙な冒険 (95)
進撃の巨人 (279)
新世紀エヴァンゲリオン (122)
涼宮ハルヒの憂鬱 (281)
生徒会役員共 (16)
ソードアートオンライン (35)
たまこまーけっと (2)
ダンガンロンパ (211)
中二病でも恋がしたい (7)
とある魔術の禁書目録 (194)
NARUTO (68)
ニセコイ (31)
のんのんびより (40)
化物語 (43)
はたらく魔王さま! (2)
氷菓 (37)
Fate/stay night (105)
Fate/Zero (43)
Fate/EXTRA (1)
ペルソナ3 (7)
ペルソナ4 (15)
BLEACH (16)
僕は友達が少ない (9)
ポケモン (52)
魔王・勇者 (392)
魔法科高校の劣等生 (22)
魔法少女まどか☆マギカ (391)
みなみけ (29)
ミリマス (455)
モバマス (4514)
名探偵コナン (182)
めだかボックス (5)
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (460)
結城友奈は勇者である (70)
ゆるゆり (405)
ラブライブ (2037)
リトルバスターズ! (99)
私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! (5)
ひなビタ♪ (43)
響け!ユーフォニアム (15)
グリザイアの果実 (3)
がっこうぐらし (22)
干物妹!うまるちゃん (21)
幸腹グラフィティ (2)
Charlotte(シャーロット) (5)
食戟のソーマ (25)
Fate/GrandOrder (110)
天体のメソッド (4)
ヒーローアカデミア (7)
月刊少女野崎くん (63)
ハナヤマタ (4)
魔法使いの夜 (1)
蒼穹のファフナー (8)
うたわれるもの (1)
だがしかし (16)
グラブル (31)
東京喰種 (1)
ゴッドイーター (3)
甲鉄城のカバネリ (5)
キルラキル (6)
ラブライブ!サンシャイン!! (2)
working (1)
NEWGAME! (21)
君の名は。 (4)
ペルソナ5 (13)
マギ (1)
マクロスΔ (3)
ストライクウィッチーズ (5)
ブレイブウィッチーズ (9)
Re:ゼロから始める異世界生活 (3)
フリップフラッパーズ (1)
小林さんちのメイドラゴン (10)
ガヴリールドロップアウト (319)
けものフレンズ (75)
鉄血のオルフェンズ (10)
ファイアーエムブレム (5)
バンドリ (28)
この素晴らしい世界に祝福を! (4)
グラップラー刃牙 (1)
エロマンガ先生 (1)
アズールレーン (5)
アクセスランキング
フリーエリア
アマゾンランキング
Powered by amaprop.net
タグクラウド

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR
フリーエリア
Powered by amaprop.net
全記事表示リンク