真姫「ピアノの音…?あんまり上手じゃないけど誰かしら」

1: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 13:03:21.98 ID:RKcqv+nE

海未「おや真姫ではありませんか」

真姫「えっ?いまのピアノ海未だったの?」

海未「ええ、恥ずかしながらまだ練習中でして、人に聴かせるようなものではないのですが…」

真姫「へぇなんだか意外ね。曲作りでも考えてるの?」

海未「いえ、特にそういうことではなく」

海未「…ピアノを弾いてみたら真姫の気持ちが少しは理解できるかな、と思いまして」

真姫「へぇ…」

海未「いままでは基本的に詩に合わせて作曲してもらってましたからね」

海未「今度は真姫の曲に作詞をしてみたくなったんです」

真姫「……」

海未「しかし、いかんせん私は音楽に関しては素人なので…」ポロローン

真姫「……驚いた。そんなことまで考えてるなんて」

海未「ふふっ、これでも一応μ'sの作詞担当ですからね」

真姫「くすっ、じゃあ海未のために私が音楽のお手本を見せてあげなくちゃ♪」


うみまきはいろいろあると思うんだ😍


17: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 14:45:36.51 ID:wxqcnRIg

ザァアアアア……

真姫「もうすぐ冬なのに、6月みたいな雨ね」

真姫「じっとりして、イヤな感じ」

真姫「ラブライブも近いから、もっと練習したいのに……」

♪~

真姫「あら、何かしら」

真姫「……ピアノの音?」


18: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 14:54:15.71 ID:wxqcnRIg

真姫「放課後なのに、誰かしら」

真姫「……あんまり上手じゃないわね」

雨の日の放課後。

私は少し、意地悪くなっていました。

だって、その音楽室は。

私にとって、かけがえのない居場所の一つだったから。


真姫「誰だか知らないけど、顔を拝んであげるわ」

真姫「ついでに、ちょっとおどかしてみようかしら」

真姫「……って、これじゃあ凛かにこちゃんじゃない!」


19: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 15:01:21.05 ID:wxqcnRIg

♪~

真姫「まったく……」

♪~

真姫「ああほら、遅れてるわよ」

♪~

真姫「スタッカートもぎこちないし……」

♪~

真姫「ダメダメね。楽譜を読むところからレクチャーしてあげないと」

……♪


真姫「……あら?」

真姫「音が、止まった」

真姫「気づかれたのかしら」


20: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 15:08:28.71 ID:wxqcnRIg

ガラッ――と少し勢いよく戸を開けた時には。

ピアノを弾いていた誰かは、すでにいなくなっていました。

その時、視界の隅をさっと何かが横切って。

慌てて周りをキョロキョロ見回しても、もちろん誰もいなくって。

でも、あれは確かに髪の長い女の子だったわ。

それにこの、ほのかに残る甘いにおい――。



真姫「……あら?」


22: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 15:13:41.43 ID:wxqcnRIg

真姫「……なによ、これ?」

真姫「……ユリの花?」


音楽室の床に落ちていた、白い花弁。

それは、紛れもなく、ユリの花でした。

おかしな気がしました。

だって、今はもう11月。

ユリの花には、寒すぎるもの。


真姫「あら?廊下にも落ちてるわ」

真姫「あそこにも……」


23: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 15:24:30.69 ID:wxqcnRIg

廊下に転々と落ちている、ユリの花弁を拾いながら。

私は、小さい頃にママが読んでくれた絵本を思い出していました。

大好きなヘンゼルとグレーテル。

意地悪な継母に追い出された兄妹が、こっそり撒いた白い小石を道しるべに、パパの待つおうちに帰るの。

それにしても、白い花でよかったわ。

これがもしも、赤いバラの花弁だったなら、

それはきっと、手負いの獣が流す血のようで――。




真姫「」ゾクッ

真姫「……どこに導こうとしてるのよ」


25: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 15:28:48.07 ID:wxqcnRIg

真姫「……まただわ」ヒョイ

真姫「静かね」

真姫「……」

真姫「……放課後の学校って、こんなに静かだったかしら」

真姫「それに、雨の音は?」

真姫「……あら、あそこにも」

真姫「……」



真姫「一本の花に、どうしてこんなに花弁がついているのよ」


26: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 15:35:18.41 ID:wxqcnRIg

♪~

真姫「!!」ビクッ


その時、かすかに。

ピアノの音が聞こえてきました。

誰もいなかったはずの音楽室。

ふと、希の声が脳内によみがえってきた。

夜の音楽室に現れる、ピアノを弾く女の子。

その音色に引き寄せられ、目が合うと――。


真姫「……き」

真姫「キャアアアアア!!」


27: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 15:56:35.48 ID:wxqcnRIg

こんな大声で叫んだのに、どうして誰も顔を見せないんだろうとか、

スマホで助けを求めた方がいいんじゃないかとか、

そんなことをのんびり考える余裕なんて、私にはもう残っていなくて。

ただ夢中で、ユリの花弁を頼りに、

ひたすらに叫びながら走りました。

薄暗い校舎の中。

その白い花弁は、まるで光を放っているかのように、不思議にはっきりと見えたの。

階段を転げるように降りて、

普段は絶対に走らない廊下を駆け抜けて、

気がついたら、私は。

講堂にいました――。


28: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 16:00:39.70 ID:wxqcnRIg

真姫「……はぁっ、はぁっ……」

「……」

真姫「……け、けほけほけほっ」

「……お待ちしていましたよ、真姫」

真姫「……」ヘタヘタ

「廊下を走ってきたのですか?いけない人ですね」

真姫「……あ」

真姫「あなただったの?」


真姫「海未?」

「はい」


29: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 16:13:20.86 ID:wxqcnRIg

真姫「な、なんのつもりよ!」

「なんのつもり、とは?」

真姫「とぼけないで!」

真姫「意味ありげに花弁なんて撒いたり、下手なピアノなんて弾いたり!」

「下手ですか、私?」

真姫「私に言わせれば、ダメダメよ!」

「――やれやれ」



「もっと練習しないと、あなたにはなれませんね」


30: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 16:24:58.86 ID:wxqcnRIg

真姫「どういうこと?私になるって……」

真姫「いや、そんなことより!あなたの後でピアノを弾いたのは誰なの!?他に誰と共謀してるの!?」

「――真姫は、アルター・エゴって知っていますか?」

真姫「は、はぁ!?」

「別人格、あるいはもう一人の自分。それがアルター・エゴです」

「文学のモチーフにもなっているので、機会があれば是非調べてほしいですね」

真姫「……何が言いたいのよ」

「私達って」

「不思議と、似通っていませんか?」


33: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 16:52:40.86 ID:wxqcnRIg

真姫「……あまり考えたことはないわね」

「似ていますよ」

「共に跡取り娘で、進む道を親から与えられていて」

真姫「……」

「こうあったかも知れない私、こうあってほしかった私。あるいはこうなるかもしれない私」

「そうした無数の“可能性としての私”を控除した結果が、今そこに存在しているあなたです」

「そして控除された“可能性としての私”のことを、哲学では他我、つまりアルター・エゴと言います」

真姫「……もしかして、海未は」

真姫「自分をもう一人の私、もう一人の西木野真姫だと思っているわけ?」

「ちょっと惜しいですね」

「私が西木野真姫であると同時に、あなたは園田海未でもあるのですよ」

「いえ、ここにいる私達だけではありません」

「穂乃果も、ことりも、花陽も凛も。にこや絵里や希だってそうです。皆アルター・エゴ、つまり“可能性としてあり得たもう一人の私”なのですよ」


34: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 16:58:47.40 ID:wxqcnRIg

真姫「……ついていけないわね」

「馬鹿げていますか?」

真姫「ええ、バカバカしいわ」

真姫「大方、何かろくでもない本でも読んだんでしょ」

「そうですか。あなたも薄々感づいていると思っていたのですが」

「秘密の作曲ノート。μ'sのための曲」

真姫「!?」

「公開する予定のない、その曲の名は――」

真姫「ち、ちょっと!」

真姫「どうしてあなたが、それを知っているのよ!」

「だから、言っているではありませんか」

グイッ

真姫「!!」


35: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 17:04:51.67 ID:wxqcnRIg

真姫「ち、近――///」

真姫(違う、海未じゃない)

真姫(私の知っている海未は、こんなに気安く顔を寄せる子じゃない!)

「私は真姫であり――」

真姫「やっ……来ないで……」

「――真姫は私なのですよ」

真姫「……ダメッ////」


「ひとつになりましょう――真姫♡」



チュッ……


37: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 17:14:33.27 ID:wxqcnRIg

翌日――

穂乃果「海未ちゃんと真姫ちゃん、今日は遅いね」

絵里「珍しいわね、あの二人が遅刻だなんて」

穂乃果「真姫ちゃんが教室で何してたか、凛ちゃんと花陽ちゃんは知ってる?」

花陽「それが、いくら声をかけても上の空というか……なんだか違う世界を見ているようで」

凛「正直、今日の真姫ちゃんは何か怖いにゃ……」

ことり「そういえば、お昼休みに二人が一緒だったよ」

ことり「何かしきりにクスクス笑いあってて……いつもと様子が違うみたいだった」

希「聞き捨てならないなぁ。ね、にこっち?」

にこ「ぬゎんでそこで私を見るのよ!」

絵里「ともかく、ちょっと迎えに行ってくるわね」


39: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 17:19:48.71 ID:wxqcnRIg

絵里「あら、何かしらこれ」ヒョイ

絵里「花弁……ユリじゃない」

絵里「なんでこれが、こんな季節に落ちているのよ?」

絵里「あら、こっちにも」

♪~

絵里「ピアノの音?……真姫かしら」

絵里「あ、いたいた」

絵里「そこの二人、遅刻よ?」

絵里「……え?」

――僕たちはひとつの光



おしまい


40: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 17:25:58.52 ID:wxqcnRIg

スレタイからイメージを膨らませた結果、こんなことになりました。
いつかホラーを書いてみたかったので、機会を与えてくれた>>1には感謝してます。


ちなみにアルター・エゴの説明に関しては、内田樹の著書数冊から拝借しました。
あと、花弁を追いかけるシーンはもろに恩田陸の模倣ですね。
でも一番参考にしたのは、言うまでもなく真姫ちゃんのSIDです。


41: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 18:06:17.70 ID:u7brMj1R


即興でこれならすごいと思うわ
またいつかホラー書いて


42: 名無しさん@お腹いっぱい 2016/11/18(金) 18:40:03.35 ID:N27b0qXu

おつおつ




掲載元:http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1479441801/
関連記事

コメント欄

プロフィール

amnesia

Author:amnesia
ゆっくりまったり見ていってください( ´▽`)


相互リンクrss大歓迎




Twitterやってます( ̄▽ ̄)

トップ絵紹介

新規キャンバス (1) ぽむ様より頂きました!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
お知らせ (3)
未分類 (24)
アイドルマスター (1160)
悪魔のリドル (44)
Another (21)
甘城ブリリアントパーク (3)
インフィニット・ストラトス (79)
アルドノア・ゼロ (11)
オリジナル (1588)
俺の妹がこんなに可愛いわけがない (6)
終わりのセラフ (12)
空の境界 (3)
ガールズ&パンツァー (501)
ガールフレンド(仮) (14)
艦隊これくしょん (1560)
ガンダムビルドファイターズ (4)
きんいろモザイク (66)
黒子のバスケ (13)
けいおん! (120)
コードギアス (43)
ご注文はうさぎですか? (276)
冴えない彼女の育てかた (15)
咲-Saki- (674)
桜Trick (6)
シドニアの騎士 (3)
SHIROBAKO (23)
STEINS;GATE (79)
ジョジョの奇妙な冒険 (93)
進撃の巨人 (269)
新世紀エヴァンゲリオン (121)
涼宮ハルヒの憂鬱 (281)
生徒会役員共 (16)
ソードアートオンライン (35)
たまこまーけっと (2)
ダンガンロンパ (207)
中二病でも恋がしたい (6)
とある魔術の禁書目録 (190)
NARUTO (68)
ニセコイ (31)
のんのんびより (40)
化物語 (43)
はたらく魔王さま! (2)
氷菓 (37)
Fate/stay night (103)
Fate/Zero (43)
Fate/EXTRA (1)
ペルソナ3 (7)
ペルソナ4 (15)
BLEACH (16)
僕は友達が少ない (9)
ポケモン (51)
魔王・勇者 (385)
魔法科高校の劣等生 (22)
魔法少女まどか☆マギカ (387)
みなみけ (28)
ミリマス (423)
モバマス (4314)
名探偵コナン (181)
めだかボックス (5)
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (452)
結城友奈は勇者である (69)
ゆるゆり (398)
ラブライブ (1948)
リトルバスターズ! (98)
私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! (4)
ひなビタ♪ (43)
響け!ユーフォニアム (15)
グリザイアの果実 (3)
がっこうぐらし (22)
干物妹!うまるちゃん (21)
幸腹グラフィティ (2)
Charlotte(シャーロット) (5)
食戟のソーマ (25)
Fate/GrandOrder (99)
天体のメソッド (4)
ヒーローアカデミア (7)
月刊少女野崎くん (62)
ハナヤマタ (4)
魔法使いの夜 (1)
蒼穹のファフナー (8)
うたわれるもの (1)
だがしかし (16)
グラブル (26)
東京喰種 (1)
ゴッドイーター (3)
甲鉄城のカバネリ (5)
キルラキル (5)
ラブライブ!サンシャイン!! (2)
working (1)
NEWGAME! (21)
君の名は。 (4)
ペルソナ5 (13)
マギ (1)
マクロスΔ (3)
ストライクウィッチーズ (4)
ブレイブウィッチーズ (9)
Re:ゼロから始める異世界生活 (3)
フリップフラッパーズ (1)
小林さんちのメイドラゴン (10)
ガヴリールドロップアウト (287)
けものフレンズ (69)
鉄血のオルフェンズ (10)
ファイアーエムブレム (5)
バンドリ (8)
この素晴らしい世界に祝福を! (4)
グラップラー刃牙 (1)
エロマンガ先生 (1)
アズールレーン (3)
アクセスランキング
フリーエリア
アマゾンランキング
Powered by amaprop.net
タグクラウド

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR
フリーエリア
Powered by amaprop.net
全記事表示リンク