女「私さ…」男「そっか」
1: ◆nRrk0j/cII 2017/01/09(月) 22:54:55.66 ID:k5oh5eLS0
もっと触って
もっと確かめて
私の存在を証明して
それができるのは貴方だけ
それが分かるのは私だけ
ほら雨が降り出した
この雨みたいに混ざり合おう
ずっと一緒に
永遠に
2: ◆nRrk0j/cII 2017/01/09(月) 22:55:48.80 ID:k5oh5eLSo
女「あ、雨だ…やだなぁ」
男「どうして?」
女「だってさ、つまんないじゃん」
男「何が?」
女「外に出るのも面倒だし気分も落ち込むじゃん」
男「そうかな」
女「男はそうじゃないの?」
男「僕は好きだよ、雨」
女「ふーん…」
私は雨が嫌いだ
何よりも濡れるのが
気分が沈むのが
鬱々とした感情が押し寄せてくるのが
彼はなんで雨が好きなんだろう?
3: ◆nRrk0j/cII 2017/01/09(月) 22:56:47.85 ID:k5oh5eLSo
女「ねえ、男はどうして雨が好きなの?」
男「どうして、か…。うーん…雨の音かなぁ…ぽつぽつ、ざーざーって感じの」
女「どういうこと?」
男「雨の音を聞いてると落ち着くんだ。だからかな。あと雨の時に気分が沈むって言ったじゃん?」
女「うん」
男「僕はそれが心地いいんだよね」
女「うーん…よく分かんないや」
男「これで分かるなら女も雨が好きだろうしね」
女「あ、確かに。で、どうやって帰ろうか?」
男「実はここに折りたたみ傘があってね
…?」
女「あっずるい!半分入れて!」
男「言うと思った…いいよ」
女「ありがと」
雨が好きな理由はよく分からなかったけど
一緒に帰れるし何でもいいや なんて思った
4: ◆nRrk0j/cII 2017/01/09(月) 22:57:24.63 ID:k5oh5eLSo
女「ありがとね、良かったら寄ってく?少し濡れてるでしょ?」
男「あー…でもさ…」
女「今日さ、ウチ親いないんだよね」
男「もっとダメじゃん。じゃ、また明日ね?」
女「うん…また明日……」
私に魅力が無いのかな…
どうしてだろう…
ちょっぴり悲しくなった
男「おはよ」
女「……ん」
男「なんかあったの?」
お前のせいだよバーカ!
って言ってやりたい気持ちもあったとか
5: ◆nRrk0j/cII 2017/01/09(月) 22:57:50.67 ID:k5oh5eLSo
女「男…一緒にご飯たべよ…」
男「あーちょっと待ってて、パン買ってくるから」
昨日のことは何だったのか
少し聞こうと思ってお昼に誘った
男「お待たせ」
女「買えた?」
男「それがさ、ほとんど売り切れで1個だけ…」
女「なにそれ、私のお弁当少し分けてあげるよ」
男「いいの?」
女「ここの教室は誰もいなくて良いね」
男「そうだね」
女「っと…はい」
お弁当箱のフタに乗せて男に渡す
6: ◆nRrk0j/cII 2017/01/09(月) 22:59:13.11 ID:k5oh5eLSo
男「ありがと…ほんと助かる」
女「気にしないで。はい、これ使って」
男「あ、ありがと」
男「わ…めっちゃ美味いこれ…誰が作ってんの?」
女「私だよ」
男「すごい…料理が上手いっていいね」
やった褒められた
これだけですごく満たされた気分になった
男「ごちそうさまでした」
女「お粗末さま」
男「って…女は食べてないじゃん」
女「お箸が一膳しか無かったから」
男「そうだったんだ…ごめんね、ありがと」
女「いいよ別に。いただきまーす」
男「待ってそれって間接キスじゃん、いいの?」
女「男となら良いかなって」
男「気にしないの?」
女「気にしないよ?」
男「ふーん…」
女「あ、誰でも良いってわけじゃないからね?」
念のためにね
これはちょっとドキドキした
7: ◆nRrk0j/cII 2017/01/09(月) 22:59:50.69 ID:k5oh5eLSo
女「ごちそうさまでした…そうそう、聞こうと思ってたことがあるんだ」
男「……なに?」
女「昨日さ、ウチに寄っていかないかって言ったじゃん?」
男「そうだね」
女「なんであれ断ったの?」
男「いやそれは…迷惑かなって思ったしそれに…」
女「それに?」
男「やっぱり上がっちゃいけないかなって思って」
女「なにそれ。迷惑ならあんなこと言わないよ」
男「そっか…」
女「それにね、誘ったのは男だからだよ?誰にでも言うわけじゃないんだからね?」
男「え……それって…」
女「私にこれ以上言わせるの?」
男「あー………ごめん…」
女「それでどうなの?」
男「ううん…少し考えさせてもらって良い?」
女「なにを?」
男「返事を」
失敗しちゃったかな
ああつらい
こんなにつらいものなんだ
8: ◆nRrk0j/cII 2017/01/09(月) 23:00:25.08 ID:k5oh5eLSo
男「あ、おはよ」
女「………ん」
男「あのさ、良かったら今日、一緒にお昼食べない?」
女「今日はいいや…ありがとね」
なにしてんだろ
せっかく誘われたのに
男「あ、女…帰らない?」
女「あ……うん」
男「なんか今日もすっきりしない天気だね」
女「………」
男「あはは……」
女「………」
こんなはずじゃなかったのに
なんて言い訳がましいな
こんな時でも明るく振る舞えたら良いのになあ
9: ◆nRrk0j/cII 2017/01/09(月) 23:00:59.42 ID:k5oh5eLSo
男「あのさ…昨日の返事なんだけど…」
女「………たくない…」
男「女…?」
女「聞きたくない……」
バカみたい
拗ねるなんて
男「女が聞きたくなくても僕は言いたいから言うよ」
女「っ……!」
男「あのさ…考えたんだけ」
女「やめて!聞きたくない!!」
男「どうして?」
女「……だって…私が思ってる答えと違うから…」
なぜか泣きそうになって
それで下を向いていた私の手を
男の手が優しく包んだ
10: ◆nRrk0j/cII 2017/01/09(月) 23:01:39.60 ID:k5oh5eLSo
女「………なんのつもりよ…」
男「これは女が思ってた答えと違うの?」
女「バカ…バカ……違うわけ…ないじゃん……」
涙が一粒 地面に落ちた
女「私ね…」
男「うん?」
女「振られるんじゃないかって思ってたんだ」
男「どうして?」
女「私が誘っても断られたから…魅力がないのかなって」
男「それは昨日も言ったじゃん、良くないって思ったからだよ」
女「良くなくない!!私がどれだけ勇気を出したと思ってるの!?」
男「そうだね…ごめんね」
11: ◆nRrk0j/cII 2017/01/09(月) 23:02:08.99 ID:k5oh5eLSo
女「あ、そうだ。良くないって思ったってどういうこと?」
男「付き合ってもなかったからね、お堅いかな」
女「堅いと思うけど…その方が好きかな」
男「あはは、よかった」
女「じゃ、また明日ね」
男「うん、また明日」
今日も誘いたかったのだけど
男が用事があるみたいだったから断念した
12: ◆nRrk0j/cII 2017/01/09(月) 23:02:34.55 ID:k5oh5eLSo
女「ね、お昼食べよ」
男「いいよ、少し待ってて」
女「またパン?」
女、男「「いただきまーす」」
女「卵焼き…いる?」
男「いいの?」
女「うん、はいあーん」
男「………うん、なんていうか…これは恥ずかしいね」
女「うん…美味しい?」
男「そりゃもう」
女「あのさ…良かったらこれから私がお弁当作ろっか?」
男「いやそれはさすがに申し訳ないよ」
女「私が作りたいの」
男「…そっか、じゃあお願いします」
お弁当を作る、なんて
カップルみたいでワクワクしちゃう
13: ◆nRrk0j/cII 2017/01/09(月) 23:03:05.10 ID:k5oh5eLSo
男「あーまだ雨止んでない…どうしようか?」
女「傘あるんでしょ?帰ろうよ」
男「わかった」
女「傘入れてくれる?」
男「いいよ」
この前みたいに傘に入る
男の手に私の手を伸ばしてみる
男「どうかした?」
女「手……つなご」
男「うん」
優しく 力強く 私の手を包んでくれた
女「私ね…雨、好きになったよ」
男「そっか、よかった」
女「男さ、ちょっと濡れてない?」
男「いやそんなに…あぁいや、濡れてるよ」
女「えへへ。ウチ、寄ってく?今日、親いないんだ」
男「あー…それじゃお言葉に甘えて」
14: ◆nRrk0j/cII 2017/01/09(月) 23:03:32.31 ID:k5oh5eLSo
男「お邪魔しまーす…」
女「そんなに気を使わなくてもいいのに。とりあえず部屋行こ?」
部屋に招く
それがこんなにも緊張する行為だって知らなかった
男「あぁ…何というか…」
女「何というか?」
男「やっぱり女の子なんだなって」
女「なにそれ、あんま見ないでね?恥ずかしいから」
男「それ矛盾してない?」
女「まあいいじゃん、タオル持ってくるから少し待ってて?」
タオルを取りに行くついでに水を飲む
深呼吸をして気持ちを落ち着かせる
女「はい」
男「あ、ありがと」
15: ◆nRrk0j/cII 2017/01/09(月) 23:04:00.91 ID:k5oh5eLSo
女「はい」
男「あ、ありがと」
男「助かったよ。このタオルどうしたらいい?」
女「私が持ってくよ。なんか飲み物いる?」
男「いいの?」
女「いいよ。好きな飲み物とかないの?」
男「女が飲みたいのでお願い」
女「ん」
ヤカンに水を入れて火にかける
お湯が沸くまでが
長く感じるのは
気のせいだろうか
それとも悪魔のせいだろうか
16: ◆nRrk0j/cII 2017/01/09(月) 23:04:43.60 ID:k5oh5eLSo
女「お待たせ、紅茶だよ」
男「ありがとね」
女「ミルクとかいる?」
男「ううん、このままで」
女「あ、私と一緒だ」
何となく気まずい
話題がない
どうしよう
男「………」
女「……あのさ…」
男「な、なに?」
女「私たちってさ、付き合ってるよね」
男「うん」
何を言い出すんだ私の口は
17: ◆nRrk0j/cII 2017/01/09(月) 23:05:13.28 ID:k5oh5eLSo
女「じゃあさ…」
ちらっとベッドに目をやる
男「あー………」
女「ダメ?」
男「ダメじゃないけど…」
男の顔が近づいてきた
目を閉じる
心臓が止まっちゃうんじゃないか
それぐらい激しく動いていた
女「ん……」
男「はっ……」
なにこれ
すごい
こんなに幸せなものが
今までにあっただろうか
18: ◆nRrk0j/cII 2017/01/09(月) 23:05:46.66 ID:k5oh5eLSo
女「じゃあさ…」
男「うん」
女「私ね…雨、好きだよ?」
男「そっか。どうして?」
女「だってこんなに幸せなんだもん」
男「僕も」
そうして2人でそっと笑った
おしまい
19: ◆nRrk0j/cII 2017/01/09(月) 23:13:27.18 ID:k5oh5eLSo
以上です。乙やいいねって言ってくれる方ありがとうございます。返信はしてませんが励みになります。
次の話からは少しテーマが変わって、重め暗めの話になります(該当するところでも警告はしますが念のため)。苦手な方はご注意ください。ではまた。
次の話からは少しテーマが変わって、重め暗めの話になります(該当するところでも警告はしますが念のため)。苦手な方はご注意ください。ではまた。
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/01/10(火) 04:07:00.93 ID:k8LRqSthO
おつ
いい雰囲気で良かった
いい雰囲気で良かった
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1483970095/