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タイヘイ「たぬき汁」

1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/21(日) 10:14:47.90 ID:z26GiERl0



タイヘイさんの部屋。


タイヘイ「うまる……駄目だ…ピクリともしない…………」


タイヘイ(急に跳び付かれたもんだから、反射的にいなしたらそのまま壁に後頭部をぶつけて、そのまま動かなくなってしまった……)

タイヘイ(俺はこれまでに無い程にテンパりながらも、顔や胸に耳を当ててみたが、呼吸も心臓の鼓動も全く感じられなかった……)

タイヘイ(そう…俺は――――――)




タイヘイ(うまるを…妹を殺めて終ったのだ―――――――――――)

 


3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/21(日) 12:06:35.36 ID:z26GiERl0



ピンポーン。


タイヘイ(チャイム!?)ぎくっ

タイヘイ(そうだ…そう言えば今日は海老名ちゃんがウチに遊びに来るんだった。確か秋田の郷土料理を作ってくれるとかで、今朝…学校に行く前にうまると玄関で口約束してたな……)


タイヘイ(どうする……うまるは出掛けたと言って帰って貰うか?)

タイヘイ(いや……そう言っても彼女は部屋で待つって言うだろう。無理に返したら、結局後で苦しくなるだけだ)

タイヘイ(なら居留守を使うか?そうすればどうにか――――――)

タイヘイ(いや…やめよう。俺がうまるを死なせてしまったのは事実だ。俺は罪を償わなくてはならない…だが情けないが、自分で通報する勇気がない)

タイヘイ(だったら…………)


タイヘイ(海老名ちゃんには悪いけど、逃げ場を無くして彼女に通報してもらうしかない……)


ピンポーン。


がちゃ…

 
 


4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/21(日) 12:11:53.84 ID:z26GiERl0


菜々「あっお兄さん。御留守なんじゃないかと思っちゃいましたけど、出てくれてよかったです」

タイヘイ「ゴメンね。今ちょっと立て込んでて……」

菜々「そうなんですか……もしかしてうまるちゃんも?」

タイヘイ「そうだ…と言えばそうなるかな……」

菜々「じゃあ…今日は帰った方が――――――」

タイヘイ「いや。帰らないでくれ」

菜々「えっ!?//////」どきっ

タイヘイ「君に……海老名ちゃんに大事な話が有るんだ……」

菜々「!?」

菜々(大事な話って……もしかしてこ…告白――――――/////////)



菜々(そんな訳ないよね……うまるちゃんがいる限り、そう言う事にお兄さんが関心を示す事なんてないって事は判ってるから……)


 


5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/21(日) 12:22:56.89 ID:z26GiERl0



――――――

タイヘイ「…………【コレ】を見てくれないか?」

菜々「はい…ん?」

菜々「この丸っこい狸みたいなのは……何ですか?」

タイヘイ「コレはうまるだよ」

菜々「ええっ!?これがうまるちゃん!?動かないですけど…もしかして寝てるんですか?」

タイヘイ「いや……そういう訳ではないんだ……」

菜々「え?どういう事ですか?」


タイヘイ「それは―――――――」


 


6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/21(日) 12:33:08.93 ID:z26GiERl0


菜々「そ…そんな…………うまるちゃんが――――――」

タイヘイ「事故とは言え…俺がうまるを殺めてしまったのは事実だ……海老名ちゃん、君には本当に申し訳ないと思うが、今から警察に通報してくれないか?」

菜々「お兄さん……」


菜々(このままじゃお兄さんは……それにうまるちゃんがお兄さんと二人の時はそんなだったなんて……お兄さん可哀想…………)


菜々(だったら―――――――――)ぐっ

タイヘイ「ん?どうしたの?…………やっぱり海老名ちゃんにこんな事を頼むのがおかしかったんだ。やはりここは俺自身で―――――――」


菜々「ちょっと待って下さい!」


タイヘイ「え?」

菜々「もっ元はと言えばうまるちゃんが、お兄さんに我儘を言おうとしてこうなったんですよね?」

タイヘイ「いや…それは――――」

菜々「これは明らかに事故なのに、こんな事で…うまるちゃんの所為で、お兄さんが捕まってしまうなんて、お兄さんが不憫すぎます!」

タイヘイ「え…海老名ちゃん?」

菜々「それにお兄さんが捕まってしまったら……私は…私は――――――」

タイヘイ「海老名ちゃん……」



菜々「こうなったら私もお手伝いします。二人でこの危機を乗り越えましょう――――――」


 
 


11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/21(日) 22:22:39.40 ID:z26GiERl0


タイヘイ「危機を乗り越えるって……どうやって?」

菜々「それは私に任せて下さい。ただし―――――」

タイヘイ「ただし?」

菜々「これは私一人でも出来る思いますが、お兄さんにも相応の覚悟で、処理のお手伝いをお願いします」

タイヘイ「いやっ覚悟とか以前に俺はやっぱり―――――」

菜々「では、このまま妹を殺した殺人犯として捕まりますか?それとも私と一緒にこの危機を乗り越えますか?」

タイヘイ「…………海老名ちゃん…ボクは君がこんな事を言う娘だとは思わなかったよ」

菜々「私……本当にいざという時は、自分でも信じられない位、お腹を括っちゃうんです。それで……お兄さんはどうするんですか?」

タイヘイ「…………………………分った。君の言う通りにしよう。いやお願いします。どうか俺を助けて下さい」ぺこり

菜々「お兄さん……私…お兄さんのそう言うトコロ好きです―――――あっ////////」かぁぁ

タイヘイ「どうしたの海老名ちゃん?」

菜々「いっいえ…何でも……////////とっとにかく私たちは今から二人っきりの―――――」

菜々「共犯者です」


タイヘイ「…………………」コク…



タイヘイ「それでどうするんだい?」


菜々「まず。うまるちゃんを私の部屋に運びます。後は――――――」



 


12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/21(日) 22:34:37.14 ID:z26GiERl0



――――――――


タイヘイ「―――――分った。でも大丈夫かい?いくら小型化した状態だからって……」

菜々「これでも実家では畑仕事とか手伝ったりしてましたから、コレくらいは大丈夫です。それに……」
ばっ

菜々「このおっきな食材用の大袋があれば、今のうまるちゃんなら全身、余す処なく詰め込めますから」

タイヘイ「はは…海老名ちゃん本当に頼もしいな」

菜々「おっお兄さんの為ですから/////////」

タイヘイ「ありがとう。こんな俺なんかの為に。じゃあ海老名ちゃんお願いするよ」


菜々「はい!!任せ下さい!」ふんすっ



 



13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/21(日) 22:38:54.57 ID:z26GiERl0


そう言うと海老名ちゃんは、うまるをそれまで入っていた食材と袋に入れ替え、周りに誰もしないか慎重に確認して、自室に戻っていく。

彼女が部屋を出て、再び一人になった途端、様々な思いが俺に去来する。

本当にこれで良かったのか?幾ら彼女から言ってきた事とは言え、彼女を巻き込んで良かったのか?それ以前に最愛の妹であるうまるを事故とは言え殺めてしまった事―――――。

その後悔と罪悪感が俺に強く重く圧し掛かる。

と…同時に事の発端を作った、うまるの我儘さや身勝手さ、俺に対する極度の依存心に怒りにも似た感情がふつふつと芽生えてくる。



アイツハ俺ニナラ、ナニをシテイイトデモ思ッテイタノカ?



コイツがもっとしっかりしていれば、我儘な干物妹なんかじゃなかったら、こんな事にならずに済んだのに―――――。



 


14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/21(日) 22:42:30.04 ID:z26GiERl0



可愛さ余って憎さ百倍。

とは正にこの事だろうか?。



そう思った途端。それまでダムに堰き止めていたモノが一気に溢れ出すかの様に、うまるに対する憎しみにも似た感情が、溢れ出さんばかりのどす黒い塗料になって、アイツに抱いていた愛情の想いをみるみる黒く塗り潰していく。


この時の俺には、もう妹に対する懺悔の気持ちや罪の意識みたいなのは殆どなくなっていた。


そう言えば学生の時、誰かが言ってたな。

俺は……



鬼のタイヘイだと――――――



そう。俺はこの時、兄貴から兄鬼になったのだ。



 


15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/21(日) 22:51:57.29 ID:z26GiERl0


そして俺は明け方頃、警察に妹が家におかず、行方不明だと通報した。

俺は警察に家に帰った時は既にどこかに出掛けていた様だと話し、携帯を持って行かなかった様だから、連絡しようがなかったし、もしかしたら近くに出掛けるつもりだったのかも知れない。と説明する。

警察もこの日は俺を事情聴取だけをして一先ず帰っていく。

その後日。事件は進展を見せず、一応…という事で簡単に俺の部屋や押入れをチェックしたが、うまる自身は勿論、血痕等、何の手掛かりも見付からなかったので、取りあえずこのアパートにはいないと判断して帰っていく。

因みにこの日までに俺が自家用車を持っていない事、レンタカーなどを利用してない事を既に調べ上げていて、この他にうまるの学校での評判、俺とうまるの兄妹仲も調べられ、更に押収した携帯からも特に事件に関するもの、俺の動機らしい動機も確認できなかったとして、俺は取り敢えず捜査線上から外されたらしい。

うまるの友人である海老名ちゃんにも一応、事情聴取があった様だが、他の学校の知り合いと同様、うまるの評判や最近の様子を幾つか聴かれただけで終わったらしいので、おそらく彼女は最初から捜査線上から外されていたのだと思われる。

俺はこの時、あの日、うまるが海老名ちゃんとの約束を口頭でしていた事に感謝する。


警察の事情聴取を受けたのち俺は海老名ちゃんの部屋に視線を向ける。



彼女はどうやって、うまるを【処理】したのだろうか?



俺はその答えを、そのほんの少し先に知る事になる。




  


16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/21(日) 22:55:54.91 ID:z26GiERl0



――――――


事件の日の夜。


海老名さんの部屋。


菜々「さて……まずは、二重に重ねた布団圧縮袋に入れたうまるちゃんをシンクに置いて………」

菜々「ふー。うまるちゃんがこのサイズでよかったべな……もし普段のサイズだったらとても入りきらねぇかんなー……ってウッカリ秋田弁で喋っちゃった。気を付けないと……」

菜々「取り敢えず…服とフードを脱がして…………」

ぬぎぬぎ…

菜々「よし。うまく脱がせた」ふー


菜々「とにかく…そうしたらこの包丁で血抜きを――――――」



うまる「―――――――――!!」ぱちっ


 


17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/21(日) 23:00:14.65 ID:z26GiERl0



うまる「………………うまる…どうして…………確かお兄ちゃんに飛びついて―――――って…あれっ海老名ちゃん?お兄ちゃんは……ん?あれ?なんかビニールの中に――――――」



菜々「…………………………………………………………………………………………」すっ



うまる「え!?なにっ?海老名ちゃんナンか怖い―――――」


菜々「――――うまるちゃんゴメンね?アナタがいると邪魔なの。だから―――――」グッ


うまる「むぐっ!?」


うまる(くっ口を塞がれた!?)


 


18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/21(日) 23:05:39.64 ID:z26GiERl0


菜々「うまるちゃん――――」ぐっ
キラッ

うまる「むぐぅー!!?」ぎょっ

うまる(包丁!?)



菜々「今度こそ【本当に】サヨナラ―――――」



ザクッ!!

うまる「―――――――――――――――――!!!!!」

グリッ!!


ブシューーーーーーーーーーー!!!!!



うまる「――――――あ―――――え…海老名ちゃ…どうし―――――お兄ちゃん…たす――――――け――――」



 



19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/21(日) 23:09:44.99 ID:z26GiERl0



菜々「……………………」
くいっ

グリュッ!!


うまる「――――――――――あぎゅ!―――――――」

ピク…ビクンッ・・・・…・・……・・ ・・ ・  ………  



うまる――――――――――――――――――――」

ガクン…


 
 


20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/21(日) 23:15:16.19 ID:z26GiERl0


菜々「…………………うん」コク…

菜々「ふーいきなり起きた時は流石にびっくりしたけど……これで完全に死んでくれたよね?うまるちゃん」


うまる「―――――――――」


菜々「よし。これで…邪魔妹(じゃまいも)がいなくなって、今度こそお兄さんと―――――」


菜々「本当の共犯者(つれあい)になれるべな――――/////////」えへへへへへ……



菜々「さっ…そうと決まったら、早く捌いて仕込みをしないと――――」よしっ



―――――


 


26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 07:39:11.22 ID:xbt9PUh00



そして数日後。


俺は海老名ちゃんに食事の誘いを受け、彼女の部屋を訪問する。


海老名さんの部屋。


菜々「あっお兄さん来てくれたんですね。もう支度出来てますから、そこに座っていてください」

タイヘイ「ん?ああ…分ったよ」
すとん


タイヘイ(鍋…か。それにしても随分と肉が多いな。まぁ海老名ちゃんならコレくらいどうって事もないだろうけど)


テーブルの上には鍋が置いてあり、ぐつぐつと音を立てていた。

あまり見た事のない感じの鍋だったが、味噌ベースのつゆと肉と野菜の煮える匂いが俺の鼻腔を心地よく刺激する。



タイヘイ「美味しそうだね」

菜々「私もこの鍋は初めてだから…美味しいといいんですけど……」

タイヘイ「そうなんだ」

菜々「ええ。あっそろそろ煮えてきたみたいですから、食べましょうか?お兄さん」

タイヘイ「ああ。それじゃあ―――――」



タイヘイ・菜々「「いただきます」」


 
 


27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 07:46:44.78 ID:xbt9PUh00



菜々「…………」じー


タイヘイ「………………」
もぐもぐもぐ…


菜々「どうですかお兄さん?美味しいですか?」

タイヘイ「うん。美味しい。海老名ちゃんも俺の貌なんか見てないで、早く食べなよ」

菜々「はい。ではいただきますね」すっ
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ……


菜々「ホントだ!思ったより。うんめぇな~」ほっこり

タイヘイ「うん。この肉、ほんのり甘みと脂があって本当に美味しいよ。海老名ちゃん、この鍋なんていう鍋なんだい?」

菜々「この鍋ですか…この鍋は――――――」




菜々「たぬき汁」




菜々「――――っていうんですよ」



 


28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 07:52:08.30 ID:xbt9PUh00




タイヘイ「たぬき汁」



タイヘイ「―――――か……」


タイヘイ(たぬき汁って事は狸の肉なんだな………ん?たぬき―――――)はっ


タイヘイ「え…海老名ちゃん……もしかして…たぬきの肉ってまさか―――――」


菜々「………………言ったじゃないですか?」



菜々「お兄さんにも相応の覚悟で処理のお手伝いをしてもらうって――――――」ニヤァ…



タイヘイ「!!」



 




29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 08:01:35.97 ID:xbt9PUh00



菜々「それとも……いくら私がやるっていっても、お兄さんはソレを全部……私にさせる心算だったんですか?」じ…

タイヘイ「……いや…そんな事はないよ。今のところ、どうにか逃げ切れそうなのも海老名ちゃんのお蔭だし、すごく感謝してる。勿論、俺に出来る事が有るなら何でもする心算だよ」

タイヘイ「それに―――――」


タイヘイ「この鍋とっても美味しいしね」


タイヘイ(何故だろう……?たぬきの肉の正体が分かっても、全くと言ってもいい程に…嫌悪感や拒否感みたいなモノは不思議と感じないな……)

菜々「そうなんですよね。私も流石に【たぬき】のお肉は初めてなんですけど、思ったより美味しくてびっくりしました」

タイヘイ「あいつはお菓子や甘い飲み物が好きだったから。肉がほんのり甘くて、脂も乗ってるのは判るんだけど、あいつ野菜とかあんまり食べないから、もう少し臭みがあるかと思ったけど、そんなに感じなかったな……」

菜々「しっかり下拵えしましたから。ホンモノの狸のお肉もかなり臭みがあるみたいので、調理法を調べて同じ様にやってみたんです」

タイヘイ「そうだったんだ。流石、海老名ちゃんはよく気が付くし、本当に料理上手だね」にこ



菜々「!!えへへ…ありがとうございます///////しかも料理が上手なお兄さんにそう言って貰えるだなんて、より一層嬉しいです//////////」てれっ


 


30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 08:10:34.26 ID:xbt9PUh00



――――


タイヘイ「美味しかった。ご馳走様」

菜々「お粗末様です」

タイヘイ「それにしてもよく食べたな……あんなにあったのに、いつの間にか全部なくなっちゃうし」

菜々「ご…ごめんなさい……私…人よりちょっとだけたくさん食べちゃうから//////////」

タイヘイ「はは…」

タイヘイ(ちょっと…ではないと思うけど)

菜々「………………うう…」しゅん

タイヘイ「いいよいいよ。俺、たくさん食べる娘、嫌いじゃないし。むしろ見ていて気持ちがいいくらいだから」

菜々「!!お兄さん……」きゅん

タイヘイ「…………でも…こんなに美味しいと、一度…本物のたぬき汁も食べてみたい気がするな」

奈々「それでしたら、今度実家に頼んで送って貰いましょうか?」

タイヘイ「えっ!?用意出来るの?}

菜々「多分…ですけど、大丈夫だと思います」

タイヘイ「本当にいいの?」

菜々「はい。私もそう言えば食べた事ないですし、食べてみたくなっちゃいました」

タイヘイ「じゃあお願いしてもいいかな?海老名ちゃん」


菜々「はい。今度、聞いてみます」にこ


 


31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 08:20:56.54 ID:xbt9PUh00



―――――


タイヘイ「それで…【たぬき】の処理は…どこまで?」

菜々「はい。もう大体終わってます。基本的に判ら無くする様に処理してゴミの日にちょっとづつ出しているんですけど、それでも後は骨くらいです。取り敢えず全部簡単に焼き終えて、あとは細かくして捨てるだけなんですけど、判らないなる位に細かくするのって、結構大変で……」

タイヘイ「そういう事なら、どうして言ってくれないんだ?言ってくれれば俺がやるのに」

菜々「ホントですか!?じゃあ後でお願いしてもいいですか?」

タイヘイ「モチロンだよ。本来なら俺が全部やらないといけない事なのに……海老名ちゃん。改めて俺に出来る事があれば何でも言ってくれ」

菜々「お兄さん……」

タイヘイ「キミには本当に感謝してる。過ちを犯したのは全て俺なのに…海老名ちゃんはそんな俺の為に…………」

菜々「………………当り前です」

タイヘイ「えっ?」

菜々「私…お兄さんの為なら何でも出来ちゃいますから」

タイヘイ「何でも…って。どうして……俺の為なんかにこんな事まで?」

菜々「それは!…それは…………私…私―――――//////////」ドキドキ…




菜々「私――――お兄さんの事が好きだから!!/////////」かぁぁぁぁぁ



 


32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 08:27:07.36 ID:xbt9PUh00


タイヘイ「え?俺の事を…海老名ちゃんが?」きょとん

菜々「―――――…――――――……………………………………/////////」こく…

タイヘイ「そうだったのか……だから―――――」

菜々「…………あの時…お兄さんが…好きなヒトが遠くに行ってしまって…もう逢えなくなっちゃう…何とかしなきゃっ…て思ったら、今までの自分とは違う自分が出てきて……その為なら何でも出来ちゃう気がして…………」

タイヘイ「海老名ちゃん……そこまで俺の事を…………」

菜々「私――――お兄さんと一緒に居られるなら【何でも】やりますから」

タイヘイ「俺は……海老名ちゃんみたいな一途で可愛い女の子にそこまで想われて、本当に嬉しいよ」

菜々「お兄さん……お兄さんはこんな私でも受け入れてくれますか?」

タイヘイ「うん。俺にはもう海老名ちゃんしかいないよ」


菜々「!!お兄さんっ!!」
ばっ
ぎゅっ


 


33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 08:33:03.68 ID:xbt9PUh00


タイヘイ「海老名ちゃん……」

菜々「お兄さん…これからはお兄さんの事をタイヘイさんって呼んでいいですか?」

タイヘイ「うん」

菜々「あと…これからは私の事を菜々…って呼んでくれますか?////////」

タイヘイ「ああ。分ったよ。菜々ちゃん」にこ

菜々「!!タイヘイさんっ」

タイヘイ「菜々ちゃん」
ぎゅっ…

菜々「私嬉しい……タイヘイさんと両想いに慣れて……本当に嬉しいです」

タイヘイ「俺もだよ菜々ちゃん」



菜々「タイヘイさん……」


タイヘイ「菜々ちゃん……」


――――――


  


34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 08:39:01.36 ID:xbt9PUh00



――――


菜々「もう…こ…これからは私たちは……こ…こっ…こい……恋人同士で…いいんですよね?」ドキドキ…

タイヘイ「…………ああ」

菜々「どうしたんですか?もしかしてうまるちゃんが、妹さんがいなくなったのを実感して、寂しくなったとか?」

タイヘイ「そういう訳では……」

菜々「大丈夫ですよ。これからは私がアナタの恋人であり、妹になりますから。もう寂しい想いなんて、私が絶対にさせませんから」

タイヘイ「菜々ちゃん……」

菜々「…………もう何があっても離しませんからね?タイヘイお兄ちゃん」にこ


菜々(それに…もう逃げたくなったとしても逃げられませんからね。私とアナタは絶対にヒトには言えない秘密を共有しているのですから……)

菜々(そう……私たちはお互いに、もう決して離れられない関係になったのですから……)フフフ…



菜々(デモ――――――――)



菜々(ホントハ…ケッカテキニ【ゼンブワタシガヤッタ】―――――)




菜々(――――ナンテコトハ、ケッシテ…イエマセンケドネ)ニコォ…




 


35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 08:47:09.91 ID:xbt9PUh00



―――――


あれから。


事件は特に何の進展もなく、手掛かりも見付からず捜査は暗礁に乗り上げる。

そしてうまるは―――――


よくある行方不明者に認定された様だ。


そんな中、俺は再び海老名…菜々ちゃんの部屋に招き入れられる。

どうやら、頼んでいたモノがやっと届いたらしい。



ぐつぐつぐつ……

菜々「出来ましたよ。これが本物のたぬき汁です。でもあれから随分と時間が掛かってしまってごめんなさい。どうもこの時期の狸が一番おいしい。という事でしたので……タイヘイさんには、いつでも一番おいしいモノを食べて貰いたくて……」

タイヘイ「いいよ菜々ちゃん。むしろその心遣いがホントに嬉しいよ。いつもありがとう菜々ちゃん」にこ


菜々「!!タイヘイさん……そう言って貰えて、本当に嬉しいです」じわ…
にこ



ぐつぐつぐつ…

タイヘイ「出来たみたいだね……じゃあ早速いただこうか」

菜々「はい。では――――」



タイヘイ・菜々「「いただきます」」



 


36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 08:57:18.83 ID:xbt9PUh00



タイヘイ「……………」
もぐもぐもぐ

菜々「……………」
もぐもぐもぐ




タイヘイ・菜々「「…………………うーん」」




タイヘイ・菜々「「……………………」」こくり×2









タイヘイ・菜々「「あっちの方が旨かったな(べな)…………」」








はいおーしまい。



 

 


37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/22(月) 09:12:40.50 ID:xbt9PUh00

夏といえばNO涼!
という事でこれを読んでも別に涼しくはなりませんが
取り敢えず終わらせる事が出来て良かったです

あとしっかりハッピーエンドで終わる事が出来た事も
良かったと思います

それでは。




掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1471742087/
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