【ガルパン】ダージリン「青いバラ」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:23:21.46 ID:eS+N7bYh0
【大学選抜チームとの試合の数日前】
トゲのついたバラの枝が送られてきた。花は付いていない。
えーっと花言葉は…確か「不幸中の幸い」。
嫌がらせなのか、励ましなのか分からない。
※相当に短いです
トゲのついたバラの枝が送られてきた。花は付いていない。
えーっと花言葉は…確か「不幸中の幸い」。
嫌がらせなのか、励ましなのか分からない。
※相当に短いです
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:25:06.24 ID:eS+N7bYh0
みほ「うーん……」
ケガをしないように枝を持ってくるくると回してみる。
みほ「誰からだろ?」
送り主はどこにも書いていない。
少しもやもやするけど、今は気にしている場合じゃない。
作戦ノートを開く。
8vs30の殲滅戦。少しも気は抜けない。
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:25:35.83 ID:eS+N7bYh0
………………
………
…
………
…
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:26:48.76 ID:eS+N7bYh0
秋の日の
ヴィオロンの ためいきの
身にしみて ひたぶるに
うら悲し
北の地にて
飲み交わすべし
ヴィオロンの ためいきの
身にしみて ひたぶるに
うら悲し
北の地にて
飲み交わすべし
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:27:38.21 ID:eS+N7bYh0
………………
………
…
………
…
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:28:50.55 ID:eS+N7bYh0
【大学選抜チーム戦 当日】
分散させて、各個撃破できればなんとか……。
でも練度の違い、戦力の違い。
今回ばかりは……。
愛里寿「…………」
蝶野「それでは試合を始めます」
蝶野「礼!」
みほ「よろ――」
「待ったぁーーーー!」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:29:46.76 ID:eS+N7bYh0
………………
………
…
「大洗女子学園の勝利!」
勝った……。
あの大学選抜チームに勝った!
嬉しい。何よりもみんなとまだ居られることが嬉しかった。
そうだ、皆にお礼を言いにいかなきゃ。
………
…
「大洗女子学園の勝利!」
勝った……。
あの大学選抜チームに勝った!
嬉しい。何よりもみんなとまだ居られることが嬉しかった。
そうだ、皆にお礼を言いにいかなきゃ。
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:35:49.69 ID:eS+N7bYh0
ダージリンさんを見つける。
みほ「ダージリンさーん」
みほ「今日はありがとうございました」
ダージリン「ふふ。こんな言葉を知ってる?」
ダージリン「友情は瞬間が咲かせる花であり、そして時間が実らせる果実である」
ダージリンさんは1本の青いバラを取り出す。
ダージリン「おめでとう」
もしかして、あのバラの枝の送り主って……。
ああ、そっか。ずっと応援していてくれたんだ。
嬉しいと同時に、遠回りなメッセージがなんだか酷く可愛らしく思えた。
どうにも耐えられずクスクスと笑ってしまう。
みほ「ダージリンさんて結構ロマンチストですよね」
ダージリンさんは照れくさそうに笑った。
完
みほ「ダージリンさーん」
みほ「今日はありがとうございました」
ダージリン「ふふ。こんな言葉を知ってる?」
ダージリン「友情は瞬間が咲かせる花であり、そして時間が実らせる果実である」
ダージリンさんは1本の青いバラを取り出す。
ダージリン「おめでとう」
もしかして、あのバラの枝の送り主って……。
ああ、そっか。ずっと応援していてくれたんだ。
嬉しいと同時に、遠回りなメッセージがなんだか酷く可愛らしく思えた。
どうにも耐えられずクスクスと笑ってしまう。
みほ「ダージリンさんて結構ロマンチストですよね」
ダージリンさんは照れくさそうに笑った。
完
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:38:20.48 ID:eS+N7bYh0
SS初心者なので練習がてら短めに書いてみました。
ダージリンはずっと大洗応援してくれてるのが良いですよね。
ダーみほ好き。
ダージリンはずっと大洗応援してくれてるのが良いですよね。
ダーみほ好き。
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:40:36.13 ID:eS+N7bYh0
あとはガールズ&パンツァー 激闘! マジノ戦ですっ!!を読んだ勢いとノリで書いたSSがあるのでここに投下させてもらいます。
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:43:08.12 ID:eS+N7bYh0
※時系列は大学選抜チーム戦後
エクレール「大洗のピンチに他校の仲間(ライバル)が大集結……?」
ガレット「エクレール。この新聞記事をご覧になりまして?」
エクレール「いえ?見せてくださるかしら」
ガレット「どうぞ」
エクレール「大洗のピンチに他校の仲間(ライバル)が大集結……?」
エクレール「大洗のピンチに他校の仲間(ライバル)が大集結……?」
ガレット「エクレール。この新聞記事をご覧になりまして?」
エクレール「いえ?見せてくださるかしら」
ガレット「どうぞ」
エクレール「大洗のピンチに他校の仲間(ライバル)が大集結……?」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:44:31.94 ID:eS+N7bYh0
ガレット「あの大洗が廃校をかけて大学選抜チームと戦っていたとは驚きですわ」
ガレット「エクレールは知っていまして?」
エクレール「い、いえ……」
ガレット「おっと次の講義が……失礼いたしますわ」
エクレール「…………」
エクレール「(力に……なれなかった)」
ガレット「(ふふふ、しょんぼりしてる)」ダイマンゾク
ガレット「エクレールは知っていまして?」
エクレール「い、いえ……」
ガレット「おっと次の講義が……失礼いたしますわ」
エクレール「…………」
エクレール「(力に……なれなかった)」
ガレット「(ふふふ、しょんぼりしてる)」ダイマンゾク
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:45:56.29 ID:eS+N7bYh0
エクレール「私、そんなこと全然知らず……呑気に……!おうぇっ……」ゲロゲロ
ガレット「!?」
エクレール「はっ……はっ……」ゼーゼー
ガレット「だ、大丈夫ですか!?」
エクレール「き、今日は胃薬飲んでなかった…から」ハアハア
ガレット「!?」
エクレール「はっ……はっ……」ゼーゼー
ガレット「だ、大丈夫ですか!?」
エクレール「き、今日は胃薬飲んでなかった…から」ハアハア
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:46:49.51 ID:eS+N7bYh0
………………
………
…
杏「っていうことがあったくらい、マジノは後悔してるらしい」
みほ「気持ちは嬉しいですけど……心配です。エクレールさんが気に病む必要なんてないのに……」
華「そういえばあの方、練習試合の時もゲロくさ
沙織「ちょっと華!」
優花里「と、とにかく!一度会ってみた方が良いかもしれませんね!」
みほ「そ、そうだねっ!」
………
…
杏「っていうことがあったくらい、マジノは後悔してるらしい」
みほ「気持ちは嬉しいですけど……心配です。エクレールさんが気に病む必要なんてないのに……」
華「そういえばあの方、練習試合の時もゲロくさ
沙織「ちょっと華!」
優花里「と、とにかく!一度会ってみた方が良いかもしれませんね!」
みほ「そ、そうだねっ!」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:47:28.04 ID:eS+N7bYh0
エクレール「わ、私は一体どう謝罪すれば……」オロオロ
ガレット「いっそ開き直るのが良いと思いますわ」
エクレール「開き直る……?」
ガレット「『随分と苦戦なさったそうですわね。ふふん、あの程度、自力で切り抜けられずに大丈夫ですの?』的な」
エクレール「ええ……?」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:48:33.59 ID:eS+N7bYh0
【後日 大洗にて】
エクレール「大学選抜チームとの試合のこと聞きましたわ」
みほ「あ、はい。そのことなんですけど」
エクレール「随分と苦戦なさったそうですわね?」
みほ「!?」
ガレット「(あっ、ホントにあの案で行くんだ……)」ダラダラ
エクレール「大学選抜チームとの試合のこと聞きましたわ」
みほ「あ、はい。そのことなんですけど」
エクレール「随分と苦戦なさったそうですわね?」
みほ「!?」
ガレット「(あっ、ホントにあの案で行くんだ……)」ダラダラ
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:52:08.69 ID:eS+N7bYh0
エクレール「わ、私たちでしたら、10分で終わってた試合ですわ。あ、あの程度、自力で切り抜けられなくて、この先大丈夫ですの?」
杏「は?」
エクレール「ら、らいばるとして情けないですわ」ヤケクソ
華「…………」
ガレット「(ごめんなさい!謝るから、もうやめて下さい!)」
エクレール「ふ、ふん!どんな卑怯な手を使いまして?」
麻子「おい、流石に挑発が過ぎるぞ」
エクレール「(もう限界ですわ。演技だとしても辛すぎる……)」ウプッ
エクレール「おろろろろろろ……」ゲロゲロ
みほ「わぁ!だ、大丈夫ですか?」
杏「は?」
エクレール「ら、らいばるとして情けないですわ」ヤケクソ
華「…………」
ガレット「(ごめんなさい!謝るから、もうやめて下さい!)」
エクレール「ふ、ふん!どんな卑怯な手を使いまして?」
麻子「おい、流石に挑発が過ぎるぞ」
エクレール「(もう限界ですわ。演技だとしても辛すぎる……)」ウプッ
エクレール「おろろろろろろ……」ゲロゲロ
みほ「わぁ!だ、大丈夫ですか?」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:53:10.76 ID:eS+N7bYh0
エクレール「すみません……」
みほ「いえ、そんな」
エクレール「そろそろお暇させていただきますわね……」
エクレール「…………」スッ
みほ「あ、すみません、ビズはちょっと」
エクレール「……すみません」
みほ「いえ……」
完
みほ「いえ、そんな」
エクレール「そろそろお暇させていただきますわね……」
エクレール「…………」スッ
みほ「あ、すみません、ビズはちょっと」
エクレール「……すみません」
みほ「いえ……」
完
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:54:39.81 ID:eS+N7bYh0
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:57:11.83 ID:eS+N7bYh0
作戦会議中
みほ「それで土砂崩れを意図的に発生させーーー」
まほ「確かにハマれば効果は大きいだろうが、そんなに上手くーーー」
エクレール「(なんて顔触れですの……!き、緊張する!)」
ダージリン「それで作戦名はどうするの?」
みほ「そうですね……。皆さん何かありますか?」
アンチョビ「う~ん……」
カチューシャ「エクレール、あんた何かないの?さっきからだんまりだけど」
エクレール「えっ?いえ、その……
エクレール「(何か、何か答えなきゃ!ダメ……何も浮かばない!うう……)」キリキリ
エクレール「うぇっ、おぇえ」ゲロゲロ
みほ「それで土砂崩れを意図的に発生させーーー」
まほ「確かにハマれば効果は大きいだろうが、そんなに上手くーーー」
エクレール「(なんて顔触れですの……!き、緊張する!)」
ダージリン「それで作戦名はどうするの?」
みほ「そうですね……。皆さん何かありますか?」
アンチョビ「う~ん……」
カチューシャ「エクレール、あんた何かないの?さっきからだんまりだけど」
エクレール「えっ?いえ、その……
エクレール「(何か、何か答えなきゃ!ダメ……何も浮かばない!うう……)」キリキリ
エクレール「うぇっ、おぇえ」ゲロゲロ
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 22:58:15.47 ID:eS+N7bYh0
………
…
一同「ふう……」
まほ「さて、先ほどの続きだが、何か良い案はあるか?」
エリカ「土砂を利用……、そうだ!アンタの趣味的にも、ゲロゲロ作せ
みほ「却下です!!!ぐしゃぐしゃ作戦で行きましょう!」
一同「お~!」
エリカ「チッ、何よ」プイッ
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 23:03:36.44 ID:eS+N7bYh0
大洗連合勝利後、エクレールはビズして回ろうと思ったが誰も受けてくれなかったという。
完
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 23:05:24.07 ID:eS+N7bYh0
マジノ勢も最終章に少しでも出てくれると良いですね!
……無理か。
……無理か。
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/21(月) 23:11:58.47 ID:eS+N7bYh0
後は「大洗の代わりに廃校になった学校の話」とか書いてみたけど
ガルパンの世界観ディスになりそうで没にしました
以上で終わりです
読んでくれた方、ありがとう。
ガルパンの世界観ディスになりそうで没にしました
以上で終わりです
読んでくれた方、ありがとう。
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526909001/
Entry ⇒ 2018.05.30 | Category ⇒ ガールズ&パンツァー | Comments (0)
【モバマス】もしも、明日晴れたなら
1: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:39:11.40 ID:R409ZOpN0
2: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:40:27.75 ID:R409ZOpN0
きっかけ、ですか。
扇風機がね、落ちてきたんです。
あっ、違いますよ? お部屋に置いて夏に使う小さいのじゃなくて、天井についていて、照明と一緒になっていて、いつものんびりくるくるまわっている、あの……そう、それです! へえ、あれってシーリングファンという名前なんですね。
あの冬の日、それが私たち二人の上に落っこちて来たんです。
ふふ、びっくりですよね? 実は私も、あのときはとてもびっくりしました。
でも、それが私―――高森藍子が白菊さんのことを知りたいと思ったきっかけだったのは、間違いないことです。
実のところ、それまで私は白菊さんに何か、特別の興味を持っていたわけではありませんでした。
私の所属しているプロダクションは大きくて、白菊さんとは担当プロデューサーさんも違います。 その上、あのころ白菊さんはスカウトされてから間もなくて、ほとんど接点なかったんです。
だから、これはおそらくですけれど、あの日シーリングファンが落ちてこなかったら私と白菊さんは『あまり親しくない同僚』のままだったんじゃないでしょうか。 そう考えると、人の縁って不思議ですね。
私達のプロダクションが入っている建物は大きなビルディングで、毎日いろいろな人が出入りしています。 私がお世話になってるPさんの事務所は10階なんですが、エレベーターはいつもめまぐるしく動いていて、一階に降りようとしてもけっこう待つって感じでなんです。
あの日、レッスンを終えた夕暮れ時もそんな感じ。 一度20階まで上がったエレベーターが19、18、17……って、各駅停車でゆっくりゆっくり降りてきて。
ようやく乗り込んだ帰りのエレベーターで、私は白菊さんと一緒になったんです。
扇風機がね、落ちてきたんです。
あっ、違いますよ? お部屋に置いて夏に使う小さいのじゃなくて、天井についていて、照明と一緒になっていて、いつものんびりくるくるまわっている、あの……そう、それです! へえ、あれってシーリングファンという名前なんですね。
あの冬の日、それが私たち二人の上に落っこちて来たんです。
ふふ、びっくりですよね? 実は私も、あのときはとてもびっくりしました。
でも、それが私―――高森藍子が白菊さんのことを知りたいと思ったきっかけだったのは、間違いないことです。
実のところ、それまで私は白菊さんに何か、特別の興味を持っていたわけではありませんでした。
私の所属しているプロダクションは大きくて、白菊さんとは担当プロデューサーさんも違います。 その上、あのころ白菊さんはスカウトされてから間もなくて、ほとんど接点なかったんです。
だから、これはおそらくですけれど、あの日シーリングファンが落ちてこなかったら私と白菊さんは『あまり親しくない同僚』のままだったんじゃないでしょうか。 そう考えると、人の縁って不思議ですね。
私達のプロダクションが入っている建物は大きなビルディングで、毎日いろいろな人が出入りしています。 私がお世話になってるPさんの事務所は10階なんですが、エレベーターはいつもめまぐるしく動いていて、一階に降りようとしてもけっこう待つって感じでなんです。
あの日、レッスンを終えた夕暮れ時もそんな感じ。 一度20階まで上がったエレベーターが19、18、17……って、各駅停車でゆっくりゆっくり降りてきて。
ようやく乗り込んだ帰りのエレベーターで、私は白菊さんと一緒になったんです。
3: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:41:17.70 ID:R409ZOpN0
何の偶然か、乗っていたのは白菊さんただひとり。 とはいえさっきお話しした通り、まだお互い顔を知っているかどうか―――というぐらいでほとんど面識はありません。
二人で『おつれさまです』とか挨拶して二言、三言やりとりしたら、それで会話がもう続かなくて黙りこくっちゃって。
珍しく10階から1階までどこにも止まらなかったので、黙ったままあっという間に1階に到着です。
そのまま二人並んでエレベーターから吹き抜けになっている玄関ホールに出て、別々に歩きだそうとして―――そしたら、ふっと頭上が暗くなったんです。
あれっと思う暇も、見上げる暇もありませんでした。
だって次の瞬間、白菊さんが私を思い切り突き飛ばしたんです。
突き飛ばされたことにも気付かないほど、突然のことでした。私は驚きでまんまるになった目で白菊さんを見ながらたたらをふんで、エレベーター前からすこし離れたところでぺたん、と尻餅を付いてしまいました。
ついさっきまで自分が居たあたりに物凄い音を立てて『何か』が落ちて来たのは、そうして私が尻餅を付くのとほぼ同時ぐらいだったと思います。
―――私はその一瞬、自分を突き飛ばした姿勢のままでその場に立つ白菊さんにすっかり目を奪われていました。
白菊さんは、先ほど私たちが立っていたところから、一歩も動いていませんでした。
4: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:42:02.66 ID:R409ZOpN0
いえ、正確には動かなかったんじゃなくて―――たぶん、私を突き飛ばしたあと、白菊さんはそこから逃げる時間がなかったのだと思います。 つまり、動けなかった。逃げ遅れたんです。
幸い『何か』……シーリングファンはすんでのところで白菊さんを逸れました。彼女は無事です。
だけど、それは『運良く』の話です。
なにが落ちてきたのか、どこに落ちるのか―――正確に見る余裕は、たぶん白菊さんにもありませんでした。
ただ、私たちの上に何かが落ちてくる、と漠然と察しただけでしょう。
それなのに白菊さんはためらい無く私を突き飛ばして、自分は逃げ遅れました。
そして、たった今自分の側で起きた出来事が、すこしも恐ろしくないみたいでした。
ぐしゃぐしゃになった残骸の側にたたずむ彼女はその瞬間、とても静かで、落ち着いるように見えて。
その彼女の表情が、私の中に焼き付いて離れなくなりました。
その表情の、なにかが変だと思ったのです。 似つかわしくないと思ったのです。 だって白菊さんはあのとき、とても、とても―――
―――寂しそうだったのです。
5: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:42:36.57 ID:R409ZOpN0
だけど、その表情はほんの一瞬でかき消えます。
はっ、と我に返るように、白菊さんの表情に生気が戻って、戸惑い、驚き、恐れ―――そんなごく当たり前のものに変わります。
その変化にもまた、目を奪われて。私は白菊さんに目を凝らそうとしたのですが、それ以上白菊さんを見ていることは出来ませんでした。
だってあわや大けがの落下事故です。
派手な音もしました。
すぐにまわりは大騒ぎになって、騒ぎを聞きつけた私のPさんも、白菊さんのPさんもすぐ駆けつけてくれて……私たちの周りはあっという間にすごい人だかり。
白菊さんの表情はすぐに人混みの影に隠れて、すっかり見えなくなってしまったのです。
だけど、たった一瞬でかき消えたあの寂しげな表情は私の脳裏に焼き付いていて―――知りたい、と思ったんです。
あの表情の理由を。
そして、白菊さんがどういう人なのか、ということを。
6: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:43:21.18 ID:R409ZOpN0
●あの子について、思うこと
白菊さんがどういう子なのか、知りたい。
そう思った私は、まずそれまで自主的に行なってきたダンスの自主レッスンの時間を変えることにしました。
もちろんそれは白菊さんと一緒にレッスンを受けるため。
まずとにかくあの子に近づいて、親しくなりたいとそう思ったのです。
最初はなかなか会話をする機会もありませんでした。
今思えばあの事故の後ということもあって、白菊さんは私を避けようとしていたのです。
ただ、幸い―――というわけでもないのですが、きっかけがありました。
当時の白菊さんは、あるステップを物にできず、苦しんでいました。
何度も挑戦して、だけど、うまく行かなくて。 何故うまくいかないのかも良くわからない―――そんな感じ。
そして私は、どうすればそのステップを物に出来るのか、知っていました。
だって―――実は私もかつてそのステップが物にできなくて、とっても苦労したんです。
私と白菊さんは似通ったところがありました。
余り運動神経がいいほうとはいえないこと。
直感よりは、地道に積み重ねていくことで何かを物にしていくタイプであること。
先日スカウトされたばかりの白菊さんのダンスは、以前の私に良く似ていました。
だからつまづくところ、克服できないところがよく似ていたりして。
今彼女が何を克服できないでいるのか、解ることがあって……
やがて私の小さなアドバイスがきっかけで、白菊さんはそのステップを物にしました。
白菊さんと私が一緒にレッスンする機会が増えてきたのは、それからです。
「高森さん、少し、ステップを見てもらっていいですか」
「高森さん、この課題についてなのですが……」
一度そうなれば、白菊さんは熱心でした。
折につけそんな風に声をかけてくれるようになって、嬉しくないわけがありません。
ちょっと目立たなくて内気だけど、素直で熱心。可愛い後輩―――最初のうち、私の感じた白菊さんの印象はそんなところ。
7: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:44:27.49 ID:R409ZOpN0
だけど、すぐに彼女の美点がそれだけではないと気が付きます。
「高森さん。あの……」
ある時レッスンを始める前、白菊さんは不意にわたしを呼び止めました。
靴ひもが切れ掛かっている、というのです。
私はそれに気が付いてもいませんでした。
いえ、履く時にもちろん一度チェックしていましたから、その後確認しようとも思っていなかったのです。
私が気づいた白菊さんの美点そのいちは、周囲にとても気を配っていること。
彼女はトラブルにとても敏感で、ともすれば当人よりもよく注意しています。
ある時なんか、固定金具が壊れて倒れ掛かってきた資料棚に誰より早く気付き、同期の子を助けたりしていました。
もしかしたら、私が助けてもらったような事は日常茶飯事なのかもしれません。
そして、私が気づいた白菊さんの美点、そのに。
「もう一度―――もう一度お願いします!」
皆がへたばりかかって、本人も汗びっしょりで、くたくたで。
それでもトレーナーさんの指導に喰らいついて行く白菊さん。
しばらくレッスンを共にしてすぐに気がつく彼女の美点は、その熱心さ、真剣さ。
白菊さんはとりたてて運動神経が良いわけでなく、飲み込みがいいというわけでもありません。だけどとても練習熱心で、何かにつまづいてもそこで挫ける、ということが無いのです。
練習熱心ということにかけてはきっと茜ちゃんといい勝負。
大人しく物静かなタイプなので見誤りがちですが、むしろ人一倍強く情熱を持っている子なのです。
トレーナーさんの言葉も一言も聞き漏らすまいとし、何度も何度も出来ないことに挑戦し、克服する。
その姿勢は、すこしのんびり屋の私自身、見習いたいと思うほどでした。
気配りができて、素直で、とても熱心。
あの一瞬の寂しそうな表情とは、結びつかないと思えるぐらいです。
だけど長くレッスンを共にするうちに、気がかりはむしろ増えていったのです。
8: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:45:01.16 ID:R409ZOpN0
◇
「白菊さん。今日はもう、このぐらいにしておいたほうがいいよ……?」
「いいえ、もう少し。もうすこしだけ、やってしまいたいんです」
消灯の近づいた、誰もいないレッスンスタジオ。すっかり暗くなった窓のそばで、白菊さんがもう少し、もう少しとレッスンを続けようとする。
「もう、消灯が近いから―――ずっと残っているとスタッフの人のご迷惑になっちゃうよ?」
ようやく時間に気付いた白菊さんが、荒い息をついて、ようやくレッスンを中止することに応じる―――
白菊さんはデビュー前。
だんだんとレッスンは難易度が上がっていきます。
そんな中、私と白菊さんの間で、こんなやり取りをすることは増えて行きました。
彼女は与えられた課題を絶対にあきらません。
自主的に居残りをして、『できない』をそのままにせず、必ず克服しようとします。
その姿勢自体は、とても素晴らしいことでした。
だけど、白菊さんのその姿勢は徐々に行き過ぎとなっていきます。
与えられた課題がどうしてもできないとき。
自分の中で満足がいかないとき。
そんなとき、白菊さんは何かに突き動かされるように、鬼気迫る様子でレッスンに打ち込みます。
どんなに時間がかかっても、どんなに疲れても、『できない』を克服しない限り絶対にレッスンをやめようとはしない。
そんなことがだんだんと増えてきたのです。
もしも誰かが止めなければ、彼女は文字通り倒れるまでレッスンを続けるでしょう。
今はまだ、私達の制止を聞いてくれます。
だけど、いつか私達が制止しても、ひそかにレッスンを続けるようなことになってしまうのではないか?
私はそれが心配で、白菊さんを目で追うことが増えていきました。
最初はただ『熱心で真剣』と見えた表情に、いまは焦燥が混じっているように思えます。
そう、私には白菊さんが何かを急いでいるように見えます。
いつか、白菊さんはそのせいで取り返しの付かない怪我でもしてしまうのではないでしょうか―――私はそれが、心配です。
でも何故?
白菊さんは、何を急いでいるというのでしょう。
アイドルとしてスカウトされ、デビューの機会を掴んだ13歳の女の子がそれほどに焦る理由を、私は想像もできずに居ました。
9: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:45:29.95 ID:R409ZOpN0
◇
二つ目と三つ目の気がかりは、同じ根を持っています。
そのひとつは、彼女が一本線を引いて他人と接している、と感じたことです。
私と白菊さんの関係は、決して悪くないと思います。
二人でレッスンすることも言葉を交わすことも増えて、正直あの時間一緒にダンスレッスンをしているメンパーの中では、私はもっとも白菊さんと会話する機会が多いと思います。
だけど、白菊さんは決して私的な話はしませんし、レッスンの後を私や誰かと過ごそうとすることはありません。
自主的にレッスンに打ち込む日が増えるにつれ、その傾向はより強まってきたようです。
決して誰かと協力することを拒むわけではありません。
ただ、まるである一点を超えて誰かと親しくなってはいけない、と自分に課しているように思えるのです。
―――もちろん、私達は友達になるためにここにいるのではありません。
私達は同期であるとともに競い合うライバルであり、場合によっては一つの座を争う敵ともなります。
決して誰かと慣れ合わない―――という姿勢は考えようによっては、正しいこと。
それが彼女の選んだ道であれば、全体の和を乱さない限りにおいて口出しするべきではないのかも知れません。
だけど、それなら。
彼女はあの時、どうしてあんなに寂しげだったのでしょう。
そして、最後の気がかり。
それは、私が参加する以前から白菊さんとレッスンを共にしていた子たちの多くが白菊さんを避けはじめている事でした。
その中には白菊さんと同期の子、同年代の子、白菊さんの気づきによって怪我を免れた子までが、含まれていました。
本人が線を引いているのですから、むしろそうなっていくことは当然とも思えます。
だけど、白菊さんを遠巻きにする子たちの表情を見るうちに、私は違和感を覚えます。
そこにあるのは不満でも、無視でも、敵意でもありません。
それは、恐れ。
そう、まるで彼女たちは、白菊さんを恐れているように見えたのです。
二つ目と三つ目の気がかりは、同じ根を持っています。
そのひとつは、彼女が一本線を引いて他人と接している、と感じたことです。
私と白菊さんの関係は、決して悪くないと思います。
二人でレッスンすることも言葉を交わすことも増えて、正直あの時間一緒にダンスレッスンをしているメンパーの中では、私はもっとも白菊さんと会話する機会が多いと思います。
だけど、白菊さんは決して私的な話はしませんし、レッスンの後を私や誰かと過ごそうとすることはありません。
自主的にレッスンに打ち込む日が増えるにつれ、その傾向はより強まってきたようです。
決して誰かと協力することを拒むわけではありません。
ただ、まるである一点を超えて誰かと親しくなってはいけない、と自分に課しているように思えるのです。
―――もちろん、私達は友達になるためにここにいるのではありません。
私達は同期であるとともに競い合うライバルであり、場合によっては一つの座を争う敵ともなります。
決して誰かと慣れ合わない―――という姿勢は考えようによっては、正しいこと。
それが彼女の選んだ道であれば、全体の和を乱さない限りにおいて口出しするべきではないのかも知れません。
だけど、それなら。
彼女はあの時、どうしてあんなに寂しげだったのでしょう。
そして、最後の気がかり。
それは、私が参加する以前から白菊さんとレッスンを共にしていた子たちの多くが白菊さんを避けはじめている事でした。
その中には白菊さんと同期の子、同年代の子、白菊さんの気づきによって怪我を免れた子までが、含まれていました。
本人が線を引いているのですから、むしろそうなっていくことは当然とも思えます。
だけど、白菊さんを遠巻きにする子たちの表情を見るうちに、私は違和感を覚えます。
そこにあるのは不満でも、無視でも、敵意でもありません。
それは、恐れ。
そう、まるで彼女たちは、白菊さんを恐れているように見えたのです。
10: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:46:11.75 ID:R409ZOpN0
◇
「高森さんも、白菊さんにはあまり近寄らないほうがいいと思います」
白菊さんを避ける子の一人―――仮にA子さんとしておきます―――は、白菊さんと同時期にスカウトされた子です。
たしか以前、白菊さんの気づきによって資料棚から助けられたのも、この子です。
そのA子さんに面と向かってそう告げられたのは、更衣室で偶然その子と二人きりになった時の事でした。
多分、私と二人きりになれるときを、待っていたのでしょう。
誰かと親しくしない方が良い―――などと勧めるのは、正直関心しないことです。
だけど私は、それをたしなめようと思う前に、まず驚いて―――あっけに取られてしまいました。
彼女は、決してこういうことをするタイプの子では無かったからです。
とてもまっすぐで、頑固すぎるところがあるけれど、優しくて気遣いの出来る、そんな女の子―――
決して短くない期間レッスンを共にする中で、私はA子さんにそういう印象を抱いていました。
それに―――そう告げる彼女の顔はあまりにも深刻で、苦しげに見えました。
何が、彼女をそれほど苦しめているのでしょう。
簡単に否定したり、たしなめたりしてしまって良い話ではない。
その時私には、そう思えました。
「―――どうして?」
だから私はできるだけ穏やかに、静かな調子でそう問います。
「……高森さんは『不幸の子』の話を聞いたことがありますか」
そして、彼女から帰ってきたのは、そんな奇妙な言葉でした。
聞いたことはありました。
それは『芸能界の怪談』とでも言うような、不思議な噂です。
いわく、次から次に事務所を潰す、不幸の申し子がいる。
申し子は抜けるように色が白くて、少し紫がかった瞳をしていて。
もし自分の事務所にその子が来たら、様々な不幸な事が起きるようになって、事務所はつぶれ―――おしまいになってしまうんだ、って。
知ってはいましたが、無論本気で信じていたわけでもありません。
芸能界というのは、噂や伝説の多いところです。
そして噂には、すぐに面白おかしい尾ひれがつくものです。
私は『不幸の子』の噂も、小さな何かに尾ひれのついた、ただの噂に過ぎないと思っていました。
そんな噂は、信じていませんでした。
11: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:46:49.88 ID:R409ZOpN0
「でも、あれはただの噂―――だよね?」
私は出来るだけ穏やかに言葉を継ぎました。
だけど、A子さんの表情は深刻そのもの。
「あたしもずっと、そう思っていたんです。 最初は白菊さんと、仲良くしていたし。 だけど―――ただの噂じゃないんじゃないか、って」
私から目をそらして言葉を続けるA子さん。
「高森さんも、事故にあったって聞きました。私も、です―――だれでもわかるじゃないですか。あんな事故、本当は滅多に起きないって」
A子さんの言うことは、解ります。
自分めがけて照明が落ちてきた―――なんて、私には初めての体験でした。
このプロダクションに所属して、短くない期間を活動してきて、あんな事故に遭ったのは初めてのこと。
靴紐が切れたりすることも、なかなかあることではありません。
だけど。
「だけど、貴女を事故から助けてくれたのも、白菊さんだよね? 私も、白菊さんが助けてくれなかったら、きっと大怪我をしていたと思う」
「もし、その事故が、白菊さんが居なければ起きなかったとしたら?」
A子さんは、真剣です。
「白菊さんと一緒に居るようになってから、いろんなことが起きるんです。 物が落ちてきたり、停電したり、すぐそばで交通事故が起こったり―――そして、そんな事が起きるたび、白菊さんは謝るんです。謝って、言うんです」
だんだん、A子さんの言葉が早口になっていきます。
私から顔をそむけて、硬い、震えるような言葉で、続けます。
「『私が不幸を呼んだから』―――って」
自分が不幸を呼ぶ。
誰かを不幸にする。
それが私なのだと―――白菊さんは言ったというのです。
「だから、避けたほうがいいんです。あの子のそばにいると、きっと高森さんもまた危ない目に遭います」
12: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:47:20.00 ID:R409ZOpN0
A子さんの言葉は、続きます。
口を開いたら止まらなくなってしまった、そんなふうです。
「事務所でなにか良くないことが起きると、まっさきに『それは自分のせいだ』と言うのはほたるちゃん。 人が不幸に巻き込まれそうになったら、自分の身も省みず助けに入るけど自分はいつも無事で……巻き込んでごめんなさい、と謝る。 まるで―――まるで、不幸を呼んでいるのが自分だと確信してるみたいに」
そんなことが、沢山あったのでしょうか。
もしかしたら私の時も、白菊さんは自分の周りで何か悪いことが起きるに違いないと思っていて―――だから頭上に異変を感じたとき迷わず私を突き飛ばしたのでしょうか。
「だから、離れるのがいいんです。きっとそうなんです。白菊さん自身が私達から離れようとしているんだし、それが一番いいじゃないですか。 お互いのためじゃないですか!」
最後のほうは、叫ぶみたいでした。
俯いたままぜいぜいと息をついて沈黙するA子さんの肩に、私はそっと手をおきました。
彼女の身体がびくっとすくんだのが、解ります。
「私のためを思って、言ってくれたんだね―――でも、そんなことは言わないほうがいいと思う」
私の言葉に、A子さんの身体がこわばります。
「どうしてですか。 不幸なんて、偶然に違いないからですか。 同じ事務所の仲間同士、仲良くしなくちゃいけないからですか」
「ううん、違うよ?」
「じゃあ、どうしてそんな事を言うんですか」
「貴女が、とっても苦しそうな顔をしているから」
「―――!」
彼女は私に白菊さんの話をしている間、ずっと苦しそうでした。 言いたくないことを無理に口にしている、そんな顔を、していたのです。
「こんなことを言いたくない、って顔をしていた。ずっと辛そうだった。 だから―――言わないほうがいいって思う。貴女が傷つくから」
「私は、白菊さんのことで傷ついたりしません。苦しんだりしません」
「さっき、白菊さんの事を『ほたるちゃん』って呼んだでしょう?」
「―――!」
無意識の事だったのでしょうか。 A子さんは目を丸くして、さっと口元を隠しました。
「白菊さんの事、本当はそう呼びたいんだなあ、って思ったの。離れたくないんじゃないかって―――違った?」
だって、本当に恐がって、嫌いなら。 苦しむ必要はありません。
苦しむのは気になっているから。
苦しむのは、嫌いになりたくないからではないでしょうか。
「私だって―――」
A子さんはぶるぶる震えて、小さく、小さく声を絞り出します。
「私だって、私だって、私だって! こんなこと言いたくない! 信じたくない!」
彼女の瞳から、ぼろぼろと涙がこぼれます。
「だけど、だけど―――もう今は、恐いんだもの―――」
A子さんは人目を気にせず、わんわんと泣き出しました―――
13: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:48:11.56 ID:R409ZOpN0
◇
「―――私とほたるちゃんは、同じ日に事務所に入ったんです」
事務所にほど近い喫茶店のボックス席。
更衣室から場所を移してしばらく時間がたって。
ようやく落ち着いたA子さんは、ぽつぽつと思い出を語ってくれました。
「ほたるちゃんは、誰かを幸せにできるアイドルになりたいんだって言っていて―――歳も近いし、一緒に頑張って夢を叶えようねって約束したんです」
私は、聞き役に徹します。 A子さんの鼻がくすんと鳴りました。
「一緒にレッスンして、色々な話をして。楽しかったな……だけど、ある時、変わったんです」
「……変わった?」
「私達のすぐ近くで、交通事故があったんです。 二人とも無事だったし、私はびっくりしただけだったんだけど―――ほたるちゃんの顔は真っ青でした。 ごめんなさいって言って、駆け出して……それからほたるちゃんは、みんなと距離を取るようになったんです」
ごめんなさい。
私はふと、ぐしゃぐしゃに潰れたシーリングファンの傍らに、ひどく静かに佇む彼女の横顔を思い出しました。
「仲良くなってた子たちとも距離を取るようになって―――どうしたのか聞く私達に、不幸の子の話を、自分の身の上の話をしてくれたのは、他ならぬほたるちゃんでした。 だから、近づかないほうがいいんだって―――私たちは、『そんなこと気にしない、きっと偶然だ』って言ったんです。 そしたら、ほたるちゃんが……」
「―――どう、したんですか?」
「……笑ったんです。とっても、とっても寂しそうな顔で―――そしてそれ以来、ほたるちゃんとの距離は、離れる一方になりました」
無力感や苦しみが混じったような深いため息が、A子さんの口から吐き出されました。
「私達は、ほたるちゃんのことがだんだん解らなくなっていきました。 いつでも線を引かれていて―――何かトラブルがあると、いつもほたるちゃんが助けてくれて……だけど、それが恐かったんです」
助けて貰ったのに、何が恐かったのか。
私がそれを問う前に、A子さんは言葉を継ぎました。
「どんな危険なときも、迷わず助けてくれて―――でも、いつも平気な顔なんです。 まるで、『不幸』を少しも恐れていないみたいに。 その不幸で自分が死ぬことはないとでも思っているようで―――恐かったんです」
彼女たちが感じたという『怖さ』を、私は否定できませんでした。 あの時私を助けてくれたように、白菊さんはきっと不運な事故があったとき、誰かを助けようとして来たのでしょう。
そして、いつもあの時のように静かな顔をしていたのかもしれません。 今目の前で起きたことに微塵の恐怖も覚えていないような、あの顔を。
「ほたるちゃんが、解らないんです」
物理的な痛みを堪えるような顔で、A子さんは言います。
「焦っているみたいに、おかしいぐらいレッスンに打ち込んで。 何も恐くないみたいで。 夢が叶うって喜んでいた、あのときの笑顔がまるでウソみたいで。 どうしていいかわからなくて―――でも、『不幸』は確かに起きていて、ほたるちゃんはそれが自分のせいだと確信してるみたいで―――」
だから、彼女たちは白菊さんを恐れるようになった。
だけど、ただ白菊さんが不幸の子だから恐がっているのでは、ありません。
白菊さんが理解できなくて、恐がっているのです。
気にしないというのに自分たちからどんどん離れていく白菊さんが、不幸をまるで恐れないように見える白菊さんが、度を越してレッスンに打ち込む白菊さんが、決して理解されようとしなくなった白菊さんが、理解できなくて―――恐れるしかなくなったのではないでしょうか。
私に、できることは無いのでしょうか。
目の前で冷めていくカフェオレを眺めて、私はそんなことを考えます。
喜んで、皆と仲良くしていた白菊さんはかつて確かに居て。
白菊さんを恐れて、でも、そうはしたくないと心を痛めている子が確かにいる。
誰も望んでいないのに、皆が苦しい―――なんていうのは、おかしいのではないでしょうか。
「白菊さんと、話したいな」
私は心の底からそう思いました―――。
14: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:48:47.69 ID:R409ZOpN0
●あの子と話せたときのこと
色々考えていたんです、色々。
一生懸命考えたんです、本当です。
白菊さんたちのために何かしたい。
そのために、白菊さんときちんと話をしたい。
そう思っても、それはとっても難しい。
だってこれは心の話なのです。
おせっかいに踏み込んでいっても、おおきなお世話どころか問題をこじらせるだけかも知れません。
私がこうしてねって言ってどうなる話ではないのです。
年長の先輩に間に立ってもらって、じっくり話す機会を持つべきでしょうか。
プロデューサーさんたちの知恵を、お借りするべきでしょうか。
白菊さんたちの仲を取り持つために、何かの催し物に誘うとかどうでしょう。
それとも下手なことは考えず、どーんと体当たりをするべきなのでしょうか―――
煮つまり気味ではありましたが、本当にいろいろ考えていたんです。
だけど、それらの思案はたった今、全部無駄になってしまいました。
年末も近づいた土曜の昼下がり。
ここはプロダクションのエレベーターの中。
「―――業者さんが来るまで二時間ぐらい、かかるみたいです」
なんだか手馴れた様子で通報装置を使って管理会社に連絡して、状況を知らせてくれるのは白菊ほたるさん。
そう、私達は今、二人きりでエレベーターに閉じ込められているのです!!
いつものようにエレベーターを待っていたらそのエレベーターに白菊さんが乗っていて。
ぎこちなく挨拶を交わして乗り込んだら、そのエレベーターが止まってしまって、これから二時間ふたりきり。
「あの、使い捨てカイロも携帯トイレもありますから……」
そう、やたら準備万端な白菊さんと二人きりなのです!!
これは、覚悟を決めるしかないのではないでしょうか。
とはいえ、何を話せばいいのでしょう……?
15: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:49:34.74 ID:R409ZOpN0
「い、今のところ大丈夫かな―――白菊さん、準備いいんだね」
「時々あることですから―――」
手馴れたものです、と言うように小さく笑って、白菊さんは壁にもたれてちょこんと座り込みました。
私もその隣に座らせてもらいます。
二人ならんで、エレベーターの窓の外が見える位置。
見えるのはあいにくの重苦しい曇り空でしたが、開かないドアや壁を見ているよりは、いくらか息が詰まりません。
エレベーターの中とは言え空は曇りで季節は冬。 壁や床にじんわり体温を取られるみたいに、しみじみと寒いです。
少し黙ったまま、白菊さんの横顔を見詰めます。
白菊さんは十分に着込んでいましたが、何故か不思議に寒そうに見えます。
どこか思い詰めた表情やか細い首。 あのときの酷く寂しげな表情が重なって、そういう風に思わせるのでしょうか。
二人とも口を開けず、エレベーターの中はしんと静まりかえっています。
話しかけたいことは、聞きたいことは、いくらでもありました。
だけどなかなか、きっかけがつかめなくて。
結局。
「―――ごめんなさい。 私のせいでエレベーター止まってしまって……」
曇り空を見詰めたまま、視線を合わせないまま口を開いたのは、白菊さんの方。
聞き様によってはちょっと冗談のような謝罪です。
私は一瞬、そんなことないよと笑おうとして―――すんでのところで踏みとどまりました。
だって、白菊さんの表情があまりにも真剣だったから。
そう、本当に、真剣で―――
「……あっ」
私は、呟きました。
白菊さんの表情を見るうちに、唐突に。
何かがぱちん、とまはった音が聞こえたような気がしたのです。
誰かを幸せにしたいと願う彼女。
迷わず自分の身を投げ出す彼女。
自分の噂を決して否定しない彼女。
―――明日が無いかのように、レッスンに打ち込む彼女。
今まで私が見聞きした色々な『白菊ほたる』が、私の中で渦巻いていた色々な疑問が、唐突にその一言でぴたりと纏まった気がしました。
どっ、と背中に汗をかきました。
そうです、私はとても当たり前の事を、忘れていたと気付いたのです。
16: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:50:03.84 ID:R409ZOpN0
「ああ―――もう、もう……!」
「た……高森さん?」
不意にわけのわからない嘆息を吐き出す私に、白菊さんは戸惑いを隠せないようでした。
そうですよね、わけが解らないですよね……!
「ごめんなさい白菊さん。 私いま自分の鈍さにちょっとあきれているところなんです……!」
「は、はあ……」
どう反応していいかわからない、という顔の白菊さんを尻目に、私は覚悟を決めました。
ぶっつけ本番。言葉がうまくまとまっていません。
でも、行ってしまおうと決めたんです。
「白菊さん―――私ね、A子さんと話したの」
びくっ、と白菊さんが身を硬くしました。
それはそうでしょう。
いかにも唐突ですし、私がA子さんから聞いた様々なことは、白菊さんにとってあまり触れられたくないところだったに違いありません。
だけど、言わなくてはいけませんでした。
「心配、してたよ」
「―――知ってます」
ひどく硬い言葉とともに、白菊さんの視線が揺らぎます。
そうです。知らないはずはありません。 感じてないはずがありません。
人を幸せにしたいと言う子が、自分かに向けられる心に気付かないはずはありません。
その上で彼女は、人から離れる道を選んだのです。
その理由は多分―――
「私も、心配なことがあるの」
「……私は、一人でいるべきなんです。皆と話したのなら、噂のことも、わかっていますよね……」
私の言葉を遮って、白菊さんが言います。
「ううん。聞きたいことはそれじゃないの。その上で、聞きたいの……白菊さんは何故、あれほどレッスンに打ち込むの? まるで―――明日が無いみたいに」
何か、白菊さんが言おうとしました。
私は、白菊さんかの瞳から目をそらしませんでした。
白菊さんは一度目を伏せて、沈黙して、再び瞳を上げて―――
「高森さんは―――今、自分が死んだと思ったことは、ありますか?」
とても静かな声で、そういいます。
白菊さんの、長い告白が始まりました。
「た……高森さん?」
不意にわけのわからない嘆息を吐き出す私に、白菊さんは戸惑いを隠せないようでした。
そうですよね、わけが解らないですよね……!
「ごめんなさい白菊さん。 私いま自分の鈍さにちょっとあきれているところなんです……!」
「は、はあ……」
どう反応していいかわからない、という顔の白菊さんを尻目に、私は覚悟を決めました。
ぶっつけ本番。言葉がうまくまとまっていません。
でも、行ってしまおうと決めたんです。
「白菊さん―――私ね、A子さんと話したの」
びくっ、と白菊さんが身を硬くしました。
それはそうでしょう。
いかにも唐突ですし、私がA子さんから聞いた様々なことは、白菊さんにとってあまり触れられたくないところだったに違いありません。
だけど、言わなくてはいけませんでした。
「心配、してたよ」
「―――知ってます」
ひどく硬い言葉とともに、白菊さんの視線が揺らぎます。
そうです。知らないはずはありません。 感じてないはずがありません。
人を幸せにしたいと言う子が、自分かに向けられる心に気付かないはずはありません。
その上で彼女は、人から離れる道を選んだのです。
その理由は多分―――
「私も、心配なことがあるの」
「……私は、一人でいるべきなんです。皆と話したのなら、噂のことも、わかっていますよね……」
私の言葉を遮って、白菊さんが言います。
「ううん。聞きたいことはそれじゃないの。その上で、聞きたいの……白菊さんは何故、あれほどレッスンに打ち込むの? まるで―――明日が無いみたいに」
何か、白菊さんが言おうとしました。
私は、白菊さんかの瞳から目をそらしませんでした。
白菊さんは一度目を伏せて、沈黙して、再び瞳を上げて―――
「高森さんは―――今、自分が死んだと思ったことは、ありますか?」
とても静かな声で、そういいます。
白菊さんの、長い告白が始まりました。
17: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:51:51.35 ID:R409ZOpN0
◇
高森さんは、『今、自分が死んだ』と思ったことは、ありますか?
物心ついてからずっと、私の周りではいろいろな事故が起きていました。
小さいこと、大きなこと、本当に色々で―――どれも私や、私の周りの人を傷つけるものでした。
私はそれがつらくて、辛くて―――
いつしか人と、距離をとるようになりました。
そうすれば、傷つくのは私だけです。 それでいい、と思ったのです。
―――ある日、学校からの帰り道。
私のすぐ前に、植木鉢が落ちてきました。
真っ赤なポインセチアが植わった、私の頭の倍ぐらいある鉢でした。
その鉢が、私の鼻先を掠めて落ちてきて、私の目の前でぐしゃりと潰れました。
今までも、何かが落ちてくることはありました。
だから私は、そういう事故にすこし、鈍感になっていたんだと思います。
ただ、その時は、真っ赤に散らばるポインセチアの葉を見て―――思ったんです。
ああ、あの鉢が当たっていたら、私は今死んでいたんだな、って。
あまりに鉢がすぐそばに落ちたので、その想像は強い実感を伴っていて―――突然、身体が震えました。
私は家に帰って、布団にもぐりこんで、震えながら泣きました。
18: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:52:38.66 ID:R409ZOpN0
私は、『不幸』が原因で死ぬかもしれない。
そんなことはずっと前から知っていました。
では、何故震えているんだろう。
私は考えて―――気がつきました。
私はずっと、不幸を呼ぶものだと言われてきました。
それが辛くて。
だから、人を避けて。
どこか世界の果てでたった一人になって、消えてしまいたい。
そしたら誰にも迷惑をかけないのに―――
そんなことを考えていました。
だけど今死んだら、私はただの、人を不幸にするだけのものでしかなかったことになって。
二度とそれを覆せなくなって―――
その時私は、ひどく後悔するだろうと、気付いたんです。
誰かのために、何かがしたい。
誰かを幸せにしたい。
私が居て良かった、といわれることをたった一つでも作りたい。
そうできないのなら、私は何のために産まれてきたんだろう。 強く強く、そう思ったんです。
それから私は、たびたび『明日の夜、自分が死ぬとしたらどうするか』と考えるようになりました。
テレビを見ていて、あるアイドルを知ったのも、そのころです。
画面の向こうで輝いてるアイドルを見て、心が温かくなって、幸せな気持ちになって―――
私もあんなふうになりたい。
誰かを幸せにできる、そんなアイドルになりたい。
そう強く思ったんです。
19: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:53:14.41 ID:R409ZOpN0
それまでの私なら、多分そう思ったところで止まっていたでしょう。
だって、できるわけがありません。
息を潜めるようにして暮らしても、結局誰かを苦しめるのに―――って。
でも、明日の夜死ぬのだとしたら、どうでしょう。
私はやってみようと決めました。
反対もされましたけど、きっとアイドルを諦めたまま死んだ『明日の夜の私』はとても後悔していると思ったんです。
挑戦はもちろん簡単じゃなくて、何度も何度も失敗して挫けそうになって―――だけど、挫けて諦めたその夜の自分が後悔すると知っていたから、挑戦を続けました。
……そして私は、このプロダクションに拾ってもらいました。
同期の友達もいて、夢を語り合って。
とてもとても楽しくて、夢みたいで―――
私はあのとき、もしかしたら不幸は自分から去ったのかも知れない、って思いました。
これからは幸せにやっていけるんじゃないかって―――
私たちのすぐそばで事故が起きたのは、そんな時でした。
それは、何かの宣言のように見えました。
お前の『不幸』は消えてなんていないんだぞ、と言う宣言です。
私は、みんなから距離をとることにしました。
同じゆめを見て、競い合う仲間を、もし巻き込んでしまったら、どれほど後悔するか知れないのです。
みんなは気にしないって、偶然だって言ってくれたけど―――そうじゃないって、私が一番知っていました。
だから、後悔しないようにしよう、と思ったんです。
私の不幸でに巻き込まれそうな人は、絶対に助けようって決めました。
明日やればいい、とは思えなくなりました。
今日やりきったんだって。
明日死ぬんだとしたら―――今日の私は全力でやったんだって、満足を抱いて今夜の眠りにつきたいって、そう思ったからです。
私が急ぐのは、だからです。
「高森さん、今度は高森さんが教えてください」
長い告白の後、白菊さんはまっすぐに私の目を見て、問いました。
「明日の夜高森さんが死ぬとしたら、高森さんは今日と明日をどう過ごしますか?」
20: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:53:53.71 ID:R409ZOpN0
◇
―――結局私は、皆は、知らず勘違いをしていたのだと思います。
長い告白を終えて俯く白菊さんを見詰めて、私は自分の気付きが正しかったことを知りました。
不幸。
白菊さんにまつわる不幸を他の誰よりも深刻に受け止めているのは、白菊さんなのです。
自分が誰かを不幸にするという体験をし、それを誰より信じているのは、白菊さんなのです。
だけど、私達にとって、それはただの『噂』だった。
だから無意識のうちに、白菊さんが自分の不幸をどう思っているか、軽く見積もっていたのではないでしょうか。
『偶然だ、私達は気にしない』というのは、白菊さんにとって慰めではなく、目の前に迫る嵐を『見えない』と言われているのに等しかったのではないでしょうか。
白菊さんは、自分の不幸を誰より真剣に受け止めている。
自分の不幸で自分が傷つかないなんて思って居なくて―――むしろ逆だったから誰かを助けに飛び込もうとした。
明日が無いかのように―――ではありません。
明日がないなら今日どうするか、と考えていたのです。
だから、人を巻き込みたくない。
だから、今日に悔いを残したくない。
今日に思い残しを無く生きて、今夜の眠りにつきたい―――
明日死ぬとしたら、どうするか。
私、高森藍子が明日の夜死ぬとしたら、どうするのか?
どうしたら思い残しの無い明日を迎えられるのか?
恥ずかしい話、13歳の白菊さんが何度も考えたというその問いを、今まで私は真剣に考えたことがありませんでした。
16歳の私にとって、死はまだとても遠い、姿も見えないものだと思われたのです。
明日が無いなら決して人を自分の不幸に巻き込むまい、決して思い残しを作るまい。
白菊さんの決意は、苦しんだ果てに下したものでしょう。
白菊さんがどういう人生を送ってきたかを知れない以上、本当の意味で私がその判断の軽重を図ることはできません。
では、私が明日死ぬとしたら。
悔いの無い今日は、どういうものなのか。
私は多分、このとき初めて真剣にそれを考えました。
―――そのとき、ふと。 ぐしゃぐしゃに潰れたシーリングファンの傍らに佇む白菊さんの表情が、私の脳裏に再び浮かびました。
あの、寂しげな表情を。
私は、そのとき自分がどうしたいか、解った気がしました。
―――結局私は、皆は、知らず勘違いをしていたのだと思います。
長い告白を終えて俯く白菊さんを見詰めて、私は自分の気付きが正しかったことを知りました。
不幸。
白菊さんにまつわる不幸を他の誰よりも深刻に受け止めているのは、白菊さんなのです。
自分が誰かを不幸にするという体験をし、それを誰より信じているのは、白菊さんなのです。
だけど、私達にとって、それはただの『噂』だった。
だから無意識のうちに、白菊さんが自分の不幸をどう思っているか、軽く見積もっていたのではないでしょうか。
『偶然だ、私達は気にしない』というのは、白菊さんにとって慰めではなく、目の前に迫る嵐を『見えない』と言われているのに等しかったのではないでしょうか。
白菊さんは、自分の不幸を誰より真剣に受け止めている。
自分の不幸で自分が傷つかないなんて思って居なくて―――むしろ逆だったから誰かを助けに飛び込もうとした。
明日が無いかのように―――ではありません。
明日がないなら今日どうするか、と考えていたのです。
だから、人を巻き込みたくない。
だから、今日に悔いを残したくない。
今日に思い残しを無く生きて、今夜の眠りにつきたい―――
明日死ぬとしたら、どうするか。
私、高森藍子が明日の夜死ぬとしたら、どうするのか?
どうしたら思い残しの無い明日を迎えられるのか?
恥ずかしい話、13歳の白菊さんが何度も考えたというその問いを、今まで私は真剣に考えたことがありませんでした。
16歳の私にとって、死はまだとても遠い、姿も見えないものだと思われたのです。
明日が無いなら決して人を自分の不幸に巻き込むまい、決して思い残しを作るまい。
白菊さんの決意は、苦しんだ果てに下したものでしょう。
白菊さんがどういう人生を送ってきたかを知れない以上、本当の意味で私がその判断の軽重を図ることはできません。
では、私が明日死ぬとしたら。
悔いの無い今日は、どういうものなのか。
私は多分、このとき初めて真剣にそれを考えました。
―――そのとき、ふと。 ぐしゃぐしゃに潰れたシーリングファンの傍らに佇む白菊さんの表情が、私の脳裏に再び浮かびました。
あの、寂しげな表情を。
私は、そのとき自分がどうしたいか、解った気がしました。
21: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:54:24.50 ID:R409ZOpN0
「―――もしも、明日晴れたなら」
私は、ゆっくりと微笑んで、口を開きます。
「私は白菊さんと散歩に行きたいかな」
「え……」
ぽかん。
まさにそんな擬音が浮かびそうな顔をする、白菊さん。
「白菊さんといろんな話がしたいし、私のことも知って欲しい。あのね、西の路地裏にとても可愛いカフェがあって、その近くにいつも猫が―――」
「いいんですか、それで」
咎めるというよりは面食らったような顔で、白菊さんが私を問い詰めます。
「明日―――死ぬんですよ。それでいいんですか。 もっと大事な友達と過ごしたり、遣り残した大事なことをしたり―――せずに。 私と散歩とか、猫とか―――本当に、それでいいんですか」
「うーん、どうなのかな」
「ど、どうなのかなって―――!」
私の答えがあんまりおかしく聞こえたのでしょうか。
白菊さんは困り果てているようでした。
けど、しょうがありません。
その答えは、私の本心だったんですから。
「私ね、明日の夜私が死ぬなら―――なんて、いま初めて考えたの。 だから、白菊さんは凄いなって思う」
曇った窓の外を見ながら、私は告白します。
年下の白菊さんの方が真剣にこういうことを考えているなんて、年上としてちょっと恥ずかしいですね。
「だから、いっぱい考えました。悔いの無い今日ってどういうことか。何を選んだらいいのか―――って」
本当です。 とてもいっぱい、考えたんです。
「でもね、困っちゃったんです。 大事なものは本当にいっぱいあるから……どんなふうに過ごしても、どれだけものを片付けても、何を選んでも、私はやっぱり最後は心残りでいっぱいなんだろうなあって」
白菊さんの瞳を、見詰めます。
「だから、いま気になってる白菊さんをお散歩に誘いたい。 そんな普段通りを、大事にしたい。そして失うものを惜しみたい―――それが、私の答えだったの」
白菊さんが、口を噤みます。
ほんの一瞬、その表情に痛みが見えたような、そんな気がしました。
私は、ゆっくりと微笑んで、口を開きます。
「私は白菊さんと散歩に行きたいかな」
「え……」
ぽかん。
まさにそんな擬音が浮かびそうな顔をする、白菊さん。
「白菊さんといろんな話がしたいし、私のことも知って欲しい。あのね、西の路地裏にとても可愛いカフェがあって、その近くにいつも猫が―――」
「いいんですか、それで」
咎めるというよりは面食らったような顔で、白菊さんが私を問い詰めます。
「明日―――死ぬんですよ。それでいいんですか。 もっと大事な友達と過ごしたり、遣り残した大事なことをしたり―――せずに。 私と散歩とか、猫とか―――本当に、それでいいんですか」
「うーん、どうなのかな」
「ど、どうなのかなって―――!」
私の答えがあんまりおかしく聞こえたのでしょうか。
白菊さんは困り果てているようでした。
けど、しょうがありません。
その答えは、私の本心だったんですから。
「私ね、明日の夜私が死ぬなら―――なんて、いま初めて考えたの。 だから、白菊さんは凄いなって思う」
曇った窓の外を見ながら、私は告白します。
年下の白菊さんの方が真剣にこういうことを考えているなんて、年上としてちょっと恥ずかしいですね。
「だから、いっぱい考えました。悔いの無い今日ってどういうことか。何を選んだらいいのか―――って」
本当です。 とてもいっぱい、考えたんです。
「でもね、困っちゃったんです。 大事なものは本当にいっぱいあるから……どんなふうに過ごしても、どれだけものを片付けても、何を選んでも、私はやっぱり最後は心残りでいっぱいなんだろうなあって」
白菊さんの瞳を、見詰めます。
「だから、いま気になってる白菊さんをお散歩に誘いたい。 そんな普段通りを、大事にしたい。そして失うものを惜しみたい―――それが、私の答えだったの」
白菊さんが、口を噤みます。
ほんの一瞬、その表情に痛みが見えたような、そんな気がしました。
22: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:54:53.97 ID:R409ZOpN0
―――何を選んでも。
どんなに準備をしたとしても、心残りはきっと消えません。
「白菊さんが選んだ道は、立派なんだと思う―――だけど、思うの。 白菊さんもきっと、同じなんじゃないかって」
「同じ―――?」
「だって、私を助けた後の白菊さんの顔は、とても寂しそうだったもの」
「……」
白菊さんは俯いて自分の膝に顔をうずめました。
細い肩が、震えています。
―――あのとき白菊さんは、寂しそうでした。
人を助けられたという安堵でもなく、思い残しはないという満足ではなく。
ただ、寂しそうに見えたのです。
白菊さんにも、思い残しがあった。
「でも、それはきっと、当たり前の事なの」
そっと、そっと、思ったままを紡ぎます。
「どんなふうに過ごしても、どんな人でも、きっと悔いは消せないんだと思う。だから適当に生きていいってことじゃなくて―――いつもどおりの自分を好きでいることも、とっても大事なんだって、思うよ」
悔いが残らないように過ごすには、どうしたらいいんだろう。
今日を大事にするって、どういうことなんだろう。
そういうことにおいて、私が思ったことと白菊さんが思った事は、同じことだったと思います。
それはきっと、カップの内側と外側のように同じ事柄の2つの面なのです。
「だから、自分が笑顔になれること。 心が温かくなることを今日選んだっていいって、私は思ったの―――ね、明日、一緒に散歩に行きませんか?」
「―――でも、きっと明日は雨です。 窓の外はあんなに曇っているんですもの―――」
顔を伏せたまま、震える声で言う白菊さん。
私はそっと手を伸ばして、おそるおそるその手を握りました。
「そしたら白菊さんの部屋にお邪魔したいな。 私のおうちにご招待して、一緒にお夕飯するのも素敵―――もし、白菊さんが『うん』って言ってくれたら、私は明日がとっても楽しみ」
「―――」
白菊さんは小さく肩を震わせながら、頷いてくれました。
「―――ねえ、今日から貴女のことを『ほたるちゃん』って、呼んでいい?」
白菊さんは小さくしゃくりあげていて、頷いてはくれませんでした。
そのかわり、きゅっと私の手を握り返してくれたのです。
ありがとう、と小さく言って、私は窓の外の曇り空を見ました。
窓の外、遠い空には触れることが出来ません。
人の心もきっと同じです。
本当に誰かの心を理解して、それを導いてあげるなんてことは、私にはきっと出来ないのでしょう。
もしかしたら、誰にもできない事なのかもしれません。
だけど、せめて少しだけその心を暖かくすることができたら。
そう思わずにはいられませんでした。
私とほたるちゃんは、ドアが開くまでの間、ずっと手を握り合っていました。
握り合った手がとても暖かかったことを、私は今でも覚えています―――。
どんなに準備をしたとしても、心残りはきっと消えません。
「白菊さんが選んだ道は、立派なんだと思う―――だけど、思うの。 白菊さんもきっと、同じなんじゃないかって」
「同じ―――?」
「だって、私を助けた後の白菊さんの顔は、とても寂しそうだったもの」
「……」
白菊さんは俯いて自分の膝に顔をうずめました。
細い肩が、震えています。
―――あのとき白菊さんは、寂しそうでした。
人を助けられたという安堵でもなく、思い残しはないという満足ではなく。
ただ、寂しそうに見えたのです。
白菊さんにも、思い残しがあった。
「でも、それはきっと、当たり前の事なの」
そっと、そっと、思ったままを紡ぎます。
「どんなふうに過ごしても、どんな人でも、きっと悔いは消せないんだと思う。だから適当に生きていいってことじゃなくて―――いつもどおりの自分を好きでいることも、とっても大事なんだって、思うよ」
悔いが残らないように過ごすには、どうしたらいいんだろう。
今日を大事にするって、どういうことなんだろう。
そういうことにおいて、私が思ったことと白菊さんが思った事は、同じことだったと思います。
それはきっと、カップの内側と外側のように同じ事柄の2つの面なのです。
「だから、自分が笑顔になれること。 心が温かくなることを今日選んだっていいって、私は思ったの―――ね、明日、一緒に散歩に行きませんか?」
「―――でも、きっと明日は雨です。 窓の外はあんなに曇っているんですもの―――」
顔を伏せたまま、震える声で言う白菊さん。
私はそっと手を伸ばして、おそるおそるその手を握りました。
「そしたら白菊さんの部屋にお邪魔したいな。 私のおうちにご招待して、一緒にお夕飯するのも素敵―――もし、白菊さんが『うん』って言ってくれたら、私は明日がとっても楽しみ」
「―――」
白菊さんは小さく肩を震わせながら、頷いてくれました。
「―――ねえ、今日から貴女のことを『ほたるちゃん』って、呼んでいい?」
白菊さんは小さくしゃくりあげていて、頷いてはくれませんでした。
そのかわり、きゅっと私の手を握り返してくれたのです。
ありがとう、と小さく言って、私は窓の外の曇り空を見ました。
窓の外、遠い空には触れることが出来ません。
人の心もきっと同じです。
本当に誰かの心を理解して、それを導いてあげるなんてことは、私にはきっと出来ないのでしょう。
もしかしたら、誰にもできない事なのかもしれません。
だけど、せめて少しだけその心を暖かくすることができたら。
そう思わずにはいられませんでした。
私とほたるちゃんは、ドアが開くまでの間、ずっと手を握り合っていました。
握り合った手がとても暖かかったことを、私は今でも覚えています―――。
23: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:55:29.94 ID:R409ZOpN0
●おしまい
―――それでどうなったのか、ですか?
何かがすごく変わったわけじゃありません。
ただ、私は彼女を『ほたるちゃん』と呼ぶように。
ほたるちゃんは私を『藍子さん』と呼んでくれるようになりました。
一度頑なになってしまったいろいろなことはそう簡単には変わらなくて、ほたるちゃんと同期の子の関係だって、そうそう元には戻りません。
ただ、ほたるちゃんの普段には、少し笑顔が増えていて。
ほたるちゃんが変わって全てが変わったように、もういちどほたるちゃんが変わっていけば、少しづつでも物事は良く変わっていくのだと思います。
私は、そんなほたるちゃんを応援したいって。
少しづつ物事が良くなっていくお手伝いができたらいいなって思っているんです。
だから―――ねえ、貴方も手伝ってくれませんか?
いつか機会があったら、ほたるちゃんの手を取ってあげてください。
あの子が笑顔になったら、きっと貴方や、私や、色々な人の今日も輝くって思うんです―――
(おしまい)
24: ◆cgcCmk1QIM 2018/01/04(木) 18:55:55.46 ID:R409ZOpN0
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/04(木) 19:41:31.21 ID:ZDxnnd79o
おつおつ
面白かった
面白かった
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/04(木) 20:58:19.49 ID:tshksBfDO
死ぬことと見つけたり
というのとは少し違うか
死生学がこんな感じだったな
というのとは少し違うか
死生学がこんな感じだったな
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515058751/
Entry ⇒ 2018.05.29 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
【グラブル】イオ「ジータっておっぱいおっきくなったわよね」
1: ◆hQrgpWdMp. 2018/05/17(木) 20:02:24.28 ID:+p8U41D40
フェスが来なかったので初投稿です。
百合注意
百合注意
2: ◆hQrgpWdMp. 2018/05/17(木) 20:03:05.68 ID:+p8U41D40
ジータ「えっ、どうしたの急に?」
イオ「どうしたも何も、気になっただけよ」
ルリア「確かに出会った頃よりも明らかに大きくなってます」
ジータ「そうかなぁ?」
イオ「そうよ! 鏡見たらわかるでしょ!」
ジータ「いや昔のおっぱいの大きさと比較しないと何とも言えないよ」
イオ「何やったのよ? 教えなさい!」
ルリア「私も知りたいです!」
ジータ「何もやってないって。普通に成長しただけだよ」
イオ「嘘! 短期間に成長しすぎだもの! 絶対なんかやってる!」
ルリア「私もおっきくなりたいです!」
ジータ「知らないってば! あっ、もしかしたらルリアがいっぱい食べた分の栄養が、私の方に反映されてたりして」
ルリア「ええっ!? ずるいですよジータ! 私のおっぱい返してください~!」モミモミ
ジータ「きゃあっ!? ルリア待って! 冗談だから! ちょっ、くすぐったい!」
ルリア「吸えば取り戻せますかね」ヒュ…
ジータ「わぁぁぁ! 待ってルリア! イオちゃん助けて!」
イオ「それじゃあ、あたしには真似できないじゃないのよ」スタスタ
ジータ「イオちゃぁぁん! 待ってぇぇぇ! いつものツッコミをプリーズ! ビィも1人でサッカーしてないで助けてよぉ! ね、ねえ落ち着いてルリア、吸っても何も出なぁぁぁ――」
イオ「どうしたも何も、気になっただけよ」
ルリア「確かに出会った頃よりも明らかに大きくなってます」
ジータ「そうかなぁ?」
イオ「そうよ! 鏡見たらわかるでしょ!」
ジータ「いや昔のおっぱいの大きさと比較しないと何とも言えないよ」
イオ「何やったのよ? 教えなさい!」
ルリア「私も知りたいです!」
ジータ「何もやってないって。普通に成長しただけだよ」
イオ「嘘! 短期間に成長しすぎだもの! 絶対なんかやってる!」
ルリア「私もおっきくなりたいです!」
ジータ「知らないってば! あっ、もしかしたらルリアがいっぱい食べた分の栄養が、私の方に反映されてたりして」
ルリア「ええっ!? ずるいですよジータ! 私のおっぱい返してください~!」モミモミ
ジータ「きゃあっ!? ルリア待って! 冗談だから! ちょっ、くすぐったい!」
ルリア「吸えば取り戻せますかね」ヒュ…
ジータ「わぁぁぁ! 待ってルリア! イオちゃん助けて!」
イオ「それじゃあ、あたしには真似できないじゃないのよ」スタスタ
ジータ「イオちゃぁぁん! 待ってぇぇぇ! いつものツッコミをプリーズ! ビィも1人でサッカーしてないで助けてよぉ! ね、ねえ落ち着いてルリア、吸っても何も出なぁぁぁ――」
3: ◆hQrgpWdMp. 2018/05/17(木) 20:03:38.05 ID:+p8U41D40
シルヴァ「ふぅ、やはり特殊なだけであって分解整備後に組み上げるのも一苦労だな」
レ・フィーエ「あら、こんなところにメダルが。いただいてしまってもよろしいでしょうか?」
ベアトリクス「今月も組織パンが貰える日が近づいて来たな~楽しみだなぁ」
イオ(みんなおっきくなるドラフはともかく、この艦おっきい人が多いのよね)
イオ(サラなんてあたしよりも年下なのにもう谷間出来てるっていうのに……)ペタペタ
イオ「はぁ……」
ロゼッタ「どうしたのイオちゃん?」
イオ「ロゼッタ」
ロゼッタ「なんだか元気ないけど大丈夫?」
イオ「ううん、何でもない」
ロゼッタ「そう? さっきから皆の胸を見ていたようだけど」
イオ「えっ、き、気づいてたの!?」
ロゼッタ「ええ。皆の胸を見て、自分のを悲し気に触ってたからつい声をかけちゃった」
イオ「どうしたら大きくなるのかな?」
ロゼッタ「イオちゃんはまだ子供なんだから、成長すれば自然に大きくなるわよ」
イオ「だって、大きくないと似合わないネックレスとかあるし」
ロゼッタ「ネックレス……あぁ、災厄の再来のときのこと、まだ気にしてたんだ」
イオ「サラがもう谷間出来てたのよ? なのにあたしはまだぺったんこで」
ロゼッタ「成長には個人差があるわ。焦っちゃだめよ」
イオ「だけどあたしはロゼッタと同じネックレスが似合う女に――」
ユグドラシル「――♪」ダキッ
ロゼッタ「あぁん、どうしたのユグドラシル? ご機嫌ね。そう、ミュオンがリンゴジュースを。お礼は言った?って、通じないか」
イオ(ユグドラシル、ロゼッタほどばいんばいんじゃないけど、十分大きいよね。あたしよりよっぽどロゼッタと吊り合ってる……)
イオ「ごめんロゼッタ、あたしもう行くね」
ロゼッタ「イオちゃん?」
イオ(成長なんて待ってられない! 早くおっきくなりたいわ!)
レ・フィーエ「あら、こんなところにメダルが。いただいてしまってもよろしいでしょうか?」
ベアトリクス「今月も組織パンが貰える日が近づいて来たな~楽しみだなぁ」
イオ(みんなおっきくなるドラフはともかく、この艦おっきい人が多いのよね)
イオ(サラなんてあたしよりも年下なのにもう谷間出来てるっていうのに……)ペタペタ
イオ「はぁ……」
ロゼッタ「どうしたのイオちゃん?」
イオ「ロゼッタ」
ロゼッタ「なんだか元気ないけど大丈夫?」
イオ「ううん、何でもない」
ロゼッタ「そう? さっきから皆の胸を見ていたようだけど」
イオ「えっ、き、気づいてたの!?」
ロゼッタ「ええ。皆の胸を見て、自分のを悲し気に触ってたからつい声をかけちゃった」
イオ「どうしたら大きくなるのかな?」
ロゼッタ「イオちゃんはまだ子供なんだから、成長すれば自然に大きくなるわよ」
イオ「だって、大きくないと似合わないネックレスとかあるし」
ロゼッタ「ネックレス……あぁ、災厄の再来のときのこと、まだ気にしてたんだ」
イオ「サラがもう谷間出来てたのよ? なのにあたしはまだぺったんこで」
ロゼッタ「成長には個人差があるわ。焦っちゃだめよ」
イオ「だけどあたしはロゼッタと同じネックレスが似合う女に――」
ユグドラシル「――♪」ダキッ
ロゼッタ「あぁん、どうしたのユグドラシル? ご機嫌ね。そう、ミュオンがリンゴジュースを。お礼は言った?って、通じないか」
イオ(ユグドラシル、ロゼッタほどばいんばいんじゃないけど、十分大きいよね。あたしよりよっぽどロゼッタと吊り合ってる……)
イオ「ごめんロゼッタ、あたしもう行くね」
ロゼッタ「イオちゃん?」
イオ(成長なんて待ってられない! 早くおっきくなりたいわ!)
4: ◆hQrgpWdMp. 2018/05/17(木) 20:04:08.33 ID:+p8U41D40
カリオストロ「はぁ? 巨乳にしろだぁ?」
イオ「ええ。あたしのおっぱいをおっきくして。カリオストロならできるでしょ?」
カリオストロ「なんでオレ様がそんなことしなきゃなんねぇんだよ?」
イオ「お願いよカリオストロ!」
カリオストロ「できるけど趣味じゃねぇ。巨乳になるより今のお前の姿の方がよっぽど美少女だろ」
イオ「美少女かどうかじゃなくて、おっぱいを大きくしたいの!」
カリオストロ「胸なんかデカくてもいいことねぇだろ。着られる服も限られるし、うつ伏せとかになれなくなるし、重いし、邪魔だし」
イオ「大きくないと似合わないアクセサリーとかあるでしょ」
カリオストロ「あぁまあそりゃあるかもな。だけど大きいと似合わないのもあるからプラマイゼロだ」
イオ「あたしはそのプラスがほしいのよ!」
カリオストロ「何をそんなにムキになってんのか知らねぇけど、その内デカくなるだろ。ハーヴィンじゃねぇんだから」
イオ「今大きくしたいの~!」
カリオストロ「ああもううるさい! これだからガキは!」
イオ「ガキって何よ! あたしはねぇ!」
カリオストロ「いいか!? 可愛いさってのはな、一朝一夕で身につくもんじゃねぇんだよ! このオレ様ですら美少女1人創るのに7日はかかんだ!」
イオ「は、はぁ?」
カリオストロ「楽して可愛くなろうなんてぇ、世界が許してもこの天才美少女錬金術師のカリオストロが許さないぞっ☆」
カリオストロ「ってことだ。帰れ」
イオ「ええ。あたしのおっぱいをおっきくして。カリオストロならできるでしょ?」
カリオストロ「なんでオレ様がそんなことしなきゃなんねぇんだよ?」
イオ「お願いよカリオストロ!」
カリオストロ「できるけど趣味じゃねぇ。巨乳になるより今のお前の姿の方がよっぽど美少女だろ」
イオ「美少女かどうかじゃなくて、おっぱいを大きくしたいの!」
カリオストロ「胸なんかデカくてもいいことねぇだろ。着られる服も限られるし、うつ伏せとかになれなくなるし、重いし、邪魔だし」
イオ「大きくないと似合わないアクセサリーとかあるでしょ」
カリオストロ「あぁまあそりゃあるかもな。だけど大きいと似合わないのもあるからプラマイゼロだ」
イオ「あたしはそのプラスがほしいのよ!」
カリオストロ「何をそんなにムキになってんのか知らねぇけど、その内デカくなるだろ。ハーヴィンじゃねぇんだから」
イオ「今大きくしたいの~!」
カリオストロ「ああもううるさい! これだからガキは!」
イオ「ガキって何よ! あたしはねぇ!」
カリオストロ「いいか!? 可愛いさってのはな、一朝一夕で身につくもんじゃねぇんだよ! このオレ様ですら美少女1人創るのに7日はかかんだ!」
イオ「は、はぁ?」
カリオストロ「楽して可愛くなろうなんてぇ、世界が許してもこの天才美少女錬金術師のカリオストロが許さないぞっ☆」
カリオストロ「ってことだ。帰れ」
5: ◆hQrgpWdMp. 2018/05/17(木) 20:04:38.83 ID:+p8U41D40
イオ「納得できない~!」
カリオストロ「あんまりうるさいとぉ、ウロボロスでバクってしちゃうぞっ☆」
イオ「ぐぬぬ」
カリオストロ「胸がデカくなるかは知らんが、今でも十分美少女なのに高望みするんじゃねぇよ。自然な体のまま可愛くなれることがどれだけ恵まれてるかわかんねぇのか」
イオ「あっ……」
カリオストロ「ふんっ、ほらもう行け。オレ様はこれから馬鹿弟子の面倒見なきゃいけねぇんだから」
クラリス「ししょーひっど~い」
イオ「クラリス、聞いてたの?」
カリオストロ「何が酷いんだよ?」
クラリス「おっぱいの悩みは女の子の永遠の命題なんだよ? それがわかんないってやっぱり」
カリオストロ「やっぱり、なんだ?」キュイーン
クラリス「い、いや……とにかくけちんぼなししょーでごめんねイオちゃん」
イオ「ううん、いいの。無理なお願いしてるっていうのはわかってたから」
クラリス「うちがやれたらやってあげるけど、うちだと増やすどころか消し飛ばしちゃうから」
カリオストロ「ないもんを消し飛ばすことはさすがのお前にもできないだろうけどな」
イオ「なっ!?」
クラリス「ししょー! 気にしてるのわかっててそういうこと言うのやめなよ!」
カリオストロ「いいんだよ、こうやって意識させときゃ大きくなりやすくなんだろ」
クラリス「まったく根拠ないし。本当にごめんねイオちゃん。イオちゃんは絶対可愛くなるから!」
カリオストロ「オレ様には及ばねぇだろうがな」
クラリス「いやいや、ししょーよりは可愛くなるよ。最カワはうちだけど」
カリオストロ「おい、そりゃオレ様よりお前の方が可愛いってことか?」
クラリス「えっ、当然でしょ?」
カリオストロ「ほざくじゃねぇか、恋愛クソザコのくせによぉ」
クラリス「そ、それは関係ないじゃん! 大体ししょーだってジータにお姫様抱っこされたとき本気で照れてたし!」
カリオストロ「は、はぁぁ!? オレ様がてれ、照れるわけねぇだろ! あれはな、ああやって照れたように見せることで可愛さをアピールするためで!」
クラリス「ふ~ん、本当かなぁ?」
カリオストロ「なんだその目は? いいぜ、じゃあ今からジータんとこ行って証明してやる。オレ様は惚れる側じゃなくて惚れさせる側だってなぁ!」
クラリス「ちょちょ、ちょっと待ってよ、それって告白とかするってこと!? だめだからぁ!」
イオ「行っちゃった……」
カリオストロ「あんまりうるさいとぉ、ウロボロスでバクってしちゃうぞっ☆」
イオ「ぐぬぬ」
カリオストロ「胸がデカくなるかは知らんが、今でも十分美少女なのに高望みするんじゃねぇよ。自然な体のまま可愛くなれることがどれだけ恵まれてるかわかんねぇのか」
イオ「あっ……」
カリオストロ「ふんっ、ほらもう行け。オレ様はこれから馬鹿弟子の面倒見なきゃいけねぇんだから」
クラリス「ししょーひっど~い」
イオ「クラリス、聞いてたの?」
カリオストロ「何が酷いんだよ?」
クラリス「おっぱいの悩みは女の子の永遠の命題なんだよ? それがわかんないってやっぱり」
カリオストロ「やっぱり、なんだ?」キュイーン
クラリス「い、いや……とにかくけちんぼなししょーでごめんねイオちゃん」
イオ「ううん、いいの。無理なお願いしてるっていうのはわかってたから」
クラリス「うちがやれたらやってあげるけど、うちだと増やすどころか消し飛ばしちゃうから」
カリオストロ「ないもんを消し飛ばすことはさすがのお前にもできないだろうけどな」
イオ「なっ!?」
クラリス「ししょー! 気にしてるのわかっててそういうこと言うのやめなよ!」
カリオストロ「いいんだよ、こうやって意識させときゃ大きくなりやすくなんだろ」
クラリス「まったく根拠ないし。本当にごめんねイオちゃん。イオちゃんは絶対可愛くなるから!」
カリオストロ「オレ様には及ばねぇだろうがな」
クラリス「いやいや、ししょーよりは可愛くなるよ。最カワはうちだけど」
カリオストロ「おい、そりゃオレ様よりお前の方が可愛いってことか?」
クラリス「えっ、当然でしょ?」
カリオストロ「ほざくじゃねぇか、恋愛クソザコのくせによぉ」
クラリス「そ、それは関係ないじゃん! 大体ししょーだってジータにお姫様抱っこされたとき本気で照れてたし!」
カリオストロ「は、はぁぁ!? オレ様がてれ、照れるわけねぇだろ! あれはな、ああやって照れたように見せることで可愛さをアピールするためで!」
クラリス「ふ~ん、本当かなぁ?」
カリオストロ「なんだその目は? いいぜ、じゃあ今からジータんとこ行って証明してやる。オレ様は惚れる側じゃなくて惚れさせる側だってなぁ!」
クラリス「ちょちょ、ちょっと待ってよ、それって告白とかするってこと!? だめだからぁ!」
イオ「行っちゃった……」
6: ◆hQrgpWdMp. 2018/05/17(木) 20:05:14.86 ID:+p8U41D40
イオ(自然な体のままで可愛くなれる、かぁ。だけど、おっぱいが大きくなるかはわからないのよね)
イオ(スレンダーな美人っていうのもカッコいいけど、あたしはロゼッタに吊り合うようになりたい)
アン「グーレアっ」
グレア「きゃっ! アン、急に抱き着いて来たらびっくりするよ」
イオ(アンさんとグレアさんくらいの大きさだったら吊り合ってるわよね。グレアさんの方が大きいけれど、アンさんだって十分おっきい)
イオ(そういえばサラもアンさんも何かを召喚して戦うって共通点があるわ。ジュリエットさんとマギサさんも大きいし、もしかして召喚が巨乳の秘訣!? ルリアは違うけど)
アン「イオちゃんも混ざりたい?」
イオ「えっ?」
アン「ずっとこっちの方見てたから混ざりたいのかなって。いいよ~こっち来てグレアをモフモフしましょ」
グレア「は、はずかしいからだめだよアン」
イオ「違うの。召喚術みたいな何かを使役する術が使えると、おっぱいおっきくなるのかなって思ってただけ」
アン「おっぱい?」
グレア「なにを言い出すのイオさん!?」
アン「う~ん、確かにモーさんを使役するマギサさんは、もしかしたらドラフ含めてこの騎空団一かもしれないしねぇ」
イオ「でしょ? アンさんだっておっきいし」
アン「あははは、こんなのグレアのと比べたら全然だよ。ね、グレア?」ムニ
グレア「アンっ! 持ち上げないでよ~!」
イオ「グレアさんはドラフじゃないけど角が生えてる……ということは角も巨乳の秘訣?」
グレア「いやたぶん関係ないと思うよって、アン! そろそろ離して~!」
イオ(スレンダーな美人っていうのもカッコいいけど、あたしはロゼッタに吊り合うようになりたい)
アン「グーレアっ」
グレア「きゃっ! アン、急に抱き着いて来たらびっくりするよ」
イオ(アンさんとグレアさんくらいの大きさだったら吊り合ってるわよね。グレアさんの方が大きいけれど、アンさんだって十分おっきい)
イオ(そういえばサラもアンさんも何かを召喚して戦うって共通点があるわ。ジュリエットさんとマギサさんも大きいし、もしかして召喚が巨乳の秘訣!? ルリアは違うけど)
アン「イオちゃんも混ざりたい?」
イオ「えっ?」
アン「ずっとこっちの方見てたから混ざりたいのかなって。いいよ~こっち来てグレアをモフモフしましょ」
グレア「は、はずかしいからだめだよアン」
イオ「違うの。召喚術みたいな何かを使役する術が使えると、おっぱいおっきくなるのかなって思ってただけ」
アン「おっぱい?」
グレア「なにを言い出すのイオさん!?」
アン「う~ん、確かにモーさんを使役するマギサさんは、もしかしたらドラフ含めてこの騎空団一かもしれないしねぇ」
イオ「でしょ? アンさんだっておっきいし」
アン「あははは、こんなのグレアのと比べたら全然だよ。ね、グレア?」ムニ
グレア「アンっ! 持ち上げないでよ~!」
イオ「グレアさんはドラフじゃないけど角が生えてる……ということは角も巨乳の秘訣?」
グレア「いやたぶん関係ないと思うよって、アン! そろそろ離して~!」
7: ◆hQrgpWdMp. 2018/05/17(木) 20:05:50.62 ID:+p8U41D40
アン「巨乳になりたいんだ?」
イオ「うん。種族の違いは分かるけど、ドラフはあたしくらいの身長でばいんばいんだし」
グレア「男の人はものすごく身長大きいのにね。不思議な種族だよ」
アン「骨格とか違うんじゃないかなぁ。イオちゃんが今の身長でばいんばいんだと、ヒューマンの骨格じゃ耐えられないかも」
イオ「でも同じヒューマンのサラはもう谷間出来るくらいあるし」
アン「あぁ、だから使役術使いはおっきいかもって思ったんだ。確かにあの子結構発育いいよね」
グレア「えっ、何で知ってるの?」
アン「そりゃお風呂とかで一緒になったとき見ることくらいあるでしょ」
グレア「いつも他の人と被らない時間に入ってるから……」
アン「もう! せっかく社会科見学ってことで騎空団に入れてもらってるのに、打ち解けようとしないでどうするの!」
グレア「だって、裸になったら余計に尻尾とか羽根とか目立つし……」
アン「そんなの気にしてたんだ。誰も変に思ったりしないよ」
グレア「わかってるけど……」
アン「だったら私が一緒にいてあげるから。それならいいでしょ?」
グレア「アンと一緒なら、大丈夫」
アン「よし、ってかもっと早く一緒に入ろうって言ってほしかったんだけど」
グレア「それもはずかしいよ……」
アン「今更。まあいっか。じゃあ今日は一緒にサラちゃんの発育を確かめよう!」
グレア「いやっ、発育確かめるためにお風呂入りに行くんじゃないからね!?」
イオ「うん。種族の違いは分かるけど、ドラフはあたしくらいの身長でばいんばいんだし」
グレア「男の人はものすごく身長大きいのにね。不思議な種族だよ」
アン「骨格とか違うんじゃないかなぁ。イオちゃんが今の身長でばいんばいんだと、ヒューマンの骨格じゃ耐えられないかも」
イオ「でも同じヒューマンのサラはもう谷間出来るくらいあるし」
アン「あぁ、だから使役術使いはおっきいかもって思ったんだ。確かにあの子結構発育いいよね」
グレア「えっ、何で知ってるの?」
アン「そりゃお風呂とかで一緒になったとき見ることくらいあるでしょ」
グレア「いつも他の人と被らない時間に入ってるから……」
アン「もう! せっかく社会科見学ってことで騎空団に入れてもらってるのに、打ち解けようとしないでどうするの!」
グレア「だって、裸になったら余計に尻尾とか羽根とか目立つし……」
アン「そんなの気にしてたんだ。誰も変に思ったりしないよ」
グレア「わかってるけど……」
アン「だったら私が一緒にいてあげるから。それならいいでしょ?」
グレア「アンと一緒なら、大丈夫」
アン「よし、ってかもっと早く一緒に入ろうって言ってほしかったんだけど」
グレア「それもはずかしいよ……」
アン「今更。まあいっか。じゃあ今日は一緒にサラちゃんの発育を確かめよう!」
グレア「いやっ、発育確かめるためにお風呂入りに行くんじゃないからね!?」
8: ◆hQrgpWdMp. 2018/05/17(木) 20:06:19.64 ID:+p8U41D40
グレア「あっ、ごめんねイオさん。こっちだけで話し込んじゃって」
イオ「気にしないで。あたしと同じ体の問題のことだったもの」
アン「グレアが気にしすぎなんだよ。尻尾なんてユエルさんやソシエさん、それにアンチラちゃんにだって生えてるのに」
グレア「それとは違うでしょ」
アン「そんなこと言ったら私の顔とグレアの顔も、同じ顔って部分だけど違うでしょ。それと同じ」
グレア「それは……」
アン「私はその自分だけの部分を、グレアにもちゃんと誇りに思ってもらいたいんだ」
グレア「アン……」
イオ(自分だけの部分……)
アン「ってぇことで! お風呂で皆にじっくり見てもらいましょうか!」
グレア「ええっ!? み、見せびらかすの!?」
アン「視線に慣れれば普通だって思えるようになれるでしょ? ガンガン見てもらうわよ! 穴が空くくらいに!」
グレア「穴があったら入りたくなるよ……」
イオ「じー」
グレア「い、イオさん?」
アン「おおっ! 予行演習で今見てくれてるのね! よぉし、慣れるのよグレア!」
グレア「うんっ、がんばる」
イオ「じー」
グレア「う……」
アン「……」
イオ「……」
グレア「うぁ……」
イオ(グレアさん、はずかしがり方がちょっと色っぽい)
グレア「やっぱり無理~!」ダッ
アン「あちゃ~ちょっと荒療治だったか。付き合ってもらってありがとうねイオちゃん」
イオ「お風呂に居合わせたらまた手伝うわ」
アン「うん、お願い。今度は拘束魔法で捕らえておこうかしら」
イオ「それはさすがにやりすぎだと思うわ」
イオ「気にしないで。あたしと同じ体の問題のことだったもの」
アン「グレアが気にしすぎなんだよ。尻尾なんてユエルさんやソシエさん、それにアンチラちゃんにだって生えてるのに」
グレア「それとは違うでしょ」
アン「そんなこと言ったら私の顔とグレアの顔も、同じ顔って部分だけど違うでしょ。それと同じ」
グレア「それは……」
アン「私はその自分だけの部分を、グレアにもちゃんと誇りに思ってもらいたいんだ」
グレア「アン……」
イオ(自分だけの部分……)
アン「ってぇことで! お風呂で皆にじっくり見てもらいましょうか!」
グレア「ええっ!? み、見せびらかすの!?」
アン「視線に慣れれば普通だって思えるようになれるでしょ? ガンガン見てもらうわよ! 穴が空くくらいに!」
グレア「穴があったら入りたくなるよ……」
イオ「じー」
グレア「い、イオさん?」
アン「おおっ! 予行演習で今見てくれてるのね! よぉし、慣れるのよグレア!」
グレア「うんっ、がんばる」
イオ「じー」
グレア「う……」
アン「……」
イオ「……」
グレア「うぁ……」
イオ(グレアさん、はずかしがり方がちょっと色っぽい)
グレア「やっぱり無理~!」ダッ
アン「あちゃ~ちょっと荒療治だったか。付き合ってもらってありがとうねイオちゃん」
イオ「お風呂に居合わせたらまた手伝うわ」
アン「うん、お願い。今度は拘束魔法で捕らえておこうかしら」
イオ「それはさすがにやりすぎだと思うわ」
9: ◆hQrgpWdMp. 2018/05/17(木) 20:06:50.63 ID:+p8U41D40
イオ(あたしだけの部分、あたしらしいところってどこかな? まだ体は貧相だと認めざるを得ないし)
イオ(誇りに思えるようなところなんてどこにあるんだろう)
マギサ「あら、イオちゃん」
イオ「マギサさん」
マギサ「何か悩み事?」
イオ「わかります?」
マギサ「そんな顔してたら誰にだってわかるわよ。私でよければ話を聞くわ」
イオ「おっぱいおっきくしたいんです」
マギサ「は?」
イオ「だから、おっぱいおっきくしたいんです!」
マギサ「……ぷっ。くくくっ」
イオ「ちょっとぉ! なんで笑うんですか!?」
マギサ「いや、ごめんなさい。本当に深刻そうな顔してたからどんな大事かと思ったら、予想外に可愛らしいことだったものだから」
イオ「あたし真剣なんですけど」
マギサ「そう、そうよね。女の子だもの、気になるわよね」
イオ「マギサさんがおっきいのはモラクスを使役してるから?」
マギサ「どうして?」
イオ「サラもアンさんもジュリエットさんも、使役する術を使う人はみんな大きいから」
マギサ「ルリアちゃんは?」
イオ「ルリアは、一応ジータと一体化してるのでジータでカウントします!」
マギサ「うふふ、ちょっと苦しいわね」
イオ(誇りに思えるようなところなんてどこにあるんだろう)
マギサ「あら、イオちゃん」
イオ「マギサさん」
マギサ「何か悩み事?」
イオ「わかります?」
マギサ「そんな顔してたら誰にだってわかるわよ。私でよければ話を聞くわ」
イオ「おっぱいおっきくしたいんです」
マギサ「は?」
イオ「だから、おっぱいおっきくしたいんです!」
マギサ「……ぷっ。くくくっ」
イオ「ちょっとぉ! なんで笑うんですか!?」
マギサ「いや、ごめんなさい。本当に深刻そうな顔してたからどんな大事かと思ったら、予想外に可愛らしいことだったものだから」
イオ「あたし真剣なんですけど」
マギサ「そう、そうよね。女の子だもの、気になるわよね」
イオ「マギサさんがおっきいのはモラクスを使役してるから?」
マギサ「どうして?」
イオ「サラもアンさんもジュリエットさんも、使役する術を使う人はみんな大きいから」
マギサ「ルリアちゃんは?」
イオ「ルリアは、一応ジータと一体化してるのでジータでカウントします!」
マギサ「うふふ、ちょっと苦しいわね」
10: ◆hQrgpWdMp. 2018/05/17(木) 20:07:19.27 ID:+p8U41D40
マギサ「答えを言うと残念ながら関係ないわ」
イオ「使役する術って魔力が必要だから、魔力が多いと大きくなるとかじゃなくて?」
マギサ「魔力の多さもあんまり関係ないと思うわ。私に匹敵するほどの魔力を持ってたさくらちゃんや、それこそイオちゃんだって魔力はそこらの魔導士より多いでしょ?」
イオ「うぅ、そっかぁ」
マギサ「本当はわかっていたんでしょう? 胸が大きい理由に共通項なんてないんだってこと」
イオ「マギサさんには何でもお見通しね」
マギサ「こんなのは私の力を使うまでもない話よ。わかっていても理屈をつけて希望を持ちたがるのが人間というものだもの」
イオ「でもマギサさんならおっぱいおっきくする魔法とか知ってるんじゃ!」
マギサ「そうやってね」
イオ「あぅ……」
マギサ「どうしてそんなに急いでいるの?」
イオ「それは、えっと、付けたいネックレスが胸大きくないと似合わないから」
イオ(本当はロゼッタと同じネックレスが似合うようになりたいから、だけど)
マギサ「うふふ、背伸びしたい年頃ね」
イオ「子供扱いしないで……って言えませんよね」
マギサ「それがわかっているだけ少しは大人よ」
11: ◆hQrgpWdMp. 2018/05/17(木) 20:07:48.79 ID:+p8U41D40
マギサ「身の丈に合わないものを求めても上手くいかないものよ。何でもね」
イオ「あたしの体に巨乳には合いませんか?」
マギサ「物理的な身の丈の話じゃなくてね。そっちも個人的に言えば今のままの方がバランスはいいと思うけれど」
マギサ「今のイオちゃんは今しかいない」
イオ「今のあたし?」
マギサ「そう。今のイオちゃんには今のイオちゃんに似合う格好があるでしょ? それはきっと今しか似合わないの」
マギサ「ああなりたい、こうしたいという気持ちは勿論わかるわ。けれどどうあっても変えられないものというのはある」
マギサ「そういうときにやるべきは、今の自分に似合う姿を求めることじゃないかしら?」
マギサ「なりたい自分に変わっていくまでの間、今の自分でしかできないことを目いっぱい楽しむこと。それはね、イオちゃん。成長できる子供にだけ許されるものなのよ」
イオ「子供にだけ……」
マギサ「そう。変わりたいという気持ちも大事だけど、未来だけを見つめて今を疎かにしちゃいけない。私はジータと出会ったことでそれを知ったわ」
イオ「理屈は理解できるわ。けれど、あたしがなりたいのは……」
マギサ「未来のことを考えることも大切。けれど、今貴女がやっていることは今から逃げようとしているだけに見えるわ」
マギサ「今の貴女も十分素敵なレディよイオちゃん。もっと自信を持ちなさい」
イオ「どこら辺が、でしょうか?」
マギサ「それは、自分で考えましょうか」
イオ「ええ~?」
マギサ「それを考えて見つけることが、今を大切にするということよ」
イオ「はぁい……」
イオ「あたしの体に巨乳には合いませんか?」
マギサ「物理的な身の丈の話じゃなくてね。そっちも個人的に言えば今のままの方がバランスはいいと思うけれど」
マギサ「今のイオちゃんは今しかいない」
イオ「今のあたし?」
マギサ「そう。今のイオちゃんには今のイオちゃんに似合う格好があるでしょ? それはきっと今しか似合わないの」
マギサ「ああなりたい、こうしたいという気持ちは勿論わかるわ。けれどどうあっても変えられないものというのはある」
マギサ「そういうときにやるべきは、今の自分に似合う姿を求めることじゃないかしら?」
マギサ「なりたい自分に変わっていくまでの間、今の自分でしかできないことを目いっぱい楽しむこと。それはね、イオちゃん。成長できる子供にだけ許されるものなのよ」
イオ「子供にだけ……」
マギサ「そう。変わりたいという気持ちも大事だけど、未来だけを見つめて今を疎かにしちゃいけない。私はジータと出会ったことでそれを知ったわ」
イオ「理屈は理解できるわ。けれど、あたしがなりたいのは……」
マギサ「未来のことを考えることも大切。けれど、今貴女がやっていることは今から逃げようとしているだけに見えるわ」
マギサ「今の貴女も十分素敵なレディよイオちゃん。もっと自信を持ちなさい」
イオ「どこら辺が、でしょうか?」
マギサ「それは、自分で考えましょうか」
イオ「ええ~?」
マギサ「それを考えて見つけることが、今を大切にするということよ」
イオ「はぁい……」
12: ◆hQrgpWdMp. 2018/05/17(木) 20:08:19.64 ID:+p8U41D40
イオ(いい感じのこと言われちゃったけど、結局今はロゼッタと吊り合う女にはなれないってことよね)
イオ「はぁ……」
ロゼッタ「またため息ついてる」
イオ「ロゼッタ」
ロゼッタ「まだ元気出てないみたいね」
イオ「うん。色々頑張ったけど、やっぱり願いが叶いそうにないっていうのがわかったから」
ロゼッタ「そう、それは残念ね。それじゃあ、これで少しは元気を出してくれるかしら?」
イオ「これ……ネックレス?」
ロゼッタ「そう。イオちゃんに似合うと思って買って来たの。こっちに来て」
イオ「あっ、自分で付けるわよ!」
ロゼッタ「いいの。プレゼントなんだからアタシが付けるわ。よし、できた! はい鏡」
イオ「似合ってる、かな?」
ロゼッタ「アタシは似合ってると思うけど、イオちゃん本人はどう思う?」
イオ「似合ってる、よ! うん、ありがとうロゼッタ!」
ロゼッタ「うふふっ、イオちゃんに元気が戻ったならそれでいいわ」
イオ「はぁ……」
ロゼッタ「またため息ついてる」
イオ「ロゼッタ」
ロゼッタ「まだ元気出てないみたいね」
イオ「うん。色々頑張ったけど、やっぱり願いが叶いそうにないっていうのがわかったから」
ロゼッタ「そう、それは残念ね。それじゃあ、これで少しは元気を出してくれるかしら?」
イオ「これ……ネックレス?」
ロゼッタ「そう。イオちゃんに似合うと思って買って来たの。こっちに来て」
イオ「あっ、自分で付けるわよ!」
ロゼッタ「いいの。プレゼントなんだからアタシが付けるわ。よし、できた! はい鏡」
イオ「似合ってる、かな?」
ロゼッタ「アタシは似合ってると思うけど、イオちゃん本人はどう思う?」
イオ「似合ってる、よ! うん、ありがとうロゼッタ!」
ロゼッタ「うふふっ、イオちゃんに元気が戻ったならそれでいいわ」
13: ◆hQrgpWdMp. 2018/05/17(木) 20:08:54.81 ID:+p8U41D40
ロゼッタ「実はアタシの分も買って来たの。イオちゃん、付けてもらえる?」
イオ「ええ!」
ロゼッタ「それじゃ、少しかがんで……」スッ
イオ「よい、しょっと」
イオ(やっぱり間近で見ると迫力があるわね)
ロゼッタ「今日は胸が気になる日なのね」
イオ「わっ! ご、ごめん!」
ロゼッタ「ふふっ、あまり露骨な視線はお断りだけど、イオちゃんにならいいわ」
イオ「あたしだってそんなに露骨には見ないわよ、これからは。できた!」
ロゼッタ「ありがとう。どう?」
イオ「すごく似合ってる! 綺麗よ!」
ロゼッタ「ありがとう。うん、思った通りね」
イオ(あれはロゼッタだから似合うのよ。あたしには似合わない。本当は同じのが――)
ロゼッタ「イオちゃん。アタシのネックレスとイオちゃんのネックレスね、ペアになってるの」
イオ「……え?」
イオ「ええ!」
ロゼッタ「それじゃ、少しかがんで……」スッ
イオ「よい、しょっと」
イオ(やっぱり間近で見ると迫力があるわね)
ロゼッタ「今日は胸が気になる日なのね」
イオ「わっ! ご、ごめん!」
ロゼッタ「ふふっ、あまり露骨な視線はお断りだけど、イオちゃんにならいいわ」
イオ「あたしだってそんなに露骨には見ないわよ、これからは。できた!」
ロゼッタ「ありがとう。どう?」
イオ「すごく似合ってる! 綺麗よ!」
ロゼッタ「ありがとう。うん、思った通りね」
イオ(あれはロゼッタだから似合うのよ。あたしには似合わない。本当は同じのが――)
ロゼッタ「イオちゃん。アタシのネックレスとイオちゃんのネックレスね、ペアになってるの」
イオ「……え?」
14: ◆hQrgpWdMp. 2018/05/17(木) 20:09:26.44 ID:+p8U41D40
イオ「だって、デザインとか全然違うわよ?」
ロゼッタ「同じ素材でまったく別のコンセプトで仕上げてみたんですって。こんなに変わるものなのね」
イオ「そう、なんだ。ロゼッタのとペアに」
ロゼッタ「プレゼント探してるときに見つけて、これしかないって思ったの。だって、片方はイオちゃんじゃないと似合わないけど、もう片方はアタシじゃないと似合わないじゃない?」
イオ「ロゼッタならあたしのも似合うわ」
ロゼッタ「そう言ってくれるのは嬉しいけれど、やっぱりそれが似合うのはイオちゃんよ」
イオ「そうかな?」
ロゼッタ「同じネックレスが似合うようにって言ってたから、最初は同じにしようと思ったの。けれどそれだとイオちゃんらしさも、アタシらしさも引き立たなくなってしまう」
ロゼッタ「装飾品はその人を引き立てるために付けるもの。アタシがよりアタシらしく、イオちゃんがよりイオちゃんらしく見えるようになるものを選ばなくっちゃね」
イオ「あたしらしい、って何かな?」
ロゼッタ「星晶獣や七曜の騎士にさえ啖呵を切れる強さ。いつだって周囲を笑顔にしてくれる天真爛漫な明るさ。小さくて細くて人形のような可憐さ。それから――」
イオ「も、もういい! はずかしいからもうやめて!」
ロゼッタ「イオちゃんらしいところならいくらでも言えるわ。だって、私の好きなところですもの」
イオ「うぅ、ロゼッタ直球すぎるわよ。顔から火が出ちゃう」
ロゼッタ「そのイオちゃんらしさは、アタシらしさにない部分。そして、その逆も」
イオ「うん。あたしはロゼッタみたいに落ち着いた大人のレディじゃないし、周囲を惹きつけるような妖艶さもないわ。あとおっぱいもちっちゃい」
ロゼッタ「同じじゃないから惹かれるのよ。アタシにはない『らしさ』を持っていて、そして『アタシらしさ』を好きでいてくれるイオちゃんに」
イオ「あたし、ロゼッタと吊り合いたかったの」
ロゼッタ「もう十分吊り合っているわ。お互いに違う自分らしさだけど」
イオ「きっと、お互いに必要なあたしらしさなのね」
ロゼッタ「同じ素材でまったく別のコンセプトで仕上げてみたんですって。こんなに変わるものなのね」
イオ「そう、なんだ。ロゼッタのとペアに」
ロゼッタ「プレゼント探してるときに見つけて、これしかないって思ったの。だって、片方はイオちゃんじゃないと似合わないけど、もう片方はアタシじゃないと似合わないじゃない?」
イオ「ロゼッタならあたしのも似合うわ」
ロゼッタ「そう言ってくれるのは嬉しいけれど、やっぱりそれが似合うのはイオちゃんよ」
イオ「そうかな?」
ロゼッタ「同じネックレスが似合うようにって言ってたから、最初は同じにしようと思ったの。けれどそれだとイオちゃんらしさも、アタシらしさも引き立たなくなってしまう」
ロゼッタ「装飾品はその人を引き立てるために付けるもの。アタシがよりアタシらしく、イオちゃんがよりイオちゃんらしく見えるようになるものを選ばなくっちゃね」
イオ「あたしらしい、って何かな?」
ロゼッタ「星晶獣や七曜の騎士にさえ啖呵を切れる強さ。いつだって周囲を笑顔にしてくれる天真爛漫な明るさ。小さくて細くて人形のような可憐さ。それから――」
イオ「も、もういい! はずかしいからもうやめて!」
ロゼッタ「イオちゃんらしいところならいくらでも言えるわ。だって、私の好きなところですもの」
イオ「うぅ、ロゼッタ直球すぎるわよ。顔から火が出ちゃう」
ロゼッタ「そのイオちゃんらしさは、アタシらしさにない部分。そして、その逆も」
イオ「うん。あたしはロゼッタみたいに落ち着いた大人のレディじゃないし、周囲を惹きつけるような妖艶さもないわ。あとおっぱいもちっちゃい」
ロゼッタ「同じじゃないから惹かれるのよ。アタシにはない『らしさ』を持っていて、そして『アタシらしさ』を好きでいてくれるイオちゃんに」
イオ「あたし、ロゼッタと吊り合いたかったの」
ロゼッタ「もう十分吊り合っているわ。お互いに違う自分らしさだけど」
イオ「きっと、お互いに必要なあたしらしさなのね」
15: ◆hQrgpWdMp. 2018/05/17(木) 20:10:05.35 ID:+p8U41D40
イオ「こんなことにも気づかずに大騒ぎしちゃうなんて。まだまだ大人のレディは遠いなぁ」
ロゼッタ「思い立ったらすぐ行動しちゃうものねイオちゃんは」
イオ「けど思い立つまでにちゃんと考えるから!」
ロゼッタ「そうね。そこがイオちゃんのいいところ。イオちゃんらしさの1つね」
イオ「あたしね、今のあたしらしさをもっとロゼッタに見てもらえるようにする」
ロゼッタ「そうしてくれると嬉しいわ」
イオ「けど、やっぱりロゼッタみたいな大人のレディになりたいって気持ちも捨てきれないわ」
ロゼッタ「それも嬉しい」
イオ「どうして? 違ってるから惹かれるんじゃないの?」
ロゼッタ「イオちゃんが完全にアタシになるわけじゃないもの。アタシに憧れてくれるっていうのはすごく嬉しいことじゃない」
イオ「違ってるから惹かれるのに、同じになっても嬉しい。中々複雑ね」
ロゼッタ「人間の心なんてそう簡単に言い表せられるものじゃないわ。私のこの気持ちは、一言で言い表せられるけれどね」
イオ「どういう気持ちなの?」
ロゼッタ「イオちゃんが好き」
イオ「……~~~っ」
ロゼッタ「きっとこの気持ちは、今も同じだと思うけれど」
イオ「……ええ。あたしもロゼッタが、大好き!」
ロゼッタ「この気持ちは違うより同じ方が嬉しいことはわかるわね」
イオ「当然よ」
ロゼッタ「ふふふっ」
イオ「ふふっ……ねぇ、ロゼッタ?」
ロゼッタ「なぁに、イオちゃん?」
イオ「もう一度屈んでもらっていい?」
ロゼッタ「いいわよ。よいしょっと。それで、何の用かしら?」
イオ「ちゅ、チューして――」ググッ
クラリス「ドカーン!」
イオ「うええっっ!? なに!?」
ロゼッタ「外からよ。行きましょう!」
イオ「んもぉぉ! いいところだったのに!」
ロゼッタ「思い立ったらすぐ行動しちゃうものねイオちゃんは」
イオ「けど思い立つまでにちゃんと考えるから!」
ロゼッタ「そうね。そこがイオちゃんのいいところ。イオちゃんらしさの1つね」
イオ「あたしね、今のあたしらしさをもっとロゼッタに見てもらえるようにする」
ロゼッタ「そうしてくれると嬉しいわ」
イオ「けど、やっぱりロゼッタみたいな大人のレディになりたいって気持ちも捨てきれないわ」
ロゼッタ「それも嬉しい」
イオ「どうして? 違ってるから惹かれるんじゃないの?」
ロゼッタ「イオちゃんが完全にアタシになるわけじゃないもの。アタシに憧れてくれるっていうのはすごく嬉しいことじゃない」
イオ「違ってるから惹かれるのに、同じになっても嬉しい。中々複雑ね」
ロゼッタ「人間の心なんてそう簡単に言い表せられるものじゃないわ。私のこの気持ちは、一言で言い表せられるけれどね」
イオ「どういう気持ちなの?」
ロゼッタ「イオちゃんが好き」
イオ「……~~~っ」
ロゼッタ「きっとこの気持ちは、今も同じだと思うけれど」
イオ「……ええ。あたしもロゼッタが、大好き!」
ロゼッタ「この気持ちは違うより同じ方が嬉しいことはわかるわね」
イオ「当然よ」
ロゼッタ「ふふふっ」
イオ「ふふっ……ねぇ、ロゼッタ?」
ロゼッタ「なぁに、イオちゃん?」
イオ「もう一度屈んでもらっていい?」
ロゼッタ「いいわよ。よいしょっと。それで、何の用かしら?」
イオ「ちゅ、チューして――」ググッ
クラリス「ドカーン!」
イオ「うええっっ!? なに!?」
ロゼッタ「外からよ。行きましょう!」
イオ「んもぉぉ! いいところだったのに!」
16: ◆hQrgpWdMp. 2018/05/17(木) 20:10:55.36 ID:+p8U41D40
ルリア「はわわ~、艦の中でそれは危ないですよクラリスさん」
クラリス「くっ、効いてない!?」
カリオストロ「くそっ! どうなってんだ!?」
ルリア「このおっぱい、我の胸に1つにせしめん」ヒュゴゥ
ジータ「あへぇぁ……またお嫁に、いけなくなっちゃった……」ビクンビクン
謎のひかビィ「オイラは局部を隠すだけの存在!」
クラリス「ジータぁ! ジータのおっぱい吸うなんてうらや……じゃなくて! ジータを離しなさい!」
ルリア「はわわ~」ヒュゴォォォ
カリオストロ「だめだ! 今のルリアはこの世界の全ての胸を吸い尽くすまで止まらねぇ!」
ルリア「飲ませよ、この身の乳を肥大化せしめる、この巨乳を」ヒュゴゥ
クラリス「いやぁぁ! やめてぇぇ! うちのはじめてはジータにぃ!」
イオ「一体何が起こってるの!?」
ロゼッタ「よくわからないけれど、イオちゃんの出番よ!」
イオ「ええ。一緒に行くわよロゼッタ!」
ロゼッタ「ふふっ、いつでも行けるわ」
イオ「こらぁルリア~! 少し頭冷やそうか~! インヴィテーション・ガスト!」
クラリス「くっ、効いてない!?」
カリオストロ「くそっ! どうなってんだ!?」
ルリア「このおっぱい、我の胸に1つにせしめん」ヒュゴゥ
ジータ「あへぇぁ……またお嫁に、いけなくなっちゃった……」ビクンビクン
謎のひかビィ「オイラは局部を隠すだけの存在!」
クラリス「ジータぁ! ジータのおっぱい吸うなんてうらや……じゃなくて! ジータを離しなさい!」
ルリア「はわわ~」ヒュゴォォォ
カリオストロ「だめだ! 今のルリアはこの世界の全ての胸を吸い尽くすまで止まらねぇ!」
ルリア「飲ませよ、この身の乳を肥大化せしめる、この巨乳を」ヒュゴゥ
クラリス「いやぁぁ! やめてぇぇ! うちのはじめてはジータにぃ!」
イオ「一体何が起こってるの!?」
ロゼッタ「よくわからないけれど、イオちゃんの出番よ!」
イオ「ええ。一緒に行くわよロゼッタ!」
ロゼッタ「ふふっ、いつでも行けるわ」
イオ「こらぁルリア~! 少し頭冷やそうか~! インヴィテーション・ガスト!」
17: ◆hQrgpWdMp. 2018/05/17(木) 20:11:38.09 ID:+p8U41D40
これで終わりです。
ユグロゼもすこだけど、イオロゼはもっとすこなんだ
ユグロゼもすこだけど、イオロゼはもっとすこなんだ
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/17(木) 21:56:26.80 ID:iUbPG+GhO
乙 頭冷やそうかはまずいですよ!
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/18(金) 11:16:43.46 ID:P8W20NucO
なるほど~なるほど~
こういうのをスレタイ詐欺というのか
こういうのをスレタイ詐欺というのか
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526554943/
Entry ⇒ 2018.05.22 | Category ⇒ グラブル | Comments (0)
強盗「逃走中に自販機の中に隠れたら出られなくなっちまった」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 21:38:16.89 ID:lgXsj8hpo
強盗「ハァッ、ハァッ、ハァッ……」
強盗「ここまで来れば、もう安心なはずだ」
強盗「とりあえず、一休みするか……。お、ちょうどいいところに自販機があるじゃねえか」
≪あったか~い≫ ≪つめた~い≫
チャリンチャリン…
強盗「こんだけ走った上カイロ持っててもまだ寒いからな……温かいのを」ポチッ
強盗「ん?」ポチッポチッ
強盗「なんも出てこねえじゃねえか、この自販機!」
強盗「ここまで来れば、もう安心なはずだ」
強盗「とりあえず、一休みするか……。お、ちょうどいいところに自販機があるじゃねえか」
≪あったか~い≫ ≪つめた~い≫
チャリンチャリン…
強盗「こんだけ走った上カイロ持っててもまだ寒いからな……温かいのを」ポチッ
強盗「ん?」ポチッポチッ
強盗「なんも出てこねえじゃねえか、この自販機!」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 21:40:54.90 ID:lgXsj8hpo
ウーウー… ウーウー…
強盗「やっべ! 警察来た!」
強盗(どこかに隠れないと! ――ん!?)
ギィィ…
強盗(……この自販機、中身空なのか! どうりでなにも出てこないわけだ!)
強盗(よし、この中に隠れよう!)
バタンッ!
強盗「やっべ! 警察来た!」
強盗(どこかに隠れないと! ――ん!?)
ギィィ…
強盗(……この自販機、中身空なのか! どうりでなにも出てこないわけだ!)
強盗(よし、この中に隠れよう!)
バタンッ!
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 21:43:17.03 ID:lgXsj8hpo
強盗(どうやら行ったみてえだな……)
強盗「よし、出るか」グッ
強盗「……!?」
強盗「くっ! くっ!」グッグッ…
強盗「で、出れない……!?」
強盗「よし、出るか」グッ
強盗「……!?」
強盗「くっ! くっ!」グッグッ…
強盗「で、出れない……!?」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 21:46:04.39 ID:lgXsj8hpo
強盗「やべえ……やべえぞ! どうすりゃいいんだよ!」
強盗「自販機の中に閉じ込められたなんてシャレに――」
強盗(誰か来た!)
強盗(閉じ込められるのはまずいが、隠れてるのがバレるのはもっとまずい!)
強盗(なんとかやり過ごすしかない……!)
強盗(ん? ここにある小さな隙間から、うっすら外を覗けるが――来たのは女か)
強盗「自販機の中に閉じ込められたなんてシャレに――」
強盗(誰か来た!)
強盗(閉じ込められるのはまずいが、隠れてるのがバレるのはもっとまずい!)
強盗(なんとかやり過ごすしかない……!)
強盗(ん? ここにある小さな隙間から、うっすら外を覗けるが――来たのは女か)
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 21:48:53.35 ID:lgXsj8hpo
女「あら、自販機。こんな時は温かい飲み物を……」チャリンッ
女「えいっ、えいっ」ポチッポチッ
女「あらぁ……?」
~
強盗(いくら押しても飲み物なんか出てこねえよ!)
強盗(この自販機は空っぽ……それどころか中身は強盗なんだからな!)
女「えいっ、えいっ」ポチッポチッ
女「あらぁ……?」
~
強盗(いくら押しても飲み物なんか出てこねえよ!)
強盗(この自販機は空っぽ……それどころか中身は強盗なんだからな!)
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 21:51:05.93 ID:lgXsj8hpo
女「このっ、このっ!」ポチッポチッ
~
強盗(いくら押しても無駄だって)
強盗(なかなか粘るな……もう諦めてとっとと帰れよなぁ)
~
強盗(いくら押しても無駄だって)
強盗(なかなか粘るな……もう諦めてとっとと帰れよなぁ)
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 21:54:57.79 ID:lgXsj8hpo
女「うっ、うっ……」
女「うわぁ~~~~~ん!」
女「そうなんだわ! 私はやっぱり自販機にも嫌われてるんだわぁ~~~~!」
~
強盗「!?」ギョッ
強盗(なんだこの女!? いきなり泣き出しやがった!)
女「うわぁ~~~~~ん!」
女「そうなんだわ! 私はやっぱり自販機にも嫌われてるんだわぁ~~~~!」
~
強盗「!?」ギョッ
強盗(なんだこの女!? いきなり泣き出しやがった!)
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 21:57:14.88 ID:lgXsj8hpo
女「あの人……こっちは散々尽くしたのに、遊んでただけって……愛なんかなかったって……」
女「あんなの……ひどすぎる……」
女「うえっ、うっ、うううっ……!」
女「私……もう生きてけない……」ヒック…
~
強盗「……」
女「あんなの……ひどすぎる……」
女「うえっ、うっ、うううっ……!」
女「私……もう生きてけない……」ヒック…
~
強盗「……」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:01:05.73 ID:lgXsj8hpo
ボトッ
女「?」
女「下にある取り出し口から何か出てきた……」
女「これは……ホッカイロ?」
女「あったかい……あたたかいわ……」ホカホカ…
女「ありがとう……自販機さん……」
~
強盗(ケッ、おかげでこっちはすっかり寒くなっちまったぜ!)
強盗(ま、泣いてる女を放っておくわけにもいくまいよ)
女「?」
女「下にある取り出し口から何か出てきた……」
女「これは……ホッカイロ?」
女「あったかい……あたたかいわ……」ホカホカ…
女「ありがとう……自販機さん……」
~
強盗(ケッ、おかげでこっちはすっかり寒くなっちまったぜ!)
強盗(ま、泣いてる女を放っておくわけにもいくまいよ)
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:03:46.12 ID:lgXsj8hpo
強盗「さて、あの女はどこか行ったみたいだし……今度こそ!」グッ
強盗「くっ! ……ぐっ!」グッグッ
強盗(くそぉ~、開きそうで開かねえ! もう少しなんだろうけどなぁ……どこか引っかかって……)
強盗「!」ピクッ
強盗(やべっ、また誰か来た!)
強盗(今度の客は……おっさんか! なんか酔っぱらってやがるなぁ……)
強盗「くっ! ……ぐっ!」グッグッ
強盗(くそぉ~、開きそうで開かねえ! もう少しなんだろうけどなぁ……どこか引っかかって……)
強盗「!」ピクッ
強盗(やべっ、また誰か来た!)
強盗(今度の客は……おっさんか! なんか酔っぱらってやがるなぁ……)
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:06:52.37 ID:lgXsj8hpo
中年男「ウイ~……」
中年男「会社リストラされて昼間から散歩しながらビール……終わってんなぁ俺……」
中年男「でもそれでいいのだぁ~!」チャリンチャリン
中年男「おーい、自販機! ビール出してくれ、ビール!」ポチッポチッ
~
強盗(ビールだぁ!? ナメてんじゃねえぞ!)
強盗(こっちだってすぐ自販機脱出して安全なとこまで逃げてビール飲みたいんだよ!)
強盗「……う!?」モジ…
中年男「会社リストラされて昼間から散歩しながらビール……終わってんなぁ俺……」
中年男「でもそれでいいのだぁ~!」チャリンチャリン
中年男「おーい、自販機! ビール出してくれ、ビール!」ポチッポチッ
~
強盗(ビールだぁ!? ナメてんじゃねえぞ!)
強盗(こっちだってすぐ自販機脱出して安全なとこまで逃げてビール飲みたいんだよ!)
強盗「……う!?」モジ…
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:08:46.57 ID:lgXsj8hpo
中年男「ビール♪ ビール♪ ビールを出してちょ~らいなぁ~♪」
中年男「神様、仏様、自販機様~♪」
~
強盗(まずい……もよおしてきた!)モジモジ…
強盗(スーパーで店員脅して強盗してから、トイレ行くヒマなんかなかったもんなぁ)モジ…
強盗(しかもおっさんのヘタクソな歌が、余計尿意を刺激する!)モジモジ…
中年男「神様、仏様、自販機様~♪」
~
強盗(まずい……もよおしてきた!)モジモジ…
強盗(スーパーで店員脅して強盗してから、トイレ行くヒマなんかなかったもんなぁ)モジ…
強盗(しかもおっさんのヘタクソな歌が、余計尿意を刺激する!)モジモジ…
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:10:26.56 ID:lgXsj8hpo
中年男「ビール出してよぉ~~~~~ん!」ポチポチポチポチポチ
~
強盗(うるせえええええっ……!)
強盗(そんなに出して欲しいなら、出してやる!)
強盗(下の方にあるこの取り出し口から……)ジョロロロロロロ…
強盗(あぁ~……ぎもぢいい……)ジョロロロロロロ…
~
強盗(うるせえええええっ……!)
強盗(そんなに出して欲しいなら、出してやる!)
強盗(下の方にあるこの取り出し口から……)ジョロロロロロロ…
強盗(あぁ~……ぎもぢいい……)ジョロロロロロロ…
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:13:46.48 ID:lgXsj8hpo
ジョロロロロロロ…
中年男「お、黄色い液体が出てきた出てきた……」
中年男「自販機の神様、どうもありがとぉ~♪」グビグビッ
中年男「……!」
中年男「ぶはぁぁぁぁぁっ!!!」
~
強盗(そりゃこうなるわな)
中年男「お、黄色い液体が出てきた出てきた……」
中年男「自販機の神様、どうもありがとぉ~♪」グビグビッ
中年男「……!」
中年男「ぶはぁぁぁぁぁっ!!!」
~
強盗(そりゃこうなるわな)
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:18:17.84 ID:lgXsj8hpo
中年男「まっず……」
中年男「自販機の神様……なんつービールを出してくれたんだ……」
中年男「おかげで俺は目が覚めたよ!」
中年男「昼間からビール飲んでる場合じゃない! 仕事探さないと!」シャキンッ
中年男「うおおおおおおおっ!」タタタタタッ
~
強盗(よく分からんが、俺の小便も捨てたもんじゃないんだな)
強盗(……って、また誰か来やがった! 今度は……二人組か!?)
中年男「自販機の神様……なんつービールを出してくれたんだ……」
中年男「おかげで俺は目が覚めたよ!」
中年男「昼間からビール飲んでる場合じゃない! 仕事探さないと!」シャキンッ
中年男「うおおおおおおおっ!」タタタタタッ
~
強盗(よく分からんが、俺の小便も捨てたもんじゃないんだな)
強盗(……って、また誰か来やがった! 今度は……二人組か!?)
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:22:48.65 ID:lgXsj8hpo
不良「テスト勉強したかぁ?」
不良女「するわけないじゃん。アンタは~?」
不良「するわけねえだろ?」
不良女「だけど今度のテストでもオール赤点だったら、あたしら留年確定だよ?」
不良「いんじゃね? 二人揃って留年しようぜ~!」
不良女「だね~、いざとなったら中退しちゃえばいいし!」
~
強盗(なにが中退しちゃえばいい、だ)
強盗(お前らの学費出してる親のことも考えやがれ!)
強盗(俺でさえ高校卒業するまではわりとマトモだったんだから……)
不良女「するわけないじゃん。アンタは~?」
不良「するわけねえだろ?」
不良女「だけど今度のテストでもオール赤点だったら、あたしら留年確定だよ?」
不良「いんじゃね? 二人揃って留年しようぜ~!」
不良女「だね~、いざとなったら中退しちゃえばいいし!」
~
強盗(なにが中退しちゃえばいい、だ)
強盗(お前らの学費出してる親のことも考えやがれ!)
強盗(俺でさえ高校卒業するまではわりとマトモだったんだから……)
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:28:09.54 ID:lgXsj8hpo
不良「おい、こんなとこに見覚えのない自販機があるぜ」
不良女「ホントだ~? ボタン二つしかないけどなにか買う?」
不良「買うまでもねえよ。こういうのは……」
~
強盗(そうそう、金入れてももう小便も出せないから、さっさと失せろ!)
不良女「ホントだ~? ボタン二つしかないけどなにか買う?」
不良「買うまでもねえよ。こういうのは……」
~
強盗(そうそう、金入れてももう小便も出せないから、さっさと失せろ!)
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:30:21.19 ID:lgXsj8hpo
不良「蹴ればなにかしら出てくるもんよ!」ドカッ
不良女「やだ、ウケる~!」
不良「オラァッ! オラァッ! オリャアッ!」
ドゴッ! ドカッ! ドカァッ!
不良女「もっと強く蹴らないと~!」
不良「おう!」
~
グラグラ… グラグラ…
強盗(こ、このクソガキども! なに考えてやがる!)
強盗(もう怒った!)
不良女「やだ、ウケる~!」
不良「オラァッ! オラァッ! オリャアッ!」
ドゴッ! ドカッ! ドカァッ!
不良女「もっと強く蹴らないと~!」
不良「おう!」
~
グラグラ… グラグラ…
強盗(こ、このクソガキども! なに考えてやがる!)
強盗(もう怒った!)
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:33:46.26 ID:lgXsj8hpo
強盗「ゴラァァァァァッ!!!」
強盗「いてえだろうが、クソガキどもォォォォォ!!!」
強盗「とっとと帰って勉強しねえと、自販機ん中閉じ込めちまうぞォォォォォ!!!」
~
不良女「きゃあああっ! 自販機がっ!」
不良「ひええええっ! しゃべったっ!」
不良「べ、勉強しようぜ!」
不良女「うん!」
不良&不良女「失礼しましったぁぁぁぁぁっ!!!」タタタタタタタッ
強盗「いてえだろうが、クソガキどもォォォォォ!!!」
強盗「とっとと帰って勉強しねえと、自販機ん中閉じ込めちまうぞォォォォォ!!!」
~
不良女「きゃあああっ! 自販機がっ!」
不良「ひええええっ! しゃべったっ!」
不良「べ、勉強しようぜ!」
不良女「うん!」
不良&不良女「失礼しましったぁぁぁぁぁっ!!!」タタタタタタタッ
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:36:26.26 ID:lgXsj8hpo
強盗(ったくぅ~……)
強盗(――ん?)
~
幼女「ねえねえ! さっき、じはんきさん、しゃべったよね!」
幼女「しゃべってたよね!?」
強盗(――ん?)
~
幼女「ねえねえ! さっき、じはんきさん、しゃべったよね!」
幼女「しゃべってたよね!?」
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:38:47.87 ID:lgXsj8hpo
強盗(子供か……)
強盗(怒鳴りつけて追い払ってもいいが、なぜかそんな気分にもならねえ)
強盗「ああ……しゃべってたよ」
~
幼女「やっぱり!」
幼女「ねえねえ、じはんきさん。おうたをうたってちょうだいな!」
強盗(怒鳴りつけて追い払ってもいいが、なぜかそんな気分にもならねえ)
強盗「ああ……しゃべってたよ」
~
幼女「やっぱり!」
幼女「ねえねえ、じはんきさん。おうたをうたってちょうだいな!」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:39:59.28 ID:lgXsj8hpo
強盗「……」
強盗「いいよ」
~
幼女「わーいっ! やったーっ!」
強盗「いいよ」
~
幼女「わーいっ! やったーっ!」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:41:42.93 ID:lgXsj8hpo
強盗「ぞ~うさん、ぞ~うさん、お~はながながいのね♪」
強盗「もしもし亀よ、亀さんよ~♪」
強盗「真っ赤なお鼻の~、トナカイさんは~♪」
~
幼女「キャハハ、おもしろい! おうたおじょうず~!」パチパチパチ
強盗「もしもし亀よ、亀さんよ~♪」
強盗「真っ赤なお鼻の~、トナカイさんは~♪」
~
幼女「キャハハ、おもしろい! おうたおじょうず~!」パチパチパチ
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:43:41.30 ID:lgXsj8hpo
母「なにやってるの!? 勝手に走り回らないの!」
幼女「あ、ママだ!」
幼女「じはんきさん、どうもありがと~!」トテトテ…
~
強盗「バイバイ……」
強盗「……」
幼女「あ、ママだ!」
幼女「じはんきさん、どうもありがと~!」トテトテ…
~
強盗「バイバイ……」
強盗「……」
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:48:46.73 ID:lgXsj8hpo
強盗(ったく、なんで……歌なんか歌っちゃったんだろうな)
強盗(俺は高校出てからやることなすこと上手くいかず)
強盗(らしくもなく他人に親切したら詐欺にあうわ、ヤバイ商売に巻き込まれるわで……)
強盗(俺は、自分が社会から見捨てられたと思って、ヤケクソになって、強盗をやった……)
強盗(だけど……)
強盗(女を励ましたり、おっさんの目ぇ覚まさせたり、不良どもを叱りつけたり、歌って拍手されたり)
強盗(こんな俺でも、たまには役に立つことができるんだな……)
強盗(なんか……ちょっと嬉しいぜ。俺だってまだまだ捨てたもんじゃない)
ギィィ…
強盗「お……!?」
強盗「自販機が勝手に開いた……」
強盗(俺は高校出てからやることなすこと上手くいかず)
強盗(らしくもなく他人に親切したら詐欺にあうわ、ヤバイ商売に巻き込まれるわで……)
強盗(俺は、自分が社会から見捨てられたと思って、ヤケクソになって、強盗をやった……)
強盗(だけど……)
強盗(女を励ましたり、おっさんの目ぇ覚まさせたり、不良どもを叱りつけたり、歌って拍手されたり)
強盗(こんな俺でも、たまには役に立つことができるんだな……)
強盗(なんか……ちょっと嬉しいぜ。俺だってまだまだ捨てたもんじゃない)
ギィィ…
強盗「お……!?」
強盗「自販機が勝手に開いた……」
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:51:12.35 ID:lgXsj8hpo
強盗「……」
強盗「そういや、この自販機って結局なんの自販機だったんだ?」
強盗「どこかに書いてないか……」キョロキョロ
強盗「お、あったあった。目立たないところにラベルが貼ってやがる。これじゃ分かんねーよ」
≪心の自販機≫
強盗「ぶはっ!」
強盗「そういや、この自販機って結局なんの自販機だったんだ?」
強盗「どこかに書いてないか……」キョロキョロ
強盗「お、あったあった。目立たないところにラベルが貼ってやがる。これじゃ分かんねーよ」
≪心の自販機≫
強盗「ぶはっ!」
28: ◆i5OGQYVh0A 2017/11/06(月) 22:54:47.46 ID:lgXsj8hpo
強盗「な~るほど!」
強盗「俺は≪あったか~い≫を押したから、心があったまることができたってわけかい!」
強盗「まったく冗談みたいな話だ!」
強盗「おっと、そろそろ日が暮れる。一度決心したら、とっととやった方がいいな」
強盗「さぁ~て、自首しに行くかぁ~!」
― 終 ―
強盗「俺は≪あったか~い≫を押したから、心があったまることができたってわけかい!」
強盗「まったく冗談みたいな話だ!」
強盗「おっと、そろそろ日が暮れる。一度決心したら、とっととやった方がいいな」
強盗「さぁ~て、自首しに行くかぁ~!」
― 終 ―
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:56:07.81 ID:unSijAkk0
世にも奇妙な物語っぽかったな…
おっさんの件はきっと放送コードすれすれだろうが…
乙
おっさんの件はきっと放送コードすれすれだろうが…
乙
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:56:33.74 ID:G7O+/Sl40
面白かった
乙
乙
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 22:57:53.63 ID:+BwhG6Iho
つめたーいを選んでたらどうなったんだろう
乙
乙
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/06(月) 23:41:45.11 ID:MkHzmrez0
イイジハンキダナー
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1509971896/
Entry ⇒ 2018.05.21 | Category ⇒ オリジナル | Comments (0)
二宮飛鳥「キミとボク」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 20:23:14.28 ID:uFUXzjsH0
暗く、深い水面を見ていた
広すぎて何も見えない夜の海
ふわふわとした空間に、見知った顔が目まぐるしく流れていく
向けられる多様な表情
語りかけてくる言葉
ただ、見つめている
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 20:25:57.20 ID:uFUXzjsH0
気付けば水の中にいた
まるで引きずり込まれるかのように
はたまた自らの意志で深海を目指すかのように
深く深く光を求めて彷徨うように
前も後ろも分からずに
自由に泳げず
もがきながら闇を彷徨う
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 20:27:53.61 ID:uFUXzjsH0
息ができない
「…」
何も見えない
「…」
此処はどこだ
「…か」
呼びかける声は何だ
「… …」
なぜボクは此処にいる
「…すか」
ボクは一体何者だ
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 20:29:21.15 ID:uFUXzjsH0
「飛鳥、起きろー」
二宮飛鳥「……んぅ」
ようやく見えた光が、開いた瞼から差し込むそれと気付くのは。次に瞬く合間のことだった。
二宮飛鳥「……んぅ」
ようやく見えた光が、開いた瞼から差し込むそれと気付くのは。次に瞬く合間のことだった。
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 20:31:33.43 ID:uFUXzjsH0
――――
――
飛鳥「…おはよう、プロデューサー」
P「おはやくねっつーの。また遅くまで起きてたな?」
飛鳥「…課題があったんだよ」
P「お前の場合課題と並行した夜更かしがメインだろ」
飛鳥「良いじゃないか少しくらい。時間を自由に使えるのは若者の特権さ」
P「へーへー。学生満喫してて羨ましいなオイ」
目を覚ましたのはプロデューサーの運転する車の中。助手席で軽い伸びをすると、小さな欠伸が零れ出る。
どうやら、スタジオまでの移動中につい微睡んでしまったようだ。
――
飛鳥「…おはよう、プロデューサー」
P「おはやくねっつーの。また遅くまで起きてたな?」
飛鳥「…課題があったんだよ」
P「お前の場合課題と並行した夜更かしがメインだろ」
飛鳥「良いじゃないか少しくらい。時間を自由に使えるのは若者の特権さ」
P「へーへー。学生満喫してて羨ましいなオイ」
目を覚ましたのはプロデューサーの運転する車の中。助手席で軽い伸びをすると、小さな欠伸が零れ出る。
どうやら、スタジオまでの移動中につい微睡んでしまったようだ。
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 20:34:42.95 ID:uFUXzjsH0
近頃の自動車は、本当に静かで感心するね。走行中とは思えないほどの静寂も、今のボクにとっては子守唄。眠りへと誘った犯人はきっとコイツに違いないだろう。
つまるところ彼を運転するプロデューサーにも責任があり、故にこれは仕方のないことなのだ。
…なんて。寝起きの頭で抗議してみたところで、支離滅裂すぎて何の弁護にもなりやしない。
P「ところで、何の課題やってたんだ?」
飛鳥「ああ…『カエデ・タカガキのオールナイトニッポン講座』が脳にもたらす影響についてレポートを…」
P「やっぱり夜更かしじゃねえか!」
おや、バレてしまったようだね。失言だったかな
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 20:36:53.00 ID:uFUXzjsH0
P「全く、誰の影響受けてこんな自堕落な学生になっちまったんだか」
飛鳥「…ム、それは聞き捨てならないな。ボクは昔から夜更かししていたんだ。そんじょそこらの不良学生とは一緒にしないでくれ、年季が違う」
P「威張れることじゃないぞ」
飛鳥「徹夜の結果文武に支障をきたす学生だなんて、ボクに言わせれば2流さ。例えば授業中に寝るだなんて時間のムダ、それこそ若さに甘えた怠慢だ」
P「…今、徹夜って言わなかった?」
飛鳥「…メリハリをつけて、きっちり自己管理をして"夜更かし"に挑んでこそ、真に時間に余裕のある学生と呼べるのではないかとボクは思うんだよ」
P「強調しやがった」
飛鳥「その上で、学業も仕事もボクなりに両立させてこなしてきた。公私の住み分けはしているつもりさ」
P「…まあ良いや。そこに関しては前から信用してる…というか、やってもらわなきゃ困るけど」
飛鳥「という訳で。徹夜はしていないけれど、移動時間にうたた寝をしてしまうのも良いパフォーマンスを維持するためには必要なことなんだよ。それと徹夜はしていない」
P「はいはい、そういうことにしとくか」
飛鳥「…ム、それは聞き捨てならないな。ボクは昔から夜更かししていたんだ。そんじょそこらの不良学生とは一緒にしないでくれ、年季が違う」
P「威張れることじゃないぞ」
飛鳥「徹夜の結果文武に支障をきたす学生だなんて、ボクに言わせれば2流さ。例えば授業中に寝るだなんて時間のムダ、それこそ若さに甘えた怠慢だ」
P「…今、徹夜って言わなかった?」
飛鳥「…メリハリをつけて、きっちり自己管理をして"夜更かし"に挑んでこそ、真に時間に余裕のある学生と呼べるのではないかとボクは思うんだよ」
P「強調しやがった」
飛鳥「その上で、学業も仕事もボクなりに両立させてこなしてきた。公私の住み分けはしているつもりさ」
P「…まあ良いや。そこに関しては前から信用してる…というか、やってもらわなきゃ困るけど」
飛鳥「という訳で。徹夜はしていないけれど、移動時間にうたた寝をしてしまうのも良いパフォーマンスを維持するためには必要なことなんだよ。それと徹夜はしていない」
P「はいはい、そういうことにしとくか」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 20:39:01.62 ID:uFUXzjsH0
P「ま、俺も人のこと言えん学生だったしなぁ」
飛鳥「へぇ?」
P「夜遅くまで起きてて、朝イチの授業に寝坊とかしょっちゅうだった気がする」
飛鳥「…フフッ。では、キミの言う怠惰な学生生活とやらは、プロデューサーのせいということにしておけば良いかな」
P「ここで俺のせいにするか」
飛鳥「あとは、そうだな…。かつての事務所のエースだった、ねぼすけアイドルの影響もあるかもしれないね」
P「あー…確かに、あいつもよく夜更かししてたっけ」
飛鳥「ダメな大人に囲まれてこれだけ品行方正に成長したんだ。むしろ褒めてもらいたいぐらいさ」
P「口の減らなさも相変わらずだよな…っと、そろそろ着くぞ。降りる準備しとけよ」
飛鳥「了解。…寝覚めから覚醒まで、今日もタイミングバッチリだ。いつも感謝しているよ」
P「…車で居眠りしないような努力もしてくれると嬉しいんだけど」
飛鳥「へぇ?」
P「夜遅くまで起きてて、朝イチの授業に寝坊とかしょっちゅうだった気がする」
飛鳥「…フフッ。では、キミの言う怠惰な学生生活とやらは、プロデューサーのせいということにしておけば良いかな」
P「ここで俺のせいにするか」
飛鳥「あとは、そうだな…。かつての事務所のエースだった、ねぼすけアイドルの影響もあるかもしれないね」
P「あー…確かに、あいつもよく夜更かししてたっけ」
飛鳥「ダメな大人に囲まれてこれだけ品行方正に成長したんだ。むしろ褒めてもらいたいぐらいさ」
P「口の減らなさも相変わらずだよな…っと、そろそろ着くぞ。降りる準備しとけよ」
飛鳥「了解。…寝覚めから覚醒まで、今日もタイミングバッチリだ。いつも感謝しているよ」
P「…車で居眠りしないような努力もしてくれると嬉しいんだけど」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 20:40:43.04 ID:uFUXzjsH0
車で寝てしまった時は到着の10分程前に起こされた後、少しの軽口を交わして目を覚ます。
この一連がボクらの恒例となったのは、果たしていつからだったろうか。あまりにも心地よく日常に溶け込んでいるせいか、始めからずっとこうしていたかのような錯覚に陥る。
実際のところ、レポートやら課題の発表等が立て込んで夜に活動する機会も増えた。…ラジオや読書、漫画に興じる時間も今まで以上に、それなりに。
その辺りは察してくれていて、車の中ぐらいならと大目に見てくれているのかな、キミは。
もしかしたらボクの勝手な思い込みで、単に静かに運転したいだけかもしれないけれど。真意はどうであれ、今のボクたちにとってベストな関係。
P「あんまり夜更かしが過ぎるんなら…罰として昼寝1回につき1枚ずつ、寝顔バラまいてやろうかな。事務所に」
飛鳥「ブラフにしてもおもしろくない冗談だね、それ。…まさか、本当に撮ってるのか?」
P「さあ、どうだろ。シュレディンガーの飛鳥だ」
飛鳥「…盗撮で訴えてやる」
P「アイドルの写真撮るのも仕事だからセーフでーす」
…今後の関係性について考え直すきっかけとなる案件かもしれない。そのうちキミのフォルダをチェックさせてもらおう。
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 20:41:47.47 ID:uFUXzjsH0
P「そうそう。さっきも言ったけど、今日は…」
飛鳥「『今日は迎えに来れないから帰りは1人で戻ってくれ』、だろう?」
P「おう。そんで…」
飛鳥「『事務所に着く前に連絡を入れてくれ』…かな」
P「…正解。よく分かってんじゃん」
飛鳥「まあ、お決まりだから。気の早い子からは既にメールも届いているよ」
P「ですよねー、流石にその年でサプライズなんかそうそう上手くいかんわな」
飛鳥「毎年だからね…」
P「ま、そういうことだから。今日は晩飯代浮くぞ、良かったな」
飛鳥「フフッ。期待しておこうかな」
飛鳥「『今日は迎えに来れないから帰りは1人で戻ってくれ』、だろう?」
P「おう。そんで…」
飛鳥「『事務所に着く前に連絡を入れてくれ』…かな」
P「…正解。よく分かってんじゃん」
飛鳥「まあ、お決まりだから。気の早い子からは既にメールも届いているよ」
P「ですよねー、流石にその年でサプライズなんかそうそう上手くいかんわな」
飛鳥「毎年だからね…」
P「ま、そういうことだから。今日は晩飯代浮くぞ、良かったな」
飛鳥「フフッ。期待しておこうかな」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 20:43:24.84 ID:uFUXzjsH0
P「…」
飛鳥「?」
P「…。いや、何でもない。収録、頑張ってきてな」
飛鳥「何か言いたげだね」
P「そりゃ言いたいことの1つや2つもあるさ。…なんたって、誕生日だし」
飛鳥「…」
P「でもほら、もう着いちゃったから。続きは事務所で、ってことで」
そう彼が言うのと同時か、車はピタリと動きを止める。キミが何を言いかけたのかは理解らないけれど、残念ながらタイムリミットのようだね。
ここからしばらくは、ボクだけのセカイ。
世間にとっては何てことのない、しかしどこかの誰かにとっては特別かもしれない、そんな2月3日の幕が開く。
飛鳥「?」
P「…。いや、何でもない。収録、頑張ってきてな」
飛鳥「何か言いたげだね」
P「そりゃ言いたいことの1つや2つもあるさ。…なんたって、誕生日だし」
飛鳥「…」
P「でもほら、もう着いちゃったから。続きは事務所で、ってことで」
そう彼が言うのと同時か、車はピタリと動きを止める。キミが何を言いかけたのかは理解らないけれど、残念ながらタイムリミットのようだね。
ここからしばらくは、ボクだけのセカイ。
世間にとっては何てことのない、しかしどこかの誰かにとっては特別かもしれない、そんな2月3日の幕が開く。
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 20:45:24.13 ID:uFUXzjsH0
飛鳥「…そうか」
P「飛鳥」
飛鳥「なんだい、プロデューサー」
P「誕生日、おめでとう」
飛鳥「…うん。ありがとう」
P「ホラ、行って来い」
飛鳥「ああ、往ってくる」
実際に開いたのは鉄の扉だったけれど。そんなことは些細な違い。
1人分軽くなった車は軽快に走り去る。残されたボクはまるで名残惜しいかのようにナンバープレートを見つめるが、しかし見えなくなると踵を返し入口へ向かい歩き出す。
意図せず浮かんだ僅かな笑みは、首元のついでにマフラーで隠してしまおう。
ボクは二宮飛鳥。職業、アイドル。同時に学生でもある。今は、大学生だ。
今日はボクの、20回目の誕生日。
P「飛鳥」
飛鳥「なんだい、プロデューサー」
P「誕生日、おめでとう」
飛鳥「…うん。ありがとう」
P「ホラ、行って来い」
飛鳥「ああ、往ってくる」
実際に開いたのは鉄の扉だったけれど。そんなことは些細な違い。
1人分軽くなった車は軽快に走り去る。残されたボクはまるで名残惜しいかのようにナンバープレートを見つめるが、しかし見えなくなると踵を返し入口へ向かい歩き出す。
意図せず浮かんだ僅かな笑みは、首元のついでにマフラーで隠してしまおう。
ボクは二宮飛鳥。職業、アイドル。同時に学生でもある。今は、大学生だ。
今日はボクの、20回目の誕生日。
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 21:13:07.36 ID:uFUXzjsH0
――――――
「…次のお便りは、ラジオネーム『モグラホッパー』さんから頂きました。『始めましてみなさん、こんにちは。』こんにちは!『私は最近、悩んでいることがあります。どうやら寝つきが悪いようで、夜中に何度か目を覚ましてしまったり…」
所変わって、ここはラジオの収録スタジオ。今日はとある2人のラジオに、ゲストとして呼ばれている。1リスナーとしては少々鼻が高い。
以前お呼ばれされて以来数年振りの出演だったけど、ここの空気も相変わらずだ。
メールテーマは夜。このメールは『安眠のために何かしていることは』という旨の内容のようだね。
「寝る前かぁ。私何かしてたかな」ポリポリ
「音楽聴くとか?」ポリポリ
「それ普段からだしなー。あっ、でも普段通りの…なんだっけ、ルーチン?みたいになってリラックスしてるのかも」ポリ
「…次のお便りは、ラジオネーム『モグラホッパー』さんから頂きました。『始めましてみなさん、こんにちは。』こんにちは!『私は最近、悩んでいることがあります。どうやら寝つきが悪いようで、夜中に何度か目を覚ましてしまったり…」
所変わって、ここはラジオの収録スタジオ。今日はとある2人のラジオに、ゲストとして呼ばれている。1リスナーとしては少々鼻が高い。
以前お呼ばれされて以来数年振りの出演だったけど、ここの空気も相変わらずだ。
メールテーマは夜。このメールは『安眠のために何かしていることは』という旨の内容のようだね。
「寝る前かぁ。私何かしてたかな」ポリポリ
「音楽聴くとか?」ポリポリ
「それ普段からだしなー。あっ、でも普段通りの…なんだっけ、ルーチン?みたいになってリラックスしてるのかも」ポリ
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 21:15:36.21 ID:uFUXzjsH0
「なるほどー。私は最近ストレッチしてるよ。柔軟とか」ポリポリ
「おー」ポリリ
「ちょっと体動かすとよく寝れる気がするんだ」ポポリポリ
…これは余談だが。先程よりひたすら豆を食べながらラジオが進行されている。2月3日の豆パーティだから、らしい。
色々な意味で相変わらずだよ、この番組は。
「さっすがぁ、舞台女優さんは違うね」
「でしょー。もっと褒めてもいいのだよ?」
「飛鳥ちゃんは何かある?」
「ちょいちょーい。褒めてってばー」
「おー」ポリリ
「ちょっと体動かすとよく寝れる気がするんだ」ポポリポリ
…これは余談だが。先程よりひたすら豆を食べながらラジオが進行されている。2月3日の豆パーティだから、らしい。
色々な意味で相変わらずだよ、この番組は。
「さっすがぁ、舞台女優さんは違うね」
「でしょー。もっと褒めてもいいのだよ?」
「飛鳥ちゃんは何かある?」
「ちょいちょーい。褒めてってばー」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 21:18:03.10 ID:uFUXzjsH0
2人のコンビネーションも相変わらずだ。番組が長く続いている理由も理解できる気がする。
飛鳥「そうだな…ボクも特別、意識してやっていることはないけれど。寝る前に本を読むぐらいかな」
「あー。あすあす難しい本いっぱい読んでそう」
「読んでると眠くなるんだ?」
飛鳥「そういう時もあるけど…どちらかというと、読んだ後かな。内容を反芻したり、登場人物の感情の変化だったり。書に想いを馳せて、思考を巡らせている内に眠りについてることが多いね」
「布団の中で?」
「じゃあ面白すぎると眠れないね!」
飛鳥「そう、そうなんだよ李衣菜さん。内容が気になりすぎるとつい没頭しすぎてしまう。時間を忘れて夜更けまで読んでしまう時もよくあるんだ」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 21:21:14.44 ID:uFUXzjsH0
「ダメじゃん!」
飛鳥「だからこそ、寝る前に読む本はよく選ばなくてはね」
そう、あまりに面白すぎる小説はむしろ安眠の天敵なのだ。寝る前のちょっとした読書のつもりが気づけば深夜、なんてことになりかねないからね。例えば、先日のように…
ラジオで話す内容ではないかな、これは。ここは口を噤んでおこう。
「早く読める分、漫画とかも良いかも」
「だね。では次のメールでーす。ラジオネーム『なまずくん』さんから。『本田さん、多田さん、ゲストの二宮さん、こんにちは。』はいこんにちは!『ゲストの二宮さんは、今日が誕生日だそうですね。おめでとうございます!』…だってさ、あすあす。おめでと!」
「おめでとー。イエーイ!」
飛鳥「ああ。ありがとう」
飛鳥「だからこそ、寝る前に読む本はよく選ばなくてはね」
そう、あまりに面白すぎる小説はむしろ安眠の天敵なのだ。寝る前のちょっとした読書のつもりが気づけば深夜、なんてことになりかねないからね。例えば、先日のように…
ラジオで話す内容ではないかな、これは。ここは口を噤んでおこう。
「早く読める分、漫画とかも良いかも」
「だね。では次のメールでーす。ラジオネーム『なまずくん』さんから。『本田さん、多田さん、ゲストの二宮さん、こんにちは。』はいこんにちは!『ゲストの二宮さんは、今日が誕生日だそうですね。おめでとうございます!』…だってさ、あすあす。おめでと!」
「おめでとー。イエーイ!」
飛鳥「ああ。ありがとう」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 21:23:19.93 ID:uFUXzjsH0
「何歳だっけ?」
飛鳥「今年で20だね」
「若い!」
「ピチピチだ!」
飛鳥「…2人もそんなに変わらないだろう。特に未央さんは」
「いやいやー、違うんだなこれが」
「10代のハリがね、まだ残ってるんだよ。20歳には!」
飛鳥「そんなものかな…」
「そうなの!」
「何かさ、一言ある?」
飛鳥「そうだな、では改めて…。今日はボク、二宮飛鳥の誕生日なんだ。今年でハタチを迎える。一応節目ということで、今までよりも少しだけ意識してしまうかな。だからと言って、これからもボクの在り方に揺らぎはないけどね」
「ほえー…なんか、あすあすも変わんないね」
飛鳥「フフ、そう簡単には変わらないさ。ずっと痛いままだよ」
飛鳥「今年で20だね」
「若い!」
「ピチピチだ!」
飛鳥「…2人もそんなに変わらないだろう。特に未央さんは」
「いやいやー、違うんだなこれが」
「10代のハリがね、まだ残ってるんだよ。20歳には!」
飛鳥「そんなものかな…」
「そうなの!」
「何かさ、一言ある?」
飛鳥「そうだな、では改めて…。今日はボク、二宮飛鳥の誕生日なんだ。今年でハタチを迎える。一応節目ということで、今までよりも少しだけ意識してしまうかな。だからと言って、これからもボクの在り方に揺らぎはないけどね」
「ほえー…なんか、あすあすも変わんないね」
飛鳥「フフ、そう簡単には変わらないさ。ずっと痛いままだよ」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 21:25:39.96 ID:uFUXzjsH0
…そう、ヒトは急には変われない。
容姿が変わったからといって中身までもは変わらないし、成人したからといって急に大人になれるものではないのだ。
時が過ぎたからと、年を重ねたからといって。昔は見えなかったものが見えるようになるだなんて。
そんなものはまやかしで、子ども騙しで、嘘っぱちだ。ボクはまだずっと、6年前のあの時と同じ気持ちのまま。
「ではでは、そんな飛鳥ちゃんにプレゼントがありまーす!じゃーん」
「おおっ、ケーキだ。すごーい!」
「3人分だしあんまり大きくないけどね。どうかな?」
飛鳥「フフ…嬉しいな。ありがとう」
「やったね!じゃあ切るよ!」
「2人がケーキ食べてる間にメールの続き読むね。えー、『テーマは夜ということですが、皆さんは良く見る夢はありますか?僕は最近歯が抜ける夢を見ます…」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 21:27:21.76 ID:uFUXzjsH0
もらったケーキを少しずつ食べながら、耳に入ってきた『夢』というワードを脳で反響させる。
思い出すのは、幼き日からずっと見続けている夢。つい先ほども車の中で見ていた、あの夜の海。
見通しも立たず、言い様もない不安に包まて。
それでも何かが変わらないかと願い、不器用に溺れている。そんな夢を。
「…だってさ。夢かあ」
「私、ファンタジーで冒険する夢はたまに見るかなぁ。剣とか盾持って!」
「あすあすは、よく見る夢ってある?」
思い出すのは、幼き日からずっと見続けている夢。つい先ほども車の中で見ていた、あの夜の海。
見通しも立たず、言い様もない不安に包まて。
それでも何かが変わらないかと願い、不器用に溺れている。そんな夢を。
「…だってさ。夢かあ」
「私、ファンタジーで冒険する夢はたまに見るかなぁ。剣とか盾持って!」
「あすあすは、よく見る夢ってある?」
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 21:29:28.36 ID:uFUXzjsH0
…ボクはあれから、オトナになれたのだろうか。もちろん身体だけでなく。
何か変わったと、探していた何かは見つけられたと、果たして胸を張れるだろうか。
飛鳥「夢か…。海で泳ぐ夢は、よく見るね」
少し嘘をついた。正確には、溺れないように藻掻いている夢。
「海。地元?あっ、ハワイとか?」
飛鳥「そこまでは分からないな、曖昧で。見たことのある景色のような、初めてみるような…不明瞭で、よく覚えていない」
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 21:31:44.85 ID:uFUXzjsH0
「ま、夢だしそんなものだよね」
「でもさ、深層心理?だっけ。自分の欲求とかは夢に出るっていうよね」
飛鳥「…」
「海で泳ぎたいのかな」
飛鳥「…フフッ。案外、そんなところかもしれないな。海より生まれた原初の記憶のままに、無意識に誘われているのかもね」
「じゃあさ、今年の夏にみんなで海行かない?…っとと。はい、というわけで、夢のお話でした。時間なので次のコーナーに移りたいと思いまーす!りーな、よろしく!」
「はーい。では次のコーナーは…」
「でもさ、深層心理?だっけ。自分の欲求とかは夢に出るっていうよね」
飛鳥「…」
「海で泳ぎたいのかな」
飛鳥「…フフッ。案外、そんなところかもしれないな。海より生まれた原初の記憶のままに、無意識に誘われているのかもね」
「じゃあさ、今年の夏にみんなで海行かない?…っとと。はい、というわけで、夢のお話でした。時間なので次のコーナーに移りたいと思いまーす!りーな、よろしく!」
「はーい。では次のコーナーは…」
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 21:32:56.86 ID:uFUXzjsH0
飛鳥「…」
もしも、深層心理が夢として現れるのだというのなら。あの夢が、ボクのココロを映している鏡なのだとしたら。
それはあまりにも的を射すぎていて。考えるまでもなく、否定のしようがなく。
ボクはあの時のまま、まだ答えを見つけられていないらしい。
もしも、深層心理が夢として現れるのだというのなら。あの夢が、ボクのココロを映している鏡なのだとしたら。
それはあまりにも的を射すぎていて。考えるまでもなく、否定のしようがなく。
ボクはあの時のまま、まだ答えを見つけられていないらしい。
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 21:35:07.56 ID:uFUXzjsH0
――――――
本田未央「いやー、2人ともお疲れ!」
飛鳥「お疲れ様。未央さん、李衣奈さん。今日は楽しかったよ」
多田李衣菜「こちらこそだよ。久しぶりだったけど、飛鳥ちゃんとのラジオはやっぱり楽しいね!」
未央「流石は我らが名誉リスナー!褒めてつかわす!」
飛鳥「お褒めにあずかり光栄、かな」
収録が終わり、今は楽屋で一段落中。全部食べるわけにもいかなかったケーキを頂きながらのトークは、さながらカフェでの女子会の一幕のよう。
未央「次もまた来てくれるかな?」
飛鳥「フフ、もちろんさ。いつでも呼んでくれ」
未央「…もー、あすあすったら!そこは『いいとも!』って返すところー!」
李衣菜「まあまあ、良いじゃん!来てくれるんならさ」
飛鳥「ボクも勉強になることは多いし、何だったら準レギュラーにしてくれても…」
李衣菜「あはは、それ良いかもね!」
本田未央「いやー、2人ともお疲れ!」
飛鳥「お疲れ様。未央さん、李衣奈さん。今日は楽しかったよ」
多田李衣菜「こちらこそだよ。久しぶりだったけど、飛鳥ちゃんとのラジオはやっぱり楽しいね!」
未央「流石は我らが名誉リスナー!褒めてつかわす!」
飛鳥「お褒めにあずかり光栄、かな」
収録が終わり、今は楽屋で一段落中。全部食べるわけにもいかなかったケーキを頂きながらのトークは、さながらカフェでの女子会の一幕のよう。
未央「次もまた来てくれるかな?」
飛鳥「フフ、もちろんさ。いつでも呼んでくれ」
未央「…もー、あすあすったら!そこは『いいとも!』って返すところー!」
李衣菜「まあまあ、良いじゃん!来てくれるんならさ」
飛鳥「ボクも勉強になることは多いし、何だったら準レギュラーにしてくれても…」
李衣菜「あはは、それ良いかもね!」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 21:35:49.61 ID:uFUXzjsH0
――――
――
未央「じゃーね、あすあす!バイバーイ!」
飛鳥「ああ。またの機会に」
李衣菜「誕生日おめでとー!」
背中で声を受けながら楽屋を後にする。
さて、後事務所に戻ろう。連絡は移動しながら入れるとしようかな。
――
未央「じゃーね、あすあす!バイバーイ!」
飛鳥「ああ。またの機会に」
李衣菜「誕生日おめでとー!」
背中で声を受けながら楽屋を後にする。
さて、後事務所に戻ろう。連絡は移動しながら入れるとしようかな。
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 21:37:39.11 ID:uFUXzjsH0
タクシーを拾い行先を伝えると、車はゆっくりと動き出す。
灰色の空に、灰色のビル。移り往く景色を漠然と見つめていると、思考が泡のように雑多に浮かんでは消えていく。
…1日にケーキを2度も食べる機会などそうないだろうな。食べるからにはしっかり消費しなければ。
…領収証を受け取りそびれないようにしないとね。昔一度だけ受け取り損ねたら、回りまわってプロデューサーに交通費として払わせてしまったことがあった。「アイドルに払わせる訳にはいかない」なんて言ってたっけ。
アイドルが相手だろうと、ちひろは容赦してくれない。優秀な事務員サンだよ、全く。
…そういえば海に行くと言っていたが、日程は合うだろうか。夏になる前に、プロデューサーに相談してみるとしよう。
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 21:38:48.02 ID:uFUXzjsH0
飛鳥「…海、か」
「お客さん、何か言いました?」
飛鳥「っ。あぁ、いえ。何でも」
つい思い出しそうになる暗い光景を振り払うかのように、メール画面を開いた端末に目を落とすのだった。
「お客さん、何か言いました?」
飛鳥「っ。あぁ、いえ。何でも」
つい思い出しそうになる暗い光景を振り払うかのように、メール画面を開いた端末に目を落とすのだった。
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 21:40:26.44 ID:uFUXzjsH0
――――――
「「「おめでとう!」」」
扉を開けると共に鳴り響く、快音と祝福の声。入る前の心構えがなければ、恐らく飛び上がるほどのサプライズとなっていたであろう衝撃が、雨となってボクに降りかかる。
飛鳥「ただいま。…なんだか、クラッカー隊が多いような気がするな」
市原仁奈「飛鳥お姉さんおかえりなせー!」
龍崎薫「おかえり!もっとビックリするかと思ったのになー」
そう言ってパタパタと走り寄ってきたのは、事務所の中でも1・2を争う花丸元気の一等賞。薫と仁奈の2人だった。
飛鳥「フフ、驚いたさ。普段は2人ぐらいで鳴らすだろう?」
薫「うん!でもね、今日の誕生日は特別だから、みんなでやりたいなって思ったんだ!」
仁奈「なんたってハタチでやがりますからね!仁奈もハタチの気持ちになりたいな!」
「「「おめでとう!」」」
扉を開けると共に鳴り響く、快音と祝福の声。入る前の心構えがなければ、恐らく飛び上がるほどのサプライズとなっていたであろう衝撃が、雨となってボクに降りかかる。
飛鳥「ただいま。…なんだか、クラッカー隊が多いような気がするな」
市原仁奈「飛鳥お姉さんおかえりなせー!」
龍崎薫「おかえり!もっとビックリするかと思ったのになー」
そう言ってパタパタと走り寄ってきたのは、事務所の中でも1・2を争う花丸元気の一等賞。薫と仁奈の2人だった。
飛鳥「フフ、驚いたさ。普段は2人ぐらいで鳴らすだろう?」
薫「うん!でもね、今日の誕生日は特別だから、みんなでやりたいなって思ったんだ!」
仁奈「なんたってハタチでやがりますからね!仁奈もハタチの気持ちになりたいな!」
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 21:42:04.42 ID:uFUXzjsH0
荒木比奈「みんなで鳴らせば良いと思って、多めに買ってきてたんスよ」
結城晴「せっかくだからな。あんまりはしゃぎすぎるとまたちひろに怒られっけど」
飛鳥「晴、比奈さん」
晴「おっす」
比奈「お疲れ様っス、飛鳥ちゃん。調子はどうだったっスたか?」
飛鳥「ああ。楽しい収録だったよ」
比奈「それは何よりっス」
薫「ねーねー!未央ちゃん元気だった?李衣菜ちゃんは?」
飛鳥「2人とも元気だったよ。元気すぎて、ボクはトークを追いかけるので精一杯さ」
晴「オレも久しぶりに会ってみてーな、あの2人」
結城晴「せっかくだからな。あんまりはしゃぎすぎるとまたちひろに怒られっけど」
飛鳥「晴、比奈さん」
晴「おっす」
比奈「お疲れ様っス、飛鳥ちゃん。調子はどうだったっスたか?」
飛鳥「ああ。楽しい収録だったよ」
比奈「それは何よりっス」
薫「ねーねー!未央ちゃん元気だった?李衣菜ちゃんは?」
飛鳥「2人とも元気だったよ。元気すぎて、ボクはトークを追いかけるので精一杯さ」
晴「オレも久しぶりに会ってみてーな、あの2人」
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 21:46:18.26 ID:uFUXzjsH0
薫「今日はね、ケーキもちょっと大きいの買ってきたんだよ!」
仁奈「みんなで食べるんだー!」
飛鳥「そうなのか、楽しみだね。…祝われる立場のボクが言うのも何だが、キミ達だけではないんだろう?」
晴「何人か買い出しに行ったんだ。飛鳥の帰りが以外と早くて、今頃大慌てだぜ?あいつら」
比奈「レッスンあがりの子達も、もうすぐ戻ってくると思うっス。それまではちょっとのんびりしてるっスかね…」
仁奈「比奈お姉さんはいつものんびりしてるような気がするですよ?」
比奈「うぐ」
仁奈「みんなで食べるんだー!」
飛鳥「そうなのか、楽しみだね。…祝われる立場のボクが言うのも何だが、キミ達だけではないんだろう?」
晴「何人か買い出しに行ったんだ。飛鳥の帰りが以外と早くて、今頃大慌てだぜ?あいつら」
比奈「レッスンあがりの子達も、もうすぐ戻ってくると思うっス。それまではちょっとのんびりしてるっスかね…」
仁奈「比奈お姉さんはいつものんびりしてるような気がするですよ?」
比奈「うぐ」
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 21:48:40.10 ID:uFUXzjsH0
見慣れた顔に出迎えられると、やはり心が安らぐものだ。
もう6年も通ったこの事務所が、いつもの顔ぶれのいるこの場所が。すっかり居心地の良い場所となった証だろうか。
そのうち皆が戻ってくれば、また少なからずもみくちゃにされるのだろう。どうやら今日はいつもの誕生祝いよりも、少々規模が大きいようだから。それまでは比奈さんの言う様に、束の間の休息とさせてほしいね。
全く、成人したぐらいで大袈裟だ…。なんて、皆の好意を無下にする無粋なことは言わないけれど。例年通りささやかに済ませて欲しかった気分が半分、それでも滲み出る嬉しさは半分、といったところだ。
…そうしている間に、ほら聞こえてきた。アイドル達の陽気な足音が。
飛鳥「…騒がしくなるな。ここも」
晴「なんか言ったか?」
飛鳥「いいや、何でもないよ」
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:03:43.54 ID:uFUXzjsH0
――――――
――――
飛鳥「…ふぅ」
陽が落ちてから大分経過した。小宴は既に幕を降ろし、事務所も静かに夜を迎え入れようとしている、そんな頃。
ボクは今、事務所の屋上から闇を見下ろしていた。数えきれない明かりが、点を結び線となり、夜の街を照らし続ける。
静謐な暗闇にポツリポツリと光が生まれては消える光景を、静かに見守っている。
――――
飛鳥「…ふぅ」
陽が落ちてから大分経過した。小宴は既に幕を降ろし、事務所も静かに夜を迎え入れようとしている、そんな頃。
ボクは今、事務所の屋上から闇を見下ろしていた。数えきれない明かりが、点を結び線となり、夜の街を照らし続ける。
静謐な暗闇にポツリポツリと光が生まれては消える光景を、静かに見守っている。
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:05:22.72 ID:uFUXzjsH0
飛鳥「~、~♪ ~~♪」
気付けば口笛を吹いていた。口笛を吹くのは昔からの癖。1人の時こそ響き渡る、寂寥とした音色。
いつもの歌のフレーズからオリジナルのメロディまで。ボクが演奏できる、唯一得意な自慢の楽器。
無意識に吹いていたのは、もう何度も何度も繰り返し歌ってきたあのメロディ。
"明滅する町は ボクらによく似てる" …なんて。
気付けば口笛を吹いていた。口笛を吹くのは昔からの癖。1人の時こそ響き渡る、寂寥とした音色。
いつもの歌のフレーズからオリジナルのメロディまで。ボクが演奏できる、唯一得意な自慢の楽器。
無意識に吹いていたのは、もう何度も何度も繰り返し歌ってきたあのメロディ。
"明滅する町は ボクらによく似てる" …なんて。
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:07:43.81 ID:uFUXzjsH0
2月の夜は冷えるが、少々火照った身体を冷ますにはむしろ心地よいぐらいだった。
飛鳥「…ッ」
そこに一陣、強い風が出し抜けに吹き付ける。ぼんやりと考えごとをしていた頭を覚ますには、強すぎる刺激。
飛鳥「そろそろ帰ろうか…。いや、でも…」
もう少し此処にいたくて。此処にいれば、自分の中の何かが変わるような気がして。変わって欲しいと願って。
そんな下手な言い訳をしながら。もう随分前から、いたずらに時間を潰していた。
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:09:48.91 ID:uFUXzjsH0
これ以上はいても無益だ。酔いなら既に醒めている。必要以上に体を冷やすだけ。
そんなことは百も承知の上なのに。
飛鳥「~、~~♪ ~~♪」
これきりだと自分に言い聞かせ、言葉にならない想いを乗せて。
オーディエンスのいない最後の独奏に臨んだ、その時。
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:11:43.28 ID:uFUXzjsH0
P「…あれ。なんだ、まだいたの」
背中から声がする。開くハズのない、誰も開けないだろうと踏んでいた扉が、不意に音を立てて開かれる。
飛鳥「…プロデューサー」
それはまるで、いつぞやの焼き直しのようで。時を巻き戻し、あの日のボクらをビデオテープで再生しているような。
3度目となるボクらの邂逅が、今ここに果たされる。
背中から声がする。開くハズのない、誰も開けないだろうと踏んでいた扉が、不意に音を立てて開かれる。
飛鳥「…プロデューサー」
それはまるで、いつぞやの焼き直しのようで。時を巻き戻し、あの日のボクらをビデオテープで再生しているような。
3度目となるボクらの邂逅が、今ここに果たされる。
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:13:59.01 ID:uFUXzjsH0
P「もう帰ったかと思ってた」
そう言ってボクの横に並び立つ。いつだってキミは、こうして隣に来てくれたね。
飛鳥「…そう言うキミは、どうして此処に?」
P「コーヒーでも飲もうと思ってさ」
ポケットより取り出した手の中から、缶コーヒーが2本顔を覗かせた。
…何が『まだいたの』だ、全く。お見透しじゃあないか。
そう言ってボクの横に並び立つ。いつだってキミは、こうして隣に来てくれたね。
飛鳥「…そう言うキミは、どうして此処に?」
P「コーヒーでも飲もうと思ってさ」
ポケットより取り出した手の中から、缶コーヒーが2本顔を覗かせた。
…何が『まだいたの』だ、全く。お見透しじゃあないか。
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:15:14.01 ID:uFUXzjsH0
P「飲む?」
飛鳥「アルコールとカフェインの組み合わせって、どうなんだろうか」
P「時間経ってるだろ?一緒に飲むんでもないし、大丈夫じゃないか」
飛鳥「そう。…ではいただこうかな」
プルタブを開ける小気味良い音が2つ。ゆらりと湯気が立ち昇る。
くぴりと一口、熱と甘味が口内を覆う。
飛鳥「アルコールとカフェインの組み合わせって、どうなんだろうか」
P「時間経ってるだろ?一緒に飲むんでもないし、大丈夫じゃないか」
飛鳥「そう。…ではいただこうかな」
プルタブを開ける小気味良い音が2つ。ゆらりと湯気が立ち昇る。
くぴりと一口、熱と甘味が口内を覆う。
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:17:10.15 ID:uFUXzjsH0
P「どうだった?初めての酒の感想は」
飛鳥「…正直、何とも言えないかな。少し身体が火照ったぐらいで、あまり変化は感じない」
P「おっ、さてはいけるクチだな」
飛鳥「比奈さんや智香さんが隣で目に見えてゴキゲンになっていくものだから、逆に冷静でいられただけかもしれないけどね」
P「あー…あの2人、あんま強くないから。智香は自制できてるからまだ安心なんだけど」
飛鳥「比奈さんは?」
P「アレはどんどん気分良くなって、気付いたら勝手に寝てるタイプだ。さっき仮眠室で寝てんの確認した」
飛鳥「フフッ。ボクは呑まれないようにしないと」
P「そうだな。今度良い店紹介してやるよ」
飛鳥「…正直、何とも言えないかな。少し身体が火照ったぐらいで、あまり変化は感じない」
P「おっ、さてはいけるクチだな」
飛鳥「比奈さんや智香さんが隣で目に見えてゴキゲンになっていくものだから、逆に冷静でいられただけかもしれないけどね」
P「あー…あの2人、あんま強くないから。智香は自制できてるからまだ安心なんだけど」
飛鳥「比奈さんは?」
P「アレはどんどん気分良くなって、気付いたら勝手に寝てるタイプだ。さっき仮眠室で寝てんの確認した」
飛鳥「フフッ。ボクは呑まれないようにしないと」
P「そうだな。今度良い店紹介してやるよ」
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:18:58.21 ID:uFUXzjsH0
P「ラジオ、聞いてたぞ。面白かったな」
飛鳥「フフ。久し振りにあの空気に直に触れてきたよ。楽しい時間だった」
P「常連感ハンパねーんだもん、お前」
飛鳥「準レギュラーにどうかとパーソナリティの2人に売り込んでおいた。キミからもよろしく」
P「んー…まぁそういう話がもしあったら、その時に追い追いしていこうな」
…夢の話も、聞いていたことになるのだろうか。訊いてみる勇気は、芽生えなかった。
飛鳥「フフ。久し振りにあの空気に直に触れてきたよ。楽しい時間だった」
P「常連感ハンパねーんだもん、お前」
飛鳥「準レギュラーにどうかとパーソナリティの2人に売り込んでおいた。キミからもよろしく」
P「んー…まぁそういう話がもしあったら、その時に追い追いしていこうな」
…夢の話も、聞いていたことになるのだろうか。訊いてみる勇気は、芽生えなかった。
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:20:38.26 ID:uFUXzjsH0
P「…」
飛鳥「…」
しばしの沈黙。一口、また一口と手元は少しずつ軽くなっていく。
P「…『口笛』」
飛鳥「?」
P「『さっき吹いてた口笛。もっかい聞かせてよ』」
飛鳥「…!」
知ってか知らずか。6年前の台詞そのままに、キミは平然と言い放つ。
途端に鼓動は早くなる。記憶のリフレインは止まることを忘れ、熱が身体中を駆け巡る。
あの日キミとボクが出会った、夜の海辺の物語。
飛鳥「…」
しばしの沈黙。一口、また一口と手元は少しずつ軽くなっていく。
P「…『口笛』」
飛鳥「?」
P「『さっき吹いてた口笛。もっかい聞かせてよ』」
飛鳥「…!」
知ってか知らずか。6年前の台詞そのままに、キミは平然と言い放つ。
途端に鼓動は早くなる。記憶のリフレインは止まることを忘れ、熱が身体中を駆け巡る。
あの日キミとボクが出会った、夜の海辺の物語。
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:22:10.35 ID:uFUXzjsH0
飛鳥「…。『…何だい、キミ。不審者?』」
まるで台本を読み合わせるかのように。
P「『いや、悪い。こんなところで1人で口笛吹いてるなんて、面白い奴だなと思って』」
飛鳥「『スーツで海に来るヤツに言われたくない』」
思い出のアルバムを、1つ1つ丁寧に捲るかのように。
P「『仕事帰りだからなぁ』」
今も色褪せることなく鮮明に思い浮かぶ光景を、噛みしめるように再現していく。
まるで台本を読み合わせるかのように。
P「『いや、悪い。こんなところで1人で口笛吹いてるなんて、面白い奴だなと思って』」
飛鳥「『スーツで海に来るヤツに言われたくない』」
思い出のアルバムを、1つ1つ丁寧に捲るかのように。
P「『仕事帰りだからなぁ』」
今も色褪せることなく鮮明に思い浮かぶ光景を、噛みしめるように再現していく。
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:23:37.76 ID:uFUXzjsH0
P「『そっちは?』」
飛鳥「『…何が』」
P「『こんな時間にこんな場所にいるのは、なんでさ』」
飛鳥「『キミには関係ないだろ』」
P「『何か悩み?』」
飛鳥「『…は?』」
P「『若者が1人で海にいるのは、悩みか失恋ってだいたい相場が決まってんの。違う?』」
飛鳥「『…キミに何が理解るんだ』」
P「『分からないから聞いたんだけど』」
飛鳥「『…』」
飛鳥「『…何が』」
P「『こんな時間にこんな場所にいるのは、なんでさ』」
飛鳥「『キミには関係ないだろ』」
P「『何か悩み?』」
飛鳥「『…は?』」
P「『若者が1人で海にいるのは、悩みか失恋ってだいたい相場が決まってんの。違う?』」
飛鳥「『…キミに何が理解るんだ』」
P「『分からないから聞いたんだけど』」
飛鳥「『…』」
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:25:08.32 ID:uFUXzjsH0
P「…フフ」
飛鳥「…フ、ククッ。ハハハハ!」
P「あっははは!」
耐えきれず、ついにはお互い笑い合う。こんなことに必死で取り組む姿が、もうどうしようもなくおかしくって。
P「はっは…あー笑った。…この後どうしたんだっけ?」
飛鳥「フッ、フフ。ボクが撤退して、この日はお終いさ。『意味不明だ、気持ち悪い』って」
P「そうだそうだ。俺は真面目に訊いたつもりだったんだけどな」
飛鳥「突然後ろに現れたヤツに悩みだなんて言われても、真面目さなんて伝わらないよ」
飛鳥「…フ、ククッ。ハハハハ!」
P「あっははは!」
耐えきれず、ついにはお互い笑い合う。こんなことに必死で取り組む姿が、もうどうしようもなくおかしくって。
P「はっは…あー笑った。…この後どうしたんだっけ?」
飛鳥「フッ、フフ。ボクが撤退して、この日はお終いさ。『意味不明だ、気持ち悪い』って」
P「そうだそうだ。俺は真面目に訊いたつもりだったんだけどな」
飛鳥「突然後ろに現れたヤツに悩みだなんて言われても、真面目さなんて伝わらないよ」
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:27:01.21 ID:uFUXzjsH0
P「でも、当たってたじゃん」
飛鳥「…それは、そうだけど。結果的には」
しばらく思い出を語り合うボクたち。まるで昨日の出来事を話すかのようだ。
P「そんで2回目に立ち寄ったら、またお前いるんだもん。ほんとびっくりした」
飛鳥「ボクだって同じさ。偶然にしては出来すぎていた」
P「あの時のストーカー呼ばわりは忘れねえぞ、俺」
飛鳥「警戒していたんだよ」
P「結局まともに会話したの、4回目くらいからだったよな」
飛鳥「2度目は『ストーカー』。3度目の『いい加減通報するぞ』でようやくキミが正体を明かしたんだ」
P「名刺渡したぐらいだけど」
飛鳥「…それは、そうだけど。結果的には」
しばらく思い出を語り合うボクたち。まるで昨日の出来事を話すかのようだ。
P「そんで2回目に立ち寄ったら、またお前いるんだもん。ほんとびっくりした」
飛鳥「ボクだって同じさ。偶然にしては出来すぎていた」
P「あの時のストーカー呼ばわりは忘れねえぞ、俺」
飛鳥「警戒していたんだよ」
P「結局まともに会話したの、4回目くらいからだったよな」
飛鳥「2度目は『ストーカー』。3度目の『いい加減通報するぞ』でようやくキミが正体を明かしたんだ」
P「名刺渡したぐらいだけど」
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:29:09.51 ID:uFUXzjsH0
飛鳥「そういえば、これは訊いたことがなかったな…。なぜ、あれだけボクに固執していたんだ?」
P「いやいや。会社帰りにたまたま寄った海辺で、あれだけオシャレして、エクステまで着けて、海で1人口笛吹いてる女子中学生、なんていう数え役満状態だぞ?興味湧かない訳ないって」
飛鳥「…なるほどね」
どれもボクなりの抵抗のつもりだったけれど。そのおかげでこの奇妙な出会いがあったというならば、悪い気はしない。
P「あの時も今も。同じように口笛吹いてるんだなって思ったら、なんか懐かしくなってきてさ」
飛鳥「…」
P「だからさ、改めて聞かせてくれない?」
飛鳥「…やれやれ、仕方ないな。今日は特別だよ」
P「いやいや。会社帰りにたまたま寄った海辺で、あれだけオシャレして、エクステまで着けて、海で1人口笛吹いてる女子中学生、なんていう数え役満状態だぞ?興味湧かない訳ないって」
飛鳥「…なるほどね」
どれもボクなりの抵抗のつもりだったけれど。そのおかげでこの奇妙な出会いがあったというならば、悪い気はしない。
P「あの時も今も。同じように口笛吹いてるんだなって思ったら、なんか懐かしくなってきてさ」
飛鳥「…」
P「だからさ、改めて聞かせてくれない?」
飛鳥「…やれやれ、仕方ないな。今日は特別だよ」
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:32:58.84 ID:uFUXzjsH0
飛鳥「~♪ ~~♪」
わずか1人の観客を追加して、今宵最後のリサイタルが開かれる。
ステージも、伴奏も、ちゃんとした衣装もないけれど、これくらいが丁度良い。
自然と口から溢れ出たのは、記憶の片隅で生き続ける、どこかで聴いた名前も知らないあのメロディ。
キミに声を掛けられたあの時も吹いていたフレーズを、もう一度。
わずか1人の観客を追加して、今宵最後のリサイタルが開かれる。
ステージも、伴奏も、ちゃんとした衣装もないけれど、これくらいが丁度良い。
自然と口から溢れ出たのは、記憶の片隅で生き続ける、どこかで聴いた名前も知らないあのメロディ。
キミに声を掛けられたあの時も吹いていたフレーズを、もう一度。
47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:35:20.15 ID:uFUXzjsH0
――――
――
P「…うん、良かったよ。上手いもんだな」
終演の余韻を後に、そうキミは言う。
飛鳥「これくらい、なんてことないさ。人並み程度だよ」
P「でも俺、口笛吹けないからさ」
そう言って、スーフーと音にならない吐息を漏らし始める。…これはこれで、案外見ていて楽しい。
飛鳥「フフッ。吹けたところで、別に威張れるようなものではないさ」
P「そうは言ってもなー」
飛鳥「~♪」
P「おのれ、これ見よがしに…」
――
P「…うん、良かったよ。上手いもんだな」
終演の余韻を後に、そうキミは言う。
飛鳥「これくらい、なんてことないさ。人並み程度だよ」
P「でも俺、口笛吹けないからさ」
そう言って、スーフーと音にならない吐息を漏らし始める。…これはこれで、案外見ていて楽しい。
飛鳥「フフッ。吹けたところで、別に威張れるようなものではないさ」
P「そうは言ってもなー」
飛鳥「~♪」
P「おのれ、これ見よがしに…」
48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:37:14.66 ID:uFUXzjsH0
口笛が吹けるヤツはかっこいい、なんて思って真似し始めたのはいつからだったか。
最初にぴいと音が出て、たまらなく嬉しかったのはいつだったか。
飛鳥「…ずっと」
P「?」
飛鳥「ずっと吹いてきた」
自分でも思わない訳じゃない。ハタチにもなって口笛なんて、と。
意味もなく、何の付加価値もないままに、奏でた年月だけは積み重なった。
49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:38:43.96 ID:uFUXzjsH0
飛鳥「あの日も今も、変わらず奏で続けていると、キミはさっきそう言った。ボクも同じように思うよ」
P「そっか」
飛鳥「キミと出会ったあの日から6年…流れゆくセカイの中で口笛を吹いている間に、いつの間にか6年経っていたような感覚さ」
P「…」
飛鳥「いや。もっと言えば、20年すら足早に過ぎて行った気がするな。今となってはね」
P「…早いよなぁ、ホント」
光陰矢の如しとはよく言ったモノだと思う。気付けば20歳だ。
P「そっか」
飛鳥「キミと出会ったあの日から6年…流れゆくセカイの中で口笛を吹いている間に、いつの間にか6年経っていたような感覚さ」
P「…」
飛鳥「いや。もっと言えば、20年すら足早に過ぎて行った気がするな。今となってはね」
P「…早いよなぁ、ホント」
光陰矢の如しとはよく言ったモノだと思う。気付けば20歳だ。
50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:41:59.32 ID:uFUXzjsH0
P「…なあ」
飛鳥「何だい」
P「…飛鳥はさ、」
飛鳥「?」
P「あの時言ってた奴の答え、見つけられた?」
飛鳥「…」
不意に核心を突かれ、思わず沈黙してしまう。…ああ、キミってヤツは、本当に。
P「あの頃、夜に家を抜け出してまで掴みたがっていた何かを。飛鳥は、あれから見つけられたのかなと思ってさ」
飛鳥「…お見透しというワケか。敵わないな、キミには」
飛鳥「何だい」
P「…飛鳥はさ、」
飛鳥「?」
P「あの時言ってた奴の答え、見つけられた?」
飛鳥「…」
不意に核心を突かれ、思わず沈黙してしまう。…ああ、キミってヤツは、本当に。
P「あの頃、夜に家を抜け出してまで掴みたがっていた何かを。飛鳥は、あれから見つけられたのかなと思ってさ」
飛鳥「…お見透しというワケか。敵わないな、キミには」
51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:43:17.40 ID:uFUXzjsH0
飛鳥「…。ボクには、何も見えていなかった」
一呼吸置いて、独白を始める。
飛鳥「理解らなかったんだ。何を為すべきか。ボクが其処にいた理由。…ボクは何者なのだろう。ってね」
妙に刺々した何かに取り憑かれていて。
家と学校をただ往復するだけのつまらない日常に嫌気が差していて。
ボクという存在の価値がどれほどのものか、当時のボクには知る由もなくって。
52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:46:38.64 ID:uFUXzjsH0
飛鳥「ココロ惹かれる何かにも出会えなかったし、将来の夢なんて訊かれても答えられなかった」
逃れようのない濁流のような日常に流されながら、諦念に近い状態で退屈を過ごしていた。
どこかに飛び出したい。何かを変えたい。
何かって何だ。自分を?それとも、こんな気持ちにさせる世の中を?あるいは、両方。
揺れていた心にとって、セカイはまるで広すぎて何も見えてこない海。
飛鳥「とうとう抑えきれなくなって…夜まで待って家を抜け出したのがあの日さ」
普段とは違う自分になりたくて、ボクなりの最高のオシャレをキメて。
学校では許されない、エクステも装着して。
そうすれば、何か変わると信じて。
逃れようのない濁流のような日常に流されながら、諦念に近い状態で退屈を過ごしていた。
どこかに飛び出したい。何かを変えたい。
何かって何だ。自分を?それとも、こんな気持ちにさせる世の中を?あるいは、両方。
揺れていた心にとって、セカイはまるで広すぎて何も見えてこない海。
飛鳥「とうとう抑えきれなくなって…夜まで待って家を抜け出したのがあの日さ」
普段とは違う自分になりたくて、ボクなりの最高のオシャレをキメて。
学校では許されない、エクステも装着して。
そうすれば、何か変わると信じて。
53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:49:58.42 ID:uFUXzjsH0
P「そこで俺と会った、と」
飛鳥「そこから先は知っての通りだよ」
最初は不審者だと思った。突然話しかけてくるスーツの男なんて怪しい。怪しすぎる。しかも、そんなヤツに口笛を聞かれたというのがちょっぴり恥ずかしくて。
逃げるように帰る道すがら、知らない男に話しかけられたのがだんだん怖くなったっけ。
…でも。どういうワケか口笛を褒めてもらって。悩みがあることも言い当てられて。
それまで会ったこともないような変なオトナと出会ってしまった事実に、どういう訳かワクワクし始めている自分もいて。
そんな自分に、ボク自身が一番驚いていた。
飛鳥「そこから先は知っての通りだよ」
最初は不審者だと思った。突然話しかけてくるスーツの男なんて怪しい。怪しすぎる。しかも、そんなヤツに口笛を聞かれたというのがちょっぴり恥ずかしくて。
逃げるように帰る道すがら、知らない男に話しかけられたのがだんだん怖くなったっけ。
…でも。どういうワケか口笛を褒めてもらって。悩みがあることも言い当てられて。
それまで会ったこともないような変なオトナと出会ってしまった事実に、どういう訳かワクワクし始めている自分もいて。
そんな自分に、ボク自身が一番驚いていた。
54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:53:12.97 ID:uFUXzjsH0
流石にしばらくは反省した。なんて愚かで、危険な行為だったろうと。
でも、高揚を知ってしまった衝動はもう止められなくて。10日ほど期間を空けた後、もう一度家を抜け出したのだ。
…まさか再びキ彼と巡り会うとも知らずに。
曰く帰りに立ち寄っただけで、本当に偶然だったとキミは言う。
何の因果か、その後も何度か同じ場所で会うこととなる。
彼がアイドル事務所のプロデューサー…の、まだまだ新米であることを知ったのは、1枚の名刺から。これが3回目の遭遇。
名刺に書かれた住所が、実際にアイドルを排出している清廉潔白な会社であると調べ、少なくともいかがわしい存在ではないと判明したのが、4回目。
55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:55:40.73 ID:uFUXzjsH0
そうして遭遇と会話を何度か重ねる内に、学校のことや世間話、いつしか悩みですら話してしまう不思議な関係になったのは…我ながら油断しきっていた、と言うべきなのだろうか。
それだけキミとの時間は魅力的で、刺激的だった。
飛鳥「キミなら、何でも聞いてくれるような気がしてね」
P「相手の話を聞くのも仕事の内だし、慣れてただけだよ。多分」
飛鳥「それでもだよ」
56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 22:57:47.37 ID:uFUXzjsH0
飛鳥「ボクが話せば、キミはいつもキミなりの答えをもって返してくれた」
P「当たり前のことだと思うけどな」
飛鳥「キミはボクの知らない答えを。鍵を。何でも持っているような気がして」
P「生きてる年の違いだ、きっと」
飛鳥「…キミには見えてることでも、まだボクには分からなくて」
P「…」
飛鳥「それが嬉しくて。でも、少し悔しくて。羨ましくて」
吐く息が、目に見えて白さを増していく。
飛鳥「…もし、キミと一緒だったら。そう、キミと旅に出られるのなら」
言葉に熱がこもっていくのが、自分でも理解る。
飛鳥「遠くまでいける。きっと、ボクは飛び立てる。…そう、思えたんだ」
P「当たり前のことだと思うけどな」
飛鳥「キミはボクの知らない答えを。鍵を。何でも持っているような気がして」
P「生きてる年の違いだ、きっと」
飛鳥「…キミには見えてることでも、まだボクには分からなくて」
P「…」
飛鳥「それが嬉しくて。でも、少し悔しくて。羨ましくて」
吐く息が、目に見えて白さを増していく。
飛鳥「…もし、キミと一緒だったら。そう、キミと旅に出られるのなら」
言葉に熱がこもっていくのが、自分でも理解る。
飛鳥「遠くまでいける。きっと、ボクは飛び立てる。…そう、思えたんだ」
57: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 23:01:39.83 ID:uFUXzjsH0
飛鳥「つい悩みを吐き出した時。ボクをすごい奴だと、キミは言った。覚えているかい」
P「…そうだったな」
かつて彼に言われた言葉を、そっくりそのまま復唱する。
飛鳥「『俺が中学生の時はそんな風に考えたこともなかったよ。…すごいな、君は』
『自分が生きてる証だなんて立派なもの、誰も教えちゃくれないし、すぐに分かるようなものでもない』
『その内大なり小なり選択しなくちゃいけない時が必ずやってくる。具体的には…そうだな、受験とか』
『自分で選んだその道を歩いたり走ったりしてる内、自然に見えてくるものなんじゃないかと思うんだ』
『それでも見えてこない時もある。色んな要素が絡んで、見えない人だっている。大人にも、たくさん』
『必死になって光を探して、がむしゃらだろうと行動してる君は…何て言うか、カッコいいな。すごく』」
ボクをわずかながらでも変えた、目の前の霧を払ってくれたその言葉を。
P「…そうだったな」
かつて彼に言われた言葉を、そっくりそのまま復唱する。
飛鳥「『俺が中学生の時はそんな風に考えたこともなかったよ。…すごいな、君は』
『自分が生きてる証だなんて立派なもの、誰も教えちゃくれないし、すぐに分かるようなものでもない』
『その内大なり小なり選択しなくちゃいけない時が必ずやってくる。具体的には…そうだな、受験とか』
『自分で選んだその道を歩いたり走ったりしてる内、自然に見えてくるものなんじゃないかと思うんだ』
『それでも見えてこない時もある。色んな要素が絡んで、見えない人だっている。大人にも、たくさん』
『必死になって光を探して、がむしゃらだろうと行動してる君は…何て言うか、カッコいいな。すごく』」
ボクをわずかながらでも変えた、目の前の霧を払ってくれたその言葉を。
58: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 23:04:03.26 ID:uFUXzjsH0
P「…昔のことよく覚えてるなぁ」
飛鳥「フフッ、当然さ。ボクにとっては殺し文句だよ?」
あれから随分、時間が過ぎた。
選んだことも、変わったことも、あの頃と比べてずっと増えた。しかし、変わらないものも確かにある。
考え方も、ものの見方も。少しは大人になれたと思っていたけど。
あの時のままの気持ちで、ここへやっと辿りついているだけに過ぎない。
飛鳥「アイドルの道だってそう。考えて、悩んだ上で。ボクが自分で選んで進んできた、第一の道さ」
あの時キミに示された、最初の分岐点。その選択は偶然か、あるいは必然か。
飛鳥「たくさん、本当にたくさんのものを見つけたよ」
飛鳥「フフッ、当然さ。ボクにとっては殺し文句だよ?」
あれから随分、時間が過ぎた。
選んだことも、変わったことも、あの頃と比べてずっと増えた。しかし、変わらないものも確かにある。
考え方も、ものの見方も。少しは大人になれたと思っていたけど。
あの時のままの気持ちで、ここへやっと辿りついているだけに過ぎない。
飛鳥「アイドルの道だってそう。考えて、悩んだ上で。ボクが自分で選んで進んできた、第一の道さ」
あの時キミに示された、最初の分岐点。その選択は偶然か、あるいは必然か。
飛鳥「たくさん、本当にたくさんのものを見つけたよ」
59: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 23:06:08.47 ID:uFUXzjsH0
飛鳥「止まない歓声。感動。自信。不安に後悔、挫折。それに…」
過去の自分を思い浮かべては指折り数える。両の手で足りなくなる頃には、その姿はまるで祈りを捧げるようで。
飛鳥「出会いも、別れもあった。その数だけ、皆がボクに力をくれた」
ファンが、仲間が、そしてキミが。ボクに光を見せてくれる。
飛鳥「ああ、そうそう。衣装もたくさん着たね。どれも素晴らしい体験だったよ」
P「…このお洒落さんが」
飛鳥「フフッ。歩いてきただけというのに、こんなにも得るものがあったんだ。キミのおかげでね」
過去の自分を思い浮かべては指折り数える。両の手で足りなくなる頃には、その姿はまるで祈りを捧げるようで。
飛鳥「出会いも、別れもあった。その数だけ、皆がボクに力をくれた」
ファンが、仲間が、そしてキミが。ボクに光を見せてくれる。
飛鳥「ああ、そうそう。衣装もたくさん着たね。どれも素晴らしい体験だったよ」
P「…このお洒落さんが」
飛鳥「フフッ。歩いてきただけというのに、こんなにも得るものがあったんだ。キミのおかげでね」
60: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 23:08:39.10 ID:uFUXzjsH0
飛鳥「…でも、まだだ」
――答えは見つかったのか
飛鳥「まだ、足りない」
――掴みたかったものは手に入れられたのか。
飛鳥「ボクはただ、ここまで…遥か遠くまで、歩いてきただけに過ぎない」
キミが投げ掛ける問に。今、誠心誠意をもって答えよう。
――答えは見つかったのか
飛鳥「まだ、足りない」
――掴みたかったものは手に入れられたのか。
飛鳥「ボクはただ、ここまで…遥か遠くまで、歩いてきただけに過ぎない」
キミが投げ掛ける問に。今、誠心誠意をもって答えよう。
61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 23:12:54.04 ID:uFUXzjsH0
アイドルとしての日々は、ボクに数多の煌めきを与えてくれた。これまでも、そしてきっとこれからも。
飛鳥「果たしてボクは何者で、何をするために生まれたのか」
一方で。それが人生の全てだなんてボクは思わない。何かを選ぶ瞬間は、いつかまた必ずやって来る。
飛鳥「ボクがボクで在る証とは一体何なのか」
アイドルというフィルターに頼らない、純なる二宮飛鳥が求めた自身の存在の理由を。ボク自身、未だ探している途中なのだ。
飛鳥「まだ全てを理解するには至っていない」
全てを知らずには、いられない。よって、故に、だからこそ。自信を持って放てる言葉がある。
飛鳥「ボクの存在証明は、まだ終わってなんかいないんだ!」
62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 23:15:33.47 ID:uFUXzjsH0
飛鳥「…そういう訳だから。キミには、もうしばらくボクに付き合ってもらう必要がある」
P「…そうか」
飛鳥「ああ」
P「やっぱカッコいいよ、お前」
飛鳥「そうかな」
P「二宮飛鳥は。まだ、アイドルでいて良いんだな?」
飛鳥「フフッ。楽しいからね、今が」
P「…良かった」
飛鳥「こちらこそ。…キミで良かった」
P「…そうか」
飛鳥「ああ」
P「やっぱカッコいいよ、お前」
飛鳥「そうかな」
P「二宮飛鳥は。まだ、アイドルでいて良いんだな?」
飛鳥「フフッ。楽しいからね、今が」
P「…良かった」
飛鳥「こちらこそ。…キミで良かった」
63: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 23:18:04.68 ID:uFUXzjsH0
缶に残った最後の一口を、一気に飲み干す。…残った温もりは僅かだけれど、心はこんなにも温かい。
飛鳥「コーヒー、ありがとう。ご馳走様」
P「…おう。っと、もうこんな時間か」
飛鳥「長居しすぎてしまったかな。…時間は、大丈夫なのかい」
P「?」
左手にちらりと視線を送る。
P「ああ…平気平気。今日は多分遅くなるって伝えてるし、ビールでも飲んで今頃夢の中だろうさ」
飛鳥「なら、良いけど」
P「飛鳥の誕生日に駄々こねるほどガキじゃないだろ。あいつも」
64: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 23:20:19.00 ID:uFUXzjsH0
P「っし、帰るか。送ってく」
飛鳥「…では、お言葉に甘えようかな」
そうして、2人で屋上を後にする。
扉に手をかけて、刹那。言い様もない感情に覆われて。誰かがいたような気がして。つい振り返る。
歌を口ずさみながら、まるで誰かを、あるいは何かを待っている。
幼気で、痛い気な少女の後ろ姿が。幻影のように目に映った気がした。
飛鳥「…」
P「どうしたー?」
飛鳥「…何でもないよ」
…彼女は一体、誰とどんな出会いを果たすのだろうね。
飛鳥「…では、お言葉に甘えようかな」
そうして、2人で屋上を後にする。
扉に手をかけて、刹那。言い様もない感情に覆われて。誰かがいたような気がして。つい振り返る。
歌を口ずさみながら、まるで誰かを、あるいは何かを待っている。
幼気で、痛い気な少女の後ろ姿が。幻影のように目に映った気がした。
飛鳥「…」
P「どうしたー?」
飛鳥「…何でもないよ」
…彼女は一体、誰とどんな出会いを果たすのだろうね。
65: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 23:22:39.38 ID:uFUXzjsH0
――――――
1人の男と共に、夜の砂浜にいた
ふわふわとした、ほの暗い空間で
しかし2人の周りだけは、スポットが当てられたように明るくて
交わす言葉も、やけにはっきりとしていた
1人の男と共に、夜の砂浜にいた
ふわふわとした、ほの暗い空間で
しかし2人の周りだけは、スポットが当てられたように明るくて
交わす言葉も、やけにはっきりとしていた
66: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 23:24:35.10 ID:uFUXzjsH0
――例えばさ。アイドルには、興味ない?
『…え?』
――君となら、何か面白いことができそうだって。実は前から思ってたんだ
『話が、見えてこないな』
――…俺には、君の悩みの直接の答えは分からないけど
『うん』
――君が望むなら。答えを探して、見つけ出すまでの手伝いならできる
『…つまり、ボクにアイドルになれと』
――なれ、だなんては言わない。でも…色々と目新しいものは、きっと見つかる。保障する
『…キミは、一体』
67: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 23:27:35.15 ID:uFUXzjsH0
――――
――
飛鳥「……ん」
朝は誰にでも平等にやってくる。もちろんボクにも。
同じ海でも、いつもとテイストの違った海の夢を見た。
飛鳥「… …」
あの日を夢に見るなんて。昨夜のやり取りは、よほど記憶の回路を刺激してくれたようだ。
なかなかやるじゃないか、ボクの夢。
それは、アイドルへの招待状。開幕に先立つ、2人きりでのプロローグ。
――
飛鳥「……ん」
朝は誰にでも平等にやってくる。もちろんボクにも。
同じ海でも、いつもとテイストの違った海の夢を見た。
飛鳥「… …」
あの日を夢に見るなんて。昨夜のやり取りは、よほど記憶の回路を刺激してくれたようだ。
なかなかやるじゃないか、ボクの夢。
それは、アイドルへの招待状。開幕に先立つ、2人きりでのプロローグ。
68: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 23:30:43.55 ID:uFUXzjsH0
飛鳥「…フフッ」
言葉にならずに、笑った。そんな朝だった。
…さて、ウェイクアップ。目覚めようか。
ベッドから跳ね起き、手帳を開く。なんだか身体の調子も、普段より良いように感じるね。
飛鳥「午前は講義、昼からはレッスンだから…」
なあ、聞いてるかい。14歳のボク。
ボクは今、ボクなりにアイドルを楽しんでいるよ。
新しい出会いも経験も、数えきれないぐらいできたんだ。
だから安心して、ソイツと旅に出れば良い。
言葉にならずに、笑った。そんな朝だった。
…さて、ウェイクアップ。目覚めようか。
ベッドから跳ね起き、手帳を開く。なんだか身体の調子も、普段より良いように感じるね。
飛鳥「午前は講義、昼からはレッスンだから…」
なあ、聞いてるかい。14歳のボク。
ボクは今、ボクなりにアイドルを楽しんでいるよ。
新しい出会いも経験も、数えきれないぐらいできたんだ。
だから安心して、ソイツと旅に出れば良い。
69: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 23:35:08.33 ID:uFUXzjsH0
まだまだ寒い2月の朝。キミは今頃、事務所に向かっている頃だろうか。
それとも、行ってきますを言っているところかな。
並んで仕事に向かうなんてことはすっかり減ってしまったけれど。
どうか、これからも一緒に歩んではくれないだろうか。
例え足元の道は違っていても。進む方向が同じなら、きっとボクらは共に往ける。
片や事務所に、片や学校に。キミはプロデューサーで、ボクはアイドルで。
それぞれの道を歩いてた、キミとボク。
70: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/03(金) 23:44:03.17 ID:uFUXzjsH0
おわりです。飛鳥の一人称SSでした。
6年後という設定を良いことに妄想のオンパレードでしたが、ご容赦ください
原曲にした(つもりの)曲が一応あります。途中吹いてる口笛も、そのメロディをイメージしてました
飛鳥の口笛に関する記述を最初に見た時からずーっと頭には浮かんでいたものの、アウトプットする機会がなかなか見つからないまま脳内で捏ねてたお話です。
20年という歳月をお話に組み込むには誕生日のイベントが良いかな、ならついでに誕生日に投稿できればベストかな、などと思いながら書いたつもりです。間に合って良かった
拙い文でしたが、ようやく形にすることができて良かったかなと思っています
タイトルもお借りしているので、もし興味が湧いた方がいれば聴いてみてください
誕生日おめでとう、飛鳥。これからもよろしくね
6年後という設定を良いことに妄想のオンパレードでしたが、ご容赦ください
原曲にした(つもりの)曲が一応あります。途中吹いてる口笛も、そのメロディをイメージしてました
飛鳥の口笛に関する記述を最初に見た時からずーっと頭には浮かんでいたものの、アウトプットする機会がなかなか見つからないまま脳内で捏ねてたお話です。
20年という歳月をお話に組み込むには誕生日のイベントが良いかな、ならついでに誕生日に投稿できればベストかな、などと思いながら書いたつもりです。間に合って良かった
拙い文でしたが、ようやく形にすることができて良かったかなと思っています
タイトルもお借りしているので、もし興味が湧いた方がいれば聴いてみてください
誕生日おめでとう、飛鳥。これからもよろしくね
71: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/04(土) 00:30:13.24 ID:xk9tertgo
乙
誕生日なだけあって飛鳥SS多くて嬉しい
誕生日なだけあって飛鳥SS多くて嬉しい
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1486120993/
Entry ⇒ 2018.05.17 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
提督「お前の口癖は?」 山城「不幸だわ」
1: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:23:05.87 ID:spRBCeWo0
提督「右に左に曲がりくねった動きは?」
山城「蛇行だわ」
提督「椅子に真っすぐ座ったときの、お尻から頭までの高さ」
山城「座高だわ」
提督「葉の表裏にある、植物が呼吸をする為に使う小さな穴」
山城「気孔だわ」
山城「蛇行だわ」
提督「椅子に真っすぐ座ったときの、お尻から頭までの高さ」
山城「座高だわ」
提督「葉の表裏にある、植物が呼吸をする為に使う小さな穴」
山城「気孔だわ」
2: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:24:06.17 ID:spRBCeWo0
3: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:24:35.63 ID:spRBCeWo0
4: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:25:59.12 ID:spRBCeWo0
提督「お婆ちゃん家とかでよく香る、何故か落ち着くあの匂いは?」
山城「お香。もしくはお線香だわ」
提督「山城も何となくお香の匂いがしそう……っていうか、似合いそうなイメージだよな」
山城「……」ゲシッ
提督「いてっ」
山城「お香。もしくはお線香だわ」
提督「山城も何となくお香の匂いがしそう……っていうか、似合いそうなイメージだよな」
山城「……」ゲシッ
提督「いてっ」
5: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:26:46.62 ID:spRBCeWo0
提督「初めて不知火と対面した時の印象。戦艦クラスの」
山城「眼光だわ」
提督「気を高め、流れを読み、操るのだ……さすれば、どんな病もたちまち改善されようぞ」
山城「気功だわ」
山城「眼光だわ」
提督「気を高め、流れを読み、操るのだ……さすれば、どんな病もたちまち改善されようぞ」
山城「気功だわ」
6: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:27:12.82 ID:spRBCeWo0
提督「統廃合や生徒数減少などの理由で、学校施設が運営・経営が廃止されることは?」
山城「廃校だわ」
提督「総理の」
山城「意向だわ」
山城「廃校だわ」
提督「総理の」
山城「意向だわ」
7: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:28:29.12 ID:spRBCeWo0
提督「地域ごとに異なる、気温・降水量・風などの大気の統合状態を差す言葉は?」
山城「気候だわ」
提督「因みに我が鎮守府の気候は、山城が出かける時間帯に限り局地的な大気の急変が頻発している」
山城「遺憾だわ……」
山城「気候だわ」
提督「因みに我が鎮守府の気候は、山城が出かける時間帯に限り局地的な大気の急変が頻発している」
山城「遺憾だわ……」
8: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:29:17.90 ID:spRBCeWo0
提督「一定期間を経ることで権利を取得したり、逆に喪失したりする法制度は?」
山城「時効だわ」
提督「生き物地球」
山城「紀行だわ」
山城「時効だわ」
提督「生き物地球」
山城「紀行だわ」
9: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:30:15.91 ID:spRBCeWo0
提督「本番前に前以て練習したり準備しておくことは?」
山城「予行だわ」
提督「せや、山城の薄い本をあのサイトでダウンロードして閲覧したろ」
山城「違法だわ」ズドン!
山城「予行だわ」
提督「せや、山城の薄い本をあのサイトでダウンロードして閲覧したろ」
山城「違法だわ」ズドン!
10: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:31:12.05 ID:spRBCeWo0
提督「河川が海や湖に繋がる部分」
山城「河口だわ」
提督「ヒードランの住処」
山城「火口だわ」
山城「河口だわ」
提督「ヒードランの住処」
山城「火口だわ」
11: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:31:52.09 ID:spRBCeWo0
提督「だんだん平仮名の『わ』がよく解んなくなってきたぞ」
山城「ゲシュタルト崩壊だわ」
山城「ゲシュタルト崩壊だわ」
12: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:33:10.80 ID:spRBCeWo0
提督「そういえば、最近艦娘の数も増えてきたし。新しい寮の建設工事を始めたんだよ」
山城「起工だわ」
提督「ボス前で大破艦が1隻……ダメコンはないが、当たらなければ……あ゛あ゛っ゛!?」
山城「愚行だわ」
山城「起工だわ」
提督「ボス前で大破艦が1隻……ダメコンはないが、当たらなければ……あ゛あ゛っ゛!?」
山城「愚行だわ」
13: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:34:55.35 ID:spRBCeWo0
提督「出発した船が目的を終えて母港に帰ってくることは?」
山城「帰港だわ」
提督「山城もおかえり。西村艦隊のみんなと一緒によく帰ってきてくれたな」
山城「……ふん。何ですか、藪から棒に。気持ち悪い」
提督「辛辣だわ(´・ω・`)」
山城「帰港だわ」
提督「山城もおかえり。西村艦隊のみんなと一緒によく帰ってきてくれたな」
山城「……ふん。何ですか、藪から棒に。気持ち悪い」
提督「辛辣だわ(´・ω・`)」
14: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:35:31.69 ID:spRBCeWo0
提督「萩風が大好きな、健やかに生きる上で欠かせないこと」
山城「健康だわ」
提督「頼りになる部下や仲間」
山城「股肱だわ」
山城「健康だわ」
提督「頼りになる部下や仲間」
山城「股肱だわ」
15: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:36:19.87 ID:spRBCeWo0
提督「ある物を特に好み、それに親しむこと」
山城「嗜好だわ」
提督「はーい、今日の授業はこれでお終い。みんな寄り道せずに帰りなさい。知らない人に付いていくなよー」
山城「下校だわ」
山城「嗜好だわ」
提督「はーい、今日の授業はこれでお終い。みんな寄り道せずに帰りなさい。知らない人に付いていくなよー」
山城「下校だわ」
16: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:37:42.40 ID:spRBCeWo0
提督「もし俺が扶桑とケッコンしたとして。俺と山城の間に残るのは?」
山城「遺恨だわ」
提督「余談だけど、友人がつい最近79人目の榛名とケッコンしたらしいんだ。今育成中の榛名を含めて今年中に100人の榛名とケッコンカッコカリするのが目標らしい」
山城「奇行だわ」
山城「遺恨だわ」
提督「余談だけど、友人がつい最近79人目の榛名とケッコンしたらしいんだ。今育成中の榛名を含めて今年中に100人の榛名とケッコンカッコカリするのが目標らしい」
山城「奇行だわ」
17: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:38:25.15 ID:spRBCeWo0
提督「表現及び鑑賞の活動を通して感性を働かせながらつくりだす喜びを味わうようにするとともに造形的な創造活動の基礎的な能力を培い豊かな情操を養うことを目的とした初等教育における教科の1つ」
山城「図工だわ」
提督「山城からみた扶桑の艦娘像」
山城「至高だわ」
山城「図工だわ」
提督「山城からみた扶桑の艦娘像」
山城「至高だわ」
18: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:39:03.88 ID:spRBCeWo0
提督「雷の光をさす単語」
山城「雷光だわ」
提督「ちなみに雷の光は他にも稲光ともいうな」
山城「備考だわ」
山城「雷光だわ」
提督「ちなみに雷の光は他にも稲光ともいうな」
山城「備考だわ」
19: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:39:49.17 ID:spRBCeWo0
提督「ごーやのあだ名」
山城「でち公だわ」
提督「寂れたさまをさす言葉『閑古鳥が鳴く』の閑古鳥とは?」
山城「カッコウだわ」
提督「……よく分かったな」
山城「それほどでも」
山城「でち公だわ」
提督「寂れたさまをさす言葉『閑古鳥が鳴く』の閑古鳥とは?」
山城「カッコウだわ」
提督「……よく分かったな」
山城「それほどでも」
20: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:40:24.45 ID:spRBCeWo0
提督「仏や菩薩の後ろから発する光」
山城「後光だわ」
提督「国を出て船や飛行機などで海外に渡ることは?」
山城「渡航だわ」
山城「後光だわ」
提督「国を出て船や飛行機などで海外に渡ることは?」
山城「渡航だわ」
21: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:41:03.81 ID:spRBCeWo0
提督「預金の出し入れや資金の貸し出し等を行う金融機関」
山城「銀行だわ」
提督「男が弁当を食べる姿だけを描いた、泉昌之の漫画」
山城「夜行だわ」
山城「銀行だわ」
提督「男が弁当を食べる姿だけを描いた、泉昌之の漫画」
山城「夜行だわ」
22: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:41:37.22 ID:spRBCeWo0
提督「『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z ボルケニオンと○○のマギアナ』。○の中に入る言葉は?」
山城「機巧だわ」
提督「夫が浮気したら?」
山城「離婚だわ」
山城「機巧だわ」
提督「夫が浮気したら?」
山城「離婚だわ」
23: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:42:08.94 ID:spRBCeWo0
提督「盗んだバイクで走り出す~♪」
山城「非行だわ」
提督「ああん? 不幸不幸うるせーんだよ、糞ババア!」
山城「反抗だわ」バキッ
提督「げふっ!」
山城「非行だわ」
提督「ああん? 不幸不幸うるせーんだよ、糞ババア!」
山城「反抗だわ」バキッ
提督「げふっ!」
24: ◆So0Ww3hoHo 2018/05/15(火) 18:43:47.57 ID:spRBCeWo0
提督「……これ以上は出てこないな。あー!参った、俺の負けだ」
山城「ふふふふふ……提督如きに負ける山城じゃありませんから」
山城「さあ、約束の間宮と伊良子のセット券2人分を寄越しなさい」
提督「俺も男だ。約束は守ろう」っ間宮券
山城「ふふふ……これで今日の午後は姉様と2人、間宮で優雅にお食事デートを……」
山城「って、あら?」
提督「どうした山城?」
山城「この券……裏に『使用期限 2018年5月1日まで』って書いてあるんですけど……」
提督「…………あっ、そういえばその券貰ったのってだいぶ前だったな」
提督「ってことは、つまり……」
山城「無効だわ……(真っ白」
おわり
山城「ふふふふふ……提督如きに負ける山城じゃありませんから」
山城「さあ、約束の間宮と伊良子のセット券2人分を寄越しなさい」
提督「俺も男だ。約束は守ろう」っ間宮券
山城「ふふふ……これで今日の午後は姉様と2人、間宮で優雅にお食事デートを……」
山城「って、あら?」
提督「どうした山城?」
山城「この券……裏に『使用期限 2018年5月1日まで』って書いてあるんですけど……」
提督「…………あっ、そういえばその券貰ったのってだいぶ前だったな」
提督「ってことは、つまり……」
山城「無効だわ……(真っ白」
おわり
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/15(火) 19:25:24.75 ID:pbYIuM91o
すき
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/15(火) 19:25:55.37 ID:ZdnW0lozO
すき
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/15(火) 19:30:21.12 ID:mensXu7SO
コンビ芸人
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/15(火) 20:55:52.32 ID:TWF5KF4Eo
おつ
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/16(水) 00:19:47.74 ID:YJ8glb1SO
「やよ」とかいう方言のヒロインが可愛い映画は?
乙
乙
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526376185/
Entry ⇒ 2018.05.17 | Category ⇒ 艦隊これくしょん | Comments (0)
提督「大和とスローセックス」
1: ましろ ◆6uMbaiUCWg 2018/01/05(金) 00:58:31.20 ID:AEBtLTM/0
R-18、地の文なし、だらだらやっていきます
2: ましろ ◆6uMbaiUCWg 2018/01/05(金) 00:59:22.04 ID:AEBtLTM/0
【鎮守府 提督の部屋】
提督「(艦隊を率いてから数年がたち)
提督「(度重なる高難度の海域を潜り抜け)」
提督「(他所の鎮守府からも一目置かれるようになった)
提督「(…艦隊に所属する艦娘らは高錬度、レベル99の者も多くなり)」
提督「(最高錬度に達した艦娘は私とのケッコンカッコカリを申し出た…が)」
提督「(私には心に決めた艦娘がいる)」
大和「スゥ…スゥ…」
提督「(隣で寝息を立てている彼女、大和である)」
提督「(大型艦建造で初めて邂逅し、一目で心に決めた)」
提督「(彼女とケッコンカッコカリしよう、と)」
大和「ん……」モゾモゾ
提督「(彼女のレベルを上げるには相当の資材と時間がかかったが)」
提督「(苦ではなかった…)」
提督「(…大和)」サスリ
大和「んん……」
提督「(ケッコンカッコカリ初夜から何度も肌を合わせ、幾度となく自らの選択を)」
提督「(自画自賛したことか)」
大和「……」スゥスゥ
提督「(大和…君は私が思った以上の女性だ)」
提督「(これからも…よろしく頼む)」サスサス
提督「(艦隊を率いてから数年がたち)
提督「(度重なる高難度の海域を潜り抜け)」
提督「(他所の鎮守府からも一目置かれるようになった)
提督「(…艦隊に所属する艦娘らは高錬度、レベル99の者も多くなり)」
提督「(最高錬度に達した艦娘は私とのケッコンカッコカリを申し出た…が)」
提督「(私には心に決めた艦娘がいる)」
大和「スゥ…スゥ…」
提督「(隣で寝息を立てている彼女、大和である)」
提督「(大型艦建造で初めて邂逅し、一目で心に決めた)」
提督「(彼女とケッコンカッコカリしよう、と)」
大和「ん……」モゾモゾ
提督「(彼女のレベルを上げるには相当の資材と時間がかかったが)」
提督「(苦ではなかった…)」
提督「(…大和)」サスリ
大和「んん……」
提督「(ケッコンカッコカリ初夜から何度も肌を合わせ、幾度となく自らの選択を)」
提督「(自画自賛したことか)」
大和「……」スゥスゥ
提督「(大和…君は私が思った以上の女性だ)」
提督「(これからも…よろしく頼む)」サスサス
3: ましろ ◆6uMbaiUCWg 2018/01/05(金) 00:59:47.66 ID:AEBtLTM/0
【鎮守府 提督の部屋】
大和「(ん…もう朝かしら)」モゾモゾ
大和「提督、起きてください。朝ですよ」
提督「ん…あぁ、大和。おはよう」
大和「おはようございます、提督」
提督「…早速であれだが」プイッ
大和「?」タユン
提督「…その、な?」
大和「…あっ!」バッ
大和「し、失礼しました…」カァァ
提督「ま、まぁ…うん…」
大和「…」カァァ
提督「俺はもう少し布団に入っているから、着替えてきなさい」
大和「は、はい…では、また執務室で…」ササッ
提督「(…………行ったか)」フゥ
提督「(彼女とケッコンカッコカリをしたのは資材の軽減だけではなく)」
提督「(当然、私自身、男という生物であるからして…)」
提督「(…………)」
提督「(……体目当てじゃない、断じてそれは違う)」
提督「(……深く思い悩むのはやめよう、さ、今日もやっていこうか)」ヨッコラセ
大和「(ん…もう朝かしら)」モゾモゾ
大和「提督、起きてください。朝ですよ」
提督「ん…あぁ、大和。おはよう」
大和「おはようございます、提督」
提督「…早速であれだが」プイッ
大和「?」タユン
提督「…その、な?」
大和「…あっ!」バッ
大和「し、失礼しました…」カァァ
提督「ま、まぁ…うん…」
大和「…」カァァ
提督「俺はもう少し布団に入っているから、着替えてきなさい」
大和「は、はい…では、また執務室で…」ササッ
提督「(…………行ったか)」フゥ
提督「(彼女とケッコンカッコカリをしたのは資材の軽減だけではなく)」
提督「(当然、私自身、男という生物であるからして…)」
提督「(…………)」
提督「(……体目当てじゃない、断じてそれは違う)」
提督「(……深く思い悩むのはやめよう、さ、今日もやっていこうか)」ヨッコラセ
4: ましろ ◆6uMbaiUCWg 2018/01/05(金) 01:00:18.95 ID:AEBtLTM/0
【鎮守府 執務室】
提督「今月は来る中規模作戦に備え、資源備蓄を強化しようと思っている」
大和「はい」
提督「大和をはじめ、戦艦級には悪いと思うが出撃の回数は減っていくだろう」
提督「先日も言ったが秘書艦、頼りにしているぞ」
大和「了解いたしました。お任せください」ニコッ
提督「(…可愛い)」
提督「今日から数週間は駆逐艦・軽巡洋艦を中心とした遠征の管理を手伝ってもらう」
提督「事務仕事が続くが、それほど忙しくはない」
提督「今日ものんびり、やっていこう」
大和「はい!」
提督「……」
大和「……」
提督「……」
大和「……あの」
提督「ん?」
大和「他にやることは…何か?」
提督「……ない」
大和「無いのですか?」
提督「あぁ、無い。遠征の報告や管理の体制は既に整っている」
提督「秘書艦を頼んだものの、そこまでやることはないんだ」
大和「そ、そうですか…」
提督「まぁ、今日もある程度自由に行動して構わないよ」
大和「わ、わかりました」
大和「では、鎮守府の様子を見てきますね」ガチャ
提督「…………」
提督「(……可愛い)」
提督「(……可愛いんだよなぁ、大和)」
提督「(ああやって真面目で清楚で大人しくて)」
提督「(本当に大和撫子なんだよなぁ)」
提督「(…その大和撫子が、夜はあんなに…なぁ)」ムラムラ
提督「(いかん! 執務中だ、煩悩は退散させねば!)」
提督「(……だが……)」
提督「今月は来る中規模作戦に備え、資源備蓄を強化しようと思っている」
大和「はい」
提督「大和をはじめ、戦艦級には悪いと思うが出撃の回数は減っていくだろう」
提督「先日も言ったが秘書艦、頼りにしているぞ」
大和「了解いたしました。お任せください」ニコッ
提督「(…可愛い)」
提督「今日から数週間は駆逐艦・軽巡洋艦を中心とした遠征の管理を手伝ってもらう」
提督「事務仕事が続くが、それほど忙しくはない」
提督「今日ものんびり、やっていこう」
大和「はい!」
提督「……」
大和「……」
提督「……」
大和「……あの」
提督「ん?」
大和「他にやることは…何か?」
提督「……ない」
大和「無いのですか?」
提督「あぁ、無い。遠征の報告や管理の体制は既に整っている」
提督「秘書艦を頼んだものの、そこまでやることはないんだ」
大和「そ、そうですか…」
提督「まぁ、今日もある程度自由に行動して構わないよ」
大和「わ、わかりました」
大和「では、鎮守府の様子を見てきますね」ガチャ
提督「…………」
提督「(……可愛い)」
提督「(……可愛いんだよなぁ、大和)」
提督「(ああやって真面目で清楚で大人しくて)」
提督「(本当に大和撫子なんだよなぁ)」
提督「(…その大和撫子が、夜はあんなに…なぁ)」ムラムラ
提督「(いかん! 執務中だ、煩悩は退散させねば!)」
提督「(……だが……)」
5: ましろ ◆6uMbaiUCWg 2018/01/05(金) 01:00:48.99 ID:AEBtLTM/0
【昨夜 提督の部屋】
大和「提督、もっと近寄ってもいいですか?」
提督「ん、あぁ…」
大和「では」ズイッ
提督「うん、近いな」
大和「そうでしょうか」グイ
提督「うん…色々当たってるな」
大和「…失礼、します」チュッ
提督「んっ…」チュッ
大和「んっ……はぁ💛 キス、もっといいですか?」
提督「気が済むまでやればいいさ」
大和「…はい!」チュッ
大和「ふっ…ふぅ💛 んっ…」
大和「ん…んぅ…💛」ドサッ
提督「(ん…押し倒される格好に)」
大和「はぁ…はぁ…💛」
提督「(これはスイッチはいったな)」サスサス
大和「ひゃっ…んんっ💛」
提督「(大和、下半身が隙だらけだ)」
提督「(両腕を俺の頭の横に置いていたらそれは大和がいくらでもキスができる)」
提督「(だが…俺の両手は自由なんだ)」
提督「(こうやって腰のあたりに手を伸ばして、服のから…)」サスサス
大和「あぁ…ん…💛」
提督「(優しく体を確かめる)」サスサス
大和「んっ💛 んっ💛」
提督「(徐々に手を大和の腰から下になぞっていき)」
大和「は…ぁん💛」モゾモゾ
提督「(スカートから見えるすべすべの太ももに)」スリスリ
大和「あっ💛 ひゃあっ💛 んんっ💛」
提督「(触れるか触れないかの手つきでスカートの中の肌を愛撫する)」
大和「だ、だめぇ…💛」
提督「っ!」ゾクゾク
提督「(大和はこれが大好きなんだよなぁ)」
提督「(こうやってキスしながら太ももの付け根あたりを愛撫されるのが、な)」
大和「あ…あぁっ💛 あぁん💛」
大和「提督、もっと近寄ってもいいですか?」
提督「ん、あぁ…」
大和「では」ズイッ
提督「うん、近いな」
大和「そうでしょうか」グイ
提督「うん…色々当たってるな」
大和「…失礼、します」チュッ
提督「んっ…」チュッ
大和「んっ……はぁ💛 キス、もっといいですか?」
提督「気が済むまでやればいいさ」
大和「…はい!」チュッ
大和「ふっ…ふぅ💛 んっ…」
大和「ん…んぅ…💛」ドサッ
提督「(ん…押し倒される格好に)」
大和「はぁ…はぁ…💛」
提督「(これはスイッチはいったな)」サスサス
大和「ひゃっ…んんっ💛」
提督「(大和、下半身が隙だらけだ)」
提督「(両腕を俺の頭の横に置いていたらそれは大和がいくらでもキスができる)」
提督「(だが…俺の両手は自由なんだ)」
提督「(こうやって腰のあたりに手を伸ばして、服のから…)」サスサス
大和「あぁ…ん…💛」
提督「(優しく体を確かめる)」サスサス
大和「んっ💛 んっ💛」
提督「(徐々に手を大和の腰から下になぞっていき)」
大和「は…ぁん💛」モゾモゾ
提督「(スカートから見えるすべすべの太ももに)」スリスリ
大和「あっ💛 ひゃあっ💛 んんっ💛」
提督「(触れるか触れないかの手つきでスカートの中の肌を愛撫する)」
大和「だ、だめぇ…💛」
提督「っ!」ゾクゾク
提督「(大和はこれが大好きなんだよなぁ)」
提督「(こうやってキスしながら太ももの付け根あたりを愛撫されるのが、な)」
大和「あ…あぁっ💛 あぁん💛」
6: ましろ ◆6uMbaiUCWg 2018/01/05(金) 01:01:38.44 ID:AEBtLTM/0
【鎮守府 廊下】
大和「(鎮守府の見回り…艦隊の士気が低下していないか)」
大和「(しっかりと確認しないと!)」
…………
……
…
大和「(よし、みんなの体調等の確認はこれで終わりね)」
大和「(……少し、中庭で休んでいこうかな)」
大和「(んんっ……いい天気、日差しがとても気持ちいいわ)」ノビー
大和「(……提督)」
大和「(大和は…あなたのお役に立っているのでしょうか)」
大和「(……だめだめ、こんな暗い考えをしてちゃ!)」
大和「(何か楽しいことを考えましょう)」
大和「(…………)」
大和「(……昨日の提督、よかったなぁ)」モンモン
大和「(鎮守府の見回り…艦隊の士気が低下していないか)」
大和「(しっかりと確認しないと!)」
…………
……
…
大和「(よし、みんなの体調等の確認はこれで終わりね)」
大和「(……少し、中庭で休んでいこうかな)」
大和「(んんっ……いい天気、日差しがとても気持ちいいわ)」ノビー
大和「(……提督)」
大和「(大和は…あなたのお役に立っているのでしょうか)」
大和「(……だめだめ、こんな暗い考えをしてちゃ!)」
大和「(何か楽しいことを考えましょう)」
大和「(…………)」
大和「(……昨日の提督、よかったなぁ)」モンモン
7: ましろ ◆6uMbaiUCWg 2018/01/05(金) 01:02:05.22 ID:AEBtLTM/0
【昨夜 提督の部屋】
大和「(あっ♡ 太ももっ♡ 気持ちいいですっ♡)」
大和「(その優しい手つきでっ♡ もっと撫でで♡ もっと触って♡)」
大和「(もっと……焦らしてくださいっ♡)」
大和「(んっ♡ ふぁっ♡ そっ、そこっ♡ だめですっ♡)」
大和「(はぁっ♡ んやぁっ♡)」
大和「(優しいキス……優しい手つき……全部好きですっ♡)」
大和「(もっと色んなところを、触ってくださいっ♡)」
大和「(あっ♡ 太ももっ♡ 気持ちいいですっ♡)」
大和「(その優しい手つきでっ♡ もっと撫でで♡ もっと触って♡)」
大和「(もっと……焦らしてくださいっ♡)」
大和「(んっ♡ ふぁっ♡ そっ、そこっ♡ だめですっ♡)」
大和「(はぁっ♡ んやぁっ♡)」
大和「(優しいキス……優しい手つき……全部好きですっ♡)」
大和「(もっと色んなところを、触ってくださいっ♡)」
8: ましろ ◆6uMbaiUCWg 2018/01/05(金) 01:02:34.27 ID:AEBtLTM/0
【鎮守府 中庭】
大和「(……ぼーっ)」モンモン
武蔵「なにぼーっとしてるんだ?」
大和「ひゃっ!? 武蔵!?」ビクッ
武蔵「そんな驚くことはないだろう…ほれ、団子でも食え」
大和「あ、ええ、頂くわ……」モキュモキュ
武蔵「……」モキュモキュ
大和「……」モキュモキュ
武蔵「……提督のことか?」
大和「んんっ! い、いきなりなに!?」
武蔵「上の空というか、恋する乙女の表情だったな、さっきの大和は」ニヤニヤ
大和「そ、そんなことはありませんっ」
武蔵「では発情した雌犬だな、とてもいやらしい顔つきだった」ニヤニヤ
大和「む、武蔵っ!」プンスカ
武蔵「ははっ、からかいがいがある姉だ」ケラケラ
大和「もうっ……」モキュモキュ
武蔵「で、何が不満なんだ?」
大和「提督に不満は何もありませんっ」
武蔵「そうか? そうは見えなかったな」
大和「…………」
武蔵「……」
大和「……言わないでよ?」
武蔵「言うわけないだろう? 妹を信用しろ」モキュモキュ
大和「……恥ずかしいんだけど、ね?」
武蔵「あぁ」モキュモキュ
大和「……最近、や、夜戦の回数が多くないかな、って、……」
武蔵「……」
大和「勿論、現状に不満があるわけじゃなくて、ただ…」
武蔵「ただ?」
大和「……提督に、はしたない女だって、思われてないかしら……」
武蔵「……別にいいだろう、はしたなくて」
大和「えぇっ!?」
武蔵「姉貴がはしたないのは夜戦の時だけだろう?」
武蔵「普段とのギャップがあるからこそ、提督もその気になっているんじゃないか」
大和「そ、そうなの?」
武蔵「私はそう思うぞ。普段は清楚にしていても夜戦の時は……って感じに」
大和「そういうものなのかしら……」
武蔵「男とはそういうものだ。提督殿もその一人といえよう」
武蔵「そうだな……趣向を変えて、スローセックスなるものをしてみてはどうだろうか」
大和「す、すろーせっく…ってなに?」
武蔵「ふふ……聞いて驚くな。夫婦にとっての最高にして頂点の時間らしい」
大和「(……ぼーっ)」モンモン
武蔵「なにぼーっとしてるんだ?」
大和「ひゃっ!? 武蔵!?」ビクッ
武蔵「そんな驚くことはないだろう…ほれ、団子でも食え」
大和「あ、ええ、頂くわ……」モキュモキュ
武蔵「……」モキュモキュ
大和「……」モキュモキュ
武蔵「……提督のことか?」
大和「んんっ! い、いきなりなに!?」
武蔵「上の空というか、恋する乙女の表情だったな、さっきの大和は」ニヤニヤ
大和「そ、そんなことはありませんっ」
武蔵「では発情した雌犬だな、とてもいやらしい顔つきだった」ニヤニヤ
大和「む、武蔵っ!」プンスカ
武蔵「ははっ、からかいがいがある姉だ」ケラケラ
大和「もうっ……」モキュモキュ
武蔵「で、何が不満なんだ?」
大和「提督に不満は何もありませんっ」
武蔵「そうか? そうは見えなかったな」
大和「…………」
武蔵「……」
大和「……言わないでよ?」
武蔵「言うわけないだろう? 妹を信用しろ」モキュモキュ
大和「……恥ずかしいんだけど、ね?」
武蔵「あぁ」モキュモキュ
大和「……最近、や、夜戦の回数が多くないかな、って、……」
武蔵「……」
大和「勿論、現状に不満があるわけじゃなくて、ただ…」
武蔵「ただ?」
大和「……提督に、はしたない女だって、思われてないかしら……」
武蔵「……別にいいだろう、はしたなくて」
大和「えぇっ!?」
武蔵「姉貴がはしたないのは夜戦の時だけだろう?」
武蔵「普段とのギャップがあるからこそ、提督もその気になっているんじゃないか」
大和「そ、そうなの?」
武蔵「私はそう思うぞ。普段は清楚にしていても夜戦の時は……って感じに」
大和「そういうものなのかしら……」
武蔵「男とはそういうものだ。提督殿もその一人といえよう」
武蔵「そうだな……趣向を変えて、スローセックスなるものをしてみてはどうだろうか」
大和「す、すろーせっく…ってなに?」
武蔵「ふふ……聞いて驚くな。夫婦にとっての最高にして頂点の時間らしい」
9: ましろ ◆6uMbaiUCWg 2018/01/05(金) 01:03:16.31 ID:AEBtLTM/0
【鎮守府 廊下】
大和「(もう! 武蔵ったら!)」
大和「(別に悩んでいたわけじゃないのに……!)」
大和「(……スローセックス)」
大和「(どういうエッチなのかしら?)」
大和「(もう! 武蔵ったら!)」
大和「(別に悩んでいたわけじゃないのに……!)」
大和「(……スローセックス)」
大和「(どういうエッチなのかしら?)」
10: ましろ ◆6uMbaiUCWg 2018/01/05(金) 01:03:44.36 ID:AEBtLTM/0
【鎮守府 執務室】
提督「お疲れ様、大和。今日はこれでおしまい」
大和「はい、提督こそお疲れ様でした」
大和「……あの、つかぬことを伺いますが」
提督「うん」
大和「スローセックスとは何ですか?」
提督「へぁっ!?」
大和「む、武蔵からきいたので! 気になっていたんです!」
提督「お、おぉう……そうか……」
提督「ん~……」ウデクミ
大和「」ジー
提督「大和よ」
大和「はい」
提督「すけべだなぁ」
大和「提督~!」ドゴォン
提督「ちょ、ちょっとからかっただけだから!」
大和「恥をしのんで伺ったんです! も、もういいですから!」ササッ
提督「まぁ、待ちなさい」ギュッ
大和「!」
提督「今日、やってみようか」
大和「……提督が、やりたいのであれば……大和は、お供します」カァァ
提督「お疲れ様、大和。今日はこれでおしまい」
大和「はい、提督こそお疲れ様でした」
大和「……あの、つかぬことを伺いますが」
提督「うん」
大和「スローセックスとは何ですか?」
提督「へぁっ!?」
大和「む、武蔵からきいたので! 気になっていたんです!」
提督「お、おぉう……そうか……」
提督「ん~……」ウデクミ
大和「」ジー
提督「大和よ」
大和「はい」
提督「すけべだなぁ」
大和「提督~!」ドゴォン
提督「ちょ、ちょっとからかっただけだから!」
大和「恥をしのんで伺ったんです! も、もういいですから!」ササッ
提督「まぁ、待ちなさい」ギュッ
大和「!」
提督「今日、やってみようか」
大和「……提督が、やりたいのであれば……大和は、お供します」カァァ
11: ましろ ◆6uMbaiUCWg 2018/01/05(金) 01:04:17.14 ID:AEBtLTM/0
【鎮守府 提督の部屋】
提督「お、風呂上がりはやっぱりいいねぇ」
大和「ジロジロ見すぎです、そんなにバスローブ姿がいいんですか?」
提督「だってその中何も着てないじゃないか」
大和「っ! そ、そうですけど……」カァァ
提督「(恥じらう姿がまた可愛いなぁ)」
提督「さ、こっちきて」
大和「……えっと、どのように座れば?」
提督「俺が胡坐かいてるところに、俺と同じ向きで座って」
大和「で、では失礼して……」ポフ
提督「(!!! すっげぇいい匂い! なんなの!? 髪結いでないからなの!?)」
提督「(それにバスローブもなんか薄いし! もう体の柔らかい感触がやばいんだけど!)」ギンッギン
大和「あの……重くないですか?」
提督「(今すぐ押し倒してメチャクチャにしたい! 思いっきり腰振りたい!)」ギンッギン
提督「えあ、あぇあ…うん、重くないよ」
大和「……はい」
提督「……大和、手」スッ
大和「はい」ギュッ
提督「……」
大和「……」キュン
提督「……」
大和「……あの、これから何かするんですか?」
提督「あぁ、大和の言ってたやつ?」
大和「は、はい」カァァ
提督「あれはね、大雑把にいうとすっごい長時間の行為、ってことなんだ」
大和「そうなんですか」
提督「何時間、何日もかけて行為を楽しんで……っていうものなんだ」
提督「……大和」
大和「はい」チュッ
大和「はぁっ♡、あぁん……♡」チュッッチュ
大和「(あ…やっぱり、好き♡)」
大和「(提督とするキス、すきっ♡)」
大和「あっ♡ そっち、むきますね♡」スッ
提督「あぁ」
提督「お、風呂上がりはやっぱりいいねぇ」
大和「ジロジロ見すぎです、そんなにバスローブ姿がいいんですか?」
提督「だってその中何も着てないじゃないか」
大和「っ! そ、そうですけど……」カァァ
提督「(恥じらう姿がまた可愛いなぁ)」
提督「さ、こっちきて」
大和「……えっと、どのように座れば?」
提督「俺が胡坐かいてるところに、俺と同じ向きで座って」
大和「で、では失礼して……」ポフ
提督「(!!! すっげぇいい匂い! なんなの!? 髪結いでないからなの!?)」
提督「(それにバスローブもなんか薄いし! もう体の柔らかい感触がやばいんだけど!)」ギンッギン
大和「あの……重くないですか?」
提督「(今すぐ押し倒してメチャクチャにしたい! 思いっきり腰振りたい!)」ギンッギン
提督「えあ、あぇあ…うん、重くないよ」
大和「……はい」
提督「……大和、手」スッ
大和「はい」ギュッ
提督「……」
大和「……」キュン
提督「……」
大和「……あの、これから何かするんですか?」
提督「あぁ、大和の言ってたやつ?」
大和「は、はい」カァァ
提督「あれはね、大雑把にいうとすっごい長時間の行為、ってことなんだ」
大和「そうなんですか」
提督「何時間、何日もかけて行為を楽しんで……っていうものなんだ」
提督「……大和」
大和「はい」チュッ
大和「はぁっ♡、あぁん……♡」チュッッチュ
大和「(あ…やっぱり、好き♡)」
大和「(提督とするキス、すきっ♡)」
大和「あっ♡ そっち、むきますね♡」スッ
提督「あぁ」
12: ましろ ◆6uMbaiUCWg 2018/01/05(金) 01:05:00.32 ID:AEBtLTM/0
【鎮守府 提督の部屋】
大和「あっ、あぁん…、提督♡」
大和「(そこ、敏感になってっ♡)」
大和「んああぁっ♡」ビクッ
提督「(まだ太もも撫でただけなんだけどなぁ)」サスリサスリ
大和「は…あっ♡」
大和「(声、でちゃう……っ♡)」
提督「(そろそろ、かな)」
提督「大和、布団のうえに」
大和「は……い」トサッ
大和「提督、優しく…お願いします」
提督「あぁ、善処する」
提督「(まずは敏感な場所の周りから……)」
提督「(豊満なふたつの山の頂)」
提督「(その、まわり)」スススス
大和「あぁっ♡ ふぅんっ♡」
大和「(いつもより……もどかしい♡)」
大和「ああんっ、ああ…ま、またぁ…♡」ビクンッ
大和「もどかしくてぇ、つらいのぉ♡ 我慢できないのぉ……ああん♡」
提督「(でも、おあずけ)」スッ
大和「あっ♡ も、もっと……♡」
提督「はいよ」スリスリ
大和「そ、そこじゃなくてぇっ♡ もっと、もっとっぉっ♡」
提督「もっと?」
大和「いやぁ♡ やだぁっ♡」
提督「ここでいいんだよね?」サスサス
大和「いじわる、しないでぇっ♡ 触って♡ 触ってよぉっ♡」
提督「もどかしい?」
大和「もどかしいのっ♡ ちゃんと触ってぇっ♡」
提督「……スローセックスは、これを何時間も続けるんだ」
大和「無理っ♡ そんなの無理っ♡」カクカク
提督「こら、女性が腰振っちゃいけません」
大和「だって♡ だってぇ♡」ハァハァ
提督「まだ続けるよ、今度はあしの付け根」
大和「ひゃっ♡ あっ♡」
提督「もっと?」
大和「いやぁ♡ やだぁっ♡」
提督「ここでいいんだよね?」サスサス
大和「いじわる、しないでぇっ♡ 触って♡ 触ってよぉっ♡」
大和「あっ、あぁん…、提督♡」
大和「(そこ、敏感になってっ♡)」
大和「んああぁっ♡」ビクッ
提督「(まだ太もも撫でただけなんだけどなぁ)」サスリサスリ
大和「は…あっ♡」
大和「(声、でちゃう……っ♡)」
提督「(そろそろ、かな)」
提督「大和、布団のうえに」
大和「は……い」トサッ
大和「提督、優しく…お願いします」
提督「あぁ、善処する」
提督「(まずは敏感な場所の周りから……)」
提督「(豊満なふたつの山の頂)」
提督「(その、まわり)」スススス
大和「あぁっ♡ ふぅんっ♡」
大和「(いつもより……もどかしい♡)」
大和「ああんっ、ああ…ま、またぁ…♡」ビクンッ
大和「もどかしくてぇ、つらいのぉ♡ 我慢できないのぉ……ああん♡」
提督「(でも、おあずけ)」スッ
大和「あっ♡ も、もっと……♡」
提督「はいよ」スリスリ
大和「そ、そこじゃなくてぇっ♡ もっと、もっとっぉっ♡」
提督「もっと?」
大和「いやぁ♡ やだぁっ♡」
提督「ここでいいんだよね?」サスサス
大和「いじわる、しないでぇっ♡ 触って♡ 触ってよぉっ♡」
提督「もどかしい?」
大和「もどかしいのっ♡ ちゃんと触ってぇっ♡」
提督「……スローセックスは、これを何時間も続けるんだ」
大和「無理っ♡ そんなの無理っ♡」カクカク
提督「こら、女性が腰振っちゃいけません」
大和「だって♡ だってぇ♡」ハァハァ
提督「まだ続けるよ、今度はあしの付け根」
大和「ひゃっ♡ あっ♡」
提督「もっと?」
大和「いやぁ♡ やだぁっ♡」
提督「ここでいいんだよね?」サスサス
大和「いじわる、しないでぇっ♡ 触って♡ 触ってよぉっ♡」
13: ましろ ◆6uMbaiUCWg 2018/01/05(金) 01:05:40.32 ID:AEBtLTM/0
提督「もどかしい?」
大和「もどかしいのっ♡ ちゃんと触ってぇっ♡」
提督「……スローセックスは、これを何時間も続けるんだ」
大和「無理っ♡ そんなの無理っ♡」カクカク
提督「こら、女性が腰振っちゃいけません」
大和「だって♡ だってぇ♡」ハァハァ
提督「まだ続けるよ、今度はあしの付け根」
大和「ひゃっ♡ あっ♡」
大和「ゆるひてっ♡ 絶対むりぃ♡ おあずけなんてぇ♡」
提督「それを続けるんだ」
大和「な、なんでもいうこと聞くからっ♡ なんでもするからぁっ♡」
提督「そうか……なんでもいうこときくし、なんでもするんだな?」
大和「はぃっ♡ 誓いましゅっ♡」
提督「まずは……キスだな、舌をからませない、フレンチキス」
大和「ひゃいっ♡」チュ
提督「んっ」チュ
提督「(太ももをまさぐってたら手がぐちょぐちょになってきた)」
提督「(愛液がとどまることをしらんな)」
大和「ち、乳首♡ 優しくっ♡ いじめてぇ♡」
提督「(……周りならな)」ススス
大和「んぁっ♡ ち、乳首っ♡ そこじゃないのぉっ♡」
大和「もっと、もっとぉぉ♡」
大和「んあああああっ♡ やぁんっ! あっ、あぁっ、あああっ!」
大和「もっと強くしてっ♡ ぎゅって、してぇ♡」
提督「(なんていやらしいんだ)」
提督「大和はスケベになっちゃのかな?」
大和「こ、こんなのっ♡ 提督っ♡ あなただけ♡ あなただけなのぉっ♡」
大和「好きなっ♡ 好きな人だけ、ですっ♡」
提督「大和のはしたなくて恥ずかしい姿を、もっと見たいな」サスサス
大和「見てっ♡ もっとはしたないとこっ♡ 恥ずかしいところっ、見てぇ♡」
提督「(…………)」
提督「(それから数時間、もどかしい責め苦を大和は受けた)」
提督「(敏感なところは一度も触れず、体中が疼くのを耐えながら大和は眠っていた)」
大和「もどかしいのっ♡ ちゃんと触ってぇっ♡」
提督「……スローセックスは、これを何時間も続けるんだ」
大和「無理っ♡ そんなの無理っ♡」カクカク
提督「こら、女性が腰振っちゃいけません」
大和「だって♡ だってぇ♡」ハァハァ
提督「まだ続けるよ、今度はあしの付け根」
大和「ひゃっ♡ あっ♡」
大和「ゆるひてっ♡ 絶対むりぃ♡ おあずけなんてぇ♡」
提督「それを続けるんだ」
大和「な、なんでもいうこと聞くからっ♡ なんでもするからぁっ♡」
提督「そうか……なんでもいうこときくし、なんでもするんだな?」
大和「はぃっ♡ 誓いましゅっ♡」
提督「まずは……キスだな、舌をからませない、フレンチキス」
大和「ひゃいっ♡」チュ
提督「んっ」チュ
提督「(太ももをまさぐってたら手がぐちょぐちょになってきた)」
提督「(愛液がとどまることをしらんな)」
大和「ち、乳首♡ 優しくっ♡ いじめてぇ♡」
提督「(……周りならな)」ススス
大和「んぁっ♡ ち、乳首っ♡ そこじゃないのぉっ♡」
大和「もっと、もっとぉぉ♡」
大和「んあああああっ♡ やぁんっ! あっ、あぁっ、あああっ!」
大和「もっと強くしてっ♡ ぎゅって、してぇ♡」
提督「(なんていやらしいんだ)」
提督「大和はスケベになっちゃのかな?」
大和「こ、こんなのっ♡ 提督っ♡ あなただけ♡ あなただけなのぉっ♡」
大和「好きなっ♡ 好きな人だけ、ですっ♡」
提督「大和のはしたなくて恥ずかしい姿を、もっと見たいな」サスサス
大和「見てっ♡ もっとはしたないとこっ♡ 恥ずかしいところっ、見てぇ♡」
提督「(…………)」
提督「(それから数時間、もどかしい責め苦を大和は受けた)」
提督「(敏感なところは一度も触れず、体中が疼くのを耐えながら大和は眠っていた)」
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515081510/
Entry ⇒ 2018.05.16 | Category ⇒ 艦隊これくしょん | Comments (1)
比奈「CHUNITHM っスか?」
1: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/28(木) 22:38:25.69 ID:K7hW9pLJ0
モバマスSS
3作目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1504698271/
↑1作目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1504873907/
↑2作目
読まなくても大丈夫ですが、読んでおいたほうがいろいろつかみやすいかと思います。
キャラ崩壊、呼び方違い等あるかもしれません。
まったり初めて行きます
3作目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1504698271/
↑1作目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1504873907/
↑2作目
読まなくても大丈夫ですが、読んでおいたほうがいろいろつかみやすいかと思います。
キャラ崩壊、呼び方違い等あるかもしれません。
まったり初めて行きます
2: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/28(木) 22:51:14.80 ID:K7hW9pLJ0
------ある昼下がり-------
モバP(以下P表記)「~♪」トトトトトト
比奈(プロデューサーが机でなんかしてるっスね)
比奈(歌いながらってか曲聴きながら机を叩いてる…?)
P「~~♪」バンッ!バンッ!トトトトト…
比奈(今度は両手で机叩いたと思ったら片手でリズムとってる?)
比奈(本当に何してるンスかねえ…)
比奈(聞いてみようかな)
比奈「プロデューサー。プロデューサー!」
P「~~~♪」タタタタッ。タタタタッ
比奈(聞こえていない。ただのしかばねのようだ)
比奈(ってしかばねじゃないっス)
比奈「プロデューサー」トントン
P「~~♪ っておう。比奈か。どうした?」
比奈「何回もよんでたんスけど聞こえてなかったようで」
P「あー。ごめんごめん。気付かなかったや。」
P「なんかあったかな?」
比奈「いや、何してるのかなーって思っただけっス」
P「あーこれか。見られたか。」
比奈「バッチリ」
モバP(以下P表記)「~♪」トトトトトト
比奈(プロデューサーが机でなんかしてるっスね)
比奈(歌いながらってか曲聴きながら机を叩いてる…?)
P「~~♪」バンッ!バンッ!トトトトト…
比奈(今度は両手で机叩いたと思ったら片手でリズムとってる?)
比奈(本当に何してるンスかねえ…)
比奈(聞いてみようかな)
比奈「プロデューサー。プロデューサー!」
P「~~~♪」タタタタッ。タタタタッ
比奈(聞こえていない。ただのしかばねのようだ)
比奈(ってしかばねじゃないっス)
比奈「プロデューサー」トントン
P「~~♪ っておう。比奈か。どうした?」
比奈「何回もよんでたんスけど聞こえてなかったようで」
P「あー。ごめんごめん。気付かなかったや。」
P「なんかあったかな?」
比奈「いや、何してるのかなーって思っただけっス」
P「あーこれか。見られたか。」
比奈「バッチリ」
3: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/28(木) 23:00:57.60 ID:K7hW9pLJ0
P「いやはや、恥ずかしい」
比奈「んで、なにしてたんスか?」
P「これか?んー…練習?」
比奈「練習…まさかプロデューサーもアイドルに…!?」
P「俺も歌って踊れるアイドルに!ってんなわけあるか。」
比奈「…そうっスよね」
P「当たり前よ。さっきやってたのは俺のやってる音ゲーの練習ってか癖みたいなもんだよ」
比奈「そうっスか。あんまり詳しくないもんで」
P「チュウニズムって音ゲーなんだけどね」
比奈「ちゅうにずむ…?こんなんスか?」シュバッ
比奈(中二病独特のポーズを取る)
P「俺も最初そう思ったけど、違うね。」
P「それだと後輩Pくんが担当してる蘭子ちゃんと飛鳥ちゃんみたくなるね」
比奈「ハハ。そうっスよね…」テレテレ
P「そうそう。実際の表記はこうやって書くんだけどね」カキカキ
"CHUNITHM"
比奈「ふむふむ。結構やってるんスか?」
P「そこそこやってる気がするなあ。」
比奈「一人でやるんスか?」
P「まあ音ゲーだから基本一人だね」
比奈「他にやってる人とかいるっスか?」
比奈「んで、なにしてたんスか?」
P「これか?んー…練習?」
比奈「練習…まさかプロデューサーもアイドルに…!?」
P「俺も歌って踊れるアイドルに!ってんなわけあるか。」
比奈「…そうっスよね」
P「当たり前よ。さっきやってたのは俺のやってる音ゲーの練習ってか癖みたいなもんだよ」
比奈「そうっスか。あんまり詳しくないもんで」
P「チュウニズムって音ゲーなんだけどね」
比奈「ちゅうにずむ…?こんなんスか?」シュバッ
比奈(中二病独特のポーズを取る)
P「俺も最初そう思ったけど、違うね。」
P「それだと後輩Pくんが担当してる蘭子ちゃんと飛鳥ちゃんみたくなるね」
比奈「ハハ。そうっスよね…」テレテレ
P「そうそう。実際の表記はこうやって書くんだけどね」カキカキ
"CHUNITHM"
比奈「ふむふむ。結構やってるんスか?」
P「そこそこやってる気がするなあ。」
比奈「一人でやるんスか?」
P「まあ音ゲーだから基本一人だね」
比奈「他にやってる人とかいるっスか?」
4: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/28(木) 23:09:19.00 ID:K7hW9pLJ0
P「俺の知ってるPはほとんどかな?」
P「鰐P、梨P、後輩P、それに美穂P、文香P、奏P、アナスタシアP」
P「この辺はやってるね。」
P「後輩Pくんとは同じくらいだけど、鰐Pが一番アレやな。」
比奈「アレとは?」
P「ん?人間やめてる。」
比奈「・・・は?」
P「人間やめてる。まあ鰐だからな」
比奈「鰐なら仕方ないっスね。…ん?」
P「まあ冗談だけどね。」
-------------------
鰐P「ハーーーーックシュン!!」
美優「鰐Pさん大丈夫ですか?」
薫「せんせぇ、だいじょうぶ?」
楓「酒は百薬の長と言います。今夜飲みに行きましょう」
------------------
比奈「ですよねー。」
P「流石にね。でもあいつが一番うまいんじゃない?多分」
比奈「そうなんスか。ちょっと気になるっスね。」
P「鰐P、梨P、後輩P、それに美穂P、文香P、奏P、アナスタシアP」
P「この辺はやってるね。」
P「後輩Pくんとは同じくらいだけど、鰐Pが一番アレやな。」
比奈「アレとは?」
P「ん?人間やめてる。」
比奈「・・・は?」
P「人間やめてる。まあ鰐だからな」
比奈「鰐なら仕方ないっスね。…ん?」
P「まあ冗談だけどね。」
-------------------
鰐P「ハーーーーックシュン!!」
美優「鰐Pさん大丈夫ですか?」
薫「せんせぇ、だいじょうぶ?」
楓「酒は百薬の長と言います。今夜飲みに行きましょう」
------------------
比奈「ですよねー。」
P「流石にね。でもあいつが一番うまいんじゃない?多分」
比奈「そうなんスか。ちょっと気になるっスね。」
5: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/28(木) 23:19:05.91 ID:K7hW9pLJ0
P「なら今日一緒にゲーセン行くか。まあそんなに人もいないから大丈夫だろう」
P「まあ比奈がいいならだけどね」
比奈「お、行きたいっスー。」
P「じゃあ行くか。」
比奈「楽しみにしておきますねー」
比奈(これは実質プロデューサーとデートなのでは…?)カァ
ちひろ「仕事ちゃんと片付けてくださいね?」
P「あ、ちひろさんいたんですか。大丈夫です。そのへんはぬかりありません。」
ちひろ「なっ!!最初からいましたよ!!」
P「HAHAHA!スミマセン」
ちひろ「もう!!」プクー
P「すみませんって。じゃあ比奈後でな。」
比奈「はいっスー。」
------------
P「んー!終わった!比奈行くぞ!!!」
比奈「私も準備ばっちしっス!」グッ
P「じゃあちひろさんあとはよろしく頼みます!お疲れ様でした!!」
ちひろ「はいはーい。お疲れ様でした。」
比奈「ちひろさん、お疲れ様っス。」
ちひろ「はい。比奈ちゃんもお疲れ様です」
P「まあ比奈がいいならだけどね」
比奈「お、行きたいっスー。」
P「じゃあ行くか。」
比奈「楽しみにしておきますねー」
比奈(これは実質プロデューサーとデートなのでは…?)カァ
ちひろ「仕事ちゃんと片付けてくださいね?」
P「あ、ちひろさんいたんですか。大丈夫です。そのへんはぬかりありません。」
ちひろ「なっ!!最初からいましたよ!!」
P「HAHAHA!スミマセン」
ちひろ「もう!!」プクー
P「すみませんって。じゃあ比奈後でな。」
比奈「はいっスー。」
------------
P「んー!終わった!比奈行くぞ!!!」
比奈「私も準備ばっちしっス!」グッ
P「じゃあちひろさんあとはよろしく頼みます!お疲れ様でした!!」
ちひろ「はいはーい。お疲れ様でした。」
比奈「ちひろさん、お疲れ様っス。」
ちひろ「はい。比奈ちゃんもお疲れ様です」
6: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/28(木) 23:27:26.58 ID:K7hW9pLJ0
-------ゲーセン--------
P「さて、着いたわけだけど。最初は両替機とトイレだな。」
比奈「私のいること忘れてないっスよね?」
P「・・・・・・忘れてないよ」
比奈「今の間はなんスか。」
P「つい…普段一人だから…」
比奈「・・・スイマセン」
P「やめろ。哀れむ目で見るのはやめろ。ってことでちょっと待ってて」
比奈「はいっス。」
-------------
P「おまたせ」
比奈「いえいえ。大丈夫っス」
P「じゃあ向かうか。」テクテク
比奈 パタパタ
P「これがそれなんだけど」
CHUNITHM STAR
比奈「へーこれがそうなんすね。あれ?ボタンが見当たらないっスけど」
P「ボタンはなくて、このスライダー?があるのと、横にエアーの感知するセンサーがあるんだよね」
比奈「なんか不思議っスねー」
P「俺も最初は戸惑ったわ。とりあえず1プレイやるわ。」
比奈「じゃあ私は見てるっス」
P「さて、着いたわけだけど。最初は両替機とトイレだな。」
比奈「私のいること忘れてないっスよね?」
P「・・・・・・忘れてないよ」
比奈「今の間はなんスか。」
P「つい…普段一人だから…」
比奈「・・・スイマセン」
P「やめろ。哀れむ目で見るのはやめろ。ってことでちょっと待ってて」
比奈「はいっス。」
-------------
P「おまたせ」
比奈「いえいえ。大丈夫っス」
P「じゃあ向かうか。」テクテク
比奈 パタパタ
P「これがそれなんだけど」
CHUNITHM STAR
比奈「へーこれがそうなんすね。あれ?ボタンが見当たらないっスけど」
P「ボタンはなくて、このスライダー?があるのと、横にエアーの感知するセンサーがあるんだよね」
比奈「なんか不思議っスねー」
P「俺も最初は戸惑ったわ。とりあえず1プレイやるわ。」
比奈「じゃあ私は見てるっス」
7: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/28(木) 23:42:12.78 ID:K7hW9pLJ0
P「っと100円。」
デーン!
~~~~♪
モードヲセンタクシテネ!マップヲセンタクシテネ!
チケットヲセンタクシテネ!
P「ここから曲を選ぶんだが」
比奈「いろんな曲があるんスね。」
比奈「あ、これは今問題になってるアニメのOPじゃないっスか」
P「そうなんだよ。早いとこいい方向に向かってって欲しいけどね」
P「じゃあ最初はこの曲にしようか」
welcome to ようこそジャーパリパー…
---------------
P「やっぱり楽しい譜面だわ。」
比奈「なんかすごかったっス。譜面が譜面っぽくなかったっス」
P「そこがCHUNITHMのいいところだと思うんだよね。」
P「さて、次は…この前10周年迎えたし」
比奈「電子の歌姫っスね!」
P「そうそう。その中でも好きなこれで」
ボクハウマレソシテキヅク…
-------------
P「ハァ…ハァ…やっぱり後半ゲーだわ…」
比奈「なんかすごかったっス…にしても汗やばいっスよ?」
P「もともと汗っかきだから…」
P「最後は簡単な曲にする…」
デーン!
~~~~♪
モードヲセンタクシテネ!マップヲセンタクシテネ!
チケットヲセンタクシテネ!
P「ここから曲を選ぶんだが」
比奈「いろんな曲があるんスね。」
比奈「あ、これは今問題になってるアニメのOPじゃないっスか」
P「そうなんだよ。早いとこいい方向に向かってって欲しいけどね」
P「じゃあ最初はこの曲にしようか」
welcome to ようこそジャーパリパー…
---------------
P「やっぱり楽しい譜面だわ。」
比奈「なんかすごかったっス。譜面が譜面っぽくなかったっス」
P「そこがCHUNITHMのいいところだと思うんだよね。」
P「さて、次は…この前10周年迎えたし」
比奈「電子の歌姫っスね!」
P「そうそう。その中でも好きなこれで」
ボクハウマレソシテキヅク…
-------------
P「ハァ…ハァ…やっぱり後半ゲーだわ…」
比奈「なんかすごかったっス…にしても汗やばいっスよ?」
P「もともと汗っかきだから…」
P「最後は簡単な曲にする…」
8: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/28(木) 23:54:38.99 ID:K7hW9pLJ0
P「少し前に大ヒットした映画の曲にしよう」
比奈「私もこれ見て泣いたっス…」
P「俺も泣いた。というわけで」
キミノゼンゼンゼンセカラボクハ…
-------
P「基本100円で3曲プレイできると」
コンテニュースル?
SEE YOU NEXT PLAY
P「これが1連の流れだよ。さあ比奈もやろう!」
比奈「とりあえずやってみるっス…」
P「チュートリアルはちゃんと見ておいたほうがいいよ。」
比奈「おっけーっス」グッ
-----------
ね?簡単でしょ?
比奈「確かにこんだけだと簡単っスね」
P「そのペンギンには気をつけたほうがいいぞ…」
比奈「そうなんスか?」
P「うん…まあとりあえず曲数多いからしってる曲からやって行けばいいと思うよ」
比奈「おっけーっス。にしてもいろいろありますねえ。」
P「本当だよね。俺は隣の筐体でやってるから、終わったら声かけて。」
P「俺もある程度したら声かけるから」
比奈「はいっス。」
比奈「私もこれ見て泣いたっス…」
P「俺も泣いた。というわけで」
キミノゼンゼンゼンセカラボクハ…
-------
P「基本100円で3曲プレイできると」
コンテニュースル?
SEE YOU NEXT PLAY
P「これが1連の流れだよ。さあ比奈もやろう!」
比奈「とりあえずやってみるっス…」
P「チュートリアルはちゃんと見ておいたほうがいいよ。」
比奈「おっけーっス」グッ
-----------
ね?簡単でしょ?
比奈「確かにこんだけだと簡単っスね」
P「そのペンギンには気をつけたほうがいいぞ…」
比奈「そうなんスか?」
P「うん…まあとりあえず曲数多いからしってる曲からやって行けばいいと思うよ」
比奈「おっけーっス。にしてもいろいろありますねえ。」
P「本当だよね。俺は隣の筐体でやってるから、終わったら声かけて。」
P「俺もある程度したら声かけるから」
比奈「はいっス。」
11: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/29(金) 21:48:27.98 ID:qowocPM20
-------数時間後--------
P「うわ、もうこんな時間だ。明日もあるからそろそろでないと」
P「比奈呼ぶか。おーい比n…ってまだやってる。ん?」
インドジンヲミギニ!インドジンヲミギニ!
P「インド人の赤譜面やってる」
P「まあ、最初はこんなもんだよなあ。俺も最初はこんなんだったな…懐かしい…」
比奈「ふぅ~。あ、プロデューサーさん終わったんですか?」
P「うん。結構な時間になってるしね。そろそろご飯でも食べて帰ろうかと」
P「比奈も一緒に行くか?この先まだやるなら軽く教えておこうかと。」
P「いつでも一緒に来れるわけでもないしね」
比奈「私もお腹すいたんで一緒にいくっス。その時に色々と教えてくださいっス。」
P「はいよー。じゃあ行こうか」
比奈「はいっスー」
P「うわ、もうこんな時間だ。明日もあるからそろそろでないと」
P「比奈呼ぶか。おーい比n…ってまだやってる。ん?」
インドジンヲミギニ!インドジンヲミギニ!
P「インド人の赤譜面やってる」
P「まあ、最初はこんなもんだよなあ。俺も最初はこんなんだったな…懐かしい…」
比奈「ふぅ~。あ、プロデューサーさん終わったんですか?」
P「うん。結構な時間になってるしね。そろそろご飯でも食べて帰ろうかと」
P「比奈も一緒に行くか?この先まだやるなら軽く教えておこうかと。」
P「いつでも一緒に来れるわけでもないしね」
比奈「私もお腹すいたんで一緒にいくっス。その時に色々と教えてくださいっス。」
P「はいよー。じゃあ行こうか」
比奈「はいっスー」
13: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/29(金) 21:59:29.08 ID:qowocPM20
------ファミレス--------
店員「いらっしゃいませー。何名様ですか?」
P「あ、二人です」
店員「お煙草はお吸いになられますか?」
P「吸わないです」
店員「かしこまりました。それではこちらの席どうぞ」
P「分かりました。」
店員「お決まりになられましたら、そちらのボタンでお呼び下さい」
P「分かりました。」
P「俺はこれでいいや。比奈はどうする?」
比奈「じゃあ私はこれで」
P「おっけ」 ピンポーン
店員「ご注文はお決まりになられましたでしょうか?」
P「これのAセットとこれのBセットを」
店員「かしこまりました。少々お待ちください」
P
店員「いらっしゃいませー。何名様ですか?」
P「あ、二人です」
店員「お煙草はお吸いになられますか?」
P「吸わないです」
店員「かしこまりました。それではこちらの席どうぞ」
P「分かりました。」
店員「お決まりになられましたら、そちらのボタンでお呼び下さい」
P「分かりました。」
P「俺はこれでいいや。比奈はどうする?」
比奈「じゃあ私はこれで」
P「おっけ」 ピンポーン
店員「ご注文はお決まりになられましたでしょうか?」
P「これのAセットとこれのBセットを」
店員「かしこまりました。少々お待ちください」
P
14: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/29(金) 22:07:55.25 ID:qowocPM20
P「んで。何から話すか」
比奈「とりあえず、なんかいろいろマップあったんでスけど、どれ進めればいいんでス?」
P「んーこれといって進めなきゃいけない!みたいなのはないんだよね。」
P「コラボしてるキャラが欲しかったりすればそのイベント進めればいいし」
P「他に気に入ったキャラがいたらそれ進めればいいしね。」
比奈「そうなんスねー。」
P「後はスキルがあるんだけど、それ求めてやるでもいいかなあ。」
比奈「スキル?ってなんです?」
P「あーまだつけてなかったか。そうかペンギンのままか」
比奈「わからなくて変えてもないんですよね…」
P「説明してなかったね。ごめん。」
P「プレイしたところの画面の上のところになんかマスみたいなのがあるんだけど」
P「スキルつけるとそれに応じて何マス埋まるかみたいなのがあるんよ」
比奈「ふむふむ」
P「キャラのレベルを上げるとスキルのレベルも上がっていってって感じ」
P「すごいざっくりしてるけど…」
比奈「まあなんとなくは、わかったような?」ケラケラ
P「説明下手で悪かったな」
比奈「とりあえず、なんかいろいろマップあったんでスけど、どれ進めればいいんでス?」
P「んーこれといって進めなきゃいけない!みたいなのはないんだよね。」
P「コラボしてるキャラが欲しかったりすればそのイベント進めればいいし」
P「他に気に入ったキャラがいたらそれ進めればいいしね。」
比奈「そうなんスねー。」
P「後はスキルがあるんだけど、それ求めてやるでもいいかなあ。」
比奈「スキル?ってなんです?」
P「あーまだつけてなかったか。そうかペンギンのままか」
比奈「わからなくて変えてもないんですよね…」
P「説明してなかったね。ごめん。」
P「プレイしたところの画面の上のところになんかマスみたいなのがあるんだけど」
P「スキルつけるとそれに応じて何マス埋まるかみたいなのがあるんよ」
比奈「ふむふむ」
P「キャラのレベルを上げるとスキルのレベルも上がっていってって感じ」
P「すごいざっくりしてるけど…」
比奈「まあなんとなくは、わかったような?」ケラケラ
P「説明下手で悪かったな」
15: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/29(金) 22:22:03.71 ID:qowocPM20
比奈「全然そんなことないですよ」メソラシー
P「こっちを見て言え、こっちを」
P「コッチヲミロー」
比奈「プッ・・・アハハハハ!」
P「笑いすぎだわ」
比奈「だって!いきなり…プッッッ」ケタケタ
店員「お待たせしました。こちらAセットとBセットですね」
P「あ、ありがとうございます。」
店員「ごゆっくりどうぞー」ペコー
P「比奈笑ってないで、食べるよ。いただきます」
比奈「あーお腹痛い。いただきます」
-------------------------
比奈「そういやこの"NEW COMER"ってなんです?」
P「ん?あーこれは称号だね」
比奈「称号・・・何のためにあるんスか?」
P「特にないんじゃない?つけたいのつければいいよ」
比奈「プロデューサーはなにつけてるんでス?」
P「俺?俺は"3000円払えば無料で10連まわせる"だよ」
比奈「なんスか。そのガチャみたいな称号は」
P「まあまんまガチャだよね。」
P「ガチャガチャきゅ~と・ふぃぎゅ@メイトって曲30回やればもらえるよ。」
比奈「あ、それ知ってるっス!これっスよね?」
比奈「がちゃがちゃきゅ~と。ふぃぎゅ@~♪」
(歌いながら手を回して前に広げる動作)
P「かわいい。」
P「こっちを見て言え、こっちを」
P「コッチヲミロー」
比奈「プッ・・・アハハハハ!」
P「笑いすぎだわ」
比奈「だって!いきなり…プッッッ」ケタケタ
店員「お待たせしました。こちらAセットとBセットですね」
P「あ、ありがとうございます。」
店員「ごゆっくりどうぞー」ペコー
P「比奈笑ってないで、食べるよ。いただきます」
比奈「あーお腹痛い。いただきます」
-------------------------
比奈「そういやこの"NEW COMER"ってなんです?」
P「ん?あーこれは称号だね」
比奈「称号・・・何のためにあるんスか?」
P「特にないんじゃない?つけたいのつければいいよ」
比奈「プロデューサーはなにつけてるんでス?」
P「俺?俺は"3000円払えば無料で10連まわせる"だよ」
比奈「なんスか。そのガチャみたいな称号は」
P「まあまんまガチャだよね。」
P「ガチャガチャきゅ~と・ふぃぎゅ@メイトって曲30回やればもらえるよ。」
比奈「あ、それ知ってるっス!これっスよね?」
比奈「がちゃがちゃきゅ~と。ふぃぎゅ@~♪」
(歌いながら手を回して前に広げる動作)
P「かわいい。」
16: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/29(金) 22:33:08.85 ID:qowocPM20
比奈「えっ!?」
P「かわいい」
比奈「ちょっ聞こえてるんで大丈夫っスよ!」テレテレ
P「ごめん、あまりに可愛すぎて…」
比奈「あぅ…」
P「にしてもよく知ってるな」
比奈「前に耳にしたことあって某動画サイトで見つけて見たのを覚えてただけっス」
P「俺も見てたからわかるよ。そうそう、これからやるならAimeカードあったほうがいいよ」
比奈「もう買ってあるっス」ドヤァ
P「流石です荒木先生。仕事が早い」
比奈「試しに買ってみただけっスよ。」
P「それならこれからもやっていけるね。音ゲー仲間が増えてしまった。」
比奈「フフン」ドヤドヤ
比奈「そういえば、プロデューサー、スコアとか出る画面の右下にあるあの数字はなんでス?」
P「あーあれは"レーティング"って言うのよ」
比奈「れーてぃんぐっスか」
P「まあ簡単に言えばそのプレイヤーの腕前の指標ってやつだね。」
比奈「私は緑だったな…プロデューサーは何色なんでス?」
P「俺?俺はプラチナ…」
比奈「どこなんスかそれ…」
P「青→緑→橙→赤→紫→銅→銀→金→プラチナ→虹」
比奈「上から2番目じゃないっスか!!ひええ…」
P「たいしたもんじゃないよ…」
P「かわいい」
比奈「ちょっ聞こえてるんで大丈夫っスよ!」テレテレ
P「ごめん、あまりに可愛すぎて…」
比奈「あぅ…」
P「にしてもよく知ってるな」
比奈「前に耳にしたことあって某動画サイトで見つけて見たのを覚えてただけっス」
P「俺も見てたからわかるよ。そうそう、これからやるならAimeカードあったほうがいいよ」
比奈「もう買ってあるっス」ドヤァ
P「流石です荒木先生。仕事が早い」
比奈「試しに買ってみただけっスよ。」
P「それならこれからもやっていけるね。音ゲー仲間が増えてしまった。」
比奈「フフン」ドヤドヤ
比奈「そういえば、プロデューサー、スコアとか出る画面の右下にあるあの数字はなんでス?」
P「あーあれは"レーティング"って言うのよ」
比奈「れーてぃんぐっスか」
P「まあ簡単に言えばそのプレイヤーの腕前の指標ってやつだね。」
比奈「私は緑だったな…プロデューサーは何色なんでス?」
P「俺?俺はプラチナ…」
比奈「どこなんスかそれ…」
P「青→緑→橙→赤→紫→銅→銀→金→プラチナ→虹」
比奈「上から2番目じゃないっスか!!ひええ…」
P「たいしたもんじゃないよ…」
17: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/29(金) 22:43:28.12 ID:qowocPM20
比奈「いやいや、私からしたらすごいっスよ…」
P「まあ確かにね」ハハハ
P「まあとりあえずはこんなもんかな?」
比奈「そうっスね。後はやりながら覚えていきますよ。」
P「それが一番だよ。とりあえず最初は紫よりも赤譜面より下をやることをおすすめするよ」
比奈「紫?赤譜面?」
P「あーごめんごめん。紫はmasterで赤はexpertだよ!」
比奈「あー難易度の事っスか」
P「そうそう。最初から難しい譜面やってもいいけど、とりあえず赤譜面とかやっていって」
P「取り方だったり、譜面に慣れていった方がいいかも」
P「あとAIRは片手でも取れるし、スライドは持ち替え可能だし、AIRはあげる指示出てても下げても取れるから」
P「この辺頭に置いておくと楽になるかも」
比奈「わかったっス。またやるときに試してみるっスよ」
P「そうしてみて。さてそろそろでよっか。送っていくよ」
比奈「ありがとっす。あっお金…」
P「いいっていいって。先に出てて。」
比奈「ありがとうでス…ごちそうさまでしたー」
P「いえいえー」
---------------------
P
P「まあ確かにね」ハハハ
P「まあとりあえずはこんなもんかな?」
比奈「そうっスね。後はやりながら覚えていきますよ。」
P「それが一番だよ。とりあえず最初は紫よりも赤譜面より下をやることをおすすめするよ」
比奈「紫?赤譜面?」
P「あーごめんごめん。紫はmasterで赤はexpertだよ!」
比奈「あー難易度の事っスか」
P「そうそう。最初から難しい譜面やってもいいけど、とりあえず赤譜面とかやっていって」
P「取り方だったり、譜面に慣れていった方がいいかも」
P「あとAIRは片手でも取れるし、スライドは持ち替え可能だし、AIRはあげる指示出てても下げても取れるから」
P「この辺頭に置いておくと楽になるかも」
比奈「わかったっス。またやるときに試してみるっスよ」
P「そうしてみて。さてそろそろでよっか。送っていくよ」
比奈「ありがとっす。あっお金…」
P「いいっていいって。先に出てて。」
比奈「ありがとうでス…ごちそうさまでしたー」
P「いえいえー」
---------------------
P
18: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/29(金) 22:53:09.97 ID:qowocPM20
P「っとここでいいかな?」
比奈「あ、大丈夫っス。いろいろありがとうございました」
P「いいって事よ。それじゃまた明日ね」
比奈「はいっス!おやすみなさいでス」
P「夜更かしするなよー?おやすみ」ヒラヒラ
比奈「善処するッス」ニコッ ヒラヒラ
P「比奈すぐうまくなりそうだなあ。」
prrrrrrrr
P「あっ鰐P。比奈にCHUNITHMらせたら思いのほか高評価でカードまで作ってたわ」
鰐P『はぁ!?お前とうとうやらかしたんか』
P「俺が手を出したみたいに言うのやめろや!」
P「少し休憩してる時にトリルの練習してたら見られてた」
鰐P『それで気になって聞いてきたからやらせたら見事にはまったと』
P「そんな感じだな。」
鰐P「いいぞ」
P「また増やしてしまった…そういや比奈に鰐Pは人間じゃないって言っておいたから」
鰐P「はぁ!?ふざけんな!!」
P「まあ冗談って言ったから大丈夫大丈夫」
鰐P「人間やめてないから…」
P「HAHAHA。まあまたマッチングやりに行こ。後輩Pくんも誘ってさ」
鰐P「はいよ。んじゃあまたな」
P「へーい。おやすみー。」
ピッ
P「明日も仕事頑張ろ。」
比奈「あ、大丈夫っス。いろいろありがとうございました」
P「いいって事よ。それじゃまた明日ね」
比奈「はいっス!おやすみなさいでス」
P「夜更かしするなよー?おやすみ」ヒラヒラ
比奈「善処するッス」ニコッ ヒラヒラ
P「比奈すぐうまくなりそうだなあ。」
prrrrrrrr
P「あっ鰐P。比奈にCHUNITHMらせたら思いのほか高評価でカードまで作ってたわ」
鰐P『はぁ!?お前とうとうやらかしたんか』
P「俺が手を出したみたいに言うのやめろや!」
P「少し休憩してる時にトリルの練習してたら見られてた」
鰐P『それで気になって聞いてきたからやらせたら見事にはまったと』
P「そんな感じだな。」
鰐P「いいぞ」
P「また増やしてしまった…そういや比奈に鰐Pは人間じゃないって言っておいたから」
鰐P「はぁ!?ふざけんな!!」
P「まあ冗談って言ったから大丈夫大丈夫」
鰐P「人間やめてないから…」
P「HAHAHA。まあまたマッチングやりに行こ。後輩Pくんも誘ってさ」
鰐P「はいよ。んじゃあまたな」
P「へーい。おやすみー。」
ピッ
P「明日も仕事頑張ろ。」
19: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/29(金) 23:11:09.81 ID:qowocPM20
------数日後--------
比奈「プロデューサー!見てくださいっス!」
P「んー?っては?なんでこんなにいってるん?」
比奈「楽しくて…つい…」(レート13.65)
P「やりすぎでしょ」
比奈「へへへ」
比奈「最近プロデューサー忙しそうだったから誘えなかったんですけど」
比奈「そろそろまた一緒にゲーセン行きたいって思って…」
P「そうだねえ。ここ最近は結構忙しいからね…いいことなんだけどね」ハハハ
P「今日はちょっと無理そうだから明日でもいいかな?」
比奈「私は明日は…レッスンだけだから大丈夫っスね。」
P「じゃあ明日な。明日の分も今日中に終わらせちゃうね」
比奈「無理しすぎないくださいっスよ…」
P「大丈夫!俺には心強い仲間であるちひろさんがいるから!」
ちひろ「え!?前にないがしろにしたくせに、よくそんな口が叩けますね!!」
P「謝ったじゃないですか。でもちひろさんの事本当に頼りにしてるんですよ。」
ちひろ「え、あ、本当ですか?ま、まあ少しくらいなら手伝って上げてもいいですよ!」
P(ちょっろ。大丈夫なのかこの人)
比奈(ちょろすぎって逆に心配になるっス)
P「ちひろ様!女神!天使!さて、残り頑張りましょ!」
ちひろ「も、もうそんなおだてても何も出ませんよ!」
ちひろ「しょうがないので、スタドリ差し上げます!」
P「あ、本当ですか?お代は…」
ちひろ「今回だけ特別ですよ?」
P「ありがてぇ…ありがてぇ…」
比奈「それじゃ私は帰ります。お疲れ様でス」
ちひろ「比奈ちゃんお疲れ様です」ニコッ
P「ング…ング…プハッ。おー比奈お疲れ様ーまたあしたなー。夜更かししすぎないようにねー」
比奈「わかってるっス。それじゃあ」ペコッ
比奈「プロデューサー!見てくださいっス!」
P「んー?っては?なんでこんなにいってるん?」
比奈「楽しくて…つい…」(レート13.65)
P「やりすぎでしょ」
比奈「へへへ」
比奈「最近プロデューサー忙しそうだったから誘えなかったんですけど」
比奈「そろそろまた一緒にゲーセン行きたいって思って…」
P「そうだねえ。ここ最近は結構忙しいからね…いいことなんだけどね」ハハハ
P「今日はちょっと無理そうだから明日でもいいかな?」
比奈「私は明日は…レッスンだけだから大丈夫っスね。」
P「じゃあ明日な。明日の分も今日中に終わらせちゃうね」
比奈「無理しすぎないくださいっスよ…」
P「大丈夫!俺には心強い仲間であるちひろさんがいるから!」
ちひろ「え!?前にないがしろにしたくせに、よくそんな口が叩けますね!!」
P「謝ったじゃないですか。でもちひろさんの事本当に頼りにしてるんですよ。」
ちひろ「え、あ、本当ですか?ま、まあ少しくらいなら手伝って上げてもいいですよ!」
P(ちょっろ。大丈夫なのかこの人)
比奈(ちょろすぎって逆に心配になるっス)
P「ちひろ様!女神!天使!さて、残り頑張りましょ!」
ちひろ「も、もうそんなおだてても何も出ませんよ!」
ちひろ「しょうがないので、スタドリ差し上げます!」
P「あ、本当ですか?お代は…」
ちひろ「今回だけ特別ですよ?」
P「ありがてぇ…ありがてぇ…」
比奈「それじゃ私は帰ります。お疲れ様でス」
ちひろ「比奈ちゃんお疲れ様です」ニコッ
P「ング…ング…プハッ。おー比奈お疲れ様ーまたあしたなー。夜更かししすぎないようにねー」
比奈「わかってるっス。それじゃあ」ペコッ
20: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/29(金) 23:21:34.98 ID:qowocPM20
------翌日-------
P「んひー終わった終わった。」
比奈「Zzz…」
P「ありゃ寝てる。レッスン疲れたんかな?あ、今日マストレさんか。仕方ない」
ちひろ「じゃあPさん私はお先に失礼しますね。」
P「ちひろさんお疲れ様です。昨日は本当にありがとうございます。」
ちひろ「いいんですよ。困ったときはお互い様ですし。」
P「ありがとうございます。帰ってゆっくりして疲れを癒してください」
ちひろ「お気遣いありがとうございます。それじゃあ」ニコッ
P「はーい」
P「んーさてどうしたものか。とりあえず、なでておくか」ナデナデ
P「いやーもうレートなんか上がらなくなったなあ…」ナデナデ
P「前よりできてる気はするんだけどな」ナデナデ
比奈「んぅ……」
P「お、比奈起きたか」
比奈「ん…!?」ガバッ
比奈「プロデューサー!終わったなら起こしてくださいっスよ…」
P「ごめん、ごめん。あまりに気持ちよさそうに寝てたから。つい。な」
比奈「あぅ…」ゲシゲシ
P「地味に痛いから。疲れたなら帰るか?」
比奈「いや、このために今日頑張ったので行くっスよ!」
P「そうか。じゃあ行こっか」ハハハ
比奈「はいっス。」
P「んひー終わった終わった。」
比奈「Zzz…」
P「ありゃ寝てる。レッスン疲れたんかな?あ、今日マストレさんか。仕方ない」
ちひろ「じゃあPさん私はお先に失礼しますね。」
P「ちひろさんお疲れ様です。昨日は本当にありがとうございます。」
ちひろ「いいんですよ。困ったときはお互い様ですし。」
P「ありがとうございます。帰ってゆっくりして疲れを癒してください」
ちひろ「お気遣いありがとうございます。それじゃあ」ニコッ
P「はーい」
P「んーさてどうしたものか。とりあえず、なでておくか」ナデナデ
P「いやーもうレートなんか上がらなくなったなあ…」ナデナデ
P「前よりできてる気はするんだけどな」ナデナデ
比奈「んぅ……」
P「お、比奈起きたか」
比奈「ん…!?」ガバッ
比奈「プロデューサー!終わったなら起こしてくださいっスよ…」
P「ごめん、ごめん。あまりに気持ちよさそうに寝てたから。つい。な」
比奈「あぅ…」ゲシゲシ
P「地味に痛いから。疲れたなら帰るか?」
比奈「いや、このために今日頑張ったので行くっスよ!」
P「そうか。じゃあ行こっか」ハハハ
比奈「はいっス。」
21: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/29(金) 23:37:51.51 ID:qowocPM20
-------ゲーセン---------
P「さて着いたわけだが」
比奈「両替とトイレっスよね」
P「よく覚えてるね。その通り。行ってくるね」
比奈「はいっスー。」
P「ただいま。お、やっぱりすいてるなここは」
比奈「いいっスよね。やっぱり人が多いとそれだけで…」
P「そうなんだよね。っじゃあ早速」
比奈「おけっス」
P「称号が"クラナドは人生"になってる」
比奈「その通りっすから…」
P「適当にやっていくか。」
比奈「じゃあ最初プロデューサーさん選んでいいっスよ。」
P「あ、本当?んーとじゃあ…」
オーモイハヤサシイきしめえええええええええん!
比奈「きしめんのところやっぱり笑うっス」
P「この曲の一番の難所は間違いなく一番最後だと思う」
比奈「下手するとスライドすっぽ抜けるっスもんね…」
P「なんど苦しめられたことか…じゃあ次は比奈選んでいいよ。」
比奈「うーん…どれにしようかなあ…」
P「さて着いたわけだが」
比奈「両替とトイレっスよね」
P「よく覚えてるね。その通り。行ってくるね」
比奈「はいっスー。」
P「ただいま。お、やっぱりすいてるなここは」
比奈「いいっスよね。やっぱり人が多いとそれだけで…」
P「そうなんだよね。っじゃあ早速」
比奈「おけっス」
P「称号が"クラナドは人生"になってる」
比奈「その通りっすから…」
P「適当にやっていくか。」
比奈「じゃあ最初プロデューサーさん選んでいいっスよ。」
P「あ、本当?んーとじゃあ…」
オーモイハヤサシイきしめえええええええええん!
比奈「きしめんのところやっぱり笑うっス」
P「この曲の一番の難所は間違いなく一番最後だと思う」
比奈「下手するとスライドすっぽ抜けるっスもんね…」
P「なんど苦しめられたことか…じゃあ次は比奈選んでいいよ。」
比奈「うーん…どれにしようかなあ…」
22: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/29(金) 23:48:09.35 ID:qowocPM20
比奈「じゃあこれで」
オーカミーガキータゾ、ホントウナンダヨ
P「前はお世話になったなあ…」
比奈「曲も好きですし、譜面も楽しいから好きっス」
P「最初はサビのところびっくりしたけどね。」
比奈「確かにあれはびっくりしたっス」
P「じゃあ3曲目は…」
セガノゲームハウチュウイチー!
P「ハァ…ハァ…安易に選ぶものじゃなかった…」
比奈「ンハァ…やっぱり13はきついっす…」
P「確かに…じゃああと何クレかして帰るか」
比奈「そうっスね…」
--------------------
P「いやーやったやった。気づいたら結構やってたな」
比奈「もうこんなに…やっぱり時間経つの早いっスねえ…」
P「じゃあ今日はこのまま帰ろう。送っていくよ」
比奈「ありがとっス。」
オーカミーガキータゾ、ホントウナンダヨ
P「前はお世話になったなあ…」
比奈「曲も好きですし、譜面も楽しいから好きっス」
P「最初はサビのところびっくりしたけどね。」
比奈「確かにあれはびっくりしたっス」
P「じゃあ3曲目は…」
セガノゲームハウチュウイチー!
P「ハァ…ハァ…安易に選ぶものじゃなかった…」
比奈「ンハァ…やっぱり13はきついっす…」
P「確かに…じゃああと何クレかして帰るか」
比奈「そうっスね…」
--------------------
P「いやーやったやった。気づいたら結構やってたな」
比奈「もうこんなに…やっぱり時間経つの早いっスねえ…」
P「じゃあ今日はこのまま帰ろう。送っていくよ」
比奈「ありがとっス。」
24: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/30(土) 00:00:43.53 ID:nHTVjWpk0
P「外だいぶ涼しくなったなあ」
比奈「そうっスねえ。」
P「体調崩さないようにしてね?」
比奈「わかってるっスよ。プロデューサーに心配かけさせたくないですし。」
P「そうしてもらうと助かるよ。他の子達にも気をつけるように言わないとな」
比奈「私からも言っておくっス。一応お姉さんですからね」キリッ
P「頼りにしてるよ。比奈お姉さん」
比奈「あー今馬鹿にしたっスね。」プクー
P「してないしてない。」ハハ
比奈「本当っスか?」
P「ああ。もちろんだとも。」
比奈「それならいいっスけど。」
P「んし、着いた。じゃあね比奈。またあした」
比奈「ありがとうございます。また明日っス。」
P「はーい。夜更かししすぎるなよ?」
比奈「わかってるっスよ。お姉さんですから!」ドヤ
P「そうだっけな」ハハ
比奈「ヘヘ」テレテレ
P「じゃあおやすみなー」ヒラヒラ
比奈「おやすみっス。あ、プロデューサー!」
P「ん?どした?」
比奈「また一緒にゲーセン行ってやってくれますか?」
P「おー全然いいぞー。行きたい時は前もって行ってくれ。仕事その分やらんとだから」
比奈「わかったっス。それじゃあ改めておやすみっス」
P「はーい。おやすみ」
-----比奈自室-------
比奈「よくよく考えたらデートみたいっスよねこれ…」
比奈「そう考えたら緊張してきたっス…!」ジタバタ
比奈「でもプロデューサーのあんな顔滅多に見られないからこれは誰にも内緒っス」ヘヘヘ
比奈「そうっスねえ。」
P「体調崩さないようにしてね?」
比奈「わかってるっスよ。プロデューサーに心配かけさせたくないですし。」
P「そうしてもらうと助かるよ。他の子達にも気をつけるように言わないとな」
比奈「私からも言っておくっス。一応お姉さんですからね」キリッ
P「頼りにしてるよ。比奈お姉さん」
比奈「あー今馬鹿にしたっスね。」プクー
P「してないしてない。」ハハ
比奈「本当っスか?」
P「ああ。もちろんだとも。」
比奈「それならいいっスけど。」
P「んし、着いた。じゃあね比奈。またあした」
比奈「ありがとうございます。また明日っス。」
P「はーい。夜更かししすぎるなよ?」
比奈「わかってるっスよ。お姉さんですから!」ドヤ
P「そうだっけな」ハハ
比奈「ヘヘ」テレテレ
P「じゃあおやすみなー」ヒラヒラ
比奈「おやすみっス。あ、プロデューサー!」
P「ん?どした?」
比奈「また一緒にゲーセン行ってやってくれますか?」
P「おー全然いいぞー。行きたい時は前もって行ってくれ。仕事その分やらんとだから」
比奈「わかったっス。それじゃあ改めておやすみっス」
P「はーい。おやすみ」
-----比奈自室-------
比奈「よくよく考えたらデートみたいっスよねこれ…」
比奈「そう考えたら緊張してきたっス…!」ジタバタ
比奈「でもプロデューサーのあんな顔滅多に見られないからこれは誰にも内緒っス」ヘヘヘ
25: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/30(土) 00:05:36.59 ID:nHTVjWpk0
おしまい。
少しおまけ
P「~~~♪」トトトトトト
ちひろ(またPさんが口ずさみながら片手でリズム取ってる。)
ちひろ(妙に頭に残るんですよね。この音)
トトトトトト
ちひろ(ん?別にどこからか聞こえてくる)
比奈「~~~♪」トトトトトトト
ちひろ(うえええええええ!?比奈ちゃんまでやり始めてる!?)
ちひろ(一体この二人に何が起きたって言うんですかね…)
ちひろ(なんか異様な光景してるんですけど…)
ちひろ(聞いてみましょうか)
ちひろ「あのPさん!」
少しおまけ
P「~~~♪」トトトトトト
ちひろ(またPさんが口ずさみながら片手でリズム取ってる。)
ちひろ(妙に頭に残るんですよね。この音)
トトトトトト
ちひろ(ん?別にどこからか聞こえてくる)
比奈「~~~♪」トトトトトトト
ちひろ(うえええええええ!?比奈ちゃんまでやり始めてる!?)
ちひろ(一体この二人に何が起きたって言うんですかね…)
ちひろ(なんか異様な光景してるんですけど…)
ちひろ(聞いてみましょうか)
ちひろ「あのPさん!」
26: ◆xyCtqBd8Ao 2017/09/30(土) 00:07:52.75 ID:nHTVjWpk0
本当におわり。
女の子と一緒に音ゲーがしたいだけだった…
色々と足りないところあるかもですがすみません。
html化依頼してきます。
女の子と一緒に音ゲーがしたいだけだった…
色々と足りないところあるかもですがすみません。
html化依頼してきます。
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/30(土) 04:51:55.07 ID:e8gEbq540
へえ、チュウニってきしめんとかふぃぎゅあっとまであるのか
いいなそれ
ちなみにボルテ派
シンクロニカをカップルでやってる人を見ると若干の殺意が湧く
おつ
いいなそれ
ちなみにボルテ派
シンクロニカをカップルでやってる人を見ると若干の殺意が湧く
おつ
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/30(土) 20:49:00.53 ID:PhGf1rj4o
おつ
指勢は居ませんか?(小声)
指勢は居ませんか?(小声)
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1506605905/
Entry ⇒ 2018.05.13 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
モバP「美波ィ!現実逃避するぞォ!」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 17:53:25.68 ID:XDx6nnilo
「美波、現実逃避しよう!」
誘うなら今日しかない。
今期の節目となるライブを終えてすぐの休日。
緊張から解放された今日こそが好機と見て前々から計画していたプランを実行に移すことにした。
結果、うれしいことに二つ返事で快諾をいただいた。
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 17:54:38.90 ID:XDx6nnilo
「それでラーメン屋さん、ですか?」
隣にいる美波が興味深そうに店内を見渡す。
L次方のカウンターに4人掛けのテーブルが2つのこぢんまりとした中華料理屋、ここが今日の昼食会場だ。
ところどころ塗装の剥げた赤いカウンターをなでる美波はどこか落ち着かない様子で、
さきほどからメニューを手に取ったりガタガタいう丸椅子の脚を調整したりしている。
「こういうところ、あまり来たことがなさそうだったからな」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 17:56:24.58 ID:XDx6nnilo
わかっている。これが悪手だということは。
女性を連れ込んでラーメン屋もないものだといいたいのだろう、でもそれでは意味がない。
今回の狙いはずばり美波の化けの皮をはがすことにある。
清純ぶった振る舞いの、優等生面した表情の裏に隠された彼女本来の姿。
そいつを暴いてやるために今日までプランを練ってきたのだ。
だからこそ普段と違う場所に連れ出して、非日常の中に彼女をぶち込んでやる必要があったというわけだ。
とはいえラーメン食っただけでそんなんなるか?
たぶんなんない。
まあ行きつけの店に連れてきたかったっていうのもあるよね。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 17:58:35.68 ID:XDx6nnilo
「醤油二つね」
どんぶりが置かれる。
時代を逆行したような透き通ったスープ、やたらと薄く味気のないチャーシュー、最近はあまり見られなくなったナルト、あと海苔。そしてちぢれ麺。
完璧な布陣だ。
俺はすべての麺をいったん高く持ち上げてから(天地返しではない)、おもむろに麺をすすりはじめた。うん、うまい。
その様子を見て美波もおそるおそるスープに口をつける。
「あっ」
目が合う。今の「あっ」は完全に感嘆符だ。どうやら気に入ってもらえたらしい。
それからは彼女もはばかることなく音を立てて食べはじめた。いい兆候だ。
しかし依然として麺をふーふーしたり、すするときに髪をかきあげたりと上品な所作が目立つ。これではいけない、これでは。
もっと大胆な新田美波が見たいのだ。
俺は味がしみてへにゃへにゃになった海苔を口に運んだ。
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:00:28.27 ID:XDx6nnilo
「すごくおいしかったです。また来たいですね」
と美波は満面の笑顔を見せてくれる。お手本のような台詞だすばらしい。
しかしどうにも気にくわない。
だいたい彼女は真面目すぎるのだ。真面目という言葉は昔ならいざ知らず現代において良い意味でとられることはほとんどない。
正直者が馬鹿を見るこの時代で真面目であることは何のメリットもないのだ。少しズルいくらいがちょうどいい。
加えて彼女は完璧主義者でもある。ダンスでも演技でも自分の納得したレベルに達するまでいっさい妥協を許さないし、
もちろんレッスン自体をさぼることもない。学業を理由に仕事をあけたこともない。
さらに付け加えるならば彼女にはリーダー気質があって、周囲からの信頼も厚い。
年少組のみならず年長組からも何かと頼られることが多く、よくよく飲み会などにも呼ばれているらしい。
年長組はもう少ししっかりしてほしい。
それはともかく、そういう性格が彼女にどう災いするのか。
決まってる。ストレスだ。
つまり、彼女は溜め込まなくていいことまで溜め込んでしまう癖があるのだ。
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:02:36.83 ID:XDx6nnilo
「次はどうしますか?」
「ふつうのデートなら、映画館や水族館としゃれこみたいところだが……」
「今日は違う、というわけですよね?」
勝手が分かってきたらしい。飲み込みの早さは相変わらずだ。
察しがよすぎるのも問題だと思うけれども。
「現実逃避、させてくれるんですよね。ふふっ、楽しみにしてます」
ん?
今の顔はちょっとよかった気がする。いや、気のせいか。
腹ごなしに少し歩いてから、俺たちは場所を変えることにした。
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:03:53.10 ID:XDx6nnilo
「ここは……」
ラケットを二つにボールをいくつか、それにシューズも二人分借りることにした。
スポッチャ、都市部を中心に店舗数を増やしつつある複合型アミューズメント施設だ。
ボウリングをはじめとして、ダーツやビリヤード、場所によってはフットサルやバッティング練習もできるという割となんでもありの施設である。
俺たちはその一角、四方を壁に囲まれたまっさらな部屋の中にいた。
ぶんぶんとラケットを試し振りしてみる。
年のせいか以前ほどスピードが出なくなったように感じる。加齢はいやだな、本当。
「やったことある? スカッシュ」
たぶんやったことないだろうけど、一応聞いておいた。
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:05:40.78 ID:XDx6nnilo
「名前だけは知っていましたけど……」
さすが。ともすれば話は早い。
一応説明しておくと、スカッシュとは簡単に言えば屋内でやるテニスである。
テニスと違うところは、コートが半面しかないところと、四方の壁の跳ね返りを利用できるというところだ。
コートが半面しかないので、自然と二人とも同じ場所でプレーする事になる。
テニスでいうダブルスの相手が敵になったようなものだ。前に出たり後ろに下がったりで相手を攪乱することもできる。
そして最大の特徴が左右もしくは後ろの壁の跳ね返りを利用できるという点だ。
プレーヤーは必ずしも正面だけに球を返さなくてもよく、あたかもビリヤードのように左右の壁を利用してラリーを続けることもできるのである。
この点がテニスとの大きな違いであり、またスカッシュというスポーツを戦略的に奥深いものとしている。
だいたいの概要はこんなところで、美波もこの辺りのルールは知っていたようだ。何でも知ってんね。
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:07:19.86 ID:XDx6nnilo
で、なぜスカッシュか?
理由は簡単で、近場にテニスコートが無かったからだ。
俺の見たところ、テニスに興じている美波はアイドルとしてステージに立つときとはまた違った顔をしているように思う。
いきいきしているというか、勝負師の顔をしているというか……。
べつだんアイドルをしているときの彼女を貶めているわけではない。
女神と称されるような麗しく慈愛に満ちた美波もそれはまた素晴らしいものだ。
しかし今回の目的に沿っているのは明らかに前者だろう。
スポーツを通じて彼女のストレス解消を図るとともに、内面のどろりとした部分を覗き見てやろうというわけだ。
美波は入念に準備体操をしている、まめなことだ。
しかしスカートで来させたのはまずかったかもしれない。動きやすい格好でと一言付け加えておけばよかった。
ジャンプの度にひらひらするスカートが気になってしょうがない。俺は頭をぶんぶんと振った。
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:09:17.75 ID:XDx6nnilo
まずは壁当てをして感じをつかむ。
壁の跳ね返りを利用するのは結構なテクニックが必要で、ねらったところに当てるのはかなり難しい。
素人は大抵いきあたりばったりで壁に当てるので戦略もクソもなくなってしまうことが多々ある。
本来は相手と自分の位置を把握した上でもっとも効果的な球を打つのがセオリーだ。
といってもその辺はテニスも似たようなものなので、飲み込みの早い美波なら問題ないだろう。
実際何回か壁当てしただけでコツをつかんできたようである。
左の壁に当てて正面の壁を介して右に持っていく。右側にいる俺の足下にうまくボールが落ちてくる。天才か?
今度はラリーを続けてみた。かなり動きがよい。スピードも速い。ラリーも途切れない。
これが19歳の力か……若さ、若さとは。
「そろそろ始めましょうか!」
声色からだいぶテンションがあがっていることが窺える。
ここまで期待してもらえると俺もうれしい。
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:11:18.23 ID:XDx6nnilo
サーブは美波からだ。
サーブだけは例外的に左右の壁に当ててはならず、正面の壁に当てて相手のコートに入れる必要がある。
言い忘れていたがコートは左右に分割されている。テニスと同様に床にT字のラインが引かれているのだ。
いうてもこれはサービスの時だけに使われる便宜上のものと思ってよく、サービス後は二人ともコートに関係なく自由に動きまわることができる。
いよいよ試合開始だ。左側に美波、右側に俺が陣取った。
美波のサーブが正面に当たり俺のコートに落ちてくる。
素直な球だ、素直すぎる。
俺は角度をつけてレシーブして、正面の壁から左の壁に跳ね返るように返球した。
右から打ったボールが再び右に戻ってくる。こういうことはテニスではないだろう。
美波が俺の後ろ側に回り込んで打ち返す。また正面をねらった素直な球だ。
それではこのゲーム勝てないぞ――。
やや酷だが、洗礼と思ってここらでひとつお見舞いしてやるか。
俺は再び角度をつけて今度は右の壁めがけて全力で打ち込んだ。
ボールは右の壁から正面をつたい左の壁に当たって戻ってくる。計三回の跳ね返りを利用した高度なテクニックだ。
美波はめまぐるしく動くボールについていくことができず、かろうじて振ったラケットもむなしく空を切った。
てんてんと転がっていくボールを彼女は眺める。
「俺のポイントだな」
やや挑発的にいうのもポイントだ。
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:13:12.87 ID:XDx6nnilo
「……」
俺にサーブ権が移る。美波は無言で構え直す。
サーブは一度正面の壁に当てさえすれば、後は相手コートに落ちるまでどの壁に当ててもよいというルールがある。
つまり正面→左の壁→相手コートでも、正面→後ろの壁→相手コートでもどちらでもいいのだ。
もちろん律儀に正面から直接相手コートに落としてもよい。
ここでは後ろの壁に当てるショットを選択した。
うまく術中にはまってくれた。
下から上に打ち上げるようなサーブは腰を落として低く構えている美波の頭上を通り越し、後ろの壁に当たって一回、二回とバウンドし戻ってきた。
彼女はボールの行方を目で追っただけで、全く動くことができない。
「2ポイント先取だな」
美波が俺を見つめる。そんなに見られちゃ照れるな。
俺はそこから続けざまに2ポイント奪取した。これでスコアは0-4。
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:15:17.89 ID:XDx6nnilo
大人げないと思うだろうか。
しかし美波が相手の場合、かえって手を抜くほうが失礼にあたる。
彼女はいつも真剣に生きてるし、一瞬一瞬に本気で取り組んでいる。
アイドルだって資格取得だって一度も手を抜いたことはないだろう。
そんな彼女の前に出て「手加減する」などと言えるだろうか。彼女の目を見て本当に言うことができるか。
本気で戦うのが新田美波に対する敬意だ。俺は負けるつもりはない。
美波はガットの張りを確かめた後、再びレシーブの構えを取った。
口を半開きにしてくるくるとラケットを回している。その眼光は鋭い。
俺は再び下から上にサーブを打った。ふわりと飛んだボールが後ろの壁に跳ね返る。
駄目だぜ、ここはボレーが最善だ――。
しかし俺の予想を越えて彼女の反応は速かった。
構えを解くことなく大股に2、3歩バックステップするとワンバウンドして戻ってくるボールに強烈なフォアハンドを打ち込んだ。
正面の壁に当たったボールは左の壁沿いに落ちてくる。まずい、これは。
スカッシュにおいて壁があることはメリットだけではない。壁沿いに落ちてくるボールはその一例といえる。
壁があるためにプレーヤーはラケットを満足に振り回すことができなくなるし、ラケットの中心でボールをとらえることもできなくなる。
結果として力ない中途半端な返球になってしまうことが多く、その隙をつかれて一気に崩されてしまうのである。
今回も例外ではなかった。
かろうじて打ち返しはしたものの、体勢が崩され左側に寄りすぎてしまった。これでは。
俺の予想通り美波は右側めがけてクロスを放ってきた。とても追いつけない。
それでも必死になって食らいつく、腕を目いっぱいにのばす。
それこそが彼女に対する礼儀だと思うからだ。
「1-4、ですね!」
畜生、いい顔してやがる。
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:17:00.90 ID:XDx6nnilo
ぺりぺりと一枚一枚はがれていく感触があった。
何かといえば新田美波の化けの皮である。
サーブを放つ度に、なめらかなステップを踏む度に、額から汗を滴らせる度に彼女の本性が露わになっていく気がした。
本性というとおかしいかもしれない、きっと別の一面と言った方がいいのだろう。
表に対する裏ではなく、寄り添うような二つの顔、ちょうどスカッシュに興じる俺たちのような関係性なのだろう。
ここでは彼女はまるで体育会系だった。はじめはささやかだったガッツポーズは徐々に大きくなっていった。
もう不意をつかれて黙っている彼女ではない。俺にポイントを取られると大げさに天を仰いだのち「次はとります!」と叫んでみせた。
これだ、俺が見たかった新田美波は。
普段のいい子ちゃんの顔はどこへやら、思うままに激情のまま感情をぶつけてくる。
そんな彼女の姿は例えようも無く美しい。流れる汗も素晴らしい。ガッツポーズがまずかわいい。
できることならファンのみんなにもこの新田美波を見てほしい。
今の彼女を知らしめることこそが俺のプロデューサーとして使命なのだろう。
よっしゃ、この勝負絶対勝ってみせるぞ。
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:19:12.32 ID:XDx6nnilo
いや、甘かった。
新田美波さんを甘く見てました。
本番に強いとか試合の中で強くなるとかってよく言われるけれども本当にそんな人がいるなんて思ってもみなかった。
スコアは9-8、なんと俺が負けてる。
美波がドロップショットを放つ。
完全に虚を突かれた俺はうおおと叫びながらダッシュするが、時すでに遅く飛びついたときには明後日の方向にボールが転がっていた。
前のめりにつまづいた挙句、したたかに頭を打ち付けた俺を見て彼女は言う、
「ふふふ、プロデューサーさん、大丈夫ですか?」
――あれ?
今一瞬とんでもない美波の顔が見えた気がしたけど、気のせいだろうか。
なんか、嗜虐的というかストレートに言ってサディスティックな表情を垣間見た気がするのだけど……。
目をこすってもう一度彼女の顔を見る。
その表情は嘘偽り無く俺の身を案じている風で、さっきまでの印象は1ミリたりとも残っていなかった。
気のせいだよな。
何か変な扉開けちゃったんじゃないよな。
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:20:55.58 ID:XDx6nnilo
10-8で美波のマッチポイント。せめてタイブレークには持ち込まないと。
俺にもメンツというものがある。この一点を逃すわけにはいかない。
美波がサーブをしてくる。もはや跳ね返りにも慣れたもので正面から右の壁を伝ってボールが落ちてくる。
レシーブの後、何度かラリーを交わす。ここまでくると自分の動きはほとんど意識しなくなる。代わりに意識するのは相手の動きだ。
格闘ゲームのプロは自キャラはまったく見ていなく、敵キャラのみを注視しているという話を聞いたことがある。
これに限らず一対一の対戦では自分ではなく相手をよく観察することが何よりも重要になる。
美波は打ったあと必ずコートの真ん中に戻る癖がある。
テニスでもスカッシュでもこの動きは当然のセオリーだが、あまりに何度も続けていればそこに隙が生まれてくる。
俺はクロスを放ち美波を左側に寄せる。彼女はバックハンドで左の壁の跳弾を利用して返球してくる。
ここで美波はまた真ん中に戻ってくるはずだ。今だ。俺は得意の三回跳ね返りショットを放ち、再び左側のそれも前方ぎりぎりのところを狙い打ちした。
俺はビリヤードだってできるんだぜ。
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:23:09.72 ID:XDx6nnilo
とことん俺は甘かった。
俺が美波を見ていたなら、美波も俺を見ていたのだ。
彼女は真ん中に戻ってなどいなかった。左側に陣取って俺の動きを予測し前方に走り出していたのだ。
まるで吸い寄せられるように彼女の手元に向かってボールが落ちてくる。しまった。痛烈なバックハンドが炸裂する。どこにくる?
ボールの行方を見て俺は負けを確信した。うそだろ。
ニックショットという技がある。これもスカッシュの特性を利用した必殺技だ。
壁の跳ね返りがあるスカッシュにおいて、もっとも相手が嫌がるボールとはどんなものだろうと考えてみると、一つの答えが導き出せる。
それは正面の壁に当たって弾まずに転がっていくボールである。弾まないのでドロップショットよりも始末が悪く、打ち返すことはほとんど不可能に近い。
そんなショットが打てるのか? 結論から言えば打てる。
床と壁の境目、ちょうど角となる部分を狙って打ち込めばいいのだ。
彼女が放ったのは紛れもなくそのニックショットだった。
勢いを失ってビー玉のように転がっていくボールを唖然としながら見送った俺は、そのまま膝から崩れ落ちた。
こんなんどうしようもないじゃん。
「私の勝ち、ですねっ、ふふふふ」
今、確信した。笑っている彼女の顔を見ればわかる。
あれは美波ではない。
美波様、だ。
化けの皮をはぐとは言ったが、ここまでするつもりは無かった。ほんとに。
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:25:13.47 ID:XDx6nnilo
その後も3ゲーム続けてやって、3ゲームとも負けた。
最後の方は右に左といいように振り回されたあげく、ニックショットでフィニッシュを決められて完全に心を折られてしまった。
『美波様』はすごい笑顔だった。
いや、最後まで力を尽くすことが彼女に対する礼儀のはずだ。
でもこんなのあんまりじゃないですか。もう足がぼろぼろで一歩も動けないんですけど。
小一時間後、俺は傷心のままスポッチャを後にすることになった。
隣で爽やかに微笑む美波はすでに『美波様』ではなくなっていた。あれはすごいレアキャラなんだなあ。
そういえば前にメイド服を着せたときもそんな感じだったような……。
一人うんうんと得心していると美波が物足りなそうに聞いてきた。
「次はどこに行きます?」
次? どうしよう、次は考えていなかった。
もう夜遅いし、見たいものも見れたし、そろそろ解散でも――。
「……」
すごい。
この顔されて、堕ちない男がいるのか。
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:26:49.49 ID:XDx6nnilo
とはいえ俺も良識ある大人である。やっていいことと悪いことの区別は付いている。
最終的には行きつけのバーで軽い食事を取ることで話がまとまった。反社会的な行為はいけない。
バーとはいうが、そんなにお堅いものじゃない。どちらかというとカジュアル寄りなところだ。
美波自身、高垣楓さんや川島瑞樹さんに誘われて何回か来たことがあるらしい。
未成年を連れ回すのはやめろと注意したいところだが、今は人のことを言える立場ではないので黙っておいた。
そうこうしているうちに店に着く。
木製の重いドアを開けると、からんというベルの音がした。
サングラスをした渋いマスターに連れられてカウンター席に案内される。
「ビールと……何飲む?」
「えっと、じゃあシンデレラでお願いします」
シンデレラ? 俺は知らなかったがそういうノンアルコールカクテルがあるらしい。
よくよく楓さんや川島さんに薦められて飲んでいるのだそうな。
曰く、ほろ酔いの年長組に「美波ちゃんはまさにシンデレラだもんねー」とおだてられるので飲みにくくてしょうがないらしい。
シンデレラね。
俺はビールをぐいっとあおった。あ、乾杯忘れた。
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:28:14.39 ID:XDx6nnilo
「お疲れさまです」
ちん、という音とともに改めて乾杯をする。
この楽しい時間もこれで終わりかと思うと胸の奥から寂しさがこみ上げてくる。
「どうでしたか?」
なにが。
「現実逃避、できました?」
ん?
美波を見る。その目は優しさに満ちていた。いやいや、おかしいでしょ。
俺自身が現実逃避したかったんじゃなくて、美波を現実逃避させたかったんだ。
澄まし顔でお姉さんやってるような毎日のくびきから少しでも解放させてあげたくて、ちょっとでも気分が楽になれたらいいなと思って今日は誘ったんだ。
そのついでで美波の内面を覗くことができればプロデューサーとしてこれ以上の幸せはねえよなと思ってそれで勇気を振り絞って頑張って――。
そういうことを言おうとして、ふと手が止まった。
スカッシュをやっていたときのことを思い出す。
『俺が美波を見ていたなら、美波も俺を見ていたのだ』
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:31:08.04 ID:XDx6nnilo
なんだ。これは深淵のコピペ(元)だ。
『深淵を覗くとき、深淵もまたお前を覗いているのだ』そのまんまだ。
「誘われて二つ返事で受けちゃいましたけど、私、これはチャンスだなって思ったんです」
後に続く言葉は何となくわかった。
「プロデューサーさんがずっと気を張ってて疲れているのをわかってましたから。
プロデューサーさんていつも、その、自分で溜め込んじゃうというか、そういうところがありますよね。だから気分転換にもいいんじゃないかなって」
「それに、前々からプロデューサーさんのこともっと知りたいって思ってたんです。
今日はだからいいものが見れたなって、ふふっ、ちょっとはしゃぎすぎちゃいましたけど」
美波は俺とまったく同じことを考えていたのだ。
こんなの、独り相撲もいいところだ。
俺は上から目線で美波のストレス解消だの裏の顔を暴くだのと偉そうに啖呵を切っていたのだが、そんなことはすべて彼女は承知の上だったというわけだ。
俺が自らの境遇をそのまま美波に重ねているということまで、彼女はわかっていたのだろう。
全部わかったうえで俺の誘いを受けてくれたのだ。
要するに俺は美波を接待していたつもりだったが、実際接待されていたのは俺だったというオチだ。
現実逃避していたのは彼女ではなく、俺自身だったのだ。
『深淵を覗くとき、深淵もまたお前を覗いているのだ』ほんとだよ。
俺は頭を抱えた。そんなことも気付かないでなにが「現実逃避しようぜ!」だ。
恥ずかしくて顔が焼けるわ。自分のエゴでアイドルを一日中連れ回しておいて悦に浸ろうだなんてこんなふてえ野郎がいるか?
「気を使わせたな。すまん」
自分の愚鈍さに呆れつつ、彼女の聡明さに感心しつつ、どうにかひり出した言葉はあまりに弱々しくて彼女に届いているか不安になった。
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:33:21.79 ID:XDx6nnilo
「なんで謝るんですか? 私、すごく楽しかったですよ?」
それが嘘でないことは声色ですぐにわかった。ささやかな救いだ。
「私の意外な一面に気付けましたし、何より――」
「スカッシュ、本気で闘ってくれましたよね? それが本当にうれしかったです」
そう、本気で闘った。これだけは嘘じゃない。
俺は彼女に手加減しなかった。真摯に彼女と向き合おうとしたからだ。
深淵のコピペが本当なら、それはすなわち自分自身と向き合うことと同義なはずだ。
ラリーを続けることはキャッチボールとは意味合いが違う。でも会話をするという点では変わらない。
壁に跳ね返るボールを追いながら、幾度と無く美波とポジションを交換しながら、俺は彼女と会話するとともに自分自身とも会話していたのだ。
一つのコートに敵味方両方が入り交じるスカッシュという競技の特殊性がそれを可能としていた。
そして何より、俺と同じくらい真剣に挑んできてくれた美波がいたから、だから――。
だからつまり、これは大団円なんだ。
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:35:36.58 ID:XDx6nnilo
普段は見れない美波の一面を垣間見て、彼女のストレス解消にも一役買うことができ、
そして俺は、彼女を通じて自分の弱さを知ることができた。これが大団円でなくて何か。
その事実に気付いたとたん、心がふっと軽くなっていくのを感じた。
ボールを打つ感触がまだ手に残っている、あくせく走り回った両足はすっかり固くなってしまった。きっと明日は筋肉痛だ。
俺はそれら全ての屈託をビールとともに流し込むことに決めた。炭酸の刺激が心地よく喉に響く。
うまい、こんなうまいビールいつぶりだろう。
胸中をさわやかなものが吹き抜けていく。
心の奥底に巣くっていたわだかまりが消えていく。
なるほど、俺は心底疲れていたのだな。
手遅れになってしまう前に気付けて本当によかった。
隣で微笑む美波を見る。全て包みこむような慈愛に満ちた瞳。
そこには間違いなく俺が映っていた。
何となく、何となくでしかないが、
俺は明日からもやっていけそうな気がする。
今まで以上にプロデューサー業を頑張れそうな気がする。
全ては美波のおかげだ。彼女に感謝しなくては。
「ありがとう、美波。俺も美波が真剣になってくれてうれしかった。ただ……」
後に続く言葉を彼女は待っている。
「ただもうニックショットは、勘弁してほしいかな」
二人して笑った。
二杯目をどうするかと聞かれたので、俺は迷い無くシンデレラを頼んだ。
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:36:29.61 ID:XDx6nnilo
――――
――
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:38:31.06 ID:XDx6nnilo
あれから気分は上々で、仕事もいつになくはかどっている。
こんな気持ちで毎日を過ごすことができるなんて以前は考えられなかった。
新田美波さまさまだ。決して『美波様』ではない、ここは重要だ。
噂をすると何とやら、美波とアナスタシアさんがやってきた。
「プロデューサーさん! 聞いてください、この間ですね」
なにやらハイテンションで美波が話してくる。
聞くと、先日またスポッチャに行ってスカッシュをしてきたらしい。
相手はアナスタシアさんで、一からルールを教えて二人で特訓してきたのだそうだ。
そんなにハマるとは思っていなかったので意外そうに聞いていると、
会員カードも作って専用のラケットまで用意してもらったという。それはまた、ずいぶんご執心ですな。
「それで、あの、もしよければなんですけど……」
この展開は正直予想できた。
予想できたがそのときの俺の喜びようといったら、
まあ、内心飛び上がらんばかりだったとだけ言っておこう。
新田美波の笑顔は相変わらず優しさにあふれている。しかし俺は彼女の違う一面も知っている。
きっとこれからも折に触れて見せてくれることだろう。俺はそのときを楽しみに待っている。
「プロデューサーさん、現実逃避、しませんか?」
しかしまいったな、次までにニックショットの攻略法を考えてこなくては。
おわり
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:42:18.37 ID:XDx6nnilo
スカッシュやったことないです。
html依頼してきます。
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:52:24.43 ID:K9mShsOp0
おつ
面白かった
面白かった
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 19:12:06.21 ID:hGd7b3V3O
乙
これは良い美波
これは良い美波
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 19:12:23.67 ID:y0+FsCwQo
ンミナミィは女神!
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1506675205/
Entry ⇒ 2018.05.13 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
千歌「だるまさんがころんだ」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/06(日) 23:48:09.21 ID:CHNN1ZM20
ちか「だるまさんが~」
かなん「……」ソローリ
ちか「ころんだ!」
かなん「ふっ」ピタ
ちか「……うごいて、ない。もういっかい!だーるまーさんーが、ころんだっ」
かなん「よっ」ピタリ
ちか「──むぅ。かなんちゃん、ぜんぜんつかまらないからつまんない!」
かなん「まだまだだねぇ、ちかは」
ちか「だrmさ*?んだ!!」
かなん「え!ちょ、それはズルだってば」
ちか「ズルじゃないもーん」
かなん「ズルだよ」
ちか「ズルじゃない!」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/06(日) 23:49:02.41 ID:CHNN1ZM20
かなん「ちゃんといわなきゃだめなんだよ。もういっかい」
ちか「えー」
かなん「ルールはまもって!」
ちか「……はーい」
かなん「うん、それでよし」ニコ
ちか「じゃあいくよ、だるまさんが……」
かなん(まってて、ちかっ)
ちか「ころん──」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/06(日) 23:50:01.49 ID:CHNN1ZM20
────────
────
──
千歌「……んんっ、ふわぁあ」
千歌「あれ、寝ちゃってたのかな」
窓の外には夕焼けの空がただ広がっている。
ゆっくりと見せつけるように沈んでいく夕陽は、薄情だった。
今日、今まで何してたっけ。
寝ていただけのような気もするし、そうじゃないと言われればそうじゃないのかもしれない。
美渡「千歌―、夕飯の準備手伝ってくれる?」コンコン
千歌「……」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/06(日) 23:50:58.85 ID:CHNN1ZM20
美渡「千歌、まだ寝てるの?入るわよー」
千歌「なに、みとねえ」
美渡「あら、起きてるんだったら返事しなさいよ」
千歌「ごめん」
美渡「はあ、あんたねぇ」
千歌「むぅ」
美渡「夕ご飯つくるから、手伝ってくれないかってお願いしてるの」
千歌「わたしは今具合が悪いので、お手伝いはできません」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/06(日) 23:51:56.52 ID:CHNN1ZM20
美渡「あっそ。じゃああんただけお粥にしとくから」
千歌「ひどい」
美渡「ひどくないっての。私は病人をいたわってあげてるのよ」
千歌「……ふん」
美渡「ねえ、いい加減機嫌直しなさいよ」
美渡「明日なんでしょ、果南ちゃんが行っちゃうの」
千歌「いちいち言わないでよ。わたしだって分かってるもん」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/06(日) 23:52:47.94 ID:CHNN1ZM20
美渡「だったらっ」
千歌「だったら、なに」
美渡「……いや、なんでもない。それより、お粥が嫌なら夕ご飯作るの手伝いなさい」
千歌「ごはんを人質にとるなんて」
美渡「いいから」
千歌「……はぁい」
明日、果南ちゃんが飛行機で行ってしまう。
そのことだけが、私の頭の中に居座って離れなかった。
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/06(日) 23:55:12.75 ID:CHNN1ZM20
美渡「──千歌、そこの菜箸取って」
千歌「はいはい」スッ
美渡「どーも」
千歌「……このトマト、まだ熟れてないんだけど。よけとくね」
美渡「りょーかい」
美渡「ねえ千歌」
千歌「今度は何」
美渡「私だって気持ちは分かるけどさ」
千歌「分かってないもん」
美渡「ひとの話は最後まで聞け」
千歌「はあ」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/06(日) 23:56:21.10 ID:CHNN1ZM20
美渡「いいの?このまんまで」
千歌「いいよ、別に」
美渡「へえ。じゃあどうしていつまでも、ほっぺたでお餅焼いてるのかしらね」
千歌「知らない」
美渡「本当は、ちゃんと分かってるんでしょ」
千歌「なにをさ」
美渡「千歌が今考えてることをだよ。あんた、本当に大きくなったから」
千歌「うるさいなぁ。さっきから意味わかんないことばっかり」
美渡「分かってるから、かえってうるさく聞こえるとはよく言ったものよね」
千歌「……」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/06(日) 23:58:26.83 ID:CHNN1ZM20
千歌「──るもん」
千歌「分かってるもん!バカなわたしだって、それくらい分かってる」
美渡「うん」
千歌「もうお別れだってこと。どんなに駄々をこねたって、引き留められないってこと」
美渡「そうね」
千歌「分かってるんだ、もん」
美渡「知ってるよ」
千歌「それなのに、わたしっ……それなのに!」
千歌「──果南ちゃんと、ちゃんと向き合えなかった」
美渡「……」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/06(日) 23:59:36.96 ID:CHNN1ZM20
千歌「みんな、それぞれ受け止めようと頑張ってるのに、私だけちっちゃな子どもみたい」
美渡「それこそ、あんたと果南ちゃんは本当に小さな頃から一緒だったんだし、そりゃあ」
千歌「関係ない。関係ないよ、そんなこと」
美渡「っ……」
千歌「……ごめん」
千歌「わたし、リーダーなのにね」
千歌「わたしが、ちゃんと前を向いていなきゃいけないのに」
美渡「あのさ、そこまで分かってるんだったらどうしてちゃんと話してあげないのよ」
千歌「だって」
美渡「だって?」
千歌「……今果南ちゃんと一緒にいたら、また認められなくなっちゃいそうだから」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:00:31.65 ID:lPRJ1sAo0
千歌「全部やりきったって思えたのに、せっかくお別れの決心をしたのに。それが、壊れちゃいそうだから」
美渡「あんたのくせに生意気なこと言うわね。大体──」
「あの、ごめんください。松浦です」ピンポン
美渡「噂をすれば、ね」
千歌「……」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:01:58.99 ID:lPRJ1sAo0
美渡「ほら、行ってきなさいよ」
千歌「わたしの話、ちゃんと聞いてた?」
美渡「この距離でどうやって聞き逃せって言うのよ」
千歌「あ、夕ご飯手伝わなかったらお粥なんでしょ。みとねえ行ってきてよ」
美渡「それはもういいって」
千歌「嘘つき」
美渡「嘘つきで結構。行きなさい、果南ちゃん待たせちゃだめでしょ」
千歌「うぅ」
美渡「もう!いいから!」
千歌「わ、分かったってば。行くって」タタ
美渡「うん」
美渡「……大体、こういうときくらいちょっとはガキだっていいのよ」ボソ
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:03:44.67 ID:lPRJ1sAo0
千歌「──はい」ガラ
果南「や、やっほー、千歌」
千歌「うん」
果南「ねえ、ちょっと散歩しに行かない?」
千歌「いきなりどうしたの」
果南「別にいいじゃんか。それともなにか用事あった?」
千歌「特に何も。それより……もう、準備できたの?」
果南「とっくにできてるよ。荷物はもう空港に送ってある」
千歌「そっか」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:04:21.45 ID:lPRJ1sAo0
果南「行こうよ、千歌」
千歌「……」
みとねえの刺すような視線を背中に感じる。
振り返ったら、夕食の野菜を捌く包丁で刺されちゃうんじゃないかと、背筋が冷えた。
みとねえはひどい。でも、優しい。
千歌「──いいよ。行こう、お散歩」
果南「うん、行こうか」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:05:20.60 ID:lPRJ1sAo0
果南「美渡さん。ちょっと千歌借りていきますねー」
美渡「あんまり遅くならないようにね」
果南「分かりました」ペコ
静かに戸を閉め、私たちは夕暮れの内浦を歩き始めた。
夕陽は相変わらず焦らすように沈んでいく。
果南「──千歌の方こそ、もう手続きは済ませてあるの?」
千歌「あと、もうちょっとだけ」
果南「本当かなぁ。うっかり出す書類を間違えて、間に合いませんでしたーなんてならないようにね」
千歌「わ、分かってるってば」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:06:10.66 ID:lPRJ1sAo0
果南「千歌はおっちょこちょいだから、心配だな」
千歌「大丈夫だって。わたしだってもう3年生になるんだよ」
果南「そうだねぇ。あの千歌が3年生になるのか」
千歌「わたしと一つしか違わないのに、何言ってるの」
果南「私にとっては、千歌はいつまでも妹みたいなものなんだ」
千歌「これ以上私にお姉ちゃんが増えたらやだよ」
果南「はは、かわいかったなぁ。遊ぶときはいつも一緒で、私の後をちょこちょこついてきてさ」
千歌「そんなこと、あったかな」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:07:00.52 ID:lPRJ1sAo0
果南「内浦探検隊っ!てね」バッ
千歌「もう探検するところなんかなくなっちゃったけど」
果南「うん。この町のことはみーんな知ってるからね」
ぽつりぽつりと、会話は続いた。
ときどき足音にかき消されちゃうんじゃ無いかっていうくらい、静かに。
果南「一緒に海を泳いだり、山の中を歩いたり」
果南「探検隊の後ろを歩いていた千歌は、いつの間にか隣を歩くようになって、私を追い越して」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:08:10.92 ID:lPRJ1sAo0
千歌「けんかもたくさんしたよね」
果南「わたしが前をあるくんだーってね。今思えば、気にするようじゃないことばかり」
千歌「うん」
果南「──ねえ、覚えてる?私と千歌が初めて大げんかしたときのこと」
千歌「ううん、あんまり覚えてない」
果南「ええっと、あのときは確か」
果南「だるまさんがころんだ、をしてたんだ。二人だけで」
千歌「……そうだっけ」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:10:00.32 ID:lPRJ1sAo0
果南「千歌はほんと弱くてさ、すぐにふらふら動いちゃうんだ」
千歌「そんなことなかったよ。果南ちゃんこそ動いてばっかりだったもん」
果南「違うよ。私はちゃんと止まってたのに、千歌が動いたって言い張ってさ」
千歌「う、そうだったかも。昔のわたし落ち着きなかったし。果南ちゃんはすっごく強かったよね」
果南「それで私も千歌も必死になっちゃってさ。気づいたら取っ組み合いの大げんか」
千歌「それで結局、どうなったんだっけ」
果南「さあ、どうなったんだろうね」
千歌「憶えてないの?」
果南「流石にそこまではね。ずぅっと昔のことだからさ」
千歌「わたしも憶えてないなぁ」
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:10:43.72 ID:lPRJ1sAo0
果南「……それならさ、今、続きをやろうよ」
千歌「ええ、今から?わたしたちもう子どもじゃないんだよ」
果南「まだまだ子どもだよ。いいじゃん、どうせ暇なんでしょ」
千歌「やだよ」
果南「どうしてさ」
千歌「なんか恥ずかしいし」
果南「気にすることないって、誰も見てないんだから」
千歌「わたし、振り回されてばっかりな気がする」
果南「これまでは私が振り回されてたんだから、今日くらい逆でもいいでしょ」
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:11:55.48 ID:lPRJ1sAo0
千歌「……まあ、いいけど。どこでやるの?」
果南「いつもの公園でいいよね」
千歌「分かった、けど。もしかして果南ちゃん、最初からこのつも」
果南「よし、日が暮れちゃう前に急ぐぞー」タタッ
千歌「え。ちょっと待ってよ!」タッ
薄暗い公園には、わたし達以外に誰もいなかった。懐かしい砂場のにおいに胸が締めつけられる。
本当はこんな風に遊ぶつもりなんかなかったのに、なんだか断る気にはなれなかった。
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:13:36.88 ID:lPRJ1sAo0
果南「んじゃ、最初の鬼は私ね」
千歌「いいよ。手加減なんかしないからね」
果南「望むところだよ」ニコ
小さな公園に不相応な年の二人が、こどもの遊びに興じている。
わたしは、いつまでもこうして笑っていたかった。
果南「──だるまさんがー、ころんだ!」
千歌「ほっ」ピタ
果南「うーん、流石に小さい頃のようにはいかないね」
目指す背中は、見えている以上に遠い。
すぐそこにあるはずなのに、ちっとも近づいている気がしない。
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:14:45.86 ID:lPRJ1sAo0
千歌「ふふん、そう簡単には捕まらないよ」
果南「それはどうかな。だるまさんが~」
千歌「……」
果南「こ、ろ」
千歌「……あと、もうちょっと」ソローリ
果南「んだ」
千歌「あわっ!だめかぁ」トテ
果南「ふぅ。まだまだだね、千歌」
千歌「あはは、うん。まだまだだよ、私は」
……安心している自分が、わたしのなかにいた。
果南ちゃんのもとまでたどり着けなかったことに、わたしは安堵していた。
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:16:20.24 ID:lPRJ1sAo0
果南「今度は、千歌が鬼の番だよ」
千歌「うん。こんどこそ負けないからね」
わたしはうそつき。
結局、だるまさんがころんだのかなんて、どうでもよくて。
千歌「だるまさんが、ころんだ!」
果南「よっ」ピタ
千歌「うー、全然動いてないや」
木にもたれて塞ぐ真っ暗な視界が、不安で仕方なくて。
その言葉を唱えるより先に、振り返りたくなってしまって。
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:17:09.73 ID:lPRJ1sAo0
千歌「だるまさんが~ころ、んだ」
果南「ふっ」
千歌「……もう一回!」
振り返ったときに見える果南ちゃんのいたずら顔が大好きで。
こっちに近づいてくるのが、たまらなく嬉しく感じてしまうから。
千歌「だるま、さんが、ころんだ」
果南「ほっ」
千歌「うぅ、だめかぁ」
なんどもなんども、その言葉を唱える。
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:18:18.50 ID:lPRJ1sAo0
千歌「だるまさんが、ころん、だ」
果南「っ」
千歌「だるまさんがー、ころんだ」
果南「ん……」
千歌「だるまさんが、ころんだ」
果南「……」
千歌「だるまさんがっ」
それなのに、おかしいな。
いつまでも果南ちゃんは遠いまま、進む気もなさそうにじっと立っていて。
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:20:06.40 ID:lPRJ1sAo0
千歌「果南ちゃん」
果南「どうしたの、千歌」
千歌「どうして、こっちに来てくれないの」
果南「……千歌みたいに転んだら嫌だからね。慎重に歩いてるんだよ」
千歌「そ。じゃあ続き」
果南「うん」
千歌「いくよ。だるまさんが──」
夕陽はとうとう落ちて、灯りの壊れた公園は真っ暗になっていく。
振り返ると、果南ちゃんは今にも夕闇のなかに消えて行ってしまいそうだった。
そうして、ああ、こんな風に遊べるのは最後なのかなって。急に実感が湧いてきて。
千歌「だるまさ…っん…が、ころん……っ」
そう思ったら、涙が止まらなかった。
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:21:31.82 ID:lPRJ1sAo0
千歌「だるまさんが……っ」
千歌「だるまさんが、ころんだ」グス
必死に果南ちゃんを繋ぎとめるように、その言葉を唱えることしかできなくて。
まるで駄々をこねる子どもみたい。
それでも、わたしは……
千歌「だるまさ──」
果南「千歌!!」ダッ
千歌「っ!?」
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:22:26.20 ID:lPRJ1sAo0
果南「千歌、ごめんねっ」ギュウウ
千歌「……どうして、果南ちゃんが謝るの」
果南「千歌が寂しがるってこと、分かってたのにっ。わたし、何もできなくて」
果南「今までみたいに接していたら、きっと、お別れのとき寂しくて耐えられなくなっちゃうんじゃないかって」
果南「考えれば考えるほど、どうしたらいいか分からなくなって」
千歌「……」
果南「わたしの方がお姉ちゃんなのに、わたしっ!」
千歌「そっか」
果南「ごめんねぇ、千歌」グス
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:27:18.38 ID:lPRJ1sAo0
千歌「──ちかもおんなじだよ」
果南「…え?」
千歌「考えてたことは、同じだったんだなって」
千歌「ね、ハグしてよ。背中からじゃなくて、ほら、いつもみたいにさ」
果南「顔、ぐしゃぐしゃになってるから恥ずかしいよ」
千歌「もう、今更だな。はやくはやくっ」
果南「……うん、分かった」
わたしは振り返って、果南ちゃんの顔をじっと見つめる。
頼りがいがあって、優しくて、だけどとっても繊細で。
千歌「うっ……」ギュ
果南「っ……千歌ぁ」ギュウウ
千歌「きっと、きっとまたこうして遊ぼうねっ」
果南「……そのときもまた、だるまさんがころんだをやるの?」
千歌「い、いいじゃん、いくつになったって」
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:29:51.86 ID:lPRJ1sAo0
果南ちゃんのぬくもりが伝わって、わたしの心をゆっくり溶かしていった。
……ああ、そっか。あのとき、二人で大げんかしたときも。
思えば果南ちゃんと過ごしてきた時間ずっと、いつもこんな風に──
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:31:52.80 ID:lPRJ1sAo0
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────
──
果南「じゃあ、そろそろ行くね」
ダイヤ「本当に、忘れ物はしていませんか」
果南「ダイヤは最後まで心配性だなぁ、だいじょーぶだって!」
曜「果南ちゃん、身体には気をつけるんだよ!」
果南「うん、ありがとう。それじゃあ」スッ
お見送りを終えて、果南ちゃんが少しずつ遠ざかっていく。
もう、わたしは大丈夫。
ふと見ると、果南ちゃんの足取りはだんだんとゆっくりになって、ついに足を止めた。
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:36:52.84 ID:lPRJ1sAo0
花丸「どうしたんだろう、果南さん」
ルビィ「うゅ。やっぱり忘れ物しちゃったのかな」
果南ちゃんはゆっくりと振り返って、じっとこっちを見つめている。
だから、わたしは。
千歌「果南ちゃぁあああん!!またねぇええ!!」ブンブン
思いっきり、ちょっとやり過ぎなくらい手を振ってやった。
果南ちゃんは苦笑いをして、安心したようにまた歩き出す。
ちょっぴり寂しいけど、だるまさんがころんだは、もうおしまいだから。
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/07(月) 00:37:22.05 ID:lPRJ1sAo0
おわり。
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525618088/
Entry ⇒ 2018.05.09 | Category ⇒ ラブライブ | Comments (0)
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