【モバマスSS】まゆ「恋愛相談室始めましたぁ」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 01:08:42.29 ID:4V8isxDZ0
キャラ崩壊注意
各アイドルにPが居る設定
各アイドルにPが居る設定
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 01:09:18.29 ID:4V8isxDZ0
――後に千川ちひろはこう語る。
「確かに、どのアイドルも自分のPさんと仲が良くて、その内付き合う娘も出てくるんじゃないかな。とは思っていました」
「けれど、もし最初に付き合い始めたカップルが、別の娘だったらこうはならなかったでしょう」
「例えば凛ちゃんと凛Pさんが最初に付き合い始めていれば、他のアイドルは凛ちゃんに見習い、クールな素振りをしたでしょう」
「例えば楓さんと楓Pさんが最初に付き合い始めていれば、他のアイドルは楓さんに見習い、駄洒落の練習をしたでしょう」
「きっとどちらも大した効果はなく、事務所は平穏のままだったはずです」
「ああ。なのに、ああ。最初に付き合い始めたのが、まゆちゃんでさえなかったら――」
千川ちひろは、小さく涙を流した。
「確かに、どのアイドルも自分のPさんと仲が良くて、その内付き合う娘も出てくるんじゃないかな。とは思っていました」
「けれど、もし最初に付き合い始めたカップルが、別の娘だったらこうはならなかったでしょう」
「例えば凛ちゃんと凛Pさんが最初に付き合い始めていれば、他のアイドルは凛ちゃんに見習い、クールな素振りをしたでしょう」
「例えば楓さんと楓Pさんが最初に付き合い始めていれば、他のアイドルは楓さんに見習い、駄洒落の練習をしたでしょう」
「きっとどちらも大した効果はなく、事務所は平穏のままだったはずです」
「ああ。なのに、ああ。最初に付き合い始めたのが、まゆちゃんでさえなかったら――」
千川ちひろは、小さく涙を流した。
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 01:09:50.61 ID:4V8isxDZ0
ちひろ(まゆちゃんがまゆPさんと付き合い始めて、一週間が経った頃の話です)
まゆ「Pさん、お疲れ様です。お弁当ですよぉ」
まゆ「はい、あーん」
まゆ「うふふ、美味しいですかぁ?今日のもいっぱいまゆの愛を詰め込みましたよぉ」
まゆ「あっ・・・えへへ、嬉しいです」ナデラレナデラレ
まゆ「晩御飯もいっぱい愛を込めて作りますから、お仕事頑張ってくださいね」
凛「・・・まゆはいいなぁ。あんなに自分のPさんと幸せそうにさ」
凛「私も・・・」
まゆ「?凛ちゃんも自分のPさんとイチャイチャすればいいじゃないですか」
凛「そんな、無理だよ。多分プロデューサーは私の事、妹みたいな物だと思ってるし・・・私不愛想だし・・・」
まゆ「いえ、きっと大丈夫ですよ。凛ちゃんが真剣に思いを伝えれば、きっと凛Pさんも見方を変えるはずです!」
凛「つまり・・・どうすればいいの?」
まゆ「押して押して押しまくればいいんです!」
まゆ「Pさん、お疲れ様です。お弁当ですよぉ」
まゆ「はい、あーん」
まゆ「うふふ、美味しいですかぁ?今日のもいっぱいまゆの愛を詰め込みましたよぉ」
まゆ「あっ・・・えへへ、嬉しいです」ナデラレナデラレ
まゆ「晩御飯もいっぱい愛を込めて作りますから、お仕事頑張ってくださいね」
凛「・・・まゆはいいなぁ。あんなに自分のPさんと幸せそうにさ」
凛「私も・・・」
まゆ「?凛ちゃんも自分のPさんとイチャイチャすればいいじゃないですか」
凛「そんな、無理だよ。多分プロデューサーは私の事、妹みたいな物だと思ってるし・・・私不愛想だし・・・」
まゆ「いえ、きっと大丈夫ですよ。凛ちゃんが真剣に思いを伝えれば、きっと凛Pさんも見方を変えるはずです!」
凛「つまり・・・どうすればいいの?」
まゆ「押して押して押しまくればいいんです!」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 01:10:25.43 ID:4V8isxDZ0
凛「ねぇ、プロデューサー。今度の休み、どこか行こうよ」
凛「あ、いや、そういうんじゃなくて、二人きりがいい・・・な」
凛(やっぱり、恥ずかしいな・・・うまく行かないかも知れないし、いつものキャラに戻ろうかな・・・)
凛(・・・いや、あの恋を成就させたまゆが言うんだ。信じてみよう)
凛「・・・そ、そうだよ!デートに行こうって言ってるの!嫌なの!?」
凛「じゃ、じゃあ、どこか行くよ!二人きりでさ!」
凛「あ、いや、そういうんじゃなくて、二人きりがいい・・・な」
凛(やっぱり、恥ずかしいな・・・うまく行かないかも知れないし、いつものキャラに戻ろうかな・・・)
凛(・・・いや、あの恋を成就させたまゆが言うんだ。信じてみよう)
凛「・・・そ、そうだよ!デートに行こうって言ってるの!嫌なの!?」
凛「じゃ、じゃあ、どこか行くよ!二人きりでさ!」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 01:11:03.67 ID:4V8isxDZ0
凛「あ、おはようプロデューサー」
凛「・・・何か、プロデューサーがスーツじゃないって、新鮮」
凛「私も?・・・うん。そうだね。今日の服はいつもと違うかも」
凛「頑張ってお洒落したんだ。・・・デートだから。どう?その、ちゃんと可愛い?」
凛「・・・嬉しい」
凛「それじゃ、行こうか。・・・ねぇ、手。繋がない?」
凛「さ、さっきも言ったでしょ。デート、なんだからさ」
凛「・・・何か、プロデューサーがスーツじゃないって、新鮮」
凛「私も?・・・うん。そうだね。今日の服はいつもと違うかも」
凛「頑張ってお洒落したんだ。・・・デートだから。どう?その、ちゃんと可愛い?」
凛「・・・嬉しい」
凛「それじゃ、行こうか。・・・ねぇ、手。繋がない?」
凛「さ、さっきも言ったでしょ。デート、なんだからさ」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 01:11:37.25 ID:4V8isxDZ0
凛「はぁ・・・今日一日楽しかった。ありがとね」
凛「何か、お休みの日にプロデューサーと二人きりだったなんて、何か変な感じだね」
凛「今日は、幸せだったな・・・毎日、プロデューサーと一緒に居たいな」
凛「プロデューサーは、どうだった?」
凛「・・・プロデューサー。好き。大好きだよ。プロデューサー」
凛「手離したくない。ずっとこのままがいい」
凛「・・・今日、プロデューサーの家に泊まっていい?」
凛「何でって・・・好きだから。じゃ、ダメ?」
凛「何か、お休みの日にプロデューサーと二人きりだったなんて、何か変な感じだね」
凛「今日は、幸せだったな・・・毎日、プロデューサーと一緒に居たいな」
凛「プロデューサーは、どうだった?」
凛「・・・プロデューサー。好き。大好きだよ。プロデューサー」
凛「手離したくない。ずっとこのままがいい」
凛「・・・今日、プロデューサーの家に泊まっていい?」
凛「何でって・・・好きだから。じゃ、ダメ?」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 01:12:07.18 ID:4V8isxDZ0
まゆ「凛ちゃん。昨日のお休みはどうでしたか?」
凛「最高だった」
まゆ「あら。うまく行ったようですね」
凛「まゆの言う通りにしたら一発だったよ。ありがとうまゆ」
まゆ「いえいえ、まゆはまゆの幸せを、ほんのちょっぴりお裾分けしただけですから」
ちひろ(まゆちゃんの助言で凛ちゃんの恋が叶ったという情報は、瞬く間に事務所内に知れ渡りました)
ちひろ(そしてまゆちゃんの下にたくさんのアイドルが助言を求めてやってくるようになりました)
ちひろ(さらに幸せ絶頂のまゆちゃんは、それを一切拒みませんでした)
まゆ「恋愛相談室始めましたぁ」
凛「最高だった」
まゆ「あら。うまく行ったようですね」
凛「まゆの言う通りにしたら一発だったよ。ありがとうまゆ」
まゆ「いえいえ、まゆはまゆの幸せを、ほんのちょっぴりお裾分けしただけですから」
ちひろ(まゆちゃんの助言で凛ちゃんの恋が叶ったという情報は、瞬く間に事務所内に知れ渡りました)
ちひろ(そしてまゆちゃんの下にたくさんのアイドルが助言を求めてやってくるようになりました)
ちひろ(さらに幸せ絶頂のまゆちゃんは、それを一切拒みませんでした)
まゆ「恋愛相談室始めましたぁ」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 01:12:44.63 ID:4V8isxDZ0
留美「こんにちは・・・まゆちゃん」
まゆ「こんにちはぁ。留美さん」
留美「その・・・十歳以上も年下の娘に相談するような事じゃないっていうのは、重々承知しているのだけど・・・」
まゆ「いえいえ、恋愛に年上も年下も関係ありませんよ。それで、相談というのはやはり・・・」
留美「・・・どうしたらP君と結婚できるか、教えて欲しいの」
まゆ「なるほど」
留美「やっぱり、ガツガツしてるのは良くないのかしら・・・」
まゆ「ガツガツ・・・具体的には、何を?」
留美「Pくんの判以外全て記入済みの婚姻届けを、鞄、書類などに忍ばせて・・・やっぱりこんな方法だと引かれてしまうわよね・・・でも、Pくんの事を思うと・・・」
まゆ「いえ、別に引かれたりはしていないはずですよ」
留美「そうかしら・・・」
まゆ「むしろ逆です。それしきのアプローチでは足りません」
留美「え・・・?」
まゆ「留美さんはしっかりした方ですから。そういった形式的なアプローチでは相手には中々意識してもらえません。むしろ、真面目な雰囲気で近寄りがたいと思われているんじゃないでしょうか」
留美「確かに、たまに距離を感じるわ」
まゆ「ですから婚姻届に頼るのは一度やめて、体や言葉で相手に好きだという事を伝えるのはどうでしょう」
まゆ「距離を縮めようとする態度を見せることで、留美さんのかっちりしたイメージを忘れてもらうんです」
留美「つまり・・・何をすればいいのかしら」
まゆ「押して押して押しまくればいいんです!」
まゆ「こんにちはぁ。留美さん」
留美「その・・・十歳以上も年下の娘に相談するような事じゃないっていうのは、重々承知しているのだけど・・・」
まゆ「いえいえ、恋愛に年上も年下も関係ありませんよ。それで、相談というのはやはり・・・」
留美「・・・どうしたらP君と結婚できるか、教えて欲しいの」
まゆ「なるほど」
留美「やっぱり、ガツガツしてるのは良くないのかしら・・・」
まゆ「ガツガツ・・・具体的には、何を?」
留美「Pくんの判以外全て記入済みの婚姻届けを、鞄、書類などに忍ばせて・・・やっぱりこんな方法だと引かれてしまうわよね・・・でも、Pくんの事を思うと・・・」
まゆ「いえ、別に引かれたりはしていないはずですよ」
留美「そうかしら・・・」
まゆ「むしろ逆です。それしきのアプローチでは足りません」
留美「え・・・?」
まゆ「留美さんはしっかりした方ですから。そういった形式的なアプローチでは相手には中々意識してもらえません。むしろ、真面目な雰囲気で近寄りがたいと思われているんじゃないでしょうか」
留美「確かに、たまに距離を感じるわ」
まゆ「ですから婚姻届に頼るのは一度やめて、体や言葉で相手に好きだという事を伝えるのはどうでしょう」
まゆ「距離を縮めようとする態度を見せることで、留美さんのかっちりしたイメージを忘れてもらうんです」
留美「つまり・・・何をすればいいのかしら」
まゆ「押して押して押しまくればいいんです!」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 01:13:20.04 ID:4V8isxDZ0
留美「あ、P君。ちょっとこっちに来てもらえるかしら」
留美「いや、別にお説教しようって訳じゃないのよ。むしろその逆で・・・その・・・いいからこっちに来なさい」
留美「・・・んっ」ギュッ
留美「す、好きよ、P君。愛してるわ」
留美「急に・・・?急じゃないわよ。今までもずっと言って来たわ。婚姻届で」
留美「それで・・・どうかしら、私の抱擁は」
留美「・・・そういう事が聞きたいんじゃないの。ちゃんと答えなさい。答えるまで離さないから」
留美「私に抱きしめられて、嬉しい?」
留美「・・・そう、なら、私も嬉しいわ」ギューッ
留美「そんな事言われて、素直に離すと思う?・・・君も嬉しい、私も嬉しい。このままでいいでしょう?」
留美「いや、別にお説教しようって訳じゃないのよ。むしろその逆で・・・その・・・いいからこっちに来なさい」
留美「・・・んっ」ギュッ
留美「す、好きよ、P君。愛してるわ」
留美「急に・・・?急じゃないわよ。今までもずっと言って来たわ。婚姻届で」
留美「それで・・・どうかしら、私の抱擁は」
留美「・・・そういう事が聞きたいんじゃないの。ちゃんと答えなさい。答えるまで離さないから」
留美「私に抱きしめられて、嬉しい?」
留美「・・・そう、なら、私も嬉しいわ」ギューッ
留美「そんな事言われて、素直に離すと思う?・・・君も嬉しい、私も嬉しい。このままでいいでしょう?」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 01:14:13.48 ID:4V8isxDZ0
留美「・・・わっ」
留美「ふふ・・・急に甘えたりして・・・君も極端ね」
留美「別に軽蔑したりなんかしないわ。私のために頑張ってくれる君だもの」
留美「好きなだけ、甘えてちょうだい」
留美「・・・ひゃっ」
留美「・・・いや、別に嫌だった訳じゃないわ。その、少し驚いてしまって」
留美「大丈夫、そのまま続けて?私もそのつもりでこうしているのだし・・・」
留美「ただ・・・たまには、私にも甘えさせてね?」
留美「ふふ・・・急に甘えたりして・・・君も極端ね」
留美「別に軽蔑したりなんかしないわ。私のために頑張ってくれる君だもの」
留美「好きなだけ、甘えてちょうだい」
留美「・・・ひゃっ」
留美「・・・いや、別に嫌だった訳じゃないわ。その、少し驚いてしまって」
留美「大丈夫、そのまま続けて?私もそのつもりでこうしているのだし・・・」
留美「ただ・・・たまには、私にも甘えさせてね?」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 01:14:42.63 ID:4V8isxDZ0
まゆ「どうでしたかぁ?」
留美「最高だったわ」
まゆ「うふ。それは良かったですぅ」
留美「市役所に行かないといけないから、これで失礼するわね」
まゆ「お幸せに~」バイバイ
まゆ「では、次の方どうぞぉ」
文香「こんにちは・・・」
まゆ「あら、文香さん」
文香「その・・・もっとPさんと仲良くなれれば、と思うのですが・・・」
まゆ「そうですかぁ?文香さんはPさんに大切にされているイメージが有りますけれど・・・」
文香「確かにそうですが・・・大切にされ過ぎていると言いますか・・・ボディタッチも他のPさん達と比べて少な目で・・・」
まゆ「なるほど。もっと乱暴されたいという事ですね?」
文香「いや・・・その・・・そうですが」
まゆ「Pさんの大きな手で体の隅々までしっちゃかめっちゃかにされたいという事ですね!?分かります!」ガタッ
文香「あの・・・落ち着いてください」
まゆ「すいません。取り乱しました」ストン
留美「最高だったわ」
まゆ「うふ。それは良かったですぅ」
留美「市役所に行かないといけないから、これで失礼するわね」
まゆ「お幸せに~」バイバイ
まゆ「では、次の方どうぞぉ」
文香「こんにちは・・・」
まゆ「あら、文香さん」
文香「その・・・もっとPさんと仲良くなれれば、と思うのですが・・・」
まゆ「そうですかぁ?文香さんはPさんに大切にされているイメージが有りますけれど・・・」
文香「確かにそうですが・・・大切にされ過ぎていると言いますか・・・ボディタッチも他のPさん達と比べて少な目で・・・」
まゆ「なるほど。もっと乱暴されたいという事ですね?」
文香「いや・・・その・・・そうですが」
まゆ「Pさんの大きな手で体の隅々までしっちゃかめっちゃかにされたいという事ですね!?分かります!」ガタッ
文香「あの・・・落ち着いてください」
まゆ「すいません。取り乱しました」ストン
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 01:15:08.74 ID:4V8isxDZ0
文香「やはり・・・私の体に魅力がないという事でしょうか・・・」
まゆ「そんな事はないと思いますけど・・・。むしろ、その自信のない感じが駄目なんじゃないでしょうか」
文香「自信・・・ですか」
まゆ「文香さんの慎ましい性格は美点ですけれど・・・男の人は一歩引いちゃうのかも知れません」
まゆ「美しい硝子細工に触れたいと思うと同時に、壊すことを恐れてしまうように・・・」
文香「あの・・・無理に文学的な言い回しをしなくても・・・」
まゆ「ですから、Pさんが我慢できないくらいに、文香さんの魅力を見せつければ良いと思います」
文香「それとなく体を寄せたりしているのですが・・・」
まゆ「それでもまだ足りないという事です」
文香「つまり、どうすれば・・・?」
まゆ「押して押して押しまくればいいんです!」
まゆ「そんな事はないと思いますけど・・・。むしろ、その自信のない感じが駄目なんじゃないでしょうか」
文香「自信・・・ですか」
まゆ「文香さんの慎ましい性格は美点ですけれど・・・男の人は一歩引いちゃうのかも知れません」
まゆ「美しい硝子細工に触れたいと思うと同時に、壊すことを恐れてしまうように・・・」
文香「あの・・・無理に文学的な言い回しをしなくても・・・」
まゆ「ですから、Pさんが我慢できないくらいに、文香さんの魅力を見せつければ良いと思います」
文香「それとなく体を寄せたりしているのですが・・・」
まゆ「それでもまだ足りないという事です」
文香「つまり、どうすれば・・・?」
まゆ「押して押して押しまくればいいんです!」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 01:15:49.53 ID:4V8isxDZ0
文香「あ、Pさん・・・おはようございます」
文香「ええと・・・その、これはお洒落です」
文香(あの後まゆさんにお勧めされた服を着てきましたが・・・胸元が開きすぎな気が・・・)
文香(いえ、あのまゆさんが言うのです。これで間違いなくPさんは私をしっちゃかめっちゃかにしてくれるはず・・・)
文香(実際Pさんの視線が胸元に・・・恥ずかしいですけれど)
文香「どうでしょう・・・この服、私に似合っていますか?」
文香「・・・そ、そんな!こんな服で街を歩いたりできません!この服に着替えたのは、事務所のトイレで・・・」
文香「あ、いえ確かにお洒落とは言いましたが・・・」
文香「う・・・そ、それは・・・」
文香「ええと・・・その、これはお洒落です」
文香(あの後まゆさんにお勧めされた服を着てきましたが・・・胸元が開きすぎな気が・・・)
文香(いえ、あのまゆさんが言うのです。これで間違いなくPさんは私をしっちゃかめっちゃかにしてくれるはず・・・)
文香(実際Pさんの視線が胸元に・・・恥ずかしいですけれど)
文香「どうでしょう・・・この服、私に似合っていますか?」
文香「・・・そ、そんな!こんな服で街を歩いたりできません!この服に着替えたのは、事務所のトイレで・・・」
文香「あ、いえ確かにお洒落とは言いましたが・・・」
文香「う・・・そ、それは・・・」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 01:16:20.61 ID:4V8isxDZ0
文香「・・・あなたに、触れて欲しかったのです・・・こうした服を着れば、もっと私を意識してくれるかと・・・」
文香「やはり、私の体には魅力がないですか・・・」
文香「そんな言葉では、安心できません・・・!」
文香「Pさんの言っている事は分かります・・・大事にしたいと言ってもらえるのは嬉しいです」
文香「けれど、同時に不安にもなるのです・・・私はまるで、人形か置物としか思われていないのかと・・・」
文香「・・・ええ、もちろん頭では分かっています。けれど、寂しいのです・・・どうしようもなく・・・!」
文香「私だけですか?もっと、深く繋がり合いたいと思っているのは」
文香「・・・そんな!私がPさんを拒むなんて、絶対にありません!あなたに何をされても・・・私は受け入れます。そうでなければ好きになったりしません・・・」
文香「この姿も、見せるのはあなただけです・・・」
文香「・・・はい」
文香「んっ・・・はぁっ」
文香「はい・・・私も、ずっとこうしたいと思っていました・・・」
文香「あっ、そんなに強く抱きしめられると、胸元がズレて・・・」
文香「やはり、私の体には魅力がないですか・・・」
文香「そんな言葉では、安心できません・・・!」
文香「Pさんの言っている事は分かります・・・大事にしたいと言ってもらえるのは嬉しいです」
文香「けれど、同時に不安にもなるのです・・・私はまるで、人形か置物としか思われていないのかと・・・」
文香「・・・ええ、もちろん頭では分かっています。けれど、寂しいのです・・・どうしようもなく・・・!」
文香「私だけですか?もっと、深く繋がり合いたいと思っているのは」
文香「・・・そんな!私がPさんを拒むなんて、絶対にありません!あなたに何をされても・・・私は受け入れます。そうでなければ好きになったりしません・・・」
文香「この姿も、見せるのはあなただけです・・・」
文香「・・・はい」
文香「んっ・・・はぁっ」
文香「はい・・・私も、ずっとこうしたいと思っていました・・・」
文香「あっ、そんなに強く抱きしめられると、胸元がズレて・・・」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 01:16:59.84 ID:4V8isxDZ0
まゆ「どうでしたかぁ?」
文香「幸せでした・・・」
まゆ「うふ。それは良かったですぅ」
文香「それでは、またしっちゃかめっちゃかにしてもらう予定なので、これで失礼します・・・」
まゆ「お幸せに~」バイバイ
まゆ「では、次の方どうぞぉ」
藍子「こんにちは~」
まゆ「藍子ちゃんですか。こんにちは~」
藍子「Pさんとお付き合いしたいんですけど・・・一体どうしたらいいんでしょう・・・」
まゆ「ふむ・・・今はどんな感じなんですか?」
藍子「仲は良いと思うんですけど、恋人って感じじゃなくて・・・この関係を壊すのも何だか怖くて、何もできないんです・・・」
まゆ「大丈夫ですよ。今の関係は壊れません、もっと良い関係になるんです!まゆが保証します!」
藍子「素敵・・・!でも、そもそも恋人になれるかどうか・・・」
まゆ「うーん。そういう自信のない感じでは、関係を進めるというのは難しいですね。Pさん達は皆受け身ですから」
まゆ「藍子ちゃん!意識改革しましょう!くよくよ悩まず、がんがん攻めるんです!Pさんを幸せにできるのは自分しか居ないと信じるんです!」
藍子「Pさんを幸せにできるのは・・・私しか居ない・・・」
まゆ「思い出してください!Pさんは私達を数ある女の子の中から選んでスカウトしたんです!これはもう実質プロポーズです!私達アイドルとそのPさんが結ばれるのは運命なんです!」
藍子「私とPさんが結ばれるのは運命・・・!」
まゆ「Pさんが一番見ているのはまゆ!Pさんが一番幸せそうにしているのはまゆと一緒に居る時!」
藍子「つまり、私はどうすればいいんですか!?」
まゆ「薬で眠らせてからベッドに拘束してねっとりべったりらぶらぶ幸せ中出しックス!」
藍子「薬で眠らせてからベッドに拘束してねっとりべったりらぶらぶ幸せ中出しックス!」
文香「幸せでした・・・」
まゆ「うふ。それは良かったですぅ」
文香「それでは、またしっちゃかめっちゃかにしてもらう予定なので、これで失礼します・・・」
まゆ「お幸せに~」バイバイ
まゆ「では、次の方どうぞぉ」
藍子「こんにちは~」
まゆ「藍子ちゃんですか。こんにちは~」
藍子「Pさんとお付き合いしたいんですけど・・・一体どうしたらいいんでしょう・・・」
まゆ「ふむ・・・今はどんな感じなんですか?」
藍子「仲は良いと思うんですけど、恋人って感じじゃなくて・・・この関係を壊すのも何だか怖くて、何もできないんです・・・」
まゆ「大丈夫ですよ。今の関係は壊れません、もっと良い関係になるんです!まゆが保証します!」
藍子「素敵・・・!でも、そもそも恋人になれるかどうか・・・」
まゆ「うーん。そういう自信のない感じでは、関係を進めるというのは難しいですね。Pさん達は皆受け身ですから」
まゆ「藍子ちゃん!意識改革しましょう!くよくよ悩まず、がんがん攻めるんです!Pさんを幸せにできるのは自分しか居ないと信じるんです!」
藍子「Pさんを幸せにできるのは・・・私しか居ない・・・」
まゆ「思い出してください!Pさんは私達を数ある女の子の中から選んでスカウトしたんです!これはもう実質プロポーズです!私達アイドルとそのPさんが結ばれるのは運命なんです!」
藍子「私とPさんが結ばれるのは運命・・・!」
まゆ「Pさんが一番見ているのはまゆ!Pさんが一番幸せそうにしているのはまゆと一緒に居る時!」
藍子「つまり、私はどうすればいいんですか!?」
まゆ「薬で眠らせてからベッドに拘束してねっとりべったりらぶらぶ幸せ中出しックス!」
藍子「薬で眠らせてからベッドに拘束してねっとりべったりらぶらぶ幸せ中出しックス!」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 01:17:35.93 ID:4V8isxDZ0
藍子「Pさん、こんばんは~。今日は来てくれてありがとうございます」
藍子「Pさんのために、お料理頑張っちゃいます!」
藍子「・・・・・・できましたよ~。はい、あーん」
藍子「もう。恥ずかしがらなくてもいいんですよ?」
藍子「どうです?美味しいですか?」
藍子「えへへ・・・頑張って良かったです」
藍子「それじゃ、お薬飲みましょうね~」サーッ
藍子「・・・え、何で飲んでくれないんですか?」
藍子「そ、そんなぁ。困ります!寝てください!」
藍子「むぅ。そ、それなら・・・ねーんねーんころーりーよー、ころーりーよー」
藍子「・・・よし」
藍子「Pさんのために、お料理頑張っちゃいます!」
藍子「・・・・・・できましたよ~。はい、あーん」
藍子「もう。恥ずかしがらなくてもいいんですよ?」
藍子「どうです?美味しいですか?」
藍子「えへへ・・・頑張って良かったです」
藍子「それじゃ、お薬飲みましょうね~」サーッ
藍子「・・・え、何で飲んでくれないんですか?」
藍子「そ、そんなぁ。困ります!寝てください!」
藍子「むぅ。そ、それなら・・・ねーんねーんころーりーよー、ころーりーよー」
藍子「・・・よし」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 01:18:09.71 ID:4V8isxDZ0
藍子「ベッドに運んで、手錠をかけて・・・準備完了です!」
藍子「後はPさんが起きるのを待つだけです」ギュッ
藍子「・・・・・・まだかな・・・」
藍子「・・・ぐぅ」スヤァ
藍子「・・・はっ!?」
藍子「あ、Pさん。おはようございます」
藍子「手錠、痛いんですか?す、すいません。今外しますね」ガチャガチャ
藍子「え?だってPさんが外してくれ・・・って」
藍子「はいっ!外れた所で、早速始めましょう!まず、最初に二人共裸になって・・・」
藍子「はだか・・・?」
藍子「あ、あの、やっぱり止めておきましょうか。私達にはまだ早いっていうか・・・」
藍子「わっ、きゃあっ!?」
藍子「Pさん・・・」ギュウ
藍子「んっ」
藍子「後はPさんが起きるのを待つだけです」ギュッ
藍子「・・・・・・まだかな・・・」
藍子「・・・ぐぅ」スヤァ
藍子「・・・はっ!?」
藍子「あ、Pさん。おはようございます」
藍子「手錠、痛いんですか?す、すいません。今外しますね」ガチャガチャ
藍子「え?だってPさんが外してくれ・・・って」
藍子「はいっ!外れた所で、早速始めましょう!まず、最初に二人共裸になって・・・」
藍子「はだか・・・?」
藍子「あ、あの、やっぱり止めておきましょうか。私達にはまだ早いっていうか・・・」
藍子「わっ、きゃあっ!?」
藍子「Pさん・・・」ギュウ
藍子「んっ」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 01:18:40.09 ID:4V8isxDZ0
まゆ「どうでしたかぁ?」
藍子「ちょっとびっくりしちゃいましたけど・・・幸せでした」
まゆ「うふ。それは良かったですぅ」
藍子「あっ、今日もPさんが家に来るので、ここで失礼しますね」
まゆ「お幸せに~」バイバイ
まゆ「事務所にも大分カップルが増えてきましたね・・・事務所が甘々オーラになればなるほど、Pさんとイチャイチャできるって物ですよぉ」
まゆ「さぁ、頑張ってカップル増やしますよぉ!」エイエイオー
ちひろ(そんなまゆちゃんの努力もあって、ついには全アイドルが自分のPさんと付き合うに至りました・・・)
凛「はい、あーん」イチャイチャ
ちひろ「・・・」カタカタ
留美「P君、式場の事だけど・・・」イチャイチャ
ちひろ「・・・」カタカタ
文香「お勧めの本が・・・」イチャイチャ
ちひろ「・・・」カタカタ
藍子「今日の晩御飯は何がいいですか?」イチャイチャ
ちひろ「・・・」カタカタ
千川ちひろは、小さく涙を流した。
-終わり-
藍子「ちょっとびっくりしちゃいましたけど・・・幸せでした」
まゆ「うふ。それは良かったですぅ」
藍子「あっ、今日もPさんが家に来るので、ここで失礼しますね」
まゆ「お幸せに~」バイバイ
まゆ「事務所にも大分カップルが増えてきましたね・・・事務所が甘々オーラになればなるほど、Pさんとイチャイチャできるって物ですよぉ」
まゆ「さぁ、頑張ってカップル増やしますよぉ!」エイエイオー
ちひろ(そんなまゆちゃんの努力もあって、ついには全アイドルが自分のPさんと付き合うに至りました・・・)
凛「はい、あーん」イチャイチャ
ちひろ「・・・」カタカタ
留美「P君、式場の事だけど・・・」イチャイチャ
ちひろ「・・・」カタカタ
文香「お勧めの本が・・・」イチャイチャ
ちひろ「・・・」カタカタ
藍子「今日の晩御飯は何がいいですか?」イチャイチャ
ちひろ「・・・」カタカタ
千川ちひろは、小さく涙を流した。
-終わり-
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 01:19:13.20 ID:4V8isxDZ0
以上になります。
約180のカップルに囲まれながら独りで事務仕事をこなすちひろさんは世界一ブラックコーヒーが似合う女。
でも多分この後事務所の近くに割高のラブホ建てて荒稼ぎしてるからやっぱり悪魔。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
約180のカップルに囲まれながら独りで事務仕事をこなすちひろさんは世界一ブラックコーヒーが似合う女。
でも多分この後事務所の近くに割高のラブホ建てて荒稼ぎしてるからやっぱり悪魔。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 07:18:05.09 ID:5Srf2dLJo
乙
ちひろさんは俺の彼女だから(ガチャガチャ
ちひろさんは俺の彼女だから(ガチャガチャ
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/18(日) 15:10:43.24 ID:gA6KNqAUO
乙でした
しっちゃかめっちゃかはワロタ
しっちゃかめっちゃかはワロタ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1518883721/
Entry ⇒ 2018.02.28 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
曜「……身体が…あつい」
1: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 01:43:38.69 ID:wvCoJohc
曜「風邪…引いちゃったなぁ…」ゴホッ
曜「学校休むのなんて、今年は初めて…かな…?」
曜「頭が…ぼーっとする……」
曜「ママは…仕事行っちゃったし…家に…誰もいないのか…」
ラッシャセー ヤスイッスヨー ラッシャセーラッシャセー
曜「お魚市場の声かぁ…遠くで聞こえて…くるなぁ…」
曜「学校休むのなんて、今年は初めて…かな…?」
曜「頭が…ぼーっとする……」
曜「ママは…仕事行っちゃったし…家に…誰もいないのか…」
ラッシャセー ヤスイッスヨー ラッシャセーラッシャセー
曜「お魚市場の声かぁ…遠くで聞こえて…くるなぁ…」
2: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 01:44:18.30 ID:wvCoJohc
曜「んあぁ!暑い!」ガバッ
曜「や、やっぱ寒い…布団はかけとこ…」
曜「なんか…孤独…って感じが…するなぁ…」
曜「千歌ちゃん…こない…かなぁ」
曜「まだ…9時だから…学校始まったばかりか…」
曜「寂しい…な…」
曜「や、やっぱ寒い…布団はかけとこ…」
曜「なんか…孤独…って感じが…するなぁ…」
曜「千歌ちゃん…こない…かなぁ」
曜「まだ…9時だから…学校始まったばかりか…」
曜「寂しい…な…」
3: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 01:44:45.24 ID:wvCoJohc
「…ん……ちゃん……ようちゃん…」
曜「ん?…だれ…?」
「私だよー、千歌ですよー」
曜(千歌ちゃんはまだ…学校のはずだし…夢か…)
曜「ありがとー千歌ちゃん…夢でも、うれしいな…」
千歌「…?
曜ちゃん汗びっしょりだよ?拭いてあげるから脱いで、ね?」
曜「お願い…します…」ヌギヌギ
曜「ん?…だれ…?」
「私だよー、千歌ですよー」
曜(千歌ちゃんはまだ…学校のはずだし…夢か…)
曜「ありがとー千歌ちゃん…夢でも、うれしいな…」
千歌「…?
曜ちゃん汗びっしょりだよ?拭いてあげるから脱いで、ね?」
曜「お願い…します…」ヌギヌギ
5: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 01:45:44.00 ID:wvCoJohc
千歌「曜ちゃんお肌きれいだね」フキーフキー
曜「さ、寒い…」ブルブル
千歌「あ、だよね!早くお着替えしよっか
タンスあけるよ?」
曜「…うん」
曜(…千歌ちゃんコレクションがあるけど…夢だし…いっか…)
千歌(私の写真がたくさん…)
千歌「…私の事こんなに見てくれてるんだね、曜ちゃん」キガエキガエ
曜「うん…千歌ちゃんのこと…だい好きだもん…」キガエキガエ
曜「さ、寒い…」ブルブル
千歌「あ、だよね!早くお着替えしよっか
タンスあけるよ?」
曜「…うん」
曜(…千歌ちゃんコレクションがあるけど…夢だし…いっか…)
千歌(私の写真がたくさん…)
千歌「…私の事こんなに見てくれてるんだね、曜ちゃん」キガエキガエ
曜「うん…千歌ちゃんのこと…だい好きだもん…」キガエキガエ
6: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 01:46:23.34 ID:wvCoJohc
千歌「私も好きだよ…曜ちゃん」
曜「…千歌…ちゃん……一緒にいて…」
千歌「うん、手繋いでてあげるね」コイビトツナギー
曜「…ありがとー…千歌ちゃんと…いると…安心する…」ギューッ
千歌「いえいえ、こちらこそだよ」
曜「…」
曜「…すぅー…スー」
千歌「寝ちゃったのかな…?おやすみ曜ちゃん」チュッ
曜「…千歌…ちゃん……一緒にいて…」
千歌「うん、手繋いでてあげるね」コイビトツナギー
曜「…ありがとー…千歌ちゃんと…いると…安心する…」ギューッ
千歌「いえいえ、こちらこそだよ」
曜「…」
曜「…すぅー…スー」
千歌「寝ちゃったのかな…?おやすみ曜ちゃん」チュッ
9: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 01:47:17.77 ID:wvCoJohc
曜「…はっ!!」ガバッ
曜「さっきのは夢?」
曜「千歌ちゃんに告白しちゃったぁ//」カァー
曜「夢なのに恥ずかしがってどうするの!!…はぁ」
曜「もう、熱は下がったみたいだし明日には学校いけるかな…?」
曜「さっきのは夢?」
曜「千歌ちゃんに告白しちゃったぁ//」カァー
曜「夢なのに恥ずかしがってどうするの!!…はぁ」
曜「もう、熱は下がったみたいだし明日には学校いけるかな…?」
11: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 01:48:59.62 ID:wvCoJohc
曜「あれ…机の上になにかある…」
『曜ちゃんの具合が良くなるように飛びっきりに美味しいみかんを選んで持ってきたよ!!
たくさん食べて早く元気になってね!!千歌より』
曜「千歌ちゃんからの手紙とたくさんのみかんか…」ドッサリ
曜「…えっ…てことは…夢じゃ…ない?」
曜「ん?…ん?」
曜「身体拭いてもらったことも…千歌ちゃんコレクションみられたことも…告白したことも…恋人繋ぎしたことも……」
曜「夢じゃ…ない!?」
曜「まさか…ね?」
『曜ちゃんの具合が良くなるように飛びっきりに美味しいみかんを選んで持ってきたよ!!
たくさん食べて早く元気になってね!!千歌より』
曜「千歌ちゃんからの手紙とたくさんのみかんか…」ドッサリ
曜「…えっ…てことは…夢じゃ…ない?」
曜「ん?…ん?」
曜「身体拭いてもらったことも…千歌ちゃんコレクションみられたことも…告白したことも…恋人繋ぎしたことも……」
曜「夢じゃ…ない!?」
曜「まさか…ね?」
14: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 01:50:08.73 ID:wvCoJohc
曜「あ、みかん美味しい」モグモグ
16: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 01:50:54.72 ID:wvCoJohc
翌日
曜「千歌ちゃ~んおはヨーソロー!」ケイレイッ
千歌「おはよー!具合良くなったみたいで良かったよー!」
曜「…千歌ちゃんって昨日家に来てくれたんだよね?」
千歌「うん、そだよ!けど曜ちゃんぐっすり寝てたみたいだったからみかん置いて帰っちゃったんだ」
曜「そ、そうなんだ!よかったぁ」
千歌「よかったって、なにが?」
曜「いや、なんでもないよ!こっちの話!」
曜「千歌ちゃ~んおはヨーソロー!」ケイレイッ
千歌「おはよー!具合良くなったみたいで良かったよー!」
曜「…千歌ちゃんって昨日家に来てくれたんだよね?」
千歌「うん、そだよ!けど曜ちゃんぐっすり寝てたみたいだったからみかん置いて帰っちゃったんだ」
曜「そ、そうなんだ!よかったぁ」
千歌「よかったって、なにが?」
曜「いや、なんでもないよ!こっちの話!」
19: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 01:53:23.05 ID:wvCoJohc
曜「さぁ、学校に早く行こっか!」
千歌「もう、病み上がりなんだから無理しちゃダメだよー?」
曜「ヨーソロー!了解であります!」ケイレイッ
千歌(うん…すぐに帰ったよ…
だけど、身体拭いたり…私の沢山の写真見たり…告白したり…恋人繋ぎしたり………キスもしたり…ね!)
千歌「もう、病み上がりなんだから無理しちゃダメだよー?」
曜「ヨーソロー!了解であります!」ケイレイッ
千歌(うん…すぐに帰ったよ…
だけど、身体拭いたり…私の沢山の写真見たり…告白したり…恋人繋ぎしたり………キスもしたり…ね!)
20: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 01:54:58.61 ID:wvCoJohc
短いけど終わりです
28: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 02:01:45.72 ID:wvCoJohc
千歌「んー、頭が痛い…」ズキズキ
千歌「風邪うつっちゃったかなぁ…」
千歌「身体も火照ってる気がする…」
千歌「風邪うつっちゃったかなぁ…」
千歌「身体も火照ってる気がする…」
33: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 02:04:09.79 ID:wvCoJohc
千歌「みかん食べれば、なんとかなるかな…」モグモグ
千歌「んっ!!」ゴホッゴホッ
千歌「喉が痛くて、みかんが食べれない…」
千歌「…どうしたらいいんだろ」
千歌「んっ!!」ゴホッゴホッ
千歌「喉が痛くて、みかんが食べれない…」
千歌「…どうしたらいいんだろ」
35: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 02:07:47.83 ID:wvCoJohc
曜「ちーかちゃん!お待たせー!お昼食べよ!」
千歌「」ゴホッゴホッ
曜「だ、大丈夫!?」
千歌「み、みかんが食べれなくて…」
曜「う、うん?もう1個食べてるよね?」
千歌「」ゴホッゴホッ
曜「だ、大丈夫!?」
千歌「み、みかんが食べれなくて…」
曜「う、うん?もう1個食べてるよね?」
38: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 02:12:34.34 ID:wvCoJohc
千歌「違うの!喉が痛くて沢山食べれないの!」
曜「確かにちょっと声枯れてるかも
いつもはみかん5個は食べてるから辛いよね…」
千歌「そうなの…」
千歌「ちょっと、みかんジュース買ってくるね」
曜「確かにちょっと声枯れてるかも
いつもはみかん5個は食べてるから辛いよね…」
千歌「そうなの…」
千歌「ちょっと、みかんジュース買ってくるね」
39: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 02:17:37.28 ID:wvCoJohc
曜(もしかして…風邪うつしちゃった!?)
曜(うーん、風邪薬は今持ってないし…)
曜(…みかんは食べれないって言ってたし)
曜(うーん…うーん…)
曜(うーん、風邪薬は今持ってないし…)
曜(…みかんは食べれないって言ってたし)
曜(うーん…うーん…)
41: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 02:20:33.43 ID:wvCoJohc
千歌「買ってきたよー難しい顔してどうしたの?」
曜「風邪うつしちゃったかなーって…ごめんね?」
千歌「いいよいいよ!はい曜ちゃんの分のみかんジュース!」
曜「ありがとね千歌ちゃん…」
曜「風邪うつしちゃったかなーって…ごめんね?」
千歌「いいよいいよ!はい曜ちゃんの分のみかんジュース!」
曜「ありがとね千歌ちゃん…」
42: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 02:23:37.83 ID:wvCoJohc
曜「顔も赤いし、一度保健室行ってみたら?」
千歌「大丈夫だと思うんだけどなー」
曜「ちょっといい?」オデコアテー
千歌「よ、曜ちゃん!?」
千歌(顔が近い…)
千歌「大丈夫だと思うんだけどなー」
曜「ちょっといい?」オデコアテー
千歌「よ、曜ちゃん!?」
千歌(顔が近い…)
44: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 02:29:59.67 ID:wvCoJohc
曜「やっぱり、熱ありそうだよ?
保健室行こっか」
千歌「うん、曜ちゃんがそこまで言うなら…」
千歌「って曜ちゃんも顔赤いよ?」
曜「だ、大丈夫大丈夫!」
曜(顔が近かった…)
保健室行こっか」
千歌「うん、曜ちゃんがそこまで言うなら…」
千歌「って曜ちゃんも顔赤いよ?」
曜「だ、大丈夫大丈夫!」
曜(顔が近かった…)
45: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 02:32:25.66 ID:wvCoJohc
保健室
曜「失礼しまーす」ガラッ
曜「あれ?先生がいないね
千歌ちゃんはベッドに横になってて」
千歌「うん、分かった」
曜「体温計は…どこかな…っと」ガサガサ
曜「失礼しまーす」ガラッ
曜「あれ?先生がいないね
千歌ちゃんはベッドに横になってて」
千歌「うん、分かった」
曜「体温計は…どこかな…っと」ガサガサ
46: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 02:36:55.07 ID:wvCoJohc
曜「体温計みーっけ!千歌あったよー」
千歌「はぁーい!」
曜「あっと…こ、これは」ゴクリ
ガサゴソ
曜「千歌ちゃんお待たせー」
千歌「はぁーい!」
曜「あっと…こ、これは」ゴクリ
ガサゴソ
曜「千歌ちゃんお待たせー」
48: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 02:40:46.19 ID:wvCoJohc
曜「じゃーん!みてみて!白衣借りちゃった」クルクルッ
千歌「わぁ!可愛いねしかも眼鏡曜ちゃんだ!」
曜「その通りであります!」メガネクイッ
千歌「曜せんせー、診察をお願いします!」
曜(し、診察!?)
千歌「わぁ!可愛いねしかも眼鏡曜ちゃんだ!」
曜「その通りであります!」メガネクイッ
千歌「曜せんせー、診察をお願いします!」
曜(し、診察!?)
69: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 13:30:44.49 ID:wvCoJohc
曜「まずは体温計を挟んでてね」
千歌「うんっ」
曜「口開けてくださーい」
千歌「あー」
曜「喉が赤くなってますね
恐らく風邪でしょう」
千歌「そうなんですよ
喉が痛くて…みかんが1個しか食べれなくて」シクシク
曜「まぁ、それはお辛いでしょうね」
千歌「うんっ」
曜「口開けてくださーい」
千歌「あー」
曜「喉が赤くなってますね
恐らく風邪でしょう」
千歌「そうなんですよ
喉が痛くて…みかんが1個しか食べれなくて」シクシク
曜「まぁ、それはお辛いでしょうね」
70: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 13:31:07.50 ID:wvCoJohc
曜「診察はこれで終わりですね」
千歌「本当に?」
曜「えっ?」
千歌「心音とか…聞かなくていいの?」
曜「聴診器ないし…」
千歌「大丈夫だよ、曜ちゃん」テヲニギル
曜「え…?」
千歌「本当に?」
曜「えっ?」
千歌「心音とか…聞かなくていいの?」
曜「聴診器ないし…」
千歌「大丈夫だよ、曜ちゃん」テヲニギル
曜「え…?」
71: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 13:31:39.75 ID:wvCoJohc
千歌「私の鼓動を聞いてほしい…な」
曜「千歌…ちゃん?」
千歌「胸に手を当てて…ほら、感じる?」
曜「うん…ドクン…ドクンしてるね」
千歌「早くなってるの…分かるかな?」
曜「分かるよ…千歌…ちゃん」
千歌「…曜…ちゃん」
千歌(曜ちゃんの顔が近づいてくる…)
曜(千歌ちゃん目を閉じたって事は…しても…いいよね)
曜「千歌…ちゃん?」
千歌「胸に手を当てて…ほら、感じる?」
曜「うん…ドクン…ドクンしてるね」
千歌「早くなってるの…分かるかな?」
曜「分かるよ…千歌…ちゃん」
千歌「…曜…ちゃん」
千歌(曜ちゃんの顔が近づいてくる…)
曜(千歌ちゃん目を閉じたって事は…しても…いいよね)
72: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 13:32:13.33 ID:wvCoJohc
ピピピッ ピピピッ
曜「あっ…体温計り終わったみたいだね」
千歌「…うん」
曜(もう少し、だったかな…)
千歌「え…38度もあるみたい」
曜「大変だよ!早退しよ?」
千歌「でも、志満姉ちゃん達仕事中だし…迎えこれないかも」
曜「大丈夫、私も早退して送ってあげるよ!」
千歌「いいの?お願いしちゃおうかな…」
曜「あっ…体温計り終わったみたいだね」
千歌「…うん」
曜(もう少し、だったかな…)
千歌「え…38度もあるみたい」
曜「大変だよ!早退しよ?」
千歌「でも、志満姉ちゃん達仕事中だし…迎えこれないかも」
曜「大丈夫、私も早退して送ってあげるよ!」
千歌「いいの?お願いしちゃおうかな…」
73: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 13:32:42.52 ID:wvCoJohc
千歌の部屋
千歌「なんだか熱あるって分かったら急に疲れてきちゃったかも…」
曜「わかる!辛くなっちゃうよね
今はベッドでしっかり休んで下さいね」
千歌「はぁーい」
曜「千歌ちゃんお腹空かない?お粥くらいなら作ろうか?」
千歌「お粥なら食べれそうかも」
曜「それなら、台所借りちゃうね?」
千歌「お願いしまーす!」
千歌「なんだか熱あるって分かったら急に疲れてきちゃったかも…」
曜「わかる!辛くなっちゃうよね
今はベッドでしっかり休んで下さいね」
千歌「はぁーい」
曜「千歌ちゃんお腹空かない?お粥くらいなら作ろうか?」
千歌「お粥なら食べれそうかも」
曜「それなら、台所借りちゃうね?」
千歌「お願いしまーす!」
74: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 13:33:07.54 ID:wvCoJohc
千歌(あぁ…曜ちゃん行っちゃった…)
千歌(寂しいなぁ…)
アラ,ヨウチャン イラッシャイ
ダイドコロカリマスネー
千歌(志満姉ちゃんと話してるのかな…早く戻って…こないかな)
千歌(…あれ…なんだか…眠くなってきたかも)
千歌(…)
千歌(寂しいなぁ…)
アラ,ヨウチャン イラッシャイ
ダイドコロカリマスネー
千歌(志満姉ちゃんと話してるのかな…早く戻って…こないかな)
千歌(…あれ…なんだか…眠くなってきたかも)
千歌(…)
75: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 13:33:33.09 ID:wvCoJohc
曜「千歌ちゃんお粥できたよー」
千歌「…すぅ…すぅ」
曜「あれ、寝ちゃってる…?」
曜「…」
曜「…目覚めのキス」チュッ
曜「なんちゃって…///」
千歌「…んっ…あれ、寝ちゃってたみたい」
曜「お、おはヨーソロー」
千歌「…すぅ…すぅ」
曜「あれ、寝ちゃってる…?」
曜「…」
曜「…目覚めのキス」チュッ
曜「なんちゃって…///」
千歌「…んっ…あれ、寝ちゃってたみたい」
曜「お、おはヨーソロー」
76: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 13:34:13.05 ID:wvCoJohc
曜「お粥食べれそう?」
千歌「うん、せっかく作ってくれたんだもん」
曜「…ふー、ふー…あーん」
千歌「えっ…恥ずかしいよ//」
曜「病人さんだから甘えていいんだよ?
ほら、あーん…して?」
千歌「あ、あーん」パクッ
曜「どうかな?」
千歌「うん、美味しい!」モグモグ
千歌「うん、せっかく作ってくれたんだもん」
曜「…ふー、ふー…あーん」
千歌「えっ…恥ずかしいよ//」
曜「病人さんだから甘えていいんだよ?
ほら、あーん…して?」
千歌「あ、あーん」パクッ
曜「どうかな?」
千歌「うん、美味しい!」モグモグ
77: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 13:35:46.76 ID:wvCoJohc
曜「全部食べれたね!」
千歌「お腹いっぱいになったら、また眠くなってきちゃったかも…」
曜「うん、ゆっくり休んでね」
曜「手繋いでてあげるね」コイビトツナギー
千歌「…ありがとー、曜ちゃん」ギュー
曜(…あれ、この状況どこかで…?)
千歌「…」
千歌「…すぅ…すぅ」
曜「おやすみ千歌ちゃん」チュッ
千歌「お腹いっぱいになったら、また眠くなってきちゃったかも…」
曜「うん、ゆっくり休んでね」
曜「手繋いでてあげるね」コイビトツナギー
千歌「…ありがとー、曜ちゃん」ギュー
曜(…あれ、この状況どこかで…?)
千歌「…」
千歌「…すぅ…すぅ」
曜「おやすみ千歌ちゃん」チュッ
79: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 13:36:51.24 ID:wvCoJohc
翌日
曜「千歌ちゃ~ん、体調はどう?」
千歌「このとーり!元気全開だよ!」
曜「それは良かった!お粥のおかげかな?」
千歌「あはは、そうかもねー!」
曜「学校行こっか!」コイビトツナギー
千歌「うんっ!」ギューッ
曜「千歌ちゃ~ん、体調はどう?」
千歌「このとーり!元気全開だよ!」
曜「それは良かった!お粥のおかげかな?」
千歌「あはは、そうかもねー!」
曜「学校行こっか!」コイビトツナギー
千歌「うんっ!」ギューッ
80: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 13:37:29.88 ID:wvCoJohc
終わりです
81: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 13:40:24.44 ID:YvMA2Kza
乙
最高
最高
82: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 13:57:06.30 ID:PtiG+dh+
乙
83: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 14:05:02.06 ID:qEWqRepP
乙
いいっすねぇ
いいっすねぇ
84: 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/10/08(土) 14:16:04.29 ID:DG3gAjSM
乙乙
よかった
よかった
掲載元:http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1475858618/
Entry ⇒ 2018.02.27 | Category ⇒ ラブライブ | Comments (0)
亜里沙「今日の晩御飯何にしよう…」
1: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 21:42:39.10 ID:ZTDA6Hk6
亜里沙「う~ん…何にしようかなぁ…」
亜里沙「お姉ちゃん、今日も帰るのが遅いみたいだから用意して待ってあげたいけど……」
亜里沙「料理は…一人の時は火を使っちゃダメって言われてるし…」
亜里沙「ご飯炊いて…おかずはスーパーのお惣菜でいいや」
亜里沙「じゃあ、行こうっと」
亜里沙「お姉ちゃん、今日も帰るのが遅いみたいだから用意して待ってあげたいけど……」
亜里沙「料理は…一人の時は火を使っちゃダメって言われてるし…」
亜里沙「ご飯炊いて…おかずはスーパーのお惣菜でいいや」
亜里沙「じゃあ、行こうっと」
2: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 21:43:29.40 ID:ZTDA6Hk6
亜里沙「~♪」
亜里沙「…あれ?雨降ってきちゃった!」
亜里沙「とりあえず雨宿りしないと…」
亜里沙「はあ…どうしよう…雨止みそうにないし」
海未「亜里沙ですか?」
亜里沙「海未さん!?どうしてここに?」
海未「家に帰る途中なので…あら?傘を持っていないのですか?」
亜里沙「家に忘れてきちゃいました…」
亜里沙「…あれ?雨降ってきちゃった!」
亜里沙「とりあえず雨宿りしないと…」
亜里沙「はあ…どうしよう…雨止みそうにないし」
海未「亜里沙ですか?」
亜里沙「海未さん!?どうしてここに?」
海未「家に帰る途中なので…あら?傘を持っていないのですか?」
亜里沙「家に忘れてきちゃいました…」
4: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 21:44:05.64 ID:ZTDA6Hk6
海未「亜里沙はどちらに行かれる予定ですか?」
亜里沙「えっと…近くのスーパーまでなんですけど」
海未「分かりました、それでは行きましょう」
亜里沙「え…?」
海未「これ以上雨が強くならないうちに早く行きましょうか」
亜里沙「は…はい!!」
亜里沙「えっと…近くのスーパーまでなんですけど」
海未「分かりました、それでは行きましょう」
亜里沙「え…?」
海未「これ以上雨が強くならないうちに早く行きましょうか」
亜里沙「は…はい!!」
5: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 21:44:41.00 ID:ZTDA6Hk6
亜里沙(こ…これが…相合傘ってやつかな…///)
亜里沙(普段とはちょっと違う距離で、なんというか…ちょっと恥ずかしいかも…)
海未「亜里沙?」
亜里沙「は…はい?」
海未「そんなに離れると濡れてしまいますよ」
亜里沙「わ…わかりました…///」
亜里沙(海未さんが…ち…近い…よ///)
亜里沙(この距離…なんか好き…かも…)
亜里沙(普段とはちょっと違う距離で、なんというか…ちょっと恥ずかしいかも…)
海未「亜里沙?」
亜里沙「は…はい?」
海未「そんなに離れると濡れてしまいますよ」
亜里沙「わ…わかりました…///」
亜里沙(海未さんが…ち…近い…よ///)
亜里沙(この距離…なんか好き…かも…)
6: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 21:45:40.09 ID:ZTDA6Hk6
海未「晩御飯の買い物ですか?」
亜里沙「お姉ちゃんが遅いみたいなので私が用意しようと思ってます!」
海未「そういえば、絵里は学校行事の関係で忙しそうにしていましたね」
亜里沙「なので少しでも楽にさせてあげればいいかなって」
海未「ふふっ、亜里沙は優しいですね」
亜里沙「そ…そんな事ないです…///」
亜里沙「お姉ちゃんが遅いみたいなので私が用意しようと思ってます!」
海未「そういえば、絵里は学校行事の関係で忙しそうにしていましたね」
亜里沙「なので少しでも楽にさせてあげればいいかなって」
海未「ふふっ、亜里沙は優しいですね」
亜里沙「そ…そんな事ないです…///」
7: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 21:48:11.37 ID:ZTDA6Hk6
亜里沙「あ…あの!!良かったら晩御飯食べていきませんか?」
海未「そうですね…迷惑でなければ」
亜里沙「は…はい!!大丈夫です!」
亜里沙(海未さんとご飯なんて…楽しみ…)
亜里沙(でも、何作ればいいのかなぁ…?)
海未「そうですね…迷惑でなければ」
亜里沙「は…はい!!大丈夫です!」
亜里沙(海未さんとご飯なんて…楽しみ…)
亜里沙(でも、何作ればいいのかなぁ…?)
8: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 21:48:54.49 ID:ZTDA6Hk6
海未「ちなみに何を作る予定ですか?やはりロシア料理になるのでしょうか?」
亜里沙「え…えっと…ぼ…ボルシチですっ!」
海未「確かロシア料理ですよね、今まで食べたことがないので楽しみです」
亜里沙「よ…良かったです!」
亜里沙(ど…どうしよう…ボルシチ作ったことないよ…)
亜里沙(いつもお姉ちゃんが作ってくれるし…というかロシアのご飯は食べるだけで作ったことないし…)
亜里沙(海未さんがいれば火は使っても大丈夫だと思うけど…)
亜里沙「え…えっと…ぼ…ボルシチですっ!」
海未「確かロシア料理ですよね、今まで食べたことがないので楽しみです」
亜里沙「よ…良かったです!」
亜里沙(ど…どうしよう…ボルシチ作ったことないよ…)
亜里沙(いつもお姉ちゃんが作ってくれるし…というかロシアのご飯は食べるだけで作ったことないし…)
亜里沙(海未さんがいれば火は使っても大丈夫だと思うけど…)
9: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 21:50:00.15 ID:ZTDA6Hk6
海未「亜里沙?スーパーにつきましたよ」
亜里沙(えっと…食材は牛肉とじゃがいも人参と玉ねぎとキャベツと………)
亜里沙(後は…ビーツの缶詰は家にあったし…トマト缶があればいいのかな?)
亜里沙(多分…適当に煮込めば大丈夫…なのかなあ…)
海未「亜里沙?」
亜里沙「は…はい!大丈夫です!!」
海未「…?それでは行きましょうか」
亜里沙(えっと…食材は牛肉とじゃがいも人参と玉ねぎとキャベツと………)
亜里沙(後は…ビーツの缶詰は家にあったし…トマト缶があればいいのかな?)
亜里沙(多分…適当に煮込めば大丈夫…なのかなあ…)
海未「亜里沙?」
亜里沙「は…はい!大丈夫です!!」
海未「…?それでは行きましょうか」
10: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 21:51:51.22 ID:ZTDA6Hk6
亜里沙(大丈夫…お姉ちゃんが作ってくれたものを思い浮かべれば…)ドキドキ
亜里沙「…まずは野菜から買いますっ!」
海未「はい、かごは私が持ちますので」
亜里沙「あ…ありがとうございます…」
亜里沙(あれ…?海未さんの肩濡れてる…もしかして私が濡れないようにしてくれたのかなぁ)
亜里沙(えへへ…やっぱり海未さん優しい…)
亜里沙(海未さんの為にも美味しいもの作らないと!!)
亜里沙「…まずは野菜から買いますっ!」
海未「はい、かごは私が持ちますので」
亜里沙「あ…ありがとうございます…」
亜里沙(あれ…?海未さんの肩濡れてる…もしかして私が濡れないようにしてくれたのかなぁ)
亜里沙(えへへ…やっぱり海未さん優しい…)
亜里沙(海未さんの為にも美味しいもの作らないと!!)
11: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 21:54:25.28 ID:ZTDA6Hk6
亜里沙「必要なものは買いました!」
海未「分かりました…あら?」
亜里沙「どうしました?」
海未「傘売ってると思ったのですが…売り切れのようですね」
亜里沙「そうみたいですね…」
海未「近くのコンビニによって傘を買いましょうか」
亜里沙「い…いえ!大丈夫です!」
海未「ですが、荷物を持って二人で一つの傘に入るというのは…」
亜里沙「そ…その!今月お小遣いが無くて…」
海未「ふふっ、分かりましたよ。それでは急いで帰りましょうか」
亜里沙「はい!」
亜里沙(海未さんごめんなさい…でも、一緒の傘に入りたかったんだもん!)
海未「分かりました…あら?」
亜里沙「どうしました?」
海未「傘売ってると思ったのですが…売り切れのようですね」
亜里沙「そうみたいですね…」
海未「近くのコンビニによって傘を買いましょうか」
亜里沙「い…いえ!大丈夫です!」
海未「ですが、荷物を持って二人で一つの傘に入るというのは…」
亜里沙「そ…その!今月お小遣いが無くて…」
海未「ふふっ、分かりましたよ。それでは急いで帰りましょうか」
亜里沙「はい!」
亜里沙(海未さんごめんなさい…でも、一緒の傘に入りたかったんだもん!)
13: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 21:55:50.03 ID:ZTDA6Hk6
亜里沙「あの…海未さん」
海未「どうしました?」
亜里沙「肩…濡れてます」
海未「気にしないで構いませんよ。亜里沙が荷物を持ってるわけですし」
亜里沙「い…いえ…そ…その…」
海未「?」
海未「どうしました?」
亜里沙「肩…濡れてます」
海未「気にしないで構いませんよ。亜里沙が荷物を持ってるわけですし」
亜里沙「い…いえ…そ…その…」
海未「?」
14: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 21:57:43.46 ID:ZTDA6Hk6
亜里沙「し…失礼しますっ!!」
海未「亜里沙?そんなに近づかれては歩きにくいです…」
亜里沙「で…でも、海未さんが濡れるの嫌なので…」
海未「そうですね…濡れたまま家にお邪魔するのも悪いですし、このまま行きましょうか」
亜里沙(そういう事じゃないけど…海未さんの近くにいられるしいいかな♪)
海未「亜里沙?そんなに近づかれては歩きにくいです…」
亜里沙「で…でも、海未さんが濡れるの嫌なので…」
海未「そうですね…濡れたまま家にお邪魔するのも悪いですし、このまま行きましょうか」
亜里沙(そういう事じゃないけど…海未さんの近くにいられるしいいかな♪)
16: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 21:59:21.39 ID:ZTDA6Hk6
海未「お邪魔します、亜里沙」
亜里沙「はい!ゆっくりしてください」
亜里沙「じゃあ早速作ります」
海未「手伝いますよ、何をすればいいですか?」
亜里沙「い…いえ!私一人で大丈夫です!」
海未「そういうわけにもいきませんし…」
亜里沙(海未さんと二人でキッチンに立つのもいいかも…)
亜里沙「ぜ…ぜひお願いしますっ!」
海未「分かりました、まずは…」
亜里沙「はい!ゆっくりしてください」
亜里沙「じゃあ早速作ります」
海未「手伝いますよ、何をすればいいですか?」
亜里沙「い…いえ!私一人で大丈夫です!」
海未「そういうわけにもいきませんし…」
亜里沙(海未さんと二人でキッチンに立つのもいいかも…)
亜里沙「ぜ…ぜひお願いしますっ!」
海未「分かりました、まずは…」
17: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:00:57.80 ID:ZTDA6Hk6
亜里沙「野菜とお肉を食べやすい大きさに切ります!」
亜里沙(切ったら…トマトで煮込めば大丈夫…かな?)
海未「分かりました」
トントントン
亜里沙(海未さん上手…料理もできるんだ…)
亜里沙(って見てる場合じゃないよ!この間にお湯を沸かして…)
亜里沙(どうすればいいんだろう…)
亜里沙(切ったら…トマトで煮込めば大丈夫…かな?)
海未「分かりました」
トントントン
亜里沙(海未さん上手…料理もできるんだ…)
亜里沙(って見てる場合じゃないよ!この間にお湯を沸かして…)
亜里沙(どうすればいいんだろう…)
19: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:02:33.61 ID:ZTDA6Hk6
海未「亜里沙、この缶詰は?」
亜里沙「こればビーツって野菜であまり日本では見かけないんです」
海未「なるほど…初めて見ました」
亜里沙「栄養が沢山あって美容にもいいみたいです!」
海未「なるほど…」
亜里沙「どうしました?」
海未「絵里や亜里沙はこういうものを食べているので綺麗な顔立ちをしているのかと思いまして」
亜里沙「こればビーツって野菜であまり日本では見かけないんです」
海未「なるほど…初めて見ました」
亜里沙「栄養が沢山あって美容にもいいみたいです!」
海未「なるほど…」
亜里沙「どうしました?」
海未「絵里や亜里沙はこういうものを食べているので綺麗な顔立ちをしているのかと思いまして」
20: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:03:10.71 ID:ZTDA6Hk6
亜里沙「き…綺麗!?そそそんなこと!」
海未「二人とも、クォーターという事もありますが本当に綺麗だと思いますよ」
亜里沙「そ…そうですか…////」
海未「はい」
亜里沙(なんか…料理どうでもよくなってきちゃった…)
亜里沙(って駄目!海未さんとお姉ちゃんに美味しいもの食べてもらうんだから!)
海未「二人とも、クォーターという事もありますが本当に綺麗だと思いますよ」
亜里沙「そ…そうですか…////」
海未「はい」
亜里沙(なんか…料理どうでもよくなってきちゃった…)
亜里沙(って駄目!海未さんとお姉ちゃんに美味しいもの食べてもらうんだから!)
22: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:04:24.25 ID:ZTDA6Hk6
海未「亜里沙、野菜切り終わりましたよ」
亜里沙「も…もうですか!?」
亜里沙(どうしよう…これからどうしたらいいのかなあ…)
亜里沙(こ…こうなったら…)
亜里沙「ぜ…全部煮込みます!!」
海未「ぜ…全部ですか!?」
亜里沙「は…はい…」
亜里沙(何か変な事言っちゃったかな…)
亜里沙「も…もうですか!?」
亜里沙(どうしよう…これからどうしたらいいのかなあ…)
亜里沙(こ…こうなったら…)
亜里沙「ぜ…全部煮込みます!!」
海未「ぜ…全部ですか!?」
亜里沙「は…はい…」
亜里沙(何か変な事言っちゃったかな…)
24: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:05:56.47 ID:ZTDA6Hk6
海未「玉ねぎは炒めてからの方が美味しいかと…それにじゃがいもをいきなり煮込んでしまったら煮崩れしてしまいますが…」
亜里沙「そ…そうなんですか?」
海未「…」
海未「…ええ、玉ねぎは炒めた方が甘くなって美味しくなるんですよ」
亜里沙「し…知りませんでした…」
海未「ふふっ…それでは炒めましょうか」
亜里沙「そ…そうなんですか?」
海未「…」
海未「…ええ、玉ねぎは炒めた方が甘くなって美味しくなるんですよ」
亜里沙「し…知りませんでした…」
海未「ふふっ…それでは炒めましょうか」
25: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:06:40.14 ID:ZTDA6Hk6
亜里沙「こ…こんな感じでいいでしょうか…」
海未「いいと思いますよ」
亜里沙「じゃ…じゃあこれを煮込めば…」
海未「まだ早いです…まずは牛肉からですね」
海未「火が通りにくいので先に煮込んでしまいましょう」
亜里沙「は…はい!」
海未「…」クスッ
海未「いいと思いますよ」
亜里沙「じゃ…じゃあこれを煮込めば…」
海未「まだ早いです…まずは牛肉からですね」
海未「火が通りにくいので先に煮込んでしまいましょう」
亜里沙「は…はい!」
海未「…」クスッ
27: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:07:30.59 ID:ZTDA6Hk6
亜里沙「これでお肉は大丈夫ですか?」
海未「大丈夫ですよ、灰汁を取ってからじゃがいも以外の野菜をいれましょう」
亜里沙「は…はい!」
海未「このタイミングで味付けをしていいかもしれませんね」
亜里沙(味付け…何を入れればいいのかな…)
亜里沙(まずは…トマト缶と………塩?)
亜里沙(後は…どうしたら…)
海未「…ふふっ」
亜里沙(お姉ちゃん…たすけてぇ…)
亜里沙(変なもの入れても困るし…これだけでいいや!)
海未「大丈夫ですよ、灰汁を取ってからじゃがいも以外の野菜をいれましょう」
亜里沙「は…はい!」
海未「このタイミングで味付けをしていいかもしれませんね」
亜里沙(味付け…何を入れればいいのかな…)
亜里沙(まずは…トマト缶と………塩?)
亜里沙(後は…どうしたら…)
海未「…ふふっ」
亜里沙(お姉ちゃん…たすけてぇ…)
亜里沙(変なもの入れても困るし…これだけでいいや!)
28: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:08:31.70 ID:ZTDA6Hk6
海未「以上ですか?」
亜里沙「は…はい!!」
海未「それでは少しこのまま煮込みましょうか」
亜里沙「はい!」
亜里沙「は…はい!!」
海未「それでは少しこのまま煮込みましょうか」
亜里沙「はい!」
30: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:09:10.85 ID:ZTDA6Hk6
海未「最後にじゃがいもを入れて終わりですね」
亜里沙「はいっ」
亜里沙(見た目はボルシチっぽいけど…匂いが全然違うよ…)
海未「ちょっと味見をしてみましょうか」
亜里沙「分かりました…」
亜里沙「はいっ」
亜里沙(見た目はボルシチっぽいけど…匂いが全然違うよ…)
海未「ちょっと味見をしてみましょうか」
亜里沙「分かりました…」
32: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:10:05.04 ID:ZTDA6Hk6
亜里沙「…」
亜里沙「トマトの味しかしません…」
海未「ふふっ、そうですよね」
亜里沙「えっ…?」
海未「きっと調味料を入れたり他の工程もあるのだと思いますが、亜里沙はあまり料理が得意でなさそうに見えたので」
海未「作り方も本当は知らないのかなと思いまして」
亜里沙「トマトの味しかしません…」
海未「ふふっ、そうですよね」
亜里沙「えっ…?」
海未「きっと調味料を入れたり他の工程もあるのだと思いますが、亜里沙はあまり料理が得意でなさそうに見えたので」
海未「作り方も本当は知らないのかなと思いまして」
33: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:11:33.18 ID:ZTDA6Hk6
亜里沙「い…いつから気が付いてましたか?」
海未「いきなり全部の野菜を煮込むと言い出した時からですね」
亜里沙「あはは…最初から気が付いてたんですね」
海未「ええ、亜里沙が一生懸命だったので、あまり口出しはしませんでしたが…」
亜里沙「ご…ごめんなさい…」
海未「いえ、謝る必要なんてありませんよ。亜里沙が絵里の為に頑張りたいって気持ちが大切だと思いますし」
亜里沙「…///」
海未「最初に私がロシア料理を作ると聞いてしまったのも良くなかったですね」
亜里沙「そんなこと…」
海未「いきなり全部の野菜を煮込むと言い出した時からですね」
亜里沙「あはは…最初から気が付いてたんですね」
海未「ええ、亜里沙が一生懸命だったので、あまり口出しはしませんでしたが…」
亜里沙「ご…ごめんなさい…」
海未「いえ、謝る必要なんてありませんよ。亜里沙が絵里の為に頑張りたいって気持ちが大切だと思いますし」
亜里沙「…///」
海未「最初に私がロシア料理を作ると聞いてしまったのも良くなかったですね」
亜里沙「そんなこと…」
34: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:12:27.65 ID:ZTDA6Hk6
亜里沙「そういえば、海未さんはボルシチの作り方を知らないのに…」
海未「食材が肉じゃがに似ていたので味付けの仕方が異なるだけで工程は似ているのかと思いまして」
亜里沙「そ…そうだったんですか…」
亜里沙「これ…どうしたらいいですか…」
海未「塩しか入れていないのでまだ大丈夫ですよ」
亜里沙「え…」
海未「料理で困ったときは…これを使えば何とかなります」
亜里沙「…?」
海未「食材が肉じゃがに似ていたので味付けの仕方が異なるだけで工程は似ているのかと思いまして」
亜里沙「そ…そうだったんですか…」
亜里沙「これ…どうしたらいいですか…」
海未「塩しか入れていないのでまだ大丈夫ですよ」
亜里沙「え…」
海未「料理で困ったときは…これを使えば何とかなります」
亜里沙「…?」
35: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:13:41.23 ID:ZTDA6Hk6
絵里「ただいま…お客さんが来てるのかしら?」
絵里「それにいい匂いするわね」
亜里沙「お…おかえりなさい!お姉ちゃん!」
絵里「ただいま…なんで海未がいるの?」
亜里沙「そ…その…」
海未「亜里沙にカレーの作り方を教えてと頼まれまして」
海未「よろしければ召し上がってください」
絵里「ハラショー…ありがとう。亜里沙、海未」
絵里「それにいい匂いするわね」
亜里沙「お…おかえりなさい!お姉ちゃん!」
絵里「ただいま…なんで海未がいるの?」
亜里沙「そ…その…」
海未「亜里沙にカレーの作り方を教えてと頼まれまして」
海未「よろしければ召し上がってください」
絵里「ハラショー…ありがとう。亜里沙、海未」
36: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:15:00.27 ID:ZTDA6Hk6
海未「では食べましょうか」
絵里「ええ、いただきます」
亜里沙「ど…どうかな…」
絵里「とても美味しいわよ、トマトが入ってるのかしら?」
亜里沙「う…うん!」
絵里「野菜も沢山で…美味しいわ。ありがとう亜里沙」
亜里沙「えへへ…良かった♪」
海未「良かったですね、亜里沙」
亜里沙「はい!」
絵里「ええ、いただきます」
亜里沙「ど…どうかな…」
絵里「とても美味しいわよ、トマトが入ってるのかしら?」
亜里沙「う…うん!」
絵里「野菜も沢山で…美味しいわ。ありがとう亜里沙」
亜里沙「えへへ…良かった♪」
海未「良かったですね、亜里沙」
亜里沙「はい!」
37: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:16:00.58 ID:ZTDA6Hk6
絵里「ついおかわりしちゃったわ」
亜里沙「私も…」
海未「それでは、食器を洗ってきますね」
亜里沙「わ…私がやりますっ!」
海未「そうですか?」
絵里「食器を洗うのは亜里沙の担当なのよ」
海未「そういうことでしたら…」
亜里沙「私も…」
海未「それでは、食器を洗ってきますね」
亜里沙「わ…私がやりますっ!」
海未「そうですか?」
絵里「食器を洗うのは亜里沙の担当なのよ」
海未「そういうことでしたら…」
39: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:18:48.07 ID:ZTDA6Hk6
亜里沙「~♪」
絵里「海未、今日は迷惑かけちゃったわね」
海未「いえ、そんなことは…」
絵里「本当はカレーを作りに来たんじゃないんでしょ?」
海未「…何の事でしょうか」
絵里「だってカレーにビーツが入ってるなんておかしいもの」フフッ
絵里「大方、亜里沙がボルシチをごちそうするって言って失敗したってところかしら」
絵里「トマトの味がしたのもそのせいよね」
海未「流石は亜里沙の姉ですね…」
絵里「ふふっ…まあね」
絵里「海未、今日は迷惑かけちゃったわね」
海未「いえ、そんなことは…」
絵里「本当はカレーを作りに来たんじゃないんでしょ?」
海未「…何の事でしょうか」
絵里「だってカレーにビーツが入ってるなんておかしいもの」フフッ
絵里「大方、亜里沙がボルシチをごちそうするって言って失敗したってところかしら」
絵里「トマトの味がしたのもそのせいよね」
海未「流石は亜里沙の姉ですね…」
絵里「ふふっ…まあね」
40: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:19:48.45 ID:ZTDA6Hk6
絵里「それに、たまに頑張り過ぎて空回りしちゃうのよ、あの子」
海未「そうですね、誰かに似て」
絵里「ええ、そうなのよ。困ったものね」
海未「ええ、本当に困ったものです」フフッ
おわり
海未「そうですね、誰かに似て」
絵里「ええ、そうなのよ。困ったものね」
海未「ええ、本当に困ったものです」フフッ
おわり
41: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:22:10.95 ID:SKs2dm+Z
乙
43: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:24:18.84 ID:qMeneDHy
おつ、うみあり最高!
44: 名無しで叶える物語(もこりん)@\(^o^)/ 2016/10/05(水) 22:26:45.28 ID:GD685vDN
この絵里はかしこいな
掲載元:http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1475671359/
Entry ⇒ 2018.02.26 | Category ⇒ ラブライブ | Comments (0)
向日葵「杉浦先輩!櫻子の事で相談があります!」綾乃「短篇集よ!」
1: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:26:55.39 ID:rfHcYEGi0
①向日葵「櫻子がバレンタインでチョコを……」綾乃「……そう」
向日葵「その相談があるのですが……、今お時間の方よろしいでしょうか?」
綾乃「え? 大丈夫だけど、どうかしたの?」
向日葵「実は櫻子が……その……」
綾乃「大室さんが?」
向日葵「櫻子がチョコレートを作っているみたいで!」
綾乃「大室さんがチョコを?」
向日葵「はい、今朝撫子さんが 「櫻子がチョコレートを作ってるんだ。何度も失敗してさ。まったく頑張っちゃって……。一体誰の為に頑張ってるんだろうね」ニヤッ と」
綾乃「へぇー。それはバレンタインが楽しみね」
向日葵「……」
綾乃「ん? 古谷さん? どうかしたの? 私の顔をジーっと……怖い顔をして……」
向日葵「……ま、まさか、櫻子がチョコをプレゼントするのは杉浦先輩!??!?」
綾乃「へ? い、いやいや。どう考えても私じゃないでしょ!」
向日葵「その相談があるのですが……、今お時間の方よろしいでしょうか?」
綾乃「え? 大丈夫だけど、どうかしたの?」
向日葵「実は櫻子が……その……」
綾乃「大室さんが?」
向日葵「櫻子がチョコレートを作っているみたいで!」
綾乃「大室さんがチョコを?」
向日葵「はい、今朝撫子さんが 「櫻子がチョコレートを作ってるんだ。何度も失敗してさ。まったく頑張っちゃって……。一体誰の為に頑張ってるんだろうね」ニヤッ と」
綾乃「へぇー。それはバレンタインが楽しみね」
向日葵「……」
綾乃「ん? 古谷さん? どうかしたの? 私の顔をジーっと……怖い顔をして……」
向日葵「……ま、まさか、櫻子がチョコをプレゼントするのは杉浦先輩!??!?」
綾乃「へ? い、いやいや。どう考えても私じゃないでしょ!」
2: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:29:29.03 ID:rfHcYEGi0
向日葵「じゃあ、誰なんですの!? 櫻子がチョコをプレゼントする相手なんて他に……ま、まさか吉川さんに!? そういえば単行本最新刊で二人っきりでデートに!」
綾乃「はぁ……違うと思うわ。……うーん、そうね。古谷さんよく考えてみて」
向日葵「え?」
綾乃「大室さんだったら、失敗が続いたらすぐに古谷さんを頼ると思うの。でも、今回のチョコ作りは古谷さんに頼らずに作ってるんでしょ? それはなぜかしら?」
向日葵「そ、そういわれると。撫子さんは『何度も失敗して』と言ってましたわ。そういう時はいつも私を頼ってくれるのに……」
綾乃「うん、そうそう。そういう事…………って、古谷さん!? なんで泣いているの!?」
向日葵「うっ……うぅ……櫻子に頼ってもらえないなんて……私嫌われちゃったんですのね……」
綾乃「違うでしょ! 古谷さんにプレゼントしたいからでしょ!」
向日葵「------へ?」
綾乃「古谷さんにプレゼントしたいから、びっくりさせたいから、喜んで欲しいから古谷さんに頼れないんだと思うわ」
向日葵「な、なるほど……確かに。なるほど」
綾乃「ふふっ。よかったわね。楽しいバレンタインになりそうね」
向日葵「櫻子は私にバレンタインチョコをプレゼントしたい……と」
向日葵「まったく櫻子は仕方ありませんわね。バレンタインに気合いを入れた手作りなんて、まるで特別なチョコみたいですわ」
綾乃(古谷さん、すっごくうれしそう……チョコが熱で溶けたみたいに、古谷さんの表情がとろけてるわ)
向日葵「まぁ、仕方ありませんから、櫻子のチョコを受け取ってあげますわ。ええ、せっかく手作りなのを受け取らないなんてできませんし」
綾乃「相思相愛でよかったわね」
向日葵「っ~~~~~~//」カァー
綾乃「はぁ……違うと思うわ。……うーん、そうね。古谷さんよく考えてみて」
向日葵「え?」
綾乃「大室さんだったら、失敗が続いたらすぐに古谷さんを頼ると思うの。でも、今回のチョコ作りは古谷さんに頼らずに作ってるんでしょ? それはなぜかしら?」
向日葵「そ、そういわれると。撫子さんは『何度も失敗して』と言ってましたわ。そういう時はいつも私を頼ってくれるのに……」
綾乃「うん、そうそう。そういう事…………って、古谷さん!? なんで泣いているの!?」
向日葵「うっ……うぅ……櫻子に頼ってもらえないなんて……私嫌われちゃったんですのね……」
綾乃「違うでしょ! 古谷さんにプレゼントしたいからでしょ!」
向日葵「------へ?」
綾乃「古谷さんにプレゼントしたいから、びっくりさせたいから、喜んで欲しいから古谷さんに頼れないんだと思うわ」
向日葵「な、なるほど……確かに。なるほど」
綾乃「ふふっ。よかったわね。楽しいバレンタインになりそうね」
向日葵「櫻子は私にバレンタインチョコをプレゼントしたい……と」
向日葵「まったく櫻子は仕方ありませんわね。バレンタインに気合いを入れた手作りなんて、まるで特別なチョコみたいですわ」
綾乃(古谷さん、すっごくうれしそう……チョコが熱で溶けたみたいに、古谷さんの表情がとろけてるわ)
向日葵「まぁ、仕方ありませんから、櫻子のチョコを受け取ってあげますわ。ええ、せっかく手作りなのを受け取らないなんてできませんし」
綾乃「相思相愛でよかったわね」
向日葵「っ~~~~~~//」カァー
3: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:32:29.64 ID:rfHcYEGi0
綾乃(ふふっ。りんごみたいに真っ赤になって可愛いわね)
向日葵「違います! 私は別に櫻子が好きとかじゃありませんから!」
綾乃「えっ」
向日葵「勘違いされては困ります! まったく! なぜ私が櫻子のチョコで喜んだり……」
綾乃「じゃあ、いらないの?」
向日葵「いるに決まってるじゃないですか! すっごく嬉しいに決まってるじゃないですか!」
綾乃「そ、そうなの。あっ、もしかして相手が誰であれ、チョコを貰うという行為が嬉しいって事ね?」
向日葵「違います! 櫻子からのプレゼントなんて嬉しいに決まってますわ!」
綾乃「そ、そうよね」
綾乃(え、えーと、「貰って良かったわね」と言っても「じゃあ、欲しくないの?」と言っても全否定。私どうすればいいのかしら……)
向日葵「違います! 私は別に櫻子が好きとかじゃありませんから!」
綾乃「えっ」
向日葵「勘違いされては困ります! まったく! なぜ私が櫻子のチョコで喜んだり……」
綾乃「じゃあ、いらないの?」
向日葵「いるに決まってるじゃないですか! すっごく嬉しいに決まってるじゃないですか!」
綾乃「そ、そうなの。あっ、もしかして相手が誰であれ、チョコを貰うという行為が嬉しいって事ね?」
向日葵「違います! 櫻子からのプレゼントなんて嬉しいに決まってますわ!」
綾乃「そ、そうよね」
綾乃(え、えーと、「貰って良かったわね」と言っても「じゃあ、欲しくないの?」と言っても全否定。私どうすればいいのかしら……)
4: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:33:55.28 ID:rfHcYEGi0
向日葵「それにしても櫻子が手作りチョコなんて……。ふふっ楽しみですわ」
綾乃「……」
綾乃(ま、まぁ、嬉しそうだし、古谷さんが落ち着くまで話に付き合ってあげましょう)
綾乃「ねぇ、古谷さん?」
向日葵「はい?」
ガラララッ
櫻子「こんにちはーーー」
向日葵「あっ、櫻子」
綾乃「大室さん、こんにちは」
櫻子「チョコの話が聞こえました! もしかして、ここにチョコがあるんですか! 食べたいです!」
向日葵「あ、あなた……どういう聴覚しているのよ……」
綾乃「チョコ? 今日はお菓子はないと思うわ。何かの聞き間違いじゃないかしら?」
櫻子「そうですか……」シューン
綾乃「ごめんなさいね」
向日葵(シュンってしてる櫻子可愛い//)キュンキュン
綾乃「……」
綾乃(ま、まぁ、嬉しそうだし、古谷さんが落ち着くまで話に付き合ってあげましょう)
綾乃「ねぇ、古谷さん?」
向日葵「はい?」
ガラララッ
櫻子「こんにちはーーー」
向日葵「あっ、櫻子」
綾乃「大室さん、こんにちは」
櫻子「チョコの話が聞こえました! もしかして、ここにチョコがあるんですか! 食べたいです!」
向日葵「あ、あなた……どういう聴覚しているのよ……」
綾乃「チョコ? 今日はお菓子はないと思うわ。何かの聞き間違いじゃないかしら?」
櫻子「そうですか……」シューン
綾乃「ごめんなさいね」
向日葵(シュンってしてる櫻子可愛い//)キュンキュン
5: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:35:39.99 ID:rfHcYEGi0
櫻子「まっいっか。どうせ家に沢山チョコレートあるし」
綾乃「え?」
櫻子「ふふふふ、実はチョコのウエディングケーキ作ろうと頑張ってるんです!」
向日葵「!」
櫻子「そして、今流行のYURITUBEに動画投稿しようと思いまして!」
綾乃「そ、そうなの……」
櫻子「そうだ! 材料が足りないから買いに行くんでした! じゃあ、帰ります。お疲れ様でしたー」
綾乃「お、お疲れ様ー……」
綾乃「え?」
櫻子「ふふふふ、実はチョコのウエディングケーキ作ろうと頑張ってるんです!」
向日葵「!」
櫻子「そして、今流行のYURITUBEに動画投稿しようと思いまして!」
綾乃「そ、そうなの……」
櫻子「そうだ! 材料が足りないから買いに行くんでした! じゃあ、帰ります。お疲れ様でしたー」
綾乃「お、お疲れ様ー……」
6: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:36:22.46 ID:rfHcYEGi0
綾乃「え、えーと、古谷さん?」
向日葵「櫻子ったら……結婚まで考えて。もうっ、私達まだ恋人繋ぎもやっていないのに……」
向日葵「まったく常識知らずにもほどがありますわ! ここは妻がビシッと常識を!」
向日葵「って誰が妻なんですのよ!」キャー
綾乃「∵」
向日葵「それでは、さくひま、ひまさく短篇集、始まりますわー」
あかり「それあかりのセリフだよ!?」
① 終わり
向日葵「櫻子ったら……結婚まで考えて。もうっ、私達まだ恋人繋ぎもやっていないのに……」
向日葵「まったく常識知らずにもほどがありますわ! ここは妻がビシッと常識を!」
向日葵「って誰が妻なんですのよ!」キャー
綾乃「∵」
向日葵「それでは、さくひま、ひまさく短篇集、始まりますわー」
あかり「それあかりのセリフだよ!?」
① 終わり
7: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:37:18.33 ID:rfHcYEGi0
②:向日葵「そんな……人生終わり……」綾乃「古谷さん!?」
綾乃「古谷さん!? どうかしたの!? 人生が終わったみたいな顔をして!」
向日葵「もういいんですの。私なんて生きる価値もないような人間で……」
綾乃「何を言っているの! 価値がないなんて言わないで。あなたが生徒会で頑張ってくれているお陰で、どれだけ私が助かっているか」
向日葵「杉浦先輩……」
綾乃「悩みがあるならいつでも相談していいのよ。可愛い後輩からの相談、生徒会副会長 杉浦綾乃は逃げも隠れもしないわよ」
向日葵「……先輩」
綾乃「ほら、言ってごらんなさい」
向日葵「実は……実は!」
向日葵「櫻子が赤座さんのジュースを飲んだのですわ!」
綾乃「……………………………………へ?」
向日葵「赤座さんが口を付けたコップに……櫻子が!」
綾乃「え、えーと?」
向日葵「関節キス……いいえ、これは唾液の交換みたいなものですわ! なんて嫌らしい! きっと赤座さんが櫻子に自分の唾液を飲ませるために!」
向日葵「って、杉浦先輩?」
綾乃「∵」
② 終わり
綾乃「古谷さん!? どうかしたの!? 人生が終わったみたいな顔をして!」
向日葵「もういいんですの。私なんて生きる価値もないような人間で……」
綾乃「何を言っているの! 価値がないなんて言わないで。あなたが生徒会で頑張ってくれているお陰で、どれだけ私が助かっているか」
向日葵「杉浦先輩……」
綾乃「悩みがあるならいつでも相談していいのよ。可愛い後輩からの相談、生徒会副会長 杉浦綾乃は逃げも隠れもしないわよ」
向日葵「……先輩」
綾乃「ほら、言ってごらんなさい」
向日葵「実は……実は!」
向日葵「櫻子が赤座さんのジュースを飲んだのですわ!」
綾乃「……………………………………へ?」
向日葵「赤座さんが口を付けたコップに……櫻子が!」
綾乃「え、えーと?」
向日葵「関節キス……いいえ、これは唾液の交換みたいなものですわ! なんて嫌らしい! きっと赤座さんが櫻子に自分の唾液を飲ませるために!」
向日葵「って、杉浦先輩?」
綾乃「∵」
② 終わり
8: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:39:08.33 ID:rfHcYEGi0
③:向日葵「櫻子が浮気しないようにするには……」綾乃「へ?」
向日葵「まったく櫻子は! 誰にでも犬みたいに懐いて! だから友達が多すぎるんですわ! これでは心配で夜も眠れません! まぁ、そこが櫻子の良い所でもあるんですけど!」
綾乃「……」
向日葵「杉浦先輩! 櫻子が浮気しない為にはどうすれば良いと思いますか!?」
綾乃「え、えーと、まだ古谷さんと大室さんは付き合ってないのよね?」
向日葵「当り前ですわ。櫻子と結婚するなんて……考えただけで、頭が熱くなるくらい大変な事です」
綾乃「そ、そう……。じゃあ、浮気の心配とかする必要は……ないわよね? ほら、そもそも浮気って恋人関係とかになった後の事でしょ?」
向日葵「……?」
綾乃「いや、キョトンと不思議そうな顔をされても……わかったわ! 浮気をしない方法を考えましょう」
向日葵「はい!」
向日葵「まったく櫻子は! 誰にでも犬みたいに懐いて! だから友達が多すぎるんですわ! これでは心配で夜も眠れません! まぁ、そこが櫻子の良い所でもあるんですけど!」
綾乃「……」
向日葵「杉浦先輩! 櫻子が浮気しない為にはどうすれば良いと思いますか!?」
綾乃「え、えーと、まだ古谷さんと大室さんは付き合ってないのよね?」
向日葵「当り前ですわ。櫻子と結婚するなんて……考えただけで、頭が熱くなるくらい大変な事です」
綾乃「そ、そう……。じゃあ、浮気の心配とかする必要は……ないわよね? ほら、そもそも浮気って恋人関係とかになった後の事でしょ?」
向日葵「……?」
綾乃「いや、キョトンと不思議そうな顔をされても……わかったわ! 浮気をしない方法を考えましょう」
向日葵「はい!」
9: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:40:02.58 ID:rfHcYEGi0
* * *
■1.GPS
綾乃「ネットで調べてみましょう」
向日葵「えーと、浮気防止っと……」
YURIGLE先生「恋人の場所を常にGPSで確認しよう」
綾乃「えぇ!? GPS!? 常識的に考えてこれはおかしいわ!」
向日葵「そうですわよね。常識的に考えて、GPSを埋め込むのは既にやっていますわ。常識的に考えてやらないなんておかしいですわ。常識的に考えて」
綾乃「…………ぇ」ガクブル
■1.GPS
綾乃「ネットで調べてみましょう」
向日葵「えーと、浮気防止っと……」
YURIGLE先生「恋人の場所を常にGPSで確認しよう」
綾乃「えぇ!? GPS!? 常識的に考えてこれはおかしいわ!」
向日葵「そうですわよね。常識的に考えて、GPSを埋め込むのは既にやっていますわ。常識的に考えてやらないなんておかしいですわ。常識的に考えて」
綾乃「…………ぇ」ガクブル
10: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:41:02.56 ID:rfHcYEGi0
■2.おいしい料理を作る
綾乃「まぁ、これは問題ないわよね」
向日葵「ええ、朝食~夕食、夜食、おやつまで最近は全部作ってますわ! ……でも、櫻子に渡すのが恥ずかしくて……作ってるだけで……//」カァー
綾乃(怖っ)
綾乃「まぁ、これは問題ないわよね」
向日葵「ええ、朝食~夕食、夜食、おやつまで最近は全部作ってますわ! ……でも、櫻子に渡すのが恥ずかしくて……作ってるだけで……//」カァー
綾乃(怖っ)
11: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:42:02.93 ID:rfHcYEGi0
■3.束縛をあまりしない
向日葵「当り前ですわ。度が過ぎる束縛は嫌われます。常識的に考えて」
綾乃(でも、GPSは埋め込むのね……)
向日葵「当り前ですわ。度が過ぎる束縛は嫌われます。常識的に考えて」
綾乃(でも、GPSは埋め込むのね……)
12: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:42:54.75 ID:rfHcYEGi0
■4.本命の存在をアピールする
向日葵「これは問題ありませんわ。櫻子の本命は、わ・た・く・しです」
綾乃(うざっ)
向日葵「それ以外ありえませんわね」
綾乃「告白もしてないから、本当に本命かわからないのよねー」ボソッ
向日葵「え?」
綾乃「ううん、なんでもないの」
向日葵「でも確かに櫻子が告白をしないから、いまいちおかしな関係になっているのは事実ですわ」
綾乃(あっ、聞こえちゃってたわね)
向日葵「ぐぐぐぐ。これもあれも告白しない櫻子のせいですわ!」
向日葵「これは問題ありませんわ。櫻子の本命は、わ・た・く・しです」
綾乃(うざっ)
向日葵「それ以外ありえませんわね」
綾乃「告白もしてないから、本当に本命かわからないのよねー」ボソッ
向日葵「え?」
綾乃「ううん、なんでもないの」
向日葵「でも確かに櫻子が告白をしないから、いまいちおかしな関係になっているのは事実ですわ」
綾乃(あっ、聞こえちゃってたわね)
向日葵「ぐぐぐぐ。これもあれも告白しない櫻子のせいですわ!」
13: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:43:58.29 ID:rfHcYEGi0
綾乃「じゃあ、古谷さんから告白してみたら?」
向日葵「なっ! 私が告白!? そんな事をしたらまるで私が櫻子を好きみたいじゃないですか!」
綾乃「え? 好きじゃないの?」
向日葵「好きなんかじゃありません! 幼馴染だから仕方なく一緒にいてあげてるだけでして」
綾乃「じゃあ、私が大室さんに告白しちゃおうかなー……なんて」
向日葵「……ぇ」
綾乃「冗談! 冗談だから泣かないで! ごめんなさい! 謝るから!」
向日葵「ほ、本当に冗談ですの?」
綾乃「冗談よ。そもそも大室さんは可愛い後輩というか妹みたいな感じで……。そうよ、おこちゃまだから恋愛対象じゃないの!」
向日葵「……」
綾乃「え? どうしたの? 憐れんだような眼をして……?」
向日葵「はぁ……。櫻子の魅力がわからないなんて杉浦先輩もまだまだですわね」
綾乃「ねぇ、私そろそろ怒っていいかしら?」ゴゴゴゴゴ
向日葵「すみません、調子に乗りました。でも、櫻子の事は好きとかじゃないんです。わかってください」
向日葵「なっ! 私が告白!? そんな事をしたらまるで私が櫻子を好きみたいじゃないですか!」
綾乃「え? 好きじゃないの?」
向日葵「好きなんかじゃありません! 幼馴染だから仕方なく一緒にいてあげてるだけでして」
綾乃「じゃあ、私が大室さんに告白しちゃおうかなー……なんて」
向日葵「……ぇ」
綾乃「冗談! 冗談だから泣かないで! ごめんなさい! 謝るから!」
向日葵「ほ、本当に冗談ですの?」
綾乃「冗談よ。そもそも大室さんは可愛い後輩というか妹みたいな感じで……。そうよ、おこちゃまだから恋愛対象じゃないの!」
向日葵「……」
綾乃「え? どうしたの? 憐れんだような眼をして……?」
向日葵「はぁ……。櫻子の魅力がわからないなんて杉浦先輩もまだまだですわね」
綾乃「ねぇ、私そろそろ怒っていいかしら?」ゴゴゴゴゴ
向日葵「すみません、調子に乗りました。でも、櫻子の事は好きとかじゃないんです。わかってください」
14: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:45:44.24 ID:rfHcYEGi0
綾乃「ふぅ……で、なんの話だったかしら?」
向日葵「どうやったら櫻子が告白するかという話ですわ」
綾乃「そ、そんな話だったかしら?」
向日葵「というわけで次回に続きますわ」
綾乃「続かないからね!」
③ 終わり
向日葵「どうやったら櫻子が告白するかという話ですわ」
綾乃「そ、そんな話だったかしら?」
向日葵「というわけで次回に続きますわ」
綾乃「続かないからね!」
③ 終わり
15: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:47:16.29 ID:rfHcYEGi0
④:向日葵「櫻子が……櫻子が……」綾乃「はいはい」
向日葵「杉浦先輩……ご相談が……」
綾乃「暗い顔をしてどうかしたの?」
■回想シーン------------------------
向日葵「あら? 髪にゴミがついてますわよ」
櫻子「ひゃっ//」
向日葵「え?」
櫻子「か、勝手に触るなし!」
向日葵「顔真っ赤にして怒ってるのよ。ちょっとゴミを取っただけじゃない」
櫻子「っ//」
バーカ! バーカ! 真っ赤になんてなってねーし!!!!
■回想終了--------------------------
向日葵「その後、話しかけても……顔を真っ赤にさせて怒ってきて。杉浦先輩……私どうしたら?」
綾乃「∵」
④ 終わり
向日葵「杉浦先輩……ご相談が……」
綾乃「暗い顔をしてどうかしたの?」
■回想シーン------------------------
向日葵「あら? 髪にゴミがついてますわよ」
櫻子「ひゃっ//」
向日葵「え?」
櫻子「か、勝手に触るなし!」
向日葵「顔真っ赤にして怒ってるのよ。ちょっとゴミを取っただけじゃない」
櫻子「っ//」
バーカ! バーカ! 真っ赤になんてなってねーし!!!!
■回想終了--------------------------
向日葵「その後、話しかけても……顔を真っ赤にさせて怒ってきて。杉浦先輩……私どうしたら?」
綾乃「∵」
④ 終わり
16: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:48:45.26 ID:rfHcYEGi0
⑤:向日葵「私、そろそろ死ぬかもしれませんわ」綾乃「え!?」
ガララッ
綾乃「ど、どうしたの? 生徒会室の扉を勢いよく開けて……」
向日葵「杉浦先輩! 聞いてください!!」
綾乃「え? 相談なの? ちょっと待って今は……」
向日葵「昨日、櫻子がこたつの中で猫みたいに丸くなってましたの!」
向日葵「なんですのこれ! 可愛すぎるんですけど!!」
向日葵「可愛すぎて心拍数がすっごい事になってしまいましたわ!」
向日葵「私、死ぬ所だったんですのよ!」
綾乃「え?あっ……はい」
⑤ 終わり
向日葵「え!? 終わりなんですの!?」
綾乃「いや、実は……その……私、ちょっと今は……」
ガララッ
綾乃「ど、どうしたの? 生徒会室の扉を勢いよく開けて……」
向日葵「杉浦先輩! 聞いてください!!」
綾乃「え? 相談なの? ちょっと待って今は……」
向日葵「昨日、櫻子がこたつの中で猫みたいに丸くなってましたの!」
向日葵「なんですのこれ! 可愛すぎるんですけど!!」
向日葵「可愛すぎて心拍数がすっごい事になってしまいましたわ!」
向日葵「私、死ぬ所だったんですのよ!」
綾乃「え?あっ……はい」
⑤ 終わり
向日葵「え!? 終わりなんですの!?」
綾乃「いや、実は……その……私、ちょっと今は……」
17: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:49:48.65 ID:rfHcYEGi0
向日葵「杉浦先輩! ちゃんと聞いてください! 私は真面目なんです!」
綾乃「ふ、古谷さん落ち着いて」
向日葵「これが落ち着いていられますか! だって、櫻子が櫻子が可愛すぎるんです!」
綾乃「そ、そうなの?」
■回想シーン------------------------
櫻子「じゃじゃーん。新しいマフラー櫻子様ー」
向日葵「手を広げてクルクル回ったら危ないわよ」
櫻子「ふふーん。この櫻子様の可愛さがわからないなんて、向日葵もまだまだだね」
■回想終了--------------------------
向日葵「可愛すぎですわよ!! バッカじゃないの!!! 妖精みたいにクルクル回って!! 可愛すぎなんですけど! バッカじゃないの! 天使なんですけど!」バンバン
綾乃「あっ、うん。わかったから。机をたたかないでね? えーと、落ち着いて聞いて欲しい事があるんだけど……」
向日葵「ちょっと待ってください! 実はもっと聞いて欲しい事が!」
綾乃「へ?」
綾乃「ふ、古谷さん落ち着いて」
向日葵「これが落ち着いていられますか! だって、櫻子が櫻子が可愛すぎるんです!」
綾乃「そ、そうなの?」
■回想シーン------------------------
櫻子「じゃじゃーん。新しいマフラー櫻子様ー」
向日葵「手を広げてクルクル回ったら危ないわよ」
櫻子「ふふーん。この櫻子様の可愛さがわからないなんて、向日葵もまだまだだね」
■回想終了--------------------------
向日葵「可愛すぎですわよ!! バッカじゃないの!!! 妖精みたいにクルクル回って!! 可愛すぎなんですけど! バッカじゃないの! 天使なんですけど!」バンバン
綾乃「あっ、うん。わかったから。机をたたかないでね? えーと、落ち着いて聞いて欲しい事があるんだけど……」
向日葵「ちょっと待ってください! 実はもっと聞いて欲しい事が!」
綾乃「へ?」
18: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:50:42.74 ID:rfHcYEGi0
■回想シーン------------------------
櫻子「ケーキを作りすぎちゃってさ……」
向日葵「ケーキ? ああ、この前のチョコのウェディングケーキの事かしら?」
櫻子「うん」
向日葵「はぁ……。あんな大きいケーキを作って一体どうしますの? 食べるにしても一人だと体に悪いんですのよ。普段栄養に気を遣えとあれほど----」
櫻子「だ、だから、向日葵も食べろ! 一緒に!」
向日葵「へ?」
櫻子「今度の水曜日にうちに来いよ! わかったな! バーカ!」
■回想終了--------------------------
向日葵「水曜日って2月14日じゃないですのーーーー!!!!!!!」
向日葵「バレンタインにチョコのウェディングケーキとか愛が重すぎなんですけどーーーー!!!」
綾乃「で、でも、嬉しそうにみえるわよ?」
向日葵「嬉しいに決まってるじゃないですかーーーー!!!」
向日葵「もうっ! 櫻子ったら『2月14日にうちに来い』と言わない辺り、サプライズのつもりなんでしょうか? ふふっ。まぁ、櫻子が考える程度のサプライズ、驚きもしませんがね」
櫻子「ケーキを作りすぎちゃってさ……」
向日葵「ケーキ? ああ、この前のチョコのウェディングケーキの事かしら?」
櫻子「うん」
向日葵「はぁ……。あんな大きいケーキを作って一体どうしますの? 食べるにしても一人だと体に悪いんですのよ。普段栄養に気を遣えとあれほど----」
櫻子「だ、だから、向日葵も食べろ! 一緒に!」
向日葵「へ?」
櫻子「今度の水曜日にうちに来いよ! わかったな! バーカ!」
■回想終了--------------------------
向日葵「水曜日って2月14日じゃないですのーーーー!!!!!!!」
向日葵「バレンタインにチョコのウェディングケーキとか愛が重すぎなんですけどーーーー!!!」
綾乃「で、でも、嬉しそうにみえるわよ?」
向日葵「嬉しいに決まってるじゃないですかーーーー!!!」
向日葵「もうっ! 櫻子ったら『2月14日にうちに来い』と言わない辺り、サプライズのつもりなんでしょうか? ふふっ。まぁ、櫻子が考える程度のサプライズ、驚きもしませんがね」
19: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:51:54.16 ID:rfHcYEGi0
綾乃「えーと、その……実は私からもサプライズがあるんだけど……」
向日葵「え?」
綾乃「じゃ、じゃじゃーん。実はここに大室さんが隠れています」
向日葵「……………………………………………………………………………………………………………へ?」
櫻子「……」
向日葵「…………」
櫻子「…………」
向日葵「……………………いや、これはその……」
櫻子「……向日葵のバカ」ボソッ
向日葵「え?」
櫻子「向日葵のバーーーーーーーーカーーーーーーー!!!!!!!!」
向日葵「櫻子!? 全速力でどこに行きますの!? ちょっと待ってーーーーー!!!!」
向日葵「杉浦先輩! どうしましょう!? 私櫻子を怒らせて!」
向日葵「え?」
綾乃「じゃ、じゃじゃーん。実はここに大室さんが隠れています」
向日葵「……………………………………………………………………………………………………………へ?」
櫻子「……」
向日葵「…………」
櫻子「…………」
向日葵「……………………いや、これはその……」
櫻子「……向日葵のバカ」ボソッ
向日葵「え?」
櫻子「向日葵のバーーーーーーーーカーーーーーーー!!!!!!!!」
向日葵「櫻子!? 全速力でどこに行きますの!? ちょっと待ってーーーーー!!!!」
向日葵「杉浦先輩! どうしましょう!? 私櫻子を怒らせて!」
20: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:53:38.64 ID:rfHcYEGi0
向日葵「…………あれ? でもあの子なんで怒っているのかしら?」
綾乃「ほら、いいから追いかけなさい。追いかけて自分の気持ちを伝えれば大室さんも許してくれるわ」
向日葵「え? 気持ち? な、なんて言えば……」
綾乃「じゃあ、逆の立場だったらなんて言って貰えたら嬉しいのか考えなさい。追いかけながら考えれば、古谷さんなら答えを見つける事ができると思うわ」
向日葵「……逆の立場で……わかりました。頑張ってみます」
綾乃「ええ、またね」
ダダダダダダ
綾乃「行ったわね」
綾乃「……」
綾乃「ふふ」クスッ
綾乃(大室さん、顔真っ赤にしてニヤけながら走っていったわ。きっと嬉しくて嬉しくて。でも古谷さんにそんな顔を見られたくないから逃げ出したのね)
綾乃「まったく素直じゃないんだから……私はああならないように頑張らなきゃね」
綾乃「……」
綾乃「頑張ってね。古谷さん。それに大室さんも」
綾乃「ほら、いいから追いかけなさい。追いかけて自分の気持ちを伝えれば大室さんも許してくれるわ」
向日葵「え? 気持ち? な、なんて言えば……」
綾乃「じゃあ、逆の立場だったらなんて言って貰えたら嬉しいのか考えなさい。追いかけながら考えれば、古谷さんなら答えを見つける事ができると思うわ」
向日葵「……逆の立場で……わかりました。頑張ってみます」
綾乃「ええ、またね」
ダダダダダダ
綾乃「行ったわね」
綾乃「……」
綾乃「ふふ」クスッ
綾乃(大室さん、顔真っ赤にしてニヤけながら走っていったわ。きっと嬉しくて嬉しくて。でも古谷さんにそんな顔を見られたくないから逃げ出したのね)
綾乃「まったく素直じゃないんだから……私はああならないように頑張らなきゃね」
綾乃「……」
綾乃「頑張ってね。古谷さん。それに大室さんも」
21: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:54:20.79 ID:rfHcYEGi0
* * *
綾乃「で? なんで大室さんは古谷さんのパンツを被っているのかしら?」
櫻子「幸せな香りがするからです!」キリッ
向日葵「もうっ。櫻子ったら//」キャー
綾乃「極端すぎなのよーーーーー!!! あなたたちはーーーーー!!!!」
終わり
綾乃「で? なんで大室さんは古谷さんのパンツを被っているのかしら?」
櫻子「幸せな香りがするからです!」キリッ
向日葵「もうっ。櫻子ったら//」キャー
綾乃「極端すぎなのよーーーーー!!! あなたたちはーーーーー!!!!」
終わり
22: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:54:59.94 ID:rfHcYEGi0
これにて終わりになります。
読んでくださった方ありがとうございました!
また機会があればよろしくお願いします!
読んでくださった方ありがとうございました!
また機会があればよろしくお願いします!
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/11(日) 07:12:39.50 ID:oZc4L0SA0
いつ以来の短編集だろう。
かなり久々のような。
おつ
かなり久々のような。
おつ
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/11(日) 11:36:29.58 ID:5DJrf9zao
乙
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1518272815/
Entry ⇒ 2018.02.24 | Category ⇒ ゆるゆり | Comments (0)
北条加蓮「どうしようもない話」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/13(火) 18:26:31.27 ID:K48b6BSl0
椅子に座ったまま眠る彼の首を撫でると無精髭がちくちくと刺さった。その痛みが心地よくて、私はもう一度その首をゆっくりと撫で上げる。
と、彼はびくりと肩を震わせて目を覚ました。そんな彼の様子がおかしくて、私は声に出して笑ってしまう。
彼は私の方を見て安心したように肩を落とし、しかしすぐに眉を顰めてみせる。
「起こすのはいいが、起こし方はもう少し考えてくれ」
「今回のはお気に召さなかった?」
「召さなかった。というか、わかるだろ? 首を撫でられて起きるとか、想像するだけで嫌だろ」
「そうかな」
「そうだよ。経験してみるか?」
「つまり、次に私がプロデューサーの前で寝た時には首を撫でられる、と」
個人的には悪くない提案だ。しかし彼は違ったようで、
「それ、画的にまずいな」
「まずいかな」
「まずい」
他人の口から聞いたことによって想像してしまったらしい。冷静にならなくてもいいのに、と私は胸中で不満を漏らす。
ただ、自分から『首を撫でられたい』と言うのもおかしいと思うので口には出さない。代わりに他の言葉を口に出す。
「ちくちくした」
「ん?」
「それ」
指で示すと、彼は自分の首に触れる。あー、と納得したように声を上げて、そろそろ剃らなきゃダメか、と面倒くさそうに息を漏らす。
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/13(火) 18:27:52.62 ID:K48b6BSl0
「芸能界って、もっと身だしなみに気を遣わなきゃいけないところだと思ってた」
足先から頭のてっぺんまで、彼の姿を確認して、素直にそう口にした。彼は苦いものを口にした時のように表情を歪める。
「外に出る時は、もうちょっとちゃんとするから」
「してるかな?」
私はわざとらしく首を傾げた。しかしそんなわざとらしい振る舞いでも彼にとっては無視できないものだったらしい。恐る恐ると言った調子で「してませんか?」と彼が尋ねる。
「さあ、どうでしょう」
意味ありげに微笑むと、彼は困ったように眉を下げた。その表情を引き出せたなら満足だ。
「なんてね。そんなに心配しなくてもいいよ。良くはないけど、悪くもないから」
それは本音だった。良くはないけど、悪くもない。
「それは、安心していいのか?」
「ううん。もっと気をつけた方がいいんじゃない?」
「はい……」
「ふふっ。さっきも思ったけど、どうしたの?」
「下手に出ると優しくしてくれないかな、と」
「それ、口に出したら意味なくない?」
「承知しております」
今度はぴしっと背筋を伸ばして。プロデューサー、ふざけてるな? それとも……。
「そんなに優しくされたいの?」
彼の頬が微かに引きつる。お、図星。
「へぇ。されたいんだ?」
にやにやしながら尋ねると、彼は嫌そうに顔を歪める。
「ちょっとちょっと、自分から言ったんでしょ? そんな顔しないの」
「いや、今のは」
「じゃあ、されたくないの?」
「……」
固まる。うん、やっぱりされたいっぽい。
「それじゃあ、どうする? 優しい優しい加蓮ちゃんに、プロデューサーは何をしてほしいのかなー?」
「優しい優しい加蓮ちゃんって誰だよ」
「何か不満でも?」
「ございません」
ないらしい。それにしても……なさけないなぁ。本当に、まったくかっこよくない。
身だしなみに普段から気を遣うようなことはなくて、だらしなくて、なさけない。
本当に、まったくかっこいいとは思わないんだけど……どうしてなのかな。我ながら謎だ。
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/13(火) 18:29:51.32 ID:K48b6BSl0
「加蓮?」
そんなことを考えていると、彼が不思議そうに私を呼ぶ。そこには心配するような調子も含まれていて、こういうところかも、と少し思う。
「ううん、なんでもないよ。ただ、何をしてあげよっかなーって考えてただけ」
嘘だ。でも、彼は「そうか」と騙されてくれる。
しかし、言ってしまったからには考えなければならない。優しく、優しく……うーん。
「『優しく』ってだけだと難しいね。具体的に何か、ないの?」
「具体的に、って言ってもな」
「口に出すのは恥ずかしい?」
彼の唇が少しだけ下を向く。恥ずかしいらしい。
「恥ずかしいことかー」
「なんでわかるんだよ」
「わかりやすいから」
「そこまでか……」
気落ちした様子で彼は目を下げる。うん、たぶんそうだ。それ以外の理由はない、と思う。
「それで、その恥ずかしいことって何なのかな?」
「言いたくない」
「こんな機会そうそうないんだから言っちゃえば? 私みたいなかわいい子に優しくされるなんて、なかなかないよ?」
「だとしても、と言うか、だからこそだ」
「つまり、結構なさけない姿を見せるようなことか」
「なんでそこまでわかるんだよ……」
「私だからこそ、なんでしょ? プロデューサーって、あんまり私にそういう姿を見せたくないみたいだから。まあ、個人的には『今更何を』って感じだけど」
「そんなになさけないところ見せてるか?」
「傷付けたくないからノーコメントで」
「見せてるのか……」
見せてる。具体的に言えばついさっき見たくらい見せている。
「ほらほら、言っちゃいなよ。プロデューサーは、私に何してほしいのかなー?」
「なんでそんなに楽しそうなんだよ」
「プロデューサーが困ってるから」
「悪趣味だな」
「悪趣味かな」
「困っているのを見て楽しいとか、悪趣味以外の何でもないだろ」
かもしれない。でも、そこまで珍しいこととも思わない。
私に困っている彼の姿を見ていると、安心する。困らせてもいいと思えるということと、私に困ってくれているということが。
そう考えると、やっぱり珍しいことではないと思う。
私と同じ気持ちを抱いている人なら、きっとそう。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/13(火) 18:34:23.10 ID:K48b6BSl0
「プロデューサー、目、つぶって」
「なんでだよ」
「悪趣味って言葉を撤回させてあげようと思って」
「こわいんだが」
「いいから」
何がいいんだよ、とつぶやきながらも彼は目をつぶってくれる。そんな彼を見て、私は嬉しくなってしまう。
人が五感から得る情報のほとんどは視覚から得る情報だと言う。その視覚をあずけられるということは、それだけ心もあずけているということ、かもしれない。
少なくとも、私の場合はそうだ。家族以外には凛や奈緒、それから彼の前くらいしか、私は目を閉じられない、と思う。まあ、彼に目を閉じてなんて言われたら……ちょっと、他のことも考えちゃうかもしれないけど。
「じゃあ、プロデューサー。息を吸ってー」
「息?」
「そう。早く早く」
「……」
すぅ、と彼が息を吸う。「吐いてー」声に合わせて、はぁ、と彼が息を吐き出す。そうして彼が息を吐ききった瞬間、
「ぎゅー」
と彼の頭を抱きしめる。
「んぐ!?」
胸の中で彼が大きくびくりと跳ねて逃げようとする。もちろん逃がすつもりはない。彼は我慢できないと言うように、私の胸の中で息を吸う。
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/13(火) 18:37:15.38 ID:K48b6BSl0
「ちょ、加蓮。いきなり何を」
「胸の中で話されるとくすぐったいなー」
「なら離し――んが」
「聞こえなーい」
ぎゅー、と彼の顔を胸に押し付けるようにして抱きしめる。腕の隙間から見える彼の耳がほんのりと赤みを帯びている。
「耳、赤いね」
「うるさい」
「お気に召さなかったかな? なんとなく、こういうことをされたいのかなー、と思ったんだけど、外れだった?」
「……」
当たりだったようだ。思わずくすくすと笑ってしまう。
「そっかー。これは確かに言えないね」
あと、確かになさけないかも。女子高生に抱きしめられている成人男性の姿というのは、あまり見せたいものではないだろう。
「だから言いたくなかったんだよ。こんな姿、誰かに見られたら……」
「今は二人きりだから大丈夫だよ。それに、今更こんな姿を見たくらいで失望なんかしないって」
「そんなに普段からなさけない姿見せてるのか……」
そう受け取るんだ。今のはそういう意味じゃなかったんだけど……まあ、訂正はしなくてもいいかな。恥ずかしいし。
「それはそれとして、今のお気持ちは? 念願叶って夢心地?」
「戸惑い半分」
「もう半分は?」
「わかってるだろ」
「わからないなー。ちゃんと口に出さないと伝わるものも伝わらないよ?」
「……」
抱きしめているから顔は見えないけれど、今どういう表情をしているのかはわかった。たぶん、苦虫を噛み潰したような顔してる。
「ほらほら。プロデューサー?」
「……気持ちいい、です」
「おっぱいが?」
「おっぱい言うな」
「アイドルのおっぱいが気持ちいい、なんて……いい趣味してるね」
「今の状態だと否定できない」
「だよねー」
ふっ、と微笑んで、抱きしめる力を強くする。そのまま彼の髪に鼻と頬を擦りつける。
くすぐったい。微かに汗のにおいがする。
いいにおい、ではないけれど、安心する。
胸の奥にある固い何かがすっとほぐれて、ずっとこうしていたいような気持ちになる。
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/13(火) 18:39:13.56 ID:K48b6BSl0
「プロデューサー」
「ん?」
「……やっぱり、なんでもない」
「そうか」
なんでもないと言う時は、たいてい何かある時だ。
ちゃんと口に出さないと、伝わるものも伝わらない。
伝わっているものがあったとしても、それは言葉にするまで伝わらない。伝わらないことになっている。
「困ってる?」
「困ってるよ。加蓮は?」
「困ってる。おかしいね」
「おかしいな」
今、私から彼の顔を見ることはできない。彼から私の顔を見ることもできない。
人が五感から得る情報のほとんどは視覚から得る情報だと言う。なら、今の私たちは互いの気持ちがほとんどわからない状態だ。
体温や鼓動は伝わるけれど、それだけで相手の気持ちがわかることなんてきっとない。表情に比べたら、その情報量はとても少ないものだろう。
「好きになるなら、身だしなみくらいはちゃんとしてる人だと思ってた」
だから、普段は言えないことを口にしてしまったのかもしれない。
伝わり過ぎてはいけないから。でも、ずっと言葉にしたかったから。
「最低限のデリカシーはあって……それから、なさけないところを見せない人」
抱きしめた腕の中で、彼が固まる。何を考えているかはわからない。わからないことになっている。
「プロデューサーは……Pさんは、当てはまらないね」
それでもおかしくて、私は思わず笑ってしまう。彼はいくらか声を落として、「そうだな」とつぶやく。
「認めるんだ」
「認めるよ」
「プロデューサーがデリカシーないってどうなの?」
「それを言われると困るな」
「困るんだ」
「困る」
「そっか。じゃあ、もっと困って」
私に困って。私のことで、もっと困って。
「現在進行系で困ってるけどな」
「それは知ってる」
「そろそろ離れないか?」
「まだダメ」
「そうか」
「そうだよ」
まだ離さない。だって、大事なことを、まだ口に出せてない。
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/13(火) 18:40:56.51 ID:K48b6BSl0
「私が体調を崩した時にさ」
「うん?」
「Pさん、お見舞いに来てくれたよね」
「そうだな」
「あの時、私は化粧をしてなくて、すっぴんだったけど……Pさん、なんて言ったっけ」
「ちゃんと覚えてないけど、加蓮がどういう顔をしていたのかは覚えてる。化粧をしなくてもいつもと同じくらいかわいかった、って」
「それ」
「それ?」
「デリカシー、ないよね」
「えっ」
彼が驚いたような声を出す。褒め言葉のつもりだったのだろう。あるいは、デリカシーがないという発言を撤回させるための言葉だったのかもしれない。
でも、それこそがデリカシーのない発言だということに、彼はきっと気付いていない。
「素顔を褒められて、嬉しくないって言ったら嘘になるけど、化粧をしている時と遜色ないとまで言われると……個人的には、複雑なんだよね」
素顔を褒められた方が嬉しいと感じる人もいるのかもしれない。でも、私はそうじゃない。
「だって、私が化粧をするのは、もっとかわいくなるためだから。もっと綺麗になるためだから。それなのに、化粧をしていない状態と同じくらいとか言われると……『お前の努力に意味はない』って言われるような気分かも」
「それは……ごめん」
「いいよ。私も、そこまで重く受け止めているわけじゃないし。そういうものだって、わかっているつもりだから」
ただ、好きになるならそういうところまで気を遣えるような、私のことをわかってくれるような人だと思ってた。そう言いたかっただけだから。
「なら、俺はとことん加蓮の好みからは離れているってことになるな」
「そうなるかもね。残念?」
「多少は」
「多少ね」
その言葉が強がりなのかどうか。推測することはできるけど、声の調子だけでは判別できない。私が何を考えているのか、今の彼にはわからないように。
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/13(火) 18:41:50.80 ID:K48b6BSl0
「本当に、好きになるならそういう人って、思ってたんだけど」
「……」
彼の喉が小さく音を鳴らす。私の胸が鳴らしているのと同じくらいに。
「どうしてなんだろうね。無精髭を生やしたままだったり、デリカシーのないことを言ったり、なさけないところもいっぱい見てるのに」
どれも当てはまらないのに。好きになると思っていた人と同じところなんてどこにもないのに。
「恋って、まるで事故みたい」
経験したことのように、私は言う。
「たまたま落ちた雷に当たるくらい予想できなくて、衝撃的なの。前と後とで、価値観がすっかり変わっちゃうの」
そして、それは自分の意志ではどうにもならない。落ちている最中に浮き上がることなんてできやしない。人は空を飛べないもの。
「だから、どうしようもないよね」
一度そうなってしまったら、どうしようもない。
だらしないところも、なさけないところも、ぜんぶ、ぜんぶが愛おしくて。
そう感じてしまうことは、きっと、どうしようもないことなのだろう。
好きになったら、どうしようもない。
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/13(火) 18:43:04.14 ID:K48b6BSl0
「俺は、素直な子を好きになるって思ってた」
彼がつぶやく。
「うん」
彼のことを抱きしめたまま、私はそうやって先を促す。
「面倒くさい子なんて好きにならないって、そう思ってた」
「……うん」
「加蓮は正反対だな」
「素顔を褒めたら怒るような子だもんね」
少しだけ不機嫌に言うと、彼は困ったように苦笑する。面倒な子を相手にする時のように。
「本当に、どうしてだろうな。面倒で、いつもいつも困らせてくるような子なのに。今では、そうやって困らせてくることこそがかわいくて、愛おしいと感じてしまうんだから、不思議だよな」
「うん」
「どうしようもないな」
「どうしようもないね」
どうしようもない。本当に、どうしようもない話だ。
自分でもわけがわからなくて、でも、その気持ちだけははっきりしていて。
「やっぱり、悪趣味だね」
「何が?」
「面倒で、いつもいつも困らせてくるような子を好きになるなんて、悪趣味だな、って」
「それを言うなら、加蓮こそ。身だしなみはちゃんとしてなくて、デリカシーはなくて、なさけないところもいっぱい見せるような人を好きになるなんて悪趣味だ」
「どうしようもないよ。恋って事故に似てるもの」
私は彼を抱きしめたまま、その首をそっと撫でつける。無精髭がちくちくと刺さる。でも、その痛みこそが心地良い。
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/13(火) 18:44:33.24 ID:K48b6BSl0
「そろそろ離れないか?」
「満足できた?」
「ああ。十分満足した。ありがとう、加蓮」
「どういたしまして。それじゃあ、ちょっと離れよっか」
名残惜しさを感じながらも彼から離れる。腕と胸にはまだ微かに熱が残っている。
「優しさ、感じた?」
「ん? まあ、感じたな。加蓮は優しいよ」
「感謝してる?」
「してるしてる。今なら何でも言うことを聞いてやりたいくらいだ」
「そっか。なら早速」
ぎゅー、と彼の胸へと飛び込む。「なっ」と声を上げて、彼はその身を固まらせる。
「さっきは私が優しくしたから、今度はPさんが優しくして?」
「優しく、って」
「ぎゅ、ってしてほしいの。あと、頭を撫でたりもしてほしい。とにかく甘やかしてほしいな」
「……加蓮って、来る時はぐいぐい来るよな」
「誰かさんとは違うもの。それより、ほら。早く」
「……」
ぎゅ、と彼が私を抱きしめる。彼の体温が私を包み、胸の奥にまで沁み込んでいく。お風呂に入った時みたいに全身から力が抜けて、気持ちいい。
「首……」
「首?」
「撫でて、みて。私がさっき、やったみたいに」
私のことを抱きしめたまま、彼の指が首にかかる。私のものよりも大きくて、ごつごつとしている指が首に触れる。
そのまま彼が猫にするみたいにして私の首をくすぐったから、私は「にゃあ」と鳴いてみせた。
「大きい猫だな」
「手のかかりそうな猫?」
「かかり過ぎて困るくらいに」
「そっか。じゃあ、もっともっと困らせてあげる」
今までよりも、もっともっと。
私のこと以外、考えられなくなっちゃうくらいに。
顔を上げて、私はそう口にした。
それは困るな、と彼は笑った。
終
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/13(火) 18:45:00.32 ID:K48b6BSl0
終わりです。ありがとうございました。
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/13(火) 18:51:08.75 ID:yPuMdJ/DO
めんどくさ可愛い加蓮は最高
乙です
乙です
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/14(水) 04:36:12.55 ID:qqB1gPHDO
乙
こんな加蓮ダメだよーすぐ落ちちゃうよー
こんな加蓮ダメだよーすぐ落ちちゃうよー
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1518513990/
Entry ⇒ 2018.02.23 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
佐天「純愛漫画を描く能力かあ……」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:00:29.11 ID:DzpLfWrM0
初春「佐天さん。システムスキャンの結果はどうでした?」
佐天「うん。能力身についてたよ」
初春「おめでとうございます。どんな能力ですか?」
佐天「純愛漫画を描く能力なんだ」
初春「へえ。凄い能力ですね」
佐天「うん。能力身についてたよ」
初春「おめでとうございます。どんな能力ですか?」
佐天「純愛漫画を描く能力なんだ」
初春「へえ。凄い能力ですね」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:02:03.24 ID:DzpLfWrM0
初春「佐天さん漫画なんて描けたんですか」
佐天「いや、能力身についてから描ける様になったんだよ」
佐天「ピクシブもやってるんだ」
初春「行動早いですね。それにしても純愛ですか」
初春「ハーレム優勢のこの時代にその潔さ。嫌いじゃないですよ」
佐天「えへっ!実は単行本も出てるんだ」
初春「行動早いですね」
佐天「……読んでくれる?」
初春「勿論ですよ。親友じゃないですか」
佐天「ありがとう初春!じゃあ読んで!」スッ
初春「ほほう。これはこれは」ペラリ
佐天「いや、能力身についてから描ける様になったんだよ」
佐天「ピクシブもやってるんだ」
初春「行動早いですね。それにしても純愛ですか」
初春「ハーレム優勢のこの時代にその潔さ。嫌いじゃないですよ」
佐天「えへっ!実は単行本も出てるんだ」
初春「行動早いですね」
佐天「……読んでくれる?」
初春「勿論ですよ。親友じゃないですか」
佐天「ありがとう初春!じゃあ読んで!」スッ
初春「ほほう。これはこれは」ペラリ
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:03:32.60 ID:DzpLfWrM0
御坂「あ、佐天さんに初春さんじゃない」
佐天「御坂さんこんにちは!」
初春「御坂さん。佐天さんが能力に目覚めたんですよ」
御坂「そうなの?おめでとう!」
御坂「どんな能力?」
佐天「純愛漫画を描く能力です!」
御坂「へえ。私漫画好きよ!」
佐天「御坂さんこんにちは!」
初春「御坂さん。佐天さんが能力に目覚めたんですよ」
御坂「そうなの?おめでとう!」
御坂「どんな能力?」
佐天「純愛漫画を描く能力です!」
御坂「へえ。私漫画好きよ!」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:05:01.14 ID:DzpLfWrM0
御坂「あ、それって所謂やおいや百合って奴?私ノーマルだけど」
佐天「普通に男女の恋愛ものですよ」
佐天「あ、別に同性の恋愛を否定してるわけじゃないですよ!」
佐天「人が人を好きになるのはとても尊いモノだと思います」
御坂「あ、うん。私も同感」
御坂「私も黒子の想いに応えるのは難しいと思うけどさ。黒子のことは大好きだし、傷付けたくないもん」
御坂「あ!このことは黒子にはナイショね!」
佐天「了解!」
佐天「普通に男女の恋愛ものですよ」
佐天「あ、別に同性の恋愛を否定してるわけじゃないですよ!」
佐天「人が人を好きになるのはとても尊いモノだと思います」
御坂「あ、うん。私も同感」
御坂「私も黒子の想いに応えるのは難しいと思うけどさ。黒子のことは大好きだし、傷付けたくないもん」
御坂「あ!このことは黒子にはナイショね!」
佐天「了解!」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:06:09.07 ID:DzpLfWrM0
初春「ふむふむ。ほうほう」
御坂「ん?もしかしてさっきから初春さんが読んでるのが佐天さん描いた奴なの?」
佐天「えへへ……そうです///」
御坂「初春さん、どう?」
初春「実際凄いですよ佐天さんの描いた漫画は」
御坂「ん?もしかしてさっきから初春さんが読んでるのが佐天さん描いた奴なの?」
佐天「えへへ……そうです///」
御坂「初春さん、どう?」
初春「実際凄いですよ佐天さんの描いた漫画は」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:07:07.18 ID:DzpLfWrM0
初春「それまでは普通に仲が良かった二人。でもそれは表面的なものだったんです」
初春「些細なきっかけから二人は禁則事項なゾーンに突入してしまいます」
初春「でも、それがあるべき姿なんです。二人とも互いのことを深く愛するが故の結果なんです」
初春「それらがですね。キャラクターのセリフではなく、表情や動きから自然に読み取れるんですよ」
御坂「へー。べた褒めじゃない」
佐天「御坂さんにも読んで貰えたら嬉しいなー、なんて」チラリ
御坂「言っとくけど私は漫画にはうるさいわよ?」ニヤリ
佐天「ど、どんとこいです!正直な感想をお願いします!」
御坂「どれどれ……『妹のおっぱいがまるだしだった話』」
初春「些細なきっかけから二人は禁則事項なゾーンに突入してしまいます」
初春「でも、それがあるべき姿なんです。二人とも互いのことを深く愛するが故の結果なんです」
初春「それらがですね。キャラクターのセリフではなく、表情や動きから自然に読み取れるんですよ」
御坂「へー。べた褒めじゃない」
佐天「御坂さんにも読んで貰えたら嬉しいなー、なんて」チラリ
御坂「言っとくけど私は漫画にはうるさいわよ?」ニヤリ
佐天「ど、どんとこいです!正直な感想をお願いします!」
御坂「どれどれ……『妹のおっぱいがまるだしだった話』」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:08:22.31 ID:DzpLfWrM0
御坂「!?」
御坂「ちょ、ちょっと!」
初春「御坂さん。偏見は駄目ですよ。まずは最後まで読んでください」
御坂「う……うん」ペラリ
頭のおかしいタイトルに一瞬取り乱してしまった御坂
だがそこはさすがのレベル5。瞬時に気持ちを切り替え読み進めていく
しかし頭がおかしいのはタイトルだけではなかったので、さすがのレベル5でも平静さを保つのは
不可能であった
ちんぽ以前の問題である
ガニ股チクビンピロスラッシュブリッジアクメは刺激が強過ぎたのだ
そこに謎の疾走感と緊迫感が加わればもはや鬼に金棒である
レベル5といえど脳の処理能力を超え理解が追い付かなくなるのは当然であった
何故なら彼女はまだ中2なのだから
御坂「ちょ、ちょっと!」
初春「御坂さん。偏見は駄目ですよ。まずは最後まで読んでください」
御坂「う……うん」ペラリ
頭のおかしいタイトルに一瞬取り乱してしまった御坂
だがそこはさすがのレベル5。瞬時に気持ちを切り替え読み進めていく
しかし頭がおかしいのはタイトルだけではなかったので、さすがのレベル5でも平静さを保つのは
不可能であった
ちんぽ以前の問題である
ガニ股チクビンピロスラッシュブリッジアクメは刺激が強過ぎたのだ
そこに謎の疾走感と緊迫感が加わればもはや鬼に金棒である
レベル5といえど脳の処理能力を超え理解が追い付かなくなるのは当然であった
何故なら彼女はまだ中2なのだから
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:09:34.99 ID:DzpLfWrM0
御坂「よ、読み終わったから感想言わせてもらうね」
佐天「はい。どうぞ」
御坂「何なのこれ!?」
初春「何なんでしょうね」
初春「ちょっとですね、一言どころか百言あっても説明しづらいんですよ。18禁とかそういう問題じゃないんですよ」
初春「でも凄い漫画なのは間違いありません」
御坂「うん……。それは確かに」
佐天「はい。どうぞ」
御坂「何なのこれ!?」
初春「何なんでしょうね」
初春「ちょっとですね、一言どころか百言あっても説明しづらいんですよ。18禁とかそういう問題じゃないんですよ」
初春「でも凄い漫画なのは間違いありません」
御坂「うん……。それは確かに」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:10:27.88 ID:DzpLfWrM0
初春「まず理性が理解することを拒むんです。何が起きているのかわからない。作中のお兄さんと一緒ですね」
初春「日常に潜む狂気。私たちの日常はいとも簡単に壊れてしまうんです」
初春「と、見るのは大間違い。妹さんは決死の覚悟でこのような強硬手段に打って出たんです」
初春「そして、誰よりもお兄さんのことを信じていた。だから行動に移せた。そして、それに応えるお兄さん」
初春「何故なら、お兄さんもまた妹さんのことを心から愛しているのだから」
初春「それらがですね。キャラクターのセリフではなく、表情や動きから自然に読み取れるんですよ」
初春「あと謎の疾走感と緊迫感が何とも言えない二人の世界を演出しています」
御坂「う、うん。上手く言えないけど。なんかウン」
初春「何なんですかねこの漫画」
初春「日常に潜む狂気。私たちの日常はいとも簡単に壊れてしまうんです」
初春「と、見るのは大間違い。妹さんは決死の覚悟でこのような強硬手段に打って出たんです」
初春「そして、誰よりもお兄さんのことを信じていた。だから行動に移せた。そして、それに応えるお兄さん」
初春「何故なら、お兄さんもまた妹さんのことを心から愛しているのだから」
初春「それらがですね。キャラクターのセリフではなく、表情や動きから自然に読み取れるんですよ」
初春「あと謎の疾走感と緊迫感が何とも言えない二人の世界を演出しています」
御坂「う、うん。上手く言えないけど。なんかウン」
初春「何なんですかねこの漫画」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:11:47.48 ID:DzpLfWrM0
御坂「とにかく凄い漫画だわ。うん、その。いい意味で?」
御坂「プロになれると思うわよマジで。よくわかんないけど」
佐天「えへへ……ありがとうございます……!」
御坂「これだけ表現力があるんだし、次は健全な漫画描きましょうよ!ジャンプとかに載せられそうな奴!」
佐天「死にます」
御坂「え?」
御坂「プロになれると思うわよマジで。よくわかんないけど」
佐天「えへへ……ありがとうございます……!」
御坂「これだけ表現力があるんだし、次は健全な漫画描きましょうよ!ジャンプとかに載せられそうな奴!」
佐天「死にます」
御坂「え?」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:12:41.44 ID:DzpLfWrM0
初春「佐天さんの言う通りです。いえ、佐天さんに才能がないという話ではありません」
初春「佐天さんは真の男女の愛を描くことに成功しました。いいですか、男女の愛ですよ?」
初春「おセックスは外せないんですよ」
初春「情動が理性を振り切っているのにおセックスなしはあり得ません。行きつくところまで突っ走るべきなんですよ」
初春「何より、この漫画は佐天さんにしか描けません。唯一無二のモノなんです」
初春「一見狂気その実真の愛。それが佐天さんの漫画の武器です」
初春「中途半端に大衆に迎合した百番煎じの緩い作品なんて他の漫画家に描かせたらいいんですよ」
初春「自分が納得できないものを描くくらいなら死を選ぶ。それが佐天さんという人間なんです」
初春「佐天さんは真の男女の愛を描くことに成功しました。いいですか、男女の愛ですよ?」
初春「おセックスは外せないんですよ」
初春「情動が理性を振り切っているのにおセックスなしはあり得ません。行きつくところまで突っ走るべきなんですよ」
初春「何より、この漫画は佐天さんにしか描けません。唯一無二のモノなんです」
初春「一見狂気その実真の愛。それが佐天さんの漫画の武器です」
初春「中途半端に大衆に迎合した百番煎じの緩い作品なんて他の漫画家に描かせたらいいんですよ」
初春「自分が納得できないものを描くくらいなら死を選ぶ。それが佐天さんという人間なんです」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:13:28.33 ID:DzpLfWrM0
御坂「そっか……。ごめんね佐天さん」
佐天「いえ、いいんですよ。私も出来るだけ多くの人に私の作品を見てもらいたいと思いますし」
佐天「ジャンプは無理でも、いつかは青年誌でギリギリ部屋の本棚に置ける作品を描けたらと思ってます」
佐天「でもそれは、18禁でやるだけやった後の話です!」
佐天「兄と妹。プロデューサーとアイドル。本当の愛は障害を乗り越えた先にあり、そしておセックスに至る。そこは譲れないですね今のところ」
初春「堂々と本棚に置いたらいいんですよ。家族に見つかったら読ませて佐天さんのファンにしちゃえばいいじゃないですか」
佐天「いえ、いいんですよ。私も出来るだけ多くの人に私の作品を見てもらいたいと思いますし」
佐天「ジャンプは無理でも、いつかは青年誌でギリギリ部屋の本棚に置ける作品を描けたらと思ってます」
佐天「でもそれは、18禁でやるだけやった後の話です!」
佐天「兄と妹。プロデューサーとアイドル。本当の愛は障害を乗り越えた先にあり、そしておセックスに至る。そこは譲れないですね今のところ」
初春「堂々と本棚に置いたらいいんですよ。家族に見つかったら読ませて佐天さんのファンにしちゃえばいいじゃないですか」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:14:42.13 ID:DzpLfWrM0
御坂「それにしてもおっぱいか……。あいつにもやれば効果あるのかな……?」
御坂「いやいやいや死ぬわ私」
初春「でもそれくらいやらないと上条さん振り向いてくれないと思いますよ」
佐天「別バージョンもあります」スッ
御坂「ふむふむ机の下に潜ってあいつが落とした箸を拾う際にハミチンが」ペラリ
御坂「無理無理無理無理!!!」
初春「これは阿吽の呼吸が必要ですね。現実でこの状況を作り出すのはまず不可能です」
初春「でもロマンありますよね。二人の間に流れる緊張感も含めて」
御坂妹「おや、お姉様ではありませんか。とミサカはお姉様に近付きます」
御坂「いやいやいや死ぬわ私」
初春「でもそれくらいやらないと上条さん振り向いてくれないと思いますよ」
佐天「別バージョンもあります」スッ
御坂「ふむふむ机の下に潜ってあいつが落とした箸を拾う際にハミチンが」ペラリ
御坂「無理無理無理無理!!!」
初春「これは阿吽の呼吸が必要ですね。現実でこの状況を作り出すのはまず不可能です」
初春「でもロマンありますよね。二人の間に流れる緊張感も含めて」
御坂妹「おや、お姉様ではありませんか。とミサカはお姉様に近付きます」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:15:48.22 ID:DzpLfWrM0
佐天「こんにちは!佐天涙子です!」
初春「初春飾利です。御坂さんの妹さんですか?そっくりですね」
御坂「ああ、うん。まあね。御坂妹って呼んであげて」
御坂妹「御坂妹です、どうぞよろしくお願いします。とミサカはお姉様のお友達っぽいお二人に頭を下げます」
初春「さっそくですが御坂妹さん。佐天さんの描いた漫画お勧めですよ」スッ
御坂妹「ほほう。これはこれは。とミサカは狂気渦巻く兄妹愛に感動します」ペラリペラリ
上条「よう。ビリビリ達じゃないか」
初春「初春飾利です。御坂さんの妹さんですか?そっくりですね」
御坂「ああ、うん。まあね。御坂妹って呼んであげて」
御坂妹「御坂妹です、どうぞよろしくお願いします。とミサカはお姉様のお友達っぽいお二人に頭を下げます」
初春「さっそくですが御坂妹さん。佐天さんの描いた漫画お勧めですよ」スッ
御坂妹「ほほう。これはこれは。とミサカは狂気渦巻く兄妹愛に感動します」ペラリペラリ
上条「よう。ビリビリ達じゃないか」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:16:51.11 ID:DzpLfWrM0
佐天「こんにちは上条さん!」
初春「上条さん。お兄ちゃんて呼んでもいいですか?」
上条「あれ、俺に従妹いるって話しましたっけ?」
初春「いけそうですよ御坂さん」
御坂「しー!しー!///」
御坂妹「お兄様、今夜ラ〇ュタです。一緒に見ませんか?とミサカはお兄様に提案します」
上条「ん?おお動く城」
御坂「駄目に決まってんでしょうがゴラアアアアア!!!」ビリビリ
上条「不幸だー!!!」
初春「上条さん。お兄ちゃんて呼んでもいいですか?」
上条「あれ、俺に従妹いるって話しましたっけ?」
初春「いけそうですよ御坂さん」
御坂「しー!しー!///」
御坂妹「お兄様、今夜ラ〇ュタです。一緒に見ませんか?とミサカはお兄様に提案します」
上条「ん?おお動く城」
御坂「駄目に決まってんでしょうがゴラアアアアア!!!」ビリビリ
上条「不幸だー!!!」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:17:57.05 ID:DzpLfWrM0
打ち止め「あなた、今日は一緒にラ〇ュタ見ましょ!ってミサカはミサカはおっぱいをまるだしにしてみたり」
一方通行「なンなンですかァ!?何が起こってるンですかァ!?」
黄泉川「一方通行……少しでも動いたら撃つじゃん」チャキ
一方通行「俺は何もしてねェェェェ!!!」
特にヤマもオチもなく終
一方通行「なンなンですかァ!?何が起こってるンですかァ!?」
黄泉川「一方通行……少しでも動いたら撃つじゃん」チャキ
一方通行「俺は何もしてねェェェェ!!!」
特にヤマもオチもなく終
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 18:19:09.40 ID:DzpLfWrM0
今日ラ〇ュタやるらしいので書きました
分かる人だけ分かってください
分かる人だけ分かってください
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/29(金) 19:24:02.77 ID:hGd7b3V3O
この人のミキミキの漫画好き
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/30(土) 10:34:49.41 ID:l1HIquH/0
乙っぱい
あの人の作品には何度かお世話になった(思い出して前屈み)
あの人の作品には何度かお世話になった(思い出して前屈み)
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/03(火) 22:52:30.15 ID:8XiBgmV9o
ヤッタア能力スレだ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1506675628/
Entry ⇒ 2018.02.22 | Category ⇒ とある魔術の禁書目録 | Comments (0)
魔女「お眠りなさい、安らかに――」 女騎士「くっ、やめろ……!」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 19:11:42.71 ID:+UMJIFc20
百合です
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 19:13:07.76 ID:+UMJIFc20
魔女「ほうら、大人しく横になりなさい?」
女騎士「くぅ……! 負けん! こんなフカフカのベッドなんかに私は……」
魔女「はい、お行儀よくしましょうね~?」
女騎士「フカフカの枕になんかぁー!」
魔女「ちゃんと肩までお布団かけないと駄目よ」
女騎士「……お布団いいにおいするぅ……」
魔女「ほら、目を閉じて?」
女騎士「くっ、勝手に瞼が落ちて……!? どういうことなんだ……!」
魔女「さ、ご本を読んであげましょうねぇ」
女騎士「駄目だ、身体が……!? なんて恐ろしい魔法なんだ……。だが私は決して負けない! 魔女の思い通りになど、騎士の誇りにかけても絶対に――」
魔女「むかーしむかし、あるところに……」
女騎士「……スヤァ」
魔女「あらあら」
女騎士「くぅ……! 負けん! こんなフカフカのベッドなんかに私は……」
魔女「はい、お行儀よくしましょうね~?」
女騎士「フカフカの枕になんかぁー!」
魔女「ちゃんと肩までお布団かけないと駄目よ」
女騎士「……お布団いいにおいするぅ……」
魔女「ほら、目を閉じて?」
女騎士「くっ、勝手に瞼が落ちて……!? どういうことなんだ……!」
魔女「さ、ご本を読んであげましょうねぇ」
女騎士「駄目だ、身体が……!? なんて恐ろしい魔法なんだ……。だが私は決して負けない! 魔女の思い通りになど、騎士の誇りにかけても絶対に――」
魔女「むかーしむかし、あるところに……」
女騎士「……スヤァ」
魔女「あらあら」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 19:14:24.07 ID:+UMJIFc20
~都の東「蜘蛛の森」魔女の屋敷~
・
・
・
女騎士「熟睡してしまった……」
魔女「おめざのお茶はいかが?」
女騎士「ああ、いただこう……」
魔女「はい、……よく眠れたかしら?」
女騎士「そうだな、五日ぶりくらいに」グビー
魔女「もう……、駄目よう、ちゃんと寝ないと」
女騎士「それができれば、怪しげな魔女になど頼ったりするものか」
魔女「大変ねぇ」
女騎士「……た、他人には話すなよ。国と国の神に仕えるべき騎士が、異端の……」
魔女「おかわりいる?」
女騎士「いただこう。……異端の魔女のもとに出入りしているとなれば」グビー
魔女「一族郎党八つ裂き火あぶり?」
女騎士「あ、いや、そこまでじゃないかな……」
魔女「おかわりいる?」
女騎士「いただこう」
・
・
・
女騎士「熟睡してしまった……」
魔女「おめざのお茶はいかが?」
女騎士「ああ、いただこう……」
魔女「はい、……よく眠れたかしら?」
女騎士「そうだな、五日ぶりくらいに」グビー
魔女「もう……、駄目よう、ちゃんと寝ないと」
女騎士「それができれば、怪しげな魔女になど頼ったりするものか」
魔女「大変ねぇ」
女騎士「……た、他人には話すなよ。国と国の神に仕えるべき騎士が、異端の……」
魔女「おかわりいる?」
女騎士「いただこう。……異端の魔女のもとに出入りしているとなれば」グビー
魔女「一族郎党八つ裂き火あぶり?」
女騎士「あ、いや、そこまでじゃないかな……」
魔女「おかわりいる?」
女騎士「いただこう」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 19:15:14.47 ID:+UMJIFc20
魔女「別にしないけどねぇ、人に話したりなんて」
女騎士「ならいいんだが……」
魔女「というか、私はただ、ベッドを貸してるだけだし」
女騎士「嘘だ! 絶対嘘だ!」
魔女「えぇ……」
女騎士「いつも不思議な魔法で眠らせるくせに! 私は! 私はそういうのはやだって言ってるのに、いっつも!」
魔女「だから、魔法なんて使ってないって言ってるじゃない……」
女騎士「嘘だぁ……、あんな簡単に眠らされるの……絶対普通じゃないもん……、絶対おかしいもん……」
魔女「もん、って」
女騎士「魔法だもん……」
魔女「……おかわりいる?」
女騎士「いただこう」
魔女「……魔法だと嫌なの?」
女騎士「それは、嫌だろう。なんか怖いし……」
魔女「じゃあ、もう来ない?」
女騎士「それは……」
魔女「……」
女騎士「ならいいんだが……」
魔女「というか、私はただ、ベッドを貸してるだけだし」
女騎士「嘘だ! 絶対嘘だ!」
魔女「えぇ……」
女騎士「いつも不思議な魔法で眠らせるくせに! 私は! 私はそういうのはやだって言ってるのに、いっつも!」
魔女「だから、魔法なんて使ってないって言ってるじゃない……」
女騎士「嘘だぁ……、あんな簡単に眠らされるの……絶対普通じゃないもん……、絶対おかしいもん……」
魔女「もん、って」
女騎士「魔法だもん……」
魔女「……おかわりいる?」
女騎士「いただこう」
魔女「……魔法だと嫌なの?」
女騎士「それは、嫌だろう。なんか怖いし……」
魔女「じゃあ、もう来ない?」
女騎士「それは……」
魔女「……」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 19:15:59.27 ID:+UMJIFc20
女騎士「ま、また世話になる、かも……。眠れないようだったら……」
魔女「嫌なんじゃないの?」
女騎士「……魔法じゃないんだよな? 本当に」
魔女「魔法じゃないけど。魔女は魔法なんて使えないし」
女騎士「なら、まぁ……」
魔女「……」
女騎士「嫌ってわけじゃ、ない……かな……」
魔女「……おかわりいる?」
女騎士「いただ……すごい飲ませてくるなお前!」
魔女「作りすぎたのよう」
女騎士「たぷたぷなんだが!?」
・
・
・
魔女「嫌なんじゃないの?」
女騎士「……魔法じゃないんだよな? 本当に」
魔女「魔法じゃないけど。魔女は魔法なんて使えないし」
女騎士「なら、まぁ……」
魔女「……」
女騎士「嫌ってわけじゃ、ない……かな……」
魔女「……おかわりいる?」
女騎士「いただ……すごい飲ませてくるなお前!」
魔女「作りすぎたのよう」
女騎士「たぷたぷなんだが!?」
・
・
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6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 19:17:13.84 ID:+UMJIFc20
~翌日・都の中心部、騎士団詰所~
・
・
・
副団長「それでは、騎士団長の女騎士殿より、訓示をたまわる!」
女騎士「……コホン、みn――」
副団長「諸君は清聴するよう!」
女騎士「………………」
副団長「では団長殿」
女騎士「あ、うん」
女騎士「えー……、みなも知っての通り、先の大戦から5年。我らが王都はかつてない平和を享受している」
女騎士「民は増え、街は大いに賑わっている」
女騎士「それに伴い、国の矛であり盾である騎士の役目も、変わりつつある……」
女騎士「近年では、いくつもの騎士団が解散、残る騎士団も縮小を余儀なくされているが……」
女騎士「戦場ばかりが騎士の舞台ではない!」
女騎士「今の平和な世こそ、人々が心安く暮らせるよう尽力する!」
女騎士「これこそが騎士の矜持であり、我らが『銀顎のオオクワガタ』騎士団の誇りである!」
女騎士「おのおの、そのことを深く、心に留めておくように!!」
「「「「ハイ!!」」」」
・
・
・
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 19:18:11.22 ID:+UMJIFc20
~訓練所~
騎士A「団長さぁ……」
騎士B「ん?」
騎士A「今日は元気そうだったな」
騎士B「な。最近何だかキツそうだったけど」
騎士A「クマとか作ってなー」
騎士B「悪い話ばっかりだもんな、ここんとこ」
騎士A「背負いこむもんねぇ」
騎士B「背負い込むもんなぁ」
騎士A「……でも、たまーにあるよな、良さそうな日」
騎士B「たまにあるな」
騎士A「何だろうねぇ」
騎士B「何だろうなぁ」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 19:19:12.67 ID:+UMJIFc20
騎士A「良さそうな日の団長さぁ……」
騎士B「ん?」
騎士A「良いよねぇ」
騎士B「……良いよなぁ」
騎士A「パァっとさぁ、花みたいでさぁ、あの顔で『がんばったな!』なんて言われた日にはさぁ! 俺はさぁ!!」
騎士B「落ち着いて。分かるけど落ち着いて。すごい分かるけど」
騎士A「毎日良さそうだといいんだけどねぇ」
騎士B「そうだなぁ」
女騎士「なーんだぁーお前たちぃー」
騎士A「あっ」
騎士B「ひっ」
騎士B「ん?」
騎士A「良いよねぇ」
騎士B「……良いよなぁ」
騎士A「パァっとさぁ、花みたいでさぁ、あの顔で『がんばったな!』なんて言われた日にはさぁ! 俺はさぁ!!」
騎士B「落ち着いて。分かるけど落ち着いて。すごい分かるけど」
騎士A「毎日良さそうだといいんだけどねぇ」
騎士B「そうだなぁ」
女騎士「なーんだぁーお前たちぃー」
騎士A「あっ」
騎士B「ひっ」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 19:19:53.97 ID:+UMJIFc20
女騎士「私の考えた訓練メニューじゃ、しゃべりながらでも余裕ってわけだなぁー!?」
騎士A「い、いや、そそそういうわけではぁ……」
女騎士「いいだろう! 特別に! 私が! みっちりと! 稽古をつけてやるからな!」
騎士B「あ、ぁ……」
女騎士「優秀な我らが騎士二人相手だー! これは私も手加減できんなぁー! はーはっはっは!!」
騎士A(いい笑顔だ……)
騎士B(いい笑顔だ……)
・
・
・
騎士A「い、いや、そそそういうわけではぁ……」
女騎士「いいだろう! 特別に! 私が! みっちりと! 稽古をつけてやるからな!」
騎士B「あ、ぁ……」
女騎士「優秀な我らが騎士二人相手だー! これは私も手加減できんなぁー! はーはっはっは!!」
騎士A(いい笑顔だ……)
騎士B(いい笑顔だ……)
・
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10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 19:20:29.78 ID:+UMJIFc20
~夜・女騎士宅~
女騎士「……ふぅ」
女騎士「今日の分の作業は、これで終わりかな」
女騎士「明日の準備も済んだ……」
女騎士(今日は特にいい汗流したし)
女騎士(よく眠れそうだな……!)
女騎士「さて……、父様、母様、おやすみなさい」
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士「…………」
女騎士「………………」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 19:20:56.36 ID:+UMJIFc20
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(明日は他所の騎士団との公開演習……)
女騎士(……)
女騎士(そういえば……)
女騎士(万が一の時の、救護の手順は大丈夫だったろうか……)
女騎士「……」
女騎士(……念のため、最寄りの医療施設を調べ――……)
女騎士(いや、明日の朝、事前に連絡を入れて……)
女騎士「……」モンモン
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 19:21:54.41 ID:+UMJIFc20
女騎士(……演習中の補給は、ちゃんと準備していただろうか?)
女騎士(公開イベントだ、市民にも、もし何かあったら……)
女騎士「……」モンモンモン
女騎士(支度のこと、スケジュールのこと、予算のこと)
女騎士(騎士団のこれから、団員の状態は、モチベーションは――……)
女騎士「……」モンモンモンモン
女騎士「……」
女騎士「…………」
女騎士「………………」ガバッ
女騎士「……明日の準備も、再点検しておこう……」
・
・
・
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 19:22:20.39 ID:+UMJIFc20
・
・
・
女騎士「……」カリカリカリカリ
女騎士「……」ペラ
女騎士「……」カリカリ
女騎士(……駄目だ)
女騎士(全然眠気が来ない……)
女騎士「……」
女騎士(まあ、いいか)
女騎士(どうせやることは、山のようにあるんだ)
女騎士(そうだ、眠くなるまで去年の出納帳の整理も――……)
女騎士「…………」カリカリ
女騎士「………………」カリカリカリカリ
女騎士「……………………」
・
・
・
・
・
女騎士「……」カリカリカリカリ
女騎士「……」ペラ
女騎士「……」カリカリ
女騎士(……駄目だ)
女騎士(全然眠気が来ない……)
女騎士「……」
女騎士(まあ、いいか)
女騎士(どうせやることは、山のようにあるんだ)
女騎士(そうだ、眠くなるまで去年の出納帳の整理も――……)
女騎士「…………」カリカリ
女騎士「………………」カリカリカリカリ
女騎士「……………………」
・
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・
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 19:22:49.28 ID:+UMJIFc20
・
・
・
チュン
チュンチュン
女騎士「……!」ハッ
女騎士「……あれ」
女騎士(なんか、もう……)
女騎士(微妙に明るい……)
女騎士「……」
女騎士「……」ハァ
女騎士(少しだけでも……)
女騎士(眠らないと、いや、休まないとな……)
女騎士「……」
女騎士「おやすみなさい……」
チュンチュン
チュン
・
・
チュン
チュンチュン
女騎士「……!」ハッ
女騎士「……あれ」
女騎士(なんか、もう……)
女騎士(微妙に明るい……)
女騎士「……」
女騎士「……」ハァ
女騎士(少しだけでも……)
女騎士(眠らないと、いや、休まないとな……)
女騎士「……」
女騎士「おやすみなさい……」
チュンチュン
チュン
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 16:08:27.82 ID:RtCOUatc0
・
・
・
~数日後~
~都の東「蜘蛛の森」魔女の屋敷~
・
・
・
魔女「……」
少女「……」
魔女「……」
少女「……」ジーーー
魔女「……ええと」
少女「……」
魔女「……」
魔女(……とんがり帽子、とんがり帽子)
魔女(……)ゴソゴソ
魔女(あった)
魔女「……」カブリカブリ
少女「……!」
魔女「……はい」
少女「魔女だ……!」
魔女「魔女よう」
・
・
~数日後~
~都の東「蜘蛛の森」魔女の屋敷~
・
・
・
魔女「……」
少女「……」
魔女「……」
少女「……」ジーーー
魔女「……ええと」
少女「……」
魔女「……」
魔女(……とんがり帽子、とんがり帽子)
魔女(……)ゴソゴソ
魔女(あった)
魔女「……」カブリカブリ
少女「……!」
魔女「……はい」
少女「魔女だ……!」
魔女「魔女よう」
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 16:09:03.53 ID:RtCOUatc0
少女「えっとね、おばあちゃんのね、あのね、腰の……、えっと、飲むやつ? 粉の?」
魔女「……ああ、あのお婆さんの。ちょっと待っててね……」
少女「……」
魔女「ええと……」ゴソゴソ
少女「……ほうきは?」
魔女「今は使わないわねぇ」ゴソゴソ
少女「………………」ガッカリ
魔女「……あった。はい、これね」
少女「ありがとー!」
魔女「どういたしまして」
少女「ばいばーい」
魔女「一人で帰れるかしら?」
少女「帰れるー!」トタタタ
魔女「気を付けてねぇ」ヒラヒラ
魔女「……ああ、あのお婆さんの。ちょっと待っててね……」
少女「……」
魔女「ええと……」ゴソゴソ
少女「……ほうきは?」
魔女「今は使わないわねぇ」ゴソゴソ
少女「………………」ガッカリ
魔女「……あった。はい、これね」
少女「ありがとー!」
魔女「どういたしまして」
少女「ばいばーい」
魔女「一人で帰れるかしら?」
少女「帰れるー!」トタタタ
魔女「気を付けてねぇ」ヒラヒラ
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 16:10:34.38 ID:RtCOUatc0
魔女「……ふぅ」
魔女「……」
魔女「……あ」
魔女(……そういえば……)
魔女「……1、2、3、4、5……」
魔女(……あれから、五日)
魔女「……」
魔女「そろそろ来るかしらねぇ……」
魔女「……」
魔女「シーツ、新しいの出そうかしら」
魔女「……」
魔女「……ふふっ」
・
・
・
魔女「……」
魔女「……あ」
魔女(……そういえば……)
魔女「……1、2、3、4、5……」
魔女(……あれから、五日)
魔女「……」
魔女「そろそろ来るかしらねぇ……」
魔女「……」
魔女「シーツ、新しいの出そうかしら」
魔女「……」
魔女「……ふふっ」
・
・
・
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 16:11:07.32 ID:RtCOUatc0
~都の中心部、騎士団詰所~
・
・
・
副団長「それでは、騎士団長の女騎士殿より、訓示をたまわる!」
女騎士「…………」
副団長「諸君は清聴するよう!」
女騎士「…………」
副団長「……団長殿」
女騎士「……」ハッ
女騎士「コホン……、うん、うむ、えーと」
女騎士「みなの日ごろの尽力に、とても満足しー、また感謝しておりぃー、そしてー――……」
女騎士「――くれぐれも健康に注意しー――……」
女騎士「特に朝晩冷えやすい時間帯などはー――……」
女騎士「――」クドクド
女騎士「――――」クドクド
騎士A(クドクドしてる……)
騎士B(クドクドしてるけど内容はフワフワしてる……)
騎士A「良くなさそうだな」
騎士B「な」
・
・
・
・
・
・
副団長「それでは、騎士団長の女騎士殿より、訓示をたまわる!」
女騎士「…………」
副団長「諸君は清聴するよう!」
女騎士「…………」
副団長「……団長殿」
女騎士「……」ハッ
女騎士「コホン……、うん、うむ、えーと」
女騎士「みなの日ごろの尽力に、とても満足しー、また感謝しておりぃー、そしてー――……」
女騎士「――くれぐれも健康に注意しー――……」
女騎士「特に朝晩冷えやすい時間帯などはー――……」
女騎士「――」クドクド
女騎士「――――」クドクド
騎士A(クドクドしてる……)
騎士B(クドクドしてるけど内容はフワフワしてる……)
騎士A「良くなさそうだな」
騎士B「な」
・
・
・
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 16:11:53.95 ID:RtCOUatc0
・
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・
女騎士「……うぅぅ」
女騎士(結局あの日から、ろくに眠れていない……)
女騎士(こんなに眠たいのに、ベッドに入ると眼が冴えるのだものな……)
女騎士(不思議だ……)
女騎士「不思議だなぁぁ……」
副団長「何がです」
女騎士「……や、何でもない。気にしないでくれ」
副団長「はぁ」
女騎士「……」
副団長「……」
・
・
女騎士「……うぅぅ」
女騎士(結局あの日から、ろくに眠れていない……)
女騎士(こんなに眠たいのに、ベッドに入ると眼が冴えるのだものな……)
女騎士(不思議だ……)
女騎士「不思議だなぁぁ……」
副団長「何がです」
女騎士「……や、何でもない。気にしないでくれ」
副団長「はぁ」
女騎士「……」
副団長「……」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 16:12:32.89 ID:RtCOUatc0
副団長「……今日はもう、帰られた方がよろしいかと」
女騎士「む……、だがまだ、残務があって――」
副団長「私の方で、あらかた片付けましたから」
女騎士「あ。……そうだ、訓練場の整理も……」
副団長「若手がすべて済ませています」
女騎士「……夜警の」
副団長「班割りは来月分まで、全部終わらせてしまっています。貴方が」
女騎士「えーと、再来月分を……」
副団長「団長殿」
女騎士「うん」
副団長「お疲れさまでした」ペコリ
女騎士「…………はい」
女騎士「む……、だがまだ、残務があって――」
副団長「私の方で、あらかた片付けましたから」
女騎士「あ。……そうだ、訓練場の整理も……」
副団長「若手がすべて済ませています」
女騎士「……夜警の」
副団長「班割りは来月分まで、全部終わらせてしまっています。貴方が」
女騎士「えーと、再来月分を……」
副団長「団長殿」
女騎士「うん」
副団長「お疲れさまでした」ペコリ
女騎士「…………はい」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 16:13:47.82 ID:RtCOUatc0
女騎士「……ふぅ」
女騎士(ふがいない……。体よく追い払われてしまった……)
女騎士(だが、確かにこのままでは……、団員にも迷惑をかけてしまう)
女騎士(どうにか休息を取らなければ……)
女騎士(騎士団のためにも……!)
女騎士「……」
女騎士「……」ハァ
女騎士「……やむを得ない」
女騎士「また世話になるか……」
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 16:14:33.57 ID:RtCOUatc0
・
・
・
~王都のはずれの路地裏~
女騎士「……」コソコソ
女騎士「……」コソッ
都民A「なあ、聞いたことあるだろ、お前も」
都民B「あぁ、『東の蜘蛛の森の魔女』だろ?」
女騎士「……!」ビクッ
都民A「残酷で恐ろしい怪物らしい……」
都民B「化け物じみた姿らしい……」
女騎士「……」
女騎士「…………」
女騎士(……美人だったぞ、普通に)
都民A「身の丈3メートルで腕が8本」
都民B「正体は蜘蛛の化身で人間を食べる」
女騎士(食べ……えぇ)
都民A「あと火を吐く」
都民B「火か……」
女騎士(火かぁー…………)
・
・
~王都のはずれの路地裏~
女騎士「……」コソコソ
女騎士「……」コソッ
都民A「なあ、聞いたことあるだろ、お前も」
都民B「あぁ、『東の蜘蛛の森の魔女』だろ?」
女騎士「……!」ビクッ
都民A「残酷で恐ろしい怪物らしい……」
都民B「化け物じみた姿らしい……」
女騎士「……」
女騎士「…………」
女騎士(……美人だったぞ、普通に)
都民A「身の丈3メートルで腕が8本」
都民B「正体は蜘蛛の化身で人間を食べる」
女騎士(食べ……えぇ)
都民A「あと火を吐く」
都民B「火か……」
女騎士(火かぁー…………)
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 16:15:02.88 ID:RtCOUatc0
――都の東は蜘蛛の森――
――獣も恐れる深い森――
――そこには魔女が住んでいる――
――怖い魔女が住んでいて――
――森に迷った子を捕まえて――
――醜い蜘蛛に変えてしまう――
――蜘蛛の森には近づくな――
――小さい子供は気をつけろ――
女騎士「……」
女騎士「……」コソコソ
・
・
・
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 16:15:51.85 ID:RtCOUatc0
・
・
・
カラン カラン
魔女「……あら、いらっしゃい」
女騎士「邪魔をす――……おぉ」
魔女「?」
女騎士「魔女だ……」
魔女「魔女よう」
女騎士「いや、というか、なんだ、見た目が」
魔女「?」
女騎士「あの、帽子……とんがり帽子」
魔女「あ……」
女騎士「ああ、いや、似合ってる――け――」
魔女「……」ハズシハズシ
女騎士「ど――……」
魔女「……あらあら」シマイシマイ
女騎士「……」
・
・
カラン カラン
魔女「……あら、いらっしゃい」
女騎士「邪魔をす――……おぉ」
魔女「?」
女騎士「魔女だ……」
魔女「魔女よう」
女騎士「いや、というか、なんだ、見た目が」
魔女「?」
女騎士「あの、帽子……とんがり帽子」
魔女「あ……」
女騎士「ああ、いや、似合ってる――け――」
魔女「……」ハズシハズシ
女騎士「ど――……」
魔女「……あらあら」シマイシマイ
女騎士「……」
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 16:16:26.16 ID:RtCOUatc0
魔女「あらあらあら」
女騎士「……」
魔女「見なかったことにしてちょうだいねぇ」アセアセ
女騎士「……」
女騎士(照れてる……)
女騎士(普通に可愛く照れてる)
魔女「ね?」
女騎士「あ、あぁ……」
女騎士(なんか……)
女騎士(普通だよなぁ……)
女騎士「火は吐かないよなぁ……」
魔女「え? 何の話?」
女騎士「……」
魔女「見なかったことにしてちょうだいねぇ」アセアセ
女騎士「……」
女騎士(照れてる……)
女騎士(普通に可愛く照れてる)
魔女「ね?」
女騎士「あ、あぁ……」
女騎士(なんか……)
女騎士(普通だよなぁ……)
女騎士「火は吐かないよなぁ……」
魔女「え? 何の話?」
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 21:58:59.44 ID:pkrjxQxe0
女騎士(……なんとなく、雰囲気で年上だと思っていたが)
女騎士(照れてはにかむと、まだ少女のようにも見えるし……)
女騎士(不思議だ……)
女騎士「……」フワフワ
魔女「……?」
女騎士(もしかしたら……)
女騎士(私のほうが、おねえさんなのかなぁ……)
女騎士「でも3メートルだしなぁぁ……」フワフワ
魔女「……あの、騎士さん? 大丈夫かしら? すごいフワフワしてるけど」
女騎士「……ん? あ、あぁ? 何?」ハッ
魔女「大丈夫? って言ったの。もう……、ふらふらになるまで起きてることないじゃない」
女騎士「望んでそうしてるわけじゃないし……」
魔女「クマもこんな……、うわ……え? わぁ、え……?」マジマジ
女騎士「近い近い近い近い」
女騎士(照れてはにかむと、まだ少女のようにも見えるし……)
女騎士(不思議だ……)
女騎士「……」フワフワ
魔女「……?」
女騎士(もしかしたら……)
女騎士(私のほうが、おねえさんなのかなぁ……)
女騎士「でも3メートルだしなぁぁ……」フワフワ
魔女「……あの、騎士さん? 大丈夫かしら? すごいフワフワしてるけど」
女騎士「……ん? あ、あぁ? 何?」ハッ
魔女「大丈夫? って言ったの。もう……、ふらふらになるまで起きてることないじゃない」
女騎士「望んでそうしてるわけじゃないし……」
魔女「クマもこんな……、うわ……え? わぁ、え……?」マジマジ
女騎士「近い近い近い近い」
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 21:59:33.61 ID:pkrjxQxe0
~寝室~
・
・
・
魔女「おふろ、ちゃんと温まったかしら?」
女騎士「あぁ……」ショボショボ
魔女「あら……もうおねむ?」
女騎士「おかしい……やっぱり絶対おかしい……っ」
魔女「ふふ、まだ言ってる」
女騎士「こんなに強い眠気……、尋常ではない! いつだ!? いったいいつの間に魔法をかけた……っ!?」
魔女「魔法じゃないって言ってるのにぃ」
女騎士「だったらなぜ!? なぜこんなに眠くなるというのだ!」
魔女「寝てないからじゃないかしら」
女騎士「なーるほどなぁー!!」ウトウト
魔女「おしゃべりしてないで、ほら……横になりなさい?」
女騎士「うん……」ウトウト
・
・
・
魔女「おふろ、ちゃんと温まったかしら?」
女騎士「あぁ……」ショボショボ
魔女「あら……もうおねむ?」
女騎士「おかしい……やっぱり絶対おかしい……っ」
魔女「ふふ、まだ言ってる」
女騎士「こんなに強い眠気……、尋常ではない! いつだ!? いったいいつの間に魔法をかけた……っ!?」
魔女「魔法じゃないって言ってるのにぃ」
女騎士「だったらなぜ!? なぜこんなに眠くなるというのだ!」
魔女「寝てないからじゃないかしら」
女騎士「なーるほどなぁー!!」ウトウト
魔女「おしゃべりしてないで、ほら……横になりなさい?」
女騎士「うん……」ウトウト
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 22:00:07.91 ID:pkrjxQxe0
魔女(前より素直ね……)
魔女「……」
魔女(それだけ眠いのかしら)
女騎士「……うぅん」モゾモゾ
魔女「ほうら、お手々かたづけて」
女騎士「シーツすべすべできもちいい……」
魔女「おろし立てですからね。ほら、目を閉じて」
女騎士「……すっかり就寝の体勢になって、完全に術中に嵌っているように見えるだろう? だが、甘いな! なぜこうして無駄口をたたき続けているか? そう、こうして口を閉じずにしゃべり続けていれば、意識を保て決して眠りに落ちることはないっ!」
魔女「ご本を読んであげましょうねぇ」
女騎士「ふふふ、私とて騎士の端くれ、いつもそうやすやすと手玉に取られると思ったら大間違いだ! さあ、今日こそ見極めてやるぞ! いったい私に何をしているのか、どうやって眠りに誘っていr――……」
魔女「むかーしむかし、あるところに、悪い魔女と良くない魔女が……」
女騎士「スヤァ」
魔女「あらあら」
・
・
・
魔女「……」
魔女(それだけ眠いのかしら)
女騎士「……うぅん」モゾモゾ
魔女「ほうら、お手々かたづけて」
女騎士「シーツすべすべできもちいい……」
魔女「おろし立てですからね。ほら、目を閉じて」
女騎士「……すっかり就寝の体勢になって、完全に術中に嵌っているように見えるだろう? だが、甘いな! なぜこうして無駄口をたたき続けているか? そう、こうして口を閉じずにしゃべり続けていれば、意識を保て決して眠りに落ちることはないっ!」
魔女「ご本を読んであげましょうねぇ」
女騎士「ふふふ、私とて騎士の端くれ、いつもそうやすやすと手玉に取られると思ったら大間違いだ! さあ、今日こそ見極めてやるぞ! いったい私に何をしているのか、どうやって眠りに誘っていr――……」
魔女「むかーしむかし、あるところに、悪い魔女と良くない魔女が……」
女騎士「スヤァ」
魔女「あらあら」
・
・
・
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 22:00:48.25 ID:pkrjxQxe0
・
・
・
女騎士「むぅぅ……」
魔女「お茶、苦すぎたかしら」
女騎士「ちょうどいい! おいしい!」グビー
魔女「あらそう……、まだ寝足りない?」
女騎士「いいや、じゅーうぶん眠れた! 快眠だった!」
魔女「ならどうして、そんな難しい顔してるのよ」
女騎士「よく眠れてしまうからだ!」
魔女「えぇ……」
女騎士「どうして普段はちっとも寝付けないのに、お前のベッドだとぐっすりなのか……!」
魔女「知らないけど……」
女騎士「やっぱり魔法……」
魔女「違うったら」
女騎士「……そうじゃなければ、他に何か理由があるはずだ」
魔女「まあねぇ」
・
・
女騎士「むぅぅ……」
魔女「お茶、苦すぎたかしら」
女騎士「ちょうどいい! おいしい!」グビー
魔女「あらそう……、まだ寝足りない?」
女騎士「いいや、じゅーうぶん眠れた! 快眠だった!」
魔女「ならどうして、そんな難しい顔してるのよ」
女騎士「よく眠れてしまうからだ!」
魔女「えぇ……」
女騎士「どうして普段はちっとも寝付けないのに、お前のベッドだとぐっすりなのか……!」
魔女「知らないけど……」
女騎士「やっぱり魔法……」
魔女「違うったら」
女騎士「……そうじゃなければ、他に何か理由があるはずだ」
魔女「まあねぇ」
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 22:02:07.35 ID:pkrjxQxe0
女騎士「それを突き止めなければ、私はこの先もずっと睡眠不足のまま……っ」
魔女「考えすぎよぉ」
女騎士「だからこそ、ギリギリまで意識を保って、眠気の正体を探ろうとしたのだが……」
魔女「すぐ寝たじゃない」
女騎士「すぐ寝ちゃったんだよなぁ」
魔女「いいじゃない、よく眠れたんだったら」
女騎士「いいや、何か安眠の決定的な方法があるはずなんだ……、それを手に入れないと……」
魔女「……」
女騎士「私の騎士団は……、今が正念場なんだ。団長の私がフラフラで、だらしない状態では……」
魔女「……」
女騎士「みなに迷惑をかけてしまう……」
魔女「……」
女騎士「団のためにも、みんなのためにも……」
魔女「……頭」
女騎士「……え?」
魔女「考えすぎよぉ」
女騎士「だからこそ、ギリギリまで意識を保って、眠気の正体を探ろうとしたのだが……」
魔女「すぐ寝たじゃない」
女騎士「すぐ寝ちゃったんだよなぁ」
魔女「いいじゃない、よく眠れたんだったら」
女騎士「いいや、何か安眠の決定的な方法があるはずなんだ……、それを手に入れないと……」
魔女「……」
女騎士「私の騎士団は……、今が正念場なんだ。団長の私がフラフラで、だらしない状態では……」
魔女「……」
女騎士「みなに迷惑をかけてしまう……」
魔女「……」
女騎士「団のためにも、みんなのためにも……」
魔女「……頭」
女騎士「……え?」
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 22:02:38.88 ID:pkrjxQxe0
魔女「寝癖、ついてるわ」
女騎士「えっ、うそ……? どこ? こっち? ここ?」
魔女「じっとしてて」カタン
女騎士「あっ」
魔女「……~♪」
シュッ シュ
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(花の香り……)
女騎士(何かの精油だろうか……?)
女騎士(甘いような、辛いような……)
女騎士(不思議な香り……)
魔女「~♪」
女騎士(……魔女の指先と、硬い櫛の感触が)
女騎士(交互に頭を撫でて……)
女騎士(何だろう……)
女騎士(気持ちが……)
女騎士「えっ、うそ……? どこ? こっち? ここ?」
魔女「じっとしてて」カタン
女騎士「あっ」
魔女「……~♪」
シュッ シュ
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(花の香り……)
女騎士(何かの精油だろうか……?)
女騎士(甘いような、辛いような……)
女騎士(不思議な香り……)
魔女「~♪」
女騎士(……魔女の指先と、硬い櫛の感触が)
女騎士(交互に頭を撫でて……)
女騎士(何だろう……)
女騎士(気持ちが……)
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 22:03:41.64 ID:pkrjxQxe0
魔女「……はい、直ったわ」
女騎士「……ハッ」
魔女「はい、鏡」
女騎士「あ、あぁ……、ありがとう……」
魔女「……♪」ナデナデ
女騎士「……?」
魔女「……ねえ、騎士さん」
女騎士「ん?」
魔女「人はねぇ、夢の世界に入るのに、あんまり沢山の現実の荷物は、持ち込めないのよ」
女騎士「……へ?」
魔女「人は誰でも、夜になれば神秘の大海を渡って、幻想に満ちた夢の世界を訪れる……」
女騎士「……あの」
魔女「けれどその海を渡る小舟は、本当に、とても小さくて……、人ひとりを運ぶのがやっとなの」
女騎士「……あ、あの、ちょっと、魔女さん?」
魔女「何?」
女騎士「……ハッ」
魔女「はい、鏡」
女騎士「あ、あぁ……、ありがとう……」
魔女「……♪」ナデナデ
女騎士「……?」
魔女「……ねえ、騎士さん」
女騎士「ん?」
魔女「人はねぇ、夢の世界に入るのに、あんまり沢山の現実の荷物は、持ち込めないのよ」
女騎士「……へ?」
魔女「人は誰でも、夜になれば神秘の大海を渡って、幻想に満ちた夢の世界を訪れる……」
女騎士「……あの」
魔女「けれどその海を渡る小舟は、本当に、とても小さくて……、人ひとりを運ぶのがやっとなの」
女騎士「……あ、あの、ちょっと、魔女さん?」
魔女「何?」
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 22:04:12.09 ID:pkrjxQxe0
女騎士「……メルヘンの話?」
魔女「魔術の話よ」
女騎士「まじゅ……」
魔女「人間は、みんな少なからず、不思議な力を持っていて」
女騎士「……」
魔女「知らず知らず、その力を使っていて」
女騎士「……」
魔女「たとえば、夜毎に、見たこともない異世界を訪れることができる」
女騎士「……」
魔女「眠りとは、その力を使うための、瞑想に深く入った状態のことよ」
女騎士「嘘ぉ……」
魔女「うふふ、ひとまず信じておきなさないな」
女騎士「……」
魔女「何事も、信じることが大切よ」
女騎士「……うん」
魔女「魔術の話よ」
女騎士「まじゅ……」
魔女「人間は、みんな少なからず、不思議な力を持っていて」
女騎士「……」
魔女「知らず知らず、その力を使っていて」
女騎士「……」
魔女「たとえば、夜毎に、見たこともない異世界を訪れることができる」
女騎士「……」
魔女「眠りとは、その力を使うための、瞑想に深く入った状態のことよ」
女騎士「嘘ぉ……」
魔女「うふふ、ひとまず信じておきなさないな」
女騎士「……」
魔女「何事も、信じることが大切よ」
女騎士「……うん」
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 22:04:52.70 ID:pkrjxQxe0
魔女「けれど、あまり現実を背負い込んでいると、その力が衰えてしまう」
女騎士「……」
魔女「だからね、騎士さん……。ベッドの中にまで、沢山の現実を持ち込んじゃ、いけないの」
女騎士「だがな……、考えまいとしても、頭が勝手に……」
魔女「何か浮かんだら、すぐに手放す。小舟に知らず上がってきた魚を、海に放してあげるみたいに」
女騎士「……」
魔女「まあ、訓練よ」
女騎士「訓練かぁ……」
魔女「……難しそう?」
女騎士「心配は残る」
魔女「心配性なのねぇ……」
女騎士「生まれつきな」
女騎士「……」
魔女「だからね、騎士さん……。ベッドの中にまで、沢山の現実を持ち込んじゃ、いけないの」
女騎士「だがな……、考えまいとしても、頭が勝手に……」
魔女「何か浮かんだら、すぐに手放す。小舟に知らず上がってきた魚を、海に放してあげるみたいに」
女騎士「……」
魔女「まあ、訓練よ」
女騎士「訓練かぁ……」
魔女「……難しそう?」
女騎士「心配は残る」
魔女「心配性なのねぇ……」
女騎士「生まれつきな」
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 22:05:19.44 ID:pkrjxQxe0
魔女「うーん……、……あっ」
女騎士「うん?」
魔女「じゃあ、ね、騎士さん。貴方にこれ、貸してあげるわ」
女騎士「これ?」
魔女「はいっ」
『3人の魔女と塔の姫』
女騎士「……童話?」
魔女「童話!」
女騎士「……」
女騎士(やっぱりメルヘンだ……)
女騎士「いや、魔女、私はこういうのはあまり――……」
魔女「うふふ、馬鹿にしたらいけないわよ。こういうお話って、意外と夢中になるんだから!」
女騎士「……」
女騎士(……こういうの好きなんだ……)
女騎士「……」
女騎士「うん?」
魔女「じゃあ、ね、騎士さん。貴方にこれ、貸してあげるわ」
女騎士「これ?」
魔女「はいっ」
『3人の魔女と塔の姫』
女騎士「……童話?」
魔女「童話!」
女騎士「……」
女騎士(やっぱりメルヘンだ……)
女騎士「いや、魔女、私はこういうのはあまり――……」
魔女「うふふ、馬鹿にしたらいけないわよ。こういうお話って、意外と夢中になるんだから!」
女騎士「……」
女騎士(……こういうの好きなんだ……)
女騎士「……」
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 22:05:58.59 ID:pkrjxQxe0
魔女「騎士さんの寝物語にも使ってるけど……、いつもさわりのところで寝ちゃうからねぇ」
女騎士「むぐ」
魔女「せっかくだから、どんなお話か、寝る前に読んでごらんなさいな」
女騎士「ううむ……まぁ、せっかくだしな……」
魔女「そうそう」
女騎士「……やっぱり、お前は不思議だなぁ……」
魔女「そう?」
女騎士「なんかさっきの話は、ちょっと、魔女っぽかった」
魔女「魔女よう……」
女騎士「むぐ」
魔女「せっかくだから、どんなお話か、寝る前に読んでごらんなさいな」
女騎士「ううむ……まぁ、せっかくだしな……」
魔女「そうそう」
女騎士「……やっぱり、お前は不思議だなぁ……」
魔女「そう?」
女騎士「なんかさっきの話は、ちょっと、魔女っぽかった」
魔女「魔女よう……」
48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 20:52:37.27 ID:DwdTGXAK0
・
・
・
~翌日~
~王都・訓練所~
・
・
・
女騎士「……――であるからして、合同訓練いただく老騎士殿と――……」
老騎士「……」
女騎士「彼の『水晶羽のトンボ』騎士団は、国王褒章にも輝いた誉れ高い騎士の集まりであり――……」
騎士A「……今日は元気そう」
騎士B「そうな」
女騎士「……――ということだ! 諸君らは胸を借りるつもりで、訓練に臨むよう! いいな!」
「「「「ハイ!!」」」」
・
・
~翌日~
~王都・訓練所~
・
・
・
女騎士「……――であるからして、合同訓練いただく老騎士殿と――……」
老騎士「……」
女騎士「彼の『水晶羽のトンボ』騎士団は、国王褒章にも輝いた誉れ高い騎士の集まりであり――……」
騎士A「……今日は元気そう」
騎士B「そうな」
女騎士「……――ということだ! 諸君らは胸を借りるつもりで、訓練に臨むよう! いいな!」
「「「「ハイ!!」」」」
49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 20:53:24.04 ID:DwdTGXAK0
・
・
・
老騎士「ふぅむ……まぁ……」
女騎士「……」
老騎士「眠れなくなるほど、深く思い悩む。うむ、儂にもそんな頃があったのである」
女騎士「老騎士殿も、ですか」
老騎士「……特に若い時分などは、儂も悩み多き青年だったのであるな……」
女騎士「ははぁ……」
老騎士「嗚呼、恋の炎に身をやつした、今は遠き、わが青春の光――……」
女騎士「……」
老騎士「……冗談であるぞ」
女騎士「……」
老騎士「がっはっはっは」
女騎士「は、ははは、はは……」
・
・
老騎士「ふぅむ……まぁ……」
女騎士「……」
老騎士「眠れなくなるほど、深く思い悩む。うむ、儂にもそんな頃があったのである」
女騎士「老騎士殿も、ですか」
老騎士「……特に若い時分などは、儂も悩み多き青年だったのであるな……」
女騎士「ははぁ……」
老騎士「嗚呼、恋の炎に身をやつした、今は遠き、わが青春の光――……」
女騎士「……」
老騎士「……冗談であるぞ」
女騎士「……」
老騎士「がっはっはっは」
女騎士「は、ははは、はは……」
50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 20:54:12.99 ID:DwdTGXAK0
女騎士「……それで、老騎士殿はどのようにして、眠りを妨げるものを振り払ったのでしょうか」
老騎士「はは、時が解決するに身を任せたまで」
女騎士「時、ですか……」
老騎士「いつの間にか、色々なものと、折り合いがつく」
女騎士「……」
老騎士「そういう時期が、人には必ず来るのである」
女騎士「……そういう、ものでしょうか」
老騎士「善かれ悪しかれな。望んだ形ではなくとも」
女騎士「……」
老騎士「はは、時が解決するに身を任せたまで」
女騎士「時、ですか……」
老騎士「いつの間にか、色々なものと、折り合いがつく」
女騎士「……」
老騎士「そういう時期が、人には必ず来るのである」
女騎士「……そういう、ものでしょうか」
老騎士「善かれ悪しかれな。望んだ形ではなくとも」
女騎士「……」
51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 20:55:02.33 ID:DwdTGXAK0
老騎士「……しかしまぁ、儂くらいの歳になれば、深く眠りすぎるのは、かえって不安になるものである」
女騎士「え? それはまた、どうして……」
老騎士「目が覚めた時、『あれ、儂さっきちょっと死んでた?』ってなって怖いのである」
女騎士「……」
老騎士「……冗談であるぞ」
女騎士「……」
老騎士「がっはっはっはっは!!!!」
女騎士「は、……あはは、ははは」
女騎士「え? それはまた、どうして……」
老騎士「目が覚めた時、『あれ、儂さっきちょっと死んでた?』ってなって怖いのである」
女騎士「……」
老騎士「……冗談であるぞ」
女騎士「……」
老騎士「がっはっはっはっは!!!!」
女騎士「は、……あはは、ははは」
52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 20:55:36.84 ID:DwdTGXAK0
老騎士「しかし、今日はそれほど、やつれて見えないのである」
女騎士「ええ、昨日はまj――……!?」
老騎士「まじ……?」
女騎士「……ま、じ……マジでがんばって寝ましたので!」
老騎士「おお、若者言葉であるな」
女騎士「あは、ははは……」
老騎士「がはははは……。……、コホン……時に、女騎士殿」
女騎士「……? なんでしょう?」
老騎士「今のうちに、貴公の耳にも入れておこうと思うのだが……」
女騎士「……」
老騎士「……――……」ボソボソ
女騎士「ええ、昨日はまj――……!?」
老騎士「まじ……?」
女騎士「……ま、じ……マジでがんばって寝ましたので!」
老騎士「おお、若者言葉であるな」
女騎士「あは、ははは……」
老騎士「がはははは……。……、コホン……時に、女騎士殿」
女騎士「……? なんでしょう?」
老騎士「今のうちに、貴公の耳にも入れておこうと思うのだが……」
女騎士「……」
老騎士「……――……」ボソボソ
54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 20:56:41.62 ID:DwdTGXAK0
・
・
・
女騎士「な……っ、『金冠のオオカブト』騎士団が、解団……!?」
老騎士「……確かな情報である」
女騎士「そんな……、王都最大の騎士団が……」
老騎士「最近では、団内の派閥争いが、激しくなっていたそうである」
女騎士「それにしても、こんな突然とは……」
老騎士「……何か、大きな動きがあるのかも知れないのである」
女騎士「大きな?」
老騎士「……儂等も他人事ではいられないかもしれない、王都全体を覆うような、一つの流れがな……」
女騎士「……」
・
・
女騎士「な……っ、『金冠のオオカブト』騎士団が、解団……!?」
老騎士「……確かな情報である」
女騎士「そんな……、王都最大の騎士団が……」
老騎士「最近では、団内の派閥争いが、激しくなっていたそうである」
女騎士「それにしても、こんな突然とは……」
老騎士「……何か、大きな動きがあるのかも知れないのである」
女騎士「大きな?」
老騎士「……儂等も他人事ではいられないかもしれない、王都全体を覆うような、一つの流れがな……」
女騎士「……」
55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 20:57:45.75 ID:DwdTGXAK0
老騎士「はっはっは、暗い顔をなさるな! 何とかなるである! 騎士はいつでも元気でなければ!」
女騎士「そ……、そうですな! まったくその通り!」
老騎士「がっはっは!!」
女騎士「はっは……、そうだ、『オオカブト』のところで扱っていた公務は……」
老騎士「……次回の定例会で、各騎士団に割り振られるはずである……」
女騎士「……」
老騎士「……」
女騎士(……きっつ)
老騎士「きっつい……」
女騎士「声に出して言わないでください……」
女騎士「そ……、そうですな! まったくその通り!」
老騎士「がっはっは!!」
女騎士「はっは……、そうだ、『オオカブト』のところで扱っていた公務は……」
老騎士「……次回の定例会で、各騎士団に割り振られるはずである……」
女騎士「……」
老騎士「……」
女騎士(……きっつ)
老騎士「きっつい……」
女騎士「声に出して言わないでください……」
56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 20:58:35.65 ID:DwdTGXAK0
・
・
・
~夜・女騎士宅~
・
・
・
女騎士「ふぅ……」
女騎士「……もう、こんな時間か」
女騎士「父様、母様、おやすみなさい」
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(……まさか『オオカブト』のところが……)
女騎士(老騎士殿は、他人事ではないと言っていたが……)
女騎士(……確かに最近、騎士団を取り巻く環境は……)
女騎士(これまで以上に、厳しい……)
女騎士「……」
女騎士「……」
・
・
~夜・女騎士宅~
・
・
・
女騎士「ふぅ……」
女騎士「……もう、こんな時間か」
女騎士「父様、母様、おやすみなさい」
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(……まさか『オオカブト』のところが……)
女騎士(老騎士殿は、他人事ではないと言っていたが……)
女騎士(……確かに最近、騎士団を取り巻く環境は……)
女騎士(これまで以上に、厳しい……)
女騎士「……」
女騎士「……」
57: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 20:59:11.16 ID:DwdTGXAK0
女騎士(……公務は増え、予算は減り……)
女騎士(……問題は増え、人員は減り……)
女騎士「……」モンモン
女騎士「……」
女騎士「……うぅ」モンモン
~~~~
魔女『ベッドの中にまで、沢山の現実を持ち込んじゃ、いけないの』
~~~~
女騎士「……」ハッ
女騎士(……問題は増え、人員は減り……)
女騎士「……」モンモン
女騎士「……」
女騎士「……うぅ」モンモン
~~~~
魔女『ベッドの中にまで、沢山の現実を持ち込んじゃ、いけないの』
~~~~
女騎士「……」ハッ
58: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 20:59:53.67 ID:DwdTGXAK0
~~~~
魔女『何か浮かんだら、すぐに手放す』
魔女『小舟に知らず上がってきた魚を、海に放すみたいに』
魔女『まあ、訓練よ』
~~~~
女騎士「……むぅ」
女騎士(……)
女騎士(……かんがえなーい、かんがえなーい……)
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(……もし魔女が、すぐそこにいたら……)
女騎士(どんなふうに言うだろうか……)
~~~~
魔女『もう……ちゃんとお行儀よく寝ないと駄目よ』
魔女『はい、ちゃんとお布団かけてねぇ』
魔女『いい子にできたら、ご本を読んであげましょうね』
~~~~
59: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 21:00:30.79 ID:DwdTGXAK0
女騎士「……」
女騎士(なんか……)
女騎士(人のこと赤ちゃん扱いしてなかったか、あいつ……)
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(今度会ったら……)
女騎士(文句言ってやろう……)
女騎士(……ふふふ)
女騎士「……」ウトウト
女騎士「……そうだ」ウト
女騎士「……絵本」
ペラ
女騎士(……ええと)
女騎士(むかしむかし、あるところに……)
女騎士(悪い魔女と良くない魔女がいましt……)
女騎士「……スヤァ」
・
・
・
女騎士(なんか……)
女騎士(人のこと赤ちゃん扱いしてなかったか、あいつ……)
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(今度会ったら……)
女騎士(文句言ってやろう……)
女騎士(……ふふふ)
女騎士「……」ウトウト
女騎士「……そうだ」ウト
女騎士「……絵本」
ペラ
女騎士(……ええと)
女騎士(むかしむかし、あるところに……)
女騎士(悪い魔女と良くない魔女がいましt……)
女騎士「……スヤァ」
・
・
・
60: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 21:01:28.94 ID:DwdTGXAK0
~朝~
・
・
・
チュン
チュンチュン
女騎士「……」
女騎士「……」ハッ
女騎士「……っ!?」ガバッ
チュン
チュン
女騎士「……朝」
女騎士「……」
女騎士「ね……」
女騎士「眠れた……」
女騎士「……」
女騎士「眠れたぞー!!」
カイミンダー!!
ヤッター!!!!
チュン!!
チュンチュンチュン!!
バサバサバサ…
65: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/16(水) 21:16:25.40 ID:LgyhbV/T0
~数日後~
~都の中心部、騎士団詰所~
・
・
・
女騎士「……~♪」フンフーン
副団長「……」
女騎士「おーい、装備品の確認は済んだか―!? 今日の備品当番誰だー!」
騎士A「ああっ、すみませんっ! 俺です!」
女騎士「ほら、もうすぐ警ら業務の時間だぞーっ! 急げ―!」
騎士A「はいッス!」
女騎士「がんばれー! 走れー!」
騎士A「はいっ!」タタタ
女騎士「ははは、元気で結構だ!」
副団長「……」
~都の中心部、騎士団詰所~
・
・
・
女騎士「……~♪」フンフーン
副団長「……」
女騎士「おーい、装備品の確認は済んだか―!? 今日の備品当番誰だー!」
騎士A「ああっ、すみませんっ! 俺です!」
女騎士「ほら、もうすぐ警ら業務の時間だぞーっ! 急げ―!」
騎士A「はいッス!」
女騎士「がんばれー! 走れー!」
騎士A「はいっ!」タタタ
女騎士「ははは、元気で結構だ!」
副団長「……」
66: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/16(水) 21:17:03.28 ID:LgyhbV/T0
女騎士「う~ん……今日は私も、久しぶりに見回り行っちゃおうかな!」
副団長「……」
副団長(……団長殿)
副団長(ここのところ、元気そうなのは良いのだけど……)
女騎士「いいかな!? いいよな!!」
副団長「はぁ……」
女騎士「よし、決まりだー! はっはっはっは!!」ガシッ
副団長「えっ、いや、ちょ……」
女騎士「出発だーっ」ノッシノッシ
副団長「痛い痛いはやい、速い速いです団長殿」
副団長(元気がダダ漏れてる……)
・
・
・
副団長「……」
副団長(……団長殿)
副団長(ここのところ、元気そうなのは良いのだけど……)
女騎士「いいかな!? いいよな!!」
副団長「はぁ……」
女騎士「よし、決まりだー! はっはっはっは!!」ガシッ
副団長「えっ、いや、ちょ……」
女騎士「出発だーっ」ノッシノッシ
副団長「痛い痛いはやい、速い速いです団長殿」
副団長(元気がダダ漏れてる……)
・
・
・
67: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/16(水) 21:18:22.42 ID:LgyhbV/T0
~王都・市街~
・
・
・
女騎士「う~む……」
副団長「……」
女騎士「……」
副団長「……」
女騎士「何も変わりないな!」
副団長「王都の治安状況は、非常に良好な状態を保っています……」
女騎士「重畳だ!」
副団長「……」
女騎士「……」
副団長「……」
女騎士「……やることがないな!」
副団長「身も蓋もない……」
68: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/16(水) 21:19:20.40 ID:LgyhbV/T0
副団長「われわれの出番がないということは、それだけ平和ということです」
女騎士「そ、それはもちろん!」
副団長「それに、われわれ騎士が、日ごろから市中に目を光らせている。それだけで犯罪行為の抑止効果が望めます」
女騎士「わ、分かってるぞ。私とて当然――……」
ナンダコラー!!
ンダテメー!!
女騎士「むっ……!」
副団長「怒鳴り声が……」
女騎士「もめ事か!? ……こっちだなっ! 行くぞー!」
副団長「はぁ」
女騎士「急げ副団長ぉー!」
副団長「……やれやれ」
・
・
・
女騎士「そ、それはもちろん!」
副団長「それに、われわれ騎士が、日ごろから市中に目を光らせている。それだけで犯罪行為の抑止効果が望めます」
女騎士「わ、分かってるぞ。私とて当然――……」
ナンダコラー!!
ンダテメー!!
女騎士「むっ……!」
副団長「怒鳴り声が……」
女騎士「もめ事か!? ……こっちだなっ! 行くぞー!」
副団長「はぁ」
女騎士「急げ副団長ぉー!」
副団長「……やれやれ」
・
・
・
69: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/16(水) 21:19:52.25 ID:LgyhbV/T0
・
・
・
都民C「この野郎、人の足踏んづけといて、何だその態度は!」
都民D「手前がそんなすぐ側に突っ立ってやがったのが、悪いんじゃねぇか!」
都民C「行列なんだから仕方ねぇじゃねえだろ!」
都民D「隙間開けて並べや! ちょっと考えろ手前ぇ!」
都民C「なんだとぉ!?」
都民D「やんのかぁっ!!」
ザワザワ
女騎士「あ~、こらこら君たち。よさないか、こんな天下の往来で」
副団長「……」
都民C「あ? ……――っっ!?」
都民D「誰だぁ、アンタ! 関係ねぇやつは黙って…………」
都民C「おお、お、おい、お前……悪いことは言わないから、やめとけって……」ヒソヒソ
都民D「あぁ?」
・
・
都民C「この野郎、人の足踏んづけといて、何だその態度は!」
都民D「手前がそんなすぐ側に突っ立ってやがったのが、悪いんじゃねぇか!」
都民C「行列なんだから仕方ねぇじゃねえだろ!」
都民D「隙間開けて並べや! ちょっと考えろ手前ぇ!」
都民C「なんだとぉ!?」
都民D「やんのかぁっ!!」
ザワザワ
女騎士「あ~、こらこら君たち。よさないか、こんな天下の往来で」
副団長「……」
都民C「あ? ……――っっ!?」
都民D「誰だぁ、アンタ! 関係ねぇやつは黙って…………」
都民C「おお、お、おい、お前……悪いことは言わないから、やめとけって……」ヒソヒソ
都民D「あぁ?」
70: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/16(水) 21:20:44.38 ID:LgyhbV/T0
都民C「こ、この人、女騎士様だ。『銀顎』騎士団の、団長の……」ヒソヒソ
都民D「げ――……!?!?」
女騎士「……」ニコニコ
都民D「……これはどうも~」
都民C「大変失礼しました~……」
女騎士「うむ! 行列に待たされて苛立つのは分かるが、喧嘩はいかんぞ!」
都民C「は、はい……」
都民D「すみませんです、ほんと……」
女騎士「はっはっは!」ニコニコ
都民C(笑ってる……)
都民D(笑ってるけど怖ぇ……)
都民D「げ――……!?!?」
女騎士「……」ニコニコ
都民D「……これはどうも~」
都民C「大変失礼しました~……」
女騎士「うむ! 行列に待たされて苛立つのは分かるが、喧嘩はいかんぞ!」
都民C「は、はい……」
都民D「すみませんです、ほんと……」
女騎士「はっはっは!」ニコニコ
都民C(笑ってる……)
都民D(笑ってるけど怖ぇ……)
71: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/16(水) 21:21:19.72 ID:LgyhbV/T0
都民C「……大戦中は、単騎で一個大隊を撃破したらしい……」ヒソヒソ
都民D「……敵国が、国家予算の1割をその首の懸賞金にあてたらしい……」ヒソヒソ
都民C「睨んだだけで熊と虎を倒したらしい……」ヒソヒソ
都民D「本気で剣を振ると海が割れるらしい……」ヒソヒソ
副団長「……」
副団長(尾ひれで空飛べそうなくらい、ウワサが一人歩きしてる……)
女騎士「それにしても、すごい行列だな……」
副団長「……ご存知、ありませんか?」
女騎士「うむ?」
副団長「あそこにある、有名な菓子屋の列ですよ。近頃、王都で大評判の」
女騎士「ほぉ……、知らなかったな」
副団長「王都の者なら誰でも知っているほどです。多分団長以外は」
女騎士「ならばこれで、王都で知らぬ者はいなくなったわけだな! 素晴らしいなぁ!」
副団長「……」
都民D「……敵国が、国家予算の1割をその首の懸賞金にあてたらしい……」ヒソヒソ
都民C「睨んだだけで熊と虎を倒したらしい……」ヒソヒソ
都民D「本気で剣を振ると海が割れるらしい……」ヒソヒソ
副団長「……」
副団長(尾ひれで空飛べそうなくらい、ウワサが一人歩きしてる……)
女騎士「それにしても、すごい行列だな……」
副団長「……ご存知、ありませんか?」
女騎士「うむ?」
副団長「あそこにある、有名な菓子屋の列ですよ。近頃、王都で大評判の」
女騎士「ほぉ……、知らなかったな」
副団長「王都の者なら誰でも知っているほどです。多分団長以外は」
女騎士「ならばこれで、王都で知らぬ者はいなくなったわけだな! 素晴らしいなぁ!」
副団長「……」
72: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/16(水) 21:22:37.38 ID:LgyhbV/T0
店員「あのぅ……」
女騎士「なんだ?」
店員「先ほどは、大変ありがとうございました」ペコリ
女騎士「はは、いやいや、大したことはしていない」
店員「いえ、本当に……。お礼に、こちらを」スッ
女騎士「ん?」
店員「うちのお店の、黄桃のケーキです。店長が、騎士様たちにお持ちしろと……」
女騎士「ははは、気づかいは無用だぞ! 騎士として、当たり前のことをしただけ――……」
店員「でも、いつもお世話になってますから!」
副団長「よろしいのでは? 市民からの支えあっての騎士団ですよ」
女騎士「ふむ……」
店員「あっ、副団長様も」スッ
副団長「恐縮です」
女騎士「なんだ?」
店員「先ほどは、大変ありがとうございました」ペコリ
女騎士「はは、いやいや、大したことはしていない」
店員「いえ、本当に……。お礼に、こちらを」スッ
女騎士「ん?」
店員「うちのお店の、黄桃のケーキです。店長が、騎士様たちにお持ちしろと……」
女騎士「ははは、気づかいは無用だぞ! 騎士として、当たり前のことをしただけ――……」
店員「でも、いつもお世話になってますから!」
副団長「よろしいのでは? 市民からの支えあっての騎士団ですよ」
女騎士「ふむ……」
店員「あっ、副団長様も」スッ
副団長「恐縮です」
73: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/16(水) 21:23:06.55 ID:LgyhbV/T0
副団長「……そういえば、嫌いなんでしたっけ? 甘いの」
女騎士「や、嫌いじゃないけど。普段食べないだけで」
副団長「断るくらいなら、私の方でもらっちゃいますけど」
女騎士「んー……」
女騎士「……」
女騎士「…………」
女騎士「………………」
女騎士「いや、やっぱり頂こう」
店員「はいっ! これからも、王都をよろしくお願いしますねっ」
女騎士「もちろんだっ! はっはっはっは」
・
・
・
女騎士「や、嫌いじゃないけど。普段食べないだけで」
副団長「断るくらいなら、私の方でもらっちゃいますけど」
女騎士「んー……」
女騎士「……」
女騎士「…………」
女騎士「………………」
女騎士「いや、やっぱり頂こう」
店員「はいっ! これからも、王都をよろしくお願いしますねっ」
女騎士「もちろんだっ! はっはっはっは」
・
・
・
74: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/16(水) 21:23:37.97 ID:LgyhbV/T0
~都の東「蜘蛛の森」魔女の屋敷~
・
・
・
魔女「……」
魔女「……」
魔女「……」ポケー
魔女(……畑の棚も作った……)
魔女(……物置の床も張り直したし……)
魔女(……居間の掃除……は、今日2回したっけ)
魔女「……」
魔女「……」
魔女「……暇だわぁ」ポケー
75: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/16(水) 21:24:23.31 ID:LgyhbV/T0
魔女「……」
魔女(……騎士さん)
魔女「……1、2、3、4――……」
魔女「……」
魔女(……やぁね)
魔女(彼女が眠れなくて、辛い方が嬉しいの、私は?)
魔女(違うでしょうに)
魔女「……」
魔女「絵本も渡したし……、しばらくはこない、かも――……」
魔女「その方がいいのよねぇ……」
魔女「……」
魔女「……」
魔女「……!」ピクッ
魔女(……騎士さん)
魔女「……1、2、3、4――……」
魔女「……」
魔女(……やぁね)
魔女(彼女が眠れなくて、辛い方が嬉しいの、私は?)
魔女(違うでしょうに)
魔女「……」
魔女「絵本も渡したし……、しばらくはこない、かも――……」
魔女「その方がいいのよねぇ……」
魔女「……」
魔女「……」
魔女「……!」ピクッ
76: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/16(水) 21:25:07.43 ID:LgyhbV/T0
・
・
・
~「蜘蛛の森」~
・
・
・
女騎士「……~♪」フンフーン
女騎士(ちょうど二人分だものな)
女騎士(菓子屋も気が利いているというか……)
女騎士(ふふふ、魔女のやつ、びっくりするかな?)
女騎士「……あ、いや」
女騎士「魔女の喜ぶ顔が見たい、とかではなく……」
女騎士「……お礼、そう、お礼だものな。感謝は大事だからな!」
女騎士「……」
女騎士(……何で言い訳してるんだ、私は……?)
女騎士「……」
女騎士「……ん」
・
・
~「蜘蛛の森」~
・
・
・
女騎士「……~♪」フンフーン
女騎士(ちょうど二人分だものな)
女騎士(菓子屋も気が利いているというか……)
女騎士(ふふふ、魔女のやつ、びっくりするかな?)
女騎士「……あ、いや」
女騎士「魔女の喜ぶ顔が見たい、とかではなく……」
女騎士「……お礼、そう、お礼だものな。感謝は大事だからな!」
女騎士「……」
女騎士(……何で言い訳してるんだ、私は……?)
女騎士「……」
女騎士「……ん」
77: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/16(水) 21:25:40.82 ID:LgyhbV/T0
女騎士「……」
女騎士(……右に折れた道を、そのまま進めば、魔女の屋敷……)
女騎士「……」
女騎士(けれど、左手に……)
女騎士(……よく見ると、道……? のような……)
女騎士「……」
女騎士「…………?」
女騎士(……気になる)
女騎士「……気になるな!」
女騎士「ちょっとだけ、行ってみようかな!」
ガサガサ
ガサ
・
・
・
女騎士(……右に折れた道を、そのまま進めば、魔女の屋敷……)
女騎士「……」
女騎士(けれど、左手に……)
女騎士(……よく見ると、道……? のような……)
女騎士「……」
女騎士「…………?」
女騎士(……気になる)
女騎士「……気になるな!」
女騎士「ちょっとだけ、行ってみようかな!」
ガサガサ
ガサ
・
・
・
78: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/16(水) 21:26:16.04 ID:LgyhbV/T0
・
・
・
ガサガサ
女騎士(……そういえば)
女騎士(前の戦争のときも、こんな森で戦ったことがあったな)
女騎士「……」ガサガサ
女騎士(……敵の影に怯えながら……)
女騎士(ふと、振り返れば)
女騎士(歩いてきた足取りも、見当たらないほど深い森……)
女騎士「……」クルッ
女騎士(……歩いてきた……足取りも)
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(見当、たら、ない――……)
女騎士「……」
女騎士「……アレ?」
・
・
ガサガサ
女騎士(……そういえば)
女騎士(前の戦争のときも、こんな森で戦ったことがあったな)
女騎士「……」ガサガサ
女騎士(……敵の影に怯えながら……)
女騎士(ふと、振り返れば)
女騎士(歩いてきた足取りも、見当たらないほど深い森……)
女騎士「……」クルッ
女騎士(……歩いてきた……足取りも)
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(見当、たら、ない――……)
女騎士「……」
女騎士「……アレ?」
79: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/16(水) 21:27:25.93 ID:LgyhbV/T0
・
・
・
ガサガサ
女騎士「……むぅ」
女騎士「いかんな、こっちだったか……?」
女騎士「……」ガサガサ
女騎士「違うか」
女騎士「……」ガサゴソ
女騎士「えーと? 確かこっち……」
ガシッ
女騎士「だ……っ、れ……」
魔女「ハァッ……、はぁ――はぁ……っ」
女騎士「ま、魔女……?」
魔女「まに……、まひ、はひ……ハァ」ハァハァ
女騎士「お、落ち着け。深呼吸、深呼吸」
魔女「ハヒー……ハヒー……」
・
・
ガサガサ
女騎士「……むぅ」
女騎士「いかんな、こっちだったか……?」
女騎士「……」ガサガサ
女騎士「違うか」
女騎士「……」ガサゴソ
女騎士「えーと? 確かこっち……」
ガシッ
女騎士「だ……っ、れ……」
魔女「ハァッ……、はぁ――はぁ……っ」
女騎士「ま、魔女……?」
魔女「まに……、まひ、はひ……ハァ」ハァハァ
女騎士「お、落ち着け。深呼吸、深呼吸」
魔女「ハヒー……ハヒー……」
80: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/16(水) 21:28:15.62 ID:LgyhbV/T0
魔女「ふぅ、はぁ、はぁぁ……、よか……ったぁぁ」
女騎士「魔女……」
魔女「騎士さぁん……もう、馬鹿ぁ」
女騎士「え、なに? 何かしたか私?」
魔女「うぅぅ……っ」ウルウル
女騎士「あぁっ! すまん! 悪かったから! だから泣かないで!」
魔女「こっちはぁ……、蜘蛛の森の、一番奥深く……、人の子を拒む禁断の地……」ウルウル
女騎士「な、なんだ? ま、魔女の聖地な……?」
魔女「毒蜘蛛のね、繁殖地なの」
女騎士「ヒッ」
魔女「楽に死ぬやつ」
女騎士「ヒィッ」
女騎士「魔女……」
魔女「騎士さぁん……もう、馬鹿ぁ」
女騎士「え、なに? 何かしたか私?」
魔女「うぅぅ……っ」ウルウル
女騎士「あぁっ! すまん! 悪かったから! だから泣かないで!」
魔女「こっちはぁ……、蜘蛛の森の、一番奥深く……、人の子を拒む禁断の地……」ウルウル
女騎士「な、なんだ? ま、魔女の聖地な……?」
魔女「毒蜘蛛のね、繁殖地なの」
女騎士「ヒッ」
魔女「楽に死ぬやつ」
女騎士「ヒィッ」
85: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/17(木) 22:00:16.70 ID:FgMnawTA0
・
・
・
女騎士「……」
魔女「……」
女騎士「……」テクテク
魔女「……」テクテク
ギュッ
女騎士「……」
魔女「……」
女騎士「あのう、魔女さん……?」
魔女「……何かしらぁ?」テクテク
女騎士「あの、いや、手……」
魔女「手?」
ギュッ
女騎士「つ、繋いでないと、駄目?」
魔女「駄目よ。はぐれたらどうするの」
女騎士「……むぅ、またそうやって、子ども扱いを……」
魔女「あら」
86: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/17(木) 22:01:07.43 ID:FgMnawTA0
魔女「知らない道にどんどん入っていって、迷子になったのは、どこの誰かしら?」
女騎士「うぐっ……」
魔女「来た道が分からなくなったのに、ためらいもなく更に進んでいったのは、どこの誰だったかしらぁ?」
女騎士「うぅぅ……っ、わ、私です……」
魔女「小さな子どもだって、迷ったと思ったら、いったんその場に立ち止まるんじゃないかしら? 違う?」
女騎士「おっしゃる通りですぅ……」
魔女「……分かったら、ほら、もっとちゃんと手を掴んでなさい!」
女騎士「はぁい……」ギュ
魔女「まったく……」
女騎士(怒ってる……)
魔女「まったくもう……」
女騎士(怒ってらっしゃる……)
魔女「……」プンプン
女騎士「うぐっ……」
魔女「来た道が分からなくなったのに、ためらいもなく更に進んでいったのは、どこの誰だったかしらぁ?」
女騎士「うぅぅ……っ、わ、私です……」
魔女「小さな子どもだって、迷ったと思ったら、いったんその場に立ち止まるんじゃないかしら? 違う?」
女騎士「おっしゃる通りですぅ……」
魔女「……分かったら、ほら、もっとちゃんと手を掴んでなさい!」
女騎士「はぁい……」ギュ
魔女「まったく……」
女騎士(怒ってる……)
魔女「まったくもう……」
女騎士(怒ってらっしゃる……)
魔女「……」プンプン
87: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/17(木) 22:01:36.53 ID:FgMnawTA0
~魔女の屋敷~
・
・
・
魔女「おい――……」
女騎士「……」
魔女「……――っしぃぃ~!」パァァ
女騎士「美味しいか」
魔女「美味しいわ! すごく美味しいわ!」ハムハム
女騎士「……」
女騎士(喜んでる……)
魔女「んん~~~♪」
女騎士(喜んでらっしゃる……)
魔女「ありがとうね、騎士さん!」
女騎士「どういたしまして」
女騎士(怒ったり、笑ったり……)
88: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/17(木) 22:02:16.85 ID:FgMnawTA0
女騎士(……結構、感情が表に出やすいというか……)
女騎士(……初めて会った時は)
女騎士(物静かで、落ち着いていて――……)
女騎士(まさしく『魔女』の雰囲気、なんて思ったけど……)
女騎士「……」ジー
魔女「はぁ、おいひい……」ウットリ
女騎士(……魔女とは……?)
女騎士「……」ジー
魔女「……? 私の顔に、何かついてる?」
女騎士「あ、すまん、別に何も…………いや! ついてる! クリームすっごいついてる!」
魔女「えっ、やだぁ……」ヌグイヌグイ
女騎士「はは……」
女騎士(……初めて会った時は)
女騎士(物静かで、落ち着いていて――……)
女騎士(まさしく『魔女』の雰囲気、なんて思ったけど……)
女騎士「……」ジー
魔女「はぁ、おいひい……」ウットリ
女騎士(……魔女とは……?)
女騎士「……」ジー
魔女「……? 私の顔に、何かついてる?」
女騎士「あ、すまん、別に何も…………いや! ついてる! クリームすっごいついてる!」
魔女「えっ、やだぁ……」ヌグイヌグイ
女騎士「はは……」
89: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/17(木) 22:03:17.56 ID:FgMnawTA0
女騎士(こういうところ見ると……)
女騎士(全然、魔女っぽくないというか)
女騎士(……あ、でも)
女騎士「そういえば、魔女」
魔女「何かしらぁ?」
女騎士「お前、魔法なんて使えないって言ってたけど……、やっぱり使えるじゃないか、魔法」
魔女「?」
女騎士「魔法だろ? 私が森で迷ってるって分かったのも、私の居場所を探り当てたのも」
魔女「あぁ、あれは……うぅん……、魔法を使った、ってわけじゃないんだけどねぇ……」
女騎士「またまた」
魔女「本当よう。しいて言うなら、『森』の魔法かしらね」
女騎士「森の?」
女騎士(全然、魔女っぽくないというか)
女騎士(……あ、でも)
女騎士「そういえば、魔女」
魔女「何かしらぁ?」
女騎士「お前、魔法なんて使えないって言ってたけど……、やっぱり使えるじゃないか、魔法」
魔女「?」
女騎士「魔法だろ? 私が森で迷ってるって分かったのも、私の居場所を探り当てたのも」
魔女「あぁ、あれは……うぅん……、魔法を使った、ってわけじゃないんだけどねぇ……」
女騎士「またまた」
魔女「本当よう。しいて言うなら、『森』の魔法かしらね」
女騎士「森の?」
90: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/17(木) 22:03:45.70 ID:FgMnawTA0
魔女「そう、森が魔法を使って、騎士さんの居るところを教えてくれたの」
女騎士「…………」
魔女「『メルヘンだぁ』って顔してるわね……」
女騎士「だってぇ」
魔女「本当だってば。人に、みんな不思議な、神秘的な力があるように」
女騎士「……」
魔女「森にだって、隠された神秘がある」
女騎士「……」
魔女「特にここは。『蜘蛛の森』はね」ハムハム
女騎士「むぅ……」
魔女「私は、それを信じてるし、感じてる。だから分かる」
女騎士「……それが魔女?」
魔女「それが魔女よ」
女騎士「…………」
魔女「『メルヘンだぁ』って顔してるわね……」
女騎士「だってぇ」
魔女「本当だってば。人に、みんな不思議な、神秘的な力があるように」
女騎士「……」
魔女「森にだって、隠された神秘がある」
女騎士「……」
魔女「特にここは。『蜘蛛の森』はね」ハムハム
女騎士「むぅ……」
魔女「私は、それを信じてるし、感じてる。だから分かる」
女騎士「……それが魔女?」
魔女「それが魔女よ」
91: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/17(木) 22:04:11.14 ID:FgMnawTA0
女騎士「じゃあ、お前本人は……」
魔女「ん?」
女騎士「何か、そういう、魔女らしいことはできないのか?」
魔女「ん~……」
女騎士「……」
魔女「……おいしいお茄子が作れるわ……」
女騎士「うん、あの、そういうのじゃなくて」
魔女「ん~~~~……」
女騎士「そもそも茄子、魔女らしさか……?」
魔女「……占い、とかならできるけど」
女騎士「おぉ」
魔女「ん?」
女騎士「何か、そういう、魔女らしいことはできないのか?」
魔女「ん~……」
女騎士「……」
魔女「……おいしいお茄子が作れるわ……」
女騎士「うん、あの、そういうのじゃなくて」
魔女「ん~~~~……」
女騎士「そもそも茄子、魔女らしさか……?」
魔女「……占い、とかならできるけど」
女騎士「おぉ」
92: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/17(木) 22:05:31.24 ID:FgMnawTA0
・
・
・
魔女「……――そう。そうやって五角形にカードを並べて」
女騎士「……」
魔女「時計回りに、愛……知性……知識……」
女騎士「……」
魔女「法、力……、それぞれ対応する絵柄、これが今の貴方……」ペラリ
女騎士「……」ドキドキ
魔女「さぁ、ペンタグラムの中央に、引いたカードを置いて」
女騎士「……」スッ
魔女「このカードが……、貴方の未来を指し示――……」ペラリ
女騎士「……」ドキドキ
魔女「……」
女騎士「……?」
魔女「……」
女騎士「……な、なぁ……、結果は?」
魔女「……御守り」
女騎士「……え?」
魔女「……お、御守りも作れるのよ、私! とってもよく効くやつ!」
女騎士「あの、結果……」
魔女「せっかくだから、騎士さんにも作ってあげるわねぇ! うーんと効くのを! おっきいのを!」
女騎士「ねぇ、だからどうだったのって! ねぇって! ちょっとぉ!」
93: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/17(木) 22:06:08.06 ID:FgMnawTA0
・
・
・
女騎士「さて……」
魔女「あ、お風呂用意するわね」イソイソ
女騎士「あ……、あぁ、いやいや、いいんだ」
魔女「……?」
女騎士「大丈夫、今日は別に、寝かせてもらうつもりじゃなくて」
魔女「あら、そうなの?」
女騎士「あぁ……、最近すこぶる、調子が良くて。十分睡眠がとれていてな」
魔女「…………それは、良かったわ」
女騎士「うん、これも魔女のおかげだ」
魔女「そんな、私は別に何も……って」
女騎士「うん?」
魔女「じゃあ、今日はどうして森に?」
女騎士「それは……、いや、何だ。世話になった、お礼に……というか」
94: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/17(木) 22:07:01.82 ID:FgMnawTA0
魔女「お礼に、ケーキを?」
女騎士「あ、あぁ」
魔女「そう……」
女騎士「……」
魔女「……」
女騎士「……、そ、それと……」
魔女「それと?」
女騎士「……魔女に、会いに……」
魔女「……!」
女騎士「ふ、深い理由があってのことでは、ないんだがな! ただ、いつもすぐ寝てしまうから、たまには、と――……」
魔女「そうなのね、騎士さんは私に会いに来てくれたのねっ!」
女騎士「……め、迷惑だったろうか……」
魔女「とんでもない! とっても嬉しいわ! 美味しいケーキよりも、ずっと!」
女騎士「そ……そうか! ならば良かった!」
女騎士「あ、あぁ」
魔女「そう……」
女騎士「……」
魔女「……」
女騎士「……、そ、それと……」
魔女「それと?」
女騎士「……魔女に、会いに……」
魔女「……!」
女騎士「ふ、深い理由があってのことでは、ないんだがな! ただ、いつもすぐ寝てしまうから、たまには、と――……」
魔女「そうなのね、騎士さんは私に会いに来てくれたのねっ!」
女騎士「……め、迷惑だったろうか……」
魔女「とんでもない! とっても嬉しいわ! 美味しいケーキよりも、ずっと!」
女騎士「そ……そうか! ならば良かった!」
95: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/17(木) 22:09:08.82 ID:FgMnawTA0
魔女「うふふ……、こういう風に、誰かとお喋りするの、ずっとやってみたかったのよねぇ……」
女騎士「あ……」
女騎士(……この森に)
女騎士(足を踏み入れる者は、滅多にいなくて……)
魔女「……あっ、もちろんケーキも、すごい嬉しかったし、美味しかったわよ。ホント」
女騎士「……」
女騎士(魔女は……)
女騎士(この森の、この広い屋敷で、いつもひとりで……)
女騎士(もしも……彼女が王都にいたら……)
女騎士(きっと毎日、怒ったり、笑ったり、忙しくて……)
女騎士(けれど彼女は、この森でいつも……)
女騎士「……あ、あの」
魔女「?」
女騎士「ま……また来ても、いいだろうか」
魔女「……!」
女騎士「その……ベッドを借りるのではなく……、お前と……ええと」
魔女「もちろんよ、騎士さん」
女騎士「あ……」
魔女「楽しみに待ってるわ、また来てくれるのを」ニコ
女騎士「あぁ……、また来るよ。必ず」
女騎士「あ……」
女騎士(……この森に)
女騎士(足を踏み入れる者は、滅多にいなくて……)
魔女「……あっ、もちろんケーキも、すごい嬉しかったし、美味しかったわよ。ホント」
女騎士「……」
女騎士(魔女は……)
女騎士(この森の、この広い屋敷で、いつもひとりで……)
女騎士(もしも……彼女が王都にいたら……)
女騎士(きっと毎日、怒ったり、笑ったり、忙しくて……)
女騎士(けれど彼女は、この森でいつも……)
女騎士「……あ、あの」
魔女「?」
女騎士「ま……また来ても、いいだろうか」
魔女「……!」
女騎士「その……ベッドを借りるのではなく……、お前と……ええと」
魔女「もちろんよ、騎士さん」
女騎士「あ……」
魔女「楽しみに待ってるわ、また来てくれるのを」ニコ
女騎士「あぁ……、また来るよ。必ず」
99: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 21:41:17.05 ID:FqTckVnj0
~夜~
・
・
・
~~~~
女騎士『あぁ……、また来るよ。きっと、すぐ』
~~~~
魔女「ふふ……」
魔女「んふふ……♪」
魔女(楽しかったぁ……)
魔女(一緒にお菓子を食べて、いっぱいおしゃべりをして……)
魔女(ああいうの、久しぶりだったかも……)
魔女「……♪」
魔女(やっぱり独りぼっちよりも……)
魔女(誰かと一緒に過ごすのは、楽しいわ)
100: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 21:42:25.96 ID:FqTckVnj0
魔女「……」
魔女「……?」
魔女「……??」
魔女「あ……」
魔女(そうじゃない)
魔女(そうじゃないのね、私……)
魔女(騎士さん)
魔女(彼女が一緒だったから、きっと……)
魔女「あぁ、ふふ、ふふふ」
魔女「今度はいつ来てくれるかしら、騎士さん……」
ポフッ
魔女「ふァ……」
魔女「……おやすみなさい、騎士さん」
・
・
・
101: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 21:42:55.24 ID:FqTckVnj0
~数日後・王都 王府庁舎内~
・
・
・
役人「……」
女騎士「……」
役人「……」
女騎士「……ええと」
役人「ヒィ!」ビクー
女騎士「……ひいって」
役人「ごっ、ごめんなさい! ごめんなさい! 使えないヤツで本当ごめんなさい!」
女騎士「言ってない言ってない! まだ何も言ってないから!」
役人「ワタシ……クビでしょうか……」
女騎士「大丈夫だから! 大丈夫だからしっかりして!」
・
・
・
102: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 21:43:26.85 ID:FqTckVnj0
女騎士「まぁ、それじゃあ、やっぱり……」
役人「はい……、騎士団の予算の、追加計上の申請は、今回も却下されました……」
女騎士「……そうか」
役人「お役に立てず、申し訳ありませんです……」
女騎士「いや、君の責任ではないだろう。気を病まないでほしい」
役人「クビですよね……」
女騎士「大丈夫だから! というか、人の話を聞いてくれ!」
役人「……うぅ……、以前であれば、問題なく通ったはずの申請内容なのですが」
女騎士「うむぅ……、何か不備があったのだろうか……」
役人「……、あの……、ここだけの、話なのですが」
女騎士「うん?」
103: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 21:44:03.85 ID:FqTckVnj0
役人「王府の上層部は、現存の騎士団の解体を狙ってるみたいなんです……」
女騎士「えっ……」
役人「騎士団を潰して、自分たちが裁量を持つ王立軍に吸収しようと考えてるらしく……」
女騎士「うぇぇ……」
役人「中央の会議では、かなり露骨にそういった話題が出ているようです」
女騎士「それはぁー……、えぇー、そっかぁー、どうしよー……」
役人「ごめんなさい……ワタシがこんな無能でなければ、もっとお役に立てたはずなのに……」
女騎士「いやいや! 助かってるぞ! 君にはいつも世話になってるからな!」
役人「自主退職……」
女騎士「大丈夫だって! いやもう、聞いて! 本当に!」ガシッ
役人「ヒャっ」
104: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 21:44:52.17 ID:FqTckVnj0
女騎士「大丈夫だから。君には心から感謝してるよ」
役人「はっ……」ドキリ
女騎士「いつも君が、私たちのために尽力してくれているおかげで、私たちはやっていけてるんだ」
役人「は……あ……」ドキドキ
女騎士「だからこそ、もっと自分に自信を持ってほしい。なっ!」
役人「ハヒ……」
女騎士「うむ! 人間、前向きなのが何よりだぞ!」ポンポン
役人「ハァァ……」ポヤー
女騎士「はーっはっはっは」
女騎士(……とはいえ)
女騎士(中央からの支援があてにならないとなると……、台所事情はかなり苦しいな……)
女騎士(仕方あるまい……)
105: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 21:45:44.56 ID:FqTckVnj0
・
・
・
~王都・高級住宅街~
・
・
・
貴族「なるほど、それでパトロン探しを……」
女騎士「ええ、お恥ずかしい話ですが」
貴族「いや、それほどの苦境ならば、当然の行動でしょう。心中、お察しいたします」
女騎士「なにとぞ、お力添えを――……」
貴族「ぜひとも、……と言いたいところなのですが」
女騎士「……」
貴族「近頃は、私の会社に金を出す出資者どもも、色々と文句のつけ方を覚えてしまって」
女騎士「……」
貴族「回収の見込めない投資に金を出すことは、とても認められないでしょう……」
女騎士「そう、ですか……」
貴族「力になれず、申し訳ない……」
女騎士「いえ、お話を聞いてくださっただけでも、ありがたい」
・
・
~王都・高級住宅街~
・
・
・
貴族「なるほど、それでパトロン探しを……」
女騎士「ええ、お恥ずかしい話ですが」
貴族「いや、それほどの苦境ならば、当然の行動でしょう。心中、お察しいたします」
女騎士「なにとぞ、お力添えを――……」
貴族「ぜひとも、……と言いたいところなのですが」
女騎士「……」
貴族「近頃は、私の会社に金を出す出資者どもも、色々と文句のつけ方を覚えてしまって」
女騎士「……」
貴族「回収の見込めない投資に金を出すことは、とても認められないでしょう……」
女騎士「そう、ですか……」
貴族「力になれず、申し訳ない……」
女騎士「いえ、お話を聞いてくださっただけでも、ありがたい」
106: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 21:46:19.73 ID:FqTckVnj0
貴族「戦時中であれば、じゃぶじゃぶ出せたのですけどね! お金!」
女騎士「……当時はさすがに、やりすぎだったかと」
貴族「え? よくなかったですか? 純銀のクワガタ像とか、『オオクワガタ感謝の日』イベント」
女騎士「やりすぎだったかと!」
貴族「はぁ……、またやりたいなぁ……。湯水のように金を遣いてぇ……。有り金まるごとぶちこみてぇ……」
女騎士「お、お気を確かに……」
貴族「そうだ、女騎士さん」
女騎士「はい?」
貴族「私たちの、専属になりませんか?」
女騎士「へ?」
貴族「私設騎士団というやつですよ。会社の警備や要人の警護、そういった仕事を、専任して行う騎士組織です」
女騎士「……」
女騎士「……当時はさすがに、やりすぎだったかと」
貴族「え? よくなかったですか? 純銀のクワガタ像とか、『オオクワガタ感謝の日』イベント」
女騎士「やりすぎだったかと!」
貴族「はぁ……、またやりたいなぁ……。湯水のように金を遣いてぇ……。有り金まるごとぶちこみてぇ……」
女騎士「お、お気を確かに……」
貴族「そうだ、女騎士さん」
女騎士「はい?」
貴族「私たちの、専属になりませんか?」
女騎士「へ?」
貴族「私設騎士団というやつですよ。会社の警備や要人の警護、そういった仕事を、専任して行う騎士組織です」
女騎士「……」
107: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 21:48:39.11 ID:FqTckVnj0
女騎士(……そういえば、聞いたことがある)
女騎士(解散した騎士団の中には……)
女騎士(貴族や商社に、組織丸ごと引き受けられたところもあると……)
女騎士「……」
貴族「高名な『銀顎』騎士団が引き受けてくださるのであれば、投資家たちも首を横には振りますまい」
女騎士「……」
貴族「いかがです?」
女騎士「……勿体ないお話です。ですが……」
貴族「……」
女騎士「やはり我らは、国と国の神と……」
貴族「……」
女騎士「そして、すべての民に仕える騎士でありたい……」
貴族「……」
女騎士「この期に及んで、おこがましい話ですが……」
貴族「……いや、実に貴方らしいと思いますよ」
女騎士「……」
・
・
・
女騎士(解散した騎士団の中には……)
女騎士(貴族や商社に、組織丸ごと引き受けられたところもあると……)
女騎士「……」
貴族「高名な『銀顎』騎士団が引き受けてくださるのであれば、投資家たちも首を横には振りますまい」
女騎士「……」
貴族「いかがです?」
女騎士「……勿体ないお話です。ですが……」
貴族「……」
女騎士「やはり我らは、国と国の神と……」
貴族「……」
女騎士「そして、すべての民に仕える騎士でありたい……」
貴族「……」
女騎士「この期に及んで、おこがましい話ですが……」
貴族「……いや、実に貴方らしいと思いますよ」
女騎士「……」
・
・
・
108: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 21:49:35.08 ID:FqTckVnj0
~夜・女騎士宅~
・
・
・
女騎士「ん~~~~」カリカリカリ
女騎士(任務以外の時間は、できる限り協力者探しにあてんとな!)
女騎士(残った仕事は、それが終わってから!)
女騎士「……」カリカリ
女騎士「……」カリカリカリカリ
女騎士「……ふぅ」
女騎士「よし、今日はこれくらいだな!」
女騎士「ぐわ……、もうこんな時間に……」
女騎士「……ま、ちょっとは眠れるか」
ポフ
女騎士「父様、母様、おやすみなさい」
女騎士「……」
女騎士「……それから、魔女も」
女騎士「おやすみ……」
女騎士「……」
女騎士「………………むかしむかし、あるとこr」スヤァ
109: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 21:50:34.98 ID:FqTckVnj0
・
・
・
~数日後~
~都の東「蜘蛛の森」魔女の屋敷~
・
・
・
女騎士「ふァ……」
魔女「あら」
女騎士「ぁふ……。あ、すまん……」
魔女「いや、いいのだけど……、久しぶりに眠そうね」
女騎士「……ああ、ここ最近、ちょっとな」
魔女「また、眠れなくなっちゃった?」
女騎士「いやぁ、そういうわけじゃないんだ。ただ……」
魔女「ただ?」
女騎士「忙しくてな。眠る暇もないくらいだ」ファァ
魔女「無理したら駄目よ?」
女騎士「……いや、今が私たちの瀬戸際なんだ。多少無理してでも、できる限りのことはしないと」
・
・
~数日後~
~都の東「蜘蛛の森」魔女の屋敷~
・
・
・
女騎士「ふァ……」
魔女「あら」
女騎士「ぁふ……。あ、すまん……」
魔女「いや、いいのだけど……、久しぶりに眠そうね」
女騎士「……ああ、ここ最近、ちょっとな」
魔女「また、眠れなくなっちゃった?」
女騎士「いやぁ、そういうわけじゃないんだ。ただ……」
魔女「ただ?」
女騎士「忙しくてな。眠る暇もないくらいだ」ファァ
魔女「無理したら駄目よ?」
女騎士「……いや、今が私たちの瀬戸際なんだ。多少無理してでも、できる限りのことはしないと」
110: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 21:51:04.28 ID:FqTckVnj0
魔女「もう……、あまり心配させないで?」
女騎士「おっ、魔女は私のこと、心配してくれるのか! ははは!」
魔女「当たり前でしょう? 騎士さんの身体に何かあったらと思うと……、もう……」
女騎士「……」
女騎士(……な、なんだろう)
女騎士(恥ずかしいような……、こそばゆいような……)
女騎士「……きょ、極力、無理はしないようにするよ」
魔女「……はぁ。心配だわ……。ちょっと、休んでいったら?」
女騎士「ベッドでか?」
魔女「えぇ」
女騎士「むぅ……、すまんが、あまりゆっくりしていられなくてな。すぐ、行かなければならない」
魔女「そうなのぉ……。残念」
女騎士「残念なのか……」
女騎士「おっ、魔女は私のこと、心配してくれるのか! ははは!」
魔女「当たり前でしょう? 騎士さんの身体に何かあったらと思うと……、もう……」
女騎士「……」
女騎士(……な、なんだろう)
女騎士(恥ずかしいような……、こそばゆいような……)
女騎士「……きょ、極力、無理はしないようにするよ」
魔女「……はぁ。心配だわ……。ちょっと、休んでいったら?」
女騎士「ベッドでか?」
魔女「えぇ」
女騎士「むぅ……、すまんが、あまりゆっくりしていられなくてな。すぐ、行かなければならない」
魔女「そうなのぉ……。残念」
女騎士「残念なのか……」
114: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:16:14.38 ID:TlLQuemd0
魔女「あぁ……どうしましょう。適度な休憩とか、絶対取ってないわ、この子……」
女騎士「取ってる! 取ってるから!」
魔女「……」
女騎士「ええと……、い、今とか」
魔女「……」
女騎士「……」
魔女「やっぱり、不安ね……」
女騎士「うぅ……」
魔女「騎士さん、ちょっと寝室まで、付き合ってくれるかしらぁ?」
女騎士「や、本当、今日は……」
魔女「寝て行けってわけじゃないわよぉ。……ただ、ちょっとの時間でいいから」
女騎士「……?」
魔女「……スッキリして、リラックスできること、してあげる」
女騎士「……??」
女騎士「取ってる! 取ってるから!」
魔女「……」
女騎士「ええと……、い、今とか」
魔女「……」
女騎士「……」
魔女「やっぱり、不安ね……」
女騎士「うぅ……」
魔女「騎士さん、ちょっと寝室まで、付き合ってくれるかしらぁ?」
女騎士「や、本当、今日は……」
魔女「寝て行けってわけじゃないわよぉ。……ただ、ちょっとの時間でいいから」
女騎士「……?」
魔女「……スッキリして、リラックスできること、してあげる」
女騎士「……??」
115: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:16:49.94 ID:TlLQuemd0
~寝室~
・
・
・
魔女「さ、どうぞ」
女騎士「……あ、あぁ?」
女騎士(……ちょっとの時間……)
女騎士(スッキリして、リラックス……?)
女騎士「……?」
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士「……!?!?」ハッ
魔女「さあ、騎士さん……」
女騎士「まっ……! ちょ……魔女! そ、そういうのはだな!」
116: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:17:22.16 ID:TlLQuemd0
魔女「……?」ポフ
女騎士「ま、まだ早いというか、も、もうちょっと、私はだなぁ……!!」
魔女「どうしたの? さ、ここ、どうぞ?」ポンポン
女騎士「……?」
魔女「ど、う、ぞっ」ポンポンポンポン
女騎士「膝枕?」
魔女「ふふふ……、スッキリリラックスと言ったら、これよねぇ……!」シャキ
女騎士「耳かき棒……?」
・
・
・
女騎士「ま、まだ早いというか、も、もうちょっと、私はだなぁ……!!」
魔女「どうしたの? さ、ここ、どうぞ?」ポンポン
女騎士「……?」
魔女「ど、う、ぞっ」ポンポンポンポン
女騎士「膝枕?」
魔女「ふふふ……、スッキリリラックスと言ったら、これよねぇ……!」シャキ
女騎士「耳かき棒……?」
・
・
・
117: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:17:54.77 ID:TlLQuemd0
コショコショ
魔女「……痛くなぁい?」
女騎士「あぁ……」
魔女「……こうしていれば」コショコショ
女騎士「……」
魔女「無理やりでも、横になるし」
女騎士「……」
魔女「体の力も抜かないといけないから、リラックスできるでしょう?」
女騎士「そ、そうだな……」
魔女「……~♪」
女騎士「気持ちいいよ……」
魔女「でしょ~♪」コショコショ
118: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:18:20.47 ID:TlLQuemd0
魔女「さ、反対側」
女騎士「はぁい……」
魔女「……」コショコショ
女騎士「……」
魔女「……」
女騎士「……」
魔女「……私」
女騎士「……」
魔女「……一生懸命、がんばってる騎士さんは、好きよ」
女騎士「……」ピク
魔女「動かないの。……でもねぇ」
女騎士「……」
魔女「……やっぱり、無理をして辛そうなところは、見たくないから……」
女騎士「……あぁ」
魔女「私にできることがあったら、何でも言ってほしいわ」
女騎士「……あぁ」
魔女「……~♪」コショコショ
女騎士「ありがとう、魔女……」
女騎士「はぁい……」
魔女「……」コショコショ
女騎士「……」
魔女「……」
女騎士「……」
魔女「……私」
女騎士「……」
魔女「……一生懸命、がんばってる騎士さんは、好きよ」
女騎士「……」ピク
魔女「動かないの。……でもねぇ」
女騎士「……」
魔女「……やっぱり、無理をして辛そうなところは、見たくないから……」
女騎士「……あぁ」
魔女「私にできることがあったら、何でも言ってほしいわ」
女騎士「……あぁ」
魔女「……~♪」コショコショ
女騎士「ありがとう、魔女……」
119: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:18:55.12 ID:TlLQuemd0
・
・
・
~数日後~
~都の中心部、騎士団詰所~
・
・
・
女騎士「えっ、じゃあ……!」
司祭「はい、今年の『王都祭』の警備は、王立軍に依頼することになりまして……」
女騎士「それは……」
司祭「各騎士団が王都中を警備するのが、この国の伝統でしたが……」
女騎士「……」
司祭「王府から、じきじきに依頼があり、教会もそれに押し切られた格好で」
女騎士「王府が……」
司祭「我々も、心苦しい限りです」
女騎士「……いえ、こればかりは仕方のない話でしょう」
司祭「お詫びに、どうか貴方と、貴方の騎士団のために、祈りを捧げさせていただけませんでしょうか?」
女騎士「い、いやいや、そこまでしていただかなくても……」
司祭「いいえ! ぜひとも! 祈らせていただきたい! 2時間弱のフルバージョンで祈らせていただきたい!!」
女騎士「本当に! 本当に結構ですから!」
・
・
~数日後~
~都の中心部、騎士団詰所~
・
・
・
女騎士「えっ、じゃあ……!」
司祭「はい、今年の『王都祭』の警備は、王立軍に依頼することになりまして……」
女騎士「それは……」
司祭「各騎士団が王都中を警備するのが、この国の伝統でしたが……」
女騎士「……」
司祭「王府から、じきじきに依頼があり、教会もそれに押し切られた格好で」
女騎士「王府が……」
司祭「我々も、心苦しい限りです」
女騎士「……いえ、こればかりは仕方のない話でしょう」
司祭「お詫びに、どうか貴方と、貴方の騎士団のために、祈りを捧げさせていただけませんでしょうか?」
女騎士「い、いやいや、そこまでしていただかなくても……」
司祭「いいえ! ぜひとも! 祈らせていただきたい! 2時間弱のフルバージョンで祈らせていただきたい!!」
女騎士「本当に! 本当に結構ですから!」
120: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:19:23.63 ID:TlLQuemd0
・
・
・
女騎士(『王都祭』の任務もか……)
女騎士(王都の大きな仕事は……、どんどん王立軍に流れていくな)
女騎士「むぅぅ……」
女騎士(……いや、腐っていても仕方ない!)
女騎士(今は、私たちの出来ることを――……)
副団長「……団長殿」
女騎士「ん? あぁ……どうした」
副団長「……ハァ」
女騎士「なんだなんだ! 騎士が暗い顔をするな!」
副団長「……団員の一人から、退団届が出されています」
女騎士「え……っ」
・
・
女騎士(『王都祭』の任務もか……)
女騎士(王都の大きな仕事は……、どんどん王立軍に流れていくな)
女騎士「むぅぅ……」
女騎士(……いや、腐っていても仕方ない!)
女騎士(今は、私たちの出来ることを――……)
副団長「……団長殿」
女騎士「ん? あぁ……どうした」
副団長「……ハァ」
女騎士「なんだなんだ! 騎士が暗い顔をするな!」
副団長「……団員の一人から、退団届が出されています」
女騎士「え……っ」
121: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:20:09.31 ID:TlLQuemd0
・
・
・
~夜・女騎士宅~
・
・
・
女騎士「むぅ……」カリカリ
女騎士「……」パサッ
女騎士(……この事務処理が済んだら)
女騎士(新しい任務の提案を作って……)
女騎士(……新しい団員募集の呼びかけも準備して……)
女騎士「……」カリカリ
女騎士「むむむむむ……っ」
女騎士(魔女にはああ言ったが)
女騎士(休んでいる暇などないなっ!)
女騎士「……」カリ
女騎士「……ふぅ」パサリ
女騎士(私ががんばらなければ……)
女騎士(がんばって、がんばって……)
女騎士(守るんだ、騎士団を――……)
女騎士「……」カリカリ
女騎士「…………」カリカリカリカリ
・
・
・
・
・
~夜・女騎士宅~
・
・
・
女騎士「むぅ……」カリカリ
女騎士「……」パサッ
女騎士(……この事務処理が済んだら)
女騎士(新しい任務の提案を作って……)
女騎士(……新しい団員募集の呼びかけも準備して……)
女騎士「……」カリカリ
女騎士「むむむむむ……っ」
女騎士(魔女にはああ言ったが)
女騎士(休んでいる暇などないなっ!)
女騎士「……」カリ
女騎士「……ふぅ」パサリ
女騎士(私ががんばらなければ……)
女騎士(がんばって、がんばって……)
女騎士(守るんだ、騎士団を――……)
女騎士「……」カリカリ
女騎士「…………」カリカリカリカリ
・
・
・
122: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:21:10.64 ID:TlLQuemd0
~数日後~
~都の東「蜘蛛の森」魔女の屋敷~
・
・
・
魔女「……――それから、火防の護符と、魔女織の織物、蜘蛛避けのお香はたっぷりと、ね」
商人「はい! では、確かに……」
魔女「いつもどうも」
商人「いやぁ、こちらこそ! 魔女さんから仕入れた物は、いつも好評ですからな!」
魔女「それはよかったわぁ」
商人「どれをとっても、見た目も美しく、効果は天下一品!」
魔女「うふふ」
商人「おまけに当人はこんなに妖艶な――……」
魔女「あらぁ、どういう意味かしら?」
商人「あっ! いえいえ、今のは決して、下心があって言ったわけではありませんぞ! なは、なははは!」
魔女「あらあら……」
魔女(ようえん……、ヨウエン……)
魔女(本当にどういう意味かしら)
魔女(……あとで辞書を引きましょう)
123: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:21:40.08 ID:TlLQuemd0
商人「では、ワタクシはこれで……」
魔女「またお願いしますわ」
キィ
魔女「あら、またお客様――……」
女騎士「……魔女ぉ~……」
魔女「あ」
商人「……おや」
女騎士「……ハッ」サッ
商人「……?」
魔女「お気をつけて、商人さん」
商人「え、ええ……、それでは」
女騎士「……」コソコソ
商人「……? いや、他人の空似か……」スタスタ
魔女「またお願いしますわ」
キィ
魔女「あら、またお客様――……」
女騎士「……魔女ぉ~……」
魔女「あ」
商人「……おや」
女騎士「……ハッ」サッ
商人「……?」
魔女「お気をつけて、商人さん」
商人「え、ええ……、それでは」
女騎士「……」コソコソ
商人「……? いや、他人の空似か……」スタスタ
124: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/20(日) 22:22:23.09 ID:TlLQuemd0
女騎士「ふぅ……」
魔女「いらっしゃい、騎士さん」
女騎士「あぁ。……気づかれたかな?」
魔女「ん~……、大丈夫だと思うけど……。だって……」
女騎士「え?」
魔女「クマ、すごいし。ちょっと人相、変わっちゃってる」
女騎士「えぇ……やだぁ……、やめて本当……」
魔女「だって、ほら、見せて。ほら……うわぁ」グイー
女騎士「じっくり見るなぁぁ……」
魔女「いらっしゃい、騎士さん」
女騎士「あぁ。……気づかれたかな?」
魔女「ん~……、大丈夫だと思うけど……。だって……」
女騎士「え?」
魔女「クマ、すごいし。ちょっと人相、変わっちゃってる」
女騎士「えぇ……やだぁ……、やめて本当……」
魔女「だって、ほら、見せて。ほら……うわぁ」グイー
女騎士「じっくり見るなぁぁ……」
128: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 23:24:34.79 ID:wiQBcDZQ0
・
・
・
コショ コショ
女騎士「……――えーと、つまり、妖しいくらい美しいって感じでだな……」
魔女「怪しいの? 私そんな不審かしら……」
女騎士「いや、そうじゃなくてだな……、なんて言うんだろう? 神秘的とか、謎めいた雰囲気とか、そういう意味で……」
魔女「あら、じゃあ私、褒められてたのね」
女騎士「んー……まぁ……」
魔女「そう……んふふ、ヨウエン、妖艶ねぇ……」
女騎士「……」
コショコショ
魔女「……はい、おしまい」
女騎士「……ちょっと、短いぞ」
魔女「ついこの間、やったばかりでしょう? あんまり掻きすぎると、痛くなっちゃうから」
女騎士「そっかぁ……」
魔女「ふふ、そのまま楽にしてていいわよ」ナデナデ
女騎士「あ……」
魔女「んふふ……」ナデナデ
・
・
コショ コショ
女騎士「……――えーと、つまり、妖しいくらい美しいって感じでだな……」
魔女「怪しいの? 私そんな不審かしら……」
女騎士「いや、そうじゃなくてだな……、なんて言うんだろう? 神秘的とか、謎めいた雰囲気とか、そういう意味で……」
魔女「あら、じゃあ私、褒められてたのね」
女騎士「んー……まぁ……」
魔女「そう……んふふ、ヨウエン、妖艶ねぇ……」
女騎士「……」
コショコショ
魔女「……はい、おしまい」
女騎士「……ちょっと、短いぞ」
魔女「ついこの間、やったばかりでしょう? あんまり掻きすぎると、痛くなっちゃうから」
女騎士「そっかぁ……」
魔女「ふふ、そのまま楽にしてていいわよ」ナデナデ
女騎士「あ……」
魔女「んふふ……」ナデナデ
129: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 23:25:13.09 ID:wiQBcDZQ0
女騎士「……あの商人は」
魔女「え?」
女騎士「よく来るんだ……」
魔女「そうねぇ……、お客様の中では、一番よく来るかしら。いつも私の作るもの、いっぱい買っていってくれてね」
女騎士「ふーん」
魔女「蜘蛛避けのお香も、織物も、どれも素晴らしいっ、なんて褒めてくれて……」
女騎士「ふぅーん……」
魔女「今度、織物上手にできたら、騎士さんにも見せてあげるわね」
女騎士「……」
魔女「……♪」ナデナデ
女騎士「……上機嫌だな」
魔女「あら、そう?」
130: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 23:25:44.41 ID:wiQBcDZQ0
女騎士「あの商人に、褒められたからだろ」
魔女「えぇ?」
女騎士「魔女さんは、妖艶だもんな―……」
魔女「あら……」ナデナデ
女騎士「……」
魔女「妬いちゃった?」
女騎士「ちが……っ」ガバ
魔女「だぁめ、じっとしてて……」ナデナデ
女騎士「……、……違うからな」ストン
魔女「クスクス……、別に褒められたくらいで、舞い上がったりしないわよ、私は」
女騎士「……」
魔女「嬉しくなるんだとしたら――……」
女騎士「……」
魔女「……ふふっ」
女騎士「なんだよぉ……」
魔女「まぁ、いいじゃない」ナデナデ
女騎士「むぅ……」
魔女「……~♪」ナデナデ
131: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 23:26:17.64 ID:wiQBcDZQ0
女騎士「……魔女の手、気持ちいいな……」
魔女「そう、よかったわ」
女騎士「はぁ……、ずっとこうしてたい」
魔女「いいわよう」
女騎士「よくないんだよ……」
魔女「よくないの?」
女騎士「あぁ……、行かなくちゃ。起きて、街へ行って……」
魔女「……」
女騎士「騎士団のために、私がやるべきことを、やらねば……」
魔女「……無理してるの、自分でも分かるでしょう?」
女騎士「分かるよ。でも……私は騎士だから」
魔女「……」
132: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 23:26:56.73 ID:wiQBcDZQ0
女騎士「騎士だから、無理を押してだって、やるべきときは、やらなければいけないんだ」
魔女「……」
女騎士「私は、騎士なんだ……。騎士としてしか、生きられないんだ……」
魔女「……」
女騎士「だから……」
魔女「……」
女騎士「私が、がんばらなければ……、がんばって、がんばって……」
魔女「……」
女騎士「がんばって守るんだ……。騎士団を。みんなの居場所を、私の居場所を」
魔女「……騎士さん」
女騎士「騎士としての、私を」
魔女「……」
女騎士「……」
魔女「……ふぅ」ナデナデ
魔女(……固い気持ちで、前を向いて)
魔女(……がんばってる人を、引き留める言葉って……)
魔女「……」ナデナデ
魔女(なかなか、浮かばないものねぇ……)
・
・
・
魔女「……」
女騎士「私は、騎士なんだ……。騎士としてしか、生きられないんだ……」
魔女「……」
女騎士「だから……」
魔女「……」
女騎士「私が、がんばらなければ……、がんばって、がんばって……」
魔女「……」
女騎士「がんばって守るんだ……。騎士団を。みんなの居場所を、私の居場所を」
魔女「……騎士さん」
女騎士「騎士としての、私を」
魔女「……」
女騎士「……」
魔女「……ふぅ」ナデナデ
魔女(……固い気持ちで、前を向いて)
魔女(……がんばってる人を、引き留める言葉って……)
魔女「……」ナデナデ
魔女(なかなか、浮かばないものねぇ……)
・
・
・
133: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 23:27:28.19 ID:wiQBcDZQ0
・
・
・
~数日後~
~王都・市街~
女騎士「……――はい、いえ、こちらこそ」
女騎士「ええ、お心遣い、感謝いたします。……では」ペコリ
女騎士「……」
女騎士「……はぁ」
女騎士(……ここも、協力を断られてしまったか)
女騎士(これで何連続か……)
女騎士「……」フラ
女騎士「…………っと」
女騎士(さすがに……)
女騎士(キツい……か……)
女騎士「……はぁ」
「……――殿、女騎士殿!」
女騎士「ん……」
老騎士「女騎士殿! おお、奇遇であるな。こんなところで」
女騎士「老騎士殿……、お元気でしたでしょうか?」
・
・
~数日後~
~王都・市街~
女騎士「……――はい、いえ、こちらこそ」
女騎士「ええ、お心遣い、感謝いたします。……では」ペコリ
女騎士「……」
女騎士「……はぁ」
女騎士(……ここも、協力を断られてしまったか)
女騎士(これで何連続か……)
女騎士「……」フラ
女騎士「…………っと」
女騎士(さすがに……)
女騎士(キツい……か……)
女騎士「……はぁ」
「……――殿、女騎士殿!」
女騎士「ん……」
老騎士「女騎士殿! おお、奇遇であるな。こんなところで」
女騎士「老騎士殿……、お元気でしたでしょうか?」
134: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 23:28:01.75 ID:wiQBcDZQ0
老騎士「当然である。貴公も……、と言いたいところであるが……」
女騎士「……」
老騎士「……やつれたであるな」
女騎士「……なに、かつての戦の、末期の頃に比べれば……」
老騎士「顔色だけで言えば、あの頃より悪そうであるが……、いや、淑女に向かって失礼な言い分であった。面目ない」
女騎士「ははは……」
老騎士「少し、休んでいかれませい。……折り入って、貴公に話しておきたいこともある」
女騎士「話……?」
老騎士「ううむ……、あぁ、実は……」
女騎士「……」
老騎士「……やつれたであるな」
女騎士「……なに、かつての戦の、末期の頃に比べれば……」
老騎士「顔色だけで言えば、あの頃より悪そうであるが……、いや、淑女に向かって失礼な言い分であった。面目ない」
女騎士「ははは……」
老騎士「少し、休んでいかれませい。……折り入って、貴公に話しておきたいこともある」
女騎士「話……?」
老騎士「ううむ……、あぁ、実は……」
135: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 23:28:46.73 ID:wiQBcDZQ0
・
・
・
女騎士「……」
老騎士「……ふぅ」
女騎士「……では」
老騎士「あぁ、我が『水晶羽のトンボ』騎士団も、解散である」
女騎士「納得、いきません……」
老騎士「……であるか」
女騎士「確かに現状は厳しい! ですが、『トンボ』騎士団は規模でも、質でも、十分にやっていけるだけの力があるはずだ!」
老騎士「……」
女騎士「それなのにっ、どうして……っ!」
老騎士「おっしゃる通りであるな」
女騎士「……」
老騎士「楽な道に逃げたと、そう見られても仕方ないのである……」
女騎士「そうは、言っていません……!」
老騎士「いや、いいや……、儂自身、そのように感じている」
女騎士「……」
・
・
女騎士「……」
老騎士「……ふぅ」
女騎士「……では」
老騎士「あぁ、我が『水晶羽のトンボ』騎士団も、解散である」
女騎士「納得、いきません……」
老騎士「……であるか」
女騎士「確かに現状は厳しい! ですが、『トンボ』騎士団は規模でも、質でも、十分にやっていけるだけの力があるはずだ!」
老騎士「……」
女騎士「それなのにっ、どうして……っ!」
老騎士「おっしゃる通りであるな」
女騎士「……」
老騎士「楽な道に逃げたと、そう見られても仕方ないのである……」
女騎士「そうは、言っていません……!」
老騎士「いや、いいや……、儂自身、そのように感じている」
女騎士「……」
136: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 23:29:15.63 ID:wiQBcDZQ0
老騎士「……しかしな、女騎士殿……」
女騎士「……」
老騎士「儂はもう、老いすぎた……。あと何年……いや、何か月と、この世にあるかも分からぬ身だ」
女騎士「そんな……」
老騎士「……『老兵は死なず、ただ去り行くのみ』……避けられぬ死を前にして、去り時を誤れば」
女騎士「……」
老騎士「結局は、後に残された者が、苦しむことになろう……」
女騎士「……」
老騎士「……というか、儂が後釜育ててなかっただけなんであるがな」
女騎士「……老騎士殿」
老騎士「……がっはっはっは!」
女騎士「……」
老騎士「儂はもう、老いすぎた……。あと何年……いや、何か月と、この世にあるかも分からぬ身だ」
女騎士「そんな……」
老騎士「……『老兵は死なず、ただ去り行くのみ』……避けられぬ死を前にして、去り時を誤れば」
女騎士「……」
老騎士「結局は、後に残された者が、苦しむことになろう……」
女騎士「……」
老騎士「……というか、儂が後釜育ててなかっただけなんであるがな」
女騎士「……老騎士殿」
老騎士「……がっはっはっは!」
137: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 23:29:51.78 ID:wiQBcDZQ0
老騎士「……まあ、そんなこんなでな、団員どもに相談して決めたのである」
女騎士「しかし……」
老騎士「幸い、我が団を引き取ってくれる商社がいくつか見つかってな。みな……」
女騎士「……」
老騎士「バラバラ、には……、なってしまうで、あるがな」
女騎士「……」
老騎士「……失礼」
女騎士「お察し、いたします」
老騎士「いや、なに。いずれ儂の中でも、折り合いのつく時が来るのである」
女騎士「折り合い……」
老騎士「貴公には、以前話したことがあろう……。時が解決するのに、身を任せる」
女騎士「……」
老騎士「年寄りの処世術ではなく、ひとつの真理として」
女騎士「……」
老騎士「そういうことも、あるのだ……」
女騎士「……老騎士殿」
老騎士「……そう……、善かれ、悪しかれな」
女騎士「しかし……」
老騎士「幸い、我が団を引き取ってくれる商社がいくつか見つかってな。みな……」
女騎士「……」
老騎士「バラバラ、には……、なってしまうで、あるがな」
女騎士「……」
老騎士「……失礼」
女騎士「お察し、いたします」
老騎士「いや、なに。いずれ儂の中でも、折り合いのつく時が来るのである」
女騎士「折り合い……」
老騎士「貴公には、以前話したことがあろう……。時が解決するのに、身を任せる」
女騎士「……」
老騎士「年寄りの処世術ではなく、ひとつの真理として」
女騎士「……」
老騎士「そういうことも、あるのだ……」
女騎士「……老騎士殿」
老騎士「……そう……、善かれ、悪しかれな」
138: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 23:30:23.40 ID:wiQBcDZQ0
・
・
・
~騎士団詰所~
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(まさか……、老騎士殿のところまで……)
女騎士「……」
女騎士(無理なのか……)
女騎士(やはり、もう……)
女騎士(逆らえない、あらがえない……)
女騎士(流れの中で……、騎士は……、騎士団は……)
女騎士(私は……)
女騎士「……う」
女騎士「うぅぅ……」
女騎士(……まだだ)
女騎士(まだ……やれることはあるはず)
女騎士(私が……、私ががんばらなければ、やらなければ……)
副団長「団長殿」
・
・
~騎士団詰所~
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(まさか……、老騎士殿のところまで……)
女騎士「……」
女騎士(無理なのか……)
女騎士(やはり、もう……)
女騎士(逆らえない、あらがえない……)
女騎士(流れの中で……、騎士は……、騎士団は……)
女騎士(私は……)
女騎士「……う」
女騎士「うぅぅ……」
女騎士(……まだだ)
女騎士(まだ……やれることはあるはず)
女騎士(私が……、私ががんばらなければ、やらなければ……)
副団長「団長殿」
139: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 23:30:55.44 ID:wiQBcDZQ0
副団長「……団長殿?」
女騎士「……あぁ」
副団長「大丈夫ですか?」
女騎士「……、……すまんな、大丈夫だ」
副団長「……」
女騎士「何か、話だったか?」
副団長「……退団希望者が一名、来ています」
女騎士「……」フラ
副団長「団長殿っ」
女騎士「……だ」
副団長「……」
女騎士「…………大丈夫だ、通してくれ」
副団長「……」
女騎士「……あぁ」
副団長「大丈夫ですか?」
女騎士「……、……すまんな、大丈夫だ」
副団長「……」
女騎士「何か、話だったか?」
副団長「……退団希望者が一名、来ています」
女騎士「……」フラ
副団長「団長殿っ」
女騎士「……だ」
副団長「……」
女騎士「…………大丈夫だ、通してくれ」
副団長「……」
140: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 23:31:49.44 ID:wiQBcDZQ0
・
・
・
騎士C「……」
女騎士「そぉーか、そうか! 嫁さんの実家は、糸の貿易商か!」
騎士C「は、はい……」
女騎士「ん? ということは、なんだ? お前が跡取りとかになっちゃうわけか!?」
騎士C「えぇ、まぁ……」
女騎士「はっはっはっ! それはすごい! 未来の社長殿だなっ!」
騎士C「……いやぁ」
女騎士「ん~、しかしあれだぞ、経営というやつは中々大変だぞ? お前のような無骨で無愛想な男に、果たして務まるか……」
騎士C「……」
女騎士「なんてな! お前なら心配ないさ! あっはっは――……」
騎士C「……本当は」
女騎士「ん?」
・
・
騎士C「……」
女騎士「そぉーか、そうか! 嫁さんの実家は、糸の貿易商か!」
騎士C「は、はい……」
女騎士「ん? ということは、なんだ? お前が跡取りとかになっちゃうわけか!?」
騎士C「えぇ、まぁ……」
女騎士「はっはっはっ! それはすごい! 未来の社長殿だなっ!」
騎士C「……いやぁ」
女騎士「ん~、しかしあれだぞ、経営というやつは中々大変だぞ? お前のような無骨で無愛想な男に、果たして務まるか……」
騎士C「……」
女騎士「なんてな! お前なら心配ないさ! あっはっは――……」
騎士C「……本当は」
女騎士「ん?」
141: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 23:32:21.66 ID:wiQBcDZQ0
騎士C「……本当は、オレ、騎士を続けるつもりだったんです」
女騎士「……」
騎士C「けれど、向こうの家から……」
女騎士「……」
騎士C「騎士の仕事に、この先があるのかと……」
女騎士「……」
騎士C「……今の世の中、騎士の名誉が何になる、って……」
女騎士「お前……」
騎士C「……オレは」
女騎士「……」
騎士C「……なにも、言い返せなかった」
女騎士「……」
騎士C「オレ、騎士失格なんです」
女騎士「……馬鹿者」
騎士C「……」
女騎士「誰が何と言おうと、お前は立派な、我が団自慢の騎士だ」
騎士C「団長……」
女騎士「胸を張れ」
女騎士「……」
騎士C「けれど、向こうの家から……」
女騎士「……」
騎士C「騎士の仕事に、この先があるのかと……」
女騎士「……」
騎士C「……今の世の中、騎士の名誉が何になる、って……」
女騎士「お前……」
騎士C「……オレは」
女騎士「……」
騎士C「……なにも、言い返せなかった」
女騎士「……」
騎士C「オレ、騎士失格なんです」
女騎士「……馬鹿者」
騎士C「……」
女騎士「誰が何と言おうと、お前は立派な、我が団自慢の騎士だ」
騎士C「団長……」
女騎士「胸を張れ」
142: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 23:32:51.36 ID:wiQBcDZQ0
・
・
・
副団長「……――いかがでした」
女騎士「ああ、話は済んだぞ。副団長、彼の退役手続きを頼む」
副団長「……、……はい」
女騎士「退役金もたっぷり弾んでやれ! それから……」
副団長「……」
女騎士「それから――……」
副団長「……」
女騎士「……すまん、外してくれ」
副団長「……団長殿」
女騎士「……」
副団長「……失礼します」
女騎士「……」
パタン
・
・
・
・
・
副団長「……――いかがでした」
女騎士「ああ、話は済んだぞ。副団長、彼の退役手続きを頼む」
副団長「……、……はい」
女騎士「退役金もたっぷり弾んでやれ! それから……」
副団長「……」
女騎士「それから――……」
副団長「……」
女騎士「……すまん、外してくれ」
副団長「……団長殿」
女騎士「……」
副団長「……失礼します」
女騎士「……」
パタン
・
・
・
143: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/21(月) 23:33:27.39 ID:wiQBcDZQ0
・
・
・
女騎士「……」
――去り時を誤れば――
――結局は、後に残された者が、苦しむことになろう……――
――今の世の中、騎士の名誉が何になる、って――
女騎士「……」
女騎士「う……」
女騎士(……騎士団を、生かし続けることで……)
女騎士(色々なものにあらがって、歯向かい続けることで……)
女騎士(私は、何かを見誤ってしまって、いるのか……?)
女騎士「う、ぅ……」
女騎士(私の居場所――)
女騎士(私の騎士道――)
女騎士(私の……人生――)
女騎士「う、ぅ、ぅぅぅ……」
女騎士(もう……)
女騎士(もう、限界だ……)
女騎士「…………魔女…………」
・
・
女騎士「……」
――去り時を誤れば――
――結局は、後に残された者が、苦しむことになろう……――
――今の世の中、騎士の名誉が何になる、って――
女騎士「……」
女騎士「う……」
女騎士(……騎士団を、生かし続けることで……)
女騎士(色々なものにあらがって、歯向かい続けることで……)
女騎士(私は、何かを見誤ってしまって、いるのか……?)
女騎士「う、ぅ……」
女騎士(私の居場所――)
女騎士(私の騎士道――)
女騎士(私の……人生――)
女騎士「う、ぅ、ぅぅぅ……」
女騎士(もう……)
女騎士(もう、限界だ……)
女騎士「…………魔女…………」
148: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/22(火) 22:14:31.20 ID:3mTrz7e70
・
・
・
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士「……」
・
・
・
・
・
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士「……」
・
・
・
149: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/22(火) 22:15:18.60 ID:3mTrz7e70
・
・
・
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士「………………」
・
・
・
・
・
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士「………………」
・
・
・
150: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/22(火) 22:15:48.06 ID:3mTrz7e70
・
・
・
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(……ん)
女騎士(……あれ)
女騎士(…………なんだっけ?)
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(……私、何をしてたんだったっけ?)
女騎士(……えっと)
・
・
・
・
・
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(……ん)
女騎士(……あれ)
女騎士(…………なんだっけ?)
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(……私、何をしてたんだったっけ?)
女騎士(……えっと)
・
・
・
151: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/22(火) 22:16:16.02 ID:3mTrz7e70
・
・
・
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(……忘れた)
女騎士(……忘れたけど、まぁ……)
女騎士(いいや……)
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(……何だか、暖かいし、柔らかいし)
女騎士(……すべすべで、いい匂いするし……)
女騎士(……ここにいれるなら、どうでも……)
女騎士(……ここに……)
女騎士「……」
女騎士「……」
・
・
・
・
・
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(……忘れた)
女騎士(……忘れたけど、まぁ……)
女騎士(いいや……)
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(……何だか、暖かいし、柔らかいし)
女騎士(……すべすべで、いい匂いするし……)
女騎士(……ここにいれるなら、どうでも……)
女騎士(……ここに……)
女騎士「……」
女騎士「……」
・
・
・
152: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/22(火) 22:16:46.88 ID:3mTrz7e70
・
・
・
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(……ここ……)
女騎士(……ここは……)
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(ここはどこだ?)
女騎士「……っ!?」ガバッ
魔女「あら、もう起きちゃったの?」
女騎士「えっ、えっ……?」
魔女「さっき寝付いたばかりじゃないのぉ」ヨシヨシ
女騎士「えぇぇ……?」
・
・
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(……ここ……)
女騎士(……ここは……)
女騎士「……」
女騎士「……」
女騎士(ここはどこだ?)
女騎士「……っ!?」ガバッ
魔女「あら、もう起きちゃったの?」
女騎士「えっ、えっ……?」
魔女「さっき寝付いたばかりじゃないのぉ」ヨシヨシ
女騎士「えぇぇ……?」
153: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/22(火) 22:17:22.05 ID:3mTrz7e70
・
・
・
~都の東「蜘蛛の森」魔女の屋敷~
・
・
・
魔女「びっくりしたわよぉ、こんな夜更けにフラっとあらわれて……。一瞬、幽霊かと思っちゃったわ」
女騎士「……」
女騎士(……全然覚えていない……)
女騎士「無理がたたると、怖いんだな、人間て」
魔女「他人事みたいに言うんじゃないの」デコピン
女騎士「あたっ」
魔女「ふぅ……」
女騎士「……すまん」
魔女「別に、いいから。ほら……ちゃんと横になって」
女騎士「うん……。……あのさ」
魔女「ん?」
女騎士「あのさ……、私……」
魔女「いいの、何も言わないで」
女騎士「……」
魔女「いいの」
女騎士「……うん」
・
・
~都の東「蜘蛛の森」魔女の屋敷~
・
・
・
魔女「びっくりしたわよぉ、こんな夜更けにフラっとあらわれて……。一瞬、幽霊かと思っちゃったわ」
女騎士「……」
女騎士(……全然覚えていない……)
女騎士「無理がたたると、怖いんだな、人間て」
魔女「他人事みたいに言うんじゃないの」デコピン
女騎士「あたっ」
魔女「ふぅ……」
女騎士「……すまん」
魔女「別に、いいから。ほら……ちゃんと横になって」
女騎士「うん……。……あのさ」
魔女「ん?」
女騎士「あのさ……、私……」
魔女「いいの、何も言わないで」
女騎士「……」
魔女「いいの」
女騎士「……うん」
154: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/22(火) 22:17:57.68 ID:3mTrz7e70
魔女「騎士さんが、誰よりも一生懸命だったこと、私がよく知ってるわ……」
女騎士「……」
魔女「よくがんばったわねぇ」ナデナデ
女騎士「……うん」
魔女「……もう、大丈夫だから……」
女騎士「…………うん」
魔女「……目を瞑って、休みなさい……ゆっくり……」
女騎士「……」
魔女「……」
女騎士「魔女……」
魔女「……」
女騎士「眠れないよ」
魔女「……」
女騎士「……」
魔女「よくがんばったわねぇ」ナデナデ
女騎士「……うん」
魔女「……もう、大丈夫だから……」
女騎士「…………うん」
魔女「……目を瞑って、休みなさい……ゆっくり……」
女騎士「……」
魔女「……」
女騎士「魔女……」
魔女「……」
女騎士「眠れないよ」
魔女「……」
155: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/22(火) 22:18:25.98 ID:3mTrz7e70
女騎士「だって、もう、私……」
魔女「……」
女騎士「騎士じゃなくなっちゃう……」
魔女「……」
女騎士「騎士じゃなくなったら、私」
魔女「……」
女騎士「私は……、私って……、なんだ……?」
魔女「……」
女騎士「私は……」
魔女「……」
女騎士「……」
魔女「……怖いのね」
女騎士「……」
魔女「怖くて、寂しくて、眠れないくらい」
女騎士「……」コクン
魔女「……」
女騎士「騎士じゃなくなっちゃう……」
魔女「……」
女騎士「騎士じゃなくなったら、私」
魔女「……」
女騎士「私は……、私って……、なんだ……?」
魔女「……」
女騎士「私は……」
魔女「……」
女騎士「……」
魔女「……怖いのね」
女騎士「……」
魔女「怖くて、寂しくて、眠れないくらい」
女騎士「……」コクン
156: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/22(火) 22:18:54.92 ID:3mTrz7e70
魔女「さっき、ちょっと寝てたじゃない」
女騎士「……あれは、たぶん気絶だし」
魔女「気絶かぁー……」
女騎士「……」
魔女「……ふぅ」
女騎士「……」
魔女「じゃ、お邪魔しま――……」
女騎士「ちょっとちょっとちょっと魔女さん」
魔女「なぁに?」
女騎士「なんで入ってくるの!」
魔女「私のベッドだもの」
女騎士「そうだけども!」
魔女「添い寝」
女騎士「え」
女騎士「……あれは、たぶん気絶だし」
魔女「気絶かぁー……」
女騎士「……」
魔女「……ふぅ」
女騎士「……」
魔女「じゃ、お邪魔しま――……」
女騎士「ちょっとちょっとちょっと魔女さん」
魔女「なぁに?」
女騎士「なんで入ってくるの!」
魔女「私のベッドだもの」
女騎士「そうだけども!」
魔女「添い寝」
女騎士「え」
157: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/22(火) 22:19:20.57 ID:3mTrz7e70
魔女「……こうして、二人一緒なら」
女騎士「……」
魔女「ちょっとは、寂しくなくなるでしょ?」
女騎士「……」
魔女「ね……?」
女騎士「……うん」
魔女「んふふ……♪」スリスリ
女騎士「近い近い……」
女騎士(でも……)
女騎士(確かに……)
女騎士(暖かくて……、甘い香りがして……)
女騎士「……」
女騎士(抱き着いたら、きっと……とても柔らかいのだろう)
女騎士(……、……怒るかな?)
女騎士「……」
魔女「ちょっとは、寂しくなくなるでしょ?」
女騎士「……」
魔女「ね……?」
女騎士「……うん」
魔女「んふふ……♪」スリスリ
女騎士「近い近い……」
女騎士(でも……)
女騎士(確かに……)
女騎士(暖かくて……、甘い香りがして……)
女騎士「……」
女騎士(抱き着いたら、きっと……とても柔らかいのだろう)
女騎士(……、……怒るかな?)
158: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/22(火) 22:20:49.76 ID:3mTrz7e70
魔女「初めて、ここに来た時から」
女騎士「……え?」
魔女「騎士さん……、私のベッドでは、グッスリだったでしょう?」
女騎士「……あぁ、そうだった」
魔女「どうしてだったか、分かる……?」
女騎士「……さぁ? やっぱり魔法だったのかも……」
魔女「んふふ、違うったら」
女騎士「んー……」
魔女「きっと」
女騎士「……」
魔女「私の前では、騎士じゃない貴方でいてくれたから……」
女騎士「……」
女騎士「……え?」
魔女「騎士さん……、私のベッドでは、グッスリだったでしょう?」
女騎士「……あぁ、そうだった」
魔女「どうしてだったか、分かる……?」
女騎士「……さぁ? やっぱり魔法だったのかも……」
魔女「んふふ、違うったら」
女騎士「んー……」
魔女「きっと」
女騎士「……」
魔女「私の前では、騎士じゃない貴方でいてくれたから……」
女騎士「……」
159: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/22(火) 22:21:44.62 ID:3mTrz7e70
魔女「……あ、もちろん、騎士さんは騎士さんなんだけどね」
女騎士「ややこしい」
魔女「……ただ、少しだけ、背負った重荷を下ろして」
女騎士「……」
魔女「……少しだけ、騎士の役目を忘れて」
女騎士「……」
魔女「そのままの貴方で、私と一緒にいてくれたから……」
女騎士「……」
魔女「それできっと、このベッドではいつだって、よく眠れたと思うの」
女騎士「……そうかもな」
女騎士「ややこしい」
魔女「……ただ、少しだけ、背負った重荷を下ろして」
女騎士「……」
魔女「……少しだけ、騎士の役目を忘れて」
女騎士「……」
魔女「そのままの貴方で、私と一緒にいてくれたから……」
女騎士「……」
魔女「それできっと、このベッドではいつだって、よく眠れたと思うの」
女騎士「……そうかもな」
160: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/22(火) 22:22:15.19 ID:3mTrz7e70
魔女「……だからね」
女騎士「……」
魔女「ここは、貴方の居場所のひとつなの」
女騎士「……」
魔女「……騎士じゃない貴方が、安心して憩う場所」
女騎士「……」
魔女「このベッドは、この屋敷は、この森は――……」
女騎士「……」
魔女「私の傍は……」
女騎士「……」
魔女「貴方の場所よ、騎士さん」
女騎士「魔女……」
魔女「ふふっ、しゃべってばかりじゃ、騎士さんも眠れないわね」
女騎士「ねぇ……」
女騎士「……」
魔女「ここは、貴方の居場所のひとつなの」
女騎士「……」
魔女「……騎士じゃない貴方が、安心して憩う場所」
女騎士「……」
魔女「このベッドは、この屋敷は、この森は――……」
女騎士「……」
魔女「私の傍は……」
女騎士「……」
魔女「貴方の場所よ、騎士さん」
女騎士「魔女……」
魔女「ふふっ、しゃべってばかりじゃ、騎士さんも眠れないわね」
女騎士「ねぇ……」
161: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/22(火) 22:23:38.90 ID:3mTrz7e70
魔女「ん?」
女騎士「あの……、えっと……」
魔女「……いいわよ、ギュッてしても」
女騎士「……え?」
魔女「ほら」
女騎士「うん……」
ギュッ
女騎士(なんで分かったんだろう)
女騎士(魔女はやっぱり……)
女騎士(不思議だなぁ……)
魔女「人間の腕って、誰かを抱きしめるような形の造りになってるのよ」
女騎士「不思議だなぁ」
魔女「不思議でしょ?」
女騎士「あぁ……」
魔女「……」ナデナデ
女騎士「………………スヤァ」
女騎士「あの……、えっと……」
魔女「……いいわよ、ギュッてしても」
女騎士「……え?」
魔女「ほら」
女騎士「うん……」
ギュッ
女騎士(なんで分かったんだろう)
女騎士(魔女はやっぱり……)
女騎士(不思議だなぁ……)
魔女「人間の腕って、誰かを抱きしめるような形の造りになってるのよ」
女騎士「不思議だなぁ」
魔女「不思議でしょ?」
女騎士「あぁ……」
魔女「……」ナデナデ
女騎士「………………スヤァ」
167: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/23(水) 23:19:03.09 ID:x5aURJXg0
・
・
・
~朝~
女騎士「……」
女騎士「……」ムクリ
女騎士「……ん~」
女騎士「――」ノビー
女騎士「……っはぁ……」
女騎士「……」
女騎士(爽快だ……)
女騎士(爽快すぎる……!)
女騎士「……こんなに軽かったのか、私の身体……!」ノビーッ
女騎士「……」
女騎士「あれ、魔女……」
・
・
~朝~
女騎士「……」
女騎士「……」ムクリ
女騎士「……ん~」
女騎士「――」ノビー
女騎士「……っはぁ……」
女騎士「……」
女騎士(爽快だ……)
女騎士(爽快すぎる……!)
女騎士「……こんなに軽かったのか、私の身体……!」ノビーッ
女騎士「……」
女騎士「あれ、魔女……」
168: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/23(水) 23:19:34.52 ID:x5aURJXg0
・
・
・
女騎士「……あ、いた」
魔女「あら、おはよう、騎士さん」
女騎士「おはよう、魔女」
魔女「朝ごはん、準備してたんだけど……、時間あるかしらぁ?」
女騎士「え~っと、まだ大丈夫……。いいのか?」
魔女「うふふ、もちろん」
女騎士「美味しそうな匂いする……」
魔女「すぐできるわよ~♪」
女騎士「何作ってるんだ?」
魔女「んー、イモリの黒焼きとねえ……」
女騎士「……………………」
魔女「冗談よ、魔女ジョークよ」
女騎士「お、おう……」
・
・
女騎士「……あ、いた」
魔女「あら、おはよう、騎士さん」
女騎士「おはよう、魔女」
魔女「朝ごはん、準備してたんだけど……、時間あるかしらぁ?」
女騎士「え~っと、まだ大丈夫……。いいのか?」
魔女「うふふ、もちろん」
女騎士「美味しそうな匂いする……」
魔女「すぐできるわよ~♪」
女騎士「何作ってるんだ?」
魔女「んー、イモリの黒焼きとねえ……」
女騎士「……………………」
魔女「冗談よ、魔女ジョークよ」
女騎士「お、おう……」
169: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/23(水) 23:20:03.44 ID:x5aURJXg0
・
・
・
女騎士「……」ムグムグ
魔女「お茶のおかわりは、いかが?」
女騎士「いただこう」
魔女「よく眠れたみたいねぇ」
女騎士「あぁ、まさしく快眠、まるで生まれ変わったみたいな気分だな!」
魔女「ふふ、よかったわ……」
女騎士「……人間って、ちゃんと睡眠取らないと駄目なんだな」
魔女「そうねぇ」
女騎士「なんでだろうな」
魔女「なんでかしらねぇ……お茶のおかわりは?」
女騎士「いただこう」
・
・
女騎士「……」ムグムグ
魔女「お茶のおかわりは、いかが?」
女騎士「いただこう」
魔女「よく眠れたみたいねぇ」
女騎士「あぁ、まさしく快眠、まるで生まれ変わったみたいな気分だな!」
魔女「ふふ、よかったわ……」
女騎士「……人間って、ちゃんと睡眠取らないと駄目なんだな」
魔女「そうねぇ」
女騎士「なんでだろうな」
魔女「なんでかしらねぇ……お茶のおかわりは?」
女騎士「いただこう」
170: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/23(水) 23:20:33.74 ID:x5aURJXg0
・
・
・
魔女「忘れ物、ない?」
女騎士「ああ……、なんか多分、身一つで来たよな、私」
魔女「そういえば、そうね……」
女騎士「うん……ごめんな、色々」
魔女「いいのよう」
女騎士「ゆうべは……、本当、助かった」
魔女「いいったら、……律儀な子ねぇ」
女騎士「お礼、言ってなかったと思うから」
魔女「そうだったかしら?」
女騎士「うん、だから……ありがとう」
魔女「どういてしまして♪」
女騎士「……それじゃ」
魔女「いってらっしゃい」
女騎士「……」
魔女「いって、らっ、しゃいっ」
女騎士「……あ、ああ! いってきますっ!」
・
・
魔女「忘れ物、ない?」
女騎士「ああ……、なんか多分、身一つで来たよな、私」
魔女「そういえば、そうね……」
女騎士「うん……ごめんな、色々」
魔女「いいのよう」
女騎士「ゆうべは……、本当、助かった」
魔女「いいったら、……律儀な子ねぇ」
女騎士「お礼、言ってなかったと思うから」
魔女「そうだったかしら?」
女騎士「うん、だから……ありがとう」
魔女「どういてしまして♪」
女騎士「……それじゃ」
魔女「いってらっしゃい」
女騎士「……」
魔女「いって、らっ、しゃいっ」
女騎士「……あ、ああ! いってきますっ!」
171: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/23(水) 23:21:27.21 ID:x5aURJXg0
・
・
・
~都の中心部、騎士団詰所~
女騎士「……――このように、騎士団は既に、如何ともし難い状況に置かれており――……」
副団長「……」
女騎士「……これ以上の団の継続は不可能であると、現実的に判断せざるを得ない……」
騎士A「……」
女騎士「……よって、団長たるこの私の責任の下……」
騎士B「……」
女騎士「騎士団の、解散を宣言する」
「「「「…………」」」」
・
・
~都の中心部、騎士団詰所~
女騎士「……――このように、騎士団は既に、如何ともし難い状況に置かれており――……」
副団長「……」
女騎士「……これ以上の団の継続は不可能であると、現実的に判断せざるを得ない……」
騎士A「……」
女騎士「……よって、団長たるこの私の責任の下……」
騎士B「……」
女騎士「騎士団の、解散を宣言する」
「「「「…………」」」」
172: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/23(水) 23:21:59.61 ID:x5aURJXg0
女騎士「――といっても、しばらくは今まで通り、騎士団の任務を続けていく予定だ」
女騎士「諸君ら、団の全員が、新たな道……騎士団を離れた後の、行き先を見つけるまでは……」
女騎士「なんとか……、今の騎士団を維持していこうと思っている」
「「「「…………」」」」
女騎士「……すまないな、私がふがいないばかりに……」
女騎士「心から、みなには申し訳ないと思っている」
女騎士「……」
女騎士「……ごめん、なさい……」
騎士A「解散は……、騎士団は、いつまで保てそうなのですか」
女騎士「はっきりとは言えない……、けれど、いいとこで半年……いや、もっと短いかも」
騎士B「半年……、だったら」
女騎士「……」
騎士B「あと半年は、騎士でいていいんですよね、俺たち」
女騎士「え……」
173: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/23(水) 23:22:42.00 ID:x5aURJXg0
騎士A「最後の最後まで、『クワガタ』騎士団のメンバーでいたいもんな、俺たち」
騎士B「な。最後まで、できるだけのことして、恩返ししたいもんな、この団に」
ソウダナー
ナー
女騎士「……」
騎士A「騎士団がなくなる、そのときまで」
騎士B「騎士の一員でいていいですかねぇ、俺たち」
女騎士「も、もちろんだ! だが……」
副団長「団長殿……」
女騎士「……」
副団長「みな、同じ気持ちなのですよ」
女騎士「……副団長」
174: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/23(水) 23:23:44.06 ID:x5aURJXg0
副団長「団長殿がひとり、団のためにもがいて、苦しんで……」
女騎士「……」
副団長「心も身体も、ボロボロになっているとき、私たちは……、見ていることしか、できませんでした」
女騎士「……」
騎士A「言ってくれないんだもんな、団長ー」
騎士B「なー」
女騎士「え、ごめん……、本当、いや本当」
副団長「みな歯がゆくて、悔しくて……」
女騎士「……」
副団長「だから……」
女騎士「……」
副団長「みんな、貴方に報いたいと……、そう願っているのですよ」
女騎士「みんな……」
「「「「……」」」」
女騎士「みんな、ありがとう……」
・
・
・
175: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/23(水) 23:24:14.92 ID:x5aURJXg0
・
・
・
~数日後~
~訓練所~
ダンッダンッ
バシッ
女騎士「よしよし! みな気合十分だな! 感心感心っ」
女騎士(あれから……)
女騎士(騎士団は、今まで以上に精力的に、活発になっている……)
騎士A「団長! 次は俺と稽古、お願いします!」
女騎士「よろしい! 手加減はしないぞ!」
騎士B「団長! その次は俺と」
女騎士「ふふふ、いい気合いだ……、ならば私も、久しぶりに本気を出させてもらうとするか」ゴゴゴ
騎士A「あっ」
騎士B「あっ」
女騎士(団員、ひとりひとりが……)
女騎士(騎士でいられる時間を、胸に刻み込もうと、しているかのように……)
女騎士(すぐ先に、終わりが見えている……)
女騎士(今この瞬間を、惜しむかのように)
・
・
・
・
・
~数日後~
~訓練所~
ダンッダンッ
バシッ
女騎士「よしよし! みな気合十分だな! 感心感心っ」
女騎士(あれから……)
女騎士(騎士団は、今まで以上に精力的に、活発になっている……)
騎士A「団長! 次は俺と稽古、お願いします!」
女騎士「よろしい! 手加減はしないぞ!」
騎士B「団長! その次は俺と」
女騎士「ふふふ、いい気合いだ……、ならば私も、久しぶりに本気を出させてもらうとするか」ゴゴゴ
騎士A「あっ」
騎士B「あっ」
女騎士(団員、ひとりひとりが……)
女騎士(騎士でいられる時間を、胸に刻み込もうと、しているかのように……)
女騎士(すぐ先に、終わりが見えている……)
女騎士(今この瞬間を、惜しむかのように)
・
・
・
176: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/23(水) 23:24:46.14 ID:x5aURJXg0
・
・
・
~市街~
ザワザワ
ガヤガヤ
女騎士「下がれっ! みんな下がってくれ!」
ザワザワ
女騎士「ぐっ……。心配するな……、すぐ助けるからなっ……」
子犬「クゥーン……」
都民C「おぉ、あんなとこから落ちたら……ひとたまりもねぇよぉ」
都民D「うわぁ……俺もう見てられねぇ」
女騎士「っ……! もう一息……っ!」
ガシッ
・
・
~市街~
ザワザワ
ガヤガヤ
女騎士「下がれっ! みんな下がってくれ!」
ザワザワ
女騎士「ぐっ……。心配するな……、すぐ助けるからなっ……」
子犬「クゥーン……」
都民C「おぉ、あんなとこから落ちたら……ひとたまりもねぇよぉ」
都民D「うわぁ……俺もう見てられねぇ」
女騎士「っ……! もう一息……っ!」
ガシッ
177: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/23(水) 23:25:19.24 ID:x5aURJXg0
女騎士(……皮肉なことだが……)
女騎士(私自身、これまでないくらい、充実した日々を送っている……)
女騎士「……――ほら、もう大丈夫だからな」
子犬「キャン! キャン!」
オォォォ
パチパチパチ
女騎士(国のために、誰かのために、些細なことでも、汗をかいて)
女騎士(これが、私の求めた騎士の道だと、実感できるような……、かけがえのない日々)
都民E「あぁぁ……ありがとうございます、ありがとうございますっ」
女騎士「いやぁ、ワンコが無事で何よりだ!」
178: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/23(水) 23:25:59.03 ID:x5aURJXg0
子犬「クゥゥ……」
都民E「あら……」
女騎士「む? どこか怪我をしていただろうか?」
都民E「いえ……、この子に着せていたお洋服、ビリビリになっちゃっていて。この子のお気に入りだったから……」
女騎士「ふむ……」
都民E「私の母の手作りで……、いまはもう、亡くなってしまったのですが……」
子犬「……」シュン
女騎士「よければその服、お借りできないだろうか?」
都民E「え?」
・
・
・
都民E「あら……」
女騎士「む? どこか怪我をしていただろうか?」
都民E「いえ……、この子に着せていたお洋服、ビリビリになっちゃっていて。この子のお気に入りだったから……」
女騎士「ふむ……」
都民E「私の母の手作りで……、いまはもう、亡くなってしまったのですが……」
子犬「……」シュン
女騎士「よければその服、お借りできないだろうか?」
都民E「え?」
・
・
・
179: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/23(水) 23:26:25.94 ID:x5aURJXg0
・
・
・
~都の東「蜘蛛の森」魔女の屋敷~
魔女「……~♪」ヌイヌイ
女騎士「……」
魔女「~♪」ヌイヌイ
女騎士(もちろん……)
女騎士(まだ心の整理は、全然ついていない)
女騎士(時々、ふとした瞬間に)
女騎士(腹の奥に、しこりのように重たい感覚が――……)
魔女「……えい」ツン
女騎士「うわぁっ! びっくりしたぁ!」
魔女「また難しいこと、考えてたでしょ」
女騎士「う……、なんで分かるんだよ……」
・
・
~都の東「蜘蛛の森」魔女の屋敷~
魔女「……~♪」ヌイヌイ
女騎士「……」
魔女「~♪」ヌイヌイ
女騎士(もちろん……)
女騎士(まだ心の整理は、全然ついていない)
女騎士(時々、ふとした瞬間に)
女騎士(腹の奥に、しこりのように重たい感覚が――……)
魔女「……えい」ツン
女騎士「うわぁっ! びっくりしたぁ!」
魔女「また難しいこと、考えてたでしょ」
女騎士「う……、なんで分かるんだよ……」
180: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/23(水) 23:27:09.69 ID:x5aURJXg0
魔女「ふふふ、なんでか教えてあげしょうか?」
女騎士「……うん」
魔女「実はねぇ……」
女騎士「……」
魔女「……騎士さん、すっごい顔に出る方よ」
女騎士「えぇ~……、うっそぉ」
魔女「本当に。……はい、できたわよ」
女騎士「おぉ!」
魔女「どうかしら」
女騎士「うむ! ばっちりだ! 器用なものだな……」
魔女「これくらい、アサメシ前ね」
女騎士「これならあのワンコも文句あるまい」
魔女「騎士さん、犬のことワンコって呼ぶのね……」
・
・
・
女騎士「……うん」
魔女「実はねぇ……」
女騎士「……」
魔女「……騎士さん、すっごい顔に出る方よ」
女騎士「えぇ~……、うっそぉ」
魔女「本当に。……はい、できたわよ」
女騎士「おぉ!」
魔女「どうかしら」
女騎士「うむ! ばっちりだ! 器用なものだな……」
魔女「これくらい、アサメシ前ね」
女騎士「これならあのワンコも文句あるまい」
魔女「騎士さん、犬のことワンコって呼ぶのね……」
・
・
・
181: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/23(水) 23:27:39.18 ID:x5aURJXg0
・
・
・
女騎士(穏やかに日々が過ぎていく……)
女騎士(こんな毎日の中で)
女騎士(いつかきっと、時間が解決してくれることも、あるのかもしれない……)
女騎士(……あの老騎士殿が、語ったように……)
・
・
・
182: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/23(水) 23:28:11.38 ID:x5aURJXg0
・
・
・
~数日後・王都 王府庁舎内~
役人「そうでしたか……、寂しくなります、本当に……」
女騎士「あぁ……、だがまだしばらくは、君の世話になる予定だがな」
役人「そうなんですね……、でしたら私も、全力でサポートしますから!」
女騎士「ははは! ぜひ頼む! ……それで」
役人「あ、ええ、お願いしたい件というのは、実は……」
女騎士「うん」
役人「……『東の蜘蛛の森の魔女』の、探索と拘束という話でして」
女騎士「うん……うん?」
・
・
~数日後・王都 王府庁舎内~
役人「そうでしたか……、寂しくなります、本当に……」
女騎士「あぁ……、だがまだしばらくは、君の世話になる予定だがな」
役人「そうなんですね……、でしたら私も、全力でサポートしますから!」
女騎士「ははは! ぜひ頼む! ……それで」
役人「あ、ええ、お願いしたい件というのは、実は……」
女騎士「うん」
役人「……『東の蜘蛛の森の魔女』の、探索と拘束という話でして」
女騎士「うん……うん?」
183: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/23(水) 23:29:00.23 ID:x5aURJXg0
役人「あ、分かりますよ、その反応。おとぎ話じゃないの? って。思いますよね。私も思いましたもん」
女騎士「え、え、えちょっと」
役人「でも、実在する人物の話なんです! 報告では、一部の都民が接触しているとの証言が――……」
女騎士「ちょっと、ちょっと待って……」
役人「あ、はい」
女騎士「……あの……、なんで?」
役人「う~ん、王立軍の方では、手が回らないようでして……、他の騎士団にも打診してみたのですが、皆さん乗り気じゃ――」
女騎士「いや、なんで私たちがやるの、ってことじゃなくて……」
役人「あぁ」
女騎士「なんで魔女――……えっと、『東の蜘蛛の森の魔女』を、捕らえる必要があるんだ?」
役人「……女騎士さんも、ご存知かと思いますが、最近の行方不明事件……」
女騎士「……女児3名が、相次いで……、っていう、あれか?」
役人「それです」
184: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/23(水) 23:30:20.91 ID:x5aURJXg0
女騎士「その事件と魔女と、どういう関係なんだ?」
役人「王立軍が、王都内をくまなく調査しましたが、3人の消息は一切掴めませんでした」
女騎士「……」
役人「あと、調査が及んでいない地域といえば、『東の蜘蛛の森』くらいでして」
女騎士「……誘拐かもしれん。だとすれば、すでに王都を出てしまっているかも……」
役人「城門警備隊は、断固として否定しています」
女騎士「だからって、その魔女の仕業だとは……!」
役人「それを調べていただきたい、というのが、今回の依頼なんです……」
女騎士「……つまり……つまり、だ」
役人「……」
女騎士「つまり、無関係かもしれん者に、縄をかけよというわけだろ? 騎士である我々が?」
役人「……あの」
女騎士「なんだ?」
役人「……な、なんか、怒ってます?」
女騎士「えなんで? なんで私怒る必要全然なくない? むしろ全然普通だしっていうか逆に冷静だと思うし実際怒ってないし?」
役人「ひぅぅぅっ!」
役人「王立軍が、王都内をくまなく調査しましたが、3人の消息は一切掴めませんでした」
女騎士「……」
役人「あと、調査が及んでいない地域といえば、『東の蜘蛛の森』くらいでして」
女騎士「……誘拐かもしれん。だとすれば、すでに王都を出てしまっているかも……」
役人「城門警備隊は、断固として否定しています」
女騎士「だからって、その魔女の仕業だとは……!」
役人「それを調べていただきたい、というのが、今回の依頼なんです……」
女騎士「……つまり……つまり、だ」
役人「……」
女騎士「つまり、無関係かもしれん者に、縄をかけよというわけだろ? 騎士である我々が?」
役人「……あの」
女騎士「なんだ?」
役人「……な、なんか、怒ってます?」
女騎士「えなんで? なんで私怒る必要全然なくない? むしろ全然普通だしっていうか逆に冷静だと思うし実際怒ってないし?」
役人「ひぅぅぅっ!」
190: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/24(木) 22:21:01.39 ID:GWfyUqhJ0
女騎士「だいたいさぁ、王立軍が手一杯って、そんなわけないじゃん……。ちょっとでも怪しかったら、自分たちでやるでしょ彼ら……」ブツブツ
役人「……」
女騎士「それを汚れ仕事押し付けるみたいなさぁ……、いや分かるけどね私らもね、そういう役回りなんだって分かってるんだけどね」ブツブツ
役人「……」
役人(女騎士さん……、不機嫌になると、こんな感じなんだ……)
役人「た、確かに、魔女を捕縛するといっても、大義名分はあまり立っていないと思います……」
女騎士「だったら先に、証拠なり証言なり集めるのが筋だろう……」
役人「その通りではあるんですが……、う~ん……」
女騎士「?」
役人「いえ……確かな話ではないのですが、今回の件、裏というか……違う狙いがあるようで」
女騎士「どういうことだ?」
191: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/24(木) 22:21:36.62 ID:GWfyUqhJ0
役人「この行方不明事件……、王立軍も、国外に連れ去られた疑いが、濃厚だと見ているようでして」
女騎士「そうなの?」
役人「はい……。まぁ、相当力を入れて、探索していたようですからね。王都内にいる可能性は、まずないだろうと、言っています」
女騎士「ふぅん」
役人「ただ、もちろん国境を管理する城門警備隊は、そんなことはありえない、と」
女騎士「まあ、当然そう言うだろうな」
役人「ええ……、それで、ほら、その2つの組織って、管理局が違うじゃないですか?」
女騎士「あぁ」
役人「王立軍を管理する軍務局と……」
女騎士「……」
役人「城門警備隊を管轄する、内務局の間で、責任の擦り付け合いみたいなことが、ひっそりと起きてるんですね」
女騎士「はぁ……なんだかなぁ……」
192: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/24(木) 22:22:33.96 ID:GWfyUqhJ0
役人「……ここからは、王立軍の方から聞いた話なんですが……」
女騎士「……」
役人「……軍務局も内務局も、自分たちの責任は認めたくない」
女騎士「うん」
役人「だけど、お互いに責任の押し付け合い、大人げない喧嘩をするのも、本当は避けたいはず」
女騎士「うん……」
役人「……もし、そんな状況で、実行犯は『森』の住人だった、となれば……?」
女騎士「……」
役人「王立軍も、城門警備隊も、自分の仕事に瑕疵はなかった、となり」
女騎士「……おい」
役人「……軍務局と内務局も、無闇ないさかいを避けられる」
女騎士「おいおいっ」
193: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/24(木) 22:23:20.69 ID:GWfyUqhJ0
役人「……すっごく、都合の良い話になりませんか?」
女騎士「待ってくれ! そ、そんなの……っ!」ガタッ
役人「ひぁっ」
女騎士「それじゃあ何か!? 王立軍は自分たちの政治のために、魔女を捕らえて!!」
役人「あわわわ、おち、おちつ――……」
女騎士「都合よく罪を被ってもらおうというのか!? そんなことっ! 許されるとでも……っ!」ダンッ
役人「うぅぅ……」ビクン
女騎士「っ……、あ――……、いや……すまない……」
役人「おお落ち着いて……くださいぃ……」ビクビク
女騎士「あ、あぁ……悪かった。つい、カッとなって……」
役人「……うぅ、……女騎士さんの言うことも、分かります」
女騎士「……」
194: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/24(木) 22:24:03.23 ID:GWfyUqhJ0
役人「ただ、もし本当に、『魔女』だったら……」
女騎士「……」
役人「多くの人は、女騎士さんのように、間違ってるって、怒ったりはしないと思います……」
女騎士「……」
役人「王都の人間にとって、『東の蜘蛛の森の魔女』は」
女騎士「……」
役人「半分はおとぎ話で、半分は実際の恐怖の対象ですからね……」
女騎士「……」
――怖い魔女が住んでいて――
――森に迷った子を捕まえて――
――醜い蜘蛛に変えてしまう――
女騎士「……」
195: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/24(木) 22:24:33.25 ID:GWfyUqhJ0
女騎士(もし……)
女騎士(もし魔女が、捕まったりなんかしたら……)
女騎士(……あの子に味方なんて……)
女騎士(誰ひとり……)
役人「……あ、あのぅ」
女騎士「……ん?」
役人「やっぱり、止めておきますか?」
女騎士「む……」
役人「気乗りする話じゃないのは、よく分かりますし……」
女騎士「……」
役人「……」
女騎士「……」
役人「……」
女騎士「……いや、やる」
196: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/24(木) 22:25:04.46 ID:GWfyUqhJ0
役人「え?」
女騎士「やらせてもらおう。どんな理由であれ、騎士はその務めを果たすべきだからな!」
役人「い、いいんですか……?」
女騎士「もちろんだとも! しかしなーいやーまいったなー」
役人「え?」
女騎士「すぐ行きたいのはなー、やまやまなんだけどなー」
役人「……あの」
女騎士「たいへんだからなー、うちの騎士団ー、いまたいへんだからなー」
役人「え、ええ……、その辺の事情は、よくわかりま――」
女騎士「準備だけでもなー、相当な日数かかるだろうなー。十日……いや2週間はかかるだろうなーたいへんだからー」
役人「そ、そこは、仕方ないということで、理解してもらえると思い――」
女騎士「そーかそーかー! じゃあお言葉に甘えて、じーっくり支度して、しーっかり任務にあたらせてもらおうかなー!」
役人「はぁ……」
女騎士「よぉうし、わるいまじょめー、くびをあらってまっていろー!」ハッハッハ
役人「……」ポカーン
197: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/24(木) 22:25:39.99 ID:GWfyUqhJ0
・
・
・
~王都・市街~
・
・
・
女騎士「……」
女騎士「……」タッ
女騎士「……」タッタッタ…
女騎士(……魔女……)
女騎士(……魔女っ……)
女騎士「……」ダッ!
・
・
・
・
・
~王都・市街~
・
・
・
女騎士「……」
女騎士「……」タッ
女騎士「……」タッタッタ…
女騎士(……魔女……)
女騎士(……魔女っ……)
女騎士「……」ダッ!
・
・
・
198: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/24(木) 22:26:10.63 ID:GWfyUqhJ0
・
・
・
~都の東「蜘蛛の森」魔女の屋敷~
・
・
・
魔女「あらぁ」
女騎士「……」
魔女「あらあら……」
女騎士「……」
魔女「それはぁ……困るわねぇ」
女騎士「そんな悠長な……」
・
・
~都の東「蜘蛛の森」魔女の屋敷~
・
・
・
魔女「あらぁ」
女騎士「……」
魔女「あらあら……」
女騎士「……」
魔女「それはぁ……困るわねぇ」
女騎士「そんな悠長な……」
199: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/24(木) 22:26:46.73 ID:GWfyUqhJ0
魔女「はぁ……どうしようかしら」
女騎士「……魔女」
魔女「えぇ」
女騎士「すまない……、こんな暴挙、私が止められれば……」
魔女「もう、また背負いこむ……」
女騎士「……」
魔女「貴方のせいじゃ、ないでしょう?」
女騎士「……けれど」
魔女「すまないなんて、言う必要ないのよ」ナデナデ
女騎士「……こんなときなのに、お前は……」
女騎士「……魔女」
魔女「えぇ」
女騎士「すまない……、こんな暴挙、私が止められれば……」
魔女「もう、また背負いこむ……」
女騎士「……」
魔女「貴方のせいじゃ、ないでしょう?」
女騎士「……けれど」
魔女「すまないなんて、言う必要ないのよ」ナデナデ
女騎士「……こんなときなのに、お前は……」
200: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/24(木) 22:27:18.90 ID:GWfyUqhJ0
魔女「でも本当、どうしようかしらねぇ」
女騎士「……魔女」
魔女「ん?」
女騎士「……逃げてくれ」
魔女「……」
女騎士「この国から離れて――……いや、せめて森から離れるだけでもいい」
魔女「……」
女騎士「幸い、お前のことを知っている人は少ないし、王都に身を隠せば……」
魔女「そうねぇ……」
女騎士「そ、そうだ!」
201: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/24(木) 22:27:44.99 ID:GWfyUqhJ0
魔女「うん?」
女騎士「う、うちに身を寄せたら、い、いいんじゃないか!?」
魔女「騎士さんの家?」
女騎士「あ、あぁ! そうすれば色々……、あの――、なんだ、私が匿ったり、そういうの、できるし……」
魔女「ん~……」
女騎士「……」
魔女「遠慮しておくわぁ」
女騎士「あ――……」
魔女「ごめんなさいね」
女騎士「……あ、あぁ……いや、こっちこそ……、急に変なこと言っちゃって」
202: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/24(木) 22:28:15.11 ID:GWfyUqhJ0
魔女「うぅん……」
女騎士「だ、だがな……、できる限り早く、森を離れて、身を隠してくれ」
魔女「……」
女騎士「それまでは、私が何とか時間を稼ぐから……」
魔女「……」
女騎士「……お前には、無事でいてほしいんだよ……」
魔女「……」
女騎士「……」
魔女「……分かったわぁ」
女騎士「……そ、そうか!」
203: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/24(木) 22:28:47.00 ID:GWfyUqhJ0
女騎士「この屋敷も、私が責任もって、荒らさせないし……、絶対に守るし……」
魔女「……ありがとうね、騎士さん」ニコリ
女騎士「……」
女騎士(……あぁ)
女騎士(……いつも通りに、笑ってくれるんだな、お前は……)
女騎士「……」
魔女「……」
女騎士「……あの」
魔女「……え?」
女騎士「また、会えるよな……?」
魔女「……すぐ会えるわよ」
女騎士「……」
魔女「……」
女騎士「……さよならって、言わなくていい?」
魔女「もちろん」
207: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/26(土) 20:38:55.92 ID:5SlwGYpT0
・
・
・
~2週間くらい後~
~「蜘蛛の森」入り口~
ザッザッ
ザッザッ
女騎士「……はぁ」
副団長「……」
ザッザッ
ザッザッ
女騎士「……」
副団長「……」
女騎士「……はぁ」
副団長「……」
・
・
~2週間くらい後~
~「蜘蛛の森」入り口~
ザッザッ
ザッザッ
女騎士「……はぁ」
副団長「……」
ザッザッ
ザッザッ
女騎士「……」
副団長「……」
女騎士「……はぁ」
副団長「……」
208: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/26(土) 20:39:24.56 ID:5SlwGYpT0
ザッザッ
ザッザッ
女騎士「……はぁぁぁ」
副団長「……団長殿」
女騎士「うん?」
副団長「お疲れなのは、分かりますが……そう溜息ばかりつかれては」
女騎士「う……」
副団長「団の者の士気にも関わりますので」
女騎士「わ……分かってる」
副団長「……」
ザッザッ
ザッザッ
女騎士「……」
~~~~
魔女『遠慮しておくわぁ』
魔女『ごめんなさいね』
~~~~
女騎士「……はぁ」
副団長「……」
209: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/26(土) 20:39:56.90 ID:5SlwGYpT0
女騎士(……躊躇いもなく断られてしまった……)
女騎士(やっぱり、唐突過ぎただろうか……)
女騎士(……いや、結局は騎士など、アテになんてできない、とか――……)
女騎士(……いやいや! 魔女がそんな風に思うわけない!)
女騎士(でも、もしかしたら重すぎたかも……)
女騎士(魔女に、引かれてたら……)
女騎士「……」
女騎士(……結構)
女騎士(距離、縮まったと思ってたんだけどな……)
女騎士「……はぁぁぁ」
副団長「団長殿」
女騎士「あ、いや、うん。すまない」
210: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/26(土) 20:40:26.10 ID:5SlwGYpT0
ザッザッ
ザッザッ
女騎士(……魔女)
女騎士(ちゃんと逃げられただろうか……)
女騎士(……それらしい人物が捕まったという話は、聞いていないが……)
副団長「全員とまれー!」
騎士A「お」
騎士B「……」ピタッ
副団長「……では、団長殿」
女騎士「えー……この先を行くと、魔女の屋敷――……」
女騎士「……えっと、報告によると、そうらしい! そういうことらしい!」
女騎士「諸君らはあくまで、騎士らしく、紳士的に振る舞うこと!」
女騎士「魔女らしい人物が見当たらなくても――……いや、いると思うけど! いると思うから行くんだけど!」
女騎士「屋敷を荒らしたり、無道な真似は避けるように!」
211: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/26(土) 20:40:52.90 ID:5SlwGYpT0
・
・
・
騎士A「……団長、またシンドそうだな」
騎士B「な」
騎士A「なんでだろうな」
騎士B「さぁ……、魔女が怖いとか?」
騎士A「まさかぁ。そもそも魔女なんてさぁ……」
騎士B「でも、ほら、あそこ……屋敷あるじゃん」
騎士A「おっ」
騎士B「魔女の――……」
騎士A「……」
騎士B「……」
騎士A「……な、なんか、緊張してきたな」
騎士B「な」
・
・
騎士A「……団長、またシンドそうだな」
騎士B「な」
騎士A「なんでだろうな」
騎士B「さぁ……、魔女が怖いとか?」
騎士A「まさかぁ。そもそも魔女なんてさぁ……」
騎士B「でも、ほら、あそこ……屋敷あるじゃん」
騎士A「おっ」
騎士B「魔女の――……」
騎士A「……」
騎士B「……」
騎士A「……な、なんか、緊張してきたな」
騎士B「な」
212: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/26(土) 20:41:19.94 ID:5SlwGYpT0
女騎士(……魔女)
女騎士(……どこに行ったかなぁ)
女騎士「……はぁぁ」
副団長「団長殿!」
女騎士「あぁ……、ごめんって」
副団長「そうではなく! 前を……っ!」
女騎士「え?」クルッ
魔女「……」ニッコリ
副団長「人が……!」
魔女「……あらあら、こんなにお客様がたくさん……、ティーカップは足りるかしら」
女騎士「魔女っ……」
騎士A「魔女……?」
騎士B「魔女かなぁ」
213: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/26(土) 20:41:53.65 ID:5SlwGYpT0
副団長「違うかな……?」
騎士A「普通のお姉さんでは? 魔女って言ったら、もっとこう……」
騎士B「なぁ。もっと雰囲気とか、そういうのが……」
副団長「うーん……、……そこの方」
魔女「……ええと」
副団長「……」
魔女「……帽子、とんがり帽子……」ガサゴソ
副団長「……」
魔女「……」カブリカブリ
副団長「……」
魔女「はいっ!」
副団長「魔女……!」
騎士AB「「魔女だ……!」」
魔女「魔女よう」
騎士A「普通のお姉さんでは? 魔女って言ったら、もっとこう……」
騎士B「なぁ。もっと雰囲気とか、そういうのが……」
副団長「うーん……、……そこの方」
魔女「……ええと」
副団長「……」
魔女「……帽子、とんがり帽子……」ガサゴソ
副団長「……」
魔女「……」カブリカブリ
副団長「……」
魔女「はいっ!」
副団長「魔女……!」
騎士AB「「魔女だ……!」」
魔女「魔女よう」
214: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/26(土) 20:42:26.30 ID:5SlwGYpT0
女騎士「お前……どうして……」
魔女「うふふ、どうしてって、ここ、私のおうちよ?」
女騎士「逃げてって……」
魔女「はい逃げます、とは言ってないわぁ」
女騎士「『分かった』って言ったじゃん!」
魔女「『騎士さんの言い分は分かった』ってことよ。従うかどうかは別として」
女騎士「ズルじゃん!」
魔女「魔女だもの」フフン
女騎士「ズルい! ズル魔女!」
魔女「なによう」
女騎士「だってそうじゃん! 嘘つき! 嘘魔女ー!」
魔女「……クマ女」ボソッ
女騎士「あっ! お前なー! 人が気にしていることをだなーっっ!」
副団長「……あの、団長殿? いったい何を……」
女騎士「待て! 後で説明するから! ちゃんっと全部話すから、今はしばらく待て!」
副団長「は、はぁ……」
215: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/26(土) 20:42:58.15 ID:5SlwGYpT0
女騎士「どうして分からないんだっ」
魔女「分かってないのは、騎士さんの方よ」
女騎士「な……」
魔女「居場所を守るためだったら、ちょっと無理してでもがんばらないと……、そうじゃない?」
女騎士「……!」
魔女「それを教えてくれたのは、騎士さんよ」
女騎士「だけど……っ」
魔女「私は『東の蜘蛛の森の魔女』」
女騎士「……」
魔女「この森とともに生きて、この森で死ぬの」
女騎士「……」
魔女「『魔女』を森から動かしたかったら、力づくで――……」
女騎士「……」
魔女「やってごらんなさい?」
女騎士「お前……」
216: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/26(土) 20:43:27.25 ID:5SlwGYpT0
女騎士「……本気か?」
魔女「当然」
女騎士「私とて、騎士の端くれ、こうなった以上は――……」
魔女「ふふふ……」
女騎士「……第一班、抜剣」
チャッ
チャキ
副団長「……よろしいので?」
女騎士「相手に恭順の意思なしとなれば、実力行使しかあるまい」
副団長「しかし……」
女騎士「我々は騎士。国のため、務めを果たすことだけを考えろ」
副団長「……」
女騎士「魔女っ! これが最後の警告だ!」
217: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/26(土) 20:43:55.60 ID:5SlwGYpT0
女騎士「て、抵抗……しないで、くれ……」
魔女「怖いわね、騎士さん」
女騎士「た、頼む……」
魔女「でも、そう簡単に捕まるつもりもないのよ、私」
女騎士「……」
魔女「……」
女騎士「……っ、警告はしたぞ……」
魔女「……ふふ」
女騎士「全員前へ――……」
218: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/26(土) 20:44:29.34 ID:5SlwGYpT0
ザワザワザワザワッ
ガサガサガサッ
女騎士「……――っ!?」
女騎士(なんだ……!?)
女騎士(森が……)
魔女「……――の、薫風の祝福――……女神――の名の星より――……」ブツブツ
魔女「……reyug……zo――……tio――bo……かくあるべし――……」ブツブツ
ガサガサガサッ
ガサガサッ
女騎士「……これは」
副団長「団長殿……っ!?」
女騎士「うろたえるな! しっかり――……」
副団長「ち、違います! 足が……っ」
女騎士「なっ……」
219: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/26(土) 20:44:59.23 ID:5SlwGYpT0
女騎士(足が……)
女騎士(足が動かない……っ! まるで地面に、吸い付いてるみたいに……)
魔女「『森は網にして牙』」
魔女「『森は罠にして狩人』」
魔女「命は森より繁茂し森へと還る……」
魔女「さぁ、貴方達も……、その生気を森に捧げなさい……」
女騎士「なんだ……身体が……!」
女騎士(急に体が重く……)
女騎士(力が……抜けていく……)
ザワザワザワッ
騎士A「……うぅぅ」ガク
騎士B「……剣が、持てない……」カラン
220: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/26(土) 20:45:54.49 ID:5SlwGYpT0
女騎士「くぅ……っ、みんな……しっかり……」
魔女「無駄よ。今の貴方達は、蜘蛛の罠にかかった蝶も同然――……」
女騎士「魔女……っ、お前これ……」
魔女「うふふ」
女騎士「これ……魔法じゃん!」
魔女「うん」
女騎士「魔女は魔法使えないって――……」
魔女「あら、魔女は魔法なんて、使えないけど」
女騎士「……」
魔女「だけど、『私が』魔法を使えないなんて、言ってないわねぇ?」
女騎士「ズルじゃん……! もう……っ!」
魔女「言ってる場合かしら? このまま森は、貴方達の生気を吸いつくすわよ?」
女騎士「うぐ……」
魔女「ふふ……さぁ――……」
221: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/26(土) 20:46:27.88 ID:5SlwGYpT0
魔女「お眠りなさい、安らかに――」
女騎士「くっ、やめろ……!」
225: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/27(日) 15:29:05.24 ID:Nk2ry+KR0
女騎士「くそ……っ」ザッ
魔女「驚いた……、まだ動けるのねぇ」
女騎士「こんな、もの……、完徹ウン日目のダルさに比べれば……っ」ザシッ
魔女「どこから来るの、その体力……」
女騎士「ふんっ……」ザッ
魔女「けれど、やめておきなさい。それ以上動けば、命にかかわるわ」
女騎士「……」ザッ
魔女「……い、命に、かかわるって、言ってるでしょ?」
女騎士「……」ザッ
魔女「やめ……やめてったら」
女騎士「魔女……」ザッ
魔女「お願いっ……やめてっ」
女騎士「ま――……」フラ
魔女「騎士さん!?」
魔女「驚いた……、まだ動けるのねぇ」
女騎士「こんな、もの……、完徹ウン日目のダルさに比べれば……っ」ザシッ
魔女「どこから来るの、その体力……」
女騎士「ふんっ……」ザッ
魔女「けれど、やめておきなさい。それ以上動けば、命にかかわるわ」
女騎士「……」ザッ
魔女「……い、命に、かかわるって、言ってるでしょ?」
女騎士「……」ザッ
魔女「やめ……やめてったら」
女騎士「魔女……」ザッ
魔女「お願いっ……やめてっ」
女騎士「ま――……」フラ
魔女「騎士さん!?」
226: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/27(日) 15:29:51.95 ID:Nk2ry+KR0
女騎士「――」ドサッ
副団長「団長殿……!」
騎士A「団長っ」
魔女「きっ……!」ダッ
女騎士「……」
魔女「ああっ! あぁ……なんてこと! 騎士さん! 騎士さん!」ガシッ
女騎士「……」
魔女「あぁぁ……こんな、ごめんなさい、ごめんね……許して、お願い、目を開けて……」
女騎士「……」
魔女「だめ、お願いよ……騎士さん、騎士――……」
女騎士「スヤァ」
魔女「……」
副団長「……」
騎士B「……」
女騎士「スヤスヤ」
副団長「団長殿……!」
騎士A「団長っ」
魔女「きっ……!」ダッ
女騎士「……」
魔女「ああっ! あぁ……なんてこと! 騎士さん! 騎士さん!」ガシッ
女騎士「……」
魔女「あぁぁ……こんな、ごめんなさい、ごめんね……許して、お願い、目を開けて……」
女騎士「……」
魔女「だめ、お願いよ……騎士さん、騎士――……」
女騎士「スヤァ」
魔女「……」
副団長「……」
騎士B「……」
女騎士「スヤスヤ」
227: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/27(日) 15:30:55.03 ID:Nk2ry+KR0
女騎士「……ウーン」
魔女「……」
副団長「……」
騎士AB「「……」」
女騎士「……ンヘヘヘェ」ムニャムニャ
魔女「……あの」
副団長「……」
魔女「……あ、……ふ、ふふふふっ! 今日のところは見逃してあげるわ! 大人しくお退きなさぁい!?」
副団長「……」
魔女「この騎士さんは……えーと、預からせてもらうわ! よ、よく寝てるし!」
副団長「……」
魔女「お、起こすと、かわいそうだし……」
騎士A「……」
騎士B「……」
魔女「ちゃんと、ベッドで寝かせてあげたいし……」
副団長「……」
騎士A「……」
騎士B「……」
魔女「……ねっ」
女騎士「……フガフガ」スヤスヤ
魔女「……」
副団長「……」
騎士AB「「……」」
女騎士「……ンヘヘヘェ」ムニャムニャ
魔女「……あの」
副団長「……」
魔女「……あ、……ふ、ふふふふっ! 今日のところは見逃してあげるわ! 大人しくお退きなさぁい!?」
副団長「……」
魔女「この騎士さんは……えーと、預からせてもらうわ! よ、よく寝てるし!」
副団長「……」
魔女「お、起こすと、かわいそうだし……」
騎士A「……」
騎士B「……」
魔女「ちゃんと、ベッドで寝かせてあげたいし……」
副団長「……」
騎士A「……」
騎士B「……」
魔女「……ねっ」
女騎士「……フガフガ」スヤスヤ
228: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/27(日) 15:31:42.80 ID:Nk2ry+KR0
・
・
・
~魔女の屋敷・寝室~
女騎士「……」
魔女「……」
女騎士「……ん、ん」
魔女「あら」
女騎士「……ん~」ムクリ
魔女「騎士さん……」
女騎士「あぁ、魔女……おはよう」
魔女「大丈夫? 身体、痛いところない? 具合は? おかしいところない?」
女騎士「……いや? いたって快調だが」
魔女「そう、よかったぁ……」ホッ
女騎士「たっぷり眠れて、むしろ回復した気分だな!」ハッハッハッ
魔女「どうなってるのよ、貴方の体力……」
・
・
~魔女の屋敷・寝室~
女騎士「……」
魔女「……」
女騎士「……ん、ん」
魔女「あら」
女騎士「……ん~」ムクリ
魔女「騎士さん……」
女騎士「あぁ、魔女……おはよう」
魔女「大丈夫? 身体、痛いところない? 具合は? おかしいところない?」
女騎士「……いや? いたって快調だが」
魔女「そう、よかったぁ……」ホッ
女騎士「たっぷり眠れて、むしろ回復した気分だな!」ハッハッハッ
魔女「どうなってるのよ、貴方の体力……」
229: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/27(日) 15:32:15.71 ID:Nk2ry+KR0
女騎士「他の者は?」
魔女「お帰りいただいたわ」
女騎士「そっか」
魔女「……、……ごめんなさいね、騎士さん」
女騎士「ん?」
魔女「私……騎士さんや、皆さんに酷いことしちゃって……」
女騎士「気にすることはない」
魔女「でも……」
女騎士「我らは務めを果たそうとした。お前は身を守ろうとした」
魔女「……」
女騎士「お互い、なすべきことをなしただけだろう」
魔女「……騎士さんらしいわねぇ」
魔女「お帰りいただいたわ」
女騎士「そっか」
魔女「……、……ごめんなさいね、騎士さん」
女騎士「ん?」
魔女「私……騎士さんや、皆さんに酷いことしちゃって……」
女騎士「気にすることはない」
魔女「でも……」
女騎士「我らは務めを果たそうとした。お前は身を守ろうとした」
魔女「……」
女騎士「お互い、なすべきことをなしただけだろう」
魔女「……騎士さんらしいわねぇ」
230: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/27(日) 15:32:54.30 ID:Nk2ry+KR0
女騎士「しかしまぁ、一瞬本気で殺されるかと思ってしまったがな!」ハッハッハ
魔女「あら、本気だったわよ」
女騎士「お、おう……」
魔女「本気……の、つもりだったんだけど」
女騎士「……」
魔女「『魔女』でいるためなら、どんな酷いことでも、するつもりだったけど……」
女騎士「……」
魔女「できるつもりだったんだけどねぇ……」
女騎士「うん……」
魔女「だめねぇ……、いざとなったら、怖くなっちゃって……」
女騎士「魔女は、優しいから」ナデナデ
魔女「あら、本気だったわよ」
女騎士「お、おう……」
魔女「本気……の、つもりだったんだけど」
女騎士「……」
魔女「『魔女』でいるためなら、どんな酷いことでも、するつもりだったけど……」
女騎士「……」
魔女「できるつもりだったんだけどねぇ……」
女騎士「うん……」
魔女「だめねぇ……、いざとなったら、怖くなっちゃって……」
女騎士「魔女は、優しいから」ナデナデ
231: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/27(日) 15:33:53.35 ID:Nk2ry+KR0
魔女「ありがと、騎士さん……」
女騎士「いつもとは、反対だなぁ」ナデ
魔女「ふふ、そうね……。はぁ……、どうしようかしら、これから……」
女騎士「こうなった以上、おそらく王立軍も捨て置かないだろう」
魔女「……」
女騎士「人数も、武装も、我々の比ではない。今度ばかりは、流石に……」
魔女「……ふぅ」
女騎士「……なぁ、魔女」
魔女「うん?」
女騎士「決めたよ、私は」
魔女「……」
女騎士「もう、お前に森から離れろとは言わない……」
魔女「……」
女騎士「いつもとは、反対だなぁ」ナデ
魔女「ふふ、そうね……。はぁ……、どうしようかしら、これから……」
女騎士「こうなった以上、おそらく王立軍も捨て置かないだろう」
魔女「……」
女騎士「人数も、武装も、我々の比ではない。今度ばかりは、流石に……」
魔女「……ふぅ」
女騎士「……なぁ、魔女」
魔女「うん?」
女騎士「決めたよ、私は」
魔女「……」
女騎士「もう、お前に森から離れろとは言わない……」
魔女「……」
232: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/27(日) 15:34:19.70 ID:Nk2ry+KR0
女騎士「だが、私も森に残る」
魔女「騎士さん……」
女騎士「森で、お前を守るよ……」
魔女「だめよ、そんなの……」
女騎士「いつか、魔女、言ってくれただろ?」
魔女「……」
女騎士「ここは、私の居場所でもあるって」
魔女「だけど……」
女騎士「魔女の隣は、私の場所だって」
魔女「……」
女騎士「だったら、その場所を……今度こそ、守りたい」
魔女「……」
女騎士「最後の最後、ぎりぎりまで、どうか――……」
魔女「……仕方のない人ねぇ」
女騎士「魔女……」
魔女「……、……ありがと、騎士さん」
魔女「騎士さん……」
女騎士「森で、お前を守るよ……」
魔女「だめよ、そんなの……」
女騎士「いつか、魔女、言ってくれただろ?」
魔女「……」
女騎士「ここは、私の居場所でもあるって」
魔女「だけど……」
女騎士「魔女の隣は、私の場所だって」
魔女「……」
女騎士「だったら、その場所を……今度こそ、守りたい」
魔女「……」
女騎士「最後の最後、ぎりぎりまで、どうか――……」
魔女「……仕方のない人ねぇ」
女騎士「魔女……」
魔女「……、……ありがと、騎士さん」
233: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/27(日) 15:34:55.38 ID:Nk2ry+KR0
女騎士「はっはっは! 安心しろ! この剣が折れようと、我が心折れることなしと――……」
魔女「そうと決まれば、この屋敷にいるのは危険よねぇ」
女騎士「あ、うん、はい、そうですね……」
魔女「とりあえず、森の最奥部にでも、身を隠しましょうか」
女騎士「そうか……、……ん?」
魔女「どうかした?」
女騎士「んん……いや、待て。魔女、前に言ってなかったか?」
魔女「何を?」
女騎士「ほら……、『森の一番奥深くは、毒蜘蛛の繁殖地だ』って」
魔女「あぁ」
女騎士「駄目じゃん」
234: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/27(日) 15:35:48.10 ID:Nk2ry+KR0
魔女「大丈夫よ。蜘蛛避けのお香っていうのがあってね……」
女騎士「へぇ」
魔女「うふふ、すごくよく効くのよ。これさえ焚いていれば、毒蜘蛛の巣に突っ込んでも、蜘蛛の方から逃げてくれるんだから」
女騎士「そんなに効くのか」
魔女「それはもう。素晴らしいって評判で……、私、とっても上手に作れるのよ」
女騎士「ふぅん――……」
女騎士「――」
女騎士(……あれ?)
女騎士(……どこかで聞いような……?)
女騎士「――ん?」
235: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/27(日) 15:36:39.98 ID:Nk2ry+KR0
女騎士「んん~~?」
魔女「……どうかした?」
女騎士「なぁ……、そのお香があれば、森の奥深くでも普通に生活できる?」
魔女「まあ、まず問題ないでしょうね」
女騎士「……」
魔女「昔、私が作った小屋もあるし、水とか、食べ物さえあれば心配ないわ」
女騎士「……んん?」
~~~~
魔女『そう、森が魔法を使って、騎士さんの居るところを教えてくれたの――』
~~~~
魔女「……ねぇ、どうかした?」
女騎士「……前にさ、私が森で迷ったこと、あっただろ?」
魔女「あぁ、あったわねぇ」
魔女「……どうかした?」
女騎士「なぁ……、そのお香があれば、森の奥深くでも普通に生活できる?」
魔女「まあ、まず問題ないでしょうね」
女騎士「……」
魔女「昔、私が作った小屋もあるし、水とか、食べ物さえあれば心配ないわ」
女騎士「……んん?」
~~~~
魔女『そう、森が魔法を使って、騎士さんの居るところを教えてくれたの――』
~~~~
魔女「……ねぇ、どうかした?」
女騎士「……前にさ、私が森で迷ったこと、あっただろ?」
魔女「あぁ、あったわねぇ」
236: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/27(日) 15:37:07.97 ID:Nk2ry+KR0
女騎士「あんな感じでさ、森の奥に、誰か行こうとしたら、魔女、気づく?」
魔女「えぇ……? まぁ、だいたいは気づくと思うけど……」
女騎士「だいたい?」
魔女「いや、寝てるときとかは……。眠っていたら、さすがに気づかないわよ、私でも」
女騎士「……んんん?」
魔女「ねぇ、なんなのようさっきから」
女騎士「いや……、その……」
237: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/27(日) 15:37:36.85 ID:Nk2ry+KR0
~~~~
役人『王立軍が、王都内をくまなく調査しましたが――』
役人『3人の消息は一切掴めませんでした――』
役人『あと、調査が及んでいない地域といえば――』
役人『『東の蜘蛛の森』くらいでして――』
~~~~
238: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/27(日) 15:38:24.50 ID:Nk2ry+KR0
女騎士「……」
魔女「ねえねえ」
~~~~
魔女『そうねぇ……、お客様の中では、一番よく来るかしら』
魔女『いつも私の作るもの、いっぱい買っていってくれてね』
魔女『蜘蛛避けのお香も、織物も、どれも素晴らしいっ、なんて褒めてくれて――』
~~~~
――蜘蛛避けのお香も――
女騎士「……ん~~~~~?」
魔女「ねえったらぁ、もぉ~……」
239: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/27(日) 15:38:58.18 ID:Nk2ry+KR0
・
・
・
~「蜘蛛の森」最深部・「毒蜘蛛の巣窟」~
~粗末な小屋~
ウッ ウゥッ グスッ
グスン… シクシク…
少女「……」グスッ
商人「ケッ、ガキはいつまでもピーピー泣きやがる……」
商人「おい! テメエらあんまりうるせェと、小屋の外に放り出すぞ!」
少女「っ」ビクッ
商人「そうなりゃ、あっという間に蜘蛛どもの餌だからな! 死にたくなきゃ、静かにしやがれッ!」
少女「……」ビクビク
商人「ハンッ、最初からそうやって、大人しくしてやがれ!」ケッケッケ
少女「……ぅ、ぅぅ……」
・
・
~「蜘蛛の森」最深部・「毒蜘蛛の巣窟」~
~粗末な小屋~
ウッ ウゥッ グスッ
グスン… シクシク…
少女「……」グスッ
商人「ケッ、ガキはいつまでもピーピー泣きやがる……」
商人「おい! テメエらあんまりうるせェと、小屋の外に放り出すぞ!」
少女「っ」ビクッ
商人「そうなりゃ、あっという間に蜘蛛どもの餌だからな! 死にたくなきゃ、静かにしやがれッ!」
少女「……」ビクビク
商人「ハンッ、最初からそうやって、大人しくしてやがれ!」ケッケッケ
少女「……ぅ、ぅぅ……」
245: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/28(月) 23:34:32.32 ID:bG3qd2it0
悪党A「……しっかし、見張りは交代制とはいえ、こんな陰気なところに籠ってたんじゃ、ガキじゃなくても泣きたくなってきますわなぁ……」
商人「まぁ、そういうな。もうしばらくの辛抱だ」
悪党B「外に出られるのも、夜中だけですしねぇ……」
商人「この森の魔女は、妙に勘が働くからな。念には念を、だ」
悪党A「抜け目ないですねぇ、旦那は」
商人「まぁな。デカい商売ほど慎重に……、石橋をたたいて、ってことよ」
悪党B「王都のガキは、高値がつきますからな」
商人「そうさ。特にそっちのガキなんか――……」
少女「……っ」ビクッ
商人「久しぶりの上玉だ。さぞ良い値が付くだろうよ」
悪党A「ヘッヘッヘッ」
悪党B「ケッケッケッケ」
少女「ぅぅ……」ブルブル
商人「まぁ、そういうな。もうしばらくの辛抱だ」
悪党B「外に出られるのも、夜中だけですしねぇ……」
商人「この森の魔女は、妙に勘が働くからな。念には念を、だ」
悪党A「抜け目ないですねぇ、旦那は」
商人「まぁな。デカい商売ほど慎重に……、石橋をたたいて、ってことよ」
悪党B「王都のガキは、高値がつきますからな」
商人「そうさ。特にそっちのガキなんか――……」
少女「……っ」ビクッ
商人「久しぶりの上玉だ。さぞ良い値が付くだろうよ」
悪党A「ヘッヘッヘッ」
悪党B「ケッケッケッケ」
少女「ぅぅ……」ブルブル
246: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/28(月) 23:35:19.01 ID:bG3qd2it0
商人「都合のいい時に、ガキを攫っちまえば……」
商人「この『毒蜘蛛の巣窟』に押し込んでおけるんだから、便利なもんだ」
商人「ここなら、誰にもバレる心配がねぇ」
商人「それで、都合のいい時を見て『出荷』すりゃ……」
悪党B「アシがつくこともねぇ、ってわけですね」
商人「そういうことだ。……それで、だ。今度の『王都祭』がはじまったら、こいつらは『出荷』だ」
悪党A「ようやくですな」
商人「あぁ、祭りになれば城門の警備も手薄になる」
悪党B「そこを、祭りの大荷物に紛れて運び出せば……」
商人「誰にも気づかれずに、王都の外まで連れ出せるって寸法よ」
悪党B「さすが旦那だぁ」
247: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/28(月) 23:35:53.96 ID:bG3qd2it0
悪党A「とはいえ、この仕事のたびに、毒蜘蛛と共寝、ってのも……中々、こたえますわ」
悪党B「お前はさっきから、そればっかりだな……」
商人「なに、いずれ魔女から、蜘蛛避けの香の調合法を聞き出すつもりだよ」
悪党A「なるほど、そうすりゃ……」
商人「もう魔女は用済み。いらなくなったら――……」
悪党B「消しちまいますか」
商人「……いや、あいつも『出荷』するんだよ!」
悪党A「なるほど、そいつぁいい!」ゲラゲラ
悪党B「さっすが旦那だぁ」ゲラゲラ
商人「なっはっはっは!」
悪党B「お前はさっきから、そればっかりだな……」
商人「なに、いずれ魔女から、蜘蛛避けの香の調合法を聞き出すつもりだよ」
悪党A「なるほど、そうすりゃ……」
商人「もう魔女は用済み。いらなくなったら――……」
悪党B「消しちまいますか」
商人「……いや、あいつも『出荷』するんだよ!」
悪党A「なるほど、そいつぁいい!」ゲラゲラ
悪党B「さっすが旦那だぁ」ゲラゲラ
商人「なっはっはっは!」
248: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/28(月) 23:36:22.29 ID:bG3qd2it0
「――あらあら、酷いこと言ってくれるわねぇ……」
商人「!」
悪党A「誰だっ!?」
ガチャリ キィ
魔女「……ごきげんよう、商人さん……」
商人「お前は……っ!」
魔女「人の大切な売り物を、こんなことに使うなんて……呆れた人」
悪党A「どうしてここが……っ」
魔女「あら、この小屋は私が作ったものよ? それにここは、私の森。貴方達のような……」ジト
悪党B「……っ」
魔女「悪人たちが、足を踏み入れていい場所じゃないのよ」
悪党A「チッ……」
悪党B「どうします、旦那……」
商人「……仕方ねぇ、とりあえずふん縛って――……」
商人「!」
悪党A「誰だっ!?」
ガチャリ キィ
魔女「……ごきげんよう、商人さん……」
商人「お前は……っ!」
魔女「人の大切な売り物を、こんなことに使うなんて……呆れた人」
悪党A「どうしてここが……っ」
魔女「あら、この小屋は私が作ったものよ? それにここは、私の森。貴方達のような……」ジト
悪党B「……っ」
魔女「悪人たちが、足を踏み入れていい場所じゃないのよ」
悪党A「チッ……」
悪党B「どうします、旦那……」
商人「……仕方ねぇ、とりあえずふん縛って――……」
249: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/28(月) 23:36:56.95 ID:bG3qd2it0
魔女「そうはいかないわ!」ヒョイ
バシャッ
パシャ
商人「わっぷ……っ」ビシャッ
悪党A「冷てっ!」
悪党B「水風船……?」
魔女「……その液体はね、蜘蛛が大好きなフェロモンで作った、蜘蛛寄せの水……」
商人「な……っ!?」
魔女「たーっぷり濃くしたから、強力よ? お香よりも、ずっと……」
悪党A「うげぇっ」
商人「ば、馬鹿野郎! 落ち着――……」
魔女「そしてこれが、さっき捕まえた毒蜘蛛」ポイッ
商人「ひぃぃぃぃっ」ズザザ
悪党B「だ、旦那ぁ!?」
悪党A「うわぁぁ!」
バシャッ
パシャ
商人「わっぷ……っ」ビシャッ
悪党A「冷てっ!」
悪党B「水風船……?」
魔女「……その液体はね、蜘蛛が大好きなフェロモンで作った、蜘蛛寄せの水……」
商人「な……っ!?」
魔女「たーっぷり濃くしたから、強力よ? お香よりも、ずっと……」
悪党A「うげぇっ」
商人「ば、馬鹿野郎! 落ち着――……」
魔女「そしてこれが、さっき捕まえた毒蜘蛛」ポイッ
商人「ひぃぃぃぃっ」ズザザ
悪党B「だ、旦那ぁ!?」
悪党A「うわぁぁ!」
250: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/28(月) 23:37:26.42 ID:bG3qd2it0
魔女「……さぁ、行くわよ! 今のうちに……」
少女「魔女――……。で、でも、お外はくもが……」
魔女「このマントを羽織って。蜘蛛が寄り付かなくなるから」
少女「う、うん……」
魔女「さぁ、貴方達も、急いでっ……」
ドタドタ…
タッタッタ…
悪党A「あぁ、くそ! 待ちやがれ……」
商人「こ、こら! 暴れると蜘蛛が、こっちに気づく!」
悪党B「うわぁぁ……!」
少女「魔女――……。で、でも、お外はくもが……」
魔女「このマントを羽織って。蜘蛛が寄り付かなくなるから」
少女「う、うん……」
魔女「さぁ、貴方達も、急いでっ……」
ドタドタ…
タッタッタ…
悪党A「あぁ、くそ! 待ちやがれ……」
商人「こ、こら! 暴れると蜘蛛が、こっちに気づく!」
悪党B「うわぁぁ……!」
251: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/28(月) 23:37:58.55 ID:bG3qd2it0
・
・
・
商人「……」ビクビク
悪党A「……」ビクビク
悪党B「……」ビクビク
商人「……」
悪党A「……」
悪党B「……」
商人「……?」
悪党A「……?」
悪党B「……?」
商人「……??」
・
・
商人「……」ビクビク
悪党A「……」ビクビク
悪党B「……」ビクビク
商人「……」
悪党A「……」
悪党B「……」
商人「……?」
悪党A「……?」
悪党B「……?」
商人「……??」
252: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/28(月) 23:38:29.26 ID:bG3qd2it0
悪党A「……あっ」
悪党B「……どうした?」
悪党A「旦那! これ! この毒蜘蛛、偽物ですよ! 造りもんだ!」
悪党B「えっ……!?」
商人「畜生……、やられた!」バッ
悪党A「旦那!?」
商人「追うぞ! 急げ!」ダッ
悪党B「で、でも、蜘蛛寄せの水が……」
商人「馬鹿! ブラフだよ! 考えてみりゃ、ガキにも水がかかるかもしれねぇのに、そんなもの使うわけねぇ!」
悪党A「あっ……」
商人「クソ、あの野郎っ!」
悪党B「……どうした?」
悪党A「旦那! これ! この毒蜘蛛、偽物ですよ! 造りもんだ!」
悪党B「えっ……!?」
商人「畜生……、やられた!」バッ
悪党A「旦那!?」
商人「追うぞ! 急げ!」ダッ
悪党B「で、でも、蜘蛛寄せの水が……」
商人「馬鹿! ブラフだよ! 考えてみりゃ、ガキにも水がかかるかもしれねぇのに、そんなもの使うわけねぇ!」
悪党A「あっ……」
商人「クソ、あの野郎っ!」
253: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/28(月) 23:38:56.43 ID:bG3qd2it0
・
・
・
ハッ ハッ……
ハァ…… ハァ……
魔女「ハッ……、ハァ……、もう、ちょっと……もうちょっとらから……、がんら……がんあって……」ゼヒーゼヒー
少女「うん……、魔女もがんばって……」タッタッタ
魔女(あと少しで……、森を抜け――……)
悪党C「おい、手前ェらどこへ行くんだあ?」ヌッ
魔女「……っ!」
少女「ひゃ……!」
魔女(あいつらの……仲間!?)
悪党D「こっちにもいるゼ」ガシッ
魔女「あぁっ……!」ヨロッ
少女「魔女……っ」
悪党C「ガキどもも、逃げようったって、そうは行かねぇぞう……」ガシッ
少女「きゃあ!」
・
・
ハッ ハッ……
ハァ…… ハァ……
魔女「ハッ……、ハァ……、もう、ちょっと……もうちょっとらから……、がんら……がんあって……」ゼヒーゼヒー
少女「うん……、魔女もがんばって……」タッタッタ
魔女(あと少しで……、森を抜け――……)
悪党C「おい、手前ェらどこへ行くんだあ?」ヌッ
魔女「……っ!」
少女「ひゃ……!」
魔女(あいつらの……仲間!?)
悪党D「こっちにもいるゼ」ガシッ
魔女「あぁっ……!」ヨロッ
少女「魔女……っ」
悪党C「ガキどもも、逃げようったって、そうは行かねぇぞう……」ガシッ
少女「きゃあ!」
254: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/28(月) 23:39:34.53 ID:bG3qd2it0
・
・
・
タッタッタッ
商人「はぁ、はぁ……」
悪党A「おっ、あれは……」
魔女「離しなさい……っ、離して……!」ジタバタ
悪党C「暴れるんじゃねえよ!」
悪党D「大人しくしてロ!」
少女「うぅぅ……」ビクビク
悪党A「お前ら、来てたのか!」
悪党C「おう、昼間たまたま森に、騎士団の連中が入っていくのを見てな。何かと思って、こっそり覗きに来たんだ」
商人「勝手なことを……と言いたいところだが、これはお手柄だぜ」
悪党D「へへへ……」
商人「さて、魔女さんよ……」
魔女「……っ」グッ
・
・
タッタッタッ
商人「はぁ、はぁ……」
悪党A「おっ、あれは……」
魔女「離しなさい……っ、離して……!」ジタバタ
悪党C「暴れるんじゃねえよ!」
悪党D「大人しくしてロ!」
少女「うぅぅ……」ビクビク
悪党A「お前ら、来てたのか!」
悪党C「おう、昼間たまたま森に、騎士団の連中が入っていくのを見てな。何かと思って、こっそり覗きに来たんだ」
商人「勝手なことを……と言いたいところだが、これはお手柄だぜ」
悪党D「へへへ……」
商人「さて、魔女さんよ……」
魔女「……っ」グッ
255: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/28(月) 23:40:04.78 ID:bG3qd2it0
商人「さっきはよくもやってくれたな……」
魔女「水遊びしただけでしょ。ムキにならないでよ」
悪党B「この……っ」
商人「まぁ、待て。……アンタには、まだまだ役に立ってもらいたかったが……」
魔女「……」
商人「こうなった以上は、もう放ってはおけねぇ……」
魔女「……」
商人「知らないフリしておけば、長生きできなのにな……、おい」
悪党A「へい。……へっへっへ」スラッ
ギラリ
魔女「……っ」
魔女(ナイフ……!)
魔女「水遊びしただけでしょ。ムキにならないでよ」
悪党B「この……っ」
商人「まぁ、待て。……アンタには、まだまだ役に立ってもらいたかったが……」
魔女「……」
商人「こうなった以上は、もう放ってはおけねぇ……」
魔女「……」
商人「知らないフリしておけば、長生きできなのにな……、おい」
悪党A「へい。……へっへっへ」スラッ
ギラリ
魔女「……っ」
魔女(ナイフ……!)
256: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/28(月) 23:40:47.85 ID:bG3qd2it0
悪党A「あそこまで馬鹿にされたんだ、落とし前はきっちり、つけてもらうぜ……」
魔女「……」
魔女(こんな……ところで……)
魔女「……」
魔女(騎士さん……!)
悪党A「死ねェッ!」
魔女「騎士さ――……!」
シュバッ
ガキンッ
悪党A「なっ……!」
商人「なぁ……っ!?」
女騎士「……――間一髪、だな」
魔女「騎士さんっ!!」
魔女「……」
魔女(こんな……ところで……)
魔女「……」
魔女(騎士さん……!)
悪党A「死ねェッ!」
魔女「騎士さ――……!」
シュバッ
ガキンッ
悪党A「なっ……!」
商人「なぁ……っ!?」
女騎士「……――間一髪、だな」
魔女「騎士さんっ!!」
257: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/28(月) 23:41:48.62 ID:bG3qd2it0
悪党D「なんだっ、てめっ――……」
女騎士「魔女を離せバカ者ーー!!」メゴッ
悪党D「ごっ……!」
バタンッ
商人「……」
悪党B「……」
魔女「……」
商人(メゴッって……)
悪党B(メゴッていった……)
魔女(メゴッっていったわね……)
女騎士「魔女っ!」
魔女「はっ、はい!」
女騎士「待ってろって言ったじゃん! 私来るまで待ってろって言ったじゃん私!」
魔女「ご、ごめんなさい……、でも私、居ても立っても……」
女騎士「ばかぁ……っ! もぉぉ……、心配をかけるなぁ……」グスン
魔女「ごめんなさいねぇ……」ヨシヨシ
商人(……なにあれ)
悪党B(……なにあれ)
女騎士「魔女を離せバカ者ーー!!」メゴッ
悪党D「ごっ……!」
バタンッ
商人「……」
悪党B「……」
魔女「……」
商人(メゴッって……)
悪党B(メゴッていった……)
魔女(メゴッっていったわね……)
女騎士「魔女っ!」
魔女「はっ、はい!」
女騎士「待ってろって言ったじゃん! 私来るまで待ってろって言ったじゃん私!」
魔女「ご、ごめんなさい……、でも私、居ても立っても……」
女騎士「ばかぁ……っ! もぉぉ……、心配をかけるなぁ……」グスン
魔女「ごめんなさいねぇ……」ヨシヨシ
商人(……なにあれ)
悪党B(……なにあれ)
258: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/28(月) 23:42:16.97 ID:bG3qd2it0
悪党C「おいっ! じっとしてねぇとこのガキどもがっ!」グイッ
魔女「あっ!」
少女「ひぅ……っ」
悪党C「どうなってm
副団長「てぇーい!」バキーン
悪党D「むぉぎゃ」バタリ
副団長「『銀顎のオオクワガタ』騎士団だ! 神妙にしろ!」
商人「後ろから!! い、今後ろから!!」
悪党A「後ろから躊躇なく不意打ちを!!」
悪党B「それでも騎士かお前!!」
騎士A「悪党が言うセリフじゃないんだよなぁ」
騎士B「な。言いたいことは分かるけど」
魔女「あっ!」
少女「ひぅ……っ」
悪党C「どうなってm
副団長「てぇーい!」バキーン
悪党D「むぉぎゃ」バタリ
副団長「『銀顎のオオクワガタ』騎士団だ! 神妙にしろ!」
商人「後ろから!! い、今後ろから!!」
悪党A「後ろから躊躇なく不意打ちを!!」
悪党B「それでも騎士かお前!!」
騎士A「悪党が言うセリフじゃないんだよなぁ」
騎士B「な。言いたいことは分かるけど」
265: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 22:32:25.65 ID:NZhvR/KK0
ドスッ バスッ
ソッチイッタゾー!!
オラァー!
女騎士「本当に、怪我はないか? おかしいところはないか?」
魔女「えぇ、大丈夫よ……」
女騎士「怖かっただろ?」
ピストルダー!
ヤベェー!!
パンッ パンッ
魔女「怖かったけど……ふふ」
女騎士「……?」
魔女「不思議ね……、きっと騎士さんが助けてくれるって、分かっていた気がするわ」
イマダーイケーッ
バキンッ バンッ
女騎士「言ったろ、私がお前を守るって……」
魔女「騎士さん……」
女騎士「魔女……」
副団長「団長殿っ! 手伝ってください! ちょっと! 団長!」
ソッチイッタゾー!!
オラァー!
女騎士「本当に、怪我はないか? おかしいところはないか?」
魔女「えぇ、大丈夫よ……」
女騎士「怖かっただろ?」
ピストルダー!
ヤベェー!!
パンッ パンッ
魔女「怖かったけど……ふふ」
女騎士「……?」
魔女「不思議ね……、きっと騎士さんが助けてくれるって、分かっていた気がするわ」
イマダーイケーッ
バキンッ バンッ
女騎士「言ったろ、私がお前を守るって……」
魔女「騎士さん……」
女騎士「魔女……」
副団長「団長殿っ! 手伝ってください! ちょっと! 団長!」
266: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 22:32:59.44 ID:NZhvR/KK0
騎士A「はぁ、はぁっ、大人しくしろこの野郎!」グイグイ
悪党A「いててっ、ぐぅ……チキショウ……」
騎士B「もう逃げられないからな!」ギリギリ
悪党B「くそったれ……いでで!」
商人「チッ……、こうなったら……!」
副団長「あっ、待て!」
商人「せめて魔女の野郎だけでも……!」カチャッ
女騎士「……!」ハッ
女騎士(ピストル……!?)
女騎士「魔女! 危ない!」バッ
魔女「きゃ……っ!」
パァン!!
悪党A「いててっ、ぐぅ……チキショウ……」
騎士B「もう逃げられないからな!」ギリギリ
悪党B「くそったれ……いでで!」
商人「チッ……、こうなったら……!」
副団長「あっ、待て!」
商人「せめて魔女の野郎だけでも……!」カチャッ
女騎士「……!」ハッ
女騎士(ピストル……!?)
女騎士「魔女! 危ない!」バッ
魔女「きゃ……っ!」
パァン!!
267: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 22:33:33.94 ID:NZhvR/KK0
女騎士「ぐ、ぅぅ、ぅ……」
魔女「騎士さん! 騎士さんっ!!」
商人「へ……っへへ」
女騎士「き――、か……」
商人「へ……?」
女騎士「効かーん!」ゴスンッ
商人「へげぇっ!?」
バタン
女騎士「ふぅ……」
魔女「騎士さんっ! 大丈夫!?」
女騎士「うむ! 何ともない!」
魔女「なんで何ともないのよ……」
魔女「騎士さん! 騎士さんっ!!」
商人「へ……っへへ」
女騎士「き――、か……」
商人「へ……?」
女騎士「効かーん!」ゴスンッ
商人「へげぇっ!?」
バタン
女騎士「ふぅ……」
魔女「騎士さんっ! 大丈夫!?」
女騎士「うむ! 何ともない!」
魔女「なんで何ともないのよ……」
268: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 22:34:33.36 ID:NZhvR/KK0
女騎士「丁度、胸当てに当たってくれたからな。それに、これ……」スッ
魔女「あ、それ……、私のあげた御守り……」
女騎士「あぁ――、これに当たって、銃弾が止まったみたいだ」
魔女「……よかったぁ」
女騎士「っていうか、弾も止めるって……。魔法の御守りなのか……?」
魔女「まさか。銀貨が入っているのよ」
女騎士「……ふふ、私がお前を守るように……、きっと、魔女も私を守ってくれていたんだな」
魔女「き、騎士さん……!」
女騎士「魔女……!」
副団長「もう行きますよ、団長殿。団長殿ー」
騎士A「ほっといて撤収しましょうよ、撤収」
騎士B「な」
・
・
・
魔女「あ、それ……、私のあげた御守り……」
女騎士「あぁ――、これに当たって、銃弾が止まったみたいだ」
魔女「……よかったぁ」
女騎士「っていうか、弾も止めるって……。魔法の御守りなのか……?」
魔女「まさか。銀貨が入っているのよ」
女騎士「……ふふ、私がお前を守るように……、きっと、魔女も私を守ってくれていたんだな」
魔女「き、騎士さん……!」
女騎士「魔女……!」
副団長「もう行きますよ、団長殿。団長殿ー」
騎士A「ほっといて撤収しましょうよ、撤収」
騎士B「な」
・
・
・
269: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 22:35:21.17 ID:NZhvR/KK0
・
・
・
~数日後~
~王都 王府庁舎内~
・
・
・
役人「いやぁ、あの行方不明事件の犯人を捕まえたとあって、『銀顎』騎士団の名声はうなぎ上りですねっ!」
女騎士「いやいや……」
役人「王都は連日、その話題で持ち切りですよ! 私も仕事辞めて、ウワサの輪に加わりたいくらいです!」
女騎士「うん、辞めないで」
役人「まさに王都に『銀顎』騎士団あり! 嗚呼誉れあれオオクワガタ!」ジーン…
女騎士「はは、ちょっと大袈裟だな、君は……」
役人「なのに……」
女騎士「……」
役人「なのに……、本当に、解散しちゃうんですね……」
女騎士「ああ」
・
・
~数日後~
~王都 王府庁舎内~
・
・
・
役人「いやぁ、あの行方不明事件の犯人を捕まえたとあって、『銀顎』騎士団の名声はうなぎ上りですねっ!」
女騎士「いやいや……」
役人「王都は連日、その話題で持ち切りですよ! 私も仕事辞めて、ウワサの輪に加わりたいくらいです!」
女騎士「うん、辞めないで」
役人「まさに王都に『銀顎』騎士団あり! 嗚呼誉れあれオオクワガタ!」ジーン…
女騎士「はは、ちょっと大袈裟だな、君は……」
役人「なのに……」
女騎士「……」
役人「なのに……、本当に、解散しちゃうんですね……」
女騎士「ああ」
270: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 22:36:10.82 ID:NZhvR/KK0
役人「惜しいですよ……、今なら後援したいってところも、引く手あまたでしょうに……」
女騎士「前々から、決めていたことだからな……。それに……」
役人「……」
女騎士「きっと、王都は変わるんだ。新しい、進歩した、もっと平和な都市に……」
役人「……」
女騎士「私たち騎士も、変わらなければいけないのだろう」
役人「……本当に、残念です」
女騎士「そういってもらえるのは、素直に嬉しいがな」
役人「女騎士さんのことだって……」
女騎士「私?」
女騎士「前々から、決めていたことだからな……。それに……」
役人「……」
女騎士「きっと、王都は変わるんだ。新しい、進歩した、もっと平和な都市に……」
役人「……」
女騎士「私たち騎士も、変わらなければいけないのだろう」
役人「……本当に、残念です」
女騎士「そういってもらえるのは、素直に嬉しいがな」
役人「女騎士さんのことだって……」
女騎士「私?」
271: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 22:36:56.45 ID:NZhvR/KK0
役人「王立軍からの勧誘、どうして断っちゃったんですか」
女騎士「うーん」
役人「女騎士さんであれば、軍の要職だってより取り見取りのはず……、それなのに……」
女騎士「うん、まぁ……、しばらくは、剣から離れて……」
役人「……」
女騎士「色々と、考えてみたいと思っているんだ。これからのこととか……。色んなことを……」
役人「……そう、ですか」
女騎士「ああ。……君には本当に、世話になった」
役人「いえいえ、私なんて……、いつクビ切られてもおかしくない、ダメダメ下級役人ですけど……」
女騎士「いや、そんなこと」
役人「……でも、いつか……」
女騎士「……」
役人「いつか、女騎士さんが、また騎士として立ち上がる日があるとしたら……」
女騎士「……」
役人「……その時は、私が……、いつもみたいに、この窓口で、お待ちしていますから」
女騎士「……ああ。そのときは、また君に会いに来よう」
役人「クビになってなければ、ですけどね……」
女騎士「あの、うん、まあ、がんばって」
女騎士「うーん」
役人「女騎士さんであれば、軍の要職だってより取り見取りのはず……、それなのに……」
女騎士「うん、まぁ……、しばらくは、剣から離れて……」
役人「……」
女騎士「色々と、考えてみたいと思っているんだ。これからのこととか……。色んなことを……」
役人「……そう、ですか」
女騎士「ああ。……君には本当に、世話になった」
役人「いえいえ、私なんて……、いつクビ切られてもおかしくない、ダメダメ下級役人ですけど……」
女騎士「いや、そんなこと」
役人「……でも、いつか……」
女騎士「……」
役人「いつか、女騎士さんが、また騎士として立ち上がる日があるとしたら……」
女騎士「……」
役人「……その時は、私が……、いつもみたいに、この窓口で、お待ちしていますから」
女騎士「……ああ。そのときは、また君に会いに来よう」
役人「クビになってなければ、ですけどね……」
女騎士「あの、うん、まあ、がんばって」
272: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 22:37:37.50 ID:NZhvR/KK0
・
・
・
~騎士団詰所~
・
・
・
女騎士「――へぇ! それじゃ、二人とも?」
騎士A「えぇ、騎士Cのとこの商社で」
騎士B「アイツに話したら、『ちょうど人手が足りなかったところだ』って言って」
女騎士「そうかそうか! ……いやしかし、大変だぞ? あいつ跡取りらしいからな。顎でコキ使われる、なんてことに……」
騎士A「いえ、なに、そこはアレですよぉ」
騎士B「俺たちはアイツの、人に言えない秘密も、タンマリ握ってますからねぇ」
女騎士「なるほどな……、お前らも、なかなかのワルよのぉ……」
騎士A「ヘッヘッヘ」
騎士B「ヘッヘッヘ」
女騎士「ヘッヘッヘ」
・
・
~騎士団詰所~
・
・
・
女騎士「――へぇ! それじゃ、二人とも?」
騎士A「えぇ、騎士Cのとこの商社で」
騎士B「アイツに話したら、『ちょうど人手が足りなかったところだ』って言って」
女騎士「そうかそうか! ……いやしかし、大変だぞ? あいつ跡取りらしいからな。顎でコキ使われる、なんてことに……」
騎士A「いえ、なに、そこはアレですよぉ」
騎士B「俺たちはアイツの、人に言えない秘密も、タンマリ握ってますからねぇ」
女騎士「なるほどな……、お前らも、なかなかのワルよのぉ……」
騎士A「ヘッヘッヘ」
騎士B「ヘッヘッヘ」
女騎士「ヘッヘッヘ」
273: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 22:38:31.83 ID:NZhvR/KK0
騎士A「……団長」
女騎士「ん?」
騎士A「今まで本当に、ありがとうございました……」
騎士B「団長の下で、騎士としてやれて」
騎士A「この騎士団に入れて……」
騎士B「俺たち、幸せでしたよ」
騎士A「ありがとうございます」
女騎士「……お前たちは、最高の騎士だった」
騎士A「……」
騎士B「……」
女騎士「生涯忘れえぬ、最高の仲間だ」
騎士A「団長……」
騎士B「団長……」
女騎士「達者でな。またいつか会おう」
騎士AB「「はいっ!」」
女騎士「ん?」
騎士A「今まで本当に、ありがとうございました……」
騎士B「団長の下で、騎士としてやれて」
騎士A「この騎士団に入れて……」
騎士B「俺たち、幸せでしたよ」
騎士A「ありがとうございます」
女騎士「……お前たちは、最高の騎士だった」
騎士A「……」
騎士B「……」
女騎士「生涯忘れえぬ、最高の仲間だ」
騎士A「団長……」
騎士B「団長……」
女騎士「達者でな。またいつか会おう」
騎士AB「「はいっ!」」
274: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 22:39:04.45 ID:NZhvR/KK0
・
・
・
女騎士「……ふぅ」
副団長「これで全員、次の行き先が決まりましたね」
女騎士「あぁ。……あ、いや、まだだぞ」
副団長「はい?」
女騎士「お前だよ。副団長、お前は、どうするんだ?」
副団長「ああ、いえ、私は永久就職ですので」
女騎士「えい――……」
副団長「……」
女騎士「……えっ」
副団長「……」ニヘラァ
・
・
女騎士「……ふぅ」
副団長「これで全員、次の行き先が決まりましたね」
女騎士「あぁ。……あ、いや、まだだぞ」
副団長「はい?」
女騎士「お前だよ。副団長、お前は、どうするんだ?」
副団長「ああ、いえ、私は永久就職ですので」
女騎士「えい――……」
副団長「……」
女騎士「……えっ」
副団長「……」ニヘラァ
275: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 22:40:27.93 ID:NZhvR/KK0
副団長「……うふ、ふふふ、ふふふふ……」ニヘヘヘ
女騎士「……わぁ、そんな顔するのな、副団長」
副団長「ダーリンがぁ~」
女騎士「……だぁりん!?」
副団長「これを機に、一緒になってくれってぇ~えへへへへへへっ♪」デレデレ
女騎士「……」
副団長「毎朝、ミソスープ作ってくれって言われてぇ~」
女騎士「そ、そう……、おめでとう、色々意外だったけど」
副団長「そういうわけで、私は後のこと、決まってますけど……」
女騎士「ん?」
副団長「団長殿は、これからどうするおつもりで?」
女騎士「私か? そうだな……私は――……」
女騎士「……わぁ、そんな顔するのな、副団長」
副団長「ダーリンがぁ~」
女騎士「……だぁりん!?」
副団長「これを機に、一緒になってくれってぇ~えへへへへへへっ♪」デレデレ
女騎士「……」
副団長「毎朝、ミソスープ作ってくれって言われてぇ~」
女騎士「そ、そう……、おめでとう、色々意外だったけど」
副団長「そういうわけで、私は後のこと、決まってますけど……」
女騎士「ん?」
副団長「団長殿は、これからどうするおつもりで?」
女騎士「私か? そうだな……私は――……」
282: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 22:25:47.69 ID:/cl5Nov40
・
・
・
~王都・市街~
女騎士「……」テクテク
都民A「なあ、聞いたか?」
都民B「あぁ、『東の蜘蛛の森の魔女』だろ?」
女騎士「……」ピクン
都民A「例の事件、さらわれた子供たちを救い出したのは、あの魔女らしい……」
都民B「体を張って、犯人たちと闘ったらしい……」
女騎士「……」
都民A「森で困ったことがあると、こっそり助けてくれるらしい……」
都民B「よく効く薬も、作ってくれるらしい……」
女騎士「……」
都民A「そして美人」
都民B「美人か……」
女騎士「……」ウン
・
・
~王都・市街~
女騎士「……」テクテク
都民A「なあ、聞いたか?」
都民B「あぁ、『東の蜘蛛の森の魔女』だろ?」
女騎士「……」ピクン
都民A「例の事件、さらわれた子供たちを救い出したのは、あの魔女らしい……」
都民B「体を張って、犯人たちと闘ったらしい……」
女騎士「……」
都民A「森で困ったことがあると、こっそり助けてくれるらしい……」
都民B「よく効く薬も、作ってくれるらしい……」
女騎士「……」
都民A「そして美人」
都民B「美人か……」
女騎士「……」ウン
283: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 22:26:16.82 ID:/cl5Nov40
――都の東は蜘蛛の森――
――そこには魔女が住んでいる――
――優しい優しい蜘蛛の魔女――
――森で迷った子供がいたら――
――魔女が必ず助けてくれる――
――ならず者ども、悪党どもは――
――蜘蛛の森には近づくな――
女騎士「……~♪」テクテク
・
・
・
284: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 22:26:42.84 ID:/cl5Nov40
・
・
・
女騎士「……」テクテク
司祭「……女騎士殿」ヌッ
女騎士「うわっ! びっくりしたぁ……」
司祭「聞きましたぞ……」
女騎士「え」
司祭「例の魔女と、密かに通じていたそうではないですか……!」
女騎士「あ、いや、それはぁ~……」
司祭「私にも内緒で!」
女騎士「あ、あはは、色々と、深い事情があってですね……」
・
・
女騎士「……」テクテク
司祭「……女騎士殿」ヌッ
女騎士「うわっ! びっくりしたぁ……」
司祭「聞きましたぞ……」
女騎士「え」
司祭「例の魔女と、密かに通じていたそうではないですか……!」
女騎士「あ、いや、それはぁ~……」
司祭「私にも内緒で!」
女騎士「あ、あはは、色々と、深い事情があってですね……」
285: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 22:27:46.83 ID:/cl5Nov40
司祭「本来なら、魔女は相容れぬ異教徒……、ですが」
女騎士「……」
司祭「このたびの件、王都の民を守り、悪を挫くその清い心! 教会としても、認めぬわけにはいかないということに相成りました!」
女騎士「そ、そうでしたか……」
司祭「そうです! 我らが神は寛容を旨とする……です! から!」ズイッ
女騎士「わっ」
司祭「国が認めた、いち宗派として! 我々の神にも! ぜひ一度祈りを捧げていただきたいのです!」
女騎士「は、はぁ……」
司祭「女騎士殿からも、ぜひ伝えてください! 一度王都に参って、我らが教会に立ち寄るよう!」ズイズイ
女騎士「近い、近いです」
司祭「我々も72時間礼拝フルコースを準備してお待ちしておりますのでぇぇ!」ズイズイズイ
女騎士「長いです長いです、そして近い」
・
・
・
286: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 22:28:36.21 ID:/cl5Nov40
・
・
・
~~都の東「蜘蛛の森」魔女の屋敷~
・
・
・
女騎士「……――ということらしいんだけど」
魔女「えぇ……、いやよう、私、72時間なんて……」
女騎士「でしょうね」
魔女「丸4日じゃない。遠慮するわぁ」
女騎士「うん、3日だな」
魔女「あら? ひぃ、ふう、み……」カゾエカゾエ
女騎士「指を折るな指を。足りないだろ絶対」
魔女「学校のお勉強もしようかしら……」
女騎士「あはは、まあいいさ。魔女は魔女のままで」
魔女「騎士さんがそう言うなら……」
・
・
~~都の東「蜘蛛の森」魔女の屋敷~
・
・
・
女騎士「……――ということらしいんだけど」
魔女「えぇ……、いやよう、私、72時間なんて……」
女騎士「でしょうね」
魔女「丸4日じゃない。遠慮するわぁ」
女騎士「うん、3日だな」
魔女「あら? ひぃ、ふう、み……」カゾエカゾエ
女騎士「指を折るな指を。足りないだろ絶対」
魔女「学校のお勉強もしようかしら……」
女騎士「あはは、まあいいさ。魔女は魔女のままで」
魔女「騎士さんがそう言うなら……」
287: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 22:29:08.79 ID:/cl5Nov40
魔女「……思いの外」
女騎士「うん?」
魔女「早かったわね、騎士団、なくなっちゃうの……」
女騎士「まあな。……元々、無理を重ねて続けてきてたから……」
魔女「……」
女騎士「終わるとなってしまえば、流されるまま、こうなる巡り合わせになっていたんだろう……」
魔女「……つらい?」
女騎士「つらくない、とは、流石に言えないがな。でも……」
魔女「……」
女騎士「魔女が、私に居場所を教えてくれたからさ……」
魔女「……」
女騎士「騎士でも何者でもない私を、受け入れてくれたから」
魔女「うん……」
女騎士「うん?」
魔女「早かったわね、騎士団、なくなっちゃうの……」
女騎士「まあな。……元々、無理を重ねて続けてきてたから……」
魔女「……」
女騎士「終わるとなってしまえば、流されるまま、こうなる巡り合わせになっていたんだろう……」
魔女「……つらい?」
女騎士「つらくない、とは、流石に言えないがな。でも……」
魔女「……」
女騎士「魔女が、私に居場所を教えてくれたからさ……」
魔女「……」
女騎士「騎士でも何者でもない私を、受け入れてくれたから」
魔女「うん……」
288: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 22:30:17.94 ID:/cl5Nov40
魔女「……――それで、いつ越してこれそうなの?」
女騎士「あぁ、一応身支度だけはしたけど……」
魔女「そう」
女騎士「……でも、本当にいいのか?」
魔女「何言ってるの。『一緒に暮らしたい』って言ったの、騎士さんじゃない」
女騎士「そ、それは……そうだけど……」
魔女「楽しみだわぁ。このおうちに、騎士さんが来てくれるなんて……」
女騎士「……誰かと暮らすなんて、色々慣れてなくて、迷惑かけたら申し訳ないけど……」
魔女「うふふ、今から謝っちゃうのねぇ」
女騎士「う……、出来る限りがんばるが……」
魔女「いいのよ、肩ひじ張って、がんばらなくたって。騎士さんは騎士さんのままで」
女騎士「……魔女」
魔女「……ねぇ、騎士さん」
女騎士「ん?」
魔女「好きよ」
女騎士「え? あっ、あ、わ――……!?」
魔女「ふふふ」
女騎士「わ、私もっ――!」
女騎士「あぁ、一応身支度だけはしたけど……」
魔女「そう」
女騎士「……でも、本当にいいのか?」
魔女「何言ってるの。『一緒に暮らしたい』って言ったの、騎士さんじゃない」
女騎士「そ、それは……そうだけど……」
魔女「楽しみだわぁ。このおうちに、騎士さんが来てくれるなんて……」
女騎士「……誰かと暮らすなんて、色々慣れてなくて、迷惑かけたら申し訳ないけど……」
魔女「うふふ、今から謝っちゃうのねぇ」
女騎士「う……、出来る限りがんばるが……」
魔女「いいのよ、肩ひじ張って、がんばらなくたって。騎士さんは騎士さんのままで」
女騎士「……魔女」
魔女「……ねぇ、騎士さん」
女騎士「ん?」
魔女「好きよ」
女騎士「え? あっ、あ、わ――……!?」
魔女「ふふふ」
女騎士「わ、私もっ――!」
289: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 22:30:51.19 ID:/cl5Nov40
・
・
・
~寝室~
女騎士「んぅ……」ショボショボ
魔女「~♪」ナデ
女騎士「……そのうち、さ」
魔女「んん?」
女騎士「……おっきいベッド、買おうか」
魔女「……別にいいわよ」
女騎士「……だって、狭いだろ、魔女。……こうやって」
魔女「ん~……」
女騎士「二人で、一緒に横になると……」
魔女「私は、ちょうどいいと思うけど?」
女騎士「そっかぁ……」
魔女「ええ」
女騎士「なら、いっかぁ……」
・
・
~寝室~
女騎士「んぅ……」ショボショボ
魔女「~♪」ナデ
女騎士「……そのうち、さ」
魔女「んん?」
女騎士「……おっきいベッド、買おうか」
魔女「……別にいいわよ」
女騎士「……だって、狭いだろ、魔女。……こうやって」
魔女「ん~……」
女騎士「二人で、一緒に横になると……」
魔女「私は、ちょうどいいと思うけど?」
女騎士「そっかぁ……」
魔女「ええ」
女騎士「なら、いっかぁ……」
290: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 22:31:18.14 ID:/cl5Nov40
魔女「もうちょっと、こっち来る?」
女騎士「うん……」モゾ
魔女「……ふふっ」
女騎士「魔女ー……」
魔女「なぁに?」
女騎士「手、繋いでいい……?」
魔女「ええ、いいわよ」ギュッ
女騎士「……」ギュー
魔女「甘えん坊さんかしらぁ?」
女騎士「……こう、してたらさ」
魔女「……」
女騎士「うん……」モゾ
魔女「……ふふっ」
女騎士「魔女ー……」
魔女「なぁに?」
女騎士「手、繋いでいい……?」
魔女「ええ、いいわよ」ギュッ
女騎士「……」ギュー
魔女「甘えん坊さんかしらぁ?」
女騎士「……こう、してたらさ」
魔女「……」
291: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 22:31:47.31 ID:/cl5Nov40
女騎士「今夜は、夢でも会えそうな……気がする……」
魔女「いつでも、会えるわよ」
女騎士「……」
魔女「夢の中でも、明日の未来も、その先も……」
女騎士「……」
魔女「ここが、貴方の居場所で……」
女騎士「……」
魔女「私の居場所だから……」
女騎士「……」
魔女「だから――、ゆっくり、お眠りなさい」
女騎士「……うん……」
魔女「……」
女騎士「……おやすみなさい、父様、母様……」
魔女「いつでも、会えるわよ」
女騎士「……」
魔女「夢の中でも、明日の未来も、その先も……」
女騎士「……」
魔女「ここが、貴方の居場所で……」
女騎士「……」
魔女「私の居場所だから……」
女騎士「……」
魔女「だから――、ゆっくり、お眠りなさい」
女騎士「……うん……」
魔女「……」
女騎士「……おやすみなさい、父様、母様……」
292: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 22:32:13.80 ID:/cl5Nov40
女騎士「おやすみ、魔女」
魔女「おやすみなさい」
293: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 22:32:53.01 ID:/cl5Nov40
これで、このお話はおしまいです
最後までお読みいただき、ありがとうございました
最後までお読みいただき、ありがとうございました
295: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 22:57:09.17 ID:/cl5Nov40
~アフター~
296: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 22:57:38.12 ID:/cl5Nov40
・
・
・
~寝室~
・
・
・
魔女「ねぇ、騎士さぁん……」
女騎士「な、なんだ?」
魔女「内緒にしてたんだけど、私ねぇ……」グイッ
女騎士「ち、近い、近い……」
魔女「実は、他にも魔法、使えちゃうんだぁ……」
女騎士「そそそそうなんだぁ!」
魔女「ベッドの中で使う魔法なんだけどね! 私、とーっても上手なのよぉ! 見たい? 見たいわよね!」ギラギラ
女騎士「ま、ま、魔女さん! 待って! ちょっと!」
魔女「いいわよ見せてあげるわほーんとに素敵な魔法なの綺麗な夢を見せてあげる魔法なんだけどね!?」ギラギラギラ
女騎士「ひぇぇ!」
魔女「大丈夫――……」
女騎士「あっ……」
・
・
~寝室~
・
・
・
魔女「ねぇ、騎士さぁん……」
女騎士「な、なんだ?」
魔女「内緒にしてたんだけど、私ねぇ……」グイッ
女騎士「ち、近い、近い……」
魔女「実は、他にも魔法、使えちゃうんだぁ……」
女騎士「そそそそうなんだぁ!」
魔女「ベッドの中で使う魔法なんだけどね! 私、とーっても上手なのよぉ! 見たい? 見たいわよね!」ギラギラ
女騎士「ま、ま、魔女さん! 待って! ちょっと!」
魔女「いいわよ見せてあげるわほーんとに素敵な魔法なの綺麗な夢を見せてあげる魔法なんだけどね!?」ギラギラギラ
女騎士「ひぇぇ!」
魔女「大丈夫――……」
女騎士「あっ……」
297: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 22:58:07.00 ID:/cl5Nov40
魔女「……さぁ、じっとしてて……」
グイッ ボフッ
女騎士「あ――……」
魔女「騎士さんは、そうやって、楽にしててくれればいいから……」
女騎士「……」
魔女「……うふふ、天井の染みでも数えててちょうだい?」
女騎士「……」
魔女「良い子ねぇ……、そうよ、そうやって力を――……」
女騎士「……」
魔女「抜いて……? 騎士さん――……?」
女騎士「スヤァ」
魔女「……………………………………」
・
・
・
グイッ ボフッ
女騎士「あ――……」
魔女「騎士さんは、そうやって、楽にしててくれればいいから……」
女騎士「……」
魔女「……うふふ、天井の染みでも数えててちょうだい?」
女騎士「……」
魔女「良い子ねぇ……、そうよ、そうやって力を――……」
女騎士「……」
魔女「抜いて……? 騎士さん――……?」
女騎士「スヤァ」
魔女「……………………………………」
・
・
・
298: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 22:58:37.87 ID:/cl5Nov40
・
・
・
~朝~
魔女「……」
女騎士「ごめんって」
299: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 22:59:09.94 ID:/cl5Nov40
魔女「……」
女騎士「違うんだって、あれは、ほら、あの、条件反射で」
魔女「……」
女騎士「なんていうか、あのベッドに入るともう、ああなっちゃうんだって」
魔女「……」
女騎士「……だから、その……」
魔女「……」
女騎士「……」
魔女「……」
女騎士(……怒ってる)
魔女「……」ムスー
女騎士(……怒ってらっしゃる)
女騎士「違うんだって、あれは、ほら、あの、条件反射で」
魔女「……」
女騎士「なんていうか、あのベッドに入るともう、ああなっちゃうんだって」
魔女「……」
女騎士「……だから、その……」
魔女「……」
女騎士「……」
魔女「……」
女騎士(……怒ってる)
魔女「……」ムスー
女騎士(……怒ってらっしゃる)
300: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 22:59:39.78 ID:/cl5Nov40
女騎士「……」
魔女「……」トポトポ
女騎士(……あ、でもお茶は注いでくれるんだ)
女騎士「……」グビッ
魔女「……」
女騎士(……あっ、でもめちゃくちゃ薄い)
魔女「……無職で居候の騎士さんには、それくらいのお茶で十分じゃないかしらぁ?」
女騎士(そしてすっごい心抉ってくる!)
女騎士「……」
魔女「あっ」
女騎士「えっ」
魔女「元・騎士さんだったかしらぁ」
女騎士「あっ苦くなってきた! お茶いい塩梅に苦くなってきた!!」
魔女「……」トポトポ
女騎士(……あ、でもお茶は注いでくれるんだ)
女騎士「……」グビッ
魔女「……」
女騎士(……あっ、でもめちゃくちゃ薄い)
魔女「……無職で居候の騎士さんには、それくらいのお茶で十分じゃないかしらぁ?」
女騎士(そしてすっごい心抉ってくる!)
女騎士「……」
魔女「あっ」
女騎士「えっ」
魔女「元・騎士さんだったかしらぁ」
女騎士「あっ苦くなってきた! お茶いい塩梅に苦くなってきた!!」
301: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 23:00:05.53 ID:/cl5Nov40
女騎士「……ごめんってー」
魔女「……」
女騎士「ほんと、謝るから。なんでもします。この通り」
魔女「……なんでも?」
女騎士「ああ! 魔女が望むこと、なんでも! 騎士に二言はないぞ!」
魔女「…………じゃあ」
女騎士「お」
魔女「……お祭り」
女騎士「え?」
魔女「……」
女騎士「ほんと、謝るから。なんでもします。この通り」
魔女「……なんでも?」
女騎士「ああ! 魔女が望むこと、なんでも! 騎士に二言はないぞ!」
魔女「…………じゃあ」
女騎士「お」
魔女「……お祭り」
女騎士「え?」
302: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 23:00:35.74 ID:/cl5Nov40
魔女「……お祭り、行ってみたい」
女騎士「……」
魔女「……」
女騎士「……『この森とともに生きて、この森で死ぬの』」
魔女「い、一日くらいいいじゃない! もう! なんでそんな変なことばっかり覚えてるのっ!」
女騎士「……お祭り、行ってみたいの?」
魔女「……本当は、ずっと行きたかったけど……」
女騎士「……」
魔女「……一人だと、怖いし……、楽しくなさそうだし……」
女騎士「……そっか」
魔女「……」
女騎士「……一緒に行こうな、今年は」
魔女「……いいの!?」
女騎士「……」
魔女「……」
女騎士「……『この森とともに生きて、この森で死ぬの』」
魔女「い、一日くらいいいじゃない! もう! なんでそんな変なことばっかり覚えてるのっ!」
女騎士「……お祭り、行ってみたいの?」
魔女「……本当は、ずっと行きたかったけど……」
女騎士「……」
魔女「……一人だと、怖いし……、楽しくなさそうだし……」
女騎士「……そっか」
魔女「……」
女騎士「……一緒に行こうな、今年は」
魔女「……いいの!?」
303: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 23:01:04.94 ID:/cl5Nov40
女騎士「ああ、一緒に色々、見て回ろう」
魔女「……!」パァァ
女騎士「……私も毎年、王都祭は警備だったし……、見る側に回るのは初めてかも……」
魔女「そうなの? じゃあ私たち、初めて同士ね!」
女騎士「ははは、そうだな」
魔女「じゃあ、じゃあ!」
女騎士「うん」
魔女「一緒にいっぱい、遊びましょうね!」
女騎士「ああ、もちろんだ」
魔女「……わぁ!」
女騎士「魔女と一緒に……」
魔女「騎士さんと一緒に!」
魔女「……!」パァァ
女騎士「……私も毎年、王都祭は警備だったし……、見る側に回るのは初めてかも……」
魔女「そうなの? じゃあ私たち、初めて同士ね!」
女騎士「ははは、そうだな」
魔女「じゃあ、じゃあ!」
女騎士「うん」
魔女「一緒にいっぱい、遊びましょうね!」
女騎士「ああ、もちろんだ」
魔女「……わぁ!」
女騎士「魔女と一緒に……」
魔女「騎士さんと一緒に!」
304: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 23:01:38.03 ID:/cl5Nov40
~(ほんとに)おわり~
305: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 23:04:20.55 ID:/cl5Nov40
お読みいただいた方、ありがとうございました
コメントくださった方、とても励みになりました。ありがとうございました
また機会があれば、またどこかで、またお会いできたら幸いです
コメントくださった方、とても励みになりました。ありがとうございました
また機会があれば、またどこかで、またお会いできたら幸いです
309: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 08:28:41.03 ID:ZnFWhSOno
乙
すごくよかった
すごくよかった
310: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 14:54:17.77 ID:rU0/MnBM0
乙
過去作があるなら教えてほしい
過去作があるなら教えてほしい
311: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/01(金) 00:35:50.19 ID:EtS+HCiW0
素晴らしい話だった
乙
乙
312: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/02(土) 21:56:56.26 ID:XYrdL7eVo
乙
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掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1502532702/
Entry ⇒ 2018.02.22 | Category ⇒ 魔王・勇者 | Comments (0)
志希「お兄ちゃんと仲良くなりたい」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/09(金) 18:34:44.44 ID:AiCgZzIJ0
前作の設定を引き継いでます。
↓ これの少し後の話になります
【モバマスSS】「過去と欲望とすべての解放」
※注意事項
多大な独自解釈を含んでおります。泰葉のキャラがちょっと変ですが今回出てきません
志希、乃々、周子の三人が喋っているだけです
見たくない人は泰葉・ほたる・美優・周子はPと関係がある。
志希はPの種違いの妹という設定だけ把握すればOKです
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/09(金) 18:36:02.80 ID:AiCgZzIJ0
【事務所~泰葉部屋】
志希「どうすればいいかにゃ?」
乃々「なんで森久保なんですか・・・?いじめですか」
志希「ん~とね?同じ妹キャラだから!」
乃々「・・・森久保は妹きゃらではないんですけど・・・」
周子「まあ妹みたいなもんじゃない」
乃々「うぅ・・・」
志希「周子ちゃんもだよ~?ちゃんと協力してほしいんだけどな~?」
乃々「そ、そういわれましても、森久保とは状況が違いすぎませんか・・・?」
周子「てかさー志希ちゃんや」
志希「なんだにゃ?」
周子「相談したいならそのモードやめようよ」
志希「・・・あ、そうだね。そりゃ失礼だよね。ごめんなさいね乃々ちゃん」
乃々「!?」
志希「えっと、あの、・・・乃々ちゃん。私どうすればいいかな?」
乃々「!?」
周子「驚くのはわかるけどね」
周子「・・・志希ちゃんは誘惑イビルの三人だけだとは割とこんな感じなんだ」
乃々「えぇ・・・普段は一体どういうことなんですか・・・」
志希「・・・あのね、何ていうかね。・・・スタートを間違えたよね」
周子「最初どうしたんだっけ?よろしく~♪!とかやっちゃったんだっけ?」
乃々「・・・普通に話しかければよかったのでは・・・?」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/09(金) 18:37:04.72 ID:AiCgZzIJ0
志希「違うの!・・・乃々ちゃん、想像してみて?」
志希「お兄ちゃんにさ、本気で睨まれながら『は?消えろよ』って言われるとしたらどう?」
乃々「・・・駄目です無理です。そんなことされたら森久保は消滅します」
志希「絶対そうなると思ったの!」
周子「まあ、おおまかには話聞いたけど絶対いい印象は持てないよね」
志希「・・・正面から会って、私という存在にいい印象が生まれるわけないじゃん」
乃々「森久保もお父さんから改めて聞きましたけど、そのお・・・」
志希「それにあれだ。あのテンションじゃなかったら『・・・離れろ』の時点で多分心折れてる」
乃々「・・・想像しただけできついんですけど」
周子「やばいね~。アタシがやられたらどうだろ?」
周子「・・・あ、無理だこれ。下手すりゃ一日凹むわ。あたし何やったんだって思うわ」
志希「・・・でしょ?そりゃね?素の私でもテンションは高いほうだよ?」
志希「でもね。そういうのじゃなかったの。あれは」
乃々「・・・わかります。でもその流れでよく異動できましたね」
志希「私をスカウトしたプロデューサーさんがね?すぐ手続きしてくれたんだ」
周子「菜々さんのプロデューサーが?」
志希「うん。事情を触りだけ話したらさ」
志希「兄妹は仲良くした方がいいよ!うまいことやれば彼に渡せるから!って言ってくれて」
乃々「さ、さすが、ウチで一番やさしいプロデューサーとの噂のお方・・・」
志希「あとで聞いたんだけど裏で聖人って呼ばれてるらしいねあの人」
※菜々さんのプロデューサーは他にPCSの三人としゅがはを担当しています。アシスタントはいません。
周子「打算で動いてないからPさんも断れなかったんだろうなあ」
志希「うん。感謝してる。レッスン場にきてくれたときも菜々さんがなんかやってくれたみたいだし」
乃々「そうなんですか?
周子「Pさんが奥のトレーニングルームに入って、アタシ達がレッスン受けてた時にさ」
志希「トレーニングルームに向かう菜々さんをフレちゃんが見つけたんだよ」
乃々「おお・・・」
志希「多分なんかいってくれたんだと思う」
周子「凄いよね菜々さん。さすが大先輩だわ」
乃々「・・・あ、あの、ちなみに具体的にどうしたいんですか?」
志希「・・・どうしよう?何がしたいんだろう私」
乃々「・・・少しお話しながらまとめてみましょう?」
志希「・・・うん」
周子「(よかった。泰葉よりマシな流れになりそう)」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/09(金) 18:37:34.34 ID:AiCgZzIJ0
志希「どうしようかな・・・やっぱりちゃんと話したほうがいいかな?」
周子「んー。やっぱりどこを終着点にするかによるよね」
志希「・・・せめて乃々ちゃんくらいの距離がいい」
乃々「・・・あの。森久保くらいというのは」
志希「・・・好きに甘えられてくっついても怒られない。本来の妹ポジションみたいになりたい」
乃々「!?・・・あ、あの。森久保はべ、べつに妹ポジでは・・・」
志希「・・・机の下で何も言わず頭だけだしてPさんが無意識に頭撫でてるくらいの距離感?」
乃々「!?」
志希「レッスン行くのを嫌がったら手を繋いで連れてって貰ってるよね?」
乃々「あ、あの」
周子「逃げようとしたらすぐみつけてるよね。あれは付き合いの長さなのかなやっぱり」
乃々「この流れやめてほしいんですけど!」
志希「いいじゃん。私なんて失踪したらそのままほっとかれたんだよ?」
周子「2日でやんなくなったもんね。ほんとにほっとかれるから」
志希「うん・・・乃々ちゃんが今いる場所がさ」
乃々「・・・はい」
志希「ちゃんと妹やってた私だったかもしれないって考えるとちょっと切ないの」
周子「・・・まあね」
志希「・・・正直しょうがないかなとも思ってたんだ。だってさ、一番触れられたくない存在じゃん私」
乃々「・・・志希さん」
志希「マッマのことも全く解決してないし、・・・まあそもそも解決する気もないけども」
志希「・・・正直どうやっても無理なのかなって思った、でも、レッスン場に見に来てくれた」
志希「・・・で、一緒にご飯行こうって。別に二人だけでもいいって言ってくれた」
周子「アタシも一緒だったけどね」
志希「初ライブの前緊張してた私に手を握って何があっても守ってやるから頑張れって言ってくれて」
乃々「お、おぉ」
志希「こんなんあれでしょ。諦められないでしょ?私ちゃんとした妹になりたいよ」
乃々「志希さん!森久保は全面的に協力しますけど!」
志希「・・・ありがとう。乃々ちゃん、具体的にどうしようかなあ」
周子「・・・いいこと考えた。癒やしキャラ目指すっていうのは?乃々ちゃん的な」
乃々「・・・も、森久保は癒やしキャラなんですか?
周子「多分Pさんはアタシが聞いたところによると癒やしを求めているはずなんだ」
乃々「・・・?みなさんがいるじゃないですか?」
周子「・・・なんかね。激しい人がいるみたいで」
しきのの「!?」
乃々「・・・あ、あの具体的には」
周子「アタシも詳しくは知らないし聞いてない。Pさんと夜話した時にそう感じただけだし」
志希「いいなあ。あたしもピロートークしたいなあ」
周子「・・・ぼかしてんだからその辺突っ込むのやめてくんない?」
乃々「・・・今はどういう状態なんですか?」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/09(金) 18:39:08.63 ID:AiCgZzIJ0
周子「わかりやすく言うとね。まあ美優さんが一番多いのは揺るぎないんだけどさ」
志希「うん。アイドルじゃないもんね」
周子「で、みんなのお仕事のスケジュールに合わせて交代で二人きりタイム作ろうねって感じになってるんだ」
志希「そういえば結局お兄ちゃん引っ越したって言うけど近いの?」
周子「うん。当初の予定通り、部屋の数減らしてお風呂とキッチン広いとこにしたみたい」
乃々「・・・皆さんはそれでいいんですか?」
周子「・・・美優さんが隣の部屋に引っ越してくるまでは文句なかったよ」
しきのの「!?」
周子「・・・Pさん絶句してたよ。これはさすがにアカンと思ってアタシもそこのマンションに引っ越したの」
志希「それもおかしいと思うんだけど」
周子「・・・隣は無理でもフロアを同じにできてよかったよほんと」
乃々「あ、もしかして・・・泰葉さんやほたるちゃんが周子さんの家泊まりに行くのって・・・」
周子「うん。そうだよ?」
乃々「知りたくなかったんですけどぉ・・・」
志希「そんな周子ちゃんはどうなのさ」
周子「Pさんいわく一番まともだって言ってた。一番普通って」
志希「具体的には?」
周子「流石に言わないよ。・・・こらそこ、残念がらない」
乃々「・・・べ、別に森久保は」
志希「ま、まあこう言うの興味あるのはある意味で健全だよ?」
乃々「森久保が興味ある感じにしないでくださいよぉ・・・」
周子「で、そう考えると癒やしキャラを目指していけばいいんじゃないかなーって」
志希「具体的にどうしよ?」
乃々「・・・あの、今嫌なことに気づいたんですけど」
周子「どしたの?」
乃々「最近泰葉さんのお部屋にいったらですね。細いロープが置いてあって」
志希「ロープ?なんでまた」
乃々「理由を聞いたら、最近洗濯物が増えてしまって干すために買ったって言ってたんです」
周子「一人暮らしならあるあるじゃないの?」
乃々「・・・寮には無料の乾燥機があるんですよ」
しきしゅーこ「・・・あっ」
乃々「最近アイマスクが常にカバンに入ってるのも・・・」
乃々「まゆさんから長めのリボンを見繕ってもらっていたのももしや・・・」
周子「乃々ちゃんストップ!それ以上いけない!」
志希「えぇ・・・うそぉ」
周子「この話やめ!本筋に戻すよ!」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/09(金) 18:39:50.00 ID:AiCgZzIJ0
~~作戦会議中~~
志希「・・・よし。じゃあこの作戦で決まったね」
乃々「じゃあそれだと森久保はじゃまになると思うので帰りますね」
志希「・・・ごめんね?乃々ちゃん。今度埋め合わせするから」
乃々「いえいえ。がんばってください」
周子「アタシはここにいるわ。アタシがここにいたほうが多分ばれない」
志希「・・・ありがとね二人共」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/09(金) 18:42:37.66 ID:AiCgZzIJ0
P「ただいま~・・・ふ~疲れた」
周子「おかえり。なんかあった?」
P「いや、悠貴と菜々さんで地区毎の全ての坂走る番組の収録についてったんだけどさ」
P「おわったら菜々さんが動けなくなりかかけてたのがわかったから、家まで車で送ってきたんだ」
周子「ウサミン星いってきたんだ・・・悠貴ちゃんは?」
P「先に女子寮に置いてきた。打ち上げできなくなっちゃってごめんって言ったけど許してくれたよ」
周子「あー、それはしょうがないね。今度埋め合わせしてあげなね?」
P「もちろん。さて、仕事片付けるか・・・」
P「・・・」
???「(・・・頭を出して)」
P「・・・」ナデナデ
P「・・・ん?なんかいつもと感触が・・・」
志希「・・・にゃはは~!びっくりした?」
P「お、おお。志希だったのか。すまん、つい。てかなんでこんなとこに」
志希「いーよいーよ!ちょっと机の下入ってみたくなっちゃってさ!丁度乃々ちゃんいなかったし!」
P「悪かった、嫌だったろ?ごめんな?」
志希「・・・お兄ちゃんは嫌だった?」
P「いや、別に?」
志希「・・・そっか!じゃあアタシも帰るね!じゃあね~」
P「・・・行っちゃったよ。なんだったんだ?」
周子「・・・さあね~、お詫びに晩ご飯でも連れてって上げれば?」
P「・・・そうだな。そうすっか。行ってくるわ。志希!ちょっと待て!」
周子「(・・・あんだけ前降っておいて、頭撫でられるだけでいいんだなあ」
P「・・・?なんか言ったか?後お前も来るだろ?準備しとけ」
周子「なんでも~?」
周子「あ、もちろんアタシも行くし、ついでに悠貴ちゃんとさっき帰ったばかりの乃々ちゃんも誘おーよ」
P「よしそうすっか。おーい!志希ー!」
志希「・・・はーい!呼ばれて飛び出て志希ちゃんだよ~!」
おわり!
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/09(金) 18:43:34.00 ID:AiCgZzIJ0
以上です 依頼出してきます。これ書いてる最中に悠貴のコミュが来るとは思いませんでした
ひゃっほう
ひゃっほう
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/09(金) 21:45:05.00 ID:neXXxkLA0
比較的まともなメンバーだwww
乙乙
乙乙
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1518168884/
Entry ⇒ 2018.02.22 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
【艦これ】敷波「吹雪、それやめて」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/10(土) 00:55:45.66 ID:CwDaQPNq0
断れない系女子。
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/10(土) 00:57:03.16 ID:CwDaQPNq0
吹雪「なんで?気持ちいいもん」
敷波「それはいいんだけどさ、あのさ、姉妹の間でも羞恥心って大事だと思うんだよ」
吹雪「羞恥心?」
敷波「そう羞恥心」
吹雪「私今恥ずかしいことしてるの?別に恥ずかしいと思わないけどなぁ」
敷波「.....どうして?」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/10(土) 01:01:12.48 ID:CwDaQPNq0
吹雪「どうしてって、鼻くそほじるくらい誰だってするでしょ?敷波ちゃんだって」
敷波「まぁ、そう、なんだけどさ。でも、小指を突っ込んで豪快にほじるのは、どうかと....」
吹雪「こうした方が気持ちいいもん、仕方ないじゃん」
敷波「そんな気持ち良さそうな顔しながら言わないで....」
吹雪「じゃあ敷波ちゃんはどうやって鼻くそほじるのかなぁ?」
敷波「そりゃ、ティッシュを使って....」
吹雪「え....。いちいちそんなことするの?ねぇ敷波ちゃん。お姉ちゃんに嘘はよくないよねぇ?」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/10(土) 01:06:00.11 ID:CwDaQPNq0
敷波「いやほんとだって」
吹雪「だってティッシュ丸めて鼻に突っ込む機会なんて罰ゲームくらいだよ?敷波ちゃんは罰ゲームを自分からするの?」
敷波「それは実体験と偏見とテレビの見過ぎ。ほら、少し大きめに丸めてから、鼻に突っ込むんだよ」
吹雪「いや無理あるでしょそれ」
敷波「え~....何に無理があるかわからないんだけど」
吹雪「だってさ、例えばこのタイプの鼻くそ」
敷波「採りたてみせないで!」
吹雪「ほら、この細長タイプの鼻くそ。これってさ、鼻の奥の奥にあるじゃん?それをさ、ティッシュ丸めたのでとれるの?私には無理だと思うけどなぁ」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/10(土) 01:08:47.73 ID:CwDaQPNq0
敷波「いや、あのさぁ...」
吹雪「こうやって....。小指を突っ込んでさ、爪の間に挟み込んで、やっっっと、とれるんだよ?」
敷波「....吹雪器用ね」
吹雪「ねぇ飾らないでよ!!私はね!敷波ちゃんが指を使って鼻くそをとってるっていうのが聞きたいんだから!」
敷波「なんでキレるの!?」
吹雪「お姉ちゃんはおこだよ!私は敷波ちゃんが嘘をつく子に育てた覚えはありません!」
敷波「いやほんとにティッシュ使って」
吹雪「だって摩耶さんだって指派だよ!利根さんだって!」
敷波「納得できるのがあれだけどさ、それはさ、価値観の違いでしょ?」
吹雪「でた価値観の違い!バンドの解散理由か!」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/10(土) 01:16:55.84 ID:CwDaQPNq0
敷波「じゃあさ、逆に聞くけど、その鼻くそどうするの?」
吹雪「これ?」
敷波「そうそれ」
吹雪「敷波ちゃんにつける」
敷波「姉でもぶん殴るよ?」
吹雪「そりゃ、さ。ティッシュにつけてゴミ箱に...」
敷波「ねぇお姉ちゃん。妹に嘘はよくないよね。あたしはお姉ちゃんを嘘をつく子に育てた覚えはないよ?」
吹雪「ウソじゃないもん!」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/10(土) 01:17:36.31 ID:CwDaQPNq0
敷波「だってティッシュ使うのめんどくさがる人がさ、ほじくった後にティッシュにつけて捨てるなんて、あたしは考えられない」
吹雪「いや....それはね。聞くのはよくないと思うよ」
敷波「もっと言っちゃえばさ、その後手洗うの?」
吹雪「それも聞くのは....」
敷波「羞恥心」
吹雪「へ?」
敷波「姉妹間でも羞恥心は大事って、あたし言ったよね。吹雪がしたことをやってるんだよ?」
吹雪「んぐぅ....」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/10(土) 01:21:32.37 ID:CwDaQPNq0
敷波「ほら、これに懲りたら、もうアホなこととアホなこと聞くのはやめなよ?」
吹雪「.....そうだよ」
敷波「へ?」
吹雪「そうだよ。お姉ちゃんはね、とった鼻くそは丸めて自然に返してるんだよ!あと誰も見てないから手も洗いません!」
敷波「あのさ、答えてほしくて聞いたわけじゃないんだけど」
吹雪「ほら!お姉ちゃん答えたよ!羞恥心の垣根を超えたよ!今度は敷波ちゃんの番!」
敷波「うわそうきたか....」
吹雪「ほら、あんさーぷりーず」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/10(土) 01:28:07.18 ID:CwDaQPNq0
敷波「だからティッシュを使って....」
吹雪「一人の時は?」
敷波「えっと....その、あれだよ....」
吹雪「あれってなぁに?」
敷波「だから....あれ、だってぇ」
吹雪「うんうん。お姉ちゃんはバカだからよくわからないなぁ」
敷波「.....」
吹雪「ねぇ、敷波ちゃん。お姉ちゃんはさ、敷波ちゃんのことがもっと知りたいの。いいんだよ?別に敷波ちゃんが鼻くそを指でほじってても、お姉ちゃんは引かないよ?」
敷波「...... 」
吹雪「むしろ、みんなの知らない敷波ちゃんを知れて、私は嬉しい。ね?だから、恥ずかしがらずに、答えて?」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/10(土) 01:34:12.63 ID:CwDaQPNq0
敷波「.....ってるよ」
吹雪「なんて?」
敷波「だから!一人の時は!指使ってほじくってるって!」
吹雪「....えらいよ敷波ちゃん。よく言えました」
敷波「ほらこれで満足!?親指だって、人差し指指だって使うに決まってるでしょ!だいたい指使わないわよ~、なんて嘘に決まってる!アイドルがトイレ行かない嘘くらいわかりきってることでしょ!」
吹雪「那珂先輩だって、那珂ちゃん先輩モードになる前にトイレに籠るもんね」
敷波「でも!あたしは吹雪とは違うから!」
吹雪「え?なにが?」
敷波「あたしは吹雪と違って、手は洗うから!」
吹雪「....それはこれから私も治そうと思ってます....」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/10(土) 01:34:47.75 ID:CwDaQPNq0
敷波「ばか!アホ!ダメ姉!無神経!」
吹雪「どうどう....鎮まれ鎮まれ敷波ちゃん....」
敷波「はぁ、はぁ....」
吹雪「腹式呼吸、腹式呼吸。ラマーズ法?だっけ。ひっひっふーだよ」
敷波「まじ、どうでもいいから、それ...」
吹雪「ひっひっふー、ひっひっふー」
敷波「ねぇバカにしてるでしょ」
吹雪「三割くらい。七割は嬉しい気持ち」
敷波「十割バカにしてるでしょそれ」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/10(土) 01:36:49.94 ID:CwDaQPNq0
吹雪「違うよ。七割の嬉しさは、敷波ちゃんがお姉ちゃんに本当のこと話してくれたから、嬉しいんだよ」
敷波「....すぐそうやっておちょくる」
吹雪「もぉ!?ほんっとにかわいい敷波ちゃん!好き!大好き!」
敷波「あたしは、吹雪のこと嫌いだし....」
吹雪「ぁあ!ほんとなんで敷波ちゃんといい私の妹達はこんなに可愛いんだ....」
敷波「あぁ!もうわかったから!さっさと手洗ってきてよ!」
吹雪「まって。まだ洗いに行けない」
敷波「なんでよ....」
吹雪「お姉ちゃん敷波ちゃんが指を使って鼻をほじくって気持ちよくなってる顔を見たい」
敷波「うわめっちゃ早口....。絶対いやだから!」
吹雪「それから一緒に手、洗いに行こっか。それまでお姉ちゃん、ここから絶対動かないからね」
敷波「えぇ....。それは、ちょっと....」
吹雪「さ、敷波ちゃん。一緒にやれば怖くないよね」
敷波「えぇ....」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/10(土) 01:37:39.67 ID:CwDaQPNq0
おしまいです。
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/10(土) 01:41:56.84 ID:CwDaQPNq0
過去作さんたちです。よかったらどうぞ。
地の分あり。
鳳翔「大断捨離」
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1483417144/
那珂ちゃんは申したい!
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1483949214/
五航戦瑞鶴の暗躍
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1485521533/
【艦これ】深海の濃淡は僕と同じ
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1488290777/
【艦これ】大井さんの女子力事情
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1491918298/
地の分無し。
【艦これ】薬が飲めない長門さん
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1510848602/
【艦これ】長門さんはカレーは飲み物派
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1511209805/
地の分あり。
鳳翔「大断捨離」
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1483417144/
那珂ちゃんは申したい!
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1483949214/
五航戦瑞鶴の暗躍
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1485521533/
【艦これ】深海の濃淡は僕と同じ
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1488290777/
【艦これ】大井さんの女子力事情
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1491918298/
地の分無し。
【艦これ】薬が飲めない長門さん
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1510848602/
【艦これ】長門さんはカレーは飲み物派
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1511209805/
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/10(土) 09:03:06.89 ID:eTR2ajfi0
ひでえww
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/10(土) 09:29:23.43 ID:034RgDBEO
特型の姉吹雪よいぞ…
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/10(土) 10:48:47.13 ID:6w0auixQ0
吹雪「お姉ちゃん敷波ちゃんが指を使って鼻をほじくって気持ちよくなってる顔を見たい」
こういう時にお姉ちゃん自称するのすき
こういう時にお姉ちゃん自称するのすき
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1518191745
Entry ⇒ 2018.02.21 | Category ⇒ 艦隊これくしょん | Comments (0)
速水奏「…………むぅ」
1: ◆oeRx5YHce. 2017/08/26(土) 19:16:32.11 ID:aMqWbp8N0
ポンコツ奏をいじるだけ。
割とキャラ崩壊注意。
割とキャラ崩壊注意。
2: ◆oeRx5YHce. 2017/08/26(土) 19:18:05.87 ID:aMqWbp8N0
・下準備
奏「ねぇ、プロデューサー」
モバP「どうした?」
奏「キスしましょう?」
モバP「その前に口のケチャップ拭いてからな。ほれ」ハンカチーフ
奏「……むぅ」
奏「ねぇ、プロデューサー」
モバP「どうした?」
奏「キスしましょう?」
モバP「その前に口のケチャップ拭いてからな。ほれ」ハンカチーフ
奏「……むぅ」
3: ◆oeRx5YHce. 2017/08/26(土) 19:20:36.42 ID:aMqWbp8N0
・軽口
フレデリカ「ねぇねぇプロデューサー。ランチに行こー」
モバP「いいな。どこ行く?」
フレデリカ「やったー! フレちゃんねー、Bread & Rosesがいいなぁー」
モバP「どこそこ」
フレデリカ「7 rue de Fleurus - 75006 Paris」
モバP「Oh! Paris!」
フレ&モバ「HAHAHAHAHA!!!!」
モバP「ラーメン」
フレデリカ「御意」
奏「…………」ジーッ
フレデリカ「ねぇねぇプロデューサー。ランチに行こー」
モバP「いいな。どこ行く?」
フレデリカ「やったー! フレちゃんねー、Bread & Rosesがいいなぁー」
モバP「どこそこ」
フレデリカ「7 rue de Fleurus - 75006 Paris」
モバP「Oh! Paris!」
フレ&モバ「HAHAHAHAHA!!!!」
モバP「ラーメン」
フレデリカ「御意」
奏「…………」ジーッ
4: ◆oeRx5YHce. 2017/08/26(土) 19:24:53.25 ID:aMqWbp8N0
・軽口 その2
奏「ねぇ、プロデューサー」
モバP「お疲れ奏。あ、仕事の話が……」
奏「ランチに行きましょう?」
モバP「えらく強引だな。じゃあ飯食いながら打ち合わせでもいいか?」
奏「構わないわ。私、今日はフランス料理が食べたい気分なの」
モバP「昼からか? けっこう重いぞ?」
奏「ならカフェにでも行きましょう。貴方のことだから、きっと素敵な、そう本場フランスの……」
モバP「じゃあ行くか。一旦寮に戻るぞ」
奏「え?」
モバP「明後日からパリで撮影の予定だったし、このまま現地入りしてもいいだろ。行くぞ」
奏「え、あっ、ちょ……」モタモタ
奏「…………むぅ」
奏「ねぇ、プロデューサー」
モバP「お疲れ奏。あ、仕事の話が……」
奏「ランチに行きましょう?」
モバP「えらく強引だな。じゃあ飯食いながら打ち合わせでもいいか?」
奏「構わないわ。私、今日はフランス料理が食べたい気分なの」
モバP「昼からか? けっこう重いぞ?」
奏「ならカフェにでも行きましょう。貴方のことだから、きっと素敵な、そう本場フランスの……」
モバP「じゃあ行くか。一旦寮に戻るぞ」
奏「え?」
モバP「明後日からパリで撮影の予定だったし、このまま現地入りしてもいいだろ。行くぞ」
奏「え、あっ、ちょ……」モタモタ
奏「…………むぅ」
5: ◆oeRx5YHce. 2017/08/26(土) 19:27:03.83 ID:aMqWbp8N0
・好みはそれぞれ
奏「フランスの海も綺麗なものね……この潮騒が多くの人々を拐かした潮騒」
奏「私もこうなってみたいものだわ」
奏「…………遅いわねプロデューサー。どこに……、あら?」
仏人セクシーギルティ「ペラペーラペラ」ボンキュッボン
モバP「ハハハ……いえーす、いえーす、せんきゅー」
奏「何してるのかしら」
モバP「なんか向こうの人に話しかけられちゃってさ」
奏「……鼻の下が伸びてるわよ、変態さん」
モバP「気のせいだろ」
奏「どうかしらね」
モバP「俺、奏一筋だし」
奏「なっ」
モバP「やっぱ人多いな。移動しよう」テツナギ
奏「てっ」
モバP「どうした?」
奏「…………むぅ」
奏「フランスの海も綺麗なものね……この潮騒が多くの人々を拐かした潮騒」
奏「私もこうなってみたいものだわ」
奏「…………遅いわねプロデューサー。どこに……、あら?」
仏人セクシーギルティ「ペラペーラペラ」ボンキュッボン
モバP「ハハハ……いえーす、いえーす、せんきゅー」
奏「何してるのかしら」
モバP「なんか向こうの人に話しかけられちゃってさ」
奏「……鼻の下が伸びてるわよ、変態さん」
モバP「気のせいだろ」
奏「どうかしらね」
モバP「俺、奏一筋だし」
奏「なっ」
モバP「やっぱ人多いな。移動しよう」テツナギ
奏「てっ」
モバP「どうした?」
奏「…………むぅ」
6: ◆oeRx5YHce. 2017/08/26(土) 19:31:42.81 ID:aMqWbp8N0
・赤ずきん? 狼?
サツエイシュウリョウデス オツカレサマデシター!!
モバP「お疲れ様です。速水の為にパリまで本当にありがとうございます。あ、○○さんも本当にありがとうございます。お疲れ様でした」
奏(パリでの撮影。モチーフは赤ずきん。私は可愛い赤ずきんで美しい雌狼でもある)
奏(無惨に腸を曝け出す愚かで可愛い赤ずきん)
奏(それとも血をべっとり口元につけて死骸を貪る貪欲な狼……)
奏(……そのどちらかだったはずなのだけど)
モバP「あー、疲れた。奏ー、ホテル戻るぞ」
奏「ひゃい!」
モバP「ひゃい?」
奏「な、なんでもないわ! ただの考え事よ」
モバP「ん? あ、そうか。じゃあ戻る時は連絡くれ」
奏「連絡?」
モバP「せっかくのパリだし、一人で楽しみたいこともあるだろ。俺は疲れたから先に戻ってる。帰りが不安だったり何かあったりしたときはすぐに連絡くれよ。じゃっ」スタコラサッサ
奏「………………むぅ」プクーッ
サツエイシュウリョウデス オツカレサマデシター!!
モバP「お疲れ様です。速水の為にパリまで本当にありがとうございます。あ、○○さんも本当にありがとうございます。お疲れ様でした」
奏(パリでの撮影。モチーフは赤ずきん。私は可愛い赤ずきんで美しい雌狼でもある)
奏(無惨に腸を曝け出す愚かで可愛い赤ずきん)
奏(それとも血をべっとり口元につけて死骸を貪る貪欲な狼……)
奏(……そのどちらかだったはずなのだけど)
モバP「あー、疲れた。奏ー、ホテル戻るぞ」
奏「ひゃい!」
モバP「ひゃい?」
奏「な、なんでもないわ! ただの考え事よ」
モバP「ん? あ、そうか。じゃあ戻る時は連絡くれ」
奏「連絡?」
モバP「せっかくのパリだし、一人で楽しみたいこともあるだろ。俺は疲れたから先に戻ってる。帰りが不安だったり何かあったりしたときはすぐに連絡くれよ。じゃっ」スタコラサッサ
奏「………………むぅ」プクーッ
7: ◆oeRx5YHce. 2017/08/26(土) 19:33:12.85 ID:aMqWbp8N0
・赤ずきん? 狼? その2
奏(一筋とか言う割にその、独占欲とかはないのかしら)カツカツ
奏(しれっと歯の浮く台詞言ってのけちゃって)カツカツ
奏(人がそう簡単に惑わされると思ったら……)カツカツ
奏「……どこかしら、ここ」
奏「………………」ケイタイミツメ
奏「これは、その、迷ったんじゃなくて、そもそも貴方が悪いのよ。そう、私は悪くなくて、担当アイドルの監督を放棄してるわけで、プルル 決して一人が心細いとかいう訳では」
モバP『どしたー? 心細いのかー?』
奏「……迎えに、来てくれるかしら」
奏(一筋とか言う割にその、独占欲とかはないのかしら)カツカツ
奏(しれっと歯の浮く台詞言ってのけちゃって)カツカツ
奏(人がそう簡単に惑わされると思ったら……)カツカツ
奏「……どこかしら、ここ」
奏「………………」ケイタイミツメ
奏「これは、その、迷ったんじゃなくて、そもそも貴方が悪いのよ。そう、私は悪くなくて、担当アイドルの監督を放棄してるわけで、プルル 決して一人が心細いとかいう訳では」
モバP『どしたー? 心細いのかー?』
奏「……迎えに、来てくれるかしら」
8: ◆oeRx5YHce. 2017/08/26(土) 19:35:28.16 ID:aMqWbp8N0
・赤ずきん? 狼? その3
ホテルにて
奏「…………」
モバP「そう拗ねるなよ。ちゃんと帰ってこれたんだから良かった」
奏「部屋に戻るわ」
モバP「寝るのか?」
奏「宿題」
モバP「頑張れ学生」
奏「子供扱いして」
モバP「じゃあプロデューサーでもやるか?」
奏「遠慮しておくわ」
モバP「あ、そうだ。これ預けとくぞ」
奏「私の部屋のカードキーはあるわ」
モバP「俺のだよ。前もってスペアを貰ったんだ。何もないと思うが、一応持っといてくれ」
奏「夜のお誘いかしら?」
モバP「冗談。なにがあるかわからないだろ? 困ったら逃げ込んで来れる用に」
奏「必要ないわ」
モバP「じゃあフランス語も英語も話せない俺が鍵を部屋に忘れてた時用に」
奏「……ずるいわね。そういうなら受け取るしかないじゃない。それじゃあ」バタン
奏「………………」カツカツカツ
奏「………………」カツカツカツ
奏「…………ふふん」ガッツポーズ
モバP「あ、忘れてた。奏?」
奏「ひゃい!」
ホテルにて
奏「…………」
モバP「そう拗ねるなよ。ちゃんと帰ってこれたんだから良かった」
奏「部屋に戻るわ」
モバP「寝るのか?」
奏「宿題」
モバP「頑張れ学生」
奏「子供扱いして」
モバP「じゃあプロデューサーでもやるか?」
奏「遠慮しておくわ」
モバP「あ、そうだ。これ預けとくぞ」
奏「私の部屋のカードキーはあるわ」
モバP「俺のだよ。前もってスペアを貰ったんだ。何もないと思うが、一応持っといてくれ」
奏「夜のお誘いかしら?」
モバP「冗談。なにがあるかわからないだろ? 困ったら逃げ込んで来れる用に」
奏「必要ないわ」
モバP「じゃあフランス語も英語も話せない俺が鍵を部屋に忘れてた時用に」
奏「……ずるいわね。そういうなら受け取るしかないじゃない。それじゃあ」バタン
奏「………………」カツカツカツ
奏「………………」カツカツカツ
奏「…………ふふん」ガッツポーズ
モバP「あ、忘れてた。奏?」
奏「ひゃい!」
9: ◆oeRx5YHce. 2017/08/26(土) 19:40:21.14 ID:aMqWbp8N0
・狼
奏(深夜一時。良い子は寝る時間)
奏(最近はいつも彼に振り回されてばかり。こちらから仕掛けでもしないと気が済まないわ)
奏(というわけで、今はプロデューサーの部屋のドアの前。寝起きに美女が隣で寝ているだなんて、驚くでしょうね)
奏(もし仮に、彼が狼だったのなら、私は可愛い赤ずきんを演じるわ)
奏(べ、別に、その、……怖くないもの)
奏(彼が今寝ているのは部屋電で確認済み)ピッ ドアヒラキ
奏(私を辱めた責任、しっかり取ってもらうわ)モゾモゾ
奏(何かしら、えらく広いベッドね……)ウトウト
奏(朝……起きたら……私の魅力に…………)グゥ
モバP「で、俺がコンビニに行ってる間に何が?」チュンチュン
奏「ひゃい……」
モバP「この顔のあざはなんだと思う? 天下の速水奏は寝相が悪いだなんて言わないよな?」
奏「……」
モバP「ベッドが占領されててソファーで寝たせいで身体中バキバキなんだが?」
奏「その………」
奏「…………むぅ?」
モバP「かわいい」
奏「なっ」
モバP「なんでもない今のなし」
奏(深夜一時。良い子は寝る時間)
奏(最近はいつも彼に振り回されてばかり。こちらから仕掛けでもしないと気が済まないわ)
奏(というわけで、今はプロデューサーの部屋のドアの前。寝起きに美女が隣で寝ているだなんて、驚くでしょうね)
奏(もし仮に、彼が狼だったのなら、私は可愛い赤ずきんを演じるわ)
奏(べ、別に、その、……怖くないもの)
奏(彼が今寝ているのは部屋電で確認済み)ピッ ドアヒラキ
奏(私を辱めた責任、しっかり取ってもらうわ)モゾモゾ
奏(何かしら、えらく広いベッドね……)ウトウト
奏(朝……起きたら……私の魅力に…………)グゥ
モバP「で、俺がコンビニに行ってる間に何が?」チュンチュン
奏「ひゃい……」
モバP「この顔のあざはなんだと思う? 天下の速水奏は寝相が悪いだなんて言わないよな?」
奏「……」
モバP「ベッドが占領されててソファーで寝たせいで身体中バキバキなんだが?」
奏「その………」
奏「…………むぅ?」
モバP「かわいい」
奏「なっ」
モバP「なんでもない今のなし」
10: ◆oeRx5YHce. 2017/08/26(土) 19:45:11.17 ID:aMqWbp8N0
・帰国
事務所
モバP「ふぃー疲れた。やっぱ日本だな」
フレデリカ「あ、プロデューサー。おハロ〜」
モバP「お、フレちゃん。まみむめも〜」
フレデリカ「まみむめも?」
奏(まみむめも?)
モバP「バラムガーデンの挨拶。今のトレンドだよ」シレット
フレデリカ「わーお。初耳! カナデちゃん、まみむめも〜」
奏「なっ」
モバP「ほら、奏。挨拶は社会人の基本だぞ?」
フレデリカ「だぞだぞ〜」
奏「こんにちはフレちゃん」
フレデリカ「まみむめも〜」
モバP「まみむめも〜」
奏「………………」
モバフレ「…………」ニヨニヨ
奏「ま、まみむめも〜」カオマッカ
モバフレ「Fuuuuuuuuuuu!!!」ハイタッチ
奏「…………むぅ」
事務所
モバP「ふぃー疲れた。やっぱ日本だな」
フレデリカ「あ、プロデューサー。おハロ〜」
モバP「お、フレちゃん。まみむめも〜」
フレデリカ「まみむめも?」
奏(まみむめも?)
モバP「バラムガーデンの挨拶。今のトレンドだよ」シレット
フレデリカ「わーお。初耳! カナデちゃん、まみむめも〜」
奏「なっ」
モバP「ほら、奏。挨拶は社会人の基本だぞ?」
フレデリカ「だぞだぞ〜」
奏「こんにちはフレちゃん」
フレデリカ「まみむめも〜」
モバP「まみむめも〜」
奏「………………」
モバフレ「…………」ニヨニヨ
奏「ま、まみむめも〜」カオマッカ
モバフレ「Fuuuuuuuuuuu!!!」ハイタッチ
奏「…………むぅ」
11: ◆oeRx5YHce. 2017/08/26(土) 19:49:57.48 ID:aMqWbp8N0
・軽口 その3
みく「軽口をたたきたい?」
奏「そうね。気軽にからかい合える関係に憧れるわ」
みく「そんなこと言ってもにゃ〜。みくの場合、弄り倒されるだけだから……」
奏「それでも数多くいるアイドルの中で選ばれていることには何か理由があるはずよ」
みく「そんなんみくのほうが知りたいにゃ」
モバP「みく! お昼買ってきたぞ!」バンッ
みく「わっ、びっくした〜。Pチャン、もうちょっと普通に入ってくることできないの?」
モバP「悪い悪い。想いが迸った。奏もお疲れ。これがおまえの分」サンドイッチテワタシ
みく「……みくのは?」
モバP「好きなの選べ!」フタツトリダシ
みく「…………内訳は?」
モバP「どっちも魚介!」
みく「みく帰るね」カツカツカツ
モバP「みく待て待て。あ、奏。明日の時間だけ確認して上がっていいぞ! みくにゃん待てや!!」タッタッタッ
奏「…………」
ガチャリ
仁奈「あ、おべんとーがあるでごぜーますよ」
美優「あらら、本当ね」
仁奈「きっとプロデューサーが買ってきてくれたんでごぜーましょー。仁奈、サバがいいでごぜーます!」
美優「奏ちゃん、私たちが食べていいのかしら?」
奏「…………むぅ」
※このあとめちゃくちゃみくにゃんと一緒にランチした
みく「軽口をたたきたい?」
奏「そうね。気軽にからかい合える関係に憧れるわ」
みく「そんなこと言ってもにゃ〜。みくの場合、弄り倒されるだけだから……」
奏「それでも数多くいるアイドルの中で選ばれていることには何か理由があるはずよ」
みく「そんなんみくのほうが知りたいにゃ」
モバP「みく! お昼買ってきたぞ!」バンッ
みく「わっ、びっくした〜。Pチャン、もうちょっと普通に入ってくることできないの?」
モバP「悪い悪い。想いが迸った。奏もお疲れ。これがおまえの分」サンドイッチテワタシ
みく「……みくのは?」
モバP「好きなの選べ!」フタツトリダシ
みく「…………内訳は?」
モバP「どっちも魚介!」
みく「みく帰るね」カツカツカツ
モバP「みく待て待て。あ、奏。明日の時間だけ確認して上がっていいぞ! みくにゃん待てや!!」タッタッタッ
奏「…………」
ガチャリ
仁奈「あ、おべんとーがあるでごぜーますよ」
美優「あらら、本当ね」
仁奈「きっとプロデューサーが買ってきてくれたんでごぜーましょー。仁奈、サバがいいでごぜーます!」
美優「奏ちゃん、私たちが食べていいのかしら?」
奏「…………むぅ」
※このあとめちゃくちゃみくにゃんと一緒にランチした
12: ◆oeRx5YHce. 2017/08/26(土) 19:52:16.87 ID:aMqWbp8N0
・弱点
奏「ちひろさん、今いいかしら?」
ちひろ「あら、奏ちゃん。どうかしましたか?」
奏「ちょっとね。プロデューサーさんの弱点を探っているところなのだけど」
ちひろ「弱点?」
奏「そう、弱点」
サチコーニゲンナーオトナシクシロー!!!!!
ナンデコッチニクルンデスカ!! ダレカタスケテ!!
ちひろ「…………あれの?」
奏「そう、あれの」
ちひろ「うーん……そうね」
ちひろ「とりあえず、幸子ちゃんを助けてあげると何か見えてくるかも?」
奏「そうかしら? やってみるわ」テクテク
アッカナデサン!!
ウェッ!?カナデ?カナデナンデ!?!?
コノヘンタイガボクニウンタラカンタラ
イ、イヤダナーサッチャン オレタチマブダチ、OK?
フーン
カ、カナデサン?
ちひろ(あの人の弱点なんて誰がどう見ても貴方ですよ、奏ちゃん)
ちひろ「まったく、変なところでかっこつけしいなんだから」
奏「ちひろさん、今いいかしら?」
ちひろ「あら、奏ちゃん。どうかしましたか?」
奏「ちょっとね。プロデューサーさんの弱点を探っているところなのだけど」
ちひろ「弱点?」
奏「そう、弱点」
サチコーニゲンナーオトナシクシロー!!!!!
ナンデコッチニクルンデスカ!! ダレカタスケテ!!
ちひろ「…………あれの?」
奏「そう、あれの」
ちひろ「うーん……そうね」
ちひろ「とりあえず、幸子ちゃんを助けてあげると何か見えてくるかも?」
奏「そうかしら? やってみるわ」テクテク
アッカナデサン!!
ウェッ!?カナデ?カナデナンデ!?!?
コノヘンタイガボクニウンタラカンタラ
イ、イヤダナーサッチャン オレタチマブダチ、OK?
フーン
カ、カナデサン?
ちひろ(あの人の弱点なんて誰がどう見ても貴方ですよ、奏ちゃん)
ちひろ「まったく、変なところでかっこつけしいなんだから」
13: ◆oeRx5YHce. 2017/08/26(土) 19:54:20.11 ID:aMqWbp8N0
・言葉は具体的に
奏(今日は雑誌のインタビュー)
奏(プロデューサー完全監修のもと進んでいたのだけど)
記者「……ですね、ありがとうございます。ちょっと踏み込んだ質問にはなりますが、よろしいでしょうか」
奏「だそうだけど?」
モバP「内容にも寄りますが……」
記者「あぁ、不都合であれば答えなくても結構なので!」
モバP「そこまで言うのであれば」
記者「ありがとうございます。速水さんといえば妖艶さを身にまとうクールビューティなJKとしての認知度が高いですが、印象に残っているキスはどんなキスでしたか?」
奏「なっ」プロデューサーチラミ
モバP「それは俺も気になる」
奏「そういうのをセクハラというのよ?」
モバP「なるほどな」
記者「コホン。実際はどうなのでしょうか?」
奏「そうね。まるでそう、風と風が踊ってしまうかのように魅力的なキスだったわ」
記者「風と風が踊る?」
奏「ふ、二人の熱情的な雰囲気に世界が絆されるような……」
記者「絆される……? 結局どんなキスだったんです?」
奏「…………」ウルウル
モバP「アッハッハ。すみませーん、この質問まるごとカットでお願いします」
記者「こちらこそすみません。余計な質問しちゃいましたかね?」
モバP「いえいえ。大丈夫ですよ」
記者「でも少し意外でした。もっとこうシュッとされているイメージでしたので……」
モバP「事務所だとこんな感じですよ。イメージが崩れると奏も仕事がしにくいと思うので、なんとかお願いしますね」
記者「わかりました! では、ここから…………」ペチャクチャ
モバP「ですね、そうして…………」ペチャクチャ
奏「…………むぅ」
奏(今日は雑誌のインタビュー)
奏(プロデューサー完全監修のもと進んでいたのだけど)
記者「……ですね、ありがとうございます。ちょっと踏み込んだ質問にはなりますが、よろしいでしょうか」
奏「だそうだけど?」
モバP「内容にも寄りますが……」
記者「あぁ、不都合であれば答えなくても結構なので!」
モバP「そこまで言うのであれば」
記者「ありがとうございます。速水さんといえば妖艶さを身にまとうクールビューティなJKとしての認知度が高いですが、印象に残っているキスはどんなキスでしたか?」
奏「なっ」プロデューサーチラミ
モバP「それは俺も気になる」
奏「そういうのをセクハラというのよ?」
モバP「なるほどな」
記者「コホン。実際はどうなのでしょうか?」
奏「そうね。まるでそう、風と風が踊ってしまうかのように魅力的なキスだったわ」
記者「風と風が踊る?」
奏「ふ、二人の熱情的な雰囲気に世界が絆されるような……」
記者「絆される……? 結局どんなキスだったんです?」
奏「…………」ウルウル
モバP「アッハッハ。すみませーん、この質問まるごとカットでお願いします」
記者「こちらこそすみません。余計な質問しちゃいましたかね?」
モバP「いえいえ。大丈夫ですよ」
記者「でも少し意外でした。もっとこうシュッとされているイメージでしたので……」
モバP「事務所だとこんな感じですよ。イメージが崩れると奏も仕事がしにくいと思うので、なんとかお願いしますね」
記者「わかりました! では、ここから…………」ペチャクチャ
モバP「ですね、そうして…………」ペチャクチャ
奏「…………むぅ」
14: ◆oeRx5YHce. 2017/08/26(土) 19:56:45.72 ID:aMqWbp8N0
・大人の魅力
瑞樹「大人の魅力?」
奏「そうね。川島さんなら何か教えてくれると思って」
瑞樹「どうしたのかしら急に」
心「さーあ? 教えちゃえよ☆」
瑞樹「別にいいけど……でも、気にならない?」
心「何が?」
瑞樹「だって急すぎるじゃない。奏ちゃん、もしかして好きな人できた?」
奏「なっ」
心「おっ。面白そうじゃん☆ 誰だ? プロデューサーか?」
奏「な、なんでもないわ! ありがとう」ツカツカツカ
ドンガラガッシャーン
カ、カナデチャン? チヒロサンゴメンナサイ!
瑞樹「ちょっとイジワルだったかしら?」
心「いーや、別にいいっしょ☆」
瑞樹「そうね……」
瑞樹「今はまだこっちのほうが素敵ですもの。大人にならなくてもいいじゃない」
瑞樹「大人の魅力?」
奏「そうね。川島さんなら何か教えてくれると思って」
瑞樹「どうしたのかしら急に」
心「さーあ? 教えちゃえよ☆」
瑞樹「別にいいけど……でも、気にならない?」
心「何が?」
瑞樹「だって急すぎるじゃない。奏ちゃん、もしかして好きな人できた?」
奏「なっ」
心「おっ。面白そうじゃん☆ 誰だ? プロデューサーか?」
奏「な、なんでもないわ! ありがとう」ツカツカツカ
ドンガラガッシャーン
カ、カナデチャン? チヒロサンゴメンナサイ!
瑞樹「ちょっとイジワルだったかしら?」
心「いーや、別にいいっしょ☆」
瑞樹「そうね……」
瑞樹「今はまだこっちのほうが素敵ですもの。大人にならなくてもいいじゃない」
15: ◆oeRx5YHce. 2017/08/26(土) 19:59:13.63 ID:aMqWbp8N0
・ウェディング
奏(今日はウェディングの撮影。純白のドレスに身を包んでチャペルで写真を撮る)
奏(結婚前にドレスを着ると婚期が遅れるとはいうけれど……その場合はしっかり責任を取ってくれるのかしら?)
モバP「撮影おつかれ。ウェディング、似合ってるぞ」
奏「ふふふ。ありがとう。普段は寒色系の衣装が多いから、純白は少し照れくさいわ」
モバP「照れるのも込みで奏の魅力だろ?」
奏「あら? 随分と大胆になったものね」
モバP「いつも小悪魔が蠱惑的に囁くものでな」
奏「失礼しちゃうわ」
モバP「………………」ジーッ
奏「何か私についてるかしら? それとも、キスしたくなった?」
モバP「まぁな。先に控え室に戻ってるぞ」
奏「つれないわね…………ん?」
奏「…………むぅー」
奏(今日はウェディングの撮影。純白のドレスに身を包んでチャペルで写真を撮る)
奏(結婚前にドレスを着ると婚期が遅れるとはいうけれど……その場合はしっかり責任を取ってくれるのかしら?)
モバP「撮影おつかれ。ウェディング、似合ってるぞ」
奏「ふふふ。ありがとう。普段は寒色系の衣装が多いから、純白は少し照れくさいわ」
モバP「照れるのも込みで奏の魅力だろ?」
奏「あら? 随分と大胆になったものね」
モバP「いつも小悪魔が蠱惑的に囁くものでな」
奏「失礼しちゃうわ」
モバP「………………」ジーッ
奏「何か私についてるかしら? それとも、キスしたくなった?」
モバP「まぁな。先に控え室に戻ってるぞ」
奏「つれないわね…………ん?」
奏「…………むぅー」
16: ◆oeRx5YHce. 2017/08/26(土) 20:00:41.23 ID:aMqWbp8N0
・情報収集
事務所
周子「おつかれー。あれ、みんないないの?」
奏「………………」
周子「お、奏ちゃんいるじゃん。おっつー」
奏「………………」スマホミツメ
周子「おろ? 奏ちゃん?」カタポン
奏「ひゃいっ」ビックゥ
周子「わっ、こっちもびっくりした!」
奏「しゅ、周子? どうかしたの?」
周子「どうかしたのはこっちのセリフ。奏ちゃんこそどしたん?」
奏「な、なんでもないわ! レッスンに行くから!」タッタッタッタ
周子「あ、奏ちゃーん。どうしたんだろ。ありゃ、奏ちゃんスマホ忘れてる」
スマホ「おしゃれなキス特集」
周子「………………」
周子「私はなにもみてなーいっと」
事務所
周子「おつかれー。あれ、みんないないの?」
奏「………………」
周子「お、奏ちゃんいるじゃん。おっつー」
奏「………………」スマホミツメ
周子「おろ? 奏ちゃん?」カタポン
奏「ひゃいっ」ビックゥ
周子「わっ、こっちもびっくりした!」
奏「しゅ、周子? どうかしたの?」
周子「どうかしたのはこっちのセリフ。奏ちゃんこそどしたん?」
奏「な、なんでもないわ! レッスンに行くから!」タッタッタッタ
周子「あ、奏ちゃーん。どうしたんだろ。ありゃ、奏ちゃんスマホ忘れてる」
スマホ「おしゃれなキス特集」
周子「………………」
周子「私はなにもみてなーいっと」
17: ◆oeRx5YHce. 2017/08/26(土) 20:03:26.68 ID:aMqWbp8N0
・実践編
奏「ねぇ、プロデューサー。今ちょっといいかしら?」
モバP「んー、どしたー?」カタカタ
奏(シミュレーションは完璧。シチュエーションも理想的。あとは実践あるのみ)
奏「ちょっとこっちまで来てくれる?」
モバP「別にいいけど……」
奏「両手を見てくれるかしら。ちょっとレッスンでこすっちゃって……」
モバP「手? いつも通り綺麗な手だけど……」テサワリ
奏(何一つ疑問に思ってないわ。これならいけるっ)
奏「そのまま目をつぶって?」
モバP「なんで?」
奏「え?」
モバP「え? じゃなくて、手を見て欲しかったんじゃないのか?」
奏(しまった…………)
奏「…………むぅ」
奏「ねぇ、プロデューサー。今ちょっといいかしら?」
モバP「んー、どしたー?」カタカタ
奏(シミュレーションは完璧。シチュエーションも理想的。あとは実践あるのみ)
奏「ちょっとこっちまで来てくれる?」
モバP「別にいいけど……」
奏「両手を見てくれるかしら。ちょっとレッスンでこすっちゃって……」
モバP「手? いつも通り綺麗な手だけど……」テサワリ
奏(何一つ疑問に思ってないわ。これならいけるっ)
奏「そのまま目をつぶって?」
モバP「なんで?」
奏「え?」
モバP「え? じゃなくて、手を見て欲しかったんじゃないのか?」
奏(しまった…………)
奏「…………むぅ」
18: ◆oeRx5YHce. 2017/08/26(土) 20:06:44.29 ID:aMqWbp8N0
・実践 その2
モバP「わかったわかった。じゃあその前に一つ付き合え」
奏「……何かしら」
モバP「後ろ向けよ」
奏「後ろ?」
モバP「いいから背中合わせに」
奏「…………向いたわ」
モバP「そしたら目をつぶって」
奏(……? なんなのかしら?)
奏「…………んむぅ」
モバP「…………まぁ、そろそろ俺もちゃんとしなきゃなって」ポリポリ
奏「………………」ポーッ
モバP「あ、あの、奏さん?」
奏「…………」ツゥー
モバP「お、おい奏! 奏?」ダキシメラレ
奏「…………むぅ」ニコニコ
終わり
モバP「わかったわかった。じゃあその前に一つ付き合え」
奏「……何かしら」
モバP「後ろ向けよ」
奏「後ろ?」
モバP「いいから背中合わせに」
奏「…………向いたわ」
モバP「そしたら目をつぶって」
奏(……? なんなのかしら?)
奏「…………んむぅ」
モバP「…………まぁ、そろそろ俺もちゃんとしなきゃなって」ポリポリ
奏「………………」ポーッ
モバP「あ、あの、奏さん?」
奏「…………」ツゥー
モバP「お、おい奏! 奏?」ダキシメラレ
奏「…………むぅ」ニコニコ
終わり
19: ◆oeRx5YHce. 2017/08/26(土) 20:09:54.35 ID:aMqWbp8N0
お疲れちゃんです。
ポンコツ奏もたまにはいいっすよね。
最後のはめぞん一刻です。
今日はあと二つくらいあげます。
前スレ
【モバマス短編集】「築き上げたもの」
何かあればどうぞ。
ポンコツ奏もたまにはいいっすよね。
最後のはめぞん一刻です。
今日はあと二つくらいあげます。
前スレ
【モバマス短編集】「築き上げたもの」
何かあればどうぞ。
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/26(土) 20:44:41.14 ID:TRHav/Fgo
おつおつ
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/26(土) 21:08:18.75 ID:vb+3/jId0
おつおつ
すばら
すばら
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/26(土) 22:48:29.21 ID:ozwd2yB+O
むぅ……りぃー
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1503742591/
Entry ⇒ 2018.02.21 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
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