男「一日だけ全くスマホにさわらない生活をしてみることにした」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 22:23:38.38 ID:aZL32UlXo
男「今の人って、みーんないつでもどこでもスマホいじってるよな」
友人「まぁな」
男「俺だって、家でも外でも、下手すりゃ寝ながらいじってることもあるもん」
友人「風呂場でいじる奴すらいるらしいぜ」
男「マジかー」
友人「マジマジ」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 22:25:20.80 ID:aZL32UlXo
男「よし、決めた!」
友人「何を?」
男「俺、一日だけ全くスマホにさわらない生活をしてみようと思う!」
友人「一日だけかよ」
男「目標に無理があると続かないからな」
友人「あ~……でもたしかに、一日だけでもかなりキツイかも」
男「明日は休日だし、さっそくやってみるよ」
友人「頑張れよ」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 22:28:27.79 ID:aZL32UlXo
~ 自宅 ~
男「……ん」ムクッ
男(やべえ、ずいぶん朝寝坊しちゃったな)
男(あ、そうか……スマホのアラーム切ってたからな)
男「とりあえず、どこか出かけるか」
男(今日はスマホ使わないって決めたけど、万が一の時のために携帯だけはするようにしよう)
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 22:31:17.87 ID:aZL32UlXo
~ 駅 ~
男「たまにはどこか、めったに行かない駅に行ってみるか」
男(えぇ~と、時刻表をスマホで調べ……)スッ
男(って危ない危ない! いきなり禁を破るとこだった!)
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 22:33:55.45 ID:aZL32UlXo
男「おー、着いた着いた」
男「ちょうど昼飯時だし、どこか入ろうかな」
男(ハズレを引くのは勘弁だから、さっそく口コミサイトを……)スッ
男(ってまたかよぉ!)
男(スマホには頼らず、自分の勘だけで入る店を決めるんだ!)
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 22:36:49.53 ID:aZL32UlXo
~ ラーメン屋 ~
男「味噌ラーメン」
店員「あいよー!」
男「……」
男「……」
男「……」ソワソワ
男(ヒマだな……)
男(いつもなら待ってる間、ずっとスマホいじってるから退屈しないけど)
男(スマホを使わないとこうも時間を持て余すとは……)
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 22:39:10.27 ID:aZL32UlXo
男「あぁ~、うまかった」スタスタ
通行人A「おい、このニュース見たかよ! 俳優の○○が書類送検だって!」
通行人B「マジで?」
男(おおっ、気になるニュースだ!)
男(うう……ニュースサイトを見たい!)
男(掲示板でこのニュースがどう語られてるか知りたい……!)
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 22:43:14.49 ID:aZL32UlXo
男(ああ~……スマホいじりたい)
男(あのサイト見たい……あの情報検索したい……暇潰しにゲームしたい……)
インターネット… 検索機能… 動画… 画像… 音楽… 地図… ゲーム…
LINE… 電子書籍… カメラ… 辞書… 天気… 買い物… 財布代わり…
男(こうして考えると、スマホは誘惑のかたまりだな!)
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 22:45:56.22 ID:aZL32UlXo
~ 自宅 ~
男「ふぅ~……」
男(どうにか一日スマホを使わずに済んだぞ)
男(ところで今何時だ? スマホで……)
男「あぶねええええええええ! 最後の最後でやっちまうとこだった!」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 22:48:59.01 ID:aZL32UlXo
――
――――
友人「一日スマホなし生活はどうだった?」
男「予想以上にキツかった」
男「普段、自分がいかにスマホに頼り切ってるかってのがよく分かったよ」
男「ちょっとしたことでいじりたくなるもん」
友人「だよな、よくやり遂げたもんだよ」
男「だからこれからも、連絡とかを除いてなるべくスマホを使わないようにするよ」
男「多分すぐ挫折するだろうけど」
友人「そうやって意識するだけでも違うだろ。偉いよ、お前は」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 22:53:27.59 ID:aZL32UlXo
一週間後――
友人「どうだ?」
男「まだ続いてるよ。本当に必要な連絡の時以外は、スマホ使わなくなった」
友人「なにか効果はあったか?」
男「まず……自分に自信がついたな。スマホに頼らなくなったから」
男「あと、スマホやらないと当然目も疲れないし、やることないから夜更かしもしなくなったな」
友人「偉いなぁ、俺もちょっとやってみたけど半日でギブだった」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 22:56:15.02 ID:aZL32UlXo
~ 自宅 ~
男(スマホは使わないから、インターネットする時はパソコンで……)カタカタ
男「ってこれじゃ意味ないじゃねえかぁ!」
男「よし、決めた! パソコンも使うのやめよう!」
男「あと……元々そこまで見てなかったけど、テレビもやめよう」
男「情報はなるべく新聞で仕入れるんだ!」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 22:58:04.29 ID:aZL32UlXo
友人「おーっす」
男「おう」
友人「なんかだいぶ健康的になったな」
男「ああ、スマホ、パソコン、テレビをやめたからな」
友人「パソコンやテレビまでやめたのか!」
男「おかげで目がすっきりして、前みたいにしょっちゅう目薬さすこともなくなったよ」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 23:03:07.81 ID:aZL32UlXo
友人「ふぅ~、最近はすっかり寒くなったな~」
男「ああ、家じゃいつも毛布にくるまってるよ」
友人「え? お前んち、たしかストーブあっただろ?」
男「ああ、今はもう冷暖房に頼るのもやめたんだ」
友人「へ? どうして?」
男「なんていうか、ああいうのはズルなような気がしてさ。やっぱり気候をそのまま受け入れないと」
友人「へ、へえ~……」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 23:07:01.09 ID:aZL32UlXo
友人(あいつんちの近く通りがかったけど、電気ついてないな……留守か)
ガチャッ
男「あれ、奇遇だな」
友人「いたのか! 電気ついてないから、てっきり留守かと……」
男「電気を使うのをやめたんだ」
友人「電気を!?」
男「おかげで日が沈んだら寝るしかないから、すっかり健康さ!」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 23:09:28.16 ID:aZL32UlXo
友人「久しぶり~……ってなんだその服!?」
男「俺手作りの服さ。似合うか?」
友人「あ、ああ」
友人(布と葉っぱを組み合わせた、いかにも手作りって感じの服だ……)
男「店で衣服を買うって、なんか違う気がしてな。服は自分で作ることにしたんだ」
男「よかったら、お前の分も作ってやろうか?」
友人「いやいや! 俺は店の服でいいや! ハ、ハハハ……」
男「そうか」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 23:12:26.13 ID:aZL32UlXo
男「お、これは食える雑草だ!」ブチブチッ
友人「お前なにしてんだ……!?」
男「飲食店に入ったり、店で売ってるものを食べるのはやめにしたんだ」
男「これからは食料は自然から調達!」ムシャムシャ
友人「いや、いくら食える雑草っていっても、生でいくのかよ……せめて煮るとか」
男「火は怖いからな!」
男「うん、うまい!」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 23:14:46.26 ID:aZL32UlXo
友人(あいつがアパートから消えたのは、それからすぐのことだった)
友人(もちろん、いくら電話しても繋がらない)
友人(きっとあいつは自分の住居も、現代的な建物には頼らないことにしたのだろう)
友人(一体どこにいっちまったのやら……)
――――――
――――
――
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 23:18:26.23 ID:aZL32UlXo
友人(それからしばらくして――)
友人(スマホをいじってたら、こんなニュース動画を目の当たりにした)
『猿とも人ともつかない全裸の生物が、山中で飛びまわってる姿が目撃され……』
『ウホホッ! ウホホホッ! ウーホーッ!』
友人(あいつ、ついに野生化したのか……)
友人(だけど、動画に登場するあいつの顔は、どこか幸せそうで羨ましかった)
― 終 ―
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 23:31:40.37 ID:XyxXhAurO
人類のあるべき姿に戻れたようだな
おつおつ
おつおつ
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 23:43:32.62 ID:FyIfgxZw0
断捨離…最後は理性も捨てて…乙
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/28(火) 00:15:07.22 ID:7p0IjkX60
このスレタイからこんな結末になるとは思わなかったw
乙
乙
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1511789018/
Entry ⇒ 2017.11.30 | Category ⇒ オリジナル | Comments (0)
ほたる「346事務所13番支部‥‥」
1: ◆74/46nW9/o 2017/04/21(金) 21:36:52.54 ID:UIrbIzTwO
こちらはモバマスssです。
なお、キャラ崩壊、クトゥルフのような何か、メタ発言が多発してますので苦手な方はおひかえください。
なお、キャラ崩壊、クトゥルフのような何か、メタ発言が多発してますので苦手な方はおひかえください。
2: ◆74/46nW9/o 2017/04/21(金) 21:39:25.70 ID:UIrbIzTwO
モバP(以下P)「突然だが今日から新しくこの事務所に来る子がいるから!」
茄子「一行目からどうしたんですか?」
芳乃「でしてー」
P「名前は白菊ほたる、後21行もすれば来るからみんな仲良くしてやってくれ」
みく「一行目ってなんのことにゃ?」
ちひろ「みくちゃんは知らない方がいいですよ」
茄子「それでどんな子なんですか~?」
P「何でも、所属した事務所が次々と倒産しているらしいま、どこにでもいる中学生の女の子だな」
芳乃「わーい、後輩なのでしてー」
茄子「なんだか仲良くできそうです~♪」
みく「もっと気にするべきところがあると思うにゃ!」
P「案内は芳乃と茄子でしてやって欲しい。頼めるか?」
芳乃「任せるのでしてー」
茄子「芳乃ちゃんといっぱいこの事務所のいいとこ紹介してきます!」
茄子「一行目からどうしたんですか?」
芳乃「でしてー」
P「名前は白菊ほたる、後21行もすれば来るからみんな仲良くしてやってくれ」
みく「一行目ってなんのことにゃ?」
ちひろ「みくちゃんは知らない方がいいですよ」
茄子「それでどんな子なんですか~?」
P「何でも、所属した事務所が次々と倒産しているらしいま、どこにでもいる中学生の女の子だな」
芳乃「わーい、後輩なのでしてー」
茄子「なんだか仲良くできそうです~♪」
みく「もっと気にするべきところがあると思うにゃ!」
P「案内は芳乃と茄子でしてやって欲しい。頼めるか?」
芳乃「任せるのでしてー」
茄子「芳乃ちゃんといっぱいこの事務所のいいとこ紹介してきます!」
3: ◆74/46nW9/o 2017/04/21(金) 21:41:18.30 ID:UIrbIzTwO
P「あと、みくはのあと一緒に食レポの仕事だからすぐ準備してくれ」
みく「にゃ!!聞いてないにゃ。今日は猫カフェにのあさんと‥‥」
P「のあにみくにも伝えるように言っといたんだが…」
のあ「みく早く行くわよ‥‥今日は私のお勧めのお店を紹介するわ‥‥」ズルズル
みく「そんなこといってまた、お魚を食べさせるつもりに決まってるにゃー!!」クビネッコツマム ズルズル
のあ「安心なさい今日は魚では無いから‥‥」
みく「ほんとうかにゃ!?ならそれは何か言うにゃ!」
のあ「‥‥半魚人よ‥‥」
もっとひどいにゃ!
P「‥‥それじゃ二人とも案内頼むぞ!」
半魚人はいやにゃー!!
ほたる「え?‥‥え!?」
みく「にゃ!!聞いてないにゃ。今日は猫カフェにのあさんと‥‥」
P「のあにみくにも伝えるように言っといたんだが…」
のあ「みく早く行くわよ‥‥今日は私のお勧めのお店を紹介するわ‥‥」ズルズル
みく「そんなこといってまた、お魚を食べさせるつもりに決まってるにゃー!!」クビネッコツマム ズルズル
のあ「安心なさい今日は魚では無いから‥‥」
みく「ほんとうかにゃ!?ならそれは何か言うにゃ!」
のあ「‥‥半魚人よ‥‥」
もっとひどいにゃ!
P「‥‥それじゃ二人とも案内頼むぞ!」
半魚人はいやにゃー!!
ほたる「え?‥‥え!?」
4: ◆74/46nW9/o 2017/04/21(金) 21:43:21.38 ID:UIrbIzTwO
私はほたる。今回この事務所に所属することになったアイドルです‥‥。でも、その事務所の前には半魚人はいやだと、訴える女性とそれを意にも介さず引きずっていく女性が‥‥
(いつものことでしてー)
ほたる「今の誰ですか!‥‥」
ほたる「とにかくここはいけない‥‥早く逃げなきゃ‥‥」
茄子「どこに行こうと言うのですか~」
ほたる「!?」
P「君がほたるちゃんだね。ようこそ346事務所13番支部へ。俺はプロデューサーのPです。」メーシヲワタス
ほたる「え‥‥!?」
ほたる(あれ、事務所と反対側に向かったのにどうして)
茄子「はい、捕まえました~。」
ほたる(私、これからどうなるんだろう‥‥)
(いつものことでしてー)
ほたる「今の誰ですか!‥‥」
ほたる「とにかくここはいけない‥‥早く逃げなきゃ‥‥」
茄子「どこに行こうと言うのですか~」
ほたる「!?」
P「君がほたるちゃんだね。ようこそ346事務所13番支部へ。俺はプロデューサーのPです。」メーシヲワタス
ほたる「え‥‥!?」
ほたる(あれ、事務所と反対側に向かったのにどうして)
茄子「はい、捕まえました~。」
ほたる(私、これからどうなるんだろう‥‥)
5: ◆74/46nW9/o 2017/04/21(金) 21:49:24.12 ID:UIrbIzTwO
事務所
P「とりあえず改めて挨拶と行こうか。俺はPここのアイドルのプロデューサーです。ちなみに特技は変装だ」
茄子「私は茄子ですよ~。」ギュー
芳乃「わたくしは芳乃でしてー。」
ほたる「あの、白菊ほたるです‥‥」
ほたる「それで‥‥、私はいつまで拘束されてるんですか‥‥」
茄子「私が満足するまでですよ~」ギュー
芳乃「ずるいのでしてー。変わって欲しいのでしてー」プンプン
P「どうどう、落ちつけ芳乃。あまりひどいと事務所の周りが崩壊する」
芳乃「なら、せめてそなたの膝の上に座りたいのでしてー」
P「はいはい」ポス
ほたる(なんですかこれ‥‥)
茄子「‥‥は!、そうですプロデューサーさん。こんなことしてたら話が進まなくなってしまいます!」
ほたる「うん?」
芳乃「あ、今早く書け(進めろ)と、神託が合ったのでしてー」
ほたる「あの、さっきからなんの話しなんですか‥‥」
P「常識の外側だから知ったらSANが減るぞ!」
P「そんなことより、今日はこの事務所を案内だ。ま、この2人がいれば死線を1、2回超えるかどうかだから安心してくれ。」
ほたる「不安しかない‥‥」
P「で、何か質問ある?なければ案内に移行するけど」
ほたる「あの‥‥いろいろ聞きたいんですが‥‥面接とかは受けなくていいんですか‥‥?」
P「じゃ、質問この状況を見てどう思う?」
ほたる「私がいうのもあれですが‥‥異常かと」
P「よし合格」
ほたる「今の面接だったんですか!」
P「うん。じゃ、質問も解決したし案内よろしく!」
芳乃「はーい、なのでしてー」
P「とりあえず改めて挨拶と行こうか。俺はPここのアイドルのプロデューサーです。ちなみに特技は変装だ」
茄子「私は茄子ですよ~。」ギュー
芳乃「わたくしは芳乃でしてー。」
ほたる「あの、白菊ほたるです‥‥」
ほたる「それで‥‥、私はいつまで拘束されてるんですか‥‥」
茄子「私が満足するまでですよ~」ギュー
芳乃「ずるいのでしてー。変わって欲しいのでしてー」プンプン
P「どうどう、落ちつけ芳乃。あまりひどいと事務所の周りが崩壊する」
芳乃「なら、せめてそなたの膝の上に座りたいのでしてー」
P「はいはい」ポス
ほたる(なんですかこれ‥‥)
茄子「‥‥は!、そうですプロデューサーさん。こんなことしてたら話が進まなくなってしまいます!」
ほたる「うん?」
芳乃「あ、今早く書け(進めろ)と、神託が合ったのでしてー」
ほたる「あの、さっきからなんの話しなんですか‥‥」
P「常識の外側だから知ったらSANが減るぞ!」
P「そんなことより、今日はこの事務所を案内だ。ま、この2人がいれば死線を1、2回超えるかどうかだから安心してくれ。」
ほたる「不安しかない‥‥」
P「で、何か質問ある?なければ案内に移行するけど」
ほたる「あの‥‥いろいろ聞きたいんですが‥‥面接とかは受けなくていいんですか‥‥?」
P「じゃ、質問この状況を見てどう思う?」
ほたる「私がいうのもあれですが‥‥異常かと」
P「よし合格」
ほたる「今の面接だったんですか!」
P「うん。じゃ、質問も解決したし案内よろしく!」
芳乃「はーい、なのでしてー」
6: ◆74/46nW9/o 2017/04/21(金) 21:51:22.50 ID:UIrbIzTwO
茄子「でわ、茄子観光ツアーin事務所向かいまーす」
ほたる「でも、ここそんな広くないですよね‥‥」
茄子「ではまず右手に見えます扉が」
芳乃「お手洗いでしてー」
ほたる「あ、予想以上に普通だった‥‥」
茄子「ここで生活するならここ(お手洗)は大切ですからね~」
茄子「では、次に見えてきます左の扉ですが」
ほたる「ここですか‥‥」ガチャ
一面による広がる草原
ほたる「‥‥え!?」
茄子「草原につながっています。」
芳乃「体力作りに便利でしてー」
ほたる「あの‥‥外から見たときはこんな空間無かったですよね‥‥」
茄子「扉の先を異界の闇という異次元につなげて‥‥」
ほたる「あの‥理解できない‥‥もっと言うと、理解してはいけない‥‥ものですね‥‥」
茄子「早い話がそういうことです♪」
芳乃「次に行くのでしてー」
ほたる「でも、ここそんな広くないですよね‥‥」
茄子「ではまず右手に見えます扉が」
芳乃「お手洗いでしてー」
ほたる「あ、予想以上に普通だった‥‥」
茄子「ここで生活するならここ(お手洗)は大切ですからね~」
茄子「では、次に見えてきます左の扉ですが」
ほたる「ここですか‥‥」ガチャ
一面による広がる草原
ほたる「‥‥え!?」
茄子「草原につながっています。」
芳乃「体力作りに便利でしてー」
ほたる「あの‥‥外から見たときはこんな空間無かったですよね‥‥」
茄子「扉の先を異界の闇という異次元につなげて‥‥」
ほたる「あの‥理解できない‥‥もっと言うと、理解してはいけない‥‥ものですね‥‥」
茄子「早い話がそういうことです♪」
芳乃「次に行くのでしてー」
7: ◆74/46nW9/o 2017/04/21(金) 21:59:20.69 ID:UIrbIzTwO
茄子「では、次のドアです~」
茄子「ここは仮眠室ですよ~」
ほたる「開けても‥‥大丈夫ですか‥‥」
茄子「はい、ここは比較的普通の空間ですよ~」
ほたる「信じますよ‥‥」ガチャ
ベッドがいくつかとその上で眠る女の子
??「ふあぁー‥‥だれ‥‥?」
茄子「あら、こずえちゃんお昼寝ですか~」
こずえ「うん‥‥みんなも‥‥お昼ねぇ‥?」
茄子「今はほたるちゃんの案内をしてるんですよ~」
こずえ「ほたる‥‥あたらしい‥‥なかまー?」
ほたる「はい、白菊ほたるです‥‥よろしくねこずえちゃん」
こずえ「ほたる‥‥なかまー‥」
こずえ「こずえの‥‥おたから‥‥みるー‥みろー」
ほたる「あれ、眠く」ウトウト
芳乃(起きるのでしてー)
ほたる「は!」
こずえ「よしのー‥‥じゃましちゃ‥‥ためー‥‥」
茄子「ほらこずえちゃん、今はほたるちゃん案内してるから、またにしましょ♪その時は私たちも一緒に見せてくださいね♪」
こずえ「‥‥わかったー‥‥こずえ‥‥いいこだから‥‥おはなし‥‥きくー」
茄子「では、また今度来ますねー」ガチャ
ほたる「なんだったんですか‥‥」
芳乃「簡単に言うと、非常識と現実の境目でしてー」
茄子「中には正気を失った人もいますね♪」
ほたる「‥‥?」
芳乃「知らなければそれは幸せなことでしてー」
茄子「ここは仮眠室ですよ~」
ほたる「開けても‥‥大丈夫ですか‥‥」
茄子「はい、ここは比較的普通の空間ですよ~」
ほたる「信じますよ‥‥」ガチャ
ベッドがいくつかとその上で眠る女の子
??「ふあぁー‥‥だれ‥‥?」
茄子「あら、こずえちゃんお昼寝ですか~」
こずえ「うん‥‥みんなも‥‥お昼ねぇ‥?」
茄子「今はほたるちゃんの案内をしてるんですよ~」
こずえ「ほたる‥‥あたらしい‥‥なかまー?」
ほたる「はい、白菊ほたるです‥‥よろしくねこずえちゃん」
こずえ「ほたる‥‥なかまー‥」
こずえ「こずえの‥‥おたから‥‥みるー‥みろー」
ほたる「あれ、眠く」ウトウト
芳乃(起きるのでしてー)
ほたる「は!」
こずえ「よしのー‥‥じゃましちゃ‥‥ためー‥‥」
茄子「ほらこずえちゃん、今はほたるちゃん案内してるから、またにしましょ♪その時は私たちも一緒に見せてくださいね♪」
こずえ「‥‥わかったー‥‥こずえ‥‥いいこだから‥‥おはなし‥‥きくー」
茄子「では、また今度来ますねー」ガチャ
ほたる「なんだったんですか‥‥」
芳乃「簡単に言うと、非常識と現実の境目でしてー」
茄子「中には正気を失った人もいますね♪」
ほたる「‥‥?」
芳乃「知らなければそれは幸せなことでしてー」
8: ◆74/46nW9/o 2017/04/21(金) 22:03:58.09 ID:UIrbIzTwO
茄子「では次の扉ですよ~」
ほたる「事務室ってかいてありますね‥‥」
茄子「あー!、そこは私の紹介を待つとこですよ~」
ほたる「えっと‥‥ごめんなさい?」
茄子「許しました♪」
芳乃「中は普通の事務所でしてー。」ガチャ
ほたる「これは‥‥確かに普通ですね‥‥」
犬?「ワンワン」
芳乃「よしよしでしてー」
茄子「あら、ティンちゃんいたんですね~」
ほたる(なんだろう、ただの犬のようなのに凄く‥‥危険な気が‥‥)
ちひろ「こら、ティン勝手に行ったらだめじゃないですか!」
ティン「クゥーン」(すいません)
ちひろ「あら、あなたがほたるちゃんですか?」
ほたる「はい、白菊ほたるです‥」(何か聞こえた気が‥‥)
ちひろ「私は千川ちひろです。で、こっちが愛犬のティンちゃん。事務員としてみなさんをサポートしますのでよろしくお願いしますね。」
ティン「ワンワン」シッポフリフリ
ほたる(あ、かわいい)ナデナデ
茄子「和んだところで次ですよ~」
茄子「では出て目の前のドアですが」
芳乃「休憩室でしてー」
茄子「また、私の仕事が取られました‥‥」
芳乃「わたくしも案内したいのでしてー」
茄子「じゃ、ここはお任せします。でも次は私ですからね」
芳乃「はーいでしてー」ガチャ
芳乃「中にはテーブルと、キッチンがついてるのでしてー」
ほたる「あ、ほんとだ‥‥あれ、キッチン広すぎません‥‥?」
茄子「安心の異次元空間でしてー」
芳乃「取らないで欲しいのでしてー」
ほたる「ホント‥‥何でもあり‥‥でしてー」
ほたる「あれ、あのドアはなんですか‥‥」ヒョコ
一面に広がる闇
茄子「そこは拡張用ですよ~」
ほたる「ホント何でもありですね‥‥」
芳乃「では次に進むのでしてー」
ほたる「事務室ってかいてありますね‥‥」
茄子「あー!、そこは私の紹介を待つとこですよ~」
ほたる「えっと‥‥ごめんなさい?」
茄子「許しました♪」
芳乃「中は普通の事務所でしてー。」ガチャ
ほたる「これは‥‥確かに普通ですね‥‥」
犬?「ワンワン」
芳乃「よしよしでしてー」
茄子「あら、ティンちゃんいたんですね~」
ほたる(なんだろう、ただの犬のようなのに凄く‥‥危険な気が‥‥)
ちひろ「こら、ティン勝手に行ったらだめじゃないですか!」
ティン「クゥーン」(すいません)
ちひろ「あら、あなたがほたるちゃんですか?」
ほたる「はい、白菊ほたるです‥」(何か聞こえた気が‥‥)
ちひろ「私は千川ちひろです。で、こっちが愛犬のティンちゃん。事務員としてみなさんをサポートしますのでよろしくお願いしますね。」
ティン「ワンワン」シッポフリフリ
ほたる(あ、かわいい)ナデナデ
茄子「和んだところで次ですよ~」
茄子「では出て目の前のドアですが」
芳乃「休憩室でしてー」
茄子「また、私の仕事が取られました‥‥」
芳乃「わたくしも案内したいのでしてー」
茄子「じゃ、ここはお任せします。でも次は私ですからね」
芳乃「はーいでしてー」ガチャ
芳乃「中にはテーブルと、キッチンがついてるのでしてー」
ほたる「あ、ほんとだ‥‥あれ、キッチン広すぎません‥‥?」
茄子「安心の異次元空間でしてー」
芳乃「取らないで欲しいのでしてー」
ほたる「ホント‥‥何でもあり‥‥でしてー」
ほたる「あれ、あのドアはなんですか‥‥」ヒョコ
一面に広がる闇
茄子「そこは拡張用ですよ~」
ほたる「ホント何でもありですね‥‥」
芳乃「では次に進むのでしてー」
9: ◆74/46nW9/o 2017/04/21(金) 22:08:59.04 ID:UIrbIzTwO
移動中
ほたる「あの‥‥あの闇の中に落ちたら‥どうなるんですか‥‥」
茄子「ティンちゃんが迎えに来ますのですぐ帰れますよ~」
ほたる(やっぱり普通犬じゃ‥‥無いんですね‥‥
)
茄子「あ、見えてきましたこの扉はレッスン室に繋がってますよ~」
ほたる「普通のですよね‥?」
トォーン あ、あ、あ、あ、あ~♪
茄子「ちょうどボーカルレッスンしてますし見てきましょ~」
芳乃「失礼するのでしてー」
小梅「あ、芳乃さんに‥茄子さん‥‥そ、それと‥‥?」
茄子「新入りのほたるちゃんですよ~」
小梅「あの、し、白坂小梅です‥‥いろいろ‥た、大変なとこだけど‥なれると‥た、楽しいから‥‥」
ほたる「はい‥‥大変なのはよく伝わってきました‥‥」
??「あの、そろそろ再開してもいいですか~?」
茄子「すいません。あの、少し見学していってもいいですか?」
??「はい、大丈夫ですよ。」
ほたる(声はしますが見えませんピアノの裏にでもいるんでしょうか?)
??「ては、発声練習の続きからですよ」
トォーン
ほたる(‥‥ピアノが勝手に‥‥)
ほたる(‥‥あれ?そんなに驚かない‥‥)
芳乃(ならきっとこの事務所にもなじめるのでしてー)
茄子(ファミチキください‥‥)
??(追い出しますよ?)
茄子(ごめんなさい)
ほたる(混線しすぎ‥‥)
小梅「どう‥‥ち、ちゃんと‥‥できた‥?」
??「あ、はいよかったと思います。」
茄子「では、次行きますよ~」
ほたる(結局なんだったんだろう‥‥)
ほたる「あの‥‥あの闇の中に落ちたら‥どうなるんですか‥‥」
茄子「ティンちゃんが迎えに来ますのですぐ帰れますよ~」
ほたる(やっぱり普通犬じゃ‥‥無いんですね‥‥
)
茄子「あ、見えてきましたこの扉はレッスン室に繋がってますよ~」
ほたる「普通のですよね‥?」
トォーン あ、あ、あ、あ、あ~♪
茄子「ちょうどボーカルレッスンしてますし見てきましょ~」
芳乃「失礼するのでしてー」
小梅「あ、芳乃さんに‥茄子さん‥‥そ、それと‥‥?」
茄子「新入りのほたるちゃんですよ~」
小梅「あの、し、白坂小梅です‥‥いろいろ‥た、大変なとこだけど‥なれると‥た、楽しいから‥‥」
ほたる「はい‥‥大変なのはよく伝わってきました‥‥」
??「あの、そろそろ再開してもいいですか~?」
茄子「すいません。あの、少し見学していってもいいですか?」
??「はい、大丈夫ですよ。」
ほたる(声はしますが見えませんピアノの裏にでもいるんでしょうか?)
??「ては、発声練習の続きからですよ」
トォーン
ほたる(‥‥ピアノが勝手に‥‥)
ほたる(‥‥あれ?そんなに驚かない‥‥)
芳乃(ならきっとこの事務所にもなじめるのでしてー)
茄子(ファミチキください‥‥)
??(追い出しますよ?)
茄子(ごめんなさい)
ほたる(混線しすぎ‥‥)
小梅「どう‥‥ち、ちゃんと‥‥できた‥?」
??「あ、はいよかったと思います。」
茄子「では、次行きますよ~」
ほたる(結局なんだったんだろう‥‥)
10: ◆74/46nW9/o 2017/04/21(金) 22:10:00.47 ID:UIrbIzTwO
茄子「ではこちらのドアになります~」
茄子「ここは、食堂ですよ~」
ほたる「もはや‥当たり前のように広すぎる空間‥」
茄子「慣れましょう~」
ほたる「慣れてきてる私がいやです‥‥」
芳乃「ちなみにここは女子寮に直接繋がっているのでしてー」
ほたる「それは便利ですね‥‥」
芳乃「あと、料理は24時間なぜかいつでも作ってもらえるのでしてー」
茄子「社員はプロデューサーとちひろさんだけなんですけどね~♪」
ほたる「不思議ですね‥‥」
茄子「では味も確認しましょう~」
芳乃「代金は彼の者もちなのでしてー」
茄子「おすすめは日替わり定食ですよー」
ほたる「‥‥」パク
ほたる「あ‥‥おいしい‥‥」ニコニコ
茄子「最後に笑ってくれました~♪」
ほたる「あの‥この事務所内を‥‥笑顔で過ごせるのは‥‥いろいろ末期かと‥‥」
芳乃「なれると楽しいのでしてー」
ほたる「そうなりたくない‥‥」
茄子「でも、ほたるちゃん。この事務所なら普通にアイドル生活できますよ!」
ほたる「確かに物理的には潰れなさそうですね‥‥」
茄子「破産しかけたら私が宝くじ買ってきますから安心してください~♪」
ほたる「?」
茄子「私の運の強さなら一発で当てて見せますよ~」
ほたる「はぁ!?」
芳乃「キャラが崩壊してるのでしてー」
ほたる「すいません‥‥取り乱しました‥‥」
茄子「気にしませんからいいですよ~。」
茄子「話戻しますよ。なのでこの事務所が潰れることはほとんどありません。」
P「その通りだ。だから、キミがなりたいアイドルになるといい。」
ほたる「‥‥いい話みたいにしてますけど‥‥私が霞むほど非常識なだけですよね‥‥」
P 茄子芳乃「そうとも言う(のでしてー)」
茄子「ここは、食堂ですよ~」
ほたる「もはや‥当たり前のように広すぎる空間‥」
茄子「慣れましょう~」
ほたる「慣れてきてる私がいやです‥‥」
芳乃「ちなみにここは女子寮に直接繋がっているのでしてー」
ほたる「それは便利ですね‥‥」
芳乃「あと、料理は24時間なぜかいつでも作ってもらえるのでしてー」
茄子「社員はプロデューサーとちひろさんだけなんですけどね~♪」
ほたる「不思議ですね‥‥」
茄子「では味も確認しましょう~」
芳乃「代金は彼の者もちなのでしてー」
茄子「おすすめは日替わり定食ですよー」
ほたる「‥‥」パク
ほたる「あ‥‥おいしい‥‥」ニコニコ
茄子「最後に笑ってくれました~♪」
ほたる「あの‥この事務所内を‥‥笑顔で過ごせるのは‥‥いろいろ末期かと‥‥」
芳乃「なれると楽しいのでしてー」
ほたる「そうなりたくない‥‥」
茄子「でも、ほたるちゃん。この事務所なら普通にアイドル生活できますよ!」
ほたる「確かに物理的には潰れなさそうですね‥‥」
茄子「破産しかけたら私が宝くじ買ってきますから安心してください~♪」
ほたる「?」
茄子「私の運の強さなら一発で当てて見せますよ~」
ほたる「はぁ!?」
芳乃「キャラが崩壊してるのでしてー」
ほたる「すいません‥‥取り乱しました‥‥」
茄子「気にしませんからいいですよ~。」
茄子「話戻しますよ。なのでこの事務所が潰れることはほとんどありません。」
P「その通りだ。だから、キミがなりたいアイドルになるといい。」
ほたる「‥‥いい話みたいにしてますけど‥‥私が霞むほど非常識なだけですよね‥‥」
P 茄子芳乃「そうとも言う(のでしてー)」
11: ◆74/46nW9/o 2017/04/21(金) 22:10:35.86 ID:UIrbIzTwO
以上になります。
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/21(金) 23:05:39.66 ID:0abFgbyG0
乙
茄子さんか芳乃んかさえ居ればほたるはだいたい無力化できるなw
茄子さんか芳乃んかさえ居ればほたるはだいたい無力化できるなw
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/03(水) 20:18:30.40 ID:qvNL5v5J0
乙でした
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492778212/
Entry ⇒ 2017.11.30 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
幼馴染「エンタ」
1: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 17:36:48.64 ID:SKV9dUzm0
幼馴染「7と13の積──はー……」
男「91。乗法の暗算くらいいい加減に慣れろよ」ハァ
幼馴染「いやー、素数に苦手意識がねー」
男「よし。ならこうしよう」ポン
「俺が奇数を順番に言っていくから、素数になったら一緒に言ってくれ」
幼馴染「んー分かったー」
男「行くぞ。1」
2人「「3っ! 5っ! 7っ!」」
男「9」
2人「「11っ! 13っ!」」
男「15」
「……」
幼馴染「17っ! 19っ!」
「──あれー? おとこー?」
男「アホになる必要はないからな?」
幼馴染「はーい」
男「はぁ……21」
「……」
幼馴染「23んんっ///!」
男「アヘる必要もないから」
幼馴染「はーい」
男「91。乗法の暗算くらいいい加減に慣れろよ」ハァ
幼馴染「いやー、素数に苦手意識がねー」
男「よし。ならこうしよう」ポン
「俺が奇数を順番に言っていくから、素数になったら一緒に言ってくれ」
幼馴染「んー分かったー」
男「行くぞ。1」
2人「「3っ! 5っ! 7っ!」」
男「9」
2人「「11っ! 13っ!」」
男「15」
「……」
幼馴染「17っ! 19っ!」
「──あれー? おとこー?」
男「アホになる必要はないからな?」
幼馴染「はーい」
男「はぁ……21」
「……」
幼馴染「23んんっ///!」
男「アヘる必要もないから」
幼馴染「はーい」
2: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 17:38:07.93 ID:SKV9dUzm0
幼馴染「すぴー……」
男「……まだ全然終わってないのに眠りこけやがって。……しょうがない」
「ドゥドゥビドゥバドゥビ!」
「はい! はい!」
幼馴染「」ムクッ
「はいはいはい! ワーォ!」
2人「「あるある探検隊! あるある探検隊!」」
男「高級↓料↑理では↑ら壊す」
幼馴染「はい! はい!」
男「はいはいはい! ワーォ!」
2人「「あるある探検隊! あるある探検隊!」」
幼馴染「あるあるってゆーか、それ昔の私だよね」
男「見事に1人だけ中ったよな」
幼馴染「ぐ……も、もー、次行くよ次っ」
「近↓所のババ↑アにさ↑らわれる」
男「はい! はい!」
幼馴染「はいはいはい! ワーォ!」
2人「「あるある探検隊! あるある探検隊!」」
男「ねぇよ」
幼馴染「あるよー。お隣のおばさんに攫われそーな顔してるんだもん」
男「あるあるなんだから誰にでも言えること言わなきゃイカンだろうがよ。な?」
「自信↓と赤↑点比↑例する」
幼馴染「はい! はい!」
男「はいはいはい! ワーォ!」
2人「「あるある探検隊! あるある探検隊!」」
幼馴染「ごめんなさいちゃんと勉強しますー……」
男「分かればよろしい」
男「……まだ全然終わってないのに眠りこけやがって。……しょうがない」
「ドゥドゥビドゥバドゥビ!」
「はい! はい!」
幼馴染「」ムクッ
「はいはいはい! ワーォ!」
2人「「あるある探検隊! あるある探検隊!」」
男「高級↓料↑理では↑ら壊す」
幼馴染「はい! はい!」
男「はいはいはい! ワーォ!」
2人「「あるある探検隊! あるある探検隊!」」
幼馴染「あるあるってゆーか、それ昔の私だよね」
男「見事に1人だけ中ったよな」
幼馴染「ぐ……も、もー、次行くよ次っ」
「近↓所のババ↑アにさ↑らわれる」
男「はい! はい!」
幼馴染「はいはいはい! ワーォ!」
2人「「あるある探検隊! あるある探検隊!」」
男「ねぇよ」
幼馴染「あるよー。お隣のおばさんに攫われそーな顔してるんだもん」
男「あるあるなんだから誰にでも言えること言わなきゃイカンだろうがよ。な?」
「自信↓と赤↑点比↑例する」
幼馴染「はい! はい!」
男「はいはいはい! ワーォ!」
2人「「あるある探検隊! あるある探検隊!」」
幼馴染「ごめんなさいちゃんと勉強しますー……」
男「分かればよろしい」
3: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 17:50:30.23 ID:SKV9dUzm0
幼馴染「なんか気分がノってきたし、どーでもいい歌を歌いまーす」
男「うん、勉強しような」カリカリ
幼馴染「どーでもいーいですよ」
「『ゲームは遊びじゃねぇんだよ!』という」
「だったら何だよ」
男「はい」カリカリ
幼馴染「どーでもいーいですよ」
「『キッズは帰れ』と言う」
「キッズ」
男「はい」カリカリ
幼馴染「最後にどーでもいいラップをしまーす」ポクポクポクYO!
「制服の規則のよー」
「欲情を煽る、ってのよー」
「煽られてるヤツってのはよー」
「大体が若い男性教師なんだよーっ!」バーン
男「はい」カリカリ
幼馴染「はいじゃないがー!」
男「それは冗談になってない」ギリギリ
幼馴染「いひゃいいひゃいいひゃいごえんあはい」
男「こんな苦労は俺だけだろうか……」パッ
幼馴染「ぷぁっ」ヒリヒリ
男「うん、勉強しような」カリカリ
幼馴染「どーでもいーいですよ」
「『ゲームは遊びじゃねぇんだよ!』という」
「だったら何だよ」
男「はい」カリカリ
幼馴染「どーでもいーいですよ」
「『キッズは帰れ』と言う」
「キッズ」
男「はい」カリカリ
幼馴染「最後にどーでもいいラップをしまーす」ポクポクポクYO!
「制服の規則のよー」
「欲情を煽る、ってのよー」
「煽られてるヤツってのはよー」
「大体が若い男性教師なんだよーっ!」バーン
男「はい」カリカリ
幼馴染「はいじゃないがー!」
男「それは冗談になってない」ギリギリ
幼馴染「いひゃいいひゃいいひゃいごえんあはい」
男「こんな苦労は俺だけだろうか……」パッ
幼馴染「ぷぁっ」ヒリヒリ
4: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 17:59:55.06 ID:SKV9dUzm0
幼馴染「おーとこー」クイクイ
男「ん?」カリカリ
幼馴染「テスト対策分終わったー見直しー」
男「ああ、はいはい」
幼馴染「大分早いでしょー」
男「……」
幼馴染「おーい」ノシ
男「……あぁ、確かに計算は早くなってる。割と正確だし、及第点ではあるな……」
幼馴染「でしょー」フフン
男「だがこの汚文字はいただけない」
幼馴染「えー? 読めたでしょー?」
「大体、あのセンセーのなら計算過程はバレないって言ったのおとこでしょー」
「文字書く機会なんて学生の間くらいd」
男「しゃらくせぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」パシーン
幼馴染「へぷぅ?!」
男「想いは籠めるものじゃなくて伝えるものだろうがよっ!」キリッ
幼馴染「あんちゃんカッコいー!」
「……でも流石に痛い」ヒリヒリ
男「ごめん」
男「ん?」カリカリ
幼馴染「テスト対策分終わったー見直しー」
男「ああ、はいはい」
幼馴染「大分早いでしょー」
男「……」
幼馴染「おーい」ノシ
男「……あぁ、確かに計算は早くなってる。割と正確だし、及第点ではあるな……」
幼馴染「でしょー」フフン
男「だがこの汚文字はいただけない」
幼馴染「えー? 読めたでしょー?」
「大体、あのセンセーのなら計算過程はバレないって言ったのおとこでしょー」
「文字書く機会なんて学生の間くらいd」
男「しゃらくせぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」パシーン
幼馴染「へぷぅ?!」
男「想いは籠めるものじゃなくて伝えるものだろうがよっ!」キリッ
幼馴染「あんちゃんカッコいー!」
「……でも流石に痛い」ヒリヒリ
男「ごめん」
5: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 18:20:31.66 ID:SKV9dUzm0
幼馴染「ほえー……次は国語だよー」
男「頑張りなさい」カリカリ
幼馴染「ぶー……おとこが言うなら頑張るけどー……」
「でも日本語ってたまーにえっちいよねー」
男「例えば?」カリカリ
幼馴染「鼻息の荒い女の人が嬶なのはいいけどさ」
「女の人を台に乗せて……始めるー、とか」
「女の人を喜ばせて……う、嬉しいー、とか」
「男の人2人で女の人1人を……嬲るー、とか」
「子供が好きで娘は良い──とか……///」カァァッ
「Why japanese people!」パシーン
男「なんで?! いったぁ……そもそも漢字はChinese languageだろうが」ヒリヒリ
「じゃあお前、『嫌』はどうなるんだよ」
幼馴染「え?」キョトン
「……何だろー?」
男「『塩』や『罪』と同じ画数だぞ」
幼馴染「う、うーん……」ムムム
男「だが『愛』や『嫁』とも同じ画数だ。これについてお前はどう思うんだ?」
幼馴染「ふぇ?! うーんうーん……」
男「『裸』とも同じ画数なんだが」
幼馴染「Why japanese people///!」パシーン
男「ぶべらっ?!」
男「頑張りなさい」カリカリ
幼馴染「ぶー……おとこが言うなら頑張るけどー……」
「でも日本語ってたまーにえっちいよねー」
男「例えば?」カリカリ
幼馴染「鼻息の荒い女の人が嬶なのはいいけどさ」
「女の人を台に乗せて……始めるー、とか」
「女の人を喜ばせて……う、嬉しいー、とか」
「男の人2人で女の人1人を……嬲るー、とか」
「子供が好きで娘は良い──とか……///」カァァッ
「Why japanese people!」パシーン
男「なんで?! いったぁ……そもそも漢字はChinese languageだろうが」ヒリヒリ
「じゃあお前、『嫌』はどうなるんだよ」
幼馴染「え?」キョトン
「……何だろー?」
男「『塩』や『罪』と同じ画数だぞ」
幼馴染「う、うーん……」ムムム
男「だが『愛』や『嫁』とも同じ画数だ。これについてお前はどう思うんだ?」
幼馴染「ふぇ?! うーんうーん……」
男「『裸』とも同じ画数なんだが」
幼馴染「Why japanese people///!」パシーン
男「ぶべらっ?!」
6: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 18:40:51.16 ID:SKV9dUzm0
幼馴染「それはそうとして」
「漢字難しいよねー。一→二→三→四とか」
男「はいはい、わいわい」
幼馴染「Why……むー」ムスッ
「何かいい覚え方ないのー? ねーねー」
男「身体で覚えりゃいいんじゃね?」
幼馴染「お、それいーね」
男「テキトーだけど……え?」
幼馴染「命!」ビシッ
男「……」
幼馴染「……っ」プルプル
「ごめんなさい……///」カァァッ
男「恥ずかしがるくらいならやるなよ……」
幼馴染「『恥ずかしい』ー?」ヒャウィゴゥ
男「お、おう」
幼馴染「恥ずかしいラモス瑠偉」
「恥ずかしいーラモス瑠偉ー化粧水に散財」
「ななななーななななーなななな泣き寝入りー」
「いきなり始めてごーめーん誠にすいまめーん!」
男「な……何だコイツ……」
幼馴染「私にどうして欲しいのか、ちょっくら言ってみな、セーイ!」ワキワキ
男「いや勉強して欲しいけど」
幼馴染「ベンキョーキンチョー」ワキワキ
「キンチョーはー、川床ー、カンチョーは寝床」
男「下ネタかよ」
幼馴染「ベッドでー、運動ー、壁越し振動ー」バッ
「喘ぐ声ー、艶っぽいー、お通夜は湿っぽい」
男「……お通夜がどうした」
幼馴染「お線香、お歳暮」
男「いつまで続けるんだ?」ギリギリ
幼馴染「むぎゅう……ずびばべん……」
「漢字難しいよねー。一→二→三→四とか」
男「はいはい、わいわい」
幼馴染「Why……むー」ムスッ
「何かいい覚え方ないのー? ねーねー」
男「身体で覚えりゃいいんじゃね?」
幼馴染「お、それいーね」
男「テキトーだけど……え?」
幼馴染「命!」ビシッ
男「……」
幼馴染「……っ」プルプル
「ごめんなさい……///」カァァッ
男「恥ずかしがるくらいならやるなよ……」
幼馴染「『恥ずかしい』ー?」ヒャウィゴゥ
男「お、おう」
幼馴染「恥ずかしいラモス瑠偉」
「恥ずかしいーラモス瑠偉ー化粧水に散財」
「ななななーななななーなななな泣き寝入りー」
「いきなり始めてごーめーん誠にすいまめーん!」
男「な……何だコイツ……」
幼馴染「私にどうして欲しいのか、ちょっくら言ってみな、セーイ!」ワキワキ
男「いや勉強して欲しいけど」
幼馴染「ベンキョーキンチョー」ワキワキ
「キンチョーはー、川床ー、カンチョーは寝床」
男「下ネタかよ」
幼馴染「ベッドでー、運動ー、壁越し振動ー」バッ
「喘ぐ声ー、艶っぽいー、お通夜は湿っぽい」
男「……お通夜がどうした」
幼馴染「お線香、お歳暮」
男「いつまで続けるんだ?」ギリギリ
幼馴染「むぎゅう……ずびばべん……」
7: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 18:58:18.08 ID:SKV9dUzm0
男「国語の心配がないことはよく分かった」
「さ、宿題も最後の1教科だ。頑張れ」スッ
幼馴染「地理だよーヤだよー」イヤイヤ
男「お前の好みは全部知ってる」
幼馴染「うー……ヤだよー」
男「いいから受け取れよ」スッ
幼馴染「右から……右から……何かがやってくる」
男「その左手で目隠しするの止めろ」
幼馴染「ヤ。今の私は見えないのー」イヤイヤ
「私はー、それをー」
「左へ受け流すーっ!」ポイッ
男「ああっ?!」
幼馴染「みーぎーかーらーやーぁってきーたー」
「なーにーかーがーやーぁってきーたー」
「私はーぁーそれを左へ受け流すぅー」
男「させるか」ズイッ
幼馴染「あーあー……このtふみゅ」ムニー
「……うー! ううううううううー!」
男「その変な顔で歌い切れるものならやってみろ」
幼馴染「アッチョンブリケ」ムニニー
「さ、宿題も最後の1教科だ。頑張れ」スッ
幼馴染「地理だよーヤだよー」イヤイヤ
男「お前の好みは全部知ってる」
幼馴染「うー……ヤだよー」
男「いいから受け取れよ」スッ
幼馴染「右から……右から……何かがやってくる」
男「その左手で目隠しするの止めろ」
幼馴染「ヤ。今の私は見えないのー」イヤイヤ
「私はー、それをー」
「左へ受け流すーっ!」ポイッ
男「ああっ?!」
幼馴染「みーぎーかーらーやーぁってきーたー」
「なーにーかーがーやーぁってきーたー」
「私はーぁーそれを左へ受け流すぅー」
男「させるか」ズイッ
幼馴染「あーあー……このtふみゅ」ムニー
「……うー! ううううううううー!」
男「その変な顔で歌い切れるものならやってみろ」
幼馴染「アッチョンブリケ」ムニニー
8: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 19:15:28.87 ID:SKV9dUzm0
男「学校のぉ↑ 勉強はぁ↓ 社会で直接役立たないって……ゆーじゃなぁ↑ーい?」
「でも地図くらいは読めなきゃ将来迷子になりますからーっ! 残念ーっ!」
「『あたしメリーさん。今新宿駅なんだけどそろそろ餓死しそうなの』斬りーっ!」ムニー
幼馴染「ふみゅー」
「もにー」
「うみゅー……これ飽きないのー?」
男「勉強教えるのにはちょっと飽きた」ムニー
幼馴染「んむー」
男「……ここ、絶対俺の身体と違う素材だろ。どうしたらこんなもちもちになるんだよ」ムニー
幼馴染「ひぁうぁー(知らない)」
男「そうか」ムニムニ
幼馴染「……い、いひゃい……」ペチペチ
男「ん、悪い」
「教えてて思ったけど、寧ろ地理得意だろ。単語暗記が苦手なのは確かにマイナスだけどさ」
幼馴染「そお?」
「でも地図くらいは読めなきゃ将来迷子になりますからーっ! 残念ーっ!」
「『あたしメリーさん。今新宿駅なんだけどそろそろ餓死しそうなの』斬りーっ!」ムニー
幼馴染「ふみゅー」
「もにー」
「うみゅー……これ飽きないのー?」
男「勉強教えるのにはちょっと飽きた」ムニー
幼馴染「んむー」
男「……ここ、絶対俺の身体と違う素材だろ。どうしたらこんなもちもちになるんだよ」ムニー
幼馴染「ひぁうぁー(知らない)」
男「そうか」ムニムニ
幼馴染「……い、いひゃい……」ペチペチ
男「ん、悪い」
「教えてて思ったけど、寧ろ地理得意だろ。単語暗記が苦手なのは確かにマイナスだけどさ」
幼馴染「そお?」
9: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 19:30:18.35 ID:SKV9dUzm0
男「はいここはどこでしょう」スッ
幼馴染「高知県!」
男「その通り。人口75万9700人で面積は7103平方km(18位)、山林が89%を占めていて、県庁所在地は高知市だ」
「子供のおもちゃにするならどうする?」
幼馴染「遊ぶとしたらこの辺り持とーかなー。何だか握り易そーなカタチしてるし」
男「それをこう、振りかぶって」
幼馴染「こう!」ブンッ
「くるくるくるー……ぱしっ」
男「ナイスキャッチ」
「次。風邪の時に役立つ都道府県は?」
幼馴染「一位は石川県だねー。富山県が近いから薬に困らなそうだし、咥えたら体温測れそうだし」
男「能登半島で舌を切りそうだけどな。二位は?」
幼馴染「んー、長崎県かなー? 冷凍庫入れておいて、使う時になったら水枕にするー」ヒンヤリー
「同じ理由だから沖縄県や東京都も二位だねー」
男「よし、合格。ついでだから五位も聞こうか」
幼馴染「琵琶湖」キッパリ
男「……滋賀県か。ちなみに最下位はこれ」スッ
幼馴染「島根k──じゃない。鳥取県? あー、なんかじゃりじゃりしそう」
男「掃除してる間に悪化する未来が見えるな。あとこれまた同じ理由で鹿児島県も最下位だ」
幼馴染「噎せるからね」
幼馴染「高知県!」
男「その通り。人口75万9700人で面積は7103平方km(18位)、山林が89%を占めていて、県庁所在地は高知市だ」
「子供のおもちゃにするならどうする?」
幼馴染「遊ぶとしたらこの辺り持とーかなー。何だか握り易そーなカタチしてるし」
男「それをこう、振りかぶって」
幼馴染「こう!」ブンッ
「くるくるくるー……ぱしっ」
男「ナイスキャッチ」
「次。風邪の時に役立つ都道府県は?」
幼馴染「一位は石川県だねー。富山県が近いから薬に困らなそうだし、咥えたら体温測れそうだし」
男「能登半島で舌を切りそうだけどな。二位は?」
幼馴染「んー、長崎県かなー? 冷凍庫入れておいて、使う時になったら水枕にするー」ヒンヤリー
「同じ理由だから沖縄県や東京都も二位だねー」
男「よし、合格。ついでだから五位も聞こうか」
幼馴染「琵琶湖」キッパリ
男「……滋賀県か。ちなみに最下位はこれ」スッ
幼馴染「島根k──じゃない。鳥取県? あー、なんかじゃりじゃりしそう」
男「掃除してる間に悪化する未来が見えるな。あとこれまた同じ理由で鹿児島県も最下位だ」
幼馴染「噎せるからね」
10: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 19:45:44.94 ID:SKV9dUzm0
男「アレか、得意だからわざわざ宿題でやるのが嫌いってヤツか」
幼馴染「ううん、小学校の頃がねー……」
男「あー……白地図か……あれは地理嫌いにするよなぁ。皆やる気なさそうだったし」
幼馴染「やる気なさそー……やる気なさそーブルキナファソ! ソーレッ☆」ダダダダダダ
「ここ! ブルキナファソ!」
男「どこから地球儀出したんだ?!」
幼馴染「そんな細かいこと、いいじゃないかー……いいじゃないかー……じゃーないかー……じゃmそんなバハマ! ソーレッ☆」ダダダダダダ
「ここ! バハマ!」
「ジャマイカだと、思っただろぉー?」
男「はい」
幼馴染「笑いの面舵いっぱーい!」
男「……」
幼馴染「あれー? 笑ってないのはどーこーのードイツ! ソーレッ☆」ダダダダダダ
「ここ! ドイツ!」ズイッ
ムニュッ
男「……おぉ」
幼馴染「ワケ分かんねぇだろぉ?」
男「ち――っ、ちゃんと面白いから離れろ///」プイッ
幼馴染「やたー」ピョコピョコ
幼馴染「ううん、小学校の頃がねー……」
男「あー……白地図か……あれは地理嫌いにするよなぁ。皆やる気なさそうだったし」
幼馴染「やる気なさそー……やる気なさそーブルキナファソ! ソーレッ☆」ダダダダダダ
「ここ! ブルキナファソ!」
男「どこから地球儀出したんだ?!」
幼馴染「そんな細かいこと、いいじゃないかー……いいじゃないかー……じゃーないかー……じゃmそんなバハマ! ソーレッ☆」ダダダダダダ
「ここ! バハマ!」
「ジャマイカだと、思っただろぉー?」
男「はい」
幼馴染「笑いの面舵いっぱーい!」
男「……」
幼馴染「あれー? 笑ってないのはどーこーのードイツ! ソーレッ☆」ダダダダダダ
「ここ! ドイツ!」ズイッ
ムニュッ
男「……おぉ」
幼馴染「ワケ分かんねぇだろぉ?」
男「ち――っ、ちゃんと面白いから離れろ///」プイッ
幼馴染「やたー」ピョコピョコ
11: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 20:00:02.36 ID:SKV9dUzm0
幼馴染「宿題終わったぁー」グデー
「おとこぉー、何しよっかー」ゴロゴロ
男「いつも通りでいいだろ」
幼馴染「いえー」ゴロゴロ
「……ん、おとこ。そこ寝そべってー」
男「こうか?」
幼馴染「んー。よいしょ」
「ゆーたいりだつー」
「そせー」
2人「「……」」
幼馴染「こう、手足畳んで丸くなって」
男「分かった」コロン
幼馴染「えいっ」ダキッ
男「ちょ」
幼馴染「お寿司ー」
2人「「……」」
男「それは食べて下さいということか?」
幼馴染「え、ち、違っ///」カァッ
男「取り敢えず脱出していいか?」
幼馴染「……うん……」
「おとこぉー、何しよっかー」ゴロゴロ
男「いつも通りでいいだろ」
幼馴染「いえー」ゴロゴロ
「……ん、おとこ。そこ寝そべってー」
男「こうか?」
幼馴染「んー。よいしょ」
「ゆーたいりだつー」
「そせー」
2人「「……」」
幼馴染「こう、手足畳んで丸くなって」
男「分かった」コロン
幼馴染「えいっ」ダキッ
男「ちょ」
幼馴染「お寿司ー」
2人「「……」」
男「それは食べて下さいということか?」
幼馴染「え、ち、違っ///」カァッ
男「取り敢えず脱出していいか?」
幼馴染「……うん……」
12: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 20:15:05.52 ID:SKV9dUzm0
男「よいしょっと」
幼馴染「……。え、先輩まーた来たんですか?」
男「は? ……あーそうだよ、フられたんだよ!」
幼馴染「あはははだっさー! 幼馴染で後輩のボクが言うのもなんですけど、何回目なんですか?!」
男「うるせっ、階段からコケて入院してるクセにダサいとか言うんじゃねぇよ!」
幼馴染「で? どんなフられ方を?」ニヤニヤ
男「つまらん奴は嫌いだとよ。クソッ、どうせオレといたってつまらねぇよ!」
「お世辞の1つだって言えず糞真面目に返すだけのオレなんて──」
幼馴染「やめて」
男「……サチコ?」
幼馴染「自分のこと、悪く言うのやめて下さい」
「先輩へ何年も言い出せずにいるボクがバカみたいじゃないですか……」
男「……そ、そう言えばもうすぐ退院らしいな!」
幼馴染「そうしたらまた会いに行けますね」
男「う、ま、また階段落ちるなよ?」
幼馴染「誰か受け止めてくれたらいいのになぁ」
男「……」
「手を引いたらダメか?」
幼馴染「え?」
男「お前がまた落ちていかないように、オレがその手を握ったらダメなのか?」
幼馴染「で、でも一緒に踏み外したら」
男「一緒に落ちてやる」
「オレは糞真面目だからな、本気だ」
幼馴染「……ボクはもう落ちてますよ。先輩に」
男「サチコ!」
幼馴染「先輩!」
2人「「イェス、フォーリンラブ」」
幼馴染「……。え、先輩まーた来たんですか?」
男「は? ……あーそうだよ、フられたんだよ!」
幼馴染「あはははだっさー! 幼馴染で後輩のボクが言うのもなんですけど、何回目なんですか?!」
男「うるせっ、階段からコケて入院してるクセにダサいとか言うんじゃねぇよ!」
幼馴染「で? どんなフられ方を?」ニヤニヤ
男「つまらん奴は嫌いだとよ。クソッ、どうせオレといたってつまらねぇよ!」
「お世辞の1つだって言えず糞真面目に返すだけのオレなんて──」
幼馴染「やめて」
男「……サチコ?」
幼馴染「自分のこと、悪く言うのやめて下さい」
「先輩へ何年も言い出せずにいるボクがバカみたいじゃないですか……」
男「……そ、そう言えばもうすぐ退院らしいな!」
幼馴染「そうしたらまた会いに行けますね」
男「う、ま、また階段落ちるなよ?」
幼馴染「誰か受け止めてくれたらいいのになぁ」
男「……」
「手を引いたらダメか?」
幼馴染「え?」
男「お前がまた落ちていかないように、オレがその手を握ったらダメなのか?」
幼馴染「で、でも一緒に踏み外したら」
男「一緒に落ちてやる」
「オレは糞真面目だからな、本気だ」
幼馴染「……ボクはもう落ちてますよ。先輩に」
男「サチコ!」
幼馴染「先輩!」
2人「「イェス、フォーリンラブ」」
13: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 20:30:00.83 ID:SKV9dUzm0
男「ダラダラやってたからすっかり夜だな」
幼馴染「まーまー、お隣さんなんだからへーきだよ」
男「ダラダラした主犯が何を言ってやがる」
「罰だ、今から最近のことについて反省会するぞ」
幼馴染「えー」
男「YO! YO! ですよ↑ YO! YO! ですよ↓」
「ですよの最近はー」
幼馴染「謝ることばっかー↓ はい今日もぉ昨日も一昨日もぉ、謝ることいっ↑ぱぁ↓~い」
男「じゃあ言ってみろ」
幼馴染「……はっ! ぐぬぬ、ハメたなっ、このオニー!」イーッ
「えっと……ですよこの前、ベランダで育ててた朝顔に支柱を立ててやったんで・す・よ!」
「そしたら~ぁSO! (アス)パラガスでございます」キリッ
「あ~いとぅいまて~ん!」
「次の日起きたら真っ黒になってたぞぉ↑~」
「YO! YO! ですよ↑ YO! YO! ですよ↓ ですよの最近はー謝ることいっ↑ぱぁ↓~い」
「そーゆーことー」
男「……マジで?」
幼馴染「マジで」コクン
男「将来が心配になる反省だな……」
幼馴染「ちっちゃいことーは気にするな☆それわかちこわかちこー! バイバイ!」
男「んなっ、逃げやがった!」
幼馴染「まーまー、お隣さんなんだからへーきだよ」
男「ダラダラした主犯が何を言ってやがる」
「罰だ、今から最近のことについて反省会するぞ」
幼馴染「えー」
男「YO! YO! ですよ↑ YO! YO! ですよ↓」
「ですよの最近はー」
幼馴染「謝ることばっかー↓ はい今日もぉ昨日も一昨日もぉ、謝ることいっ↑ぱぁ↓~い」
男「じゃあ言ってみろ」
幼馴染「……はっ! ぐぬぬ、ハメたなっ、このオニー!」イーッ
「えっと……ですよこの前、ベランダで育ててた朝顔に支柱を立ててやったんで・す・よ!」
「そしたら~ぁSO! (アス)パラガスでございます」キリッ
「あ~いとぅいまて~ん!」
「次の日起きたら真っ黒になってたぞぉ↑~」
「YO! YO! ですよ↑ YO! YO! ですよ↓ ですよの最近はー謝ることいっ↑ぱぁ↓~い」
「そーゆーことー」
男「……マジで?」
幼馴染「マジで」コクン
男「将来が心配になる反省だな……」
幼馴染「ちっちゃいことーは気にするな☆それわかちこわかちこー! バイバイ!」
男「んなっ、逃げやがった!」
14: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 20:46:34.93 ID:SKV9dUzm0
幼馴染「ヌーブラヌーブラヌーブラヌーブラヌーブラやっほっほっ、やっ、ほー」ヌッ
男「窓から来るなっていつも言ってるだろ」
幼馴染「えー。だって深夜に来るには仕方ないもん」
男「万が一落ちたら危ないだろうが」チョップ
幼馴染「はう。また昨日と同じ理由で怒られた……下手こいた~!」orz
男「そのネタはビジュアルがヤバいからやめろ」
幼馴染「何秒で服を脱げるか――」
男「駄目。つか出来ないよな?」
幼馴染「フォー!」
男「駄目」
幼馴染「むむぅ……ん!」ピコーン
「では、日暮れの校舎で気になる女の子が1人で教室にいた時の気持ちを吟じてみます」
男「駄m……ちょっと気になる」
幼馴染「吟じますっ」キリッ
「あの子が突っ伏して寝てる机の~ォ~ォ」
「下へ素早く潜り込んで~ェ~ェ~ェ」
「垂れてるよだれを残らず啜る~~~っ!」
「あると思います」
男「帰れ」ドンビキ
幼馴染「やだ。吟じますっ」
「教卓に座ってスマホ弄ってる時に~ィ~ィ」
「机へ背を向けて座ってる時も~ォ~ォ~ォ」
「そっと正面を確保しようとする~~~っ!」
「あると思います」
男「……」ススス
「そうか」
幼馴染「え、なんで移動し──」ハッ
「じっ、じゃあねっ///!」バタバタ
男「……スカートじゃなくても意識はするのか」
男「窓から来るなっていつも言ってるだろ」
幼馴染「えー。だって深夜に来るには仕方ないもん」
男「万が一落ちたら危ないだろうが」チョップ
幼馴染「はう。また昨日と同じ理由で怒られた……下手こいた~!」orz
男「そのネタはビジュアルがヤバいからやめろ」
幼馴染「何秒で服を脱げるか――」
男「駄目。つか出来ないよな?」
幼馴染「フォー!」
男「駄目」
幼馴染「むむぅ……ん!」ピコーン
「では、日暮れの校舎で気になる女の子が1人で教室にいた時の気持ちを吟じてみます」
男「駄m……ちょっと気になる」
幼馴染「吟じますっ」キリッ
「あの子が突っ伏して寝てる机の~ォ~ォ」
「下へ素早く潜り込んで~ェ~ェ~ェ」
「垂れてるよだれを残らず啜る~~~っ!」
「あると思います」
男「帰れ」ドンビキ
幼馴染「やだ。吟じますっ」
「教卓に座ってスマホ弄ってる時に~ィ~ィ」
「机へ背を向けて座ってる時も~ォ~ォ~ォ」
「そっと正面を確保しようとする~~~っ!」
「あると思います」
男「……」ススス
「そうか」
幼馴染「え、なんで移動し──」ハッ
「じっ、じゃあねっ///!」バタバタ
男「……スカートじゃなくても意識はするのか」
15: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 21:00:00.47 ID:SKV9dUzm0
幼馴染「おはよ、おとこ。学校行こー」
男「……靴は?」
幼馴染「ローファーは踵が痛くなるから置いてきたぜぇ」
「そんでもって、破れるといけないから靴下も脱ぐぜぇ」ヌギヌギ
「ほぉら、ナマ足だぜぇ」
男「足踏みよーい、はじめっ」
幼馴染「いっちにっ、いっちはぅあっ」
「い、いひゃい……」プルプル
「……アスファルトだから靴がないと余計に痛いぜぇ」
「ワイルドだろぉ?」ウルウル
男「履いてきなさい」
幼馴染「はーい」トテテ
ガチャバタン
ガチャ
幼馴染「ててててて」
「ててててて」
「てててててててて、ててててて」トテトテ
男「……制服は?」
幼馴染「ここ見て、おとこ」
「アヒルがついてるでしょ?」
男「」チラ…
幼馴染「ここをなでなでするとー」
「アヒルが伸びてー、元気になってー」
「はばたきます」カッ
2人「「フェニックス!」」
男「着替えてきなさい」
幼馴染「はーい」トテテ
男「……靴は?」
幼馴染「ローファーは踵が痛くなるから置いてきたぜぇ」
「そんでもって、破れるといけないから靴下も脱ぐぜぇ」ヌギヌギ
「ほぉら、ナマ足だぜぇ」
男「足踏みよーい、はじめっ」
幼馴染「いっちにっ、いっちはぅあっ」
「い、いひゃい……」プルプル
「……アスファルトだから靴がないと余計に痛いぜぇ」
「ワイルドだろぉ?」ウルウル
男「履いてきなさい」
幼馴染「はーい」トテテ
ガチャバタン
ガチャ
幼馴染「ててててて」
「ててててて」
「てててててててて、ててててて」トテトテ
男「……制服は?」
幼馴染「ここ見て、おとこ」
「アヒルがついてるでしょ?」
男「」チラ…
幼馴染「ここをなでなでするとー」
「アヒルが伸びてー、元気になってー」
「はばたきます」カッ
2人「「フェニックス!」」
男「着替えてきなさい」
幼馴染「はーい」トテテ
17: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 21:15:00.28 ID:SKV9dUzm0
幼馴染「ただいまー」ガチャ
「――じゃなかった、お邪魔しまーす……///」
男「ピッピッ、ピッピッ……」
「やあみんな、離乳食と言えば?」
幼馴染「マグマスパゲッティー!」
男「そうだね、プロテインだね」ニッコリ
「今日はパッション広場にやってきてくれてどうもありがとう」
「お兄さんのことは情熱、そう、パッションって呼んでね」
「それじゃ先ず、お姉さんに代わってお兄さんと一緒に情熱的な体操をしよう」
「こほん――みーんなー! ラララライ体操、はーじめーるよー!」
幼馴染「わんっつっすりっ」
2人「「ラララライッ、ラララライッ、ラララ」」
男「肩たたきーでーエクササ~イズ」
幼馴染「わんっつっすりっ」
2人「「ん゙ー! ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ー! ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ー!」」
幼馴染「……あれ? おとこー?」
男「おごごごごご……」ヒクヒク
幼馴染「か、肩の凝りがー?」
男「俺は胸がない分痛いんだよ……」ヒクヒク
幼馴染「でんっでんっでーんっ」
「あたりまえたいそー」
「でんっでーんっ」ピシッ
男「」ブクブク…
幼馴染「あああああああああ?! おとこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
キーンコーン…
幼馴染「はっ、夢か」ムクッ
「――じゃなかった、お邪魔しまーす……///」
男「ピッピッ、ピッピッ……」
「やあみんな、離乳食と言えば?」
幼馴染「マグマスパゲッティー!」
男「そうだね、プロテインだね」ニッコリ
「今日はパッション広場にやってきてくれてどうもありがとう」
「お兄さんのことは情熱、そう、パッションって呼んでね」
「それじゃ先ず、お姉さんに代わってお兄さんと一緒に情熱的な体操をしよう」
「こほん――みーんなー! ラララライ体操、はーじめーるよー!」
幼馴染「わんっつっすりっ」
2人「「ラララライッ、ラララライッ、ラララ」」
男「肩たたきーでーエクササ~イズ」
幼馴染「わんっつっすりっ」
2人「「ん゙ー! ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ー! ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ー!」」
幼馴染「……あれ? おとこー?」
男「おごごごごご……」ヒクヒク
幼馴染「か、肩の凝りがー?」
男「俺は胸がない分痛いんだよ……」ヒクヒク
幼馴染「でんっでんっでーんっ」
「あたりまえたいそー」
「でんっでーんっ」ピシッ
男「」ブクブク…
幼馴染「あああああああああ?! おとこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
キーンコーン…
幼馴染「はっ、夢か」ムクッ
19: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 21:30:01.39 ID:SKV9dUzm0
~放課後~
男「……」テクテク
幼馴染「……」トテトテ
「……っ」ウズウズ
男「――そろそろいいぞ」
幼馴染「っふはーっ! 委員長キャラ疲れたー!」
「ねーおとこー、まだあのキャラ続けないとダメー?」
男「学校でやってもみろ、あっという間にハブられるぞ」
幼馴染「ぶー……」
「……すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」(←呼吸音)
「くぅぅぅぅぅぅぅ前絶後のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
男「」キーン
幼馴染「超絶怒涛のピンJK、笑いを愛し、笑いにあぁいされた女ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「例えこの身が朽ち果てようとー、笑いを求めて命を燃やしー!」
「燃えた炎は星となりー、見るもの全てをっ笑ぇー顔に変えるぅ!」
「そぉう、わぁぁれこそはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「サンシャイィィィィィィン! お・さ!」
「――えようにも抑えられないこの想いぃぃぃぃ!」
男「言えよ」
幼馴染「身長約160cm、体重49kg、彼氏はまだ作らないでいます。今がチャンスでーすっ!」
「世界中の幼馴染の中でも↑っとも元気な幼馴染ー!」
「サンシャイィィィィィィン、お・さ! ぼーんぼーん!」
「――な・な!」
男「……『じみ』は?」
幼馴染「イェェェェェェェエエエエエエエエエエ工工工工工工工工工工イッ!」
「ジャ↑ァァァスティィィィィィス!」
男「取り敢えず、ここで叫ぶな。ご近所さんに迷惑だ」
幼馴染「じゃーすてぃーす(小声)」
男「……」テクテク
幼馴染「……」トテトテ
「……っ」ウズウズ
男「――そろそろいいぞ」
幼馴染「っふはーっ! 委員長キャラ疲れたー!」
「ねーおとこー、まだあのキャラ続けないとダメー?」
男「学校でやってもみろ、あっという間にハブられるぞ」
幼馴染「ぶー……」
「……すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」(←呼吸音)
「くぅぅぅぅぅぅぅ前絶後のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
男「」キーン
幼馴染「超絶怒涛のピンJK、笑いを愛し、笑いにあぁいされた女ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「例えこの身が朽ち果てようとー、笑いを求めて命を燃やしー!」
「燃えた炎は星となりー、見るもの全てをっ笑ぇー顔に変えるぅ!」
「そぉう、わぁぁれこそはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「サンシャイィィィィィィン! お・さ!」
「――えようにも抑えられないこの想いぃぃぃぃ!」
男「言えよ」
幼馴染「身長約160cm、体重49kg、彼氏はまだ作らないでいます。今がチャンスでーすっ!」
「世界中の幼馴染の中でも↑っとも元気な幼馴染ー!」
「サンシャイィィィィィィン、お・さ! ぼーんぼーん!」
「――な・な!」
男「……『じみ』は?」
幼馴染「イェェェェェェェエエエエエエエエエエ工工工工工工工工工工イッ!」
「ジャ↑ァァァスティィィィィィス!」
男「取り敢えず、ここで叫ぶな。ご近所さんに迷惑だ」
幼馴染「じゃーすてぃーす(小声)」
21: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 21:45:35.95 ID:SKV9dUzm0
幼馴染「ところでおとこー」
「今日、学校で隣のクラスの子をおんぶしてたよね……なんで?」
男「ちょっと待て今自転車を降りている、ああ間違いなく降りている」
幼馴染「自転車なんてないよね。いいから答えて!」
男「おっと、そろそろウエストビバリーヒルズに帰る頃だ」
幼馴染「そうかい、この恐子にシラ切ろうってのかい」ハイライトオフ
男「ま、待て。正直に言う」アセッ
「実はその前の時間で足を挫いたのに誰も手を貸してくれなかったそうなんだ」
「ケガの痛さは当人しか解らないモンだろ? で、その時偶々通りかかったから頼み込まれて仕方なく……な?」
幼馴染「ホンットにそれだけー? その偶々っていうのも怪しーよ?」
男「教室の近くのトイレ行ったら個室が空いてなくて体育館の近くまで行っただけなんだ信じてくれ!」
幼馴染「じゃあディラン、この星条旗に誓えるの?!」サッ
男「また虚空から取り出したな……?」ボソッ
「ああ幾らでも誓ってやるさ『他意はなかった』ってな!」
幼馴染「じゃー許す」ニパッ
男「まぁ結果的に役得だったけどな。やーらかくていい匂いで……はっ!」サァッ
幼馴染「」ゴゴゴゴゴゴ
男「シュワット?!」
幼馴染「はいちゅーもーく!」
「これから関東スケバン連合緊急集会を始める!」
男「質問!」
幼馴染「なんだ言ってみろ」
男「それはどこでやるんでしょうか」
幼馴染「おとこの部屋に決まってるだろーが!」
男「ヒィッ」ビクッ
「今日、学校で隣のクラスの子をおんぶしてたよね……なんで?」
男「ちょっと待て今自転車を降りている、ああ間違いなく降りている」
幼馴染「自転車なんてないよね。いいから答えて!」
男「おっと、そろそろウエストビバリーヒルズに帰る頃だ」
幼馴染「そうかい、この恐子にシラ切ろうってのかい」ハイライトオフ
男「ま、待て。正直に言う」アセッ
「実はその前の時間で足を挫いたのに誰も手を貸してくれなかったそうなんだ」
「ケガの痛さは当人しか解らないモンだろ? で、その時偶々通りかかったから頼み込まれて仕方なく……な?」
幼馴染「ホンットにそれだけー? その偶々っていうのも怪しーよ?」
男「教室の近くのトイレ行ったら個室が空いてなくて体育館の近くまで行っただけなんだ信じてくれ!」
幼馴染「じゃあディラン、この星条旗に誓えるの?!」サッ
男「また虚空から取り出したな……?」ボソッ
「ああ幾らでも誓ってやるさ『他意はなかった』ってな!」
幼馴染「じゃー許す」ニパッ
男「まぁ結果的に役得だったけどな。やーらかくていい匂いで……はっ!」サァッ
幼馴染「」ゴゴゴゴゴゴ
男「シュワット?!」
幼馴染「はいちゅーもーく!」
「これから関東スケバン連合緊急集会を始める!」
男「質問!」
幼馴染「なんだ言ってみろ」
男「それはどこでやるんでしょうか」
幼馴染「おとこの部屋に決まってるだろーが!」
男「ヒィッ」ビクッ
22: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 22:00:00.49 ID:SKV9dUzm0
幼馴染「今日アンタを呼んだのは他でもない」
男「俺の部屋だけどな」
幼馴染「うるせー!」
「ついこの前、メンバーの奴に『この前の考査どーだったー?』って訊いたら『一緒に頑張った甲斐はあった』って言うから『よかったー』って思ってたら」
「……その次の日に先公はみんなの前で何て言ったと思う?」
「『先日の学内考査でほぼ満点だった人がいます』」
男「――ってそれ俺のことじゃねぇかっ!」
幼馴染「あーそーだよ! あたいは誇らしかったよ!」
男「……っ///」カァァァァァァァ
幼馴染「つーワケで今日はあたいがアンタに、ソイツについての紙芝居をやる」
「ただ1人でペラペラやっても面白くないから! アンタにもちょっとした役をやってもらいたい」
男「オイ……そ、それは拷問だろ……///」フルフル
幼馴染「アンタはこの『おとこ』の札を出したらその時のおとこのセリフを言う。分かった?」
「――ねぇ、分かったー?」ゴゴゴゴゴゴ
男「ヒィッ」コクコク
幼馴染「それじゃ早速、紙芝居の始まりだ拍手ー!」スッ
男「……? ごめん、質問」
幼馴染「今度は何だい?!」
男「その札と絵は部屋に来る前に一旦自分の家戻った時、取って来たのか?」
幼馴染「バカ言え、その時に急いで作ったんだよっ!」
男「えっ、事前準備もなしにこのレベルの似顔絵を描けるのか?!」
幼馴染「おとこの顔だったらいっぱい練習して――あ」
2人「「……」」
幼馴染「やめよっか……うん、忘れて……///」シュゥゥゥゥゥ…
男「……とんだ交通事故だ……///」シュゥゥゥゥゥ…
男「俺の部屋だけどな」
幼馴染「うるせー!」
「ついこの前、メンバーの奴に『この前の考査どーだったー?』って訊いたら『一緒に頑張った甲斐はあった』って言うから『よかったー』って思ってたら」
「……その次の日に先公はみんなの前で何て言ったと思う?」
「『先日の学内考査でほぼ満点だった人がいます』」
男「――ってそれ俺のことじゃねぇかっ!」
幼馴染「あーそーだよ! あたいは誇らしかったよ!」
男「……っ///」カァァァァァァァ
幼馴染「つーワケで今日はあたいがアンタに、ソイツについての紙芝居をやる」
「ただ1人でペラペラやっても面白くないから! アンタにもちょっとした役をやってもらいたい」
男「オイ……そ、それは拷問だろ……///」フルフル
幼馴染「アンタはこの『おとこ』の札を出したらその時のおとこのセリフを言う。分かった?」
「――ねぇ、分かったー?」ゴゴゴゴゴゴ
男「ヒィッ」コクコク
幼馴染「それじゃ早速、紙芝居の始まりだ拍手ー!」スッ
男「……? ごめん、質問」
幼馴染「今度は何だい?!」
男「その札と絵は部屋に来る前に一旦自分の家戻った時、取って来たのか?」
幼馴染「バカ言え、その時に急いで作ったんだよっ!」
男「えっ、事前準備もなしにこのレベルの似顔絵を描けるのか?!」
幼馴染「おとこの顔だったらいっぱい練習して――あ」
2人「「……」」
幼馴染「やめよっか……うん、忘れて……///」シュゥゥゥゥゥ…
男「……とんだ交通事故だ……///」シュゥゥゥゥゥ…
23: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 22:16:21.74 ID:SKV9dUzm0
幼馴染「ききききき気を取り直してっ。か、紙芝居はダメだからー……」
「そ、そーだ、アンケートにしよっかな。挙手で正直に答えるよーにー」
「えー、ミスター中笑いの『パンパンスパパン』が『ポンポンスポポン』に聞こえる」
男「」ノ
幼馴染「はい、吉本に報告しておきます」
「インスタントコーヒーの粒は思わず食べてみたくなる」
男「」ノ
幼馴染「あれそのまま詰め替えればおつまみでも売れるよね、うん。次っ」
「レンタルビデオ店で並ぶレジを決めている」
男「……」
幼馴染「あれそう? え、そもそも行かないのー? じゃあこれはー?」
「あー、遠足の前日でも熟睡出来たタイプだ」
男「」ノ
幼馴染「よかった、私と同じだー……」
「えーと、果汁100%よりも果汁0%の方が好みだ」
男「……」
幼馴染「或いは、メロンパンにメロン果汁が含まれるものは邪道だと思う」
男「!」ノ
幼馴染「はいどーも。電話に出る時も声は高くならない」
男「」ノ
幼馴染「ファンタスティック。えー、あ、ちょっと待って」ピョン
「危なかったー、デッドリーサンを受けるところだった」
「次の質問。ハーレクインロマンスを人前で読む勇気はない」
男「は……?」キョトン
幼馴染「凸凹より凹凸派だ」
男「」ノ
幼馴染「成程、名前は訓読み派なんだ……」メモメモ
「『おこなう』の送り仮名が『なう』だと気持ち悪い」
男「」ノ
幼馴染「うんうん、何の現状報告をしてんだ、って感じになるよねー」
「最後の質問。偶には近道をしたいダメかしら」
男「苦労はしないでのんびり過ごしたい」ノ
幼馴染「どーも。えー、というワケで、今の質問であなたの我慢の程度が判りました」
「10問中8問。だから……えっと……アンケートは以上。どうもありがとー」ノシ
男「先に考えておけよ」
「そ、そーだ、アンケートにしよっかな。挙手で正直に答えるよーにー」
「えー、ミスター中笑いの『パンパンスパパン』が『ポンポンスポポン』に聞こえる」
男「」ノ
幼馴染「はい、吉本に報告しておきます」
「インスタントコーヒーの粒は思わず食べてみたくなる」
男「」ノ
幼馴染「あれそのまま詰め替えればおつまみでも売れるよね、うん。次っ」
「レンタルビデオ店で並ぶレジを決めている」
男「……」
幼馴染「あれそう? え、そもそも行かないのー? じゃあこれはー?」
「あー、遠足の前日でも熟睡出来たタイプだ」
男「」ノ
幼馴染「よかった、私と同じだー……」
「えーと、果汁100%よりも果汁0%の方が好みだ」
男「……」
幼馴染「或いは、メロンパンにメロン果汁が含まれるものは邪道だと思う」
男「!」ノ
幼馴染「はいどーも。電話に出る時も声は高くならない」
男「」ノ
幼馴染「ファンタスティック。えー、あ、ちょっと待って」ピョン
「危なかったー、デッドリーサンを受けるところだった」
「次の質問。ハーレクインロマンスを人前で読む勇気はない」
男「は……?」キョトン
幼馴染「凸凹より凹凸派だ」
男「」ノ
幼馴染「成程、名前は訓読み派なんだ……」メモメモ
「『おこなう』の送り仮名が『なう』だと気持ち悪い」
男「」ノ
幼馴染「うんうん、何の現状報告をしてんだ、って感じになるよねー」
「最後の質問。偶には近道をしたいダメかしら」
男「苦労はしないでのんびり過ごしたい」ノ
幼馴染「どーも。えー、というワケで、今の質問であなたの我慢の程度が判りました」
「10問中8問。だから……えっと……アンケートは以上。どうもありがとー」ノシ
男「先に考えておけよ」
24: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 22:30:49.63 ID:SKV9dUzm0
男「ったく、人前で何か披露するときは入念に準備するモンだろ」
幼馴染「あぅぅ……」
男「おいおいおいおい! 『あぅぅ』じゃねぇし。『あぅぅ』じゃねぇし」
「なんで字面にするとキモいのにお前が言うと違和感ないんだよ」
幼馴染「え、いや長年使ってるから……かなぁ」
男「ふーん、あ、そう。あ、そう。まあいいけどさ」
「もっとさぁ、こうさぁ、誠意をさぁ、こう、しろよ」
幼馴染「どーいうこと?!」
男「そういうことだよ察しろよ。つか本家のヤツは見たのかy」
幼馴染「(筆者が昔)見たけど」
男「いやだからそうじゃなくてさ」
幼馴染「そーじゃなくて?!」
男「そうじゃなくてだよ、何だよ文句あるのかよ最初から分かってたよ」
「その、ほら、確認だ! マジ意味分かんねぇし」
幼馴染「えぇ?!」
男「ならネタ帳はどうした!」
幼馴染「はい」スッ
男「お前もっとストックしとけよ!」
幼馴染「家にあと5冊くらいあるよー?」
男「うるせーよばーか。マジウザいんだけど。キメぇし」
幼馴染「……」ジワッ
男「あ……。えと」アセッ
幼馴染「――ぷっ」
男「この」ムニー
幼馴染「うにゅー」ニコニコ
幼馴染「あぅぅ……」
男「おいおいおいおい! 『あぅぅ』じゃねぇし。『あぅぅ』じゃねぇし」
「なんで字面にするとキモいのにお前が言うと違和感ないんだよ」
幼馴染「え、いや長年使ってるから……かなぁ」
男「ふーん、あ、そう。あ、そう。まあいいけどさ」
「もっとさぁ、こうさぁ、誠意をさぁ、こう、しろよ」
幼馴染「どーいうこと?!」
男「そういうことだよ察しろよ。つか本家のヤツは見たのかy」
幼馴染「(筆者が昔)見たけど」
男「いやだからそうじゃなくてさ」
幼馴染「そーじゃなくて?!」
男「そうじゃなくてだよ、何だよ文句あるのかよ最初から分かってたよ」
「その、ほら、確認だ! マジ意味分かんねぇし」
幼馴染「えぇ?!」
男「ならネタ帳はどうした!」
幼馴染「はい」スッ
男「お前もっとストックしとけよ!」
幼馴染「家にあと5冊くらいあるよー?」
男「うるせーよばーか。マジウザいんだけど。キメぇし」
幼馴染「……」ジワッ
男「あ……。えと」アセッ
幼馴染「――ぷっ」
男「この」ムニー
幼馴染「うにゅー」ニコニコ
25: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 22:45:01.12 ID:SKV9dUzm0
幼馴染「あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙! げほっげほ……っ」
「お↑ぉさな↑ぁ~、な↑じみだよぉおぉおぉおぉおン」
男「カワイイー」
幼馴染「……どうもありがとう///」
「じゃなくてっ。おいそこのエラ張った豚、それは本心か?」
男「嘘は言ってない――って別に顔は四角くないっつの」
幼馴染「へ、へー……///」プイッ
「こほん。『やっちまったなァ!』ってやりたいのに臼も杵も持ってないのは、どこのどいつだぁい?」
「アタシだよッ!」
男「用意出来ない品なのがくや゙しいですっ!」
幼馴染「セルフのマネージャーが出来ないヤツだからねェ。アタシ自身のことだけど」
「で、先週かなー、ペットボトルか何かで再現出来ないかなーと思いついたワケだ」
男「考査期間中に何やってんだ」
幼馴染「お黙りっ」ペシンッ
「ところがそのペットボトルが足りない。全くない」
「ほら、牛乳パックなんかに使われるあの、紙の容器しかなかった」
「でもアタシはそれで頑張った! で、作った杵がコレだ」スッ
男「え……女王様? それはあなたの鞭ではないですか?」
幼馴染「これが精一杯だったんだよッ!」ウルッ
「強度が足りなくて先端部分を作ると折れちゃうから……これは折れたのの流用で……」
「ぐすっ、満足かァい?」
男「段ボールはもう試したのか?」
幼馴染「あ」
男「……」
幼馴染「と、とんだ豚野郎だよッ!」ペシンッ
「お↑ぉさな↑ぁ~、な↑じみだよぉおぉおぉおぉおン」
男「カワイイー」
幼馴染「……どうもありがとう///」
「じゃなくてっ。おいそこのエラ張った豚、それは本心か?」
男「嘘は言ってない――って別に顔は四角くないっつの」
幼馴染「へ、へー……///」プイッ
「こほん。『やっちまったなァ!』ってやりたいのに臼も杵も持ってないのは、どこのどいつだぁい?」
「アタシだよッ!」
男「用意出来ない品なのがくや゙しいですっ!」
幼馴染「セルフのマネージャーが出来ないヤツだからねェ。アタシ自身のことだけど」
「で、先週かなー、ペットボトルか何かで再現出来ないかなーと思いついたワケだ」
男「考査期間中に何やってんだ」
幼馴染「お黙りっ」ペシンッ
「ところがそのペットボトルが足りない。全くない」
「ほら、牛乳パックなんかに使われるあの、紙の容器しかなかった」
「でもアタシはそれで頑張った! で、作った杵がコレだ」スッ
男「え……女王様? それはあなたの鞭ではないですか?」
幼馴染「これが精一杯だったんだよッ!」ウルッ
「強度が足りなくて先端部分を作ると折れちゃうから……これは折れたのの流用で……」
「ぐすっ、満足かァい?」
男「段ボールはもう試したのか?」
幼馴染「あ」
男「……」
幼馴染「と、とんだ豚野郎だよッ!」ペシンッ
26: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 23:00:01.10 ID:SKV9dUzm0
幼馴染「次は何にしよっかな~」ゴロゴロ
男「ハァイ皆さんお手を拝借ゥあそれB・K・B!」
幼馴染「」ビクッ
男「あヨイショB・K・B! はいあなたもB・K・B!」
「B・K・B! B・K・B!」
幼馴染「B・K・B! B・K・B!」
男「よーしオーケー、ストップBKBィお待た~☆」キラッ
「ノリが首都高だねぇトバして行くよバイクだけに」
2人「「ぶんぶぶん!」」
幼馴染「――首都高じゃ止まっちゃわない?」
男「そうそう確かによく止まるんだ例えば竹橋とか」
「竹橋ジャンクション・交通事故・通行止め」
「B・K・B!」
2人「「フィィィィェヤッ!」」
男「イケてるねノッてるね今日のお客さんは! でもこのキャラを貫くのはしんどくないかって?」
「問題ないね、それを決めるのはココ、自分のハート」ドンッ
「……ゔ……っ」ゴホッ
幼馴染「あぁ?! おおおおおとこぉ?!」アセッ
男「え?」
「えーと……知らない? こういう小ネタ挟む人なんだけど」
幼馴染「ほぇ? ――あっ///」
「んーにゃいま゙のぁ゙お゙れぁわ゙ァるがっだだよごめんねごめんね~!」
男「何だったんだ……」
男「ハァイ皆さんお手を拝借ゥあそれB・K・B!」
幼馴染「」ビクッ
男「あヨイショB・K・B! はいあなたもB・K・B!」
「B・K・B! B・K・B!」
幼馴染「B・K・B! B・K・B!」
男「よーしオーケー、ストップBKBィお待た~☆」キラッ
「ノリが首都高だねぇトバして行くよバイクだけに」
2人「「ぶんぶぶん!」」
幼馴染「――首都高じゃ止まっちゃわない?」
男「そうそう確かによく止まるんだ例えば竹橋とか」
「竹橋ジャンクション・交通事故・通行止め」
「B・K・B!」
2人「「フィィィィェヤッ!」」
男「イケてるねノッてるね今日のお客さんは! でもこのキャラを貫くのはしんどくないかって?」
「問題ないね、それを決めるのはココ、自分のハート」ドンッ
「……ゔ……っ」ゴホッ
幼馴染「あぁ?! おおおおおとこぉ?!」アセッ
男「え?」
「えーと……知らない? こういう小ネタ挟む人なんだけど」
幼馴染「ほぇ? ――あっ///」
「んーにゃいま゙のぁ゙お゙れぁわ゙ァるがっだだよごめんねごめんね~!」
男「何だったんだ……」
28: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 23:16:52.41 ID:SKV9dUzm0
幼馴染「んっふふ、もう気にしないでいいのよ~?」
男「あ、もう始まってるのね」
幼馴染「だぁい丈夫、大丈夫。慌てないで」
「ほらほらぁ、不安な時、寂しい時、辛い時は笑いで口角を上げなさァ↑い」
「笑顔は力、笑いは麻薬、素敵に踊るあなたを誰かが見てるわよ」ニコッ
男「だってこの世にオトコは何人いると思う?」
2人「「35億」」
幼馴染「……なーっ! 邪魔しないでーっ!」ポカポカ
男「ごめんごめん」
幼馴染「まったくもぉ……三枝さん方面が……」ブツブツ
「こほん。それでは、久↑し振りのLessonですからおさらいといきましょうかン」
「互いを褒め合うグーグーダンス。じゃあ音楽、スタートッ」
男「ずずちゃちゃずんちゃ、ずんちゃ、ずずちゃちゃずずちゃちゃ」
幼馴染「レッツらゴーあら素↑敵な笑顔でチャーミング~」
「ぁファッショング~、ぁス↑タイルグ~」
「あ↑なたもグ↑~↓、ぁらわ↑たしもグ~↓」
「ぁ今期のアニメをサーチング↑~!」
男「録画の時間をセッティング↑」
「ぁ時間を間違えブッキング~」
幼馴染「1話を見逃すショッキング↑」
「あぁ代わりに入るはショッピングッあ~」
2人「「グ~グ~グ~グ~グ~ア↑ぁ!」」
「「ホップ! ステップ! ジャンピング!」」
幼馴染「ぁァグーググ~グ~グッグーググ~グ~ググ~ググ~グ~ググッ!」
「コォ――――――――――――――――――――ッ!」
男「……のど飴舐める?」
幼馴染「っ! っ!」コクコク
男「あ、もう始まってるのね」
幼馴染「だぁい丈夫、大丈夫。慌てないで」
「ほらほらぁ、不安な時、寂しい時、辛い時は笑いで口角を上げなさァ↑い」
「笑顔は力、笑いは麻薬、素敵に踊るあなたを誰かが見てるわよ」ニコッ
男「だってこの世にオトコは何人いると思う?」
2人「「35億」」
幼馴染「……なーっ! 邪魔しないでーっ!」ポカポカ
男「ごめんごめん」
幼馴染「まったくもぉ……三枝さん方面が……」ブツブツ
「こほん。それでは、久↑し振りのLessonですからおさらいといきましょうかン」
「互いを褒め合うグーグーダンス。じゃあ音楽、スタートッ」
男「ずずちゃちゃずんちゃ、ずんちゃ、ずずちゃちゃずずちゃちゃ」
幼馴染「レッツらゴーあら素↑敵な笑顔でチャーミング~」
「ぁファッショング~、ぁス↑タイルグ~」
「あ↑なたもグ↑~↓、ぁらわ↑たしもグ~↓」
「ぁ今期のアニメをサーチング↑~!」
男「録画の時間をセッティング↑」
「ぁ時間を間違えブッキング~」
幼馴染「1話を見逃すショッキング↑」
「あぁ代わりに入るはショッピングッあ~」
2人「「グ~グ~グ~グ~グ~ア↑ぁ!」」
「「ホップ! ステップ! ジャンピング!」」
幼馴染「ぁァグーググ~グ~グッグーググ~グ~ググ~ググ~グ~ググッ!」
「コォ――――――――――――――――――――ッ!」
男「……のど飴舐める?」
幼馴染「っ! っ!」コクコク
30: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 23:30:25.51 ID:SKV9dUzm0
幼馴染「美味ひー……」コロコロ
「んむ。あー、もうすぐ夜だねぇ」
男「相変わらずウチの両親は帰って来ないけどな」
幼馴染「こっちもね。送金の連絡があったくらいで……」
2人「「はぁ……」」
男「――悲しい時ー!」
幼馴染「悲しい時ー!」
男「誰かが死んだ時ー!」
幼馴染「悲しい時ー! 誰かが死んだ時ー!」
男「悲しい時ー!」
幼馴染「悲しい時ー!」
男「紙袋をしまうのに紙袋を使っている友達を見た時ー!」
幼馴染「悲しい時ー! 紙袋をしまうのに紙袋を使っている友達を見た時ー!」
男「悲しい時ー!」
幼馴染「悲しい時ー!」
男「『応用編』の方が解説の丁寧な参考書を見た時ー!」
幼馴染「悲しい時ー! 『応用編』の方が解説の丁寧な参考書を見た時ー!」
男「悲しい時ー!」
幼馴染「悲しい時ー!」
男「自信ありげに案内されたイタリア料理店がサイゼリヤだった時ー!」
幼馴染「悲しい時ー! 自信ありげに案内されたイタリア料理店がサイゼリヤだった時ー!」
「んむ。あー、もうすぐ夜だねぇ」
男「相変わらずウチの両親は帰って来ないけどな」
幼馴染「こっちもね。送金の連絡があったくらいで……」
2人「「はぁ……」」
男「――悲しい時ー!」
幼馴染「悲しい時ー!」
男「誰かが死んだ時ー!」
幼馴染「悲しい時ー! 誰かが死んだ時ー!」
男「悲しい時ー!」
幼馴染「悲しい時ー!」
男「紙袋をしまうのに紙袋を使っている友達を見た時ー!」
幼馴染「悲しい時ー! 紙袋をしまうのに紙袋を使っている友達を見た時ー!」
男「悲しい時ー!」
幼馴染「悲しい時ー!」
男「『応用編』の方が解説の丁寧な参考書を見た時ー!」
幼馴染「悲しい時ー! 『応用編』の方が解説の丁寧な参考書を見た時ー!」
男「悲しい時ー!」
幼馴染「悲しい時ー!」
男「自信ありげに案内されたイタリア料理店がサイゼリヤだった時ー!」
幼馴染「悲しい時ー! 自信ありげに案内されたイタリア料理店がサイゼリヤだった時ー!」
31: ◆iv1d32We2. 2017/10/01(日) 23:45:00.75 ID:SKV9dUzm0
男「悲しい時ー!」
幼馴染「悲しい時ー!」
男「地道な草の根活動にも関わらず教育テレビでの印象を脱け出せない時ー!」
幼馴染「悲しい時ー! 地道な草の根活動にも関わらず教育テレビでの印象を脱け出せない時ー!」
男「悲しい時ー!」
幼馴染「悲しい時ー!」
男「好きな本の実写映画が海賊版よりヒドい出来だった時ー!」
幼馴染「悲しい時ー! 好きな本の実写映画が海賊版よりヒドい出来だった時ー!」
男「悲しい時ー!」
幼馴染「悲しい時ー!」
男「本気になった相手がファッション同性愛者だった時ー!」
幼馴染「悲しい時ー! 本気になった相手がファッション同性愛者だった時ー!」
「どどすこすこすこラブ注入っ!」
男「はい。……悲しい時ー!」
幼馴染「悲しい時ー!」
男「親友だと思っていた長い付き合いの知人が引っ越す時に、知り合いで1人だけ連絡先も引っ越し先もお別れ会の存在も知らされないまま車で逃げられた時ー!」
幼馴染「悲しい時ー! 小学生の頃、箝口令が敷かれていて引っ越した知人の消息が掴めなかった時ー!」
男「悲しい時ー!」
幼馴染「悲しい時ー!」
男「夕陽が沈んだ時ー!」
幼馴染「悲しい時ー! 夕陽が、沈んだ時ー!」
カナシイトキー…
幼馴染「悲しい時ー!」
男「地道な草の根活動にも関わらず教育テレビでの印象を脱け出せない時ー!」
幼馴染「悲しい時ー! 地道な草の根活動にも関わらず教育テレビでの印象を脱け出せない時ー!」
男「悲しい時ー!」
幼馴染「悲しい時ー!」
男「好きな本の実写映画が海賊版よりヒドい出来だった時ー!」
幼馴染「悲しい時ー! 好きな本の実写映画が海賊版よりヒドい出来だった時ー!」
男「悲しい時ー!」
幼馴染「悲しい時ー!」
男「本気になった相手がファッション同性愛者だった時ー!」
幼馴染「悲しい時ー! 本気になった相手がファッション同性愛者だった時ー!」
「どどすこすこすこラブ注入っ!」
男「はい。……悲しい時ー!」
幼馴染「悲しい時ー!」
男「親友だと思っていた長い付き合いの知人が引っ越す時に、知り合いで1人だけ連絡先も引っ越し先もお別れ会の存在も知らされないまま車で逃げられた時ー!」
幼馴染「悲しい時ー! 小学生の頃、箝口令が敷かれていて引っ越した知人の消息が掴めなかった時ー!」
男「悲しい時ー!」
幼馴染「悲しい時ー!」
男「夕陽が沈んだ時ー!」
幼馴染「悲しい時ー! 夕陽が、沈んだ時ー!」
カナシイトキー…
32: ◆iv1d32We2. 2017/10/02(月) 00:00:00.48 ID:BcMh0Gix0
幼馴染「夜だよー!」
男「いえーい」
幼馴染「はぁ~いどぉもぉご指名ありがとうございます」
「幼馴染ですっ、よろしくお願い致↑しまぁ~すっ」ペコリ
「え? もぉ、『指名してない』とか言ぃわぁないのっ」
「私はぁ、あなただけの通い妻だ・か・ら、っとか言って~」
男「……それでいいのか?」
幼馴染「まぁ似たよーなものじゃない?」
「そんなことはどぉ↑でもいいのっ」
「私がクラスの他の子によく言われること『虫』」
男「『委員長ってぇ、嫌いな虫とかいるの~?』」
幼馴染「うん、じゃっか~ん」
「だって変なムシとか1人で歓楽街を歩いたら幾らでも寄ってくるも~んとか言って~」
「まぁ強いて平気な虫挙げるならイナゴでしょ~、蜂の子でしょ~」
「あとはセミとかぁ、カミキリムシとかぁ、ざざむしとかぁ……」
男「『いやいや、それだけ食べられる虫あるなら』――」
幼馴染「『嫌いな虫いなくねぇ?』とか言わないのってか言わせなぁ~い」
「……えへへー、キャバクラの言い回し知らないからこれ以上は限界~みたいな」
男「どーんマ~イケル!」
幼馴染「こ~んな私だけどよかったら指名して~とか言って~」
「こーん夜あなたを逆指名! いつか誰かから永久指名!」
「というワケでどうもありがとうございました~」ペコリ
「……はー、失敗」
男「さぁ一緒に! めげないめげない!」
幼馴染「めげないめげな~い!」
男「泣かない泣かない!」
幼馴染「泣かない泣かな~い!」
男「いえーい」
幼馴染「はぁ~いどぉもぉご指名ありがとうございます」
「幼馴染ですっ、よろしくお願い致↑しまぁ~すっ」ペコリ
「え? もぉ、『指名してない』とか言ぃわぁないのっ」
「私はぁ、あなただけの通い妻だ・か・ら、っとか言って~」
男「……それでいいのか?」
幼馴染「まぁ似たよーなものじゃない?」
「そんなことはどぉ↑でもいいのっ」
「私がクラスの他の子によく言われること『虫』」
男「『委員長ってぇ、嫌いな虫とかいるの~?』」
幼馴染「うん、じゃっか~ん」
「だって変なムシとか1人で歓楽街を歩いたら幾らでも寄ってくるも~んとか言って~」
「まぁ強いて平気な虫挙げるならイナゴでしょ~、蜂の子でしょ~」
「あとはセミとかぁ、カミキリムシとかぁ、ざざむしとかぁ……」
男「『いやいや、それだけ食べられる虫あるなら』――」
幼馴染「『嫌いな虫いなくねぇ?』とか言わないのってか言わせなぁ~い」
「……えへへー、キャバクラの言い回し知らないからこれ以上は限界~みたいな」
男「どーんマ~イケル!」
幼馴染「こ~んな私だけどよかったら指名して~とか言って~」
「こーん夜あなたを逆指名! いつか誰かから永久指名!」
「というワケでどうもありがとうございました~」ペコリ
「……はー、失敗」
男「さぁ一緒に! めげないめげない!」
幼馴染「めげないめげな~い!」
男「泣かない泣かない!」
幼馴染「泣かない泣かな~い!」
34: ◆iv1d32We2. 2017/10/02(月) 00:15:00.48 ID:BcMh0Gix0
幼馴染「おとこくぅ~ん! 聞いて下さい~!」
男「どうしたお前ちょ近いって」
幼馴染「はい」ポン
男「……アコギ? つか今また虚空から出しただろコレ」
幼馴染「これで面白いことやって。すっごく面白いの」
男「随分とハードルを上げるなお前は?!」
「あー……では聞いて下さい、『もしかしてだけど』」
ジャンジャンジャンジャン…ジャジャジャジャーン…
男「もしかしてだけど~!」
幼馴染「もしかしてだけど~!」
男「もしかしてだけど~!」
幼馴染「もしかしてだけど~!」
男「そぉれぇえってオイラを」
2人「「誘ってるんじゃないの~?」」
男「……わんっつっすりっ」
「っ、いぃつも斜め前~に座る女を~」
「見つめ~てぇいーるぅのぉに気付かれて~からぁ~」
「その子がすぅわぁり直すのよく見かけ~るんだ」
「もしかしてだけど~!」
幼馴染「もしかしてだけど~!」
男「もしかしてだけどぉ↑!」
幼馴染「もしかしてだけどぉ↑!」
男「本当に座りたいのは俺の上なんじゃないの~?!」
幼馴染「……違うもん///」ムスッ
男「分かってるから答えるなよっ///!」
男「どうしたお前ちょ近いって」
幼馴染「はい」ポン
男「……アコギ? つか今また虚空から出しただろコレ」
幼馴染「これで面白いことやって。すっごく面白いの」
男「随分とハードルを上げるなお前は?!」
「あー……では聞いて下さい、『もしかしてだけど』」
ジャンジャンジャンジャン…ジャジャジャジャーン…
男「もしかしてだけど~!」
幼馴染「もしかしてだけど~!」
男「もしかしてだけど~!」
幼馴染「もしかしてだけど~!」
男「そぉれぇえってオイラを」
2人「「誘ってるんじゃないの~?」」
男「……わんっつっすりっ」
「っ、いぃつも斜め前~に座る女を~」
「見つめ~てぇいーるぅのぉに気付かれて~からぁ~」
「その子がすぅわぁり直すのよく見かけ~るんだ」
「もしかしてだけど~!」
幼馴染「もしかしてだけど~!」
男「もしかしてだけどぉ↑!」
幼馴染「もしかしてだけどぉ↑!」
男「本当に座りたいのは俺の上なんじゃないの~?!」
幼馴染「……違うもん///」ムスッ
男「分かってるから答えるなよっ///!」
35: ◆iv1d32We2. 2017/10/02(月) 00:30:01.12 ID:BcMh0Gix0
男「だーもう……」ジャッジャッ…
「シャワーのブルース」
「シャワーのブルース聞いてくれェエ↑ー」
「今住んでる家のシャ↑ワーの話やけどォ」
幼馴染「やーいエセ関西弁」
男「仕方ないだろこれ含めてネタなんだから」
「ガスで沸かしとるからか調子エエ時はむっちゃいいねんけど、ヘソ曲げると水しか出ェへんのよ」
「んである日汗でドロド↑ロなって帰ってきて、出てきたのが水だった時な」
「『あ、今は調子悪いみたいやし待っと↑こ』いうてドロド↑ロのままで待つ↑のかァ」
「『よっしゃ、湯ゥ出るまで粘ろ』いうて足ん指キンッキンに冷やすのかは」
2人「「自由だァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」」
男「シャワー is freedom」
「シャワー is freedom. もっとー!」
2人「「シャワー is freedom!」」
「「シャワー is freedom!」」
男「Thank you!」
幼馴染「で・で・で・で・で・で・で・で・で・で・で・で・で!」
男「でもォ、そのテのシステムだと余程待たないと湯ゥ出ないことも多いから濡れタオルで体拭くのが吉やで!」
幼馴染「暗転!」ポチッ
男「……もういいぞ」
幼馴染「明転!」ポチッ
男「このネタって後ろが続かないよなぁ」
「シャワーのブルース」
「シャワーのブルース聞いてくれェエ↑ー」
「今住んでる家のシャ↑ワーの話やけどォ」
幼馴染「やーいエセ関西弁」
男「仕方ないだろこれ含めてネタなんだから」
「ガスで沸かしとるからか調子エエ時はむっちゃいいねんけど、ヘソ曲げると水しか出ェへんのよ」
「んである日汗でドロド↑ロなって帰ってきて、出てきたのが水だった時な」
「『あ、今は調子悪いみたいやし待っと↑こ』いうてドロド↑ロのままで待つ↑のかァ」
「『よっしゃ、湯ゥ出るまで粘ろ』いうて足ん指キンッキンに冷やすのかは」
2人「「自由だァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」」
男「シャワー is freedom」
「シャワー is freedom. もっとー!」
2人「「シャワー is freedom!」」
「「シャワー is freedom!」」
男「Thank you!」
幼馴染「で・で・で・で・で・で・で・で・で・で・で・で・で!」
男「でもォ、そのテのシステムだと余程待たないと湯ゥ出ないことも多いから濡れタオルで体拭くのが吉やで!」
幼馴染「暗転!」ポチッ
男「……もういいぞ」
幼馴染「明転!」ポチッ
男「このネタって後ろが続かないよなぁ」
36: ◆iv1d32We2. 2017/10/02(月) 00:45:00.70 ID:BcMh0Gix0
幼馴染「じゃあ頑張って次いってみよー!」
男「3、2、1、GO!」
幼馴染「て~てれってって~て~」
「うんちょこちょこちょこぴー!」ピーン!
男「先ずは元気にウンチョコピーをしよう!」
「『強調し過ぎたウンチョコピー』」
幼馴染「てー! てれってー! てってー!」
「うぅぅぅんんんんんんちょぉぉぉこぉぉぉちょぉぉぉこぉぉぉちょぉぉぉこぉぉぉ!」
「ぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっぃぃぃいいいえぇぇぇぇああああっ!」ガクガクガク!
男「え? まだ元気が出ないって?」
「そんな君にはヘパ○ーゼだ!」
幼馴染「くぴくぴくぴー」
「くぴくぴくぴくぴくぴ……くぴ……」
「飲もうと思ったら飲もうと思ったらテンション上がって~」
「くぴ! くぴ! ぴっぴっぴー!」ピーン!
「けほ……おとこー、交代ー」
男「よ~し、フライングウンチョコピーだ!」
「お年寄り人気が欲しいからね、将棋をするよ~」
「将棋盤を出して~、駒を並べて~……」
「指そうと思ったら指そうと思っtチョコピー!」
幼馴染「……微妙?」
男「確かに欲張った感はあるな」
幼馴染「せーの」
2人「「チックショー!」」
男「微妙」
幼馴染「はい」
男「3、2、1、GO!」
幼馴染「て~てれってって~て~」
「うんちょこちょこちょこぴー!」ピーン!
男「先ずは元気にウンチョコピーをしよう!」
「『強調し過ぎたウンチョコピー』」
幼馴染「てー! てれってー! てってー!」
「うぅぅぅんんんんんんちょぉぉぉこぉぉぉちょぉぉぉこぉぉぉちょぉぉぉこぉぉぉ!」
「ぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっぃぃぃいいいえぇぇぇぇああああっ!」ガクガクガク!
男「え? まだ元気が出ないって?」
「そんな君にはヘパ○ーゼだ!」
幼馴染「くぴくぴくぴー」
「くぴくぴくぴくぴくぴ……くぴ……」
「飲もうと思ったら飲もうと思ったらテンション上がって~」
「くぴ! くぴ! ぴっぴっぴー!」ピーン!
「けほ……おとこー、交代ー」
男「よ~し、フライングウンチョコピーだ!」
「お年寄り人気が欲しいからね、将棋をするよ~」
「将棋盤を出して~、駒を並べて~……」
「指そうと思ったら指そうと思っtチョコピー!」
幼馴染「……微妙?」
男「確かに欲張った感はあるな」
幼馴染「せーの」
2人「「チックショー!」」
男「微妙」
幼馴染「はい」
37: ◆iv1d32We2. 2017/10/02(月) 01:00:17.95 ID:BcMh0Gix0
2人「「ルネッサ~ンス!」」
男「貴族のお漫ざぁい」
「吾輩の屋敷の隣の邸宅から反抗期のお嬢さんを預けら~れたの巻」
「うーむ、学生というのは高々1ヶ月の旅行をする猶予もないのだなぁ」
幼馴染「あら男爵様、ごきげんよう」
男「おぉ君かね、今日からよろしく頼むよ」
「部屋は好きな所を使ってくれたまえ。部屋は余っているのでね」
幼馴染「ほほほ、お宅に余裕を持たせるとは変わったご趣味をお持ちですね」
男「いや遠回しな貶しやないか~い」チンッ!
「はっはっはっはっはっはっはっは……」
幼馴染「あら? 小鳥がさえずっておりますわ」
男「吾輩が可愛くなっとるやないか~い」チンッ!
「はっはっはっは……タカマツ君、その態度は寛容な吾輩でもいただけないよ~」
幼馴染「う……っ」
「て、天使を授かりましたわ」(訳:腹痛ぇ)
男「事情が変わったぁ」
「大丈夫かね? 良ければ執事のヒグチ君に案内させよう」スッ
幼馴染「触らないで下さいまし」パシッ
男「む……何なのだね君はさっきから!」
幼馴染「いいえ、もうご心配なさらなくて結構ですわ」
「天使は無事に身罷りましたもの」ニコッ
男「いや死んどるやないか~い」チンッ!
「はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは……」
「ボンジュール」ドンッ
男「貴族のお漫ざぁい」
「吾輩の屋敷の隣の邸宅から反抗期のお嬢さんを預けら~れたの巻」
「うーむ、学生というのは高々1ヶ月の旅行をする猶予もないのだなぁ」
幼馴染「あら男爵様、ごきげんよう」
男「おぉ君かね、今日からよろしく頼むよ」
「部屋は好きな所を使ってくれたまえ。部屋は余っているのでね」
幼馴染「ほほほ、お宅に余裕を持たせるとは変わったご趣味をお持ちですね」
男「いや遠回しな貶しやないか~い」チンッ!
「はっはっはっはっはっはっはっは……」
幼馴染「あら? 小鳥がさえずっておりますわ」
男「吾輩が可愛くなっとるやないか~い」チンッ!
「はっはっはっは……タカマツ君、その態度は寛容な吾輩でもいただけないよ~」
幼馴染「う……っ」
「て、天使を授かりましたわ」(訳:腹痛ぇ)
男「事情が変わったぁ」
「大丈夫かね? 良ければ執事のヒグチ君に案内させよう」スッ
幼馴染「触らないで下さいまし」パシッ
男「む……何なのだね君はさっきから!」
幼馴染「いいえ、もうご心配なさらなくて結構ですわ」
「天使は無事に身罷りましたもの」ニコッ
男「いや死んどるやないか~い」チンッ!
「はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは……」
「ボンジュール」ドンッ
38: ◆iv1d32We2. 2017/10/02(月) 01:14:49.74 ID:BcMh0Gix0
おいなくてスミマセン、>>36を訂正します
幼馴染「じゃあ頑張って次いってみよー!」
男「3、2、1、GO!」
幼馴染「て~てれってって~て~」
「うんちょこちょこちょこぴー!」ピーン!
男「先ずは元気にウンチョコチョコチョコピーをしよう!」
「『強調し過ぎたウンチョコチョコチョコピー』」
幼馴染「てー! てれってー! てってー!」
「うぅぅぅんんんんんんちょぉぉぉこぉぉぉちょぉぉぉこぉぉぉちょぉぉぉこぉぉぉ!」
「ぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっぃぃぃいいいえぇぇぇぇああああっ!」ガクガクガク!
男「え? まだ元気が出ないって?」
「そんな君にはヘパ○ーゼだ!」
幼馴染「くぴくぴくぴー」
「くぴくぴくぴくぴくぴ……くぴ……」
「飲もうと思ったら飲もうと思ったらテンション上がって~」
「くぴ! くぴ! ぴっぴっぴー!」ピーン!
「けほ……おとこー、交代ー」
男「よ~し、フライングウンチョコチョコチョコピーだ!」
「お年寄り人気が欲しいからね、将棋をするよ~」
「将棋盤を出して~、駒を並べて~……」
「指そうと思ったら指そうと思っtチョコピー!」ピーン!
幼馴染「……微妙?」
男「確かに欲張った感はあるな」
幼馴染「せーの」
2人「「チックショー!」」
男「微妙」
幼馴染「はい」
幼馴染「じゃあ頑張って次いってみよー!」
男「3、2、1、GO!」
幼馴染「て~てれってって~て~」
「うんちょこちょこちょこぴー!」ピーン!
男「先ずは元気にウンチョコチョコチョコピーをしよう!」
「『強調し過ぎたウンチョコチョコチョコピー』」
幼馴染「てー! てれってー! てってー!」
「うぅぅぅんんんんんんちょぉぉぉこぉぉぉちょぉぉぉこぉぉぉちょぉぉぉこぉぉぉ!」
「ぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっぃぃぃいいいえぇぇぇぇああああっ!」ガクガクガク!
男「え? まだ元気が出ないって?」
「そんな君にはヘパ○ーゼだ!」
幼馴染「くぴくぴくぴー」
「くぴくぴくぴくぴくぴ……くぴ……」
「飲もうと思ったら飲もうと思ったらテンション上がって~」
「くぴ! くぴ! ぴっぴっぴー!」ピーン!
「けほ……おとこー、交代ー」
男「よ~し、フライングウンチョコチョコチョコピーだ!」
「お年寄り人気が欲しいからね、将棋をするよ~」
「将棋盤を出して~、駒を並べて~……」
「指そうと思ったら指そうと思っtチョコピー!」ピーン!
幼馴染「……微妙?」
男「確かに欲張った感はあるな」
幼馴染「せーの」
2人「「チックショー!」」
男「微妙」
幼馴染「はい」
39: ◆iv1d32We2. 2017/10/02(月) 01:16:11.31 ID:BcMh0Gix0
幼馴染「そろそろ終わりだねー」
男「ああ、夜も遅いからな」
幼馴染「……おとこ。私、ここに住みたい」
「家帰っても誰もいないもん。おとこは寂しくないの?」
2人「「……」」
幼馴染「あーもーギター!」ジャァァァン!
ジャッ! ジャッ! ジャッ! ジャッ!
(中略)
ジャジャジャン!
2人「「なんでだろ~ぅなんでだろ~ぅなでだなんでだろ~ぅ!」」
幼馴染「昔やったケガの痕を見せて」
男「『ほれ。ほれ。痛そうだろ』」
幼馴染「ってやる奴なんでだろ~ぅ……」ジャンッ
「車の免許を取りに行くと」
男「『ほら目視! 目視して!』」
幼馴染「が口癖の教官が1人はいるのはなんでだろ~ぅ……」ジャンッ
男「なんでだろ↑~ぅ……」
幼馴染「遠足に行ってぇ~」
「お菓子の値札を~」
「丁寧に剥がしたのを貼り付けて~」
男「『おう、お前100円な』」
幼馴染「ってやる奴、なんでだろ~ぅ……」
男「ああ、夜も遅いからな」
幼馴染「……おとこ。私、ここに住みたい」
「家帰っても誰もいないもん。おとこは寂しくないの?」
2人「「……」」
幼馴染「あーもーギター!」ジャァァァン!
ジャッ! ジャッ! ジャッ! ジャッ!
(中略)
ジャジャジャン!
2人「「なんでだろ~ぅなんでだろ~ぅなでだなんでだろ~ぅ!」」
幼馴染「昔やったケガの痕を見せて」
男「『ほれ。ほれ。痛そうだろ』」
幼馴染「ってやる奴なんでだろ~ぅ……」ジャンッ
「車の免許を取りに行くと」
男「『ほら目視! 目視して!』」
幼馴染「が口癖の教官が1人はいるのはなんでだろ~ぅ……」ジャンッ
男「なんでだろ↑~ぅ……」
幼馴染「遠足に行ってぇ~」
「お菓子の値札を~」
「丁寧に剥がしたのを貼り付けて~」
男「『おう、お前100円な』」
幼馴染「ってやる奴、なんでだろ~ぅ……」
40: ◆iv1d32We2. 2017/10/02(月) 01:30:00.54 ID:BcMh0Gix0
2人「「なんでだろ↑~っ、なんでだろ↓~っ」」
男「なでだなんでだろ~ぅ!」
幼馴染「オ~ォ↑~オ↓~」(←コーラス)
男「なんでだろっ、んまっ」
幼馴染「なんでだろっ、にょっ」
2人「「なでだなんでだろ~ぅ!」」
幼馴染「図書館に行った時、『ウォーリーをさがせ!』を手に取ると」ジャンッ
男「『あ゙ぁ……』」
幼馴染「大体既にマルがつけられてるのなんでだろ↑~ぅ!」
「ゲームをしている時、敵の攻撃が当たると」ジャンッ
男「『痛っ!』」
幼馴染「って言っちゃうのなんでだろ~ぅ!」
男「な~んんで~だ~ろ~ぅ!」
幼馴染「巨人ファンの同級生にぃ~」
「今の4番打者を聞いてみるとぉ~」
男「『あっれ~? 誰だっけかなぁ、んん、今何代目だっけ……』」
幼馴染「『ああ、ごめんね変なこと訊いちゃって』」(委員長モード)
男「『待って、永沢・伊藤・中島・筒井・前川・水原……』」
幼馴染「って呪文を唱え始めるのなでだなんでだ!」
2人「なんでだろ~ぅなんでだろ~ぅなでだなんでだろ~ぅ!」
ジャッジャン!
男「ぜぇ……ぜぇ……」ピクピク…
幼馴染「だ、大丈夫ー?」ナデナデ
男「なでだなんでだろ~ぅ!」
幼馴染「オ~ォ↑~オ↓~」(←コーラス)
男「なんでだろっ、んまっ」
幼馴染「なんでだろっ、にょっ」
2人「「なでだなんでだろ~ぅ!」」
幼馴染「図書館に行った時、『ウォーリーをさがせ!』を手に取ると」ジャンッ
男「『あ゙ぁ……』」
幼馴染「大体既にマルがつけられてるのなんでだろ↑~ぅ!」
「ゲームをしている時、敵の攻撃が当たると」ジャンッ
男「『痛っ!』」
幼馴染「って言っちゃうのなんでだろ~ぅ!」
男「な~んんで~だ~ろ~ぅ!」
幼馴染「巨人ファンの同級生にぃ~」
「今の4番打者を聞いてみるとぉ~」
男「『あっれ~? 誰だっけかなぁ、んん、今何代目だっけ……』」
幼馴染「『ああ、ごめんね変なこと訊いちゃって』」(委員長モード)
男「『待って、永沢・伊藤・中島・筒井・前川・水原……』」
幼馴染「って呪文を唱え始めるのなでだなんでだ!」
2人「なんでだろ~ぅなんでだろ~ぅなでだなんでだろ~ぅ!」
ジャッジャン!
男「ぜぇ……ぜぇ……」ピクピク…
幼馴染「だ、大丈夫ー?」ナデナデ
41: ◆iv1d32We2. 2017/10/02(月) 01:45:00.22 ID:BcMh0Gix0
男「ラストよろしく」
幼馴染「おっけー。あのね、こう、ムカつく時ってあるよね」
幼馴染「あのー、そのー、ウエハースね。買ってきて袋開けると大体ボロボロなのね」
「あれもうね、あのね、あのボロボロので何本か作れちゃうよね」
「例えるならこうね、履いてた靴の片方だけ靴底なくなった時みたいなね。勿体ない!」
幼馴染「あとね、あの、映画館ね。あの~、肘掛けね」
「あれね、こう、両サイドにあの、あるけどね、うん」
「あれをこう、両方使う奴っているよね」
「こう、かち合って気不味くなって、でもお前が悪いんだろ! ってね」
「お前なんてアレだ、こう、あと何回か使える歯磨き粉のチューブ使った時に」
「びゅっ!」
「ってなって中身なくなればいい。これが最後か~、って」
幼馴染「それからね、なんかこうイラッてするのね」
「なんだろうねあの、○○%カット! って書いてある健康食品ね」
「あれ箱の裏見るとね、あの、なんというかね、……なんだっけ」
男「『健康に及ぼす悪影響が他製品と較べて小さいことを意味するものではありません』」
幼馴染「そうそれ。それね。じゃあ何だよ! ってね」
「もうアレ書いた奴ね、あの~、マグカップの縁が前歯に当たれ」
「はがっ! ってなれ。うん。で、中からこぼれたココアで火傷してシャツにシミ作れ」
幼馴染「じゃあ何だよ! ってね、あとはね、うん。千葉県ね」
「東京ドイツ村でしょ、東京歯科大学でしょ、オランダ家でしょ」
「虎の威を借りる狐ってああいうのを言うんだよね」
男「まあ英語圏でチバって言うと誤解されるからある程度は仕方ないけどな」
幼馴染「それからね、千葉といえばあの、『うなりくん』ね」
「飛行機なのは分かるよ? あとはあの、フォルムがね、ウナギなのも分かるよ?」
「あのクチバシね。口のまわりのあの黄色いの。ペンギンじゃないでしょ君は」
「ぼくなんかね、あれは成田市の闇だと思うんだよね。千葉日報のOPくらいのね」
「だからもうあれだ、千葉県民はあの、国土地理院に木下の振り仮名を『きのした』って間違えられろ」
2人「「ありがとうございました」」
幼馴染「おっけー。あのね、こう、ムカつく時ってあるよね」
幼馴染「あのー、そのー、ウエハースね。買ってきて袋開けると大体ボロボロなのね」
「あれもうね、あのね、あのボロボロので何本か作れちゃうよね」
「例えるならこうね、履いてた靴の片方だけ靴底なくなった時みたいなね。勿体ない!」
幼馴染「あとね、あの、映画館ね。あの~、肘掛けね」
「あれね、こう、両サイドにあの、あるけどね、うん」
「あれをこう、両方使う奴っているよね」
「こう、かち合って気不味くなって、でもお前が悪いんだろ! ってね」
「お前なんてアレだ、こう、あと何回か使える歯磨き粉のチューブ使った時に」
「びゅっ!」
「ってなって中身なくなればいい。これが最後か~、って」
幼馴染「それからね、なんかこうイラッてするのね」
「なんだろうねあの、○○%カット! って書いてある健康食品ね」
「あれ箱の裏見るとね、あの、なんというかね、……なんだっけ」
男「『健康に及ぼす悪影響が他製品と較べて小さいことを意味するものではありません』」
幼馴染「そうそれ。それね。じゃあ何だよ! ってね」
「もうアレ書いた奴ね、あの~、マグカップの縁が前歯に当たれ」
「はがっ! ってなれ。うん。で、中からこぼれたココアで火傷してシャツにシミ作れ」
幼馴染「じゃあ何だよ! ってね、あとはね、うん。千葉県ね」
「東京ドイツ村でしょ、東京歯科大学でしょ、オランダ家でしょ」
「虎の威を借りる狐ってああいうのを言うんだよね」
男「まあ英語圏でチバって言うと誤解されるからある程度は仕方ないけどな」
幼馴染「それからね、千葉といえばあの、『うなりくん』ね」
「飛行機なのは分かるよ? あとはあの、フォルムがね、ウナギなのも分かるよ?」
「あのクチバシね。口のまわりのあの黄色いの。ペンギンじゃないでしょ君は」
「ぼくなんかね、あれは成田市の闇だと思うんだよね。千葉日報のOPくらいのね」
「だからもうあれだ、千葉県民はあの、国土地理院に木下の振り仮名を『きのした』って間違えられろ」
2人「「ありがとうございました」」
42: ◆iv1d32We2. 2017/10/02(月) 01:55:01.11 ID:BcMh0Gix0
幼馴染「おまけだよー」
男「ちむりんだよー」
幼馴染「閲覧注意だよー」
男「以上、警告だよー」
男「ちむりんだよー」
幼馴染「閲覧注意だよー」
男「以上、警告だよー」
43: ◆iv1d32We2. 2017/10/02(月) 02:00:00.80 ID:BcMh0Gix0
2人「「しようよ! 援助交際~!」」
男「てれれれってって……」
幼馴染「はぁ~い画面の前のみんな~」
2人「「こ~んに~ちは~!」」
「「こ~んに~ちは~(小声)」」
幼馴染「辿り着いてて既に雨降り! お股のビンカンな、お姉さんで~す!」
男「非常持ち出し袋にも忘れないでね! コンドームさんだよ!」
幼馴染「今日は援助交際について楽しく勉強していこうね~?」
男「は~い! ねぇねぇお姉さん!」
幼馴染「なぁに、コンドームさん?」
男「援助交際(強調)って、一体なんなのかなぁ?」
幼馴染「援助交際っていうのは、お金を介して愛に飢えた男女が出会う、純然な少子化対策のことよっ」
男「そっかぁ! もしかして、お姉さんも?」
幼馴染「その通り! そうやって、産まれたのよっ」
男「わぁ~、とっても素敵だね!」
幼馴染「さ~ぁ、みんなはどんな援助交際、してるのかな~?」
2人「「さぁ大きな声で~、あ・い・う・え・お!」」
「「『朝から立ちんぼ』あ!」」ア!
「「『挿れずに焦らすよ』い!」」イ!
「「『嘘でも大好き』う!」」ウ!
「「『駅前で会うよ』え!」」エ!
「「『お金の力だ』お!」」オ!
「「ブルセラ着せられデ・エ・ト~」」デ・エ・トー…
「「ご・う・ほ・う・だ~!」」
男「てれれれってって……」
幼馴染「はぁ~い画面の前のみんな~」
2人「「こ~んに~ちは~!」」
「「こ~んに~ちは~(小声)」」
幼馴染「辿り着いてて既に雨降り! お股のビンカンな、お姉さんで~す!」
男「非常持ち出し袋にも忘れないでね! コンドームさんだよ!」
幼馴染「今日は援助交際について楽しく勉強していこうね~?」
男「は~い! ねぇねぇお姉さん!」
幼馴染「なぁに、コンドームさん?」
男「援助交際(強調)って、一体なんなのかなぁ?」
幼馴染「援助交際っていうのは、お金を介して愛に飢えた男女が出会う、純然な少子化対策のことよっ」
男「そっかぁ! もしかして、お姉さんも?」
幼馴染「その通り! そうやって、産まれたのよっ」
男「わぁ~、とっても素敵だね!」
幼馴染「さ~ぁ、みんなはどんな援助交際、してるのかな~?」
2人「「さぁ大きな声で~、あ・い・う・え・お!」」
「「『朝から立ちんぼ』あ!」」ア!
「「『挿れずに焦らすよ』い!」」イ!
「「『嘘でも大好き』う!」」ウ!
「「『駅前で会うよ』え!」」エ!
「「『お金の力だ』お!」」オ!
「「ブルセラ着せられデ・エ・ト~」」デ・エ・トー…
「「ご・う・ほ・う・だ~!」」
44: ◆iv1d32We2. 2017/10/02(月) 02:15:10.21 ID:BcMh0Gix0
幼馴染「さ~ぁみんな上手に歌えたかな~?」
男「は~い! ところでお姉さんっ」
幼馴染「なぁに、コンドームさん?」
男「最後までやる気がないのに、障碍者用トイレに連れ込む女子っているよね~?」
幼馴染「いるいる、お金を稼ぐことの大変さを理解しないで、法外な料金を吹っ掛ける子!」
「みんなのお友達にも、そんな子はいないかな~?」
男「お姉さん、そんなお友達にはどうすればいいのかなぁ?」
幼馴染「うふふ、そんな時は、ホームセンターで粘着力の強いガムテープを買っておくのがオススメよっ」
男「さっすがお姉さん! シェアすればみんな幸せだねっ!」
幼馴染「画面の前のお友達も、困ったことがあったらお姉さんにどしどしお便りを送ってね!」
男「今週の標語も募集中だよ~!」
「――あ~っ、もうお別れの時間になっちゃったぁ」
幼馴染「みんな~、最後はこの曲でお別れにするからね~?」
男「コンドームさんと一緒に、歌ってね~?」
2人「「業者の~依頼で立ちんぼ~」」
「「夏休み~使ぁてセッ○ス~」」
「「だ~いすきなのは~っ、ユ~キチ5手単~」」
「「『募金』で~、学費を支払う~」」
幼馴染「また会おうね~!」ノシ
男「ばいば~い!」ノシ
男「は~い! ところでお姉さんっ」
幼馴染「なぁに、コンドームさん?」
男「最後までやる気がないのに、障碍者用トイレに連れ込む女子っているよね~?」
幼馴染「いるいる、お金を稼ぐことの大変さを理解しないで、法外な料金を吹っ掛ける子!」
「みんなのお友達にも、そんな子はいないかな~?」
男「お姉さん、そんなお友達にはどうすればいいのかなぁ?」
幼馴染「うふふ、そんな時は、ホームセンターで粘着力の強いガムテープを買っておくのがオススメよっ」
男「さっすがお姉さん! シェアすればみんな幸せだねっ!」
幼馴染「画面の前のお友達も、困ったことがあったらお姉さんにどしどしお便りを送ってね!」
男「今週の標語も募集中だよ~!」
「――あ~っ、もうお別れの時間になっちゃったぁ」
幼馴染「みんな~、最後はこの曲でお別れにするからね~?」
男「コンドームさんと一緒に、歌ってね~?」
2人「「業者の~依頼で立ちんぼ~」」
「「夏休み~使ぁてセッ○ス~」」
「「だ~いすきなのは~っ、ユ~キチ5手単~」」
「「『募金』で~、学費を支払う~」」
幼馴染「また会おうね~!」ノシ
男「ばいば~い!」ノシ
45: ◆iv1d32We2. 2017/10/02(月) 02:17:00.78 ID:BcMh0Gix0
~偉大なる本家様(50音順・敬称略)~
アクセルホッパー
厚切りジェイソン
いつもここから
犬井ヒロシ
エドはるみ
オリエンタルラジオ
コウメ太夫
ゴー☆ジャス
小島よしお
桜塚やっくん
ザ・たっち
ザブングル
サンシャイン池崎
ジョイマン
スギちゃん
世界のナベアツ
だいたひかる
たかまつなな
楽しんご
ちむりん
つぶやきシロー
ディラン&キャサリン
ですよ。
テツandトモ
天津木村
どぶろっく
なかやまきんに君
にしおかすみこ
バイク川崎バイク
バカリズム
波田陽区
パッション屋良
ハリウッドザコシショウ
ハローケイスケ
はんにゃ
ハンバーグ師匠
髭男爵
姫くり
姫ちゃん
フォーリンラブ
藤崎マーケット
ブルゾンちえみwithB
へらちょんぺ
まいける
ムーディ勝山
モエヤン
ゆってぃ
レイザーラモンHG
レギュラー
COWCOW
GO!皆川
TIM
U字工事
アクセルホッパー
厚切りジェイソン
いつもここから
犬井ヒロシ
エドはるみ
オリエンタルラジオ
コウメ太夫
ゴー☆ジャス
小島よしお
桜塚やっくん
ザ・たっち
ザブングル
サンシャイン池崎
ジョイマン
スギちゃん
世界のナベアツ
だいたひかる
たかまつなな
楽しんご
ちむりん
つぶやきシロー
ディラン&キャサリン
ですよ。
テツandトモ
天津木村
どぶろっく
なかやまきんに君
にしおかすみこ
バイク川崎バイク
バカリズム
波田陽区
パッション屋良
ハリウッドザコシショウ
ハローケイスケ
はんにゃ
ハンバーグ師匠
髭男爵
姫くり
姫ちゃん
フォーリンラブ
藤崎マーケット
ブルゾンちえみwithB
へらちょんぺ
まいける
ムーディ勝山
モエヤン
ゆってぃ
レイザーラモンHG
レギュラー
COWCOW
GO!皆川
TIM
U字工事
46: ◆iv1d32We2. 2017/10/02(月) 02:24:32.62 ID:BcMh0Gix0
幼馴染「くぅ~! 疲れました!」
男「これにてひとまず完結です」
「実は、母校の演劇部用の脚本の話を持ち掛けられたのが始まりでした」
「本当は作るつもりすらなかったのですが」←
幼馴染「うんうん、現実逃避してたら出来ちゃったんだよねー」
「まぁ結局母校の先生方には見せられた出来じゃないんだけど……」
男「決して、決して好意を無碍にしたくなかったからではありません」
「それでは、みんなからのメッセージをどぞ」
だいた「みんな、見てくれてありがとう! ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど――気にしないでね!」
すみこ「いやーありがと! 私の可愛さは二十分に伝わったかな?」
エド「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいわね・・・」
よしお「見てくれてありがとな! 正直、作中で言った俺の気持ちは本当だよ!」
ですよ「・・・ありがと」ファサ
では、
だいた、すみこ、エド、よしお、ですよ、カエル「皆さんありがとうございました!」
終
うし「カエルくん、出てないのにそれは不味いって!」
だいた、すみこ、エド、よしお、ですよ「改めまして、ありがとうございました!」
本当の本当に終わり
男「これにてひとまず完結です」
「実は、母校の演劇部用の脚本の話を持ち掛けられたのが始まりでした」
「本当は作るつもりすらなかったのですが」←
幼馴染「うんうん、現実逃避してたら出来ちゃったんだよねー」
「まぁ結局母校の先生方には見せられた出来じゃないんだけど……」
男「決して、決して好意を無碍にしたくなかったからではありません」
「それでは、みんなからのメッセージをどぞ」
だいた「みんな、見てくれてありがとう! ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど――気にしないでね!」
すみこ「いやーありがと! 私の可愛さは二十分に伝わったかな?」
エド「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいわね・・・」
よしお「見てくれてありがとな! 正直、作中で言った俺の気持ちは本当だよ!」
ですよ「・・・ありがと」ファサ
では、
だいた、すみこ、エド、よしお、ですよ、カエル「皆さんありがとうございました!」
終
うし「カエルくん、出てないのにそれは不味いって!」
だいた、すみこ、エド、よしお、ですよ「改めまして、ありがとうございました!」
本当の本当に終わり
47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/02(月) 23:30:10.61 ID:lL6RYVg30
なんだこれwwwwwwwwwwwwww
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1506847008/
Entry ⇒ 2017.11.30 | Category ⇒ オリジナル | Comments (0)
【咲-Saki-】栞「パンケーキ大作戦!」琉音「あ?」咲「ええと…」
1: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 12:54:42.23 ID:G3PjubWj0
咲-Saki-17巻の裏表紙を読んで思いついたお話。
短いです。
短いです。
2: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 12:58:39.23 ID:G3PjubWj0
~ある日・東京都某所~
栞「るねさんるねさん」チョンチョン
琉音「あ?なんだよ」
栞「二人でお出かけって初めてですね?」
琉音「そうだな」
栞「これってデーt」
琉音「だからちげーっつってんだろ!パンケーキの材料買いにデートも何もあるかっつうの」
栞「ですよねー」
栞「るねさんるねさん」チョンチョン
琉音「あ?なんだよ」
栞「二人でお出かけって初めてですね?」
琉音「そうだな」
栞「これってデーt」
琉音「だからちげーっつってんだろ!パンケーキの材料買いにデートも何もあるかっつうの」
栞「ですよねー」
3: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 12:59:22.34 ID:G3PjubWj0
栞「でも、どうしてまた突然パンケーキの作り方を教えて欲しいなんて?」
栞「あれですか?女子力ですか!目覚めちゃったカンジですか」キラキラ
琉音「話になんねぇ…」ゲッソリ
琉音「まあ、アレだよアレ」
栞「アレと言われましても」
琉音「後輩の糖分バカに対して、なんつうか、立つ瀬がねえだろ?これくらいはやんねえと」フイッ
栞「……」ビックリ
琉音「ンだよ!その宇宙人でも見てるみてえな目はよ!」ギュムッ
栞「あいひゃぁ!いひゃい、いひゃいでふ、ほっへはふねらないへくらはい」アウアウ
琉音「あぁ!?はっきり話せや!」
栞「うぅ……るねさんがほっぺた抓るからじゃないですかぁ…」イタイ
4: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:00:31.46 ID:G3PjubWj0
琉音「で!付き合うのか付き合わねえのか、どっちだよ」
栞「付き合う!?」
琉音「今度はグーで行くぞ?」スッ
栞「じょ、じょーだんですよぉ」アセアセ
栞「もちろんお付き合いしますよ」
琉音「そうか」
栞「はいっ!」フンス
5: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:01:19.65 ID:G3PjubWj0
琉音「……」
琉音「さ、サンキューな」ボソ
栞「え?何か言いましたか?」
琉音「な、なんでもねえよ!」
琉音「ほら行くぞしおりィ!」スタスタ
栞「あ、待ってくださいよぉ~!」パタパタ
――――――
―――――――――
――――――――――――
6: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:01:55.78 ID:G3PjubWj0
「お買い上げありがとうございました~♪」
琉音「意外と少ねぇんだな、材料」
栞「腕が大事なんですよ、腕が!」
琉音「……」
琉音「ま、宮永なら多少失敗してても喜んで食うか」
栞「始めから失敗した時のこと考えないでくださいよ~」
栞「確かに宮永さんなら食べてくれそうですけど」
琉音「だろ?」
7: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:02:47.15 ID:G3PjubWj0
琉音「お前、この後も時間大丈夫なのか?」
栞「もちですよ!」
琉音「ならアタシの部屋で……」ピタ
栞「……るねさん?どうかしましたか、時でも止まりましたか?」
栞「ふふふ、それじゃあ私の好きに」
琉音「殴るぞ?」
栞「ひえぇ…」
琉音「しおり、あれ見てみろ」クイ
栞「??」チラ
8: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:03:42.23 ID:G3PjubWj0
少女「……」グスン
少女「……」フラフラ
栞「女の子ですか?」
栞「確かになにやら気になる様子ではありますけど、それがどうか……」
栞「ってあれ、るねさん?」
琉音『……』ヤイヤイ
少女『っ、っ……』
栞「いつの間に声掛けに行ってたの!?」
栞「……もお、しょうがないですねぇ」
栞(ていうか、絵面が完全にヤンキーに絡まれる女の子だよアレは)タタッ
――――――
――――――
9: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:04:34.09 ID:G3PjubWj0
琉音「あぁ?だから、一人でなに彷徨いてんだっつってんだよ」
少女「あ、えと……その…」ビクビク
琉音「シャキッとしろ!」キッ
少女「ひっ…」
少女「……うぅ…」グスン
栞「ちょっとちょっと、るねさんってば!なに恐喝してるんですか」
琉音「恐喝なんかしてねえよ」
栞「いや、傍から見たら完全に年下を虐める高校生でしたってば」
栞「ごめんね~?このお姉ちゃんが怖かったよね」ニコ
琉音「……ちっ」
少女「……」ゴシゴシ
少女「いいえ、平気です…」フリ
10: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:05:19.44 ID:G3PjubWj0
栞「私は栞。こっちの怖いお姉ちゃんはるねさんっていうんだけど」
琉音「その怖いお姉ちゃんって呼び方やめろ」
少女「栞さんと、る、琉音……さん…」チラ
琉音「あぁ。琉音だよ、渡辺琉音」
栞「あなたは小学生……かな?一人でフラフラ歩いてたから、少し心配しちゃって声を掛けたんだ」
琉音(……うん?なんかこのガキ、見覚えがあるようなねえような)
少女「わ、私、中学生です……中学、2年生、です」
琉音「あ?中坊?」ジロ
少女「ぅ……」ビク
栞「るねさん、睨みつけるのやめて上げてくださいよ」
琉音「この目付きは生まれつきだよ、悪かったな!」
11: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:06:37.69 ID:G3PjubWj0
栞「中学生かぁ、ごめんね?見た目若かったから間違えちゃった」
少女「い、いえっ…」
少女「……あの」
栞「うん?」
少女「その制服、白糸台高校の……ですよね」
栞「そうそう!もしかして、志望校だったりする??」
少女「いえ……。私、長野県に住んでいるので…」
栞「……へっ?」
琉音「長野だぁ?もしかしてお前、観光客かなんかか?」
少女「……」フリフリ
琉音「ならなんだよ?」
12: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:07:24.48 ID:G3PjubWj0
少女「……お姉ちゃんに、会いに来たんです」
栞「お姉ちゃん??」
少女「でも、お姉ちゃんは会ってくれなくて……顔も、見られなくて…」ギュウ
少女「やっぱり、私、嫌われてるんだなって…」グス
琉音「……なあ、まさかとは思うが東京まで一人で来たのか?」
栞「え?そんなぁ、流石にそんなこと」
少女「……」コクリ
栞「えぇ~!?」
13: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:08:10.98 ID:G3PjubWj0
琉音「姉貴に会いに行ったが会って貰えなくて、この辺をトボトボ歩いてたってわけかよ」
栞「ど、どうしましょう?警察?警察ですかね?」
少女「……」ピク
琉音「……」ジッ
琉音「……」
琉音「いや、連れてく。寮に」
栞「ですよねぇ。流石におまわりさんに任せた方が」
栞「えぇ!?!?」
琉音「あ?文句あんのか?」
栞「い、いや、文句もなにも……」
14: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:09:00.45 ID:G3PjubWj0
琉音「なぁ、お前は姉貴に会いてえんだろ?」
少女「はい……」
少女「でもお姉ちゃんは私のこと…」
琉音「妹が一人で来てるっつーのに会いもしねえなんて、気に入らねえわ」
琉音「なぁ?しおり」
栞「ま、まあ、可哀想だなぁとは思いますけど……」
琉音「なら決まりだろ」
琉音「こいつは一人で挑戦して、負けてんだ」
琉音「次に勝たせてやるのは、ここで会ったアタシらの役目なんじゃねえのか?」
栞「……」
15: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:09:56.12 ID:G3PjubWj0
栞「……お姉ちゃんのこと、好き?」
少女「す、好き!」
琉音「ふん」クス
少女「……ぁ、その…」
栞「はぁ……」
栞「まさか、るねさんとのデートの帰り道で女の子を拾っちゃうなんて…」
栞「……」
栞「それはそれで、アリですね?」チラ
琉音「意味深できめえよ!」ゲシッ
栞「あいたぁ~!暴力反対!この子が将来るねさんに似ちゃったらどうするんですか!」ダキ
少女(ぅわわっ……お、お胸が…)
琉音「うっせえ!おら、早く帰るぞ」
16: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:10:48.07 ID:G3PjubWj0
栞「もぉ……」
栞「さてと。じゃあ、着いてきてくれる?お姉ちゃんに会いに行く、作戦会議しに行こっか」
少女「は、はい……あの、本当に良いんですか……?」
栞「うんっ。一緒に頑張ろ?」
少女「……はいっ!ありがとうございます」ペッコリン
栞(け、結構可愛いかも……このまま私の妹にしちゃいたい…)
琉音「ああ、そうだ。名前、聞いてなかったな」
栞「そういえばそうでしたね!」
17: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:11:47.95 ID:G3PjubWj0
少女「名前……」
少女「…や…が、さき…」
琉音「あん?」
咲「私は宮永、咲……です」
咲「お姉ちゃんの名前は、宮永照……白糸台高校に、通っています」
栞「……」
琉音「……」
栞 琉音「「えぇ!?(あぁ!?)」」
―――
――――――
―――――――――
18: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:12:35.93 ID:G3PjubWj0
~白糸台高校、寮・琉音部屋~
琉音「状況を整理すると、なんだ?」
琉音「宮永だと紛らわしいから咲って呼ぶが、咲が会いに来た姉貴っつうのは…」
栞「宮永さん……宮永照さんで、いいのかな…?」
咲「えっと、はい……そうです」コク
琉音「……しおり、ちょっと来い」クイ
栞「あ、はい」スク
19: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:13:16.71 ID:G3PjubWj0
琉音「……あいつ、妹がいたのか?」
栞「知りませんよ…少なくとも、私は聞いたこと」
栞「……」
栞「あの、もしかしてなんですけど」
琉音「あん?」
栞「宮永さん、たまに言ってるじゃないですか」
栞「スコアは低くても強い子はいるとか、カンと嶺上開花は怖い……とか」
琉音「……プラマイゼロがどうたら、とかか?」
栞「ですです。まるで、身近な人の事を語ってるみたいに」
琉音「まさか、あんなちんちくりんが?」
琉音「いや、でも咲本人が姉貴は宮永だって言ってんだもんな…」
20: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:14:10.20 ID:G3PjubWj0
栞「……とりあえず、試してみませんか?」
琉音「試すだぁ?」
栞「咲ちゃんの事を疑うわけじゃないですけど、宮永さんの言っていたことが本当なら実際に麻雀を打てば分かりそうじゃないですか」
琉音「まあ、宮永が言うような特殊な麻雀を打つならそうだろうが…」
栞「正直、半分は興味本位もあるんです。あの宮永さんが気にしてる子の麻雀を、一雀士として見てみたいっていう」
琉音「……そうだな」
21: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:14:57.32 ID:G3PjubWj0
琉音「おい、咲」
咲「は、はいっ」
琉音「麻雀打てるか?」
咲「!!」ピク
咲「……打て、ます、けど…」
咲「私、麻雀はあんまり好きじゃなくて…」
琉音「そうか。なら一局だけでいい、打たないか?」
栞「嫌なら、無理にとは言わないからね?」
22: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:15:34.44 ID:G3PjubWj0
咲「……」
咲「琉音さんと、栞さんが言うなら……」
咲「打ちます、麻雀」ズズ
琉音「っ……」ゾワ
栞(うひゃぁ……これは宮永さんの妹だ…)
琉音「よし。負かされても泣くなよ?」
咲「……負けても、いいんですね」
琉音「……あん?」
咲「ぁ、いえっ、なんでもありません」フリフリ
栞(負けてもいいんですね…?)
栞(……スコア、低い、強い、プラマイゼロ…)
琉音「んじゃまあ、打とうか」
栞(もしかして…)
咲「……よろしくお願いします…」ペコリ
―――
――――――
―――――――――
23: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:16:36.60 ID:G3PjubWj0
琉音(おいおい、マジか?)
栞(こ、これが、宮永さんが気にしていた人の麻雀…!)
咲「……カン」スッ
琉音(確定だな。こいつが、宮永が言っている特殊な麻雀の打ち手)
栞(宮永さんの妹……宮永、咲)
咲「ツモ。嶺上開花、1200,2300」
栞「対局、終了……スコアは」チラ
栞(プラマイゼロ……!!)
24: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:17:43.08 ID:G3PjubWj0
咲「……」ハッ
咲「……また、またやっちゃった…」
咲「ダメだって分かってるのに、またこんな…」
咲「プラマイゼロ…私が打つと、いつもこう…」
琉音「あっはっはっはっはっ!!」
咲「っ…」ビクッ
栞「る、琉音さん?どうしたんですか」
琉音「どうしたって、これが笑わずにいられるか?」
琉音「あからさまな点数調整に、プラマイゼロ。トドメに嶺上開花と来たもんだ」
25: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:18:25.77 ID:G3PjubWj0
咲「ごめんなさ……」
琉音「すげーじゃねえか、咲」
咲「……え…?」
琉音「あんな芸当、簡単にできる事じゃ無いはずだろ?」
琉音「つか、人間業じゃねえ。参った、流石は宮永の妹ってとこだな」クク
咲「……怒らない、んですか…?」
琉音「あ?なんでだよ?」
咲「だって、私、わざと点数を揃えるなんてマネを…」
琉音「だから、それをすげえって褒めてんだろ?」
26: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:19:12.24 ID:G3PjubWj0
咲「……」チラリ
栞「あ、私?そりゃ、驚きはしたけど…」
栞「……普通なら、年下にこんな事されて凹む所なんだろうけどさ…」タハハ
栞「咲ちゃんの今の麻雀には、私達への思いやりを感じたんだ」
栞「だからね?なんだか、嬉しかったよ」ニコ
琉音「思いやり?」
栞「思い出してくださいよ、宮永さんと麻雀打った時のこと」
栞「あの時の宮永さんの麻雀は、なんていうか、目の前の獲物を食い尽くす!みたいな感じありませんでした?」
琉音「あったな。良い意味で、凶悪な麻雀だったわ」
栞「でも咲ちゃんの麻雀はなんていうか、私達の事まで考えて楽しませてくれようとしてるって言いますか…」
咲「!」
琉音「なるほどな、言いたい事は分かった」
27: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:20:21.11 ID:G3PjubWj0
栞「ねえ咲ちゃん」
咲「……はい…」
栞「咲ちゃん達姉妹の過去の事を知らない私には無責任な事言えないけど、今の宮永さんを知ってる私から言えることはあるよ」
咲「それは…?」
栞「宮永さんはね、咲ちゃんの麻雀を……ううん、咲ちゃんを嫌ってなんかない」
琉音「まあそうだろうな。少なくとも、嫌いな相手の事を話す時の顔はしてなかった」
咲「でも、お姉ちゃんは私に会ってくれなくて……」
琉音「分かんねえけど、宮永は咲に対して罪悪感を抱いてんじゃねえのか?」
咲「ざい、あくかん……」
琉音「分かりやすく言うとな。咲と会っても何を話したら良いのか分かんねえから、逃げてんじゃねえの?」
28: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:21:20.23 ID:G3PjubWj0
栞「咲ちゃんなら、宮永さんが咲ちゃんに対して会い辛いその理由が分かるんじゃないかな」
咲「……」
琉音「ま、それは姉貴に会った時話し合え」
琉音「そこまでは、アタシらが連れて行ってやる」
栞「るねさん、カッコいい……相変わらず目付きは怖いですけど」
琉音「っるせえよ!」
咲「栞さん、琉音さん……」
栞「……」
栞「あー!!!!」
29: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:21:47.90 ID:G3PjubWj0
咲「ひうっ」ビク
琉音「うおっ!ンだよしおりィ!咲がビビってんじゃねえか!」
栞「私、良い事思いついちゃいました!!」
琉音「…良い事だぁ?」
栞「パンケーキですよ!」
琉音「パンケーキ?」
咲「パンケーキ……」ピク
琉音「なに反応してんだよ、咲」
咲「あ、い、いえ、なんでも…」
30: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:22:34.77 ID:G3PjubWj0
栞「ふふふっ、咲ちゃんはパンケーキって作れる?」
咲「いいえ、作ったこともないです…」
栞「調度いい!」
琉音「おい、日本語を喋れよ。全然意図が伝わってこねーぞ」
栞「るねさん、今日の本当の目的覚えてます?」
琉音「あ?咲を宮永に会わせるための……」
琉音「いや、違うか?あぁ、パンケーキの作り方だったな、そういえば」
栞「そーですそーです!」
栞「なので作りましょう!3人で、パンケーキ!」
咲「パンケーキ……!」キラキラ
琉音「咲、お前ももしかして甘党か?」
咲「ぁ、ち、違います!/////」
栞「宇野沢栞発案。題して、パンケーキ大作戦です!」
―――
――――――
―――――――――
31: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:23:30.23 ID:G3PjubWj0
~失敗を繰り返してして作ること数時間~
琉音「で、出来たか……?」ゼェゼェ
栞「ふむ、ふむ……」
栞「大丈夫です、完璧です!」
栞「完成しました、パンケーキ!」
咲「や、やった…!」
琉音「っしゃ!やったな、咲!」
咲「はいっ、琉音さん…!」
栞「むふふ、るねさんってば子供みたいにはしゃいでますね~」
琉音「んだよ、悪いかよ!」
栞「いいえいいえ~」クスクス
32: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:24:17.58 ID:G3PjubWj0
栞「さて。これで準備は全て整いました」
栞「あとは、明日の部活で宮永さんにそのパンケーキを渡すのみです」
琉音「それは良いけどよ、それが咲と宮永のいざこざを解決する方法に繋がんのか?」
栞「るねさん、ちょっと耳を貸してください」
琉音「なんだよ」スッ
栞「…で……を…ば……と思うんです」ヒソヒソ
咲「……??」
琉音「いやお前、んなことでか?」
栞「弘世さんによれば、麻雀部にだってお菓子に釣られて入ったみたいですし」
栞「それに普段の宮永さんを見ていれば、なんとなく上手く行きそうな感じしません?」
琉音「……まあな」
33: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:25:22.87 ID:G3PjubWj0
栞「それじゃあ、けってーい!」
琉音(ま、なるようになるか)
栞「じゃ、私はそろそろ帰りますね!」
琉音「あぁ、もうこんな時間かよ」
咲「ぁ、えっと……」
栞「ふふ、咲ちゃーーん!!」ダキッ
咲「わっ」ムギュ
栞「……不安かな?」
咲「……」
咲「不安、でした…」
咲「でも、琉音さんや栞さんが私を見つけてくれた今は…」
咲「その、全然不安じゃありません」ニコ
34: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:26:10.00 ID:G3PjubWj0
栞「……」ムギュッ
咲「わっぷ…」
琉音「おいしおり、窒息死させるつもりかよ」
栞「……このままお家に連れて帰りたい…」
琉音「ばか野郎」ゴツン
栞「痛い!!」
咲「る、琉音さんっ。あんまり、栞さんを虐めないでくださいっ」
琉音「あぁ!?」
咲「ひっ…」ビクッ
栞「るねさん!咲ちゃんを虐めないでください!」プンスカ
琉音「ちっ、ンだよ二人してよぉ……!」
35: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:26:49.04 ID:G3PjubWj0
琉音「……でも、咲。初めてアタシに物言えたじゃねーか」
咲「あ、今のは……」
琉音「その調子で、明日も姉貴に言いたい事全部言えよ」
咲「!」
咲「……はいっ」
栞「では、パンケーキは家で保存して明日私が持って行きますね」
琉音「あぁ、頼むわ」
咲「また、明日……っ」フリフリ
栞「うん!また明日ね!」フリフリ
ガチャ……バタン。
琉音「やっと騒がしい奴が帰ったな」ハァ
咲「……」チラ
琉音「あ?なんだよ」
36: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:28:10.37 ID:G3PjubWj0
咲「あ、えっと……私はこれから、どうしたら良いのかなって」
琉音「ここに連れて来てんだから、そんなの分かりきったことだろ」
咲「る、琉音さんと二人でですか…!」
琉音「安心しろよ。しおりと違って、アタシに年下を襲う趣味なんてねえから」
咲「そんな心配はしてません!!」バッ
琉音「うおっ」
咲「ぁ……」
咲「…そんな心配は、してないです」フリフリ
咲「琉音さん、確かにちょっと怖いですけど……」
咲「お姉ちゃんみたいに、優しい目、してますから…」
琉音「なっ……」
37: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:29:03.75 ID:G3PjubWj0
咲「栞さんと話してる時も、ずっと優しい目してました」ニコ
琉音「ば、ばばば、ばっか野郎お前!!」
琉音「咲こら!いっちょまえな事抜かしてんなよ!」バッ
咲「ひゃあっ!」
咲「あはははっ!くすぐったい!くすぐったいですよ、琉音さんっ!」ジタバタ
琉音「るせえ!アタシの方がこそばゆかったっつーの!」
咲「あはっ、はははっ!ひうっ!」
ガチャ
栞「すみません!スマホ忘れちゃ……」
琉音「……あん?」馬乗りになってる
咲「はぁ……はぁ…」息遣い荒い
栞「あわわわわわわ、る、るる、るねさん!?」
38: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:29:55.36 ID:G3PjubWj0
琉音「ばっ、ちげぇーよ!!待て、勘違いすんなしおりィ!!」
栞「勘違いってなんですか!?状況証拠はバッチリじゃないですか!」
琉音「だからそれが勘違いだって言ってんだよ!」
キャーキャー、ヤイヤイ
咲「……ふふっ」クスクス
咲(お姉ちゃんは、こんなに良い人達と麻雀を打ってるんだ)
咲(良かったぁ…)
―――
――――――
―――――――――
39: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:30:35.06 ID:G3PjubWj0
~次の日・白糸台高校~
琉音「ちっす」
栞「こんにちは~」
照「こんにちは。早いですね」
栞「宮永さんこそ、一番乗りだね」
琉音「んだよ、宮永一人か?」
照「菫と監督はどこかへ二人で行きました」
栞「そうなんだ」
琉音(逆に都合が良いな)
40: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:31:25.12 ID:G3PjubWj0
照「……」チラ
照「……あの、宇野沢さん」
栞「うん??」
照「その、手に持っている紙袋は」キラキラ
栞「あ、気が付いた?」フフ
栞「ほら、るねさん!」
琉音「あ!?どうしてアタシなんだよ!」
栞「良いから良いからっ」
琉音「……ちっ」クシクシ
照「……?」
41: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:32:13.94 ID:G3PjubWj0
琉音「これ、"アタシら"で昨日作ったんだよ、パンケーキ」スッ
照「パンケーキ……!」
琉音「まあ、なんだ」
琉音「これからもよろしくっつー意味も込めて、宮永にな」フイッ
照「ありがとうございます。食べてもいいですか」
琉音「もう食う準備万端かよ!はえーよ!」
栞「まあまあ。どうぞ、るねさんの事は気にしないで食べてあげて?」
照「いただきます…」ジュルリ
照「……あむ」
栞「どうかな?」
琉音「ふ、ふつーにパンケーキだろ」チラ
照「……」ゴクン
42: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:33:35.58 ID:G3PjubWj0
照「……美味しい。とても美味しいです、宇野沢さん、渡辺さん」
栞「良かった!」
琉音「そ、そうかよ」ホッ
照「はい。ぜひ、また作ってきて欲しいです。
本心から」
栞「!」
琉音「宮永、その言葉に嘘はねーな?」
照「……?はい、勿論」コク
琉音「だってよ、咲!」
栞「入ってきていいよ~」
照「……は?」
43: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:34:43.87 ID:G3PjubWj0
ガラララララ
照「う、嘘……」ガタッ
照「どうして、どうして、ここに…」
咲「お姉、ちゃん」
琉音「言ったろ?パンケーキは、アタシらで作ったって」
照「っ…!」キッ
栞「ひうっ」ビク
琉音「あ?なんか文句あんのかよ?」
琉音「妹が覚悟決めて来てんだ。姉貴のお前が逃げててどうするよ」
44: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:36:28.29 ID:G3PjubWj0
照「……私から掛ける言葉なんか…」
咲「お姉ちゃん!!!」
咲「お姉ちゃんに言いたい事、伝えたいこと、私にはある!」
咲「いっぱい、いっぱいあるもん!!」
照「っ」ピク
琉音(はん。いい目するじゃねーか、咲)クス
栞(頑張って、咲ちゃん)グッ
照「咲……」
咲「私、私ね……!」
―――
――――――
―――――――――
45: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:37:46.04 ID:G3PjubWj0
~エピローグ~
咲「ぐすっ……」
琉音「泣いてんじゃねえよ咲」ワシャワシャ
栞「言ったでしょう?宮永さんは、咲ちゃんを嫌ってなんか無かった」ナデナデ
栞「良かったね、お姉ちゃんとの仲を取り戻せて」ニコ
咲「……」ゴシゴシ
咲「はいっ…!本当に、本当に……良かったです…!」
琉音「にしても、宮永の泣き顔まで見れるたぁ意外だったな」
栞「るねさんったら。宮永さんだって普通の女の子なんですよ」
46: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:39:18.05 ID:G3PjubWj0
琉音「普通かァ?」
栞「……ま、麻雀が異常なだけで、普通なんです!」
琉音「へいへい」
琉音「んで、咲はこれからどーすんだ?帰るのか?」
咲「えと……とりあえず、お母さんが迎えに来てくれるって…」
咲「それで、今日はお母さんとお姉ちゃんと3人で、過ごしますっ」
琉音「そうか」
47: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:41:40.51 ID:G3PjubWj0
栞「あーん!るねさん、私も咲ちゃんみたいな妹が欲しいです!」
琉音「宮永から奪い取ってみたらどうだ?麻雀で」
栞「む、無茶言わないでくださいよぉ~!」
咲「……」
咲「あ、あの!」
琉音「あ?」
栞「うん?」
48: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:43:26.40 ID:G3PjubWj0
咲「琉音さん、栞さん。この度は、本当にありがとうございましたっ!」ペッコリン
咲「私、あのままお姉ちゃんに会えずに帰っていたら……」
咲「きっと、この先は道に迷ったままだったと思います」
咲「本当に、ありがとうございました」ペッコリン
栞「ううん。私達がした事なんて、少し背中を押しただけ」
琉音「あぁ。勘違いすんなよ」
琉音「咲の強さは本物だ。ちんちくりんだがな、認めてやる」
咲「琉音さん、栞さん……」
49: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:47:15.49 ID:G3PjubWj0
咲「ごめんなさい。私、今はお礼できる物なんか何も持っていないので…」
咲「いつか必ず。私、お姉ちゃんに……白糸台高校に、麻雀で勝ってみせます」
栞「!」
『プラマイゼロ…私が打つと、いつもこう…』
栞「……」フフ
琉音「はっ。言うじゃねえか」
琉音「宮永が来た白糸台は、この先必ず全国を連覇するだろうな」
栞「その時には宮永さん、インターハイの代名詞!とか言われてそうですね」
琉音「あぁ。天狗になったアイツなんて見たくねえからな」
琉音「咲。お前が宮永に勝つところを、アタシらに見せてくれ」
琉音「それをもって、今回のお礼だ」
50: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:48:56.44 ID:G3PjubWj0
咲「はい。必ず!」
栞「るねさんるねさん、私達白糸台の敗北を願ってるみたいじゃないです?これ」
琉音「ちげーな」
琉音「咲の勝利だよ、アタシらが求めてんのはな」
栞「カッコいい…」
照「咲。お母さん迎えに来たって」
咲「あ、お姉ちゃん!うんっ、すぐ行くっ」
咲「それじゃあ、琉音さん、栞さん…また」
琉音「またな、咲」
栞「またね、咲ちゃん!今度来た時は、私のこと栞お姉ちゃんって呼んでね!」
照「……」ゴゴ
栞「ひっ、じょ、冗談だよ~」ビク
咲「ふふっ」クスクス
咲(ありがとう。本当に、ありがとう)
咲(私の、たった1日の大切なお姉ちゃん達)
カン
51: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/11/26(日) 13:50:55.88 ID:G3PjubWj0
17巻を読んで、宇野沢さんのあまりの可愛さにびびりました。琉音さんも良いキャラで大好きです。
ではっ。読んでくださった方、ありがとうございました(ペッコリン)
ではっ。読んでくださった方、ありがとうございました(ペッコリン)
52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 13:55:45.33 ID:YKNmaPg2o
乙
53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 14:06:23.90 ID:eM9w0SVjO
仕事早すぎぃ!
いい話だった、乙。
いい話だった、乙。
54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 00:28:23.89 ID:Hu8nSo9L0
琉音さんがイケメンすぎた、おつ
掲載元:https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1511668481/
Entry ⇒ 2017.11.30 | Category ⇒ 咲-Saki- | Comments (0)
【モバマスSS】見舞え!なおかれん!
1: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:37:50.04 ID:f3AttxnC0
~病院~
神谷奈緒「加蓮っ!」
北条加蓮「あ、奈緒」
奈緒「"あ"じゃないだろ!? 心配したんだぞ!? 急に病院に担ぎ込まれたって聞いて!」
加蓮「ごめんごめん、ちょっとケガしちゃってさ」
奈緒「何やってんだよ……」
加蓮「室内でロンダート後転とび伸身宙返り3回ひねりなんてやるものじゃないね」
奈緒「本当に何やってんだよ」
--------------------------------
読まなくても平気な前々作と前作
【モバマスSS】駄弁れ!なおかれん!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492082115/
【モバマスSS】祝え!なおかれん!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1505546603
2: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:38:26.16 ID:f3AttxnC0
奈緒「シライ・キムヒフンじゃねえか。もう室内とかの問題じゃないだろ」
加蓮「着地の時に肺をやっちゃってね」
奈緒「どういうダメージの通り方してるんだよ。直接臓器っておかしいじゃねえか」
加蓮「それが先週の話なんだけど」
奈緒「この入院と関係ないのかよおい。よく耐えたな加蓮」
加蓮「それくらいじゃ入院しないってば」
奈緒「基準がわかんねぇ……じゃあ今回の入院は?」
加蓮「さっき自動ドアに挟まれたから」
奈緒「基準がわかんねぇ……」
3: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:38:57.48 ID:f3AttxnC0
加蓮「挟まれた時に肺をやっちゃってね」
奈緒「なんで受けたダメージ全部もれなく肺に集まるシステムなんだよ」
加蓮「でも、わりと軽いみたいだから安心して?」
奈緒「ならいいけど……数日で出れるのか?」
加蓮「うん、3日くらいがヤマだって」
奈緒「それ病院出る時もう息がないやつだな」
4: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:39:23.81 ID:f3AttxnC0
奈緒「え、冗談だよな?」
加蓮「決まってるでしょ。そんなすぐ死にそうに見える?」
奈緒「なんなら今ベッドから転落して死ぬところまで可能性を考えてるよこっちは」
加蓮「酷いなぁ」
奈緒「妥当な判断だろ」
加蓮「いいの? こないだ私の保険金の受取人を奈緒にしたばかりだから、今私が死んだら疑われるのは奈緒だよ?」
奈緒「脅し方が斬新すぎる」
5: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:39:50.45 ID:f3AttxnC0
奈緒「っていうか死ぬ死ぬ言うのをやめてくれ。縁起でもない」
加蓮「人間いつか死ぬのに……」
奈緒「こっちはそこまで悟ってねぇんだよ」
加蓮「わかった、悟ったら教えてね」
奈緒「なんだその"今度ご飯行こうね"みたいなノリは。悟りはそんな近くに転がってないわ」
6: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:40:21.23 ID:f3AttxnC0
加蓮「そんなことより、問題があってさ」
奈緒「どうした?」
加蓮「病院食があんまり……ね」
奈緒「あー、まあ仕方ないだろ。気持ちはわかるけどさ。今日のメニューは?」
加蓮「さつまいも」
奈緒「戦後かよ」
7: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:40:51.92 ID:f3AttxnC0
奈緒「この病院は馬鹿しかいないのか」
加蓮「おかしいよね? せめてじゃがいもだよ」
奈緒「おかしいのはお前だよ。そのイモ類への信頼はどこから来るんだ」
加蓮「揚げてくれれば言うことナシ♪ なんだけどさ」
奈緒「まったく……そんなんだから体調崩すんだぞ?」
加蓮「たとえイモを食べてなくても体調を崩す自信があるよ」フフン
奈緒「なんの自慢にもならないからそのドヤ顔やめろ」
8: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:41:23.29 ID:f3AttxnC0
加蓮「でもやっぱり、入院って暇だね」
奈緒「あたしは入院したことないからわかんないけど、そうなんだろうな」
加蓮「へえ、入院したことないんだ。そんなことでこの先やっていけると思ってるの?」
奈緒「急に調子に乗り始めたなコイツ」
加蓮「入院のことならなんでも聞いてよ。こちとら16年連続23回目の入院だからね」
奈緒「その紅白出場歌手みたいな肩書きをやめろ。だとしても大御所だわ」
9: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:41:55.31 ID:f3AttxnC0
加蓮「紅白、1度でいいから出たいよね」
奈緒「例えツッコミから話題を広げるのやめてほしいんだけど」
加蓮「私たちトライアドプリムスなら大丈夫だよね」
奈緒「びっくりするほど話を聞いてくれないよな」
加蓮「でも凛がニュージェネで出ることを選んだら……!?」
奈緒「不穏な方向に想像が向かってる」
加蓮「ま、その時は一緒に藁人形と五寸釘を買いに行こっか」
奈緒「うっわ巻き込まれた」
加蓮「あ、買いに行くのイヤ? それならAmazonで注文しとくけど」
奈緒「最新の注文履歴が藁人形と五寸釘ってよっぽど入院したほうがいい精神状態だと思うけどな」
10: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:42:22.19 ID:f3AttxnC0
加蓮「藁人形といえばさ?」
奈緒「普通、藁人形から話を広げるか?」
加蓮「この前藁人形を買いに行った時の話なんだけど、もう面白くって!」
奈緒「え? 恒常的に買ってんの?」
加蓮「駅前に専門店できたでしょ?」
奈緒「どこの駅の話だ。その駅を一生使わずに過ごしてやる」
加蓮「入ってみたらさ、みんなもいたんだよ(笑)」
奈緒「笑えない笑えない笑えない」
11: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:42:54.17 ID:f3AttxnC0
奈緒「何が(笑)だよバカか。誰がいたんだよおい」
加蓮「あれ、あんまり面白くないかな? じゃあ次の話題に移ろうか」
奈緒「答えてくれ頼むから。場合によってはあたしの対人関係の大きな転換点になるから」
加蓮「そういえば五寸釘専門店でも会ったなーって」
奈緒「その専門店シリーズはどうやって採算とってんだよ。チャレンジャーすぎるだろ」
12: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:43:43.43 ID:f3AttxnC0
加蓮「チャレンジャーといえばさ」
奈緒「さっきから話題が目まぐるしすぎるんだよ休ませてくれ」
加蓮「じゃあ奈緒が何か面白い話してくれる?」
奈緒「う……そう言われると……」
加蓮「そんなことでこの先バラエティとかでやっていけると思ってるの?」
奈緒「おもむろに藁人形トークを始めるやつよりはお茶の間に受け入れられると信じてるけどな」
13: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:44:17.88 ID:f3AttxnC0
加蓮「奈緒、何か暇つぶしになりそうなもの持ってない?」
奈緒「あー、悪い、急だったから何も持ってきてないや。何か持ってきてほしいものあるか?」
加蓮「健康な体」
奈緒「とてもじゃないけど情緒がついていかねえよ」
加蓮「でも、みんなとの絆があるから私はもう大丈夫……!」
奈緒「この会話、どこに向かってる?」
加蓮「泣くとこだよ」
奈緒「加蓮の惨状に泣きそうだよ」
14: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:44:48.50 ID:f3AttxnC0
加蓮「逆に奈緒が入院したとしてさ? どうやって暇を潰す?」
奈緒「え? あたし? そうだな……」
加蓮「伸身のトカチェフ?」
奈緒「時間が空くたびに新体操の技を捻じ込むのをやめろ」
加蓮「まあ奈緒のことだから、漫画とかじゃないの?」
奈緒「ま、そうなるよなー。アニメとかも見れればいいんだけど」
加蓮「……アニメ? 信じらんない」
奈緒「どうして急にサブカルチャーへの理解が皆無になった。怖えよ」
加蓮「どうせあれでしょ? “2人○プリキュア"とか見るんでしょ?」
奈緒「伏せ字がド下手かよ。何も隠せてねえよ」
加蓮「あとあれでしょ? まどマギ○とかでしょ?」
奈緒「その部分に伏せるべき文字はねえよ。パワプロの特殊能力みたいになってるじゃねえか」
加蓮「伝わりにくいね」
奈緒「張っ倒すぞ」
15: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:45:22.31 ID:f3AttxnC0
加蓮「パワプロといえばさ」
奈緒「話題の引き出しどうなってるんだよ」
加蓮「可愛いよね」
奈緒「思いの外浅かった」
加蓮「思えばさ? 体が弱かった私の方がマンガとかアニメとかゲームにハマる可能性あったんだよね」
奈緒「ま、そういうのは環境にもよるからな」
加蓮「そうだったら、もっと奈緒と仲良くなれてたのかな……」
奈緒「……」
加蓮「……なーんて」
奈緒「加蓮」
加蓮「え?」
奈緒「あたしは、そんなの関係なく、加蓮と仲良くなれてると思ってる」
加蓮「奈緒……」
奈緒「確かに振り回されることばっかりだし基本的に何考えてるのかも何言ってるのかもわかんないしあたしの負担は多大なるものだという自負はもの凄いけど、それでも親友だと思ってる」
加蓮「想像の20倍くらい苦言を呈されてるけど」
奈緒「もっと相手の気持ちを考えて欲しいっていつも思いながらも他の人から加蓮が面倒臭いって話を一切聞かないからあたしだけにこんな感じなんだなって思うと嬉しさと悲しさが波状攻撃を仕掛けてくるけど、それでも親友だと思ってる」
加蓮「悪かったってば」
16: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:45:55.22 ID:f3AttxnC0
奈緒「そういえば、この入院の間の仕事とかはどうなってるんだ?」
加蓮「代役を立ててもらってるよ」
奈緒「そうか、それならいいけど」
加蓮「まずファションモデルのお仕事が入ってたから」
奈緒「お、当ててやるよ。うーん……奏とか?」
加蓮「ブッブー」
奈緒「あれ、自信あったんだけどな……。じゃ、凛とか李衣奈とか?」
加蓮「如月千早さん」
奈緒「おまっ……馬鹿野郎!」
17: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:46:21.32 ID:f3AttxnC0
奈緒「そもそも違う事務所じゃねえか。代役と呼ばねえよ、仕事取られてるよ」
加蓮「ううん、その代わり、今度仕事を1つ譲ってくれるって」
奈緒「知らない間にエグいパイプ作ってたんだなウチの事務所は」
加蓮「サイコーのパイプだよね」
奈緒「そっちからも仕事もらえるようになったら軽い恐怖だよ」
18: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:46:47.33 ID:f3AttxnC0
加蓮「あ……」
奈緒「ん? どうした?」
加蓮「ごめん、話してたら喉乾いちゃった。何か飲み物買ってきてもらってもいい?」
奈緒「ああ、もちろん。あたしも何か飲もうかな。加蓮は何飲みたい?」
加蓮「水のソーダ割り」
奈緒「薄い炭酸水にしかならねえよ。なにも割り切れねえよ」
加蓮「じゃあ水のロックで」
奈緒「腹壊すぞ」
19: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:47:14.16 ID:f3AttxnC0
奈緒「じゃ、飲み物も買ったし、そろそろあたしは帰るかな」
加蓮「ありがとね、お見舞い来てくれて」
奈緒「お見舞いというか、ビックリして駆けつけただけだけどな」
加蓮「次はビックリさせないように担ぎ込まれるからさ」
奈緒「そうじゃない」
加蓮「じゃあどうやって担ぎ込まれればいいのさ!」
奈緒「なんでちょっとキレてんだよおかしいだろ。そもそも担ぎ込まれないでくれ」
加蓮「あ、奈緒、最後に1ついい?」
奈緒「なんだよ……」
加蓮「これあげる。貰い物なんだけどさ、私には必要ないから」
奈緒「え? ああ、なら貰っとくけど、何だ?」
加蓮「さつまいも」
奈緒「戦後かよ」
おわり
20: ◆5AkoLefT7E 2017/11/27(月) 23:47:40.76 ID:f3AttxnC0
過去作
ほたる「始球式」智絵里「アンド」朋「野球観戦!」
多田李衣菜「Let'sギャップ萌え!」前川みく「宣言するものじゃないにゃ」
周防桃子「みんな、桃子のことバカにしてるんでしょ!」
橘ありす「総理大臣フレデリカ?」
渋谷凛「宗教を開いて」本田未央「儲けたい?」
などもよろしくお願いします
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/27(月) 23:49:22.54 ID:XyxXhAurO
会話のテンポがすごくいいな天才か
おつおつ
おつおつ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1511793469/
Entry ⇒ 2017.11.30 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
八幡「あー暇だ、誰か来ねぇk」 いろは「いろはちゃんとうじょうでーすっ♪」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 14:27:46.25 ID:lWP1mR920
八幡「うわ、マジで来やがった……」
いろは「えー、なんですか先輩その反応。せっかくかわいい後輩がかわいくやってきてあげたのに」
八幡「お前のは作り物だから警戒してんだよ。迂闊に気を許して何かあってからじゃ遅いからな」
いろは「かわいいのは否定しないんですね」
八幡「基本的に嘘は吐かない性分なもんで」
いろは「……口説いてるんですか?」
八幡「結婚してください」
いろは「ごめんなさいガチで無理です」ペコ
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 14:29:56.38 ID:lWP1mR920
八幡「早速フラれちゃったよ…… いや、一応言っとくけど普通に冗談だから」
いろは「知ってますよー。先輩から本気のオーラ微塵も感じなかったですし」
八幡「すげぇなお前、オーラとか分かるタイプの人間なのか」
いろは「先輩はわからないんですか? そういうの」
八幡「そういうのってどういうのだよ…… なに? 人から炎みたいなの出ちゃってるの?」
いろは「たまーに出てるの見えますよ? えっと、例えばほら、こうやってじーっと見てると……」ジーー
八幡「…………近い近いやめろ近い」
いろは「つれないですねーもう」
八幡「てか普通に嘘だろ。いつからここは異能バトルが起こる日常系になったんだ」
いろは「……ときどき先輩って意味わかんないこと言い始めますよね。まぁいいですけどー」
八幡「なんで俺が先に変なこと言い出したみたいな空気になってるんですかね……」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 14:32:39.84 ID:lWP1mR920
いろは「にしても先輩、さっきから気になってたんですけど部屋にコタツ置いたんですね」
八幡「温もりが欲しくてな。こんなクソ寒い時期にエアコンぶっ壊れるし。あー暖かい」
いろは「ネコみたいに丸まってますねー。あ、ネコと言ってもノラですけど」
八幡「野良じゃ炬燵になんか入れんだろ。飼い猫だよ飼い猫」
いろは「はぁ。じゃあ先輩、誰かに飼われてるってことですか?」
八幡「ヒモになれるんなら本望だな」
いろは「ふーん……先輩はそんな人生でもいいと」
八幡「平凡な水準の暮らしが働かずにできるならそれ以上の幸せはないだろ」
いろは「ほんと甲斐性なしですねー」
八幡「まぁ、夢見るだけなら自由だし。別に見たこと自体に罪はない」
いろは「見れたなら、叶えられるかもしれないですよ?」
八幡「……無理だろ普通に考えて。んな理想を押し付けられる相手が画面の中以外のどこにいるんだって話ね」
いろは「………」
いろは「…………目の前に、とか」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 14:38:12.62 ID:lWP1mR920
八幡「………」
いろは「………」
八幡「もう一回いい?」
いろは「やです」
八幡「油断して聞いてなかった。あー、理想の結婚相手なら目の前に……がなんだって?」
いろは「余裕で聞いてるしばっちり解釈してるじゃないですか! なんですかそのやらしい目! つぶしますよ!」
八幡「らめぇ! そんなことしたらチャームポイントが……じゃなくて、さっきはガチで断られたのになんでだよ。理由でもあんのか?」
いろは「り、理由っていうか、さっきはその……まだルートが開放されてなかった的なやつでして」
八幡「ルートって…… なに、ゲームなの?」
いろは「恋愛もののだとよくあるから先輩に有効、って話を中二の先輩から聞きました」
八幡「ろくでもねぇ知識吹き込むバーローだなあいつ……」
いろは「………」
八幡「………」
いろは「……わたしじゃ、ダメですか?」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 14:39:10.12 ID:lWP1mR920
八幡「………」
八幡「を はやっぱ無理じゃね?」
いろは「んっふっふ。またわたしの勝ちですね」
おわり
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 14:42:56.80 ID:lWP1mR920
二人は付き合ってて休みの日に家で暇つぶししてる設定
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 14:43:42.43 ID:lWP1mR920
おまけ
八幡「あー、また暇になった」
いろは「いつものことじゃないですか。先輩に遊ぶ友達なんていないんですし」
八幡「うっせ。嫁がいれば俺は十分満足なんだよ」
いろは「………えっち」
八幡「おいやめろ、そういう意味の満足じゃないから」
いろは「隠してもムダですよ? 先輩もそういう気分になってるじゃないですかー」
八幡「き、気分じゃねぇし、全然、全く」
いろは「苦しそうにここ膨らませながら言っても説得力ないですねー」スリスリ
八幡「結構積極的になったよなお前……いつの間にか」
いろは「こ、こんなふうになったの、先輩のせいですからね!」
的な感じで続いてくんじゃないかな(適当)
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 14:45:55.75 ID:lWP1mR920
時々作文SS書きたくなるので書きましたサーセン
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 16:11:30.87 ID:ESj/UIUH0
読み返してやっと気付いた、会話が50音のあいうえお作文なのか
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 16:38:03.61 ID:I3aDszUU0
乙!
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 16:46:52.61 ID:rnr42rVdo
乙ー 面白かった
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 17:59:47.80 ID:2IwTj7OYO
短くても奥が深いSSだった
乙
乙
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 19:11:10.35 ID:24s1oSe30
乙です
むしろこのSSであいうえお作文を知りました
むしろこのSSであいうえお作文を知りました
掲載元:https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1511674065/
Entry ⇒ 2017.11.30 | Category ⇒ やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 | Comments (0)
ミカサ「駆逐してやる」
1: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 03:07:59 ID:vnufMj7U
ミカサ「最近エレンの様子がおかしい」
アルミン「そうかな? ぼくにはいつもの悪人面に映るけど」
ミカサ「エレンが、他の女と話している」
アルミン「そりゃエレンだって話すよ」
ミカサ「すごく楽しそうに話している」
アルミン「エレンも思春期の男の子だからね。仕方ないよミカサ」
ミカサ「わたしと話しているときよりも楽しそうにしている」シュン
アルミン「ミカサとは常日頃から話してるから、新鮮味に欠けるんだろうね」
ミカサ「そう。わかった。なら仕方ない」
アルミン「うんうん、仕方ない仕方ない」
ミカサ「エレンに纏わりつく害虫を、駆逐するまで」スチャ
アルミン「」
アルミン「そうかな? ぼくにはいつもの悪人面に映るけど」
ミカサ「エレンが、他の女と話している」
アルミン「そりゃエレンだって話すよ」
ミカサ「すごく楽しそうに話している」
アルミン「エレンも思春期の男の子だからね。仕方ないよミカサ」
ミカサ「わたしと話しているときよりも楽しそうにしている」シュン
アルミン「ミカサとは常日頃から話してるから、新鮮味に欠けるんだろうね」
ミカサ「そう。わかった。なら仕方ない」
アルミン「うんうん、仕方ない仕方ない」
ミカサ「エレンに纏わりつく害虫を、駆逐するまで」スチャ
アルミン「」
2: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 03:14:15 ID:vnufMj7U
【翌日 朝の食堂】
ミカサ「おはよう、エレン、アルミン」
エレン「おうミカサ」
アルミン「おはようミカサ」
クリスタ「おはようみんな」
ミカサ「」ギロッ
クリスタ「」ヒエッ
エレン「なに怖い顔してるんだミカサ?」
ミカサ「わたしは別に怖い顔はしていない。エレンの気のせい」
エレン「そっか」
アルミン(いやメチャクチャ怖いよミカサ。向かいのジャンがおびえているよ)
ジャン「」ガクガクブルブル
クリスタ「えっと……ここ座ってもいいかな?」
アルミン(クリスタが仕掛けた! エレンの真横をキープしようとしている)
ミカサ「おはよう、エレン、アルミン」
エレン「おうミカサ」
アルミン「おはようミカサ」
クリスタ「おはようみんな」
ミカサ「」ギロッ
クリスタ「」ヒエッ
エレン「なに怖い顔してるんだミカサ?」
ミカサ「わたしは別に怖い顔はしていない。エレンの気のせい」
エレン「そっか」
アルミン(いやメチャクチャ怖いよミカサ。向かいのジャンがおびえているよ)
ジャン「」ガクガクブルブル
クリスタ「えっと……ここ座ってもいいかな?」
アルミン(クリスタが仕掛けた! エレンの真横をキープしようとしている)
3: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 03:22:17 ID:vnufMj7U
ミカサ「だめ」
アルミン(間髪入れずにミカサが割り込んだ! エレン絡みじゃさすがの瞬発力だ!)
エレン「いいじゃねえかよミカサ。ご飯はみんなで食べたほうが美味しいぞ?」
ミカサ「エレン……ならば、私も真横に行こう」
アルミン(ミカサが席を立って椅子ごとエレンの真横に移動したっ!)
アルミン(これは修羅場になった! いや、違う。修羅場になったんじゃない! 今まで勘違いをしていただけだ!)
アルミン(元からこの訓練所は、修羅場だ)
エレン「なあミカサ……暑苦しいんだが」
ミカサ「エレンを一人になんてさせない」
エレン「いや、だからってゼロ距離はないだろ」
ミカサ「膝を突き合わせて味わう朝食は、美しい」
エレン「そういうのって向かい合わせで突き合わせるもんだろ。横でくっ付けるもんじゃないだろ」
ミカサ「細かいことは気にしなくていい」ギュッ
エレン「」ヒエッ
アルミン(間髪入れずにミカサが割り込んだ! エレン絡みじゃさすがの瞬発力だ!)
エレン「いいじゃねえかよミカサ。ご飯はみんなで食べたほうが美味しいぞ?」
ミカサ「エレン……ならば、私も真横に行こう」
アルミン(ミカサが席を立って椅子ごとエレンの真横に移動したっ!)
アルミン(これは修羅場になった! いや、違う。修羅場になったんじゃない! 今まで勘違いをしていただけだ!)
アルミン(元からこの訓練所は、修羅場だ)
エレン「なあミカサ……暑苦しいんだが」
ミカサ「エレンを一人になんてさせない」
エレン「いや、だからってゼロ距離はないだろ」
ミカサ「膝を突き合わせて味わう朝食は、美しい」
エレン「そういうのって向かい合わせで突き合わせるもんだろ。横でくっ付けるもんじゃないだろ」
ミカサ「細かいことは気にしなくていい」ギュッ
エレン「」ヒエッ
4: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 03:31:54 ID:vnufMj7U
アルミン(ミカサの猛烈アピールが炸裂している。エレンは動揺を隠せていない模様)
アルミン(対するクリスタサイドはどう出る!? どう動く!?)
クリスタ「エレン、昨日の格闘訓練のとき、大丈夫だった?」
エレン「あぁ、アニに投げ飛ばされて気絶したんだっけ俺……大丈夫だクリスタ」
クリスタ「みんな心配していたよ。わたしもすごく心配したんだから」
クリスタ「でも……よかった。最悪なことにならなくて、本当によかった」ニコッ
エレン「」ドキッ
アルミン(キターーーっ! 己のことを可愛いと自覚している者だけが放つことのできるキラキラスマイルだああ!!)
アルミン(これは青少年男子のハートを余すことなく鷲掴み! エレンの理性が駆逐されること必至だ!)
ミカサ「エレン騙されてはダメ。クリスタは気絶したエレンに対して侮蔑の視線を送っていた」
クリスタ「送ってないよそんなの! ミカサ酷いっ! どうしてそういう意地悪なことを言うのっ――」ポロポロ
アルミン(対するクリスタサイドはどう出る!? どう動く!?)
クリスタ「エレン、昨日の格闘訓練のとき、大丈夫だった?」
エレン「あぁ、アニに投げ飛ばされて気絶したんだっけ俺……大丈夫だクリスタ」
クリスタ「みんな心配していたよ。わたしもすごく心配したんだから」
クリスタ「でも……よかった。最悪なことにならなくて、本当によかった」ニコッ
エレン「」ドキッ
アルミン(キターーーっ! 己のことを可愛いと自覚している者だけが放つことのできるキラキラスマイルだああ!!)
アルミン(これは青少年男子のハートを余すことなく鷲掴み! エレンの理性が駆逐されること必至だ!)
ミカサ「エレン騙されてはダメ。クリスタは気絶したエレンに対して侮蔑の視線を送っていた」
クリスタ「送ってないよそんなの! ミカサ酷いっ! どうしてそういう意地悪なことを言うのっ――」ポロポロ
5: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 03:41:32 ID:vnufMj7U
アルミン(キターーーーッ! 美少女である自分が美しく涙を流すことで同情を誘って世論を味方につけようとする手法キターーーッ!!)
アルミン(問答無用でミカサが意地悪して泣かせた感じに映るだろう! でもまあ実際ミカサが泣かせたんだから仕方ないか)
エレン「おい大丈夫かクリスタ。ハンカチ、ハンカチ……誰も持ってなさそうだな」
エレン「仕方ない。おいミカサ」
ミカサ「なにエレン?」
エレン「そのマフラーよこせよ」
ミカサ「」
シュルシュル
アルミン(問答無用でミカサが意地悪して泣かせた感じに映るだろう! でもまあ実際ミカサが泣かせたんだから仕方ないか)
エレン「おい大丈夫かクリスタ。ハンカチ、ハンカチ……誰も持ってなさそうだな」
エレン「仕方ない。おいミカサ」
ミカサ「なにエレン?」
エレン「そのマフラーよこせよ」
ミカサ「」
シュルシュル
6: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 03:44:39 ID:vnufMj7U
アルミン(ミカサの首からマフラーが奪われる超展開キターーーッ! しかも奪い取ったのがエレンで、理由はクリスタの涙を拭くためで、クリスタを泣かせた張本人がミカサで、クリスタはミカサの恋敵で――ああもうミカサ視点で切なすぎるよ)
クリスタ「うっぐ……ひく……」フキフキ
エレン「収まったか。ミカサ、マフラー返すわ」ポイッ
ミカサ「」バサッ
エレン「お前クリスタに対して当たりが強すぎるぞ。なんでそんな意地悪するんだ?」
ミカサ「……ごめんなさいエレン。わたしは冷静じゃなかった」
エレン「謝るならクリスタに謝れよ」
エレン「……ごめんなさい」
クリスタ「ううん……わたしこそ、何か迷惑かけていたなら謝るよ。ごめんね」
エレン「なんかごめんなクリスタ。朝から嫌な思いさせちゃって」
クリスタ「ううん、いいの。エレン、ミカサ、アルミン、また訓練でね」ニコッ
エレン「おう」
アルミン「またね」
ミカサ「……」
クリスタ「」ニヤッ
クリスタ「うっぐ……ひく……」フキフキ
エレン「収まったか。ミカサ、マフラー返すわ」ポイッ
ミカサ「」バサッ
エレン「お前クリスタに対して当たりが強すぎるぞ。なんでそんな意地悪するんだ?」
ミカサ「……ごめんなさいエレン。わたしは冷静じゃなかった」
エレン「謝るならクリスタに謝れよ」
エレン「……ごめんなさい」
クリスタ「ううん……わたしこそ、何か迷惑かけていたなら謝るよ。ごめんね」
エレン「なんかごめんなクリスタ。朝から嫌な思いさせちゃって」
クリスタ「ううん、いいの。エレン、ミカサ、アルミン、また訓練でね」ニコッ
エレン「おう」
アルミン「またね」
ミカサ「……」
クリスタ「」ニヤッ
7: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 03:51:16 ID:vnufMj7U
ミカサ(この世界は残酷だこの世界は残酷だこの世界は残酷だこの世界は残酷だこの世界は――)
アルミン「ミカサ、ねえミカサったら」
ミカサ「……アルミン?」
アルミン「もうすぐ訓練が始まるよ。みんなすでに移動をはじめてる。食堂には見ての通りぼくたちしか残っていない」
ミカサ「……わかった」シュン
アルミン「……首に巻かないの? マフラー」
ミカサ「今日は、外が暑い……。ので、マフラーを巻く気候ではない」
アルミン「そっか……そうだね。ぼくもそう思うよ」
ミカサ「ねえアルミン。何でエレンは、他の女と会話してしまうんだろう」
ミカサ「わたしはただ、そばにいるだけでいいのに。それだけなのに」ポロポロ
アルミン(そばにいるだけでいい人間の発言とは思えないよミカサ)
アルミン「ミカサ、ねえミカサったら」
ミカサ「……アルミン?」
アルミン「もうすぐ訓練が始まるよ。みんなすでに移動をはじめてる。食堂には見ての通りぼくたちしか残っていない」
ミカサ「……わかった」シュン
アルミン「……首に巻かないの? マフラー」
ミカサ「今日は、外が暑い……。ので、マフラーを巻く気候ではない」
アルミン「そっか……そうだね。ぼくもそう思うよ」
ミカサ「ねえアルミン。何でエレンは、他の女と会話してしまうんだろう」
ミカサ「わたしはただ、そばにいるだけでいいのに。それだけなのに」ポロポロ
アルミン(そばにいるだけでいい人間の発言とは思えないよミカサ)
8: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 08:39:00 ID:vnufMj7U
【格闘訓練場】
エレン「昨日は油断して気絶させられたけど、今日はそうはいかないからなアニ!」
アニ「ふっ。学習しない男だねえ」
エレン「いざ勝負っ!」
バシボコドシッ
アニ「口ほどにもないね」
エレン「いってぇ……アニ、もう少し手心ってものがあるだろ……」
アニ「私もアンタに同じことを言いたい」
エレン「は?」
アニ「アンタが力いっぱいぶつかってくるもんだから、こっちもそれ相応の返し方をしなくちゃいけないんだよ」
アニ「単純に力じゃ敵わないんだ。アンタも男ならさ、私の、このか弱いカラダを、もっといたわるべきなんじゃないの?」
エレン「は? お前の冗談は面白くねえな。力で敵わなきゃ、どうして俺は倒れててお前は立ってんだ」
アニ「力で投げたわけじゃないんだ」
エレン「へ?」
エレン「昨日は油断して気絶させられたけど、今日はそうはいかないからなアニ!」
アニ「ふっ。学習しない男だねえ」
エレン「いざ勝負っ!」
バシボコドシッ
アニ「口ほどにもないね」
エレン「いってぇ……アニ、もう少し手心ってものがあるだろ……」
アニ「私もアンタに同じことを言いたい」
エレン「は?」
アニ「アンタが力いっぱいぶつかってくるもんだから、こっちもそれ相応の返し方をしなくちゃいけないんだよ」
アニ「単純に力じゃ敵わないんだ。アンタも男ならさ、私の、このか弱いカラダを、もっといたわるべきなんじゃないの?」
エレン「は? お前の冗談は面白くねえな。力で敵わなきゃ、どうして俺は倒れててお前は立ってんだ」
アニ「力で投げたわけじゃないんだ」
エレン「へ?」
9: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 08:48:20 ID:vnufMj7U
アニ「アンタにも教えてあげるよ。わたしの技術と、女の子との話し方を」
エレン「ま、待て、すこし休憩し――」
ライナー「ぐはああああ!」ドサッ
エレン「どうして空からライナーが降ってきたんだ?」
アニ「何事だい?」
ミカサ「アニ。またエレンを気絶させるつもりなら、わたしは遠慮しない」
エレン「ミカサ。また俺のことを子ども扱いしやがって」
ミカサ「エレンは指をくわえたりしてればいい。くわえて見てろ」
エレン「ええっ……」
アニ「この技術は人間用なんだけどねえ。まあ、猛獣に通用するか興味がある」
エレン「ま、待て、すこし休憩し――」
ライナー「ぐはああああ!」ドサッ
エレン「どうして空からライナーが降ってきたんだ?」
アニ「何事だい?」
ミカサ「アニ。またエレンを気絶させるつもりなら、わたしは遠慮しない」
エレン「ミカサ。また俺のことを子ども扱いしやがって」
ミカサ「エレンは指をくわえたりしてればいい。くわえて見てろ」
エレン「ええっ……」
アニ「この技術は人間用なんだけどねえ。まあ、猛獣に通用するか興味がある」
10: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 08:55:42 ID:vnufMj7U
コニー「オイオイ、あの二人がやんのか?」
サシャ「夢のカードが!」
マルコ「やっぱりアニかな?」
ジャン「は!? バカか! 俺はミカサに晩飯全部だ!」
アルミン「普通にやれたらミカサが勝つよ。でも、いまのミカサは普通じゃない」
ジャン「は? どういうことだよそれ? もう晩飯全部賭けちゃったんだが!?」
アルミン「いまのミカサは、こころの支えを失っているんだ。だから、エレンの態度次第では、ミカサは負ける」
サシャ「夢のカードが!」
マルコ「やっぱりアニかな?」
ジャン「は!? バカか! 俺はミカサに晩飯全部だ!」
アルミン「普通にやれたらミカサが勝つよ。でも、いまのミカサは普通じゃない」
ジャン「は? どういうことだよそれ? もう晩飯全部賭けちゃったんだが!?」
アルミン「いまのミカサは、こころの支えを失っているんだ。だから、エレンの態度次第では、ミカサは負ける」
11: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 09:00:42 ID:vnufMj7U
アニ「」フンッ
ミカサ「」ヒョイッ
ミカサ「」バシッ
アニ「うっ――」ズキッ
ミカサ「」バシッバシッ
アニ「」ボコッボコッ
ミカサ(やはり、私は強い。すごく強い。ので、アニすら軽く倒すことができる)
ミカサ「これで、最後」ヒュッ
エレン「もう止めてやれよミカサ!」
バコッ
エレン「うぐっ……」
ミカサ「エレン!」
ミカサ「」ヒョイッ
ミカサ「」バシッ
アニ「うっ――」ズキッ
ミカサ「」バシッバシッ
アニ「」ボコッボコッ
ミカサ(やはり、私は強い。すごく強い。ので、アニすら軽く倒すことができる)
ミカサ「これで、最後」ヒュッ
エレン「もう止めてやれよミカサ!」
バコッ
エレン「うぐっ……」
ミカサ「エレン!」
12: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 09:07:54 ID:vnufMj7U
アルミン「大変だ! ミカサがエレンをKOしてしまった!」
ジャン「エレンのやつ、ふたりの戦いを止めようとしてミカサに蹴られやがった羨ましい!」
マルコ「エレンが動かなくなっちゃってるよ!」
コニー「オイオイ、オイオイオイオイオイまーたエレンは気絶したのか!?」
ミカサ(とんでもないことをしてしまった。エレンの顔面にクリティカルヒットさせてしまった)
アニ「アンタ、私を庇って……どうしてそんなことを」
エレン「…………アニ?」
アニ「!」
ミカサ「エレン!」
アルミン「エレンの意識は無事みたいだね。二日連続気絶は免れたみたいだ」
ジャン「エレンのやつ、ふたりの戦いを止めようとしてミカサに蹴られやがった羨ましい!」
マルコ「エレンが動かなくなっちゃってるよ!」
コニー「オイオイ、オイオイオイオイオイまーたエレンは気絶したのか!?」
ミカサ(とんでもないことをしてしまった。エレンの顔面にクリティカルヒットさせてしまった)
アニ「アンタ、私を庇って……どうしてそんなことを」
エレン「…………アニ?」
アニ「!」
ミカサ「エレン!」
アルミン「エレンの意識は無事みたいだね。二日連続気絶は免れたみたいだ」
13: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 09:15:30 ID:vnufMj7U
アニ「どうして身を挺したんだい?」
エレン「もう決着はついてただろ? これ以上の戦いは不毛だ」
アニ「変な所でお人よしなんだねアンタは」
エレン「俺もお前に同じことを言いたいよ」
アニ「ふふっ」
エレン「そもそも蹴られるの嫌だろ? 痛いし」
アニ「……そろそろ休憩だね。今日の事は仮にしとくよ」スタスタ
クリスタ「エレン大丈夫!?」
エレン「もう決着はついてただろ? これ以上の戦いは不毛だ」
アニ「変な所でお人よしなんだねアンタは」
エレン「俺もお前に同じことを言いたいよ」
アニ「ふふっ」
エレン「そもそも蹴られるの嫌だろ? 痛いし」
アニ「……そろそろ休憩だね。今日の事は仮にしとくよ」スタスタ
クリスタ「エレン大丈夫!?」
14: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 09:21:04 ID:vnufMj7U
エレン「心配すんなクリスタ。あ、いてててて――」
クリスタ「膝を擦りむいちゃってる! 大変!」
エレン「こんなのツバでも付けておけば治るさ」
クリスタ「そうなのかな……」
クリスタ「もしよかったら、私の唾液を使ってよ」ポトッ
エレン「あぁなんか効く気がするわ」
クリスタ「こんな汚い唾液しかなくて、ごめん」テレテレ
エレン「いや……助かる」
ミカサ「」
ライナー「」
クリスタ「」ニヤッ
クリスタ「膝を擦りむいちゃってる! 大変!」
エレン「こんなのツバでも付けておけば治るさ」
クリスタ「そうなのかな……」
クリスタ「もしよかったら、私の唾液を使ってよ」ポトッ
エレン「あぁなんか効く気がするわ」
クリスタ「こんな汚い唾液しかなくて、ごめん」テレテレ
エレン「いや……助かる」
ミカサ「」
ライナー「」
クリスタ「」ニヤッ
15: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 09:25:57 ID:vnufMj7U
【休憩中】
ミカサ「わたしが頑張れば頑張るほど、エレンに嫌われてゆく」
ミカサ「かなしい」
アルミン「たぶんミカサは、積極的過ぎるんじゃないかな?」
ミカサ「好きな子には積極的にアピールしたほうがいいって、カルラおばさんが言ってた」
アルミン「それはそうなんだけど、押し引きっていう言葉があってね」
アルミン「今までグイグイ来てた相手が急に素っ気なくなると、逆にそれが気になっちゃうっていうパターンもあるんだ」
ミカサ「そう。知らなかった」
アルミン「だからミカサ、敢えてエレンに素っ気なくしてみよう」
アルミン「ミカサは首から上は凄く素敵だから、エレンも案外コロッといくかも」
ミカサ「わかった。アルミンの言う通りにしてみよう」
ミカサ「わたしが頑張れば頑張るほど、エレンに嫌われてゆく」
ミカサ「かなしい」
アルミン「たぶんミカサは、積極的過ぎるんじゃないかな?」
ミカサ「好きな子には積極的にアピールしたほうがいいって、カルラおばさんが言ってた」
アルミン「それはそうなんだけど、押し引きっていう言葉があってね」
アルミン「今までグイグイ来てた相手が急に素っ気なくなると、逆にそれが気になっちゃうっていうパターンもあるんだ」
ミカサ「そう。知らなかった」
アルミン「だからミカサ、敢えてエレンに素っ気なくしてみよう」
アルミン「ミカサは首から上は凄く素敵だから、エレンも案外コロッといくかも」
ミカサ「わかった。アルミンの言う通りにしてみよう」
16: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 09:31:55 ID:vnufMj7U
【夜 食堂】
ミカサ「アルミンお疲れ」
エレン「おう――って、あれ?」
アルミン「どうしたのエレン?」
エレン「いや、別に何でもない――」
ミカサ「アルミン、明日の立体機動訓練に向けてしっかり食べないとダメ」
アルミン「わかってるよミカサ」
ミカサ「アルミンが栄養失調になったら、私は悲しい」
アルミン「気にし過ぎだよミカサ」
ミカサ「アルミンには風邪などをひかずに元気で過ごしてほしい」
アルミン「ぼくは見た目より健康なんだよ、よく虚弱だと思われるけど」
ミカサ「わたしもそんなイメージがある。アルミンだけが、私の帰るべき場所だから」
アルミン「ミカサったら大袈裟だなあ」
エレン(…………何なんだこれは)
ミカサ「アルミンお疲れ」
エレン「おう――って、あれ?」
アルミン「どうしたのエレン?」
エレン「いや、別に何でもない――」
ミカサ「アルミン、明日の立体機動訓練に向けてしっかり食べないとダメ」
アルミン「わかってるよミカサ」
ミカサ「アルミンが栄養失調になったら、私は悲しい」
アルミン「気にし過ぎだよミカサ」
ミカサ「アルミンには風邪などをひかずに元気で過ごしてほしい」
アルミン「ぼくは見た目より健康なんだよ、よく虚弱だと思われるけど」
ミカサ「わたしもそんなイメージがある。アルミンだけが、私の帰るべき場所だから」
アルミン「ミカサったら大袈裟だなあ」
エレン(…………何なんだこれは)
18: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 18:44:34 ID:vnufMj7U
クリスタ「おはようみんな」
エレン「おう」
アルミン「おはよう」
ミカサ「おはよう」ニコッ
クリスタ「」ヒエッ
ミカサ「クリスタは、今日も可愛い。すごく可愛い」
クリスタ「あ、ありがとうミカサ」
ミカサ「わたしもクリスタみたいな可愛さがほしい」
クリスタ「ミカサこそ十分可愛いと思うよ?」
ミカサ「そんなことはない。クリスタの可愛さが羨ましい」
ミカサ「わたしなんて全然大したことはない。クリスタは女神」
クリスタ「女神だなんて賛辞が過ぎるよ。わたしこそミカサみたいなクールビューティーに憧れる」
ミカサ「クールなことが良い事とは限らない。クリスタのような愛嬌は大事。それで男は手玉に取れる」
クリスタ「もうミカサったら、忌憚のない発言だなあ」
アルミン「」ガクガクブルブル
エレン「おう」
アルミン「おはよう」
ミカサ「おはよう」ニコッ
クリスタ「」ヒエッ
ミカサ「クリスタは、今日も可愛い。すごく可愛い」
クリスタ「あ、ありがとうミカサ」
ミカサ「わたしもクリスタみたいな可愛さがほしい」
クリスタ「ミカサこそ十分可愛いと思うよ?」
ミカサ「そんなことはない。クリスタの可愛さが羨ましい」
ミカサ「わたしなんて全然大したことはない。クリスタは女神」
クリスタ「女神だなんて賛辞が過ぎるよ。わたしこそミカサみたいなクールビューティーに憧れる」
ミカサ「クールなことが良い事とは限らない。クリスタのような愛嬌は大事。それで男は手玉に取れる」
クリスタ「もうミカサったら、忌憚のない発言だなあ」
アルミン「」ガクガクブルブル
19: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 18:56:05 ID:vnufMj7U
エレン「ふたりとも仲直りしたんだな。どうやったんだミカサ?」
ミカサ「普通のことをしただけ」
エレン「普通のことってなんだよ?」
ミカサ「エレンには関係ない。鬱陶しいから訊いてこないで」
エレン「」
アルミン(エレンの表情が曇った! 効いてる効いてる!)
ミカサ(アルミンが『その調子だ』という顔をしている。今が畳みかけるときなのだろう)
ミカサ(心を鬼にして接しよう。わたしならできるはず)
ミカサ「そもそもエレンはむかしから態度だけ偉そうで役に立たないばかりか腰抜けだ」
ミカサ「立体機動も対人格闘も座学も体力もわたしより下」
ミカサ「たまには格好良いところを見てみたいのに残念だ。わたしは正直失望している」
ミカサ「そればかりか色恋沙汰にうつつを抜かして兵士としての訓練を蔑ろにしている」
ミカサ「このままでは開拓地へ向かわされる日も近いだろう。訓練学校の劣等生。それがエレン・イェーガー」
ミカサ「たまには流石という一面を垣間見せてほしい。しかしもう、それは叶わぬ泡沫の夢」
ミカサ「普通のことをしただけ」
エレン「普通のことってなんだよ?」
ミカサ「エレンには関係ない。鬱陶しいから訊いてこないで」
エレン「」
アルミン(エレンの表情が曇った! 効いてる効いてる!)
ミカサ(アルミンが『その調子だ』という顔をしている。今が畳みかけるときなのだろう)
ミカサ(心を鬼にして接しよう。わたしならできるはず)
ミカサ「そもそもエレンはむかしから態度だけ偉そうで役に立たないばかりか腰抜けだ」
ミカサ「立体機動も対人格闘も座学も体力もわたしより下」
ミカサ「たまには格好良いところを見てみたいのに残念だ。わたしは正直失望している」
ミカサ「そればかりか色恋沙汰にうつつを抜かして兵士としての訓練を蔑ろにしている」
ミカサ「このままでは開拓地へ向かわされる日も近いだろう。訓練学校の劣等生。それがエレン・イェーガー」
ミカサ「たまには流石という一面を垣間見せてほしい。しかしもう、それは叶わぬ泡沫の夢」
20: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 19:17:21 ID:vnufMj7U
エレン「」スタッ
アルミン「エレン? 急に立ち上がってどうしたの?」
エレン「」スタスタ
ミカサ「どこへ行くのエレン?」
クリスタ「待ってエレン!」スタスタ
ミカサ「エレン!」
アルミン「まってミカサ!」
ミカサ「でも!」
アルミン「これでいいんだよ。構うことだけが愛情じゃない。勇敢に行動しよう」
ミカサ「エレンは、怒っていたはず」
アルミン「かもね。正直、あそこまでフルスロットルでかますとは思わなかったよ。突き放すっていうより罵声を浴びせてたし」
ミカサ「さじ加減が分からなかった」シュン
アルミン「でもこれでいいと思う。たしかに最近のエレンには、ミカサのいうとおり甘えが生じていた気がするよ」
ミカサ「だからといって……エレンには優しくしたい」
アルミン「さっきもいったでしょう。咎めることだって立派な優しさだよ。特にエレンみたいなタイプは、叱って伸ばす方がいいはず」
アルミン「エレン? 急に立ち上がってどうしたの?」
エレン「」スタスタ
ミカサ「どこへ行くのエレン?」
クリスタ「待ってエレン!」スタスタ
ミカサ「エレン!」
アルミン「まってミカサ!」
ミカサ「でも!」
アルミン「これでいいんだよ。構うことだけが愛情じゃない。勇敢に行動しよう」
ミカサ「エレンは、怒っていたはず」
アルミン「かもね。正直、あそこまでフルスロットルでかますとは思わなかったよ。突き放すっていうより罵声を浴びせてたし」
ミカサ「さじ加減が分からなかった」シュン
アルミン「でもこれでいいと思う。たしかに最近のエレンには、ミカサのいうとおり甘えが生じていた気がするよ」
ミカサ「だからといって……エレンには優しくしたい」
アルミン「さっきもいったでしょう。咎めることだって立派な優しさだよ。特にエレンみたいなタイプは、叱って伸ばす方がいいはず」
21: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 19:38:32 ID:vnufMj7U
【立体機動 訓練場】
エレン「」ジャキ ジャキ
キース(今日のエレン・イェーガーの動きには、目を見張るものがある)
キース(最近少し緩んでいる様子が散見されたが、今日は訓練に身が入っていて素晴らしい)
キース(なにか心境の変化でもあったか)
【休憩中】
クリスタ「エレンすごいね! 全然追いつけなかったよ!」
エレン「殺シテヤル――」
クリスタ「えっ?」
エレン「俺は巨人を駆逐してやる。一匹残らず。そのためにここに来たんだ」
クリスタ「知ってるよ。前に食堂で話してたもんね。すごく素敵な志だと思う!」
エレン「でもこのままじゃ餌になって終わりなんだ。もっと、もっと強くならないと」
クリスタ「エレンは強いよ。すごく強い。だからエレンなら、きっと憎い巨人を駆逐できる」
エレン「俺はそうは思わない」
クリスタ「あ……えへへ。そうなのかもしれないね」
エレン「」ジャキ ジャキ
キース(今日のエレン・イェーガーの動きには、目を見張るものがある)
キース(最近少し緩んでいる様子が散見されたが、今日は訓練に身が入っていて素晴らしい)
キース(なにか心境の変化でもあったか)
【休憩中】
クリスタ「エレンすごいね! 全然追いつけなかったよ!」
エレン「殺シテヤル――」
クリスタ「えっ?」
エレン「俺は巨人を駆逐してやる。一匹残らず。そのためにここに来たんだ」
クリスタ「知ってるよ。前に食堂で話してたもんね。すごく素敵な志だと思う!」
エレン「でもこのままじゃ餌になって終わりなんだ。もっと、もっと強くならないと」
クリスタ「エレンは強いよ。すごく強い。だからエレンなら、きっと憎い巨人を駆逐できる」
エレン「俺はそうは思わない」
クリスタ「あ……えへへ。そうなのかもしれないね」
22: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 22:08:55 ID:vnufMj7U
アルミン「エレンの顔つきに精悍さが戻ってる。効果はてきめんだ」
ミカサ「エレンに申し訳ないことをした。今すぐに謝りたい」
アルミン「まあまあミカサ。もう少し傍観しておこうよ」
ミカサ「わかった。それにしても――」
ミカサ「あの女、絶対に許さない」
アルミン「クリスタのこと?」
ミカサ「」コクリ
アルミン「今日の朝は不気味なほどクリスタと仲良かったけど、あれはもちろん演技だよね?」
ミカサ「敵を駆逐するためには、まず油断させることが重要」
ミカサ「わたしのことを味方だと信じ込ませたところを、削ぐ」スチャ
ミカサ「エレンに申し訳ないことをした。今すぐに謝りたい」
アルミン「まあまあミカサ。もう少し傍観しておこうよ」
ミカサ「わかった。それにしても――」
ミカサ「あの女、絶対に許さない」
アルミン「クリスタのこと?」
ミカサ「」コクリ
アルミン「今日の朝は不気味なほどクリスタと仲良かったけど、あれはもちろん演技だよね?」
ミカサ「敵を駆逐するためには、まず油断させることが重要」
ミカサ「わたしのことを味方だと信じ込ませたところを、削ぐ」スチャ
23: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 22:17:33 ID:vnufMj7U
アルミン「クリスタはそんな単純な女じゃないと思うよ」
ミカサ「アルミンどうして?」
アルミン「朝だってバッチバチだった。完全に女の闘いが封切られていた印象だよ」
アルミン「敵は思っている以上に手ごわいよ。自分のことを絶世の美少女だと把握している」
アルミン「男なんて微笑むだけで落とせると分かってる。男なんてボディータッチするだけで鼻血を出すと理解している」
アルミン「王族みたいに高貴なスマイルを浮かべられたら、腹筋バカのミカサじゃ分が悪いよ」
ミカサ「たしかに笑顔の可憐さならばあの女には敵わない」
アルミン「天と地ほどの差があるね」
ミカサ「しかし問題ない。死体はどうやったって笑わない」スチャ
アルミン「刃傷沙汰はダメだよミカサ! 仲間に肉体的なダメージを与えたらそれこそエレンと一緒にいられなくなる」
ミカサ「……私は冷静じゃなかった」スッ
ミカサ「しかしあの女は許せない。精神的に完膚なきまでに駆逐してみせる」
ミカサ「アルミンどうして?」
アルミン「朝だってバッチバチだった。完全に女の闘いが封切られていた印象だよ」
アルミン「敵は思っている以上に手ごわいよ。自分のことを絶世の美少女だと把握している」
アルミン「男なんて微笑むだけで落とせると分かってる。男なんてボディータッチするだけで鼻血を出すと理解している」
アルミン「王族みたいに高貴なスマイルを浮かべられたら、腹筋バカのミカサじゃ分が悪いよ」
ミカサ「たしかに笑顔の可憐さならばあの女には敵わない」
アルミン「天と地ほどの差があるね」
ミカサ「しかし問題ない。死体はどうやったって笑わない」スチャ
アルミン「刃傷沙汰はダメだよミカサ! 仲間に肉体的なダメージを与えたらそれこそエレンと一緒にいられなくなる」
ミカサ「……私は冷静じゃなかった」スッ
ミカサ「しかしあの女は許せない。精神的に完膚なきまでに駆逐してみせる」
24: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 22:24:03 ID:vnufMj7U
アルミン「う~ん……提案なんだけどさ、いっそのことミカサとクリスタのふたりで話し合ってみればいいんじゃないかな?」
アルミン「このままウダウダやっていても空気が悪くなるだけだ」
アルミン「クリスタだってエレンとミカサの仲は分かってるはずだから、まずは話し合ってみるべきだよ」
ミカサ「話し合いは苦手。そして不毛」
アルミン「そうは言わずにさ」
ミカサ「せめてアルミンが居てくれないと不安」
アルミン「まあたしかにミカサの残念な言語力では不安かもしれないけど」
ミカサ「でもアルミンがセコンドについてくれるなら、やってみようと思う」
アルミン(殴り合いする気じゃないよね?)
アルミン「このままウダウダやっていても空気が悪くなるだけだ」
アルミン「クリスタだってエレンとミカサの仲は分かってるはずだから、まずは話し合ってみるべきだよ」
ミカサ「話し合いは苦手。そして不毛」
アルミン「そうは言わずにさ」
ミカサ「せめてアルミンが居てくれないと不安」
アルミン「まあたしかにミカサの残念な言語力では不安かもしれないけど」
ミカサ「でもアルミンがセコンドについてくれるなら、やってみようと思う」
アルミン(殴り合いする気じゃないよね?)
25: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 22:30:29 ID:vnufMj7U
【休憩中】
アルミン「クリスタ、ちょっといいかな」
クリスタ「どうしたの?」
アルミン「ちょっとこっちに来てほしい」
クリスタ「?」
ミカサ「クリスタ」
クリスタ「」ギクッ
アルミン「大丈夫だよクリスタ。ミカサは普段から根暗で無愛想で圧が強いから」
クリスタ「あはは……」
ミカサ「クリスタ、話がある」
クリスタ「どんな話?」
ミカサ「エレンに関すること」
クリスタ「……へえ」
ミカサ「わたしたちは分かっている。あなたはエレンのことが好き」
クリスタ「それは……たしかにエレンのことは好きだよ」
クリスタ「でもそれは、兵士としての目的意識が高くて憧れるってだけなの。その……男として好きとか、そういう類いの事じゃないの」
アルミン「クリスタ、ちょっといいかな」
クリスタ「どうしたの?」
アルミン「ちょっとこっちに来てほしい」
クリスタ「?」
ミカサ「クリスタ」
クリスタ「」ギクッ
アルミン「大丈夫だよクリスタ。ミカサは普段から根暗で無愛想で圧が強いから」
クリスタ「あはは……」
ミカサ「クリスタ、話がある」
クリスタ「どんな話?」
ミカサ「エレンに関すること」
クリスタ「……へえ」
ミカサ「わたしたちは分かっている。あなたはエレンのことが好き」
クリスタ「それは……たしかにエレンのことは好きだよ」
クリスタ「でもそれは、兵士としての目的意識が高くて憧れるってだけなの。その……男として好きとか、そういう類いの事じゃないの」
26: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 22:38:44 ID:vnufMj7U
アルミン「それはどうだろう。最近のクリスタの行動を、単なる憧れでまとめるのは厳しいよ」
アルミン「核心をついてしまうと、キミはエレンに恋をしているんじゃないかい?」
クリスタ「……違う。わたしはエレンに恋なんてしてない」
アルミン「ミカサがエレンに恋心を抱いているのは知ってるよね?」
クリスタ「もちろん知ってるよ。そんなのココの人ならだれでも知ってることでしょ」
ミカサ(え? マジで?)
アルミン「それを知っていてもなお、キミはエレンに接近した。ミカサに対する宣戦布告と捉えられても仕方ないよ」
クリスタ「だからそれは違うの……たしかにエレンのことも好きだし、なんだか放っておけないというか、母性本能をくすぐられるというか――」
クリスタ「強がってるようで実は繊細な所もキュンとくるし、ちょっと親切にするだけで凄くうれしそうにしてくれるし――)
クリスタ「だけどわたしがエレンに接近したのは、あくまできっかけが欲しかっただけ……」
アルミン「どのようなきっかけかな?」
クリスタ「……ミカサ」
ミカサ「なに?」
クリスタ「だから、ミカサ! わたしはミカサと親しくなれるきっかけが欲しかったの!」
ミカサ「……えっ」
アルミン「核心をついてしまうと、キミはエレンに恋をしているんじゃないかい?」
クリスタ「……違う。わたしはエレンに恋なんてしてない」
アルミン「ミカサがエレンに恋心を抱いているのは知ってるよね?」
クリスタ「もちろん知ってるよ。そんなのココの人ならだれでも知ってることでしょ」
ミカサ(え? マジで?)
アルミン「それを知っていてもなお、キミはエレンに接近した。ミカサに対する宣戦布告と捉えられても仕方ないよ」
クリスタ「だからそれは違うの……たしかにエレンのことも好きだし、なんだか放っておけないというか、母性本能をくすぐられるというか――」
クリスタ「強がってるようで実は繊細な所もキュンとくるし、ちょっと親切にするだけで凄くうれしそうにしてくれるし――)
クリスタ「だけどわたしがエレンに接近したのは、あくまできっかけが欲しかっただけ……」
アルミン「どのようなきっかけかな?」
クリスタ「……ミカサ」
ミカサ「なに?」
クリスタ「だから、ミカサ! わたしはミカサと親しくなれるきっかけが欲しかったの!」
ミカサ「……えっ」
27: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 22:47:08 ID:vnufMj7U
クリスタ「言ったでしょう!? ミカサのこと可愛い、って。クールビューティーに憧れる、って」
クリスタ「わたしがエレンに近づいたのは、ミカサと仲良くなりたかったから! ミカサに恋していたからなの!」
クリスタ「でもエレンと話しているうちに、エレンのことも気になってきてしまって――」
クリスタ「私は今、いったい誰に恋しているのか分からない……誰か私を見つけてほしい……」
アルミン(想定外の事態になった。とりあえずぼくの出る幕はないな、うん)
アルミン「ぼくはあっちに行ってるよ。あとはふたりで楽しんで!」スタスタ
ミカサ「」
クリスタ「どうしてこうなっちゃったんだろう……もう嫌だ……」ポロポロ
ミカサ「……クリスタ、こっちを見て」
クリスタ「ミカサ? もしかして、慰めてくれるの?」
ミカサ「落ち着いて。今は感傷的になってる場合じゃない」
クリスタ「」
クリスタ「わたしがエレンに近づいたのは、ミカサと仲良くなりたかったから! ミカサに恋していたからなの!」
クリスタ「でもエレンと話しているうちに、エレンのことも気になってきてしまって――」
クリスタ「私は今、いったい誰に恋しているのか分からない……誰か私を見つけてほしい……」
アルミン(想定外の事態になった。とりあえずぼくの出る幕はないな、うん)
アルミン「ぼくはあっちに行ってるよ。あとはふたりで楽しんで!」スタスタ
ミカサ「」
クリスタ「どうしてこうなっちゃったんだろう……もう嫌だ……」ポロポロ
ミカサ「……クリスタ、こっちを見て」
クリスタ「ミカサ? もしかして、慰めてくれるの?」
ミカサ「落ち着いて。今は感傷的になってる場合じゃない」
クリスタ「」
28: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 22:57:26 ID:vnufMj7U
ミカサ「クリスタ、あなたは、わたしにないものを持っている」
ミカサ「それが羨ましかった」
クリスタ「それは私も同じだよミカサ」
ミカサ「そう」
クリスタ「……側に行ってもいいかな?」
ミカサ「構わない」
クリスタ「じゃあ、お言葉に甘えて」ギュッ
クリスタ(いつ見ても美しいミカサの横顔。それを独占している。なんて贅沢なひととき)
ミカサ(側で見るクリスタは、美しい。ライナーたちが結婚を望むのも理解できる)
クリスタ(物怖じせずに凛としていて本当に格好いい。仕事のできる女性を体現しているよミカサは)
ミカサ(クリスタが頬を染めている。肩が少しだけ震えているのは緊張なのだろうか)
クリスタ(こうしてくっついているだけでも幸せだ。やっぱり私の恋はミカサに宛てられているんだろう)
ミカサ(クリスタは華奢な体躯をしている。ゆえに俊敏な立ち回りが可能なのだろう。でも、もう少し筋肉をつけたほうがいい)
クリスタ(……このまま時が止まればいいな)
ミカサ(……このまま時が過ぎるのも悪くない)
ミカサ「それが羨ましかった」
クリスタ「それは私も同じだよミカサ」
ミカサ「そう」
クリスタ「……側に行ってもいいかな?」
ミカサ「構わない」
クリスタ「じゃあ、お言葉に甘えて」ギュッ
クリスタ(いつ見ても美しいミカサの横顔。それを独占している。なんて贅沢なひととき)
ミカサ(側で見るクリスタは、美しい。ライナーたちが結婚を望むのも理解できる)
クリスタ(物怖じせずに凛としていて本当に格好いい。仕事のできる女性を体現しているよミカサは)
ミカサ(クリスタが頬を染めている。肩が少しだけ震えているのは緊張なのだろうか)
クリスタ(こうしてくっついているだけでも幸せだ。やっぱり私の恋はミカサに宛てられているんだろう)
ミカサ(クリスタは華奢な体躯をしている。ゆえに俊敏な立ち回りが可能なのだろう。でも、もう少し筋肉をつけたほうがいい)
クリスタ(……このまま時が止まればいいな)
ミカサ(……このまま時が過ぎるのも悪くない)
29: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 23:07:31 ID:vnufMj7U
【翌朝 食堂】
エレン「おはよう」
アルミン「おはようエレン」
ミカサ「おはよう」
エレン「ミカサ、おはよう!」
エレン(よかった。ちゃんと返事してくれた。昨日は虫の居所が悪かったんだな、きっと)
クリスタ「おはよう!」
エレン「おはようクリ――」
クリスタ「ミカサっ!」ギュー
エレン「」
ミカサ「クリスタ。皆が見ている」
クリスタ「そんなの関係ないよ! ミカサが愛しい! 愛しいミカサ!」チュッ
エレン「」
アルミン(結局あの後どうなったんだろう。まあいっか、二人とも幸せそうだし)
エレン「おはよう」
アルミン「おはようエレン」
ミカサ「おはよう」
エレン「ミカサ、おはよう!」
エレン(よかった。ちゃんと返事してくれた。昨日は虫の居所が悪かったんだな、きっと)
クリスタ「おはよう!」
エレン「おはようクリ――」
クリスタ「ミカサっ!」ギュー
エレン「」
ミカサ「クリスタ。皆が見ている」
クリスタ「そんなの関係ないよ! ミカサが愛しい! 愛しいミカサ!」チュッ
エレン「」
アルミン(結局あの後どうなったんだろう。まあいっか、二人とも幸せそうだし)
30: nepia ◆kZNznMCWtw 2017/05/29(月) 23:09:03 ID:vnufMj7U
クリスタ「わたしもミカサみたいに腹筋バキバキになりたい! 筋肉隆々になって幼さを捨て去りたい!」
ライナー「」ガタッ
ミカサ「わたしもクリスタのように女子力を高めよう。キュートでチャーミングな女の子になろう」
ジャン「」ブシュー
マルコ「誰か!? ジャンが鼻血を吹き出した!」
クリスタ「ああもうミカサ大好き! ミカサ好き好き大好きチュッチュ」
ミカサ「この世界は美しい――」
エレン「」ガクガクブルブル
完
ライナー「」ガタッ
ミカサ「わたしもクリスタのように女子力を高めよう。キュートでチャーミングな女の子になろう」
ジャン「」ブシュー
マルコ「誰か!? ジャンが鼻血を吹き出した!」
クリスタ「ああもうミカサ大好き! ミカサ好き好き大好きチュッチュ」
ミカサ「この世界は美しい――」
エレン「」ガクガクブルブル
完
掲載元:http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1495994879/
Entry ⇒ 2017.11.30 | Category ⇒ 進撃の巨人 | Comments (0)
晶葉「なに? 幸子の誕生日を忘れてただと?!」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 07:03:42.18 ID:62LVFto6o
モバP「どうしようどうしようどうしようやべえよやべえよ」
モバP「昨日は久々のオフなのに、珍しく誰の誘いもなかったから」
モバP「ぶっ倒れるように昼までガッツリ寝てから、久々にサウナなんか行っちゃってたっぷり汗ながしてさあ」
モバP「明るいうちからビールなんて飲んじゃって、つい休憩所でもうひと眠りしちゃってさあ」
モバP「やっべもう日付変わっちゃったじゃん、帰ってちゃんと寝ようとロッカーで着替えながらスマホを見るとね」
モバP「着信メールラインアホみたいにつきまくってて、こんな感じよ」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 07:04:18.36 ID:62LVFto6o
プロデューサーさん、幸子ちゃん待ってるよ ずっと
あの そろそろ 来てくれないと困るんですけど……
連絡付き次第大至急返信お願いします。
流石にまゆもそちらには伺えませんので、急いでくださいねえ
おい、いいかげんヤバいぞ
モバP「血の気が引くとはこのことだね」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 07:04:53.87 ID:62LVFto6o
モバP「そうだった、今日、いや正しくは昨日は幸子の誕生日」
モバP「だからこそのオフ、だからこそみんな気を使って誰も誘ってこなかった」
モバP「一日幸子のために体を開けて、祝ってやる、喜ばせてやるはずだった」
モバP「なのに、半年にも及ぶ連続勤務! 張り詰めた糸が切れた瞬間!」
モバP「大事なことがすっ飛んじまった! 忘れるはずがないから! スケジュール帳にも書いてなかった!」
モバP「なんというミステイク! なんという落とし穴!」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 07:05:29.61 ID:62LVFto6o
モバP「そういうわけで晶葉すまん! タイムマシンだタイムマシンで俺を昨日に戻してくれたのむ」
晶葉「まったく、助手はあきれた男だな」
モバP「返す言葉もございません! 何卒、何卒お願いいたします!」
晶葉「実に見事な土下座だが、頭を下げる相手が違うのではないのかね?」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 07:06:10.35 ID:62LVFto6o
モバP「まことにおっしゃる通りでございます! もうこれは、全面的に俺が悪い!」
モバP「謝って済まされるならいくらでもする! 償えるならなんだってする!」
モバP「しかしながら、しかしながら!」
モバP「幸子に謝罪する、という事は、誕生日を祝うことができなかったという事象が確定してしまうという事」
モバP「仮に俺が許されたとしても、祝われなかった、忘れられていた、という幸子の心の傷は癒えることは無い」
モバP「ですのでここはこれが最善手」
モバP「大天才池袋晶葉教授の手によって、事象が確定する前に修正ができれば誰も泣かずに済むのです!」
モバP「どうか、どうかお願いいたします! タイムマシンを! 何卒!」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 07:06:40.56 ID:62LVFto6o
晶葉「なるほど論理的だ。だが無いぞ」
モバP「え?」
晶葉「タイムマシンなど、無い」
モバP「マジで? こんなこともあろうかと用意してるもんでしょ!?」
晶葉「無いものは無いんだ。科学にだって不可能なものはある」
モバP「 」
晶葉「さあ、幸子に謝りにいこう? 土下座強制機なら開発してあるが、助手には必要ないだろう?」
モバP「焼き土下座……それじゃ足りねえ……謝罪……指一本……いや足りねえなあ……左腕を落とすか……」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 07:07:16.89 ID:62LVFto6o
バーーン!!!
??「ちょぉーーーっと待ってください! 話は聞かせてもらいました!」
モバP「あ、あなたは!?」
菜々「昨日に戻りたい、あの頃に帰りたい、その気持ちよーくわかります!」
菜々「ウサミンパワーで解決しちゃいましょう、プロデューサーさん!」
モバP「なるほど、毎年毎年いくつになっても17歳に戻るすべを知っている菜々さんなら」
晶葉「誕生日を遡る事も可能という訳か」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 07:07:57.29 ID:62LVFto6o
菜々「いやいやいや、そんな難しい事じゃないんです、兎に角、あまり時間がありませんから急いで」
菜々「晶葉ちゃん、ラボにロケットはあるよね? ニンジン型の」
晶葉「ああ、あるにはあるが」
菜々「じゃあプロデューサーさんは乗り込んじゃってください! 晶葉ちゃん、発射準備!」
モバP「おいおいどういうことだウサミン星にでも行くわけじゃあるまいし」
晶葉「なるほどそういう事か! だがロケットはまずい。制空権があるからミサイルと間違われると国際問題だ」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 07:08:34.93 ID:62LVFto6o
バーーン!!!
??「話は聞かせてもらいましたわ!」
モバP「あ、あなたは!?」
桃華「こんなこともあろうかと、Pちゃまのために自家用ジェットを用意しておきましたの!」
晶葉「流石は桃華だ、助かるな!」
モバP「どんなことがあったら用意してあるのかはわからんが助かった!」
菜々「さあ乗って乗って! 目的地はアメリカ、サンフランシスコです!」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 07:09:14.97 ID:62LVFto6o
~~サンフランシスコ~~
モバP「ギリギリだったな」
晶葉「ああ、ギリギリだった」
菜々「でも、間に合ったじゃないですか」
桃華「お役に立てたようでよかったですわ」
晶葉「サンフランシスコまでの飛行時間が9時間、時差が-17時間で日付変更線を跨ぐ。ギリギリで11月25日だ」
菜々「これで幸子ちゃんの誕生日を今日中に祝うことができますね!」
桃華「でも、Pちゃま、プレゼントとか用意してありますの?」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 07:10:10.56 ID:62LVFto6o
モバP「ああ、大丈夫だ、飛行機の中で考えておいたからな」
モバP「都合良く調達もできた」
モバP「菜々、お前にカメラをまかせるから、見届けてくれ」
モバP「幸子、お前がいつか見せた勇気、それに応え、祝うにはこれしかねえぇぇ!!!!」
サンフランシスコといえば名物ゴールデンブリッジ。
飛行機からくすねてきたパラシュートを背負い一気にダイブだ!!
モバP「幸子ォォォォォォ!!!! たァァんじょォォォォびィィィィ!!! おォォめでとォォう!!!!!!」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 07:10:46.61 ID:62LVFto6o
晶葉、菜々、桃華、ありがとう。ありがとうアメリカ、ありがとうサンフランシスコ。
これでなんとかなったかどうかはわからない。幸子には申し訳ない事をした。
それでも、祝いたかったんだ。忘れてたけどなんとかして祝いたかったんだ。
USA民パワーで日付をチェーンジ!! END!!!
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 07:38:20.84 ID:62LVFto6o
リアルで日付が変わってから昨日誕生日だったのに気付いて書き始めました。
あ、結局幸子出てねえわ、すまぬ。
あ、結局幸子出てねえわ、すまぬ。
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 10:38:51.13 ID:dgZ3gWmDO
なんだこの勢いは
おつおつ
おつおつ
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/26(日) 15:42:53.38 ID:hGE7ugwv0
おつ
反応どころか幸子が登場すらしてこないのが一番怖いな…
反応どころか幸子が登場すらしてこないのが一番怖いな…
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1511647421/
Entry ⇒ 2017.11.30 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
穂乃果「めざせポケモンチャンピオン!」
1: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:00:23.48 ID:fR1Tt0yz0
何番煎じか分かりませんが、ラブライブとポケモンのクロスssです。
拙い文章力ではありますが、生暖かい目で見守っていただけると幸いです。
拙い文章力ではありますが、生暖かい目で見守っていただけると幸いです。
2: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:01:22.64 ID:fR1Tt0yz0
第1話 穂乃果はこの子と旅に出る
ツバサ「ボーマンダ、りゅうのまい!」
ボーマンダ「ボァアアアア!」
激しい舞により、ボーマンダの力が急速に高まっていく……!
エリートトレーナー「ヨノワール、れいとうパンチだ!」
ヨノワール「ヨノォーワッ!」
氷を帯びたヨノワールの拳が、舞を続けるボーマンダに迫る。
だが、その拳が直撃する寸前、ボーマンダの舞が終演を迎えた。
ツバサ「かわしなさい!」
エリートトレーナー「何⁉」
ボーマンダはヨノワールの攻撃を紙一重でかわす。
そして、勢い余ったヨノワールの後ろに素早く回り込んだ。
ツバサ「決めるわよ」
繰り出されるは暴虐なる龍の突撃。
ツバサ「ドラゴンダイブ!」
ボーマンダ「ボォオオマァアッ!」
ほぼ零距離から放たれた一撃がヨノワールを穿ち、容易くその体力を奪い去る。
ヨノワール「ヨノワぁッ⁉」
エリートトレーナー「ヨ、ヨノワール!」
ジャッジ「ヨノワール、戦闘不能! よって勝者―――チャンピオン、ツバサ!」
ツバサ「ボーマンダ、りゅうのまい!」
ボーマンダ「ボァアアアア!」
激しい舞により、ボーマンダの力が急速に高まっていく……!
エリートトレーナー「ヨノワール、れいとうパンチだ!」
ヨノワール「ヨノォーワッ!」
氷を帯びたヨノワールの拳が、舞を続けるボーマンダに迫る。
だが、その拳が直撃する寸前、ボーマンダの舞が終演を迎えた。
ツバサ「かわしなさい!」
エリートトレーナー「何⁉」
ボーマンダはヨノワールの攻撃を紙一重でかわす。
そして、勢い余ったヨノワールの後ろに素早く回り込んだ。
ツバサ「決めるわよ」
繰り出されるは暴虐なる龍の突撃。
ツバサ「ドラゴンダイブ!」
ボーマンダ「ボォオオマァアッ!」
ほぼ零距離から放たれた一撃がヨノワールを穿ち、容易くその体力を奪い去る。
ヨノワール「ヨノワぁッ⁉」
エリートトレーナー「ヨ、ヨノワール!」
ジャッジ「ヨノワール、戦闘不能! よって勝者―――チャンピオン、ツバサ!」
3: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:02:12.24 ID:fR1Tt0yz0
*
所変わって、オトノキシティのとある家の居間にて。
熱心にTV画面を見つめる少女とポケモンがいた。その少女の名前は高坂穂乃果。
穂乃果「……」
そして、その隣に座っているポケモンはヒコザルである。
ヒコザル「……」
雪穂「お姉ちゃんもヒコザルも、そんなに近づいてTV見てたら、目悪くなるよー?」
妹の雪穂の声は、先ほどまでのバトルに見入っていた姉とそのパートナーポケモンには届いていない。
穂乃果「……今のバトルすごかったね、ヒコザル」
ヒコザル「ヒコ!」
未だにTV画面を見ながら話す2人。両者の手には汗が握られていた。
雪穂「ねぇ……二人とも聞いてる?」
聞こえていない。
穂乃果「あんなバトル、私たちもしてみたいね!」
ヒコザル「ヒコ!」
お互いに見つめ合う穂乃果とヒコザル。
どちらも、その目は熱く燃えていた。
雪穂「はぁ……全然聞こえてないね、これ」
穂乃果「……よーし、決めた! 決めたよ雪穂!」
穂乃果はそれまで無意識ながら無視していた雪穂の方を向いて、語りかけた。
雪穂「あ、一応聞こえてたんだ。ようやくTVから離れるのを決めたの?」
穂乃果「そうじゃないよ!」
穂乃果は立ち上がり、熱のこもった声で叫んだ。
穂乃果「穂乃果、ポケモンチャンピオンになる!」
雪穂「……はい?」
姉の突然の宣言に、呆気に取られる雪穂。
穂乃果「なるったらなる!」
こうしてここに、ポケモンチャンピオンを夢見る少女がまた1人生まれたのだった。
4: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:03:02.73 ID:fR1Tt0yz0
*
―――翌日。オトノキシティの外れにある南研究所2階に、3人の少女が集まっていた。
穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃん。穂乃果は旅に出ることにしたよ」
穂乃果は、幼馴染である2人に向かってそう伝えた。
海未「……いつもながら唐突ですね、穂乃果は」
呆れたような表情をしているのは、園田海未。
ことり「いきなり旅なんて……どういうこと?」
戸惑いを露わにしているのは、南ことり。
穂乃果「穂乃果、ポケモンチャンピオンになるって決めたの!」
ことり「ち、チャンピオンって……穂乃果ちゃん、本気なの?」
穂乃果「本気も本気、メガホンキだよ!」
海未「いや、意味が分かりませんが」
若干気合が空回り中の穂乃果だった。
海未「穂乃果、あなた今までバトルになど興味なかったではないですか」
穂乃果「昨日、TVでチャンピオンのバトルを見たの! もうすごくって! 相手のポケモンをバッタバッタと倒すんだよ?」
ことり「ああ……そういえば、昨日エキシビションマッチをやってたね」
穂乃果「あんなの見たら、穂乃果もチャンピオン目指すしかないよ!」
ことり「別に目指さなくていいと思うけど……」
5: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:03:42.40 ID:fR1Tt0yz0
海未「つまりは、またいつもの思いつきと言うことですね」
穂乃果はいつも、思いつきの行動で海未とことりを振り回していた。
穂乃果「それでね、今日は旅に出るのに二人の許可を貰おうと思って集まってもらったんだ」
海未「はい? 私たちの許可?」
ことり「どうして穂乃果ちゃんが旅に出るのに、ことりたちの許可をもらう必要が?」
穂乃果「それがね?」
――回想。昨日のことである。
穂乃果『お母さん、穂乃果旅に出る! いいよね?』
穂乃果母『あ、あなたはまた……はぁ』
娘の突拍子もない発言に、思わずため息をつく母。穂乃果のもう何度目か分からない思いつきの行動の中でも、今回のはとんでもなかった。
当然止めようと考えたが、この状態の穂乃果に考えを改めさせるのは至難の技である。
なので――。
穂乃果母『……じゃあ、海未ちゃんとことりちゃんの許可が出たらいいわよー』
穂乃果『分かった!』
母は娘の友人に説得を任せた。
――回想終了。
6: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:04:20.64 ID:fR1Tt0yz0
海未「おばさま……こちらに丸投げですか」
ことり「あ、あはは……」
穂乃果「というわけで、二人ともいいよね? 穂乃果が旅に出ても」
『いいわけないだろう』
海未もことりも、その言葉が顔に浮かび上がっていた。
海未「私は反対です。旅というのは穂乃果が考えているほど甘くありません。色々な危険も
ありますし、それに―――」
穂乃果「大丈夫、大丈夫。なんとかなるって」
ことり「穂乃果ちゃん、どこからそんな自信が……?」
海未「おそらく、何も考えていないだけです」
穂乃果「ひどいよ海未ちゃん!」
海未「ひどいのは穂乃果のお気楽思考です!……とにかく、私は旅に出ることに反対ですよ」
穂乃果「むぅー……」
穂乃果は悟った。この状態の海未を説得するのは骨が折れそうだと。
穂乃果「じゃあ、ことりちゃんはどう思うの?」
なので、もう1人の幼馴染に助けを求めた。
ことり「うーん……ことりも、穂乃果ちゃんが心配かな」
穂乃果「こ、ことりちゃんまで……」
海未にもことりにも反対され、このままでは穂乃果は旅立つことが出来ない。……だが、穂乃果は諦めなかった。
7: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:06:55.71 ID:fR1Tt0yz0
穂乃果「それならバトルして決めようよ!」
ことり「え?」
海未「なぜそうなるのですか……」
穂乃果「穂乃果が旅に出ても大丈夫だって、バトルで証明するよ」
ことり「バトルで証明って……ことりはバトル出来ないよ?」
穂乃果「もちろんそれは分かってるって」
ことりはポケモンを所持しているが、バトルをしたことは一度もなかった。ならば残るは―――。
穂乃果「だから海未ちゃん、勝負だよ!」
海未を指差して、穂乃果は勝負を申し込んだ。
海未「はぁ……やはり私ですか」
穂乃果のご指名に、海未は大きくため息をついた。
穂乃果「この町のジムリーダーの海未ちゃんに勝てば、文句ないでしょ? ついでに最初のジムバッジも貰っちゃうよ!」
そう。穂乃果の言うとおり、海未はオトノキシティのポケモンジム、オトノキジムのジムリーダーである。なので、その実力は折り紙付きだ。しかし――。
海未「……随分、舐められたものですね」
穂乃果の発言を聞いた海未の纏う雰囲気は、先ほどまでとは全く異なっていた。
海未「本気で、私に勝てると思っているのですか?」
海未から闘気があふれ出す。その目は親友に向けられる目ではなく、チャレンジャーに向けられるそれへと変貌している。
穂乃果「う……」
今まで受けたことのない強烈なプレッシャーに、たじろぐ穂乃果。
穂乃果「か、勝つよ! それで穂乃果は旅に出るの!」
だが穂乃果の意思は折れなかった。穂乃果の目も、ジムリーダーと言う強者を見つめるものへと変わる。
一方、幼馴染2人が剣呑な雰囲気で対峙するのを見て、ことりは何とかこの場を丸く収めようと――。
ことり「二人とも落ち着い――」
ことり母「話は聞かせてもらったわ!」
――したところで、闖入者が現れた。
ことり「お母さん⁉ いつから聞いてたの⁉」
颯爽と登場した彼女は南博士。ことりの母親であり、この地方のポケモン研究の第一人者でもある。
ことり母「そんなことはどうでもいいわ。二人とも、バトルはうちの庭にあるフィールドを使っていいわよ。思う存分戦いなさい!」
穂乃果・海未『ありがとうございます!』
ことり「なんで火に油を注ぐの⁉」
8: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:07:42.36 ID:fR1Tt0yz0
*
―――南研究所、中庭。
ことり母「使用ポケモンは一体。どちらかのポケモンが戦闘不能になったら終了ね。審判は私が務めるわ」
ことり「どうしてこんなことに……」
ことりの視線の先では、フィールドを間に挟み、穂乃果と海未が対峙している。
穂乃果「海未ちゃん。穂乃果が勝ったら、旅に出るのを認めてもらうからね」
海未「ええ、分かりました」
穂乃果「約束だからね! あ、それとジムバッジも忘れちゃだめだよ?」
海未「本来、野良試合でバッジを渡してはいけないのですが……まあ、いいでしょう」
ことり「海未ちゃん。それって、ほんとにいいの?」
海未「大丈夫ですよ。負けなければいいだけですから」
海未からは絶対的な自信が感じられる。
万に一つも負けることはないと信じているのだ。
穂乃果「絶対に勝つもん! ファイトだよっ、ヒコザル!」
ヒコザル「ヒコ!」
穂乃果の投げたモンスターボールから、ヒコザルが飛び出てくる。
穂乃果「ヒコザル、海未ちゃんに勝てば旅に出られるの。だから、絶対に勝つよ!」
ヒコザル「ヒコッ!」
めらめらと燃えるしっぽの炎から、ヒコザルの気合が伝わってくる
海未「ではこちらも……お願いします、ワニノコ!」
海未が繰り出したのは、ワニノコだった。ジムリーダーの繰り出すポケモンである。
当然、一筋縄ではいかない強さを―――。
ワニノコ「……ZZZ」
……寝ていた。
その場の全員ががくっと転げる。
9: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:08:23.29 ID:fR1Tt0yz0
海未「いや、なんで寝ているんですか! 起きてください、ワニノコ!」
ワニノコ「ワニ……? ワニャァア……」
海未に怒鳴られ、大きくあくびをしながらワニノコが目を覚ます。
ことり母「なんだか締まらないわね……」
ことり「あはは……海未ちゃんのワニノコはのんきさんだから」
穂乃果「海未ちゃ~ん、緊張感なくなったよ~」
ヒコザル「ヒコ~」
海未「わ、私に言わないでください!……ワニノコ、穂乃果たちとバトルです。シャキッとしてください」
ワニノコ「ワニ?……ワニャ!」
どうやら事情が呑み込めたようで、ワニノコがシャキッと立ち上がる。
海未「これでお互いに、バトルの準備が整ったようですね」
穂乃果「整ってなかったのはそっちだけだと思うけど……」
海未「……うるさいです」
ことり「ワニノコ、寝起きでちゃんと戦えるのかな……?」
海未「大丈夫です! おばさま、始めてください!」
ことり母「い、いいのね? じゃあ……」
一呼吸おいて、ことり母が宣言する。
ことり母「バトル―――はじめっ!」
10: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:09:10.17 ID:fR1Tt0yz0
先に動いたのは穂乃果だった。
穂乃果「ヒコザル、ひのこ!」
ヒコザル「ヒィコッ!」
ヒコザルから放たれたいくつもの火の粒が、ワニノコを襲う!……が。
ワニノコ「……ワニャ?」
『今、何かした?』とでも言わんばかりのワニノコ。かわそうとするどころか微動だに一つしなかった。
それを見て穂乃果は驚愕する。
穂乃果「ぜ、全然効いてない⁉」
海未「ワニノコは水タイプ。炎技の効果はいまひとつです。忘れたのですか?」
「水」は「炎」に強いです。タイプです、相性です。
これはポケモンバトルでは常識である。
穂乃果「い、今のはあいさつ代わりだよっ! ヒコザル、ひっかく!」
ヒコザル「ヒコッ!」
ひっかくはノーマルタイプの技。水タイプに効果はそれなりだ。
穂乃果の指示を聞いたヒコザルが、ワニノコへと突っ込んでいく。
海未「かわして下さい」
ワニノコ「ワーニッ」
ヒコザル「ヒコ⁉」
ワニノコはヒコザルの直線的な動きを見切り、ひっかくをかわした。
海未「今です、ヒコザルの腕に噛みついて下さい」
ワニノコ「ワニャッ」
空振りしたヒコザルの腕に、ワニノコがかぷっと噛みついた。
ヒコザル「ヒギャ⁉」
穂乃果「ヒコザル⁉」
海未「ふふっ、穂乃果もワニノコの噛みつき癖は知っているでしょう? 一度噛みついたら中々離しませんよ?」
ヒコザル「ヒギャっ! ヒギャっ!」
ワニノコ「ワーニワニーワー♪」
必死で腕をぶんぶん振っているヒコザルとは裏腹に、楽しそうなワニノコであった。
11: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:09:42.38 ID:fR1Tt0yz0
*
ことり「うぅ……。バトルが始まっちゃったけど、ことりはどっちを応援したら……?」
???「どっちも応援すればいいんじゃない?」
ことり「あ、それがいいかも。ありがとう絵里ちゃん」
絵里「いえいえ、どういたしまして」
ことり「……」
絵里「……」
―――若干の間。
ことり「絵里ちゃん⁉ いつからいたの⁉」
絵里「今来たところよ」
彼女は絢瀬絵里。南博士の助手を務めている少女だ。
絵里「博士に用事があったんだけど、研究所の中に誰もいないんだもの。庭の方から声が聞こえたから来てみれば……何だか、面白いことになってるわね」
ことり「あ、あはは……」
絵里「それで、なんで穂乃果と海未がバトルしてるの?」
ことり「それがかくかくメブキジカで―――」
ことりはこれまでのいきさつを絵里に簡単に説明した。
12: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:10:51.77 ID:fR1Tt0yz0
*
海未「さあ、穂乃果。ここからどうしますか?」
穂乃果「それなら……ヒコザル! そのままワニノコを地面に叩きつけて!」
海未「! そう来ますか」
ヒコザルは噛まれた腕を地面へと叩きつけた。
ヒコ「ヒーコッ!」
ワニノコ「ワニャ⁉」
そうなれば当然、ワニノコも地面へと激突する。
ことり「ワニノコがヒコザルの腕から離れた!」
穂乃果「今だよ! ひっかく!」
ワニノコはヒコザルの真正面。かわせる距離ではない。
ヒコザル「ヒコヒコヒコッ!」
ワニノコ「ワニャワニャ⁉」
勢いよくひっかかれるワニノコ。
海未「ワニノコ! 一旦離れなさい!」
ワニノコ「ワニッ!」
指示に従い、ワニノコはヒコザルから素早く距離を取った。
13: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:11:32.07 ID:fR1Tt0yz0
海未「まさか噛みつかれた腕ごと、ワニノコを地面に叩きつけるとは思いませんでした」
穂乃果「えへへ。よーし、このままガンガン行くよ! ヒコザル、ひっかく!」
ヒコザルが再び、ワニノコへと突撃する。
海未「そうはさせませんよ。ワニノコ、ジャンプです」
ワニノコ「ワーニャ!」
ワニノコが自らの背よりも高く跳び上がり、ひっかくをかわした。
穂乃果「跳んでかわされた⁉」
海未「そのまま噛みついてください」
落下する勢いのまま、ワニノコはまたしてもヒコザルの腕に噛みついた。
ワニノコ「ワニャッ!」
ヒコザル「ヒコッ⁉」
穂乃果「ヒコザル、もう一度地面に叩きつけちゃえ!」
海未「そのままヒコザルを放り投げなさい!」
穂乃果「えっ⁉」
穂乃果が指示を言い終ると同時、その指示に対するカウンターを海未が言い放った。
噛みつきながらその相手を放り投げるなど、並大抵では不可能である。
だが、ワニノコの強靭なあごの力はそれを可能にした。
ワニノコ「ワァーニャッ!」
ヒコザル「ヒキャッ⁉」
放り投げられたヒコザルは、そのまま地面へと叩きつけられた。
穂乃果「ヒコザル!」
ヒコザル「ヒ、ヒコォ……」
14: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:13:13.98 ID:fR1Tt0yz0
地面に倒れ伏すヒコザル。受けたダメージのせいで、上手く立ち上がれないようだ。
その様子を見て、海未が告げる。
海未「どうやら、これまでのようですね」
穂乃果「まだだよ! 頑張ってヒコザル! 決めたでしょ? 私たちは絶対にポケモンチャンピオンになるって!」
ヒコザル「ヒ、ヒコ……!」
穂乃果「ヒコザル、ファイトだよっ!」
その声援に、消えかかっていたヒコザルの闘志が再燃する。
ヒコザル「……ヒィイイコオオオオオ!」
瞬間。ヒコザルの尻尾が、さっきまでの『ひのこ』など比べ物にならないほどの大きな炎へと燃え上がった。
ことり「あ、あれは⁉」
絵里「ヒコザルの特性―――もうかよ!」
もうか。ヒコザルの体力が限界に限りなく近づいた時に発動する、最後の灯火。だがそれゆえに、その炎は猛烈なまでに膨れ上がる。
それを証明するように、今のヒコザルの尻尾の炎は、普段の何倍にも燃え盛っていた。
穂乃果「いくよ! ヒコザル、ひのこ!」
ヒコザル「ヒコォオオオオオオオ!」
ヒコザルから放出される火焔が、ワニノコを飲み込んだ。
ワニノコ「ワニィイイー⁉」
海未「ワニノコ、大丈夫ですか⁉」
ワニノコ「……ワニ!」
ワニノコが海未に答える。
だがその体は、今の火焔により確実にダメージを負っていた。
ことり「さっきのひのこと威力が全然違う……!」
穂乃果「すごい……! すごいよ、ヒコザル!」
ヒコザル「ヒコ!」
海未「……さすが、穂乃果とヒコザルですね」
その時、海未の瞳は幼馴染を見つめる優しいものになっていた。
海未「……ですが、ジムバッジをかけている以上、簡単に負けてあげるわけにはいきません」
だが、すぐにそれは切り替わる。
今の海未は穂乃果の幼馴染の園田海未ではなく、ジムリーダーの園田海未だからだ。
海未「ワニノコ、本気で行きますよ」
ワニノコ「ワニ!」
海未とワニノコの目の色が変わった。
15: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:14:13.95 ID:fR1Tt0yz0
穂乃果「決めるよヒコザル! ひのこ!」
ヒコザル「ヒコオオオオオ!」
再びヒコザルから、猛烈な勢いの火焔がワニノコに向かって放たれる。
だが海未とワニノコは、その攻撃をもう一度受けるつもりは毛頭なかった。
海未「ひのこに向かってれいとうパンチ!」
ワニノコ「ワーッニィ!」
放たれた火焔に、正面からワニノコのれいとうパンチが炸裂する。
穂乃果「え⁉」
そして、一同は信じられない光景を目にした。
炎がれいとうパンチによって凍り付いたのだ。
ことり「うそ……。ひのこを凍らせるなんて……」
絵里「とんでもないわね……」
タイプ相性では、こおり技のれいとうパンチは、ほのお技のひのこに不利である。それを上回るということは……両者の間に、圧倒的なまでのレベルの差があるということだ。
もうかでも埋められないほどの、圧倒的な差が。
海未「決めますよ……ヒコザルにれいとうパンチ!」
ワニノコ「ワーニャッ!」
ヒコザルへと一気に距離を詰め、ワニノコの氷の拳がヒコザルを撃った。
ヒコザル「ヒギャッ⁉」
穂乃果「ヒコザル!」
ヒコザルが地面へと倒れ伏す。もう立ち上がる力は残されていなかった。
ことり母「ヒコザル、戦闘不能!……よって、勝者は海未ちゃん!」
16: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:16:01.10 ID:fR1Tt0yz0
勝負が終わると同時、穂乃果はすぐさまヒコザルへと駆け寄った。
穂乃果「ヒコザル、大丈夫⁉」
ヒコザル「ヒコ……」
ことり母「穂乃果ちゃん、オボンの実よ。ヒコザルに食べさせてあげて。体力が回復するから」
穂乃果「ありがとうございます! ほら、ヒコザル」
ヒコザル「ヒコ?」
穂乃果はオボンの実をヒコザルに口にさせる。ヒコザルはもぐもぐむしゃむしゃと咀嚼すると――。
ヒコザル「……ヒッコ!」
回復!
ことり母「元気になったみたいね」
穂乃果「良かったぁ……」
ヒコザルが元気になり、安心する穂乃果。
ことり「二人とも、お疲れさま」
絵里「いいバトルだったわよ」
穂乃果「あれ? 絵里ちゃん、いつの間に来てたの?」
海未「気づいていなかったのですか? バトルの途中から、ことりと一緒に見学していまし
たよ」
穂乃果「ぜ、全然気付かなかった」
絵里「それだけバトルに集中していたみたいね」
穂乃果「あはは、そうみたい。……でも、負けちゃった。ごめんね、ヒコザル。せっかく頑張ってくれたのに……」
ヒコザル「ヒコォ……」
うなだれる穂乃果とヒコザル。
ことり「穂乃果ちゃん……」
穂乃果「やっぱり海未ちゃんは強いね。穂乃果たちじゃ、全然かなわないや」
海未「一応、ジムリーダーですからね。今回が初バトルの穂乃果たちには負けられませんよ」
穂乃果「うん……」
ことり「それで海未ちゃん。バトルは海未ちゃんが勝ったけど……」
海未「ええ。バトル前に、穂乃果が勝てば旅を認めると約束しました」
穂乃果「……」
海未「ですが……そういえば、私が勝ったら旅を認めないとは約束していませんでしたね」
穂乃果「……え?」
海未の言葉に、穂乃果が顔を上げる。
17: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:17:12.73 ID:fR1Tt0yz0
海未「穂乃果たちの本気は、バトルを通して伝わってきました。親友の本気の決意を、邪魔することなんてできませんよ」
ことり「海未ちゃん、それじゃあ……?」
海未「ええ。……行ってきなさい、穂乃果」
穂乃果「……や、やったあー! ありがとう海未ちゃん! 大好き!」
嬉しさの余り、海未に抱きつく穂乃果。
海未「全く、穂乃果は調子がいいですね」
ことり「良かったね、穂乃果ちゃん!」
穂乃果「うん! ありがとうことりちゃん!」
海未「まあ正直、穂乃果一人での旅はやはり心配なのですが……」
ことり「あはは……確かにそうだね」
ことり母「それなら私にいいアイデアがあるわ」
ことり「え? お母さん、アイデアって?」
ことり母「ことり、海未ちゃん。あなた達も、穂乃果ちゃんと一緒に旅をすればいいのよ!」
海未・ことり『え⁉』
穂乃果「それだ! さすがことりちゃんのお母さん! ナイスアイデア!」
ことり母「でしょ?」
ドヤ顔のことり母だった。
海未「いや、なんでそうなるんですか!」
絵里「でも確かに3人で旅をするなら、海未とことりの心配が無くなるわね」
ことり「そ、それはそうかもしれないけど……」
海未「ですが私はジムがあるので旅には出られないと――」
ことり母「あ、大丈夫よ。さっき海未ちゃんのお母さんに電話したら、旅に出てる間はジムリーダーを代理でやってくれるって」
海未「いつの間にそんな電話を⁉」
ことり「お母さん、最初からこうするつもりだったんじゃ……?」
ことり母「さあ、どうかしらね?」
絵里「まあいいんじゃない? 一人で旅をするより、三人の方が楽しいだろうし」
穂乃果「そうだよ。海未ちゃんとことりちゃんがいれば百人力だよ!」
海未「……どうします、ことり?」
ことり「じゃあ……ことりも穂乃果ちゃんと一緒に行こうかな?」
穂乃果「ほんと⁉」
ことり「うん! それで、海未ちゃんは?」
海未「では……私も行くことにしましょう」
穂乃果「やったぁ! じゃあ三人旅だね!」
18: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:18:40.11 ID:fR1Tt0yz0
ことり母「ふふ、ならみんな、これは私からのプレゼントよ」
ことり母が、白衣のポケットから3つの機械を取り出した。
穂乃果「プレゼント?」
ことり「お母さん、これ……ポケモン図鑑?」
ことり母「そう。ポケモンと出会うことで、その図鑑にポケモンの情報が記録されていくの。図鑑をポケモンにかざすことで、そのポケモンの情報を見ることもできるのよ。きっとあなたたちの旅の役に立つわ」
穂乃果「科学の力ってすごいね!」
海未「本当に頂いていいのですか?」
ことり母「もちろんよ。二人とも、ことりをよろしくね?」
穂乃果・海未『はい!』
穂乃果「よーし、じゃあ出発だよ!」
海未「ええ!」
ことり「えぇ⁉」
明後日の方向に走り出す穂乃果たち。図鑑を手に、穂乃果たちの旅が今始ま――。
海未「……いや、なんでですか! まだ旅の準備もしていないでしょう! 手ぶらで旅に出るつもりですか⁉」
穂乃果「あ、そうだった」
まだ始まらなかった。
19: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:19:24.92 ID:fR1Tt0yz0
絵里「なんだか先行きが不安ね」
海未「全く……。今日は旅の準備をして、出発は明日にしましょう」
ことり「穂乃果ちゃん、すぐ出発したいのは分かるけど、ちゃんと準備しなきゃだよ?」
穂乃果「うぅ……しょうがないなぁ」
『(しょうがないのはお前だ)』
海未たちはみんなそう思ったが口には出さなかった。
絵里「旅は何があるか分からないから、きちんと準備したほうが良いわよ」
穂乃果「は~い。……あ、そういえば旅に出たら、絵里ちゃんともしばらくお別れだね」
絵里「そうでもないんじゃない? だって、穂乃果はジム巡りをするのよね?」
穂乃果「うん、そうだよ。……あ、そっか。隣町のアジンシティのジムって」
絵里「そういうことよ。ジムで待ってるわ」
穂乃果「うん!」
絵里「さて、では博士、そろそろ調査の報告を」
ことり母「あ、そうね。じゃあ研究所の中に戻りましょうか」
海未「では私たちは旅に必要なものを買いに行きますか」
ことり「そうだね」
穂乃果「お菓子もいっぱい買おうよ!」
ことり「穂乃果ちゃん、お菓子は300円までだよ」
穂乃果「バナナはおやつに入らないよね?」
海未「二人とも、遠足じゃないんですよ……?」
これからの旅が不安になる海未であった。
20: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:20:18.00 ID:fR1Tt0yz0
*
―――翌日の朝
高坂家の玄関では、家族全員で穂乃果を見送ろうとしていた。
雪穂「お姉ちゃん、ちゃんとハンカチ持った?」
穂乃果「大丈夫、ちゃんと持ってるよ」
穂乃果母「穂乃果、ティッシュは? 忘れてない?」
穂乃果「忘れてないって」
雪穂「持ち物に名前、ちゃんと書いてる?」
穂乃果母「迷子になったら、ジュンサーさんの所に行くのよ?」
穂乃果「二人とも、さっきから穂乃果を子ども扱いし過ぎだよ!」
穂乃果母&雪穂『だって穂乃果(お姉ちゃん)だし……』
穂乃果「それどういう意味⁉」
穂乃果母「あ、そうだわ。……ほら、おまんじゅうも持っていきなさい」
どこからか饅頭の箱を取り出した穂乃果母。
穂乃果「えぇー……。あんこ、もう飽きたんだけど」
穂乃果母「饅頭屋の娘がそんなこと言わないの。しばらく食べられなくなるんだから、すぐにあんこが恋しくなるわよ」
穂乃果「そうかなあ……?」
雪穂「じゃあ頑張ってね、お姉ちゃん。ヒコザルもね」
穂乃果母「二人とも、この旅で、いろんなものを見てきなさい。しっかりね」
穂乃果「雪穂、お母さん……」
ヒコザル「ヒコッヒコッ!」
穂乃果父「…………」
ヒコザル「ヒコ!」
穂乃果父「…………!」
がしっと、手を握り合うヒコザルと穂乃果父。男の旅立ちに、言葉はいらなかった。
穂乃果母「男同士の別れの挨拶も済んだみたいね」
穂乃果「……そうなの?」
ヒコザル「ヒコ!」
穂乃果母「じゃあ、二人ともいってらっしゃい」
雪穂「いってらっしゃい!」
穂乃果父「……!」
穂乃果「うん、いってきます!」
ヒコザル「ヒッコ!」
21: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:20:51.46 ID:fR1Tt0yz0
*
―――園田家
海未「お母さま、ポケモンたちとジムの事、よろしくお願いします」
海未母「ええ。ですが海未さん、本当に連れていくのはワニノコだけでいいのですか?」
海未「はい。みんなにはジムを守っていてもらいたいんです」
海未は旅に出るにあたって、ワニノコ以外の手持ちポケモンを全て母に預けていた。
海未母「私のポケモンで挑戦者と戦ってもいいんですよ?」
海未「いえ、今のジムリーダーはお母さまではなく私ですから。私のポケモン達でチャレンジャーの相手をするべきだと思います」
海未母「……私が言うのもなんですが、海未さんは少々真面目すぎるかもしれませんね」
海未「そうでしょうか?」
海未母「少し肩の力を抜いてみたらどうですか?」
海未「肩の力……ですか」
海未母「せっかくの旅なのですから、その方が楽しめると思いますよ」
海未「……そうですね」
海未母「ふふ、海未さんをよろしくお願いしますね、ワニノコ」
ワニノコ「ワーニャッ!」
海未「ではお母さま、いってまいります」
ワニノコ「ワニ!」
海未母「ええ、いってらっしゃい」
22: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:21:36.72 ID:fR1Tt0yz0
*
―――南家
ことり「お母さん、じゃあそろそろ行くね」
ことり母「ちゃんと枕は持った? あなた、あれが無いと眠れないでしょう?」
ことり「大丈夫。一番にバッグにしまったから」
ことり母「それならいいけど。……たまにはうちに連絡するのよ?」
ことり「うん、分かった」
ことり母「モクちゃん、ことりのことをよろしくね」
モクロー「ホゥ!」
ことりのパートナーポケモン、モクロー。
ニックネームはモクちゃんである。
ことり母「それとことり」
ことり「なに?」
ことり母「この旅であなたのやりたいこと、見つけてらっしゃい」
ことり「……うん。いってきます、お母さん!」
モクロー「ホーッ!」
ことり母「ふふ、いってらっしゃい!」
23: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:22:30.05 ID:fR1Tt0yz0
*
―――1番道路の手前
穂乃果「海未ちゃ~ん、ことりちゃ~ん!」
ことり「あ、来た!」
海未「穂乃果、遅いですよ」
穂乃果「ごめんごめん」
海未「こんな日まで遅刻しないでください」
ことり「まあまあ、海未ちゃん」
海未「まったく……では穂乃果も来たことですし、出発しましょうか」
穂乃果「あ、ちょっと待って海未ちゃん」
海未「どうかしましたか?」
穂乃果「あのさ、確かポケモンリーグに出場するには、ジムバッジを8個集めなきゃいけないんだよね?」
海未「ええ、そうですよ」
穂乃果「それじゃあさ、海未ちゃん。穂乃果がジムバッジを7つ集めたら、穂乃果ともう一度バトルしてくれない?……今度は本気で」
海未「!」
穂乃果の最後の台詞に、海未の表情が変わった。
穂乃果は気付いていた。昨日のバトルで、海未が本当の実力を出していなかったことを。
おかしいのだ。
ワニノコはほのおタイプには有利なみずタイプ。なのに、昨日のバトルでは一度もみずタイプの技を使用しなかった。それどころか、わざわざ不利なれいとうパンチを使用したのだ。海未がタイプ相性を分からないはずがない。
穂乃果は手加減されていたのだ。
最初から、最後の一撃まで。
手加減されても負けるほどの実力差が、今の穂乃果と海未にはあった。
だから、穂乃果は決めた。バッジを7個集めるほどに強くなったら、もう一度、今度は本気の海未と戦い、そして勝って最後のバッジを手に入れると。
穂乃果の決意をその瞳から感じ取り、海未が不敵に笑う。
海未「……ふふ、いいでしょう。その時は全力で相手をしますよ」
穂乃果「約束だよ?」
海未「ええ、約束です」
穂乃果と海未がお互いを見つめ合う。……もう1人いるのに。
24: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:23:18.44 ID:fR1Tt0yz0
ことり「……なんだかことり、蚊帳の外だね。このまま一人で旅に出ようかなぁ?」
穂乃果・海未『えぇ⁉』
まさかのことりの言葉に、慌てふためく穂乃果と海未。
穂乃果「か、蚊帳の外なんて、そんなことないよ、ことりちゃん!」
海未「そうです! だ、だから一人で行くなんて言わないでください!」
ことり「ふふっ、冗談だよ。一人でなんて行かないから」
穂乃果「よ、良かったぁ」
海未「ことり、たちの悪い冗談はやめてください……」
ことり「ごめんね、つい」
さっきの2人の雰囲気にことりが疎外感を感じたのは事実だった。
なのでことりは、ちょっとしたお茶目を2人にしてみたのである。
海未「なんだか、どっと疲れましたが……では、今度こそ行きますか?」
ことり「うん、そうだね」
穂乃果「じゃあ、二人とも、準備はいい?」
海未「はい」
ことり「うん!」
穂乃果「よーしっ! いっくよー!」
その日、少女たちはまだ見ぬ世界への最初の一歩を踏み出した。
―――つづく
25: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:24:55.55 ID:fR1Tt0yz0
これにて1話終了です。……が、2話へと続く話も一緒に投稿しようと思います。
26: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:27:25.34 ID:fR1Tt0yz0
第1.5話 ポケモン、ゲットだよ!
アジンシティへと歩みを進める穂乃果たち。―――だったが。
海未「あ、そういえば。穂乃果、ちょっといいですか?」
穂乃果「なに、海未ちゃん?」
海未「今のままでは、穂乃果はジム戦に挑戦できませんよ?」
穂乃果「へー、そうなんだぁ…………えぇぇえええええええええ⁉」
ことり「穂乃果ちゃん、リアクション遅くない?」
穂乃果「な、なんで⁉ なんで挑戦できないの⁉」
必死の形相で海未に詰め寄る穂乃果。
海未「お、落ち着いてください! ちゃんと説明しますから!」
穂乃果「落ち着いてなんかいられないよ! ジムに挑戦できなかったら旅に出た意味ないよ⁉ もう帰るの⁉ これじゃちょっとした散歩だよ!」
ちなみに旅立ってからまだ1時間も経っていなかった。
海未「だから、落ち着きなさい! 私は『今のままでは』と言ったんです!」
穂乃果「い、今のままでは?」
ようやく、穂乃果が海未から離れる。
海未「ええ。ジム戦に挑むには複数の手持ちポケモンが必要になるんです」
ことり「あ、そっか。穂乃果ちゃんの手持ちポケモンは、ヒコザルだけだもんね」
穂乃果「じゃあジム戦をするには、何匹いなきゃ駄目なの?」
海未「それは挑戦者の持っているバッジによって変わります。基本的には0~1個の場合が2匹、2~3個の場合が3匹、4~6個の場合は4匹、そして最後のバッジの時はフルバトルになりますね。まあ、例外はありますが」
穂乃果「……へー」
海未「ちゃんと分かりましたか?」
穂乃果「わ、分かったよ⁉」
分かったような気がした穂乃果だった。
ことり「えっと……つまり穂乃果ちゃんが最初のジム戦をするには、最低でもあと1匹ポケモンが必要ってことなの?」
海未「ええ、その通りです」
穂乃果「あ、なるほど」
今度はちゃんと分かった穂乃果だった。
27: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:28:53.58 ID:fR1Tt0yz0
ことり「穂乃果ちゃん、なるほどって……」
海未「やっぱり分かっていなかったようですね」
穂乃果「と、とにかく、ジムに着くまでにポケモンをゲットしなきゃ! ど、どこかにポケモンいないかな~?」
穂乃果は2人の視線から逃げるように、近くの草むらをがさごそと探りだす。
海未「あからさまに誤魔化しましたね」
ことり「目が泳いでるもんね……あっ⁉ ほ、穂乃果ちゃん、足元!」
穂乃果「ふぇ?」
ことりが穂乃果に注意を促した瞬間、『ぎゅむっ』という音とともに、穂乃果は何かを踏みつけた。
???「リン⁉」
穂乃果「あれ? 何か踏んだような……?」
穂乃果が恐る恐る足元を見てみると……そこにいたのは一匹のコリンクだった。
コリンク「リ、リィイイイイン!」
コリンクは涙目になって穂乃果を睨みつけている。
穂乃果のぼうぎょは特に下がらなかったが、穂乃果は良心の呵責を感じた!
穂乃果「……も、もしかして、君のしっぽ? あのぅ、そのぅ……ごめんね?」
コリンク「リィインクゥウウウウウ!」
コリンクのスパーク!
穂乃果「ぴぎゃああああああああああああ!」
海未・ことり『穂乃果(ちゃん)⁉』
こうかはなかなかだ!
穂乃果「し、しびれびれ……」
穂乃果はまひして技が出にくくなった!
海未とことりが急いで穂乃果に駆け寄る。
海未「穂乃果、大丈夫ですか⁉」
ことり「しっかりして、穂乃果ちゃん!」
穂乃果「しびれびれび……はっ! び、びっくりしたぁ。いきなり電撃をしてくるんだもん」
ことり「穂乃果ちゃん、大丈夫なの?」
穂乃果「うん。ちょっと痺れただけだよ」
海未「怪我が無いみたいで良かったです」
ことり「そうだね。でも……」
コリンク「リン! リィイイン!」
コリンクは穂乃果に対して怒りの炎をめらめらと燃やしている。
ちょっとやそっとじゃ許してはくれなさそうだ。
28: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:29:38.69 ID:fR1Tt0yz0
穂乃果「あの子、めちゃくちゃ怒ってるね」
海未「しっぽを踏まれたのですから、当然だと思いますよ」
ことり「今にも、また攻撃してきそうだよ?」
穂乃果「うーん、どうしよう…………あ、そういえばこの辺に」
そう言うと、穂乃果は自分のバッグを漁り出した。
ことり「穂乃果ちゃん?」
海未「どうしたのですか?」
穂乃果「……あった!」
穂乃果はバッグの中からある物を取り出した。それは―――。
穂乃果「じゃじゃーん! 穂むら特製まんじゅう、略して『ほむまん』!」
海未「なぜ今、ほむまんを?」
ことり「も、もしかして」
2人の疑問をよそに、穂乃果はコリンクに向けてほむまんを差し出した。
穂乃果「ほーらコリンク、ほむまんだよ~? あんこおいしいよ~?」
ことり「やっぱり食べ物で釣る気だ……」
海未「いや、そんなことで怒りが収まるはず―――」
コリンク「リン♪」
コリンクはほむまんに食いついた!
穂乃果「食べた!」
海未「えぇ⁉」
ことり「ホントにうまくいっちゃった……」
29: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:30:37.94 ID:fR1Tt0yz0
*
穂乃果「どう? おいしかった?」
コリンク「リン♪ リン♪」
コリンクはしっぽを振って喜んでいる。ほむまんの味が相当お気に召したらしい。
穂乃果「そっか、良かった!」
海未「このコリンク、かなり単純ですね」
ことり「あはは……」
穂乃果はしゃがみこみ、コリンクへと語りかける。
穂乃果「コリンク、さっきはしっぽ踏んじゃってごめんね? わざとじゃなかったんだけど……」
コリンク「リン! リンリン!」
コリンクは穂乃果の足に頬をすりすりとこすりつけている。その様子からは、もう敵意を感じない。
ことり「コリンク、許してくれたみたいだね」
穂乃果「うん!……あ、そうだ。ねえ、コリンク」
コリンク「リン?」
穂乃果「穂乃果は今、ポケモンチャンピオンになるために旅をしてるの。これから、いろんな人とバトルして、最強のポケモントレーナーになる……予定なんだ」
真剣な表情で、穂乃果はコリンクへと自身の思いを告げる。
穂乃果「それでね、コリンク。良かったら、穂乃果と一緒に来ない? あなたと一緒に旅がしたいの」
コリンク「……リン!」
穂乃果の誘いに、コリンクは元気な鳴き声で答えた。
穂乃果「一緒に来てくれるの?」
コリンク「リン!」
穂乃果「ありがとう! じゃあ行くよ、モンスターボール!」
穂乃果はコリンクに向かって、優しくモンスターボールを放り投げた。
《ころん、ころん、ころん―――パチン!》
穂乃果「う~、やったぁ! コリンク、ゲットだよっ!」
30: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:31:18.61 ID:fR1Tt0yz0
ことり「やったね、穂乃果ちゃん!」
海未「初ゲット、おめでとうございます」
穂乃果「えへへ……出ておいで、コリンク!」
穂乃果がモンスターボールを開くと、コリンクが飛び出てくる。
コリンク「リン!」
穂乃果「コリンク、これからよろしくね」
コリンク「リン♪」
ことり「これで、穂乃果ちゃんはジムに挑戦できるんだよね?」
海未「はい、そうなりますね」
穂乃果「よーし、じゃあアジンシティに向かって競争だよ! だーっしゅっ!」
コリンク「リィーン!」
海未とことりを置いて、穂乃果とコリンクはアジンシティに向かって走り出した。
海未「いや、なんでですか!」
ことり「穂乃果ちゃん、待ってー!」
2人が慌てて穂乃果たちを追いかける。
さあ、目指すはアジンシティ。
穂乃果は無事、1つ目のジムバッジを手にすることが出来るのだろうか?
―――つづく
31: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/11(火) 23:32:54.52 ID:fR1Tt0yz0
これにて1.5話も終了です。2話も早いうちに上げようと思います。
33: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 21:54:22.58 ID:yVagSkg00
第2話 アジンジムのたたかい!
オトノキシティを旅立った穂乃果たちは、ついにアジンシティへとやってきた。
穂乃果「やっと着いたー!」
海未「隣町ですし、やっとと言うほどの距離でもなかったと思いますが」
ことり「でもことり、この町まで歩いてきたのは初めてだから……思ったより遠かったなぁ」
ことりの表情には、若干の疲れが見て取れる。
海未「ことりまで何を言っているんですか。いいですか2人とも。この先の旅はもっと歩くことになるんですから、この程度でそんなことを言っていては――」
???「海未さーんっ!」
海未「はぇ⁉」
海未が説教を開始しようとした矢先、突然何者かが海未に抱きついてきた。
???「やっぱり海未さん! ハラショー!」
海未「はら……まさか亜里沙ですか⁉」
亜里沙「はい、亜里沙です!」
海未に抱きついた少女は亜里沙。彼女は―――と、もう一人来たようだ。
絵里「みんな、無事に着いたみたいね」
穂乃果「絵里ちゃん!」
ことり「もしかして、迎えに来てくれたの?」
絵里「ええ。そろそろ来る頃かと思って」
亜里沙「お姉ちゃんと一緒に待ってたんです」
そう。彼女は絵里の妹、亜里沙。
穂乃果の妹、雪穂の親友であり、そして―――。
亜里沙「一秒でも早く海未さんに会いたくて!」
海未「そ、そうですか」
超が付くほどの海未の大ファンである。……好意は嬉しいが、若干引き気味の海未であった。
オトノキシティを旅立った穂乃果たちは、ついにアジンシティへとやってきた。
穂乃果「やっと着いたー!」
海未「隣町ですし、やっとと言うほどの距離でもなかったと思いますが」
ことり「でもことり、この町まで歩いてきたのは初めてだから……思ったより遠かったなぁ」
ことりの表情には、若干の疲れが見て取れる。
海未「ことりまで何を言っているんですか。いいですか2人とも。この先の旅はもっと歩くことになるんですから、この程度でそんなことを言っていては――」
???「海未さーんっ!」
海未「はぇ⁉」
海未が説教を開始しようとした矢先、突然何者かが海未に抱きついてきた。
???「やっぱり海未さん! ハラショー!」
海未「はら……まさか亜里沙ですか⁉」
亜里沙「はい、亜里沙です!」
海未に抱きついた少女は亜里沙。彼女は―――と、もう一人来たようだ。
絵里「みんな、無事に着いたみたいね」
穂乃果「絵里ちゃん!」
ことり「もしかして、迎えに来てくれたの?」
絵里「ええ。そろそろ来る頃かと思って」
亜里沙「お姉ちゃんと一緒に待ってたんです」
そう。彼女は絵里の妹、亜里沙。
穂乃果の妹、雪穂の親友であり、そして―――。
亜里沙「一秒でも早く海未さんに会いたくて!」
海未「そ、そうですか」
超が付くほどの海未の大ファンである。……好意は嬉しいが、若干引き気味の海未であった。
34: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 21:55:56.91 ID:yVagSkg00
ことり「亜里沙ちゃん、相変わらず海未ちゃんのこと大好きなんだね」
亜里沙「はい、海未さんは私の憧れですから♪」
穂乃果「いや~、海未ちゃんもスミに置けないね」
海未「そのにやけ顔をやめなさい、穂乃果。……絵里、そろそろ助けてください」
絵里「いいじゃない。ファンは大事にしたほうが良いわよ」
海未「私はアイドルではないのですが!」
絵里「ふふっ、仕方ないわね。亜里沙、そろそろ海未を離してあげなさい。それじゃあまともに歩けもしないわ」
亜里沙「あっ……ごめんなさい、海未さん」
亜里沙が海未から体を離す。
海未「いえ、大丈夫ですよ」
穂乃果「大丈夫ならそのままくっついててもいいんじゃない?」
海未「黙っていなさい、穂乃果」
穂乃果「は~い。ちぇっ」
亜里沙「穂乃果さん」
穂乃果「何、亜里沙ちゃん?」
亜里沙が穂乃果を正面から見つめる。
彼女の纏う雰囲気は、さっきまで無邪気に海未に甘えていた少女のものとは異なっていた。
亜里沙「お姉ちゃんから聞きました。ジムに挑戦しに来たんですよね?」
穂乃果「! うん、そうだよ」
そして今の彼女からは、先日の海未と同種類の―――。
穂乃果「だから……亜里沙ちゃん、お願いできるかな?」
亜里沙「もちろんです。アジンジムジムリーダーとして……絢瀬亜里沙、穂乃果さんの挑戦をお受けします!」
ジムリーダーとしてのプレッシャーが、放たれていた。
35: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 21:56:59.22 ID:yVagSkg00
――アジンジム、観客席
ことり「うぅ、いよいよ始まるね」
絵里「我が妹ながら、亜里沙は強いわよ?」
ことり「! う、海未ちゃん。穂乃果ちゃん、大丈夫かな?」
海未「……おそらく、かなり厳しいと思います」
ことり「そ、そうなの?」
海未「はい。……ですから、私たちは穂乃果を全力で応援しましょう」
ことり「うん! 穂乃果ちゃん、がんばれ~!」
絵里「……さて、穂乃果は亜里沙にどんなバトルで挑むのかしら?」
36: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 21:59:01.56 ID:yVagSkg00
*
―――アジンジム、バトルフィールド
審判「それではこれよりアジンジム、ジム戦を始めます。使用ポケモンは両者2体、どちらかのポケモンがすべて戦闘不能になったら決着となります。なお、バトル中のポケモンの交代はチャレンジャーのみ認められます」
フィールドを挟み、穂乃果と亜里沙が向かい合う。
亜里沙「ジムリーダーとして戦う以上、穂乃果さんが相手でも手加減はしません。全力で相手をします!」
穂乃果「私も全力でいくよ、亜里沙ちゃん! ヒコザル、ファイトだよっ!」
ヒコザル「ヒコッ!」
穂乃果の1匹目はヒコザル。ボールから出た途端、その場で宙返りをしたその様子から、元気いっぱい、やるき十分のようだ。
亜里沙「出てきて、エネコっ!」
エネコ「エーネっ♪」
亜里沙が繰り出したのはエネコ。可愛らしく自分の尻尾を追いかけて、その場でクルクルと回っている。元気いっぱい……おそらく、やるき十分だろう。
共にポケモンを繰り出し、両者の間に沈黙の時が流れる。
そして……その沈黙をジャッジが引き裂いた。
審判「それでは……バトル、開始っ!」
37: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:00:58.71 ID:yVagSkg00
開始と同時に穂乃果が動いた。
穂乃果「それじゃあ行くよっ! ヒコザル、ひのこ!」
ヒコザル「ヒィコォッ!」
ヒコザルから放たれた火の粉が、エネコへと降りかかる。
亜里沙「かわして!」
エネコ「エネっ!」
だが距離が離れ過ぎていた。
楽々とかわされ、今度は亜里沙がエネコへと指示を与える。
亜里沙「チャームボイス!」
エネコ「エ~ネ~♪」
エネコの可愛らしい鳴き声が、衝撃としてヒコザルに襲い掛かった。
ヒコザル「ヒコっ⁉」
衝撃を受け、そのまま後ろへと吹き飛ばされそうになるヒコザルだったが――。
穂乃果「ヒコザル、引いちゃ駄目! 突っ込んで!」
ヒコザル「っ! ヒコッ!」
ヒコザルは踏みとどまり、一気にエネコへと突っ込んだ。
穂乃果「ひっかく!」
ヒコザル「ヒコッ!」
エネコ「エネっ⁉」
そして、ヒコザルのひっかく攻撃がエネコへとダメージを与える。
亜里沙「チャームボイスを受けながら突っ込んで来るなんて、すごい気合です!」
穂乃果「それが穂乃果たちの一番の武器だよ!」
亜里沙「じゃあ、これはどうですか? エネコ、メロメロ!」
エネコ「エ~ネッ♡」
エネコがヒコザルに可愛らしく微笑んだ。
ヒコザル「ヒコ⁉」
穂乃果「ヒコザル⁉」
それを受けたヒコザルは……。
ヒコザル「ヒ~コ~♡」
目がハートマークになっている!
38: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:04:13.31 ID:yVagSkg00
穂乃果「ひ、ヒコザル? どうしたの?」
亜里沙「ヒコザルはメロメロ状態になったんです。今のヒコザルは、まともにエネコに攻撃できませんよ?」
穂乃果「そんな……ヒコザル! ひのこだよっ!」
ヒコザル「ヒ~コっ♡」
ヒコザルにはエネコのキュートな鳴き声しか聞こえていない!
穂乃果の声など雑音だ!
穂乃果「き、聞こえてない……」
亜里沙「ふふふっ。エネコ、おうふくビンタ!」
エネコ「エネっ! エネっ! エネっ!」
ヒコザル「ヒコ♡ ヒコ♡ ヒコ♡」
エネコの尻尾で両頬を交互に叩かれるヒコザル。その声は心なしか嬉しそうに聞こえた。
穂乃果「やられてるのに幸せそうにしてるんじゃないよ!」
ヒコザル「ヒコォ♡」
恍惚の表情である。
亜里沙「決めますよ。もう一度おうふくビンタ!」
エネコ「エーネッ!」
またしてもエネコがヒコザルに攻撃しようとするも、ヒコザルは笑顔でそれを受けようとしている。
穂乃果「……い……い……」
それを見て穂乃果が―――キレた。
穂乃果「いい加減にしてよヒコザルぅうううううううううううううう!」
そして、その怒りの叫びがミラクルを引き起こす!
ヒコザル「!……ヒコ?」
ヒコザルの目が元に戻った!
39: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:05:40.30 ID:yVagSkg00
穂乃果「! かわしてヒコザル!」
ヒコザル「ヒ、ヒコッ!」
穂乃果の指示に従い、とりあえずエネコの攻撃を避けるヒコザル。
亜里沙「えっ⁉ メロメロが解けた⁉」
穂乃果「そのままひっかく!」
ヒコザル「ヒィコっ!」
エネコ「エネ⁉」
メロメロが解けたヒコザルは、躊躇なくエネコへと攻撃を加える。
穂乃果「ひのこ!」
ヒコザル「ヒィイコォオオオ!」
エネコ「エネっ⁉」
そしてエネコに至近距離からのひのこが炸裂。
これにはさすがに耐え切れず……。
エネコ「エ、エネ……」
魔性のエネコはその場に崩れ落ちた。
審判「エネコ、戦闘不能! よって勝者、ヒコザル!」
穂乃果「やったあ!」
ヒコザル「ヒコォ!」
40: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:06:18.76 ID:yVagSkg00
*
―――観客席
ことり「すごい! 穂乃果ちゃんが勝ったよ!」
海未「まさか、大声を出してメロメロを解くとは」
絵里「さすが穂乃果、面白いバトルをするわね。……でも、ジム戦の本番はここからよ」
海未「そうですね。ここからが穂乃果たちの正念場です」
ことり「え、どういうこと?」
絵里「ふふ、すぐに分かるわ」
41: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:07:14.89 ID:yVagSkg00
*
―――フィールド
亜里沙がエネコをボールに戻す。
亜里沙「お疲れさま、エネコ。……すごいです、穂乃果さん! あんな方法でメロメロを解除するなんて!」
穂乃果「いやあ、あはは」
ただの偶然である。
亜里沙「私の残りポケモンは一体。このポケモンを倒せば穂乃果さんの勝ちです。出てきて、ミミロップ!」
ミミロップ「ミミロゥ!」
亜里沙が繰り出したのは、ミミロップ。折りたたんだ長い耳がチャームポイントだ。
よく見ると、耳元にシュシュのような可愛らしい飾りを付けている。お洒落したい年頃だろうか?
穂乃果「ミミロップ……そのポケモンを倒せば、穂乃果の勝ちだね」
亜里沙「ふふふ……そんな簡単にバッジはあげませんよ?」
穂乃果「望むところだよ。ミミロップも絶対に倒して、穂乃果はバッジを貰うよ!」
意気込む穂乃果だったが、それに対し、亜里沙は首を振った。
亜里沙「違いますよ、穂乃果さん。穂乃果さんが倒さなきゃいけないのは、ミミロップじゃないです」
穂乃果「え? それってどういうこと?」
亜里沙「こういうことです。……いくよ、ミミロップ!」
ミミロップ「ミミロ!」
亜里沙の髪留めが、強い輝きを放ち始めた!
さらに、それに呼応するかのようにミミロップのシュシュが輝き始めた!
亜里沙「ミミロップ……メガシンカ!」
ミミロップ「ミィ―――!」
輝きは、ミミロップの体を包み込んでいく……!
そして、光が消えた時、そこにいたのは。
メガミミロップ「―――ミロゥッ!」
姿を変化させ、さらなる力を得たミミロップだった。
亜里沙「これが亜里沙の最後のポケモン……メガミミロップです!」
穂乃果「メガ……ミミロップ……!」
42: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:08:43.10 ID:yVagSkg00
―――観客席
ことり「う、嘘⁉ メガシンカ⁉」
絵里「あれがあるから、この地方のジム戦はレベルが高すぎるって言われるのよね」
ことり「この地方のジム戦はって……ま、まさかジムリーダーって、みんなメガシンカが使えるの⁉」
絵里「それはそうよ。少なくともこのラブラ地方では、メガシンカが使えることがジムリーダーの必須条件だもの」
ことり「えぇ―――――――――っ⁉」
海未「ことり、まさか知らなかったのですか?」
ことり「初耳!」
絵里「え、海未のジム戦を見学したこととかないの?」
海未「そういえば……オトノキジムのジム戦は関係者以外立ち入り禁止なので、穂乃果とことりは私のジム戦を見たことは無いですね」
絵里「ああ、なるほどね」
ことり「う、海未ちゃん。穂乃果ちゃんには伝えてたの?」
海未「い、いえ、てっきり知っているものかと……」
絵里「ことりが知らなかったなら、おそらく穂乃果も知らないでしょうね」
だらだらと汗をかき始める海未。
海未「……。……ほ、穂乃果ならきっと大丈夫です。私は穂乃果を信じています」
海未は穂乃果への信頼を……目を逸らしながら口にした。
絵里「誤魔化したわね」
ことり「うぅ、頑張れ穂乃果ちゃーん!」
43: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:09:49.90 ID:yVagSkg00
――フィールド
その穂乃果はと言えば。
穂乃果「まさかメガシンカするなんて……すごいや!」
亜里沙「え?」
穂乃果「メガシンカしたポケモンと戦えるなんて、思わなかったよ! う~、すっごい燃えてきた!」
穂乃果はメガシンカを見ても全くひるむことなく、むしろ気合を増していた。
亜里沙「ハラショー! 穂乃果さん、流石です。メガシンカしたミミロップを見て、さらに闘志を燃やすなんて」
穂乃果「亜里沙ちゃん。穂乃果たちは負けないよ!」
亜里沙「亜里沙たちだって、負けません!」
そして再び、戦いの幕が上がる。
穂乃果「よーし、行くよヒコザル! ひのこ!」
亜里沙「ミミロップ、ねこだまし!」
メガミミロップ「ミロ!」
ヒコザル「ヒコ⁉」
穂乃果が技を指示するも、ミミロップのねこだましにより、技を出すことは叶わなかった。
ねこだましは、場に出た最初の攻撃時にのみ使える技。
どんな相手よりも早く技を繰り出し、受けた相手は必ずひるみ、技を出すことが出来ない。
亜里沙「かみなりパンチ!」
亜里沙は攻撃の手を緩めなかった。
ミミロップの右拳が雷を帯び、ヒコザルへと撃ちつけられる。
メガミミロップ「ミィイイロゥ!」
ヒコザル「ヒキャっ!」
ねこだましに続き、かみなりパンチまでもを食らうヒコザル。
ダメージが大きいのか、足元がふらついている。
穂乃果「まずい! ヒコザル、一旦戻って!」
ヒコザル「ひ、ヒコ……!」
穂乃果はヒコザルをモンスターボールに戻した。
穂乃果「お疲れさま、少し休んでて」
44: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:11:00.01 ID:yVagSkg00
亜里沙「ぎりぎりで戦闘不能にはならなかったみたいですね」
穂乃果「亜里沙ちゃん……強いね、メガミミロップ。それに、とんでもなく素早い」
亜里沙「ふふ、メガミミロップの力は、まだまだこんなものじゃないですよ?」
穂乃果「穂乃果たちだって、こんなものじゃないよ! いくよコリンク、ファイトだよっ!」
コリンク「リン!」
穂乃果は2体目であるコリンクを繰り出した。
コリンクの周りに、バチバチッと稲妻がはじける。
亜里沙「穂乃果さんの2体目はコリンクですか」
ヒコザルと違い、コリンクは無傷。亜里沙は気を引き締める。
穂乃果「一気にいくよ、でんこうせっか!」
コリンク「リンリン!」
ミミロップに負けぬほどの速さで、コリンクが突撃する。
亜里沙「ミミロップ、れいとうパンチ!」
メガミミロップ「ミィ!」
それを迎え撃つは氷の拳。冷気を帯びた左拳が、コリンクへと迫る。
穂乃果「そのままスパークだよっ!」
コリンクは、でんこうせっかからスパークを発動。
まさに電光のような体当たりと、れいとうパンチがぶつかり合う!
45: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:12:27.01 ID:yVagSkg00
コリンク「リンリン、リィイイン!」
メガミミロップ「ミィイイロゥ!」
コリンク「―――リンッ⁉」
押し負けたのはコリンクの方だった。そのまま吹き飛ばされるが、なんとか体勢を立て直す。
穂乃果「くっ! コリンク、まだいける?」
コリンク「リン!」
亜里沙「これで決めます! とびひざげり!」
メガミミロップ「ミミロ!」
ミミロップの俊敏な動きから繰り出されるとびひざげりが、コリンクへと迫る。
穂乃果「かわして!」
コリンク「リン!」
コリンクは横に跳び、ミミロップの狙いから外れる。
亜里沙「逃がしません! ミミロップ!」
亜里沙が叫ぶと、ミミロップはその長い耳を地面に叩きつけた!
メガミミロップ「ミィミ、ロゥっ!」
するとその衝撃により、とびひざげりの方向が変化する!
穂乃果「なっ⁉」
その先に居るのは、言うまでもなく。
コリンクの小さな体をミミロップの膝が捉える。
コリンク「リ、リン…………」
その攻撃により、コリンクは倒れた。
審判「コリンク戦闘不能。ミミロップの勝ち!」
穂乃果「……戻ってコリンク」
穂乃果は倒れたコリンクをボールへ戻し、中に入ったコリンクに語りかけた。
穂乃果「お疲れさま、ゆっくり休んでてね」
46: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:13:10.74 ID:yVagSkg00
―――観客席
海未「これで、お互いに残りポケモンは一体ですね……数の上では」
絵里「だけど穂乃果のヒコザルは、既に戦闘不能寸前。これはもう決まりかしら?」
海未「そうですね……ですが、穂乃果なら」
ことり「うん。穂乃果ちゃんなら」
海未とことりは、穂乃果を真っ直ぐに見つめていた。
絵里「二人とも、まだ勝ち目があるって言うの?」
海未「いえ、分かりません」
絵里「……何それ?」
海未「でも、穂乃果ならこの状況からでも何とかする……そう思えるんです」
ことり「ほら見て絵里ちゃん。穂乃果ちゃんはまだ諦めてないよ」
47: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:14:36.92 ID:yVagSkg00
―――フィールド
穂乃果「ヒコザル、ファイトだよっ!」
ヒコザル「ヒコ!」
ヒコザルが飛び出てくるが、その体は立っているのがやっとの様子だ。
亜里沙「穂乃果さん。そのボロボロのヒコザルじゃ、あと一発攻撃を受けたら終わりです。もう勝ち目はほとんど無いですよ?」
穂乃果「それでも穂乃果たちは諦めないよ。ね、ヒコザル?」
ヒコザル「ヒコ!」
穂乃果とヒコザルがお互いに頷き合う。
亜里沙「ハラショー! さすが穂乃果さんです。では始めましょうか……これが最後です!」
そして今、ラストバトルが幕を開ける。
穂乃果「いくよ、ヒコザル! 必ず勝って、バッジをゲットだよっ!」
ヒコザル「ヒコ!……ヒィイコォオオオオ!」
瞬間。ヒコザルの尻尾が燃え上がる。自分の体よりも、何倍も大きく。
穂乃果とヒコザルの闘志のように!
亜里沙「もうか……! まだヒコザルには、それがありましたね!」
穂乃果「ひのこ!」
ヒコザル「ヒィイコォオオオオ!」
ヒコザルがミミロップめがけて猛烈な勢いの火焔を噴き出す。
そのあまりの勢いに、ミミロップは避けることが出来なかった。
メガミミロップ「ミロっ⁉」
亜里沙「これがひのこ⁉ かえんほうしゃ並みの威力……! ミミロップ、一気に決めるよ! とびひざげり!」
メガミミロップ「ミミロ!」
48: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:16:00.32 ID:yVagSkg00
ミミロップのとびひざげりが、ヒコザルに迫っていく。
穂乃果「かわして!」
亜里沙「逃がさないと言いました!」
メガミミロップ「ミィミ!」
ヒコザルがかわそうとするが、先ほどと同じように、ミミロップが自らの耳を地面に打ち付け方向を転換する。
穂乃果(やっぱりかわしきれない!……それなら!)
穂乃果「地面に向かってひのこ!」
ヒコザル「ヒィイコォオオオオ!」
猛烈な勢いで地面へと噴き出した火焔は、ヒコザルの体を勢いよく空へと浮かび上がらせる。
メガミミロップ「ミロ⁉――――ミィっ⁉」
とびひざげりは空を切り、ミミロップはそのまま地面へと激突した。
亜里沙「ひのこを噴射して空を……⁉」
穂乃果「今だよ! ひのこ!」
ヒコザル「ヒィイイコォオオオオオ!」
地面にうずくまっているミミロップへと、空中から一直線に火焔が噴きつけられる。
メガミミロップ「ミィー!」
亜里沙「ミミロップ! これ以上はやらせません! かみなりパンチ!」
メガミミロップ「ミィ!」
ミミロップは右拳でかみなりパンチを放とうとした。
だが、その瞬間!
メガミミロップ「ミ、ミロ⁉」
突然、ミミロップの体をしびれが襲った!
亜里沙「まひ⁉ そんなどうして……まさかコリンクのスパークで⁉」
そう。コリンクのスパークにより、ミミロップはまひ状態になっていたのだ。
それが今、ようやくミミロップの動きを止めた。
穂乃果「今だ! これで決めるよ、ひのこぉおおおおおおおおお!」
ヒコザル「ヒィイイコォオオオオオ!」
空中から落下してきたヒコザルが、ミミロップの真上から火焔を放射する!
メガミミロップ「ミ、ミィー!」
亜里沙「ミミロップ!」
そして――――。
49: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:17:35.41 ID:yVagSkg00
ミミロップ「―――ミ、ミロゥ…………」
ミミロップはメガシンカが解除され、フィールドへと崩れ落ちた。
審判「ミミロップ戦闘不能、ヒコザルの勝ち! よってこの勝負、チャレンジャー穂乃果の勝ち!」
50: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:18:55.92 ID:yVagSkg00
穂乃果「やったあー! ありがとうヒコザル!」
ヒコザル「ヒコ!」
お互いに抱きしめ合う穂乃果とヒコザル。そして―――。
コリンク「リン!」
コリンクが勝手に飛び出してきた!
穂乃果「コリンク! 大丈夫なの⁉」
コリンク「リン! リン!」
どうやら喜びでダメージを忘れているようだ。……単純。
穂乃果「うん、やったよコリンク! 穂乃果たちの勝ち!」
コリンク「リン! リン!」
ヒコザル「ヒコ! ヒコ!」
穂乃果がヒコザルとコリンクを抱きしめていると、観客席からことりたちが降りてきた。
ことり「おめでとう穂乃果ちゃん!」
海未「やりましたね、穂乃果!」
穂乃果「うん!」
51: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:19:47.84 ID:yVagSkg00
亜里沙「ミミロップ、お疲れさま」
ミミロップ「ミロゥ」
絵里「いいバトルだったわよ、亜里沙」
亜里沙「ありがとう、お姉ちゃん」
52: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:21:16.97 ID:yVagSkg00
亜里沙「穂乃果さん、ハラショーです! あんなやり方でとびひざげりをかわされるなんて、考えもしませんでした!」
穂乃果「えへへ、そうかな?」
海未「とびひざげりは外した場合、自身にダメージを受けてしまいます。あそこでかわしたことが勝利の決め手でしたね」
ことり「穂乃果ちゃんの機転のおかげだね」
しかし、穂乃果は首を振る。
穂乃果「ううん、コリンクとヒコザルのおかげだよ。コリンクがミミロップをまひ状態にしてくれたから、ミミロップが最後に動きを止めたんだし。ヒコザルがもうかを発動してたから、ひのこの勢いが強くなってたんだもん」
絵里「それに穂乃果の機転が加わって、とびひざげりをかわせたということね」
ことり「じゃあ、3人の力を合わせた勝利だね」
穂乃果「うん!」
海未「……それに、まひ状態であったことでミミロップのすばやさは普段より落ちていましたからね」
穂乃果「え、そうなの?」
海未「まひの追加効果ですよ。元々のすばやさであったなら、おそらくひのこを出す間も無くやられていたでしょう」
絵里「亜里沙。あなた、ミミロップがしびれて動けなくなるまで、まひ状態だと気付いていなかったでしょ?」
亜里沙「あぅっ」
絵里「あなたのその、バトルに集中すると視野が狭くなる所は悪い癖よ。ポケモンの状態はいつも注意深く見ておくこと」
亜里沙「はい……」
海未「亜里沙もまだまだジムリーダーとしては未熟なようですね。うかうかしていると、すぐに穂乃果に抜かされますよ?」
穂乃果「抜かしちゃうよ?」
亜里沙「あうぅ……あ、それじゃあ穂乃果さん、これを」
亜里沙が穂乃果へとバッジを差し出す。
亜里沙「アジンジム勝利の証、フィアレスバッジです」
穂乃果「これが……初めてのジムバッジ!」
穂乃果はバッジを受け取ると嬉しくなり、たまらずポケモンたちと叫んだ。
穂乃果「フィアレスバッジ、ゲットだよっ!」
ヒコザル「ヒッコ!」コリンク「リィンッ!」
53: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:22:20.87 ID:yVagSkg00
絵里「じゃあみんな、今日は私たちの家に泊まっていきなさい」
穂乃果「え、いいの?」
絵里「もちろんよ。夕飯は私の手料理を振る舞うわ」
ことり「ありがとう絵里ちゃん」
海未「お言葉に甘えさせて頂きます」
亜里沙「え⁉ 海未さんが家に来るんですか⁉ お、お姉ちゃん、亜里沙先に帰って部屋片付けるね!」
絵里「あ、亜里沙⁉」
亜里沙のしんそく! 家へと真っ直ぐに駆け抜けていった!
絵里「……行っちゃったわ」
海未「別に私は気にしないのですが」
絵里「あの子もお年頃なのよ。……そういえば穂乃果、次に行くジムはもう決めてるの?」
穂乃果「ううん、まだだよ」
絵里「だったらドヴァ―ジムにしたら?」
穂乃果「ドヴァ―ジム?」
絵里「確かそのジムがこの町から一番近いジムだったはずよ。ジムリーダーはでんきタイプの使い手だったと思うわ」
穂乃果「でんきタイプのジムかあ。よし、じゃあ次のジムはドヴァ―ジムにする! 二人とも、いいかな?」
海未「私は構いませんよ」
ことり「ことりもいいよ、穂乃果ちゃん」
穂乃果「じゃあ決まりだね」
絵里「それとドヴァ―シティに行く途中の町で、タッグバトルの大会が開かれるそうよ。賞品も出るみたいだし、せっかくだから参加してみたら?」
穂乃果「タッグバトルって、たしか二人一組でするバトルだっけ」
絵里「ええそうよ。……あ、でも穂乃果たちは3人だから1人参加できないわね」
海未「では今回は穂乃果とことりで参加してみたらどうですか?」
ことり「え、海未ちゃんどうして? ことり、バトルしたことないんだよ?」
海未「だからですよ、ことり。せっかく旅に出たのですから、新しいことに挑戦してみるのも悪くないのではないですか?」
ことり「新しいことに挑戦……」
ことりは何かを思案するように少しの間黙り込んだ。
ことり「……うん、そうだね。穂乃果ちゃん、ことりと一緒でいいかな?」
穂乃果「もちろんだよ! 頑張ろうね、ことりちゃん」
ことり「うん!」
海未「では決まったことですし、そろそろ絵里の家へ行きましょうか」
絵里「そうね。亜里沙が今か今かと海未が来るのを待ってるものね」
海未「私限定ですか……?」
ちなみに、既に亜里沙は家へと辿り着き、部屋にせっせと掃除機をかけていた。
54: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:23:47.76 ID:yVagSkg00
―――翌日
亜里沙「海未さん、また泊まりに来てくださいね」
海未「はい、また機会があれば」
亜里沙「約束ですよ!」
海未「え、ええ」
若干引き気味の海未であった。
海未「……また会いに来ますから。今度は私が手料理でも振る舞いますよ」
亜里沙「ほ、ほんとですか⁉ 亜里沙、楽しみに待ってます!」
絵里「良かったわね、亜里沙」
亜里沙「うん♪」
穂乃果「じゃあ、そろそろ行こっか?」
海未「ええ、そうですね」
ことり「絵里ちゃん、お母さんをよろしくね。放っておくと、寝ないで研究したりするから」
絵里「任せて。博士の助手として、きちんと博士の体調管理もしておくわ」
ことり「絵里ちゃんがお母さんの助手で良かったよ」
穂乃果「絵里ちゃんなら、安心だもんね」
絵里「あ、博士といえば……私は研究のためによくオトノキの各地に行くから、運が良ければどこかで穂乃果たちと会えるかもね」
穂乃果「ふっふっふ……その時は穂乃果、今よりずっと強くなってると思うよ」
絵里「ふふ、楽しみにしておくわ。穂乃果がチャンピオンを目指す以上は―――」
絵里「いずれ、私とも戦うことになるんだし」
穂乃果「そうだね、絵里ちゃんと戦うことに…………え、なんで?」
絵里「なんでって……え、貴方それ本気で言ってるの?」
穂乃果「へ?」
海未「穂乃果、あなたまさか知らないのですか?」
穂乃果「なにを?」
ことり「穂乃果ちゃん、絵里ちゃんの職業は分かる?」
穂乃果「それは勿論、ことりちゃんのお母さんの助手でしょ?」
ことり「ううん、そっちじゃなくて」
穂乃果「そっちって……他に何があるの?」
亜里沙「ほ、穂乃果さん。一応聞きますが、四天王って知ってますか?」
穂乃果「『シテンノー』?……そんなポケモンいたっけ?」
絵里「ポケモンじゃ無いわよ!」
ちなみにそんなポケモンはいない。
55: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:25:35.51 ID:yVagSkg00
絵里「穂乃果、あなたポケモントレーナーなのに四天王も知らないの?」
穂乃果「その四天王って、チャンピオンに関係あるの?」
絵里「か、関係あるも何も……」
穂乃果の無知ぶりに、頭が痛くなってきた絵里であった。
ことり「絵里ちゃん。穂乃果ちゃん、この前まであんまりポケモンバトルには興味なかったから」
絵里「そ、そういう問題なの……?」
海未「穂乃果は興味が無いことにはあまり関心を寄せませんから……あり得ない話じゃ無いですね」
穂乃果「?」
ことり「あのね、穂乃果ちゃん。ポケモンリーグにはチャンピオンの他に四天王っていう人たちが4人いて、その人たちに勝たないとチャンピオンには挑戦できないんだよ?」
穂乃果「え、そうなの⁉ バッジ8個集めたら、チャンピオンに挑戦できるんじゃないの⁉」
絵里「違うわよ……。あなた、よくそんなのでチャンピオン目指すとか言えたわね」
穂乃果「いや~、それほどでも」
絵里「褒めてないわよ!」
穂乃果「でも、その四天王と絵里ちゃんが何か関係あるの?」
亜里沙「お姉ちゃんはその四天王の一人なんです」
穂乃果「へ~、絵里ちゃんが四天のうぇえええええええええええええええ⁉ ほんとに⁉」
絵里「ほんとよ」
穂乃果「絵里ちゃん、ことりちゃんのお母さんの助手じゃ無かったの⁉」
絵里「四天王の役目があるのは基本的にリーグ開催時くらいなの。だから普段は博士の助手をしているのよ」
穂乃果「し、知らなかった。いや~、びっくりだよ」
絵里「私の方がびっくりよ。むしろハラショーよ。まさか今までずっと知らなかったなんて」
穂乃果「じゃあ、絵里ちゃんはポケモンバトル強いの?」
亜里沙「穂乃果さん。お姉ちゃんは私の何倍も強いですよ」
穂乃果「そ、そんなに⁉」
絵里「強くなきゃ、四天王は務まらないからね」
穂乃果「そっかぁ……じゃあさ亜里沙ちゃん。海未ちゃんと絵里ちゃん、どっちが強いと思う?」
穂乃果は悪魔の選択を亜里沙に繰り出した!
亜里沙「う、う~ん……」
ことり「答えなくていいよ、亜里沙ちゃん⁉ その質問、答えちゃったら―――」
亜里沙「海未さんです!」
絵里「亜里沙⁉」
きゅうしょにあたった! 絵里(の心)にこうかはばつぐんだ!
56: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:26:40.77 ID:yVagSkg00
ことり「亜里沙ちゃん! 絵里ちゃんが今まで見たことないくらい悲しい顔してるよ⁉」
亜里沙「あ⁉ じゃ、じゃあ二人ともとっても強いです!」
絵里「……今さら言い直しても、もう亜里沙の本音は分かったわ」
亜里沙「ご、ごめんねお姉ちゃん。つい……」
絵里がどんよりとした目で海未を睨みつける。
絵里「……海未。今からあなたは私の敵よ」
海未「……お願いですから、そのような怖い目で睨まないでください」
穂乃果「海未ちゃん、ファイトだよっ!」
海未「ファイトじゃないです穂乃果のせいでしょう!」
穂乃果は明後日の方向を見据える。
穂乃果「……それはさておき、穂乃果がチャンピオンになるには、絵里ちゃんを倒さなきゃなんだね」
海未「目と話をそらさないでください!」
穂乃果「絵里ちゃん。絶対にバッジを8個集めるから顔を洗って待っててよ!」
絵里「……顔は毎朝洗ってるわよ」
恐ろしいほど低い声で答える絵里。
ことり「穂乃果ちゃん、顔じゃなくて首だよ」
穂乃果「……。じゃ、じゃあどっちも洗えばいいよ。その方が清潔だし!」
ことり「そういう問題じゃないよ⁉」
絵里「……あなた達、もうとっとと出発すれば? ばいばいまたねさようなら」
穂乃果「別れの挨拶投げやりだね⁉」
絵里の目は既に焦点が合っていなかった。
海未「穂乃果、本当にもう行きましょう。絵里の貫くような視線が凄く痛いです」
ことり「じゃ、じゃあね二人とも。またね」
亜里沙「は、はい。みなさんお元気で」
絵里「海未、いつか必ず倒すから覚悟しておきなさい……!」
絵里は小さく、だがドスの利いた声でそう呟いた。
57: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:28:24.82 ID:yVagSkg00
―――絢瀬家から少し離れて。
海未(精神衛生上、最後の絵里の台詞は聞かなかったことにしておきましょう……)
穂乃果「よーしっ、次の町に向けて出発だよっ!」
海未「……穂乃果、後で覚悟しておきなさい」
穂乃果「な、何も聞こえないよっ! そして穂乃果は次の町に向けて走り出すよっ!」
穂乃果はにげあしを発動した! ついでにぼうおん(両耳に指で栓)も発動した!
海未「待ちなさい穂乃果ぁっ!」
ことり「海未ちゃん落ち着いて! 穂乃果ちゃんも逃げちゃだめだよぉ!」
穂乃果は無事、1つ目のバッジを手に入れた。
……まあこの後、無事では済まないことになりそうではあるが。
とにもかくにも、穂乃果はポケモンリーグへの道を踏み出したのであった。
―――つづく
58: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 22:35:12.12 ID:yVagSkg00
これにて第2話終了です。……が、すぐに3話も上げようと思います。
書き溜めてあったのですが、出し惜しみするのも嫌らしいと我ながら気付きました。
……あと、街の名前はテキトーです。
絵里にちなんで、ロシア語の数字を順にあててるだけです。
アジンシティ=亜人シティとかの深い意味はありません。
書き溜めてあったのですが、出し惜しみするのも嫌らしいと我ながら気付きました。
……あと、街の名前はテキトーです。
絵里にちなんで、ロシア語の数字を順にあててるだけです。
アジンシティ=亜人シティとかの深い意味はありません。
59: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:22:43.94 ID:yVagSkg00
第3話 謎の少女と正義のポケモン
アジンシティを出発した穂乃果たち。……だが、何かトラブルがあったようだ。
穂乃果「ヒコザル、ひのこ!」
ヒコザル「ヒィイコォオオオオ!」
ひのこが空を飛びまわっていたヤヤコマに命中する。
ヤヤコマ「ヤコっ⁉」
ヤヤコマはそのダメージにより地面へと落下した。
海未「今です穂乃果!」
穂乃果「うん! いけっ、モンスターボール!」
穂乃果の投げたボールに当たり、ヤヤコマが中に吸い込まれる。
『ころん、ころん、ころん……ぱちっ☆』
穂乃果「やったぁ! ヤヤコマ、ゲットだよっ!」
ヒコザル「ヒッコォ♪」
穂乃果「じゃあヤヤコマ、出ておいで」
穂乃果がボールからヤヤコマを出した。
ヤヤコマ「ヤコ!」
穂乃果はしゃがみ込み、ヤヤコマと目を合わせて語りかける。
穂乃果「ねえヤヤコマ。さっきヤヤコマが穂乃果から取ったのは、穂乃果が大事にとっておいた最後のほむまんだったの。穂乃果、すごく悲しかったんだよ?」
ヤヤコマ「ヤコ……」
穂乃果「ちゃんと反省してる?」
ヤヤコマ「……ヤコ!」
穂乃果「もう人のものは取っちゃだめだよ?」
ヤヤコマ「ヤコ!」
穂乃果「うん。じゃあ許してあげる」
ヤヤコマ「ヤッコ!」
穂乃果「あ、それと成り行きでゲットしちゃったけど……このまま穂乃果のポケモンになってくれるかな?」
ヤヤコマ「ヤコ♪ ヤッコ♪」
ヤヤコマが穂乃果の周りを飛び回る。
穂乃果「いいの? ありがとうヤヤコマ!」
海未「これで、また旅の仲間が増えましたね」
ことり「これからよろしくね、ヤヤコマ」
ヤヤコマ「ヤコ!」
アジンシティを出発した穂乃果たち。……だが、何かトラブルがあったようだ。
穂乃果「ヒコザル、ひのこ!」
ヒコザル「ヒィイコォオオオオ!」
ひのこが空を飛びまわっていたヤヤコマに命中する。
ヤヤコマ「ヤコっ⁉」
ヤヤコマはそのダメージにより地面へと落下した。
海未「今です穂乃果!」
穂乃果「うん! いけっ、モンスターボール!」
穂乃果の投げたボールに当たり、ヤヤコマが中に吸い込まれる。
『ころん、ころん、ころん……ぱちっ☆』
穂乃果「やったぁ! ヤヤコマ、ゲットだよっ!」
ヒコザル「ヒッコォ♪」
穂乃果「じゃあヤヤコマ、出ておいで」
穂乃果がボールからヤヤコマを出した。
ヤヤコマ「ヤコ!」
穂乃果はしゃがみ込み、ヤヤコマと目を合わせて語りかける。
穂乃果「ねえヤヤコマ。さっきヤヤコマが穂乃果から取ったのは、穂乃果が大事にとっておいた最後のほむまんだったの。穂乃果、すごく悲しかったんだよ?」
ヤヤコマ「ヤコ……」
穂乃果「ちゃんと反省してる?」
ヤヤコマ「……ヤコ!」
穂乃果「もう人のものは取っちゃだめだよ?」
ヤヤコマ「ヤコ!」
穂乃果「うん。じゃあ許してあげる」
ヤヤコマ「ヤッコ!」
穂乃果「あ、それと成り行きでゲットしちゃったけど……このまま穂乃果のポケモンになってくれるかな?」
ヤヤコマ「ヤコ♪ ヤッコ♪」
ヤヤコマが穂乃果の周りを飛び回る。
穂乃果「いいの? ありがとうヤヤコマ!」
海未「これで、また旅の仲間が増えましたね」
ことり「これからよろしくね、ヤヤコマ」
ヤヤコマ「ヤコ!」
60: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:23:35.22 ID:yVagSkg00
穂乃果「じゃあ、みんなを紹介するね。出てきてコリンク!」
コリンク「リン!」
海未「ワニノコも出てきてください」
ワニノコ「ワニ!」
ことり「モクちゃんも出ておいで」
モクロー「ホゥ!」
穂乃果「みんな。新しく仲間になったヤヤコマだよ。仲良くしてあげてね」
「リン♪」「ワニャ!」「ホォ」
ヤヤコマ「ヤコ♪」
ヒコザル「ヒコ!」
海未「ではヤヤコマの紹介も済みましたし、私たちは昼食の準備を始めますか」
ことり「あ、そういえばもうそんな時間だね」
穂乃果「うぅ、穂乃果もうお腹ペコペコだよぉ~」
海未「はいはい、すぐに作りますから」
ことり「じゃあいつもみたいに、ご飯が出来るまでモクちゃんたちはみんなで遊んでてね」
海未「お昼が出来るころには戻ってきてくださいね」
「ヒコ!」「ワニ!」「ホゥ」「リン!「ヤコ!」
ヒコザルたちが元気に走っていく。
いつも穂乃果たちは、食事の準備をしている最中、ポケモンたちを自由に遊ばせているのだ。
穂乃果「……穂乃果もみんなと遊んでたいなぁ」
海未「駄目です。ちゃんと手伝いなさい」
穂乃果「分かってるよぉ。……あれ?」
穂乃果が視線の先に何かを見つける。
61: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:24:40.09 ID:yVagSkg00
ことり「穂乃果ちゃん、どうかしたの?」
穂乃果「あそこ……人が倒れてるよ⁉」
ことり「えぇ⁉」
海未「なんですって⁉」
穂乃果「ほら、あそこ!」
穂乃果の指差す先では、少女らしき人影が地面に倒れていた。
海未「本当ですね……私がちょっと様子を見てきます」
穂乃果「あ、穂乃果も行くよ」
ことり「ことりも」
海未「では、まず脈の確認を……」
そう言って海未が少女ののどに手を当てる。
すると、海未の瞳が驚愕に見開かれた。
海未「な⁉ この人、すでに死んで―――」
穂乃果・ことり『えぇ⁉』
海未「―――はいませんね。きちんと脈があります」
ずっこける穂乃果とことり。
穂乃果「海未ちゃん⁉」
ことり「驚かさないでよぉ!」
海未「す、すみません。一回やってみたかったんです」
穂乃果「今のは冗談になってないよ!」
ことり「海未ちゃん、時々変なところでボケるよね……」
海未「こ、こほん! とにかくこの人は息もしていますし、目立った外傷もないです」
穂乃果「う~ん? じゃあ、何でこんなところで倒れてたんだろ?」
海未「私の推理によると――」
名探偵ウミの海未色の脳細胞が唸りを上げる!
62: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:27:17.30 ID:yVagSkg00
海未「―――昼寝でもしていたのではないでしょうか?」
ことり「昼寝⁉」
斬新すぎた迷推理にことりが驚愕する。
一方、穂乃果は納得の面持ち。
穂乃果「あ、なるほど! 今日はいい天気だし、お昼寝日和だもんね!」
海未「はい。おそらく、陽だまりにまどろんで、そのまま眠ってしまったのでしょう」
ことり「えぇ……? こ、こんな道端でお昼寝するかなぁ?」
海未「きっとこの人はそういう趣味なのでしょう。なので、この人はこのまま寝かせておいてあげたほうが良いと思います」
穂乃果「起こしちゃ悪いもんね」
海未「では、私たちは昼食の準備に戻りましょ―――」
そうして、海未たちがその場を離れようとした瞬間。
昼寝してた少女「いやちょっと待って⁉」
突然、倒れていた少女が起き上がった!
穂乃果「わ⁉ びっくりしたぁ」
海未「す、すみません。起こしてしまいましたか……?」
昼寝してなかった少女「起こすも何も寝てないから! うち倒れてたの! 見れば分かるやん!」
穂乃果・海未『⁉』
驚きの表情になる穂乃果と海未。『その発想はなかった』とでも言いたげだ。
ことり(やっぱりお昼寝してたんじゃなかったんだ……)
倒れてた少女「さっきからなんなん⁉ なんで昼寝なんて発想に行きつくん⁉ こんな道端で昼寝するわけないやん! なんなん趣味って⁉」
海未「あの……倒れていたにしては随分とお元気ですね?」
元気な少女「うるさいよ!……いや、うちも好きで叫んでるんじゃないんよ⁉ 君らにツッコミどころが多すぎるの!」
穂乃果「ご、ごめんなさい」
ことり「あ、あの……結局どうして倒れていたんですか?」
倒れてた少女「ああ、それは……あ、今ので最後の力出し切った。もう駄目や……」
少女はまた地面へと崩れ落ちる。
穂乃果「え⁉ し、しっかりしてください!」
《ぐぅ~!》
少女のお腹から、そんな音が鳴り響いた。
穂乃果「……へ?」
ことり「今の音は……?」
海未「まさか……」
紫髪の少女「お、お腹……空いた…………がくり」
63: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:28:09.14 ID:yVagSkg00
―――一方その頃、ポケモンたちは
ヒコザル「ヒコ! ヒコヒコ!」
モクロー「ホゥ……」
ワニノコ「ワーニィ」
コリンク「リン!」
ヤヤコマ「ヤコヤッコ」
*何を言っているか全く分からないので、ここからは日本語字幕でお届けします。
ヒコザル「みんな、なにして遊ぼっか?」
ワニノコ「おいらはお昼寝がいいなぁ」
モクロー「あんたはいつもそれね……少しはシャキっとしなさいよ」
コリンク「ワニノコはのんきだから、シャキッとするなんて無理だよ。姐さん」
ヤヤコマ「姐さん? モクローのこと?」
コリンク「そうだよ。姐さんはみんなの姉貴分なんだ」
ヤヤコマ「へえ~。じゃあ僕も姐さんって呼ぼうかな。いいですかい、姐さん?」
モクロー「好きにしなさいよ。……でもなんか馬鹿にしてない?」
ヤヤコマ「そんなことありやせんよ、姐さん」
モクロー「その口調が馬鹿にしてるって言ってんのよ!」
ヒコザル「落ち着いてよ、モクロー! ヤヤコマも、モクローをからかわないで!」
ヤヤコマ「ごめんごめん。からかいがいがあって、つい」
モクロー「あんたぶっ飛ばすわよ!」
ヒコザル「モクロー、喧嘩は駄目だよ! ヤヤコマはいたずら好きなだけだから、そんなにムキにならないで! ほら、深呼吸!」
モクロー「ぐうぅ……すぅー、はぁー……すぅー」
ワニノコ「ふわあ……もう食べられないよ……」
モクロー「あんたは寝てんじゃないわよ!」
ヒコザル「やつあたりもやめなよ!」
ヒコザルがモクローを押さえつける。
モクロー「放しなさいヒコザル! まずワニノコをつついて、次にヤヤコマ、おまけであんたとコリンクもつつくの!」
ヒコザル「おまけで僕らまでつつかないでよ!」
ヤヤコマ「ねえコリンク。この3匹、いつもこんななの?」
コリンク「そうだよ。面白いでしょ」
ヤヤコマ「うん、かなり」
ヤヤコマとコリンクは、暴れるモクローとそれを抑えるヒコザル、そしてのんきに昼寝するワニノコの様子を傍から眺めている。
と、ヤヤコマがワニノコのある一点に目を止めた。
ヤヤコマ「ねえ、ワニノコのあのお腹に付けてる石みたいなの何?」
ワニノコのお腹には、丸い石のようなものがくくりつけられていた。
64: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:28:48.30 ID:yVagSkg00
コリンク「何でも、お守りらしいよ。もうずっと付けてるみたい」
ヤヤコマ「へー……」
コリンク「……いたずらで取ろうとしちゃ駄目だよ?」
ヤヤコマ「ヤコッ⁉ そ、そそそ、そんなことしないって!」
コリンク「ホントかな……」
そんな和気あいあいとしたやりとりをするポケモンたちに、2つの影が近づく。
ヤンチャムA「ようようてめえら、誰の許可取ってここで騒いでんだ?」
ヤンチャムB「この辺りは俺たちの縄張りなんだよ。痛い目に遭いたくなけりゃ、とっととどっかに消えな!」
不良のヤンチャムたちが現れた!
ヤヤコマ「なんか出てきた!」
コリンク「ああ言ってるけど、どうする?」
ヤヤコマ「ヒコザルたちに任せようよ」
ヒコザル「も、モクロー! ほら、ヤンチャムたちが何か言ってるよ!」
モクロー「今忙しいから放っときなさい!」
ワニノコ「むにゃ……やっぱりもう少し食べさせて……」
不良のヤンチャムたちは無視された!
ヤンチャムA「なんだこの雑な扱いは!」
ヤンチャムB「調子こいてんじゃねーぞ!」
モクロー「なんかさっきからうるさいわね……あたしたちとやるっての?」
ヤンチャムA「ああ、てめえらまとめてぶっ飛ばしてやる!」
ヤンチャムB「これでもくらえ! からてチョ―――」
???「そこまでだ悪党ども!」
突然、辺りに凛々しい声が響き渡った。
65: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:29:31.15 ID:yVagSkg00
ヒコザル「こ、今度は何⁉」
ヤンチャムA「なにもんだ! 出てきやがれ!」
???「正義の心を持って、この世の悪を打ち倒す。強きを挫き、弱きを助ける正義のポケモン!」
ケルディオ「聖剣士ケルディオ、ここに参上!」
正義のポケモン、ケルディオが現れた!
ヤンチャムB「……なんだこいつ?」
ヤンチャムA「ただの馬鹿だろ。ほっとこうぜ」
正義のポケモン、ケルディオも無視された!
ケルディオ「ほっとかないで⁉ この僕が来たからには、君たちに彼らを傷つけさせないよ!」
ヤンチャムB「上等だ! だったらてめえから片付けてやんよ!」
ヤンチャムA「やんよやんよ!」
ケルディオ「片付くのは君らの方さ! くらえ、バブルこうせん!」
ケルディオのバブルこうせんがヤンチャムたちに炸裂する。
ヤンチャムA・B『ぐあああああっ!』
ケルディオ「そしてとっしん!」
ヤンチャムA・B『ぎゃあああああああっ!』
息つく暇も無く繰り出されたとっしんに、ゴミクズのように吹き飛ばされるヤンチャムたち。
ケルディオ「どう、まだやる?」
ヤンチャムA「て、てめえ覚えてやがれ!」
ヤンチャムB「親分に言いつけてやる!」
捨て台詞(*技ではない)を吐きながら、ヤンチャムたちは一目散に逃げていった。
66: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:30:48.39 ID:yVagSkg00
ヒコザル「……行っちゃった」
モクロー「最後まで小者っぽい奴らだったわね」
コリンク「助けてくれてありがとう、ケルディオ」
ヤヤコマ「2人相手に1人で勝つなんて、やるね!」
ケルディオ「いやぁ~、あはは。まあ、正義は必ず勝つってことだよ」
モクロー「ねえ。あんた随分タイミングよく出てきたけど、まさかタイミング測ってたんじゃないわよね?」
ケルディオ「そ、そんなわけないだろ⁉ なんてこと言うのさ!」
ヒコザル「そうだよモクロー。助けてくれた人に対してそんな言い方は駄目だよ」
モクロー「……まあいいわ。じゃあ邪魔者もいなくなったことだし……あんたたちをつつくわね!」
ヒコザル「まだつつく気だったの⁉」
ヤヤコマ「姐さん、根に持つタイプだね」
ワニノコ「……うん、デザートは別腹だよ……」
コリンク「ワニノコ、あの状況でまだ寝てたんだ」
ケルディオ「よ、よく分からないけど、暴力は良くないよモクロー」
モクロー「あんたは黙ってなさい! つつくわよ!」
ケルディオ「は、はい!」
ヒコザル「黙っちゃうの⁉ そこはもうちょっと―――」
ゴロンダ「俺の子分たちをいじめたのはお前たちかぁあああ!」
不良の親分、ゴロンダが現れた!
モクロー「……今度は何?」
ヤンチャムA「こいつらです親分!」
ヤンチャムB「てめえら、覚悟しろよ!」
コリンク「あ、さっきのヤンチャムたち!」
ゴロンダ「てめえら、よくも俺の可愛い子分たちを可愛がってくれたなぁ……お礼に俺もお前たちを可愛がってやるよ!」
ゴロンダは指をぱきぽき鳴らしている。
コリンク「な、なんかこいつは強そうだよ!」
ヒコザル「確かに、ヤンチャムたちとは全然違う……!」
モクロー「めんどくさいわね……ケルディオ、さっきみたいにやっちゃいなさい」
ケルディオ「……え? 僕?」
モクロー「そりゃそうでしょ! なんで意外な感じなのよ!」
ケルディオ「いや、だって……」
モクロー「いいから、さっさと行きなさい!」
ケルディオ「わ⁉ ちょ、押さないで!」
67: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:32:25.73 ID:yVagSkg00
モクローに蹴飛ばされ、ゴロンダの前へと出てくるケルディオ。
ヤンチャムA「あ、親分! このケルディオが俺たちをやったやつです!」
ヤンチャムがケルディオを指差してそう叫ぶ。
それにケルディオは再び凛々しい声で答え――。
ケルディオ「……ぽ、ポケモン違いじゃない? 僕は見ての通りダイケンキだよ」
衝撃の事実発覚! ケルディオはダイケンキだった⁉
モクロー「なに言ってんのあんた⁉」
モクローたちが驚きわななく。
ヤンチャムA「え、マジで? わりぃ、間違えた」
ダイケンキ?「分かればいいケンキ」
ヤンチャムA「――ってそんなわけあるか! どこからどう見てもケルディオだろうが!」
ケルディオ「ば、ばれた⁉」
モクロー「当たり前でしょ! 角しか共通点ないわよ!」
ゴロンダ「そうか、てめえか……じゃあ、たっぷり可愛がってやんねえとなぁ!」
ケルディオ「ひいいいいいいいいいい! 怖いよぉおおおおおおお!」
ケルディオは背を向けて逃げ出した!
モクロー「は⁉ あんた何であたしの背中に隠れるのよ!」
ケルディオ「助けてモクロぉおおおおおおおおお! 怖いよぉおおおおお!」
モクロー「いやあんたがあたしたちを助けるんじゃなかったの⁉ っていうか女の背中に隠れるんじゃないわよ! あんた男でしょ⁉」
ケルディオ「怖いのに男も女も関係ないじゃん!」
モクロー「逆ギレしてんじゃないわよ!」
ヒコザル「ど、どうしたのケルディオ⁉」
コリンク「強きを挫き、弱きを助けるんじゃなかったの⁉」
ケルディオ「何言ってるのさ! 弱きを挫くならともかく、強い奴に勝てるわけないじゃん!」
ヤヤコマ「えぇ⁉ さっき正義は必ず勝つって……」
ケルディオ「勝てないときは逃げるんだよ!」
モクロー「あんた情けないにもほどがあるでしょ!」
68: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:33:05.79 ID:yVagSkg00
そんな情けないやりとりを見て、ゴロンダが呟く。
ゴロンダ「……なあ、お前ら本当にあんなのにやられたのか?」
ヤンチャムA「た、多分」
ヤンチャムB「あいつ、もしかしてさっき強気だったのは、俺たちになら勝てると思ってたからか?」
ヤンチャムA「なんだそれ! それじゃあてめえの方こそ弱い者いじめじゃねーか!」
ケルディオ「ぎくぅっ⁉」
ヒコザル「図星なの⁉」
モクロー「あんたどこが正義のポケモンなのよ!」
ゴロンダ「てめえらごちゃごちゃといつまでやってんだ! めんどくせえ……てめえらまとめてぶっ飛ばしてやる!」
ゴロンダが指をぱきぽき鳴らしながらケルディオたちに近づいてきた。
ケルディオ「ひぃいいいいい!」
モクロー「こうなったら仕方ない……ワニノコ、起きなさい!」
モクローがぐうすか寝ていたワニノコをつついた。
ワニノコ「むにゃむにゃ……もうご飯?」
モクロー「あんた夢でたらふく食ってたでしょ!……って今はそんなことどうでもいいわ。ワニノコ、あのゴロンダをやっちゃいなさい!」
ワニノコ「……なんで?」
モクロー「襲われてるからよ! 早くしなさい!」
ワニノコ「……よく分からないけど、分かった。えいっ」
ワニノコはみずでっぽうでも撃つかのような動作で、ゴロンダにハイドロポンプをお見舞いした!
ゴロンダ「ぐぉおおおおおおおおおおおっ⁉」
ゴロンダがすさまじい勢いで吹っ飛び、後方にあった木へと激突する。
ワニノコ「あ。ごめん、やりすぎちゃった」
ヤンチャムA「兄貴⁉」
ヤンチャムB「あ、兄貴を一撃で……? なんだあいつ⁉」
モクロー「あんたたち、まだやるってんならこのワニノコが相手になるわよ。さあ……どうすんの?」
ヤンチャムA「く、くそぅ……覚えてやがれ!」
ヤンチャムB「兄貴、しっかり!」
ゴロンダ「ちくしょう、何だあのチビ野郎は……」
ゴロンダたちは森の中へと逃げていった。
69: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:34:04.57 ID:yVagSkg00
ワニノコ「ごめんねー」
ヒコザル「行っちゃった」
モクロー「ふん、口ほどにもない奴らね」
ヤヤコマ「なんで姐さんが偉そうなんだろう……?」
コリンク「姐さんはいつも偉そうだよ」
モクロー「うるさいわよそこ!」
ヒコザル「でもさすがワニノコだね。一発でやっつけちゃった」
ワニノコ「ねえ、なんだったのあれ?」
モクロー「後で話すわ。今はそれよりケルデ――」
ケルディオ「ワニノコさん、僕を弟子にしてください!」
『……はい?』
いつのまにやら、ケルディオがワニノコの前で頭を下げていた。
ワニノコ「弟子? っていうか君だれ?」
ケルディオ「僕はケルディオって言います。たった今見たあなたの強さに胸が痺れました! お願いします、僕を弟子にしてください!」
ワニノコ「えぇ……? いきなりそんなこと言われても……」
モクロー「ちょっとあんた。それよりさっきのは何よ。ゴロンダ相手に情けなくビビりまくって」
ヒコザル「確かに、あれは全然正義のポケモンとは思えなかったよ」
ケルディオ「そのぅ……実は僕、本当は聖剣士見習いなんです」
ヤヤコマ「見習い? 聖剣士って見習いとかあるの?」
コリンク「っていうかそもそも聖剣士って何?」
ケルディオ「聖剣士は簡単に言うと、世界の平和を守るポケモンたちのことです。僕は聖剣士の先輩たち、コバルオン、ビリジオン、テラキオンと一緒に修行しながら各地を旅していたんです」
ヒコザル「『いたんです』って……じゃあ今は違うの?」
ケルディオ「いつまで経っても先輩たちが僕を正式な聖剣士として認めてくれないから、頭にきて家出したんです」
モクロー「子供か!」
70: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:34:48.99 ID:yVagSkg00
ケルディオ「それでふらふらとしてたら、ヤンチャムたちに襲われてるモクローさんたちを見つけたので、助けに入った次第で」
ヤヤコマ「あいつらなら倒せそうだったから?」
ケルディオ「はい」
コリンク「じゃあゴロンダは?」
ケルディオ「強そうで、倒せそうになかったから逃げました」
モクロー「そんなヘタレたことしてて、先輩たちに認めてもらえるわけないでしょ!」
ケルディオ「うぅっ! やっぱりそうですかね……」
モクロー「当たり前でしょ! 正義の味方が敵を選り好みしてるんじゃないわよ!」
ケルディオ「うぅ……だ、だから僕、さっきのワニノコさんを見て、すごいとおもったんです。突然起こされて目の前に敵が迫っていても全然恐れない心。そしてゴロンダを一撃で倒した力。どっちも今の僕には無いものです!」
ヒコザル「力はともかく、ゴロンダが迫ってきても落ち着いてたのは、ただワニノコがのんきだからだと思うけど……」
そんなヒコザルの言葉はケルディオには聞こえていなかった。
ケルディオ「僕、力も心も強くなって、立派な聖剣士になりたいんです! ワニノコさんみたいに、強くなりたいんです! お願いしますワニノコさん、弟子にしてください!」
ワニノコ「事情は分かったけど……おいら、師匠なんて向いてないしなあ」
モクロー「ま、それはそうね」
ヒコザル「ワニノコはマイペースだからねぇ」
ケルディオ「そこをなんとか!」
ワニノコ「う~ん……それじゃあさ――――」
71: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:35:42.17 ID:yVagSkg00
―――その頃、穂乃果たちは。
紫髪の少女「いやぁ~食べた食べた! ことりちゃん、ごちそうさま。とっても美味しかったよ」
ことり「お粗末様でした」
倒れていた少女はことりたちのご飯をご馳走になり、すっかり元気を取り戻していた。
食事をしている最中、少女は穂乃果たちに自らの名前を名乗った。
彼女は希と言うらしい。
ことり「希ちゃんが元気になって、良かった」
希「ことりちゃんは優しいなぁ。……そっちの2人と違って」
海未「む、失敬ですね希は」
穂乃果「そうだよ。穂乃果たちだってご飯作るの手伝ったんだよ?」
希「そうやね。そっちには感謝してるよ。どうもありがとう。……でも、うちはさっきの昼寝扱いを忘れてないよ?」
穂乃果「あー……そっちか」
海未「いえ、まさか空腹で倒れていたとは思わなかったのです」
本当に思っていなかったのが恐ろしい。
希「まあ、最終的に助けてくれたんやし、もういいけどね」
穂乃果「でも希ちゃん、運が悪かったね。食料失くすなんて」
希「うち、普段は運がいい方なんやけどなぁ……あ、逆に考えればことりちゃん達に助けてもらえたんやから、運が良かったってことやない?」
穂乃果「おお、確かに。ラッキーだね、希ちゃん」
ことり「それはちょっとポジティブすぎじゃないかな?」
希「運なんて結局、その人の気の持ちようなんよ」
海未「なるほど。そうかもしれませんね」
希「そうだ。ご飯のお礼に、ことりちゃん達を占ってあげようか?」
穂乃果「占い?」
ことり「希ちゃん、占いが出来るの?」
希「出来るも何も、うちは旅の占い師なんよ」
海未「そうだったんですか。どうりで怪しい格好をしていると思いました」
希「海未ちゃん、ナチュラルに失礼やね」
穂乃果「占いって、何が占えるの?」
希「何が占えるかって? ふっふっふ……うちのスピリチュアルパワーにかかれば、占えないものなんて何もないやん!」
穂乃果「なんでも占えるってこと?」
希「そのとーり!」
ことり「希ちゃん、すごいね!」
海未(嘘くさいですね……)
希「むむむ……海未ちゃんは今、嘘くさいって思ったね!」
海未「な、何故分かったのですか⁉」
希「言ったやん? うちに占えないものは無いって!」
海未「そんな、まさか……!」
72: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:36:25.44 ID:yVagSkg00
ことり(今のは占いというより、テレパシーとかなんじゃ……)
希「どう? 信じてもらえた?」
海未「く……認めざるを得ませんね」
穂乃果(海未ちゃん、チョロいなぁ……)
穂乃果とことりは、海未の将来に不安を感じた。
希「よし! じゃあ海未ちゃんもうちの占いを信じたことやし、さっそく占おっか?」
穂乃果「あ、ちょっと待って。穂乃果、ポケモンたちが気になるから、探してきていいかな?」
希「ポケモンたち?」
ことり「ことりたちが食事の準備をしてる間、ポケモンたちだけで遊んでもらってるの」
海未「そういえば、戻ってくるのが遅いですね。いつもは食事の準備が終わるころには、きちんと戻ってくるのですが」
穂乃果「心配だから、ちょっと探してくるよ。ごめんね、希ちゃん。占いはまた後でお願い」
希「いや、それならうちがポケモンたちの場所を占うよ」
穂乃果「え、占いで? そんなことまで分かるの?」
希「うちはなんでも占えるって言ったやん?」
そう言うと希は、懐からタロットカードを取り出す。
希「じゃ、ちょっと待っててな。むむむむ……」
海未「タロットカードでポケモンの居場所が分かるとは思えないのですが……」
ことり「ここは希ちゃんのスピリチュアルパワーを信じようよ」
希「むむむ……分かった!」
海未「もう⁉」
穂乃果「そ、それでみんなはどこにいるの?」
希「こっちに向かってきてるみたいやね。心配いらなかったみたいよ?」
穂乃果「へ? そうなの?」
すると、遠くからヒコザルの鳴き声が聞こえてきた。
鳴き声のした方を見ると、ヒコザルたちが穂乃果たちのもとへと向かってきている。
海未「あ、本当ですね。みんな戻ってきましたよ」
ことり「みんな、無事で良かったぁ。……あれ? 見たことないポケモンが一緒にいるよ?」
戻って来たポケモンたちの中に、一匹見知らぬポケモンが混じっていた。
73: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:37:35.88 ID:yVagSkg00
ケルディオ「ディオ!」
穂乃果「ほんとだ」
穂乃果はポケモン図鑑をケルディオに向ける。
穂乃果「ケルディオっていうポケモンみたい」
海未「随分珍しいポケモンのようですね」
希「へ~、うちも初めて見るポケモンやなぁ」
穂乃果「みんな、ケルディオと友達になったの?」
ヒコザル「ヒ、ヒコ……ヒコ?」
穂乃果「何その反応」
なんだか煮え切らない反応だった。他のポケモンたちも微妙な表情をしている。
ワニノコ「ワニ、ワニワ」
海未「おや、どうしたのですかワニノコ。私の荷物を漁りだして」
なぜかワニノコが、海未のバッグの中を漁り出した。何かを探しているようだが……。
ワニノコ「……ワニ!」
取りいだしたるはモンスターボールだった。
海未「? なぜ空のモンスターボールを?」
ワニノコ「ワニ! ワニワニワー!」
『いけ、モンスターボール!』とでも言うように、ワニノコがケルディオに向けてボールを放り投げた!
海未「ちょ⁉」
『ころん、ころん、ころん……ぱちっ☆』
穂乃果「け、ケルディオを……」
ことり「ゲットしちゃった……」
希「うち、ポケモンがポケモンをゲットするとこ見たの、初めてや」
海未「わ、ワニノコ! 何をやっているんですか!」
ワニノコ「ワーニッ!」
ワニノコがモンスターボールのボタンをぱちっと押し、ケルディオを外に出す。
ケルディオ「ディオ!」
穂乃果「あ、ケルディオ出てきた」
74: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:38:22.16 ID:yVagSkg00
海未「ワニノコ、なぜ勝手にケルディオをゲットしたのですか?」
海未がワニノコに事情を聞く。
ワニノコ「ワニ、ワニワ―ニワ」
ワニノコは『ワニ、ワニワーニワ』と答えた。
海未「……って、聞いても全然分かりませんね。当たり前ですが」
穂乃果「こういう時、ポケモンの言葉が分かればいいのにね」
希「あ、うち分かるよ」
ことり「そうだよね。希ちゃんみたいに分かれば……え⁉ 希ちゃん、ポケモンの言葉分かるの⁉」
穂乃果「えぇ⁉」
海未「ほ、本当ですか⁉」
希「もちろん。うち、生まれつきポケモンの言葉が分かるんよ。きっとスピリチュアルパワーのおかげやね」
ことり「スピリチュアルパワー万能だね⁉」
海未「で、ではワニノコの言っていることも分かるのですか?」
希「当然やん。じゃ、ちょっと事情を聴いてみるね。ワニノコ、話してくれる?」
ワニノコ「ワニ、ワニワニワー」
希「ふむふむ。ならモクローたちも聴かせてくれるかな?」
モクロー「ホゥ、ホゥホゥホー!」
ヒコザル「ヒコ、ヒコヒッコ」
ヤヤコマ「ヤコ、ヤッコ」
コリンク「リン! リンリン」
希「なるほど、ヤンチャムにね」
海未「本当に言葉が分かってるみたいですね……」
穂乃果「でもヤンチャムって?」
ことり「さあ?」
ケルディオ「ディオ……ディオ!」
希「ふーむ、そういうことね」
海未「希、どうでしたか?」
希「簡単に説明すると、ケルディオがワニノコに弟子入りしたみたいなんよ」
海未「弟子入り⁉」
ことり「どうしてそんなことに……?」
希「それがかくかくメブキジカ―――」
希はポケモンたちから聞いたことを海未たちに伝え出した。
75: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:38:54.34 ID:yVagSkg00
―――説明終了
希「―――ということがあったみたい」
海未「つまりヘタレのケルディオが強くなるために、ワニノコに弟子入りしたということですか?」
希「簡単に言うとそうなるね」
海未「ワニノコ、本当ですか?」
ワニノコ「ワニ!」
ワニノコが海未の言葉に頷いた。
海未「……本当みたいですね。でも、それでなぜケルディオをゲットすることになるのですか?」
希「ワニノコは、自分に師匠は向いてないから、代わりに海未ちゃんにケルディオの情けない性根を叩きなおしてもらおうと思ったみたいや。それでゲットしたんやね。『海未ちゃんは自分の手持ちを甘やかさないから』って言ってるよ」
海未「た、確かに甘やかしたりはしませんが……」
ケルディオ「ディオ!」
希「『僕を強くしてください大師匠!』やって」
海未「何ですかその呼び方!」
穂乃果「海未ちゃん、ついにポケモンの師匠になったんだ」
ことり「さすが海未ちゃん」
海未「二人までやめてください!……ケルディオ、本気ですか?」
ケルディオ「ディオ! ルディオ!」
希「『本気です! 立派な聖剣士になりたいんです!』って言ってるね」
その言葉を聞いて、海未は真剣にケルディオの処遇を考える。
海未「……いえ。やはり駄目です。ケルディオ、あなたは家出してきたのでしょう? コバルオンたちはきっと心配しているはずです。すぐに彼らの所へ戻りなさい」
ケルディオ「ディ、ディオ……」
ことり「あ……それはそうだね」
穂乃果「きっと今頃ケルディオのこと、探してるんじゃないかな?」
希「うん、そうみたいやね」
穂乃果「希ちゃん、そうみたいって……?」
ことり「もしかして、占いでコバルオンたちのこと分かるの?」
希「占いっていうか……あそこにいるやん?」
『え⁉(ディオ⁉)』
希が指差した方を見ると、少し離れた場所に緑色のポケモンがいた。そのポケモンからは威厳のようなものを感じる……。
視線が合うと、そのポケモンは穂乃果たちのもとへと近づいてきた。
76: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:39:52.05 ID:yVagSkg00
ビリジオン「……ビィジオ」
ケルディオ「ディ、ディオ⁉」
希「あのポケモンはビリジオンやって」
海未「やはりケルディオを迎えに来たみたいですね」
ビリジオンはケルディオへ語りかける。
ビリジオン「ビィ、ビィジオン……ビリィ」
ケルディオ「ディオ⁉」
希「え⁉」
穂乃果「な、なんて言ってるの?」
希「『話は聞かせてもらった……お前の好きなようにしてみろ』って」
『え⁉』
海未「ビリジオン、あなたはケルディオを連れ戻しに来たのではないのですか?」
ビリジオン「ビリィ、ビィジオ。ビィビィジオン。ビィジオ」
希「『そのつもりだったが、話を聞いて気が変わった。こいつのヘタレは我々ではもうどうしようもない。君がこいつの性根を叩きなおしてやってくれ』やってさ」
海未「えぇ⁉」
穂乃果「そんなにどうしようもないんだ……」
ビリジオン「ビィジオ、ビリジ。……ビィジォ」
何か言葉を残すと、ビリジオンがその場から去っていく。
ケルディオ「ディオ⁉ ディオ! ディオ!」
そのビリジオンの背中へ、ケルディオは涙目で何かを叫び続けていた。
ことり「あ……ビリジオン、行っちゃったよ。最後に何か言ってたけど……?」
希「ビリジオンは『ケルディオ、ヘタレが治るまでは我々の前に顔を見せるな。……では達者でな』って言ってたね。ケルディオは『そんな⁉ ちょっと待って! 待ってビリジオン!』って」
穂乃果「うわぁ……」
海未「ほぼ勘当ですね……」
穂乃果たちが、哀れみの視線でケルディオを見つめる。
ことり「ね、ねえ、海未ちゃん。ケルディオが可哀そうだから、面倒見てあげようよ」
穂乃果「もう行くところ無いみたいだもんね。それに、ビリジオンの許可も出たし」
海未「……はぁ。仕方がないですね。では私と一緒に来ますか?」
ケルディオ「ディオ⁉ ディディオ!」
希「『いいんですか⁉ ありがとうございます大師匠!』だって」
海未「できれば大師匠はやめてほしいですが……これからよろしくお願いしますね、ケルディオ」
ケルディオ「ディオ!」
こうして、正義のポケモン見習いのケルディオが海未の手持ちに加わったのであった。
77: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:41:36.56 ID:yVagSkg00
―――それから少し経って
海未「希、ありがとうございます。あなたが居なければ、ケルディオの事情が分かりませんでした」
希「いいよ、気にせんで。ご飯のお礼ってことで」
穂乃果「それにしても、希ちゃんが羨ましいね。ことりちゃん」
ことり「うん。ことりも希ちゃんみたいにポケモンが何を言ってるのか知りたいなぁ」
希「まあ確かにうちはポケモンの言葉が分かるけど、ことりちゃんたちもなんとなくは分かるんやないの?」
ことり「確かに、なんとなくは分かるかも……」
希「言葉が分からなくてもきちんと向き合えば、伝えたいことは伝わるんよ。ポケモンも人間もね」
穂乃果「そっか……そうだね」
海未「なら、今のままでも十分かもしれませんね」
希「ふふ……じゃあ、うちはそろそろ行くね」
ことり「ことりたちと反対方向ってことは、希ちゃんはアジンシティに行くの?」
希「うちの親友がアジンシティに住んでるんよ。仕事のついでに会いに行こうと思って」
穂乃果「へー、そうなんだ」
海未「あの、ところで希。別れる前に聞いておきたいんですが……私たち以前どこかで会いませんでしたか?」
希「ううん、海未ちゃんとは初対面のはずやけど。海未ちゃんみたいな子は一度会ったら忘れないやろうし」
海未「そうですか。どこかで会ったような気がしたんですが……気のせいだったみたいです」
希「そうそう、気のせい気のせい。じゃあ、バイバイ3人とも。またね」
海未「あ、はい。また会いましょう、希」
ことり「またね、希ちゃん」
穂乃果「希ちゃん、ばいばーい」
お互いに別れを告げ、穂乃果たちはタッグバトル大会の開かれる街へと、希はアジンシティへと、それぞれ歩みを進めるのであった。
78: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:44:12.75 ID:yVagSkg00
―――希と別れてから数分後
穂乃果「希ちゃん、アジンシティに行くのかぁ」
ことり「もしかしたら、絵里ちゃんたちと会うかもね」
穂乃果「絵里ちゃん、占いとか信じてなさそうだよね。亜里沙ちゃんは信じてそうだけど」
海未「あの二人はそういうところは似ていないですよね。使用するポケモンのタイプも亜里沙はノーマルで絵里は氷ですし」
穂乃果「へー、絵里ちゃん氷タイプを使うんだ。……そういえば希ちゃんの持ってるポケモンって、やっぱりエスパータイプなのかな?」
ことり「あ、なんだかすっごく似合うねそれ」
穂乃果「だよね」
海未「確かにそうですね。希にはエスパータイプが……うん?」
その言葉に海未は何かが引っかかった。立ち止まり、その何かについて考え始める。
ことり「どうかしたの、海未ちゃん?」
海未「希……エスパー…………それにアジンシティの親友……まさかそれは……あぁ⁉」
穂乃果「う、海未ちゃん?」
海未「二人とも! 希は、あの東條希ですよ!」
穂乃果「へ? どういうこと?」
ことり「東條希……あ! そっか! なんで気付かなかったんだろ!」
穂乃果「な、何に?」
海未「希の正体は……エスパータイプの使い手、東條希」
海未「絵里と同じ、四天王の一人です」
穂乃果「四天王…………え、えぇえええええええええええええ⁉」
穂乃果たちが出会ったスピリチュアル少女は絵里と同じ四天王、東條希であった。
この出会いは偶然か、それとも必然か……なんにせよ、旅はまだまだ続く。
穂乃果たちはこれからも、様々な人々と出会っていくことだろう。
―――つづく
79: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/12(水) 23:48:56.09 ID:yVagSkg00
第3話 エピローグ~親友2人~
アジンシティへと歩みを進める希だったが、一旦足を止めた。
希「さて、アジンシティに着く前に、えりちに電話しておこうかな」
希はポケギアを取り出し、絵里の番号を呼び出す。
数回のコール音の後、絵里へと繋がる。
絵里『はい、もしもし』
希「えりち、やっほー」
絵里『希? どうしたの急に』
希「さてここで問題です。うちは今どこにいるでしょうか?」
絵里『知るわけないでしょ』
希「えりち、ノリ悪いなぁ。……いや、というより機嫌悪い? 何かあったん?」
絵里『亜里沙が……いや、なんでもないわ』
希「え~、気になるやん。亜里沙ちゃんがどうかしたん?」
絵里『ど、どうもしないわよ。それより、私に何か用があるんじゃないの?』
希「あ、そやね。実はうち今、2番道路にいるんよ。もうすぐアジンシティに着くところ」
絵里『え? そんな近くに来てるの?』
希「だからえりちのとこに遊びに行こうと思って。えりち今日ヒマ?」
絵里『まあ、仕事は無いけど……』
希「決まりやね。じゃ、1時間ぐらいで着くと思うから」
絵里『あのねぇ、まだ私はOKしてないでしょう?……まあいいけど』
希「そうそうえりち。さっきえりちが前に話してた子たちに会ったよ」
絵里『それってもしかして……穂乃果たちのこと?』
希「うん、えりちの言ってた通り、面白い子たちやね」
絵里『ふふ、そうでしょ? 穂乃果もことりも……海未もね』
希(今、海未ちゃんのとこだけ間があったような……気のせいかな?)
希「あ、どうせだからあの2人も誘う? いつもはあれやし、たまにはプライベートで遊ぶのもいいんやない?」
絵里『そうね……確かに悪くないかもね』
希「じゃ、うちが連絡しとくよ」
絵里『お願いしていい?』
希「任せといて。ほな、またあとで」
絵里『ええ、待ってるわね』
ポケギアが切れる。
希「3人とも素直じゃないから、仕事の時以外は私が呼びかけないと集まろうとしないんだもんなあ……。私もそういうの、あんまり得意じゃないのに」
小さな声でそう呟きながら、希はポケギアのある番号を呼び出す。
希「さて、じゃあまずは―――」
―――つづく
アジンシティへと歩みを進める希だったが、一旦足を止めた。
希「さて、アジンシティに着く前に、えりちに電話しておこうかな」
希はポケギアを取り出し、絵里の番号を呼び出す。
数回のコール音の後、絵里へと繋がる。
絵里『はい、もしもし』
希「えりち、やっほー」
絵里『希? どうしたの急に』
希「さてここで問題です。うちは今どこにいるでしょうか?」
絵里『知るわけないでしょ』
希「えりち、ノリ悪いなぁ。……いや、というより機嫌悪い? 何かあったん?」
絵里『亜里沙が……いや、なんでもないわ』
希「え~、気になるやん。亜里沙ちゃんがどうかしたん?」
絵里『ど、どうもしないわよ。それより、私に何か用があるんじゃないの?』
希「あ、そやね。実はうち今、2番道路にいるんよ。もうすぐアジンシティに着くところ」
絵里『え? そんな近くに来てるの?』
希「だからえりちのとこに遊びに行こうと思って。えりち今日ヒマ?」
絵里『まあ、仕事は無いけど……』
希「決まりやね。じゃ、1時間ぐらいで着くと思うから」
絵里『あのねぇ、まだ私はOKしてないでしょう?……まあいいけど』
希「そうそうえりち。さっきえりちが前に話してた子たちに会ったよ」
絵里『それってもしかして……穂乃果たちのこと?』
希「うん、えりちの言ってた通り、面白い子たちやね」
絵里『ふふ、そうでしょ? 穂乃果もことりも……海未もね』
希(今、海未ちゃんのとこだけ間があったような……気のせいかな?)
希「あ、どうせだからあの2人も誘う? いつもはあれやし、たまにはプライベートで遊ぶのもいいんやない?」
絵里『そうね……確かに悪くないかもね』
希「じゃ、うちが連絡しとくよ」
絵里『お願いしていい?』
希「任せといて。ほな、またあとで」
絵里『ええ、待ってるわね』
ポケギアが切れる。
希「3人とも素直じゃないから、仕事の時以外は私が呼びかけないと集まろうとしないんだもんなあ……。私もそういうの、あんまり得意じゃないのに」
小さな声でそう呟きながら、希はポケギアのある番号を呼び出す。
希「さて、じゃあまずは―――」
―――つづく
82: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:20:34.03 ID:4pENHyaY0
第4話 前編 みんなで参加! タッグバトル!!
旅を続ける穂乃果たちは、タッグバトル大会が開かれる街へとやって来た。
ことり「ここがタッグバトル大会の会場かぁ」
海未「スタジアムでやるとは……思っていたより大きな会場ですね」
穂乃果「この方がテンション上がるよ!」
穂乃果たちがスタジアムを前にして会話をしていると――。
???「あぅっ⁉」
穂乃果「うぇっ⁉」
突然、穂乃果の体に誰かがぶつかってきた。
お互いに体勢は崩れたが地面に転がるまでには至らず、なんとか踏みとどまる。
穂乃果にぶつかった少女が、慌てて頭を下げた。
若草色の髪の少女「ご、ごめんなさい! ぶつかっちゃって……」
穂乃果「あ、ううん。こっちこそごめんね。よそ見してたから、避けられなかったよ」
若草色の髪の少女「い、いえ、私がぶつかったのが悪いから……」
お互いに謝り合っていると、少し離れた位置から呼びかける声が。
???「かよち~ん! ほら、受付はあっちだって!」
橙色の髪をした少女が、穂乃果にぶつかった少女を呼んでいるようだ。
穂乃果「あ、友達が呼んでるみたいだよ? 早く行かなきゃ」
若草色の髪の少女「は、はい。その、本当にすみませんでした!……ま、待って凛ちゃん!」
少女はその場を去っていった。
旅を続ける穂乃果たちは、タッグバトル大会が開かれる街へとやって来た。
ことり「ここがタッグバトル大会の会場かぁ」
海未「スタジアムでやるとは……思っていたより大きな会場ですね」
穂乃果「この方がテンション上がるよ!」
穂乃果たちがスタジアムを前にして会話をしていると――。
???「あぅっ⁉」
穂乃果「うぇっ⁉」
突然、穂乃果の体に誰かがぶつかってきた。
お互いに体勢は崩れたが地面に転がるまでには至らず、なんとか踏みとどまる。
穂乃果にぶつかった少女が、慌てて頭を下げた。
若草色の髪の少女「ご、ごめんなさい! ぶつかっちゃって……」
穂乃果「あ、ううん。こっちこそごめんね。よそ見してたから、避けられなかったよ」
若草色の髪の少女「い、いえ、私がぶつかったのが悪いから……」
お互いに謝り合っていると、少し離れた位置から呼びかける声が。
???「かよち~ん! ほら、受付はあっちだって!」
橙色の髪をした少女が、穂乃果にぶつかった少女を呼んでいるようだ。
穂乃果「あ、友達が呼んでるみたいだよ? 早く行かなきゃ」
若草色の髪の少女「は、はい。その、本当にすみませんでした!……ま、待って凛ちゃん!」
少女はその場を去っていった。
83: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:21:44.26 ID:4pENHyaY0
ことり「穂乃果ちゃん、大丈夫?」
穂乃果「うん、ちょっとぶつかっただけだから。それより、あの子たちも大会に出るみたいだね」
海未「どうやらそのようですね」
ことり「あの子たちもそうだけど、出場する人いっぱいいるね。なんだか緊張してきちゃった」
海未「ことり、大丈夫ですか?」
ことり「う、うん……」
穂乃果「ことりちゃん、頑張ろうね。目指すは優勝だよ!」
ことり「ふぇ⁉ ゆ、優勝⁉」
海未「なぜさらに緊張させるようなことを言うんですか穂乃果は!」
穂乃果「え、気合が入って緊張がほぐれるかなって思ったんだけど」
海未「明らかに逆効果でしょう!」
ことり「う、海未ちゃん落ち着いて。そんなに怒らな……あれ? なんだか、緊張が無くなったかも」
穂乃果「え、ほんと⁉」
海未「ことり、穂乃果に気を使わなくていいんですよ?」
ことり「ううん。なんだか本当に緊張がどこかに行っちゃったみたい」
ことり(もしかしたら、穂乃果ちゃんと海未ちゃんのいつものやり取りを見たからかな?)
穂乃果「ほら、やっぱり気合が入ったからだよ」
海未「そ、そうなのですか?」
ことり「……う、うん。そうかも」
穂乃果「ほらぁ! 穂乃果の狙い通りでしょ? さあ海未ちゃん、穂乃果に何か言うことがあるんじゃない? さあ、さあさあ!」
穂乃果は非常にうざい顔で海未に謝罪を要求した!
海未「くぅ……!…………お、おや? もうすぐ大会が始まるようですね。二人ともそろそろ出場の受付に行くべきなのではないですか? では私は観客席に向かいますね。二人とも頑張ってください」
海未は早口でそう告げると、すたこらさっさとその場から離れた。
穂乃果「あ、海未ちゃん逃げた! ずるい!」
ことり(ご、ごめんね、海未ちゃん)
穂乃果「もう……じゃあ受付に行こっか、ことりちゃん」
ことり「そ、そうだね。行かないとね」
後で海未にお詫びのマカロンでも作ってあげようと決めたことりであった。
84: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:22:49.66 ID:4pENHyaY0
―――逃げ出した海未はスタジアムの周りを歩いていた。
海未「全く、穂乃果はすぐ調子に乗りますね……。さて、観客席にはどこから行けば―――」
???「はぁ⁉ 来れなくなったってどういうこと⁉」
いきなり、大きな怒鳴り声が海未の耳に響いてきた。
海未「?」
海未が声のした方を振り向くと、赤い髪をした少女がポケギアで電話をしていた。
赤い髪の少女「にこちゃんが出たいって言ったんでしょ! わざわざ来てあげたのに、何でこんな直前でそんなこと言い出すのよ!」
海未(……随分感情的になっていますね)
赤い髪の少女「―――それなら、確かに仕方ないかもしれないけど。全く……じゃあ私ももう帰るから」
赤い髪の少女「―――はぁ⁉ どうしてもあの賞品が欲しいから帰らないで参加してほしい⁉ タッグバトルの大会なのよ⁉ 一人でどうやって出るのよ!」
赤い髪の少女「―――なんとかして出場してって……じゃあそのなんとかのやり方を説明しなさいよ!」
赤い髪の少女「――――その辺にいる人と組めばいいですって……? そんなに都合よく一緒に出場してくれる人がいるわけないでしょ⁉ あ~、もう知らないわ! バイバイにこちゃん!」
怒りをぶつけるかのように、少女は勢いよくポケギアを切った。
電話では怒りを露わにしていた少女だが、すぐに肩を落とし、ため息をつく。
赤い髪の少女「……はぁ、なんでこうなるのよ……」
うなだれる彼女の表情は海未には見えなかったが、その声に力がないことは分かった。
海未(な、なんだか今にも泣き出しそうな雰囲気ですね。これは放っておくのも……)
赤い髪の少女「賞品が欲しいって言われたって、どうしようもないじゃない……」
一人呟く少女に、海未は近づき声をかけた。
海未「あ、あのー、ちょっといいですか?」
赤い髪の少女「……? 私に何か用?」
海未「いえ、その……もしよければ、私と一緒に大会に出場しませんか?」
赤い髪の少女「え⁉ な、なんでそんな……⁉」
突然の海未の申し出に、少女は驚きを隠せなかった。
85: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:23:32.54 ID:4pENHyaY0
海未「すみません。先ほどの電話の会話が聞こえてしまったもので」
赤い髪の少女「さ、さっきの聞いてたのね……」
海未「それで、随分お困りのようでしたから。私で良ければ一緒に出場しますが」
赤い髪の少女「それは……私としては願ったり叶ったりだけど……。でも、どうして?」
海未「どうして、というと?」
赤い髪の少女「なんで見ず知らずの他人である私と出場してくれるのよ?」
海未「? 困っている人がいたら力を貸すのは当然では?」
海未は何を聞かれているのか分からない……そんな表情をしていた。
赤い髪の少女「は……?」
逆に少女は、何を言っているのか分からない……そんな表情になった。
海未「な、何かおかしかったでしょうか?」
少女はその海未の表情を見て、海未が本気で言っていると確信し……小さく笑い出した。
赤い髪の少女「ふ……ふふふっ、分かったわ。あなた、とんでもないお人好しってわけね」
海未「お、お人好し?」
赤い髪の少女「変なこと聞いて悪かったわ。自己紹介がまだだったわね。私は西木野真姫よ」
海未「私は園田海未と申します。よろしくお願いします、真姫」
真姫「よろしくね。……海未」
真姫は少し逡巡してから、海未の名を呼んだ。若干、頬が赤く染まっている。
海未「はい。では受付に行きましょうか。急がないと受付を締め切ってしまうかもしれません」
受付へと向かおうとする海未の背中に、真姫は小さな声で呟いた。
真姫「……ありがとね、海未」
海未「? 今、何か言いましたか?」
真姫「何にも言ってないわ。さあ、早く行くわよ」
こうしてここに、海未と真姫の即席タッグが誕生したのだった。
86: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:24:34.74 ID:4pENHyaY0
―――スタジアム内
会場内には、すでに多くの出場者が集まっていた。
穂乃果「ことりちゃん、もうそろそろ始まるみたいだよ」
ことり「うん、そうみたいだね。……あれ?」
ことりが何かを見つけたようだ。
穂乃果「どうかしたの?」
ことり「穂乃果ちゃん。あれ、海未ちゃんじゃない?」
穂乃果「海未ちゃん?」
ことりが指差す方を見ると、海未が見知らぬ少女と一緒に会場内に入ってきていた。
穂乃果「……ほんとだ。なんで観客席じゃなくてここにいるのかな?」
ことり「さあ……? それに、海未ちゃんと話してる子は誰だろ?」
穂乃果「うーん、とりあえず呼んでみようよ。おーい、海未ちゃーん!」
穂乃果の呼び声に、海未は穂乃果たちに気付いた。すぐに穂乃果とことりのもとへ歩いてくる。
海未「穂乃果、ことり。ここにいたんですか。人が多くて見つけられませんでした」
穂乃果「ねえ海未ちゃん、その子は?」
海未「あ、はい。紹介しますね。彼女は―――」
真姫「海未。いいわ、自分でするから。西木野真姫よ。あなたたちが、穂乃果とことり?」
穂乃果「うん、穂乃果だよ。よろしくね、真姫ちゃん」
ことり「はじめまして、ことりです」
真姫「ええ、よろしくね」
穂乃果「ねえねえ、真姫ちゃんは海未ちゃんのお友達なの?」
真姫「え? そ、それは……」
海未「はい、そうですよ。そして今日はパートナーです」
ことり「パートナーということは、もしかして……?」
海未「はい。私も真姫と一緒にこの大会に参加することになりました」
穂乃果「え、海未ちゃんも出るの?……はっ! まさかさっきの恨みをこの大会で晴らそうと……?」
穂乃果が恐る恐るそう聞くと、海未の表情が邪悪に変わる!
87: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:26:06.19 ID:4pENHyaY0
海未「ふふふ……その通りです。穂乃果への積年の恨みを晴らすため―――って、なんでそうなるんですか! 違いますよ!」
穂乃果「……ほんとに?」
海未「…………………………勿論です。少し事情が出来ただけですよ」
穂乃果「今かなり間があったけど⁉」
海未「穂乃果の気のせいでしょう。よくあることです気にしないでください」
穂乃果「いや、凄く気になるよ⁉ めちゃくちゃ気にするよ!」
ことり「あ、あはは……でも、事情って?」
真姫「海未は私に付き合って出場してくれてるの」
穂乃果「真姫ちゃんに?」
ことり「それって―――」
ことりはその事情とやらを聞こうとしたが。
司会『それでは皆様! 時間になりましたので、これより大会のトーナメント表を発表いたします!』
タイミング悪く、大会の司会の声に遮られてしまった。
海未「始まるようですね。その話は後にしましょう」
ことり「そうだね。ちょっと気になるけど」
真姫「たいしたことじゃないわ。……二人とも、悪いけど今日は海未を借りるわね」
穂乃果「どうぞどうぞ」
ことり「ちゃんと返してね、真姫ちゃん」
海未「私は物ですか……?」
司会『ではこちらが、今回のタッグバトル大会の組み合わせになります!』
スタジアムの電光掲示板にトーナメント表が表示される。
穂乃果「えーと、穂乃果たちの最初の相手は…………え⁉」
ことり「……うそ」
海未「いきなりですか……」
真姫「……やりづらいわね」
一回戦 第一試合
穂乃果&ことり VS 真姫&海未
88: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:26:37.27 ID:4pENHyaY0
―――30分後
スタジアムのフィールドでは、穂乃果とことり、海未と真姫がそれぞれのトレーナーボックスに立っていた。
穂乃果「いきなり海未ちゃんとバトルかぁ」
ことり「海未ちゃんが相手じゃ、ほとんど勝ち目が無いよね……」
穂乃果「そんなことないよ、ことりちゃん。バトルはやってみなきゃ分からないんだから」
ことり「でも……」
穂乃果「それに、これがことりちゃんの初バトルなんだもん。勝とうよ、ことりちゃん」
ことり「う、うん、そうだね。……ことり、頑張るね」
穂乃果「その意気だよ、ことりちゃん」
89: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:27:08.38 ID:4pENHyaY0
―――フィールドの反対側では
真姫「ごめんね、海未。こんなことになっちゃって」
海未「別に謝る必要はありませんよ。私は二人と戦えるのが嬉しいですから」
真姫「そう……なの?」
海未「ええ。真姫、穂乃果とことりが相手でも遠慮はしないでくださいね」
真姫「……私にも目的があるから、遠慮するつもりは無いわ」
海未「ふふ、そうですよね」
90: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:28:03.15 ID:4pENHyaY0
審判「ではこれより、一回戦第一試合を開始します。使用ポケモンは1人1体。どちらかのタッグのポケモンがすべて戦闘不能になったら決着となります。なお、使用するポケモンはこの大会中変更することは出来ません」
説明が終了し、海未たちがそれぞれのポケモンを繰り出す。
海未「ではよろしくお願いします、ケルディオ!」
真姫「いくわよ、ワカシャモ!」
ケルディオ「ディオ!」
ワカシャモ「シャモ!」
穂乃果「ヒコザル! ファイトだよっ!」
ことり「モクちゃん、お願い!」
ヒコザル「ヒコ!」
モクロー「ホゥ!」
4匹のポケモンがフィールドに現れた。
もうすぐバトルが始まる。フィールドを緊張が支配し――。
モクロー「……ホゥ?」
そこで、モクローがケルディオに目を止めた。
モクロー「ホゥ、ホゥホォ!」
モクローがケルディオに向かって何事かを叫び出す!
ケルディオ「ルディ⁉ ル、ルディオ!」
モクローの剣幕にケルディオは背を向けて逃げ出し、海未の背中へと隠れた!
海未「いや、なんで私の後ろに隠れるんですか! ヘタレてないで、しゃんとしなさいケルディオ!」
ケルディオ「ディ、ディオゥ……」
ケルディオが海未に押されながら、渋々フィールドへと戻る。
穂乃果「そういえばケルディオ、モクちゃんが苦手なんだっけ」
ことり「モクちゃん、脅かしちゃ駄目だよ」
モクロー「……ホゥ」
ことりにたしなめられ、ようやく落ち着くモクロー。
真姫「ねぇ海未……そのポケモン、大丈夫なの?」
海未「じゃ、若干不安ですが……きっと大丈夫だと思います。おそらく……多分……」
大丈夫には聞こえなかった。
審判「あのぅ、そろそろいいですか?」
海未「すみません、もう大丈夫です」
海未がそう答えると、審判が一呼吸おいて告げる。
審判「それでは……バトル、開始っ!」
91: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:29:36.37 ID:4pENHyaY0
穂乃果「よぉし、行くよ! ヒコザル、ワカシャモにひのこ!」
海未「ケルディオ、ひのこにバブルこうせん!」
ヒコザル「ヒィイイコオオオオオ!」
ケルディオ「ルディッ!」
ワカシャモを狙い放たれたひのこが、バブルこうせんにより打ち消される。
穂乃果「ことりちゃん!」
ことり「うん! モクちゃん、ケルディオにこのは!」
真姫「ワカシャモ、かえんほうしゃで焼き払いなさい!」
モクロー「ホーゥホッ!」
ワカシャモ「シャァーモォッ!」
さらに、ケルディオへと放たれたこのはも、かえんほうしゃが焼き尽くした。
ことり「こっちの技が全部相殺された⁉」
穂乃果「やっぱり相性が悪いね……」
ヒコザルとモクローはほのおタイプとみずタイプ。
ヒコザルはみずタイプであるケルディオに、モクローはほのおタイプであるワカシャモに相性が最悪である。
穂乃果「よし、ことりちゃんはケルディオだけを狙って。ワカシャモはこっちが引き受けるよ」
ことり「了解、穂乃果ちゃん。モクちゃん、もう一度このは!」
モクちゃん「ホーゥホッ!」
ケルディオへと再びこのはが迫る。
海未「ケルディオ、避けてください!」
ケルディオ「ディ―――ディオ⁉」
ケルディオは動きが遅れ、避けることが叶わなかった。
ことり「当たった!」
海未「ケルディオ、大丈夫ですか?」
ケルディオ「ディ、ルディ!」
海未はケルディオの今の様子を冷静に分析する。
海未(自らに効果抜群の技が来たから、動揺して動けなかったようですね。フィジカル面はまだ問題ないとして……やはりメンタル面を鍛える必要がありそうです)
92: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:31:00.06 ID:4pENHyaY0
一方、その隣では穂乃果と真姫の攻防が続いていた。
真姫「ワカシャモ、かえんほうしゃよ!」
穂乃果「ヒコザル、ひのこで迎え撃って!」
ワカシャモ「シャァーモォッ!」
ヒコザル「ヒィイイコオオオオ!」
かえんほうしゃとひのこが正面からぶつかり合う。
穂乃果「互角……!」
真姫「ワカシャモを舐めないで!……こっちの方が上よ!」
その言葉と同時、ひのこがかえんほうしゃに押され始める。
ワカシャモ「シャァアアアアアッ!」
ヒコザル「ヒ、ヒコォッ⁉」
ついには完全に押し負け、ヒコザルにかえんほうしゃが炸裂する。
穂乃果「ヒコザル! 大丈夫⁉」
ヒコザル「ヒ、ヒコ!」
穂乃果(真正面からの打ち合いで負けた……今のままじゃ勝てない!)
ことり「穂乃果ちゃん、大丈夫⁉」
穂乃果「うん、なんとかね。でも、このままじゃ……。よし、イチかバチかあの作戦でいこう、ことりちゃん」
ことり「それって、どっちの作戦?」
穂乃果とことりは、この大会に出るにあたっていくつかの作戦を用意していた。
穂乃果「突っ込む方! ケルディオをお願い!」
海未「真姫、あっちは何かする気みたいです! ケルディオ、ヒコザルにバブルこうせん!」
真姫「分かったわ! ワカシャモ、ヒコザルににどげりよ!」
ディオ「ルディッ!」
ワカシャモ「シャモッ!」
バブルこうせんとにどげりがヒコザルへと迫る。
穂乃果「ヒコザル、バブルこうせんにひっかく! にどげりは根性で耐えて!」
真姫「こ、根性ですって⁉」
海未「……穂乃果らしいですね」
93: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:32:06.94 ID:4pENHyaY0
ヒコザル「ヒコヒコヒコヒコ!」
バブルこうせんをひっかき続けるヒコザル。
だがそこへ、ワカシャモのにどげりが炸裂する。
ワカシャモ「シャモッ、シャモッ、シャーモッ!」
ヒコザル「ヒキャっ⁉……ヒ、ヒコッ!」
にどげりを食らうも、ヒコザルはバブルこうせんを全てひっかききった。
穂乃果「ことりちゃん、今のうちだよ!」
ことり「モクちゃん、あやしいひかり!」
モクロー「ホォーウ……ホゥ!」
ケルディオ「ディオ? ディ……オ……?」
ヒコザルの攻防の裏でケルディオへと接近していたモクローが、あやしいひかりを放つ。
ケルディオはこんらんした!
海未「ケルディオ⁉ 混乱させられるとは……とっしんです、ケルディオ!」
ケルディオ「ディオー!」
海未「いや、そっちは壁です!」
ケルディオ「ディッ⁉」
ケルディオは混乱していたために、壁へととっしんしてしまった。
壁に激突し、ケルディオは自らにダメージを負う。
ことり「このまま決めるよ、モクちゃん! つつく!」
真姫「させないわ! ワカシャモ、モクローにニトロチャージ!」
ワカシャモ「シャ―――モッ!」
炎を纏った突進が、技を出そうとしていたモクローを穿つ!
モクロー「ホゥ⁉ ホ、ホゥ……」
ニトロチャージにより、モクローの体力が根こそぎ奪われる。
審判「モクロー、戦闘不能!」
94: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:33:20.12 ID:4pENHyaY0
ことり「モクちゃん! も、戻って!」
ことりが急いでモクローをモンスターボールへと戻す。
穂乃果「い、一撃で……」
真姫「効果は抜群よ。これで2対1ね」
穂乃果「っ! で、でもケルディオは混乱してるから、1対1と変わらないよ!」
真姫「確かに1対1ね……でも、残っている体力は全然違うわよ。リザードはほぼ無傷。それに対してヒコザルはかなりのダメージを負ってるわ」
穂乃果「ヒコザル……」
ヒコザル「ヒ、ヒコ……」
穂乃果はヒコザルの様子を窺う。
既に体には多くのダメージが刻まれていた。
真姫「このバトル、私たちの勝ちよ!」
穂乃果「……ううん、負けないよ! 感じるから……ヒコザルの中から湧き上がってくる力を!」
ヒコザル「……ヒィイイコオオオオオ!」
ヒコザルの尻尾の炎が、熱く大きく燃え上がる!
真姫「なるほど……もうかね。でも、それくらいで勝てると思わないで!」
もうかはほのおタイプの技の威力が上がる特性だ。
強力ではあるが、真姫のワカシャモもほのおタイプ。
たとえもうかで火力が上がったところで、大したダメージにはならない―――真姫はそう判断した。
だが、穂乃果は感じ取っていた。
ヒコザルの中から湧き上がってくる力は、それだけではないことを。
穂乃果「まだだよ! もっともっと熱く! ヒコザルぅうううう!」
ヒコザル「ヒィイイ――――キアアアアアアアア!」
瞬間、炎がさらに激しくなり、ヒコザルの体が光に包まれた!
真姫「な⁉ あの光は……⁉」
ことり「こ、これって……」
海未「……進化!」
そして―――光が、消える。
穂乃果「―――行くよ……モウカザル!」
モウカザル「―――ヒキャア!」
そこにいたのは、ヒコザルの新たな姿―――モウカザルだった。
95: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:34:53.02 ID:4pENHyaY0
ことり「ヒコザルが……モウカザルに!」
真姫「まさか進化するなんて……」
海未「真姫、まだバトル中ですよ!」
真姫「はっ⁉」
真姫は呆気に取られていたが、海未に言われ、気を引き締める。
穂乃果「じゃあいくよ! モウカザル、ワカシャモにマッハパンチ!」
モウカザル「ヒィーキャッ!」
ワカシャモ「シャモッ⁉」
モウカザルの拳が、目にも止まらぬ速さでワカシャモを撃った!
真姫「速い⁉」
ことり「すごい! マッハパンチを覚えたんだ!」
穂乃果「そのまま連続マッハパンチ!」
モウカザル「ヒキャ! ヒキャ! ヒキャア!」
ワカシャモ「シャモォッ⁉」
モウカザルの拳が、幾度となくワカシャモに炸裂する!
真姫「くっ! ワカシャモ、すなかけよ!」
ワカシャモ「シャッ!」
モウカザル「ヒキャ⁉」
ワカシャモは地面を蹴り上げ、砂を巻き上げた。
巻き上がった砂がモウカザルの目に入り視界を奪う。
真姫「これでモウカザルの目は見えない! その状態で技が当たるかしら⁉」
穂乃果「当てるよ!」
真姫「な⁉」
穂乃果「モウカザル、かえんぐるま!」
モウカザル「ヒィイイキャアアアアアアア!」
自身が炎となるかのように、モウカザルが赤き炎を纏う!
穂乃果「右斜め前!」
穂乃果がワカシャモの位置を叫んだ。
そして何ら迷うことなく、モウカザルは穂乃果が指示した方向へと瞬時に突進する!
モウカザル「キャァ――――ゥッ!」
ワカシャモ「シャモッ⁉…………シ、ャ……」
炎を纏いしモウカザルの強烈な突撃が、ワカシャモを貫いた。
モウカザルの炎が尻尾の先を除いて四散し―――ワカシャモが、ばたりとその場に倒れた。
審判「ワカシャモ、戦闘不能!」
96: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:35:57.36 ID:4pENHyaY0
真姫「……お疲れさま、ワカシャモ。戻って休んでて」
真姫がワカシャモをボールに戻す。
海未「マッハパンチだけでなく、かえんぐるままで覚えたとは……」
穂乃果「海未ちゃん、これであとはケルディオだけだよ」
海未「そのようですね。ケルディオ、バブルこ―――」
ケルディオ「ディオディオディオディオォッ!」
ケルディオは明後日を向いて連続でにどげりを放っている!
凄まじい形相だ……何らかの幻覚を見ているのかもしれない!
海未「……駄目ですね、これは」
穂乃果「それじゃあ決めるよ、マッハパンチ!」
モウカザル「ヒィ―キヤッ!」
ケルディオ「ディオ⁉……ディ、ルディ……」
マッハパンチが軽々と決まり、ケルディオはその場に倒れた。
審判「ケルディオ、戦闘不能! よって勝者、穂乃果&ことりペア!」
穂乃果「いやったぁー! ことりちゃん、穂乃果たちの勝ちだよ!」
ことり「うん! やったね、穂乃果ちゃん!」
穂乃果「かっこよかったよ、モウカザル!」
モウカザル「ヒキャ♪」
穂乃果に褒められ、モウカザルが胸を張った。
ことり「モクちゃんも、頑張ったね」
ことりがモクローのモンスターボールを見つめて、ささやく。
モクローはモンスターボールの中ですやすやと眠っていた。
97: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:36:27.75 ID:4pENHyaY0
海未「お疲れさまです。戻ってください、ケルディオ」
海未がケルディオをボールに戻す。
真姫「負けちゃったわね」
海未「すみません真姫」
真姫「な、なんで謝るのよ?」
海未「その、優勝どころか一回戦で負けてしまったので……」
真姫「あのねぇ……海未がいなかったら、私は出場すらできなかったのよ? こっちがお礼を言うならまだしも、海未が謝る必要なんてないでしょ」
海未「それはそうかもしれませんが…………真姫、ちょっと待っていてください」
真姫「?」
そう告げると、海未は穂乃果とことりの方へ歩いて行った。
98: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:37:24.41 ID:4pENHyaY0
穂乃果「そういうことなら任せてよ!」
ことり「ことりたちが優勝出来たら、賞品は真姫ちゃんにあげるね」
海未「だそうです、真姫。だからまだ諦めるのは早いですよ」
真姫「……え?」
穂乃果「穂乃果は今、モーレツに感動しているよ……! 友達のために賞品を獲ろうとしてたなんて……真姫ちゃん、なんていい子なの!」
ことり「とっても優しいんだね、真姫ちゃん」
真姫「ヴェエエエエエ⁉」
穂乃果とことりの真姫を見る目が、生暖かいものに変わった!
真姫「う、海未、あなた全部話したの⁉」
海未「ええ、二人に協力してもらうために……駄目でしたか?」
真姫「だ、駄目っていうか……」
穂乃果「真姫ちゃん、いい子いい子したげるね」
ことり「ことりのマカロンあげるね、真姫ちゃん」
穂乃果が真姫の頭を撫で始めた!
ことりがバッグからとっておきのマカロンを取り出した!
真姫「二人が私のこと、うざいくらい優しい目で見てくるんだけど⁉……や、やめなさい穂乃果! なでなくていいわよ! ことり、マカロンもいらないわ!」
ことり「そんなに遠慮しなくていいよ、真姫ちゃん」
穂乃果「真姫ちゃんは照れ屋さんだねぇ」
真姫「遠慮してないわよ! 照れてないわよ! その目やめなさいよ!」
海未「良かったですね、真姫」
真姫「何もよくないんだけど!」
99: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:38:41.13 ID:4pENHyaY0
穂乃果「あ、そういえばこの大会の賞品ってなんだっけ?」
ことり「確か受付の時に貰ったチラシに書いてあったよ。えーっと……ポケモンのタマゴとポケモンの化石だって」
穂乃果「真姫ちゃんのお友達はタマゴに興味があるの? それとも化石マニア?」
真姫「……どっちも違うわ。あの子が欲しがってるのは、もう一つの方」
穂乃果「もう一つの方?」
ことり「あ! 目玉商品としてもう一つ、ルチアのサイン色紙っていうのがあるよ」
海未「真姫の友達が欲しがっているのは、それだそうです」
穂乃果「ルチア? だれ?」
ことり「ホウエン地方の有名なコンテストスターだよ。穂乃果ちゃんに分かり易く言うと、アイドルみたいなものかな」
穂乃果「へ~、アイドルかぁ」
真姫「……私の友達、アイドルマニアでね。ルチアの大ファンなのよ」
穂乃果「なるほど。だから真姫ちゃんは、色紙をその友達にプレゼントしてあげたいんだね」
海未「そういうことです」
真姫「なんで海未が答えるのよ!」
穂乃果「よぉーし! ことりちゃん、真姫ちゃんの為にも絶対優勝しようね!」
ことり「そうだね。頑張ろう、穂乃果ちゃん!」
真姫「勝手に盛り上がらないで!」
4人のバトルは穂乃果とことりの勝利に終わった。
だが、大会はまだ1回戦が終わったばかり。
2人は優勝を目指して頑張ることを、真姫に誓うのだった。
真姫「誓わなくていいわよ!」
―――つづく
100: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:40:28.15 ID:4pENHyaY0
これにて第4話(前編)も終了ですが、後編もすぐに上げます。
101: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:56:15.19 ID:4pENHyaY0
第4話 後編 タッグバトル! ファイナル!!
タッグバトル大会に参加した穂乃果とことり。
海未と真姫とのバトルに勝利した2人は、その勢いに乗り、破竹の勢いで勝ち進んだ。
司会『それでは、次の試合がいよいよ決勝戦! ここまで勝ち上がってきたのは、この4名です!』
決勝戦
穂乃果&ことり VS 花陽&凛
タッグバトル大会に参加した穂乃果とことり。
海未と真姫とのバトルに勝利した2人は、その勢いに乗り、破竹の勢いで勝ち進んだ。
司会『それでは、次の試合がいよいよ決勝戦! ここまで勝ち上がってきたのは、この4名です!』
決勝戦
穂乃果&ことり VS 花陽&凛
102: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:56:47.48 ID:4pENHyaY0
―――観客席
真姫「穂乃果たち、ついに決勝まで来たわね」
海未「きっと穂乃果とことりなら、このまま優勝できます」
真姫「私たちに勝ったんだもの。優勝ぐらいして貰わないとね」
海未「サイン色紙のこともありますしね」
真姫「ま、まあそれもあるけど……純粋に二人を応援するわよ」
海未「友達として、ですか?」
真姫「……海未、その生温かい目やめてくれる?」
海未「すみません、つい」
真姫「さっきから全く……もう!」
103: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:57:22.88 ID:4pENHyaY0
―――フィールド
既に穂乃果とことりはフィールドのトレーナーボックスの中に立っていた。
ことり「いよいよだね、穂乃果ちゃん。これに勝てば、優勝……」
穂乃果「うん、絶対に勝とう!……あれ?」
穂乃果が視線の先に何かを見つける。
ことり「どうかしたの?」
穂乃果「あの対戦相手の子、大会前に穂乃果とぶつかった子じゃない?」
ことり「あ、ほんとだ」
穂乃果の指した先……反対側のトレーナーボックスの中には、若草色の髪の少女がいた。
穂乃果「お~い!」
穂乃果が少女に向けて大きく手を振る。
凛「にゃ? あの子、こっちに手を振ってるよ?」
花陽「ほんとだね。……あ、あの人!」
凛「かよちん、知り合い?」
花陽「う、うん。ちょっと……」
フィールドを挟み、穂乃果が相手に届くように大きな声で告げる。
穂乃果「お互い、いいバトルにしようね!」
花陽「は、はい! よろしくお願いします!」
104: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:58:15.76 ID:4pENHyaY0
審判「それでは、これより決勝戦を開始します! お互い、ポケモンを出してください!」
穂乃果「じゃあいくよ! モウカザル、ファイトだよっ!」
ことり「モクちゃん、お願い!」
モウカザル「ヒキャ!」
モクロー「ホゥ!」
凛「いくよ、かよちん!」
花陽「うん! 頑張って、フシちん!」
凛「ゲコガシラ、シュシュっといくにゃ!」
フシギソウ「フシー!」
ゲコガシラ「コガ!」
4体のポケモンがフィールドに出そろった。
審判「それでは……試合開始っ!」
いよいよタッグバトル大会、最後のバトルが幕を開ける。
105: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 21:59:26.30 ID:4pENHyaY0
穂乃果「先手必勝! ゲコガシラにマッハパンチ!」
モウカザル「ヒィ―キャッ!」
ゲコガシラ「コガ⁉」
モウカザルのマッハパンチがゲコガシラに決まる。
穂乃果の得意な速攻だ。
凛「中々の速さだね。でも速さならこっちも負けてないよ! ゲコガシラ、でんこうせっか!」
ゲコガシラ「コーガッ!」
モウカザル「ヒキャッ⁉」
お返しとばかりに、ゲコガシラのでんこうせっかがモウカザルにヒットする。
穂乃果「やるね!」
凛「そっちこそ!」
ことり「ことりたちもいくよ! モクちゃん、ゲコガシラにこのは!」
花陽「フシちん、つるのムチで叩き落として!」
モクロー「ホーゥホォ!」
フシギソウ「フーシィ!」
モクローからこのはが放たれるも、フシギソウの伸ばしたつるのムチがその全てを叩き落とした。
ことり「全部防がれた⁉」
凛「さすがかよちん! そのままやっちゃえ!」
花陽「うん! フシちん、はっぱカッター!」
フシギソウ「フゥウッ、シィー!」
フシギソウから数えきれないほどの葉が、モウカザルとモクローを切り刻むべく撃ちだされる。
穂乃果「だったらこっちは焼き尽くすよ! モウカザル、ひのこ!」
モウカザル「ヒィイキャアアアア!」
はっぱカッターを焼き尽くさんと、モウカザルがひのこを噴き出す。
凛「まずいにゃ! ゲコガシラ、みずのはどう!」
ゲコガシラ「ゲッコォ!」
ことり「モクちゃん、このは!」
モクロー「ホーゥホォ!」
ゲコガシラがひのこを狙いみずのはどうを放つも、モクローのこのはがそれを切り裂いた。
そして、ひのこがはっぱカッターを焼き払う。
だが、それで終わらない。
みずのはどうを裂いたこのはは、そのままゲコガシラへと。
はっぱカッターを焼いたひのこは、そのままフシギソウへと。
それぞれ技を貫通し、相手へと達した!
フシギソウ「フシ⁉」
ゲコガシラ「コガ⁉」
106: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 22:00:30.98 ID:4pENHyaY0
凛「くっ! かよちん、一気に攻めるよ!」
花陽「分かった!」
凛「ゲコガシラ、モウカザルにつばめがえし!」
穂乃果「迎え撃つよ! マッハパンチ!」
ゲコガシラ「コゥ、ガッ!」
モウカザル「ヒィ―キャッ!」
モウカザルとゲコガシラ。お互いの左頬に、お互いの右拳が撃ち込まれる。
勢いよく打ち込まれた拳に、両者が後ろへと吹っ飛んだ。
穂乃果「こっちの方がダメージが大きい……⁉」
凛「当ったり前にゃ! 効果は抜群だよ! かよちん、モクローを! 今なら1対1!」
花陽「フシちん、とっしん!」
フシギソウ「フゥ……シィッ!」
フシギソウが力強く地面を蹴り、モクローへと迫る。
穂乃果「ことりちゃん!」
ことり「モ、モクちゃん、つつく!」
モクロー「ホゥ!」
フシギソウのとっしんに、モクローはつつくで対抗する。―――しかし。
モクロー「ホッ⁉」
ことり「押し負けた⁉」
タイプ相性ではモクローが有利だったが、地力の差がそれを上回り、フシギソウに軍配が上がった。
凛「ナイス、かよちん!」
花陽「ありがとう、凛ちゃん!」
107: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 22:01:38.83 ID:4pENHyaY0
穂乃果「さすがに決勝まで勝ち上がって来ただけあるね。あの二人、すっごく強いよ」
ことり「うん……」
今の攻防に敗れたことで、ことりの目にはほんの少しの諦めの色が浮かんでいた。
無意識のうちに、ことりは視線を下げてしまう。
―――だが。
穂乃果「でも負けない」
ことり「!」
穂乃果の力強い声に、ことりは顔を上げる。
穂乃果「ことりちゃん、このバトルを見てる人みんなに教えてあげようよ」
穂乃果はことりの目を真っ直ぐに見つめ、太陽のように笑う。
穂乃果「最強のタッグは、穂乃果とことりちゃんだって!」
……その言葉に、ことりの中の不安が霧散する。
そして、ことりも穂乃果に笑顔で答えた。
ことり「勝とう、穂乃果ちゃん!」
穂乃果「その意気!」
今のことりはもう、誰にも負ける気がしなかった。
108: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 22:02:16.47 ID:4pENHyaY0
ことり「ねえ穂乃果ちゃん、あの作戦いけるかな?」
穂乃果「もちろん! モウカザル、あれいけるよね?」
モウカザル「ヒキャ!」
穂乃果「よし! やろう、ことりちゃん!」
ことり「うん!」
109: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 22:03:16.77 ID:4pENHyaY0
花陽「凛ちゃん、何かやる気みたいだよ」
凛「はったりにゃ! このまま勝つよ! やっちゃえ、かよちん!」
花陽「う、うん! フシちん、モクローにつるのムチ!」
凛「ゲコガシラ、モウカザルにみずのはどう!」
フシギソウ「フーシィ!」
ゲコガシラ「コゥガッ!」
同時に放たれた攻撃が、モクローとモウカザルにそれぞれ迫る。
穂乃果「モウカザル、みずのはどうをかわしてモクちゃんの前へ! つるのムチからモクちゃんをかばって!」
モウカザル「ヒキャ!」
指示通り、モウカザルはみずのはどうをかわす。
そしてそのままモクローの前へと辿り着き、つるのムチをその身に受けた。
モウカザル「ヒキャアッ!」
花陽「モクローをかばった⁉」
穂乃果「ことりちゃん!」
ことり「いくよモクちゃん!」
ことり「ソーラービーム!」
モクロー「ホォオオオ―――――!」
ことりが叫ぶと、モクローが天から降り注ぐ陽光を吸収し、その身に力を蓄え始める!
110: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 22:04:33.60 ID:4pENHyaY0
花陽「そ、ソーラービーム⁉」
花陽は動揺した。
ソーラービームはくさタイプの技の中でも、最高クラスの威力を誇るのだ。
まともに受ければ、ひとたまりもない。
凛「かよちん、モクローを止めるよ!」
花陽「う、うん!」
凛「まずは邪魔なモウカザル! ゲコガシラ、つばめがえし!」
花陽「フシちん、つるのムチ!」
ゲコガシラ「コゥガッ!」
フシギソウ「フーシィッ!」
モクローをかばうモウカザルを倒さんと、同時に仕掛けられる攻撃。
穂乃果「つばめがえしにマッハパンチ!」
モウカザル「ヒ、キャァア!」
穂乃果は効果抜群の技であるつばめがえしのみを狙い、指示を出した。
しかしマッハパンチでは相殺しきれず、さらにモウカザルはつるのムチで打たれる。
だが―――。
モウカザル「ヒ、ヒ……ッキャ!」
花陽「ま、まだ立ってる⁉」
凛「あれだけ食らって倒れないなんて……こうなったら相殺するしかないよ、かよちん! 同時攻撃にゃ!」
花陽「う、うん!」
そこで、モクローの準備が整った。
モクロー「ホゥ!」
ことり「穂乃果ちゃん、準備OKだよ!」
穂乃果「じゃあこっちもいくよ! モウカザル!」
モウカザル「ヒキャ!」
モウカザルはモクローをかばいダメージを負ったことで、もうかが発動していた。
尻尾の炎が、より激しさを増している!
―――そして始まる、最後の攻防
111: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 22:06:26.63 ID:4pENHyaY0
凛「ゲコガシラ、みずのはどう!」
花陽「フシちん、はっぱカッター!」
穂乃果「モウカザル、ひのこ!」
ことり「モクちゃん、ソーラービーム!」
ゲコガシラ「ゲッッコォ!」
フシギソウ「フゥウッ、シィー!」
モウカザル「ヒィイイキャアアアアアアア!」
モクロー「ホォオオオ、ホォッ!」
4匹のポケモンの技が同時に放たれ、激しくぶつかり合う。
衝突の余波により、会場中を爆煙が包んだ。
そして―――煙が晴れる。
ゲコガシラ「……ゲ、ゲコ……」
フシギソウ「……フシィ……」
モウカザル「……ヒ、キャ……」
モクロー「……ホゥ!」
フィールドにはただ一匹、モクローだけが地に伏さず、その翼をはためかせていた。
審判「ゲコガシラ、フシギソウ、モウカザル、戦闘不能! よって勝者、穂乃果&ことりペア!」
112: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 22:07:26.88 ID:4pENHyaY0
ことり「か、勝ったの……? ほ、穂乃果ちゃん……」
穂乃果「ことりちゃん……うん、勝ったみたい」
穂乃果&ことり『やったぁ―――!』
穂乃果「モウカザル、よく頑張ったね! えらい!」
モウカザル「ヒ、ヒキャ……ヒキャ♪」
穂乃果はモウカザルに肩を貸し、喜びを分かち合う。
ことり「モクちゃん、お疲れさま! ありがとうね!」
モクロー「ホゥ♪」
ことりもモクローを抱きしめ、共に笑みを交わし合った。
113: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 22:08:09.10 ID:4pENHyaY0
花陽「負けちゃった……」
凛「かよちん、決勝まで来れたんだから十分だよ」
花陽「うん……そうだね」
凛「……」
114: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 22:08:49.95 ID:4pENHyaY0
―――大会終了後
穂乃果「はい、真姫ちゃん。ルチアのサイン色紙だよ」
穂乃果は賞品のサイン色紙を真姫に差し出した。
真姫「……本当に貰っていいの?」
ことり「もちろん。お友達、喜んでくれるといいね」
真姫「ことり、穂乃果……その、ありがとう」
真姫ははにかみながら感謝を述べ、色紙を受け取った。
ことり「いえいえ」
穂乃果「どういたしまして、だよ」
海未「良かったですね、真姫」
真姫「海未も、ありがとね」
海未「私は何もしていませんよ。……そういえば二人とも、残りの賞品はどうするんですか?」
ことり「ポケモンのタマゴと化石のことだよね」
穂乃果「あ、それなら穂乃果が化石を、ことりちゃんがタマゴを貰うことにしたんだ」
その言葉の通り、ことりの手にはポケモンのタマゴがあった。
タマゴを傷つけないよう、ケースに入れられている。
化石の方は既に、穂乃果のバッグにしまったようだ。
海未「そうですか。……タマゴはともかく、化石は持っていてもあまり意味が無いですね」
穂乃果「……やっぱりそう思う? 穂乃果、化石マニアじゃないからなぁ……」
ことり「や、やっぱり穂乃果ちゃんにタマゴをあげよっか?」
穂乃果「い、いいよいいよ。そのタマゴはことりちゃんのだよ。さっきジャンケンで決めたんだし」
海未「ジャンケンで決めたんですか……」
ことり「穂乃果ちゃんがそうしようって」
穂乃果「でも、ホントにどうしよう化石」
115: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 22:10:43.34 ID:4pENHyaY0
真姫「そういえば……トゥリーシティで化石の復元が出来るって聞いたことがあるわよ」
穂乃果「化石の復元⁉ それホント⁉」
真姫「ええ。化石を持っていけばポケモンを復元してくれるらしいわ」
穂乃果「じゃあ、穂乃果の化石も復元できるのかな?」
真姫「多分、出来るんじゃない?……よくは知らないけど」
海未「ふむ。トゥリーシティですか……たしかジムもあったはずですよ」
ことり「今調べてみたけど、温泉も有名みたいだね」
穂乃果「じゃあドヴァーシティの次は、トゥリーシティに行こうよ!」
海未「ええ、構いませんよ」
ことり「ことりもOKだよ」
穂乃果「よぉーし、じゃあまずはドヴァーシティのジムだね! それで次はトゥリーシティ!」
凛「ねぇねぇ、ドヴァーシティのジムに挑戦するの?」
穂乃果「うん、そうだよ。……って、あなたいつの間に⁉」
いつの間にやら、穂乃果の隣には凛が立っていた。
凛「通りがかったらちょうどドヴァーシティって聞こえたから、つい話しかけちゃったんだ。ね、かよちん」
花陽「あ、あの、さっきはバトルありがとうございました。すごく楽しかったです」
穂乃果「あ、えーっと……花陽ちゃんと凛ちゃん、だったよね」
花陽「はい」
凛「そっちは穂乃果ちゃんにことりちゃん、だよね。そっちの2人はたしか第一試合に出てた……」
海未「海未です。はじめまして」
真姫「真姫よ」
凛「よろしくね、海未ちゃんに真姫ちゃん」
穂乃果「それで、どうしたの? 凛ちゃん」
凛「あ、そうそう。穂乃果ちゃん、ドヴァーシティのジムに挑戦するんでしょ? 良かったら案内してあげようか?」
穂乃果「え、案内って……」
凛「凛とかよちん、ドヴァーシティに住んでるんだ。ね?」
花陽「う、うん。……でも凛ちゃん―――」
花陽が何かを言いかけたが、凛はそれを遮るかのように話を続けた。
116: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 22:11:27.53 ID:4pENHyaY0
凛「ジムの場所も知ってるから、案内してあげるよ。一回バトルした仲だしね」
穂乃果「ありがとう、凛ちゃん、花陽ちゃん。じゃあ、お願いしていいかな?」
凛「任せるにゃ!」
ことり「じゃあドヴァーシティまでは、凛ちゃん達と一緒だね」
海未「二人とも、よろしくお願いします」
花陽「は、はい。こちらこそ」
真姫「……じゃあ、私はそろそろ行くわね」
穂乃果「真姫ちゃん、もう行っちゃうの?」
真姫「ええ。私の友達がいるのはこことは別の町だから、急がないと遅くなっちゃうのよ。出てきて、トロピウス!」
真姫がトロピウスの入ったボールを空へと投げる。
トロピウス「ピゥ!」
ボールからトロピウスが飛び出し、翼をはためかせながらゆっくりと降りてきた。
真姫「みんな、今日は本当に助かったわ。また会ったら、その時は今日の借りを返すわね」
穂乃果「べつにそんなのいいよ。……また会おうね、真姫ちゃん」
ことり「ばいばい、真姫ちゃん。……またね」
海未「また会いましょう、真姫」
真姫「ええ、また」
お互いに別れを告げ、真姫がトロピウスの背中へと乗る。
真姫「―――トロピウス、そらをとぶよ!」
トロピウス「ピゥウ!」
そして、真姫を乗せたトロピウスは、空の彼方へと飛び去っていった。
117: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/13(木) 22:18:29.23 ID:4pENHyaY0
ことり「真姫ちゃん、行っちゃったね」
穂乃果「でも……きっとまた会えるよ」
ことり「そうだね……いつかまた会えるよね」
穂乃果とことりが、真姫の去っていた空を見つめながら呟いた。
海未「そうですね。会いたい時はポケギアで連絡すればいいですし」
海未が同じく空を見つめながら、何でもないことのように呟いた。
穂乃果&ことり『うん。…………えっ⁉』
海未「どうしました?」
穂乃果「……海未ちゃん、今なんて?」
海未「ですから、真姫とはポケギアの番号を交換しましたから、いつでも電話できると」
ことり「いつの間に交換してたの⁉」
海未「あれ?……言っていませんでしたか?」
穂乃果「聞いてないよ! じゃあ普通に連絡とって会えるじゃん!」
海未「そうですよ。真姫もそういう意味で『また』と言っていたのだと思いますが……」
ことり「そ、そうだったんだ」
正直、当分真姫とは会えないと思っていた穂乃果とことりは、その言葉を聞いて脱力した。
―――そこで、唐突に凛が空を見上げて呟く!
凛「『でも……きっとまた会えるよ』」
穂乃果「それさっきの穂乃果の真似⁉ 凛ちゃんやめて! 滅茶苦茶恥ずかしいよっ!」
花陽「り、凛ちゃん、やめてあげて!」
花陽が凛をたしなめる。
凛「『そうだね……いつかまた会えるよね』」
だが凛はやめなかった!
ことり「ちゅん⁉」
花陽「ことりちゃんの真似も駄目だよぉ!」
穂乃果とことり。2人はその強い絆で優勝を掴み取った。
きっとその絆はこれからも、より強く育まれていくことだろう。
……さあ、次はドヴァージム。
まだ見ぬジムリーダーを相手に、穂乃果は2つ目のバッジを手に入れることが出来るのだろうか?
―――つづく
120: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:01:46.76 ID:+6Ja0bG30
第5話 V(ボルト)
旅を続ける穂乃果たちは、ついに2つ目のジム、ドヴァージムへとやってきた。
凛「着いたよ、穂乃果ちゃん。ここがドヴァージム!」
穂乃果「よーし、じゃあさっそく―――すみませーん! ジム戦に挑戦に来ましたー!」
穂乃果は大きな声で叫んだが、ジムからは何の反応もなかった。
ことり「……返事が無いね」
海未「留守ですかね?」
穂乃果「そんなぁ⁉ せっかく来たのに!」
花陽「り、凛ちゃん」
凛「穂乃果ちゃん、大丈夫にゃ。もうすぐ帰ってくると思うよ」
穂乃果「ほ、ほんとに?」
凛「うん、見ててね。―――ただいま~」
凛はそう言うと、ジムの中へ一歩踏み出した。
凛「ほら、今帰って来たよ♪」
穂乃果「……へ?」
ことり「な、なにしてるの、凛ちゃん」
海未「……ま、まさか」
凛「ふっふっふ……今こそ凛の正体を明かす時!」
凛「何を隠そう、凛がこのジムのジムリーダーだったのだーっ!」
穂乃果「えぇ―――――――――っ⁉」
ことり「ほ、本当に?」
凛「嘘じゃないよ。ね、かよちん」
花陽「うん。凛ちゃんは正真正銘のジムリーダーだよ」
海未「なら、なぜ黙っていたのですか?」
花陽「凛ちゃんに『黙ってた方が面白いにゃ』って口止めされてて……」
海未「く、くだらないことを……」
凛「さあ、穂乃果ちゃん。ジムリーダーとして、穂乃果ちゃんの挑戦、受けて立つよ!」
旅を続ける穂乃果たちは、ついに2つ目のジム、ドヴァージムへとやってきた。
凛「着いたよ、穂乃果ちゃん。ここがドヴァージム!」
穂乃果「よーし、じゃあさっそく―――すみませーん! ジム戦に挑戦に来ましたー!」
穂乃果は大きな声で叫んだが、ジムからは何の反応もなかった。
ことり「……返事が無いね」
海未「留守ですかね?」
穂乃果「そんなぁ⁉ せっかく来たのに!」
花陽「り、凛ちゃん」
凛「穂乃果ちゃん、大丈夫にゃ。もうすぐ帰ってくると思うよ」
穂乃果「ほ、ほんとに?」
凛「うん、見ててね。―――ただいま~」
凛はそう言うと、ジムの中へ一歩踏み出した。
凛「ほら、今帰って来たよ♪」
穂乃果「……へ?」
ことり「な、なにしてるの、凛ちゃん」
海未「……ま、まさか」
凛「ふっふっふ……今こそ凛の正体を明かす時!」
凛「何を隠そう、凛がこのジムのジムリーダーだったのだーっ!」
穂乃果「えぇ―――――――――っ⁉」
ことり「ほ、本当に?」
凛「嘘じゃないよ。ね、かよちん」
花陽「うん。凛ちゃんは正真正銘のジムリーダーだよ」
海未「なら、なぜ黙っていたのですか?」
花陽「凛ちゃんに『黙ってた方が面白いにゃ』って口止めされてて……」
海未「く、くだらないことを……」
凛「さあ、穂乃果ちゃん。ジムリーダーとして、穂乃果ちゃんの挑戦、受けて立つよ!」
121: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:02:22.98 ID:+6Ja0bG30
―――観客席
ヤヤコマ「ヤコー! ヤッコ!」
花陽「……どうしてヤヤコマがいるの?」
ことり「ヤヤコマはでんきタイプに相性が悪いから、今回はお休みなんだって」
海未「モンスターボールの中にいるのも退屈だろうということで、ここで応援してもらうそうです」
花陽「そ、そうなんだ」
ヤヤコマ「ヤコー! ヤコヤッコ!」
122: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:03:01.70 ID:+6Ja0bG30
―――フィールド
審判「それではこれよりドヴァージム、ジム戦を開始します。使用ポケモンはお互い2体。どちらかのポケモンが全て戦闘不能になったら決着です。なお、ポケモンの交代はチャレンジャーのみ可能です。では、お互い1体目のポケモンをお願いします」
穂乃果「凛ちゃんがジムリーダーだったのは驚いたけど……凛ちゃんが相手でも、負けないよ! モウカザル、ファイトだよっ!」
モウカザル「ヒキャッ!」
凛「望むところだよ、穂乃果ちゃん! モココ、モコっといくにゃ!」
モココ「モコ!」
穂乃果と凛がお互いに1体目のポケモンを繰り出した。
審判がお互いの準備が整ったことを確認する。
審判「それでは……試合開始っ!」
穂乃果「いくよっ! モウカザル、マッハパンチ!」
モウカザル「ヒィ―キャッ!」
モココ「モコっ⁉」
開始と同時、モウカザルのマッハパンチがモココへと決まる。
相も変わらずの先手必勝である。
凛「穂乃果ちゃん、またいきなりマッハパンチ?」
穂乃果「これは穂乃果たちのあいさつ代わりだよ」
モウカザル「ヒキャ!」
凛「じゃあ、次はこっちのあいさつにゃ! モココ、エレキフィールド!」
モココ「モォーコォっ!」
フィールド中に電気がほとばしる!
123: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:03:38.04 ID:+6Ja0bG30
穂乃果「これは……フィールドが、電気に包まれた⁉」
凛「これが凛たちのフィールド! エレキフィールドが発動している時、でんき技の威力が上がるんだよ!」
穂乃果「……なんだか、アウェーって感じだね」
凛「さあいくにゃ! モココ、10まんボルト!」
モココ「モーコ、コォオオオオ!」
モココから激しい稲妻が放出される。
穂乃果「かわして!」
モウカザル「キィ!」
だがモウカザルはそれをかわし―――。
穂乃果「そのまま、かえんぐるま!」
モウカザル「ヒィイイキャアアアアアアア!」
炎を纏いて、モココへと突っ込んだ!
モココ「モコっ⁉」
凛「モココ!……やっぱり速いね。でもこれならどうする? モココ、でんじは!」
モココ「モコ!」
モココから放たれたでんじはが、モウカザルの体にまとわりつく。
モウカザルはまひ状態になった!
モウカザル「ヒ、ヒキャ⁉」
穂乃果「モウカザル⁉」
凛「でんじはで、モウカザルはまひ状態になったんだよ」
穂乃果「まひ状態……しびれのせいで、たまに技が使えなくなるんだよね」
凛「それだけじゃないよ。……しびれのせいで、ポケモンのすばやさも落ちるんだにゃ! モウカザルのスピードは封じたよ!」
穂乃果「そういえばそんな効果もあるんだっけ! ならモウカザル、マッハパンチ!」
モウカザル「ヒ、ヒィ―キャッ!」
モウカザルがマッハパンチを繰り出すが、先ほどまでの勢いが失われている。
124: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:04:04.70 ID:+6Ja0bG30
凛「かわしてモココ!」
モココ「モコ!」
モココは軽々とマッハパンチをかわした。
穂乃果「モウカザル、全然速さが出てない……!」
凛「さあ、今度はかわせる? モココ、10まんボルト!」
モココ「モーコ、コォオオオオ!」
モココから再び、激しい稲妻が放たれる。
穂乃果「かわして!」
モウカザル「キ、ィ……⁉」
モウカザルは体が痺れ、動くことが出来なかった。
そこに、10まんボルトが直撃する。
モウカザル「ヒキァァア⁉」
穂乃果「モウカザル!」
凛「そんな速さでかわせるわけないにゃ!」
穂乃果「モウカザル、大丈夫⁉」
モウカザル「ヒ、ヒキャ!」
穂乃果(こっちの攻撃は当たらないし、相手の攻撃はかわせない。だったら……!)
凛「もう一度にゃ、10まんボルト!」
モココ「モォーコッ!」
三度、モココから放たれる、激しい稲妻。
125: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:05:04.77 ID:+6Ja0bG30
穂乃果「だったら……かわさなきゃいいだけだよ! モウカザル、10まんボルトを右手だけで受けて!」
モウカザル「ヒキャ! ヒ、キィイイ!」
モウカザルは手の平を開き、10まんボルトを右手で受けた。
凛「そんなことをしても、ダメージは減らないよ!」
穂乃果「そんなの分かってる!」
凛「ならこれで終わりにゃ! モココ、10まんボルト!」
モココ「モォーコッ!」
そして四度、激しい稲妻がモココから放たれる。
―――だが、それに穂乃果は笑みを浮かべた。
穂乃果「今だよ! モウカザル、10まんボルトにかみなりパンチ!」
モウカザル「ヒキャ……ヒィーキャア!」
突如、モウカザルの右腕が雷を纏い、迫りくる10まんボルトへと撃ち出される!
凛「にゃ⁉」
穂乃果「そのまま突っ込んで、モココにもやっちゃえーっ!」
モウカザル「ヒィーキャア!」
モウカザルは10まんボルトを突破しモココへと接近、かみなりパンチによる一撃を加えた!
モココ「モコッ⁉……モ、モコ……」
その一撃に、モココが崩れ落ちる。
審判「モココ、戦闘不能! モウカザルの勝ち!」
穂乃果「モウカザル、やったね!」
モウカザル「ヒキャア!」
凛がモココをボールへと戻す。
凛「モココ、お疲れさま。……穂乃果ちゃん。モウカザルはかみなりパンチを覚えてたの?」
穂乃果「ううん。たった今覚えたとこだよ」
凛「たった今⁉」
穂乃果「モウカザルは前にかみなりパンチを受けたことがあるから、見よう見まねで出来るかなって」
凛「見よう見まねって……」
穂乃果「エレキフィールドのおかげでフィールド中に電気が溢れてたし、モウカザルは、まひ状態だったでしょ? 右手に10まんボルトを受ければ帯電して、かみなりパンチが撃ちやすくなるんじゃないかなって思ったんだ」
凛「だから10まんボルトを右手で?……無茶苦茶にゃ」
126: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:06:08.80 ID:+6Ja0bG30
―――観客席
ヤヤコマ「ヤコー♪」
海未「相変わらず無茶苦茶ですね、穂乃果は」
ことり「でも、穂乃果ちゃんらしいバトルだったよ」
花陽「タッグ大会の時もだけど……穂乃果ちゃんって、いつもあんなバトルをしてるの?」
海未「そうですね……大体あんな感じです」
花陽「すごいね……」
ことり「だからことりたちは、いつもハラハラしながら見てるんだ」
花陽「わ、分かる気がする。でも、あんなバトルもあるんだね……」
ヤヤコマ「ヤッコ!」
127: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:06:57.29 ID:+6Ja0bG30
―――フィールド
凛「……でも、穂乃果ちゃんのバトル、面白いね!」
穂乃果「そうかな?」
凛「うん、とっても! 凛、テンション上がってきたにゃー! さあいくよ、これが凛の2体目! ライボルト、ビリッといくにゃ!」
ライボルト「ラーイッ!」
凛の2体目、ライボルトがフィールドへと現れる。
穂乃果「2体目はライボルト……ううん、メガライボルトかな?」
凛「その通り! ライボルト……メガシンカ!」
凛の持つメガリングと、ライボルトの持つライボルトナイトが共鳴する!
ライボルト「ラーィ―――――」
ライボルトの体を光が包んでいく……!
メガライボルト「ボォ――――ウッ!」
そして光が霧散し、ライボルトはメガライボルトへとメガシンカした!
穂乃果「あれが、メガライボルト……! モウカザル、このままいける?」
モウカザル「キキャ!」
穂乃果「じゃあいくよ! かえんぐるま!」
モウカザル「ヒィイイキャアアアアアアア!」
凛「かわすにゃ!」
メガライボルト「ライ!」
モウカザルがかえんぐるまを繰り出すも、ライボルトはまるで稲妻の如くその場から離れ、攻撃をかわした。
128: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:07:32.43 ID:+6Ja0bG30
穂乃果「速い⁉」
凛「ライボルト、10まんボルト!」
メガライボルト「ラーイボォオオオオ!」
先ほどのモココよりも激しい稲妻が、ライボルトから放たれる。
穂乃果「モウカザル、10まんボルトにかみなりパンチだよっ! そのままライボルトにもやっちゃえーっ!」
モウカザルはさっきの要領で10まんボルトにかみなりパンチを撃ち、突破。そのままライボルトへと突っ込んだ。
モウカザル「ヒィーキャア!」
メガライボルト「ライッ!」
凛「ライボルト、そのまま耐えてかみくだく!」
メガライボルト「ライ!」
ライボルトがモウカザルの肩に勢いよく噛みついた!
モウカザル「ヒキャア⁉……ヒ、キィ……」
穂乃果「モウカザル⁉」
その攻撃を受け、モウカザルはその場に倒れた。
審判「モウカザル、戦闘不能! ライボルトの勝ち!」
穂乃果がモウカザルをボールへと戻す。
穂乃果「……ごくろうさま、ゆっくり休んでてね」
129: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:08:07.33 ID:+6Ja0bG30
凛「モウカザルは10まんボルトをかみなりパンチで突破できても、ダメージはそのまま受けてた。あんな荒業、何度もやれるものじゃないよ」
穂乃果「……そうみたいだね」
凛「さあ、穂乃果ちゃん。次のポケモンは何を出すの?」
穂乃果「穂乃果の2体目はこの子! コリンク、ファイトだよっ!」
コリンク「リン!」
コリンクが元気よくフィールドへと飛び出してくる。
凛「あ、コリンクだ! でんきタイプで来るんだね」
穂乃果「コリンクならエレキフィールドの効果を使えるからね。これでもうこっちもアウェーじゃないよ」
凛「確かにそうだね。でもアウェーじゃ無くなったからって、凛のメガライボルトを倒せるかな?」
穂乃果「倒してみせるよ! ね、コリンク?」
コリンク「リン! リンリン!」
穂乃果「じゃあいくよ、コリンク! でんこうせ―――」
穂乃果が技を指示しようとした瞬間。
突然、コリンクの体が淡く光り出した!
コリンク「リン! リィ―――――――!」
穂乃果「⁉ ど、どうしたの、コリンク⁉」
凛「なんにゃ⁉」
130: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:08:34.79 ID:+6Ja0bG30
―――観客席
ことり「コリンクの様子が変だよ!」
花陽「か、体が光り始めた……」
海未「あれは……進化の光です!」
131: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:09:23.65 ID:+6Ja0bG30
―――フィールド
コリンク「リン! リィ―――――」
穂乃果「コリンク、まさか……!」
―――そして、光を打ち払い、コリンクは新たな姿をその場に現す!
ルクシオ「―――クシオォ!」
凛「し、進化したにゃ!」
穂乃果「コリンク、ルクシオに進化したんだ! やったね!」
ルクシオ「クシオ!」
凛「いきなり進化なんて……凛、びっくりしたよ」
穂乃果「あはは、穂乃果もびっくり。……でも、今の進化で穂乃果にルクシオの気持ちが伝わって来たよ」
凛「ルクシオの気持ち?」
穂乃果「それはね―――」
穂乃果「このバトル、絶対に勝つっていう気持ちだよ!」
ルクシオ「ルクシィ!」
132: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:09:51.07 ID:+6Ja0bG30
穂乃果とルクシオから漲る闘志が、凛の体へと伝わる。
凛「!……そっか。でも、そう簡単には勝たせないよ! ね、ライボルト!」
メガライボルト「ラァーイッ!」
穂乃果「望むところ! さあいくよ、ルクシオ!」
ルクシオ「ルク! クシオ!」
穂乃果「ルクシオ?……! もしかして新しい技を覚えたの⁉」
ルクシオ「ルクシィ!」
穂乃果「よーしっ! じゃあルクシオ、その技で攻撃っ!」
ルクシオ「ルーックシオ!」
ルクシオはライボルトへと接近すると、その鋭い牙で勢いよく噛みついた!
メガライボルト「ライッ⁉」
凛「にゃ⁉ 今のはかみつく⁉」
穂乃果「ルクシオ、かみつくを覚えたんだね!」
ルクシオ「クシオ!」
凛「新技まで覚えたなんて……俄然テンション上がって来たにゃ! よーしっ! ライボルト、10まんボルト!」
メガライボルト「ラーイボォオオオオ!」
ルクシオ「クシィッ⁉」
ライボルトの10まんボルトが、ルクシオを撃ち貫く。
穂乃果「ルクシオ! まだまだいけるよね!」
ルクシオ「ク、クシオ!」
穂乃果(メガシンカしてるだけあって、技の威力はあっちが上みたい……。正面からの打ち合いじゃ勝てない。なら……!)
穂乃果「ルクシオ、にらみつける!」
ルクシオ「クシィ!」
メガライボルト「ラ、ライ……!」
ルクシオはメガライボルトをにらみつけ、防御を下げた
133: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:13:56.71 ID:+6Ja0bG30
間髪入れず、穂乃果は指示を出す。
穂乃果「でんこうせっか!」
ルクシオ「ルーックシィ!」
凛「かわすにゃ!」
メガライボルト「ライ!」
ライボルトの方が速く、ルクシオのでんこうせっかをかわす。
―――しかし、穂乃果はそれを承知の上だった。
穂乃果「反転してライボルトの背中に飛び乗って!」
ルクシオ「クシオッ!」
メガライボルト「ライ⁉」
凛「にゃ⁉」
ルクシオがライボルトの背中に飛び乗り、しがみつく。
穂乃果「そのままかみつく!」
ルクシオ「クゥシィ!」
メガライボルト「ライィ⁉」
死角からの攻撃に、ライボルトは動揺する。
凛「落ち着いてライボルト! 動き回って振り落とすの!」
メガライボルト「ライッ! ライッ!」
ライボルトは自身の持てるスピードを惜しみなく発揮し、ルクシオを振り落としにかかる。
穂乃果「ルクシオ、頑張って! そのまま連続でスパーク!」
ルクシオ「クゥシィ! シィ! シィ!」
メガライボルト「ライ⁉ ライッ! ライッ!」
スパークを受けながらもライボルトは動き回るが、ルクシオは振り落とせない。
凛「全然振り落とせない……! だったらライボルト、10まんボルト!」
メガライボルト「ラーイボォオオオオ!」
ライボルトが自身の頭上へと10まんボルトを放つ。
ルクシオ「クシオッ⁉」
134: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:14:45.71 ID:+6Ja0bG30
穂乃果「ルクシオ、こうなったら根比べだよ! ライボルトが倒れるまでスパーク!」
凛「だったらこっちもルクシオが倒れるまで10まんボルトにゃ!」
ルクシオ「クゥシィ! シィ! シィ―――!」
メガライボルト「ラーイボォ! ボォ! ボォ―――!」
電撃、電撃、電撃!
その場に居る者たちの視界を埋め尽くすほどの稲光が、怒涛の如くルクシオとライボルトより放たれる!
穂乃果&凛『いっけぇええええええええ!』
ルクシオ「シィ―――――――ッ!」
メガライボルト「ボォ―――――ッ!」
135: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:15:14.16 ID:+6Ja0bG30
―――光が、収まる。
136: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:16:01.75 ID:+6Ja0bG30
ライボルト「…………ボ、ボゥ……」
ルクシオ「…………ル、クシィ!」
ルクシオは強く地を踏みしめ、その場に立っていた。
審判「ライボルト、戦闘不能! ルクシオの勝ち! よって勝者、チャレンジャー穂乃果!」
137: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:16:38.17 ID:+6Ja0bG30
穂乃果「やったぁ――――! やったね、ルクシオ!」
ルクシオ「クシオ!」
穂乃果がルクシオに駆け寄り、思い切り抱きしめる。
そこへ、観客席からヤヤコマたちが降りてきた。
ヤヤコマ「ヤコー!」
ことり「穂乃果ちゃん、おめでとう!」
海未「これで2つ目のバッジ、ゲットですね」
穂乃果「うん!」
凛「お疲れ様、ライボルト。ナイスファイトだったよ」
凛がライボルトをボールへ戻す。
凛「……あ~あ、負けちゃったにゃ」
花陽「お疲れさま、凛ちゃん」
凛「あ、かよちん。どうだった? 今のバトル」
花陽「凛ちゃんも穂乃果ちゃんもとっても凄かったよ!……今の私じゃ、あんなバトルは出来そうにないや」
凛「そんなことないよ。かよちんだって―――」
凛が花陽に何かを伝えようとしたところで、穂乃果が駆け寄ってきた。
穂乃果「凛ちゃん。バトル、すっごく楽しかったよ!」
凛「あ……うん、凛もだよ。あんなにバトルでテンション上がったの、久しぶりだよ!」
花陽「凛ちゃん、バッジを渡さなきゃ」
凛「あ、そうだったにゃ。じゃあ穂乃果ちゃん。これがドヴァージム勝利の証、イエローバッジだよ。受け取って!」
凛がポケットからバッジを取り出し、穂乃果へと差し出す。
穂乃果「ありがとう!」
穂乃果「イエローバッジ、ゲットだよっ!」
ルクシオ「クシオ!」 ヤヤコマ「ヤッコ!」
138: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:17:20.80 ID:+6Ja0bG30
凛「ねえねえ、穂乃果ちゃんたちは次にトゥリーシティに行くんだよね?」
穂乃果「そーだよ。ジムがあるみたいだし、化石の復元をしたいからね」
凛「じゃあその後は、どのジムに行くか決めてるの?」
穂乃果「ううん、それはまだ」
凛「そっか。……ねえ、かよちん。ちょっと話があるんだけど……」
花陽「? どうしたの、凛ちゃん」
凛「あのね、ごにょごにょ―――」
海未「今更ですが私たちの旅、計画性が無さすぎませんか?」
ことり「でも、その方が旅らしくていいんじゃないかな?」
穂乃果「ことりちゃんの言うとおりだよ、海未ちゃん」
海未「そうですかね……?」
花陽「えぇ――――――⁉」
穂乃果「な、何⁉」
海未「なんですかいったい⁉」
こ
とり「は、花陽ちゃん? いきなり大声出したりして、どうしたの?」
花陽「あ、そのぅ……り、凛ちゃん、本気なの?」
凛「かよちん、もう凛は決めたよ。絶対その方がいいにゃ!」
花陽「で、でも―――」
凛「穂乃果ちゃん、海未ちゃん、ことりちゃん。お願いがあるんだけど、いい?」
穂乃果「へ?」
海未「なんですか急に?」
ことり「えっと、お願いって?」
凛「凛とかよちんを、旅の仲間に入れてほしいの!」
ほのことうみ『えぇ⁉』
139: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:17:46.55 ID:+6Ja0bG30
海未「り、凛? それはどう―――」
穂乃果「いいよ! 一緒に行こうよ!」
凛「ほんと? ありがとう穂乃果ちゃん!」
海未「穂乃果⁉ 決断早すぎじゃないですか⁉」
穂乃果「え? 海未ちゃんは、2人と一緒は嫌なの?」
海未「いえ、そうではないですが……」
ことり「ことりも一緒に旅するのは全然いいよ。でも凛ちゃん、どうして急に?」
凛「実はね? かよちん、今度ジムリーダー就任試験を受けることになってるの」
花陽「……」
穂乃果「ジムリーダー就任試験……海未ちゃんも昔受けたやつだっけ?」
海未「そうですね。ジムリーダーになるには、それに合格しなければなりませんので」
凛「にゃ? 今、海未ちゃんも受けたって言った?」
海未「はい。言ってませんでしたが、私もジムリーダーなんです」
凛&花陽『えぇ⁉』
花陽「海未ちゃん、ジムリーダーだったのぉ⁉」
凛「だ、だったらますます穂乃果ちゃんたちと一緒に行ったほうが良いよ、かよちん!」
花陽「り、凛ちゃん」
穂乃果「えーと……ジムリーダー就任試験が、穂乃果たちと一緒に旅することと関係あるの?」
凛「穂乃果ちゃんたちと一緒に旅をすれば、色んなことが経験できると思うんだ。それでその経験は、きっとかよちんの試験の役に立つと思うの」
海未「ふむ、経験ですか。たしかに、旅は人を成長させると言いますね」
凛「そう、それにゃ! 旅で成長して、かよちんはメガかよちんになるんだよ!」
穂乃果「なにそれ、かっこいいね!」
花陽「ならないよぉ⁉」
ことり「あ、あはは……」
ことり(めがよちゃん……いいかも。今度ぬいぐるみ作ろっと)
海未「それで、花陽は分かりましたが、凛はなぜ旅に出たいのですか?」
凛「かよちんが旅に出るなら、親友の凛も一緒に行かない理由は無いにゃ」
海未「なるほど」
凛「……色んな町のラーメン屋さん巡りしたいしね」
凛は小さくそう呟いた。
140: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:18:35.32 ID:+6Ja0bG30
海未「今何か言いませんでした?」
凛「ううん、何も言ってないよ? まあそんなわけで、凛とかよちんは穂乃果ちゃん達に付いてくにゃ」
穂乃果「うん。これからよろしくね、凛ちゃん」
海未「待ってください。花陽はそれでいいんですか?」
花陽「……うん。穂乃果ちゃん達が良ければ、付いて行っていいかな?」
穂乃果「もちろんだよ」
ことり「うん、花陽ちゃんなら大歓迎」
海未「では5人旅ですか。賑やかになりそうですね」
穂乃果「楽しい旅になりそうだね」
ことり「そうだね、穂乃果ちゃん」
穂乃果「あ、ねえねえ花陽ちゃん。ジムリーダーの試験ってどこでやるの?」
花陽「ピャーチシティだよ。私の実家があるんだ」
穂乃果「え、花陽ちゃんって、この町に住んでるんじゃないの?」
花陽「ううん、ずっとピャーチシティに住んでるよ。この町には、ちょっと凛ちゃんに会いに遊びに来てるだけ」
凛「凛も2年前まではピャーチシティに住んでたんだよ。今は引っ越して、この町に住んでるけど」
ことり「じゃあ2人とも、ピャーチシティで育ったんだね」
花陽「うん、そうだよ」
凛「だから、凛とかよちんは幼馴染なんだにゃ!」
ことり「ことりたちと一緒だね」
海未「そうですね。……しかしピャーチシティですか。ここからだと結構遠いですね」
穂乃果「そうなの?」
凛「うん。トゥリーシティからだと、チェティーリシティを経由していくことになるから、ちょっと遠くなっちゃうんだけど……。あ、でも途中のチェティーリシティにもジムがあるんだよ」
穂乃果「なら、その町でもジムに挑戦できるね。それでその後はピャーチシティで、花陽ちゃんとジム戦だ!」
花陽「え⁉ わ、私と⁉」
穂乃果「うん。花陽ちゃんがジムリーダーになれたら、その時は穂乃果と最初のジム戦をやろうよ!」
花陽「……う、うん。分かった。もしジムリーダーになれたら、その時は穂乃果ちゃんと最初に戦うね」
穂乃果「やった! 約束だよ?」
花陽「うん、約束」
141: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:20:12.66 ID:+6Ja0bG30
穂乃果「よーし、それじゃあさっそく―――」
『ぐ~!』
穂乃果のお腹から、大きな音が景気よく鳴り響く。
穂乃果「……ご飯食べに行こっか?」
ことり「そういえば、もうそんな時間だね」
海未「ですね」
凛「だったらラーメン屋に行こうよ。凛、美味しいお店知ってるんだ」
穂乃果「おぉ、いいね!」
凛「よーし! じゃあラーメン屋に!」
穂乃果「レッツゴーだよ!」
穂乃果と凛のでんこうせっか!
ラーメン屋に向けて駆け抜けていった!
海未「ちょ⁉ なに勝手に決めて勝手に走り出してるんですか! 2人とも待ちなさい!」
ことり「海未ちゃん。2人とも、もう行っちゃったよ」
海未「……花陽。凛の言っていたラーメン屋って、どこにあるか分かりますか?」
花陽「多分何度か一緒に行ったお店の事だと思うから、案内するね」
海未「お願いします、花陽。全く、あの2人は……」
ことり(これから先、毎回こんな感じにならないといいなぁ……)
凛に勝利し、穂乃果は2つ目のバッジを手に入れた。
そして加わった新たな旅の仲間、凛と花陽。
穂乃果たちの旅はますます賑やかになることだろう。
―――つづく
142: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 20:22:07.36 ID:+6Ja0bG30
これにて第5話も終了です。……が、6話もほぼ書き終わっているので、早ければ今日には上げたいと思います。
143: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 21:48:53.52 ID:+6Ja0bG30
ここはドヴァーシティの街中。なぜか、穂乃果が一人でいるようだ。
穂乃果「まずは右……いない。左も……いないね。後ろは……やっぱりいない。前は……うん、当然いないや。も、もしかして空に!……いるわけないよね。ふむ、周りを見てもどこにもみんながいない。ということは、やっぱり……はぐれた?」
穂乃果「どうしよぉ―――っ⁉」
穂乃果(と、とにかく落ち着こう。こういう時は素数を数えれば落ち着くって海未ちゃんが言ってたね。1……あれ? 1って素数だっけ? 違ったっけ? そもそも素数って…………そ、素数なんてどうでもいいよ! よし、まずはどうしてこうなったのか思い出してみよっと。確かみんなで買い物をしてて……)
144: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 21:49:38.40 ID:+6Ja0bG30
―――時は少し遡り、数十分前
海未「ふむ、食料はこんなところですね」
ことり「あとは寝袋とかが必要だよね」
凛「旅って結構必要なものあるんだね~」
花陽「3人とも、私たちの買い物を手伝ってもらっちゃって、ごめんね」
海未「何を言ってるんですか。これから一緒に旅をするのですから、当然ですよ」
ことり「そうだよ。ね、穂乃果ちゃん」
穂乃果「うん」
穂乃果たちは、凛と花陽の旅支度に付き合っていた。
穂乃果「でも、そろそろどこかで休憩しない? ずっと歩きっぱなしで疲れたよ~」
凛「凛は全然平気だよ?」
花陽「凛ちゃんは体力あるもんね」
ことり「でも、ことりもちょっと休みたいかも」
海未「では、休憩できる場所を探しますか。どこかに喫茶店でもないですかね?」
穂乃果「喫茶店かあ……それらしいお店は……ん?」
そこで穂乃果が視線の端に何かを見つける。
花陽「あ、喫茶店なら、そこの角を曲がった先にあったはずだよ」
穂乃果(あの緑のぷにぷにしたの……なんだろ? 今まで見たことないけど……ポケモンなのかな?)
穂乃果が見つけたのは、小さな緑色の物体だった。
凛「そこの店はいつも空いてるから、のんびり休めると思うにゃ」
穂乃果(もしかして、珍しいポケモン? あ! 目が合った……と思ったら逃げた!)
緑色の物体は穂乃果と目を合わすと、一目散にその場から逃げだした。
ことり「じゃあ、そこで休もっか。行こ、穂乃果ちゃ――」
穂乃果「待って! 逃げないで!」
穂乃果は緑色の物体が逃げた方向へと駈け出す。
ことり「穂乃果ちゃん⁉ どうしたの⁉」
海未「どこに行くんですか⁉ 貴方が待ちなさい、穂乃果!」
145: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 21:50:17.76 ID:+6Ja0bG30
―――現在
穂乃果(それで、あの緑の……ポケモン? を走り回って探してたら、みんなとはぐれちゃったんだっけ。……どうしよ。絶対、海未ちゃんに怒られる)
穂乃果「はぁ……。連絡とりたいけど、ポケギアの電池切れてるんだよねぇ。どこかに電話があればいいんだけど……とりあえず、探してみよ」
146: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 21:50:57.53 ID:+6Ja0bG30
―――10分後
穂乃果「み、見つからない……!」
穂乃果(よく考えたら、公衆電話なんてあんまり見かけないよね……)
穂乃果「なんか歩き回ったらお腹減って来たなぁ……そういえば、休憩しようって話してたとこだったし。……あ、パン屋さん発見! すみませーん」
パン屋のおばちゃん「いらっしゃい! 何にするんだい、お嬢ちゃん?」
穂乃果はメニューを眺める。
穂乃果「そうだなぁ……あ! このスペシャルいちごジャムパンください!」
おばちゃん「じゃあ、お代は500円ね」
穂乃果「はい、500円ピッタシ!」
おばちゃん「あいよ。これがおばちゃん特製いちごジャムパンだよ」
穂乃果「わぁ、おいしそう!」
おばちゃん「運が良かったね、お嬢ちゃん。今日はちょうどこれが最後の1個だったんだよ」
穂乃果「そうなんですか? なんだかラッキーな感じ。それじゃあいただきま―――」
???「おばちゃん、スペシャルいちごジャムパンちょーだい!」
穂乃果がいちごジャムパンに口を付けようとした瞬間、隣からそんな声が耳に入る。
穂乃果がそちらに目を向けると、帽子を被った少女がパン屋のおばちゃんに500円玉を差し出していた。
147: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 21:51:27.85 ID:+6Ja0bG30
穂乃果(ん? 穂乃果と同じの注文してる。あ、でもたしか……)
おばちゃん「ごめんねぇ。ちょうどこのお嬢ちゃんの分で売り切れちゃったんだよ」
少女「! そ、そんな……。この町に来たときは、スペシャルいちごジャムパンを食べるのが私の楽しみだったのに……」
少女は500円玉をチャリーンと落とし、絶望に満ちた表情でその場に崩れ落ちる。
穂乃果(す、凄い落ち込んでる……)
少女「これが……絶望……? ふふっ……パンではなく、絶望を味わうことになるなんてね……」
穂乃果(どうしよう……。パン食べたいけど……なんだか……)
少女「絶望ってしょっぱい味がするのね……あ、そっか。私の涙の味かぁ……」
穂乃果(た、食べにくっ!)
穂乃果「あ、あのぅ」
少女「なにかしら……? 私は今絶望の味を噛みしめて――」
穂乃果「良かったらこれ、譲りましょうか?」
少女「いいの⁉」
穂乃果の提案を聞くと、少女は瞬く間に立ち上がった。
穂乃果「は、はい」
少女「じゃ、じゃあ……いや、やっぱり全部は悪いわ。……なら半分! 半分だけ貰える?」
穂乃果「え? 半分でいいんですか?」
少女「ええ、分けて貰えるだけでもありがたいもの」
穂乃果「じゃあ、半分こですね」
穂乃果がパンを半分にちぎる。
穂乃果「はい、どうぞ!」
少女「ありがとう! 貴方とっても優しいのね! 女神さまって呼んでいいかしら?」
穂乃果「い、いやぁ、それは遠慮させてください。私、高坂穂乃果っていいます。だから穂乃果でいいですよ」
少女「分かったわ。めが――穂乃果さん」
穂乃果(めがって言った……)
少女「じゃあ私も名前を……あ、その前に帽子取ったほうが良いわよね」
穂乃果「あ、わざわざ別に―――え……⁉」
少女が帽子を取ると、穂乃果は目を丸くした。
なぜなら、そこにいた彼女は―――。
ツバサ「私、綺羅ツバサっていうの。よろしくね、穂乃果さん」
穂乃果「ちゃ……チャンピオン⁉」
ポケモンリーグチャンピオン、綺羅ツバサだったのだ。
148: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 21:52:08.35 ID:+6Ja0bG30
―――公園のベンチ
穂乃果「びっくりしました! まさかツバサさんに会えるなんて……! あとパン美味しかったですね! そっちもびっくりしました!」
ツバサ「ほ、穂乃果さん、ちょっと声のボリューム下げて。すごく目立つから。あとパンはホントに美味しかったわよね」
穂乃果「あ、すみません。私、テンション上がっちゃって。生のツバサさん……生ツバに会えたから、つい」
ツバサ「うん。その気持ちは嬉しいけど、その略し方は2度と使わないで」
ツバサの脳内では生唾と変換された。
チャンピオンを前にしているからか、穂乃果の口調は普段より丁寧なものへと変わっている。
穂乃果「私、ツバサさんのバトルを見て、チャンピオンを目指そうって決めたんです。だから本当に会えたのが嬉しくて」
ツバサ「へぇ、穂乃果さんはチャンピオンを目指してるのね。バッジはもういくつか集めたの?」
穂乃果「今2つです。ちょうど昨日、2個目をゲットしたばかりなんですよ」
ツバサ「あら、そうなの」
穂乃果「私、この調子でバッジを8個集めて、必ずポケモンリーグに出場します!」
ツバサ「ふふ。熱いわね、穂乃果さん」
穂乃果「それでその、図々しいお願いかもしれないですけど……ツバサさん、私とバトルしてくれませんか?」
ツバサ「バトル? 今かしら?」
穂乃果「はい! 今の私たちの力でどれくらいツバサさんと戦えるのか、知りたいんです。お願いします!」
ツバサ「うーん、穂乃果さんにはパンを貰ったし……そうだ。じゃあ、1つ質問に答えてくれるかしら?」
穂乃果「質問……ですか?」
ツバサ「ええ。あなたの答えに私が満足出来たら、バトルしましょう」
ツバサ「穂乃果さん。あなたにとって、ポケモンは何かしら?」
穂乃果「私にとっての、ポケモン……?」
ツバサ「聞かせて、貴方の答えを」
穂乃果「う、うーん……私にとってのポケモンは……いつも一緒に居てくれる家族、かな」
ツバサ「家族?」
穂乃果「その、ポケモンって言うか……私、モウカザルとずっと小さい頃から一緒で。ずっと一緒に過ごしてきて……だからもう、家族と同じなんです」
ツバサ「……なるほどね」
穂乃果「す、すみません。なんだかうまく答えられなくて」
ツバサ「ううん、とっても素敵な答えだったわ。じゃあやりましょうか、バトル」
穂乃果「! はい! お願いします、ツバサさん!」
149: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 21:53:03.13 ID:+6Ja0bG30
―――街はずれの森
ツバサ「ここならギャラリーもいないし、ちょうどいいわね。穂乃果さん、あなたの手持ちポケモンは何体?」
穂乃果「あ、3体です」
ツバサ「じゃあ3対3ね。私はこの子で相手をするわ。さあ、出てきて!」
ツバサが天高くモンスターボールを放り投げる。
ボーマンダ「ボォオオオオ!」
穂乃果「ボーマンダ……! ツバサさんのエース!」
ツバサ「さて、穂乃果さんの1体目は何かしら?」
穂乃果「この子です! ヤヤコマ、ファイトだよっ!」
ヤヤコマ「ヤッコ!」
穂乃果はヤヤコマを繰り出した。
ツバサ「あら、元気のいい子が出てきたわね。じゃ、始めましょうか。先行は穂乃果さんでいいわよ」
穂乃果「じゃあいきます! ヤヤコマ、つつく!」
ヤヤコマ「ヤッコーッ!」
ボーマンダ「ボォ」
ヤヤコマが疾風のような速さでボーマンダへと攻撃した。
ツバサ「へぇ、速いわね。その子の特性、はやてのつばさ?」
穂乃果「そうです。だから、ひこう技のスピードが上がるんですよ」
ヤヤコマ「ヤッコ!」
穂乃果(でもあんまりボーマンダには効いてないか……)
150: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 21:53:57.69 ID:+6Ja0bG30
穂乃果「この調子で行くよ、ヤヤコマ! かげぶんしん!」
ヤヤコマ「ヤコヤコヤコーッ!」
ヤヤコマの姿が何体にも分かれる。
穂乃果「さあツバサさん、どれが本物か分かりますか?」
ツバサ「うーん、どれなのかしら? 分からないわ」
ツバサが分身したヤヤコマを見渡し、そう告げた。
ツバサ「……でも甘いわね、穂乃果さん。どれが本物か分からないなら……全部倒せばいいだけよ! ボーマンダ、りゅうせいぐん!」
ボーマンダ「ボーォオオオマッ!」
ボーマンダが天へとエネルギーを撃ち出し、ヤヤコマの飛んでいる高さを上回るほどまで昇っていく。
そして上昇が止まり―――辺り一面へと流星が降り注ぐ!
穂乃果「⁉ かわしてヤヤコマ!」
ヤヤコマ「ヤコ! ヤコヤコォ―――ヤコ⁉」
降り注ぐ数多の流星により、ヤヤコマは他の分身ごと、体を撃ち抜かれた。
穂乃果「ヤヤコマっ!」
ヤヤコマ「ヤ、ヤコ……」
ツバサ「ヤヤコマ、戦闘不能ね」
穂乃果はヤヤコマをボールへと戻す。
穂乃果「ありがとね、ヤヤコマ。戻って休んでて」
151: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 21:54:38.44 ID:+6Ja0bG30
穂乃果「次は任せたよ、ルクシオ! ファイトだよっ!」
ルクシオ「クシャ!」
ルクシオはボールから飛び出ると、辺りにバリバリと稲妻を散らした。
ツバサ(この子も元気いっぱいね。ポケモンはトレーナーに似るっていうけど……ふふっ)
穂乃果「いきますよ、ツバサさん! ルクシオ、でんこうせっか!」
ルクシオ「ルーックシャア!」
ルクシオがボーマンダに突撃するも―――。
穂乃果(これもほとんどダメージが入ってない……!)
ツバサ「なるほど……さっきのヤヤコマといい、穂乃果さんはスピードで攻めるバトルスタイルなのね。じゃあこっちもすばやさを上げるわよ! ボーマンダ、りゅうのまい!」
ボーマンダ「ボォオ――――!」
りゅうのまいにより、ボーマンダの力が急速に高まっていく……!
穂乃果(りゅうのまい……たしかこうげきとすばやさを上げる効果だっけ。なら今のうちに!)
穂乃果「ルクシオ、スパーク!」
ルクシオ「クーッシォ!」
ボーマンダ「ボマッ……!」
ルクシオの雷を纏った突撃が、ボーマンダを直撃する。
152: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 21:55:08.26 ID:+6Ja0bG30
穂乃果「今度は効いてる!」
ツバサ「さすがに効果抜群の技は効くわね。……じゃあ今度はこっちの番。りゅうのまいを舞ったボーマンダの攻撃、耐えられるかしら?」
ツバサ「ボーマンダ、ドラゴンダイブ!」
ボーマンダ「ボォオオマァアアア!」
凄まじい勢いでルクシオへとボーマンダが迫る!
穂乃果(速い⁉ これはかわせない!)
穂乃果「迎え撃つよ! スパーク!」
ルクシオ「クシャアッ!」
電撃を纏うルクシオ。
ボーマンダと正面から激突する!
ルクシオ「クシオォオオオオ!」
ボーマンダ「マァアアアアアアア!」
ルクシオ「オオオオ――クシャッ⁉……ル、ルク……」
ドラゴンダイブの凄まじい威力に、ルクシオが吹き飛ばされた。
穂乃果「ルクシオっ!」
ツバサ「ルクシオも戦闘不能。これで穂乃果さんはあと1体ね」
穂乃果がルクシオを戻す。
穂乃果「戻って、ルクシオ。お疲れさま、ありがとね」
153: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 21:56:03.64 ID:+6Ja0bG30
穂乃果「最後は任せたよ、モウカザル! ファイトだよっ!」
モウカザル「ヒキャ!」
モウカザルが元気よくボールから飛び出てくる。
それを見て、ツバサは微かに笑みを浮かべた。
ツバサ(ふふっ。やっぱりこの子も穂乃果さんに似てるわ)
ツバサ「さあ穂乃果さん、これで最後よ。貴方とポケモンの全力……おもいっきり私にぶつけてみて!」
穂乃果「!……はい! 見せます、穂乃果たちの全力を! よぉーしっ! 行くよ、モウカザルっ!」
モウカザル「ヒキャアッ!」
穂乃果「マッハパンチ!」
モウカザル「ヒィーキャッ!」
ボーマンダ「ボオ⁉」
穂乃果お得意の速攻が、ボーマンダへと決まる。
ツバサ「やるじゃない! そうこなくちゃね! ボーマンダ、ドラゴンダイブよ!」
ボーマンダ「ボオオオオオオマァアア!」
穂乃果「かげぶんしん!」
モウカザル「ヒキャキャキャキャ!」
モウカザルは何体にも分身。
ボーマンダが突撃するも、それは分身のモウカザルだった。
ボーマンダ「ボオ⁉」
ツバサ「! その子も使えたのね! なら分身ごと食らいなさい! りゅうせいぐん!」
ボーマンダ「ボーォオオオオオマッ!」
穂乃果「そうくると思ってました!」
数多の流星が辺りに降り注ぎ、分身したモウカザルを次々と消し去っていく。
―――だが、最後の一匹のモウカザルまでもが、流星によって撃ち消される。
154: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 21:56:39.05 ID:+6Ja0bG30
ツバサ「モウカザルが……いない⁉ 一体どこに………………なっ⁉」
ツバサがフィールドの隅から隅まで視線を巡らせると―――。
モウカザルは、ボーマンダの腹に張り付いていた。
モウカザル「ヒキャ!」
ツバサ「いつの間にあんな所に……⁉」
穂乃果「かみなりパンチ! 撃って撃って撃ちまくって!」
モウカザル「ヒーッキャア!」
ボーマンダ「ボアッ⁉」
モウカザルは片手でボーマンダを掴んだまま、もう片方の手で幾度となくかみなりパンチを撃ち出す!
ツバサ「振り落としなさい、ボーマンダ! ドラゴンダイブ!」
ボーマンダ「ボオオオオオオマァアア!」
ボーマンダが中空へ向かってドラゴンダイブを放つ。
モウカザル「ヒ、ヒキャッ⁉」
その凄まじい勢いに、モウカザルは振り落とされた。
ツバサ「……驚いたわ、穂乃果さん。正直、ここまでやるとは思わなかった」
穂乃果「ツバサさん! これが穂乃果たちの全力です!」
ツバサ「ええ。あなたの全力、確かに見せてもらったわ」
155: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 21:57:33.52 ID:+6Ja0bG30
ツバサ「……だから、私もそれに応えなきゃ失礼よね?」
ツバサがポケットからペンダントのようなものを取り出す。
ツバサ「いくわよ、ボーマンダ!」
ボーマンダ「ボォ!」
穂乃果「? なにを……まさか!」
穂乃果が注視すると、そのペンダントにはめ込まれていたのは―――キーストーンだった。
ツバサ「その身に眠りし天空の力を、今こそ解き放て!」
ツバサのペンダントと、ボーマンダの持つボーマンダナイトが共鳴する!
ツバサ「ボーマンダ、メガシンカ!」
ボーマンダ「ボォオオ――――」
ボーマンダは光に包まれ―――。
メガボーマンダ「マァ―――――――!」
メガボーマンダへと、その姿を変えた。
穂乃果「メガ……ボー、マンダ……!」
156: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 21:58:18.20 ID:+6Ja0bG30
ツバサ「さあいくわよ、穂乃果さん!」
穂乃果「来るよ、モウカザル! こっちもいくよ!」
モウカザル「ヒキャ!」
ツバサ「すてみタックル!」
穂乃果「かえんぐるま!」
メガボーマンダ「ボオォオオマァ―――!」
モウカザル「ヒーッキャア―――!」
炎を纏いしモウカザルの突撃と、天を引き裂くボーマンダの突撃が真正面からぶつかり合う!
―――そして
モウカザル「ヒ、ヒキャアッ⁉」
敗れたのは、モウカザルだった。
157: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 21:59:29.91 ID:+6Ja0bG30
モウカザル「……ヒ、ヒキャ……」
穂乃果「モウカザルっ⁉」
ツバサ「モウカザル、戦闘不能……名残惜しいけど、これでバトルは終わりね」
穂乃果がモウカザルをボールに戻す。
穂乃果「……お疲れさま、モウカザル。モンスターボールの中でゆっくり休んでね」
ツバサ「お疲れさま、ボーマンダ。あなたも戻って」
ボーマンダ「ボオ」
ツバサもボーマンダをボールに戻した。
穂乃果「ツバサさん、私たちの負けですね。やっぱり全然敵わなかったです」
ツバサ「全然敵わない? 穂乃果さん、それはなんの冗談かしら?」
穂乃果「へ? だって私たちはツバサさんのポケモンを1体も……」
ツバサ「あなたたちは私たちにメガシンカを使わせた。……全力を出させたのよ? 全然敵わなかったなんて、そんなわけないじゃない」
穂乃果「あ……」
ツバサ「バトルして分かった。いずれあなたは今よりずっと強いトレーナーになる。だから――」
ツバサ「強くなったあなたともう一度戦えるの、楽しみにしておくわね」
穂乃果「!」
ツバサの言葉に、穂乃果の胸が震える。
穂乃果「……はい! 絶対、私、今よりもっと……ううん」
穂乃果「もっともっともっと強くなって! 絶対にもう一度、ツバサさんに挑戦します!」
158: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 22:00:04.34 ID:+6Ja0bG30
―――穂乃果はツバサと別れ、一人街を歩いていた。
穂乃果(ツバサさん、すっごく強かったなぁ。穂乃果もいつかは、あれくらい強くなれるのかな?……なれればいいな)
穂乃果「よし! まずは次のジム戦に向けて頑張ろっと!……あれ? 何か忘れてるような……」
海未「穂~乃~果~……っ!」
穂乃果「う、海未ちゃん⁉」
凛「やっと見つけたにゃ!」
穂乃果「凛ちゃんも……あっ! そっか! 穂乃果みんなとはぐれてたんだった!」
海未「なんですか、そのはぐれていたのを今思い出したかのような台詞は!」
穂乃果「あ、あはは……ごめん。忘れてた」
海未「(ぶちっ!)」
穂乃果「ひぃ⁉ 海未ちゃんの何かが切れた!」
凛「穂乃果ちゃん。むしろどうやったら忘れられるの?」
穂乃果「い、いやぁ、それが色々あって……あ、ことりちゃんと花陽ちゃんは?」
凛「2手に分かれて探してたんだ。あ、二人に穂乃果ちゃん見つかったって連絡しなきゃ。……じゃあ凛、連絡してくるね」
凛は穂乃果に背を向け、距離を取っていく。
穂乃果「凛ちゃん⁉ 待って! ここで連絡すればいいじゃん! 穂乃果を海未ちゃんと2人きりにしないで!……ホントに行っちゃったぁ⁉」
海未「穂乃果……カクゴハデキテイマスネ?」
穂乃果「なんで片言なの⁉ それ滅茶苦茶怖いからやめてよ! 海未ちゃ―――」
159: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 22:00:35.15 ID:+6Ja0bG30
―――数分後
ことり「凛ちゃん!」
花陽「穂乃果ちゃん、見つかったの?」
凛「うん、一応……」
花陽「一応?」
ことり「それで、穂乃果ちゃんは?」
凛「……あそこ」
穂乃果「わたくし、高坂穂乃果はもう2度と自分勝手な行動をせず、周囲に……えっと」
海未「周囲に迷惑をかけないことを誓います、です。はい、もう一度最初から! まだ43回残ってますからね!」
穂乃果「うえぇえん! もう勘弁してよぉ!」
海未「泣き言言わずにさっさとしなさい!」
ことり「穂乃果ちゃん、道路に正座させられてる⁉」
花陽「ど、どうしてあんなことに……?」
凛「海未ちゃんがブチ切れたんだにゃ……」
ことり「と、とにかく海未ちゃんを止めなきゃ!」
花陽「そ、そうだね。あんなの、こんな往来でやることじゃないよ。通りがかる人、みんな見てるし」
凛「一人じゃ怖くて止められなくて、二人が来るのを待ってたんだ。今こそ、3人で海未ちゃんを止める時にゃ!」
ことぱな『お、おー!』
160: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 22:01:02.11 ID:+6Ja0bG30
―――少しして
穂乃果「やっと解放されたよぉ……うぅ、ことりちゃあーん!」
ことり「よしよし。もう大丈夫だよ、穂乃果ちゃん」
花陽「泣きじゃくってる……」
凛「海未ちゃん、やりすぎだよ」
海未「……少しやりすぎましたかね」
穂乃果「少しじゃないよ! 過剰にやりすぎだよ!」
海未「もとはと言えば穂乃果が悪いのですよ!」
穂乃果「うぐっ! そ、それは…………みんなごめんね、迷惑かけて」
ことり「もういいよ、穂乃果ちゃん」
凛「気にしてないにゃ」
花陽「穂乃果ちゃん、海未ちゃんにすごく叱られたみたいだしね」
穂乃果「みんな……」
海未「さて、では買い物の続きをしましょうか。穂乃果、もうはぐれないでくださいね」
穂乃果「もう! 分かってるよ、海未ちゃん」
161: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 22:01:46.78 ID:+6Ja0bG30
―――その日の夜 ポケモンセンター裏
穂乃果「うーん、あんまり星見えないなぁ……あ、でも少しは見える!」
海未「穂乃果、一人で部屋を抜け出して何をしているんですか?」
穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃん。ごめんね、起こしちゃった?」
ことり「眠れないの? 穂乃果ちゃん」
穂乃果「うん、なんだか眼が冴えちゃって」
ことり「珍しいね。いつもはぐっすり寝てるのに」
海未「何かあったんですか?」
穂乃果「今日さ……ツバサさんに会ったんだ」
海未「ツバサ……まさか、チャンピオンですか?」
穂乃果「うん」
ことり「そっか……チャンピオンを見つけて追いかけたから、穂乃果ちゃん迷子になったんだね」
穂乃果「え?……うん、まあ、そ、そんなとこ」
海未「……迷子の理由は別みたいですね」
穂乃果「……本当は珍しいポケモンを見つけたからです」
ことり「そんな理由だったんだ……」
海未「どうせ、そんなことだろうと思っていました」
穂乃果「ま、まあその話は置いといてさ! 穂乃果、ツバサさんとバトルしたんだよ」
ことり「チャンピオンとバトルしたの?」
穂乃果「うん。でも、負けちゃった。ストレート負けってやつだね」
海未「まあ……そうでしょうね。相手が悪すぎます」
穂乃果「でもさ、ツバサさんとバトルして……見えたんだ」
ことり「見えたって……何が?」
穂乃果「ツバサさんがいる、高み」
海未「高み……ですか?」
穂乃果「うん。あそこが、穂乃果の目指す高みなんだよ」
ことり「穂乃果ちゃんの、目指す高み……」
162: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 22:02:10.18 ID:+6Ja0bG30
穂乃果「今までは、ぼんやりしてて見えなかった」
穂乃果「ほんとにたどり着けるのかも、あやふやで分からなかった」
穂乃果「でも、今日はっきり見えた」
穂乃果「あの高みまで、穂乃果は昇っていきたい……ポケモン達と一緒に!」
163: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 22:03:15.98 ID:+6Ja0bG30
ことり「穂乃果ちゃん……。きっとたどり着けるよ、穂乃果ちゃんなら」
海未「私もそう思います。穂乃果なら、きっと」
穂乃果「ことりちゃん……海未ちゃん……。……よーしっ! みんな出てきて!」
穂乃果はモウカザルたちのモンスターボールを放り投げた。
モウカザル「ヒキャ!」
ルクシオ「クシャ!」
ヤヤコマ「ヤコ!」
穂乃果「モウカザル、ルクシオ、ヤヤコマ。穂乃果は今日、改めて決めたことがあるんだ」
モウカザル「ヒキャ?」
穂乃果「穂乃果、絶対チャンピオンになる!」
穂乃果「空に光る星みたいに、今はまだ届かないけど……いつかきっと、この手で掴んでみせる!」
穂乃果「ここからが本当のスタート! みんなで力を合わせて、一緒に強くなっていこう!」
穂乃果「―――ファイトだよっ!」
モウカザル「ヒッキャ!」
ルクシオ「クシャッ!」
ヤヤコマ「ヤッコ!」
海未「……私たちも、穂乃果に負けていられませんね」
ことり「そうだね、海未ちゃん。ことりはまだ、穂乃果ちゃんみたいにやりたいことは見つかってないけど……穂乃果ちゃんを見てたら、ことりも頑張らなきゃって思うよ」
海未「穂乃果に負けないくらい、私たちもこの旅で成長していきましょう」
ことり「うん!」
164: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 22:04:50.93 ID:+6Ja0bG30
―――翌日
花陽「凛ちゃん。遅いね、穂乃果ちゃんたち」
凛「もう凛たち、10分待ってるにゃ~」
穂乃果「―――お~い!」
凛「あ、やっと来た!」
海未「すみません、遅くなりました」
ことり「2人とも、待たせちゃってごめんね」
穂乃果「ごめんね。寝坊しちゃったんだ」
凛「もう、穂乃果ちゃんったら! 凛、待ちくたびれたよー」
穂乃果「ホントにごめん……ん? ねぇ、なんで穂乃果だけ名指しなの?」
凛「だって穂乃果ちゃんが寝坊したんでしょ?」
穂乃果「そうだけど……でも海未ちゃんとことりちゃんも寝坊したんだよ?」
凛「え、そうなの?」
花陽「3人で寝坊したっていうこと?」
海未「恥ずかしながら……」
ことり「昨日、ちょっと夜更かししちゃったの」
凛「夜更かし? みんなで何かしてたの?」
穂乃果「外で星を見てたんだよ。手が届くかな~って」
凛「穂乃果ちゃん、まだ寝ぼけてるの? 星に手が届くわけないにゃ」
穂乃果「分かんないよ? 穂乃果の手がゴムみたいに伸びれば!」
凛「おぉ! ゴムゴムの穂乃果ちゃんだね!」
海未「アホな話していないで、もう出発しますよ」
ほのりん『は~い』
ことり「ふふっ、5人旅の始まりだね」
花陽「ちょ、ちょっと緊張してきたかも」
凛「何言ってるの、かよちん。ここはわくわくするとこにゃ!」
花陽「わくわく……うん、そうだね!」
穂乃果「じゃあ行こう、みんな! トゥリーシティに向けて、しゅっぱぁーつ!」
チャンピオンのツバサと出会い、穂乃果は自らの目指す高みをその目に焼き付けた。
今はまだそこには届かないが、未来がどうかは分からない。
なぜなら、穂乃果たちの旅はまだ、始まったばかりなのだから。
第6話 START:DASH!!
165: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/18(火) 22:15:09.25 ID:+6Ja0bG30
これにて、完結となります。
短い間でしたが、読んでいただきありがとうございました。
……嘘です。はい、全然話終わってないですよね。バッジもまだ2個ですし。
でもある意味では嘘じゃありません。
これにて、第1部完結となります。
第1部はいわゆる旅立ち編でした。構想上では、ここから本格的に旅が始まります。
始まる……んですが、もう書き溜めのストックが次の1話分しか残っていません。
本来遅筆なので、これから先は更新ペースがかなり遅くなると思います。
なので、このスレに上げるのは一旦ここで終わりにして、第2部は新規スレを立てようと思います。
長い時間中途半端にしておくの、何か嫌ですので。
穂乃果「かそくする思いはでんこうせっかで」
というタイトルにしようと思っています。まあ、立てたらこっちにも貼りますので。
その話、第7話に関しては早いうちにあげようと思っています。
(約1名、ここまで名前しか出ずにまともに出番がなかった方がいらっしゃるので)
では、ここまで読んでいただきありがとうございました。
短い間でしたが、読んでいただきありがとうございました。
……嘘です。はい、全然話終わってないですよね。バッジもまだ2個ですし。
でもある意味では嘘じゃありません。
これにて、第1部完結となります。
第1部はいわゆる旅立ち編でした。構想上では、ここから本格的に旅が始まります。
始まる……んですが、もう書き溜めのストックが次の1話分しか残っていません。
本来遅筆なので、これから先は更新ペースがかなり遅くなると思います。
なので、このスレに上げるのは一旦ここで終わりにして、第2部は新規スレを立てようと思います。
長い時間中途半端にしておくの、何か嫌ですので。
穂乃果「かそくする思いはでんこうせっかで」
というタイトルにしようと思っています。まあ、立てたらこっちにも貼りますので。
その話、第7話に関しては早いうちにあげようと思っています。
(約1名、ここまで名前しか出ずにまともに出番がなかった方がいらっしゃるので)
では、ここまで読んでいただきありがとうございました。
166: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/20(木) 02:08:53.77 ID:HZ3GOINno
いったん乙
バトルは真剣だけど全体の雰囲気ほのぼのしてて安心して読めて楽しかった
続き楽しみに待ってます
バトルは真剣だけど全体の雰囲気ほのぼのしてて安心して読めて楽しかった
続き楽しみに待ってます
167: ◆Nzgut8IIl2 2017/04/20(木) 18:23:19.16 ID:k6Clc8mF0
次スレ立てました。
穂乃果「かそくする思いはでんこうせっかで」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492680095/
こっちはHTML依頼出しておきます。
穂乃果「かそくする思いはでんこうせっかで」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492680095/
こっちはHTML依頼出しておきます。
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1491919219/
Entry ⇒ 2017.11.30 | Category ⇒ ラブライブ | Comments (0)
幼馴染「どこにでもいるありふれた魔法使いですけど?」
1: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 20:03:42 ID:G/BAAqJc
男「はぁ……魔法使いかー。今度は何のアニメの影響?」
幼「アニメじゃないですけど?」
男「じゃあラノベ?」
幼「違いますけど?」
男「んー、じゃああれか。 ドラマか!」
幼「ドラマでもないですけど?」
幼「アニメじゃないですけど?」
男「じゃあラノベ?」
幼「違いますけど?」
男「んー、じゃああれか。 ドラマか!」
幼「ドラマでもないですけど?」
2: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 20:11:53 ID:G/BAAqJc
男「わからん、なんだ?魔法って」
幼「魔法使いっていっても、使える呪文は一つだよ」
男「あ、それヨシヒコのヤーツだろ? メレブ的な」
幼「ヨシヒコは観たけど。メレブじゃないし。むしろムラサキだし」
男「ムネ・タイラさんって所?」
幼「なめんなよ、おう?」
男「スミマセン」
幼「魔法使いっていっても、使える呪文は一つだよ」
男「あ、それヨシヒコのヤーツだろ? メレブ的な」
幼「ヨシヒコは観たけど。メレブじゃないし。むしろムラサキだし」
男「ムネ・タイラさんって所?」
幼「なめんなよ、おう?」
男「スミマセン」
3: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 20:18:40 ID:G/BAAqJc
幼「まぁ、いつ魔法が使えるかは私にもわからないんだけどね」
男「そうなんか」
幼「まぁ、相手次第、気分次第……って感じ?」
男「どんな魔法かによるな……」
幼「世界が変わる魔法だよ」
男「世界が!? 地球破壊爆発魔法みたいな?」
幼「そんな物騒な変化ではない!」
男「そうなんか」
幼「まぁ、相手次第、気分次第……って感じ?」
男「どんな魔法かによるな……」
幼「世界が変わる魔法だよ」
男「世界が!? 地球破壊爆発魔法みたいな?」
幼「そんな物騒な変化ではない!」
4: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 20:34:28 ID:G/BAAqJc
男「なんだろう……世界中の女性が巨乳になる魔法とか?」
幼「それ誰得?」
男「……俺得?」
幼「ちょっとタイキックしていい?」
男「スミマセン」
幼「まぁ、スカートだからキックとか無理だけど」
幼「それ誰得?」
男「……俺得?」
幼「ちょっとタイキックしていい?」
男「スミマセン」
幼「まぁ、スカートだからキックとか無理だけど」
5: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 20:40:24 ID:G/BAAqJc
男「世界を変える……男女が入れ替わる魔法とか?」
幼「誰と誰が?」
男「え?」
幼「あの映画みたいに私らと同い年くらいの男女が入れ替わるの?都合よく?」
幼「世界中が?そんな事に?」
男「スミマセン」
幼「誰と誰が?」
男「え?」
幼「あの映画みたいに私らと同い年くらいの男女が入れ替わるの?都合よく?」
幼「世界中が?そんな事に?」
男「スミマセン」
6: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 20:41:21 ID:G/BAAqJc
幼「あ、今日もおばちゃんの駄菓子屋に寄ろう」
男「ん、いいですとも」
幼「今日は奢ってあげよう」
男「え?マジで?どうした!?インフルエンザか?熱に浮かされた冬の日の幻か?」
幼「私が奢る事ってそんなに珍しいかな?」
男「……スミマセン 結構奢ってもらってます」
男「ん、いいですとも」
幼「今日は奢ってあげよう」
男「え?マジで?どうした!?インフルエンザか?熱に浮かされた冬の日の幻か?」
幼「私が奢る事ってそんなに珍しいかな?」
男「……スミマセン 結構奢ってもらってます」
7: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 20:46:11 ID:G/BAAqJc
駄菓子屋
幼「おばちゃーん、これくださーい」
おばちゃん「はいな。いつもありがとうね、幼ちゃん」
幼「こちらこそだよ、おばちゃん。いつもお世話になってます」
おばちゃん「あらあら、幼ちゃんからそんな事言われるなんて……」
男「幼、そんな事言うもんじゃないぞ?」
幼「何で?」
おばちゃん「雨が降るかもしれないからね、ほっほっほ」
幼「普段からありがとうって思ってるよ、おばちゃん!」
おばちゃん「わかってるわよ、幼ちゃん。ほっほっほ」
幼「おばちゃーん、これくださーい」
おばちゃん「はいな。いつもありがとうね、幼ちゃん」
幼「こちらこそだよ、おばちゃん。いつもお世話になってます」
おばちゃん「あらあら、幼ちゃんからそんな事言われるなんて……」
男「幼、そんな事言うもんじゃないぞ?」
幼「何で?」
おばちゃん「雨が降るかもしれないからね、ほっほっほ」
幼「普段からありがとうって思ってるよ、おばちゃん!」
おばちゃん「わかってるわよ、幼ちゃん。ほっほっほ」
8: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 20:46:56 ID:G/BAAqJc
・
・
男「で?」
幼「ん?」
男「魔法とやらはどうしたんだ?」
幼「んー」
男「今日は魔法使えないのか?」
幼「相手次第って言ったでしょ」
男「俺相手には発動しないのか?」
幼「気分次第とも言ったでしょ?」
・
男「で?」
幼「ん?」
男「魔法とやらはどうしたんだ?」
幼「んー」
男「今日は魔法使えないのか?」
幼「相手次第って言ったでしょ」
男「俺相手には発動しないのか?」
幼「気分次第とも言ったでしょ?」
9: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 20:52:08 ID:G/BAAqJc
男「はぁー……あ!しまったな!?」
幼「何?」
男「俺もおばちゃんとこで何か買えばよかった」
幼「戻る?」
男「……いや、まあいいや。明日の帰りに寄ればいいし」
幼「あ、そ」
幼「何?」
男「俺もおばちゃんとこで何か買えばよかった」
幼「戻る?」
男「……いや、まあいいや。明日の帰りに寄ればいいし」
幼「あ、そ」
10: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 20:53:52 ID:G/BAAqJc
男「幼は?何を買ったんだ?いつものすももあめ?」
幼「んーん。これ、はい」
スッ
男「ん? チロルチョコ? くれるの?」
ペリペリ
モグモグ
幼「じゃあ質問。今日は何月何日だ?」
男「んー、2月14日」
幼「せーかーい」
男・幼「……」
幼「んーん。これ、はい」
スッ
男「ん? チロルチョコ? くれるの?」
ペリペリ
モグモグ
幼「じゃあ質問。今日は何月何日だ?」
男「んー、2月14日」
幼「せーかーい」
男・幼「……」
11: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 20:56:18 ID:G/BAAqJc
男「え?今の質問何?」
幼「何事も過ぎるのは良くないよね」
男「?」
幼「ホアチャー!」
ズビシ
男「痛っ! 何? 地味なローキック……」
幼「ハチョー!」
ズビシ
男「いったいな!」
幼「何事も過ぎるのは良くないよね」
男「?」
幼「ホアチャー!」
ズビシ
男「痛っ! 何? 地味なローキック……」
幼「ハチョー!」
ズビシ
男「いったいな!」
12: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 20:57:44 ID:G/BAAqJc
幼「……今日学校でさ」
男「んん?」
幼「チョコレート貰ってたっしょ」
男「あぁ、袋に詰めたクッキーとかチョコとか入ったやつな」
幼「逆になんで気付かないん? 男、ボケてしまってるん?」
男「おいおい、俺はどっちかっていうとツッコミ役だぞ?」
幼「そういう事を言っちゃう所がボケてるって言うの!」
ズビシ
男「スネを蹴るのをやめろ!」
男「んん?」
幼「チョコレート貰ってたっしょ」
男「あぁ、袋に詰めたクッキーとかチョコとか入ったやつな」
幼「逆になんで気付かないん? 男、ボケてしまってるん?」
男「おいおい、俺はどっちかっていうとツッコミ役だぞ?」
幼「そういう事を言っちゃう所がボケてるって言うの!」
ズビシ
男「スネを蹴るのをやめろ!」
13: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:04:27 ID:G/BAAqJc
幼「今日、クラスで配ってたのはー」
男「ん」
幼「クラスの女子全員が、お金を出し合って買ったお菓子の詰め合わせで」
男「んん?」
幼「貰えなかったらかわいそうっていう、委員長さん主導で行われたー」
男「あっ!」
幼「バレンタインデーのやつです」
男「なるほどなぁ……」
男「ん」
幼「クラスの女子全員が、お金を出し合って買ったお菓子の詰め合わせで」
男「んん?」
幼「貰えなかったらかわいそうっていう、委員長さん主導で行われたー」
男「あっ!」
幼「バレンタインデーのやつです」
男「なるほどなぁ……」
14: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:06:10 ID:G/BAAqJc
幼「で、今、男が食べちゃったチロルチョコはー」
男「おお」
幼「私からの義理チョコでした!」
男「毎年ありがとな。そんな事ならもっと味わえば良かったか?」
幼「味はいつもと一緒でしょ。時間かけて食べても、ガリガリかみ砕いても」
男「いや、気分的にさ」
幼「それを誰かに指摘される前に気付けるように頑張って」
男「……はい」
男「おお」
幼「私からの義理チョコでした!」
男「毎年ありがとな。そんな事ならもっと味わえば良かったか?」
幼「味はいつもと一緒でしょ。時間かけて食べても、ガリガリかみ砕いても」
男「いや、気分的にさ」
幼「それを誰かに指摘される前に気付けるように頑張って」
男「……はい」
15: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:06:56 ID:G/BAAqJc
幼「で?」
男「?」
幼「……そろそろさ」
男「そろそろ?」
幼「本命チョコ欲しいとか思わないの?」
男「そりゃ思わなくもないけどさ……」
幼「思わないけど?」
男「そういうのはなんかこう、流れだろ?」
幼「流れ」
男「時間が解決してくれる、的な」
幼「時間が」
男「?」
幼「……そろそろさ」
男「そろそろ?」
幼「本命チョコ欲しいとか思わないの?」
男「そりゃ思わなくもないけどさ……」
幼「思わないけど?」
男「そういうのはなんかこう、流れだろ?」
幼「流れ」
男「時間が解決してくれる、的な」
幼「時間が」
16: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:07:47 ID:G/BAAqJc
幼「……」
ズビシ
男「いたっ!」
幼「…………」
ズビシッ
男「おいっ、やめろ!他から見たら暴行事件だぞこれ」
幼「…………」
ズビシ
ズビシ
男「いたっ!」
幼「…………」
ズビシッ
男「おいっ、やめろ!他から見たら暴行事件だぞこれ」
幼「…………」
ズビシ
17: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:09:20 ID:G/BAAqJc
・
・
男「……気は済みましたか?」
幼「大体は」
男「はぁ……なんでこんな事に」
幼「それじゃあもう、魔法発動しちゃおうかな」
男「唐突だな!?」
幼「ここに何の変哲もないチロルチョコがあるじゃろ?」
スッ
男「うん、俺がさっき食べたヤツと同じヤツだな」
・
男「……気は済みましたか?」
幼「大体は」
男「はぁ……なんでこんな事に」
幼「それじゃあもう、魔法発動しちゃおうかな」
男「唐突だな!?」
幼「ここに何の変哲もないチロルチョコがあるじゃろ?」
スッ
男「うん、俺がさっき食べたヤツと同じヤツだな」
18: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:09:58 ID:G/BAAqJc
幼「はんにゃらほんにゃらぬーん」
男「ぬーん!?」
幼「はいっ!」
サッ
男「え?は?」
幼「急いで!急いで食べて!」
男「え?え?」
幼「間に合わなくなっても知らないよ!?早く!!」
男「おう!」
ペリペリ
パク
男「ぬーん!?」
幼「はいっ!」
サッ
男「え?は?」
幼「急いで!急いで食べて!」
男「え?え?」
幼「間に合わなくなっても知らないよ!?早く!!」
男「おう!」
ペリペリ
パク
19: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:12:37 ID:G/BAAqJc
幼「ふぅ……間に合ったね」
男「何に?」
幼「魔法」
男「何の魔法?」
幼「鈍感なのも大概にしなさいよ、マジで」
男「またキックか!?」
幼「キックはもうしないけど」
男「しないけど?」
幼「魔法はもう使ったから、かかるかどうかは、男次第」
男「何に?」
幼「魔法」
男「何の魔法?」
幼「鈍感なのも大概にしなさいよ、マジで」
男「またキックか!?」
幼「キックはもうしないけど」
男「しないけど?」
幼「魔法はもう使ったから、かかるかどうかは、男次第」
20: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:13:11 ID:G/BAAqJc
男「俺、次第……?」
幼「私が使える魔法はね……」
男「おう……」
モグモグ
幼「ギリをホンメーに変える事が出来る魔法」
男「……ホンメ?」
幼「……」
男「幼、お前一体……」
幼「私が使える魔法はね……」
男「おう……」
モグモグ
幼「ギリをホンメーに変える事が出来る魔法」
男「……ホンメ?」
幼「……」
男「幼、お前一体……」
21: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:14:02 ID:G/BAAqJc
幼「どこにでもいるありふれた魔法使いですけど?」
男「ホンメってなんだ?ギリーって?」
幼「将来は耳鼻科の医者になるのが夢な、ただの魔法使いですけど」
男「そろそろ答え教えてくれよ」
幼「魔法は発動しなかったみたい。また一年後くらいに使うかもね」
タタタ
男「おい、なんだ?どうした?」
幼「今、顔見られたくない……」
男「何だ?体調不良か?」
幼「いいから!先帰るね!」
タタタタッ
男「ホンメってなんだ?ギリーって?」
幼「将来は耳鼻科の医者になるのが夢な、ただの魔法使いですけど」
男「そろそろ答え教えてくれよ」
幼「魔法は発動しなかったみたい。また一年後くらいに使うかもね」
タタタ
男「おい、なんだ?どうした?」
幼「今、顔見られたくない……」
男「何だ?体調不良か?」
幼「いいから!先帰るね!」
タタタタッ
22: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:17:49 ID:G/BAAqJc
男「待てって!」
タタタタッ
ガシッ
幼「もう!鈍感!」
ズビシ
男「ぐわっ……と」
幼「……手、放してよ」
男「答えがまだだし。体調不良なら、おぶっていくし」
幼「もう!ギリは義理チョコのギリよ!ホンメーは本命チョコの本命よ!」
男「義理……本命…………ハッ!?」
幼「はっ!?じゃないわよ、本当に……もういいから離して」
パシッ
男「す、すまん」
タタタタッ
ガシッ
幼「もう!鈍感!」
ズビシ
男「ぐわっ……と」
幼「……手、放してよ」
男「答えがまだだし。体調不良なら、おぶっていくし」
幼「もう!ギリは義理チョコのギリよ!ホンメーは本命チョコの本命よ!」
男「義理……本命…………ハッ!?」
幼「はっ!?じゃないわよ、本当に……もういいから離して」
パシッ
男「す、すまん」
23: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:18:29 ID:G/BAAqJc
幼「で?今の反応だと、答え解ったみたいよね?」
男「う、あの……その……」
幼「世界、変わった?」
男「……」
幼「……変わらなかったか」
男「そ、そんな事はなかったりあったり」
幼「なかったりあったり?」
男「う、あの……その……」
幼「世界、変わった?」
男「……」
幼「……変わらなかったか」
男「そ、そんな事はなかったりあったり」
幼「なかったりあったり?」
24: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:19:39 ID:G/BAAqJc
男「幼が使う魔法が、その……そういう魔法だっていうならさ」
幼「うん?」
男「俺、とっくの昔に魔法にかかってるから、世界は変わってないっていうか」
幼「うんん?」
男「幼稚園の時にチョコ貰った時から、俺の世界は変わったっていうか」
男「そういう意味では、幼は魔法使いなのかも……」
男「って意味で答えに困るんだけど……幼?」
幼「…………」
幼「うん?」
男「俺、とっくの昔に魔法にかかってるから、世界は変わってないっていうか」
幼「うんん?」
男「幼稚園の時にチョコ貰った時から、俺の世界は変わったっていうか」
男「そういう意味では、幼は魔法使いなのかも……」
男「って意味で答えに困るんだけど……幼?」
幼「…………」
25: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:21:54 ID:G/BAAqJc
男「あのさ」
幼「何も言わないで」
男「でも」
幼「私が鈍かった。男の鈍さだと思ってたのは私の鈍さだったんだ」
男「それは」
幼「だから物理攻撃系に変更!」
男「???」
チュッ
男「!?」
幼「何も言わないで」
男「でも」
幼「私が鈍かった。男の鈍さだと思ってたのは私の鈍さだったんだ」
男「それは」
幼「だから物理攻撃系に変更!」
男「???」
チュッ
男「!?」
26: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:26:46 ID:G/BAAqJc
幼「…………何か言いなさいよ」
男「お」
幼「お?」
男「俺のターン!魔法発動!」
幼「え?なんの……」
男「俺と結婚してください!」
幼「は、はぁ?急に何言って…」
男「俺の片思いだと思ってたけど、違うんだよな?」
幼「片思い?」
男「お」
幼「お?」
男「俺のターン!魔法発動!」
幼「え?なんの……」
男「俺と結婚してください!」
幼「は、はぁ?急に何言って…」
男「俺の片思いだと思ってたけど、違うんだよな?」
幼「片思い?」
27: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:32:03 ID:G/BAAqJc
男「だって、毎年バレンタインデーはチロルチョコだったじゃねーか」
幼「そうだけど……」
男「義理チョコだと思うだろ?高校2年にもなってチロルチョコ一個って!」
幼「…………」
男「それが!今日!本命に!」
幼「…………」
男「これって両想いって事…」
ズビシ
男「痛い!?」
幼「そうだけど……」
男「義理チョコだと思うだろ?高校2年にもなってチロルチョコ一個って!」
幼「…………」
男「それが!今日!本命に!」
幼「…………」
男「これって両想いって事…」
ズビシ
男「痛い!?」
28: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:32:33 ID:G/BAAqJc
男「あれ?間違ってた?だってちゅーしたじゃん!」
幼「大声で!いう事じゃないでしょ!バカ!鈍感!」
ズビシ
男「やめろ!俺の足がもう限界だぞ!」
幼「………」
タタタタッ
男「幼?」
クルッ
幼「私が男に、チロルチョコしかあげなかったのは……」
男「?」
幼「小2の時、手作りチョコレートを上げたら、不味いって言われたからよ!」
男「え!?」
幼「大声で!いう事じゃないでしょ!バカ!鈍感!」
ズビシ
男「やめろ!俺の足がもう限界だぞ!」
幼「………」
タタタタッ
男「幼?」
クルッ
幼「私が男に、チロルチョコしかあげなかったのは……」
男「?」
幼「小2の時、手作りチョコレートを上げたら、不味いって言われたからよ!」
男「え!?」
29: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:34:24 ID:G/BAAqJc
幼「……覚えてないんでしょう」
男「いや、克明に覚えてるけど」
幼「……本当に?」
男「カレー風味だったもんな」
幼「…………それもうチョコが入ったカレールーだもんね」
男「でも俺、不味いとは言ってないぞ?」
幼「え?」
男「いや、克明に覚えてるけど」
幼「……本当に?」
男「カレー風味だったもんな」
幼「…………それもうチョコが入ったカレールーだもんね」
男「でも俺、不味いとは言ってないぞ?」
幼「え?」
30: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:36:04 ID:G/BAAqJc
男「俺は『カレーだけどチョコだね』って言っただけで」
男「不味いとは言ってないぞ。だって美味しかったしな」
幼「それ、カレーとしてって事?」
男「幼からバレンタインデーに貰った物が、カレーなはずねーだろ」
男「ちゃんとチョコとして食べたさ。嬉しかったし」
幼「……ますます私が鈍感だったって事じゃない」
男「不味いとは言ってないぞ。だって美味しかったしな」
幼「それ、カレーとしてって事?」
男「幼からバレンタインデーに貰った物が、カレーなはずねーだろ」
男「ちゃんとチョコとして食べたさ。嬉しかったし」
幼「……ますます私が鈍感だったって事じゃない」
31: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:42:39 ID:G/BAAqJc
男「来年はさ」
幼「?」
男「手作りチョコ、くれよ」
幼「……」
男「いや、気持ちこもってれば、チロルでもブラックサンダーでもなんでもいいけど」
幼「必ずや!」
男「う?」
幼「?」
男「手作りチョコ、くれよ」
幼「……」
男「いや、気持ちこもってれば、チロルでもブラックサンダーでもなんでもいいけど」
幼「必ずや!」
男「う?」
32: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:47:07 ID:G/BAAqJc
幼「必ずや、男が美味しいって言ってくれるチョコを作って渡すから!」
幼「まずはガーナに飛んで、カカオの原料を手に入れる所から!」
男「やり過ぎだろ!それはやめろ!」
幼「でも……」
男「自分で言っただろ、ありふれた魔法使いだって」
幼「魔法は……」
男「幼が使う魔法で、チロルだって本命チョコに大変身だろ?」
幼「それは……」
男「貰う俺がそれが良いって言ってるんだから、いいじゃん」
幼「…………わかった」
男「なら良かった。ガーナとか行くなよ?」
幼「出来る限りの努力をします……」
幼「まずはガーナに飛んで、カカオの原料を手に入れる所から!」
男「やり過ぎだろ!それはやめろ!」
幼「でも……」
男「自分で言っただろ、ありふれた魔法使いだって」
幼「魔法は……」
男「幼が使う魔法で、チロルだって本命チョコに大変身だろ?」
幼「それは……」
男「貰う俺がそれが良いって言ってるんだから、いいじゃん」
幼「…………わかった」
男「なら良かった。ガーナとか行くなよ?」
幼「出来る限りの努力をします……」
33: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 21:47:48 ID:G/BAAqJc
男「じゃあ取り合えず」
幼「?」
男「さっきキャンセルされちまったんで、ちょっと弱めの俺の魔法」
幼「弱め?」
男「幼さん!俺と付き合って下さい!」
ペコ
幼「あわわ、それもう魔法じゃないし。ただの告白だし……」
オロオロ
男「幼の気持ち次第で魔法になるヤーツ」
ニヤリ
幼「くっ……」
幼「?」
男「さっきキャンセルされちまったんで、ちょっと弱めの俺の魔法」
幼「弱め?」
男「幼さん!俺と付き合って下さい!」
ペコ
幼「あわわ、それもう魔法じゃないし。ただの告白だし……」
オロオロ
男「幼の気持ち次第で魔法になるヤーツ」
ニヤリ
幼「くっ……」
34: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 22:01:42 ID:G/BAAqJc
男「返事は?」
幼「……さっきのキスでわかるでしょ!」
男「それでも、魔法の言葉が欲しい訳よ。俺としては」
幼「……私で良ければ、お願いします」
ギュッ
男「!?」
幼「……こうして抱きつくのも久しぶりだよね」
男「ちょ、照れる。流石に。道の真ん中では」
幼「これからも、ずっとぎゅってしていくから」
ぎゅー
男「マジ、ちょっと。いくら寒くてもこれは無い」
幼「嬉しくて恥ずかしさなんかわからん!」
ぎゅーーーー
幼「……さっきのキスでわかるでしょ!」
男「それでも、魔法の言葉が欲しい訳よ。俺としては」
幼「……私で良ければ、お願いします」
ギュッ
男「!?」
幼「……こうして抱きつくのも久しぶりだよね」
男「ちょ、照れる。流石に。道の真ん中では」
幼「これからも、ずっとぎゅってしていくから」
ぎゅー
男「マジ、ちょっと。いくら寒くてもこれは無い」
幼「嬉しくて恥ずかしさなんかわからん!」
ぎゅーーーー
35: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 22:08:42 ID:G/BAAqJc
男「なぁこれからさ」
幼「んんーー?」
ぎゅうーー
男「ずっとこうやって過ごせたらいいよな」
幼「そうだね、ずっとね」
男「でもそろそろな?」
幼「?」
男「そろそろ離れないと、公衆の面前だぞ?」
幼「私は別に誰に見られてもいいもん!」
幼「んんーー?」
ぎゅうーー
男「ずっとこうやって過ごせたらいいよな」
幼「そうだね、ずっとね」
男「でもそろそろな?」
幼「?」
男「そろそろ離れないと、公衆の面前だぞ?」
幼「私は別に誰に見られてもいいもん!」
36: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 22:09:39 ID:G/BAAqJc
男「……じゃあさっきからさ」
幼「さっきから?」
男「道向こうから俺の事、すっげー睨んでるおじさんをさ」
幼「おじさん?」
男「説得する魔法、使えるようになってくれよ?」
幼「んー、どうだろう。そんな魔法は使えない、ありふれた魔法使いですから」
ぎゅーーー
幼馴染の父「…………」ジーーー
男(俺は今夜、死ぬかもしれん)
幼「さっきから?」
男「道向こうから俺の事、すっげー睨んでるおじさんをさ」
幼「おじさん?」
男「説得する魔法、使えるようになってくれよ?」
幼「んー、どうだろう。そんな魔法は使えない、ありふれた魔法使いですから」
ぎゅーーー
幼馴染の父「…………」ジーーー
男(俺は今夜、死ぬかもしれん)
37: ◆L0dG93FE2w 2017/02/14(火) 22:15:16 ID:G/BAAqJc
おわり
38: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/02/14(火) 22:54:13 ID:pvb0E8uY
おつおつ
幸せな魔法だ
幸せな魔法だ
39: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/02/15(水) 00:08:04 ID:QXofyqD2
乙
40: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/02/15(水) 13:39:48 ID:Nn5YuILk
おつおつ
やっぱり幼馴染SSはいいものだ
やっぱり幼馴染SSはいいものだ
掲載元:http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1487070222/
Entry ⇒ 2017.11.30 | Category ⇒ オリジナル | Comments (0)
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