絵里「安価で希を落とすわ!」
1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/08(日) 09:45:28 ID:2AvZiCd.
・えりちがのんたんの陥落を狙う安価SSです
・連続して安価を取った場合安価下
・グロ、スカは安価下
絵里「安価で希を落とすわ」
絵里「まずは>>3よ」
・連続して安価を取った場合安価下
・グロ、スカは安価下
絵里「安価で希を落とすわ」
絵里「まずは>>3よ」
3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/08(日) 11:32:55 ID:quBaWDlI
贈り物作戦
4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/08(日) 14:19:06 ID:2AvZiCd.
絵里「贈り物をするわ」
絵里「>>5を贈りましょう」
絵里「>>5を贈りましょう」
5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/08(日) 15:30:09 ID:1maFvCWg
過剰な愛
6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/08(日) 16:02:32 ID:2AvZiCd.
絵里「過剰な愛を送るわ」
~生徒会室~
希「あっ、えりち、おはよ「のぞみのぞみのぞみいっ!」」スリスリスリ
希「な、なにするのいきなり//」
絵里「愛してるわ…一生側にいるわ」
希「えっ、ええっ!?」
希「そんないきなり言われても…確かにえりちは魅力的やけど…//」
絵里「もう我慢できないわ」カベドン
希「ひゃあっ!?」
絵里「希、これから貴女を>>7するわ」
~生徒会室~
希「あっ、えりち、おはよ「のぞみのぞみのぞみいっ!」」スリスリスリ
希「な、なにするのいきなり//」
絵里「愛してるわ…一生側にいるわ」
希「えっ、ええっ!?」
希「そんないきなり言われても…確かにえりちは魅力的やけど…//」
絵里「もう我慢できないわ」カベドン
希「ひゃあっ!?」
絵里「希、これから貴女を>>7するわ」
7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/08(日) 16:07:06 ID:U1oiHAGM
崇拝
8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/08(日) 16:12:16 ID:2AvZiCd.
絵里「これから貴女を『崇拝』するわ」
希「え?」
絵里「貴女は美しい…現代に舞い降りた天使。生きとし生けるものは希の美しさの前に屈服する」
希「ほ、褒めても何も出んよ//」
絵里「ある者は母性から、別のものは性愛から。老若男女問わず、全ての人間、いや動物さえも貴女の美しさの前では奴隷にすぎない」
絵里「そんな貴女の崇拝の儀式として…>>10するわ」
希「え?」
絵里「貴女は美しい…現代に舞い降りた天使。生きとし生けるものは希の美しさの前に屈服する」
希「ほ、褒めても何も出んよ//」
絵里「ある者は母性から、別のものは性愛から。老若男女問わず、全ての人間、いや動物さえも貴女の美しさの前では奴隷にすぎない」
絵里「そんな貴女の崇拝の儀式として…>>10するわ」
10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/08(日) 18:06:26 ID:L1B26fUM
神楽
11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/08(日) 18:14:39 ID:2AvZiCd.
絵里「神楽するわ」
希「かぐら…?」
絵里「準備して!」ユビパッチン
ドンドンドン ピーヒョロロロロー
希「なんかいきなり太鼓と笛を持った人が現れたで!?」
絵里「踊ります」パサッ
希「えりちが制服を脱いだら下に巫女服が?」
ドンドンドン ピーヒョロロリーロー
絵里「」スッパッ
希「えりち…全く意味わからへんけど綺麗やで…」
絵里「ふぅ…希、どうだった?」
希「>>12」
希「かぐら…?」
絵里「準備して!」ユビパッチン
ドンドンドン ピーヒョロロロロー
希「なんかいきなり太鼓と笛を持った人が現れたで!?」
絵里「踊ります」パサッ
希「えりちが制服を脱いだら下に巫女服が?」
ドンドンドン ピーヒョロロリーロー
絵里「」スッパッ
希「えりち…全く意味わからへんけど綺麗やで…」
絵里「ふぅ…希、どうだった?」
希「>>12」
12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/08(日) 18:33:54 ID:U1oiHAGM
惚れた
15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/08(日) 21:05:02 ID:9UuF3xI2
希「惚れたわ」
絵里「希…」ギュッ
希「えりち、愛してるよ…」
絵里(まだ一時の気の迷いかもしれない)
絵里(ここは>>16をして、完全に落とすわ)
絵里「希…」ギュッ
希「えりち、愛してるよ…」
絵里(まだ一時の気の迷いかもしれない)
絵里(ここは>>16をして、完全に落とすわ)
16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/08(日) 21:50:46 ID:L1B26fUM
求愛
17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/08(日) 21:57:26 ID:9UuF3xI2
絵里「のぞみぃ…」ムナモトチラッ
希「な、何してるんえりち//」
絵里(ガン見ね。これはいける)
絵里「私、ほしくなっちゃった…♡」ウワメ
希「ほ、欲しいって…なにが」
絵里「>>18」
希「な、何してるんえりち//」
絵里(ガン見ね。これはいける)
絵里「私、ほしくなっちゃった…♡」ウワメ
希「ほ、欲しいって…なにが」
絵里「>>18」
19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/08(日) 22:18:14 ID:9UuF3xI2
絵里「あなたの心です」
希「そんな…照れるわ//」
絵里「とりあえず>>20に移りましょう、そこで愛を語り合いましょう」
希「そんな…照れるわ//」
絵里「とりあえず>>20に移りましょう、そこで愛を語り合いましょう」
20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/08(日) 22:19:35 ID:DXhrQ8mo
私の家のベッド
21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/08(日) 22:26:01 ID:9UuF3xI2
絵里「私の家のベッドに行きましょう」
希「べ、ベッドってそんな…早すぎるよ//」
絵里「大丈夫よ、>>22するだけだから。何も怖がることはないわ」
希「べ、ベッドってそんな…早すぎるよ//」
絵里「大丈夫よ、>>22するだけだから。何も怖がることはないわ」
22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/08(日) 22:41:00 ID:DXhrQ8mo
ちょっとハグしたり触ったり
25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/09(月) 08:10:52 ID:T1x4EQSE
絵里「ちょっとハグしたり触ったりするだけだから」
希「それってエッチなことやん// まだウチらには早いよ//」
絵里「亜里沙ともするわよ? 何もやましくないわ」
希「それは姉妹やから…」
絵里「大丈夫よ、私と亜里沙は>>26な関係だから」
希「それってエッチなことやん// まだウチらには早いよ//」
絵里「亜里沙ともするわよ? 何もやましくないわ」
希「それは姉妹やから…」
絵里「大丈夫よ、私と亜里沙は>>26な関係だから」
26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/09(月) 08:31:33 ID:Cmla5dnk
竿姉妹
27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/09(月) 19:28:01 ID:XCOef6.2
絵里「私と亜里沙は竿姉妹だから」
希「竿姉妹…?」
絵里「私と亜里沙の両方が、>>28に>>29したって意味よ」
希「竿姉妹…?」
絵里「私と亜里沙の両方が、>>28に>>29したって意味よ」
28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/09(月) 19:37:07 ID:hMC3VzAI
男のペニス
29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/09(月) 19:38:57 ID:Cmla5dnk
処女喪失
30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/09(月) 20:35:02 ID:XCOef6.2
絵里「私と亜里沙の両方が、男のペニスに処女喪失したって意味よ」
希「」
希「えりちは…男の人が好きなん?」
希「ウチは女やで?」
絵里「>>32」
希「」
希「えりちは…男の人が好きなん?」
希「ウチは女やで?」
絵里「>>32」
32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/09(月) 21:20:46 ID:DVuNztvE
バイなの
33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/10(火) 09:31:57 ID:6R9a2AQQ
絵里「バイなの」
希「…えりちはそういうことできたら誰でもいいん?」
絵里「>>34」
※希の機嫌を損ねすぎるとBAD ENDとなります
希「…えりちはそういうことできたら誰でもいいん?」
絵里「>>34」
※希の機嫌を損ねすぎるとBAD ENDとなります
34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/10(火) 09:36:37 ID:Ix4JWKhM
本当はのぞみぃ一筋なの。
だけど、脅されて男のペニスを無理やり突っ込まれちゃったのよ・・・
だけど、脅されて男のペニスを無理やり突っ込まれちゃったのよ・・・
36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/10(火) 13:05:20 ID:6R9a2AQQ
絵里「本当はのぞみぃ一筋なの。だけど、脅されて男のペニスを無理やり突っ込まれちゃったのよ・・・」
希「そんな…ひどい」
希「亜里沙ちゃんと一緒に男の人に乱暴されたん…?」
希「えりちがそんなにつらいの…ウチ全然しらんで…」
希「気づいてあげられなくて、ごめんなあ」ポロポロ
絵里「いいのよ…希」
希「ウチ、えりちの力になりたい。どういう経緯でそういうことになったら、教えてくれる?」
絵里「>>37を種に脅されて、>>38に連れ込まれて、>>39されたのよ」
希「ひどい…」
絵里「…私は>>40な気持ちでいっぱいだった。亜里沙だって>>41だったわ…」
希「そんな…ひどい」
希「亜里沙ちゃんと一緒に男の人に乱暴されたん…?」
希「えりちがそんなにつらいの…ウチ全然しらんで…」
希「気づいてあげられなくて、ごめんなあ」ポロポロ
絵里「いいのよ…希」
希「ウチ、えりちの力になりたい。どういう経緯でそういうことになったら、教えてくれる?」
絵里「>>37を種に脅されて、>>38に連れ込まれて、>>39されたのよ」
希「ひどい…」
絵里「…私は>>40な気持ちでいっぱいだった。亜里沙だって>>41だったわ…」
37: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/10(火) 13:33:33 ID:i5mFMq/k
盗撮画像
38: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/10(火) 13:35:15 ID:Ix4JWKhM
ラブホテル
39: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/10(火) 13:36:42 ID:Ix4JWKhM
妊娠するまで毎日中出しセックス
41: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/10(火) 13:45:23 ID:lZhhUWn6
>>39
でいいんじやない。
言葉を変えて
毎日のようにレイプされて妊娠
でいいんじやない。
言葉を変えて
毎日のようにレイプされて妊娠
42: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/10(火) 14:06:36 ID:6R9a2AQQ
44: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/10(火) 17:01:24 ID:Nuu2.Hhg
ムラムラ
47: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/10(火) 21:06:09 ID:6R9a2AQQ
絵里「盗撮画像を種に脅されて、ラブホテルに連れ込まれて、毎日のようにレイプされて妊娠したのよ」
希「ひどい…」
絵里「…私はムラムラな気持ちでいっぱいだった。亜里沙だって最初は嫌だ嫌だと涙を流しながらだったけど最後は快楽に身を任せているようだったわ…」
希「…」
希(あまりにも辛いことで、そういうふうに思うしかなかったんやな)
希「えりち…子どもはどうしたん?」
希の好感度 50(100でSS終了)
BADENDフラグ 0(希の機嫌を損ねたり、不快感を与えたりすると+1。基本減ることはなく、5になるとBADEND)
希「ひどい…」
絵里「…私はムラムラな気持ちでいっぱいだった。亜里沙だって最初は嫌だ嫌だと涙を流しながらだったけど最後は快楽に身を任せているようだったわ…」
希「…」
希(あまりにも辛いことで、そういうふうに思うしかなかったんやな)
希「えりち…子どもはどうしたん?」
希の好感度 50(100でSS終了)
BADENDフラグ 0(希の機嫌を損ねたり、不快感を与えたりすると+1。基本減ることはなく、5になるとBADEND)
48: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/10(火) 21:07:42 ID:6R9a2AQQ
絵里「>>49」
49: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/10(火) 21:54:47 ID:MVd24Vo.
何も言わずに辛そうに俯いてポロポロ泣く
51: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/11(水) 11:15:47 ID:CpZyyh2o
絵里「…」ポロポロ
希「えりち、ごめんな、辛いこと思い出させてしもうたね」
希「ウチ、えりちの力になりたい。ウチが何かできることある?」
絵里(まずいわね…本当は>>52なのに、勢いでここまで来てしまったわ)
絵里(この流れを変えないと…)
※この流れだとBADENDになります。流れを変えられる内容をおすすめします
希「えりち、ごめんな、辛いこと思い出させてしもうたね」
希「ウチ、えりちの力になりたい。ウチが何かできることある?」
絵里(まずいわね…本当は>>52なのに、勢いでここまで来てしまったわ)
絵里(この流れを変えないと…)
※この流れだとBADENDになります。流れを変えられる内容をおすすめします
52: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/11(水) 11:34:39 ID:iYqFoW8Y
読んでいた小説の内容
53: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/11(水) 11:57:25 ID:CpZyyh2o
絵里「ごめんなさい、希。実はこれ、私は読んでいた小説の内容なの」
希「え?」
絵里「私はまだキスもしたことないわ」
希「…」
絵里「の、希? 怒ってる?」
希「怒ってるに決まっとるやろ!!!!」
絵里「ヴェエッ!?」
希「えりちのアホ! ポンコツ! つうかなんちゅう小説読んどるんや! 変態!」
希「ほんまに、ほんまに心配したんやから…」ポロポロ
希「えりちに何かあったら、ウチ、ウチ…」
絵里「希…」ギュッ
希「抱きつかんどいて…嘘つくえりちなんて嫌いや」ギュッ
絵里(口ではそういいつつ抱き返してくる希、控えめに言ってロシア式高速手マンしたい)
絵里(ここで>>54して、決定的に流れを変えるとしましょう)
希の好感度 80(絵里を大切に想っている自分に気がついて大幅UP)
BADENDフラグ 3(嘘つく+希を心配させる+希を怒らせる)
希「え?」
絵里「私はまだキスもしたことないわ」
希「…」
絵里「の、希? 怒ってる?」
希「怒ってるに決まっとるやろ!!!!」
絵里「ヴェエッ!?」
希「えりちのアホ! ポンコツ! つうかなんちゅう小説読んどるんや! 変態!」
希「ほんまに、ほんまに心配したんやから…」ポロポロ
希「えりちに何かあったら、ウチ、ウチ…」
絵里「希…」ギュッ
希「抱きつかんどいて…嘘つくえりちなんて嫌いや」ギュッ
絵里(口ではそういいつつ抱き返してくる希、控えめに言ってロシア式高速手マンしたい)
絵里(ここで>>54して、決定的に流れを変えるとしましょう)
希の好感度 80(絵里を大切に想っている自分に気がついて大幅UP)
BADENDフラグ 3(嘘つく+希を心配させる+希を怒らせる)
54: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/11(水) 12:03:34 ID:FOwv7vGc
でも「愛してるわ…一生側にいるわ」って言うのは本当の気持ちよ?
55: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/11(水) 15:38:22 ID:CpZyyh2o
絵里「でも「愛してるわ…一生側にいるわ」って言うのは本当の気持ちよ?」
希「えっ//」
絵里「愛してるわ、希」
希「からかわんどいて//」
絵里「希」
希「えりち…」
絵里「>>58」
希の好感度 90
Bad end フラグ 3
希「えっ//」
絵里「愛してるわ、希」
希「からかわんどいて//」
絵里「希」
希「えりち…」
絵里「>>58」
希の好感度 90
Bad end フラグ 3
58: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/11(水) 17:27:03 ID:kqBaH.qg
オエーー!!!! ___
___/ ヽ
/ / /⌒ヽ|
/ (゚)/ / /
/ ト、/。⌒ヽ。
彳 \\゚。∴。o
`/ \\。゚。o
/ /⌒\U∴)
| ゙U|
| ||
U
/ ̄ ̄\
/ ●/ ̄ ̄\
/ ト、 \
彳 。∴\ |
`/ ゜/⌒ヽヽ |
/ | | | /
| ヽ|/
ゴクンッ
___/ ヽ
/ / /⌒ヽ|
/ (゚)/ / /
/ ト、/。⌒ヽ。
彳 \\゚。∴。o
`/ \\。゚。o
/ /⌒\U∴)
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/ ト、 \
彳 。∴\ |
`/ ゜/⌒ヽヽ |
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| ヽ|/
ゴクンッ
60: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/12(木) 02:09:28 ID:xcwVzXpc
絵里「私のファーストキス貰ってくれる?」
希「んっ」スッ
希は黙って目をつむり唇を突き出す。
絵里「…」チュツ
希は絵里腰に両腕を回して静かに抱きつく。
希「えりち…すき…」
絵里(落ちたたわね)
絵里(仕上げに>>62して、完全に落としてあげるわ)
希の好感度 99
最終安価となります。希を心身ともに完全に落とす内容を描いてください。
エロも可です。ただ、やりすぎるとBAD ENDとなります(監禁陵辱など)。
グロやスカトロ、意味不明系、希を落とすことにならない内容は安価下とします。
希「んっ」スッ
希は黙って目をつむり唇を突き出す。
絵里「…」チュツ
希は絵里腰に両腕を回して静かに抱きつく。
希「えりち…すき…」
絵里(落ちたたわね)
絵里(仕上げに>>62して、完全に落としてあげるわ)
希の好感度 99
最終安価となります。希を心身ともに完全に落とす内容を描いてください。
エロも可です。ただ、やりすぎるとBAD ENDとなります(監禁陵辱など)。
グロやスカトロ、意味不明系、希を落とすことにならない内容は安価下とします。
62: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/12(木) 05:50:55 ID:6dMU/g0I
ベッドに押し倒してモノを擦りつけながら愛を囁いて処女を奪う
64: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/13(金) 20:02:24 ID:qSICc5B.
絵里「希、今日亜里沙はお泊りで家にいないの」
希「!」
絵里「…今日泊まりに来ない?」
希「…うん」ギュッ
~絵里の部屋~
絵里「のぞみぃっ!」ドサッ
希「あっ、だめやえりち、まだ早いよ」
絵里「貴女だってこうなることはわかってたでしょう」
希「でも、ウチ怖い」
絵里「んっ」チュッ
希「ん…」
絵里「これまで二人で何でもこなして来たじゃない。私と一緒なら大丈夫よ」
希(えりちの透き通った瞳…吸い寄せられそう)
希「えりちのすけべ」ギュッ
絵里「希…」クチュクチュ
希「!」
絵里「…今日泊まりに来ない?」
希「…うん」ギュッ
~絵里の部屋~
絵里「のぞみぃっ!」ドサッ
希「あっ、だめやえりち、まだ早いよ」
絵里「貴女だってこうなることはわかってたでしょう」
希「でも、ウチ怖い」
絵里「んっ」チュッ
希「ん…」
絵里「これまで二人で何でもこなして来たじゃない。私と一緒なら大丈夫よ」
希(えりちの透き通った瞳…吸い寄せられそう)
希「えりちのすけべ」ギュッ
絵里「希…」クチュクチュ
65: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/13(金) 20:03:19 ID:qSICc5B.
希「んっ!?」
希(い、いきなり大切なところ触られてる// あ、でもキスはしとるし順番的には間違ってないのかな?)
希(はじめてなんで何もわからへん…頭がぼーっとしてきた)
希「あっ、やっ、えりひっ♡」クチュクチュ
絵里(ちゃんと感じてるようね。毎日十分三セットのエア手マンで鍛えた甲斐があったわ)
絵里(数え切れないほど行ったイメージトレーニングと予行演習で、流れは完全に掴んでるわ!)
絵里(片手でロシア式高速手マンしながら、余った片手でパンツを脱ぐわ)ヌギヌギ
希「お゛っ♡お゛っ♡お゛っ♡お゛っ♡」クチュクチュ
絵里(そのままスムースに素股に以降し、考える暇を与えず挿入よ!)
絵里(本当はたわわなおっぱいも堪能したいところだけど…安価だから仕方ないわ)
希「んっ♡あっ♡」
絵里「希…こんなに濡れちゃって」ピトッ
希(何か当たってる…?)
絵里「希…私も希のでこするの気持ちいいわ」クチュクチュ
希「えっ!? なんでえりちに男の人のあれが!?」
希(い、いきなり大切なところ触られてる// あ、でもキスはしとるし順番的には間違ってないのかな?)
希(はじめてなんで何もわからへん…頭がぼーっとしてきた)
希「あっ、やっ、えりひっ♡」クチュクチュ
絵里(ちゃんと感じてるようね。毎日十分三セットのエア手マンで鍛えた甲斐があったわ)
絵里(数え切れないほど行ったイメージトレーニングと予行演習で、流れは完全に掴んでるわ!)
絵里(片手でロシア式高速手マンしながら、余った片手でパンツを脱ぐわ)ヌギヌギ
希「お゛っ♡お゛っ♡お゛っ♡お゛っ♡」クチュクチュ
絵里(そのままスムースに素股に以降し、考える暇を与えず挿入よ!)
絵里(本当はたわわなおっぱいも堪能したいところだけど…安価だから仕方ないわ)
希「んっ♡あっ♡」
絵里「希…こんなに濡れちゃって」ピトッ
希(何か当たってる…?)
絵里「希…私も希のでこするの気持ちいいわ」クチュクチュ
希「えっ!? なんでえりちに男の人のあれが!?」
66: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/13(金) 20:03:57 ID:qSICc5B.
絵里「希…挿れるわよ」
希「えっ、あっ待ってえり」ズブッ「いぎぃっ!?」
希「痛い痛い痛い痛い!!!!!」ジタバタ
絵里「暴れないで!」ガシッ
希「いや゛あっ! いたい、こわいっ!!」ポロポロ
絵里「大丈夫、大丈夫よ希…」ギュッ
希「えりちぃ…」ギュッ
絵里(胸の谷間に勝るとも劣らぬ温もり…キツすぎず緩すぎず、包み込んでくれるようなおま○こ…)
絵里(私専用に開墾したいわ。ソフホーズより墾田永年私財法よ)
希「えりち?」
絵里「はっ! ごめんね希、痛かったわよね」
希「大丈夫だよ。…痛みも引いたし、動いてもいいよ?」
希「ウチのこと気持ちよくして?」キュルン
絵里「」プチーン
絵里「お望み通りロシア式高速ピストンで開梱して私有財産にしてあげるわ!!」パンパンパンパンパン
希「えっ、あっ待ってえり」ズブッ「いぎぃっ!?」
希「痛い痛い痛い痛い!!!!!」ジタバタ
絵里「暴れないで!」ガシッ
希「いや゛あっ! いたい、こわいっ!!」ポロポロ
絵里「大丈夫、大丈夫よ希…」ギュッ
希「えりちぃ…」ギュッ
絵里(胸の谷間に勝るとも劣らぬ温もり…キツすぎず緩すぎず、包み込んでくれるようなおま○こ…)
絵里(私専用に開墾したいわ。ソフホーズより墾田永年私財法よ)
希「えりち?」
絵里「はっ! ごめんね希、痛かったわよね」
希「大丈夫だよ。…痛みも引いたし、動いてもいいよ?」
希「ウチのこと気持ちよくして?」キュルン
絵里「」プチーン
絵里「お望み通りロシア式高速ピストンで開梱して私有財産にしてあげるわ!!」パンパンパンパンパン
67: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/13(金) 20:05:04 ID:qSICc5B.
希「あ゛っ!! やっ、はげし、いたっ♡」
絵里「開通式直後におねだりしちゃう淫乱な娘にはロシアの48の性技でおしおきしてあげるわ!!!」パンパンパンパンパン
絵里「まずは一発出すわよ! 手始めに妊娠しなさい!」
希「うんっ、出してっ♡ えりちのあかちゃんのもと、ちょうだい♡」
絵里「ハラショーーーーー!!」ビュボボボボボボ
希「あっ♡あついっ♡(えりちのおっきいし、量もすごい…)」
絵里「ふう…」ズブッ
希「あっ♡あっ…」クパァ
絵里「ふふ…精子が入りきれずに逆流してるわよ。紅白の滝ね。めでたいわ」ドロォ
絵里「さっきまで処女だった希の開通済み非処女ま○こが痙攣してひくついてるわ」 ヒクヒク
希「やぁ…みんどいて…恥ずかしい」ヒクヒク
絵里「そうね、こんなにいやらしいま○こ、見るだけじゃ失礼よね」ズブッ
希「あうっ♡」
絵里「あと十回は出してあげるわ」パンパンパンパンパン
希「あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡」
絵里「開通式直後におねだりしちゃう淫乱な娘にはロシアの48の性技でおしおきしてあげるわ!!!」パンパンパンパンパン
絵里「まずは一発出すわよ! 手始めに妊娠しなさい!」
希「うんっ、出してっ♡ えりちのあかちゃんのもと、ちょうだい♡」
絵里「ハラショーーーーー!!」ビュボボボボボボ
希「あっ♡あついっ♡(えりちのおっきいし、量もすごい…)」
絵里「ふう…」ズブッ
希「あっ♡あっ…」クパァ
絵里「ふふ…精子が入りきれずに逆流してるわよ。紅白の滝ね。めでたいわ」ドロォ
絵里「さっきまで処女だった希の開通済み非処女ま○こが痙攣してひくついてるわ」 ヒクヒク
希「やぁ…みんどいて…恥ずかしい」ヒクヒク
絵里「そうね、こんなにいやらしいま○こ、見るだけじゃ失礼よね」ズブッ
希「あうっ♡」
絵里「あと十回は出してあげるわ」パンパンパンパンパン
希「あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡」
68: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/13(金) 20:05:49 ID:qSICc5B.
希の好感度 100
~Happy End~
~Happy End~
69: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/13(金) 21:29:18 ID:LTH6Q0/Q
乙
何故えりちにイチモツが生えてるのかは永遠の謎で
何故えりちにイチモツが生えてるのかは永遠の謎で
70: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/01/14(土) 21:02:30 ID:PYIqBLZw
私有財産で大草不可避
掲載元:http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1483836328/
Entry ⇒ 2017.10.31 | Category ⇒ ラブライブ | Comments (0)
モバP「いつの間にか、キュートアイドルのプロデューサーになっていた件」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/10(木) 00:42:45.99 ID:dtpQ/8hl0
※キャラ崩壊注意
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/10(木) 00:48:16.36 ID:dtpQ/8hl0
-居酒屋(夜)-
楓「うふふ、プロデューサー、飲んでますか~!」
P「飲んでます、飲んでますから!ちょっと、近いですよ楓さん!あと、さりげなくコップにビール注ぐのやめてください!」
楓「まぁまぁ、そういわずに。美優さんがもうダウンしちゃって……」トクトク
P「ダウンさせたのはあなたでしょうが。……美優さん、無理しなくていいですからね。きつかったら、送っていきますので……」
美優「す、すみません、プロデューサーさん……少し、休めば……楽に……うぅ」
ちひろ「もう、皆さん飲み過ぎですよ!……それはそれとして、二日酔いに利くエナドリを作ってみたのですが、いかがですか、Pさん?」
P「い、いただいておきます。ついでに、ウーロン茶か何か挟みたいのですが……」
服部「プロデューサーさん。次は焼酎にする?それともハイボール?」
P「あの、ウーロン茶……」
服部「ウーロンハイね」
P(……意地でもアルコールから逃がさないつもりだ……)
楓「うふふ、プロデューサー、飲んでますか~!」
P「飲んでます、飲んでますから!ちょっと、近いですよ楓さん!あと、さりげなくコップにビール注ぐのやめてください!」
楓「まぁまぁ、そういわずに。美優さんがもうダウンしちゃって……」トクトク
P「ダウンさせたのはあなたでしょうが。……美優さん、無理しなくていいですからね。きつかったら、送っていきますので……」
美優「す、すみません、プロデューサーさん……少し、休めば……楽に……うぅ」
ちひろ「もう、皆さん飲み過ぎですよ!……それはそれとして、二日酔いに利くエナドリを作ってみたのですが、いかがですか、Pさん?」
P「い、いただいておきます。ついでに、ウーロン茶か何か挟みたいのですが……」
服部「プロデューサーさん。次は焼酎にする?それともハイボール?」
P「あの、ウーロン茶……」
服部「ウーロンハイね」
P(……意地でもアルコールから逃がさないつもりだ……)
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/10(木) 00:51:57.92 ID:dtpQ/8hl0
服部「まぁ、でも、まだまだプロデューサーさんも余裕そうだし、ここは日本酒あたりでいいかしら」
P「いや、それなら、まだ……ウーロンハイの方が……」
和久井「……」
和久井「ほろよいの、私でも良いわよ。なんて」ボソ
P「え?良いんですか?」
和久井「な!いや、あの……」アワワ
P「じゃあ、ほろよいのカシスオレンジで。まだ、日本酒とかに比べれば全然いいですよね。ほろよい」
和久井「……すみません、この人にこの店で一番度数きつめのお酒を……」
P「えぇ!!?」
P「いや、それなら、まだ……ウーロンハイの方が……」
和久井「……」
和久井「ほろよいの、私でも良いわよ。なんて」ボソ
P「え?良いんですか?」
和久井「な!いや、あの……」アワワ
P「じゃあ、ほろよいのカシスオレンジで。まだ、日本酒とかに比べれば全然いいですよね。ほろよい」
和久井「……すみません、この人にこの店で一番度数きつめのお酒を……」
P「えぇ!!?」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/10(木) 00:53:32.87 ID:dtpQ/8hl0
楓「じゃあ私は、日本酒のお湯割りを、二本にしゅ……うふふ」
ちひろ「あぁ、今のオーダー、一本で大丈夫です。後、私は、ウーロン茶で」
P「え!?ずるいですよちひろさん!」
ちひろ「誰かが抑えないと大変なことになりますから。何なら、プロデューサーさんが倒れちゃったら、膝枕で介抱してあげますよ?ふふ」
P「……言いましたね?もう知りませんよ、ちひろさんの柔らかい膝枕で介抱してもらいますよ!」
和久井「……セクハラ」
服部「どうせ膝枕するなら留美がやるって?」
和久井「そうよ。私の膝なら365日……って、何を言わせるのよ」
楓「本日4度目の、カンパーイ!うふふ」
ちひろ「あぁ、今のオーダー、一本で大丈夫です。後、私は、ウーロン茶で」
P「え!?ずるいですよちひろさん!」
ちひろ「誰かが抑えないと大変なことになりますから。何なら、プロデューサーさんが倒れちゃったら、膝枕で介抱してあげますよ?ふふ」
P「……言いましたね?もう知りませんよ、ちひろさんの柔らかい膝枕で介抱してもらいますよ!」
和久井「……セクハラ」
服部「どうせ膝枕するなら留美がやるって?」
和久井「そうよ。私の膝なら365日……って、何を言わせるのよ」
楓「本日4度目の、カンパーイ!うふふ」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/10(木) 00:54:44.93 ID:dtpQ/8hl0
----------------------
---------------
-------
チュンチュン,チュンチュン
P「……っは!」
P「今何時だ!っていうか、ここはどこだ!」
P(……って、なんだ、俺の部屋か……いつの間に家に帰ったんだ……)
P「あれ、俺の部屋って、こんなに物がなかったかな……まぁ良いや、時間がない!さっさと事務所に行かないと!」
---------------
-------
チュンチュン,チュンチュン
P「……っは!」
P「今何時だ!っていうか、ここはどこだ!」
P(……って、なんだ、俺の部屋か……いつの間に家に帰ったんだ……)
P「あれ、俺の部屋って、こんなに物がなかったかな……まぁ良いや、時間がない!さっさと事務所に行かないと!」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/10(木) 00:58:30.36 ID:dtpQ/8hl0
-事務所前-
P「うー頭痛い……昨日の記憶が後半ほとんどないぞ……」
P(流石に、羽目を外し過ぎた。いや、外され過ぎたというべきか……)
P「やばいやばい、スケジュールが……今日は凛たちのレッスンに美優さんの撮影に……うちのクールなアイドルたちは時間にうるさいからな、楓さん以外」
P「待ってなければ良いんだけど……」
ガチャ
P「おはようございます!」
ちひろ「え?ぁ、お、おはよう、ございます」
P「おはようございます、ちひろさん。大丈夫ですか、体調とか。何だか、俺はまだ頭が痛くて……」
ちひろ「え……えっと……」
P「やっぱり平日に楓さんたちと飲みに行くのは無謀すぎましたね。次の日休みの日にしないと……」
ちひろ「……」
ちひろ「あ、あの……」
ガチャ
卯月「お、おはよう、ございます」
P「おう、おはよう!……?」
P(……だ、誰っ!?)
P「うー頭痛い……昨日の記憶が後半ほとんどないぞ……」
P(流石に、羽目を外し過ぎた。いや、外され過ぎたというべきか……)
P「やばいやばい、スケジュールが……今日は凛たちのレッスンに美優さんの撮影に……うちのクールなアイドルたちは時間にうるさいからな、楓さん以外」
P「待ってなければ良いんだけど……」
ガチャ
P「おはようございます!」
ちひろ「え?ぁ、お、おはよう、ございます」
P「おはようございます、ちひろさん。大丈夫ですか、体調とか。何だか、俺はまだ頭が痛くて……」
ちひろ「え……えっと……」
P「やっぱり平日に楓さんたちと飲みに行くのは無謀すぎましたね。次の日休みの日にしないと……」
ちひろ「……」
ちひろ「あ、あの……」
ガチャ
卯月「お、おはよう、ございます」
P「おう、おはよう!……?」
P(……だ、誰っ!?)
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/10(木) 01:04:19.03 ID:dtpQ/8hl0
卯月「……今日もよろしくお願いします」
P「あ、ああ……」
P(歳は、高校生くらいだろう。少し、暗い顔をした少女が事務所に入ってきた)
P(こんな子が来る予定あったっけか?……落ち着け、落ち着けよ、昨日飲み過ぎて、何か忘れてる、のか……?)
卯月「……」
P(ソファに座るべきか、俺と話すべきか、何か、迷っている風にそわそわする少女。こんな可愛くてキュートな感じのオーラを持った子は、うちの事務所にはいないはずだ)
P(スカウトか、オーディションをしたんだっけか……いや、ただでさえ忙しかったのに、そんなこと、してる余裕は……)
ちひろ「あ、あのぉ、プロデューサーさん。今日のスケジュール、なんですが……」
P「はい、えーっと、確か、トライアドプリムスのレッスンに、美優さんたちの撮影会に……」
ちひろ「え?」
P「ん?」
ちひろ「……あの、昨日は、その、卯月ちゃんのレッスンをするっておっしゃてましたが……」
P「え?」
ちひろ「後、その、とらい?なんとかさんや美優さん、という方は、この事務所には所属しておりませんが……」
P「」
P「あ、ああ……」
P(歳は、高校生くらいだろう。少し、暗い顔をした少女が事務所に入ってきた)
P(こんな子が来る予定あったっけか?……落ち着け、落ち着けよ、昨日飲み過ぎて、何か忘れてる、のか……?)
卯月「……」
P(ソファに座るべきか、俺と話すべきか、何か、迷っている風にそわそわする少女。こんな可愛くてキュートな感じのオーラを持った子は、うちの事務所にはいないはずだ)
P(スカウトか、オーディションをしたんだっけか……いや、ただでさえ忙しかったのに、そんなこと、してる余裕は……)
ちひろ「あ、あのぉ、プロデューサーさん。今日のスケジュール、なんですが……」
P「はい、えーっと、確か、トライアドプリムスのレッスンに、美優さんたちの撮影会に……」
ちひろ「え?」
P「ん?」
ちひろ「……あの、昨日は、その、卯月ちゃんのレッスンをするっておっしゃてましたが……」
P「え?」
ちひろ「後、その、とらい?なんとかさんや美優さん、という方は、この事務所には所属しておりませんが……」
P「」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/10(木) 01:05:55.44 ID:dtpQ/8hl0
P(……ど、どういうことだ?ちひろさん。そんな性質の悪い冗談……)
P(……あ!まさか、そういうことか!?)
P「あ、あはは!いや、すみません!どうにも昨日飲みすぎてしまったらしくて……記憶が曖昧で」
ちひろ「え、あ、そ、そうなん、ですね」
卯月「……」
P(この、何ともよそよそしい対応に、知らないキュートアイドル、つまりこれってあれだろ)
P(ジャパニーズDOKKIRIだろ?)
P(……あ!まさか、そういうことか!?)
P「あ、あはは!いや、すみません!どうにも昨日飲みすぎてしまったらしくて……記憶が曖昧で」
ちひろ「え、あ、そ、そうなん、ですね」
卯月「……」
P(この、何ともよそよそしい対応に、知らないキュートアイドル、つまりこれってあれだろ)
P(ジャパニーズDOKKIRIだろ?)
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/10(木) 01:07:58.47 ID:dtpQ/8hl0
P(昨日飲んでたときに、企んでたんだろうな、きっと。……ただ慌てふためくだけじゃ面白くないな……ここは……)
P「いやぁ、どうもすみません。それじゃあ、行こうか、卯月、ちゃん!」
卯月「え?……は、はい」
P(逆に対応して、あいつらの慌てる顔を見てやるとするか、くくく)
ガチャ、バタン
ちひろ「……プロデューサーさん、何だか、様子が…………」
ちひろ(でも、いつもよりずっと……)
P「いやぁ、どうもすみません。それじゃあ、行こうか、卯月、ちゃん!」
卯月「え?……は、はい」
P(逆に対応して、あいつらの慌てる顔を見てやるとするか、くくく)
ガチャ、バタン
ちひろ「……プロデューサーさん、何だか、様子が…………」
ちひろ(でも、いつもよりずっと……)
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/10(木) 01:21:25.71 ID:dtpQ/8hl0
-レッスン場-
P「結局、こんなところまで来てしまった……」
P(いつ種明かししてくれるんだろうかとずっと待っていたが、まだ、どこかでモニターしてるのか?)
卯月「っは、っは」タンタタン
P(普通にレッスン見てあげてるんだけど……)
P「結局、こんなところまで来てしまった……」
P(いつ種明かししてくれるんだろうかとずっと待っていたが、まだ、どこかでモニターしてるのか?)
卯月「っは、っは」タンタタン
P(普通にレッスン見てあげてるんだけど……)
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/10(木) 01:23:12.02 ID:dtpQ/8hl0
P(それにしても)
P「卯月ちゃん、そこのステップ足を開きすぎで動きにくくないか?もっと、こう、こんな感じで」タンタタン
卯月「え?……は、はい!」タンタタン
P「そうそう、上手いぞ」
P(普通に、素質あるよなぁこの子……いや、普通どころか、かなり良い……さっき言ったところも、意識してすぐに対応してるし……)
卯月「「今さら」なんてない~♪」
P(ただ……)
P(全然、笑わないんだよなぁ)
P「卯月ちゃん、そこのステップ足を開きすぎで動きにくくないか?もっと、こう、こんな感じで」タンタタン
卯月「え?……は、はい!」タンタタン
P「そうそう、上手いぞ」
P(普通に、素質あるよなぁこの子……いや、普通どころか、かなり良い……さっき言ったところも、意識してすぐに対応してるし……)
卯月「「今さら」なんてない~♪」
P(ただ……)
P(全然、笑わないんだよなぁ)
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/10(木) 01:42:45.86 ID:dtpQ/8hl0
P(スマイリングって曲なのに、笑顔なしとはこれいかに)
~♪……プツ
卯月「はぁ……はぁ……」
P「……なぁ、卯月ちゃん、歌ったりしてるときに、笑顔とかって出せるかな」
卯月「……え」ビクッ
P(あ、あれ、俺、可笑しなこと言ったか?)
P「いや、ほら、表情が硬いとお客さんも固くなっちゃうからさ、出来るだけ練習でも笑顔は作れるようにした方が良いよ」
卯月「で、でも、いつもは……」
P(いつも?)「まぁ、お客さんが居ないレッスンスタジオで笑うっていっても、中々難しいとは思うけども、折角卯月ちゃんは歌もダンスも上手なんだから、勿体ないなって」
卯月「……でも」
P「ん?」
卯月「でも、私が振り付けを失敗したら」
P「うん」
卯月「「何笑ってるんだ。失敗したのがおかしいかって」言います、よね……」
P「え、いや、そんなことは言わないぞ。多少失敗したって、楽しそうな方がよっぽど良いと俺は思うがなぁ」
卯月「……」
P(うーん、さっきから、どうも会話が嚙み合ってないというか)
P(まるで、いつも俺が叱ってたみたいな……)
卯月「あの、もう一度、はじめからレッスンを、お願いします」
~♪……プツ
卯月「はぁ……はぁ……」
P「……なぁ、卯月ちゃん、歌ったりしてるときに、笑顔とかって出せるかな」
卯月「……え」ビクッ
P(あ、あれ、俺、可笑しなこと言ったか?)
P「いや、ほら、表情が硬いとお客さんも固くなっちゃうからさ、出来るだけ練習でも笑顔は作れるようにした方が良いよ」
卯月「で、でも、いつもは……」
P(いつも?)「まぁ、お客さんが居ないレッスンスタジオで笑うっていっても、中々難しいとは思うけども、折角卯月ちゃんは歌もダンスも上手なんだから、勿体ないなって」
卯月「……でも」
P「ん?」
卯月「でも、私が振り付けを失敗したら」
P「うん」
卯月「「何笑ってるんだ。失敗したのがおかしいかって」言います、よね……」
P「え、いや、そんなことは言わないぞ。多少失敗したって、楽しそうな方がよっぽど良いと俺は思うがなぁ」
卯月「……」
P(うーん、さっきから、どうも会話が嚙み合ってないというか)
P(まるで、いつも俺が叱ってたみたいな……)
卯月「あの、もう一度、はじめからレッスンを、お願いします」
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/11(金) 03:32:50.43 ID:9EzxG8Cq0
-事務所-
P「ふぅ」ガチャ
P「結局、ちひろさんたちのネタばらしもなく、卯月のレッスンを見てしまった……」
P(歌やダンスは良くなったが、やっぱり最後まで、自然な笑顔は見れなかったなぁ)
P「ちひろさんは……帰ったのか?とりあえず、みんなのスケジュールの確認を……ん?」カタカタ
P(何だ、パスワードは同じだったのにフォルダや入ってる資料が、全部違う!?)
P(まるで俺のパソコンじゃないみたいだ……)カタカタ
P(スケジュール……島村卯月……輿水幸子……佐久間まゆ……?なんだこれ、俺の担当アイドルのデータがすり替わってる!?)
P「しかも、うわ、スケジュール、ほとんど埋まってないじゃないか。それにしたって、どっきりでここまでするなんておかしいぞ……」
?「……ぐす……すん」ガチャ
P(あれ、まだ誰か残っていたのか?女子トイレから出てきたみたいだが……)
?「あ……」ビク
P「あー、おかえり?いや、俺があとから来たから、ただいま?」
幸子「……戻って、いたんですね」
P「ふぅ」ガチャ
P「結局、ちひろさんたちのネタばらしもなく、卯月のレッスンを見てしまった……」
P(歌やダンスは良くなったが、やっぱり最後まで、自然な笑顔は見れなかったなぁ)
P「ちひろさんは……帰ったのか?とりあえず、みんなのスケジュールの確認を……ん?」カタカタ
P(何だ、パスワードは同じだったのにフォルダや入ってる資料が、全部違う!?)
P(まるで俺のパソコンじゃないみたいだ……)カタカタ
P(スケジュール……島村卯月……輿水幸子……佐久間まゆ……?なんだこれ、俺の担当アイドルのデータがすり替わってる!?)
P「しかも、うわ、スケジュール、ほとんど埋まってないじゃないか。それにしたって、どっきりでここまでするなんておかしいぞ……」
?「……ぐす……すん」ガチャ
P(あれ、まだ誰か残っていたのか?女子トイレから出てきたみたいだが……)
?「あ……」ビク
P「あー、おかえり?いや、俺があとから来たから、ただいま?」
幸子「……戻って、いたんですね」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/11(金) 03:37:05.81 ID:9EzxG8Cq0
P(この子は確か……輿水幸子って子だな。さっきみたデータでは、あまり評価が高くなかったなぁ)
P「えっと、どうしたんだ、何かあったのか」
幸子「…………ご、ゴメンナサイ、ボ、じゃなくて、ワタシ……」
P(身体を震わせている彼女の瞳は赤く腫れている、それに、気の毒なくらい顔を青くして………)
P「……まぁ、座って。そうだ、ココアでも飲むか?」
幸子「……」
P「えっと、どうしたんだ、何かあったのか」
幸子「…………ご、ゴメンナサイ、ボ、じゃなくて、ワタシ……」
P(身体を震わせている彼女の瞳は赤く腫れている、それに、気の毒なくらい顔を青くして………)
P「……まぁ、座って。そうだ、ココアでも飲むか?」
幸子「……」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/11(金) 03:44:28.58 ID:9EzxG8Cq0
P「すまん、ココアはなかった。アイスティーしかなかったけど、いいかな」
P(おかしいなぁ、いつも常備してたはずなのに)
幸子「……あ、ありがとう、ございます」
P「それで、どうしたんだ。今日は何かあったのか?」
幸子「…………」
P「……」
幸子「きょ、今日、プロデューサーから受けろと言われていた、お、オーディション、落ちて、しまいました……」
幸子「もしも、あの、受からなければ、ボ……ワタシは、もう……」
P「あぁ、なんだ、そんなことか」
幸子「え?」
P「落ちたら、次頑張ればいい。今日いっぱい泣いた分は、きっとキミの力になる。……次は頑張ろう」ナデ
幸子「……!?」
幸子「い、良いんですか?事務所を、や、辞めなくても」
P(事務所を辞める?)「そんなことする必要ないだろ。というより、今日は俺も卯月ちゃんのレッスンにつきっきりで、オーディションに一緒に行けなかったしな、すまなかった……」
幸子「……お、オーディションを一緒に?」
P「あぁ、可愛い、え~幸子、ちゃんの姿を見損なったよ」
幸子「カワイイって……か、からかっているんですか?」
P「え?いや、そんなことないぞ。本当に、申し訳なかったと思ってる」
幸子「……」
P(おかしいなぁ、いつも常備してたはずなのに)
幸子「……あ、ありがとう、ございます」
P「それで、どうしたんだ。今日は何かあったのか?」
幸子「…………」
P「……」
幸子「きょ、今日、プロデューサーから受けろと言われていた、お、オーディション、落ちて、しまいました……」
幸子「もしも、あの、受からなければ、ボ……ワタシは、もう……」
P「あぁ、なんだ、そんなことか」
幸子「え?」
P「落ちたら、次頑張ればいい。今日いっぱい泣いた分は、きっとキミの力になる。……次は頑張ろう」ナデ
幸子「……!?」
幸子「い、良いんですか?事務所を、や、辞めなくても」
P(事務所を辞める?)「そんなことする必要ないだろ。というより、今日は俺も卯月ちゃんのレッスンにつきっきりで、オーディションに一緒に行けなかったしな、すまなかった……」
幸子「……お、オーディションを一緒に?」
P「あぁ、可愛い、え~幸子、ちゃんの姿を見損なったよ」
幸子「カワイイって……か、からかっているんですか?」
P「え?いや、そんなことないぞ。本当に、申し訳なかったと思ってる」
幸子「……」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/11(金) 03:57:54.59 ID:9EzxG8Cq0
幸子「ボクが、カワイイ、ですか?」
P「ん?まぁ、そうだな、睫毛も長いし、たれ目もキュートだし、所作から礼儀正しさもうかがえるし……」
幸子「そうですか……そうですよね」
幸子「そうなんですよ!ボクは、カワイイんですよ!」ニコ
P(お!)
幸子「いつも、オーディションはあとちょっととのところで落ちてしまいますが、それはこの超新星のボクの放つ輝きに審査員の皆さんが眩しすぎてくらんでしまうからなんですよ!」
P「そうだな、審査員も見る目がない」
幸子「え……えぇそうなんですよ!……あの」
P「ん?」
幸子「その、いつもみたいに、怒らないのでしょうか?ボクって言ったり、あの、自分でカワイイって言ったり……」
P(……)
P「怒らないよ。そういう自信を持って自分を出せる姿が、俺はすごく良いなって思ったから」
幸子「そ、そうなん、ですか!?」
P「うん」
幸子「ふ、ふふふ、そうですか!!」
P(ぴんと、自分の髪の跳ねたところをいじってにやつく幸子)
P(彼女もまた、卯月と同じで、「俺」が担当している、アイドル、か)
P「ん?まぁ、そうだな、睫毛も長いし、たれ目もキュートだし、所作から礼儀正しさもうかがえるし……」
幸子「そうですか……そうですよね」
幸子「そうなんですよ!ボクは、カワイイんですよ!」ニコ
P(お!)
幸子「いつも、オーディションはあとちょっととのところで落ちてしまいますが、それはこの超新星のボクの放つ輝きに審査員の皆さんが眩しすぎてくらんでしまうからなんですよ!」
P「そうだな、審査員も見る目がない」
幸子「え……えぇそうなんですよ!……あの」
P「ん?」
幸子「その、いつもみたいに、怒らないのでしょうか?ボクって言ったり、あの、自分でカワイイって言ったり……」
P(……)
P「怒らないよ。そういう自信を持って自分を出せる姿が、俺はすごく良いなって思ったから」
幸子「そ、そうなん、ですか!?」
P「うん」
幸子「ふ、ふふふ、そうですか!!」
P(ぴんと、自分の髪の跳ねたところをいじってにやつく幸子)
P(彼女もまた、卯月と同じで、「俺」が担当している、アイドル、か)
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/11(金) 04:09:03.19 ID:9EzxG8Cq0
-車(夜)-
幸子「それで、ボクが黒板に完璧な計算式を書ききると~、先生が言うんですよ!ここはまだ習っていない難しい問題なのに良くとけましたね~って!!」
P「へー」
幸子「それくらい、ボクは頭もよくて、スポーツもできて、完璧なんですよ!」
P「そうなのかぁ」
幸子「そうなんです!それでですね!ボクが何故、頭が良くてカワイイと、言われるかについてなのですが!」
P(もう遅いからと、自宅へと幸子を送っている途中、彼女はまるで今まで抑圧されていた自分を吐き出すかのように喋りだした)
P(どれもこれも、微笑ましいエピソードばかりだが、聞く人によっては、あまりの自画自賛っぷりに嫌気がさしてしまうかもしれない)
幸子「つまり、地球の温暖化も、少子化問題も、、全部ボクがカワイイせいなんですよね!」
P「そうか、まぁ、確かに幸子は可愛いしな」
幸子「ふぇ!?そ、そうなん、です」
P(だが、自分で言うのならともかく、人に言われるのはまだ慣れていないのか、顔を赤くすると、膝の上に拳を押さえつけて黙ってしまった)
幸子「それで、ボクが黒板に完璧な計算式を書ききると~、先生が言うんですよ!ここはまだ習っていない難しい問題なのに良くとけましたね~って!!」
P「へー」
幸子「それくらい、ボクは頭もよくて、スポーツもできて、完璧なんですよ!」
P「そうなのかぁ」
幸子「そうなんです!それでですね!ボクが何故、頭が良くてカワイイと、言われるかについてなのですが!」
P(もう遅いからと、自宅へと幸子を送っている途中、彼女はまるで今まで抑圧されていた自分を吐き出すかのように喋りだした)
P(どれもこれも、微笑ましいエピソードばかりだが、聞く人によっては、あまりの自画自賛っぷりに嫌気がさしてしまうかもしれない)
幸子「つまり、地球の温暖化も、少子化問題も、、全部ボクがカワイイせいなんですよね!」
P「そうか、まぁ、確かに幸子は可愛いしな」
幸子「ふぇ!?そ、そうなん、です」
P(だが、自分で言うのならともかく、人に言われるのはまだ慣れていないのか、顔を赤くすると、膝の上に拳を押さえつけて黙ってしまった)
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 03:19:07.60 ID:qMts88WG0
-自宅(夜)-
P「ふぅ」ドサ
P(島村卯月に、輿水幸子……俺の担当アイドル、か)
P(それに残っていたスケジュールには明日、佐久間まゆというアイドル候補生が事務所に来ると書かれていた)
P「ここまでの経過を見るに……もう、これはドッキリだとか、言ってられないレベルだよなぁ」
P(俺の部屋には、クールなあいつらの写真集やらCDやらでいっぱいだと思ったのだが……)
P(生活に必要なものが最低限そろえられているだけで、えらく殺風景な部屋になっていた)
P(昨日の夜に、何があったのか?これじゃ、まるで別世界に来てしまったかのような……)
P「別の世界?」
P「……まさかな」
P「ふぅ」ドサ
P(島村卯月に、輿水幸子……俺の担当アイドル、か)
P(それに残っていたスケジュールには明日、佐久間まゆというアイドル候補生が事務所に来ると書かれていた)
P「ここまでの経過を見るに……もう、これはドッキリだとか、言ってられないレベルだよなぁ」
P(俺の部屋には、クールなあいつらの写真集やらCDやらでいっぱいだと思ったのだが……)
P(生活に必要なものが最低限そろえられているだけで、えらく殺風景な部屋になっていた)
P(昨日の夜に、何があったのか?これじゃ、まるで別世界に来てしまったかのような……)
P「別の世界?」
P「……まさかな」
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 03:20:18.45 ID:qMts88WG0
-事務所-
まゆ(……ここが新しい事務所……)
まゆ(読者モデルをしていた事務所がつぶれて、紹介されたけれど……)
まゆ(別に、まゆはアイドルになんて……興味ないのに……)
ガチャ
P「うわっと」ドン
まゆ「キャ!」
ガシ
P「とと、危ない危ない。大丈夫?」
まゆ「」キューン
まゆ(……ここが新しい事務所……)
まゆ(読者モデルをしていた事務所がつぶれて、紹介されたけれど……)
まゆ(別に、まゆはアイドルになんて……興味ないのに……)
ガチャ
P「うわっと」ドン
まゆ「キャ!」
ガシ
P「とと、危ない危ない。大丈夫?」
まゆ「」キューン
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 03:21:50.20 ID:qMts88WG0
まゆ(誰かに愛されることには慣れていました)
まゆ(父も母も、同じ学校の子たちからも、可愛いと言われ、前の事務所でも大切に扱われていたことがわかってましたから)
まゆ(けれど、まゆは一度もその人たちを愛したことはなかった……)
まゆ(きっと、その人たちが死んでも、まゆは、何とも思わないほどに、どこか冷めていた。なのに)
P「おーい、大丈夫か?」
まゆ「はぅ!!」ビシャーン!
まゆ(こ、この稲妻が走ったかのような衝撃!心臓が飛び出しそうなほどに脈を打ち、体中が熱く火照り燃え上がる)
まゆ(まゆは、きっとこの人に会うために生まれてきたのです!!)
まゆ(父も母も、同じ学校の子たちからも、可愛いと言われ、前の事務所でも大切に扱われていたことがわかってましたから)
まゆ(けれど、まゆは一度もその人たちを愛したことはなかった……)
まゆ(きっと、その人たちが死んでも、まゆは、何とも思わないほどに、どこか冷めていた。なのに)
P「おーい、大丈夫か?」
まゆ「はぅ!!」ビシャーン!
まゆ(こ、この稲妻が走ったかのような衝撃!心臓が飛び出しそうなほどに脈を打ち、体中が熱く火照り燃え上がる)
まゆ(まゆは、きっとこの人に会うために生まれてきたのです!!)
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 03:22:57.69 ID:qMts88WG0
まゆ「ふ、ふふふふ」
P「!?」ビク
まゆ「あなたが、まゆのプロデューサーさんになる方ですね?」
P「え、ああ、そうだけど。もしかして、君は……」
まゆ「はい、佐久間まゆです。まゆはこれからプロデューサーさんと二人でトップアイドルになるんですよね、だって、二人の出会いは運命だから!」
P「え?ま、まぁトップアイドルを目指すのは間違いないが……まだ、そうだと決まったわけじゃ」
まゆ「うふふ、まゆのことたっぷり可愛がってくださいね?」
P(何か、押し切られてしまった……それにしても、これまた、キュートオーラ全開の子だなぁ)
P「!?」ビク
まゆ「あなたが、まゆのプロデューサーさんになる方ですね?」
P「え、ああ、そうだけど。もしかして、君は……」
まゆ「はい、佐久間まゆです。まゆはこれからプロデューサーさんと二人でトップアイドルになるんですよね、だって、二人の出会いは運命だから!」
P「え?ま、まぁトップアイドルを目指すのは間違いないが……まだ、そうだと決まったわけじゃ」
まゆ「うふふ、まゆのことたっぷり可愛がってくださいね?」
P(何か、押し切られてしまった……それにしても、これまた、キュートオーラ全開の子だなぁ)
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 03:23:56.50 ID:qMts88WG0
まゆ(あぁ、きっと今、まさに、まゆは生まれたのです。誰かを愛するために、人として!)
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 03:35:56.30 ID:qMts88WG0
幸子「ふふーん!ボクの方が先輩ですから、敬愛の念を込めて、カワイイ幸子ちゃんと呼んでもいいですよ!」
まゆ「はぁい、よろしくお願いしますねぇ、幸子ちゃん。まゆのことは、まゆって、読んでください」
幸子「カワイイが抜けていますが……まぁ良いでしょう!何か困ったらカワイイボクになんでも頼ってください、まゆさん!」
まゆ「はぁい」
卯月「……あの、よろしくお願いします。まゆちゃん」
まゆ「こちらこそ~」
P(あっという間に溶け込んでしまった。ていうか、彼女の持ってきた書類をよく見たら、彼女はうちのアイドル事務所じゃなくて、うちを通して346プロの読者モデル部門に行く予定なんじゃ……)
まゆ「まゆは、絶対にトップアイドルになるんですよ、絶対に……ふふふ」
P(よくわからんが、本人がやる気みたいだし良いか)「仲良くしてくれよな~みんな」
ちひろ「……」
まゆ「はぁい、よろしくお願いしますねぇ、幸子ちゃん。まゆのことは、まゆって、読んでください」
幸子「カワイイが抜けていますが……まぁ良いでしょう!何か困ったらカワイイボクになんでも頼ってください、まゆさん!」
まゆ「はぁい」
卯月「……あの、よろしくお願いします。まゆちゃん」
まゆ「こちらこそ~」
P(あっという間に溶け込んでしまった。ていうか、彼女の持ってきた書類をよく見たら、彼女はうちのアイドル事務所じゃなくて、うちを通して346プロの読者モデル部門に行く予定なんじゃ……)
まゆ「まゆは、絶対にトップアイドルになるんですよ、絶対に……ふふふ」
P(よくわからんが、本人がやる気みたいだし良いか)「仲良くしてくれよな~みんな」
ちひろ「……」
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 03:48:42.49 ID:qMts88WG0
-レッスン場-
P「ほら、1、2、1、2……よし、休憩」
まゆ「あう……」ドサ
幸子「はぁはぁ、ど、どうでしたか、まゆさん!あ、アイドルというのも楽なものではないでしょう!」
まゆ「そ、そうですねぇ、結構、しんどいんですね……」ゼェゼェ
まゆ(こんなのじゃ、駄目。もっと、レッスンをつまなきゃ、もっと、もっと、もっと……)
P「まゆは初めてのレッスンなのに、ここまでついてきてすごいと思うぞ」
まゆ「本当ですかぁ!?」パッ
幸子「!?……ぼ、ボクはどうでしょうか!」
P「幸子は、そうだなぁ、自分の顔を気にしすぎてステップと歌がおざなりだな」
幸子「なぁ!?そ、そういわれてみれば……カワイイボクに、そんな弱点が……!」
P「ほら、1、2、1、2……よし、休憩」
まゆ「あう……」ドサ
幸子「はぁはぁ、ど、どうでしたか、まゆさん!あ、アイドルというのも楽なものではないでしょう!」
まゆ「そ、そうですねぇ、結構、しんどいんですね……」ゼェゼェ
まゆ(こんなのじゃ、駄目。もっと、レッスンをつまなきゃ、もっと、もっと、もっと……)
P「まゆは初めてのレッスンなのに、ここまでついてきてすごいと思うぞ」
まゆ「本当ですかぁ!?」パッ
幸子「!?……ぼ、ボクはどうでしょうか!」
P「幸子は、そうだなぁ、自分の顔を気にしすぎてステップと歌がおざなりだな」
幸子「なぁ!?そ、そういわれてみれば……カワイイボクに、そんな弱点が……!」
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 03:50:04.61 ID:qMts88WG0
卯月「……」
P「卯月」
卯月「!は、はい」
P「今日は、昨日よりもダンスにキレがあって良かったぞ。歌も、よく間違えてたところが意識して直せてた。家でも、練習したんだな」
卯月「え、あ、わかるん、ですか?」
P「当たり前だろ。プロデューサーなんだから。でも、あんまり無理をすると身体を壊すから、無理だけはするなよ」
卯月「……はい!」ニコ
P(……お!)
P「じゃあ、後少し休憩したら再開するぞ。しっかり水分補給をするんだぞ」
3人「はーい」
P(……プロデューサーなんだから、か)
P「卯月」
卯月「!は、はい」
P「今日は、昨日よりもダンスにキレがあって良かったぞ。歌も、よく間違えてたところが意識して直せてた。家でも、練習したんだな」
卯月「え、あ、わかるん、ですか?」
P「当たり前だろ。プロデューサーなんだから。でも、あんまり無理をすると身体を壊すから、無理だけはするなよ」
卯月「……はい!」ニコ
P(……お!)
P「じゃあ、後少し休憩したら再開するぞ。しっかり水分補給をするんだぞ」
3人「はーい」
P(……プロデューサーなんだから、か)
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 04:07:33.05 ID:qMts88WG0
-1週間後-
幸子「ぷ、プロデューサーさん!初めてのお仕事が、どうして商店街のマスコットなんですか!これでは、顔は出ているとは言え、ボクのカワイイボディが見えないじゃないですか~!」
P「仕方がないだろう。まだ無名なんだから、仕事はなんだって引き受けるぞー。それに、歌も歌えるし良い方じゃないか」
卯月「歌は、商店街の応援ソング、ですよね」
まゆ「しかも、普通の通行人相手に……その、まゆたちに興味がない人に歌を聞いてもらうのは少しまゆにも抵抗が……」
P「まぁまぁ、はじめての仕事なんてそんなもんだ。それに、アイドルになったらもっと大勢の前で歌うことになるんだぞ。興味のない人が興味を持ってくれるような、そんな歌を披露してやってくれ」
卯月「……頑張ります!」
幸子「歌の事より、ボクが一番気にしているのは、どうして卯月さんはウサギ、まゆさんはたぬきで、ボクだけマンボウなんですか~!一人だけ魚類ですよ!!!」
P「それは、ほら、幸子のカワイイオーラを隠すためだろ」
幸子「ぼ、ボクのカワイイオーラ、ですか?」
P「そうだ、今日は3人の仕事なのに、幸子一人だけ目立ってしまうと困るから、あえて、二人より不細工な着ぐるみに扮することで、カワイイオーラを均等にしてるんだ」
幸子「そ、そうだったんですね。ふふん、ならしょうがないです!オーラなら仕方がないですね!」
P(ふぅ、最近幸子の扱い方がよくわかってきたぞ)
幸子「ぷ、プロデューサーさん!初めてのお仕事が、どうして商店街のマスコットなんですか!これでは、顔は出ているとは言え、ボクのカワイイボディが見えないじゃないですか~!」
P「仕方がないだろう。まだ無名なんだから、仕事はなんだって引き受けるぞー。それに、歌も歌えるし良い方じゃないか」
卯月「歌は、商店街の応援ソング、ですよね」
まゆ「しかも、普通の通行人相手に……その、まゆたちに興味がない人に歌を聞いてもらうのは少しまゆにも抵抗が……」
P「まぁまぁ、はじめての仕事なんてそんなもんだ。それに、アイドルになったらもっと大勢の前で歌うことになるんだぞ。興味のない人が興味を持ってくれるような、そんな歌を披露してやってくれ」
卯月「……頑張ります!」
幸子「歌の事より、ボクが一番気にしているのは、どうして卯月さんはウサギ、まゆさんはたぬきで、ボクだけマンボウなんですか~!一人だけ魚類ですよ!!!」
P「それは、ほら、幸子のカワイイオーラを隠すためだろ」
幸子「ぼ、ボクのカワイイオーラ、ですか?」
P「そうだ、今日は3人の仕事なのに、幸子一人だけ目立ってしまうと困るから、あえて、二人より不細工な着ぐるみに扮することで、カワイイオーラを均等にしてるんだ」
幸子「そ、そうだったんですね。ふふん、ならしょうがないです!オーラなら仕方がないですね!」
P(ふぅ、最近幸子の扱い方がよくわかってきたぞ)
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 04:28:03.41 ID:qMts88WG0
-お仕事終了(夕方)-
幸子「つ、疲れました……」
卯月「あんまり、歌は聞いてもらえなかったですね……みんなこちらを見向きもしないで……」
まゆ「……子供には大人気でしたけどねぇ」
幸子「二人はまだ良い方ですよ。ボクなんて、なぜかお爺さんやお婆さんばかり集まってきて……」
P「みんなお疲れ様。ほら、飲み物買ってきたぞ」
卯月「あ!ありがとうございます!」ニコ
まゆ「プロデューサーさんもお疲れ様です、今日はずっとつきっきりで……」
P「まぁ、俺はほとんど見てただけだけどな」
まゆ「でも、居てくださっただけで、まゆはやる気が出ましたよぉ?それに、安心できました」
P「はは、そうか。じゃあ、みんな今日は頑張ったから、初仕事の記念に、どっか食べに行くか。もちろん奢るぞ」
幸子「本当ですか!ではカワイイボクに奢れるなんて、プロデューサーもラッキーですね♪」
P「あんまり、高いところは、その、勘弁してくれよ」
まゆ「まゆは、プロデューサーと一緒にご飯を食べられるなら何だっていいですよぉ」
卯月「……えへへ……楽しいなぁ」
幸子「つ、疲れました……」
卯月「あんまり、歌は聞いてもらえなかったですね……みんなこちらを見向きもしないで……」
まゆ「……子供には大人気でしたけどねぇ」
幸子「二人はまだ良い方ですよ。ボクなんて、なぜかお爺さんやお婆さんばかり集まってきて……」
P「みんなお疲れ様。ほら、飲み物買ってきたぞ」
卯月「あ!ありがとうございます!」ニコ
まゆ「プロデューサーさんもお疲れ様です、今日はずっとつきっきりで……」
P「まぁ、俺はほとんど見てただけだけどな」
まゆ「でも、居てくださっただけで、まゆはやる気が出ましたよぉ?それに、安心できました」
P「はは、そうか。じゃあ、みんな今日は頑張ったから、初仕事の記念に、どっか食べに行くか。もちろん奢るぞ」
幸子「本当ですか!ではカワイイボクに奢れるなんて、プロデューサーもラッキーですね♪」
P「あんまり、高いところは、その、勘弁してくれよ」
まゆ「まゆは、プロデューサーと一緒にご飯を食べられるなら何だっていいですよぉ」
卯月「……えへへ……楽しいなぁ」
47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 04:42:21.44 ID:qMts88WG0
-事務所(次の日)-
ガチャ
卯月「おはようございます!」
P「おう、おはよう、卯月」
ちひろ「おはようございます、卯月ちゃん」
卯月「おはようございます!プロデューサーさん!ちひろさん!」
幸子「おはようございます!卯月さん!見てくださいよこれ!」
卯月「え?何ですか、これ、手紙?」
幸子「ファンレターですよ!ファンレター!カワイイボクあてにファンレターが届いたんですよ」
卯月「えぇ!?す、すごいね!幸子ちゃん!」
幸子「フフーン!まぁ、カワイイボクなら当然ですけど!実は卯月さんにも届いてるんですよ!」
卯月「本当ですか!?わぁ!」
キャキャ
ちひろ「最近、事務所の雰囲気変わりましたね」
P「え?えーっと、そうですか?」ドキ
ちひろ「はい、とても、明るくなった気がします」
P「そ、そうですね。卯月も笑顔を見せるようになってくれたし、幸子もまぁ、幸子ですし」
ちひろ「……私からすれば、一番変わったのは、プロデューサーさんなんですけどね」
P「え!?」ドキ
ちひろ「……あの、プロデューサーさん。実は、前から思っていたんですが……」
P「……」ドキドキ
ガチャ
卯月「おはようございます!」
P「おう、おはよう、卯月」
ちひろ「おはようございます、卯月ちゃん」
卯月「おはようございます!プロデューサーさん!ちひろさん!」
幸子「おはようございます!卯月さん!見てくださいよこれ!」
卯月「え?何ですか、これ、手紙?」
幸子「ファンレターですよ!ファンレター!カワイイボクあてにファンレターが届いたんですよ」
卯月「えぇ!?す、すごいね!幸子ちゃん!」
幸子「フフーン!まぁ、カワイイボクなら当然ですけど!実は卯月さんにも届いてるんですよ!」
卯月「本当ですか!?わぁ!」
キャキャ
ちひろ「最近、事務所の雰囲気変わりましたね」
P「え?えーっと、そうですか?」ドキ
ちひろ「はい、とても、明るくなった気がします」
P「そ、そうですね。卯月も笑顔を見せるようになってくれたし、幸子もまぁ、幸子ですし」
ちひろ「……私からすれば、一番変わったのは、プロデューサーさんなんですけどね」
P「え!?」ドキ
ちひろ「……あの、プロデューサーさん。実は、前から思っていたんですが……」
P「……」ドキドキ
48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 04:46:08.94 ID:qMts88WG0
ちひろ「もしかして、プロデューサーさんって、双子……何ですか?」
P「……へ?」
49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 04:49:42.53 ID:qMts88WG0
ちひろ「い、いえ!あの、こういってはなんですが、以前のプロデューサーさんは、もっとこう、冷たいというか、カミソリみたいな人で……」
P「は、はぁ」
ちひろ「最近、その!お仕事も頑張られてて、私の事も気にかけてくださってて……あ、あはは、そのすみません!変な事聞いてしまって」カァ
P「いえ、別に大丈夫ですよ、ただ、残念ながら双子ではないですね」
ちひろ「そ、そうですよね!でもそれだけ変わったと思ったので……もしかしたらと……」
P「はは、そうですか」
P(変わった、か)
ガチャ
まゆ「おはようございまぁす」フワァ
幸子「あ、おはようございます!見てくださいまゆさん!ほら!ファンレターですよ!ファンレター!」
卯月「まゆちゃんにも届いてるんです!はい!これ!」
まゆ「?これって……うふふ、そうですか……これは最高のファンレターですね。うふふふふ」
P(……まゆには気づかれてしまっているのかもしれないが……まぁみんな喜んでくれてよかった)
P「は、はぁ」
ちひろ「最近、その!お仕事も頑張られてて、私の事も気にかけてくださってて……あ、あはは、そのすみません!変な事聞いてしまって」カァ
P「いえ、別に大丈夫ですよ、ただ、残念ながら双子ではないですね」
ちひろ「そ、そうですよね!でもそれだけ変わったと思ったので……もしかしたらと……」
P「はは、そうですか」
P(変わった、か)
ガチャ
まゆ「おはようございまぁす」フワァ
幸子「あ、おはようございます!見てくださいまゆさん!ほら!ファンレターですよ!ファンレター!」
卯月「まゆちゃんにも届いてるんです!はい!これ!」
まゆ「?これって……うふふ、そうですか……これは最高のファンレターですね。うふふふふ」
P(……まゆには気づかれてしまっているのかもしれないが……まぁみんな喜んでくれてよかった)
61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 20:03:53.70 ID:qMts88WG0
-数週間後(公園前)-
P「さぁて……今日の営業も終わったか……後は事務所に帰って企画をまとめて……と」
P(みんな想像以上に頑張ってくれているからな。俺もがんばって彼女たちに良い仕事を……って)
P(俺、このままでいいのか!?)
P(忙しさのあまり、忘れていたが、こんなのって明らかにおかしいじゃないか!)
P(ここは多分、俺がいた元の世界とは、別の世界なんだ。早く元の世界に戻らないと……?)
?「ぐす……すん」
P(なんだ、女の子が……泣いてる)
P「さぁて……今日の営業も終わったか……後は事務所に帰って企画をまとめて……と」
P(みんな想像以上に頑張ってくれているからな。俺もがんばって彼女たちに良い仕事を……って)
P(俺、このままでいいのか!?)
P(忙しさのあまり、忘れていたが、こんなのって明らかにおかしいじゃないか!)
P(ここは多分、俺がいた元の世界とは、別の世界なんだ。早く元の世界に戻らないと……?)
?「ぐす……すん」
P(なんだ、女の子が……泣いてる)
62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 20:05:58.84 ID:qMts88WG0
桃華「……ぐす」
桃華(な、泣いてはいけませんわ、櫻井桃華。でも、こんなのって、あんまり……どうすれば)
P「君、どうかしたのか」
桃華「!?」
P「あぁ、そんなに驚かなくても……俺は、こういうもんで、決して、怪しいもんじゃないよ」
桃華「……ぐす、あ、アイドルのプロデューサー……ですの?……わたくしに何か御用かしら」ッキ
P(う、めちゃくちゃ、怪しまれている……そりゃ突然スーツ姿の男が話しかけてきたりしたら、怪しいわな)
P「い、いや……それより、そっちの方こそ、何かあったんじゃないか。随分お困りのようだけど……」
桃華「……」
P「もし俺でよければ、力になるよ」
桃華「わ、わたくし、こう見えても一人前のレディですの、ですから、誰かの助けなど……」
P「じゃあ、レディの悩みを聞いてあげるのも、男の甲斐性というやつだな。ここは俺の男を立ててほしいんだけど」
桃華「……そういうことでしたら……」
桃華(な、泣いてはいけませんわ、櫻井桃華。でも、こんなのって、あんまり……どうすれば)
P「君、どうかしたのか」
桃華「!?」
P「あぁ、そんなに驚かなくても……俺は、こういうもんで、決して、怪しいもんじゃないよ」
桃華「……ぐす、あ、アイドルのプロデューサー……ですの?……わたくしに何か御用かしら」ッキ
P(う、めちゃくちゃ、怪しまれている……そりゃ突然スーツ姿の男が話しかけてきたりしたら、怪しいわな)
P「い、いや……それより、そっちの方こそ、何かあったんじゃないか。随分お困りのようだけど……」
桃華「……」
P「もし俺でよければ、力になるよ」
桃華「わ、わたくし、こう見えても一人前のレディですの、ですから、誰かの助けなど……」
P「じゃあ、レディの悩みを聞いてあげるのも、男の甲斐性というやつだな。ここは俺の男を立ててほしいんだけど」
桃華「……そういうことでしたら……」
63: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 20:07:03.17 ID:qMts88WG0
----
--
-
P「……じゃあ靴ひもが切れて家まで帰れなくなって途方に暮れていたと?」
桃華「そうなんですの……今日は連絡用の携帯電話ももっておらず、迎えを呼ぶこともできず……」
P「そうかぁ……家まで近いのか?」
桃華「そうですわねぇ、車で10分はかかってしまいますわ」
P(ちっか!俺が子供のころだったら片足くらい使わなくたって、ケンケンして帰るか、靴を脱いで裸足で帰ったもんだけどなぁ……でも)
桃華「わたくし、もう、どうすればよいのか……」グス
P(この育ちの良さそうな子に、そんなこというのもなぁ……よし)
P「そうか……じゃあ、ほれ」スッ
桃華「?な、なんですの、背中を向けて……まさか」
P「あぁ、それくらいの距離だったらおぶって送っていくよ」
桃華「い、いけませんわ。無関係のあなたにそのようなこと……」
P「まぁ、ちょうど俺も仕事が一区切りついて暇だったんだよ。散歩ついでだ、よいしょっと」ヒョイ
桃華「きゃっ!!?」
P「よし出発だ」
--
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P「……じゃあ靴ひもが切れて家まで帰れなくなって途方に暮れていたと?」
桃華「そうなんですの……今日は連絡用の携帯電話ももっておらず、迎えを呼ぶこともできず……」
P「そうかぁ……家まで近いのか?」
桃華「そうですわねぇ、車で10分はかかってしまいますわ」
P(ちっか!俺が子供のころだったら片足くらい使わなくたって、ケンケンして帰るか、靴を脱いで裸足で帰ったもんだけどなぁ……でも)
桃華「わたくし、もう、どうすればよいのか……」グス
P(この育ちの良さそうな子に、そんなこというのもなぁ……よし)
P「そうか……じゃあ、ほれ」スッ
桃華「?な、なんですの、背中を向けて……まさか」
P「あぁ、それくらいの距離だったらおぶって送っていくよ」
桃華「い、いけませんわ。無関係のあなたにそのようなこと……」
P「まぁ、ちょうど俺も仕事が一区切りついて暇だったんだよ。散歩ついでだ、よいしょっと」ヒョイ
桃華「きゃっ!!?」
P「よし出発だ」
64: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 20:07:52.07 ID:qMts88WG0
-商店街-
桃華「……確か、Pちゃま、でしたわね」
P「そうだよ、えっと」
桃華「わたくし、櫻井桃華ですわ……Pちゃまは、アイドルのプロデューサーをしていらっしゃるのですよね。どのようなアイドルを……」
P「そうだな、トライア……いや、島村卯月や、輿水幸子とかって名前、最近聞いたことないか?」
桃華「残念ながらわたくしは聞いたことがありませんわ」
P「そ、そうか。まぁ、まだまだローカルアイドルの域を出ていないからな。最近、ライブなんかの仕事も増えてきたんだが……」
桃華「いえ、わたくしがアイドルに疎いだけかもしれませんわ。そう落ち込むこともないですわよ?」
P「は、はは、ありがとう」
P(まさかこんな小さな子に慰められることになるとは……それにしても、受け答えもしっかりしていて、大人っぽい子だなぁ)
桃華「……確か、Pちゃま、でしたわね」
P「そうだよ、えっと」
桃華「わたくし、櫻井桃華ですわ……Pちゃまは、アイドルのプロデューサーをしていらっしゃるのですよね。どのようなアイドルを……」
P「そうだな、トライア……いや、島村卯月や、輿水幸子とかって名前、最近聞いたことないか?」
桃華「残念ながらわたくしは聞いたことがありませんわ」
P「そ、そうか。まぁ、まだまだローカルアイドルの域を出ていないからな。最近、ライブなんかの仕事も増えてきたんだが……」
桃華「いえ、わたくしがアイドルに疎いだけかもしれませんわ。そう落ち込むこともないですわよ?」
P「は、はは、ありがとう」
P(まさかこんな小さな子に慰められることになるとは……それにしても、受け答えもしっかりしていて、大人っぽい子だなぁ)
65: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 20:09:54.17 ID:qMts88WG0
P「なぁ、道はこっちの方であってるのか」
桃華「多分、あっていますわ」
P「た、多分?」
桃華「えぇ、こちらの方角に歩いて行けば、どこかでわたくしの家に突き当たるでしょうから」
P「へ、へぇ」
P(突き当たるって、どんだけ家の敷地が広い想定なんだよ。この子、もしかして、とんでもないお金持ちなんじゃ……?)
桃華「あら……あれは、なんですの?」
P「ん?」
浅黒い店主「ヤスイヨー、オイシイヨー」
P「あぁ、あれはトルコ風アイスの屋台だな」
桃華「トルコ風アイス?何やら……白いお餅のようなものを棒で伸ばしているようですけれど、あれがアイスなんですの?」
P「なんだ、食べたことないのか。まぁ、話すより実際に食べた方が早いんじゃないか。すみません、これ、2つください」
浅黒い店主「マイドー」
桃華「まぁ!か、買い食いなんて、はしたないですわよ、Pちゃま」
P「え、そうか?でももう買ってしまったしな」
桃華「……仕方がありませんわね……今日だけですのよ?」
P「そ、それはどうも」
P(……大人っぽいというよりオカンみたいだな)
桃華「多分、あっていますわ」
P「た、多分?」
桃華「えぇ、こちらの方角に歩いて行けば、どこかでわたくしの家に突き当たるでしょうから」
P「へ、へぇ」
P(突き当たるって、どんだけ家の敷地が広い想定なんだよ。この子、もしかして、とんでもないお金持ちなんじゃ……?)
桃華「あら……あれは、なんですの?」
P「ん?」
浅黒い店主「ヤスイヨー、オイシイヨー」
P「あぁ、あれはトルコ風アイスの屋台だな」
桃華「トルコ風アイス?何やら……白いお餅のようなものを棒で伸ばしているようですけれど、あれがアイスなんですの?」
P「なんだ、食べたことないのか。まぁ、話すより実際に食べた方が早いんじゃないか。すみません、これ、2つください」
浅黒い店主「マイドー」
桃華「まぁ!か、買い食いなんて、はしたないですわよ、Pちゃま」
P「え、そうか?でももう買ってしまったしな」
桃華「……仕方がありませんわね……今日だけですのよ?」
P「そ、それはどうも」
P(……大人っぽいというよりオカンみたいだな)
66: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 20:11:37.62 ID:qMts88WG0
浅黒い店主「ハイヨー、オマチドサマ」ッス
桃華「まぁ、棒の先のアイスにコーンがくっついていますわ!どうもありが……」スカ
浅黒い店主「オットットー」クルン
桃華「まぁ!?」
浅黒い店主「ハイヨーオニイサン」ッス
P「あ、あぁどうも」スカ 「オットットー」クルン
浅黒い店主「ハーイ、オジョウチャン!」ッス
桃華「…びっくりしましたわ!わたくし、てっきりイジワルされてしまったのかと……」ッス
桃華「まぁ!!?今度はコーンだけしかありませんわ!アイスはまだ棒に……」
浅黒い店主「ホッホー、ホイト」クルクルポン
桃華「ウフフ!やっと、頂けましたわ!Pちゃま。この方はまるで手品師のようですわね!」
P「はは、そうだな」
P(でもやっぱり、歳相応なところもあるんだな)
桃華「まぁ、棒の先のアイスにコーンがくっついていますわ!どうもありが……」スカ
浅黒い店主「オットットー」クルン
桃華「まぁ!?」
浅黒い店主「ハイヨーオニイサン」ッス
P「あ、あぁどうも」スカ 「オットットー」クルン
浅黒い店主「ハーイ、オジョウチャン!」ッス
桃華「…びっくりしましたわ!わたくし、てっきりイジワルされてしまったのかと……」ッス
桃華「まぁ!!?今度はコーンだけしかありませんわ!アイスはまだ棒に……」
浅黒い店主「ホッホー、ホイト」クルクルポン
桃華「ウフフ!やっと、頂けましたわ!Pちゃま。この方はまるで手品師のようですわね!」
P「はは、そうだな」
P(でもやっぱり、歳相応なところもあるんだな)
67: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 20:13:44.01 ID:qMts88WG0
-高級住宅街-
P(アイス、中々美味しかったな。桃華も、初めは文句を言っていたが、伸びるアイスに感激していたし)
P(しかし、途中で口についてたアイスを桃華に拭ってもらった時は、何だか大人として情けなくなったなぁ、彼女は本当、しっかりしている)
P「さて、桃華、そろそろ家につくころだと思うんだが……」
桃華「……」
P「桃華?」
桃華「すぅ……すぅ……」
P(ね、寝てるー!!?いや、それは困るぞ……どこが桃華の家なのかわからなく……ん?)
サングラスの黒服達「」ザザ
P「ひえ!?」
サングラスの黒服達「……」
P(な、なんだぁこのざわ……ざわ……してそうな黒服の方々は!?あ!まさか!)
P「あ、あの!俺は決して怪しいものではなくてですね!く、靴ひもが切れてしまって困っていたこの子を、家まで送っていくためであって……」
リーダー格の黒服「……」
リーダー格の黒服『お嬢様の無事を確認。健やかに、眠っておられるだけで外傷など、特に見当たりません!』ザザ
リーダー格の黒服「……」ッス
P「え、あ、あぁ、はい、起こさないように気をつけて……」
サングラスの黒服達「……ペコリ」ザッザッザ
P(無線で何かを報告した後、黒服の集団は桃華引き取って、どこかへと行ってしまった……)
P「はぁ、公園で暮らすような女の子がいる一方で、世の中にはすごいセレブもいるもんだなぁ……ん?」
P「うお!サイレントモードにしてた携帯にまゆから3桁ほど着信が!!?しまった、もうレッスンの時間じゃないか!」
P「へ、下手をしたら、また恥ずかしいセリフを言いながら、小指を繋いで指切りげんまんをさせられてしまう……!!うおおおお、まにあええええ」タタタ
P(アイス、中々美味しかったな。桃華も、初めは文句を言っていたが、伸びるアイスに感激していたし)
P(しかし、途中で口についてたアイスを桃華に拭ってもらった時は、何だか大人として情けなくなったなぁ、彼女は本当、しっかりしている)
P「さて、桃華、そろそろ家につくころだと思うんだが……」
桃華「……」
P「桃華?」
桃華「すぅ……すぅ……」
P(ね、寝てるー!!?いや、それは困るぞ……どこが桃華の家なのかわからなく……ん?)
サングラスの黒服達「」ザザ
P「ひえ!?」
サングラスの黒服達「……」
P(な、なんだぁこのざわ……ざわ……してそうな黒服の方々は!?あ!まさか!)
P「あ、あの!俺は決して怪しいものではなくてですね!く、靴ひもが切れてしまって困っていたこの子を、家まで送っていくためであって……」
リーダー格の黒服「……」
リーダー格の黒服『お嬢様の無事を確認。健やかに、眠っておられるだけで外傷など、特に見当たりません!』ザザ
リーダー格の黒服「……」ッス
P「え、あ、あぁ、はい、起こさないように気をつけて……」
サングラスの黒服達「……ペコリ」ザッザッザ
P(無線で何かを報告した後、黒服の集団は桃華引き取って、どこかへと行ってしまった……)
P「はぁ、公園で暮らすような女の子がいる一方で、世の中にはすごいセレブもいるもんだなぁ……ん?」
P「うお!サイレントモードにしてた携帯にまゆから3桁ほど着信が!!?しまった、もうレッスンの時間じゃないか!」
P「へ、下手をしたら、また恥ずかしいセリフを言いながら、小指を繋いで指切りげんまんをさせられてしまう……!!うおおおお、まにあええええ」タタタ
68: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 20:52:04.62 ID:qMts88WG0
まゆ「指切りげんまん♪Pさんはぁ、もう二度とぉ♪まゆを寂しがらせません♪うふふ、はいPさん」
P「え~、Pさんは、まゆを、2度と寂しがらせません、はい指きった!」ッバ
まゆ「そんなんじゃだめでよぉ。もっと気持ちを込めてください、はい、もう一度♪」キュ
P「うぅ、え~Pさんは、まゆを……」
幸子「やれやれ、まゆさんは本当に時間に厳しいですねぇ。カワイイボクくらい寛容なら少しくらい、許してあげるものですが。まぁ、それはそれとして、ボクも何か後でお願いを聞いてもらいますけど!」
卯月「あはは、でもあれって、別にまゆちゃんは遅れたことをずっと怒ってるわけじゃないような……」
まゆ「はい、もう一度♪ウフフ」キュ
P「え~、Pさんは、まゆを、2度と寂しがらせません、はい指きった!」ッバ
まゆ「そんなんじゃだめでよぉ。もっと気持ちを込めてください、はい、もう一度♪」キュ
P「うぅ、え~Pさんは、まゆを……」
幸子「やれやれ、まゆさんは本当に時間に厳しいですねぇ。カワイイボクくらい寛容なら少しくらい、許してあげるものですが。まぁ、それはそれとして、ボクも何か後でお願いを聞いてもらいますけど!」
卯月「あはは、でもあれって、別にまゆちゃんは遅れたことをずっと怒ってるわけじゃないような……」
まゆ「はい、もう一度♪ウフフ」キュ
69: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 23:28:46.90 ID:qMts88WG0
まゆ(プロデューサーから何やら別の女の匂いがしますねぇ……背中のあたりに強いバラの香り……さしづめ、困っていた女の子をおぶって運んであげたといったところでしょうか?うふふ)
まゆ(……あんまりたくさん浮気しちゃだめですよぉ?)キュ
まゆ(……あんまりたくさん浮気しちゃだめですよぉ?)キュ
70: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 23:48:48.42 ID:qMts88WG0
>68
×まゆ「そんなんじゃだめでよぉ。もっと気持ちを込めてください、はい、もう一度♪」キュ
〇まゆ「そんなんじゃだめですよぉ。もっと気持ちを込めてください、はい、もう一度♪」キュ
-事務所(数日後)-
幸子「じゃーん!見てください!」
卯月「わぁ!私たちが表紙の雑誌です!!」
幸子「超新星あらわる!話題急上昇中のアイドル候補~!!カワイイカワイイボクを筆頭に、カワイイボク達についての特集がくまれています!!」
まゆ「確かに、こうして形になると、感慨深いですねぇ」
幸子「本当ですよ!カワイイボクが汚いライブホールでコンサートをしたり、売れないCDを必死で店頭販売した甲斐がありましたよ~!」
卯月「はい!頑張ってきて、良かったです!えへへ」
×まゆ「そんなんじゃだめでよぉ。もっと気持ちを込めてください、はい、もう一度♪」キュ
〇まゆ「そんなんじゃだめですよぉ。もっと気持ちを込めてください、はい、もう一度♪」キュ
-事務所(数日後)-
幸子「じゃーん!見てください!」
卯月「わぁ!私たちが表紙の雑誌です!!」
幸子「超新星あらわる!話題急上昇中のアイドル候補~!!カワイイカワイイボクを筆頭に、カワイイボク達についての特集がくまれています!!」
まゆ「確かに、こうして形になると、感慨深いですねぇ」
幸子「本当ですよ!カワイイボクが汚いライブホールでコンサートをしたり、売れないCDを必死で店頭販売した甲斐がありましたよ~!」
卯月「はい!頑張ってきて、良かったです!えへへ」
72: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 00:14:38.57 ID:I4dXCVh50
ちひろ「最近すごいですね、アイドルたちの人気!オファーもたくさんいただいてますよ」カタカタ
P「ははは、なぁに、まだまだこれからですよ、みんなポテンシャルが高いですから、そのうち、武道館やドームでライブをしたり!」カタカタ
ちひろ「ど、ドームでライブですか!?それはまた、大きな夢ですね」カタカタ
P「いやいや、ドーム何て、序の口ですよ!日本一のアイドルグループになって、ゆくゆくは世界デビューです!」カタカタ
ちひろ「せ、世界デビューですか!!?」
幸子「フフーン!そうですよプロデューサー!このカンペキなボクのプロデューサーを務めるからには、それくらいやっていただかないと困りますよ!」
卯月「が、外国語……が、頑張ります!じゃなくて、I'll do my best!」ッグ
P「お、えらく流暢だな、卯月」
卯月「えへへ、ファンの外国人にも、これだけは伝えたくて……I'll do my best!」ッグ
P(なぜ、ピースじゃなくて、親指をたてたポーズになんだ……?可愛いけども!)
73: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 00:16:56.16 ID:I4dXCVh50
まゆ「……」ニコニコ
P「あれ、まゆはあんまり乗り気じゃなさそうだな」
まゆ「いいえ、夢を大きく持っているプロデューサーは素敵ですし、まゆも同じ夢を持てるなんてとぉっても幸せですよぉ?」
P「そ、そうか、まぁでも、俺たちは現状まだまだだ。これから、もっと上を目指して頑張るぞ!!」
3人「「「おー!」」」
ちひろ(ふふ、本当、変わりましたね、Pさん。みんな、あなたのおかげで……)
プルルルルルル
P「ん、内線か?はい、Pです」」
P「……え!!?」
P「あれ、まゆはあんまり乗り気じゃなさそうだな」
まゆ「いいえ、夢を大きく持っているプロデューサーは素敵ですし、まゆも同じ夢を持てるなんてとぉっても幸せですよぉ?」
P「そ、そうか、まぁでも、俺たちは現状まだまだだ。これから、もっと上を目指して頑張るぞ!!」
3人「「「おー!」」」
ちひろ(ふふ、本当、変わりましたね、Pさん。みんな、あなたのおかげで……)
プルルルルルル
P「ん、内線か?はい、Pです」」
P「……え!!?」
76: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 01:17:04.35 ID:I4dXCVh50
P(そんな馬鹿な!?そんなこと、あるはずが……)ッダ
ちひろ「え。あ、ちょっとPさん!?」
タタタタタ!
?「……Pさん!!」
P「か、楓さん!!?どうして、ここに……うわ!!?」ガバ
楓「あぁ、Pさん、Pさん、Pさん……!」ギュ
まゆ「……ちょっと、あなた、ふざけたことやってんじゃ……」
卯月「や、やめて、まゆっちゃん!どうやら、何か事情があるようですよ!?」
幸子(ま、まゆさんのあまりの気迫にちょっと、流石のボクもほんのちょっぴり、漏らしそうです!!)
ちひろ「え。あ、ちょっとPさん!?」
タタタタタ!
?「……Pさん!!」
P「か、楓さん!!?どうして、ここに……うわ!!?」ガバ
楓「あぁ、Pさん、Pさん、Pさん……!」ギュ
まゆ「……ちょっと、あなた、ふざけたことやってんじゃ……」
卯月「や、やめて、まゆっちゃん!どうやら、何か事情があるようですよ!?」
幸子(ま、まゆさんのあまりの気迫にちょっと、流石のボクもほんのちょっぴり、漏らしそうです!!)
78: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 01:27:56.33 ID:I4dXCVh50
楓「……Pさん、そのままどうか聞いてください。あまり、時間がありませんから」
P「え?……はい」
楓「……今、あなたは……所謂パラレルワールドに居ます」
P「そ、そうなんですか……!?何となく、おかしいなぁと思ってたんですが……やっぱり」
楓「……ふふ、そう思っていても、プロデューサーのお仕事を続けるなんて、Pさんらしいですね」
楓「こほん……Pさん、この世界に来る前の日の事、覚えてますか?」
P「前の日?確か、俺は楓さんや服部さんに無理やり飲まされてへべれけに……」
楓「私はそこまで飲ませていませんが……そうです、その日です」
楓「あの日貴方は、死にました」
P「え?」
P「え?……はい」
楓「……今、あなたは……所謂パラレルワールドに居ます」
P「そ、そうなんですか……!?何となく、おかしいなぁと思ってたんですが……やっぱり」
楓「……ふふ、そう思っていても、プロデューサーのお仕事を続けるなんて、Pさんらしいですね」
楓「こほん……Pさん、この世界に来る前の日の事、覚えてますか?」
P「前の日?確か、俺は楓さんや服部さんに無理やり飲まされてへべれけに……」
楓「私はそこまで飲ませていませんが……そうです、その日です」
楓「あの日貴方は、死にました」
P「え?」
81: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 01:48:24.80 ID:I4dXCVh50
楓「あの日、あなたは、暴走した車から私と美優さんをかばって……それで……」
P「ちょ、ちょちょちょ、ちょっと待ってください、まさか俺がいるのって冥府とか、黄泉の国とか、そういう……」
楓「……いえ、正確には死んではいないのです。貴方は奇跡的に目立った外傷もなく、身体的には健康なんです……ただ」
P「ただ?」
楓「魂が抜けたような、そんな状態になっているんです」
P「た、魂ですか……何だか、オカルト的な話になってきましたね」
楓「話を続けます、そうして魂だけの存在になったあなたは、何があったのか別世界であるこの世界で、魂だけ移り、今、こうしてこの世界のPさんに憑依しているような状態なのです」
楓「心当たりは、ありますよね?」
P「……それは、はい」
P(そうか、それで、卯月たちは……)
P「ちょ、ちょちょちょ、ちょっと待ってください、まさか俺がいるのって冥府とか、黄泉の国とか、そういう……」
楓「……いえ、正確には死んではいないのです。貴方は奇跡的に目立った外傷もなく、身体的には健康なんです……ただ」
P「ただ?」
楓「魂が抜けたような、そんな状態になっているんです」
P「た、魂ですか……何だか、オカルト的な話になってきましたね」
楓「話を続けます、そうして魂だけの存在になったあなたは、何があったのか別世界であるこの世界で、魂だけ移り、今、こうしてこの世界のPさんに憑依しているような状態なのです」
楓「心当たりは、ありますよね?」
P「……それは、はい」
P(そうか、それで、卯月たちは……)
82: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 01:56:35.65 ID:I4dXCVh50
楓「……Pさん、あなたがこの世界に来てから、どれくらいの月日が経っていますか?」
P「え?えーっと、ちょうど一か月と少しくらいでしょうか」
楓「あぁ、そんな……!」
P「え?あの、何かまずいんですか?」
楓「良いですか、プロデューサーさん。11ヵ月後……あなたが倒れたあの日に、もう一度、Pさん、あなたは自宅の自分の部屋で眠ってください!それも夕方の6時にですよ!」
P「は、はぁ、11ヵ月後の夕方に自宅で寝るんですか?それがどうして……」
楓「それだけではありません、Pさん、当然ですが、絶対にこちらで死んではいけません。絶対ですよ!良いですね?後、餓死もしないでください!後、それから……」
P(!!?か、楓さんの体が透けて……)
楓「あなたが倒れてからこちらの世界ではまだ1日と経っていません、ですが、この1日を過ぎると、あなたの魂は、永遠に私たちの世界に帰ってこれなくなってしまいます……良いですか、お願いです。必ずこの世界の来年、あなたが倒れたあの日に自宅で夕方の6時ですよ!……お願いです、どうか……」スゥ
P「……消えた……」
P「え?えーっと、ちょうど一か月と少しくらいでしょうか」
楓「あぁ、そんな……!」
P「え?あの、何かまずいんですか?」
楓「良いですか、プロデューサーさん。11ヵ月後……あなたが倒れたあの日に、もう一度、Pさん、あなたは自宅の自分の部屋で眠ってください!それも夕方の6時にですよ!」
P「は、はぁ、11ヵ月後の夕方に自宅で寝るんですか?それがどうして……」
楓「それだけではありません、Pさん、当然ですが、絶対にこちらで死んではいけません。絶対ですよ!良いですね?後、餓死もしないでください!後、それから……」
P(!!?か、楓さんの体が透けて……)
楓「あなたが倒れてからこちらの世界ではまだ1日と経っていません、ですが、この1日を過ぎると、あなたの魂は、永遠に私たちの世界に帰ってこれなくなってしまいます……良いですか、お願いです。必ずこの世界の来年、あなたが倒れたあの日に自宅で夕方の6時ですよ!……お願いです、どうか……」スゥ
P「……消えた……」
83: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:10:48.40 ID:I4dXCVh50
幸子「あ、あわわわ、し、心霊現象ですよ~!Pさんは幽霊とお友達だったんですか~!?さ、流石のカワイイボクでもちびっちゃいましたよ!!?」ヒソヒソ
卯月「プロデューサーさんは、一体どんなお話をされていたんでしょう……とても、真剣な顔つきをしてましたけど……」
まゆ「……」
P(本当に、SFかオカルトじゃないか。こんなの……)
P(でも、普段飄々とした楓さんが、あんなに必死な顔で……)
P「……来年のあの日、か……ん?」
桃華「Pちゃま!」パァ
P「お、桃華じゃないか」
幸子「ま、また別の幽霊があらわれましたよ~!?か、カワイイボクのライフはとっくにゼロなんですよ~!!?」
まゆ「……いえ、あれは生身の人間ですねぇ。それにあの匂いは……きっと先日Pさんが困っているところを助けてあげた子ですねぇ」
卯月「に、におい?ここからだと全然わからないけど……すごいねまゆちゃん!」
まゆ「ウフフ」
幸子(そういう問題じゃないとおもうんですが!!?)
卯月「プロデューサーさんは、一体どんなお話をされていたんでしょう……とても、真剣な顔つきをしてましたけど……」
まゆ「……」
P(本当に、SFかオカルトじゃないか。こんなの……)
P(でも、普段飄々とした楓さんが、あんなに必死な顔で……)
P「……来年のあの日、か……ん?」
桃華「Pちゃま!」パァ
P「お、桃華じゃないか」
幸子「ま、また別の幽霊があらわれましたよ~!?か、カワイイボクのライフはとっくにゼロなんですよ~!!?」
まゆ「……いえ、あれは生身の人間ですねぇ。それにあの匂いは……きっと先日Pさんが困っているところを助けてあげた子ですねぇ」
卯月「に、におい?ここからだと全然わからないけど……すごいねまゆちゃん!」
まゆ「ウフフ」
幸子(そういう問題じゃないとおもうんですが!!?)
84: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:26:12.51 ID:I4dXCVh50
桃華「Pちゃま!先日はどうもありがとうございました。それで、折り入ってお話があるのですが……」
P「なに、気にすることないよ。お礼何て……」
桃華「いいえ、そうもいきませんわ。わたくしなりにどうすれば良いか……考えましたの」
P「ん?」
P(そういえば、彼女の家は超お金持ちだったな、まさか、霜降り牛とか、温泉旅行とかだったりして!)
桃華「プロデューサーはアイドルのプロデューサーをやっていらっしゃるのですよね」
P「そうだけど……」
桃華「でしたら!」
桃華「わたくしがあなた専属のアイドルになってさしあげますわ!」
P「えぇ!?」
まゆ「」ズモモモ
卯月「やったね、幸子ちゃん。またアイドルが増えるって!」
幸子(後ろ!後ろです卯月さん!!)
P「なに、気にすることないよ。お礼何て……」
桃華「いいえ、そうもいきませんわ。わたくしなりにどうすれば良いか……考えましたの」
P「ん?」
P(そういえば、彼女の家は超お金持ちだったな、まさか、霜降り牛とか、温泉旅行とかだったりして!)
桃華「プロデューサーはアイドルのプロデューサーをやっていらっしゃるのですよね」
P「そうだけど……」
桃華「でしたら!」
桃華「わたくしがあなた専属のアイドルになってさしあげますわ!」
P「えぇ!?」
まゆ「」ズモモモ
卯月「やったね、幸子ちゃん。またアイドルが増えるって!」
幸子(後ろ!後ろです卯月さん!!)
85: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:33:14.47 ID:I4dXCVh50
桃華「わたくしも、アイドルが何なのか、わからないことはたくさんありますが、きっと、お役に立ちますわ。それに何だかPちゃまを見ていると放っておけなくて……」
P「いや、あの……」
桃華「大丈夫ですわ。Pちゃま、もう話は全て通してありますし」
P「話?」
ちひろ「ぷ、プロデューサーさん!!?今、社長から直接お電話があって、今日から一人アイドルが配属されるから丁重にと……」
P「」
桃華「不束者ですが、どうかよろしくお願いしますわ。Pちゃま。」ペコ
P(こんな、11ヵ月後に、別れ来るかもしれないのに、アイドルなんて増やすわけには……でも、しゃ、社長じきじきじゃ断るわけにも……)
P「は、ははは。よ、よろしく、桃華……」
桃華「はい!」
幸子(あわわわ、何呑気なことを言ってるんですか~!まゆさんが、まゆさんが……!)
まゆ「……」シュー
幸子(あ、あれ)
まゆ(まぁ、誰のアイドルになろうが、どんな過去をもっていようが、最後にはこのまゆの隣にいてくれたら、それでいいですよぉ……うふふふ)
卯月「早速挨拶に行きましょう!」
幸子「う、卯月さん……ある意味一番最強ですね、あなたは!まぁ!一番最強カンペキ、ウルトラ空前絶後カワイイアイドルなのは、このボクですけどね!!!」ドヤァ
P「いや、あの……」
桃華「大丈夫ですわ。Pちゃま、もう話は全て通してありますし」
P「話?」
ちひろ「ぷ、プロデューサーさん!!?今、社長から直接お電話があって、今日から一人アイドルが配属されるから丁重にと……」
P「」
桃華「不束者ですが、どうかよろしくお願いしますわ。Pちゃま。」ペコ
P(こんな、11ヵ月後に、別れ来るかもしれないのに、アイドルなんて増やすわけには……でも、しゃ、社長じきじきじゃ断るわけにも……)
P「は、ははは。よ、よろしく、桃華……」
桃華「はい!」
幸子(あわわわ、何呑気なことを言ってるんですか~!まゆさんが、まゆさんが……!)
まゆ「……」シュー
幸子(あ、あれ)
まゆ(まぁ、誰のアイドルになろうが、どんな過去をもっていようが、最後にはこのまゆの隣にいてくれたら、それでいいですよぉ……うふふふ)
卯月「早速挨拶に行きましょう!」
幸子「う、卯月さん……ある意味一番最強ですね、あなたは!まぁ!一番最強カンペキ、ウルトラ空前絶後カワイイアイドルなのは、このボクですけどね!!!」ドヤァ
96: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 02:02:29.40 ID:4HuoO+Vo0
各修正点
>>68 冒頭にスポット追加、まゆたちに行間・小文字追加
-レッスン場(10分後)-
まゆ「指切りげんまん♪Pさんはぁ、もう二度とぉ♪まゆを寂しがらせません♪うふふ、はいPさん」
P「え~、Pさんは、まゆを、2度と寂しがらせません、はい指きった!」ッバ
>>78 場面転換でスポット追加、行間追加
P(そんな馬鹿な!?そんなこと、あるはずが……)ッダ
ちひろ「え。あ、ちょっとPさん!?」
タタタタタ!
-事務所(玄関前)-
?「……Pさん!!」
P「か、楓さん!!?どうして、ここに……うわ!!?」ガバ
楓「あぁ、Pさん、Pさん、Pさん……!」ギュ
まゆ「……ちょっと、あなた、ふざけたことやってんじゃ……」カベカラノゾキ
卯月「や、やめて、まゆっちゃん!どうやら、何か事情があるようですよ!?」ガシ
幸子(ま、まゆさんのあまりの気迫にちょっと、流石のボクもほんのちょっぴり、漏らしそうです!!)
>83 桃華訪問時にSE追加、他セリフ一部修正
幸子「あ、あわわわ、し、心霊現象ですよ~!Pさんは幽霊とお友達だったんですか~!?さ、流石のカワイイボクでもちびっちゃいましたよ!!?」ヒソヒソ
卯月「プロデューサーさんは、一体どんなお話をされていたんでしょう……とても、真剣な顔つきをしてましたけど……」
まゆ「……」
P(本当に、SFかオカルトじゃないか。こんなの……)
P(でも、普段飄々とした楓さんが、あんなに必死な顔で……)
P「……来年のあの日、か……ん?」
ガチャ…
桃華「失礼いたしますわ……!Pちゃま!」パァ
P「お、桃華じゃないか」
幸子「ま、また別の幽霊があらわれましたよ~!?か、カワイイボクのライフはとっくにゼロなんですよ~!!?」
まゆ「……いえ、あれは生身の人間ですねぇ。それにあの匂いは……きっと先日Pさんが困っているところを助けてあげた子です」
卯月「に、におい?ここからだと全然わからないけど……すごいねまゆちゃん!」
まゆ「ウフフ」
幸子(そういう問題じゃないとおもうんですが!!?)
>>85 Pセリフ修正
×P(こんな、11ヵ月後に、別れ来るかもしれないのに、アイドルなんて増やすわけには……でも、しゃ、社長じきじきじゃ断るわけにも……)
〇P(こんな、11ヵ月後に、別れが来るかもしれないのに、アイドルなんて増やすわけには……でも、しゃ、社長じきじきじゃ断るわけにも……)
>>68 冒頭にスポット追加、まゆたちに行間・小文字追加
-レッスン場(10分後)-
まゆ「指切りげんまん♪Pさんはぁ、もう二度とぉ♪まゆを寂しがらせません♪うふふ、はいPさん」
P「え~、Pさんは、まゆを、2度と寂しがらせません、はい指きった!」ッバ
>>78 場面転換でスポット追加、行間追加
P(そんな馬鹿な!?そんなこと、あるはずが……)ッダ
ちひろ「え。あ、ちょっとPさん!?」
タタタタタ!
-事務所(玄関前)-
?「……Pさん!!」
P「か、楓さん!!?どうして、ここに……うわ!!?」ガバ
楓「あぁ、Pさん、Pさん、Pさん……!」ギュ
まゆ「……ちょっと、あなた、ふざけたことやってんじゃ……」カベカラノゾキ
卯月「や、やめて、まゆっちゃん!どうやら、何か事情があるようですよ!?」ガシ
幸子(ま、まゆさんのあまりの気迫にちょっと、流石のボクもほんのちょっぴり、漏らしそうです!!)
>83 桃華訪問時にSE追加、他セリフ一部修正
幸子「あ、あわわわ、し、心霊現象ですよ~!Pさんは幽霊とお友達だったんですか~!?さ、流石のカワイイボクでもちびっちゃいましたよ!!?」ヒソヒソ
卯月「プロデューサーさんは、一体どんなお話をされていたんでしょう……とても、真剣な顔つきをしてましたけど……」
まゆ「……」
P(本当に、SFかオカルトじゃないか。こんなの……)
P(でも、普段飄々とした楓さんが、あんなに必死な顔で……)
P「……来年のあの日、か……ん?」
ガチャ…
桃華「失礼いたしますわ……!Pちゃま!」パァ
P「お、桃華じゃないか」
幸子「ま、また別の幽霊があらわれましたよ~!?か、カワイイボクのライフはとっくにゼロなんですよ~!!?」
まゆ「……いえ、あれは生身の人間ですねぇ。それにあの匂いは……きっと先日Pさんが困っているところを助けてあげた子です」
卯月「に、におい?ここからだと全然わからないけど……すごいねまゆちゃん!」
まゆ「ウフフ」
幸子(そういう問題じゃないとおもうんですが!!?)
>>85 Pセリフ修正
×P(こんな、11ヵ月後に、別れ来るかもしれないのに、アイドルなんて増やすわけには……でも、しゃ、社長じきじきじゃ断るわけにも……)
〇P(こんな、11ヵ月後に、別れが来るかもしれないのに、アイドルなんて増やすわけには……でも、しゃ、社長じきじきじゃ断るわけにも……)
97: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 02:08:20.26 ID:4HuoO+Vo0
-とある小さな店の前-
P「……」
P(別の世界、抜けた魂、突然現れた楓さんから聞かされた衝撃の事実……)
P(しかし、今の俺には、既に卯月たちに加え、新たな担当アイドルとして桃華まで加わってしまった……)
P(このまま、彼女たちのプロデュースを続けたら、いずれは必ず別れの日が……)
P「はぁ……俺はこれから一体どうすれば良いんだ……?」
?「ねぇ」
P「ん?」
凛「店先でそんな大きなため息をつかないでくれないかな。つくなら、その辺の公園でも行ってきなよ」
P「っ!!?」
P「……」
P(別の世界、抜けた魂、突然現れた楓さんから聞かされた衝撃の事実……)
P(しかし、今の俺には、既に卯月たちに加え、新たな担当アイドルとして桃華まで加わってしまった……)
P(このまま、彼女たちのプロデュースを続けたら、いずれは必ず別れの日が……)
P「はぁ……俺はこれから一体どうすれば良いんだ……?」
?「ねぇ」
P「ん?」
凛「店先でそんな大きなため息をつかないでくれないかな。つくなら、その辺の公園でも行ってきなよ」
P「っ!!?」
98: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 02:15:08.43 ID:4HuoO+Vo0
P(り、凛!そうか、ここは、凛の家族が営んでいる花屋……ということは、目の前にいるのは……俺がプロデュースしなかった場合の渋谷凛!元居た世界で、俺が初めてプロデュースした……)
P「……ああ、ごめんよ……じゃあ、景気づけに、元気の出る花でも見繕ってくれないかな」
凛「……まぁ、良いけど」
P(そういって腰に手を当てていた凛が奥へと消えていく。それにしても、店先でため息をついただけで、あんな強気に言うとは、知らない相手だったら顰蹙(ひんしゅく)をかってしまうぞ)カラン
凛「……元気の出るお花だったら、やっぱり明るい色の花が良いと思うよ、そこにあるオレンジのガーベラとかオススメかな……あとは……」
P(耳元に掛かった髪をかき分けながら花たちを見て柔らかい表情で話す凛。その姿は、昔から知っている彼女と少しも変わらず、やっぱり、彼女は……)
P「綺麗だ」
凛「……え?」
P「あ、いや、綺麗な花だなって。じゃあ、そのガーベラをもらおうかな」
凛「……ん。良いよ、花瓶にでも挿すの?」
P「あぁ、そうするよ」
凛「じゃあ、いくつか別の花も見繕ってあげようか?流石にガーベラだけじゃ、味気ないと思うし」
P「お願いできるかな」
P「……ああ、ごめんよ……じゃあ、景気づけに、元気の出る花でも見繕ってくれないかな」
凛「……まぁ、良いけど」
P(そういって腰に手を当てていた凛が奥へと消えていく。それにしても、店先でため息をついただけで、あんな強気に言うとは、知らない相手だったら顰蹙(ひんしゅく)をかってしまうぞ)カラン
凛「……元気の出るお花だったら、やっぱり明るい色の花が良いと思うよ、そこにあるオレンジのガーベラとかオススメかな……あとは……」
P(耳元に掛かった髪をかき分けながら花たちを見て柔らかい表情で話す凛。その姿は、昔から知っている彼女と少しも変わらず、やっぱり、彼女は……)
P「綺麗だ」
凛「……え?」
P「あ、いや、綺麗な花だなって。じゃあ、そのガーベラをもらおうかな」
凛「……ん。良いよ、花瓶にでも挿すの?」
P「あぁ、そうするよ」
凛「じゃあ、いくつか別の花も見繕ってあげようか?流石にガーベラだけじゃ、味気ないと思うし」
P「お願いできるかな」
99: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 02:32:58.93 ID:4HuoO+Vo0
凛「じゃあ、大体こんなもんかな。袋、いるよね」
P「あぁ、頼むよ」
凛「……」ガサガサ
P「……」
凛「ねぇ」
P「ん?」
凛「何に悩んでるかなんて、私にはわからないけどさ。悩むくらいなら、思いっきりやってみたら良いんじゃないかな?」
P「……思いっきり?」
凛「うん。偉そうなこと言える立場じゃないけど、思いっきりやって、後悔するのは、やらなくて後悔するより、ずっと良いと思うよ」
P「!……そうだな。ありがとう」
凛「……はい、これ、後おまけで一本入れといたから」
P「え、それは、どうも」
凛「うん……頑張って」パサ
P「あぁ!」パシ、タタタ…カランカラン
凛「……」フゥ…
凛母「凛、珍しいじゃない、お客さんにあんなこと言うなんて」
凛「!??い、いたの、お母さん!!」
凛母「それに、あんたが最後におまけしてた花のハルシャギクって」
凛「し、知らない。行くよ、ハナコ」
P「あぁ、頼むよ」
凛「……」ガサガサ
P「……」
凛「ねぇ」
P「ん?」
凛「何に悩んでるかなんて、私にはわからないけどさ。悩むくらいなら、思いっきりやってみたら良いんじゃないかな?」
P「……思いっきり?」
凛「うん。偉そうなこと言える立場じゃないけど、思いっきりやって、後悔するのは、やらなくて後悔するより、ずっと良いと思うよ」
P「!……そうだな。ありがとう」
凛「……はい、これ、後おまけで一本入れといたから」
P「え、それは、どうも」
凛「うん……頑張って」パサ
P「あぁ!」パシ、タタタ…カランカラン
凛「……」フゥ…
凛母「凛、珍しいじゃない、お客さんにあんなこと言うなんて」
凛「!??い、いたの、お母さん!!」
凛母「それに、あんたが最後におまけしてた花のハルシャギクって」
凛「し、知らない。行くよ、ハナコ」
100: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 02:34:38.32 ID:4HuoO+Vo0
タタタ
P「やるぞ、俺は、やってやる!」
P「例え俺がこの世界からいなくなったとしても、輝きを失わないようなそんなアイドルに、彼女たちを……!!!」タタタ
P「やるぞ、俺は、やってやる!」
P「例え俺がこの世界からいなくなったとしても、輝きを失わないようなそんなアイドルに、彼女たちを……!!!」タタタ
103: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 03:33:51.24 ID:4HuoO+Vo0
-????-
幸子「ぷ、ぷぷぷぷ、プロデューサーさん」
P「ん?」
幸子「た、確かに、ボボボボ、ボクは言いましたよ?ボクは天使なので、空から舞い降りると……」
P「あぁ、その結果、あのスカイダイビングだ。あの番組の視聴率は過去最高だったらしい、おまけに、あれ以来カワイイ幸子のファンも爆発的に増えたじゃないか!がんばっているところが良いとか、もっといじ……色々とやってほしいとか」
幸子「ふ、フフーン!そうですよね!カワイイボクなら当然です!!……で、でもですね、でもでもですね?」
幸子「確かに、ボクの可愛さは人魚姫に匹敵するとも、寧ろ、人魚姫そのものだと言いましたが……」
幸子「本当に海の底に行かなくてもいいじゃないですかぁあ!!!?」
-船上(檻の中)-
幸子「ぷ、ぷぷぷぷ、プロデューサーさん」
P「ん?」
幸子「た、確かに、ボボボボ、ボクは言いましたよ?ボクは天使なので、空から舞い降りると……」
P「あぁ、その結果、あのスカイダイビングだ。あの番組の視聴率は過去最高だったらしい、おまけに、あれ以来カワイイ幸子のファンも爆発的に増えたじゃないか!がんばっているところが良いとか、もっといじ……色々とやってほしいとか」
幸子「ふ、フフーン!そうですよね!カワイイボクなら当然です!!……で、でもですね、でもでもですね?」
幸子「確かに、ボクの可愛さは人魚姫に匹敵するとも、寧ろ、人魚姫そのものだと言いましたが……」
幸子「本当に海の底に行かなくてもいいじゃないですかぁあ!!!?」
-船上(檻の中)-
105: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 03:46:03.35 ID:4HuoO+Vo0
幸子「大体!なんなんですか、この檻は!!だたのスキューバダイビングにこんなの必要ないんじゃないですか!!?」
P「いや、この辺りはサメがよく出るらしくて……」
幸子「さ、さささ、サメええ!?シャークですか、ジョーズですか!!?カワイイ、ボクとサメの夢のコラボですかぁ!?」
P「空は制したんだから……次は海、当然の帰結だと思うが……大丈夫だ、いざとなったら、人魚のように泳いで逃げろ!」
幸子「いざってとき!?い、いやいや、ですから、そ、そのようなことしなくても、ボクが天使で人魚カワイイことは周知の事実、今更確かめることもないような気がするんですよ!」
P「再実感したいんだよ、幸子」
スタッフ「そろそろ本番、入りまーす」
幸子「ひぃ!しょ、しょうがないので、プロデューサーにも、一緒に檻の中に入る権利をあげますよ!!ぼ、ボクはカワイイので!!!」
P「幸子、幸子が本当に危ない目に会う時は、俺が命がけでも助けてやるから」
幸子「……絶対ですよ!ボ、ボクはプロデューサーが居てくれるから、こ、こんなお仕事もやるんですからね!!?」
P「あぁ、終わったら、いっぱい褒め褒めしてやるから」
スタッフ「はーい、では、幸子ちゃん入りまーす」
幸子「せ、せめてプロデューサー!手、てってて、手を握っていても…うわあああああん!!!?」ザッバァン
P(幸子、強く生きろ、お前はカワイイんだから!)
P(いつも自分でカワイイカワイイと言っているが、本当は臆病で、自分に絶対の自信なんて持っていないことを、俺は知っている。)
P(少々荒っぽいが、数々の恐怖を乗り越えた時、お前は、俺無しでも自信を持ってカワイイと言えるような、そんなアイドルになれる……!!)
サメさんたち「」ガンガン!
幸子「ひ、ひぃ!?さ、サメと戯れるボクもカワ、カワイイですねええぇぇ!!!」シュコー
P「いや、この辺りはサメがよく出るらしくて……」
幸子「さ、さささ、サメええ!?シャークですか、ジョーズですか!!?カワイイ、ボクとサメの夢のコラボですかぁ!?」
P「空は制したんだから……次は海、当然の帰結だと思うが……大丈夫だ、いざとなったら、人魚のように泳いで逃げろ!」
幸子「いざってとき!?い、いやいや、ですから、そ、そのようなことしなくても、ボクが天使で人魚カワイイことは周知の事実、今更確かめることもないような気がするんですよ!」
P「再実感したいんだよ、幸子」
スタッフ「そろそろ本番、入りまーす」
幸子「ひぃ!しょ、しょうがないので、プロデューサーにも、一緒に檻の中に入る権利をあげますよ!!ぼ、ボクはカワイイので!!!」
P「幸子、幸子が本当に危ない目に会う時は、俺が命がけでも助けてやるから」
幸子「……絶対ですよ!ボ、ボクはプロデューサーが居てくれるから、こ、こんなお仕事もやるんですからね!!?」
P「あぁ、終わったら、いっぱい褒め褒めしてやるから」
スタッフ「はーい、では、幸子ちゃん入りまーす」
幸子「せ、せめてプロデューサー!手、てってて、手を握っていても…うわあああああん!!!?」ザッバァン
P(幸子、強く生きろ、お前はカワイイんだから!)
P(いつも自分でカワイイカワイイと言っているが、本当は臆病で、自分に絶対の自信なんて持っていないことを、俺は知っている。)
P(少々荒っぽいが、数々の恐怖を乗り越えた時、お前は、俺無しでも自信を持ってカワイイと言えるような、そんなアイドルになれる……!!)
サメさんたち「」ガンガン!
幸子「ひ、ひぃ!?さ、サメと戯れるボクもカワ、カワイイですねええぇぇ!!!」シュコー
106: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 04:08:59.32 ID:4HuoO+Vo0
-ビーチステージ(舞台袖)-
幸子「うぅ、ひどい目にあいました……大体、ボクがほんの少し、泳ぎが、その苦手だということを、プロデューサーは知っているじゃないですか……」ミズギーン
P「いや、すまん。でも良い絵が取れたとスタッフさんたちも大喜びで……それよりも幸子、次はこのままビーチでのライブだが……行けるか?気分が悪いなら無理にとは……」
幸子「……誰に言ってるんですか、プロデューサー。目の前にいるのは、世界一カワイイ、プロデューサーのアイドル、輿水幸子こと、ボクですよ?行けるに決まってるじゃないですか!」
P「そうか、そうだったな」
幸子「はい!見ててくださいね、カワイイボクのステージを!」タタ
P(……幸子、今のお前なら、きっと一人でも……)
幸子「あ、後、プロデューサー、さっき、船の上で言っていたこと、ボクは覚えてますから!」
P「え?」
幸子「後で、たっくさん!カワイイボクのことを、褒め褒めしてくださいね!」ニパ
P「」
幸子『さぁ、皆さん、お待たせしました!カワイイカワイイ、ボクの登場ですよ!!』ワーワー
P「……参ったな」
幸子「うぅ、ひどい目にあいました……大体、ボクがほんの少し、泳ぎが、その苦手だということを、プロデューサーは知っているじゃないですか……」ミズギーン
P「いや、すまん。でも良い絵が取れたとスタッフさんたちも大喜びで……それよりも幸子、次はこのままビーチでのライブだが……行けるか?気分が悪いなら無理にとは……」
幸子「……誰に言ってるんですか、プロデューサー。目の前にいるのは、世界一カワイイ、プロデューサーのアイドル、輿水幸子こと、ボクですよ?行けるに決まってるじゃないですか!」
P「そうか、そうだったな」
幸子「はい!見ててくださいね、カワイイボクのステージを!」タタ
P(……幸子、今のお前なら、きっと一人でも……)
幸子「あ、後、プロデューサー、さっき、船の上で言っていたこと、ボクは覚えてますから!」
P「え?」
幸子「後で、たっくさん!カワイイボクのことを、褒め褒めしてくださいね!」ニパ
P「」
幸子『さぁ、皆さん、お待たせしました!カワイイカワイイ、ボクの登場ですよ!!』ワーワー
P「……参ったな」
109: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 20:03:25.61 ID:4HuoO+Vo0
-事務所-
P「ふぅ……」ギシ
P(……仕事が仕事を呼び、碌に休みも取れないぞ……でも、それに比例して彼女たちの人気もどんどんと上がってきている,
頑張らないと……今日は、後資料をまとめて、それから桃華のライブ……?)コト
桃華「お疲れ様ですわ。プロデューサーちゃま。少し、休憩をお取りになった方がよろしいかと」
P「ああ、桃華。これは……紅茶かな、ありがとう。でも、もう少し、この書類だけ……」ズズ、カタカタ
桃華「……Pちゃま……ちょっとこちらへ!」ギュ
P「あ、おい桃華!」ダッ
P「ふぅ……」ギシ
P(……仕事が仕事を呼び、碌に休みも取れないぞ……でも、それに比例して彼女たちの人気もどんどんと上がってきている,
頑張らないと……今日は、後資料をまとめて、それから桃華のライブ……?)コト
桃華「お疲れ様ですわ。プロデューサーちゃま。少し、休憩をお取りになった方がよろしいかと」
P「ああ、桃華。これは……紅茶かな、ありがとう。でも、もう少し、この書類だけ……」ズズ、カタカタ
桃華「……Pちゃま……ちょっとこちらへ!」ギュ
P「あ、おい桃華!」ダッ
110: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 20:04:18.07 ID:4HuoO+Vo0
P(一体どこへ……って、ここは、事務所のソファ?)
桃華「さぁ、Pちゃま、そのままこちらへ……」ポフポフ
P「え?そこって……おわっ」グイ
P(突然、桃華に手を引かれるなり、ソファで膝枕をされることになった……)
P(桃華から、薔薇のような良い匂いが……って、いやいやいや!やばいって、この絵面は!!)
桃華「……Pちゃま。あなたが最近わたくしたちのためにお仕事を頑張ってくださるのは、とても喜ばしく思っておりますわ」
桃華「ですが、最近のPちゃまはどこか、やりすぎて、前のめりになっているようなきがして……わたくし、少し心配ですの」ナデ
P「……」
桃華「Pちゃま、わたくしはまだまだ子供ですわ」
桃華「仕事先で、いらぬ反発をしてしまい、スタッフの方やPちゃまを困らせてしまったこともありますし、今のように、お疲れのプロデューサーちゃまを癒してあげるすべも、あまり思いつきませんでしたわ」
P(……桃華)
桃華「でも、Pちゃま。わたくしはあの時のようなおんぶではなく、隣で、手を取り合って一緒に階段を上っていきたいんですの」ナデ
桃華「あなたと二人、トップアイドルという名の階段を……」ナデナデ
P(……やばい、桃華の優しい声が……眠く……)
桃華「……」ポン…ポン…
P「……ZZZ」
桃華「うふふ、寝顔は子供みたいですのね、Pちゃま……」
桃華「さぁ、Pちゃま、そのままこちらへ……」ポフポフ
P「え?そこって……おわっ」グイ
P(突然、桃華に手を引かれるなり、ソファで膝枕をされることになった……)
P(桃華から、薔薇のような良い匂いが……って、いやいやいや!やばいって、この絵面は!!)
桃華「……Pちゃま。あなたが最近わたくしたちのためにお仕事を頑張ってくださるのは、とても喜ばしく思っておりますわ」
桃華「ですが、最近のPちゃまはどこか、やりすぎて、前のめりになっているようなきがして……わたくし、少し心配ですの」ナデ
P「……」
桃華「Pちゃま、わたくしはまだまだ子供ですわ」
桃華「仕事先で、いらぬ反発をしてしまい、スタッフの方やPちゃまを困らせてしまったこともありますし、今のように、お疲れのプロデューサーちゃまを癒してあげるすべも、あまり思いつきませんでしたわ」
P(……桃華)
桃華「でも、Pちゃま。わたくしはあの時のようなおんぶではなく、隣で、手を取り合って一緒に階段を上っていきたいんですの」ナデ
桃華「あなたと二人、トップアイドルという名の階段を……」ナデナデ
P(……やばい、桃華の優しい声が……眠く……)
桃華「……」ポン…ポン…
P「……ZZZ」
桃華「うふふ、寝顔は子供みたいですのね、Pちゃま……」
111: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 20:05:17.49 ID:4HuoO+Vo0
-事務所(夕方)-
P「うわしまった!!」ガバ
P「資料!桃華のライブ……!」バタバタ
P「ちひろさん!桃華のライブは!?」
ちひろ「え?あれ、プロデューサー!?えっと、桃華ちゃんなら、先ほど一人で現場に向かわれましたが……え、でもプロデューサーは外で先に待っていたんじゃ?」
P「ああ、わかりました!すみません、行ってきます!」ガチャ、バタン
ちひろ「い、行ってらっしゃい」フリフリ
P「桃華の奴……変に気を遣って!」タタタタ
P「うわしまった!!」ガバ
P「資料!桃華のライブ……!」バタバタ
P「ちひろさん!桃華のライブは!?」
ちひろ「え?あれ、プロデューサー!?えっと、桃華ちゃんなら、先ほど一人で現場に向かわれましたが……え、でもプロデューサーは外で先に待っていたんじゃ?」
P「ああ、わかりました!すみません、行ってきます!」ガチャ、バタン
ちひろ「い、行ってらっしゃい」フリフリ
P「桃華の奴……変に気を遣って!」タタタタ
112: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 20:10:15.78 ID:4HuoO+Vo0
-楽屋-
桃華「……」
スタッフ「えー、桃華ちゃん、そろそろ順番ですので準備を」
桃華「あ、は、はいですわ!」ビク
桃華(こ、こんなことでは駄目ですわよ櫻井桃華。少しでもプロデューサーの負担を減らさないと……でも……)
--------
------
---
P『桃華、今日は初めてのライブだけど、大丈夫か?』
桃華『当然ですわ!……と言いたいところですが、今にも心臓が飛び出しそうなほどドキドキしておりますの……Pちゃま、お願いです、もう少し傍に……』
P『あぁ』
桃華『……Pちゃま、わたくし、失敗してしまったらどういたしましょう』
P『別にどうもしないさ。ただ、俺は桃華には全力で、ステージを楽しんでほしい!って思ってるよ』
桃華『わたくしが、楽しんで……?』
P『あぁ、例えば、美味いラーメン屋ってのは、自分の店が美味いってのに自信を持ってる。同じように面白い漫画家は自分の漫画が面白い、短距離走の選手は自分が一番早い』
P『アイドルだって同じさ。自分が一番楽しんでる、って、そう思ってる子ってのは自然とステージでも輝くものさ』
桃華『……Pちゃま、わたくしに出来るでしょうか?』
P『できるさ。なんたって、俺の自慢のアイドル、櫻井桃華なんだから。……力抜いて、ステージを楽しんで来い』ポン
桃華『……はい!』
-----
----------
------------
桃華「……」
スタッフ「えー、桃華ちゃん、そろそろ順番ですので準備を」
桃華「あ、は、はいですわ!」ビク
桃華(こ、こんなことでは駄目ですわよ櫻井桃華。少しでもプロデューサーの負担を減らさないと……でも……)
--------
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P『桃華、今日は初めてのライブだけど、大丈夫か?』
桃華『当然ですわ!……と言いたいところですが、今にも心臓が飛び出しそうなほどドキドキしておりますの……Pちゃま、お願いです、もう少し傍に……』
P『あぁ』
桃華『……Pちゃま、わたくし、失敗してしまったらどういたしましょう』
P『別にどうもしないさ。ただ、俺は桃華には全力で、ステージを楽しんでほしい!って思ってるよ』
桃華『わたくしが、楽しんで……?』
P『あぁ、例えば、美味いラーメン屋ってのは、自分の店が美味いってのに自信を持ってる。同じように面白い漫画家は自分の漫画が面白い、短距離走の選手は自分が一番早い』
P『アイドルだって同じさ。自分が一番楽しんでる、って、そう思ってる子ってのは自然とステージでも輝くものさ』
桃華『……Pちゃま、わたくしに出来るでしょうか?』
P『できるさ。なんたって、俺の自慢のアイドル、櫻井桃華なんだから。……力抜いて、ステージを楽しんで来い』ポン
桃華『……はい!』
-----
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113: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 20:21:29.05 ID:4HuoO+Vo0
-舞台袖-
スタッフ「本番10秒前です!」
桃華(Pちゃま……でも、やっぱり、まだわたくし……)ウル
P「桃華!」ゼェゼェ
桃華「Pちゃま!?」パァ
P「桃華、大丈夫、いつも通り、やればいい!」ゼェゼェ
桃華「Pちゃま、わたくし……」
P「ごめんな、寝てしまって。行ってこい、ファンが桃華を待ってるぞ」
桃華「……Pちゃま……その、やっぱりわたくしはまだ子供でしたわ……今、Pちゃまが来てくれただけで、すごく安心しておりますの……でも今なら……」
スタッフ「3、2、1……!!」
桃華「精いっぱい、ステージを楽しめますわ!!……ファンのみなさん!ごきげんよう!!」ワーワー
P「……ふぅ」
P(って、これじゃあ、ますます桃華と離れられなく……)ポンポン
運転手「お客さん、お代」
P「え?あ!?えーっと、交通系のICって使えますかね……?」
スタッフ「本番10秒前です!」
桃華(Pちゃま……でも、やっぱり、まだわたくし……)ウル
P「桃華!」ゼェゼェ
桃華「Pちゃま!?」パァ
P「桃華、大丈夫、いつも通り、やればいい!」ゼェゼェ
桃華「Pちゃま、わたくし……」
P「ごめんな、寝てしまって。行ってこい、ファンが桃華を待ってるぞ」
桃華「……Pちゃま……その、やっぱりわたくしはまだ子供でしたわ……今、Pちゃまが来てくれただけで、すごく安心しておりますの……でも今なら……」
スタッフ「3、2、1……!!」
桃華「精いっぱい、ステージを楽しめますわ!!……ファンのみなさん!ごきげんよう!!」ワーワー
P「……ふぅ」
P(って、これじゃあ、ますます桃華と離れられなく……)ポンポン
運転手「お客さん、お代」
P「え?あ!?えーっと、交通系のICって使えますかね……?」
115: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 20:44:57.49 ID:4HuoO+Vo0
……離れようとしても、キュートな彼女たちとの絆はますます深まっていくばかり。
それに、絆が深まれば深まるほど、アイドルたちの人気は増していく……。
しかし、人気が上がるのに比例して、月日も流れていく……
-事務所(応接室)-
P「え!?ドーム公演に、うちのアイドルたちがですか!!?」
美城「そうだ。単独公演とまではいかないが、曲数も多く、かなり重要な役どころだ……引き受けてくれるな?」
P「もちろんです!!やらせてください!美城専務!そ、それで、公演日は……」
美城「あぁ……公演日は…………」
P「……え!!?」
それに、絆が深まれば深まるほど、アイドルたちの人気は増していく……。
しかし、人気が上がるのに比例して、月日も流れていく……
-事務所(応接室)-
P「え!?ドーム公演に、うちのアイドルたちがですか!!?」
美城「そうだ。単独公演とまではいかないが、曲数も多く、かなり重要な役どころだ……引き受けてくれるな?」
P「もちろんです!!やらせてください!美城専務!そ、それで、公演日は……」
美城「あぁ……公演日は…………」
P「……え!!?」
116: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 20:47:51.74 ID:4HuoO+Vo0
P「……」
卯月「プロデューサーさん!さっき美城さんから聞いたんですが!」
幸子「カワイイボクたちが!ついに、ついにドームで公演するって本当ですか!」
P「え、あ、あぁ」
ちひろ「凄いじゃないですか!プロデューサーさん!前に言っていた、ドーム公演だなんて夢みたいだと思っていましたが、本当になってしまうなんて!」
桃華「皆さん!あまり浮かれてばかりではいけませんのよ!これからもっと、レッスンやお仕事もがんばりませんと!」
まゆ「……うふ、そういう桃華ちゃんがさっきは一番うれしそうにしていたじゃないですかぁ、思わずぴょんと飛び跳ねて♪」
桃華「え!?そ、それは……」カァ
P「……あぁ、そうだな。お前たちが頑張ってきたから、ここまで来れたんだ」
幸子「ふふーん、まぁそれは当然として、謙遜は、カワイイボクにしか似合わない言葉ですよ?」
P「え?」
まゆ「ここまでまゆたちがたどり着けたのも、ずっとプロデューサーが隣で支えてくれたからじゃないですかぁ」
卯月「そうですよ!プロデューサーさん!これからも、ず~っとよろしくお願いしますね!!」
P「……あ、あぁ、すまん、ちょっと、屋上に行ってくる」トボトボ
桃華「どうしたのでしょうか、プロデューサーちゃま、あまり嬉しそうになさっていませんでしたわ……」
幸子「きっと、あまりに嬉しすぎて、言葉を失っているんですよ!馬鹿ですねぇ、カワイイボクを褒め称えることなんて、頑張ったなと、これからも頑張ろうな、幸子の一言だけで十分なのに!」
まゆ「……Pさん」
卯月「プロデューサーさん!さっき美城さんから聞いたんですが!」
幸子「カワイイボクたちが!ついに、ついにドームで公演するって本当ですか!」
P「え、あ、あぁ」
ちひろ「凄いじゃないですか!プロデューサーさん!前に言っていた、ドーム公演だなんて夢みたいだと思っていましたが、本当になってしまうなんて!」
桃華「皆さん!あまり浮かれてばかりではいけませんのよ!これからもっと、レッスンやお仕事もがんばりませんと!」
まゆ「……うふ、そういう桃華ちゃんがさっきは一番うれしそうにしていたじゃないですかぁ、思わずぴょんと飛び跳ねて♪」
桃華「え!?そ、それは……」カァ
P「……あぁ、そうだな。お前たちが頑張ってきたから、ここまで来れたんだ」
幸子「ふふーん、まぁそれは当然として、謙遜は、カワイイボクにしか似合わない言葉ですよ?」
P「え?」
まゆ「ここまでまゆたちがたどり着けたのも、ずっとプロデューサーが隣で支えてくれたからじゃないですかぁ」
卯月「そうですよ!プロデューサーさん!これからも、ず~っとよろしくお願いしますね!!」
P「……あ、あぁ、すまん、ちょっと、屋上に行ってくる」トボトボ
桃華「どうしたのでしょうか、プロデューサーちゃま、あまり嬉しそうになさっていませんでしたわ……」
幸子「きっと、あまりに嬉しすぎて、言葉を失っているんですよ!馬鹿ですねぇ、カワイイボクを褒め称えることなんて、頑張ったなと、これからも頑張ろうな、幸子の一言だけで十分なのに!」
まゆ「……Pさん」
118: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 22:03:28.78 ID:4HuoO+Vo0
-屋上-
P「……」
P(よりによって、あの日にドーム公演だなんて……)
楓『プロデューサーさん!お願いです……どうか……』
卯月『これからも、ず~っと!よろしくお願いしますね!』
P(……ここまで、全力で突っ走ってきたが、結局は、決断しなければいけないんだ……俺は……)
P「……あぁ、くそ!俺は一体どうすれば良いんだ!」ガン
卯月「……プロデューサー、さん?」
P「!あ、あぁ、卯月。どうしたんだ?」
卯月「はい!これから、そのドーム公演のお祝いに、事務所内でプチパーティを開くことになって!それで……」
P「そうか、すぐ行くよ」
卯月「……あの、プロデューサー、さん」
P「ん?」
卯月「私……怖いんです」
P「……」
P(よりによって、あの日にドーム公演だなんて……)
楓『プロデューサーさん!お願いです……どうか……』
卯月『これからも、ず~っと!よろしくお願いしますね!』
P(……ここまで、全力で突っ走ってきたが、結局は、決断しなければいけないんだ……俺は……)
P「……あぁ、くそ!俺は一体どうすれば良いんだ!」ガン
卯月「……プロデューサー、さん?」
P「!あ、あぁ、卯月。どうしたんだ?」
卯月「はい!これから、そのドーム公演のお祝いに、事務所内でプチパーティを開くことになって!それで……」
P「そうか、すぐ行くよ」
卯月「……あの、プロデューサー、さん」
P「ん?」
卯月「私……怖いんです」
120: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 22:16:45.90 ID:4HuoO+Vo0
卯月「こうして、普通の女子高生だった私が、アイドルになって、ファンが出来て、ライブをして、テレビにも出て……」
卯月「今でも、たまに街頭で私自身のポスターを見つけて、知らない人が映ってるような、そんな気持ちになることがあります……」
P「……卯月」
卯月「でも、何より怖いのは。こうしてアイドルとして知名度が上がるごとに、プロデューサーが遠くに行ってしまうような気がして……」
P「……!」
卯月「私は、昔はよくプロデューサーさんに怒られましたよね」
卯月「へらへらするな、なんでそんなこともできないんだ、なんで俺がお前なんかをって……」
P(……それは)
卯月「あの時のプロデューサーさん、実は、すっごく怖かった、です……」
卯月「でも、今はそんなことありません!!それは、たまに厳しく𠮟られちゃうこともありますけど、すっごく優しくて私たちのこと大事にしてくれてるのがわかって……」ジワ
卯月「あ、あれ……ごめんなさい、何だか、えへへ……」ポロポロ
P(……)
卯月「プロデューサーさん!私、プロデューサーさんと一緒なら、どんなに険しい道だって頑張れます!だから!」
卯月「私と一緒に、頑張りましょう!大好きです!!!プロデューサーさん!」パァ
P「へっ!?」
卯月「えへへ」カァ
バタン……
P(……あー、くそ、今のは、ズルいぞ……そういう意味じゃないってのは、分かってるのに)ヘナヘナ
P(あれだけ、笑顔を見せなかった卯月が、今は、ミリオンスマイル、何て言われるくらい笑顔が代名詞のアイドルになった)
P(だって、こんな反則級に可愛い笑顔、普通のアイドルには……できないだろ)
P「……」
卯月「今でも、たまに街頭で私自身のポスターを見つけて、知らない人が映ってるような、そんな気持ちになることがあります……」
P「……卯月」
卯月「でも、何より怖いのは。こうしてアイドルとして知名度が上がるごとに、プロデューサーが遠くに行ってしまうような気がして……」
P「……!」
卯月「私は、昔はよくプロデューサーさんに怒られましたよね」
卯月「へらへらするな、なんでそんなこともできないんだ、なんで俺がお前なんかをって……」
P(……それは)
卯月「あの時のプロデューサーさん、実は、すっごく怖かった、です……」
卯月「でも、今はそんなことありません!!それは、たまに厳しく𠮟られちゃうこともありますけど、すっごく優しくて私たちのこと大事にしてくれてるのがわかって……」ジワ
卯月「あ、あれ……ごめんなさい、何だか、えへへ……」ポロポロ
P(……)
卯月「プロデューサーさん!私、プロデューサーさんと一緒なら、どんなに険しい道だって頑張れます!だから!」
卯月「私と一緒に、頑張りましょう!大好きです!!!プロデューサーさん!」パァ
P「へっ!?」
卯月「えへへ」カァ
バタン……
P(……あー、くそ、今のは、ズルいぞ……そういう意味じゃないってのは、分かってるのに)ヘナヘナ
P(あれだけ、笑顔を見せなかった卯月が、今は、ミリオンスマイル、何て言われるくらい笑顔が代名詞のアイドルになった)
P(だって、こんな反則級に可愛い笑顔、普通のアイドルには……できないだろ)
P「……」
121: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 22:26:51.43 ID:4HuoO+Vo0
-自宅(ドーム公演当日)-
チュンチュン
P「……ついに、来てしまった……」
P(だけど、答えは、出せていないままだ。俺は……)
ピンポーン!
P「ん?誰だ、こんな時間に……」
ガチャ
まゆ「はぁい!あなたのまゆですよぉ?プロデューサーさん♪」ニコ
P「ま、まゆ!?」
チュンチュン
P「……ついに、来てしまった……」
P(だけど、答えは、出せていないままだ。俺は……)
ピンポーン!
P「ん?誰だ、こんな時間に……」
ガチャ
まゆ「はぁい!あなたのまゆですよぉ?プロデューサーさん♪」ニコ
P「ま、まゆ!?」
122: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 22:32:17.84 ID:4HuoO+Vo0
P「どうしたんだ、まゆ。こんなに朝早く……やっぱり不安なのか?」
まゆ「はい……まゆは、とぉっても不安でしたよ?今日という日が来るのが……」
P「そうだな。でも、まゆなら大丈夫だ。今までだって……これからだって」
まゆ「……でも、そのこれからっていう時に、大切なPさんが居なければ、意味がないですよねぇ?」
P「え?何をいって」
バチィ!
P「…な!」
まゆ「……おやすみなさい、プロデューサーさん」
P(どうな……って…)
まゆ「はい……まゆは、とぉっても不安でしたよ?今日という日が来るのが……」
P「そうだな。でも、まゆなら大丈夫だ。今までだって……これからだって」
まゆ「……でも、そのこれからっていう時に、大切なPさんが居なければ、意味がないですよねぇ?」
P「え?何をいって」
バチィ!
P「…な!」
まゆ「……おやすみなさい、プロデューサーさん」
P(どうな……って…)
123: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 23:03:22.44 ID:4HuoO+Vo0
-???-
P(なんだ、ここ……暗い…な)
凛『へぇ、あんたが私のプロデューサー……まぁ、悪くないかな』
P(……凛!?)
加蓮『あ、アタシが可愛いって、馬鹿じゃん!?』
P(……これは)
美優『あの、あなたが名刺をくださって……その、行くあてなんてない私にも、ちゃんと道が……』
服部『これがラストチャンスね…今年こそ、貴方にかけてみるわ…』
P(……)
楓『本日6度目のカンパーイ!うふふ、あの、プロデューサー。私たちが出会った時のこと、覚えていますか?』
P『もちろん、おろえてますよ』ベロベーロ
P(これは!?)
楓『ふふ……私、あまり話すのが得意な方ではなくて……プロデューサーさんが一生懸命話しかけてくれるのに、ずっと黙ったまま車で移動してたりなんかしてましたね』
P『そういえば、そうれしたねぇ。今はこんなダジャレお姉さんなのに』
楓『まぁ!うふふ、ダジャレを言うのは、ダレジャ、なんて、うふふ……でも、こんな私でいられるのも、全部、全部……』
楓『あなたが居てくれるからですよ?プロデューサーさん』
P(なんだ、ここ……暗い…な)
凛『へぇ、あんたが私のプロデューサー……まぁ、悪くないかな』
P(……凛!?)
加蓮『あ、アタシが可愛いって、馬鹿じゃん!?』
P(……これは)
美優『あの、あなたが名刺をくださって……その、行くあてなんてない私にも、ちゃんと道が……』
服部『これがラストチャンスね…今年こそ、貴方にかけてみるわ…』
P(……)
楓『本日6度目のカンパーイ!うふふ、あの、プロデューサー。私たちが出会った時のこと、覚えていますか?』
P『もちろん、おろえてますよ』ベロベーロ
P(これは!?)
楓『ふふ……私、あまり話すのが得意な方ではなくて……プロデューサーさんが一生懸命話しかけてくれるのに、ずっと黙ったまま車で移動してたりなんかしてましたね』
P『そういえば、そうれしたねぇ。今はこんなダジャレお姉さんなのに』
楓『まぁ!うふふ、ダジャレを言うのは、ダレジャ、なんて、うふふ……でも、こんな私でいられるのも、全部、全部……』
楓『あなたが居てくれるからですよ?プロデューサーさん』
124: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 23:12:57.77 ID:4HuoO+Vo0
和久井『そうよ!ヒック、だから、私たちを置いて、勝手に結婚なんてしたら、絶対許さないわよ!』ブスー
服部『留美……目がマジね……でもそうよ、プロデューサーさん、あなたが居るから、今の私たちがいるの』
美優『Pさん、ずっとそばにいてくださいね?うふふ』ギュ
和久井『はぁ!?ちょ!?酔ってるからって、なななぁ!?』
ちひろ『はぁ、これはまた、一波乱ですねぇ』
---------
------
----
服部『留美……目がマジね……でもそうよ、プロデューサーさん、あなたが居るから、今の私たちがいるの』
美優『Pさん、ずっとそばにいてくださいね?うふふ』ギュ
和久井『はぁ!?ちょ!?酔ってるからって、なななぁ!?』
ちひろ『はぁ、これはまた、一波乱ですねぇ』
---------
------
----
125: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 23:17:14.03 ID:4HuoO+Vo0
-????-
P「……は!?」ガバ
まゆ「うふ、おはようございます。プロデューサーさん?」
P「……ま、まゆ!?これは一体……」
P(これは、目隠しに……なんだ、リボンのようなもので手足が縛られているのか!!?)
まゆ「すみません、プロデューサーさん。乱暴なことをしてしまって、痛くなかったですかぁ?まゆがなでなでしてあげますね、うふふ」スリスリ
P「!ま、まゆ!?……と、とりあえず、このヒモと、目隠しをはずしてくれ。今日は大切な……」
まゆ「それは、ダメですよぉ。だってそうしたら……プロデューサーは元の世界?に戻ってしまうんですよねぇ?」
P「…………え?」ゾク
P「……は!?」ガバ
まゆ「うふ、おはようございます。プロデューサーさん?」
P「……ま、まゆ!?これは一体……」
P(これは、目隠しに……なんだ、リボンのようなもので手足が縛られているのか!!?)
まゆ「すみません、プロデューサーさん。乱暴なことをしてしまって、痛くなかったですかぁ?まゆがなでなでしてあげますね、うふふ」スリスリ
P「!ま、まゆ!?……と、とりあえず、このヒモと、目隠しをはずしてくれ。今日は大切な……」
まゆ「それは、ダメですよぉ。だってそうしたら……プロデューサーは元の世界?に戻ってしまうんですよねぇ?」
P「…………え?」ゾク
130: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 23:45:21.78 ID:4HuoO+Vo0
まゆ「うふ、まゆはプロデューサーさんのことなら、なんでも知ってるんですよ?つい1年前から、急に人が変わったようになったことも、あの女と、何を話していたかも……」
P「!!?」
まゆ「こちらの世界に留まってくれると、そう思っていましたが……まだ悩んでいらっしゃるようでしたので、まゆが決めてあげますね?」
まゆ「Pさん、あなたはこの世界で、ず~っと、まゆのプロデューサーでいてください」
まゆ「まゆは、Pさんが居なくなった世界なんて、想像できないんです。灰色だった毎日が、色づいて、他愛ない会話も楽しくて、アイドルをしているこの時が、最高に幸せなんです……」
P「まゆ……」
まゆ「今日は、大切なライブがありますが……うふふ、一日のPさんに会えない損失より、一生この世界にPさんが居てくれることの方がよっぽど大事ですから」
P「……」
PIPIPIPIPI!ピ!
まゆ「……Pさんの携帯の電源は切っておきます。それから、これは、私が預かっておきますね♪」
まゆ「ライブまでしばらくありますから、それまで、二人だけの時間を味わいましょうか、うふふ」ギュウ、スリスリ
P「……まゆ」
P「!!?」
まゆ「こちらの世界に留まってくれると、そう思っていましたが……まだ悩んでいらっしゃるようでしたので、まゆが決めてあげますね?」
まゆ「Pさん、あなたはこの世界で、ず~っと、まゆのプロデューサーでいてください」
まゆ「まゆは、Pさんが居なくなった世界なんて、想像できないんです。灰色だった毎日が、色づいて、他愛ない会話も楽しくて、アイドルをしているこの時が、最高に幸せなんです……」
P「まゆ……」
まゆ「今日は、大切なライブがありますが……うふふ、一日のPさんに会えない損失より、一生この世界にPさんが居てくれることの方がよっぽど大事ですから」
P「……」
PIPIPIPIPI!ピ!
まゆ「……Pさんの携帯の電源は切っておきます。それから、これは、私が預かっておきますね♪」
まゆ「ライブまでしばらくありますから、それまで、二人だけの時間を味わいましょうか、うふふ」ギュウ、スリスリ
P「……まゆ」
131: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 23:55:57.81 ID:4HuoO+Vo0
まゆ「……そろそろ、リハーサルが始まる時間ですね……」
P「!まゆ、俺も……」
まゆ「ダーメ♪今日は一日ここで大人しくしていてください。そうすれば、明日からまたいつも通りの毎日がまっていますから、ね?」チョン
P「……」
まゆ「うふふ、Pさん。では、行ってきます。あ、逃げ出そうだなんて、思わないでくださいね。ちゃーんと、まゆは見てますから……」
P「むぐ!?」(なんだ、これは、口が……)
まゆ「うふふ、では、良い子にしててくださいね?」
ぎぃ……バタン
P「……むぐぅ……」
P「!まゆ、俺も……」
まゆ「ダーメ♪今日は一日ここで大人しくしていてください。そうすれば、明日からまたいつも通りの毎日がまっていますから、ね?」チョン
P「……」
まゆ「うふふ、Pさん。では、行ってきます。あ、逃げ出そうだなんて、思わないでくださいね。ちゃーんと、まゆは見てますから……」
P「むぐ!?」(なんだ、これは、口が……)
まゆ「うふふ、では、良い子にしててくださいね?」
ぎぃ……バタン
P「……むぐぅ……」
133: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 00:05:27.86 ID:NA/m7tyB0
-ドーム-
卯月「……ダメです、プロデューサーさんの携帯電話に繋がりません」
幸子「全く!こんな大切な日に、遅刻をするだなんて、本当に困ったプロデューサーさんですねぇ!まぁ、カワイイボクの晴れ舞台なので、緊張して眠れなかった気持ちもわからなくはないですが!」
桃華「……!あれは」
まゆ「すみません、遅れちゃいました~!」タタタ
幸子「まゆさん!……と、あれ、プロデューサーさんは一緒ではなかったんですか?」
まゆ「……Pさんですか?いえ、私とは一緒に「来なかった」ですね」
卯月「そうなんですか……」
桃華「Pちゃま……」
まゆ「皆さん、落ち着いてください。たとえ、今日一日プロデューサーさんが来なかったとしても、これからずっと会えないわけじゃないんですから」
幸子「え?そ、それはそうですけど……」
まゆ「寧ろ、まゆたちだけで、今日のドーム講演を成功させて、プロデューサーさんをビックリさせちゃいましょうよ♪」
卯月「まゆちゃん……うん!そうですね!頑張りましょう!」
桃華「そうですわね……1日くらいなら……」
まゆ「うふふ」
卯月「……ダメです、プロデューサーさんの携帯電話に繋がりません」
幸子「全く!こんな大切な日に、遅刻をするだなんて、本当に困ったプロデューサーさんですねぇ!まぁ、カワイイボクの晴れ舞台なので、緊張して眠れなかった気持ちもわからなくはないですが!」
桃華「……!あれは」
まゆ「すみません、遅れちゃいました~!」タタタ
幸子「まゆさん!……と、あれ、プロデューサーさんは一緒ではなかったんですか?」
まゆ「……Pさんですか?いえ、私とは一緒に「来なかった」ですね」
卯月「そうなんですか……」
桃華「Pちゃま……」
まゆ「皆さん、落ち着いてください。たとえ、今日一日プロデューサーさんが来なかったとしても、これからずっと会えないわけじゃないんですから」
幸子「え?そ、それはそうですけど……」
まゆ「寧ろ、まゆたちだけで、今日のドーム講演を成功させて、プロデューサーさんをビックリさせちゃいましょうよ♪」
卯月「まゆちゃん……うん!そうですね!頑張りましょう!」
桃華「そうですわね……1日くらいなら……」
まゆ「うふふ」
138: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 00:24:26.87 ID:NA/m7tyB0
-???-
カッチ……カッチ……
P「ぷはぁ!はぁ、はぁ」
P「どうにか、拘束は外せたな……」
P(あまり……厳しい拘束はされていなかったな……それに、ここは……まゆの部屋か?最悪、窓から脱出できそうだ)
P(まゆは、そこまで本気で俺を拘束しようとしていなかったのか……?)
P(……)
P(もうすぐ、17時、か。後は……)
カッチ……カッチ……
P「ぷはぁ!はぁ、はぁ」
P「どうにか、拘束は外せたな……」
P(あまり……厳しい拘束はされていなかったな……それに、ここは……まゆの部屋か?最悪、窓から脱出できそうだ)
P(まゆは、そこまで本気で俺を拘束しようとしていなかったのか……?)
P(……)
P(もうすぐ、17時、か。後は……)
139: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 00:31:35.69 ID:NA/m7tyB0
-ドーム(舞台裏)-
ドワアアアアアアアアア!!!
まゆ「……」カタカタ
幸子「さ、流石に、こんなにすごいファンを前にして歌うのは、か、カワイイボクといえど、初めてですね!!」ガタガタ
卯月「す、すごい熱気です!?会場全体が震えていて、私たちの話し声まで、消えてしまいそう……」
桃華「……いつも通り、精いっぱい楽しむのですわ。皆さん……!」
まゆ(あ、ああ、Pさん、Pさん、待っていてくださいね、今日、一日、乗り越えたら、まゆたちの……)
ワアアアアアアアアアアアアアアア!!!
まゆ「!!」キュ!
まゆ(でも、怖いです……Pさん……)
ドワアアアアアアアアア!!!
まゆ「……」カタカタ
幸子「さ、流石に、こんなにすごいファンを前にして歌うのは、か、カワイイボクといえど、初めてですね!!」ガタガタ
卯月「す、すごい熱気です!?会場全体が震えていて、私たちの話し声まで、消えてしまいそう……」
桃華「……いつも通り、精いっぱい楽しむのですわ。皆さん……!」
まゆ(あ、ああ、Pさん、Pさん、待っていてくださいね、今日、一日、乗り越えたら、まゆたちの……)
ワアアアアアアアアアアアアアアア!!!
まゆ「!!」キュ!
まゆ(でも、怖いです……Pさん……)
140: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 00:32:02.08 ID:NA/m7tyB0
P「まゆ、目を瞑ってたら折角のステージが見えないだろ」
まゆ「……え?」
まゆ「……え?」
141: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 00:45:49.93 ID:NA/m7tyB0
P「それに、どうしたんだ、これだけ笑顔の似合うアイドルがそろっているのに、暗い顔なんてしてたら、ファンが悲しむぞ」
卯月・幸子・桃華「プロデューサーさん(ちゃま)!!」
幸子「お、遅いですよ、ぷ、プロデューサ~~!!心配したんですから!!」
桃華「もう!もう!わたくし、心細かったのに!」
P「すまん、みんな、ちょっと遅れた……」
まゆ「ど、どうしてここに!?」
P「お前たちのプロデューサーなんだから、当たりまえだろ。それよりも……」
P「みんな、夢にまで見たドーム公演だ!今日の日のために、厳しいレッスンを受けて、忙しい仕事もこなしてきたんだ。だったら、やることは一つ!」
P「楽しんで来い!お前たちのカワイイを、ドーム中のみんなに見せつけてやれ!!」
4人「はい!!」
P(4人がステージに向かって走り出す、最後の、まゆがこちらを向いて不安げな目をしていたが、俺は、それにサムズアップで答えてやると)
まゆ「っ!……」ッポ
P(まゆは幸せそうに頬に手を当てて、そのままステージに登って行った)
P(そうだ、これで良かったんだ。これで……)
卯月・幸子・桃華「プロデューサーさん(ちゃま)!!」
幸子「お、遅いですよ、ぷ、プロデューサ~~!!心配したんですから!!」
桃華「もう!もう!わたくし、心細かったのに!」
P「すまん、みんな、ちょっと遅れた……」
まゆ「ど、どうしてここに!?」
P「お前たちのプロデューサーなんだから、当たりまえだろ。それよりも……」
P「みんな、夢にまで見たドーム公演だ!今日の日のために、厳しいレッスンを受けて、忙しい仕事もこなしてきたんだ。だったら、やることは一つ!」
P「楽しんで来い!お前たちのカワイイを、ドーム中のみんなに見せつけてやれ!!」
4人「はい!!」
P(4人がステージに向かって走り出す、最後の、まゆがこちらを向いて不安げな目をしていたが、俺は、それにサムズアップで答えてやると)
まゆ「っ!……」ッポ
P(まゆは幸せそうに頬に手を当てて、そのままステージに登って行った)
P(そうだ、これで良かったんだ。これで……)
142: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 01:31:09.45 ID:NA/m7tyB0
-ドーム外(夜)-
P(終わった……)
P「……」
卯月「プロデューサーさん!」
桃華「もう、こんなところに居ては、風邪を引いてしまいますわよ?」トテトテ
P「あぁ……そうだな。すまん」
幸子「フフーン。まぁ、あの大歓声の中にいたんですから、終わってから急に寂しくなってしまう気持ちもわかります……でも!ここは、もっと頑張ったカワイイボクを褒めて可愛がるべきところですよ!」チラチラ
まゆ「……」
P「あぁ、お前たちは俺の誇りだ……」
卯月「……プロデューサーさん?」
P(時刻は、夜の10時……楓さんに指定された時間はとっくに過ぎてしまっている)
P(俺は、ずっとこの世界で生きていく、か……)
P(終わった……)
P「……」
卯月「プロデューサーさん!」
桃華「もう、こんなところに居ては、風邪を引いてしまいますわよ?」トテトテ
P「あぁ……そうだな。すまん」
幸子「フフーン。まぁ、あの大歓声の中にいたんですから、終わってから急に寂しくなってしまう気持ちもわかります……でも!ここは、もっと頑張ったカワイイボクを褒めて可愛がるべきところですよ!」チラチラ
まゆ「……」
P「あぁ、お前たちは俺の誇りだ……」
卯月「……プロデューサーさん?」
P(時刻は、夜の10時……楓さんに指定された時間はとっくに過ぎてしまっている)
P(俺は、ずっとこの世界で生きていく、か……)
143: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 01:40:09.18 ID:NA/m7tyB0
桃華「……もう!プロデューサーちゃま!何を全てが終わった~という顔をしているんですの!」
P「え?」
幸子「そうですよ!ボクたちにはまだドームの単独公演、次いで、世界デビューという超絶カワイイ未来が待っているんですよ!!」
卯月「プロデューサーさん!私、まだまだ、頑張ります!」
まゆ「Pさん。私、なんでもします。Pさんのためなら、なんでも……」
P「……お前たち……」
?『中々帰ってきませんね……』
?『……ふむぅ……ならもう無理やりきてもらうのでして~』
P「……へ?」
P「え?」
幸子「そうですよ!ボクたちにはまだドームの単独公演、次いで、世界デビューという超絶カワイイ未来が待っているんですよ!!」
卯月「プロデューサーさん!私、まだまだ、頑張ります!」
まゆ「Pさん。私、なんでもします。Pさんのためなら、なんでも……」
P「……お前たち……」
?『中々帰ってきませんね……』
?『……ふむぅ……ならもう無理やりきてもらうのでして~』
P「……へ?」
144: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 01:43:17.96 ID:NA/m7tyB0
ブォン
ズゾゾゾゾゾ!!!
P「な、なんだー!?黒い渦みたいなものが現れて俺を!!?吸い込まれる!!」ズゾゾゾッゾ
桃華「Pちゃま!?」ガシ
まゆ「Pさん!」
幸子「か、カワイイボクに新手のドッキリですか~!!!?」ガシ
卯月「プロデューサーさん!!」ガシ
P「う、うおおおおおおお!??」グニョングニョン!
ズゾゾゾゾゾ!!!
P「な、なんだー!?黒い渦みたいなものが現れて俺を!!?吸い込まれる!!」ズゾゾゾッゾ
桃華「Pちゃま!?」ガシ
まゆ「Pさん!」
幸子「か、カワイイボクに新手のドッキリですか~!!!?」ガシ
卯月「プロデューサーさん!!」ガシ
P「う、うおおおおおおお!??」グニョングニョン!
145: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 02:01:38.69 ID:NA/m7tyB0
P「うわあああ!!?」ガバ
凛「!!ぷ、プロデューサー!」
P「はぁ、はぁ……凛?」
美優「Pさん!Pさぁぁん!!」ガバ
P「え!?うわ!、ちょっと、みんな、落ち着け……」
加蓮「Pさん……良かった……」
ライラ「ふぅ、おかげで助かったでございますです」ペコリ
謎の少女「いえいえ~困ったときは、お互い様なのでして~」
凛「!!ぷ、プロデューサー!」
P「はぁ、はぁ……凛?」
美優「Pさん!Pさぁぁん!!」ガバ
P「え!?うわ!、ちょっと、みんな、落ち着け……」
加蓮「Pさん……良かった……」
ライラ「ふぅ、おかげで助かったでございますです」ペコリ
謎の少女「いえいえ~困ったときは、お互い様なのでして~」
146: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 02:10:58.63 ID:NA/m7tyB0
P「……そうか、俺は、戻って、来たのか……」
楓「はい!でも、私との約束、破りましたね?」ジトー
P「え!?えっとそれは……は、ははは」
P(……でも、そうなると卯月たちは……)
謎の少女「む……」
周子「?どっかしたの~」
謎の少女「いえ、どうやら、こちらの世界に連れ戻した時に……手違いがあったようでして~」
楓「はい!でも、私との約束、破りましたね?」ジトー
P「え!?えっとそれは……は、ははは」
P(……でも、そうなると卯月たちは……)
謎の少女「む……」
周子「?どっかしたの~」
謎の少女「いえ、どうやら、こちらの世界に連れ戻した時に……手違いがあったようでして~」
148: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 02:26:14.52 ID:NA/m7tyB0
-事務所(後日)-
P(あの事件から、数日……)
卯月「おはようございます!!」
凛「おはよう、卯月」
卯月「あ!おはよう!凛ちゃん!」
P「まさか、彼女たちの魂までこちらの世界に来てしまうとは……」
P(あの事件から、数日……)
卯月「おはようございます!!」
凛「おはよう、卯月」
卯月「あ!おはよう!凛ちゃん!」
P「まさか、彼女たちの魂までこちらの世界に来てしまうとは……」
149: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 02:42:54.97 ID:NA/m7tyB0
P(あの、日本昔話に出てきそうな謎の少女を通じて、あの世界に来てしまったことをキュートアイドル4人にも話した)
幸子「ちょ、ちょっと周子さん!加蓮さん!どうしてボクのピコピコした愛らしい横髪をいじっているんですか~!!?」
周子「いやぁ、なんか可愛くって」ピコン
加蓮「そうそう、戻しても跳ねてくるんだ~カワイイカワイイ」ピコン
幸子「そ、そうですか?ふふん!まぁなら仕方がないでしょう!ボクはカワイイので!!」ドヤーン
周子・加蓮(これは良い感じのおも、アイドルがきてくれたな~)
幸子「ちょ、ちょっと周子さん!加蓮さん!どうしてボクのピコピコした愛らしい横髪をいじっているんですか~!!?」
周子「いやぁ、なんか可愛くって」ピコン
加蓮「そうそう、戻しても跳ねてくるんだ~カワイイカワイイ」ピコン
幸子「そ、そうですか?ふふん!まぁなら仕方がないでしょう!ボクはカワイイので!!」ドヤーン
周子・加蓮(これは良い感じのおも、アイドルがきてくれたな~)
150: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 02:44:16.82 ID:NA/m7tyB0
桃華「あら、美優さん。そのような紅茶の淹れ方ではいけませんわ」
美優「え?」
桃華「お茶の葉が十分開くには、もう少し、時間がかかるものですわ。わたくしがお手本をおみせしてあげます」
美優「ありがとうございます。桃華ちゃん詳しいんですね」
桃華「これでも、ずっとPちゃまのお茶を淹れていたのはわたくしですもの。それに、この世界につれてこられた責任をPちゃまに取ってもらいませんと、それは即ち……うふふ♪」
和久井「」ピク
服部「」ピクピク
ライラ「美味しいでございますですね~」ゴクゴク
奈緒「な、なぁ。う、うまいなぁ」
奈緒(こえ~、子供相手にも容赦しない大人超こえーー!)
美優「え?」
桃華「お茶の葉が十分開くには、もう少し、時間がかかるものですわ。わたくしがお手本をおみせしてあげます」
美優「ありがとうございます。桃華ちゃん詳しいんですね」
桃華「これでも、ずっとPちゃまのお茶を淹れていたのはわたくしですもの。それに、この世界につれてこられた責任をPちゃまに取ってもらいませんと、それは即ち……うふふ♪」
和久井「」ピク
服部「」ピクピク
ライラ「美味しいでございますですね~」ゴクゴク
奈緒「な、なぁ。う、うまいなぁ」
奈緒(こえ~、子供相手にも容赦しない大人超こえーー!)
151: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 02:49:41.22 ID:NA/m7tyB0
P(彼女たちは、意外にも元の世界に戻ることを拒否した。折角向こうでは有名アイドルという地位にいたというの、また俺と1からやり直すと、そういったのだ)
P(それに、今の彼女たちは俺の時とは違い、魂が同化して云々で、こちらで暮らしていたときの記憶もきちんと残っているらしい……まぁ、彼女たちが納得しているのなら、俺が言えることは何もない……か)
ガチャ
まゆ「うふ、おはようございます。プロデューサーさん♪あなたのまゆですよ~」
凛「」ピク
凛「ねぇ、まゆ、前から思ってたけどそのあなたのまゆって何なの?」
まゆ「そのままの意味ですよ?まゆの魂は、プロデューサーと契約したようなものですから♪」
凛「ふ~ん。ま、刹那で忘れちゃっただろうけどね」
まゆ「うふふ……あの時プロデューサーが買ってきた花……多分あれはあなたの……うふふふ」
ゴゴゴゴゴ……
ちひろ(ひえぇ、プロデューサーさんは、一体向こうでナニをやってたんですかぁ!?)カタカタ
P(それに、今の彼女たちは俺の時とは違い、魂が同化して云々で、こちらで暮らしていたときの記憶もきちんと残っているらしい……まぁ、彼女たちが納得しているのなら、俺が言えることは何もない……か)
ガチャ
まゆ「うふ、おはようございます。プロデューサーさん♪あなたのまゆですよ~」
凛「」ピク
凛「ねぇ、まゆ、前から思ってたけどそのあなたのまゆって何なの?」
まゆ「そのままの意味ですよ?まゆの魂は、プロデューサーと契約したようなものですから♪」
凛「ふ~ん。ま、刹那で忘れちゃっただろうけどね」
まゆ「うふふ……あの時プロデューサーが買ってきた花……多分あれはあなたの……うふふふ」
ゴゴゴゴゴ……
ちひろ(ひえぇ、プロデューサーさんは、一体向こうでナニをやってたんですかぁ!?)カタカタ
152: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 02:54:58.60 ID:NA/m7tyB0
P「さて!そろそろ行くか!」
卯月「はい!プロデューサーさん!」
幸子「今日のお仕事はなんですか?武道館でカワイイボクとのトークショーとかですかぁ!?」
P「何を言ってるんだ」
P「商店街のマスコットにきまってるだろ?」
モバP「いつの間にか、キュートアイドルのプロデューサーになっていた件」 おわり
卯月「はい!プロデューサーさん!」
幸子「今日のお仕事はなんですか?武道館でカワイイボクとのトークショーとかですかぁ!?」
P「何を言ってるんだ」
P「商店街のマスコットにきまってるだろ?」
モバP「いつの間にか、キュートアイドルのプロデューサーになっていた件」 おわり
153: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 02:55:20.32 ID:ljFoc2PfO
Pの場合は魂のみだがあちらの世界の四人は肉体と共に来ちゃったってこと?
そうなるとあっちの世界の四人の家族とか行方不明で捜索願い出されるな…
そうなるとあっちの世界の四人の家族とか行方不明で捜索願い出されるな…
154: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 03:07:38.90 ID:RvZk0Bkk0
お疲れ様
ご都合展開嫌いじゃないし好きだよ
ご都合展開嫌いじゃないし好きだよ
155: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 03:56:04.78 ID:SYZJ+/hd0
おつ、やっぱりアイドルには笑顔が一番だな!
謎の少女、一体誰のんなんだ……
謎の少女、一体誰のんなんだ……
163: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/15(火) 18:09:43.69 ID:NA/m7tyB0
ご精読ありがとうございました。
お察しの方もいましたが、1年前に書いたssの設定を一部使っております
【人助け編】モバP「人助けしてたら大変なことになった」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1472135237/
前、クール橘ルートも書いてたんですが、そっちはエタってしまいました……
後この辺も書いたことあるので、良ければご覧になってください。
提督「艦娘に高速修復材を使ってあげたら大変なことになった」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468945892/
お察しの方もいましたが、1年前に書いたssの設定を一部使っております
【人助け編】モバP「人助けしてたら大変なことになった」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1472135237/
前、クール橘ルートも書いてたんですが、そっちはエタってしまいました……
後この辺も書いたことあるので、良ければご覧になってください。
提督「艦娘に高速修復材を使ってあげたら大変なことになった」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468945892/
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1502293365/
Entry ⇒ 2017.10.31 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
ことり「穂乃果ちゃんの部屋から5年物のおにぎりが出てきた」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 01:10:26.57 ID:L6mIiv0/0
ことり「え。なにこれ。コンビニのおにぎりの袋の中に真っ黒い何かが詰まってる」
ことり「……うわ。凄い臭い」
穂乃果「ことりちゃんお待たせ! ジュースとお菓子持ってきたよ!」
ことり「ほのかちゃん。これなに?」
穂乃果「え? あー。おにぎり……だね」
ことり「中身が真っ黒だけど……」
穂乃果「賞味期限……2012年だね」
ことり「5年前……なんだね」
穂乃果「よくある事だよ」
ことり「よくはある事じゃ……ないと思うけど……」
ことり「……うわ。凄い臭い」
穂乃果「ことりちゃんお待たせ! ジュースとお菓子持ってきたよ!」
ことり「ほのかちゃん。これなに?」
穂乃果「え? あー。おにぎり……だね」
ことり「中身が真っ黒だけど……」
穂乃果「賞味期限……2012年だね」
ことり「5年前……なんだね」
穂乃果「よくある事だよ」
ことり「よくはある事じゃ……ないと思うけど……」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 01:10:52.76 ID:L6mIiv0/0
ことり「なんでこんな事に……?」
穂乃果「んー? これどこで見つけたの?」
ことり「ベットの下だけど……」
穂乃果「なぜベットの下を……」
ことり「えっ!? いや、それは〜」
穂乃果「あっ、ふーん(察し)」
穂乃果「んー? これどこで見つけたの?」
ことり「ベットの下だけど……」
穂乃果「なぜベットの下を……」
ことり「えっ!? いや、それは〜」
穂乃果「あっ、ふーん(察し)」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 01:11:18.97 ID:L6mIiv0/0
ことり「とにかく、これ見つけたの花陽ちゃんじゃなくて良かったね?」
穂乃果「大丈夫。よくある事だから」
ことり(もしかして穂乃果ちゃんはアホなのかな?)
穂乃果「なんか探せば他にもありそう」
ことり「開けてはならないパンドラの箱のような……」
穂乃果「ん? あーっ!? 半年ぐらい前に行った内浦三津シーパラダイスのクッキー!」
ことり「えっ」
穂乃果「うわー! 懐かしいなー! 賞味期限は……後4日後! うんうんセーフセーフ!」
ことり「うわ」
穂乃果「大丈夫。よくある事だから」
ことり(もしかして穂乃果ちゃんはアホなのかな?)
穂乃果「なんか探せば他にもありそう」
ことり「開けてはならないパンドラの箱のような……」
穂乃果「ん? あーっ!? 半年ぐらい前に行った内浦三津シーパラダイスのクッキー!」
ことり「えっ」
穂乃果「うわー! 懐かしいなー! 賞味期限は……後4日後! うんうんセーフセーフ!」
ことり「うわ」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 01:11:44.76 ID:L6mIiv0/0
穂乃果「せっかくだから食べよー」
穂乃果「味は……うわ。もそもそしてる」
ことり「それは保存状態悪すぎだからじゃないのかな?」
穂乃果「えー? 私悪いの? これ三津シーに訴えるレベルだよw」
ことり「100%穂乃果ちゃんが悪いと思うけど……」
穂乃果「まずいけどなーw」
※本当は美味しいです。皆さんも保存状態よく早めに食べましょう。少なくともベットの下はダメです
穂乃果「味は……うわ。もそもそしてる」
ことり「それは保存状態悪すぎだからじゃないのかな?」
穂乃果「えー? 私悪いの? これ三津シーに訴えるレベルだよw」
ことり「100%穂乃果ちゃんが悪いと思うけど……」
穂乃果「まずいけどなーw」
※本当は美味しいです。皆さんも保存状態よく早めに食べましょう。少なくともベットの下はダメです
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 01:12:11.88 ID:L6mIiv0/0
ことり「ちょっと穂乃果ちゃんがわからなくなってきた。流石に部屋汚すぎない?」
穂乃果「えー? そんな事ないよ。それにことりちゃんだって部屋汚いでしょ」
ことり「む、昔の話だよっ!?」
穂乃果「えー? 精液拭かないカーペットが腐り落ちてる状態の部屋なんて穂乃果の部屋よりマシだよ」
ことり「前の部屋だからねっ!? 今めっちゃ綺麗だからね?!」
穂乃果「やー。流石に客来てる時にベットの脇にオナホ落ちてるのはNGでしょ」
ことり「それを言ったら穂乃果ちゃんだって!!!」
穂乃果「えー? そんな事ないよ。それにことりちゃんだって部屋汚いでしょ」
ことり「む、昔の話だよっ!?」
穂乃果「えー? 精液拭かないカーペットが腐り落ちてる状態の部屋なんて穂乃果の部屋よりマシだよ」
ことり「前の部屋だからねっ!? 今めっちゃ綺麗だからね?!」
穂乃果「やー。流石に客来てる時にベットの脇にオナホ落ちてるのはNGでしょ」
ことり「それを言ったら穂乃果ちゃんだって!!!」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 01:12:52.43 ID:L6mIiv0/0
ワーワーギャーギャー!!!
園田海未「」
園田海未「」
園田海未「2人とも、正座」
捻りのない園田海未オチ。お粗末。
園田海未「」
園田海未「」
園田海未「2人とも、正座」
捻りのない園田海未オチ。お粗末。
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 02:11:05.66 ID:vwKA2P+wO
ヒドイw
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1509207026/
Entry ⇒ 2017.10.31 | Category ⇒ ラブライブ | Comments (0)
武内P「さいきっく・おいろけビーム」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 22:10:56.03 ID:oA1sTNFfo
卯月「!?」
未央「と、突然どうしたのプロデューサー?」
武内P「! す、すみません。声に出てしまっていたとは」
凛「ふーん、コレ、セクシーギルティのmv?」
武内P「はい。今後の話ではありますが、こういった方向性も視野に入れておこう、と」
未央「おおっ! これは、CPのセクシー担当の私の出番かな!?」
卯月「!?……!?」
凛「馬鹿な事言ってないで……って、どうしたの卯月?」
卯月「はいっ!? な、何でもありませんよ!?」
一同「……?」
未央「と、突然どうしたのプロデューサー?」
武内P「! す、すみません。声に出てしまっていたとは」
凛「ふーん、コレ、セクシーギルティのmv?」
武内P「はい。今後の話ではありますが、こういった方向性も視野に入れておこう、と」
未央「おおっ! これは、CPのセクシー担当の私の出番かな!?」
卯月「!?……!?」
凛「馬鹿な事言ってないで……って、どうしたの卯月?」
卯月「はいっ!? な、何でもありませんよ!?」
一同「……?」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 22:16:17.85 ID:oA1sTNFfo
凛「何でもないって、明らかに様子が変だよ」
卯月「そ、そんな事ないですよ!?」
未央「いいや、明らかにおかしい」
卯月「だ、だからその……ええと……!」
武内P「! 申し訳ありません、島村さん」
卯月「へっ!?」
武内P「島村さん達ニュージェネレーションズをセクシー路線に、という話ではありません」
卯月「は、はぁ」
武内P「CP内で、セクシー路線が可能なメンバーかを慎重に判断し――」
凛「? ねえ、何か上着のポケットからはみだしてるよ」
武内P「はい?」
未央「うん。さっきまで、そんなピンクの出てなかったよね」
卯月「!!?」
卯月「そ、そんな事ないですよ!?」
未央「いいや、明らかにおかしい」
卯月「だ、だからその……ええと……!」
武内P「! 申し訳ありません、島村さん」
卯月「へっ!?」
武内P「島村さん達ニュージェネレーションズをセクシー路線に、という話ではありません」
卯月「は、はぁ」
武内P「CP内で、セクシー路線が可能なメンバーかを慎重に判断し――」
凛「? ねえ、何か上着のポケットからはみだしてるよ」
武内P「はい?」
未央「うん。さっきまで、そんなピンクの出てなかったよね」
卯月「!!?」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 22:19:16.90 ID:oA1sTNFfo
卯月「あ、あの……!」
武内P「何でしょう、私にも見覚えがありません」
未央「何なんだろう、それ」
凛「見てみればすぐにわかるよ」
武内P「それもそうですね」
卯月「あのっ!!」
一同「!?」
卯月「多分、それ……」
卯月「……」
卯月「私の……ぱ、パンツだと思います……」
武内P「何でしょう、私にも見覚えがありません」
未央「何なんだろう、それ」
凛「見てみればすぐにわかるよ」
武内P「それもそうですね」
卯月「あのっ!!」
一同「!?」
卯月「多分、それ……」
卯月「……」
卯月「私の……ぱ、パンツだと思います……」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 22:25:41.44 ID:oA1sTNFfo
一同「……」
未央「いやいやいや! しまむー、それはさすがに!」
凛「そうだね。もし、本当だとしたら……プロデューサー?」
武内P「違います! お二人とも……島村さんも冗談はやめてください!」
未央「だよねー。本当だとしたらとんでもないスキャンダルだよ」
凛「ふふ、そんなに焦ることないのに。冗談だよ、冗談」
武内P「……はぁ」
卯月「……いえ、多分、本当に私のパンツです」
武内P「……島村さん?」
卯月「私の……パンツなんです」
未央「いやいやいや! しまむー、それはさすがに!」
凛「そうだね。もし、本当だとしたら……プロデューサー?」
武内P「違います! お二人とも……島村さんも冗談はやめてください!」
未央「だよねー。本当だとしたらとんでもないスキャンダルだよ」
凛「ふふ、そんなに焦ることないのに。冗談だよ、冗談」
武内P「……はぁ」
卯月「……いえ、多分、本当に私のパンツです」
武内P「……島村さん?」
卯月「私の……パンツなんです」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 22:31:08.04 ID:oA1sTNFfo
武内P「島村さん……その……」
未央「ま、まあまあ! 実際に見てみればわかるでしょ!」
凛「そうだね。卯月、冗談も程々にしないと駄目だよ」
卯月「なら、せめて! せめて、確認は未央ちゃんか凛ちゃんがお願いします!」
武内P「はあ……では、お願いします、渋谷さん」
凛「良いよ。卯月がどうしてこんなに必死なのかわからないけど、これが――」
スルッ
凛「パン……ツ……」
武内P「!?」
未央「……ピンクのフリフリだね」
卯月「~~~っ///」
武内P「……」
武内P「!!?」
未央「ま、まあまあ! 実際に見てみればわかるでしょ!」
凛「そうだね。卯月、冗談も程々にしないと駄目だよ」
卯月「なら、せめて! せめて、確認は未央ちゃんか凛ちゃんがお願いします!」
武内P「はあ……では、お願いします、渋谷さん」
凛「良いよ。卯月がどうしてこんなに必死なのかわからないけど、これが――」
スルッ
凛「パン……ツ……」
武内P「!?」
未央「……ピンクのフリフリだね」
卯月「~~~っ///」
武内P「……」
武内P「!!?」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 22:35:28.57 ID:oA1sTNFfo
武内P「あの、これは……何故……!?」
未央「これは……どうしようこれ」
凛「まだあったかいんだけど」
武内P「ご、誤解です!」
未央「うんうん。安心してよプロデューサー」
凛「そうだね。さすがにコレが有り得ないってわかるよ」
武内P「本田さん、渋谷さん……」
未央「しぶりんはちひろさん呼んできて」
凛「わかった。未央は早苗さんをお願い」
武内P「!?」
未央「これは……どうしようこれ」
凛「まだあったかいんだけど」
武内P「ご、誤解です!」
未央「うんうん。安心してよプロデューサー」
凛「そうだね。さすがにコレが有り得ないってわかるよ」
武内P「本田さん、渋谷さん……」
未央「しぶりんはちひろさん呼んできて」
凛「わかった。未央は早苗さんをお願い」
武内P「!?」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 22:41:43.31 ID:oA1sTNFfo
武内P「お願いします! どうか話を!」
未央「大丈夫しまむー? 今まで辛かったね」
凛「卯月、気付いてあげられなくてゴメンね」
卯月「み、未央ちゃん? 凛ちゃん?」
卯月「え、えっと……多分、二人共誤解してます」
未央・凛「誤解?」
卯月「そ、そのパンツ……本当に、私がさっきまで履いてたやつなんです」
未央・凛「え?」
卯月「さっき、プロデューサーさんが『さいきっく・おいろけビーム』って言う直前まで……」
一同「……」
未央「大丈夫しまむー? 今まで辛かったね」
凛「卯月、気付いてあげられなくてゴメンね」
卯月「み、未央ちゃん? 凛ちゃん?」
卯月「え、えっと……多分、二人共誤解してます」
未央・凛「誤解?」
卯月「そ、そのパンツ……本当に、私がさっきまで履いてたやつなんです」
未央・凛「え?」
卯月「さっき、プロデューサーさんが『さいきっく・おいろけビーム』って言う直前まで……」
一同「……」
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 22:47:28.22 ID:oA1sTNFfo
未央「しまむー、プロデューサーを庇おうとしてるんだね」
凛「一人で抱え込まないで。だって私達……友達でしょ?」
卯月「と、とりあえずパンツを返してくれますか?///」
凛「あ、うん」
武内P「一体、何故こんな事に……」
未央「ちょっと待って。今、本当にしまむーはノーパンなの?」
卯月「は、はい」
凛「……ちょっと外に出てて。確認するから」
武内P「! わ、わかりました」
卯月「か、確認?」
未央「確認しないと、しまむーの言ってる事が本当かわからないもんね」
武内P「……すぐ外に居ますので、確認が出来次第声をかけてください」
ガチャッ……バタン
一同「……」
凛「一人で抱え込まないで。だって私達……友達でしょ?」
卯月「と、とりあえずパンツを返してくれますか?///」
凛「あ、うん」
武内P「一体、何故こんな事に……」
未央「ちょっと待って。今、本当にしまむーはノーパンなの?」
卯月「は、はい」
凛「……ちょっと外に出てて。確認するから」
武内P「! わ、わかりました」
卯月「か、確認?」
未央「確認しないと、しまむーの言ってる事が本当かわからないもんね」
武内P「……すぐ外に居ますので、確認が出来次第声をかけてください」
ガチャッ……バタン
一同「……」
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 22:52:50.43 ID:oA1sTNFfo
・ ・ ・
未央「――結論から言うと、本当にしまむーはノーパンだった」
卯月「うぅ、もうお嫁に行けません……!」
凛「大丈夫だよ。卯月なら、きっといい人が貰ってくれるから」
未央「でもねプロデューサー! 疑いが晴れたわけじゃないからね!?」
武内P「はい……それは、勿論……」
凛「卯月が言うには、『さいきっく・おいろけビーム』って言ってからなんだよね?」
卯月「は、はい」
卯月「プロデューサーさんがそう言ったら、突然その、す、スースーして……///」
未央「……それが本当かはわからない、と」
未央「……」
未央「なら、試しにもう一度やってみれば良いんじゃない?」
一同「!?」
未央「――結論から言うと、本当にしまむーはノーパンだった」
卯月「うぅ、もうお嫁に行けません……!」
凛「大丈夫だよ。卯月なら、きっといい人が貰ってくれるから」
未央「でもねプロデューサー! 疑いが晴れたわけじゃないからね!?」
武内P「はい……それは、勿論……」
凛「卯月が言うには、『さいきっく・おいろけビーム』って言ってからなんだよね?」
卯月「は、はい」
卯月「プロデューサーさんがそう言ったら、突然その、す、スースーして……///」
未央「……それが本当かはわからない、と」
未央「……」
未央「なら、試しにもう一度やってみれば良いんじゃない?」
一同「!?」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 22:58:12.61 ID:oA1sTNFfo
武内P「ほ、本田さん!?」
未央「だーかーらー! それでまたパンツが移動したなら、本当だってわかるでしょ?」
凛「まあ、それは……確かにそうだけど」
卯月「ええっ!? ま、またプロデューサーさんに脱がされちゃうんですか!?」
武内P「島村さん! その言い方では誤解が深まってしまいます!」
卯月「そ、そうですね! す、すみません~!」
未央「ほらほら、という訳でちゃっちゃといってみよう!」
凛「……なんだか楽しそうだね」
未央「いやー、焦るプロデューサーも照れるしまむーも可愛くて!」
卯月「も、もー! 未央ちゃんったら!」
凛「それは……まあ、ちょっとわかる気もする」
武内P「……勘弁してください」
未央「だーかーらー! それでまたパンツが移動したなら、本当だってわかるでしょ?」
凛「まあ、それは……確かにそうだけど」
卯月「ええっ!? ま、またプロデューサーさんに脱がされちゃうんですか!?」
武内P「島村さん! その言い方では誤解が深まってしまいます!」
卯月「そ、そうですね! す、すみません~!」
未央「ほらほら、という訳でちゃっちゃといってみよう!」
凛「……なんだか楽しそうだね」
未央「いやー、焦るプロデューサーも照れるしまむーも可愛くて!」
卯月「も、もー! 未央ちゃんったら!」
凛「それは……まあ、ちょっとわかる気もする」
武内P「……勘弁してください」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 23:03:25.00 ID:oA1sTNFfo
未央「でもさ、他に潔白を証明する方法ってなくない?」
武内P「……わかりました」
未央「おっ! 話がわかるね、プロデューサー!」
武内P「仮定の通り、私が『さいきっく・おいろけビーム』と言った事が原因なのなら――」
凛「……!?」
武内P「アイドルである貴方達に、危険が及ぶかも知れない行動です」
凛「!?……!?」
武内P「本来は試す事すら……渋谷さん?」
未央「……しぶりん?」
卯月「……凛ちゃん?」
凛「……プロデューサーは目をつぶって両手を上に上げてて」
一同「!?」
武内P「……わかりました」
未央「おっ! 話がわかるね、プロデューサー!」
武内P「仮定の通り、私が『さいきっく・おいろけビーム』と言った事が原因なのなら――」
凛「……!?」
武内P「アイドルである貴方達に、危険が及ぶかも知れない行動です」
凛「!?……!?」
武内P「本来は試す事すら……渋谷さん?」
未央「……しぶりん?」
卯月「……凛ちゃん?」
凛「……プロデューサーは目をつぶって両手を上に上げてて」
一同「!?」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 23:06:09.84 ID:oA1sTNFfo
武内P「! ま、まさか……!?」
凛「良いから!」
武内P「は、はいっ!」
卯月「まさか……今度は凛ちゃんがパンツを……!?」
凛「……」
スルッ
武内P「っ」ビクッ
未央「今度は……ブラジャーだと……?」
凛「説明しなくていいから!///」
凛「良いから!」
武内P「は、はいっ!」
卯月「まさか……今度は凛ちゃんがパンツを……!?」
凛「……」
スルッ
武内P「っ」ビクッ
未央「今度は……ブラジャーだと……?」
凛「説明しなくていいから!///」
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 23:12:40.96 ID:oA1sTNFfo
未央「さ、三人で私をからかってるわけじゃないよね?」
卯月「ち、違います!」
凛「それ、本気で言ってる!?」
未央「いやでも、ねえ……ピンクパンツに水色ブラって、まんますぎない?」
凛「色の! 説明を! しない!」
バシバシ!
未央「あいたた! ちょ、ちょっとマジ叩きじゃん! 助けてしまむー!」
卯月「……今のは未央ちゃんが悪いです」
未央「ごめん! ごめんってしぶりん!」
凛「……はぁ、未央はそういう所気をつけてよ」
武内P「あの……私はいつまで目をつぶっていれば……」
卯月「ち、違います!」
凛「それ、本気で言ってる!?」
未央「いやでも、ねえ……ピンクパンツに水色ブラって、まんますぎない?」
凛「色の! 説明を! しない!」
バシバシ!
未央「あいたた! ちょ、ちょっとマジ叩きじゃん! 助けてしまむー!」
卯月「……今のは未央ちゃんが悪いです」
未央「ごめん! ごめんってしぶりん!」
凛「……はぁ、未央はそういう所気をつけてよ」
武内P「あの……私はいつまで目をつぶっていれば……」
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 23:17:57.81 ID:oA1sTNFfo
未央「んー……でも、まだ信じられないかなぁ」
武内P「……」
未央「プロデューサー、今度は私にやってみてよ」
武内P「いえ、しかし」
未央「こうなったら、二人も三人も一緒でしょ」
武内P「……」
未央「私もさ、信じたいんだよ。二人のことも、プロデューサーの事も」
武内P「本田さん……」
未央「さあ! ひと思いに!」
武内P「……わかりました」
武内P「さいきっく・」
ガチャッ
ちひろ「おはようございます」
武内P「おいろけビーム!」
ちひろ「!?」
一同「……!?」
武内P「……」
未央「プロデューサー、今度は私にやってみてよ」
武内P「いえ、しかし」
未央「こうなったら、二人も三人も一緒でしょ」
武内P「……」
未央「私もさ、信じたいんだよ。二人のことも、プロデューサーの事も」
武内P「本田さん……」
未央「さあ! ひと思いに!」
武内P「……わかりました」
武内P「さいきっく・」
ガチャッ
ちひろ「おはようございます」
武内P「おいろけビーム!」
ちひろ「!?」
一同「……!?」
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 23:26:00.05 ID:oA1sTNFfo
ちひろ「え、えっと……?」
武内P「お、おはようございます、千川さん」
ちひろ「今のは確か、『モーレツ☆世直しギルティ』の……?」
卯月「! わ、私は多分何も変わってません!」
凛「わ、私も平気。未央は!?」
未央「え? 何も変わってないと思うけど……」
ちひろ「えっと、どうしたの三人共?」
武内P「……千川さん。その、何かお体で変わった所はありませんか?」
ちひろ「へっ? 変わった所って、急に言われても――」
ちひろ「――……ストッキングが……ガーターベルトになってる……!?」
一同「!?」
武内P「お、おはようございます、千川さん」
ちひろ「今のは確か、『モーレツ☆世直しギルティ』の……?」
卯月「! わ、私は多分何も変わってません!」
凛「わ、私も平気。未央は!?」
未央「え? 何も変わってないと思うけど……」
ちひろ「えっと、どうしたの三人共?」
武内P「……千川さん。その、何かお体で変わった所はありませんか?」
ちひろ「へっ? 変わった所って、急に言われても――」
ちひろ「――……ストッキングが……ガーターベルトになってる……!?」
一同「!?」
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 23:32:37.63 ID:oA1sTNFfo
卯月「ぷ、プロデューサーさん! ひどいです!」
凛「私と卯月は下着をはがないと駄目なのに、ちひろさんはガーターにするだけ!?」
武内P「お、落ち着いてください!」
卯月「確かにちひろさんは元々セクシーですけど……!」
凛「納得いかない。ちひろさんの下着もとってよ」
ちひろ「ふ、二人共? 何を言ってるの?」
未央「ええと、実は……」
かくかくしかじか
ちひろ「……話はわかりました」
武内P「ありがとうございます! 信じてもらえないかと……!」
ちひろ「もう! 実際に私がこうなってるんですから、信じるしかないじゃないですか」
未央「……」
未央「ちょっと待った」
一同「?」
凛「私と卯月は下着をはがないと駄目なのに、ちひろさんはガーターにするだけ!?」
武内P「お、落ち着いてください!」
卯月「確かにちひろさんは元々セクシーですけど……!」
凛「納得いかない。ちひろさんの下着もとってよ」
ちひろ「ふ、二人共? 何を言ってるの?」
未央「ええと、実は……」
かくかくしかじか
ちひろ「……話はわかりました」
武内P「ありがとうございます! 信じてもらえないかと……!」
ちひろ「もう! 実際に私がこうなってるんですから、信じるしかないじゃないですか」
未央「……」
未央「ちょっと待った」
一同「?」
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 23:37:19.28 ID:oA1sTNFfo
未央「おーけーおーけー、皆落ち着こう」
武内P「本田さん……?」
未央「しまむーはパンツ。ピンクのフリフリ」
卯月「あ、改めて言わないでください!」
未央「しぶりんはブラ。水色の割りと子供っぽいやつ」
凛「未央! もうやめてって言ったのに!」
未央「ちひろさんはガーターベルト。黒のえっろいやつ」
ちひろ「あ、あのね未央ちゃん? えっろいって言われるとさすがに恥ずかしいんだけど」
未央「うんうん。良いね、皆せくしーだよ。セクシーギルティだよ」
一同「……」
未央「で?」
一同「?」
未央「で? 私は? ねえ、私は?」
武内P「本田さん……?」
未央「しまむーはパンツ。ピンクのフリフリ」
卯月「あ、改めて言わないでください!」
未央「しぶりんはブラ。水色の割りと子供っぽいやつ」
凛「未央! もうやめてって言ったのに!」
未央「ちひろさんはガーターベルト。黒のえっろいやつ」
ちひろ「あ、あのね未央ちゃん? えっろいって言われるとさすがに恥ずかしいんだけど」
未央「うんうん。良いね、皆せくしーだよ。セクシーギルティだよ」
一同「……」
未央「で?」
一同「?」
未央「で? 私は? ねえ、私は?」
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 23:46:44.32 ID:oA1sTNFfo
凛「……被害にあってないんだから良いじゃない」
卯月「……そうですよ」
未央「それは違うよ。三人揃ってニュージェネレーションズだよね」
未央「でも、今の流れだとちひろさんがパッション担当じゃん」
未央「ニュージェネレーションズのセクシー担当みたいじゃん!」
ちひろ「み、未央ちゃん?」
未央「プロデューサー! 私にも! 私にもビームをうってよ!」
武内P「……!」
未央「これじゃあ私馬鹿みたいじゃん……! 全然笑えないよ……!」
武内P「……わかりました」
未央「プロデューサー……?」
武内P「貴女の笑顔のために、うちましょう。さいきっく・」
ガチャッ
きらり「おっすおっす! Pちゃん! きらり、今日もお仕事頑張るにぃ☆」
武内P「おいろけビーム……を……!?」
未央「……」
未央「ハハッ」
卯月「……そうですよ」
未央「それは違うよ。三人揃ってニュージェネレーションズだよね」
未央「でも、今の流れだとちひろさんがパッション担当じゃん」
未央「ニュージェネレーションズのセクシー担当みたいじゃん!」
ちひろ「み、未央ちゃん?」
未央「プロデューサー! 私にも! 私にもビームをうってよ!」
武内P「……!」
未央「これじゃあ私馬鹿みたいじゃん……! 全然笑えないよ……!」
武内P「……わかりました」
未央「プロデューサー……?」
武内P「貴女の笑顔のために、うちましょう。さいきっく・」
ガチャッ
きらり「おっすおっす! Pちゃん! きらり、今日もお仕事頑張るにぃ☆」
武内P「おいろけビーム……を……!?」
未央「……」
未央「ハハッ」
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 00:06:45.33 ID:90U9u1r5o
きらり「にょわ? どうしたのぉ皆、とっても変な顔してゆ」
卯月「ど、どんまいです未央ちゃん!」
凛「そ、そんなに落ち込む事無いって」
未央「……うん、なんとなくこうなる気はしてたんだよね」
武内P「あの、も、諸星さん……///」
きらり「? うぷぷ、Pちゃんどうしてお顔が真っ赤なのぉー?」
ちひろ「き、きらりちゃん! 前! 前!」
きらり「前……?」
きらり「にょわー! ど、どうしてきらりの服のボタンが全部取れてるにぃ!?」
武内P「ぼ、ボタンは恐らく……はい、私の上着に入っていました」
卯月「ど、どんまいです未央ちゃん!」
凛「そ、そんなに落ち込む事無いって」
未央「……うん、なんとなくこうなる気はしてたんだよね」
武内P「あの、も、諸星さん……///」
きらり「? うぷぷ、Pちゃんどうしてお顔が真っ赤なのぉー?」
ちひろ「き、きらりちゃん! 前! 前!」
きらり「前……?」
きらり「にょわー! ど、どうしてきらりの服のボタンが全部取れてるにぃ!?」
武内P「ぼ、ボタンは恐らく……はい、私の上着に入っていました」
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 00:12:55.84 ID:90U9u1r5o
・ ・ ・
きらり「……にょわぁ。Pちゃんに、見られちゃったぁ///」
武内P「申し訳……ありませんでした」
凛「でも、上に着てる服のボタンだけで良かったよ」
卯月「ですね。下もだと、もっと大変な事になってました」
ちひろ「私がボタンをつけなおしてくるから、きらりちゃんはトレーニングウェアで待っててね」
きらり「うん。ちひろさん、ありがとにぃ☆」
ちひろ「私が居ない間……プロデューサーさん!」
武内P「は、はい!」
ちひろ「ビーム……うっちゃ駄目ですからね?」
武内P「も、勿論です!」
未央「……」
きらり「……にょわぁ。Pちゃんに、見られちゃったぁ///」
武内P「申し訳……ありませんでした」
凛「でも、上に着てる服のボタンだけで良かったよ」
卯月「ですね。下もだと、もっと大変な事になってました」
ちひろ「私がボタンをつけなおしてくるから、きらりちゃんはトレーニングウェアで待っててね」
きらり「うん。ちひろさん、ありがとにぃ☆」
ちひろ「私が居ない間……プロデューサーさん!」
武内P「は、はい!」
ちひろ「ビーム……うっちゃ駄目ですからね?」
武内P「も、勿論です!」
未央「……」
47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 00:20:10.30 ID:90U9u1r5o
・ ・ ・
一同「……」
未央「さて、それじゃあ続きをしようか」
一同「!?」
武内P「待ってください! 千川さんに、うってはいけないと言われたばかりで――」
未央「? え? ただ、『さいきっく・おいろけビーム』って言うだけだよね?」
未央「あっはっは! 嫌だなぁ、もう! ビームなんて出るわけ無いじゃん!」
未央「ねっ、しまむー!」
卯月「未央ちゃん……」
未央「しぶりんもきらりんも、プロデューサーに言ってよ!」
凛「未央……」
きらり「未央ちゃん……」
一同「……」
武内P「……」
武内P「もしかして、本当にまだ続ける気なのですか……!?」
一同「……」
未央「さて、それじゃあ続きをしようか」
一同「!?」
武内P「待ってください! 千川さんに、うってはいけないと言われたばかりで――」
未央「? え? ただ、『さいきっく・おいろけビーム』って言うだけだよね?」
未央「あっはっは! 嫌だなぁ、もう! ビームなんて出るわけ無いじゃん!」
未央「ねっ、しまむー!」
卯月「未央ちゃん……」
未央「しぶりんもきらりんも、プロデューサーに言ってよ!」
凛「未央……」
きらり「未央ちゃん……」
一同「……」
武内P「……」
武内P「もしかして、本当にまだ続ける気なのですか……!?」
48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 00:25:17.40 ID:90U9u1r5o
卯月「お願いします! プロデューサーさん!」
凛「プロデューサー! 未央の言う事、聞いてあげてよ!」
武内P「!?」
きらり「……もしもね、きらりが未央ちゃんだったらね、ちょっぴり悲しいと思うの」
武内P「諸星さん……?」
きらり「Pちゃんがそう思ってないのはわかゆにぃ☆でも、仲間外れみたいで……」
武内P「……」
きらり「だから、きらりからもお願い☆ 皆でせくしーになって、ハピハピするにぃ☆」
武内P「……」
きらり「うっきゃー☆ せくしーって、恥ずかすぃー☆///」
武内P「……」
武内P「……わかりました……!」
凛「プロデューサー! 未央の言う事、聞いてあげてよ!」
武内P「!?」
きらり「……もしもね、きらりが未央ちゃんだったらね、ちょっぴり悲しいと思うの」
武内P「諸星さん……?」
きらり「Pちゃんがそう思ってないのはわかゆにぃ☆でも、仲間外れみたいで……」
武内P「……」
きらり「だから、きらりからもお願い☆ 皆でせくしーになって、ハピハピするにぃ☆」
武内P「……」
きらり「うっきゃー☆ せくしーって、恥ずかすぃー☆///」
武内P「……」
武内P「……わかりました……!」
50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 00:34:34.90 ID:90U9u1r5o
武内P「本田さん、よろしいでしょうか」
未央「え? 何が? もう全然わからないけど」
武内P「他の方に効果があって本田さんに効果が無かった理由は……正直わかりません」
武内P「ですが、今からうつビームは本田さんのためだけにうちます」
未央「……」
武内P「私は、貴女の担当のプロデューサーです」
未央「……プロデューサー」
武内P「本気で、ビームをうとうと思います。訴えて貰っても……構いません」
未央「え? いや、そこまではちょっと///」
武内P「いきます!」
武内P「さあああぁぁぁいきっくうううぅぅぅ!!」
未央「ちょ、ちょっと待って、心の準備が――」
ガチャッ
みりあ「おはようございまーす!」
武内P「おいろけぅ! ビイイイィィィムゥッ!」
未央「――出来てない……って」
未央「……」
未央「そんな事だと思ってたよチクショ――!」
未央「え? 何が? もう全然わからないけど」
武内P「他の方に効果があって本田さんに効果が無かった理由は……正直わかりません」
武内P「ですが、今からうつビームは本田さんのためだけにうちます」
未央「……」
武内P「私は、貴女の担当のプロデューサーです」
未央「……プロデューサー」
武内P「本気で、ビームをうとうと思います。訴えて貰っても……構いません」
未央「え? いや、そこまではちょっと///」
武内P「いきます!」
武内P「さあああぁぁぁいきっくうううぅぅぅ!!」
未央「ちょ、ちょっと待って、心の準備が――」
ガチャッ
みりあ「おはようございまーす!」
武内P「おいろけぅ! ビイイイィィィムゥッ!」
未央「――出来てない……って」
未央「……」
未央「そんな事だと思ってたよチクショ――!」
51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 00:40:23.25 ID:90U9u1r5o
みりあ「どうしたのプロデューサー!? おっきな声出して!」
卯月「み、みりあちゃん!?」
凛「ねえ、ちょっと! これどうなるの!? まずくない!?」
きらり「にょわー!? みりあちゃん、何か変な所は無いかにぃ!?」
未央「おいおい諸君。私に効果があった可能性は考えないのかね?」
武内P「私は……何てことを……!」
みりあ「どうしたのプロデューサー!? 元気ないけど、お腹でも……」
みりあ「あれ……? えへへ……なんだか、お腹痛い……」
一同「!!?」
武内P「あああ……私は……なんて事を……!?」
卯月「み、みりあちゃん!?」
凛「ねえ、ちょっと! これどうなるの!? まずくない!?」
きらり「にょわー!? みりあちゃん、何か変な所は無いかにぃ!?」
未央「おいおい諸君。私に効果があった可能性は考えないのかね?」
武内P「私は……何てことを……!」
みりあ「どうしたのプロデューサー!? 元気ないけど、お腹でも……」
みりあ「あれ……? えへへ……なんだか、お腹痛い……」
一同「!!?」
武内P「あああ……私は……なんて事を……!?」
52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 00:46:09.79 ID:90U9u1r5o
・ ・ ・
武内P「……」
未央「そこまで気にすること無いって。遅かれ早かれ、くるものなんだから」
武内P「……」
未央「大丈夫だって、みりあちゃんには、しまむーもしぶりんも、それにきらりんも付いてるから」
武内P「……」
未央「それでその、さ」
……ガチャリ!
武内P「……本田さん? 鍵をかけて、何を……?」
未央「もー、プロデューサーは鈍いんだから本当」
武内P「はい……?」
未央「い、今なら二人っきりだし、邪魔も入らないでしょ?///」
武内P「……!?」
武内P「……」
未央「そこまで気にすること無いって。遅かれ早かれ、くるものなんだから」
武内P「……」
未央「大丈夫だって、みりあちゃんには、しまむーもしぶりんも、それにきらりんも付いてるから」
武内P「……」
未央「それでその、さ」
……ガチャリ!
武内P「……本田さん? 鍵をかけて、何を……?」
未央「もー、プロデューサーは鈍いんだから本当」
武内P「はい……?」
未央「い、今なら二人っきりだし、邪魔も入らないでしょ?///」
武内P「……!?」
53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 00:51:23.87 ID:90U9u1r5o
武内P「いえ、ですが、二人きりの状況では……」
未央「もー! 今がチャンスなんだよ! 早くしないと皆戻ってきちゃう!」
武内P「……」
未央「それとも、私のプロデューサーは、私を笑顔にしてくれないの?」
武内P「……いえ、そんな事はありません」
未央「だったら、ほら……」
武内P「……本田さん」
未央「……きて、プロデューサー///」
武内P「……はい、わかりました」
武内P「さいきっく・おいろけビーム」
武内P・未央「っ……!」
武内P「……」
未央「……」
未央「もー! 今がチャンスなんだよ! 早くしないと皆戻ってきちゃう!」
武内P「……」
未央「それとも、私のプロデューサーは、私を笑顔にしてくれないの?」
武内P「……いえ、そんな事はありません」
未央「だったら、ほら……」
武内P「……本田さん」
未央「……きて、プロデューサー///」
武内P「……はい、わかりました」
武内P「さいきっく・おいろけビーム」
武内P・未央「っ……!」
武内P「……」
未央「……」
54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 00:58:53.25 ID:90U9u1r5o
未央「……へへ、まさか、服がほとんどなくなると思わなかったよ」
武内P「……本田さん」
未央「残ってるのは、下着と」
武内P「本田さん」
未央「あとは、靴と靴下? ちょっとマニアックだよね」
武内P「っ……! 本田さん!」
未央「うんうん、似合ってる似合ってる。超せくしーだよ」
武内P「……申し訳、ありませんでした」
未央「あはは、なんで謝るのさ。別に謝って欲しくなんてないってば」
武内P「しかし……!」
未央「いやはや、裸ネクタイとは恐れ入ったよ! せくしーだね、プロデューサーは!」
武内P「すみません! 本当にすみません!」
おわり
武内P「……本田さん」
未央「残ってるのは、下着と」
武内P「本田さん」
未央「あとは、靴と靴下? ちょっとマニアックだよね」
武内P「っ……! 本田さん!」
未央「うんうん、似合ってる似合ってる。超せくしーだよ」
武内P「……申し訳、ありませんでした」
未央「あはは、なんで謝るのさ。別に謝って欲しくなんてないってば」
武内P「しかし……!」
未央「いやはや、裸ネクタイとは恐れ入ったよ! せくしーだね、プロデューサーは!」
武内P「すみません! 本当にすみません!」
おわり
55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 01:14:50.46 ID:90U9u1r5o
ここでは初のスレ立てなので不備があったら申し訳ない
HTML化依頼だしてきます
HTML化依頼だしてきます
58: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 02:49:41.24 ID:9+0TDikIo
面白かった
乙乙
乙乙
59: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 02:50:38.69 ID:9kwUL8XEO
効かないのではない反射しているのだ
おつおつ
おつおつ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1509196255/
Entry ⇒ 2017.10.31 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
モバP「異形コレクション」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 23:33:43.91 ID:CsptbAzH0
アイドルマスターシンデレラガールズの短編SSスレです。
タイトルは同名のホラーオムニバスより。
タイトルは同名のホラーオムニバスより。
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 23:45:41.25 ID:CsptbAzH0
『ラブ・フリーク』 ――主演 クラリス
かつて私の居た教会には、懺悔室というものがありました。
信徒の方以外にはあまりなじみはないかもしれませんが……そうですね。
……教会の一室で、ひとひとり入れるくらいの大きさの箱が二つ並んでいる部屋が用意されています。
電話ボックスの様だ、と評される方もいらっしゃいました。
その片方に教会関係者が、もう片方に信徒の方が腰掛けます。
私たちは箱の中で向い合せになりますが、その間には格子の衝立があり、加えて箱の出入り口にはカーテンが被さるようになりますから、お互いの顔は見えません。
お互いに、誰がそこにいるのか分かりません。
そこで信徒の方は、秘密の告白をなさるのです。
誰に話すこともできない、けれどこれ以上仕舞いこんでおくことのできない、胸の奥で膨れ上がった秘密を。
かつて私の居た教会には、懺悔室というものがありました。
信徒の方以外にはあまりなじみはないかもしれませんが……そうですね。
……教会の一室で、ひとひとり入れるくらいの大きさの箱が二つ並んでいる部屋が用意されています。
電話ボックスの様だ、と評される方もいらっしゃいました。
その片方に教会関係者が、もう片方に信徒の方が腰掛けます。
私たちは箱の中で向い合せになりますが、その間には格子の衝立があり、加えて箱の出入り口にはカーテンが被さるようになりますから、お互いの顔は見えません。
お互いに、誰がそこにいるのか分かりません。
そこで信徒の方は、秘密の告白をなさるのです。
誰に話すこともできない、けれどこれ以上仕舞いこんでおくことのできない、胸の奥で膨れ上がった秘密を。
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 23:48:44.82 ID:CsptbAzH0
「それでは、懺悔するのですね」
「神はあなたを赦します」
といっても、告白を受けた私たちは、何か指図したり、特別なことを申し上げる訳ではありません。
私たちは黙って告白を聞き、私情を挟むことなく、彼の方に悔い改めるよう促すのみです。
大事なのは私たちの答えではありません。私たちは所詮神ならぬ身。
大事なのは溜め込んだ想いを吐き出すこと。
たいていの場合、答えは告白者のその心の裡に、既に確固としてあるのです。だからこそ、その方は罪の意識に苛まれているのですから。
だから、私たちは一通り告白をお聞きしたら、決まり切った言葉を衝立の向こうにかけるのです。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 23:53:50.24 ID:CsptbAzH0
「それでは、懺悔するのですね」
「神はあなたを赦します」
無心で、無私で、このように。
その日、久しぶりの里帰りをした私は一通りの挨拶を終えたのち、神父さまに頼まれて懺悔室に入りました。
聞けば今朝、どうしても懺悔をしたいとの手紙が入っていたものの、その時間に神父さまは所用で留守にされるとのことでした。
せっかく帰省したのに申し訳ないと何度も頭を下げる神父さまを見送り、私は薄暗い箱に入りました。
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 00:00:16.34 ID:7ZBN3l0J0
よく晴れた午後でした。
時間まで、誰も懺悔室を訪れる気配はありませんでした。当たり前と言えば、当たり前のことでしょう。
内部の方は、私が懺悔室にいると言いふらすことはないでしょうし。
仮に信徒の方に知られていたとしても、懺悔室ならばと、暗黙の事情は分かっておいででしょうから。
だから私は、とても静かな時間を過ごしていました。ともすれば、うたた寝してしまいそうになる自分を内心叱りつけながら。
衝立の木目をなぞりはじめて、どれくらい経ったでしょう――白状すると、今日の晩ご飯は何かしらと考えてしまっていた頃――パタンと、ドアの音が不意に届きました。
私は目を閉じたまま身を引き締めて、格子の向こうに集中します。
腰を下ろす気配が届きました。
どなたが告白しているのか――本来、推測するようなことがあってはいけません。
でも、どうしても、入ってきた瞬間に『分かってしまう』ということはあります。
たとえば普段からお祈りにいらっしゃる方。などは、ものの所作が伝わってしまうかもしれません。
入ってきた瞬間に、その方の何かが分かりました。
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 00:41:31.31 ID:7ZBN3l0J0
でも何が分かったのかは、分かりませんでした。
その気配は衝立の木目に浮かぶ人の顔の様に、とらえどころなく、しかし確実に私の精神を爪弾きました。
口を開けば、飲まれてしまうような気がして。
それでも私は自らの務めを果たさんと、告白を促します。
「――どうぞ」
息遣いが格子をすり抜けてきました。
その唇の震えまでが、私の脳裏に正確に描かれました。
その映像は余りに被写体に近すぎて、顔が誰か、それが誰かは、分かりませんでした。
その気配は衝立の木目に浮かぶ人の顔の様に、とらえどころなく、しかし確実に私の精神を爪弾きました。
口を開けば、飲まれてしまうような気がして。
それでも私は自らの務めを果たさんと、告白を促します。
「――どうぞ」
息遣いが格子をすり抜けてきました。
その唇の震えまでが、私の脳裏に正確に描かれました。
その映像は余りに被写体に近すぎて、顔が誰か、それが誰かは、分かりませんでした。
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 00:45:06.56 ID:7ZBN3l0J0
――――――――道ならぬ恋をしています
――――――――私には元来、仕えるべき主がおわします。それに、彼の方との出会いは、元はといえば信仰が切欠
――――――――私は、どうすればよいでしょうか
大事なの答えではありません。私たちは所詮神ならぬ身。
大事なのは溜め込んだ想いを吐き出すこと。
たいていの場合、答えは既に確固としてあるのです。
「でも、答えはもう、出ているのでしょう」
決まり切った文句が、懺悔室の衝立を通り往きました。
「神はあなたを赦します」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 00:46:52.44 ID:7ZBN3l0J0
かつて私の居た教会には、懺悔室というものがありました。
そこで、秘密の告白がなされるのです。
誰に話すこともできない、けれどこれ以上仕舞いこんでおくことのできない、胸の奥で膨れ上がった秘密を。
教会の外に出た私は、一度だけ振り返りました。
よく晴れた午後でした。
罪の告白を終えた私は足取り重く、しかし、ついに想いを吐き出すことが出来たことに安堵していました。
答えは既に、私の心の裡に、あるのです。
それに、たとえ形式上とはいえ――私は、ゆるしを得た心地でいました。
神はあなたを赦す――、その言葉が、いつまでも耳に響いていました。
それにしても、今日、懺悔室の中にいらっしゃったのは――本来、推測するようなことがあってはいけませんが――どなただったのでしょう。
神父さまではなく、でも、入った瞬間に、その方の何かが分かって、何が分かったのかは、分からなかったのですが。
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 23:26:24.12 ID:7ZBN3l0J0
『侵略!』 ――主演 星輝子
輝子「お、オオ……これは、すごいな……」ペシペシ
トモダチ「…………」
P「ほー、立派になったもんだなあ。ちょっと不気味だが」
輝子「お、オオ……これは、すごいな……」ペシペシ
トモダチ「…………」
P「ほー、立派になったもんだなあ。ちょっと不気味だが」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 23:27:22.96 ID:7ZBN3l0J0
輝子「わ、私もこんなのは、はじめて、だぞ……フヒ」サワサワ
トモダチ「…………」
P「これ、まさかとは思うが食べられないよな?」
輝子「コイツからの、許可が出れば、イケるだろうけど……フヒヒ、ちょっと、な、まだ、お、お話できなくて」
トモダチ「…………」
P「話、かぁ」
トモダチ「…………」
P「これ、まさかとは思うが食べられないよな?」
輝子「コイツからの、許可が出れば、イケるだろうけど……フヒヒ、ちょっと、な、まだ、お、お話できなくて」
トモダチ「…………」
P「話、かぁ」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 23:28:23.60 ID:7ZBN3l0J0
輝子「ちょっと苦手な、タイプだな……フヒ、なにか、ヒントが……な、なぁ、P……このキノコ、どこから連れてきたんだ?」
トモダチ「…………」
P「え? コレ、輝子が育てたんじゃないのか? また変わり種を持ってきたなあと思ってたんだが」
輝子「あ、ああ、育てたのは私だ……Pが、私も知らないキノコを見つけてきたんだと嬉しくて、念入りに……そ、そうか、フヒヒ」
トモダチ「…………」
P「え? コレ、輝子が育てたんじゃないのか? また変わり種を持ってきたなあと思ってたんだが」
輝子「あ、ああ、育てたのは私だ……Pが、私も知らないキノコを見つけてきたんだと嬉しくて、念入りに……そ、そうか、フヒヒ」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 23:29:03.64 ID:7ZBN3l0J0
トモダチ「…………」
P「な、なあ、輝子、コイツって……」
輝子「ま、まずい、な……トモダチのトモダチは、トモダチだと思っていたが、両方のトモダチじゃないとなると…コイツは」
トモダチ?「
キシシッ」
P「な、なあ、輝子、コイツって……」
輝子「ま、まずい、な……トモダチのトモダチは、トモダチだと思っていたが、両方のトモダチじゃないとなると…コイツは」
トモダチ?「
キシシッ」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 23:39:22.67 ID:7ZBN3l0J0
『変身』 ――主演 多田李衣菜 木村夏樹
李衣菜「あれ……こんなヘッドフォン持ってたっけ?」スチャッ
李衣菜「うーん、見た感じ新しいんだけど買った記憶ないなあ……なつきちあたりが置いてったのかな?」
李衣菜「……もしかしたらコレ使ってたら、なつきちばりの音感手に入れたりするんじゃ? へへへ……っ、ちょっと拝借」
李衣菜「ん~何きこ……まあとりあえず、なつきちおススメのライブ音源流してみるかー」ポチポチ
李衣菜「いっつも聴いてはみるんだけど、大体途中で飽きちゃ
李衣菜「あれ……こんなヘッドフォン持ってたっけ?」スチャッ
李衣菜「うーん、見た感じ新しいんだけど買った記憶ないなあ……なつきちあたりが置いてったのかな?」
李衣菜「……もしかしたらコレ使ってたら、なつきちばりの音感手に入れたりするんじゃ? へへへ……っ、ちょっと拝借」
李衣菜「ん~何きこ……まあとりあえず、なつきちおススメのライブ音源流してみるかー」ポチポチ
李衣菜「いっつも聴いてはみるんだけど、大体途中で飽きちゃ
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 23:44:03.17 ID:7ZBN3l0J0
その晩、寮のどこかから突然沸き出した爆音で、アタシたちは一斉に廊下に出た。
場所はすぐに知れた。だりーの部屋だった。
ブチぎれた面々がドアをぶん殴り、大声で叫んでアイツを呼んだ。だがそれでも音楽は止まなかった。
アタシは、同じくだりーを呼びながら――ある違和感を覚えていた。
いつもヘッドフォンのアイツが?
それに流れてた曲、アタシが聴け聴けって言っても一向にマトモに聴く気配のないヤツ。
何より、涼あたりも気付いてたみたいだけど、このドア越しでも分かる音圧はなんかステレオじゃなく、ソコで演ってるとしか思えなかった。
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 23:45:13.48 ID:7ZBN3l0J0
誰かが持ってきたマスターキーが、人だかりの先頭にいた拓海に渡り、ドアが開く。
音の濁流に視界を塞がれた。
妄想を振り払った。部屋の奥には、こちらに背を向けただりーがいた。
だりーがギターを弾いていた。あの伝説のライブと寸分狂い無く。
ありえない、誰かが呟いた。そう、ありえなかった。
だりーの技量がどう、とかじゃない。その頭にはヘッドホンがあり、そのコードは、音源に繋がれていた。
じゃあこの音はなんだ?
熱帯民族の打ち鳴らすようなドラム、脊髄を直接爪弾いてくるベース、唇べったりのマイクに吹きかけられるなまあたたかいボーカル、
とうの昔に生産終了したレスポールの金切り声、
音の濁流に視界を塞がれた。
妄想を振り払った。部屋の奥には、こちらに背を向けただりーがいた。
だりーがギターを弾いていた。あの伝説のライブと寸分狂い無く。
ありえない、誰かが呟いた。そう、ありえなかった。
だりーの技量がどう、とかじゃない。その頭にはヘッドホンがあり、そのコードは、音源に繋がれていた。
じゃあこの音はなんだ?
熱帯民族の打ち鳴らすようなドラム、脊髄を直接爪弾いてくるベース、唇べったりのマイクに吹きかけられるなまあたたかいボーカル、
とうの昔に生産終了したレスポールの金切り声、
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 23:46:04.72 ID:7ZBN3l0J0
――アタシは想像する。
振り返っただりーの目と口だった部分は、真っ黒に塗り潰されている。
でもそれは間違いで、よくよく見れば昆虫の複眼のように無数の孔があいている。
覗き込めばがらんどう。その中ではコイルと磁石と銅線がしかるべき配置で絶えず振動している。元あった内臓はどこにいったのだろう。
演奏が終わる。万雷の拍手と十万人の歓声がワンルームを破裂させる。
5曲目がはじまる。後ろの正面には回れない。だりーを止める者はいない。みんなこのステージの尊さを知っているから。
アタシは自分が泣いていることに気付く。
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 23:52:49.55 ID:7ZBN3l0J0
終了です。
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/09(土) 21:08:16.17 ID:jJHiC2Ebo
遅ればせながら面白かったよ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1502634823/
Entry ⇒ 2017.10.31 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
武内P「絶対にアイドルに手を出したりしませんッ!!」
1: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 14:41:14.66 ID:qZdx75aV0
注意事項
・武内Pもの
・武内Pもの
・HAPPY END
武内P「惚れ薬……ですか?」
志希「そうそう♪ 男の子から女の子まで、皆の夢のアイテム惚れ薬ができちゃったんだー♪」
武内P(頼みたいことがあるんだー、という一ノ瀬さんの言葉を聞いて部屋に入ってみると、広い机の中央に一つだけ置かれていた物に目が引かれました)
武内P(それはピンク色の小瓶で、不思議に思った私の問いに彼女はあっけらかんに答えたのです)
志希「あれれ~? ひょっとして信じてないのかな?」
武内P「……ええ、正直なところ。私の固い頭ではにわかに信じられません」
志希「いいよいいよ。それが当然の反応だから。まま、とりあえずそっちに座って」
武内P「は、はあ」
志希「よっし、あとはミステリアスな音楽をかけてっと。これで説明準備かんりょーう♪」
武内P「あの……頼みたいこととはもしや」
志希「慌てない慌てない。さて、惚れ薬って聞いてどんなものを連想しちゃう? 飲んでから最初に見た人に胸キュンとか、エッチな気持ちになっちゃうとかかなー?」
武内P「ええ、創作物ではたいていそのような内容ですね」
志希「これはどっちでもないの。言うなれば想いを強くするお薬」
武内P「想いを……?」
志希「飲んでから効果が出るまで……個人差があるけど40分から50分までの間に抱いた感情が増幅されて、それが数年、場合によっては数十年継続するんだ」
志希「キミの年齢を考えると一生かもしんないねー♪」
一ノ瀬志希
http://imcgdb.info/card-img/1529802.jpg
・武内Pもの
・武内Pもの
・HAPPY END
武内P「惚れ薬……ですか?」
志希「そうそう♪ 男の子から女の子まで、皆の夢のアイテム惚れ薬ができちゃったんだー♪」
武内P(頼みたいことがあるんだー、という一ノ瀬さんの言葉を聞いて部屋に入ってみると、広い机の中央に一つだけ置かれていた物に目が引かれました)
武内P(それはピンク色の小瓶で、不思議に思った私の問いに彼女はあっけらかんに答えたのです)
志希「あれれ~? ひょっとして信じてないのかな?」
武内P「……ええ、正直なところ。私の固い頭ではにわかに信じられません」
志希「いいよいいよ。それが当然の反応だから。まま、とりあえずそっちに座って」
武内P「は、はあ」
志希「よっし、あとはミステリアスな音楽をかけてっと。これで説明準備かんりょーう♪」
武内P「あの……頼みたいこととはもしや」
志希「慌てない慌てない。さて、惚れ薬って聞いてどんなものを連想しちゃう? 飲んでから最初に見た人に胸キュンとか、エッチな気持ちになっちゃうとかかなー?」
武内P「ええ、創作物ではたいていそのような内容ですね」
志希「これはどっちでもないの。言うなれば想いを強くするお薬」
武内P「想いを……?」
志希「飲んでから効果が出るまで……個人差があるけど40分から50分までの間に抱いた感情が増幅されて、それが数年、場合によっては数十年継続するんだ」
志希「キミの年齢を考えると一生かもしんないねー♪」
一ノ瀬志希
http://imcgdb.info/card-img/1529802.jpg
2: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 14:42:52.57 ID:qZdx75aV0
武内P「それは……ぞっとしますね」
志希「んっふっふっふ。じゃあもっと怖いことを話そうかー♪」
志希「感情が増幅されるわけだから、効果が出るまで無感情でいたら効果は無いに等しいんだけど……誰かにイライラしてたらずーっとその人のことが嫌いになっちゃったりするわけ」
武内P「……そうなったら、気が狂いかねません」
志希「そうならないための名前と色。惚れ薬だよ? ピンク色だよ? そんなもの飲んじゃったら、効果が出るまでドキドキのワクワクで、目の前にいるあの娘とか、普段から気になってたあの娘についてあれこれ考えちゃってにゃはーっ! ってなっちゃうよね?」
武内P「なるほど。意識を負の感情ではなく、正の方に向きやすいようにするわけですか」
志希「まあ行き過ぎた愛情だってお互いを傷つけちゃうかもしんないけど、まゆちゃんを見てると結果オーライかなって」
武内P「あの……まゆPは担当アイドル、それも未成年に手を出すまいと必死なんですよ」
志希「にゃははっ。諦めちゃえば楽になれるし幸せなのにねー」
武内P「……一ノ瀬さん」
志希「あ、ごめん怒らせちゃった? ごめんねー。あたしも女の子だから、ついついまゆちゃんを応援しちゃうんだー」
武内P「いえ、悪気が無いようですし」
志希「んー、それは甘いんじゃないかなあ? あたしって悪気無しで酷いこととかしちゃうタイプだよ」
武内P「それは世間の尺度と照らしてのことで、貴女は自身の良心を裏切りはしないでしょう」
志希「……」
武内P「一ノ瀬さん?」
志希「ふーん、そうやって美嘉ちゃん口説き落としたんだー?」
武内P「く、くど!?」
志希「にゃははっ。冗談だって。さて、話をもどそっか」
志希「この薬かなり自信があるんだけど、サンプルデータがまだまだ足んなくてね。キミにも協力してほしいな~」
武内P「……その、申し訳ありませんが」
志希「まだダメ?」
武内P「小日向さんではありません」
志希「そっかー、ダメなんだ」
武内P(妙ですね。あまり気落ちした様子に見えません。駄目元の頼みだったのでしょうか)
志希「あ、ごめんごめん。頼み方を間違えちゃってたよ」
武内P「……?」
志希「協力してもらってるから」
武内P「~~~~~っっっ!!?」ガクッ
武内P(体に……力が、入らな――!?)
志希「んっふっふっふ。じゃあもっと怖いことを話そうかー♪」
志希「感情が増幅されるわけだから、効果が出るまで無感情でいたら効果は無いに等しいんだけど……誰かにイライラしてたらずーっとその人のことが嫌いになっちゃったりするわけ」
武内P「……そうなったら、気が狂いかねません」
志希「そうならないための名前と色。惚れ薬だよ? ピンク色だよ? そんなもの飲んじゃったら、効果が出るまでドキドキのワクワクで、目の前にいるあの娘とか、普段から気になってたあの娘についてあれこれ考えちゃってにゃはーっ! ってなっちゃうよね?」
武内P「なるほど。意識を負の感情ではなく、正の方に向きやすいようにするわけですか」
志希「まあ行き過ぎた愛情だってお互いを傷つけちゃうかもしんないけど、まゆちゃんを見てると結果オーライかなって」
武内P「あの……まゆPは担当アイドル、それも未成年に手を出すまいと必死なんですよ」
志希「にゃははっ。諦めちゃえば楽になれるし幸せなのにねー」
武内P「……一ノ瀬さん」
志希「あ、ごめん怒らせちゃった? ごめんねー。あたしも女の子だから、ついついまゆちゃんを応援しちゃうんだー」
武内P「いえ、悪気が無いようですし」
志希「んー、それは甘いんじゃないかなあ? あたしって悪気無しで酷いこととかしちゃうタイプだよ」
武内P「それは世間の尺度と照らしてのことで、貴女は自身の良心を裏切りはしないでしょう」
志希「……」
武内P「一ノ瀬さん?」
志希「ふーん、そうやって美嘉ちゃん口説き落としたんだー?」
武内P「く、くど!?」
志希「にゃははっ。冗談だって。さて、話をもどそっか」
志希「この薬かなり自信があるんだけど、サンプルデータがまだまだ足んなくてね。キミにも協力してほしいな~」
武内P「……その、申し訳ありませんが」
志希「まだダメ?」
武内P「小日向さんではありません」
志希「そっかー、ダメなんだ」
武内P(妙ですね。あまり気落ちした様子に見えません。駄目元の頼みだったのでしょうか)
志希「あ、ごめんごめん。頼み方を間違えちゃってたよ」
武内P「……?」
志希「協力してもらってるから」
武内P「~~~~~っっっ!!?」ガクッ
武内P(体に……力が、入らな――!?)
3: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 14:43:42.44 ID:qZdx75aV0
志希「これが惚れ薬ってのはウソ。感情をコントロールするために薬を服用したりするのは、トランキライザーや抗鬱薬で知ってるよね? 薬はなんだってそうだけど副作用があって、依存性もあったりする」
志希「例えばSSRIってやつがあるんだけど、アメリカで3000万人以上が服用していて、なんとそのうち30%が性機能障害を経験してるんだよ」
武内P(視界が……ぼやけて)
志希「そこで! 薬を服用することなく感情をコントロールできないかという点に着目してみたんだなー♪」
志希「薬物療法ではなく、催眠療法による脳へのアプローチ手段としてあたしが利用したのは部屋の光彩、キミにだけ向けられた指向性の音、話術、そして匂い」
志希「んっふっふっふ。キミは説明を受けながら、一ノ瀬志希流催眠療法を体験していたのだ!」
志希「あ、催眠療法っていうのは文字通り催眠を用いる心理セラピーの一種で、日本ではほとんど行われていないけどアメリカだとけっこう一般的なんだよ」
武内P(……私の座る場所を指定したのは……一ノ瀬さん。音楽も……ひょっとして私にだけ、聞こえていた?)
志希「ちなみにこの見るからに惚れ薬っぽい、小瓶に水を入れただけのやつはキミの思考をピンク色に誘うための小道具に過ぎないわけだ―♪」
志希「あ、でも効果についての説明はウソじゃないから」
志希「目まいはもう数分もすれば収まるから、それから40~50分までの間に、キミが最も意識した相手を好きになってしまう。既に結婚している人とか、手を出したら犯罪になっちゃうロリロリちゃんを下手に考えないようにしてねー、バイバーイ♪」
武内P(ま……待ってくださ――)
志希「……」ピタッ
武内P(……?)
志希「……さすがにこのまんま去るのは酷過ぎるかなぁ? キミって相手の良心を突くのがうまいかもね」
志希「キミを幸せにできそうな人に連絡しとくから、そこで大人しくしておいてね。まあ、これでも酷過ぎることに変わりはないけどねー。アデュー♪」
武内P(そういって一ノ瀬さんは今度こそ……立ち去って行ったのでした――)
志希「例えばSSRIってやつがあるんだけど、アメリカで3000万人以上が服用していて、なんとそのうち30%が性機能障害を経験してるんだよ」
武内P(視界が……ぼやけて)
志希「そこで! 薬を服用することなく感情をコントロールできないかという点に着目してみたんだなー♪」
志希「薬物療法ではなく、催眠療法による脳へのアプローチ手段としてあたしが利用したのは部屋の光彩、キミにだけ向けられた指向性の音、話術、そして匂い」
志希「んっふっふっふ。キミは説明を受けながら、一ノ瀬志希流催眠療法を体験していたのだ!」
志希「あ、催眠療法っていうのは文字通り催眠を用いる心理セラピーの一種で、日本ではほとんど行われていないけどアメリカだとけっこう一般的なんだよ」
武内P(……私の座る場所を指定したのは……一ノ瀬さん。音楽も……ひょっとして私にだけ、聞こえていた?)
志希「ちなみにこの見るからに惚れ薬っぽい、小瓶に水を入れただけのやつはキミの思考をピンク色に誘うための小道具に過ぎないわけだ―♪」
志希「あ、でも効果についての説明はウソじゃないから」
志希「目まいはもう数分もすれば収まるから、それから40~50分までの間に、キミが最も意識した相手を好きになってしまう。既に結婚している人とか、手を出したら犯罪になっちゃうロリロリちゃんを下手に考えないようにしてねー、バイバーイ♪」
武内P(ま……待ってくださ――)
志希「……」ピタッ
武内P(……?)
志希「……さすがにこのまんま去るのは酷過ぎるかなぁ? キミって相手の良心を突くのがうまいかもね」
志希「キミを幸せにできそうな人に連絡しとくから、そこで大人しくしておいてね。まあ、これでも酷過ぎることに変わりはないけどねー。アデュー♪」
武内P(そういって一ノ瀬さんは今度こそ……立ち去って行ったのでした――)
4: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 14:44:59.15 ID:qZdx75aV0
※ ※ ※
武内P「……ッ。とりあえず、なんとか動ける程度には回復しました」
武内P「一ノ瀬さんには大人しくしているように言われましたが……最善なのは誰のことも好きにならないことです。誰も来ない部屋で、極力何も考えずに過ごし――」
タタタタタタタタッ、ガチャバタンッ!!
美嘉「ほ……本当にいた」ゼエハア、ゼエハア
武内P「じょ、城ヶ崎さん!?」
美嘉「志希から連絡来て……冗談だとは思ったんだけど胸騒ぎがして急いで来てみたら……あ、アンタ体の方は大丈夫なの?」
武内P「ええ、なんとか動ける程度には回復しました」
美嘉「まったく、志希のやつ。叱るのは後として、とにかくアンタの安全を確保しなきゃ。さ、立って」
武内P「ありがとうござ――」
ムギュ、ムニュウ
武内P「」
美嘉「///」
武内P「あの……城ヶ崎さん?」
美嘉「あ、アンタまだ体ふらついてるみたいだし、一刻も争うんだから肩を貸すのは当然でしょ!」
武内P「いえ……このままだと、私が城ヶ崎さんのことを――」
美嘉「はいはい! 今はとにかく急いで避難! 話は後で聞くから」
武内P「そ、それもそうですね」
美嘉「し、しっかり体につかまんなさいよ」
武内P「は……はい。ところでどこに向かうかは決めているのですか?」
テクテク、テクテク
美嘉「うん。アタシが思いつく中で一番安全な所」
美嘉「アタシの家よ」
武内P「―――――――はい?」
城ヶ崎美嘉
http://imcgdb.info/card-img/3437501.jpg
武内P「……ッ。とりあえず、なんとか動ける程度には回復しました」
武内P「一ノ瀬さんには大人しくしているように言われましたが……最善なのは誰のことも好きにならないことです。誰も来ない部屋で、極力何も考えずに過ごし――」
タタタタタタタタッ、ガチャバタンッ!!
美嘉「ほ……本当にいた」ゼエハア、ゼエハア
武内P「じょ、城ヶ崎さん!?」
美嘉「志希から連絡来て……冗談だとは思ったんだけど胸騒ぎがして急いで来てみたら……あ、アンタ体の方は大丈夫なの?」
武内P「ええ、なんとか動ける程度には回復しました」
美嘉「まったく、志希のやつ。叱るのは後として、とにかくアンタの安全を確保しなきゃ。さ、立って」
武内P「ありがとうござ――」
ムギュ、ムニュウ
武内P「」
美嘉「///」
武内P「あの……城ヶ崎さん?」
美嘉「あ、アンタまだ体ふらついてるみたいだし、一刻も争うんだから肩を貸すのは当然でしょ!」
武内P「いえ……このままだと、私が城ヶ崎さんのことを――」
美嘉「はいはい! 今はとにかく急いで避難! 話は後で聞くから」
武内P「そ、それもそうですね」
美嘉「し、しっかり体につかまんなさいよ」
武内P「は……はい。ところでどこに向かうかは決めているのですか?」
テクテク、テクテク
美嘉「うん。アタシが思いつく中で一番安全な所」
美嘉「アタシの家よ」
武内P「―――――――はい?」
城ヶ崎美嘉
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5: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 14:46:07.46 ID:qZdx75aV0
美嘉「そ、そんでアタシの部屋に一緒に居れば大丈夫よ。うんうん」
武内P(ひょっとすると、一ノ瀬さんは正しく城ヶ崎さんに状況を伝えていないのでしょうか?)
武内P「待ってください城ヶ崎さん。どうも話に食い違いが見られるようです」
美嘉「は、話は後で聞くって言ってるでしょ! まずは安全な所にいかないと」
武内P「いえ、これは今じゃないと――」
「――ねえ、何してるの?」
武・処『!!?』
凛「そんなに体くっつけて歩いてちゃって。今のプロデューサーの症状じゃ、美嘉のことを好きになっちゃうよ。それとも――」
凛「そうさせるのが目的なの?」
美嘉「そ、そんなわけないじゃない! これはコイツの体がふらついているから、仕方なくアタシが支えていただけ!」
凛「ふーーーーーん。それならいいや」
武内P「あの、もしかして渋谷さんは私の今の状況を把握されているのですか?」
凛「ん、まあだいたいはね」
美嘉(早い……ッ!! もう勘付かれた!!)
凛「美嘉はプロデューサーを心配して来てくれたんだね。ありがとう、あとは私がいるからもういいよ」
美嘉「も、もういいって! 凛だけでどうするつもりなのよ!」
凛「どうするって、決まってるでしょ」
凛「時間が来るまでプロデューサーと二人っきりになるだけ」
美嘉「なっ……」
武内P「し、渋谷さん。それでは私が渋谷さんのことを……」
凛「だってしょうがないでしょ。もしプロデューサーが変な人を好きになったりしたら、私だけじゃなくてプロジェクト全員に迷惑がかかるんだから」
凛「変な人じゃなくても、その人が普段は遠くに住んでる人だったりしたらプロデューサー仕事辞めちゃうかもしれないでしょ。どっちにしろ困るよ。蘭子にいたっては泣くかも」
武内P「そ、それは……」
美嘉「だからって何で凛なのよ!!」
凛「だって私は担当アイドルで、普段からプロデューサーの隣にいるから。適任でしょ」
美嘉「え、いやでも……プロデューサーであるコイツが、まだ十六歳未満の担当しているアイドルに惚れるなんてマズイでしょっ」
凛「……まるで元担当で、結婚できる年齢なら問題が無いみたいな言い方だね」
美嘉「そそ、そんなこと言ってないし」
渋谷凛
http://imcgdb.info/card-img/2427301.jpg
武内P(ひょっとすると、一ノ瀬さんは正しく城ヶ崎さんに状況を伝えていないのでしょうか?)
武内P「待ってください城ヶ崎さん。どうも話に食い違いが見られるようです」
美嘉「は、話は後で聞くって言ってるでしょ! まずは安全な所にいかないと」
武内P「いえ、これは今じゃないと――」
「――ねえ、何してるの?」
武・処『!!?』
凛「そんなに体くっつけて歩いてちゃって。今のプロデューサーの症状じゃ、美嘉のことを好きになっちゃうよ。それとも――」
凛「そうさせるのが目的なの?」
美嘉「そ、そんなわけないじゃない! これはコイツの体がふらついているから、仕方なくアタシが支えていただけ!」
凛「ふーーーーーん。それならいいや」
武内P「あの、もしかして渋谷さんは私の今の状況を把握されているのですか?」
凛「ん、まあだいたいはね」
美嘉(早い……ッ!! もう勘付かれた!!)
凛「美嘉はプロデューサーを心配して来てくれたんだね。ありがとう、あとは私がいるからもういいよ」
美嘉「も、もういいって! 凛だけでどうするつもりなのよ!」
凛「どうするって、決まってるでしょ」
凛「時間が来るまでプロデューサーと二人っきりになるだけ」
美嘉「なっ……」
武内P「し、渋谷さん。それでは私が渋谷さんのことを……」
凛「だってしょうがないでしょ。もしプロデューサーが変な人を好きになったりしたら、私だけじゃなくてプロジェクト全員に迷惑がかかるんだから」
凛「変な人じゃなくても、その人が普段は遠くに住んでる人だったりしたらプロデューサー仕事辞めちゃうかもしれないでしょ。どっちにしろ困るよ。蘭子にいたっては泣くかも」
武内P「そ、それは……」
美嘉「だからって何で凛なのよ!!」
凛「だって私は担当アイドルで、普段からプロデューサーの隣にいるから。適任でしょ」
美嘉「え、いやでも……プロデューサーであるコイツが、まだ十六歳未満の担当しているアイドルに惚れるなんてマズイでしょっ」
凛「……まるで元担当で、結婚できる年齢なら問題が無いみたいな言い方だね」
美嘉「そそ、そんなこと言ってないし」
渋谷凛
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6: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 14:47:10.80 ID:qZdx75aV0
凛「……別に大丈夫だよ。プロデューサーは良識のある人だから、仕事にみだりに私情なんか持ち出さない。パワハラとかセクハラとか、細心の注意を払ってくれるよ」
凛「それとも美嘉はプロデューサーが私のことを好き過ぎるからって、未成年の、それも担当アイドルに手を出すような人だと思うの?」
美嘉「う……そんなこと、思わないけどさ」
武内P「……今の症状が未知である以上、私が相手にどれだけ入れ込むかわかりません。信頼していただけるのは嬉しいのですが、万が一の場合も考えた方がいいかと」
美嘉「そう! それそれそれ!!」
凛「ビンタして終わりでしょ」
武・処『え?』
凛「ありえないけど、もしプロデューサーが血迷って私を襲いかかってきたらビンタして終わるから」
美嘉「いや……そんな簡単な話じゃ」
凛「簡単だよ。力じゃどうしたって勝ち目なんかないけど、プロデューサーだよ? 私に我慢できずに手を出すことすらありえないけど、我慢できずに手を出すほど好きな私に頬を叩かれて目を覚まさないなんて、もっとありえない」
凛「万が一なんて表現はしょせんは比喩だけど、万が一が同時に起きる確率は億が一。そんなちっちゃな可能性について考える時間、今は無いでしょ」
美嘉「う……」
武内P「その……渋谷さんはそれでいいのでしょうか? 私のように倍も歳の離れた男に好かれて、気持ち悪いでしょう。仲間のために自分を犠牲にすることは止めてください」
美嘉「そう! それそれそれ!! 下手したらコイツ、凛のこと何十年も想い続けるんだよ! それについてはどうするの!!」
凛「結婚すれば解決でしょ」
武・処『え?』
凛「数年で効果が解ければそれで終わり。でも私が子どもと呼べない年齢になっても効果が続いたら、その時は結婚するから」
美嘉「ななななななな、何言ってるかわかってんの!?」
武内P「」
凛「別に私は今好きな人はいないから、プロデューサーとの距離が近いことで勘違いされて困ることは無い。プロデューサーのことは尊敬して信頼もしているから、プロデューサーに好かれたからって気持ち悪いだなんてこれっぽっちも思わない」
凛「結婚するのはプロデューサーがかわいそうってのもあるけど、多分その頃には私もプロデューサーのこと好きになってると思うから。私は人よりちょっと冷たいところがあるけど、プロデューサーみたいに誠実な人に何年も想われて好きになれないほど冷徹じゃないよ」
凛「まあそうはいかなくても、愛する人より愛してくれる人と結婚するのが幸せだって聞くし」
美嘉「だ、だったらアタシが! 後輩にそんな重い役目させらんないから!」
凛「美嘉じゃダメ」
美嘉「な、なんでよ! 別にアタシだってコイツに好かれても、気持ち悪いだなんてまったく思わないから!!」
凛「そっちじゃなくて。美嘉はプロデューサーが本気で迫ったら、ビンタするどころか受け入れそうだから」
美嘉「なっ――――――」
武内P「」
凛「プロデューサーに壁まで押し寄せられて、怒るでも叫ぶでもなく、顔を真っ赤にして震えながら目を閉じそう」
美嘉「りぇ、れんりゃい経験ほうちゅなアタシが、しょんなブジャマしゃらしゅわけないでしょ!!」
凛「説得力皆無だね」
美嘉「くっ……」
凛「それとも美嘉はプロデューサーが私のことを好き過ぎるからって、未成年の、それも担当アイドルに手を出すような人だと思うの?」
美嘉「う……そんなこと、思わないけどさ」
武内P「……今の症状が未知である以上、私が相手にどれだけ入れ込むかわかりません。信頼していただけるのは嬉しいのですが、万が一の場合も考えた方がいいかと」
美嘉「そう! それそれそれ!!」
凛「ビンタして終わりでしょ」
武・処『え?』
凛「ありえないけど、もしプロデューサーが血迷って私を襲いかかってきたらビンタして終わるから」
美嘉「いや……そんな簡単な話じゃ」
凛「簡単だよ。力じゃどうしたって勝ち目なんかないけど、プロデューサーだよ? 私に我慢できずに手を出すことすらありえないけど、我慢できずに手を出すほど好きな私に頬を叩かれて目を覚まさないなんて、もっとありえない」
凛「万が一なんて表現はしょせんは比喩だけど、万が一が同時に起きる確率は億が一。そんなちっちゃな可能性について考える時間、今は無いでしょ」
美嘉「う……」
武内P「その……渋谷さんはそれでいいのでしょうか? 私のように倍も歳の離れた男に好かれて、気持ち悪いでしょう。仲間のために自分を犠牲にすることは止めてください」
美嘉「そう! それそれそれ!! 下手したらコイツ、凛のこと何十年も想い続けるんだよ! それについてはどうするの!!」
凛「結婚すれば解決でしょ」
武・処『え?』
凛「数年で効果が解ければそれで終わり。でも私が子どもと呼べない年齢になっても効果が続いたら、その時は結婚するから」
美嘉「ななななななな、何言ってるかわかってんの!?」
武内P「」
凛「別に私は今好きな人はいないから、プロデューサーとの距離が近いことで勘違いされて困ることは無い。プロデューサーのことは尊敬して信頼もしているから、プロデューサーに好かれたからって気持ち悪いだなんてこれっぽっちも思わない」
凛「結婚するのはプロデューサーがかわいそうってのもあるけど、多分その頃には私もプロデューサーのこと好きになってると思うから。私は人よりちょっと冷たいところがあるけど、プロデューサーみたいに誠実な人に何年も想われて好きになれないほど冷徹じゃないよ」
凛「まあそうはいかなくても、愛する人より愛してくれる人と結婚するのが幸せだって聞くし」
美嘉「だ、だったらアタシが! 後輩にそんな重い役目させらんないから!」
凛「美嘉じゃダメ」
美嘉「な、なんでよ! 別にアタシだってコイツに好かれても、気持ち悪いだなんてまったく思わないから!!」
凛「そっちじゃなくて。美嘉はプロデューサーが本気で迫ったら、ビンタするどころか受け入れそうだから」
美嘉「なっ――――――」
武内P「」
凛「プロデューサーに壁まで押し寄せられて、怒るでも叫ぶでもなく、顔を真っ赤にして震えながら目を閉じそう」
美嘉「りぇ、れんりゃい経験ほうちゅなアタシが、しょんなブジャマしゃらしゅわけないでしょ!!」
凛「説得力皆無だね」
美嘉「くっ……」
7: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 14:48:15.48 ID:qZdx75aV0
凛「さ、そんなわけだから。私と一緒に行くよプロデューサー」
武内P「それは……えっ?」
ギュッ
美嘉「……」
武内P「城ヶ崎さん?」
凛「どうしたの美嘉? 時間は無いんだから手を放してほしいんだけど」
美嘉「アンタは……それでいいの?」
武内P「……いい、わけではありません。ですが」
美嘉「あ、アタシは!」
武内P「……はい」
美嘉「アンタが望むなら……望んで、くれるんなら!」
凛「……プロデューサー。わかってるよね?」
武内P(いったい……何を?)
武内P(わかりません。彼女たちが私に何を求めているのかを)
武内P(二人とも私を心配してくれているのはわかるのですが……それだけでは、この胃を締めつける緊迫感は説明できません)
武内P(誰か……誰か助け――――)
「そこまでです!!」
蒼・処『何奴!?』
武内P(いったい誰が!?)
???「まったく。事態を聞いておっとり刀で駆けつけてみれば、さっそくプロデューサーさんを困らせる人が二人もいるとは」
???「しかしそんな横暴はここまでです!!」
幸子「このカワイイボクが来たからには!!!」フフーン
凛「……なんだ、幸子か」
美嘉「お姉ちゃんたち真剣な話をしてるの。さ、帰って」
幸子「なっ……!?」
武内P(私に救いなど無いのか……)
輿水幸子
http://image02.seesaawiki.jp/i/g/imascg/df5198712991aabd.jpeg
武内P「それは……えっ?」
ギュッ
美嘉「……」
武内P「城ヶ崎さん?」
凛「どうしたの美嘉? 時間は無いんだから手を放してほしいんだけど」
美嘉「アンタは……それでいいの?」
武内P「……いい、わけではありません。ですが」
美嘉「あ、アタシは!」
武内P「……はい」
美嘉「アンタが望むなら……望んで、くれるんなら!」
凛「……プロデューサー。わかってるよね?」
武内P(いったい……何を?)
武内P(わかりません。彼女たちが私に何を求めているのかを)
武内P(二人とも私を心配してくれているのはわかるのですが……それだけでは、この胃を締めつける緊迫感は説明できません)
武内P(誰か……誰か助け――――)
「そこまでです!!」
蒼・処『何奴!?』
武内P(いったい誰が!?)
???「まったく。事態を聞いておっとり刀で駆けつけてみれば、さっそくプロデューサーさんを困らせる人が二人もいるとは」
???「しかしそんな横暴はここまでです!!」
幸子「このカワイイボクが来たからには!!!」フフーン
凛「……なんだ、幸子か」
美嘉「お姉ちゃんたち真剣な話をしてるの。さ、帰って」
幸子「なっ……!?」
武内P(私に救いなど無いのか……)
輿水幸子
http://image02.seesaawiki.jp/i/g/imascg/df5198712991aabd.jpeg
8: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 14:50:57.01 ID:qZdx75aV0
幸子「帰るわけにはいきませんね。何せ、プロデューサーさんの命がかかっているんですから!」
蒼・武・処『命!!?』
美嘉「ちょ、どういうことよ! まさか志希の実験に危険なことが含まれてたの!?」
凛「……おいたがすぎるね」
武内P「輿水さん、説明してもらえますか」
幸子「ええ、皆さんボクのカワイイ説明をよく聞いてくださいね」
蒼・武・処『ゴクリ』
幸子「まず第一に、プロデューサーさんはカワイイボクを心底愛してしまっています」
蒼・処『ちょっと待て』
武内P「」
幸子「まったく、歳が半分にも満たないボクにぞっこんだなんてダメダメなプロデューサーさんですが、カワイ過ぎるボクにも罪があるのでここは置いておきましょう」
幸子「問題は催眠療法とかいう方法で、寝ても覚めてもボクをカワイがることばかり考えているプロデューサーさんの感情を、無理やり捻じ曲げることです」
幸子「これが普通レベルの愛情でも苦しいことなのに、プロデューサーさんのボクへの入れ込みようは異常ですからね。カワイイボク以外の誰かを愛することに耐え切れず、間違いなく発狂して最悪死に至ります」
凛「なるほど……」
美嘉「理屈としては、なくはないのかな?」
武内P「いえ、あの……輿水さん?」
幸子「プロデューサーさんがこれまで通り日常を過ごすには、今と同じようにカワイイボクのことで頭いっぱいじゃなければいけません。さあ、そういうわけでプロデューサーさん! 二人っきりでボクを存分にカワイがりましょう!」
武内P「」
凛「……幸子、いい加減にしなよ」
幸子「なんですか? ボクの完璧でカワイイ理論を理解できなかったんですか?」
凛「理解はしたよ。うん、プロデューサーが好きな人を変えるのは危険だってことはよくわかった」
幸子「だったら――」
凛「だから、好きな人は私のままでいさせないと」
武内P「…………………………はい?」
幸子「な、何をとぼけたことを!!」
美嘉「……うん、幸子ちゃんの言うとおりだね」
幸子「美嘉さん! もっと言って――」
美嘉「コイツが好きなのは―――――――アタシなんだから」
幸子「なっ……!?」
武内P「………………………じょ……が…さき、さん?」
蒼・武・処『命!!?』
美嘉「ちょ、どういうことよ! まさか志希の実験に危険なことが含まれてたの!?」
凛「……おいたがすぎるね」
武内P「輿水さん、説明してもらえますか」
幸子「ええ、皆さんボクのカワイイ説明をよく聞いてくださいね」
蒼・武・処『ゴクリ』
幸子「まず第一に、プロデューサーさんはカワイイボクを心底愛してしまっています」
蒼・処『ちょっと待て』
武内P「」
幸子「まったく、歳が半分にも満たないボクにぞっこんだなんてダメダメなプロデューサーさんですが、カワイ過ぎるボクにも罪があるのでここは置いておきましょう」
幸子「問題は催眠療法とかいう方法で、寝ても覚めてもボクをカワイがることばかり考えているプロデューサーさんの感情を、無理やり捻じ曲げることです」
幸子「これが普通レベルの愛情でも苦しいことなのに、プロデューサーさんのボクへの入れ込みようは異常ですからね。カワイイボク以外の誰かを愛することに耐え切れず、間違いなく発狂して最悪死に至ります」
凛「なるほど……」
美嘉「理屈としては、なくはないのかな?」
武内P「いえ、あの……輿水さん?」
幸子「プロデューサーさんがこれまで通り日常を過ごすには、今と同じようにカワイイボクのことで頭いっぱいじゃなければいけません。さあ、そういうわけでプロデューサーさん! 二人っきりでボクを存分にカワイがりましょう!」
武内P「」
凛「……幸子、いい加減にしなよ」
幸子「なんですか? ボクの完璧でカワイイ理論を理解できなかったんですか?」
凛「理解はしたよ。うん、プロデューサーが好きな人を変えるのは危険だってことはよくわかった」
幸子「だったら――」
凛「だから、好きな人は私のままでいさせないと」
武内P「…………………………はい?」
幸子「な、何をとぼけたことを!!」
美嘉「……うん、幸子ちゃんの言うとおりだね」
幸子「美嘉さん! もっと言って――」
美嘉「コイツが好きなのは―――――――アタシなんだから」
幸子「なっ……!?」
武内P「………………………じょ……が…さき、さん?」
9: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 14:52:55.87 ID:qZdx75aV0
凛「ふーーーーーん、面白いこと言うね」
幸子「ちっとも面白くありませんよ二人とも!!」
美嘉「そうだね。本当のこと言っただけで、面白いはずないから」
蒼・処・幸『』┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ド
武内P「あ……あの、皆さん?」
『プロデューサーさん……逃げるなら、今のうちだよ』
武内P(この声は……!)
『このままじゃ……三人のうち、誰かを好きになっちゃうよ。さあ、ゆっくり……けど急いで』
武内P(三人をこのまま置いていくのは気が引けますが……このまま私がここにいて、誰であっても好きになるのはまずいです)ジリジリ
『そう……その調子。そして、角を左に曲がってから――』
凛「蒼穹の果て、私はここにいる! ヴォルト・オブ・ヘヴン!」
美嘉「うわ、何これ!?」
幸子「ヒイイイイィッ!? ってプロデューサーさん、どこに行くんですか!?」
『――走って!』
武内P「くっ……」
ダダダダダダッ
『次の角も左で――』
ダダダダダダッ
『階段を下りて――』
ハアッ……ハアッ……
『右に走って――』
武内P(うまく……まけた?)
『左の部屋に入って……ゴール』
ピタ
『プロデューサーさん……?』
幸子「ちっとも面白くありませんよ二人とも!!」
美嘉「そうだね。本当のこと言っただけで、面白いはずないから」
蒼・処・幸『』┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ド
武内P「あ……あの、皆さん?」
『プロデューサーさん……逃げるなら、今のうちだよ』
武内P(この声は……!)
『このままじゃ……三人のうち、誰かを好きになっちゃうよ。さあ、ゆっくり……けど急いで』
武内P(三人をこのまま置いていくのは気が引けますが……このまま私がここにいて、誰であっても好きになるのはまずいです)ジリジリ
『そう……その調子。そして、角を左に曲がってから――』
凛「蒼穹の果て、私はここにいる! ヴォルト・オブ・ヘヴン!」
美嘉「うわ、何これ!?」
幸子「ヒイイイイィッ!? ってプロデューサーさん、どこに行くんですか!?」
『――走って!』
武内P「くっ……」
ダダダダダダッ
『次の角も左で――』
ダダダダダダッ
『階段を下りて――』
ハアッ……ハアッ……
『右に走って――』
武内P(うまく……まけた?)
『左の部屋に入って……ゴール』
ピタ
『プロデューサーさん……?』
10: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 14:53:33.16 ID:qZdx75aV0
武内P(なぜでしょう。このままこの声に従って部屋に入るのは、非常にまずい気がします)
武内P(彼女には申し訳ありませんが、ここはこのまま立ち去らせて――)クルッ
小梅「ジー」
武内P「し、白坂さん!? 部屋の中にいたのでは?」
小梅「プロデューサーさんを誘導し終わってから……入ろうと思って」
小梅「ねえ、プロデューサーさん。今の、何?」
小梅「違うよね? 私のおかげで逃げ出せたよね? 私のこと……信じて、くれてるんだよね?」
武内P「も、もちろんです。ですが、今の私は――」
小梅「うん、良かった。プロデューサーさんが私のこと、疑うはず……ないもんね」パアッ
武内P「当然です。しかし、まず聞いてください。今の私は――」
小梅「うん……聞くから、部屋に入ろ。見つかっちゃう」
武内P「………………わかり、ました」
ガチャ、バタン
カチャリ――
小梅「フフ」
武内P「……白坂さん?」
小梅「フフ……フフフフフフ」
武内P「あの……何かおかしなことでも――ッ!?」
ギュウウウウウッ
小梅「二人っきり……プロデューサーさん、プロデューサーさん♪」
武内P「い、いけません白坂さん。このようなことをしては!」
小梅「ねえ、プロデューサーさん」
武内P「なんでしょう。まずはいったん――」
小梅「私にしようよ」
白坂小梅
http://imcgdb.info/card-img/2435901.jpg
武内P(彼女には申し訳ありませんが、ここはこのまま立ち去らせて――)クルッ
小梅「ジー」
武内P「し、白坂さん!? 部屋の中にいたのでは?」
小梅「プロデューサーさんを誘導し終わってから……入ろうと思って」
小梅「ねえ、プロデューサーさん。今の、何?」
小梅「違うよね? 私のおかげで逃げ出せたよね? 私のこと……信じて、くれてるんだよね?」
武内P「も、もちろんです。ですが、今の私は――」
小梅「うん、良かった。プロデューサーさんが私のこと、疑うはず……ないもんね」パアッ
武内P「当然です。しかし、まず聞いてください。今の私は――」
小梅「うん……聞くから、部屋に入ろ。見つかっちゃう」
武内P「………………わかり、ました」
ガチャ、バタン
カチャリ――
小梅「フフ」
武内P「……白坂さん?」
小梅「フフ……フフフフフフ」
武内P「あの……何かおかしなことでも――ッ!?」
ギュウウウウウッ
小梅「二人っきり……プロデューサーさん、プロデューサーさん♪」
武内P「い、いけません白坂さん。このようなことをしては!」
小梅「ねえ、プロデューサーさん」
武内P「なんでしょう。まずはいったん――」
小梅「私にしようよ」
白坂小梅
http://imcgdb.info/card-img/2435901.jpg
11: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 14:54:26.42 ID:qZdx75aV0
武内P「…………………………白坂、さん?」
小梅「私は……イヤだよ。プロデューサーさんが変な人を好きになったり……好きになっちゃいけない人を好きになって、罪を犯したり……叶わない恋をして、苦しむ姿なんて……見たくない」
武内P「それは……」
小梅「好きな人に振り向いてもらえないって……とても苦しいことなんだよ。それを、何年も何年も……自分の意志じゃなくて、変な実験のせいで」
小梅「そして……変な実験のせいで……プロデューサーさんが私に振り向いてくれないなんて……死んでもイヤ」
小梅「叶わない恋なんて……させたくないし、したくもない」
小梅「お願い……私にしてよ、プロデューサーさん」
武内P「……白坂さん」
武内P(まだ子どもの告白――そう流すには、あまりに白坂さんの顔は真剣でした)
武内P(拒絶されるではないかという怯えと、それを克服する願いが叶うのではないかという期待)
武内P(時には心配になるほど透き通った白い肌は淡く紅潮し、濡れた瞳が真っ直ぐに私を見上げる)
武内P(本気……なのでしょう。ですが、私は――)
武内P「白坂さん……私は貴女にそこまで想ってもらえて、とても光栄に思います」
小梅「……やめて、そんな言い方しないで。本当にそう思ってくれるなら……何も言わずに、きつくきつく抱きしめて」
武内P「……許してください白坂さん。私はプロデューサーで、貴女はアイドル。何より、私は大人で貴女は子どもなんです」
小梅「でも……でも……私が大人になるまで……待て、ないんでしょ」
小梅「楓さんや……美嘉さんを好きになって……結ばれるのなら、まだ諦められる。けど、こんな変な形で……こんなんじゃ、将来私が大きくなっても……ダメのまま。納得なんか、できっこない」
武内P「……申し訳、ありません」
小梅「…………わかった。じゃあせめて、最後に一度だけ――抱きしめて」
武内P「…………………………わかりました」
武内P(許されることではありません。ですが、彼女に納得してもらうには、これしかないのでしょう)
武内P「白坂さん……本当に、すみません」ギュウッ
小梅「……ううん。謝らなくていいよプロデューサーさん。謝るのは……プロデューサーさんの立場がわかっているのに、困らせる私の方。ごめんなさい……ごめんなさい……」
武内P「白坂さん……」
小梅「ごめんなさい……許して……問答無用で――」
武内P「……白坂さん?」
小梅「問答無用でプロデューサーさんを幸せにすることを、どうか許して」
武内P「……ッ!!?」ギシィッ
武内P(体が……動かない!? “あの子”が!?)
小梅「私は……イヤだよ。プロデューサーさんが変な人を好きになったり……好きになっちゃいけない人を好きになって、罪を犯したり……叶わない恋をして、苦しむ姿なんて……見たくない」
武内P「それは……」
小梅「好きな人に振り向いてもらえないって……とても苦しいことなんだよ。それを、何年も何年も……自分の意志じゃなくて、変な実験のせいで」
小梅「そして……変な実験のせいで……プロデューサーさんが私に振り向いてくれないなんて……死んでもイヤ」
小梅「叶わない恋なんて……させたくないし、したくもない」
小梅「お願い……私にしてよ、プロデューサーさん」
武内P「……白坂さん」
武内P(まだ子どもの告白――そう流すには、あまりに白坂さんの顔は真剣でした)
武内P(拒絶されるではないかという怯えと、それを克服する願いが叶うのではないかという期待)
武内P(時には心配になるほど透き通った白い肌は淡く紅潮し、濡れた瞳が真っ直ぐに私を見上げる)
武内P(本気……なのでしょう。ですが、私は――)
武内P「白坂さん……私は貴女にそこまで想ってもらえて、とても光栄に思います」
小梅「……やめて、そんな言い方しないで。本当にそう思ってくれるなら……何も言わずに、きつくきつく抱きしめて」
武内P「……許してください白坂さん。私はプロデューサーで、貴女はアイドル。何より、私は大人で貴女は子どもなんです」
小梅「でも……でも……私が大人になるまで……待て、ないんでしょ」
小梅「楓さんや……美嘉さんを好きになって……結ばれるのなら、まだ諦められる。けど、こんな変な形で……こんなんじゃ、将来私が大きくなっても……ダメのまま。納得なんか、できっこない」
武内P「……申し訳、ありません」
小梅「…………わかった。じゃあせめて、最後に一度だけ――抱きしめて」
武内P「…………………………わかりました」
武内P(許されることではありません。ですが、彼女に納得してもらうには、これしかないのでしょう)
武内P「白坂さん……本当に、すみません」ギュウッ
小梅「……ううん。謝らなくていいよプロデューサーさん。謝るのは……プロデューサーさんの立場がわかっているのに、困らせる私の方。ごめんなさい……ごめんなさい……」
武内P「白坂さん……」
小梅「ごめんなさい……許して……問答無用で――」
武内P「……白坂さん?」
小梅「問答無用でプロデューサーさんを幸せにすることを、どうか許して」
武内P「……ッ!!?」ギシィッ
武内P(体が……動かない!? “あの子”が!?)
12: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 14:55:14.92 ID:qZdx75aV0
小梅「プロデューサーさん……このままじゃ、誰を好きになっても……自己嫌悪に陥りそう。私がこの人を好きなのは、実験のせい。そんな私が想いを告げるのは……失礼だ」
小梅「私があの時、この人のことを考えすぎてしまったせいで迷惑をかけてしまっている。……そんな風に、考えちゃう」
小梅「大丈夫だよ、プロデューサーさん。プロデューサーさんは……今でもだいぶ、私のことが好き。心の底から愛するのが……ちょっと早くなるだけ」
小梅「実験の効果が出るまで、私のことを考えすぎちゃうのは……チュ」
武内P「……ッ」ビクッ
小梅「私が……いけない娘だから。プロデューサーさんは……悪くなんて、ないんだから」
小梅「何も……心配いらない。きっとこの後も、プロデューサーさんは……アイドルで、まだ中学生の私を好きになったことに苦しむけど……そんなもの、私が全部吹き飛ばしちゃう」
小梅「自分の幸せについては二の次で……私たちアイドルのことばかり考えるプロデューサーさんを……私が、問答無用で幸せにしちゃうから」
武内P(なんという……ことに。このままでは、私は白坂さんを好きになってしまう。なんとか、なんとか何も考えないようにしなけれ――ッ!?)
小梅「プロデューサーさんの体……とっても大きくって……固くって……でも弾力もあって……暖かい。包まれて、とっても気持ちいいよぉ」サスリサスリ
武内P「」
小梅「ここも……そうなの?」サワッ
武内P「~~~~~っっっ!!?」
小梅「わっ!? ちょ、ちょっとさわっただけなのに……我慢、してたんだね? 一気におっきくなったよ?」
武内P(……遺言状の書き方……調べなければ)
小梅「金縛りなのに、こんな風になるなんて……うん、プロデューサーさんの気持ち、わかったよ。その……下手かもしれないけど」
武内P(い、いけません! 貴女がそんな汚いモノに手を触れては――!!)
――カイサード アルサード
小梅「……え?」
――キ・スク・ハンセ・グロス・シルク
武内P(これは……?)
「灰塵と化せ!!!! 冥界の賢者!!」
「七つの鍵をもて開け 地獄の門!!!!」
「七鍵守護神(ハーロ・イーン)!!!!!」
ガチャ
蘭子「天地を引き裂く友の嘆きを聞き届け――我、参上!」
武内P(神崎さん……ッ)
神崎蘭子
http://imcgdb.info/card-img/2434701.jpg
小梅「私があの時、この人のことを考えすぎてしまったせいで迷惑をかけてしまっている。……そんな風に、考えちゃう」
小梅「大丈夫だよ、プロデューサーさん。プロデューサーさんは……今でもだいぶ、私のことが好き。心の底から愛するのが……ちょっと早くなるだけ」
小梅「実験の効果が出るまで、私のことを考えすぎちゃうのは……チュ」
武内P「……ッ」ビクッ
小梅「私が……いけない娘だから。プロデューサーさんは……悪くなんて、ないんだから」
小梅「何も……心配いらない。きっとこの後も、プロデューサーさんは……アイドルで、まだ中学生の私を好きになったことに苦しむけど……そんなもの、私が全部吹き飛ばしちゃう」
小梅「自分の幸せについては二の次で……私たちアイドルのことばかり考えるプロデューサーさんを……私が、問答無用で幸せにしちゃうから」
武内P(なんという……ことに。このままでは、私は白坂さんを好きになってしまう。なんとか、なんとか何も考えないようにしなけれ――ッ!?)
小梅「プロデューサーさんの体……とっても大きくって……固くって……でも弾力もあって……暖かい。包まれて、とっても気持ちいいよぉ」サスリサスリ
武内P「」
小梅「ここも……そうなの?」サワッ
武内P「~~~~~っっっ!!?」
小梅「わっ!? ちょ、ちょっとさわっただけなのに……我慢、してたんだね? 一気におっきくなったよ?」
武内P(……遺言状の書き方……調べなければ)
小梅「金縛りなのに、こんな風になるなんて……うん、プロデューサーさんの気持ち、わかったよ。その……下手かもしれないけど」
武内P(い、いけません! 貴女がそんな汚いモノに手を触れては――!!)
――カイサード アルサード
小梅「……え?」
――キ・スク・ハンセ・グロス・シルク
武内P(これは……?)
「灰塵と化せ!!!! 冥界の賢者!!」
「七つの鍵をもて開け 地獄の門!!!!」
「七鍵守護神(ハーロ・イーン)!!!!!」
ガチャ
蘭子「天地を引き裂く友の嘆きを聞き届け――我、参上!」
武内P(神崎さん……ッ)
神崎蘭子
http://imcgdb.info/card-img/2434701.jpg
13: 大亜門「ハロウィンの季節に七鍵守護神(ハーロ・イーン)とかないわー」 2017/10/28(土) 14:58:49.94 ID:qZdx75aV0
小梅「……普通にドア、開けるんだ」
蘭子「……カッコよく蹴破ろうとして、くじいたことがあるから」
小梅「あ……ごめんね、訊いちゃって」
蘭子「別に……別に、いいよ」
小梅「ところで……鍵はどうやって――」
まゆP「武内!!」ババッ
小梅「キャッ。……これは、塩!?」
武内P「体が……動く!」ガタッ
小梅「あ――」
あの子<ゴメンネ、力ガ抜ケチャッテ
まゆP「幽霊なんかなあ! まゆに手を出しちまうことに比べたら怖くも何ともねえんだよ!!」
小梅「そっか……まゆPさんが事態を察して、鍵を用意しつつ蘭子ちゃんを呼び出したんだ」
蘭子「冥界の魔術師よ……汝の気持ちもわからんでもない。故に、これまでの所業は見逃そう(小梅ちゃん……気持ちがわかるけど、これ以上はダメだよ)」
蘭子「されど! 我が友の運命を歪めんとするのなら、ここから先は闇を総べる我が相手だ!!(プロデューサーの結婚相手は決まってるんだから、邪魔はさせない!!)」
まゆP「……毒を以て毒を制する。武内、今のうちに逃げるぞ。……両方からな」
武内P「しかし、二人をこのまま置いていくのは――」
蘭子「我が友よ、案ずるな」
武内P「神崎さん……?」
蘭子「ここは我にまかせて先に行け!!」
武内P「……わかりました、あとは任せます」タタタタッ
まゆP「お互いケガだけはするなよ」タタタタッ
小梅「あ……そんな……プロデューサーさん」
蘭子「むふー♪」←前々から言いたかったセリフを言えて満足
小梅「……蘭子ちゃん、どいて。プロデューサーさんを追えない」
蘭子「ならぬ。たとえ汝であってもな(小梅ちゃんでもダメです)」
小梅「……わかった。痛くしたら……ううん、怖くしたらごめんね」
蘭子「ハーハッハッハッ!! 恐怖など闇の一端に過ぎぬ! 見せてくれよう、闇を総べる我の力を!」
蘭子「祝福されし完成をとくと見よ!」
ドドゥン!!
抹消者<ドーモ、小梅=サン。祝福されし完成です
小梅「……四肢切断」
抹消者<アイエエエエエエエェッ
蘭子「ぴいいいいいいいいいぃぃ!?」
祝福されし完成
http://diarynote.jp/data/blogs/l/20110407/88045_201104070022126252_1.jpg
四肢切断
http://img21.shop-pro.jp/PA01380/734/product/115275493.jpg?cmsp_timestamp=20170320134254
蘭子「……カッコよく蹴破ろうとして、くじいたことがあるから」
小梅「あ……ごめんね、訊いちゃって」
蘭子「別に……別に、いいよ」
小梅「ところで……鍵はどうやって――」
まゆP「武内!!」ババッ
小梅「キャッ。……これは、塩!?」
武内P「体が……動く!」ガタッ
小梅「あ――」
あの子<ゴメンネ、力ガ抜ケチャッテ
まゆP「幽霊なんかなあ! まゆに手を出しちまうことに比べたら怖くも何ともねえんだよ!!」
小梅「そっか……まゆPさんが事態を察して、鍵を用意しつつ蘭子ちゃんを呼び出したんだ」
蘭子「冥界の魔術師よ……汝の気持ちもわからんでもない。故に、これまでの所業は見逃そう(小梅ちゃん……気持ちがわかるけど、これ以上はダメだよ)」
蘭子「されど! 我が友の運命を歪めんとするのなら、ここから先は闇を総べる我が相手だ!!(プロデューサーの結婚相手は決まってるんだから、邪魔はさせない!!)」
まゆP「……毒を以て毒を制する。武内、今のうちに逃げるぞ。……両方からな」
武内P「しかし、二人をこのまま置いていくのは――」
蘭子「我が友よ、案ずるな」
武内P「神崎さん……?」
蘭子「ここは我にまかせて先に行け!!」
武内P「……わかりました、あとは任せます」タタタタッ
まゆP「お互いケガだけはするなよ」タタタタッ
小梅「あ……そんな……プロデューサーさん」
蘭子「むふー♪」←前々から言いたかったセリフを言えて満足
小梅「……蘭子ちゃん、どいて。プロデューサーさんを追えない」
蘭子「ならぬ。たとえ汝であってもな(小梅ちゃんでもダメです)」
小梅「……わかった。痛くしたら……ううん、怖くしたらごめんね」
蘭子「ハーハッハッハッ!! 恐怖など闇の一端に過ぎぬ! 見せてくれよう、闇を総べる我の力を!」
蘭子「祝福されし完成をとくと見よ!」
ドドゥン!!
抹消者<ドーモ、小梅=サン。祝福されし完成です
小梅「……四肢切断」
抹消者<アイエエエエエエエェッ
蘭子「ぴいいいいいいいいいぃぃ!?」
祝福されし完成
http://diarynote.jp/data/blogs/l/20110407/88045_201104070022126252_1.jpg
四肢切断
http://img21.shop-pro.jp/PA01380/734/product/115275493.jpg?cmsp_timestamp=20170320134254
14: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 15:00:27.78 ID:qZdx75aV0
※ ※ ※
タタタタタタッ
まゆP「武内、時間まであとどれくらいだ!?」
武内P「早ければあと30分です」
まゆP「……時間が無い。アイドルたちにアレコレされたことを考えると、どこかに一人で閉じこもって何も考えないようにしても……思い出しちまうだろ?」
武内P「情けない話ですが……」
まゆP「しょうがないさ。うん、しょうがない。アイドルにアレコレされたら、反応してしまうのは仕方ない仕方ない。仕方ねえんだよ!」
武内P(まゆP……不憫な)
まゆP「だがそれ以上はダメだ。何としても――チッ、もう来たか」
音ガシタシ、キットコノ辺リにプロデューサーガッ!!
チョ、チョット凛落チ着キナッテ
コンナニカワイイボクカラ逃ゲルダナンテ、今日トイウ今日ハ最後マデカワイガラナイト許セマセン!!
オ?
ハ?
フフーン?
まゆP「仲間割れしながら器用に追いかけんじゃねえよ……武内、ここは俺にまかせて先に行け!!」
武内P「しかし……っ」
まゆP「余計なことは考えるな! オマエはアイドルに手を出さないことだけを考えればいい!!」
まゆP「たとえそのために、お前が倫理道徳を踏みにじることになっても……オマエと同じ立場の俺だけは、味方だからな」
まゆP「だから……何があっても、絶対に諦めんなよ!!」
武内P「……わかりました」
タタタタタタッ
武内P「絶対にアイドルに手を出したりしませんッ!!」
タタタタタタッ
まゆP「武内、時間まであとどれくらいだ!?」
武内P「早ければあと30分です」
まゆP「……時間が無い。アイドルたちにアレコレされたことを考えると、どこかに一人で閉じこもって何も考えないようにしても……思い出しちまうだろ?」
武内P「情けない話ですが……」
まゆP「しょうがないさ。うん、しょうがない。アイドルにアレコレされたら、反応してしまうのは仕方ない仕方ない。仕方ねえんだよ!」
武内P(まゆP……不憫な)
まゆP「だがそれ以上はダメだ。何としても――チッ、もう来たか」
音ガシタシ、キットコノ辺リにプロデューサーガッ!!
チョ、チョット凛落チ着キナッテ
コンナニカワイイボクカラ逃ゲルダナンテ、今日トイウ今日ハ最後マデカワイガラナイト許セマセン!!
オ?
ハ?
フフーン?
まゆP「仲間割れしながら器用に追いかけんじゃねえよ……武内、ここは俺にまかせて先に行け!!」
武内P「しかし……っ」
まゆP「余計なことは考えるな! オマエはアイドルに手を出さないことだけを考えればいい!!」
まゆP「たとえそのために、お前が倫理道徳を踏みにじることになっても……オマエと同じ立場の俺だけは、味方だからな」
まゆP「だから……何があっても、絶対に諦めんなよ!!」
武内P「……わかりました」
タタタタタタッ
武内P「絶対にアイドルに手を出したりしませんッ!!」
15: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 15:01:25.26 ID:qZdx75aV0
序盤終了、今回はここまで
一応全部書き終わってはいるんですが、中盤以降の細部の確認がまだ終わっていないので、確認が終わりしだい投稿します
できれば今日中、遅くとも明日までには終わります
一応全部書き終わってはいるんですが、中盤以降の細部の確認がまだ終わっていないので、確認が終わりしだい投稿します
できれば今日中、遅くとも明日までには終わります
28: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 20:39:22.95 ID:qZdx75aV0
※ ※ ※
武内P「ハァ……ハァ……」
武内P(走って逃げたわけですが……これからどうすべきなのか、まるで見当がついていません)
武内P(何も考えずに実験の効果を最小限に抑える選択肢は、もう無理なのでしょう)
武内P(だとすると、やはり誰かを好きになってしまうことを選ばなければ――)
武内P「ん?」
未央「プロデューサー、こっちこっち!」
武内P(走るのをやめて、廊下を歩きながら今後どうするか考えていると、部屋の中から上半身だけ出した本田さんが手招きをしていました)
未央「どうしたのプロデューサー? ボーッとしてないでこっち来てよ!」
武内P「その……本田さん、今何が起きているかご存じでしょうか?」
未央「へ? さ、さあ何のこと? 未央ちゃん全然わかんないなー」
武内P「………………その、申し訳ありませんが。今私はアイドルの皆さんと接触するわけにはいかないんです。まして二人きりなど。失礼します」
未央「き、来てくれないの!?」
武内P「申し訳……ありません」タタタタタッ
未央「な、泣くよ!!」
武内P「」ピタッ
未央「未央ちゃん実は寂しがり屋なんだよ! プロデューサーに構ってもらえないと、本当に泣くよ!!」
武内P(……振り返るべきではありません。お互いのためにも、ここは心を鬼にするべきです)
武内P(――しかし)クルッ
未央「……プロデューサー」
武内P(……もうこれ以上、本田さんを泣かせるわけには)スタスタ
未央「……え?」
武内P「どのような用件でしょうか?」
未央「……ッ!? ちょ、ちょっと待って」ゴシゴシ
未央「スーハー、スーハー……」
未央「……いやあ、プロデューサーはちょろいですなあ! ちょっと泣きそうなフリするだけで戻ってくるだなんて! 未央ちゃんだから良かったものの、こんな簡単に騙されちゃそのうち女の人に酷い目にあわされちゃうよ? まったく、プロデューサーには未央ちゃんがついていないとダメなんだから♪」
武内P(……本田さん、目が赤いですよ)
未央「さあさあ、部屋に入った。一名様ご案なーい♪」
武内P「は、はあ」
本田未央
http://imcgdb.info/card-img/1000000227.jpg
武内P「ハァ……ハァ……」
武内P(走って逃げたわけですが……これからどうすべきなのか、まるで見当がついていません)
武内P(何も考えずに実験の効果を最小限に抑える選択肢は、もう無理なのでしょう)
武内P(だとすると、やはり誰かを好きになってしまうことを選ばなければ――)
武内P「ん?」
未央「プロデューサー、こっちこっち!」
武内P(走るのをやめて、廊下を歩きながら今後どうするか考えていると、部屋の中から上半身だけ出した本田さんが手招きをしていました)
未央「どうしたのプロデューサー? ボーッとしてないでこっち来てよ!」
武内P「その……本田さん、今何が起きているかご存じでしょうか?」
未央「へ? さ、さあ何のこと? 未央ちゃん全然わかんないなー」
武内P「………………その、申し訳ありませんが。今私はアイドルの皆さんと接触するわけにはいかないんです。まして二人きりなど。失礼します」
未央「き、来てくれないの!?」
武内P「申し訳……ありません」タタタタタッ
未央「な、泣くよ!!」
武内P「」ピタッ
未央「未央ちゃん実は寂しがり屋なんだよ! プロデューサーに構ってもらえないと、本当に泣くよ!!」
武内P(……振り返るべきではありません。お互いのためにも、ここは心を鬼にするべきです)
武内P(――しかし)クルッ
未央「……プロデューサー」
武内P(……もうこれ以上、本田さんを泣かせるわけには)スタスタ
未央「……え?」
武内P「どのような用件でしょうか?」
未央「……ッ!? ちょ、ちょっと待って」ゴシゴシ
未央「スーハー、スーハー……」
未央「……いやあ、プロデューサーはちょろいですなあ! ちょっと泣きそうなフリするだけで戻ってくるだなんて! 未央ちゃんだから良かったものの、こんな簡単に騙されちゃそのうち女の人に酷い目にあわされちゃうよ? まったく、プロデューサーには未央ちゃんがついていないとダメなんだから♪」
武内P(……本田さん、目が赤いですよ)
未央「さあさあ、部屋に入った。一名様ご案なーい♪」
武内P「は、はあ」
本田未央
http://imcgdb.info/card-img/1000000227.jpg
29: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 20:41:24.28 ID:qZdx75aV0
武内P(部屋は普段会議室として利用されているところで、スクリーンが既に広げてあることと、段ボールが一箱あるのが目につきました)
未央「ささ、まずは椅子に座って」
武内P「その……何をするんですか?」
未央「いや、変なことなんかしないよ! しきにゃんが座る場所まで調整したって聞いたけど、未央ちゃんにそんな難しいことできないから!」
武内P「確かに……あのようなことができるのは、一ノ瀬さんを除けば池袋さんぐらいでしょう」
未央「そうそう。そういうわけで座って」
武内P「はい」
未央「で、これに目を通して」
つ 本田未央ファースト写真集
武内P「……?」
未央「映像も観ようね♪」ポチッ
<燃やせ友情! パッションは、ミツボシ☆☆★♪
武内P「これは……先日の単独ライブのものですね」
未央「うん。プロデューサーがベタ褒めしてくれたやつだよ」ゴソゴソ
武内P「あの……本田さん」
未央「なーにぃ? 今からポスターを部屋中に貼るんだけど」
武内P「その、このようなことせずとも、今貴女が目の前にいるんです。それだけで十分でしょう」
未央「私で……十分?」ピタッ
武内P「はい」
未央「私だけで……十分?」
武内P「ええ」
未央「私だけで……他はいらない?」
武内P「え?」
未央「なーんちゃって♪」
武内P「はぁ……驚かせないでくださ――ッ!!」
ギュウウウッ
未央「でも……そう言ってくれたら、嬉しいな」
武内P「……本田さん?」
未央「ねえプロデューサー。あと残り時間はわずか……誰にしようと思ってるの?」
武内P「私は……私は誰も考えません。誰のことも、今回のことで好きになるまいと思っています」
未央「そうは言っても何年……下手したら何十年もかかわる大きなことなんだよ。誰のことも考えないようにしようとしたって、どうしても普段から気になる人のこと考えちゃうんじゃない?」
武内P「そ、それは……」
未央「ねえプロデューサー? 誰にしようかって悩んで、何番目でも……最後でもいい。それでも私のことも思い浮かんだんなら」
未央「私にして……後悔なんかさせないように、全力で頑張るから」
未央「ささ、まずは椅子に座って」
武内P「その……何をするんですか?」
未央「いや、変なことなんかしないよ! しきにゃんが座る場所まで調整したって聞いたけど、未央ちゃんにそんな難しいことできないから!」
武内P「確かに……あのようなことができるのは、一ノ瀬さんを除けば池袋さんぐらいでしょう」
未央「そうそう。そういうわけで座って」
武内P「はい」
未央「で、これに目を通して」
つ 本田未央ファースト写真集
武内P「……?」
未央「映像も観ようね♪」ポチッ
<燃やせ友情! パッションは、ミツボシ☆☆★♪
武内P「これは……先日の単独ライブのものですね」
未央「うん。プロデューサーがベタ褒めしてくれたやつだよ」ゴソゴソ
武内P「あの……本田さん」
未央「なーにぃ? 今からポスターを部屋中に貼るんだけど」
武内P「その、このようなことせずとも、今貴女が目の前にいるんです。それだけで十分でしょう」
未央「私で……十分?」ピタッ
武内P「はい」
未央「私だけで……十分?」
武内P「ええ」
未央「私だけで……他はいらない?」
武内P「え?」
未央「なーんちゃって♪」
武内P「はぁ……驚かせないでくださ――ッ!!」
ギュウウウッ
未央「でも……そう言ってくれたら、嬉しいな」
武内P「……本田さん?」
未央「ねえプロデューサー。あと残り時間はわずか……誰にしようと思ってるの?」
武内P「私は……私は誰も考えません。誰のことも、今回のことで好きになるまいと思っています」
未央「そうは言っても何年……下手したら何十年もかかわる大きなことなんだよ。誰のことも考えないようにしようとしたって、どうしても普段から気になる人のこと考えちゃうんじゃない?」
武内P「そ、それは……」
未央「ねえプロデューサー? 誰にしようかって悩んで、何番目でも……最後でもいい。それでも私のことも思い浮かんだんなら」
未央「私にして……後悔なんかさせないように、全力で頑張るから」
30: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 20:42:17.31 ID:qZdx75aV0
武内P(……突然私に抱きついた本田さんの体はかすかに震え、まるで雪の降る夜に寒さに怯える子どものようでした)
武内P(目を合わせようにも、その瞳は固く閉ざされ……自然と私は、慰めようと彼女の頭に手を置いていました)
武内P「本田さん……私は……私は」
未央「……ほら! それに私お買い得なんだよ!」ガバッ
武内P「……」
未央「この写真集見てよ! 15歳にしてこの谷間! うーん、我ながらエッチィですなあ! これを好きにできるんだよ? よ、幸せ者!」
武内P(誤魔化そうとふざけてみせても……)
未央「なんだか美嘉ねぇみたいに逆サバしてるんじゃないかって言われてるらしいけど、調べてみる? キャー!」
武内P(……目じりの涙は消せません)
武内P「本田さん」
未央「え……どうしたのそんなマジなトーンで。ほ、本当に測っちゃう?」
武内P「私は何があっても、貴女たちを見守りたいと思っています」
未央「……プロデューサー?」
武内P「私の言葉が足りず……いえ、勇気が無かったために、貴女には辛い想いをさせました」
未央「あ、あれは私だってっ!!」
武内P「いいえ。貴女があの日のためにどれだけの努力を重ね、意気込んでいたのか私は知っていました。もっと私が貴女たちに歩み寄ってさえいれば、その意気込みの強さに危うさを感じ取ることができたはずなのです」
武内P「これからも思慮が足りず、貴方が助けを必要としている時に、適切なことを行えないかもしれません」
武内P「ですが、そばにいることだけは約束します。時間がかかっても、必ず力になって見せます」
未央「プロデューサー……」
武内P「だから、寂しがらないでください。貴女には私だけでなく、たくさんの仲間もいるのですから」
未央「……」
未央「私……プロデューサーが誰かを好きになるのが嫌なのって……寂しいからなのかな?」
武内P「嫌、なんですか?」
未央「うん。今回の話を聞いて真っ先に思ったのは……プロデューサーが遠くに行っちゃう。嫌だ。引きとめなきゃ……だった」
未央「他の人たちと仲良くしててもそんなこと思わないのに……今日は胸が締め付けられて、体が寒く感じた。いざって時に、プロデューサーが隣で不器用な笑顔を見せてくれないんだって」
武内P「大丈夫です本田さん。私はずっとそばにいます」
未央「それは……サー……として?」
武内P「え?」
未央「ううん、なんでもない」
未央「いやー、まったく。この年になって寂しくって泣いちゃうだなんて! 今回のこと、私とプロデューサーの二人だけの内緒だからね!」
武内P「はい、承知しました」
未央「ごめんね、長々と引き留めちゃって。そろそろ誰か気づくと思うから、ここを離れた方がいいよ」
武内P「そうですね。それでは失礼します」
未央「――あ」
武内P「どうかされましたか?」
未央「その……ね? 時間いっぱいになって……誰にするか決めあぐねたら」
――私にしてくれて、いいから
武内P(目を合わせようにも、その瞳は固く閉ざされ……自然と私は、慰めようと彼女の頭に手を置いていました)
武内P「本田さん……私は……私は」
未央「……ほら! それに私お買い得なんだよ!」ガバッ
武内P「……」
未央「この写真集見てよ! 15歳にしてこの谷間! うーん、我ながらエッチィですなあ! これを好きにできるんだよ? よ、幸せ者!」
武内P(誤魔化そうとふざけてみせても……)
未央「なんだか美嘉ねぇみたいに逆サバしてるんじゃないかって言われてるらしいけど、調べてみる? キャー!」
武内P(……目じりの涙は消せません)
武内P「本田さん」
未央「え……どうしたのそんなマジなトーンで。ほ、本当に測っちゃう?」
武内P「私は何があっても、貴女たちを見守りたいと思っています」
未央「……プロデューサー?」
武内P「私の言葉が足りず……いえ、勇気が無かったために、貴女には辛い想いをさせました」
未央「あ、あれは私だってっ!!」
武内P「いいえ。貴女があの日のためにどれだけの努力を重ね、意気込んでいたのか私は知っていました。もっと私が貴女たちに歩み寄ってさえいれば、その意気込みの強さに危うさを感じ取ることができたはずなのです」
武内P「これからも思慮が足りず、貴方が助けを必要としている時に、適切なことを行えないかもしれません」
武内P「ですが、そばにいることだけは約束します。時間がかかっても、必ず力になって見せます」
未央「プロデューサー……」
武内P「だから、寂しがらないでください。貴女には私だけでなく、たくさんの仲間もいるのですから」
未央「……」
未央「私……プロデューサーが誰かを好きになるのが嫌なのって……寂しいからなのかな?」
武内P「嫌、なんですか?」
未央「うん。今回の話を聞いて真っ先に思ったのは……プロデューサーが遠くに行っちゃう。嫌だ。引きとめなきゃ……だった」
未央「他の人たちと仲良くしててもそんなこと思わないのに……今日は胸が締め付けられて、体が寒く感じた。いざって時に、プロデューサーが隣で不器用な笑顔を見せてくれないんだって」
武内P「大丈夫です本田さん。私はずっとそばにいます」
未央「それは……サー……として?」
武内P「え?」
未央「ううん、なんでもない」
未央「いやー、まったく。この年になって寂しくって泣いちゃうだなんて! 今回のこと、私とプロデューサーの二人だけの内緒だからね!」
武内P「はい、承知しました」
未央「ごめんね、長々と引き留めちゃって。そろそろ誰か気づくと思うから、ここを離れた方がいいよ」
武内P「そうですね。それでは失礼します」
未央「――あ」
武内P「どうかされましたか?」
未央「その……ね? 時間いっぱいになって……誰にするか決めあぐねたら」
――私にしてくれて、いいから
31: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 20:42:59.18 ID:qZdx75aV0
※ ※ ※
スタスタ、スタスタ
武内P「……」
――私にしてくれて、いいから
武内P「……私は、何を考えているんですか」
武内P「年齢が倍は離れていますし、そもそも本田さんは寂しいだけです。私をそこまで頼りにしてくれているのは意外でしたが……それ以上ではけっして」
武内P「こんな時にまだ15歳の娘のことを考えるなど――」
早苗「確保」ガチャリ
武内P「―――――――え?」
手錠<もう……離さないからね///
早苗「まだ自制できてはいるようだけど時間の問題かもしれないし、ロリコンは早めに矯正しとかないとね。うんうん」
武内P「あの……片桐さん?」
早苗「フ……フフフフフ」
早苗「フハハハハハ、ハーッハッハッハッハッハ!!」
早苗「よっしゃーっ! 高身長・高学歴・高収入、イケメンイケボでさらに性格的に絶対に浮気しない超優良物件とったどー!!」
武内P「」
早苗「いやー、年齢を考えてこれまで何度か妥協しそうになったけど、諦めないでよかったよかった♪」
武内P「あの……冗談、ですよね?」
早苗「……武内君」
武内P「は、はい」
早苗「結婚式の招待状が届く度に感じていた焦りが、少しずつ諦めに変わっていく恐怖……男の君にはわからないか」
武内P(目が……本気です)ゴクリ
片桐早苗
http://imcgdb.info/card-img/3435901.jpg
スタスタ、スタスタ
武内P「……」
――私にしてくれて、いいから
武内P「……私は、何を考えているんですか」
武内P「年齢が倍は離れていますし、そもそも本田さんは寂しいだけです。私をそこまで頼りにしてくれているのは意外でしたが……それ以上ではけっして」
武内P「こんな時にまだ15歳の娘のことを考えるなど――」
早苗「確保」ガチャリ
武内P「―――――――え?」
手錠<もう……離さないからね///
早苗「まだ自制できてはいるようだけど時間の問題かもしれないし、ロリコンは早めに矯正しとかないとね。うんうん」
武内P「あの……片桐さん?」
早苗「フ……フフフフフ」
早苗「フハハハハハ、ハーッハッハッハッハッハ!!」
早苗「よっしゃーっ! 高身長・高学歴・高収入、イケメンイケボでさらに性格的に絶対に浮気しない超優良物件とったどー!!」
武内P「」
早苗「いやー、年齢を考えてこれまで何度か妥協しそうになったけど、諦めないでよかったよかった♪」
武内P「あの……冗談、ですよね?」
早苗「……武内君」
武内P「は、はい」
早苗「結婚式の招待状が届く度に感じていた焦りが、少しずつ諦めに変わっていく恐怖……男の君にはわからないか」
武内P(目が……本気です)ゴクリ
片桐早苗
http://imcgdb.info/card-img/3435901.jpg
32: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 20:43:59.76 ID:qZdx75aV0
武内P「……片桐さん。私への評価が過大ですし、そもそも私と結婚しても楽しい日々は送れないと思いますが」
早苗「うーん、そっかなあ? ただ真面目なだけな男じゃそうかもしれないけど、君はけっこういじくりがいがありそうだし、お酒にもまあまあ強いから付き合ってくれるでしょ」
武内P「その……悪くはないかもしれませんが、だいぶ妥協されているのではありませんか?」
早苗「え~、そっかなあ?」
武内P「もちろんです。片桐さんの明るい性格と勢い、美貌」
早苗「それにスタイルと酒量!」
武内P「それらを考えれば、私など足元にも及ばない素敵な男性と巡り合えるに違いありません!」
早苗「……確かに、ちょっと焦ってたかもしれない」
武内P「その通りです! ですから、この手錠を――」
早苗「だからといって、この超優良物件をただ手放すのももったいないわねえ」
武内P「……え?」
早苗「……うん、決めた。25歳で背が高くて見た目はミステリアスなのに、ダジャレ好きな残念美人に引き渡しましょう!」
武内P「~~~~~っっっ!!?」
早苗「さあ連行連行♪」
武内P「まま、待ってください!!」ズザザァ
早苗「うおっ!? 意外と強い抵抗」
武内P「高垣さんは……今の状態で高垣さんと会うのは本当にまずいんです!!」
早苗「え、なーに? どういう意味どういう意味? 未成年の娘たち相手は我慢しなきゃって思えるけど、楓ちゃん相手にはそうはいかないから?」
早苗「それとも――楓ちゃんには普段から我慢が限界だったとか?」
武内P「ちち、違まます!!」
早苗「あらあら~♪ 仕事を第一にして自分の心を押し殺していた男が、ついに胸の想いに素直になり幸せになる――ベタだけどいいじゃない!! ううん、楓ちゃんと武内君っていう最高の素材同士の組み合わせなんだから、ベタなぐらいがいいわ!! 全米が震撼すること間違いなし!!」
武内P「い、一度落ち着きませんか?」
早苗「いやー落ち着くって言ってもね? はなっから君のことは楓ちゃんのところに連れて行くつもりだったわけで。さ、そんなわけだから観念して。君力強いから、手首極めて引きずることになっちゃうよ?」
武内P(お、終わってしまう……何もかも)
武内P(担当しているアイドルの皆さんから軽蔑され……職を失い……そして、よりによって高垣さんに嫌われ――)
「そのFA待ったぁ!!」
武内P「!!?」
???「素直にプロデューサーに甘えたいのになかなか素直になれない」
???「だからプロデューサーのためだからと言い訳する」
???「人、それをカワイイと言う」
早苗「誰だ貴様はッ!?」
???「フッ――」
友紀「球界の盟主キャッツ、公認アイドル、姫川友紀!!」ロム・ストールゥ!!
姫川友紀
http://imcgdb.info/card-img/3527002.jpg
早苗「うーん、そっかなあ? ただ真面目なだけな男じゃそうかもしれないけど、君はけっこういじくりがいがありそうだし、お酒にもまあまあ強いから付き合ってくれるでしょ」
武内P「その……悪くはないかもしれませんが、だいぶ妥協されているのではありませんか?」
早苗「え~、そっかなあ?」
武内P「もちろんです。片桐さんの明るい性格と勢い、美貌」
早苗「それにスタイルと酒量!」
武内P「それらを考えれば、私など足元にも及ばない素敵な男性と巡り合えるに違いありません!」
早苗「……確かに、ちょっと焦ってたかもしれない」
武内P「その通りです! ですから、この手錠を――」
早苗「だからといって、この超優良物件をただ手放すのももったいないわねえ」
武内P「……え?」
早苗「……うん、決めた。25歳で背が高くて見た目はミステリアスなのに、ダジャレ好きな残念美人に引き渡しましょう!」
武内P「~~~~~っっっ!!?」
早苗「さあ連行連行♪」
武内P「まま、待ってください!!」ズザザァ
早苗「うおっ!? 意外と強い抵抗」
武内P「高垣さんは……今の状態で高垣さんと会うのは本当にまずいんです!!」
早苗「え、なーに? どういう意味どういう意味? 未成年の娘たち相手は我慢しなきゃって思えるけど、楓ちゃん相手にはそうはいかないから?」
早苗「それとも――楓ちゃんには普段から我慢が限界だったとか?」
武内P「ちち、違まます!!」
早苗「あらあら~♪ 仕事を第一にして自分の心を押し殺していた男が、ついに胸の想いに素直になり幸せになる――ベタだけどいいじゃない!! ううん、楓ちゃんと武内君っていう最高の素材同士の組み合わせなんだから、ベタなぐらいがいいわ!! 全米が震撼すること間違いなし!!」
武内P「い、一度落ち着きませんか?」
早苗「いやー落ち着くって言ってもね? はなっから君のことは楓ちゃんのところに連れて行くつもりだったわけで。さ、そんなわけだから観念して。君力強いから、手首極めて引きずることになっちゃうよ?」
武内P(お、終わってしまう……何もかも)
武内P(担当しているアイドルの皆さんから軽蔑され……職を失い……そして、よりによって高垣さんに嫌われ――)
「そのFA待ったぁ!!」
武内P「!!?」
???「素直にプロデューサーに甘えたいのになかなか素直になれない」
???「だからプロデューサーのためだからと言い訳する」
???「人、それをカワイイと言う」
早苗「誰だ貴様はッ!?」
???「フッ――」
友紀「球界の盟主キャッツ、公認アイドル、姫川友紀!!」ロム・ストールゥ!!
姫川友紀
http://imcgdb.info/card-img/3527002.jpg
33: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 20:44:51.44 ID:qZdx75aV0
武内P「姫川……さん?」
友紀「CPのプロデューサー! 自分の気持ちに正直になって。今回はそのチャンスなんだよ」
武内P「は、はあ」
友紀「勇気が出せるように、先人の偉業を教えるね」
友紀「元ロッテの小林選手はね、25歳の時に18歳の相手と結婚したんだ」
友紀「――交際期間、6年を経てね」
武内P「」
※デマでした
友紀「だからプロデューサー! 幸子ちゃんが14歳だからって、自分の気持ちを押し[ピーーー]必要なんて――」
早苗「いいわけあるかあああああっ!!!」
武内P「」ビクッ
早苗「ああもう、武内君はここで待ってて!」ガチャリ
手錠<もう離さない
手すり<君がすべてさ
手錠・手すり<BE MY BABY♪
早苗「犯罪を助長するようなこと言うんじゃないっ!!」ガシッ
友紀「想い合ってる二人を応援してるだけだもん!!」ガシッ
武内P(二人が揉めているうちに逃げなければ。しかし手錠が……ん?)
段ボール箱<……
武内P(いつの間にか近くに段ボール箱が……気づいていなかっただけでしょうか?)
段ボール箱<ゴソッ
武内P「!?」
杏「うしっ。今がチャンスだね」
武内P「双葉さん!?」
杏「シー。今から手錠外すから」
双葉杏
http://imcgdb.info/card-img/1411401.jpg
34: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 20:46:08.38 ID:qZdx75aV0
武内P「しかし、どうやって……」
杏「大丈夫大丈夫。クリップで手錠を外す動画を見たことあるから……んん? なんか上手くいかない。んー、じゃあ試しにこっちも……お、こっちは上手くいった」ガチャ
武内P「助かりました双葉さん。……双葉さん?」
杏「……変だなあ」
武内P「どうかされましたか?」
杏「いや、手すりに繋がっている方の手錠は外せたから逃げられるんだけど、どうもこの手錠左右で作り方が違うみたいで……」
<大型補強! なのに13連敗! CS導入後初Bクラス! 山口俊! 村田ヘッドコーチ続投!
<ゲボハァッ!!
杏「今考えることじゃないね。勝負がつく前に逃げないと。こっちだよ」
武内P「は、はい」
ペタペタペタ、タタタタタタッ
杏「大丈夫大丈夫。クリップで手錠を外す動画を見たことあるから……んん? なんか上手くいかない。んー、じゃあ試しにこっちも……お、こっちは上手くいった」ガチャ
武内P「助かりました双葉さん。……双葉さん?」
杏「……変だなあ」
武内P「どうかされましたか?」
杏「いや、手すりに繋がっている方の手錠は外せたから逃げられるんだけど、どうもこの手錠左右で作り方が違うみたいで……」
<大型補強! なのに13連敗! CS導入後初Bクラス! 山口俊! 村田ヘッドコーチ続投!
<ゲボハァッ!!
杏「今考えることじゃないね。勝負がつく前に逃げないと。こっちだよ」
武内P「は、はい」
ペタペタペタ、タタタタタタッ
35: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 20:47:48.84 ID:qZdx75aV0
※ ※ ※
杏「あー疲れた。もう一週間分の運動はしちゃったよ。今日は杏と一緒にダラダラしない?」
武内P「……双葉さんは今の私の状況について、ご存じでは?」
杏「ああ、あの与太話ね」
武内P「よ、与太話?」
杏「うーん、ちょっと現状を整理しよっか。面倒くさいけど」」
杏「プロデューサーは40~50分という催眠療法の効果がでるまでの間で、一番意識した女性に惚れてしまう」
武内P「はい」
杏「志希の説明だと愛情以外の感情が増幅される可能性もあるけど……ぶっちゃけプロデューサー。さっきからドキドキさせられまくりでしょ?」
武内P「その……恥ずかしながら」
杏「べっつにぃ? 男として健全だから杏は気にしないよ」
杏「もうすでに20分以上が経過。効果が発動するまで最短で20分弱。誰を数年から数十年の間好きになり続けるかを、あと10分ぐらいで決めて、実行に移さないといけない」
杏「……だけどさ。そんあこと有り得るって思う?」
武内P「どういう意味ですか?」
杏「薬って何で定期的に服用し続けないといけないの? 効果が永続しないからでしょ」
杏「薬物療法じゃなくて催眠療法だから大丈夫? まさか。効果は長いかもしれないけど、だからこそ時間をかけて行う必要があるんだよ」
杏「定期的に何回も、患者のことを理解しつつ信頼も得ながら」
杏「志希がいくら天才だからって、ほんの少しの時間でこんな長期的な効果が生まれること、できるはずがない」
武内P「なるほど……」
武内P(突然の事態に加えて、説明の最中に目まいに襲われるという信じられないこともあって、有り得ないはずのことを全面的に受け入れていました)
杏「そもそもそんな危険な療法を施したのに、被験者の近くで経過を見守らないのもおかしいよ。ちょっとぶっ飛んでるところはあるけど、ここまで非人道的なことをするやつじゃないし、何より化学者としてデータを取りたいはず」
杏(まあプロデューサーが知らないうちに色んな計器を取り付けてるかもしんないけど)
武内P「……だとすると、一ノ瀬さんの目的はなんなのでしょうか?」
杏「手の込んだイタズラなんじゃない? 皆色んな手で今回の事態を知ったみたいだけど、志希から連絡を受けて知ったのは美嘉だけ。あの二人仲良いから、美嘉をからかおうとして事が大きくなったと思うけど」
杏「まあ時間が過ぎれば皆冷静になるから、それまでここで大人しく杏とぐうたらしてようよ」
武内P「……しかし」
杏「理屈では大丈夫とわかっても、万が一のことを考えると不安?」
武内P「ええ。このまま双葉さんとここに一緒にいますと、もしかすると私は双葉さんのことを……」
杏「んー、じゃあこうしよっか」
杏「そうなったら杏と結婚しよう」
杏「あー疲れた。もう一週間分の運動はしちゃったよ。今日は杏と一緒にダラダラしない?」
武内P「……双葉さんは今の私の状況について、ご存じでは?」
杏「ああ、あの与太話ね」
武内P「よ、与太話?」
杏「うーん、ちょっと現状を整理しよっか。面倒くさいけど」」
杏「プロデューサーは40~50分という催眠療法の効果がでるまでの間で、一番意識した女性に惚れてしまう」
武内P「はい」
杏「志希の説明だと愛情以外の感情が増幅される可能性もあるけど……ぶっちゃけプロデューサー。さっきからドキドキさせられまくりでしょ?」
武内P「その……恥ずかしながら」
杏「べっつにぃ? 男として健全だから杏は気にしないよ」
杏「もうすでに20分以上が経過。効果が発動するまで最短で20分弱。誰を数年から数十年の間好きになり続けるかを、あと10分ぐらいで決めて、実行に移さないといけない」
杏「……だけどさ。そんあこと有り得るって思う?」
武内P「どういう意味ですか?」
杏「薬って何で定期的に服用し続けないといけないの? 効果が永続しないからでしょ」
杏「薬物療法じゃなくて催眠療法だから大丈夫? まさか。効果は長いかもしれないけど、だからこそ時間をかけて行う必要があるんだよ」
杏「定期的に何回も、患者のことを理解しつつ信頼も得ながら」
杏「志希がいくら天才だからって、ほんの少しの時間でこんな長期的な効果が生まれること、できるはずがない」
武内P「なるほど……」
武内P(突然の事態に加えて、説明の最中に目まいに襲われるという信じられないこともあって、有り得ないはずのことを全面的に受け入れていました)
杏「そもそもそんな危険な療法を施したのに、被験者の近くで経過を見守らないのもおかしいよ。ちょっとぶっ飛んでるところはあるけど、ここまで非人道的なことをするやつじゃないし、何より化学者としてデータを取りたいはず」
杏(まあプロデューサーが知らないうちに色んな計器を取り付けてるかもしんないけど)
武内P「……だとすると、一ノ瀬さんの目的はなんなのでしょうか?」
杏「手の込んだイタズラなんじゃない? 皆色んな手で今回の事態を知ったみたいだけど、志希から連絡を受けて知ったのは美嘉だけ。あの二人仲良いから、美嘉をからかおうとして事が大きくなったと思うけど」
杏「まあ時間が過ぎれば皆冷静になるから、それまでここで大人しく杏とぐうたらしてようよ」
武内P「……しかし」
杏「理屈では大丈夫とわかっても、万が一のことを考えると不安?」
武内P「ええ。このまま双葉さんとここに一緒にいますと、もしかすると私は双葉さんのことを……」
杏「んー、じゃあこうしよっか」
杏「そうなったら杏と結婚しよう」
36: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 20:50:21.90 ID:qZdx75aV0
武内P「――はい?」
杏「条件は杏を幸せにぐうたらに飼うこと。プロデューサーは好きになった人と結婚できてハッピー。杏は夢のぐうたら生活へと入れてハッピー。ノーバディ キャンストップ グータラ生活」
杏「ひょっとして誰か似たような提案しているかな? まあ打算的な杏が相手ならプロデューサーもそんなに罪悪感を覚えないだろうし、杏にしといた方が無難だよ」
武内P「……双葉さん。私のような頭の固い人間にそのような冗談は止めてください。心臓に悪いですから」
杏「プロデューサー、冗談半分って言葉があるよね」
武内Pえ?」
杏「今の杏の提案、どこからが冗談でどこまでが本気だろうね。フフ」
武内P「ふ、双葉さん?」
杏「別にまったく好きでもない相手と結婚しようだなんて、いくら杏でも考えないよ。それなりに好きで、けっこう信頼してて、経済力がある男性と結婚できる。これってかなりの幸せなんじゃない?」
武内P「その……そう言ってもらえるのはたいへん嬉しいです」
杏「お金のことも重視してても?」
武内P「ここまで面と向かって言われると、かえって評価されているのだと嬉しく思えます」
杏「……そうだね。プロデューサーが運やコネじゃなくて、努力して勝ち取ったわかりやすい評価の一つだもんね。そこだけ見られたら不愉快だろうけどさ」
武内P「ただ、私は双葉さんの冗談交じりの願いを叶えることはできません」
杏「え~、ケチー」
武内P「生涯の伴侶となる方に尽くすのはやぶさかではないのですが……」
杏「打算的な相手じゃその気になれない、と。むむっ、閃いた!!」
武内P「今さら本気だったと言いなおしませんよね?」
杏「……プロデューサー、女の子をおしゃべりを遮るなんて酷くない?」
武内P「も、申し訳ありません」
杏「ま、杏が本気であろうがなかろうが、プロデューサーは担当しているアイドル、それに未成年に手を出せる性格じゃないもんね」
武内P「その……双葉さん」
杏「なーにぃ?」
武内P「そんなはずはないと分かっているのですが……本気で私と結婚したいと考えているアイドルがいるのでしょうか?」
杏「……そう考えるのも無理はないよ。今日だけで何回も求婚まがいなことされてるもんね」
杏「けどその原因は催眠療法の効果が出るまでのタイムリミットがあって、さらにそれがほんの数十分ってこと。さらに効果が下手したら数十年っていう取り返しのつかない事態になること」
杏「事の大きさと考える時間の短さに加えて、皆プロデューサーに懐いているから、焦って妙な判断をしているだけだから気にしないでいいよ」
武内P「……ええ、きっと双葉さんの言うとおりです。私などを恋愛対象として見るわけがないのに、恥ずかしい話をしてしまいました」
杏「ア、ウン。ソダネー」
武内P「それではそろそろ私は行きます。双葉さんが言うとおり一ノ瀬さんのイタズラの可能性もありますが、なるべく二人っきりの状態は避けたいと思います」
杏「うん。気をつけてね」
ガチャ、バタン。タタタタタタタッ
杏「さて……と。杏と二人っきりだった時間は6分と20秒。占めた時間もなかなかだけど、状況を整理できたのが大きい」
杏「これから状況が切迫するに従って、何をすべきか考えるたびに杏との会話を思い出す。杏のことを意識する」
杏「このままいけば杏が勝てるんだけど――」チラッ
「家庭の話をかってーに仮定してます……ふふふ」
杏「……うわぁ。中庭で余裕たっぷりに鼻歌交じりに歩いてるや」
杏「残り時間もあとわずか。いったい何をしでかすつもりなのかな?」
杏「条件は杏を幸せにぐうたらに飼うこと。プロデューサーは好きになった人と結婚できてハッピー。杏は夢のぐうたら生活へと入れてハッピー。ノーバディ キャンストップ グータラ生活」
杏「ひょっとして誰か似たような提案しているかな? まあ打算的な杏が相手ならプロデューサーもそんなに罪悪感を覚えないだろうし、杏にしといた方が無難だよ」
武内P「……双葉さん。私のような頭の固い人間にそのような冗談は止めてください。心臓に悪いですから」
杏「プロデューサー、冗談半分って言葉があるよね」
武内Pえ?」
杏「今の杏の提案、どこからが冗談でどこまでが本気だろうね。フフ」
武内P「ふ、双葉さん?」
杏「別にまったく好きでもない相手と結婚しようだなんて、いくら杏でも考えないよ。それなりに好きで、けっこう信頼してて、経済力がある男性と結婚できる。これってかなりの幸せなんじゃない?」
武内P「その……そう言ってもらえるのはたいへん嬉しいです」
杏「お金のことも重視してても?」
武内P「ここまで面と向かって言われると、かえって評価されているのだと嬉しく思えます」
杏「……そうだね。プロデューサーが運やコネじゃなくて、努力して勝ち取ったわかりやすい評価の一つだもんね。そこだけ見られたら不愉快だろうけどさ」
武内P「ただ、私は双葉さんの冗談交じりの願いを叶えることはできません」
杏「え~、ケチー」
武内P「生涯の伴侶となる方に尽くすのはやぶさかではないのですが……」
杏「打算的な相手じゃその気になれない、と。むむっ、閃いた!!」
武内P「今さら本気だったと言いなおしませんよね?」
杏「……プロデューサー、女の子をおしゃべりを遮るなんて酷くない?」
武内P「も、申し訳ありません」
杏「ま、杏が本気であろうがなかろうが、プロデューサーは担当しているアイドル、それに未成年に手を出せる性格じゃないもんね」
武内P「その……双葉さん」
杏「なーにぃ?」
武内P「そんなはずはないと分かっているのですが……本気で私と結婚したいと考えているアイドルがいるのでしょうか?」
杏「……そう考えるのも無理はないよ。今日だけで何回も求婚まがいなことされてるもんね」
杏「けどその原因は催眠療法の効果が出るまでのタイムリミットがあって、さらにそれがほんの数十分ってこと。さらに効果が下手したら数十年っていう取り返しのつかない事態になること」
杏「事の大きさと考える時間の短さに加えて、皆プロデューサーに懐いているから、焦って妙な判断をしているだけだから気にしないでいいよ」
武内P「……ええ、きっと双葉さんの言うとおりです。私などを恋愛対象として見るわけがないのに、恥ずかしい話をしてしまいました」
杏「ア、ウン。ソダネー」
武内P「それではそろそろ私は行きます。双葉さんが言うとおり一ノ瀬さんのイタズラの可能性もありますが、なるべく二人っきりの状態は避けたいと思います」
杏「うん。気をつけてね」
ガチャ、バタン。タタタタタタタッ
杏「さて……と。杏と二人っきりだった時間は6分と20秒。占めた時間もなかなかだけど、状況を整理できたのが大きい」
杏「これから状況が切迫するに従って、何をすべきか考えるたびに杏との会話を思い出す。杏のことを意識する」
杏「このままいけば杏が勝てるんだけど――」チラッ
「家庭の話をかってーに仮定してます……ふふふ」
杏「……うわぁ。中庭で余裕たっぷりに鼻歌交じりに歩いてるや」
杏「残り時間もあとわずか。いったい何をしでかすつもりなのかな?」
37: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 20:52:15.78 ID:qZdx75aV0
中盤終了
今日中に完結します
今日中に完結します
39: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 21:45:55.31 ID:qZdx75aV0
※ ※ ※
武内P(双葉さんとの話で落ち着きを取り戻した私ですが、張りつめていた気も同時に緩んでいたのでしょう)
武内P(迫りくる熱気に気づけず、部屋を出てすぐ柔らかい衝撃に襲われました)
茜「ボンバーッ!!!」
武内P(日野さんのタックルです)
茜「プロデューサー!! 大丈夫ですかプロデューサー!? なんだか大変なことになっていると聞きましたが大丈夫ですかプロデューサー!!?」ギュウウウウ
武内P「いえ……今まさに大丈夫ではないのですが」
茜「なんと!? 確認します!!」
武内P「!!?」
茜「本当です!! 心臓がすごくバクバク鳴ってて、なんだかすごいです!!」
武内P「ひ、日野さん。いったん離れましょう」
茜「そんな!? こんな状態のプロデューサーから離れるなんてできませんっ!!」
武内P「……これは突然日野さんに抱きつかれてびっくりしただけです。日野さんも、予想外のタイミングで本田さんに抱きつかれたらビックリしますよね?」
茜「ビックリしますけど、こんなには」
武内P「…………それが異性の相手、たとえば私だったらどうでしょうか」
茜「……ふぇ!!?」バッ
武内P(よ、ようやく離れてくれました)ホッ
茜「ぷ、プロデューサーがいきなり……大きな体で包み込むように……私を抱きしめ?」
武内P「あの……日野さん?」
茜「だ、ダメですよプロデューサー!!」
武内P「は、はあ」
茜「えっと……そうです、心の準備です! ちゃんとこうやって真正面からお互い腕を広げあって、全力で抱きしめ合うべきです!!」ババーン
武内P「は、はい」
茜「スーハー……というわけで今なら大丈夫です!! どうぞ!!」
武内P「いえ、今のは私が日野さんにされたことを、日野さんの立場に置きかえた場合の話でして」
茜「え」
先生・フィオレ『……』
茜「す、すみませんでした!!」
武内P「あ、いえ。わかっていただければ」
日野茜
http://pbs.twimg.com/media/CpD70GMVMAAhcJv.jpg
武内P(双葉さんとの話で落ち着きを取り戻した私ですが、張りつめていた気も同時に緩んでいたのでしょう)
武内P(迫りくる熱気に気づけず、部屋を出てすぐ柔らかい衝撃に襲われました)
茜「ボンバーッ!!!」
武内P(日野さんのタックルです)
茜「プロデューサー!! 大丈夫ですかプロデューサー!? なんだか大変なことになっていると聞きましたが大丈夫ですかプロデューサー!!?」ギュウウウウ
武内P「いえ……今まさに大丈夫ではないのですが」
茜「なんと!? 確認します!!」
武内P「!!?」
茜「本当です!! 心臓がすごくバクバク鳴ってて、なんだかすごいです!!」
武内P「ひ、日野さん。いったん離れましょう」
茜「そんな!? こんな状態のプロデューサーから離れるなんてできませんっ!!」
武内P「……これは突然日野さんに抱きつかれてびっくりしただけです。日野さんも、予想外のタイミングで本田さんに抱きつかれたらビックリしますよね?」
茜「ビックリしますけど、こんなには」
武内P「…………それが異性の相手、たとえば私だったらどうでしょうか」
茜「……ふぇ!!?」バッ
武内P(よ、ようやく離れてくれました)ホッ
茜「ぷ、プロデューサーがいきなり……大きな体で包み込むように……私を抱きしめ?」
武内P「あの……日野さん?」
茜「だ、ダメですよプロデューサー!!」
武内P「は、はあ」
茜「えっと……そうです、心の準備です! ちゃんとこうやって真正面からお互い腕を広げあって、全力で抱きしめ合うべきです!!」ババーン
武内P「は、はい」
茜「スーハー……というわけで今なら大丈夫です!! どうぞ!!」
武内P「いえ、今のは私が日野さんにされたことを、日野さんの立場に置きかえた場合の話でして」
茜「え」
先生・フィオレ『……』
茜「す、すみませんでした!!」
武内P「あ、いえ。わかっていただければ」
日野茜
http://pbs.twimg.com/media/CpD70GMVMAAhcJv.jpg
40: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 21:46:51.06 ID:qZdx75aV0
茜「と、ところでプロデューサー!! なんだか大変なことになっているそうですね!?」
武内P「日野さんの耳にまで届いていましたか……」
茜「はい! だから私と一緒に走りましょう!!」
武内P「……理由を尋ねてもいいでしょうか?」
茜「志希ちゃんに何だか怪しい実験をされたと聞きました! だから動いて汗をかいて、悪い物を流す! これでプロデューサーに変な事は起きたりしません!!」
武内P「なるほど、日野さんの考えはわかりました。せっかくですが残り時間が少ないので、上手くいくかわからない方法を試すわけには……」
茜「ダメですよプロデューサー!! 上手くいかないなんて考えながらじゃ、上手くいくものも上手くいきませんよ!!」
武内P「……たとえばの話ですが、ある練習をすれば九割の可能性で大きな成果を得られるとします」
茜「素晴らしいですね! ぜひ実行するべきです!」
武内P「しかし一割の確率で選手生命が絶たれるほど危険なものでした」
茜「なっ!?」
武内P「上手くいくと信じることはとても大切なことです。しかし失敗した場合のことをまったく考えないのも問題ではないでしょうか」
茜「むむむ」
茜「……プロデューサーさんの場合、上手くいかずに失敗するとどうなるんでしょうか?」
武内P「そうですね。日野さんと一緒に走っているわけですから、私が日野さんのことを愛してしまうことになるかと」
茜「……ふぇ?」
武内P「なので、万が一にもそのような事態にならないために……日野さん?」
茜(プ、プロデューサーが私を愛して!!? つ、つまり――)
武内P「日野さんの耳にまで届いていましたか……」
茜「はい! だから私と一緒に走りましょう!!」
武内P「……理由を尋ねてもいいでしょうか?」
茜「志希ちゃんに何だか怪しい実験をされたと聞きました! だから動いて汗をかいて、悪い物を流す! これでプロデューサーに変な事は起きたりしません!!」
武内P「なるほど、日野さんの考えはわかりました。せっかくですが残り時間が少ないので、上手くいくかわからない方法を試すわけには……」
茜「ダメですよプロデューサー!! 上手くいかないなんて考えながらじゃ、上手くいくものも上手くいきませんよ!!」
武内P「……たとえばの話ですが、ある練習をすれば九割の可能性で大きな成果を得られるとします」
茜「素晴らしいですね! ぜひ実行するべきです!」
武内P「しかし一割の確率で選手生命が絶たれるほど危険なものでした」
茜「なっ!?」
武内P「上手くいくと信じることはとても大切なことです。しかし失敗した場合のことをまったく考えないのも問題ではないでしょうか」
茜「むむむ」
茜「……プロデューサーさんの場合、上手くいかずに失敗するとどうなるんでしょうか?」
武内P「そうですね。日野さんと一緒に走っているわけですから、私が日野さんのことを愛してしまうことになるかと」
茜「……ふぇ?」
武内P「なので、万が一にもそのような事態にならないために……日野さん?」
茜(プ、プロデューサーが私を愛して!!? つ、つまり――)
41: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 21:48:00.86 ID:qZdx75aV0
~ザザーン、ザザーン~
茜『うおおおおおおおっ!! プロデューサー、こっちですよおおおおお!!!』
武内P『ハハハハハ』
茜『アハハハハッ! 私を捕まえてください!!』
武内P『ハハハ、ハハハハハハハッ』
茜『ボンバーッ!!!』
茜(浜辺で追いかけっこをしたり――)
~ピヨピヨ、ピヨォ~
茜『プロデューサー! 唐翌揚げに挑戦してみました! 食べてみてください!!』
武内P『ハハハハハ』
茜『も、もうプロデューサーったら!!』
武内P『ハハハ、ハハハハハハハッ』
茜『まだまだあるからたくさん食べてくださいね!!』
茜(公園で小鳥のさえずりを聞きながら、お弁当を食べたり――)
~アハハハハ、フフフフフ~
茜『♪~』
武内P『ハハハハハ』
未央『おーおー、お熱いですなあ。手をつないで散歩だなんて♪』
茜『み、未央ちゃん!? もう、からかわないでください!!』
武内P『ハハハ、ハハハハハハハッ』
茜(手をつないでお散歩なんかも――!!?)
※私の中では茜ちゃんはランランと並んで純粋なので、この程度の妄想しかできません。17歳です。
茜『うおおおおおおおっ!! プロデューサー、こっちですよおおおおお!!!』
武内P『ハハハハハ』
茜『アハハハハッ! 私を捕まえてください!!』
武内P『ハハハ、ハハハハハハハッ』
茜『ボンバーッ!!!』
茜(浜辺で追いかけっこをしたり――)
~ピヨピヨ、ピヨォ~
茜『プロデューサー! 唐翌揚げに挑戦してみました! 食べてみてください!!』
武内P『ハハハハハ』
茜『も、もうプロデューサーったら!!』
武内P『ハハハ、ハハハハハハハッ』
茜『まだまだあるからたくさん食べてくださいね!!』
茜(公園で小鳥のさえずりを聞きながら、お弁当を食べたり――)
~アハハハハ、フフフフフ~
茜『♪~』
武内P『ハハハハハ』
未央『おーおー、お熱いですなあ。手をつないで散歩だなんて♪』
茜『み、未央ちゃん!? もう、からかわないでください!!』
武内P『ハハハ、ハハハハハハハッ』
茜(手をつないでお散歩なんかも――!!?)
※私の中では茜ちゃんはランランと並んで純粋なので、この程度の妄想しかできません。17歳です。
42: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 21:49:20.31 ID:qZdx75aV0
武内P「日野さん?」
茜「――ハッ!?」
茜「んんっ。わ、わかりました。と、とりあえず体を動かしながら、どうするか考えましょう」
武内P「は、はあ」
茜「いきなり走るのは危ないので、最初はゆっくり歩きましょう」
武内P「その……私にはゆっくりしている時間がなくてですね」
茜「だ、だからこそ二人でゆっくりと――――――――ボンバーッッッ!!!」
武内P「!!?」
茜「私は……私はなんて汚いことをしようと!! 未央ちゃんと文香さんに合わせる顔がありません!!!」
茜「プロデューサー、私を殴ってください! ちからいっぱいに頬を殴ってください! 私は、途中で一度、悪い夢を見ました。プロデューサーがもし私を殴ってくれなかったら、私はプロデューサーの元担当と名乗る資格さえ無いんです。殴って!!!」
武内P「落ち着いて、どうか落ち着いてください!」
茜「う、うう。爆砕点穴(穴掘って)埋まりたいですぅ」
武内P「その……事情はよくわかりませんが、悪いことを考えても自制できたのです。誘惑に駆られずに立派な事だと私は思います」
武内P(考えただけで悪ならば、今日だけで何度も未成年の娘相手に不誠実なことを考えている、私の立場がありません……)
茜「……ありがとうございますプロデューサー。でも、私は少し頭を冷やすことにします」
茜「ところで、未央ちゃんと文香さんとは会いましたか!? 私だけ会っていたら不公平です!!」
武内P「何が不公平なのかわかりませんが……本田さんとは会いましたが、鷺沢さんは見かけていません」
茜「それなら東館に行ってください! 文香さんがそこにいるはずですから!」
武内P「は、はい」
茜「頑張ってくださいね!!!」
武内P(元気よく手を振る日野さんに見送られ、釈然としない気がしながら東館への歩みを進めてしまいました)
武内P(しかしこのまま行くと、鷺沢さんと出会うことに……)
武内P「……ここからなら北館にも行けますね」
茜「――ハッ!?」
茜「んんっ。わ、わかりました。と、とりあえず体を動かしながら、どうするか考えましょう」
武内P「は、はあ」
茜「いきなり走るのは危ないので、最初はゆっくり歩きましょう」
武内P「その……私にはゆっくりしている時間がなくてですね」
茜「だ、だからこそ二人でゆっくりと――――――――ボンバーッッッ!!!」
武内P「!!?」
茜「私は……私はなんて汚いことをしようと!! 未央ちゃんと文香さんに合わせる顔がありません!!!」
茜「プロデューサー、私を殴ってください! ちからいっぱいに頬を殴ってください! 私は、途中で一度、悪い夢を見ました。プロデューサーがもし私を殴ってくれなかったら、私はプロデューサーの元担当と名乗る資格さえ無いんです。殴って!!!」
武内P「落ち着いて、どうか落ち着いてください!」
茜「う、うう。爆砕点穴(穴掘って)埋まりたいですぅ」
武内P「その……事情はよくわかりませんが、悪いことを考えても自制できたのです。誘惑に駆られずに立派な事だと私は思います」
武内P(考えただけで悪ならば、今日だけで何度も未成年の娘相手に不誠実なことを考えている、私の立場がありません……)
茜「……ありがとうございますプロデューサー。でも、私は少し頭を冷やすことにします」
茜「ところで、未央ちゃんと文香さんとは会いましたか!? 私だけ会っていたら不公平です!!」
武内P「何が不公平なのかわかりませんが……本田さんとは会いましたが、鷺沢さんは見かけていません」
茜「それなら東館に行ってください! 文香さんがそこにいるはずですから!」
武内P「は、はい」
茜「頑張ってくださいね!!!」
武内P(元気よく手を振る日野さんに見送られ、釈然としない気がしながら東館への歩みを進めてしまいました)
武内P(しかしこのまま行くと、鷺沢さんと出会うことに……)
武内P「……ここからなら北館にも行けますね」
43: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 21:49:55.64 ID:qZdx75aV0
※ ※ ※
武内P(北館へと通じる渡り廊下の手前まで来たのですが……)
ありす「……」ドドドドドドド
武内P(……なぜか橘さんが仁王立ちしています)
武内P「あの……橘さん?」
ありす「橘ではありません」
武内P「え……? しかし、名前で呼ばれることを好んでいなかったのでは?」
ありす?「私は、橘ありすではありません」
武内P「???」
ありす?「私は愛の使者――」
「ストロベリー・クール・パスタです」
武内P「」
冷やし苺パスタ
http://imcgdb.info/card-img/2533402.jpg
武内P(北館へと通じる渡り廊下の手前まで来たのですが……)
ありす「……」ドドドドドドド
武内P(……なぜか橘さんが仁王立ちしています)
武内P「あの……橘さん?」
ありす「橘ではありません」
武内P「え……? しかし、名前で呼ばれることを好んでいなかったのでは?」
ありす?「私は、橘ありすではありません」
武内P「???」
ありす?「私は愛の使者――」
「ストロベリー・クール・パスタです」
武内P「」
冷やし苺パスタ
http://imcgdb.info/card-img/2533402.jpg
44: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 21:51:56.94 ID:qZdx75aV0
スクパ「何やら大変なことになっているようですが、仕事はできても女心はちっともわからないCPのプロデューサーさんには事態が理解できず、お困りでしょう」
武内P「」
スクパ「迷える朴念仁を導くのは愛の使者の務め。今貴方が何をすべきか、私が教えてあげます」
武内P「は、はあ……誰もいない部屋で、心を無にすることでしょうか?」
スクパ「これまでたくさんの女性にデレデレしたのにですか? もう手遅れです」
武内P「う」
スクパ「その結果が手錠を片手にぶら下げて、疲労困憊でさまよう今です。貴方が実直な方ということは私も承知していますが、それでも凶悪な逃亡犯に見える有様です」
スクパ「今日だけでも多くの我の強い女性に振り回されてわかったでしょう。貴方は大人しく教養があって、人への思いやりに満ち満ちた、黒く長い豊かな髪をたなびかせた女神のような女性と添い遂げるべきです」
武内P「あの……前半はともかく、後半の理由は?」
スクパ「しかしそんな神話の女神ような女性は……あ、そういえば」
武内P(流されてしまいました……)
スクパ「さきほど東館の方で絵画、いえ神話の中から誤って現世に降臨されたような、美しさと気品をまとった女性を見かけました!」
スクパ「さあCPのプロデューサーさん! 残された時間はわずかです。今すぐ東館へ!」
武内P「できれば……このまま通していただき――」
スクパ「は?」
武内P「……失礼しました」
トボトボ、トボトボ
武内P(……別に鷺沢さんと出会っても、あの方は私に何かしたりはしないでしょう)
武内P(いえ、ひょっとすると私の事を気の毒に思い、親身になってくれるかもしれません。それは非常にまずいです)
武内P(橘さんの表現はさすがにおおげさですが……鷺沢さんは非常に魅力あふれる女性であることは事実。このように精神的に追い詰められている状態で優しくされれば、催眠療法の効果が出た時に鷺沢さんに想いを抱きかねません)
武内P(これまでの他のアイドルの皆さんと違って、私に一方的に想いを寄せられても鷺沢さんはそのことに抗議をしたり、周りの人に相談することもできずに一人で悩みを抱えかねないタイプです)
武内P(危険ですがここは中央館にとどまって――)
スクパ「……」ジー
武内P「あ」
スクパ「何を! 考え込んで! いるんですか! 時間は、無いんですよ!」ゲシゲシ
武内P「痛い、痛いです。脛は止めてくださいっ」
スクパ「私のストロベリー・グランタブレットが火を噴く前に、さっさと東館へと行ってください!!」
武内P「は、はい!」
武内P「」
スクパ「迷える朴念仁を導くのは愛の使者の務め。今貴方が何をすべきか、私が教えてあげます」
武内P「は、はあ……誰もいない部屋で、心を無にすることでしょうか?」
スクパ「これまでたくさんの女性にデレデレしたのにですか? もう手遅れです」
武内P「う」
スクパ「その結果が手錠を片手にぶら下げて、疲労困憊でさまよう今です。貴方が実直な方ということは私も承知していますが、それでも凶悪な逃亡犯に見える有様です」
スクパ「今日だけでも多くの我の強い女性に振り回されてわかったでしょう。貴方は大人しく教養があって、人への思いやりに満ち満ちた、黒く長い豊かな髪をたなびかせた女神のような女性と添い遂げるべきです」
武内P「あの……前半はともかく、後半の理由は?」
スクパ「しかしそんな神話の女神ような女性は……あ、そういえば」
武内P(流されてしまいました……)
スクパ「さきほど東館の方で絵画、いえ神話の中から誤って現世に降臨されたような、美しさと気品をまとった女性を見かけました!」
スクパ「さあCPのプロデューサーさん! 残された時間はわずかです。今すぐ東館へ!」
武内P「できれば……このまま通していただき――」
スクパ「は?」
武内P「……失礼しました」
トボトボ、トボトボ
武内P(……別に鷺沢さんと出会っても、あの方は私に何かしたりはしないでしょう)
武内P(いえ、ひょっとすると私の事を気の毒に思い、親身になってくれるかもしれません。それは非常にまずいです)
武内P(橘さんの表現はさすがにおおげさですが……鷺沢さんは非常に魅力あふれる女性であることは事実。このように精神的に追い詰められている状態で優しくされれば、催眠療法の効果が出た時に鷺沢さんに想いを抱きかねません)
武内P(これまでの他のアイドルの皆さんと違って、私に一方的に想いを寄せられても鷺沢さんはそのことに抗議をしたり、周りの人に相談することもできずに一人で悩みを抱えかねないタイプです)
武内P(危険ですがここは中央館にとどまって――)
スクパ「……」ジー
武内P「あ」
スクパ「何を! 考え込んで! いるんですか! 時間は、無いんですよ!」ゲシゲシ
武内P「痛い、痛いです。脛は止めてくださいっ」
スクパ「私のストロベリー・グランタブレットが火を噴く前に、さっさと東館へと行ってください!!」
武内P「は、はい!」
45: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 21:52:40.34 ID:qZdx75aV0
※ ※ ※
武内P(橘さんに追い立てられ、東館へと来てしまったわけですが……)
文香「……」
武内P(さっそく鷺沢さんがいました。しかし――」
文香「……ッ……~~~///」
武内P(長椅子に腰かけ、本……いえ、薄い冊子のようなものに夢中でこちらに気づいていません)
武内P(鷺沢さんが私に何かされるとは思いませんが、念のためここは静かに通り過ぎさせてもらいましょう)
そろ~
武内P(それにしても鷺沢さんの顔が赤く、ひどく動揺しているようです。いったい何に目を通されているのでしょうか?)
文香「そ、そんな……こんなことをするだなんて。で、でも――」
武内P(……気にはなりますが、今のうちに)
文香「こ、このぐらい大胆なことをしないと……私なんかに、あの人は……」
文香「……一度、落ち着かないと」
文香「スー……スー……スー……ッ!!?」
武内P「!!?」
文香「ゴホッ……ンッ」
武内P「だ、大丈夫ですか鷺沢さん!?」
文香「ケホッ……は、はい。いったい……何が?」
武内P「その……深呼吸をされようとして、誤って吸う動作だけをしていたようです」
文香「え……そ、そんな。お、お恥ずかしいところを」
武内P「いえ、それよりもお体の方は大丈夫でしょうか?」
文香「はい、ご心配をおかけしました」
武内P「―――それでは私は急ぎますので。どうか体には気をつけてください」スタッ
文香「ま、待ってください!」
鷺沢文香
http://imcgdb.info/card-img/2436401.jpg
武内P(橘さんに追い立てられ、東館へと来てしまったわけですが……)
文香「……」
武内P(さっそく鷺沢さんがいました。しかし――」
文香「……ッ……~~~///」
武内P(長椅子に腰かけ、本……いえ、薄い冊子のようなものに夢中でこちらに気づいていません)
武内P(鷺沢さんが私に何かされるとは思いませんが、念のためここは静かに通り過ぎさせてもらいましょう)
そろ~
武内P(それにしても鷺沢さんの顔が赤く、ひどく動揺しているようです。いったい何に目を通されているのでしょうか?)
文香「そ、そんな……こんなことをするだなんて。で、でも――」
武内P(……気にはなりますが、今のうちに)
文香「こ、このぐらい大胆なことをしないと……私なんかに、あの人は……」
文香「……一度、落ち着かないと」
文香「スー……スー……スー……ッ!!?」
武内P「!!?」
文香「ゴホッ……ンッ」
武内P「だ、大丈夫ですか鷺沢さん!?」
文香「ケホッ……は、はい。いったい……何が?」
武内P「その……深呼吸をされようとして、誤って吸う動作だけをしていたようです」
文香「え……そ、そんな。お、お恥ずかしいところを」
武内P「いえ、それよりもお体の方は大丈夫でしょうか?」
文香「はい、ご心配をおかけしました」
武内P「―――それでは私は急ぎますので。どうか体には気をつけてください」スタッ
文香「ま、待ってください!」
鷺沢文香
http://imcgdb.info/card-img/2436401.jpg
46: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 21:53:20.46 ID:qZdx75aV0
文香「その……少しだけ、お時間をもらえませんか」
武内P「……申し訳ありません。今私は、その――」
文香「どうか、どうか少しだけでも……」パラパラ
武内P「あの……先ほどから何に目を通されているのですか?」
文香「あり……ストロベリー・クール・パスタという親切な方が用意してくださった手引書です」
武内P(橘さん……)
文香「えっと……もう立ち去る寸前……最終段階に打つべき手は」
文香「こ、これは……!」
武内P(顔が蒼くなったかと思いきや赤く……いったい何が書かれてあるのでしょうか)
武内P「……すみません、私も見せてもらっていいでしょうか」
文香「は、はい。どうぞ」
武内P「失礼します」
≪無理矢理にでも抱きついて、“今日は大丈夫な日なんです”と言いましょう≫
武内P「」
武内P「……申し訳ありません。今私は、その――」
文香「どうか、どうか少しだけでも……」パラパラ
武内P「あの……先ほどから何に目を通されているのですか?」
文香「あり……ストロベリー・クール・パスタという親切な方が用意してくださった手引書です」
武内P(橘さん……)
文香「えっと……もう立ち去る寸前……最終段階に打つべき手は」
文香「こ、これは……!」
武内P(顔が蒼くなったかと思いきや赤く……いったい何が書かれてあるのでしょうか)
武内P「……すみません、私も見せてもらっていいでしょうか」
文香「は、はい。どうぞ」
武内P「失礼します」
≪無理矢理にでも抱きついて、“今日は大丈夫な日なんです”と言いましょう≫
武内P「」
47: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 21:53:48.11 ID:qZdx75aV0
※ ※ ※
ストロベリー・エターナルクール・パスタ『アブソリュート・タチバナ。効果はタブレットの年齢制限を取り払うことです』
※ ※ ※
ストロベリー・エターナルクール・パスタ『アブソリュート・タチバナ。効果はタブレットの年齢制限を取り払うことです』
※ ※ ※
48: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 21:54:56.72 ID:qZdx75aV0
文香「……そ、そんな……抱きつくだなんて」
武内P「」
文香「それにしても……大丈夫な日とは、いったい何のことなんでしょうか?」
武内P「いえ、あの……鷺沢さん」
文香「でも……どうすればいいかわからない私に、ありすちゃんが頑張って用意してくれたんです。きっと、深い意味があるに違いありません」
武内P「別に、深くは……いえ、説明できるものではないのですが」
文香「かといって……お、男の人に抱きつくなんて、私には」
武内P「そうです。無理をされる必要など一切ありま……鷺沢さん?」
文香「わ、私にはこれが精いっぱいで……」
武内P(風が吹けばほどける様な弱々しさで、彼女はたおやかな指で私の袖をそっとつまんでいました)
武内P(緊張からその吐息は小刻みに荒く、緊張で固くなった体はその両肩をぎこちなく上下させています)
武内P(いますぐその体を支えなければという使命感と、今の私が彼女にうかつに触れるわけにはいかないという恐れで葛藤していると、彼女がなんとか呼気を落ち着け、ゆっくりと私を見上げました)
武内P(濡れた瞳を上目遣いに、頬を赤く染めながら彼女は――)
文香「きょ……今日は、大丈夫な日……です」
武内P「~~~~~っっっ」
武内P(鷺沢さんほどの女性がそれを使えば、男を数十回殺せる威力があるとはつゆほども知らず、例の言葉を口にしてしまったのです)
文香(プロデューサーさん、どうされたのでしょう? 硬直して顔を赤くされて……赤く?)
文香(プロデューサーさんが顔を赤くされたのなら……ストパ指南書⑫にあったことをしないと)
文香「その……し、失礼します」
武内P「!!?」
武内P(鷺沢さんが私の額に手を当て……ヒンヤリとして、とても気持ちが良い)
文香(指南書には額と額を合わせて熱を測るとありましたが……背が高くて無理ですし、何より恥ずかしすぎてそんなことできません)
文香(でも……これだって十分恥ずかしいです。プロデューサーさんは大きいから、近づかないと手が届きませんし……もう一歩踏み込めば、プロデューサーさんの胸の中に)
武内P(こ、これは大変危険な状態です。しかし私の体を心配してくださっている鷺沢さんの手を払って逃げるわけには――)
文香(この距離……まるで奏さんが出演したドラマのワンシーンのようです。そう、こんな風に――)
武内P(……なぜ、私を見上げながら……目を閉じるのですか)
武内P(距離が縮まって……いえ、私がつめている? 体が勝手に……いけない、このままでは、このままでは!)
文香(プロデューサーさんの額に当てたままの手が教えてくれます……距離が、なくなってきてます。これは……私なんかにプロデューサーさんが!?)
武内P(止まれ、止まれ、止まれ、止まれ止まれ止まれ――――)
文香(――――プロデューサーさん)
武内P(止ま――――ッ!!)
コツン
武文両道『あ』
武内P(鷺沢さんが私の額に手を当てたままだったおかげで、お互い途中で我に返ることが出来ました)
武内P(呆気にとられた……夢から覚めたばかりのような美しい顔を間近で見て、自分が何をしでかそうとしていたか今度こそ理解することができ――)
武内P「申し訳……ありま、せんでしたっ!!」ガバッ
文香「ぷ、プロデューサーさん!?」
武内P「」
文香「それにしても……大丈夫な日とは、いったい何のことなんでしょうか?」
武内P「いえ、あの……鷺沢さん」
文香「でも……どうすればいいかわからない私に、ありすちゃんが頑張って用意してくれたんです。きっと、深い意味があるに違いありません」
武内P「別に、深くは……いえ、説明できるものではないのですが」
文香「かといって……お、男の人に抱きつくなんて、私には」
武内P「そうです。無理をされる必要など一切ありま……鷺沢さん?」
文香「わ、私にはこれが精いっぱいで……」
武内P(風が吹けばほどける様な弱々しさで、彼女はたおやかな指で私の袖をそっとつまんでいました)
武内P(緊張からその吐息は小刻みに荒く、緊張で固くなった体はその両肩をぎこちなく上下させています)
武内P(いますぐその体を支えなければという使命感と、今の私が彼女にうかつに触れるわけにはいかないという恐れで葛藤していると、彼女がなんとか呼気を落ち着け、ゆっくりと私を見上げました)
武内P(濡れた瞳を上目遣いに、頬を赤く染めながら彼女は――)
文香「きょ……今日は、大丈夫な日……です」
武内P「~~~~~っっっ」
武内P(鷺沢さんほどの女性がそれを使えば、男を数十回殺せる威力があるとはつゆほども知らず、例の言葉を口にしてしまったのです)
文香(プロデューサーさん、どうされたのでしょう? 硬直して顔を赤くされて……赤く?)
文香(プロデューサーさんが顔を赤くされたのなら……ストパ指南書⑫にあったことをしないと)
文香「その……し、失礼します」
武内P「!!?」
武内P(鷺沢さんが私の額に手を当て……ヒンヤリとして、とても気持ちが良い)
文香(指南書には額と額を合わせて熱を測るとありましたが……背が高くて無理ですし、何より恥ずかしすぎてそんなことできません)
文香(でも……これだって十分恥ずかしいです。プロデューサーさんは大きいから、近づかないと手が届きませんし……もう一歩踏み込めば、プロデューサーさんの胸の中に)
武内P(こ、これは大変危険な状態です。しかし私の体を心配してくださっている鷺沢さんの手を払って逃げるわけには――)
文香(この距離……まるで奏さんが出演したドラマのワンシーンのようです。そう、こんな風に――)
武内P(……なぜ、私を見上げながら……目を閉じるのですか)
武内P(距離が縮まって……いえ、私がつめている? 体が勝手に……いけない、このままでは、このままでは!)
文香(プロデューサーさんの額に当てたままの手が教えてくれます……距離が、なくなってきてます。これは……私なんかにプロデューサーさんが!?)
武内P(止まれ、止まれ、止まれ、止まれ止まれ止まれ――――)
文香(――――プロデューサーさん)
武内P(止ま――――ッ!!)
コツン
武文両道『あ』
武内P(鷺沢さんが私の額に手を当てたままだったおかげで、お互い途中で我に返ることが出来ました)
武内P(呆気にとられた……夢から覚めたばかりのような美しい顔を間近で見て、自分が何をしでかそうとしていたか今度こそ理解することができ――)
武内P「申し訳……ありま、せんでしたっ!!」ガバッ
文香「ぷ、プロデューサーさん!?」
49: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 21:56:18.24 ID:qZdx75aV0
武内P「本当に……何と言ってお詫びすればいいことか」
文香「ど、土下座なんてお願いですから止めてくださいっ」
武内P「どうか、どうか許してください。わ、私は……プロデューサーなのに、未成年のアイドルに……う、うう」
武内P「申し訳、ござい、ませんっ!!」
ゴツンゴツンゴツン!!
文香「だ、ダメですっ。ケガをしますからそんなことは――」
武内P「さわらないでください!!」
文香「」ビクッ
武内P「このままでは……このままでは、私などが貴女を好きに……クッ」
武内P「申し訳ございませんでしたああああああァァ!!!」
ダダダダダダッ、ガタ、ゴロンゴロン、グチャ、ブシュー、ガバァッ、ダダダダダダダッ
キャアアアアアアアアアアッ!!
フランケンシュタインだあああああ!!?
文香「あ、ああ……あんなに豪快に階段を転げ落ちて……すぐに起き上がって走ってしまって」
文香「……」
武内P『このままでは、私などが貴女を好きに……』
文香「貴方だからこそ……好きになってほしいのに」
文香「……追いかけないと」
文香「ど、土下座なんてお願いですから止めてくださいっ」
武内P「どうか、どうか許してください。わ、私は……プロデューサーなのに、未成年のアイドルに……う、うう」
武内P「申し訳、ござい、ませんっ!!」
ゴツンゴツンゴツン!!
文香「だ、ダメですっ。ケガをしますからそんなことは――」
武内P「さわらないでください!!」
文香「」ビクッ
武内P「このままでは……このままでは、私などが貴女を好きに……クッ」
武内P「申し訳ございませんでしたああああああァァ!!!」
ダダダダダダッ、ガタ、ゴロンゴロン、グチャ、ブシュー、ガバァッ、ダダダダダダダッ
キャアアアアアアアアアアッ!!
フランケンシュタインだあああああ!!?
文香「あ、ああ……あんなに豪快に階段を転げ落ちて……すぐに起き上がって走ってしまって」
文香「……」
武内P『このままでは、私などが貴女を好きに……』
文香「貴方だからこそ……好きになってほしいのに」
文香「……追いかけないと」
50: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 21:57:02.03 ID:qZdx75aV0
※ ※ ※
ガシャ、ズル、ズルズルズル――
武内P「……」
武内P(土下座の時に額が割れ、さらに階段から転げ落ちて服も体もボロボロ。極めつけは手首にぶら下がったままの手錠)
武内P(橘さんの言うとおり、まるで凶悪な逃亡犯のようです)
武内P「ですが……全身に奔るこの痛み、何より罪悪感と自己嫌悪。アイドルの皆さんへの煩悩は、さきほどの衝撃で全て吹き飛びました」
武内P「残り時間はあと5分から15分程度。あとはどこかに隠れて過ごせば、最悪の事態だけは防げます」
武内P「なんとか……なって……本当に、良か――」
ギュインッ
武内P「……え?」
武内P「今の音は……それに、手錠が勝手に浮き上がって……」
武内P「引き寄せられる!? まるで磁力!」
武内P「ハッ!」
杏『……変だなあ』
杏『手すりに繋がっている方の手錠は外せたから逃げられるんだけど、どうもこの手錠左右で作り方が違うみたいで……』
武内P(最初から……私が逃げることを想定していた?)
武内P(だとすると、この手錠に引っ張られるがままではようやく避けられたはずの最悪の事態に!?)
武内P「グ……ダメです。もう、力が」
ズザザザザアァ
武内P(手錠に引きずられ、着いた先には――)
楓「待ってましたよプロデュ――――え!?」
高垣楓
http://pbs.twimg.com/media/C-ppxTWUMAAT8Oa.jpg
ガシャ、ズル、ズルズルズル――
武内P「……」
武内P(土下座の時に額が割れ、さらに階段から転げ落ちて服も体もボロボロ。極めつけは手首にぶら下がったままの手錠)
武内P(橘さんの言うとおり、まるで凶悪な逃亡犯のようです)
武内P「ですが……全身に奔るこの痛み、何より罪悪感と自己嫌悪。アイドルの皆さんへの煩悩は、さきほどの衝撃で全て吹き飛びました」
武内P「残り時間はあと5分から15分程度。あとはどこかに隠れて過ごせば、最悪の事態だけは防げます」
武内P「なんとか……なって……本当に、良か――」
ギュインッ
武内P「……え?」
武内P「今の音は……それに、手錠が勝手に浮き上がって……」
武内P「引き寄せられる!? まるで磁力!」
武内P「ハッ!」
杏『……変だなあ』
杏『手すりに繋がっている方の手錠は外せたから逃げられるんだけど、どうもこの手錠左右で作り方が違うみたいで……』
武内P(最初から……私が逃げることを想定していた?)
武内P(だとすると、この手錠に引っ張られるがままではようやく避けられたはずの最悪の事態に!?)
武内P「グ……ダメです。もう、力が」
ズザザザザアァ
武内P(手錠に引きずられ、着いた先には――)
楓「待ってましたよプロデュ――――え!?」
高垣楓
http://pbs.twimg.com/media/C-ppxTWUMAAT8Oa.jpg
51: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 21:57:42.31 ID:qZdx75aV0
ガチャンッ
武内P(私と同じ手錠を着けた高垣さん――今日もっとも会ってはいけない方がいて、私の彼女の手錠が強く合わさってしまいました)
楓「プロデューサー!? なぜこんなボロボロに……あ、ああ。貴方の性格を考えれば、こうなる可能性も考えられたはずなのに」
武内P「……大丈夫です高垣さん。見た目こそ派手ですが、そこまでたいした傷ではありませんから」
楓「……こういう時プロデューサーは平気でウソをつくから信用できません。さ、傷を見せてください」
武内P「そ、それはできませんっ!」
楓「やっぱり、ウソをついてるんですね」
武内P「そ、そうではなくてですね。傷を見せるということはつまり、その……服を脱いで、さらに高垣さんに体を触れられることに」
楓「あ――」
武内P「この手錠は高垣さん、もしくは片桐さんの物ですよね。どうか外してください」
楓「……ヤです」
武内P「……え?」
楓「いーやーでーす」
武内P「た、高垣さん」
楓「耳に聞こえましたよね? イヤってイヤーに。ふふふ」
武内P「あの……本当にお願いします。私の事情は高垣さんもご存じなんですよね?」
楓「はい、知ってます」
武内P「でしたら――ッ」
楓「……プロデューサーは私のこと、そんなに好きになりたくないんですか?」
武内P「す、好きになるわけにはいかないことは、高垣さんもわかっていますよね?」
楓「そうですよね……私みたいに子供っぽくて、空気が読めない女なんて……嫌いですよね」
武内P「き、嫌いならここまで悩みませんっ!!」
楓「……え?」
武内P「あ」
楓「……今の、もう一回言ってもらっていいですか」
武内P「ど、どうか忘れてください」
楓「同じ内容を耳元で優しく囁くか、さっきと同じぐらいの勢いで抱きしめながら言ってくれたら忘れますから」
武内P「忘れる気がありませんよね、それ?」
楓「ふふ、ふふふふ。そうですよねぇ。嫌いな相手とこうして一緒にいたって、イライラするだけで志希ちゃんの催眠療法の効果はマイナスの方向に行くだけですもんね♪」
楓「つまりプロデューサーは、こうして私と手錠でつながれているだけで私のことを意識しちゃうんですね」ロンパァ!
武内P「……後生です。どうか手錠を外してください」
楓「どうしてもですか?」
武内P「どうしてもです」
楓「うーん、そうですねえ。あ、じゃあ私をどうしようもない人扱いしてください!」
武内P「……………………え?」
楓「うまく私をどうしようもない人扱いしてくれたら、手錠を外しますから。さあ、さあ!」
武内P(私と同じ手錠を着けた高垣さん――今日もっとも会ってはいけない方がいて、私の彼女の手錠が強く合わさってしまいました)
楓「プロデューサー!? なぜこんなボロボロに……あ、ああ。貴方の性格を考えれば、こうなる可能性も考えられたはずなのに」
武内P「……大丈夫です高垣さん。見た目こそ派手ですが、そこまでたいした傷ではありませんから」
楓「……こういう時プロデューサーは平気でウソをつくから信用できません。さ、傷を見せてください」
武内P「そ、それはできませんっ!」
楓「やっぱり、ウソをついてるんですね」
武内P「そ、そうではなくてですね。傷を見せるということはつまり、その……服を脱いで、さらに高垣さんに体を触れられることに」
楓「あ――」
武内P「この手錠は高垣さん、もしくは片桐さんの物ですよね。どうか外してください」
楓「……ヤです」
武内P「……え?」
楓「いーやーでーす」
武内P「た、高垣さん」
楓「耳に聞こえましたよね? イヤってイヤーに。ふふふ」
武内P「あの……本当にお願いします。私の事情は高垣さんもご存じなんですよね?」
楓「はい、知ってます」
武内P「でしたら――ッ」
楓「……プロデューサーは私のこと、そんなに好きになりたくないんですか?」
武内P「す、好きになるわけにはいかないことは、高垣さんもわかっていますよね?」
楓「そうですよね……私みたいに子供っぽくて、空気が読めない女なんて……嫌いですよね」
武内P「き、嫌いならここまで悩みませんっ!!」
楓「……え?」
武内P「あ」
楓「……今の、もう一回言ってもらっていいですか」
武内P「ど、どうか忘れてください」
楓「同じ内容を耳元で優しく囁くか、さっきと同じぐらいの勢いで抱きしめながら言ってくれたら忘れますから」
武内P「忘れる気がありませんよね、それ?」
楓「ふふ、ふふふふ。そうですよねぇ。嫌いな相手とこうして一緒にいたって、イライラするだけで志希ちゃんの催眠療法の効果はマイナスの方向に行くだけですもんね♪」
楓「つまりプロデューサーは、こうして私と手錠でつながれているだけで私のことを意識しちゃうんですね」ロンパァ!
武内P「……後生です。どうか手錠を外してください」
楓「どうしてもですか?」
武内P「どうしてもです」
楓「うーん、そうですねえ。あ、じゃあ私をどうしようもない人扱いしてください!」
武内P「……………………え?」
楓「うまく私をどうしようもない人扱いしてくれたら、手錠を外しますから。さあ、さあ!」
52: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 21:58:19.75 ID:qZdx75aV0
武内P「……他の方法はありませんか?」
楓「え、もっとハードルを上げていいんですか?」
武内P「わ、わかりました。わ、私はこれから……貴女を、どうしようもない人扱いします!」
楓「はいっ。ワクワク、ドキドキ」
武内P「ゴホンッ」
武内P「えー……」
武内P「…………そのー」
楓「……プロデューサーはこのままを望んでいるようですね」
武内P「ち、違います。今からしますので」
武内P「その……この前の飲み会のことですが」
楓「私とプロデューサーの他に、川島さんと片桐さんと飲んだ時のことですね」
武内P「男が私がしかいない女性比率の高い飲み会だったとはいえ、潰れるまで飲んで、さらに私の肩にもたれかかるのはちょっと……どうしようもないのでは」
楓「……プロデューサー」
武内P「あ、いえ。決して私は高垣さんのそういったところを悪く思っているわけではなくてですね!」
楓「私をどうしようもない人扱いするのではなくて、自分がどうしようもない人だった時の話をなぜするんですか?」
武内P「……え?」
楓「潰れたフリしてもたれかかって、川島さんたちもアシストしてくれたのに何もしないだなんて。男としてどうしようもないと、忸怩たるものがないんですかもう!」
武内P(……何がなんだかわからない)
楓「そうなどうしようもないプロデューサーには……」
武内P「そ、それは手錠の鍵ですか!?」
楓「こうです!」
武内P「!!?」
武内P(む、胸元に……隠されてしまいました)
楓「さあプロデューサー! 今こそ漢気を見せる時でSHOW!」
武内P(漢気……漢気とはいったい)
楓「え、もっとハードルを上げていいんですか?」
武内P「わ、わかりました。わ、私はこれから……貴女を、どうしようもない人扱いします!」
楓「はいっ。ワクワク、ドキドキ」
武内P「ゴホンッ」
武内P「えー……」
武内P「…………そのー」
楓「……プロデューサーはこのままを望んでいるようですね」
武内P「ち、違います。今からしますので」
武内P「その……この前の飲み会のことですが」
楓「私とプロデューサーの他に、川島さんと片桐さんと飲んだ時のことですね」
武内P「男が私がしかいない女性比率の高い飲み会だったとはいえ、潰れるまで飲んで、さらに私の肩にもたれかかるのはちょっと……どうしようもないのでは」
楓「……プロデューサー」
武内P「あ、いえ。決して私は高垣さんのそういったところを悪く思っているわけではなくてですね!」
楓「私をどうしようもない人扱いするのではなくて、自分がどうしようもない人だった時の話をなぜするんですか?」
武内P「……え?」
楓「潰れたフリしてもたれかかって、川島さんたちもアシストしてくれたのに何もしないだなんて。男としてどうしようもないと、忸怩たるものがないんですかもう!」
武内P(……何がなんだかわからない)
楓「そうなどうしようもないプロデューサーには……」
武内P「そ、それは手錠の鍵ですか!?」
楓「こうです!」
武内P「!!?」
武内P(む、胸元に……隠されてしまいました)
楓「さあプロデューサー! 今こそ漢気を見せる時でSHOW!」
武内P(漢気……漢気とはいったい)
53: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 21:59:13.30 ID:qZdx75aV0
楓「その……胸が小さくて、つまらないかもしれませんが」
武内P「そんなことはありま……ッ!!」
楓「……プロデューサー?」
武内P「いえ……なんでもありません」
楓「なんでもなくなくないですよね? 一瞬スゴイ勢いでしたよね?」
武内P(誰か……私を殺してください)
楓「良かった……プロデューサーは私の胸のことで、そこまで食いついてくれるだなんて」
楓「さあ、どうぞプロデューサー」
武内P「た、高垣さん?」
楓「鍵が必要なんですよね。どうぞ存分に探してください」
楓「探すフリをするだけでも、私は一向に構いませんよ」ニコ
武内P「あ――――嗚呼」
武内P(高垣さんのその笑顔を間近で見て……私は力なく悟りました)
武内P(もう、手遅れだと)
武内P(催眠療法の効果はいつ起きてもおかしくない時間となり、今私は高垣さんに心を奪われている)
武内P(もう――――誰のことも好きになることなく終わるという望みは、完膚なきまでに砕かれたのだと)
<プロデューサー、どこ!?
<ど、どうしよう! そろそろ時間じゃん!
<こ、こんなにカワイイボクを不安にさせるだなんて! 今出てきてカワイがるなら許してあげますよ!
<プロデューサーさん……プロデューサーさん……
<我が友ぉ! 我が友ぉ!
<み、皆落ち着こうよ!
<うわぁ。予想はしていたけど阿鼻叫喚だあ
<ウオオオオオ!! ボンバーッ!!!
<これだけのアイドルが相手なら、エターナルフォース・タチバナを使わざるを得ませんね
<あ、あり……じゃなくて、ストロベリー・アブソリュートクール・グランタチバナちゃん、どうか穏便に
武内P(周囲から迫りくる喧騒による死体蹴り。もしここを奇跡的に逃れられても、私は結局アイドルの誰かのことを――)
武内P(もう、私は終わり―――――――)
『諦めんなよ!!』
武内P「!!?」
楓「プロデューサー?」
武内P「そんなことはありま……ッ!!」
楓「……プロデューサー?」
武内P「いえ……なんでもありません」
楓「なんでもなくなくないですよね? 一瞬スゴイ勢いでしたよね?」
武内P(誰か……私を殺してください)
楓「良かった……プロデューサーは私の胸のことで、そこまで食いついてくれるだなんて」
楓「さあ、どうぞプロデューサー」
武内P「た、高垣さん?」
楓「鍵が必要なんですよね。どうぞ存分に探してください」
楓「探すフリをするだけでも、私は一向に構いませんよ」ニコ
武内P「あ――――嗚呼」
武内P(高垣さんのその笑顔を間近で見て……私は力なく悟りました)
武内P(もう、手遅れだと)
武内P(催眠療法の効果はいつ起きてもおかしくない時間となり、今私は高垣さんに心を奪われている)
武内P(もう――――誰のことも好きになることなく終わるという望みは、完膚なきまでに砕かれたのだと)
<プロデューサー、どこ!?
<ど、どうしよう! そろそろ時間じゃん!
<こ、こんなにカワイイボクを不安にさせるだなんて! 今出てきてカワイがるなら許してあげますよ!
<プロデューサーさん……プロデューサーさん……
<我が友ぉ! 我が友ぉ!
<み、皆落ち着こうよ!
<うわぁ。予想はしていたけど阿鼻叫喚だあ
<ウオオオオオ!! ボンバーッ!!!
<これだけのアイドルが相手なら、エターナルフォース・タチバナを使わざるを得ませんね
<あ、あり……じゃなくて、ストロベリー・アブソリュートクール・グランタチバナちゃん、どうか穏便に
武内P(周囲から迫りくる喧騒による死体蹴り。もしここを奇跡的に逃れられても、私は結局アイドルの誰かのことを――)
武内P(もう、私は終わり―――――――)
『諦めんなよ!!』
武内P「!!?」
楓「プロデューサー?」
54: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 22:00:00.20 ID:qZdx75aV0
『余計なことは考えるな! オマエはアイドルに手を出さないことだけを考えればいい!!』
『たとえそのために、お前が倫理道徳を踏みにじることになっても』
『俺だけは、味方だからな』
まゆP『だから……何があっても、絶対に諦めるなよ!!』
武内P(そうでした……私はプロデューサー。何があってもアイドルを好きになるわけにはいきません)
武内P(たとえ何があろうと、何をしようと。倫理道徳を踏みにじってでも)
武内P(屈するわけにはいきません!!)
武内P(私に力と勇気を分けてください、まゆP!!)
武内P(まゆP……まゆP……まゆ……P……)
武内P(―――――――――――ッ)
『たとえそのために、お前が倫理道徳を踏みにじることになっても』
『俺だけは、味方だからな』
まゆP『だから……何があっても、絶対に諦めるなよ!!』
武内P(そうでした……私はプロデューサー。何があってもアイドルを好きになるわけにはいきません)
武内P(たとえ何があろうと、何をしようと。倫理道徳を踏みにじってでも)
武内P(屈するわけにはいきません!!)
武内P(私に力と勇気を分けてください、まゆP!!)
武内P(まゆP……まゆP……まゆ……P……)
武内P(―――――――――――ッ)
55: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 22:05:50.59 ID:qZdx75aV0
※ ※ ※
晶葉「ほう、催眠療法と偽ってプラシーボ効果の実験か」
志希「そうそう。人をどこまで強く思い込ませられるか、そしてそれをどの程度続かせられるか、そしてそれを解除する方法は何か。この三つが主要テーマだったんだー♪」
晶葉「プラシーボ効果は引き起こす手段は複数あるが、資料を見る限り君は暗示に重きを置いているようだな」
志希「にゃははっ。晶葉ちゃんは話が早くて助かるような、物足りないような?」
志希「ま、それはさておき。最初に信じられないような目に遭わせて、もっと有り得ないことが起きると信じさせる」
晶葉「音や匂い、光などを駆使して数分ほど気分を酩酊させることはそう難しいことではない。もっとも、突然そんなことをされた人間は冷静ではいられない」
晶葉「まして怪しげな薬の説明を受けている最中で、よりによって目の前にいる相手が君だ。ある程度化学をたしなんでいる人間でなければ信じきってしまうだろう」
志希「晶葉ちゃんが相手ならまず通じないねー」
晶葉「私はバケガクではない方のカガクだが、このぐらいならな」
志希「楓さんや杏ちゃんにも見抜かれてたっぽいね」
晶葉「二人とも効果は深刻なものでないと見抜いたうえで、利用しようとしていたな」
晶葉「さて、強く思い込ませる方法はわかったが、次の効果期間の長さについては?」
志希「これがねー、バランスが難しくって。重要なのは君はこれからどれぐらいの期間だれだれを好きになりますって宣告するところなんだ」
志希「君はこれから一生同じ人に惚れ続けます! って言ったらインパクトはあるけど、本当にそんなこと有り得るのかって疑問に思っちゃう可能性もあるよね?」
晶葉「疑問に思われては効果が薄まる。かといって期間が短すぎると深刻に受け止めてもらえない……か」
志希「今色んなパターンを試していてね。CPのプロデューサーには数年、場合によっては数十年っていうパターンだよ」
晶葉「ちなみに今のところ最も効果的だった期間設定は?」
志希「半年から一年で、プラシーボ効果が続いたのは七日間。けどこれは被験者の受け取り方がモロに出るから、サンプルデータが少ない今現在じゃあんまり参考になんないよ」
晶葉「ふむ。では最後のテーマ、解除する方法について聞きたいんだが」
志希「うん、これは予想していた以上に簡単でね。実験の詳細を一から説明するだけですぐとけちゃう」
晶葉「……催眠療法という耳慣れず、さらにとんでもない実験に巻き込まれたかと思いきや、プラシーボ――ようするに思い込みの実験だからな。理解が追いつけず呆気に取られ、我に返った時には効果が消えるといった具合か?」
志希「うん、まあそんな感じ」
晶葉「解くのが簡単なら――」
武内P『まゆP! まゆP! 私には貴方しかいない、まゆP!!』
まゆP『や、やめろおおおおおぉぉっっ!!! お、俺にそんな趣味はねえええんだよっ!!!』
武内P『ならば無理矢理にでも! 倫理も、道徳も! この愛を遮るというのなら踏みにじってみせます!!』
凛『お、落ち着いてプロデューサー!!』
蘭子『わ、我が友……?』
晶葉「――さっさと解いてやったらどうだ?」
志希「」
晶葉「ほう、催眠療法と偽ってプラシーボ効果の実験か」
志希「そうそう。人をどこまで強く思い込ませられるか、そしてそれをどの程度続かせられるか、そしてそれを解除する方法は何か。この三つが主要テーマだったんだー♪」
晶葉「プラシーボ効果は引き起こす手段は複数あるが、資料を見る限り君は暗示に重きを置いているようだな」
志希「にゃははっ。晶葉ちゃんは話が早くて助かるような、物足りないような?」
志希「ま、それはさておき。最初に信じられないような目に遭わせて、もっと有り得ないことが起きると信じさせる」
晶葉「音や匂い、光などを駆使して数分ほど気分を酩酊させることはそう難しいことではない。もっとも、突然そんなことをされた人間は冷静ではいられない」
晶葉「まして怪しげな薬の説明を受けている最中で、よりによって目の前にいる相手が君だ。ある程度化学をたしなんでいる人間でなければ信じきってしまうだろう」
志希「晶葉ちゃんが相手ならまず通じないねー」
晶葉「私はバケガクではない方のカガクだが、このぐらいならな」
志希「楓さんや杏ちゃんにも見抜かれてたっぽいね」
晶葉「二人とも効果は深刻なものでないと見抜いたうえで、利用しようとしていたな」
晶葉「さて、強く思い込ませる方法はわかったが、次の効果期間の長さについては?」
志希「これがねー、バランスが難しくって。重要なのは君はこれからどれぐらいの期間だれだれを好きになりますって宣告するところなんだ」
志希「君はこれから一生同じ人に惚れ続けます! って言ったらインパクトはあるけど、本当にそんなこと有り得るのかって疑問に思っちゃう可能性もあるよね?」
晶葉「疑問に思われては効果が薄まる。かといって期間が短すぎると深刻に受け止めてもらえない……か」
志希「今色んなパターンを試していてね。CPのプロデューサーには数年、場合によっては数十年っていうパターンだよ」
晶葉「ちなみに今のところ最も効果的だった期間設定は?」
志希「半年から一年で、プラシーボ効果が続いたのは七日間。けどこれは被験者の受け取り方がモロに出るから、サンプルデータが少ない今現在じゃあんまり参考になんないよ」
晶葉「ふむ。では最後のテーマ、解除する方法について聞きたいんだが」
志希「うん、これは予想していた以上に簡単でね。実験の詳細を一から説明するだけですぐとけちゃう」
晶葉「……催眠療法という耳慣れず、さらにとんでもない実験に巻き込まれたかと思いきや、プラシーボ――ようするに思い込みの実験だからな。理解が追いつけず呆気に取られ、我に返った時には効果が消えるといった具合か?」
志希「うん、まあそんな感じ」
晶葉「解くのが簡単なら――」
武内P『まゆP! まゆP! 私には貴方しかいない、まゆP!!』
まゆP『や、やめろおおおおおぉぉっっ!!! お、俺にそんな趣味はねえええんだよっ!!!』
武内P『ならば無理矢理にでも! 倫理も、道徳も! この愛を遮るというのなら踏みにじってみせます!!』
凛『お、落ち着いてプロデューサー!!』
蘭子『わ、我が友……?』
晶葉「――さっさと解いてやったらどうだ?」
志希「」
56: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 22:08:25.42 ID:qZdx75aV0
晶葉「監視カメラごしでも伝わる阿鼻叫喚の気配。もうじきまゆも来るだろうし、そうなったら血を見ずにはすまないぞ。いやホントに」
志希「い、今あたしが行くと、血を見せるのは私になっちゃうかなーって」
晶葉「自業自得じゃないか」
志希「いやね、こんなことになるなんて予想していなかったんだよ本当! 記録を取りながら、美嘉ちゃんをからかいつつ応援しようとしたら何これ!? CPのプロデューサーの周りは魔境かなにかなの!?」
志希「というわけで私はアメリカにぼうめ――じゃなくて留学に行ってくるから!! 実験の全容と知った晶葉ちゃんが後はなんとかしといて!! お礼に特許をいくつかあげるから!! それじゃアデュー!!」
ガチャ
楓・杏「……」
志希「……」
バタン
晶葉「どうした? 人の返事も聞かずに飛び出たかと思いきや」
志希「失敗した――」
晶葉「は?」
志希「失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した 私は失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した 私は――」
晶葉「」
志希「い、今あたしが行くと、血を見せるのは私になっちゃうかなーって」
晶葉「自業自得じゃないか」
志希「いやね、こんなことになるなんて予想していなかったんだよ本当! 記録を取りながら、美嘉ちゃんをからかいつつ応援しようとしたら何これ!? CPのプロデューサーの周りは魔境かなにかなの!?」
志希「というわけで私はアメリカにぼうめ――じゃなくて留学に行ってくるから!! 実験の全容と知った晶葉ちゃんが後はなんとかしといて!! お礼に特許をいくつかあげるから!! それじゃアデュー!!」
ガチャ
楓・杏「……」
志希「……」
バタン
晶葉「どうした? 人の返事も聞かずに飛び出たかと思いきや」
志希「失敗した――」
晶葉「は?」
志希「失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した 私は失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した 私は――」
晶葉「」
57: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 22:09:36.21 ID:qZdx75aV0
ガチャ、ギギギイィィ――
志希「」ビクッ
晶葉「あー、じゃあ私は君の頼みどおり、CPのプロデューサーのプラシーボを解いてくるとしよう!」
志希「え、ちょっと待っ――」
晶葉「そんなわけで通してもらえるかなお二人さん、いやーありがとうしっかりと治すことを確約するよふっふっふっふっふ」
カツーン、カツーン ペタ、ペタ
志希「お、置いてかないでー!! あ、いや二人は来ないで。ど、どうしたのさっきから無言で? 無言の笑顔って怖いよ? CPのプロデューサーが好きな笑顔じゃ――ごめんなさいごめんなさい! あたしなんかよりお二人の方が詳しいですよね!」
志希「い、いやね? 二人とも怒ってらっしゃるようだけど、彼が男に走るほど追いつめた責任は二人にもあるんじゃない? しかも真相にある程度気づいていたでしょ?」
志希「も、もちろんあたしが一番悪いです! でもお二人がこんな事態になることなんて予想できていなかったように、あたしもこんなくそみそな展開予想できていなかったんです!」
志希「だ、だから――――落ち着いて! そのトイレットペーパーであたしをどう処理する気!?」
志希「や、やめ―――――」
アッー!!!
――こうして事態は収束した。
武内Pがその日の記憶があいまいで、唯一はっきりした記憶が同僚を押し倒すもので自分はそっちの気があるではと思い悩んだり、まゆPがやや男性不信となった結果担当アイドルとさらに親密になったり、あげくの果てに志希にゃんの目からしばらくハイライトが行方不明になりはしたが――
~HAPPY(♂) END~
志希「」ビクッ
晶葉「あー、じゃあ私は君の頼みどおり、CPのプロデューサーのプラシーボを解いてくるとしよう!」
志希「え、ちょっと待っ――」
晶葉「そんなわけで通してもらえるかなお二人さん、いやーありがとうしっかりと治すことを確約するよふっふっふっふっふ」
カツーン、カツーン ペタ、ペタ
志希「お、置いてかないでー!! あ、いや二人は来ないで。ど、どうしたのさっきから無言で? 無言の笑顔って怖いよ? CPのプロデューサーが好きな笑顔じゃ――ごめんなさいごめんなさい! あたしなんかよりお二人の方が詳しいですよね!」
志希「い、いやね? 二人とも怒ってらっしゃるようだけど、彼が男に走るほど追いつめた責任は二人にもあるんじゃない? しかも真相にある程度気づいていたでしょ?」
志希「も、もちろんあたしが一番悪いです! でもお二人がこんな事態になることなんて予想できていなかったように、あたしもこんなくそみそな展開予想できていなかったんです!」
志希「だ、だから――――落ち着いて! そのトイレットペーパーであたしをどう処理する気!?」
志希「や、やめ―――――」
アッー!!!
――こうして事態は収束した。
武内Pがその日の記憶があいまいで、唯一はっきりした記憶が同僚を押し倒すもので自分はそっちの気があるではと思い悩んだり、まゆPがやや男性不信となった結果担当アイドルとさらに親密になったり、あげくの果てに志希にゃんの目からしばらくハイライトが行方不明になりはしたが――
~HAPPY(♂) END~
59: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 22:11:31.34 ID:qZdx75aV0
最後まで読んでいただきありがとうございます。
久しぶりですが、皆さんお元気でしたか?
私は限定ふみふみをご理解するために微課金Pを辞めたり、シンフォギア4期が終わって色々とボロボロです。
限定ふみふみのMVとXDのおかげでかろうじて致命傷ですんでいます。
久しぶりに長めのSSを書きましたが、狂気と絶望、胃にくる重さが足りないのが反省点。
しばらくはまた短めのSSを書こうと思います。
次は年内に小ネタ集を書く予定。
武内P「346プロの平穏な日常」(仮題)
それとシンフォギアのSSも書きました
【シンフォギアSS】未来「クリスって甘えるの下手だよね」クリス「なっ……」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1504268622/
デレステだけに限れば3回連続でホモネタやってるけど、シンフォギアを挟んでいるのでセーフ
久しぶりですが、皆さんお元気でしたか?
私は限定ふみふみをご理解するために微課金Pを辞めたり、シンフォギア4期が終わって色々とボロボロです。
限定ふみふみのMVとXDのおかげでかろうじて致命傷ですんでいます。
久しぶりに長めのSSを書きましたが、狂気と絶望、胃にくる重さが足りないのが反省点。
しばらくはまた短めのSSを書こうと思います。
次は年内に小ネタ集を書く予定。
武内P「346プロの平穏な日常」(仮題)
それとシンフォギアのSSも書きました
【シンフォギアSS】未来「クリスって甘えるの下手だよね」クリス「なっ……」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1504268622/
デレステだけに限れば3回連続でホモネタやってるけど、シンフォギアを挟んでいるのでセーフ
60: ◆SbXzuGhlwpak 2017/10/28(土) 22:17:59.09 ID:qZdx75aV0
これまでのおきてがみ(黒歴史)デース!
アリーナでのランクをようやくA1にしたデース!
【モバマスSS】凛「プロデューサーにセクハラしたい」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1446375146/
加蓮「CPのプロデューサーってかっこいいよね」凛「」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1447574640/
未央「貴方の視線」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1448895601/
楓「私たちも」美嘉「プロデューサーに」小梅「…セクハラしたい」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1449474797/
莉嘉「Pくんってかっこいいよね!」美嘉「」【※武内Pもの】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1454068376/
武内P「襲われました…」卯月「へそ下辺りが満たされました♪」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455880196/
早苗「CPのプロデューサー君(武内P)ってかっこいいじゃない」楓「どやぁ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1458041208/
凛(五体投地)「お願いだからやらせてください」武内P「」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1461585627
島村卯月の性教育【※武内Pもの】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1471173660/
武内P「これは……私の抱き枕?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1474714761/
藍子「CPのプロデューサーさん(武内P)ってかっこいいですね」未央「」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1479472847/
武内P「渋谷さんがお神酒を飲んだら……」凛「プロデューシャー♪」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1483266061/
武内P「女性は誰もがこわ……強いですから」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1486799319/
美嘉「アタシは――――処女だから」武内P「」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1493789801/
まゆ「ムリヤリ凸凹×……するんですよね?」モバP「」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1497097910/
蘭子「汝が望む豊かな乳房のため、儀式を行っている!!]武内P「」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1498048271/
武内P「私がロリコンで熟女好きのホモ?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1500183343/
まゆP「ホモになるぞ!」武内P「その手がありました……ッ!?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1502777106
アリーナでのランクをようやくA1にしたデース!
【モバマスSS】凛「プロデューサーにセクハラしたい」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1446375146/
加蓮「CPのプロデューサーってかっこいいよね」凛「」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1447574640/
未央「貴方の視線」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1448895601/
楓「私たちも」美嘉「プロデューサーに」小梅「…セクハラしたい」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1449474797/
莉嘉「Pくんってかっこいいよね!」美嘉「」【※武内Pもの】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1454068376/
武内P「襲われました…」卯月「へそ下辺りが満たされました♪」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455880196/
早苗「CPのプロデューサー君(武内P)ってかっこいいじゃない」楓「どやぁ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1458041208/
凛(五体投地)「お願いだからやらせてください」武内P「」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1461585627
島村卯月の性教育【※武内Pもの】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1471173660/
武内P「これは……私の抱き枕?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1474714761/
藍子「CPのプロデューサーさん(武内P)ってかっこいいですね」未央「」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1479472847/
武内P「渋谷さんがお神酒を飲んだら……」凛「プロデューシャー♪」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1483266061/
武内P「女性は誰もがこわ……強いですから」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1486799319/
美嘉「アタシは――――処女だから」武内P「」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1493789801/
まゆ「ムリヤリ凸凹×……するんですよね?」モバP「」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1497097910/
蘭子「汝が望む豊かな乳房のため、儀式を行っている!!]武内P「」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1498048271/
武内P「私がロリコンで熟女好きのホモ?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1500183343/
まゆP「ホモになるぞ!」武内P「その手がありました……ッ!?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1502777106
61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 22:39:41.60 ID:U4o+RBhCO
おつ
62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 22:54:11.79 ID:jpzQiLEao
おつ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1509169274/
Entry ⇒ 2017.10.31 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
伊吹翼がアイドルになれたワケ
1: ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:30:47.78 ID:+B7wJAsK0
※独自解釈です。
2: ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:32:56.49 ID:+B7wJAsK0
『その金髪、染めてるんですか?』
そう聞かれることは沢山ある。 昔からずっとアイドルになった今でも
昔は聞かれるだけで嫌な質問だったけど、最近のわたしは決まってこう答えてる。
「はい、染めてます! 美希先輩に憧れてこの髪色にしたんですよー!」
だけどこれはウソ、わたしの金髪は正真正銘の地毛 生まれてから14年ずっとわたしはこの金髪と付き合ってきた。
本当にちっちゃい頃はこの金髪の意味がわからなくて、お姉ちゃんとかお兄ちゃんが可愛がってくれるのを素直に喜んでいたけど、すぐに『違和感』に気付いた。
そう聞かれることは沢山ある。 昔からずっとアイドルになった今でも
昔は聞かれるだけで嫌な質問だったけど、最近のわたしは決まってこう答えてる。
「はい、染めてます! 美希先輩に憧れてこの髪色にしたんですよー!」
だけどこれはウソ、わたしの金髪は正真正銘の地毛 生まれてから14年ずっとわたしはこの金髪と付き合ってきた。
本当にちっちゃい頃はこの金髪の意味がわからなくて、お姉ちゃんとかお兄ちゃんが可愛がってくれるのを素直に喜んでいたけど、すぐに『違和感』に気付いた。
3: ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:33:39.94 ID:+B7wJAsK0
周りの同年代の子、それにお父さんもお母さんも、お姉ちゃんもお兄ちゃんもみんなみんなみんな黒髪なのにわたしただ一人だけ金髪だってことに
『隔世遺伝』? って言うらしくて、未だによくわからないけど、わたしの髪の毛は『ヘン』だってことはちっちゃいわたしでもわかった。
小学校に入ればみんなわたしの髪の毛を見てきて、綺麗だって誉めてくれる子も居たけど、それ以上にわたしは『ヘン』な目で見られた。
授業参観の日なんてもう最悪、みんなわたしのお父さんとお母さんの髪の毛とわたしの髪の毛を交互に見るんだもん
多分みんな心の中で『あの子は本当の子どもじゃないんじゃないか』って思ってるんじゃないかな、きっとそう
『ヘン』なんだよね、この髪の毛は……
『隔世遺伝』? って言うらしくて、未だによくわからないけど、わたしの髪の毛は『ヘン』だってことはちっちゃいわたしでもわかった。
小学校に入ればみんなわたしの髪の毛を見てきて、綺麗だって誉めてくれる子も居たけど、それ以上にわたしは『ヘン』な目で見られた。
授業参観の日なんてもう最悪、みんなわたしのお父さんとお母さんの髪の毛とわたしの髪の毛を交互に見るんだもん
多分みんな心の中で『あの子は本当の子どもじゃないんじゃないか』って思ってるんじゃないかな、きっとそう
『ヘン』なんだよね、この髪の毛は……
4: ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:36:26.13 ID:+B7wJAsK0
小学校中学年になったころにはわたしはすっかり暗くなっちゃって、嫌いな髪の毛はお姉ちゃんの反対を押しきってバッサリ、ちなみにこのトラウマは根強く残っていて、わたしは今でも髪を伸ばすのに抵抗がある。
人に自分の髪の毛を見られたくない、って意識してもこの金髪は誰よりも強く強く主張して
黒く染めたいって両親にも言ったけど、わたしの髪質はあんまり強くないらしくて、1週間やそこらで金でも黒でもない、ぐちゃぐちゃな汚い色になっちゃった。
それを見た瞬間わたしは諦めがついた。 わたしは一生この髪と付き合って生きなくちゃいけないんだな、って
人に自分の髪の毛を見られたくない、って意識してもこの金髪は誰よりも強く強く主張して
黒く染めたいって両親にも言ったけど、わたしの髪質はあんまり強くないらしくて、1週間やそこらで金でも黒でもない、ぐちゃぐちゃな汚い色になっちゃった。
それを見た瞬間わたしは諦めがついた。 わたしは一生この髪と付き合って生きなくちゃいけないんだな、って
5: ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:37:40.52 ID:+B7wJAsK0
そんなわけで内向的になって外にも出なくなったわたしの趣味と言えばもっぱら家で出来ること、遊びの妄想とアイドルの出てるTVを見ることだった。
お姉ちゃんとお兄ちゃんはわたしと違って外で沢山遊んでて、その話を聞いてわたしならこういう風に遊びたいなぁって妄想するのは楽しくて、これは今でもよくやってる。
それでもう一つの趣味だけど、テレビで歌って踊る綺麗なアイドルはわたしにとって憧れそのものだった。
特に金髪のアイドルには憧れた。 わたしがこんなに嫌ってる金髪を全国に映して堂々としてるんだもん。
金髪のアイドルを見る度そのダンスとか仕草とかマネしてみたけど、それを家族以外の誰かに見せることも無かった。
お姉ちゃんとお兄ちゃんはわたしと違って外で沢山遊んでて、その話を聞いてわたしならこういう風に遊びたいなぁって妄想するのは楽しくて、これは今でもよくやってる。
それでもう一つの趣味だけど、テレビで歌って踊る綺麗なアイドルはわたしにとって憧れそのものだった。
特に金髪のアイドルには憧れた。 わたしがこんなに嫌ってる金髪を全国に映して堂々としてるんだもん。
金髪のアイドルを見る度そのダンスとか仕草とかマネしてみたけど、それを家族以外の誰かに見せることも無かった。
6: ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:38:25.82 ID:+B7wJAsK0
そしてわたしが特にハマったアイドルは、中1の夏に知った今や国民的なスーパーアイドル『星井美希』ちゃん。
ちなみにわたしは美希ちゃんが本格的に売れる前から追いかけていた結構な古参ファンだったりする。 ちょっぴり自慢。
美希ちゃんはわたしと同じくらいの年なのに堂々としててとにかく綺麗でかっこよくて可愛くて
何より自分の髪を『染めてる』って言っちゃうのが衝撃的だった。
わたしにとって金髪は嫌で嫌で仕方ないものなのに、その金髪に自分の意思でなってそれで似合ってるなんて
わたしはすっかり美希ちゃんのトリコになってしまった。
ちなみにわたしは美希ちゃんが本格的に売れる前から追いかけていた結構な古参ファンだったりする。 ちょっぴり自慢。
美希ちゃんはわたしと同じくらいの年なのに堂々としててとにかく綺麗でかっこよくて可愛くて
何より自分の髪を『染めてる』って言っちゃうのが衝撃的だった。
わたしにとって金髪は嫌で嫌で仕方ないものなのに、その金髪に自分の意思でなってそれで似合ってるなんて
わたしはすっかり美希ちゃんのトリコになってしまった。
7: ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:39:31.41 ID:+B7wJAsK0
そしてある日、わたしは人生を変える決断をする。 美希ちゃんのイベントに行くことになった。
多分亜利沙さんとかからしたら『そんなこと?』って思われるかもだけど、引っ込み思案で半引きこもりのわたしにとってはとっても大きな決断だった。
初めて生で見る美希ちゃんはそりゃあもう! わたしの知ってる言葉じゃ表せないくらいで!
美希ちゃんにすっかりメロメロにされて帰ろうとしたら、何人かは美希ちゃんと握手して直接お話出来るらしくて、なんとラッキーなことにわたしはそれに当たっちゃった! 多分これはわたしの人生で2番目にラッキーな出来事だったと思う。
多分亜利沙さんとかからしたら『そんなこと?』って思われるかもだけど、引っ込み思案で半引きこもりのわたしにとってはとっても大きな決断だった。
初めて生で見る美希ちゃんはそりゃあもう! わたしの知ってる言葉じゃ表せないくらいで!
美希ちゃんにすっかりメロメロにされて帰ろうとしたら、何人かは美希ちゃんと握手して直接お話出来るらしくて、なんとラッキーなことにわたしはそれに当たっちゃった! 多分これはわたしの人生で2番目にラッキーな出来事だったと思う。
8: ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:40:13.77 ID:+B7wJAsK0
で、最初はラッキーだなぁ なんて軽く思ってたけど直前になったらもうドキドキ
離れて見ててもあんなにキラキラしてた美希ちゃんとあれだけ近くで話すなんて……
前の人が会話してるところを見るだけでクラクラ、そんなことしてる内にいよいよわたしの番
正面から見た美希ちゃんの顔はもう信じられないくらい美しくて、手も綺麗でいい匂いもしてきて
何か話さなきゃ! 話さなきゃ! って思って出た言葉は
「み、美希ちぁっ!」
はい、噛みました。
離れて見ててもあんなにキラキラしてた美希ちゃんとあれだけ近くで話すなんて……
前の人が会話してるところを見るだけでクラクラ、そんなことしてる内にいよいよわたしの番
正面から見た美希ちゃんの顔はもう信じられないくらい美しくて、手も綺麗でいい匂いもしてきて
何か話さなきゃ! 話さなきゃ! って思って出た言葉は
「み、美希ちぁっ!」
はい、噛みました。
9: ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:41:18.45 ID:+B7wJAsK0
その時のわたしはもう何も考えられないくらい頭がぐるぐるしちゃって、もうそのまま時間を残して帰っちゃおうかなって思ったら
「ねぇキミ 何て名前なの?」
「えっ…… 翼…… ですけど……」
「翼って言うんだね」
美希ちゃんに名前呼ばれた!
「ねぇ、翼」
美希ちゃんは右手をわたしの方へ伸ばして
金髪を隠していた帽子を取り去った。
「ねぇキミ 何て名前なの?」
「えっ…… 翼…… ですけど……」
「翼って言うんだね」
美希ちゃんに名前呼ばれた!
「ねぇ、翼」
美希ちゃんは右手をわたしの方へ伸ばして
金髪を隠していた帽子を取り去った。
10: ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:41:53.95 ID:+B7wJAsK0
「えっ!?」
美希ちゃんと違う、わたしの汚い金髪が露になって美希ちゃんに凝視される……
「翼の髪、綺麗だね それって染めてるの?」
普段のわたしなら『そうです』って答えるところだけど、動揺してたわたしにそんな余裕はなくて
「ち、違います! 地毛です!」
「ふーん……」
「なんで隠してるの? ミキならその目立つ髪をバンバン見せていくと思うな」
「えっ?」
「翼、髪は綺麗だし顔も可愛いからきっとアイドルになれると思うの」
「わたしが…… アイドル……」
そこで時間になって、わたしは引き剥がされ、そのままわたしは家に帰った。
美希ちゃんと違う、わたしの汚い金髪が露になって美希ちゃんに凝視される……
「翼の髪、綺麗だね それって染めてるの?」
普段のわたしなら『そうです』って答えるところだけど、動揺してたわたしにそんな余裕はなくて
「ち、違います! 地毛です!」
「ふーん……」
「なんで隠してるの? ミキならその目立つ髪をバンバン見せていくと思うな」
「えっ?」
「翼、髪は綺麗だし顔も可愛いからきっとアイドルになれると思うの」
「わたしが…… アイドル……」
そこで時間になって、わたしは引き剥がされ、そのままわたしは家に帰った。
11: ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:43:39.22 ID:+B7wJAsK0
美希ちゃんと話した次の日、そしてその次の日もわたしの頭をグルグル回ったのは美希ちゃんの『アイドルになれる』って言葉
美希ちゃんが適当なことを言っただけ、なんて思考はわたしの中に無くて、わたしはもう765プロに入って美希ちゃんの後ろ、隣で歌うことしか考えられなくなっていた。
そしてわたしは家族にこう告げた。 『わたしアイドルになりたい』って
それに対してうちの家族は誰一人一切反対しなかったし、うちの家族はわたし以外能天気過ぎるって今となってはちょっと思うな……
オーディションを受けるって決めてからわたしはひたすら美希ちゃんのPVを見てダンスと歌を練習し続けた。
それ以外にも『伊吹翼大改造作戦』なんて名目でお姉ちゃんとお兄ちゃんに1日中連れ回された。
お姉ちゃん行きつけの美容院で髪を整えた後はひたすらショッピング、少しだけメイクもしてふたりの手でわたしをめちゃくちゃにいじり回された。 その結果
「わ……」
鏡には自分とは思えないほどのカワイイ女の子が映っていた。 ずっと嫌いだった自分の髪を初めて『綺麗』って思えたのもその日だったと思う。
美希ちゃんが適当なことを言っただけ、なんて思考はわたしの中に無くて、わたしはもう765プロに入って美希ちゃんの後ろ、隣で歌うことしか考えられなくなっていた。
そしてわたしは家族にこう告げた。 『わたしアイドルになりたい』って
それに対してうちの家族は誰一人一切反対しなかったし、うちの家族はわたし以外能天気過ぎるって今となってはちょっと思うな……
オーディションを受けるって決めてからわたしはひたすら美希ちゃんのPVを見てダンスと歌を練習し続けた。
それ以外にも『伊吹翼大改造作戦』なんて名目でお姉ちゃんとお兄ちゃんに1日中連れ回された。
お姉ちゃん行きつけの美容院で髪を整えた後はひたすらショッピング、少しだけメイクもしてふたりの手でわたしをめちゃくちゃにいじり回された。 その結果
「わ……」
鏡には自分とは思えないほどのカワイイ女の子が映っていた。 ずっと嫌いだった自分の髪を初めて『綺麗』って思えたのもその日だったと思う。
12: ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:45:08.97 ID:+B7wJAsK0
それで、オーディション当日のこと
控え室で待ってると、同じオーディションを受ける予定の子が嫌でも沢山目に入った。
誰もみんなわたしより可愛くて綺麗で、わたしなんか場違いじゃないかって弱気になったけど、お姉ちゃんとお兄ちゃんのアドバイス通り、胸だけはピンと張った。
「伊吹翼さん」
「はいっ!」
ダンスと歌審査は毎日練習した美希ちゃんの曲を歌った。 ずーっとずーっと練習してたから緊張してても体は勝手に動いてくれた。
で、わたしが一番困ったのが次の自己アピールで……
控え室で待ってると、同じオーディションを受ける予定の子が嫌でも沢山目に入った。
誰もみんなわたしより可愛くて綺麗で、わたしなんか場違いじゃないかって弱気になったけど、お姉ちゃんとお兄ちゃんのアドバイス通り、胸だけはピンと張った。
「伊吹翼さん」
「はいっ!」
ダンスと歌審査は毎日練習した美希ちゃんの曲を歌った。 ずーっとずーっと練習してたから緊張してても体は勝手に動いてくれた。
で、わたしが一番困ったのが次の自己アピールで……
13: ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:48:06.71 ID:+B7wJAsK0
「翼さん?」
「……」
緊張で頭の中が真っ白になって、台本まで書いて練習してきたわたしと美希ちゃんの運命的な会話も何処かへ飛んで行ってしまいました……
緊張して何も浮かばない時って、何か言わなきゃ言わなきゃって考えるほど今日食べた朝御飯とか、来週のテストのこととか、どうでもいいことしか浮かばなくて
唯一わたしの脳に浮かんだのは美希ちゃんのこと、いつだって余裕そうで、自信満々の美希ちゃん
そんな美希ちゃんならこういう時きっとこう言うはず……
「わたし、夢があるんです。 男の子にも女の子にもモテモテで、おしゃれでステキなとっても楽しいハッピーライフ、それを叶えるためにアイドルになりたいんです」
終わった、そう思ったよね 『ハッピーライフ』って何? って……
この不意に出てきた言葉が『アイドル 伊吹翼』の誕生の瞬間だった。
「……」
緊張で頭の中が真っ白になって、台本まで書いて練習してきたわたしと美希ちゃんの運命的な会話も何処かへ飛んで行ってしまいました……
緊張して何も浮かばない時って、何か言わなきゃ言わなきゃって考えるほど今日食べた朝御飯とか、来週のテストのこととか、どうでもいいことしか浮かばなくて
唯一わたしの脳に浮かんだのは美希ちゃんのこと、いつだって余裕そうで、自信満々の美希ちゃん
そんな美希ちゃんならこういう時きっとこう言うはず……
「わたし、夢があるんです。 男の子にも女の子にもモテモテで、おしゃれでステキなとっても楽しいハッピーライフ、それを叶えるためにアイドルになりたいんです」
終わった、そう思ったよね 『ハッピーライフ』って何? って……
この不意に出てきた言葉が『アイドル 伊吹翼』の誕生の瞬間だった。
14: ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:49:16.13 ID:+B7wJAsK0
そうしてわたしは765プロのアイドルになれたっていう、人生で1番ラッキーなことが起きたんだけど、そこからがまた大変で……
プロデューサーに『かつての星井美希の再来』なんて紹介されちゃったせいで、わたしのキャラは『ゆとりで不真面目なのに天才で何でも出来る』みたいな感じになって、わたしはその『伊吹翼』のキャラを守るために必死になった。
不真面目さを出すためにレッスンは遅刻して、それでも出来るところを見せなきゃいけないから、遅刻していく前は家で一生懸命練習するなんてヘンテコなことをしてた。 笑っちゃう。
同い年で仲良しになれた未来ちゃんも静香ちゃんもとってもアイドルらしくて、ふたりに負けないようにって水面下ではとっても努力した。 それでも表面上はサボってる感じにしたから怒られることも沢山あった。
ひとつ意外だったのが、サボるっていうのは独特の罪悪感があって楽しいってこと、ずっとわたしは自分のことを真面目なイイコだと思ってたけど、案外『伊吹翼』の姿の方が本当のわたしだったのかもしれない。
プロデューサーに『かつての星井美希の再来』なんて紹介されちゃったせいで、わたしのキャラは『ゆとりで不真面目なのに天才で何でも出来る』みたいな感じになって、わたしはその『伊吹翼』のキャラを守るために必死になった。
不真面目さを出すためにレッスンは遅刻して、それでも出来るところを見せなきゃいけないから、遅刻していく前は家で一生懸命練習するなんてヘンテコなことをしてた。 笑っちゃう。
同い年で仲良しになれた未来ちゃんも静香ちゃんもとってもアイドルらしくて、ふたりに負けないようにって水面下ではとっても努力した。 それでも表面上はサボってる感じにしたから怒られることも沢山あった。
ひとつ意外だったのが、サボるっていうのは独特の罪悪感があって楽しいってこと、ずっとわたしは自分のことを真面目なイイコだと思ってたけど、案外『伊吹翼』の姿の方が本当のわたしだったのかもしれない。
15: ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:51:37.22 ID:+B7wJAsK0
* * *
「翼、翼!」
「ん…… 何、静香ちゃん?」
「何? じゃないわよ、もう時間よ?」
「ごめん、ちょっと考え事してて」
「今日のレッスンは美希さんも一緒なのよ、先輩を待たせちゃいけないでしょ?」
「あはは、大丈夫だよ~ きっと美希先輩は時間通りに来ないし~」
「貴女…… 美希さんのこと尊敬してるのよね…… ?」
「うん! してるよ!」
だって、美希先輩はわたしを変えてくれた、いつまでもわたしの憧れのスーパーアイドルだもん!
「翼、翼!」
「ん…… 何、静香ちゃん?」
「何? じゃないわよ、もう時間よ?」
「ごめん、ちょっと考え事してて」
「今日のレッスンは美希さんも一緒なのよ、先輩を待たせちゃいけないでしょ?」
「あはは、大丈夫だよ~ きっと美希先輩は時間通りに来ないし~」
「貴女…… 美希さんのこと尊敬してるのよね…… ?」
「うん! してるよ!」
だって、美希先輩はわたしを変えてくれた、いつまでもわたしの憧れのスーパーアイドルだもん!
16: ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:52:17.38 ID:+B7wJAsK0
「翼はほんとに美希さんのこと好きなんだね~」
「うん、未来も静香ちゃんも好きでしょ?」
「私は…… 正直最初は苦手なタイプだったかも……」
「えー、どうして~?」
「それは……」
「あっ! 美希ちゃんだ! 美希ちゃ~ん!」
「あ、ちょ、翼! 先輩にはちゃんと敬語を使いなさい!」
「うん、未来も静香ちゃんも好きでしょ?」
「私は…… 正直最初は苦手なタイプだったかも……」
「えー、どうして~?」
「それは……」
「あっ! 美希ちゃんだ! 美希ちゃ~ん!」
「あ、ちょ、翼! 先輩にはちゃんと敬語を使いなさい!」
17: ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:52:53.50 ID:+B7wJAsK0
「美希先輩♪」
「ぐっ…… 翼…… 重いの……」
「え~ 女の子に重いだなんてひど~い」
「翼は本当にめんどくさいの……」
えへへ、引っ込み事案だったわたしも今では憧れのアイドルにハグ出来るくらい積極的になっちゃった。
美希ちゃん、事務所に入ってから初めて会った時、美希ちゃんはわたしのこと覚えてなかったよね、あれはショックだったな~ アイドル辞めたくなったくらい。
まぁわたしがアイドルを始めた理由も続ける理由も曖昧なものだけど、ひとつはっきりしてることがある、それは
美希ちゃんのおかげでわたしはこの髪のこと、自分自信を少し好きになれたんだ
ありがとう、美希ちゃん。 これからも美希ちゃんの言葉通り、アイドル頑張るね?
おわり
「ぐっ…… 翼…… 重いの……」
「え~ 女の子に重いだなんてひど~い」
「翼は本当にめんどくさいの……」
えへへ、引っ込み事案だったわたしも今では憧れのアイドルにハグ出来るくらい積極的になっちゃった。
美希ちゃん、事務所に入ってから初めて会った時、美希ちゃんはわたしのこと覚えてなかったよね、あれはショックだったな~ アイドル辞めたくなったくらい。
まぁわたしがアイドルを始めた理由も続ける理由も曖昧なものだけど、ひとつはっきりしてることがある、それは
美希ちゃんのおかげでわたしはこの髪のこと、自分自信を少し好きになれたんだ
ありがとう、美希ちゃん。 これからも美希ちゃんの言葉通り、アイドル頑張るね?
おわり
18: ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:54:01.55 ID:+B7wJAsK0
読んでくれた人ありがとうございました。
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 19:00:25.05 ID:XRFkDjlBo
こういう解釈も面白いね
おつ
おつ
20: ◆NdBxVzEDf6 2017/08/14(月) 19:10:50.97 ID:SZIBODSu0
この解釈とても好きだわ....
乙です!
伊吹翼(14) Vi/An
http://i.imgur.com/Qm7jkFE.jpg
http://i.imgur.com/UphU4H9.jpg
>>9
星井美希(15) Vi/An
http://i.imgur.com/f8nz0CM.jpg
http://i.imgur.com/sYi0gtk.jpg
>>15
最上静香(14) Vo/Fa
http://i.imgur.com/TKoEetC.jpg
http://i.imgur.com/tRy1qP7.jpg
>>16
春日未来(14) Vo/Pr
http://i.imgur.com/LBASYmq.jpg
http://i.imgur.com/aQyOApp.jpg
美希ちゃんというとミリオンライブ初期http://i.imgur.com/Nd3YyNF.png、NP編http://i.imgur.com/CMCIry0.png
シアターデイズやミリオンBCで使っていて美希先輩になる前な印象あるけど、今の関係の美希ちゃんもいいね
乙です!
伊吹翼(14) Vi/An
http://i.imgur.com/Qm7jkFE.jpg
http://i.imgur.com/UphU4H9.jpg
>>9
星井美希(15) Vi/An
http://i.imgur.com/f8nz0CM.jpg
http://i.imgur.com/sYi0gtk.jpg
>>15
最上静香(14) Vo/Fa
http://i.imgur.com/TKoEetC.jpg
http://i.imgur.com/tRy1qP7.jpg
>>16
春日未来(14) Vo/Pr
http://i.imgur.com/LBASYmq.jpg
http://i.imgur.com/aQyOApp.jpg
美希ちゃんというとミリオンライブ初期http://i.imgur.com/Nd3YyNF.png、NP編http://i.imgur.com/CMCIry0.png
シアターデイズやミリオンBCで使っていて美希先輩になる前な印象あるけど、今の関係の美希ちゃんもいいね
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1502703047/
Entry ⇒ 2017.10.31 | Category ⇒ ミリマス | Comments (0)
【ガルパン】西「四号対空戦車?」 後期型
1: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 12:46:54.33 ID:LpreklqI0
以前投稿した以下のSSの続きです。
◆1
【ガルパン】西住みほ「IV号対空戦車?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1475267396/
◆2
【ガルパン】西「四号対空戦車?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1491635145/
◆1
【ガルパン】西住みほ「IV号対空戦車?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1475267396/
◆2
【ガルパン】西「四号対空戦車?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1491635145/
2: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 12:50:37.55 ID:LpreklqI0
プルルル プルルル
「…んぅ…?」
「…今何時…?」
「……11時か…」
「…」
プルルル プルルル
西「じ、11時っ?!」
やってしまった…。
夜遅くにアッサムさんやグリーンさん(GI6の部長)と話をしていたせいで思いっきり寝坊した…。
あの時何の話をしたっけ……あぁそうだ。私のことやダーリンのこと、そしてOG会の話だったな。
さすがに深夜にやるのはまずかった。次やるとしたら昼にしよう…。
寝坊すると学校に行く気が無くなるのは何故だろう。
…いや、寝坊したからだよね。
プルルル プルルル
考えても仕方ないから、さっきから鳴りっぱなしの電話に出よう…。
3: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 12:52:45.42 ID:LpreklqI0
ピッ
西「はい…」ボケー
『御機嫌よう"ヴェニフーキ"。部屋は綺麗になっているかしら?』
西「…?」
『…もしもし?』
…ああ、そうだった。
私は今"ヴェニフーキ"って偽名を使って聖グロにいるんだった。
元はダージリンが私につけてくれた渾名『ベニフウキ(紅富貴)』だったんだけど、これだと紅茶の品種名で足がつくからという理由で改変された。
なんでもゼラの戦いでのカエサルの言葉 "Veni, vidi, vici"(=来た、見た、勝った)からとった"Veni"。
そして『愚か者』の "hookie" を合わせてVeni Hookie。つまりヴェニフーキなんだそうだ。
これを直訳すると"愚か者が来た"となるらしい。
横文字はちんぷんかんぷんだから、名前の由来云々については良くわからん…。全部丸投げだ。
それで、何ゆえ私自身が理解出来ぬような渾名を名乗って、聖グロにいるかというと…
強制退学させられたダージリンを復学させるため。
4: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 12:57:39.05 ID:LpreklqI0
ダージリンは聖グロOGの中にいる"反・聖グロ派"(反体制派)の『聖グロ弱体化工作』によって、強制退学させられた………。
どういうわけか奴らは聖グロを腐敗・崩壊させようと目論んでいる。
その破壊工作の一つとして学園一の学力を誇り、戦車道の隊長として数々の実績を上げてきたダージリンを消し去った。
"成績不振"、"不純交際"といった事実無根の風説をでっち上げ、"不良生徒ダージリン"という虚像を作り上げて…。
その風説によりOG会から"不良生徒の退学"という市民権を奪い取り、結果ダージリンは虚偽の情報を鵜呑みにしたOG会らによって学園を追放された………。
いずれも反体制派による嘘っぱち。
でも、いずれも私が関わっている。
その事実を知った日から私は私ではなくなった。
この"こそこそ作戦"は私が一匹狼でやってるわけじゃない。
聖グロの卒業生で前隊長である、"アールグレイ"さんの指揮によって私は動いている。
ヴェニフーキという渾名を授かったのも、姿を偽っているのも、何処で何をすべきかというのも、皆アールグレイさんによるものだ。
そういった事情から、アールグレイさんとは情報を共有するために頻繁に連絡を取り合っている。
もちろん今し方かかってきたこの電話も。
5: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 13:01:20.68 ID:LpreklqI0
『"ヴェニフーキ"、聞こえてるの!?』
西「……おぁようございであります………」ネボケ
アールグレイ『……あなた今どこにいるのよ』
アールグレイさんとの電話でのやり取りでは、必ず最初に『部屋(服装)は綺麗にしてあるか?』から始まる。
これは以前、部屋に"盗聴器"を仕掛けられたことがあって、『盗聴されてないかチェックしろ』という、当事者のみ知るやり取り。
昨晩確認して大丈夫だったから、今朝も大丈夫だと思う。…たぶん。
ちなみに盗聴器は先日アールグレイさんからお借りした電波探知器が探してくれる。
それにしても、何もかもド忘れてしまうほど頭の回転が鈍っているな。
これからは夜更かしせずに早く寝よう…。
6: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 13:03:17.33 ID:LpreklqI0
西「自分の部屋であります…」
アールグレイ「…今日は平日よ? 講義はどうしたの?」
西「拠ん所ない無い事情ゆえ寝坊致しました…」
アールグレイ「………」
電話の向こうから巨大なため息が聞こえる。無理もないか。
学校に遅刻するという失態はともかく、今の私は身分を偽って聖グロにいる。
髪の毛の色も瞳の色も変えて、西絹代ではない"別人"になりすましている。
だから、こんな無防備な状態を誰かに見られたら正体がバレてしまい一巻の終わりだ。
たとえ自室とはいえ、気を抜くべきではない。
だけど眠い。頭が痛い…。
7: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 13:07:55.80 ID:LpreklqI0
アールグレイ『…随分と良い生活だこと』ハァ...
西「昨日は深夜にアッサムさん達と話をしたせいで寝る時間が無くて…」
アールグレイ『そう。…あなた全部打ち明けたものね』
西「なにゆえそれを…?」
アールグレイ『盗聴器』
西「あ…」
アールグレイ『まだ回収してなかったでしょう?』
西「そういえばそうでした…」
ダージリンが強制退学させられた
犯人はOGの中の反・聖グロ派、そしてそいつに媚び諂う聖グロ内の"内通者"。
ともなれば、真っ先に疑いがかかるのがアッサムさんだ。
そのアッサムさんが奴らと繋がる内通者か否かを探るため、アールグレイさんから借りた盗聴器を隊長室に仕掛けたのだった。
向こうが盗聴器を仕掛けてきたからこちらも盗聴器を仕掛ける。やられたらやり返せ。
結論を言うと、その盗聴器のおかげで、アッサムさんやGI6の面々が連中とは"無関係"だということがわかった。
盗聴器が拾った内容は私だけでなく、アールグレイさんも聞いている。
昨晩のアッサムさんやGI6を交えた話し合いも当然把握しているだろう。
ということは…
8: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 13:11:53.11 ID:LpreklqI0
アールグレイ「あなた、一体どういうつもりなの?」
西「ん…」
アールグレイ「私はアッサムやグリーン達と"手を組め"と言ったはず」
アールグレイ「なのに、"私の獲物に手を出すな"だなんて、何を考えているの?」
西「…」
― あえて言うならば
― これが私の 戦"邪"道 です
今思い返すと何故あのようなことを言ったのかわからない。
アッサムさんが内通者でないことが判明した。
私が隊長室に仕掛けた盗聴器によって、私の上着に仕掛けられた盗聴器が、GI6やアッサムさんとは異なる別の誰かによるものだとわかった。
同時に、それは"ずっと前から監視されていた"ということだと理解し、身の毛のよだつほ恐怖を抱き、助けを求めるかのようにグリーンさんを呼び出した。
あのとき私は、グリーンさんやアッサムさんの力を借りようと思ったんだ。
だけど、そんな私の思惑とは裏腹に、出てきた言葉は
"私の獲物に手を出すな"。
9: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 13:14:46.77 ID:LpreklqI0
西「実を言うと、私も良く存じ上げないのであります」
アールグレイ『はぁ!? ふざけるのも大概に
西「最初はお二方に助けて貰おうと思っておりました」
西「なのでグリーンさんが仕掛けた盗聴器を逆に利用して、アッサムさん達と話をする機会を作ってみました」
アールグレイ『ならどうして!』
西「…けれども、あの時、隊長室で話をしているうちに思ったのです」
アールグレイ『…?』
西「皆を巻き込みたくない…って」
アールグレイ『…』
西「…確かに、聖グロの問題ですから、彼女たちは無関係ではないと思います」
西「しかし、連中は平気で人の尊厳を踏み躙り、平気で人を奈落の底へと蹴落とす下衆です。そんな奴らとの戦いにアッサムさん達まで巻き込んだら…」
西「聖グロが内側から崩れていく」
アールグレイ『…』
西「それこそ、奴らの思う壺だな…って…」
アールグレイ『…それで、"邪道"であるあなたは、全部独りで抱え込もうって魂胆なのかしら?』
西「壊れるのは一人だけで十分です」
アールグレイ『…』
10: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 13:19:29.63 ID:LpreklqI0
西「もう、嫌なんです…」
アールグレイ『なにが…?』
西「私以外の人が苦しんだり傷付いたりするのが…」
アールグレイ『…』
西「…だから、誰かが傷付くぐらいなら、私一人が全部飲み込んでしまおう…と」
アールグレイ『………』
西「皆が助かるなら、それで良い…って」
アールグレイ『…自己犠牲精神は結構よ。あなたが傷つくことで辛い思いをする人がいること、忘れてないかしら?』
西「…」
アールグレイ『もう一度言うわよ? あなたの最終目的は、"ダージリンを復学させる"こと』
アールグレイ『そのために、強制退学の根拠が反体制派による嘘っぱちであるとを証明する』
アールグレイ『そのためには、聖グロリアーナ内部にいる内通者を特定し、そこから芋づる式にOG内の"裏切り者"を特定する』
西「心得ております」
アールグレイ『…だけど、それらとの引き換えにあなたが廃人にでもなれば、それはもはや成功とは言わない』
西「…」
11: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 13:22:00.41 ID:LpreklqI0
アールグレイ『あなたを含め、全ての人が以前と何ら変わりない生活を送ること。それが私達の"完全勝利"なのよ』
西「…」
アールグレイ『あなたが何を思うかは知らない。けれども、聖グロリアーナの腐敗を目論む連中にとって、"ダメージ・ゼロ"は最大の損失なの。わかった?』
西「…」
アールグレイ『お返事』
西「…かしこまりでございます」
アールグレイ『とにかく、今は身支度して講義に参加なさいな。あなたが普段通りの生活を送るのも作戦の一つよ』
西「そうですね。 "スミマセン! 寝坊したでありますっ!" とでも言って突撃しませう」
アールグレイ『おバカ。そこは"体調が優れなかった"とでも言っておきなさい』
西「体調…ですか…」
アールグレイ『何かしら?』
西「いや。こちらに来てからそこそこ経ちますけど」
アールグレイ『ええ?』
西「月のものが来てないな…って」
アールグレイ『なっ…!』
西「まぁ、来たら来たで色々面倒しょうから来ない方が良いですけどね。あはははは」
アールグレイ『あなた、体調は大丈夫なの…?』
西「寝不足で頭が痛いです」
アールグレイ『そうじゃない!』
西「え? 特には…」
12: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 13:28:05.22 ID:LpreklqI0
アールグレイ『…よく聞きなさい。今まで以上にしっかり栄養を補給して、夜は十分に休むこと』
アールグレイ『あと、必要以上に無理はしないこと。いいわね?』
西「え、ええ…?」
アールグレイ『絶対よ? 約束なさい』
西「はい…」
アールグレイ『それじゃ、何かあったらすぐに相談や報告すること!』
西「わかりました」
という具合に、朝(もうすぐ昼だ…)の連絡が終わった。
珍しくアールグレイさんは焦っておられたが、一体何があったのだろうか?
まぁ、何にせよこのままボケーっとしていてるのも良くないから、お言いつけ通り身支度を整えて学校へ行こう。
13: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 13:29:12.35 ID:LpreklqI0
ヴェニフーキ/西「…これでよし」
https://i.imgur.com/d0Y5len.jpg
西絹代は"ヴェニフーキ"に変身した。
…なんてね。
鏡を見るたび、映る自分の姿を見るたびに、その豹変っぷりに驚く。
髪の色も目の色も違う。以前よりも目つきは悪くなって、充血した目の下にはクマもできている。完全に危ない人だ。
アールグレイさんの手によって初めてこの姿になった時、私はもうこの世にいないのだなぁと思った。なんだか悲しい。
常にそばに居てくれたダージリンですら、この姿を見て私(絹代)だと気付かなかったぐらいだ…。
聖グロの誰かに気付かれたらそれで終わりだから、完璧な変装であることが望ましいけれど、誰か私の事、気付いて欲しいな。
そんなことを考えながら身支度を終えて講義室へ向かっていたら、道中で何人かの生徒が声をかけてきた。
…とりあえず『持病の癪で動けなかった』と誤魔化しといた。
頭が痛い…。
~~~~
14: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 13:32:40.29 ID:LpreklqI0
【聖グロリアーナ 紅茶の園】
「あっ、ヴェニフーキさん!」
ヴェニフーキ(西絹代)「ん…」
ルクリリ「大丈夫? 顔色悪いけど…?」
ヴェニフーキ「普段通りですが?」
ルクリリ「いやいや、絶対いつもよりゲッソリしてるって!」
ヴェニフーキ「…」
ルクリリ「ヴェニフーキさんここ最近すんく頑張ってるけれど、無茶して倒れたら意味ないから、適度にリラックスした方がいいと思うんだ」
ヴェニフーキ「まぁ…夜更かしが過ぎたので」
ルクリリ「そうなの?」
ヴェニフーキ「ええ」
ガンガンする頭に身悶えていたら同じ2年のルクリリさんが話しかけてきた。
聖グロ生らしく優雅にお上品…っぽく振る舞う一方で、何処となく抜けているお転婆娘な人。
知波単にいた頃の私(西絹代)はともかく、聖グロにいる今の私(ヴェニフーキ)とはまるで正反対な性格だ。
しかし同い年という事もあってか、彼女はよく私に話しかけてくる。こんな無愛想で根暗な人間と話して何が楽しいのだろうか…。
15: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 13:35:54.35 ID:LpreklqI0
ルクリリ「へぇ。ヴェニフーキさんも夜更かしするんだ?」
ヴェニフーキ「たまには」
ルクリリ「私もゲームやるとついつい…」アハハ
ヴェニフーキ「そう」
ルクリリ「スーパーマジノブラザーズってやつ。面白いよ!」
ヴェニフーキ「なるほど」
ルクリリ「今度やってみない?」
ヴェニフーキ「気が向いたら」
ルクリリ「あ、あとさあとさ! この間ね?」
ヴェニフーキ「ん…」
次から次へと投げつけられる話を当たり障りのない返答で回避する。
戦車以外の会話も好きだけど、今は身分を偽って他校に潜伏してるので、いらんことを喋るとすぐにボロが出る。
だからアールグレイさんの指示通り、基本的に"無口・無表情"で会話も最小限に留めるようにしている。
辛いけど、これもダージリンの為だと思って必死に自分を殺す。
こんな人物像を描いてるせいで『怖い』、『何を考えているかわからん』…と、以前の私からは想像できないような評価をもらう(目が怖いのは以前から言われてたけど…)。
一年生はおろか、アッサムさんですら最初はおどおどしながら私に接していた。
だけど本当に怖いのは、そんな偽りの人物像がだんだん板についてきている事だ。演技じゃなくて。
最初の頃は必死に感情を抑えていたけれど、今では以前ほど苦労することなく無表情、無機質な人間を演じられるようになった。慣れというものは怖い。
姿だけでなく、人格まで塗り潰されていく。
16: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 13:38:06.62 ID:LpreklqI0
ルクリリ「そういえば最近は」
「ヴェニフーキ…!」
ヴェニフーキ「アッサム様…」
ルクリリ「あ、御機嫌ようですわアッサム様!」
アッサム「御機嫌よう。…、ヴェニフーキ、午前中は講義に出席しなかったとのことですけど?」
ルクリリ「あ…」
ヴェニフーキ「寝不足故に頭痛で起き上がれず。深夜にやるのは間抜けでした」
アッサム「でしょうね。おかげで私も寝不足ですの。次回は明るい日中にいたしましょう…」
ルクリリ「うん?」
アッサム「…ルクリリ、少し席を外して下さるかしら?」
ルクリリ「え、ええ。かしこまりましたの」
彼女も一応はお嬢様言葉を話すんだね。何かぎこちないけど。
ルクリリさんに続くように、他の生徒もアッサムさんの様子を察して立ち去った。
紅茶の園には私とアッサムさんの2人だけ。
17: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 13:40:44.07 ID:LpreklqI0
ヴェニフーキ「…」
アッサム「………私は」
ヴェニフーキ「…」
アッサム「私は、絶対に認めません。あなたが"邪道"だなんて…」
先に口を開いたのはアッサムさんだった。
そして内容は案の定昨晩のこと。
ヴェニフーキ「…」
アッサム「確かに、私も最初はあなたが"内通者"ではないかと疑いました」
ヴェニフーキ「…」
アッサム「何故なら、あなたの行動には不自然な点が多かったから…」
ヴェニフーキ「私が今ここにいる理由、ご存知ですよね?」
アッサム「勿論ですの。あなたは内通者ではなかった。それどころか私達と同じ」
アッサム「…それに、この件を抜きにしても、あなたの今までやってきた行為の数々が邪道だとは到底思えません」
ヴェニフーキ「…」
アッサム「だから、自らを邪道と呼ぶのはやめ、普通に生活して欲しいのです」
普通に生活する。
普通に生きる。
…普通ってなんだろ?。
聖グロの生徒として生活しろって事なのかもしれないけど、私は聖グロの人じゃない。
私にとっての普通の生活は、"知波単学園の西絹代として生活しろ"ってことだから。
今はこんなだから出来ないよ。それにこの先も、もしかしたら…
18: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 13:45:26.37 ID:LpreklqI0
ヴェニフーキ「王道があるから、邪道があります」
アッサム「…!」
ヴェニフーキ「邪道があるから王道が眩しく見える」
ヴェニフーキ「だったら、私がその邪道になればいい」
アッサム「そんな…!」
ヴェニフーキ「邪道として、邪道に落ちようとする人間に"あっちへいけ"と追っ払ってやる」
かつての仲間を捨て、自分さえも捨てて生きる今の自分が王道であるはずがない。
多くの人を騙して、聖グロを乗っ取って、そして聖グロに関わった人たちにまで私は牙を向けた。
作物を喰い荒らす蝗のように
内臓を食い破る寄生虫のように
こんな私を邪道と呼ばずして何と呼べばいい?
教えてくれ。アッサムさん。
19: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 13:48:19.54 ID:LpreklqI0
アッサム「それではあなただけが苦しむ!」
アッサム「それにこれは聖グロリアーナ全体の問題ですの! あなただけが
ヴェニフーキ「昨晩も申したように、」
アッサム「っ…」
ヴェニフーキ「連中の作戦を失敗させる為には、"何も変わらない"が絶対条件です」
アッサム「…」
ヴェニフーキ「誰かがくたばりでもしたら、それだけで奴らは"成功した"とほくそ笑む」
ヴェニフーキ「だから、犠牲は最小限に。…それだけのことです」
アッサム「………」
私は、ダージリンを弄んだクズ連中らと戦うクズ。
だから私以外の人がクズを相手にして、同じくクズになってもらっては困る。
邪道と戦うから戦"邪"道。
戦車道じゃなくて戦邪道。
あははは。
私みたいな汚い女にピッタリの役割じゃないか。
あははは。
あはははははは。
20: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 13:49:33.73 ID:LpreklqI0
アッサム「…ならば、私はあなたの負担が少しでも減るよう助力致しますわ」
ヴェニフーキ「はぁ」
アッサム「あなたが言うように犠牲は最小限に。そしてその最小限には、ヴェニフーキ、あなたも含みます」
ヴェニフーキ「…」
アッサム「だから、私なりに出来ることを模索した結果、あなたの負担を何かしらの形で軽減させること」
ヴェニフーキ「具体的には?」
アッサム「あなたがされて喜ぶことは?」
ヴェニフーキ「何もしない事です」
アッサム「なっ…!」
実際その通りなんです。アッサムさん。
今の私は名前も姿も何もかも偽って皆を騙しているんだ。
そんな状態で何かされても嬉しくないし、いらぬ神経を使うだけ。
だから、何もしてくれない方が私は嬉しい。
…ごめん。
21: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 13:50:47.83 ID:LpreklqI0
ヴェニフーキ「そのお気持ちだけで十分です」
アッサム「…」
ヴェニフーキ「だから、アッサム様たちは普段通りに生活して下さればそれで満足」
アッサム「そう…。一日でも早く問題が解決するよう祈りますわ…」
ヴェニフーキ「感謝します」
アッサム「…それともう一つ、あなたにお話が」
ヴェニフーキ「何でしょう?」
アッサム「明日、大洗女子の方々がいらっしゃいます」
…あんた人の話ちゃんと聞いてたか?
何もしない事って言っただろう!
他校の人が来たら余計な気を使わにゃならんだろうが!!
それに大洗ってこの間私が………
22: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 13:55:37.50 ID:LpreklqI0
ヴェニフーキ「…は?」
アッサム「そ、そんな顔をしないで下さいまし! これはずっと前に決めたことですの!」
ヴェニフーキ「ずっと前?」
アッサム「ええ。先の大会で優勝したので、それを祝おうと」
ヴェニフーキ「知りませんが?」
アッサム「あなたが聖グロリアーナへ来る前の話ですもの」
ヴェニフーキ「…」
アッサム「ダージリンが、"ベストを尽くした戦友たちを讃えましょう"と」
ヴェニフーキ「なるほど…」
…すっかり忘れていたけど、大洗女子は先の"臨時"の公式戦で見事に黒森峰に勝利した。
随分昔のことのように思えてしまうけど、さほど時間が経過していないから驚く。
新学期を迎えると同時に、『無人機』という理不尽なルール改定がなされ、すぐに"臨時"の公式戦がめり込む。
おかげで三年生は引退を先延ばしにして、再び戦車に乗ることが出来たけど…
戦車道に突如追加された"無人機"というルール。
…無人機? 無慈悲の間違いじゃなかろうか?
一体誰が考えたのかわからないが、本当に無慈悲で意味不明な改定だ。
改定に伴い、我々知波単を含め、各々の学校は新たな戦いに乗り遅れまいと相次いで無人機を配備していった。
しかし、その改定は戦車以上に高価である無人機を、予算の都合で配備出来ない学校にとっては絶望的なものだ。
何故なら大空を我が物顔で飛び回る無人機は戦車では簡単には落とせないから。
そしてそれは連戦連勝を遂げた大洗女子にとっても例外ではなく、地上の攻撃が一切届かない無人機を相手に一方的に蹂躙された。
23: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 14:15:01.04 ID:LpreklqI0
アッサム「大洗女子の優勝は多くの学校に希望を与えてくれた」
アッサム「無人機を保有しないにもかかわらず、無人機を使う強豪校たちを相手に巧みな戦術で勝利を重ねたのですから」
ヴェニフーキ「"四号対空戦車"ですね」
アッサム「ええ。見かけるたびに戦車の形が変わっていたので驚きましたわ」
アッサム「それは大洗の戦術が変幻自在であることを象徴するかのように」
………と思いきや、大洗女子は西住さんたちが乗るIV号戦車をIV号"対空"戦車と改造して、無人機に対抗した。
最初は"メーベルワーゲン"という4枚の大きな装甲板で覆われた対空戦車。アンツィオ高校との練習試合で投入した。
次は"ヴィルベルヴィント"という算盤珠のような砲塔に高射機関砲を搭載した対空戦車。練習試合で露呈したメーベルワーゲンの問題点を改善するためにとった措置。
そして次に出てきた"オストヴィント"。プラウダ高校との練習試合での戦訓より、カチューシャさんの助言や西住流の力を借りて実現した対空戦車。
オストヴィントとは公式戦の第2試合で実際に相まみえたけれど、我々知波単の無人機を2つも叩き割られた。
この試合の後に規定に修正が入ったため、西住さんたちの対空戦車は使用不可となり、事実上大洗は無人機への対抗手段を喪失した。
これらは私が大洗戦で怪我をして入院している時に、お見舞いに来てくれた西住さんや秋山さんが話してくれた。
理不尽な話ではあるが、そもそも砲塔などが密閉型ではない戦車は以前より規定で禁じられていた。
先の大会は、無人機に関する問題・改善点の可視化を図り、今後のルール改定の指標にするという試験的な側面もあったため、最初は天蓋の無い対空戦車も黙認されていた。
しかし、その黙認も選手の安全には代えることは出来ず改定されたというもの。
それでも大洗は諦めることなく、次の対空戦車である"クーゲルブリッツ"を開発し、サンダース戦に臨み、そしてサンダースのB-29すらも奇天烈な戦術で撃破し、勝利した。
あの戦術は誰もが仰天するものだ…。
24: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 14:19:08.43 ID:LpreklqI0
アッサム「今思い返しても素晴らしい戦術でしたわね」
ヴェニフーキ「ええ。肝心の"我が校"は一回戦でボロ負けしましたが」
アッサム「あ、あれは知波単学園が…!」
ヴェニフーキ「敵の大将は古今無双の英雄ですね。なにしろ"我が校"をコテンパンにしたのですから」
アッサム「本当に驚きました。吶喊・突撃だけが取り柄だった知波単学園が、あのような高度な戦術を取るなんて…」
ヴェニフーキ「………」
その"敵の大将"というのは私。
複雑な気分だ。知波単の私が聖グロの生徒になって他人事のように知波単を語るのだから…。
いずれにせよ、"あの結果"は実際に指揮した私ですら驚いたほどだ。ダージリン率いる聖グロを相手にあそこまで成果を出せるとは思わなかったのだから。
でも、それでも私は成果を出さなきゃいけなかった。
どうしても勝たなきゃいけなかった。
だって、成果を出せなかったら…
知波単の戦車道が"廃止"になるから。
25: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 14:21:16.03 ID:LpreklqI0
だからあの時私は限られた時間の全てを戦車道に注ぎ込んだ。
勝利せねばそれで終わりだから、勝つ為にありとあらゆる情報や知識をかき集めた。
そして、今までの"突撃戦法"では勝てないとわかり、新しい戦術を作り上げなければならなかった。
戦車や無人機の移動速度、砲の射程距離、貫通力、試合会場の地形、過去の戦車道大会、歴史上の戦い…
猛勉強した。猛特訓した。
集めた知識や情報をもとに、突撃一辺倒だった戦術を大幅に変更し、究極の戦術を編み出した。
もちろん仲間たちは猛反発した。"我が校の伝統に背いた!!" って非難轟々だ…。
だけど、そうしなければ伝統どころか戦車道そのものを失ってしまう。
26: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 14:26:23.29 ID:LpreklqI0
アッサム「そう考えると、知波単学園の皆様もこの大会で大きな成果を出した学校ですわね」
ヴェニフーキ「…」
アッサム「そしてダージリンはあの時から知波単学園の隊長…絹代さんを気にかけていた…」
ヴェニフーキ「そうですか」
アッサム「ええ。前も話したけれど、絹代さんは戦車道廃止の危機に瀕した知波単学園を救った人です」
アッサム「そんな彼女の面影に、ダージリンは自分を重ねたのでしょうね」
ヴェニフーキ「…」
アッサム「同じく血の滲むような努力をして、死に物狂いで聖グロリアーナを支えてきた者として」
ヴェニフーキ「…」
私は二戦目で大洗と対決した。
陸と空から大洗を畳み掛ける最初こそ健闘したものの、四号対空戦車"オストヴィント"によって我々の無人機は壊滅し、戦車も残り僅か。
そんな逼迫した戦況にて私は最後の無人機を動かそうとした。
特攻兵器 "桜花" を搭載した一式陸上攻撃機を。
意識が朦朧となる中、"全て壊してしまえ"という悪魔の囁きが聞こえ、無人機を操作する端末を手に取ろうとした時、そこにダージリンから貰った"戦友の証"があった。
そしてダージリンとの約束を思い出した。
おかげで私は特攻兵器を使うことなく、伝統である突撃を敢行して、最期は知波単学園として終わった。
私はダージリンに助けられた。
ダージリンがいたから知波単の戦車道は死を免れた。
意識が途切れる直前、ダージリンの姿が見えた。
27: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 14:31:29.72 ID:LpreklqI0
アッサム「…どこへ行くのです?」
ヴェニフーキ「部屋に戻ります。寝不足ですので」
アッサム「そう。では私もそろそろ。…ちゃんと休むのですよ?」
ヴェニフーキ「ええ」
スタスタ
ヴェニフーキ「…」
西「…ダージリン………」
最後の突撃で私は負傷して意識を失い、目覚めたら病院の布団の中にいた。
そして、そこにはやっぱりダージリンがいた。ダージリンは入院中、手厚く看病してくれた。
気が付けばいつもダージリンがそばにいてくれた。
本当に幸せだった…。
一緒に過ごすうちに、ダージリンの考えることが解るようになった。
彼女の感情が私の感情として、私の心に宿るようになった。
ダージリンの幸せが私の幸せで、ダージリンの苦痛が私の苦痛。
…そんな感情だった。
だからOG会に潜む反体制派の工作によってダージリンが強制退学させられたと知って私は
心を壊された。
必死に守ってきたものを一瞬で粉々にされた。
ダージリンが受けた屈辱・絶望・怒り・悲痛、それらが全て私自身のものになって襲い掛かる。
自分ひとりでは抑えられず、とうとう理性を失って発狂する。精神安定剤が手放せなくなるほど深い傷を刻まれた。
心も身体もボロボロになって、破落戸のように目つきが悪くなって
疑心暗鬼の塊になって、ダージリンに泣きついて
アールグレイさんと手を組んで
"ダージリンの救済"という名目で奴らへの復讐を誓って
そして私は"ヴェニフーキ"という偽名を名乗って―――
現在に至る…。
~~~
28: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 14:33:48.74 ID:LpreklqI0
【翌日 聖グロリアーナ女学院 紅茶の園】
聖グロ一同「「「優勝おめでとうございます!!」」」
桃「ほ、本日はこのような場に招待頂けたこと、こ、心より感謝しまする…ここ、これも常日頃の…」
杏「かぁーしま、長いし硬いって」
柚子「桃ちゃんらしいね」フフ
桃「ここに来てまで桃ちゃん言うなーっ!!」
アハハハハ!
全国大会、大学選抜チーム戦、そして先日の臨時の公式戦でも見事優勝し、破竹の勢いの大洗女子。
戦車道の規模こそ小さいものの、巧みな戦術と隊員の練度は強豪校に一切劣らない。
廃校の危機を何度も乗り越えた大洗女子の躍進は大きな夢と希望を与えてくれた。
そんな彼女たちを称え、優勝を祝うためにこのような交流会を企画した。好敵手を称えるというダージリンの流儀に基づいて。
ダージリンもまた、大洗が歩んだ戦車道に自分の戦車道を重ねていたに違いない。
だけど、その祝賀会を企画したダージリンはここにはいない…。
29: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 14:36:54.68 ID:LpreklqI0
アッサム「本当はもっと早くご招待したかったのですが、日程が詰まってたものでして」
みほ「いえいえ、とんでもありません! このような場にお誘いいただけるだけでも嬉しいです!」
沙織「むしろ聖グロの皆さんには色々恩返ししないといけないくらいです」
優花里「武部殿の仰る通りです。本当に聖グロの皆さんには感謝してもしきれません!」
アッサム「ふふ。そう言っていただけると嬉しいですわ」
エミ「…本家かぁ」
オレンジペコ「本家…ですか?」
エミ「あ、い、いや、こっちの話!」
オレンジペコ「???」
ダージリンを失い、私がここへ潜り込んでからというもの、聖グロは短期間に色んな学校と練習試合や祝賀会などで交流を重ねてきた。
プラウダ、サンダース、知波単、そして黒森峰。
これらは繰り上がりで隊長になったアッサムさんによる、"実戦に近い環境で上質な練習を行う"という考えによるもの。その判断はもちろん、各学校の日程や学園艦の入港の手間を鑑みても、アッサムさんの緻密な計画と調整には驚かされる。
さすがは大学選抜戦で参加者全員の制服や大洗への短期転校を手配した人だけある。なにせ各校の主要メンバーだけでなく、その人達が乗る戦車の乗員も含めてなんだからなぁ。
仮に1輌に4人乗ってたとすれば、22×4で88人。…だけど私が心得違いをしたせいで、その数はどえらい事になっている。
…あの時はすみませんでした。
30: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 14:38:49.71 ID:LpreklqI0
みほ「ところで、ダージリンさんはまだ…?」
オレンジペコ「!」
沙織「そういえば体調崩されて結構経ちますよね」
アッサム「ダージリンは…」
麻子「あまり長引いているから単なる風邪とは思えないが…」
オレンジペコ「えっと…」
華「心配です。難病を患っておられなければ良いのですが…」
やはり話題として上がるのはダージリンの件だ。
前回お会いした決勝戦の時からまた時間が経っている。このまま"風邪"を長引かせてはさすがにまずい。
ヴェニフーキ「ダージリン様はじき戻られるでしょう」
アッサム・オレンジペコ「…!」
そう断言する。
私はこの命に変えてでも、どんな手を使ってでもダージリンを復学させる。
それが奴らへの復讐。そしてダージリンへの恩返し。
ダージリンは絶対聖グロに帰って来る。
沙織「!!」
優花里「あっ…」
華「…」
みほ「ヴェニフーキさん…!」
エミ「…」
ヴェニフーキ「お久しぶりです。大洗の皆様」
あんこうチームの皆さんにお辞儀をする。
"優勝おめでとうございます"
"あなた達の道を変えてごめんなさい"
"こんな姿であなた達を迎えて申し訳ない"
三つの意味を込めて…。
31: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 14:41:09.97 ID:LpreklqI0
みほ「お久しぶりです。先日はその…お世話になりました」
ヴェニフーキ「こちらこそ。素敵な試合を観戦できたこと、とても喜ばしく思います」
みほ「ええ。おかげさまです」
エミ「あなたがウワサの"みほに助言した人"なの?」
ヴェニフーキ「…」
みほ「え、エミちゃん!?」
エミ「だってそうじゃない? 私達はそれで勝ったんだから」
みほ「そ、そうだけど…」
アッサム「助言?」
みほ「…ええ。実は私達が黒森峰に勝てたのは、ヴェニフーキさんの助言の陰でして…」
アッサム「えっ、そんなの初耳ですわ…」
32: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 14:48:57.82 ID:LpreklqI0
ヴェニフーキ「無人機を廃止するために、どうしてもあなた達の力が必要だったのです」
エミ「…ふーん」
みほ「そうだったんですか…」
ヴェニフーキ「この"改悪"に終止符を打つためには、"無人機を持たず、使わず強豪校に勝利する"…という物語が必要」
ヴェニフーキ「これが出過ぎた真似であることは重々承知しております。深くお詫び致します」
もう一度、西住さんに頭を下げる。
決勝戦で西住さん達あんこうチームは高射砲塔の天辺に戦車を構え、橋を渡る黒森峰のフラッグ車を一発の砲弾で仕留め"完勝"した。
― この会場の中に1箇所だけ、黒森峰を一方的に葬れる場所があります
試合前に私は無礼にも西住さんにそう言い放った。
その"一箇所"で放った一発には、私の戦車道の全てが注ぎ込まれていた。
かつて知波単の戦車道を守るため死に物狂いで習得した"感覚"。
そこから導き出した結論、それを大洗にと…。
結果として、試合は私の望み通りとなった。
西住さんは私の意図を汲んでくれた。
ありがとう。西住さん。
そして、ごめんなさい。
33: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 14:50:45.97 ID:LpreklqI0
みほ「い、いえいえ…!」
ヴェニフーキ「たとえ、どれだけ理不尽な改悪をしようとも、我々が滅ぶことはない。いつ何時でも必ず這い上がってみせる」
みほ「!」
ヴェニフーキ「…そういったメッセージを、"奴ら"に届けたかった次第です」
みほ「そうだったんですね…」
エミ「…」
西住さんに放ったその言葉は、私自身への暗示でもある。
"奴ら"というのも…
ヴェニフーキ「…それに」
みほ「?」
ヴェニフーキ「大洗を廃校にはしたくなかった…」
エミ「…そう」
みほ「あ、ありがとうございます…!」
34: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 14:51:57.26 ID:LpreklqI0
沙織「…」
ヴェニフーキ「…ん」
沙織「あっ!」ビクッ
ヴェニフーキ「どうされましたか?」
沙織「えぁ…な、何でもありませんっ!!」アセアセ
ヴェニフーキ「あなたは確か…」
沙織「あの…あんこう…じゃなくて隊長車の通信手の武部沙織です!」
ヴェニフーキ「ご丁寧にどうも。ヴェニフーキです」
沙織「ど、どうも…!」
視線を感じたので振り返ってみたら、あんこうチームの武部さんがいた。
だけど何だかオドオドしておられる。
やっぱりこの顔(目)は相当キツいか………。
~~
35: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 14:55:50.57 ID:LpreklqI0
オレンジペコ「腕によりをかけてお料理たくさん作りましたので、ぜひぜひ召し上がってください」
華「ありがとうございます!」パァァァ
優花里「あはは。相変わらずですねぇ五十鈴殿」
あや「すっごーい! これペコちゃんが作ったの!?」
オレンジペコ「私が作ったものもあれば、他の方が作ったものもあります」
優季「でもでも凄いよ! ペコちゃん絶対いいお嫁さんになれるよ!」
オレンジペコ「えへへ。ありがとうございます」
あや「いいなー! 私にも料理教えてよー!」
オレンジペコ「聖グロリアーナにいらっしゃったらいつでもお教えしますよ」
優季「あー! あやだけズルいー! 私も教えてもらうー!」
ルクリリ「デザートにはフルーツやスイーツなどもございますの」
麻子「おおお!」パァァァ
沙織「あはは。相変わらずだね麻子は」
みほ「甘いものを食べると元気になれるもんね」
ヴェニフーキ「マカロンもご用意しました。如何でしょう?」
みほ「マカロン!?」ピクッ
優花里「あ、西住殿も元気になりましたね」
ヴェニフーキ「西住さんはマカロンがお好きなのですね」
みほ「はい! マカロンはいくらでも食べれちゃいます♪」
エミ「あ、相変わらずね…」
ヴェニフーキ「すごく幸せそうです」
みほ「はい! マカロンとボコがあれば私は幸せです!」
優花里「西住殿は本当にマカロンとボコがお好きですからねぇ」
みほ「うん! このあいだ内臓はみ出しボコの新バージョンが出たんだよ!」
36: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 15:00:23.52 ID:LpreklqI0
エミ「うっ…」
沙織「お食事中にその話はやめようよみぽりん…」
麻子「グロテスクなのは勘弁してくれぇ…」ガタガタ
みほ「ええ…」ガーン
ルクリリ「なんか…すごいスプラッタなアニメなんd…ですわね」
ヴェニフーキ「子供向け、ですよね?」
優花里「子供向け…だと思いますが、子供に観せたらグレること間違いナシですね…あはは…」
みほ「ぐ、グレないよ! 観たらみんな幸せハッピーになれるんだよ!」
ルクリリ「ヴェニフーキさん、一度観た方が良いんじゃない?」
ヴェニフーキ「余計なお世話」
みほ「いいですか? ボコはですね…」
優花里「また始まりました…」
エミ「私は10年前から聞かされてるわよ…」
華「うふふっ」モグモグ
マカロンを食べながらボコの話をする西住さんは、純粋無垢な乙女だった。見てるこっちまで思わず笑みが零れそうなほど。
西住さんは一通りボコについて力説したあと、満足そうにボコの歌を歌い出す。
〽人生 負けても いいんだぜ
いつか 勝てると 夢を見て
Come on, Come on, Come on, You can this!
ボコリ ボコられ 生きていけ
あはは。
いつか報われるって信じながらボロボロになっていく。
まるで今の私じゃないか。あははは…。
37: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 15:02:59.49 ID:LpreklqI0
みほ「良い歌ですよね! なんかこう、ワクワクしてきますよね!」キラキラ
ルクリリ「そうかな…」
ヴェニフーキ「ええ。良い歌です」
ルクリリ「えぇ…」
みほ「えへへ♪」
こんな"ボコ"でもいつか勝つ日が来るのだろうか。 …いや、来ないだろうな。
戦って負けて満身創痍になるからボコなんだと思う。そしてそれを観た人たちが笑顔になる。
だから、皆がいつまでも笑顔でいられるように…ってボコという脇役を置く。
主役はそれを観ている人たち。
だから、私も私と関わる人達が笑顔でいられるなら……ずっと、脇役でいいや。
38: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 15:05:08.63 ID:LpreklqI0
沙織「ヴェニフーキさん…?」
ヴェニフーキ「っ、…呼びました?」
沙織「何か、あったのですか…?」
ヴェニフーキ「えっ?」
沙織「その、悲しそうな顔をしていたから…」
ヴェニフーキ「いえ…」
いかん…。
ボコと自分の境遇が何処と無く似ている気がしたせいで、思わず感情移入してしまった。
そのせいで武部さんにいらん心配をかけてしまった。
沙織「…みぽりん」ジトー
みほ「ふぇ!?」
沙織「ヴェニフーキさん困ってるよ…」
みほ「え? え?!」アセアセ
ヴェニフーキ「大丈夫です。西住さんがすごく楽しそうに語ってるので、ボコってどんなアニメなんだろうかと考えていただけですよ」
沙織「そうですか…?」
ヴェニフーキ「ええ」
沙織「あはは。ちょっと安心しました」
ヴェニフーキ「心配して下さってありがとうございます」
沙織「えへへ…」
色んな所に気が行き届くとても優しい人だ。間違いなく良妻賢母になる。
戦車道そのものが『礼節のある淑やかで慎ましく凛々しい婦女子』を育成することを目的にしているのだから、戦車道の終着点はきっと武部さんなのかもしれない。
そう考えると武部さんもまた、私が憧れた王道の一つだ。
39: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 15:09:23.16 ID:LpreklqI0
華「うふふっ。どのお料理もとっても美味しいです♪」
優花里「五十鈴殿も相変わらずですねぇ」アハハ
華「はい。相変わらずです」フフッ
ヴェニフーキ「料理はたくさんありますので遠慮なくどうぞ」
華「はいっ♪」
沙織「華は少し遠慮した方がいいと思うな…」
麻子「んぅ……」
ヴェニフーキ「ん、体調が優れないのですか?」
麻子「いや…眠い……」
優花里「あはは、冷泉殿は低血圧ですから普段からこんな具合でして」
ルクリリ「何となく分かるなぁ。私も徹夜したときこんな感じだもん」
アッサム「夜は早く寝なさいといつも言っているのに…」
沙織「もー麻子ったら! なにもこんな時まで寝なくたっていいじゃない!」
麻子「…眠いものは仕方ない…………」スピー
ヴェニフーキ「…」
私も最近、朝にめっぽう弱くなったり、頭痛がしたり苛々することが多い。
だから冷泉さんの気持ちも何となく分かる。
そんな低血圧を改善する食べ物と言ったら………
ヴェニフーキ「ケーキはいかがです?」
麻子「ケーキ…?」ムクリ
優花里「わっ、復活したぁ?!」
低血圧には甘いものが良いらしい(本当か…?)から提案してみたら一瞬で回復した。
さすが甘いもの。
…というより冷泉さんが単に甘いもの好きなだけかもしれんが。
40: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 15:15:10.78 ID:LpreklqI0
ルクリリ「他にもスコーンやプリンといったスイーツ系もありますよ!」
麻子「おぉぉ…ここが天国か…!」パァァ
ルクリリ「あははっ。みんな紅茶を飲むだけにお茶請け作りにも余念も無いんだ。だからスイーツ系も得意分野なの!」ドヤッ
ニルギリ「ルクリリ様は味見しかしていないですよね?」
ローズヒップ「いっぱい味見しておりましたの。羨ましいですの」
ルクリリ「ぐっ…別にいいじゃないかぁ!」
ニルギリ「たまには手伝って下さいよ…」ジトッ
麻子「沙織、私は聖グロで余生を過ごす」
沙織「えーっ!? それじゃ操縦手は誰がするのよー!」
麻子「レオポンのツチヤさんがいる。3年が卒業すれば一人ぼっちだ。仲良くしてやってくれ」
ツチヤ「えっ、ウチがあんこうチームの操縦手やんの!?」
麻子「うむ。ポルシェティーガーを巧みに操作するツチヤさんなら、IV号など屁のカッパだろう」
エミ「今はE-100対空戦車だけどね…」
優花里「IV号も好きですが、E-100対空戦車も捨てがたいですぅ~~」ワシャワシャ
アッサム「改めて見ると大きいですわね…」
ヴェニフーキ「手合わせする側としては、E-100対空戦車よりIV号に乗って頂きたいですけどね」
みほ「あはは。もうすぐIV号の修理が終わるって言ってましたよ」アハハ
エミ「もうすぐこの子ともお別れかぁ…」
ヴェニフーキ「…」
エミ「?」
― もしもし
― ふぇっ!?
― どうしたのよそんなに驚いて…
― あ、あの…えっと…
― ちょっと…みほ?
― ご、ごめんなさい!また次の機会にっ!
そうかあの時電話に出たのはあなたか。急に知らない人の声がするから焦ったぞ。
…だけど試合の時はいなかったような。転校生かな?
41: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 15:27:36.44 ID:LpreklqI0
ツチヤ「まぁE-100対空戦車はともかく、IV号はポルシェに比べたらねぇ…」
麻子「うむ。E-100は相当な荒くれ者だ。なにより重くて腰に来る」
ツチヤ「だよねぇ。IV号のあとにコレ乗ると絶対重いよ…」
麻子「逆に言えばE-100に乗った後にポルシェティーガーに乗れば幾分か軽く感じるんじゃないだろうか?」
ツチヤ「そうかもしんないね」
ナカジマ「やめといた方がいいよー」ヒョコッ
ホシノ「E-100が電気ストーブになっちゃうよー」モコッ
スズキ「ツチヤはレオポンなのにライオン(ランオン)だからねー」ニョキッ
ツチヤ「んなっ! ここでもソレ言うのかよッ!!」
ワッハハハハハ!!
ホシノ「あ、でもツチヤならIV号カスタマイズしても~っとスゴいのにしてくれるかもよー?」
スズキ「たとえばH型の次の"I型"とかさー」
ヴェニフーキ「確かIは無かったような?」
優花里「ええ、I型は無いですね」
ナカジマ「じゃぁじゃぁ、その次のJ型とか?」
優花里「J型はH型を簡略化したものですし、砲塔旋回が手動になったので、むしろ劣化と言うべきかと…」
ナカジマ・ホシノ・スズキ「あぁー…」
ツチヤ「"あぁー…"じゃねーよ!!」ガァァァ!!
42: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 15:29:01.24 ID:LpreklqI0
ナカジマ「だってさぁ、やらかしそうだもんツチヤ」
スズキ「うん」
ホシノ「うん」
ナカジマ「うん」
ツチヤ「こォンのやろォォォォォォ!!!!」
ナカジマ「うおっ、ツチヤがまた暴走したぞぉ~!」ワハハハ
ホシノ「逃っげろ~♪」
スズキ「あはははっ♪」
ツチヤ「ヴェニフーキさん! ブラックプリンス貸して!! ポルシェごとアイツら粉ッ々にしてやるッ!!」ガァァ!!
ヴェニフーキ「構いませんが、砲手は?」
ツチヤ「五十鈴さんに任せるよっ! アイツらがどんだけ逃げても五十鈴さんなら当てられっからさぁ!」
華「味方を撃つのはちょっと…」
ツチヤ「だ、だったらブラックプリンスの砲手さん!」
ヴェニフーキ「…」チラッ
モーム(BP砲手)「…」
ヴェニフーキ「『ワシはやらんぞ』と言っております」
ツチヤ「そ、そんなぁ…」ガーン
アハハハハハ!!
43: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 15:36:31.64 ID:LpreklqI0
エミ「…ちょっと良いかしら?」
ヴェニフーキ「何でしょう?」
エミ「そのブラックプリンスって、もしかして…」
ヴェニフーキ「西呉王子グローナ学園からお借りしたものです」
エミ「マジで?!」
ヴェニフーキ「ええ。隊長のキリマンジァロさん曰く、『是非使ってください』とのことです」
エミ「うぇぇ?! アイツそんな事言ったの?!」
ヴェニフーキ「ええ」
エミ「げぇぇ…」
ヴェニフーキ「?」
聖グロに来てすぐはチャーチル歩兵戦車の砲手をやっていたが、プラウダ高校との練習試合を経て火力不足が気になったので、何か妙案はないかと考えた。
その時にふと西グロこと『西呉王子グローナ学園』のことが脳裏に浮かび、そこでブラックプリンスを借りれまいかと、アールグレイさんに提案してみた。
案の定アールグレイさんは訝しげな反応を示したが、西グロの隊長キリマンジァロさんは『ダージリン様ファンクラブ』とやらのプラチナ会員とのこと(あの女がプラチナ会員ならば、私はさしずめブラック会員といったところだろう)。
そこに目をつけて、強制退学させられて以降自宅待機だったダージリンを、短期留学という形で西グロへ通わせる代わりに、ブラックプリンスを借りるという『取り引き』をした。
プラチナ会員さんにとって願っても無い出来事だろうし、聖グロにとっては火力の増強になる。
そして私自身もアッサムさんやペコが乗る隊長車から距離を置ける(特定されるのを防げる)。
ということで三方各々が得をするものだった。
…だが、問題はブラックプリンスの乗員に、GI6のメンバーが乗るという予想外な出来事が起きたという点。
ランサムさんが操縦手。GI6部長のグリーンさんが装填手。一年生のフレミングさんが通信手。そしてやたら無口なモームさんが砲手
先日の深夜に行われた話し合いでGI6やアッサムさんと"和解"したものの、私が西絹代であるという事は絶対に知られてはならない。
どうしたものか…。
44: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 15:38:58.37 ID:LpreklqI0
ルクリリ「あはは! やっぱり大洗は面白い人が多いね!」
みほ「ええ、個性的な方が多いですね」
優花里「個性的すぎて対応に困る時もありますけど」アハハ
ルクリリ「まぁ元気だったらウチのローズヒップも負けていないけどね。なっ、ローズヒップ?」
ローズヒップ「ふぁい?」モグモグ
アッサム「こ、こらローズヒップ! 口の中にモノを入れたまま喋ってはいけません!」
ローズヒップ「」ゴックン
エミ「実にいい食べっぷりね…」
ヴェニフーキ「同意です。思わず見とれてしまうほど」
アッサム「あなたも見とれていないでちゃんと指導なさい…!」
ヴェニフーキ「ローズヒップ、お手」
ローズヒップ「はいですの」ポン
アッサム「そうじゃなくて!」
華「ふふ。ローズヒップさんを見ていると、こちらまでお腹が空きますね」
沙織「まだ食べるの?!」
ルクリリ「ほーらローズヒップ、おかわりあるぞー!」
ローズヒップ「いただきまーす!」モゴモゴ
ルクリリ「はい次!」コトッ
ローズヒップ「いふぁだきまふっ!」ムシャムシャ
ルクリリ「はいドンドン」カタン
ローズヒップ「いたぁだきますっ!」ガツガツ
ルクリリ「はい、ジャンジャン♪」カチャッ
ローズヒップ「いただきまぁす!」モシャモシャ
優花里「…どこかで聞いたことがあるような掛け声です」
華「これは"わんこ蕎麦"ですね」
ヴェニフーキ「彼女は犬みたいなので"わんこ"なのかもしれません」
みほ「あはは。ちょっと可愛いかも」
45: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 15:40:57.78 ID:LpreklqI0
ローズヒップ「いやぁ~、ケーキ美味しゅうございましたですっ!」
ルクリリ「あははっ! いい食べっぷりだったよローズヒップ!」
アッサム「こらっルクリリ! あなたまで一緒になって遊んでどうするのですか!」
ルクリリ「わっ!? すみませ~ん!!」
ローズヒップ「満腹満腹でございますの」ポンポン
アッサム「ローズヒップ…あなたも綺麗にお作法を忘れてしまったのですね……」ハァ...
麻子「こんなにケーキが食べられる聖グロリアーナが羨ましい…」
ニルギリ「今回はこういう機会ですからね…」アハハ
ヴェニフーキ「ちなみに我が校に来たら、髪型をギブソンタックにするという規則があります」
麻子「ギブソンタック?」
アッサム「ありませんわよ。そんなルール」
麻子「ケーキが食べれるならギブソンタックでもモヒカンでも一向に構わない」
沙織「あんたモヒカンにするの?」
麻子「モノの例えだ。モノの」
ヴェニフーキ「ちなみにギブソンタックというのは、そこのおチビみたいな髪型です」
麻子「おチビ…?」
オレンジペコ「むぅ! おチビだなんて失礼ですっ! こう見えても前より伸びましたから!!」
ヴェニフーキ「横に?」
オレンジペコ「た て に!!」
アハハハハ!
46: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 15:44:17.03 ID:LpreklqI0
沙織「そう言われてみるとペコちゃん前に会った時より少し伸びたかも」
オレンジペコ「ええ、伸びましたとも!」フンス
麻子「背の高いヴェニフーキさんが隣にいるとピンと来ないな…」
オレンジペコ「ぅ…いつかきっと追いつきます…」シュン
ヴェニフーキ「頑張れ」
沙織「にしても、麻子がペコちゃんみたいな髪型にしたらどんな感じなのかなぁ」
麻子「毎朝セットするのが大変そうだな…」
オレンジペコ「慣れてしまえばすぐに出来ちゃいます」
沙織「オレンジペコならぬ"オレンジマコ"ってね!」
オレンジペコ「お、オレンジマコ…」ハハハ..
ニルギリ「やたら語呂が良いですね」
麻子「そうだな、良い名前だ。お礼として沙織、お前には"茶番"というニックネームをやろう」
ヴェニフーキ「…」
沙織「嫌に決まってるでしょ!」
オレンジペコ「ち、茶番…」アハハ..
麻子「しょーもないことばかり言うお前にはピッタリなニックネームだ」
沙織「絶対やぁだぁ!」
優花里「ダージリン殿が後輩に茶番って呼ぶところ、ちょっと見てみたいかもです」
みほ「想像できないなぁ」アハハ
47: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 15:46:39.53 ID:LpreklqI0
アッサム「ふふっ。ダージリンが後輩にそのような酷いニックネームをつけることはあり得ませんわ」
みほ「ですよね。ダージリンさんは仲間想いな優しい方ですから」
ルクリリ「確かに仲間想いなお方だけど、何処かしら抜けてるというか…天然というか変人
ツネッ!
ルクリリ「あいたっ! な、何で今ツネったの!?」ヒリヒリ
ヴェニフーキ「おイタが過ぎますワヨ」シレッ
オレンジペコ「…ダージリン様のモノマネですか?」
ルクリリ「うぇぇ…」ヒリヒリ
アッサム「概ね同意ですが、指導とはいえ鉄拳制裁は如何なものかと」
― もしも、もしもですよ? 私が聖グロの生徒だとしたら、どの様な名前を頂けるのだろうかと思っただけです
― そうね。紅茶に因んで
― "茶番"なんてどうかしら?
― ………。
呼ぶんだなーそれが。
まさに"しょーもない"私の為にあるような名前だ。
― む。
― そうね。あなただったら ――― ベニフウキなんていかがかしら?
― ベニフウキ?
― 漢字で書くと"紅富貴"。アッサムに近い日本の品種よ。
あのやり取りが無かったらベニフウキから転じた"ヴェニフーキ"なんて偽名は誕生しなかった。
そうだとしたら、私は今頃どんな名前をつけられていたのだろうか…。
48: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 15:50:03.12 ID:LpreklqI0
ルクリリ「それで、冷泉さんがオレンジマコと名乗るなら、ペコはどうしようか?」
オレンジマコ「どうもなりません」
沙織「モコはどうかな?」
麻子「ネコがいい」
華「動物ならタコとかいかがでしょう?」
エミ「ゲコ」
ヴェニフーキ「セコで」
みほ「ボコ!」
オレンジ●コ「はいぃ?!」ムカッ
優花里「…オコですね」
ヴェニフーキ「怒ってるフリして実は喜んでます。根っからのマゾっ子でして」
オレンジペコ「まっ…! そんなわけないじゃないですかっ!!」
ヴェニフーキ「はいはい。落ち着いて」ナデナデ
ルクリリ「そそ。短気は損気」クシャクシャ
オレンジマコ「ぁぅ…」フニャ
麻子「まさにネコだな」
華「ふふ。オレンジペコさんも先輩に恵まれていますね」
優花里「思わず嫉妬しちゃいそうです」
オレンジペコ「!」ハッ
ルクリリ「お、赤くなってる」ニシシ
オレンジペコ「なってません!!/////」
アハハハハハハ!
大洗(もとい、あんこうチーム)の皆さんとは身長のことでやたら盛り上がった。
本当はこのまま皆さんと雑談を楽しんでいたかったが、あまり溶け込むとそのうちボロが出るので、名残を惜しみつつ一旦席を外すことにした。
~
49: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 15:53:24.34 ID:LpreklqI0
オレンジペコ「そうですね…映画といえば007は面白かったです」
梓「あっ、聞いたことがある! ジェームズ・ボンドだよね!」
オレンジペコ「はい。イギリスの小説が原作のスパイ映画です」
あゆみ「おー! 先輩たちが好きそうだなぁそういうの」
オレンジペコ「アクション系やミリタリー系が好きな方には好まれます」
桂利奈「あれ? 007ってサイボーグのアニメじゃなかったっけ?」
オレンジペコ「えっ?」
紗希「………」ボー
あや「それは009だよ桂利奈ちゃん」
桂利奈「あ、そうだったー!」
アハハハハハハハ!
ペコは今度はウサギさんチームの人たちと雑談をしているようだ。
ちょっとだけ会話を盗み聞きしてみよう。
先輩に囲まれて活動する事が多い彼女にとって、同い年であるウサギさんチームの皆さんは良いお友達だ。
うちのペコをどうかよろしくお願いします。…と、少しだけ先輩面してみる。
50: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 15:56:10.44 ID:LpreklqI0
優季「ねぇーねぇー、007ってイギリスの映画だよね?」
オレンジペコ「はい、イギリス映画です」
優季「ということは聖グロの人たちはみんな知ってるのぉ?」
オレンジペコ「うーん、知ってる人もいればそうでもない人もいますね」
あや「へぇー、そうなんだー」
梓「ちょっと意外かも」
オレンジペコ「題材が題材ですから抵抗のある人もいらっしゃいますからね」
優季「そうなんだー」
あゆみ「あとは濡れ場もあるしねー」
桂利奈「濡れ場って?」
ペコ・梓「ぅ…////」カァァ..
どうやら『007』の話題で盛り上がっているようだ。女子高生にしてはなかなか渋い。
かくいう私も007は過去に観たことがある。
あの時はスパイって凄いな格好良いなー。なんて思っていたけど、そんな私が今では身分偽って他校に潜伏するというスパイさながらな行為をしてるから皮肉な話だよ。
あの時の自分に教えてやりたいな。『現実のスパイはジェームズ・ボンドみたいに格好良くはない』ってね。
他人も自分も疑い騙し、常に正体がバレないか冷や冷やしながら毎日を生きている。
実を言うと今この瞬間もボロが出てしまわないかと、神経をピンピンに張り巡らしている。
だから、架空の物語だとわかっていても、どうしても自分と重ね合わせてしまう。
スパイ映画を楽しめない、数少ない内の一人だ。
51: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 15:58:51.50 ID:LpreklqI0
「まるであなたですね。007」
ヴェニフーキ「彼にしてみれば、私達がやってる事なんて御飯事かと」
「あはは。そう卑屈にならないで下さい」
ヴェニフーキ「…」
もう一人のジェームズ・ボンドこと、GI6部長のグリーンさんが来やってきた。
…ということは他のGI6も近くにいるのだろうかと会場を見回してみたら、三号突撃砲の乗員たちと雑談をしているようだ。
彼女たちは表向きは『小説部』だから話が合うのかもしれない。
ヴェニフーキ「ご用件は?」
グリーン「こういう機会ですから腹の探り合いはナシにして、のんびり雑談でもと思いまして」
ヴェニフーキ「…」
コトッ
グリーン「どうぞ。今回は…というより今回も私の奢りですよ」
ヴェニフーキ「ありがとうございます」
52: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 16:11:32.10 ID:LpreklqI0
グリーン「…良いですね。戦車道も」
ヴェニフーキ「はい?」
グリーン「今までは隊長の指示の下で情報を集めたりしていたのですが、こうやって自ら参加するのも悪くありません」
ヴェニフーキ「戦車道からは色んなことを学ばされますからね」
グリーン「ええ」
ヴェニフーキ「お嬢様学校でありながら、戦車道にかける各々の情熱は並々ならぬもの。そして戦車道によって家族のような強い結束力が生まれる」
グリーン「全くです。願わくば、もっと早く戦車道と出会いたかった」
ヴェニフーキ「…だから」
グリーン「ん?」
ヴェニフーキ「この中から"裏切り者"を見つけ出すのが、つらいですね」
グリーン「…身内、ですからね」
ヴェニフーキ「これが赤の他人だったらどれだけ良いことか…」
グリーン「我々が手を下す前に名乗り出て頂きたいものですね」
ヴェニフーキ「ダージリン様を叩き落とすような下衆共が簡単に自首するでしょうか」
グリーン「わかりません」
ヴェニフーキ「…」
しばらくグリーンさんと他愛のない話をした。
といっても、やっぱり件の反・聖グロ派や連中に媚びを売る内通者のことばかりだけど。
聖グロに来て、皆と少しずつ交わるようになって、ここが第二の故郷のように感じ始めた。
そして、そんな故郷から"裏切り者"が出る…。
53: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 16:13:03.95 ID:LpreklqI0
「あの、ヴェニフーキさん…」
ヴェニフーキ「…ん?」
「そ、その…お隣、いいですか?」
ヴェニフーキ「ああ。立ち話も何ですからテーブルに移動しましょう」
沙織「あ、ありがとうございます…!」
グリーン「おっと、では私はここで。長話に付き合って下さってありがとうございます」
ヴェニフーキ「こちらこそ。色々とお話ありがとうございました」
「…」
グリーンさんの次は武部さんがいらっしゃった。
今日は色んな人に話しかけられる。
交流会だからというのもあるかもしれないけど。
54: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 16:15:41.80 ID:LpreklqI0
沙織「あ、あの…」
ヴェニフーキ「はい。何でしょう?」
沙織「その、聖グロリアーナでの生活は慣れましたか…?」
ヴェニフーキ「ええ。皆様が親切にしてくれるお陰で、打ち解けることが出来ましたよ」
沙織「そ、そうですか。良かった…!」
ヴェニフーキ「もしかして、心配して下さってたのですか?」
沙織「えっ? ええ…その、ちょっと聖グロにはいなかったタイプの人でしたから…」エヘヘ
ヴェニフーキ「聖グロにいないタイプ…?」
沙織「何と言うか…こう、聖グロってお嬢様! って印象がありますよね?」
ヴェニフーキ「ええ」
沙織「その中でヴェニフーキさんは……クールビューティー? っていうのかな?」
ヴェニフーキ「クールビューティー…」
沙織「ノンナさんやナオミさんみたいな冷静沈着な感じで……あっ、ごめんなさい。ノンナさんというのはプラウダ高校の…」
ヴェニフーキ「お二人ともよく知っていますよ。有名な砲手ですですよね」
沙織「はい…!」
ヴェニフーキ「まぁ…確かに最初はアッサム様を含め、皆に怖がられていました」
ヴェニフーキ「けれど、日が経つにつれて少しずつ私に接して下さるようになりました」
沙織「ですよね! ヴェニフーキさん知的だし戦車詳しくて優しいから、皆に頼られるお姉さんって感じですもん!」
ヴェニフーキ「恐縮です」
55: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 16:28:30.72 ID:LpreklqI0
「ヴェニフーキ様」
ヴェニフーキ「ん…ペコ?」
オレンジペコ「紅茶のおかわりはいかがでしょう?」
ヴェニフーキ「ああ。…武部さんもいかがでしょう?」
沙織「そ、そうですね。お願いします」
オレンジペコ「かしこまりました」コポコポ
沙織「ありがとうペコちゃん」
オレンジペコ「どういたしましてです。…ところで、どんなことをお話されてたのですか?」
沙織「ヴェニフーキさんが転校してから生活に慣れたかな~ってね」
オレンジペコ「大丈夫ですよ。ヴェニフーキ様は表情こそあまり変えませんが、色々と気を遣って下さるとっても優しい方ですから」
沙織「うん。クールで、その…カッコ良いです…!」
ヴェニフーキ「恐縮です」
ふたりとも持ち上げすぎだ。
気を遣ってるのも"クール"なのも、いらんことを喋ると正体がバレるから自重しているだけ。
自分を偽っているだけなんだ。元の"西絹代"はこの5倍は喋るやかましい女だよ。
オレンジペコ「それにヴェニフーキ様って意外にイタズラ好きですし」
沙織「えっ!? そうなんですか!?」
ヴェニフーキ「誤解です」
オレンジペコ「誤解じゃありませんもん」
ヴェニフーキ「強いて言うならば、誰かさんのポケットにカエルの模型を放り込むくらいです」
オレンジペコ「アレやったのヴェニフーキ様ですかっ!!?」
ヴェニフーキ「いい反応でしたね。しみじみ」
沙織「あはははっ」
オレンジペコ「わ、笑い事ではありません! 本当にビックリしたんですからねっ!」
56: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 16:32:14.01 ID:LpreklqI0
沙織「あ…そうだ」
ヴェニフーキ「何でしょう?」
沙織「ありがとうございました」ペコリ
ヴェニフーキ「えっ?」
沙織「みぽりんから聞きました。決勝戦のこと」
ヴェニフーキ「ああ…」
オレンジペコ「私も驚きました。あの完全試合はヴェニフーキ様の助言によるものだったなんて…」
沙織「うん。私もビックリだったよ。でもそのお陰で私達優勝できたからね!」
ヴェニフーキ「お役に立てたのでしたら光栄です」
沙織「う、うん…!」
…どうしたんだろう?
急に俯いてしまわれた
ヴェニフーキ「武部さん?」
沙織「ふぁいっ?!」
ヴェニフーキ「もしかして、体調が優れないのですか?」
沙織「い、いえそんなことは…!」アセアセ
ヴェニフーキ「…」
ピタッ
沙織「ひゃうっ!!?」
ヴェニフーキ「…熱は無さそうですね」
沙織「は…はいぃ………」
オレンジペコ「…ヴェニフーキ様」
ヴェニフーキ「ん…?」
その後も皆が皆、雑談に花を咲かせたり料理に舌を打ったりして祝賀会を満喫していた。
一旦距離をおいてた(にも関わらず色んな人に話しかけられる…)私も小腹が空いてきたのでそばにあった『ジェリードイール』という料理を食べてみた。
余談だけど、知波単にいた頃は和食以外の料理を食べることは無く、ここに来て久々に"洋食"とやらを味わう機会を得られた。
当然ながらナイフやフォークの使い方も知らず、テーブルマナーについてはダージリンやアールグレイさん直々の指導の下で身につけた。
『箸を持参してもいいですか?』と言えば『何のために聖グロに行くの…』と呆れられる始末だ。
何のためって、食事をしに行くわけじゃないんだぞ!
57: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 16:35:14.59 ID:LpreklqI0
ヴェニフーキ「………っぐ…!?」
ローズヒップ「およ? どうされましたの?」
ヴェニフーキ「ぐ………」
ローズヒップ「…ヴェニフーキ様???」
ヴェニフーキ「」
ローズヒップ「げぇっ!? ウナギのゼリー寄せですのっ!!」
ヴェニフーキ「」
『ジェリードイール』が何か知らず興味本位で食べたのがいけなかった…。
口に入れた瞬間、泥臭さと生魚特有の生臭さが広がり、吐き出したい衝動に駆られる。
かといって公衆の面前で吐くわけにもいかんので、必死に飲み込もうとする。
だが、一秒でも早く飲み込もうと噛み砕けば小骨が口内に刺さるし、生臭くてヌルヌルしたゼリーが暴れまわる。
口の中で戦でも始まったような阿鼻叫喚っぷりには思わず涙が出そうになる。
い、一体何なんだこのゲテモノは!!
そしてこんなものを大洗の皆さんに食わすつもりか聖グロは!!!
~~~
~~~
58: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 16:37:09.30 ID:LpreklqI0
「……フゥ…」
…死ぬかと思った。
持ち前の気合と根性でなんとか奴さんを飲み込んだが、あやうく"素"が出るほど酷い代物だった…。
生まれてこの方様々な料理を食べてきたが、あのような破壊力のある料理は初めてだ。納豆とかクサヤとかの比じゃない。
口の中に清涼剤を詰め込んでようやく持ち直した。…もう当分食べたくない。
ヤツのおかげで気分が悪くなったので、今はこうして会場から離れた場所で風に当たって涼んでいる。
頭が痛い…。
59: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 16:40:31.05 ID:LpreklqI0
「あっ! ヴェニフーキさん!」
ヴェニフーキ「!」
「あはは…その、姿が見えなかったので探しちゃいました」
ヴェニフーキ「…私を?」
「うん…」
ヴェニフーキ「お心遣い感謝致します。武部さん」
沙織「えへへ…」
会場にいないことを察したのか、武部さんが心配して探してくれた。
こんな私にまで気を遣って下さるなんて、本当に優しい方だ。
彼女を先輩に持つ大洗の1年生は本当に幸せだろうな。
沙織「でも、やっぱり気分悪そうですね…」
ヴェニフーキ「実は先ほど、ジェリードイールという料理を食べたのですが、口に合わなかったようで」
沙織「それって魚の切り身が入ったゼリーみたいなのですか?」
ヴェニフーキ「ええ」
沙織「やっぱり…。みぽりんもそれ食べたら涙目になっちゃって……あっ、みぽりんというのは私達の隊長で…」
ヴェニフーキ「心得ております。西住さんですよね」
沙織「うん。ひと口食べたら白目向いちゃって、ポロポロ涙流しながら必死に飲み込んでました…」アハハ
ヴェニフーキ「心中察します。私も初めて食べた時は気を失いそうでした」
沙織「あはは、そうなんですか」
その初めてというのは、ほんの数分前の話。
誰の仕業か知らんが、何の注意も無しにあんな下手物を場に出しおって。
しかも西住さんまで人柱にしやがって!
訴えられても知らんからな。
60: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 16:41:56.19 ID:LpreklqI0
沙織「…」
ヴェニフーキ「…」
沙織「すっかり…寒くなりましたね…?」
ヴェニフーキ「そうですね。もうすぐ今年も終わります」
沙織「年が明けたら先輩も引退して、今度は私達が3年になって…」
ヴェニフーキ「ええ」
沙織「ちょっと寂しいなぁ…って」
ヴェニフーキ「…」
そうだ。もうすぐ三年生は卒業してしまう。
お世話になった先輩も、試合でご一緒した他校の方々も。
カチューシャさん、ノンナさん、ケイさん、ナオミさん、まほさん、アッサムさん、
そして、ダージリンも…
寂しいな。
卒業後もどこかで会えないかな…。
61: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 16:42:59.60 ID:LpreklqI0
沙織「聖グロは来年からはどうされるんですか?」
ヴェニフーキ「三年生が引退されるので、我々の中から隊長と副隊長が選ばれるかと思われます」
沙織「ヴェニフーキさんが隊長じゃないんですか?」
ヴェニフーキ「えっ?」
沙織「あれ? てっきり…」
ヴェニフーキ「どうでしょう」
沙織「私がもしも、聖グロの三年生の人だったら…ヴェニフーキさんを推薦します!」
ヴェニフーキ「私を?」
沙織「ええ。私達に的確な助言をしてくれるほど優れた能力を持ってますし」
ヴェニフーキ「…」
沙織「それに…とっても仲間思いで優しくて、素敵な方ですから…」
ヴェニフーキ「ありがとうございます」
62: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 16:44:42.07 ID:LpreklqI0
沙織「だけど…どうして…」
ヴェニフーキ「ん?」
沙織「どうして…ヴェニフーキさんは…」
沙織「いつも悲しそうな顔をしてるんですか………?」
ヴェニフーキ「…!」
沙織「…今にも泣き出しそうな…そんな悲しい表情………」
ヴェニフーキ「そう見えますか?」
沙織「うん…」
怯えられたり、心配されたり。
私の顔は皆にはどの様に映っているのだろう…。
63: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 16:47:02.22 ID:LpreklqI0
ヴェニフーキ「それは恐らく…人それぞれだと思います」
沙織「人それぞれ…?」
ヴェニフーキ「私を見てものすごく怯えた人がいました」
ヴェニフーキ「また別の人は私を見て"間抜け面"と言う」
沙織「間抜けだなんてそんな…」
ヴェニフーキ「そして武部さんは悲しそうな顔と仰った」
沙織「…」
ヴェニフーキ「その人の感性が反映されているのかもしれませんね」
沙織「で、でもっ! 私は…ヴェニフーキさん好きですよ! 優しくて仲間思いですし…!」
ヴェニフーキ「私も武部さんのような方は好きです。世界中の人がみんな武部さんのようになればいいと思うほどに」
沙織「!」
決してお世辞なんかじゃない。
本当に世界中の人間が武部さんのようになって欲しい。
そうだったら私はこんな真似をすることも無かった。
きっとダージリンも退学することなく今ごろパーティー会場の中心にいたに違いない。
64: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 16:47:38.71 ID:LpreklqI0
沙織「あ、あの…、ヴェニフーキさん…」
ヴェニフーキ「何でしょう?」
沙織「………」
ヴェニフーキ「どうされました?」
沙織「その………」
65: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 16:50:28.94 ID:LpreklqI0
沙織「…好きな人って、いますか……?」
ヴェニフーキ「えっ?」
沙織「き、急に変なこと聞いてごめんなさい…!」
ヴェニフーキ「好きな人…ですか」
沙織「ええ…」
ヴェニフーキ「たくさんいます」
沙織「たくさん……?」
ヴェニフーキ「聖グロの皆や、大洗を始め、お世話になってる人たちですね」
沙織「あのっ! …そ、その……恋愛としての好きな人は?」
ヴェニフーキ「恋愛…?」
沙織「も、もしいないのでしたら…その…」
っ…!
武部さん………!?
66: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 16:51:34.88 ID:LpreklqI0
沙織「私と、付き合ってください………………!!」
67: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 16:56:40.91 ID:LpreklqI0
ヴェニフーキ「武部…さん………?」
沙織「…お会いしてそんなに長くはないけど……」
沙織「一目惚れ…でした…」
沙織「ヴェニフーキさんのことが好きです」
どうして………?
どうしてこんな私なんかを…
私には………
68: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 16:59:48.17 ID:LpreklqI0
ヴェニフーキ「………申し訳、ありません…」
沙織「えっ………」
ヴェニフーキ「…私にはもう、心が通じ合う人がいます」
沙織「…………」
ヴェニフーキ「ごめんなさい…」
沙織「………」
沙織「…………そう…だったんですね」
沙織「……私の方こそ……ごめんなさい」
謝らないといけないのは私の方です。
本当に、ごめんなさい。
私にはもう、守らないといけない人がいます。
今こうやって、姿や名前を偽ってここにいるのも、全部その人の為。
だから武部さんのお気持ちに応えることは出来ない。
それでも、こんな愚か者に好意を寄せて下さって、本当にありがとう。
とても嬉しかった………。
~~~
69: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:02:56.25 ID:LpreklqI0
「どうでしたか?」
「…あはは…好きな人がいるって………」
「…そうか…まぁ…他を探そう。沙織…」
「そだね…あははっ……っ…」
「先輩…次がありますよぉ…」
「うん…そうだよ……ね………」
「…ヴェニフーキ
「いっ、いいのいいの!」
離れた場所から武部さんたちの会話が聞こえる。
辛い。
武部さんの想いを踏み躙ったことが辛い…。
私にはもう決めた人がいるから、その人を押し退けて他の誰かを好きになることなんて無い。
だから、武部さんの気持ちに応えることはできなかった…。
武部さんに出来るせめてもの罪滅ぼしとして、私は会場を後にした。
少しでも彼女の心の傷を抉らないように。
私はもう、そこにいるだけで彼女を傷つけてしまうから…。
誰よりも明るくて、誰よりも優しい武部さんの想いを私は抉ってしまった。
私のせいで………
70: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:14:56.82 ID:LpreklqI0
【聖グロリアーナ学生寮 廊下】
ヴェニフーキ「ッぐ………グゥゥ………!」
「ヴェニフーキさん? だ、大丈夫ですの…?」
ヴェニフーキ「ダ…イ…ジョウブ…」
「フラフラですわよ! 何方が見ても異常ですの!」
「早くお医者様を…!」
ヴェニフーキ「……いい…」
「…ですが」
ヴェニフーキ「……しつこいなァ………!」ギロッ
「ひッ!?」
ヴェニフーキ「………私のことなんて……放っといてくれッ!!!」
反・聖グロ派や内通者に対する怒り
武部さんへの罪悪感
ダージリンを助けられないまま時間が経つことへの焦り
姿を偽ってることへの嫌悪、プレッシャー、不安
私という存在への憎悪
色んなものが頭の中へ出ては入ってを繰り返す。
私が壊れたあの日のように頭の中でグチャグチャとかき混ぜられる。
頭が痛い。どうかなってしまいそうだ……。
あの時は薬を飲んで誤魔化していたけれど、ダージリンと約束したからもう薬は無い。
だからひたすら耐えるしかない………。
だけど、今日はもう頑張れそうにない。
だから休もう…。
ベッドに入って…ダージリンに電話して
「おやすみなさい」って言って…
そして…そして…そのまま眠りにつこう。
そうすれば明日からまた…きっと、頑張れるから………。
早く…ダージリンに会いたい…
ダージリン………
71: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:16:11.08 ID:LpreklqI0
『--様です』
部屋へ戻る途中、誰かの話し声が聞こえた。
そしてその人は"ヴェニフーキ"と呼んだ気がする…。
誰か私の事でも話しているのか?
ここへ来てからと言うもの、私は揉め事ばかり起こしてきたし、皆からの評価は散々だろう…。
本当ならもうこれ以上余計なことを考えずにいたかった。
だけど、私の名前を出されたせいで会話の内容が気になってしまった。浅ましい…。
だから、その会話に聞き耳を立てた。
そして、
72: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:17:15.72 ID:LpreklqI0
「はい…アッサム様ではなく…ヴェニフーキ様です」
「そうです。ブラックプリンスを導入すると提案した方です」
「…いえいえ。こちらこそ」
オレンジペコ「ええ。OG会の皆様にはこれからも…えへへ………」
見つけたよ。内通者。
73: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:20:24.08 ID:LpreklqI0
オレンジペコ「ええ。この事は誰にも…はい…」
オレンジペコ「ですので…どうか、よろしくお願いします」
オレンジペコ「…はい。私の方からも…」
オレンジペコ「ええ。クルセイダー会やマチルダ会の皆様にもよろしくお伝え下さい」
オレンジペコ「…では、失礼します」
ヴェニフーキ「…そういうことだったんだね………」
74: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:24:27.70 ID:LpreklqI0
オレンジペコ「ひッ!!?」
ヴェニフーキ「…やっと見つけた…"内通者"……」
オレンジペコ「べ、ヴェニフーキ様…!?」
ヴェニフーキ「…OG会の人、何て言ってた………?」
オレンジペコ「ち、違う…違うんです…は、放してください!」
ヴェニフーキ「私の事…何と言った?」
オレンジペコ「…やめて…放して…!!」
ヴェニフーキ「何て、報告した…?」
オレンジペコ「だ、大丈夫ですっ! お、OG会の方……怒ってませんでしたので……ですから…!」
西/ヴェニフーキ「…"ペコ太郎"」
75: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:29:00.66 ID:LpreklqI0
― ペコ太郎があまりに面白くてついつい
― ぺ、ペコ太郎…
― あはは。他にもラーメンペコとかペコ煎餅とかペコ饅頭とかクールペコとか
― ラーメンペコ…美味しそうね
― ダージリン様も悪ノリしないで下さい
― あはは。ペコさんのあだ名は色々浮かび上がるので、また面白いの出来上がったら発表しますぞ
― 結構です。西さんが名前を悪用するなら私も悪用しますもんね
― あはは。どんなのが出来るか楽しみですなぁ。"絹おねーちゃん"とか大歓迎ですぞ!
― 呼 び ま せ ん
オレンジペコ「えっ………」
西「信じてたのに………」
オレンジペコ「っ!!」
西「…アッサムさんか、他の人だって思ってた…」
西「ペコ太郎は、絶対ありえないって思ってた……」
西「OG会と共謀して、ダージリンを追い出したのは別の誰かだって」
オレンジペコ「う、うそ…うそ…そんな………!」
あの時と同じ。
病院でペコに牙を剥くことから始まって、
聖グロでペコに牙を剥いて終わる………
76: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:30:43.98 ID:LpreklqI0
オレンジペコ「違うんです…ヴェニフーキ様、ヴェニフーキ様! 私は…!」
西「…裏切り者め………」
オレンジペコ「お、お願いです…信じてください………!」
西「どう信じろっていうのさ…私やダージリンを裏切ったあんたを……」
オレンジペコ「ち、ちがうんです! ヴェニフーキさま…私は…そんな」
西「あの時のこと、覚えてるな…?」
オレンジペコ「あのとき…?」
西「病室で、ダージリンが退学したって教えてくれた日」
オレンジペコ「!!!」
77: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:33:02.36 ID:LpreklqI0
オレンジペコ「ヴェニフーキさま? …えっ…えぇぇぇぇぇ!!!?」
西「もう私が"ヴェニフーキじゃない"って、わかってるはずだよね…?」
オレンジペコ「うそ……うそ………き、絹代さま……!?」
西「…」
オレンジペコ「……ぁ…ぁ……いやぁぁぁ……!」
西「どうしても許せなかった…ダージリンを"潰した"OG会が……」
西「そしてそいつらに尻尾振るクズが」
西「だから、誰が犯人なのか突き止めたかった」
オレンジペコ「違うんです…これには……わっ、私は……!」
西「聖グロに来て、OG会と繋がる"内通者"を探した」
西「そしたら」
西「あんただった…」
78: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:38:27.94 ID:LpreklqI0
聖グロ内部に裏切り者がいるんだから、犯人は私と関わる聖グロの誰か。
そんなことは最初からわかってた。わかっていたさ…。
一日でも早く裏切り者を捕まえたいと思う一方で
その日が来ないことを願った。
こんな私に親身に接してくれた人を、心の底から憎む日が来るのを。
それが嫌だったから、なるべく聖グロの人たちと距離を置こうとした。
無愛想で根暗で無機質な雰囲気を纏って誰も寄せ付けないようにした。
そうすれば誰が裏切り者だったとしても私は容赦しなくても済むから。
なのに、皆は私を案じて世話を焼く。部外者なのに。偽物の転校生なのに。
だからいつか、その日が来ることが怖かった。
私なんかにお節介を焼く優しい人を私は攻撃しないといけないから。
でも…
よりにもよってペコ、あんたなの………?
79: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:39:39.37 ID:LpreklqI0
オレンジペコ「ま、待って絹代さm
西「来るなッ!!」
オレンジペコ「っ!!」
オレンジペコ「…き、聞いてください…お願い……!」
西「聞いたところでどう信じろって言うんだ?」
オレンジペコ「っ…!」
西「何を言ってももう無理。あんたのことなんて信用できない」
オレンジペコ「そ……そんな………」
西「私達があんたに何した………」
西「私達に何の恨みがあるって言うんだッ!!!」
80: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:41:27.02 ID:LpreklqI0
オレンジペコ「お、お願いします!! 何でもしますからっ!!」
西「じゃぁ、もう私の前に現れないで」
オレンジペコ「えっ………」
西「あんたのせいで私もダージリンも死ぬほど苦しんだ」
オレンジペコ「そんな…!」
西「もうあんたの顔なんて見たくない……吐き気がする」
西「…だから、消えてくれ」
妹のように可愛がっていたペコも、今では嬲り殺してやりたいほど憎い。
どうやったらこの女を少しでも傷つける事は出来るか、どうすれば最大級に苦しめることは出来るか。
私やダージリンが味わった苦痛を、どうやったらこの女に刻み込めるか。
脳裏に浮かぶのはそればかり。
81: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:42:45.06 ID:LpreklqI0
オレンジペコ「…ヒッグ…ゥッ………」
西「あんたは良いさ。そうやって泣けばいい…」
西「そしたらOG会が助けてくれる」
オレンジペコ「……ひどいよ……絹代様…︙…」
西「あんたの大嫌いな私も"退学"する。ダージリンみたいに」
オレンジペコ「…そんなこと…言わないでよ………」
西「OG会に媚びてる限り、あんたを責める人はいない」
西「だから、あんたは
オレンジペコ「私のこと何も知らないのにッ!!!」
82: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:43:49.59 ID:LpreklqI0
西「なんだと?」ギロッ
オレンジペコ「ッ! …わ、私だって好きでこんな事やってませんっ!!!」
オレンジペコ「大好きなダージリン様や絹代様をこんな目に遭わせて!! それでも平然といろなんて言われて!!」
オレンジペコ「でも逆らったら何もかもオシマイだからずっと!!!」
西「なに…?」
オレンジペコ「………ずっと………皆にウソついてた…………」
あれ?
83: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:45:26.82 ID:LpreklqI0
西「………は???」
オレンジペコ「私が……OG会に逆らったら………」
オレンジペコ「…お家が……壊れちゃうから………」
…あれ?
オレンジペコ「……OG会には逆らえない……絶対……」
オレンジペコ「…そんなことしたら……お父さんの会社、潰されちゃう…」
西「…」
オレンジペコ「そしたら…学校にも行けなくなるし…生活も出来なくなっちゃう………」
………あれ?
84: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:46:33.53 ID:LpreklqI0
オレンジペコ「だから…」
西「自業自得。クズに手を貸せばそいつもクズだ」
オレンジペコ「だから………」
オレンジペコ「あの時、 "助けて" って」
西「………」
オレンジペコ「……でも…もう無理だよね………ごめんなさい………」
オレンジペコ「さようなら。絹代さん。…お世話になりました………」
85: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:50:32.29 ID:LpreklqI0
あれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれ????????
86: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:52:32.34 ID:LpreklqI0
西「…待て」
オレンジペコ「…」
西「それ、本当なんだろうね…?」
オレンジペコ「……うん…」
西「…証拠は?」
オレンジペコ「これ…お父さんの会社…」
西「…」
オレンジペコ「OG会が…お父様の会社の株を買い占めて…」
西「…」
オレンジペコ「私が下手なことをすれば、それを暴力団に売却するって…」
オレンジペコ「そしたら生活出来なくなって、学校にもいけないし、家族がバラバラになるって…」
オレンジペコ「だから私…守らなくちゃって……」
西「…その割には随分平然と過ごしていたよね?」
オレンジペコ「"バレたらどうなるかわかるよね?"…って………ううっ………!!」
西「あははははは」
オレンジペコ「…絹代様…?」
もうだめだ。
87: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:54:14.24 ID:LpreklqI0
「あーっはははははははっはっはははははははっはははははっっははははっっはっっははっっはっはははっっははっっははははははははっはっははははっはっはっっはっははっはっっはは!!!!!!!!!!!!!」
「っ!!」
負けたよ負け! 参りましたぁ! 完敗ッ!!
私なんかよりお前たちのほうがずぅーーーーっと邪道だ!!
なんせダージリンを退学にさせただけじゃなく、傍にいたペコにまで片棒を担がせたんだ!!
「き、絹代様!? 落ち着いて下さい!! 落ち着いて!!!!」
当然、本人は嫌がったはずだ! 猛反対した!!
だけど家族を人質にすりゃ嫌ですなんて言えんよなぁ!!?
だから退学してからその日までずーーーっとお前たちの奴隷になった!!
88: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 17:56:51.27 ID:LpreklqI0
「誰か!! 誰かいませんか!! 助けてください!!」
「ペコ…? どうしたの?」
「き、ヴェニフーキ様がぁ…」
「ヴェニフーキさん? ………!!」
しかも悪事がバレぬように何事もなく"平然としてろ"って命令した!!
だから誰ひとりペコがそんなことを抱えてるなんて知らんわけだ!!
ペコが独り苦しんで、誰もそれに気付かず、そしてお前たちは笑い続けるッ!!
羽もぎ取ったスズメを足で転がすように!!
あはははははははははははは!!! ってなァ!!
「なっ! 落ち着いて! ヴェニフーキさん!!」
「ヴェニフーキ!!」
「あはははははははははは!! あーっはっっははははははははっはあっっははっはははははっはっっは!!!!!!!!」
「どうしちゃったんですかヴェニフーキさん?!!!」
「いいからヴェニフーキを押さえて!! 早くッ!!!」
完璧だ! 完璧な邪道だ!!!
お前たち何処で何を食えばそんな邪道になれるんだ?!
教えてくれ!! 同じ邪道"初心者"の私にッ!!!!!
~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~
89: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 18:01:04.43 ID:LpreklqI0
「ぅ……………」
「…目が覚めたようね?」
「…」
「過度の寝不足やストレスが原因で、今まで溜まってた不満が一気に爆発したのよ」
「…」
「聞いた話だと貴女は一人で色々抱え込んでるそうだから、もう少し周りを頼るなりして負担を減らしたほうが良いわ」
「…」
「それじゃ、私は保健室に戻るから、ゆっくり休んで頂戴」
西「………」
ここは………私の部屋?
90: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 18:04:17.12 ID:LpreklqI0
コンコン
西「…」
『私です。入りますよ…?』
西「…」
頭がボンヤリする…。
私はまたあの時のように発狂して皆に取り押さえられて
また精神安定剤を打たれた。
あの時と全く同じだ…。
……畜生。
91: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 18:07:33.56 ID:LpreklqI0
ガチャ
西「…」
オレンジペコ「…」
西「…」
オレンジペコ「絹代様…気分、落ち着きました…?」
西「…」
オレンジペコ「…絹代様?」
西「………悪かった」
オレンジペコ「えっ…?」
西「…ペコが、そんな目にあってるなんて知らなかった。………ごめん」
私やダージリンと同じように、いや、私達以上にペコは苦しんでいた。
奴らの言いなりになって、先輩であるダージリンを陥れるしかなかった。
誰にも相談できず、ただ笑顔を偽って罪を背負い続けるしかなかったんだ…。
『私達に強力しろ。でなければお前の家を崩壊させる』
そう脅されて、一高校生ごときにどう抵抗しろという…。
その日からペコは反・聖グロ派に首輪をかけられ、奴らの工作に強制的に参加させられた。
工作が終わってからも黙秘を強いられ、誰にも助けを求められずただ一人、罪を背負い続けた…。
だからあの時、ペコは私のところに来た。
聖グロではなく、外部の人間である私のところに…。
そして、『助けて』って………。
私が心の底から憎んだ"内通者"もまた、私と同じだった。
92: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 18:12:17.33 ID:LpreklqI0
オレンジペコ「…許してあげません」
西「…じゃぁもう良いですよ。……一生許してくれなくても…」
オレンジペコ「むぅ…。普段の絹代様だったら"許してくださーい! 何でもしますからッ!"って言うのに…」
腕に打たれた薬のせいで許しを乞う気力も沸かない。
ベッドに仰向けになって、天井を眺めて返事をするので精一杯だ。
西「"普段の絹代様"なんてもう何処にもいない。とうの昔に死んだ」
オレンジペコ「縁起の悪いこと言わないでください…」
西「それに私は許されないことを沢山してきた。今さら許しを請う方がおかしい」
オレンジペコ「そんな事ないですよ…。絹代様は聖グロリアーナや私達の為に一生懸命頑張ってました」
西「憎い奴、気に食わない奴を叩き潰したかっただけ」
オレンジペコ「むぅ。ダージリン様はともかく、絹代様を不幸にさせるはずなんて無いのに…」
西「何故"私"なんですか…」
オレンジペコ「…好きだったからですよ。絹代様のこと…」
西「私には
オレンジペコ「知ってますよ。ダージリン様にゾッコンですもんね」
93: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 18:17:35.92 ID:LpreklqI0
西「………」
オレンジペコ「だからあのとき、武部さんをお断りしたんですよね?」
西「…だったら」
オレンジペコ「ええ、私は他の人を探します。絹代様なんかよりもず~っと素敵な人を!」
西「ひどい言われよう…」
オレンジペコ「お互い様です」
西「私に抱きついて言うセリフじゃないですよね。それ」
オレンジペコ「…今だけはこうさせて下さい…じゃないともう頭おかしくなっちゃいます………」
西「…」
私は頭がおかしくなったけど。
本当に死ぬんじゃないかと思うくらいだった。あの時と同じように…。
だけど、ペコは自分の意志で奴らに加担していたわけじゃないと知って
"そうせざるを得ない理由があった"と知って、肩の力…というより身体全体の力が抜けた。
…違うか。精神安定剤の効果だろうな。
いずれにせよ私は憎む相手を失った。
やり場のない怒りはいつの間にか虚無感に変わって私に襲いかかる。
グニャグニャと視界がぼやけ、ベッドにヘナヘナと倒れ込む。
…もう動けない。
そんな私の隣にはどういうわけかペコがいる。
散々傷だらけにしたにもかかわらず、ベッドに仰向けの私に抱きついて顔を埋めている。
…念のため言うと、この子が勝手にへばりついているだけ。
94: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 18:19:03.94 ID:LpreklqI0
オレンジペコ「…ダージリン様とは今もお付き合いを?」
西「…ええ」
オレンジペコ「キス、しました…?」
西「………した」
オレンジペコ「…その先も…ですか?」
西「…その先?」
オレンジペコ「その先はその先ですよ」
西「何のことか判らないから答えようが無いです」
オレンジペコ「…オトナな事です」
西「…」
オレンジペコ「そうですか」
西「…まだ何も言ってないですけど?」
オレンジペコ「沈黙は肯定と捉えます」
西「…もうそういう事でいいよ」
95: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 18:21:41.29 ID:LpreklqI0
オレンジペコ「…ふふっ。絹代様は色男ですもんね」
西「人を不設楽みたいに言わないで下さい。…あと私は男じゃない」
オレンジペコ「でも男の子みたいなところありますし」
西「どこに男要素があるんですか…」
オレンジペコ「大雑把なところとか」
西「女でも大雑把な人いるじゃないですか。…ルクリリさんとか」
オレンジペコ「ルクリリ様が聞いたら怒りますよ」
西「怒ったら怒り返せばいい」
オレンジペコ「それ、"逆ギレ"って言うんですよ」
西「はは…」
オレンジペコ「あとはボーイッシュなところですとか」
西「…」
オレンジペコ「一年生にも絹代様に好意寄せている人、結構いますしね」
オレンジペコ「密かにファンクラブなんかも出来ちゃってます。ご存知でした?」
西「知らない。…それに、そのファンクラブは"ヴェニフーキ"っていう赤の他人です。私じゃない」
オレンジペコ「ヴェニフーキ様は私にも優しくして下さいました。でも、絹代様は…助平ですね。男の人みたいに」
西「色恋沙汰を覗き見したがる人に言われたくないですねハレンチペコ。…いや、もうスケベコでいいや」
オレンジペコ「むぅ、それ酷いです…」
96: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 18:23:19.76 ID:LpreklqI0
西「よく似合ってますよ。なにせ私の部屋に盗聴器仕掛けるんですから」
オレンジペコ「ちっ、違います…!」
西「盗聴して何を知りたかったんです?」
オレンジペコ「それは…その…OG会の人から"アイツは怪しいから徹底的に調べ上げろ"って渡されて………」
西「………」
オレンジペコ「で、ですから私はそんなつもりじゃ…!」
西「本当に、それだけなんですかね…」
オレンジペコ「ど、どういう意味ですか?」
西「私の私生活を覗こうとしたかったのでは?」
オレンジペコ「そ、そんなことは…!」
西「…どうだか」
97: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 18:25:54.42 ID:LpreklqI0
オレンジペコ「…絹代様、だいぶ変わっちゃいましたね…」
西「こんなこと続けてたら誰だって心病んで性根も腐りますよ」
ペコの言う通りだ。どんどん性格が歪んできているのが自分でもわかる。
あの日、ダージリンが退学させられたと知った日も性格…人格が壊れていると実感したけど、その時以上に壊れてきている…。
オレンジペコ「目つきも悪くなっちゃいましたし、まるで別人です」
西「実際"別人"になってここに来ているわけですからね」
オレンジペコ「…今でも信じられないです。ヴェニフーキ様の正体が絹代様だなんて…」
西「あはははは。ダージリンやアッサムさんも気づかなかった程ですからね」
オレンジペコ「声真似だけでなく変装まで特技になっちゃったんですか…」
西「この変装は私がやったんじゃない。アールグレイさん」
オレンジペコ「そうなんですか」
98: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 18:26:43.99 ID:LpreklqI0
西「…で」
オレンジペコ「で…?」
西「ペコ太郎に首輪はめた畜生連中について」
オレンジペコ「えっと…それは………」
そう。ペコがどういう意図で加担していたにせよ、"内通者"として奴らとは繋がっている。
だからペコから奴らの情報を引き出して、それをアールグレイさんに伝えれば私の役目は終わる………。
「なるほど。あなたがウワサの"ヴェニフーキ"ね」
………はずだった。
99: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 18:32:46.14 ID:LpreklqI0
「初めまして転校生さん。我が校での学園生活は充実しているかしら?」
西「………」
オレンジペコ「…ぁ…ぁぁぁ………!」
ヴェニフーキ/西「…失礼ですが、どちら様で?」
わざわざ自己紹介なんてしてくれなくともわかる。こいつが"黒幕"だ。
こいつがダージリンを退学させたクズだ。
本来なら飛びかかって喉笛を噛み千切るほど憎い相手だけど、薬が回っているせいで何の感情も沸かない。
こんな状態では意味が無いかもしれないけど、一応"ヴェニフーキ"としてお相手する。
起き上がろうともせず、ベッドに仰向けになったまま。
「あら。OGの顔を知らないなんて残念ね…」
ヴェニフーキ「一言にOGと言えど、大勢いらっしゃいますので」
OG「仰る通り。でも、自己紹介の必要は無さそうね」
ヴェニフーキ「…?」
OG「ご苦労様。オレンジペコ」
101: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 18:34:48.74 ID:LpreklqI0
オレンジペコ「はい………!」
ヴェニフーキ「ペコ?」
オレンジペコ「………」
OG「感謝するわオレンジペコ。あなたのお陰でまた一人、不良生徒を見つけることが出来た」
ヴェニフーキ「…」
OG「私、見てしまったわ。自室に後輩を呼び出して淫らな行為をするあなたを」
ヴェニフーキ「…」
OG「オレンジペコ、彼女に何をされたの?」
オレンジペコ「………押さえ付けられて…そのまま………服を………」
ヴェニフーキ「………」
OG「そう。可哀想に…。もういいわよ。彼女には素行不良として本日付けで学園を去ってもらうから、あなたは心配しなくても良いのよ?」
オレンジペコ「………はい………安心です………」
ヴェニフーキ「………」
102: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 18:37:07.32 ID:LpreklqI0
OG「そういうことだから。出ていってもらうわ」
ヴェニフーキ「…嫌だと言ったら?」
OG「嫌とは言わせないわよ?」
ヴェニフーキ「生憎、今は起き上がる気力すらありませんので」
OG「その点なら心配ないわ」
ヴェニフーキ「?」
ザッ....
黒服「…」
ヴェニフーキ「力づく…と?」
OG「手荒な真似はしたくないけれど、あなたがどうしてもと言うのであれば…ねぇ?」
ヴェニフーキ「………わかりました」
OG「話が早くて助かるわ。なら速やかに
ヴェニフーキ「ただ…」
OG「なに?」
103: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 18:40:57.00 ID:LpreklqI0
ヴェニフーキ「先日、アッサム様に私物を没収されてしまったので、それを回収したいです」
OG「私物?」
ヴェニフーキ「パソコンや携帯電話を使う関係で、コンセントが1つでは足りず、増設するために買ったものです」
OG「あら? この部屋にはパソコンなんて無いわよ?」
ヴェニフーキ「"夜更かしをするな"という理由でアッサム様に没収されました。もっともパソコンは学校支給なので問題ありませんが」
OG「良いわ。それはどこにあるのかしら?」
ヴェニフーキ「隊長室です」
OG「なら隊長室に案内してくれるかしら。部外者さん」
ヴェニフーキ「…」
こんなヤツのために体を動かすのは面倒くさい。
だけど、ここで動かないと、もうこのクズを捕らえられない。
幸か不幸か、少しずつ薬が切れてきている。
104: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/22(日) 18:45:31.70 ID:LpreklqI0
【聖グロ 隊長室】
ヴェニフーキ「…」
OG「見つかったかしら?」
ヴェニフーキ「いえ。アッサム様は用心深いので、すぐ見つかるような場所には置かないはずです」
OG「関係ないわ。さっさと探しなさい」
ヴェニフーキ「…」チラッ
OG「聞いているの?」
反・聖グロ派の女は露骨に苛立ちを見せる。
早くしないと後ろにいる無駄にがっしりした体格の取り巻きたちにつまみ出されそうだ。
かといって、さっさと回収して撤収というわけにもいかない…。
ヴェニフーキ「失礼。時計があったのでその近くにあると思ったのですが…ん?」
OG「何かしら?」
ヴェニフーキ「この時計、日付が12月8日のまま止まっていますね」
110: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 10:47:31.24 ID:9R9XbWYA0
OG「それは困ったわねぇ? ……」チラッ
オレンジペコ「ぅ!」ビクッ
ヴェニフーキ「…」
オレンジペコ「…私が…時計…なおします……」
ヴェニフーキ「申し訳ない」
オレンジペコ「………あれ…?」
OG「どうしたのかしら? オレンジペコ」
オレンジペコ「あの…時計、別に壊れて
ヴェニフーキ「珍しいですね」
OG「は?」
ヴェニフーキ「山が見えますね。…今まで洋上にいたので、見るのは久々です」
オレンジペコ「はい…?」
ヴェニフーキ「結構高い山ですね。玉山でしょうか?」
オレンジペコ「あの…玉山って台湾の山では…?」
ヴェニフーキ「そうでしたっけ。何にせよ一度、登ってみたいですね」
オレンジペコ「はぁ…」
OG「私は早くしろと言ったけど?」
オレンジペコ「ひっ!! ご、ごめんなさい! ごめんなさい!!!!」
ヴェニフーキ「失礼」
OGの女は誰が見てもわかるほど苛立っている。
聖グロの卒業生とは思えない短気で下品な奴だ。
111: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 10:49:00.82 ID:9R9XbWYA0
ヴェニフーキ「…っと、見つかりました」
OG「鈍いわね。探しもの一つにどれだけ時間かけるのかしら」
OG「それに、コンセントのタップなんて幾らでも手に入るものよ」
ヴェニフーキ「すみません。これが一番使いやすかったので」
OG「あっそ」
ヴェニフーキ「…ああ。一つ、質問よろしいですか?」
OG「自分の立場をわきまえているのかしら?」
オレンジペコ「べ、ヴェニフーキ様…」
怯えた目でペコがこちらを伺っている。"あまり刺激を与えないで…"って。
確かに一つ判断を誤れば私じゃなくてペコとペコ家庭が終わってしまう。
かといって、ここでこの女を野放しにするわけにも行くまい…。
112: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 10:50:23.97 ID:9R9XbWYA0
ヴェニフーキ「申し訳ありません。OGの方と話す機会が今まで無かったもので…。あなたも、戦車道を?」
OG「それが何か?」
ヴェニフーキ「実を言うと、ブラックプリンスに続き、新しい戦車の導入を考えていました」
OG「そう」
ヴェニフーキ「…先日、黒森峰という優勝常連校と練習試合をしまして、そこで黒森峰が使っていた強力な戦車…」
ヴェニフーキ「ティーガーI、キングタイガー、ヤークトティーガーといったあたりを」
OG「随分我が校風とはかけ離れたものを選ぶのねぇ?」
ヴェニフーキ「ええ。様式ばかりに拘っていても勝てなければ意味が無いので」
OG「…ほう?」
オレンジペコ「…」
ヴェニフーキ「私は転校してまだ間もないですが、聖グロリアーナの校風には色々不満がありまして」
ヴェニフーキ「古い仕来りに拘るような思考停止ならば、いっそ廃校になれば良いとすら思ったほどです」
オレンジペコ「………」
113: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 10:52:16.01 ID:9R9XbWYA0
OG「あらあら。なかなか面白いことを言うのね? 退学させるには勿体無い」
ヴェニフーキ「ええ、残念です。折角
OG「…とでも言うと思った?」
オレンジペコ「えっ…?」
ヴェニフーキ「…」
OG「あんたのソレがお芝居だなんて最初からお見通しよ?」
オレンジペコ「ぁ………」
OG「私に媚でもすれば退学を免れるなんて、甘いわねぇ」
ヴェニフーキ「ぐっ…」
OG「それに、…残念ね。オレンジペコ?」
オレンジペコ「えっ…!!」
OG「あなたは裏切らないって思っていたけど、その小娘に何か吹き込まれたみたいね?」
オレンジペコ「…ゎ…私は………!」
ギロリと睨みつけてきた。
人間こんなに醜い顔をすることが出来るのかというくらいに。
…まずい。
OG「あなたが私を裏切るのなら、仕方ないわよね?」
オレンジペコ「…ぃゃぁ………!」
ヴェニフーキ「…」
くそ………
ここまでか……………。
114: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 10:52:56.95 ID:9R9XbWYA0
「ええ。本当に仕方ないわね」
115: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 10:54:48.11 ID:9R9XbWYA0
ヴェニフーキ「!」
OG「誰だっ!!」
「良からぬことを企んでるだろうとは思っていたけれど、邪道は他にもいるみたいね?」
OG「その制服………」
「アンタに自己紹介なんてしないわよ。邪道の知り合いなんて私には不要」
OG「あらあら…他校の生徒は随分と礼儀を知らないものねぇ?」
「それはお互い様よ。あえて言っておくなら…」
「すごい数ね?」
OG「なに…?」
OG「なっ!!?」
どうしたんだろう?
先程まで余裕かましてたOGの表情が一変したぞ…?
116: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 10:59:34.56 ID:9R9XbWYA0
オレンジペコ「!! 港がパトカーだらけです…!」
ヴェニフーキ「!」
オレンジペコ「こ、こっちにも船がたくさん来ています!」
「誰かが通報したのでしょうね。…まぁ、簡単に逃げられるとは思わないことね?」
OG「ぐっ…」
サイレンが近づく音が聞こえる。
そうか。アールグレイさん、やってくれたんだね。
だけど…
OG「ふふ…」
「何がおかしいのかしら?」
OG「これで終わりじゃないわよ」
「そう。あなたはもうオシマイでしょうけどね」
「警察だ! 動くな!!」
OG「覚えていなさい。こんな学校、必ず潰してやる………!」
そう言い残して、女とその取り巻きは駆けつけた警官に連行された。
反・聖グロ派との会敵からその終焉まで、本当に呆気ないほど早く終わってしまった。
にしてもあの反・聖グロの女は何ゆえあそこまで聖グロを目の敵にしていたのだろうか…。
そして…
117: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 11:02:53.28 ID:9R9XbWYA0
「"なんでお前がここに?" って顔してるわね?」
ヴェニフーキ「ええ。全く見当違いな人がいらっしゃったので」
てっきり、アールグレイさんか聖グロの誰かが来たものだと思っていた。
しかし、実際にここにいるのは、そのどちらでもなく、逸見エリカという、全く無関係な人。
彼女は何故ここに来た?
何故このやり取りを知ってたかのようにここへ来た!?
エリカ「…ふん」
ヴェニフーキ「それで、何故こちらに?」
エリカ「…"みほ"よ」
ヴェニフーキ「西住さん…?」
エリカ「ええ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『もしもし…?』
「…私よ。みほ」
『エリカさん…?』
「あなた、聖グロリアーナ女学院にお呼ばれされたそうね?」
『えっ? う、うん。大会の優勝をお祝いしてくれるからって…』
「…フン」
『…でも、どうしてエリカさんがそのことを?』
「聖グロのWebサイトを見たら誰だってわかるわよ」
『そっか…』
118: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 11:04:26.18 ID:9R9XbWYA0
「そんなことより、あなたに頼みたいことがあるの。聞いてくれるわよね?」
『え、えっ? 頼みたいこと?』
「ええ」
「ヴェニフーキとかいう女、徹底的に監視して頂戴」
『えっ、ヴェニフーキさんを?!』
「あの女がどういうヤツかは、あなたもよく知ってるでしょう?」
『そ、そうだけど…!』
「アイツは何をやらかすかわからない。だから、あの女が少しでも不審な行動を取ったら即座に私に連絡して」
『え、ええ…?!』
「聞こえた?」
『わ、わかった…!』
「それと、この事は誰にも口外はしないこと。大洗はもちろん、聖グロの連中にも」
『う、うん…』
~~~~~~~~~~~~~~~~
119: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 11:06:23.14 ID:9R9XbWYA0
ヴェニフーキ「…」
エリカ「アンタのただならぬ雰囲気から、"訳アリ"なんてのは誰でもわかる」
エリカ「だから、粗相を起こす前にとっちめてやろうってね」
エリカ「偶然にも大洗が聖グロに行くから、みほの手を借りたわけ」
ヴェニフーキ「私をとっちめるられるんですか? ポンコツのあなたに」
エリカ「お黙りなさい。…まあ、テロや殺人でもするのかと思ったけど、違うみたいだからそれは安心したわ」
ヴェニフーキ「…」
こっちは薬打たれるまで反・聖グロに対する怒りで頭が壊れそうだったんですけどね。
それこそ学園艦の一つや二つ爆破出来るんじゃなかろうかってぐらい怒り爆発ですよ。
ああ、また薬が切れて苛々してきた…。
120: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 11:08:35.13 ID:9R9XbWYA0
エリカ「…それで?」
ヴェニフーキ「は?」ギロッ
エリカ「わ、私にまで牙を向けないでよ」
ヴェニフーキ「失敬。今は気が立ってるので誰かれ構わず喉笛を噛み千切ってしまうかもしれません」
エリカ「相変わらず物騒ね。…で、アンタは一体なんの為に、どういう理由でここに来たの?」
ヴェニフーキ「また同じことを言わせるんですか?」
エリカ「何度でも言ってやるわよ」
ヴェニフーキ「私が
プルルルル プルルルル
エリカ「チッ…」
ヴェニフーキ「…」ピッ
121: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 11:10:16.04 ID:9R9XbWYA0
アールグレイ『御機嫌よう。ヴェニフーキ』
ヴェニフーキ「…御機嫌よう。部屋は綺麗にしてあります」
アールグレイ『結構。こちらも先ほど、"秋の歌"を聞いて"柱をかじる鼠"の捕獲が無事終了したわ』
ヴェニフーキ「了解です」
この部屋でのやり取りは隊長室に仕掛けた盗聴器によってアールグレイさんも聞いている。
どうやら、"裏切り者"は無事に引き渡されたようで一安心だ。
…で、ここでの電話は"柱をかじる鼠の捕獲"だけでなく、部外者…逸見さんに内情を知られるなって事だろう。
言われなくても教えてやらんから心配しなさるな。
122: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 11:13:28.35 ID:9R9XbWYA0
アールグレイ『ご名答よ。これはあなたと私だけの秘密』
ヴェニフーキ「心得ております」
アールグレイ『なら話が早いわ。恩人を見送るついでに、港へ来て下さるかしら?』
ヴェニフーキ「港に?」
アールグレイ『ええ。あなたも疲れているでしょうし、ダージリンも会いたがってるわよ』
ヴェニフーキ「そちらにいらっしゃるのですか?」
アールグレイ『いいえ? そろそろ帰宅している頃かしら?』
ヴェニフーキ「…」
アールグレイ『それでは、後でお会いしましょう』
ヴェニフーキ「…」
エリカ「部外者は口出すなって?」
ヴェニフーキ「ええ。当事者だけの話ですから、何人たりとも教える訳にはいきません」
エリカ「……そう。仕方ないわね」
何ゆえ逸見さんが私の事を知りたがるのか知らないが、これは他人に教えられるようなことじゃないし、教えたところで面白いような話でもない。
無関係な人を"当事者"にして面倒事に巻き込んでしまうだけだ。
そうなるくらいなら冷たくあしらって遠ざけた方がずっと良い。
123: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 11:14:49.21 ID:9R9XbWYA0
エリカ「…さて、それじゃ私はお暇しようかしらね」
ヴェニフーキ「ん?」
エリカ「やることが終わった以上、ここに長居する理由は無いでしょう?」
ヴェニフーキ「何でしたら大洗の祝賀会にゲスト参加されてはいかがです? まだやっているでしょうから」
エリカ「…私達をコテンパンにした相手を祝うパーティーに参加しろと?」
ヴェニフーキ「美味しい料理が沢山ありますよ? ジェリードイールとか」
エリカ「ジェリードイール?」
ヴェニフーキ「ウナギのゼリー寄せとも呼ぶそうです。トロッとしたゼリーと魚の風味が別格ですので、あなたにピッタリですよ」
エリカ「そう。気が向いたら頂こうかしら」
ヴェニフーキ「なるべくお早目に」
エリカ「…まぁそんなことより、出口まで案内しなさい」
ヴェニフーキ「カナヅチだけでなく方向音痴なんですか?」
エリカ「うるさいわよ」
124: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 11:18:00.43 ID:9R9XbWYA0
オレンジペコ「あ、あの…」
ヴェニフーキ「ん?」
エリカ「アンタまだいたの?」
オレンジペコ「ずっといましたよ…」
ヴェニフーキ「申し訳ありません。コレに気を取られて存在を忘れてました」
オレンジペコ「むぅ。ひどいです」
エリカ「コレって何よ失礼ねっ!」
ヴェニフーキ「隊長室にいても怪しまれるでしょうし、一旦会場に戻っては?」
オレンジペコ「そうですね。き…ヴェニフーキ様はどうされるんですか?」
ヴェニフーキ「彼女をつまみ出します」
オレンジペコ「つまみ出す……」
エリカ「あんたホントに失礼ねっ!」ガァァ!!
ヴェニフーキ「はいはい。行きますよ」シレッ
エリカ「ち、ちょっと! 襟を引っ張るなッ!」
オレンジペコ「あはは…。」
そんなわけで逸見さんを港まで送り届けることにした。
突っ慳貪な態度をとってはいるけど、あの時助けに来てくれたことは嬉しかったし、感謝もしてる。
だからもう少し逸見さんには友好的に接した方が良いのかもしれないな。
…と思ったけど、それを本人に言うとつけ上がりそうだからやめておく。
125: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 11:19:57.78 ID:9R9XbWYA0
【学園艦 甲板】
エリカ「それで?」
ヴェニフーキ「はい?」
エリカ「アンタはいつまでそのヴェニフーキってヤツを演じてるのよ?」
ヴェニフーキ「何の事でしょう?」
エリカ「アンタの正体は前にわかったでしょう…」
ヴェニフーキ「…どうやら、針と糸が必要みたいで」
エリカ「物騒なこと言わないで頂戴」
ヴェニフーキ「"私"がバレたら困ると前にも言ったはずですが?」
エリカ「そんなこと言ったかしら?」シレッ
ヴェニフーキ「針と糸はいらないか。このまま海に落とせば勝手に沈むでしょうし」ガシッ
エリカ「ちょ、ちょっと! は、離しなさいっ!!」
ヴェニフーキ「やれやれ」パッ
エリカ「…まったく。…この周辺には誰もいないから安心しなさい」
ヴェニフーキ「…」
エリカ「…」
西/ヴェニフーキ「こちらが全くと言いたいですね」
エリカ「…言い出しっぺが言うのも何だけど、本当にガラッと雰囲気変わるわね」
西「雰囲気だけですよ。姿は何ら変わっておりませんので」
エリカ「これで姿まで変わるものなら戦車道より魔術道でも目指した方が良いわよアンタ…」
126: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 11:21:44.08 ID:9R9XbWYA0
西「逆にお尋ね申しますが、何ゆえ私のことを執拗に知りたがるんです? 性癖ですか? うわ…」
エリカ「うっさいわねぇ! 何が性癖よ!!」
西「ここまで執拗ですと"そういうの"を疑うのは無理もないかと思いますが?」ヒキッ...
エリカ「うるさいわよ…。あの突撃バカが豹変して聖グロをコテンパンにして、更にはみほにまで白旗を揚げさせた」
西「私は大洗に破れましたけど?」
エリカ「知ってるわよ。けれども、みほの戦車を撃破したのは確かだし、あれは誰が見ても大戦果よ」
西「…」
エリカ「何がどうなればそれ程までに至るのかしらってね」
西「それも前に申し上げた通りですけどね」
― 何がアンタをそこまで強くさせたの?
― まほさんやみほさんと同じ。
― 隊長やみほと?
― 戦わないといけない理由があった。勝たないといけない理由があった。 それだけ。
127: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 11:23:14.54 ID:9R9XbWYA0
エリカ「"勝たないといけない理由" ねぇ…」
西「尤も、それは私がここに来る以前の話なので、私が今こうしてる理由とは何ら関係ありませんけど」
エリカ「ええ。…それとは別にもう一つ、」
西「ん」
エリカ「…"借り"。ちゃんと返したからね?」
西「………借り?」
エリカ「…ありがと」
西「はい?」
エリカ「…二度は言わないわよ」
西「すみません。よく聞き取れなかったのであります」
エリカ「………ありがと、って言ったのよ」
西「どう致しまして?」
エリカ「なんで疑問形なのよ…」
西「憎まれることはあれど、お礼を言われる事など何一つしておりませんので」
128: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 11:25:58.42 ID:9R9XbWYA0
エリカ「…一応だけど、あの時アンタは私を助けてくれた」
西「あの時?」
エリカ「あの練習試合よ」
西「はぁ。確かに溺れてるところを助けはしましたね。あのまま死んで貰っても寝覚めが悪いので」
エリカ「…それもだけど、その後よ」
西「何かありましたっけ?」
エリカ「とぼけるのも大概になさい。あの時アンタは…」
西「心得ておりますよ」
エリカ「…」
西「あんな事を言った手前、凋落の運命を辿る人を見過ごすも如何かと思っただけで」
エリカ「そう…」
西「後で闇討ちでもされかねないでしょうから」
エリカ「…そうかもしれないわね。容赦なくアンタの顔面に刃物を突き立てたかもよ? 墓石のように」
西「顔より胸ぐらの方が突き刺さりやすいですよ?」
エリカ「…真顔で物騒なこと言わないでよ」
あの時、私は逸見さんを丸裸にした。
…いや、すっぽんぽんにしたという意味ではなく、彼女の硬い殻の中にある本心を引きずり出した。…同時に私も"本当の姿"を見られてしまったけど。
人を見下す態度も、厭味ったらしい言動も、全ては敬愛する西住まほさんを引き止めるためだった。
大切な人を失わないために、どんな手段を使ってでも繋ぎ止めようとする。逸見さんなりの。
それは私だって同じ。ダージリンを守るために私は私を捨てて、何もかも偽って今ここにいるから…。
129: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 11:33:55.45 ID:9R9XbWYA0
西「それにしても」
エリカ「ん?」
西「随分と早かったですね。あの場に駆け付けるまで」
エリカ「…ああ。元々学園艦はそう遠くない場所に浮いていたからコレで行けばすぐよ」
西「"コレ"…?」
エリカ「ヘリコプター」
西「…他校の無人機と比べると随分貧相ですな」
エリカ「これは移動用。試合で使うヤツは別にあるわ」
西「ふむ」
逸見さん曰く、ヘリコプター(Fa233と呼ぶらしい)で飛んできたそうだ。
確かに自走砲ならぬ自走"島"こと学園艦の性質上、何処かしらへ行くにはこの手の航空機が便利だろう。
知波単でも導入しようかな? この間試合で使った無人機…一式陸攻を改造すれば人くらいは運べそうだ。
130: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 11:34:59.74 ID:9R9XbWYA0
エリカ「それじゃ、そろそろ行くわ」
西「お世話になりました」
エリカ「…次の大会、簡単に負けるんじゃないわよ?」
西「ん…」
エリカ「アンタは私が倒す相手よ。忘れないことね」
西「逸見さんも努々西住さんのお尻ばかり追いかけて警察のお世話になりませぬよう」
エリカ「なるわけないでしょーがっ!!」
西「どうだか」シレッ
エリカ「…全く。口だけは達者ねアンタは」
西「お互い様」
エリカ「まぁいいわ。…そうそう」
131: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 11:38:34.14 ID:9R9XbWYA0
西「ん?」
エリカ「ここに来る途中、プラウダの学園艦を見つけたわよ」
西「プラウダ?」
エリカ「ええ。特にどこかに行く様子も無かったから、恐らく年始に向けてメンテナンス中でしょうけど」
西「もう12月ですし、年始に向けて点検やら郷里に帰る生徒やらの為に停泊しているのでしょうな」
エリカ「そうね。…無人機もだけど、学園艦というのも面倒な代物よねぇ」
西「確かに。泳げないと大変です」
エリカ「余計なお世話よ。…まぁ、アンタもあまり変なことには首を突っ込まないほうが身のためよ? それじゃ」
西「ええ。良いお年を」
ブロロロロロロ........
そう言って逸見さんはヘリコプターに乗って行ってしまった。
…"借りは返した" かぁ…。
私のやった事はお節介だったけど、彼女にとっては転機にでもなったんだろうか。
まぁ、野良犬よろしく誰かれ構わず吠えたりするよりかは良くなった。初めて対面した時は引っ叩いたろかコイツと思ったくらいだったもんなぁ。
そんな事を考えながら、だんだん小さくなっていくヘリコプターを眺める。
西住さん達が乗る対空戦車であのヘリ撃墜したら逸見さんどんな反応するかな? …と、しょうもないことを思い浮かべながら。
………ん?
よく考えてみれば駆け付けたは良いが、あの場にはOGの女だけでなく、それを警護する殿方も複数いた。
警察が来なかったらあんたどーするつもりだったんだ?
警察を出動させたのはアールグレイさんだし、ドヤ顔でやって来て一言二言会話しただけだよな………?
………。
なぁにが "借りは返した(キリッ" だ馬鹿もんがッ!!
今度会ったら覚えておけ! 本当に土佐衛門にしてやるからなァ!!!
132: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 11:41:05.22 ID:9R9XbWYA0
【港】
「御機嫌よう。身なりは綺麗かしら?」
西「っ!」
アールグレイ「…役目を終えて気が抜けたのかしら?」
西「何も背後から現れることは無いでしょうに。吃驚したのであります」
アールグレイ「はいはい。続きは車の中でしましょう」
西「…かしこまりでございます」
~~~~
133: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 11:42:45.08 ID:9R9XbWYA0
アールグレイ「本当に、お疲れ様ね。絹代さん」
西「本当に、疲れましたよ…」
アールグレイ「でも、そのお陰で裏切り者を拘束できた。…なかなかやるわね。見直したわ」
西「偶然ですよ。たまたま向こうからやってきて、たまたま捕まってくれた」
アールグレイ「違うわ。隊長室でのやり取り」
西「…ああ、アレですか」
アールグレイ「12月8日は真珠湾攻撃の日」
アールグレイ「玉山は当時の新高山。つまり"ニイタカヤマノボレ"ね」
アールグレイ「そして最後の戦車のは」
西「"トラトラトラ"ですね。ここまで言えばアールグレイさんでもわかるかなと」
アールグレイ「失礼ね。最初のでわかったわよ」
西「あの時、自室にOGがいらっしゃったので、盗聴器のある隊長室までお連れして」
西「そこで上手いことやり取りすれば何かしら得られるかと思った次第です」
アールグレイ「そして実際に"獲物"を得られたと」
西「仰る通りでございます」
アールグレイ「ふふ。面白かったわよ。なんだかスパイ映画を観ている気分で」
西「観てる人は気が楽で良いですね。私なんか実際にスパイを…」
アールグレイ「冗談よ。拗ねないで」
134: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 11:45:00.37 ID:9R9XbWYA0
アールグレイ「ところで、あれから体調を崩したりはしなかった?」
西「…ええ。ちょっと発狂したぐらいですかね」
アールグレイ「えっ…?」
西「内通者が誰かわかった時に、その子の加担する理由を聞いて」
アールグレイ「…詳しく聞かせてくれるかしら」
アールグレイさんにあれからのことを話した。
内通者の正体がペコだったこと。
そのペコは反・聖グロ派によって強制的に聖グロ弱体化工作の片棒を担がされていたこと。
私が発狂し、また暴れ回ってまた精神安定剤を打たれたこと。
………思い出すだけでまた、腸が煮えくり返りそうだ。
西「…といったところです」
アールグレイ「………」
西「思い出すだけでも発狂しそうですね」
135: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:01:35.84 ID:9R9XbWYA0
アールグレイ「…もう大丈夫よ。裏切り者は駆除したから」
西「そうですね…。やっと私の役目が終わります………」ノビー
アールグレイ「本当に、ありがとう」
西「どういたしまして」
アールグレイ「あとは私が全部やっておくから、あなたはゆっくり休んで頂戴」
西「かしこまりでございます」
こうして、私の"ヴェニフーキ"としての聖グロのスパイ大作戦は無事に幕を閉じた。
長いようで短い聖グロでの学園生活は私に色んなことを教えてくれた。
だけど、全てが解決して、ダージリンが聖グロに帰って、皆が今まで通り生活を送るだろうし
私もまた知波単学園で戦車道を存分に満喫できるだろう。
久々に太陽が眩しく…
アールグレイ「太陽どころか雪降ってるじゃない」
西「…ものの喩えですよ。それより滑って事故起こさないで下さいよ?」
アールグレイ「はいはい」
136: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:03:26.06 ID:9R9XbWYA0
アールグレイ「それより、どうだった?」
西「ん? 何がです?」
アールグレイ「聖グロリアーナでの生活は?」
西「そうですね…。知波単には無いものが沢山ありましたので、良い勉強になりました」
アールグレイ「ふふ。それは良かった」
西「ただ、ジェリードイールとやらはもう二度と食べたくないですけどね」
アールグレイ「げっ、あなたも食べたのね、アレ…」
西「ええ。聖グロに来て辛かったことの五本指に入る出来事でしたよ…」
アールグレイ「5本指?」
西「急な交流試合で朝早く起きなければならなかったことや、GI6の面々に監視されたことやら」
アールグレイ「確かにそれは大変だったわね」
西「全くです」
アールグレイ「アッサムやGI6の皆にはお小言を言っておくべきかしらね」フフッ
西「水責めの刑でお願いします」
137: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:04:12.28 ID:9R9XbWYA0
【ダージリン宅の前】
アールグレイ「さて、奥様の家についたわよ」
西「奥様…良い響きですなあ」シンミリ
アールグレイ「そうね。挙式をするなら呼んで下さいな」フフッ
西「良いのですか?」
アールグレイ「良いのよ?」
西「後輩に先を越される先輩って結構心に来そうですが…」
アールグレイ「お黙りなさい」
西「けけけ」
アールグレイ「…全く。それじゃぁ、ね」
西「ええ。また何かありましたら」
アールグレイ「そうね。じゃぁ、またね。…絹代さん」
ブロロロロロロロロ.....
138: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:05:32.33 ID:9R9XbWYA0
【ダージリンの部屋】
西「ただいま。ダージリン」
ダージリン「お帰りなさい。絹代さん」
西「…ダージリン」ギュッ
ダージリン「ふふっ、甘えん坊さん」
ここに来てようやく渦中の人物である私のダージリンのご登場だ。
今日に至るまで私はずっとダージリンに助けられてきた。
ダージリンがいたから私は頑張れた。
そんなダージリンとは今では愛し愛される関係にまで進展した。
悲しいこと苦しいこと腹立たしいこと色々あったけど、ダージリンと恋人関係になれた事だけは感謝したいな。
…もう絶対ダージリン離さない。
139: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:06:29.48 ID:9R9XbWYA0
西「何というか…またお会いすることが出来て良かったと思っております」
ダージリン「…大袈裟ね。ついこの間会ったばかりよ」
西「そうなんですけど、会う度にこれが最後なんじゃないかなぁって思ってしまうんですよ…あはは…」
ダージリン「…おばか」
西「恐縮です」
ダージリン「まったくもう」
西「えへへ…」クンクン
ダージリン「この子ったら。また私の匂いを嗅いで…」
西「ダージリンの匂い好きですもん」クンクン
ダージリン「あなたの場合、それだけでは済まないでしょう?」
西「…」
ダージリン「助平」
西「むぅ…」
ダージリン「っ………きぬよ…さん………」
西「ダージリンの大事なところ…見たいです……」
私達は本能の求めるにお互いの体を弄んだ。
優しく撫でたり、少し強く摘んだり、舐めたり、指を入れてみたり。
触っても触られても快感物質がドロドロ溢れ出すばかりで、気持ちいいのが欲しくて触り続けた。
体の中に指を入れると指にドロッとしたものが纏わり付いて
体の中に入れられるとぬるぬるした感覚と指の熱が体全体に行き渡る感覚に溺れる。
布団が汚れてしまうとまたまずいので、こぼれないよう舐めてみた。
おしっこの様なしょっぱい味と苦い味がする。美味しくなんかないけど、私の好きな人が興奮している時に漏れ出す好きな味。
だからもっとたくさん欲しい。身体中に塗りたくって全身で味を知りたい。
なので、執拗に舐め続けた。痙攣してもう出てこなくなるまで………。
140: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:13:48.64 ID:9R9XbWYA0
ダージリン「ハァ…ハァ…」
西「……今更…ですが……」
ダージリン「……?」
西「…ダージリンと、こんな風に繋がるとは思ってもいませんでした」
ダージリン「私だって……」
西「…あはは」
ダージリン「…どうしたの?」
西「ダージリンの体の中に指を入れたとき」
ダージリン「うっ…なによ…」
西「すごい勢いで指が締め付けられてて、離してくれなかったんですよね」フフッ
ダージリン「…っ……」
西「ダージリンが私の体を受け入れてくれて嬉しかったです」
ダージリン「あなただって指が千切れそうなくらいだったわよ」
西「ええ。ダージリンの身体も心もみんな全部好きですもん」
ダージリン「…ばか」ギュッ
西「あはははは」
会うたびに契りを結んでいる。結んで結んで簡単には解けないくらい。
だってダージリンいい香りがするし、柔らかいし、その……まぁ、かうばしきこと限りなし。
ダージリンもダージリンで私の身体が興味津々のようで耳に齧り付いたり尻に指を入れたりして私の反応を楽しんでる。……えっち。
141: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:16:19.77 ID:9R9XbWYA0
ダージリン「…ふふっ」
西「ん?」
ダージリン「あなたは私といる時だけは女の子ですものね」
西「む。私は生まれた時からずっと女ですぞ」
ダージリン「どうかしら。あなたってボーイッシュなところがあるからねぇ?」フフッ
西「…ダージリンまでボーイッシュって仰る」
ダージリン「あら? 誰かに言われたの?」
西「ペコ太郎に大雑把で男みたいって」
ダージリン「あらあら」
西「大雑把なのはフグリリさんだけで十分ですよ」
ダージリン「フグリリじゃなくルクリリよ。あの子が聞いたら激怒するからやめなさい」
西「他にも密かにファンクラブ作ってるとか…」
ダージリン「あらあら。それはそれは」
西「…嫉妬してます? <ツネッ!> いだぁっ!!?」
ダージリン「あなたが他の女の子を誑かさないか心配なのよ」
西「む…私はダージリン一筋ですってば」ヒリヒリ
ダージリン「本当に?」
西「ええ」
色々勘違いされそうだけど、私は別に女が好きなんじゃない。ダージリンが好きなんだ。
好きな人が偶然にも同性だっただけ。
だから仮に私がダージリンとお付き合いをしていなかったとして、同性に好意を持たれようがそれに応えようとは思わない。
…まぁ、好意を抱かれるのは嬉しいけれど。
142: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:18:08.02 ID:9R9XbWYA0
プルルルル プルルルル
ダージリン「電話、鳴ってるわよ?」
西「む。またアールグレイさんからですな…」
ダージリン「アールグレイ様?」
西「どうしてあの人はダージリンと一緒にいる時に限って電話するのでしょうかね…」ハァ...
ダージリン「それだけあなたのこと心配しているのよ」
西「私をですか?」
ダージリン「ええ。この前も "絹代さん、疲れてるからそろそろ終わらせないと" って言ってたわ」
西「…」
ピッ
アールグレイ『御機嫌よう。絹代さん』
西「不機嫌よう。おばさん」
ダージリン・アールグレイ「『なっ!!』」
ダージリン「あなたアールグレイ様に何てこと言うの!?」
アールグレイ『全くよ! これでもまだピチピチの10代なんですからねっ!!』
西「…年増」ボソッ
ダージリン「」ギチッ!!
西「おンぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」ジタバタ
143: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:20:49.23 ID:9R9XbWYA0
ダージリン「先輩に失礼な態度を取らないの! 怒るわよ?!」
西「も、もう怒っているではありませんかっ!!」ヒリヒリ
ダージリン「もっと怒るわよ!」
西「ええー…」
アールグレイ『電話に出て第一声でケンカ売ってくるところは相変わらずね…』
西「だってだって! ダージリンと一緒にいる時に限って電話かけて来るんですもん!」シクシク
アールグレイ『それは偶然よ』シレッ
西「えー…。それで、ご用件とは何でっしゃろ?」
ダージリン「でっしゃろ…?」
アールグレイ『ん…、大した用事では無いのだけれども』
西「…」
アールグレイ『体調は良くなったかしら…ってね?』
西「? まぁ、今のところは問題ないであります」
アールグレイ『そう。良かったわ』
西「それだけですか?」
アールグレイ『そうよ。それだけ』
西「そうですか…?」
144: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:22:22.70 ID:9R9XbWYA0
アールグレイ『ええ。…この間、あなたが頭痛いだの月のものが来ないだの不調訴えてたから、心配になってたのよ』
西「それはご心配おかけしました」
アールグレイ『ええ。やってる事がやっている事ですもの。実際の諜報部員でも任務終了後にPTSDを発症することだってあるくらいよ?』
西「それはそれは…まぁ、今のところは大丈夫ですよ」
アールグレイ『そう。なら良かったわ』
西「ええ。ご心配かけてすみません」
アールグレイ『そうね。あなたが大丈夫なら問題ないわ。それじゃ、またいつかね』
西「またいつか…か」
アールグレイ『ん?』
西「…………嘘つき」
145: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:23:52.88 ID:9R9XbWYA0
アールグレイ『…!』
西「…ちゃんと、話して下さいよ……」
アールグレイ『………そうね…』ハァ...
電話の向こうから溜息が聞こえる。
私は今の今までずっと神経張り巡らして色んな人を観察してきた。
…だから、港で会ってからあなたの様子がおかしい事だってわかる。
146: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:25:46.80 ID:9R9XbWYA0
アールグレイ『…仕方ないわね。またいつものカフェに行きましょうか』
西「ええ…」
アールグレイ『それじゃぁね』
ツー ツー ツー ツー
西「………」
ダージリン「………絹代さん…?」
西「…一難去ってまた一難…ですね」
ダージリン「えっ…!?」
西「………ごめん。ちょっとアールグレイさんの所に行ってきます」
ダージリン「そう………」
反・聖グロ派とつながる内通者は見つかった。
そして聖グロを裏切ったOGの女は警察に連行された。
これで聖グロに絡みつく脅威が消え去って、ダージリンも復学。
私も西絹代と再び名乗って終劇になれば良かった。
良かったのに。
私の本能が『まだ終わってない』って、ずっと叫び続けていた。
それもそのはず。
ダージリンを強制退学させるべく、聖グロOGの大多数から賛同を勝ち取るような手練が
あんなにもあっさり現れてあっさり逮捕されるはずがない…。
147: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:29:54.12 ID:9R9XbWYA0
【とあるカフェ】
ヴェニフーキ「先ほどぶりです。アールグレイ様」
アールグレイ「…ええ。服や持ち物は綺麗かしら?」
ヴェニフーキ「お出かけ前にしっかりチェックしました」
アールグレイ「そう。なら問題ないわね。…"絹代さん"」
西/ヴェニフーキ「…」
アールグレイ「…」
西「…まだ、終わってないんですよね?」
アールグレイ「…ええ」
またここに来た。
ダージリンが強制退学されたと知り、アールグレイさんに相談し、そこから始まった悲しい思い出の喫茶店。
そして次に、内通者が誰かを特定するという名目で盗聴器や探知機を授かったのが二回目。
そして三度目となる今回は………。
昼間は学生や社会人が行き交う街中にあるお洒落な喫茶店も夜になれば閑古鳥が鳴いて不気味だ
雪はますます強くなって吹雪に変わっていく…。
148: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:32:40.41 ID:9R9XbWYA0
アールグレイ「…あなたも随分と勘が鋭くなったわね。むしろ鋭くなり過ぎて少し厄介に思える」
西「皮肉な話ですよね。あんなことを続けていたせいで、見たくないものまで見えるようになってしまうのですから」
アールグレイ「…本題に入りましょう」
西「…」
アールグレイ「あなたの言う通り、"まだ終わってない"」
…でしょうな。
一件が終わってからアールグレイさんは何かを隠そうとしていた。そしてアールグレイさんらしからぬ不自然な振る舞いから読み取ることができた。
繰り返しになるけど、ダージリンを強制退学させるほどの"豪腕"が安々と現場に訪れるはずがない。
ましてやそれで御用になるなんて論外だ。そんな間抜けなはずがない。
もっと言えば聖グロ内にはペコという"内通者"がいた。わざわざ学園艦内に足を運ばずとも、彼女を顎で使えば良かった。
自ら手を汚しに行く理由はどこにもない…。
そういったことを鑑みるに、先ほど御用になったあの女は反・聖グロ派の中でも"下っ端"の可能性が高い。
主犯は別にいる。
149: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:34:17.94 ID:9R9XbWYA0
アールグレイ「その通りよ。御用になったあの女性は末端も末端」
西「でしょうね」
アールグレイ「それどころか…」
アールグレイ「聖グロリアーナのOGですらない"赤の他人"よ」
西「なっ!?」
アールグレイ「おそらくは反体制派からお金で雇われた破落戸ね。警察の調べで多額の借金を抱えていたと供述したわ」
アールグレイ「けれども、犯行動機や誰に雇われたかについては黙秘」
西「………」
アールグレイ「付近にいたボディーガードも女とは無関係とのこと」
西「…そうですか」
聖グロやOGとは一切関係のない人物がカネ目当てに加担した事については驚きだが、自ら手を汚さず事を進める連中なら十分考えられる。
十分考えられるから、それについてはそこまで気にしていなかった。
私が気にしているのは…
150: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:37:52.36 ID:9R9XbWYA0
西「何故、黙っていたんですか……?」
アールグレイ「…」
西「あのまま港で合流し、 "全部終わった。ご苦労様" と言わんばかりな態度でした」
西「…しかし、蓋を開けたら全部どころか薄皮を一枚剥いだだけに過ぎなかった」
アールグレイ「…」
西「………何故、隠していたんですか?」
アールグレイ「限界が来たからよ」
西「なッ!!」
アールグレイ「ここまでが、聖グロを知らないあなたに出来る"精一杯"なの」
西「そんなことはありません。また私が聖グロに潜り込めば…!」
アールグレイ「無駄よ」
西「何故ですかっ!!」
アールグレイ「考えてもみなさい。内通者を特定した、そして末端の反体制派を捕まえた」
アールグレイ「そんな状況で主犯がひょっこりと出て来ると思う?」
西「あっ…!」
アールグレイ「あなたが言ったように、相手は学園一の優等生を、真逆の不良生徒に仕立て上げ、OG会の賛同を獲得するほどの手練なのよ」
アールグレイ「この件でますます警戒心を強めることは確実よ」
アールグレイ「…予想外、だったわ」
151: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:39:58.44 ID:9R9XbWYA0
西「で、では何故…私を聖グロ内部に送り込んだのですかッ………!」
アールグレイ「私も最初、内通者から芋づる式に反体制派の中枢まで引っ張り出せると考えていたわ」
アールグレイ「だけど…」
西「…?」
アールグレイ「甘かった………」
西「ぐ…が…ッ…!!」
アールグレイ「…やめなさい。ここはカフェよ。暴れたらあなたが逮捕されるわ」
西「ッ………」
アールグレイ「ここから先は私がやっていく。…どれくらいかかるかはわからないけど」
西「じゃぁダージリンはッ!!」
アールグレイ「…聖グロに戻れるかは分からないけど、幸いあの子は"西グロ"に在籍している」
アールグレイ「このまま留学から転校に変更すれば何とか高校は卒業出来るわ…」
西「っ………」
アールグレイ「それにね、あなたももう心身的に限界が来ているわ」
西「そんなことはない! 私はまだ…!」
アールグレイ「ええ。今はまだ元気よ。でも、この先はもう保証できない…」
西「っ!!」
アールグレイ「万が一、あなたの身に何かあったらそれこそ大問題よ」
アールグレイ「"聖グロへ短期留学したら廃人になった"…と」
西「………」
152: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:42:44.33 ID:9R9XbWYA0
アールグレイ「だからここで、あなたの留学期間を満了とするわ。明日からは知波単学園に戻って普通に生活なさい」
西「………」
アールグレイ「あなたが不服なのはわかるわ。私だって同じですもの」
西「………」
アールグレイ「でも、これ以上被害を拡大しないために、あなたはもうこの問題には関与せず、元の学校で普通に生活を送って」
アールグレイ「…お願い。」
西「………」
虚しいお茶会は終わった。
私は叩きつけられた現実に打ちひしがれ、途方もなく彷徨った。
アールグレイさんから、『まだ終わってない』と言われることは予想できたから別に驚きはしなかった。
そしてそれをアールグレイさんが隠そうとしていたことも。
だって、犯人が別にいるなら同じように引きずり出せばいい。また聖グロに潜入して。
そう思っていたのに…帰ってきた言葉は…
…………"限界"。
内通者を特定して、反・聖グロ派の女を捕まえて万事解決と思いきや、それは奴らの『予防線』でしかなかった……。
そして、その『予防線』は奴らの警戒をより強めるものとなった。
今の今までやってきた事が、良かれと思ってやった事が、全部裏目に出た…。
ダージリンを復学させるために、私は何もかも捨てて戦ってきたのに
その戦いは逆に自分の首を絞める結果でしかなかった………。
私はまた失敗した
153: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:46:20.10 ID:9R9XbWYA0
プルルルル プルルルル
「………」
プルルルル プルルルル
「…………」
何処かに行く宛もなく彷徨っていたらダージリンから電話が来た。
でも出られない。何をどう話せばいいのかわからない……。
私は失敗した。
ダージリンの為にって思ってやったことが全部ダージリンの首を絞めた。
私のせいでダージリンが強制退学させたことから始まって
私のせいで復学の可能性がゼロになって終わる。
ダージリンが聖グロに戻れないのに私が知波単に戻れるはずがない。
やがて電話は鳴り止んだ。
失敗した私を嘲るみたいにバチバチ当たる雪が痛い…。
このまま凍って二度と動かなくなってしまえば良いのに。
そうすればもう苦しまなくて済む………。
154: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:47:14.51 ID:9R9XbWYA0
「絹代さん!」
電話の次は………
西「っ…!」
「…大丈夫ですよ。私です」
西「ノンナさん…」
ノンナ「お久しぶりです。絹代さん」
西「…」
― まぁいいわ。…そうそう
― ん?
― 聖グロへ向かう途中、プラウダ高校の学園艦を見つけたわよ
― プラウダ高校?
155: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:52:47.58 ID:9R9XbWYA0
ノンナ「同志より、港に警察が殺到しているとの情報を入手しました」
ノンナ「そして、警察が向かう先にあるのが、聖グロリアーナ女学院の学園艦と…」
西「…」
ノンナ「もしや、と思いまして」
西「…そうですか。……今日も、カチューシャさんはいないんですね……」
ノンナ「ええ。他の同志は学園艦整備の指揮をしております。今後しばらく吹雪くとのことですから」
西「…確かに。前が見えないくらい吹雪いていますね。…こんな日に外を出歩く人は頭がどうかしてますよね……あはははは…」
ノンナ「プラウダではよくある光景です」
西「………」
何だよ…。
誰にも会いたくない時に限って誰かとばったり出会ってしまう。
西「…で、どういったご用件で?」
ノンナ「えっ…」
西「偶然にしては不自然な気がするんです」
ノンナ「どういうことでしょう?」
西「私の中では…あなたとカチューシャさんは "一心同体" と言っても良いほど親密な関係であると認識しております」
西「それだけに、彼女の元から離れて何かをするというのは不自然です」
ノンナ「…」
西「…」
ノンナ「あの時と同じです。"少し、あなたとお話がしたいと思いまして"」
西「奇遇ですね。私もあの時と同じです。"申し訳ありません。今は一人で居たい"」
ノンナ「…」
西「…私と何を話したいと仰るのです?」
ノンナ「不埒なのは重々承知ですが、あなたが何故身分を偽っていたのか、と」
156: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:56:44.83 ID:9R9XbWYA0
西「…言ったはずですよね? 私の事は探らないでって………」
ノンナ「そうはいきません。聖グロリアーナ女学院は我が校とも交友関係にあります。あなたの目的によっては…」
西「でしたら私ではなく、聖グロの関係者にでも相談すれば良いのでは?」
ノンナ「それは…」
西「あなたの様な方が他人を個人情報を執拗に知ろうとするなんてどうかしていますよ…」
ノンナ「私も本当に、どうかしてしまったんだと思います……」
西「…」
ノンナ「今の今まで、カチューシャやプラウダの同志以外の人間に、これほど関心を持つことなどありませんでした」
西「…」
ノンナ「あなたが、聖グロリアーナ女学院に大勝利した時から、あなたから異変を感じるようになった」
西「…」
ノンナ「これも、"水飴"のせいでしょうか?」
西「"水飴"にそんな成分が含まれていては私達は入手出来ませんよ…」
ノンナ「ごもっともです。では…」
西「言ったはずです。私の事は
ノンナ「ダージリンさん、ですよね?」
157: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 12:58:12.14 ID:9R9XbWYA0
西「………」
ノンナ「あれから、あなたが何故この様な事になったのか、考えました」
西「…」
ノンナ「先の練習試合でお邪魔した時、存在するはずのダージリンさんが不在でした」
ノンナ「そして、存在するはずのない知波単学園の隊長、絹代さんがいた」
ノンナ「名前も姿も偽って」
西「あはは。偵察ですよ。他校がやってるような」
ノンナ「偵察をする人が何故、ダージリンさんが貶された時に本気で怒るのでしょう?」
― ダージリンもバカね。風邪なんか引くなんて。おヘソでも出して寝てたのかしら。あっははははっ!
― ………何?
確かに、あの時はカチューシャさんに対し激昂した。
あろうことか、彼女とダージリンを葬った連中が重なって見えたから……。
158: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 13:02:26.43 ID:9R9XbWYA0
西「そう演じないと、身内でないという事がバレてしまうからですよね?」
ノンナ「あなたの怒りは演技などではありませんでした」
西「…」
ノンナ「私にも幾つか心当たりがあります。それは本当に大切な人を罵られた時の怒りに似ている…」
西「そうですか」
ノンナ「そして、それが"核心"だろうと結論づけました」
西「きっと心得違いですよ」
ノンナ「確かに、これだけでは根拠に乏しいです」
西「もっと決定的なものがあれば話は別ですがね」
ノンナ「その決定的というのが、あの時私の前に立ちはだかったあの女です」
西「…あの女? 誰でしょう?」
ノンナ「彼女、"OG"って名乗ってましたね?」
西「そうでしたっけ?」
ノンナ「聖グロとOGの切っても切れない関係は有名です」
西「…確かに、聖グロはOG会から資金援助を受けています」
西「それら援助の代わりに、学園艦の運営方針もOGからの制約を受ける」
西「これはノンナさんは勿論、阿呆な私ですら知っているのだから相当有名な話ですよね?」
ノンナ「ダージリンさんが居ないこと」
ノンナ「あなたが"ヴェニフーキ"と名乗り聖グロに潜入したこと」
ノンナ「そしてOG会。これらをつなぎ合わせれば…」
西「もう結構です」
ノンナ「…!」
もういいや………。
159: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 13:07:57.98 ID:9R9XbWYA0
西「ノンナさんの、予想通りですよ。あはははははははは」
ノンナ「絹代さん…!?」
西「はい。ええ。OG会によって"消されました"よ。あはははは」
ノンナ「っ!!」
西「あなた方の言い方をすれば、"粛清された"…とでも言うべきですかね?」
ノンナ「いくら我々でもそこまで残酷なことはしません…!」
西「ですよね。私も相当残酷だと思います」
ノンナ「全くです…」
西「そして、そいつらによって」
西「私も一緒に壊された」
ノンナ「そんな…!」
西「あの時、ダージリンが消されたと知って、私もダージリンと同じように発狂した」
ノンナ「っ!」
西「そして一時期、薬が無いと生きていけない身体になった。あははははは」
ノンナ「だ、大丈夫なのですか…!?」
西「今だって記憶が蘇って頭がおかしくなりそうな時があります」
ノンナ「っ…」
西「以前から見ていた悪夢に加えて、OG会に身体を引き裂かれる夢まで見るようになってしまった。あはははははは」
ノンナ「以前から見た悪夢…?」
西「大学選手権の時に私がしくじって惨敗して大洗が廃校になる夢ですよ。あははは」
ノンナ「そんな事はあり得ません! あの時私達は勝ちました。その証拠に大洗女子は今も健在です…!」
西「そうですね。大洗女子は今も生きてます」
ノンナ「でしたら悩むことは…!」
西「…でも、私の中では大洗も私自身の戦車道も」
西「もう生きてはいないんですよ。あはははははは!」
160: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 13:09:16.48 ID:9R9XbWYA0
ノンナ「なッ!!」
西「未だ悪夢を見続けるのがその証拠です。とうとう私の中では解決できなかった…」
ノンナ「それは所詮夢です。気にすることではありません」
西「あははははは。もうそっちは気にしてませんよ。気にしたって仕方ない」
ノンナ「では…」
西「私の戦車道は…私は」
西「ヴェニフーキと名乗った時に死にました」
ノンナ「っ!!」
西「…もう、誰かが傷つく姿なんて見たくない」
西「私も傷付きたくない」
西「だから、」
西「私はもう死んだことにして、存在しなかったことにしたいんです」
161: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 13:11:52.02 ID:9R9XbWYA0
ノンナ「ま、待って下さい! 早まらないで!!」
西「…私は腰抜けだから何もできやしない。何一つ実らない」
西「消えてしまいたいのに、消えるのが怖い……あははは…あはははははは…」
ノンナ「…でしたら」
ノンナ「私が、あなたの力になります」
西「…はい?」
ノンナ「…あなたは一人にしておくと碌なことにならないようです」
西「…」
ノンナ「ですから、私もあなたのサポートを」
西「…結構です」
ノンナ「нет!」
西「…」
ノンナ「目の前で溺れている人がいて、それに見向きもせず過ぎ去ろうとする」
ノンナ「それはあなたの言う"邪道"ですよね?」
西「溺れている人が邪道なら、私は見向きもせず、溺れて死んでしまえと念じます」
ノンナ「嘘です。優しいあなたがその様なことをするはずがありません」
西「どうしてそう言い切れるのです?」
ノンナ「私の本能がそう語りかけるのです」
西「本能ってあまり宛になりませんよ?」
ノンナ「とにかく私は」
西「あなたにはカチューシャさんがいらっしゃる」
ノンナ「っ…!」
西「私などに感けている暇など無いはず」
ノンナ「…」
西「本当に大切な人のために」
ノンナ「あなたも大切な人です」
162: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 13:15:37.32 ID:9R9XbWYA0
西「………」
ノンナ「カチューシャは大切な同志です。それは未来永劫変わることはありません」
ノンナ「…ですが、あなたもまた同志、いや、それ以上の存在になりつつあります」
西「お友達は選んだ方が良いですよ?」
西「それに、どうひっくり返ったって私がカチューシャさんより上であるはずがない」
ノンナ「いえ…もしかしたら、あなたは私にとって…」
ノンナ「初めての人かもしれません」
西「………は?」
ノンナ「私と対等に接し、そして私を理解してくれる初めての人…」
西「意味がわかりません」
ノンナ「初めてです…。私がカチューシャではなく、プラウダ以外の人間にこんな形で関心をもつなんて」
西「それはどうも。…ですが私にはもう」
ノンナ「知ってますよ。ダージリンさんですね?」
西「…」
ノンナ「だから、"любовник"ではなく"близкий друг"です」
西「…」
ノンナ「………」
西「………」
西「…私が言うのも何ですが、抱えすぎは体に毒ですよ?」
163: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 13:20:37.51 ID:9R9XbWYA0
ノンナ「!!」
西「………」
ノンナ「…やはり、あなたは…」
西「ダージリン以外の人を深く知りたいとは思わないですけど…」
ノンナ「…」
西「傷つけたり傷つくことを何よりも恐れるが故に、色んな物を溜め込んでしまう人なんだなぁ…と」
それは今の私も同じだよね。
正体がバレるのが怖いから無口で表情を変えないようにしている。
私に関わった人が悲しんだり傷ついたりするのが怖いから関係を持たないようにしている。
品は違えどノンナさんが言う"理解者"ってのはこの事を意味するのかもしれない。
ノンナ「…」
西「…皮肉ですよね。色んな人と良好な関係を築きたいと思っていた頃は、相手の事なぞこれっぽっちも理解出来ませんでした」
西「あの頃はよく怒られました。"少しは人の話を聞け"って…」
西「誰とも関わりたくないと思うようになってから、相手の本質を理解出来るようになってきた」
ノンナ「………」
西「以前の私でしたらまずこの様なことは感付けなかったようなことも…」
西「こういう薄汚い真似をしているから、疑心暗鬼に溺れるからこそ気付けた」
西「知らなかったことも知るようになったし、見たくないものも見えるようになった………」
ノンナ「………………」
ノンナ「……そう…ですか………」
164: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 13:22:55.32 ID:9R9XbWYA0
西「…何も泣かなくても」
ノンナ「……私は…やっと"理解者"に出会えた………」
西「カチューシャさんが理解者なのでは?」
ノンナ「…こんな私なんて…カチューシャに知られたら………」
西「………」
確かに。ノンナさんが"折れる"姿なんて誰も想像出来ないだろう。
カチューシャさんとて"頼れる同志"としてのノンナさんを誰よりも信頼している。
だから己の本心が露わになることを何よりも恐れたんだろう…。
ノンナさんは口数は少ないし、表情の変化も乏しい。表情や言動から何かを判断するのが難しい。
だけど、そのせいで彼女は誰も知らないうちにどんどん傷を溜め込んでいる。
だから…
ずっと、探していたんだろうなぁ。
本当に自分を理解してくれる人を…。
そして"その人"に私が選ばれたんだ…。
本心がむき出しになることを恐れ、誰かを傷つけ誰かに傷つけられることを恐れる同じ動物として…。
165: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 13:25:15.78 ID:9R9XbWYA0
西「…大丈夫ですよ」
ノンナ「えっ……?」
西「仮に、カチューシャさんがあなたの本心を目の当たりにしたとして」
西「その程度で落胆するような方じゃないですよ」
ノンナ「…!」
西「言動は見た目こそ小さな女の子のように見えますが、カチューシャさんは見るものはしっかり見ておられる」
西「そうでなければ黒森峰を打ち負かす強豪校の"最高指揮官"にはなれないでしょうし」
西「だからこそ、あなたはカチューシャさんの片腕を務めておられるわけですよね」
ノンナ「ええ………」
…ん?
じゃぁ何故、ノンナさんは…?
二人は家族とも恋人とも言えるくらいものすごく親密。
ノンナさんと、カチューシャさん
逸見さんと、西住まほさん
私とダージリン……………
………そっか…。
166: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 13:28:17.73 ID:9R9XbWYA0
西「もうすぐ、卒業か……」
ノンナ「…はい」
ノンナ「だから、もうすぐ…」
ノンナ「……お別れです………」
………既視感?
おかしいな。ノンナさんの話を聞くのは初めてなのに、何処かでこんな感覚にぶち当たった気がする…。
何か、前にも…………
― …私は………あなたのように……王者にはなれない……私では…………
― ………何も無い………
― …私は………ここまでです…………
そうか…あいつだ。逸見さんの時と同じだ。
硬い硬い殻に包まれた彼女の柔らかい"本心"がむき出しになったあの時と。
外観からは想像もできないほど柔らかい本心を目の当たりにしたあの瞬間だ…。
ノンナさんも今、熱に耐えられず溶け出した氷の中にある本心がむき出しになっているんだ……
気付かなかった。
少女のように無邪気なカチューシャさんと、彼女の身辺を世話するノンナさんという構図故に、心得違いをしていた。
カチューシャさんがノンナさんに依存してるんじゃない
ノンナさんがカチューシャさんに依存しているんだ………。
ブリザードのノンナなどという、誰が付けたか分からない二つ名のせいで皆誤解しているけれど、本当に支えが必要なのはノンナさんの方なんだ…。
167: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 13:33:17.26 ID:9R9XbWYA0
西「………」
ノンナ「…ふふっ……また、一人ぼっちですね………」
西「っ………」
はぁ…駄目だ…。
なんだって何もしたくない時に限って前に私と同じような人間ばかり現れるんだ。
なんで崩れて壊れる寸前の状態で私の前に出てくるんだ。
どうして私が一番見たくない姿になって私に関わろうとするんだ…………。
西「…ノンナさん」
ノンナ「………はい」
西「…その、私で良ければ…」
ノンナ「…えっ?」
西「誰だって一人ぼっちは寂しいですから」
西「私なんかで良ければ、友人になりますよ」
ノンナ「…」
…突発的とはいえ我ながら上から物を言うものだと自分でも呆れる。
仮にも相手は年上のノンナさんなのに。
"友達になてやっても良いぞ"などと言われ"はい喜んで!"と受け入れる者が何処にいるというんだ。
168: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 13:34:31.58 ID:9R9XbWYA0
ノンナ「よ、喜んで…!!」
西「あ、ありがとうございます…?」
………ここにいた。
先ほどとは打って変わってすごく嬉しそうな顔をなさる。
まるで台風が過ぎ去ったあとの雲一つない晴れの日のように…。
実際の天気は猛吹雪だというのに。
…ん? ノンナさんはブリザードの異名を持つから"元気になるほど吹雪く"で合ってるのか???
ええい。もうなんでもいいわそんなこと。
169: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 13:38:41.54 ID:9R9XbWYA0
ノンナ「で、では…お時間がある時にメールをお送りしても良いですか…?」
西「ええ。構いません」
ノンナ「動物やお料理の写真を送っても大丈夫でしょうか…!?」
西「空腹時でなければ大丈夫ですよ?」
ノンナ「あ、あの…"でこめ" というのもやってみたいのですが…!」
西「ど、どうぞ…?」
ノンナ「!」パァァァァ
西「…」
ノンナ「Это лучший день! Я рад, что был жив.....!!!」
西「あははは…」
なんか知らんが、物凄く嬉しそうだ。
ノンナさんがどれだけ不安を溜め込んでいたのかは知らないけれど、積年の不満も第三者の何気ない一言で簡単にふっ飛ばすことが出来るものなんだね…。
本当に数分前までの絶望的な表情とは裏腹に幸福感に満ちた顔をしておられる。
長い冬が終わり春が来たみたいに。ブリザードのノンナ改め、桜吹雪のノンナと改名してもいいほど。
…しかし、デコレーションメールとはまた渋い選択だ。使い方なんか知らんぞ。
170: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 13:43:08.12 ID:9R9XbWYA0
「госпожа Нонна!」
ノンナ「…クラーラ? 学園艦の整備は終わったのですか?」
クラーラ「да. Катюша ждет. говорит, что она голодна.」
ノンナ「わかりました。戻りましょう」
西「…」
ノンナ「あの、絹代さん…」
西「はい」
ノンナ「本当に、ありがとうございました」
西「いえ。ノンナさんの憂鬱が解消されたようで感慨無量です」
ノンナ「メール、お送りしますね?」
西「ええ」
ノンナ「それでは、またお会いしましょう」ニコッ
クラーラ「поторопись!!」
ノンナ「шумно!! убью тебя!!」
そういってプラウダの学園艦に帰っていくノンナさんを見送った。
迎えに来た外国人に詰問されながら少しずつ小さくなっていく影をじっと見つめる。
― …ふふ……また、一人ぼっちです…
…うそつき。
ちゃんと"同志"がいるじゃないか。
帰る場所があるじゃないか。
私なんてもう何処にも帰る場所なんて無いのに…。
171: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 13:46:08.51 ID:9R9XbWYA0
プルルルル プルルルル
西「カチューシャ…さん……?」
ピッ
西「…はい」
カチューシャ『もしもし! ヴェニーシャ?!』
西「…。…お久しぶりです。カチューシャさん」
カチューシャ『ええ! そんなことよりノンナを見かけなかったかしら?!』
西「ノンナさん…?」
カチューシャ『ちょっと出かけるって言ったきり戻ってこないのよ…!!』
西「…」
…なるほど。ノンナさんがなかなか帰ってこないから気を揉んでおられたのか。
実際お会いした時はこの世の終わりのような顔をしておられたから、それこそ世を儚んで…ってことも容易に想像出来る。
172: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 13:47:40.17 ID:9R9XbWYA0
西「ノンナさんでしたら、先ほどお会いしましたよ」
カチューシャ『ふぇ? そ、そうなのっ?!』
西「ええ。偶然だったので驚きました」
カチューシャ『じゃ、じゃあノンナは…!?』
西「先ほど、プラウダ高校の制服を着た外国人の方と一緒に帰られましたよ」
カチューシャ『本当なのヴェニーシャ?!』
西「ええ。じき、戻られるでしょう」
カチューシャ『…ノンナ、落ち込んでなかった?』
西「…お会いした時は元気がありませんでしたが、お話をするうちに見る見る元気になりましたよ」
カチューシャ『! それ聞いて安心したわ。あー見えてノンナはナイーブなんだから…』
…やっぱり。
カチューシャさんもちゃんとノンナさんのこと理解して下さってるじゃないか。
173: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 13:50:22.12 ID:9R9XbWYA0
西「ときに、ノンナさんとは仲良くしておられるのですか?」
カチューシャ『ええ。そこそこにやってるわよ?』
西「そこそこ…?」
カチューシャ『ええ。何か問題かしら?』
西「…」
カチューシャ『…どうしたのよ? ハッキリ言ってちょうだい』
西「いえ…変な言い方に、なるかもしれませんが…」
カチューシャ『構わないわよ。言ってごらんなさい』
西「私の中では、カチューシャさんとノンナさんは二人で一つというのが常識でした」
カチューシャ『…』
西「だから、ノンナさんのいないカチューシャさん、カチューシャさんのいないノンナさんに物凄く違和感を抱いてしまうのです」
カチューシャ『………』
174: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 13:52:08.81 ID:9R9XbWYA0
カチューシャ『…確かに、ね』
西「…?」
カチューシャ『私はノンナと知り合ってからずーっと一緒だったわ』
カチューシャ『…だからきっと、ヴェニーシャみたいな考えは他の人も持ってるはずよ』
西「…」
カチューシャ『…でもね、このままだとダメだって思ったのよ』
西「えっ…?」
カチューシャ『私がこのままノンナにワガママを言い続けてノンナに依存しちゃったら』
カチューシャ『ノンナの人生を台無しにしちゃうもの』
西「!!」
カチューシャ『…だから、私はノンナと』
西『ち、違います…!!』
カチューシャ『な、何が違うのよ?!』
西「違うんです………!!!」
カチューシャ『だから何が違うのヴェニーシャ!!』
畜生………言えるわけ無いだろうこんなこと……。
カチューシャさんですら気付かないノンナさんの心の奥底に眠る本当の気持ちを…。
私なんかが言えるわけがない………
誰にも言うことが出来なかった
誰よりも愛する人にすら伝えられず気付かれないものを
私なんかが言えるわけ無い………。
言ったら今度こそノンナさんが壊れちまう…
「~~から聞いたわよ」じゃ駄目なんだ…
何十にも重なった装甲こじ開けて見つけないと駄目なんだよ………
175: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 13:54:28.38 ID:9R9XbWYA0
西「っぐぅぅぅぅ………!!!」
カチューシャ『ち、ちょっと! 急にどうしたのよキヌーシャ!?』
西「お願いです……カチューシャさん…!!」
カチューシャ『な、何をどうお願いされればいいのよっ?!』
西「………ノンナさんを…………お願いします………」
カチューシャ『………………わかったわ』
西「…えっ……?」
カチューシャ『…前に言ったけれど、あなたとノンナって似てるところがあるじゃない?』
西「……どうでしょう…私にはわかりません…」
カチューシャ『似てるわよ。そんなあなたが言うのだから、きっとノンナも悩んでいるに違いないわ』
西「…!」
カチューシャ『ねぇ、ヴェニーシャ…』
西「はい…」
カチューシャ『私は、まだ…ノンナと一緒にいてもいいの?』
西「もちろんです………!!」
カチューシャ『わかったわ』
西「!!!」
176: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 14:07:55.90 ID:9R9XbWYA0
カチューシャ『…それと、ヴェニーシャ、あなたも無理しちゃダメよ?』
西「私は…」
カチューシャ『このカチューシャ様にウソをつくつもりかしら? あなたがヘトヘトだなんてのは電話越しでもわかるんだからねっ!』
西「う…」
カチューシャ『何に困ってるのかわからないけど、自分でどうにもならない事なら誰かを頼りなさい』
西「誰か…?」
カチューシャ『そうね…あなたの場合、大人にでも頼ってみたたらどうかしら?』
西「大人…?」
カチューシャ『ええ。あなたが悩むほどなんだから、そんじょそこらの人じゃ解決できないような事でしょ?』
西「…そうかもしれません」
カチューシャ『そうに決まってるわよ! いーい? ガマンは身体に毒なんだから! あなたも8時までには布団に入って休みなさい!』
西「わかりました」
カチューシャ『わかれば良いのよ。また何かあったらこのカチューシャ様に相談なさい!』
西「はい。ありがとうございます」
カチューシャ『それじゃぁね。ヴェニーシャ…』
カチューシャ『いいえ、キヌーシャ』
177: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 14:12:55.47 ID:9R9XbWYA0
西「えっ…!」
カチューシャ『言ったでしょう? カチューシャにはお見通しなんだから! あなたが西絹代であることもね!』
西「な、何故…?!」
カチューシャ『何度も言ったじゃない。あなたとノンナって似てるところがあるって』
西「で、ですが…」
カチューシャ『ノンナのことは誰よりも知ってるつもりよ? だからノンナにソックリなあなたの事が私にわからないわけ無いでしょ!』
西「!」
カチューシャ『…まぁ、何であんなことやってたのかは知らないけど』
西「…さ……さすがです…」
カチューシャ『…私はね、それだけノンナのことを見ているのよ』
西「ええ…」
カチューシャ『そういうことよ。じゃぁね。ピロシキ~』
…凄い。
いくら私とノンナさんの言動に何処かしらに似通ったものがあったとして、そこから私の正体まで読み取るなんて無理だ。
何故ならアッサムさんもGI6も、"私と似てる"と言うノンナさんですら最初は私が西絹代だなんて知らなかったのに…。
ノンナさんの本心が理解できた私でもそんなこと出来る自信がない。
本当に、家族のように常に一緒にいた人でないと見つけることが出来ない何かをカチューシャさんは見つめていたのかもしれない…。
なんだかちょっと悔しい。
そんな、戦車道仲間で"唯一"私の正体を見破ったカチューシャさんが、私に『大人に相談しろ』と言うのだ。
なーんだそんなことか。と一蹴するには早計だ。
だけど…頼れる大人なんて私には…………。
178: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 14:13:36.74 ID:9R9XbWYA0
………ああ、いたか。
179: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 14:15:02.62 ID:9R9XbWYA0
【数日後 とあるお座敷】
西「お忙しい中、お集まり頂き感謝致します」
「………」
「あなたの方からお誘いがあるからちょっと驚いたけど、説明して下さるかしら?」
西「…何からお話致しましょうか? 家元様」
千代「聞きたいことは山ほどあるわね。…突然、私を呼び出したこと。隣に西住流の家元さんがいらっしゃること」
千代「あなたの姿形が豹変したこと。何が原因でそんなに冷たい目をしてしまったか。ということ」
しほ「…」
入院中に貰った連絡先から西住流、島田流の家元様を呼び寄せた。
まさかこんな形でお二人と再会するとは思わなかった。
あの時は両家元の威圧感に怯えていたが、今はそんなことはどうでも良い。
180: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 14:16:33.48 ID:9R9XbWYA0
西「西住様には先日、お話をさせて頂いたのですが…」
千代「あら。私は仲間はずれ? 寂しいわねぇ?」
しほ「茶々を入れるな」
西「申し訳ありません。…それで、話というのは」
私は、以前西住様に話した内容を島田様にも話した。
西「………以上です」
千代「あなた、なかなか面白いことを企んでいたのね?」
しほ「…それで、我々をここに呼んだという事は、もはや自分の手には負えないと判断したからということ?」
西「ええ。正直な話」
181: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 14:17:11.10 ID:9R9XbWYA0
西「正直な話、聖グロリアーナ女学院のOGを一人残さずぶち殺したい気持ちで一杯です」
182: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 14:24:33.39 ID:9R9XbWYA0
しほ「っ!」
千代「あらあら怖い」フフッ
西「あはははは…」
しほ「やめなさい! いくら何でも度を超えているっ!!」
千代「…!」
西「………」
千代「…あなた、一体を…?」
西「これまでも嫌なこと、辛いことは何度か体験しました。…しかし…」
西「大真面目に人を"殺したい"とまで至ったのはこれが初めてです…」
しほ「…ッ!」
千代「…」
西「………最善と思わしき策は全て出し尽くした。にも関わらず私は失敗した」
西「私の憎んだ連中はまた闇の中に消えていった」
西「…だったら、OGと呼ぶべきOGすべて一人残らず片っ端から消し去ってしまえばいい………」
西「この件に関わっているOGは勿論、この件について黙認している奴、見て見ぬ振りを通す奴も皆同罪だ………」
しほ「落ち着きなさい! そんなことが許されると思っているの?!」
千代「…」
西「…ただ、それを防ぎたいから、他に良い方法がないか、こうやって家元様に相談をした次第です」
しほ「…」
西「…けれど、無いというのなら………もう仕方ない………」
西「屑は屑が責任を持って処刑する…それだけのことです」
183: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 14:27:52.65 ID:9R9XbWYA0
しほ「…あなたは、自ら邪道になろうって言うの?」
西「私はもうずっと前から邪道ですよ…それ以外であったことなどありません」
しほ「馬鹿をおっしゃい!」
千代「…」
西「誰よりも邪道を嫌う西住様なら、人がどんな時に邪道になるかは、おわかり頂けるかと思います」
しほ「…もう一度、説明しなさい」
西「いくらでも致しましょう」
引き続き、両家元様にあれからの事を話した。
一年生のオレンジペコがOG会に弱みを握られ、"内通者"とならざるを得なかったこと。
もしも約束を反故すれば、彼女の家庭が崩壊するということ。
そして、裏切り者の女がやってきて、捕縛することに成功したが、そいつは捨て駒で、主犯は別にいるということ。
私はここまでということ…。
184: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 14:30:18.59 ID:9R9XbWYA0
しほ・千代「…………」
西「大人って、本当に汚いですよね? 気に食わなければ権力だの金だのを使ってその人を潰す」
西「そして抵抗手段を持たない者の弱みを握り、その邪道の片棒を握らせる」
しほ「…」
西「本当に、超一流の邪道ですよね。一回りして尊敬に値するほどですよ。あはははははは」
千代「まるで、私達は"共犯者"だと言わんばかりね?」
西「お二人はそうでないと私は信じています」
千代「だけど、あなたの目、"お前も同類だろう"と言ってるわよ?」
西「もしそうだとしたら、視線ではなく、"別のものを"刺してたかもしれません」
千代「あら怖い」
185: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 14:33:39.27 ID:9R9XbWYA0
西「…連中は私の大切な人を葬った」
西「私が可愛がった後輩まで利用した」
西「これが、かつて同じ学校に所属した"先輩"が、後輩たちにすべき行為なのでしょうかね?」
しほ・千代「…」
西「私は、真の邪道を目の当たりにしました」
西「そして、その邪道には王道は通用しない…」
西「だから、邪道には邪道で対処すべきと」
西「ダージリンを守れるのなら…………仲間がまっとうな道を歩めるのならば………」
西「私はもう邪道で構わないッ!!!」
傷つくのが怖かった。
傷つけるのが怖かった。
でも、私の知らないところで私のせいで誰かが傷つく。
そして誰かが奈落の底に落ちていく。
どう足掻いたってそれだけは変えられない。
だったら、私が邪道と呼ぶ邪道を片っ端から潰していけばいい。
同じ邪道として。
たった、それだけのことだ。
186: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 14:36:02.16 ID:9R9XbWYA0
しほ「………わかったわ」
西「…」
千代「そんな話だろうと思ったから、"お客様"をお呼びしておいた」
西「………お客さん?」
しほ「ええ」
千代「約束なさい」
西「…約束?」
千代「いかなる理由であれ、"お客様には牙を剥かない"と」
西「…?」
千代「聞こえた?」
西「…一体、誰なんです?」
千代「OG会よ」
187: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 14:40:17.33 ID:9R9XbWYA0
西「き、貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
しほ「待ちなさい!!」
西「!! …は、離せっ!!!」
しほ「わからないの?! これまでのやり取りを経てここにOGを呼ぶという理由が!」
西「ぐっ………!」
千代「そうよ。お話は最後まで聞きなさい。学校で教わらなかったのかしら?」
西「なんで………あんたまで……!!」
千代「あなたが憎んでいるのはOG会の"裏切り者"でしょう?」
西「っ…!!」
しほ「OG会とはいえ、その方々はあなたが考えるような邪道ではない」
しほ「私や島田流も大変世話になった人たち。いわば…"恩師"よ」
西「…恩師………?」
千代「誓うわ。この方達はあなたの敵ではないと」
西「…」
千代「だから、あなたも誓いなさいな。無礼な真似はしないと」
西「………」
千代「聞こえたかしら?」
西「………わかりました」
千代「そう。………お待たせ致しました。どうぞお入りください」
188: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 14:46:53.80 ID:9R9XbWYA0
襖が開き、三名の和服姿の女性たちが座敷へ入ってきた。
いずれも、古稀は超えているであろう年配の女性だ。
OG会に対して私がイメージしていた、"お嬢様"や"玉の輿"といったものとは程遠く、老いてなお家元様たちのような鋭い目を残す人たちだった…。
その方たちが入ると同時に家元様たちは深々と一礼をする。
合わせて私も形だけの一礼をしてやった。
189: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 14:49:38.15 ID:9R9XbWYA0
しほ「お久しぶりです」
「大きくなったね。家元さんはまだ元気でやっているかい?」
しほ「ええ。母は今も元気です。先日、西住流の次期家元として襲名を致しました」
「そう。もうそんな年になったのだね」
しほ「これも偏に先生方のご指導ご鞭撻の賜物です。厚く御礼申し上げます」
「…それで、そちらのお嬢さんは?」
しほ「ご紹介が遅れました。知波単学園の隊長を務める、西です」
西「…西絹代と申します。本日はお忙しい中、お越し頂き誠に有難うございます」
「そうかい。あなたがあの西さんねぇ…」
「貴女の噂は私達にも届いているよ。他校ながら大変立派な方だと」
西「とんでもございません。姿を偽りあなた方の母校へ潜り込んだ破落戸です」
「ご謙遜を。話は聞かせてもらったよ」
西「恐縮です。…」
しほ「紹介します。左から、」
しほ「マチルダ会、クルセイダー会、チャーチル会、会長です」
西「なッ!!?」
千代「…ふふ」
190: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 14:52:35.31 ID:9R9XbWYA0
マチルダ会「驚いたかね?」
西「ええ…。OG会の方がいらっしゃるとはお聞きましたが、まさか会長が来て下さるとは…」
チャーチル会「なにせ教え子が来いと煩いものだからね」
千代「無理を言って申し訳ありません。"教え子"の頼みでして」
西「う………」
チャーチル会「我々の母校の危機と来たものだからね」
千代「恐縮です」
マチルダ会「にしても他校の生徒が聖グロリアーナの生徒に扮して活動をするとはね…」
西「こ、これら一連の行動は聖グロリアーナは一切関係なく、私個人の行動です…!」
西「ですので、全ての責任は…」
マチルダ会「…そうかい」
西「…」
マチルダ会「…ありがとうね」
191: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 14:54:28.27 ID:9R9XbWYA0
西「えっ…………?」
マチルダ会「いいや、"申し訳なかった"と言うべきか…」
マチルダ会「他校の生徒であるにも関わらず、聖グロリアーナの為に、心身を擦り減らす事をさせてしまって」
西「…」
チャーチル会「本来ならば、我々がすべきことなのに、申し訳ないね」
西「…」
クルセイダー会「心からお詫びをするよ」
会長たちは言い終わると、私に頭を下げた。
聖グロの生徒たちが畏敬の念を払うOG会の会長たちが他校である私なんかに…
私はそれに対し、どう返答すればいいか迷った…。
西「ど、どうか…頭を上げてください…!」
西「若輩者の私の考えに共感頂けるのであれば…私が皆様に何をお願いしたいかもお分かり頂けることと存じます……」
西「ダージリンさんの復学、生徒へ脅迫するOGの処分、そして…」
マチルダ会「それは出来ない」
192: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 14:57:07.82 ID:9R9XbWYA0
西「な、何故ですッ!?」
マチルダ会「旧隊長の更迭は、OG会の満場一致によるもの」
マチルダ会「一度決定したものを覆す行為は、学園および会への不満と混乱を招く」
西「…」
チャーチル会「彼女のやってきた行為は、我々の流儀に反するもの」
チャーチル会「その結果、会の人間の反感を買った」
チャーチル会「己を律せず、責任から目を背けた者への当然の報い」
西「………その、行為とは?」
クルセイダー会「反社会的な人物との接触」
クルセイダー会「および、成績不振による、聖グロリアーナの社会的地位の喪失」
西「…その反社会的な人物の名前は?」
クルセイダー会「その者の名前は聞いていないが、相当な荒くれ者だと聞く」
西「………。では、その判断を固めたのはいつ頃でしょう?」
チャーチル会「あなたがた知波単学園との試合が終わって一週間ほどが経過した頃でしょう」
西「そうですか…」
西「ダージリンさんが接触した反社会的な人物というのは、私、西絹代でございます」
三会派「…」
193: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 14:59:17.96 ID:9R9XbWYA0
チャーチル会「…それはどういうことかね?」
西「ダージリンさんは、私の敢闘を讃えて下さり、私が試合で負傷し入院した後も献身的に私を支えて下さった…」
西「いえ、私が入院する以前より、ダージリンさんは私に多くのことを教えて下さった!」
チャーチル会「…」
西「また、私が入院している間、OGの方がいらっしゃって仰りました」
― クルセイダー会はあなたを聖グロの"脅威"と言い
― また、チャーチル会は聖グロの"好敵手"と言い
― そしてマチルダ会は"騎士道精神に則り西絹代の思想を戦車道に取り組むべき"なんて言い出す程
西「如何なる理由かは存じませぬが、OG会の皆様は私をこの様に高く評価して下さっているとのことです…」
西「しかし、これら身分不相応な評価は、ダージリンさんがいなければ、まず起き得なかったものです」
西「つまり、私だけでなく、ダージリンさんの評価でもあります。いえ、ダージリンさんの評価そのものです…!!!!」
三会派「…」
マチルダ会「………そうかい。あの子がね………」
194: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 15:00:29.68 ID:9R9XbWYA0
西「!」
マチルダ会「どうやら、もう一度、あの子と話をしないといけないみたいです」
西「!!! …で、でしたら、ここにお呼びしましょうか? そのOGの方と一緒に!」
マチルダ会「出来るのかい?」
西「誤解を解消出来るのなら喜んでお呼びしましょう!」
一旦席を外し、ダージリンとアールグレイさんに電話をかけ、今すぐ来るようにと伝えた。
案の定ふたりとも「すぐには無理だ」と即答する。各々スケジュールがあるのだろう。
しかし、「OG会の会長と話をしている」と言ったら血相を変えて「すぐに行く!!」と言った。
…聖グロにとってOG会の会長というのはそれほどまで凄い存在なのか。
195: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 15:02:46.26 ID:9R9XbWYA0
【店の外】
一体どこで何をしていたのか知らないが、30分足らずで二人は飛んで来た。
ダージリンはアールグレイさんに同行する形で合流したらしい。
そして、ふたりとも露骨に顔に焦りが出ている。
ダージリンはともかく、あのアールグレイさんがこんなに焦るなんて…。
西「お待ちしておりました」
アールグレイ「……電話の話は本当なんでしょうね? 嘘だったら許さないわよ?」
西「OG会・会長の皆様を前に嘘などつけないですよ」
アールグレイ「み、皆様って…?!」
西「マチルダ会、クルセイダー会、チャーチル会のそれぞれの会長様ですよ?」
アールグレイ「なんですって!?」
ダージリン「あ、あなた…一体何をしでかしたの…!?」
西「とにかく、お待たせしているので、続きは中で」
アールグレイ「い、胃が痛くなってきたわ…」
ダージリン「私もですの…あぁ…こんな事になるなんて………」
アールグレイさんもダージリンも相当おろおろしている。
~~~
196: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 15:05:30.35 ID:9R9XbWYA0
西「大変お待たせ致しました」フカブカ
アールグレイ「お忙しい中、お時間頂き有難うございます。聖グロリアーナ女学院・先々代隊長のアールグレイこと-----と申します」
ダージリン「元・聖グロリアーナ女学院・隊長のダージリンこと-----です」
二人とも大ポカをやらかして取引先に謝罪する営業マンみたいにカチカチになって挨拶をなさっている。
まるで入院中にやってきた家元様たちに萎縮していた私のように。
…二人とも本名を名乗ったが聞き取れなかった。
マチルダ会「来て早々悪いけど、本題に入ります」
アールグレイ・ダージリン「はい…!」
マチルダ会「先程、知波単学園の絹代さんよりお話を伺った」
マチルダ会「そして、我々OG会は考えを改める必要性が浮上した」
ダージリン「!!」
アールグレイ「それは…」
チャーチル会「我々OG会には、ダージリンは反社会的勢力との接触をした」
ダージリン「っ…!!」
チャーチル会「それに伴い、成績不振に陥り、聖グロリアーナの者として不適格だと」
チャーチル会「…そのような情報が流れ、明確な調査をすることなく退学という措置を取った」
197: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 15:08:35.53 ID:9R9XbWYA0
ダージリン「………」
マチルダ会「…しかし、絹代さんよりお話をお伺いしたところ、どうやらそれは違うということです」
マチルダ会「故に、我々はもう一度、あなたに話を聞こうと思った」
ダージリン「釈明の機会を与えて下さったこと、心より感謝致します…!」
ダージリンはこれまで受けてきた仕打ちを涙混じりに説明した。
ありもしない風説をでっち上げられた挙句、それを根拠に強制退学させられたこと。
ダージリンが語るたびにあの日の光景が浮かび上がる。
隊長を降格された
それどころか退学させられた
いわれのない屈辱を受けた
頭の中が真っ白になった
怒りのあまり頭がおかしくなってしまった
そして………。
私は泣くのを必死に堪らえようとしたが、無駄だった。
ダージリンが涙を流せば私も流す。
ダージリンが語れば私もその状況を鮮明に思い出す。
俯いて歯を食いしばるのが精一杯だった。
198: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 15:11:11.42 ID:9R9XbWYA0
ダージリン「………以上です」
三会派「………」
クルセイダー会「絹代さん、そして、アールグレイ」
アールグレイ「はい」
西「何でしょう…?」
クルセイダー会「今の話、事実ですか?」
アールグレイ「間違いありません」
西「…ダージリンさんの…仰る通りです……」
クルセイダー会「そうかい」
アールグレイ「…この件について、私の見識を述べても宜しいでしょうか?」
マチルダ会「どうぞ」
アールグレイ「今回の件、意図的に"学園の衰退"を目論む者の行動と当方は判断しました」
アールグレイ「組織規模までは特定出来ませんでしたが、OG会に潜む反体制派による、学院の内部崩壊を目的とした破壊工作が行われています」
チャーチル会「その子の退学が、工作とやらの一つと?」
アールグレイ「はい。現在の聖グロにおいて、最も優秀な生徒であるダージリンを追放することで、統制および秩序の崩壊を謀ったものと判断」
西「………」
199: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 15:14:52.69 ID:9R9XbWYA0
チャーチル会「…それで、あなたは他校の生徒に"偽装"をさせて、それを調査するよう命じたと?」
アールグレイ「それは…」
西「私が自らの意志で、"ヴェニフーキ"と名乗り、生徒として調査を致しました」
西「確かに、アールグレイさんによる提案ですが、それに私は首を横に振ることも出来ました」
西「…ですが、私は今回の件について、"恩人"を最大級に侮辱する行為に対し、見て見ぬふりは出来ず、諸手を挙げて賛同、協力させて頂いた次第です」
三会派「…」
西「そして、私が"ヴェニフーキ"として掴んだ情報として、その反体制派と連絡を取り合う"内通者"および、その加担者と思われる人物の特定が出来ました」
ダージリン「!!」
マチルダ会「その生徒は?」
西「チャーチル歩兵戦車、つまり隊長車に乗る1年生です」
ダージリン「!! …うそ…どうしてペコが!! どうしてっ!!?」
そっか。まだダージリンには何も言ってたなかったね…。
200: 訂正 ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 15:15:46.99 ID:9R9XbWYA0
>>199
☓ そっか。まだダージリンには何も言ってたなかったね…。
○ そっか。まだダージリンには何も言ってなかったね…。
☓ そっか。まだダージリンには何も言ってたなかったね…。
○ そっか。まだダージリンには何も言ってなかったね…。
201: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 15:24:11.12 ID:9R9XbWYA0
西「ただし!!」
ダージリン「ぅ…!」
西「彼女が内通者として、反・聖グロ派と共謀したのには事情があります」
西「それは、彼女が"裏切れば父親の会社を潰す"と脅迫されていたからです」
西「つまり、彼女は否応なしに反体制派に従わざるを得なかった」
ダージリン「絹代さん!! それ本当なの!? ペコは違うの!!?」
アールグレイ「落ち着きなさいダージリン!」
ダージリン「っ…!」
西「これは彼女の本意ではありません。家族を人質にされたがために、絶対服従を余儀なくされていました…」
西「他の生徒に疑われぬよう、平静を保ち続けることを強制され…」
西「誰かに悟られることなく、心で泣きながら生きてた…」
202: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 15:29:03.25 ID:9R9XbWYA0
アールグレイ「彼女の功績により、内通者および、連絡係の正体が判明し、うち連絡係は逮捕されました」
アールグレイ「…しかし、連絡係は聖グロリアーナおよびOGとは一切の関連のない者で、恐らく金銭で雇われた者と判断しました」
アールグレイ「これによって、主犯と思われる反体制派が再び雲隠れしてしまいました」
アールグレイ「…そこで、各会派の会長様の権限で、本件が完全な冤罪であることの証明」
アールグレイ「および、OG会の中に潜み我が校の腐敗を目論む反体制派の特定・逮捕のためにご協力頂きたいのです…!」
三会派「………」
長い沈黙だった。
時間としてはほんの数秒の間だったかもしれないけれど、私、いや私達にとっては一生ともいえるくらい、長く感じた。
203: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 15:29:47.35 ID:9R9XbWYA0
チャーチル会「わかりました」
「…!」
チャーチル会「ダージリン退学の撤回と復学を」
クルセイダー「私もその意に賛同しよう」
マチルダ会「同じく。これで満場一致」
204: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 15:34:51.08 ID:9R9XbWYA0
私の役目は終わった……今度こそ、本当に………。
205: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 15:36:24.73 ID:9R9XbWYA0
西「っ!!!」
西「あ…あぁぁ………」
西「ありがとうございます!! ありがとうございますッッッ!!!!!」
ダージリン「わ…私は…また聖グロに…戻れるのですか…………?」
チャーチル会「ええ。いつでも帰って来ると良い」
マチルダ会「済まなかったね。我々が至らなかったせいで」
ダージリン「…ありがとうございます……っ………っっ……ぅぅぅ………」
西「…ありがどうございまず……ありがどうございまず……………」
アールグレイ「会長皆様の…良識ある判断、心より…感謝いたします…!」
ダージリンの退学はOG三会派会長の満場一致によってここに撤回された。
頭がおかしくなりそうだ。いや、もう頭がおかしくなってもいい。
やっと私の、私達の苦労はここに報われた………。
涙と鼻水でグチャグチャになりながら、OGの長たちにこれ以上はないというくらいの感謝の意を伝えた。
206: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 15:40:40.75 ID:9R9XbWYA0
チャーチル会「おやおや。皆して泣くとは」
アールグレイ「申し訳ありません……ようやく私達の……結果が実を結んだもので………」
クルセイダー会「辛い思いをさせてすまなかったね…」
マチルダ会「アールグレイ、あんたは歴代隊長の中でも群を抜いて優秀だった」
アールグレイ「身に余るお言葉です……!」
マチルダ会「あなたの育てた後輩、ダージリンもまた優秀だ」
チャーチル会「そしてその後輩、ダージリンが助けたという絹代さんもまた」
チャーチル会「意思は受け継がれるものだね」
ダージリン「ありがとうございます。本当に、ありがとうございます……!」
クルセイダー会「私の孫も操縦手をやってるが、何しろぐうたらでねぇ。あんたたちの爪の垢を煎じて飲ませたいくらいだよ」
チャーチル会「あんたのお孫さんも聖グロリアーナへ入れてあげれば良かったのに」
クルセイダー会「冗談じゃないよ。私の頃と違って今は学費がべらぼうに高すぎる。それにあの子は今の学校で楽しくやっている」
クルセイダー会「そうかい。そりゃ良い事だ」
~~~~
207: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 15:44:30.15 ID:9R9XbWYA0
千代「本日は貴重なお時間を頂き、誠に有難うございました」
島田様の挨拶に合わせて一同が深く礼をする。
まさか、今日だけで問題が解決するとは思わなかった。
あのOG会のトップ三名が同じ場所に集まり、私のような小娘相手に交渉の場を提供してくれて
そして、満場一致でダージリンの退学の撤回、そして復学を約束してくれた…!
◆3 エピローグ
208: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 15:56:17.39 ID:9R9XbWYA0
千代「これで満足してくれたかしら?」
西「ええ。ありがとうございます。…しかし」
千代「ん?」
西「なぜ会長様をお招きしたのでしょう?」
千代「どういうことかしら?」
西「私が家元様たちと対面するまで、何を話すかは知らなかったはずですよね?」
西「ひょっとしたら世間話でもするつもりだったかもしれないですし」
千代「世間話の為にあなたが私達を呼び出すとは思えないわ」
西「…。そんな中で、家元様達は私がこれから何をやるか"知っていた"かのように、会長様たちを呼んだ」
しほ「あなたのやろうとすることは、前回会った時にはすでに予期出来ていた」
しほ「聖グロのOGとて馬鹿の集まりではない。卒業後も戦車道や多方面にかけて経験を積んでる人たちよ」
千代「ええ。そんなものをたかだか10年ちょっと生きた子が単身で出来ることなんてせいぜい知れてるわ」
西「ぐっ……」
しほ「これしきの予期が出来ないのであれば、家元を語る資格など無いわよ?」
しほ「それに…」
しほ「邪道に染まる者がいれば、それを叩き直すのが王道の流儀」
209: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 15:58:05.67 ID:9R9XbWYA0
西「!!!」
千代「王道からでも邪道を阻止することは可能なのよ? …西住流が王道かはさておいてね」
しほ「余計なお世話よ」
千代「だからあなたも目指すなら"王道だけ"をただひたすらに目指しなさいな」
西「ですが…私は…」
千代「邪道と戦うために邪道になった、とでも言うのなら」
千代「邪道と戦えさえすれば王道でも何ら問題ない。…違うかしら?」
210: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:00:04.80 ID:9R9XbWYA0
西「!!!」
しほ「先日、西住流に一人、門下生が来ました。…その者曰く」
しほ「"邪道になりかかってるヤツをどうにかしたい"」
しほ「…という理由で」
西「………」
千代「西住流にしては素敵な話ね」
しほ「"にしては"は余分だ」
千代「ふふふ。その子が西住流なら、あなたはウチに来たらどうかしら?」
千代「どちら邪道でどちらが王道かを知るいい機会よ?」フフッ
西「は、はぁ……」
そしてまたバチバチと火花を散らす家元様たち。仲がいいのか悪いのか…。
"王道からでも邪道は助けられる"…か。
実際に私は"王道"の家元様たちに救われた。
二人は王道が邪道を助けることが可能だと私の前で証明して下さった。
私はまた、王道を目指せるのかな…?
211: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:02:12.30 ID:9R9XbWYA0
西「ところで、OG会の会長様とはどういったご関係で?」
千代「先生よ」
西「先生?」
しほ「私や島田がまだ"見習い"だった頃に多くのことを教えて下さった」
西「そうなんですか…」
千代「流派を受け継ぐ者は、優秀な選手というだけでは務まらないわ」
千代「人の上に立つ者の心得、人脈、色んなことを教えて下さったわね」
しほ「聖グロの生徒にとっては神のような存在であると同時に、私達にとってもまた神様のような存在だった…」
西「そうなんですね…」
私たち学生が西住流や島田流を師と仰ぐように、家元様たちもまた会長様たちを仰いでおられたのかもしれない…。
そうして、次の世代にその意志を引き継いでいく。
~~~
212: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:08:54.71 ID:9R9XbWYA0
アールグレイ「…あなた、すごいわね」
西「え?」
ダージリン「会長様は、聖グロの生徒にとって女王様のような存在なのよ?」
西「聖グロどころか、戦車乗りにとって神様と言っても良いかもしれません」
アールグレイ「ええ。…寿命が縮みそうだったわ」
聖グロのOG会・会長は家元様たちも拝むほどの存在だった。
しかし、それはOG会の会長たちだけなのだろうか?
もしかしたら他にも我々戦車乗りにとって神様のような存在がいるのかもしれないな。
…たとえば知波単学園の卒業生にも?
西「まぁ確かに…威圧感は家元様より凄かったですけど…」
西「あの方々は、弱みを握ったり、権力を行使して誰かを葬るような邪な真似はしないでしょう」
西「私たちの主張を苦言を申すことなく受け入れて下さった事が何よりの証拠です」
アールグレイ「あの方々は西住流や島田流以上に己に厳格な人たちですもの」
西「ええ。私が想像していた"薄汚いOG会"とは違うんだなって…」
西「だから私は、こんな私でも、腹を割って話す事が出来たんだと思います」
アールグレイ「失礼ね。薄汚いのは反体制派だけよ。それ以外のOG会は高貴で優雅な騎士道精神を尊ぶ方々よ」
西「…」ジトッ
アールグレイ「…なによ」
西「なんでもありません」
ダージリン「あなた、どんどん肝が太くなっていくわね…」
アールグレイ「全くよ。肝だけでなく態度もデカくなってきてるわ」
西「あはは…」
213: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:10:47.45 ID:9R9XbWYA0
ダージリン「それにしても、会長様だけでなく、西住流や島田流の家元とも交流があるのって、あなたくらいじゃないかしら?」
アールグレイ「ええ。まったく羨ましい人脈ですこと」
西「実を言うと、そこがちょっと怖いんですよね…」
ダージリン「怖い…?」
西「前にも話しましたが、私がやってきた事といえば下衆なことばかり」
ダージリン「…」
西「…にも関わらず、家元様や会長様はどういうわけか私を高く評価して下さる。本当なら汚物を見るような視線を受けてもおかしくないのに…」
アールグレイ「簡単なことよ」
西「ん?」
アールグレイ「あなたは自分のことを邪道邪道って言うけれど」
アールグレイ「結局邪道に染まることなく、迷いつつも王道への道を目指してただけ」
西「…」
アールグレイ「あなたは本当の邪道を知っているでしょう?」
西「ええ、まあ…」
アールグレイ「あんなのに比べたら、あなたのやってる事なんて邪道の"じゃ"の字ですらない」
西「そうですかね…」
アールグレイ「ええ、そうよ」
ダージリン「あなたが邪道になろうなんて寝ぼけたことを言うのなら、私が止めるわ」
西「ダージリン…」
214: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:12:51.73 ID:9R9XbWYA0
アールグレイ「ひとまず、帰りましょう?」
西「どちらへ?」
アールグレイ「決まってるじゃない。聖グロよ?」
ダージリン「…」
アールグレイ「あなたもよ? ダージリン」
ダージリン「えっ、私も…!?」
アールグレイ「はい、これ」
[聖グロリアーナ女学院 制服]
西「いつの間に?」
アールグレイ「いつ戻っても良いように」フフッ
ダージリン「ですが私はまだ…」
アールグレイ「何か言われたら"OG会長から同意を得た"と言えば良いわよ」
アールグレイ「それに歯向かうのなら、それこそ"OG会を敵に回すこと"になるわね?」フフッ
ダージリン「そ、そうですわね…!」
アールグレイ「だから私達の学園に戻りましょう」
ダージリン「はい…!」
西「あ、ちょっと待って下さい。ちゃんとヴェニフーキになりますので」ゴソゴソ
アールグレイ「…まるでスーパーマンの変身ね」フフッ
215: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:15:23.11 ID:9R9XbWYA0
【聖グロリアーナ女学院】
オレンジペコ「あっ、ヴェニフーキ様…!」
アッサム「ヴェニフーキ!? 今の今まで何処へ行ってたのですか?!」
ヴェニフーキ「申し訳ございません。少し予定が入っていたもので」
アッサム「警察が押しかけてきたと思えばあなやは消えてしまうし! あなたは一体どこで何をしていたのですか!!」
ヴェニフーキ「お客様をお連れ致しまして」
アッサム「…お客様?」
ダージリン「御機嫌よう。…アッサム」
アッサム「あ…あ…」
アッサム「ダージリンっ!!!」
ダージリン「色々迷惑をかけてごめんなさい。アッサム、そしてペコ…」
オレンジペコ「だ、ダージリン様ぁ………!」
アッサム「だ、ダージリン! よ、よく戻ってきて…ぅぅぅっ…!」
ダージリン「…私は大丈夫よ。泣かないで」クスッ
アッサム「…だ、だって…あなたが…あんなことに……うぅぅぅ…!」
ヴェニフーキ「…」
アッサムさんも急にダージリンがいなくなったせいで、自分に隊長の椅子が回ってきて不安だらけだっただろう。
だから、こうやってダージリンが帰ってきて、その緊張や不安が一気に解けた。
もっともそれは私も同じだけどね。ようやく不安から解消される…。
…っておいこら、私のダージリンにいつまでも抱きついてんじゃない。さっさと離れんかい。
216: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:16:31.78 ID:9R9XbWYA0
オレンジペコ「………」
ダージリン「ペコ」
オレンジペコ「…はい」
ダージリン「ただいま」
オレンジペコ「…おかえりなさい、ダージリン様」
ダージリン「ちゃんと良い子にしてた?」
ヴェニフーキ「…」
オレンジペコ「…ごめんなさい。私は悪い子です…」
オレンジペコ「ダージリン様にどれだけ謝っても許されないことを………」
ダージリン「…ペコ。こんな格言をしっているかしら?」
ダージリン「"イギリスはすべての戦いに敗れるであろう、最後の一戦を除いては。"」
オレンジペコ「チャーチルの言葉…ですよね…」
もう何度も聞いた言葉だ。
そして、その言葉に何度も助けられた。
217: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:18:37.34 ID:9R9XbWYA0
ダージリン「あなたは最後の最後で、本当のことを打ち明けてくれた。そして、そのお蔭で、私はここに戻ることが出来た」
ダージリン「ありがとう。ペコ」
オレンジペコ「だ、ダージリン様ぁ…!」
ダージリン「ふふっ」
アッサムさんに続いてペコまでダージリンに抱きつく。
良かった。ダージリンはチーム皆から愛されている。
少しずつ、歪んだ時間が元に戻っていく。
ヴェニフーキ「……グリーンさんですか?」
アッサム「えっ?」
ヴェニフーキ「先程からずっと誰かに見られているような気が」
アッサム「何のことですの?」
ヴェニフーキ「グリーンさんでなければ、モームさんでしょうか。それともフレミングさんか、ランサムさんか…」
アッサム「…」
アールグレイ「アッサム」
アッサム「げぇっ! アールグレイ様!!?」
アールグレイ「あらあら、"げぇっ!"だなんて随分なご挨拶ね?」
アッサム「え、あ、あの…いえ、これには…」
アールグレイ「わかったから。部下をコソコソさせるのはおやめなさいな?」
アッサム「わ…わかりました。グリーン、ご苦労様です。出て来なさい」
アッサムさんの合図とともに、部長のグリーンさんを先頭にGI6の皆が出て来る。
218: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:20:53.69 ID:9R9XbWYA0
グリーン「お許しを。先日ご乱心なさった事やその後の警察沙汰騒動もありましたので」
ヴェニフーキ「その件はご迷惑をおかけしました。今はもう元通りですのでご安心下さい」
グリーン「まったく。あなたは厄介ですよ本当に…」
ヴェニフーキ「恐縮です…」チラッ
アールグレイ「どうしたのかしら。ヴェニフーキ」
ヴェニフーキ「何でもございません」
アールグレイ「そう」
『本当に聖グロには助平しかいないんだな!』と目で語ってやった。
アールグレイ「私は違うわよ?」
ヴェニフーキ「何のことでしょう?」
アールグレイ「自分の胸に手を当てて確かめなさいな」
ヴェニフーキ「…助平」ボソッ
アールグレイ「あとで覚えてなさい」ニコニコ
グリーン「先代部長までいらしたのですか…」
アールグレイ「ふふ。お久しぶりね」
アールグレイさんに深々と一礼をするGI6の面々。
何かしら関係があるのだろうか?
219: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:22:17.30 ID:9R9XbWYA0
ヴェニフーキ「ダージリン様」ボソッ
ダージリン「なにかしら?」ボソッ
ヴェニフーキ「アールグレイさんとGI6ってどんな関係なんです?」ヒソヒソ
ダージリン「アールグレイ様は元・GI6部長よ」コソコソ
ヴェニフーキ「…そうなんですか。だから助平なんですね」
アールグレイ「聞こえてるわよ。ヴェニフーキ」
ヴェニフーキ「失礼。つい本音が」
アッサム「こ、こらヴェニフーキ! 口を慎みなさい!」
ヴェニフーキ「ところでアッサム様」
アッサム「な、何ですの?」
ヴェニフーキ「グリーン様たちと対面してからというもの、ジャケットの中に変なものを入れられたり、監視されたりしていたのですが…」シレッ
ペコ・アッサム「うっ…」
グリーン「…そ、それは…」
アールグレイ「ええっ!? あなたそんな事していたの?!」
アールグレイさんが大げさな反応をする。
白々しいな。あなたも知ってただろうに…。
220: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:24:04.49 ID:9R9XbWYA0
アッサム「…申し訳ありませんでした」フカブカ
グリーン「これは私の失態です。大変ご迷惑をおかけしました」
ダージリン「ヴェニフーキ、アッサム達を虐めないで頂戴」
ヴェニフーキ「私はアッサム様をはじめ、GI6の皆様に虐められていたわけですが。ねぇモームさん?」
モーム「………」
『ワシに言われても…』って顔をするモームさん。
諸々あって彼女の言いたいことも何となく分かるようになってきた。
…ん? 『"ワシ"なんて言わない』だって?
ダージリン「そう言わないの。アッサム達は死に物狂いで聖グロリアーナを立て直そうとしていたですから」
アッサム「ダージリン…!」
ヴェニフーキ「責めるつもりは一切ありません」
アッサム「…本当ですの?」
ヴェニフーキ「ええ」
アッサムさんもまた、かつてのダージリンと同じように聖グロを守り抜いた一人だ。
それに対して部外者である私は敬意を払えど罵る理由がどこにある。
…ただし盗聴器を仕込もうとしたことは別だ。
あのまま気付かずに自慰でもしてたら大変なことになっていたんだぞ。
221: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:26:28.97 ID:9R9XbWYA0
「ダージリンさーん!」
ダージリン「みほさん…?」
みほ「お久しぶりです!」
ダージリン「御機嫌よう。そして優勝おめでとう。素敵な試合でしたわ」
みほ「えへへ。ありがとうございます」
優花里「ダージリン殿もすっかり体調が良くなったようで安心しました!」
ダージリン「ええ。ご心配をおかけしました」
本当だ。全く心配ばかりかけやがって。この人は。
そう思っていたら背中をツネられた。痛いですやめて下さい。
222: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:31:02.12 ID:9R9XbWYA0
ヴェニフーキ「私が居ない間に試合でもなされてたのですか?」
アッサム「ええ。あなたが居ないおかげで散々でしたわ」
ヴェニフーキ「散々?」
華「僭越ながら、ブラックプリンスを…」
ヴェニフーキ「…」チラッ
[E-100 対空戦車]
ヴェニフーキ「…なるほど」
グリーン「酷い目に遭いました」
ランサム「履帯を外されて動けなくさせられました」
フレミング「アウトレンジからガンガンとぶつけられました」
モーム「…」
『ワシはあんなの狙えん』とモームさんは言う。どうやらGI6の面々はコテンパンに打ちのめされていたようだ。
そりゃそうだよなぁ…。E-100対空戦車に比べたらブラックプリンスなんて屁でもない。こちらの射程距離の外から当たり前のように撃ってくるもんな。
…五十鈴さんが。
大洗の祝賀会はを数日前にやったのは覚えている。
その日のうちに私は聖グロ学園艦から去ったから知らなかったけれど、大洗の学園艦もメンテナンスをするとかで滞在して暇だったそうだ。
だからこうやって練習試合をやっていたらしい。
となると毎日あのデカブツの的になってたのか…。ご愁傷様です。
ヴェニフーキ「情けないですね。GI6なら返り討ちにしてやるべきでしょうに」
GI6「え゛っ…」
グリーン「随分と無茶をおっしゃる…!」
アッサム「あなた鬼ですの?」
ええ、鬼ですよ? 鬼のように何度も狂いましたが?
それはもう人間ここまで怒り狂うことが出来るものかと思うほどに。
本当に人間を超越して鬼か何かに化けてしまうんじゃないかというくらいに。
…西絹代あらため、西"鬼怒"代でございます。
223: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:33:22.89 ID:9R9XbWYA0
ヴェニフーキ「その、五十鈴さん、武部さんは…」
華「沙織さんでしたら向こうで一年生の特訓をされてます」
ヴェニフーキ「そうですか。…その節は本当に申し訳ありません」
華「大丈夫です。元気になりましたので」
ヴェニフーキ「そうだと良いのですが…」
華「復帰は早い方ですから」
みほ「えっ? 沙織さんに何かあったのですか?」
ダージリン「ヴェニフーキ、一体何をしたのかしら?」
アッサム「私も初耳です」
ヴェニフーキ「私の口からお答えすることは出来ません」
ヴェニフーキ「たとえGI6の皆様によって拷問にかけられても」
グリーン「拷問なんてしませんよ…」
ダージリン「そう…」
華「………」
みほ「…」
ヴェニフーキ「武部さんの尊厳を守るためですので、ご了承の程を」
みほ「わかりました」
みほ「西さん」
224: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:39:33.17 ID:9R9XbWYA0
ヴェニフーキ「!」
優花里・華「えっ?」
アッサム「えっ……?」
ヴェニフーキ「…」
アッサム「今、西さんって…?」
みほ「はい。知波単学園の西さん…ですよね?」
ヴェニフーキ「何のことでしょう?」
みほ「あの、黒森峰のエリ…逸見さんから電話がありまして」
ヴェニフーキ「…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
エリカ『そうそう。いい忘れてたわ』
みほ「うん?」
エリカ『聖グロに"ダージリン"が戻ってきたら、ヴェニフーキとかいう邪道の皮、ひん剥いて丸裸にしてやって』
みほ「えっ、どういうこと…?」
エリカ『あいつ、知波単学園の西絹代よ』
みほ「ええええっ!?」
エリカ『良い? この事はゼッタイに内緒よ?』
みほ「う、うん…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
みほ「…って」
ヴェニフーキ「………」
華「それってつまり……!?」
アッサム「えっ…!?」
ダージリン「…」
アールグレイ「…」
西/ヴェニフーキ「今の今まで、黙っていてすみません」
225: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:41:35.92 ID:9R9XbWYA0
アッサム「え…え………うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
優花里「ちょ、ちょっと待って下さいよ! ヴェニフーキ殿が西殿ってどういうことですかぁ!?」
西「言葉通りです。不逞を承知で"ヴェニフーキ"と身分を偽ってた次第であります」
アッサム「そんな…そんな………」
優花里「全然気付きませんでした…」
アールグレイ「…良いのかしら? 白状しちゃって」
西「ええ。OG会の件は一段落ついたので、もう偽る必要は無いかと思います」
アールグレイ「そうね。本当にお疲れ様」
アッサム「う、嘘ですの! あなたが知波単学園の絹代さんだなんて…絶対嘘です!」
ダージリン「本当よ。残念ながら」
西「残念ってどういうことですか…」
アッサム「嘘おっしゃいダージリン! 全然人相が違うじゃないですか!」
西「正体がバレぬようにと必死に己を偽っておりましたので」
アッサム「で、では…あなたが絹代さんである証拠を出しなさい!」
226: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:43:06.73 ID:9R9XbWYA0
西「証拠と言われましても…」
ダージリン「…」コホン
ダージリン「"増援は私たち全部で22輌だって言ったでしょう?"」
西「お…?」
ダージリン「"あなたのところは6輌"」
西「"すみません! 心得違いをしておりましたぁ!"」
全員「!!」
みほ「…確かに西さんです」
優花里「紛うことなき西殿です。…だからこそ今この目の前にある現実が信じがたいですけど」
アッサム「た、確かにこのポカっぷりは絹代さんですの……!」
ダージリン「懐かしいわね」
西「ええ…本当に懐かしいです………」
もうずっと前のことのように思える
大学選抜チームとの戦いの日が私とダージリンとの最初のやりとりだった。
あのやり取りから紆余曲折を経て、ダージリンと現在のような関係に至るのだから運命というものはわからない。
でも、今だけはそんな運命とやらに感謝したい…。
227: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:44:49.76 ID:9R9XbWYA0
オレンジペコ「あの…絹代様…」
西「ん?」
オレンジペコ「その………」
西「ああ…安心して下さい。あの件は何とかなりますから」
オレンジペコ「本当ですか?!」
西「ええ。なにせOG会の会長様と話をつけたのですから」
オレンジペコ「わぁぁ…! ありがとうございます!!」
アッサム「よくそんなホラを…」
ダージリン「本当よ」
アッサム「え」
アールグレイ「ついさっきまで三会の会長様とお話をしてたわよ?」
アッサム「え゛っ!?」
西「あの場には西住様や島田様もいましたね」
みほ「え」
西「色々お世話になりましたので、今度お礼をせねば…」
みほ「い、いいよお礼なんて! お、母さんそういうの大丈夫だからっ!」アセアセ
西「いいえ、家元様には大きな恩があります。これを返さぬと宣う方が邪道というものです」
みほ「そんなことないよ! お母さん鈍感だからそういうの大丈夫だよ!」
西「いえ、西住さんが許しても私は許せません」
みほ「じ、じゃぁ適当にそこら辺にある石ころでも送れば良いと思うよっ!!」
西「ええ…」
みほ「大丈夫大丈夫。お母さん鈍感だからきっと喜んでくれる」
西「でも一目見てヴェニフーキが私だと見破りましたよ?」
みほ「き、きっとカンで言たんだよ!」
西「ええ…」
228: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:45:52.13 ID:9R9XbWYA0
オレンジペコ「絹代様…」
西「はは。その…ごめんなさい。ペコ太郎」
オレンジペコ「えっ…?」
西「あの日からずっと、牙を向けたままでした」
西「…だから、ごめんなさい」
オレンジペコ「………辛かったです」
西「…」
オレンジペコ「絹代様にあんなこと言われるなんて思いもしませんでした…」
西「…」
オレンジペコ「だから……責任取ってください…」
ダージリン「…」
西「私に可能であれば何なりと」
オレンジペコ「そうですね…」
オレンジペコ「肩もみ100万回で許してやりましょう」
229: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:48:14.60 ID:9R9XbWYA0
西「ぐぎっ…足元見やがって…!」グヌヌ
ダージリン「あらペコ。100万回だけで良いの?」
西「なっ、ダージリン!?」
オレンジペコ「うーん…そうですね。では1000万回で」
西「ちょっ! 桁が一つ増えたではないですかっ!!」
オレンジペコ「それだけ私に酷いことをしたんですから」
西「はいぃ?!」
ダージリン「…あなた、一体何をしたのよ?」
オレンジペコ「キズモノにされました」
西「は? はぁぁぁぁ!?」
華「まぁ…武部さんに飽き足らず………」ワナワナ
西「ち、違います! 誤解です誤解ですぞっ!!」
ダージリン「あなた…」ワナワナ
西「ちょっと待って! おいペコ太郎!!」
オレンジペコ「しぃらない」フフッ
ガシッ
西「え? あ、ちょっ!? ダージリン…さん?」
ダージリン「ふふ。キズモノとはどういうことか、私にも理解できるよう、ご説明頂けるかしら?」
230: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:48:48.94 ID:9R9XbWYA0
ダージリン「絹 代 さ ん ?」ギロリ
231: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:51:53.60 ID:9R9XbWYA0
西「た、助けてアッサムさん!!」
アッサム「私は戻って練習の指揮をせねばなりませんので」
西「に、西住さぁん!」
みほ「あはは、私はダージリンさんに一度も勝ったこと無いから…」
西「あーr
アールグレイ「私は卒業生だから」
西「いや関係な
グギリ ゴキッ
西「いだいっ!!! か、関節技はやめ…ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ダージリン「あなたは私が責任持ってキズモノにして差し上げるからご安心なさい」
ゴキッ バキッ!
西「ふぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
アールグレイ「あらあらうふふ。本当に仲が良いのね」
ダージリン「ええ。何しろ一心同体ですので。ねぇ 絹 代 さ ん?」
西「おかしいです! 一心同体なら痛みわかるはずです! これは所謂"でぃーぶい"ですぞ! ダージリン・バイオレンス <ミシッ!> あ゛ぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
みほ「あはは。西さんはきっと尻に敷かれるタイプだね」
優花里「間違いありません」アハハ
華「ヴェニフーキさんの姿であられもないことになってますね」フフフ
オレンジペコ「姿とのギャップが凄いです…」
ギャァァァァァァァァ!!!!
…こうして、私の聖グロでのスパイ大作戦は、ダージリンの復学という形で幕を閉じた。
時間がかかったせいでダージリンが聖グロにいられる時間は少ないけれど、それでも聖グロ生として卒業することが出来て嬉しいとダージリンは言う。
もうすぐクリスマスだなとか考えながらダージリンの関節技に身悶える。
…いつの間にそんなの会得したんだ。そして私を実験台にしないでおくれ…。
232: >>231はミスです忘れて ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 16:53:23.80 ID:9R9XbWYA0
西「た、助けてアッサムさん!!」
アッサム「私は戻って練習の指揮をせねばなりませんので」
西「に、西住さぁん!」
みほ「あはは、私はダージリンさんに一度も勝ったこと無いから…」
西「あーr
アールグレイ「私は卒業生だから」
西「いや関係な
グギリ ゴキッ
西「いだいっ!!! か、関節技はやめ…ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ダージリン「あなたは私が責任持ってキズモノにして差し上げるからご安心なさい」
ゴキッ バキッ!
西「ふぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
アールグレイ「あらあらうふふ。本当に仲が良いのね」
ダージリン「ええ。何しろ一心同体ですので。ねぇ 絹 代 さ ん?」
西「おかしいです! 一心同体なら痛みわかるはずです! これは所謂"でぃーぶい"ですぞ! ダージリン・バイオレンス <ミシッ!> あ゛ぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
みほ「あはは。西さんはきっと尻に敷かれるタイプだね」
優花里「間違いありません」アハハ
華「ヴェニフーキさんの姿であられもないことになってますね」フフフ
オレンジペコ「姿とのギャップが凄いです…」
ギャァァァァァァァァ!!!!
…こうして、私の聖グロでのスパイ大作戦は、ダージリンの復学という形で幕を閉じた。
時間がかかったせいでダージリンが聖グロにいられる時間は少ないけれど、それでも聖グロ生として卒業することが出来て嬉しいとダージリンは言う。
もうすぐクリスマスだなとか考えながらダージリンの関節技に身悶える。
…いつの間にそんなの会得したんだ。そして私を実験台にしないでおくれ…。
233: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 17:08:26.80 ID:9R9XbWYA0
後でわかったことだが、反・聖グロ派は諸々の行為によって全員"逮捕"された。
反・聖グロ派の正体は、聖グロ在籍時には"貴族派"と呼ばれていた富豪のご令嬢たち。
貴族派の連中は聖グロを唯一無二のお嬢様学校にすべく、"賤民の排除"という目的を掲げていた。
確かに聖グロにはローズヒップやルクリリさんといった"庶民"の生徒も多く在籍する。
連中にとってそういった庶民生まれの生徒が目障りだったという。
その中でも特に、貴族でも庶民でもなく、叩き上げで隊長になったダージリンの存在は目の上のたんこぶだったらしい…。
また、アールグレイさんによると、反・聖グロ派はOG会の会費や学園艦の運営資金の一部を横領し、反社会勢力への活動資金に流していた疑いがあり、以前より公安の監視対象だったそうだ…。
それに加え、ダージリンの強制退学、ペコに対する脅迫、様々な余罪があるため、当分戻ってこないらしい。
アールグレイさんはOGの一人でありながら、OG内部に蔓延る汚職を取り締まるため、公安から捜査協力を依頼されていた身とのこと。
お借りした盗聴器など諸々も道具はそういった所から来ている。
彼女もまたOGでありながらOGに送り込まれた諜報員だったわけだ…。
234: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 17:10:20.90 ID:9R9XbWYA0
…まぁ、どうであれダージリンは無事に復学した。
OG会の会長様たちの後ろ盾もあり、このような悲劇は二度と起こらないだろう。
他の聖グロの生徒は誰一人痛手を負うことは無かった。内通者をせざるを得なかったペコも以前と変わらぬように皆と接している。
対して反・聖グロ派連中の作戦は大失敗。一人残らずブタ箱行き。
私の…いいや我々の完全勝利だ。
やつらは私達の手の届かない場所で、微笑みながら私達を葬る邪道だった。
けれども、そんな邪道を私達は地べたを這いずり回りながら反撃の機会を伺っていた
そして来る時、ついに奴らを叩き落とすことに成功した。
それは無人機に抗う対空戦車の如く………。
おしまい。
235: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 17:15:54.42 ID:9R9XbWYA0
…と思ったけど、怒られても良いからおまけ的なこと書こう。
236: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 17:17:00.99 ID:9R9XbWYA0
◆ おまけ その後の西と仲間たち
華「…さて。私達も戻って練習の続きをいたしましょう」
GI6「!!」
アッサム「あの…」
華「はい?」
アッサム「やっぱり…あの"大きいの"を…?」
華「ええ。遠く離れた場所にいる戦車に砲弾を当てるのは凄く気持ち良いですから」ウフフッ
GI6「」
華「それに、"ヴェニフーキさん"が戻られたのですから…ね?」
西「私は疲れたので少々休息を…」
華「"ヴェニフーキさん"無しでは物足りませんわ」
西「…」
華「…」
私たちの仕事は終わったが、私個人の問題はまだ解決していない。
五十鈴さん、やっぱり武部さんの件で。
無理もないよね。武部さんを傷つけたんだから…。
237: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 17:18:52.26 ID:9R9XbWYA0
ヴェニフーキ/西「…わかりました。五十鈴さんがご満足頂けるまでお相手致しましょう」
優花里「…!」
華「…その言葉、お待ちしておりました。ヴェニフーキさん」
優花里「本当に同一人物とは思えない切り替わり様ですね…」
アッサム「未だに信じられませんわ…」
アールグレイ「当たり前よ。あなたやGI6を騙す必要がある以上、中途半端な変装では無意味ですもの?」
アッサム「…見抜けなかった自分が憎らしいですの」
グリーン「さすが前部長。まだまだ勉強不足です」
アールグレイ「ふふっ」
優花里「アールグレイ殿の変装ノウハウがあれば偵察任務も捗りそうです」
みほ「うん。そうだね」
ヴェニフーキ「…」
なかなか怖い会話をしている。
アールグレイさんによる"変装"は聖グロの参謀であるアッサムさんや、偵察・諜報を専門としているGI6までをも騙した。
いや、それどころかナオミさんやノンナさんですら見抜けなかった。私の正体を唯一見抜いたのは西住様とカチューシャさんだけだった…。
それほどまでに"完璧"な変装を、この人はいとも簡単に施した。
西絹代という実在人物をこの世から消し、
その瞬間ヴェニフーキという全く別の人物を生み出したのだから…!
西住さんや優花里さんは笑い話のように語るが、これは当事者からすれば身の毛のよだつ話だ。
OG会よりもアールグレイさんを敵に回す方が危険なのかもしれないと思うほどに………。
238: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 17:19:54.21 ID:9R9XbWYA0
ヴェニフーキ「………」
ダージリン「五十鈴さん」
華「何でしょう?」
ダージリン「この子は無茶をするから本当に倒れてしまいますわ。今はそっとしておいて下さるかしら?」
華「あら…」
ダージリン「ごめんなさいね。この子を七面鳥にするのはまた別の機会に」
華「それは仕方ありません。また次の機会にどうかお手合わせ願います」
ヴェニフーキ「恐縮です。体調が回復したら是非」
ダージリン「私も久々の"帰郷"で疲れてしまいましたわ。お部屋まで案内して下さるかしら?」
ヴェニフーキ「かしこまりました」
ギュッ
「………」
239: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 17:20:29.28 ID:9R9XbWYA0
ヴェニフーキ「…ん?」
「…」
ダージリン「あら?」
「…」
みほ「宇津木さん? どうしたのかな?」
優季「…」
華「宇津木さん…?」
優季「沙織先輩をフって、ペコちゃん弄んで、次はその人ですかぁ?」
240: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 17:21:02.94 ID:9R9XbWYA0
ヴェニフーキ「!!」
ダージリン「………」
オレンジペコ「う、宇津木さん? 私は別に
優季「色んな人をその気にさせておいて…」
ヴェニフーキ「っ…」
ダージリン「…」
優季「私、そのヒト許せない……最っ低…」
みほ「や、やめよう…? 宇津木さ
優季「沙織先輩がどんな気持ちだったのかも知らないでッ!!!」
一同「!!!」
宇津木さんの言う通りだ。
武部さんの想いを踏みにじって、ペコも傷つけた。
それらは私が"最低な人間"であるという烙印を彼女に押させるには十分すぎた。
241: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 17:25:52.30 ID:9R9XbWYA0
ダージリン「あなた、誤解をなさっているわね」
ヴェニフーキ「ダージリン…様?」
優季「な、何ですかぁ…?」
ダージリン「彼女、"ヴェニフーキ"が誰か知ってる?」
優季「誰って…ヴェニフーキさんですよねぇ?」
ダージリン「違います。知波単学園の西絹代さんですの」
優季「はぁ…?」
ダージリン「ヴェニフーキというのは架空の人物でしてよ?」
優季「えっ…?」
西「………」
華「宇津木さん、ダージリンさんの仰ることは事実です」
優季「えっ………?」
みほ「私達も最初、驚きました」
優季「ど、どうして知波単の隊長さんがここにいるんですかぁ?!」
ダージリン「アールグレイ様、宜しいですわね?」
アールグレイ「私は構わないわ」
ダージリン「絹代さんも、もう良いわよね?」
西「ええ…」
ダージリンは宇津木さんや西住さん達に私が姿を偽った理由を打ち明けた。
ダージリン「以上です。この話はどうかご内密に」
優季「そんな………」
ダージリン「信じ難いのは無理もありませんわ」
みほ「………」
優花里「ダージリン殿が退学だなんて…」
アールグレイ「これらはOGの中にいた"裏切り者"たちによる内部崩壊の1つ」
華「でも、今ここにいらっしゃるということは?」
アールグレイ「そして、その"裏切り者"は無事に全員逮捕されました」
オレンジペコ「………」
ダージリン「絹代さんがいなかったら、私はどうなっていたわからなかった………」
優季「…」
みほ「ダージリンさんは…」
優花里「西住殿?」
みほ「ダージリンさんはあの時、私達を助けて下さった。…なのに…」
みほ「私は何もできなかった…って……」
ダージリン「ありがとう。そのお気持だけでも嬉しいですわ」
242: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 17:31:01.06 ID:9R9XbWYA0
優季「あ、あの…」
西「…はい」
優季「ごめんなさい…私……思いっきり勘違いしちゃった……」
西「まぁ…あの様に思われるのは無理もありませんよ」
優季「で、でもぉ…私、西さんに酷いこと言っちゃった…」
西「私が宇津木さんの立場だったとしても、恐らく同じ事をしていでしょう」
優季「ホントですか…?」
西「だから…宇津木さんでしたっけ? あなたの判断は正しいのであります」
西「…あ、ただ、この事はできれば内緒にして頂きたいのです。私だけでなくダージリンも関わってきますので」
みほ「確かに…」
優季「う、うん…!」
華「西さんの功労に免じましょう」
ダージリン「ご理解とご協力、誠に感謝いたします」
本物のスパイにはこんなハッピーエンドなんて訪れたりしない。
スパイは仕事が終わったあともスパイであり続けないといけないから、どれだけ汚れても誰にも正体を明かせない。事情を話すこともできない。
だから私は恵まれている。こうやって事情を打ち明けることができて居場所も残されているのだから。
243: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 17:31:45.49 ID:9R9XbWYA0
西「……あ……れ………?」
ダージリン「っ!! 絹代さん!!」
西「………!」
「っ! 救急車を! 」
…体に…力が……
「き、絹代さん! しっかりして!!」
……………眠い………………
244: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 17:36:12.60 ID:9R9XbWYA0
【数日後 西絹代の病室】
ダージリン「…懐かしいわね」ズズ…
西「………」
ダージリン「あの時もこうやってあなたの横で紅茶を飲んでいたわ」
西「………」
ダージリン「そうしたら、あなたは目を覚めて、そこから始まった………」
西「………」
スッ...
ダージリン「やっぱり、あなたの手はとっても温かい…」
西「………」
ダージリン「願わくば、ずっと握っていたいわね…」
西「………」
ダージリン「お互い、白髪になっても、腰が曲がっても、ずっと…」
西「………」
西「……ぅ…」
245: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 17:40:40.06 ID:9R9XbWYA0
ダージリン「! 絹代さん!」
西「………だーじりん……」
ダージリン「ええ私よ!!」
西「……っ………ぅぅ…………」
ダージリン「ど、どうしたの?! どこか痛いの!?」
西「怖い…夢を………」
ダージリン「! …大丈夫よ。あなたのそばには私がいるから…」
西「ありがと………」
246: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 17:43:50.54 ID:9R9XbWYA0
~~~~
ダージリン「…落ち着いた?」
西「ええ…嫌な夢でしたよ…」
ダージリン「…前にも嫌な夢を見るって言ってたわね…一体どんな夢だったの?」
西「…今までやってきたことが全部夢だったという夢です」
ダージリン「…」
ツネッ
西「いたっ……」
ダージリン「ほら。大丈夫でしょう? あなたがやってきたことは夢なんかじゃないわ。紛れもない事実よ」
西「そう、ですよね…あはは」
ダージリン「そうよ。ご安心あそばせ」
西「…?」
ダージリン「どうしたの?」
西「いえ、何処かで見たことがあるなと思ったら、ここ病院じゃないですか…」
247: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 17:52:34.38 ID:9R9XbWYA0
ダージリン「そうよ。あなたってば急に気絶してそのまま病院送りだったのよ?」
西「あははは…」
ダージリン「まぁ…でも、お医者様によると疲れてただけで身体に異常は無いって言うから安心したわ」
西「恐縮です。またダージリンにご迷惑をおかけしました」
ダージリン「良いわよ。私があなたにしてくれたことに比べたらこんなのお茶の子さいさいですわ」
西「あははは。…懐かしいですね」
ダージリン「そうね…」
西「あの時もこうやって病院のベッドで目がさめたら、横にダージリンがいましたね」
ダージリン「ええ」
西「そして色々ツネられたり叩かれたりして」
ダージリン「あらあら。随分と思い出を美化してくださるわね?」ワキワキ
西「なっ! 病人相手に攻撃は反則ですぞ!!」
ダージリン「それだけ元気があればもう大丈夫ね。何しろ2日も眠りこけていたのだから」
西「えっ…2日も?」
ダージリン「ええ。そうよ」
西「…大洗の皆さんは?」
ダージリン「帰っちゃったわよ?」
西「う…」
ダージリン「う?」
248: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 17:57:14.81 ID:9R9XbWYA0
西「うわぁぁぁぁぁぁん!! 練習試合したかったのにぃぃぃ!!」
ダージリン「あんな身体では練習試合どころか指相撲も無理よ。今はしっかり体を休めることに専念なさい」
西「むぅ…かしこまりでございます…」シクシク
ダージリン「それに、大洗の学園艦は近隣の港に停泊しているから、日程さえ合えばいつだってお誘いできるわ」
西「ほ、本当ですか!?」
ダージリン「ええ。何故かプラウダ高校も近くに浮かんでいたから、またエキシビジョンマッチ戦も出来るんじゃないかしら?」
西「しますします! 是非ともやりましょうぞ!!」
ダージリン「今度はみほさんの足を引っ張らないようにするのよ?」
西「え?」
ダージリン「…何かしら?」
西「ダージリンはまたそっち側なのです?」
ダージリン「…味方がいいの?」
西「はい」
ダージリン「そう。ならば私の足を引っ張らないように頑張って頂戴」
西「ダージリンこそ私の背中撃たないで下さいよ? なにせ先の戦いで」
ツネッ!!
西「あいたぁぁぁぁぁぁぁあぁぁ!!!!!」
ダージリン「一回勝ったぐらいで調子に乗らない!」
西「つぅぅぅ…」ヒリヒリ
ダージリン「全く。こういうお馬鹿なところは今も昔も変わらないのだから…」
西「ダージリンも暴力的なところは」
ダージリン「なにかしら?」
西「ナンデモゴザイマヘン」
249: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:00:44.28 ID:9R9XbWYA0
ダージリン「やれやれですわね。…そろそろ私は行くけど、一人でお留守番出来る?」
西「む。子供扱いしないで下さい」
ダージリン「あなたは手のかかる子供よ。私が責任持ってお世話するから安心して頂戴」
西「むぅ…」
ダージリン「お医者様は目がさめたら退院しても大丈夫って言ってたけれど、無理はしちゃ駄目よ?」
西「え? もう退院しても大丈夫なのですか?」
ダージリン「ええ。もともと疲れが原因なのだから、それが回復すれば明日にでもここを出れるわ」
西「そ、そうですか…」
ダージリン「そうよ。退院したらちゃんと連絡するのよ?」
西「はーい」
250: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:01:51.21 ID:9R9XbWYA0
【翌朝】
プルルルルル プルルルルル
西「…モケ………」zzzz....
プルルルルル プルルルルル
西「……にんにく……とかしちゃだめ……」スピー
プルルルルル プルルルルル
西「…麺に乗っけて……海苔と一緒に………?」パチッ
西「……電話…?」
ピッ
251: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:02:43.53 ID:9R9XbWYA0
『もしもし』
西「…ぁぃ」ネボケー
『…アンタまだ寝てたの?』
西「…?」
『もしもし? 聞いてるの?』
西「……だれ」ポケー
『エリカよ』
西「………ペリカ?」
『エリカよ! エ・リ・カ! 逸見エリカ!!』
西「ケツ見ぃ…?」
エリカ『い・つ・みィ!!!』
西「…もっと静かに話さないと周りの人に迷惑ですよ?」
252: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:03:22.23 ID:9R9XbWYA0
エリカ『いい根性してるわねアンタ…』ワナワナ
西「どうも…」
エリカ『こっちはアンタの茶番に付き合っているほど暇じゃないわよ』
西「それで、どういったご用件で…?」
エリカ『何処かに遊びに行くわよ』
西(………暇じゃん)
:||― ・・・・・
253: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:05:07.96 ID:9R9XbWYA0
【街】
西「珍しいですね。逸見さんからお誘いがくるなんて」
エリカ「いけなかったかしら?」
西「悪いとは一言も言ってませんよ?」
エリカ「…」
エリカ「…前より良くなったじゃない」
西「ん?」
エリカ「顔色。少し前まで顔は土気色で目充血してクマが出来てたでしょ」
西「あぁ。…まぁ、問題が何とか解決してくれましたので」
エリカ「そう。突撃バカのアンタをあそこまでさせるなんて、ホントにどんな問題なのかしらねぇ」
西「泳げない人を引き揚げる問題です」シレッ
エリカ「なっ! うるっさいわね!!」
西「あははは」
ピロリロリン
254: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:12:59.10 ID:9R9XbWYA0
西「お、メールだ。ノンナさんからだ」
エリカ「ノンナ…ってプラウダ高校の?」
西「ええ」
ピッ
-------------------------------
件名 : Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Fw:Здравствуйте.
[本文]
ノンナです。
体調を崩されたとのことですが、大丈夫なのでしょうか?
まだまだこれから寒くなる一方ですので、暖かい格好をしてゆっくり休んでください。
追伸: 最近、顔文字を入力するのが楽しいです
(^ω^(⊃*⊂)
↑この顔文字、何かを持っているみたいですけど
なんだか可愛いですよね。
-------------------------------
西「そうだ。ノンナさんにはまだ報告してないし、せっかくだからお誘いするか」
エリカ「えっ? ここに呼ぶの?」
西「駄目ですか?」
エリカ「べ、別に良いけど…」
-------------------------------
件名 : Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Fw:Здравствуйте.
[本文]
絹代です
おかげさまで無事に問題が解決し、ぐっすり休むことができたので元気になりました。
ところで、今、黒森峰の犬と遊んでいるのですが、ノンナさんもご一緒しませんか?
-------------------------------
ピッ
西「送信完了!」
255: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:14:56.47 ID:9R9XbWYA0
プルルルル プルルルル
エリカ「反応早っ!」
西「あっはっは。早速ですな」ピッ
ノンナ『Здравствуйте. 絹代さん』
西「こんにちはノンナさん」
ノンナ『いかがですか? その、お身体の方は』
西「問題が片付いたおかげで何とか元気になりましたよ」
ノンナ『! хорошо...отлично...!』
西「あはは。ノンナさんにも色々ご心配おかけしました」
ノンナ『いえ、とんでもない…! …それで、用件なのですが』
西「ええ。今ちょうど、黒森峰のアレと遊びに行こうとしてたんですが、ノンナさんもご一緒にと思いまして」
エリカ「ちょっと! "アレ"って何よ!!」
ノンナ『(…"アレ"?)よろしいのですか?』
西「ええ。歓迎しますよ」
~~~~~
256: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:16:27.92 ID:9R9XbWYA0
ノンナ「こんにちは。絹代さん…と」
エリカ「エリカ。逸見エリカよ。黒森峰の」
ノンナ「こうやって対面するのは初めてですね。プラウダ高校のノンナと申します」
エリカ「知ってるわよ。プラウダの <ツネッ!> いだぁっ!!?」
西「ノンナさんに失礼な態度取らないで下さい。怒りますよ?」
エリカ「わ、悪かったわよ…!」ヒリヒリ
ノンナ「恐縮です」
西「…ところで、私達はこれからどこへ向かおうと?」
エリカ「決めてなかったの?」
西「あんたが誘ったんじゃないかっ!」
エリカ「あぁ…そうだったわね」
西「まったく…」
エリカ「そうね…」
エリカ「ゲームセンターにでも行こうかしら?」
257: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:18:29.75 ID:9R9XbWYA0
西「え」
エリカ「なによ…」
西「いやぁ、逸見さんもそういうところ行くんだなーって」
エリカ「まるで私はゲームセンターに行かないとでも」
西(エリカ真似)「ゲームセンターぁ? ハッ! お子様じゃあるまい」
西「…とでも言そうですし」
エリカ「なっ…!」
ノンナ「そっくりですね」
エリカ「言うわけないじゃない! 第一全ッ然似てないわよ!」
ノンナ「ふふっ」
西「おろ?」
ノンナ「お二人はとても仲が良いのですね」
エリカ「…犬猿の仲ってヤツよ」
西「イヌと飼い主の関係です。あ、もちろんコッチが犬です」
エリカ「はぁ?!」
西「あ、もちろん私とノンナさんは仲の良いお友達ですよ」
ノンナ「ふふっ。お友達です」
西「ロシア語でお友達って何と言うんでしょうか? "アミーゴ"でしたっけ?」
ノンナ「Ваш другです」
エリカ「アミーゴはスペイン語よ」
西「ドルグ…? 覚えました。忘れたらまた教えてください」
エリカ「覚えたと言うのかしらそれ…」
258: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:19:44.17 ID:9R9XbWYA0
【ゲームセンター】
西「こういうところに来るのは初めてですね」
ノンナ「同じく。このような騒がしい所には行きません」
エリカ「私もよ」
西「え」
ノンナ「え」
エリカ「えっ」
西「初めてなのにゲームセンターへ?」
エリカ「い、良いじゃない! 高校生なんだからこういうところに行ってみたって!」
西「高校生じゃなくても行っても良いかと」
エリカ「うるさいわよ! とにかく行ってみたかったのよ」
ノンナ「確かに、今時の高校生はこういう場所を好むかもしれません」
西「ええ。私達には想像出来ませんな」
エリカ「…仮にも高校生よ? あなたたち」
259: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:21:16.68 ID:9R9XbWYA0
ノンナ「ゲームセンターといえば」
エリカ「ん?」
ノンナ「"ぷりきゅあ"というものをニーナ達がやったとのことで…」
エリカ「ぷりきゅあ?」
ノンナ「ええ。同志たちと写真を撮影する」
西「昔練習試合をした時、"ぷりきゅあ ぷりきゅあ" とアンツィオ高校の皆さんが歌ってましたな」
エリカ「プリクラでしょ。あとアンタの言いたいのはフニクリ・フニクラよ」
ノンナ「それです」
西「それです」
エリカ「…まったく。女子高生とは思えないわね」
ノンナ「逸見さんは女子高生らしいですね」
西「このツンツンしてチクチクしてるところ、紛うことなき女子高生ですな」
エリカ「どう見たって女子高生でしょーがっ!」
西「確かに。戦車道やってなかったら一日中ゲームセンターとかカンオケに入り浸ってそうですな」
エリカ「カンオケじゃなくカラオケよ。勝手に殺さないで頂戴」
西「お、あっちの機械は空っぽのようですぞ。行きませう!」
ノンナ「だー」
エリカ「ちょっと聞いてんの!?」
~~~
260: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:22:22.17 ID:9R9XbWYA0
『お金をいれるんだぞ!』
西「…随分と高圧的ですな」
ノンナ「さすがに我が校もここまで強引では…」
エリカ「そういう仕様なのよ」チャリン
『画面に向かってポーズをとるんだぞ!』
西「ポーズってお寺で修行する人ですよね」
ノンナ「…両手を合わせて黙想をすれば良いのでしょうかか…」
西「プリクラというより寺子屋ですな…」
エリカ「…突っ込まないわよ」ハァ...
『3…2…1…パシャッ!!』
261: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:26:51.20 ID:9R9XbWYA0
西「…」
ノンナ「…」
エリカ「…」
___________________
| |
| (´ ゚д゚`) |
| ( ゚д゚ )( ゚д゚ ) |
|_________|
西「なんと申しますか…」
ノンナ「思っていたものと違います。今の学生はこのようなものに青春や娯楽を感じているのでしょうか…」
エリカ「そりゃこんな無表情じゃそうなるでしょ! これじゃ履歴書に貼る写真じゃない!」
ノンナ「申し訳ありません。こういう時どんな顔をすれば良いのか…」
エリカ「笑えばいいのよ」
西「画面の向こうにカチューシャさんがいると思って」
ノンナ「なるほど…!」ニコッ
西「私も向こうにダージリンがいると思って」ニコッ
エリカ「じ、じゃぁ…隊長が…」ニッ
パシャァァァァァァァ!!!!!
262: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:28:41.83 ID:9R9XbWYA0
西「お、逸見さんが笑っておられる?」
エリカ「何よ。私だって笑う時くらいあるわよ」
ノンナ「良い笑顔です」
エリカ「そ、そう…?」←ちょっとうれしい
西「笑顔は良いんですが、如何せん中身がアレでして…」ウーム
エリカ「失礼ね! 中身だって良いに決まってるでしょ!!」
西「…で、写真を撮影した後は如何なさるのですか?」
エリカ「外に出てタッチペン使って落書きするのよ」
西「落書き…歴史の教科書とかにやるヤツですかな?」
エリカ「まぁそんな感じよ。多分…」
ノンナ「落書きといえば、同志レーニンに毛髪を描いて差し上げた事なら…」
西「お、奇遇ですな。私も東條閣下に。やることは皆同じですな」タハハ
エリカ「授業中に何やってんのよ…」
ノンナ「逸見さんはご経験無いのですか?」
エリカ「………アドルフのヒゲを増やすくらいなら」
263: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:47:51.45 ID:9R9XbWYA0
『写真をデコレーションしやがれ!』
エリカ「はい、タッチペン」
西「恐縮です。…で、こやつでどうすれば?」
エリカ「そいつで画面タッチして、ペンの色や太さ、スタンプとかを選択するの」
西「ほうほう。"はいてく"ですなぁ」
ノンナ「革命的です」
エリカ「そうよ。例えばこんな感じに」カキカキ
西「ぬぁっ?! どうして私にヒゲつけるんですか!」
ノンナ「意外に似合いますね」
エリカ「あはは、よく似合ってるわよ」
西「じゃぁこうします」ペケ
エリカ「ちょっと! なんで私にバッテン描くのよ!?」
西「わっはっは! これで邪魔者は消えた! あとは私とノンナさんで仲良く西ノンを楽しみませう!」
ノンナ「ふふっ。まるでスターリン政権時のトロツキーですね」
エリカ「物騒な話ね…」ケシケシ
西「あ゛っ! バッテン消された!」
エリカ「却下よ却下」
264: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:49:14.65 ID:9R9XbWYA0
エリカ「なかなか悪くないわね」
ノンナ「…」
西「この写真って皆さんどうされるんでしょうか」
エリカ「好きなところに貼ればいいんじゃない? 携帯電話とか手帳とか」
西「なるほど」
ノンナ「…」
西「ノンナさん…?」
ノンナ「これが…プリクラなのですね…!」シンミリ
西「ものすごく嬉しそうですね」
ノンナ「ええ。とても嬉しいです」ホッコリ
エリカ「良かったじゃない」
ノンナ「ありがとうございます。一生の宝にします」
エリカ「そ、そこまで…」アハハ
西「では私も墓場に入れましょう。いや、いっそ遺影に…!」
エリカ「遺影にプリクラ使うバカがどこにいるのよ」
265: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:50:28.88 ID:9R9XbWYA0
西「おや? あちらにも何やら面白そうなのがありますね?」
エリカ「ああ。あれはバッティングセンターね」
西「おお、これが噂の…」
ノンナ「テレビでは見たことありますが、実物は初めてです」
エリカ「あなたたち、野球知ってるの?」
西「ええ。一応。暇なときは見てます。軍神ティーガースが今年は不調で残念ですが」
ノンナ「カチューシャがよく見てます。大新井という選手が好きとのことで」
エリカ「…そう」
エリカ「じゃぁ、一発やってみようかしらね」チャリン
266: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:53:52.82 ID:9R9XbWYA0
テーレッテレー
『ワイノ ゴーソッキュー オマエニ ウテルカ!!』
西「ずいぶんやかましい機械ですな」
ノンナ「品性を疑います」
エリカ「そういうものよ」
ガコン!
シュッ
ビュルルル!!
スカッ..
西「すとらぁーいく!」
ノンナ「おおお…!」キラキラ
エリカ「チッ…」
シュッ
ククッ!!
カキーン!
西「あ、今度はファールですな」
エリカ「変化球はタイミングが狂うのよ! もう一回!!」
・
・
・
267: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:56:09.24 ID:9R9XbWYA0
エリカ「…フン。初めてやった割には上出来ね」
西「凡打が多かったですけどね」
エリカ「…大新井が悪いのよ。アイツ変化球ばっか使うんだから」
ノンナ「次は、私にやらせて頂けないでしょうか…!」
西「どうぞどうぞ」
『キミ達にボクのボールが打てるかな? まぁ、キミ達には無理だろうね』
エリカ「如何にも"お坊ちゃま"という風貌の投手ね」
西「まるで逸見さんみたいです」
エリカ「どういう意味よ…」
ノンナ「…」
268: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 18:57:33.39 ID:9R9XbWYA0
シュッ グォーン
ブンッ!
エリカ「…空振りね」
西「なかなか手ごわいですな…」
ノンナ「Нонна Успокойся...анализ атаки противника....」ブツブツ
西「…ノンナさんは何と仰ってるのです?」
エリカ「わからないわよ。ドイツ語ならまだしもロシア語なんて…」
シュッ ククッ!
ノンナ「Моя победа!」
カキーーーーーーン!!!
西・エリ「おおっ!」
『弟よ…帰って特訓だ………』ガクッ
西「流石ですぞノンナさん! 見事な一撃でした!」
エリカ「なかなかやるじゃない…」
ノンナ「この感触、癖になりそうです」ウットリ
このあと西も挑戦したが、ファールチップがエリカに命中して終わった。
269: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 19:03:29.82 ID:9R9XbWYA0
西「しかし、あのように誇示されると負けん気の血が騒ぎますね」
エリカ「気持ちはわかるけど、のめり込み過ぎると血は騒いでも財布が静になるわよ?」
西「むむ…」
ノンナ「次回お相手する時までに鍛えなければなりませんね」
西「そうですね。帰ったら特訓しましょう」
エリカ「…バッティングセンターじゃなく戦車道の特訓をなさい」
西「勿論。実を言うと、聖グロにいる間に一度だけ知波単に戻りまして」
ノンナ・エリカ「えっ?」
西「聖グロと知波単の練習試合が終わって数日後にコッソリと」
エリカ「そんなの聞いてないわよ」
西「まぁ、聞かれなかったので」
エリカ「ぐぬ…」
270: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 19:07:03.02 ID:9R9XbWYA0
西「まぁ、聖グロにいながらもやっぱり母校が気になったもので…」
~~~~~~
【回想 知波単学園に戻った西さん】
西「ただいま諸君。ちゃんと元気にしていたか!?」
玉田「西隊長殿! お帰りなさいでありますっ!」
細見「細見、日夜鍛錬に励んでおりました!」
福田「福田! 一生懸命練習しました!!」
西「そうかそうか。良いことだお前たち!」
西「ところで、聖グロの"ぶえにふうき"さんとやらから話を聞いたぞ?」
玉田「ん?」
細見「何をですかな?」
西「 "英語どころか数学も赤点ギリギリですし、世界史も"間一髪だった"と申しておりまして…" 」
細見「お゛っ!?」
西「 "勉強に関しては"からっきし"なのであります。困ったものです…" 」
玉田「え゛っ!!」
西「 "まさに弁慶の泣き所であります…" 」
福田「げっ!!」
西「…とのことだ」ニコニコ
271: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 19:09:28.30 ID:9R9XbWYA0
玉田「あ、あのですね…!」
細見「これには深~いワケがございましてですな!」
福田「やむにやまれぬ事情があったのでありますっ!」
西「お、そうか」ニコニコ
玉田「ええ。まさにその通りであります!」
西「ならば仕方あるまいなぁ。あっはっはっはー」
三人「わっはっはっは!!」
西「」ギロッ
三人「え」
西「お前らの練習態度はなんだァァァァァ!!」
西「本ッ当に強くなろうって気があんのかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
西「私が根性を叩き直してやるッ!! 今すぐ練習場に集合ォォォォォ!!!!」
玉・細・福「ひぃぃ!!!」
272: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 19:10:39.93 ID:9R9XbWYA0
西「まずはランニング!」
西「次はダッシュ100本!」
西「次は腕立て伏せ500回!」
西「次! 腹筋1000回!!」
西「次ィ! 手押し車100回!!」
西「次は全員着ているものを脱げっ!」
西「向こうに見える埠頭まで泳げっ! そして戻って来い!!」
全員「!!?」
細見「い、いくらなんでも無茶ですぞ!!」
玉田「埠頭がすごく遠いでありますっ!!」
福田「埠頭というより不当ですぞ西隊長殿!!」
女仙「ノー! ノー!」
ガヤガヤ ワーワー!
アーダコーダソーダプラウダ
西「ゴチャゴチャ文句言うなァァァァァァ!!!!!」
「ひィィィィ!!!」
ザッパーン!!
~~~~~~~
273: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 19:12:16.64 ID:9R9XbWYA0
【そして再びゲームセンター】
西「…という感じですな。いやーなかなか良いストレス発散になりましたよ」ワッハッハッハ
エリカ「…アンタ…自分に出来ないこと部下に指示するのどうかと思うわよ……」
西「いや、私も一緒にやりましたよ?」
エリカ「え」
西「命令しといて自分がやらんのもどうかと思ったので」
エリカ「…ちゃんと最後までやれたの?」
西「泳いだあとはヘトヘトでしたね。晩御飯が美味しかったのであります」
ノンナ「…」
エリカ「私ですらそんな鬼畜な練習はさせないわよ」
西「私が一年の頃はこの手の訓練はよくやってましたけどね」
エリカ「体よりも頭鍛えなさい」
ノンナ「…」
エリカ「あなたはあなたで何企んでんのよ…」
ノンナ「いえ、ニーナやクラーラの練習に良いかと思いまして。特に最後の水泳は」
エリカ「死人出るわよ?」
西「むしろ逸見さんこそやった方が良いのでは?」
エリカ「何でよ!」
西「泳げないから」
エリカ「っぐ…」
274: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 19:13:05.79 ID:9R9XbWYA0
「っしゃぁぁぁぁ!!! 取ったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ノンナ「おや?」
エリカ「随分とやかましいわね」
西「…この声」
「やったやった! ついにマジノカード全種類コンプしたっ!」
「あっはっはっはー! 今日は最高の日だなぁ~!」
「やったぁ~やったぁ~ ららりらりりらぁ~りぃ~りぃ~るぅぅ~♪」クルクル
西「………ルクリリさん?」
ルクリリ「え」ピタ...
西「…」
エリカ「…」
ノンナ「…」
ルクリリ「」
275: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 19:14:50.13 ID:9R9XbWYA0
ルクリリ「…私、ルクリリという人じゃありません。西呉王子グローナ学園のマリルリという者です。初めまして」
西「嘘おっしゃい! 聖グロのルクリリさんじゃないですかっ!」
ルクリリ「うわぁぁぁ見られたぁぁぁぁ!!」
エリカ「何というか…ブザマね………」
ルクリリ「ふぇぇぇん……聖グロではクールビューティーな女で通してたのにぃ………」シクシク
西「…それはないと思います」
ルクリリ「こんな小っ恥ずかしいところ見られたら私もう生きていけない…」メソメソ
ノンナ「そんなに自分を責めないでください。誰にだって過ちはあります」
ルクリリ「一発の過ちが大きすぎるよぉ………」ズーン
西(聖グロにいた時はこれ以上に恥ずかしいルクリリさんをいくらでも見たことありますけどね。お召し物丸出しで爆睡してたりとか)
276: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 19:16:06.99 ID:9R9XbWYA0
ルクリリ「ぅぅ…今日は厄日だ………」
エリカ「…で、あなた一体誰なのよ」
ノンナ「確か聖グロの……フグリリさんだったでしょうか…?」
エリカ「ふぐ…!」
西「聖グロのルクリリさんですよ」
エリカ「へぇ。聖グロの…ね」
ルクリリ「…」ショボン
ノンナ「すっかり意気消沈しておられます」
エリカ「そりゃあんな姿を人様に見られたら…ね」
西「黒歴史というか聖グロ歴史というか…」
エリカ「…面白くないわよ」
277: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 19:17:38.30 ID:9R9XbWYA0
エリカ「…あなたも2年生なのかしら?」
ルクリリ「そうだよ…来年3年生…」シュン
ノンナ「聖グロの2年生といえば…」
西「僭越ながら、ルクリリさん以外の方は知らないです」
エリカ「…ということは」
ルクリリ「うん…聖グロの隊長…」
西「…」
ノンナ「何かお悩み事でも?」
ルクリリ「だって…私って隊長ってガラじゃないもん…」
西「そうですか?」
ルクリリ「そうですよっ! 私よりも"ヴェニフーキさん"っていうもの凄ーく強い人がいるのに…」
エリカ「…」チラッ
ノンナ「…」チラッ
西「ぐっ…!」
278: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 19:28:35.84 ID:9R9XbWYA0
ルクリリ「いつの間にかいなくなっちゃうから、ダージリン様やアッサム様は私を選ぶんだもん…」シクシク
エリカ「…」
ノンナ「…」
西「………」
ルクリリ「え…なに? どうしたの…???」
西「…すみません」
ルクリリ「へ?」
エリカ「その、ヴェニフーキっての、聖グロではどんなヤツだったの?」
西「なっ!」
ノンナ「実に興味深いです。同じ砲手として、ぜひ知っておきたいです」
西「の、ノンナさんまで?!」
ルクリリ「んー…そうだなぁ。戦車道に関しては間違い無く聖グロ一だと思うなぁ。アッサム様も認めていたし」
ノンナ・エリカ「ほう…」チラッ
西「」
279: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 19:34:53.57 ID:9R9XbWYA0
ルクリリ「…ただ、性格がちょっとアレで、頑固と思ったら意外に自由人なところもあって、そのせいでよくアッサム様に怒られたかな?」
ノンナ「そうなのですか」チラッ
エリカ「ヴェニフーキってヤツ、意外にやんちゃ娘なのね」チラッ
西「」
ルクリリ「だけどその反面、後輩からすごくウケが良くて、"ブラックプリンスに乗った白騎士"とか"胸のあるイケメン"って密かにファンクラブまで出来てたね」
ノンナ「まぁ。素敵な話ですね」
エリカ「リア充ってやつね」
西「」
ルクリリ「うん。他校の生徒からも好評で、話によると告白した人もいるって話だよ? …本当かなぁ」
ノンナ「本当なのでしょうか?」チラッ
エリカ「本当なのかしらねぇ…?」チラッ
西「」
西「…あー、ルクリリさん?」
ルクリリ「ん?」
西「私、その"ぶえにふうき"殿とやらから言伝を預かっております」
ルクリリ「ふぇ? ことづて?」
西(ヴェニフーキ真似)「我が校にはやたら口達者な小娘がいる」
西(ヴェニフーキ真似)「そいつが良からぬ事を喋るようなら、その口を針と糸で縫い付けろ」
西「…と」
ルクリリ「」
ノンナ「ふふ。ヴェニフーキさんそっくりです」
エリカ「本当よね。近くにアイツがいるかと思わず身構えたほどよ」
西「…やれやれ」
280: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 19:37:24.82 ID:9R9XbWYA0
西「まぁ…その、戦車道に関してはダージリンやアッサムさんから指南を受けるとして、あとはお上品な振る舞いをすれば大方大丈夫なのでは?」
ルクリリ「わ、私に上品な振る舞いだなんて…!」
エリカ「出来る出来ないじゃなく"やる"のよ」
ノンナ「数をこなせば必ず身につきますよ」
ルクリリ「そ、そうだけど…うぅ…」
西「何か、悩み事でも?」
ルクリリ「ヴェニフーキさんに丸投げして悠々自適な学園生活を送る私の計画がぁ…」
西「…」ピキッ
エリカ「良いじゃない。その"ヴェ何とか"よりアナタの方が人望があると思えば」
ルクリリ「! そ、そうだよねっ! ヴェニフーキさんなんかよりも私の方が
ゲシッ!!
ルクリリ「あいたっ!? な、なんで今足踏んだの?!」ヒリヒリ
西「…なんか癪に障ったのでつい」イライラ
ルクリリ「うぇぇ…」ヒリヒリ
エリカ「…アンタだんだん暴力的になってない?」
西「気の所為ですよ。そんなことより、ルクリリさん」
ルクリリ「な、何でしょう!」オロオロ
281: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 19:39:19.84 ID:9R9XbWYA0
西「こんな格言、知ってますか?」
ルクリリ「えっ…?」
西「"予ハ常ニ諸子ノ先頭ニ在リ"」
ノンナ「陸軍中将の栗林忠道の言葉ですね」
エリカ「ダージリンの真似してるつもり?」
西「"さん"をつけろデコスケ野郎」
ルクリリ「…その格言が一体?」
西「適度な厳しさと優しさがあれば自ずと人はついていきますよ」
ルクリリ「そう…かな?」
ノンナ「ええ。絹代さんの仰ることは至極真っ当な意見です」
エリカ「腐っても知波単学園の隊長だからね」
西「腐ってもは余分です」
ルクリリ「そ、そっか…絹代様も隊長だもんね!」
ノンナ「同い年なのに絹代"様"って呼ばれてるんですね?」
西「ええ…どういうわけか」
ルクリリ「色々あったんですよ。あ、そういえばウチのローズヒップやオレンジペコも"絹代様"って呼んでますよね。他校の人には"さん"付けなのに」
エリカ「…意外に人望あるのね、あなた」
西「…恐縮です」
282: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 19:40:44.91 ID:9R9XbWYA0
ルクリリ「よ、よーし! 私も隊長として頑張るぞい!!」オーッ
ノンナ「ライバル校ながら応援しています」
エリカ「試合になったら手加減しないわよ?」
ルクリリ「へへん。ヴェニフーキさんが見たら発狂するくらい立派にまとめあg
ツネッ!
ルクリリ「痛い痛い痛い痛いいだぁぁぁぁぁぁぁい!!!!」
西「調子に乗らない」
ルクリリ「な、なんで絹代様が怒るんですかっ!?」
西「なんとなく癪に障ったものですから、その"ぶえにふうき"殿とやらの気持ちを代弁してみた次第です」
ルクリリ「り、理不尽だぁ…」
エリカ「やっぱりアンタ、確実に暴力的になってるわよ…」
西「気のせいです」
ノンナ「ふふっ」
283: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 19:46:35.70 ID:9R9XbWYA0
♪~Расцветали яблони и груши,Поплыли туманы над рекой.....
ノンナ「すみません。同志から連絡です」
ピッ
「……はい…ええ………わかりました。…ええ。テレビはちゃんと明るい部屋で見るように。それと……はい。それでは…」
西「…」
エリカ「…」
ノンナ「あの、名残惜しいのですが、同志から帰還命令が下されたので、私はこれにて失礼します」
エリカ「あら、残念ね」
西「カチューシャさんからですか?」
ノンナ「ええ。お腹が空いたとのことですので。もし宜しければまた…」
西「ええ。またお誘いします」
ノンナ「! 今日は色々とありがとうございました」フカブカ
西「こちらこそありがとうございます」フカブカ
エリカ「まぁ…楽しかったわよ」
西「」グイッ
エリカ「んぐ!? 引っ張るなっ!」フカブカ
284: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 19:53:36.94 ID:9R9XbWYA0
西「ノンナさんも元気になったようで良かったです」
エリカ「…あの人も口数や表情は少ないけど副隊長として色々苦労しているのでしょうね」
西「ええ。皆何かしら悩みや不安を抱えながら生きてるんですよ」
エリカ「…アンタが言うと妙に説得力あるわね」
西「恐縮です」
♪ Ob's stürmt oder schneit, Ob die Sonne uns lacht, Der Tag glühend heiß
エリカ「…っと、まほさんからだ。ちょっと失礼」
西「了解」
「…はい、かしこまりました。…直ちに戻ります!」
エリカ「…悪いわね。私も"帰還命令"が下されたから今日はここでお暇するわ」
西「ちゃんとノミやダニを落として足を綺麗にしてから家の中に入るんですよ?」
エリカ「犬畜生と一緒にするなっ!!」
西「あははは」
エリカ「全く。…まぁ…」
西「ん」
エリカ「…楽しかったわ。たまにはこういうのも悪くないわね」
西「ええ。戦車道も良いですけど、そればかりでは偏食になりますので、息抜きは必要ですね」
エリカ「そうね。みほが大洗で楽しくやってるのを見て、少し羨ましいと思っただけに、こういう何気ない学生生活が眩しく見えたのかしら」
西「何気ない日常って思っている以上に尊いものですからね」
エリカ「違いないわ。…それじゃ、またお会いしましょう」
西「ええ」
285: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 20:36:07.45 ID:9R9XbWYA0
西「さて。残るは私だけか…」
ツンツン
西「…ん?」
ルクリリ「(´・ω・`)」
西「んおっ!? る、ルクリリさん!? 」
ルクリリ「…ずっといたのに」シュン
西「え、あ…すみません…?」
ルクリリ「どーせ私は聖グロでも存在感の薄い女ですもん…」
西「ま、まぁまぁ…。ルクリリさんはこの後どうされるんですか?」
ルクリリ「え? うーん。今日は欲しいものゲットしたし、あまり遅いとまた怒られるから帰ろうかな」
西「そうですか」
ルクリリ「あ、絹代様よかったら聖グロに来ない?」
西「え? 宜しいのですか?」
ルクリリ「以前、ダージリン様と一緒にしてたこともあるし、多分大丈夫だと思うよ?」
西「そ、そうですかね…」
286: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 20:41:42.96 ID:9R9XbWYA0
ルクリリ「大丈夫だよ。空き部屋あるし、ダメだったらウチらが使ってる相部屋もあるからさ!」
西「相部屋?」
ルクリリ「そうだよ。みんなで集まってゲームしたりする部屋するんだ!」
西「ほうほう」
プルルルル プルルルル
西「おっと、ダージリンからだ」
ルクリリ「ん? ダージリン様?」
ピッ
西「はい、絹代です」
ダージリン『絹代さん! あなた病院抜け出して何処にいるのよ?!』
西「わっ! すみません!! 逸見さんやノンナさん達と出かけておりましたっ!!」
ダージリン『…全く。退院したら連絡しろとあれほど言ったのに…』
西「すみません…」
ダージリン『病院の看護婦さんからチャーチルのプロモデル? を渡されたけど、あなたがそんな態度ならコレ、私が勝手に作るわよ?』
西「あっ! ダメです! それまだ作りかけなんですぞ!!」
ダージリン『あらあら。どうしましょうかね?』
西「む! 今から聖グロ行きますから持って来て下さい!」
ダージリン『え? 聖グロリアーナに来るの?』
西「ええ。ルクリリさんに強要されたので行きますよ」
ルクリリ「べ、別に私は強要してないよ!?」
287: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 20:45:50.82 ID:9R9XbWYA0
ダージリン『ふふ。でしたらいらっしゃい。ちゃんとあなたのお部屋も綺麗にしてあるわ』
西「あはは。恐縮です。でも出来ればダージリンの…」
ダージリン『あらあら…。今度こそ"不純交友"になってしまうわ』
西「む…」
ダージリン『嘘よ。気をつけていらっしゃい。あと、ルクリリにも早く帰ってくるように伝えて下さるかしら』
西「かしこまりでございます! では後ほど」ケイレイ!
ピッ
西「…と、いうわけで聖グロに行きませう」
ルクリリ「だ、ダージリン様何て言ってたの?」オロオロ
西「なんかルクリリさんのおやつは"都こんぶ"とのことですよ?」
ルクリリ「うぇぇぇぇ!?」ガーン
西「まぁ、聖グロに行きましょう」
ルクリリ「都こんぶ…紅茶に合うのかなぁ……」ズーン
288: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 21:00:52.31 ID:9R9XbWYA0
少し前までは、こんな何気ない学生生活をもう一度送れるなんて思わなかった。
ギスギスした人間関係、ドロドロした疑惑・不信。それらに埋もれて生きるのが精一杯だと思ってた。
今こうして、元通りの生活を送れるようになったのは、あのとき一生懸命戦ったから。
私達が死に物狂いで戦って、そして勝ち取った日常という権利だ。
以前までは当たり前すぎて何も感じなかった平凡な日常だけど、失って初めてその尊さに気が付けた。
だから、これからは平凡だけど有り難い日常を享受しつつ、全速前進で今を生きたい。
「ただいま。ダージリン」
「お帰りなさい。絹代さん」
私と大切な人たちが生きる道を守るために戦ったあの日々を、私はこの先もずっと忘れない。
おしまい。
289: ◆MY38Kbh4q6 2017/10/28(土) 21:02:50.22 ID:9R9XbWYA0
それではHTML化依頼を出してきます。
前回、前々回につづいて読んでくれた人、レスしてくれた人ありがとうございます。
290: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 21:09:31.92 ID:yDYIWIcSO
乙でした
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1508644014/
Entry ⇒ 2017.10.31 | Category ⇒ ガールズ&パンツァー | Comments (0)
多田李衣菜「大喜利ですか?」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/06(日) 00:17:28.46 ID:qMzrOlGi0
P「そうだ。*(Asterisk)の番組のワンコーナーで、今度から大喜利をすることになった」
みく「そうにゃ。司会はみくがやるにゃ。りーなチャンと、ゲストのアイドルが回答者ね」
李衣菜「大喜利かぁ……私、何色の着物きるんだろ」
みく「あのね、りーなチャン? 今度の企画は、別にカラフルな着物きたり、座布団をたくさん積んだりはしないの」
李衣菜「うっそマジで!?」
P「今回やるのは、フリップ大喜利と呼ばれるものだな。
松本人志のひとりごっつなどで有名になった形式で、その名の通りフリップ……一般的には、小さなホワイトボードやスケッチブックを使う事が多い。
まあ、一先ずやってみるか。みく、俺が回しをするから、李衣菜とこのホワイトボードを使ってくれ」
みく「準備がいいね、Pチャン」
李衣菜「えっ、な、何? 何が始まるの?」
みく「はいりーなチャン。滑ったらロックじゃないからね」
李衣菜「えっ!?」
P「じゃあお題書くぞー」
【お題】こんな学校は嫌だ
李衣菜「えっ、えっ?」
みく「またざっくりとしたお題にゃあ」
P「まあ、初めての場合はこのくらい広いお題の方が力を測れるだろ」
李衣菜「えーと……?」
みく「つまり、このお題にボケるの。……ん、はい」
P「はい、みく」
みく「えー……『校庭に犬が迷い込んでくると一斉下校になる』」
李衣菜「ぶっ!」
P「みんな犬どんだけ怖いんだよ!? ……いや。てゆーかみく……慣れてんな?」
みく「たまに友達とやってたし……でも、みくは要素使いだし、もう少し狭いお題が好きにゃ」
李衣菜「え? どゆこと」
P「まあそれはいずれ説明する。ほら、李衣菜もとりあえず何か出してみろ。一答もしないのは、ロックじゃないぞ」
李衣菜「えええ!? そ、それはやだよ! え、あ、じゃー……は、はいっ!」
P「早いな? ほい、李衣菜」
李衣菜「はい! 『給食がない』!」
P「まあ嫌だけども!」元気はいいな……。
みく「これは……テレビに映せないにゃ……」
李衣菜「ガビーン! マジで!?」
みく「あのね、りーなチャン? 嫌だお題で普通に嫌なこと書いてもあんまりウケに繋がらないの。
嫌すぎたら、それはそれで面白い事もあるけど……大喜利は、あくまで『おもしろいこと』を言う遊びにゃ。
ほら、『ロックなアイドル』も、顔に刺青入れてたり、すっごく麻薬やってたら、ロックかも知れないけどアイドルじゃなくなっちゃうでしょ?」
P「ヒドい例えだな……」
みく「ね? これは大喜利にゃ。
だから今は、みくや、Pチャンを笑わせたい気持ちで考えてみて?
それにその、さっきのはあんまりにも安直だったし……もっとこう、深く考えてみて欲しいにゃ」
李衣菜「う、うん」
みく「……次面白くないこと言ったら、解散だから」
李衣菜「嘘でしょ!?」
みく「そうにゃ。司会はみくがやるにゃ。りーなチャンと、ゲストのアイドルが回答者ね」
李衣菜「大喜利かぁ……私、何色の着物きるんだろ」
みく「あのね、りーなチャン? 今度の企画は、別にカラフルな着物きたり、座布団をたくさん積んだりはしないの」
李衣菜「うっそマジで!?」
P「今回やるのは、フリップ大喜利と呼ばれるものだな。
松本人志のひとりごっつなどで有名になった形式で、その名の通りフリップ……一般的には、小さなホワイトボードやスケッチブックを使う事が多い。
まあ、一先ずやってみるか。みく、俺が回しをするから、李衣菜とこのホワイトボードを使ってくれ」
みく「準備がいいね、Pチャン」
李衣菜「えっ、な、何? 何が始まるの?」
みく「はいりーなチャン。滑ったらロックじゃないからね」
李衣菜「えっ!?」
P「じゃあお題書くぞー」
【お題】こんな学校は嫌だ
李衣菜「えっ、えっ?」
みく「またざっくりとしたお題にゃあ」
P「まあ、初めての場合はこのくらい広いお題の方が力を測れるだろ」
李衣菜「えーと……?」
みく「つまり、このお題にボケるの。……ん、はい」
P「はい、みく」
みく「えー……『校庭に犬が迷い込んでくると一斉下校になる』」
李衣菜「ぶっ!」
P「みんな犬どんだけ怖いんだよ!? ……いや。てゆーかみく……慣れてんな?」
みく「たまに友達とやってたし……でも、みくは要素使いだし、もう少し狭いお題が好きにゃ」
李衣菜「え? どゆこと」
P「まあそれはいずれ説明する。ほら、李衣菜もとりあえず何か出してみろ。一答もしないのは、ロックじゃないぞ」
李衣菜「えええ!? そ、それはやだよ! え、あ、じゃー……は、はいっ!」
P「早いな? ほい、李衣菜」
李衣菜「はい! 『給食がない』!」
P「まあ嫌だけども!」元気はいいな……。
みく「これは……テレビに映せないにゃ……」
李衣菜「ガビーン! マジで!?」
みく「あのね、りーなチャン? 嫌だお題で普通に嫌なこと書いてもあんまりウケに繋がらないの。
嫌すぎたら、それはそれで面白い事もあるけど……大喜利は、あくまで『おもしろいこと』を言う遊びにゃ。
ほら、『ロックなアイドル』も、顔に刺青入れてたり、すっごく麻薬やってたら、ロックかも知れないけどアイドルじゃなくなっちゃうでしょ?」
P「ヒドい例えだな……」
みく「ね? これは大喜利にゃ。
だから今は、みくや、Pチャンを笑わせたい気持ちで考えてみて?
それにその、さっきのはあんまりにも安直だったし……もっとこう、深く考えてみて欲しいにゃ」
李衣菜「う、うん」
みく「……次面白くないこと言ったら、解散だから」
李衣菜「嘘でしょ!?」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/06(日) 00:19:08.52 ID:qMzrOlGi0
李衣菜(ど、どど、どーしよ。
いきなり大喜利だなんて……それに、面白い事なんて分からないよ……!
でも、みくの言ってる事は分かる……お題は『こんな学校は嫌だ』、だ。
これの答えを探せば良いんだよね。
つまり、学校にまつわる事を思い出すんだ!
みくは「校庭に犬」「一斉下校」って単語を使った。
一斉下校は確かに嫌かもなあ……友達と一緒にいられなくなるし)
みく「りーなチャン……」
P「シッ、みく。考えさせてやろう」
みく「う、うん!」
李衣菜(嫌なこと、学校で嫌なことってなんだろう……って、嫌なこと?
そもそも私、学校で嫌な思いをしたことなんて、そんなにないな。
……ううん、だったら)
李衣菜(好きなことの反対を考えればいいんだ)
李衣菜(私が学校で好きなのは、『友達』。
だから、その逆を書けば……って、それだけじゃダメなんだ。
いけない、安直に出しちゃいそうになってた。
そっか、これは一発勝負、ステージと一緒なんだ……。
回答したらもう後戻りできないから、それまでに言葉を、思考を研ぎ澄まさなくちゃダメなんだ……。
練習して、歌をうまく歌うみたいに……)
李衣菜(……歌? 節? ……リズム?)
李衣菜(分かんない。
でもこの想像のとっかかりを……無駄にしちゃいけない気がする。学校で、歌、リズム)
李衣菜(……書けた。
けど、どうなんだろ? 自信がないな。笑ってくれるかな。解散なんか、やだな。
私、頭良くないし、もうこれ以上のものは、思いつかない気がする。
回答を出すの、怖いな……)
――自信がない時ほど、ふてぶてしく笑うもんさ。だりー!
李衣菜(……!)
李衣菜(そう、だよね)
李衣菜「はいっ!」
P「お、おう。じゃあ、李衣菜」
李衣菜「『時間割が“国語・算数・理科・いじめ”だ』!」
P「……」
みく「……」
いきなり大喜利だなんて……それに、面白い事なんて分からないよ……!
でも、みくの言ってる事は分かる……お題は『こんな学校は嫌だ』、だ。
これの答えを探せば良いんだよね。
つまり、学校にまつわる事を思い出すんだ!
みくは「校庭に犬」「一斉下校」って単語を使った。
一斉下校は確かに嫌かもなあ……友達と一緒にいられなくなるし)
みく「りーなチャン……」
P「シッ、みく。考えさせてやろう」
みく「う、うん!」
李衣菜(嫌なこと、学校で嫌なことってなんだろう……って、嫌なこと?
そもそも私、学校で嫌な思いをしたことなんて、そんなにないな。
……ううん、だったら)
李衣菜(好きなことの反対を考えればいいんだ)
李衣菜(私が学校で好きなのは、『友達』。
だから、その逆を書けば……って、それだけじゃダメなんだ。
いけない、安直に出しちゃいそうになってた。
そっか、これは一発勝負、ステージと一緒なんだ……。
回答したらもう後戻りできないから、それまでに言葉を、思考を研ぎ澄まさなくちゃダメなんだ……。
練習して、歌をうまく歌うみたいに……)
李衣菜(……歌? 節? ……リズム?)
李衣菜(分かんない。
でもこの想像のとっかかりを……無駄にしちゃいけない気がする。学校で、歌、リズム)
李衣菜(……書けた。
けど、どうなんだろ? 自信がないな。笑ってくれるかな。解散なんか、やだな。
私、頭良くないし、もうこれ以上のものは、思いつかない気がする。
回答を出すの、怖いな……)
――自信がない時ほど、ふてぶてしく笑うもんさ。だりー!
李衣菜(……!)
李衣菜(そう、だよね)
李衣菜「はいっ!」
P「お、おう。じゃあ、李衣菜」
李衣菜「『時間割が“国語・算数・理科・いじめ”だ』!」
P「……」
みく「……」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/06(日) 00:19:38.94 ID:qMzrOlGi0
みく「……ぷ、あははははは! なにそれりーなチャン! 何でカリキュラムでそんなことしてんのー!?」
P「いや、社会潰していじめにしてるとこが、変に皮肉だなこれ!」
李衣菜「お、面白いかな……?」
みく「面白いよりーなチャン! あはは、これよく思いついたね!」
李衣菜「こ、これで、解散は無い!?」
みく「まー、頑張ったから、及第点はつけてあげる!」
李衣菜「よ、良かったぁ~……!(へなへな)」
P「よし、じゃあ一先ずお前らの実力は分かった!
みくは普通に上手な大喜利をするし、李衣菜は初心者だが続ければ面白いプレイヤーになりそうだ。
あとはこの後の番組の大喜利企画のための練習をしてだな、放送を重ねてくうちに2人にはレベルアップしてもらう。
そして最終的には……」
李衣菜「最終的には?」
P「年末に行われるアイドル専門の大喜利大会『OOGIRI M@STER』に出場するぞ!」
李衣菜・みく「ええええぇぇ!?」
第1節 イントロはまだ遠く、号令はすぐそこに 了
P「いや、社会潰していじめにしてるとこが、変に皮肉だなこれ!」
李衣菜「お、面白いかな……?」
みく「面白いよりーなチャン! あはは、これよく思いついたね!」
李衣菜「こ、これで、解散は無い!?」
みく「まー、頑張ったから、及第点はつけてあげる!」
李衣菜「よ、良かったぁ~……!(へなへな)」
P「よし、じゃあ一先ずお前らの実力は分かった!
みくは普通に上手な大喜利をするし、李衣菜は初心者だが続ければ面白いプレイヤーになりそうだ。
あとはこの後の番組の大喜利企画のための練習をしてだな、放送を重ねてくうちに2人にはレベルアップしてもらう。
そして最終的には……」
李衣菜「最終的には?」
P「年末に行われるアイドル専門の大喜利大会『OOGIRI M@STER』に出場するぞ!」
李衣菜・みく「ええええぇぇ!?」
第1節 イントロはまだ遠く、号令はすぐそこに 了
11: 前川みく「OOGIRI M@STER?」 2017/08/06(日) 21:12:51.30 ID:qMzrOlGi0
李衣菜「アイドル専門の大喜利大会?」
P「そうだ。
OM(おおぎりますたー)は、年末にテレビ局が主催した大会で、約200人のアイドル達が大喜利で戦うらしい。
優勝したら賞金100万円、更に地上波でゴールデンの冠番組が貰えるそうだ」
みく「ゴールデン番組……!」
李衣菜「ひゃくまんえん……!」
P「まだまだ露出の少ないお前達にはまたとないチャンスだと思うが、どうだ?」
李衣菜「で、出ます! みくも出るよね?」
みく「にゃ、にゃあ?
みくは別に大喜利強くはないから……。
でも、りーなチャンがやりたいなら、みくも頑張ってみてもいいかな……」
李衣菜「やったー! で、大喜利大会って何するの?」
P「お前それも知らずに喜んでたのか……。
大喜利は大喜利でも、これは競技大喜利の部類だな。
ダイナマイト関西やIPPONグランプリに代表される、ルールのある大喜利だ。
ルールや形態はそれこそ大会の数だけあると言って良い」
李衣菜「大喜利の大会って、そんなにやってるの?」
P「大喜利の大会やライブは検索すれば結構出てくるぞ。大喜利会もな。
動画も上がってるし、調べりゃ色々出てくるだろ。今やカルチャーとして成立しているぞ」
李衣菜「へえー、色々あるんだねえ」
みく「で、今回のルールは?」
P「まだルールは大まかにしか決まってないが、一先ず予選と本選に分かれているらしい。
ちゃんとテレビに映るのは本選からだ」
みく「加点か印象かも分からない感じにゃ?」
李衣菜「加点? 印象?」
みく「加点は1答ごとに入るポイントを競うルール、印象は制限時間を通して誰が一番面白かったかを投票で決めるルールにゃ。
他にもベストアンサーとか色々あるけど、大まかにはこの二つね」
李衣菜「ふーん、なんかよく分からないけど」
みく「まあ、やってるうちに分かると思うにゃ……」
P「そうだ。
OM(おおぎりますたー)は、年末にテレビ局が主催した大会で、約200人のアイドル達が大喜利で戦うらしい。
優勝したら賞金100万円、更に地上波でゴールデンの冠番組が貰えるそうだ」
みく「ゴールデン番組……!」
李衣菜「ひゃくまんえん……!」
P「まだまだ露出の少ないお前達にはまたとないチャンスだと思うが、どうだ?」
李衣菜「で、出ます! みくも出るよね?」
みく「にゃ、にゃあ?
みくは別に大喜利強くはないから……。
でも、りーなチャンがやりたいなら、みくも頑張ってみてもいいかな……」
李衣菜「やったー! で、大喜利大会って何するの?」
P「お前それも知らずに喜んでたのか……。
大喜利は大喜利でも、これは競技大喜利の部類だな。
ダイナマイト関西やIPPONグランプリに代表される、ルールのある大喜利だ。
ルールや形態はそれこそ大会の数だけあると言って良い」
李衣菜「大喜利の大会って、そんなにやってるの?」
P「大喜利の大会やライブは検索すれば結構出てくるぞ。大喜利会もな。
動画も上がってるし、調べりゃ色々出てくるだろ。今やカルチャーとして成立しているぞ」
李衣菜「へえー、色々あるんだねえ」
みく「で、今回のルールは?」
P「まだルールは大まかにしか決まってないが、一先ず予選と本選に分かれているらしい。
ちゃんとテレビに映るのは本選からだ」
みく「加点か印象かも分からない感じにゃ?」
李衣菜「加点? 印象?」
みく「加点は1答ごとに入るポイントを競うルール、印象は制限時間を通して誰が一番面白かったかを投票で決めるルールにゃ。
他にもベストアンサーとか色々あるけど、大まかにはこの二つね」
李衣菜「ふーん、なんかよく分からないけど」
みく「まあ、やってるうちに分かると思うにゃ……」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/06(日) 21:14:45.41 ID:qMzrOlGi0
P「OMはまだルールまでは決まってなさそうだな。
で、ついでに言うとお前らの番組の企画の勝敗は、回しのみくの独断だ。
WEB局内の『*(Asterisk)の明日にKICK!』の中で『多田李衣菜の大喜利道場』と題して、李衣菜には毎回ゲストと大喜利で対戦してもらう。
面白かった方を、みくが決める」
李衣菜「そっか。……みく、なんか食べたいものとかある?」
みく「恥とか無いのにゃ!?」
李衣菜「あはは。それはそれとして……確か次の収録って明後日だよね。
こないだの収録の時点でまだ決まってなかったけど、そういえばゲストは誰になったの?
まーでも? さっきの実力を出せれば? なーんかやれちゃいそうな気もするなー!」
みく「フラグ立てお疲れ様にゃ。……で、みくも知らないんだけど、ゲスト誰なの?」
P「ああ、それなら……」
~2日後、WEB局スタジオ~
みく「お、おはようにゃ……」
李衣菜「この子たちと、大喜利……!?」
遊佐こずえ「ふわー……こずえ、おおぎりー……? やるのー……?」
佐城雪美「うん……そう、一緒に……。ペロ、いないけど……がんばる……」
第2節 かわいい刺客にご用心! 了
で、ついでに言うとお前らの番組の企画の勝敗は、回しのみくの独断だ。
WEB局内の『*(Asterisk)の明日にKICK!』の中で『多田李衣菜の大喜利道場』と題して、李衣菜には毎回ゲストと大喜利で対戦してもらう。
面白かった方を、みくが決める」
李衣菜「そっか。……みく、なんか食べたいものとかある?」
みく「恥とか無いのにゃ!?」
李衣菜「あはは。それはそれとして……確か次の収録って明後日だよね。
こないだの収録の時点でまだ決まってなかったけど、そういえばゲストは誰になったの?
まーでも? さっきの実力を出せれば? なーんかやれちゃいそうな気もするなー!」
みく「フラグ立てお疲れ様にゃ。……で、みくも知らないんだけど、ゲスト誰なの?」
P「ああ、それなら……」
~2日後、WEB局スタジオ~
みく「お、おはようにゃ……」
李衣菜「この子たちと、大喜利……!?」
遊佐こずえ「ふわー……こずえ、おおぎりー……? やるのー……?」
佐城雪美「うん……そう、一緒に……。ペロ、いないけど……がんばる……」
第2節 かわいい刺客にご用心! 了
14: 多田李衣菜「大喜利なんて……大嫌いだ……(ガクッ)」 2017/08/07(月) 23:59:44.99 ID:BCqC20cK0
みく(ヤムチャみたいに死んでるにゃ)
雪美(死んでる……ヤムチャみたい………)
こずえ「……ふわー……ヤムチャー……?」
みく「え、えっと、じゃあ気を取り直して。
勝者、雪美チャンとこずえチャンにゃ!」
~15分前~
みく「さあ、『*(Asterisk)の明日にKICK!』次のコーナーは新企画『多田李衣菜の大喜利道場』にゃ!
この企画はりーなチャンの大喜利力を鍛えるために毎週様々なゲストと大喜利対決をして貰うコーナーです!
と言うことでりーなチャン。自信のほどは、どれくらいかにゃ?」
李衣菜「いやーなんかもう余裕って感じかな!
みんなで大喜利やってみたら、結構良い感じだったし、今回のゲストはちっちゃい子だし負けられないよね!
記念すべき第1回、余裕で白星発進だよ!」
みく「おー、見事なフラグの立てっぷりにゃ。
では、ゲストは引き続き佐城雪美チャンと遊佐こずえチャンにゃ」
雪美「……よろしくお願い……します」
こずえ「おおぎり……すきだよー……」
みく「では、早速お題を発表するにゃ。お題はこちら!」
【お題】動物達が住んでる町「アニマルタウン」で起こった珍事件
雪美(死んでる……ヤムチャみたい………)
こずえ「……ふわー……ヤムチャー……?」
みく「え、えっと、じゃあ気を取り直して。
勝者、雪美チャンとこずえチャンにゃ!」
~15分前~
みく「さあ、『*(Asterisk)の明日にKICK!』次のコーナーは新企画『多田李衣菜の大喜利道場』にゃ!
この企画はりーなチャンの大喜利力を鍛えるために毎週様々なゲストと大喜利対決をして貰うコーナーです!
と言うことでりーなチャン。自信のほどは、どれくらいかにゃ?」
李衣菜「いやーなんかもう余裕って感じかな!
みんなで大喜利やってみたら、結構良い感じだったし、今回のゲストはちっちゃい子だし負けられないよね!
記念すべき第1回、余裕で白星発進だよ!」
みく「おー、見事なフラグの立てっぷりにゃ。
では、ゲストは引き続き佐城雪美チャンと遊佐こずえチャンにゃ」
雪美「……よろしくお願い……します」
こずえ「おおぎり……すきだよー……」
みく「では、早速お題を発表するにゃ。お題はこちら!」
【お題】動物達が住んでる町「アニマルタウン」で起こった珍事件
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/08(火) 00:00:50.50 ID:ZNXs6Sb+0
こずえ「……ちんじけんー……?」
雪美「あ……ちんじけんは……変わった……出来事……」
こずえ「……わかったー……」
李衣菜(おっ、なになに?
この様子なら、簡単に勝てちゃうかも!?
えーっと、動物のお題なんだね。
よーし、それじゃあ何かいい動物いるかな、犬とか猫……っと、ちょうど良いキャラいるじゃん!)
李衣菜「はいっ!」
みく「はい、りーなチャン」
李衣菜「はい! 『犬のお巡りさんが自分の尻尾をずっと追いかけてる』!」
李衣菜(どーよ!)
みく「あはは、本能丸出しにゃ」
雪美「……はい」
みく「はい、雪美チャン」
李衣菜(あれ、意外とあっさり?)
雪美「……『見にいったら』…………」
李衣菜「?」
雪美「…………『浦安市になってた』」
李衣菜「ぶは!」
みく「あはははは! 吸収合併されてるにゃ!? なんか企業の力が働いてるし!」
李衣菜(スタッフさんもウケてる!? さっき、私の回答では完全に愛想笑いだったのに!)
雪美「……ふふっ」
李衣菜(こ、これじゃ駄目だ。このままじゃ負けちゃう。
もっと、こないだみたいに、落ち着いて、冷静に考えないと……!
なにこれ、たった1答で、崖にでも追い詰められたみたい……これが大喜利対戦のプレッシャーなの……?
動物、町、動物、町……! あああ、時間が過ぎてく……!)
雪美「……はい」
みく「はい。雪美チャン」
雪美「『橋』……」
李衣菜(橋……?)
雪美「……………『ぞうさんだけ渡れない』………」
みく「あははは! かわいそう!
1頭だけ町の外に出られないのにゃ! インフラ整備を、早くちゃんとしてあげて!」
李衣菜(雪美ちゃん、凄い……!
出すタイミングはゆっくりで、言葉もシンプルだけど……凄くウケてる!
私も、は、早く……)
みく「さて! え~っと、そろそろ時間にゃ。
それじゃあ今書いてる回答で終了ってことで……」
李衣菜「え、は、はいっ!」
みく「はい、りーなチャン」
李衣菜「えっと! 『めだきゃ』!」
みく「にゃ?」
李衣菜「え、あ、『めだかの学校が廃校になった』!」
みく「え、めだかって動物? まあ、噛んじゃったのは仕方ないにゃ……」
李衣菜(ううう、焦り過ぎた……!
てゆーか、めだかはちょっと、求められてる動物と違った気がする……)
雪美「あ……ちんじけんは……変わった……出来事……」
こずえ「……わかったー……」
李衣菜(おっ、なになに?
この様子なら、簡単に勝てちゃうかも!?
えーっと、動物のお題なんだね。
よーし、それじゃあ何かいい動物いるかな、犬とか猫……っと、ちょうど良いキャラいるじゃん!)
李衣菜「はいっ!」
みく「はい、りーなチャン」
李衣菜「はい! 『犬のお巡りさんが自分の尻尾をずっと追いかけてる』!」
李衣菜(どーよ!)
みく「あはは、本能丸出しにゃ」
雪美「……はい」
みく「はい、雪美チャン」
李衣菜(あれ、意外とあっさり?)
雪美「……『見にいったら』…………」
李衣菜「?」
雪美「…………『浦安市になってた』」
李衣菜「ぶは!」
みく「あはははは! 吸収合併されてるにゃ!? なんか企業の力が働いてるし!」
李衣菜(スタッフさんもウケてる!? さっき、私の回答では完全に愛想笑いだったのに!)
雪美「……ふふっ」
李衣菜(こ、これじゃ駄目だ。このままじゃ負けちゃう。
もっと、こないだみたいに、落ち着いて、冷静に考えないと……!
なにこれ、たった1答で、崖にでも追い詰められたみたい……これが大喜利対戦のプレッシャーなの……?
動物、町、動物、町……! あああ、時間が過ぎてく……!)
雪美「……はい」
みく「はい。雪美チャン」
雪美「『橋』……」
李衣菜(橋……?)
雪美「……………『ぞうさんだけ渡れない』………」
みく「あははは! かわいそう!
1頭だけ町の外に出られないのにゃ! インフラ整備を、早くちゃんとしてあげて!」
李衣菜(雪美ちゃん、凄い……!
出すタイミングはゆっくりで、言葉もシンプルだけど……凄くウケてる!
私も、は、早く……)
みく「さて! え~っと、そろそろ時間にゃ。
それじゃあ今書いてる回答で終了ってことで……」
李衣菜「え、は、はいっ!」
みく「はい、りーなチャン」
李衣菜「えっと! 『めだきゃ』!」
みく「にゃ?」
李衣菜「え、あ、『めだかの学校が廃校になった』!」
みく「え、めだかって動物? まあ、噛んじゃったのは仕方ないにゃ……」
李衣菜(ううう、焦り過ぎた……!
てゆーか、めだかはちょっと、求められてる動物と違った気がする……)
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/08(火) 00:02:22.20 ID:ZNXs6Sb+0
こずえ「…………はぁい」
みく「ん、じゃあこずえチャンでラストにゃ」
こずえ「……うん。
……あのねー……あにまるたうんにはねー……でんしゃー……。
……ふわー……でんしゃがあるのー……」
李衣菜「電車……?」
こずえ「でねー……へびさんの……のるでんしゃ……。
へびさんせんよーしゃりょーがねー……あるのー」
李衣菜(へ、へびさん専用車両??)
こずえ「へびさんせんよーしゃりょーはねー……ぐねぐねしてるのー……。
こんな風に……へびさん……ぐねぐねだから……へびさん、のりやすいのー……」
李衣菜(何あの絵、ぐにゃぐにゃした電車……?)
こずえ「…………せんろとあわなくて……はしれなかったのー……」
みく「そらそうにゃ!! 作る前に気付くべきにゃ、それは!!
いや、ぐねぐねしてるからへびが乗りやすい理由もわかんないし!!」
李衣菜(な……!!)
李衣菜(な、何これ……!
訳わかんない回答だけど、スタッフさん達のどよめきみたいな笑い声が、圧になって押し寄せてくるみたい……!)
李衣菜(ああ……そうだ)
李衣菜(これは、言われなくたって分かる。私の負けだ)
李衣菜(私は、この子たちを……大喜利を、ナメてたんだ)
李衣菜(どうして)
李衣菜(どうしてこの爆笑が、私のものじゃないんだろう……)
李衣菜「大喜利なんて……大嫌いだ……(ガクッ)」
~事務所・中庭~
李衣菜(昨日の大喜利、ダメダメだったな……)
李衣菜(本当に才能ある人だけが、あれだけの爆笑を取れるのかな……)
李衣菜(そうだよ、もともと私にはお笑いのセンスなんかないし……そもそも私に大喜利は無理だっ)
李衣菜「わぷっ!」
??「だーれだっ?」
李衣菜「え? ……あはは、分かるよ。声で……ううん、手で分かるもん」
李衣菜「ね、なつきち!」
木村夏樹「ははは。よっ、どうしたんだ? 何か嫌なことでもあったのかよ、だりー?」
第3節 よくわかるネオテニーのしくみ 了
みく「ん、じゃあこずえチャンでラストにゃ」
こずえ「……うん。
……あのねー……あにまるたうんにはねー……でんしゃー……。
……ふわー……でんしゃがあるのー……」
李衣菜「電車……?」
こずえ「でねー……へびさんの……のるでんしゃ……。
へびさんせんよーしゃりょーがねー……あるのー」
李衣菜(へ、へびさん専用車両??)
こずえ「へびさんせんよーしゃりょーはねー……ぐねぐねしてるのー……。
こんな風に……へびさん……ぐねぐねだから……へびさん、のりやすいのー……」
李衣菜(何あの絵、ぐにゃぐにゃした電車……?)
こずえ「…………せんろとあわなくて……はしれなかったのー……」
みく「そらそうにゃ!! 作る前に気付くべきにゃ、それは!!
いや、ぐねぐねしてるからへびが乗りやすい理由もわかんないし!!」
李衣菜(な……!!)
李衣菜(な、何これ……!
訳わかんない回答だけど、スタッフさん達のどよめきみたいな笑い声が、圧になって押し寄せてくるみたい……!)
李衣菜(ああ……そうだ)
李衣菜(これは、言われなくたって分かる。私の負けだ)
李衣菜(私は、この子たちを……大喜利を、ナメてたんだ)
李衣菜(どうして)
李衣菜(どうしてこの爆笑が、私のものじゃないんだろう……)
李衣菜「大喜利なんて……大嫌いだ……(ガクッ)」
~事務所・中庭~
李衣菜(昨日の大喜利、ダメダメだったな……)
李衣菜(本当に才能ある人だけが、あれだけの爆笑を取れるのかな……)
李衣菜(そうだよ、もともと私にはお笑いのセンスなんかないし……そもそも私に大喜利は無理だっ)
李衣菜「わぷっ!」
??「だーれだっ?」
李衣菜「え? ……あはは、分かるよ。声で……ううん、手で分かるもん」
李衣菜「ね、なつきち!」
木村夏樹「ははは。よっ、どうしたんだ? 何か嫌なことでもあったのかよ、だりー?」
第3節 よくわかるネオテニーのしくみ 了
19: 木村夏樹「大喜利で悩んでる?」 2017/08/09(水) 03:22:33.58 ID:6T7TMlnc0
李衣菜「うん……そうなんだ。えっと」
夏樹「ああ、こないだのネットの番組か?
観た観た。雪美やこずえと対戦してただろ、頑張ってたじゃん」
李衣菜「だけど、何もできずに負けちゃった。
2人とも凄く面白くてさー……私は面白くなかったんだ。
噛んだりもしたし、とにかく下手くそだった。
こないだ初めてPさんやみくと大喜利して、その時は上手くいったからちょっと自信があったんだけど。
……あはは、バカみたいだね。私、才能なんて全然なかったんだよ」
夏樹「……アタシは、そうは思わないけどな」
李衣菜「なつきち?」
夏樹「だりーはまだ走り始めたばっかだろ。
アタシはああいう大喜利のことはよく分かんないけれど、番組で一生懸命大喜利やってるだりーは凄いと思うよ」
李衣菜「そんなこと……」
夏樹「お題が出て、面白い回答考えて、それを発表する。
それは、アイドルが歌をうたうのとは違うベクトルのエンターテイメントだ。
『即興』がすべての、練習を挟み込む余地がほとんどない空間だ。
そいつは自分のクオリティを上げるしかない、かなりストイックなステージだと思う。
そんな中で、だりーは2答したんだ。それは、すげーことじゃないか?
アタシは、戦おうとしてるだりーを見てさ、かっこいいなって思ったんだぜ?」
李衣菜「なつきちが、私をかっこいい……!? で、でも大喜利だよ? ウケなきゃ、意味ないよ……」
夏樹「対戦だから、上手くいかない時もあるさ。
違うお題なら、明日のだりーなら、あと30秒考えれば、違うメンバーなら……。
もう少し何かが違ったら、結果は変わってたかも知れない。
もちろん、『もう少し頑張ってれば』ってのも、あるかも知れないけどさ」
李衣菜「だけど、私には雪美ちゃんやこずえちゃんみたいには答えられない。
象と橋とか、へび専用車両とか、どれだけ考えても私じゃ辿り着けないよ。
……私は、あんな風にはなれない……」
夏樹「まったく……だりーはバカだなあ」
李衣菜「ば、バカぁ……!?」
夏樹「ああ、こないだのネットの番組か?
観た観た。雪美やこずえと対戦してただろ、頑張ってたじゃん」
李衣菜「だけど、何もできずに負けちゃった。
2人とも凄く面白くてさー……私は面白くなかったんだ。
噛んだりもしたし、とにかく下手くそだった。
こないだ初めてPさんやみくと大喜利して、その時は上手くいったからちょっと自信があったんだけど。
……あはは、バカみたいだね。私、才能なんて全然なかったんだよ」
夏樹「……アタシは、そうは思わないけどな」
李衣菜「なつきち?」
夏樹「だりーはまだ走り始めたばっかだろ。
アタシはああいう大喜利のことはよく分かんないけれど、番組で一生懸命大喜利やってるだりーは凄いと思うよ」
李衣菜「そんなこと……」
夏樹「お題が出て、面白い回答考えて、それを発表する。
それは、アイドルが歌をうたうのとは違うベクトルのエンターテイメントだ。
『即興』がすべての、練習を挟み込む余地がほとんどない空間だ。
そいつは自分のクオリティを上げるしかない、かなりストイックなステージだと思う。
そんな中で、だりーは2答したんだ。それは、すげーことじゃないか?
アタシは、戦おうとしてるだりーを見てさ、かっこいいなって思ったんだぜ?」
李衣菜「なつきちが、私をかっこいい……!? で、でも大喜利だよ? ウケなきゃ、意味ないよ……」
夏樹「対戦だから、上手くいかない時もあるさ。
違うお題なら、明日のだりーなら、あと30秒考えれば、違うメンバーなら……。
もう少し何かが違ったら、結果は変わってたかも知れない。
もちろん、『もう少し頑張ってれば』ってのも、あるかも知れないけどさ」
李衣菜「だけど、私には雪美ちゃんやこずえちゃんみたいには答えられない。
象と橋とか、へび専用車両とか、どれだけ考えても私じゃ辿り着けないよ。
……私は、あんな風にはなれない……」
夏樹「まったく……だりーはバカだなあ」
李衣菜「ば、バカぁ……!?」
20: 木村夏樹「大喜利で悩んでる?」 2017/08/09(水) 03:25:15.69 ID:6T7TMlnc0
夏樹「確かにあの2人は凄かったよ。
独自の視点……あのお題で、動物よりも街の在り方からアプローチをする事を見つけた雪美。
そして、イメージを膨らませて誰も思いつけない回答に辿り着いたこずえ。
2人とも、あの2人にしか出せない回答を出してた。
雪美の、間をたっぷり使った回答や、こずえの引き込むような雰囲気。
それは、才能と呼んで差し支えないものだ。
……でも、あの2人も、だりーにはなれないんだぜ?」
李衣菜「私には、なれない……?」
夏樹「カートがジミヘンになろうとしたか?
キースがレノンの後をついてったか?
違うだろ。
ロックンローラーは己のロックを証明するためにロックンローラーになったんだ。
誰かになるためじゃない」
李衣菜「己のロックを、証明するため……」
夏樹「だりーにしかできないロックがあるように、だりーにしかできない大喜利が必ずある。
センス型にしか出せない回答があるように、要素使いにしか辿り着けない答えがあるんだ。
だから、“あんな風”になる必要はないんだ。
だりーはだりーとして頑張ってりゃいいんだ」
李衣菜「なつ、きち」
夏樹「だりー、それにさ」
夏樹「ロックンローラーは自信がないときほど、ふてぶてしく笑うもんさ!」
李衣菜「なつきちぃ……!」
夏樹「……なんて、アタシは思うけどな?」
李衣菜「ありがとうなつきち! 私、大喜利分かった!
私にしか出せない答えがあるんだね。
私、もう少し頑張ってみる!」
夏樹「ははっ、そうか! だりーが元気になったなら、良かったよ」
李衣菜「うん、リーナは自分を曲げないよ!」
夏樹「いやお前話聞いてたのかよ!?」みくのだろ、それ!
李衣菜「あはは、冗談だよ。
でもさあ、なつきち。
大喜利に練習はないって言ってたけど、やっぱり大喜利の練習してみたいよ。
次の収録までに、もっと大喜利したいんだ。どうしたら良いかな?」
夏樹「んー、まあなあ。
何にしろ、慣れもあると思うし。
……大喜利会とか、行ってみるのも良いんじゃないか?」
李衣菜「大喜利会?」
夏樹「ん、あれとか」
李衣菜「あれ……?」
掲示板のポスター『大喜利川島会 毎月第2第4月曜日 午後22時より川島宅にて、参加者募集中! 参加希望の方は川島瑞樹まで!』
第4節 リーナ・エクスペリエンス 了
独自の視点……あのお題で、動物よりも街の在り方からアプローチをする事を見つけた雪美。
そして、イメージを膨らませて誰も思いつけない回答に辿り着いたこずえ。
2人とも、あの2人にしか出せない回答を出してた。
雪美の、間をたっぷり使った回答や、こずえの引き込むような雰囲気。
それは、才能と呼んで差し支えないものだ。
……でも、あの2人も、だりーにはなれないんだぜ?」
李衣菜「私には、なれない……?」
夏樹「カートがジミヘンになろうとしたか?
キースがレノンの後をついてったか?
違うだろ。
ロックンローラーは己のロックを証明するためにロックンローラーになったんだ。
誰かになるためじゃない」
李衣菜「己のロックを、証明するため……」
夏樹「だりーにしかできないロックがあるように、だりーにしかできない大喜利が必ずある。
センス型にしか出せない回答があるように、要素使いにしか辿り着けない答えがあるんだ。
だから、“あんな風”になる必要はないんだ。
だりーはだりーとして頑張ってりゃいいんだ」
李衣菜「なつ、きち」
夏樹「だりー、それにさ」
夏樹「ロックンローラーは自信がないときほど、ふてぶてしく笑うもんさ!」
李衣菜「なつきちぃ……!」
夏樹「……なんて、アタシは思うけどな?」
李衣菜「ありがとうなつきち! 私、大喜利分かった!
私にしか出せない答えがあるんだね。
私、もう少し頑張ってみる!」
夏樹「ははっ、そうか! だりーが元気になったなら、良かったよ」
李衣菜「うん、リーナは自分を曲げないよ!」
夏樹「いやお前話聞いてたのかよ!?」みくのだろ、それ!
李衣菜「あはは、冗談だよ。
でもさあ、なつきち。
大喜利に練習はないって言ってたけど、やっぱり大喜利の練習してみたいよ。
次の収録までに、もっと大喜利したいんだ。どうしたら良いかな?」
夏樹「んー、まあなあ。
何にしろ、慣れもあると思うし。
……大喜利会とか、行ってみるのも良いんじゃないか?」
李衣菜「大喜利会?」
夏樹「ん、あれとか」
李衣菜「あれ……?」
掲示板のポスター『大喜利川島会 毎月第2第4月曜日 午後22時より川島宅にて、参加者募集中! 参加希望の方は川島瑞樹まで!』
第4節 リーナ・エクスペリエンス 了
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/09(水) 03:33:47.54 ID:6T7TMlnc0
※
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/09(水) 03:36:49.18 ID:6T7TMlnc0
※レス20間違えて打ち込みました。
※レス19の名前欄空欄にし忘れました。
※寝ぼけてるらしいので寝ます。
※なつきちすこすこ愛してる。
※レス19の名前欄空欄にし忘れました。
※寝ぼけてるらしいので寝ます。
※なつきちすこすこ愛してる。
23: 川島瑞樹「ようこそ! 大喜利川島会へ!」 2017/08/09(水) 22:50:04.60 ID:6T7TMlnc0
川島「今日は集まってくれてありがとう!
今回は初参加の子もいるし、まずは自己紹介をするわね。川島瑞樹よ、よろしくね」
三船美優「あら……今回は珍しいメンバーがいるんですね。
とても、楽しみです……。三船美優、です。お手柔らかに」
高垣楓「高垣楓です。マーカーの用意はマーカーせて下さいね。……ふふっ」
ヘレン「ヘレンよ、知ってると思うけれど……。私は大喜利の世界でもトップを目指すわ。
分かってる、思考はダンサブルに……踊り出すわ」
李衣菜「え、あ、はい! 多田李衣菜、です! よろしくお願いします!」
李衣菜(ば、ばばばば、場違いなとこ来ちゃったー!)
李衣菜(なつきちに言われて思わず来ちゃったけれど……わ、私ここにいて良いのかな。
と言うか、みんな凄いクールのお姉さまってカンジ……!)
川島「さあこれで全員揃ったわね! 今回は大喜利会兼お泊まり会に来てくれてありがとう!
それでは早速ルールを説明する前に、うずうずしてる人も多いと思うし、先に恒例のやつやっちゃうわね。
みんな、グラスは持った? それじゃあ、大喜利会を始めます!」
「「「「かんぱ~~~い!」」」」
李衣菜「か、かんぱーい!(コーラ)」
川島「ぷはー! んー、美味しい! ……さて、ルールを説明するわね!
回しは時計回りでお題は各自持ち回り、制限時間は5分で、回しの人が好きな回答を1つ選んで、ピックアップ数が多かった人が第11回川島会の優勝者よ」
李衣菜(結構やってる! って、私、お題なんか用意してないし、回しもやったことないんだけど……)
李衣菜「あ、あの……」
川島「あ、お題は無かったら私のストックから出すわね。
回しも、手を挙げた子の名前を呼んであげるだけでオッケーよ」
李衣菜「は、はい!」
川島「じゃあまずは私からお題出すわね。え~っと……じゃあお題はこちら!」
【お題】燃えてる家から出てきて一言
李衣菜(なんか変なお題出てきた!)
美優「燃えてる……家」
ヘレン「……」
今回は初参加の子もいるし、まずは自己紹介をするわね。川島瑞樹よ、よろしくね」
三船美優「あら……今回は珍しいメンバーがいるんですね。
とても、楽しみです……。三船美優、です。お手柔らかに」
高垣楓「高垣楓です。マーカーの用意はマーカーせて下さいね。……ふふっ」
ヘレン「ヘレンよ、知ってると思うけれど……。私は大喜利の世界でもトップを目指すわ。
分かってる、思考はダンサブルに……踊り出すわ」
李衣菜「え、あ、はい! 多田李衣菜、です! よろしくお願いします!」
李衣菜(ば、ばばばば、場違いなとこ来ちゃったー!)
李衣菜(なつきちに言われて思わず来ちゃったけれど……わ、私ここにいて良いのかな。
と言うか、みんな凄いクールのお姉さまってカンジ……!)
川島「さあこれで全員揃ったわね! 今回は大喜利会兼お泊まり会に来てくれてありがとう!
それでは早速ルールを説明する前に、うずうずしてる人も多いと思うし、先に恒例のやつやっちゃうわね。
みんな、グラスは持った? それじゃあ、大喜利会を始めます!」
「「「「かんぱ~~~い!」」」」
李衣菜「か、かんぱーい!(コーラ)」
川島「ぷはー! んー、美味しい! ……さて、ルールを説明するわね!
回しは時計回りでお題は各自持ち回り、制限時間は5分で、回しの人が好きな回答を1つ選んで、ピックアップ数が多かった人が第11回川島会の優勝者よ」
李衣菜(結構やってる! って、私、お題なんか用意してないし、回しもやったことないんだけど……)
李衣菜「あ、あの……」
川島「あ、お題は無かったら私のストックから出すわね。
回しも、手を挙げた子の名前を呼んであげるだけでオッケーよ」
李衣菜「は、はい!」
川島「じゃあまずは私からお題出すわね。え~っと……じゃあお題はこちら!」
【お題】燃えてる家から出てきて一言
李衣菜(なんか変なお題出てきた!)
美優「燃えてる……家」
ヘレン「……」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/09(水) 22:51:31.49 ID:6T7TMlnc0
楓「うふふ、はいっ」
川島「あら、早いわね。じゃあ、楓ちゃん」
楓「『放火で家が、″ほうか″いしちゃいました』」
川島「余裕あるわね! もう、このダジャレさん!」
李衣菜(ダジャレさん???)
ヘレン「……。(スッ)」
川島「はい、ヘレンちゃん!」
ヘレン「『その目に焼き付けろ、ファイアーハウス!』」
李衣菜「!?」
川島「何それ!?」
ヘレン「(スッ)」
川島「え、いや、はいヘレンちゃん」
ヘレン「『その目に焼き付けろ、ファイアーハウスⅡ』!」
川島「何のシリーズ!? ねえ、それは何のシリーズなの!?」
ヘレン「(スッ)」
川島「いやもうせめて書き直してくれないかしら!? ヘレンちゃん!」
ヘレン「『その目に焼き付けろ、も~っとファイアーハウス どっか~ん!』」
川島「急に女児アニメみたいになっちゃった! あとずっと前フリ一緒なのね!?」
ヘレン「(スッ)」
川島「無限なのかしら!? はい、ヘレンさん!」
ヘレン「『火(ひ)レン』」
川島「あはははは! いやもう急に何なの!? 火レンてなに!?
ヘレンちゃん、家火事になったら火レンて言うの!?」
楓「あ、はい」
川島「はい、楓ちゃん!」
楓「『家が、オール炎化になりました』」
川島「ずっと余裕あるわね!? オール電化みたいに言わないのっ!」
川島「あら、早いわね。じゃあ、楓ちゃん」
楓「『放火で家が、″ほうか″いしちゃいました』」
川島「余裕あるわね! もう、このダジャレさん!」
李衣菜(ダジャレさん???)
ヘレン「……。(スッ)」
川島「はい、ヘレンちゃん!」
ヘレン「『その目に焼き付けろ、ファイアーハウス!』」
李衣菜「!?」
川島「何それ!?」
ヘレン「(スッ)」
川島「え、いや、はいヘレンちゃん」
ヘレン「『その目に焼き付けろ、ファイアーハウスⅡ』!」
川島「何のシリーズ!? ねえ、それは何のシリーズなの!?」
ヘレン「(スッ)」
川島「いやもうせめて書き直してくれないかしら!? ヘレンちゃん!」
ヘレン「『その目に焼き付けろ、も~っとファイアーハウス どっか~ん!』」
川島「急に女児アニメみたいになっちゃった! あとずっと前フリ一緒なのね!?」
ヘレン「(スッ)」
川島「無限なのかしら!? はい、ヘレンさん!」
ヘレン「『火(ひ)レン』」
川島「あはははは! いやもう急に何なの!? 火レンてなに!?
ヘレンちゃん、家火事になったら火レンて言うの!?」
楓「あ、はい」
川島「はい、楓ちゃん!」
楓「『家が、オール炎化になりました』」
川島「ずっと余裕あるわね!? オール電化みたいに言わないのっ!」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/09(水) 22:53:04.54 ID:6T7TMlnc0
李衣菜(な……)
李衣菜(な、何この異様な空間……!)
李衣菜(楓さんはとにかくダジャレ言いまくってるし、ヘレンさんはよく分からないことを好き放題に答えてるし。
美優さんは……何かずっとホワイトボード見てるし……!)
楓「……李衣菜ちゃん、もしかして緊張してますか?(ぼそっ)」
李衣菜「んぇ!? あ……いやー、そうかも……」
楓「ふふっ、そんなに緊張しなくて良いんですよ。これは車座大喜利。
ただ大喜利を楽しむための会です。競い合う大喜利じゃないので、思いついたことを好きに出して良いんです」
李衣菜「思いついたことを、好きに……?」
楓「それなら時間いっぱいまでたくさん出しちゃった方がお得、です。
ね、李衣菜ちゃんも、一緒に大喜利で遊びましょ?
ホワイトボードを持ってるなら、“ぼーっと”しちゃダメ……ふふっ」
李衣菜「一緒に、大喜利で遊ぶ……」
李衣菜(ああ、そうか。私たちは今、大喜利で遊んでるんだ。
何かを証明するわけでも、誰かに勝たなければいけないわけでもない。
クールのお姉さまとも、大喜利でなら、一緒に遊べるんだ……!)
美優「は、はい……!」
川島「はい、美優ちゃん!」
美優「あの……『衛星写真だと、鬱の字に見えると思います』」
川島「え、あ、怖い! 何それ鬱文字焼き!? ねえ何軒燃やしてるの!? 町一つ火の海になってるわよね!? 」
李衣菜「あはっ、凄い! ……よぉし、私も!」
李衣菜(思ったことを……私が、面白いと思ったイメージのカケラを、手繰り寄せるんだ!)
李衣菜(フレーズ? そういうの好きかも。
無駄撃ちしたって、構うもんか。
また新しい答えを考えれば良いだけ。
楓さんみたいに余裕を持って、ヘレンさんみたいにアグレッシブに、美優さんみたいに真剣に……!)
李衣菜(私はこの大喜利を、楽しくやるんだ!)
李衣菜「はいっ!」
川島「はい、李衣菜ちゃんどうぞ!」
李衣菜「『家焼~~~き芋』っ!」
李衣菜(な、何この異様な空間……!)
李衣菜(楓さんはとにかくダジャレ言いまくってるし、ヘレンさんはよく分からないことを好き放題に答えてるし。
美優さんは……何かずっとホワイトボード見てるし……!)
楓「……李衣菜ちゃん、もしかして緊張してますか?(ぼそっ)」
李衣菜「んぇ!? あ……いやー、そうかも……」
楓「ふふっ、そんなに緊張しなくて良いんですよ。これは車座大喜利。
ただ大喜利を楽しむための会です。競い合う大喜利じゃないので、思いついたことを好きに出して良いんです」
李衣菜「思いついたことを、好きに……?」
楓「それなら時間いっぱいまでたくさん出しちゃった方がお得、です。
ね、李衣菜ちゃんも、一緒に大喜利で遊びましょ?
ホワイトボードを持ってるなら、“ぼーっと”しちゃダメ……ふふっ」
李衣菜「一緒に、大喜利で遊ぶ……」
李衣菜(ああ、そうか。私たちは今、大喜利で遊んでるんだ。
何かを証明するわけでも、誰かに勝たなければいけないわけでもない。
クールのお姉さまとも、大喜利でなら、一緒に遊べるんだ……!)
美優「は、はい……!」
川島「はい、美優ちゃん!」
美優「あの……『衛星写真だと、鬱の字に見えると思います』」
川島「え、あ、怖い! 何それ鬱文字焼き!? ねえ何軒燃やしてるの!? 町一つ火の海になってるわよね!? 」
李衣菜「あはっ、凄い! ……よぉし、私も!」
李衣菜(思ったことを……私が、面白いと思ったイメージのカケラを、手繰り寄せるんだ!)
李衣菜(フレーズ? そういうの好きかも。
無駄撃ちしたって、構うもんか。
また新しい答えを考えれば良いだけ。
楓さんみたいに余裕を持って、ヘレンさんみたいにアグレッシブに、美優さんみたいに真剣に……!)
李衣菜(私はこの大喜利を、楽しくやるんだ!)
李衣菜「はいっ!」
川島「はい、李衣菜ちゃんどうぞ!」
李衣菜「『家焼~~~き芋』っ!」
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/09(水) 22:55:03.51 ID:6T7TMlnc0
川島「いやー、笑っちゃったわあ。
じゃあベストアンサーは、えっと……ヘレンさんのあの最後のやつで。……なんだっけ?」
ヘレン「『こんにちは、私は火レン・ケラー。火を触ります。つんつん。“fire”』」
川島「それ! それにするわ……! なんで火をつんつんしてんのその人……くくく!
あー、だめ! またツボに入っちゃった! いきなりだけど休憩させて! うふふふ!」
楓「1問目から跳ねましたね。楽しいお題でした」
李衣菜「あはは、凄かったあ……」
美優「あ、私は李衣菜ちゃんの『IHヒーターってやばいですね』が……面白かった、かな」
李衣菜「あっ、ありがとうございます!」
川島「李衣菜ちゃんも良かったわー。ねえ、今日はどうして来てくれたの?」
李衣菜「え、あ……私、ネットの番組で大喜利やる事になって……もっと大喜利上手くなりたくて、出来る場所探してたんです」
川島「あら、そうなの。大喜利やる場所って、やっぱり限られてるわよねー。
直近で何か大会とか無かったかしら」
楓「ああ、それなら……ほら、再来週ありますよ。あれです、日曜日の」
川島「日曜日? ……あ、あれね」
美優「あれですね」
李衣菜「あれ?」
ヘレン「『ライブ権争奪! アイドル限定大喜利タッグバトル “DUO”』……世界レベルよ」
李衣菜(ヘレンさんが言うんだ)
第5節 しあわせのドン・キホーテ 了
27: 李衣菜「みく、一緒に大喜利の大会出よ!」 2017/08/10(木) 21:46:54.80 ID:8GGZx21X0
みく「い、いきなりにゃ!? 李衣菜チャン、どうしたの?」
李衣菜「昨日、川島さん達の大喜利会に行ったんだけど、再来週に“DUO”っていうアイドル限定の大喜利大会があるんだって。
2人1組じゃなきゃ参加できないから、みくと出ようと思ってさ!
プロデューサーからの許可も取ってあるよ!」
みく「大喜利大会……?」
李衣菜「みく、私とチームを組んでよ!」
みく「……チーム」
李衣菜「そう、みくは大喜利慣れてると思うし、一緒に出てくれれば心強いよ!
お願い! このとーり!」
みく「えっと」
みく「えっと、その……あの」
みく「……ごめん!!」
李衣菜「えっ」
みく「りーなチャン、みくはちょっと出られない。
あの、ほ、他の人誘って! それじゃ!」
李衣菜「え、え、みく!?」
李衣菜「走って行っちゃった……」
P「あれ、李衣菜。まだ帰ってなかったのか。
いま、みくが走って出てってたけど、また解散か?」
李衣菜「あ、プロデューサー。ううん、実は……」
李衣菜「昨日、川島さん達の大喜利会に行ったんだけど、再来週に“DUO”っていうアイドル限定の大喜利大会があるんだって。
2人1組じゃなきゃ参加できないから、みくと出ようと思ってさ!
プロデューサーからの許可も取ってあるよ!」
みく「大喜利大会……?」
李衣菜「みく、私とチームを組んでよ!」
みく「……チーム」
李衣菜「そう、みくは大喜利慣れてると思うし、一緒に出てくれれば心強いよ!
お願い! このとーり!」
みく「えっと」
みく「えっと、その……あの」
みく「……ごめん!!」
李衣菜「えっ」
みく「りーなチャン、みくはちょっと出られない。
あの、ほ、他の人誘って! それじゃ!」
李衣菜「え、え、みく!?」
李衣菜「走って行っちゃった……」
P「あれ、李衣菜。まだ帰ってなかったのか。
いま、みくが走って出てってたけど、また解散か?」
李衣菜「あ、プロデューサー。ううん、実は……」
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/10(木) 21:48:27.23 ID:8GGZx21X0
~みくの部屋~
みく「ただいにゃ」
みく「ふぅ……なんか、逃げちゃったみたい」
みく「(PCポチッ。カチッ、カチッ)……あっ、ボケ相撲の結果出てる」
【お題】お医者さんが驚いてる理由
勝ち 33点 刀
岡田監督「外れるのは医者。医者とカズ」
負け 27点 肉球防衛軍
心電図のピーと言う音に「あと5分」と言ってから死んだ
みく「あ……負け、てる……」
みく「……はああー。(ごろん)」
みく(私は、もう何年も“肉球防衛軍”の名前でネット大喜利をしている。
いつからかは覚えていないが、気づけばこれが前川みくにとってのライフワークになっていた)
みく(ボケ相撲は、1対1の対戦型大喜利サイトだ。
制限時間15分で1答し、15人の審査員が持ち点3で回答を審査する。
今回の対戦は、自分の中では自信のある回答だった、つもりだ。
45点満点中27点は、実際悪い成績ではない。
相手の出方次第ではじゅうぶん勝ちを見込める点数だ。
だけど、今回は力でねじ伏せられた。
ネット大喜利最優のオオギリスト、“刀”に)
みく(“刀”も、私が大喜利を始めた頃にネット上に現れたオオギリストだ。
だけど、“刀”の登場はあまりにも鮮烈だった。
正統派の回答も、センス特化の回答も出来るオールラウンダー。
とにかく平均点が高く、いとも簡単に票を奪っていく。
研ぎ澄まされた短文も、時には気のふれた人間が書き殴ったような長文すら使う。
ネット大喜利界隈では、スターの1人と言っていいだろう)
みく(暦だけは長い私も何度か“刀”とかち合ったが、1対1の勝負で私は“刀”に勝ったことがない。
きっと奴は、真剣勝負ほど燃えるタイプなのだろう。
“刀”にリベンジするチャンスだと思っていたが、今回もまたその喉元には及ばなかった)
みく「……はあ~、やんなっちゃう……」
みく(“肉球防衛軍”はそこそこの大喜利しかできない。
どこにでもいる要素使いの普通のオオギリストだ。
暦は多少あるが、それだけだ。
理詰めで作られた私の回答は、考えれば誰もが辿り着けるものだ。
“刀”のような天才とは、比べるべくもない)
みく(それに……)ぐ~。
みく「…………ご飯買うの忘れちゃった。買い物でも、行こっと」
みく「ただいにゃ」
みく「ふぅ……なんか、逃げちゃったみたい」
みく「(PCポチッ。カチッ、カチッ)……あっ、ボケ相撲の結果出てる」
【お題】お医者さんが驚いてる理由
勝ち 33点 刀
岡田監督「外れるのは医者。医者とカズ」
負け 27点 肉球防衛軍
心電図のピーと言う音に「あと5分」と言ってから死んだ
みく「あ……負け、てる……」
みく「……はああー。(ごろん)」
みく(私は、もう何年も“肉球防衛軍”の名前でネット大喜利をしている。
いつからかは覚えていないが、気づけばこれが前川みくにとってのライフワークになっていた)
みく(ボケ相撲は、1対1の対戦型大喜利サイトだ。
制限時間15分で1答し、15人の審査員が持ち点3で回答を審査する。
今回の対戦は、自分の中では自信のある回答だった、つもりだ。
45点満点中27点は、実際悪い成績ではない。
相手の出方次第ではじゅうぶん勝ちを見込める点数だ。
だけど、今回は力でねじ伏せられた。
ネット大喜利最優のオオギリスト、“刀”に)
みく(“刀”も、私が大喜利を始めた頃にネット上に現れたオオギリストだ。
だけど、“刀”の登場はあまりにも鮮烈だった。
正統派の回答も、センス特化の回答も出来るオールラウンダー。
とにかく平均点が高く、いとも簡単に票を奪っていく。
研ぎ澄まされた短文も、時には気のふれた人間が書き殴ったような長文すら使う。
ネット大喜利界隈では、スターの1人と言っていいだろう)
みく(暦だけは長い私も何度か“刀”とかち合ったが、1対1の勝負で私は“刀”に勝ったことがない。
きっと奴は、真剣勝負ほど燃えるタイプなのだろう。
“刀”にリベンジするチャンスだと思っていたが、今回もまたその喉元には及ばなかった)
みく「……はあ~、やんなっちゃう……」
みく(“肉球防衛軍”はそこそこの大喜利しかできない。
どこにでもいる要素使いの普通のオオギリストだ。
暦は多少あるが、それだけだ。
理詰めで作られた私の回答は、考えれば誰もが辿り着けるものだ。
“刀”のような天才とは、比べるべくもない)
みく(それに……)ぐ~。
みく「…………ご飯買うの忘れちゃった。買い物でも、行こっと」
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/10(木) 21:49:50.89 ID:8GGZx21X0
~事務所~
P「そうか、そんなことが……。
……なあ、李衣菜。いきなりで悪いがちょっとこれを見てくれ」
李衣菜「ん? なんで今? 良いけど。
……Pさんの机の引き出し? ……って、わわ! 何このDVDの量!?」
P「……これだ。『第3回大喜利淀川杯』」
李衣菜「なにそれ?」
P「これは、数年前に関西で行われた一般向け大喜利大会の映像だ」
李衣菜「大喜利の大会?
うん……えっと、それが、どうしたの?」
P「まあ、見とけ。
この年の淀川杯は、タッグ戦だったんだ(パソコンポチー)」
パソコン「さあ、お題はこちら!」
【お題】こんなイタズラ電話がかかってきたら最悪だ
パソコン「さあ2問目、そろそろ突破するチームが出てくるか! 制限時間スタート!」
李衣菜「ふーん、結構参加者多いんだねー」
パソコン「はい、弁慶さんの笑いどころチーム!」
パソコン「『もしもしを256回言うともしもしがカンストします。
なので、ここでもしもしを256回言いますもしもしもしもしもしもしもしもし』」
パソコン「だはははは! やめろやめろ! 何のTAS動画なんだよ!
おっと、満票で2ポイント! 合わせて5ポイントで弁慶さんの笑いどころチーム、勝ち抜けー!」
パソコン「パチパチパチパチ……」
李衣菜「あはっ、変なの。
……で、プロデューサー? これ見せて、どうしたの?」
P「李衣菜。このブロックの参加者を見て、何か気づかないか?」
李衣菜「参加者? んー。あ、女の子のチームもあるんだね。
……って、あれ? このメガネの子……みく!?」
P「気づいたか。これは中学生の頃の前川みくだ。それに、みくの後ろにいるのは……」
P「そうか、そんなことが……。
……なあ、李衣菜。いきなりで悪いがちょっとこれを見てくれ」
李衣菜「ん? なんで今? 良いけど。
……Pさんの机の引き出し? ……って、わわ! 何このDVDの量!?」
P「……これだ。『第3回大喜利淀川杯』」
李衣菜「なにそれ?」
P「これは、数年前に関西で行われた一般向け大喜利大会の映像だ」
李衣菜「大喜利の大会?
うん……えっと、それが、どうしたの?」
P「まあ、見とけ。
この年の淀川杯は、タッグ戦だったんだ(パソコンポチー)」
パソコン「さあ、お題はこちら!」
【お題】こんなイタズラ電話がかかってきたら最悪だ
パソコン「さあ2問目、そろそろ突破するチームが出てくるか! 制限時間スタート!」
李衣菜「ふーん、結構参加者多いんだねー」
パソコン「はい、弁慶さんの笑いどころチーム!」
パソコン「『もしもしを256回言うともしもしがカンストします。
なので、ここでもしもしを256回言いますもしもしもしもしもしもしもしもし』」
パソコン「だはははは! やめろやめろ! 何のTAS動画なんだよ!
おっと、満票で2ポイント! 合わせて5ポイントで弁慶さんの笑いどころチーム、勝ち抜けー!」
パソコン「パチパチパチパチ……」
李衣菜「あはっ、変なの。
……で、プロデューサー? これ見せて、どうしたの?」
P「李衣菜。このブロックの参加者を見て、何か気づかないか?」
李衣菜「参加者? んー。あ、女の子のチームもあるんだね。
……って、あれ? このメガネの子……みく!?」
P「気づいたか。これは中学生の頃の前川みくだ。それに、みくの後ろにいるのは……」
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/10(木) 21:50:55.23 ID:8GGZx21X0
~街~
??「あれ……? あ、おーい! みくちゃーん!」
みく「あ……」
??「あっはっはっ! 偶然やな! 会いたかったわー!
お互いアイドルになってから、東京と大阪で会えんかったもんなー!
……ん、あれ、みくちゃん? どーしたん? 元気無いん?」
みく「あ、ううん。そうじゃないよ」
みく「笑美チャン、久しぶり。みくも久々に会えて嬉しいにゃ」
難波笑美「あははっ、せやね!
何年前やったか忘れたけど、“ねこたこガールズ”で大喜利の大会出た以来やん!
なあ、今時間ある? 一緒に茶しばきに行かへん?」
第6節 猫じゃないから忘れられない 了
??「あれ……? あ、おーい! みくちゃーん!」
みく「あ……」
??「あっはっはっ! 偶然やな! 会いたかったわー!
お互いアイドルになってから、東京と大阪で会えんかったもんなー!
……ん、あれ、みくちゃん? どーしたん? 元気無いん?」
みく「あ、ううん。そうじゃないよ」
みく「笑美チャン、久しぶり。みくも久々に会えて嬉しいにゃ」
難波笑美「あははっ、せやね!
何年前やったか忘れたけど、“ねこたこガールズ”で大喜利の大会出た以来やん!
なあ、今時間ある? 一緒に茶しばきに行かへん?」
第6節 猫じゃないから忘れられない 了
32: 難波笑美「みくちゃんは最近、大喜利してる?」 2017/08/11(金) 22:11:39.98 ID:LcMp1/9M0
みく「大喜利は……んー、自分の番組で司会とかしてるくらいにゃ」
笑美「ええ!? もったいな! やらなあかんよ! みくちゃんの大喜利おもろいのに!」
みく「あはは、そんなことないよ。笑美ちゃんは?」
笑美「ウチか? ウチは絶好調や! ……とは言うものの、成績はエンジョイ勢と変わらんな。
まあ、ライブにも出とるし、小規模な大喜利会ではちょくちょく優勝もしとる。
タイトルが欲しいわ。精力的には続けてるで」
みく「へぇー、笑美ちゃんは大喜利頑張ってるんだね。みくはアイドル活動で目一杯にゃ」
笑美「……ふーん?」
笑美「ええ!? もったいな! やらなあかんよ! みくちゃんの大喜利おもろいのに!」
みく「あはは、そんなことないよ。笑美ちゃんは?」
笑美「ウチか? ウチは絶好調や! ……とは言うものの、成績はエンジョイ勢と変わらんな。
まあ、ライブにも出とるし、小規模な大喜利会ではちょくちょく優勝もしとる。
タイトルが欲しいわ。精力的には続けてるで」
みく「へぇー、笑美ちゃんは大喜利頑張ってるんだね。みくはアイドル活動で目一杯にゃ」
笑美「……ふーん?」
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/11(金) 22:12:10.60 ID:LcMp1/9M0
~事務所~
李衣菜「つまりみくは、昔から大喜利の大会に出てた、ってこと……?」
P「いや、大喜利の大会にたった一回だけ出た事がある、というのが正しいところだろう。
みくが大会に出場した記録は、これしか見つからなかった。
恐らく、これが初出場で、この大会を最後に表舞台からいなくなったんだ」
李衣菜「……どうして、出るのやめちゃったの?」
P「それは、この大会の結果に関係があるんだと思う。
この大会は、お題3問のうち2人のプレーヤーが交代で取り組むルールだ。
5人の審査員のうち、3人の挙手があれば1ポイント。
5人全員の挙手があれば2ポイント。
合計5ポイント取ったチームが勝ち抜けとなる」
李衣菜「えーっとつまり、答えて、挙手がないとポイントにはならないんだね?」
P「そうだな。この予選、チーム・ねこたこガールズの1問目は難波笑美が出場。
3分間で3ポイントを獲得した。一度満票を取ったのが大きかったな」
李衣菜「お、すごいね、その難波ちゃんって子」
P「次のお題はみく。みくは3分間で5答したが、ポイントは1ポイント。これで合計4ポイントでリーチだ。
3問目は相談の上どちらかが出られるんだが、ここで出場したのはみくだった」
李衣菜「うん」
P「3問目。みくは1答も出来ず、ねこたこガールズは予選を敗退した」
李衣菜「……えっ?」
李衣菜「つまりみくは、昔から大喜利の大会に出てた、ってこと……?」
P「いや、大喜利の大会にたった一回だけ出た事がある、というのが正しいところだろう。
みくが大会に出場した記録は、これしか見つからなかった。
恐らく、これが初出場で、この大会を最後に表舞台からいなくなったんだ」
李衣菜「……どうして、出るのやめちゃったの?」
P「それは、この大会の結果に関係があるんだと思う。
この大会は、お題3問のうち2人のプレーヤーが交代で取り組むルールだ。
5人の審査員のうち、3人の挙手があれば1ポイント。
5人全員の挙手があれば2ポイント。
合計5ポイント取ったチームが勝ち抜けとなる」
李衣菜「えーっとつまり、答えて、挙手がないとポイントにはならないんだね?」
P「そうだな。この予選、チーム・ねこたこガールズの1問目は難波笑美が出場。
3分間で3ポイントを獲得した。一度満票を取ったのが大きかったな」
李衣菜「お、すごいね、その難波ちゃんって子」
P「次のお題はみく。みくは3分間で5答したが、ポイントは1ポイント。これで合計4ポイントでリーチだ。
3問目は相談の上どちらかが出られるんだが、ここで出場したのはみくだった」
李衣菜「うん」
P「3問目。みくは1答も出来ず、ねこたこガールズは予選を敗退した」
李衣菜「……えっ?」
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/11(金) 22:12:50.39 ID:LcMp1/9M0
~喫茶店~
笑美「みくちゃん、もしかして……もう大喜利、したくないん?」
みく「えっ? あは、そんな事ないにゃ。大喜利は今も、投稿は続けてるよ?」
笑美「じゃあ、どうして……」
みく「んー。別に、機会が無かっただけにゃ。年末のOOGIRI M@STERだって、出ようと思ってるし。
ただ、アイドルをやってる事でキャパシティがいっぱいになってただけ。だから、心配しないでにゃ」
笑美「なあ。……それ、ほんま?」
みく「……どういうこと?」
笑美「みくちゃん、あん時のこと……淀川杯の3問目を、本当は気にしてるんと違うんか」
みく「…………」
笑美「みくちゃん、もしかして……もう大喜利、したくないん?」
みく「えっ? あは、そんな事ないにゃ。大喜利は今も、投稿は続けてるよ?」
笑美「じゃあ、どうして……」
みく「んー。別に、機会が無かっただけにゃ。年末のOOGIRI M@STERだって、出ようと思ってるし。
ただ、アイドルをやってる事でキャパシティがいっぱいになってただけ。だから、心配しないでにゃ」
笑美「なあ。……それ、ほんま?」
みく「……どういうこと?」
笑美「みくちゃん、あん時のこと……淀川杯の3問目を、本当は気にしてるんと違うんか」
みく「…………」
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/11(金) 22:14:04.06 ID:LcMp1/9M0
~事務所~
李衣菜「2問目でたくさん答えてたのに……なんで?」
P「それは、やはりお題が合わなかったんだろうな。3問目は、こんなお題だった。(エンターキーポチー)」
パソコン「弁慶さんの笑いどころチームが抜けて、あと1つの椅子を争う4チーム! 3問目のお題は、これだー!」
【お題】3・3・7拍子でかっこいいひとことを言って下さい
李衣菜「…………ん?」
P「お、李衣菜も何となく気づいたようだな。そうなんだよ、このお題は『広い』んだ」
李衣菜「お題が……広い?」
P「つまり、要素が無いんだな。お題にもいくつか種類があるが、その中には明確に広い、狭いが存在する。
李衣菜、例えば『一家に一人相撲取りを飼ってる世界のあるある』と言うお題が出たら、まず何を想像する?」
李衣菜「えっ? えーっと、まあお家にお相撲さんがいるんでしょ? 食費大丈夫かな……?」
P「まあ、そんなところだろうな。まず力士が家にいる状況というものを考えるだろ、それが与えられた縛り、要素だ。
みくは以前自分を要素使いと言っていたが……恐らくみくの大喜利の考え方は、力士や家という大きな要素から、幾つもの小さな要素を考えるんだろうな。
力士だったら、ちゃんこ、つっぱり、大銀杏、優勝杯。家だったら、庭、生活、キッチン、家事、家族……ってところか。
多分だけど、みくはその要素同士をリンクさせることで回答を導き出しているんだ。
だからみくが答えるなら……『飼ってる相撲取りが捨て相撲取りを拾ってきて「新弟子取っていい?」と聞いてくる』、みたいな感じかな。あるあるのお題だし」
李衣菜「うーん、30点!」
P「俺の答えを採点するなよ……。
まあ、つまりみくはそういう意味で自分を″要素使い″と言ったんだろう。
徹底的に理詰めで、まるで数学の答えでも探すように回答を導き出す、それが前川みくの信じる大喜利なんだ。
しかし、この時はみくの最も苦手とするお題にかち合ってしまった」
李衣菜「3・3・7拍子と、かっこいいこと……」
P「これは逆に広いお題だ。つまり要素が少ないんだな。
“かっこいいこと”という要素は漠然としているし、3・3・7拍子は思考のヒントにはならない。
みくにとっては、白紙の問題用紙を与えられたようなものなんだろうな。
回答者が今までの人生で何をかっこいいと感じたか、センスが問われるお題なんだ。
もちろん、こういうのが得意なプレーヤーも存在するのも事実だがな」
P「結果、みくは回答出来ず、ねこたこガールズは負けた。
……俺は、もしかすると、その体験が原因じゃないかと思ってる。
自分のせいでチームが負けてしまった、とかな」
李衣菜「そ、っか……」
李衣菜(じゃあきっと……ううん)
李衣菜(みくは、みくなら……)
李衣菜「ありがと、プロデューサー!」
P「お、おい李衣菜! どこに行くんだ!?」
李衣菜「やっぱり私には……みくしかいないよ!」
李衣菜「2問目でたくさん答えてたのに……なんで?」
P「それは、やはりお題が合わなかったんだろうな。3問目は、こんなお題だった。(エンターキーポチー)」
パソコン「弁慶さんの笑いどころチームが抜けて、あと1つの椅子を争う4チーム! 3問目のお題は、これだー!」
【お題】3・3・7拍子でかっこいいひとことを言って下さい
李衣菜「…………ん?」
P「お、李衣菜も何となく気づいたようだな。そうなんだよ、このお題は『広い』んだ」
李衣菜「お題が……広い?」
P「つまり、要素が無いんだな。お題にもいくつか種類があるが、その中には明確に広い、狭いが存在する。
李衣菜、例えば『一家に一人相撲取りを飼ってる世界のあるある』と言うお題が出たら、まず何を想像する?」
李衣菜「えっ? えーっと、まあお家にお相撲さんがいるんでしょ? 食費大丈夫かな……?」
P「まあ、そんなところだろうな。まず力士が家にいる状況というものを考えるだろ、それが与えられた縛り、要素だ。
みくは以前自分を要素使いと言っていたが……恐らくみくの大喜利の考え方は、力士や家という大きな要素から、幾つもの小さな要素を考えるんだろうな。
力士だったら、ちゃんこ、つっぱり、大銀杏、優勝杯。家だったら、庭、生活、キッチン、家事、家族……ってところか。
多分だけど、みくはその要素同士をリンクさせることで回答を導き出しているんだ。
だからみくが答えるなら……『飼ってる相撲取りが捨て相撲取りを拾ってきて「新弟子取っていい?」と聞いてくる』、みたいな感じかな。あるあるのお題だし」
李衣菜「うーん、30点!」
P「俺の答えを採点するなよ……。
まあ、つまりみくはそういう意味で自分を″要素使い″と言ったんだろう。
徹底的に理詰めで、まるで数学の答えでも探すように回答を導き出す、それが前川みくの信じる大喜利なんだ。
しかし、この時はみくの最も苦手とするお題にかち合ってしまった」
李衣菜「3・3・7拍子と、かっこいいこと……」
P「これは逆に広いお題だ。つまり要素が少ないんだな。
“かっこいいこと”という要素は漠然としているし、3・3・7拍子は思考のヒントにはならない。
みくにとっては、白紙の問題用紙を与えられたようなものなんだろうな。
回答者が今までの人生で何をかっこいいと感じたか、センスが問われるお題なんだ。
もちろん、こういうのが得意なプレーヤーも存在するのも事実だがな」
P「結果、みくは回答出来ず、ねこたこガールズは負けた。
……俺は、もしかすると、その体験が原因じゃないかと思ってる。
自分のせいでチームが負けてしまった、とかな」
李衣菜「そ、っか……」
李衣菜(じゃあきっと……ううん)
李衣菜(みくは、みくなら……)
李衣菜「ありがと、プロデューサー!」
P「お、おい李衣菜! どこに行くんだ!?」
李衣菜「やっぱり私には……みくしかいないよ!」
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/11(金) 22:15:11.89 ID:LcMp1/9M0
~喫茶店~
みく「淀川杯……」
みく「……あはっ、あはははっ。そんなこと、もう忘れちゃったにゃ」
笑美「嘘や。ウチはみくちゃんがめっちゃ負けず嫌いなのを知ってる」
みく「負けず嫌い、かな……」
笑美「当たり前や。2問目のイタズラ電話のお題も、みくちゃんの苦手な広いお題やった。
でもみくちゃんは、攻める手を緩めなかった。せやから3問目も任したんやで」
みく「……あの時は、ごめんね」
笑美「謝ることなんか一切あらへん。
手数から一撃に切り替えたみくちゃんは、渾身の1答を出すために悩んだ。
ウチは後ろで見てたんや、そんくらい分かるわ」
笑美「せやから、みくちゃんがあの日のことを絶対忘れるわけあれへんねん。
試合後は平気そうにしてたけど、その後に隠れてトイレで泣いてた女の子が、あの日の悔しさを絶対に忘れるわけが、ない……! そうやろ……!」
みく「……そっか」
みく「…………笑美、チャン」
笑美「…………」
みく「そうだね。……みくは、嘘をついてた」
みく「みくが……みくが悔しかったのは、本当にゃ」
みく「笑美チャンがせっかく誘ってくれた大会で、何の力にもなれずに敗退してしまった。
ウケなかった。自分の実力を発揮できなかった。
あのお題には、今でもきちんとした答えは見つからない、自分の無力さが悔しかった。
……でも、それ以上に……」
みく「みくは……笑美チャンに負けたと思った……!!」
笑美「みく、ちゃん……?」
みく「笑美チャンは満票込みの3ポイント、みくはあれだけやってたったの1ポイント! みくは、笑美チャンに負けた!」
笑美「負けた、って……ウチらはチームで……」
みく「そう、チームにゃ! 始めはそう思ってた!
でも、目の前で笑美ちゃんが大爆笑を取って、羨ましくなった! 負けたくないと思ってしまった!」
みく「だから、みくにとって笑美チャンは、チームメイト以上にライバルだった……!」
みく「……だから、みくはもう誰ともチームなんか組めないの。
人前の大喜利を敬遠するようになってしまったのも……そういう自分の浅ましさが、怖くなってしまったから。
冷静じゃいられなくなってしまうから。
自分の弱さを見せつけられるから……みくは、大喜利の現場に、行けなくなったのにゃ」
笑美「…………」
笑美「みくちゃん」
みく「……なーに?」
笑美「ウチ、再来週に行われる大喜利の大会DUOに出る。
2人1組のタッグ戦や。
何人かからは誘われてたんやけど、パートナーが決まってなくて……そんな中でみくちゃんに会えて、運命かも知れんと思った」
笑美「せやな、これは運命なんや」
みく「笑美チャン?」
笑美「みくちゃん、DUOに出て。……ウチの敵として」
みく「えっ……?」
笑美「きっとウチらが男の子だったら河原で殴り合いしてるんやろうけど……ウチらは、女の子やし、オオギリストやから。
決着は、大喜利でつけよ。……ウチも、神経質なまでにお題に沿おうとするみくちゃんを……ネット大喜利で活躍してるみくちゃんを、ライバルだと思ってるから。
……こないだは、″刀″との対戦、惜しかったな」
みく「笑美ちゃん……」
笑美「ほな、ねこたこガールズは解散や。……待ってるで! これお勘定、釣りはいらんわ! またな!」
みく「あっ! ……笑美、チャン……」
みく「淀川杯……」
みく「……あはっ、あはははっ。そんなこと、もう忘れちゃったにゃ」
笑美「嘘や。ウチはみくちゃんがめっちゃ負けず嫌いなのを知ってる」
みく「負けず嫌い、かな……」
笑美「当たり前や。2問目のイタズラ電話のお題も、みくちゃんの苦手な広いお題やった。
でもみくちゃんは、攻める手を緩めなかった。せやから3問目も任したんやで」
みく「……あの時は、ごめんね」
笑美「謝ることなんか一切あらへん。
手数から一撃に切り替えたみくちゃんは、渾身の1答を出すために悩んだ。
ウチは後ろで見てたんや、そんくらい分かるわ」
笑美「せやから、みくちゃんがあの日のことを絶対忘れるわけあれへんねん。
試合後は平気そうにしてたけど、その後に隠れてトイレで泣いてた女の子が、あの日の悔しさを絶対に忘れるわけが、ない……! そうやろ……!」
みく「……そっか」
みく「…………笑美、チャン」
笑美「…………」
みく「そうだね。……みくは、嘘をついてた」
みく「みくが……みくが悔しかったのは、本当にゃ」
みく「笑美チャンがせっかく誘ってくれた大会で、何の力にもなれずに敗退してしまった。
ウケなかった。自分の実力を発揮できなかった。
あのお題には、今でもきちんとした答えは見つからない、自分の無力さが悔しかった。
……でも、それ以上に……」
みく「みくは……笑美チャンに負けたと思った……!!」
笑美「みく、ちゃん……?」
みく「笑美チャンは満票込みの3ポイント、みくはあれだけやってたったの1ポイント! みくは、笑美チャンに負けた!」
笑美「負けた、って……ウチらはチームで……」
みく「そう、チームにゃ! 始めはそう思ってた!
でも、目の前で笑美ちゃんが大爆笑を取って、羨ましくなった! 負けたくないと思ってしまった!」
みく「だから、みくにとって笑美チャンは、チームメイト以上にライバルだった……!」
みく「……だから、みくはもう誰ともチームなんか組めないの。
人前の大喜利を敬遠するようになってしまったのも……そういう自分の浅ましさが、怖くなってしまったから。
冷静じゃいられなくなってしまうから。
自分の弱さを見せつけられるから……みくは、大喜利の現場に、行けなくなったのにゃ」
笑美「…………」
笑美「みくちゃん」
みく「……なーに?」
笑美「ウチ、再来週に行われる大喜利の大会DUOに出る。
2人1組のタッグ戦や。
何人かからは誘われてたんやけど、パートナーが決まってなくて……そんな中でみくちゃんに会えて、運命かも知れんと思った」
笑美「せやな、これは運命なんや」
みく「笑美チャン?」
笑美「みくちゃん、DUOに出て。……ウチの敵として」
みく「えっ……?」
笑美「きっとウチらが男の子だったら河原で殴り合いしてるんやろうけど……ウチらは、女の子やし、オオギリストやから。
決着は、大喜利でつけよ。……ウチも、神経質なまでにお題に沿おうとするみくちゃんを……ネット大喜利で活躍してるみくちゃんを、ライバルだと思ってるから。
……こないだは、″刀″との対戦、惜しかったな」
みく「笑美ちゃん……」
笑美「ほな、ねこたこガールズは解散や。……待ってるで! これお勘定、釣りはいらんわ! またな!」
みく「あっ! ……笑美、チャン……」
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/11(金) 22:17:27.86 ID:LcMp1/9M0
~寮~
みく(笑美チャンは、みくのことをライバルだと認めてくれていた)
みく(アイドル限定大喜利タッグバトルDUO。……必ず2人1組でなければ、出られない大会)
みく(でも、みくはまた誰かと一緒に大喜利が出来るだろうか。
そんな浅ましい思いを持ってしまう、みくが。
……チーム制の、大喜利大会に、出る? みくが?)
みく(……ん?)
みく(みくの部屋の前に、誰か、いる?)
みく「あっ……李衣菜、チャン」
李衣菜「……すーっ、はーっ……」
みく「どうしたの、えっと……(ホワイトボード……?)」
李衣菜「お題!」
みく「えっ」
李衣菜「3・3・7拍子でかっこいいひとことを言って下さい!!」
みく「!」
みく「そ、れは……」
李衣菜「『わたし みくに 負けたくないっ』!!!」
みく「李衣菜ちゃん……」
李衣菜「みく……DUOに出よう! 一緒に! ……私たち、*(Asterisk)で!!」
みく「あ……」
みく「あはっ」
李衣菜「ふふっ」
みく「李衣菜チャン、それ……」
みく「3・3・6にゃあ……!!」
第7節 奈落の底へ、君と二人で 了
みく(笑美チャンは、みくのことをライバルだと認めてくれていた)
みく(アイドル限定大喜利タッグバトルDUO。……必ず2人1組でなければ、出られない大会)
みく(でも、みくはまた誰かと一緒に大喜利が出来るだろうか。
そんな浅ましい思いを持ってしまう、みくが。
……チーム制の、大喜利大会に、出る? みくが?)
みく(……ん?)
みく(みくの部屋の前に、誰か、いる?)
みく「あっ……李衣菜、チャン」
李衣菜「……すーっ、はーっ……」
みく「どうしたの、えっと……(ホワイトボード……?)」
李衣菜「お題!」
みく「えっ」
李衣菜「3・3・7拍子でかっこいいひとことを言って下さい!!」
みく「!」
みく「そ、れは……」
李衣菜「『わたし みくに 負けたくないっ』!!!」
みく「李衣菜ちゃん……」
李衣菜「みく……DUOに出よう! 一緒に! ……私たち、*(Asterisk)で!!」
みく「あ……」
みく「あはっ」
李衣菜「ふふっ」
みく「李衣菜チャン、それ……」
みく「3・3・6にゃあ……!!」
第7節 奈落の底へ、君と二人で 了
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/11(金) 22:22:14.65 ID:LcMp1/9M0
※ひとまず更新はここまでです。お付き合いありがとうございました。
※OOGIRIM@STER、続きはまた7~8話ぶん書き終えたらスレ立てします。
>>0�TML化を頼んできます。
※コメント等いただけたら、もう少し頑張れるかもしれません。
※大喜利は楽しいですよ。
※OOGIRIM@STER、続きはまた7~8話ぶん書き終えたらスレ立てします。
>>0�TML化を頼んできます。
※コメント等いただけたら、もう少し頑張れるかもしれません。
※大喜利は楽しいですよ。
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/11(金) 23:16:57.65 ID:IKo71VoA0
おつおつ
気になるところで切ってきたな
続編期待
気になるところで切ってきたな
続編期待
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 04:04:03.51 ID:ZnVwwDYto
ここで切るんかーい
つづきはよ
つづきはよ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1501946248/
Entry ⇒ 2017.10.31 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
永吉昴「シンデレラガールズと試合だって?」真壁瑞希「……試合ではありません」
1: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 13:28:26.62 ID:4oOaqokS0
瑞希「共演です。ごえつどうしゅう、だぞ」
昴「だってマジでやるつもりだから、本気出せってプロデューサーが言ってたぜ?」
瑞希「やると言っても野球の試合ではありません。……ライブです」
昴「なんだ、そっちかよ。でもよ、気になるウワサを聞いたんだけどさ」
瑞希「なんですか?」
昴「だってマジでやるつもりだから、本気出せってプロデューサーが言ってたぜ?」
瑞希「やると言っても野球の試合ではありません。……ライブです」
昴「なんだ、そっちかよ。でもよ、気になるウワサを聞いたんだけどさ」
瑞希「なんですか?」
2: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 13:31:26.28 ID:4oOaqokS0
3: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 13:34:22.38 ID:4oOaqokS0
昴「シンデレラガールズは、支配下登録選手が200人近くいるらしいんだよ! プロでも支配下登録選手は1チーム70人までなのに、そんなにいるの反則じゃねえか?」
瑞希「永吉さん。シンデレラガールズのみなさんは、選手ではありません」
昴「そりゃそうだけどさ、なんでも野球に当てはめて考えた方が理解しやすいだろ?」
瑞希「そう……かな? じゃあちょっと試してみてもいいですか?」
昴「え? なにを?」
瑞希「永吉さん。シンデレラガールズのみなさんは、選手ではありません」
昴「そりゃそうだけどさ、なんでも野球に当てはめて考えた方が理解しやすいだろ?」
瑞希「そう……かな? じゃあちょっと試してみてもいいですか?」
昴「え? なにを?」
4: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 13:34:58.83 ID:4oOaqokS0
瑞希「(49-x) /2+x=32……この問題が解けますか?」
昴「……え?」
瑞希「ちなみに中学3年生レベルの数学です」
昴「ちょっとわからねえけど……」
瑞希「では、話題を変えます。……夏の甲子園が始まりましたね」
昴「お? おお! 毎日、大熱戦だよな!!」
瑞希「甲子園の野球大会は、抽選によって組み合わせが決まります」
昴「? そうだな」
昴「……え?」
瑞希「ちなみに中学3年生レベルの数学です」
昴「ちょっとわからねえけど……」
瑞希「では、話題を変えます。……夏の甲子園が始まりましたね」
昴「お? おお! 毎日、大熱戦だよな!!」
瑞希「甲子園の野球大会は、抽選によって組み合わせが決まります」
昴「? そうだな」
5: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 13:36:35.13 ID:4oOaqokS0
瑞希「第2回戦以降には、不戦勝のチームがないように組み合わせもつくられています」
昴「知ってる」
瑞希「では、1回戦で不戦勝となるチームの数が何チームになるか……わかりますか?」
昴「15チームだろ?」
瑞希「即答ですか。……正解です」
昴「簡単だって。49チームが参加して、2回戦以降で不戦勝が出ないようにするなら32チームが1回戦を残らないといけないんだから、1回戦を全チームがやるなら32の倍で64チームが必要だけど、実際には49チームしかいないんだから64から49を引けば15チームになるじゃんか」
瑞希「そうですね。……ところで(49-x) /2+x=32はわかりますか?」
昴「わからねえ」
昴「知ってる」
瑞希「では、1回戦で不戦勝となるチームの数が何チームになるか……わかりますか?」
昴「15チームだろ?」
瑞希「即答ですか。……正解です」
昴「簡単だって。49チームが参加して、2回戦以降で不戦勝が出ないようにするなら32チームが1回戦を残らないといけないんだから、1回戦を全チームがやるなら32の倍で64チームが必要だけど、実際には49チームしかいないんだから64から49を引けば15チームになるじゃんか」
瑞希「そうですね。……ところで(49-x) /2+x=32はわかりますか?」
昴「わからねえ」
6: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 13:39:17.76 ID:4oOaqokS0
瑞希「驚くべき事ですが、確かに何でも野球で考えた方がわかりやすいんですね」
昴「なんだかわからねえけど、おう!」
瑞希「それで、永吉さんはシンデレラガールズの誰と共演するんですか?」
昴「え? みんな別々の娘との共演なのか?」
瑞希「はい。……ちなみに私は、若林智香さんと日野茜さんと共演です。てんしょんあがるぞ」
昴「オレは確か、諸星きらりって名前の娘だったな」
瑞希「諸星さんですか」
昴「あれ? 知ってるのか?」
瑞希「シンデレラガールズの皆さんとは、以前ちょっと共演したので」
昴「なんだかわからねえけど、おう!」
瑞希「それで、永吉さんはシンデレラガールズの誰と共演するんですか?」
昴「え? みんな別々の娘との共演なのか?」
瑞希「はい。……ちなみに私は、若林智香さんと日野茜さんと共演です。てんしょんあがるぞ」
昴「オレは確か、諸星きらりって名前の娘だったな」
瑞希「諸星さんですか」
昴「あれ? 知ってるのか?」
瑞希「シンデレラガールズの皆さんとは、以前ちょっと共演したので」
7: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 13:41:25.81 ID:4oOaqokS0
8: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 13:46:05.76 ID:4oOaqokS0
昴「じゃあ諸星きらりって、どんな娘なんだ?」
瑞希「背の高いアイドルです。……確か身長は、186.2cm」
昴「えっ!?」
瑞希「……186.2cmです」
昴「ちょ、え? 待てよ! 186.2cm!? オレ154㎝しかねーぞ!!」
瑞希「大丈夫です。諸星さんは、優しい人ですから。……ただ」
昴「ただ、なんだよ?」
瑞希「背の高いアイドルです。……確か身長は、186.2cm」
昴「えっ!?」
瑞希「……186.2cmです」
昴「ちょ、え? 待てよ! 186.2cm!? オレ154㎝しかねーぞ!!」
瑞希「大丈夫です。諸星さんは、優しい人ですから。……ただ」
昴「ただ、なんだよ?」
9: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 13:47:56.43 ID:4oOaqokS0
瑞希「以前、出演した番組でセットを破壊したことがあると……聞きました。ですとろーい」
昴「こっ、こええ! こえーよ!! 共演するのおっかねえよ!!!」
瑞希「大丈夫です。先程も言いましたが、諸星さんは優しい人です」
昴「セットを破壊した、ってのも先程言ったじゃねえか! ヤダよ、そんな大きな娘と一緒なんて」
瑞希「永吉さん、大丈夫です。確かに諸星さんの身長は186.2cmです。……でも」
昴「?」
瑞希「身長186.2㎝といえば、巨人の坂本勇人選手とほぼ同じです」
昴「あ」
昴「こっ、こええ! こえーよ!! 共演するのおっかねえよ!!!」
瑞希「大丈夫です。先程も言いましたが、諸星さんは優しい人です」
昴「セットを破壊した、ってのも先程言ったじゃねえか! ヤダよ、そんな大きな娘と一緒なんて」
瑞希「永吉さん、大丈夫です。確かに諸星さんの身長は186.2cmです。……でも」
昴「?」
瑞希「身長186.2㎝といえば、巨人の坂本勇人選手とほぼ同じです」
昴「あ」
10: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 13:48:50.58 ID:4oOaqokS0
瑞希「諸星さんと共演している時は、坂本選手ってこのぐらいの大きさなんだ……と、想像しながらお仕事をしてください」
昴「そ、そうか……さ、坂本選手と同じ身長かあ……////」
ズン ズン ズン ズン ズシーン ドシーーンン
昴「な、なんだ? 地震か!?」
瑞希「いえ。……来たみたいです」
昴「誰が?」
きらり「にょわーっ! 今度共演する昴ちゃんが、ちょうどいるって聞いて挨拶にきたよ☆ きらりはぁ、諸星きらりだにぃ。よろしくおにゃーしゃー!」
昴「そ、そうか……さ、坂本選手と同じ身長かあ……////」
ズン ズン ズン ズン ズシーン ドシーーンン
昴「な、なんだ? 地震か!?」
瑞希「いえ。……来たみたいです」
昴「誰が?」
きらり「にょわーっ! 今度共演する昴ちゃんが、ちょうどいるって聞いて挨拶にきたよ☆ きらりはぁ、諸星きらりだにぃ。よろしくおにゃーしゃー!」
12: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 13:50:32.60 ID:4oOaqokS0
昴「こ、この娘が諸星きらり……で、デケえ! だ、だけど……」
きらり「?」
昴「坂本選手も間近にいたら、このぐらいあるんだな……背////」
きらり「ライブ、楽しみにしてるにぃ。はい、握手☆」
昴「あ、ど、どうも……よろしく////」
ギュッ
昴「手……大きいな……この手で去年は、セリーグの遊撃手史上初めて首位打者を獲得したんだな……////」
瑞希「※してないぞ」
きらり「?」
昴「坂本選手も間近にいたら、このぐらいあるんだな……背////」
きらり「ライブ、楽しみにしてるにぃ。はい、握手☆」
昴「あ、ど、どうも……よろしく////」
ギュッ
昴「手……大きいな……この手で去年は、セリーグの遊撃手史上初めて首位打者を獲得したんだな……////」
瑞希「※してないぞ」
13: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 13:52:34.09 ID:4oOaqokS0
きらり「じゃぁあ。また会うにぃ! おっすおっすばっちし☆」
瑞希「どうでしたか?」
昴「お、おお。全然恐くなかった。というか、坂本選手と同じ身長だって思ったら、なんか嬉しかった////」
瑞希「それは……よかったです」
昴「あと、白菊ほたるって娘も共演するらしいんだけど」
瑞希「! ……白菊さんですか」
昴「知ってるのか?」
瑞希「どうでしたか?」
昴「お、おお。全然恐くなかった。というか、坂本選手と同じ身長だって思ったら、なんか嬉しかった////」
瑞希「それは……よかったです」
昴「あと、白菊ほたるって娘も共演するらしいんだけど」
瑞希「! ……白菊さんですか」
昴「知ってるのか?」
14: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 13:53:55.56 ID:4oOaqokS0
15: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 13:54:37.27 ID:4oOaqokS0
瑞希「お目にかかったことはありませんが、噂を……聞いた事があります」
昴「噂? それってよくない噂なのか?」
瑞希「はい」
昴「まさか……賭博とかか!?」
瑞希「違います。白菊さんは……とても大人しくて、礼儀正しい娘です。悪い事をするような娘ではありません」
昴「じゃあなんで……ん?」
ほたる「あ、あの……永吉昴さんですよね? 私、白菊ほたると言います。今度その……共演させていただくので、ご挨拶を……」
昴「え? あ、アンタが。やー、よろしくな」
昴「噂? それってよくない噂なのか?」
瑞希「はい」
昴「まさか……賭博とかか!?」
瑞希「違います。白菊さんは……とても大人しくて、礼儀正しい娘です。悪い事をするような娘ではありません」
昴「じゃあなんで……ん?」
ほたる「あ、あの……永吉昴さんですよね? 私、白菊ほたると言います。今度その……共演させていただくので、ご挨拶を……」
昴「え? あ、アンタが。やー、よろしくな」
16: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 13:57:03.90 ID:4oOaqokS0
ほたる「私はシンデレラガールズになって日がまだ浅いんですが、一生懸命がんばりますのでよろしくおねがいいたします」
昴「日が浅い? ルーキーってこと?」
ほたる「いえ、その……移籍してきたんです」
昴「あ、トレードか!?」
ほたる「え?」
昴「日が浅い? ルーキーってこと?」
ほたる「いえ、その……移籍してきたんです」
昴「あ、トレードか!?」
ほたる「え?」
17: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 13:58:11.16 ID:4oOaqokS0
昴「それって何対何のトレード? それとも金銭?」
ほたる「あの……トレードではないと思うんですけど……」
昴「じゃあ、もしかしてFA?」
ほたる「よくわかりませんけど……なんて言うか、前の事務所は倒産してなくなっちゃったんです」
昴「え?」
ほたる「それで……」
昴「つまり……近鉄と同じケースかよ!?」
ほたる「きんて……え?」
ほたる「あの……トレードではないと思うんですけど……」
昴「じゃあ、もしかしてFA?」
ほたる「よくわかりませんけど……なんて言うか、前の事務所は倒産してなくなっちゃったんです」
昴「え?」
ほたる「それで……」
昴「つまり……近鉄と同じケースかよ!?」
ほたる「きんて……え?」
18: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 13:59:26.22 ID:4oOaqokS0
昴「父親から聞いたことあるぜ! 近鉄とオリックスの球団合併と楽天の新球団設立や分配ドラフトな!!」
ほたる「え? え?」
昴「そっかー! 苦労したんだな……ほたる、よろしくな!! オレ、まけねーからな!!! 全力だすから」
ほたる「あ、はい……よろしく……おねがいします」
昴「ああいう親会社がやめちゃったり、親会社そのものがなくなるって大変なんだろうな」
ほたる「あ。はい……私の場合、それが3回もありましたから」
昴「え?」
ほたる「え? え?」
昴「そっかー! 苦労したんだな……ほたる、よろしくな!! オレ、まけねーからな!!! 全力だすから」
ほたる「あ、はい……よろしく……おねがいします」
昴「ああいう親会社がやめちゃったり、親会社そのものがなくなるって大変なんだろうな」
ほたる「あ。はい……私の場合、それが3回もありましたから」
昴「え?」
19: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:02:00.82 ID:4oOaqokS0
ほたる「前の事務所だけじゃなくて、その前の事務所も……その前の前も……」
昴「つまり……どういうことだ?」
瑞希「野球で言えば、3アウトでもチェンジにならなかった……かな?」
ほたる「あの。でも、野球って3アウトでチェンジになるんじゃ……」
昴「あー! 第4のアウトな!!」
ほたる「え?」
昴「つまり……どういうことだ?」
瑞希「野球で言えば、3アウトでもチェンジにならなかった……かな?」
ほたる「あの。でも、野球って3アウトでチェンジになるんじゃ……」
昴「あー! 第4のアウトな!!」
ほたる「え?」
20: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:04:05.42 ID:4oOaqokS0
昴「アピールを怠らなきゃ、3アウトでも終わりじゃないことってあるよな!!!」
ほたる「意味はわからないですけど、なんだか……嬉しい言葉です」
昴「そっかー。でも色々、辛いこともあったんだろ?」
ほたる「……はい。今だから言えますけど、酷いことを言われたりもしました」
昴「ひどいこと?」
ほたる「意味はわからないですけど、なんだか……嬉しい言葉です」
昴「そっかー。でも色々、辛いこともあったんだろ?」
ほたる「……はい。今だから言えますけど、酷いことを言われたりもしました」
昴「ひどいこと?」
21: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:04:41.63 ID:4oOaqokS0
ほたる「陰で……『怪物』とか言われたり」
昴「女なのに?」
ほたる「え?」
昴「オレもさ、男に生まれていたら甲子園とかで怪物って呼ばれてたかもなーって、時々思うんだよな!」
ほたる「こうし……えん?」
昴「女の子なのに怪物って呼ばれるとか、すげーな!」
ほたる「いえその、別に……すごくは」
昴「怪物の他にも、なんか呼ばれてたのか!?」
昴「女なのに?」
ほたる「え?」
昴「オレもさ、男に生まれていたら甲子園とかで怪物って呼ばれてたかもなーって、時々思うんだよな!」
ほたる「こうし……えん?」
昴「女の子なのに怪物って呼ばれるとか、すげーな!」
ほたる「いえその、別に……すごくは」
昴「怪物の他にも、なんか呼ばれてたのか!?」
22: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:05:56.50 ID:4oOaqokS0
ほたる「ええと……魔物とか……」
昴「おー! 甲子園の!!」
ほたる「こうしえん……?」
昴「すげーな、ほたる! オレもがんばるから!! よろしくな!!!」
ほたる「あ、はい。それではまた……」
昴「すげえな……あの娘」
瑞希「というか……明らかに困惑してましたよ。絶対に白菊さんの中で、甲子園という場所のイメージが変わったはずです」
昴「なんで?」
昴「おー! 甲子園の!!」
ほたる「こうしえん……?」
昴「すげーな、ほたる! オレもがんばるから!! よろしくな!!!」
ほたる「あ、はい。それではまた……」
昴「すげえな……あの娘」
瑞希「というか……明らかに困惑してましたよ。絶対に白菊さんの中で、甲子園という場所のイメージが変わったはずです」
昴「なんで?」
23: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:07:03.06 ID:4oOaqokS0
瑞希「説明すると長くなります。なんというか……なんでも野球で理解するのは、考え物かも」
昴「わかりやすくて、いいんだけどな」
瑞希「周りは……わかりにくいです」
昴「そういえばさ、なんかオレら映画に出るんだって?」
瑞希「私も聞きました。有名な……マンガの映画化だそうです」
昴「えー? マンガの映画化かよ」
瑞希「なにか問題でもあるのですか?」
昴「わかりやすくて、いいんだけどな」
瑞希「周りは……わかりにくいです」
昴「そういえばさ、なんかオレら映画に出るんだって?」
瑞希「私も聞きました。有名な……マンガの映画化だそうです」
昴「えー? マンガの映画化かよ」
瑞希「なにか問題でもあるのですか?」
24: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:08:15.83 ID:4oOaqokS0
昴「オレもマンガは読むけどさ、なんかマンガの実写化って評判よくないじゃんか」
瑞希「確かにデビルマンを筆頭に、原作がマンガの映画はファンも厳しい目で見ることが多く、また二次元のデザインを三次元で再現することによるコスプレ化や、尺に収める為の原作改変など、様々な問題があります」
昴「だろ? なんかそういうの聞くと、マンガ原作の映画ってこえーなーって」
瑞希「大丈夫です永吉さん」
昴「え?」
瑞希「プロデューサーならきっと、そこはきちんと仕事をしてくれます。……私たちの為に」
昴「まあそうかも知れねーけど」
瑞希「それに」
昴「ん?」
瑞希「確かにデビルマンを筆頭に、原作がマンガの映画はファンも厳しい目で見ることが多く、また二次元のデザインを三次元で再現することによるコスプレ化や、尺に収める為の原作改変など、様々な問題があります」
昴「だろ? なんかそういうの聞くと、マンガ原作の映画ってこえーなーって」
瑞希「大丈夫です永吉さん」
昴「え?」
瑞希「プロデューサーならきっと、そこはきちんと仕事をしてくれます。……私たちの為に」
昴「まあそうかも知れねーけど」
瑞希「それに」
昴「ん?」
25: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:09:12.16 ID:4oOaqokS0
瑞希「マンガが原作でも、成功した映画はあります。……ROOKIESのように」
昴「おお! ROOKIESか!!」
瑞希「はい。原作をリスペクトしつつ、改変を加えながらも大成功したあの……ROOKIESです」
昴「そうか、そうだよな!! ROOKIESがあったよな!!!」
瑞希「だから……大丈夫です。きっと」
昴「オレ、安仁屋がいいな!」
瑞希「あの……それは、あくまでも例えで。英語で言うと、えぐざんぷる」
昴「瑞希さんは、今岡な!」
瑞希「ふよ」
昴「おお! ROOKIESか!!」
瑞希「はい。原作をリスペクトしつつ、改変を加えながらも大成功したあの……ROOKIESです」
昴「そうか、そうだよな!! ROOKIESがあったよな!!!」
瑞希「だから……大丈夫です。きっと」
昴「オレ、安仁屋がいいな!」
瑞希「あの……それは、あくまでも例えで。英語で言うと、えぐざんぷる」
昴「瑞希さんは、今岡な!」
瑞希「ふよ」
27: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:11:18.94 ID:4oOaqokS0
昴「千鶴さんは、赤星かな」
瑞希「それは……同感です。かげのどりょくか」
昴「ところで、今日ってなんの収録なんだ?」
瑞希「今日は……VRゲームの体験のお仕事です」
昴「VRって、すっごい本物みたいに見えるゲームなんだよな? それ、野球のゲームか!?」
瑞希「いえ。カーレースのゲームだそうです」
昴「カーレースか」
瑞希「時速165kmで、日本を縦断するゲームだそうです」
昴「え?」
瑞希「時速165kmで、日本を縦断するゲーム」
瑞希「それは……同感です。かげのどりょくか」
昴「ところで、今日ってなんの収録なんだ?」
瑞希「今日は……VRゲームの体験のお仕事です」
昴「VRって、すっごい本物みたいに見えるゲームなんだよな? それ、野球のゲームか!?」
瑞希「いえ。カーレースのゲームだそうです」
昴「カーレースか」
瑞希「時速165kmで、日本を縦断するゲームだそうです」
昴「え?」
瑞希「時速165kmで、日本を縦断するゲーム」
28: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:12:43.78 ID:4oOaqokS0
昴「じ、時速165kmって速すぎだろ! え、しかもVRってことはすっげーリアルなんだろ?」
瑞希「そうでしょうね」
昴「オレこえーよ。そんな車の運転するの!」
瑞希「永吉さん、大丈夫です。確かに時速165kmは……ものすごいスピードです。ですが……」
昴「な、なんだよ?」
瑞希「時速165kmといえば……北海道日本ハムファイターズの、大谷翔平選手の投球と同じ速さです」
昴「あ」
瑞希「そうでしょうね」
昴「オレこえーよ。そんな車の運転するの!」
瑞希「永吉さん、大丈夫です。確かに時速165kmは……ものすごいスピードです。ですが……」
昴「な、なんだよ?」
瑞希「時速165kmといえば……北海道日本ハムファイターズの、大谷翔平選手の投球と同じ速さです」
昴「あ」
29: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:13:41.00 ID:4oOaqokS0
瑞希「ゲームの中で永吉さんは、大谷投手の投げるボールの気分が……味わえます」
昴「そ、そっか! そうだよな!! そうかー……大谷の投げる球の気分か……!!!」
瑞希「だから……がんばるぞ」
昴「えいえいおー!!!」
昴「そ、そっか! そうだよな!! そうかー……大谷の投げる球の気分か……!!!」
瑞希「だから……がんばるぞ」
昴「えいえいおー!!!」
30: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:15:13.40 ID:4oOaqokS0
~収録後~
瑞希「どうでしたか?」
昴「ああ……なんていうか、大谷の手に握られて投げつけられたみたいだったぜ……////」
瑞希「それなら……良かったです」
昴「ちょっと建物とかにもぶつかっちまったけど、なんていうかデッドボールみたいで興奮した」
瑞希「それは……良かったのかな?」
昴「まあゲームだから良かったけどさ、やっぱり交通事故ってないにこしたことはないよな。ゲームの中だけにしておくべきだよ」
瑞希「どうでしたか?」
昴「ああ……なんていうか、大谷の手に握られて投げつけられたみたいだったぜ……////」
瑞希「それなら……良かったです」
昴「ちょっと建物とかにもぶつかっちまったけど、なんていうかデッドボールみたいで興奮した」
瑞希「それは……良かったのかな?」
昴「まあゲームだから良かったけどさ、やっぱり交通事故ってないにこしたことはないよな。ゲームの中だけにしておくべきだよ」
31: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:16:41.82 ID:4oOaqokS0
瑞希「同感です。……交通事故はこわいぞ。メーカーが試験した所、時速50㎞の速度でも車が衝突したら1.5トンの衝撃だそうです」
昴「1.5トン?」
瑞希「1.5トンは、1500きろぐらむです」
昴「それはわかってるけどさ、1.5トンとか1500キロって言われても、いまいちピンとこねーよ」
瑞希「1500㎏は……ヤクルトのバレンティン選手、15人分です」
昴「え!?」
昴「1.5トン?」
瑞希「1.5トンは、1500きろぐらむです」
昴「それはわかってるけどさ、1.5トンとか1500キロって言われても、いまいちピンとこねーよ」
瑞希「1500㎏は……ヤクルトのバレンティン選手、15人分です」
昴「え!?」
32: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:18:21.15 ID:4oOaqokS0
瑞希「バレンティン選手の体重はちょうど100きろぐらむなので、15人で……1.5トンです」
昴「ば、バレンティンが15人って言ったら年間ホームラン900本だろ!?」
瑞希「※ただし、2013年のばあいだぞ」
昴「ほ、ホームラン900本って言ったら、900~3600点だろ!?」
瑞希「ホームランは、ソロなら1点。満塁なら4点ですからね」
昴「やべーな交通事故! バレンティンは年俸がアメリカドルで95万ドルだろ!? 15人なら14,250,000ドルだぜ!? 円に直すと……いくらだ!?」
昴「ば、バレンティンが15人って言ったら年間ホームラン900本だろ!?」
瑞希「※ただし、2013年のばあいだぞ」
昴「ほ、ホームラン900本って言ったら、900~3600点だろ!?」
瑞希「ホームランは、ソロなら1点。満塁なら4点ですからね」
昴「やべーな交通事故! バレンティンは年俸がアメリカドルで95万ドルだろ!? 15人なら14,250,000ドルだぜ!? 円に直すと……いくらだ!?」
34: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:22:01.06 ID:4oOaqokS0
瑞希「大体ですが、15億円を超える金額になりますね」
昴「15億かよー。想像できねーな」
瑞希「15億円は……オリックスの金子千尋選手の年俸、3人分です」
昴「金子千尋が3人!!」
瑞希「※ただし、今年の推定年俸だぞ」
昴「ということは、バレンティン15人で金子千尋3人かよ!!!」
瑞希「もうなんだか、よくわからなくなってきましたね」
昴「15億かよー。想像できねーな」
瑞希「15億円は……オリックスの金子千尋選手の年俸、3人分です」
昴「金子千尋が3人!!」
瑞希「※ただし、今年の推定年俸だぞ」
昴「ということは、バレンティン15人で金子千尋3人かよ!!!」
瑞希「もうなんだか、よくわからなくなってきましたね」
35: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:23:33.05 ID:4oOaqokS0
ロコ「こんな所にいましたか。ロコは2人に、グレートに大きくてビッグなジャイアントニュースを持ってわざわざ探しにやって来ました」
瑞希「あ、ロコさん。……ありがとうございます」
昴「サンキュー、ロッコ!」
ロコ「長く苦しい長距離ロングトラベルでした。時には右にライトターンして右折したり、左手に左折してレフトターンしたりしたのです」
瑞希「どこから来たんですか?」
ロコ「隣の建物ですよ」
昴「隣に…いたのか。あずささんみたいだな」
瑞希「あ、ロコさん。……ありがとうございます」
昴「サンキュー、ロッコ!」
ロコ「長く苦しい長距離ロングトラベルでした。時には右にライトターンして右折したり、左手に左折してレフトターンしたりしたのです」
瑞希「どこから来たんですか?」
ロコ「隣の建物ですよ」
昴「隣に…いたのか。あずささんみたいだな」
36: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:25:30.04 ID:4oOaqokS0
ロコ「それはともかく。765プロも、私たちという新しくてフレッシュでノベルなニューフェイスが参入し、次のネクストステップへ進むべく、偉大でグレートなビッグプランが決定したんです」
昴「どんな?」
ロコ「ドームでライブです。東京ドームでのライブが決まったのです!」
瑞希「東京ドーム……らいぶ!」
ロコ「そうです! これはエキサイティングなライブになることは、間違いありません!! ピースなバイブレーションでアートを描き、このアースに負けないオブジェを作るのです!!!」
瑞希「みんな大好き東京ドームライブ」
昴「どんな?」
ロコ「ドームでライブです。東京ドームでのライブが決まったのです!」
瑞希「東京ドーム……らいぶ!」
ロコ「そうです! これはエキサイティングなライブになることは、間違いありません!! ピースなバイブレーションでアートを描き、このアースに負けないオブジェを作るのです!!!」
瑞希「みんな大好き東京ドームライブ」
37: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:27:02.25 ID:4oOaqokS0
昴「東京ドーム……お、おおお、オレ緊張してきた。と、東京ドームてライブって、ど、どどどどんななんだよ!? どうすればいいんだよ!?」
瑞希「永吉さん、落ち着いてください。……緊張しなくても大丈夫です」
昴「だ、だってよ、東京ドームだぜ!?」
瑞希「確かに東京ドームは、私たちも未経験の大きな会場です。……ですが」
昴「な、なんだよ?」
瑞希「永吉さん、落ち着いてください。……緊張しなくても大丈夫です」
昴「だ、だってよ、東京ドームだぜ!?」
瑞希「確かに東京ドームは、私たちも未経験の大きな会場です。……ですが」
昴「な、なんだよ?」
38: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:29:16.03 ID:4oOaqokS0
瑞希「永吉さんに分かりやすく説明しますと、東京ドームの大きさは……東京ドーム1個分です」
昴「あ、なんだ。そうか。あの大きさか、それなら安心だな!」
瑞希「はい。どんとうおーりー、だぞ」
お わ り
昴「あ、なんだ。そうか。あの大きさか、それなら安心だな!」
瑞希「はい。どんとうおーりー、だぞ」
お わ り
39: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:31:56.63 ID:4oOaqokS0
若林智香
http://i.imgur.com/TAOG0I3.jpg
http://i.imgur.com/tt3tq6t.jpg
日野茜
http://i.imgur.com/txiYgoB.jpg
http://i.imgur.com/TAOG0I3.jpg
http://i.imgur.com/tt3tq6t.jpg
日野茜
http://i.imgur.com/txiYgoB.jpg
41: ◆VHvaOH2b6w 2017/08/11(金) 14:34:29.67 ID:4oOaqokS0
以上で終わりです。
おつき合いいただきまして、ありがとうございました。
おつき合いいただきまして、ありがとうございました。
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/11(金) 14:37:31.15 ID:dp5aRPQHO
おつおつ
デレはよく知らないけど面白かった
デレはよく知らないけど面白かった
50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/12(土) 03:02:55.40 ID:+pJQvh7do
そりゃ東京ドームは東京ドーム1個分の大きさなのは当たり前だろ!
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1502425706/
Entry ⇒ 2017.10.31 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
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