ヴィーネ「最近、ガヴが一緒に帰ってくれない…」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 02:13:29.26 ID:sxqa7zey0
ヴィーネ「ガヴ、一緒に帰りましょう!」
ガヴ「ごめん、今日バイト」
ヴィーネ「ガヴ、一緒にかえ」
ガヴ「今日は試食部に出るから」
ヴィーネ「ガヴ、一緒に」
ガヴ「悪い。ダッシュで帰って、ラフィとゲームするから」
ヴィーネ「ガヴ・・・」
ガヴ「すまんす」
ヴィーネ「最近、ガヴが一緒に帰ってくれない・・・」
ヴィーネ(夕暮れの道をとぼとぼ一人で帰る)
ガヴ「ごめん、今日バイト」
ヴィーネ「ガヴ、一緒にかえ」
ガヴ「今日は試食部に出るから」
ヴィーネ「ガヴ、一緒に」
ガヴ「悪い。ダッシュで帰って、ラフィとゲームするから」
ヴィーネ「ガヴ・・・」
ガヴ「すまんす」
ヴィーネ「最近、ガヴが一緒に帰ってくれない・・・」
ヴィーネ(夕暮れの道をとぼとぼ一人で帰る)
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 02:14:27.92 ID:sxqa7zey0
ヴィーネ(けしてガヴに避けられているわけではない)
ヴィーネ(何かしら用事があって私と帰れないだけだ)
ヴィーネ(ガヴが忙しいのはいいことだ)
ヴィーネ(部屋に閉じこもっていたガヴが、バイトをしたり、部活をしたりするなんて大きな進歩だ)
ヴィーネ(ラフィとゲームするのも悪いことじゃない)
ヴィーネ(一人でいいと思っていたガヴが他者と社会と関わろうとするのはいいことなのだ)
ヴィーネ(私はそれを否定しない)
ヴィーネ(でも、私との時間は減っていた)
ヴィーネ(いや、ご飯は作りに行くし、掃除もしにいく)
ヴィーネ(関わりが減っているわけではない)
ヴィーネ(けれど、それはいつも私からの行動で)
ヴィーネ(ガヴからの誘い、お願いではない)
ヴィーネ(そうだ、いつも私からだ)
ヴィーネ(海に行くのも、初詣も、ハロウィンもクリスマスも)
ヴィーネ(そう、誘うのはいつも私からなのだ)
ヴィーネ(何かしら用事があって私と帰れないだけだ)
ヴィーネ(ガヴが忙しいのはいいことだ)
ヴィーネ(部屋に閉じこもっていたガヴが、バイトをしたり、部活をしたりするなんて大きな進歩だ)
ヴィーネ(ラフィとゲームするのも悪いことじゃない)
ヴィーネ(一人でいいと思っていたガヴが他者と社会と関わろうとするのはいいことなのだ)
ヴィーネ(私はそれを否定しない)
ヴィーネ(でも、私との時間は減っていた)
ヴィーネ(いや、ご飯は作りに行くし、掃除もしにいく)
ヴィーネ(関わりが減っているわけではない)
ヴィーネ(けれど、それはいつも私からの行動で)
ヴィーネ(ガヴからの誘い、お願いではない)
ヴィーネ(そうだ、いつも私からだ)
ヴィーネ(海に行くのも、初詣も、ハロウィンもクリスマスも)
ヴィーネ(そう、誘うのはいつも私からなのだ)
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 02:15:41.55 ID:sxqa7zey0
ヴィーネ(なんだかんだでいつも付き合ってくれるので、嫌がっていないと思っていた)
ヴィーネ(けど、本当はうんざりしていて)
ヴィーネ(私のことなんか、面倒で、邪魔で、お節介で、)
ヴィーネ(必要ないのかもしれない)
ヴィーネ(・・・なんてね。そこまで深刻ではないだろう)
ヴィーネ(でも、なくても困らない。あったら便利だ)
ヴィーネ(どうせ、そんなもんなんだ、私は)
ヴィーネ「はぁ・・・」
ヴィーネ(大きくため息をつく)
ヴィーネ(ああ、ただガヴと話したいだけなんだ)
ヴィーネ(一緒に帰って、今日はあの授業が眠かったとか、つまらなかったとか)
ヴィーネ(あそこのクレープが美味しいとか、最近あのアニメが面白いとか)
ヴィーネ(他愛もないことを共有したいんだ)
ヴィーネ(そんな些細な物を知り合いたいぐらい)
ヴィーネ(どうしようもなく、ガヴのことが・・・好きなんだ)
ヴィーネ(そんな気持ちをガヴは知らない、知るはずもない)
ヴィーネ(けど、本当はうんざりしていて)
ヴィーネ(私のことなんか、面倒で、邪魔で、お節介で、)
ヴィーネ(必要ないのかもしれない)
ヴィーネ(・・・なんてね。そこまで深刻ではないだろう)
ヴィーネ(でも、なくても困らない。あったら便利だ)
ヴィーネ(どうせ、そんなもんなんだ、私は)
ヴィーネ「はぁ・・・」
ヴィーネ(大きくため息をつく)
ヴィーネ(ああ、ただガヴと話したいだけなんだ)
ヴィーネ(一緒に帰って、今日はあの授業が眠かったとか、つまらなかったとか)
ヴィーネ(あそこのクレープが美味しいとか、最近あのアニメが面白いとか)
ヴィーネ(他愛もないことを共有したいんだ)
ヴィーネ(そんな些細な物を知り合いたいぐらい)
ヴィーネ(どうしようもなく、ガヴのことが・・・好きなんだ)
ヴィーネ(そんな気持ちをガヴは知らない、知るはずもない)
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 02:16:41.30 ID:sxqa7zey0
-教室・放課後-
ヴィーネ(どんなに辛くても、一日はすぐ終わり、私は性懲りもなく繰り返す)
ヴィーネ(今日は違うかも。今日は答えてくれるかも)
ヴィーネ(そんな淡い希望を抱いて)
ヴィーネ「ガヴ、今日は一緒に・・・帰ろう?」
ガヴ「ごめん、今日は試食部に出る約束していて、な」
ヴィーネ(そして、希望は今日も打ち砕かれる)
ヴィーネ「そ、そう。じゃあ部活頑張ってね」
ヴィーネ(ガヴがじゃあなと言い、教室から出ていく)
ヴィーネ(変わらない。今日も私は繰り返す)
ヴィーネ(失望を抱いて、家に帰り、絶望に伏す)
ヴィーネ(どんなに辛くても、一日はすぐ終わり、私は性懲りもなく繰り返す)
ヴィーネ(今日は違うかも。今日は答えてくれるかも)
ヴィーネ(そんな淡い希望を抱いて)
ヴィーネ「ガヴ、今日は一緒に・・・帰ろう?」
ガヴ「ごめん、今日は試食部に出る約束していて、な」
ヴィーネ(そして、希望は今日も打ち砕かれる)
ヴィーネ「そ、そう。じゃあ部活頑張ってね」
ヴィーネ(ガヴがじゃあなと言い、教室から出ていく)
ヴィーネ(変わらない。今日も私は繰り返す)
ヴィーネ(失望を抱いて、家に帰り、絶望に伏す)
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 02:17:17.15 ID:sxqa7zey0
サターニャ「ヴィネット、カラオケ行くわよ!」
ヴィーネ「へ?」
ヴィーネ(机でうなだれていた私に突然、サターニャが話しかけてきた)
サターニャ「そう、カラオケよ!私の美声に酔いしれるのよ」
ヴィーネ「ごめん、今日は気分じゃないかも」
サターニャ「むー」
ヴィーネ(じっと睨んでくる)
ヴィーネ(こっちが行く!というまでずっとこうしているのだろう)
ヴィーネ(良くも悪くも図々しい)
ヴィーネ(私とは違う)
ヴィーネ「・・・!」
ヴィーネ「へ?」
ヴィーネ(机でうなだれていた私に突然、サターニャが話しかけてきた)
サターニャ「そう、カラオケよ!私の美声に酔いしれるのよ」
ヴィーネ「ごめん、今日は気分じゃないかも」
サターニャ「むー」
ヴィーネ(じっと睨んでくる)
ヴィーネ(こっちが行く!というまでずっとこうしているのだろう)
ヴィーネ(良くも悪くも図々しい)
ヴィーネ(私とは違う)
ヴィーネ「・・・!」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 02:18:36.26 ID:sxqa7zey0
ヴィーネ(そうか、私にはこの図々しさが足りないのではないか)
ヴィーネ(ガヴに一度断られたらすぐ折れてしまう)
ヴィーネ(逃げてしまう、諦めてしまう)
ヴィーネ(でも、)
サターニャ「えっ、ヴィネット、突然立ち上がって、えっ、廊下に出て行って」
ヴィーネ(廊下に出たら、遠くに歩いているガヴを見つけた)
ヴィーネ(図々しくていい。私も生意気でいい)
ヴィーネ「ガヴーーーーーー!!」
ガヴ「!!」
ヴィーネ(突然、名前を呼ばれたガヴが振り返り、驚いた顔で私を見る)
ヴィーネ「待っているから。図書室で待っているから。部活終わったら一緒に帰ろう!」
ガヴ「お、おう。わかった」
ヴィーネ(そう、これでいいんだ。図々しくていいんだ)
サターニャ「はは、私のことは無視…ヒトカラ行くか…」
ヴィーネ(ガヴに一度断られたらすぐ折れてしまう)
ヴィーネ(逃げてしまう、諦めてしまう)
ヴィーネ(でも、)
サターニャ「えっ、ヴィネット、突然立ち上がって、えっ、廊下に出て行って」
ヴィーネ(廊下に出たら、遠くに歩いているガヴを見つけた)
ヴィーネ(図々しくていい。私も生意気でいい)
ヴィーネ「ガヴーーーーーー!!」
ガヴ「!!」
ヴィーネ(突然、名前を呼ばれたガヴが振り返り、驚いた顔で私を見る)
ヴィーネ「待っているから。図書室で待っているから。部活終わったら一緒に帰ろう!」
ガヴ「お、おう。わかった」
ヴィーネ(そう、これでいいんだ。図々しくていいんだ)
サターニャ「はは、私のことは無視…ヒトカラ行くか…」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 02:19:26.96 ID:sxqa7zey0
-図書室-
ガヴ「待たせたな」
ヴィーネ「ううん、勉強していたから大丈夫よ」
ガヴ「うん、じゃあ帰ろうか」
ヴィーネ「うん、帰りましょう!」
ヴィーネ(久しぶりのガヴとの帰り道だった)
ガヴ「私も試食部でちょっと料理の練習しているんだ」
ヴィーネ「ガヴが料理?どうせお湯入れるだけでしょ?」
ガヴ「あー馬鹿にして!ヴィーネには食べさせてあげないからな!」
ヴィーネ「ごめんごめん、いつか大人になったら食べさせてね」
ガヴ「そんなにかからないから!」
ヴィーネ「ハハハ」
ヴィーネ(くだらない話でもとても楽しくて)
ヴィーネ(この時間が大切で愛おしくて、離したくなかった)
ガヴ「待たせたな」
ヴィーネ「ううん、勉強していたから大丈夫よ」
ガヴ「うん、じゃあ帰ろうか」
ヴィーネ「うん、帰りましょう!」
ヴィーネ(久しぶりのガヴとの帰り道だった)
ガヴ「私も試食部でちょっと料理の練習しているんだ」
ヴィーネ「ガヴが料理?どうせお湯入れるだけでしょ?」
ガヴ「あー馬鹿にして!ヴィーネには食べさせてあげないからな!」
ヴィーネ「ごめんごめん、いつか大人になったら食べさせてね」
ガヴ「そんなにかからないから!」
ヴィーネ「ハハハ」
ヴィーネ(くだらない話でもとても楽しくて)
ヴィーネ(この時間が大切で愛おしくて、離したくなかった)
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 02:20:43.40 ID:sxqa7zey0
-教室・放課後-
ガヴ「今日はバイトだけど」
ヴィーネ「いいの。私も本屋に行きたいから途中まで一緒に帰りましょう!」
-別の日-
ガヴ「ラフィとゲームするんだけど」
ヴィーネ「私も後ろで見ていていい?ついでに料理もつくるわ!」
ガヴ「お前がそれでいいならいいけど・・・」
ヴィーネ(これでいい)
ヴィーネ(ガヴと一緒にいる時間は増えていて、楽しかった)
ヴィーネ(間違っていない。これが正解だ)
ヴィーネ(そう、思っていた)
ガヴ「今日はバイトだけど」
ヴィーネ「いいの。私も本屋に行きたいから途中まで一緒に帰りましょう!」
-別の日-
ガヴ「ラフィとゲームするんだけど」
ヴィーネ「私も後ろで見ていていい?ついでに料理もつくるわ!」
ガヴ「お前がそれでいいならいいけど・・・」
ヴィーネ(これでいい)
ヴィーネ(ガヴと一緒にいる時間は増えていて、楽しかった)
ヴィーネ(間違っていない。これが正解だ)
ヴィーネ(そう、思っていた)
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 02:21:48.80 ID:sxqa7zey0
-帰り道-
ヴィーネ「ここのコロッケ美味しいのよ。ちょっと買っていきましょう、ガヴ」
ガヴ「なあ、ヴィーネ」
ヴィーネ「えっ、何、ガヴ?」
ガヴ「お前、最近無理してない?」
ヴィーネ「え」
ヴィーネ(私が、無理? 無理ってどういうこと?)
ヴィーネ「全然。全然、無理していないよ」
ガヴ「わざわざ部活終わるまで待っていたりさ、興味ないゲームを後ろで見ていたりさ」
ガヴ「本屋に寄るのだって、だいぶ遠回りだろ」
ヴィーネ「そんなことないわよ。全部私がやりたくてやっていることだわ」
ガヴ「そう?私に構ってばかりで損していない?」
ヴィーネ「損?損って、ガヴにはそう見えるの?」
ヴィーネ「ガヴと一緒に帰るのが、話すのがマイナスなの?」
ガヴ「そんなことはないけどさ」
ヴィーネ「…迷惑なの?」
ガヴ「いや、迷惑じゃないけどさ。なんか悪いなって」
ヴィーネ「ここのコロッケ美味しいのよ。ちょっと買っていきましょう、ガヴ」
ガヴ「なあ、ヴィーネ」
ヴィーネ「えっ、何、ガヴ?」
ガヴ「お前、最近無理してない?」
ヴィーネ「え」
ヴィーネ(私が、無理? 無理ってどういうこと?)
ヴィーネ「全然。全然、無理していないよ」
ガヴ「わざわざ部活終わるまで待っていたりさ、興味ないゲームを後ろで見ていたりさ」
ガヴ「本屋に寄るのだって、だいぶ遠回りだろ」
ヴィーネ「そんなことないわよ。全部私がやりたくてやっていることだわ」
ガヴ「そう?私に構ってばかりで損していない?」
ヴィーネ「損?損って、ガヴにはそう見えるの?」
ヴィーネ「ガヴと一緒に帰るのが、話すのがマイナスなの?」
ガヴ「そんなことはないけどさ」
ヴィーネ「…迷惑なの?」
ガヴ「いや、迷惑じゃないけどさ。なんか悪いなって」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 02:22:57.49 ID:sxqa7zey0
ヴィーネ(わかってない。ガヴは全然わかっていない)
ヴィーネ(私はガヴと話すのが何よりも楽しくて、大好きなのに)
ヴィーネ(それが損?ありえない。悪いはずがない)
ガヴ「もう止めよう」
ガヴ「わざわざ図書室で待ったり、私のバイト先まで付き合ったりしなくていいから」
ヴィーネ「だって、それじゃあガヴと話せない」
ガヴ「へ?私と。いや、私はいつでも教室にいるし、家にいるじゃん」
ヴィーネ「いるけど、いるけど、いないじゃん!いないの!」
ガヴ「どういうことだよ・・・」
ヴィーネ(伝わらない気持ちがもどかしくて)
ヴィーネ(気持ち悪くて、吐き気が止まらなくて)
ヴィーネ「だって、」
ヴィーネ(言葉を止めるダムが崩壊した)
ヴィーネ「だって、ガヴが構ってくれないだもの!」
ヴィーネ(吐き出した言葉は止まらない)
ヴィーネ(私はガヴと話すのが何よりも楽しくて、大好きなのに)
ヴィーネ(それが損?ありえない。悪いはずがない)
ガヴ「もう止めよう」
ガヴ「わざわざ図書室で待ったり、私のバイト先まで付き合ったりしなくていいから」
ヴィーネ「だって、それじゃあガヴと話せない」
ガヴ「へ?私と。いや、私はいつでも教室にいるし、家にいるじゃん」
ヴィーネ「いるけど、いるけど、いないじゃん!いないの!」
ガヴ「どういうことだよ・・・」
ヴィーネ(伝わらない気持ちがもどかしくて)
ヴィーネ(気持ち悪くて、吐き気が止まらなくて)
ヴィーネ「だって、」
ヴィーネ(言葉を止めるダムが崩壊した)
ヴィーネ「だって、ガヴが構ってくれないだもの!」
ヴィーネ(吐き出した言葉は止まらない)
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 02:23:54.85 ID:sxqa7zey0
ヴィーネ「何処かに行くのも、誘うのはいつも私ばかり」
ヴィーネ「ガヴからお願いされたことあった?」
ヴィーネ「あー課題見せてとか、宿題教えてとか、そういうお願いはあったわね」
ヴィーネ「でも、それってただの便利屋でしかなくて、友達としてのお願いじゃないよね」
ヴィーネ「ほら、ないんだ」
ヴィーネ「だって、ガヴは私のことが嫌いなんでしょ?鬱陶しいんでしょ?」
ヴィーネ「だから、私にお願いしないし、私を必要としないし」
ヴィーネ「私と帰らない」
ガヴ「ヴィ、ヴィーネ、ちょっと待てよ」
ヴィーネ(ガヴが私の腕を掴む)
ヴィーネ「嫌、放して」
ガヴ「ちゃんと話聞け」
ヴィーネ(ガヴの顔を睨む)
ヴィーネ「嫌い、ガヴなんて大嫌い!!」
ヴィーネ(手の力が弱まる)
ヴィーネ(その隙に私は全力で走って逃げる)
ヴィーネ(後ろを振り返らない)
ヴィーネ(ただただ闇へと走る)
ヴィーネ「ガヴからお願いされたことあった?」
ヴィーネ「あー課題見せてとか、宿題教えてとか、そういうお願いはあったわね」
ヴィーネ「でも、それってただの便利屋でしかなくて、友達としてのお願いじゃないよね」
ヴィーネ「ほら、ないんだ」
ヴィーネ「だって、ガヴは私のことが嫌いなんでしょ?鬱陶しいんでしょ?」
ヴィーネ「だから、私にお願いしないし、私を必要としないし」
ヴィーネ「私と帰らない」
ガヴ「ヴィ、ヴィーネ、ちょっと待てよ」
ヴィーネ(ガヴが私の腕を掴む)
ヴィーネ「嫌、放して」
ガヴ「ちゃんと話聞け」
ヴィーネ(ガヴの顔を睨む)
ヴィーネ「嫌い、ガヴなんて大嫌い!!」
ヴィーネ(手の力が弱まる)
ヴィーネ(その隙に私は全力で走って逃げる)
ヴィーネ(後ろを振り返らない)
ヴィーネ(ただただ闇へと走る)
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 02:24:59.68 ID:sxqa7zey0
-ヴィーネ家-
ヴィーネ(…やってしまった)
ヴィーネ(ひとしきり泣き、涙も枯れた)
ヴィーネ(そんなつもりはなかった。ガヴを責めるつもりはなかった)
ヴィーネ(やってしまった)
ヴィーネ(もう戻れない。もう戻せない)
ヴィーネ(私はなんてことをしてしまったんだ)
ヴィーネ「嫌い、ガヴなんて大嫌い!!」
ヴィーネ(私の言葉に、ガヴは呆然とした顔をしていた)
ヴィーネ(彼女を傷つけてしまった)
ヴィーネ(いよいよこれで私も完全にお払い箱だ)
ヴィーネ(自分から用済みになってしまった。悪魔と化してしまった)
ヴィーネ(いや、遅かれ早かれこうなっていたんだ…)
ヴィーネ(ガヴには、無理していると思われていた。間違っていたんだ、不正解だった)
ヴィーネ(あぁ、世界滅びないかな…)
ヴィーネ(…やってしまった)
ヴィーネ(ひとしきり泣き、涙も枯れた)
ヴィーネ(そんなつもりはなかった。ガヴを責めるつもりはなかった)
ヴィーネ(やってしまった)
ヴィーネ(もう戻れない。もう戻せない)
ヴィーネ(私はなんてことをしてしまったんだ)
ヴィーネ「嫌い、ガヴなんて大嫌い!!」
ヴィーネ(私の言葉に、ガヴは呆然とした顔をしていた)
ヴィーネ(彼女を傷つけてしまった)
ヴィーネ(いよいよこれで私も完全にお払い箱だ)
ヴィーネ(自分から用済みになってしまった。悪魔と化してしまった)
ヴィーネ(いや、遅かれ早かれこうなっていたんだ…)
ヴィーネ(ガヴには、無理していると思われていた。間違っていたんだ、不正解だった)
ヴィーネ(あぁ、世界滅びないかな…)
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 02:43:37.18 ID:sxqa7zey0
ヴィーネ(次の日、学校を休んだ)
ヴィーネ(カーテンを閉めた真っ暗な部屋の隅に座り、ただただ暗闇を見つめる)
ヴィーネ(何もやる気が起きず、帰ってから何も口にしていない)
ヴィーネ(このまま滅ぶのを待つだけだった)
ピンポーンピンポーン
ヴィーネ(インターホンの音が聞こえる)
ヴィーネ(・・・うるさい)
ドンドンドンドン
ヴィーネ(ドアを叩く音に変わった)
ヴィーネ(ウルサイウルサイウルサイ)
ヴィーネ(ゆっくりと立ち上がる)
ヴィーネ(ノイズは止まない)
ガヴ「ヴィーネ、いるんだろ、ヴィーネ開けろよ」
ヴィーネ(ガヴの声が聞こえた)
ヴィーネ(カーテンを閉めた真っ暗な部屋の隅に座り、ただただ暗闇を見つめる)
ヴィーネ(何もやる気が起きず、帰ってから何も口にしていない)
ヴィーネ(このまま滅ぶのを待つだけだった)
ピンポーンピンポーン
ヴィーネ(インターホンの音が聞こえる)
ヴィーネ(・・・うるさい)
ドンドンドンドン
ヴィーネ(ドアを叩く音に変わった)
ヴィーネ(ウルサイウルサイウルサイ)
ヴィーネ(ゆっくりと立ち上がる)
ヴィーネ(ノイズは止まない)
ガヴ「ヴィーネ、いるんだろ、ヴィーネ開けろよ」
ヴィーネ(ガヴの声が聞こえた)
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 02:44:27.62 ID:sxqa7zey0
ヴィーネ(何でガヴが?今は学校の時間だ)
ヴィーネ(いや、それより、あんなこといったのに何でガヴが?)
ガヴ「お前が開けないというなら、無理やり開けるからな?」
ヴィーネ(仕方がない。渋々ドアを開ける)
ガヴ「やっぱりいるじゃん」
ヴィーネ「何?」
ガヴ「ひどい顔しているな、寝てないの?」
ヴィーネ「ガヴには関係ない」
ガヴ「関係なくない」
ヴィーネ「・・・ふん」
ガヴ「ごめん、ヴィーネ」
ヴィーネ「何がよ」
ガヴ「私、ヴィーネのこと全然わかっていなかった」
ガヴ「お前に甘えていた」
ヴィーネ「…そう」
ヴィーネ(いや、それより、あんなこといったのに何でガヴが?)
ガヴ「お前が開けないというなら、無理やり開けるからな?」
ヴィーネ(仕方がない。渋々ドアを開ける)
ガヴ「やっぱりいるじゃん」
ヴィーネ「何?」
ガヴ「ひどい顔しているな、寝てないの?」
ヴィーネ「ガヴには関係ない」
ガヴ「関係なくない」
ヴィーネ「・・・ふん」
ガヴ「ごめん、ヴィーネ」
ヴィーネ「何がよ」
ガヴ「私、ヴィーネのこと全然わかっていなかった」
ガヴ「お前に甘えていた」
ヴィーネ「…そう」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 02:44:59.09 ID:sxqa7zey0
ガヴ「まぁ、なんだ、こんな所で立ち話もあれだから、何処か食べに行こう」
ガヴ「何も食べていないんだろ?」
ガヴ「ヴィーネ、私からのお願いだ。私とご飯食べに行こう」
ヴィーネ(ずるい)
ヴィーネ「…着替えるから10分待って」
ヴィーネ(ガヴからお願いされたら、断れるわけない)
ヴィーネ(あんな落ち込んでいたのに、チョロいな私…)
ガヴ「何も食べていないんだろ?」
ガヴ「ヴィーネ、私からのお願いだ。私とご飯食べに行こう」
ヴィーネ(ずるい)
ヴィーネ「…着替えるから10分待って」
ヴィーネ(ガヴからお願いされたら、断れるわけない)
ヴィーネ(あんな落ち込んでいたのに、チョロいな私…)
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 01:35:12.41 ID:8XYiR/QE0
続き書きます。
-ファーストフード-
ヴィーネ「何も食べていない人をマッ〇に連れていくってどうなの…」
ガヴ「えっ、〇ックいいじゃん。ランチだとセット安いし」
ヴィーネ「久しぶりに食べるのが油物ってね…」
ガヴ「文句言うなよ、はい」
ヴィーネ(ガヴがポテトを掴み、差し出す)
ヴィーネ「え、何?」
ガヴ「ん」
ヴィーネ(食べろってこと?)
-ファーストフード-
ヴィーネ「何も食べていない人をマッ〇に連れていくってどうなの…」
ガヴ「えっ、〇ックいいじゃん。ランチだとセット安いし」
ヴィーネ「久しぶりに食べるのが油物ってね…」
ガヴ「文句言うなよ、はい」
ヴィーネ(ガヴがポテトを掴み、差し出す)
ヴィーネ「え、何?」
ガヴ「ん」
ヴィーネ(食べろってこと?)
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 01:36:19.19 ID:8XYiR/QE0
ヴィーネ(ガヴが私をじっと見る。あぁ、もうっ!)
パクッ
ガヴ「どうだ?」
ヴィーネ「…美味しいわよ」
ガヴ「じゃあ、はい」
ヴィーネ(次はハンバーガーを持ち、私の口元へ向ける)
ガヴ「あーん」
ヴィーネ(何なの、この状況!嫌いと言った相手に何でこんなことできるの!?)
ヴィーネ(こ、これは羞恥という名の罰なのね!そ、そうよ、ガヴは私を辱めることで罰しているのよ)
ヴィーネ(だから、これは仕方なく、仕方なくなんだからねっ!)
パクッ モグモグ
ヴィーネ(味なんてわからない)
パクッ
ガヴ「どうだ?」
ヴィーネ「…美味しいわよ」
ガヴ「じゃあ、はい」
ヴィーネ(次はハンバーガーを持ち、私の口元へ向ける)
ガヴ「あーん」
ヴィーネ(何なの、この状況!嫌いと言った相手に何でこんなことできるの!?)
ヴィーネ(こ、これは羞恥という名の罰なのね!そ、そうよ、ガヴは私を辱めることで罰しているのよ)
ヴィーネ(だから、これは仕方なく、仕方なくなんだからねっ!)
パクッ モグモグ
ヴィーネ(味なんてわからない)
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 01:45:23.46 ID:8XYiR/QE0
ガヴ「のど乾いたろ、ほら」
ヴィーネ(そして、ガヴはドリンクを差し出し、ストローをこちらに向ける)
ヴィーネ「何なの!?」
ガヴ「えっ、コーラだよ」
ヴィーネ「そういうことじゃなくて」
ガヴ「どういうことだよ」
ヴィーネ(だって、それはさっきガヴが口つけた飲み物で)
ヴィーネ(それを私が飲んだら、か、間接き、キッスになるわけで)
ガヴ「ほら、早く飲めよ。ずっと持っているのもしんどいんだ」
ヴィーネ(そうか、もう世界は滅んでいたのか)
ヴィーネ(だから、これはきっと夢で、夢ならいいことがあってもいいか)
ゴクゴク
ヴィーネ(炭酸の刺激が広がる)
ヴィーネ(まぁ、夢じゃないんですよね…)
ヴィーネ(そして、ガヴはドリンクを差し出し、ストローをこちらに向ける)
ヴィーネ「何なの!?」
ガヴ「えっ、コーラだよ」
ヴィーネ「そういうことじゃなくて」
ガヴ「どういうことだよ」
ヴィーネ(だって、それはさっきガヴが口つけた飲み物で)
ヴィーネ(それを私が飲んだら、か、間接き、キッスになるわけで)
ガヴ「ほら、早く飲めよ。ずっと持っているのもしんどいんだ」
ヴィーネ(そうか、もう世界は滅んでいたのか)
ヴィーネ(だから、これはきっと夢で、夢ならいいことがあってもいいか)
ゴクゴク
ヴィーネ(炭酸の刺激が広がる)
ヴィーネ(まぁ、夢じゃないんですよね…)
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 02:18:16.46 ID:8XYiR/QE0
ヴィーネ(どうしてこんな状況に)
ヴィーネ(ガヴは平気な顔して、私の使ったストローで飲んでいる)
ヴィーネ「わけがわからない」
ガヴ「えっ」
ヴィーネ(思わず言葉に出ていたらしい)
ガヴ「えっ、だって、ヴィーネが甘えたいって」
ヴィーネ「い、いつ私がそんなこと言ったのよ!?」
ガヴ「その、ラフィガソウダッテ、ゴニョゴニョ」
ヴィーネ「えっ、何!?」
ガヴ「あーごめん、早とちりだった!さあ食べ終わったんだから何処か行こうぜ」
ヴィーネ(ガヴは平気な顔して、私の使ったストローで飲んでいる)
ヴィーネ「わけがわからない」
ガヴ「えっ」
ヴィーネ(思わず言葉に出ていたらしい)
ガヴ「えっ、だって、ヴィーネが甘えたいって」
ヴィーネ「い、いつ私がそんなこと言ったのよ!?」
ガヴ「その、ラフィガソウダッテ、ゴニョゴニョ」
ヴィーネ「えっ、何!?」
ガヴ「あーごめん、早とちりだった!さあ食べ終わったんだから何処か行こうぜ」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 02:18:51.24 ID:8XYiR/QE0
ヴィーネ「いいけど、何処に」
ガヴ「その、あの、えーっと、ユウエンチ?トショカン?、アードウシヨウ」
ヴィーネ(ガヴがぶつぶつ何か言っている)
ガヴ「そ、そう、水族館!水族館行きたいな、私!」
ヴィーネ(ガヴが何か変だ。いつもと違う)
ヴィーネ(でも、必死に私を誘おうとしているので無下にできない)
ヴィーネ「わかったわよ、行きましょう」
ヴィーネ(顔がぱーっと明るくなる)
ガヴ「うん、行こう。善は急げだ!」
ヴィーネ(ガヴが私の手を引っ張り、私を立ち上がらせる)
ヴィーネ(私はその手の温もりに思わず笑顔がこぼれていた)
ガヴ「その、あの、えーっと、ユウエンチ?トショカン?、アードウシヨウ」
ヴィーネ(ガヴがぶつぶつ何か言っている)
ガヴ「そ、そう、水族館!水族館行きたいな、私!」
ヴィーネ(ガヴが何か変だ。いつもと違う)
ヴィーネ(でも、必死に私を誘おうとしているので無下にできない)
ヴィーネ「わかったわよ、行きましょう」
ヴィーネ(顔がぱーっと明るくなる)
ガヴ「うん、行こう。善は急げだ!」
ヴィーネ(ガヴが私の手を引っ張り、私を立ち上がらせる)
ヴィーネ(私はその手の温もりに思わず笑顔がこぼれていた)
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 02:19:22.63 ID:8XYiR/QE0
-水族館-
ヴィーネ(マグロや、小さな魚たちが群れて泳ぐ水槽を二人でぼーっと眺める)
ヴィーネ(イルカショーもペンギンも、アシカも見た)
ヴィーネ(今日のガヴはこれが見たい!あれが見たい!とやたら積極的だった)
ヴィーネ(どう見ても可笑しかった)
ヴィーネ(いつものガヴじゃなかった)
ヴィーネ(マグロや、小さな魚たちが群れて泳ぐ水槽を二人でぼーっと眺める)
ヴィーネ(イルカショーもペンギンも、アシカも見た)
ヴィーネ(今日のガヴはこれが見たい!あれが見たい!とやたら積極的だった)
ヴィーネ(どう見ても可笑しかった)
ヴィーネ(いつものガヴじゃなかった)
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 02:20:03.73 ID:8XYiR/QE0
ヴィーネ(そんな元気なガヴは長く続かず、今はエネルギーが切れたみたいだ)
ガヴ「なあ、ヴィーネ。この魚たち何考えて生きているんだろうな」
ヴィーネ「さあ、何も考えていないんじゃない」
ガヴ「何も考えてないのか、そりゃ楽だな、アハハ」
ヴィーネ「…ガヴ、無理してる?」
ガヴ「そんなこと、ない…って言いたいけど、わかっちゃうよな」
ヴィーネ「何で、無理するのよ?」
ガヴ「だって、ヴィーネに嫌われたくないから」
ヴィーネ「…!」
ガヴ「構ってほしいんだろ?構ってくれたら私のこと嫌いにならないんだろ?」
ヴィーネ「違う、あれは本心の言葉じゃなくて…」
ヴィーネ(ガヴは明るいフリをしていて)
ヴィーネ(やっぱり私の言葉に傷ついていて)
ヴィーネ(私が無理をさせてしまっていた)
ガヴ「なあ、ヴィーネ。この魚たち何考えて生きているんだろうな」
ヴィーネ「さあ、何も考えていないんじゃない」
ガヴ「何も考えてないのか、そりゃ楽だな、アハハ」
ヴィーネ「…ガヴ、無理してる?」
ガヴ「そんなこと、ない…って言いたいけど、わかっちゃうよな」
ヴィーネ「何で、無理するのよ?」
ガヴ「だって、ヴィーネに嫌われたくないから」
ヴィーネ「…!」
ガヴ「構ってほしいんだろ?構ってくれたら私のこと嫌いにならないんだろ?」
ヴィーネ「違う、あれは本心の言葉じゃなくて…」
ヴィーネ(ガヴは明るいフリをしていて)
ヴィーネ(やっぱり私の言葉に傷ついていて)
ヴィーネ(私が無理をさせてしまっていた)
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 02:20:35.34 ID:8XYiR/QE0
ヴィーネ「ごめんなさい、ガヴ」
ガヴ「いや、謝るのは私の方だ」
ガヴ「私、ヴィーネといるのが当たり前で、いつもヴィーネから何でもしてくれて」
ガヴ「それに甘えていたんだ」
ヴィーネ「いや、私が好きでやっているだけだから」
ガヴ「それでもだ」
ガヴ「浮かれていたんだ。部活も楽しいし、バイトも慣れたし、新作ゲームも面白いし」
ガヴ「ヴィーネが寂しいのに気づかなかった」
ヴィーネ「何よ、どんだけ私って寂しがり屋なのよ」
ガヴ「私と帰れなくて寂しかったんだろ?」
ヴィーネ(その言葉を否定しない)
ガヴ「いや、謝るのは私の方だ」
ガヴ「私、ヴィーネといるのが当たり前で、いつもヴィーネから何でもしてくれて」
ガヴ「それに甘えていたんだ」
ヴィーネ「いや、私が好きでやっているだけだから」
ガヴ「それでもだ」
ガヴ「浮かれていたんだ。部活も楽しいし、バイトも慣れたし、新作ゲームも面白いし」
ガヴ「ヴィーネが寂しいのに気づかなかった」
ヴィーネ「何よ、どんだけ私って寂しがり屋なのよ」
ガヴ「私と帰れなくて寂しかったんだろ?」
ヴィーネ(その言葉を否定しない)
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 02:21:08.28 ID:8XYiR/QE0
ガヴ「寂しくて、一人でカラオケに行ったり、一人で映画見たり」
ヴィーネ「う、ん?」
ガヴ「一人ラーメン、一人回転寿司」
ヴィーネ「え、なにそれ」
ガヴ「挙句の果てに一人焼肉に、一人海水浴」
ガヴ「そりゃ寂しくて、悲しくて、怒りたくもなるよな」
ガヴ「一人ぼっちは寂しいもんな」
ヴィーネ「ちょっと」
ヴィーネ(ガヴを睨む)
ガヴ「えっ、うん」
ヴィーネ「私がいつそんなことしたの?」
ヴィーネ「う、ん?」
ガヴ「一人ラーメン、一人回転寿司」
ヴィーネ「え、なにそれ」
ガヴ「挙句の果てに一人焼肉に、一人海水浴」
ガヴ「そりゃ寂しくて、悲しくて、怒りたくもなるよな」
ガヴ「一人ぼっちは寂しいもんな」
ヴィーネ「ちょっと」
ヴィーネ(ガヴを睨む)
ガヴ「えっ、うん」
ヴィーネ「私がいつそんなことしたの?」
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 02:21:49.27 ID:8XYiR/QE0
ガヴ「え、してないの?一人焼肉?」
ヴィーネ「しないわよ!!何が寂しくて一人で焼くの!?」
ガヴ「だって、ラフィが、ヴィーネさん、最近ガヴちゃんが構ってくれなくて、おひとりさまが加速しているって」
ガヴ「一人で泣きながらカラオケ行ったり、回転寿司行っているって」
ガヴ「だから、最近友達の多いガヴちゃんに嫉妬しているって」
ヴィーネ「だああ、あの悪魔!」
ヴィーネ「そんなことしてないわよ!私は一人ぼっちを謳歌していないわ」
ヴィーネ「しないわよ!!何が寂しくて一人で焼くの!?」
ガヴ「だって、ラフィが、ヴィーネさん、最近ガヴちゃんが構ってくれなくて、おひとりさまが加速しているって」
ガヴ「一人で泣きながらカラオケ行ったり、回転寿司行っているって」
ガヴ「だから、最近友達の多いガヴちゃんに嫉妬しているって」
ヴィーネ「だああ、あの悪魔!」
ヴィーネ「そんなことしてないわよ!私は一人ぼっちを謳歌していないわ」
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 02:22:29.89 ID:8XYiR/QE0
ガヴ「じゃ、じゃあ、何でヴィーネは寂しいの?」
ガヴ「一人ぼっちで何かするのが嫌になったんじゃないの?」
ガヴ「だから、部活したり、バイトしたりで充実している私に嫉妬したんじゃないの?」
ガヴ「だから、嫌いって…」
ヴィーネ(わかっていない、ガヴはわかっていない)
ヴィーネ「そ、それは…」
ヴィーネ(でも、言葉にするのは難しくて、何と言ったらいいかわからなくて)
ヴィーネ「私の寂しいは、寂しいは…」
ガヴ「一人ぼっちで何かするのが嫌になったんじゃないの?」
ガヴ「だから、部活したり、バイトしたりで充実している私に嫉妬したんじゃないの?」
ガヴ「だから、嫌いって…」
ヴィーネ(わかっていない、ガヴはわかっていない)
ヴィーネ「そ、それは…」
ヴィーネ(でも、言葉にするのは難しくて、何と言ったらいいかわからなくて)
ヴィーネ「私の寂しいは、寂しいは…」
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 02:40:08.22 ID:8XYiR/QE0
ヴィーネ(ガヴが私の言葉をじっと待っている)
ヴィーネ(その真剣なまなざしは可愛くて、愛おしくて)
ヴィーネ(それが誰かのものになるのが、寂しかったのだ)
ガヴ「!?」
ヴィーネ(ガヴに顔を近づけ、唇を合わせる)
ヴィーネ(時間にして数秒)
ヴィーネ(水槽の前で堂々と私は、)
ヴィーネ(ガヴにキスをしていた)
ヴィーネ「ど、どう、私の寂しいはこういうことよ」
ガヴ「・・・」
ヴィーネ(ガヴが目を大きく見開き、沈黙が流れるが、やがて彼女が口を開く)
ガヴ「…リップクリーム替えた?」
ヴィーネ(その真剣なまなざしは可愛くて、愛おしくて)
ヴィーネ(それが誰かのものになるのが、寂しかったのだ)
ガヴ「!?」
ヴィーネ(ガヴに顔を近づけ、唇を合わせる)
ヴィーネ(時間にして数秒)
ヴィーネ(水槽の前で堂々と私は、)
ヴィーネ(ガヴにキスをしていた)
ヴィーネ「ど、どう、私の寂しいはこういうことよ」
ガヴ「・・・」
ヴィーネ(ガヴが目を大きく見開き、沈黙が流れるが、やがて彼女が口を開く)
ガヴ「…リップクリーム替えた?」
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 02:41:10.07 ID:8XYiR/QE0
ヴィーネ「へ?」
ヴィーネ「え、何その感想?」
ヴィーネ「確かに最近リップクリーム買い換えたけど」
ヴィーネ「え、え、私、ファーストキスだよね?」
ヴィーネ(夢の中では何回かしたけど、もしかして夢じゃなかった?)
ガヴ「う、うん。そうだと思うけど」
ヴィーネ(そんなことはない、みたいだ)
ヴィーネ「な、なな、なんで私のリップクリームの味を知っているのよ!?」
ガヴ「あー悪い…たまに借りていたんだ。私、リップクリーム買ってもすぐ無くしちゃって」
ガヴ「だから学校でヴィーネのいないときに、ポーチから借りていた」
ヴィーネ「な、ななななな、なにしているのよ、ガヴ!!!」
ヴィーネ「だから、減りが早かったのね、ってそういうことじゃなくて」
ヴィーネ(私は気づかないうちに何度も間接キスをしていたの!?)
ヴィーネ(ガヴも私の使ったリップクリームを塗りたくって、何度も何度も、そう味を覚えるほど)
ヴィーネ「プシュー」
ヴィーネ「え、何その感想?」
ヴィーネ「確かに最近リップクリーム買い換えたけど」
ヴィーネ「え、え、私、ファーストキスだよね?」
ヴィーネ(夢の中では何回かしたけど、もしかして夢じゃなかった?)
ガヴ「う、うん。そうだと思うけど」
ヴィーネ(そんなことはない、みたいだ)
ヴィーネ「な、なな、なんで私のリップクリームの味を知っているのよ!?」
ガヴ「あー悪い…たまに借りていたんだ。私、リップクリーム買ってもすぐ無くしちゃって」
ガヴ「だから学校でヴィーネのいないときに、ポーチから借りていた」
ヴィーネ「な、ななななな、なにしているのよ、ガヴ!!!」
ヴィーネ「だから、減りが早かったのね、ってそういうことじゃなくて」
ヴィーネ(私は気づかないうちに何度も間接キスをしていたの!?)
ヴィーネ(ガヴも私の使ったリップクリームを塗りたくって、何度も何度も、そう味を覚えるほど)
ヴィーネ「プシュー」
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 02:41:51.77 ID:8XYiR/QE0
ガヴ「悪い、勝手に使っていたの悪かった」
ヴィーネ(自分でもわかるほど、顔が真っ赤だった)
ガヴ「まぁキスしといて、今更リップクリームで恥ずかしがるなよ」
ヴィーネ「そ、それとこれは別よ。別なんだから!!」
ガヴ「わかったから」
ヴィーネ「何がよ!?」
ガヴ「ヴィーネの気持ちはわかったから」
ヴィーネ「・・・」
ガヴ「とりあえず注目浴びてるからここから去らない?」
ヴィーネ「え?」
ヴィーネ(周りを見渡すと、職員さんや、幼稚園児や、老夫婦や、色んな人が大きな声で喋っていた私たちを見ていた)
ヴィーネ(…いい見世物だった)
ヴィーネ(自分でもわかるほど、顔が真っ赤だった)
ガヴ「まぁキスしといて、今更リップクリームで恥ずかしがるなよ」
ヴィーネ「そ、それとこれは別よ。別なんだから!!」
ガヴ「わかったから」
ヴィーネ「何がよ!?」
ガヴ「ヴィーネの気持ちはわかったから」
ヴィーネ「・・・」
ガヴ「とりあえず注目浴びてるからここから去らない?」
ヴィーネ「え?」
ヴィーネ(周りを見渡すと、職員さんや、幼稚園児や、老夫婦や、色んな人が大きな声で喋っていた私たちを見ていた)
ヴィーネ(…いい見世物だった)
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 02:42:30.72 ID:8XYiR/QE0
ガヴ「さあ、お姫様逃げよう」
ヴィーネ(ガヴが私の手をぎゅっと握り、引っ張る)
ヴィーネ(そして、一緒に駆け出し、観客から遠ざかっていく)
ヴィーネ(…なぜか、観客たちは拍手をしていた)
ガヴ「もう寂しい思いはさせないから」
ヴィーネ(気づいたら走りながら、涙が零れながら、笑っていた)
ガヴ「明日も、明後日も一緒に帰ろう、ヴィーネ」
ヴィーネ「うん、大好きガヴ」
ヴィーネ(屋外へ出たからか、彼女の笑顔がやけに眩しかった)
ヴィーネ(ガヴが私の手をぎゅっと握り、引っ張る)
ヴィーネ(そして、一緒に駆け出し、観客から遠ざかっていく)
ヴィーネ(…なぜか、観客たちは拍手をしていた)
ガヴ「もう寂しい思いはさせないから」
ヴィーネ(気づいたら走りながら、涙が零れながら、笑っていた)
ガヴ「明日も、明後日も一緒に帰ろう、ヴィーネ」
ヴィーネ「うん、大好きガヴ」
ヴィーネ(屋外へ出たからか、彼女の笑顔がやけに眩しかった)
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 02:49:23.41 ID:8XYiR/QE0
-カラオケ-
サターニャ「98点!」
サターニャ「さすが悪魔的美声の持ち主ね、ガハハハッ」
サターニャ「って、誰も聞いてないしね」
サターニャ「…あぁ、ヒトカラ寂しいわ」
ラフィ「パチパチ、お上手でしたよ、サターニャさん」
サターニャ「ラフィエル!? えっ、いつの間に、ドア開いてないよね?」
ラフィ「サターニャさんのいるところ、私ありですよ!」
サターニャ「理由になってないわよ!」
ラフィ「さぁサターニャさん、魔女っ娘もの歌いましょ。最近、練習してましたよね?」
サターニャ「え、何で知って。ま、まあ仕方ないわ。この曲デュエットだからあんたも歌いなさい」
ラフィ「サターニャさんと一緒に歌えるなんて光栄です」
サターニャ「さあ悪魔的歌謡ショーの幕開けよ!」
ラフィ「イエーイ!」
サターニャ「98点!」
サターニャ「さすが悪魔的美声の持ち主ね、ガハハハッ」
サターニャ「って、誰も聞いてないしね」
サターニャ「…あぁ、ヒトカラ寂しいわ」
ラフィ「パチパチ、お上手でしたよ、サターニャさん」
サターニャ「ラフィエル!? えっ、いつの間に、ドア開いてないよね?」
ラフィ「サターニャさんのいるところ、私ありですよ!」
サターニャ「理由になってないわよ!」
ラフィ「さぁサターニャさん、魔女っ娘もの歌いましょ。最近、練習してましたよね?」
サターニャ「え、何で知って。ま、まあ仕方ないわ。この曲デュエットだからあんたも歌いなさい」
ラフィ「サターニャさんと一緒に歌えるなんて光栄です」
サターニャ「さあ悪魔的歌謡ショーの幕開けよ!」
ラフィ「イエーイ!」
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 02:52:05.37 ID:8XYiR/QE0
終わりです。
リップクリームのくだりが書きたいがために、イベントの勢いで…力尽きながら書きました。
リップクリームのくだりが書きたいがために、イベントの勢いで…力尽きながら書きました。
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 03:02:36.34 ID:PSNUMUfg0
おつ
リップ間接いいね
最新話のネタもちょくちょくあって良かったよ
リップ間接いいね
最新話のネタもちょくちょくあって良かったよ
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 03:12:10.41 ID:oN1e7IF0o
よかった!
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 05:57:44.95 ID:NT5kQl9Xo
いいね👍
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1499015608/
Entry ⇒ 2017.09.30 | Category ⇒ ガヴリールドロップアウト | Comments (0)
春香「媚薬盛ったのにプロデューサーさんが帰った」
1: ◆.xKc9zwqNY 2017/06/11(日) 17:03:42.47 ID:vQmLUkSN0
春香「どう思う千早ちゃん」
千早「そうね……電話すべきは病院か警察か、はたまたプロデューサー本人か迷うわね」
春香「ほら、私ってプロデューサーさんのことぞっこんラブじゃない?」
千早「自分で言うのもなんだけど、そう言う周囲が見えていない面倒くさいキャラは私の役じゃないかしら?」
春香「それで、小鳥さんからこの超強力媚薬を貰って使ってみたの」
千早「ええ」
春香「それで・・・・・・
千早「そうね……電話すべきは病院か警察か、はたまたプロデューサー本人か迷うわね」
春香「ほら、私ってプロデューサーさんのことぞっこんラブじゃない?」
千早「自分で言うのもなんだけど、そう言う周囲が見えていない面倒くさいキャラは私の役じゃないかしら?」
春香「それで、小鳥さんからこの超強力媚薬を貰って使ってみたの」
千早「ええ」
春香「それで・・・・・・
2: ◆.xKc9zwqNY 2017/06/11(日) 17:04:13.58 ID:vQmLUkSN0
・・・・・・
春香(小鳥さんから入手したこの超強力媚薬!)
春香(これを試すためにわざわざ一人暮らしまで始めましたよ!)
春香(そしてお仕事の帰り、プロデューサーさんに送ってもらった後なんやかんや理由をつけてウチに招待もできた……)
春香(後は、この媚薬入りアイスティを飲ませるだけ!)
春香(小鳥さんから入手したこの超強力媚薬!)
春香(これを試すためにわざわざ一人暮らしまで始めましたよ!)
春香(そしてお仕事の帰り、プロデューサーさんに送ってもらった後なんやかんや理由をつけてウチに招待もできた……)
春香(後は、この媚薬入りアイスティを飲ませるだけ!)
3: ◆.xKc9zwqNY 2017/06/11(日) 17:04:52.89 ID:vQmLUkSN0
P「いやぁ、引っ越し手伝った時に来たっきりだが、良い部屋じゃないか」
春香「あの時はお手伝いありがとうございました。まだごちゃごちゃしてますけど、くつろいでくださいね」
P「はは、これでごちゃごちゃなら、俺んちなんて天変地異状態だよ」
春香「何もないですけど、紅茶とクッキーどうぞ」
P「お、気が利くなぁ。春香は良いお嫁さんになるぞ」
春香(ぐふふ、なりますとも。貴方のお嫁さんにね!)
春香「あの時はお手伝いありがとうございました。まだごちゃごちゃしてますけど、くつろいでくださいね」
P「はは、これでごちゃごちゃなら、俺んちなんて天変地異状態だよ」
春香「何もないですけど、紅茶とクッキーどうぞ」
P「お、気が利くなぁ。春香は良いお嫁さんになるぞ」
春香(ぐふふ、なりますとも。貴方のお嫁さんにね!)
4: ◆.xKc9zwqNY 2017/06/11(日) 17:06:09.17 ID:vQmLUkSN0
P「……ぷはぁ。ちょっと変わった味だが、珍しい茶葉なのか?」
春香「はい。小鳥さんにちょっとお裾分けを頂いたんですよ」ニヤニヤ
P「へぇ、音無さんって紅茶詳しいのか。ちょっと意外だな。ん、このクッキーも美味いな」
春香「えへへ、沢山あるからどんどん食べてくださいね!」
春香「はい。小鳥さんにちょっとお裾分けを頂いたんですよ」ニヤニヤ
P「へぇ、音無さんって紅茶詳しいのか。ちょっと意外だな。ん、このクッキーも美味いな」
春香「えへへ、沢山あるからどんどん食べてくださいね!」
5: ◆.xKc9zwqNY 2017/06/11(日) 17:07:14.87 ID:vQmLUkSN0
P「ありがとう。いつも春香のお菓子が食べられるなんて、役得だよなぁ」
春香「ご希望なら、これからずぅーっと毎日でも食べさせてあげますよ?」ニコッ
P「いやいや、そんな世話になるわけにもいかんだろ」
春香(あれ? 媚薬まだ効いてないのかな?)
春香「あ、あはは。プロデューサーさん! ジョークですよ、ジョーク!」
P「おっと、こりゃ一本取られたな」アハハ
春香(くっ、やっぱり変化無し……でも、こんな時のために媚薬紅茶を2リットルも作ってるんですよ!)
春香「ご希望なら、これからずぅーっと毎日でも食べさせてあげますよ?」ニコッ
P「いやいや、そんな世話になるわけにもいかんだろ」
春香(あれ? 媚薬まだ効いてないのかな?)
春香「あ、あはは。プロデューサーさん! ジョークですよ、ジョーク!」
P「おっと、こりゃ一本取られたな」アハハ
春香(くっ、やっぱり変化無し……でも、こんな時のために媚薬紅茶を2リットルも作ってるんですよ!)
6: ◆.xKc9zwqNY 2017/06/11(日) 17:07:41.76 ID:vQmLUkSN0
春香「あ、お茶のお代わりどうぞ」
P「ああ、ありがとう。全く、春香は本当に気が利く良い子だなぁ」
春香「もー、褒めたってクッキーくらいしか出ませんよ////後お茶のお代わりとか。はいどうぞ」
P「お、おう……いや、さっき貰ったのがまだあるから」
春香「ど・う・ぞ」
P「は、はい!」ゴクゴク
P「ああ、ありがとう。全く、春香は本当に気が利く良い子だなぁ」
春香「もー、褒めたってクッキーくらいしか出ませんよ////後お茶のお代わりとか。はいどうぞ」
P「お、おう……いや、さっき貰ったのがまだあるから」
春香「ど・う・ぞ」
P「は、はい!」ゴクゴク
7: ◆.xKc9zwqNY 2017/06/11(日) 17:09:13.69 ID:vQmLUkSN0
春香(そろそろ効果が出ても良いよね……)
春香「プロデューサーさん。私のこと、ずーっとプロデュースしてくれますよね?」ウワメヅカイ
P「ん? ああ勿論だ。春香がトップアイドルになるまで、俺たちはずっと一緒だ!」
春香「わ、私としては////トップアイドルになった後もプロデュースしてもらいたいなーって」チラッチラッ
春香「プロデューサーさん。私のこと、ずーっとプロデュースしてくれますよね?」ウワメヅカイ
P「ん? ああ勿論だ。春香がトップアイドルになるまで、俺たちはずっと一緒だ!」
春香「わ、私としては////トップアイドルになった後もプロデュースしてもらいたいなーって」チラッチラッ
8: ◆.xKc9zwqNY 2017/06/11(日) 17:09:42.66 ID:vQmLUkSN0
P「え、いや。それは無理だろ。会社としてもやっぱり売れてない子こそ力を貸してあげないといけないし、俺も春香と歩んできた経験を糧に、アイドルマスターと言われるレベルのプロデューサーになって、女の子達の夢を叶えてあげたいしな!」
春香「真面目か!(流石プロデューサーさんですね!)」
P「へ!?」
春香「い、いえ! やっぱりプロデューサーさんは真面目だなーと思いまして」
春香(あ、あれ? 何で? 小鳥さんの話では超強力って……あの鳥偽物つかませやがったか!?)
春香「真面目か!(流石プロデューサーさんですね!)」
P「へ!?」
春香「い、いえ! やっぱりプロデューサーさんは真面目だなーと思いまして」
春香(あ、あれ? 何で? 小鳥さんの話では超強力って……あの鳥偽物つかませやがったか!?)
9: ◆.xKc9zwqNY 2017/06/11(日) 17:10:30.37 ID:vQmLUkSN0
P「さてと、女の子の部屋にあんまし長居するのもアレだし、そろそろお暇するよ」
春香「あ、ちょっと待ってください!」
P「ん、どうした?」
春香「最後にもう一杯! どうぞ!」
P「いや、気持ちは嬉しいけど俺もうお腹がたぷたぷで……」
春香「どうぞ!」
P「あ、はい」ゴクゴク
春香「あ、ちょっと待ってください!」
P「ん、どうした?」
春香「最後にもう一杯! どうぞ!」
P「いや、気持ちは嬉しいけど俺もうお腹がたぷたぷで……」
春香「どうぞ!」
P「あ、はい」ゴクゴク
11: ◆.xKc9zwqNY 2017/06/11(日) 17:11:05.97 ID:vQmLUkSN0
春香「……どうですか?」
P「ん? 美味しかったよ、ご馳走様。それじゃ、また明日仕事で会おうな!」
春香「あっ……行っちゃった……」
春香「もー! 小鳥さんのバカー! 長門ばりに飲ませたのに効かないなんて、こんなの偽物ですよ、偽物!」プンスカ
P「ん? 美味しかったよ、ご馳走様。それじゃ、また明日仕事で会おうな!」
春香「あっ……行っちゃった……」
春香「もー! 小鳥さんのバカー! 長門ばりに飲ませたのに効かないなんて、こんなの偽物ですよ、偽物!」プンスカ
13: ◆.xKc9zwqNY 2017/06/11(日) 19:49:06.00 ID:vQmLUkSN0
ピンポーン
春香「っ! もしかしてプロデューサーさん!? はーいっ」ガチャッ
千早「こんにちは、春香」
春香「ち、千早ちゃん?」
千早「春香が一人暮らしを始めたって音無さんから聞いて……迷惑だったかしら」
春香「う、ううん! 全然そんなことないよ! さ、あがってあがって!」
千早「それじゃ、お邪魔します」
春香「っ! もしかしてプロデューサーさん!? はーいっ」ガチャッ
千早「こんにちは、春香」
春香「ち、千早ちゃん?」
千早「春香が一人暮らしを始めたって音無さんから聞いて……迷惑だったかしら」
春香「う、ううん! 全然そんなことないよ! さ、あがってあがって!」
千早「それじゃ、お邪魔します」
14: ◆.xKc9zwqNY 2017/06/11(日) 19:49:43.99 ID:vQmLUkSN0
春香(はぁ……結局媚薬は偽物だったし。こうなったら千早ちゃんといっぱい遊んで気分転換しよっと)
春香「はい、千早ちゃん。ちょうどクッキー焼いたところだったんだ。召し上がれ」
千早「ありがとう、春香……ん、やっぱり春香の作るお菓子は美味しいわね」
春香「えへへ、千早ちゃんにそう言われると自信つくなぁ。今飲み物持ってくるからね!」
春香「はい、千早ちゃん。ちょうどクッキー焼いたところだったんだ。召し上がれ」
千早「ありがとう、春香……ん、やっぱり春香の作るお菓子は美味しいわね」
春香「えへへ、千早ちゃんにそう言われると自信つくなぁ。今飲み物持ってくるからね!」
15: ◆.xKc9zwqNY 2017/06/11(日) 19:50:34.12 ID:vQmLUkSN0
春香(媚薬入りの紅茶……どうせ偽物だし、余らせたら勿体ないしこれで良いか)
春香「はいどうぞ、アイスティで良かった?」
千早「ごめんなさいね、頂いてばっかりで。このアイスティも変わった風味だけど美味しいわね。クッキーとよく合うわ」
春香「もー、そんなにおだてないでよぉ。私木に登っちゃうよ」
千早「……いいえ、これは本心よ、春香」ポー
春香「えへへ。まあ、私お菓子作りだけは自信あるからね!」
千早「お菓子作り、だけ? そんなことないわ」
春香「ち、千早ちゃん?」
春香「はいどうぞ、アイスティで良かった?」
千早「ごめんなさいね、頂いてばっかりで。このアイスティも変わった風味だけど美味しいわね。クッキーとよく合うわ」
春香「もー、そんなにおだてないでよぉ。私木に登っちゃうよ」
千早「……いいえ、これは本心よ、春香」ポー
春香「えへへ。まあ、私お菓子作りだけは自信あるからね!」
千早「お菓子作り、だけ? そんなことないわ」
春香「ち、千早ちゃん?」
16: ◆.xKc9zwqNY 2017/06/11(日) 19:51:02.59 ID:vQmLUkSN0
千早「春香、私春香のことずっと……」ガシッ
春香「え、嘘……だってこれ偽物じゃ」
千早「偽物? 私のこの気持ちは偽物なんかじゃないわ」ゴゴゴゴゴ
春香「ガンぎまりですよ、ガンぎまり!」
千早「春香、私もう我慢できないわ」ハァハァ
春香「ちょっ、千早ちゃん落ち着い……いやぁああああ!!」
ガットヤッテチュットスッテハーン
春香「え、嘘……だってこれ偽物じゃ」
千早「偽物? 私のこの気持ちは偽物なんかじゃないわ」ゴゴゴゴゴ
春香「ガンぎまりですよ、ガンぎまり!」
千早「春香、私もう我慢できないわ」ハァハァ
春香「ちょっ、千早ちゃん落ち着い……いやぁああああ!!」
ガットヤッテチュットスッテハーン
17: ◆.xKc9zwqNY 2017/06/11(日) 19:51:31.72 ID:vQmLUkSN0
……
春香「で、今に至るってわけ」
千早inベッド「・・・・・・そう。他に言い残すことは?」
春香「・・・・・・けっこう良かったよ」
おわり
春香「で、今に至るってわけ」
千早inベッド「・・・・・・そう。他に言い残すことは?」
春香「・・・・・・けっこう良かったよ」
おわり
18: ◆.xKc9zwqNY 2017/06/11(日) 19:55:06.72 ID:vQmLUkSN0
小鳥(ふふふ、残念だったわね春香ちゃん。あの媚薬は女の子にしか効かないのよ)
小鳥(これで私は濃厚なはるちはを見ることが出来、プロデューサーさんは私のものになる……)
小鳥(まだ終わりじゃないわよ。ひびたか、ゆきまこ、やよいおり、みきりつ、あみまみ……不穏な芽は全て抜き、私は新世界のリア充になる!)
小鳥「計画通り!」ニヤリ
19: ◆.xKc9zwqNY 2017/06/11(日) 19:57:07.57 ID:vQmLUkSN0
以上です。
そしてPはあずささんと結婚しましたとさ。
そしてPはあずささんと結婚しましたとさ。
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 20:16:26.65 ID:63BlPZwpo
おつ
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 20:29:21.54 ID:zcxyMqlpo
おつ
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 20:29:37.78 ID:8Tf8uf3DO
女の子にしか効かない…
閃いた
閃いた
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1497168222/
Entry ⇒ 2017.09.30 | Category ⇒ アイドルマスター | Comments (0)
曜「――憂鬱な誕生日……」
1: ◆tdNJrUZxQg 2017/04/17(月) 00:00:12.77 ID:0FDuavgv0
ラブライブ!サンシャイン!!SS
明けて、4月17日になったので、短めですが曜ちゃんのお話を・・・
アニメ3話のライブ前くらいのお話です。
普段はこんなの書いてます。
千歌「――私はある日、恋をした。」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1491711229/
ダイヤ「もう一人の妹?」 ルビィ「もう一人のお姉ちゃん?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1490808858/
明けて、4月17日になったので、短めですが曜ちゃんのお話を・・・
アニメ3話のライブ前くらいのお話です。
普段はこんなの書いてます。
千歌「――私はある日、恋をした。」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1491711229/
ダイヤ「もう一人の妹?」 ルビィ「もう一人のお姉ちゃん?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1490808858/
2: ◆tdNJrUZxQg 2017/04/17(月) 00:01:33.73 ID:0FDuavgvo
放課後、机の上に放ったスマホの日付表示をぼんやり見つめながら隣席の言い争いを聞き流している
梨子「今日までって約束だったじゃない!!」
千歌「えへへ…ごめんっ もうちょっとだけ待って!」
梨子「それ昨日も聞いた!!」
千歌ちゃんの誤魔化しに梨子ちゃんはますます語気を荒げる
――たぶん、これは長くなるなぁ……
衣装担当で曲作りにはあまり積極的に関われない私はこういうときは蚊帳の外。
別にそれが嫌なわけではないし、そもそも自分の担当している仕事は他の二人には出来ない――いや案外梨子ちゃんは裁縫も器用にこなせるのだが――重要な仕事なので、文句があるわけではない。
少しの寂しさを感じることはあっても、それ以上の気持ちになることはあまりない。
ただ今日だけは少し事情が違う。
曜「……はぁ」
西日の照り返しであまり見えないがそこに確かにある憂鬱の原因
4月17日
スマホに表示された半角交じりのこの5文字だった。
梨子「今日までって約束だったじゃない!!」
千歌「えへへ…ごめんっ もうちょっとだけ待って!」
梨子「それ昨日も聞いた!!」
千歌ちゃんの誤魔化しに梨子ちゃんはますます語気を荒げる
――たぶん、これは長くなるなぁ……
衣装担当で曲作りにはあまり積極的に関われない私はこういうときは蚊帳の外。
別にそれが嫌なわけではないし、そもそも自分の担当している仕事は他の二人には出来ない――いや案外梨子ちゃんは裁縫も器用にこなせるのだが――重要な仕事なので、文句があるわけではない。
少しの寂しさを感じることはあっても、それ以上の気持ちになることはあまりない。
ただ今日だけは少し事情が違う。
曜「……はぁ」
西日の照り返しであまり見えないがそこに確かにある憂鬱の原因
4月17日
スマホに表示された半角交じりのこの5文字だった。
3: ◆tdNJrUZxQg 2017/04/17(月) 00:02:14.99 ID:0FDuavgvo
* * *
幼馴染で親友の千歌ちゃんがスクールアイドルを始めると啖呵を切った始業式のあの日から約10日。
本日、4月17日は私――渡辺曜の誕生日なのであります。
小学生のころから、この日は毎年、千歌ちゃんが盛大にお祝いしてくれるため私にとってはそれなりに大きな行事なのだが
今年は……
梨子「この前はいくらでも書けるって言ってたじゃない」
千歌「あー……最初は調子よかったんだけどねー……最後の調整がねー……」
梨子「作曲にも時間かかるんだから、今日中には完成させてくれないと困るからね。」
千歌「あはは、がんばるっ」
梨子「もう……大丈夫かなぁ……」
迫るファーストライブのことで私の誕生日どころじゃなさそうだ。
――いや、私もそのライブに出るから他人事じゃないんだけど……
実際ライブをするとなったら、やることは山のようにある。
私の担当の衣装作りはもちろん、作詞・作曲・振り付け決めや基礎トレーニング、ライブの告知など
ここ数日を省みて客観的に考えても、まず私の誕生日どころじゃないのは頭では理解しているのだが
――こんなに自分の誕生日が忘れられるのが堪えるなんて……
気付けば10年近い年月の間、毎年欠かさず祝われていたため、自らの誕生日が突如嵐のように現れたスクールアイドルという存在に掻き消されたかのようで想像以上に虚しい。
梨子「ライブまでそんなに時間ないんだからね?本当にお願いね?」
意識の端っこの方から、かろうじて耳に届いた梨子ちゃんの言葉にぼんやりとした思考が少しだけクリアになる。
――そうだ……もうすぐライブなんだ。私もしっかりしないと……
邪念を打ち消すように頭を軽く左右に振ってから、勢いよく椅子から立ちあがる。
久しぶりにプールで泳いで少し頭を冷やそう。
千歌「あれ?よーちゃん先に帰るの?」
口論もそこそこに帰り支度を始めた私に気付いた千歌ちゃんが声を掛けて来る。
4: ◆tdNJrUZxQg 2017/04/17(月) 00:02:41.17 ID:0FDuavgvo
曜「うん。今日はちょっと水泳部に顔出して来ようかなって。最近全然行けてないし。」
千歌「そっかー」
曜「終わったら千歌ちゃんち寄るね。衣装のことはそのときに……」
『千歌ちゃんが誕生日を祝ってくれないから寂しい』なんて恥ずかしくて口が裂けても言えない。
適当にそれっぽい理由をつけて、とりあえずこの場を後にする。
千歌「よーちゃんっ!」
曜「!?……な、なに!?」
千歌「忘れずにうち来てね!」
曜「……あ、あぁうんっ!了解であります!」
……今、呼び止められた瞬間――私、絶対期待してた。
再三繰り返すようだが、ライブ直前なんだし、忘れず来るように釘を刺すのも当たり前だ。
まったく、胸中で自分に活を入れた矢先にこれだ。
梨子「曜ちゃんは忘れたりしないわよ。千歌じゃないんだから。」
千歌「えぇ!?ひどーい!!」
曜「あはは……じゃあ、またあとでね」
無邪気な親友がまた不意に私の名前を呼ぶ前に逃げるように部活に向かう。
このままじゃそれこそ『忘れてるのは千歌ちゃんじゃない?』なんて思わず言ってしまいそうだったから……。
5: ◆tdNJrUZxQg 2017/04/17(月) 00:03:12.72 ID:0FDuavgvo
* * *
曜「全然集中できなかった……」
日も沈み始めた頃、練習を終え水泳場を後にし十千万旅館に向かう道中、私は再び自己嫌悪に陥っていた。
曜「はぁ……しっかりしろ、渡辺曜……っ」
言葉に出してみたもののいまいちすっきりしない。
頭の中でぐるぐる回るなんとも言えない寂しさを整理していたら、いつの間にか千歌ちゃんの家の前についていた。
曜「千歌ちゃんと梨子ちゃん……今頃、曲作りがんばってるんだろうなぁ……」
片や自分は意味もなく水にぷかぷか浮いていただけな気がして、またしても気持ちが蔭る。
曜「ダメだダメだダメだ!!」
再び頭を左右に振って、気を取り直す。
曜「こんばんはー」
志満「あら、曜ちゃん。こんばんは」
十千万旅館の暖簾をくぐると仕事をしていた志満さんがこちらに振り返って挨拶を返してくれる。
志満「千歌ちゃーん!曜ちゃんきたわよー?」
千歌ちゃんに来客を告げるため、志満さんが上階に向かって声を掛けるが反応がない。
6: ◆tdNJrUZxQg 2017/04/17(月) 00:03:39.30 ID:0FDuavgvo
志満「……もう千歌ちゃんったら……。ちょっと呼んで来るわね。」
曜「あ、いいですよ!自分で行くんで!曲作りしてるからイヤホンとかしてるだけだと思うし」
志満「ごめんなさいね。」
志満さんが申し訳なさそうに謝ってくるがもはや勝手知ったる他人の家である。
大した問題ではない。
ただ、階段をのぼる最中『出迎えくらいしてくれても』なんて考えが脳裏をよぎって、それをまた頭を振って打ち消す。
――遅れて来たのは私なんだし……
落ち着くために自分に言い聞かせる。
予想通り二階は静かで――いやむしろ静かすぎるくらいで障子1枚隔てた先にいるはずなのに会話一つ聞こえない。
二人ともよほど集中して作業しているのだろう……
――私……これじゃただのめんどくさい子だ……
私は顔に不満が出ないように1回静かに深呼吸をしてから
部屋の襖に手をかけた。
曜「ごめん!おそくなって――」
7: ◆tdNJrUZxQg 2017/04/17(月) 00:04:11.25 ID:0FDuavgvo
――パァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
千歌・梨子「曜ちゃんハッピーバースデー!!」
曜「……へ?」
破裂音と共に飛び出したクラッカーの紙テープが頭にかかる
曜「……え?……あ、誕生日……?」
このときは我ながら間抜けな顔をしていたと思う。
間抜けな私に千歌ちゃんが『にしし』と笑いながら近づいてくる。
8: ◆tdNJrUZxQg 2017/04/17(月) 00:04:38.27 ID:0FDuavgvo
千歌「その反応、もしかして曜ちゃん、自分の誕生日を忘れてましたなー?おまぬけさんだなー」
梨子「お間抜けさんは千歌ちゃんでしょ!今さっき突然クラッカーだけ渡されてびっくりしたわよ!」
千歌「いひゃい、りこひゃんにいうのわしゅれてたのはあやまるから、ほっぺひっぱらないでぇ~」
梨子「全く……事前に言ってくれたら私も準備できたのに……?」
千歌「……曜ちゃん?」
――気付いたら
曜「―――」
私の頬を……涙が伝っていた。
千歌「……え!?あ、ご、ごめん!?そのそんなにからかうつもりとかじゃなくて!?」
曜「……あっちがっ……これは……っ……」
狼狽する千歌ちゃんに弁明しようとするもうまく言葉が出てこない。
梨子ちゃんも動揺している。
9: ◆tdNJrUZxQg 2017/04/17(月) 00:05:19.23 ID:0FDuavgvo
あぁもう、何が『忘れてるのは千歌ちゃんのほうじゃない?』だ
嬉しさとか、情けなさとか、申し訳なさとか、いろんなものがごちゃごちゃになって、考えられない
そんな私を見て千歌ちゃんが――
千歌「ようちゃん……?」
私の手をそっと握る――
千歌ちゃんの手の熱が伝わってくる。同時に自然と口から心が零れ落ちるように――
曜「千歌ちゃん……スクールアイドルに夢中だったから……っ……ぐすっ……私の誕生日なんか忘れちゃってるかなって……っ」
ぽろぽろと――
曜「私も本番近いし……っ……誕生日とかいいかなって……ぅぐっ……思わなきゃって……」
涙と一緒に――
曜「でも……心のどこかで……っ……ひぐっ……私よりもアイドル活動の方が大事なんだって……っ……勝手に思って……っ……私っ……私……っ……!」
止まらなくて――
千歌「曜ちゃん」
ぽろぽろと大粒の涙を零す私を千歌ちゃんは優しく包み込んで
千歌「忘れるわけないよ……大好きな曜ちゃんが産まれてきてくれた大切な日だもん」
さっきまで寂しがっていた心に千歌ちゃんの言葉が染み込んでいく
――あぁ、千歌ちゃんはホントに千歌ちゃんなんだなって
曜「……うん……っ……」
千歌「曜ちゃん。誕生日おめでとう!いつも千歌と一緒にありがとうっ」
曜「……うん……うんっ……っ……」
千歌ちゃんはただ子供のように泣きじゃくる私を優しく抱きしめ続けてくれたのだった。
10: ◆tdNJrUZxQg 2017/04/17(月) 00:05:46.07 ID:0FDuavgvo
* * *
私がひとしきり泣いて落ち着いた頃にもう一度、千歌ちゃんが「おめでとう」と言ってくれた。
その後は皆でケーキを食べて、おしゃべりをして……
たった3人――パーティと言うには少人数だったけど、大いに騒いで
――1回だけ、襖から旅館の神様の視線を感じた気がするけど、どうやら今日だけは黙って見逃してくれたらしい。
……今は部屋に梨子ちゃんと二人。千歌ちゃんは食後のお茶を取りに行った。
梨子「……でも、意外だったな」
梨子ちゃんが手持ち無沙汰な私に話しかけてくる。
……まあ、いきなり目の前で泣き出したらね。
曜「あはは……その、情けないところをお見せしました……」
梨子「ううん、そこじゃなくて」
梨子ちゃん、おもむろに千歌ちゃんの机の上を指差した。
曜「……?……あっ」
11: ◆tdNJrUZxQg 2017/04/17(月) 00:06:12.57 ID:0FDuavgvo
――梨子ちゃんは机の上に置かれた卓上カレンダーを指差していた。
そのカレンダーの17日にはわかりやすく赤色のペンで丸が付けられていた。
梨子「……前から、なんでこの日だけ丸してあるのかなーって。何かあるのかなーって、ずっと思ってたんだけど」
……言われてみればそうだったかもしれない。
というか、サプライズパーティするのにこんなわかりやすい目印付けてちゃダメでしょ!?――まあ、気付かなかったんだけど……
梨子「毎日来てるのに気付いてなかったんだなぁって……正直、帰りも千歌ちゃんのサプライズを見越して水泳部に寄ってあげたのかと思ってた。」
曜「あはは……ホントに……なんで気付かなかったんだろう……」
梨子「曜ちゃんってしっかりしてると思ったけど……意外と千歌ちゃんとそっくりなのかもなって」
曜「……ふふっ……そうかも……」
梨子ちゃんと二人して笑ってしまった。
12: ◆tdNJrUZxQg 2017/04/17(月) 00:06:39.24 ID:0FDuavgvo
千歌「ただいまー……ってなんで二人とも何笑ってるの?」
梨子「んー?千歌ちゃんって抜けてるよねって話してたんだよねー」
千歌「え、なにそれひどーい!!」
曜「あはは、そうだねっ」
千歌「え、よーちゃんまで!!なんなの二人ともー!!」
4月17日――私、渡辺曜の誕生日――今日もいつもと変わらず、この部屋では笑顔が絶えないようだ。
寂しくて、虚しくて、やるせないことがあったときでも
全てをその陽だまりのような笑顔でぽかぽかな気持ちに変えてくれる大切な親友がいてくれるから――
13: ◆tdNJrUZxQg 2017/04/17(月) 00:07:23.19 ID:0FDuavgvo
終わりです。
改めて、曜ちゃん誕生日おめでとう!
改めて、曜ちゃん誕生日おめでとう!
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/17(月) 04:24:18.54 ID:DhwpyZMWo
乙
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/18(火) 06:04:10.60 ID:e1iKTrhn0
乙
やっぱり“ようちか”なんだヨーソローなぁ…
やっぱり“ようちか”なんだヨーソローなぁ…
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/04/18(火) 18:50:49.97 ID:J/MkyMPnO
おつおつ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492354810/
Entry ⇒ 2017.09.30 | Category ⇒ ラブライブ | Comments (0)
台風のリポーター「らめええええええっ! 風が激しいのぉぉぉぉぉっ!」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 01:53:13.27 ID:CfwqkmKqo
アナウンサー「それでは、台風の情報です」
アナウンサー「史上最大規模ともいわれる台風が、つい先ごろ日本列島に上陸しました」
アナウンサー「さっそく、現場と中継がつながっています」
アナウンサー「リポーターさーん?」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 01:55:31.30 ID:CfwqkmKqo
ビュゴォォォォォ……!
リポーター「はい!?」
~
アナウンサー「いよいよ台風が上陸したとのことですが、現場はいかがですか?」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 01:58:25.25 ID:CfwqkmKqo
ビュゴォォォォォ……!
リポーター「はいっ! 雨も風もとても強く……!」
リポーター「私も立ってるのがやっとという状況です……!」
~
アナウンサー「なるほどー! 周辺の様子はいかがですか?」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 02:00:29.18 ID:CfwqkmKqo
ビュゴォォォォォ……!
リポーター「先ほどまでは……外を歩いてる人もいたのですが……!」
リポーター「今は誰も歩いてませんね……! 誰もいません……!」
~
アナウンサー「やはり皆さん、台風を警戒して屋内に避難されたということでしょうか?」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 02:02:39.71 ID:CfwqkmKqo
ビュゴォォォォォ……!
リポーター「そうですねー! そうだと思います!」
リポーター「おっとますます風が強く……!」
ビュゴォォォォォ……!
~
アナウンサー「大丈夫ですかー? 無理しないで下さいねー!」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 02:04:42.61 ID:CfwqkmKqo
ビュゴォォォォォ……!
リポーター「らめええええええっ!」
リポーター「風が激しいのぉぉぉぉぉっ!」
~
アナウンサー「!?」ギョッ
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 02:07:30.61 ID:CfwqkmKqo
ビュゴォォォォォ……!
リポーター「私も台風リポートやって長いけれどもぉ……」
リポーター「こんな激しいの初めてぇぇぇぇぇっ!」
~
アナウンサー「リポーターさん!? リポーターさん!?」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 02:11:23.28 ID:CfwqkmKqo
ビュゴォォォォォ……!
リポーター「台風ぅぅぅぅぅっ!」
リポーター「もっとだっ! もっと激しくぅぅぅぅぅっ!」
リポーター「雨と風を打ちつけてえええへぇぇぇ~~~ん!」
~
アナウンサー「リポーターさん、落ち着いて!」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 02:14:18.04 ID:CfwqkmKqo
ビュゴォォォォォ……!
リポーター「らめえええええええええっ!」
リポーター「もう我慢できにゃいにょほほほぉぉぉ~~~~~ん!」
~
アナウンサー「リポーターさん、カメラ回ってますよー!」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 02:17:27.55 ID:CfwqkmKqo
ビュゴォォォォォ……!
リポーター「台風ッ!」
リポーター「目で出すぞッ!」
リポーター「うおおおおおおおおおおおおっ!!!」タタタタタッ
~
アナウンサー「ちょっ! どこ行くんですか! カメラマンさん追いかけて!」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 02:19:46.09 ID:CfwqkmKqo
ビュゴォォォォォ……!
リポーター「目はどこだ!? 目はどこだ!?」
リポーター「もういいッ! ここで出すぞッ!」ポロンッ
~
アナウンサー「うわぁっ! カメラ止めて!」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 02:21:16.46 ID:CfwqkmKqo
アナウンサー「えー……大変お見苦しい場面があったことを深くお詫びいたします」
アナウンサー「彼もきっと史上最大の台風を目の当たりにして、きっと興奮を抑えられなかったのでしょう」
アナウンサー「それだけは分かってあげて下さい」
アナウンサー「ん……?」
アナウンサー「ここで新しい情報が入りました」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 02:23:15.81 ID:CfwqkmKqo
アナウンサー「えー……日本に上陸したと思われた超大型台風ですが……」
アナウンサー「まるで逃げるように日本列島から離れていってるということです」
アナウンサー「無理もない、と思います」
おわり
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 03:35:07.66 ID:7o95XCHeO
ありがとうリポーター
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 06:51:04.99 ID:TEQENV7ZO
総理大臣賞待ったなし乙
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 11:57:11.07 ID:Rg+RZBlv0
ありがとう
本当にありがとう
本当にありがとう
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 14:12:27.23 ID:bhYk4AoSO
サンキューリポーター!
台風の中外で裸で歌うの楽しいよな!
台風の中外で裸で歌うの楽しいよな!
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1499187192/
Entry ⇒ 2017.09.30 | Category ⇒ オリジナル | Comments (0)
ヴィーネ「ガヴの歯って小さくて本当に可愛いわね」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/16(金) 23:48:54.84 ID:08k/+r1do
ガヴリール「変なこというなよ」
ヴィーネ「欲しいな」
ガヴリール「……は?」
ヴィーネ「歯、欲しいなって」
ガヴリール「何言ってるんだよ」
ヴィーネ「だめ……かな?」
ガヴリール「だって意味がわからないもん」
ヴィーネ「欲しいな」
ガヴリール「……は?」
ヴィーネ「歯、欲しいなって」
ガヴリール「何言ってるんだよ」
ヴィーネ「だめ……かな?」
ガヴリール「だって意味がわからないもん」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/16(金) 23:49:42.22 ID:08k/+r1do
ガヴリール「歯なんてどうするんだよ」
ヴィーネ「舐めるのよ」
ヴィーネ「飴みたいに」
ヴィーネ「口の中で転がして」
ヴィーネ「少しずつ少しずつガヴの味を感じるの」
ガヴリール「」ゾッ
ヴィーネ「一本! 一本だけでいいの!」
ヴィーネ「舐めるのよ」
ヴィーネ「飴みたいに」
ヴィーネ「口の中で転がして」
ヴィーネ「少しずつ少しずつガヴの味を感じるの」
ガヴリール「」ゾッ
ヴィーネ「一本! 一本だけでいいの!」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/16(金) 23:50:24.17 ID:08k/+r1do
ガヴリール「いや、そんなこと言ったってどうやって……」
ヴィーネ「引っこ抜くのよ」ペンチ
ガヴリール「ひっ」
ヴィーネ「ねえガヴ」
ヴィーネ「だめ?」
ガヴリール「う、うぅ……」
ガヴリール「本当に一本だけだからな?」
ヴィーネ「やった!」
ヴィーネ「引っこ抜くのよ」ペンチ
ガヴリール「ひっ」
ヴィーネ「ねえガヴ」
ヴィーネ「だめ?」
ガヴリール「う、うぅ……」
ガヴリール「本当に一本だけだからな?」
ヴィーネ「やった!」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/16(金) 23:50:51.35 ID:08k/+r1do
ギシッ
ガヴリール「な、なあヴィーネ」
ガヴリール「こんなに縛る必要あったか?」
ヴィーネ「だってガヴが暴れて手元が狂ったら危ないでしょ」
ガヴリール「麻酔とかは?」
ヴィーネ「あるわけないでしょ」
ガヴリール「やっぱやめる!」
ヴィーネ「だめよ!」
ガヴリール「な、なあヴィーネ」
ガヴリール「こんなに縛る必要あったか?」
ヴィーネ「だってガヴが暴れて手元が狂ったら危ないでしょ」
ガヴリール「麻酔とかは?」
ヴィーネ「あるわけないでしょ」
ガヴリール「やっぱやめる!」
ヴィーネ「だめよ!」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/16(金) 23:51:20.20 ID:08k/+r1do
ガヴリール「痛いのは嫌だ!」ジタバタ
ヴィーネ「安心しなさい、すぐ済むから」
ガヴリール「やめろ! 近づくな!」
ヴィーネ「そういえばガヴって永久歯?」
ガヴリール「天歯」
ヴィーネ「……」
ガヴリール「……ツッコめよ」
ヴィーネ「安心しなさい、すぐ済むから」
ガヴリール「やめろ! 近づくな!」
ヴィーネ「そういえばガヴって永久歯?」
ガヴリール「天歯」
ヴィーネ「……」
ガヴリール「……ツッコめよ」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/16(金) 23:52:03.58 ID:08k/+r1do
ヴィーネ「じゃあ抜くわよ」
ガヴリール「や、やだ!」
ヴィーネ「お口開けて?」
ガヴリール「むーーー!」
ヴィーネ「……」
チュッ
ガヴリール「!?」
ガヴリール「や、やだ!」
ヴィーネ「お口開けて?」
ガヴリール「むーーー!」
ヴィーネ「……」
チュッ
ガヴリール「!?」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/16(金) 23:52:32.75 ID:08k/+r1do
チュ
チュゥ
チュッ
ガヴリール(舌、入って……)
ジュル
チュル
ヴィーネ「ぷはっ」
ガヴリール「あぅ……」
ヴィーネ「これで口が開いたわね」ガシッ
チュゥ
チュッ
ガヴリール(舌、入って……)
ジュル
チュル
ヴィーネ「ぷはっ」
ガヴリール「あぅ……」
ヴィーネ「これで口が開いたわね」ガシッ
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/16(金) 23:53:07.07 ID:08k/+r1do
ガヴリール「あがっ!?」
ヴィーネ「じゃあ早速」
ガヴリール「もごぉ! 」
ヴィーネ「前歯……は困るわよね」
ヴィーネ「奥歯は届かないしその間くらいで」
ギシッ
ガヴリール「っ!」
ギギ……
バチンッ
ヴィーネ「じゃあ早速」
ガヴリール「もごぉ! 」
ヴィーネ「前歯……は困るわよね」
ヴィーネ「奥歯は届かないしその間くらいで」
ギシッ
ガヴリール「っ!」
ギギ……
バチンッ
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/16(金) 23:53:38.11 ID:08k/+r1do
ガヴリール「っが!」
ヴィーネ「ペンチが滑っちゃった」
ヴィーネ「もっと前後に力を加える方が良さそうね」
ギシッ
ギギ……
ギギ……
ガヴリール「んっ、んお!!」
ヴィーネ「ペンチが滑っちゃった」
ヴィーネ「もっと前後に力を加える方が良さそうね」
ギシッ
ギギ……
ギギ……
ガヴリール「んっ、んお!!」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/16(金) 23:54:12.77 ID:08k/+r1do
ミシッ
ミシッ
ギッ
ビッ
ガヴリール「~~~ッ!!!!!」
ヴィーネ「ほら、もう少しよ」
ミシッ
ギッ
ビッ
ガヴリール「~~~ッ!!!!!」
ヴィーネ「ほら、もう少しよ」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/16(金) 23:54:45.33 ID:08k/+r1do
ギッ
ビシッ
ガヴリール「っ!?」
ヴィーネ「ふう……やっと抜けたわね」
ガヴリール「……」フゥーッフゥーッ
ヴィーネ「大丈夫? 今止血するわね」
ビシッ
ガヴリール「っ!?」
ヴィーネ「ふう……やっと抜けたわね」
ガヴリール「……」フゥーッフゥーッ
ヴィーネ「大丈夫? 今止血するわね」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/16(金) 23:55:12.81 ID:08k/+r1do
◆
カラン
コロン
サターニャ「ずいぶん楽しそうね」
サターニャ「何食べてるの? 飴?」
ヴィーネ「ガヴの歯よ」
サターニャ「は?」
ヴィーネ「歯」
サターニャ「はぁ?」
カラン
コロン
サターニャ「ずいぶん楽しそうね」
サターニャ「何食べてるの? 飴?」
ヴィーネ「ガヴの歯よ」
サターニャ「は?」
ヴィーネ「歯」
サターニャ「はぁ?」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/16(金) 23:55:39.18 ID:08k/+r1do
ヴィーネ「美味しいわよ」
サターニャ「気持ち悪……」
ガヴリール「……」
サターニャ「ガヴリールはどう思ってるのよこれ」
ガヴリール「べふにいいんじゃないは?」
サターニャ「大丈夫?」
ガヴリール「ヴぃーえにはせわになってるひ」
サターニャ「気持ち悪……」
ガヴリール「……」
サターニャ「ガヴリールはどう思ってるのよこれ」
ガヴリール「べふにいいんじゃないは?」
サターニャ「大丈夫?」
ガヴリール「ヴぃーえにはせわになってるひ」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/16(金) 23:56:32.97 ID:08k/+r1do
ガヴリール「またふぐはえてくるだろうひ」
カランコロン
ヴィーネ「うふふ」ニッコニコ
ガヴリール「うれひほうだひ」
サターニャ「そうね……今まで見たことないくらい幸せそうだわ……」
カランコロン
ヴィーネ「うふふ」ニッコニコ
ガヴリール「うれひほうだひ」
サターニャ「そうね……今まで見たことないくらい幸せそうだわ……」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/16(金) 23:57:22.21 ID:08k/+r1do
◆
カラン
コロン
カラン
ゴクン
ヴィーネ「!?」
ヴィーネ「の、飲み込んじゃった」
ヴィーネ「ど、どうしよう」アタフタ
ヴィーネ「すぐに吐いたら出てくるかな……」
カラン
コロン
カラン
ゴクン
ヴィーネ「!?」
ヴィーネ「の、飲み込んじゃった」
ヴィーネ「ど、どうしよう」アタフタ
ヴィーネ「すぐに吐いたら出てくるかな……」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/16(金) 23:58:12.50 ID:08k/+r1do
◆ トイレ
ヴィーネ「おえっ! おえっ!」
ヴィーネ「だめ……どうしよう……」
ヴィーネ「手を口の奥に入れれば……」
ヴィーネ「ん、げっ」
ケロケロ
ヴィーネ「うっ……ぷ……」
ヴィーネ「げっ……」
ヴィーネ「うぇ……気持ち悪い……」
ヴィーネ「おえっ! おえっ!」
ヴィーネ「だめ……どうしよう……」
ヴィーネ「手を口の奥に入れれば……」
ヴィーネ「ん、げっ」
ケロケロ
ヴィーネ「うっ……ぷ……」
ヴィーネ「げっ……」
ヴィーネ「うぇ……気持ち悪い……」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/16(金) 23:58:57.06 ID:08k/+r1do
ヴィーネ「出てきた……?」
ヴィーネ「トイレに手を入れるのは嫌だけど」
ヴィーネ「早くしないとガヴの歯が……」
ビシャ
ビチャビチャ
ヴィーネ「なんで……なんで無いのよ……」
ヴィーネ「う、うぅ……っ」グスッ
ヴィーネ「うあぁぁぁぁ……」グスッ
ヴィーネ「トイレに手を入れるのは嫌だけど」
ヴィーネ「早くしないとガヴの歯が……」
ビシャ
ビチャビチャ
ヴィーネ「なんで……なんで無いのよ……」
ヴィーネ「う、うぅ……っ」グスッ
ヴィーネ「うあぁぁぁぁ……」グスッ
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/16(金) 23:59:24.81 ID:08k/+r1do
ガヴリール「ヴィーえ……?」
ガヴリール「お、おいヴィーえ! なんでないてるんだお!」
ヴィーネ「ガヴ……?」
ヴィーネ「ごめんなさい! ごめんなさい!」
ガヴリール「おちつけ! ほら、ひんこきゅうひろ」
ヴィーネ「すー……はー……」
ガヴリール「どうひたんだ?」
ヴィーネ「あのね……」
ガヴリール「お、おいヴィーえ! なんでないてるんだお!」
ヴィーネ「ガヴ……?」
ヴィーネ「ごめんなさい! ごめんなさい!」
ガヴリール「おちつけ! ほら、ひんこきゅうひろ」
ヴィーネ「すー……はー……」
ガヴリール「どうひたんだ?」
ヴィーネ「あのね……」
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/17(土) 00:00:03.42 ID:2f6BW67Co
ヴィーネ「私……」
ヴィーネ「ガヴの歯……飲み込んじゃったの」
ガヴリール「ほうか」
ガヴリール「ほれで、どうひたんだ?」
ヴィーネ「それだけ」
ガヴリール「???」
ガヴリール「ほれでなんでないてたんだよ」
ヴィーネ「折角ガヴがくれたのに……」
ヴィーネ「こんな早く無くしちゃったから
ヴィーネ「嫌われるんじゃないかと思って……」ウルッ
ガヴリール「ほんなんできらいになるわけないだろ」
ヴィーネ「ガヴの歯……飲み込んじゃったの」
ガヴリール「ほうか」
ガヴリール「ほれで、どうひたんだ?」
ヴィーネ「それだけ」
ガヴリール「???」
ガヴリール「ほれでなんでないてたんだよ」
ヴィーネ「折角ガヴがくれたのに……」
ヴィーネ「こんな早く無くしちゃったから
ヴィーネ「嫌われるんじゃないかと思って……」ウルッ
ガヴリール「ほんなんできらいになるわけないだろ」
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/17(土) 00:00:37.35 ID:2f6BW67Co
ガヴリール「きらいになるなら歯をぬかれたときになってる」
ヴィーネ「嫌いに、ならない?」
ガヴリール「なるもんか」
ヴィーネ「うっ……うぅぅ……」グスッ
ガヴリール「なんでなくんだよ」
ヴィーネ「安心しちゃって……」
ガヴリール「ほら、おちついて」
ヴィーネ「うん、うん」
ヴィーネ「嫌いに、ならない?」
ガヴリール「なるもんか」
ヴィーネ「うっ……うぅぅ……」グスッ
ガヴリール「なんでなくんだよ」
ヴィーネ「安心しちゃって……」
ガヴリール「ほら、おちついて」
ヴィーネ「うん、うん」
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/17(土) 00:01:04.63 ID:2f6BW67Co
◆
ガヴリール「無事に歯が生えてきてよかった」
ラフィエル「天使の回復力は伊達じゃありませんね」
ヴィーネ「……」チラッチラッ
サターニャ「ねえ、ヴィネットがやけに見てるんだけど」
ガヴリール「一応聞くけど、どうしたんだよ」
ヴィーネ「その、ね」
ヴィーネ「また生えてきたならその歯、欲しいなー……って」
サターニャ「うわぁ」
ガヴリール「無事に歯が生えてきてよかった」
ラフィエル「天使の回復力は伊達じゃありませんね」
ヴィーネ「……」チラッチラッ
サターニャ「ねえ、ヴィネットがやけに見てるんだけど」
ガヴリール「一応聞くけど、どうしたんだよ」
ヴィーネ「その、ね」
ヴィーネ「また生えてきたならその歯、欲しいなー……って」
サターニャ「うわぁ」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/17(土) 00:01:31.39 ID:2f6BW67Co
ラフィエル「これはマジモンですね」
ガヴリール「仕方ないな」
ガヴリール「一本だけだぞ」
サターニャ・ラフィエル「えっ」
ヴィーネ「やった!」
ヴィーネ「ガヴ大好き!」
ガヴリール「ん……」
完
ガヴリール「仕方ないな」
ガヴリール「一本だけだぞ」
サターニャ・ラフィエル「えっ」
ヴィーネ「やった!」
ヴィーネ「ガヴ大好き!」
ガヴリール「ん……」
完
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/17(土) 00:09:57.83 ID:J/Z2gp0D0
優しい世界ほんと好き?
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/17(土) 00:38:21.88 ID:mxDpnnpn0
何気にガヴの依存度が高くてよい
やっぱり共依存は最高や
やっぱり共依存は最高や
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/17(土) 01:23:08.65 ID:VxT+m6z90
優しい世界だが
なんか狂気を感じる
なんか狂気を感じる
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1497624534/
Entry ⇒ 2017.09.30 | Category ⇒ ガヴリールドロップアウト | Comments (0)
絵里「あれ?開かない…」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/02(日) 00:41:47.91 ID:wwsiNXLQ0
絵里「ふう…本当にここでいいのかしら?」
凛「うん。この倉庫に片付けといてくれって希ちゃん言ってたにゃ」
絵里「そう。ならいいんだけど…」
ガチャ バタン
絵里「うっ、なんだか埃っぽいわね」
凛「階段下の倉庫なんてこんなもんだよ」
絵里「こう言う所も定期的に掃除しなきゃだめね。後で穂乃果に言っておかなくちゃ」
凛「うん。この倉庫に片付けといてくれって希ちゃん言ってたにゃ」
絵里「そう。ならいいんだけど…」
ガチャ バタン
絵里「うっ、なんだか埃っぽいわね」
凛「階段下の倉庫なんてこんなもんだよ」
絵里「こう言う所も定期的に掃除しなきゃだめね。後で穂乃果に言っておかなくちゃ」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/02(日) 00:46:47.72 ID:wwsiNXLQ0
凛「なんで穂乃果ちゃん?」
絵里「生徒会長だからよ」
凛「って事は前任の人がちゃんと仕事しなかったのかなぁ?」
絵里「…そうね」
凛「さっ、片付けも終わったし戻るにゃ」
絵里「そうね」
ガチャガチャ
絵里「あれ?ドアノブが回らないんだけど」
凛「え~嘘だよぉ~」
絵里「いえ…本当よ…どうして」
ガチャガチャ
絵里「嘘でしょ?ちょっと…」
凛「ふふん」
絵里「な、何笑ってるのよ?開かないのよ?」
凛「テッテレ~ドッキリだにゃ~」
絵里「生徒会長だからよ」
凛「って事は前任の人がちゃんと仕事しなかったのかなぁ?」
絵里「…そうね」
凛「さっ、片付けも終わったし戻るにゃ」
絵里「そうね」
ガチャガチャ
絵里「あれ?ドアノブが回らないんだけど」
凛「え~嘘だよぉ~」
絵里「いえ…本当よ…どうして」
ガチャガチャ
絵里「嘘でしょ?ちょっと…」
凛「ふふん」
絵里「な、何笑ってるのよ?開かないのよ?」
凛「テッテレ~ドッキリだにゃ~」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/02(日) 00:51:42.44 ID:wwsiNXLQ0
絵里「…はあ…あなた達の仕業なの?」
凛「うん。凛と」
絵里「希でしょ?」
凛「うん。正解にゃ!よく分かったね?」
絵里「誰でも分かるわよ。おかしいと思ったのよ。ここの物置なんてずっと使ってなかったんだから」
凛「ふ~ん。そっかぁ。まあ、いいや。ここで話すのも何だから出ようか?」
ガチャガチャ
凛「あれ?あっ!そっか!希ちゃーん?もういいよ?」
ガチャガチャ
凛「希ちゃん?聞こえないの?もうネタバラシしたからもう出たいんだけど?」
シーン
凛「うん。凛と」
絵里「希でしょ?」
凛「うん。正解にゃ!よく分かったね?」
絵里「誰でも分かるわよ。おかしいと思ったのよ。ここの物置なんてずっと使ってなかったんだから」
凛「ふ~ん。そっかぁ。まあ、いいや。ここで話すのも何だから出ようか?」
ガチャガチャ
凛「あれ?あっ!そっか!希ちゃーん?もういいよ?」
ガチャガチャ
凛「希ちゃん?聞こえないの?もうネタバラシしたからもう出たいんだけど?」
シーン
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/02(日) 00:58:21.80 ID:wwsiNXLQ0
絵里「ちょっと?どうなってるの?」
凛「なんか希ちゃんが返事してくれないにゃ。聞こえないみたいにゃ」
絵里「はあ…まったく…あなた達はツメが甘いと言うか…」
凛「まさか、聞こえないとは思わなくって…」
ガチャガチャ ボキッ
凛「あっ!」
絵里「え?」
凛「あ~」
絵里「ちょっと…何やってるの?」
凛「ドアノブ…折れちゃったにゃ」
絵里「老朽化してたのね」
凛「ろーきゅーか?」
絵里「古くて役に立たないって事ね」
凛「へ~絵里ちゃんは物知りだね」
凛「なんか希ちゃんが返事してくれないにゃ。聞こえないみたいにゃ」
絵里「はあ…まったく…あなた達はツメが甘いと言うか…」
凛「まさか、聞こえないとは思わなくって…」
ガチャガチャ ボキッ
凛「あっ!」
絵里「え?」
凛「あ~」
絵里「ちょっと…何やってるの?」
凛「ドアノブ…折れちゃったにゃ」
絵里「老朽化してたのね」
凛「ろーきゅーか?」
絵里「古くて役に立たないって事ね」
凛「へ~絵里ちゃんは物知りだね」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/02(日) 01:04:26.72 ID:wwsiNXLQ0
絵里「そんな事ないわよ。凛だってちゃんと勉強すればいいのよ?」
凛「そこを突かれると痛いにゃ」
絵里「それにしても内側からは開けられなくなっちゃったけど…希もそろそろ開けてくれるでしょ」
凛「凛思ったんだけどね」
絵里「なあに?」
凛「もしかして凛もドッキリに引っかかってるとかってありえるかな?」
絵里「だから希が開けてくれないって事?」
凛「うん。仕掛ける側が実はターゲットだったってありそうだよね?これは一本取られたにゃ」
絵里「いや、まだ分からないけどね」
凛「もしかして、絵里ちゃんも実は知ってたとか?」
絵里「ないわよ。私がそんな事しないって分かってるでしょ?」
凛「その言動が怪しいにゃ~」
凛「そこを突かれると痛いにゃ」
絵里「それにしても内側からは開けられなくなっちゃったけど…希もそろそろ開けてくれるでしょ」
凛「凛思ったんだけどね」
絵里「なあに?」
凛「もしかして凛もドッキリに引っかかってるとかってありえるかな?」
絵里「だから希が開けてくれないって事?」
凛「うん。仕掛ける側が実はターゲットだったってありそうだよね?これは一本取られたにゃ」
絵里「いや、まだ分からないけどね」
凛「もしかして、絵里ちゃんも実は知ってたとか?」
絵里「ないわよ。私がそんな事しないって分かってるでしょ?」
凛「その言動が怪しいにゃ~」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/02(日) 01:13:24.77 ID:wwsiNXLQ0
絵里「そんな事言っても…」
凛「とりあえず何とかして希ちゃんに開けて貰わなきゃ」
絵里「そうね。ちょっと乱暴だけど声が届かないんだったらドアを叩いて知らせるしかないわね」
凛「それで分かるかな?」
絵里「流石に変だって分かるでしょ」
凛「そっか」
ドンドンドン
絵里「のぞみぃ?もういいから開けてちょうだい」
ドンドンドン
凛「ねえ?」
絵里「何?」
凛「希ちゃん向こう側にいるのかな?」
絵里「いや、最初はいたんでしょ?一緒に」
凛「さあ?凛は絵里ちゃんを呼びに行ってたから…」
絵里「はあ?あなた達どうなってるのよ…じゃあ、なんでドアノブが開かなかったのよ?」
凛「ろーきゅーかしてて壊れてたとか?」
絵里「…冗談やめてよ」
ドンドンドン
絵里「のぞみー居るんでしょ?ねえ?怒るわよ?」
ドンドンドン
絵里「はあ…最悪だわ…そもそもこの扉の薄さで声が聞こえないなんてありえないものね」
凛「誰か他の人が開けてくれないかな?」
凛「とりあえず何とかして希ちゃんに開けて貰わなきゃ」
絵里「そうね。ちょっと乱暴だけど声が届かないんだったらドアを叩いて知らせるしかないわね」
凛「それで分かるかな?」
絵里「流石に変だって分かるでしょ」
凛「そっか」
ドンドンドン
絵里「のぞみぃ?もういいから開けてちょうだい」
ドンドンドン
凛「ねえ?」
絵里「何?」
凛「希ちゃん向こう側にいるのかな?」
絵里「いや、最初はいたんでしょ?一緒に」
凛「さあ?凛は絵里ちゃんを呼びに行ってたから…」
絵里「はあ?あなた達どうなってるのよ…じゃあ、なんでドアノブが開かなかったのよ?」
凛「ろーきゅーかしてて壊れてたとか?」
絵里「…冗談やめてよ」
ドンドンドン
絵里「のぞみー居るんでしょ?ねえ?怒るわよ?」
ドンドンドン
絵里「はあ…最悪だわ…そもそもこの扉の薄さで声が聞こえないなんてありえないものね」
凛「誰か他の人が開けてくれないかな?」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/02(日) 01:18:42.62 ID:wwsiNXLQ0
絵里「しょうがないわ。しばらくここに居るしかないわね。あいにく階段下の物置だから誰か階段を下ってれば足音で分かるわ」
凛「確かにそうだね。絵里ちゃん冷静だね。もっと慌てるかと思ったにゃ」
絵里「こう言う時こそ慌てちゃダメなの」
凛「流石絵里ちゃんにゃ」
絵里「さあ、誰か来るまで待ってましょ?」
凛「うん」
絵里「そう言えば」
凛「どうしたの?」
絵里「凛とこうして二人っきりって言うのも珍しいわね」
凛「確かに…そうだね!」
凛「確かにそうだね。絵里ちゃん冷静だね。もっと慌てるかと思ったにゃ」
絵里「こう言う時こそ慌てちゃダメなの」
凛「流石絵里ちゃんにゃ」
絵里「さあ、誰か来るまで待ってましょ?」
凛「うん」
絵里「そう言えば」
凛「どうしたの?」
絵里「凛とこうして二人っきりって言うのも珍しいわね」
凛「確かに…そうだね!」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/02(日) 01:25:23.60 ID:wwsiNXLQ0
絵里「凛は…スクールアイドルをやってて…μ'sに入って楽しい?」
凛「えーなんでそんな事聞くの?」
絵里「ダメだった?」
凛「聞くまでもないにゃ。毎日楽しくって仕方がないにゃ~。絵里ちゃんは?」
絵里「ふふっ、私もよ。毎日が楽しくて仕方がない。凛や皆んなのお陰ね」
凛「本当?」
絵里「本当よ。凛が元気だと私も楽しいもの。ちょっと元気過ぎて困る時もあるけどね。特に今みたいにイタズラしてハプニングを起こしたり」
凛「それは言わないで欲しいにゃ~」
凛「えーなんでそんな事聞くの?」
絵里「ダメだった?」
凛「聞くまでもないにゃ。毎日楽しくって仕方がないにゃ~。絵里ちゃんは?」
絵里「ふふっ、私もよ。毎日が楽しくて仕方がない。凛や皆んなのお陰ね」
凛「本当?」
絵里「本当よ。凛が元気だと私も楽しいもの。ちょっと元気過ぎて困る時もあるけどね。特に今みたいにイタズラしてハプニングを起こしたり」
凛「それは言わないで欲しいにゃ~」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/02(日) 01:30:33.94 ID:wwsiNXLQ0
ガチャ
凛「え?」
絵里「え?」
穂乃果「あれ~?確かに声が聞こえたのになぁ」
絵里「穂乃果?」
穂乃果「ん?絵里ちゃん?何やってるの?凛ちゃんも…」
凛「穂乃果ちゃんナイスだにゃ」
穂乃果「え~何さ~」
バタン
穂乃果「わっ、びっくりしたぁ」
凛「…」
絵里「…」
穂乃果「な、何?そんなにびっくりした?大きな音だったけどそこまで?」
凛「え?」
絵里「え?」
穂乃果「あれ~?確かに声が聞こえたのになぁ」
絵里「穂乃果?」
穂乃果「ん?絵里ちゃん?何やってるの?凛ちゃんも…」
凛「穂乃果ちゃんナイスだにゃ」
穂乃果「え~何さ~」
バタン
穂乃果「わっ、びっくりしたぁ」
凛「…」
絵里「…」
穂乃果「な、何?そんなにびっくりした?大きな音だったけどそこまで?」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/02(日) 01:37:08.17 ID:wwsiNXLQ0
凛「穂乃果ちゃんのバカーー」
絵里「…」
穂乃果「え?え?何?そんなに怒らなくたっていいじゃん。穂乃果だってやろうと思ってやったわけじゃないもん。まさか、扉が閉まるとは思わないもん。あんなに大きな音がすると思わないもん」
絵里「そうじゃないの…今私達閉じ込められてるのよ」
穂乃果「え?凛ちゃんと絵里ちゃんが?」
絵里「あなたもよ…」
穂乃果「どう言う事?だって普通に開いたよ?」
凛「ドアノブ…壊れてるにゃ」
穂乃果「あっ!?本当だ!どうやって出るの?」
凛「だから困ってるんだにゃ。期待だけさせといてあんまりだにゃー」
穂乃果「いや、そんな事言われたってさ」
絵里「…」
穂乃果「え?え?何?そんなに怒らなくたっていいじゃん。穂乃果だってやろうと思ってやったわけじゃないもん。まさか、扉が閉まるとは思わないもん。あんなに大きな音がすると思わないもん」
絵里「そうじゃないの…今私達閉じ込められてるのよ」
穂乃果「え?凛ちゃんと絵里ちゃんが?」
絵里「あなたもよ…」
穂乃果「どう言う事?だって普通に開いたよ?」
凛「ドアノブ…壊れてるにゃ」
穂乃果「あっ!?本当だ!どうやって出るの?」
凛「だから困ってるんだにゃ。期待だけさせといてあんまりだにゃー」
穂乃果「いや、そんな事言われたってさ」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/02(日) 01:46:46.48 ID:wwsiNXLQ0
絵里「そうよ。穂乃果を責めたって仕方がないわ」
穂乃果「そもそもなんで二人は閉じ込められてるのさ」
凛「そんなのどうだっていいにゃ。それよりも早く出る事が先決だにゃ」
穂乃果「まあ…そうなんだけどさ」
絵里「それにしても穂乃果が来たのに全然気がつかなかったわね」
凛「ね?足音しなかったね」
穂乃果「足音?」
凛「階段を下って来れば足音で分かるでしょ?そしたら助けを呼ぼうって絵里ちゃんと言ってたの」
穂乃果「だって穂乃果廊下から来たもん」
凛「え?廊下から…」
絵里「そうか…必ずしも皆んなが上から来るとは限らないものね」
凛「もう、穂乃果ちゃん最悪だにゃ」
穂乃果「いや、知らないよ。二人の考えが安易なんでしょ?」
穂乃果「そもそもなんで二人は閉じ込められてるのさ」
凛「そんなのどうだっていいにゃ。それよりも早く出る事が先決だにゃ」
穂乃果「まあ…そうなんだけどさ」
絵里「それにしても穂乃果が来たのに全然気がつかなかったわね」
凛「ね?足音しなかったね」
穂乃果「足音?」
凛「階段を下って来れば足音で分かるでしょ?そしたら助けを呼ぼうって絵里ちゃんと言ってたの」
穂乃果「だって穂乃果廊下から来たもん」
凛「え?廊下から…」
絵里「そうか…必ずしも皆んなが上から来るとは限らないものね」
凛「もう、穂乃果ちゃん最悪だにゃ」
穂乃果「いや、知らないよ。二人の考えが安易なんでしょ?」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/02(日) 01:58:08.83 ID:wwsiNXLQ0
絵里「まあ…」
凛「そうだけど」
穂乃果「もう閉じ込められちゃったのは仕方ないじゃん。穂乃果にこうして声が届いたんだしさ気長に助けを待とうよ?」
絵里「そうね。穂乃果の言う通りね」
穂乃果「それにしても良く声が聞こえたなぁ。穂乃果耳がいいのかな?」
凛「穂乃果ちゃん目とかも凄く良さそうだもんね」
穂乃果「うん。健康診断毎年良好なんだよね」
絵里「へ~私もよ?」
凛「凛もだよ」
穂乃果「まあ、まだ高校生だしね」
凛「海未ちゃんとか凄い良さそうだよね?視力とか2.0ありそうにゃ」
穂乃果「超人だからね~。五感が研ぎ澄まされてるんだよ」
絵里「あながち否定は出来ないわね」
凛「野生の動物みたいにゃ」
穂乃果「勘も鋭いのか鈍いのか分からないよね?」
凛「変な所で鋭いよね?特に穂乃果ちゃん絡みではピカイチだにゃ」
凛「そうだけど」
穂乃果「もう閉じ込められちゃったのは仕方ないじゃん。穂乃果にこうして声が届いたんだしさ気長に助けを待とうよ?」
絵里「そうね。穂乃果の言う通りね」
穂乃果「それにしても良く声が聞こえたなぁ。穂乃果耳がいいのかな?」
凛「穂乃果ちゃん目とかも凄く良さそうだもんね」
穂乃果「うん。健康診断毎年良好なんだよね」
絵里「へ~私もよ?」
凛「凛もだよ」
穂乃果「まあ、まだ高校生だしね」
凛「海未ちゃんとか凄い良さそうだよね?視力とか2.0ありそうにゃ」
穂乃果「超人だからね~。五感が研ぎ澄まされてるんだよ」
絵里「あながち否定は出来ないわね」
凛「野生の動物みたいにゃ」
穂乃果「勘も鋭いのか鈍いのか分からないよね?」
凛「変な所で鋭いよね?特に穂乃果ちゃん絡みではピカイチだにゃ」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/02(日) 02:05:48.40 ID:wwsiNXLQ0
絵里「そうね。海未は穂乃果の事になると」
ガチャ
海未「こんな所にいたのですか、穂乃果」
穂乃果「あっ!海未ちゃん!」
凛「噂をすればにゃ」
絵里「流石海未ね」
海未「絵里に凛まで…こんな所で何をしてるのです?いつまでたっても生徒会室に帰ってこないからおかしいと思って探していれば」
穂乃果「何でここだって分かったの?」
海未「勘ですが?」
バタン
穂乃果「あっ!」
絵里「また…」
凛「最悪だにゃ」
海未「な、なんですか?」
ガチャ
海未「こんな所にいたのですか、穂乃果」
穂乃果「あっ!海未ちゃん!」
凛「噂をすればにゃ」
絵里「流石海未ね」
海未「絵里に凛まで…こんな所で何をしてるのです?いつまでたっても生徒会室に帰ってこないからおかしいと思って探していれば」
穂乃果「何でここだって分かったの?」
海未「勘ですが?」
バタン
穂乃果「あっ!」
絵里「また…」
凛「最悪だにゃ」
海未「な、なんですか?」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/02(日) 12:06:44.53 ID:wwsiNXLQ0
穂乃果「こう言うところだよ…勘が鋭いのか鈍いのかって所」
凛「もう海未ちゃんには期待しないにゃ」
絵里「次の助けを待ちましょう」
海未「な、なんなのですか?私が一体何したと?」
凛「凛達をぬか喜びさせたの」
海未「はあ?……なるほど」キョロキョロ
穂乃果「何がなるほどなの?」
海未「壊れたドアノブ…あなた達の態度…次の助けを待つ…私達は今閉じ込められているのですね?」
穂乃果「そうだよ!なのに海未ちゃんが扉閉めちゃうから」
海未「そんな事言ったって仕方ないじゃないですか。私だって好きで閉めたわけではありません」
凛「もう海未ちゃんには期待しないにゃ」
絵里「次の助けを待ちましょう」
海未「な、なんなのですか?私が一体何したと?」
凛「凛達をぬか喜びさせたの」
海未「はあ?……なるほど」キョロキョロ
穂乃果「何がなるほどなの?」
海未「壊れたドアノブ…あなた達の態度…次の助けを待つ…私達は今閉じ込められているのですね?」
穂乃果「そうだよ!なのに海未ちゃんが扉閉めちゃうから」
海未「そんな事言ったって仕方ないじゃないですか。私だって好きで閉めたわけではありません」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/02(日) 12:34:39.40 ID:wwsiNXLQ0
凛「うわ~穂乃果ちゃんと同じ事言ってるにゃ~」
海未「はあ?」
凛「結局幼馴染で似た者同士なんだよ、二人とも」
海未「そんな事ありません。そもそも、なぜこの様な事態になっているのです?」
凛「そんな事はどうだって良いにゃ。ここから出る事の方が先でしょ?」
穂乃果「さっきもそれで誤魔化したよね?」
凛「知らないにゃ」
海未「凛?あなたの仕業なんでしょう?どうなのです?」
凛「知らないにゃ」
海未「しらばっくれてもダメです」
凛「知らないにゃ」
海未「凛!?」
絵里「ここで罪をなすりつけあっても仕方ないでしょ?こんな所で喧嘩なんかしてたら息がつまるわよ」
海未「そ、そうですが」
凛「流石絵里ちゃんだにゃ。言うことが違うにゃ」
海未「はあ?」
凛「結局幼馴染で似た者同士なんだよ、二人とも」
海未「そんな事ありません。そもそも、なぜこの様な事態になっているのです?」
凛「そんな事はどうだって良いにゃ。ここから出る事の方が先でしょ?」
穂乃果「さっきもそれで誤魔化したよね?」
凛「知らないにゃ」
海未「凛?あなたの仕業なんでしょう?どうなのです?」
凛「知らないにゃ」
海未「しらばっくれてもダメです」
凛「知らないにゃ」
海未「凛!?」
絵里「ここで罪をなすりつけあっても仕方ないでしょ?こんな所で喧嘩なんかしてたら息がつまるわよ」
海未「そ、そうですが」
凛「流石絵里ちゃんだにゃ。言うことが違うにゃ」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/02(日) 12:39:59.76 ID:wwsiNXLQ0
パチっ
凛「え?何の音?」
穂乃果「わっ!明かりが急に消えた」
海未「ちょっ、痛い。痛いです。誰です?」
絵里「お願い、離さないで」
海未「離すのはあなたでしょ?」
穂乃果「な、なんで急に明かりが消えたの?」
凛「心霊現象?」
絵里「い、いやぁぁぁぁぁ」
海未「い、痛い。痛いです。離してください」
凛「え?何の音?」
穂乃果「わっ!明かりが急に消えた」
海未「ちょっ、痛い。痛いです。誰です?」
絵里「お願い、離さないで」
海未「離すのはあなたでしょ?」
穂乃果「な、なんで急に明かりが消えたの?」
凛「心霊現象?」
絵里「い、いやぁぁぁぁぁ」
海未「い、痛い。痛いです。離してください」
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 01:37:14.55 ID:22Ce0mSyO
穂乃果「絵里ちゃん落ち着いて。危ないよ」
絵里「わ、わかってるわ。そうよ、落ち着かなきゃ」
海未「そうです。落ち着いて、深呼吸して下さい」
絵里「ふぅ…もう大丈夫。大丈夫だから」
凛「なんで急に明かり消えたのかな?」
海未「蛍光灯が切れたのでしょうね。長年変えてないはずですから」
絵里「そ、そうね。そう考えるのが自然よね?凛が変な事言うから…」
凛「え~また凛のせいにするの?」
海未「とりあえず絵里…離れて下さい。暑いです」
絵里「ご、ごめんなさい。つい…」
穂乃果「はあ…どうしようか?」
海未「目が慣れるまではあまり動かない様にしましょう?下手に動いて怪我をしては大変ですから」
凛「え?じゃあ、ずっとここにいるの?」
海未「目が慣れてくれば身動きもとれるはずですから」
絵里「わ、わかってるわ。そうよ、落ち着かなきゃ」
海未「そうです。落ち着いて、深呼吸して下さい」
絵里「ふぅ…もう大丈夫。大丈夫だから」
凛「なんで急に明かり消えたのかな?」
海未「蛍光灯が切れたのでしょうね。長年変えてないはずですから」
絵里「そ、そうね。そう考えるのが自然よね?凛が変な事言うから…」
凛「え~また凛のせいにするの?」
海未「とりあえず絵里…離れて下さい。暑いです」
絵里「ご、ごめんなさい。つい…」
穂乃果「はあ…どうしようか?」
海未「目が慣れるまではあまり動かない様にしましょう?下手に動いて怪我をしては大変ですから」
凛「え?じゃあ、ずっとここにいるの?」
海未「目が慣れてくれば身動きもとれるはずですから」
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 01:46:21.68 ID:22Ce0mSyO
絵里「そうね。海未の言う通りだわ。うん」
穂乃果「…」
凛「…」
海未「…」
絵里「…」
穂乃果「ねえ?ずっと黙って待ってるの?穂乃果暇なんだけど」
凛「凛も思ったにゃ」
海未「あなた達…緊張感ないですね」
穂乃果「お喋りしようよ」
海未「話に夢中になって人が通りかかっても気がつかなくなっちゃうでしょう?」
穂乃果「そんな事ないよ。そこまでボーッとしてないよ」
海未「ですが…」
絵里「いえ、お話ししましょう?」
海未「そうですか?」
絵里「黙っていると気が滅入っちゃうわ」
凛「なんかこうして暗闇の中でお話ししてると修学旅行みたいだよね?」
穂乃果「確かに」
海未「そうでしょうか?」
穂乃果「…」
凛「…」
海未「…」
絵里「…」
穂乃果「ねえ?ずっと黙って待ってるの?穂乃果暇なんだけど」
凛「凛も思ったにゃ」
海未「あなた達…緊張感ないですね」
穂乃果「お喋りしようよ」
海未「話に夢中になって人が通りかかっても気がつかなくなっちゃうでしょう?」
穂乃果「そんな事ないよ。そこまでボーッとしてないよ」
海未「ですが…」
絵里「いえ、お話ししましょう?」
海未「そうですか?」
絵里「黙っていると気が滅入っちゃうわ」
凛「なんかこうして暗闇の中でお話ししてると修学旅行みたいだよね?」
穂乃果「確かに」
海未「そうでしょうか?」
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 01:51:50.46 ID:22Ce0mSyO
穂乃果「修学旅行っぽいお話しでもしてようか?」
凛「そうだね」
絵里「修学旅行っぽい話って…なによ?」
凛「絵里ちゃんはクラスに好きな子とかいないの?」
絵里「いないわよ。女子高だもん」
凛「海未ちゃんは?」
海未「居ませんね。女子高ですから」
凛「ふーん。なんか二人ともつまらないにゃ」
穂乃果「穂乃果には聞かないの?」
凛「うん」
穂乃果「どうして?」
凛「分かり切ってるもん」
穂乃果「それなら海未ちゃんだって…」
海未「…」ガタッ
穂乃果「え?ごめん。怒ったの?」
海未「目が慣れて来ました」
絵里「え?もう?」
凛「流石野生にゃ」
海未「何か言いました?」
凛「そうだね」
絵里「修学旅行っぽい話って…なによ?」
凛「絵里ちゃんはクラスに好きな子とかいないの?」
絵里「いないわよ。女子高だもん」
凛「海未ちゃんは?」
海未「居ませんね。女子高ですから」
凛「ふーん。なんか二人ともつまらないにゃ」
穂乃果「穂乃果には聞かないの?」
凛「うん」
穂乃果「どうして?」
凛「分かり切ってるもん」
穂乃果「それなら海未ちゃんだって…」
海未「…」ガタッ
穂乃果「え?ごめん。怒ったの?」
海未「目が慣れて来ました」
絵里「え?もう?」
凛「流石野生にゃ」
海未「何か言いました?」
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 02:00:37.26 ID:22Ce0mSyO
海未「ん?何か足音が」
穂乃果「え?聞こえる?」
絵里「何も」
凛「やっぱり五感が研ぎ澄まされてるにゃ。もう逆らうのはやめよう」
海未「助けを求めるチャンスです」
絵里「大丈夫?転ばないでよ?」
海未「はい。今助けを呼びますから」
ドンドンドン
海未「助けてください。閉じ込められています」
ドンドンドン
ガチャ
真姫「誰かいるの?」
海未「うっ。眩しい」
穂乃果「うわっ」
絵里「目が…」
凛「眩しいにゃ~」
真姫「海未?」
バタン
海未「へ?」
真姫「あら?」
穂乃果「ま、真姫ちゃん?」
真姫「え?穂乃果?穂乃果もいるの?」
凛「真姫ちゃん。なんで扉閉めちゃったの?」
真姫「凛?凛も居るのね?こんな所で何してるのよ?って言うかなんで真っ暗なの?」
絵里「ドアノブが壊れちゃって閉じ込められてるのよ」
真姫「絵里?絵里もいるの?」
海未「真姫?あなたも今…閉じ込められたのですよ?」
真姫「は?何よそれ…」
穂乃果「え?聞こえる?」
絵里「何も」
凛「やっぱり五感が研ぎ澄まされてるにゃ。もう逆らうのはやめよう」
海未「助けを求めるチャンスです」
絵里「大丈夫?転ばないでよ?」
海未「はい。今助けを呼びますから」
ドンドンドン
海未「助けてください。閉じ込められています」
ドンドンドン
ガチャ
真姫「誰かいるの?」
海未「うっ。眩しい」
穂乃果「うわっ」
絵里「目が…」
凛「眩しいにゃ~」
真姫「海未?」
バタン
海未「へ?」
真姫「あら?」
穂乃果「ま、真姫ちゃん?」
真姫「え?穂乃果?穂乃果もいるの?」
凛「真姫ちゃん。なんで扉閉めちゃったの?」
真姫「凛?凛も居るのね?こんな所で何してるのよ?って言うかなんで真っ暗なの?」
絵里「ドアノブが壊れちゃって閉じ込められてるのよ」
真姫「絵里?絵里もいるの?」
海未「真姫?あなたも今…閉じ込められたのですよ?」
真姫「は?何よそれ…」
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 02:06:49.78 ID:22Ce0mSyO
凛「なんで穂乃果ちゃんも海未ちゃんも真姫ちゃんも扉しめちゃうの?」
穂乃果「違うよ!手を離すと閉まっちゃうんだよ」
凛「じゃあ離さなければいいのに」
穂乃果「だってドアノブ壊れてるなんて知らないから」
海未「今回は油断しな様に心掛けていたのですが…眩しくて」
真姫「ちょっと待って?私が置いてけぼりなんだけど」
絵里「さっきも言った通り私達閉じ込められてるのよ。ドアノブが壊れてしまったから内側からは開かないし蛍光灯が切れたみたいで明かりも点かないし」
真姫「そもそもどおしてこんな状態になったのよ」
凛「そんなのどうでもいいにゃ」
真姫「どうでもよくないわよ…凛の仕業なのね?」
穂乃果「え?やっぱりそうなの?」
穂乃果「違うよ!手を離すと閉まっちゃうんだよ」
凛「じゃあ離さなければいいのに」
穂乃果「だってドアノブ壊れてるなんて知らないから」
海未「今回は油断しな様に心掛けていたのですが…眩しくて」
真姫「ちょっと待って?私が置いてけぼりなんだけど」
絵里「さっきも言った通り私達閉じ込められてるのよ。ドアノブが壊れてしまったから内側からは開かないし蛍光灯が切れたみたいで明かりも点かないし」
真姫「そもそもどおしてこんな状態になったのよ」
凛「そんなのどうでもいいにゃ」
真姫「どうでもよくないわよ…凛の仕業なのね?」
穂乃果「え?やっぱりそうなの?」
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 22:17:41.06 ID:SG6C+UIz0
海未「やはりそうでしたか…」
凛「うっ…」
絵里「凛?もう謝った方がいいわよ?」
凛「う、うん。絵里ちゃんをドッキリに引っ掛けようと思っただけなんだけど…まさか、こんな事になるとは思わなくって…ごめんなさい」
海未「はあ…まあ、絵里も言った様にここで凛を責めても仕方ありません」
凛「え?許してくれるの?」
海未「はい。お説教はここを出てからにします」
穂乃果「それ許してないんじゃ…」
真姫「とりあえずどうするのよ?」
絵里「助けを待つしか…」
真姫「何言ってるのよ。手をこまねいていても仕方ないでしょ?」
絵里「それは…そうだけど」
真姫「この部屋になにか使えそうな物でもないの?ドアノブが取れただけなんでしょ?」
海未「確かに…ドアノブが取れても中の爪さえ外せれば扉が開くかもしれません」
真姫「そうでしょ?最初からそうしようとは思わなかったわけ?」
凛「そんな事思いつかなかったにゃ」
穂乃果「ね?全然だったよね?」
絵里「真姫の言う通りだわ…何か使えそうな物をさがしましょう?」
海未「しかし、暗くて何も見えないですよ?」
穂乃果「そうだよね?また、海未ちゃんの目が慣れるのを待つしかないね」
海未「なぜ私限定なのです?」
凛「うっ…」
絵里「凛?もう謝った方がいいわよ?」
凛「う、うん。絵里ちゃんをドッキリに引っ掛けようと思っただけなんだけど…まさか、こんな事になるとは思わなくって…ごめんなさい」
海未「はあ…まあ、絵里も言った様にここで凛を責めても仕方ありません」
凛「え?許してくれるの?」
海未「はい。お説教はここを出てからにします」
穂乃果「それ許してないんじゃ…」
真姫「とりあえずどうするのよ?」
絵里「助けを待つしか…」
真姫「何言ってるのよ。手をこまねいていても仕方ないでしょ?」
絵里「それは…そうだけど」
真姫「この部屋になにか使えそうな物でもないの?ドアノブが取れただけなんでしょ?」
海未「確かに…ドアノブが取れても中の爪さえ外せれば扉が開くかもしれません」
真姫「そうでしょ?最初からそうしようとは思わなかったわけ?」
凛「そんな事思いつかなかったにゃ」
穂乃果「ね?全然だったよね?」
絵里「真姫の言う通りだわ…何か使えそうな物をさがしましょう?」
海未「しかし、暗くて何も見えないですよ?」
穂乃果「そうだよね?また、海未ちゃんの目が慣れるのを待つしかないね」
海未「なぜ私限定なのです?」
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 23:08:14.56 ID:SG6C+UIz0
凛「だってさっきも一番最初に慣れてたもんね?」
穂乃果「うん」
海未「たまたまでしょう?」
穂乃果「とか言ってもう目が慣れてきたんじゃないの?」
海未「…」
凛「図星だにゃ」
真姫「もう見えるの?」
海未「まあ…」
絵里「海未お願い。何か使えそうな物を探して」
海未「わ、わかりました」
シーン
穂乃果「…何かあった?」
海未「…」
凛「ねえ?何もないの?」
海未「…」
真姫「どうなの?」
海未「…」
絵里「海未?」
海未「目が慣れたとは言え暗闇には変わりありませんから…よく分からないです。と言うかあなた達ももうなれたでしょう?」
穂乃果「うん」
海未「たまたまでしょう?」
穂乃果「とか言ってもう目が慣れてきたんじゃないの?」
海未「…」
凛「図星だにゃ」
真姫「もう見えるの?」
海未「まあ…」
絵里「海未お願い。何か使えそうな物を探して」
海未「わ、わかりました」
シーン
穂乃果「…何かあった?」
海未「…」
凛「ねえ?何もないの?」
海未「…」
真姫「どうなの?」
海未「…」
絵里「海未?」
海未「目が慣れたとは言え暗闇には変わりありませんから…よく分からないです。と言うかあなた達ももうなれたでしょう?」
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 23:13:21.51 ID:SG6C+UIz0
穂乃果「まあ」
真姫「はあ…よくよく考えたら例え何か道具が見つかっても暗闇の中じゃ作業も出来ないわよね。私なんか部屋の位置関係も分からないし」
絵里「た、確かに」
海未「あっ!?」
絵里「キャァァァ。な、何?」
真姫「ちょ、ちょっと!いきなり大声ださないでよ。びっくりするじゃない」
カチッ
穂乃果「うわっ。眩しっ」
海未「懐中電灯ですよ。こんな物が棚の上に置いてありましたよ」
真姫「ナイスよ」
海未「さあ、これで何か使える物を」
真姫「はあ…よくよく考えたら例え何か道具が見つかっても暗闇の中じゃ作業も出来ないわよね。私なんか部屋の位置関係も分からないし」
絵里「た、確かに」
海未「あっ!?」
絵里「キャァァァ。な、何?」
真姫「ちょ、ちょっと!いきなり大声ださないでよ。びっくりするじゃない」
カチッ
穂乃果「うわっ。眩しっ」
海未「懐中電灯ですよ。こんな物が棚の上に置いてありましたよ」
真姫「ナイスよ」
海未「さあ、これで何か使える物を」
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 23:27:10.15 ID:SG6C+UIz0
絵里「きゃあああ」
穂乃果「な、何?わぁぁぁ」
真姫「こ、今度は何よ?」
海未「あれですね?」
凛「え?何?にゃあああ。な、なんでこんな物があるのる」
真姫「え?イヤァァァァァ」
海未「日本人形とフランス人形…どういう組み合わせなんでしょうか?」
穂乃果「いや、そんなのどうだって良いから。なんでこんな物が学校の倉庫にあるのさ」
絵里「た、たたた多分文化祭のお化け屋敷で使ったクラスが…」
海未「なるほど。そういう事ですか」
穂乃果「さ、流石海未ちゃん…怖くないんだね」
海未「ええ。そんな事より他に使える物を」
凛「あー!あれは?」
海未「ん?どれですか?」
穂乃果「な、何?わぁぁぁ」
真姫「こ、今度は何よ?」
海未「あれですね?」
凛「え?何?にゃあああ。な、なんでこんな物があるのる」
真姫「え?イヤァァァァァ」
海未「日本人形とフランス人形…どういう組み合わせなんでしょうか?」
穂乃果「いや、そんなのどうだって良いから。なんでこんな物が学校の倉庫にあるのさ」
絵里「た、たたた多分文化祭のお化け屋敷で使ったクラスが…」
海未「なるほど。そういう事ですか」
穂乃果「さ、流石海未ちゃん…怖くないんだね」
海未「ええ。そんな事より他に使える物を」
凛「あー!あれは?」
海未「ん?どれですか?」
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/03(月) 23:37:33.30 ID:SG6C+UIz0
凛「ほら!人形が置いてある棚の一番上に何かない?」
海未「…確かに…ペンチのグリップ部分にも見えますが…」
真姫「もしペンチならドアノブを何とか回せるんじゃない?」
穂乃果「じゃあ、出れるって事?」
海未「希望はありますね。取り敢えずあれを…背が…棚の上まで手がギリギリ届きません…」
穂乃果「え?届かないの?」
海未「何か脚立か何かあれば…」
真姫「絵里なら届くんじゃない?」
絵里「いや…無理」
真姫「はあ?やってみないとわからないでしょ?」
絵里「そうじゃなくて…人形の近くに行けないわ」
海未「…確かに…ペンチのグリップ部分にも見えますが…」
真姫「もしペンチならドアノブを何とか回せるんじゃない?」
穂乃果「じゃあ、出れるって事?」
海未「希望はありますね。取り敢えずあれを…背が…棚の上まで手がギリギリ届きません…」
穂乃果「え?届かないの?」
海未「何か脚立か何かあれば…」
真姫「絵里なら届くんじゃない?」
絵里「いや…無理」
真姫「はあ?やってみないとわからないでしょ?」
絵里「そうじゃなくて…人形の近くに行けないわ」
51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 18:34:01.72 ID:weXmNrUKO
穂乃果「え?絵里ちゃん何言ってんの?」
絵里「だから…人形の近くにはいけないの」
凛「まさか怖いの?」
絵里「あなた達だって驚いてたじゃない」
真姫「もう慣れたわよ」
絵里「私はまだなの…今も視界に入らない様に下を向いているのが分からない?」
海未「フランス人形の方ですか?」
絵里「どっちもよ。むしろ日本人形の方よ」
真姫「はあ…穂乃果?どかしてあげなさいよ」
穂乃果「え?ま、真姫ちゃんがどかしてあげればいいじゃん」
真姫「わ、わたしは」
凛「本当は真姫ちゃんも怖いんじゃないの?」
真姫「そんな事ないわよ。じゃあ、凛がどかしなさいよ」
凛「やだよ。不気味で怖いもん。触りたくないにゃ」
絵里「な、なによ…皆んなも結局怖いんじゃない」
海未「皆んなではありません」
絵里「だから…人形の近くにはいけないの」
凛「まさか怖いの?」
絵里「あなた達だって驚いてたじゃない」
真姫「もう慣れたわよ」
絵里「私はまだなの…今も視界に入らない様に下を向いているのが分からない?」
海未「フランス人形の方ですか?」
絵里「どっちもよ。むしろ日本人形の方よ」
真姫「はあ…穂乃果?どかしてあげなさいよ」
穂乃果「え?ま、真姫ちゃんがどかしてあげればいいじゃん」
真姫「わ、わたしは」
凛「本当は真姫ちゃんも怖いんじゃないの?」
真姫「そんな事ないわよ。じゃあ、凛がどかしなさいよ」
凛「やだよ。不気味で怖いもん。触りたくないにゃ」
絵里「な、なによ…皆んなも結局怖いんじゃない」
海未「皆んなではありません」
52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 06:42:08.62 ID:i6+6lDHXO
穂乃果「海未ちゃん!海未ちゃんがどかしてよ」
海未「いいですが…真姫…ライト持ってて下さい」
真姫「こういう時海未って本当に頼りになるわね」
凛「よくあんな不気味な人形をホイホイ触れるよね」
海未「さあ、どうぞ?」
絵里「海未…その人形抱えてないで…どこか端の方に置いてきて」
海未「はあ…皆んな何が怖いのですかね?私は日本人形もフランス人形も可愛いと思うのですが…」
穂乃果「だって?」
凛「仕方ないよ。海未ちゃんのセンスってズレてるもん」
真姫「そんな事より絵里?早くあれを取って」
絵里「も、もう何もないわよね?」
真姫「ないわよ。大丈夫だから…早くしてよ」
海未「いいですが…真姫…ライト持ってて下さい」
真姫「こういう時海未って本当に頼りになるわね」
凛「よくあんな不気味な人形をホイホイ触れるよね」
海未「さあ、どうぞ?」
絵里「海未…その人形抱えてないで…どこか端の方に置いてきて」
海未「はあ…皆んな何が怖いのですかね?私は日本人形もフランス人形も可愛いと思うのですが…」
穂乃果「だって?」
凛「仕方ないよ。海未ちゃんのセンスってズレてるもん」
真姫「そんな事より絵里?早くあれを取って」
絵里「も、もう何もないわよね?」
真姫「ないわよ。大丈夫だから…早くしてよ」
55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 22:20:42.98 ID:i6+6lDHXO
絵里「わ、わかってるわよ。よっ…あっ!?届いたわ」
海未「ナイスです絵里!」
凛「身長高いと便利だね?」
穂乃果「そうだね。身長高いのが絵里ちゃんのアピールポイントだもんね」
真姫「どう?ペンチだったの?」
絵里「違うみたい…」
海未「え?違いました?確かに」
絵里「これは…ラジオペンチね」
穂乃果「え?ペンチと何か違うの?」
海未「いえ…ラジオペンチでも問題ないでしょう?」
真姫「はあ…もういいから…ならさっさとそれで扉を開けましょう?」
絵里「そ、そうね…真姫…ライトで足元照らしてくれる?」
海未「ナイスです絵里!」
凛「身長高いと便利だね?」
穂乃果「そうだね。身長高いのが絵里ちゃんのアピールポイントだもんね」
真姫「どう?ペンチだったの?」
絵里「違うみたい…」
海未「え?違いました?確かに」
絵里「これは…ラジオペンチね」
穂乃果「え?ペンチと何か違うの?」
海未「いえ…ラジオペンチでも問題ないでしょう?」
真姫「はあ…もういいから…ならさっさとそれで扉を開けましょう?」
絵里「そ、そうね…真姫…ライトで足元照らしてくれる?」
56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 22:28:16.32 ID:i6+6lDHXO
真姫「わかったわ」
絵里「キャアアアア」
真姫「イ、イヤァァァァ」
穂乃果「な、何?」
凛「び、ビックリしたにゃ」
海未「今度はなんですか?」
絵里「なななんで床に人形を置くの」
海未「特に理由は…」
絵里「」
絵里「キャアアアア」
真姫「イ、イヤァァァァ」
穂乃果「な、何?」
凛「び、ビックリしたにゃ」
海未「今度はなんですか?」
絵里「なななんで床に人形を置くの」
海未「特に理由は…」
絵里「」
57: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 22:38:25.34 ID:i6+6lDHXO
絵里「見えない場所に置いといてくれればいいじゃない」
海未「どこですか?どこにそんな所があるんですか?せいことアキナをどこに隠せばいいと言うのですか?」
真姫「なんで名前なんか付けてるのよ…」
穂乃果「そうだよ…せいことアキナはおかしいよ。片方フランス人形だからね?」
真姫「ツッコミ所が違うわよ」
絵里「とにかく…せいこときょうこを隠して…お願い」
凛「絵里ちゃん、アキナだよ」
海未「はあ…では私が抱えて後ろ向いていますからその間にドアを開けてください」
海未「どこですか?どこにそんな所があるんですか?せいことアキナをどこに隠せばいいと言うのですか?」
真姫「なんで名前なんか付けてるのよ…」
穂乃果「そうだよ…せいことアキナはおかしいよ。片方フランス人形だからね?」
真姫「ツッコミ所が違うわよ」
絵里「とにかく…せいこときょうこを隠して…お願い」
凛「絵里ちゃん、アキナだよ」
海未「はあ…では私が抱えて後ろ向いていますからその間にドアを開けてください」
59: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 22:48:10.24 ID:i6+6lDHXO
ヒョイ
海未「どうぞ」
穂乃果「わざわざ抱えてる必要あるのかな?」
凛「ね?気に入ったのかな?」
真姫「さあ、とっとと開けちゃいましょう?」
絵里「ええ。そうね」
穂乃果「どう?開きそう?」
絵里「あの…なんか…回らないんだけど…」
真姫「そんなはずないわよ。貸してみてよ」
ガチャガチャ
絵里「ね?なんか開かないでしょ?」
真姫「何よ…回るじゃない」
絵里「え?嘘?」
凛「絵里ちゃんのやり方が悪いんだよ」
真姫「そう言う事ね」
ガチャ
希「…何してるん?」
絵里「希!」
真姫「希…」
凛「何してるんはこっちの台詞にゃ」
海未「どうぞ」
穂乃果「わざわざ抱えてる必要あるのかな?」
凛「ね?気に入ったのかな?」
真姫「さあ、とっとと開けちゃいましょう?」
絵里「ええ。そうね」
穂乃果「どう?開きそう?」
絵里「あの…なんか…回らないんだけど…」
真姫「そんなはずないわよ。貸してみてよ」
ガチャガチャ
絵里「ね?なんか開かないでしょ?」
真姫「何よ…回るじゃない」
絵里「え?嘘?」
凛「絵里ちゃんのやり方が悪いんだよ」
真姫「そう言う事ね」
ガチャ
希「…何してるん?」
絵里「希!」
真姫「希…」
凛「何してるんはこっちの台詞にゃ」
60: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 22:54:45.48 ID:i6+6lDHXO
希「え?ウチ…ずっと凛ちゃんから連絡来るの待ってたんやけど?」
凛「あっ…」
真姫「あっ!?じゃないわよ。やっぱり凛のせいなんじゃない」
凛「うっかりしてたにゃ~」
穂乃果「まあ、なんとか外に出れて良かったね。雨降って地固まるって奴だね!」
真姫「全然違うでしょ」
凛「希ちゃん?扉を閉めないでよ?また閉じ込められちゃうから」
希「なるほどなぁ。皆んな閉じ込められてたわけや」
絵里「ねえ?私のやり方が悪いんじゃなくて希が外から開けてくれたから上手くいったんじゃないの?」
真姫「もう、出れてんだからそんなのどうだっていいでしょ?」
凛「あっ…」
真姫「あっ!?じゃないわよ。やっぱり凛のせいなんじゃない」
凛「うっかりしてたにゃ~」
穂乃果「まあ、なんとか外に出れて良かったね。雨降って地固まるって奴だね!」
真姫「全然違うでしょ」
凛「希ちゃん?扉を閉めないでよ?また閉じ込められちゃうから」
希「なるほどなぁ。皆んな閉じ込められてたわけや」
絵里「ねえ?私のやり方が悪いんじゃなくて希が外から開けてくれたから上手くいったんじゃないの?」
真姫「もう、出れてんだからそんなのどうだっていいでしょ?」
61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 23:00:40.00 ID:i6+6lDHXO
穂乃果「うんうん。帰ろ。もう帰ろう」
凛「そうだにゃ。早く行くにゃ~」
真姫「なに偉そうに言ってるのよ。凛のせいでこうなったんでしょ?」
バタン
絵里「はあ…酷い目にあったわ」
希「凛ちゃんがやる時にちゃんと連絡してくれればこんな事にはならんかったんよ」
真姫「そもそも希もイタズラを計画しなければ良かったのよ」
凛「あれ?でも、じゃあ最初に凛と絵里ちゃんを出れない様に閉じ込めたのは誰だったんだろ?」
絵里「え?」
穂乃果「なんの話?」
凛「えっとね、ドアノブが壊れる前に…」
凛「そうだにゃ。早く行くにゃ~」
真姫「なに偉そうに言ってるのよ。凛のせいでこうなったんでしょ?」
バタン
絵里「はあ…酷い目にあったわ」
希「凛ちゃんがやる時にちゃんと連絡してくれればこんな事にはならんかったんよ」
真姫「そもそも希もイタズラを計画しなければ良かったのよ」
凛「あれ?でも、じゃあ最初に凛と絵里ちゃんを出れない様に閉じ込めたのは誰だったんだろ?」
絵里「え?」
穂乃果「なんの話?」
凛「えっとね、ドアノブが壊れる前に…」
62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 23:06:02.40 ID:i6+6lDHXO
にこ「あ!居たわよ」
花陽「本当だ。こんなところで何してるの?」
絵里「話すと長くなるから…取り敢えず部室で休ませて?」
ことり「もう練習する時間なくなっちゃうけど…」
凛「えーもうそんな時間?」
穂乃果「今日はもう練習なしかなぁ」
ことり「あれ?そう言えば海未ちゃんは一緒じゃないの?」
穂乃果「あっ…せいことアキナと倉庫の中に忘れてきちゃった…」
にこ「誰よそれ?」
花陽「本当だ。こんなところで何してるの?」
絵里「話すと長くなるから…取り敢えず部室で休ませて?」
ことり「もう練習する時間なくなっちゃうけど…」
凛「えーもうそんな時間?」
穂乃果「今日はもう練習なしかなぁ」
ことり「あれ?そう言えば海未ちゃんは一緒じゃないの?」
穂乃果「あっ…せいことアキナと倉庫の中に忘れてきちゃった…」
にこ「誰よそれ?」
63: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 23:06:46.16 ID:i6+6lDHXO
完
64: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 23:12:02.34 ID:V6Debt58o
まさかのホラーオチ・・・
乙です
乙です
65: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/05(水) 23:38:04.40 ID:mqkY5+/vO
コントみたいでおもしろかった
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1498923707/
Entry ⇒ 2017.09.30 | Category ⇒ ラブライブ | Comments (0)
【モバマス】藍子「未央ちゃんのお家に」茜「突撃です!!!」未央「待って!?」
1: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 15:58:07.95 ID:olceFFkE0
※未央の弟ががっつり出るので抵抗なければどうぞ
前作
【モバマス】茜「藍子ちゃんの1日を」未央「体験しよう!」藍子「……え?」
2: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 15:58:58.39 ID:olceFFkE0
未央「いやいやいや、いきなり来られても大変だよ!?」
藍子「やっぱり駄目でしょうか?」
未央「駄目というか、まず千葉だし遠いよ?」
茜「大丈夫です!距離なんて関係ありません!」
未央「いや、大いに関係あるからね?」
茜「足りない分は走りましょう!!」
藍子「ええっ!?」
未央「茜ちんはもうすぐ夜だっていうのに走って千葉に来るつもりかい」
茜「駄目でしょうか?」
未央「駄目です!」
藍子「それで未央ちゃん、お家の方はどうなんでしょう?」
茜「いつでも来ていいと言ってましたよね!」
未央「そりゃ、お母さんは仕事で夜遅いしあんまり気にしない人だけどさ」
藍子「けど……?」
未央「普通聞いた翌日に実行するかな!?」
3: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 15:59:49.09 ID:olceFFkE0
茜「未央ちゃん、思い立ったが吉日ですよ!」
未央「私の気持ち的には凶日になりそうだけどね」
藍子「やっぱり都合悪いようでしたら、また明日でも」
未央「譲歩するの1日だけなんだ?……まあいいよ」
茜「ほんとですか!」
未央「うん。ただし、気をつけることがあります!」
藍子「気をつけること、ですか?」
未央「そう。まず移動に時間がかかることね」
茜「大丈夫ですっ!走りま……」
未央「次に弟が家にいること」
藍子「弟さんですか」
未央「思春期真っ盛りの中学生ね。たぶん二人がいたら見苦しい姿見せると思うから」
茜「見苦しい姿?」
藍子「そんなことないと思いますけど」
未央「いやいや、あいつ二人のファンだからね。きっと見苦しく取り乱すと思う」
藍子「……あははー」
茜「?仲良くなれば良いのでは?」
未央「ま、そうしてくれるとありがたいけどね」
藍子「はいっ!」
4: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:00:32.20 ID:olceFFkE0
未央「それじゃ、帰ろっか」
茜「未央ちゃんのお家ですね!楽しみです!」
未央「その前にスーパーに寄るよ?」
藍子「スーパーですか?」
未央「そそ。このまま家に帰ってもね、二人分の食材とかないと思うから」
藍子「あっ、いきなりお邪魔してごめんね?」
未央「いいよいいよ。私も前それしたし」
茜「未央ちゃん!ご飯は何にするんですか!」
未央「んー?何食べたい?」
茜「カレーです!!」
未央「だろうね。じゃあカレーにしよっか」
茜「ありがとうございます!」
藍子「ご飯って未央ちゃんが作るんですか?」
未央「そうだよ?お母さん仕事だし、弟がお腹空かせてるからね」
茜「お仕事に家事に、立派ですね!」
未央「慣れたらどっちも楽しいからいいけど」
藍子「それじゃあお手伝いしますね」
未央「おっ、ありがとー」
茜「私も手伝いますよ!」
未央「茜ちんもありがとっ。それじゃ行こっか」
藍子「はいっ」
5: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:01:59.68 ID:olceFFkE0
ーーーーーーーーーー
未央「ただいまー」
弟「……おかえりー。姉ちゃん腹へっ……た……!?」
藍子「お邪魔しまーす」
茜「お邪魔します!!!」
未央「なに廊下で突っ立ってるの?邪魔になるからどきなさい」
弟「……あ、はい」
未央「口パクパクして、金魚かお前は」
弟「…………いやいやいや、姉ちゃん!?」
未央「なに?」
弟「ちょっとこっちきて!」
未央「はあ?……あーちゃん、茜ちん勝手に上がってちょっとくつろいでて」
茜「わかりました!」
弟「……なにしてんの!?」
未央「は?なにが?」
弟「なんで日野さんと高森さんが家に来てんの!?」
未央「そりゃ友達だもん。お泊まりくらいするよ」
6: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:02:36.37 ID:olceFFkE0
弟「お泊まり!?」
未央「さっきから叫んでばっかでうるさいなー」
弟「いや普通そうでしょ!お泊まり、急に、はあ!?」
未央「急にっていうのは認めるけどね」
弟「急すぎだよ!家だって散らかってるし!」
未央「散らかしてるのあんたじゃん」
弟「うぐっ……」
未央「これからご飯作るからその間に片付けてよ?」
弟「も、もちろん!」
未央「んじゃ、……あっ、そーだ」
弟「……次はなに」
未央「あーちゃんと茜ちんも一緒にご飯作ってくれるって」
弟「ふぁ!?」
未央「んじゃ」
弟「……ふぁ!?!?」
7: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:03:18.23 ID:olceFFkE0
未央「二人ともお待たせー」
茜「弟さん、すごい声量でしたね!」
藍子「会話が丸聞こえでしたから」
未央「うん、近所迷惑だろうね」
茜「負けてられませんね!」
未央「うん、やめてね?ほんとに」
茜「はい!」
未央「さーて、カレー作りますかー」
藍子「わかりましたー」
未央「二人とも、料理経験は?」
藍子「お母さんの手伝いを少しと、簡単なものでしたら……」
未央「ふむふむ。じゃあサラダ作ってもらおうかな。……茜ちんは?」
茜「レモンのハチミツ漬けが得意です!」
未央「それ料理じゃないよね!?」
茜「あと、お茶なら淹れれますよ!」
藍子「あっ、お茶は私も得意ですっ」
未央「……わかった。茜ちんはご飯炊いて、お茶淹れてね」
茜「わかりました!ご飯はどれくらい炊きますか!」
未央「んー、茜ちんどんだけ食べる?」
茜「たくさんです!」
未央「じゃあちょっと多めにしよっかー」
茜「はい!8合ですね!」
未央「……やめて!」
8: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:04:07.96 ID:olceFFkE0
藍子「できましたー」
未央「二人ともありがとー」
茜「このままカレー盛っちゃいますね!」
未央「うん。あーちゃん、弟呼んできてくれる?」
藍子「……私でいいんですか?」
未央「うん。そっちの方が喜ぶでしょ」
藍子「……わかりました」
未央「よろしくね!」
藍子「……あのー、弟くん」
弟「……はいっ!?」
藍子「ご飯出来ましたよー」
弟「はっ、はい!……す、すぐに行きま……す」
藍子「……いきなり押し掛けてごめんなさいね?」
弟「いえいえ!せ、狭い家ですけど!ゆっくりしていってください!」
藍子「ふふっ。ありがとうございますっ」
弟「……ひゃー」
藍子「そんなに緊張しなくてもいいですよ?アイドルじゃなくて未央ちゃんのお友達って思ってもらえば」
弟「……へ?さすがに難しいです」
藍子「そうなんですか。残念です」
弟「……っ!が、頑張ります!」
藍子「ふふっ。弟くんって何だか可愛いですね」
弟「ふえ!?」
9: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:04:53.62 ID:olceFFkE0
未央「……おーい、あーちゃん。襲われてないかーい?」
藍子「あっ未央ちゃん。襲われるだなんて、弟くんはそんなことしませんよ?」
未央「おおー。あーちゃんが弟を気に入っている……」
弟「ね、姉ちゃん!」
未央「なに?」
弟「間に入って!」
未央「へー。そんな緊張する?」
弟「当たり前でしょ!?高森さんはアイドルなんだよ!?」
未央「いや、私もアイドルだけど?」
弟「姉ちゃんは何しようが姉ちゃんでしょ!」
藍子「ふふっ。二人ともとても仲が良いんですね」
未央「そう?常に喧嘩してるような感じだよ?」
弟「そうですよ!姉ちゃんなんて乱暴でおっかないんですよ!」
未央「は?」
藍子「まあまあ。それよりも、ご飯にしましょう?茜ちゃんが待ってますから」
未央「あっ、そうだった。あんたのは人参多めにしてあるからね」
弟「えっ!」
未央「なに、嫌なの?あーちゃんたちが折角作ってくれたのに?」
弟「た、食べます!食べさせていただきます!」
藍子「……ふふっ。私も茜ちゃんもカレーは作ってないんですけどね」ボソッ
10: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:06:07.72 ID:olceFFkE0
「「「「ごちそうさまでした!!!!」」」」
茜「ふうー。たくさん食べました!」
未央「ほんとにたくさん食べたね」
藍子「4杯くらい食べてましたね」
弟「日野さんってほんとにたくさん食べるんですね」
茜「はい!とっても美味しかったので」
未央「あんたもやせ我慢して人参美味しいって食べてたじゃん」
弟「そりゃ、二人が作ってくれたんだからしっかり食べないと」
茜「ん?」
藍子「あはは」
未央「そっかー。偉いなー」
弟「とうぜん!」
未央「カレー作ったの全部私なんだけどね。いやー、美味しい美味しいって食べてくれてお姉ちゃん嬉しいなー」
弟「……はっ!?」
未央「いっつも何とも言わないのに、本音はお姉ちゃんの料理大好きだったかー」
弟「……騙された!?」
11: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:06:44.66 ID:olceFFkE0
茜「ん?何の話ですか?」
未央「私の弟は、お姉ちゃんの料理が大好きって話」
茜「そうなんですか、微笑ましいですね!私も未央ちゃんの料理大好きです!」
未央「おっ。ありがとー」
弟「……姉ちゃんの馬鹿!」
藍子「もー、未央ちゃん。あんまり弟くんをいじめちゃ駄目ですよ?」
未央「いいのいいの。たまには素直な感想聞かせてもらわないとね」
藍子「未央ちゃんも素直に聞けばいいのに」
未央「さて、洗い物しよーかな」
茜「手伝いますよ?」
未央「ううん。二人はお客様だからね。ゆっくりしてていいよ」
茜「そうですか!ではお願いします!」
未央「うんうん。任せたまえー」
藍子「それじゃ茜ちゃん。ゆっくりしてようか」
茜「はいっ。弟くんともお話したいですね!」
未央「……あいつ緊張しまくって吐くんじゃない?」
12: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:07:22.17 ID:olceFFkE0
未央「さて、ご飯も食べた!洗い物もした!お風呂も入った!」
藍子「どうしたんですか?」
未央「これからゆっくりと長い夜が訪れるわけですよ」
茜「ふむ、そうですね!」
未央「本来ならお話したりゲームしたり遊ぼうってところなんですが」
藍子「ですが?」
未央「未央ちゃん、とっても眠いです……」
茜「早いですね、まだ22時前ですが」
未央「よくよく考えてみたらね、学校行ってレッスンして、帰ってきてもなんだかんだ騒いでたからね」
藍子「あー。さすがに疲れますね」
未央「普段なら日付変わるまで起きてるんだけどね」
茜「疲れてるならしょうがないですよ!」
未央「というわけで、本日はお休みです。明日いっぱい遊びましょう」
藍子「はい。たまには早寝するのも良いです」
茜「健康的な生活ですね!」
未央「それでは、お休みなさい」
藍子「お休みなさいっ」
茜「お休みなさい!」
13: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:08:54.82 ID:olceFFkE0
ーーーーーーーーーーー
翌日AM06:30
未央「……ふわぁー」
藍子「……スー……スー」
茜「……スー……スー」
未央「……また抱きつかれてる。今度は前と後ろ両方か……」
藍子「……スー……スー」
茜「……スー……スー」
未央「抜け出さないといけないのに、抜け出せない……」モゾモゾ
茜「……ん……?」
未央「あっ、茜ちんおはよう」
茜「……おはようございますっ」
未央「うん。……とりあえず離れてくれると嬉しいかな」
茜「……っ!ごめんなさい!」ガバッ
藍子「……ぅ?」
未央「あーちゃんも起きたかな?」
茜「未央ちゃんごめんなさい!まさか、未央ちゃんに抱きついて寝ていたとは」
未央「あははー、しょうがないよー。狭いベッドで三人寝てるんだもん。なぜか私真ん中だし」
茜「はい!柔らかかったです!」
未央「……その報告はいらないかな」
茜「はっ!?」
藍子「……スー……スー」
未央「さて、あーちゃんがまた寝たようですが、抱きつきからは解放されたよ」
茜「藍子ちゃん、ぐっすり眠っていますね」
未央「うん。このまま寝かせておこっか。朝ごはん作ってるお母さんの手伝いにそんな人いらないし」
茜「そうですね!」
未央「まっ、とりあえず出よっか」
茜「はい!」
14: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:09:40.24 ID:olceFFkE0
ーーーーーーーーーー
未央「さて、朝食の準備も終わりまして」
茜「終わりまして?」
未央「茜ちんが待ちに待ったランニングのお時間です!」
茜「ランニング!!!」
未央「そんな長い時間は走らないけどね。通勤とかで道混んでくるし」
茜「走れるだけで嬉しいです!」
未央「まずはあーちゃんを起こさないとね」
茜「起こしてきます!」
未央「……寝起きにランニングとかあーちゃん大丈夫かな?」
…………………
……………
………
未央「……あーちゃん、起きてるかい?」
藍子「……はい~」
茜「全然目が開いてませんね!」
未央「連れ出してきたはいいけど流石にこれはつらいかな」
藍子「……起きてますよ~」
茜「声もふわふわしてますね!」
未央「とりあえず軽く始めてみて起きそうになかったらお布団に戻してこようか」
茜「はい!」
藍子「……お布団が呼んでいます~」
15: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:10:39.44 ID:olceFFkE0
…………………
……………
………
藍子「……もうっ!寝起きにいきなり走らせるなんて二人とも酷いです」
未央「あらら。ご機嫌斜めだ」
茜「いつもより距離も時間も短かったですよ?」
藍子「確かにそんなに疲れませんでしたけど、そういうことじゃないです!」
未央「ごめんって。……あっ、あーちゃんそこの醤油取って」
藍子「はい。それに私が寝てる間にこんな美味しいご飯まで作って!」
茜「はいっ!美味しいです!」
未央「いや、作ったのはほとんどお母さんだからね?少し手伝いしただけだからね?」
藍子「それでも私だけ寝てたじゃないですか」
茜「また未央ちゃんに抱きついてぐっすり眠ってましたからね!」
藍子「そうです!……ふぇ!?」
未央「私から離れた後もぐっすりだったけどね」
藍子「えっ!?ちょっと待ってください!?」
茜「どうしましたか?」
藍子「えっ、私未央ちゃんに抱きついて寝てたんですか!?」
未央「うん。背中側にべったりと」
藍子「はわっ!すみません!」
茜「大丈夫ですっ!私も抱きついていたので!」
未央「なんで茜ちんが許したの?」
16: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:11:29.29 ID:olceFFkE0
茜「いえ、未央ちゃんを抱いて寝ているととても良く眠れるので」
未央「誤解しか生まない言葉だなー」
藍子「未央ちゃんを抱いて!?私、夜中の記憶ありませんよ!?」
未央「そりゃ寝てるんだもん。誰も記憶ないよ」
藍子「……ふぇ?」
未央「さて、そんな話は置いといて。この後何しよっかー」
茜「未央ちゃんが普段していることをします!」
未央「いや、そうなんだけどね?」
茜「何か問題でも?」
未央「普段って友達と遊んでることがよくあるんだけどさ。流石に二人も一緒にはまずいじゃん?」
藍子「……そうですね」
茜「弟くんは良いんですか?」
未央「あれは身内だから」
藍子「それじゃあどうしましょうか?」
未央「いや、二人と遊んでカラオケとかでもいいんだけどさ」
茜「駄目です!何も新鮮味がありません!」
未央「と言うと思ったから、普通に家で遊ぼっか」
茜「わかりました!」
未央「それでは午後から遊びましょう!」
藍子「午後から、ですか?まだ数時間ありますけど……」
未央「……非常に言いにくいことなんだけどさ」
茜「何でしょうか!」
未央「学校の課題溜まってるんだよね」
藍子「あー……」
未央「手伝ってください……」
藍子「……もうっ」
17: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:13:36.63 ID:olceFFkE0
未央「いやー、手伝ってもらっちゃってありがとね」
藍子「一年前の問題でしたし、簡単でした」
未央「あーちゃんはそう言ってくれるけど、茜ちんはどこに行ったんだい?」
藍子「茜ちゃんなら弟くんと遊んでます」
未央「……わかりません!って叫んでどっか行ったと思ったら遊んでたのか」
藍子「あははー。一番年長なはずなんですけどね」
未央「まあいっか。課題も終わったし、二人に混ざってこよっか」
藍子「そうですね」
未央「……おーい。二人とも何してんの?」
茜「あっ、未央ちゃん!これはですね、サッカーのゲームですよ!」
未央「サッカー?ああ、あの必殺技が愉快なあれか」
藍子「そんなのあるんですか?」
茜「はいっ!この子がボールを蹴るとですね!ボールが燃えるんです!」
藍子「えええ!」
18: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:15:05.36 ID:olceFFkE0
弟「他にもボールが凍ったりドラゴンが出たりしますよ」
未央「ほんと、らんらんが好きそうな技がたくさんあるんだよね」
藍子「今のサッカーってすごいんですね……」
未央「まあ、ゲームだからねー」
茜「そうですよ!現実のサッカーはこんな風にはなりません!」
藍子「茜ちゃん、そこはわかってるよ?」
弟「少林寺の人たちがやると燃えますけどね」
未央「また、古い映画を……」
藍子「……そんな映画があるんですか?」
未央「それよりさ、四人でやれるやつやろうよ」
弟「いいけど、どれにすんの?」
未央「二人は何やりたい?」
茜「面白ければなんでも!」
藍子「あまりゲームは詳しくないのでおまかせします」
未央「んー、じゃあこれでいっかー」
19: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:16:31.39 ID:olceFFkE0
藍子「これは何でしょう?……あっ、雷が落ちるんですね」
茜「キノコで加速ですか!燃えますね!」
未央「茜ちん!カーブでこっちに寄りかからないで!」
弟「………………」
藍子「なかなか抜かせないです。……あっ、また雷」
茜「スター状態で回避しました!」
未央「あーちゃん、雷引きすぎじゃない?……ってまた」
藍子「今のは私じゃないですよ?」
弟「………………」
未央「さっきから全然1位取れない」
藍子「私はCPUにすら勝てません……」
茜「このゲーム難しいですね!」
弟「………………」
未央「さっきから黙りまくってるけど勝ち狙いにいってるな?」
弟「そりゃすごいところ見せないとね」
20: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:17:15.15 ID:olceFFkE0
未央「あっ、待って。待って!」
藍子「やった!初めて未央ちゃんを抜いてゴールできました!」
茜「藍子ちゃん、おめでとうございます!」
弟「おめでとうございます」
未央「くっそー。アイテムの追い討ちが酷すぎだよCPU!」
弟「姉ちゃんの日頃の行いだね」
未央「はあ!?」
茜「まあまあ未央ちゃん!」
藍子「そうですよ、落ち着いて?」
未央「むぅー。……ちょっとお茶淹れてくるね」
茜「手伝いましょうか?」
未央「んにゃ、大丈夫だから待ってて」
茜「わかりました!」
藍子「お願いしますね」
未央「ほいほーい」
藍子「……………」
茜「……………」
弟「……あの」
茜「どうしましたか?」
21: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:18:57.49 ID:olceFFkE0
弟「姉ちゃんってアイドル上手くやれてますか?」
藍子「うん?未央ちゃんなら立派なアイドルですよ?」
茜「急にどうしたんですか?」
弟「……えっと、姉ちゃんってあんまり自分のこと話さないから、誰かの話しか聞いたことないんです」
藍子「誰かの話、ですか?」
弟「はい。◯◯さんと一緒に仕事したとか、事務所にはこんな子がいる。みたいな話しか基本的にしないので……」
茜「それで気になってたんですか!」
弟「……はい。本当に大変なことならお母さんに話してたりするかもしれないんですけど、僕は聞いたことがなかったので」
藍子「未央ちゃんのこと、心配なんですね」
弟「…………はい」
藍子「それで、アイドルとしての未央ちゃんはですね……」
茜「未央ちゃんなら大丈夫ですよ!」
藍子「もちろん、お仕事とかレッスンとか辛いことがありますけど、いつも笑っているんです」
弟「……笑ってる?」
藍子「そうです。レッスン中は大変でも終わったら笑顔なんですよ」
茜「レッスンとか、お仕事がとっても楽しいんだと思います!」
藍子「未央ちゃんが笑っていてくれるから、私も頑張れちゃうんです」
茜「そうです!未央ちゃんとレッスンするときは競いあえてとっても楽しいですね!」
弟「そうなんですか……」
藍子「はい。それに、未央ちゃんって大人の人も小さな子とも、とっても仲が良いんですよ」
茜「だから、安心してください!」
弟「はい!教えてくれて、ありがとうございました!」
藍子「ふふっ。どういたしまして」
22: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:20:07.37 ID:olceFFkE0
未央「……あのさぁ」
茜「あっ」
未央「すっごく恥ずかしい気分なんだけどさ、一つだけ言わせて」
藍子「……何でしょう?」
未央「もしアイドルやるのが辛かったら今こうしてあーちゃんと茜ちんと遊んでないと思うんだよねー」
弟「………………」
未央「あんた、いつからそんなにお姉ちゃんのこと大好きになってたの?」
弟「いや、そういうんじゃなくて……」
未央「ふーん……」
茜「未央ちゃん!」
未央「ん?」
茜「弟くんは未央ちゃんのこととっても大好きなんですよ!」
藍子「ふふっ、そうですね。お姉ちゃんが無理してないか心配なんです」
未央「ほーほー」ニヤニヤ
弟「……なんだよ」
未央「そんなにお姉ちゃんのことが好きならー、今夜一緒に寝てあげようか?」
弟「んなっ!……このっ!」
未央「うん?」
弟「この、姉ちゃんの馬鹿!」
23: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:20:49.67 ID:olceFFkE0
茜「……見事に逃げちゃいましたね!」
未央「あはは。からかい過ぎちゃったかな」
藍子「もー。あんまりからかっちゃ駄目ですよ?」
未央「できるだけ気を付けますよー」
茜「ですが未央ちゃん!」
未央「ん?」
茜「耳が真っ赤ですけどそんなに恥ずかしいんですか!」
未央「………………」
藍子「あっ、茜ちゃん。そういうのは気づいても言わない方がいいんですよ」
茜「そうなんですか!いやー、未央ちゃんが照れてるんだと思ったら可愛くて、つい!」
未央「………………」
藍子「もうっ!追い討ちも禁止です、が……」
茜「……?」
藍子「可愛いので今回は許しますっ!」
未央「………………」
24: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:21:45.32 ID:olceFFkE0
未央「……おーい、弟よー。あーちゃんと茜ちんが帰るぞー?」
茜「あっという間の1日でしたね!」
藍子「はい。楽しい時間はすぐ終わっちゃいますね」
未央「まあまあ。明日も事務所で会えるんだからさ」
茜「そうですね!明日が楽しみです!」
未央「それに、今度は茜ちんのお家にお邪魔する番ですし?」
藍子「また、楽しくなりますね」
茜「はいっ!いつでも待ってます!」
未央「茜ちんの私生活って想像できないから怖いんだよねー」
茜「そうですか?割と普通ですよ?」
未央「もしかしたら1日中走ってたり」
藍子「それは、かなり嫌ですね……」
茜「そんなことしたら、流石に私も倒れますよ!」
未央「ま、冗談だけどね。……おっ、やっときた」
弟「………………」
未央「どしたん?そんな遠くで」
弟「……あの」
藍子「何でしょう?」
弟「……サイン、もらっていいですか?」
未央「何そのファンみたいな行動」
弟「いやっ、ファンだし……」
茜「いいですよ!」
藍子「ふふっ。私もです」
25: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:22:57.19 ID:olceFFkE0
未央「二人とも弟に優しいねー」
弟「優しくないのは姉ちゃんだけだよ」
未央「ふーん。じゃあ優しさを見せてお姉ちゃんのサインも書いてあげよう」
弟「いや、もういらないから。姉ちゃんのサイン何枚押し付けられたと思ってんの?」
未央「さあ?数えてないなー」
茜「できましたよ!」
弟「ありがとうございます」
未央「おー。あーちゃんと茜ちん二人のサイン色紙なんてレアだよー」
藍子「未央ちゃんも書いたらどうですか?」
未央「いやー、それが断られちゃって」
茜「ですが、未央ちゃんのサインも書けばポジティブパッションのサインにもなりますよ!」
未央「というわけだが、どうする?」
弟「……じゃあ、書いていいよ」
未央「……りょーかい」
藍子「ふふっ。二人とも仲が良いですね」
茜「微笑ましいです!」
26: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:23:45.67 ID:olceFFkE0
藍子「それではもう帰りましょうか」
未央「帰るのにも時間かかるからねー」
茜「まだ夕方ですけど、名残惜しいですね!」
弟「いつでも来てください」
未央「あんたが言うんかい!まっ、その通りだけどね」
藍子「はいっ。またオフが重なれば是非!」
茜「弟くんもお元気で!」
弟「はい!……お二人も、姉ちゃんのことよろしくお願いします」
未央「……はあ」
藍子「ふふっ。もちろんです」
茜「任されました!」
未央「それじゃ、二人ともばいばい」
藍子「お邪魔しましたー」
茜「お邪魔しました!」
未央「……そんなにお姉ちゃんのこと心配かい?」
弟「……まあね」
未央「はぁー。……ありがと」
弟「……うん」
未央「………………」
弟「………………」
未央「……ご飯好きなの作ってあげる」
弟「……ありがと」
27: ◆Rj0X.392Pk 2017/07/01(土) 16:26:22.28 ID:olceFFkE0
終わりです。
今回もポジパの1日体験でした。
書いてる途中何度も思ったんですが、弟が羨ましすぎてスマホを投げそうになりました。
姉が未央ちゃんなら全力で甘えます。
それでは、読んでいただきありがとうございました。
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/01(土) 16:48:22.05 ID:2yNASYAwo
オトウトニナリタイ…
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/01(土) 18:11:02.52 ID:2/gDIcRyo
平和な世界すぎてよかった…茜ちん編も楽しみにしてるよ
乙でした
乙でした
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/01(土) 18:11:23.87 ID:WxjQKTNm0
未央弟になりたい
それがだめなら未央兄になりたい
それがだめなら未央兄になりたい
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1498892287/
Entry ⇒ 2017.09.30 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
杏「杏は天才だぜい」
1: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 11:55:18.16 ID:F6tUihmD0
モバマスSSです。
2: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 11:55:55.42 ID:F6tUihmD0
その日、私――双葉杏は出席日数稼ぎのために学校へ行き、仕事の予定もレッスンの予定もなかったのでまっすぐに家に帰った。
カバンを放り出し、楽な格好に着替えて、さて昼寝の一発でも決めようかという矢先、スマートフォンが着信を知らせる。発信元は千川ちひろさん、私の所属事務所である346プロダクションの事務員さんだ。
『これから健康診断に行ってもらえませんか?』
とちひろさんは言った。
しかし健康診断だったら、346プロのアイドルはみんな定期的に受けている。私が前回強制連行に近い形でひきずられていったのも、ほんの2ヶ月前かそこらの話だ。
つまり緊急の健康診断を受けろということになる。それもちひろさんからの指示ということは、
「プロデューサーが倒れたの?」
『……現在、自宅療養中です』
「理由は?」
『インフルエンザです』
まあ予想通り。そういえば、最近外国で新型が猛威を振るってるとかネットニュースで見た覚えがある。
「プロデューサーだけ?」
『いえ、他の社員やアイドルの子も、確認できているだけで合わせて10人以上が発症しています。予約はこちらで取ってありますので、身ひとつで行っていただければけっこうです』
「しょうがないな……予約何時で取ってるの?」
カバンを放り出し、楽な格好に着替えて、さて昼寝の一発でも決めようかという矢先、スマートフォンが着信を知らせる。発信元は千川ちひろさん、私の所属事務所である346プロダクションの事務員さんだ。
『これから健康診断に行ってもらえませんか?』
とちひろさんは言った。
しかし健康診断だったら、346プロのアイドルはみんな定期的に受けている。私が前回強制連行に近い形でひきずられていったのも、ほんの2ヶ月前かそこらの話だ。
つまり緊急の健康診断を受けろということになる。それもちひろさんからの指示ということは、
「プロデューサーが倒れたの?」
『……現在、自宅療養中です』
「理由は?」
『インフルエンザです』
まあ予想通り。そういえば、最近外国で新型が猛威を振るってるとかネットニュースで見た覚えがある。
「プロデューサーだけ?」
『いえ、他の社員やアイドルの子も、確認できているだけで合わせて10人以上が発症しています。予約はこちらで取ってありますので、身ひとつで行っていただければけっこうです』
「しょうがないな……予約何時で取ってるの?」
3: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 11:57:13.29 ID:F6tUihmD0
タクシーでの移動中にスマホでネットニュースの記事を見る。
新型のインフルエンザは主にヨーロッパのほうで流行しているらしい。潜伏期間が短く、感染力が強く、回復までの期間が長いことが特徴だそうで、従来の特効薬の類は効果が見られないと。うーん、なかなかエグい進化をしたもんだね。
血を抜いて、おしっこを採って、鼻の穴を綿棒でほじられて(痛かった)、たいして時間もかからずに検査は終わった。
外に出ると、同じように検査を受けるよう指示されたらしい知った顔がいくつか見えたけど、事務所的には結果が出るまではあまり接触はしないでほしいはずだね、と思い、声はかけずにおとなしく帰りのタクシーを捕まえた。
車内でちひろさん宛てに「終わったよ」とメールを送る。ほんの数秒後にスマホがぶるんと振動した。
返事早いなぁ、と思いながら画面を見る。ちひろさんからの返信ではなかった。LINEの通知だ。
発信者は諸星きらり、私のいちばん仲のいい同僚アイドルで、最近はモデルとして活躍の場を広げている。
『杏ちゃん検査受けた?』という、なんのデコレーションの施されていないシンプルなメッセージに、きらりらしくないなと首をひねりながら、『今終わったとこだよ。きらりは?』と返す。
きらりは検査を受けていなかった。
ちひろさんの言っていた、すでに発症が確認されている十数人、そのひとりがきらりだったからだ。
新型のインフルエンザは主にヨーロッパのほうで流行しているらしい。潜伏期間が短く、感染力が強く、回復までの期間が長いことが特徴だそうで、従来の特効薬の類は効果が見られないと。うーん、なかなかエグい進化をしたもんだね。
血を抜いて、おしっこを採って、鼻の穴を綿棒でほじられて(痛かった)、たいして時間もかからずに検査は終わった。
外に出ると、同じように検査を受けるよう指示されたらしい知った顔がいくつか見えたけど、事務所的には結果が出るまではあまり接触はしないでほしいはずだね、と思い、声はかけずにおとなしく帰りのタクシーを捕まえた。
車内でちひろさん宛てに「終わったよ」とメールを送る。ほんの数秒後にスマホがぶるんと振動した。
返事早いなぁ、と思いながら画面を見る。ちひろさんからの返信ではなかった。LINEの通知だ。
発信者は諸星きらり、私のいちばん仲のいい同僚アイドルで、最近はモデルとして活躍の場を広げている。
『杏ちゃん検査受けた?』という、なんのデコレーションの施されていないシンプルなメッセージに、きらりらしくないなと首をひねりながら、『今終わったとこだよ。きらりは?』と返す。
きらりは検査を受けていなかった。
ちひろさんの言っていた、すでに発症が確認されている十数人、そのひとりがきらりだったからだ。
4: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 11:58:34.67 ID:F6tUihmD0
翌日、ちひろさんからメールで「専務室へ行ってください」とお達しを受け、そのドアを叩いた。
「入りたまえ」と中から声がする。
部屋に入ると、当然ながら美城専務がいた。それからちひろさんがいた。ふたりはそれぞれなにかの書類を手にして、眉間に皺をよせていた。
「……どうなってんの? これ」
ウチのプロダクションはなかなかの大所帯だ。入口の傍らには昼夜問わず警備員が立っていて、エントランスに入ればカウンターの向こうに受け付けの女の人が3人いて、そこを抜けると、たちまち社員や所属アイドルたちの喧噪で埋め尽くされる、そのはずだった。
なのに、建物に入ってからこの部屋にやってくるまで、たったのひとりの人間ともすれ違わなかった。まるで間違えて廃墟にでも迷い込んでしまったかのように。
「この事務所で働いている、全社員とアイドルの検査が完了した……その結果だ」
専務が言う。
「つまり?」
「双葉杏、君は罹患していない」
「だろうね、くしゃみのひとつも出やしないよ」
専務はそれ以上なにも言わなかった。わざわざ言わなくてもわかっているだろう、とでもいうように。
いや、そりゃあわかるよ。わかるけどさ――
「……嘘でしょ?」
「私も、そう思いたい」
ちひろさんが注目を集めるようにコホンと咳ばらいをする。
「検査を受けた、ほぼ全員に陽性反応が出ました。この事務所で陰性――罹患していないことが確認できたのは、私と、美城専務、それから杏ちゃん。……この3人だけです」
「入りたまえ」と中から声がする。
部屋に入ると、当然ながら美城専務がいた。それからちひろさんがいた。ふたりはそれぞれなにかの書類を手にして、眉間に皺をよせていた。
「……どうなってんの? これ」
ウチのプロダクションはなかなかの大所帯だ。入口の傍らには昼夜問わず警備員が立っていて、エントランスに入ればカウンターの向こうに受け付けの女の人が3人いて、そこを抜けると、たちまち社員や所属アイドルたちの喧噪で埋め尽くされる、そのはずだった。
なのに、建物に入ってからこの部屋にやってくるまで、たったのひとりの人間ともすれ違わなかった。まるで間違えて廃墟にでも迷い込んでしまったかのように。
「この事務所で働いている、全社員とアイドルの検査が完了した……その結果だ」
専務が言う。
「つまり?」
「双葉杏、君は罹患していない」
「だろうね、くしゃみのひとつも出やしないよ」
専務はそれ以上なにも言わなかった。わざわざ言わなくてもわかっているだろう、とでもいうように。
いや、そりゃあわかるよ。わかるけどさ――
「……嘘でしょ?」
「私も、そう思いたい」
ちひろさんが注目を集めるようにコホンと咳ばらいをする。
「検査を受けた、ほぼ全員に陽性反応が出ました。この事務所で陰性――罹患していないことが確認できたのは、私と、美城専務、それから杏ちゃん。……この3人だけです」
5: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:00:43.99 ID:F6tUihmD0
「むしろ杏たちが無事なのはなんで? って訊きたくなるね」
「かかりにくい体質というものがあるのかもしれないが、実際のところはわからないな。このインフルエンザは最近になって発見された新種のもので、ほとんど研究も進んでいないようだ」
「そう……それで、どうすんの?」
「……我が社のアイドル部門は規模を縮小し、最終的には解散という形をとることになる。所属アイドルたちは、もちろん本人の希望なども考慮するが、ほとんどの場合、他の事務所へ移籍という形になるだろうな」
ちひろさんは沈痛な面持ちで黙っている。たぶん先に聞かされていたんだろう。
「なんで? お金の問題?」
「この後しばらくの、予定されていた仕事は全てキャンセルとなる。君の言うように多額の違約金が発生することになるが、それ以上に信用の失墜が問題だ。急なキャンセルはイメージを地に落とす。ひとりやふたりならばたいした問題ではないが、それが100人以上ともなると影響は計り知れない。今後は346プロ所属というそれだけで、仕事をとることは困難になるだろう」
「仕方ないじゃん、病気なんだから。そんなん誰だってかかるときはかかるでしょ」
「この新型インフルエンザは、世間でほとんど認知されていない。一般人では存在すらも知らないか、どこかで聞いていたとしても、それは自分とは関係のない話だと思っているだろう。人は身近でないものは正しく想像できないものだ。認識されるのは『346プロのアイドルがことごとく仕事をキャンセル』したという結果だけだ」
そうかもな、と思ってしまう。
私も偶然そんなニュース記事を見かけはしたものの、その時点で気に留めていたとは言い難い。ちひろさんからの電話がなければ、そのまま忘れていただろう。
専務は更に続けて言った。
「そして……予定されていた『シンデレラの舞踏会』も、当然中止となる」
「かかりにくい体質というものがあるのかもしれないが、実際のところはわからないな。このインフルエンザは最近になって発見された新種のもので、ほとんど研究も進んでいないようだ」
「そう……それで、どうすんの?」
「……我が社のアイドル部門は規模を縮小し、最終的には解散という形をとることになる。所属アイドルたちは、もちろん本人の希望なども考慮するが、ほとんどの場合、他の事務所へ移籍という形になるだろうな」
ちひろさんは沈痛な面持ちで黙っている。たぶん先に聞かされていたんだろう。
「なんで? お金の問題?」
「この後しばらくの、予定されていた仕事は全てキャンセルとなる。君の言うように多額の違約金が発生することになるが、それ以上に信用の失墜が問題だ。急なキャンセルはイメージを地に落とす。ひとりやふたりならばたいした問題ではないが、それが100人以上ともなると影響は計り知れない。今後は346プロ所属というそれだけで、仕事をとることは困難になるだろう」
「仕方ないじゃん、病気なんだから。そんなん誰だってかかるときはかかるでしょ」
「この新型インフルエンザは、世間でほとんど認知されていない。一般人では存在すらも知らないか、どこかで聞いていたとしても、それは自分とは関係のない話だと思っているだろう。人は身近でないものは正しく想像できないものだ。認識されるのは『346プロのアイドルがことごとく仕事をキャンセル』したという結果だけだ」
そうかもな、と思ってしまう。
私も偶然そんなニュース記事を見かけはしたものの、その時点で気に留めていたとは言い難い。ちひろさんからの電話がなければ、そのまま忘れていただろう。
専務は更に続けて言った。
「そして……予定されていた『シンデレラの舞踏会』も、当然中止となる」
6: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:03:20.31 ID:F6tUihmD0
『シンデレラの舞踏会』は、346プロ所属のアイドル数十名によって行われる大規模ライブイベントだ。
去年第1回を開催し、成功を収めたことで第2回の開催が決定した。選抜されたメンバーは、ここしばらくはそれに向けたレッスンに励んでいた。
その本番は、もう1週間後に迫っていた。チケットも完売していて、すでにファンの手元に届いている頃だ。
かなりの高倍率の抽選になったと聞いている。中止となったら相当な騒ぎになるだろう。
私の調べたところだと、新型インフルエンザは、回復までにおよそ2週間もの期間を要する。1~2日程度の個人差はあるらしいけど、それでも1週間後の舞踏会には、絶対に間に合わない。
「プロダクションとしての批判は避けられないが、理由が理由である以上、個々のアイドルのイメージダウンは大きくはないと予測している。移籍はそう難しい話ではないだろう。散り散りにはなってしまうだろうが――」
「冗談じゃない」
私は専務の言葉をさえぎるように言った。
「解散なんてさせない」
感情的になっている、と思われたかもしれない。でも実際のところは、私の頭の中はこれ以上ないくらいに冷えていた。冷静に、ものすごい勢いで回転していた。
「させない、といっても、現実問題どうしようもなかろう」
「杏がやる」
「……なにをかな?」
去年第1回を開催し、成功を収めたことで第2回の開催が決定した。選抜されたメンバーは、ここしばらくはそれに向けたレッスンに励んでいた。
その本番は、もう1週間後に迫っていた。チケットも完売していて、すでにファンの手元に届いている頃だ。
かなりの高倍率の抽選になったと聞いている。中止となったら相当な騒ぎになるだろう。
私の調べたところだと、新型インフルエンザは、回復までにおよそ2週間もの期間を要する。1~2日程度の個人差はあるらしいけど、それでも1週間後の舞踏会には、絶対に間に合わない。
「プロダクションとしての批判は避けられないが、理由が理由である以上、個々のアイドルのイメージダウンは大きくはないと予測している。移籍はそう難しい話ではないだろう。散り散りにはなってしまうだろうが――」
「冗談じゃない」
私は専務の言葉をさえぎるように言った。
「解散なんてさせない」
感情的になっている、と思われたかもしれない。でも実際のところは、私の頭の中はこれ以上ないくらいに冷えていた。冷静に、ものすごい勢いで回転していた。
「させない、といっても、現実問題どうしようもなかろう」
「杏がやる」
「……なにをかな?」
7: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:04:45.09 ID:F6tUihmD0
「杏がみんなの仕事をするって言ってるんだよ。もちろん杏にもできないことはあるし、全部とはいかないだろうけどさ。予定してた仕事の中からできるやつ、特に影響の大きいものを選んで、片っ端から代役で出る。そうやって、キャンセルを最小限に留めたら、それでもプロダクション解散しなきゃいけないほどのダメージになる?」
「杏ちゃん!? なにを言ってるんですか!?」
ちひろさんが慌てて口をはさんだ。
「ウチは未成年が多いし、学生は学業の妨げにならないように調整してるでしょ。個人単位での仕事量は、平均すればそんなに多くない。それにここしばらくは、人気があって普段忙しい人ほど、舞踏会に向けたレッスンを多くとるために、あんまり仕事入れないようにしてたはずだよ」
「ひとりひとりはそうでも……この事務所に何人のアイドルが所属してると思ってるんですか?」
専務は、じっとなにかを考えこんでいた。
「相当に忙しくなると思うが」
「そうだね」
「舞踏会はどうする?」
「ひとりで演るよ。シンデレラの舞踏会改め、双葉杏の舞踏会ってね」
「……念のため訊いておきたいのだが、それは舞踏会を中止して、その代わりに君のソロライブを開催するのではなく、舞踏会のために抑えている会場で、既に売ってしまっているチケットで、規模を縮小させずに、予定通り執り行うということか?」
「うん、そうだよ。その通り」
「予定されていた舞踏会は、3時間を超える長丁場だ。君は、出演が決定していたアイドルの中でも、比較的出番が多いほうだとは思うが、それでも10曲分もあるまい? では、残りの時間はなにをする?」
「他の人の持ち歌を歌うよ。ウチは仲間内の曲をカバーしあうなんて珍しくもないでしょ。なにかまずい?」
「権利的には問題はない。しかし残り少ない日数で、トレーナーもいないこの状況で、観客たちを納得させられるクオリティが出せるのか、ということだ」
「できる」
「杏ちゃん!? なにを言ってるんですか!?」
ちひろさんが慌てて口をはさんだ。
「ウチは未成年が多いし、学生は学業の妨げにならないように調整してるでしょ。個人単位での仕事量は、平均すればそんなに多くない。それにここしばらくは、人気があって普段忙しい人ほど、舞踏会に向けたレッスンを多くとるために、あんまり仕事入れないようにしてたはずだよ」
「ひとりひとりはそうでも……この事務所に何人のアイドルが所属してると思ってるんですか?」
専務は、じっとなにかを考えこんでいた。
「相当に忙しくなると思うが」
「そうだね」
「舞踏会はどうする?」
「ひとりで演るよ。シンデレラの舞踏会改め、双葉杏の舞踏会ってね」
「……念のため訊いておきたいのだが、それは舞踏会を中止して、その代わりに君のソロライブを開催するのではなく、舞踏会のために抑えている会場で、既に売ってしまっているチケットで、規模を縮小させずに、予定通り執り行うということか?」
「うん、そうだよ。その通り」
「予定されていた舞踏会は、3時間を超える長丁場だ。君は、出演が決定していたアイドルの中でも、比較的出番が多いほうだとは思うが、それでも10曲分もあるまい? では、残りの時間はなにをする?」
「他の人の持ち歌を歌うよ。ウチは仲間内の曲をカバーしあうなんて珍しくもないでしょ。なにかまずい?」
「権利的には問題はない。しかし残り少ない日数で、トレーナーもいないこの状況で、観客たちを納得させられるクオリティが出せるのか、ということだ」
「できる」
8: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:06:26.12 ID:F6tUihmD0
「……簡単に言い切ってくれるな。……今から全員分の振り付けを覚えるというのは難しいだろうな。体力的な問題もある。すると、ダンスはなくし、歌に専念するということになるのかな?」
「専務が言ったばかりでしょ、お客さんを納得させられるクオリティじゃなきゃいけないって。ちゃんと踊るよ、ウチのアイドルのライブはダンスも売りなんだからね」
「数十人分をか?」
「数十人分をだよ」
「……本当に君が、他のアイドルの予定していた仕事を肩代わりするというのであれば、レッスンに割ける時間はほとんどない」
「レッスンはしない」
「君は――いささか思い上がってはいるのではないか? 君ひとりでなんでもできるつもりか?」
「そう思われても仕方ないかもね」
『シンデレラの舞踏会』は、今や346プロの看板と言ってもいい一大イベントだ。アイドルの間では、それに参加する権利を勝ち取る段階から、熾烈な競争が始まっている。そうして選ばれた者は、自分の持ち歌を歌い、踊るためだけでも日々足腰立たなくなるほどのレッスンを積んでいる。それでも失敗することはある。それを、たったの一度も歌ったことも踊ったこともない身で、レッスンすらせずにやってみせると言ってるんだから、『なめている』と思うのが当然だろう。
「――でも、杏にならできる」
しばしの間、部屋の中は静寂に包まれた。そして、専務がふっと笑った。
……笑ったね。なんだかレアなものを見た気がする。
「千川君」
「は、はい」
「急ぎ、プロダクションのアイドルの当面のスケジュールをまとめてくれ。今日の分からだ」
「きょ、今日のからですか!? 急ぎですね! わかりました!」
ちひろさんがバタバタと専務室を飛び出していく。
これは、乗ってくれたと受け取っていいのかな。
「専務が言ったばかりでしょ、お客さんを納得させられるクオリティじゃなきゃいけないって。ちゃんと踊るよ、ウチのアイドルのライブはダンスも売りなんだからね」
「数十人分をか?」
「数十人分をだよ」
「……本当に君が、他のアイドルの予定していた仕事を肩代わりするというのであれば、レッスンに割ける時間はほとんどない」
「レッスンはしない」
「君は――いささか思い上がってはいるのではないか? 君ひとりでなんでもできるつもりか?」
「そう思われても仕方ないかもね」
『シンデレラの舞踏会』は、今や346プロの看板と言ってもいい一大イベントだ。アイドルの間では、それに参加する権利を勝ち取る段階から、熾烈な競争が始まっている。そうして選ばれた者は、自分の持ち歌を歌い、踊るためだけでも日々足腰立たなくなるほどのレッスンを積んでいる。それでも失敗することはある。それを、たったの一度も歌ったことも踊ったこともない身で、レッスンすらせずにやってみせると言ってるんだから、『なめている』と思うのが当然だろう。
「――でも、杏にならできる」
しばしの間、部屋の中は静寂に包まれた。そして、専務がふっと笑った。
……笑ったね。なんだかレアなものを見た気がする。
「千川君」
「は、はい」
「急ぎ、プロダクションのアイドルの当面のスケジュールをまとめてくれ。今日の分からだ」
「きょ、今日のからですか!? 急ぎですね! わかりました!」
ちひろさんがバタバタと専務室を飛び出していく。
これは、乗ってくれたと受け取っていいのかな。
9: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:07:18.44 ID:F6tUihmD0
「……ひとつ、質問をしてもいいだろうか?」
「どうぞ、いくつでも」
「君は、あまりアイドルの仕事に積極的ではなかったと記憶している」
「まあね」
「その君が、なぜそうまでしてプロダクションを救おうとする? 君ほどの知名度があれば、移籍先は引く手あまただ。条件等も君の要求を最大限考慮した交渉ができるだろう、そう悪い話にはならないはずだ。方や、先ほどの君の提案、それを実行するとなれば、想像を絶するような多忙に見舞われることになる」
まあ、当然の疑問ってとこだろうね。
正直言えば今だって、頭の中で「なにバカなこと言ってんのさ、考え直せ! 撤回しろ、はよ!」って、わめきたてている自分がいるよ。
しばらくの間、地獄のような日々が続くことだって、もちろんわかってる。だけど、
「きっと、泣くから」
「君がか?」
答えは返さなかった。必要ないと思ったからだ。
「……余計なことを訊いたかな」
「いいよ、べつに。それよりさ、杏としては専務があっさり認めてくれたことに驚いてるよ」
「私としても、このような形でアイドル部門をたたむことは本意ではない。存続の可能性があるのなら、賭けようと思ってもおかしくはないだろう?」
「そりゃそうだけど……あー、今更だけど、口の利き方こんなんだけど、いいよね?」
「むろん構わない。他にも希望があれば、なんでも言ってくれていい。私と千川君で、できる限りのサポートをしよう」
「……じゃあ早速だけど、出演予定だったみんなの、ライブ映像のファイルが欲しい。できたら最初から最後までひとりを追っているようなの。それを、できるだけ多く」
「ふむ、販売しているライブビデオの編集前のデータに、君の希望に近いものがあるだろう。通常破棄することはないから、何処かに保管はされているはずだ、確認しておこう」
「どうも。……あ、それからもうひとつ」
「なんだ?」
「飴ちょうだい」
「どうぞ、いくつでも」
「君は、あまりアイドルの仕事に積極的ではなかったと記憶している」
「まあね」
「その君が、なぜそうまでしてプロダクションを救おうとする? 君ほどの知名度があれば、移籍先は引く手あまただ。条件等も君の要求を最大限考慮した交渉ができるだろう、そう悪い話にはならないはずだ。方や、先ほどの君の提案、それを実行するとなれば、想像を絶するような多忙に見舞われることになる」
まあ、当然の疑問ってとこだろうね。
正直言えば今だって、頭の中で「なにバカなこと言ってんのさ、考え直せ! 撤回しろ、はよ!」って、わめきたてている自分がいるよ。
しばらくの間、地獄のような日々が続くことだって、もちろんわかってる。だけど、
「きっと、泣くから」
「君がか?」
答えは返さなかった。必要ないと思ったからだ。
「……余計なことを訊いたかな」
「いいよ、べつに。それよりさ、杏としては専務があっさり認めてくれたことに驚いてるよ」
「私としても、このような形でアイドル部門をたたむことは本意ではない。存続の可能性があるのなら、賭けようと思ってもおかしくはないだろう?」
「そりゃそうだけど……あー、今更だけど、口の利き方こんなんだけど、いいよね?」
「むろん構わない。他にも希望があれば、なんでも言ってくれていい。私と千川君で、できる限りのサポートをしよう」
「……じゃあ早速だけど、出演予定だったみんなの、ライブ映像のファイルが欲しい。できたら最初から最後までひとりを追っているようなの。それを、できるだけ多く」
「ふむ、販売しているライブビデオの編集前のデータに、君の希望に近いものがあるだろう。通常破棄することはないから、何処かに保管はされているはずだ、確認しておこう」
「どうも。……あ、それからもうひとつ」
「なんだ?」
「飴ちょうだい」
10: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:09:08.70 ID:F6tUihmD0
〇
実のところ、私の運動神経はそう悪くない。自分で言うのもなんだけど、むしろ抜群に優れている方だと思う。
子供の頃――小学校の体育の時間なんかは、ほとんど独壇場だったといってもいい。
それから頭もよかった。勉強でも運動でも、一番であることが当たり前だった。当時の私は、本当になんでもできたんだ。なんら特別な努力をすることもなく。
もちろん、英才教育なんてものを受けていたわけではない。なんてことのない、普通の子供の生活だったと思う。よく寝よく食べよく遊び、だだっ広さだけには定評のある北海道の大地を、自分ちの庭みたいに駆け回り、少しだけ本を読んだ。
私はなにも変わらない。変わっていったのは周りのほうだ。
きっかけらしきものは思い当たらない、だけどいつの間にやら、周囲から私に向けられる視線が、奇異、それから畏怖、そして、非難のようなものになっていた。
周りの人たちからすると、どうやら『なんでもできる人間』なんてものは、いてほしくなかったようだ。
なにかに優れているのは構わない、だけど、ある点で優れているならば、そのぶん別のところが劣っていなければならない。それが自然というもので、そうでなくてはならないのだと、そんなふうに思うものらしい。
それでも、もしも『周囲』が学校の同級生だけだったら、たいして気にとめなかったかもしれない。
男の子ばかりのサッカーチームに混じって大活躍する。
大人も参加するクイズ大会で優勝してみせる。
知能テストとやらを受けてみる。
なんで、お父さんとお母さんは笑ってくれないのかな?
前は笑ってくれたのに、喜んでくれたのに、すごいって言ってくれたのに。
いつもと同じだよ。今に始まったことじゃない。私はずっとこんなだったじゃないか。
なのになんで、私を、そんな目で見るのさ?
実のところ、私の運動神経はそう悪くない。自分で言うのもなんだけど、むしろ抜群に優れている方だと思う。
子供の頃――小学校の体育の時間なんかは、ほとんど独壇場だったといってもいい。
それから頭もよかった。勉強でも運動でも、一番であることが当たり前だった。当時の私は、本当になんでもできたんだ。なんら特別な努力をすることもなく。
もちろん、英才教育なんてものを受けていたわけではない。なんてことのない、普通の子供の生活だったと思う。よく寝よく食べよく遊び、だだっ広さだけには定評のある北海道の大地を、自分ちの庭みたいに駆け回り、少しだけ本を読んだ。
私はなにも変わらない。変わっていったのは周りのほうだ。
きっかけらしきものは思い当たらない、だけどいつの間にやら、周囲から私に向けられる視線が、奇異、それから畏怖、そして、非難のようなものになっていた。
周りの人たちからすると、どうやら『なんでもできる人間』なんてものは、いてほしくなかったようだ。
なにかに優れているのは構わない、だけど、ある点で優れているならば、そのぶん別のところが劣っていなければならない。それが自然というもので、そうでなくてはならないのだと、そんなふうに思うものらしい。
それでも、もしも『周囲』が学校の同級生だけだったら、たいして気にとめなかったかもしれない。
男の子ばかりのサッカーチームに混じって大活躍する。
大人も参加するクイズ大会で優勝してみせる。
知能テストとやらを受けてみる。
なんで、お父さんとお母さんは笑ってくれないのかな?
前は笑ってくれたのに、喜んでくれたのに、すごいって言ってくれたのに。
いつもと同じだよ。今に始まったことじゃない。私はずっとこんなだったじゃないか。
なのになんで、私を、そんな目で見るのさ?
11: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:10:16.96 ID:F6tUihmD0
たいして悩むこともなく、私は運動の類いっさいをやめることにした。私は小さかった。『小さいのに強い』というのが、特に疎まれる理由だったように思えたからだ。
男の子に混じってサッカーやバスケットボールで遊ぶこともやめたし、学校の体育の時間は毎回仮病で見学をするようになった。
教師が安っぽいプラスチックの笛をピーと鳴らし、子供たちがパッと散開する。私は少し離れたところでひとり、よっこいしょと地べたに腰を下ろす。そこが体育の授業における私の定位置となった。いつもその場所から、ワイワイと騒ぎ、駆け回る同級生たちをぼんやりと眺めて、「みんな、下手だなぁ」と思った。
当然、それまで完璧だった成績表は、突如体育のみが底辺を這い始めることになったけど、同級生たちも、学校の教師も、実の両親までも、とりたてて気にすることはなかった。
むしろどこか、安心しているようにすら見えた。
このときから、双葉杏は『普通の人』となった。
『なんでもできる天才少女』は、私が自らの手で投げ捨てた。
〇
男の子に混じってサッカーやバスケットボールで遊ぶこともやめたし、学校の体育の時間は毎回仮病で見学をするようになった。
教師が安っぽいプラスチックの笛をピーと鳴らし、子供たちがパッと散開する。私は少し離れたところでひとり、よっこいしょと地べたに腰を下ろす。そこが体育の授業における私の定位置となった。いつもその場所から、ワイワイと騒ぎ、駆け回る同級生たちをぼんやりと眺めて、「みんな、下手だなぁ」と思った。
当然、それまで完璧だった成績表は、突如体育のみが底辺を這い始めることになったけど、同級生たちも、学校の教師も、実の両親までも、とりたてて気にすることはなかった。
むしろどこか、安心しているようにすら見えた。
このときから、双葉杏は『普通の人』となった。
『なんでもできる天才少女』は、私が自らの手で投げ捨てた。
〇
12: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:12:49.66 ID:F6tUihmD0
ゼエゼエと息を切らしながら戻ってきたちひろさんが、USBメモリをパソコンに差し、全所属アイドルのスケジュールをまとめたファイルを開く。
「幸いにも、今日予定されていた分に、さして大きな仕事はないようだ。決めなければならないことも多いから、これらはキャンセルしてミーティングにあてようと思うのだが……」
パソコンの画面をにらみながら、専務が言う。
「まあ、仕方ないだろうね。当日にいきなり杏使ってくれってのも難しいだろうし」
「うむ……では、まずなによりも重要なのは舞踏会の内容変更だな。演者を双葉ひとりに、タイトルを『双葉杏の舞踏会 ~The Hyper NEET~』とする。大幅な変更だけに払い戻しの受け付けも必要だろう、早急なアナウンスが必要だ」
「……本当にそのタイトルでいいんですか? 考えたの杏ちゃんですよね?」
「インパクトがあっていいと思うが」
「ねえ、ひとつ提案があるんだけどさ、払い戻し受け付け期間を、舞踏会の次の日からにしてくれない? 舞踏会観に来ていても払い戻しできるって形で」
「どういうことだ? それでは……」
「あ、『お代は見てのお帰り』ですか?」
専務は困惑しているけど、ちひろさんのほうはピンと来たらしい。
「なんだ、それは?」
「昔の見世物なんかで使われていた方式で、見て、気に入ったら帰りにお金を払ってもらうというものです。満足できなかったらタダでいいというので、お客さんを呼び込むわけです」
「そうそう。この場合、チケットはもう売っちゃってるから、満足できなかったら返金します、ってことね」
「そんなものが成り立つのか? 心の内など誰にもわからないだろう、見るだけ見て払い戻しすれば得ではないか」
「それが不思議なもんでね、人は価値のある体験をしたらそれだけの対価を支払いたいと思うものらしいよ。もちろん、これで杏が失敗したら、みんな払い戻ししちゃって大損害になるだろうけどね」
「しかし、古い時代のものなのだろう、現代でそのようなものが通用するか……」
「必要なんだよ。たくさんのアイドルが出るイベントだったんだから、その中に杏のファンはひとにぎりだもん。もともと杏の単独ライブとしてチケット売ってたんなら、いくらかは多くなるだろうけどね。払い戻し受けて、集計して、その分また売り出すような時間はもうないでしょ。だったら空席にしちゃうよりは、ものは試しでも来てもらった方がいい」
「……なるほど、では双葉の案を採用する。千川君、すぐに変更内容と払い戻しの方式をまとめて公式サイトで告知してくれ。それからチケット販売会社への連絡を頼む」
「す、すぐにですか! じゃあ、ハイ、やってきます!」
ようやく息の整ったちひろさんが、再び部屋を駆け出していく。なにも走らなくてもいいと思うんだけどな。
「幸いにも、今日予定されていた分に、さして大きな仕事はないようだ。決めなければならないことも多いから、これらはキャンセルしてミーティングにあてようと思うのだが……」
パソコンの画面をにらみながら、専務が言う。
「まあ、仕方ないだろうね。当日にいきなり杏使ってくれってのも難しいだろうし」
「うむ……では、まずなによりも重要なのは舞踏会の内容変更だな。演者を双葉ひとりに、タイトルを『双葉杏の舞踏会 ~The Hyper NEET~』とする。大幅な変更だけに払い戻しの受け付けも必要だろう、早急なアナウンスが必要だ」
「……本当にそのタイトルでいいんですか? 考えたの杏ちゃんですよね?」
「インパクトがあっていいと思うが」
「ねえ、ひとつ提案があるんだけどさ、払い戻し受け付け期間を、舞踏会の次の日からにしてくれない? 舞踏会観に来ていても払い戻しできるって形で」
「どういうことだ? それでは……」
「あ、『お代は見てのお帰り』ですか?」
専務は困惑しているけど、ちひろさんのほうはピンと来たらしい。
「なんだ、それは?」
「昔の見世物なんかで使われていた方式で、見て、気に入ったら帰りにお金を払ってもらうというものです。満足できなかったらタダでいいというので、お客さんを呼び込むわけです」
「そうそう。この場合、チケットはもう売っちゃってるから、満足できなかったら返金します、ってことね」
「そんなものが成り立つのか? 心の内など誰にもわからないだろう、見るだけ見て払い戻しすれば得ではないか」
「それが不思議なもんでね、人は価値のある体験をしたらそれだけの対価を支払いたいと思うものらしいよ。もちろん、これで杏が失敗したら、みんな払い戻ししちゃって大損害になるだろうけどね」
「しかし、古い時代のものなのだろう、現代でそのようなものが通用するか……」
「必要なんだよ。たくさんのアイドルが出るイベントだったんだから、その中に杏のファンはひとにぎりだもん。もともと杏の単独ライブとしてチケット売ってたんなら、いくらかは多くなるだろうけどね。払い戻し受けて、集計して、その分また売り出すような時間はもうないでしょ。だったら空席にしちゃうよりは、ものは試しでも来てもらった方がいい」
「……なるほど、では双葉の案を採用する。千川君、すぐに変更内容と払い戻しの方式をまとめて公式サイトで告知してくれ。それからチケット販売会社への連絡を頼む」
「す、すぐにですか! じゃあ、ハイ、やってきます!」
ようやく息の整ったちひろさんが、再び部屋を駆け出していく。なにも走らなくてもいいと思うんだけどな。
13: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:14:55.59 ID:F6tUihmD0
「少人数だと意思決定が早くていいね」
「まったくだな。では千川君を待っている間に、明日以降に予定されていた仕事の中から、君が代役として出るものを選別する。これは君に判定してもらおう」
「はいよー。まあモデルとかは無理だよね、どうしても」
「佐々木千枝に雑誌モデルが予定されていたが、体型はあまり変わらないのではないか?」
「……子供服だよね、それ。詐欺になんないかな。べつにやってもいいけどさ」
「では提案だけ伝え、判断はクライアントに委ねるとしよう」
「うん……」
「次に移ろう、ラジオ番組がいくつかある。まず、『朝までダンサブル』」
「あー……それはパスで。その番組はヘレンさんしか求められてないよ、代役はお呼びじゃない」
「ふむ、了解した。では次に、『網よ聞いてくれ』」
「ん? 杏それ知らないな、誰のやつ?」
「浅利七海だな。15分間、CM等を抜くと実質13分程を、ゲストもなく、リスナーが参加するような企画もなく、ただひたすらに魚の話をし続けるというものだ」
「……だれが聴いてんのさ、それ」
「魚マニアしか聴かないが、魚マニアなら全員聴いているような番組らしい。意外にも聴取率は悪くない」
なんだそりゃ。いや、ニッチ層狙いとしては、ある意味理想的なのかな?
「うーん、13分も喋り続けるとなると、かなり知識仕込まなきゃいけないね」
「共演者がいないため、収録の日は多少融通を利かせられるようだが……仕事は他にも山ほどある、準備のために勉強するぐらいなら、他に時間をあてた方がいいのではないか?」
「そうだね……じゃあこれもパスで」
「まったくだな。では千川君を待っている間に、明日以降に予定されていた仕事の中から、君が代役として出るものを選別する。これは君に判定してもらおう」
「はいよー。まあモデルとかは無理だよね、どうしても」
「佐々木千枝に雑誌モデルが予定されていたが、体型はあまり変わらないのではないか?」
「……子供服だよね、それ。詐欺になんないかな。べつにやってもいいけどさ」
「では提案だけ伝え、判断はクライアントに委ねるとしよう」
「うん……」
「次に移ろう、ラジオ番組がいくつかある。まず、『朝までダンサブル』」
「あー……それはパスで。その番組はヘレンさんしか求められてないよ、代役はお呼びじゃない」
「ふむ、了解した。では次に、『網よ聞いてくれ』」
「ん? 杏それ知らないな、誰のやつ?」
「浅利七海だな。15分間、CM等を抜くと実質13分程を、ゲストもなく、リスナーが参加するような企画もなく、ただひたすらに魚の話をし続けるというものだ」
「……だれが聴いてんのさ、それ」
「魚マニアしか聴かないが、魚マニアなら全員聴いているような番組らしい。意外にも聴取率は悪くない」
なんだそりゃ。いや、ニッチ層狙いとしては、ある意味理想的なのかな?
「うーん、13分も喋り続けるとなると、かなり知識仕込まなきゃいけないね」
「共演者がいないため、収録の日は多少融通を利かせられるようだが……仕事は他にも山ほどある、準備のために勉強するぐらいなら、他に時間をあてた方がいいのではないか?」
「そうだね……じゃあこれもパスで」
14: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:15:44.17 ID:F6tUihmD0
「次にテレビのバラエティ番組、輿水幸子だな」
「出やがったな」
「どうする?」
「内容聞いてから決めるよ。どんなの?」
「……銛をもって崖から海に飛び込み、深いところに生息する魚を獲るというものだ」
「できるか!!」
「しかし、現地の住民は当たり前に行っている、伝統的な習慣で――」
「そいつらは子供のころから崖っぷちで遊んでんでしょ! いっしょにすんな!」
「だが、輿水はやる予定だったのだ」
頭を抱えたくなった。
この番組は視聴率も高く、幸子がレギュラーを務めるコーナーは特に人気が高い。CDの販売やライブといった音楽活動を除けば、ある意味では346の顔とも言っていいぐらいだ。たぶん金銭的にもイメージ的にも格別に影響がデカい。
それにしたってアイドルが崖から海ってなんだよ。幸子は本当に内容知らされていたのか? 私の記憶によると、たしかあの子は泳ぎが苦手なはずだけど。
「…………やるよ」
「うむ」
専務からは明らかな安堵の様子が見て取れた。
「やっぱやめる」と言いたくて仕方がないけど――ふと思いついてしまった。
「ねえ、そのへんって、珍しい魚がいたりする?」
「魚? ああ……企画書によると番組でメインの標的としている魚が美味であるにも関わらず広くは生息していないとのことで地元民から重宝されているようだが」
「だったらさ、それの撮影より後に『網よ聞いてくれ』の収録入れてよ。番組で見たり獲ったりした魚のこと話すから」
「……了解した」
舞踏会の内容変更はやっぱり大きな騒ぎになって、事務所には苦情の電話が殺到した。まあ無理もない。
このままだと、チケットを購入した人の多くは会場に足を運ぶこともしないだろう。だから、ここからの1週間が勝負だ。可能な限りの仕事を詰め込んで、『双葉杏』に興味を持ってもらわなきゃいけない。
「出やがったな」
「どうする?」
「内容聞いてから決めるよ。どんなの?」
「……銛をもって崖から海に飛び込み、深いところに生息する魚を獲るというものだ」
「できるか!!」
「しかし、現地の住民は当たり前に行っている、伝統的な習慣で――」
「そいつらは子供のころから崖っぷちで遊んでんでしょ! いっしょにすんな!」
「だが、輿水はやる予定だったのだ」
頭を抱えたくなった。
この番組は視聴率も高く、幸子がレギュラーを務めるコーナーは特に人気が高い。CDの販売やライブといった音楽活動を除けば、ある意味では346の顔とも言っていいぐらいだ。たぶん金銭的にもイメージ的にも格別に影響がデカい。
それにしたってアイドルが崖から海ってなんだよ。幸子は本当に内容知らされていたのか? 私の記憶によると、たしかあの子は泳ぎが苦手なはずだけど。
「…………やるよ」
「うむ」
専務からは明らかな安堵の様子が見て取れた。
「やっぱやめる」と言いたくて仕方がないけど――ふと思いついてしまった。
「ねえ、そのへんって、珍しい魚がいたりする?」
「魚? ああ……企画書によると番組でメインの標的としている魚が美味であるにも関わらず広くは生息していないとのことで地元民から重宝されているようだが」
「だったらさ、それの撮影より後に『網よ聞いてくれ』の収録入れてよ。番組で見たり獲ったりした魚のこと話すから」
「……了解した」
舞踏会の内容変更はやっぱり大きな騒ぎになって、事務所には苦情の電話が殺到した。まあ無理もない。
このままだと、チケットを購入した人の多くは会場に足を運ぶこともしないだろう。だから、ここからの1週間が勝負だ。可能な限りの仕事を詰め込んで、『双葉杏』に興味を持ってもらわなきゃいけない。
15: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:16:32.97 ID:F6tUihmD0
組み上がったスケジュールは、当然、朝から晩まで仕事尽くしだった。
学校へは行かない。出席日数はそれなりに確保していたので、2週間程度休んでもどうってことない。授業の遅れなんてのは、それこそ誰に言ってんのさってなもんだね。
ついでに、移動時間の削減のため、しばらく事務所に泊まり込むことにした。ここはベッドもあればシャワー室もある。エステルームには湯舟のついたお風呂もある。食事は元々自分で作ることはほとんどなかったから、寝るだけのために帰るぐらいなら、ここで生活したほうがよっぽど効率的だ。
諸々の方針を固め、当面の宿と決めた仮眠室で一夜を過ごし、いよいよ代役ラッシュが始まろうという朝、なにやら大きな段ボール箱をかかえて、専務がやってきた。
「なによりも気にしなくてはならないのは君と私、それに千川君の健康状態だ。君が新型インフルエンザに罹患した瞬間、我々は全てが終わる」
「まあ、そうだね」
「そこで、このようなものを用意した」
専務は箱を開き、その中身をふたつ、ゴトンと音を立てて机の上に置いた。
「これは……なに?」
「マスクだ。外に出る際はなるべくこれを着用してもらいたい」
マスク、うん、マスクだ。なにも間違ってはいない。
インフルエンザ予防にマスク、文句をつけられようはずもない。だけどさ、
「どう見てもデザインが『ガスマスク』なのは、いったいどういうこと?」
「通常販売され、使用されているような不織布のマスクでは、繊維の隙間がウイルスのサイズより大きいため、ウイルスは素通りできてしまう。全く効果がないわけではないが、対策として十分とは言えないらしい。真に機能性を追求するならば、どうしてもこのような形状になってしまうそうだ。……着けてみたまえ」
着けるというより装備すると言った方が正しいような、なんて思いながらとりあえず顔に当ててみる。ふちの部分は、ゴムか合成樹脂か、そんな感じの素材でできていて、隙間を作らずぴったりと肌に張り付いた。で、ベルトを後頭部で締める、と。
「……どう?」
「……なかなか似合っているぞ」
鏡を見てみると、ゲームだったら化学兵器を撒き散らすタイプの敵キャラみたいなのがそこにいた。菌だとかウイルスだとかにはいかにも強そうではあるけど……これ、ゴーグル部分は本当に必要だったのかな?
「専務も、着けてみてよ」
「そうだな……」
……うん、どう転んでも悪役だね、これは。
シュコーシュコーという呼吸音がふたつになり、サイボーグ同士の会合でもしている気分になってくる。
「ふむ……こころなしか、少し息苦しいな」
「専務もなかなか悪くないね。杏嫌いじゃないよそーゆーの」
「それはなによりだ」
と、互いを慰め合うように感想を口にしていると、ガチャリとドアを開ける音がして、
「あ、ここにいましたか」
同じマスクを装着したちひろさんが入ってきたもんだから、とうとう耐え切れなくなって吹き出してしまった。見ると、専務も顔を背けて小さく肩を震わせている。
「……あのですね、専務も杏ちゃんも、同じような姿をしてるんですからね。忘れないでくださいよ」
学校へは行かない。出席日数はそれなりに確保していたので、2週間程度休んでもどうってことない。授業の遅れなんてのは、それこそ誰に言ってんのさってなもんだね。
ついでに、移動時間の削減のため、しばらく事務所に泊まり込むことにした。ここはベッドもあればシャワー室もある。エステルームには湯舟のついたお風呂もある。食事は元々自分で作ることはほとんどなかったから、寝るだけのために帰るぐらいなら、ここで生活したほうがよっぽど効率的だ。
諸々の方針を固め、当面の宿と決めた仮眠室で一夜を過ごし、いよいよ代役ラッシュが始まろうという朝、なにやら大きな段ボール箱をかかえて、専務がやってきた。
「なによりも気にしなくてはならないのは君と私、それに千川君の健康状態だ。君が新型インフルエンザに罹患した瞬間、我々は全てが終わる」
「まあ、そうだね」
「そこで、このようなものを用意した」
専務は箱を開き、その中身をふたつ、ゴトンと音を立てて机の上に置いた。
「これは……なに?」
「マスクだ。外に出る際はなるべくこれを着用してもらいたい」
マスク、うん、マスクだ。なにも間違ってはいない。
インフルエンザ予防にマスク、文句をつけられようはずもない。だけどさ、
「どう見てもデザインが『ガスマスク』なのは、いったいどういうこと?」
「通常販売され、使用されているような不織布のマスクでは、繊維の隙間がウイルスのサイズより大きいため、ウイルスは素通りできてしまう。全く効果がないわけではないが、対策として十分とは言えないらしい。真に機能性を追求するならば、どうしてもこのような形状になってしまうそうだ。……着けてみたまえ」
着けるというより装備すると言った方が正しいような、なんて思いながらとりあえず顔に当ててみる。ふちの部分は、ゴムか合成樹脂か、そんな感じの素材でできていて、隙間を作らずぴったりと肌に張り付いた。で、ベルトを後頭部で締める、と。
「……どう?」
「……なかなか似合っているぞ」
鏡を見てみると、ゲームだったら化学兵器を撒き散らすタイプの敵キャラみたいなのがそこにいた。菌だとかウイルスだとかにはいかにも強そうではあるけど……これ、ゴーグル部分は本当に必要だったのかな?
「専務も、着けてみてよ」
「そうだな……」
……うん、どう転んでも悪役だね、これは。
シュコーシュコーという呼吸音がふたつになり、サイボーグ同士の会合でもしている気分になってくる。
「ふむ……こころなしか、少し息苦しいな」
「専務もなかなか悪くないね。杏嫌いじゃないよそーゆーの」
「それはなによりだ」
と、互いを慰め合うように感想を口にしていると、ガチャリとドアを開ける音がして、
「あ、ここにいましたか」
同じマスクを装着したちひろさんが入ってきたもんだから、とうとう耐え切れなくなって吹き出してしまった。見ると、専務も顔を背けて小さく肩を震わせている。
「……あのですね、専務も杏ちゃんも、同じような姿をしてるんですからね。忘れないでくださいよ」
16: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:18:15.50 ID:F6tUihmD0
私は専務の運転する車の助手席に座って、テレビ局に向かった。
そこで待っている仕事はトーク番組のゲスト役で、本来の出演者は相葉夕美さんだった。特に揉めるようなこともなく代役を認めてもらえたため、専務は付き添わずに私を降ろしたあとは別のところに打ち合わせに向かうらしい。
「専務、自分で運転できるんだ。重役なんてのは後ろでふんぞり返ってるもんだと思ってたよ」
「しばらくアメリカにいたからな。向こうでは車の運転をできないというのは脚がないに等しい」
「そういえばそうだったね。これ社用車じゃないよね、専務の車?」
「そうだ。……グローブボックスを開けてみたまえ」
グローブボックスってこれかな? と助手席前の収納を開く。中には、飴の袋が大量に詰まっていた。
「好きなだけ取っていい」
「うん、どうも」
私は袋をひとつ開け、中の飴を10個ほど取って自分のバッグに移した。
「む? 袋ごと持っていってかまわないぞ。ひとつといわずいくらでも」
「んー、杏にはちょっとした持論があってね、飴は人からもらって食べるのがいちばん美味しいんだよ。いっぱいもらいすぎると、一度自分のものになったって感じがして、食べるときに感動が薄れちゃうからさ。なくなったらまたちょうだい」
「そういうものか、いくつぐらいが境界線になるのかな?」
「さてね、考えたことないけど、せいぜい両手でつかめるぐらいかな」
「なるほど……ところで話は変わるが、これから君が出演する番組、きっちりした台本はない、ほぼフリートークだそうだ。急な話だが、大丈夫か?」
「そうだね……せっかくだから、このマスクを被って出るよ。まず見た目が面白いしね、これの話だけで乗り切れると思う」
膝の上に乗せたガスマスクもどきをぽんぽんと叩く。
「なるほど、悪くない」
「あ、いいんだ? 専務、そーゆーの嫌いかなって思ってたけど」
そこで待っている仕事はトーク番組のゲスト役で、本来の出演者は相葉夕美さんだった。特に揉めるようなこともなく代役を認めてもらえたため、専務は付き添わずに私を降ろしたあとは別のところに打ち合わせに向かうらしい。
「専務、自分で運転できるんだ。重役なんてのは後ろでふんぞり返ってるもんだと思ってたよ」
「しばらくアメリカにいたからな。向こうでは車の運転をできないというのは脚がないに等しい」
「そういえばそうだったね。これ社用車じゃないよね、専務の車?」
「そうだ。……グローブボックスを開けてみたまえ」
グローブボックスってこれかな? と助手席前の収納を開く。中には、飴の袋が大量に詰まっていた。
「好きなだけ取っていい」
「うん、どうも」
私は袋をひとつ開け、中の飴を10個ほど取って自分のバッグに移した。
「む? 袋ごと持っていってかまわないぞ。ひとつといわずいくらでも」
「んー、杏にはちょっとした持論があってね、飴は人からもらって食べるのがいちばん美味しいんだよ。いっぱいもらいすぎると、一度自分のものになったって感じがして、食べるときに感動が薄れちゃうからさ。なくなったらまたちょうだい」
「そういうものか、いくつぐらいが境界線になるのかな?」
「さてね、考えたことないけど、せいぜい両手でつかめるぐらいかな」
「なるほど……ところで話は変わるが、これから君が出演する番組、きっちりした台本はない、ほぼフリートークだそうだ。急な話だが、大丈夫か?」
「そうだね……せっかくだから、このマスクを被って出るよ。まず見た目が面白いしね、これの話だけで乗り切れると思う」
膝の上に乗せたガスマスクもどきをぽんぽんと叩く。
「なるほど、悪くない」
「あ、いいんだ? 専務、そーゆーの嫌いかなって思ってたけど」
17: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:18:54.50 ID:F6tUihmD0
「……ひとつ、つまらない話でもしようか」
「うん?」
「私の親族は皆学業が優秀で、有名な大学に入るか、あるいは海外留学するのが当たり前となっている。私自身も、あえて名前は伏せるが、およそ誰でも知っているであろうところの出身だ」
「あー、なんかそういう家系ってあるよね」
「だが、自分のことだからわかるのだが、私は決して生まれつき頭の良い人間ではない。いわゆるガリ勉というものだよ。子供のころから、ろくに遊びもせずに勉強ばかりしていた。その甲斐あってか、常に学校の成績はよかったが」
「そうなんだ」
「そんなある日――たしか中学生のころだったかな、当時の同級生から言われて、ずっと覚えている言葉がある。どのような話の流れでその言葉が発せられたのかは忘れてしまったが、『美城さんは頭がいいから、私たちの気持ちはわからないよ』というものだ。……よくある話だろう?」
「よくあるのかは知らないけど、よく聞くような話ではあるね」
「それを聞いて、別段ショックを受けたわけではない。ただ、『それは間違っている』と思った。一族の落ちこぼれと呼ばれないよう必死に勉学に励んでいた私は、できない人間の想いなんてものは、誰よりも強く知っていたのだから。それを言った娘などよりも、遥かにな」
「そうだろうね」
「しかし、ときどき思うことがある。できない人間の気持ちは、私を含め多くの人間が理解できるだろう。この世のほとんどは、そういった持たざる者だからな。――だが、それならば、本当に最初からできる人間の想いというものは、いったい、誰に理解してもらえるのだろうな?」
「……なにが言いたいのさ」
「有能すぎるのも困り物だ、ということだよ。きっと天才には天才の、私のような凡人には及びもつかないような苦悶があるのだろう。凡人には無数の同志がいる。しかし、天才はそうではない。違うかな?」
「そんなの、杏にはわかんないよ」
「そうか」
そうこうしているうちにテレビ局に到着し、私は車から降りた。
「私はなにも要求しない。君は君の、思うがままに振る舞いたまえ、おそらく、それが最もよい結果をもたらすのだろうからな」
そう言い残して、専務の車は走り去っていった。
「……買い被りすぎだっての」
「うん?」
「私の親族は皆学業が優秀で、有名な大学に入るか、あるいは海外留学するのが当たり前となっている。私自身も、あえて名前は伏せるが、およそ誰でも知っているであろうところの出身だ」
「あー、なんかそういう家系ってあるよね」
「だが、自分のことだからわかるのだが、私は決して生まれつき頭の良い人間ではない。いわゆるガリ勉というものだよ。子供のころから、ろくに遊びもせずに勉強ばかりしていた。その甲斐あってか、常に学校の成績はよかったが」
「そうなんだ」
「そんなある日――たしか中学生のころだったかな、当時の同級生から言われて、ずっと覚えている言葉がある。どのような話の流れでその言葉が発せられたのかは忘れてしまったが、『美城さんは頭がいいから、私たちの気持ちはわからないよ』というものだ。……よくある話だろう?」
「よくあるのかは知らないけど、よく聞くような話ではあるね」
「それを聞いて、別段ショックを受けたわけではない。ただ、『それは間違っている』と思った。一族の落ちこぼれと呼ばれないよう必死に勉学に励んでいた私は、できない人間の想いなんてものは、誰よりも強く知っていたのだから。それを言った娘などよりも、遥かにな」
「そうだろうね」
「しかし、ときどき思うことがある。できない人間の気持ちは、私を含め多くの人間が理解できるだろう。この世のほとんどは、そういった持たざる者だからな。――だが、それならば、本当に最初からできる人間の想いというものは、いったい、誰に理解してもらえるのだろうな?」
「……なにが言いたいのさ」
「有能すぎるのも困り物だ、ということだよ。きっと天才には天才の、私のような凡人には及びもつかないような苦悶があるのだろう。凡人には無数の同志がいる。しかし、天才はそうではない。違うかな?」
「そんなの、杏にはわかんないよ」
「そうか」
そうこうしているうちにテレビ局に到着し、私は車から降りた。
「私はなにも要求しない。君は君の、思うがままに振る舞いたまえ、おそらく、それが最もよい結果をもたらすのだろうからな」
そう言い残して、専務の車は走り去っていった。
「……買い被りすぎだっての」
18: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:20:18.54 ID:F6tUihmD0
〇
中学校3年生になり、進路について考え始めるころ「東京の高校に行きたい」と言ってみた。
『頭はいいけど運動はからっきしの怠け者』、その頃の私に対して、学校の友人や教師なんかが持つイメージはそんなもの。だけど両親だけはそれが私の創作であることを知っていた。
自分が愛されていないなんて思ったことは、ただの一度もない。父も母も、ひとり娘である私を、十分過ぎるほどに愛し、可愛がり、甘やかしてくれたと思う。
だけど、どれだけ愛しても、自分たちの子だと己に言い聞かせても、心の片隅に常にくすぶり続ける、得体の知れない怪物への恐怖、私にはそれが見えてしまった。
それは論理ではなく、もっと根源的な、本能のようなものなのだろう。だから私はそれを責めようなんて思わなかった。それはそういうもので、仕方のないことなんだと理解していた。
そして、実の娘に対して恐怖を抱かざるを得ない父母を、少し、可哀想だと思った。
だから、これはひとつの転機だ。このふたりを開放してあげるための。
先に教師を篭絡した。「よりレベルの高いところで、自分の力を試したい」あまりに使い古されていて、手垢で真っ黒になっているような文句であったが、中学3年生の担任教師は、ものの見事に言葉通りに受け取ってくれた。どこか感動すらしているようだった。
両親は、それなりに渋りはしたものの、教師の後押しもあってか、最終的にはそれを認めてくれた。
元々ウチはお金はけっこうある方で、ひとまずは成人するまでという条件で、東京でひとり暮らしするにしても十分すぎるくらいの仕送りも約束してくれた。
受験が終わり、中学校を卒業し、晴れて東京でのひとり暮らしが始まる。
ひとりってのは、やっぱり自由気ままなもんで、とにかく楽だったね。誰にも気を遣わなくていい生活がこんなに心地よいものだとは知らなかったよ。こっちに来てよかったって、心の底から思ったさ。
まあ、親元を離れて、寂しくはなかったかと言われれば、
寂しかったよ。寂しくないわけがない。
〇
中学校3年生になり、進路について考え始めるころ「東京の高校に行きたい」と言ってみた。
『頭はいいけど運動はからっきしの怠け者』、その頃の私に対して、学校の友人や教師なんかが持つイメージはそんなもの。だけど両親だけはそれが私の創作であることを知っていた。
自分が愛されていないなんて思ったことは、ただの一度もない。父も母も、ひとり娘である私を、十分過ぎるほどに愛し、可愛がり、甘やかしてくれたと思う。
だけど、どれだけ愛しても、自分たちの子だと己に言い聞かせても、心の片隅に常にくすぶり続ける、得体の知れない怪物への恐怖、私にはそれが見えてしまった。
それは論理ではなく、もっと根源的な、本能のようなものなのだろう。だから私はそれを責めようなんて思わなかった。それはそういうもので、仕方のないことなんだと理解していた。
そして、実の娘に対して恐怖を抱かざるを得ない父母を、少し、可哀想だと思った。
だから、これはひとつの転機だ。このふたりを開放してあげるための。
先に教師を篭絡した。「よりレベルの高いところで、自分の力を試したい」あまりに使い古されていて、手垢で真っ黒になっているような文句であったが、中学3年生の担任教師は、ものの見事に言葉通りに受け取ってくれた。どこか感動すらしているようだった。
両親は、それなりに渋りはしたものの、教師の後押しもあってか、最終的にはそれを認めてくれた。
元々ウチはお金はけっこうある方で、ひとまずは成人するまでという条件で、東京でひとり暮らしするにしても十分すぎるくらいの仕送りも約束してくれた。
受験が終わり、中学校を卒業し、晴れて東京でのひとり暮らしが始まる。
ひとりってのは、やっぱり自由気ままなもんで、とにかく楽だったね。誰にも気を遣わなくていい生活がこんなに心地よいものだとは知らなかったよ。こっちに来てよかったって、心の底から思ったさ。
まあ、親元を離れて、寂しくはなかったかと言われれば、
寂しかったよ。寂しくないわけがない。
〇
19: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:23:22.82 ID:F6tUihmD0
覚悟はしていたつもりだったけど、仕事漬けの日々はなかなかにキツいものだった。
朝から晩まで働きに働き、事務所に帰ったらベッドに倒れ込んで気絶するように眠る。入浴する気力なんて残ってるはずもなく、翌朝大急ぎでシャワーを浴びて、また仕事に出かける。空いた時間なんて全くない。湯舟に漬かれるなんて言ったのはどこの誰だろう、私か。
ボロ雑巾みたいになりながら仕事を消化し、あとは事務所に帰るだけ、というある日、珍しくちひろさんが迎えにきた。
「ちひろさんも運転できたんだ?」
助手席から問いかける。
「ほとんど通勤にしか使ってませんけどね」
「そういえば、これも社用車じゃないよね、ちひろさんの?」
「はい、乗り慣れてない車だと怖いので」
すると、この車内はちひろさんのプライベート空間ってわけだね。
どれどれ、とグローブボックスを開けてみる。
「あ! 杏ちゃん!? ……見てしまいましたね?」
「うん、1本もらうね」
ぎっしりとエナジードリンク、通称エナドリが詰め込まれていた。
「はぁ……1本だけですよ」
このエナドリと、姉妹商品のスタドリは、元々はそこらのコンビニでも売られていたんだけど、ある時期に何件かの死亡事故が相次いで起こったことによって、今は一般販売はされていない。
死因はカフェイン中毒。これらには多量のカフェインが含まれていて、眠気覚まし的な用途で絶大な人気があった。それを多量摂取した結果――というわけだ。
多量とは言っても、1日に1本や2本、どころか5本や10本飲んだところで、致死量には至らないはずで、死んでしまった人は、ちょっと普通では考えられないような量を飲んでいたことになる。だから商品自体に問題があるわけじゃない。
それでも、人が死んだとなるとイメージが悪いのだろう。コンビニやスーパーといった小売り業者がことごとく販売自粛をし、すっかり店頭で見かけることはなくなった。
しかしメーカー側もなかなかにしぶといもので、一般販売からは撤退した代わりに、企業向けの販売を始めた。元々サラリーマンが主な顧客だったこともあってか、人気は根強く、これはこれで商売として成り立っているらしい。
346プロでは、ちひろさんがこの購入と管理を一手に引き受けている。社員はちひろさんに申請し、エナドリもしくはスタドリをもらう、その代金は給料から直接引かれるそうだ。
また、この2種の商品は、一般販売がなくなったせいで、ちょっとしたプレミア的価値が付き、たまにネットオークションで定価の2~3倍ぐらいの値段で取引がされている。
そんな事情もあって、社内ではちひろさんが立場を利用してこれらの横流しを行い、私腹を肥やしてるんじゃないかという黒い噂も――
「――流れてるんだけど、知ってる?」
「知ってますけどね、根も葉もない噂ですよ! 私がそんなことするはずないでしょう!」
「んー、でも杏だったらやるかも……だって確実に儲かるでしょ、それ」
「そんなの、バレたら確実に一発でクビですよ。私、これでも同年代にしちゃ、かなりいいお給料もらってるんですからね、そんなチンケな小遣い稼ぎのために首を賭けるようなリスクは背負いません!」
「なるほど、なかなか説得力あるね」
けらけらと笑いながら運転席に目を向ける。ハンドルを握るちひろさんは不満そうに頬を膨らませていた。かわいらしいことで。
最近のちひろさんは、外での仕事が多くなったためか、いつもの黄緑色のジャケットは封印し、ダークグレーのパンツスーツを着て、綱引きの綱みたいな三つ編みもほどいている。
こうやって見ると、なかなか『デキる女』という感じがしてかっこいい。
「……ちひろさんて、彼氏いないの?」
言った直後、車が急停止する。シートベルトが食い込んで痛かった。
「杏ちゃん……今事故なんて起こすわけにはいかないんですからね? あんまり変なこと言わないでください!」
「ごめんごめん」
どうやら地雷を踏んだらしい。この手の話はやめとこう。
朝から晩まで働きに働き、事務所に帰ったらベッドに倒れ込んで気絶するように眠る。入浴する気力なんて残ってるはずもなく、翌朝大急ぎでシャワーを浴びて、また仕事に出かける。空いた時間なんて全くない。湯舟に漬かれるなんて言ったのはどこの誰だろう、私か。
ボロ雑巾みたいになりながら仕事を消化し、あとは事務所に帰るだけ、というある日、珍しくちひろさんが迎えにきた。
「ちひろさんも運転できたんだ?」
助手席から問いかける。
「ほとんど通勤にしか使ってませんけどね」
「そういえば、これも社用車じゃないよね、ちひろさんの?」
「はい、乗り慣れてない車だと怖いので」
すると、この車内はちひろさんのプライベート空間ってわけだね。
どれどれ、とグローブボックスを開けてみる。
「あ! 杏ちゃん!? ……見てしまいましたね?」
「うん、1本もらうね」
ぎっしりとエナジードリンク、通称エナドリが詰め込まれていた。
「はぁ……1本だけですよ」
このエナドリと、姉妹商品のスタドリは、元々はそこらのコンビニでも売られていたんだけど、ある時期に何件かの死亡事故が相次いで起こったことによって、今は一般販売はされていない。
死因はカフェイン中毒。これらには多量のカフェインが含まれていて、眠気覚まし的な用途で絶大な人気があった。それを多量摂取した結果――というわけだ。
多量とは言っても、1日に1本や2本、どころか5本や10本飲んだところで、致死量には至らないはずで、死んでしまった人は、ちょっと普通では考えられないような量を飲んでいたことになる。だから商品自体に問題があるわけじゃない。
それでも、人が死んだとなるとイメージが悪いのだろう。コンビニやスーパーといった小売り業者がことごとく販売自粛をし、すっかり店頭で見かけることはなくなった。
しかしメーカー側もなかなかにしぶといもので、一般販売からは撤退した代わりに、企業向けの販売を始めた。元々サラリーマンが主な顧客だったこともあってか、人気は根強く、これはこれで商売として成り立っているらしい。
346プロでは、ちひろさんがこの購入と管理を一手に引き受けている。社員はちひろさんに申請し、エナドリもしくはスタドリをもらう、その代金は給料から直接引かれるそうだ。
また、この2種の商品は、一般販売がなくなったせいで、ちょっとしたプレミア的価値が付き、たまにネットオークションで定価の2~3倍ぐらいの値段で取引がされている。
そんな事情もあって、社内ではちひろさんが立場を利用してこれらの横流しを行い、私腹を肥やしてるんじゃないかという黒い噂も――
「――流れてるんだけど、知ってる?」
「知ってますけどね、根も葉もない噂ですよ! 私がそんなことするはずないでしょう!」
「んー、でも杏だったらやるかも……だって確実に儲かるでしょ、それ」
「そんなの、バレたら確実に一発でクビですよ。私、これでも同年代にしちゃ、かなりいいお給料もらってるんですからね、そんなチンケな小遣い稼ぎのために首を賭けるようなリスクは背負いません!」
「なるほど、なかなか説得力あるね」
けらけらと笑いながら運転席に目を向ける。ハンドルを握るちひろさんは不満そうに頬を膨らませていた。かわいらしいことで。
最近のちひろさんは、外での仕事が多くなったためか、いつもの黄緑色のジャケットは封印し、ダークグレーのパンツスーツを着て、綱引きの綱みたいな三つ編みもほどいている。
こうやって見ると、なかなか『デキる女』という感じがしてかっこいい。
「……ちひろさんて、彼氏いないの?」
言った直後、車が急停止する。シートベルトが食い込んで痛かった。
「杏ちゃん……今事故なんて起こすわけにはいかないんですからね? あんまり変なこと言わないでください!」
「ごめんごめん」
どうやら地雷を踏んだらしい。この手の話はやめとこう。
20: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:24:16.76 ID:F6tUihmD0
「じゃあ、なんかつまらない話してよ」
「また奇妙なオーダーしますね。そんなの言われたの初めてですよ」
「いや、こないだ専務に送ってもらったときにさ――」
先日専務と交わした会話をかいつまんで説明する。
できない人間の気持ちなんてものは、多くの人間が理解できる。だったら本当に最初からできる人間の想いは誰に理解してもらえるのだろう――というアレだ。
「ううん……私の考えは、専務とは少し違いますね」
「というと?」
「まず、凡人同士が理解しあってるというのが正しいか、私には疑問ですね」
「そっからなんだ」
「はい、たとえばですね『緑色の大きいの』って言ったら、なにを思い浮かべます?」
「うん? それだけだと何個か思いつくから……どれ言えばいいんだろ?」
「それが正しいんですよ。杏ちゃんはさすがですね」
「いや、意味が分からないよ。説明を求める」
「こういう質問を受けて思い当たるものがひとつしかないと、それのことだと思い込んでしまうみたいですよ」
「ふむ?」
「あるふたりで『緑色の大きいの』の話をしていたとします。どちらも、その特徴に当たるものはひとつしか知りません。だけどそれぞれは別のものを思い浮かべていて、えーと……片方が超人ハルクで、もう片方がドラゴンクエストのギガンテスだったとします」
「まあ、条件は満たしてるね。それで?」
「これでも会話が成り立ったりするんですよ。注意すれば『なんか変だな?』って思うはずなんですけどね。注意なんてしませんから。それでどうなるかというと、ひとりは『ハルクについて語り合った』、もうひとりは『ギガンテスについて語り合った』という認識になります」
「んー、なんとなくわかったけど、つまり?」
「本当は理解しあってるんじゃなくて、理解したと勘違いしている、ということですね」
「ひどい結論だ」
「そんなことないですよ」
「そう?」
「本当に理解しあいたいと思ったら、伝えようとする努力を、受け手は理解しようとする努力が必要です。なにもしなくても勝手に通じ合えるというのが間違いなんです。私は『最初からできる人間』が他人からは理解されないとも思いません。どうせわからないだろうという先入観で、伝える努力を放棄してるんじゃないですか?」
「ほほー」
「もちろん、それでも伝わるとは限りませんけどね、一方通行じゃ意味がないですし。……つまり私は、能力ではなくて意思の問題だと思うんです。伝えようとする意思と理解しようとする意志、双方にそれがあるのなら、誰だって、ちゃんと分かりあえます」
「なるほどね。なかなか面白い。そんで、ちひろさんて意外と理屈っぽいんだね」
「あ、すみません、なんかつい……」
「こりゃあモテないわ」
「杏ちゃん?」
「また奇妙なオーダーしますね。そんなの言われたの初めてですよ」
「いや、こないだ専務に送ってもらったときにさ――」
先日専務と交わした会話をかいつまんで説明する。
できない人間の気持ちなんてものは、多くの人間が理解できる。だったら本当に最初からできる人間の想いは誰に理解してもらえるのだろう――というアレだ。
「ううん……私の考えは、専務とは少し違いますね」
「というと?」
「まず、凡人同士が理解しあってるというのが正しいか、私には疑問ですね」
「そっからなんだ」
「はい、たとえばですね『緑色の大きいの』って言ったら、なにを思い浮かべます?」
「うん? それだけだと何個か思いつくから……どれ言えばいいんだろ?」
「それが正しいんですよ。杏ちゃんはさすがですね」
「いや、意味が分からないよ。説明を求める」
「こういう質問を受けて思い当たるものがひとつしかないと、それのことだと思い込んでしまうみたいですよ」
「ふむ?」
「あるふたりで『緑色の大きいの』の話をしていたとします。どちらも、その特徴に当たるものはひとつしか知りません。だけどそれぞれは別のものを思い浮かべていて、えーと……片方が超人ハルクで、もう片方がドラゴンクエストのギガンテスだったとします」
「まあ、条件は満たしてるね。それで?」
「これでも会話が成り立ったりするんですよ。注意すれば『なんか変だな?』って思うはずなんですけどね。注意なんてしませんから。それでどうなるかというと、ひとりは『ハルクについて語り合った』、もうひとりは『ギガンテスについて語り合った』という認識になります」
「んー、なんとなくわかったけど、つまり?」
「本当は理解しあってるんじゃなくて、理解したと勘違いしている、ということですね」
「ひどい結論だ」
「そんなことないですよ」
「そう?」
「本当に理解しあいたいと思ったら、伝えようとする努力を、受け手は理解しようとする努力が必要です。なにもしなくても勝手に通じ合えるというのが間違いなんです。私は『最初からできる人間』が他人からは理解されないとも思いません。どうせわからないだろうという先入観で、伝える努力を放棄してるんじゃないですか?」
「ほほー」
「もちろん、それでも伝わるとは限りませんけどね、一方通行じゃ意味がないですし。……つまり私は、能力ではなくて意思の問題だと思うんです。伝えようとする意思と理解しようとする意志、双方にそれがあるのなら、誰だって、ちゃんと分かりあえます」
「なるほどね。なかなか面白い。そんで、ちひろさんて意外と理屈っぽいんだね」
「あ、すみません、なんかつい……」
「こりゃあモテないわ」
「杏ちゃん?」
21: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:26:04.85 ID:F6tUihmD0
〇
『アイドルに興味はありませんか』
東京でのひとり暮らしを謳歌していたある日、買い物をし過ぎて重みによろめいていた私の荷物持ちを手伝ってくれた男の人が、そんなことを言った。
まず抱いた感想は「詐欺かな」だったよ。たぶん誰だってそう思う、私もそう思う。
男の人は、その反応には慣れているといった様子で名刺を差し出してきた。346プロダクション……私でも知ってる、大手の芸能事務所だね。
アイドルなんてものに憧れは持っていなかったけど、お金の話には興味を引かれた。
上京してからの私は自堕落の見本のような生活をしていて、すっかり怠け癖がついていた。できることなら、一生のんびりダラダラと、なにも思い煩うことなく生きていたかった。
猫を被ると後々面倒臭い、いっそ堂々と印税の話を聞かせてもらおう。と、駄目で元々の気持ちで、私はオーディション会場に行った。そこで初めて、きらりと出会った。
オーディションを受け、なんだかんだで、私は合格してしまった。本当にいいのか? それで。
建物を出ると、同じく受かったらしい、きらりがはしゃいでいた。同僚、ってことになるのかな?
せっかくだからと帰り道の途中まで、いっしょに歩いて、少し話をした。
きれいな衣装、すてきな歌、キラキラのステージ、か。私にはよくわからない。私が求めるのは植物のような平穏な人生というもので、申し訳ないけど、きらりが並べ立てたそれらには全く興味が湧かなかった。
だけど、「怖がられたくない」っていう、その気持ちだけは、痛いほどによくわかった。
私はなにも変わらない。でも、仲間ができた。
〇
『アイドルに興味はありませんか』
東京でのひとり暮らしを謳歌していたある日、買い物をし過ぎて重みによろめいていた私の荷物持ちを手伝ってくれた男の人が、そんなことを言った。
まず抱いた感想は「詐欺かな」だったよ。たぶん誰だってそう思う、私もそう思う。
男の人は、その反応には慣れているといった様子で名刺を差し出してきた。346プロダクション……私でも知ってる、大手の芸能事務所だね。
アイドルなんてものに憧れは持っていなかったけど、お金の話には興味を引かれた。
上京してからの私は自堕落の見本のような生活をしていて、すっかり怠け癖がついていた。できることなら、一生のんびりダラダラと、なにも思い煩うことなく生きていたかった。
猫を被ると後々面倒臭い、いっそ堂々と印税の話を聞かせてもらおう。と、駄目で元々の気持ちで、私はオーディション会場に行った。そこで初めて、きらりと出会った。
オーディションを受け、なんだかんだで、私は合格してしまった。本当にいいのか? それで。
建物を出ると、同じく受かったらしい、きらりがはしゃいでいた。同僚、ってことになるのかな?
せっかくだからと帰り道の途中まで、いっしょに歩いて、少し話をした。
きれいな衣装、すてきな歌、キラキラのステージ、か。私にはよくわからない。私が求めるのは植物のような平穏な人生というもので、申し訳ないけど、きらりが並べ立てたそれらには全く興味が湧かなかった。
だけど、「怖がられたくない」っていう、その気持ちだけは、痛いほどによくわかった。
私はなにも変わらない。でも、仲間ができた。
〇
22: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:27:05.34 ID:F6tUihmD0
そして、346プロダクションの命運を賭けた、たったひとりの舞踏会、
ハイパーニートを迎える朝が訪れる。
ハイパーニートを迎える朝が訪れる。
23: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:28:37.86 ID:F6tUihmD0
午前中に何件かの取材をこなし、午後からは通しのリハーサルをおこなった。
といっても、実際に歌ったり踊ったりはしない。ステージ中央に組み立てたパイプ椅子に腰掛け、セットリスト(ほぼ私の独断で決めた)の通りに曲が流れたり照明が変わったりする様子を眺めていた。
はたから見ていると、「意味あるのか?」と思われるかもしれない。でも、もちろんある。リハーサルは音響、照明、その他諸々のスタッフにも必要だし、私にも絶対に必要だった。
リハーサルはつつがなく終了し、開場が始まる。
しばらくして、スタッフから報告が届く。『ほぼ満員』だって。
それを聞いた私は、魂が抜けてっちゃいそうなぐらい心の底から安堵した。崖からダイブした甲斐があったってもんだよ。
開演までの間、私にできることはなにもない。
スタッフがあわただしく駆け回る中、私は楽屋でソファに腰掛け、ぼうっとその時を待っていた。
前回は、出演者で集まって円陣を組んで、掛け声を唱和とかしてたな、私は内心「面倒臭いなぁ」なんて思いながら付き合っていたけど、なんだかそれを懐かしく感じてしまう。大きな会場で、ひとりきりの楽屋は、とてもとても広い。
……寂しがってる場合じゃないでしょ、これから一世一代の大舞台だってのにさ。
ドアをノックする音が耳に届く。「どうぞ」と言うと、専務が部屋に入ってきた。
「失礼する。……邪魔ではなかったか?」
「ん、へーき。こんなとこに来てていいの? 忙しいんじゃない?」
「この段階まで来てしまえば、責任者にできることなどないよ。下手にうろついていてもお荷物になるだけだ」
「そうかもね。それで杏の楽屋まで逃げてきたんだ?」
「もし迷惑でなければ、君相手につまらない話でもしようかと思ってな」
「奇遇だね。杏もちょうど、専務のつまらない話を聞きたいと思ってたところだよ」
専務はふっと小さく笑った。
といっても、実際に歌ったり踊ったりはしない。ステージ中央に組み立てたパイプ椅子に腰掛け、セットリスト(ほぼ私の独断で決めた)の通りに曲が流れたり照明が変わったりする様子を眺めていた。
はたから見ていると、「意味あるのか?」と思われるかもしれない。でも、もちろんある。リハーサルは音響、照明、その他諸々のスタッフにも必要だし、私にも絶対に必要だった。
リハーサルはつつがなく終了し、開場が始まる。
しばらくして、スタッフから報告が届く。『ほぼ満員』だって。
それを聞いた私は、魂が抜けてっちゃいそうなぐらい心の底から安堵した。崖からダイブした甲斐があったってもんだよ。
開演までの間、私にできることはなにもない。
スタッフがあわただしく駆け回る中、私は楽屋でソファに腰掛け、ぼうっとその時を待っていた。
前回は、出演者で集まって円陣を組んで、掛け声を唱和とかしてたな、私は内心「面倒臭いなぁ」なんて思いながら付き合っていたけど、なんだかそれを懐かしく感じてしまう。大きな会場で、ひとりきりの楽屋は、とてもとても広い。
……寂しがってる場合じゃないでしょ、これから一世一代の大舞台だってのにさ。
ドアをノックする音が耳に届く。「どうぞ」と言うと、専務が部屋に入ってきた。
「失礼する。……邪魔ではなかったか?」
「ん、へーき。こんなとこに来てていいの? 忙しいんじゃない?」
「この段階まで来てしまえば、責任者にできることなどないよ。下手にうろついていてもお荷物になるだけだ」
「そうかもね。それで杏の楽屋まで逃げてきたんだ?」
「もし迷惑でなければ、君相手につまらない話でもしようかと思ってな」
「奇遇だね。杏もちょうど、専務のつまらない話を聞きたいと思ってたところだよ」
専務はふっと小さく笑った。
24: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:29:32.25 ID:F6tUihmD0
「インフルエンザの大量罹患が判明した最初の日、私と君と千川君で、専務室に集まったときのことを覚えているか?」
「一生忘れられそうにないね」
「あのとき私は、アイドル部門を解散すると言った。それが、損害を最も少なくする方針であったからだ。あの判断は、今でも間違っていなかったと思っている。私は立場上、被害を最小限に留める義務があった」
「そうだろうね」
「だが、その後の君の提案を聞いて、心が揺らいだ。……我が社のアイドルでは、単純な人気、知名度で言えば、君よりも高垣楓や渋谷凛のほうが上だ。しかし私は、仮に残ったのが君ではなくあのふたりのいずれかで、同様の提案を受けたとしても、首を縦には振らなかったろう」
「なんで?」
「不可能だからだ、彼女らには。わかっているだろう?」
「どうだろうね」
「双葉杏、君は合理的な人間だ。失敗の可能性が高いことに固執するよりは、別のところでリカバリーをはかるといった考え方をする。良くも悪くも諦めがいいとでもいうのかな」
「まあ、否定はしないよ」
「その君が、できると言った。あの時の君は、感情に流されているようには見えなかった。機械のように冷静に、冷徹に計算した上で、あの提案をしたように見えた。……私は自分の判断に自信が持てなくなった。そして、君の提案を受け入れた。責任者としては失格だろうがな」
「感謝してるよ、ホントにね」
コンコンとノックの音が鳴る。時計を見ると間もなく開演時間だった。スタッフが私を呼びに来たんだろう。
最後に大鏡で自分の姿をチェックする。髪・衣装・メイク、問題なし――あとは、これか。
「準備完了。じゃ、行ってくるね」
「……普通であれば、これから舞台に立つ演者にプレッシャーを与えてはいけないのだろうが、君は緊張などとは無縁なようだから、遠慮なく言わせてもらおうかな。この舞踏会、成功を期待している。君ならできる。おそらく、君にしかできない」
「専務ってさ、けっこう人をおだてるの上手いよね。重役の椅子なんか捨ててプロデューサーにでもなればいいよ」
「それも悪くない」
どこまで本気で言ってるんだか、と苦笑しながら、楽屋を出てスタンバイ位置へと向かう。
まあ、おかげさまで、ちょっとだけ、
「気合い入ったよ」
「一生忘れられそうにないね」
「あのとき私は、アイドル部門を解散すると言った。それが、損害を最も少なくする方針であったからだ。あの判断は、今でも間違っていなかったと思っている。私は立場上、被害を最小限に留める義務があった」
「そうだろうね」
「だが、その後の君の提案を聞いて、心が揺らいだ。……我が社のアイドルでは、単純な人気、知名度で言えば、君よりも高垣楓や渋谷凛のほうが上だ。しかし私は、仮に残ったのが君ではなくあのふたりのいずれかで、同様の提案を受けたとしても、首を縦には振らなかったろう」
「なんで?」
「不可能だからだ、彼女らには。わかっているだろう?」
「どうだろうね」
「双葉杏、君は合理的な人間だ。失敗の可能性が高いことに固執するよりは、別のところでリカバリーをはかるといった考え方をする。良くも悪くも諦めがいいとでもいうのかな」
「まあ、否定はしないよ」
「その君が、できると言った。あの時の君は、感情に流されているようには見えなかった。機械のように冷静に、冷徹に計算した上で、あの提案をしたように見えた。……私は自分の判断に自信が持てなくなった。そして、君の提案を受け入れた。責任者としては失格だろうがな」
「感謝してるよ、ホントにね」
コンコンとノックの音が鳴る。時計を見ると間もなく開演時間だった。スタッフが私を呼びに来たんだろう。
最後に大鏡で自分の姿をチェックする。髪・衣装・メイク、問題なし――あとは、これか。
「準備完了。じゃ、行ってくるね」
「……普通であれば、これから舞台に立つ演者にプレッシャーを与えてはいけないのだろうが、君は緊張などとは無縁なようだから、遠慮なく言わせてもらおうかな。この舞踏会、成功を期待している。君ならできる。おそらく、君にしかできない」
「専務ってさ、けっこう人をおだてるの上手いよね。重役の椅子なんか捨ててプロデューサーにでもなればいいよ」
「それも悪くない」
どこまで本気で言ってるんだか、と苦笑しながら、楽屋を出てスタンバイ位置へと向かう。
まあ、おかげさまで、ちょっとだけ、
「気合い入ったよ」
25: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:30:45.86 ID:F6tUihmD0
場内に設置された大きいモニターには、今頃オープニング用のムービーが流れているだろう。
私が立っているリフトはステージ後方の、真下ということになる。実はこれはスタッフによる人力で、リフトごと乗っている人をステージ上に押し上げる。けっこうなスピードが出るので、少し体が宙に浮く。
アイドルたちの間では、遊園地のアトラクションみたいで楽しい、という子もいれば、怖いという子もいたりする。私は楽しんでいた方だったけど、もうこんなもんじゃ、スリルを感じなくなっちゃったね。
体に強烈な荷重がのしかかり、ふっと消えてなくなる。
視界が光の海に染まり、歓声が一気に大きくなる。
浮遊感の中、最近のトレードマークとなっているマスクに手をかける。
着地と同時にそれを引き剥がし、舞台袖のほうに放り投げる。
ステージ中央に駆け寄り、そこに鎮座していたマイクスタンドに手をかける。
――今からほんの数時間、たったそれだけでいい。
――かつて自らが投げ捨てた、『なんでもできる双葉杏』を取り戻す。
「みなさんこんばんは!! 杏は、天才だぜい!!!」
私が立っているリフトはステージ後方の、真下ということになる。実はこれはスタッフによる人力で、リフトごと乗っている人をステージ上に押し上げる。けっこうなスピードが出るので、少し体が宙に浮く。
アイドルたちの間では、遊園地のアトラクションみたいで楽しい、という子もいれば、怖いという子もいたりする。私は楽しんでいた方だったけど、もうこんなもんじゃ、スリルを感じなくなっちゃったね。
体に強烈な荷重がのしかかり、ふっと消えてなくなる。
視界が光の海に染まり、歓声が一気に大きくなる。
浮遊感の中、最近のトレードマークとなっているマスクに手をかける。
着地と同時にそれを引き剥がし、舞台袖のほうに放り投げる。
ステージ中央に駆け寄り、そこに鎮座していたマイクスタンドに手をかける。
――今からほんの数時間、たったそれだけでいい。
――かつて自らが投げ捨てた、『なんでもできる双葉杏』を取り戻す。
「みなさんこんばんは!! 杏は、天才だぜい!!!」
26: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:32:10.84 ID:F6tUihmD0
我ながらわけのわからない第一声を放ってしまったけど、盛り上がってるからよしとしよう。
最初の曲は、みんな大好き『おねがいシンデレラ』。346プロのイベントだとだいたいセットリストに入ってくるから、ファンたちもずいぶん聴き慣れ、観慣れているだろう。
だけど、今日の私のおねシンは一味違う。……どう違うのかは、観てもわからないだろうけどね。
『わからない』、それが重要なんだ。他のアイドルがやるときと同じように歌い、踊っているように見せて、実は私はほとんど動いていない。
慣性、重力、空気抵抗、ひるがえる衣装の裾までコントロールし、大きく動いて見えるように、可能な限り小さく動く。
私はスタミナがない。346プロの中でも、下から数えた方がよほど早いだろう。
だけど私は、いつだって楽をしようと考えてきた。同じ振り付けの中でも、少しでも疲れない方法はないかと、ずっと考えてきた。これはそうして編み出した、私だけの反則技だ。
3時間以上の長丁場、ウチの事務所のどんな体力自慢でも持たないだろう。
でもこの技術があるから、ただひとり――私だけが踊り続けられる。
最初の曲が終わり、拍手と歓声が上がる。体力の消耗はほとんどない。でもまだまだ序の口、ここからが本番だ。
私の持ち歌はそう多くない。この後は他のアイドルの歌を片っ端からカバーする。
まずは未央から、歌を借りるよ。
新型インフルエンザが発覚してから、私は一切のレッスンをしなかった。
過去のライブで歌った経験もない。せいぜいが遊びに行ったときにカラオケで歌う程度で、到底プロのステージで披露できるようなシロモノじゃない。
――でも、歌える。踊れる。
この1週間、私は馬車馬のごとく働く一方で、タブレット端末を肌身離さず持ち歩いていた。そして、同僚アイドルたちが舞台に立つ姿を、仕事の待ち時間、移動中、食事中、あらゆるわずかな隙間を使って、繰り返し観てきた。
その動きと歌声を目と耳に焼き付けて、演じる姿を自分に変換して、省略できる動きを分析して、自分用にアレンジした。
そうやって脳内で組み立てたイメージを寸分たがわずトレースする。
私には、それができる。
3曲目、4曲目、5曲目、6曲目、いくら省エネを心がけても、さすがに疲労が積もってくる。
ちょくちょくMCも挟むけど、ひとりきりの舞台である以上、ほぼ喋りっぱなしの形になるから、休憩としての効果はあまりない。動かなくていい分、消耗が少なくなるって程度だ。
しかしまあ、いろんなお仕事させられたせいで、話すネタにはこと欠かない。特に幸子の番組の話題はウケがよかった。二度とやらないぞチクショウ。
最初の曲は、みんな大好き『おねがいシンデレラ』。346プロのイベントだとだいたいセットリストに入ってくるから、ファンたちもずいぶん聴き慣れ、観慣れているだろう。
だけど、今日の私のおねシンは一味違う。……どう違うのかは、観てもわからないだろうけどね。
『わからない』、それが重要なんだ。他のアイドルがやるときと同じように歌い、踊っているように見せて、実は私はほとんど動いていない。
慣性、重力、空気抵抗、ひるがえる衣装の裾までコントロールし、大きく動いて見えるように、可能な限り小さく動く。
私はスタミナがない。346プロの中でも、下から数えた方がよほど早いだろう。
だけど私は、いつだって楽をしようと考えてきた。同じ振り付けの中でも、少しでも疲れない方法はないかと、ずっと考えてきた。これはそうして編み出した、私だけの反則技だ。
3時間以上の長丁場、ウチの事務所のどんな体力自慢でも持たないだろう。
でもこの技術があるから、ただひとり――私だけが踊り続けられる。
最初の曲が終わり、拍手と歓声が上がる。体力の消耗はほとんどない。でもまだまだ序の口、ここからが本番だ。
私の持ち歌はそう多くない。この後は他のアイドルの歌を片っ端からカバーする。
まずは未央から、歌を借りるよ。
新型インフルエンザが発覚してから、私は一切のレッスンをしなかった。
過去のライブで歌った経験もない。せいぜいが遊びに行ったときにカラオケで歌う程度で、到底プロのステージで披露できるようなシロモノじゃない。
――でも、歌える。踊れる。
この1週間、私は馬車馬のごとく働く一方で、タブレット端末を肌身離さず持ち歩いていた。そして、同僚アイドルたちが舞台に立つ姿を、仕事の待ち時間、移動中、食事中、あらゆるわずかな隙間を使って、繰り返し観てきた。
その動きと歌声を目と耳に焼き付けて、演じる姿を自分に変換して、省略できる動きを分析して、自分用にアレンジした。
そうやって脳内で組み立てたイメージを寸分たがわずトレースする。
私には、それができる。
3曲目、4曲目、5曲目、6曲目、いくら省エネを心がけても、さすがに疲労が積もってくる。
ちょくちょくMCも挟むけど、ひとりきりの舞台である以上、ほぼ喋りっぱなしの形になるから、休憩としての効果はあまりない。動かなくていい分、消耗が少なくなるって程度だ。
しかしまあ、いろんなお仕事させられたせいで、話すネタにはこと欠かない。特に幸子の番組の話題はウケがよかった。二度とやらないぞチクショウ。
27: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:33:02.27 ID:F6tUihmD0
セットリストのおよそ半分を消化したところで、「楽屋で寝てくるから起こさないでね」と手を振ってステージを後にする。
もともと予定されていた休憩時間であることはお客さんも知っているので、笑い声が見送ってくれた。「おやすみー」って言ってる人もいたね。
楽屋に引っ込んだ私はソファに身を沈めた。予定だと休憩は15分、ステージからここまでに30秒を費やしたから残りは14分と30秒、この隙に、本当に寝る。
「今から12分経ったら起こして」
そう言って、返事も待たずに目を閉じた。
「――杏ちゃん」
と、ちひろさんの声。目を開き、時計を確認する。ちょうど12分経過だ。
やっぱり睡眠ってのはいちばんの回復法だね。短時間とはいえ、効果はなかなか大きい。
「エナドリちょうだい」
「あ、はい。……起きてたんですか?」
「いや? 寝てたよ、なんで?」
「ずっと見てましたけど、杏ちゃん、微動だにしませんでしたよ。だから、目を閉じているだけなのかと……」
「10分以上も杏の寝顔眺めてたの? 暇だね」
エナドリを注いだコップを受け取る。ひといきに飲み干して、盛大なげっぷをした。下品だけどさ、胃の中のガスを抜いておかないといけないからね。
もともと予定されていた休憩時間であることはお客さんも知っているので、笑い声が見送ってくれた。「おやすみー」って言ってる人もいたね。
楽屋に引っ込んだ私はソファに身を沈めた。予定だと休憩は15分、ステージからここまでに30秒を費やしたから残りは14分と30秒、この隙に、本当に寝る。
「今から12分経ったら起こして」
そう言って、返事も待たずに目を閉じた。
「――杏ちゃん」
と、ちひろさんの声。目を開き、時計を確認する。ちょうど12分経過だ。
やっぱり睡眠ってのはいちばんの回復法だね。短時間とはいえ、効果はなかなか大きい。
「エナドリちょうだい」
「あ、はい。……起きてたんですか?」
「いや? 寝てたよ、なんで?」
「ずっと見てましたけど、杏ちゃん、微動だにしませんでしたよ。だから、目を閉じているだけなのかと……」
「10分以上も杏の寝顔眺めてたの? 暇だね」
エナドリを注いだコップを受け取る。ひといきに飲み干して、盛大なげっぷをした。下品だけどさ、胃の中のガスを抜いておかないといけないからね。
28: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:34:06.64 ID:F6tUihmD0
ステージに舞い戻った私は、マイクに向けて「おはよう」と言って、大あくびをした。
客席から「おはよう」の合唱が返ってくる。よしよし、いい空気だ。
さて、ここから必要になってくるのは、疲労度の計算だ。
ゲームと現実の違うところは、ダメージの影響というもので、現実世界では瀕死の人間に全力の一撃は放てない。
疲労が蓄積すればどうしたって動きは鈍る。どれだけの影響が出るかは事前に予想はできない。
だから、できるだけ正確に体力の残量を把握し、ここから更に積もっていくであろう疲労を予測し、それをごまかすためにイメージの修正をしなければならない。
歌って踊ってしゃべくって、それと並行して計算とイメージ映像を作って。
……ここまで頭を使ってるのは、これまでの人生でもそうそうなかったよ。
1曲歌い終わるごとにボディブローのように疲労が積み重なってくる。さすがに余裕はなくなって、徐々に体の動きも衰えてくる。
それでも質は落とさない。中身はどんなにボロボロでも、表面上だけは優雅に舞う。
再計算、再計算、体が追い付かない部分は、お客さんから見えない角度に持っていけ。
客席から「おはよう」の合唱が返ってくる。よしよし、いい空気だ。
さて、ここから必要になってくるのは、疲労度の計算だ。
ゲームと現実の違うところは、ダメージの影響というもので、現実世界では瀕死の人間に全力の一撃は放てない。
疲労が蓄積すればどうしたって動きは鈍る。どれだけの影響が出るかは事前に予想はできない。
だから、できるだけ正確に体力の残量を把握し、ここから更に積もっていくであろう疲労を予測し、それをごまかすためにイメージの修正をしなければならない。
歌って踊ってしゃべくって、それと並行して計算とイメージ映像を作って。
……ここまで頭を使ってるのは、これまでの人生でもそうそうなかったよ。
1曲歌い終わるごとにボディブローのように疲労が積み重なってくる。さすがに余裕はなくなって、徐々に体の動きも衰えてくる。
それでも質は落とさない。中身はどんなにボロボロでも、表面上だけは優雅に舞う。
再計算、再計算、体が追い付かない部分は、お客さんから見えない角度に持っていけ。
30: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:35:12.28 ID:F6tUihmD0
舞踏会後半を終えて楽屋に戻る。もちろんこれで終わりではなく、アンコールも当然あるものとしてセットリストに組み込んである。実質的には3部構成の2部が終わったところだ。まだこれから、アンコール分として3曲を披露する。
「飴、ちょうだい」
必死に呼吸を整えながらソファに身を沈め、ささやくように言う。もはや声を発する体力も温存したい。
「先ほどのように、少しでも眠ったらどうだ?」
小さく首を横に振る。すでに体力は限界に近く、今眠ったらもう起きれる自信がない。
専務が飴の袋を向けてくる。私はそこに手を突っ込んで4つほどつかみ出し、乱暴に包み紙をはがしてまとめて口に入れた。
「エナドリを」
ちひろさんがエナドリを注いだコップを差し出す。それを受け取って、口中の飴を奥歯で噛み砕き、エナドリで飲み下す。
空になったコップを返し、全身の力を抜く。誰も言葉を発さない。時計の針が進む音だけが小さく響き、やがて開始予定時間の1分前を告げた。
「……いけるか?」
専務が問いかける。私はうなずきを返し、すっくと立ちあがった。
「杏ちゃん……ステージで死んじゃだめですよ。加蓮ちゃんじゃないんですから」
ちひろさんがつぶやいた。加蓮は死んでないよ。
「飴、ちょうだい」
必死に呼吸を整えながらソファに身を沈め、ささやくように言う。もはや声を発する体力も温存したい。
「先ほどのように、少しでも眠ったらどうだ?」
小さく首を横に振る。すでに体力は限界に近く、今眠ったらもう起きれる自信がない。
専務が飴の袋を向けてくる。私はそこに手を突っ込んで4つほどつかみ出し、乱暴に包み紙をはがしてまとめて口に入れた。
「エナドリを」
ちひろさんがエナドリを注いだコップを差し出す。それを受け取って、口中の飴を奥歯で噛み砕き、エナドリで飲み下す。
空になったコップを返し、全身の力を抜く。誰も言葉を発さない。時計の針が進む音だけが小さく響き、やがて開始予定時間の1分前を告げた。
「……いけるか?」
専務が問いかける。私はうなずきを返し、すっくと立ちあがった。
「杏ちゃん……ステージで死んじゃだめですよ。加蓮ちゃんじゃないんですから」
ちひろさんがつぶやいた。加蓮は死んでないよ。
31: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:37:45.56 ID:F6tUihmD0
赤いライトが照らす円が複数、ステージを駆け巡っている。
その軌道はランダムであるように見えて、実は一定の規則がある。それを知っていれば、ライトが照らすことのないルートを通ってステージ中央まで辿り着けるって寸法だ。
マイクスタンドの前までやってきたけど、暗闇にまぎれてきたため、お客さんはまだ気付いていない。アンコールの声が響く中、そのままの位置でしばし待つ。
やがて駆け巡るライトが中央で重なり、私を四方八方から照らしだした。その瞬間に、私は生まれて初めてのシャウトというものを披露した。
アンコール一発目の曲は『毒茸伝説』、唯一無二のメタルキノコアイドル、星輝子ちゃんの歌だ。
346プロのアイドルで楽曲をカバーしあうことは珍しくない。ただ彼女の曲に限っては、これまでほとんど歌われたことはない。理由は至極単純で、まともに歌いこなすことができるのが、本家本元の輝子ちゃん以外にいなかったからだ。
だけど、私ほどではないにしろ、輝子ちゃんは相当に小柄なほうだ。人体の構造はそう変わらない。要は技術の問題だ。己の体が持っている機能を正しく使うことができれば、私にだってあの声は出せるはず――そして、出せた。
アンコール前の楽屋で私は、ここで凛たちがアメリカンコミックヒーローみたいにジャジャーンと登場して、「もう大丈夫、あとは私たちにまかせて!」とか言って、舞踏会の残りを受け持ってくれたらいいのにな、なんて思っていた。
もちろん現実は非情だから、そんなことは起こらない。原因が伝染病なんだから、たとえ奇跡的に体調が回復したとしても、お客さんが詰めかけてるこの場所に顔を出すことなんてありえない。
だけど、私が望んでしまうのと同じように、ファンたちもそんな展開を期待したはずだ。絶対にするだろう。この状況で、まさかのシンデレラプロジェクト大集合なんてなれば大盛り上がり間違いなしなんだから。
期待は落胆となって、満足度を押し下げてしまう。だから、それに代わるサプライズが必要だった。
私が歌う、私に最も似つかわしくない、絶大なインパクトをもたらす、この曲のパワーが。
そして結果は――上々の出来だ、今日一番の盛り上がりと言っていい。掲げられたサイリウムの光で、客席が炎に包まれたようになっていた。
ただ、予想はしていたけど負担がキツイ。喉がゴリゴリと音を立てて削れていくようだ。同じような声を出していても、輝子ちゃんはいつもなんでもないように歌っていた。きっとなにか負担を減らすようなテクニックがあるんだろう。観て、聴いているだけではつかめなかった、私はまだその領域までは達していない。
でもかまわない。どうせ残り時間はたいしてない。余裕を残すというのは無駄があるということだ。あるものは全部使い切る。舞踏会が終わったら、声も出せなくなってるぐらいがちょうどいい。
――あと2曲。
その軌道はランダムであるように見えて、実は一定の規則がある。それを知っていれば、ライトが照らすことのないルートを通ってステージ中央まで辿り着けるって寸法だ。
マイクスタンドの前までやってきたけど、暗闇にまぎれてきたため、お客さんはまだ気付いていない。アンコールの声が響く中、そのままの位置でしばし待つ。
やがて駆け巡るライトが中央で重なり、私を四方八方から照らしだした。その瞬間に、私は生まれて初めてのシャウトというものを披露した。
アンコール一発目の曲は『毒茸伝説』、唯一無二のメタルキノコアイドル、星輝子ちゃんの歌だ。
346プロのアイドルで楽曲をカバーしあうことは珍しくない。ただ彼女の曲に限っては、これまでほとんど歌われたことはない。理由は至極単純で、まともに歌いこなすことができるのが、本家本元の輝子ちゃん以外にいなかったからだ。
だけど、私ほどではないにしろ、輝子ちゃんは相当に小柄なほうだ。人体の構造はそう変わらない。要は技術の問題だ。己の体が持っている機能を正しく使うことができれば、私にだってあの声は出せるはず――そして、出せた。
アンコール前の楽屋で私は、ここで凛たちがアメリカンコミックヒーローみたいにジャジャーンと登場して、「もう大丈夫、あとは私たちにまかせて!」とか言って、舞踏会の残りを受け持ってくれたらいいのにな、なんて思っていた。
もちろん現実は非情だから、そんなことは起こらない。原因が伝染病なんだから、たとえ奇跡的に体調が回復したとしても、お客さんが詰めかけてるこの場所に顔を出すことなんてありえない。
だけど、私が望んでしまうのと同じように、ファンたちもそんな展開を期待したはずだ。絶対にするだろう。この状況で、まさかのシンデレラプロジェクト大集合なんてなれば大盛り上がり間違いなしなんだから。
期待は落胆となって、満足度を押し下げてしまう。だから、それに代わるサプライズが必要だった。
私が歌う、私に最も似つかわしくない、絶大なインパクトをもたらす、この曲のパワーが。
そして結果は――上々の出来だ、今日一番の盛り上がりと言っていい。掲げられたサイリウムの光で、客席が炎に包まれたようになっていた。
ただ、予想はしていたけど負担がキツイ。喉がゴリゴリと音を立てて削れていくようだ。同じような声を出していても、輝子ちゃんはいつもなんでもないように歌っていた。きっとなにか負担を減らすようなテクニックがあるんだろう。観て、聴いているだけではつかめなかった、私はまだその領域までは達していない。
でもかまわない。どうせ残り時間はたいしてない。余裕を残すというのは無駄があるということだ。あるものは全部使い切る。舞踏会が終わったら、声も出せなくなってるぐらいがちょうどいい。
――あと2曲。
32: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:39:46.74 ID:F6tUihmD0
間髪入れずに流れ始めた曲は、私の持ち歌のひとつである。
ただしここで歌うのは、曲自体はそのままに、歌詞とセリフを大幅に改変した、誰も聴いたことのないバージョンだ。
なぜなら、これは本来はデュエット曲だったから。
私と、きらりで歌うための曲だから。
エナドリ様の加護も切れてきたか、疲労は極限に達していた。
体は服を着たまま水をかぶったように重く、喉はひと声発するごとにヤスリでもかけられるみたいに痛んだ。
何度も自問した。
こんなにも苦しい思いをして、柄にもなく一生懸命になっちゃって、
どうして私は、こんなことをしているのか――
ただしここで歌うのは、曲自体はそのままに、歌詞とセリフを大幅に改変した、誰も聴いたことのないバージョンだ。
なぜなら、これは本来はデュエット曲だったから。
私と、きらりで歌うための曲だから。
エナドリ様の加護も切れてきたか、疲労は極限に達していた。
体は服を着たまま水をかぶったように重く、喉はひと声発するごとにヤスリでもかけられるみたいに痛んだ。
何度も自問した。
こんなにも苦しい思いをして、柄にもなく一生懸命になっちゃって、
どうして私は、こんなことをしているのか――
33: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:40:45.84 ID:F6tUihmD0
このインフルエンザ騒ぎについて、私の中にはひとつの有力な仮説があった。
このウイルスは、恐るべき感染力で短期間に爆発的に流行はするが、ある程度から先には広がらない。
それは、短い潜伏期間と重い症状という特性によるものだ。感染者はろくに身動きもとれなくなるから、新たに人と接触することがない。この病気はそう遠くないうちに勝手に根絶される、間違えた進化をしたウイルスだ。
だから、局地的に甚大な被害をもたらしつつも、世界中に広がってはいない。国内では今のところ346プロだけでしか発生が確認されていない。
じゃあ、346プロにはどこからやってきた?
専務は気付いているだろうか? ちひろさんはどうだろう? 今は多忙でそんなことを考えるどころじゃないのかもしれない。だけど、あのふたりも、寝込んでいるみんなも、いつかは必ず疑問に思う。この病気はどこからやってきたのかって。
そんなの『外』に決まってる。
健康診断より前に発症していた十数人、その中で、直近に海外渡航歴がある人間なんてそうはいない。この病気を日本に持ち込んだのは、おそらく、フランスでの仕事から帰ってきたばかりの、きらりだ。
多くの人は、気になったとしても、わざわざ調べようなんて思わないかもしれない。
だけど、きらり本人は間違いなく気付くだろう。
……誰もきらりを責めたりなんてしないよ。インフルエンザなんて天災と同じだ。誰が悪いわけでもない。それでプロダクションが潰れたとしても、きらりのせいでなんかあるはずがない。
それでも、誰もきらりを責めなくても、きらりがきらりを責めるだろう。あの子は、根っこのところは誰よりも真面目で、責任感が強くて、とても繊細にできているから。
私はなにも変わらない。双葉杏はいつだって利己的で、自堕落で、自分の都合のためにしか動かない。
事務所のためじゃない、仲間のアイドルのためでもない、ファンのみんなのためですらない。全ては私自身の、自分勝手な理由。
――だって、きっと泣くから。
きらりの涙はもう見たくない。……ただ、それだけなんだよ。
だから私はひとりでも歌う。
こんなのは大したことじゃないって、これはどこにでもあるアクシデントで、ちょっとみんなで熱を出して寝込んだっていうだけの話で、ほとぼりが冷めたころにふと思い出して、「あのときは大変だったね」なんて笑い合う。
ただそれだけの、ほんのささいな思い出話にするんだ。
だから、今度はふたりで、いっしょに歌おうね。
このウイルスは、恐るべき感染力で短期間に爆発的に流行はするが、ある程度から先には広がらない。
それは、短い潜伏期間と重い症状という特性によるものだ。感染者はろくに身動きもとれなくなるから、新たに人と接触することがない。この病気はそう遠くないうちに勝手に根絶される、間違えた進化をしたウイルスだ。
だから、局地的に甚大な被害をもたらしつつも、世界中に広がってはいない。国内では今のところ346プロだけでしか発生が確認されていない。
じゃあ、346プロにはどこからやってきた?
専務は気付いているだろうか? ちひろさんはどうだろう? 今は多忙でそんなことを考えるどころじゃないのかもしれない。だけど、あのふたりも、寝込んでいるみんなも、いつかは必ず疑問に思う。この病気はどこからやってきたのかって。
そんなの『外』に決まってる。
健康診断より前に発症していた十数人、その中で、直近に海外渡航歴がある人間なんてそうはいない。この病気を日本に持ち込んだのは、おそらく、フランスでの仕事から帰ってきたばかりの、きらりだ。
多くの人は、気になったとしても、わざわざ調べようなんて思わないかもしれない。
だけど、きらり本人は間違いなく気付くだろう。
……誰もきらりを責めたりなんてしないよ。インフルエンザなんて天災と同じだ。誰が悪いわけでもない。それでプロダクションが潰れたとしても、きらりのせいでなんかあるはずがない。
それでも、誰もきらりを責めなくても、きらりがきらりを責めるだろう。あの子は、根っこのところは誰よりも真面目で、責任感が強くて、とても繊細にできているから。
私はなにも変わらない。双葉杏はいつだって利己的で、自堕落で、自分の都合のためにしか動かない。
事務所のためじゃない、仲間のアイドルのためでもない、ファンのみんなのためですらない。全ては私自身の、自分勝手な理由。
――だって、きっと泣くから。
きらりの涙はもう見たくない。……ただ、それだけなんだよ。
だから私はひとりでも歌う。
こんなのは大したことじゃないって、これはどこにでもあるアクシデントで、ちょっとみんなで熱を出して寝込んだっていうだけの話で、ほとぼりが冷めたころにふと思い出して、「あのときは大変だったね」なんて笑い合う。
ただそれだけの、ほんのささいな思い出話にするんだ。
だから、今度はふたりで、いっしょに歌おうね。
34: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:41:49.03 ID:F6tUihmD0
手を振って喝采に答えながら、激しく息をつく。
体中の血が蛇口の壊れた水道みたいに暴れまわっている。
苦しい。
酸素が足りない。
でも、どんなに苦しくったって、あと1曲で全てが終わる、1曲、たったのあと1曲だ。
――一瞬の油断。意識が途切れる。
はっと我に返る。私は床に片膝をついていた。
……なんで膝なんかついてる? まさか眠っていた? どのくらい?
落ち着け、パニックになるな――そう自分に言い聞かせ、現状把握につとめる。
客席は、特に騒ぎにはなっていない。そして、意識のないままこの体勢を保持するのは不可能だ。眠っていたのは一秒にも満たないようなほんの一瞬のはず、マイクだってちゃんと握っている、なにも問題はない。
問題はない――けど、
立てない。脚に力が入らない。
体中の血が蛇口の壊れた水道みたいに暴れまわっている。
苦しい。
酸素が足りない。
でも、どんなに苦しくったって、あと1曲で全てが終わる、1曲、たったのあと1曲だ。
――一瞬の油断。意識が途切れる。
はっと我に返る。私は床に片膝をついていた。
……なんで膝なんかついてる? まさか眠っていた? どのくらい?
落ち着け、パニックになるな――そう自分に言い聞かせ、現状把握につとめる。
客席は、特に騒ぎにはなっていない。そして、意識のないままこの体勢を保持するのは不可能だ。眠っていたのは一秒にも満たないようなほんの一瞬のはず、マイクだってちゃんと握っている、なにも問題はない。
問題はない――けど、
立てない。脚に力が入らない。
35: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:43:12.41 ID:F6tUihmD0
まったくもう……あと一曲だってのにさ。なんでここで気を緩めちゃったかな。
視界の端にスタッフがうろたえている様子が見えたので、客席からはわからないように、そっと押しとどめるようなジェスチャーをした。ここで駆け寄ってこられては全部台無しだ。
仕方ない、ちょっと見栄えは悪いけど、この体勢のまま歌ってやるさ、と考える。
だけど、なかなか最後の曲は流れ始めない。曲が流れないことには、歌うこともできない。
そういえば漫画やアニメなんかで、死の淵に瀕した人の脳裏にそれまでの人生が走馬灯のように流れるとかいうやつ。アレは一説によると、生き延びる術を求めて過去の記憶を高速で検索しているらしい。
なんで突然そんなことを思い出したかというと、今のこの状況に、どこか覚えがあったから。
それは――そう、ニュージェネレーションズのライブ、卯月のステージだ。
その頃の卯月はスランプが続いていて、しばらく仕事とは遠ざかっていた。復帰の舞台だった。
マイクを前にして立ちすくむ卯月、私はその様子を見ながら、『なんでさっさと音楽をかけないのさ、曲が始まれば卯月だって歌えるでしょ』そう思っていた。
なぜ曲を流さないか、それは判断する術がないからだ。始めてしまっていいのか、そのまま時間を置くべきなのか、中止するのか、選択するための材料がないからだ。
だから、こっちからの合図が要るんだ。
卯月はどうしたっけ? あまり喋りは達者じゃない、個性的なパフォーマンスも持っていない、あの子はただ、不器用に叫んだ「島村卯月がんばります!」と。
なるほど、だったら「双葉杏がんばります」……違うな。一番あってはいけない宣言だ。多忙のあまり気が狂ったと思われるかもしれない。
そっくり卯月の真似をしてもダメだ、私は私の言葉で、客席のファンがいぶかしむことなく、それでいてスタッフには続行の意思表示と聞こえるような合図を送らなくてはいけない。いっそ堂々と「早く次の曲かけてよ」とマイクで言ってしまうか。私のキャラクター性なら、それもアリだろうか――と、
思わず笑い出しそうになってしまった。
よっぽど頭がボケていたらしい。
合図なんて、意思表示の言葉なんて、考えるまでもないことだったのに。
さすがになにかおかしいと思ったのか、徐々に客席がざわつき始める。
再度脚の状態を確認する。相変わらずガクガクと細かく震えていて、力はまるで入らず、やっぱり立つことはできそうにない。
だから、寝ることにした。
転がるようにして床にあおむけになり、手足を受け身でもとるみたいに、大きく、わざとらしく床にたたきつける。
衝撃で片方の靴が脱げてどこかにすっ飛んで行ったけど、気にしない。もう、靴なんていらない。
大の字に寝そべった姿勢から、両手を顔の前に持っていき、大きく息を吸い込む。
そして、握りしめたマイクに向かって、叫んだ。
「嫌だ! 私は働かないぞ!!!」
視界の端にスタッフがうろたえている様子が見えたので、客席からはわからないように、そっと押しとどめるようなジェスチャーをした。ここで駆け寄ってこられては全部台無しだ。
仕方ない、ちょっと見栄えは悪いけど、この体勢のまま歌ってやるさ、と考える。
だけど、なかなか最後の曲は流れ始めない。曲が流れないことには、歌うこともできない。
そういえば漫画やアニメなんかで、死の淵に瀕した人の脳裏にそれまでの人生が走馬灯のように流れるとかいうやつ。アレは一説によると、生き延びる術を求めて過去の記憶を高速で検索しているらしい。
なんで突然そんなことを思い出したかというと、今のこの状況に、どこか覚えがあったから。
それは――そう、ニュージェネレーションズのライブ、卯月のステージだ。
その頃の卯月はスランプが続いていて、しばらく仕事とは遠ざかっていた。復帰の舞台だった。
マイクを前にして立ちすくむ卯月、私はその様子を見ながら、『なんでさっさと音楽をかけないのさ、曲が始まれば卯月だって歌えるでしょ』そう思っていた。
なぜ曲を流さないか、それは判断する術がないからだ。始めてしまっていいのか、そのまま時間を置くべきなのか、中止するのか、選択するための材料がないからだ。
だから、こっちからの合図が要るんだ。
卯月はどうしたっけ? あまり喋りは達者じゃない、個性的なパフォーマンスも持っていない、あの子はただ、不器用に叫んだ「島村卯月がんばります!」と。
なるほど、だったら「双葉杏がんばります」……違うな。一番あってはいけない宣言だ。多忙のあまり気が狂ったと思われるかもしれない。
そっくり卯月の真似をしてもダメだ、私は私の言葉で、客席のファンがいぶかしむことなく、それでいてスタッフには続行の意思表示と聞こえるような合図を送らなくてはいけない。いっそ堂々と「早く次の曲かけてよ」とマイクで言ってしまうか。私のキャラクター性なら、それもアリだろうか――と、
思わず笑い出しそうになってしまった。
よっぽど頭がボケていたらしい。
合図なんて、意思表示の言葉なんて、考えるまでもないことだったのに。
さすがになにかおかしいと思ったのか、徐々に客席がざわつき始める。
再度脚の状態を確認する。相変わらずガクガクと細かく震えていて、力はまるで入らず、やっぱり立つことはできそうにない。
だから、寝ることにした。
転がるようにして床にあおむけになり、手足を受け身でもとるみたいに、大きく、わざとらしく床にたたきつける。
衝撃で片方の靴が脱げてどこかにすっ飛んで行ったけど、気にしない。もう、靴なんていらない。
大の字に寝そべった姿勢から、両手を顔の前に持っていき、大きく息を吸い込む。
そして、握りしめたマイクに向かって、叫んだ。
「嫌だ! 私は働かないぞ!!!」
37: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:44:30.92 ID:F6tUihmD0
客席のざわめきがピタリと止む。
不労宣言が虚空に吸い込まれ、消え、静寂に包まれた。その直後、前奏の音が流れるとともに怒号のような歓声が響き渡った。
それは私のデビュー曲。ひたすらに紡がれる『働きたくない』というメッセージ、それを主張し、叫ぶことが私の仕事になってしまうという、パラドックスの歌だ。
これまでに何百回と歌わされ続けたその歌は、傷つきしゃがれた喉でも、自分の脚で立つこともできないボロボロの体でも、まるで呼吸のように、心臓を鼓動させるように、眠るように、自然に歌うことができた。
もうなにも心配はいらない。七面倒臭い計算をする必要もない。もう何も考えずに、ただこの歌を歌えばいい。
気が付けば、全身を襲っていた疲労感が消えていた。
動けもしないくせに、羽でも生えたみたいに体が軽く感じた。
「へんなの」と思った。それから「死ぬのかな?」と思った。最後に「懐かしいな」と思った。
この感覚は知っている。昔はずっとこうだった。どれだけ遊び倒しても疲れなんて感じることはなくて、どこまでも無限に走っていけて、その気になれば、きっと空だって飛べた。
世界はみんな私の遊び場、なんでもできる天才少女、だけど本当は、私にとってそんなのはどうでもよくて、ただ「杏ちゃんはすごいね」って褒めてもらうことが好きだった。頭をなでてくれる大きな手と、ごほうびの飴が好きだった。
思えば、ちひろさんの言う「伝える努力」とやらを、私はずっと怠っていたのだろう。 いつも他人の気持ちは注意深く察して、自分が傷つかないように、他人を傷つけないように、先手を取って立ち回った。だけど、自分の気持ちなんてものは伝えようとは思わなかった。理解してもらう必要なんてないと、そう思っていた。
私はなにも変わらなかった。でも――少しだけ、変わってみるのもいいかもしれない。
この舞踏会が終わって、もう少しだけ仕事をして、事務所の皆が復帰したら、ちょっと長めの休暇をもらおう。そして北海道の実家に顔を出してみよう。
「杏はがんばってるぜい!」って、堂々と胸を張って、たくさんたくさん誉めてもらおう。
また昔みたいに、「杏ちゃんはすごいね」って、笑ってくれるかな。
不労宣言が虚空に吸い込まれ、消え、静寂に包まれた。その直後、前奏の音が流れるとともに怒号のような歓声が響き渡った。
それは私のデビュー曲。ひたすらに紡がれる『働きたくない』というメッセージ、それを主張し、叫ぶことが私の仕事になってしまうという、パラドックスの歌だ。
これまでに何百回と歌わされ続けたその歌は、傷つきしゃがれた喉でも、自分の脚で立つこともできないボロボロの体でも、まるで呼吸のように、心臓を鼓動させるように、眠るように、自然に歌うことができた。
もうなにも心配はいらない。七面倒臭い計算をする必要もない。もう何も考えずに、ただこの歌を歌えばいい。
気が付けば、全身を襲っていた疲労感が消えていた。
動けもしないくせに、羽でも生えたみたいに体が軽く感じた。
「へんなの」と思った。それから「死ぬのかな?」と思った。最後に「懐かしいな」と思った。
この感覚は知っている。昔はずっとこうだった。どれだけ遊び倒しても疲れなんて感じることはなくて、どこまでも無限に走っていけて、その気になれば、きっと空だって飛べた。
世界はみんな私の遊び場、なんでもできる天才少女、だけど本当は、私にとってそんなのはどうでもよくて、ただ「杏ちゃんはすごいね」って褒めてもらうことが好きだった。頭をなでてくれる大きな手と、ごほうびの飴が好きだった。
思えば、ちひろさんの言う「伝える努力」とやらを、私はずっと怠っていたのだろう。 いつも他人の気持ちは注意深く察して、自分が傷つかないように、他人を傷つけないように、先手を取って立ち回った。だけど、自分の気持ちなんてものは伝えようとは思わなかった。理解してもらう必要なんてないと、そう思っていた。
私はなにも変わらなかった。でも――少しだけ、変わってみるのもいいかもしれない。
この舞踏会が終わって、もう少しだけ仕事をして、事務所の皆が復帰したら、ちょっと長めの休暇をもらおう。そして北海道の実家に顔を出してみよう。
「杏はがんばってるぜい!」って、堂々と胸を張って、たくさんたくさん誉めてもらおう。
また昔みたいに、「杏ちゃんはすごいね」って、笑ってくれるかな。
38: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:45:23.08 ID:F6tUihmD0
歌が終わる。音楽が終わる。つぶやくような最後のセリフと共に、体力残量を示す計器の針が、ぴったりとゼロを指す。
『双葉杏の舞踏会 ~The Hyper NEET~』、その全行程が終了した。
体はとうにヘトヘトで、もう客席に顔を向けることだってできやしない。だけど、ファンのみんなが喜んでくれたことはわかった。万雷の拍手と歓声が、それを伝えてくれた。
ステージが完全に暗転するまでの短い間、もはや自力で動くこともできないから、ひたすらに天井を眺めていた。
ゆっくりと光度を下げていくライトは、なんだか専務のくれる飴玉みたいに見えて、手を伸ばせば、私のこの小さな手でも、つかみとれそうな気がした。
ふいに鼻面に痛みが走る。
握りしめていたマイクが両手からすべり落ちて、顔面に降ってきたらしい。幸いにも音響スタッフによってすでにスイッチは切られていたらしく、音を拾うことはなかったけれども。
せっかくいい気分で眠れそうだったのにさ、最後の最後に、締まらないでやんの――
『双葉杏の舞踏会 ~The Hyper NEET~』、その全行程が終了した。
体はとうにヘトヘトで、もう客席に顔を向けることだってできやしない。だけど、ファンのみんなが喜んでくれたことはわかった。万雷の拍手と歓声が、それを伝えてくれた。
ステージが完全に暗転するまでの短い間、もはや自力で動くこともできないから、ひたすらに天井を眺めていた。
ゆっくりと光度を下げていくライトは、なんだか専務のくれる飴玉みたいに見えて、手を伸ばせば、私のこの小さな手でも、つかみとれそうな気がした。
ふいに鼻面に痛みが走る。
握りしめていたマイクが両手からすべり落ちて、顔面に降ってきたらしい。幸いにも音響スタッフによってすでにスイッチは切られていたらしく、音を拾うことはなかったけれども。
せっかくいい気分で眠れそうだったのにさ、最後の最後に、締まらないでやんの――
39: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:46:22.60 ID:F6tUihmD0
目覚めると、それなりに見慣れた天井があった。ここ最近の私の寝床となっている事務所の仮眠室だ。
かなり長い時間眠っていたらしい、目と頭はさっぱりと覚めていた。ただし、疲労感と筋肉痛がただごとじゃない。
首を動かして壁にかかった時計に目を向ける、10時だった。朝の10時だろう。このまま次の朝まで寝ていたいなと思うけど、もちろんそういうわけにもいかない。
ベッドから体を起こし、大きく伸びをする。体の中からベキバキボキボキボキと複雑骨折みたいな音がした。
眠りにつく前の最後の記憶は、鼻の痛みとステージの天井だ。
照明が完全に落ち切ったあと、スタッフが私を回収したはず。そこまでは間違いないとして、それから眠りこける私を起こすのもしのびないと思ったのか、寝かせたまま、専務かちひろさんがここへ運んできたのだろう。
なんとなく、専務のような気がした。特に根拠はないけれど。
己の身をよく見れば、見覚えのないTシャツを着ていた。眠っている間に着替えまでさせられていたらしい。下はレッスン用のジャージを穿いている。まあステージ衣装のまま寝かせておくわけにもいかないか。しかし、よく起きないもんだね、私。
そこらで買ってきたらしいTシャツは、白地に毛筆っぽいフォントで文字が書いてあった。えーと『一攫千金』かな、選んだのはちひろさんだろう。これは専務のセンスじゃない。
ライブで疲れ果てているのは想定内、だから今日の午前中は予定は入れていないはずだ。午後からは、なんの仕事だったかな?
専務かちひろさんを捕まえて確認しないとね、と錆びたロボットみたいに軋みを上げる体を引きずって仮眠室を出た。そして、本来ならそこにいるはずのない人物が目に映る。
「……プロデューサー?」
かなり長い時間眠っていたらしい、目と頭はさっぱりと覚めていた。ただし、疲労感と筋肉痛がただごとじゃない。
首を動かして壁にかかった時計に目を向ける、10時だった。朝の10時だろう。このまま次の朝まで寝ていたいなと思うけど、もちろんそういうわけにもいかない。
ベッドから体を起こし、大きく伸びをする。体の中からベキバキボキボキボキと複雑骨折みたいな音がした。
眠りにつく前の最後の記憶は、鼻の痛みとステージの天井だ。
照明が完全に落ち切ったあと、スタッフが私を回収したはず。そこまでは間違いないとして、それから眠りこける私を起こすのもしのびないと思ったのか、寝かせたまま、専務かちひろさんがここへ運んできたのだろう。
なんとなく、専務のような気がした。特に根拠はないけれど。
己の身をよく見れば、見覚えのないTシャツを着ていた。眠っている間に着替えまでさせられていたらしい。下はレッスン用のジャージを穿いている。まあステージ衣装のまま寝かせておくわけにもいかないか。しかし、よく起きないもんだね、私。
そこらで買ってきたらしいTシャツは、白地に毛筆っぽいフォントで文字が書いてあった。えーと『一攫千金』かな、選んだのはちひろさんだろう。これは専務のセンスじゃない。
ライブで疲れ果てているのは想定内、だから今日の午前中は予定は入れていないはずだ。午後からは、なんの仕事だったかな?
専務かちひろさんを捕まえて確認しないとね、と錆びたロボットみたいに軋みを上げる体を引きずって仮眠室を出た。そして、本来ならそこにいるはずのない人物が目に映る。
「……プロデューサー?」
40: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:47:26.62 ID:F6tUihmD0
「双葉さん、おはようございます。昨日の舞踏会お疲れさまでした。あいにく私は直接観ることはかないませんでしたが、素晴らしい舞台であったとうかがっております。本日の9時よりチケットの払い戻しの受け付けが始まっていますが、1時間経過した今も、1件の申請もないようです」
おう、そりゃあよかった。いや、それよりも、
「杏が聞いた話だと、回復するまでは、もうしばらくかかるはずなんだけど……」
「一ノ瀬さんが開発した薬を服用し、無事に完治いたしました」
それからプロデューサーが語ったところによると、私がみんなの仕事を肩代わりして働きまくっている間、我が346プロダクションの誇るギフテッド、一ノ瀬志希さんが、病身を押して新型にも効く特効薬の研究・開発にいそしんでいたらしい。
必要な材料はちひろさんが調達し、届けていた。そして、その話を聞いたプロデューサーが被験者として名乗り出た。当初志希さんは自分自身を実験台とするつもりでいたけど、もしも投薬によってなんらかの問題が発生した場合、志希さん自身が身動きとれなくなっているようでは対策も取れない、というプロデューサーの言を聞き入れたそうな。
そうして完成した薬は、一切の副作用もなく、見事プロデューサーを全快させた。
「精密検査も受けまして、体内にウイルスが残っていないことは確認できております」
「だったら、他のみんなも?」
「はい。検査の結果、私に異常が見られないことを確認できたのちに一ノ瀬さんも薬を服用し、すでに回復しました。彼女は今、アイドルの皆さんとプロダクションの社員のもとを訪ねて回っております。正式に認可されたものではありませんから、あくまで本人の意思でということになりますが、現在のところ投薬を拒んだ方はいないようです。効果が出るまでに多少の時間がかかりますので、本日中というわけにはいきませんが、明日には皆、復帰が可能でしょう」
「ホ……ホントに……?」
プロデューサーがこくりとうなずく。
つまりそれは、私がこの地獄のごとき働きづめの生活から解放されるということだ。
「あっ! みんなが寝込んでる間は杏がひとりでこの事務所を守ってきたんだからね! 相応の見返りはいただくよ! 具体的には長期休暇と……あと臨時ボーナスを要求する!」
おう、そりゃあよかった。いや、それよりも、
「杏が聞いた話だと、回復するまでは、もうしばらくかかるはずなんだけど……」
「一ノ瀬さんが開発した薬を服用し、無事に完治いたしました」
それからプロデューサーが語ったところによると、私がみんなの仕事を肩代わりして働きまくっている間、我が346プロダクションの誇るギフテッド、一ノ瀬志希さんが、病身を押して新型にも効く特効薬の研究・開発にいそしんでいたらしい。
必要な材料はちひろさんが調達し、届けていた。そして、その話を聞いたプロデューサーが被験者として名乗り出た。当初志希さんは自分自身を実験台とするつもりでいたけど、もしも投薬によってなんらかの問題が発生した場合、志希さん自身が身動きとれなくなっているようでは対策も取れない、というプロデューサーの言を聞き入れたそうな。
そうして完成した薬は、一切の副作用もなく、見事プロデューサーを全快させた。
「精密検査も受けまして、体内にウイルスが残っていないことは確認できております」
「だったら、他のみんなも?」
「はい。検査の結果、私に異常が見られないことを確認できたのちに一ノ瀬さんも薬を服用し、すでに回復しました。彼女は今、アイドルの皆さんとプロダクションの社員のもとを訪ねて回っております。正式に認可されたものではありませんから、あくまで本人の意思でということになりますが、現在のところ投薬を拒んだ方はいないようです。効果が出るまでに多少の時間がかかりますので、本日中というわけにはいきませんが、明日には皆、復帰が可能でしょう」
「ホ……ホントに……?」
プロデューサーがこくりとうなずく。
つまりそれは、私がこの地獄のごとき働きづめの生活から解放されるということだ。
「あっ! みんなが寝込んでる間は杏がひとりでこの事務所を守ってきたんだからね! 相応の見返りはいただくよ! 具体的には長期休暇と……あと臨時ボーナスを要求する!」
41: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:48:24.07 ID:F6tUihmD0
「そうですね。このたびの双葉さんの功績は計り知れません。明日にでも会議にかけることになりますが、反対する者はいないでしょう。臨時ボーナスは確約できると思います」
おお、言ってみるもんだ。
って、そっちはついでだから。重要なのはもうひとつのほうで、
「休暇は?」
そう問いかけると、プロデューサーはスッと目をそらし、首の後ろに手を添えた。
おい待て、ここにきてそのポーズはどういうことだ。
「……ここ最近の、双葉さんのめざましいご活躍、そして昨日の舞踏会の成功により、仕事の依頼が殺到しているようです。それも双葉さんの名声をよりいっそう広められるような、大型の案件が多く」
名声なんてどうでもいいよ!
私は働いたよ! 怠け者の私が! 働くことの大嫌いなこの私が! この1週間、誰よりも働いたよね!?
「たいへん申し訳ありませんが、もうしばらくのあいだ、ご多忙を強いることになってしまいそうです。……しかし私は、双葉さんならばきっと、この困難をも乗り越えてくれると信じています。なにしろ――」
そう言って、プロデューサーは、ふいに顔をほころばせ、
「双葉さんは、天才ですから」
――なんて、
ふだん口癖みたいに『笑顔笑顔』言ってるくせして、自分はいつだって鉄仮面みたいな仏頂面をしているプロデューサーが、これまでに一度も見せたことがないような極上の笑顔で言うもんだから、
私は心の中で深くため息をつきながら、こう言うしかなかったんだ。
「ふざけんな、ばかぁあああ!!!!!」
~Fin~
おお、言ってみるもんだ。
って、そっちはついでだから。重要なのはもうひとつのほうで、
「休暇は?」
そう問いかけると、プロデューサーはスッと目をそらし、首の後ろに手を添えた。
おい待て、ここにきてそのポーズはどういうことだ。
「……ここ最近の、双葉さんのめざましいご活躍、そして昨日の舞踏会の成功により、仕事の依頼が殺到しているようです。それも双葉さんの名声をよりいっそう広められるような、大型の案件が多く」
名声なんてどうでもいいよ!
私は働いたよ! 怠け者の私が! 働くことの大嫌いなこの私が! この1週間、誰よりも働いたよね!?
「たいへん申し訳ありませんが、もうしばらくのあいだ、ご多忙を強いることになってしまいそうです。……しかし私は、双葉さんならばきっと、この困難をも乗り越えてくれると信じています。なにしろ――」
そう言って、プロデューサーは、ふいに顔をほころばせ、
「双葉さんは、天才ですから」
――なんて、
ふだん口癖みたいに『笑顔笑顔』言ってるくせして、自分はいつだって鉄仮面みたいな仏頂面をしているプロデューサーが、これまでに一度も見せたことがないような極上の笑顔で言うもんだから、
私は心の中で深くため息をつきながら、こう言うしかなかったんだ。
「ふざけんな、ばかぁあああ!!!!!」
~Fin~
42: ◆ikbHUwR.fw 2017/07/04(火) 12:49:49.82 ID:F6tUihmD0
過去作宣伝です。
夕美「クイズで」拓海「勝負?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1487615199/
美城専務「君に仕事を頼みたい」きらり「にょわ?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1490034903/
夕美「うおおおおお!!!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492222941/
周子「エピュキュリアン」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1494275248/
未央「うおおおおお!!!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1496141259/
夕美「クイズで」拓海「勝負?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1487615199/
美城専務「君に仕事を頼みたい」きらり「にょわ?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1490034903/
夕美「うおおおおお!!!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492222941/
周子「エピュキュリアン」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1494275248/
未央「うおおおおお!!!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1496141259/
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 13:28:49.15 ID:mxH+1z1fO
くっそよかったぞ!
後日談とかあってもいいんだぞ
おつおつ
後日談とかあってもいいんだぞ
おつおつ
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 13:31:10.34 ID:vy6GdMjUO
おっもしれえ!おつ!
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 13:54:04.77 ID:Wq4vUTd0o
最高だった めっちゃいい
47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/04(火) 14:25:53.05 ID:rHualCyvO
おつ
きらりの話好き
これも良かった
きらりの話好き
これも良かった
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1499136917/
Entry ⇒ 2017.09.30 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
モバP「ネネさんに餌付けされる日々」
1: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 22:48:51.05 ID:kINJJNdZ0
モバマスSSです。
プロデューサーはP表記。
2: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 22:53:18.47 ID:kINJJNdZ0
ある日 346プロ事務所
P「よし、昼でも食べるか」
ガサガサッ
P「よーし、じゃあいただきます……」ベリベリッ
ガチャ
栗原ネネ「ただ今戻りましたー」
P「おお、ネネ。おかえりなさい」
ネネ「あっ、プロデューサーさん! ただいま戻りました!」パアッ
ネネ「……って、ああっ!!」
P「ネネ、どうした? 何かあった?」
ネネ「な、何かあったかもなにも……プロデューサーさん、それってお昼ご飯ですか?」
P「うん、そうだけど。どうかした?」
3: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 22:54:45.87 ID:kINJJNdZ0
ネネ「だ、ダメですよ! そんなゼリーとブロックの食べ物でお昼ご飯だなんて!」
P「え? ウ●ダーインゼリーとカ●リーメイトじゃダメなの?」
ネネ「よくないです! 栄養を補うためには丁度いいですけど、それだけだと栄養はちゃんと取れません!」
ネネ「あ、あのPさん。もしかして、ゼリーとブロックのお昼ごはんって……」
P「ん? ほとんど毎日かな。これなら食べながらでも仕事出来るからさ」アハハ
ネネ「」ピシッ
P「ネネ、固まってしまったけど……どうした?」
ネネ「ち、ちょっと、給湯室に行ってきます……」フラフラ
P「?」
4: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 22:56:35.87 ID:kINJJNdZ0
ヴィイイィィン カチッ
ネネ「よし、っと……」
ネネ「……Pさん、どうぞ」コトッ
P「ありがとう。でも。これは……?」
ネネ「特製のジュースです。ゼリーとブロックだけじゃ栄養も足りないので、上手く補えるように考えて作ってみました」
P「ゴクッ……うん、これは美味しい!」
ネネ「よかったです」ホッ
ネネ「一応腹持ちのいいものも入れたので、お腹もすぐに減らないと思いますよ?」
P「それは嬉しいよ。いつもすぐお腹が減るからさ」
ネネ「あんなお昼ご飯だと当然です! むしろ、よくこれまで倒れないでいたのか不思議ですよ!」
P「うぐっ、それを言われたら……」
ネネ「Pさんが倒れてしまったら、みんな心配するんですよ……?」
P「ネネ……そうだな、ごめん」
5: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 22:57:16.11 ID:kINJJNdZ0
ネネ「……よしっ、決めました!」ティン
ネネ「明日から、私がPさんのお弁当を作ってきます!」
P「ええっ? でも流石にそれはネネに申し訳ないよ」
ネネ「いえ、私は何が何でも作ります! Pさんの食習慣をしっかり変えてみせますからっ!」
P(ネネは俺の昼ご飯を作ると高らかに宣言した)
P(流石に朝晩のご飯は作ることができないから、代わりに朝晩も食事の内容をネネに連絡することに)
P(こうして、ネネによる俺の食習慣改善プロジェクトが始まった)
P(それは言わば、ネネから餌付けをされる日々の始まりであった)
6: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:01:43.53 ID:kINJJNdZ0
・・・・・・・・・・
次の日 事務所
Pちひろ「……」カタカタ
ちひろ「……大分お腹空いてきましたね」
P「もうそんな時間ですか。よし、俺もそろそろお昼にしようっと」
ネネ「あの、プロデューサーさん」ヒョコッ
P「ネネ、どうした? って、もしかして……」
ネネ「はいっ! 昨日言ってた通り、お弁当作ってきました♪」スッ
ちひろ「えっ。ちょっとプロデューサーさん? どういうことですか?」
P「実は……」カクカクシカジカ
ちひろ「なるほど……確かにプロデューサーさんのお昼ご飯って不摂生でしたもんね。何度言っても気を付けてくれなかったですし」
P「面目ないです……」
7: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:02:35.82 ID:kINJJNdZ0
ちひろ「でも、お弁当作るなんて、恋人同士みたいですね?」
ネネ「ふぇっ」
ネネ「待ってください、違います! 私はそんな……!///」アタフタ
ちひろ「もちろん分かってますよ、ふふっ♪」クスッ
ネネ「……あう」カアァ
ちひろ(かわいい)
8: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:04:08.62 ID:kINJJNdZ0
ネネ「と、とりあえず、お弁当どうぞ!」
P「うん、ありがとう……よっと」パカッ
P「おお、すごい……」
ちひろ「すごい。彩り豊かで美味しそう……」
ネネ「なるべく沢山の食材を食べてほしかったので、出来るだけ入れてみました」ドヤッ
P「じゃあ早速、いただきます」
P「どれにしようかな……よし、まずはこの筑前煮を……」パクッ
ネネ「……」ドキドキ
P「うん、美味い!」
ネネ「!……ありがとうございますっ!」パアァ
ちひろ(本当に美味しそう。私もネネちゃんに作ってもらいたい……)
9: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:06:02.60 ID:kINJJNdZ0
P「ふぅ……ご馳走様」
ネネ「お弁当、どうでしたか?」
P「全部とても美味しかったよ、ありがとう」
ネネ「お口に合ってよかったです♪」
P「このお弁当なら昼からも元気に頑張れそうだし、毎日食べていたいくらいだよ」
ちひろ(さりげなくプロポーズしやがった。多分無意識なんだろうけど……)
ネネ「あっ……はいっ! 私も腕によりをかけて作ります!」
ちひろ(ネネちゃんの反応も乙女な反応だし……)
10: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:08:02.25 ID:kINJJNdZ0
・・・・・・・・・・
あくる日 事務所
響子「ただ今戻りました!」
P「おお、響子。おかえりなさい」
ネネ「響子ちゃん、おかえりなさい♪」
響子「あっ、Pさんにネネちゃん!」
P「響子、今日のレッスンはどうだった?」
響子「『いい感じだ』ってトレーナーさんから褒められちゃいました! それに、苦手だった部分のステップも出来るようになったんですよ♪」
P「よしよし、流石は響子だ」
響子「えへへ……」テレテレ
11: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:09:56.20 ID:kINJJNdZ0
響子「あれっ。Pさん、お弁当食べてるのにお仕事ですか?」
P「うん。すぐに仕上げないといけない書類のことを、ご飯食べてる途中に思い出してな」ズガガガ
響子「なるほど、それは大変ですね……」
響子(でも、ネネちゃんがPさんのデスクのそばに立ってるのは何でだろう……?)
響子(そもそも、Pさんが手作りお弁当って珍しいような……)
ネネ「次は玉子焼きでいいですか?」
P「うん、お願い」
響子(んっ?)
ネネ「じゃあ……はい、あーん」スッ
P「アムッ……うん、玉子焼きも美味い」
響子「うえぇっ!?」ガタッ
12: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:11:35.95 ID:kINJJNdZ0
P「ん? 響子どうした?」
響子「ど、どうしたもこうしたもないです! な、何でネネちゃんがPさんにお弁当を食べさせてるんですか!?」
ネネ「えっと……プロデューサーさんはお仕事忙しいけどお腹も空いてるだろうから、それじゃあ私が食べさせてあげようって」
響子「このお弁当も、もしかしてネネちゃんが?」
ネネ「はいっ。プロデューサーさんの食生活を改善するために、毎日こうしてお弁当を持ってきてるんです!」
響子「ま、毎日!?」
響子「えっと、そんな……ちひろさんっ!!」オロオロ
ちひろ「……私はこの一週間に何度もこの光景見てるので、大分慣れてきましたよ」
ちひろ(傍から見たらダダ甘な光景ですけどね。大人組の数名は真っ白な灰になってました)
13: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:12:52.39 ID:kINJJNdZ0
響子(!)ティン
響子「でもネネちゃん、毎日って流石に辛くないかな? もしよかったら、私が一日おきに……!」
ネネ「前日の夕食も少し使ったりしてますし、意外ときつくないですよ?」
ネネ「それに献立を色々と考えながら作ると、とっても楽しいんです! 次はどういうのを出したらPさん喜んでくれるかなあ、って♪」キラキラ
響子「」
響子(純粋な笑顔が眩しいっ!)
響子(しかしネネちゃん、思わぬ伏兵……!)
響子(私も負けてられないっ!!)ヨーシ!
14: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:13:54.28 ID:kINJJNdZ0
・・・・・・・・・・
またある日の夜 P宅
P「……」ピピッ カシャ
P「この写真を添付して……よし」ピッ
P「揚げ物ばっかだし、多分怒られるだろうなあ」
P(でも、何だかこれってアレだよな。RIZ●Pみたい)
~♪
P「……んっ。早速ネネからだ」ピッ
15: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:14:59.22 ID:kINJJNdZ0
P「もしもし、ネネ?」
ネネ『Pさん! あのご飯は一体なんですか!』
P「言われると思ったよ、ごめん。でも今日は忙しくて、スーパーで出来合いのお惣菜しか買えなかったからさ」
ネネ『でも、揚げ物ばかり……お浸しとか買ってもよかったじゃないですか』
P「いやあ、半額シール貼られたから、つい……」
ネネ『もう……』
16: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:17:34.86 ID:kINJJNdZ0
ネネ『晩ご飯も、Pさんの家に私が作りに行った方がいいのかしら……』
P「それは色々マズいからダメ」
ネネ『むう……』
P「そうだ。ネネ、今日の昼はレッスン見に行けなくてごめんな?」
ネネ『いえ、大丈夫ですよ! メアリーちゃんや星花さんと一緒にレッスンでしたから♪』
ネネ『そうそう! それで、レッスンの途中に亜季さんもやってきて……』
P「うんうん、それで?」
P(夕飯の写真を送ると、毎回ネネから電話がかかってくる)
P(最初は夕飯の内容なんだけど、その後はその日あった出来事や家のことなど、他愛のない話をするのが最近の流れだ)
P(楽しいから、ついつい長電話しちゃうんだよなあ)
17: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:18:56.58 ID:kINJJNdZ0
・・・・・・・・・・
そのまたある日 事務所
ネネ(今日もPさん、喜んでくれるかしら……♪)
ガチャ
ネネ「こんにちはー……ってあれ? 賑やかだけどどうしたのかな?」
ギャーギャー ワーワー
響子「はいっ、Pさん! 玉子焼きどうぞ!」
まゆ「Pさん、まゆの作ったコロッケもどうぞ♪」
P「ち、ちょっと待って……!」
ネネ「あ、あれ……?」
18: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:20:57.32 ID:kINJJNdZ0
ちひろ「あっ、ネネちゃん来たんですね」
ネネ「は、はい。でもちひろさん、これは一体……?」
ちひろ「ネネちゃんがプロデューサーさんにお弁当を作ってるってみんなが知ったから、負けじとお弁当を作ってきたみたいです」
ネネ「それでみなさん……」
葵「プロデューサー! 西京焼食べりっちゃ!」
P「ちょっと待って、俺そんなに食べられないから!」
かな子「美味しいから大丈夫です!」
P「大丈夫じゃない! 美味しくても胃袋のキャパシティが限界迎えるの!」
ネネ「これじゃあ、私の作ったお弁当が……!」
ちひろ「プロデューサーさんも、流石にお腹いっぱいで食べれないかもしれないですね?」
ネネ「そ、そうですね……」
ネネ「しかも、ちょっとデレデレしてますし……」
ネネ「……」
19: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:22:08.48 ID:kINJJNdZ0
・・・・・・・・・・
はたまたある日
ネネ「Pさん、はいっ! 大きく口空けてくださいね?」
ネネ「はいっ、あーん……」
ネネ「どうですか、美味しいですか? ふふっ、よかったです♪」
ネネ「何だかPさんに餌付けしてるみたいです、お母さんになったみたい」クスッ
ネネ「え? どうしてこんなことするんだ、ですか?」キョトン
ネネ「こんなことって……Pさんの手と足を縛って、椅子に座らせてることですか?」
ネネ「……そんなの、簡単じゃないですか♪」ニコッ
ネネ「Pさんは私だけを見たらいいんです」
20: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:25:18.55 ID:kINJJNdZ0
ネネ「だって、Pさんが悪いんですよ?」
ネネ「みんなからご飯食べさせてもらって、みんなにデレデレして……楽しかったですか?」
ネネ「でも」
ネネ「Pさんは、私の作ったご飯だけ食べて、私のことを見てたらいいんです」
ネネ「……ふふっ、今のPさんの表情、とっても可愛かったですよ♪」
ネネ「そうだ! 足の腱を切って、動けないようにしましょう!」
ネネ「そうすれば、Pさんはずっと私のことを見てくれる。私はPさんにずっとご飯を食べさせてあげられる……」
ネネ「ずっとずっと、永遠に……!」
ネネ「ふふっ、ふふふふっ! あはははは!」
ネネ「楽しみですね。ねっ、Pさん♪」ニコッ
21: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:26:47.53 ID:kINJJNdZ0
ネネ「……という感じなんですけど……私の演技、どうでしたか?」
P「うん、バッチリだったぞ」
ネネ「本当ですか? ふふっ、よかったです♪」
ネネ「でも、ありがとうございます。Pさんに演技のリハーサルを付き合わせてしまって……」
P「大丈夫。こっちこそ、ネネらしくない役の仕事を取ってきたからなあ」チラッ
『世にも●妙な物語 =台本=』
ネネ「愛の深さゆえに好きな人を監禁してずっと一緒にいようとする女の子の話、ですよね」
P「正直ここまで本格的な演技とは思わなかったよ。めちゃめちゃ怖かった……」
ネネ「実は、色んな人から演技や役柄についてお話聞いたんです。奏さんとか、まゆさんとか……」
P「ああ、なるほど。それで……」
22: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:30:11.59 ID:kINJJNdZ0
ネネ「でも、どうですか? もし、私が本当にこんなことしてしまったら……」
P「ネネが拘束するのか?」
ネネ「ち、違います! 私はあんなしようとは全く思わないですよっ!」
P「あはは、そうだよな」
P「でも……手足縛られなくても、俺はもう既に拘束されてるようなものだからなあ」
ネネ「へっ? わ、私にですか?」
P「うん。もう胃袋ガッチリ掴まれてるし」
ネネ「Pさん、それってどういう……へっ? ええええっ!?」
P「前に行っただろ? 『ネネの弁当なら毎日食べていたいくらいだ』って」
ネネ「た、確かに言ってましたけど……」
P「ネネ。これからもずっと、作ってくれないか?」
ネネ「……はいっ」コクッ
__________
______
___
23: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:33:24.24 ID:kINJJNdZ0
___
______
_________
いつかのある日
ネネ「はいっ、あーん……」
P「アムッ……うん、美味い!」
ネネ「ふふっ、ありがとうございます♪」
P「でも、流石に家でこうして食べさせる必要はないんじゃないか?」
ネネ「そうですか? でも私、Pさんにこうして食べさせてあげるの好きなんです♪」
ネネ「あの時のお弁当と、こうして食べさせてあげたことが、今の日々の始まりなんですから」エヘヘッ
P「確かに、あの時からこうしてネネに餌付けされ始めたんだよなあ」
P「流石に結婚してしばらく経ったから、ちょっと恥ずかしいけど……」アハハ
ネネ「あら、私はずっとしてあげたいくらいですよ?」
24: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:39:46.84 ID:kINJJNdZ0
ネネ「……そ、それでですね、Pさん」
P「ん? どうした?」
ネネ「結婚してしばらく経ってるじゃないですか」
ネネ「だからですね、その……そろそろ小さい子の餌付けもできたらな、って……」モジモジ
P「……だから今日の夕飯、イカのガーリック炒めにとろろご飯だったのか」
P「それに昼の弁当は里芋が入ってたし、朝も納豆だったな……」
ネネ「……はい」カアァ
P「……ネネ」
P「明日は一日動けないだろうけど、いい?」
ネネ「あ……はいっ♡」
この後めちゃくちゃ種づ(ry
おわり
25: ◆kBqQfBrAQE 2017/07/01(土) 23:50:47.26 ID:kINJJNdZ0
ネネさんって何だかグッときますよね。
そう思うと書かずにいられなかったです。
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/02(日) 08:15:25.60 ID:ZY2Z7Juz0
あぁー
ネネちゃんかわいいんじゃ~
俺もネネちゃんに餌付けされたい
ネネちゃんかわいいんじゃ~
俺もネネちゃんに餌付けされたい
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/02(日) 11:42:56.18 ID:qYi4JrCDO
響子&まゆ+葵(かな子は員数外)vsネネ も見たかったなぁ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1498916930/
Entry ⇒ 2017.09.30 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
凛「バブみを感じてオギャる」【モバマスSS】
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:38:42.92 ID:r3wdsdK30
※キャラ崩壊注意
事務所のソファーで、ありすが文香に質問している。
ありす「文香さんは、『バブみを感じてオギャる』って知ってますか?」
文香「『バブみを感じてオギャる』・・・ですか。知らないですね・・・」
文香(本を読んでばかりの私ですから、語彙力と呼ばれる物には多少の自信が有ったのですけれど。私もまだまだですね)
文香「ありすちゃんは、どこでその言葉を知ったのですか?」
ありす「テレビで偶然、橘ありすにバブみを感じる。という発言を耳にして・・・タブレットで調べようとも思ったのですが・・・」
文香「自分の評判をあまり調べるな。と、プロデューサーさんが言っていましたからね・・・」
文香(そういった配慮は、ありすちゃんのような小さい娘にこそ必要なのでしょう)
文香「・・・では、先に私だけ調べましょう。内容に問題がなければ、それを私からありすちゃんに伝えましょう」
ありす「分かりました。お願いします」スッ
事務所のソファーで、ありすが文香に質問している。
ありす「文香さんは、『バブみを感じてオギャる』って知ってますか?」
文香「『バブみを感じてオギャる』・・・ですか。知らないですね・・・」
文香(本を読んでばかりの私ですから、語彙力と呼ばれる物には多少の自信が有ったのですけれど。私もまだまだですね)
文香「ありすちゃんは、どこでその言葉を知ったのですか?」
ありす「テレビで偶然、橘ありすにバブみを感じる。という発言を耳にして・・・タブレットで調べようとも思ったのですが・・・」
文香「自分の評判をあまり調べるな。と、プロデューサーさんが言っていましたからね・・・」
文香(そういった配慮は、ありすちゃんのような小さい娘にこそ必要なのでしょう)
文香「・・・では、先に私だけ調べましょう。内容に問題がなければ、それを私からありすちゃんに伝えましょう」
ありす「分かりました。お願いします」スッ
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:39:15.29 ID:r3wdsdK30
文香「えー・・・と、ふむ。別に悪い意味ではないようですね」
ありす「どういう意味なんですか?」
文香「要約すると・・・『バブみ』は『母性』、『オギャる』は『過剰に幼児退行し、甘える』と言ったところでしょうか・・・」
ありす「・・・なるほど。よくわかりました」
文香「よかったです」
文香(そこで私がタブレットをありすちゃんに返そうとすると、ありすちゃんはそれを押しとどめました)
文香「ありすちゃん?」
ありす「少し待って下さい。私は勘違いしているかもしれません」
文香「勘違い?」
ありす「ええ、文香さんの説明を、知らず知らずに曲解しているかもしれません。何せ初めて知る言葉ですから」
文香「・・・確かに、私も今し方知ったばかりで、うまく説明できていなかったかもしれません。では、どうしましょう」
ありす「実演してください」
文香「実演」
ありす「私に対して、バブみを感じてオギャって下さい。そうすれば勘違いしているかどうか分かるはずです」
文香(正直に言えば、私はここでためらいを覚えました。恥ずかしいのです)
文香(しかし、このままではありすちゃんは勘違いをし続けてしまうかもしれません。そしてなにより)
文香(私は既に、ありすちゃんに対して、余りあるほどの『バブみ』を感じていたのです)
文香「・・・わかりました。実演しましょう」
ありす「ありがとうございます」
文香「そ、それでは・・・・・・あー、ありすちゃんは包容力があって、私を実の娘のように甘やかし、受け入れてくれそうだなー」
ありす「」ウンウン
文香「ま、ママァ・・・しゅきぃ・・」ギュッ
文香(私は倒れこみ、ありすちゃんの暖かいお腹に、顔を押し付けました)
ありす「・・・」
文香「・・・」
ありす「・・・よしよし♡」
文香「ママァ♡」
ありす「どういう意味なんですか?」
文香「要約すると・・・『バブみ』は『母性』、『オギャる』は『過剰に幼児退行し、甘える』と言ったところでしょうか・・・」
ありす「・・・なるほど。よくわかりました」
文香「よかったです」
文香(そこで私がタブレットをありすちゃんに返そうとすると、ありすちゃんはそれを押しとどめました)
文香「ありすちゃん?」
ありす「少し待って下さい。私は勘違いしているかもしれません」
文香「勘違い?」
ありす「ええ、文香さんの説明を、知らず知らずに曲解しているかもしれません。何せ初めて知る言葉ですから」
文香「・・・確かに、私も今し方知ったばかりで、うまく説明できていなかったかもしれません。では、どうしましょう」
ありす「実演してください」
文香「実演」
ありす「私に対して、バブみを感じてオギャって下さい。そうすれば勘違いしているかどうか分かるはずです」
文香(正直に言えば、私はここでためらいを覚えました。恥ずかしいのです)
文香(しかし、このままではありすちゃんは勘違いをし続けてしまうかもしれません。そしてなにより)
文香(私は既に、ありすちゃんに対して、余りあるほどの『バブみ』を感じていたのです)
文香「・・・わかりました。実演しましょう」
ありす「ありがとうございます」
文香「そ、それでは・・・・・・あー、ありすちゃんは包容力があって、私を実の娘のように甘やかし、受け入れてくれそうだなー」
ありす「」ウンウン
文香「ま、ママァ・・・しゅきぃ・・」ギュッ
文香(私は倒れこみ、ありすちゃんの暖かいお腹に、顔を押し付けました)
ありす「・・・」
文香「・・・」
ありす「・・・よしよし♡」
文香「ママァ♡」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:39:50.92 ID:r3wdsdK30
凛「これだッ!」
凛(同じソファーの上で、隣の一部始終を見届けた私は、ついそう叫んでしまった)
凛(しかし、そう叫んでしまうくらいに、素晴らしい作戦を思いついた)
凛(プロデューサーの前でバブみを漂わせる↓)
凛(プロデューサーが私にオギャる↓)
凛(依存するまで繰り返す↓)
凛(幸せな家庭を築ける。という訳だ)
凛(早速実行。私は仮眠室で仮眠しているプロデューサーの下へ走った)
凛(同じソファーの上で、隣の一部始終を見届けた私は、ついそう叫んでしまった)
凛(しかし、そう叫んでしまうくらいに、素晴らしい作戦を思いついた)
凛(プロデューサーの前でバブみを漂わせる↓)
凛(プロデューサーが私にオギャる↓)
凛(依存するまで繰り返す↓)
凛(幸せな家庭を築ける。という訳だ)
凛(早速実行。私は仮眠室で仮眠しているプロデューサーの下へ走った)
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:40:23.12 ID:r3wdsdK30
P「・・・あ~よく寝た」スッ
凛「プロデューサー」バァァァン
P「お、凛も仮眠か?丁度俺も起きた所だから、すぐにベッドを」
凛「プロデューサー、最近疲れてない?」
P「ん?」
凛「私達のために頑張ってくれるのは嬉しいけど・・・それでプロデューサーが倒れちゃったりしたら、私、嫌だよ」
P「心配してくれて、ありがとうな。でも大丈夫だよ。今だって仮眠したばっかりで・・・」
凛「仮眠はあくまで仮眠でしょ?やっぱり、不安だよ・・・」ズイッ
P「お、おい凛。何か近・・・」
凛「ねぇ、何か私にして欲しいことがあったら何でも言ってね。私ならいつでも甘えさせてあげるから・・・」
P「凛・・・いや、でも、年下の女の子に・・・」
凛「もう。そんなこと気にしなくていいんだよ。ここにはプロデューサーと私しか居ないし、私はどんなプロデューサーでも受け入れるから」
P「・・・・・・じゃあ」
凛「・・・うん」
P「おいで」
凛「パパァ♡しゅきしゅきぃ♡」
・・・・・・
凛「プロデューサー」バァァァン
P「お、凛も仮眠か?丁度俺も起きた所だから、すぐにベッドを」
凛「プロデューサー、最近疲れてない?」
P「ん?」
凛「私達のために頑張ってくれるのは嬉しいけど・・・それでプロデューサーが倒れちゃったりしたら、私、嫌だよ」
P「心配してくれて、ありがとうな。でも大丈夫だよ。今だって仮眠したばっかりで・・・」
凛「仮眠はあくまで仮眠でしょ?やっぱり、不安だよ・・・」ズイッ
P「お、おい凛。何か近・・・」
凛「ねぇ、何か私にして欲しいことがあったら何でも言ってね。私ならいつでも甘えさせてあげるから・・・」
P「凛・・・いや、でも、年下の女の子に・・・」
凛「もう。そんなこと気にしなくていいんだよ。ここにはプロデューサーと私しか居ないし、私はどんなプロデューサーでも受け入れるから」
P「・・・・・・じゃあ」
凛「・・・うん」
P「おいで」
凛「パパァ♡しゅきしゅきぃ♡」
・・・・・・
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:40:52.53 ID:r3wdsdK30
・・・・・・
凛「そんな訳で、甘やかそうと思ったら甘やかされてたんだよ」
未央「何してんのさ」
凛「すっごいふわふわした」
未央「うん、まぁ、それでプロデューサーも癒されてるなら、いいのかな?」
凛「でも私は甘やかしもしたいんだよ!!」
文香「静かにしてください。ありすちゃんが起きちゃいます」ヒザマクラ
ありす「」スヤスヤ
凛「ああ、ごめん」
未央「あれ?昨日と逆だ」
凛「交代制なんだって」
未央「それはそれは」
凛「あの二人みたいに、今日こそは私が甘やかしてみせる」ダダッ
未央(一応、着いて行ってやろう)
凛「パパァ♡しゅきっ♡しゅきなのぉ♡」
未央「だよなぁ」
・・・・・・
凛「そんな訳で、甘やかそうと思ったら甘やかされてたんだよ」
未央「何してんのさ」
凛「すっごいふわふわした」
未央「うん、まぁ、それでプロデューサーも癒されてるなら、いいのかな?」
凛「でも私は甘やかしもしたいんだよ!!」
文香「静かにしてください。ありすちゃんが起きちゃいます」ヒザマクラ
ありす「」スヤスヤ
凛「ああ、ごめん」
未央「あれ?昨日と逆だ」
凛「交代制なんだって」
未央「それはそれは」
凛「あの二人みたいに、今日こそは私が甘やかしてみせる」ダダッ
未央(一応、着いて行ってやろう)
凛「パパァ♡しゅきっ♡しゅきなのぉ♡」
未央「だよなぁ」
・・・・・・
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:41:26.30 ID:r3wdsdK30
凛「・・・うん。そうだね。ひとまずは認めよう。今の私には、バブみが足りない」
未央「パワーワードだなぁ」
凛「では、どうやって更なるバブみを身に付けるか?」
未央「ふむ」
凛「私は、先人に学ぼうと思うんだよね」
未央「ふむふむ」
凛「入って」
雫「どうも~」ガチャ
未央「ミルク」
凛「まず、雫がプロデューサーを甘やかせるか試して、成功したら、それを学んで行こうと思う」
未央「成功するとしてもしぶりんには真似できないと思うなぁ」
雫「頑張りますぅ」ドタプーン
未央「パワーワードだなぁ」
凛「では、どうやって更なるバブみを身に付けるか?」
未央「ふむ」
凛「私は、先人に学ぼうと思うんだよね」
未央「ふむふむ」
凛「入って」
雫「どうも~」ガチャ
未央「ミルク」
凛「まず、雫がプロデューサーを甘やかせるか試して、成功したら、それを学んで行こうと思う」
未央「成功するとしてもしぶりんには真似できないと思うなぁ」
雫「頑張りますぅ」ドタプーン
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:41:59.26 ID:r3wdsdK30
雫「プロデューサーさん。最近お疲れじゃありませんかぁ?」
P「うん?そんな事ないよ。可愛いアイドルの笑顔を思えば、疲れなんてぶっ飛ぶさ」
雫「ぶっ飛ばす必要が有るくらいには、疲れてるって事じゃないですか?」
P「う、確かに、ちょっと言い返せないかもな」
雫「だから、今日は私がプロデューサーさんを甘やかしてあげますよ?」
P「いや、いいよ。だって甘えたいのは、きっと雫の方だろう?」
雫「私が、ですか?」
P「上京してから結構経つし、他のアイドルの助けも有って、都会での生活にも随分慣れてきただろうけど、その分、故郷の家族が恋しいんじゃないか?」
雫「はう。恋しいです」
P「ほら、おいで?」
雫「・・・Pさん?」
P「俺なんかじゃ役不足かもしれないけどさ。今日は俺が雫の家族になって、いっぱい甘えさせてやるよ」
雫「パパァ♡」ギュッ
P「うん?そんな事ないよ。可愛いアイドルの笑顔を思えば、疲れなんてぶっ飛ぶさ」
雫「ぶっ飛ばす必要が有るくらいには、疲れてるって事じゃないですか?」
P「う、確かに、ちょっと言い返せないかもな」
雫「だから、今日は私がプロデューサーさんを甘やかしてあげますよ?」
P「いや、いいよ。だって甘えたいのは、きっと雫の方だろう?」
雫「私が、ですか?」
P「上京してから結構経つし、他のアイドルの助けも有って、都会での生活にも随分慣れてきただろうけど、その分、故郷の家族が恋しいんじゃないか?」
雫「はう。恋しいです」
P「ほら、おいで?」
雫「・・・Pさん?」
P「俺なんかじゃ役不足かもしれないけどさ。今日は俺が雫の家族になって、いっぱい甘えさせてやるよ」
雫「パパァ♡」ギュッ
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:42:38.76 ID:r3wdsdK30
凛「はい。雫が無理だったので、今度は雫と正反対のアイドルを連れてきました」
未央「ふむ」
凛「入って」
藍子「こんにちは。凛ちゃん、未央ちゃん」ガチャ
未央「正反対。正反対って」
未央(けど、あーちゃんの持つゆるふわフィールドが有れば、何とかなるかも)
藍子「プロデューサーさんの事、癒してあげられたらいいな」ペターン
未央「ふむ」
凛「入って」
藍子「こんにちは。凛ちゃん、未央ちゃん」ガチャ
未央「正反対。正反対って」
未央(けど、あーちゃんの持つゆるふわフィールドが有れば、何とかなるかも)
藍子「プロデューサーさんの事、癒してあげられたらいいな」ペターン
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:43:11.13 ID:r3wdsdK30
藍子「プロデューサーさん。お疲れ様です」
P「藍子。お疲れ様」
藍子「はい。それから、Pさん」
P「うん?」
藍子「えいっ」ギュッ
P「・・・あ、藍子?」
藍子「えへへ。私の心臓の音、聞こえますか?」
P「あ、ああ、(藍子の可愛い胸が小っちゃくて密着度が高いから)よく聞こえるよ」
藍子「知ってますか?人の心臓の音は、人を癒す効果があるんですって」
P「へぇ、そうなのか」
藍子「はい。ですから、これでプロデューサーさんの疲れも、少しは取れたらいいなって思うんですけど・・・どうでしょうか?」
P「うん。すっごく癒されるよ。ありがとう。藍子」
藍子「えへへ。私も嬉しいです。プロデューサーも、私にギュッてしていいんですよ?」ギュウッ
P「そうか・・・よし、じゃあ」スクッ
藍子「わわっ」
P「今度は、俺が藍子に心臓の音を聞かせてやるよ」ギュッ
藍子「んん・・・」
藍子(Pさんの心臓の音・・・Pさんの胸・・・暖かくて、安心する・・・)
P「好きなだけ、甘えていいからな」
藍子「パパァ♡」
P「藍子。お疲れ様」
藍子「はい。それから、Pさん」
P「うん?」
藍子「えいっ」ギュッ
P「・・・あ、藍子?」
藍子「えへへ。私の心臓の音、聞こえますか?」
P「あ、ああ、(藍子の可愛い胸が小っちゃくて密着度が高いから)よく聞こえるよ」
藍子「知ってますか?人の心臓の音は、人を癒す効果があるんですって」
P「へぇ、そうなのか」
藍子「はい。ですから、これでプロデューサーさんの疲れも、少しは取れたらいいなって思うんですけど・・・どうでしょうか?」
P「うん。すっごく癒されるよ。ありがとう。藍子」
藍子「えへへ。私も嬉しいです。プロデューサーも、私にギュッてしていいんですよ?」ギュウッ
P「そうか・・・よし、じゃあ」スクッ
藍子「わわっ」
P「今度は、俺が藍子に心臓の音を聞かせてやるよ」ギュッ
藍子「んん・・・」
藍子(Pさんの心臓の音・・・Pさんの胸・・・暖かくて、安心する・・・)
P「好きなだけ、甘えていいからな」
藍子「パパァ♡」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:43:43.14 ID:r3wdsdK30
凛「そもそも、高校生で大の大人を甘やかそうっていうのが間違いだったのかもね」
未央「まぁ、ちょっと引くよね」
凛「という訳で、大人のアイドルを呼んできたよ。入ってください」
亜里沙「こんにちは~」ガチャ
凛「お母さんオブお母さん。持田亜里沙てんてーだよ」
未央「お母さんのお母さんってそれただの祖母じゃないかな」
未央(でも、確かにてんてーの前では子供に戻っちゃうっていうか、そういう力があの人には有るからな・・・)
亜里沙「プロデューサーくんにも、お休みをあげなきゃね」
ウサコ「甘えさせてあげるウサ!」
未央「まぁ、ちょっと引くよね」
凛「という訳で、大人のアイドルを呼んできたよ。入ってください」
亜里沙「こんにちは~」ガチャ
凛「お母さんオブお母さん。持田亜里沙てんてーだよ」
未央「お母さんのお母さんってそれただの祖母じゃないかな」
未央(でも、確かにてんてーの前では子供に戻っちゃうっていうか、そういう力があの人には有るからな・・・)
亜里沙「プロデューサーくんにも、お休みをあげなきゃね」
ウサコ「甘えさせてあげるウサ!」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:44:42.88 ID:r3wdsdK30
亜里沙「プロデューサーくん。おはよう」
ウサコ「おはよウサ!」
P「亜里沙さん。おはようございます」
亜里沙「・・・プロデューサーくん。昨日、家帰った?」
P「あれ・・・ちゃんとシャワー借りたんだけどな・・・匂いますか?」
亜里沙「そうじゃなくて・・・もうプロデューサーくん働きすぎよ?」
ウサコ「ぶっ倒れるのも時間の問題ウサ!」
P「いやいや、まだまだ行けますよ」
亜里沙「ダメよ?ちゃんと休まなきゃ。ほら、ママと一緒にとおねんねしましょ?」
P「そ、そこまで言うなら・・・」
亜里沙「はい、ごろーん」
P「ごろーん」
亜里沙「よし、ママがなでなでしてあげる」
P「ママー」
亜里沙「よーしよしよし」ナデナデ
ウサコ「おはよウサ!」
P「亜里沙さん。おはようございます」
亜里沙「・・・プロデューサーくん。昨日、家帰った?」
P「あれ・・・ちゃんとシャワー借りたんだけどな・・・匂いますか?」
亜里沙「そうじゃなくて・・・もうプロデューサーくん働きすぎよ?」
ウサコ「ぶっ倒れるのも時間の問題ウサ!」
P「いやいや、まだまだ行けますよ」
亜里沙「ダメよ?ちゃんと休まなきゃ。ほら、ママと一緒にとおねんねしましょ?」
P「そ、そこまで言うなら・・・」
亜里沙「はい、ごろーん」
P「ごろーん」
亜里沙「よし、ママがなでなでしてあげる」
P「ママー」
亜里沙「よーしよしよし」ナデナデ
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:45:09.74 ID:r3wdsdK30
P「うーん。ママは可愛いなぁ。娘が羨ましい」
亜里沙「娘?」
P「仕事が忙しくって、子育ては全部ママに任せてるからなぁ。ごめんな、いつも」
亜里沙「いいのよ。その分パパは私達のために働いてくれてるんだから」
P「そう言ってもらえると、救われるよ。ありがとう」
亜里沙「うふふ、お仕事お疲れ様。パパ」
P「・・・あいつはもう寝たろ?もっと甘えてもいいんだぞ、亜里沙」
亜里沙「うん、じゃあ・・・えいっ」ギュウッ
P「・・・お疲れ様」ギュッ
亜里沙「んぅ・・・」
P「甘えん坊だなぁ、ママは」
亜里沙「あのね、パパ。あの子、欲しいものがあるんですって」
P「欲しいもの?」
亜里沙「弟が欲しいって言ってたわ」
P「・・・今日のママは積極的だなぁ。それじゃあ・・・」
亜里沙「パパァ♡」
凛「はいストーップ!」
亜里沙「娘?」
P「仕事が忙しくって、子育ては全部ママに任せてるからなぁ。ごめんな、いつも」
亜里沙「いいのよ。その分パパは私達のために働いてくれてるんだから」
P「そう言ってもらえると、救われるよ。ありがとう」
亜里沙「うふふ、お仕事お疲れ様。パパ」
P「・・・あいつはもう寝たろ?もっと甘えてもいいんだぞ、亜里沙」
亜里沙「うん、じゃあ・・・えいっ」ギュウッ
P「・・・お疲れ様」ギュッ
亜里沙「んぅ・・・」
P「甘えん坊だなぁ、ママは」
亜里沙「あのね、パパ。あの子、欲しいものがあるんですって」
P「欲しいもの?」
亜里沙「弟が欲しいって言ってたわ」
P「・・・今日のママは積極的だなぁ。それじゃあ・・・」
亜里沙「パパァ♡」
凛「はいストーップ!」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:45:41.45 ID:r3wdsdK30
凛「母性が受け流されてしまった」
未央「受け流されてたね」
凛「そもそも、バブみ=母性っていうのは文香の意訳で、本質は似て非なる物だからね」
未央「専門家っぽいね。しぶりん」
凛「という訳で、今度はもう少しトリッキーな人を連れて来たよ。入ってください」
心「スウィーティー☆」ガチャ
未央「トリッキー」
凛「もしかしたらこういうキャラの方がドツボにハマるかも知れないしね」
心「どういう意味だコラ☆」
未央「嫌な予感しかしない」
心「えぇい☆はぁと張り切っちゃうゾ☆」
未央「受け流されてたね」
凛「そもそも、バブみ=母性っていうのは文香の意訳で、本質は似て非なる物だからね」
未央「専門家っぽいね。しぶりん」
凛「という訳で、今度はもう少しトリッキーな人を連れて来たよ。入ってください」
心「スウィーティー☆」ガチャ
未央「トリッキー」
凛「もしかしたらこういうキャラの方がドツボにハマるかも知れないしね」
心「どういう意味だコラ☆」
未央「嫌な予感しかしない」
心「えぇい☆はぁと張り切っちゃうゾ☆」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:46:11.32 ID:r3wdsdK30
心「おいプロデューサー☆」
P「あ、はぁとさん。おはようございます」
心「そおい☆」ナデナデ
P「・・・はぁとさん?」
心「いつもはぁと達のために頑張ってくれてるプロデューサーに、はぁとからの謝恩のなでなで☆ありがたく受け取れ☆」
P「はぁとさん・・・ありがとうございます」
心「プロデューサーがいつも頑張ってくれてるの、はぁとは知ってんだかんな☆大好きだぞこの野郎☆」ギュッ
P「はぁとさん・・・」
心「今日はいっぱい甘やかしてやるからな☆はぁとのスウィーティーなお胸に飛び込んでみ?」
P「・・・優しいですね。はぁとさんは」
心「え?」
P「あ、はぁとさん。おはようございます」
心「そおい☆」ナデナデ
P「・・・はぁとさん?」
心「いつもはぁと達のために頑張ってくれてるプロデューサーに、はぁとからの謝恩のなでなで☆ありがたく受け取れ☆」
P「はぁとさん・・・ありがとうございます」
心「プロデューサーがいつも頑張ってくれてるの、はぁとは知ってんだかんな☆大好きだぞこの野郎☆」ギュッ
P「はぁとさん・・・」
心「今日はいっぱい甘やかしてやるからな☆はぁとのスウィーティーなお胸に飛び込んでみ?」
P「・・・優しいですね。はぁとさんは」
心「え?」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:46:44.30 ID:r3wdsdK30
P「はぁとさんもアイドル頑張ってるのに・・・俺の事まで気に掛けてくれて・・・」ナデナデ
心「ちょっ、おい☆」
P「俺も心さんのそういう所、好きですよ」ギュッ
心「名前で呼ぶなぁ・・・♡」
P「心、今ここには俺と心しか居ないから。好きなだけ甘えていいぞ」
心「パパァ♡」
P「よしよし」ナデナデ
心「パパッ♡しゅきしゅきぃ♡もっとぎゅってして♡ぎゅうー・・・♡」ギュウッ
P「いいぞ・・・いっぱい抱きしめてやるからなぁ・・・」ギュウッ
心「ねぇ、パパァ、何か、変なのぉ・・・♡」
P「どうした?心」
心「体熱くってぇ・・・おまたムズムズするのぉ・・・♡ねぇパパァ・・・♡どうしよぉ・・・♡」
凛「はいストーップ!!」
心「ちょっ、おい☆」
P「俺も心さんのそういう所、好きですよ」ギュッ
心「名前で呼ぶなぁ・・・♡」
P「心、今ここには俺と心しか居ないから。好きなだけ甘えていいぞ」
心「パパァ♡」
P「よしよし」ナデナデ
心「パパッ♡しゅきしゅきぃ♡もっとぎゅってして♡ぎゅうー・・・♡」ギュウッ
P「いいぞ・・・いっぱい抱きしめてやるからなぁ・・・」ギュウッ
心「ねぇ、パパァ、何か、変なのぉ・・・♡」
P「どうした?心」
心「体熱くってぇ・・・おまたムズムズするのぉ・・・♡ねぇパパァ・・・♡どうしよぉ・・・♡」
凛「はいストーップ!!」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:47:31.18 ID:r3wdsdK30
凛「ドツボだったね」
未央「逆にね。逆に」
凛「次は趣向を変えて、もっとキリッとした人を呼んだよ。入ってください」
留美「こんにちは」ガチャ
未央「しぶりん。この人はやめよう。この人だけはやめとこう」
凛「何でさ。やってみなくちゃわからないでしょ」
留美「パパァ♡」
凛「うっわキッツい」
未央「ほらぁ」
未央「逆にね。逆に」
凛「次は趣向を変えて、もっとキリッとした人を呼んだよ。入ってください」
留美「こんにちは」ガチャ
未央「しぶりん。この人はやめよう。この人だけはやめとこう」
凛「何でさ。やってみなくちゃわからないでしょ」
留美「パパァ♡」
凛「うっわキッツい」
未央「ほらぁ」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:48:16.40 ID:r3wdsdK30
凛「あの子だけは使いたくなかったけど・・・ここまで来たらもうあの子しかない」
未央「まさか」
凛「入って」
桃華「ごめんあそばせ」
未央「バブみ・ジ・オリジン」
桃華「パパァ♡」
凛「馬鹿な」
未央「十二歳なんだから当たり前だと思うなぁ」
未央「まさか」
凛「入って」
桃華「ごめんあそばせ」
未央「バブみ・ジ・オリジン」
桃華「パパァ♡」
凛「馬鹿な」
未央「十二歳なんだから当たり前だと思うなぁ」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:48:52.46 ID:r3wdsdK30
凛「くっ・・・桃華でもダメなんて、一体どうしたら・・・」
未央「もう諦めたら?」
P「そうだよ。もういいだろ?」
凛「うぐぐ・・・何・・・?私達に何が足りないの・・・?」
菜々「こんにちは!今日も元気なウサミンです!」ガチャ
P「・・・」
菜々「? どうしたんですか皆さん。一体何の話を・・・」
P「ママァ♡」ギュッ
菜々「ほわあああっ!?な、何してるんですかプロデューサーさん!」
凛「歳か・・・」
未央「歳だね・・・」
菜々「だ、黙って見てないで助けてくださいよ!菜々はこんな大きな息子がいるような歳じゃありませんーっ!!」
ーおわりー
未央「もう諦めたら?」
P「そうだよ。もういいだろ?」
凛「うぐぐ・・・何・・・?私達に何が足りないの・・・?」
菜々「こんにちは!今日も元気なウサミンです!」ガチャ
P「・・・」
菜々「? どうしたんですか皆さん。一体何の話を・・・」
P「ママァ♡」ギュッ
菜々「ほわあああっ!?な、何してるんですかプロデューサーさん!」
凛「歳か・・・」
未央「歳だね・・・」
菜々「だ、黙って見てないで助けてくださいよ!菜々はこんな大きな息子がいるような歳じゃありませんーっ!!」
ーおわりー
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:49:55.11 ID:r3wdsdK30
藍子に甘えたり甘えられたりしたいだけの人生だった・・・。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:50:29.54 ID:63BlPZwpo
乙
ウサミン落ちか
ウサミン落ちか
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 02:19:46.44 ID:6YQA1uT4o
うさみんかと思ったらうさみんだった
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 03:08:10.34 ID:FDKlIbsgO
わりと最初の方でうさみんかなー思ったらうさみんだった
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 06:18:00.84 ID:6lq0fQVDO
何気にみりあより小さい(何が?)藍子をディスっていますな
とりあえず千枝をママにしてきます
とりあえず千枝をママにしてきます
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1497112722/
Entry ⇒ 2017.09.30 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
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