ちひろ「私からのバレンタインチョコですっ」
1: ◆Q/bvSRBslQ 2017/02/18(土) 22:02:36.59 ID:ECVESjT70
遅刻しまくりバレンタイン。
前作
千川ちひろ「占い......?」
https://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1480344086
今回ちひろさんは最後に出てきます。
2: ◆Q/bvSRBslQ 2017/02/18(土) 22:03:48.57 ID:ECVESjT70
モバP(以後P)「~~♪」
加蓮「あれ、Pさんご機嫌だね、なにかいいことがあったの?」
P「あぁ加蓮、いやね、ちひろさんからチョコ貰えてさ!!」
加蓮「ふーん......」
P「まさか貰えると思ってなかったから嬉しくって!!」
加蓮「ふぅーーーーん............」
P「............?」
3: ◆Q/bvSRBslQ 2017/02/18(土) 22:13:00.02 ID:ECVESjT70
加蓮「私に自慢したくなっちゃうくらいに嬉しかったんだ......」
P「え、えーっと、まぁな?」
加蓮「......ねぇPさん、私にチョコを貰ったこと、誰かに自慢したりした?」
P「えっ......そ、それは...」
加蓮「そうだよね、私みたいに“簡単に”なびく“分かりやすい”女から貰ったチョコレートなんて自慢する価値ないもんね」
P「そ、そんなことないぞ!加蓮から貰った時だってそりゃー嬉しくて嬉しくて...」
加蓮「本当に?私、今年は包装にも気を使ったんだけど、あの紫の包みは気に入った?」
P「も、もちろん!!シックないい色だったぞ?」
加蓮「...............」
P「......加蓮...?」
加蓮「......Pさん、紫の包みは奈緒のチョコレートだよ」
P「」
P「」
6: ◆Q/bvSRBslQ 2017/02/18(土) 22:39:12.81 ID:ECVESjT70
加蓮「仕方ないよね、一緒に渡したんだし、なんの感動もない私からのチョコレートなんて、印象に残らなくて当然だよ」
P「ご、ごめん加蓮!」
加蓮「ううん、謝るのは私の方だよ、もうPさんにスカウトされてから何年も経つのに、あげたチョコを覚えてもらえていないんだもん」
P「うぅ...」
加蓮「だから、覚えてくれるようになるまで、チョコなんて作ってないで、Pさんとも話さないで、レッスン頑張らないとー」
P「か、加蓮っ!」
加蓮「じゃあそろそろレッスン行こーっと、1時間も早く着いて、自主練でもしてよーっと」スッ
P「加蓮っ、許してくれっ」
加蓮「Pさん、私、頑張るからねっ」
P「加蓮ーっ、お願いだ、何でもするから!!!」
ガチャ
凛「今何でも」
奈緒「するって言った?」
P「」
7: ◆Q/bvSRBslQ 2017/02/18(土) 22:40:15.04 ID:ECVESjT70
加蓮「あ、奈緒、凛、ファミレスいこーっ、もちろんPさんのおごりで!」
P「え、いや、ちょっと、あの」
加蓮「............」
加蓮「なんだか私急に自信がなくなってきちゃった......“とてもとても”身近な人の印象に残ることが出来なくて、ファンの人たちに私のこと覚えてもらえるわけないもん...」
P「うっ......」
凛「バレンタインって、女の子にとってはすごく勇気がいることなのになぁ」
P「うぅ、わかったよ!好きなだけ頼め!!!」
加蓮「ありがとー!Pさん大好きっ」チラッ
凛「わー、私もー(棒)」チラッ
奈緒「あ、あたしも.........」
奈緒「って、そんなこと言えるかぁーっ!!!!」
P(かわいい)
加蓮(かわいい)
凛(かわいい)
8: ◆Q/bvSRBslQ 2017/02/18(土) 22:57:40.23 ID:ECVESjT70
ー橘ありすの場合ー
ちひろ「......では、今日もお仕事頑張りましょうっ」
P「はいっ!!!///」
ちひろ「では、また後でっ」スタスタ
バタン
P「やったー、ちひろさんからチョコレートもらっちゃったー////」
ありす「...なぜそんなにデレデレしてるんですか」
P「あ、ありす!?いつの間にそこに!?」
ありす「橘です。あと、私はプロデューサーさんがちひろさんにデレデレしているあたりからここにいました」
P「そ、そうか、気づかなかった...」
9: ◆Q/bvSRBslQ 2017/02/18(土) 22:58:22.74 ID:ECVESjT70
ありす「......そんなに嬉しかったんですか?」
P「え?いや、まぁ...」
ありす「昨日は事務所のみんなからも貰ったじゃないですか、それも何個も」
P「いやもちろんそれも嬉しかったぞ?」
ありす「でも、担当アイドルの存在に気づかないくらい喜んだりはしてなかったじゃないですか」
P「だからそれはごめんって......」
ありす「私たちとちひろさんと何が違うんですか?」
P「別に違ったりすることはないけど......あ、でも、ちひろさんからこうやって個人的なものを渡されることって無かったからそれが意外だったのかな...?」
ありす「............」
P「......ありす?」
10: ◆Q/bvSRBslQ 2017/02/18(土) 22:59:31.58 ID:ECVESjT70
ありす「プロデューサーさん、チョコレートが個人的な贈り物だと言う確証はあるんですか?」
P「えっ......いやそれは............」
ありす「ない、ですよね?同僚の男性がいて、もし何も渡さなかったら良からぬ誤解を与えると思っての“社交辞令”だと考えるのが自然じゃないですか?」
P「ぐ、ぐぬぬぬぬ......」
ありす「目が覚めましたか?」
P「と、と言うことは、昨日みんなから貰ったチョコレートも、社交辞令.........!?」
ありす「その通r.........」
ありす「............」
P「ありす.........?」
ありす「いえ、社交辞令以外のチョコレートも入っていると思いますよ?」
P「ほ、ホントか!?」
ありす「えぇ、例えば苺の入ったやつとか...」
P「み、みんながみんな社交辞令じゃないんだな??」
ありす「えぇだから苺の...」
P「よかったー、みんなから嫌われてなくって!」
ありす「特に社交辞令じゃないのは苺の...」
11: ◆Q/bvSRBslQ 2017/02/18(土) 23:14:25.28 ID:ECVESjT70
ガチャ
周子「あ、プロデューサー、おはよー」
P「お、周子おはよ」
ありす「しゅ、周子さん、おはようございます」
周子「プロデューサー、あたしのイチゴ大福食べたー?」
ありす「.........!」
周子「一応和菓子屋の娘だから、それなりにおいしくできたとは思うんだけどー」
P「イチゴ......大福............!!」
ありす「プ、プロデューサーさん!?あ、えっと、そのイチゴじゃなくてっ!」
周子「え?イチゴ?イチゴがどしたん?」
P「しゅ、周子、周子は俺のことどう思ってる?」
ありす「んなっ!」
周子「え、プロデューサー?うーんそうだなぁ......まー、いつもお世話になってるなーとは思ってるけどー」
P「そ、そうか...」
ありす「......ホッ」
周子「......」チラッ
12: ◆Q/bvSRBslQ 2017/02/18(土) 23:15:36.58 ID:ECVESjT70
周子「まぁでも、あたしは家を飛び出してきちゃった訳だし、引くに引けないってゆーかー」
周子「だから、プロデューサーとあたしは一蓮托生のパートナーってゆーかー」ニヤニヤ
ありす「!!」
P「しゅ、周子......」ウルッ
周子「もー、プロデューサー泣かないでよー、なんかあたしまで恥ずかしくなるじゃん?」
ありす「あ、あの...」
P「これからもよろしくな、周子」グスッ
周子「こちらこそよろしくーん」チラッ
ありす「.........」
周子「ありすちゃんはーー???」
ありす「え、えーっと......わ、私も、よろしく...お願い...します......」
P「うぅ、ありすありがとうぅ」ナデナデ
ありす「た、橘です!」
P「」ガーン
P「ドーセオレナンテドーセオレナンテドーセオレナンテ...」
ありす「あっ、そ、そうじゃなくって...」
ありす「...あ、ありすって呼んでいいですから、落ち込まないでくださいっ」
P「ホ、ホントニ......?」
ありす「ほ、本当ですっ」
P「ありがとう、ありす...」ナデナデ
ありす「......///」
周子「......」ニヤニヤ
周子「モテるオトコは辛いねーー」ニヤッ
13: ◆Q/bvSRBslQ 2017/02/19(日) 00:03:07.42 ID:L8TGdJwu0
ー千川ちひろのバレンタインー
2/14
ちひろ(ふむふむ、今年も誰ともかぶってない......と)
ちひろ(アイドルの子たちが主役だから、去年も私は1日遅く渡したけど、みんなのチョコと被らないかだけが毎回心配なのよね...)
ちひろ(あの真面目なプロデューサーさんなら、何個もらおうともその日のうちに全部開けて食べようとするだろうし...)
ちひろ(あ、こっちに来た)
P「あ、ちひろさん、さっきの書類、ちょっと手直ししてもいいですか?」
ちひろ「わかりました、じゃあ、できたら改めて私のボックスに送っておいてください」
P「ありがとうございます.........ふぅ...」ガサッ
ちひろ「......今年もたくさん貰ってますね」
P「まぁ、女性ばかりの事務所ですからね、役得、ってことなんでしょうか」
ちひろ(役得じゃなくて貰ってるチョコばかりだと思うんだけどなぁ.........ってあのチョコは!)
ちひろ「と、ところでプロデューサーさん、その黄緑色の箱のチョコって...」
P「あー、それは藍子のですよ、藍子らしい爽やかな色ですよね」
ちひろ「そ、そうですね...」
ちひろ(うぅーん、箱が被っちゃったかぁ...これは帰り道にまた探さないと.........ってあれは...!)
ちひろ「プ、プロデューサーさん、その変わった形のハート型のチョコって......」
P「これはかな子から貰ったものです!なんでもシンデレラマークらしいです、さすがのクォリティーですよね......」
ちひろ「そ、そうですね...さすがかな子ちゃん......」
ちひろ(うぅ、チョコまで被るなんて......ど、どうしよう............)
14: ◆Q/bvSRBslQ 2017/02/19(日) 00:04:37.72 ID:L8TGdJwu0
その夜...
ちひろ「ど、どうしよう......まさかこんなことになるなんて......」
ちひろ(今からじゃそこまで手の込んだことは出来ないし、材料だって限られてるし......)
ちひろ「今年は渡すの無理なのかなぁ......」
ちひろ「......」
ちひろ「...それは......嫌...かな...」
ちひろ「...うん、やれるだけやってみよう」
ちひろ「よしっ、頑張ろっと」グッ
ちひろ「うーーん.........」
15: ◆Q/bvSRBslQ 2017/02/19(日) 00:06:24.87 ID:L8TGdJwu0
2/15
ガチャ
P「おはようございまs...
ちひろ「おはようございます!!今日もよろしくお願いします!そしてちょっとこっちに来てくださいっ」グイッ
P「ち、ちひろさん!?」グイッ
ちひろ「口を開けてくださいっ」
P「え、えっ??」
ちひろ「大丈夫ですからっ」
P「え、じゃあ、あー...」
ちひろ「あーん...」スッ
P「......ん、おいしい......」
ちひろ「ふふっ、よかった......ハッピーバレンタインです、プロデューサーさんっ」ニコッ
P「......っ!」ドキッ
ちひろ「いきなりすみません...ちょっと、包装を用意できなくって...」
ちひろ(これなら、形も気にしなくてよかったしっ)
P「い、いえ......少しビックリしただけですから」
ちひろ「アイドルの子たちには内緒ですからねっ」
ちひろ(もうそろそろありすちゃんが来る時間だし...)
P「は、はいっ......ドキッとさせられちゃいましたし」
ちひろ「ドキッと...ですか?」
P「いや、キスされちゃうかと......」
ちひろ「キ、キキキス...!?////」
ガチャ
ちひろ(あ、ありすちゃん...!)
ちひろ「......で、では、今日もお仕事頑張りましょうっ」
P「はいっ!!!///」
16: ◆Q/bvSRBslQ 2017/02/19(日) 00:06:55.33 ID:L8TGdJwu0
ちひろ「では、また後でっ」スタスタ
バタン
ちひろ(......もうっ、プロデューサーさん、いきなりあんなこと言うんだもん///)
ちひろ(.........でも、やっぱり渡せてよかったっ)フフッ
ちひろ「さてっ、今日も頑張ろうっ」グッ
17: ◆Q/bvSRBslQ 2017/02/19(日) 00:08:54.23 ID:L8TGdJwu0
終わりです。
15日に渡すのも、妙なプレッシャーがあるだろうなーって思ったって思ったので書きました。
つまるところやち天!!!
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 01:51:50.14 ID:BGLLrOUx0
ちっひかわいい
ちひPいいと思う
乙
ちひPいいと思う
乙
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 01:54:07.46 ID:9ovEEY+Qo
乙
ちっひーは可愛いなあ!!
ちっひーは可愛いなあ!!
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 03:03:15.25 ID:KcxhdE1H0
かわいい(かわいい)
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1487422956/
Entry ⇒ 2017.02.28 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
モバP「親戚の伏し目がちな子をスカウトしよう」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/06(月) 20:13:47.05 ID:/fT4wNuB0
ちひろ「プロデューサーさん、ちょっといいですか」
モバP「なんですか?」
ちひろ「うちの事務所も軌道に乗って随分経ちました」
モバP「そうですね、お陰さまでアイドルも仕事も増えました」
ちひろ「でも私ちょっと思うんですよ」
モバP「え?」
ちひろ「クール勢の層が薄いんじゃないかと」
モバP「……まあ、凛と楓さんの2人ですからね」
モバP「なんですか?」
ちひろ「うちの事務所も軌道に乗って随分経ちました」
モバP「そうですね、お陰さまでアイドルも仕事も増えました」
ちひろ「でも私ちょっと思うんですよ」
モバP「え?」
ちひろ「クール勢の層が薄いんじゃないかと」
モバP「……まあ、凛と楓さんの2人ですからね」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/06(月) 20:15:30.45 ID:/fT4wNuB0
ちひろ「パッションやキュートはたくさんいるのに、クールだけ少なすぎじゃないですか?」
モバP「ええ、まあ」
ちひろ「このままじゃバランスの悪い事務所になりますよ?いいんですか?」
モバP「そうですねえ」
ちひろ「クールの仕事独占できませんよ?」
モバP「う~~ん」
ちひろ「…なんか歯切れ悪いですね」
モバP「クール、増やしたいっちゃ増やしたいんですけどねえ……」
ちひろ「何かあるんですか?」
モバP「…まあ、凛が嫉妬するというかなんというか」
ちひろ「嫉妬?」
モバP「なんか嫌がるんですよ、新しい子を入れようとすると……」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/06(月) 20:16:25.52 ID:/fT4wNuB0
ーーーーーーーーーー
モバP「応募してくるような子はどの子もレベル高いなあ…」ペラ
凛「なにこの紙」
モバP「あっ、凛……」
モバP(しまった…)
凛「ふーん、これが新しいクール部門のアイドル?」
モバP「や、まだ決まったわけじゃ……」
凛「私じゃ駄目だった?頑張ったつもりだったんだけど」
モバP「いやいや、そういうわけじゃなくてな?」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/06(月) 20:17:21.22 ID:/fT4wNuB0
凛「…………」ジー
モバP「凛が大きくしてくれた部門をもっと力入れようと思ってさ」
凛「…………」
モバP「凛も手がかからなくなったし!」
凛「…………」
モバP「ま、まだ凛に集中しようかな」
凛「!!」
凛「ふーん、ま、どっちでもいいけど」
凛「いらないならこの履歴書はシュレッダーにかけとくね」
モバP「ううう……」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/06(月) 20:18:53.00 ID:/fT4wNuB0
ーーーーーーーーーー
モバP「ってことが何度もあって……」
ちひろ「何ですかそれ…」
モバP「シンデレラガールにへそ曲げられちゃ困りますし……」
ちひろ「……」
ちひろ「とりあえず、クールアイドルを増やすのは決定事項です!来週までに連れてきてください!」
モバP「ええ!?」
ちひろ「もう決まったことです!!」
モバP「ら、来週まではキツいですよ、俺明日帰省しますし!」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/06(月) 20:19:31.18 ID:/fT4wNuB0
ちひろ「帰省先で捕まえてくればいいでしょう!はい、決定!」
モバP「そんなあ…!」
ちひろ「連れて来れなければペナルティで給料から10時間分のお金を引かせてもらいます!」
モバP「10時間分!?鬼!悪魔!労基法をなんだと思っているんだ!」
ちひろ「聞こえませーん」
モバP「ツイッターに流して炎上させてやる!」
ちひろ「あんな風に証拠残したりしませーん抜かりなくやりまーす」
モバP「ううう…!無理ーーー!!」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/07(火) 21:45:59.79 ID:0EwBJDZKO
ー実家ー
モバP「終わりだあ」
モバP「地元の知り合いの目が気になってスカウトできないし」
モバP「スカウトで通報されるたびに婦警になった幼馴染がシメてくるし」
モバP「もう親戚の集まり始まるし」
モバP「明日東京帰らないといけんし」
モバP「終わりだあ」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/07(火) 22:41:32.67 ID:U8R2jx9+0
「おーい、モバP!長野のおじさんの家族が来たぞー!」
モバP「あ、はーい」
モバP「どうも、ご無沙汰してます」
「じゃあお父さんたちは飲むから、お前は若い子の相手をしていてくれ」
モバP「え」
「昔遊んでたから大丈夫だよな」
モバP「急だな、別にいいけど」
「頼むぞー」
モバP「まったく…」
モバP「えーっと、久しぶりだね。じゃあ何しよっか」
モバP「文香」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/07(火) 22:44:53.27 ID:U8R2jx9+0
「…………」
モバP「ふ、文香?」
文香「……」
モバP「……あはは」
モバP(なんだこれ!?反抗期!?)
モバP(確かに昔から口数は少なかったけど無視はしてこなかったはず…!!)
モバP(うつむきながら袖を掴んできたあの頃の文香はどこに行ってしまったんだ…!)
文香(……)
文香(モバPさん、3年と142日と17時間9分ぶりに会ったけどやっぱり素敵です……)
文香(素敵すぎてとても直視できません……)
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/07(火) 22:46:48.20 ID:U8R2jx9+0
モバP「ま、前髪伸びたね?前もそんな感じだったっけ?」
文香(……!!)
文香(確かに毎月2日に整えている前髪を今月は帰省でまだ切り揃えられてないけど、そんな所まで見てくれてるなんて……!!)
文香「これはもう結婚…ですね」
モバP「え?結婚?誰が?」
文香「……」
モバP(また黙っちゃったぞ!?)
文香(モバPさん、照れてらっしゃる……)
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/07(火) 23:00:55.30 ID:U8R2jx9+0
文香(ん…?結婚するなら一緒に暮らさないといけない…)
文香(私もモバPさんと一緒に東京に帰らないといけない…)
文香(お父さんに許可をもらわないといけない……)
文香「…モバPさん」
モバP「お、やっと呼んでくれた」
文香「少し親に挨拶を…一旦失礼します」
モバP「……?お、おう」
モバP「……行っちゃった。どうしたんだろ」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/08(水) 08:29:43.03 ID:Gc69tnc40
モバP「……まあ待ってよう」
ゴソゴソ
モバP「……?」
ゴソゴソ
モバP「…俺の部屋から音が聞こえる」
モバP「なんだ?怖いな…」
モバP「泥棒だった時のためにバットを持って……」
モバP「勢いよく……」
ガチャ!!
モバP「おい!!!!」
「ひい!!!」
モバP(机の下に誰かいる!)
モバP(とりあえず電気をつけて…)
ピッ
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
モバP「って……乃々!?」
乃々「ううう~」
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/08(水) 08:31:00.44 ID:Gc69tnc40
モバP「どうしたんだこんな所で!」
乃々「うあうあううえええん」
モバP「ダメだ、びっくりして受け答えが出来なくなってる…」
乃々「ええええんええええん」
モバP「大丈夫、大丈夫だぞ乃々」
ギュッ
乃々「ふあ……」
モバP「怒ってないからな?落ち着いて落ち着いて」
乃々「……バット」
モバP「え?バット?あ、これ全然関係ないぞ!」バキィ!!
モバP「ほら!もうバットじゃない!木だ!」
乃々「…………」
ーーーーーーーーーー
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/08(水) 08:31:47.67 ID:Gc69tnc40
モバP「落ち着いたか?」
乃々「はい……さっき取り乱したのは忘れてほしいんですけど……」
モバP「いや、それはいいんだけど」
モバP「そもそもどうして俺の部屋に?」
乃々「もりくぼは親戚の集まりがあった時はいつもモバPさんの後ろに隠れてました……」
モバP「ああ、そんなこともあったな」
乃々「でも最近、モバPさんは忙しくて帰ってきてくれませんでした……」
モバP「うっ」
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/08(水) 08:32:38.00 ID:Gc69tnc40
乃々「だから親戚で集まった時はいつもモバPさんの部屋の机の下で隠れていたんです……」
モバP「なるほど、それで今日もここに入ろうとしたわけか」
乃々「はい……本当にごめんなさい……」
モバP「いやいや、全然謝ることじゃないぞ?」
乃々「勝手に机の下に私物も置いちゃいましたし……」
モバP「え?」
乃々「すぐどかします……」
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/08(水) 08:36:16.63 ID:Gc69tnc40
モバP「ど、どれどれ?」
モバP「……うおっ、少女漫画がいっぱい」
乃々「……モバPさんの匂いに包まれて少女漫画を読むのは最高です……」
乃々「もりくぼはここをモバくぼの森と名付けました……」
モバP「そ、そうか」
モバP「……ん?何これ」
乃々「そ、それは……!!」
『のの姫は12時までに帰らないといねません』
『魔法が解けてしまうからです』
乃々「か、回収です……!」バッ
モバP「あっ」
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/08(水) 08:37:02.74 ID:Gc69tnc40
モバP「……それ、乃々が描いたのか?」
乃々「ううう…消え去りたいんですけど……」
モバP「上手じゃないか!」
乃々(モバP王子のページを開かなかったのは不幸中の幸いなんですけど……)
モバP「にしても乃々もシンデレラに憧れてたんだなあ」
乃々「も、もうその話は……!!」
モバP「あはは」
モバP「ん?」
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/08(水) 08:37:41.63 ID:Gc69tnc40
モバP(乃々はシンデレラになりたい)
モバP(シンデレラガールになりたい)
モバP(アイドルになるしかない?)
モバP「乃々」
乃々「は、はい?」
モバP「俺と一緒に、東京に来ないか」
乃々「え」
乃々(ええ~~!?)
乃々(突然のプロポーズなんですけど…!!)
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/08(水) 08:39:15.80 ID:Gc69tnc40
乃々(ど、どどどどどど)
乃々(どうしよう……!!)
モバP「あっちでは厳しくしちゃうかもしれないけどさ」
乃々(突然の関白宣言!?完全に亭主の心持ちなんですけど……)
モバP「でも乃々を見た時正直ティンと来たからさ、伸びると思うんだ」
乃々(ナニがティンと来たから伸びる!??)
乃々(もう家族計画まで考え始めてる……!)
乃々「で、でもまだ16歳じゃないですし……」
モバP「叔父さんたちは俺が説得してみせるから!」
乃々「あ、あうぅ……」
モバP「な?」
乃々「……お」
乃々「お任せします……」
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/08(水) 08:40:16.09 ID:Gc69tnc40
モバP「よっし!!これからよろしくな!」
ジーーーー
モバP(……殺気!?)
モバP「誰っ…………あ、文香か」
文香「…………なんで」
モバP「?」
文香「なんで乃々ちゃんは顔が真っ赤なんですか?」
モバP「え」
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/08(水) 08:41:07.88 ID:Gc69tnc40
文香「なんで二人きりでモバPさんの部屋にいるんですか?」
文香「乃々ちゃんを東京に連れてくってどういうことですか?」
文香「バットが折れてるんですけど、どんな激しい行為を」モバP「文香!」
文香「!」
モバP「文香落ち着け、落ち着け」
ギュー
文香「……は、はい」
モバP「文香は昔から暴走しちゃうからな」
文香「……はい」
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/08(水) 08:43:22.83 ID:Gc69tnc40
モバP「抱きしめたら黙っちゃうのは変わらないな」
文香「……モバPさんに抱かれると落ち着きます……」
モバP「……乃々はアイドルになるんだ」
乃々(いきなり他の女に抱きついてからモバPさんだけのアイドルだなんてノロケるなんてレベル高すぎです)
モバP「だから東京に連れて行く」
文香「…そうですか」
文香「じゃあ乃々ちゃん、あっちでも一緒ですね」
乃々「え?」
モバP「ん?」
文香「親には言ってきたので、一回みんなの所に行きましょう…さ、どうぞ」
モバP「???」
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/08(水) 08:47:56.96 ID:Gc69tnc40
ー居間ー
「というわけでモバPくん!うちの文香をよろしく頼むよ!」
文香「不束者ですが…よろしくお願いいたします」
モバP「え?」
「東京のことなんてこれっぽっちも知らないから色々教えてやってくれ!」
モバP「え、文香、東京来るのか?」
文香「いきなり単身赴任はいやです……モバPさんに着いていきます……」
モバP(どういうことだ…?)
モバP(…………)
モバP(……!)
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/08(水) 08:49:49.50 ID:Gc69tnc40
モバP(小説好きな文香のことだから、わざと遠回しな表現でアイドルになりたいと伝えてきたのか)
モバP(まったく、俺の現代文の偏差値が48じゃなかったら分からない所だったよ)
モバP(でもそれなら俺の答えは1つ!!)
モバP「お任せください。文香は責任を持って育てていきます」
「ヒューヒュー!!」
「育てるってなんかえっちだー!!」
「わかるわ」
「責任!!責任!!!」
モバP(盛り上がってる…やっぱり正解だったみたいだな)
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/08(水) 12:59:10.88 ID:Gc69tnc40
ー事務所ー
ちひろ「で、連れてきたのはこの2人ですか……」
文香「……」
乃々「……」
ちひろ「……ちょっとモバPさん、こっち来てください」
モバP「はい?」
ちひろ「……また濃いメンバー連れて来ましたね……」
モバP「可愛いでしょう」
ちひろ「や、すごい可愛いんですけど、大丈夫ですかね?」
モバP「何がですか?」
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/08(水) 13:00:18.17 ID:Gc69tnc40
ちひろ「例えば、今モバPさんを呼んだ段階から物凄い眼光でこちらを睨んでくる文香ちゃんとか……」
モバP「え?」クルッ
文香「!」
文香「……」ニコー
モバP「笑ってますよ?」
ちひろ「……」
ちひろ「事務所着いた瞬間教えてもいないのにモバPさんの机の下に潜り込んだ乃々ちゃんとか……」
モバP「え?」クルッ
乃々「濃い……濃い……」クンクン
モバP「…あいつはあそこが落ち着くんです」
ちひろ「……」
48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/08(水) 18:57:09.63 ID:Gc69tnc40
ちひろ「まあ、とりあえず2人とも寮住まいってことでいいですね?」
モバP「あ、2人ともうちに住まわせます」
凛「は?」
モバP「うおっ」
ちひろ「ひいっ」
凛「あ、ちょっとその前に」
凛「ほらやめて、匂い減っちゃうから」
乃々「あうぅ……引っ張り出さないでほしいんですけど……」ズルズル
凛「……よし、続けて?」
モバP「ああ、えーっと」
56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/09(木) 13:42:32.70 ID:4m7yDCsr0
モバP「2人はうちに住まわせる。そういう条件で連れて来たからな」
凛「そもそもその2人の紹介がまだなんだけど」
モバP「あ、そっか」
モバP「おーい2人とも、凛に挨拶するんだ」
文香「……鷺沢文香です」
乃々「も、もりくぼです……」
凛「……うん、で、なんで2人ともプロデューサーの家に住まわせるのかとプロデューサーの住所を教えて?」
57: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/09(木) 13:43:39.16 ID:4m7yDCsr0
モバP「何でかって言うと、じゃあまず乃々からな」
モバP「乃々は人見知りが激しくて、こっちに連れて来て寮生活させるのはとても無理なんだ」
凛「うん」
モバP「で、俺の匂いを嗅ぐと落ち着くらしいからうちに住まわせることにした」
凛「ちょっと待って」
モバP「ん?」
凛「私もプロデューサーの匂い嗅がないと落ち着かないんだけど」
モバP「ええ?」
凛「ほら、これプロデューサーのハンカチ。これ嗅ぐと落ち着くんだ」クンクン
モバP「……」
ちひろ「あ、ドン引きしてる」
モバP「…で、文香だ」
ちひろ「見なかったフリしてる」
58: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/09(木) 13:46:20.62 ID:4m7yDCsr0
モバP「文香はこっちに連れてくる条件として俺と一緒に住むってのを親御さんと約束したからな」
凛「え、親にも許可取ったの?」
文香「私もあちらのご両親に挨拶を済ませました……」
文香「家族だし当然です……」
モバP「まあ、当然だな」
凛(は?え?両親に挨拶済み、家族、同棲……)
凛「……2人は付き合ってるの?」
モバP「はは、そんなわけないだろ」
文香「!??」
ちひろ(あちゃー)
66: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 08:19:08.05 ID:rcASwNZU0
文香「モ、モバPさん、どういうことですか」
モバP「え?いやあ、凛が急に変なこと聞くから」
文香「変なこと?」
モバP「俺たちが付き合ってるなんてなあ」
凛「なんだ、じゃあ2人が家族ってのはどういう意味?」
モバP「文香が俺の親戚ってだけだよ」
67: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 08:21:44.95 ID:rcASwNZU0
文香「え……」
モバP「ん、なんか勘違いしてる?」
モバP「そもそも俺、告白なんてしてないだろ?」
文香「そ、そんな……!!言ってくれたじゃないですか…!!」
凛「何て?」
文香「ま、前髪ちょっと伸びたなって……」
凛「……は?」
文香「……だから、いつもに比べて前髪伸びてるって言ってくださったんです……!」
ちひろ「えっと…」
68: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 08:23:09.41 ID:rcASwNZU0
凛「好きって言われたわけじゃないの?」
文香「……凛さん、夏目漱石がI love you.をなんて訳したかご存知ですか?」
凛「初対面だけど、あなたが今すっごい勝ち誇ってる顔してるのは分かるよ」
凛「というか、前髪のことくらいなら私も言われたことあるよ」
文香「!?」
文香「まさかモバPさん、色んな人にこの言葉を…!?」
モバP「いや、前髪の事くらい言うだろ」
文香「髪は女性の命なんですよ…!!」
ちひろ「それはそうだけども」
69: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 09:02:47.73 ID:rcASwNZU0
文香「…………」
文香「……実家に帰らせてもらいます」
モバP「ええ!?困るって!」
文香「知りません……!」
モバP「せっかく新しいクールアイドルをプロデュースできると思ったのに!」
文香「アイドル…!?そんな人前に出るような事できません……!!」
文香「アイドルとして連れて来たかったなら菜々おばさんでも友紀おばさんでも連れてくれば良かったじゃないですか…!!」
モバP「あ、叔母さんに叔母さんってつけるの禁止ってキツく言われただろ!」
文香「あっ…」
70: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 09:03:43.11 ID:rcASwNZU0
文香「菜々ちゃんでも友紀ちゃんでも良かったじゃないですか…」
モバP「いや、文香じゃなきゃダメなんだよ」
文香「えっ…」
モバP(その2人クールって感じじゃないしな)
モバP「文香以外考えられないんだ」
文香「私じゃなきゃ…駄目なんですか?」
モバP「ああ」
凛「……」
凛「アイドルって大変だし、やりたくないならやらない方がいいよ」
71: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 09:04:23.76 ID:rcASwNZU0
凛「レッスンもキツイしプライベートも無くなるし、本当にやりたい人以外は務まらないと思う」
モバP「凛……」
凛「だから、無理だと思うなら悪いことは言わないから地元に帰りな?」
凛「で、文香さんを住まわせる予定だった部屋に私が住むよ」
モバP「凛……」
76: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 09:52:08.12 ID:rcASwNZU0
文香(……そういえばモバPさんと同居できるのは魅力ですね)
文香(アイドル……あまり自信はないけれど)
文香(うかうか地元で過ごしていたらこの子にとられるかもしれません)
文香「……モバPさん」
モバP「はいっ」
文香「私、頑張ってみます……」
モバP「本当か!?」ちひろ「本当ですか!?じゃあこの書類にサインをお願いします!」ドサー
77: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 09:52:48.89 ID:rcASwNZU0
文香「す、すごい量ですね…。しっかり読みながら記入したいので持ち帰っていいですか?」
ちひろ「いやいや!特に変なことは書いてないから流れ作業でサラサラ~っと書いてくれれば!」
文香「そうですか…?では」
サラサラ~
ちひろ(ちっひっひ)
凛(あ、ちひろさん悪い顔してる)
78: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 09:57:48.86 ID:rcASwNZU0
モバP「よっし、書き終わったか?」
文香「はい……」
モバP「乃々は契約書は親に書いてもらうから、とりあえず今日やることはもう無いな」
文香「はい」
凛「うん」
乃々「早く落ち着きたいんですけど…」
凛「じゃ、帰ろっか?私たちの家に」
モバP「お前はいつものところで降ろすぞ」
凛「……」
83: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 10:17:06.13 ID:rcASwNZU0
ちひろ「プロデューサーさん♪帰省中にたまったお仕事片付けましょう」
モバP「え、あの今日は帰省で疲れたし帰りたいんですけど……」
ちひろ「明日までの仕事たくさんありますよ?」
モバP「え、マジですか…」
ちひろ「あ、文香ちゃんと乃々ちゃんが乗るタクシーは呼んでおいたので、モバPさん、部屋の鍵渡してあげてください」
モバP「……これ」
文香「あ、ありがとうございます…」
モバP「今日は帰れないと思うから夜ご飯は適当に済ませてくれ…」
文香「…頑張ってください」
84: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 10:18:09.50 ID:rcASwNZU0
ちひろ「凛ちゃんはいつも通り帰ってね?」
凛「……はい」
乃々(一気にお通夜みたいな雰囲気になったんですけど……)
文香「では、これからよろしくお願いします、失礼します……」
乃々「し、失礼します……」
バタン
85: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 10:18:45.43 ID:rcASwNZU0
ー部屋の前ー
文香「ここが……」
乃々「ちょっと緊張します…」
文香「……では」
ガチャ
文香「……?電気が点いてる…?」
乃々「消し忘れたんでしょうか…」
楓「あら、いらっしゃい」ヒョコ
86: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 10:20:36.01 ID:rcASwNZU0
文香「!??!?!!?」
乃々「!??!?!?!」
文香「ま、間違えました…!!」
ガチャン
文香(……!???)
文香(今のバスタオルに身を包んだ湯上がり美女は誰…!?)
乃々「へ、部屋番号は間違って無いみたいです……」
文香「ここはモバPさんの部屋…のはず……」
「どうぞー」
文香「よ、呼ばれてる…?」
乃々「とりあえずもう一回入ってみて……」
89: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 10:25:10.57 ID:rcASwNZU0
ガチャ
文香「し、失礼ですがここはモバPさんのお部屋でしょうか…?」
楓「そうですよ?」
乃々「ど、どうしてモバPさんの部屋にあなたが……」
楓「まあまあ、とりあえず上がってください。はいスリッパ」
文香「?????」
乃々「?????」
楓「どうぞどうぞ」
文香「失礼します…?」
90: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 10:30:55.94 ID:rcASwNZU0
ー居間ー
楓「もしかしてあなたたちが親戚の文香ちゃんと乃々ちゃん?」
乃々「なんで知ってるんですか……」
楓「プロデューサーさんから、親戚を2人連れて帰るって連絡があったんです」
楓「ごめんなさい、湯冷めしちゃうからちょっと着替えてくるわ」
文香「どうぞ……」
文香(……タンスから自分のパジャマを出した…)
文香「乃々ちゃん……」
乃々「?」
文香「あの人、確実に強敵です…」
乃々「えええ」
96: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 19:36:47.36 ID:rcASwNZU0
楓「お待たせしました」
文香「……」
楓「夜は食べてきました?」
文香「いえ…」
楓「そうですか、では出前を取りましょう」
楓「じゃ、乃々ちゃん、手前の出前表をちょうだい?」
乃々「こ、これですか…?」
楓「そうそう、手前の出前表ね?」
乃々「どうぞ……」
97: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 19:38:04.64 ID:rcASwNZU0
楓「……」
楓「手前」文香「あの、あなたは一体……」
楓「……あっ、いけない。自己紹介がまだだったわね」
楓「私は高垣楓と申します。プロデューサーさんのもとでアイドルをやっています」
文香「……モバPさんとの関係は?」
楓「……まあ、見ての通りです」
乃々(見ての通り!?)
楓「お隣さんです」
乃々(見てわかるんですか……?)
103: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 21:19:35.58 ID:rcASwNZU0
文香「お隣さんがどうして家主のいない部屋に上がりこんでいるんです?」
楓「プロデューサーさんに頼まれたからです」
文香「何をですか?」
乃々(おお…グイグイ聞いてるんですけど)
楓「今日大切な荷物が届くから、留守番していてくれと」
文香「……なるほど」
楓「私、大人だから留守番できるので」
乃々(あ、ドヤ顔……)
104: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 21:21:29.66 ID:rcASwNZU0
文香「……なんでモバPさんの家のモバPさんのタンスの中からあなたのパジャマが出てきたのでしょう」
乃々(確かに)
楓「たまにお泊まりするからです」
乃々(うわ~)
楓「急に泊まるときにパジャマが無いと困りません?」
文香「部屋に帰ればいいんじゃないでしょうか」
乃々(あ~キレちゃってます)
文香「それに、見渡してみればマグカップはお揃いのが2つ、歯ブラシも2本、スリッパも2組……」
楓「プロデューサーさん、私のことも考えて必要な家具は2つ買ってきてくれるんです」
107: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/10(金) 22:40:51.88 ID:rcASwNZU0
文香「……?」
文香(こんなに親密なのになぜお隣さんという距離を…)
文香「……単刀直入にお伺いいたします」
文香「あなたはモバPさんをどう思っていますか?」
楓「……」
文香「高垣さん」
楓「で、出前何にしまひゅ?」
文香(……やっぱり)
文香(ここまで生活に入り込んでおいて付き合っていないのは)
文香(この質問だけで焦り出して顔を真っ赤にしてしまうのは)
文香(この人が……超奥手だからです)
文香「乃々ちゃん、勝ち目はあります」
乃々「はあ……」
117: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/14(火) 21:36:02.52 ID:9ZrHzj8B0
文香「私、モバPさんからあなたのことを一度も聞いたことがありませんでした…」
乃々(先制攻撃です)
楓「……うぅ」
乃々(あ、泣いてしまいました)
乃々(意外と打たれ弱いんですけど…)
文香「あ、あっ、あの…」
乃々(焦ってます)
楓「もしかして私、プロデューサーさんに嫌われてるんでしょうか…そうだったら悲しいです」
乃々(しょんぼりしちゃったんですけど…)
118: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/14(火) 21:37:34.96 ID:9ZrHzj8B0
文香「普通に考えて嫌いな人を家に上げるわけ無いと思います…」
乃々(文香さんがフォローに回ったんですけど…)
楓「そうですかね…面倒な女なんて思われてたり…私って口下手ですし…」
文香「モバPさんがそんなこと言うと思いますか…?」
楓「……いいえ」
文香「…もっと自信を持って良いと思います」
119: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/14(火) 21:44:20.84 ID:9ZrHzj8B0
楓「…ありがとうございます」
文香「いえ…思ったことを言っただけですから…」
乃々(一瞬でバトルが終わった…)
楓「……ふふっ、変ね、年下の子に慰められるなんて」
文香「…高垣さんはおいくつなんですか?」
楓「私?私は今年で25歳よ」
文香「!!!」
ーモバPの実家ー
120: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/14(火) 21:55:07.78 ID:9ZrHzj8B0
留美『あなた今年でいくつになるの?」
文香『19歳です…』
留美『若いわね…』
美優『この歳になると段々焦り始めますよね』
瑞樹『わかるわ』
友紀『何がー?』
菜々『親とか友人からのプレッシャーにですね…』
留美『ほんと、職場内にいい人がいたら頑張れるんだけど、なにぶん女性の多い職場だから…』
菜々『まあ、20代も後半に差し掛かると嫌でも焦り出すんですよ、文香ちゃんも気を付けて下さいね』
文香『はあ……』
121: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/14(火) 22:00:51.98 ID:9ZrHzj8B0
ーーーーーーーーーー
文香(そういえば実家でこんなことを言われました…)
文香(高垣さんは焦る年頃…近くにはモバPさん…)
文香(……やはり2人に距離を取らせなければ)
文香「……アイドルがプロデューサーの家に入り浸るのは良くないと思います」
楓「…え?」
文香「……高垣さんがモバPさんの部屋から出てくるのを週刊誌にでも撮られたら困りますよね?」
乃々(隣に住んでる時点で言い訳はできないと思うんですけど……)
楓「……」
楓「…それならそれで」文香「は?」
乃々(あ、まずい)
126: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 12:40:21.54 ID:5hagPXrS0
文香「駄目です、モバPさんの今後の仕事に影響が出てしまいます」
楓「…それはそうですね」
乃々(さっきから折れるの早いです)
文香「モバPさんのお世話は私たちがするので大丈夫です」
楓「……出前たのみません?」
乃々(逸らした)
文香「今はそんなこと…」グ~
文香「……」
乃々(黙ってしまいました)
楓「ふふ、ピザでも頼みましょ?」
文香「……はい」
127: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 12:40:59.56 ID:5hagPXrS0
ーーーーーーーーーー
乃々(文香さんと高垣さんは時々不穏な空気にはなりますが、高垣さんのふわふわしたオーラですぐに和んでしまいます)
乃々(あと文香さんは言い争いに慣れていないのか、よく途中で涙目になってしまいます)
乃々(そんな感じで、私とモバPさんと文香さんの3人と高垣さんの共同生活が始まりました)
ーーーーーーーーーー
128: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 12:43:38.58 ID:5hagPXrS0
モバP「…じゃ、行ってくるから」
楓「ちゃんとお留守番していて下さいね」
楓「あ、ネクタイ…」
モバP「え?ああ」
楓「はい、バッチリです」
モバP「ありがとうございます」
モバP「じゃ、行って来まーす」
楓「行ってきます」
バタン
文香「……」
乃々「……」
文香「乃々ちゃん…」
乃々「き、兄妹みたいですね…」
文香「……」
乃々(じゅ、充実してます……)
129: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 12:50:40.29 ID:5hagPXrS0
ー事務所ー
ちひろ「プロデューサーさん、ちょっといいですか?」
モバP「何でしょう」
ちひろ「アイドル、もう少し増やしたいなと」
モバP「またですか?」
モバP「あ」
モバP「うちの親戚にキュートにぴったりの人材がいるんですよ」
ちひろ「うーん…その子、今何歳ですか?」
モバP「……何歳くらいが欲しいんですか?」
ちひろ「卯月ちゃんと同年代のアイドルを揃えたいので、高校生とかだと嬉しいですねー」
モバP(…………)
モバP「あ、じゃあ丁度いいですね、その人17歳ですから」
ちひろ「じゃあ声をかけておいて下さい」
モバP「了解です」
132: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 12:55:22.07 ID:5hagPXrS0
ー廊下ー
モバP「もしもし?突然だけど俺の事務所入らない?」
モバP「いや、事務員とかじゃなくてアイドルとして」
モバP「……」
モバP「こんなチャンス無いと思うけどな~」
モバP「おばさんだってまだアイドルになりたいんじゃないの?」
モバP「……あ!ごめんごめん!菜々ちゃん!」
モバP「…え?来る?ほんと?」
モバP「良かった!じゃあ明日の12時に東京駅で待ってるから」
モバP「あと、菜々ちゃんは17歳ってことで通ってるから!じゃあね!」ブチッ
菜々「え?」
終わり
136: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 12:57:13.23 ID:5hagPXrS0
今回長くなってしまいました
最後まで読んでくれてありがとうございました
最後まで読んでくれてありがとうございました
139: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 14:19:00.75 ID:MjMa3PVno
次の作品期待しとる
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1486379626/
Entry ⇒ 2017.02.28 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
【艦これ】天龍「お、ファミレス出来てるじゃねぇか」
1: ◆49r2x7t0Hs 2017/02/19(日) 21:50:33.22 ID:t/Qkil28o
天龍「入ってみるか」スタスタ
イラッシャイマセー
「何名様ですか?」
天龍「一人だ」
「喫煙禁煙どちらで」
天龍「禁煙で」
「ではこちらへどうぞ~」
「ご注文お決まりになられましたら、こちらのボタンを押してください」
天龍「おう」
イラッシャイマセー
「何名様ですか?」
天龍「一人だ」
「喫煙禁煙どちらで」
天龍「禁煙で」
「ではこちらへどうぞ~」
「ご注文お決まりになられましたら、こちらのボタンを押してください」
天龍「おう」
2: ◆49r2x7t0Hs 2017/02/19(日) 21:51:15.16 ID:t/Qkil28o
天龍「……」ジー
天龍「……よし」ポチッ
シーン
天龍「あ?」
天龍「チッ」ポチッ
シーン
天龍「はぁ……すいませーん」
……
天龍「すいませーん!」
……
天龍「ふぅ~……聞こえねーのかオラァァァ!!」
天龍「……よし」ポチッ
シーン
天龍「あ?」
天龍「チッ」ポチッ
シーン
天龍「はぁ……すいませーん」
……
天龍「すいませーん!」
……
天龍「ふぅ~……聞こえねーのかオラァァァ!!」
3: ◆49r2x7t0Hs 2017/02/19(日) 21:52:05.66 ID:t/Qkil28o
大鯨「はい……お呼びでしょうか……」オズオズ
天龍「こっち来いほら、こっち来い」クイクイ
大鯨「あぅ……」
天龍「どうなってんだよこの店よぉ、客が呼んだらすぐに来いよぉぉ!!」
大鯨「あ、あの……お呼びの時はこちらのボタンを――」
天龍「押したんだバカ野郎。押したんだよ」
天龍「でもこれが壊れてっから鳴んねぇんだろうがよぉぉぉ!」バンッ
ピンポーン
天龍「」
神通「ご注文お決まりでしょうか?」スタスタ
大鯨「ち、違います違います!」ブンブン
天龍「こっち来いほら、こっち来い」クイクイ
大鯨「あぅ……」
天龍「どうなってんだよこの店よぉ、客が呼んだらすぐに来いよぉぉ!!」
大鯨「あ、あの……お呼びの時はこちらのボタンを――」
天龍「押したんだバカ野郎。押したんだよ」
天龍「でもこれが壊れてっから鳴んねぇんだろうがよぉぉぉ!」バンッ
ピンポーン
天龍「」
神通「ご注文お決まりでしょうか?」スタスタ
大鯨「ち、違います違います!」ブンブン
4: ◆49r2x7t0Hs 2017/02/19(日) 21:53:10.30 ID:t/Qkil28o
神通「?」
大鯨「違うんです……違うんですよ……」
神通「けど、今鳴りませんでしたか?」
大鯨「鳴りました。確かに鳴りました」
神通「はい」
大鯨「鳴ったけど違います。そうゆーのじゃないんです」
神通「そうゆーのじゃない」
大鯨「はい、そうゆーのじゃないやつですから」
神通「……」
大鯨「違うんです……違うんですよ……」
神通「けど、今鳴りませんでしたか?」
大鯨「鳴りました。確かに鳴りました」
神通「はい」
大鯨「鳴ったけど違います。そうゆーのじゃないんです」
神通「そうゆーのじゃない」
大鯨「はい、そうゆーのじゃないやつですから」
神通「……」
5: ◆49r2x7t0Hs 2017/02/19(日) 21:54:10.74 ID:t/Qkil28o
大鯨「この場はいいですから、早く戻って下さい」
神通「戻る?」
大鯨「はい、早く早く!」シッシッ
神通「はぁ……?」スタスタ
――
大鯨「はぁ……」クルッ
天龍「なっちゃまずいだろ」ボソッ
大鯨「すいません……」
天龍「壊れてっから鳴んねぇってブチ切れちゃってんだよこっちはよぉぉ!」
大鯨「はい」
神通「戻る?」
大鯨「はい、早く早く!」シッシッ
神通「はぁ……?」スタスタ
――
大鯨「はぁ……」クルッ
天龍「なっちゃまずいだろ」ボソッ
大鯨「すいません……」
天龍「壊れてっから鳴んねぇってブチ切れちゃってんだよこっちはよぉぉ!」
大鯨「はい」
6: ◆49r2x7t0Hs 2017/02/19(日) 21:55:20.27 ID:t/Qkil28o
天龍「この店はなんだ、客を気まずくさせるのか?」
大鯨「そんなコンセプトありません……」
天龍「お前あれだろ」
大鯨「はい」
天龍「これ壊れてねぇって思ってるだろ」
天龍「これ壊れてねぇって思ってんなぁおいぃぃ!」
大鯨「いえ」
天龍「じゃあお前押してみろよぉ!押して確かめてみろよぉぉ!なぁ!」
大鯨「えぇー……」
大鯨「そんなコンセプトありません……」
天龍「お前あれだろ」
大鯨「はい」
天龍「これ壊れてねぇって思ってるだろ」
天龍「これ壊れてねぇって思ってんなぁおいぃぃ!」
大鯨「いえ」
天龍「じゃあお前押してみろよぉ!押して確かめてみろよぉぉ!なぁ!」
大鯨「えぇー……」
7: ◆49r2x7t0Hs 2017/02/19(日) 21:56:01.50 ID:t/Qkil28o
天龍「押してみろっつってんだよぉぉ!!」
大鯨「はい……」
天龍「そのかわり分かってんだろうなぁ」
大鯨「?」
天龍「もし押して鳴らなかったら……切り殺すぞ」
大鯨「えぇっ!?それはちょっと勘弁して貰えませんか!?」
天龍「しょうがねぇよなぁぁぁ!これはしょうがねぇよなぁぁぁ!」
天龍「押せよおらぁ!覚悟決めろぉぉぉ!」
大鯨「はい……」
天龍「そのかわり分かってんだろうなぁ」
大鯨「?」
天龍「もし押して鳴らなかったら……切り殺すぞ」
大鯨「えぇっ!?それはちょっと勘弁して貰えませんか!?」
天龍「しょうがねぇよなぁぁぁ!これはしょうがねぇよなぁぁぁ!」
天龍「押せよおらぁ!覚悟決めろぉぉぉ!」
8: ◆49r2x7t0Hs 2017/02/19(日) 21:57:40.82 ID:t/Qkil28o
大鯨「はい……はいっ!」
大鯨「……」ソー
大鯨「えいっ」ポチッ
ピンポーン
天龍「」
大鯨「――っはぁ良かったぁ!!」
神通「ご注文お決まりでしょうか?」スタスタ
大鯨「違う違う違う!」ブンブン
大鯨「……」ソー
大鯨「えいっ」ポチッ
ピンポーン
天龍「」
大鯨「――っはぁ良かったぁ!!」
神通「ご注文お決まりでしょうか?」スタスタ
大鯨「違う違う違う!」ブンブン
9: ◆49r2x7t0Hs 2017/02/19(日) 21:59:00.77 ID:t/Qkil28o
神通「え?今鳴りましたよ?」
大鯨「鳴りました……」
神通「だから来たのですが……」
大鯨「はい、良かったですぅ……」グスッ
神通「ど、どうしたんですか」
大鯨「はぁー……」
神通「大丈夫ですか?」
大鯨「大丈夫です……」
神通「お腹痛いんですか?」
大鯨「大丈夫です……お腹も平気です」
神通「はぁ……?」
大鯨「鳴りました……」
神通「だから来たのですが……」
大鯨「はい、良かったですぅ……」グスッ
神通「ど、どうしたんですか」
大鯨「はぁー……」
神通「大丈夫ですか?」
大鯨「大丈夫です……」
神通「お腹痛いんですか?」
大鯨「大丈夫です……お腹も平気です」
神通「はぁ……?」
10: ◆49r2x7t0Hs 2017/02/19(日) 22:00:29.58 ID:t/Qkil28o
大鯨「もうここは大丈夫ですから、行ってください」
神通「え?」
大鯨「早く早く早く!」
神通「えぇー……」
大鯨「行ってください早く!」シッシッ
神通「む……」スタスタ
大鯨「ふぅ……」クルッ
天龍「オメェは名人か……」ボソッ
天龍「オメェはチャイムを鳴らす名人ですかぁぁぁ!?」
大鯨「いえ、違いますけ――」
天龍「分かってんだよそんなこと!!!」
神通「え?」
大鯨「早く早く早く!」
神通「えぇー……」
大鯨「行ってください早く!」シッシッ
神通「む……」スタスタ
大鯨「ふぅ……」クルッ
天龍「オメェは名人か……」ボソッ
天龍「オメェはチャイムを鳴らす名人ですかぁぁぁ!?」
大鯨「いえ、違いますけ――」
天龍「分かってんだよそんなこと!!!」
11: ◆49r2x7t0Hs 2017/02/19(日) 22:02:27.65 ID:t/Qkil28o
天龍「てめぇなめてんのかぁぁ!?」バァン
大鯨「い、いえ」
天龍「てめぇあれだろ。俺が嘘ついてるとでも思ってんだろ」
大鯨「いえ……」
天龍「嘘ついてると思ってんだろぉぉぉ!?あぁぁぁ!?」
大鯨「た、たまに……たまにですね」
天龍「あぁ?」
大鯨「鳴らない時も、ございますので……」
天龍「あんだろぉ?たまに鳴らない時もあんだろぉぉ!?」
大鯨「あります。あります」
天龍「ならたまに鳴らない時の感じで押してみろよ」
大鯨「え……」
大鯨「い、いえ」
天龍「てめぇあれだろ。俺が嘘ついてるとでも思ってんだろ」
大鯨「いえ……」
天龍「嘘ついてると思ってんだろぉぉぉ!?あぁぁぁ!?」
大鯨「た、たまに……たまにですね」
天龍「あぁ?」
大鯨「鳴らない時も、ございますので……」
天龍「あんだろぉ?たまに鳴らない時もあんだろぉぉ!?」
大鯨「あります。あります」
天龍「ならたまに鳴らない時の感じで押してみろよ」
大鯨「え……」
12: ◆49r2x7t0Hs 2017/02/19(日) 22:04:05.72 ID:t/Qkil28o
天龍「それを言ってんだよこっちはよぉぉ!」
大鯨「……はい?」
天龍「……よーし分かったこうしようか」
天龍「今から俺とお前で順番にこのボタンを押していって、先に鳴らなかった方が勝ちゲームしような」
大鯨「意味がわかりませんっ!」
天龍「なぁ、やろうなぁぁぁ!」
大鯨「いや意味が――」
天龍「なぁぁぁ!?」
大鯨「えぇっ!?」
天龍「おらいくぞぉぉぉぉ!!」ポチッ
ピンポーン
天龍「っあぁぁぁぁ!!ちくしよぉぉぉ!!」
大鯨「……はい?」
天龍「……よーし分かったこうしようか」
天龍「今から俺とお前で順番にこのボタンを押していって、先に鳴らなかった方が勝ちゲームしような」
大鯨「意味がわかりませんっ!」
天龍「なぁ、やろうなぁぁぁ!」
大鯨「いや意味が――」
天龍「なぁぁぁ!?」
大鯨「えぇっ!?」
天龍「おらいくぞぉぉぉぉ!!」ポチッ
ピンポーン
天龍「っあぁぁぁぁ!!ちくしよぉぉぉ!!」
13: ◆49r2x7t0Hs 2017/02/19(日) 22:06:05.43 ID:t/Qkil28o
大鯨「……」ポカーン
天龍「おい何してんだよ。押せよ、押せよ早くよぉぉぉ!!!」
大鯨「は、はいっ!」ポチッ
シーン
大鯨「や、やりました!」グッ
天龍「くそっ!なんでなんだよ!!」ポチポチポチッ
ピンポーンピンポーンピンポーン
神通「うるさいですよっ!!!」バァン!
大鯨「」
天龍「おい何してんだよ。押せよ、押せよ早くよぉぉぉ!!!」
大鯨「は、はいっ!」ポチッ
シーン
大鯨「や、やりました!」グッ
天龍「くそっ!なんでなんだよ!!」ポチポチポチッ
ピンポーンピンポーンピンポーン
神通「うるさいですよっ!!!」バァン!
大鯨「」
14: ◆49r2x7t0Hs 2017/02/19(日) 22:06:38.54 ID:t/Qkil28o
大鯨「あ、いえ……違うんです。これには事情があっ――」
神通「どきなさい」バンッ
大鯨「あぅ」バタリ
天龍「おいなんだテ――」
神通「」バシィッ!!
天龍「……え?」ヒリヒリ
神通「あなた……」ムナグラツカミ
神通「何回ピンポンピンポン鳴らしてるんですかっ!!!」ユサユサ
天龍「」ガクガク
神通「どきなさい」バンッ
大鯨「あぅ」バタリ
天龍「おいなんだテ――」
神通「」バシィッ!!
天龍「……え?」ヒリヒリ
神通「あなた……」ムナグラツカミ
神通「何回ピンポンピンポン鳴らしてるんですかっ!!!」ユサユサ
天龍「」ガクガク
15: ◆49r2x7t0Hs 2017/02/19(日) 22:07:31.85 ID:t/Qkil28o
神通「二度とピンポン出来ない体にして差し上げましょうか?」主砲カマエ
天龍「――っはぁ、はぁっ……」ドサッ
神通「ご注文は?」
天龍「ど、ドリンクバーで……」
神通「かしこまりました」
神通「あ、帰ったら演習ですよ」ニコリ
天龍「」コクコク
神通「勿論サシで」
天龍「はいぃぃぃぃ!!!」
大鯨「神通さん凄い……」
神通「龍田さんにも報告しときますので」
天龍「」
天龍「――っはぁ、はぁっ……」ドサッ
神通「ご注文は?」
天龍「ど、ドリンクバーで……」
神通「かしこまりました」
神通「あ、帰ったら演習ですよ」ニコリ
天龍「」コクコク
神通「勿論サシで」
天龍「はいぃぃぃぃ!!!」
大鯨「神通さん凄い……」
神通「龍田さんにも報告しときますので」
天龍「」
16: ◆49r2x7t0Hs 2017/02/19(日) 22:08:16.20 ID:t/Qkil28o
終わり
17: ◆49r2x7t0Hs 2017/02/19(日) 22:08:50.69 ID:t/Qkil28o
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 22:37:57.71 ID:LyGRRY3nO
東京03ネタは汎用性が高いなー
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/20(月) 00:44:33.91 ID:rQdakWnuO
天龍ちゃんだと可愛いのに角田だと思うと超ウゼぇwww
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1487508632/
Entry ⇒ 2017.02.28 | Category ⇒ 艦隊これくしょん | Comments (0)
トール「小林さんから生えてきました」 小林「ああああ!」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/14(火) 15:57:34.31 ID:AS4jKi/Y0
~自宅~
~朝~
トール「おはようございます!小林さん!」
カンナ「コバヤシ、おはよー」
小林「ああ、おはよ……」
トール「小林さん?」
カンナ「元気、ない?」
小林「うん、ちょっと身体がだるい……熱あるのかも」
トール「はわわわわ、た、大変です!」
トール「お薬飲みましょう!お薬!こんな事もあろうかと色々秘薬を準備してるのです!」
小林「いや、いい、何か変な副作用が……獣耳が生えてきたり、変な器官が股間についたりしそうだし……」
トール「もう、そんな事になったりしないですよ、ただちょっと不老不死になるだけです!」
小林「寝てればなおるって……」
~朝~
トール「おはようございます!小林さん!」
カンナ「コバヤシ、おはよー」
小林「ああ、おはよ……」
トール「小林さん?」
カンナ「元気、ない?」
小林「うん、ちょっと身体がだるい……熱あるのかも」
トール「はわわわわ、た、大変です!」
トール「お薬飲みましょう!お薬!こんな事もあろうかと色々秘薬を準備してるのです!」
小林「いや、いい、何か変な副作用が……獣耳が生えてきたり、変な器官が股間についたりしそうだし……」
トール「もう、そんな事になったりしないですよ、ただちょっと不老不死になるだけです!」
小林「寝てればなおるって……」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/14(火) 16:13:10.10 ID:AS4jKi/Y0
カンナ「コバヤシ、だいじょうぶ?」
小林「うん、私は平気だよ、カンナちゃんはそろそろ学校の時間でしょ、なら」
カンナ「……やすむー」
小林「……行ってきなさい、大丈夫だから」
カンナ「いや」
小林「もう……」
トール「さ、小林さん、長話は体に毒です、早く横になりましょう」
小林「……うん」
トール「何か暖かい物を用意しますね」
トール「お薬だって、副作用の出ない物をちゃんと用意してますから」
トール「心配しないでください」
小林「……あり、がと」
トール「はい♪」
小林「うん、私は平気だよ、カンナちゃんはそろそろ学校の時間でしょ、なら」
カンナ「……やすむー」
小林「……行ってきなさい、大丈夫だから」
カンナ「いや」
小林「もう……」
トール「さ、小林さん、長話は体に毒です、早く横になりましょう」
小林「……うん」
トール「何か暖かい物を用意しますね」
トール「お薬だって、副作用の出ない物をちゃんと用意してますから」
トール「心配しないでください」
小林「……あり、がと」
トール「はい♪」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/14(火) 16:24:46.56 ID:AS4jKi/Y0
部屋に戻って、ベットに横になると少しだけ楽になった。
これは重傷だな。
頭がボーっとして、物事を深く考えられなくなる。
何だか、独りぼっちになってしまったかのような気分だ。
そんな私の耳に、扉の向こうにいる二人の声が聞こえた。
「よし、カンナ、今から料理を作ります、滋養の良い物を小林さんに食べさせるのです」
「おー」
「まずは私の尻尾でしょうか、これを食べれば物凄く精がつきますよ」
「今のコバヤシはツッコミする体力がないから、やめておいたほうがいいー」
「むう、なら肝はどうですか、私の肝」
「コバヤシ、消化しきれないとおもう」
「難しいですね、それだともう温かいお粥と梅干しと卵くらいしか思い浮かびませんが」
うん、それでいいんだよ、トール。
それでいいから。
それで……。
2人の声を聞いて安心したのか。
私はそのまま眠ってしまった。
これは重傷だな。
頭がボーっとして、物事を深く考えられなくなる。
何だか、独りぼっちになってしまったかのような気分だ。
そんな私の耳に、扉の向こうにいる二人の声が聞こえた。
「よし、カンナ、今から料理を作ります、滋養の良い物を小林さんに食べさせるのです」
「おー」
「まずは私の尻尾でしょうか、これを食べれば物凄く精がつきますよ」
「今のコバヤシはツッコミする体力がないから、やめておいたほうがいいー」
「むう、なら肝はどうですか、私の肝」
「コバヤシ、消化しきれないとおもう」
「難しいですね、それだともう温かいお粥と梅干しと卵くらいしか思い浮かびませんが」
うん、それでいいんだよ、トール。
それでいいから。
それで……。
2人の声を聞いて安心したのか。
私はそのまま眠ってしまった。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/14(火) 16:36:41.55 ID:AS4jKi/Y0
ぴーぴー、がーがー。
気が付くと私は手術室に居た。
傍には2人の医者がニヤリと笑って立っている。
小林「トール、カンナちゃん、何してるの」
カンナ「せんせー、患者さんが目をさましたー」
トール「ふふふ、小林さん、手術です、今から手術をするのです」
カンナ「しゅじつー」
小林「手術ってなにさ」
トール「当然、小林さんの体内にある毒素を取り除く手術です」
トール「それを取り除けば、風邪なんてあっという間に治ります」
小林「い、いや、トール医者じゃないんだし、手術なんて無理でしょ」
トール「大丈夫です、人間に出来てドラゴンである私にできないはずはありません」
トール「やさしく、やさしくしてあげますから、平気ですよ、小林さん」
トール「さあ、まずは服を、服を脱がせましょう、裸にしましょう、こう、メスでゆっくりと切って行って」
小林「や、やめろ、やめて」
トールはやめてくれない。
ニコニコと笑いながら、上手に服を切っていく。
私は暴れようとするが、拘束されていて身動きが取れない。
そうこうしているうちに、私は生まれたままの姿で。
ぴーぴー、がーがー。
気が付くと私は手術室に居た。
傍には2人の医者がニヤリと笑って立っている。
小林「トール、カンナちゃん、何してるの」
カンナ「せんせー、患者さんが目をさましたー」
トール「ふふふ、小林さん、手術です、今から手術をするのです」
カンナ「しゅじつー」
小林「手術ってなにさ」
トール「当然、小林さんの体内にある毒素を取り除く手術です」
トール「それを取り除けば、風邪なんてあっという間に治ります」
小林「い、いや、トール医者じゃないんだし、手術なんて無理でしょ」
トール「大丈夫です、人間に出来てドラゴンである私にできないはずはありません」
トール「やさしく、やさしくしてあげますから、平気ですよ、小林さん」
トール「さあ、まずは服を、服を脱がせましょう、裸にしましょう、こう、メスでゆっくりと切って行って」
小林「や、やめろ、やめて」
トールはやめてくれない。
ニコニコと笑いながら、上手に服を切っていく。
私は暴れようとするが、拘束されていて身動きが取れない。
そうこうしているうちに、私は生まれたままの姿で。
ぴーぴー、がーがー。
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/14(火) 16:43:12.84 ID:AS4jKi/Y0
小林「はっ……」
小林「ゆ、夢か……」
トール「どうしたんですか、小林さん」
小林「いや、何か変な夢を、見ちゃってさ……」
トール「ほうほう、どんな夢でした?」
小林「うーんと、恥ずかしい話なんだけど、トールに服を切り取られて裸になっちゃう夢を……」
トール「ああ、私それ、知ってます、デジャブってヤツですね」
小林「いやあ、デジャブはちょっと意味が変わってくるんじゃないかな」
トール「そうですか?」
小林「うん」
トール「……」
小林「……あれ」
小林「ゆ、夢か……」
トール「どうしたんですか、小林さん」
小林「いや、何か変な夢を、見ちゃってさ……」
トール「ほうほう、どんな夢でした?」
小林「うーんと、恥ずかしい話なんだけど、トールに服を切り取られて裸になっちゃう夢を……」
トール「ああ、私それ、知ってます、デジャブってヤツですね」
小林「いやあ、デジャブはちょっと意味が変わってくるんじゃないかな」
トール「そうですか?」
小林「うん」
トール「……」
小林「……あれ」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/14(火) 16:44:10.09 ID:AS4jKi/Y0
「わたし、裸じゃん!」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/14(火) 16:52:56.66 ID:AS4jKi/Y0
トール「もう、違いますって、小林さんが汗でびしょびしょだったから服を着替えさせていただけです」
トール「決して、やましい気持ちでやった訳じゃありませんよ?」
トール「脱がせる時に小林さんが、なにか凄く扇情的で、尻尾がピーンとなってしまったのは否めませんが」
トール「えっちな事とかしてないのは誓います、ドラゴンの名に賭けて」
小林「いいよ、もう、判ってるからさ」
トール「それで、ご気分はどうです?」
小林「うん、さっきまではすごく体が冷えてたけど、今は何か温かいや」
トール「よかった、ご飯の時に酷くボーっとした感じだったから、心配しました」
小林「あれ、私、ご飯食べたっけ」
トール「はい、食べてらっしゃまいしたよ、私が出したお薬も」
小林「……全然記憶にないな」
トール「ちょっと、熱を測らせてもらいますね」
そう言うと、トールは額を当ててきた。
顔が近いけど、酷く真面目な顔をしている。
それを見て、私は何か申し訳ない気持ちになった。
心配、かけさせたんだろうな。
トール「決して、やましい気持ちでやった訳じゃありませんよ?」
トール「脱がせる時に小林さんが、なにか凄く扇情的で、尻尾がピーンとなってしまったのは否めませんが」
トール「えっちな事とかしてないのは誓います、ドラゴンの名に賭けて」
小林「いいよ、もう、判ってるからさ」
トール「それで、ご気分はどうです?」
小林「うん、さっきまではすごく体が冷えてたけど、今は何か温かいや」
トール「よかった、ご飯の時に酷くボーっとした感じだったから、心配しました」
小林「あれ、私、ご飯食べたっけ」
トール「はい、食べてらっしゃまいしたよ、私が出したお薬も」
小林「……全然記憶にないな」
トール「ちょっと、熱を測らせてもらいますね」
そう言うと、トールは額を当ててきた。
顔が近いけど、酷く真面目な顔をしている。
それを見て、私は何か申し訳ない気持ちになった。
心配、かけさせたんだろうな。
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/14(火) 16:57:35.40 ID:AS4jKi/Y0
トール「うーん、熱は下がった……気がします」
トール「けど、人間の体温とドラゴンの体温は違いますし、あんまり判らないですね」
小林「ポーズだけかよ」
トール「はい、本にこうすると良いって書いてありましたから!」
小林「ふふふ、そっか」
まだ体は重いし、フラフラする。
喉だって、さっきからイガイガする。
けど、私は思わず笑ってしまっていた。
もし私が一人だったなら。
こうやって、笑う事なんてなかっただろう。
ありがとうね、トール。
そう考えた時、ゴホンと咳が出た。
血がベットの上に散った。
トール「けど、人間の体温とドラゴンの体温は違いますし、あんまり判らないですね」
小林「ポーズだけかよ」
トール「はい、本にこうすると良いって書いてありましたから!」
小林「ふふふ、そっか」
まだ体は重いし、フラフラする。
喉だって、さっきからイガイガする。
けど、私は思わず笑ってしまっていた。
もし私が一人だったなら。
こうやって、笑う事なんてなかっただろう。
ありがとうね、トール。
そう考えた時、ゴホンと咳が出た。
血がベットの上に散った。
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/14(火) 17:04:40.76 ID:AS4jKi/Y0
小林「……あれ」
トール「……え」
小林「おか、しいな、なんで……」
ゴホン、ゴホンと、連続して咳が出る。
その度に、ベットの上の血痕は増えて行った。
トール「……じ」
小林「トール、わ、私……」
トール「時間凍結!」
小林は、ピタリと動くのを止めた。
口から垂れる血も、停止する。
トールの魔力が小林を包み、その時間経過を歪めたのだ。
厳密にいうと、時間の進む速度を極限まで遅らせている。
トール「……え」
小林「おか、しいな、なんで……」
ゴホン、ゴホンと、連続して咳が出る。
その度に、ベットの上の血痕は増えて行った。
トール「……じ」
小林「トール、わ、私……」
トール「時間凍結!」
小林は、ピタリと動くのを止めた。
口から垂れる血も、停止する。
トールの魔力が小林を包み、その時間経過を歪めたのだ。
厳密にいうと、時間の進む速度を極限まで遅らせている。
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/14(火) 17:12:07.69 ID:AS4jKi/Y0
トール「え、え、ま、待ってください、どうして」
トール「どうして、吐血なんて、なんで」
トール「風邪、じゃなかったんですか、何か別の病気?」
トール「いえ、いえそれはおかしいです、小林さんに先ほど飲ませたのは万病に効く薬」
トール「仮に人間社会において不治の病だったとしても、急速に悪化するなんてありえない」
トール「ど、どうしよう、どうしたら、時間停止も永遠には続かない、どうしたら……」
トール「……そ、そうです、エヘカトルに連絡して助言を」
トール「……」
トール「いいえ、直接向かいましょう、小林さんを連れて」
トール「ニンゲンに文明を齎した彼女なら、ニンゲンの医者なんかよりも役に立つはずです」
トール「どうして、吐血なんて、なんで」
トール「風邪、じゃなかったんですか、何か別の病気?」
トール「いえ、いえそれはおかしいです、小林さんに先ほど飲ませたのは万病に効く薬」
トール「仮に人間社会において不治の病だったとしても、急速に悪化するなんてありえない」
トール「ど、どうしよう、どうしたら、時間停止も永遠には続かない、どうしたら……」
トール「……そ、そうです、エヘカトルに連絡して助言を」
トール「……」
トール「いいえ、直接向かいましょう、小林さんを連れて」
トール「ニンゲンに文明を齎した彼女なら、ニンゲンの医者なんかよりも役に立つはずです」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/14(火) 17:34:35.29 ID:AS4jKi/Y0
~翔太宅~
カンナ「コバヤシ、コバヤシー」ユサユサ
トール「時間停止してるので声は届きませんよ……カンナ……」
ケツァルコアトル「トール君」
トール「ど、どうです?何か原因は判りましたか?治療方法は!?」
ケツァルコアトル「ボクも、今調べるまで判らなかったけど」
ケツァルコアトル「小林さんは、呪われているよ」
トール「……呪い?呪いで、こうなったって言うんですか?」
トール「誰が……誰が小林さんにそんな事を!」
ケツァルコアトル「ボクやトール君に気取られずに水面下で進行する呪いなんて、その辺の連中に使えるもんじゃないよ」
ケツァルコアトル「そんな事ができる存在は、まあ1つだけだろうね」
トール「……アイツですか」
トール「けど、けどおかしいです、アイツがこの世界に来たのなら、私は判るはずです」
トール「アイツの匂いは、絶対に忘れませんから」
ケツァルコアトル「なら、間接的な方法を使ったのかもしれない」
ケツァルコアトル「例えば、何か聖遺物に小林さんが触れてしまったとか」
トール「……それは」
カンナ「コバヤシ、コバヤシー」ユサユサ
トール「時間停止してるので声は届きませんよ……カンナ……」
ケツァルコアトル「トール君」
トール「ど、どうです?何か原因は判りましたか?治療方法は!?」
ケツァルコアトル「ボクも、今調べるまで判らなかったけど」
ケツァルコアトル「小林さんは、呪われているよ」
トール「……呪い?呪いで、こうなったって言うんですか?」
トール「誰が……誰が小林さんにそんな事を!」
ケツァルコアトル「ボクやトール君に気取られずに水面下で進行する呪いなんて、その辺の連中に使えるもんじゃないよ」
ケツァルコアトル「そんな事ができる存在は、まあ1つだけだろうね」
トール「……アイツですか」
トール「けど、けどおかしいです、アイツがこの世界に来たのなら、私は判るはずです」
トール「アイツの匂いは、絶対に忘れませんから」
ケツァルコアトル「なら、間接的な方法を使ったのかもしれない」
ケツァルコアトル「例えば、何か聖遺物に小林さんが触れてしまったとか」
トール「……それは」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/17(金) 23:32:22.22 ID:ztYqvn5H0
トール(確かに、確かに心当たりがあります)
トール(そうです、あの時、あの夜、あの山の中で)
トール(瀕死だった私の前に、小林さんが現れたあの時)
トール(私の身体に、突き立てられた剣を、抜いて貰った)
トール(触れた者に神の呪いを齎す、あの剣を)
トール(けど、けど小林さんは平気でした)
トール(平気だったんです)
トール(だから、だからてっきり)
トール(小林さんに信仰心が無かったから、神の呪いも効果が無かったのだろうと)
トール(楽観して、何も、何も対策を取らずに、私は、ワタシハ)
トール(そうです、あの時、あの夜、あの山の中で)
トール(瀕死だった私の前に、小林さんが現れたあの時)
トール(私の身体に、突き立てられた剣を、抜いて貰った)
トール(触れた者に神の呪いを齎す、あの剣を)
トール(けど、けど小林さんは平気でした)
トール(平気だったんです)
トール(だから、だからてっきり)
トール(小林さんに信仰心が無かったから、神の呪いも効果が無かったのだろうと)
トール(楽観して、何も、何も対策を取らずに、私は、ワタシハ)
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/17(金) 23:32:52.49 ID:ztYqvn5H0
私とカンナは小林さんを自宅へ連れ帰った。
何をするにしても、この部屋の方が都合がいいだろう。
「大事な事だから、隠さずに言うよ」
「小林さんは、もうじき死ぬ」
「3日後の朝まで、多分持たないだろう」
別れ際に言われたルコアの言葉を、思い出す。
頭の中が、真っ赤な憎悪で染まる。
小林さんが、死ぬ。
あと、3日で。
何故?
そう、全ては、アイツのせいだ。
アイツの。
許してはおけない、絶対に、あの存在を、私は、ワタシは。
腕が、歯が、無意識のまま形状を変えて行く。
人間の姿を保てなくなる。
必要ない、今のワタシは。
アイツを殺す事だけを、考エレバ。
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/17(金) 23:33:31.39 ID:ztYqvn5H0
「トール」
その声を聞いた瞬間。
私は、人の姿を取り戻した。
「どうしたのさ、怖い顔して」
私は、自然に笑顔を作り上げた。
今、小林さんに真実を教えるわけにはいかない。
隠さなければ。
怖がらせてしまう。
「何でも無いですよ、小林さん」
上手く笑えたと思う。
その声を聞いた瞬間。
私は、人の姿を取り戻した。
「どうしたのさ、怖い顔して」
私は、自然に笑顔を作り上げた。
今、小林さんに真実を教えるわけにはいかない。
隠さなければ。
怖がらせてしまう。
「何でも無いですよ、小林さん」
上手く笑えたと思う。
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/17(金) 23:34:05.54 ID:ztYqvn5H0
「私、何時の間にか眠ってたのかな、何か変な夢見てた」
「また、デジャブですか?」
「うーん、口から、何か血を吐いちゃう夢でさ」
「あー、それは夢じゃありません、実は昨日飲んで貰った薬のせいでして」
「小林さんの唾液がトマトジュースになる副作用があったのでした」
「何それ、変なの」
小林さんは、クスクスと笑います。
私も、クスクスと笑い返します。
とても自然な時間でしょう。
けど、私は考えなくてはなりません。
打開策を。
小林さんを治す方法を。
「また、デジャブですか?」
「うーん、口から、何か血を吐いちゃう夢でさ」
「あー、それは夢じゃありません、実は昨日飲んで貰った薬のせいでして」
「小林さんの唾液がトマトジュースになる副作用があったのでした」
「何それ、変なの」
小林さんは、クスクスと笑います。
私も、クスクスと笑い返します。
とても自然な時間でしょう。
けど、私は考えなくてはなりません。
打開策を。
小林さんを治す方法を。
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/17(金) 23:39:38.58 ID:ztYqvn5H0
トール「カンナ、準備は出来ましたか」
カンナ「……うん」
トール「私も、外からサポートはします、けど実際の行動は貴女に委ねるしかありません」
トール「私では、魔力が大きすぎます、下手をしたら小林さんを内部から破壊しかねない」
トール「けど、貴女なら……生体電流を操れる貴女なら、恐らくは私がやるよりも上手く」
トール「潜り込めるはずです、小林さんの中に」
カンナ「がんばる」
トール「……」
カンナ「トール様」
トール「お願い、します……今は、今は貴女に頼るしかありません」
トール「小林さんを、小林さんを……」
カンナ「……わかってる」
カンナ「小林の中ある、呪いの核を壊す」
カンナ「そして、小林を助ける」
カンナ「きっと、きっと、明日からは」
カンナ「また、笑って三人で過ごせるの」
トール「……はい」
カンナ「……うん」
トール「私も、外からサポートはします、けど実際の行動は貴女に委ねるしかありません」
トール「私では、魔力が大きすぎます、下手をしたら小林さんを内部から破壊しかねない」
トール「けど、貴女なら……生体電流を操れる貴女なら、恐らくは私がやるよりも上手く」
トール「潜り込めるはずです、小林さんの中に」
カンナ「がんばる」
トール「……」
カンナ「トール様」
トール「お願い、します……今は、今は貴女に頼るしかありません」
トール「小林さんを、小林さんを……」
カンナ「……わかってる」
カンナ「小林の中ある、呪いの核を壊す」
カンナ「そして、小林を助ける」
カンナ「きっと、きっと、明日からは」
カンナ「また、笑って三人で過ごせるの」
トール「……はい」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/17(金) 23:44:52.92 ID:ztYqvn5H0
トール「小林さんは、眠らせてあります」
トール「制限時間は、1時間とします、それ以上は小林さんと貴女が危険です」
カンナ「いってきます」
トール「……いって、らっしゃい」
カンナは、ベットに横たわる小林の額に触れる。
「身体」はただの門にしか過ぎない。
呪いがあるのは、もっと深遠。
小林の「心」の中だ。
カンナから放たれた微弱な魔力電流が、小林の脳を活性化させ、門を僅かに開く。
その僅かな隙間から、カンナは小林の心の中へと、旅立って行った。
トール「制限時間は、1時間とします、それ以上は小林さんと貴女が危険です」
カンナ「いってきます」
トール「……いって、らっしゃい」
カンナは、ベットに横たわる小林の額に触れる。
「身体」はただの門にしか過ぎない。
呪いがあるのは、もっと深遠。
小林の「心」の中だ。
カンナから放たれた微弱な魔力電流が、小林の脳を活性化させ、門を僅かに開く。
その僅かな隙間から、カンナは小林の心の中へと、旅立って行った。
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/17(金) 23:46:44.56 ID:ztYqvn5H0
カンナの台詞一部修正
「小林」→「コバヤシ」
「小林」→「コバヤシ」
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:21:11.52 ID:CE8F7+8k0
~心象世界~
~公園~
古びた公園があった。
管理がされていないのか、各所に草が茂り、小石が散乱している。
ブランコは、鎖が錆びつき千切れそうで。
シーソーは片側が折れていて。
滑り台には穴が開いている。
そんな中、カンナは1人実体化した。
「ここは、公園?」
「……」
「誰も、いない」
夕焼けが、公園を赤く染めていた。
~公園~
古びた公園があった。
管理がされていないのか、各所に草が茂り、小石が散乱している。
ブランコは、鎖が錆びつき千切れそうで。
シーソーは片側が折れていて。
滑り台には穴が開いている。
そんな中、カンナは1人実体化した。
「ここは、公園?」
「……」
「誰も、いない」
夕焼けが、公園を赤く染めていた。
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:21:58.04 ID:CE8F7+8k0
きっと、ここがコバヤシの心の中なのだろう。
この公園が。
いや、この街が。
コバヤシの心象風景なのだ。
そして、この街に、呪いの元凶がある。
それを探して、破壊しないと。
地上を歩いていても、キリがない。
まずは空から地上を眺めて、目星をつける必要がある。
「とう!」
カンナは竜化し、飛翔。
……出来なかった。
空を飛ぶどころか、竜化すらできない。
この公園が。
いや、この街が。
コバヤシの心象風景なのだ。
そして、この街に、呪いの元凶がある。
それを探して、破壊しないと。
地上を歩いていても、キリがない。
まずは空から地上を眺めて、目星をつける必要がある。
「とう!」
カンナは竜化し、飛翔。
……出来なかった。
空を飛ぶどころか、竜化すらできない。
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:22:36.36 ID:CE8F7+8k0
「……あれ」
「力が、消えてる?」
何度やっても、竜化出来ない。
それどころか、力が出せない。
放電も、怪力も、頑丈さも、発揮出来ない。
人間と同じ程度まで身体能力も下がっている。
「呪いの、影響?」
「それとも、コバヤシの心の中だから?」
理由は判らない。
けど、だからと言って諦めるわけにはいかない。
私は、コバヤシを助けなければならないのだから。
「力が、消えてる?」
何度やっても、竜化出来ない。
それどころか、力が出せない。
放電も、怪力も、頑丈さも、発揮出来ない。
人間と同じ程度まで身体能力も下がっている。
「呪いの、影響?」
「それとも、コバヤシの心の中だから?」
理由は判らない。
けど、だからと言って諦めるわけにはいかない。
私は、コバヤシを助けなければならないのだから。
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:23:06.57 ID:CE8F7+8k0
そう決意するカンナの耳に、妙な音が聞こえてきた。
ザクザク、ザクザク、何かを掘る音。
良く見ると、公園の砂場には、人影があった。
子供だ。
カンナと同じくらいの子供が、砂場で遊んでいるのだ。
夕焼けの中、1人で。
「なにしてるの」
カンナは、声をかけてみた。
この子供に聞けば、何か判るかもしれない。
街の何処かにある、呪いの元凶の位置が。
「砂のお城、作ってるだけだよ」
ザクザク、ザクザク、何かを掘る音。
良く見ると、公園の砂場には、人影があった。
子供だ。
カンナと同じくらいの子供が、砂場で遊んでいるのだ。
夕焼けの中、1人で。
「なにしてるの」
カンナは、声をかけてみた。
この子供に聞けば、何か判るかもしれない。
街の何処かにある、呪いの元凶の位置が。
「砂のお城、作ってるだけだよ」
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:23:40.02 ID:CE8F7+8k0
「ひとりで?」
「そう、ひとりで」
「ともだち、いないの?」
「もう、帰っちゃった」
「あなたは、帰らないの?」
「帰っても1人なんだ、お父さんもお母さんも、遅くまで仕事だから」
「そう……」
「君、さっき変な事してたね、何度もジャンプして」
「ドラゴンになって、空飛ぼうとしてた」
「ふふふ、変なの」
「変じゃない―」
「ごめんごめん……」
何故か、その子供と話をするのは、心地よかった。
そっか、きっとこの子供は。
コバヤシなんだ。
子供の頃の、コバヤシなんだ。
「そう、ひとりで」
「ともだち、いないの?」
「もう、帰っちゃった」
「あなたは、帰らないの?」
「帰っても1人なんだ、お父さんもお母さんも、遅くまで仕事だから」
「そう……」
「君、さっき変な事してたね、何度もジャンプして」
「ドラゴンになって、空飛ぼうとしてた」
「ふふふ、変なの」
「変じゃない―」
「ごめんごめん……」
何故か、その子供と話をするのは、心地よかった。
そっか、きっとこの子供は。
コバヤシなんだ。
子供の頃の、コバヤシなんだ。
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:24:28.40 ID:CE8F7+8k0
「ドラゴンになって、何処に行こうとしてたの?」
「この世界を、壊そうとしてる、悪い魔物を探しにいくの」
「へえ、君は勇敢だね、私にはそんな事は出来ないや」
「けど、出来ないと、この世界はほろんじゃう」
「それは嫌だな、このお城がまだ完成してないのに」
「コバヤシは、魔物の居場所知ってる?」
「居場所は知らない、けど、あの人なら知ってるかも」
「あの人?」
「うーん、このお城作るの、手伝ってくれたら教えてあげる」
「けど、時間が……」
「……だめ?」
夕焼けに照らされたコバヤシの顔は、酷く寂しそうだった。
もしかしたら。
実際のコバヤシも、こうだったのかもしれない。
お父さんもお母さんも仕事で忙しくて。
夕焼けの中、友達が帰っても、まだ砂場で遊び続けるような。
そんな子供だったのかもしれない。
だから、私は。
「この世界を、壊そうとしてる、悪い魔物を探しにいくの」
「へえ、君は勇敢だね、私にはそんな事は出来ないや」
「けど、出来ないと、この世界はほろんじゃう」
「それは嫌だな、このお城がまだ完成してないのに」
「コバヤシは、魔物の居場所知ってる?」
「居場所は知らない、けど、あの人なら知ってるかも」
「あの人?」
「うーん、このお城作るの、手伝ってくれたら教えてあげる」
「けど、時間が……」
「……だめ?」
夕焼けに照らされたコバヤシの顔は、酷く寂しそうだった。
もしかしたら。
実際のコバヤシも、こうだったのかもしれない。
お父さんもお母さんも仕事で忙しくて。
夕焼けの中、友達が帰っても、まだ砂場で遊び続けるような。
そんな子供だったのかもしれない。
だから、私は。
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:25:00.37 ID:CE8F7+8k0
「あっちの砂も、持ってくるの」
「ありがとう」
私とコバヤシは、お城を作った。
砂を集めて、水で固めて、トンネルを掘って。
スコップで形を整えて。
そうやって、出来あがったのは。
私とコバヤシとトール様が住んでる。
私達のお家だった。
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:25:44.20 ID:CE8F7+8k0
「やっと完成したね」
「……うん」
「けど、私達の家は、この中の一部なんだ」
「……知ってる」
「そんなに広くなくて、ごめんね」
「……かまわない」
「完成したお礼に、教えてあげるね」
「きっと、大人の私なら、カンナちゃんの質問に答えてあげられると思う」
「大人の私は、あそこにいるよ」
コバヤシは、町の中で一番高いビルを指さして、そう言った。
「……うん」
「けど、私達の家は、この中の一部なんだ」
「……知ってる」
「そんなに広くなくて、ごめんね」
「……かまわない」
「完成したお礼に、教えてあげるね」
「きっと、大人の私なら、カンナちゃんの質問に答えてあげられると思う」
「大人の私は、あそこにいるよ」
コバヤシは、町の中で一番高いビルを指さして、そう言った。
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:26:21.41 ID:CE8F7+8k0
子供のコバヤシと別れた私は
ビルまで走り、階段を上り。
ようやく最上階に到着した。
凄く辛い。
息が切れる。
ニンゲンは、何時もこんな苦労をしてるのかな。
凄い。
目の前のディスクにコバヤシの後ろ姿が見える。
彼女は何か、仕事をしているようだった。
「コバヤシ、コバヤシー」
私は声をかけるが、コバヤシは反応しない。
ビルまで走り、階段を上り。
ようやく最上階に到着した。
凄く辛い。
息が切れる。
ニンゲンは、何時もこんな苦労をしてるのかな。
凄い。
目の前のディスクにコバヤシの後ろ姿が見える。
彼女は何か、仕事をしているようだった。
「コバヤシ、コバヤシー」
私は声をかけるが、コバヤシは反応しない。
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:27:04.23 ID:CE8F7+8k0
近くまで行って、コバヤシの手を引く。
「コバヤシ、聞いてほしいの」
「……カンナちゃん、今仕事中だから」
冷たく返される。
けど、これは緊急事態なのだ。
仕事なんてしてる場合じゃない。
一刻も早く、呪いの現況を見つけないと。
「……知ってるよ、そんな事は」
「けど、カンナちゃんには無理だよ、あの呪いを壊すなんてことは」
コバヤシは、画面から目を逸らさず、キーを打ち続ける。
何をしてるのか判らない。
何がしたいのか判らない。
「そんな事、やってみないと判らない、私だってドラゴン」
「トール様も手伝ってくれる、絶対、絶対に呪いを壊せる」
「……うるさい」
手を振り払われた。
「コバヤシ、聞いてほしいの」
「……カンナちゃん、今仕事中だから」
冷たく返される。
けど、これは緊急事態なのだ。
仕事なんてしてる場合じゃない。
一刻も早く、呪いの現況を見つけないと。
「……知ってるよ、そんな事は」
「けど、カンナちゃんには無理だよ、あの呪いを壊すなんてことは」
コバヤシは、画面から目を逸らさず、キーを打ち続ける。
何をしてるのか判らない。
何がしたいのか判らない。
「そんな事、やってみないと判らない、私だってドラゴン」
「トール様も手伝ってくれる、絶対、絶対に呪いを壊せる」
「……うるさい」
手を振り払われた。
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:27:50.64 ID:CE8F7+8k0
「カンナちゃん、仕事の邪魔しないで、怒るよ」
コバヤシに、睨まれた。
あんな目で見られた事はない。
あんな冷たい目で。
私は、悲しくなった。
涙が、出そうななった。
けど、我慢した。
だって、一番辛いのはコバヤシなんだから。
「じゃあ、コバヤシの仕事が終わるまで、まつ」
「勝手にしなよ」
コバヤシに、睨まれた。
あんな目で見られた事はない。
あんな冷たい目で。
私は、悲しくなった。
涙が、出そうななった。
けど、我慢した。
だって、一番辛いのはコバヤシなんだから。
「じゃあ、コバヤシの仕事が終わるまで、まつ」
「勝手にしなよ」
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:28:18.43 ID:CE8F7+8k0
私は、待った。
コバヤシの仕事が終わるのを。
私がココに来て、どれくらい時間が経っただろう。
トール様は、一時間が限界って言ってた。
けど、この世界は、ずっと夕暮れなのだ。
時計もバラバラだし、時間を把握する方法が、ない。
体内時計も、狂わされてしまっている。
けど、限界まで待つつもりだ。
先ほどのコバヤシの様子からすると、呪いの元凶の居場所は判明してるはず。
なら、コバヤシから聞けさえすれば……。
聞けさえ、すれば……。
コバヤシの仕事が終わるのを。
私がココに来て、どれくらい時間が経っただろう。
トール様は、一時間が限界って言ってた。
けど、この世界は、ずっと夕暮れなのだ。
時計もバラバラだし、時間を把握する方法が、ない。
体内時計も、狂わされてしまっている。
けど、限界まで待つつもりだ。
先ほどのコバヤシの様子からすると、呪いの元凶の居場所は判明してるはず。
なら、コバヤシから聞けさえすれば……。
聞けさえ、すれば……。
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:29:00.21 ID:CE8F7+8k0
小林は、自分の中の記憶データを繰り返し確認していた。
その中に、不自然な部分がある。
理屈に合わない部分がある。
「……うん、やっぱりそうだ」
「この記憶だけ、おかしい」
「途中経過が、抜けてる」
「多分、この時に、呪いが私の中に入ったんだろうな」
「なら、呪いの元凶は、アレって事になる」
「という事は……」
気がつくと、カンナちゃんが足元で寝ていた。
私を助けに来てくれた、可愛くて強いドラゴンだ。
この世界で風邪をひく事はないだろうけど、せめて毛布だけでも……。
そう席を立った小林の目に、ソレが目に入った。
その中に、不自然な部分がある。
理屈に合わない部分がある。
「……うん、やっぱりそうだ」
「この記憶だけ、おかしい」
「途中経過が、抜けてる」
「多分、この時に、呪いが私の中に入ったんだろうな」
「なら、呪いの元凶は、アレって事になる」
「という事は……」
気がつくと、カンナちゃんが足元で寝ていた。
私を助けに来てくれた、可愛くて強いドラゴンだ。
この世界で風邪をひく事はないだろうけど、せめて毛布だけでも……。
そう席を立った小林の目に、ソレが目に入った。
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:29:44.71 ID:CE8F7+8k0
それは、巨大だった。
それは、光の柱だった。
空から街に突き立てられた、巨大な光の柱。
それが、ビルに向けて突進して来ていた。
途中にある全ての物を飲み込んで。
飲み込まれた物は、建物も、道も、車も全て消滅して行く。
「カンナちゃん!」
「んぅ?」
私は寝ぼけるカンナちゃんを掴んで、思いっきり投擲した。
窓へ。
窓の外へ向かって。
ここは、私の世界だ。
腕力程度なら大きく補強できる。
その甲斐あって、カンナちゃんはビルの窓を突き破り、外に飛び出ていた。
それは、光の柱だった。
空から街に突き立てられた、巨大な光の柱。
それが、ビルに向けて突進して来ていた。
途中にある全ての物を飲み込んで。
飲み込まれた物は、建物も、道も、車も全て消滅して行く。
「カンナちゃん!」
「んぅ?」
私は寝ぼけるカンナちゃんを掴んで、思いっきり投擲した。
窓へ。
窓の外へ向かって。
ここは、私の世界だ。
腕力程度なら大きく補強できる。
その甲斐あって、カンナちゃんはビルの窓を突き破り、外に飛び出ていた。
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:30:31.60 ID:CE8F7+8k0
「カンナちゃん!」
そう呼ばれると同時に、私は覚醒した。
だが、状況を把握するのに暫くかかった。
だって、コバヤシが私を掴んで窓の外に放り出すなんて、想像してなかったから。
窓の外。
つまり、空だ。
私は空を舞っている。
飛行能力を失っている私は、当然落下するしかない。
何故?
どうしてコバヤシはこんな事を。
その答えを、私は目撃した。
そう呼ばれると同時に、私は覚醒した。
だが、状況を把握するのに暫くかかった。
だって、コバヤシが私を掴んで窓の外に放り出すなんて、想像してなかったから。
窓の外。
つまり、空だ。
私は空を舞っている。
飛行能力を失っている私は、当然落下するしかない。
何故?
どうしてコバヤシはこんな事を。
その答えを、私は目撃した。
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:31:54.02 ID:CE8F7+8k0
巨大な光の柱が、ビルを飲み込んだのだ。
コバヤシがいた、あのビルを。
私がさっきまでいた、あのビルを。
あの光の柱は、なんだ。
なんなんだあれば。
「あれが、呪いだよ」
振り向くと、子供のコバヤシが居た。
彼女は、フワフワと浮きながら、私を支えてくれていた。
「ここは私の世界だからさ、空を浮くくらいなら出来るんだ」
「コバヤシは、コバヤシはどうなったの」
「うん、大人の私は、消えちゃった」
「そんな、そんな……」
コバヤシがいた、あのビルを。
私がさっきまでいた、あのビルを。
あの光の柱は、なんだ。
なんなんだあれば。
「あれが、呪いだよ」
振り向くと、子供のコバヤシが居た。
彼女は、フワフワと浮きながら、私を支えてくれていた。
「ここは私の世界だからさ、空を浮くくらいなら出来るんだ」
「コバヤシは、コバヤシはどうなったの」
「うん、大人の私は、消えちゃった」
「そんな、そんな……」
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:33:17.65 ID:CE8F7+8k0
ビルを飲み込んだ光の柱は、町を縦横無尽に破壊する。
あの公園も。
あの砂場も。
沢山飲み込まれて。
それでも、町は生きようとしていた。
信号機はまだ点滅している。
誰も居ない車からは、駆動音が響く。
学校からは下校を促す曲が流れる。
だが、だがそれが何時まで続くだろう。
あんな、あんな呪いに、打つ手なんて。
例え私がドラゴンの力を取り戻していたとしても。
トール様の力を借りたとしても、あんなのどうやって。
あの公園も。
あの砂場も。
沢山飲み込まれて。
それでも、町は生きようとしていた。
信号機はまだ点滅している。
誰も居ない車からは、駆動音が響く。
学校からは下校を促す曲が流れる。
だが、だがそれが何時まで続くだろう。
あんな、あんな呪いに、打つ手なんて。
例え私がドラゴンの力を取り戻していたとしても。
トール様の力を借りたとしても、あんなのどうやって。
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:33:44.67 ID:CE8F7+8k0
「カンナちゃん」
「な、なに」
「今まで、ありがとうね」
「……え?」
「カンナちゃんと、トールが来てくれて、私、楽しかった」
「毎日、騒がしくて、落ち着かない日々だったけど」
「それでも、私は嬉しかった」
「こんな私と一緒に居てくれて」
「……やめて、コバヤシ」
「ありがとうね」
「な、なに」
「今まで、ありがとうね」
「……え?」
「カンナちゃんと、トールが来てくれて、私、楽しかった」
「毎日、騒がしくて、落ち着かない日々だったけど」
「それでも、私は嬉しかった」
「こんな私と一緒に居てくれて」
「……やめて、コバヤシ」
「ありがとうね」
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:34:30.85 ID:CE8F7+8k0
「私の家は、そのまま使ってくれて構わないよ、ちょっとお金は必要だけど」
「けど、やっぱりカンナちゃんには、自分の家に一度戻ってほしいかな」
「ほら、お父さんとお母さんと一度ちゃんと話してさ」
「何をするにしても、それから始めないと」
「コバヤシ、やめて」
「トールにも、言っておいてほしい、ありがとうって」
「私は、トールが来てくれたから、色々変われた」
「トールの愛情に応えられなかったのだけが、ちょっと気がかりだけど」
「……うん、これだけは、言ってもいいかも」
「やめ、て、こばやし」
「……大好きだったよ、トールも、カンナちゃんも」
どうして。
どうして、もう二度と話が出来ないみたいな言い方を。
「けど、やっぱりカンナちゃんには、自分の家に一度戻ってほしいかな」
「ほら、お父さんとお母さんと一度ちゃんと話してさ」
「何をするにしても、それから始めないと」
「コバヤシ、やめて」
「トールにも、言っておいてほしい、ありがとうって」
「私は、トールが来てくれたから、色々変われた」
「トールの愛情に応えられなかったのだけが、ちょっと気がかりだけど」
「……うん、これだけは、言ってもいいかも」
「やめ、て、こばやし」
「……大好きだったよ、トールも、カンナちゃんも」
どうして。
どうして、もう二度と話が出来ないみたいな言い方を。
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:35:12.91 ID:CE8F7+8k0
「ほら、カンナちゃん、そんな顔しないの」
「ごめんね、悲しい思いをさせちゃったね」
「けど、外の私の意識が何時戻るか、わからないからさ」
「これだけは、言っておこうと思って……」
「ほら、もう時間だ」
「これ以上は、カンナちゃんの身体が持たない」
「だから」
コバヤシは、私を思いっきり、放り投げた。
「……ばいばい」
ここはコバヤシの心象世界。
彼女の力は、膨大に強化される。
その力で、私は更に上空へと射出された。
コバヤシが、凄い勢いで離れて行く。
町が、凄い勢いで離れて行く。
星が、凄い勢いで離れて行く。
離れて行く。
離れて。
行く。
「ごめんね、悲しい思いをさせちゃったね」
「けど、外の私の意識が何時戻るか、わからないからさ」
「これだけは、言っておこうと思って……」
「ほら、もう時間だ」
「これ以上は、カンナちゃんの身体が持たない」
「だから」
コバヤシは、私を思いっきり、放り投げた。
「……ばいばい」
ここはコバヤシの心象世界。
彼女の力は、膨大に強化される。
その力で、私は更に上空へと射出された。
コバヤシが、凄い勢いで離れて行く。
町が、凄い勢いで離れて行く。
星が、凄い勢いで離れて行く。
離れて行く。
離れて。
行く。
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 01:38:27.87 ID:CE8F7+8k0
~現実~
~小林の部屋~
ポトリ、と小林のベットからカンナが落下する。
失敗した。
失敗してしまった。
コバヤシを、助けられなかった。
床に倒れたまま、カンナは泣いた。
ごめんなさい、ごめんなさい。
ごめんなさい、コバヤシ。
ゴメンナサイ、トール様。
ごめんなさい、ごめんなさい。
~小林の部屋~
ポトリ、と小林のベットからカンナが落下する。
失敗した。
失敗してしまった。
コバヤシを、助けられなかった。
床に倒れたまま、カンナは泣いた。
ごめんなさい、ごめんなさい。
ごめんなさい、コバヤシ。
ゴメンナサイ、トール様。
ごめんなさい、ごめんなさい。
47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 02:47:37.59 ID:CE8F7+8k0
「……なら、もう残る手段は一つですね」
「アイツを殺す、それ以外に方法はありません」
「ルコアに調査させてますから、大体の場所は判るはずです」
「あとは、私がそこに赴けば」
「向こうから、軍勢を引き連れて狙って来るでしょう」
「そうすれば、そうすれば」
「殺せます、今度こそ、今度こそアイツを」
殺気に満ちるトールの手を、そっと誰かが握った。
小林の手だった。
「どこかに、いくの?」
もう殆ど聞こえないほど小さな声で、小林はそう呟く。
トールは、ニコリと笑って答えた。
「小林さんのお薬が足りなくて、ちょっと補充に行ってきます♪」
「うそが、へただなあ、トールは」
「嘘じゃ、ありませんよ」
「……少しまえから、ふたりの声がきこえてた」
「アイツを殺す、それ以外に方法はありません」
「ルコアに調査させてますから、大体の場所は判るはずです」
「あとは、私がそこに赴けば」
「向こうから、軍勢を引き連れて狙って来るでしょう」
「そうすれば、そうすれば」
「殺せます、今度こそ、今度こそアイツを」
殺気に満ちるトールの手を、そっと誰かが握った。
小林の手だった。
「どこかに、いくの?」
もう殆ど聞こえないほど小さな声で、小林はそう呟く。
トールは、ニコリと笑って答えた。
「小林さんのお薬が足りなくて、ちょっと補充に行ってきます♪」
「うそが、へただなあ、トールは」
「嘘じゃ、ありませんよ」
「……少しまえから、ふたりの声がきこえてた」
48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 02:48:04.52 ID:CE8F7+8k0
「わたし、呪いががかってるんだよね」
「……」
「かくさなくても、いいって」
「……はい、けど、大丈夫です」
「私が、私が小林さんに呪いをかけたアイツを、倒して来ますから」
「それで、それで解決です、また以前のような生活に戻れるんです」
「……むりだよ」
小林の言葉に、トールの頭は怒りに染まった。
今まで、小林の前で見せた事のない怒りだった。
「……」
「かくさなくても、いいって」
「……はい、けど、大丈夫です」
「私が、私が小林さんに呪いをかけたアイツを、倒して来ますから」
「それで、それで解決です、また以前のような生活に戻れるんです」
「……むりだよ」
小林の言葉に、トールの頭は怒りに染まった。
今まで、小林の前で見せた事のない怒りだった。
49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 02:50:01.61 ID:CE8F7+8k0
「どうして無理だって判るんですか小林さんに!」
「人間如きに、どうして竜である私の勝敗が判るんですか!」
「私は、私は強いんです!」
「前回だって不意を突かれなければ私は……!」
「だって、トール泣いてるもん」
「……!」
「私はドラゴンの戦いとかよくわかんないけど」
「泣きながら勝てるあいてじゃ、ないんでしょ」
それは、そうだ。
ドラゴンと化したトールは、感情の向きにより発揮できる力の質が変わる。
怒りと欲望のまま力を使えば、破壊の力を。
悲観と絶望のまま力を使えば、自滅の力を。
それぞれ齎す事になる。
「人間如きに、どうして竜である私の勝敗が判るんですか!」
「私は、私は強いんです!」
「前回だって不意を突かれなければ私は……!」
「だって、トール泣いてるもん」
「……!」
「私はドラゴンの戦いとかよくわかんないけど」
「泣きながら勝てるあいてじゃ、ないんでしょ」
それは、そうだ。
ドラゴンと化したトールは、感情の向きにより発揮できる力の質が変わる。
怒りと欲望のまま力を使えば、破壊の力を。
悲観と絶望のまま力を使えば、自滅の力を。
それぞれ齎す事になる。
50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 02:50:54.87 ID:CE8F7+8k0
「……じゃあ、どうすれば、いいんですか」
「私に、どうしろっていうんですか……」
「そばに、居てほしいよ」
「いつもみたいに、私のそばに」
「けど、けどそれじゃ……」
「トール、わたしはメイドのトールが、好きなの」
「……」
「ね、おねがい、わたしの好きなトールでいて」
「……ずるい、です、そんなの、そんな言い方」
「ずるいのが、ニンゲン、だからね」
「私に、どうしろっていうんですか……」
「そばに、居てほしいよ」
「いつもみたいに、私のそばに」
「けど、けどそれじゃ……」
「トール、わたしはメイドのトールが、好きなの」
「……」
「ね、おねがい、わたしの好きなトールでいて」
「……ずるい、です、そんなの、そんな言い方」
「ずるいのが、ニンゲン、だからね」
51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 02:51:25.52 ID:CE8F7+8k0
「そうだ、トール、あのくすり、あったよね」
「秘薬、ですか?」
「うん、そう、ふくさようが、あるやつ」
「あれさ、飲ませてくれるかな」
「……判りました」
「……」
「小林さん、お薬ですよ」
「ありが、と……」
ゴクリ
「……うん、ちょっと、楽になった、かも」
「ははは、ふくさようが、怖いけど、ね」
「さすが、トールのおくすりだ」
「……そうです、私のお薬は、良く効くんです」
「ですから、きっと治ります、小林さん、すぐに元気になって」
「うん……」
「秘薬、ですか?」
「うん、そう、ふくさようが、あるやつ」
「あれさ、飲ませてくれるかな」
「……判りました」
「……」
「小林さん、お薬ですよ」
「ありが、と……」
ゴクリ
「……うん、ちょっと、楽になった、かも」
「ははは、ふくさようが、怖いけど、ね」
「さすが、トールのおくすりだ」
「……そうです、私のお薬は、良く効くんです」
「ですから、きっと治ります、小林さん、すぐに元気になって」
「うん……」
52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 02:52:29.47 ID:CE8F7+8k0
嘘です。
嘘です、全部嘘です。
嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘。
あんな薬、今さら効果があるはずない。
全部嘘なんです。
小林さんだって、あんな物で楽になるはずがない。
けど、けど。
小林さんが、笑ってくれたから。
私も、笑い返してあげました。
それが、きっと、小林さんの見たいものだから。
嘘です、全部嘘です。
嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘。
あんな薬、今さら効果があるはずない。
全部嘘なんです。
小林さんだって、あんな物で楽になるはずがない。
けど、けど。
小林さんが、笑ってくれたから。
私も、笑い返してあげました。
それが、きっと、小林さんの見たいものだから。
53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 02:52:56.54 ID:CE8F7+8k0
48のメイド技の一つに「視覚共有」というものがあります。
その力を使って、私は心象世界でカンナが見た物を、全て目撃していました。
案の定です、呪いの原因は予想どおりでした。
あの巨大な光の柱は、まさしく「アレ」でした。
だったら、私にも考えがあります。
最初からそうしておけばよかったんです。
そうすれば、こんなに悲しむ事も無かった。
だから。
その力を使って、私は心象世界でカンナが見た物を、全て目撃していました。
案の定です、呪いの原因は予想どおりでした。
あの巨大な光の柱は、まさしく「アレ」でした。
だったら、私にも考えがあります。
最初からそうしておけばよかったんです。
そうすれば、こんなに悲しむ事も無かった。
だから。
54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 02:53:30.52 ID:CE8F7+8k0
コバヤシは、明日の朝、死ぬ。
その事が判っていても、私達は何もできなかった。
私達に呪いを破壊する方法は、無い。
そしてこの呪いを齎した「神」を倒す方法もない。
何もできない。
ただ、コバヤシの傍に居てあげるだけ。
今日は朝からトール様の姿が見えない。
気配は近くにあるから、近くにいると思うのだけど。
ふと、コバヤシを見ると、目が開いていた。
「コバヤシ、おはよう、今日もいい天気なの」
「……うん、そうみたい、だね」
「カーテン、開けるー」
カーテンを開けると、とんでもない物が見えた。
その事が判っていても、私達は何もできなかった。
私達に呪いを破壊する方法は、無い。
そしてこの呪いを齎した「神」を倒す方法もない。
何もできない。
ただ、コバヤシの傍に居てあげるだけ。
今日は朝からトール様の姿が見えない。
気配は近くにあるから、近くにいると思うのだけど。
ふと、コバヤシを見ると、目が開いていた。
「コバヤシ、おはよう、今日もいい天気なの」
「……うん、そうみたい、だね」
「カーテン、開けるー」
カーテンを開けると、とんでもない物が見えた。
55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 02:54:13.15 ID:CE8F7+8k0
黒い珠だ。
巨大な黒い珠が、私達の家の上に、浮いている。
あれは、あれは、魔力の珠?
あんな膨大な魔力の珠、何時の間に。
破裂させればこの街、どころか国、いや隣国すら撒きこんで崩壊させる程の威力を持つ魔力の珠が。
「あれは、トール君が産んだ怨嗟の珠だよ」
「トール君は、小林さんの死と同時に、あの珠を破裂させるつもりみたいだね」
何時の間に現れたのか。
部屋の中に、ケツァルコアトルが居た。
巨大な黒い珠が、私達の家の上に、浮いている。
あれは、あれは、魔力の珠?
あんな膨大な魔力の珠、何時の間に。
破裂させればこの街、どころか国、いや隣国すら撒きこんで崩壊させる程の威力を持つ魔力の珠が。
「あれは、トール君が産んだ怨嗟の珠だよ」
「トール君は、小林さんの死と同時に、あの珠を破裂させるつもりみたいだね」
何時の間に現れたのか。
部屋の中に、ケツァルコアトルが居た。
56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 02:54:49.48 ID:CE8F7+8k0
「トール様が、この街を、怖そうと?」
「そうだよ、それがトール君の望みだ」
「翔太君の家族は、一時的にボクが保護した」
「だから、ボクも止めるつもりはないよ」
「そんなの、そんなのダメ、トール様、止めないと!」
カンナは、部屋から飛び出して行った。
残されたの小林に、羽のある蛇、ケツァルコアトルは、こう取引を持ちかけた。
「そうだよ、それがトール君の望みだ」
「翔太君の家族は、一時的にボクが保護した」
「だから、ボクも止めるつもりはないよ」
「そんなの、そんなのダメ、トール様、止めないと!」
カンナは、部屋から飛び出して行った。
残されたの小林に、羽のある蛇、ケツァルコアトルは、こう取引を持ちかけた。
57: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 02:55:56.27 ID:CE8F7+8k0
「小林さん、聞いてるよね」
「動けるように、してあげようか」
「ほんの10分だけだけど、以前のように動けるようにしてあげられるよ」
「ただ、これには反動がある」
「まあ、簡単に言うと、10分が経過した後に、小林さんは死ぬ」
「残り1日の寿命を、10分間で消費するんだ」
「どうだい、小林さん、この取引に、乗るかい?」
「もしかしたら、トール君を止められるかもしれないよ」
「動けるように、してあげようか」
「ほんの10分だけだけど、以前のように動けるようにしてあげられるよ」
「ただ、これには反動がある」
「まあ、簡単に言うと、10分が経過した後に、小林さんは死ぬ」
「残り1日の寿命を、10分間で消費するんだ」
「どうだい、小林さん、この取引に、乗るかい?」
「もしかしたら、トール君を止められるかもしれないよ」
58: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 02:56:30.92 ID:CE8F7+8k0
それに対して、小林はこう答えた。
「しぬのは、いやだな」
「それだけは、ぜったいに、いやだ」
「しぬのは、いやだな」
「それだけは、ぜったいに、いやだ」
59: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 03:56:35.67 ID:CE8F7+8k0
~マンション屋上~
カンナ「トール様!」
トール「……カンナ、ですか」
トール「貴方は、小林さんの世話をしてあげてください」
トール「私も、もう少ししたら戻りますから」
トール「お昼には、オムライスを作りましょう」
トール「晩御飯は何にしましょうか、最後ですから」
トール「何か奮発しないといけませんね」
トール「そして今夜は」
トール「私と、貴女と、小林さんで」
トール「朝まで、お話していましょう」
トール「きっと、きっと楽しいです」
トール「それで、終わりです、終わりにします、全て残さない、何も残さない」
カンナ「そんなの、そんなのダメなの……」
カンナ「トール様!」
トール「……カンナ、ですか」
トール「貴方は、小林さんの世話をしてあげてください」
トール「私も、もう少ししたら戻りますから」
トール「お昼には、オムライスを作りましょう」
トール「晩御飯は何にしましょうか、最後ですから」
トール「何か奮発しないといけませんね」
トール「そして今夜は」
トール「私と、貴女と、小林さんで」
トール「朝まで、お話していましょう」
トール「きっと、きっと楽しいです」
トール「それで、終わりです、終わりにします、全て残さない、何も残さない」
カンナ「そんなの、そんなのダメなの……」
60: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 03:57:10.37 ID:CE8F7+8k0
カンナ「この家は、この町は、コバヤシの居場所だった」
カンナ「大切な、大切な場所だった」
カンナ「それを、それを壊すのは、コバヤシが生きてきた事を、否定する事なの」
カンナ「そんなの、そんなのダメ」
カンナ「トール様、そんな事は止めて!」
トール「……貴方なら、判ってくれると、思ってたんですけどね」
トール「所詮は子供ですか」
カンナ「トール様……」
トール「この魔力の珠は、私がここ数日溜めてきた物です」
トール「これを破裂させても、この星を破壊する事は出来ないでしょう」
トール「しかし、星の形を変えることはできます」
トール「それは全世界に天変地異を齎すでしょう」
トール「そのうち、星は自重を耐えきれず、グシャリと崩れます」
トール「そうすれば、神も少しは悔しがるでしょう」
カンナ「大切な、大切な場所だった」
カンナ「それを、それを壊すのは、コバヤシが生きてきた事を、否定する事なの」
カンナ「そんなの、そんなのダメ」
カンナ「トール様、そんな事は止めて!」
トール「……貴方なら、判ってくれると、思ってたんですけどね」
トール「所詮は子供ですか」
カンナ「トール様……」
トール「この魔力の珠は、私がここ数日溜めてきた物です」
トール「これを破裂させても、この星を破壊する事は出来ないでしょう」
トール「しかし、星の形を変えることはできます」
トール「それは全世界に天変地異を齎すでしょう」
トール「そのうち、星は自重を耐えきれず、グシャリと崩れます」
トール「そうすれば、神も少しは悔しがるでしょう」
61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 03:57:50.14 ID:CE8F7+8k0
トール「全て、全て、あいつの思惑通りだったんです」
トール「私を助けようとした者に、呪いがかかるようにしたのも」
トール「私が、その相手を愛するのも」
トール「呪いが水面下で密かに進行するのも」
トール「全て計算ずくです」
トール「ルコアの時間逆転能力を使えば、1カ月程度は遡ってやり直す事が可能です」
トール「けど、この呪いは、半年以上前に種がまかれた物」
トール「もう覆せない」
トール「だから、もうこれくらいしか方法が、無いんです」
トール「だから、邪魔はしないでください、カンナ」
カンナ「……駄目」
トール「……」
カンナ「駄目!駄目駄目!やだ!そんなのやだ!」
カンナの体内から放電が始まる。
それはトールの魔力蓄積を、妨害し始めた。
トール「私を助けようとした者に、呪いがかかるようにしたのも」
トール「私が、その相手を愛するのも」
トール「呪いが水面下で密かに進行するのも」
トール「全て計算ずくです」
トール「ルコアの時間逆転能力を使えば、1カ月程度は遡ってやり直す事が可能です」
トール「けど、この呪いは、半年以上前に種がまかれた物」
トール「もう覆せない」
トール「だから、もうこれくらいしか方法が、無いんです」
トール「だから、邪魔はしないでください、カンナ」
カンナ「……駄目」
トール「……」
カンナ「駄目!駄目駄目!やだ!そんなのやだ!」
カンナの体内から放電が始まる。
それはトールの魔力蓄積を、妨害し始めた。
62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 03:58:21.58 ID:CE8F7+8k0
トール「……カンナ、貴女には失望しました」
トール「いいです、貴女も」
魔力放出を停止したトールは、カンナの首をガシリと掴み、壁に叩きつける。
そのまま、ガリゴリと、壁にめり込ませる。
カンナ「と、トール様、やめて……やめて……」
トール「貴方も、ここで死んでください」
トール「小林さんの死は、私だけで看取ります」
「トール!やめて!」
トール「いいです、貴女も」
魔力放出を停止したトールは、カンナの首をガシリと掴み、壁に叩きつける。
そのまま、ガリゴリと、壁にめり込ませる。
カンナ「と、トール様、やめて……やめて……」
トール「貴方も、ここで死んでください」
トール「小林さんの死は、私だけで看取ります」
「トール!やめて!」
63: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 03:58:57.95 ID:CE8F7+8k0
トール「……小林さん?」
カンナ「コ、コバヤシ……」
小林「もう、もう止めてよ、トール、こんな事……」
小林「私、私、言ったよね、メイドのトールが好きだって」
トール「……そうですか、ルコアですね」
トール「余計な事を……」
トール「小林さん、判ってるんですか、貴女は自分の寿命を高速で消費しています」
トール「呪いを受けた状態でそれをすると……」
小林「判ってる、死んじゃうんだよね」
トール「……死ぬのが、怖くないんですか」
小林「そりゃ怖いさ、少しでも長く生きたいに決まってるよ」
小林「けど、それはね」
小林「皆と一緒に、生きたいからなんだ」
小林「私は、私は誰も欠けてほしくない」
小林「自分が死ぬまで、いや、死んだ後も、皆には一緒に生きていて欲しい」
小林「だから」
トール「……だから、ルコアとの取引に応じた、と」
小林「うん」
トール「人間は、愚かですね」
小林「そう、かな?」
トール「だって、そんな事をしても私は止まりませんから」
カンナ「コ、コバヤシ……」
小林「もう、もう止めてよ、トール、こんな事……」
小林「私、私、言ったよね、メイドのトールが好きだって」
トール「……そうですか、ルコアですね」
トール「余計な事を……」
トール「小林さん、判ってるんですか、貴女は自分の寿命を高速で消費しています」
トール「呪いを受けた状態でそれをすると……」
小林「判ってる、死んじゃうんだよね」
トール「……死ぬのが、怖くないんですか」
小林「そりゃ怖いさ、少しでも長く生きたいに決まってるよ」
小林「けど、それはね」
小林「皆と一緒に、生きたいからなんだ」
小林「私は、私は誰も欠けてほしくない」
小林「自分が死ぬまで、いや、死んだ後も、皆には一緒に生きていて欲しい」
小林「だから」
トール「……だから、ルコアとの取引に応じた、と」
小林「うん」
トール「人間は、愚かですね」
小林「そう、かな?」
トール「だって、そんな事をしても私は止まりませんから」
64: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 03:59:29.80 ID:CE8F7+8k0
ギリギリと、トールの手がカンナの首を締めあげる。
カンナ「かっ、くぅぅっ……」
小林「や、やめて、トール、カンナちゃんを放して」
トール「嫌です、私はもう決めました、小林さんの死を看取る資格があるのは、私だけです」
トール「ですから、カンナは、ここで」
小林「や、やめろって!」
私は、トールの腕に飛びつく。
しかし、あっさりと振り払われる。
トール「駄目ですよ、小林さん」
トール「貴方は、貧弱な人間にすぎないんですから」
トール「私達ドラゴンの行動を阻害できるほどの力はありません」
トール「ほら、私が振り払った程度で、掌を擦りむいてる」
トール「貧弱な存在です」
トール「そこで、座って、私の行動が終わるのを、見ていてください」
カンナ「かっ、くぅぅっ……」
小林「や、やめて、トール、カンナちゃんを放して」
トール「嫌です、私はもう決めました、小林さんの死を看取る資格があるのは、私だけです」
トール「ですから、カンナは、ここで」
小林「や、やめろって!」
私は、トールの腕に飛びつく。
しかし、あっさりと振り払われる。
トール「駄目ですよ、小林さん」
トール「貴方は、貧弱な人間にすぎないんですから」
トール「私達ドラゴンの行動を阻害できるほどの力はありません」
トール「ほら、私が振り払った程度で、掌を擦りむいてる」
トール「貧弱な存在です」
トール「そこで、座って、私の行動が終わるのを、見ていてください」
65: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 03:59:58.17 ID:CE8F7+8k0
小林「そう、そうだよ、私は人間だ」
小林「貧弱な、人間だよ」
小林「けど、けど、だからって」
小林「何もしないわけには、行かないじゃないか!」
小林「家族が殺し合いをしてるのを、黙って見てるわけにはいかないじゃないか!」
小林「だから!私は!トールを止める!」
私は、今度はさっきよりも力強く。
体重をかけて。
トールに体当たりをした。
掴みかかるように。
小林「貧弱な、人間だよ」
小林「けど、けど、だからって」
小林「何もしないわけには、行かないじゃないか!」
小林「家族が殺し合いをしてるのを、黙って見てるわけにはいかないじゃないか!」
小林「だから!私は!トールを止める!」
私は、今度はさっきよりも力強く。
体重をかけて。
トールに体当たりをした。
掴みかかるように。
66: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 04:00:25.19 ID:CE8F7+8k0
私は、最後まで気づかなかった。
自分の手が熱いのは、擦りむいたからだと、そう思っていた。
だから、その掌から短い「何か」が生えているのに、気付かなかった。
そんな余裕はなかったのだ。
私の手が、トールの胸に触れた時。
その「何か」は、ズルリと私の手から這い出し、彼女の心臓を貫いた。
自分の手が熱いのは、擦りむいたからだと、そう思っていた。
だから、その掌から短い「何か」が生えているのに、気付かなかった。
そんな余裕はなかったのだ。
私の手が、トールの胸に触れた時。
その「何か」は、ズルリと私の手から這い出し、彼女の心臓を貫いた。
67: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 04:01:50.07 ID:CE8F7+8k0
気がつくと、私はトールに抱きしめられていた。
暖かい、凄く温かい。
トールの体温だ、そうだ、きっとトールは判ってくれたのだ。
良かった。
けど。
どうして、だろう。
トールの背中から、何かが飛び出ている。
それは翼ではなかった。
金属だ。
赤い金属。
いや、ただの金属ではなく。
それは、剣だった。
トールの背中から、血塗られた剣の切っ先が、飛び出ていた。
その剣には、何故か見覚えがあった。
なんで、どうして。
困惑する私の耳に、声が聞こえる。
暖かい、凄く温かい。
トールの体温だ、そうだ、きっとトールは判ってくれたのだ。
良かった。
けど。
どうして、だろう。
トールの背中から、何かが飛び出ている。
それは翼ではなかった。
金属だ。
赤い金属。
いや、ただの金属ではなく。
それは、剣だった。
トールの背中から、血塗られた剣の切っ先が、飛び出ていた。
その剣には、何故か見覚えがあった。
なんで、どうして。
困惑する私の耳に、声が聞こえる。
68: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 04:02:17.27 ID:CE8F7+8k0
「我は、汝を祝福する」
「人の身でありながら、よくぞ偉業を成した」
「よくぞ、神の宿敵を打倒した」
「祝福あれ」
「祝福あれ」
「祝福あれ」
キラキラとした輝く物が、空から舞い落ちてくる。
光が、私を照らし続ける。
「祝福あれ」
「祝福あれ」
「祝福あれ」
「人の身でありながら、よくぞ偉業を成した」
「よくぞ、神の宿敵を打倒した」
「祝福あれ」
「祝福あれ」
「祝福あれ」
キラキラとした輝く物が、空から舞い落ちてくる。
光が、私を照らし続ける。
「祝福あれ」
「祝福あれ」
「祝福あれ」
69: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 04:02:59.09 ID:CE8F7+8k0
「ああ、良かった、何とか、間に合いました」
「トール?これは、これは何なの」
「簡単です、神の祝福ですよ」
「あいつは、あの糞野郎は、一般人は絶対に救いません」
「けど、けど偉業を成した者には、祝福を与えるんです」
「例えば、息子の命を差しだした預言者」
「例えば、自分の命と引き換えに信仰を広めた救世主」
「例えば、神の宿敵を打ち滅ぼした英雄」
「小林さんは、最後のヤツですね」
「英雄に、なったんです」
「竜殺しの英雄に」
「小林さんの体内に巣食っていた呪いは、全て祝福に転換されているはずです」
「減っていた寿命も、元に戻ってます」
「これで、これで、小林さんは、元に……」
「トール?これは、これは何なの」
「簡単です、神の祝福ですよ」
「あいつは、あの糞野郎は、一般人は絶対に救いません」
「けど、けど偉業を成した者には、祝福を与えるんです」
「例えば、息子の命を差しだした預言者」
「例えば、自分の命と引き換えに信仰を広めた救世主」
「例えば、神の宿敵を打ち滅ぼした英雄」
「小林さんは、最後のヤツですね」
「英雄に、なったんです」
「竜殺しの英雄に」
「小林さんの体内に巣食っていた呪いは、全て祝福に転換されているはずです」
「減っていた寿命も、元に戻ってます」
「これで、これで、小林さんは、元に……」
70: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 04:03:24.42 ID:CE8F7+8k0
トールの言葉を聞きながら、私は思い出していた。
あの時の、事を。
そうだ、あの日、私は、あの山の中で。
71: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 04:05:17.54 ID:CE8F7+8k0
「何?この剣抜けばいいんでしょ?」
「そいやー!あっはっは!抜けた―!」
「これで痛くないでしょ?んん?」
「……あれ、あの剣、何処に行った?」
「えーと、思いっきり抜いた後に……」
「どっか、飛んでっちゃったのかな」
「ま、いっかー、あっはっは!飲もう飲もう!」
「お酒あるから!」
あの時、あの剣は何処かに行ったのではなかったのだ。
私の体内に、隠れたのだ。
そうして、呪いが成立するまで潜伏し続けたのだ。
あれは「竜を殺す為の剣」だ。
アレは私の中を蹂躙し、半ば同化し、私の意思に反応したのだろう。
「トールを止める」という意思に。
「ドラゴンを止める」という意思に。
その結果。
私の手から、あの剣が生えた。
あのタイミングで。
私がトールに組みついたタイミングで。
私は、トールを。
トールを。
「そいやー!あっはっは!抜けた―!」
「これで痛くないでしょ?んん?」
「……あれ、あの剣、何処に行った?」
「えーと、思いっきり抜いた後に……」
「どっか、飛んでっちゃったのかな」
「ま、いっかー、あっはっは!飲もう飲もう!」
「お酒あるから!」
あの時、あの剣は何処かに行ったのではなかったのだ。
私の体内に、隠れたのだ。
そうして、呪いが成立するまで潜伏し続けたのだ。
あれは「竜を殺す為の剣」だ。
アレは私の中を蹂躙し、半ば同化し、私の意思に反応したのだろう。
「トールを止める」という意思に。
「ドラゴンを止める」という意思に。
その結果。
私の手から、あの剣が生えた。
あのタイミングで。
私がトールに組みついたタイミングで。
私は、トールを。
トールを。
72: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 04:09:18.64 ID:CE8F7+8k0
「ああああああ!嘘、嘘だ、こんなの」
「ごめんなさい、小林さん、嘘ついちゃって」
「けど、けど小林さんは、これくらいしてくれないと」
「本気になってくれないかなって」
「あの剣は、アイツが作った剣です」
「実体化後に、自動で竜を追尾する性能が、ついてるんです」
「ホント、糞厭らしい武器を作りますね」
「けど、私の命を絶ったあの剣は、もう、消えます」
「役目を果たして、消えるんです」
「ですから、小林さんが神に縛られる事は、もう」
「ないです」
「よかった」
「まにあって、よかった」
「ごめんなさい、小林さん、嘘ついちゃって」
「けど、けど小林さんは、これくらいしてくれないと」
「本気になってくれないかなって」
「あの剣は、アイツが作った剣です」
「実体化後に、自動で竜を追尾する性能が、ついてるんです」
「ホント、糞厭らしい武器を作りますね」
「けど、私の命を絶ったあの剣は、もう、消えます」
「役目を果たして、消えるんです」
「ですから、小林さんが神に縛られる事は、もう」
「ないです」
「よかった」
「まにあって、よかった」
73: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 04:09:44.45 ID:CE8F7+8k0
笑顔のままで、トールの身体は、崩れていった。
光りの粒になって、少しずつ。
少しずつ。
私は、トールの身体を抱きしめる。
けど、幾ら力を入れても。
サラサラサラと崩れて行く。
嫌だ、嫌だ、こんなの嫌なのに、どうして。
光りの粒になって、少しずつ。
少しずつ。
私は、トールの身体を抱きしめる。
けど、幾ら力を入れても。
サラサラサラと崩れて行く。
嫌だ、嫌だ、こんなの嫌なのに、どうして。
74: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 04:10:19.08 ID:CE8F7+8k0
最後に、トールはこう言ってくれた。
「小林さん、大好きです」
私がそれに返事する前に、トールの身体は地上から完全に姿を消した。
76: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 04:35:28.69 ID:CE8F7+8k0
~自宅~
~朝~
カンナ「コバヤシ、いってきますー」
小林「行ってらっしゃい、カンナちゃん」
あれから随分経つ気がする。
けど、実際は1カ月程度なのだ。
最初は、辛かった。
身体ではなく、心が現実を拒絶していた。
涙すら出なかった。
だが、私にはカンナちゃんが居てくれた。
毎日、私を励ましてくれた。
毎日、ご飯を作ってくれた。
その甲斐あってか。
私は、何とか日常生活を送れている。
そろそろ、仕事に復帰する事も考えないと。
貯金も、底をついてきてるのだから。
~朝~
カンナ「コバヤシ、いってきますー」
小林「行ってらっしゃい、カンナちゃん」
あれから随分経つ気がする。
けど、実際は1カ月程度なのだ。
最初は、辛かった。
身体ではなく、心が現実を拒絶していた。
涙すら出なかった。
だが、私にはカンナちゃんが居てくれた。
毎日、私を励ましてくれた。
毎日、ご飯を作ってくれた。
その甲斐あってか。
私は、何とか日常生活を送れている。
そろそろ、仕事に復帰する事も考えないと。
貯金も、底をついてきてるのだから。
77: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 04:36:41.28 ID:CE8F7+8k0
私の身体は、驚くほど頑丈になった。
身体が軽いし、以前よりも徹夜に強くなった気がする。
もしかしたら、心も。
これも神の祝福のお陰だろうか。
そんなものは、必要ないんだけど。
気分転換の意味も込めて、私は冷蔵庫の整理をしていた。
トールが居なくなってから、随分と無精をしてしまっている。
賞味期限切れの食品が幾つも出てくる。
その中に、お皿に乗せられた、何かがあった。
「私の尻尾肉です!食べてください!」
トールが何かと私に食べさせたがっていた、お肉である。
身体が軽いし、以前よりも徹夜に強くなった気がする。
もしかしたら、心も。
これも神の祝福のお陰だろうか。
そんなものは、必要ないんだけど。
気分転換の意味も込めて、私は冷蔵庫の整理をしていた。
トールが居なくなってから、随分と無精をしてしまっている。
賞味期限切れの食品が幾つも出てくる。
その中に、お皿に乗せられた、何かがあった。
「私の尻尾肉です!食べてください!」
トールが何かと私に食べさせたがっていた、お肉である。
78: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 04:37:41.45 ID:CE8F7+8k0
何となく、ラップを剥がして机の上に置いてみる。
肉は新鮮さを失い、黒く変色していた。
これでは、もう食べられないだろう。
「絶対美味しいですから!食べてみてください!」
そう、トールは言っていた。
一度くらい、食べてあげれば良かったかも、しれ
その波は、突然来た。
そうだ、私は、もう、トールのこんな簡単な望みも、叶えてあげられないんだ。
そう、思うと、視界が歪んだ。
もう、無理なんだ、トールに、恩返しする事も、トールの愛情に応えてあげる事も、もう。
出来ないんだ。
肉は新鮮さを失い、黒く変色していた。
これでは、もう食べられないだろう。
「絶対美味しいですから!食べてみてください!」
そう、トールは言っていた。
一度くらい、食べてあげれば良かったかも、しれ
その波は、突然来た。
そうだ、私は、もう、トールのこんな簡単な望みも、叶えてあげられないんだ。
そう、思うと、視界が歪んだ。
もう、無理なんだ、トールに、恩返しする事も、トールの愛情に応えてあげる事も、もう。
出来ないんだ。
80: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 04:38:33.77 ID:CE8F7+8k0
私は、その時、やっとトールがもう戻って来ないのだと、認めた。
涙が、溢れて来る。
私は子供のように、泣きじゃくった。
トール、トール、トール!
81: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 04:39:02.28 ID:CE8F7+8k0
ああ、けれど、一つだけ良かった事がある。
私とトールの寿命は、違う。
つまり、本来なら私が先に死ぬはずだったのだ。
必然的に、私が感じている悲しみを、トールは背負うはずだったのだ。
けど、彼女は。
トールは、もう、その悲しみを、味合わなくても良い。
それだけが。
それだけが、今回の事件で「良かった」と思えた事だった。
私とトールの寿命は、違う。
つまり、本来なら私が先に死ぬはずだったのだ。
必然的に、私が感じている悲しみを、トールは背負うはずだったのだ。
けど、彼女は。
トールは、もう、その悲しみを、味合わなくても良い。
それだけが。
それだけが、今回の事件で「良かった」と思えた事だった。
84: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 05:02:11.53 ID:CE8F7+8k0
私の日常は、これからも続いて行くのだろう。
トールを置いて。
これからも。
ずっと。
おわり。
トールを置いて。
これからも。
ずっと。
おわり。
85: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 05:04:18.97 ID:CE8F7+8k0
「小林さん」
トールの声が、聞こえた気がした。
私が涙を拭きながら前を見ると。
尻尾肉から、トールの頭が生えていた。
ぼんやりとトールの顔を眺めていると、ズルリと音を立てて、今度は腕が生えてきた。
「小林さん、すみません、ちょっと引っ張ってください」
言われるままに、トールの手を引っ張る。
ズルズルズルと、トールの身体が出てきた。
トールの声が、聞こえた気がした。
私が涙を拭きながら前を見ると。
尻尾肉から、トールの頭が生えていた。
ぼんやりとトールの顔を眺めていると、ズルリと音を立てて、今度は腕が生えてきた。
「小林さん、すみません、ちょっと引っ張ってください」
言われるままに、トールの手を引っ張る。
ズルズルズルと、トールの身体が出てきた。
86: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 05:05:16.41 ID:CE8F7+8k0
「いっやー、何とか復活できました」
「尻尾の中に、私の種を幾つか入れておいたんですよね」
「だって、私は小林さんに殺されないといけませんでしたし」
「けど、これからも小林さんと一緒に過ごしたかったですし」
「上手く行くかは賭けでした、苦肉の策、という訳です」
「けど、何とか記憶と経験の複写も出来てるみたいですね」
「で、どうでしたか、私はあの朝の事を記録できていませんが」
「上手く行きました?あの糞野郎を出し抜けましたか?」
「まあ、小林さんが生きているのが、成功の証なんですけど!」
「流石は、私です!」
「ね、小林さんもそう思……ひゃっ!?」
「尻尾の中に、私の種を幾つか入れておいたんですよね」
「だって、私は小林さんに殺されないといけませんでしたし」
「けど、これからも小林さんと一緒に過ごしたかったですし」
「上手く行くかは賭けでした、苦肉の策、という訳です」
「けど、何とか記憶と経験の複写も出来てるみたいですね」
「で、どうでしたか、私はあの朝の事を記録できていませんが」
「上手く行きました?あの糞野郎を出し抜けましたか?」
「まあ、小林さんが生きているのが、成功の証なんですけど!」
「流石は、私です!」
「ね、小林さんもそう思……ひゃっ!?」
87: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 05:05:57.53 ID:CE8F7+8k0
私は、トールを抱きしめた。
何だっていい、どんな理由だって構わない、トールが、トールが戻ってきてくれたのだ。
嬉しい、凄く嬉しいに決まってる、こんな、こんな事。
私は、また泣いてしまいそうになったけど。
照れ臭くて、トールの胸に顔をうずめていた。
「小林さん……すみませんでした、悲しませちゃいましたね」
「そうですよ、小林さん可哀そう」
「所で私の順番はいつなんでしょう、そろそろ代ってくれても」
んー、幻聴かな。
トールの声は3つ聞こえた気がするんだけど。
何だっていい、どんな理由だって構わない、トールが、トールが戻ってきてくれたのだ。
嬉しい、凄く嬉しいに決まってる、こんな、こんな事。
私は、また泣いてしまいそうになったけど。
照れ臭くて、トールの胸に顔をうずめていた。
「小林さん……すみませんでした、悲しませちゃいましたね」
「そうですよ、小林さん可哀そう」
「所で私の順番はいつなんでしょう、そろそろ代ってくれても」
んー、幻聴かな。
トールの声は3つ聞こえた気がするんだけど。
88: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 05:06:44.99 ID:CE8F7+8k0
顔を上げてみると、尻尾肉から3人目のトールが這い出て来る所だった。
え、なにこれ。
1「ちょっと、何なんですか貴女達」
2「何って、私はトールですけど、小林トール」
3「小林さんの嫁です」
1「いえ、トールは小林さんのメイドですから、貴女達は偽物ですね」
2「いえ、多分、尻尾に種を撒きすぎただけかと思います」
3「過剰孵化」
1「た、確かに……あの状況だと復活できるか判らなかったので幾つか余分に植えましたが」
2「まあ、いいんじゃないでしょうか、3人でもきっと小林さんは受け止めてくれます」
3「小林さん、壊れないでしょうか、性的に」
1「壊れるって、何ですか、貴女、ちょっと不謹慎じゃないですか」
2「そ、そうですよ、こんな状況何ですから、今は小林さんとの再会を喜ぶべきです」
3「けど、私は小林さんとえっちしたいです、ねっとりと」
1「3番目の私、何か性欲強くないですか?異常です」
2「個体差とか、出ちゃいましたかねえ」
え、なにこれ。
1「ちょっと、何なんですか貴女達」
2「何って、私はトールですけど、小林トール」
3「小林さんの嫁です」
1「いえ、トールは小林さんのメイドですから、貴女達は偽物ですね」
2「いえ、多分、尻尾に種を撒きすぎただけかと思います」
3「過剰孵化」
1「た、確かに……あの状況だと復活できるか判らなかったので幾つか余分に植えましたが」
2「まあ、いいんじゃないでしょうか、3人でもきっと小林さんは受け止めてくれます」
3「小林さん、壊れないでしょうか、性的に」
1「壊れるって、何ですか、貴女、ちょっと不謹慎じゃないですか」
2「そ、そうですよ、こんな状況何ですから、今は小林さんとの再会を喜ぶべきです」
3「けど、私は小林さんとえっちしたいです、ねっとりと」
1「3番目の私、何か性欲強くないですか?異常です」
2「個体差とか、出ちゃいましたかねえ」
89: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 05:08:02.32 ID:CE8F7+8k0
3人のトールが対話している横で、尻尾肉から4人目の頭が生まれていた。
というか、3人の会話内容が何か嫌な方向に向かってる気がするんだけど。
1「うっわ、4人目が出てきちゃいましたよ、どうしましょうこれ」
2「う、うーん、まさか殺すわけにもいきませんし」
3「これ以上増えると、分け前が減ります」
1「分け前って?」
3「私が4人になると、小林さんの摂取量は1/4になる計算」
1「ですから!そんな不謹慎な考えはやめましょうって!」
2「いいえ、それは流石に聞き捨てなりません」
1「2番!貴女まで!」
2「だって、嫌じゃないですか、小林さんの摂取量が1/4になるなんて」
3「今後も増えるかもしれない、だったら、今がチャンスです」
1「チャンスって、何がです?」
3「レズレイプのチャンスです」
2「え」
1「え」
小林「え」
90: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 05:09:06.79 ID:CE8F7+8k0
1「3番、貴女やっぱりおかしいです、自重してください!」
3「すみません、間違えました」
2「何と間違えたんですか」
3「集団ドラゴンレズレイプです」
2「それなら、良しです」
1「良くないですよね!?」
2「あー、もー、面倒臭いです、多数決で決めましょう多数決で!」
3「小林さんを襲いたい人~」
1「はーい」
2「はーい」
3「はーい」
4「はーい」
5「はーい」
6「はーい」
小林「は、反対!反対反対!」
3「すみません、間違えました」
2「何と間違えたんですか」
3「集団ドラゴンレズレイプです」
2「それなら、良しです」
1「良くないですよね!?」
2「あー、もー、面倒臭いです、多数決で決めましょう多数決で!」
3「小林さんを襲いたい人~」
1「はーい」
2「はーい」
3「はーい」
4「はーい」
5「はーい」
6「はーい」
小林「は、反対!反対反対!」
91: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 05:09:54.66 ID:CE8F7+8k0
こうして、小林さんは。
増え続けるドラゴン達に集団ドラゴンレズレイプされて。
幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
増え続けるドラゴン達に集団ドラゴンレズレイプされて。
幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
92: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 05:10:43.16 ID:YEQ6t/xTo
やったー!!
93: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 05:12:26.13 ID:V/5G6uiPo
DLRで良かった…
シリアスいいね乙
シリアスいいね乙
97: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 07:43:32.92 ID:VxR2U1ft0
DLR→子供ができる→子供もDLRできる→さらに子供が増える→……
98: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/18(土) 10:47:51.22 ID:vaTGC61r0
乙乙
これ程安心できるDLRがあるだろうか
これ程安心できるDLRがあるだろうか
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1487055454/
Entry ⇒ 2017.02.27 | Category ⇒ 小林さんちのメイドラゴン | Comments (0)
高森藍子「プロデューサー様御乱心」
1: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 20:21:10.44 ID:48RQy3CZ0
元ネタは偉大なるあとがきゆかいまんがから
2: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 20:21:55.01 ID:48RQy3CZ0
第一章
P様「ハイハイハイまーそういう訳で、プロデューサーなんですけどねーほんとー」
藍子「…」
P様「がんばってまいりましょう、さー行きましょー」
美波「…」
P様「まープロデューサーとしてはこれからバリバリにがんばっつって」
P様「担当みんなトップアイドルにしたろかなーとか思ってるワケなんですけど」
藍子美波「「……」」
3: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 20:27:38.30 ID:48RQy3CZ0
藍子「あ…あの…プロデューサーさん?どうしちゃったんですか?」
P様「何か用か貧乳ドラム女、少しはパイオツを大きくする努力をしなさいよおまえは」
P様「何そのまな板なめてんの?」
藍子「ひ、ひどい…」シクシク
P様「あっ、泣くでない!!ドンマイ!!」
藍子「こんな屈辱初SSRで文句つけられて以来」メソメソ
P様「貧乳はステータス!!世の中にマニアはいるって!!」
4: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 20:32:43.85 ID:48RQy3CZ0
藍子「本当ですか」
P様「本当ですって」
P様「」クルッ
美波「な、なんですか?」
P様「」ジー…
P様「ウソです、巨乳こそ正義(ジャスティス)。」
5: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 20:36:26.28 ID:48RQy3CZ0
P様「私の望む事務所は巨乳の巨乳による巨乳のためのオッパイランド」
P様「貧乳は引退」
P様「明日までに最低及川さんの特カップくらいにしてこい」
藍子「うう…うううう…!」
美波「なッ、何を言ってるんですか!藍子ちゃんに謝ってください!!」
P様「新田さんの趣味のラクロスの『ラ』を『セ』って書くと」
P様「すごいエロそうなので超インランっぽい」
P様「明日までに趣味欄を書き換えてきて」
美波「イヤーーーー!!!」
CGプロ、壊滅
6: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 20:39:34.72 ID:48RQy3CZ0
第二章
P様「みーなさーんこーんにちわーッわーッ」
P様「さー今日もジャンジャンバリバリ、アイドルをプロデュースしていこーと思っとります!!」
藍子「…」
美波「…」
武内P「…」
マルメターノおじさん「…」
赤羽根P「さすがプロデューサー様パネエ!!マジやっちゃって下さいよーあこがれちゃうなー」
7: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 20:44:42.51 ID:48RQy3CZ0
P様「とりあえずそこのドラえもんの空き地にありそうなゆるふわアイドルと!」
P様「カメラ目線で笑顔で変態で謎CVのクソヒゲゴリラっぽい外人!」
P様「営業行ってこい!!!!」
藍子「誰がドラえもんの空き地ですか!!」
マルメターノ「オレ、コイツ、ブンナグル!!」
P様「ウソなんか言ってないジャン、ん?ん?」
藍子「え」
8: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 20:54:37.26 ID:48RQy3CZ0
P様「おまえ、北川真尋ちゃんのSR背景のくせしてカメラ目線でばっちり写っちゃってるクソヒゲゴリラじゃん」
P様「しかも看板に『俺のソーセージは美味いよ!』とか書いてる変態じゃん」
P様「しかも他のアイドル押しのけてグラブルでボイスついたし」
P様「何か一つでもまちがってますか?アナタ」
マルメターノ「ぐぐぐっ…」
美波「たしかになんでほかの娘よりも先に背景のおじさんにボイスが…」
武内P「運営の悪ふざけとしか思えないレベルですね」
赤羽根P「なんかくさい」
マルメターノ「ウワアアアアアアアアアアア!!」ダッ
藍子「マルメターノさーんッ!」
P様「みんな仲間。なかよしCGプロ」
マルメターノ「国に帰りますっ!!」ダダダダダッ
藍子「マルメターノさーーんッ!!」
完
10: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 20:58:30.26 ID:48RQy3CZ0
第三章
P様「よい子のみんなあちまれぇ~ッ」
P様「今日も今日とてこのわたくし怒り狂ったプロデューサーがッ、いきおいにまかせてアイドルを片っ端からプロデュースしまくりたいと思うの!」
藍子「はい、プロデューサー様、お願いがあります」
P様「ウム、そこの胸の大きさが9.18事件直後のアイマス界隈の娘、なんでも言ってみんしゃい」
11: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 21:04:15.58 ID:48RQy3CZ0
藍子「あ、あのーみんなには内緒ですよそのー…」コソコソ
藍子「プロデューサーさん、あの私たちのプロフィールを管理してるんですよね?」
P様「してるよ」
藍子「ということはプロフィールの数値を自在に色々したりできるんですよね」
藍子「じゃあ私のプロフィールのBのところも大きくしたりとかできたりしないかなーとか思ったりしたり…」
P様「・・・」
12: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 21:06:26.67 ID:48RQy3CZ0
P様「…」
P様「みなさん~!きいてくださーい~~!このゆるふわアイドルがオッパイでかくしてだってさぁ~~~!!」
P様「それって詐称じゃないのーーーーーッ!!!」
藍子「いやあああああ!!」
P様『館内放送!!CGプロ全職員に告げるよく聞け!』
P様『藍子がおっぱいでかくしてくれとかこの私に言ってました』
CGプロ職員「へぇー…」
P様『コレどう思う!?』
藍子「やめてぇええええええ!!」
13: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 21:08:47.61 ID:48RQy3CZ0
P様「事務所のオフィシャルブログで拡散」
藍子「いやあああああああああ!!」
美城常務の仕事場―
美城「ん?FAXか?」
FAX【美城常務へ
さっき藍子がオッパイでかくしろって
プロデューサー】プリプリ
美城「何なんだこいつは…!」
―
P様「おっぱいは、自然が一番」
藍子「うううううううううううう!!」シクシクメソメソ
完
14: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 21:21:49.72 ID:48RQy3CZ0
第四章
P様「担当をトップアイドルにするためにもね!」
P様「ここは一ツポジティブパッションの新曲をかましたい今日この頃です!」
藍子「え!?新曲ですか!?」
P様「とりあえずこの衣装に着替えてこい!」
藍子「は、はい!」
5分後-…
P様「いいぞー藍子いいぞー!」
藍子「あの…これ…」
・こじゃれたネックレス
・Tシャツ
・ダメージジーンズ
・なんかのギター
P様「どう見てもお茶の水にいる楽器屋の店員だ!想像してたよりずっと店員だ!」
15: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 21:40:05.65 ID:48RQy3CZ0
藍子「なんかこの格好イヤです!」
P様「えぇええ何でー!何でー!」
藍子「とにかくすごいイヤ!」
赤羽根P「オイオイ藍子おめー、今回のイベントSRがないのを哀れんだP様(キング)の心がわかんねーのかおめー」
DJ赤羽根P「アイドルのSEITYOU、P様のKATUBOU」キュキュッキュ
DJ赤羽根P「その手腕まさに最強(SAIKYO)ー!この町でのし上がるぜ東京(TOKYO)ー!」
P様「YAEH!」
藍子「ダサイ!!」
武内P「では私も…【17の夜】」
藍子「昭和ッ!」
美波「ルェリゴッ!【アナスタシアと広島の女皇】」
藍子「ラブライカ!」
安部奈々「【BEMY】」
佐藤心「【BABY】」
藍子「complex!」
完
16: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 21:52:00.17 ID:48RQy3CZ0
第五章
P様「さー今日もビシバシアイドルを輝かせるために!新SSRの娘をお迎えするためにもね!!」
P様「まずは先立つものがないとダメなんですよ先立つものが!!」
藍子「お金…ですか…」
P様「その通り金だッ!銭ッ子がないと爆死すら許されんのだ爆死すら!」
赤羽根P「おまかせくだされプロデューサー様ーッ!この赤羽根妙計あり!」
赤羽根P「このP様バッチを大量生産し!法外な値段で売り付けましょうぞ!」
藍子「とっても安っぽいですねそのバッチ」
17: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 22:01:12.00 ID:48RQy3CZ0
赤羽根P「そして今はやりの特典商法!!」
~P様バッチの購入特典~
・P様握手会
・抽選で一名様、P様と行くバスツアー(一泊)
・ルキトレチケット放題
・使い終わったiTunesカードに名前を付けられる
赤羽根P「バッチだけではありません!ゆくゆくは幸運を呼ぶぴにゃこら太とか!万病が治るスタドリとか!」
赤羽根P「いいかんじのサイリウムとか!本も出しましょう!CDも出しましょう!映画も作って!アニメも!!」
P様「天才かよお前」
18: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 22:08:55.35 ID:48RQy3CZ0
赤羽根P「まあ私におまかせ下さい、だいじょうぶです大丈夫です大丈夫」
赤羽根P「絶対大丈夫ですので全部おまかせ下さい」
P様「すごいなお前、うちの事務所の緑の悪魔みたいだな」
赤羽根P「あーあとこのバッチかわないようなモンはー!突然SRすら出ないように確率操作をするのでー!!」
藍子「犯罪ですよそれ!!なんでことごとく法に触れようとするんですかあなたたちは!!」
そのころ―…
~新田美波握手会、一回3200円~
美波「ありがとうございます!」
ファン「応援してます!」
完
19: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 22:17:18.05 ID:48RQy3CZ0
エクストラ
P様「バンドやろうぜ、バンド」
藍子美波「「……」」
P様「バンド名考えたんだけど」
P様「『ザ・ドラム』と『セクロス・ピストンズ』、どっちにする?」
藍子美波「「…どっちもいやです」」
P様「なんでー?!ねーなんでー?ねー?!アレー?なんか嫌な名称でも入ってたの?ねーなんで?!」
藍子美波「「…」」ムカッ
P様「なんでー?!ねーー?なんでぇーーーーー?!」
20: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 22:27:26.65 ID:48RQy3CZ0
武内P「バンドですか…ではマイクを」スチャッ
P様「おまえなんかさあ、マイク持つとバンドっつより、ニュース番組みたいだな」
武内P「」ハッ
P様「声がめちゃくちゃ渋いんだよねー、ニュースの時のレポートってかんじでさー、レポートっつーかナレーションっつーか」
P様「っていうかさ、デレアニん時に息を吸うようにポエムはいてたじゃん、なにアレ即興?あふれ出てくる的なアレ?」
三人「「「解散!!!」」」
P様「っつーことでバンドメンバーぼしゅう、当方ボーカルです!!」
完
21: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 22:31:00.54 ID:48RQy3CZ0
ここで終わりです、ありがとうございました
色々書きましたが、私は高森藍子ちゃんと新田美波ちゃんを見るとお股がムズムズしちゃうんです
藍子ちゃんとかあのボディもうたまらんでしょ
美波ちゃんとかもう殺しに来てるでしょ
色々書きましたが、私は高森藍子ちゃんと新田美波ちゃんを見るとお股がムズムズしちゃうんです
藍子ちゃんとかあのボディもうたまらんでしょ
美波ちゃんとかもう殺しに来てるでしょ
22: ◆U.8lOt6xMsuG 2017/02/16(木) 22:34:26.47 ID:48RQy3CZ0
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/17(金) 03:33:01.29 ID:JUIqLZ/Bo
アナ○スタシアさんが出なかったのが残念です
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1487244070/
Entry ⇒ 2017.02.27 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
【ダンガンロンパ】最原「バレンタインか…」【V3】
1: ◆AZbDPlV/MM 2017/02/14(火) 02:12:39.61 ID:HCVLcduP0
Rスレに立てた【ダンガンロンパ】赤松「すごく早いけど、チョコ渡そうかな」【安価】のバレンタイン当日譚です。
今回に繋がる↑を読んでいなくても多分問題ない内容…のはずです。
もしも流れが気になるようでしたら、先に前作の閲覧推奨です。
前作をRに立てていましたが、至って平穏無事に終えていますので、エロ苦手な方にも安心してご覧頂けます。
>>0�P要素あり。多分赤最。最赤ではない…はず。
※紅鮭の選択肢でのみんなの反応的に、最原君は料理にお菓子もつくれちゃう、台所立つ系男子だと勝手に思っているので、そんな設定がくっ付いています。
●前作●
【ダンガンロンパ】赤松「すごく早いけど、チョコを渡そうかな」【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1486025657/
今回に繋がる↑を読んでいなくても多分問題ない内容…のはずです。
もしも流れが気になるようでしたら、先に前作の閲覧推奨です。
前作をRに立てていましたが、至って平穏無事に終えていますので、エロ苦手な方にも安心してご覧頂けます。
>>0�P要素あり。多分赤最。最赤ではない…はず。
※紅鮭の選択肢でのみんなの反応的に、最原君は料理にお菓子もつくれちゃう、台所立つ系男子だと勝手に思っているので、そんな設定がくっ付いています。
●前作●
【ダンガンロンパ】赤松「すごく早いけど、チョコを渡そうかな」【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1486025657/
2: ◆AZbDPlV/MM 2017/02/14(火) 02:14:10.81 ID:HCVLcduP0
今日はバレンタイン。思春期真っ盛りの少年少女が、甘さ100%の期待に胸を高鳴らせているだろう一大イベントの日。
ここにもひとり、想いをよせている少女からチョコを貰えるのではないかと、数日前から心落ち着かない青年がいた。
最原 (今日がバレンタイン…)
目が覚めた青年、最原 終一が第一に考えたのはそれだった。
彼の場合、この年頃ならありがちな、根拠のない自信や思いあがりな期待とは事情がちがう。
最原 (赤松さんに“覚悟してよね”って、宣告された当日だ…)
数日前にバレンタインが近いこともあり、お菓子を作りたくなった最原はなんとなくのノリでカップケーキを作り、数人に配った。しかしその際、最初に渡した人物から、赤松も前日に最原と同じようにチョコを作り、何人かに配っていたのだという話を聴いた。
最原は赤松からチョコをもらえなかったと落胆したが、赤松本人にカップケーキを渡す際、赤松から“覚悟してよね、バレンタイン!!”っと、宣戦布告を受けている。それ故の期待なのだ。
最原 (赤松さんの方はいつもどおりで、僕はといえば、数日前からドキドキしていて、赤松さんどころか、はたからみて変に映ってなかったかな…)
想い人である赤松 楓に話しかけられる度、最原の青い恋心は揺さぶられる。そんな最原の様子は、一部では面白がられ、また一部では暖かく見守られ、また一部では爆発しろと妬まれるなど、それはそれはバレバレであった。
今日までの自分を振り返ってみて恥ずかしさを覚えつつ、洗面台に向かって顔を洗う。
最原 (僕って、結構女々しかったんだな…というか)
最原 (しっかりと“好き”だって言われたワケでもないのに、もう告白された気になってバカみたいじゃないか?!)
誰しもあのような言い方をされれば、自分に好意があるのではと思ってしまうだろう。しかし、赤松が人の心を弄ぶようなことをするとも考え難い。
最原 (あー! もう! 赤松さんに会えば答えは出るんだ!)
最原 (とにかく、朝食を摂りにいこう! よしっ!!)
モヤモヤと頭を悩ませていたが、ひとまずそれを取り払うと、身支度を整え食堂へと向かうべく部屋からでる。
部屋をでると、向かい側は女子の部屋になっている。ちょうど、その向かいの階段から誰かが降りてきているようだった。
ここにもひとり、想いをよせている少女からチョコを貰えるのではないかと、数日前から心落ち着かない青年がいた。
最原 (今日がバレンタイン…)
目が覚めた青年、最原 終一が第一に考えたのはそれだった。
彼の場合、この年頃ならありがちな、根拠のない自信や思いあがりな期待とは事情がちがう。
最原 (赤松さんに“覚悟してよね”って、宣告された当日だ…)
数日前にバレンタインが近いこともあり、お菓子を作りたくなった最原はなんとなくのノリでカップケーキを作り、数人に配った。しかしその際、最初に渡した人物から、赤松も前日に最原と同じようにチョコを作り、何人かに配っていたのだという話を聴いた。
最原は赤松からチョコをもらえなかったと落胆したが、赤松本人にカップケーキを渡す際、赤松から“覚悟してよね、バレンタイン!!”っと、宣戦布告を受けている。それ故の期待なのだ。
最原 (赤松さんの方はいつもどおりで、僕はといえば、数日前からドキドキしていて、赤松さんどころか、はたからみて変に映ってなかったかな…)
想い人である赤松 楓に話しかけられる度、最原の青い恋心は揺さぶられる。そんな最原の様子は、一部では面白がられ、また一部では暖かく見守られ、また一部では爆発しろと妬まれるなど、それはそれはバレバレであった。
今日までの自分を振り返ってみて恥ずかしさを覚えつつ、洗面台に向かって顔を洗う。
最原 (僕って、結構女々しかったんだな…というか)
最原 (しっかりと“好き”だって言われたワケでもないのに、もう告白された気になってバカみたいじゃないか?!)
誰しもあのような言い方をされれば、自分に好意があるのではと思ってしまうだろう。しかし、赤松が人の心を弄ぶようなことをするとも考え難い。
最原 (あー! もう! 赤松さんに会えば答えは出るんだ!)
最原 (とにかく、朝食を摂りにいこう! よしっ!!)
モヤモヤと頭を悩ませていたが、ひとまずそれを取り払うと、身支度を整え食堂へと向かうべく部屋からでる。
部屋をでると、向かい側は女子の部屋になっている。ちょうど、その向かいの階段から誰かが降りてきているようだった。
3: ◆AZbDPlV/MM 2017/02/14(火) 02:15:43.53 ID:HCVLcduP0
最原 「おはよう。春川さん」
春川 「おはよう。最原」
最原の挨拶に答えたのは春川 魔姫。件のチョコについて情報をくれたのは春川だ。
その春川は、最原の顔をみた途端、眉を顰めた。
春川 「なに……その微妙な表情は」
最原 「え」
春川 「最初に出会ったのが私でツイてないとか、そんなところ? 赤松じゃなくて悪かったね」
春川が眉を顰めたのは、最原の表情が浮かないものだったからだ。朝一番に出会った人物が浮かない顔をしているというのは、こちらの気分もよろしくない。
しかし、最原はまったくの無意識のことだったので、春川の言葉に戸惑う。
最原 「違う! そんなつもりじゃないよ!!」
春川 「じゃあなに」
最原 「いや…今日バレンタインだから……ちょっと…」
春川 「……赤松からチョコもらえるのか、悩んでるってこと…?」
合点がついた春川は呆れつつ嘆息する。
春川 「あんたって、女々しいんだね」
最原 「……自分でも思ってるよ」
自覚はしているし、冷ややかな春川の視線も当然なのだが、はっきり言われてしまうと胸に突き刺さる。
春川 「あんたがカップケーキ配った日から、赤松が隠す気もなくあんたにアピールしてて」
春川 「あんたはなんか逆にぎこちなくなっててさ…おかしくない?」
最原 「ぅぐうっ!!」
視線と語気も鋭い春川の口撃に、グサリという擬音が頭の中で響いて、胸がぎゅうっと縮こまるように痛む。
春川 「おはよう。最原」
最原の挨拶に答えたのは春川 魔姫。件のチョコについて情報をくれたのは春川だ。
その春川は、最原の顔をみた途端、眉を顰めた。
春川 「なに……その微妙な表情は」
最原 「え」
春川 「最初に出会ったのが私でツイてないとか、そんなところ? 赤松じゃなくて悪かったね」
春川が眉を顰めたのは、最原の表情が浮かないものだったからだ。朝一番に出会った人物が浮かない顔をしているというのは、こちらの気分もよろしくない。
しかし、最原はまったくの無意識のことだったので、春川の言葉に戸惑う。
最原 「違う! そんなつもりじゃないよ!!」
春川 「じゃあなに」
最原 「いや…今日バレンタインだから……ちょっと…」
春川 「……赤松からチョコもらえるのか、悩んでるってこと…?」
合点がついた春川は呆れつつ嘆息する。
春川 「あんたって、女々しいんだね」
最原 「……自分でも思ってるよ」
自覚はしているし、冷ややかな春川の視線も当然なのだが、はっきり言われてしまうと胸に突き刺さる。
春川 「あんたがカップケーキ配った日から、赤松が隠す気もなくあんたにアピールしてて」
春川 「あんたはなんか逆にぎこちなくなっててさ…おかしくない?」
最原 「ぅぐうっ!!」
視線と語気も鋭い春川の口撃に、グサリという擬音が頭の中で響いて、胸がぎゅうっと縮こまるように痛む。
4: ◆AZbDPlV/MM 2017/02/14(火) 02:16:26.04 ID:HCVLcduP0
春川 「探偵のクセに目にみえ過ぎてる答えに疑心暗鬼してるなんて、バカらしい」
春川 「あんた達の場合、付き合ってないほうが嘘でしょ」
よほど鈍感な人間でなければ、ふたりが好きあっている…特に赤松の方は隠す気もないといえるくらいには丸わかりだろう。故に、春川が呆れてしまうのも当然で、なぜ最原が疑心暗鬼に陥っているのか理解できない。
最原 「え? そんな風にみえるの?」
思いがけない春川の言葉に、最原は意外そうに目を見開いた。その反応に、こんどは春川が“本気だったの?!”と驚きに目を見開いた。
なんとも言い難い焦れったい感情が湧いて、最原を蹴飛ばしたい衝動に駆られる。が、我慢した。それをしたところで意味はないからだ。
春川 「前にも言ったけど、もらえるよ」
春川 「こんどは断言する」
春川 「 ま ち が い な く 」
春川 「 絶 対 に 」
その頭に物理的に叩き込んでやろうかという覇気と語調で、はっきりと最原に宣言してやる。
軽く脅されているような気持ちもしてしまうが、そうするほどの春川の真剣さに、自信をもてという彼女なりの励ましなのだと最原も読みとる。
最原 「ありがとう、春川さん。男の僕が女の子のキミにここまでさせてしまうなんて、情けないよな……」
最原 「不安はあるけど、せめて、どうなっても下は向かないようにするよ」
春川 「だから、不安は要らないんだって…もういいよ、とりあえず」
春川 「食堂いくんでしょ? いくよ」
しかたないといったようすで、ため息は吐いたが、春川の表情は穏やかになっている。食堂へ向かうべく、春川は先に歩きはじめる。
最原 「うん」
結果は赤松が出してくれるはずだと、その時の答えが自分の思いあがりなものになったとしても、それは彼女の気持ちなのだから、自分がどうこうできるものではない。最原は気持ちを引き締めてから、春川の背を追った。
春川 「あんた達の場合、付き合ってないほうが嘘でしょ」
よほど鈍感な人間でなければ、ふたりが好きあっている…特に赤松の方は隠す気もないといえるくらいには丸わかりだろう。故に、春川が呆れてしまうのも当然で、なぜ最原が疑心暗鬼に陥っているのか理解できない。
最原 「え? そんな風にみえるの?」
思いがけない春川の言葉に、最原は意外そうに目を見開いた。その反応に、こんどは春川が“本気だったの?!”と驚きに目を見開いた。
なんとも言い難い焦れったい感情が湧いて、最原を蹴飛ばしたい衝動に駆られる。が、我慢した。それをしたところで意味はないからだ。
春川 「前にも言ったけど、もらえるよ」
春川 「こんどは断言する」
春川 「 ま ち が い な く 」
春川 「 絶 対 に 」
その頭に物理的に叩き込んでやろうかという覇気と語調で、はっきりと最原に宣言してやる。
軽く脅されているような気持ちもしてしまうが、そうするほどの春川の真剣さに、自信をもてという彼女なりの励ましなのだと最原も読みとる。
最原 「ありがとう、春川さん。男の僕が女の子のキミにここまでさせてしまうなんて、情けないよな……」
最原 「不安はあるけど、せめて、どうなっても下は向かないようにするよ」
春川 「だから、不安は要らないんだって…もういいよ、とりあえず」
春川 「食堂いくんでしょ? いくよ」
しかたないといったようすで、ため息は吐いたが、春川の表情は穏やかになっている。食堂へ向かうべく、春川は先に歩きはじめる。
最原 「うん」
結果は赤松が出してくれるはずだと、その時の答えが自分の思いあがりなものになったとしても、それは彼女の気持ちなのだから、自分がどうこうできるものではない。最原は気持ちを引き締めてから、春川の背を追った。
10: ◆AZbDPlV/MM 2017/02/17(金) 18:04:17.70 ID:X48jeXcx0
食堂に入ると、既に何名かが席に着いて談笑をしていた。その中に赤松の姿も見つける。赤松の方も、食堂に入ってきたふたりをみるなり、笑顔で小走りに駆けよる。
赤松 「おはよう、最原くん、春川さん!」
最原 「おはよう、赤松さん」
春川 「おはよう」
春川は挨拶をしてそのまま、他に言葉を交わすこともせずに赤松の横を抜けて離れてしまう。
赤松 「あ、あれ? 春川さん、機嫌悪いのかな……」
最原 「いや…たぶん違うと思う」
あれだけ自分の背を押してくれていた春川だ。赤松との時間をつくるために素っ気なく去っていったのだろうと、最原は察する。
他人の気づかいには直ぐに気付けるのに、自分の色恋のこととなると、途端に霞がかかる。使い方としては間違っているが“恋は盲目”というように、最原の場合は自分で自分の都合のよい部分にわざわざ目を閉じてしまっている。なんとも不可思議。春川のいうように“バカらしい”。
赤松 「そうなの? だったらいいんだけど… 」
春川が席に着いたのを見届けてから、赤松が最原の顔をじっとみつめる。その視線に誘われるように、最原も赤松の顔をみつめ返す。
最原 「な、なに…かな?」
赤松 「ふふっ。今日だよ、最原くん」
うっすら頬を染め照れくさそうに笑いながら、いよいよ赤松は、最原が待ち望んでいた今日一番の話題を持ち出してきた。
ついにこの時がきたかと、赤松の表情も相まって最原の緊張が跳ね上がり、反射的に生唾を飲んで呼吸をとめる。
赤松 「忘れて…ないよね?」
赤松もそわそわしたようすで小首をかしげ、上目づかいに最原の瞳をねらい撃つ。
今日という日がどんな日であるのか、それを考えたうえで一連の動きをみると、なんともあざとい。しかしそのあざとさは最原を的確に擽る。
忘れるワケがない。むしろ意識のし過ぎで、ここに来るまでも春川にはそれについて勇気づけられていたくらいだ…とは、情けなくてさすがにいえない。
最原 「もちろんだよっ」
答えはひとつしかない。否定の言葉は用意すらしていない。
そして、ここにきてようやく安堵する。あの“覚悟してよね!!”っと、いう宣告に嘘はなかった。うず高く積もりに積もった不安を一気に落とした。
赤松 「あのね、朝食が終わったらそのまま、私の部屋に来て欲しいんだ」
最原 「うん、解った」
赤松 「じゃあ…ご飯食べようか!」
最原の返事に赤松も嬉しそうに声を弾ませ、朝食を摂るために席に着く。
幸い、今いるメンバーの中にふたりをからかう者がいないためか、向けられる眼差しは暖かい。このバレンタインでようやく、ふたりの仲が進展するだろうと、心の中でひそかな祝福をおくる。
周りに見守られる中、最原と赤松のふたりは、いつもより意識しあうことをとめられない朝食時間を過ごした。
12: ◆AZbDPlV/MM 2017/02/17(金) 18:08:31.08 ID:X48jeXcx0
赤松 「どうぞ、入って」
最原 「おじゃまします」
朝食をおえて、ふたりで赤松の部屋に直行したのだが、その道中の胸の鼓動は、これまでの人生にあったかというほどに忙しなく騒がしかった。
赤松に招かれ、部屋へと入る。家具類は全生徒同じモノが使われているので、そこは自分の部屋と変わりはないのだが、小物類はやはり女子らしく、可愛らしいモノが並べられ、部屋に満ちる香りも心地よい。赤松という人間がよくあらわれている。
赤松は机に用意してある箱を手に取ると、最原の元に早足で戻る。
赤松 「最原くん! ハッピーバレンタイン!!」
周りに満開の花が咲き誇っているかのように満面の笑顔で、小さな箱を最原に差しだした。それは間違いなく、最原が心待ちにしていたチョコレートだろう。
最原 「ありがとう、赤松さん」
予め解ってはいても実際にもらえると存外嬉しいもので、心が幸福感に踊りだす。最原の声は喜びに弾んでいて、赤松にもそれが伝わる。
赤松 「ほんとうは最原くんみたいに、もっと手の込んだお菓子にしたかったんだけど…やっぱり難しいね」
赤松 「だから、トリュフと材料が変わんない生チョコになっちゃったんだけど…気持ちはたくさん入ってるから……!」
最原 「チョコは赤松さんが手づくりしてくれてるんだよね?」
最原 「僕はそれだけで嬉しいよ」
赤松 「でも、女子としてはちょっと悔しいよね…最原くんのお菓子、スゴく美味しかったもん…」
最原 「だったらさ…こんどいっしょに作らない?」
赤松 「あ、いいね! 作れる人が側にいたら大失敗はしないよね!」
赤松 「それに……最原くんとの時間ができるってことだもんね」
最原 「赤松さん……」
ふたりきりということもあってか、チョコを受けとってから自然と甘い空気に包まれる。しかしそれはまだ気の早いはなし。
春川が“付き合ってないほうが嘘でしょ”といったように、このふたりはまだ“友達以上、恋人未満”の関係でしかない。
少しの勇気をもつことができれば、贈りものといっしょに自分の想いをうち明けられる絶好の機会。ここまでの流れにこういう日だ。赤松から告白されるのではとも思うが、背中は散々押してもらえた。ならば男らしく、自分が言うべきだ、っと、最原は決意を固めた。
16: ◆AZbDPlV/MM 2017/02/21(火) 16:14:02.20 ID:gUO3BbJ5O
最原 「言いたいことがあるんだ…赤松さん」
赤松 「!」
最原の顔つきが真剣な色に変わり、空気を察した赤松の背が伸び、この後続く言葉を待ち受けるように、唇も固く引き結んだ。
最原 「いつもまっすぐで、困ってる人を放っておけないキミに、僕はなんども助けられてる」
赤松 「そんなことないよ。私だって最原くんにいろんなこと、助けてもらってるよ」
最原 「その言葉だって、助けになってるんだ」
赤松 「そ、そう…かな…?」
最原 「そうなんだよ」
最原の返しに驚く赤松に、最原は柔らかく微笑む。
最原 「すぐに誰かの隣にいて、支えになろうと一生懸命で」
最原 「明るく弱音を吐かない、どこか危うい君を、僕も助けたい…そう思ううちに…」
最原 「助けたいっていうだけじゃない感情が生まれてたんだ」
どうしてだろうか。自分の気持ちを口にしていくうちに、あんなに感じていた緊張が抜けていく。
最原 「僕は赤松さんを好きなんだって」
赤松 「最原くん…」
最原 「赤松さん、僕とつきあってください」
最原の言葉が終えた直後、最原の胸のあたりに何かが衝突した。
赤松 「私も最原くんが好きッ」
赤松 「大好きだよ!!」
最原 「赤松さん……」
衝突の正体は赤松の体当たりだった。興奮の衝動に任せて最原に抱きついたのだ。
一切の迷いのない赤松の全身を使った答えに、少し戸惑ってしまうが、ぎこちない動きで赤松を抱き締め返す。
赤松の体は自分の腕の中に収まり、まっさきに感じたのはふわっとした柔らかさ、そしてぬくもりだ。
そして、部屋と同じながらも、より確かな赤松の香りが鼻腔を擽り、最原の鼓動と思考を悪戯に乱れさせる。どんどん身体は熱をあげ、顔は耳まで真っ赤になり、変な汗がじわりと滲みだすほどだ。
この後どうすればいいのか解らず、ただただ赤松のことでいっぱいになってしまう。そんな最原にトドメをさすかのように、赤松は動物が心を許した相手に甘えるときのような動きで、最原の胸に頭を擦りよせる。
赤松 「!」
最原の顔つきが真剣な色に変わり、空気を察した赤松の背が伸び、この後続く言葉を待ち受けるように、唇も固く引き結んだ。
最原 「いつもまっすぐで、困ってる人を放っておけないキミに、僕はなんども助けられてる」
赤松 「そんなことないよ。私だって最原くんにいろんなこと、助けてもらってるよ」
最原 「その言葉だって、助けになってるんだ」
赤松 「そ、そう…かな…?」
最原 「そうなんだよ」
最原の返しに驚く赤松に、最原は柔らかく微笑む。
最原 「すぐに誰かの隣にいて、支えになろうと一生懸命で」
最原 「明るく弱音を吐かない、どこか危うい君を、僕も助けたい…そう思ううちに…」
最原 「助けたいっていうだけじゃない感情が生まれてたんだ」
どうしてだろうか。自分の気持ちを口にしていくうちに、あんなに感じていた緊張が抜けていく。
最原 「僕は赤松さんを好きなんだって」
赤松 「最原くん…」
最原 「赤松さん、僕とつきあってください」
最原の言葉が終えた直後、最原の胸のあたりに何かが衝突した。
赤松 「私も最原くんが好きッ」
赤松 「大好きだよ!!」
最原 「赤松さん……」
衝突の正体は赤松の体当たりだった。興奮の衝動に任せて最原に抱きついたのだ。
一切の迷いのない赤松の全身を使った答えに、少し戸惑ってしまうが、ぎこちない動きで赤松を抱き締め返す。
赤松の体は自分の腕の中に収まり、まっさきに感じたのはふわっとした柔らかさ、そしてぬくもりだ。
そして、部屋と同じながらも、より確かな赤松の香りが鼻腔を擽り、最原の鼓動と思考を悪戯に乱れさせる。どんどん身体は熱をあげ、顔は耳まで真っ赤になり、変な汗がじわりと滲みだすほどだ。
この後どうすればいいのか解らず、ただただ赤松のことでいっぱいになってしまう。そんな最原にトドメをさすかのように、赤松は動物が心を許した相手に甘えるときのような動きで、最原の胸に頭を擦りよせる。
17: ◆AZbDPlV/MM 2017/02/21(火) 16:14:41.43 ID:gUO3BbJ5O
最原 (うわああああああああっ!! どうすればっ?! これ以上どうすればっ??!! ここからどうすれば?!?!)
最原 (離れる? 離れない?)
最原 (間違ったことしそうで動けない!! せっかく両想いになったのに最低なことはしたくない!!!!)
最原 (助けて百田君!!!!)
一度冷静になったと思いきや、赤松の突進により、てんやわんやでいろいろと爆発してしまいそうな最原は、困ったときに導いてくれる人間のひとり、百田 解斗の名前を心の中で呼んだ。しかし、こうした場面では百田も充てにはならないだろうが、今の最原には救世主が必要なのだ。
心の中で悲鳴あげている最原の胸中など知る由もなく、赤松は幸せそうな顔で最原を見上げた。
赤松 「ねぇ、最原くん…そのチョコ、ここで食べていかない?」
最原 「え?」
赤松 「というより、食べさせてあげたいなぁって……」
ほんのりと紅潮した頬により赤みが増して、ここまでの天真爛漫で大胆な行動に反して初々しく、恋する乙女の仕草をみせる。
“ここで食べていかない?”そんなもの決まりきっている。
最原 「じゃあ…頂いていくよ」
赤松 「!」♪
お互いに体を離して、赤松から受け取った箱をあける。開いた瞬間、閉じこめられていたカカオの香りがわっと溢れだした。
ほとんど初めてに近い手作りとあって、形は不格好だが、彼女の精一杯が伺えるチョコレートが並んでいた。赤松は一粒手に取り、最原の口元に運ぶ。
赤松 「最原くん、あーん♪」
最原 「あ、あー…」
赤松の声に自然と口をあけ、差しだされるチョコレートを口にする。その時、唇に赤松の指が触れたような気がした。
最原 「…ん」
舌に乗せた瞬間から甘くも香ばしく、すこしブランデーの香りと一緒にチョコレートとココアパウダーがなめらかに口どける。どれだけ工程が簡単であっても、赤松が自分のためにつくられたそれは、特別美味しく感じられた。
それを伝えようとしたその前に、赤松がココアのついた指を唇に寄せて吐息まじりに愛おしそうに呟く。
赤松 「最原くんの唇…触っちゃった」
最原 「~~~~っ」
矢継ぎ早に何度も胸に矢を受けた最原は悶絶しそうになるのを堪えるのにいっぱいいっぱいで、感想を口にできない。
赤松 「おいしい?」
最原 「う、うん! おいしいよ!!」
口に広がるチョコレートを飲み込んで、ようやく頷きながら慌てて答える。
赤松 「よかった!!」
最原 「も、もうひとつ…いいかな…?」
赤松 「ふふっ、もちろんだよっ!」
最原の答えに安心して、赤松は顔を綻ばせると、もうひと粒チョコレートをとって最原に食べさせる。しばらく幸福な空気に包まれてふたりは過ごした。
青かった恋心はほんのりと赤く色づく。甘い甘い特別な日からはじめるこの恋を、実りあるものに育てていけたらと、最原は思う。
最原 (離れる? 離れない?)
最原 (間違ったことしそうで動けない!! せっかく両想いになったのに最低なことはしたくない!!!!)
最原 (助けて百田君!!!!)
一度冷静になったと思いきや、赤松の突進により、てんやわんやでいろいろと爆発してしまいそうな最原は、困ったときに導いてくれる人間のひとり、百田 解斗の名前を心の中で呼んだ。しかし、こうした場面では百田も充てにはならないだろうが、今の最原には救世主が必要なのだ。
心の中で悲鳴あげている最原の胸中など知る由もなく、赤松は幸せそうな顔で最原を見上げた。
赤松 「ねぇ、最原くん…そのチョコ、ここで食べていかない?」
最原 「え?」
赤松 「というより、食べさせてあげたいなぁって……」
ほんのりと紅潮した頬により赤みが増して、ここまでの天真爛漫で大胆な行動に反して初々しく、恋する乙女の仕草をみせる。
“ここで食べていかない?”そんなもの決まりきっている。
最原 「じゃあ…頂いていくよ」
赤松 「!」♪
お互いに体を離して、赤松から受け取った箱をあける。開いた瞬間、閉じこめられていたカカオの香りがわっと溢れだした。
ほとんど初めてに近い手作りとあって、形は不格好だが、彼女の精一杯が伺えるチョコレートが並んでいた。赤松は一粒手に取り、最原の口元に運ぶ。
赤松 「最原くん、あーん♪」
最原 「あ、あー…」
赤松の声に自然と口をあけ、差しだされるチョコレートを口にする。その時、唇に赤松の指が触れたような気がした。
最原 「…ん」
舌に乗せた瞬間から甘くも香ばしく、すこしブランデーの香りと一緒にチョコレートとココアパウダーがなめらかに口どける。どれだけ工程が簡単であっても、赤松が自分のためにつくられたそれは、特別美味しく感じられた。
それを伝えようとしたその前に、赤松がココアのついた指を唇に寄せて吐息まじりに愛おしそうに呟く。
赤松 「最原くんの唇…触っちゃった」
最原 「~~~~っ」
矢継ぎ早に何度も胸に矢を受けた最原は悶絶しそうになるのを堪えるのにいっぱいいっぱいで、感想を口にできない。
赤松 「おいしい?」
最原 「う、うん! おいしいよ!!」
口に広がるチョコレートを飲み込んで、ようやく頷きながら慌てて答える。
赤松 「よかった!!」
最原 「も、もうひとつ…いいかな…?」
赤松 「ふふっ、もちろんだよっ!」
最原の答えに安心して、赤松は顔を綻ばせると、もうひと粒チョコレートをとって最原に食べさせる。しばらく幸福な空気に包まれてふたりは過ごした。
青かった恋心はほんのりと赤く色づく。甘い甘い特別な日からはじめるこの恋を、実りあるものに育てていけたらと、最原は思う。
18: ◆AZbDPlV/MM 2017/02/21(火) 16:16:55.46 ID:gUO3BbJ5O
ここまでお付き合い頂きありがとうございます。
せっかく前作の下地あるし、最原君と赤松ちゃんを甘々させたいなぁと思って書いてたのですが、いちゃ度が足りているのかないのかイマイチよく解りません…どんなもんなのでしょうか…
終わらせ方が絶望的にヘタ。
育成計画はシリーズの生徒が同級生なのがおもしろいですよね。
そして、おもしろい組み合わせが見られるので、うっかり天海君と戦刃ちゃんに開眼してしまう>>1
>>5でも書きましたが、>>1の立てるスレは基本的に安価ばかりですので、また別に>>1のスレを見かけられましたら、皆様のお力添えを頂けますと幸いです。
明日の猫の日に安価でスレ立てしようかなとは思っていますが、Rにするべきか否かで迷ってます。もしもご意見ありましたらどちらがいいかお聞かせください。
せっかく前作の下地あるし、最原君と赤松ちゃんを甘々させたいなぁと思って書いてたのですが、いちゃ度が足りているのかないのかイマイチよく解りません…どんなもんなのでしょうか…
終わらせ方が絶望的にヘタ。
育成計画はシリーズの生徒が同級生なのがおもしろいですよね。
そして、おもしろい組み合わせが見られるので、うっかり天海君と戦刃ちゃんに開眼してしまう>>1
>>5でも書きましたが、>>1の立てるスレは基本的に安価ばかりですので、また別に>>1のスレを見かけられましたら、皆様のお力添えを頂けますと幸いです。
明日の猫の日に安価でスレ立てしようかなとは思っていますが、Rにするべきか否かで迷ってます。もしもご意見ありましたらどちらがいいかお聞かせください。
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/21(火) 17:46:13.12 ID:D5g8Fj2So
いちゃ度自体は高かったと思うけど長さ的にちょっとアッサリしすぎかも(※個人の感想です)
面白い組み合わせというと作者さんが前に書かれた霧切さんと言子ちゃんの話結構好きです
面白い組み合わせというと作者さんが前に書かれた霧切さんと言子ちゃんの話結構好きです
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 01:24:23.69 ID:1NiL4e+/0
めっちゃ甘々だったと思う
またこういう感じで書いてくれてもいいんやで
またこういう感じで書いてくれてもいいんやで
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1487005959/
Entry ⇒ 2017.02.27 | Category ⇒ ダンガンロンパ | Comments (0)
【艦これ】駆逐艦セクシー担当反省会!
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 22:06:31.77 ID:E1pLrJR+o
夕雲「軽い……」
如月「うん~?」
夕雲「最近提督から私たちの扱いが……非常に軽い……」
如月「そうかしら? 夕雲型は全然主力で活躍してると思うけど」
夕雲「そうじゃなくてね、私たちっていうのは……」ピシッ
如月「ふぇ?」
夕雲「私や如月ちゃん、セクシーを売りにしてる駆逐艦のことよ!」
夕雲「と、いうわけで駆逐艦セクシー担当反省会をします!」
村雨「突然引っ張られて何かと思ったら」
荒潮「なんだかおもしろそうね~」
如月「何かしら……珍しく夕雲ちゃんの勢いについていけないわ」
如月「うん~?」
夕雲「最近提督から私たちの扱いが……非常に軽い……」
如月「そうかしら? 夕雲型は全然主力で活躍してると思うけど」
夕雲「そうじゃなくてね、私たちっていうのは……」ピシッ
如月「ふぇ?」
夕雲「私や如月ちゃん、セクシーを売りにしてる駆逐艦のことよ!」
夕雲「と、いうわけで駆逐艦セクシー担当反省会をします!」
村雨「突然引っ張られて何かと思ったら」
荒潮「なんだかおもしろそうね~」
如月「何かしら……珍しく夕雲ちゃんの勢いについていけないわ」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 22:53:54.20 ID:E1pLrJR+o
村雨「暇だったから付き合うのはいいんだけど、何を反省するの?」
荒潮「そうね~夕雲ちゃんは知らないけれど、私たち別に悪い事してないわよぉ」
夕雲「私だってしてません。この時期に話すことといえば……バレンタインよ!」
荒潮「もう終わったわよ~?」
如月「荒潮ちゃん、そうだけど多分そうじゃないわ」
村雨「如月ちゃんもまだバケツチョコ抱えて出撃してるものね」
如月「やっぱりバケツ一杯は余っちゃって……じゃなくて」
夕雲「そう、言うなればこれはバレンタインの反省会なのよ!」
如月「じゃあ最初からそう言えばいいのに……」
荒潮「そうね~夕雲ちゃんは知らないけれど、私たち別に悪い事してないわよぉ」
夕雲「私だってしてません。この時期に話すことといえば……バレンタインよ!」
荒潮「もう終わったわよ~?」
如月「荒潮ちゃん、そうだけど多分そうじゃないわ」
村雨「如月ちゃんもまだバケツチョコ抱えて出撃してるものね」
如月「やっぱりバケツ一杯は余っちゃって……じゃなくて」
夕雲「そう、言うなればこれはバレンタインの反省会なのよ!」
如月「じゃあ最初からそう言えばいいのに……」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 23:44:44.27 ID:E1pLrJR+o
荒潮「あら? でもあの日夕雲ちゃん提督にチョコ渡してたかしら?」←当日秘書艦
夕雲「ギクッ」
如月「……まさか夕雲ちゃん」
村雨「ま、まあまあ。つまり夕雲ちゃんは私たちに相談したかったのよね? 今からでもなんとかならないか、って」
荒潮「そうなの~? 確かに、皆提督にチョコ渡してるわねぇ……夕雲ちゃん以外♪」
如月「実は荒潮ちゃん、急に呼ばれて怒ってる?」
荒潮「あら~別に怒ってないわよぉ? 今日は暇だったしぃ、いつも通りよぉ」
如月「それはそれで怖いわね……」
村雨「それで? 夕雲ちゃんはどうしたいの? やっぱり今からでも渡したいわよね」
夕雲「あ、あのね? 違うの。ちゃんと渡したのよ? ……翌日だけど」
如月「あら、それならいいじゃない。解決しちゃったわ」
夕雲「違うの。問題はここからなのよ……」
夕雲「ギクッ」
如月「……まさか夕雲ちゃん」
村雨「ま、まあまあ。つまり夕雲ちゃんは私たちに相談したかったのよね? 今からでもなんとかならないか、って」
荒潮「そうなの~? 確かに、皆提督にチョコ渡してるわねぇ……夕雲ちゃん以外♪」
如月「実は荒潮ちゃん、急に呼ばれて怒ってる?」
荒潮「あら~別に怒ってないわよぉ? 今日は暇だったしぃ、いつも通りよぉ」
如月「それはそれで怖いわね……」
村雨「それで? 夕雲ちゃんはどうしたいの? やっぱり今からでも渡したいわよね」
夕雲「あ、あのね? 違うの。ちゃんと渡したのよ? ……翌日だけど」
如月「あら、それならいいじゃない。解決しちゃったわ」
夕雲「違うの。問題はここからなのよ……」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/20(月) 20:51:02.38 ID:7Jg08pF3o
15日……
夕雲「これ、一日遅れちゃったけどバレンタインのチョコ……受け取ってもらえるかしら」
提督「おぉ、夕雲もくれるのかーありがとうなー」
夕雲「ごめんなさいね、遅れちゃって」
提督「いやいや、もらえるだけで嬉しいよ。ありがとう夕雲」
夕雲「喜んでもらえて良かった♪ 夕雲特製、本命オブ本命チョコよ、召し上がれ」
提督「そっかー、じゃあ有り難く頂きます」
夕雲(……あらっ?)
提督「うん、おいしい! 流石だな夕雲」ナデナデ
夕雲(……んん?)
夕雲「あの……提督? 本命オブ本命……なのよ?」
提督「うん。ありがとうな
いやーこれだけ駆逐艦に慕われてると提督冥利に尽きるなー」
夕雲(これってもしかして……全然相手にされてない!?)
夕雲「これ、一日遅れちゃったけどバレンタインのチョコ……受け取ってもらえるかしら」
提督「おぉ、夕雲もくれるのかーありがとうなー」
夕雲「ごめんなさいね、遅れちゃって」
提督「いやいや、もらえるだけで嬉しいよ。ありがとう夕雲」
夕雲「喜んでもらえて良かった♪ 夕雲特製、本命オブ本命チョコよ、召し上がれ」
提督「そっかー、じゃあ有り難く頂きます」
夕雲(……あらっ?)
提督「うん、おいしい! 流石だな夕雲」ナデナデ
夕雲(……んん?)
夕雲「あの……提督? 本命オブ本命……なのよ?」
提督「うん。ありがとうな
いやーこれだけ駆逐艦に慕われてると提督冥利に尽きるなー」
夕雲(これってもしかして……全然相手にされてない!?)
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/20(月) 21:05:15.37 ID:7Jg08pF3o
……
夕雲「その後何人か聞いて回ってみたのだけれど、やっぱり駆逐艦は皆おんなじような反応だったそうよ」
如月「うーん……でも司令官って優しいから、誰であれ平等に扱ってくれそうじゃない?」
夕雲「そうね。そこでようやく反省会なのよ」
荒潮「随分長い前フリだったわね~」
夕雲「吹雪ちゃんや暁ちゃんが子供扱いされるのは申し訳ないけど分かるとして、
私と似た方向でアピールしてる皆の結果を聞かせてほしいの」
村雨「うーん、聞かせるのはいいけどそんなに面白いことも無かったかなぁ」
夕雲「その後何人か聞いて回ってみたのだけれど、やっぱり駆逐艦は皆おんなじような反応だったそうよ」
如月「うーん……でも司令官って優しいから、誰であれ平等に扱ってくれそうじゃない?」
夕雲「そうね。そこでようやく反省会なのよ」
荒潮「随分長い前フリだったわね~」
夕雲「吹雪ちゃんや暁ちゃんが子供扱いされるのは申し訳ないけど分かるとして、
私と似た方向でアピールしてる皆の結果を聞かせてほしいの」
村雨「うーん、聞かせるのはいいけどそんなに面白いことも無かったかなぁ」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/20(月) 21:28:09.16 ID:7Jg08pF3o
村雨の場合
村雨「村雨の、ちょっといいチョコ食べてみる?」
提督「村雨か、今年も気合い入ってるなぁ」
村雨「今年もチョコすごいね~執務室埋まっちゃいそう」
提督「慕われてると思えば嬉しいことだけど、流石に舌が溶けそうだよ」
村雨「そう思って、ちょっとビターにしておきました。はい♪」
提督「おぉ……これはいいな。スパスィーバ」
村雨「なんで響ちゃんみたいになってるのよ」
提督「この苦みがすごくうれしい……チョコも美味くて気遣いもできる。村雨はいいお嫁さんになるな」ナデナデ
村雨「ふぅ~ん……じゃあ、提督のお嫁さんになってあげようか?」
提督「ハハッ、あと十年独り身だったら甘えようかな」
村雨「十年かぁ……」
村雨「村雨の、ちょっといいチョコ食べてみる?」
提督「村雨か、今年も気合い入ってるなぁ」
村雨「今年もチョコすごいね~執務室埋まっちゃいそう」
提督「慕われてると思えば嬉しいことだけど、流石に舌が溶けそうだよ」
村雨「そう思って、ちょっとビターにしておきました。はい♪」
提督「おぉ……これはいいな。スパスィーバ」
村雨「なんで響ちゃんみたいになってるのよ」
提督「この苦みがすごくうれしい……チョコも美味くて気遣いもできる。村雨はいいお嫁さんになるな」ナデナデ
村雨「ふぅ~ん……じゃあ、提督のお嫁さんになってあげようか?」
提督「ハハッ、あと十年独り身だったら甘えようかな」
村雨「十年かぁ……」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/20(月) 21:43:38.99 ID:7Jg08pF3o
……
夕雲「完全に子供扱いね」
如月「なんか親戚の子供あやしてるみたい」
荒潮「十年も待ってたら戦争終わっちゃうわよぉ」
村雨「だから面白くないって言ったじゃなーい……」
如月「アピールは一応してるのにねぇ」
夕雲「完全に流されてるでしょう?」
村雨「一緒に遊ぶ時とか、いっつもこんな感じだし慣れちゃったかな」
荒潮「でもアピールをやめたりはしないのねぇ。偉いわぁ」
村雨「まぁ今更引き返すとかキャラ変えるっていうのも……ねぇ?」
如月「でもたまには手を変えてみるっていうのもアリかも知れないわ」
夕雲「そのための反省会にもしましょう」
荒潮「そうね~。如月ちゃんなんて事あるごとに提督のことベッドに誘って断られてるもの~」
村雨「うわ~如月ちゃん大胆……」
如月「そっそれは、そうだけれど……もうっ! バレンタインの話でしょう!」
夕雲「完全に子供扱いね」
如月「なんか親戚の子供あやしてるみたい」
荒潮「十年も待ってたら戦争終わっちゃうわよぉ」
村雨「だから面白くないって言ったじゃなーい……」
如月「アピールは一応してるのにねぇ」
夕雲「完全に流されてるでしょう?」
村雨「一緒に遊ぶ時とか、いっつもこんな感じだし慣れちゃったかな」
荒潮「でもアピールをやめたりはしないのねぇ。偉いわぁ」
村雨「まぁ今更引き返すとかキャラ変えるっていうのも……ねぇ?」
如月「でもたまには手を変えてみるっていうのもアリかも知れないわ」
夕雲「そのための反省会にもしましょう」
荒潮「そうね~。如月ちゃんなんて事あるごとに提督のことベッドに誘って断られてるもの~」
村雨「うわ~如月ちゃん大胆……」
如月「そっそれは、そうだけれど……もうっ! バレンタインの話でしょう!」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/20(月) 22:07:26.90 ID:7Jg08pF3o
如月の場合
如月「はぁ~い、如月の気持ちを込めたチョコレート」
提督「しずこころなく はなのちるらむ~」
如月「もうっ、百人一首じゃないわ。お正月気分が抜けていないのかしら?」
提督「や、なんか五七五っぽかったからつい。かるたも随分お前の姉妹に付き合わされたからなぁ」
如月「あはは……睦月ちゃんあれで結構負けず嫌いだから」
提督「で、何だっけ? チョコ? 相変わらずバケツ持ってるけど渡してるのは普通のサイズなんだよな」
如月「これは睦月型みんなの分もあるから。はい、どうぞ♪ ちゃんと最後まで、食べてね?」
提督「勿論だ。俺が出されたものを残したことがあったか?」
如月「比叡さん……」
提督「言うと思ったけどあれはダメだろ」
如月「ふふっ大丈夫よ、ちゃぁんと美味しくできてるわ」
提督「あぁ……そこは信頼してるよ。今年もありがとうな」ナデナデ
如月「んっ♪ ふふっ、どういたしまして」
如月「はぁ~い、如月の気持ちを込めたチョコレート」
提督「しずこころなく はなのちるらむ~」
如月「もうっ、百人一首じゃないわ。お正月気分が抜けていないのかしら?」
提督「や、なんか五七五っぽかったからつい。かるたも随分お前の姉妹に付き合わされたからなぁ」
如月「あはは……睦月ちゃんあれで結構負けず嫌いだから」
提督「で、何だっけ? チョコ? 相変わらずバケツ持ってるけど渡してるのは普通のサイズなんだよな」
如月「これは睦月型みんなの分もあるから。はい、どうぞ♪ ちゃんと最後まで、食べてね?」
提督「勿論だ。俺が出されたものを残したことがあったか?」
如月「比叡さん……」
提督「言うと思ったけどあれはダメだろ」
如月「ふふっ大丈夫よ、ちゃぁんと美味しくできてるわ」
提督「あぁ……そこは信頼してるよ。今年もありがとうな」ナデナデ
如月「んっ♪ ふふっ、どういたしまして」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/20(月) 22:29:41.47 ID:7Jg08pF3o
……
夕雲「いつも通りね」
村雨「いつも通りだねぇ」
荒潮「いつも通りね~」
如月「な、なに? 何か不満なの?」
村雨「前々から思ってたけど、如月ちゃんってさ~」
夕雲「近づくだけ近づいて攻撃しないわよねぇ」
如月「え……えぇっ??」
荒潮「確かに提督との距離は詰めてるけれどぉ、そこからもう一押しアピールが欲しいわよねぇ」
如月「そんな、近くにいるだけで精一杯なのに、二人みたいに本命とかお嫁さんとか口走れないわよぉ……」
村雨「ベッドには誘えるのに……?」
荒潮「確か~『二人でお祝いしましょ』とか言ってなかったかしらぁ?」
夕雲「二周年か三周年の時かしら。すぐ見つかって連れ戻されてたけれど」
村雨「しかも結局撫でられて満足しちゃってるしー」
如月「ん、もう! じゃあどうすればいいのよぅ!」
夕雲「告白とまでは言わなくても、もう一声何か欲しいわよね」
村雨「いっそ荒潮ちゃんみたいにオープンになっちゃえば楽かも?」
如月「……そういえばよく『好きよ』って言ってるわよね。どうすればそんな風に言えるのかしら?」
荒潮「う~ん、自然に思ってることを言ってるだけなのよねぇ」
夕雲「いつも通りね」
村雨「いつも通りだねぇ」
荒潮「いつも通りね~」
如月「な、なに? 何か不満なの?」
村雨「前々から思ってたけど、如月ちゃんってさ~」
夕雲「近づくだけ近づいて攻撃しないわよねぇ」
如月「え……えぇっ??」
荒潮「確かに提督との距離は詰めてるけれどぉ、そこからもう一押しアピールが欲しいわよねぇ」
如月「そんな、近くにいるだけで精一杯なのに、二人みたいに本命とかお嫁さんとか口走れないわよぉ……」
村雨「ベッドには誘えるのに……?」
荒潮「確か~『二人でお祝いしましょ』とか言ってなかったかしらぁ?」
夕雲「二周年か三周年の時かしら。すぐ見つかって連れ戻されてたけれど」
村雨「しかも結局撫でられて満足しちゃってるしー」
如月「ん、もう! じゃあどうすればいいのよぅ!」
夕雲「告白とまでは言わなくても、もう一声何か欲しいわよね」
村雨「いっそ荒潮ちゃんみたいにオープンになっちゃえば楽かも?」
如月「……そういえばよく『好きよ』って言ってるわよね。どうすればそんな風に言えるのかしら?」
荒潮「う~ん、自然に思ってることを言ってるだけなのよねぇ」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/20(月) 22:52:31.64 ID:7Jg08pF3o
荒潮の場合
荒潮「うふふふふっ」
提督「おはよう荒潮。そういえば改二になってからは初めての秘書艦か」
荒潮「あはははっ!」
提督「っ!?」ビクッ
荒潮「チョ・コ・レ・エ・ト?」
提督「チョコ……あっ、バレンタインか! 呪いのビデオでも押し付けられるのかと……」ボソッ
荒潮「食べる?」
提督「あぁ、頂くよ。ありがとう」
荒潮「本当? じゃあ、あ・げ・る♪」
提督「おぉ、去年より綺麗に出来てるんじゃないか? 味も……うん、上達してる」
荒潮「去年のなんて覚えてるの?」
提督「当たり前だろ。皆がくれたプレゼントなんだから」
荒潮「ふぅん……」
提督「荒潮も食べてみろ、ほら」ヒョイ
荒潮「んっ」
提督「な?」
荒潮「自分の去年作った味なんて覚えてないわよぉ」
提督「それもそうか。でも嬉しかったよ。ありがとな」ナデナデ
荒潮「ん♪ ……好きよ」
提督「はいはい」ナデナデ
荒潮「うふふふふっ」
提督「おはよう荒潮。そういえば改二になってからは初めての秘書艦か」
荒潮「あはははっ!」
提督「っ!?」ビクッ
荒潮「チョ・コ・レ・エ・ト?」
提督「チョコ……あっ、バレンタインか! 呪いのビデオでも押し付けられるのかと……」ボソッ
荒潮「食べる?」
提督「あぁ、頂くよ。ありがとう」
荒潮「本当? じゃあ、あ・げ・る♪」
提督「おぉ、去年より綺麗に出来てるんじゃないか? 味も……うん、上達してる」
荒潮「去年のなんて覚えてるの?」
提督「当たり前だろ。皆がくれたプレゼントなんだから」
荒潮「ふぅん……」
提督「荒潮も食べてみろ、ほら」ヒョイ
荒潮「んっ」
提督「な?」
荒潮「自分の去年作った味なんて覚えてないわよぉ」
提督「それもそうか。でも嬉しかったよ。ありがとな」ナデナデ
荒潮「ん♪ ……好きよ」
提督「はいはい」ナデナデ
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/20(月) 23:34:35.98 ID:7Jg08pF3o
……
夕雲「うーん……これは」
村雨「普段から言いすぎて真に受けてもらえないパターンね」
荒潮「あらあら、困っちゃうわねぇ」
如月「素直に言えたら言えたでまた問題なのね」
夕雲「でも、荒潮ちゃんあんまり困った感じに見えないわよ?」
荒潮「確かに、気持ちが伝わってないかも、っていうのは面白くはないわぁ」
村雨「あの感じだと伝わっててもLOVEよりLIKEって思われてそうよね」
荒潮「でも、あんな感じだから朝潮姉さんたちに慕われてるのかしら、って思うと直してもらおうとも思えないのよねぇ」
夕雲「……確かに提督が遊び好きだったら鎮守府が大変なことになるわね」
村雨「でもでもっ! 水着見せた時とか反応無いわけじゃなかったし、望みは無くはないと思うの!」
如月「そうね。それを探すための反省会だものね」
夕雲「あら、いつの間にかノってきたわね」
村雨「もちろん! 提督を振り向かせたいのは皆同じだもん、ね?」
荒潮「そうねぇ、どうせなら好き合いたいわよねぇ」
夕雲「うふふ♪ じゃあここまでの情報から対策を練りましょうか」
夕雲「うーん……これは」
村雨「普段から言いすぎて真に受けてもらえないパターンね」
荒潮「あらあら、困っちゃうわねぇ」
如月「素直に言えたら言えたでまた問題なのね」
夕雲「でも、荒潮ちゃんあんまり困った感じに見えないわよ?」
荒潮「確かに、気持ちが伝わってないかも、っていうのは面白くはないわぁ」
村雨「あの感じだと伝わっててもLOVEよりLIKEって思われてそうよね」
荒潮「でも、あんな感じだから朝潮姉さんたちに慕われてるのかしら、って思うと直してもらおうとも思えないのよねぇ」
夕雲「……確かに提督が遊び好きだったら鎮守府が大変なことになるわね」
村雨「でもでもっ! 水着見せた時とか反応無いわけじゃなかったし、望みは無くはないと思うの!」
如月「そうね。それを探すための反省会だものね」
夕雲「あら、いつの間にかノってきたわね」
村雨「もちろん! 提督を振り向かせたいのは皆同じだもん、ね?」
荒潮「そうねぇ、どうせなら好き合いたいわよねぇ」
夕雲「うふふ♪ じゃあここまでの情報から対策を練りましょうか」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/21(火) 21:03:19.12 ID:xIQI4P1Lo
夕雲「それぞれの話をまとめるとこうなるわね。
夕雲は駆逐艦の一人扱い
村雨は十年待てばワンチャン
如月は料理に関しては信頼されている
荒潮は告白しても真に受けてもらえない
……こんなところね」
村雨「……これってさ、すごく言いづらいけど」
如月「えぇ。一番絶望的なの夕雲ちゃんよね」
夕雲「思ったけど! 思ったけどそこは胸に仕舞っておいて欲しかったわ!」
荒潮「大丈夫よ~夕雲型の実力は提督も認めてるわ~」
夕雲「それはそれで嬉しいけれど、夕雲『型』じゃなくて私個人を見て欲しいのよ……」
夕雲「……それに夕雲型に改二が来ないせいか出撃は白露型より少ないし任務なら朝潮型が呼ばれるし
遠征はいつも通り睦月型の独壇場だし正直最近駆逐艦としてもちょっと薄いし……」ブツブツ
如月「ゆ、夕雲ちゃん……(汗」
村雨「なんか様子がおかしいと思ったら色々溜まってたのねぇ……」
荒潮「大丈夫よぉ、そんなことで提督は私たちを見捨てたりしないわぁ
それに影の薄さならウチの満潮ちゃんだって悩んでるんだからぁ」
如月「励ますついでにサラッと姉妹貶めたわね!?」
夕雲「八駆で改二の来ない最後の一人……だったかしら。いいわねぇ。私たちなんて誰一人……」ズーン
村雨「まあまあ、もうとことん付き合ってあげるから元気だして、ね?」
夕雲は駆逐艦の一人扱い
村雨は十年待てばワンチャン
如月は料理に関しては信頼されている
荒潮は告白しても真に受けてもらえない
……こんなところね」
村雨「……これってさ、すごく言いづらいけど」
如月「えぇ。一番絶望的なの夕雲ちゃんよね」
夕雲「思ったけど! 思ったけどそこは胸に仕舞っておいて欲しかったわ!」
荒潮「大丈夫よ~夕雲型の実力は提督も認めてるわ~」
夕雲「それはそれで嬉しいけれど、夕雲『型』じゃなくて私個人を見て欲しいのよ……」
夕雲「……それに夕雲型に改二が来ないせいか出撃は白露型より少ないし任務なら朝潮型が呼ばれるし
遠征はいつも通り睦月型の独壇場だし正直最近駆逐艦としてもちょっと薄いし……」ブツブツ
如月「ゆ、夕雲ちゃん……(汗」
村雨「なんか様子がおかしいと思ったら色々溜まってたのねぇ……」
荒潮「大丈夫よぉ、そんなことで提督は私たちを見捨てたりしないわぁ
それに影の薄さならウチの満潮ちゃんだって悩んでるんだからぁ」
如月「励ますついでにサラッと姉妹貶めたわね!?」
夕雲「八駆で改二の来ない最後の一人……だったかしら。いいわねぇ。私たちなんて誰一人……」ズーン
村雨「まあまあ、もうとことん付き合ってあげるから元気だして、ね?」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/21(火) 21:34:29.15 ID:xIQI4P1Lo
十分後
夕雲「……んんっ。お見苦しいところをお見せしたわね……」
村雨「それで? あの結果からどんな対策を練るのかしら」
如月「そうねぇ……対策と言って立てられそうなのは荒潮ちゃんくらいかしら。告白しないとか?」
荒潮「村雨ちゃんも十年待つっていう手があるわよぉ」
夕雲「そこまで消極的にならなくても……。私が見た感じ対策としては……
夕雲→自分個人をアピールする
村雨→大人っぽくしてみる
如月→ちょっと分からないわね
荒潮→告白の仕方を変えてみる
こんな感じかしら」
如月「ちょっと待って!?」
村雨「あ~でも分かるかも」
夕雲「実際如月ちゃんは問題点が分かりづらいのよねぇ。
まぁ強いて言うならさっき話に出てた攻め手に欠けるってとこかしら」
荒潮「じゃあ如月ちゃんは『ガンガン攻める』ってことねー」
夕雲「……んんっ。お見苦しいところをお見せしたわね……」
村雨「それで? あの結果からどんな対策を練るのかしら」
如月「そうねぇ……対策と言って立てられそうなのは荒潮ちゃんくらいかしら。告白しないとか?」
荒潮「村雨ちゃんも十年待つっていう手があるわよぉ」
夕雲「そこまで消極的にならなくても……。私が見た感じ対策としては……
夕雲→自分個人をアピールする
村雨→大人っぽくしてみる
如月→ちょっと分からないわね
荒潮→告白の仕方を変えてみる
こんな感じかしら」
如月「ちょっと待って!?」
村雨「あ~でも分かるかも」
夕雲「実際如月ちゃんは問題点が分かりづらいのよねぇ。
まぁ強いて言うならさっき話に出てた攻め手に欠けるってとこかしら」
荒潮「じゃあ如月ちゃんは『ガンガン攻める』ってことねー」
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/21(火) 22:13:51.48 ID:xIQI4P1Lo
村雨「ふむ。対策はわかりました。で、どうするの?」
夕雲「ふふふ。実はここに鹿島教官からお借りした教導本があります!」
村雨(popteenだ……)
荒潮(私ニコラ派なのよねぇ)
如月(今月号買ってなかった!)
夕雲「これによると、いつもと違う自分を見せたい時は、まず友達を参考にする。そうよ」
荒潮「参考?」
夕雲「そう。例えば……そうね、荒潮ちゃんが如月ちゃんの真似をしてみるとか、どう?」
村雨「如月ちゃんみたいな荒潮ちゃん……?」
夕雲「ふふふ。実はここに鹿島教官からお借りした教導本があります!」
村雨(popteenだ……)
荒潮(私ニコラ派なのよねぇ)
如月(今月号買ってなかった!)
夕雲「これによると、いつもと違う自分を見せたい時は、まず友達を参考にする。そうよ」
荒潮「参考?」
夕雲「そう。例えば……そうね、荒潮ちゃんが如月ちゃんの真似をしてみるとか、どう?」
村雨「如月ちゃんみたいな荒潮ちゃん……?」
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/21(火) 22:18:01.21 ID:xIQI4P1Lo
Oo。
荒潮「荒潮と申します。お傍に置いて下さいね?」
荒潮「んもぅ……司令官も好きなんだからぁ」
荒潮「んもぅ~、ギリギリまで一緒にいたいのにぃ……あなたも、一緒にお休みする~?」
荒潮「なぁ~んちゃって♪」
荒潮「荒潮と申します。お傍に置いて下さいね?」
荒潮「んもぅ……司令官も好きなんだからぁ」
荒潮「んもぅ~、ギリギリまで一緒にいたいのにぃ……あなたも、一緒にお休みする~?」
荒潮「なぁ~んちゃって♪」
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/21(火) 22:35:32.32 ID:xIQI4P1Lo
…………
村雨「……アリなんじゃない?」
荒潮「確かにぃ、好きって言わないしアプローチも変わってるわねぇ」
如月(改めて考えると私すっごいこと言ってる……!?)
夕雲「こんな感じで、お互いの台詞だけでも交換してみたら、いい感じに提督の心を揺さぶれるんじゃないかしら」
村雨「な~るほど! この四人ならそこそこ無理も無さそうだし、いいかも!」
荒潮「睦月ちゃんみたいな真似しろって言われると困っちゃうけどぉ、如月ちゃんなら大丈夫ねぇ」
如月「なんで睦月ちゃん名指しなのか分からないけど……面白そうね、やりましょうか」
夕雲「それじゃあ次は如月ちゃんね。……せっかくだから荒潮ちゃんと入れ替えてみましょうか」
村雨「……アリなんじゃない?」
荒潮「確かにぃ、好きって言わないしアプローチも変わってるわねぇ」
如月(改めて考えると私すっごいこと言ってる……!?)
夕雲「こんな感じで、お互いの台詞だけでも交換してみたら、いい感じに提督の心を揺さぶれるんじゃないかしら」
村雨「な~るほど! この四人ならそこそこ無理も無さそうだし、いいかも!」
荒潮「睦月ちゃんみたいな真似しろって言われると困っちゃうけどぉ、如月ちゃんなら大丈夫ねぇ」
如月「なんで睦月ちゃん名指しなのか分からないけど……面白そうね、やりましょうか」
夕雲「それじゃあ次は如月ちゃんね。……せっかくだから荒潮ちゃんと入れ替えてみましょうか」
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/21(火) 22:38:48.23 ID:xIQI4P1Lo
Oo。
如月「勝利の女神はここよ~、早く捕まえてぇ♪」
如月「あらあら、素敵なことするのねぇ」
如月「うふふっ、好きよ」
如月「好きよぉ……」
如月「勝利の女神はここよ~、早く捕まえてぇ♪」
如月「あらあら、素敵なことするのねぇ」
如月「うふふっ、好きよ」
如月「好きよぉ……」
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/21(火) 22:50:00.06 ID:xIQI4P1Lo
…………
村雨「解決しちゃったね」
夕雲「言い出した私もビックリよ」
荒潮「私そんなに好き好き言ってたかしらぁ……///」
如月「なんか私もこれでいいような気がしてきたわ!」
村雨「じゃあ後は私と夕雲ちゃんで交換してみようか」
夕雲「そうね。じゃあまずは村雨ちゃんからやってみましょう」
村雨「解決しちゃったね」
夕雲「言い出した私もビックリよ」
荒潮「私そんなに好き好き言ってたかしらぁ……///」
如月「なんか私もこれでいいような気がしてきたわ!」
村雨「じゃあ後は私と夕雲ちゃんで交換してみようか」
夕雲「そうね。じゃあまずは村雨ちゃんからやってみましょう」
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/21(火) 23:04:33.45 ID:xIQI4P1Lo
Oo。
村雨「提督、甘えてくれてもいいんですよ?」
村雨「はいはいなんですかぁ、スキンシップ大好きですね」
村雨「提督、私を選んで良かったでしょ?」
村雨「有り難く、使わせて頂きますね」
村雨「提督、甘えてくれてもいいんですよ?」
村雨「はいはいなんですかぁ、スキンシップ大好きですね」
村雨「提督、私を選んで良かったでしょ?」
村雨「有り難く、使わせて頂きますね」
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/21(火) 23:28:44.08 ID:xIQI4P1Lo
…………
如月「前々から思ってたけど夕雲ちゃんの台詞ってすごく大人びてるわよねぇ」
夕雲「長女ですもの。これくらいの落ち着きはないと」
村雨「どうだろ? 提督反応してくれるかしら?」
荒潮「こればっかりは本人に聞いてみるしかないわねぇ」
如月「最終的には皆そうなんだけれどね……」
夕雲「さて、最後は私ね……」
村雨「あーそれなんだけどさ」
夕雲「何?」
村雨「夕雲ちゃんの場合誰かの真似しただけでいいのかなーって」
如月「ほら、夕雲ちゃんって『駆逐艦じゃなくて個人で見て欲しい』ってことだったじゃない?
それが他の駆逐艦真似しただけじゃ解決するのかしら、って」
夕雲「それは……そうね。でもどうしたらいいの? ここにきて一人だけ睦月ちゃんの真似、とか言わないでよ」
如月「なんでさっきから睦月ちゃん名指しされるのか分からないんだけれど……」
荒潮「迷ったらぁ、全部やっちゃえばいいのよぉ」
夕雲「!?」
荒潮「提督もよく言ってるでしょ~、
『攻略もする。新艦掘りもする。「両方」やらなくっちゃあならないってのが「提督」のつらいところだな』って」
村雨「なんか違う気もするけど、でもそうね! 影が薄いとかなんとか提督は絶対思ってないし、ここらで一発ガツンとアピッちゃおう!」
如月「まぁ皆大人しいほうだし、間違っても変な事故は起こらないわよ」
夕雲「つまり四人全員を混ぜるってこと……? できるかしら」
如月「最悪お茶目で済むし、どう転んでも司令官の印象には残るんじゃないかしら」
村雨「それじゃあ明日、提督の前でやってみよっか!」
夕雲「えぇっ、こ、心の準備が……」
荒潮「大丈夫よぉ、秘書艦権限で舞台だけはしっかり整えて、あ・げ・る♪」
如月「前々から思ってたけど夕雲ちゃんの台詞ってすごく大人びてるわよねぇ」
夕雲「長女ですもの。これくらいの落ち着きはないと」
村雨「どうだろ? 提督反応してくれるかしら?」
荒潮「こればっかりは本人に聞いてみるしかないわねぇ」
如月「最終的には皆そうなんだけれどね……」
夕雲「さて、最後は私ね……」
村雨「あーそれなんだけどさ」
夕雲「何?」
村雨「夕雲ちゃんの場合誰かの真似しただけでいいのかなーって」
如月「ほら、夕雲ちゃんって『駆逐艦じゃなくて個人で見て欲しい』ってことだったじゃない?
それが他の駆逐艦真似しただけじゃ解決するのかしら、って」
夕雲「それは……そうね。でもどうしたらいいの? ここにきて一人だけ睦月ちゃんの真似、とか言わないでよ」
如月「なんでさっきから睦月ちゃん名指しされるのか分からないんだけれど……」
荒潮「迷ったらぁ、全部やっちゃえばいいのよぉ」
夕雲「!?」
荒潮「提督もよく言ってるでしょ~、
『攻略もする。新艦掘りもする。「両方」やらなくっちゃあならないってのが「提督」のつらいところだな』って」
村雨「なんか違う気もするけど、でもそうね! 影が薄いとかなんとか提督は絶対思ってないし、ここらで一発ガツンとアピッちゃおう!」
如月「まぁ皆大人しいほうだし、間違っても変な事故は起こらないわよ」
夕雲「つまり四人全員を混ぜるってこと……? できるかしら」
如月「最悪お茶目で済むし、どう転んでも司令官の印象には残るんじゃないかしら」
村雨「それじゃあ明日、提督の前でやってみよっか!」
夕雲「えぇっ、こ、心の準備が……」
荒潮「大丈夫よぉ、秘書艦権限で舞台だけはしっかり整えて、あ・げ・る♪」
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 21:02:42.52 ID:/WmedJsfo
翌日
提督「よし、この辺で少し休憩するか」
荒潮(計画通りねぇ)
荒潮「それじゃあ間宮さんに何かもらってくるわねぇ」ガチャ
荒潮「はい、準備はできたわぁ。後で感想、聞かせてねぇ」
村雨「うぅ……一番手かぁ、いつもは白露ちゃんが率先するから慣れてないのよねぇ」
荒潮「ジャンケンだもの、仕方ないわぁ。それじゃあ頑張ってねぇ♪」
提督「よし、この辺で少し休憩するか」
荒潮(計画通りねぇ)
荒潮「それじゃあ間宮さんに何かもらってくるわねぇ」ガチャ
荒潮「はい、準備はできたわぁ。後で感想、聞かせてねぇ」
村雨「うぅ……一番手かぁ、いつもは白露ちゃんが率先するから慣れてないのよねぇ」
荒潮「ジャンケンだもの、仕方ないわぁ。それじゃあ頑張ってねぇ♪」
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 21:14:52.50 ID:/WmedJsfo
コンコン
提督「どうぞー」
村雨「し、失礼しまーす……」
提督「村雨か。どうした?」
村雨「え、えーっと……」
村雨(しまった! 話し方ばっかりで肝心の話す内容考えて無かった!)
村雨「…………あ、甘えてくれてもいいんですよ?」
提督「……は?」
村雨「い、いや! 違うの! ごめん、なんでもないからっ!」
提督「……とりあえず落ち着けよ。ほら座って、今お茶淹れるから」
村雨「う、うん……」
提督「どうぞー」
村雨「し、失礼しまーす……」
提督「村雨か。どうした?」
村雨「え、えーっと……」
村雨(しまった! 話し方ばっかりで肝心の話す内容考えて無かった!)
村雨「…………あ、甘えてくれてもいいんですよ?」
提督「……は?」
村雨「い、いや! 違うの! ごめん、なんでもないからっ!」
提督「……とりあえず落ち着けよ。ほら座って、今お茶淹れるから」
村雨「う、うん……」
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 21:38:44.89 ID:/WmedJsfo
……
提督「落ち着いたか?」
村雨「う、うん……じゃなくて、えぇ。有難う提督」
提督「……? それで、何か用あったんじゃないのか」
村雨「あ、その、えぇと……提督と少しお話がしたくって……ダメかしら」
提督「別にいいけど、珍しいな。用もないのに駄弁りにくるのは鈴谷か北上くらいだと思ってた」
村雨「そうね。でも用が無くてもお話したい子はいっぱいいるのよ?」
提督「それは悪かったな。今度から食堂で仕事してみようか?」
村雨「ふふっ、間宮さんに怒られますよ?」
提督「それはマズいな」
村雨「えぇ」
提督「……」
村雨「……」
提督「落ち着いたか?」
村雨「う、うん……じゃなくて、えぇ。有難う提督」
提督「……? それで、何か用あったんじゃないのか」
村雨「あ、その、えぇと……提督と少しお話がしたくって……ダメかしら」
提督「別にいいけど、珍しいな。用もないのに駄弁りにくるのは鈴谷か北上くらいだと思ってた」
村雨「そうね。でも用が無くてもお話したい子はいっぱいいるのよ?」
提督「それは悪かったな。今度から食堂で仕事してみようか?」
村雨「ふふっ、間宮さんに怒られますよ?」
提督「それはマズいな」
村雨「えぇ」
提督「……」
村雨「……」
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 22:16:30.94 ID:/WmedJsfo
提督「……なぁ」
村雨「提督っ!」
村雨「今日の村雨、どう、かな」
提督「どうって……」
村雨「」ジーッ
提督「変、だな」
村雨「……変、かぁ」ガックリ
提督「口調に妙な違和感があるんだよな。悪いとは言わないけど」
村雨「大人っぽく……ない?」
提督「大人っぽくなりたかったのか?」
村雨「……だって提督、十年後ならお嫁さんにしてくれるって……
そんなに待てないから、私が十年分大人びればいいかな、って……」
提督「そんな無茶苦茶な」
村雨「だって、皆提督のこと好きだもん。十年なんて、ううん、明日にだって誰かに取られちゃうかも知れない。
そう思ったら怖くて、大きくなるのを待ってよう、なんて言えないよ……」
提督「……そっか。思いつめさせちゃったな」ギュ
村雨「提督……?」
提督「駆逐艦だから、とか見た目が幼いから、とか……そんなの全部言い訳なんだ」
村雨「……え?」
提督「要は、俺が艦娘と二人の関係になるのが怖かったから、なんだかんだと理由とつけて上司と部下でいようとしたんだよ」
村雨「提督も……怖かったんだ?」
提督「そりゃあな。誰かを選んで確執ができたら…とか、実は社交辞令で俺が勘違いしてるだけなんじゃないか…とかな。
考え出したらキリがない」
村雨「そんなこと……」
提督「だろ? 村雨の話聞いて俺もそう思った。……案外一人で悩んでることなんて口にしちゃえば下らないのかもな」
村雨「もー、下らないって何よぉ」
提督「……だから、もう大人になろうとか思わなくていい。村雨はそのままで十分魅力的だから」
村雨「それって……?」
提督「少なくともここに本気なのが一人いるんだ。俺もいつまでも怖いとか言ってられないよな」
村雨「……それじゃあ、ここからが本当のスタートラインってことね」
提督「人間関係のスタートライン、ね。中々面白いこと言うじゃないか」
村雨「これからもたーっくさん、村雨の、ちょっといいトコ見せたげる♪」
村雨「提督っ!」
村雨「今日の村雨、どう、かな」
提督「どうって……」
村雨「」ジーッ
提督「変、だな」
村雨「……変、かぁ」ガックリ
提督「口調に妙な違和感があるんだよな。悪いとは言わないけど」
村雨「大人っぽく……ない?」
提督「大人っぽくなりたかったのか?」
村雨「……だって提督、十年後ならお嫁さんにしてくれるって……
そんなに待てないから、私が十年分大人びればいいかな、って……」
提督「そんな無茶苦茶な」
村雨「だって、皆提督のこと好きだもん。十年なんて、ううん、明日にだって誰かに取られちゃうかも知れない。
そう思ったら怖くて、大きくなるのを待ってよう、なんて言えないよ……」
提督「……そっか。思いつめさせちゃったな」ギュ
村雨「提督……?」
提督「駆逐艦だから、とか見た目が幼いから、とか……そんなの全部言い訳なんだ」
村雨「……え?」
提督「要は、俺が艦娘と二人の関係になるのが怖かったから、なんだかんだと理由とつけて上司と部下でいようとしたんだよ」
村雨「提督も……怖かったんだ?」
提督「そりゃあな。誰かを選んで確執ができたら…とか、実は社交辞令で俺が勘違いしてるだけなんじゃないか…とかな。
考え出したらキリがない」
村雨「そんなこと……」
提督「だろ? 村雨の話聞いて俺もそう思った。……案外一人で悩んでることなんて口にしちゃえば下らないのかもな」
村雨「もー、下らないって何よぉ」
提督「……だから、もう大人になろうとか思わなくていい。村雨はそのままで十分魅力的だから」
村雨「それって……?」
提督「少なくともここに本気なのが一人いるんだ。俺もいつまでも怖いとか言ってられないよな」
村雨「……それじゃあ、ここからが本当のスタートラインってことね」
提督「人間関係のスタートライン、ね。中々面白いこと言うじゃないか」
村雨「これからもたーっくさん、村雨の、ちょっといいトコ見せたげる♪」
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 22:26:28.27 ID:/WmedJsfo
……
提督「デイリー任務は大体片付いたな」
荒潮「この改修で最後みたいねぇ。明石さんの所に持ってっちゃうわねぇ」
提督「あぁ頼む。おやつの用意しておくよ」
荒潮「うふふ、楽しみねぇ~」ガチャ
荒潮「はい、用意できたわよ~」
如月「大丈夫、大丈夫……一杯練習したんだもの、いけるわ……」
荒潮「あらあら大変、大丈夫? おっぱい揉む?」
如月「え? なんでおっぱ……ふやぁ!?」フニフニ
荒潮「こうすると落ち着くって、秋雲ちゃんから前に聞いたのよぉ」
如月「だからってなんで私……んゃっ、もう、大丈夫だからぁ」フニフニ
提督「デイリー任務は大体片付いたな」
荒潮「この改修で最後みたいねぇ。明石さんの所に持ってっちゃうわねぇ」
提督「あぁ頼む。おやつの用意しておくよ」
荒潮「うふふ、楽しみねぇ~」ガチャ
荒潮「はい、用意できたわよ~」
如月「大丈夫、大丈夫……一杯練習したんだもの、いけるわ……」
荒潮「あらあら大変、大丈夫? おっぱい揉む?」
如月「え? なんでおっぱ……ふやぁ!?」フニフニ
荒潮「こうすると落ち着くって、秋雲ちゃんから前に聞いたのよぉ」
如月「だからってなんで私……んゃっ、もう、大丈夫だからぁ」フニフニ
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 22:32:11.38 ID:/WmedJsfo
コンコン
提督「また客か? どうぞー」
如月「し、失礼するわぁ……」クタァ
提督「き、如月……? どうしたその服の乱れ方……顔も赤いし、風邪か?」
如月「い、いえ、大丈夫、平気だから……」
提督「そ、そうか……? 今おやつの準備してたとこだけど如月も食べるか?」
如月「そうね、頂くわ」
提督「そうか、今用意するな」
提督「また客か? どうぞー」
如月「し、失礼するわぁ……」クタァ
提督「き、如月……? どうしたその服の乱れ方……顔も赤いし、風邪か?」
如月「い、いえ、大丈夫、平気だから……」
提督「そ、そうか……? 今おやつの準備してたとこだけど如月も食べるか?」
如月「そうね、頂くわ」
提督「そうか、今用意するな」
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 23:03:42.48 ID:/WmedJsfo
提督「相変わらずナテュラルに隣に座るよな、如月って」
如月「あら、嫌かしら?」
提督「そんなことはないが。で、如月は何の用なんだ?」
如月「用……ねぇ、そうねぇ……」スーハー
提督「?」ズズッ
如月「す、……好きよ……///」
提督「」ブーー
如月「あらあら大変、結構零しちゃった」
提督「じ、自分で拭くから大丈夫……(今度は如月かぁ)」
提督「……で、なんで突然こんなことを?」
如月「こんなことって?」
提督「普段だったら『好きよ』なんて言わないだろ、如月。……何か不安なのか?」
如月「不安……そうねぇ、不安、だったのかも知れないわ」
提督(やっぱりか……色々抱え込ませちゃってるんだな……うちの艦隊は)
如月「司令官……今のも冗談か何かだと思ってる?」
提督「今までだったら冗談で済ましただろうな」
如月「あら?」
提督「まぁ少し思うところあってな。少し素直に人の言うことを信じることにしたんだ」
如月「そう? じゃあもう一回言うわね。……好きよ」
提督「あぁ」
如月「ふふっ……初めて、言葉が通じたような気がするわ」
提督「思えば如月には悪い事してきたな。いつも誘うような事言ってくるから、ほとんど冗談だと流してたんだよ」
如月「ううん、私も直接言う勇気が無かったから……今日も荒潮ちゃんの言葉を借りて言うのが精いっぱい……」
如月「あら、嫌かしら?」
提督「そんなことはないが。で、如月は何の用なんだ?」
如月「用……ねぇ、そうねぇ……」スーハー
提督「?」ズズッ
如月「す、……好きよ……///」
提督「」ブーー
如月「あらあら大変、結構零しちゃった」
提督「じ、自分で拭くから大丈夫……(今度は如月かぁ)」
提督「……で、なんで突然こんなことを?」
如月「こんなことって?」
提督「普段だったら『好きよ』なんて言わないだろ、如月。……何か不安なのか?」
如月「不安……そうねぇ、不安、だったのかも知れないわ」
提督(やっぱりか……色々抱え込ませちゃってるんだな……うちの艦隊は)
如月「司令官……今のも冗談か何かだと思ってる?」
提督「今までだったら冗談で済ましただろうな」
如月「あら?」
提督「まぁ少し思うところあってな。少し素直に人の言うことを信じることにしたんだ」
如月「そう? じゃあもう一回言うわね。……好きよ」
提督「あぁ」
如月「ふふっ……初めて、言葉が通じたような気がするわ」
提督「思えば如月には悪い事してきたな。いつも誘うような事言ってくるから、ほとんど冗談だと流してたんだよ」
如月「ううん、私も直接言う勇気が無かったから……今日も荒潮ちゃんの言葉を借りて言うのが精いっぱい……」
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 23:34:51.43 ID:/WmedJsfo
提督「……聞いていいか? いつからそんなに俺のことを?」
如月「そうね……最初は打算だったわ。ほら、『私』ってろくに戦果も挙げられずに沈んじゃったじゃない?
だから、『戦力』としてダメでも、『女』として傍に置いてもらえれば、自分や姉妹を守れるんじゃないかって」
提督「でも、如月は活躍してくれたな。如月に限らず睦月型も、今やなくてはならない存在だ」
如月「えぇ。始めに私を主力艦隊に入れるって聞いた時は耳を疑ったわ。そこまで戦力不足が深刻なのかしらって。
でも、あなたはその後も私たちを使い続けた。出撃に遠征に、大忙しだったわ」
提督「今でこそ駆逐艦は大勢いるけど、それでも如月たち無しじゃ回らないんだよな」
如月「あぁ、この人は私たちをちゃんと見てくれるんだ、って。そう思ったの。
気が付いたら司令官を目で追ってたわ」
提督「そうだったのか……今まで気付けなくて済まなかったな」
如月「いいのよ。もし司令官がそういうことに聡い人だったら、私は初めのうちに嫌々手籠めにされてたかも知れないものね」
提督「しかし、そういうことなら無理に誘うような事はもう言わなくていいんだぞ?」
如月「……そういうところが司令官よねぇ。今は嫌でも打算でもなくやってるのよ?」
提督「面と向かって言われるとクるものがあるな……」
如月「でも……そうね。私はまだ子供だから、本当に押し倒されたりしたら泣いちゃうかも」
提督「ほらな? ……いやしないけど」
如月「でも、司令官を好きな気持ちは本当よ。だから……時々こうやって、一緒に海を眺めてくれたら、それだけで幸せだわ」
提督「そんなことでよければ、いつでも付き合うよ」
如月「もちろん、ゆくゆくはキスもその先も、司令官にもらってもらうんですからね。だから……」
如月「これからも……如月をお傍に置いて下さいね♪」
如月「そうね……最初は打算だったわ。ほら、『私』ってろくに戦果も挙げられずに沈んじゃったじゃない?
だから、『戦力』としてダメでも、『女』として傍に置いてもらえれば、自分や姉妹を守れるんじゃないかって」
提督「でも、如月は活躍してくれたな。如月に限らず睦月型も、今やなくてはならない存在だ」
如月「えぇ。始めに私を主力艦隊に入れるって聞いた時は耳を疑ったわ。そこまで戦力不足が深刻なのかしらって。
でも、あなたはその後も私たちを使い続けた。出撃に遠征に、大忙しだったわ」
提督「今でこそ駆逐艦は大勢いるけど、それでも如月たち無しじゃ回らないんだよな」
如月「あぁ、この人は私たちをちゃんと見てくれるんだ、って。そう思ったの。
気が付いたら司令官を目で追ってたわ」
提督「そうだったのか……今まで気付けなくて済まなかったな」
如月「いいのよ。もし司令官がそういうことに聡い人だったら、私は初めのうちに嫌々手籠めにされてたかも知れないものね」
提督「しかし、そういうことなら無理に誘うような事はもう言わなくていいんだぞ?」
如月「……そういうところが司令官よねぇ。今は嫌でも打算でもなくやってるのよ?」
提督「面と向かって言われるとクるものがあるな……」
如月「でも……そうね。私はまだ子供だから、本当に押し倒されたりしたら泣いちゃうかも」
提督「ほらな? ……いやしないけど」
如月「でも、司令官を好きな気持ちは本当よ。だから……時々こうやって、一緒に海を眺めてくれたら、それだけで幸せだわ」
提督「そんなことでよければ、いつでも付き合うよ」
如月「もちろん、ゆくゆくはキスもその先も、司令官にもらってもらうんですからね。だから……」
如月「これからも……如月をお傍に置いて下さいね♪」
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 23:42:45.50 ID:/WmedJsfo
……
提督「これで最後っと……今日は早く片付いたな」
荒潮「そうねぇ、いつもこれくらい早いといいんだけどねぇ」
荒潮(今日は皆であらかじめ仕事量減らしておいたのよねぇ)
提督「さて、せっかく早めに終わったし、何か食ってくか。奢るぞ?」
荒潮「それもいいけどぉ、折角なら少しお掃除しない? 机の周り、だいぶ汚れてるわよぉ」
提督「ん……確かに。軽くやっとくか」
荒潮「それじゃあ掃除用具持ってくるわねぇ」バタン
提督(……ん? このパターンって)
荒潮「お待たせぇ、用意はいいかしらぁ?」
夕雲「ちょ、ちょっと今話しかけないで……台詞が飛んでっちゃう……」
荒潮「あらあら……」
提督「これで最後っと……今日は早く片付いたな」
荒潮「そうねぇ、いつもこれくらい早いといいんだけどねぇ」
荒潮(今日は皆であらかじめ仕事量減らしておいたのよねぇ)
提督「さて、せっかく早めに終わったし、何か食ってくか。奢るぞ?」
荒潮「それもいいけどぉ、折角なら少しお掃除しない? 机の周り、だいぶ汚れてるわよぉ」
提督「ん……確かに。軽くやっとくか」
荒潮「それじゃあ掃除用具持ってくるわねぇ」バタン
提督(……ん? このパターンって)
荒潮「お待たせぇ、用意はいいかしらぁ?」
夕雲「ちょ、ちょっと今話しかけないで……台詞が飛んでっちゃう……」
荒潮「あらあら……」
47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 23:53:25.72 ID:/WmedJsfo
コンコン
提督「ヤハリソウイウコトカ……開いてるぞー」
夕雲「は、はいはーい! 私、夕雲ですー、お傍に置いて下さいね!」
提督「…………夕雲」
夕雲「……はい」
提督「すまなかった……っ!」ギュウウ
夕雲「えっあ、あの……?」
提督「お前がそんなに思いつめていたなんて……俺は、甘え過ぎていたんだな……っ」ポロポロ
夕雲「えっ、ち、違……提督? ていとくー?」
提督「ヤハリソウイウコトカ……開いてるぞー」
夕雲「は、はいはーい! 私、夕雲ですー、お傍に置いて下さいね!」
提督「…………夕雲」
夕雲「……はい」
提督「すまなかった……っ!」ギュウウ
夕雲「えっあ、あの……?」
提督「お前がそんなに思いつめていたなんて……俺は、甘え過ぎていたんだな……っ」ポロポロ
夕雲「えっ、ち、違……提督? ていとくー?」
48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/23(木) 00:24:51.96 ID:DoDbomGwo
……
夕雲「落ち着きましたか?」
提督「あぁ……済まない。取り乱した。ちょっと今日は色々あってな」
夕雲(皆どんな精神ダメージ与えてたの……?)
夕雲「い、いいんですよ。私も久しぶりに提督のお世話が出来て、嬉しかったですもの」
提督「そうか……そういえば最近めっきりやらなくなったな」
夕雲「えぇ……提督ったら、お世話する隙を見せてくれないんですもの」
提督「百隻超の大艦隊の司令官だからな……いつまでも夕雲と雷に両サイド固められてるわけにもいかないさ」
夕雲「うふふ、あれはあれで楽しかったんですよ? ……提督の役に立てている気がして」
提督「あんな形じゃなくても、夕雲は立派に俺たちの役に立ってるだろ」
夕雲「……本当ですか?」
提督「ん?」
夕雲「夕雲型は……私は、本当に提督のお役に立てていますか……?」
提督「……言いたいことは分かる。確かに現状、夕雲型に秀でた特技はないかもしれない」
夕雲「それだけじゃありません! 艦としてだけじゃなく娘としても……今の私は提督の役に立てない……」
提督「俺が、そんなこと言ったか?」
夕雲「夕雲は……ダメな女なんです」
提督「?」
夕雲「雷ちゃんのように無邪気にもなれない……如月ちゃんのように誘惑もできない……
子供としても女の子としても中途半端で、なのに提督の『特別』になりたがってる……!」
提督「それは、駆逐艦としての微妙な立ち位置を補うためか?」
夕雲「…………わからないわ」
提督「わからない?」
夕雲「最初は、自分たちに自信があったのよ。でも、人が増えて、改装できる娘や装備が増えて……
夕雲型の優位性が無くなった時……『見捨てられる』と思ったわ」
提督「皆似たようなことを考えるんだな……まぁ『前』は時代も時代だったしわからんでもないが」
夕雲「でも、提督は私たちを見捨てたりしなかった。分かりきっていたことなのにね」
提督「誰かを捨てるって選択肢が俺に無かっただけの話だ」
夕雲「今ならそんな提督のこともよく分かるわ……だから」
夕雲「落ち着きましたか?」
提督「あぁ……済まない。取り乱した。ちょっと今日は色々あってな」
夕雲(皆どんな精神ダメージ与えてたの……?)
夕雲「い、いいんですよ。私も久しぶりに提督のお世話が出来て、嬉しかったですもの」
提督「そうか……そういえば最近めっきりやらなくなったな」
夕雲「えぇ……提督ったら、お世話する隙を見せてくれないんですもの」
提督「百隻超の大艦隊の司令官だからな……いつまでも夕雲と雷に両サイド固められてるわけにもいかないさ」
夕雲「うふふ、あれはあれで楽しかったんですよ? ……提督の役に立てている気がして」
提督「あんな形じゃなくても、夕雲は立派に俺たちの役に立ってるだろ」
夕雲「……本当ですか?」
提督「ん?」
夕雲「夕雲型は……私は、本当に提督のお役に立てていますか……?」
提督「……言いたいことは分かる。確かに現状、夕雲型に秀でた特技はないかもしれない」
夕雲「それだけじゃありません! 艦としてだけじゃなく娘としても……今の私は提督の役に立てない……」
提督「俺が、そんなこと言ったか?」
夕雲「夕雲は……ダメな女なんです」
提督「?」
夕雲「雷ちゃんのように無邪気にもなれない……如月ちゃんのように誘惑もできない……
子供としても女の子としても中途半端で、なのに提督の『特別』になりたがってる……!」
提督「それは、駆逐艦としての微妙な立ち位置を補うためか?」
夕雲「…………わからないわ」
提督「わからない?」
夕雲「最初は、自分たちに自信があったのよ。でも、人が増えて、改装できる娘や装備が増えて……
夕雲型の優位性が無くなった時……『見捨てられる』と思ったわ」
提督「皆似たようなことを考えるんだな……まぁ『前』は時代も時代だったしわからんでもないが」
夕雲「でも、提督は私たちを見捨てたりしなかった。分かりきっていたことなのにね」
提督「誰かを捨てるって選択肢が俺に無かっただけの話だ」
夕雲「今ならそんな提督のこともよく分かるわ……だから」
49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/23(木) 00:37:42.58 ID:DoDbomGwo
チュッ
提督「ッ!? 夕雲、おま、いま、何を」
夕雲「多分私は、逃げていただけなんだと思います。姉妹がどうとか、性能がこうとか。
娘の心を艦の理屈で捻じ曲げて、どっちでも提督と向き合おうとしなかった」
提督「……」
夕雲「今分かったのよ。提督の前で、提督との思いでを振り返ってみたら、簡単なことだったわ
でもさっき、提督に問われなければ気付かなかったかも知れない。……ふふっ、滑稽ね?」
提督「正直、夕雲のテンションの落差に置いてかれてるんだけど」
夕雲「心配しないで。提督のおかげで、夕雲は元気になりました。ってことだから」
提督「……ま、そういうことならそれでいいか」
夕雲「うふふ」
提督「やっぱり、笑顔のほうが可愛いな」
夕雲「うぇっ!?」
提督「お、珍しいうめき声。今日はいろんな夕雲が見れて得した気分だな!」
夕雲「もうっ! 提督ったら!」
提督「まあまあ、その代り俺も肩肘張るのはやめにするからさ」
夕雲「提督……あんまりズボラなのはダメですからね?」
提督「分かってるって」
夕雲「ならいいです。でも、ちょっとくらいなら……」
夕雲「提督、甘えてくれても、いいんですよ?」
提督「ッ!? 夕雲、おま、いま、何を」
夕雲「多分私は、逃げていただけなんだと思います。姉妹がどうとか、性能がこうとか。
娘の心を艦の理屈で捻じ曲げて、どっちでも提督と向き合おうとしなかった」
提督「……」
夕雲「今分かったのよ。提督の前で、提督との思いでを振り返ってみたら、簡単なことだったわ
でもさっき、提督に問われなければ気付かなかったかも知れない。……ふふっ、滑稽ね?」
提督「正直、夕雲のテンションの落差に置いてかれてるんだけど」
夕雲「心配しないで。提督のおかげで、夕雲は元気になりました。ってことだから」
提督「……ま、そういうことならそれでいいか」
夕雲「うふふ」
提督「やっぱり、笑顔のほうが可愛いな」
夕雲「うぇっ!?」
提督「お、珍しいうめき声。今日はいろんな夕雲が見れて得した気分だな!」
夕雲「もうっ! 提督ったら!」
提督「まあまあ、その代り俺も肩肘張るのはやめにするからさ」
夕雲「提督……あんまりズボラなのはダメですからね?」
提督「分かってるって」
夕雲「ならいいです。でも、ちょっとくらいなら……」
夕雲「提督、甘えてくれても、いいんですよ?」
50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/23(木) 00:46:20.67 ID:DoDbomGwo
……
提督「よし、こんなもんか」
荒潮「お疲れ様ぁ、綺麗になったじゃなぁい」
提督「こないだ大掃除したと思ったのになぁ。こりゃ夕飯の前に風呂だな」
荒潮「あらぁ、それじゃあ、一緒に入る?」
提督「……なんと?」
荒潮「お風呂、一緒に入る? って聞いたのよぉ」
提督(……そうか最後はコイツもかぁ)
提督「断ると言ったら?」
荒潮「逃げられないって言ってるでしょ?」
提督「……水着は着ろよ」
荒潮「はぁーい」
提督「よし、こんなもんか」
荒潮「お疲れ様ぁ、綺麗になったじゃなぁい」
提督「こないだ大掃除したと思ったのになぁ。こりゃ夕飯の前に風呂だな」
荒潮「あらぁ、それじゃあ、一緒に入る?」
提督「……なんと?」
荒潮「お風呂、一緒に入る? って聞いたのよぉ」
提督(……そうか最後はコイツもかぁ)
提督「断ると言ったら?」
荒潮「逃げられないって言ってるでしょ?」
提督「……水着は着ろよ」
荒潮「はぁーい」
51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/23(木) 01:00:46.60 ID:DoDbomGwo
荒潮「見てみて~、この輝く肌ぁ」
提督「ほら、シャワー出すぞ」
荒潮「あぁん、つれないんだからぁ」
提督(いちいち付き合ってたらこっちの身がもたないからな!)
荒潮「はふぅ~温まるわねぇ~」
提督「百数えたら出るぞ」
荒潮「あらあら……荒潮のお話は聞いてくれないのぉ?」
提督「……やっぱり、今日の三人と関係あったんだな」
荒潮「関係っていうかぁ、共犯?」
提督「共犯って……まぁ悪い事したわけでなし、あいつらの悩みも知れたし怒るつもりはないけどさ」
荒潮「それじゃあ、荒潮のお話も聞いてくれるかしらぁ」
提督「聞かないと俺の上から退いてくれないんだろ?」
荒潮「うふふふふ、ごめいと~う」
提督「いいよ。どうせそのつもりで来たんだ」
提督「ほら、シャワー出すぞ」
荒潮「あぁん、つれないんだからぁ」
提督(いちいち付き合ってたらこっちの身がもたないからな!)
荒潮「はふぅ~温まるわねぇ~」
提督「百数えたら出るぞ」
荒潮「あらあら……荒潮のお話は聞いてくれないのぉ?」
提督「……やっぱり、今日の三人と関係あったんだな」
荒潮「関係っていうかぁ、共犯?」
提督「共犯って……まぁ悪い事したわけでなし、あいつらの悩みも知れたし怒るつもりはないけどさ」
荒潮「それじゃあ、荒潮のお話も聞いてくれるかしらぁ」
提督「聞かないと俺の上から退いてくれないんだろ?」
荒潮「うふふふふ、ごめいと~う」
提督「いいよ。どうせそのつもりで来たんだ」
52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/23(木) 01:23:53.44 ID:DoDbomGwo
荒潮「それじゃあ単刀直入に聞くわねぇ。
提督はぁ、荒潮のこと、好き?」
提督「……これはまた、ダイレクトに来たな」
荒潮「私は勿論、好きよぉ。提督だけじゃなくて、朝潮型の姉妹みんなとか、鎮守府の仲間とか、皆みんな好き」
提督「あぁ、そういう……」
荒潮「でもねぇ、提督の『好き』だけはちょっと違うのぉ」
提督「……」
荒潮「今日も皆が提督とお話してる間、ずっと胸のあたりがモヤモヤして……嫌、だったのねぇ」
提督「嫉妬、しちゃったんだな」
荒潮「今日だけじゃないわぁ。皆に優しい提督が好きなはずなのにぃ、誰かに優しくしてる提督を見ると苦しくなるのぉ」
提督(これって……純粋な恋愛相談じゃない? 本来鳳翔あたりに頼むべきやつじゃない?)
荒潮「提督ぅ……私、どうしたらいいのかしらぁ」
提督「……どうもしなくていいんじゃないか?」
荒潮「えぇ?」
提督「まず、最初の質問だけど、俺も荒潮は好きだぞ」
荒潮「あっ……」
提督「勿論荒潮の姉妹も、鎮守府の仲間も皆大好きだ」
荒潮「そ、う……ねぇ」
提督「今の聞いて、どう思った?」
荒潮「ちょ~っと、いいえ、すごく残念、かしらぁ」
提督はぁ、荒潮のこと、好き?」
提督「……これはまた、ダイレクトに来たな」
荒潮「私は勿論、好きよぉ。提督だけじゃなくて、朝潮型の姉妹みんなとか、鎮守府の仲間とか、皆みんな好き」
提督「あぁ、そういう……」
荒潮「でもねぇ、提督の『好き』だけはちょっと違うのぉ」
提督「……」
荒潮「今日も皆が提督とお話してる間、ずっと胸のあたりがモヤモヤして……嫌、だったのねぇ」
提督「嫉妬、しちゃったんだな」
荒潮「今日だけじゃないわぁ。皆に優しい提督が好きなはずなのにぃ、誰かに優しくしてる提督を見ると苦しくなるのぉ」
提督(これって……純粋な恋愛相談じゃない? 本来鳳翔あたりに頼むべきやつじゃない?)
荒潮「提督ぅ……私、どうしたらいいのかしらぁ」
提督「……どうもしなくていいんじゃないか?」
荒潮「えぇ?」
提督「まず、最初の質問だけど、俺も荒潮は好きだぞ」
荒潮「あっ……」
提督「勿論荒潮の姉妹も、鎮守府の仲間も皆大好きだ」
荒潮「そ、う……ねぇ」
提督「今の聞いて、どう思った?」
荒潮「ちょ~っと、いいえ、すごく残念、かしらぁ」
53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/23(木) 01:41:03.44 ID:DoDbomGwo
提督「つまり、そういうことだ。荒潮は皆と同じに好かれたいんじゃなくて、特別に思われたいんだ。
逆に言えば、俺のことも皆と同じ『好き』じゃないんだろう」
荒潮「特別に……」
提督(自分で言ってて死ぬほど恥ずかしいんだが……荒潮がわざわざ俺に相談してくれてるんだから、答えないわけにはいかないよな)
荒潮「言われてみるとそうねぇ。朝潮姉さんのこと見てても、こんなに胸がきゅーっとならないものぉ」
提督「だから、その人が自分以外の人のところにいると、悲しくなったり苦しくなったりするんだろう」
荒潮「……その通りねぇ」
提督「言ってしまえば、解決する方法は、ない」
荒潮「えぇ?」
提督「こればっかりは荒潮の心の問題だ。自分で整理をつけるしかない」
荒潮「そう言われると……そうだけどぉ」
提督「お前のことは好きだ。けど、現実的に俺はお前だけのものにはなれないし、他の誰かと接しないわけにもいかない」
荒潮「そうねぇ……」
提督「でも、何処へ行こうと何をしようと、俺がお前を見捨てることだけは絶対にない」
荒潮「……あぁ」
提督「今はこれで、納得してくれないか」
荒潮「……そうねぇ、少しだけ、気持ちは楽になったかしらぁ」
提督「それはよかった」
荒潮「でもぉ、やっぱり苦しくなったらぁ、その時は、またお話聞いてねぇ」
提督「……次は風呂の外でな」
荒潮「うふふ……どうしようかしら」
提督「全く……ほら、あがるぞ。飯だ飯」
荒潮「はぁい…………提督?」
提督「ん?」
荒潮「好きよぉ」
逆に言えば、俺のことも皆と同じ『好き』じゃないんだろう」
荒潮「特別に……」
提督(自分で言ってて死ぬほど恥ずかしいんだが……荒潮がわざわざ俺に相談してくれてるんだから、答えないわけにはいかないよな)
荒潮「言われてみるとそうねぇ。朝潮姉さんのこと見てても、こんなに胸がきゅーっとならないものぉ」
提督「だから、その人が自分以外の人のところにいると、悲しくなったり苦しくなったりするんだろう」
荒潮「……その通りねぇ」
提督「言ってしまえば、解決する方法は、ない」
荒潮「えぇ?」
提督「こればっかりは荒潮の心の問題だ。自分で整理をつけるしかない」
荒潮「そう言われると……そうだけどぉ」
提督「お前のことは好きだ。けど、現実的に俺はお前だけのものにはなれないし、他の誰かと接しないわけにもいかない」
荒潮「そうねぇ……」
提督「でも、何処へ行こうと何をしようと、俺がお前を見捨てることだけは絶対にない」
荒潮「……あぁ」
提督「今はこれで、納得してくれないか」
荒潮「……そうねぇ、少しだけ、気持ちは楽になったかしらぁ」
提督「それはよかった」
荒潮「でもぉ、やっぱり苦しくなったらぁ、その時は、またお話聞いてねぇ」
提督「……次は風呂の外でな」
荒潮「うふふ……どうしようかしら」
提督「全く……ほら、あがるぞ。飯だ飯」
荒潮「はぁい…………提督?」
提督「ん?」
荒潮「好きよぉ」
54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/23(木) 01:46:44.99 ID:DoDbomGwo
翌日
荒潮「そんなわけでぇ、昨日の報告会……と思ったのだけどぉ」
如月「うふふ……♪」クネクネ
村雨「ふふふーん♪」ウキウキ
夕雲「うっふふ♪」フリフリ
荒潮「話が聞ける状態じゃなさそうねぇ~」
荒潮「あらあら~♪」ユラユラ
青葉「何ですかこの光景は……謎の儀式を行う駆逐艦! 青葉、見ちゃいました!」
荒潮「そんなわけでぇ、昨日の報告会……と思ったのだけどぉ」
如月「うふふ……♪」クネクネ
村雨「ふふふーん♪」ウキウキ
夕雲「うっふふ♪」フリフリ
荒潮「話が聞ける状態じゃなさそうねぇ~」
荒潮「あらあら~♪」ユラユラ
青葉「何ですかこの光景は……謎の儀式を行う駆逐艦! 青葉、見ちゃいました!」
55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/23(木) 01:48:35.81 ID:DoDbomGwo
おしまい
思いつきでSSとか書くもんじゃないね!
思いつきでSSとか書くもんじゃないね!
56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/23(木) 02:01:32.98 ID:my6554lj0
乙
こんな思い付きならいつでも大歓迎
こんな思い付きならいつでも大歓迎
57: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/23(木) 02:05:05.90 ID:I53a8pwKo
乙でした
58: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/23(木) 02:31:38.21 ID:YzpShpEJo
おつ
みんな可愛すぎ
みんな可愛すぎ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1487509591/
Entry ⇒ 2017.02.27 | Category ⇒ 艦隊これくしょん | Comments (0)
フレデリカ「最後のデートごっこ」
1: ◆TDuorh6/aM 2016/09/28(水) 00:28:18.31 ID:/4HhEtAk0
これはモバマスssです
キャラ崩壊があるかましれません
2: ◆TDuorh6/aM 2016/09/28(水) 00:29:23.78 ID:/4HhEtAk0
「ふんふんふふーん、ふんふふーん」
とある土曜、とある駅前にて。
一人の男が気持ち悪くも鼻歌を歌いながらチラチラと時計を確認していた。
まぁ、自分の事なのだけれど。
たまの休日を時計観察なんかに費やすなんて間抜けな事だ。
そう、はたから見れば思われるかもしれないけれど、今の自分にはそんな事よりも重要な事があった。
そもそも時計観察なんて趣味の人がいるなら折角の休日は世界の時計美術館にでも行っているだろう。
時計が嫌いなわけではないけど、それ自体を目的に時間を潰すなんて俺がする日はきっと来ない。
詰まる所、俺は人と待ち合わせをしていたのだ。
さて、先ほどからずっと語られている時計の表示は大体十時。
アナログな針は左上と真上を指している。
その針二本の中心には十一の文字。
長い針によって隠されていた姿を完全に現した時、俺達が集合する時間となっていた。
では何故それ以前から自分がここで時計とにらめっこしていたかと言えば、王道テンプレなとある会話をしてみたかったから。
待ち合わせの相手がそんなテンプレを実行してくれるとも思えないが、一縷の望みに賭けて頭の中でトーク欄に文字を並べて立っていた。
残念ながらその相手の姿は未だに見当たらないけれど。
もしかしたら、俺がウォッチウォッチングしているのを邪魔しては悪いと気を配ってどこかで待ってくれているのかもしれない。
なら話し掛けてくれればよかったのに。
それとも昔の小説の様に、柱を挟んで反対側で待っている可能性もある。
そんなドラマチックな展開を期待して背にしていた柱をグルリと五周ほどするも、姿も影も形も種も仕掛けも見当たらなかった。
待ち人は来ず、俺は一人ただの不審者。
流石に柱愛好家の人には見えないだろう。
取り敢えず、咳をしておこうか。
自由律俳句的なノリで周りを誤魔化す。
3: ◆TDuorh6/aM 2016/09/28(水) 00:31:05.72 ID:/4HhEtAk0
もしかして迷子だろうか?
変な人に着いてったりしてないだろうか?
道に落ちてるものを食べたり着たりしてないだろうか?
彼女が本当はしっかりしてる人だと理解していながらも不安になってくる。
やはり家まで迎えに行くべきだったかもしれない。
立場上難しい事ではあるけれど、背に腹は変えられないのだ。
「…警察に連絡するか」
「ポンジュ~ス、誰かお探しかなー?」
真後ろから掛けられた声に、俺は心を舞わせる。
なんだ、心配して損したじゃないか。
杞憂で済んでよかったけれど。
視線と紫外線を同時に遮断出来る優秀な変装道具、通称帽子を被って背後に立つ彼女。
透き通る様な金の髪を風に靡かせ、此方へ笑顔を向けている。
その笑顔の理由の一割ぐらいは俺なら良いな等と考えながら、返事の代わりに此方も笑顔を返した。
だから、一瞬。
心が重くなる。
綺麗で、強くて、優しくて。
けれど…
さて、言いたい事は色々あるけれど。
取り敢えず先ずは彼女の危機管理能力と対応力をチェックしておかなければ。
「おっ、可愛いねお嬢ちゃん。ラインやってる?」
「わぁお、フレちゃんが超絶美少女だってー?ライブならやってるから来てねー」
大丈夫そうだ。
こんな返しが出来るなら、偽物という可能性も無い。
フレデリカの真似なんて出来る人はそうそういると思えないけれど。
4: ◆TDuorh6/aM 2016/09/28(水) 00:32:14.44 ID:/4HhEtAk0
「よし、言い訳を聞こうか」
「ごめーん待ったー?今来たとこ」
一人で完結させるな。
折角俺も参加したかったのに。
まぁ此処は寛大な心で許してやるとしよう。
無駄に追求して攻め立てる時間があるなら、その分フレデリカと無駄話した方が有意義だ。
…無の中に有を見つけ出す、か。
なかなか哲学じみて面白い。
「さて、じゃあ行くか」
「それにしても人多いねー。あ、霊長類ヒト科だね!」
確かに人は多い。
休日にこう言った場所は、家族連もカップルも訪れる。
そしてそんな場所で逸れてしまっては、再び落ち合うのに少なくない時間を浪費してしまうだろう。
避けるべき事態に対し、今のうちから手を打っておくのが得策だ。
だからこれは仕方がない事。
そう自分に言い聞かせ、フレデリカに向かって腕を伸ばした。
「…空中腕相撲?フレちゃんけっこーパワフルだよ?パワフレデリカだよ?」
「そんな訳ないだろ。はぐれると面倒だからな」
「それじゃー遠慮なく」
…若干心臓に悪い。
相変わらず唐突に距離を詰めてくる女の子だ。
隣に寄って腕を組んでくるフレデリカ。
そこまでするつもりはなかったけれど、そのくらい思い切っていた方が周りの人にもバレないだろう。
俺の心拍数が一瞬跳ね上がりそうになるが、それがバレると暫く笑い話にされるから何とか平常心を保つ。
「じゃ、エスコートよろしくー」
「任せろ、どっちが先に疲れるか勝負だ」
勝てる気はしないけれど、それくらいの意気込みで。
目的の場所まで数十メートル、カボチャの馬車に成り切ってやろう。
5: ◆TDuorh6/aM 2016/09/28(水) 00:33:03.34 ID:/4HhEtAk0
「わぁーお、すごーい!水槽きれーだねー」
「分厚いなコレ。シャチが体当たりしても問題なさそうだ」
壁一面に埋め込まれたアクリルガラスの向こうには、水の世界が広がっていた。
人類では呼吸すらままならない空間に、色とりどりの魚が泳いでいる。
群れて、散って、また集まって。
まるでその集団が一つの生き物かの様に、大量の魚が水槽いっぱいを飛び交う。
まるで自由電子の様に動きの予想出来ないウチの一匹が、ガラス越しに目の前を通り過ぎていった。
「ねーねー、ガラスに美少女が写ってるよー」
「ほんとだ、見慣れすぎてて気付かなかった」
「バージェス生物群は何処かなー?」
「見た事ないから分からないけど、多分此処には居ないんじゃないかな」
このフリーダムガールのよく分からない知識は一体何処から湧いてくるのだろう。
次々と矢継早に継ぎ足されるトークに、それっぽい返しをするので精一杯。
フンフンフフーンと鼻歌交じりに上機嫌なフレデリカお嬢様の付き人をキチンと務めるべく、考える事を諦めた。
何も考えずインスピレーションで思い浮かべた単語を言っていれば何とかなる、筈。
「水族館なんて久し振りだな…」
「昔は住んでたのー?」
「以前来たのは高校の時って意味だよ」
残念ながら俺は両生類でもなければ水族館でのバイト経験もない。
と言うよりも何故そんな疑問に至ったのかが分からない。
まぁ、自由気ままに泳ぐ魚に憧れた事が無いこともないけれど。
どうせなら鳥になって空に行きたい。
6: ◆TDuorh6/aM 2016/09/28(水) 00:34:34.11 ID:/4HhEtAk0
「この歳でも案外楽しめるもんなんだな、水族館って」
「アタシと一緒だからねー」
「否定はしないよ。確かにそのお陰でもある」
入り口で受け取ったパンフレットを捲りながら、オススメの順路をのんびり歩く。
今更ながらだけど、腕組みながら歩くのは割と難しい。
俺が慣れてないからだろうか。
恋愛経験豊富なアドバイザーがいたら聞いてみたいとろこだ。
そんな素振りを一片たりとも見せない隣のフレデリカは、そういった事に慣れているのだろうか。
もしも現在進行形で大学にそんな相手がいるのだとしたら、申し訳ないけれどその相手に社会の恐ろしさを知って貰わなければならない。
そんな架空上の生物に一人相撲を挑む情け無い面に気付かれない様に、テンションをフレデリ化して会話を弾ませる。
「生まれ変わったらホンソメワケベラになりたいなぁ」
「じゃーフレちゃんコンソメ木ベラがいいなー」
「じゃあ俺はカンヅメキメラだ」
意味が無いどころか分からない会話と言うのは、やってみると案外面白いものだ。
先日こんなノリでフレデリカと一時間潰した時は流石に焦ったけれど。
大体半分程まわったところで、一つ大切な事を思い出した。
フレデリカに伝えなければならない事がある、と言う事を。
どのタイミングで切り出すかはまだ決まってないけれど、流れで何とかなると思っていた。
案外ならなかったけれど。
…今は、思いっきり楽しもう。
夏休みの宿題は八月三十二日に終わらせればいい理論だ。
面倒な事は後回し、難し事を考えていては楽しい事も楽しめない。
「浸透圧ってなーに?」
「分からない訳じゃないけどクラゲの説明文読んでくればいいんじゃないか?俺の説明より分かりやすいと思うし」
分からない訳ではないが、楽しまなきゃ損だ。
難しい事は全部水族館の設備に負担して貰おう。
分からない訳ではない。
7: ◆TDuorh6/aM 2016/09/28(水) 00:36:07.06 ID:/4HhEtAk0
時刻は大体午後一時半。
水族館も現在見れる水槽は大方周り終え、少し足が疲れてきた。
まだまだ若いと思いたかったけれど、普段からダンスをやっている十九歳について周るのは流石にしんどい。
コレがもしショッピングだったら両手にさらなる負荷が掛かっていたと思うと冷や汗ものだ。
水族館…素晴らしいスポットじゃないか。
「さて、と。そろそろお昼にするか」
「わぁお、プロデューサーって時間を操れたのー?」
「俺が操るまでもなく今は昼だよ。近くに良さげなレストランがあったから行ってみようかなって」
一旦水族館を出て駅の方向へと向かう。
目的地は待ち合わせ場所から直ぐ近くのレストラン。
柱の周りをグルグル歩いている時に見付けたのだから、人生何が為になるか分からないものだ。
もしかしたら、時計観察によってまた新たな発見があったかもしれないのだから。
「涼しくてよかったねー」
「むしろ、陽が出てないと寒くなってきたからなぁ」
あっという間に到着。
お昼時なだけあって少し混み合っていたが、待つ必要は無さそうだ。
店員に何名様か聞かれた瞬間、もう直ぐ3人になりますなんて下らない冗談を言おうとしたけれど、世の中には許される冗談と許されない冗談があると思い留まった。
流石にそれはフレデリカに対して失礼過ぎる。
素直に二名様ですと伝え席に案内されれば、見晴らしの良い窓際のテーブルだった。
目の前に広がる綺麗な海…真昼間からビールを頼みたくなる欲望を全力で抑え、取り敢えずでオレンジジュースを二つ頼む。
メニューを置いて別のテーブルへと向かって行くウェイトレスさん、なかなか綺麗な女性だったなぁ。
二十歳ぐらいだろうか、後で名刺でも…仕事…
「今日は超プライベートで楽しいなぁ!」
「フレちゃん時々プロデューサーのテンションが分からないなー」
なんと、まるでフレデリカに対する俺の認識じゃないか。
類は友を呼ぶとはよく言ったものだ。
姿形名前性別等は違えど、魂は同じ色をしてるのかもしれない。
ところで魂に色なんてあるのだろうか?
8: ◆TDuorh6/aM 2016/09/28(水) 00:37:33.90 ID:/4HhEtAk0
「思い出したくない事が頭の片隅に浮かんできた時は、反対の事を叫んで誤魔化すもんなんだよ」
「プロデューサーってプロデュース業嫌いなの?」
「朝起きるのしんどい」
社会人の素直な意見。
仕事自体は嫌いどころか大好きだ。
その点に関しては問題イナフ。
問題イナフの無さそうでありそう感は凄い。
ただやはり、最近涼しくなってきて布団を引っ張り出してから抜け出すのに時間が掛かるようになった。
夏の冷房、秋の布団、冬のコタツ、春は曙。
なんやかんやどの時期でも朝と言うのは辛いモノではあるが。
恐らくその後に待ち受ける通勤ラッシュも、心の重さに一役買っていると思う。
「まぁそれはさておき、折角の休みだから一旦思考から追い出そうとな」
「…フーン…フーン…」
「なんだ、何かあったか?」
「フフーン!」
なんだ、何時ものか。
勘のいいフレデリカの事だから、もしかしたら何か感付いているかもしれないけれど。
実は気の回る大人なフレデリカだからそこ、そこに突っ込んでは来ないだろう。
それか…
「仕事で何かあったのー?」
「…ありがとう。言いやすくなったよ」
ほんと、よく気の回る女の子だ。
こうやって、気を使ってくれて。
ちょっとでもそんな素振りを見せたら、どんなに話を逸らしても無駄だったか。
「…取り敢えず、何か頼もうか。ついでにビール飲みたい」
「だーめ、フレちゃんミルクオレがいいなー」
「じゃあ俺麦ジュースアルコール入りで」
「進まないし料理から決めよっかー」
9: ◆TDuorh6/aM 2016/09/28(水) 00:39:00.25 ID:/4HhEtAk0
料理はとても美味しかった。
きっとアタシと食事してるからだよーなんてフザケデリカは笑っていたが、実際その通りだろう。
緊張で喉を通らないなんて事もなく、楽しく美味しくご馳走になれた。
窓際の席と言うのも相俟って、視覚聴覚味覚嗅覚の四つで贅沢な時を過ごせた気がする。
結局ビールは頼ませて貰えなかった。
元より本気で飲むつもりなんて微塵も素粒子程もなかったけれど。
俺が注文する前にホットミルクにされたからなんて理由では無い。
ある程度時間が経ったからか、店は入った時よりも静かになっていた。
食後のコーヒーを片手に、二人でのんびり窓の外を眺める。
とっても幸せな時間じゃないか、有給取って良かった。
「それでねー、文香ちゃんももっとグルメリポーターしてみたいんだってさー」
「鷺沢さんが、か…人間ってほんと見た目じゃ分からないな…」
それに関しては、俺は多分誰よりもよく分かっている。
いや、分からされたの方が正しいかもしれない。
もっと正確には気付かされた、だけれども。
「来週は、一緒にパフェ食べにいこーねー?」
他愛の無い会話。
それがとても居心地良くて。
ついついまた、フレデリカに甘えそうになってしまって。
そんな自分を叩きつける様に。
今度は自分から、切り出した。
「…少し、仕事の話をしていいか?」
「どーせなら日付が変わってからの方がいいかなー」
フレデリカも夏休みの宿題は八月三十二日に片付けるタイプだったのだろうか。
流石にそこまでは把握していなかった。
そして、俺としてもこのまま一緒に駄弁っている方が魅力的ではあるけれど。
…よし。
「まず、最初に…」
大きく息を吸い込み、吐き出した。
「俺は、フレデリカのプロデューサーじゃいられなくなった」
「…海辺、歩きながらでいーい?」
10: ◆TDuorh6/aM 2016/09/28(水) 00:42:30.35 ID:/4HhEtAk0
既に十月に差し掛かっているからか、太陽は既に水平線に吸い込まれ始めている。
ざざん、ざざんと紅い波が足元まで詰め寄っては引いて。
カモメの鳴き声は大きく、けれどきちんと伝わるように。
改めて、言い直した。
「…そっかー」
一呼吸おいてから、静かに。
そう、フレデリカは返した。
「本当にすまない…二人三脚で、って約束。守れなくて…」
「カッコいいセリフだねー、そんな事今初めて言われたよ」
「…多分言ってなかった気がする」
言ってなかったなら言わなければ良かった。
いや、人生で一度は言ってみたかった台詞だったからいいけれど。
恥ずかしいったらありゃしないが、大体夕陽が誤魔化してくれるだろう。
店にいたら即死だったけれど、何とか致命傷で済んだ。
けれど、何故か。
フレデリカの方が、笑顔なのに哀しそうな表情を浮かべいて。
場違いなのは分かっていても、とても綺麗だ、と。
心から、そう思った。
「フレデリカの負担が増える事はそんなに無い筈だから、安心してくれ」
淡々と、坦々と続ける。
伝えなければならない事が、まだあと二つ残っているのだ。
「…そっかー、残念だねー。折角トップアイドルのプロデューサーに成れるチャンスだったのに」
「…ん?まぁいいか、次なんだが…」
これは、何方かと言えば良い話。
特に難なく続けられる。
「フレデリカには、今後あるユニットとしても活動して貰う。メンバーは…後で、書類渡すから」
絶対、上手くやっていける筈だ。
ユニット名は、まだ決まっていないけれど。
このユニットを提案したのは、他でも無い自分なんだから。
上手くいかなかったら桜の木の下に埋めてくれても構わない。
11: ◆TDuorh6/aM 2016/09/28(水) 00:43:15.32 ID:/4HhEtAk0
「…プロデューサーが、企画したのー?じゃー頑張らないとねー」
「おう、頼りにしてるぞ」
「…あれー?」
何だろう、微妙にだけれど会話が噛み合っていない気がする。
人間は一人一人違うんだから完璧な意思の疎通は難しいだろうけれど、根本的なところで認識がズレてはいないだろうか?
言葉が足りなかったとも思えないし…
まぁ、置いておこう。
そしてもう一つ、伝えなくてはならない事。
今日一日、思い出す度に俺の心を締め付けた事。
それは…
「来週のパフェ…結構前から行く予定だったよな、予約までしたし。申し訳ないけど、その日はユニットメンバーと俺で打ち合わせだから…」
「…プロデューサー、アタシのプロデューサーじゃなくなるって言ってなかったっけー?」
「あれ?もしかして専属って単語が抜けてたかな?」
「オッケーオッケー、フレちゃんちょっと走ってくるからプロデューサー先に泳いでてー」
流石に今の時期この時間帯に海に入るのは…
色々と言い返そうとしたけれど、理解の追い付いた俺は謝罪の言葉を叫びながら着の身着のまま海面へと飛び込んだ。
願わくばクラゲに刺されない事を。
12: ◆TDuorh6/aM 2016/09/28(水) 00:44:10.62 ID:/4HhEtAk0
「…申し訳ありませんでした」
社会人最強の物理技、詰まる所の土下座を綺麗な夕陽バックに極めるプロデューサー。
そんな情け無い姿を前に、フレデリカは笑っていた。
「別に大丈夫だって~、それとも罵られて喜ぶタイプ?」
ふざけて茶化すフレデリカ。
けれど、俺は土下座を辞めない。
冗談抜きで、冗談では済まない事をしてしまったと言う自覚がある。
下手したら信頼関係が吹き飛んでいただろう。
それにしても、哀しそうな表情のフレデリカも…
あ、誰か俺を殴ってくれないだろうか。
フレデリカには笑っていて貰いたい。
それが一番似合うし、求めているモノだ。
「っくしょん!」
流石に濡れた服で秋の海風は堪える。
既に太陽は殆ど沈み、あたりに人は誰もいない。
そもそもこの辺一帯は遊泳禁止だった。
帰ったら風邪薬飲んでおこう。
「しょーがないなぁー…プロデューサーこのままじゃ風邪ひいちゃうねー」
「安心してくれ、事務所のドリンク飲めば治るから」
「濡れた服のまま電車なんてダメだよー?」
ぐうの音も無い正論。
取り敢えずチョキと言っておこう。
ところで実際、ロックとシザーとペーパーだったらペーパーがぶっちぎりで弱い気もする。
いや、紙も束ねれば弾丸すら防げるし一概にそうとは言い切れないか。
脱線した思考を元に戻すが、確かに勢いで服のまま飛び込んだはいいけどこれでは電車に乗れない。
夏も終わり太陽も沈んだこの時間、終電までに自然乾燥する可能性はとても低そうだ。
はぁ…手痛い出費だけどビジネスホテルにでも泊まるとしよう。
13: ◆TDuorh6/aM 2016/09/28(水) 00:45:07.02 ID:/4HhEtAk0
「ねープロデューサー?アタシも服濡れちゃって困ってるんだー」
「…二部屋予約させて頂きます」
「一部屋でだいじょーぶ!」
「俺は野宿か…流石にしんどいぞ…」
「…プロデューサー?」
「…誰にも言うなよ?!あと絶対なにもしないからするなよ?!」
14: ◆TDuorh6/aM 2016/09/28(水) 00:46:19.16 ID:/4HhEtAk0
何かの前日譚的な話
お付き合い有難う御座いました
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/28(水) 01:03:31.82 ID:YZxnVx29o
まだやれるだろ!
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/28(水) 01:22:48.21 ID:+A6VrskeO
フレちゃんが最初だったのか
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/28(水) 02:12:55.52 ID:SFVtaXJSO
ふみふみだけ蚊帳の外だな
19: ◆TDuorh6/aM 2016/09/28(水) 02:48:09.89 ID:/4HhEtAk0
こっちで続きを書くとギリギリな感じなので…
文香に焦点を当てた話は近い内に書きます
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/28(水) 21:52:04.26 ID:jCI4ioSUO
あの三人組にこんな前日譚があったのか
おつ
おつ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1474990097/
Entry ⇒ 2017.02.27 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
リゼ「みんなに話があるんだ!」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 17:17:48.93 ID:rAFnyGyQ0
これは、ココアたちが大人になってからのお話____。
ココアたちは高校を卒業し、大人になっていました。
ココアはラビットハウスに残り、今でもチノたちと一緒に店で働いています。
千夜は甘兎庵を継ぎ、リゼは先生になりました。シャロは給料の良い会社に就きました。
大人になってからも仲良しな5人は、定期的にラビットハウスでお茶会を開いていました。
そんなある日のことです、
リゼ「実は、みんなに話があるんだ!」
ココア「どうしたのリゼちゃん、そんなに改まって」
チノ「そんなに深刻な話なんですか」
リゼ「実は……わたし、結婚することになったんだ!」
四人「「「「えぇぇーーーー!?」」」」
ココアたちは高校を卒業し、大人になっていました。
ココアはラビットハウスに残り、今でもチノたちと一緒に店で働いています。
千夜は甘兎庵を継ぎ、リゼは先生になりました。シャロは給料の良い会社に就きました。
大人になってからも仲良しな5人は、定期的にラビットハウスでお茶会を開いていました。
そんなある日のことです、
リゼ「実は、みんなに話があるんだ!」
ココア「どうしたのリゼちゃん、そんなに改まって」
チノ「そんなに深刻な話なんですか」
リゼ「実は……わたし、結婚することになったんだ!」
四人「「「「えぇぇーーーー!?」」」」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 17:18:31.88 ID:rAFnyGyQ0
シャロ「リゼ先輩が……結婚……」
千夜「おめでとうリゼちゃん!」
ココア「リゼちゃんが私たちの中で一番先に結婚かぁ」
チノ「おめでとうございます」
リゼ「みんなありがとう。私もまさかこの中で一番先に結婚するなんてな」
千夜「お相手はどんな方なの?」
リゼ「同じ職場で知り合った人なんだ」
ココア「ということは同業者? 写真とかないの?」
リゼ「ああ、この人なんだけど……」っ
千夜「おめでとうリゼちゃん!」
ココア「リゼちゃんが私たちの中で一番先に結婚かぁ」
チノ「おめでとうございます」
リゼ「みんなありがとう。私もまさかこの中で一番先に結婚するなんてな」
千夜「お相手はどんな方なの?」
リゼ「同じ職場で知り合った人なんだ」
ココア「ということは同業者? 写真とかないの?」
リゼ「ああ、この人なんだけど……」っ
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 17:19:06.84 ID:rAFnyGyQ0
千夜「まあ、なかなかハンサムな人ね」
チノ「シュッとしてて、まるでモデルさんみたいです」
ココア「お似合いな二人だね」
リゼ「よせって、照れるだろ///」
シャロ「…………」
千夜「あら、シャロちゃんどうかしたの?急に黙り込んで」
シャロ「……なんでもないわ。それよりリゼ先輩、おめでとうございます」
リゼ「ありがとな、シャロ」
チノ「シュッとしてて、まるでモデルさんみたいです」
ココア「お似合いな二人だね」
リゼ「よせって、照れるだろ///」
シャロ「…………」
千夜「あら、シャロちゃんどうかしたの?急に黙り込んで」
シャロ「……なんでもないわ。それよりリゼ先輩、おめでとうございます」
リゼ「ありがとな、シャロ」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 17:19:34.79 ID:rAFnyGyQ0
ココア「ねえねえ、式はいつ挙げるの?」
リゼ「今式についてもいろいろ話し合ってるところなんだ。なるべく早めに挙げようとは思うんだけど、もちろんみんなにも招待状出すぞ」
チノ「私、二人のために特製のコーヒーを用意します」
千夜「なら、甘兎庵もお祝いの品を出さないと」
シャロ「…………」
ココア「結婚かぁ……、結婚したら子供とかも作るんだよね」
リゼ「……じ、実は……もう、お腹に赤ちゃんがいるんだ」
四人「「「「えぇぇーーーー!?」」」」
リゼ「今式についてもいろいろ話し合ってるところなんだ。なるべく早めに挙げようとは思うんだけど、もちろんみんなにも招待状出すぞ」
チノ「私、二人のために特製のコーヒーを用意します」
千夜「なら、甘兎庵もお祝いの品を出さないと」
シャロ「…………」
ココア「結婚かぁ……、結婚したら子供とかも作るんだよね」
リゼ「……じ、実は……もう、お腹に赤ちゃんがいるんだ」
四人「「「「えぇぇーーーー!?」」」」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 17:20:07.53 ID:rAFnyGyQ0
シャロ「リゼ先輩が……妊娠……」
ココア「おめでとうリゼちゃん、おめでただね!」
千夜「妊娠はいつわかったの?」
リゼ「この間一緒に病院へ行ったんだ。そしたら出来てますって///」
チノ「赤ちゃんは男の子ですか?女の子ですか?」
リゼ「まだ妊娠して間もないからわからないけど、男の子でも女の子でも無事に産まれてくれればいいかなって」
ココア「楽しみだね!」
シャロ「…………私、帰ります」
リゼ「え、一体どうしたんだシャロ?」
チノ「具合でも悪いんですか?」
シャロ「そろそろ仕事に戻らないと……。お代、ここに置いておくから。それじゃリゼ先輩……みんな……またね」
カランカラン
ココア「あ、シャロちゃん行っちゃった……」
リゼ「シャロも仕事で忙しいんだな」
千夜「シャロちゃん……」
ココア「おめでとうリゼちゃん、おめでただね!」
千夜「妊娠はいつわかったの?」
リゼ「この間一緒に病院へ行ったんだ。そしたら出来てますって///」
チノ「赤ちゃんは男の子ですか?女の子ですか?」
リゼ「まだ妊娠して間もないからわからないけど、男の子でも女の子でも無事に産まれてくれればいいかなって」
ココア「楽しみだね!」
シャロ「…………私、帰ります」
リゼ「え、一体どうしたんだシャロ?」
チノ「具合でも悪いんですか?」
シャロ「そろそろ仕事に戻らないと……。お代、ここに置いておくから。それじゃリゼ先輩……みんな……またね」
カランカラン
ココア「あ、シャロちゃん行っちゃった……」
リゼ「シャロも仕事で忙しいんだな」
千夜「シャロちゃん……」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 17:21:13.44 ID:rAFnyGyQ0
こうして、リゼは結婚式を挙げました。
式にはココアたちや他にも親しくしていた友人知人たちが多く参加し、式は無事に執り行われました。
リゼは相手の男性と楽しい新婚生活を送り、お腹の中の赤ちゃんも順調に育ち、リゼのお腹はいつしか大きくなっていまし。
そんなある日のことでした……、
リゼの夫「お腹も随分と大きくなったな」オナカスリスリ
リゼ「ああ、もうすぐ産まれるんだな……私たちの子供が」
リゼの夫「もうすぐ入院だな。無事に産まれてきてくれることをいいな」
リゼのお腹は大きくなり、リゼはもうすぐ出産に備えるため産婦人科の病院に入院する予定でした。
式にはココアたちや他にも親しくしていた友人知人たちが多く参加し、式は無事に執り行われました。
リゼは相手の男性と楽しい新婚生活を送り、お腹の中の赤ちゃんも順調に育ち、リゼのお腹はいつしか大きくなっていまし。
そんなある日のことでした……、
リゼの夫「お腹も随分と大きくなったな」オナカスリスリ
リゼ「ああ、もうすぐ産まれるんだな……私たちの子供が」
リゼの夫「もうすぐ入院だな。無事に産まれてきてくれることをいいな」
リゼのお腹は大きくなり、リゼはもうすぐ出産に備えるため産婦人科の病院に入院する予定でした。
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 17:21:55.43 ID:rAFnyGyQ0
リゼの夫「おっと、もうこんな時間か。それじゃ俺は出かけてくるから留守番よろしくな。何かあったらすぐに連絡するんだぞ」
リゼ「ああ、気をつけてな」
リゼの夫は出かけ、リゼは家で留守番することになりました。
その時、インターホンがなりました。
ピンポーーン
リゼ「あれ、一体誰だろう。宅配便かな?」
リゼは、家の扉を開けました____、
リゼ「ああ、気をつけてな」
リゼの夫は出かけ、リゼは家で留守番することになりました。
その時、インターホンがなりました。
ピンポーーン
リゼ「あれ、一体誰だろう。宅配便かな?」
リゼは、家の扉を開けました____、
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 17:22:28.21 ID:rAFnyGyQ0
そして、その日の夜……
リゼの夫「すっかり遅くなっちゃったな。さて、リゼとお腹の中の赤ちゃんはもう寝ちゃったかな」
ガチャ
リゼの夫「ただいまぁーー!」
シーーン
リゼの夫「遅くなったし先に寝ちゃったかな。さて、シャワーを浴びて着替えようかな」
オギャーー、オギャーー!、
リゼの夫「あれ、寝室の方から鳴き声が聞こえるぞ!?」
気になった夫は泣き声がする寝室へ向かいました。
リゼの夫「すっかり遅くなっちゃったな。さて、リゼとお腹の中の赤ちゃんはもう寝ちゃったかな」
ガチャ
リゼの夫「ただいまぁーー!」
シーーン
リゼの夫「遅くなったし先に寝ちゃったかな。さて、シャワーを浴びて着替えようかな」
オギャーー、オギャーー!、
リゼの夫「あれ、寝室の方から鳴き声が聞こえるぞ!?」
気になった夫は泣き声がする寝室へ向かいました。
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 17:23:10.13 ID:rAFnyGyQ0
そして……、
リゼの夫「こ、これは!?」
リゼだったもの「………………」
赤ちゃん「オギャーー、オギャーー」
リゼ「リゼェェェェーーーーー!!」
そこには、また産まれる前の赤ちゃんがリゼのお腹から取り出されて泣いている姿がありました。
その横で血塗れで横たわるリゼはお腹を切り裂かれて、首にはコードのようなものが巻きつけてあったのでした。
リゼの夫「こ、これは!?」
リゼだったもの「………………」
赤ちゃん「オギャーー、オギャーー」
リゼ「リゼェェェェーーーーー!!」
そこには、また産まれる前の赤ちゃんがリゼのお腹から取り出されて泣いている姿がありました。
その横で血塗れで横たわるリゼはお腹を切り裂かれて、首にはコードのようなものが巻きつけてあったのでした。
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 17:23:38.97 ID:rAFnyGyQ0
リゼの夫「しっかりするんだリゼ、リゼェェェェーーーーー!!」
夫はすぐに通報しました。
現場に救急車と警察が駆けつけ、リゼと赤ちゃんはすぐさま病院に運ばれました。
このことはココアたちにもすぐに連絡が届き、みんなは二人が運ばれた病院に駆けつけました。
手術室の前……、
千夜「見て、手術中のランプが消えたわ」
ココア「手術が終わったんだ!」
ガラガラ
リゼの夫「先生、リゼは……赤ちゃんは無事なんですか!?」
医師「旦那さん、落ち着いてくいてください。赤ちゃんは身体に刃物で切りつけられた箇所があったのですが、なんとか一命を取り留めました」
リゼの夫「よかった……赤ちゃんは無事なんですね。それじゃリゼは、私の妻は!?」
医者「……手は尽くしました。しかし残念ながら……病院に運ばれた時には、もう……」
ココア「そ、そんな……」
チノ「嘘……ですよね……」
千夜「リゼちゃんが……」
リゼの夫「リゼ…………リゼェェェェーーーーー!!」
夫はすぐに通報しました。
現場に救急車と警察が駆けつけ、リゼと赤ちゃんはすぐさま病院に運ばれました。
このことはココアたちにもすぐに連絡が届き、みんなは二人が運ばれた病院に駆けつけました。
手術室の前……、
千夜「見て、手術中のランプが消えたわ」
ココア「手術が終わったんだ!」
ガラガラ
リゼの夫「先生、リゼは……赤ちゃんは無事なんですか!?」
医師「旦那さん、落ち着いてくいてください。赤ちゃんは身体に刃物で切りつけられた箇所があったのですが、なんとか一命を取り留めました」
リゼの夫「よかった……赤ちゃんは無事なんですね。それじゃリゼは、私の妻は!?」
医者「……手は尽くしました。しかし残念ながら……病院に運ばれた時には、もう……」
ココア「そ、そんな……」
チノ「嘘……ですよね……」
千夜「リゼちゃんが……」
リゼの夫「リゼ…………リゼェェェェーーーーー!!」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 17:24:21.77 ID:rAFnyGyQ0
残念ながら、リゼは助かりませんでした。
リゼは発見された時、既に息を引き取っていたのでした。
お腹から取り出されて赤ちゃんは太ももなどに刃物の痕があったのですが、手術を受けてなんとか無事で済みました。
この事件は瞬く間に街中に広まり、大々的に報道されて全国的に語られることになりました。
妊婦を殺しそのお腹から胎児を生きたまま取り出しさらに刃物で傷つけるという過去を類を見ぬ凶悪犯罪を重く見た警察は直ちに捜査本部を設置し、犯人逮捕のため捜査を開始しました。
しかし、警察は真っ先にリゼの夫が怪しいと彼に容疑を向けて事情聴取をしまし。しかし
それはあまりにも酷だとココアたちや町の人たちが警察側を批判したことや、リゼの夫は犯行当時家を留守にしておりさらにリゼの死亡推定時刻と重なることもありアリバイが成立したことから、リゼの夫への疑いはすぐに晴れました。
リゼの死因ですが、犯人により首を電気コードで締められての絞殺であると判明しました。犯人はリゼを絞め殺した後刃物でリゼのお腹を切り裂き、そこからまだ生まれてくる前の胎児を取り出し刃物で切りつけたのです。また、部屋には犯人によって荒らされた形跡がありましたが、金目のものは奪われてはおらず、代わりにリゼが夫と結婚式の時撮影した思い出の写真や品物などがなくなっていました。
警察は犯人逮捕のために尽力し、ココアたちも犯人逮捕のため国内全土に渡り呼びかけをしましたが、結局犯人が見つからないまま時は流れ、遂には公訴時効が成立してしまいました。
こうして、この事件は未解決のまま幕を閉じました。
そして____
空港にて、
リゼの夫「この街とも、いや、この国ともお別れか……」
リゼジュニア「パパ、どうかしたの?」
リゼの夫「いや、なんでもないよ」
リゼは発見された時、既に息を引き取っていたのでした。
お腹から取り出されて赤ちゃんは太ももなどに刃物の痕があったのですが、手術を受けてなんとか無事で済みました。
この事件は瞬く間に街中に広まり、大々的に報道されて全国的に語られることになりました。
妊婦を殺しそのお腹から胎児を生きたまま取り出しさらに刃物で傷つけるという過去を類を見ぬ凶悪犯罪を重く見た警察は直ちに捜査本部を設置し、犯人逮捕のため捜査を開始しました。
しかし、警察は真っ先にリゼの夫が怪しいと彼に容疑を向けて事情聴取をしまし。しかし
それはあまりにも酷だとココアたちや町の人たちが警察側を批判したことや、リゼの夫は犯行当時家を留守にしておりさらにリゼの死亡推定時刻と重なることもありアリバイが成立したことから、リゼの夫への疑いはすぐに晴れました。
リゼの死因ですが、犯人により首を電気コードで締められての絞殺であると判明しました。犯人はリゼを絞め殺した後刃物でリゼのお腹を切り裂き、そこからまだ生まれてくる前の胎児を取り出し刃物で切りつけたのです。また、部屋には犯人によって荒らされた形跡がありましたが、金目のものは奪われてはおらず、代わりにリゼが夫と結婚式の時撮影した思い出の写真や品物などがなくなっていました。
警察は犯人逮捕のために尽力し、ココアたちも犯人逮捕のため国内全土に渡り呼びかけをしましたが、結局犯人が見つからないまま時は流れ、遂には公訴時効が成立してしまいました。
こうして、この事件は未解決のまま幕を閉じました。
そして____
空港にて、
リゼの夫「この街とも、いや、この国ともお別れか……」
リゼジュニア「パパ、どうかしたの?」
リゼの夫「いや、なんでもないよ」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 17:25:14.66 ID:rAFnyGyQ0
赤ちゃんは無事に育ち、大きくなっていました。子供は男の子で、夫はその子に"リゼジュニア"と名付けました。
リゼの夫は子供を連れて国外へ移住することを決意したのでした。理由は加熱した報道合戦を繰り広げるマスコミによる行きすぎた取材やそれにより世間の好奇の目にさらされることを良くないと考えた夫が子供のために新しい地で生活を始めようと考えたからです。
リゼジュニア「パパ、僕新しい国でも友達出来るかな」
リゼの夫「ああ、お前なら出来るさ。さあ、そろそろ飛行機に乗る時間だ。行こうか」
リゼジュニア「うん」
こうして、二人は旅立ちました____。
リゼの夫は子供を連れて国外へ移住することを決意したのでした。理由は加熱した報道合戦を繰り広げるマスコミによる行きすぎた取材やそれにより世間の好奇の目にさらされることを良くないと考えた夫が子供のために新しい地で生活を始めようと考えたからです。
リゼジュニア「パパ、僕新しい国でも友達出来るかな」
リゼの夫「ああ、お前なら出来るさ。さあ、そろそろ飛行機に乗る時間だ。行こうか」
リゼジュニア「うん」
こうして、二人は旅立ちました____。
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/22(水) 17:25:50.95 ID:rAFnyGyQ0
その頃、ラビットハウスにて、
ココア「リゼちゃんの夫さんとリゼジュニアくんは今頃飛行機だね」
チノ「そうですね、向こうに着いたら連絡をくれると言ってましたし」
千夜「もう、あの忌まわしい事件からそんなに経つのね……」
三人はコーヒーを飲みながらふけっていました。
しかし、そこにはシャロの姿はありませんでした。
ココア「それにしてもシャロちゃんはどこへ行ったんだろうね」
チノ「あの日以降、姿を見ませんね……」
千夜「シャロちゃん……」
あの事件が起きたのと同時に、シャロは姿をくらませました。
リゼを殺害したのは誰なのか____、
シャロは何故姿を消したのか____、
真実は、闇の中____。
終わり
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1487751468/
Entry ⇒ 2017.02.27 | Category ⇒ ご注文はうさぎですか? | Comments (2)
【ミリマス】泣き虫未来とのまいにち
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 00:42:59.88 ID:FuDgCNY0O
初めまして!春日未来、14歳です!
アイドルになるために部活辞めてきました!
プロデューサーさん、これからよろしくお願いします!
アイドルになるために部活辞めてきました!
プロデューサーさん、これからよろしくお願いします!
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 00:46:45.15 ID:FuDgCNY0O
あ、プロデューサーさんお疲れ様です!
レッスンですか?はい!すっごく楽しいです!
え?良い話ですか?わー、なんだろー
…ライブ?私がですか!?やったー!やっと静香ちゃん達と同じステージに立てるんですね!
あ、あれ、なんか涙が…
…あ、拭いてくれてありがとうございますプロデューサーさん!
でへへ~、プロデューサーさんやみんなの期待に応えられるように頑張りますね!
レッスンですか?はい!すっごく楽しいです!
え?良い話ですか?わー、なんだろー
…ライブ?私がですか!?やったー!やっと静香ちゃん達と同じステージに立てるんですね!
あ、あれ、なんか涙が…
…あ、拭いてくれてありがとうございますプロデューサーさん!
でへへ~、プロデューサーさんやみんなの期待に応えられるように頑張りますね!
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 00:51:22.90 ID:FuDgCNY0O
やった!やりました!お客さんみんな笑顔で喜んでくれて…!
ううっ…失敗したらどうしようって…グス…怖かったけど
静香ちゃんとか、翼も応援してくれて…
私、アイドルになっでよがっだです…!
…あ、プロデューサーさんの手、大きいです
私にお兄ちゃんがいたらこうやって褒めてくれそう…
…あ!アンコールが!プロデューサーさん!行ってきますね!
ううっ…失敗したらどうしようって…グス…怖かったけど
静香ちゃんとか、翼も応援してくれて…
私、アイドルになっでよがっだです…!
…あ、プロデューサーさんの手、大きいです
私にお兄ちゃんがいたらこうやって褒めてくれそう…
…あ!アンコールが!プロデューサーさん!行ってきますね!
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 00:57:40.58 ID:FuDgCNY0O
あ、プロデューサーさんお疲れ様です!
でへへ~、なんだかこうやって2人でいるの久しぶりですね
今日はどうしたんですか?
…え?私のソロ曲?本当ですか!?
サンプルもある!?じゃあプロデューサーさんも一緒に聴きましょう!はい、イヤホンの片方どうぞ!
…これが私の曲…私だけのソロ曲なんですね
…グス、私、ずっと静香ちゃんみたいに歌いたくて
これでやっと、静香ちゃんの隣に並べるんだ…
ううっ…拭いてくれてありがとうございます
最近私泣き虫になっちゃったみたいで…
プロデューサーさんの前だからかなぁ?
でへへ~、なんだかこうやって2人でいるの久しぶりですね
今日はどうしたんですか?
…え?私のソロ曲?本当ですか!?
サンプルもある!?じゃあプロデューサーさんも一緒に聴きましょう!はい、イヤホンの片方どうぞ!
…これが私の曲…私だけのソロ曲なんですね
…グス、私、ずっと静香ちゃんみたいに歌いたくて
これでやっと、静香ちゃんの隣に並べるんだ…
ううっ…拭いてくれてありがとうございます
最近私泣き虫になっちゃったみたいで…
プロデューサーさんの前だからかなぁ?
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 01:04:36.75 ID:FuDgCNY0O
プ、プロデューサーさん…私…私…!
…歌詞が飛んじゃって、杏奈に練習したのに…
ごめんなさい…私のせいで、みんなに迷惑かけて…プロデューサーさんにも…
グス…ごめんなさい
…え?怒ってないんですか?私、失敗したのに…
失敗は誰にでもある…でも…
…え?静香ちゃんがそんな失敗を?全然イメージ出来ないけど…そうなんだ
…うん、なんだか元気が出て来ました!
今回は失敗しちゃったけど、次は失敗しないように頑張りますね!
…歌詞が飛んじゃって、杏奈に練習したのに…
ごめんなさい…私のせいで、みんなに迷惑かけて…プロデューサーさんにも…
グス…ごめんなさい
…え?怒ってないんですか?私、失敗したのに…
失敗は誰にでもある…でも…
…え?静香ちゃんがそんな失敗を?全然イメージ出来ないけど…そうなんだ
…うん、なんだか元気が出て来ました!
今回は失敗しちゃったけど、次は失敗しないように頑張りますね!
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 01:11:50.39 ID:FuDgCNY0O
…あ、プロデューサーさん…
…実は、静香ちゃんと喧嘩しちゃったんです
静香ちゃんが悩んでたから、力になりたくて、相談に乗ろうって思ったんです
でも静香ちゃんは私には関係ないから、私にはどうにも出来ないからって話してくれなくて…
それでも静香ちゃんの力になりたかったから、自分でもしつこいってわかってたのに静香ちゃんに付きまとって…言い争いになって
…私言っちゃったんです、静香ちゃんの馬鹿って
そんなこと言うつもりじゃなかったのに、静香ちゃんに乱暴なこと言っちゃって…
…実は、静香ちゃんと喧嘩しちゃったんです
静香ちゃんが悩んでたから、力になりたくて、相談に乗ろうって思ったんです
でも静香ちゃんは私には関係ないから、私にはどうにも出来ないからって話してくれなくて…
それでも静香ちゃんの力になりたかったから、自分でもしつこいってわかってたのに静香ちゃんに付きまとって…言い争いになって
…私言っちゃったんです、静香ちゃんの馬鹿って
そんなこと言うつもりじゃなかったのに、静香ちゃんに乱暴なこと言っちゃって…
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 01:22:57.91 ID:FuDgCNY0O
グス…静香ちゃん、辛そうな顔をしてて
私、咄嗟に逃げちゃって…謝りたいのに、静香ちゃんに嫌われたんじゃないかって思うと怖くて…
静香ちゃん、ごめんなさい…
…プロデューサーさんは、こんな私のこと嫌いになりますか…?
…え?むしろ好きになる?な、何でですか?
私が…素直だから?で、でも私、静香ちゃんに…
プロデューサーさんも一緒に謝る?静香ちゃんに?でも、プロデューサーさんは何も悪いことしてないのに…
…え?静香ちゃんのおうどんを勝手に食べちゃったんですか?だから謝らないといけないんですね…
…うん、プロデューサーさんと一緒なら、勇気出せるかも
プロデューサーさん、静香ちゃんに謝りに行きます、一緒に…来て欲しいです
私、咄嗟に逃げちゃって…謝りたいのに、静香ちゃんに嫌われたんじゃないかって思うと怖くて…
静香ちゃん、ごめんなさい…
…プロデューサーさんは、こんな私のこと嫌いになりますか…?
…え?むしろ好きになる?な、何でですか?
私が…素直だから?で、でも私、静香ちゃんに…
プロデューサーさんも一緒に謝る?静香ちゃんに?でも、プロデューサーさんは何も悪いことしてないのに…
…え?静香ちゃんのおうどんを勝手に食べちゃったんですか?だから謝らないといけないんですね…
…うん、プロデューサーさんと一緒なら、勇気出せるかも
プロデューサーさん、静香ちゃんに謝りに行きます、一緒に…来て欲しいです
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 01:27:33.90 ID:FuDgCNY0O
プロデューサーさんお疲れ様です!
今日は何の日か知ってますか?
…正解です!今日私の誕生日なんです!
…でへへ~、プロデューサーさんにおめでとうって言われるとすっごく嬉しいです!
…え?プレゼントですか?わぁ~ありがとうございます!
プロデューサーさんにお祝いしてもらって…プレゼントまで貰えて…
…グス、私、すっごく嬉しいです…!
あ、ま、また泣いちゃって…プロデューサーさんは私を泣き虫にしちゃいますね
今日は何の日か知ってますか?
…正解です!今日私の誕生日なんです!
…でへへ~、プロデューサーさんにおめでとうって言われるとすっごく嬉しいです!
…え?プレゼントですか?わぁ~ありがとうございます!
プロデューサーさんにお祝いしてもらって…プレゼントまで貰えて…
…グス、私、すっごく嬉しいです…!
あ、ま、また泣いちゃって…プロデューサーさんは私を泣き虫にしちゃいますね
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 01:33:48.03 ID:FuDgCNY0O
プロデューサーさん!
みんなの憧れの武道館で…みんなと歌いきりました!
私、嬉しくて嬉しくて涙が…
おめでたい事だから泣いちゃ駄目なのに涙が止まりません…!
…あっ、プロデューサーさん、温かいです
こうやってプロデューサーさんに抱き締められると、とっても落ち…つかない?
むしろ余計にドキドキして…
あわわわわわわ!か、顔が熱くて爆発しそうです!
みんなの憧れの武道館で…みんなと歌いきりました!
私、嬉しくて嬉しくて涙が…
おめでたい事だから泣いちゃ駄目なのに涙が止まりません…!
…あっ、プロデューサーさん、温かいです
こうやってプロデューサーさんに抱き締められると、とっても落ち…つかない?
むしろ余計にドキドキして…
あわわわわわわ!か、顔が熱くて爆発しそうです!
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 01:38:14.14 ID:FuDgCNY0O
プロデューサーさん、お疲れ様です
そろそろ休憩しませんか?私、お茶淹れますね
はい、お茶です
…ふう、やっぱり雪歩さんのお茶よりは美味しく淹れられないなぁ
…あ、その写真、みんなで武道館ライブしたときのですよね
懐かしいなぁ…みんな、元気にしてるかなぁ
…私が765プロに残った理由ですか?そ、それは…その…でへへ~、秘密、です
そろそろ休憩しませんか?私、お茶淹れますね
はい、お茶です
…ふう、やっぱり雪歩さんのお茶よりは美味しく淹れられないなぁ
…あ、その写真、みんなで武道館ライブしたときのですよね
懐かしいなぁ…みんな、元気にしてるかなぁ
…私が765プロに残った理由ですか?そ、それは…その…でへへ~、秘密、です
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 01:46:39.05 ID:FuDgCNY0O
わ、私そろそろ仕事に戻りますね!…わったった!
…あっ、プロデューサーさんの胸…あの時と一緒で温かい…
…プロデューサーさん?
あの時もこうやって、抱き締めてくれましたよね…あの日から…ううん、その前からきっと私は、プロデューサーさんの事が…
…え?プロデューサーさん、今なんて…
ほ、本当に?私で良いんですか?
…うっ、グス…プロデューサーさん、ズルいです
わだし、プロデューサーさんに泣かされてばっがりで…!
私も…私もプロデューサーさんが好きです!
…あっ、プロデューサーさんの胸…あの時と一緒で温かい…
…プロデューサーさん?
あの時もこうやって、抱き締めてくれましたよね…あの日から…ううん、その前からきっと私は、プロデューサーさんの事が…
…え?プロデューサーさん、今なんて…
ほ、本当に?私で良いんですか?
…うっ、グス…プロデューサーさん、ズルいです
わだし、プロデューサーさんに泣かされてばっがりで…!
私も…私もプロデューサーさんが好きです!
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 01:53:00.53 ID:FuDgCNY0O
静香ちゃん!翼!久しぶり!来てくれたんだ!
…うん、2人とも昔よりももっと綺麗になってるからビックリしちゃった
あ、でも静香ちゃんの胸は全然変わってないね!
…ごめんなさい静香ちゃん!人間の首はそんなに回らないから!
…でも、2人が来てくれて嬉しいな…きっとプロデューサーさんも喜んでくれると思うんだ
…え?プロデューサーさん呼び…変かな?でもずっとそう呼んできたし…
…うっ、それはそうかも…でも、なんて呼べば良いのかな
やっぱり名前の方が良いのかな
…うん、2人とも昔よりももっと綺麗になってるからビックリしちゃった
あ、でも静香ちゃんの胸は全然変わってないね!
…ごめんなさい静香ちゃん!人間の首はそんなに回らないから!
…でも、2人が来てくれて嬉しいな…きっとプロデューサーさんも喜んでくれると思うんだ
…え?プロデューサーさん呼び…変かな?でもずっとそう呼んできたし…
…うっ、それはそうかも…でも、なんて呼べば良いのかな
やっぱり名前の方が良いのかな
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 01:59:08.04 ID:FuDgCNY0O
う、うん…呼んでみる
…ねえ、静香ちゃん
私、ちゃんとお嫁さん出来るかな…
…ありがとう、静香ちゃん
な、泣いてないもん!
…私、絶対にプロデューサーさんと幸せになるね
…ねえ、静香ちゃん
私、ちゃんとお嫁さん出来るかな…
…ありがとう、静香ちゃん
な、泣いてないもん!
…私、絶対にプロデューサーさんと幸せになるね
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 02:02:48.45 ID:FuDgCNY0O
Pさん、Pさん!…待って!
もっと私と一緒にいてください!
…ずっと一緒にいてくれるって言ったのに!
お願い…!私を置いていかないで…!
プロデューサーさん…!
もっと私と一緒にいてください!
…ずっと一緒にいてくれるって言ったのに!
お願い…!私を置いていかないで…!
プロデューサーさん…!
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 02:05:38.64 ID:FuDgCNY0O
…みんな、泣かないで
私は、幸せだったから
だから最期は、笑って見送って欲しいな
私は、みんながいてくれて嬉しかったよ
…うん、ありがとう
…プロデューサーさん、待たせちゃったけど…今、行きますね
私は、幸せだったから
だから最期は、笑って見送って欲しいな
私は、みんながいてくれて嬉しかったよ
…うん、ありがとう
…プロデューサーさん、待たせちゃったけど…今、行きますね
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 02:07:28.69 ID:FuDgCNY0O
…もう良いのか?
はい!
…そっか
待たせちゃってごめんなさい、でも
これからはずっと一緒ですよ、プロデューサーさん♪
はい!
…そっか
待たせちゃってごめんなさい、でも
これからはずっと一緒ですよ、プロデューサーさん♪
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 02:14:16.66 ID:r2BCcpvDO
765学園物語の人かな?是非765学園物語でも未来ちゃ√を期待
乙です
乙です
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 02:41:07.60 ID:LbpQXWNWo
乙乙
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 14:57:48.84 ID:wtl6IIrko
おっつおっつ
28: ◆BAS9sRqc3g 2017/02/19(日) 16:04:29.31 ID:bHdzTsbgO
やっぱり未来は可愛いなぁ
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/19(日) 20:56:54.59 ID:JloH7YLPo
締めといい誤変換といいあの人なんだよなぁ
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/20(月) 22:52:38.61 ID:juv71rBW0
乙です
酉付けてないのに紛れ込む杏奈ちゃんと尾張名古屋で誰か分かってしまう
酉付けてないのに紛れ込む杏奈ちゃんと尾張名古屋で誰か分かってしまう
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1487432579/
Entry ⇒ 2017.02.27 | Category ⇒ ミリマス | Comments (0)