高垣楓「楓のグルメ」
1: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 13:23:33.84 ID:FzM8CPEt0
設定及び注意点
1.楓さん主演のドラマ。楓さんは本家と同じく雑貨商を営んでいる。
2.筆者は無心で飯を食べるタイプなので、文中の表現が乏しい。
3.楓さんが、酒を呑まない。(以下 その理由)
モバP「楓さん、ドラマの仕事持ってきましたよ!主演です」
楓「まぁ……気合が入ります。ところで、ドラマの中でお酒は飲めますか」
モバP「ああ、主人公が下戸って設定なので、無理です」
楓「は?」
モバP「いや、設定上そこは譲れないと先方から」
楓「お酒が呑めないなんて……酷です……残酷です」
1.楓さん主演のドラマ。楓さんは本家と同じく雑貨商を営んでいる。
2.筆者は無心で飯を食べるタイプなので、文中の表現が乏しい。
3.楓さんが、酒を呑まない。(以下 その理由)
モバP「楓さん、ドラマの仕事持ってきましたよ!主演です」
楓「まぁ……気合が入ります。ところで、ドラマの中でお酒は飲めますか」
モバP「ああ、主人公が下戸って設定なので、無理です」
楓「は?」
モバP「いや、設定上そこは譲れないと先方から」
楓「お酒が呑めないなんて……酷です……残酷です」
2: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 13:24:43.46 ID:FzM8CPEt0
第一話「港区 神谷町 南インドカレー店のビュッフェランチ」
高垣楓(神谷町……東京タワー。やっぱり、東京タワーの方がシンボルって感じするわね)
楓(む……もう十二時だわ。仕事を早く終わらせて、お昼にしましょう)
時間や社会に捕らわれず、幸福に空腹を満たす時
束の間、彼女は自分勝手になり、自由になる。
誰にも邪魔されず、気を遣わずにモノを食べるという孤高の行為
この行為こそが、現代人に平等に与えられた最高の癒しと言えるのである。
「楓のグルメ」
高垣楓(神谷町……東京タワー。やっぱり、東京タワーの方がシンボルって感じするわね)
楓(む……もう十二時だわ。仕事を早く終わらせて、お昼にしましょう)
時間や社会に捕らわれず、幸福に空腹を満たす時
束の間、彼女は自分勝手になり、自由になる。
誰にも邪魔されず、気を遣わずにモノを食べるという孤高の行為
この行為こそが、現代人に平等に与えられた最高の癒しと言えるのである。
「楓のグルメ」
3: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 13:25:18.46 ID:FzM8CPEt0
楓(さて、待ち合わせ場所は愛宕神社だったわね。ああ……ここか)
楓(出世の石段か……生憎、サラリーマンじゃないけれど、ゲン担ぎに一つ気合を入れて登ってみましょうか)
楓「はぁ…はぁ……ふぅ」
楓(結構長い石段だったわ。そして、二つ目の鳥居……依頼人はすぐそこね)
楓(折角だから、少し愛宕様にお参りでもしていこうかしら)
楓(手水舎で口と手を洗って……参道を歩いて)
楓(社殿ね。確か……二礼二拍手一礼だったかしら)
パン パン
楓(良い駄洒落を思いつけますように……と)
楓(参拝も終わったし、そろそろ依頼人の所に……)
依田芳乃「おおー、そなたはー」
楓「あっ……どうも。依田芳乃さんでしたね」
芳乃「はいー、わたくしが依田はー芳乃でしてー」
楓「どこか落ち着けるところで、商品をお渡ししましょうか」
楓(出世の石段か……生憎、サラリーマンじゃないけれど、ゲン担ぎに一つ気合を入れて登ってみましょうか)
楓「はぁ…はぁ……ふぅ」
楓(結構長い石段だったわ。そして、二つ目の鳥居……依頼人はすぐそこね)
楓(折角だから、少し愛宕様にお参りでもしていこうかしら)
楓(手水舎で口と手を洗って……参道を歩いて)
楓(社殿ね。確か……二礼二拍手一礼だったかしら)
パン パン
楓(良い駄洒落を思いつけますように……と)
楓(参拝も終わったし、そろそろ依頼人の所に……)
依田芳乃「おおー、そなたはー」
楓「あっ……どうも。依田芳乃さんでしたね」
芳乃「はいー、わたくしが依田はー芳乃でしてー」
楓「どこか落ち着けるところで、商品をお渡ししましょうか」
4: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 13:25:45.63 ID:FzM8CPEt0
芳乃「そうですねー」
楓「さて……こちらがご注文の商品です。ご確認願えますか?」
芳乃「むおー、これでございましてー。この柄ー、この艶ー、音も大変良さそうですねー」
楓「気に入って頂けましたか」
芳乃「望み通りでしてー。いやー、社まで来ていただいて、申し訳ありませんねー」
楓「いえいえ……お客様の元に商品を届けるまでが仕事ですので」
芳乃「商人の鏡ですねー。ところで参拝はいたしましてー?」
楓「はい、ここに来てすぐ」
芳乃「それは良いのでしてー。では、わたくしはこれでお暇させていただきましてー」
楓「はい、また何かありましたら、ご連絡を」
楓(何だか変わった子だったわね。神社に馴染んでるというか……む)
楓(十二時半……時間を意識し始めたら)
楓(お腹が……減った)
楓「さて……こちらがご注文の商品です。ご確認願えますか?」
芳乃「むおー、これでございましてー。この柄ー、この艶ー、音も大変良さそうですねー」
楓「気に入って頂けましたか」
芳乃「望み通りでしてー。いやー、社まで来ていただいて、申し訳ありませんねー」
楓「いえいえ……お客様の元に商品を届けるまでが仕事ですので」
芳乃「商人の鏡ですねー。ところで参拝はいたしましてー?」
楓「はい、ここに来てすぐ」
芳乃「それは良いのでしてー。では、わたくしはこれでお暇させていただきましてー」
楓「はい、また何かありましたら、ご連絡を」
楓(何だか変わった子だったわね。神社に馴染んでるというか……む)
楓(十二時半……時間を意識し始めたら)
楓(お腹が……減った)
5: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 13:26:11.32 ID:FzM8CPEt0
スタスタ
楓(駅に戻るまでに何か美味しそうなものを見つけよう……)
楓(ラーメンって気分じゃないし……ソフトクリームも美味しそうだけど……お昼に食べるものじゃないわね……牛丼は安直すぎるし……とすると)
楓(パスタと……カレーか……)
楓(パスタは……橘のイチゴパスタ……地雷臭がするわね。とするとカレーなんだけど……ビュッフェスタイルか……お腹も空いてるし、ここにしよう)
店員「イラッシャイマセ」
楓(店員は、皆インドの人なのかしら……いきなり本格的だわ)
店員「オヒトリサマで?」
楓「はい、一人です」
店員「ゴアンナイイタシマス」
楓(さて……店員もそうだけど、他のお客もインド人……日本人が少数派……新鮮だわ)
楓(さぁ……早速、食べましょうか)
楓(駅に戻るまでに何か美味しそうなものを見つけよう……)
楓(ラーメンって気分じゃないし……ソフトクリームも美味しそうだけど……お昼に食べるものじゃないわね……牛丼は安直すぎるし……とすると)
楓(パスタと……カレーか……)
楓(パスタは……橘のイチゴパスタ……地雷臭がするわね。とするとカレーなんだけど……ビュッフェスタイルか……お腹も空いてるし、ここにしよう)
店員「イラッシャイマセ」
楓(店員は、皆インドの人なのかしら……いきなり本格的だわ)
店員「オヒトリサマで?」
楓「はい、一人です」
店員「ゴアンナイイタシマス」
楓(さて……店員もそうだけど、他のお客もインド人……日本人が少数派……新鮮だわ)
楓(さぁ……早速、食べましょうか)
6: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 13:28:33.05 ID:FzM8CPEt0
楓(おおっ、カレーが沢山、より取り見取りだわ……それに皆、いい香りだわ……期待に胸が膨らむわ)
楓(カレー用のお皿は二つまで……成るほど、これだけカレーがあると一気に取って食べたくなっちゃうから、お皿が無くなっちゃうものね。……さてと)
楓(ご飯はサフランライスかしら……あとは……なんじゃこりゃ)
楓(ケララパロタ?ナンより重い……厚いクレープみたいだわ。取りあえず二枚取っておきましょうか)
楓(カレーはとりあえず……ジンジャーチキンカレーと……ベじ…はいどばら?良く分からないけれど野菜カレーみたいだからこれにしましょうか。一先ず、このくらいで)
楓「よし……頂きます」
楓(ケララパロタをまずは食べてみよう。チキンカレーに漬けてっと)
楓「あむ…はむ…あぐっ」
楓(美味しい……辛いけど、辛いだけじゃない。スパイスの奥深さってものを感じるわ)
楓(それに……ケララパロタも最初見たときは何じゃこりゃと思ったけど……いいじゃないか)
楓(普段見かけるナンとは違って、少し重くて密度があるけれど……歯ごたえがあって、モチモチしてる……。そして……カレーともよく合う)
楓(ナンだけじゃない。新しい発見をしたわ)
楓(カレー用のお皿は二つまで……成るほど、これだけカレーがあると一気に取って食べたくなっちゃうから、お皿が無くなっちゃうものね。……さてと)
楓(ご飯はサフランライスかしら……あとは……なんじゃこりゃ)
楓(ケララパロタ?ナンより重い……厚いクレープみたいだわ。取りあえず二枚取っておきましょうか)
楓(カレーはとりあえず……ジンジャーチキンカレーと……ベじ…はいどばら?良く分からないけれど野菜カレーみたいだからこれにしましょうか。一先ず、このくらいで)
楓「よし……頂きます」
楓(ケララパロタをまずは食べてみよう。チキンカレーに漬けてっと)
楓「あむ…はむ…あぐっ」
楓(美味しい……辛いけど、辛いだけじゃない。スパイスの奥深さってものを感じるわ)
楓(それに……ケララパロタも最初見たときは何じゃこりゃと思ったけど……いいじゃないか)
楓(普段見かけるナンとは違って、少し重くて密度があるけれど……歯ごたえがあって、モチモチしてる……。そして……カレーともよく合う)
楓(ナンだけじゃない。新しい発見をしたわ)
7: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 13:28:59.81 ID:FzM8CPEt0
楓(ベジカレーの方も、おおっ……カレーというよりはスープって感じだけど……味は濃厚でしっかりスパイシー……なるほど、インドにベジタリアンが多い理由が分かるわ)
楓「ふぅ……まだ足りないわね」
楓(今度は、このチリチキンみたいなやつと…モグラヒチキン……モグラカレーと)
楓(さっきから気になっていた君にしよう。ワダくん。ドーナツみたいだけど変な名前だ)
楓(さぁ……第二戦だ)
楓(まずはチリチキンから……)
楓「うん……いいじゃないか、いいじゃないか」
楓(想像通りの味だわ……うん、辛い。食が進む)
楓(さて……次はワダ君にしよう。まずはカレーにつけないで一口……)
楓「んっ……これはこれは」
楓(ドーナツみたいだからパン生地かと思ったけど……フワフワしてる。ゆるふわだ……ゆるふワダ。ふふっ……)
楓(さぁ、今度はカレーに浸けて……モグラカレーにしよう)
楓(ほぉ……モグラカレーも侮れない味だ……カレー軍団の中でもしっかり個性を確立してる。辛みが強く……そして鶏肉が柔らかい)
楓「んふふっ……」
楓「ふぅ……まだ足りないわね」
楓(今度は、このチリチキンみたいなやつと…モグラヒチキン……モグラカレーと)
楓(さっきから気になっていた君にしよう。ワダくん。ドーナツみたいだけど変な名前だ)
楓(さぁ……第二戦だ)
楓(まずはチリチキンから……)
楓「うん……いいじゃないか、いいじゃないか」
楓(想像通りの味だわ……うん、辛い。食が進む)
楓(さて……次はワダ君にしよう。まずはカレーにつけないで一口……)
楓「んっ……これはこれは」
楓(ドーナツみたいだからパン生地かと思ったけど……フワフワしてる。ゆるふわだ……ゆるふワダ。ふふっ……)
楓(さぁ、今度はカレーに浸けて……モグラカレーにしよう)
楓(ほぉ……モグラカレーも侮れない味だ……カレー軍団の中でもしっかり個性を確立してる。辛みが強く……そして鶏肉が柔らかい)
楓「んふふっ……」
8: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 13:29:26.15 ID:FzM8CPEt0
楓(さぁ、残りのカレーを制覇しよう。……ラストスパートだ)
楓(サフランライスを多めに持って……ワダを一つ……ワダのお供には、この狙ったかのように置いてあるサンバルカレー……そしてライスにはモグラカレーをどばぁーっと)
楓(よし……完璧だ)
楓「はむっ……がつ……あむ…」
楓(ライスにカレー……ライスカレー。まさに王道を征く味だ……美味しい)
楓(サンバルカレーはどうかしら……うん、優しい味だ。お豆のカレー……オクラも入ってるわ……いいぞぉ。ワダとの相性も抜群……ナンに負けてないぞ)
楓(いいなぁ……このお店。どれを食べてもスパイシーで……辛いだけじゃない奥深さを感じる)
楓(あと一巡できそうだけど……残してしまうとマズい。これで終わりとするか……)
楓「……ご馳走さまでした」
楓(会計はこのレジでするのね……あっ!!)
楓(タピオカ……デザートがあったのか……くぅっ……惜しい、ただただ惜しい)
楓(ごめんなさい……今度来るときは忘れないわ)
楓「ふぅ……」
楓(南インドカレー……香辛料に彩られた良いお昼だった)
楓(タピオカ……必ずまた来るわ)
楓(さぁ……午後の仕事も頑張るぞ……)
楓(サフランライスを多めに持って……ワダを一つ……ワダのお供には、この狙ったかのように置いてあるサンバルカレー……そしてライスにはモグラカレーをどばぁーっと)
楓(よし……完璧だ)
楓「はむっ……がつ……あむ…」
楓(ライスにカレー……ライスカレー。まさに王道を征く味だ……美味しい)
楓(サンバルカレーはどうかしら……うん、優しい味だ。お豆のカレー……オクラも入ってるわ……いいぞぉ。ワダとの相性も抜群……ナンに負けてないぞ)
楓(いいなぁ……このお店。どれを食べてもスパイシーで……辛いだけじゃない奥深さを感じる)
楓(あと一巡できそうだけど……残してしまうとマズい。これで終わりとするか……)
楓「……ご馳走さまでした」
楓(会計はこのレジでするのね……あっ!!)
楓(タピオカ……デザートがあったのか……くぅっ……惜しい、ただただ惜しい)
楓(ごめんなさい……今度来るときは忘れないわ)
楓「ふぅ……」
楓(南インドカレー……香辛料に彩られた良いお昼だった)
楓(タピオカ……必ずまた来るわ)
楓(さぁ……午後の仕事も頑張るぞ……)
9: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 13:46:38.30 ID:FzM8CPEt0
CM「ちゅ」
ちひろ「大体、名アイドルはワンテイクOKですよね」
監督「よく聞きます」
のあ「私も、テイクワンに最も集中するから……任せなさい」
のあ「……では、始めましょうか」
脚本「マンションはチヒロハウス」
のあ「へぇ……チヒロハウスはちひろの会社なのね……」
監督「ニュアンスは、のあさんにお任せします。テイクワンよーい!」
カチッ
のあ「マンションも……チヒロハウチュ」キリッ
ちひろ「大体、名アイドルはワンテイクOKですよね」
監督「よく聞きます」
のあ「私も、テイクワンに最も集中するから……任せなさい」
のあ「……では、始めましょうか」
脚本「マンションはチヒロハウス」
のあ「へぇ……チヒロハウスはちひろの会社なのね……」
監督「ニュアンスは、のあさんにお任せします。テイクワンよーい!」
カチッ
のあ「マンションも……チヒロハウチュ」キリッ
10: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 13:47:08.29 ID:FzM8CPEt0
ちひろ「…………」
スタッフ「…………ちゅ?」
監督「のあさん……今、微妙にハウスがハウチュに……」
のあ「だって……」
のあ「ハウチュ」「ハウチュ」キリッ 「ハウチュ」ドヤッ
ちひろ「……あはは」
のあ「もういい。もう一回やりましょう」
監督「ありがとうございます!」
のあ「ハウスッ……!ハウスッ!」
監督「では、テイクツーよーい!」カチッ
スタッフ「…………ちゅ?」
監督「のあさん……今、微妙にハウスがハウチュに……」
のあ「だって……」
のあ「ハウチュ」「ハウチュ」キリッ 「ハウチュ」ドヤッ
ちひろ「……あはは」
のあ「もういい。もう一回やりましょう」
監督「ありがとうございます!」
のあ「ハウスッ……!ハウスッ!」
監督「では、テイクツーよーい!」カチッ
11: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 13:47:40.30 ID:FzM8CPEt0
のあ「マンションも……チヒロハウチュ」
監督「なんで……チヒロハウチュなんだ……」
のあ「…………っ」
マンションもチヒロハウチュ
監督「なんで……チヒロハウチュなんだ……」
のあ「…………っ」
マンションもチヒロハウチュ
15: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 16:28:44.86 ID:FzM8CPEt0
第二話「新宿区 高田馬場のロシア料理」
楓(初めて降りたけど……学生がいっぱいね)
楓(電車に乗っている間にも、いろいろな学校が見えたし……学生街なのかしら)
時間や社会に捕らわれず、幸福に空腹を満たす時
束の間、彼女は自分勝手になり、自由になる。
誰にも邪魔されず、気を遣わずにモノを食べるという孤高の行為
この行為こそが、現代人に平等に与えられた最高の癒しと言えるのである。
「楓のグルメ」
楓(初めて降りたけど……学生がいっぱいね)
楓(電車に乗っている間にも、いろいろな学校が見えたし……学生街なのかしら)
時間や社会に捕らわれず、幸福に空腹を満たす時
束の間、彼女は自分勝手になり、自由になる。
誰にも邪魔されず、気を遣わずにモノを食べるという孤高の行為
この行為こそが、現代人に平等に与えられた最高の癒しと言えるのである。
「楓のグルメ」
16: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 16:29:14.67 ID:FzM8CPEt0
スタスタ
楓(ビッグボックス……歓迎しよう!盛大になっ)
楓(と遊ぶのはこれくらいにして、早く仕事を済ませてしまいましょう)
楓(三丁目……この喫茶店か……シーサイドキャット)
ガチャリ
高峯のあ「いらっしゃいませ」
楓「ああ……私、昨日お電話した高垣楓です」
楓(メイド服……普通の喫茶店にそれは……)
のあ「昨日の……思い出しました。貴方が高垣さんですね」
楓「はい。早速ですが、猫のオブジェをお探しとの事で……」
のあ「ええ。ですがオブジェ……とは言っても、私が探しているのは只の猫のオブジェではありません」
楓「と言いますと?」
のあ「猫であるが猫でない。そういったオブジェです」
楓「普通の猫のオブジェではダメなんですよね?」
楓(ビッグボックス……歓迎しよう!盛大になっ)
楓(と遊ぶのはこれくらいにして、早く仕事を済ませてしまいましょう)
楓(三丁目……この喫茶店か……シーサイドキャット)
ガチャリ
高峯のあ「いらっしゃいませ」
楓「ああ……私、昨日お電話した高垣楓です」
楓(メイド服……普通の喫茶店にそれは……)
のあ「昨日の……思い出しました。貴方が高垣さんですね」
楓「はい。早速ですが、猫のオブジェをお探しとの事で……」
のあ「ええ。ですがオブジェ……とは言っても、私が探しているのは只の猫のオブジェではありません」
楓「と言いますと?」
のあ「猫であるが猫でない。そういったオブジェです」
楓「普通の猫のオブジェではダメなんですよね?」
17: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 16:29:42.54 ID:FzM8CPEt0
のあ「普通……普通という言葉を人々は良く使いますが……普通とは何でしょうか?私はよく普通でないと言われますが……何をどうすると普通なんて……一体誰が決めたのでしょうか」
楓(マズい……この人、私より厄介なタイプだ)
のあ「ところで、コーヒーはいかがでしょうか?」
楓「あっ……頂きます」
のあ「砂糖は?」
楓「お願いします」
のあ「どうぞ」
楓「ありがとうございま……」
のあ「とうっ……」
楓「あれ……消えちゃいました」
のあ「こちらに」スゥ
楓「まぁ!凄いですね。どうやってやってるんですか?」
のあ「それは……営業秘密という事で」
楓「では……もう一回だけ見せていただけますか」
のあ「ふふ……はぁっ」
楓「たぁ」
楓(マズい……この人、私より厄介なタイプだ)
のあ「ところで、コーヒーはいかがでしょうか?」
楓「あっ……頂きます」
のあ「砂糖は?」
楓「お願いします」
のあ「どうぞ」
楓「ありがとうございま……」
のあ「とうっ……」
楓「あれ……消えちゃいました」
のあ「こちらに」スゥ
楓「まぁ!凄いですね。どうやってやってるんですか?」
のあ「それは……営業秘密という事で」
楓「では……もう一回だけ見せていただけますか」
のあ「ふふ……はぁっ」
楓「たぁ」
18: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 16:30:18.24 ID:FzM8CPEt0
楓(取れちゃった)
のあ「……どうしてお取りに?」
楓「取れるかなって思いまして」
のあ「思っても取らないでしょう……普通」
楓(今……普通って言った)
楓「それでは、後日、資料をお送り致しますので……私はこれで」
のあ「はい……それではまた後日」
ガチャン
のあ「彼女……きっといいオブジェを見つけてくれるわね」
楓(難しいお客様だったわ……それに、難しい話をしていたら)
楓(お腹が……減った)
のあ「……どうしてお取りに?」
楓「取れるかなって思いまして」
のあ「思っても取らないでしょう……普通」
楓(今……普通って言った)
楓「それでは、後日、資料をお送り致しますので……私はこれで」
のあ「はい……それではまた後日」
ガチャン
のあ「彼女……きっといいオブジェを見つけてくれるわね」
楓(難しいお客様だったわ……それに、難しい話をしていたら)
楓(お腹が……減った)
19: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 16:30:52.22 ID:FzM8CPEt0
スタスタ
楓(ハンバーグ……焼鳥……どれもしっくり来ない。焦るな……落ち着け……私はお腹が減っているだけなんだ)
楓(……!このビル、結構お店が入ってるわ。少し見て行こう)
楓(うどん……新しい出会いがありそうで釣られるけれど……ロシア料理……いいなぁ。ここにしよう)
ガチャリ
アーニャ「いらっしゃいませ、お一人様ですか?」
楓「はい、一人です」
楓(可愛い店員だわ……)
アーニャ「ではお席にご案内します。コートはあちらに懸けてください」
楓「ここで?」
アーニャ「はい。あ……こちらがメニューです」
楓「どうも」
アーニャ「モスクワセットの料理はアイナメのソテーで、トーポリセットのお肉料理はタバカ……アー……鳥の圧焼のサワークリーム添えです」
楓「ありがとうございます」
楓(さてさて……何を食べようかな。……ん?)
楓(”つぼ焼きは天火で焼いているので熱いです。紙ナプキン等を使い、パイを外してお召し上がりください“か。へぇ、つぼ焼きか……いいじゃないか)
楓(あと……ウォッカは巷で言われているほど強いお酒ではありません。ウォッカを一杯飲み、その後水を飲んで香りをお楽しみください“……残酷だ。残酷です)
楓(とりあえず、つぼ焼きは食べてみたいな。あとピロシキも食べたいし……とすると、トロイカセット……ボルシチとつぼ焼きとピロシキ、そして食後はロシアンティー。決めた)
楓「すみません」
アーニャ「はい」
楓「この……トロイカセットを一つ」
アーニャ「トロイカセット……ですね。少々お待ちください」
楓(ハンバーグ……焼鳥……どれもしっくり来ない。焦るな……落ち着け……私はお腹が減っているだけなんだ)
楓(……!このビル、結構お店が入ってるわ。少し見て行こう)
楓(うどん……新しい出会いがありそうで釣られるけれど……ロシア料理……いいなぁ。ここにしよう)
ガチャリ
アーニャ「いらっしゃいませ、お一人様ですか?」
楓「はい、一人です」
楓(可愛い店員だわ……)
アーニャ「ではお席にご案内します。コートはあちらに懸けてください」
楓「ここで?」
アーニャ「はい。あ……こちらがメニューです」
楓「どうも」
アーニャ「モスクワセットの料理はアイナメのソテーで、トーポリセットのお肉料理はタバカ……アー……鳥の圧焼のサワークリーム添えです」
楓「ありがとうございます」
楓(さてさて……何を食べようかな。……ん?)
楓(”つぼ焼きは天火で焼いているので熱いです。紙ナプキン等を使い、パイを外してお召し上がりください“か。へぇ、つぼ焼きか……いいじゃないか)
楓(あと……ウォッカは巷で言われているほど強いお酒ではありません。ウォッカを一杯飲み、その後水を飲んで香りをお楽しみください“……残酷だ。残酷です)
楓(とりあえず、つぼ焼きは食べてみたいな。あとピロシキも食べたいし……とすると、トロイカセット……ボルシチとつぼ焼きとピロシキ、そして食後はロシアンティー。決めた)
楓「すみません」
アーニャ「はい」
楓「この……トロイカセットを一つ」
アーニャ「トロイカセット……ですね。少々お待ちください」
20: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 16:31:21.86 ID:FzM8CPEt0
楓「はい」
楓(さっきまでメニューに集中していて気が付かなかったけれど……いい雰囲気だわ、このお店)
楓(調度品もしっかりしてて……レトロな欧風レストランって感じで、おしゃれ……)
楓(ただ……目の前にウォッカの瓶があるのはいただけない。……目に毒だ)
アーニャ「こちら、サラダになります」
楓「あっ、どうも」
楓(サラダはレタスにきゅうり……あと人参とトレビスに、フレンチドレッシングか……うん、無難で悪くない)
アーニャ「こちら……ボルシチになります。サワークリームを溶かして召し上がってください」
楓(おおっ……来た来た。ロシアの代名詞)
楓「頂きます」
楓(サワークリームを溶かしてっと……一口)
楓(さっきまでメニューに集中していて気が付かなかったけれど……いい雰囲気だわ、このお店)
楓(調度品もしっかりしてて……レトロな欧風レストランって感じで、おしゃれ……)
楓(ただ……目の前にウォッカの瓶があるのはいただけない。……目に毒だ)
アーニャ「こちら、サラダになります」
楓「あっ、どうも」
楓(サラダはレタスにきゅうり……あと人参とトレビスに、フレンチドレッシングか……うん、無難で悪くない)
アーニャ「こちら……ボルシチになります。サワークリームを溶かして召し上がってください」
楓(おおっ……来た来た。ロシアの代名詞)
楓「頂きます」
楓(サワークリームを溶かしてっと……一口)
21: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 16:32:23.33 ID:FzM8CPEt0
楓(んぅー……美味しい。野菜と牛肉のコクとビーツがしっかりマッチしている。さっぱりしているけど薄すぎない。ベストな感じだわ)
楓(玉ねぎ、ニンジン……キャベツもか。具だくさんで結構結構)
楓(そして牛肉……ボルシチがしっかり滲みてる。味わい深い)
アーニャ「ふふ……美味しいですか?」
楓「はい!とっても」
アーニャ「嬉しいです。ではピロシキもどうぞ。熱いので気を付けてくださいね」
楓(ピロシキ……アツアツだ。さてお味は……)
楓「はふ……はふ……はぐっ」
楓(うわぁ……中身がぎっしり、ひき肉で……男の子の味ね。でも油っこくない)
楓(おっと……気を付けて食べないとこぼしそうになるわね。春雨もしっかりアクセントとしての役目を果たしている。)
楓(ふぅ……二品ともペロリと食べてしまった。もう少し味わって食べればよかったな……)
アーニャ「こちらが、つぼ焼きです。熱いので気を付けてくださいね」
楓「はい、どうも」
楓(来たな……つぼ焼き。さて、紙ナプキンと使ってっと)
楓(玉ねぎ、ニンジン……キャベツもか。具だくさんで結構結構)
楓(そして牛肉……ボルシチがしっかり滲みてる。味わい深い)
アーニャ「ふふ……美味しいですか?」
楓「はい!とっても」
アーニャ「嬉しいです。ではピロシキもどうぞ。熱いので気を付けてくださいね」
楓(ピロシキ……アツアツだ。さてお味は……)
楓「はふ……はふ……はぐっ」
楓(うわぁ……中身がぎっしり、ひき肉で……男の子の味ね。でも油っこくない)
楓(おっと……気を付けて食べないとこぼしそうになるわね。春雨もしっかりアクセントとしての役目を果たしている。)
楓(ふぅ……二品ともペロリと食べてしまった。もう少し味わって食べればよかったな……)
アーニャ「こちらが、つぼ焼きです。熱いので気を付けてくださいね」
楓「はい、どうも」
楓(来たな……つぼ焼き。さて、紙ナプキンと使ってっと)
22: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 16:32:50.10 ID:FzM8CPEt0
楓「ふん……ふぬぬ」
楓(このパイ……やりおる)
楓(もう一回チャレンジ……よし、取れた)
楓(それにしても、このパイ……良いバターの香りがするなぁでもまずはシチューを食べよう。)
楓「あむっ……」
楓(ふふ……美味しい。生クリームがしっかり効いた濃厚なシチューだ。……パイをつけて食べると……おおー、パイのバター味とシチューの風味が合って、深い……深いぞぉ)
楓(シチュー単体でも美味しいけど……パイが加わることによってもっと美味しくなってるなぁ)
楓(ロシア料理……寒い国ならではの身も心も豊かになる味だ……)
アーニャ「こちら、ロシアンティーになります」
楓「これは……中にジャムが入ってるんですよね?」
アーニャ「はい。ジャムを入れて飲むのはウクライナの飲み方なんですけど、ロシアでもこの飲み方をする人はいるので……ロシアでは、ジャムをスプーンで口に含みながら飲むんですよ」
楓「へぇー」
楓(知らなかった……)
アーニャ「それでは、ごゆっくり」
楓(ふふふ…ナイストリビア)
楓(このパイ……やりおる)
楓(もう一回チャレンジ……よし、取れた)
楓(それにしても、このパイ……良いバターの香りがするなぁでもまずはシチューを食べよう。)
楓「あむっ……」
楓(ふふ……美味しい。生クリームがしっかり効いた濃厚なシチューだ。……パイをつけて食べると……おおー、パイのバター味とシチューの風味が合って、深い……深いぞぉ)
楓(シチュー単体でも美味しいけど……パイが加わることによってもっと美味しくなってるなぁ)
楓(ロシア料理……寒い国ならではの身も心も豊かになる味だ……)
アーニャ「こちら、ロシアンティーになります」
楓「これは……中にジャムが入ってるんですよね?」
アーニャ「はい。ジャムを入れて飲むのはウクライナの飲み方なんですけど、ロシアでもこの飲み方をする人はいるので……ロシアでは、ジャムをスプーンで口に含みながら飲むんですよ」
楓「へぇー」
楓(知らなかった……)
アーニャ「それでは、ごゆっくり」
楓(ふふふ…ナイストリビア)
23: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 16:33:22.18 ID:FzM8CPEt0
楓(うん、紅茶も濃い目の紅茶にイチゴジャムが合わさって、良い酸味だわ)
楓「ふぅ……ご馳走様でした」
楓(ロシア料理……初めて食べたけど、寒い国ならではの豊かな味わいだったわ)
楓(さて……そろそろお会計を済ませて、お店を出るか)
楓(ピロシキ……テイクアウトまであるのか)
楓「すみません、ピロシキってテイクアウト出来るんですか?」
アーニャ「はい、いくつ食べますか?」
楓「とりあえず四個お願いします」
アーニャ「はい。少し待っててくださいね」
楓「ふぅ……ご馳走様でした」
楓(ロシア料理……初めて食べたけど、寒い国ならではの豊かな味わいだったわ)
楓(さて……そろそろお会計を済ませて、お店を出るか)
楓(ピロシキ……テイクアウトまであるのか)
楓「すみません、ピロシキってテイクアウト出来るんですか?」
アーニャ「はい、いくつ食べますか?」
楓「とりあえず四個お願いします」
アーニャ「はい。少し待っててくださいね」
24: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 16:34:58.44 ID:FzM8CPEt0
客1「白いの、何食べる?」
客2「私、つぼ焼き、所望!!」
客1「なら、私、トーポリ。白いのは、トロイカ、注文」
客2「うい!注文!」
楓(ふふふ……ウェルカム、ウェルカム)
アーニャ「こちらピロシキです」
楓「はい。どうも」
アーニャ「またのご来店をお待ちしてます」
楓(さぁ……ピロシキをお供に、午後の書類作成といきますか)
客2「私、つぼ焼き、所望!!」
客1「なら、私、トーポリ。白いのは、トロイカ、注文」
客2「うい!注文!」
楓(ふふふ……ウェルカム、ウェルカム)
アーニャ「こちらピロシキです」
楓「はい。どうも」
アーニャ「またのご来店をお待ちしてます」
楓(さぁ……ピロシキをお供に、午後の書類作成といきますか)
25: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 16:49:43.70 ID:FzM8CPEt0
CM「ぴにゃこら太」
のあ「へぇ……立派なマンションね。チヒロハウス……?」
穂乃香「……はい」
ちひろ「カーット!!」
ちひろ「いやーいい演技でしたよ、のあさん」
のあ「どうも……」
ちひろ「次のカットの事で相談なんですけど……」
ちひろ「どうですか?」
ぴにゃこら太「」デン
のあ「……ぴにゃこら太?」
ちひろ「違います。ぴにゃ↑こら太です」
のあ「ぴにゃこら太……」
ちひろ「これを着て欲しいんですよ、のあさん」
のあ(何で……ぴにゃこら太なのかしら……)
ぴにゃこら太「ぴにゃこら太ぁッ」
のあ「へぇ……立派なマンションね。チヒロハウス……?」
穂乃香「……はい」
ちひろ「カーット!!」
ちひろ「いやーいい演技でしたよ、のあさん」
のあ「どうも……」
ちひろ「次のカットの事で相談なんですけど……」
ちひろ「どうですか?」
ぴにゃこら太「」デン
のあ「……ぴにゃこら太?」
ちひろ「違います。ぴにゃ↑こら太です」
のあ「ぴにゃこら太……」
ちひろ「これを着て欲しいんですよ、のあさん」
のあ(何で……ぴにゃこら太なのかしら……)
ぴにゃこら太「ぴにゃこら太ぁッ」
26: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 16:50:14.14 ID:FzM8CPEt0
穂乃香「行ってしまうんですか?」
穂乃香「ぴにゃこら太っ!行かないでくださいっ」
のあ「……素晴らしいマンションだったわっ」
タッタッタッ
ちひろ「はい、カーット!!」
のあ「………………暑い」
ちひろ「いやぁーいい演技でしたよ、のあさん」
のあ「……どうも」
ちひろ「じゃあ次のシーンに」
のあ「……監督」
穂乃香「ぴにゃこら太っ!行かないでくださいっ」
のあ「……素晴らしいマンションだったわっ」
タッタッタッ
ちひろ「はい、カーット!!」
のあ「………………暑い」
ちひろ「いやぁーいい演技でしたよ、のあさん」
のあ「……どうも」
ちひろ「じゃあ次のシーンに」
のあ「……監督」
27: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 16:50:42.74 ID:FzM8CPEt0
ちひろ「どうしました?」
のあ「この衣装と……マンションの間に何の関係があるのかしら」
ちひろ「関係?ある訳ないじゃないですか、のあさん」
のあ「な……っ…………何!?」
ぴにゃこら太「ピニャコラタァッ」
デン デン デン!!
のあ「チヒロハウス」
のあ「この衣装と……マンションの間に何の関係があるのかしら」
ちひろ「関係?ある訳ないじゃないですか、のあさん」
のあ「な……っ…………何!?」
ぴにゃこら太「ピニャコラタァッ」
デン デン デン!!
のあ「チヒロハウス」
30: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 18:08:07.32 ID:FzM8CPEt0
第三話「千代田区 秋葉原のせせり丼」
楓(秋葉原……昔はオタクの町で有名だったけど……最近ではその頃の面影が無くなってきてる)
楓(それに……人も増えたなぁ)
楓(こう人も増えると昔みたいにコスプレした人も減って……)
蘭子「いざ、猛虎の牙城に侵攻せんっ!!(まずはとら○あなに行きましょう!!)」
飛鳥「ふふ、行先は君に任せよう」
凛「ねぇ、私達目立ってないかな」
奏「大丈夫よ、似合ってるわ」
楓(う……黒歴史を思い出す)
時間や社会に捕らわれず、幸福に空腹を満たす時
束の間、彼女は自分勝手になり、自由になる。
誰にも邪魔されず、気を遣わずにモノを食べるという孤高の行為
この行為こそが、現代人に平等に与えられた最高の癒しと言えるのである。
「楓のグルメ」
楓(秋葉原……昔はオタクの町で有名だったけど……最近ではその頃の面影が無くなってきてる)
楓(それに……人も増えたなぁ)
楓(こう人も増えると昔みたいにコスプレした人も減って……)
蘭子「いざ、猛虎の牙城に侵攻せんっ!!(まずはとら○あなに行きましょう!!)」
飛鳥「ふふ、行先は君に任せよう」
凛「ねぇ、私達目立ってないかな」
奏「大丈夫よ、似合ってるわ」
楓(う……黒歴史を思い出す)
時間や社会に捕らわれず、幸福に空腹を満たす時
束の間、彼女は自分勝手になり、自由になる。
誰にも邪魔されず、気を遣わずにモノを食べるという孤高の行為
この行為こそが、現代人に平等に与えられた最高の癒しと言えるのである。
「楓のグルメ」
31: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 18:08:39.66 ID:FzM8CPEt0
楓(さてと……メイドカフェウサミンだったかしら?……見つけた)
ガチャリ
心「いらっしゃいませー☆お一人様ですかぁー☆」
楓「あの……私、安部菜々さんに用がありまして」
心「菜々店長に?ちょおっと待ってろー☆菜々さーん!!」
菜々「はいはーい!あ!楓ちゃんじゃないですかー!!久しぶりですねっ」
楓「はい、お久しぶりです、菜々先輩」
菜々「ちょっと楓ちゃん!先輩とか言っちゃダメですー!」
楓「えっ……」
菜々「菜々は今十七歳ですからね!!」
楓「は……はぁ」
楓(わ……訳が分からないわ)
ツンツン
楓「ん?」
心「察しろ☆」
楓(ああ、メイドの時は十七歳って事なのか……大変だなぁ)
ガチャリ
心「いらっしゃいませー☆お一人様ですかぁー☆」
楓「あの……私、安部菜々さんに用がありまして」
心「菜々店長に?ちょおっと待ってろー☆菜々さーん!!」
菜々「はいはーい!あ!楓ちゃんじゃないですかー!!久しぶりですねっ」
楓「はい、お久しぶりです、菜々先輩」
菜々「ちょっと楓ちゃん!先輩とか言っちゃダメですー!」
楓「えっ……」
菜々「菜々は今十七歳ですからね!!」
楓「は……はぁ」
楓(わ……訳が分からないわ)
ツンツン
楓「ん?」
心「察しろ☆」
楓(ああ、メイドの時は十七歳って事なのか……大変だなぁ)
32: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 18:09:06.90 ID:FzM8CPEt0
楓「ところで菜々せ……菜々ちゃん」
菜々「はい!何ですか?」
楓「先日、お電話いただいた件なんですけど……一応サンプルを持って来たんですけど」
菜々「うわぁーっ、可愛い置物ですね」
楓「はい。可愛い兎の置物という事だったので」
菜々「楓ちゃんに頼んで正解でしたね。ではこれでお願いします」
楓「はい、じゃあ後日、品物をお送りしますね」
菜々「はい!その時にはパフェを作ってお待ちしてますね!」
バタン
菜々「はい!何ですか?」
楓「先日、お電話いただいた件なんですけど……一応サンプルを持って来たんですけど」
菜々「うわぁーっ、可愛い置物ですね」
楓「はい。可愛い兎の置物という事だったので」
菜々「楓ちゃんに頼んで正解でしたね。ではこれでお願いします」
楓「はい、じゃあ後日、品物をお送りしますね」
菜々「はい!その時にはパフェを作ってお待ちしてますね!」
バタン
33: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 18:09:36.97 ID:FzM8CPEt0
楓(高校時代の先輩が店をやってるとは聞いていたけど……メイドカフェだったとは)
楓(でも楽しそうだったなぁ。良かった良かった)
楓(でも私は良くないな。お腹が……減った)
楓(今日は時間もあるし、吟味しながら探そう)
楓(秋葉原……ラーメンとかカレーとか牛丼もあるけれど……がっつりした物は食べたい気分じゃないわ)
楓(こう……お昼ご飯って感じのが食べたい)
楓(そうこうしているうちに……駅の方まで戻ってきてしまった。……あれ、あれいいんじゃないかしら)
楓(居酒屋だけど……お昼もやってる。それに、“お昼ご飯出来ました”この暖簾がいいじゃないか)
楓(私のお昼ご飯……決定)
楓(でも楽しそうだったなぁ。良かった良かった)
楓(でも私は良くないな。お腹が……減った)
楓(今日は時間もあるし、吟味しながら探そう)
楓(秋葉原……ラーメンとかカレーとか牛丼もあるけれど……がっつりした物は食べたい気分じゃないわ)
楓(こう……お昼ご飯って感じのが食べたい)
楓(そうこうしているうちに……駅の方まで戻ってきてしまった。……あれ、あれいいんじゃないかしら)
楓(居酒屋だけど……お昼もやってる。それに、“お昼ご飯出来ました”この暖簾がいいじゃないか)
楓(私のお昼ご飯……決定)
34: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 18:10:07.03 ID:FzM8CPEt0
楓(地下にあるのね。地下は好きだわ、落ち着いてて)
美優「いらっしゃいませ、お一人様ですか?」
楓「はい、一人です」
美優「カウンターの……左から四番目の席が空いてますので、そこに座ってください」
楓(店の雰囲気は……悪くない。さて、メニューは……せせり丼?せせりって何なのかしら……気になるわ)
楓「すみません、せせりって……何ですか?」
美優「鶏の首の方のお肉です。身が締まってコリコリしてとっても美味しいですよ」
楓「じゃあ、せせり丼一つ」
美優「はい、せせり丼一つですね。千秋ちゃん、せせり丼一つ」
千秋「はい、せせりですね」
楓(コリコリ……どんなお肉なんだろう。楽しみね)
翠「こちら、お通しになります。お食べになってお待ちください」
楓「では……頂きます」
美優「いらっしゃいませ、お一人様ですか?」
楓「はい、一人です」
美優「カウンターの……左から四番目の席が空いてますので、そこに座ってください」
楓(店の雰囲気は……悪くない。さて、メニューは……せせり丼?せせりって何なのかしら……気になるわ)
楓「すみません、せせりって……何ですか?」
美優「鶏の首の方のお肉です。身が締まってコリコリしてとっても美味しいですよ」
楓「じゃあ、せせり丼一つ」
美優「はい、せせり丼一つですね。千秋ちゃん、せせり丼一つ」
千秋「はい、せせりですね」
楓(コリコリ……どんなお肉なんだろう。楽しみね)
翠「こちら、お通しになります。お食べになってお待ちください」
楓「では……頂きます」
35: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 18:11:16.51 ID:FzM8CPEt0
楓(お通しか、どれどれ……ポテトサラダに梅干にもやしの胡麻和え……ベーシックだけどそれが良い)
楓(味も……うん、美味しい。お酒と一緒に食べたら、もっと美味しいだろうな)
楓(梅干……お昼に梅干は、久しぶり)
楓(うん……懐かしい。お通しも美味しいけど……お皿が可愛いわ)
楓(この小鉢……どこで売ってるのかな)
千秋「はい、せせり丼です」
楓(来ました、来ました、せせり丼。早速だけど……頂きます)
楓(ん……確かにコリコリしてて……でも柔らかく、脂ものってる……美味しい。
タレも下手に自己主張していない……うん、パクパクといけるわね)
楓(味も……うん、美味しい。お酒と一緒に食べたら、もっと美味しいだろうな)
楓(梅干……お昼に梅干は、久しぶり)
楓(うん……懐かしい。お通しも美味しいけど……お皿が可愛いわ)
楓(この小鉢……どこで売ってるのかな)
千秋「はい、せせり丼です」
楓(来ました、来ました、せせり丼。早速だけど……頂きます)
楓(ん……確かにコリコリしてて……でも柔らかく、脂ものってる……美味しい。
タレも下手に自己主張していない……うん、パクパクといけるわね)
36: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 18:12:31.86 ID:FzM8CPEt0
楓(これならご飯大盛りでも良かったかもしれない。……少し、後悔)
楓(おっと、お味噌汁を忘れてた。中には……カブ、にんじん、大根……うん、私の好きなお味噌汁だ)
楓(うん……お昼ご飯って感じのお昼ご飯だった)
楓「ご馳走様でした」
楓「ふぅ……」
楓(絶対、夜来よう。混むだろうけど)
志乃「……ふふ」ウィンク
楓(挑戦状を受け取ってしまった。早く仕事を終わらせよう)
CM「志乃さん、羨ましいです。by楓」
ナレーター「酒場という聖地へ」
ナレーター「酒を求め―」
ナレーター「肴を求め、彷徨う」
柊志乃の酒場放浪記
楓(おっと、お味噌汁を忘れてた。中には……カブ、にんじん、大根……うん、私の好きなお味噌汁だ)
楓(うん……お昼ご飯って感じのお昼ご飯だった)
楓「ご馳走様でした」
楓「ふぅ……」
楓(絶対、夜来よう。混むだろうけど)
志乃「……ふふ」ウィンク
楓(挑戦状を受け取ってしまった。早く仕事を終わらせよう)
CM「志乃さん、羨ましいです。by楓」
ナレーター「酒場という聖地へ」
ナレーター「酒を求め―」
ナレーター「肴を求め、彷徨う」
柊志乃の酒場放浪記
38: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 19:19:34.09 ID:FzM8CPEt0
最終話「台東区 上野のとんかつ」
楓「ほふ……ほふはふ……」
楓(さっき買った、このたこ焼き……美味しい)
楓(でも……まだ来ないのかしら、早苗さん)
楓(もう30分くらい経ってるのだけど……電車は遅れてないし……まさか、寝坊)
早苗「楓ちゃーん!!」
楓(あっ、来た来た)
楓「早苗さん、遅かったですね」
早苗「ゴメンゴメン、昨日の夜、お酒飲みすぎちゃってさ……酔いが全然抜けなくて」
楓「いえ、時間はあるので大丈夫ですよ」
楓「ほふ……ほふはふ……」
楓(さっき買った、このたこ焼き……美味しい)
楓(でも……まだ来ないのかしら、早苗さん)
楓(もう30分くらい経ってるのだけど……電車は遅れてないし……まさか、寝坊)
早苗「楓ちゃーん!!」
楓(あっ、来た来た)
楓「早苗さん、遅かったですね」
早苗「ゴメンゴメン、昨日の夜、お酒飲みすぎちゃってさ……酔いが全然抜けなくて」
楓「いえ、時間はあるので大丈夫ですよ」
39: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 19:20:02.78 ID:FzM8CPEt0
早苗「楓ちゃん、その手のたこ焼き、何処で買ったの?」
楓「アメ横の中で買いました」
早苗「いいなぁ、アタシにも一個ちょうだい」
楓「どうぞ」
早苗「はいはい、ありがとー」
早苗「んっ……ほふ…ほふほふはふっ……はふい」プルプル
楓「あ、熱いので気を付けてくださいね」
早苗「さひにひってよ(先に言ってよ)!!」
楓「ふふ……遅れてきたお仕置きです」
早苗「はぁ……相変わらず、楓ちゃんは読めないなぁ」
早苗「ああっ、これ……楓ちゃんにお仕事持ってきたから、見といて」
楓「ふむふむ……こんなに大きいお仕事……本当に良いんですか?」
早苗「楓ちゃんになら任せられるって思ってさ。あと、あたし、明日からハワイに行くからさ」
楓「アメ横の中で買いました」
早苗「いいなぁ、アタシにも一個ちょうだい」
楓「どうぞ」
早苗「はいはい、ありがとー」
早苗「んっ……ほふ…ほふほふはふっ……はふい」プルプル
楓「あ、熱いので気を付けてくださいね」
早苗「さひにひってよ(先に言ってよ)!!」
楓「ふふ……遅れてきたお仕置きです」
早苗「はぁ……相変わらず、楓ちゃんは読めないなぁ」
早苗「ああっ、これ……楓ちゃんにお仕事持ってきたから、見といて」
楓「ふむふむ……こんなに大きいお仕事……本当に良いんですか?」
早苗「楓ちゃんになら任せられるって思ってさ。あと、あたし、明日からハワイに行くからさ」
40: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 19:20:43.20 ID:FzM8CPEt0
楓「ハワイ……美味しいものが一杯ですね」
早苗「へへへ……良いでしょ。あ、何かおみあげでリクエストある?」
楓「マカダミアチョコレートの高いので」
早苗「マカダミアナッツのチョコレートね。じゃあ、あたしは荷物の用意しなきゃいけないから行くね。お仕事よろしくねー」
楓「はい、気を付けて」
楓(早苗さんからのお仕事は、面倒だけど大口のお仕事が多いから、やりがいがあっていい)
楓(でもハワイか……いいなぁ)
楓(ハワイの食べ物の事を考えていたら、お腹が……減った)
早苗「へへへ……良いでしょ。あ、何かおみあげでリクエストある?」
楓「マカダミアチョコレートの高いので」
早苗「マカダミアナッツのチョコレートね。じゃあ、あたしは荷物の用意しなきゃいけないから行くね。お仕事よろしくねー」
楓「はい、気を付けて」
楓(早苗さんからのお仕事は、面倒だけど大口のお仕事が多いから、やりがいがあっていい)
楓(でもハワイか……いいなぁ)
楓(ハワイの食べ物の事を考えていたら、お腹が……減った)
41: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 19:21:09.69 ID:FzM8CPEt0
楓(上野は見渡す限りご飯処……慌てるな、自分の感覚を信じて……お店を嗅ぎ当てるんだ)
楓(おっ……ここなんかいいんじゃないのかしら)
楓(ロースかつ700円……値段的には魅力的だけど、まぁお店の中を少し見てから考えよう)
ガラガラ
楓(サラリーマンでいっぱい……これはひょっとするとひょっとするんじゃないかしら)
楓(よし……ここにしよう)
楓(おっ……ここなんかいいんじゃないのかしら)
楓(ロースかつ700円……値段的には魅力的だけど、まぁお店の中を少し見てから考えよう)
ガラガラ
楓(サラリーマンでいっぱい……これはひょっとするとひょっとするんじゃないかしら)
楓(よし……ここにしよう)
42: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 19:21:39.07 ID:FzM8CPEt0
東郷あい「いらっしゃいませ、お一人様ですか」
楓「はい、ひとりです」
あい「ではカウンターの席にどうぞ」
楓「はい」
楓(綺麗なお店だわ……真面目なお店なんだろうな)
楓(さて、何を頼もうかな)
楓(メニューは……ロースかつにカキフライに……ミックスフライ、ヒレカツか……)
楓(ロースかつも悪くないけれど、ここはヒレカツにしよう)
楓「済みません、ヒレカツ定食を一つ」
あい「ヒレカツですね。少々お待ちください」
楓「はい、ひとりです」
あい「ではカウンターの席にどうぞ」
楓「はい」
楓(綺麗なお店だわ……真面目なお店なんだろうな)
楓(さて、何を頼もうかな)
楓(メニューは……ロースかつにカキフライに……ミックスフライ、ヒレカツか……)
楓(ロースかつも悪くないけれど、ここはヒレカツにしよう)
楓「済みません、ヒレカツ定食を一つ」
あい「ヒレカツですね。少々お待ちください」
43: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 19:22:10.68 ID:FzM8CPEt0
楓(周りはロースかつを食べている中で一人だけヒレカツ……ロースカツが人気なのかしら)
楓(目の前で揚げてくれるのが良いなぁ。本格的)
あい「こちらヒレカツ定食になります」
楓(山盛りキャベツにヒレカツ……美味しそう。お味噌汁は蜆のお味噌汁ね、ぐっど)
楓(ご飯も結構量があるから、食べがいがあるわね)
楓「いただきます」
楓「あむっ……あぐ……もぐ」
楓(ヒレカツが柔らかくて美味しい。お肉は重いのに衣は軽い。うん、ソースもいいなぁ)
楓(目の前で揚げてくれるのが良いなぁ。本格的)
あい「こちらヒレカツ定食になります」
楓(山盛りキャベツにヒレカツ……美味しそう。お味噌汁は蜆のお味噌汁ね、ぐっど)
楓(ご飯も結構量があるから、食べがいがあるわね)
楓「いただきます」
楓「あむっ……あぐ……もぐ」
楓(ヒレカツが柔らかくて美味しい。お肉は重いのに衣は軽い。うん、ソースもいいなぁ)
44: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 19:22:39.72 ID:FzM8CPEt0
楓(ヒレカツを食べて、ご飯を食べて、さらに浅漬けをお口に入れる。ああっ……美味しい)
楓(よし、浅漬けが無くなったらお味噌汁だ……止まらない、私のお箸は止まらないっ)
楓「はむ……もぐ……はむはふ」
楓(ふぅ……いつの間にか食べきってしまった。とっても美味しかったわ)
楓「ご馳走様でした」
あい「また来てくださいね。あとお忘れ物とか無いようにしてくださいね」
楓「はい……また」
楓(気持ち良い接客もまた良きなり)
楓(さぁ、明日は浅草ね。何を食べにいこうかな)
おわり
楓(よし、浅漬けが無くなったらお味噌汁だ……止まらない、私のお箸は止まらないっ)
楓「はむ……もぐ……はむはふ」
楓(ふぅ……いつの間にか食べきってしまった。とっても美味しかったわ)
楓「ご馳走様でした」
あい「また来てくださいね。あとお忘れ物とか無いようにしてくださいね」
楓「はい……また」
楓(気持ち良い接客もまた良きなり)
楓(さぁ、明日は浅草ね。何を食べにいこうかな)
おわり
46: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 20:24:21.15 ID:FzM8CPEt0
おまけ
CMの残り
CM「ぴにゃこら太X」
のあ「へぇ……これがチヒロハウスの新しい家……」
ちひろ「外張り断熱と太陽光発電で光熱費を約40パーセントカット減らせるみたいですよ」
のあ「なるほど……でも建物がXの形をしているのは何故なのかしら」
ちひろ「そこに目をつけるとは……流石はのあさん」
ちひろ「そこで……」
ぴにゃこら太X「」
ちひろ「これをのあさんに着てもらいたいんです」
のあ「また……ぴにゃこら太……!」
ちひろ「ただのぴにゃこら太じゃない、ぴにゃこら太Xです!」
ちひろ「建物に因んでXにしてみました!」
のあ「ぴにゃこら太……エックス」
ちひろ「やってくれますよね!」
のあ「……ちょっと……考えさせて下さい……」
CMの残り
CM「ぴにゃこら太X」
のあ「へぇ……これがチヒロハウスの新しい家……」
ちひろ「外張り断熱と太陽光発電で光熱費を約40パーセントカット減らせるみたいですよ」
のあ「なるほど……でも建物がXの形をしているのは何故なのかしら」
ちひろ「そこに目をつけるとは……流石はのあさん」
ちひろ「そこで……」
ぴにゃこら太X「」
ちひろ「これをのあさんに着てもらいたいんです」
のあ「また……ぴにゃこら太……!」
ちひろ「ただのぴにゃこら太じゃない、ぴにゃこら太Xです!」
ちひろ「建物に因んでXにしてみました!」
のあ「ぴにゃこら太……エックス」
ちひろ「やってくれますよね!」
のあ「……ちょっと……考えさせて下さい……」
47: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 20:24:49.98 ID:FzM8CPEt0
デン デン デン!
のあ「チヒロハウス」
CM「仕事は選ぼう」
のあ「ぴにゃこら太X……」
ちひろ「やってくれますよね!」
のあ「この役には……もっとふさわしい人間がいるわ」
のあ「年齢的にも……例えば……岡崎泰葉とか」
ギュン!!
岡崎泰葉「岡崎泰葉です。宜しくお願いします」
ちひろ「これなんですけど」
泰葉「喜んで着させていただきます」
のあ「えっ……!?」
泰葉「外張り断熱と太陽光発電で!光熱費とCO2を約40パーセントカット!!」
泰葉「こんな感じでどうでしょう、監督」
ちひろ「完璧です」
のあ「……ええ……っ」
デン デンデン!!
のあ「チヒry」
のあ「チヒロハウス」
CM「仕事は選ぼう」
のあ「ぴにゃこら太X……」
ちひろ「やってくれますよね!」
のあ「この役には……もっとふさわしい人間がいるわ」
のあ「年齢的にも……例えば……岡崎泰葉とか」
ギュン!!
岡崎泰葉「岡崎泰葉です。宜しくお願いします」
ちひろ「これなんですけど」
泰葉「喜んで着させていただきます」
のあ「えっ……!?」
泰葉「外張り断熱と太陽光発電で!光熱費とCO2を約40パーセントカット!!」
泰葉「こんな感じでどうでしょう、監督」
ちひろ「完璧です」
のあ「……ええ……っ」
デン デンデン!!
のあ「チヒry」
48: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 20:25:23.88 ID:FzM8CPEt0
CM「リフォーム」
のあ「へぇ……ライブ会場のリフォームね」
ちひろ「チヒロハウスはリフォームも得意なんですよ」
ちひろ「そこで私もぴにゃこら太をリフォームしてみました。これです」
ちひろ「ぴにゃこら太アクセルですよ、のあさん」
のあ「なっ……何をやっているの貴方は……」
ちひろ「着て、頂けますね」
のあ「無理に決まってるでしょう……こんな布があって無いようなもの……」
ちひろ「そうですか、残念です。じゃあ、誰か他に良い人は?」
のあ「少し考えれば思いつくでしょう……新田美波とか新田美波とか……!新田美波とか……!!」
ちひろ「好きなんですね、のあさん」
のあ「や、ち、ちがっ……」
デン デン デン
のあ「チry」
のあ「へぇ……ライブ会場のリフォームね」
ちひろ「チヒロハウスはリフォームも得意なんですよ」
ちひろ「そこで私もぴにゃこら太をリフォームしてみました。これです」
ちひろ「ぴにゃこら太アクセルですよ、のあさん」
のあ「なっ……何をやっているの貴方は……」
ちひろ「着て、頂けますね」
のあ「無理に決まってるでしょう……こんな布があって無いようなもの……」
ちひろ「そうですか、残念です。じゃあ、誰か他に良い人は?」
のあ「少し考えれば思いつくでしょう……新田美波とか新田美波とか……!新田美波とか……!!」
ちひろ「好きなんですね、のあさん」
のあ「や、ち、ちがっ……」
デン デン デン
のあ「チry」
49: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 20:25:53.80 ID:FzM8CPEt0
CM「ミスプロ意識」
ちひろ「そうですか、残念です。なら他に良い人は?」
ギュン!
武内P「新田美波です。宜しくお願いします」
ちひろ「美波ちゃん、これなんですけど」
武内P「申し訳ありませんが……私どもの新田は被り物はNGでして」
のあ「そこ?……NGなのはそこなの……!?」
美波「私、必然性があれば着ますっ//」
ちひろ「どうですか、のあさん?」
のあ「必然性だらけだわ。むしろ必然性しかない」
美波「リフォームもっ!チヒロハウスっ!!」タユンタユン
美波「どうですか、監督」
ちひろ「どうですか、のあさん」
のあ「完璧ですッ!!」ホッコリ
デン デン デン!!
のあ「ry」
ちひろ「そうですか、残念です。なら他に良い人は?」
ギュン!
武内P「新田美波です。宜しくお願いします」
ちひろ「美波ちゃん、これなんですけど」
武内P「申し訳ありませんが……私どもの新田は被り物はNGでして」
のあ「そこ?……NGなのはそこなの……!?」
美波「私、必然性があれば着ますっ//」
ちひろ「どうですか、のあさん?」
のあ「必然性だらけだわ。むしろ必然性しかない」
美波「リフォームもっ!チヒロハウスっ!!」タユンタユン
美波「どうですか、監督」
ちひろ「どうですか、のあさん」
のあ「完璧ですッ!!」ホッコリ
デン デン デン!!
のあ「ry」
50: ◆2vQ.vRCmts 2015/01/30(金) 20:26:21.00 ID:FzM8CPEt0
CM「大団円」
ちひろ「そうだ!今度のCMはエックスとアクセルのラブロマンスにしましょう!」
のあ「……」
撮影前夜。
のあ(泰葉……この前は、無理矢理押し付けて悪かったわ。ぴにゃこら太Xは私がやるから……)
ぴにゃこら太X「どうしたんですか、急に呼び出して」
のあ「ごめんなさい大した用事では……っ、何をやっているの……!?」
泰葉「明日は大事な撮影なので、今から役作りをしておこうと思いまして」
泰葉「チヒロハウスは省エネな家を建てるのもでリフォームも得意なんだぴにゃ」キリッ
泰葉「これが、明日の大事なセリフです」
のあ「そう……頑張りなさい」
撮影当日。
美波「しっかりして!ぴにゃこら太X!!」
泰葉「貴方は……大丈夫」
美波「私は大丈夫です」
泰葉「最後に伝えたいこゴハぁッ!!伝えたい事がァッ!!」
美波「何!?」
泰葉「チヒロハウスは省エネな家を建てるのもでリフォームも得意なんだぴにゃ」キャッピピピピーン
美波「分かったから、もう……」スゥ
のあ「カットォ!!」
のあ「チヒロハウスが素晴らしいって事を伝えるために!こんな芝居……!必要ないでしょう……!!」
ちひろ「確かに」
ちひろ「でも楽しいでしょう」
のあ「何!?」
泰葉「そう!家は楽しいところっ♪」
のあ以外全員「笑顔の集まる楽しいところ♪」
全員「チヒロハウスは楽しいとーころー♪」
ちひろ「これからの女子寮のご利用もも宜しくお願いしまーす♪」
終わり
ちひろ「そうだ!今度のCMはエックスとアクセルのラブロマンスにしましょう!」
のあ「……」
撮影前夜。
のあ(泰葉……この前は、無理矢理押し付けて悪かったわ。ぴにゃこら太Xは私がやるから……)
ぴにゃこら太X「どうしたんですか、急に呼び出して」
のあ「ごめんなさい大した用事では……っ、何をやっているの……!?」
泰葉「明日は大事な撮影なので、今から役作りをしておこうと思いまして」
泰葉「チヒロハウスは省エネな家を建てるのもでリフォームも得意なんだぴにゃ」キリッ
泰葉「これが、明日の大事なセリフです」
のあ「そう……頑張りなさい」
撮影当日。
美波「しっかりして!ぴにゃこら太X!!」
泰葉「貴方は……大丈夫」
美波「私は大丈夫です」
泰葉「最後に伝えたいこゴハぁッ!!伝えたい事がァッ!!」
美波「何!?」
泰葉「チヒロハウスは省エネな家を建てるのもでリフォームも得意なんだぴにゃ」キャッピピピピーン
美波「分かったから、もう……」スゥ
のあ「カットォ!!」
のあ「チヒロハウスが素晴らしいって事を伝えるために!こんな芝居……!必要ないでしょう……!!」
ちひろ「確かに」
ちひろ「でも楽しいでしょう」
のあ「何!?」
泰葉「そう!家は楽しいところっ♪」
のあ以外全員「笑顔の集まる楽しいところ♪」
全員「チヒロハウスは楽しいとーころー♪」
ちひろ「これからの女子寮のご利用もも宜しくお願いしまーす♪」
終わり
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1422591813/
Entry ⇒ 2015.01.31 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
小鳥「つまんねーねんまつ」
1: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 22:44:15.05 ID:ClgTdP2fo
小鳥「を逆から言ってみて。千早ちゃん」
千早「えっと、つま……んねーね……んまつ……これ、逆から読んでも同じなんですね」
小鳥「そうよー。面白いでしょ?」
響「……」
千早「えっと、つま……んねーね……んまつ……これ、逆から読んでも同じなんですね」
小鳥「そうよー。面白いでしょ?」
響「……」
2: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 22:47:50.13 ID:ClgTdP2fo
律子「ちなみにそういう文章の事を『回文』っていうのよ」
千早「へー……」
あずさ「はい、千早ちゃん。みかんの皮向けたわよ。響ちゃんも」
千早「あ、ありがとうございますあずささん」
響「……ありがと」
オウ助「アリガト!アリガト!」
あずさ「あらー。オウ助ちゃんもお礼ができるのね。響ちゃんが教えたの?」
響「そうだよ。ねぇ、それよりさ……」
律子「へーさすがね響。他の子もいつも行儀がすっごく良いから番組のディレクターたちにも大好評なのよ」
響「あ、うん……えっと、それより」
千早「我那覇さんの躾が良いからね」
小鳥「よくニュースでやってるけどきちんと躾をしない飼い主もたくさんいるって聞くわよね。責任が持てないのなら飼うべきじゃないのにね……」
響「うん、そうだぞ。それはそうとさ……」
小鳥「あ、そういえば律子さん。この前試供品としてもらった美希ちゃんのCMの化粧水、あれすごく良かったですよねー」
律子「あー……そんなのありましたね。私、すっかり忘れてましたよ。今度使ってみます」
響「……あのさぁっ!!」
千早「へー……」
あずさ「はい、千早ちゃん。みかんの皮向けたわよ。響ちゃんも」
千早「あ、ありがとうございますあずささん」
響「……ありがと」
オウ助「アリガト!アリガト!」
あずさ「あらー。オウ助ちゃんもお礼ができるのね。響ちゃんが教えたの?」
響「そうだよ。ねぇ、それよりさ……」
律子「へーさすがね響。他の子もいつも行儀がすっごく良いから番組のディレクターたちにも大好評なのよ」
響「あ、うん……えっと、それより」
千早「我那覇さんの躾が良いからね」
小鳥「よくニュースでやってるけどきちんと躾をしない飼い主もたくさんいるって聞くわよね。責任が持てないのなら飼うべきじゃないのにね……」
響「うん、そうだぞ。それはそうとさ……」
小鳥「あ、そういえば律子さん。この前試供品としてもらった美希ちゃんのCMの化粧水、あれすごく良かったですよねー」
律子「あー……そんなのありましたね。私、すっかり忘れてましたよ。今度使ってみます」
響「……あのさぁっ!!」
3: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 22:49:30.49 ID:ClgTdP2fo
千早「ど、どうしたの我那覇さん?急に大声で……」
響「どうしたのは自分のセリフだぞ!なんでみんな平然と自分の家にいるんだ!?それも大晦日に!!」
あずさ「もしかして、お邪魔だったかしら……?」
響「いや、別にそこまでは言わないけどさ……」
律子「なんでって……」
小鳥「そこに響ちゃんの家があったから?」
響「そんな登山家みたいな答えを聞きたいわけじゃないぞ!なんで自分の家に帰らないんだ!?」
千早「?何を言っているの我那覇さん?私たちはきちんと我那覇さんの家に……」
響「自分のことじゃなくて!どうしてみんなそれぞれ自分の暮らしてる家に帰らないのかって聞いてるんだ!」
小鳥「なるほど、我那覇さん。これは良い質問ですねぇ。では次はこの問題についてもっと掘り下げて話していきましょう」
響「そんな下手な池○さんの物真似なんてしなくていいから!」
響「どうしたのは自分のセリフだぞ!なんでみんな平然と自分の家にいるんだ!?それも大晦日に!!」
あずさ「もしかして、お邪魔だったかしら……?」
響「いや、別にそこまでは言わないけどさ……」
律子「なんでって……」
小鳥「そこに響ちゃんの家があったから?」
響「そんな登山家みたいな答えを聞きたいわけじゃないぞ!なんで自分の家に帰らないんだ!?」
千早「?何を言っているの我那覇さん?私たちはきちんと我那覇さんの家に……」
響「自分のことじゃなくて!どうしてみんなそれぞれ自分の暮らしてる家に帰らないのかって聞いてるんだ!」
小鳥「なるほど、我那覇さん。これは良い質問ですねぇ。では次はこの問題についてもっと掘り下げて話していきましょう」
響「そんな下手な池○さんの物真似なんてしなくていいから!」
4: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 22:51:09.92 ID:ClgTdP2fo
響「あんまりふざけた態度取ってるとみんな追い出すぞ」
あずさ「ご、ごめんなさいねぇ響ちゃん」
律子「っていうか、私は千早に誘われたのだけど」
響「え?」
小鳥「あ、私もそうよ。てっきり響ちゃんの同意があると思ってたんだけど……」
響「初耳だぞ……で、千早?」
千早「何かしら?」
響「何かしら?じゃないぞ。今のこの状況、きちんと説明してよ」
千早「私がみんなに我那覇さんの家で年を越そうと誘ったのよ」
響「……自分、聞いてないんだけど」
千早「言ってないもの」
ガシィ!
響「離して律子!一発殴らせて!!」
律子「ま、待って響!年末だから!あとちょっとで今年も終わりだから!抑えて!」
あずさ「ご、ごめんなさいねぇ響ちゃん」
律子「っていうか、私は千早に誘われたのだけど」
響「え?」
小鳥「あ、私もそうよ。てっきり響ちゃんの同意があると思ってたんだけど……」
響「初耳だぞ……で、千早?」
千早「何かしら?」
響「何かしら?じゃないぞ。今のこの状況、きちんと説明してよ」
千早「私がみんなに我那覇さんの家で年を越そうと誘ったのよ」
響「……自分、聞いてないんだけど」
千早「言ってないもの」
ガシィ!
響「離して律子!一発殴らせて!!」
律子「ま、待って響!年末だから!あとちょっとで今年も終わりだから!抑えて!」
5: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 22:52:34.50 ID:ClgTdP2fo
響「……」ムスー
千早「ご、ごめんなさい我那覇さん。少しからかってみたかっただけなの。謝るわ」
響「……別に怒ってなんかないしー」プイッ
律子「もう、不貞腐れないの響」
千早(我那覇さんかわいい……)
響「……で?」
千早「……ねぇ、我那覇さん。ここにいるみんなの共通点って何かわかるかしら?」
響「共通点?」
千早「ええ」
響「共通点……」
響(背の高さはみんな割とバラバラだし、誕生日もバラバラ……)
響(胸の大きさ……)チラッ
千早「?」ストーン
響(は違うか……)
千早(なんだか失礼なことを考えられた気がしたわ)
千早「ご、ごめんなさい我那覇さん。少しからかってみたかっただけなの。謝るわ」
響「……別に怒ってなんかないしー」プイッ
律子「もう、不貞腐れないの響」
千早(我那覇さんかわいい……)
響「……で?」
千早「……ねぇ、我那覇さん。ここにいるみんなの共通点って何かわかるかしら?」
響「共通点?」
千早「ええ」
響「共通点……」
響(背の高さはみんな割とバラバラだし、誕生日もバラバラ……)
響(胸の大きさ……)チラッ
千早「?」ストーン
響(は違うか……)
千早(なんだか失礼なことを考えられた気がしたわ)
6: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 22:54:09.68 ID:ClgTdP2fo
響「わかんないぞ……」
千早「それはね、みんな一人暮らしなのよ」
響「ふーん……って律子は実家暮らしじゃなかったっけ?」
千早「そうだったかしら?」
律子「そうよ」
千早「じゃあごめんなさい。特に共通点はなかったわ」
響「適当すぎるぞ……」
小鳥「……じゃあ千早ちゃんは一人暮らしの私たちを集めたってこと?」
千早「そういうつもりでした」
響「なら一言言えばいいのに」
千早「だって我那覇さんがOKするかわからないじゃない」
響「OKじゃなくても連れてくる気だったのか……」
千早「それはね、みんな一人暮らしなのよ」
響「ふーん……って律子は実家暮らしじゃなかったっけ?」
千早「そうだったかしら?」
律子「そうよ」
千早「じゃあごめんなさい。特に共通点はなかったわ」
響「適当すぎるぞ……」
小鳥「……じゃあ千早ちゃんは一人暮らしの私たちを集めたってこと?」
千早「そういうつもりでした」
響「なら一言言えばいいのに」
千早「だって我那覇さんがOKするかわからないじゃない」
響「OKじゃなくても連れてくる気だったのか……」
7: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 22:55:22.94 ID:ClgTdP2fo
千早「ダメだったかしら?部屋で一人で過ごすのは、その……寂しいから」
響「……はぁ。まぁ良いけどさ。千早の家でお泊り会すればよかったんじゃないの?」
千早「私の家には娯楽となるものがあまりないから……でも我那覇さんの家にはゲームとかいくつかあるでしょう?」
響「あんまり多くはないけどね」
千早「ね?」
響「いや、ね?って言われても……」
あずさ「でも私、こんなに大勢で年を越すなんて学生の時以来だわ~」
小鳥「そうねぇ……私も何年振りかしら……」
律子「まぁもし迷惑なら……」
響「いやそんなことはないけど……だったらちょっと早めにお風呂作らないといけないな。五人だし……」
小鳥(お風呂……!)
律子(変なマネしたら追い出しますよ)
小鳥(ピヨッ!?律子さん、直接脳内に……!?)
響「……はぁ。まぁ良いけどさ。千早の家でお泊り会すればよかったんじゃないの?」
千早「私の家には娯楽となるものがあまりないから……でも我那覇さんの家にはゲームとかいくつかあるでしょう?」
響「あんまり多くはないけどね」
千早「ね?」
響「いや、ね?って言われても……」
あずさ「でも私、こんなに大勢で年を越すなんて学生の時以来だわ~」
小鳥「そうねぇ……私も何年振りかしら……」
律子「まぁもし迷惑なら……」
響「いやそんなことはないけど……だったらちょっと早めにお風呂作らないといけないな。五人だし……」
小鳥(お風呂……!)
律子(変なマネしたら追い出しますよ)
小鳥(ピヨッ!?律子さん、直接脳内に……!?)
8: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 22:57:08.65 ID:ClgTdP2fo
・
・
・
響「お風呂できたよー。自分は最後で良いからどんどん入ってねー」
小鳥「いいえ、響ちゃん。家主の響ちゃんを最後にするわけにはいかないわ。だから最後は私に……ふふ、ふふふふふ……」ジュルリ
響「……ピヨ子、また変なこと考えてるな?」
小鳥「ピヨッ!?」
響「ピヨ子が一番風呂で良いよ。みんなもそれでいいでしょ?」
千早「ええ」
律子「それが一番安全ね」
あずさ「私はいつでもいいわ~」
響「じゃあピヨ子、さっさと入ってこーい!」
小鳥「こ、こんなはずでは……」オヨヨ
響「……で、みんな着替えとか持ってきてるの?」
千早「もちろん」
律子「一回帰ってから持ってきたわ」
あずさ「私もちゃんと持ってきたわよ~」
響「……あずささん、失礼だけど迷わなかったのか?」
あずさ「ふふ……千早ちゃんと一緒に来たから大丈夫だったわ~」
響「そっか」
千早「それはそうと我那覇さん」
響「なに?」
千早「お風呂、私と一緒に入らない?」
響「……は?」
・
・
響「お風呂できたよー。自分は最後で良いからどんどん入ってねー」
小鳥「いいえ、響ちゃん。家主の響ちゃんを最後にするわけにはいかないわ。だから最後は私に……ふふ、ふふふふふ……」ジュルリ
響「……ピヨ子、また変なこと考えてるな?」
小鳥「ピヨッ!?」
響「ピヨ子が一番風呂で良いよ。みんなもそれでいいでしょ?」
千早「ええ」
律子「それが一番安全ね」
あずさ「私はいつでもいいわ~」
響「じゃあピヨ子、さっさと入ってこーい!」
小鳥「こ、こんなはずでは……」オヨヨ
響「……で、みんな着替えとか持ってきてるの?」
千早「もちろん」
律子「一回帰ってから持ってきたわ」
あずさ「私もちゃんと持ってきたわよ~」
響「……あずささん、失礼だけど迷わなかったのか?」
あずさ「ふふ……千早ちゃんと一緒に来たから大丈夫だったわ~」
響「そっか」
千早「それはそうと我那覇さん」
響「なに?」
千早「お風呂、私と一緒に入らない?」
響「……は?」
9: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 22:58:58.10 ID:ClgTdP2fo
響「なんで?」
千早「……やっぱり五人も急に押しかけちゃったからその……水道代とか……」
響「自分に無断でいつの間にかお泊り会企画してた人とは思えない発言だな……別に気にしなくていいよ」
千早「そんなわけにはいかないわ。我那覇さんのお背中、お流しさせていただきます!」
響「……まぁそこまで言うなら」
あずさ「……そういえば響ちゃん。さっき、年越しそば買ってきたのよ。冷凍庫に入れてあるからお風呂あがったらみんなで食べましょう?」
響「お。それはいいな。今年は買ってなかったからインスタントのそばでも食べようって思ってたんだ」
律子「良かった。もう買ってたら無駄にしちゃうところだったわね」
響「みかんは?」
律子「実家に親戚からもらったのがたくさんあったから持ってきたのよ。宿泊料だと思って遠慮なく受け取ってね」
響「なんか全然はずれがなくておいしいんだけどホントにもらっていいの?」
律子「ええ。まだまだ家にいっぱいあるからね。ほっとくと冬とはいえダメになっちゃうしね」
響「ん。ありがと律子。あと千早、いぬ美にみかんはあげちゃダメだぞ」
千早「……やっぱり五人も急に押しかけちゃったからその……水道代とか……」
響「自分に無断でいつの間にかお泊り会企画してた人とは思えない発言だな……別に気にしなくていいよ」
千早「そんなわけにはいかないわ。我那覇さんのお背中、お流しさせていただきます!」
響「……まぁそこまで言うなら」
あずさ「……そういえば響ちゃん。さっき、年越しそば買ってきたのよ。冷凍庫に入れてあるからお風呂あがったらみんなで食べましょう?」
響「お。それはいいな。今年は買ってなかったからインスタントのそばでも食べようって思ってたんだ」
律子「良かった。もう買ってたら無駄にしちゃうところだったわね」
響「みかんは?」
律子「実家に親戚からもらったのがたくさんあったから持ってきたのよ。宿泊料だと思って遠慮なく受け取ってね」
響「なんか全然はずれがなくておいしいんだけどホントにもらっていいの?」
律子「ええ。まだまだ家にいっぱいあるからね。ほっとくと冬とはいえダメになっちゃうしね」
響「ん。ありがと律子。あと千早、いぬ美にみかんはあげちゃダメだぞ」
10: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 23:00:33.21 ID:ClgTdP2fo
・
・
・
律子「っはー……良いお湯だったわ」ホカホカ
千早「さあ我那覇さん!律子があがったから次は私たちよ!!」
響「いや、なんでそんなにテンション高いんだ……?」
小鳥「たち……?」
あずさ「千早ちゃんと響ちゃんは二人で入るみたいですよ」
小鳥「二人で!!?」
小鳥(ななな……っ!いつの間にひびちはがこんなところに……!?)
千早「さあ行くわよ我那覇さん!」
小鳥「わ、私も……!」
律子「何言ってるんですか。あなたはもう入ったでしょう」
小鳥「も、もう一度……!」
律子「年の終わりくらいしっかりしてしてくださいよ……」
・
・
律子「っはー……良いお湯だったわ」ホカホカ
千早「さあ我那覇さん!律子があがったから次は私たちよ!!」
響「いや、なんでそんなにテンション高いんだ……?」
小鳥「たち……?」
あずさ「千早ちゃんと響ちゃんは二人で入るみたいですよ」
小鳥「二人で!!?」
小鳥(ななな……っ!いつの間にひびちはがこんなところに……!?)
千早「さあ行くわよ我那覇さん!」
小鳥「わ、私も……!」
律子「何言ってるんですか。あなたはもう入ったでしょう」
小鳥「も、もう一度……!」
律子「年の終わりくらいしっかりしてしてくださいよ……」
11: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 23:02:13.31 ID:ClgTdP2fo
カポーン
響「意外に入れるもんだな」
千早「我那覇さんは小っちゃいし私もスレンダーだから……くっ」
響「自分で言って自分で傷つくなよ……」
千早「どうして我那覇さんは小っちゃいのに大きいのかしら……」
響「自分が思うに千早は食生活がダメだと思うぞ」
千早「食生活……」
響「前に春香から聞いたけどカロリーメイトばっかり食べてるって」
千早「さ、最近は違うわよ?ちゃんと朝はトーストとスープを……」
響「……朝以外は?」
千早「……たまに」
響「千早は料理できないんだっけ。結構前のゲロゲロキッチンもワタワタしてたし」
千早「お言葉だけど高校生なのにあんなにできる春香や我那覇さんが異常なのよ?」
響「まぁでも一人暮らしする以上、家事は必須スキルだぞ。衣食住のうちどれか一つでも崩れると健康は保たれないんだから」
千早「……耳が痛いわね」
響「……なんだったら自分が教えてあげよっか?」
千早「え?」
響「意外に入れるもんだな」
千早「我那覇さんは小っちゃいし私もスレンダーだから……くっ」
響「自分で言って自分で傷つくなよ……」
千早「どうして我那覇さんは小っちゃいのに大きいのかしら……」
響「自分が思うに千早は食生活がダメだと思うぞ」
千早「食生活……」
響「前に春香から聞いたけどカロリーメイトばっかり食べてるって」
千早「さ、最近は違うわよ?ちゃんと朝はトーストとスープを……」
響「……朝以外は?」
千早「……たまに」
響「千早は料理できないんだっけ。結構前のゲロゲロキッチンもワタワタしてたし」
千早「お言葉だけど高校生なのにあんなにできる春香や我那覇さんが異常なのよ?」
響「まぁでも一人暮らしする以上、家事は必須スキルだぞ。衣食住のうちどれか一つでも崩れると健康は保たれないんだから」
千早「……耳が痛いわね」
響「……なんだったら自分が教えてあげよっか?」
千早「え?」
12: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 23:05:01.77 ID:ClgTdP2fo
響「独学で料理を学ぶってのも無理があるだろうし自分でよければ教えてあげるよ?」
千早「本当?でも迷惑じゃないかしら……?」
響「今日みたいに突然来られるのはアレだけど……ね?一緒にやればすぐに上達するさー」
千早「なら……お願いするわ、我那覇さん」
響「……あのさ」
千早「?」
響「前から思ってたんだけどその『我那覇さん』っていうの、やめようよ」
千早「……え?」
響「お互い同い年なんだからさ!春香を呼ぶみたいに下の名前で呼んでよ」
千早「え……でも……」
響「それとも自分とはそんなに仲良くなりたくない……?」
千早「そんなことはないわ!」
響「だったらさ……ね?」
千早「でも……今までずっと我那覇さんって呼んでたのに急に変えるなんて……恥ずかしいわ」
響「……ふーん。そっか」
千早「え?」
響「千早は自分の名前をそんな風に思ってたんだ。傷つくなぁー」
千早「そんなことは……」
響「じゃあさ……ひ・び・き」
千早「う……」
響「はーやーく!」
千早「本当?でも迷惑じゃないかしら……?」
響「今日みたいに突然来られるのはアレだけど……ね?一緒にやればすぐに上達するさー」
千早「なら……お願いするわ、我那覇さん」
響「……あのさ」
千早「?」
響「前から思ってたんだけどその『我那覇さん』っていうの、やめようよ」
千早「……え?」
響「お互い同い年なんだからさ!春香を呼ぶみたいに下の名前で呼んでよ」
千早「え……でも……」
響「それとも自分とはそんなに仲良くなりたくない……?」
千早「そんなことはないわ!」
響「だったらさ……ね?」
千早「でも……今までずっと我那覇さんって呼んでたのに急に変えるなんて……恥ずかしいわ」
響「……ふーん。そっか」
千早「え?」
響「千早は自分の名前をそんな風に思ってたんだ。傷つくなぁー」
千早「そんなことは……」
響「じゃあさ……ひ・び・き」
千早「う……」
響「はーやーく!」
13: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 23:06:34.64 ID:ClgTdP2fo
千早「ひ……」
響「そうそう!」
千早「ひ……ひじき……ふふっ、ひじきと響って似てる……ふふふっ」
響「……もう千早なんて知らないぞ」
千早「ご、ごめん……ふふっ、なさい。がな……響!」
響「ふーんだ。千早なんて不健康なものばっかり食べて栄養失調になっちゃえばいいんだ」
千早「怒らないでがな……響。私が悪かったわ……ふふふっ」
響「知らなーい」プイッ
・
・
・
響「そうそう!」
千早「ひ……ひじき……ふふっ、ひじきと響って似てる……ふふふっ」
響「……もう千早なんて知らないぞ」
千早「ご、ごめん……ふふっ、なさい。がな……響!」
響「ふーんだ。千早なんて不健康なものばっかり食べて栄養失調になっちゃえばいいんだ」
千早「怒らないでがな……響。私が悪かったわ……ふふふっ」
響「知らなーい」プイッ
・
・
・
14: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 23:08:17.45 ID:ClgTdP2fo
響「ふー。良いお湯だったぞ」
律子「あら。結構早かったのね」
響「うん。おそば食べないとだしな」
千早「おそば……」
響「じゃあ千早。さっそく作ろっか。冷凍ものはさすがに作れるよね?」
千早「ええ。作り方を見ればね」
響「よーし、それじゃパパッと作っちゃおー!」
あずさ「私たちも手伝うわよ~」
響「あ、いいよいいよ。あずささんたちはくつろいでて。キッチン、そんなに広くないしね。自分と千早に任せるさー!」
千早「ねえ、響。お鍋ってどこにあるのかしら」
響「あー、お鍋はね……」
律子「……今千早、響のこと下の名前で……」
あずさ「お風呂の中で仲良くなったんでしょうね。ふふふ……いいことだわ~」
小鳥「お風呂の中で……っ!?仲良く……っ!?」ガバッ
律子「……ホント、自重してください小鳥さん」
律子「あら。結構早かったのね」
響「うん。おそば食べないとだしな」
千早「おそば……」
響「じゃあ千早。さっそく作ろっか。冷凍ものはさすがに作れるよね?」
千早「ええ。作り方を見ればね」
響「よーし、それじゃパパッと作っちゃおー!」
あずさ「私たちも手伝うわよ~」
響「あ、いいよいいよ。あずささんたちはくつろいでて。キッチン、そんなに広くないしね。自分と千早に任せるさー!」
千早「ねえ、響。お鍋ってどこにあるのかしら」
響「あー、お鍋はね……」
律子「……今千早、響のこと下の名前で……」
あずさ「お風呂の中で仲良くなったんでしょうね。ふふふ……いいことだわ~」
小鳥「お風呂の中で……っ!?仲良く……っ!?」ガバッ
律子「……ホント、自重してください小鳥さん」
16: >>15訂正 ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 23:11:31.43 ID:ClgTdP2fo
響「おいしいねこのそば」ズズズ
千早「本当。なんだか体の芯まで温まるわ」ズズズ
律子「それにしてもあと数時間で今年も終わりかぁ。長かったようなあっという間だったような……」ズズズ
あずさ「そうですねぇ」ズズズ
小鳥「来年は真ちゃんや雪歩ちゃんなんかは大学受験ね。アイドルとの掛け持ち、大丈夫かしら?」ズズズ
響「?ピヨ子、なに言ってるんだ?真たちは来年三年だろ?」
小鳥「え?」
律子「そーですよ小鳥さん。もしかして私たちの知らないところでお酒でも飲みました?」
小鳥「いや……えぇ……?響ちゃんは今年、高校二年生だったわよね?」
響「そうだぞ」
小鳥「なら、来年の四月からは三年生よね?」
響「二年生だぞ」
千早「本当。なんだか体の芯まで温まるわ」ズズズ
律子「それにしてもあと数時間で今年も終わりかぁ。長かったようなあっという間だったような……」ズズズ
あずさ「そうですねぇ」ズズズ
小鳥「来年は真ちゃんや雪歩ちゃんなんかは大学受験ね。アイドルとの掛け持ち、大丈夫かしら?」ズズズ
響「?ピヨ子、なに言ってるんだ?真たちは来年三年だろ?」
小鳥「え?」
律子「そーですよ小鳥さん。もしかして私たちの知らないところでお酒でも飲みました?」
小鳥「いや……えぇ……?響ちゃんは今年、高校二年生だったわよね?」
響「そうだぞ」
小鳥「なら、来年の四月からは三年生よね?」
響「二年生だぞ」
17: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 23:13:03.27 ID:ClgTdP2fo
小鳥「ええ……?ち、千早ちゃんは?」
千早「私もがな……響と同学年ですから二年生ですけど……」
小鳥「え……?私がおかしいの……?」
あずさ「あのー……大丈夫ですか音無さん?お水、飲みますか?」
小鳥「い、いえ。酔ってるわけじゃない……と思いますので……」
律子「一年の終わりくらいしっかりしてくださいよ小鳥さん」
小鳥「えーと……今年は響ちゃんと千早ちゃんは高校二年生だったのよね?」
千早「はい」
響「春香もね」
小鳥「それで、来年の四月から学年が一つ上がると思うんだけど……そしたら二人は三年生になるのよね?」
千早「いえ、二年生になりますけど」
響「……ピヨ子、本当に大丈夫か?」
小鳥「えっと、律子さん……?」
律子「なんですか?」
小鳥「今の話、おかしいですよね……?」
律子「おかしいのは小鳥さんの様子ですよ。さっきから変なことばっかり言って……」
小鳥「うーん……」
千早「私もがな……響と同学年ですから二年生ですけど……」
小鳥「え……?私がおかしいの……?」
あずさ「あのー……大丈夫ですか音無さん?お水、飲みますか?」
小鳥「い、いえ。酔ってるわけじゃない……と思いますので……」
律子「一年の終わりくらいしっかりしてくださいよ小鳥さん」
小鳥「えーと……今年は響ちゃんと千早ちゃんは高校二年生だったのよね?」
千早「はい」
響「春香もね」
小鳥「それで、来年の四月から学年が一つ上がると思うんだけど……そしたら二人は三年生になるのよね?」
千早「いえ、二年生になりますけど」
響「……ピヨ子、本当に大丈夫か?」
小鳥「えっと、律子さん……?」
律子「なんですか?」
小鳥「今の話、おかしいですよね……?」
律子「おかしいのは小鳥さんの様子ですよ。さっきから変なことばっかり言って……」
小鳥「うーん……」
18: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 23:14:42.54 ID:ClgTdP2fo
あずさ「どうしちゃったんでしょう……?」
響「なんか神妙な顔して唸ってるけど……仕事の事かな?」
律子「今思えば事務仕事を小鳥さんに何でも押し付けていた気がするわ」
千早「そうね……13人のアイドルにプロデューサーが2人って状況だけでもかなりキツキツなのに音無さんは13人分の書類や仕事を一人でやっているんだものね。疲れて当然だわ」
響「自分もオフの日とかたまに事務仕事手伝うけどホントにすっごく多いんだ。あれをいつも一人で片づけてるピヨ子って何気にすごいのかも……」
律子「あんたたち、後で小鳥さんの肩とか腰とか揉んでマッサージしてあげなさいよ。喜ぶわよ」
千早「そうかしら?」
あずさ「ええ。現役アイドルに肩もみをされるなんてめったにない体験だもの。きっと喜ぶわ~」
響「あずささんも律子も現役アイドルじゃん」
律子「私はプロデューサーが本業よ。……千早と響がしてあげた方が小鳥さんも喜ぶわよ。絶対に」
響「そうかな?」
律子「ええ。きっと『現役JKアイドルのマッサージktkr!!』ハァハァ みたいな感じになるに決まってるわ」
響「容易に想像できるのがなんかやだな……」
響「なんか神妙な顔して唸ってるけど……仕事の事かな?」
律子「今思えば事務仕事を小鳥さんに何でも押し付けていた気がするわ」
千早「そうね……13人のアイドルにプロデューサーが2人って状況だけでもかなりキツキツなのに音無さんは13人分の書類や仕事を一人でやっているんだものね。疲れて当然だわ」
響「自分もオフの日とかたまに事務仕事手伝うけどホントにすっごく多いんだ。あれをいつも一人で片づけてるピヨ子って何気にすごいのかも……」
律子「あんたたち、後で小鳥さんの肩とか腰とか揉んでマッサージしてあげなさいよ。喜ぶわよ」
千早「そうかしら?」
あずさ「ええ。現役アイドルに肩もみをされるなんてめったにない体験だもの。きっと喜ぶわ~」
響「あずささんも律子も現役アイドルじゃん」
律子「私はプロデューサーが本業よ。……千早と響がしてあげた方が小鳥さんも喜ぶわよ。絶対に」
響「そうかな?」
律子「ええ。きっと『現役JKアイドルのマッサージktkr!!』ハァハァ みたいな感じになるに決まってるわ」
響「容易に想像できるのがなんかやだな……」
19: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 23:16:16.58 ID:ClgTdP2fo
小鳥「亜美ちゃん真美ちゃんはこの前まで小学生だったけど……でももしかしたら……」ブツブツ
響「ピーヨ子」
千早「音無さん」
小鳥「だとしたら私ももしかしてもう三十路を……ってどうしたの、二人とも?」
響「自分たちが肩をもんであげるぞ」
小鳥「え、えぇっ!?」
千早「音無さんには普段お世話になりっぱなしなので……そのお礼として」
小鳥「現役JKアイドルの肩もみktkr!!!!」グッ b
律子「ね?」
響「完璧な予言だったな……」
千早「さすが律子ね……」
小鳥「さあさあ!早く!カモン!!ハリーアップ!!!」ワクワク
響「……まぁ喜んでくれてるみたいだし」
千早「そうね。普段お世話になってるのは事実だしね」
ギュッ モミモミ
小鳥「ピッ、ピヨーーーーーーーッ!!!!」フンスフンス
響「ピーヨ子」
千早「音無さん」
小鳥「だとしたら私ももしかしてもう三十路を……ってどうしたの、二人とも?」
響「自分たちが肩をもんであげるぞ」
小鳥「え、えぇっ!?」
千早「音無さんには普段お世話になりっぱなしなので……そのお礼として」
小鳥「現役JKアイドルの肩もみktkr!!!!」グッ b
律子「ね?」
響「完璧な予言だったな……」
千早「さすが律子ね……」
小鳥「さあさあ!早く!カモン!!ハリーアップ!!!」ワクワク
響「……まぁ喜んでくれてるみたいだし」
千早「そうね。普段お世話になってるのは事実だしね」
ギュッ モミモミ
小鳥「ピッ、ピヨーーーーーーーッ!!!!」フンスフンス
20: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 23:17:57.12 ID:ClgTdP2fo
小鳥「音無小鳥、2X歳。もうこの人生に悔いはありません……」ポロポロ
響「泣くほどの事か……?」
律子「大げさなんだから……」
あずさ「そういえば……今日のお昼もいなかったけど、貴音ちゃんは帰省しているのかしら?」
千早「そういえばそうですね。響、何か聞いてない?」
響「そういえば何日か前に事務所から帰るときに『このまま帰省するのでまた年が明けたら会いましょう』とか言ってたな」
律子「一応私のところにも連絡は来てたわよ」
あずさ「あ、そうなんですか~」
響「でもさ、その時のことでちょっと気になることがあってさ」
千早「?」
響「貴音、このまま帰るって言ったのになぜか屋上への階段を上って行ったんだ」
律子「……」
響「まあでも気になって自分もそのあと屋上に行ったんだけど誰もいなかったからさ。たぶん自分の見間違いさー」
千早「見間違い、なのかしら……」
律子「……ホント、あの子ほど『ミステリアス』って言葉が似合う子はいないわね」
響「泣くほどの事か……?」
律子「大げさなんだから……」
あずさ「そういえば……今日のお昼もいなかったけど、貴音ちゃんは帰省しているのかしら?」
千早「そういえばそうですね。響、何か聞いてない?」
響「そういえば何日か前に事務所から帰るときに『このまま帰省するのでまた年が明けたら会いましょう』とか言ってたな」
律子「一応私のところにも連絡は来てたわよ」
あずさ「あ、そうなんですか~」
響「でもさ、その時のことでちょっと気になることがあってさ」
千早「?」
響「貴音、このまま帰るって言ったのになぜか屋上への階段を上って行ったんだ」
律子「……」
響「まあでも気になって自分もそのあと屋上に行ったんだけど誰もいなかったからさ。たぶん自分の見間違いさー」
千早「見間違い、なのかしら……」
律子「……ホント、あの子ほど『ミステリアス』って言葉が似合う子はいないわね」
21: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 23:20:16.98 ID:ClgTdP2fo
律子「……さーて、明日はみんなで初詣だしさすがに朝まで起きとくってのもきついでしょうからそろそろ寝ましょうか」
響「そうだなー。自分も千早もあずささんも明後日以降生放送の番組あるし」
千早「そうね。体調管理もプロの仕事のうち、だものね」
響「……あー、布団どうしよっか?」
律子「……ベッドの布団だけ?」
響「いや、一応替えが二つあるけど……」
律子「なら私は炬燵で良いわよ」
響「ええ……でもお客様にそんな真似……」
律子「気にしない気にしない。そもそも何も言わずに来た私たちが悪いんだから」
響「そう?なんかごめんね」
千早「ならがな……響!私たちは一緒の布団で寝ましょう!!」
響「なんかまた千早がめんどくさく……」
千早「だって替えが二つしかないから……しょうがないわよね!うん。しょうがないわ。誰かが響と一緒に寝る以外に選択肢はないわよね。だったら、この中で一番スレンダーな私が……」
響「なんかやよいと一緒にいるときの千早みたいだぞ……」
小鳥(響ちゃんもやよいちゃんと一緒にいるとき千早ちゃんほどじゃないけどあんな感じになってる気がするけど……)
響「まぁ、千早が一人で床で寝るって選択肢もあるけど……」
千早「(゚Д゚)」
響「嘘嘘。冗談だぞ」
響「そうだなー。自分も千早もあずささんも明後日以降生放送の番組あるし」
千早「そうね。体調管理もプロの仕事のうち、だものね」
響「……あー、布団どうしよっか?」
律子「……ベッドの布団だけ?」
響「いや、一応替えが二つあるけど……」
律子「なら私は炬燵で良いわよ」
響「ええ……でもお客様にそんな真似……」
律子「気にしない気にしない。そもそも何も言わずに来た私たちが悪いんだから」
響「そう?なんかごめんね」
千早「ならがな……響!私たちは一緒の布団で寝ましょう!!」
響「なんかまた千早がめんどくさく……」
千早「だって替えが二つしかないから……しょうがないわよね!うん。しょうがないわ。誰かが響と一緒に寝る以外に選択肢はないわよね。だったら、この中で一番スレンダーな私が……」
響「なんかやよいと一緒にいるときの千早みたいだぞ……」
小鳥(響ちゃんもやよいちゃんと一緒にいるとき千早ちゃんほどじゃないけどあんな感じになってる気がするけど……)
響「まぁ、千早が一人で床で寝るって選択肢もあるけど……」
千早「(゚Д゚)」
響「嘘嘘。冗談だぞ」
22: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 23:22:18.29 ID:ClgTdP2fo
律子「じゃあ電気消すわね?おやすみ、みんな」
あずさ「おやすみなさい~」
小鳥「おやすみなさーい」
響「来年までおやすみー」
千早「おやすみなさい」
パチッ
千早「ねぇがな……響」ヒソヒソ
響「……まだ慣れない?自分の下の名前」ヒソヒソ
千早「ええ……でもすぐに慣れるわ」
響「そっか」
千早「来年の私たちは……どうなってるかしら」
響「……完璧な自分でも未来はわかんないけどさ、これだけは言えるぞ」
千早「?」
響「来年は765プロのみんな、今年よりももっともーっと仲良くなってるさー」
千早「……ふふ、そうね」
響「来年の年末はさ、年越しライブとかやりたいよね。みんなで」
千早「ええ」
響「876プロとか、ジュピターとか玲音なんかも呼んじゃったりしてさ」
千早「ふふ……会場に人が入りきらないかもしれないわね」
響「きっとプロデューサーや律子がでっかい会場を見つけてくるよ。なんくるないさー」
千早「……ねえ響」
響「んー?」
千早「来年も、よろしくね」
響「……うん。来年だけじゃなくずっとずーっと、よろしくね千早!おやすみ!!」
千早「……おやすみなさい、響」
終わり
あずさ「おやすみなさい~」
小鳥「おやすみなさーい」
響「来年までおやすみー」
千早「おやすみなさい」
パチッ
千早「ねぇがな……響」ヒソヒソ
響「……まだ慣れない?自分の下の名前」ヒソヒソ
千早「ええ……でもすぐに慣れるわ」
響「そっか」
千早「来年の私たちは……どうなってるかしら」
響「……完璧な自分でも未来はわかんないけどさ、これだけは言えるぞ」
千早「?」
響「来年は765プロのみんな、今年よりももっともーっと仲良くなってるさー」
千早「……ふふ、そうね」
響「来年の年末はさ、年越しライブとかやりたいよね。みんなで」
千早「ええ」
響「876プロとか、ジュピターとか玲音なんかも呼んじゃったりしてさ」
千早「ふふ……会場に人が入りきらないかもしれないわね」
響「きっとプロデューサーや律子がでっかい会場を見つけてくるよ。なんくるないさー」
千早「……ねえ響」
響「んー?」
千早「来年も、よろしくね」
響「……うん。来年だけじゃなくずっとずーっと、よろしくね千早!おやすみ!!」
千早「……おやすみなさい、響」
終わり
24: ◆Z2EXv0FZUc 2014/12/31(水) 23:26:53.22 ID:ClgTdP2fo
おしまいっ!
千早を書くとなぜかミンゴスが出てきてしまう。なぜだ…
あずささんの口調が難しいですもっともっと精進すべきだなこりゃ
来年はアイマス10周年!どんな楽しいイベントがあるか今からワクワクですな
誤字脱字等はできるだけないようにしていますがもし見つけた場合は脳内変換お願いします
ではではよいお年を!!
千早を書くとなぜかミンゴスが出てきてしまう。なぜだ…
あずささんの口調が難しいですもっともっと精進すべきだなこりゃ
来年はアイマス10周年!どんな楽しいイベントがあるか今からワクワクですな
誤字脱字等はできるだけないようにしていますがもし見つけた場合は脳内変換お願いします
ではではよいお年を!!
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/31(水) 23:50:30.77 ID:KOK4N6ZDO
おつ
よいアイマスSS読み納めだった
よいアイマスSS読み納めだった
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/01(木) 15:33:24.32 ID:613oweQno
どうしようもない千早になるかと思ったらそこまで行かなかった
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/03(土) 00:28:49.85 ID:OqJZ9HoEo
おつー
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1420033454/
Entry ⇒ 2015.01.31 | Category ⇒ アイドルマスター | Comments (0)
照「この中に1人、妹がいる!」
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 00:13:47.38 ID:Q8OS+HjD0
照「ふぅ・・・、久しぶりの日本か・・・。相変わらずジメジメして暑い」
・
・
・
宮永母「照ちゃん、久しぶり!」
照「ママ。久しぶりー。急に大事な話があるから日本に戻って来いだなんてどうしたの?」
・
・
・
宮永母「照ちゃん、久しぶり!」
照「ママ。久しぶりー。急に大事な話があるから日本に戻って来いだなんてどうしたの?」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 00:17:45.29 ID:Q8OS+HjD0
宮永母「えぇ、とても大事なお話があるの」
宮永母「実は・・・、貴方のお父様が亡くなられたわ・・・」
照「ッッ!?・・・そっか」
照「顔もあんまり覚えてないし・・・、父さんが死んだって実感があんまり湧かないね・・・」
宮永母「急な話ですものね。心の準備が出来てないのは承知の上よ。これが遺言状よ、ぜひ読んで頂戴」スッ
照「・・・私に?」
宮永母「実は・・・、貴方のお父様が亡くなられたわ・・・」
照「ッッ!?・・・そっか」
照「顔もあんまり覚えてないし・・・、父さんが死んだって実感があんまり湧かないね・・・」
宮永母「急な話ですものね。心の準備が出来てないのは承知の上よ。これが遺言状よ、ぜひ読んで頂戴」スッ
照「・・・私に?」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 00:22:12.39 ID:Q8OS+HjD0
照「ふむふむ」
宮永父『照へ。これを読んでる頃には、私はもう死んでいるだろう。私の全財産、私有地を全てお前に譲る事にした。ただし条件がある。
私が生前に理事長をしてた白糸台女子学園に、お前の妹が通っている。卒業までに見つけ出してほしい。無事に、妹を見つける事を出来たなら、私の全てをお前に譲ろう』
照「妹・・・?」
宮永母「えぇ・・・実は貴方には血を分けた妹が居るの」
照「そんな話聞いた事ない!!」
宮永父『照へ。これを読んでる頃には、私はもう死んでいるだろう。私の全財産、私有地を全てお前に譲る事にした。ただし条件がある。
私が生前に理事長をしてた白糸台女子学園に、お前の妹が通っている。卒業までに見つけ出してほしい。無事に、妹を見つける事を出来たなら、私の全てをお前に譲ろう』
照「妹・・・?」
宮永母「えぇ・・・実は貴方には血を分けた妹が居るの」
照「そんな話聞いた事ない!!」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 00:28:39.11 ID:Q8OS+HjD0
宮永母「実は・・・小さい頃に一度だけ会ってるの・・・。そして、麻雀を打ってるの・・・」
照「ッッ!?記憶にはないけど。そうなんだ・・・」
宮永母「白糸台の理事長は、名目上はもう貴方になってるわ」
照「そんな!勝手に!」
宮永母「お父様の残した財産は莫大。それこそ、誰もが目の色を変えるような金額よ。私は貴方に、お父様の遺産を継いで欲しいと思ってるの」
照「・・・急に言われても」
宮永母「うん。貴方がお金で動かない事くらいよーく知ってるわ。・・・もし、妹の中に貴方よりも麻雀が強い子が居るとしたら?」
照「はぁ!!!???私より?私は、今年の全米チャンピオンなのよ!?」
宮永母「貴方は覚えてないかもしれないけど・・・、貴方は小さい時に妹に完敗しているわ・・・」
照「私が?全く記憶にないけど」
宮永母「・・・そう言うと思ったわ。これが当時の牌譜表よ」スッ
照「ッッ!?記憶にはないけど。そうなんだ・・・」
宮永母「白糸台の理事長は、名目上はもう貴方になってるわ」
照「そんな!勝手に!」
宮永母「お父様の残した財産は莫大。それこそ、誰もが目の色を変えるような金額よ。私は貴方に、お父様の遺産を継いで欲しいと思ってるの」
照「・・・急に言われても」
宮永母「うん。貴方がお金で動かない事くらいよーく知ってるわ。・・・もし、妹の中に貴方よりも麻雀が強い子が居るとしたら?」
照「はぁ!!!???私より?私は、今年の全米チャンピオンなのよ!?」
宮永母「貴方は覚えてないかもしれないけど・・・、貴方は小さい時に妹に完敗しているわ・・・」
照「私が?全く記憶にないけど」
宮永母「・・・そう言うと思ったわ。これが当時の牌譜表よ」スッ
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 00:33:57.05 ID:Q8OS+HjD0
照「あぁ、間違いないね。これ私の字だ。妹さんの名前の所は黒く塗りつぶしてあるけど・・・」
宮永母「ごめんなさいね。遺言は絶対だから・・・。名前がわかれば、妹が簡単にわかってしまうでしょ」
照「まぁ、それはいいけど。・・・なにこれ?私、ずっと最下位じゃん」
宮永母「えぇ・・・、お父様はプロ級の腕前。そして、もう一人は当時の大沼プロが同卓してたから」
照「ふーん。今なら負けないと思うけどね・・・。で、妹が連続一位か・・・」
照「それになにこれ・・・。打点が少しずつ上がってる・・・。私の打ち筋にそっくり」
宮永母「あの頃、あの子は貴方に憧れてたから・・・」
照「最後の三局連続で±0か・・・。偶然?」
宮永母「ごめんなさいね。遺言は絶対だから・・・。名前がわかれば、妹が簡単にわかってしまうでしょ」
照「まぁ、それはいいけど。・・・なにこれ?私、ずっと最下位じゃん」
宮永母「えぇ・・・、お父様はプロ級の腕前。そして、もう一人は当時の大沼プロが同卓してたから」
照「ふーん。今なら負けないと思うけどね・・・。で、妹が連続一位か・・・」
照「それになにこれ・・・。打点が少しずつ上がってる・・・。私の打ち筋にそっくり」
宮永母「あの頃、あの子は貴方に憧れてたから・・・」
照「最後の三局連続で±0か・・・。偶然?」
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 00:37:59.35 ID:Q8OS+HjD0
照(偶然にしては・・・、この妹さん、打ち方が急に変わり過ぎてる。前半の勢いはどこへ・・・)
照「・・・認めたくないけど、認めるしかないみたいだね」
宮永母「えぇ。財産より、この子に興味があるのではなくて?」
照「うん。少しね。いいよ。私、白糸台に編入してあげる。でも理事長の仕事は、やりたくないなー」
宮永母「そこは任せて。一応、私が表向きの理事長って事になってるし、私の仕事でもあるし」
照「・・・認めたくないけど、認めるしかないみたいだね」
宮永母「えぇ。財産より、この子に興味があるのではなくて?」
照「うん。少しね。いいよ。私、白糸台に編入してあげる。でも理事長の仕事は、やりたくないなー」
宮永母「そこは任せて。一応、私が表向きの理事長って事になってるし、私の仕事でもあるし」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 00:42:07.48 ID:Q8OS+HjD0
宮永母「貴方、日本に慣れてないし、いきなり妹を探せって言われてもピンと来ないでしょ?だから、とっておきのパートナーを紹介しとくね」
コンコン
菫「失礼します。奥様」
宮永母「紹介するわね。貴方のパートナーになる、弘世菫さんよ。年は同い年」
菫「照お嬢様、私、弘世菫と申します・・・。よろしくお願いします」
照「私は宮永照。敬語は使わなくていいよ。うん、これからよろしくね菫」
コンコン
菫「失礼します。奥様」
宮永母「紹介するわね。貴方のパートナーになる、弘世菫さんよ。年は同い年」
菫「照お嬢様、私、弘世菫と申します・・・。よろしくお願いします」
照「私は宮永照。敬語は使わなくていいよ。うん、これからよろしくね菫」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 00:47:47.92 ID:Q8OS+HjD0
宮永母「私、お父様の葬儀やら、手続きやらでほとんど家に帰れないくらい忙しくて・・・。しばらく菫さんと一緒に住んで貰う事になるわ」
照「別に私一人でも問題なのに・・・」
宮永母「貴方、家事が壊滅的に下手じゃない!菫さんは、あらゆる分野のエキスパートよ。安心して任せられるわ」
菫「はい。お嬢様の安全と健康は私にお任せあれです、奥様」
照「ふーん・・・、なんでも出来るねぇ・・・。肝心の麻雀の腕は?」
宮永母「えぇ・・・もちろん、全国クラスの怪物よ♪」
菫「・・・少し自信はあります」
照「ふふふ、そうこなくちゃ。よし、菫。早速、私と打とうか。そして私が勝てば、敬語を使うのを禁止する!」
菫「・・・了解しました、お嬢様。全米チャンプの力、とくと見せて貰います」
照「別に私一人でも問題なのに・・・」
宮永母「貴方、家事が壊滅的に下手じゃない!菫さんは、あらゆる分野のエキスパートよ。安心して任せられるわ」
菫「はい。お嬢様の安全と健康は私にお任せあれです、奥様」
照「ふーん・・・、なんでも出来るねぇ・・・。肝心の麻雀の腕は?」
宮永母「えぇ・・・もちろん、全国クラスの怪物よ♪」
菫「・・・少し自信はあります」
照「ふふふ、そうこなくちゃ。よし、菫。早速、私と打とうか。そして私が勝てば、敬語を使うのを禁止する!」
菫「・・・了解しました、お嬢様。全米チャンプの力、とくと見せて貰います」
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 00:52:44.87 ID:Q8OS+HjD0
一か月後
宮永家
菫「おい、照。いつまで寝てる!今日から、学校に行く日だぞ!」ユサユサ
照「むにゅ・・・、朝は弱いんだよ・・・、後一時間・・・」。。ooOzzZZZ
菫「こら!時差ボケはもう直ったはずだろ!早く起きろ!このテルテルパー娘!」ユサユサユサ!!
・
・
・
照「菫は真面目だなぁ」モグモグ
菫「私はお前の世話をする事で給料をいただいてるんだ。半端な真似は出来ない!それと・・・、仮にも理事長だろ?しゃんとしろ!」
照「ふぁーい」
宮永家
菫「おい、照。いつまで寝てる!今日から、学校に行く日だぞ!」ユサユサ
照「むにゅ・・・、朝は弱いんだよ・・・、後一時間・・・」。。ooOzzZZZ
菫「こら!時差ボケはもう直ったはずだろ!早く起きろ!このテルテルパー娘!」ユサユサユサ!!
・
・
・
照「菫は真面目だなぁ」モグモグ
菫「私はお前の世話をする事で給料をいただいてるんだ。半端な真似は出来ない!それと・・・、仮にも理事長だろ?しゃんとしろ!」
照「ふぁーい」
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:00:43.57 ID:Q8OS+HjD0
照「とりあえず、菫。お前の調べた情報をくれ」
菫「・・・お前、一か月麻雀してただけだよな!ほとんど私が動いたじゃないか!」
照「財産貰ったたら、ちゃんと報酬払うよー」
菫「ったく。宮永家と繋がりが深い人物とされるピックアップしておいた。また、前に奥様が酔った勢いで、2つ下って仰られてた」
照「ふーん。二歳下ね。って事はこの学園では一年生なんだね」
菫「あぁ、そうなるな。しかも私は麻雀部の部長だ。簡単に調べがついた」
照「流石、仕事が出来る女!よっ!シャープシューター!」
菫「・・・おい!まぁ、いい。で、だ。とりあえず、候補生と思われる一年を放課後に紹介する」
菫「麻雀が強いと言う情報もあって、すぐ絞れたよ」
菫「・・・お前、一か月麻雀してただけだよな!ほとんど私が動いたじゃないか!」
照「財産貰ったたら、ちゃんと報酬払うよー」
菫「ったく。宮永家と繋がりが深い人物とされるピックアップしておいた。また、前に奥様が酔った勢いで、2つ下って仰られてた」
照「ふーん。二歳下ね。って事はこの学園では一年生なんだね」
菫「あぁ、そうなるな。しかも私は麻雀部の部長だ。簡単に調べがついた」
照「流石、仕事が出来る女!よっ!シャープシューター!」
菫「・・・おい!まぁ、いい。で、だ。とりあえず、候補生と思われる一年を放課後に紹介する」
菫「麻雀が強いと言う情報もあって、すぐ絞れたよ」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:07:33.58 ID:Q8OS+HjD0
放課後
照「日本の授業は退屈だなー。早く麻雀しようよー。麻雀」
菫「ホント、麻雀好きだよな!」
照「大好きだから、全米チャンプなのー」ンフフ♪
菫「今年の大会は、お前の加入で優勝出来なかったら、もう世間様に顔向けできないよ」
・
・
・
菫「はい、名前を呼ばれた三人、集まってくれ!」
菫「まずは。高鴨穏乃!」
穏乃「はい!!ここに参上」ピョン
照(野生児?)
菫「校内ランキング10位の高鴨穏乃だ。学年はもちろん一年」
穏乃「宮永照さん!お会いできて光栄です!!」ペコリ
照「日本の授業は退屈だなー。早く麻雀しようよー。麻雀」
菫「ホント、麻雀好きだよな!」
照「大好きだから、全米チャンプなのー」ンフフ♪
菫「今年の大会は、お前の加入で優勝出来なかったら、もう世間様に顔向けできないよ」
・
・
・
菫「はい、名前を呼ばれた三人、集まってくれ!」
菫「まずは。高鴨穏乃!」
穏乃「はい!!ここに参上」ピョン
照(野生児?)
菫「校内ランキング10位の高鴨穏乃だ。学年はもちろん一年」
穏乃「宮永照さん!お会いできて光栄です!!」ペコリ
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:11:27.76 ID:Q8OS+HjD0
照「よろしく。自己紹介は麻雀打ちながらするよ」
菫「じゃあ、次。校内ランキング3位、大星淡!」
淡「はーい。呼んだー」
菫「おい、敬語は使えといつも言ってるだろ!」
淡「うーん、気が向いたらねー。貴方が噂のテルーかな?麻雀強いの」ワクワク
照「すっごく強いです!!あぁ、私の前では敬語使わなくていい」
淡「わーい!話がわかるー」
菫「照、あまり甘やかさないでくれよ」
菫「じゃあ、次。校内ランキング3位、大星淡!」
淡「はーい。呼んだー」
菫「おい、敬語は使えといつも言ってるだろ!」
淡「うーん、気が向いたらねー。貴方が噂のテルーかな?麻雀強いの」ワクワク
照「すっごく強いです!!あぁ、私の前では敬語使わなくていい」
淡「わーい!話がわかるー」
菫「照、あまり甘やかさないでくれよ」
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:16:46.83 ID:Q8OS+HjD0
菫「次が一応、本命と言えば本命かな。校内ランキング1位、原村和!」
和「はい」
照(ママも私も貧乳なのに、このオッパイはありえないだろー、多分)
和「ぜひご指導のほど、お願いします」ペコリ
菫「照、聞いて驚け。原村は全中のチャンピオンだ。つまり中学生で一番、強かったわけだ」
照「日本の中学のレベルは知らないけど、すごいんだねー」フーン
菫「お前が負けた事のある雀士って情報だからな。そうゆう意味では原村が最も近いような気もする」
和「はい」
照(ママも私も貧乳なのに、このオッパイはありえないだろー、多分)
和「ぜひご指導のほど、お願いします」ペコリ
菫「照、聞いて驚け。原村は全中のチャンピオンだ。つまり中学生で一番、強かったわけだ」
照「日本の中学のレベルは知らないけど、すごいんだねー」フーン
菫「お前が負けた事のある雀士って情報だからな。そうゆう意味では原村が最も近いような気もする」
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:21:15.49 ID:Q8OS+HjD0
菫「で、あと一人・・・。また遅刻かー」
泉「ちーす。遅れて、すんません。って誰ですかー?」
菫「・・・校内ランキング8位の二条泉だ。最近、関西から引っ越してきた。旦那様が最後に連れて来た麻雀特待生だ」
泉「はい!うちが日本で一番強い高校一年生です!!和には負けません!」ドン!!
照「胸は、役満と満貫くらい負けてるよね」
泉「う、うちはこれから跳満くらいには成長しますよ//」
泉「ちーす。遅れて、すんません。って誰ですかー?」
菫「・・・校内ランキング8位の二条泉だ。最近、関西から引っ越してきた。旦那様が最後に連れて来た麻雀特待生だ」
泉「はい!うちが日本で一番強い高校一年生です!!和には負けません!」ドン!!
照「胸は、役満と満貫くらい負けてるよね」
泉「う、うちはこれから跳満くらいには成長しますよ//」
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:26:17.99 ID:Q8OS+HjD0
菫「さて、私は泉に罰ゲームをして・・・。照、とりあえず一年と打ってみろ。何か思い出すかもしれん」
照「うん。みんなー、この卓で私以外が一位取れたら、私が帰りに何でも奢ってあげるよ」
穏乃「うおぉぉぉぉぉ、ラーメン食いたい!ラーメン!」
和「物でつるのは感心しませんが・・・。その態度、自信ありのようですね」
淡「ふふふ、こんな事もあろうかとお昼ご飯は抜いてたのだー(ホントはお弁当忘れただけだけど)、いっぱい食べるぞー」
照「ふっふっ・・・、ヤキトリにならなかったら、ナデナデしてやろう小娘達」ギュルルルル
照「うん。みんなー、この卓で私以外が一位取れたら、私が帰りに何でも奢ってあげるよ」
穏乃「うおぉぉぉぉぉ、ラーメン食いたい!ラーメン!」
和「物でつるのは感心しませんが・・・。その態度、自信ありのようですね」
淡「ふふふ、こんな事もあろうかとお昼ご飯は抜いてたのだー(ホントはお弁当忘れただけだけど)、いっぱい食べるぞー」
照「ふっふっ・・・、ヤキトリにならなかったら、ナデナデしてやろう小娘達」ギュルルルル
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:31:08.99 ID:Q8OS+HjD0
対局終了
照「・・・まぁ、よく頑張った方じゃない?」
穏乃「うおぉぉぉぉおおぉぉぉぉぉ!!!!!!流石、チャンピオン、つえぇぇぇぇぇ!!かっけぇぇぇぇぇ!!」キラキラ
淡「・・・お腹すいた」グー
和「や、ヤキトリだなんて・・・、こんなオカルトありえません!!」ギリギリ
菫「おー・・・、流石だな。一応、ここ去年の優勝校なんだが・・・」
照「んー、まぁ今年も優勝出来るんじゃない?私に先鋒やらせてくれたら」
照「・・・まぁ、よく頑張った方じゃない?」
穏乃「うおぉぉぉぉおおぉぉぉぉぉ!!!!!!流石、チャンピオン、つえぇぇぇぇぇ!!かっけぇぇぇぇぇ!!」キラキラ
淡「・・・お腹すいた」グー
和「や、ヤキトリだなんて・・・、こんなオカルトありえません!!」ギリギリ
菫「おー・・・、流石だな。一応、ここ去年の優勝校なんだが・・・」
照「んー、まぁ今年も優勝出来るんじゃない?私に先鋒やらせてくれたら」
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:35:41.16 ID:Q8OS+HjD0
和「すいません!もう一局、お願いします!!」
菫「原村は流石に悔しいだろうな。照、相手してやれよ」
照「いいよー。これから、何回でもハコらしてあげるからね」ニコッ
照「あっ・・・飲み物、無くなった」
菫「一年に持って来させよう。おーい、一年、誰か!」
テクテク
咲「はい、弘世先輩。なんでしょうか?」
菫「おっ宮永かー。一応、紹介しておこう。偶然、お前と苗字が同じの、宮永咲だ。校内ランキング50位」
菫「ちなみに校内ランキングは100位からだ」
菫「原村は流石に悔しいだろうな。照、相手してやれよ」
照「いいよー。これから、何回でもハコらしてあげるからね」ニコッ
照「あっ・・・飲み物、無くなった」
菫「一年に持って来させよう。おーい、一年、誰か!」
テクテク
咲「はい、弘世先輩。なんでしょうか?」
菫「おっ宮永かー。一応、紹介しておこう。偶然、お前と苗字が同じの、宮永咲だ。校内ランキング50位」
菫「ちなみに校内ランキングは100位からだ」
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:43:50.94 ID:Q8OS+HjD0
咲「・・・ご活躍、テレビなどで拝見しておりました。雲の上の存在の人に会えて光栄です」
照(なんだこの子、日本の小鍛冶プロと対局した時に感じたプレッシャーのような物を感じるが・・・)
照「あ、あぁ・・・。宮永照だ。ぜひ仲良くしてくれ」テヲダス
咲「握手ですか!喜んで!」スッ
照「うっ・・・・!!!!!!???」ゾクゾク
この時、宮永照に電流が走るッッ!!
照(なんだこの子、日本の小鍛冶プロと対局した時に感じたプレッシャーのような物を感じるが・・・)
照「あ、あぁ・・・。宮永照だ。ぜひ仲良くしてくれ」テヲダス
咲「握手ですか!喜んで!」スッ
照「うっ・・・・!!!!!!???」ゾクゾク
この時、宮永照に電流が走るッッ!!
68: 俺も眠いの 投稿日:2012/08/20(月) 01:50:49.75 ID:Q8OS+HjD0
照(なんだこれッッ!!!!私、震えてるの!?)プルプル
照(こんな事、一度も無かったのに!!アメリカでは一度も!!)
照「あ、あのさー・・・、宮永さん・・・。一局打って行かないか?」カタカタ
咲「えっ!私がですか!」
泉「照さーん、まだ私と打ってませんよー。宮永とじゃ退屈すると思いますよー」
菫「あぁ、宮永には悪いが。照と麻雀打って、宮永がトラウマになって貰っては困る。まだ伸びしろがある高校一年生なんだ」
照(こんな事、一度も無かったのに!!アメリカでは一度も!!)
照「あ、あのさー・・・、宮永さん・・・。一局打って行かないか?」カタカタ
咲「えっ!私がですか!」
泉「照さーん、まだ私と打ってませんよー。宮永とじゃ退屈すると思いますよー」
菫「あぁ、宮永には悪いが。照と麻雀打って、宮永がトラウマになって貰っては困る。まだ伸びしろがある高校一年生なんだ」
70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:54:10.62 ID:Q8OS+HjD0
咲「そうですよー。私なんかすぐハコっちゃいそう」アタフタ
和「咲さんは、入部後、ハコは一度もないですよ」
咲「うっ!?」
照「ぜひ・・・、打ってみたい。頼む」
菫「そうかぁ?じゃあ、私と泉も入るけど構わないか?」
照「・・・いいよ。全員飛ばす勢いで頑張る」
和「咲さんは、入部後、ハコは一度もないですよ」
咲「うっ!?」
照「ぜひ・・・、打ってみたい。頼む」
菫「そうかぁ?じゃあ、私と泉も入るけど構わないか?」
照「・・・いいよ。全員飛ばす勢いで頑張る」
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:58:28.10 ID:Q8OS+HjD0
照(いつもは・・・一局目は様子を見るのが私のスタイルだ・・・。しかし、私の勘が告げている。ここは一局目から全力やらないと)ギュルルルル
照(この支配力なら・・・、国士無双行けるかッッ!!)
照「ツモ、国士無双」
淡「東一局から役満だなんて、すごいねー」
和「偶然ですよ偶然」
咲(一局目から!?うーん・・・、これは取り返すの大変だよー)
照(この支配力なら・・・、国士無双行けるかッッ!!)
照「ツモ、国士無双」
淡「東一局から役満だなんて、すごいねー」
和「偶然ですよ偶然」
咲(一局目から!?うーん・・・、これは取り返すの大変だよー)
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:02:13.51 ID:Q8OS+HjD0
対局終了
菫「結局、照の圧勝だったな」
泉「いやー、三人まとめて飛ばされるか、ヒヤヒヤでしたねー」アセアセ
咲「ホント、ホント!私も、弘世先輩と泉ちゃんに振り込んじゃったし・・・」
照「・・・」
照「・・・・・」
照「・・・・・・・・・・」
照「なぁ・・・、話がある。次の対局で、私が一位なら、麻雀部に入らない」
菫「結局、照の圧勝だったな」
泉「いやー、三人まとめて飛ばされるか、ヒヤヒヤでしたねー」アセアセ
咲「ホント、ホント!私も、弘世先輩と泉ちゃんに振り込んじゃったし・・・」
照「・・・」
照「・・・・・」
照「・・・・・・・・・・」
照「なぁ・・・、話がある。次の対局で、私が一位なら、麻雀部に入らない」
82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:07:29.55 ID:Q8OS+HjD0
菫・泉「「は…!?」」
咲「・・・ッッ!?」
照「だって・・・、意味ないと思うから。妹探しは菫に任せて、アメリカで麻雀打つよ」
菫「そんな、お前!?」
照「・・・私は麻雀が大好きだからね。宮永さん、貴方は麻雀好き?」
咲「わ、私はどちらでもないです・・・」
照「どちらでもないね・・・。ふーん、そんな答えが出るんだ・・・。じゃあ、最後の一局始めようか」
咲(お姉ちゃん・・・本気かな・・・。じゃあ・・・この一局だけ、全部ゴッ倒す!)ゴッ
咲「・・・ッッ!?」
照「だって・・・、意味ないと思うから。妹探しは菫に任せて、アメリカで麻雀打つよ」
菫「そんな、お前!?」
照「・・・私は麻雀が大好きだからね。宮永さん、貴方は麻雀好き?」
咲「わ、私はどちらでもないです・・・」
照「どちらでもないね・・・。ふーん、そんな答えが出るんだ・・・。じゃあ、最後の一局始めようか」
咲(お姉ちゃん・・・本気かな・・・。じゃあ・・・この一局だけ、全部ゴッ倒す!)ゴッ
84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:12:04.49 ID:Q8OS+HjD0
咲「カン!」
咲「カン!もう一個カン!!」
咲「それ、通らないです!ロン!」
咲「嶺上開花・・・のみ!1000点です!」
泉「」カタカタ
菫「」プルプル
照「・・・私に残った点数はこのリー棒一本のみ。でも、ラス親。それに・・・甘く見ないで!!」ゴッ
咲「カン!もう一個カン!!」
咲「それ、通らないです!ロン!」
咲「嶺上開花・・・のみ!1000点です!」
泉「」カタカタ
菫「」プルプル
照「・・・私に残った点数はこのリー棒一本のみ。でも、ラス親。それに・・・甘く見ないで!!」ゴッ
92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:15:16.97 ID:Q8OS+HjD0
淡「咲ちゃん、惜しかったね」
和「えぇ・・・、最後の最後でマクられましたね」
・
・
・
咲「そ、そんな」ポロポロ
照「はぁ・・・はぁ・・・、くっ!もう頭が動かん!!誰か!酸素ボンベ持って来い!!」プルプル
泉「は、はい!」
和「えぇ・・・、最後の最後でマクられましたね」
・
・
・
咲「そ、そんな」ポロポロ
照「はぁ・・・はぁ・・・、くっ!もう頭が動かん!!誰か!酸素ボンベ持って来い!!」プルプル
泉「は、はい!」
96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:19:43.68 ID:Q8OS+HjD0
咲ちゃん、四局、別々の違う役で上がった感じでー
照「」スーハー
菫「しかし・・・、なんだ。咲のヤツ・・・、今まで手を抜いてたって事か・・・」
咲「ご、ごめんなさい!!私、麻雀特待生枠どうしても欲しくて!!みなさんの迷惑にならない位置でずっと三年間居ようと思って」ポロポロ
和「やはり・・。ずっとおかしいと思ってたんです!こんなオカルトあるのかな?ありえるのかな?って毎日感じさせられてましたよ!」
照「」スーハー
菫「しかし・・・、なんだ。咲のヤツ・・・、今まで手を抜いてたって事か・・・」
咲「ご、ごめんなさい!!私、麻雀特待生枠どうしても欲しくて!!みなさんの迷惑にならない位置でずっと三年間居ようと思って」ポロポロ
和「やはり・・。ずっとおかしいと思ってたんです!こんなオカルトあるのかな?ありえるのかな?って毎日感じさせられてましたよ!」
99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:24:34.27 ID:Q8OS+HjD0
照「・・・ちょっと回復して来た」スーハー
菫「・・・照。その・・・なんだ・・・。一か月間楽しかったよ。私、日本代表に選ばれるようになって、絶対アメリカと対戦するから!!」
菫「お前の捨て牌、必ず射抜いてやる!」
照「・・・」スーハー
照「入部届」ポイ
菫「・・・照。その・・・なんだ・・・。一か月間楽しかったよ。私、日本代表に選ばれるようになって、絶対アメリカと対戦するから!!」
菫「お前の捨て牌、必ず射抜いてやる!」
照「・・・」スーハー
照「入部届」ポイ
105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:34:42.05 ID:Q8OS+HjD0
咲「ッッ!!!??」
照「・・・やっぱり、千局勝負にするね。今、私の一勝目」
照「・・・プリン食べたら再戦!次も負けないから!」
咲「は、はい!!」
和「あ、あの!次は私も!」
淡「いやー、次から本気出すから!私の本気!」ムフフ
穏乃「ラーメン食べたい!ラーメン!!」
照「・・・やっぱり、千局勝負にするね。今、私の一勝目」
照「・・・プリン食べたら再戦!次も負けないから!」
咲「は、はい!!」
和「あ、あの!次は私も!」
淡「いやー、次から本気出すから!私の本気!」ムフフ
穏乃「ラーメン食べたい!ラーメン!!」
108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:38:20.57 ID:Q8OS+HjD0
卒業式
照「あぁー、結局咲に負け越した」
菫「ははは、まぁ大学も日本の大学選んだんだろ?まだ何度でも、対局出来るじゃないか」
照「そーいえば、そうだな。とゆーか、私、この学園に何しに来たんだっけ?」
菫「咲ちゃんと麻雀しに来たんじゃないのか?お前と咲のおかげで、白糸台は三連覇の偉業も達成したが」
照「うーん、そうじゃなくて・・・。なんか麻雀以外の事しに来たような気がするんだけど・・・」
菫「・・・妹選びだろ?(笑)」
照「あぁー、結局咲に負け越した」
菫「ははは、まぁ大学も日本の大学選んだんだろ?まだ何度でも、対局出来るじゃないか」
照「そーいえば、そうだな。とゆーか、私、この学園に何しに来たんだっけ?」
菫「咲ちゃんと麻雀しに来たんじゃないのか?お前と咲のおかげで、白糸台は三連覇の偉業も達成したが」
照「うーん、そうじゃなくて・・・。なんか麻雀以外の事しに来たような気がするんだけど・・・」
菫「・・・妹選びだろ?(笑)」
109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:38:55.89 ID:Q8OS+HjD0
菫「で、卒業式で発表だったっけ?宮永家の血縁者、みんな集まってるぞ」
照「・・・遺産とかもうどうでもいいんだけどさー」
照「まぁ、貰えるものは貰っておこうかなぁ・・・」
照「私の妹は・・です!」
カン!
照「・・・遺産とかもうどうでもいいんだけどさー」
照「まぁ、貰えるものは貰っておこうかなぁ・・・」
照「私の妹は・・です!」
カン!
114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:41:37.02 ID:Q8OS+HjD0
妹は、もちろん咲ちゃんでwww
とゆーか、この中に一人、妹がいる!ってアニメ見た事無かったわ。
すまんなー。
とゆーか、この中に一人、妹がいる!ってアニメ見た事無かったわ。
すまんなー。
115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:42:04.37 ID:XQn+6v4r0
妹は誰なのか読み返したらわかるのかな?
117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:46:37.19 ID:Q8OS+HjD0
>>115
いやー、照は、全員と打って、咲さんとの対局で確信した感じでー。
まぁ、あの宮永ホーン見れば、勘のいい人なら気づくよね!ドン!!
いやー、照は、全員と打って、咲さんとの対局で確信した感じでー。
まぁ、あの宮永ホーン見れば、勘のいい人なら気づくよね!ドン!!
118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:46:45.01 ID:kAs3WA9L0
乙
119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:48:16.01 ID:cTKj65Br0
おっつー
123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 03:11:16.55 ID:C+hQKiKu0
おつおつ
咲さんかわいい
咲さんかわいい
掲載元:http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1345389227/
Entry ⇒ 2015.01.31 | Category ⇒ 咲-Saki- | Comments (0)
姫「王子の代わりに戦う使命を負った」
1: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/20(火) 16:22:14.03 ID:v18eES5U0
少女漫画っぽいかもしれないです。
2: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/20(火) 16:22:29.09 ID:v18eES5U0
私は姫であり、王子である――
氷河魔人「貴様が人間達の希望、王子か」
姫「そうだ」
男装に身を包んだ私は嘘をつく。
声を太くし、不安な気持ちを顔から消し去って――
姫「魔王軍、氷河魔人。我が国の平和の為、切らせてもらう!!」
氷河魔人「面白い!」
相手から繰り出される氷のつぶてを剣でなぎ払う。
女の身であっても、剣では男と対等に戦えると私は自信を持っている。
つぶてが顔をかすったが、私は痛みを無視し氷河魔人に接近していく。
氷河魔人「捉えた!!」
氷河魔人の手から大きなつららが生え、その先端がこちらに迫ってきた。
刺さる――
姫「てやあぁ――っ!!」
それを、私は正面から叩き落とした。
つららの氷が弾け、それは氷河魔人の視界から私を一瞬だけ消した。
その一瞬。
氷河魔人「がっ――」
急所は外さない。
姫「終わりだ――氷河魔人」
氷河魔人「貴様が人間達の希望、王子か」
姫「そうだ」
男装に身を包んだ私は嘘をつく。
声を太くし、不安な気持ちを顔から消し去って――
姫「魔王軍、氷河魔人。我が国の平和の為、切らせてもらう!!」
氷河魔人「面白い!」
相手から繰り出される氷のつぶてを剣でなぎ払う。
女の身であっても、剣では男と対等に戦えると私は自信を持っている。
つぶてが顔をかすったが、私は痛みを無視し氷河魔人に接近していく。
氷河魔人「捉えた!!」
氷河魔人の手から大きなつららが生え、その先端がこちらに迫ってきた。
刺さる――
姫「てやあぁ――っ!!」
それを、私は正面から叩き落とした。
つららの氷が弾け、それは氷河魔人の視界から私を一瞬だけ消した。
その一瞬。
氷河魔人「がっ――」
急所は外さない。
姫「終わりだ――氷河魔人」
3: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/20(火) 16:23:08.77 ID:v18eES5U0
・
・
・
王「ご苦労だったな。ほとんどの国が魔王に屈服する中、お前の活躍は我が国の誇りだ」
姫「…はい」
氷河魔人を倒した報告をし、父である王は事務的に言った。
「王子」を讃える兵士達の声があたりから聞こえる。だけど兵士達は私が私であると知らない。
今この空間で私を知っているのは、たった3人――
王妃「これからも頼みますよ、王子」
姫よりも王子を愛する母。
獣人「…」
無愛想な私の側近。
王「では下がれ」
そして、私に王子であれと命じた父――
私を知る人達の温かみのない態度にはもう慣れた。
私は廊下に出て、部屋まで戻ろうとしたが…
王子「よぉ帰ったのか」
女装に身を包んだ王子――私の双子の兄に出くわした。
周囲に人がいない所では、彼は男口調で話す。
・
・
王「ご苦労だったな。ほとんどの国が魔王に屈服する中、お前の活躍は我が国の誇りだ」
姫「…はい」
氷河魔人を倒した報告をし、父である王は事務的に言った。
「王子」を讃える兵士達の声があたりから聞こえる。だけど兵士達は私が私であると知らない。
今この空間で私を知っているのは、たった3人――
王妃「これからも頼みますよ、王子」
姫よりも王子を愛する母。
獣人「…」
無愛想な私の側近。
王「では下がれ」
そして、私に王子であれと命じた父――
私を知る人達の温かみのない態度にはもう慣れた。
私は廊下に出て、部屋まで戻ろうとしたが…
王子「よぉ帰ったのか」
女装に身を包んだ王子――私の双子の兄に出くわした。
周囲に人がいない所では、彼は男口調で話す。
4: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/20(火) 16:23:49.87 ID:v18eES5U0
王子「氷河魔人倒したってマジ?いやぁ、流石だねぇ「王子」は」
姫「…いえ」
王子「うっわ!顔に傷ついてんじゃん!顔は国民へのアピールポイントなんだから大事にしてくれよ~?」
姫「すみません」
王子「あ、そだ。ついでに飴買ってきてくれた?」
姫「いえ、言われなかったので」
王子「うわぁ気がきかねー。女は気遣いが大事だぞ…って、常時男装してるガサツ女にそんなん期待しても駄目かぁ」ハァ
姫「すみません」
王子「ま、いいや。あ、明日は俺王子として街で皆から賞賛を頂いてくるから、お前は女の格好してろよ」
王子「それじゃーこれからも頼むよ、俺の代わりとして~」ハハハ
姫「…」
この兄に好き勝手言われるのは慣れている。反論すれば火がついて喧嘩になり、そうなったら周囲は兄の肩を持つ。
小さい時からそうだ。だから兄はワガママになったし、私は今更腹が立ったり傷ついたりしない。
思うのはただ、この兄の相手は面倒だということだけ。
姫「…いえ」
王子「うっわ!顔に傷ついてんじゃん!顔は国民へのアピールポイントなんだから大事にしてくれよ~?」
姫「すみません」
王子「あ、そだ。ついでに飴買ってきてくれた?」
姫「いえ、言われなかったので」
王子「うわぁ気がきかねー。女は気遣いが大事だぞ…って、常時男装してるガサツ女にそんなん期待しても駄目かぁ」ハァ
姫「すみません」
王子「ま、いいや。あ、明日は俺王子として街で皆から賞賛を頂いてくるから、お前は女の格好してろよ」
王子「それじゃーこれからも頼むよ、俺の代わりとして~」ハハハ
姫「…」
この兄に好き勝手言われるのは慣れている。反論すれば火がついて喧嘩になり、そうなったら周囲は兄の肩を持つ。
小さい時からそうだ。だから兄はワガママになったし、私は今更腹が立ったり傷ついたりしない。
思うのはただ、この兄の相手は面倒だということだけ。
5: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/20(火) 16:24:17.94 ID:v18eES5U0
私と王子はたまに入れ替わる。
私の役目は王子として魔物達と戦い、国の人々に希望を与えること。
本物の王子は剣の心得がないわけではない。しかし世継ぎとして大事にされ、私の振りをしながら安全に暮らしている。それでいて、私の戦歴だけを盗っていく。
それを知る者は国の重役でもごくわずか。知っていて、皆黙認している。
私は王子の為に存在していて、王子の代わりに危険を背負う。それしか価値しかない人間。
姫(あぁ疲れた…)
ここの所魔物達との戦いが激化している。
連日の戦いで私は疲弊しているが、貧しさにより兵力の弱い国からのバックアップはまるで期待できない。
英雄に仕立て上げられた私がたまたま剣の才能に恵まれていたのは、この国にとってそれなりに大きな利益だったに違いない。
私の役目は王子として魔物達と戦い、国の人々に希望を与えること。
本物の王子は剣の心得がないわけではない。しかし世継ぎとして大事にされ、私の振りをしながら安全に暮らしている。それでいて、私の戦歴だけを盗っていく。
それを知る者は国の重役でもごくわずか。知っていて、皆黙認している。
私は王子の為に存在していて、王子の代わりに危険を背負う。それしか価値しかない人間。
姫(あぁ疲れた…)
ここの所魔物達との戦いが激化している。
連日の戦いで私は疲弊しているが、貧しさにより兵力の弱い国からのバックアップはまるで期待できない。
英雄に仕立て上げられた私がたまたま剣の才能に恵まれていたのは、この国にとってそれなりに大きな利益だったに違いない。
6: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/20(火) 16:25:12.08 ID:v18eES5U0
獣人「王子!」
姫「どうした!?」
部屋のドアが乱暴に叩かれ、獣人が入ってくる。
まだ男装をといていない私は、王子として獣人に返事をする。
獣人「西の森に、魔族と思われる群れが現れたそうです」
姫「そうか…今行く」
私は剣を手に取り、部屋を出る。
幸い氷河魔人との戦いで大した怪我は負っていない。だからまだ戦える。
疲れは顔に出さない…だって私は、皆の希望である王子なのだから。
「王子様、流石頼りになる」
「頑張って下さい王子!」
「王子、ご無事を祈っています」
誰も私を見ていない。皆が期待をかけているのは王子。
例えそうでも――
姫「ありがとう、行ってくる」
私は、王子として人々を守る。それだけが、私の必要とされる理由だから。
姫「どうした!?」
部屋のドアが乱暴に叩かれ、獣人が入ってくる。
まだ男装をといていない私は、王子として獣人に返事をする。
獣人「西の森に、魔族と思われる群れが現れたそうです」
姫「そうか…今行く」
私は剣を手に取り、部屋を出る。
幸い氷河魔人との戦いで大した怪我は負っていない。だからまだ戦える。
疲れは顔に出さない…だって私は、皆の希望である王子なのだから。
「王子様、流石頼りになる」
「頑張って下さい王子!」
「王子、ご無事を祈っています」
誰も私を見ていない。皆が期待をかけているのは王子。
例えそうでも――
姫「ありがとう、行ってくる」
私は、王子として人々を守る。それだけが、私の必要とされる理由だから。
7: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/20(火) 16:25:43.37 ID:v18eES5U0
>西の森
姫「魔族はどこに…?」
獣人「あちらから匂いがします」
気配を殺して獣人の後を着いて行く。
すると…
姫(あっ)
遠くてよくは見えないが、魔族と思われる者達が5人程集まって何やら話をしている。
姫「話の内容…聞こえる?」
獣人「…どうやら街への侵入方法を話し合っているようですね」
姫「そうか…」
今まで魔物達が国に攻め入ってきたことはないが、最近は争いが激化している。
彼らが国に襲撃を仕掛けようと企てていても、何ら不思議ではない。
姫「奴らの作戦を知っておけば、対策がとれるかもしれない」
獣人「そうですね」
私達はここでの戦いは避け、このまま聞き耳をたてようと企てた。
しかし…
翼人「コソコソ何をやっている?」
姫「!」
獣人「!」
上空に翼の生えた魔族――しまった、見つかった。
翼人の大声に、集まっていた魔族たちもこちらに気がついた。
姫「魔族はどこに…?」
獣人「あちらから匂いがします」
気配を殺して獣人の後を着いて行く。
すると…
姫(あっ)
遠くてよくは見えないが、魔族と思われる者達が5人程集まって何やら話をしている。
姫「話の内容…聞こえる?」
獣人「…どうやら街への侵入方法を話し合っているようですね」
姫「そうか…」
今まで魔物達が国に攻め入ってきたことはないが、最近は争いが激化している。
彼らが国に襲撃を仕掛けようと企てていても、何ら不思議ではない。
姫「奴らの作戦を知っておけば、対策がとれるかもしれない」
獣人「そうですね」
私達はここでの戦いは避け、このまま聞き耳をたてようと企てた。
しかし…
翼人「コソコソ何をやっている?」
姫「!」
獣人「!」
上空に翼の生えた魔族――しまった、見つかった。
翼人の大声に、集まっていた魔族たちもこちらに気がついた。
8: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/20(火) 16:27:31.98 ID:v18eES5U0
翼人「王家の紋章…お前が王子だな」
翼人は私の胸にあった紋章を見て言った。
魔族たちはざわつき始める。
姫「そうだ。我が国に攻め入ろうというのなら、切らせてもらう」
私は剣を構える。相手は6人――少々つらいが、獣人と協力すれば戦えない人数ではない。
?「今日はやり合うつもりは無かったが…仕方ないな」
翼人「魔王子様」
リーダー格と思わしき魔族が前に出た。
さっきから気になってはいた。仮面のせいで表情は伺えないが、こいつだけさっきから闘気がだだ漏れだった。
魔王子と呼ばれた男は無言のまま、大きな剣を抜いた。そして…
魔王子「…」
そのまま躊躇なく私に飛びかかってくる。私は瞬時に反応して剣を受け止める。
力強い――だが、乱暴な振りだ。
姫「はぁ!」
今度はこちらの攻撃。魔王子はこれを回避し、すぐに攻撃に転換する。
だだ漏れの闘気からもわかる通り、彼の戦い方はかなり攻撃的だ。
次々放たれる連続攻撃に回避と防御を交え、私はダメージを避ける。
姫(守っているばかりでは勝てない)
そう思い、次の首を狙った攻撃を避け――
姫「てやーっ!!」
魔王子「…!」
魔王子の足を払い、彼の体勢を崩す。
姫(今だ…!!)
私は彼の胸に突きを放った。
翼人は私の胸にあった紋章を見て言った。
魔族たちはざわつき始める。
姫「そうだ。我が国に攻め入ろうというのなら、切らせてもらう」
私は剣を構える。相手は6人――少々つらいが、獣人と協力すれば戦えない人数ではない。
?「今日はやり合うつもりは無かったが…仕方ないな」
翼人「魔王子様」
リーダー格と思わしき魔族が前に出た。
さっきから気になってはいた。仮面のせいで表情は伺えないが、こいつだけさっきから闘気がだだ漏れだった。
魔王子と呼ばれた男は無言のまま、大きな剣を抜いた。そして…
魔王子「…」
そのまま躊躇なく私に飛びかかってくる。私は瞬時に反応して剣を受け止める。
力強い――だが、乱暴な振りだ。
姫「はぁ!」
今度はこちらの攻撃。魔王子はこれを回避し、すぐに攻撃に転換する。
だだ漏れの闘気からもわかる通り、彼の戦い方はかなり攻撃的だ。
次々放たれる連続攻撃に回避と防御を交え、私はダメージを避ける。
姫(守っているばかりでは勝てない)
そう思い、次の首を狙った攻撃を避け――
姫「てやーっ!!」
魔王子「…!」
魔王子の足を払い、彼の体勢を崩す。
姫(今だ…!!)
私は彼の胸に突きを放った。
9: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/20(火) 16:28:00.03 ID:v18eES5U0
魔王子「…っ」バッ
姫「!」
魔王子の姿が消えた。否。後方に大きく跳んだのだ。
魔族というのは人間と身体能力が変わらない種族だと聞いていたが、今の跳躍は大きく人間離れしている。
姫(今まで本気じゃなかったってこと…!?)
私は一層緊張する。
今までのが小手調べだとしたら、今度はどんな攻撃を仕掛けてくるというのか。
しかし。
翼人「魔王子様、そこまでです――まだ決着をつける時ではありません」
魔王子「…」
翼人の声で魔王子は剣をしまう。それでもまだ、闘気は消えていないが。
翼人「王子よ、今日は退散させて貰う――しかし次会った時は、その命を頂こう」
姫「…」
私は剣を収める。向こうが退散すると言うなら、無闇に戦うのはこちらも避けたい。
彼らが去っていく様子を、私はただ黙って見ていた。
獣人「魔王子…名前は聞いたことがあります。奴は魔王の息子です」
姫「そうか…」
魔王の息子…そう言われると納得の強さだった。
いずれ、彼と決着をつける時が来る。それまでに、もっと剣の腕を上げておかないと――
姫「!」
魔王子の姿が消えた。否。後方に大きく跳んだのだ。
魔族というのは人間と身体能力が変わらない種族だと聞いていたが、今の跳躍は大きく人間離れしている。
姫(今まで本気じゃなかったってこと…!?)
私は一層緊張する。
今までのが小手調べだとしたら、今度はどんな攻撃を仕掛けてくるというのか。
しかし。
翼人「魔王子様、そこまでです――まだ決着をつける時ではありません」
魔王子「…」
翼人の声で魔王子は剣をしまう。それでもまだ、闘気は消えていないが。
翼人「王子よ、今日は退散させて貰う――しかし次会った時は、その命を頂こう」
姫「…」
私は剣を収める。向こうが退散すると言うなら、無闇に戦うのはこちらも避けたい。
彼らが去っていく様子を、私はただ黙って見ていた。
獣人「魔王子…名前は聞いたことがあります。奴は魔王の息子です」
姫「そうか…」
魔王の息子…そう言われると納得の強さだった。
いずれ、彼と決着をつける時が来る。それまでに、もっと剣の腕を上げておかないと――
10: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/20(火) 16:28:27.02 ID:v18eES5U0
>翌日
姫「ふぅ~…」
久々の女の格好に落ち着く。
ここの所王子に代わる日が続いていたので、ようやく自分に戻れたような気がして緊張が解けた。
王子は今頃、氷河魔人を倒した功績を自慢し街の人達にちやほやされているのだろう。
なら私も、今日は休みを取らせてもらおう。
姫「少し出掛けてきます」
獣人「あまり遠くへ行かれぬよう」
姫「わかっています」
お忍びの格好で外へ出る。服装を質素にすれば、案外気づかれないものだ。
しかし、人の多い所へ行くつもりはない。気分転換に城の周囲を散歩するだけだ。
自然の多い場所で花を見たり、小鳥のさえずりを聞いたりするのが私の趣味だ。
姫(空気が気持ちいい)
日頃の疲れが癒されていくようだった。
姫「…ん?」
気になる人物を発見した。
姫(……不審者?)
若い男が何やら険しい顔で城の方をじーっと見ていた。
何やら大きな包みを抱えているが…泥棒?
姫「ねぇ」
「うわぁ!?」
その男は私の接近に気づいていなかったのか、声をかけたらとても驚いていた。
姫「ふぅ~…」
久々の女の格好に落ち着く。
ここの所王子に代わる日が続いていたので、ようやく自分に戻れたような気がして緊張が解けた。
王子は今頃、氷河魔人を倒した功績を自慢し街の人達にちやほやされているのだろう。
なら私も、今日は休みを取らせてもらおう。
姫「少し出掛けてきます」
獣人「あまり遠くへ行かれぬよう」
姫「わかっています」
お忍びの格好で外へ出る。服装を質素にすれば、案外気づかれないものだ。
しかし、人の多い所へ行くつもりはない。気分転換に城の周囲を散歩するだけだ。
自然の多い場所で花を見たり、小鳥のさえずりを聞いたりするのが私の趣味だ。
姫(空気が気持ちいい)
日頃の疲れが癒されていくようだった。
姫「…ん?」
気になる人物を発見した。
姫(……不審者?)
若い男が何やら険しい顔で城の方をじーっと見ていた。
何やら大きな包みを抱えているが…泥棒?
姫「ねぇ」
「うわぁ!?」
その男は私の接近に気づいていなかったのか、声をかけたらとても驚いていた。
11: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/20(火) 16:29:08.96 ID:v18eES5U0
姫「何をしているんですか…侵入経路の確認?」
飴売り「違う違う、俺はただの飴売り」
飴売りはさわやかに返答する。第一印象は気さくな人だ。
飴売り「城に行商に行こうかと思ってたんだけど、いざ城を目の前にすると緊張してなぁ」
姫「…本当かしら」
飴売り「本当本当!…って、あれ?」
と、飴売りは訝しげに私の顔をじーっと見つめてきた。
飴売り「もしかして…お姫さん?」
姫「そ、そうですけど…」
まずい。この飴売りもしかして、王子の知り合いだろうか?
王子は飴が大好きだし、飴売り商人と知り合いでも何らおかしくはない。
飴売り「やっぱね、王子とそっくりだからそうだと思った。ご無礼すみませんね」ペコリ
姫「あ、いえ」
王子でいる時の私を見たことがあるのだろうか…?
とりあえず「姫」とは初対面らしいので、私はスカートの裾をつまんでぺこりと頭を下げた。
飴売り「へー…」
姫「?どうなさいました」
飴売り「いや、ここの国の姫様は傲慢で高圧的で男勝りって聞いていたんだが、そんな感じしないもんでね」
姫「…」
それはきっと、私の振りをしている王子のせいだ。
姫「貴方は物言いのはっきりした方みたいですね」
飴売り「悪いね、俺は育ちが悪いもんで」
飴売りは悪びれていない笑顔で頷く。まぁ、別に不快ではない。
それでも――私は兄が演じる「姫」とのギャップを無くしておかなければならない。
飴売り「違う違う、俺はただの飴売り」
飴売りはさわやかに返答する。第一印象は気さくな人だ。
飴売り「城に行商に行こうかと思ってたんだけど、いざ城を目の前にすると緊張してなぁ」
姫「…本当かしら」
飴売り「本当本当!…って、あれ?」
と、飴売りは訝しげに私の顔をじーっと見つめてきた。
飴売り「もしかして…お姫さん?」
姫「そ、そうですけど…」
まずい。この飴売りもしかして、王子の知り合いだろうか?
王子は飴が大好きだし、飴売り商人と知り合いでも何らおかしくはない。
飴売り「やっぱね、王子とそっくりだからそうだと思った。ご無礼すみませんね」ペコリ
姫「あ、いえ」
王子でいる時の私を見たことがあるのだろうか…?
とりあえず「姫」とは初対面らしいので、私はスカートの裾をつまんでぺこりと頭を下げた。
飴売り「へー…」
姫「?どうなさいました」
飴売り「いや、ここの国の姫様は傲慢で高圧的で男勝りって聞いていたんだが、そんな感じしないもんでね」
姫「…」
それはきっと、私の振りをしている王子のせいだ。
姫「貴方は物言いのはっきりした方みたいですね」
飴売り「悪いね、俺は育ちが悪いもんで」
飴売りは悪びれていない笑顔で頷く。まぁ、別に不快ではない。
それでも――私は兄が演じる「姫」とのギャップを無くしておかなければならない。
12: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/20(火) 16:29:54.26 ID:v18eES5U0
姫「今日は機嫌がいいから許したけれど、そうでなければ貴方を怒鳴り散らしていたかもしれませんよ」
少なくとも、王子演じる姫ならそうしていただろう。
今度「姫」に会った時は気をつけろ――そういう忠告を込めて言ったつもりだが、
飴売り「こんな品のあるお姫様が怒鳴る様子、想像つかなくて逆に見てみたいね」
飴売りは物怖じする様子なく笑って言った。
姫「…貴方と話すと疲れますね」
飴売り「顔に似合わずひねくれているんだなぁ、美人が台無し」
姫「放っておいて下さい」
愛想良くすると、王子演じる姫とのギャップが生まれてしまう。
王子のように威張るのは好きではないので、姫でいる時はいつも無愛想にしている。
それでも、この飴売りは人の感情に鈍いのか、様子が変わらなかった。
飴売り「まぁ、この国って男性優位だもんな。何かといや王子、王子じゃひねくれますわな」
姫「別に、そういうわけじゃ…」
飴売り「俺にも兄がいてねー…仲が上手くいかなくて、参ってる」
姫「…私も兄と仲が良いわけではありませんよ」
飴売り「やっぱ色々あるよねー、兄弟って難しいね本当」
飴売りは急に真面目な顔になる。
姫「…」
わざわざこんな話をしたということは、私もそうだと思ったからだろう。
彼の邪推は間違っていない。私と兄はずっと差をつけられてきたし、仲もはっきり言って悪い。
だけれど英雄である王子と、傲慢な姫。それなら非があるのは姫の方。そう思われるのが普通。
だというのに。
飴売り「姫さんも苦労してるよねー」
この飴売りの態度、私の気持ちもわかると言いたげだ。
少なくとも、王子演じる姫ならそうしていただろう。
今度「姫」に会った時は気をつけろ――そういう忠告を込めて言ったつもりだが、
飴売り「こんな品のあるお姫様が怒鳴る様子、想像つかなくて逆に見てみたいね」
飴売りは物怖じする様子なく笑って言った。
姫「…貴方と話すと疲れますね」
飴売り「顔に似合わずひねくれているんだなぁ、美人が台無し」
姫「放っておいて下さい」
愛想良くすると、王子演じる姫とのギャップが生まれてしまう。
王子のように威張るのは好きではないので、姫でいる時はいつも無愛想にしている。
それでも、この飴売りは人の感情に鈍いのか、様子が変わらなかった。
飴売り「まぁ、この国って男性優位だもんな。何かといや王子、王子じゃひねくれますわな」
姫「別に、そういうわけじゃ…」
飴売り「俺にも兄がいてねー…仲が上手くいかなくて、参ってる」
姫「…私も兄と仲が良いわけではありませんよ」
飴売り「やっぱ色々あるよねー、兄弟って難しいね本当」
飴売りは急に真面目な顔になる。
姫「…」
わざわざこんな話をしたということは、私もそうだと思ったからだろう。
彼の邪推は間違っていない。私と兄はずっと差をつけられてきたし、仲もはっきり言って悪い。
だけれど英雄である王子と、傲慢な姫。それなら非があるのは姫の方。そう思われるのが普通。
だというのに。
飴売り「姫さんも苦労してるよねー」
この飴売りの態度、私の気持ちもわかると言いたげだ。
13: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/20(火) 16:30:21.24 ID:v18eES5U0
姫「別に…」
ただ、わかってくれる人がいるからと言って喜ぶ気持ちにもなれなかった。
私が王子として人々の支持を集めている間、兄は姫として好き勝手に振舞う。それを父である王は認めていた。
私は兄の為に存在していて、引き立て役も私の役割――そう教え込まれていたからには、そう振舞わないといけない。
姫「貴方とわかりあうつもりはありません」
彼を突き放し、私はその場を離れようとした。
だけど。
飴売り「あー、待ってお姫さん」
姫「何ですか?」
飴売り「飴、好きだって聞いてるよ。はいプレゼント」
飴売りが差し出したのは、包み紙に入った飴3つ。
姫「…変な人」
無表情で受け取るが、内心少し可笑しく思う。評判の悪い私の顔色を伺うことなく、物怖じせず飴を渡してくる人なんて、少なくとも今まで出会ったことがない。
姫「ありがとうございます」
飴売り「あ、やっと笑った」
姫「え?」
しまった、表情が緩んでしまったか。
飴売り「いやー、どんな姫様かと思ってヒヤヒヤしてたけど、こう実際会ってみると…」
姫「何です?」
飴売り「人に媚びない雰囲気がいいね、孤高って感じで。俺、ファンになったよ」
飴売りは口を釣り上げて笑った。
つくづく、変な人。
姫「さようなら」
また会えるかはわからない。今度は王子演じる姫に会って、彼は姫を嫌いになるかもしれない。
それでも、それなりに面白い話し相手だった。今日会った変わり者のことは、きっとしばらく忘れられないだろう。
ただ、わかってくれる人がいるからと言って喜ぶ気持ちにもなれなかった。
私が王子として人々の支持を集めている間、兄は姫として好き勝手に振舞う。それを父である王は認めていた。
私は兄の為に存在していて、引き立て役も私の役割――そう教え込まれていたからには、そう振舞わないといけない。
姫「貴方とわかりあうつもりはありません」
彼を突き放し、私はその場を離れようとした。
だけど。
飴売り「あー、待ってお姫さん」
姫「何ですか?」
飴売り「飴、好きだって聞いてるよ。はいプレゼント」
飴売りが差し出したのは、包み紙に入った飴3つ。
姫「…変な人」
無表情で受け取るが、内心少し可笑しく思う。評判の悪い私の顔色を伺うことなく、物怖じせず飴を渡してくる人なんて、少なくとも今まで出会ったことがない。
姫「ありがとうございます」
飴売り「あ、やっと笑った」
姫「え?」
しまった、表情が緩んでしまったか。
飴売り「いやー、どんな姫様かと思ってヒヤヒヤしてたけど、こう実際会ってみると…」
姫「何です?」
飴売り「人に媚びない雰囲気がいいね、孤高って感じで。俺、ファンになったよ」
飴売りは口を釣り上げて笑った。
つくづく、変な人。
姫「さようなら」
また会えるかはわからない。今度は王子演じる姫に会って、彼は姫を嫌いになるかもしれない。
それでも、それなりに面白い話し相手だった。今日会った変わり者のことは、きっとしばらく忘れられないだろう。
14: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/20(火) 16:30:47.71 ID:v18eES5U0
姫が去った後、飴売りは美麗な姫と会話した余韻に浸っていた。
飴売り「はぁー、いい息抜きになったわー」
「こんな所にいましたか」
飴売り「お。お帰りー」
「何ですかその格好は…敵襲にあったらどうするのです」
飴売り「この格好なら敵襲にあわねーって。お姫様も俺を警戒してなかったぜ」
「だからといって、武器も防具も置いていくのはどうかと思いますが」
飴売り「俺、あれ嫌い。確かに装備すると強くなれるけど、何かイライラしてくるし」
「貴方に必要なものなのですから。今すぐ装備して下さい」
飴売り「はいはい…」
飴売りは手渡された仮面をつける。
その姿は――
魔王子(飴売り)「全く、口うるさいな翼は」
翼人「貴方の為を思ってのことですよ――魔王子様」
飴売り「はぁー、いい息抜きになったわー」
「こんな所にいましたか」
飴売り「お。お帰りー」
「何ですかその格好は…敵襲にあったらどうするのです」
飴売り「この格好なら敵襲にあわねーって。お姫様も俺を警戒してなかったぜ」
「だからといって、武器も防具も置いていくのはどうかと思いますが」
飴売り「俺、あれ嫌い。確かに装備すると強くなれるけど、何かイライラしてくるし」
「貴方に必要なものなのですから。今すぐ装備して下さい」
飴売り「はいはい…」
飴売りは手渡された仮面をつける。
その姿は――
魔王子(飴売り)「全く、口うるさいな翼は」
翼人「貴方の為を思ってのことですよ――魔王子様」
19: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/21(水) 14:42:52.87 ID:GKiPRO/F0
>翌日
王子「や、姫」
廊下を通りがかると王子が声をかけてきた。
王子に群がっていた人達は一斉にこちらを向く。あぁ、このまま通り過ぎようと思っていたのに。
姫「ごきげんよう」
私が声をかけると皆は頭を下げる。
でもさっき見逃さなかった。私を見た瞬間、彼らが引きつった顔になったのを。
これも嫌われ者の宿命か。
姫「私は部屋に戻りますので」
普段王子扮する傲慢な姫と接している城の者と話すと、私とのギャップが生まれて入れ替わりがばれてしまいかねない。
だから私は王子がいる時は大抵部屋にこもっている。それを城の者は「王子の目があると姫は大人しい」と都合良く解釈してくれるようだけど。
王子「そうか。こもってばかりも良くないぞ」
王子でいる時の王子は、人前では優しい。つまりは外面がいい。
傲慢でワガママな本性が表れるのは私の振りをしている時。自分でいる時に自分を出せないとは、彼も窮屈な身だろう。
メイド「王子様、もっと王子様の武勇伝を聞かせて下さい」
王子「あぁいいだろう。それでな…」
一体どんな作り話で人々の気を引いているのやら。
耳に入れば吹き出してしまいそうで、そのまま無視して行こうとした。
その時。
獣人「王子」
王子「ん」
獣人が姿を現した。
その視線は王子に向いているが、私も立ち止まる。
王子「や、姫」
廊下を通りがかると王子が声をかけてきた。
王子に群がっていた人達は一斉にこちらを向く。あぁ、このまま通り過ぎようと思っていたのに。
姫「ごきげんよう」
私が声をかけると皆は頭を下げる。
でもさっき見逃さなかった。私を見た瞬間、彼らが引きつった顔になったのを。
これも嫌われ者の宿命か。
姫「私は部屋に戻りますので」
普段王子扮する傲慢な姫と接している城の者と話すと、私とのギャップが生まれて入れ替わりがばれてしまいかねない。
だから私は王子がいる時は大抵部屋にこもっている。それを城の者は「王子の目があると姫は大人しい」と都合良く解釈してくれるようだけど。
王子「そうか。こもってばかりも良くないぞ」
王子でいる時の王子は、人前では優しい。つまりは外面がいい。
傲慢でワガママな本性が表れるのは私の振りをしている時。自分でいる時に自分を出せないとは、彼も窮屈な身だろう。
メイド「王子様、もっと王子様の武勇伝を聞かせて下さい」
王子「あぁいいだろう。それでな…」
一体どんな作り話で人々の気を引いているのやら。
耳に入れば吹き出してしまいそうで、そのまま無視して行こうとした。
その時。
獣人「王子」
王子「ん」
獣人が姿を現した。
その視線は王子に向いているが、私も立ち止まる。
20: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/21(水) 14:43:20.08 ID:GKiPRO/F0
王子「どうした…?」
獣人「北の山に魔物の群れが潜伏しているとのことです」
姫「…」
私は無関心な振りをする。判断を下すのは王子。まぁ、王子がどんな判断を下すかはわかっているけど――
王子「わかった、早い内に殲滅しよう」
やっぱり。
王子「準備を整えたら行こう」
獣人「かしこまりました」
姫「…」
私は黙って部屋に向かう。
王子が決めたのだから。
「王子、どうぞご無事で!」
「ご武運を祈っています!」
王子「…」
人々の応援の声に応えながら、王子は私に目で訴える。
姫(わかってる)
私に行けと言いたいことくらい、わかっている。
貴方は安全にお姫様をやっていればいい。
部屋に戻り、私と王子は入れ替わった。
獣人「北の山に魔物の群れが潜伏しているとのことです」
姫「…」
私は無関心な振りをする。判断を下すのは王子。まぁ、王子がどんな判断を下すかはわかっているけど――
王子「わかった、早い内に殲滅しよう」
やっぱり。
王子「準備を整えたら行こう」
獣人「かしこまりました」
姫「…」
私は黙って部屋に向かう。
王子が決めたのだから。
「王子、どうぞご無事で!」
「ご武運を祈っています!」
王子「…」
人々の応援の声に応えながら、王子は私に目で訴える。
姫(わかってる)
私に行けと言いたいことくらい、わかっている。
貴方は安全にお姫様をやっていればいい。
部屋に戻り、私と王子は入れ替わった。
21: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/21(水) 14:43:46.16 ID:GKiPRO/F0
・
・
・
結論から言うと、北の山の魔物達は大した相手ではなかった。
せっかく馬を走らせてはるばる来たというのに、全滅させるのに10分もかからなかった。
姫「わざわざ私が来た意味あったの?」
獣人「申し訳ありません。何せ、急な情報だったもので敵の戦力を測れておらず」
姫「ま…いいけど」
大した戦力にならない兵士達じゃあ、この程度の相手でも手こずったかもしれない。
それに、近隣の村が騒ぎになる前に殲滅できて良かったのではないか。
姫「でも、すっかり日も暮れてきたね…」
来たばかりで、またすぐ城に戻るのも面倒だ。何せここは、移動に時間がかかる。
獣人「今日は近隣の村に宿泊し、明日城に戻りましょう」
姫「そうだね」
よくあることなので、私は拒否しなかった。
・
・
結論から言うと、北の山の魔物達は大した相手ではなかった。
せっかく馬を走らせてはるばる来たというのに、全滅させるのに10分もかからなかった。
姫「わざわざ私が来た意味あったの?」
獣人「申し訳ありません。何せ、急な情報だったもので敵の戦力を測れておらず」
姫「ま…いいけど」
大した戦力にならない兵士達じゃあ、この程度の相手でも手こずったかもしれない。
それに、近隣の村が騒ぎになる前に殲滅できて良かったのではないか。
姫「でも、すっかり日も暮れてきたね…」
来たばかりで、またすぐ城に戻るのも面倒だ。何せここは、移動に時間がかかる。
獣人「今日は近隣の村に宿泊し、明日城に戻りましょう」
姫「そうだね」
よくあることなので、私は拒否しなかった。
22: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/21(水) 14:44:19.59 ID:GKiPRO/F0
姫「ふぅ~」
村の露天風呂で疲れを癒す。
ちなみに共同浴場を使う必要があるので、男装はといて宿をとっている。勿論、姫という素性は隠しているけど。
姫(あぁいい気持ち…)
~♪
姫「…ん?」
岩陰から何か…
「~♪」
姫(…鼻歌?)
他に人がいたのか。気がつかなかった。
それにしてもこの鼻歌…何か違和感が。
姫「…」
私は違和感の正体を確かめる為、鼻歌が聞こえる方に近づいていく。
違和感の正体、それは…
飴売り「フンフンフ~ン♪」
姫「…」
飴売り「フンフ~…あれ?」
姫「…」
違和感の正体。それは、声が女性のものにしては野太いというものだった。
村の露天風呂で疲れを癒す。
ちなみに共同浴場を使う必要があるので、男装はといて宿をとっている。勿論、姫という素性は隠しているけど。
姫(あぁいい気持ち…)
~♪
姫「…ん?」
岩陰から何か…
「~♪」
姫(…鼻歌?)
他に人がいたのか。気がつかなかった。
それにしてもこの鼻歌…何か違和感が。
姫「…」
私は違和感の正体を確かめる為、鼻歌が聞こえる方に近づいていく。
違和感の正体、それは…
飴売り「フンフンフ~ン♪」
姫「…」
飴売り「フンフ~…あれ?」
姫「…」
違和感の正体。それは、声が女性のものにしては野太いというものだった。
23: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/21(水) 14:44:48.81 ID:GKiPRO/F0
飴売り「どぉいうこったああぁぁ!?」
宿屋「わりーわりー、露天風呂には男性時間と女性時間あるんだけど、説明すんの忘れてたよ!」
姫「…忘れますか普通」
宿屋「普段客のこねー宿屋だからさぁ、まぁ許してくれ」ハハハ
姫「冗談じゃありませんね」
飴売り「こっちの台詞…あーいでで、まだ口ん中血の味する」
姫「本当にすみません」
痴漢かと思って、つい殴ってしまったのだ。
これは本当に悪いことをした。
飴売り「でも姫様と混浴かぁ、こりゃいい思い出になったぜヒヒヒヒヒ」
前言撤回。
姫「記憶を消しましょうか?」
飴売り「わー、ストップストップ!!バスタオルと湯けむりのせいでほとんど何も見えなかったし!」
姫「本当ですか?」
飴売り「本当だって~」
何か胡散臭い笑いだけど…まぁ彼に非はないから、これ以上追求するのはやめよう。
宿屋「わりーわりー、露天風呂には男性時間と女性時間あるんだけど、説明すんの忘れてたよ!」
姫「…忘れますか普通」
宿屋「普段客のこねー宿屋だからさぁ、まぁ許してくれ」ハハハ
姫「冗談じゃありませんね」
飴売り「こっちの台詞…あーいでで、まだ口ん中血の味する」
姫「本当にすみません」
痴漢かと思って、つい殴ってしまったのだ。
これは本当に悪いことをした。
飴売り「でも姫様と混浴かぁ、こりゃいい思い出になったぜヒヒヒヒヒ」
前言撤回。
姫「記憶を消しましょうか?」
飴売り「わー、ストップストップ!!バスタオルと湯けむりのせいでほとんど何も見えなかったし!」
姫「本当ですか?」
飴売り「本当だって~」
何か胡散臭い笑いだけど…まぁ彼に非はないから、これ以上追求するのはやめよう。
24: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/21(水) 14:45:19.85 ID:GKiPRO/F0
飴売り「にしても驚いたねー、姫さんがこんなへんぴな村に来てるなんて」
姫「…お忍びで来ているので、絶対ばらさないで下さいね」
飴売り「別にばらして得もないし、ばらさないけどよ」
こんな所で彼に会ったのは本当にまずいことだったりする。
城に王子扮する姫がいる以上、私は姫として誰かに会うわけにはいかなかったのだ。
飴売り「あ、そだ。昨日あげた飴どうだった?」
姫「えぇ、美味しかったですよ」
飴売り「そっかー。じゃ、またあげるわ。はい!」
姫「いいんですか…?売り物をそんなに簡単に人にあげて」
飴売り「まぁ…利益を得る為に飴売りやってるわけじゃないしなぁ」
姫「じゃあ何の為に…?」
飴売り「んー…楽しいからかな」
姫「……?」
やっぱりおかしな人だ。
姫(ま…色んな事情があるしね)
飴売り「ところでー…」
姫「?」
飴売り「王子もこの辺に来たんだって?」
姫「!?」
人目につかないように来たつもりだし、村に入る時は男装をといていた。
なのに何故…?
姫「…お忍びで来ているので、絶対ばらさないで下さいね」
飴売り「別にばらして得もないし、ばらさないけどよ」
こんな所で彼に会ったのは本当にまずいことだったりする。
城に王子扮する姫がいる以上、私は姫として誰かに会うわけにはいかなかったのだ。
飴売り「あ、そだ。昨日あげた飴どうだった?」
姫「えぇ、美味しかったですよ」
飴売り「そっかー。じゃ、またあげるわ。はい!」
姫「いいんですか…?売り物をそんなに簡単に人にあげて」
飴売り「まぁ…利益を得る為に飴売りやってるわけじゃないしなぁ」
姫「じゃあ何の為に…?」
飴売り「んー…楽しいからかな」
姫「……?」
やっぱりおかしな人だ。
姫(ま…色んな事情があるしね)
飴売り「ところでー…」
姫「?」
飴売り「王子もこの辺に来たんだって?」
姫「!?」
人目につかないように来たつもりだし、村に入る時は男装をといていた。
なのに何故…?
25: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/21(水) 14:45:45.67 ID:GKiPRO/F0
姫「ど、どこでその情報を…!?」
飴売り「あ、いや…客に」
飴売り(まさか魔物達からの報告なんて言えねぇよな)
姫「多分、そのお客さんの見間違いですね」
飴売り「え、いやそんなはず…」
飴売り(いや、王子が魔物達を倒したって報告が…)
姫「いえ、見間違いです」
飴売り「でも」
姫「見間違いです」
飴売り「………わかりました」
何か釈然としていないようだけど、誤魔化すことはできたようだ。
飴売り(極秘情報かな…この姫さんは知らないか、口が固いかのどっちかだな)
飴売り「あ、いや…客に」
飴売り(まさか魔物達からの報告なんて言えねぇよな)
姫「多分、そのお客さんの見間違いですね」
飴売り「え、いやそんなはず…」
飴売り(いや、王子が魔物達を倒したって報告が…)
姫「いえ、見間違いです」
飴売り「でも」
姫「見間違いです」
飴売り「………わかりました」
何か釈然としていないようだけど、誤魔化すことはできたようだ。
飴売り(極秘情報かな…この姫さんは知らないか、口が固いかのどっちかだな)
26: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/21(水) 14:46:12.56 ID:GKiPRO/F0
姫「それじゃあ、私はこれで」
飴売り「あー、待ってよ姫さん」
姫「…何ですか」
飴売り「もちょっと話さない?田舎は娯楽がなくて暇で暇で」
姫「結構です」スタスタ
飴売り「あぁー」
飴売り(あーあ、つれねーの…ま、でも流石姫さんガードが固い)
こちらとてそこまで拒絶したいわけじゃないけれど、話せば話す程ボロが出る危険がある。
姫(今日は早く休もう…)
姫「…っ!」
飴売り「ふあぁ~、もう寝るか…」
姫「危ない!!」
飴売り「――へっ?」
私はとっさに飴売りをその場に押し倒す。
飴売りは呆気に取られた顔で私を見上げていた。
飴売り「え、なになに…姫さん、まさか…」
と、その時。
ドガシャアアアァァ
飴売り「!?」
姫「…っ」
宿屋の壁が、大きな音をたててぶち破られた。
飴売り「あー、待ってよ姫さん」
姫「…何ですか」
飴売り「もちょっと話さない?田舎は娯楽がなくて暇で暇で」
姫「結構です」スタスタ
飴売り「あぁー」
飴売り(あーあ、つれねーの…ま、でも流石姫さんガードが固い)
こちらとてそこまで拒絶したいわけじゃないけれど、話せば話す程ボロが出る危険がある。
姫(今日は早く休もう…)
姫「…っ!」
飴売り「ふあぁ~、もう寝るか…」
姫「危ない!!」
飴売り「――へっ?」
私はとっさに飴売りをその場に押し倒す。
飴売りは呆気に取られた顔で私を見上げていた。
飴売り「え、なになに…姫さん、まさか…」
と、その時。
ドガシャアアアァァ
飴売り「!?」
姫「…っ」
宿屋の壁が、大きな音をたててぶち破られた。
27: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/21(水) 14:46:42.17 ID:GKiPRO/F0
飴売り「へっ…」
茫然としている飴売りは放っておいて、私は立ち上がり構える。
するとぶち破られた壁の向こうからは――
呪術師「おやおやぁ…外しましたか」
ローブに身を包んだ魔物が姿を現す。
体中に彫ったあの刺青は呪術師の証。
飴売り「な…」
姫「…」
姫(私を狙ってきたの?)
飴売り「…」
飴売り(狙いは姫さん…?いや…俺だよな)
茫然としている飴売りは放っておいて、私は立ち上がり構える。
するとぶち破られた壁の向こうからは――
呪術師「おやおやぁ…外しましたか」
ローブに身を包んだ魔物が姿を現す。
体中に彫ったあの刺青は呪術師の証。
飴売り「な…」
姫「…」
姫(私を狙ってきたの?)
飴売り「…」
飴売り(狙いは姫さん…?いや…俺だよな)
28: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/21(水) 14:47:26.68 ID:GKiPRO/F0
~飴売りの回想~
俺には、母親違いの兄がいる。
魔王子「あ、兄上…」
兄王子「よう」
廊下で兄上とばったり出会った。彼の体に香水の匂いが染み付いている。
魔王の息子というだけで寄ってくる頭も尻も軽い女たちを、兄上は拒まない。
兄王子「最近姿を見ないな。また部屋にこもって勉強でもしていたのか?」
魔王子「はい…」
兄王子「熱心だな。お前も人間の基準なら美形らしいから、人間の女で遊んできたらどうだ?」
魔王子「いえ、俺は…将来、兄上を支える刃とならなければなりませんから」
本音ではない。しかしこの兄に、俺の建前を見抜く力などなく。
兄王子「そうかそうか!お前のような従順な弟を持って、俺は幸せだワッハッハ」
魔王子「…」
俺は、享楽的で怠惰な兄を嫌っていた。
俺には、母親違いの兄がいる。
魔王子「あ、兄上…」
兄王子「よう」
廊下で兄上とばったり出会った。彼の体に香水の匂いが染み付いている。
魔王の息子というだけで寄ってくる頭も尻も軽い女たちを、兄上は拒まない。
兄王子「最近姿を見ないな。また部屋にこもって勉強でもしていたのか?」
魔王子「はい…」
兄王子「熱心だな。お前も人間の基準なら美形らしいから、人間の女で遊んできたらどうだ?」
魔王子「いえ、俺は…将来、兄上を支える刃とならなければなりませんから」
本音ではない。しかしこの兄に、俺の建前を見抜く力などなく。
兄王子「そうかそうか!お前のような従順な弟を持って、俺は幸せだワッハッハ」
魔王子「…」
俺は、享楽的で怠惰な兄を嫌っていた。
29: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/21(水) 14:47:52.35 ID:GKiPRO/F0
翼人「魔王子様…私は納得がいきません」
魔王子「何がだ…?」
翼人「兄王子様はとても魔王の器とは思えない…次期魔王に相応しいのは、魔王子様の方です」
翼人「魔王子様が人間との混血というだけで候補から外れるのは、納得がいかない…!」
魔王子「…やめろ、翼人。俺は魔王になる気はない」
翼人「しかし…」
魔王子「そうやって一部の家臣が俺を推すことで、兄上派の家臣と対立するだろ」
俺は兄以上に、面倒事と、物騒な事を嫌った。
魔王子「父上も最近体の調子が悪い、こんなことで心労をかけさせるな」
翼人「魔王子様…お聞き下さい」
魔王子「何だ…?」
翼人「対立は、既に始まっています」
魔王子「!」
翼人「最近、兄王子様派の動きが不穏になっております」
翼人「いつ命を狙われても不思議ではありません…くれぐれも、油断せぬよう」
魔王子「何がだ…?」
翼人「兄王子様はとても魔王の器とは思えない…次期魔王に相応しいのは、魔王子様の方です」
翼人「魔王子様が人間との混血というだけで候補から外れるのは、納得がいかない…!」
魔王子「…やめろ、翼人。俺は魔王になる気はない」
翼人「しかし…」
魔王子「そうやって一部の家臣が俺を推すことで、兄上派の家臣と対立するだろ」
俺は兄以上に、面倒事と、物騒な事を嫌った。
魔王子「父上も最近体の調子が悪い、こんなことで心労をかけさせるな」
翼人「魔王子様…お聞き下さい」
魔王子「何だ…?」
翼人「対立は、既に始まっています」
魔王子「!」
翼人「最近、兄王子様派の動きが不穏になっております」
翼人「いつ命を狙われても不思議ではありません…くれぐれも、油断せぬよう」
36: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/22(木) 18:03:44.72 ID:d+YTB6p10
飴売り(あの呪術師…多分兄上派の刺客だな)
飴売り「逃げな姫さん」
姫「え、でも…」
飴売りは呪術師と対峙し、剣を抜いていた。
私を狙ってきたのなら、彼に任せて逃げるなんてできるわけがない。
飴売り「であぁ!!」
真っ直ぐ呪術師に突っ込む。勢いは悪くない。
だが呪術師はそれより素早く、宙に魔法陣を描いていた。
呪術師「覇ぁ!」
飴売り「…っ!」
魔法陣から光線が発せられるが、飴売りはそれを横に避ける。
そして不規則なステップを踏んで呪術師に接近し――
飴売り「おらぁ!」
呪術師「ふん!」
飴売りの太刀を呪術師は腕を硬化させたのか、受け止めた。
だが――
飴売り「そこだっ!!」
呪術師「――っ!!」
呪術師の脇腹を蹴り、呪術師を宿の外に放り出す。
これで、これ以上の建物への損害は免れるが――
姫(飴売りは弱くはない、けど…)
飴売り「逃げな姫さん」
姫「え、でも…」
飴売りは呪術師と対峙し、剣を抜いていた。
私を狙ってきたのなら、彼に任せて逃げるなんてできるわけがない。
飴売り「であぁ!!」
真っ直ぐ呪術師に突っ込む。勢いは悪くない。
だが呪術師はそれより素早く、宙に魔法陣を描いていた。
呪術師「覇ぁ!」
飴売り「…っ!」
魔法陣から光線が発せられるが、飴売りはそれを横に避ける。
そして不規則なステップを踏んで呪術師に接近し――
飴売り「おらぁ!」
呪術師「ふん!」
飴売りの太刀を呪術師は腕を硬化させたのか、受け止めた。
だが――
飴売り「そこだっ!!」
呪術師「――っ!!」
呪術師の脇腹を蹴り、呪術師を宿の外に放り出す。
これで、これ以上の建物への損害は免れるが――
姫(飴売りは弱くはない、けど…)
37: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/22(木) 18:04:19.77 ID:d+YTB6p10
駆ける飴売りを呪術師が追う。
飴売りが向かうのは気兼ねなく力を発揮できる場所――村の外。
飴売り(村ん中でこれを使ったら、色んなものを巻き込んじまう…!!)
呪術師「逃しませんよ!」
飴売り「…っ!!」
呪術師の魔法に足元を撃たれ、飴売りは吹っ飛ぶ。
何とか着地したが、呪術師の二擊目三擊目は容赦なく襲ってくる。
飴売り「ぐ…」
呪術師「貴方の考えることはわかっているのですよ…貴方は甘い方ですからねぇ」
こいつは、自分が性格上、ここで「あれ」を使わないことを理解している。
だから村の外に出す前に仕留めよう…そういうことだ。
飴売りは懐にあったもの――仮面に手をあてる。
飴売り(狂戦士の仮面…使用者の潜在能力を引き出すが、その効果は手加減を知らない)
これをつけた時はひどく好戦的な気分になり、思考力がどんと落ちる。
きっとここで使えば自分は、村が破壊されるのもおかまいなしに暴れることだろう。
飴売り(それはできないな…)
仮面から手を放し、再び剣を構えて呪術師に対峙する。
飴売り「おい、俺は魔王になる気はない…無駄な争いだと思わないか」
呪術師「貴方の意思が問題なのではない…貴方が生きていることが問題なのですよ」
交渉の余地もない。
飴売りは苦笑する。自分の命がかかっているのに、こんな人間の村の被害を気にして力を発揮できないでいる自分は魔王に相応しくない。だというのに、対抗勢力の過激派はそんなことも考慮しないのか。
飴売りが向かうのは気兼ねなく力を発揮できる場所――村の外。
飴売り(村ん中でこれを使ったら、色んなものを巻き込んじまう…!!)
呪術師「逃しませんよ!」
飴売り「…っ!!」
呪術師の魔法に足元を撃たれ、飴売りは吹っ飛ぶ。
何とか着地したが、呪術師の二擊目三擊目は容赦なく襲ってくる。
飴売り「ぐ…」
呪術師「貴方の考えることはわかっているのですよ…貴方は甘い方ですからねぇ」
こいつは、自分が性格上、ここで「あれ」を使わないことを理解している。
だから村の外に出す前に仕留めよう…そういうことだ。
飴売りは懐にあったもの――仮面に手をあてる。
飴売り(狂戦士の仮面…使用者の潜在能力を引き出すが、その効果は手加減を知らない)
これをつけた時はひどく好戦的な気分になり、思考力がどんと落ちる。
きっとここで使えば自分は、村が破壊されるのもおかまいなしに暴れることだろう。
飴売り(それはできないな…)
仮面から手を放し、再び剣を構えて呪術師に対峙する。
飴売り「おい、俺は魔王になる気はない…無駄な争いだと思わないか」
呪術師「貴方の意思が問題なのではない…貴方が生きていることが問題なのですよ」
交渉の余地もない。
飴売りは苦笑する。自分の命がかかっているのに、こんな人間の村の被害を気にして力を発揮できないでいる自分は魔王に相応しくない。だというのに、対抗勢力の過激派はそんなことも考慮しないのか。
38: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/22(木) 18:04:56.46 ID:d+YTB6p10
飴売り(仮面を使わなきゃ俺の実力は魔物達の中じゃ中級レベル…)
自分を殺す為に派遣された相手が、仮面を使わずに勝てるとは思わないが。
飴売り(それでも、やらなきゃな!!)
飴売りは呪術師に突っ込んでいく。
硬質化された腕による防御を取られるが、攻め続ける。
と、呪術師は大きく息を吸い始めた。
呪術師「覇!」
飴売り「…っ!?」
呪術師の口から火が吹かれる。後ろに跳んだが、少し火傷した。
この程度の怪我なら問題ない…だが、この多彩な技を持つ相手に、次はどう攻めればいい?
飴売り「く…っ」
呪術師「貴方程度では攻略不可能ですよ」
飴売り「…っ」
思考は再び逃げることに切り替える。
その隙はあるのか…だが、とにかく諦めてはいけない。
呪術師「そろそろ…ひと思いに死にますかっ!!」
飴売り「…!!」
呪術師から大きな閃光が発せられ、それは――熱をもって、飴売りへと襲いかかる。
逃げられない――
「でりゃあああぁぁ」
飴売り「!?」
その声と同時――
呪術師「!?」
姫「飴売り…大丈夫?」
自分を殺す為に派遣された相手が、仮面を使わずに勝てるとは思わないが。
飴売り(それでも、やらなきゃな!!)
飴売りは呪術師に突っ込んでいく。
硬質化された腕による防御を取られるが、攻め続ける。
と、呪術師は大きく息を吸い始めた。
呪術師「覇!」
飴売り「…っ!?」
呪術師の口から火が吹かれる。後ろに跳んだが、少し火傷した。
この程度の怪我なら問題ない…だが、この多彩な技を持つ相手に、次はどう攻めればいい?
飴売り「く…っ」
呪術師「貴方程度では攻略不可能ですよ」
飴売り「…っ」
思考は再び逃げることに切り替える。
その隙はあるのか…だが、とにかく諦めてはいけない。
呪術師「そろそろ…ひと思いに死にますかっ!!」
飴売り「…!!」
呪術師から大きな閃光が発せられ、それは――熱をもって、飴売りへと襲いかかる。
逃げられない――
「でりゃあああぁぁ」
飴売り「!?」
その声と同時――
呪術師「!?」
姫「飴売り…大丈夫?」
39: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/22(木) 18:05:28.50 ID:d+YTB6p10
飴売り(は、姫さん…?てか、今…この姫さん、閃光切ったよなぁ!?)
姫「好き勝手暴れてくれたみたいね」
私は飴売りの前に出て呪術師に剣先を向ける。
これ以上、この飴売りに怪我をさせるわけにはいかない。
呪術師「邪魔が入ったか…まぁいい、まとめて殺してやりましょう!!」
呪術師の手から次々、閃光が飛ばされる――私はこれを切る。
下手に避けて、村に被害を出してはいけない。
飴売り(す、すげぇ…魔法を斬るなんて、普通にできる芸当じゃねぇよ…)
呪術師「少しはやるようですね…ですが!!」
姫「!」
大きな炎が襲いかかってくる…しかも、私を挟むように両側から。
これは私の剣速じゃ斬れない――ならば回避。私は炎を避けるように、一気に前に駆ける。
呪術師「かかりましたね!」
おや、罠だったか――呪術師は目論見が通ったと満足そうに笑っている。と思ったと同時、私の額目掛けて高速で閃光が飛んできた。
これを切る余裕はなく、剣を盾にして防御する――が、思った以上に威力が強かった。
私は後ろに吹っ飛ばされる。このままいけば――炎に突っ込む。
姫「…っ」
飴売り「おっとぉ!」
姫「!」
と、飴売りが炎の前に立って私の背中を受け止めた。
飴売り「大丈夫か姫さん」
姫「えぇ…貴方こそ大丈夫?」
飴売り「俺は男だから!」
姫「…どういう理屈?」
口から出た疑問に、飴売りはへへっと笑いで返した。答えになっていない。
姫「好き勝手暴れてくれたみたいね」
私は飴売りの前に出て呪術師に剣先を向ける。
これ以上、この飴売りに怪我をさせるわけにはいかない。
呪術師「邪魔が入ったか…まぁいい、まとめて殺してやりましょう!!」
呪術師の手から次々、閃光が飛ばされる――私はこれを切る。
下手に避けて、村に被害を出してはいけない。
飴売り(す、すげぇ…魔法を斬るなんて、普通にできる芸当じゃねぇよ…)
呪術師「少しはやるようですね…ですが!!」
姫「!」
大きな炎が襲いかかってくる…しかも、私を挟むように両側から。
これは私の剣速じゃ斬れない――ならば回避。私は炎を避けるように、一気に前に駆ける。
呪術師「かかりましたね!」
おや、罠だったか――呪術師は目論見が通ったと満足そうに笑っている。と思ったと同時、私の額目掛けて高速で閃光が飛んできた。
これを切る余裕はなく、剣を盾にして防御する――が、思った以上に威力が強かった。
私は後ろに吹っ飛ばされる。このままいけば――炎に突っ込む。
姫「…っ」
飴売り「おっとぉ!」
姫「!」
と、飴売りが炎の前に立って私の背中を受け止めた。
飴売り「大丈夫か姫さん」
姫「えぇ…貴方こそ大丈夫?」
飴売り「俺は男だから!」
姫「…どういう理屈?」
口から出た疑問に、飴売りはへへっと笑いで返した。答えになっていない。
40: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/22(木) 18:05:59.95 ID:d+YTB6p10
飴売り「奴の技は多彩で威力がでかい…しかも奴は村に被害を出しても構わない、厄介な相手だ」
姫「みたいですね」
飴売り「ここは協力しないか」
姫「…貴方と?」
この飴売りの実力はわからないし、昨日今日会った相手と息を合わせるなどできる気がしない。
姫「どうやって…?」
飴売り「こうやって!」バッ
姫「あ!?」
飴売りは呪術師に突っ込んでいく。
これは――飴売りが捨て身の攻撃を仕掛けるから、隙を伺って倒せということだろうか?
姫(リスクが高すぎる…!!)
それでも飴売りは呪術師に攻撃を仕掛けていた。
飴売り「おらおらぁ!!」
呪術師「雑な攻撃ですねぇ」
姫(早々に勝負をつけないと…飴売りが危ない!!)
呪術師の視界の外に回り込む。飴売りが猛攻撃を仕掛けてくれているから、一応やりやすくはなった。
だが、飴売りもいつまでももたないだろう。
姫(全く…!!死んだらどうする気!?)
姫「みたいですね」
飴売り「ここは協力しないか」
姫「…貴方と?」
この飴売りの実力はわからないし、昨日今日会った相手と息を合わせるなどできる気がしない。
姫「どうやって…?」
飴売り「こうやって!」バッ
姫「あ!?」
飴売りは呪術師に突っ込んでいく。
これは――飴売りが捨て身の攻撃を仕掛けるから、隙を伺って倒せということだろうか?
姫(リスクが高すぎる…!!)
それでも飴売りは呪術師に攻撃を仕掛けていた。
飴売り「おらおらぁ!!」
呪術師「雑な攻撃ですねぇ」
姫(早々に勝負をつけないと…飴売りが危ない!!)
呪術師の視界の外に回り込む。飴売りが猛攻撃を仕掛けてくれているから、一応やりやすくはなった。
だが、飴売りもいつまでももたないだろう。
姫(全く…!!死んだらどうする気!?)
41: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/22(木) 18:06:30.79 ID:d+YTB6p10
姫(もう少し…!)
飴売りとの戦闘に集中している呪術師に、背後から距離を詰めていく。
飴売りは…案の定無理をしているのか、ダメージが蓄積している。
姫(今助けるから…!)
飴売りの人懐っこい笑顔を思い出す。私は、ああいう笑顔を守る為に戦っている。
それが私のせいで失われるなんて――
姫(冗談じゃない!!)
あと3歩――
呪術師「私が――貴方を気にしていないとお思いでしょうか?」
姫「!」
途端、激しい熱。呪術師の体が発火した。
飴売りは…良かった、1歩下がってダメージを回避している。
呪術師「人間にしてはやりますねぇ、しかし!!数々の勇者を名乗る者を葬ってきた私を殺すことなど、人間には――」
ぐさり
呪術師「…え?」
姫「うるさい、ごちゃごちゃと」
呪術師は恐る恐る、信じられないといった様子で視線を下に向ける。
呪術師の首には剣――私が狙って投げた刃が、彼を貫いていた。
姫「貴方が葬ってきた人達より私の方が強い…そう考えられなかったの」
答えを言う前に、呪術師はどさりと倒れる。
そもそも呪術師の耳に私の声は届いていなかったかもしれない。
私は倒れた呪術師から剣を引っこ抜き、絶命を確認してから警戒をといた。
姫「手間がかかったわ…」
飴売り「…」
飴売りはポカンと私を見ていた。
姫「迷惑をかけましたね…治療代はこちらで」
飴売り「…れた」
姫「え?」
飴売り「惚れた!!」
姫「!?」
飴売りとの戦闘に集中している呪術師に、背後から距離を詰めていく。
飴売りは…案の定無理をしているのか、ダメージが蓄積している。
姫(今助けるから…!)
飴売りの人懐っこい笑顔を思い出す。私は、ああいう笑顔を守る為に戦っている。
それが私のせいで失われるなんて――
姫(冗談じゃない!!)
あと3歩――
呪術師「私が――貴方を気にしていないとお思いでしょうか?」
姫「!」
途端、激しい熱。呪術師の体が発火した。
飴売りは…良かった、1歩下がってダメージを回避している。
呪術師「人間にしてはやりますねぇ、しかし!!数々の勇者を名乗る者を葬ってきた私を殺すことなど、人間には――」
ぐさり
呪術師「…え?」
姫「うるさい、ごちゃごちゃと」
呪術師は恐る恐る、信じられないといった様子で視線を下に向ける。
呪術師の首には剣――私が狙って投げた刃が、彼を貫いていた。
姫「貴方が葬ってきた人達より私の方が強い…そう考えられなかったの」
答えを言う前に、呪術師はどさりと倒れる。
そもそも呪術師の耳に私の声は届いていなかったかもしれない。
私は倒れた呪術師から剣を引っこ抜き、絶命を確認してから警戒をといた。
姫「手間がかかったわ…」
飴売り「…」
飴売りはポカンと私を見ていた。
姫「迷惑をかけましたね…治療代はこちらで」
飴売り「…れた」
姫「え?」
飴売り「惚れた!!」
姫「!?」
42: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/22(木) 18:07:03.82 ID:d+YTB6p10
飴売り「姫さん強かったのかよ、全然知らんかったわ!!美人で気位が高くておまけに強いって、最高じゃん!!」
姫「え、あの…」
飴売り「姫さん、俺と付き合わない!?」
姫「は…?」
目をキラキラ輝かせて、何を言っているのだろうこの男は。
飴売り「今まで出会ったどんな女より…いや、これから先も姫さん以上の人と出会える気がしないッ!俺は直感を信じる!」
姫「ば、ばか言わないで。身分の差をわきまえなさい」
飴売り「あー、俺飴売りなんてやってるけどこれはボンボンの道楽みたいなもんで、実際結構いい家の…」
と、その時。
ズシーンズシーン
飴売り「…へ?」
姫「あら」
「…」
飴売り「おわあああぁぁぁぁ!?」
飴売りが腰を抜かす。
そこに現れたのは両手を鮮血で染めた、3メートル程ある獣だったのだ。
飴売り「ま、まままだいたのかよぉ!?」
姫「いえ、違うわ」
私が言ったと同時…
姫「え、あの…」
飴売り「姫さん、俺と付き合わない!?」
姫「は…?」
目をキラキラ輝かせて、何を言っているのだろうこの男は。
飴売り「今まで出会ったどんな女より…いや、これから先も姫さん以上の人と出会える気がしないッ!俺は直感を信じる!」
姫「ば、ばか言わないで。身分の差をわきまえなさい」
飴売り「あー、俺飴売りなんてやってるけどこれはボンボンの道楽みたいなもんで、実際結構いい家の…」
と、その時。
ズシーンズシーン
飴売り「…へ?」
姫「あら」
「…」
飴売り「おわあああぁぁぁぁ!?」
飴売りが腰を抜かす。
そこに現れたのは両手を鮮血で染めた、3メートル程ある獣だったのだ。
飴売り「ま、まままだいたのかよぉ!?」
姫「いえ、違うわ」
私が言ったと同時…
43: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/22(木) 18:07:46.52 ID:d+YTB6p10
獣人「姫様、助けが遅れました…ですがご無事のようで何より」
獣は体を縮め、獣人に変化した。
姫「今まで何をやっていたの獣人?」
獣人「村に魔物が潜んでいたので、狩っておりました」
姫「なるほど…刺客は呪術師だけじゃなかったの」
飴売り「」アワアワ
獣人「…姫様、彼は?」
姫「あぁ…戦いに巻き込んでしまったの。獣人、治療費を渡して差し上げて。それから宿屋にも、修繕費用を」
獣人「はい」
飴売り(本当は巻き込んじまったの俺なんだけど…何か上手く勘違いしてくれてるみたいだな)
姫「それじゃあ、これで…もう、危険に首は突っ込まないように」
飴売り「あ、は、はい」
飴売り「…」
飴売り「姫さーん」
姫「はい?」
少し距離が空いた頃、飴売りが私を呼び止めた。
飴売り「俺、結構本気だからー。俺のお嫁さんになりたかったら、いつでも言ってくれー」
姫「…」
本気で頭がおかしくなったのか。
そう思う反面…
姫「ふ、ふふ…」
彼を面白いと思う自分がいた。
初めて貰う男性からの求愛の言葉は、不思議と嫌な気持ちにはならない。
姫「一生待ってなさーい」
飴売り「おう、俺は辛抱強いぞ!」
決して受け入れたわけではない。それでも、冗談のやりとりという一歩踏み込んだコミュニケーションくらいは、いいかと思った。
獣は体を縮め、獣人に変化した。
姫「今まで何をやっていたの獣人?」
獣人「村に魔物が潜んでいたので、狩っておりました」
姫「なるほど…刺客は呪術師だけじゃなかったの」
飴売り「」アワアワ
獣人「…姫様、彼は?」
姫「あぁ…戦いに巻き込んでしまったの。獣人、治療費を渡して差し上げて。それから宿屋にも、修繕費用を」
獣人「はい」
飴売り(本当は巻き込んじまったの俺なんだけど…何か上手く勘違いしてくれてるみたいだな)
姫「それじゃあ、これで…もう、危険に首は突っ込まないように」
飴売り「あ、は、はい」
飴売り「…」
飴売り「姫さーん」
姫「はい?」
少し距離が空いた頃、飴売りが私を呼び止めた。
飴売り「俺、結構本気だからー。俺のお嫁さんになりたかったら、いつでも言ってくれー」
姫「…」
本気で頭がおかしくなったのか。
そう思う反面…
姫「ふ、ふふ…」
彼を面白いと思う自分がいた。
初めて貰う男性からの求愛の言葉は、不思議と嫌な気持ちにはならない。
姫「一生待ってなさーい」
飴売り「おう、俺は辛抱強いぞ!」
決して受け入れたわけではない。それでも、冗談のやりとりという一歩踏み込んだコミュニケーションくらいは、いいかと思った。
44: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/22(木) 18:08:18.25 ID:d+YTB6p10
獣人「姫様、彼は…」
姫「変な人なのよね」
獣人「前々からの知り合いですか?」
姫「たまたま昨日知り合った飴売りよ」
獣人「飴売り…ですか」
姫「どうかした?」
獣人「…いえ、何でも」
*
飴売り「くっそー、とんだ邪魔が入ったぜ」
翼人「災難でしたね王子…」バサッ
飴売り「いたのかよ翼。いたなら助けてくれてもいいじゃん」
翼人「いえ、いつ仮面をお使いになるのかと思いましてね」
飴売り「こんな所じゃ使わないって」
翼人「その格好なら襲撃されないとおっしゃって、油断していたのはどなたでしたかね?」
飴売り「うぎぎ…悪かったって。まさか、本当に俺を殺しに来るとは思わなかったんだよ」
翼人「魔王子様は危機感が足りていませんね…それに何ですか、姫君に告白なさるとは」
飴売り「惚れたもんは仕方ないだろ?初めてなんだよ、女に惚れたのは」
翼人「貴方の宿敵の妹君ですよ?」
飴売り「別に俺は王子を宿敵とは思ってねーよ、それにさぁ」
翼人「…何です?」
飴売り「俺と姫さんが結婚すれば争いは収まって和平ハッピーエンドじゃね?」ハハハ
翼人「馬鹿ですか」ボソッ
飴売り「はいはい俺は馬鹿ですよー、馬鹿は魔王になれませーん」
翼人「開き直らないで下さい」
飴売り「まぁまずは魔王城に帰るぞ。父上に報告しないと」
翼人「はい」
姫「変な人なのよね」
獣人「前々からの知り合いですか?」
姫「たまたま昨日知り合った飴売りよ」
獣人「飴売り…ですか」
姫「どうかした?」
獣人「…いえ、何でも」
*
飴売り「くっそー、とんだ邪魔が入ったぜ」
翼人「災難でしたね王子…」バサッ
飴売り「いたのかよ翼。いたなら助けてくれてもいいじゃん」
翼人「いえ、いつ仮面をお使いになるのかと思いましてね」
飴売り「こんな所じゃ使わないって」
翼人「その格好なら襲撃されないとおっしゃって、油断していたのはどなたでしたかね?」
飴売り「うぎぎ…悪かったって。まさか、本当に俺を殺しに来るとは思わなかったんだよ」
翼人「魔王子様は危機感が足りていませんね…それに何ですか、姫君に告白なさるとは」
飴売り「惚れたもんは仕方ないだろ?初めてなんだよ、女に惚れたのは」
翼人「貴方の宿敵の妹君ですよ?」
飴売り「別に俺は王子を宿敵とは思ってねーよ、それにさぁ」
翼人「…何です?」
飴売り「俺と姫さんが結婚すれば争いは収まって和平ハッピーエンドじゃね?」ハハハ
翼人「馬鹿ですか」ボソッ
飴売り「はいはい俺は馬鹿ですよー、馬鹿は魔王になれませーん」
翼人「開き直らないで下さい」
飴売り「まぁまずは魔王城に帰るぞ。父上に報告しないと」
翼人「はい」
50: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/23(金) 15:23:53.35 ID:MbiRcDMj0
>翌日
王子「よぉ、相手大したことなかったんだって?」
城に戻ると、人のいない所で王子が声をかけてきた。
あぁ、また面倒臭い。
王子「大したことないなら俺が行っても良かったかもな~。あ、でも田舎の汚い宿屋に泊まるのか勘弁だな、体が汚れちまう」
姫「行かなくて正解でしたよお兄様」
王子の剣の腕も悪くはないけれど、実戦経験の少ない彼なら呪術師の襲撃に対処できなかっただろう。
姫「そうだお兄様…姫でいる時に、飴売りと知り合いになりました」
王子「飴売り?」
姫「20代前半くらいの若い男性で…かなり馴れ馴れしい方です。遭遇した時は適当にあしらっておいて下さい」
彼を悪く言うのは嫌だったが、あまり王子と話してほしくない。
そういう意図があるとは知らずに、王子はハイハイと適当に返事を返した。
姫「あ、彼から貰った飴です。良ければ…」
王子「お、さんきゅー♪」
王子は飴をあげれば機嫌が良くなる。本当、子供っぽい。
姫(将来結婚できるかはわからないけど、王子以下の男性はそうそういないわね…)ハァ
>城下町
飴売り「らっしゃーい」
飴売りは不機嫌さを押し隠すように行商に没頭していた。
飴売り(くっそ…)
魔王城であったことを思い前す。
王子「よぉ、相手大したことなかったんだって?」
城に戻ると、人のいない所で王子が声をかけてきた。
あぁ、また面倒臭い。
王子「大したことないなら俺が行っても良かったかもな~。あ、でも田舎の汚い宿屋に泊まるのか勘弁だな、体が汚れちまう」
姫「行かなくて正解でしたよお兄様」
王子の剣の腕も悪くはないけれど、実戦経験の少ない彼なら呪術師の襲撃に対処できなかっただろう。
姫「そうだお兄様…姫でいる時に、飴売りと知り合いになりました」
王子「飴売り?」
姫「20代前半くらいの若い男性で…かなり馴れ馴れしい方です。遭遇した時は適当にあしらっておいて下さい」
彼を悪く言うのは嫌だったが、あまり王子と話してほしくない。
そういう意図があるとは知らずに、王子はハイハイと適当に返事を返した。
姫「あ、彼から貰った飴です。良ければ…」
王子「お、さんきゅー♪」
王子は飴をあげれば機嫌が良くなる。本当、子供っぽい。
姫(将来結婚できるかはわからないけど、王子以下の男性はそうそういないわね…)ハァ
>城下町
飴売り「らっしゃーい」
飴売りは不機嫌さを押し隠すように行商に没頭していた。
飴売り(くっそ…)
魔王城であったことを思い前す。
51: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/23(金) 15:24:36.26 ID:MbiRcDMj0
父は最近体の調子が悪く、顔色が悪い。
それでも魔王としての責任からか、それとも人に弱みを見せるのを嫌う性格からか、自分が城に戻った時も威厳たっぷりに出迎えた。
魔王子「父上、謀反人が現れました」
魔王「ほう…?」
魔王子「俺が宿泊していた宿が襲撃され、呪術師と名乗る魔物に命を狙われました」
呪術師が兄王子派の者かもしれないというのは伏せておく。
証拠のない不確かな情報だし、父に心労をかけさせたくなかった。のだが…
魔王「ふん…我はまだまだ現役だ、早まった馬鹿が…」
魔王子「父上…」
魔王は次期魔王候補の派閥争いだと、気がついたようだ。
魔王子「父上、俺は争いを好みません。兄上が次期魔王であると父上の口から…」
魔王「甘えるな阿呆」
魔王子「!?」
魔王「お前は命を狙われたくないだけであろう?自分の身は自分で守れ、我が息子ならな」
魔王子「いやしかし…無益な内部争いなど…」
魔王「有益かも知れんぞ…争いでしか得られぬものもある」
魔王子「…」
父も争いの末に様々なものを手にれたと言われている。
魔王の座も、名声も、人間達に女神のようだと讃えられていた母も――
そんな豪傑な父は自分に、我が息子なら戦え、腑抜けるようなら死ねと言っている。実の親子でも、彼はそういう性格だ。
魔王子(それでも俺は――)
沢山の命を散らしてまで何かを手に入れたいとは思わなかった。
それでも魔王としての責任からか、それとも人に弱みを見せるのを嫌う性格からか、自分が城に戻った時も威厳たっぷりに出迎えた。
魔王子「父上、謀反人が現れました」
魔王「ほう…?」
魔王子「俺が宿泊していた宿が襲撃され、呪術師と名乗る魔物に命を狙われました」
呪術師が兄王子派の者かもしれないというのは伏せておく。
証拠のない不確かな情報だし、父に心労をかけさせたくなかった。のだが…
魔王「ふん…我はまだまだ現役だ、早まった馬鹿が…」
魔王子「父上…」
魔王は次期魔王候補の派閥争いだと、気がついたようだ。
魔王子「父上、俺は争いを好みません。兄上が次期魔王であると父上の口から…」
魔王「甘えるな阿呆」
魔王子「!?」
魔王「お前は命を狙われたくないだけであろう?自分の身は自分で守れ、我が息子ならな」
魔王子「いやしかし…無益な内部争いなど…」
魔王「有益かも知れんぞ…争いでしか得られぬものもある」
魔王子「…」
父も争いの末に様々なものを手にれたと言われている。
魔王の座も、名声も、人間達に女神のようだと讃えられていた母も――
そんな豪傑な父は自分に、我が息子なら戦え、腑抜けるようなら死ねと言っている。実の親子でも、彼はそういう性格だ。
魔王子(それでも俺は――)
沢山の命を散らしてまで何かを手に入れたいとは思わなかった。
52: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/23(金) 15:25:10.11 ID:MbiRcDMj0
飴売り「まいどありー」
行商は好きだ。何ていうか自分も「社会の一部」になったような気がして、働いた充実感が得られる。人と直接触れ合う仕事は、自分に向いていると思う。
流石都会、今日は飴の売れ行きがいい。特に女性客が多く、遠巻きにこっちを見ている女性もいる。
まぁ姫さんも飴好きと有名だし、この国の女性は飴が好きなのかもしれない。
王子「飴下さる?」
飴売り「へい、まいど…ってあれ、姫さん?」
王子「え…?」
飴売りの顔がぱっと明るくなる。
今日首都に来たのは、姫に会えるかもしれないという下心が多少あったのは否めない。
飴売り(姫さんのこと考えた途端姫さんが来るとは…もしかしてこれって運命?)
そんなことを考えると自然ににやついてしまい、姫に扮する王子は頭を傾げた。
王子(何だ…このアホ面は)
行商は好きだ。何ていうか自分も「社会の一部」になったような気がして、働いた充実感が得られる。人と直接触れ合う仕事は、自分に向いていると思う。
流石都会、今日は飴の売れ行きがいい。特に女性客が多く、遠巻きにこっちを見ている女性もいる。
まぁ姫さんも飴好きと有名だし、この国の女性は飴が好きなのかもしれない。
王子「飴下さる?」
飴売り「へい、まいど…ってあれ、姫さん?」
王子「え…?」
飴売りの顔がぱっと明るくなる。
今日首都に来たのは、姫に会えるかもしれないという下心が多少あったのは否めない。
飴売り(姫さんのこと考えた途端姫さんが来るとは…もしかしてこれって運命?)
そんなことを考えると自然ににやついてしまい、姫に扮する王子は頭を傾げた。
王子(何だ…このアホ面は)
53: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/23(金) 15:25:38.51 ID:MbiRcDMj0
飴売り「いつもと雰囲気違うね、一瞬気付かなかったよ。よし知り合いのよしみで1個おまけするよ!」
王子「…」
王子(こいつが姫の言ってた飴売りか?本当に馴れ馴れしい奴だな)
飴売り「ところで姫さん、昨日の件、ちょっとは考えてくれた?」
王子「は?昨日の件…?」
飴売り「冷てーな相変わらず!俺と付き合ってくれってことだよ」
王子「………は?」
人懐っこい笑顔を浮かべて言う飴売りに、王子は眉をひそめる。
王子(何だこいつ下賤な飴売りの分際で、一国の姫に告白したのか?何て身の程知らずな)
王子(何かムカつくし、蹴り上げてやろうか…待てよ)ニヤ
飴売り(…にしても姫さん、やっぱいつもと何か違うよなぁ?)
王子「飴売り様、あの…」
飴売り「ん?」
王子「…」
王子(こいつが姫の言ってた飴売りか?本当に馴れ馴れしい奴だな)
飴売り「ところで姫さん、昨日の件、ちょっとは考えてくれた?」
王子「は?昨日の件…?」
飴売り「冷てーな相変わらず!俺と付き合ってくれってことだよ」
王子「………は?」
人懐っこい笑顔を浮かべて言う飴売りに、王子は眉をひそめる。
王子(何だこいつ下賤な飴売りの分際で、一国の姫に告白したのか?何て身の程知らずな)
王子(何かムカつくし、蹴り上げてやろうか…待てよ)ニヤ
飴売り(…にしても姫さん、やっぱいつもと何か違うよなぁ?)
王子「飴売り様、あの…」
飴売り「ん?」
54: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/23(金) 15:26:14.19 ID:MbiRcDMj0
姫(何だろう…用事って)
王子は帰ってくるなり、入れ替わりを一旦元に戻すと言い出した。
それで飴売りと会う約束をしたから、城の裏の庭園に行けとのことだ。
王子『飴売りがお前と話したいことあるみたいなんだけど、俺じゃよくわからないから行ってきてくれ』
姫(また告白の件かな?)
王子が行けと言うから行くしかあるまい。
私は先ほどまで王子が着ていた服を着て、庭園に足を運んだ。
姫(飴売りは…いた)
飴売り「あ、姫さん…」
飴売りは何やらソワソワしている。
何だろう?愛の告白すら全く恥じらわずに行った彼らしくない。
姫「お待たせ致しました」
飴売り「来てくれたんだ…嬉しいよ」
姫「えぇまぁ、約束ですから」
王子はそう言っていた。
飴売り「まさか、本当に来てくれるとは思わなくて」
姫「え?」
飴売り「俺こんなおちゃらけた奴だけど、こういう事には真剣なつもりだから…」
姫「あの、何――」
―――
唐突のことに頭が真っ白になる。
飛びつくように、飴売りは私を抱きしめてきた。
そして――
王子は帰ってくるなり、入れ替わりを一旦元に戻すと言い出した。
それで飴売りと会う約束をしたから、城の裏の庭園に行けとのことだ。
王子『飴売りがお前と話したいことあるみたいなんだけど、俺じゃよくわからないから行ってきてくれ』
姫(また告白の件かな?)
王子が行けと言うから行くしかあるまい。
私は先ほどまで王子が着ていた服を着て、庭園に足を運んだ。
姫(飴売りは…いた)
飴売り「あ、姫さん…」
飴売りは何やらソワソワしている。
何だろう?愛の告白すら全く恥じらわずに行った彼らしくない。
姫「お待たせ致しました」
飴売り「来てくれたんだ…嬉しいよ」
姫「えぇまぁ、約束ですから」
王子はそう言っていた。
飴売り「まさか、本当に来てくれるとは思わなくて」
姫「え?」
飴売り「俺こんなおちゃらけた奴だけど、こういう事には真剣なつもりだから…」
姫「あの、何――」
―――
唐突のことに頭が真っ白になる。
飛びつくように、飴売りは私を抱きしめてきた。
そして――
55: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/23(金) 15:26:47.80 ID:MbiRcDMj0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
王子『飴売り様…まだ少し返事を迷っていまして、それで…後ほど、城の裏庭に来て頂けませんか?』
飴売り『裏庭に?』
王子『その時までに絶対に答えを見つけてきますから…』
王子『もし私が来たらその時は――』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
姫「――!?」
飴売り「…っ」
声を塞がれるように、触れるように――唇を、奪われた。
姫「…っ、無礼者っ!」
混乱しつつも、私は飴売りを引き離し頬を引っぱたく。
飴売り「っ…!」
しばらく、飴売りは茫然とした顔で私を見ていた。だが――
飴売り「…ごめん」
姫「…え?」
飴売り「浮かれていた…間に受けるもんじゃないよな」
姫(な、何――?)
飴売りの言葉も態度もわけがわからない――と、その時。
クスクス…
姫「――っ!?」
私の正面、飴売りの後方にある木の陰――そこにいた人物とその顔を見て、何があったのかわかった。
姫(王子…っ!!)
王子『飴売り様…まだ少し返事を迷っていまして、それで…後ほど、城の裏庭に来て頂けませんか?』
飴売り『裏庭に?』
王子『その時までに絶対に答えを見つけてきますから…』
王子『もし私が来たらその時は――』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
姫「――!?」
飴売り「…っ」
声を塞がれるように、触れるように――唇を、奪われた。
姫「…っ、無礼者っ!」
混乱しつつも、私は飴売りを引き離し頬を引っぱたく。
飴売り「っ…!」
しばらく、飴売りは茫然とした顔で私を見ていた。だが――
飴売り「…ごめん」
姫「…え?」
飴売り「浮かれていた…間に受けるもんじゃないよな」
姫(な、何――?)
飴売りの言葉も態度もわけがわからない――と、その時。
クスクス…
姫「――っ!?」
私の正面、飴売りの後方にある木の陰――そこにいた人物とその顔を見て、何があったのかわかった。
姫(王子…っ!!)
56: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/23(金) 15:27:31.80 ID:MbiRcDMj0
王子は声を押し殺して笑っていた。その目にこもっているのは、私への嘲り。
これは悪戯だ。それも、相当に性質の悪い。下賤な身分の者に唇を奪われた私を嘲笑したい、ただそれだけの目的。
飴売り「無礼を償いたい…これを」
そんなことに気付かない飴売りが私に差し出したのは、剣。
飴売り「お姫様への猥褻行為をしたのだから切り殺されても文句は言えない。どうぞ――」
姫「ちがっ――」
私は慌てる。きっと彼は王子に騙されただけで、何も悪くない。だが何と説明すればいい?
王子は私を見て腹を抱えていた。私の慌てる様子を見て楽しんでいる。
ここ数年、どんなことを言われても私は動じなかった。それがつまらなくなっていたのだろう。
姫「…怒っていません」
そんな言葉しか出てこなかった。
姫「少し、驚いただけです」
飴売り「姫さん…」
できるだけ彼の罪悪感を取り除くように言葉を選ぶ。
姫「今日はお帰り下さい…暴力を振るって、申し訳ありませんでした」
飴売り「あぁ」
去っていく飴売りの背中は哀愁を醸し出す。
あのいつも朗らかな彼を傷つけてしまった――そんな罪悪感が私の胸を締め付ける。
そして怒りの矛先は勿論…
姫「王子…!!」
これは悪戯だ。それも、相当に性質の悪い。下賤な身分の者に唇を奪われた私を嘲笑したい、ただそれだけの目的。
飴売り「無礼を償いたい…これを」
そんなことに気付かない飴売りが私に差し出したのは、剣。
飴売り「お姫様への猥褻行為をしたのだから切り殺されても文句は言えない。どうぞ――」
姫「ちがっ――」
私は慌てる。きっと彼は王子に騙されただけで、何も悪くない。だが何と説明すればいい?
王子は私を見て腹を抱えていた。私の慌てる様子を見て楽しんでいる。
ここ数年、どんなことを言われても私は動じなかった。それがつまらなくなっていたのだろう。
姫「…怒っていません」
そんな言葉しか出てこなかった。
姫「少し、驚いただけです」
飴売り「姫さん…」
できるだけ彼の罪悪感を取り除くように言葉を選ぶ。
姫「今日はお帰り下さい…暴力を振るって、申し訳ありませんでした」
飴売り「あぁ」
去っていく飴売りの背中は哀愁を醸し出す。
あのいつも朗らかな彼を傷つけてしまった――そんな罪悪感が私の胸を締め付ける。
そして怒りの矛先は勿論…
姫「王子…!!」
57: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/23(金) 15:28:35.47 ID:MbiRcDMj0
王子「くくく…お前初めてだよなぁ?良かったじゃん、下賤だけど顔はいい相手でさぁ。お前どうせ評判悪くて言い寄ってくる男いないんだし、あいつと結婚しちゃえば良いじゃないか」
姫「…ふざけないで下さい」
数年ぶりだ、彼に怒りを表すのは。
そんな様子を見て、王子はますます可笑しそうに笑う。
王子「何?「姫」があいつを誘い込んだんだろ?何で俺にキレてんの?」
姫「誘い込んだのは貴方です…!」
王子「おーコワ。じゃ何?俺を殴る?いいよ殴れ、ほらほら」
姫「…っ!」
そんなことしたら私が責められる。事の経緯を説明したとしても、結局悪いことになるのは私。
王子はそれをよくわかっている。わかっているから、ここまで私を馬鹿にできるのだ。
それでも――
姫「私は貴方の代わりではあるけど、貴方を楽しませる玩具じゃありません!!」
私は真剣な怒りをぶつける。
唇を、しかも初めてをこんな形で奪われるなんて、顔を思い切り殴られる程ショックな出来事だ。
それも王子の為に恋愛事を避けてきた私に、こんな仕打ちを――
王子「お前さぁ、誰に向かって口きいてるかわかってんの?」
姫「はぁ…!?」
王子「俺はこの国の世継ぎ。次期国王。お前は俺のオマケで生まれてきた卑しい片割れ。わかってる?この差…」
姫「…!」
王子の言葉は私達双子の今まで歩んできた人生。
私は女で、王子より卑しい存在であり、王子の為に存在していて――
王子「俺がお前をどうしようと、勝手だろ」
姫「そんっ――」
抗議しかけた、その時だった。
姫「…ふざけないで下さい」
数年ぶりだ、彼に怒りを表すのは。
そんな様子を見て、王子はますます可笑しそうに笑う。
王子「何?「姫」があいつを誘い込んだんだろ?何で俺にキレてんの?」
姫「誘い込んだのは貴方です…!」
王子「おーコワ。じゃ何?俺を殴る?いいよ殴れ、ほらほら」
姫「…っ!」
そんなことしたら私が責められる。事の経緯を説明したとしても、結局悪いことになるのは私。
王子はそれをよくわかっている。わかっているから、ここまで私を馬鹿にできるのだ。
それでも――
姫「私は貴方の代わりではあるけど、貴方を楽しませる玩具じゃありません!!」
私は真剣な怒りをぶつける。
唇を、しかも初めてをこんな形で奪われるなんて、顔を思い切り殴られる程ショックな出来事だ。
それも王子の為に恋愛事を避けてきた私に、こんな仕打ちを――
王子「お前さぁ、誰に向かって口きいてるかわかってんの?」
姫「はぁ…!?」
王子「俺はこの国の世継ぎ。次期国王。お前は俺のオマケで生まれてきた卑しい片割れ。わかってる?この差…」
姫「…!」
王子の言葉は私達双子の今まで歩んできた人生。
私は女で、王子より卑しい存在であり、王子の為に存在していて――
王子「俺がお前をどうしようと、勝手だろ」
姫「そんっ――」
抗議しかけた、その時だった。
58: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/23(金) 15:29:16.59 ID:MbiRcDMj0
獣人「王子――」
王子「っ!?」
姫「…どうしたの獣人」
こんな時に…と八つ当たりに近い苛立ちを感じながら、獣人に返事する。
獣人「街に魔物が接近しているとの事ですが――」
王子「よーしわかった。お前、ちゃんと行けよ!」
姫「…」
私は返事をしない。けれど私に拒否する権利はない。
どんな目に遭わされても、私は王子に逆らうことを許されていない。
私は黙って、王子の振りをする為に城に足を向けた。
王子「っ!?」
姫「…どうしたの獣人」
こんな時に…と八つ当たりに近い苛立ちを感じながら、獣人に返事する。
獣人「街に魔物が接近しているとの事ですが――」
王子「よーしわかった。お前、ちゃんと行けよ!」
姫「…」
私は返事をしない。けれど私に拒否する権利はない。
どんな目に遭わされても、私は王子に逆らうことを許されていない。
私は黙って、王子の振りをする為に城に足を向けた。
62: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/24(土) 10:27:40.31 ID:DwvQyPQ90
魔物の接近を知らされ、街の人々は避難を始めていた。
飴売り(まさか街への襲撃命令が…!?いや、また俺…!?)
飴売りは混乱の中を縫い、街の外へと出る。
魔物の気配は――こっちからだ。
飴売り「止まれっ!!」
飴売りが大声を出すと、街に向かっていた魔物達が立ち止まった。
何匹かのウルフを率いていたのは、大型のウルフに乗った猛獣使いだ。
飴売り「お前には見覚えがあるな」
確か兄王子の側近の1人――
飴売り「これは兄上の命令か?それともお前の独断か?」
猛獣使い「――どうでしょうね」ピュー
飴売り「――っ」
猛獣使いが口笛を鳴らすと、ウルフ達が一斉に飛びかかってきた。
飴売り(やっぱ俺が標的か…だったら気兼ねはいらないな!)
ウルフの爪と牙を何とかかわし、剣を振り回して追い払う。
そうしてウルフの攻撃を避けながら、懐に手を入れようとするが――
ビュン
飴売り「ぐっ…」
猛獣使い「仮面は、使わせませんよ…」
やはり仮面を警戒していたか――
剣でウルフを牽制しながら、何とか仮面を取り出せる機会がないかと伺う。
しかし…
ビュンッビュン
飴売り(チッ、この連携プレー…厄介だな…!!)
飴売り「――っ!!」
と、ウルフが飴売りの喉目掛けて飛びかかってきた。
防御が間に合わない――!!
飴売り(まさか街への襲撃命令が…!?いや、また俺…!?)
飴売りは混乱の中を縫い、街の外へと出る。
魔物の気配は――こっちからだ。
飴売り「止まれっ!!」
飴売りが大声を出すと、街に向かっていた魔物達が立ち止まった。
何匹かのウルフを率いていたのは、大型のウルフに乗った猛獣使いだ。
飴売り「お前には見覚えがあるな」
確か兄王子の側近の1人――
飴売り「これは兄上の命令か?それともお前の独断か?」
猛獣使い「――どうでしょうね」ピュー
飴売り「――っ」
猛獣使いが口笛を鳴らすと、ウルフ達が一斉に飛びかかってきた。
飴売り(やっぱ俺が標的か…だったら気兼ねはいらないな!)
ウルフの爪と牙を何とかかわし、剣を振り回して追い払う。
そうしてウルフの攻撃を避けながら、懐に手を入れようとするが――
ビュン
飴売り「ぐっ…」
猛獣使い「仮面は、使わせませんよ…」
やはり仮面を警戒していたか――
剣でウルフを牽制しながら、何とか仮面を取り出せる機会がないかと伺う。
しかし…
ビュンッビュン
飴売り(チッ、この連携プレー…厄介だな…!!)
飴売り「――っ!!」
と、ウルフが飴売りの喉目掛けて飛びかかってきた。
防御が間に合わない――!!
63: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/24(土) 10:28:10.71 ID:DwvQyPQ90
翼人「魔王子様!」
猛獣使い「――!」
大きな風を巻き起こしながら、翼人が地面に降り立った。
風に吹き飛ばされてウルフは、飴売りに攻撃をしかけることなく地面に着地。
翼人「まさか貴方が魔王子様に牙を剥くとは…」
猛獣使い「…ふん」
猛獣使いは動じず、ウルフを飴売りと翼人にけしかける。
両者、これを回避。
飴売り「翼!お前に任せた!」
翼人「はい」
飴売りは後退し、翼人がウルフの群れに突っ込んでいく。
翼人はウルフが飴売りを襲わないよう、全体を見渡しながら風を起こす。
飴売り「助かったよ翼…これで」
飴売りは懐から狂戦士の仮面を取り出し――
魔王子「思い切り、暴れられる――!!」
猛獣使い「――!」
大きな風を巻き起こしながら、翼人が地面に降り立った。
風に吹き飛ばされてウルフは、飴売りに攻撃をしかけることなく地面に着地。
翼人「まさか貴方が魔王子様に牙を剥くとは…」
猛獣使い「…ふん」
猛獣使いは動じず、ウルフを飴売りと翼人にけしかける。
両者、これを回避。
飴売り「翼!お前に任せた!」
翼人「はい」
飴売りは後退し、翼人がウルフの群れに突っ込んでいく。
翼人はウルフが飴売りを襲わないよう、全体を見渡しながら風を起こす。
飴売り「助かったよ翼…これで」
飴売りは懐から狂戦士の仮面を取り出し――
魔王子「思い切り、暴れられる――!!」
64: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/24(土) 10:28:37.44 ID:DwvQyPQ90
姫「…っ!?」
私が来た時には既に終わっていた。
と、いうより…何があった?
翼人「おや…王子」
魔王子「…」
魔王子の全身が血まみれだ。だが、それはきっと彼のものではない。
周囲に散らばっている肉片――魔王子の仕業だ。
だが、何故?肉片は魔物のものに見えるが、どうして魔王の息子である彼が魔物に?
だが、そんな疑問を浮かべている間もなく――
魔王子「…」
姫「…っ」
魔王子が剣先をこちらに向けてきた。これは…戦いの合図か。
姫「…相手する!」
私は魔王子と対峙した。
私が来た時には既に終わっていた。
と、いうより…何があった?
翼人「おや…王子」
魔王子「…」
魔王子の全身が血まみれだ。だが、それはきっと彼のものではない。
周囲に散らばっている肉片――魔王子の仕業だ。
だが、何故?肉片は魔物のものに見えるが、どうして魔王の息子である彼が魔物に?
だが、そんな疑問を浮かべている間もなく――
魔王子「…」
姫「…っ」
魔王子が剣先をこちらに向けてきた。これは…戦いの合図か。
姫「…相手する!」
私は魔王子と対峙した。
65: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/24(土) 10:29:19.45 ID:DwvQyPQ90
――全然、暴れ足りない――
魔王子「…」ビュン
姫「はッ!!」カキィン
――剣に十分な手応えを感じる。
こいつは、強い――
姫「でりゃ、たあぁっ!」カンカァン
――こいつとの戦いは、胸躍る――
魔王子「…」
――だが、何故だ――
姫「はぁーッ!!」カァン
――こいつには何か、違和感が――
魔王子「――っ」ビュン
――まぁ――
姫「くっ」カァン
――切り刻んでしまえば、どうでも良くなる――
魔王子「…」ビュン
姫「はッ!!」カキィン
――剣に十分な手応えを感じる。
こいつは、強い――
姫「でりゃ、たあぁっ!」カンカァン
――こいつとの戦いは、胸躍る――
魔王子「…」
――だが、何故だ――
姫「はぁーッ!!」カァン
――こいつには何か、違和感が――
魔王子「――っ」ビュン
――まぁ――
姫「くっ」カァン
――切り刻んでしまえば、どうでも良くなる――
66: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/24(土) 10:29:45.54 ID:DwvQyPQ90
姫「…っ」
一撃一撃が重い。この魔王子、やはり強い。
何とかダメージは避けてきたが、いつまで避けていられるかわからない。
魔王子「…」ビュンッ
姫「…うっ!?」
今の一撃を受け止めたと同時、腕全体に痺れが行き渡った。
何となくそんな感じはしていたが、確信をもつ――
姫(魔王子…戦闘中に少しずつ強くなっている!?)
魔王子「…」ビュンッ
姫「くっ」
今度は回避。ギリギリだった。
姫(このままじゃ…)
こちらが押し切られる――そんな危機感を持った。
魔王子「…っ」ガキィン
姫「…っう!!」
受け止めたと同時、足元がふらつく。
何て威力…!!
魔王子「…ッハァ!!」
姫「!!」
一撃一撃が重い。この魔王子、やはり強い。
何とかダメージは避けてきたが、いつまで避けていられるかわからない。
魔王子「…」ビュンッ
姫「…うっ!?」
今の一撃を受け止めたと同時、腕全体に痺れが行き渡った。
何となくそんな感じはしていたが、確信をもつ――
姫(魔王子…戦闘中に少しずつ強くなっている!?)
魔王子「…」ビュンッ
姫「くっ」
今度は回避。ギリギリだった。
姫(このままじゃ…)
こちらが押し切られる――そんな危機感を持った。
魔王子「…っ」ガキィン
姫「…っう!!」
受け止めたと同時、足元がふらつく。
何て威力…!!
魔王子「…ッハァ!!」
姫「!!」
67: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/24(土) 10:30:14.19 ID:DwvQyPQ90
姫「…っつぅ…」
咄嗟に一撃を受け止めたが、私は思い切り吹っ飛ばされた。
体が地面をこすり、鈍い痛みが体を伝う。
魔王子「…」
姫「くっ…」
しかし魔王子はじりじり近づいてくる。痛みを気にしている場合じゃない。
急いで立ち上がり、魔王子に向き直ろうとした。
だが、その時。
魔王子「…ッアァ」
姫「…?」
魔王子の動きが止まった…震えている?
そして頭を抑え…
魔王子「…ガアアアァァァァーッ!!」
姫「!?」
翼人「いけない!」
獣人と戦っていた翼人が急に戦闘をやめ、魔王子に向かっていった。
そして魔王子の体を抱えて、宙に飛ぶ。
翼人「退散させてもらおう…王子よ、また会おう」
姫「あっ!」
翼人はそう言うと慌てた様子で、魔王子を連れ去っていった。
その姿は、あっという間に見えなくなる。
姫「…助かった」
獣人「そうですね…」
咄嗟に一撃を受け止めたが、私は思い切り吹っ飛ばされた。
体が地面をこすり、鈍い痛みが体を伝う。
魔王子「…」
姫「くっ…」
しかし魔王子はじりじり近づいてくる。痛みを気にしている場合じゃない。
急いで立ち上がり、魔王子に向き直ろうとした。
だが、その時。
魔王子「…ッアァ」
姫「…?」
魔王子の動きが止まった…震えている?
そして頭を抑え…
魔王子「…ガアアアァァァァーッ!!」
姫「!?」
翼人「いけない!」
獣人と戦っていた翼人が急に戦闘をやめ、魔王子に向かっていった。
そして魔王子の体を抱えて、宙に飛ぶ。
翼人「退散させてもらおう…王子よ、また会おう」
姫「あっ!」
翼人はそう言うと慌てた様子で、魔王子を連れ去っていった。
その姿は、あっという間に見えなくなる。
姫「…助かった」
獣人「そうですね…」
68: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/24(土) 10:31:39.13 ID:DwvQyPQ90
・
・
・
飴売り「ハァ、ハァ…」
全身から汗が吹き出す。体が妙に熱い。
それに――さっきまでの自分は、明らかに正気を失っていた。
翼人「仮面を長時間つけていたせいか…」
飴売り「くそ…!!」
危うく意識が飲み込まれる所だった。あれ以上戦っていたら、自分は…。
翼人「猛獣使いからの連戦でしたからね…そうでなければ王子を討てたかも」
飴売り「そんなこと気にしてねぇ…」
猛獣使いはいい。自分に殺意をもって向かってきた相手だ、こちらも全力で対処する。
だけど王子は違う。自分と遭遇した時はまだ戦う素振りも見せていなかった。なのに自分は王子を殺しにかかった…それはただ単純に、暴れたかっただけだ。
自分が段々仮面の狂気に染まっていき、自分が自分でなくなっていく感覚――思い返せばゾッとする。
飴売り「おっかねぇ…」
翼人「…仮面がですか?」
飴売り「違う…」
飴売りは体をギュッと締めてガタガタ震えだす。
飴売り「俺はもう、こんな…戦いなんて、うんざりだ…!!」
・
・
飴売り「ハァ、ハァ…」
全身から汗が吹き出す。体が妙に熱い。
それに――さっきまでの自分は、明らかに正気を失っていた。
翼人「仮面を長時間つけていたせいか…」
飴売り「くそ…!!」
危うく意識が飲み込まれる所だった。あれ以上戦っていたら、自分は…。
翼人「猛獣使いからの連戦でしたからね…そうでなければ王子を討てたかも」
飴売り「そんなこと気にしてねぇ…」
猛獣使いはいい。自分に殺意をもって向かってきた相手だ、こちらも全力で対処する。
だけど王子は違う。自分と遭遇した時はまだ戦う素振りも見せていなかった。なのに自分は王子を殺しにかかった…それはただ単純に、暴れたかっただけだ。
自分が段々仮面の狂気に染まっていき、自分が自分でなくなっていく感覚――思い返せばゾッとする。
飴売り「おっかねぇ…」
翼人「…仮面がですか?」
飴売り「違う…」
飴売りは体をギュッと締めてガタガタ震えだす。
飴売り「俺はもう、こんな…戦いなんて、うんざりだ…!!」
69: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/24(土) 10:32:31.62 ID:DwvQyPQ90
夜の更新は未定。
飴売り→魔王子になる際仮面を被っただけで服装は一緒ですが、全身血塗れなので姫は気づいていません。
飴売り→魔王子になる際仮面を被っただけで服装は一緒ですが、全身血塗れなので姫は気づいていません。
71: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/24(土) 17:38:15.49 ID:DwvQyPQ90
王「ご苦労だったな王子よ」
報告をすると父はお決まりのように言った。
心のこもっていない事務的な言葉。その言葉では、私の達成感は満たされない。
王妃「しかし魔物達もいよいよ、我が国の城下町を狙うようになりましたか…」
王「あぁ…これは由々しき事態だな」
姫「…」
兵力の強化を怠っている張本人達が何を言っているのか――そう思ったが、言葉をぐっと堪える。
王子「いっそ他国みたく魔王に下っちゃえば~?」
王「それはできん。我が国の株が下がる。それに王子の今まで積み上げてきた名声も崩れるぞ」
王子「あぁ、それはいかんね」
名声だけを得ている王子は、現状をわかっていない。
けど、いっそ魔王に下ってしまえば――私もそう思うことはある。魔王に下った国の王達は権力を失い、自分の国のことも自分達で決められなくなる。
だけど、人々を守ることはできる。誇りを失っても、命は守れる。
我が国は弱小国の分際で、最後まで戦い抜くという誇りを捨てきれない。それは全て、私の重圧となるというのに。
王子「じゃ、もう魔王城攻めちゃえば?」
姫「…!!それはできない!」
私は即抗議する。
魔王城やその近辺には、主力となる魔物達がうじゃうじゃいるということだ。
今までは魔王のプライドが許さなかったのか、主力である魔物達が国に侵入してきたことはほとんどない。だから私が主力の魔物と戦う時はいつも、少数相手だった。
しかし魔王城近辺に行くということは主力である魔物との連戦――そんなことしたら、私がもたない。
それを王子でもわかるよう、わかりやすく述べたが、
王子「でも今の内に行っておかないと、国にもっと強い魔物達が攻めてくるんでねぇの」
王子はあっけらかんと答えた。
王子「魔王を討ったとなりゃ、王子は国だけじゃなくて全世界の英雄だぞ。国の為に動けよ」
そう言う王子の顔は強欲に満ち、下卑て見えた。
報告をすると父はお決まりのように言った。
心のこもっていない事務的な言葉。その言葉では、私の達成感は満たされない。
王妃「しかし魔物達もいよいよ、我が国の城下町を狙うようになりましたか…」
王「あぁ…これは由々しき事態だな」
姫「…」
兵力の強化を怠っている張本人達が何を言っているのか――そう思ったが、言葉をぐっと堪える。
王子「いっそ他国みたく魔王に下っちゃえば~?」
王「それはできん。我が国の株が下がる。それに王子の今まで積み上げてきた名声も崩れるぞ」
王子「あぁ、それはいかんね」
名声だけを得ている王子は、現状をわかっていない。
けど、いっそ魔王に下ってしまえば――私もそう思うことはある。魔王に下った国の王達は権力を失い、自分の国のことも自分達で決められなくなる。
だけど、人々を守ることはできる。誇りを失っても、命は守れる。
我が国は弱小国の分際で、最後まで戦い抜くという誇りを捨てきれない。それは全て、私の重圧となるというのに。
王子「じゃ、もう魔王城攻めちゃえば?」
姫「…!!それはできない!」
私は即抗議する。
魔王城やその近辺には、主力となる魔物達がうじゃうじゃいるということだ。
今までは魔王のプライドが許さなかったのか、主力である魔物達が国に侵入してきたことはほとんどない。だから私が主力の魔物と戦う時はいつも、少数相手だった。
しかし魔王城近辺に行くということは主力である魔物との連戦――そんなことしたら、私がもたない。
それを王子でもわかるよう、わかりやすく述べたが、
王子「でも今の内に行っておかないと、国にもっと強い魔物達が攻めてくるんでねぇの」
王子はあっけらかんと答えた。
王子「魔王を討ったとなりゃ、王子は国だけじゃなくて全世界の英雄だぞ。国の為に動けよ」
そう言う王子の顔は強欲に満ち、下卑て見えた。
72: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/24(土) 17:38:44.75 ID:DwvQyPQ90
私の発言はどこまでも無力だ。
王「そうだな、魔王を叩くなら今かもしれん。まだ我が国にダメージがない内がいい」
王妃「それも国を守るということ…」
王子「城に潜入して魔王だけ討てばいいんだよ、後の魔物は逃げろ逃げろ」
戦わない人達は理想を掲げ、私に責務だけ押し付ける。反論しても、それがお前の義務だと聞き入れもしない。
そして、出来なかったら私を責めるのだろう――もっとも今回の場合は、責められる以前に死ぬかもしれないが。
姫(もし私が死んだら――)
あの人達は戦えない。だから魔王に下るしかなくなる。
この国の人々の為ならそれもいいじゃないか。だけど、私が無駄死にだ。
無駄死に――そうか。私は無駄死にさせてもいい程度の存在だった。
王「明日出発するように」
いいでしょう、どうせ私は王子の手先でしかない。
戦い抜いた末無駄死にしても、貴方達の失望の声は私に届かない。
王「そうだな、魔王を叩くなら今かもしれん。まだ我が国にダメージがない内がいい」
王妃「それも国を守るということ…」
王子「城に潜入して魔王だけ討てばいいんだよ、後の魔物は逃げろ逃げろ」
戦わない人達は理想を掲げ、私に責務だけ押し付ける。反論しても、それがお前の義務だと聞き入れもしない。
そして、出来なかったら私を責めるのだろう――もっとも今回の場合は、責められる以前に死ぬかもしれないが。
姫(もし私が死んだら――)
あの人達は戦えない。だから魔王に下るしかなくなる。
この国の人々の為ならそれもいいじゃないか。だけど、私が無駄死にだ。
無駄死に――そうか。私は無駄死にさせてもいい程度の存在だった。
王「明日出発するように」
いいでしょう、どうせ私は王子の手先でしかない。
戦い抜いた末無駄死にしても、貴方達の失望の声は私に届かない。
73: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/24(土) 17:39:11.48 ID:DwvQyPQ90
姫「行きましょうか、獣人」
獣人「お待ち下さい。提案が」
姫「何?」
獣人「王子の格好で出征すれば噂は広まるでしょうし、敵に狙われやすくなります。魔王城付近までは、王子でない格好に変装して行かれた方がよろしいかと」
姫「…それもそうね。でも獣人はどうするの?貴方も顔を知られているから私と居れば目立つでしょ」
獣人「私は別行動します…何かあれば、この笛で」
姫「わかった」
私に笛を渡すと獣人は姿を消した。
さて、どんな格好で行こうか…と考えた末私は、
姫「ま、いいか、こんなんで」
普通に女の格好で行くことにした。
姫(今日は一気に国境越えちゃって、隣国の首都に行こうかな…田舎より街の方が、旅人は目立たないし)
獣人「お待ち下さい。提案が」
姫「何?」
獣人「王子の格好で出征すれば噂は広まるでしょうし、敵に狙われやすくなります。魔王城付近までは、王子でない格好に変装して行かれた方がよろしいかと」
姫「…それもそうね。でも獣人はどうするの?貴方も顔を知られているから私と居れば目立つでしょ」
獣人「私は別行動します…何かあれば、この笛で」
姫「わかった」
私に笛を渡すと獣人は姿を消した。
さて、どんな格好で行こうか…と考えた末私は、
姫「ま、いいか、こんなんで」
普通に女の格好で行くことにした。
姫(今日は一気に国境越えちゃって、隣国の首都に行こうかな…田舎より街の方が、旅人は目立たないし)
74: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/24(土) 17:40:12.90 ID:DwvQyPQ90
翼人「…では魔王城には戻られないと?」
飴売り「魔王城は敵だらけだろ…戻りたくない」
翼人「では、どうなさるんですか?」
飴売り「人間の国に留まっていたい」
翼人「…そうやって、また逃げるつもりですか」
飴売り「わかってるだろ…俺は争いも面倒事も嫌いなんだ。逃げないとそれを避けることはできないんだ。逃げて何が悪い?」
翼人は呆れたのか諦めたのか、ふぅとため息をつく。
翼人「わかりました…ですが留まるにしても場所を選んだ方が良いですよ」
飴売り「あぁ、あまり魔物達が攻め入ってこれない場所だろ?」
翼人「はい。この国は兵力が弱いので魔物の侵入も容易いですが…」
飴売り「隣国は防衛力の強い国だし、そこなら問題はないな」
翼人「えぇ、ですが魔物の侵入も容易くはない。なので私は魔王子様の側にいられませんが…」
飴売り「そこまで翼に面倒かけられない。危なくなったら仮面で自分の命くらい守るよ」
翼人「そうですか…しかし残念です」
飴売り「何が?」
翼人「それは…いえ、私などが言うのはおこがましいですね」
そして、飴売りは1人になった。
飴売り「魔王城は敵だらけだろ…戻りたくない」
翼人「では、どうなさるんですか?」
飴売り「人間の国に留まっていたい」
翼人「…そうやって、また逃げるつもりですか」
飴売り「わかってるだろ…俺は争いも面倒事も嫌いなんだ。逃げないとそれを避けることはできないんだ。逃げて何が悪い?」
翼人は呆れたのか諦めたのか、ふぅとため息をつく。
翼人「わかりました…ですが留まるにしても場所を選んだ方が良いですよ」
飴売り「あぁ、あまり魔物達が攻め入ってこれない場所だろ?」
翼人「はい。この国は兵力が弱いので魔物の侵入も容易いですが…」
飴売り「隣国は防衛力の強い国だし、そこなら問題はないな」
翼人「えぇ、ですが魔物の侵入も容易くはない。なので私は魔王子様の側にいられませんが…」
飴売り「そこまで翼に面倒かけられない。危なくなったら仮面で自分の命くらい守るよ」
翼人「そうですか…しかし残念です」
飴売り「何が?」
翼人「それは…いえ、私などが言うのはおこがましいですね」
そして、飴売りは1人になった。
75: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/24(土) 17:40:57.74 ID:DwvQyPQ90
・
・
・
国境を越え、首都に辿り着く頃には夜になっていた。
街の通りの真ん中を堂々と歩いても、流石に隣国の姫の顔は誰も覚えていないのか、気付かれる様子はない。
母国では英雄である王子(とその妹)も、国境を越えればただの人、というわけか。
姫(まぁ都合はいいけど)
思えば女の格好のまま、堂々と人通りの多い場所を歩くのは数年振りか。
まだ大通りの店は空いている。何か見てみようか…と思ったが、足が止まる。
姫(お店…見たい店がない…)
服、装飾品、小物…色んな店が並んでいるが、自分には必要ないものばかりだ。
国民から払われた税金で無駄遣いするのは良くない。
姫(店を見てもつまらないかな…宿屋取って早く休もう)
「飴いらんかねー」
姫「…え?」
飴売り「ん?」
・
・
国境を越え、首都に辿り着く頃には夜になっていた。
街の通りの真ん中を堂々と歩いても、流石に隣国の姫の顔は誰も覚えていないのか、気付かれる様子はない。
母国では英雄である王子(とその妹)も、国境を越えればただの人、というわけか。
姫(まぁ都合はいいけど)
思えば女の格好のまま、堂々と人通りの多い場所を歩くのは数年振りか。
まだ大通りの店は空いている。何か見てみようか…と思ったが、足が止まる。
姫(お店…見たい店がない…)
服、装飾品、小物…色んな店が並んでいるが、自分には必要ないものばかりだ。
国民から払われた税金で無駄遣いするのは良くない。
姫(店を見てもつまらないかな…宿屋取って早く休もう)
「飴いらんかねー」
姫「…え?」
飴売り「ん?」
76: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/24(土) 17:41:29.48 ID:DwvQyPQ90
飴売り「あれ…姫さん」
ばったり出会ったのは偶然だった。
飴売りは目が合った瞬間、ぽかんと口を開けた。そして、
飴売り「し、失礼しゃーしたー!」
と慌ててそこから逃げ去ろうとしたが、
姫「ま、待って!」
飴売り「うわっち!?」
私は飴売りの襟首を掴む。彼は慌てていて、声だけじゃ呼び止められないような気がして、咄嗟に。
飴売りは即振り返ると、物凄い勢いで頭を下げてきた。
飴売り「すんません、つい…逃げるなんて卑怯だった、本当俺最低だ!」
姫「ち、ち違うの!そうじゃなくて…」
飴売り「言い訳はしない!いくらでも俺を殴れ!」
姫「だ、だだからそうじゃなくて!」
彼の焦りが私に伝染し、互いに口が上手く回らない状態になった。
「ねぇ何あれ?」
「痴話喧嘩?」
姫「ハッ!!」
この妙なやりとりに周囲の視線が集まる。まずい――
姫「と、とりあえず場所を変えましょう!ね!」
飴売り「え、あ、うん!」
私は飴売りの手を引いて駆け出した。
何でこんなに焦っているんだか…恥ずかしくて顔が熱くなった。
ばったり出会ったのは偶然だった。
飴売りは目が合った瞬間、ぽかんと口を開けた。そして、
飴売り「し、失礼しゃーしたー!」
と慌ててそこから逃げ去ろうとしたが、
姫「ま、待って!」
飴売り「うわっち!?」
私は飴売りの襟首を掴む。彼は慌てていて、声だけじゃ呼び止められないような気がして、咄嗟に。
飴売りは即振り返ると、物凄い勢いで頭を下げてきた。
飴売り「すんません、つい…逃げるなんて卑怯だった、本当俺最低だ!」
姫「ち、ち違うの!そうじゃなくて…」
飴売り「言い訳はしない!いくらでも俺を殴れ!」
姫「だ、だだからそうじゃなくて!」
彼の焦りが私に伝染し、互いに口が上手く回らない状態になった。
「ねぇ何あれ?」
「痴話喧嘩?」
姫「ハッ!!」
この妙なやりとりに周囲の視線が集まる。まずい――
姫「と、とりあえず場所を変えましょう!ね!」
飴売り「え、あ、うん!」
私は飴売りの手を引いて駆け出した。
何でこんなに焦っているんだか…恥ずかしくて顔が熱くなった。
77: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/24(土) 17:42:00.76 ID:DwvQyPQ90
飴売り「それで…」
裏街道にやってきた。大通りとは違って静かで薄暗い。
場所を変えて少し落ち着いたが、若干気まずい。
飴売り「…悪かった、本当」
姫「いえ…悪いことをしたのは私の方です」
あの時の飴売りの去っていく背中を思い出す。彼は王子に騙され、それでぬか喜びさせられ、傷ついた。
彼の私への気持ちは本物だと思うから――だから尚更、心が痛んだ。
姫「誤解させてしまって…」
飴売り「誤解…やっぱり、誤解だよなぁ」
飴売りは苦笑いを浮かべる。しまった、私の言葉選びが悪かった。
姫「いえ、あの…」
飴売り「いや、わかってたんだ。俺みたいな男、嫌だよな」
姫「そんなことありません!」
強めに言うと飴売りが驚いた顔をする。
そう…決して、迷惑ではない。
姫「…嬉しかったですよ」
それが素直な気持ち。
両親の愛情は兄に向いていた。姫としての評判は悪く、人々から敬遠されてきた。
だから彼が向けてくれた気持ちは何だか暖かくて、甘酸っぱくて――
姫「私…貴方に嫌な感情を抱いていませんから」
初めて、私自身を見てもらえた気がした。
裏街道にやってきた。大通りとは違って静かで薄暗い。
場所を変えて少し落ち着いたが、若干気まずい。
飴売り「…悪かった、本当」
姫「いえ…悪いことをしたのは私の方です」
あの時の飴売りの去っていく背中を思い出す。彼は王子に騙され、それでぬか喜びさせられ、傷ついた。
彼の私への気持ちは本物だと思うから――だから尚更、心が痛んだ。
姫「誤解させてしまって…」
飴売り「誤解…やっぱり、誤解だよなぁ」
飴売りは苦笑いを浮かべる。しまった、私の言葉選びが悪かった。
姫「いえ、あの…」
飴売り「いや、わかってたんだ。俺みたいな男、嫌だよな」
姫「そんなことありません!」
強めに言うと飴売りが驚いた顔をする。
そう…決して、迷惑ではない。
姫「…嬉しかったですよ」
それが素直な気持ち。
両親の愛情は兄に向いていた。姫としての評判は悪く、人々から敬遠されてきた。
だから彼が向けてくれた気持ちは何だか暖かくて、甘酸っぱくて――
姫「私…貴方に嫌な感情を抱いていませんから」
初めて、私自身を見てもらえた気がした。
78: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/24(土) 17:42:26.92 ID:DwvQyPQ90
飴売り「…本当に?」
飴売りはまだ不安そうな顔を浮かべている。
姫「えぇ」
飴売り「嫌いじゃない?…無関心でもない?」
姫「えぇ」
飴売り「…そっか」
飴売りは笑みを浮かべる。そして口は少しずつ吊り上がっていき…
飴売り「そっか、そっか!すっげー嬉しい!」
満面の笑み。いつもの朗らかな彼。
彼は騙された方なのに、その不満を微塵も顔に出さない。
姫「全く…単純ですね貴方は」
飴売り「泣いたんだよ~俺、姫さんに嫌われたかと思って一晩中」
姫「…ふふっ」
彼の冗談に私の口も歪む。そう簡単に誰かに心を許すわけにはいかないのに、彼には私の緊張をとかすものがある。
飴売り「嘘じゃないぞー」
姫「えぇ、ごめんなさい…ふふっ」
飴売り「あぁもう」
気付けば私も飴売りも、自然に笑みを浮かべていた。
私達の間にあった気まずい空気は、あっという間に消えていた。
飴売りはまだ不安そうな顔を浮かべている。
姫「えぇ」
飴売り「嫌いじゃない?…無関心でもない?」
姫「えぇ」
飴売り「…そっか」
飴売りは笑みを浮かべる。そして口は少しずつ吊り上がっていき…
飴売り「そっか、そっか!すっげー嬉しい!」
満面の笑み。いつもの朗らかな彼。
彼は騙された方なのに、その不満を微塵も顔に出さない。
姫「全く…単純ですね貴方は」
飴売り「泣いたんだよ~俺、姫さんに嫌われたかと思って一晩中」
姫「…ふふっ」
彼の冗談に私の口も歪む。そう簡単に誰かに心を許すわけにはいかないのに、彼には私の緊張をとかすものがある。
飴売り「嘘じゃないぞー」
姫「えぇ、ごめんなさい…ふふっ」
飴売り「あぁもう」
気付けば私も飴売りも、自然に笑みを浮かべていた。
私達の間にあった気まずい空気は、あっという間に消えていた。
79: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/24(土) 17:42:53.47 ID:DwvQyPQ90
飴売り「そいや姫さん、こっちの国で何してんの?」
姫「………え」
私は一瞬で固まった。
何をしている――本当のことは勿論言えない。
姫「ちょ、ちょっとした道楽よ」
飴売り「家臣もつけずに?」
姫「じ、自由に行動したかったので…」
飴売り「ふーん、でも何も買ってないようだね」
う。
姫「こ、これから見ようと思ってたんです!」
飴売り「…へぇ?」
姫「本当ですよ!それじゃあ、街に戻りますから…また!」
飴売り「あ、うん。じゃあねー」
飴売り「…」
飴売り「姫さん…嘘つくの、下手だなぁ」
姫「………え」
私は一瞬で固まった。
何をしている――本当のことは勿論言えない。
姫「ちょ、ちょっとした道楽よ」
飴売り「家臣もつけずに?」
姫「じ、自由に行動したかったので…」
飴売り「ふーん、でも何も買ってないようだね」
う。
姫「こ、これから見ようと思ってたんです!」
飴売り「…へぇ?」
姫「本当ですよ!それじゃあ、街に戻りますから…また!」
飴売り「あ、うん。じゃあねー」
飴売り「…」
飴売り「姫さん…嘘つくの、下手だなぁ」
85: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 11:57:14.24 ID:PTdWToSs0
>翌日
姫「さて…」
朝早く宿を出て馬を走らせる。
休憩を挟みながらも真っ直ぐ行けば、今日も国境を越えることができるかもしれない。
魔王城までは、馬でなら明日か明後日には到着できると思う。
姫(魔王城に近づく程魔物達も強くなっているって話だし…なるべく戦いは避けていきたいわ)
そう思った矢先だった。
姫(…あっ)
さっと物陰に姿を隠す。丁度滝の音が鳴り響く所だったので、向こうに自分は気づかれなかったようだ。
物陰からそっと覗くと、魔物の群れがいた。ここは人通りの少ない場所だというし、魔王軍の者が張っていてもおかしくはない。
姫(ここを黙って通してくれるかしら…?)
望みは薄い。戦闘になれば負けない自信はあるが、必ず魔王に報告がいく。
そうなれば魔王城への侵攻は更に難しくなるだけで、つまり何のメリットもない。
姫(でもここを避けたら、大分回り道しなきゃいけないし…)
チョンチョン
姫「…え?」
飴売り「よ、何してんの?」
姫「うわぁ!?」ビクゥ
飴売り「わわ、大声出すなって」
姫「さて…」
朝早く宿を出て馬を走らせる。
休憩を挟みながらも真っ直ぐ行けば、今日も国境を越えることができるかもしれない。
魔王城までは、馬でなら明日か明後日には到着できると思う。
姫(魔王城に近づく程魔物達も強くなっているって話だし…なるべく戦いは避けていきたいわ)
そう思った矢先だった。
姫(…あっ)
さっと物陰に姿を隠す。丁度滝の音が鳴り響く所だったので、向こうに自分は気づかれなかったようだ。
物陰からそっと覗くと、魔物の群れがいた。ここは人通りの少ない場所だというし、魔王軍の者が張っていてもおかしくはない。
姫(ここを黙って通してくれるかしら…?)
望みは薄い。戦闘になれば負けない自信はあるが、必ず魔王に報告がいく。
そうなれば魔王城への侵攻は更に難しくなるだけで、つまり何のメリットもない。
姫(でもここを避けたら、大分回り道しなきゃいけないし…)
チョンチョン
姫「…え?」
飴売り「よ、何してんの?」
姫「うわぁ!?」ビクゥ
飴売り「わわ、大声出すなって」
86: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 11:57:45.42 ID:PTdWToSs0
姫「あ、飴売り!?何でここに!?」
飴売り「いやぁ~偶然だね~」
飴売りは露骨に視線をそらす。
…こいつめ。
姫「つけてきましたね?」ジー
飴売り「俺は放浪の飴売り商人だぜ~?」
姫「このストーカー」
飴売り「まーまー、場所変えよう。ここは危ないしな」
姫「…」
釈然としなかったが、確かにこんな場所で言い争いするのは危険だ。
飴売りに先導され、その場から離れた。
飴売り「いやぁ~偶然だね~」
飴売りは露骨に視線をそらす。
…こいつめ。
姫「つけてきましたね?」ジー
飴売り「俺は放浪の飴売り商人だぜ~?」
姫「このストーカー」
飴売り「まーまー、場所変えよう。ここは危ないしな」
姫「…」
釈然としなかったが、確かにこんな場所で言い争いするのは危険だ。
飴売りに先導され、その場から離れた。
87: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 11:58:14.60 ID:PTdWToSs0
姫「で…何でつけてきたんですか?」
飴売り「好きな女の様子がおかしいから気にかける…それって恋に生きる男なら普通のことじゃない?」フッ
姫「切る」チャキ
飴売り「すんません」
飴売りは速攻土下座する。
でもまぁふざけた理由だが、本当にそれが彼の動機なのだろう。
飴売り「そしたら案の定、1人でどんどん国から遠ざかっていくしさ。何かあったかと思うじゃん」
姫「…国家秘密です、詮索しないで」
飴売り「いやぁでも姫さん危なっかしいから気になるよ」
姫「…」
この飴売り、この様子ならいくら迷惑だと伝えてもついてくるだろう。
全く、厄介な男に好かれてしまったものだ…。
姫「国王命令で、ある場所を目指しているんですよ」
飴売り「へぇ、どこ?」
姫「魔王城」
飴売り「!?」
飴売り「好きな女の様子がおかしいから気にかける…それって恋に生きる男なら普通のことじゃない?」フッ
姫「切る」チャキ
飴売り「すんません」
飴売りは速攻土下座する。
でもまぁふざけた理由だが、本当にそれが彼の動機なのだろう。
飴売り「そしたら案の定、1人でどんどん国から遠ざかっていくしさ。何かあったかと思うじゃん」
姫「…国家秘密です、詮索しないで」
飴売り「いやぁでも姫さん危なっかしいから気になるよ」
姫「…」
この飴売り、この様子ならいくら迷惑だと伝えてもついてくるだろう。
全く、厄介な男に好かれてしまったものだ…。
姫「国王命令で、ある場所を目指しているんですよ」
飴売り「へぇ、どこ?」
姫「魔王城」
飴売り「!?」
88: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 11:59:01.93 ID:PTdWToSs0
姫「王子がいつか魔王城に攻め入るかもしれないので、様子を伺って来いというのが命令です」
飴売り「ちょっ待てよ、何でそれを姫さんが!?そりゃ王子の…いや兵士の仕事でもいいじゃん!」
姫「私なら目立たないでしょう。女1人なら、魔物もあまり警戒しないでしょうし」
飴売り「けどよ」
飴売りの眉が釣り上がる。
飴売り「フツー、護衛もつけず姫さん1人にそんなことさせるか!?お姫様は国の宝だぜ、何考えてんだよアホか国王!」
姫「…私の父なんですが」
飴売り「わり。でも、むかむかすんな」
飴売りはむかむかを顔にそのまま表す。
しかし何故か、彼が怒っても全然迫力がない。
姫「私は剣を兵士以上に扱えます。王子同様、私も国の為に働かなければなりません」
飴売り「変だよそれ。姫さんの国って男性優位じゃん。男性優位ってのは男が男らしく女を守ってこそ成立するもんだろ」
姫「そう…ですか?」
飴売り「そうそう。女に危険な真似をさせておいてふんぞり返ってる男なんて、みっともないって」
それは、私の父や兄のことか…。しかし、飴売りの意見は中々斬新だ。
男性優位だから私は兄と差をつけられてきて、兄の身の安全の為と、名誉の為に私が戦ってきた。
飴売り「姫さんは変に思わないのか」
姫「え…何が?」
飴売り「姫さんだってこうやって国の為に働いているのに、ちやほやされるのは王子ばかり。俺はおかしいと思うよ絶対」
姫「…」
そうか、変なのか…。
飴売り「ちょっ待てよ、何でそれを姫さんが!?そりゃ王子の…いや兵士の仕事でもいいじゃん!」
姫「私なら目立たないでしょう。女1人なら、魔物もあまり警戒しないでしょうし」
飴売り「けどよ」
飴売りの眉が釣り上がる。
飴売り「フツー、護衛もつけず姫さん1人にそんなことさせるか!?お姫様は国の宝だぜ、何考えてんだよアホか国王!」
姫「…私の父なんですが」
飴売り「わり。でも、むかむかすんな」
飴売りはむかむかを顔にそのまま表す。
しかし何故か、彼が怒っても全然迫力がない。
姫「私は剣を兵士以上に扱えます。王子同様、私も国の為に働かなければなりません」
飴売り「変だよそれ。姫さんの国って男性優位じゃん。男性優位ってのは男が男らしく女を守ってこそ成立するもんだろ」
姫「そう…ですか?」
飴売り「そうそう。女に危険な真似をさせておいてふんぞり返ってる男なんて、みっともないって」
それは、私の父や兄のことか…。しかし、飴売りの意見は中々斬新だ。
男性優位だから私は兄と差をつけられてきて、兄の身の安全の為と、名誉の為に私が戦ってきた。
飴売り「姫さんは変に思わないのか」
姫「え…何が?」
飴売り「姫さんだってこうやって国の為に働いているのに、ちやほやされるのは王子ばかり。俺はおかしいと思うよ絶対」
姫「…」
そうか、変なのか…。
89: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 11:59:38.75 ID:PTdWToSs0
王子と私の格差は、生まれて性別が判った瞬間からもう開いていた。
王妃『王子や――貴方は将来、この国の未来を背負うのですよ』
実母である王妃の愛情を一身に受けて育てられた王子。
片や乳母に世話を丸投げされ、王子より一歩下がっていろと教えられて育った私。
王子『女は種として男より劣っているんだってよ。だから俺が国を継ぐのは当然なんだ』
女である私は、王子の為に危険を背負い、王子の為に名誉を得る。それが卑しい女である私が国にできる貢献だと父は言っていた。
王子『俺はこの国の世継ぎ。次期国王。お前は俺のオマケで生まれてきた卑しい片割れ』
王子のことは嫌っていた。
だけどそんな私の感情とは関係なく、
王子『俺がお前をどうしようと、勝手だろ』
王子の為に――それが私の奥底に植えつけられた教えだった。
王妃『王子や――貴方は将来、この国の未来を背負うのですよ』
実母である王妃の愛情を一身に受けて育てられた王子。
片や乳母に世話を丸投げされ、王子より一歩下がっていろと教えられて育った私。
王子『女は種として男より劣っているんだってよ。だから俺が国を継ぐのは当然なんだ』
女である私は、王子の為に危険を背負い、王子の為に名誉を得る。それが卑しい女である私が国にできる貢献だと父は言っていた。
王子『俺はこの国の世継ぎ。次期国王。お前は俺のオマケで生まれてきた卑しい片割れ』
王子のことは嫌っていた。
だけどそんな私の感情とは関係なく、
王子『俺がお前をどうしようと、勝手だろ』
王子の為に――それが私の奥底に植えつけられた教えだった。
90: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 12:00:18.38 ID:PTdWToSs0
姫「変だとは思いませんよ」
飴売りは驚いた顔をする。
私からすれば、十数年築いてきた私の生き方に疑問を投げかける飴売りの方が奇異なのだけれど――
姫「私は、それを不幸と思ったこともありません」
そう、私は不幸ではない。姫という地位に生まれて不幸を嘆いては、貧しさに苦しむ者達に失礼だ。
姫「私には私の役割があるので――行きます」
王子に対して不満は色々あるが、それは今は忘れよう。
迷いは心に隙を生む。だから今は迷っている場合じゃない。
今はただ、前に進むのみだ。
飴売り「…最短ルートは危ないぞ」
飴売りは私の背中に忠告する。
姫「…え?」
飴売り「ついてきな、こっちだ」
姫「え、あ…」
素直に飴売りについて行くつもりは無かったが、飴売りは私の荷物を手に取って行ってしまった。
私は慌てて、その背中を追いかけた。
飴売りは驚いた顔をする。
私からすれば、十数年築いてきた私の生き方に疑問を投げかける飴売りの方が奇異なのだけれど――
姫「私は、それを不幸と思ったこともありません」
そう、私は不幸ではない。姫という地位に生まれて不幸を嘆いては、貧しさに苦しむ者達に失礼だ。
姫「私には私の役割があるので――行きます」
王子に対して不満は色々あるが、それは今は忘れよう。
迷いは心に隙を生む。だから今は迷っている場合じゃない。
今はただ、前に進むのみだ。
飴売り「…最短ルートは危ないぞ」
飴売りは私の背中に忠告する。
姫「…え?」
飴売り「ついてきな、こっちだ」
姫「え、あ…」
素直に飴売りについて行くつもりは無かったが、飴売りは私の荷物を手に取って行ってしまった。
私は慌てて、その背中を追いかけた。
91: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 12:01:59.50 ID:PTdWToSs0
それからしばらく飴売りの走らせる馬の後をついていったが、魔物と出くわすことはなかった。
しかし飴売りの行くルートは、当初通ろうと思っていたルートから大分それようとしていた。
姫「どこまで行くんですか?」
飴売り「1番安全なルート」
姫「安全なルート…?」
飴売り「姫さんは自分の国のことしか知らんと思うけど、魔王城までほとんど魔物のいない安全なルートが存在するんだ。そこを案内するよ」
姫「あの、本当に安全なんですか?」
飴売り「あぁ、飴売りの行商で全国飛び回ってる俺が言うんだ。信じろって」
飴売り(翼が調べたルートなんだよね…俺はいつも翼の背中に乗って移動してっけど)
姫「…」
多分、彼が私に嘘をつくことはない。それだけは確信できる。
彼を巻き込むのは釈然としないけど…。
姫「…案内、ありがとうございます」
ここは素直に礼を言うことにした。
飴売り「魔王城付近まで姫さんと一緒にいられるなんて、俺にも得はあるしさ」
姫「…もう」
嘘をつかない人だとわかっているから性質が悪い。
迷惑だと思う反面、彼の言葉は私に、素直な暖かさをくれた。
しかし飴売りの行くルートは、当初通ろうと思っていたルートから大分それようとしていた。
姫「どこまで行くんですか?」
飴売り「1番安全なルート」
姫「安全なルート…?」
飴売り「姫さんは自分の国のことしか知らんと思うけど、魔王城までほとんど魔物のいない安全なルートが存在するんだ。そこを案内するよ」
姫「あの、本当に安全なんですか?」
飴売り「あぁ、飴売りの行商で全国飛び回ってる俺が言うんだ。信じろって」
飴売り(翼が調べたルートなんだよね…俺はいつも翼の背中に乗って移動してっけど)
姫「…」
多分、彼が私に嘘をつくことはない。それだけは確信できる。
彼を巻き込むのは釈然としないけど…。
姫「…案内、ありがとうございます」
ここは素直に礼を言うことにした。
飴売り「魔王城付近まで姫さんと一緒にいられるなんて、俺にも得はあるしさ」
姫「…もう」
嘘をつかない人だとわかっているから性質が悪い。
迷惑だと思う反面、彼の言葉は私に、素直な暖かさをくれた。
92: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 12:02:27.71 ID:PTdWToSs0
そして夕方頃、街に着いた。今日はここに宿泊するのだと飴売りは言った。
姫「それじゃ宿に行きましょうか」
飴売り「まだこんな時間だぞ、街を見ないのか?」
姫「えぇ…」
昨日も街を歩いたが、特に見たいものがない。
それは街の場所を変えた所で同じだろう。
姫「無駄遣いするわけにはいきません」
飴売り「へぇ、買い物好きって聞いてたけど」
姫(それは王子なんだけど)
姫「今回は仕事で来ているので…」
飴売り「息抜きくらい許されるって。俺に付き合ってくれよ、道案内のお礼に!」
姫「むぅ…」
そう言われると断れず、渋々付き合うことにした。
どうせ少し街歩きするくらいだろう。
そう思っていたが…。
飴売り「飴いらんかね~」
姫「…」
何故私は、飴を持って佇んでいるんだろう?
姫「それじゃ宿に行きましょうか」
飴売り「まだこんな時間だぞ、街を見ないのか?」
姫「えぇ…」
昨日も街を歩いたが、特に見たいものがない。
それは街の場所を変えた所で同じだろう。
姫「無駄遣いするわけにはいきません」
飴売り「へぇ、買い物好きって聞いてたけど」
姫(それは王子なんだけど)
姫「今回は仕事で来ているので…」
飴売り「息抜きくらい許されるって。俺に付き合ってくれよ、道案内のお礼に!」
姫「むぅ…」
そう言われると断れず、渋々付き合うことにした。
どうせ少し街歩きするくらいだろう。
そう思っていたが…。
飴売り「飴いらんかね~」
姫「…」
何故私は、飴を持って佇んでいるんだろう?
93: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 12:02:55.36 ID:PTdWToSs0
姫「……ねぇ飴売り」
飴売り「はい飴3個ね、まいど~。お客さんに渡してやって」
姫「あ、は、はい」
飴売り「お、そこのお姉さん!飴いりませんか飴、丹精込めて作った飴ですよ!」
「お兄さんイケメンだから買っちゃおうかな~♪握手してくれる?」
飴売り「はいっ!まいどありっ」ニッ
姫「…」
「ねぇお兄さんどこから来たの?」
「お兄さんが作ったのー!?じゃあ5個買っちゃう!」
「やばっ、マジかっこいいんだけどあの飴売りさん」
飴売り「ありがとねー、お客さん」ニコニコ
姫(八方美人…)ジー
「ねぇお兄さん、そこの綺麗な人、お兄さんの恋人?」
姫「!?」
飴売り「いや、俺の片思い!俺、恋人いない歴イコール年齢だから!」
「へぇ、お兄さんモテそうなのに一途なのね~」
飴売り「モテないから恋人いないの!痛いとこ突くなー、もう」
姫(…モテてるじゃない、さっきから)イラッ
飴売り「姫さん飴渡してあげてー」
姫「あ、はい」
「お姉さんありがとうー、お兄さんに優しくしてあげてねー」
姫「…」
飴売り「客商売は笑顔が大事だぜ!さぁ頑張っていこー!」
姫「えっ、あっ、はい」
姫(……何で私が?)
飴売り「はい飴3個ね、まいど~。お客さんに渡してやって」
姫「あ、は、はい」
飴売り「お、そこのお姉さん!飴いりませんか飴、丹精込めて作った飴ですよ!」
「お兄さんイケメンだから買っちゃおうかな~♪握手してくれる?」
飴売り「はいっ!まいどありっ」ニッ
姫「…」
「ねぇお兄さんどこから来たの?」
「お兄さんが作ったのー!?じゃあ5個買っちゃう!」
「やばっ、マジかっこいいんだけどあの飴売りさん」
飴売り「ありがとねー、お客さん」ニコニコ
姫(八方美人…)ジー
「ねぇお兄さん、そこの綺麗な人、お兄さんの恋人?」
姫「!?」
飴売り「いや、俺の片思い!俺、恋人いない歴イコール年齢だから!」
「へぇ、お兄さんモテそうなのに一途なのね~」
飴売り「モテないから恋人いないの!痛いとこ突くなー、もう」
姫(…モテてるじゃない、さっきから)イラッ
飴売り「姫さん飴渡してあげてー」
姫「あ、はい」
「お姉さんありがとうー、お兄さんに優しくしてあげてねー」
姫「…」
飴売り「客商売は笑顔が大事だぜ!さぁ頑張っていこー!」
姫「えっ、あっ、はい」
姫(……何で私が?)
94: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 12:03:32.42 ID:PTdWToSs0
飴売り「さーてそろそろ客足も落ち着いてきたし、店閉めるか。お疲れさーん」
姫「あぁ…疲れた」
飴売り「そう~?まぁ付き合ってくれて助かったよ、ありがとう」
姫「飴売りの手伝いさせられるとわかっていたら初めから…」
飴売り「はい、これ姫さんの分」
姫「…え?」
飴売り「働いた分の給料だよ、ほれ」
姫「あ、ありがとう…」
働いて報酬を得る…そういう仕組みは知っていたが…
姫「…何か、変な気分ですね」
飴売り「そう?」
姫「そっか…働いてお金を貰うって、こういうものなんだ」
飴売り「はは、一国の姫さんにゃ初めてだろ。俺も働いた分が金になるってのが楽しくて飴売りやってるんだ」
姫「楽しそうに働いていたものね」
いつも明るい飴売りには向いている商売だろう。
特に女性客のウケが良く…と、さっきの光景を思いだし、何故かイラッとする。
飴売り「その金は気兼ねなく使えるだろ、好きなもん買いな!」
姫「あ…」
自分はさっき、無駄遣いするわけにはいかないと言った。
飴売り「まだ店は開いてるし、一緒に見て回ろうぜ!」
姫「あ…」
飴売りは強引に手を引っ張って、私を連れ出した。
彼は彼なりに、私を気遣ってくれているのだ…。
姫「あぁ…疲れた」
飴売り「そう~?まぁ付き合ってくれて助かったよ、ありがとう」
姫「飴売りの手伝いさせられるとわかっていたら初めから…」
飴売り「はい、これ姫さんの分」
姫「…え?」
飴売り「働いた分の給料だよ、ほれ」
姫「あ、ありがとう…」
働いて報酬を得る…そういう仕組みは知っていたが…
姫「…何か、変な気分ですね」
飴売り「そう?」
姫「そっか…働いてお金を貰うって、こういうものなんだ」
飴売り「はは、一国の姫さんにゃ初めてだろ。俺も働いた分が金になるってのが楽しくて飴売りやってるんだ」
姫「楽しそうに働いていたものね」
いつも明るい飴売りには向いている商売だろう。
特に女性客のウケが良く…と、さっきの光景を思いだし、何故かイラッとする。
飴売り「その金は気兼ねなく使えるだろ、好きなもん買いな!」
姫「あ…」
自分はさっき、無駄遣いするわけにはいかないと言った。
飴売り「まだ店は開いてるし、一緒に見て回ろうぜ!」
姫「あ…」
飴売りは強引に手を引っ張って、私を連れ出した。
彼は彼なりに、私を気遣ってくれているのだ…。
95: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 12:04:00.82 ID:PTdWToSs0
とはいえ。
飴売り「服は?」
姫「いりません」
飴売り「靴は?」
姫「いりません」
飴売り「装飾品は?」
姫「いりません」
お金が自由に使えるとはいえ、自分には必要ないものばかりだった。
一緒に歩いている飴売りも少し困ったような顔をする。
飴売り「んー…姫さん欲しいものないの?」
姫「…思いつきません」
飴売り「そっかー…」
何だかせっかく気を使ってくれたのに、申し訳ない。
飴売り「ま、でも姫さん一杯持ってるし、いつでも欲しいもの手に入るなら急いで欲しいものもないか」
姫「…そうでもないですよ」
飴売り「へ?」
姫「欲しくて手に入れたものなんて、私にはありません」
私は今まで、自分の持ち物を選ぶこともできなかった。
飴売り「服は?」
姫「いりません」
飴売り「靴は?」
姫「いりません」
飴売り「装飾品は?」
姫「いりません」
お金が自由に使えるとはいえ、自分には必要ないものばかりだった。
一緒に歩いている飴売りも少し困ったような顔をする。
飴売り「んー…姫さん欲しいものないの?」
姫「…思いつきません」
飴売り「そっかー…」
何だかせっかく気を使ってくれたのに、申し訳ない。
飴売り「ま、でも姫さん一杯持ってるし、いつでも欲しいもの手に入るなら急いで欲しいものもないか」
姫「…そうでもないですよ」
飴売り「へ?」
姫「欲しくて手に入れたものなんて、私にはありません」
私は今まで、自分の持ち物を選ぶこともできなかった。
96: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 12:04:29.76 ID:PTdWToSs0
飴売り「えー、そうなの…?姫さん買い物好きだって聞いてたけど」
姫「買ったものは、欲しくて買ったものじゃありません」
買い物をしたのは王子だが、王子も女物の衣装など欲しくて買ったわけではないだろう。
姫「見栄です」
飴売り「見栄?」
姫「えぇ、いいものを身につけると見栄えが良くなるでしょう。だから欲しいものではなく、見栄で買うんです」
飴売り「見栄ねー…何かわかるかも」
飴売り(俺もこんな飴売りの格好で魔王城歩けねーしなぁ)ハハ…
姫「私、自分で欲しいものを選ぶのは苦手です」
飴売り「ふーん…」
と、飴売りは横目で何かを見た。その視線の先にあるのは、装飾品屋の屋台だ。
飴売り「姫さん、来て来て」
姫「?」
姫「買ったものは、欲しくて買ったものじゃありません」
買い物をしたのは王子だが、王子も女物の衣装など欲しくて買ったわけではないだろう。
姫「見栄です」
飴売り「見栄?」
姫「えぇ、いいものを身につけると見栄えが良くなるでしょう。だから欲しいものではなく、見栄で買うんです」
飴売り「見栄ねー…何かわかるかも」
飴売り(俺もこんな飴売りの格好で魔王城歩けねーしなぁ)ハハ…
姫「私、自分で欲しいものを選ぶのは苦手です」
飴売り「ふーん…」
と、飴売りは横目で何かを見た。その視線の先にあるのは、装飾品屋の屋台だ。
飴売り「姫さん、来て来て」
姫「?」
97: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 12:05:10.77 ID:PTdWToSs0
飴売りは私の手を引いて、屋台の側まで行った。
それから何やら、装飾品をじーっと見ている。そしておもむろに、クローバーのネックレスを手に取った。
飴売り「そうだなぁ…これいいんじゃない?」
姫「えっ」
飴売り「うん、やっぱこれがいいわ!姫さんには似合うよ!」
ネックレスを私にあてて、飴売りは自信満々に言った。
飴売り「すみませーん、これくださーい」
姫「えっ、あのっ!?」
飴売り「はい姫さん」
姫「えっ」
飴売りは片手間に会計を済ませると、手早く私の首に手を回しネックレスの留め金を留める。
そのあまりにもスムーズな流れに私はフリーズ。一方飴売りは、満足そうにしているけど。
飴売り「うんうん、装飾品をつけることで女性は更に輝くねぇ」
姫「あ、ちょっと…あ、あの、お金っ、私が…」
飴売り「いや俺が姫さんにつけて欲しくて買ったんだからいいって。それに恥ずかしいけど安物だし~」
飴売りは苦笑いした。
姫「あ、ありがとう…嬉しいです」
飴売り「そ?良かったぁ、こんな安物!って怒られたらどうしようかと」
姫「そんっ…」
そんなことするわけないと言おうとして止めた。
王子扮する姫ならそうしていたかもしれない。だから否定するわけにはいかなかった。
そう、ギャップを作らないようにするのはいつも心得ていること。だというのに…。
姫(つい…)
何故か自分は、それを忘れそうになっていた。
それから何やら、装飾品をじーっと見ている。そしておもむろに、クローバーのネックレスを手に取った。
飴売り「そうだなぁ…これいいんじゃない?」
姫「えっ」
飴売り「うん、やっぱこれがいいわ!姫さんには似合うよ!」
ネックレスを私にあてて、飴売りは自信満々に言った。
飴売り「すみませーん、これくださーい」
姫「えっ、あのっ!?」
飴売り「はい姫さん」
姫「えっ」
飴売りは片手間に会計を済ませると、手早く私の首に手を回しネックレスの留め金を留める。
そのあまりにもスムーズな流れに私はフリーズ。一方飴売りは、満足そうにしているけど。
飴売り「うんうん、装飾品をつけることで女性は更に輝くねぇ」
姫「あ、ちょっと…あ、あの、お金っ、私が…」
飴売り「いや俺が姫さんにつけて欲しくて買ったんだからいいって。それに恥ずかしいけど安物だし~」
飴売りは苦笑いした。
姫「あ、ありがとう…嬉しいです」
飴売り「そ?良かったぁ、こんな安物!って怒られたらどうしようかと」
姫「そんっ…」
そんなことするわけないと言おうとして止めた。
王子扮する姫ならそうしていたかもしれない。だから否定するわけにはいかなかった。
そう、ギャップを作らないようにするのはいつも心得ていること。だというのに…。
姫(つい…)
何故か自分は、それを忘れそうになっていた。
98: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 12:05:47.63 ID:PTdWToSs0
飴売り「俺と姫さんって、結構相性いいんじゃない?」
姫「はい!?」
唐突に何を。
飴売り「姫さんは傲慢で高圧的って聞いてたけど、俺そんな姫さん見たことないし。姫さん俺といる時は機嫌いいからだろ?」
姫「あのね…」
何て自信満々な…。
自分は元々こういう人間だと、説明してやりたい。
姫「…貴方は鈍感そうですから、怒った所で無駄だと思うだけです」
飴売り「そう?俺、こう見えて結構敏感だけどね~」
姫「そうは見えませんけど…」
飴売り「…姫さんは自分で思っている程、クールな人じゃないよ」
姫「…え!?」
どきっとした。
飴売り「うん。さっきのネックレスあげた時の顔なんて可愛かったよ。俺ドキッとしちゃったもん。あと~…」
姫「…何ですか?」
飴売り「飴売ってる時の姫さんの視線たら…ヒヒヒヒ」
姫「…」
確か女性客に愛想良くしている様子に冷ややかな視線を送ったと思うが…何故にやつく?
姫「何ですか」
飴売り「姫さん…妬いてたでしょ」ヒヒッ
姫「…」
姫「切る!」
飴売り「ちょ、ま、ストーップ!!」
姫「はい!?」
唐突に何を。
飴売り「姫さんは傲慢で高圧的って聞いてたけど、俺そんな姫さん見たことないし。姫さん俺といる時は機嫌いいからだろ?」
姫「あのね…」
何て自信満々な…。
自分は元々こういう人間だと、説明してやりたい。
姫「…貴方は鈍感そうですから、怒った所で無駄だと思うだけです」
飴売り「そう?俺、こう見えて結構敏感だけどね~」
姫「そうは見えませんけど…」
飴売り「…姫さんは自分で思っている程、クールな人じゃないよ」
姫「…え!?」
どきっとした。
飴売り「うん。さっきのネックレスあげた時の顔なんて可愛かったよ。俺ドキッとしちゃったもん。あと~…」
姫「…何ですか?」
飴売り「飴売ってる時の姫さんの視線たら…ヒヒヒヒ」
姫「…」
確か女性客に愛想良くしている様子に冷ややかな視線を送ったと思うが…何故にやつく?
姫「何ですか」
飴売り「姫さん…妬いてたでしょ」ヒヒッ
姫「…」
姫「切る!」
飴売り「ちょ、ま、ストーップ!!」
99: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 12:06:22.71 ID:PTdWToSs0
飴売り「ゼェゼェ…まさかマジに追い回されるとは思わんかったわ…」
姫「変なこと言うからです」
飴売り「姫さ~ん、素直になった方がいいよ~?」
姫「私は素直です!」
寝そべる飴売りに背中を向けて腰を下ろす。
妬いてた?私が飴売りに?…冗談じゃない!
飴売り「ま、そんな姫さんも好きなんだけど」
姫「怖いものなしですか、貴方は」
飴売り「あのさ…俺飴売りなんてやってるけど、それは道楽でさ…」
姫「はい…?」
飴売り「俺、実は王子様なんだよね」
………
は?
飴売り「ロマンある話だろ~、だから身分的には姫さんと釣り合っていると思うし」
姫「………ふふっ」
飴売り「ん~?」
姫「王子様~?まさか…あはは、ふふふふ」
飴売り「いやマジだから!今はちょっと家出中だけど帰れば皆に王子様、王子様~って」
姫「はいはい、飴売り王子ね、ふふっ」
飴売り「信じてよー」プー
姫「変なこと言うからです」
飴売り「姫さ~ん、素直になった方がいいよ~?」
姫「私は素直です!」
寝そべる飴売りに背中を向けて腰を下ろす。
妬いてた?私が飴売りに?…冗談じゃない!
飴売り「ま、そんな姫さんも好きなんだけど」
姫「怖いものなしですか、貴方は」
飴売り「あのさ…俺飴売りなんてやってるけど、それは道楽でさ…」
姫「はい…?」
飴売り「俺、実は王子様なんだよね」
………
は?
飴売り「ロマンある話だろ~、だから身分的には姫さんと釣り合っていると思うし」
姫「………ふふっ」
飴売り「ん~?」
姫「王子様~?まさか…あはは、ふふふふ」
飴売り「いやマジだから!今はちょっと家出中だけど帰れば皆に王子様、王子様~って」
姫「はいはい、飴売り王子ね、ふふっ」
飴売り「信じてよー」プー
100: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 12:06:50.05 ID:PTdWToSs0
姫「で…何で飴売り王子は家出を?」
飴売り「まぁ…」
飴売り(俺が魔王の息子ってことは伏せておくか…)
飴売り「世継ぎ問題とかでゴタゴタしててね、嫌になって家出した」
姫「そういえばお兄さんがいるとか」
飴売り「そ。俺は兄貴が家を継いでくれりゃいいと思うんだけど、何せうちの兄貴は頭が悪くてね。俺を推す奴と兄貴を推す奴が喧嘩して、俺にまで飛び火してきてんだよね」
姫「お父様が決定されるのではないの?」
飴売り「親父は駄目。自分たちで解決しろって丸投げ」
姫「じゃあ兄弟喧嘩の真っ最中」
飴売り(兄弟喧嘩ってレベルじゃねーよ…こっちは命狙われてんだよ…)
姫「うちは何でも王子優先だから、そういう揉め事はないかも」
飴売り「…それも何かな」
姫「喧嘩はありませんよ」
飴売り「いやいや、何でも王子優先てやだよそりゃ」
姫「わがままですね」
飴売り「わがままで結構。俺はもう王子様やめて飴売りに転身したいよ、もう」
飴売りはハアーと長いため息をつく。
王子様というのは流石に冗談だと思うけど、確かに彼は世継ぎ問題があるような身分よりも、飴売りが天職に見える。
飴売り「なぁ姫さん…」
姫「何ですか?」
飴売り「俺と駆け落ちしちゃわない?」
姫「!」
飴売り「まぁ…」
飴売り(俺が魔王の息子ってことは伏せておくか…)
飴売り「世継ぎ問題とかでゴタゴタしててね、嫌になって家出した」
姫「そういえばお兄さんがいるとか」
飴売り「そ。俺は兄貴が家を継いでくれりゃいいと思うんだけど、何せうちの兄貴は頭が悪くてね。俺を推す奴と兄貴を推す奴が喧嘩して、俺にまで飛び火してきてんだよね」
姫「お父様が決定されるのではないの?」
飴売り「親父は駄目。自分たちで解決しろって丸投げ」
姫「じゃあ兄弟喧嘩の真っ最中」
飴売り(兄弟喧嘩ってレベルじゃねーよ…こっちは命狙われてんだよ…)
姫「うちは何でも王子優先だから、そういう揉め事はないかも」
飴売り「…それも何かな」
姫「喧嘩はありませんよ」
飴売り「いやいや、何でも王子優先てやだよそりゃ」
姫「わがままですね」
飴売り「わがままで結構。俺はもう王子様やめて飴売りに転身したいよ、もう」
飴売りはハアーと長いため息をつく。
王子様というのは流石に冗談だと思うけど、確かに彼は世継ぎ問題があるような身分よりも、飴売りが天職に見える。
飴売り「なぁ姫さん…」
姫「何ですか?」
飴売り「俺と駆け落ちしちゃわない?」
姫「!」
101: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 12:07:36.45 ID:PTdWToSs0
駆け落ち…それはつまり、国を捨ててしまえということか。
飴売り「俺、こう見えて尽くすタイプだよ。頼りないかもしれねーけど」
姫「…できませんよ」
国の皆が「王子」に希望を抱いている。
私がいなければ「王子」は成立しない。今まで築き上げた王子の名声を、今更崩す勇気なんてない。
姫「皆、待っているんです」
飴売り「…姫さんを冷遇していても、母国は母国か」
姫「えぇ」
確かに国は王子を贔屓しているけれど、私は国にひどい仕打ちを受けているわけじゃない。
それに国を捨てて別の行き方をするなんて、私には考えられなかった。
飴売り「うん、姫さんが言うなら強要はしない」
飴売りはあっさり諦めた。
飴売り「でも俺、姫さんとの結婚は諦めないよ」
姫「また、もう…」
飴売り「俺は姫さんが今まで出会ってきたどんな男よりも、姫さんを大切にするから」
姫(どんな男よりも…か)
飴売りは知らない。彼はもう、私が今まで出会ってきたどんな男性よりも私に優しくて、私を思いやってくれている。
花婿候補となれる身分の方々は私の悪評を間に受けて、私そのものを見てくれようともしなかった。
私自身を見てくれて、私自身に好意を持ってくれた男性は、彼が初めてだ。
飴売り「俺は、真剣だから――」
姫「…えぇ」
わかっている。彼は本気でいてくれる。
だけれど私は――
姫「私は――自分で選べませんから」
そういう風に、生きてきた。
飴売り「俺、こう見えて尽くすタイプだよ。頼りないかもしれねーけど」
姫「…できませんよ」
国の皆が「王子」に希望を抱いている。
私がいなければ「王子」は成立しない。今まで築き上げた王子の名声を、今更崩す勇気なんてない。
姫「皆、待っているんです」
飴売り「…姫さんを冷遇していても、母国は母国か」
姫「えぇ」
確かに国は王子を贔屓しているけれど、私は国にひどい仕打ちを受けているわけじゃない。
それに国を捨てて別の行き方をするなんて、私には考えられなかった。
飴売り「うん、姫さんが言うなら強要はしない」
飴売りはあっさり諦めた。
飴売り「でも俺、姫さんとの結婚は諦めないよ」
姫「また、もう…」
飴売り「俺は姫さんが今まで出会ってきたどんな男よりも、姫さんを大切にするから」
姫(どんな男よりも…か)
飴売りは知らない。彼はもう、私が今まで出会ってきたどんな男性よりも私に優しくて、私を思いやってくれている。
花婿候補となれる身分の方々は私の悪評を間に受けて、私そのものを見てくれようともしなかった。
私自身を見てくれて、私自身に好意を持ってくれた男性は、彼が初めてだ。
飴売り「俺は、真剣だから――」
姫「…えぇ」
わかっている。彼は本気でいてくれる。
だけれど私は――
姫「私は――自分で選べませんから」
そういう風に、生きてきた。
102: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 12:08:02.99 ID:PTdWToSs0
飴売り「――それは」
姫「…」
墓穴を掘った、そう思った。
だって私自身の気持ちは――
飴売り「姫さんは、俺のこと――」
姫「…」
私は押し黙る。
言えるわけがない。国を背負っている私が、答えられるわけがない。
私は彼に、好意を抱いている。
それが恋愛感情なのかどうかは、わからないけど。
一緒にいると自然に笑えて、温かい気持ちになれる――そんな人は、彼が初めてだった。
姫「…」
墓穴を掘った、そう思った。
だって私自身の気持ちは――
飴売り「姫さんは、俺のこと――」
姫「…」
私は押し黙る。
言えるわけがない。国を背負っている私が、答えられるわけがない。
私は彼に、好意を抱いている。
それが恋愛感情なのかどうかは、わからないけど。
一緒にいると自然に笑えて、温かい気持ちになれる――そんな人は、彼が初めてだった。
103: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 12:08:29.96 ID:PTdWToSs0
姫「…」
姫「わ、私、先に宿に戻っています」
飴売り「あっ」
私は飴売りが何か言う前に駆けた。
駄目だ、今は頭が沸いている。これ以上彼といると、気まずい。
飴売り「行っちゃったか」
飴売り「…でも脈アリかな!ヨッシャ!」ガッツポーズ
翼人「浮かれていますね」
飴売り「うわっ翼!?」
翼人「安全ルートのどこかにいらっしゃると思いました。まさかあの姫君といるとは思いませんでしたが…」
飴売り「いいだろ、恋愛は自由!ところでどうした翼」
翼人「魔王子様にお伝えせねばならないことが…」
飴売り「ん?どうした」
翼人「はい…魔王様が体を壊されました」
飴売り「…!!父上が…」
姫「わ、私、先に宿に戻っています」
飴売り「あっ」
私は飴売りが何か言う前に駆けた。
駄目だ、今は頭が沸いている。これ以上彼といると、気まずい。
飴売り「行っちゃったか」
飴売り「…でも脈アリかな!ヨッシャ!」ガッツポーズ
翼人「浮かれていますね」
飴売り「うわっ翼!?」
翼人「安全ルートのどこかにいらっしゃると思いました。まさかあの姫君といるとは思いませんでしたが…」
飴売り「いいだろ、恋愛は自由!ところでどうした翼」
翼人「魔王子様にお伝えせねばならないことが…」
飴売り「ん?どうした」
翼人「はい…魔王様が体を壊されました」
飴売り「…!!父上が…」
104: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/26(月) 12:08:56.24 ID:PTdWToSs0
姫「あうー…」
宿屋の部屋で1人、抱いた枕に顔を埋める。
自分の言葉に後悔してもしきれなかった。
姫(言うんじゃなかった言うんじゃなかった言うんじゃなかったああぁぁ!!)
顔から発火しそう。もうイヤ。
カサッ
姫「…ん?」
何かがこすれるような音がして振り返る。するとドアの下の隙間に紙が挟まっていた。
姫(何だろう…ん、飴売りの名前?)
手紙の内容はというと――
姫さんへ、突然ごめん!
親父が倒れたと連絡が入った。俺は急いで帰らなきゃいけない。
魔王城までの安全ルートは地図に書いておくから、どうか気をつけて…。
姫(飴売りのお父様が…)
急いで書きなぐったような字に、彼の心境を察して胸が締め付けられた。
姫(飴売り…)
姫(……あれ?もう1枚ある。えーと…?)ピラ
追伸、俺以外の男に心移りしちゃ駄目だよ!
姫「…」
前言撤回。
姫(字は元々汚いわけね…)
宿屋の部屋で1人、抱いた枕に顔を埋める。
自分の言葉に後悔してもしきれなかった。
姫(言うんじゃなかった言うんじゃなかった言うんじゃなかったああぁぁ!!)
顔から発火しそう。もうイヤ。
カサッ
姫「…ん?」
何かがこすれるような音がして振り返る。するとドアの下の隙間に紙が挟まっていた。
姫(何だろう…ん、飴売りの名前?)
手紙の内容はというと――
姫さんへ、突然ごめん!
親父が倒れたと連絡が入った。俺は急いで帰らなきゃいけない。
魔王城までの安全ルートは地図に書いておくから、どうか気をつけて…。
姫(飴売りのお父様が…)
急いで書きなぐったような字に、彼の心境を察して胸が締め付けられた。
姫(飴売り…)
姫(……あれ?もう1枚ある。えーと…?)ピラ
追伸、俺以外の男に心移りしちゃ駄目だよ!
姫「…」
前言撤回。
姫(字は元々汚いわけね…)
109: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/27(火) 15:50:09.28 ID:myb3K2LP0
>魔王城
魔王子「父上ーっ!!」バァン
魔王「何だ騒々しい…翼人、お前余計なことを言ったな?」
自室ベッドに腰掛けていた魔王は、うるさそうに息子を出迎えた。
魔王子「父上、お体の調子は!?」
魔王「少し調子を崩しただけだ。こんな事で動じてどうする」
魔王子「いくら父上は最強の魔王といえど、体の不調には勝てません。どうか無理なさらず…」
魔王「ふん、不調に怯えながら永らえろと?我はそのような臆病者ではない」
魔王子「俺は父上が心配で…」
魔王「お前に心配される程落ちぶれておらぬ。下がれ、臆病者との会話の方が我に心労をかけるわ」
翼人「下がりましょう、魔王子様」
魔王子「…失礼致します」
魔王子「父上ーっ!!」バァン
魔王「何だ騒々しい…翼人、お前余計なことを言ったな?」
自室ベッドに腰掛けていた魔王は、うるさそうに息子を出迎えた。
魔王子「父上、お体の調子は!?」
魔王「少し調子を崩しただけだ。こんな事で動じてどうする」
魔王子「いくら父上は最強の魔王といえど、体の不調には勝てません。どうか無理なさらず…」
魔王「ふん、不調に怯えながら永らえろと?我はそのような臆病者ではない」
魔王子「俺は父上が心配で…」
魔王「お前に心配される程落ちぶれておらぬ。下がれ、臆病者との会話の方が我に心労をかけるわ」
翼人「下がりましょう、魔王子様」
魔王子「…失礼致します」
110: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/27(火) 15:50:36.19 ID:myb3K2LP0
翼人「魔王子様、世代交代の時が近づいております――」
魔王子「そんなこと考えたくない…」
翼人「逃げていても仕方ありませんよ。近い内に考えねばならない事です」
魔王子「俺は魔王の座は継がない、それでいいだろう!」
翼人「貴方の意思だけの問題ではないのですよ、魔王子様」
魔王子「…っ」
わかってはいる――しかし面と向かって言われては、言葉を返せなかった。
以前自分の命を狙ってきた呪術師も言っていた。「貴方の意思が問題なのではなく、貴方が生きていることが問題なのだ」と。
翼人「兄王子様は知性に欠け、よく揉め事を起こすお方。彼が魔王で問題ないのなら、貴方の意思を無視してまで貴方を推す者はいませんよ」
魔王子「仮面なしなら貧弱で、臆病な俺が魔王に相応しい?見る目がないな、俺を推している奴らは」
翼人「貴方が命を狙われる理由は、それでもあります」
魔王子「ん?」
翼人「舐められているのですよ」
魔王子「ぐっ」
戦いが嫌いとはいえ、ズバッと言われていは心に刺さる。
翼人「もしこのまま兄王子様が魔王になったら…」
魔王子「…何か問題があるのか?」
翼人「粗暴な兄王子様の事です、人間との争いが激化する…そうなれば――」
魔王子「…!」
魔王子は真っ先に、想い人の顔を浮かべた。
魔王子「姫さんの国を蹂躙する…!」
翼人「その通り」
魔王子「そんなこと考えたくない…」
翼人「逃げていても仕方ありませんよ。近い内に考えねばならない事です」
魔王子「俺は魔王の座は継がない、それでいいだろう!」
翼人「貴方の意思だけの問題ではないのですよ、魔王子様」
魔王子「…っ」
わかってはいる――しかし面と向かって言われては、言葉を返せなかった。
以前自分の命を狙ってきた呪術師も言っていた。「貴方の意思が問題なのではなく、貴方が生きていることが問題なのだ」と。
翼人「兄王子様は知性に欠け、よく揉め事を起こすお方。彼が魔王で問題ないのなら、貴方の意思を無視してまで貴方を推す者はいませんよ」
魔王子「仮面なしなら貧弱で、臆病な俺が魔王に相応しい?見る目がないな、俺を推している奴らは」
翼人「貴方が命を狙われる理由は、それでもあります」
魔王子「ん?」
翼人「舐められているのですよ」
魔王子「ぐっ」
戦いが嫌いとはいえ、ズバッと言われていは心に刺さる。
翼人「もしこのまま兄王子様が魔王になったら…」
魔王子「…何か問題があるのか?」
翼人「粗暴な兄王子様の事です、人間との争いが激化する…そうなれば――」
魔王子「…!」
魔王子は真っ先に、想い人の顔を浮かべた。
魔王子「姫さんの国を蹂躙する…!」
翼人「その通り」
111: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/27(火) 15:51:08.42 ID:myb3K2LP0
ここで姫のことを連想させるとは卑怯だ、と思った。
だが翼人の言うことには、確かに説得力がある。
しかし、だから自分が魔王になるというのは短絡的な考えだ。
魔王子「兄上が即位されたら俺は補佐役になる。それなら国に攻め入ることを説得して止められる」
翼人「えぇ、そういう手段もあります…ですがこのままなら、貴方は補佐役としても認められないでしょうね」
魔王子「あ?」
翼人「先ほども申した通り、貴方は舐められています。兄王子様が即位されたら、貴方に発言力はほぼ無くなると考えていい」
魔王子「…」
魔王子「なぁ、俺が兄上派の奴らに実力を認められりゃ、補佐としては認められるか?」
翼人「えぇ…ですがどうする気で?」
魔王子「これしか無い…」
頭に浮かべるのは魔王軍にとって驚異の存在。
想い人を踏み台にし、自分だけ名声を得て輝いている憎い男。
魔王子「俺は王子を倒す」
翼人「…!!」
そうすれば魔物達は自分を認めるだろう。
そして…
魔王子「で、俺が姫さんを嫁さんにすれば、その国とは争わなくて良くなるだろ」
翼人「呆れる程の恋愛脳です魔王子様」
魔王子「恋愛が絡めば俺の力は100倍アップするんだよ!」
翼人「思考能力は格段に落ちるようですがね」
魔王子「そうと決まれば俺の部下に王子を張らせろ!俺は修行にいそしむぞ!」
現在魔王城は敵だらけ…そいつらを修行に利用してやろう。
頭に姫のことを思い浮かべている王子は、やる気に燃えていた。
だが翼人の言うことには、確かに説得力がある。
しかし、だから自分が魔王になるというのは短絡的な考えだ。
魔王子「兄上が即位されたら俺は補佐役になる。それなら国に攻め入ることを説得して止められる」
翼人「えぇ、そういう手段もあります…ですがこのままなら、貴方は補佐役としても認められないでしょうね」
魔王子「あ?」
翼人「先ほども申した通り、貴方は舐められています。兄王子様が即位されたら、貴方に発言力はほぼ無くなると考えていい」
魔王子「…」
魔王子「なぁ、俺が兄上派の奴らに実力を認められりゃ、補佐としては認められるか?」
翼人「えぇ…ですがどうする気で?」
魔王子「これしか無い…」
頭に浮かべるのは魔王軍にとって驚異の存在。
想い人を踏み台にし、自分だけ名声を得て輝いている憎い男。
魔王子「俺は王子を倒す」
翼人「…!!」
そうすれば魔物達は自分を認めるだろう。
そして…
魔王子「で、俺が姫さんを嫁さんにすれば、その国とは争わなくて良くなるだろ」
翼人「呆れる程の恋愛脳です魔王子様」
魔王子「恋愛が絡めば俺の力は100倍アップするんだよ!」
翼人「思考能力は格段に落ちるようですがね」
魔王子「そうと決まれば俺の部下に王子を張らせろ!俺は修行にいそしむぞ!」
現在魔王城は敵だらけ…そいつらを修行に利用してやろう。
頭に姫のことを思い浮かべている王子は、やる気に燃えていた。
112: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/27(火) 15:51:42.59 ID:myb3K2LP0
・
・
・
姫(大丈夫かな、飴売り…)
飴売りと別れて2日経った。彼のお陰で魔物との戦闘は避けてこられているが、どうも彼のことが気にかかって仕方ない。
姫(気を病んでいなければいいけれど…)
姫(心配で心配で…)
姫(…)
姫(って駄目じゃない、魔王との戦いのこと考えないと!!飴売りのことは一旦忘れなさい!」
姫(そ、そうだ、獣人は…)
獣人に渡された笛を吹く。
人間の耳には音が聞こえないが…少し経ってから、
獣人「お待たせ致しました」
姫「あぁ獣人、どう?そっちは変わりない?」
獣人「えぇ。姫様は順調に魔物を避けていらっしゃいますね」
姫「まぁ、ね」
飴売りのことは…余計なことまで言ってしまいかねないから黙っていよう、うん。
獣人「明日には魔王城に着けそうでしょうか」
姫「…えぇ」
そうだ。飴売りと一緒にいて浮かれていたが、明日は私が死ぬかもしれない日。
私の勝敗によって国の運命は大きく左右される。そんな大事な日…。
獣人「姫様…覚悟はできておりますか?」
姫「…」
それは戦う覚悟?それとも――死ぬ覚悟?
姫「戦う覚悟なら、大丈夫」
・
・
姫(大丈夫かな、飴売り…)
飴売りと別れて2日経った。彼のお陰で魔物との戦闘は避けてこられているが、どうも彼のことが気にかかって仕方ない。
姫(気を病んでいなければいいけれど…)
姫(心配で心配で…)
姫(…)
姫(って駄目じゃない、魔王との戦いのこと考えないと!!飴売りのことは一旦忘れなさい!」
姫(そ、そうだ、獣人は…)
獣人に渡された笛を吹く。
人間の耳には音が聞こえないが…少し経ってから、
獣人「お待たせ致しました」
姫「あぁ獣人、どう?そっちは変わりない?」
獣人「えぇ。姫様は順調に魔物を避けていらっしゃいますね」
姫「まぁ、ね」
飴売りのことは…余計なことまで言ってしまいかねないから黙っていよう、うん。
獣人「明日には魔王城に着けそうでしょうか」
姫「…えぇ」
そうだ。飴売りと一緒にいて浮かれていたが、明日は私が死ぬかもしれない日。
私の勝敗によって国の運命は大きく左右される。そんな大事な日…。
獣人「姫様…覚悟はできておりますか?」
姫「…」
それは戦う覚悟?それとも――死ぬ覚悟?
姫「戦う覚悟なら、大丈夫」
113: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/27(火) 15:52:10.08 ID:myb3K2LP0
そしてその日も変わった様子はなく、魔王城に最も近い街に宿をとった。
不思議と緊張はしていない。明日の為、男装用装備を壁にかけておく。
姫(魔王を討てば、王子は全世界の英雄…)
私は変わらず陰の人。それでいい。自分が英雄になりたいなんて欲はない。
欲――今の私には、少しだけ欲がある。
飴売り『俺は姫さんが今まで出会ってきたどんな男よりも、姫さんを大切にするから』
ほんの少しでいい。
生身の私を見てくれる人に、もっと私を知ってもらいたい。
飴売り『俺はもう王子様やめて飴売りに転身したいよ、もう』
彼も彼で悩みを抱えている。
私はまだ彼のことをほとんど知らない。だけど戦いが終わったら知りたい。
彼の家族のこと、家のこと、夢のこと――
姫(一杯語り合いたい、飴売りと)
それだけが今の私の願い。願いは、叶えないと意味がない。
姫(だから明日は、負けない…!!」
旅立つ前にはあった死ぬ覚悟は、今は頭から消えている。
私は、戦う決意を固めた。
不思議と緊張はしていない。明日の為、男装用装備を壁にかけておく。
姫(魔王を討てば、王子は全世界の英雄…)
私は変わらず陰の人。それでいい。自分が英雄になりたいなんて欲はない。
欲――今の私には、少しだけ欲がある。
飴売り『俺は姫さんが今まで出会ってきたどんな男よりも、姫さんを大切にするから』
ほんの少しでいい。
生身の私を見てくれる人に、もっと私を知ってもらいたい。
飴売り『俺はもう王子様やめて飴売りに転身したいよ、もう』
彼も彼で悩みを抱えている。
私はまだ彼のことをほとんど知らない。だけど戦いが終わったら知りたい。
彼の家族のこと、家のこと、夢のこと――
姫(一杯語り合いたい、飴売りと)
それだけが今の私の願い。願いは、叶えないと意味がない。
姫(だから明日は、負けない…!!」
旅立つ前にはあった死ぬ覚悟は、今は頭から消えている。
私は、戦う決意を固めた。
114: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/27(火) 15:52:36.00 ID:myb3K2LP0
翼人「魔王子様、最近王子の目撃情報が途絶えた様子です。恐らく城にこもっているのかと…」
魔王子「ふーん…体を壊したか?」
魔王子はあまり気に留めず、訓練場の木人に向かって剣を振っていた。
日中は魔王軍の実力者を相手に剣の稽古をした。中には自己を装って自分を殺そうとしたのか、本気の殺意を向けてくる者もいたが、返り討ちにした。
勿論訓練で死者を出すわけにはいかないので、殺しはしなかったが。
魔王子「けど姫さんが魔王城のことを探ると言っていた。だから近々動きがあると思っていいだろう」
翼人「姫君の動向を魔王様にお伝えしなくてよろしいのですか?」
魔王子「ばか。それで姫さんに危害加えられたらどうするんだよ!」
翼人(言った私が馬鹿だった)
魔王子「王子を討つのは俺だ。だからその情報を知るのは俺とお前だけでいい」
翼人(しかし、魔王子様が自ら戦う決意をするなど――)
魔王子をよく知っている翼人は、彼のいきなりの心境の変化に驚いていた。
恋愛感情は人をこうも変える…恐るべし恋愛脳、と皮肉も言えない程に。
魔王子「絶対に俺は、王子を――」
魔王子は仮面を握り、決意を固めていた。
魔王子「ふーん…体を壊したか?」
魔王子はあまり気に留めず、訓練場の木人に向かって剣を振っていた。
日中は魔王軍の実力者を相手に剣の稽古をした。中には自己を装って自分を殺そうとしたのか、本気の殺意を向けてくる者もいたが、返り討ちにした。
勿論訓練で死者を出すわけにはいかないので、殺しはしなかったが。
魔王子「けど姫さんが魔王城のことを探ると言っていた。だから近々動きがあると思っていいだろう」
翼人「姫君の動向を魔王様にお伝えしなくてよろしいのですか?」
魔王子「ばか。それで姫さんに危害加えられたらどうするんだよ!」
翼人(言った私が馬鹿だった)
魔王子「王子を討つのは俺だ。だからその情報を知るのは俺とお前だけでいい」
翼人(しかし、魔王子様が自ら戦う決意をするなど――)
魔王子をよく知っている翼人は、彼のいきなりの心境の変化に驚いていた。
恋愛感情は人をこうも変える…恐るべし恋愛脳、と皮肉も言えない程に。
魔王子「絶対に俺は、王子を――」
魔王子は仮面を握り、決意を固めていた。
115: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/27(火) 15:53:03.08 ID:myb3K2LP0
>そして翌日――
姫「…行くか!」
獣人「はい」
男装に身を包んだ私は表情と声を男に近づけ、決意を胸に街を出た。
目指すは魔王城――いつ魔物が襲ってきてもいいように、心まで完全武装して道を行く。
*
翼人「魔王子様、王子が城に近づいてきているそうです」
魔王子「は!?王子は城に引きこもってるんじゃなかったのか!?」
翼人「我々の情報網をくぐり抜け、魔王城に近付いてきていたようです…」
魔王子「くっ、何て油断ならないんだ王子!」
魔王子が城に戻ると、案の定唐突な報せに魔物達がざわついている。
もう既に何名か王子を討つ為に城を出たそうだが、城を出てから時間が経ちすぎている。つまり苦戦しているか、返り討ちにあったと思われた。
魔王子「えぇい静かにしろ!!」
魔王子が叫ぶと、魔物達は一斉に彼を見た。
魔王子「俺が王子と戦う!お前達は魔王城の守備を固めていろ!」
翼人「お供します、魔王子様」
魔王子が魔物達の群れを突っ切るように歩くと、魔物達は彼に道を空けた。
その時にひそひそ話も耳に入った。
「無謀だ」「本当に大丈夫なのか?」「しかし魔王様が体調を崩されている今は…」
舐められている。
だがそれでいい。中には自分が死ぬことを望んでいる輩もいる。そういう奴らを見返すには今がいい機会だ。
魔王子(今はこれを頼りにしないとな――)
魔王子は決心して、仮面を装着した。
姫「…行くか!」
獣人「はい」
男装に身を包んだ私は表情と声を男に近づけ、決意を胸に街を出た。
目指すは魔王城――いつ魔物が襲ってきてもいいように、心まで完全武装して道を行く。
*
翼人「魔王子様、王子が城に近づいてきているそうです」
魔王子「は!?王子は城に引きこもってるんじゃなかったのか!?」
翼人「我々の情報網をくぐり抜け、魔王城に近付いてきていたようです…」
魔王子「くっ、何て油断ならないんだ王子!」
魔王子が城に戻ると、案の定唐突な報せに魔物達がざわついている。
もう既に何名か王子を討つ為に城を出たそうだが、城を出てから時間が経ちすぎている。つまり苦戦しているか、返り討ちにあったと思われた。
魔王子「えぇい静かにしろ!!」
魔王子が叫ぶと、魔物達は一斉に彼を見た。
魔王子「俺が王子と戦う!お前達は魔王城の守備を固めていろ!」
翼人「お供します、魔王子様」
魔王子が魔物達の群れを突っ切るように歩くと、魔物達は彼に道を空けた。
その時にひそひそ話も耳に入った。
「無謀だ」「本当に大丈夫なのか?」「しかし魔王様が体調を崩されている今は…」
舐められている。
だがそれでいい。中には自分が死ぬことを望んでいる輩もいる。そういう奴らを見返すには今がいい機会だ。
魔王子(今はこれを頼りにしないとな――)
魔王子は決心して、仮面を装着した。
116: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/27(火) 15:53:29.41 ID:myb3K2LP0
獣人「姫様、あれは――」
姫「!」
何名かの魔物を返り討ちにし、魔王城が見えてきた頃、自分を出迎えるように佇んでいる人物がいた。
あの異様な仮面をつけ、殺気を抑えることを知らない人物――ひと目見て、誰だかわかる。
姫「魔王子…!!」
魔王子「…」
私と対峙したと同時、魔王子は躊躇せずに剣を構えた。
来る――!私は遅れをとることなく、戦闘態勢に入った。
姫「!」
何名かの魔物を返り討ちにし、魔王城が見えてきた頃、自分を出迎えるように佇んでいる人物がいた。
あの異様な仮面をつけ、殺気を抑えることを知らない人物――ひと目見て、誰だかわかる。
姫「魔王子…!!」
魔王子「…」
私と対峙したと同時、魔王子は躊躇せずに剣を構えた。
来る――!私は遅れをとることなく、戦闘態勢に入った。
121: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/28(水) 15:55:09.81 ID:dY/mAPc40
不仲な様子とはいえ、想い人の兄である王子を殺してはいけない――そう思っていた。
だから翼人にも事前に言った。
「もし俺の理性が吸い込まれて王子を殺しそうになったら、その時は俺から仮面を奪ってくれ」と。
そう、理性はあった――戦う前までは。
だが、王子の姿を視認したと同時――
魔王子「…」カンカンカァン
姫「ぐっ…」
殺意が抑えられなくなった。
――何かがおかしい――
一方で、わずかにだが理性も働いていた。
違和感。それは自分に対してではなく、目の前の王子相手に。
その違和感を何と言い表していいのかわからない。だが言葉にするとすれば――
――こいつは、本当に王子なのか?――
馬鹿げた疑問。わかりきった答え。
こいつとは何度か剣を合わせている。王子でないなら、何だというのか。
だが疑問は消えない。確か以前剣を合わせた時も、そんな違和感を抱いたような気がする。
魔王子「…ッハァ!!」
だがその疑問は、段々膨らんでいく殺意には微塵も影響を及ぼさなかった。
だから翼人にも事前に言った。
「もし俺の理性が吸い込まれて王子を殺しそうになったら、その時は俺から仮面を奪ってくれ」と。
そう、理性はあった――戦う前までは。
だが、王子の姿を視認したと同時――
魔王子「…」カンカンカァン
姫「ぐっ…」
殺意が抑えられなくなった。
――何かがおかしい――
一方で、わずかにだが理性も働いていた。
違和感。それは自分に対してではなく、目の前の王子相手に。
その違和感を何と言い表していいのかわからない。だが言葉にするとすれば――
――こいつは、本当に王子なのか?――
馬鹿げた疑問。わかりきった答え。
こいつとは何度か剣を合わせている。王子でないなら、何だというのか。
だが疑問は消えない。確か以前剣を合わせた時も、そんな違和感を抱いたような気がする。
魔王子「…ッハァ!!」
だがその疑問は、段々膨らんでいく殺意には微塵も影響を及ぼさなかった。
122: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/28(水) 15:55:37.89 ID:dY/mAPc40
姫「でりゃあぁっ!!」
魔王子に切りかかるが、それを回避される。
前回の戦いでわかったことがある。それは魔王子は、戦いながら少しずつ強くなっていっているということ。
姫(前回強くなった分はリセットされたようだけど…)
それでも彼が厄介な相手だということには変わりがない。
戦い始めてから数分経った。こちらは初めから全力だというのに、魔王子にダメージらしいダメージを与えていない。
姫(できれば一撃で無力化させたい所だけど…)
恐らく魔王子の体の構造は人間と同じ。その体の急所となる所はさっきから、ガードが硬く突くのは難しそうだ。
魔王子「…」ビュンッ
姫「くっ…」カキィン
一撃は段々重くなる。焦りが思考を鈍らせた。
魔王子「…」
仮面の向こうでは余裕の笑みを浮かべているのか、それとも真剣に私の命を狙っているのか――
改めて、表情の見えない仮面が不気味に思えた。
魔王子に切りかかるが、それを回避される。
前回の戦いでわかったことがある。それは魔王子は、戦いながら少しずつ強くなっていっているということ。
姫(前回強くなった分はリセットされたようだけど…)
それでも彼が厄介な相手だということには変わりがない。
戦い始めてから数分経った。こちらは初めから全力だというのに、魔王子にダメージらしいダメージを与えていない。
姫(できれば一撃で無力化させたい所だけど…)
恐らく魔王子の体の構造は人間と同じ。その体の急所となる所はさっきから、ガードが硬く突くのは難しそうだ。
魔王子「…」ビュンッ
姫「くっ…」カキィン
一撃は段々重くなる。焦りが思考を鈍らせた。
魔王子「…」
仮面の向こうでは余裕の笑みを浮かべているのか、それとも真剣に私の命を狙っているのか――
改めて、表情の見えない仮面が不気味に思えた。
123: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/28(水) 15:56:06.64 ID:dY/mAPc40
一方魔王子は――
魔王子「…」ビュンッ
姫「っ!」カキィン
こちらが優勢だと理解はしている。だが、いくら容赦のない一撃を放っても食らいついてくる相手に、ますます殺意が大きくなっていた。
――やはり、こいつは強い――
仮面に思考能力を奪われた魔王子は、もう王子を倒すことしか頭にない。
殺さぬよう加減することなど、もうとっくに頭から消し飛んでいた。
姫「であぁっ!」
魔王子「!」カァン
相手には、仮面で戦闘力を高めた魔王子にも適わないものがあった。
それは経験。いくら攻められても、相手の方が戦い慣れている。その経験の差のせいで、こちらが攻めきれずにいる。
だがそれも、時間が解決する。
姫「…ぐっ!!」
経験の差で実力が拮抗しているなら、その経験の差を埋める程こちらが強くなればいい。
戦闘開始から10分、魔王子の戦闘能力はぐんと上がっていた。
――勝てる!――
姫「!」
魔王子は思い切り剣を振り上げた。相手は剣を受ける構えを取る――が、無駄だ。
ガキィンと大きな音が響く。魔王子の一撃で、相手は吹っ飛ばされた。
これで終わりじゃない、体勢を崩した所でトドメを――
だがそこで、
姫「っあぁっ!」
――!?――
相手の悲鳴を聞いたと同時、魔王子の動きが止まった。
魔王子「…」ビュンッ
姫「っ!」カキィン
こちらが優勢だと理解はしている。だが、いくら容赦のない一撃を放っても食らいついてくる相手に、ますます殺意が大きくなっていた。
――やはり、こいつは強い――
仮面に思考能力を奪われた魔王子は、もう王子を倒すことしか頭にない。
殺さぬよう加減することなど、もうとっくに頭から消し飛んでいた。
姫「であぁっ!」
魔王子「!」カァン
相手には、仮面で戦闘力を高めた魔王子にも適わないものがあった。
それは経験。いくら攻められても、相手の方が戦い慣れている。その経験の差のせいで、こちらが攻めきれずにいる。
だがそれも、時間が解決する。
姫「…ぐっ!!」
経験の差で実力が拮抗しているなら、その経験の差を埋める程こちらが強くなればいい。
戦闘開始から10分、魔王子の戦闘能力はぐんと上がっていた。
――勝てる!――
姫「!」
魔王子は思い切り剣を振り上げた。相手は剣を受ける構えを取る――が、無駄だ。
ガキィンと大きな音が響く。魔王子の一撃で、相手は吹っ飛ばされた。
これで終わりじゃない、体勢を崩した所でトドメを――
だがそこで、
姫「っあぁっ!」
――!?――
相手の悲鳴を聞いたと同時、魔王子の動きが止まった。
124: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/28(水) 15:56:33.01 ID:dY/mAPc40
姫「く…」
思い切り体を地面に打ち付けた。
その拍子に甲高い声をあげてしまった…全く、情けない。
それにしても…
魔王子「…」
姫「…?」
今は自分を討つ好機だったはずだ。にも関わらず何故か魔王子は動きを止めた。
魔王子「ウ…ウゥ…」
姫(苦しんでいる…?)
前回の戦いの時も苦しみ出した。だけどあの時とは何か違う。
何が、とは上手く言えないけれど…
姫(…何にせよ、今だ!)ダッ
翼人「魔王子様…っ!!」
獣人「おっと」バッ
私に向かってきた翼人を、獣人が食い止める。
私は魔王子に向かって一直線。
魔王子「グ…ウ…」
姫「でりゃああぁぁ!!」
魔王子「――!!」
魔王子「………さん?」
姫「―――えっ?」
思い切り体を地面に打ち付けた。
その拍子に甲高い声をあげてしまった…全く、情けない。
それにしても…
魔王子「…」
姫「…?」
今は自分を討つ好機だったはずだ。にも関わらず何故か魔王子は動きを止めた。
魔王子「ウ…ウゥ…」
姫(苦しんでいる…?)
前回の戦いの時も苦しみ出した。だけどあの時とは何か違う。
何が、とは上手く言えないけれど…
姫(…何にせよ、今だ!)ダッ
翼人「魔王子様…っ!!」
獣人「おっと」バッ
私に向かってきた翼人を、獣人が食い止める。
私は魔王子に向かって一直線。
魔王子「グ…ウ…」
姫「でりゃああぁぁ!!」
魔王子「――!!」
魔王子「………さん?」
姫「―――えっ?」
125: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/28(水) 15:57:10.09 ID:dY/mAPc40
魔王子の中に少しだけあった違和感は、相手の悲鳴を聞いたと同時に一気に膨らんだ。
そしてその違和感が自分の中で混乱を招いた。
これ以上戦ってはいけないという気持ち。
相手を殺さなければいけないという気持ち。
相反する気持ちがぶつかり合い、そして――
姫「でりゃああぁぁ!!」
魔王子「――!!」
結果、大きな隙を生んだ。
とっさの防御は甘く、相手の太刀の前に破られる。
それと同時、相手の剣が仮面を吹き飛ばした。
その瞬間――目が合った。
魔王子「……姫さん?」
姫「―――えっ?」
そしてその違和感が自分の中で混乱を招いた。
これ以上戦ってはいけないという気持ち。
相手を殺さなければいけないという気持ち。
相反する気持ちがぶつかり合い、そして――
姫「でりゃああぁぁ!!」
魔王子「――!!」
結果、大きな隙を生んだ。
とっさの防御は甘く、相手の太刀の前に破られる。
それと同時、相手の剣が仮面を吹き飛ばした。
その瞬間――目が合った。
魔王子「……姫さん?」
姫「―――えっ?」
126: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/28(水) 15:57:40.63 ID:dY/mAPc40
どうして―――!?
そんな訳がない。理解が追いつかない。
しかし、私が今切ったのは確かに…
姫「…飴売り!?」
魔王子の鎧を着て、血に塗れているとはいえ、見間違えるわけがなかった。
姫「飴売り!飴売り、どうして…!?」
飴売りは切られた頭と胸から大量の血を放出し、倒れた。
彼の下には、大きな血だまりができた。
それでも飴売りはゆっくりこちらを見て、ふっと笑った。
魔王子「姫さん…何で王子の格好してるの?」
いつもの憎めない笑顔。少しだけ困ったように眉が下がっている。
混乱している…私も、彼も。
姫「飴売り、貴方…」
彼を目の前にしても信じられないが――疑問を聞いて確かめるしかなかった。
姫「貴方が――魔王子だったの?」
魔王子「うん…ごめんな、騙して」
姫「―――じゃあ」
そんな訳がない。理解が追いつかない。
しかし、私が今切ったのは確かに…
姫「…飴売り!?」
魔王子の鎧を着て、血に塗れているとはいえ、見間違えるわけがなかった。
姫「飴売り!飴売り、どうして…!?」
飴売りは切られた頭と胸から大量の血を放出し、倒れた。
彼の下には、大きな血だまりができた。
それでも飴売りはゆっくりこちらを見て、ふっと笑った。
魔王子「姫さん…何で王子の格好してるの?」
いつもの憎めない笑顔。少しだけ困ったように眉が下がっている。
混乱している…私も、彼も。
姫「飴売り、貴方…」
彼を目の前にしても信じられないが――疑問を聞いて確かめるしかなかった。
姫「貴方が――魔王子だったの?」
魔王子「うん…ごめんな、騙して」
姫「―――じゃあ」
127: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/28(水) 15:58:10.94 ID:dY/mAPc40
飴売り『俺、実は王子様なんだよね』
飴売り『今はちょっと家出中だけど帰れば皆に王子様、王子様~って』
あの言葉は嘘ではなかった…彼は魔王の息子、魔王子。
でも、だけど、だとすると…
飴売り『好きな女の様子がおかしいから気にかける…それって恋に生きる男なら普通のことじゃない?』
あの時の言葉も、
飴売り『なぁ姫さん…俺と駆け落ちしちゃわない?』
あの笑顔も、
飴売り『俺は姫さんが今まで出会ってきたどんな男よりも、姫さんを大切にするから』
私を思いやる彼も――
魔王子「…嘘じゃないよ」
姫「…え?」
彼はゆっくり手を上げ、その手を私の手に重ねた。
魔王子「俺の姫さんへの気持ち…嘘じゃないよ」
姫「…っ!!」
飴売り『今はちょっと家出中だけど帰れば皆に王子様、王子様~って』
あの言葉は嘘ではなかった…彼は魔王の息子、魔王子。
でも、だけど、だとすると…
飴売り『好きな女の様子がおかしいから気にかける…それって恋に生きる男なら普通のことじゃない?』
あの時の言葉も、
飴売り『なぁ姫さん…俺と駆け落ちしちゃわない?』
あの笑顔も、
飴売り『俺は姫さんが今まで出会ってきたどんな男よりも、姫さんを大切にするから』
私を思いやる彼も――
魔王子「…嘘じゃないよ」
姫「…え?」
彼はゆっくり手を上げ、その手を私の手に重ねた。
魔王子「俺の姫さんへの気持ち…嘘じゃないよ」
姫「…っ!!」
128: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/28(水) 15:58:43.38 ID:dY/mAPc40
魔王子「仮面のせいで馬鹿になってた…じゃなけりゃ、姫さんだって気付いたし、剣なんて向けなかった」
飴売りは後悔に満ちた声で言った。
そうだ…彼はこんな嘘をつかない。彼と過ごした時間は本物だった――何故だかそれは、無条件に信じられた。
お互いに正体がわかっていれば、こんな事にはならなかった。
魔王子「なぁ…もしかしてだけどさ」
段々か細くなっていく声で、飴売りは呟いた。
魔王子「今まで国の為に戦ってきたのって…姫さん?」
姫「…えぇ」
その答えを聞いて飴売りは満面の笑みを見せた。
魔王子「そうなんだ…やっぱ姫さんスゲーや、ますます惚れた…」
姫「飴売り…」
魔王子「なぁ姫さん…忘れんなよ」
飴売りは私の手をギュッと握る。
その力はか弱く、だけど彼の精一杯の気持ちが温かい。
魔王子「姫さんが人知れず戦ってきたこと、俺絶対忘れないから――誰よりも、俺、姫さんを尊敬しているから――」
手が滑り落ちる。
彼のまぶたは閉じて、その顔にはもう、いつもの笑顔が浮かんでいない。
姫「………飴売り?」
飴売りは後悔に満ちた声で言った。
そうだ…彼はこんな嘘をつかない。彼と過ごした時間は本物だった――何故だかそれは、無条件に信じられた。
お互いに正体がわかっていれば、こんな事にはならなかった。
魔王子「なぁ…もしかしてだけどさ」
段々か細くなっていく声で、飴売りは呟いた。
魔王子「今まで国の為に戦ってきたのって…姫さん?」
姫「…えぇ」
その答えを聞いて飴売りは満面の笑みを見せた。
魔王子「そうなんだ…やっぱ姫さんスゲーや、ますます惚れた…」
姫「飴売り…」
魔王子「なぁ姫さん…忘れんなよ」
飴売りは私の手をギュッと握る。
その力はか弱く、だけど彼の精一杯の気持ちが温かい。
魔王子「姫さんが人知れず戦ってきたこと、俺絶対忘れないから――誰よりも、俺、姫さんを尊敬しているから――」
手が滑り落ちる。
彼のまぶたは閉じて、その顔にはもう、いつもの笑顔が浮かんでいない。
姫「………飴売り?」
129: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/28(水) 15:59:10.16 ID:dY/mAPc40
恐る恐る心臓のあたりに耳を当てる。
心臓は――動いている。かなり弱々しく、だけど。
だけど傷が深く、このままじゃ…
死ぬ?彼が?…駄目だ、認めない!
姫「…そこの翼人!」
翼人「何だ」
姫「飴売りを魔王城に運んで!早く!」
獣人「姫様、それは…」
翼人「いいのか?魔王子様はお前の命を何度も狙った…」
姫「早くして、飴売りを死なせないで!!」
翼人「…」
翼人は黙って飴売りを抱えると、そのまま魔王城に向かい飛び立っていった。
獣人「姫様…本当に正しい判断だったのでしょうか?」
姫「知らないわ、そんなの!」
珍しく感情的になった私に、獣人は目を丸くする。
正しいか正しくないかなんて――そんな基準で私は判断を下していない。
姫「私は飴売りに死んでほしくない…それだけよ」
獣人「…」
獣人は何も言わなかった。
私を馬鹿な女と内心思っているのか――なら、それはそれでいい。どうせ私は女。感情で動く、男より劣った存在。
姫「行きましょう獣人」
獣人「…はい」
心臓は――動いている。かなり弱々しく、だけど。
だけど傷が深く、このままじゃ…
死ぬ?彼が?…駄目だ、認めない!
姫「…そこの翼人!」
翼人「何だ」
姫「飴売りを魔王城に運んで!早く!」
獣人「姫様、それは…」
翼人「いいのか?魔王子様はお前の命を何度も狙った…」
姫「早くして、飴売りを死なせないで!!」
翼人「…」
翼人は黙って飴売りを抱えると、そのまま魔王城に向かい飛び立っていった。
獣人「姫様…本当に正しい判断だったのでしょうか?」
姫「知らないわ、そんなの!」
珍しく感情的になった私に、獣人は目を丸くする。
正しいか正しくないかなんて――そんな基準で私は判断を下していない。
姫「私は飴売りに死んでほしくない…それだけよ」
獣人「…」
獣人は何も言わなかった。
私を馬鹿な女と内心思っているのか――なら、それはそれでいい。どうせ私は女。感情で動く、男より劣った存在。
姫「行きましょう獣人」
獣人「…はい」
134: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/29(木) 18:00:17.57 ID:z37KP4GX0
姫「…」
私は獣化した獣人の背中に乗っていた。
獣人曰く「魔王城に近づくにつれ魔物の匂いが濃くなっている」との事だ。
強敵だった魔王子との戦闘後にまた、いちいち魔物の相手なんてしていられない。
私を乗せた獣人は猛スピードで魔王城に向かい、待ち受けていた魔物達を置き去りにした。
獣人「姫様…もうじき城に着きます」
姫「えぇ」
落ち込んでいた気分を奮い立たせ、顔を上げる。
飴売りのことは心配でたまらなかったが、今は忘れないといけない。この戦いが終わったら、一杯思い出して、一緒に沢山過ごせばいい。
獣人「このまま突っ込んでいきますよ…振り落とされぬよう!」
姫「…えぇ!」
返事の後、獣人は勢いのまま魔王城の扉を破壊して中に突入した。
中にはやはり魔物達が待ち受けていたが、獣人は彼らを踏み潰し、蹴散らしていった。
姫「魔王はどこにいるかわかる獣人!?」
獣人「えぇ、魔王子と似た匂い…これがきっと魔王です」
と、その時。
姫「…っ!!」
私は獣化した獣人の背中に乗っていた。
獣人曰く「魔王城に近づくにつれ魔物の匂いが濃くなっている」との事だ。
強敵だった魔王子との戦闘後にまた、いちいち魔物の相手なんてしていられない。
私を乗せた獣人は猛スピードで魔王城に向かい、待ち受けていた魔物達を置き去りにした。
獣人「姫様…もうじき城に着きます」
姫「えぇ」
落ち込んでいた気分を奮い立たせ、顔を上げる。
飴売りのことは心配でたまらなかったが、今は忘れないといけない。この戦いが終わったら、一杯思い出して、一緒に沢山過ごせばいい。
獣人「このまま突っ込んでいきますよ…振り落とされぬよう!」
姫「…えぇ!」
返事の後、獣人は勢いのまま魔王城の扉を破壊して中に突入した。
中にはやはり魔物達が待ち受けていたが、獣人は彼らを踏み潰し、蹴散らしていった。
姫「魔王はどこにいるかわかる獣人!?」
獣人「えぇ、魔王子と似た匂い…これがきっと魔王です」
と、その時。
姫「…っ!!」
135: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/29(木) 18:00:52.24 ID:z37KP4GX0
ビュンと風を切り、弓矢が頭をかすめた。
それから次々と周囲に鳴り響く魔法音。獣人が置き去りにした者達が後方から追いかけてきて、遠距離攻撃を仕掛けてきた。
獣人「このまま真っ直ぐ行けば魔王がおります」
姫「無事たどり着けるかしら…」
獣人「姫様、魔王の元へ向かって下さい」
姫「…まさかこの魔物全部、貴方が相手する気?」
獣人「奴らをひきつけるだけです。まともに相手はしませんよ。ご心配なく」
姫「そう…気をつけてね」
私は獣人の背中を飛び降りると、魔王のいる所まで真っ直ぐ駆けた。
後方では――獣人の咆哮が鳴り響いている。
振り返らずに駆ける。長く感じる廊下。向こうに扉が見える。
あそこに行けば、ようやく魔王に――長い、長い道のりだった。
だけれど――
姫「魔王――っ!!」
私は低い声をあげながら、勢いよく扉を開けた。
それから次々と周囲に鳴り響く魔法音。獣人が置き去りにした者達が後方から追いかけてきて、遠距離攻撃を仕掛けてきた。
獣人「このまま真っ直ぐ行けば魔王がおります」
姫「無事たどり着けるかしら…」
獣人「姫様、魔王の元へ向かって下さい」
姫「…まさかこの魔物全部、貴方が相手する気?」
獣人「奴らをひきつけるだけです。まともに相手はしませんよ。ご心配なく」
姫「そう…気をつけてね」
私は獣人の背中を飛び降りると、魔王のいる所まで真っ直ぐ駆けた。
後方では――獣人の咆哮が鳴り響いている。
振り返らずに駆ける。長く感じる廊下。向こうに扉が見える。
あそこに行けば、ようやく魔王に――長い、長い道のりだった。
だけれど――
姫「魔王――っ!!」
私は低い声をあげながら、勢いよく扉を開けた。
136: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/29(木) 18:01:20.00 ID:z37KP4GX0
そこにいたのは――
魔王「――来たか、王子よ」
姫「…魔王?」
疑問が口から漏れた。彼の容貌に、勢いを奪われたと言ってもいい。
そこにいた魔族は鋭い眼光でこちらを睨みつけていた。佇まいは堂々としていて、魔王らしい威厳はある。
だが――どこか頼りない。
何と言えばいいのか。生命力…そう、生命力が弱々しく感じる。
姫(そういえば…飴売り、父親が倒れたって――)
魔王「何を呆けている」
姫「…お前が魔王か」
魔王「そうだ」
魔王は好戦的に答えた。仮面をつけていた時の飴売りと同じだ。こちらへの殺気を隠す気がない。
飴売りの話から考えると、魔王は病み上がりだ。にも関わらず戦おうという姿勢を崩さないのは、魔王としてのプライドか、性格によるものなのか――
魔王「弱小国の王子の分際で我に逆らおうとは、いい度胸をしている」
だが、魔王は魔王だ。こいつを何とかしないと、争いは終わらない。
姫「争いを、終わらせにきた」
魔王「面白い…」
魔王は牙を剥き出しにして笑う。それと同時、魔王周辺の空気が変化した。
来る――私も戦闘態勢を取り、最初の攻撃に構えた。
魔王「――来たか、王子よ」
姫「…魔王?」
疑問が口から漏れた。彼の容貌に、勢いを奪われたと言ってもいい。
そこにいた魔族は鋭い眼光でこちらを睨みつけていた。佇まいは堂々としていて、魔王らしい威厳はある。
だが――どこか頼りない。
何と言えばいいのか。生命力…そう、生命力が弱々しく感じる。
姫(そういえば…飴売り、父親が倒れたって――)
魔王「何を呆けている」
姫「…お前が魔王か」
魔王「そうだ」
魔王は好戦的に答えた。仮面をつけていた時の飴売りと同じだ。こちらへの殺気を隠す気がない。
飴売りの話から考えると、魔王は病み上がりだ。にも関わらず戦おうという姿勢を崩さないのは、魔王としてのプライドか、性格によるものなのか――
魔王「弱小国の王子の分際で我に逆らおうとは、いい度胸をしている」
だが、魔王は魔王だ。こいつを何とかしないと、争いは終わらない。
姫「争いを、終わらせにきた」
魔王「面白い…」
魔王は牙を剥き出しにして笑う。それと同時、魔王周辺の空気が変化した。
来る――私も戦闘態勢を取り、最初の攻撃に構えた。
137: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/29(木) 18:01:46.30 ID:z37KP4GX0
魔王の攻撃をひたすら回避する。
魔王自身から放たれる魔力は一撃でも当たれば致命傷になり得る程の威力で、回避したそれは城の壁を大きくえぐった。
魔王「フッ…逃げるばかりでは我は倒せんぞ」
姫(わかっているけど…)
容赦なく放たれ続ける攻撃に、攻め入る隙がない。
姫(けど、勝機はゼロじゃない!)
回避しながらも、徐々にだが魔王との距離を詰めていた。
見逃すな、攻め入る隙を――回避しながらも、魔王の様子を注視する。
そして、その時はやってきた。
姫(――今だ!)
魔王の連撃と連撃の隙間にわずかにできた隙。
その場から飛び出すように、魔王との距離を一気に詰めた。
姫「でりゃああぁ――っ!!」
魔王「――フッ」
魔王の爪が剣を受け止める。
だがここで再び魔王との距離を空けてはいけない。怯まずに攻撃を放ち続ける。
魔王は私の連続攻撃を的確に受け止める。それもわずかな時間に私の攻撃のペースに慣れ、合間に爪で攻撃を仕掛けてきた。
だが私もこれを受け止め、結果攻防は互角。
それでも相手は魔王、どんな秘策を持っているかわからない。
魔王「覇あぁ!」
やはり、来た――!
剣と爪の攻防から不意打ちのように放たれた魔力を、私は軽くかわす。これは想定内の攻撃。
だがその間に魔王は後ろへ跳び、私との距離を空けた。近距離でしか攻撃できない私と戦うのには、的確な位置取りだ。
と思ったが――
姫「…?」
魔王の額に脂汗が浮かんでいる。よく見れば魔王はわずかに息を乱していた。
確かに魔法攻撃に比べれば直接攻撃は体力を消耗しやすい…だが、こんなわずかな攻防で?
魔王自身から放たれる魔力は一撃でも当たれば致命傷になり得る程の威力で、回避したそれは城の壁を大きくえぐった。
魔王「フッ…逃げるばかりでは我は倒せんぞ」
姫(わかっているけど…)
容赦なく放たれ続ける攻撃に、攻め入る隙がない。
姫(けど、勝機はゼロじゃない!)
回避しながらも、徐々にだが魔王との距離を詰めていた。
見逃すな、攻め入る隙を――回避しながらも、魔王の様子を注視する。
そして、その時はやってきた。
姫(――今だ!)
魔王の連撃と連撃の隙間にわずかにできた隙。
その場から飛び出すように、魔王との距離を一気に詰めた。
姫「でりゃああぁ――っ!!」
魔王「――フッ」
魔王の爪が剣を受け止める。
だがここで再び魔王との距離を空けてはいけない。怯まずに攻撃を放ち続ける。
魔王は私の連続攻撃を的確に受け止める。それもわずかな時間に私の攻撃のペースに慣れ、合間に爪で攻撃を仕掛けてきた。
だが私もこれを受け止め、結果攻防は互角。
それでも相手は魔王、どんな秘策を持っているかわからない。
魔王「覇あぁ!」
やはり、来た――!
剣と爪の攻防から不意打ちのように放たれた魔力を、私は軽くかわす。これは想定内の攻撃。
だがその間に魔王は後ろへ跳び、私との距離を空けた。近距離でしか攻撃できない私と戦うのには、的確な位置取りだ。
と思ったが――
姫「…?」
魔王の額に脂汗が浮かんでいる。よく見れば魔王はわずかに息を乱していた。
確かに魔法攻撃に比べれば直接攻撃は体力を消耗しやすい…だが、こんなわずかな攻防で?
138: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/29(木) 18:02:13.53 ID:z37KP4GX0
そしてやはり、違和感はまだあった。
魔王「覇っ!」
再び放たれた魔法攻撃だが、先ほどよりは回避が容易くなった。
私の動きがさっきより上がった…わけがない。
姫(魔王の動きが落ちている…?)
疑問を浮かべながら、再び魔王との距離を詰める。
魔王は私の攻撃に食らいついてくる。だが、さっきより手応えがない…?
それからまたさっきと同じく、魔法攻撃が放たれた。これも回避。
私は魔王の顔色を注視する。
魔王「ハァ、ハァ…」
姫(…そういうことか)
魔王「覇っ!」
再び放たれた魔法攻撃だが、先ほどよりは回避が容易くなった。
私の動きがさっきより上がった…わけがない。
姫(魔王の動きが落ちている…?)
疑問を浮かべながら、再び魔王との距離を詰める。
魔王は私の攻撃に食らいついてくる。だが、さっきより手応えがない…?
それからまたさっきと同じく、魔法攻撃が放たれた。これも回避。
私は魔王の顔色を注視する。
魔王「ハァ、ハァ…」
姫(…そういうことか)
139: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/29(木) 18:03:25.35 ID:z37KP4GX0
魔王は病み上がりで、やはりまだ本調子ではないのだろう。
それに飴売りの話では世継ぎ問題が起こっているとのこと…つまり、魔王もそれだけ高齢ということだ。
姫(つまり…)ダッ
さっきと同じ流れで魔王に接近する。
魔王はまだ私の攻撃に食らいついてくる。だが、それも時間の問題。
そして私は、その隙を見逃さなかった。
姫「はぁっ!」
魔王「…っ!!」
一瞬の隙。
魔王「グ…」
魔王の喉元ギリギリで止まる剣先。
私は一瞬の隙で、魔王との形勢逆転に成功した。
姫「戦闘を長引かせるって手段もあったけれど――」
この魔王は長時間戦えない。段々落ちていく動きを見て確信した。
戦闘を長引かせれば、魔王に勝ち目はほぼ無くなる。
だが、あえてその手段は取らなかった。
姫「決着方法がスタミナ切れだなんて、情けないだろう」
魔王「まさか貴様に配慮されるとはな…!」
喉元に剣を当てられながらも、魔王は堂々とした態度を崩さなかった。
それに飴売りの話では世継ぎ問題が起こっているとのこと…つまり、魔王もそれだけ高齢ということだ。
姫(つまり…)ダッ
さっきと同じ流れで魔王に接近する。
魔王はまだ私の攻撃に食らいついてくる。だが、それも時間の問題。
そして私は、その隙を見逃さなかった。
姫「はぁっ!」
魔王「…っ!!」
一瞬の隙。
魔王「グ…」
魔王の喉元ギリギリで止まる剣先。
私は一瞬の隙で、魔王との形勢逆転に成功した。
姫「戦闘を長引かせるって手段もあったけれど――」
この魔王は長時間戦えない。段々落ちていく動きを見て確信した。
戦闘を長引かせれば、魔王に勝ち目はほぼ無くなる。
だが、あえてその手段は取らなかった。
姫「決着方法がスタミナ切れだなんて、情けないだろう」
魔王「まさか貴様に配慮されるとはな…!」
喉元に剣を当てられながらも、魔王は堂々とした態度を崩さなかった。
140: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/29(木) 18:04:00.46 ID:z37KP4GX0
姫「制圧していた国を解放し、もう人間達に危害を加えないと誓うんだ――そうすれば命は奪わない」
この魔王は人間達の国を制圧してきたとはいえ、無闇な殺戮も行わなかったし、一般の弱い人々に手は出さなかった。
戦争と考えれば、その手法はそれなりに真っ当だったと思う。
それに魔王は、飴売りの父親だ。
だが。
魔王「我に命乞いしろと?馬鹿を言うな」
魔王は私の提案を一蹴した。
魔王「命を惜しみ平和な世に身を委ねるのは、我にとって生き地獄でしかない」
姫「…後悔はないな?」
魔王「命のやり取りに質問を挟むな。興が冷める」
姫「そうか…」
敵ながら、私の中に彼への敬意が芽生える。
魔王はきっと全盛期の力を失っていた。戦闘の相手としては、仮面をつけた飴売りの放が手強かった位だ。
だがそれでも――魔王は、魔王だった。
姫「…っ」
ズバッという音が、戦いの終わりを告げた。
最後の最後まで、魔王は威厳を崩すことはなかった。
この魔王は人間達の国を制圧してきたとはいえ、無闇な殺戮も行わなかったし、一般の弱い人々に手は出さなかった。
戦争と考えれば、その手法はそれなりに真っ当だったと思う。
それに魔王は、飴売りの父親だ。
だが。
魔王「我に命乞いしろと?馬鹿を言うな」
魔王は私の提案を一蹴した。
魔王「命を惜しみ平和な世に身を委ねるのは、我にとって生き地獄でしかない」
姫「…後悔はないな?」
魔王「命のやり取りに質問を挟むな。興が冷める」
姫「そうか…」
敵ながら、私の中に彼への敬意が芽生える。
魔王はきっと全盛期の力を失っていた。戦闘の相手としては、仮面をつけた飴売りの放が手強かった位だ。
だがそれでも――魔王は、魔王だった。
姫「…っ」
ズバッという音が、戦いの終わりを告げた。
最後の最後まで、魔王は威厳を崩すことはなかった。
141: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/29(木) 18:04:35.45 ID:z37KP4GX0
>城外
姫「さて…」
私は魔王を倒した証として、彼の角を手に魔王城から脱していた。
周囲に誰もいないことを確認し、笛を鳴らす。
獣人「お待たせ致しました」
少しして、獣人が現れた。
わずかに傷を負ってはいるが、大丈夫そうでほっとした。
私は獣人に魔王の角を見せる。
獣人「魔王を討ちましたか…」
姫「でもまだ魔王軍の残党は大分残っているでしょう」
獣人「そうですね。残党刈りといきたい所ですが、今日の所は引き返しましょう」
姫「そうね」
もう私にも獣人にも、戦う余力は残されていない。
まずは城に帰り、魔王討伐を報告せねば。
姫「…飴売りは大丈夫かしら」
重傷を負った飴売りが心残りだったが、まさか城に戻って彼の容態を確認するわけにもいかない。
獣人「魔王には魔王子と、その兄の兄王子、2人の息子がいます。世継ぎの問題もありますし、いずれ情報は入ってくるかと」
姫「そうね…」
遠く離れた自国で報せを待つしかないなんて…それが口惜しかったが、他に方法も見つからなかった。
獣人「さぁ、戻りましょう」
姫「えぇ」
こうして私達は、自国への帰路を歩むことにした。
姫「さて…」
私は魔王を倒した証として、彼の角を手に魔王城から脱していた。
周囲に誰もいないことを確認し、笛を鳴らす。
獣人「お待たせ致しました」
少しして、獣人が現れた。
わずかに傷を負ってはいるが、大丈夫そうでほっとした。
私は獣人に魔王の角を見せる。
獣人「魔王を討ちましたか…」
姫「でもまだ魔王軍の残党は大分残っているでしょう」
獣人「そうですね。残党刈りといきたい所ですが、今日の所は引き返しましょう」
姫「そうね」
もう私にも獣人にも、戦う余力は残されていない。
まずは城に帰り、魔王討伐を報告せねば。
姫「…飴売りは大丈夫かしら」
重傷を負った飴売りが心残りだったが、まさか城に戻って彼の容態を確認するわけにもいかない。
獣人「魔王には魔王子と、その兄の兄王子、2人の息子がいます。世継ぎの問題もありますし、いずれ情報は入ってくるかと」
姫「そうね…」
遠く離れた自国で報せを待つしかないなんて…それが口惜しかったが、他に方法も見つからなかった。
獣人「さぁ、戻りましょう」
姫「えぇ」
こうして私達は、自国への帰路を歩むことにした。
142: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/29(木) 18:05:05.15 ID:z37KP4GX0
そして、その帰路の途中だった。
翼人「失礼」
飴売りの側近だった翼人が、私達の元を訪れたのは。
翼人「失礼」
飴売りの側近だった翼人が、私達の元を訪れたのは。
143: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/29(木) 18:06:10.39 ID:z37KP4GX0
>魔王城
魔王子「…」
姫にやられてからどれくらい時間が経っただろうか――ずっとベッドに伏せている魔王子には、時間の感覚がわからない。
幸いにも一命をとりとめた彼は目覚めて早々、父が討たれたことを知った。
体を壊して弱っていた父だったが、あれは命乞いするような性格じゃない――だから戦いで死んだと聞いても、父らしいと思えた。
魔王子にとっての心労は、その後だった。
兄王子「魔王子、無様にやられた上、敵に情けをかけられたようだな」
病室を訪れた兄王子は皮肉たっぷりに魔王子に言い放った。
言われても仕方ない。想い人第一優先に単独で突っ走った結果敗北し、父を討たれてしまった。魔王子にとって、これ以上ない失態だ。
だが兄王子は魔王子を責める代わりに、にやにやしながら彼の仮面を奪うように手に取った。
兄王子「父上がやられたことが早くも各地に広まり、今色々ゴタついている。次の魔王だが――」
魔王子「兄上が相応しいでしょう」
兄王子はその返答に、満足そうな笑みを浮かべた。
魔王子の仮面が彼の手元にある今、魔王子が彼に逆らうことなどできない――元々魔王になる気もなかったが。
兄王子「まぁ今は余計なことは考えず、お前はゆっくり療養しろ」
魔王子「はい…」
嫌な予感を抱きつつ、黙って兄を見送るしかできなかった。
そしてその日の内に、魔王子は療養部屋の移動を命じられた。
そこは魔王城の地下にある、囚人の軟禁場所だった。
魔王子「…」
姫にやられてからどれくらい時間が経っただろうか――ずっとベッドに伏せている魔王子には、時間の感覚がわからない。
幸いにも一命をとりとめた彼は目覚めて早々、父が討たれたことを知った。
体を壊して弱っていた父だったが、あれは命乞いするような性格じゃない――だから戦いで死んだと聞いても、父らしいと思えた。
魔王子にとっての心労は、その後だった。
兄王子「魔王子、無様にやられた上、敵に情けをかけられたようだな」
病室を訪れた兄王子は皮肉たっぷりに魔王子に言い放った。
言われても仕方ない。想い人第一優先に単独で突っ走った結果敗北し、父を討たれてしまった。魔王子にとって、これ以上ない失態だ。
だが兄王子は魔王子を責める代わりに、にやにやしながら彼の仮面を奪うように手に取った。
兄王子「父上がやられたことが早くも各地に広まり、今色々ゴタついている。次の魔王だが――」
魔王子「兄上が相応しいでしょう」
兄王子はその返答に、満足そうな笑みを浮かべた。
魔王子の仮面が彼の手元にある今、魔王子が彼に逆らうことなどできない――元々魔王になる気もなかったが。
兄王子「まぁ今は余計なことは考えず、お前はゆっくり療養しろ」
魔王子「はい…」
嫌な予感を抱きつつ、黙って兄を見送るしかできなかった。
そしてその日の内に、魔王子は療養部屋の移動を命じられた。
そこは魔王城の地下にある、囚人の軟禁場所だった。
144: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/29(木) 18:06:41.46 ID:z37KP4GX0
暗く、肌寒く、不潔なその部屋の居心地は最悪だった。
魔王子(まぁ、殺されるよりはマシか…)
どうせ怪我でろくに動けない自分には関係ない。
部屋の外には見張りを建てられ、囚人に食わせるような粗末な飯を与えられても、憤りを感じる気力すらなかった。
自分はどこまでも無力だ。
得たいと思ったものは何一つ得られず、守りたいものは守れなかった。
そして現状がこれ。もはや兄の手先となって動くことすら期待されていない。
いや、むしろ自分は邪魔者なのだ。殺されないでいてくれるのは、兄に兄弟の情がわずかにあるからか。
魔王子(もう…何か疲れた)
無力感で脱力する。時間の感覚を忘れる程、長くベッドに臥床していた。
それでも色んな欲求は消えないようで、やりたいことは自然と頭に浮かぶ。
飴売りの行商に行きたい。商売を通じて出会う人々の笑顔に触れたかった。
他の商売をするのもいい。飲み屋なんて、笑顔が溢れていて楽しいかもしれない。自分は酒は飲めないけど。
魔王子(それに…)
魔王子がこの世で1番尊敬している、想い人のことは、頭を片時も離れなかった。
魔王子(会いたいなぁ…姫さんに)
自分は地位を失った王子で、相手は国にこき使われている姫。
もう、会うことはできないかもしれない。
魔王子(せめて幸せになって欲しいな、姫さんには…)
命懸けで戦ったのに王子に名声を奪われる哀れな姫に、心の底から幸せを願った。
例え将来を共にする相手が、自分でないとしても――
魔王子(…でも、すげー悲しいや)
魔王子(まぁ、殺されるよりはマシか…)
どうせ怪我でろくに動けない自分には関係ない。
部屋の外には見張りを建てられ、囚人に食わせるような粗末な飯を与えられても、憤りを感じる気力すらなかった。
自分はどこまでも無力だ。
得たいと思ったものは何一つ得られず、守りたいものは守れなかった。
そして現状がこれ。もはや兄の手先となって動くことすら期待されていない。
いや、むしろ自分は邪魔者なのだ。殺されないでいてくれるのは、兄に兄弟の情がわずかにあるからか。
魔王子(もう…何か疲れた)
無力感で脱力する。時間の感覚を忘れる程、長くベッドに臥床していた。
それでも色んな欲求は消えないようで、やりたいことは自然と頭に浮かぶ。
飴売りの行商に行きたい。商売を通じて出会う人々の笑顔に触れたかった。
他の商売をするのもいい。飲み屋なんて、笑顔が溢れていて楽しいかもしれない。自分は酒は飲めないけど。
魔王子(それに…)
魔王子がこの世で1番尊敬している、想い人のことは、頭を片時も離れなかった。
魔王子(会いたいなぁ…姫さんに)
自分は地位を失った王子で、相手は国にこき使われている姫。
もう、会うことはできないかもしれない。
魔王子(せめて幸せになって欲しいな、姫さんには…)
命懸けで戦ったのに王子に名声を奪われる哀れな姫に、心の底から幸せを願った。
例え将来を共にする相手が、自分でないとしても――
魔王子(…でも、すげー悲しいや)
149: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/30(金) 16:35:12.92 ID:Fl0Abt9F0
最悪な環境に身を置いているせいか、魔王子は弱っていった。
ベッド上で寝て起きてを繰り返し、いつの間にか部屋の入り口に置かれている冷めた食事も、食欲がわかずろくに摂っていない。
体感では、もう軟禁されてから何ヶ月も経ったような気もする。
夢は見た。楽しい夢もあったが、ここで過ごしている夢も見た。
それで記憶の混合が起こる。さっきの記憶は夢だったのか、現実だったのか。
刺激もなく変化のない陰気臭い部屋にずっと孤独でいる…そりゃあ狂うな、と納得する。
自分が狂っていく感覚、それは仮面をつけた時にいつも感じていた。
もっとも狂っている最中は狂っているので、いつも後で恐怖心を覚えたのだが。
今もきっと自分は狂っているのだろうが、いまいち実感が沸かない。もしかしてここで狂ったまま、死ぬのかもしれない。
けど現状を覆す気力もわかない。そして衰弱していく。その悪循環は止まらない。
魔王子(殺された方が、楽だったかな…)
その時、コツ、コツと音がした。これは――部屋の外、誰かの足音だ。
刺激のないこの空間では、ちょっとした物音がよく通る。
誰かが食事を持ってきたかな…その程度に思った。
食事を持ってくる者はいつも自分を無視していくので、何の刺激にもならなかったが。
魔王子(…でも食べたくねーや)
給仕係と顔を合わせれば気まずい。そう思い、布団を被って寝たふりを決め込んだ。
「…」「…」
話し声がする。布団を被っているので内容までは聞こえないが…まぁ、自分には関係ないだろう。
声が止むと、扉がガチャと開いた。
「――」
魔王子「………え?」
遂に幻聴まで聞こえるようになったか――そう思った。
ベッド上で寝て起きてを繰り返し、いつの間にか部屋の入り口に置かれている冷めた食事も、食欲がわかずろくに摂っていない。
体感では、もう軟禁されてから何ヶ月も経ったような気もする。
夢は見た。楽しい夢もあったが、ここで過ごしている夢も見た。
それで記憶の混合が起こる。さっきの記憶は夢だったのか、現実だったのか。
刺激もなく変化のない陰気臭い部屋にずっと孤独でいる…そりゃあ狂うな、と納得する。
自分が狂っていく感覚、それは仮面をつけた時にいつも感じていた。
もっとも狂っている最中は狂っているので、いつも後で恐怖心を覚えたのだが。
今もきっと自分は狂っているのだろうが、いまいち実感が沸かない。もしかしてここで狂ったまま、死ぬのかもしれない。
けど現状を覆す気力もわかない。そして衰弱していく。その悪循環は止まらない。
魔王子(殺された方が、楽だったかな…)
その時、コツ、コツと音がした。これは――部屋の外、誰かの足音だ。
刺激のないこの空間では、ちょっとした物音がよく通る。
誰かが食事を持ってきたかな…その程度に思った。
食事を持ってくる者はいつも自分を無視していくので、何の刺激にもならなかったが。
魔王子(…でも食べたくねーや)
給仕係と顔を合わせれば気まずい。そう思い、布団を被って寝たふりを決め込んだ。
「…」「…」
話し声がする。布団を被っているので内容までは聞こえないが…まぁ、自分には関係ないだろう。
声が止むと、扉がガチャと開いた。
「――」
魔王子「………え?」
遂に幻聴まで聞こえるようになったか――そう思った。
150: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/30(金) 16:35:40.47 ID:Fl0Abt9F0
話は日を遡る――
私は帰路で宿泊を挟みながらも、魔王討伐2日後に自国の領地に足を踏み入れた。
目立たないように行動しているが、各地で魔王討伐の話は既に広まっていた。
耳に入るのは「王子」を讃える声ばかり。きっと城下町では人々が王子を出迎える為、集っているのだろう。
獣人には一足先に城へ戻らせた。
彼といると目立つのも理由だが、今は1人の方が都合がいい。
姫「…見えてきた」
城下町は遠目で見ても賑わっていた。
皆王子の勇姿を讃え、騒ぎ、平和を喜んでいるのだろう。
「あっ、王子様だ!」
誰かが叫ぶと、場の視線が私に集中した。
皆は私が行く先、城までの道をさっと空ける。それでも歓声を届けようと大声が響いた。
「おめでとうございます王子様!」
「貴方は全世界の英雄です!」
「王子様、ありがとうございました!」
人々の歓声を浴びる私を、城のベランダから王子が見ている。
この歓声はすぐに彼へのものに変わる――彼はそれを、待ちわびている。
私は国の皆に手を振りながら城に戻り、王に魔王討伐の報告をする。
そして王子と入れ替わり、王子は英雄として君臨することになる。
私は王子の陰の存在に戻り、再び王子の為尽くすこととなる。
それが私と王子の役割だった――
今までは。
私は帰路で宿泊を挟みながらも、魔王討伐2日後に自国の領地に足を踏み入れた。
目立たないように行動しているが、各地で魔王討伐の話は既に広まっていた。
耳に入るのは「王子」を讃える声ばかり。きっと城下町では人々が王子を出迎える為、集っているのだろう。
獣人には一足先に城へ戻らせた。
彼といると目立つのも理由だが、今は1人の方が都合がいい。
姫「…見えてきた」
城下町は遠目で見ても賑わっていた。
皆王子の勇姿を讃え、騒ぎ、平和を喜んでいるのだろう。
「あっ、王子様だ!」
誰かが叫ぶと、場の視線が私に集中した。
皆は私が行く先、城までの道をさっと空ける。それでも歓声を届けようと大声が響いた。
「おめでとうございます王子様!」
「貴方は全世界の英雄です!」
「王子様、ありがとうございました!」
人々の歓声を浴びる私を、城のベランダから王子が見ている。
この歓声はすぐに彼へのものに変わる――彼はそれを、待ちわびている。
私は国の皆に手を振りながら城に戻り、王に魔王討伐の報告をする。
そして王子と入れ替わり、王子は英雄として君臨することになる。
私は王子の陰の存在に戻り、再び王子の為尽くすこととなる。
それが私と王子の役割だった――
今までは。
151: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/30(金) 16:36:06.89 ID:Fl0Abt9F0
私は人々の中心まで行くと、ぴたりと足を止めた。
城のベランダから私の帰還を見ていた王子は訝しげな顔をする。
姫「…皆さん!」
私が声をあげると、人々の声が静まった。
皆私の言葉を待っている。一気に上がった場の緊張感に、私の足は震えそうになる。
こんなことをしてはいけない…そういう思いがありながら、止めることはできない。そんな妙な罪悪感に興奮し、私の体は熱くなる。
視線の先にいる王子――彼も何をするのか、理解できていないだろう。
私は心の中で、彼に言葉をかけた。
ごめんなさい――
姫「私は――」
私は束ねていた髪をほどき、高らかに言った。
姫「私は――姫です!!」
場の空気は、一気にざわついた。
城のベランダから私の帰還を見ていた王子は訝しげな顔をする。
姫「…皆さん!」
私が声をあげると、人々の声が静まった。
皆私の言葉を待っている。一気に上がった場の緊張感に、私の足は震えそうになる。
こんなことをしてはいけない…そういう思いがありながら、止めることはできない。そんな妙な罪悪感に興奮し、私の体は熱くなる。
視線の先にいる王子――彼も何をするのか、理解できていないだろう。
私は心の中で、彼に言葉をかけた。
ごめんなさい――
姫「私は――」
私は束ねていた髪をほどき、高らかに言った。
姫「私は――姫です!!」
場の空気は、一気にざわついた。
152: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/30(金) 16:36:50.16 ID:Fl0Abt9F0
周囲は混乱している。
私と、ベランダにいる王子を交互に見ている人達もいる。
王子は――信じられないといった表情で、光景を見ていた。
姫「私と王子は、たまに入れ替わりをしていました」
声を姫のものに戻し、私は早口で説明をする。
姫「私は世継ぎである王子の代わりに危険を背負い、王子が英雄となる為に戦ってきました…魔王を討ち取ったのも、私です!」
私は魔王の角を高く掲げた。
ざわめきは大きくなるばかり。人々はまだ信じられないといった様子だ。それは仕方ない、今まで希望を寄せていた王子への信頼は、そう簡単には崩れないだろう。
そう、皆に信じさせるのは簡単なことではない――
現状のままなら。
王子「で、でたらめを!」
来た。
王子は慌てて着替えてきたのか、王子の格好でやってきた。
黙っていられなくなったのだろう――予想通り。
王子「皆!これは違うんだ!これには複雑な理由があって…」
姫「では王子」
私は王子の言葉を強引に遮った。
姫「魔王を討ったのは、貴方ですか?」
王子「そうだ!」
姫「貴方の戦歴は全て、貴方のものですか?」
王子「そうだ!」
姫「なら――貴方は私より、強いんですね?」
王子「――っ!?」
王子の顔が一気に歪んだ。
私と、ベランダにいる王子を交互に見ている人達もいる。
王子は――信じられないといった表情で、光景を見ていた。
姫「私と王子は、たまに入れ替わりをしていました」
声を姫のものに戻し、私は早口で説明をする。
姫「私は世継ぎである王子の代わりに危険を背負い、王子が英雄となる為に戦ってきました…魔王を討ち取ったのも、私です!」
私は魔王の角を高く掲げた。
ざわめきは大きくなるばかり。人々はまだ信じられないといった様子だ。それは仕方ない、今まで希望を寄せていた王子への信頼は、そう簡単には崩れないだろう。
そう、皆に信じさせるのは簡単なことではない――
現状のままなら。
王子「で、でたらめを!」
来た。
王子は慌てて着替えてきたのか、王子の格好でやってきた。
黙っていられなくなったのだろう――予想通り。
王子「皆!これは違うんだ!これには複雑な理由があって…」
姫「では王子」
私は王子の言葉を強引に遮った。
姫「魔王を討ったのは、貴方ですか?」
王子「そうだ!」
姫「貴方の戦歴は全て、貴方のものですか?」
王子「そうだ!」
姫「なら――貴方は私より、強いんですね?」
王子「――っ!?」
王子の顔が一気に歪んだ。
153: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/30(金) 16:37:17.09 ID:Fl0Abt9F0
姫「なら、証明してみて下さい」
私は兵士の方に目をやった、事情を知らぬ兵士も、民衆達同様目を丸くしている。
姫「そこの貴方、王子に剣を貸して差し上げて」
兵「え…っ!?」
姫「私と王子が決闘してみます…王子が英雄だというなら、私に勝てるはずですね?」
王子「な、なななな…」
王子の顔がどんどん青ざめていった。そのわかりやすい様子に、人々もようやく王子に懐疑の目を向けた。
爽快だ――何だかそう思えた。今だ、やってしまったという興奮が私の心臓を高鳴らせている。
しかしもう、1度私についた火が止まらなかった。
姫「さぁ王子!戦いましょう!皆の前で!証明なさい!!」
王子「あ…ああぁ…」
王「そこまでだ」
お父様――国王がその場を諌めるように姿を現した。
人々は国王の登場に静まり返った。
王「…ご苦労だった。まずは城へ戻れ」
それだけ言うと、お父様は先に城へと戻っていった。その後を、王子が追いかける。
「何の説明もなしかよ…」
「でも、あの様子…まさか本当に…」
姫「…」
人々の間で色んな噂が飛び交っていた。私はそれで満足する。
そして私も、城へと戻っていった。
私は兵士の方に目をやった、事情を知らぬ兵士も、民衆達同様目を丸くしている。
姫「そこの貴方、王子に剣を貸して差し上げて」
兵「え…っ!?」
姫「私と王子が決闘してみます…王子が英雄だというなら、私に勝てるはずですね?」
王子「な、なななな…」
王子の顔がどんどん青ざめていった。そのわかりやすい様子に、人々もようやく王子に懐疑の目を向けた。
爽快だ――何だかそう思えた。今だ、やってしまったという興奮が私の心臓を高鳴らせている。
しかしもう、1度私についた火が止まらなかった。
姫「さぁ王子!戦いましょう!皆の前で!証明なさい!!」
王子「あ…ああぁ…」
王「そこまでだ」
お父様――国王がその場を諌めるように姿を現した。
人々は国王の登場に静まり返った。
王「…ご苦労だった。まずは城へ戻れ」
それだけ言うと、お父様は先に城へと戻っていった。その後を、王子が追いかける。
「何の説明もなしかよ…」
「でも、あの様子…まさか本当に…」
姫「…」
人々の間で色んな噂が飛び交っていた。私はそれで満足する。
そして私も、城へと戻っていった。
154: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/30(金) 16:37:47.60 ID:Fl0Abt9F0
王子「お前っ!!どういうことだ!?」
国王の間に戻った途端、王子が感情剥き出しで怒鳴ってきた。
王子だけではない。お父様もお母様も、私を鋭い眼光で睨みつけている。
王妃「…貴方は名声が欲しくなったと言うの?」
姫「そんな所です」
王子「お前…!!」
しれっと答えると、王子は私に掴みかかってきた。
姫「離して」
だが私は王子を冷たく突き放した。
王「…この国の世継ぎである王子を英雄にすることで、国民は王子を支持する…。指導者が支持されてこそ、国は安泰になるのだ。お前はそれをわかっているだろう?」
姫「勿論」
王妃「では何故」
姫「簡単な話です」
王子、お父様、お母様――その場にいた全員を見渡してから、私は言った。
姫「私にも、欲しいものができました」
王子「欲しいものだと…!?」
姫「はい」
元々欲しいと思うどころか、知らなかったもの――
だが1度それを知ってから、私はどうしても、それが欲しくなってしまった。
姫「欲しいものを手に入れる為に、名声が必要なのです」
国王の間に戻った途端、王子が感情剥き出しで怒鳴ってきた。
王子だけではない。お父様もお母様も、私を鋭い眼光で睨みつけている。
王妃「…貴方は名声が欲しくなったと言うの?」
姫「そんな所です」
王子「お前…!!」
しれっと答えると、王子は私に掴みかかってきた。
姫「離して」
だが私は王子を冷たく突き放した。
王「…この国の世継ぎである王子を英雄にすることで、国民は王子を支持する…。指導者が支持されてこそ、国は安泰になるのだ。お前はそれをわかっているだろう?」
姫「勿論」
王妃「では何故」
姫「簡単な話です」
王子、お父様、お母様――その場にいた全員を見渡してから、私は言った。
姫「私にも、欲しいものができました」
王子「欲しいものだと…!?」
姫「はい」
元々欲しいと思うどころか、知らなかったもの――
だが1度それを知ってから、私はどうしても、それが欲しくなってしまった。
姫「欲しいものを手に入れる為に、名声が必要なのです」
155: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/30(金) 16:38:17.57 ID:Fl0Abt9F0
>魔王城
兄王子「ほぉ…父上を討ったのは王子ではなく姫だと?」
側近「人間達の間で、そのような話が広まっております」
兄王子「そうか…まぁいい、王子だろうが姫だろうが、人間どもの希望を討たないとな」
魔王が討たれたという報せは人間達を決起させ、制圧した国々で反乱が起こった。
その鎮圧に手間取り、王子のいる弱小国へ攻め入るのが遅れてしまった。
兄王子「だが奴を放置していては人間がますますつけあがるな…!!奴の国へ攻め入るぞ!!」
「その必要はないわ」
兄王子「――!?」
兄王子「ほぉ…父上を討ったのは王子ではなく姫だと?」
側近「人間達の間で、そのような話が広まっております」
兄王子「そうか…まぁいい、王子だろうが姫だろうが、人間どもの希望を討たないとな」
魔王が討たれたという報せは人間達を決起させ、制圧した国々で反乱が起こった。
その鎮圧に手間取り、王子のいる弱小国へ攻め入るのが遅れてしまった。
兄王子「だが奴を放置していては人間がますますつけあがるな…!!奴の国へ攻め入るぞ!!」
「その必要はないわ」
兄王子「――!?」
156: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/30(金) 16:39:16.31 ID:Fl0Abt9F0
>そして…
「――」
魔王子「………え?」
遂に幻聴まで聞こえるようになったか――そう思った。
そう思った魔王子は幻聴を無視し、再び寝入ろうとしたが…。
「寝てるんじゃありません!」
魔王子「!?」
ガバッと布団を剥ぎ取られた。
そして目を疑った…幻覚か、それとも夢か。
魔王子「姫…さん?」
姫「他に、誰だというんですか」
懐かしい想い人がそこに立っていた。
これは幻か――確かめようとして起き上がると、頭がフラッとした。
魔王子「…っ」
姫「…大分、弱っているようですね」
魔王子「…姫さん」
倒れそうになった魔王子を姫が支える。
この感触は幻覚ではない、本物だ――そう思うと涙が出そうになった。
魔王子「姫さ~ん…」
姫「よしよし、もう大丈夫ですよ。さてと」
魔王子「…うわ!?」
姫は魔王子の体を抱え上げた。
これは…俗に言う、お姫様だっこ?
魔王子「ひ、ひ、姫さん…」
姫「もう安心して下さい…私が助けに来ましたから」
魔王子「は、はい…?」
「――」
魔王子「………え?」
遂に幻聴まで聞こえるようになったか――そう思った。
そう思った魔王子は幻聴を無視し、再び寝入ろうとしたが…。
「寝てるんじゃありません!」
魔王子「!?」
ガバッと布団を剥ぎ取られた。
そして目を疑った…幻覚か、それとも夢か。
魔王子「姫…さん?」
姫「他に、誰だというんですか」
懐かしい想い人がそこに立っていた。
これは幻か――確かめようとして起き上がると、頭がフラッとした。
魔王子「…っ」
姫「…大分、弱っているようですね」
魔王子「…姫さん」
倒れそうになった魔王子を姫が支える。
この感触は幻覚ではない、本物だ――そう思うと涙が出そうになった。
魔王子「姫さ~ん…」
姫「よしよし、もう大丈夫ですよ。さてと」
魔王子「…うわ!?」
姫は魔王子の体を抱え上げた。
これは…俗に言う、お姫様だっこ?
魔王子「ひ、ひ、姫さん…」
姫「もう安心して下さい…私が助けに来ましたから」
魔王子「は、はい…?」
157: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/30(金) 16:39:45.46 ID:Fl0Abt9F0
姫「魔王城からの帰り道、翼人に聞いたんです」
翼人『魔王子様の兄である兄王子様が、弱っている魔王子様を軟禁されました。このままでは魔王子様が――』
姫「だから私、再び魔王城に攻め入りました」
姫「今度は数多くの魔物を相手しなければならないので、私と獣人だけではなく、各国の兵力も借りて攻め入ったんです」
姫「それには私自身に、各国に助力を要請できるだけの名声が必要…」
姫「飴売り、貴方を助ける為に私、大変なことをしたんですよ」
魔王子「えーと…?」
駄目だ。栄養の回っていない頭では理解が追いつかない。
だがさっきから思っていた。
俺を助けに来ただの、このお姫様だっこだの…
魔王子「ちょい、姫さん、逆、逆っ!」
姫「何がです?」
キョトンとする姫を前に、今までのことを一気に思い出した。
翼人『魔王子様の兄である兄王子様が、弱っている魔王子様を軟禁されました。このままでは魔王子様が――』
姫「だから私、再び魔王城に攻め入りました」
姫「今度は数多くの魔物を相手しなければならないので、私と獣人だけではなく、各国の兵力も借りて攻め入ったんです」
姫「それには私自身に、各国に助力を要請できるだけの名声が必要…」
姫「飴売り、貴方を助ける為に私、大変なことをしたんですよ」
魔王子「えーと…?」
駄目だ。栄養の回っていない頭では理解が追いつかない。
だがさっきから思っていた。
俺を助けに来ただの、このお姫様だっこだの…
魔王子「ちょい、姫さん、逆、逆っ!」
姫「何がです?」
キョトンとする姫を前に、今までのことを一気に思い出した。
158: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/30(金) 16:40:11.63 ID:Fl0Abt9F0
魔王子「お、俺が王子を倒して、皆に認められて!そ、それで、姫さんを嫁さんにしようとしてたのに!!」
姫「あら、そんな計画が」
魔王子「これじゃ、逆、逆!」
姫「…あぁ!」
迎えられるはずの姫が魔王を倒し、名声を得て、自分は助けてもらう…これじゃあまるで。
魔王子「俺がお姫様役じゃんよ!?」
姫「まぁ、いいんじゃないですか」
姫はあっけらかんと言った。
姫「私、王子でもありましたし」
魔王子「…」
魔王子「いやいやいや良くない良くない!」
一瞬納得しかけてしまった。危ない危ない。
魔王子「自分で歩くから!下ろして、な、な!?」
姫「大丈夫なんですか?」
魔王子「へーきへーき!だってさ!」
魔王子は地面に降りると、満面の笑みを浮かべた。
魔王子「姫さんといるんだから、元気に決まってんじゃん!」
姫「…ふふっ、そうですか」
姫「あら、そんな計画が」
魔王子「これじゃ、逆、逆!」
姫「…あぁ!」
迎えられるはずの姫が魔王を倒し、名声を得て、自分は助けてもらう…これじゃあまるで。
魔王子「俺がお姫様役じゃんよ!?」
姫「まぁ、いいんじゃないですか」
姫はあっけらかんと言った。
姫「私、王子でもありましたし」
魔王子「…」
魔王子「いやいやいや良くない良くない!」
一瞬納得しかけてしまった。危ない危ない。
魔王子「自分で歩くから!下ろして、な、な!?」
姫「大丈夫なんですか?」
魔王子「へーきへーき!だってさ!」
魔王子は地面に降りると、満面の笑みを浮かべた。
魔王子「姫さんといるんだから、元気に決まってんじゃん!」
姫「…ふふっ、そうですか」
159: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/30(金) 16:40:37.44 ID:Fl0Abt9F0
兄王子は姫に殺されそうになった際あっさり命乞いをし、
姫「もう人間には手を出さないで」
兄王子「は、はい…」
制圧国は解放され、魔物達との戦いは終わりを告げた。
獣人「…本当に魔王城に戻るのか」
翼人「あぁ…私は魔王軍の者、お前のように人間達にとけ込めないさ」
獣人「…1つ聞かせてくれ。何であの時、魔王子の解放を姫様に頼んだ?」
翼人「姫君なら魔王子様を救い、守って下さる…そう思ったからだ」
獣人「なるほど…自分の主人を第一に考えてのことか」
翼人「こちらからも聞いていいか。姫の従者として、お前は現状をどう思う」
獣人「…俺は頭の悪い獣。国のことを考えろと言われてもわからん。だが…」
翼人「だが?」
獣人「姫様が笑顔でいらっしゃるなら…それでいい」
翼人「…そうだな」フッ
姫「もう人間には手を出さないで」
兄王子「は、はい…」
制圧国は解放され、魔物達との戦いは終わりを告げた。
獣人「…本当に魔王城に戻るのか」
翼人「あぁ…私は魔王軍の者、お前のように人間達にとけ込めないさ」
獣人「…1つ聞かせてくれ。何であの時、魔王子の解放を姫様に頼んだ?」
翼人「姫君なら魔王子様を救い、守って下さる…そう思ったからだ」
獣人「なるほど…自分の主人を第一に考えてのことか」
翼人「こちらからも聞いていいか。姫の従者として、お前は現状をどう思う」
獣人「…俺は頭の悪い獣。国のことを考えろと言われてもわからん。だが…」
翼人「だが?」
獣人「姫様が笑顔でいらっしゃるなら…それでいい」
翼人「…そうだな」フッ
160: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/30(金) 16:41:07.20 ID:Fl0Abt9F0
>城下町
飴売り「らっしゃーい」
「あ、噂のイケメン飴屋さんてお兄さんでしょ?女子の間じゃ評判よ~」
飴売り「おっ、マジでー?そいつぁー嬉しいねぇ」
「お兄さんってお姫様と仲良いのよね~」
「ねぇねぇ、もしかして恋人とかぁ?」
飴売り「そうそう、もうラブラブのアツアツのイチャイチャの…」
姫「だ・れ・が!」ギュウゥゥ
飴売り「あだだだだだだ。い、いたのー姫さん…」
姫「全く、デタラメばっかり言って…フン」
飴売り「全くもう…照れちゃって♪」
姫「…切る」ダッ
飴売り「うわー!タイムタイム!」ダッ
「まーたやってるよ、あの夫婦漫才は」
「白昼堂々イチャイチャして~全く」
飴売り「らっしゃーい」
「あ、噂のイケメン飴屋さんてお兄さんでしょ?女子の間じゃ評判よ~」
飴売り「おっ、マジでー?そいつぁー嬉しいねぇ」
「お兄さんってお姫様と仲良いのよね~」
「ねぇねぇ、もしかして恋人とかぁ?」
飴売り「そうそう、もうラブラブのアツアツのイチャイチャの…」
姫「だ・れ・が!」ギュウゥゥ
飴売り「あだだだだだだ。い、いたのー姫さん…」
姫「全く、デタラメばっかり言って…フン」
飴売り「全くもう…照れちゃって♪」
姫「…切る」ダッ
飴売り「うわー!タイムタイム!」ダッ
「まーたやってるよ、あの夫婦漫才は」
「白昼堂々イチャイチャして~全く」
161: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/30(金) 16:41:49.08 ID:Fl0Abt9F0
飴売り「ゼェーゼェー…。あぁ、久々の全力疾走はバテる…」
姫「か弱いですからねぇ、飴売り姫様は」
飴売り「ぐぎぎ…その呼び名やめーや」
姫「ふふふ。あ、飴売ってもらえる?王子への差し入れに」
飴売り「ハイヨ。頑張ってるの王子は?」
姫「えぇ。私には負けたくないんですって」
英雄ではなくなった王子は、国民からの支持を回復させる為に勉強と剣に精を出している。
あれで王子は元々どちらの筋も悪くない。これで人間性さえ矯正できれば…。
飴売り「王子が将来の王になれる可能性は、まだゼロじゃないわけだ」
姫「魔王との争いがない時代なら、武力だけが王になる決め手になり得ないでしょうし。私は王になりたくないので、頑張って頂きたい所です」
飴売り「…何か悪いな王子に。俺を助ける為に突き落とされたようなもんじゃん」
姫「でも、あのまま王子が王に即位していれば、きっと王子は暴君になっていたと思います。だから良かったんですよ、あれで」
飴売り「そっか…ま、姫さんも王子として頑張ってたわけだし、王子も姫さんに追いつかないとな」
姫「父はまだまだ現役ですから、将来がどうなるかはわかりませんね」
飴売り「だよなぁ…。なぁ姫さん」
姫「何です?」
飴売り「俺は嬉しいよ、姫さんが皆に認められるようになってさ」
飴売りは屈託のない笑顔を浮かべる。
その笑顔に、私も自然と笑顔を返した。
姫「…ありがとう」
姫「か弱いですからねぇ、飴売り姫様は」
飴売り「ぐぎぎ…その呼び名やめーや」
姫「ふふふ。あ、飴売ってもらえる?王子への差し入れに」
飴売り「ハイヨ。頑張ってるの王子は?」
姫「えぇ。私には負けたくないんですって」
英雄ではなくなった王子は、国民からの支持を回復させる為に勉強と剣に精を出している。
あれで王子は元々どちらの筋も悪くない。これで人間性さえ矯正できれば…。
飴売り「王子が将来の王になれる可能性は、まだゼロじゃないわけだ」
姫「魔王との争いがない時代なら、武力だけが王になる決め手になり得ないでしょうし。私は王になりたくないので、頑張って頂きたい所です」
飴売り「…何か悪いな王子に。俺を助ける為に突き落とされたようなもんじゃん」
姫「でも、あのまま王子が王に即位していれば、きっと王子は暴君になっていたと思います。だから良かったんですよ、あれで」
飴売り「そっか…ま、姫さんも王子として頑張ってたわけだし、王子も姫さんに追いつかないとな」
姫「父はまだまだ現役ですから、将来がどうなるかはわかりませんね」
飴売り「だよなぁ…。なぁ姫さん」
姫「何です?」
飴売り「俺は嬉しいよ、姫さんが皆に認められるようになってさ」
飴売りは屈託のない笑顔を浮かべる。
その笑顔に、私も自然と笑顔を返した。
姫「…ありがとう」
162: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/30(金) 16:42:14.28 ID:Fl0Abt9F0
飴売り「姫さんて最初の頃より素直になったよなぁ」
姫「そ、そう?」
指摘されて私は顔を引き締める。
その様子を見て飴売りは笑った。
飴売り「あーあ笑えば可愛いのにー。でも引き締まれば美人なんだよねー」ウンウン
姫「適当ですね」
飴売り「俺はどっちの姫さんも好き」
姫「…もう」
飴売り「なぁなぁ、姫さんはどっちの俺が好き?」
姫「どっちって、何と何を比べてですか」
飴売り「飴売りと、魔王子」
姫「私は飴売り姫様が1番かしらねー」
飴売り「くそおぉ、姫さんの方が強くて男前で俺、男としていいとこないじゃん」ブツブツ
姫「あら…知らないんですか?自分のいい所」
飴売り「あるの?教えて教え…」クルッ
姫「んっ―――」
飴売り「………へ?」
姫「そ、そう?」
指摘されて私は顔を引き締める。
その様子を見て飴売りは笑った。
飴売り「あーあ笑えば可愛いのにー。でも引き締まれば美人なんだよねー」ウンウン
姫「適当ですね」
飴売り「俺はどっちの姫さんも好き」
姫「…もう」
飴売り「なぁなぁ、姫さんはどっちの俺が好き?」
姫「どっちって、何と何を比べてですか」
飴売り「飴売りと、魔王子」
姫「私は飴売り姫様が1番かしらねー」
飴売り「くそおぉ、姫さんの方が強くて男前で俺、男としていいとこないじゃん」ブツブツ
姫「あら…知らないんですか?自分のいい所」
飴売り「あるの?教えて教え…」クルッ
姫「んっ―――」
飴売り「………へ?」
163: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/30(金) 16:42:49.12 ID:Fl0Abt9F0
飴売り「…今……ほっぺに……」
姫「そこ」
飴売り「…はい?」
姫「顔が面白い所」
飴売り「……」
飴売り「何じゃそりゃあああぁぁ!?」
姫「ふ、ふふ…」
飴売り「あーもう、姫さんに1本取られたあああぁぁ、悔しいぃーっ!!」
姫「ふふ、ふふふふ…ほんとだって…」
姫(だって私は、貴方の素直な所が――)
飴売り「もー、俺も剣の修行再開するわー!姫さんにゼッテー負けねー!!」
姫「じゃあ私に勝つまでお付き合いはお預けね」
飴売り「げ。か、勘弁願えませんかそれは~…」
姫「ふ、ふふふっ」
飴売り「うおっ、からかわれた!?」
貴方が本当の私をずっと見ていてくれたから、私は「姫」として素直に笑える――
姫「いいんですよ貴方は、そのままで」
私を変えてくれた彼。彼に望むことは、ただ1つ。
姫「ずっと笑っていて下さい――私の側で」
姫「そこ」
飴売り「…はい?」
姫「顔が面白い所」
飴売り「……」
飴売り「何じゃそりゃあああぁぁ!?」
姫「ふ、ふふ…」
飴売り「あーもう、姫さんに1本取られたあああぁぁ、悔しいぃーっ!!」
姫「ふふ、ふふふふ…ほんとだって…」
姫(だって私は、貴方の素直な所が――)
飴売り「もー、俺も剣の修行再開するわー!姫さんにゼッテー負けねー!!」
姫「じゃあ私に勝つまでお付き合いはお預けね」
飴売り「げ。か、勘弁願えませんかそれは~…」
姫「ふ、ふふふっ」
飴売り「うおっ、からかわれた!?」
貴方が本当の私をずっと見ていてくれたから、私は「姫」として素直に笑える――
姫「いいんですよ貴方は、そのままで」
私を変えてくれた彼。彼に望むことは、ただ1つ。
姫「ずっと笑っていて下さい――私の側で」
164: ◆WnJdwN8j0. 2015/01/30(金) 16:44:15.44 ID:Fl0Abt9F0
終わりって入れ忘れた!!Σ(゚д゚lll)
読んで下さりありがとうございました。
今作は姫と王子の入れ替わりや、飴売りと魔王子の入れ替わりがややこしくて苦労しました。
自分は強い男キャラと守られヒロインて関係が好きなんですが、今作は強さが姫>飴売りで、飴売りがヒロインみたくry
読んで下さりありがとうございました。
今作は姫と王子の入れ替わりや、飴売りと魔王子の入れ替わりがややこしくて苦労しました。
自分は強い男キャラと守られヒロインて関係が好きなんですが、今作は強さが姫>飴売りで、飴売りがヒロインみたくry
165: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/30(金) 17:10:57.10 ID:AJ2rwf7a0
乙
こういうの大好きだわ
こういうの大好きだわ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1421738533/
Entry ⇒ 2015.01.31 | Category ⇒ 魔王・勇者 | Comments (1)
ハルヒ「……キョン?」
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 20:07:46.20 ID:oe3bM6OH0
3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 20:09:13.76 ID:5jDJfcSrO
キョン「……」
キョン「…どこだ?ココは…」
キョン「…何だか凄く妙な感じだな」
キョン「……」
キョン「…やれやれ」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 20:12:41.52 ID:5jDJfcSrO
キョン「…うーん」
キョン「何だかよくわからんな」
キョン「頭に靄がかかってるみたいだ」
キョン「…頭?」
キョン「あー…」
キョン「何だ、本当に妙な感じだ」
キョン「……」
キョン「何だかよくわからんな」
キョン「頭に靄がかかってるみたいだ」
キョン「…頭?」
キョン「あー…」
キョン「何だ、本当に妙な感じだ」
キョン「……」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 20:16:30.31 ID:5jDJfcSrO
キョン「……」
キョン「長門か」
長門「そう」
キョン「簡潔に聞くがこれはどういう状況なんだ?」
キョン「さっき気が付いたばっかりで何が何だかわからん」
長門「あなたは既に人間ではない」
キョン「本当に簡潔だな」
キョン「長門か」
長門「そう」
キョン「簡潔に聞くがこれはどういう状況なんだ?」
キョン「さっき気が付いたばっかりで何が何だかわからん」
長門「あなたは既に人間ではない」
キョン「本当に簡潔だな」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 20:18:47.86 ID:5jDJfcSrO
キョン「何だか段々靄が薄らいできたみたいだ」
キョン「……」
キョン「ああ、成る程」
長門「そう」
長門「あなたは死んだ」
キョン「……」
キョン「ああ、成る程」
長門「そう」
長門「あなたは死んだ」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 20:21:10.64 ID:5jDJfcSrO
長門「あなたは涼宮ハルヒの存在する平面世界で死亡した」
長門「死因は事故死」
長門「北高への登校時、車に轢かれた」
長門「即死」
キョン「そういやそうだったな」
長門「そう」
長門「死因は事故死」
長門「北高への登校時、車に轢かれた」
長門「即死」
キョン「そういやそうだったな」
長門「そう」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 20:23:51.53 ID:5jDJfcSrO
長門「涼宮ハルヒは無意識下であなたの蘇生を願った」
長門「しかしその願望は実現しなかった」
長門「これは既定事項だから」
キョン「全く、人の生き死にまで既定事項なんて酷いもんだな」
長門「そこで涼宮ハルヒは代わりに無意識下でこう願った」
長門「しかしその願望は実現しなかった」
長門「これは既定事項だから」
キョン「全く、人の生き死にまで既定事項なんて酷いもんだな」
長門「そこで涼宮ハルヒは代わりに無意識下でこう願った」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 20:26:04.58 ID:5jDJfcSrO
長門「あなたを一つの独立した情報思念体として再構築する、と」
長門「それが、あなたが'ココ'にいる理由」
キョン「そして長門が'ココ'にいる理由、か」
長門「そう」
長門「それが、あなたが'ココ'にいる理由」
キョン「そして長門が'ココ'にいる理由、か」
長門「そう」
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 20:29:38.13 ID:5jDJfcSrO
キョン「成る程な、だから俺は'鍵'だったのか」
長門「そう」
キョン「……いや、多分長門が考えてる'鍵'と俺が認知した'鍵'はちょっと違うと思うぞ」
長門「…?」
長門「どういうこと?」
キョン「ん?…ああ、悪い。何でもない、忘れてくれ」
長門「そう」
キョン「……いや、多分長門が考えてる'鍵'と俺が認知した'鍵'はちょっと違うと思うぞ」
長門「…?」
長門「どういうこと?」
キョン「ん?…ああ、悪い。何でもない、忘れてくれ」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 20:32:09.08 ID:5jDJfcSrO
キョン「しかしココはあの頃と比べるとやっぱ広いな」
キョン「広くて、狭い」
キョン「暖かいようで寒い」
キョン「明るいようで暗い」
キョン「そして時間も距離も関係ない」
キョン「広くて、狭い」
キョン「暖かいようで寒い」
キョン「明るいようで暗い」
キョン「そして時間も距離も関係ない」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 20:36:46.65 ID:5jDJfcSrO
キョン「そして何もないココにお前がぽつんといる」
キョン「これはどうなってるんだ?長門」
長門「とても初歩的なこと」
長門「私があなたへ情報を送信している」
長門「そしてあなたがそれを受信している」
長門「人間で言うところの'見ること'とほぼ同義」
長門「ただ、媒介を通してそれを行ってないだけ」
キョン「成る程な」
キョン「これはどうなってるんだ?長門」
長門「とても初歩的なこと」
長門「私があなたへ情報を送信している」
長門「そしてあなたがそれを受信している」
長門「人間で言うところの'見ること'とほぼ同義」
長門「ただ、媒介を通してそれを行ってないだけ」
キョン「成る程な」
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 20:40:06.21 ID:5jDJfcSrO
キョン「…よっと」
長門「……!」
キョン「これでアナログな情報の伝達ができるな」
キョン「懐かしいな」
キョン「この手、この顔、この体」
長門「……」
長門「……!」
キョン「これでアナログな情報の伝達ができるな」
キョン「懐かしいな」
キョン「この手、この顔、この体」
長門「……」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 20:44:15.21 ID:5jDJfcSrO
キョン「どうした?長門」
長門「情報統合思念体はあなたをただ、この空間を漂流する稚拙な情報体だと定義していた」
長門「でも、違った」
長門「あなたは今、情報統合思念体とは異なる方法であなたの平面世界での情報を再構築した」
長門「あなたは何もないところから情報を生み出した」
長門「情報統合思念体はあなたをただ、この空間を漂流する稚拙な情報体だと定義していた」
長門「でも、違った」
長門「あなたは今、情報統合思念体とは異なる方法であなたの平面世界での情報を再構築した」
長門「あなたは何もないところから情報を生み出した」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 20:48:17.23 ID:5jDJfcSrO
キョン「これがそうなのか?」
長門「そう」
長門「涼宮ハルヒのそれと同じ」
長門「やはりあなたは鍵」
キョン「うん、俺の認知した鍵に少しは近付いたかもな」
キョン「しかしな、やっぱり違う」
キョン「長門や情報なんたらもまだ全体を捉えてない」
長門「……わからない」
キョン「まあ、気にしなくていいさ」
長門「そう」
長門「涼宮ハルヒのそれと同じ」
長門「やはりあなたは鍵」
キョン「うん、俺の認知した鍵に少しは近付いたかもな」
キョン「しかしな、やっぱり違う」
キョン「長門や情報なんたらもまだ全体を捉えてない」
長門「……わからない」
キョン「まあ、気にしなくていいさ」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 20:52:25.72 ID:5jDJfcSrO
キョン「しかし、逆に情報なんたらはどうやって情報を生み出してるんだ?」
長門「情報統合思念体はあなたや涼宮ハルヒのような意味定義で情報を生み出すことはできない」
長門「代わりに思念体が保有する情報、または偏在・漂流している情報を使用し」
長門「それを再構築する。これにより他の情報を精製する」
長門「あなたからするとアナログ」
キョン「成る程な」
長門「情報統合思念体はあなたや涼宮ハルヒのような意味定義で情報を生み出すことはできない」
長門「代わりに思念体が保有する情報、または偏在・漂流している情報を使用し」
長門「それを再構築する。これにより他の情報を精製する」
長門「あなたからするとアナログ」
キョン「成る程な」
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 20:56:02.36 ID:5jDJfcSrO
キョン「しかしお前の親玉さんは大きいな」
キョン「しかも面白い形をしてる」
キョン「何だか点描で描いたみたいな感じだ」
キョン「まあ、ココで'形'ってのも変だけどな」
キョン「ん、天蓋領域も似たような形なんだな」
長門「……」
キョン「しかも面白い形をしてる」
キョン「何だか点描で描いたみたいな感じだ」
キョン「まあ、ココで'形'ってのも変だけどな」
キョン「ん、天蓋領域も似たような形なんだな」
長門「……」
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 21:00:24.33 ID:5jDJfcSrO
長門「…あなたは天蓋領域を完全に観測することができるの?」
キョン「ああ」
キョン「あっちはあっちで結構面白いな」
長門「わからない」
キョン「ん?」
長門「情報統合思念体や私には天蓋領域を完全に観測することはできていない」
キョン「そうなのか」
キョン「ああ」
キョン「あっちはあっちで結構面白いな」
長門「わからない」
キョン「ん?」
長門「情報統合思念体や私には天蓋領域を完全に観測することはできていない」
キョン「そうなのか」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 21:06:55.90 ID:5jDJfcSrO
キョン「まあしかし、情報なんたらも長門も天蓋領域をたいぶ危険視してるみたいだが」
キョン「そんなピリピリしなくてもいいと思うぞ」
長門「どうして?」
キョン「情報なんたらも天蓋領域も総合的にみて同等くらいの立場ってことだ」
キョン「逆に敵対しあわないで手を結んだ方がいいと思うぞ」
長門「本当?」
キョン「ああ、あっちはこっちの持ってないものを持ってる」
キョン「逆にこっちはあっちの持ってないものを持ってる」
キョン「そんな感じだ」
長門「そう」
キョン「そんなピリピリしなくてもいいと思うぞ」
長門「どうして?」
キョン「情報なんたらも天蓋領域も総合的にみて同等くらいの立場ってことだ」
キョン「逆に敵対しあわないで手を結んだ方がいいと思うぞ」
長門「本当?」
キョン「ああ、あっちはこっちの持ってないものを持ってる」
キョン「逆にこっちはあっちの持ってないものを持ってる」
キョン「そんな感じだ」
長門「そう」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 21:10:04.34 ID:5jDJfcSrO
キョン「さてと…ちょっと平面世界も見て見るか」
キョン「……」
キョン「ふむ、やはり朝比奈さんは思念体規模に可愛らしい」
キョン「……」
キョン「ふむ、やはり朝比奈さんは思念体規模に可愛らしい」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 21:14:12.67 ID:5jDJfcSrO
キョン「そんでもってやっぱり本当に未来人だったんですねあなたは」
キョン「拡張子みたいなのがハルヒ達のいる時点のとちょっと違う」
長門「同様に古泉一樹の情報も他と少し異なっている」
キョン「おお、本当だ。何だか平面世界で言うところのウィルスバスターみたいだな」
キョン「いや、やっぱりゴミ箱っぽい」
キョン「拡張子みたいなのがハルヒ達のいる時点のとちょっと違う」
長門「同様に古泉一樹の情報も他と少し異なっている」
キョン「おお、本当だ。何だか平面世界で言うところのウィルスバスターみたいだな」
キョン「いや、やっぱりゴミ箱っぽい」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 21:18:04.41 ID:5jDJfcSrO
キョン「…そしてハルヒ」
キョン「本当にお前の情報だけは一番面白いな」
キョン「…ん?」
キョン「…そういうことだったのか」
長門「何?」
キョン「佐々木はハルヒのバックアップだったんだな」
キョン「本当にお前の情報だけは一番面白いな」
キョン「…ん?」
キョン「…そういうことだったのか」
長門「何?」
キョン「佐々木はハルヒのバックアップだったんだな」
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 21:23:04.98 ID:5jDJfcSrO
キョン「じゃあそろそろ平面空間へ顔出しに行くか」
長門「わかった、…ただ」
キョン「大丈夫さ、朝比奈さんと古泉にしか顔は出さない」
長門「そう」
長門「わかった、…ただ」
キョン「大丈夫さ、朝比奈さんと古泉にしか顔は出さない」
長門「そう」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 21:27:52.10 ID:5jDJfcSrO
ガチャ
キョン「よう」
古泉・みくる「!!」
キョン「ははっ、変わってないな」
みくる「キョンくん!…キョンくん!!…ぅう…キョンくん…」ガシッ
キョン「朝比奈さん…お久しぶりです」
みくる「!…ぁあ…ご、ごめんなさい…」
キョン「いえいえ」
キョン「よう」
古泉・みくる「!!」
キョン「ははっ、変わってないな」
みくる「キョンくん!…キョンくん!!…ぅう…キョンくん…」ガシッ
キョン「朝比奈さん…お久しぶりです」
みくる「!…ぁあ…ご、ごめんなさい…」
キョン「いえいえ」
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 21:31:24.29 ID:5jDJfcSrO
古泉「…お久しぶりです」
キョン「ああ」
キョン「確かこっちはあれから二週間くらいだな」
古泉「ええ…」
キョン「…泣いてんのか?」
古泉「んっふ…ええ、正直少し瞳が潤んでいます」
キョン「こりゃ珍しいもんを見たな」
キョン「ああ」
キョン「確かこっちはあれから二週間くらいだな」
古泉「ええ…」
キョン「…泣いてんのか?」
古泉「んっふ…ええ、正直少し瞳が潤んでいます」
キョン「こりゃ珍しいもんを見たな」
36: >>35どっちでもいいよ 投稿日:2009/09/12(土) 21:38:24.21 ID:5jDJfcSrO
キョン「長門から俺のことは聞いたか?」
古泉「ええ」
古泉「正直あまり確信は持てませんでしたが」
朝比奈「本当だったんですねぇ…凄いです…」
古泉「やはりあなたは鍵だったようですね」
キョン「どういうことだ?」
古泉「ええ」
古泉「正直あまり確信は持てませんでしたが」
朝比奈「本当だったんですねぇ…凄いです…」
古泉「やはりあなたは鍵だったようですね」
キョン「どういうことだ?」
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 21:42:36.83 ID:5jDJfcSrO
古泉「あれから涼宮さんは閉鎖空間をほとんど発生させていないんですよ」
キョン「へえ…そうなのか?」
古泉「ふふっ…またまた、本当はご存知でらしたんでしょう?」
キョン「ははっ、悪い。ただ、全ては知らない。いや、知ることができないって感じか」
キョン「あいつは変わったやつだしな」
古泉「これはこれは、今ではあなたも随分と変わった存在ですが?」
キョン「そういやそうだな」
キョン「へえ…そうなのか?」
古泉「ふふっ…またまた、本当はご存知でらしたんでしょう?」
キョン「ははっ、悪い。ただ、全ては知らない。いや、知ることができないって感じか」
キョン「あいつは変わったやつだしな」
古泉「これはこれは、今ではあなたも随分と変わった存在ですが?」
キョン「そういやそうだな」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 21:48:04.67 ID:5jDJfcSrO
古泉「涼宮さんはもう自分の精神安定の為に閉鎖空間を発生させたりはしません」
古泉「彼女が閉鎖空間を発生させるのは世界の秩序と安定を保ち、尚且つ守る時」
古泉「また、世界の機能上の矛盾を正常なものに改変する時のみに限られるようになりました」
古泉「勿論無意識下で、ですが」
キョン「成る程な、あいつも随分常識的なやつになったんだな」
キョン「殊勝なこった」
古泉「彼女が閉鎖空間を発生させるのは世界の秩序と安定を保ち、尚且つ守る時」
古泉「また、世界の機能上の矛盾を正常なものに改変する時のみに限られるようになりました」
古泉「勿論無意識下で、ですが」
キョン「成る程な、あいつも随分常識的なやつになったんだな」
キョン「殊勝なこった」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 21:54:42.07 ID:5jDJfcSrO
古泉「でもまあ、突飛な世界の改変は未だに健在ですけどね」
キョン「ははっ、あいつらしいな」
キョン「それで、お前の言うそれを俺は何を根拠に信じればいいんだ?」
古泉「根拠なんてありませんよ…何故なら」
キョン「そうわかってしまうから仕方がない、だろ?」
古泉「ふふっ、いやはや敵いませんねあなたには」
キョン「はははっ、悪い悪い」
キョン「ははっ、あいつらしいな」
キョン「それで、お前の言うそれを俺は何を根拠に信じればいいんだ?」
古泉「根拠なんてありませんよ…何故なら」
キョン「そうわかってしまうから仕方がない、だろ?」
古泉「ふふっ、いやはや敵いませんねあなたには」
キョン「はははっ、悪い悪い」
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 22:00:57.13 ID:5jDJfcSrO
古泉「涼宮さんがこのように成長されるきっかけを作ったのは他ならぬあなたです」
古泉「この点から窺えるように、あなたはやはり鍵だったということです」
キョン「ふん…」
古泉「さらに、これは僕の仮説ですが、涼宮さんがあなたを思念体として再構築されたことにも」
古泉「何か意味があるのだと思います」
古泉「この点から窺えるように、あなたはやはり鍵だったということです」
キョン「ふん…」
古泉「さらに、これは僕の仮説ですが、涼宮さんがあなたを思念体として再構築されたことにも」
古泉「何か意味があるのだと思います」
42: >>40俺もそう思う、ただ、もう退けなくなってる 投稿日:2009/09/12(土) 22:05:33.07 ID:5jDJfcSrO
古泉「おそらくあなたは僕たちが住むこの空間」
古泉「また長門さんのホスト、情報統合思念体等が存在する空間」
古泉「さらにはこれら以外の空間全ての改変に関係する、もう一つの'鍵'でもある」
古泉「僕はそう考えています」
キョン「はっきり言おう」
キョン「古泉、お前が考えてる仮説はほぼ正解だ」
古泉「また長門さんのホスト、情報統合思念体等が存在する空間」
古泉「さらにはこれら以外の空間全ての改変に関係する、もう一つの'鍵'でもある」
古泉「僕はそう考えています」
キョン「はっきり言おう」
キョン「古泉、お前が考えてる仮説はほぼ正解だ」
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 22:10:55.46 ID:5jDJfcSrO
キョン「俺はこの姿になって漸く俺の存在の理由がわかった」
キョン「俺はお前の言うとおり全ての空間の改変に関係する鍵だ」
キョン「ただ、おそらくそれは極論だけどな」
キョン「もうすぐ俺はその鍵としての役割を果たしにいく」
キョン「正直俺もどうなっちまうのかわからん」
キョン「だからこそここへ顔を出しに来たってのもある」
キョン「俺はお前の言うとおり全ての空間の改変に関係する鍵だ」
キョン「ただ、おそらくそれは極論だけどな」
キョン「もうすぐ俺はその鍵としての役割を果たしにいく」
キョン「正直俺もどうなっちまうのかわからん」
キョン「だからこそここへ顔を出しに来たってのもある」
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 22:14:02.56 ID:5jDJfcSrO
古泉「成る程…」
キョン「まあ、それはおいといて、だ」
キョン「古泉、オセロやるぞ」
古泉「んっふ、これはまた唐突ですね」
古泉「ですが、ええ、勿論いいですよ」
キョン「まあ、それはおいといて、だ」
キョン「古泉、オセロやるぞ」
古泉「んっふ、これはまた唐突ですね」
古泉「ですが、ええ、勿論いいですよ」
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 22:17:40.11 ID:5jDJfcSrO
古泉「しかし困りましたね…今のあなたにはどうやっても勝てる見込みがありません」
キョン「その点は心配ない」
キョン「今の俺は以前の俺とほとんど変わりがないよう自分を制限してある」
キョン「対等関係でやらないと面白くないしな」
キョン「まあ、それでもお前が俺に勝てるとは到底思えんが」
古泉「んふふ、さてどうでしょう?」
古泉「勝負は最後までわからないものですよ?」
キョン「その点は心配ない」
キョン「今の俺は以前の俺とほとんど変わりがないよう自分を制限してある」
キョン「対等関係でやらないと面白くないしな」
キョン「まあ、それでもお前が俺に勝てるとは到底思えんが」
古泉「んふふ、さてどうでしょう?」
古泉「勝負は最後までわからないものですよ?」
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 22:22:31.69 ID:5jDJfcSrO
キョン「……」
古泉「……」
みくる「どうぞ」コトッ
キョン「これはこれは、いただきます」ズズッ
みくる「ふふっ…」
キョン「?」
キョン「どうしたんですか?」
みくる「あっ…いえ…なんだか前に戻ったみたいで…」
古泉「……」
みくる「どうぞ」コトッ
キョン「これはこれは、いただきます」ズズッ
みくる「ふふっ…」
キョン「?」
キョン「どうしたんですか?」
みくる「あっ…いえ…なんだか前に戻ったみたいで…」
49: 俺何書いてんだろう…凄い恥ずかしくなってきた 投稿日:2009/09/12(土) 22:26:18.37 ID:5jDJfcSrO
みくる「こうやって古泉くんとキョンくんが一緒にゲームをしていて」
みくる「長門さんが窓際のパイプ椅子に座って本を読んでいて」
みくる「あたしが皆さんのお茶を淹れていて」
みくる「そこに涼宮さんがドアを蹴って勢いよく入ってきて…」
みくる「ほんの二週間前まであった日常なのに遥かに昔のことのように感じてたんです…」
みくる「その日常がまたこうやって…」
みくる「なんだか不思議で、嬉しくて、それでいて悲しくて……」
みくる「長門さんが窓際のパイプ椅子に座って本を読んでいて」
みくる「あたしが皆さんのお茶を淹れていて」
みくる「そこに涼宮さんがドアを蹴って勢いよく入ってきて…」
みくる「ほんの二週間前まであった日常なのに遥かに昔のことのように感じてたんです…」
みくる「その日常がまたこうやって…」
みくる「なんだか不思議で、嬉しくて、それでいて悲しくて……」
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 22:30:03.55 ID:5jDJfcSrO
みくる「ぅう…ぐすっ…ご…ごめんなさい…」
キョン「いえ…お茶、本当に美味しかったですよ」
みくる「はい…ぐすっ…ありがとうございます…」
キョン「さて、こっちも終局か」
古泉「ええ、天晴れです」
キョン「…じゃあそろそろ俺、いくわ」
キョン「いえ…お茶、本当に美味しかったですよ」
みくる「はい…ぐすっ…ありがとうございます…」
キョン「さて、こっちも終局か」
古泉「ええ、天晴れです」
キョン「…じゃあそろそろ俺、いくわ」
53: >>52一応全部投下はするよ 投稿日:2009/09/12(土) 22:34:39.48 ID:5jDJfcSrO
キョン「あと5分23秒でハルヒが岡部の説教から解放されてここへやってくる」
キョン「また何かやらかしやがったみたいだな」
キョン「とりあえず俺はハルヒが来る前に退散しないとな」
古泉「了解しました」
古泉「次回ここへ来られるご予定は?」
キョン「わからん」
キョン「まあ、行けるようなら行くさ」
古泉「んっふ、わかりました」
キョン「また何かやらかしやがったみたいだな」
キョン「とりあえず俺はハルヒが来る前に退散しないとな」
古泉「了解しました」
古泉「次回ここへ来られるご予定は?」
キョン「わからん」
キョン「まあ、行けるようなら行くさ」
古泉「んっふ、わかりました」
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 22:38:10.17 ID:5jDJfcSrO
キョン「長門、古泉、朝比奈さん」
キョン「ハルヒのヤツを頼みます」
キョン「あいつは平面空間の神ですがまだ未熟な存在です」
キョン「どうか支えてやって下さい」
長門「任せて」
古泉「心得ました」
みくる「はい、勿論です」
キョン「やれやれ」
キョン「じゃあまたな」
キョン「ハルヒのヤツを頼みます」
キョン「あいつは平面空間の神ですがまだ未熟な存在です」
キョン「どうか支えてやって下さい」
長門「任せて」
古泉「心得ました」
みくる「はい、勿論です」
キョン「やれやれ」
キョン「じゃあまたな」
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 22:41:43.00 ID:5jDJfcSrO
ハルヒ「みんな来てる?」ガチャ
ハルヒ「ごめんなさいね、ちょっと遅れたわ」
ハルヒ「ん?…何かあったの?」
古泉「ああ…いえ、別に…」
ハルヒ「あれ?みくるちゃんどうして泣いてるのよ」
みくる「な…何でもないです…ぐすっ…」
ハルヒ「そんなことないでしょう。ほら、ここ座って」
ハルヒ「ごめんなさいね、ちょっと遅れたわ」
ハルヒ「ん?…何かあったの?」
古泉「ああ…いえ、別に…」
ハルヒ「あれ?みくるちゃんどうして泣いてるのよ」
みくる「な…何でもないです…ぐすっ…」
ハルヒ「そんなことないでしょう。ほら、ここ座って」
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 22:45:46.01 ID:5jDJfcSrO
ハルヒ「はい、ハンカチ」
みくる「あぅ…ありがとうございます…」
ハルヒ「落ち着くまで側にいるからね」
みくる「ぅぐ…はい…すみません…」
古泉「変わられましたね涼宮さん」
ハルヒ「…?そうかしら」
ハルヒ「まあ、あんなことがあれば誰でもちょっとは変わるわよね」
みくる「あぅ…ありがとうございます…」
ハルヒ「落ち着くまで側にいるからね」
みくる「ぅぐ…はい…すみません…」
古泉「変わられましたね涼宮さん」
ハルヒ「…?そうかしら」
ハルヒ「まあ、あんなことがあれば誰でもちょっとは変わるわよね」
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 22:49:19.36 ID:5jDJfcSrO
ハルヒ「……」
ハルヒ「何だかさっきまでここにキョンがいた気がする」
古泉「……」
ハルヒ「ちょっと変な話をするわね」
ハルヒ「あたし、まだキョンがどこかにいるような気がするの」
ハルヒ「ううん、きっといるわ、いるのよ」
ハルヒ「きっとこの世界のどこかで今日もまた仏頂面さげてボーッと生きてるのよ、きっと」
ハルヒ「何だかさっきまでここにキョンがいた気がする」
古泉「……」
ハルヒ「ちょっと変な話をするわね」
ハルヒ「あたし、まだキョンがどこかにいるような気がするの」
ハルヒ「ううん、きっといるわ、いるのよ」
ハルヒ「きっとこの世界のどこかで今日もまた仏頂面さげてボーッと生きてるのよ、きっと」
60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 22:53:03.24 ID:5jDJfcSrO
キョン「……」
キョン「さて…じゃあ始めるか」
キョン「みえてるか?長門の親玉さんよ」
キョン「今から面白いものがみれるぞ」
キョン「本当にお前にみることができるかはわからんがな」
キョン「さて…じゃあ始めるか」
キョン「みえてるか?長門の親玉さんよ」
キョン「今から面白いものがみれるぞ」
キョン「本当にお前にみることができるかはわからんがな」
62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 22:57:10.68 ID:5jDJfcSrO
キョン「これから俺は全ての空間を超越して更なる高次元へと昇華する」
キョン「お前にこれがみえるか?」
キョン「きっとみえないだろうな」
キョン「これは情報であって情報でないお前がまだ発見してない概念だ」
キョン「今から俺はこの概念と俺という概念を同期する」
キョン「おそらくお前はこの先この概念をみつけることはないだろうな」
キョン「それはお前が'何もないところから情報を生み出す'能力を持ってないからだ」
キョン「この概念はその能力の根源の先にあるんだよ」
キョン「お前にこれがみえるか?」
キョン「きっとみえないだろうな」
キョン「これは情報であって情報でないお前がまだ発見してない概念だ」
キョン「今から俺はこの概念と俺という概念を同期する」
キョン「おそらくお前はこの先この概念をみつけることはないだろうな」
キョン「それはお前が'何もないところから情報を生み出す'能力を持ってないからだ」
キョン「この概念はその能力の根源の先にあるんだよ」
65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 23:01:05.54 ID:5jDJfcSrO
キョン「長話になったな」
キョン「まあここには時間も存在しないしそんなの関係ないか」
キョン「じゃあそろそろ同期を開始する」
キョン「と、その前に」
キョン「俺が今お前に送信しているこの情報を大切に保管しておいてくれ」
キョン「いつかこの情報を必要とするヤツがココへやって来るだろうからな」
キョン「そいつが来たらその情報を渡して助けてやってくれ」
キョン「じゃあな情報統合思念体」
キョン「まあここには時間も存在しないしそんなの関係ないか」
キョン「じゃあそろそろ同期を開始する」
キョン「と、その前に」
キョン「俺が今お前に送信しているこの情報を大切に保管しておいてくれ」
キョン「いつかこの情報を必要とするヤツがココへやって来るだろうからな」
キョン「そいつが来たらその情報を渡して助けてやってくれ」
キョン「じゃあな情報統合思念体」
66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 23:05:00.80 ID:5jDJfcSrO
キョン「同期完了ーっと」
キョン「……」
キョン「ふん…」
キョン「これはまた面白いな」
キョン「それで」
キョン「お前は誰だ?」
キョン「……」
キョン「ふん…」
キョン「これはまた面白いな」
キョン「それで」
キョン「お前は誰だ?」
67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 23:09:34.99 ID:5jDJfcSrO
「ふふっ、本当はわかってるんだろう?」
キョン「ん?、まあな」
キョン「お前は'全て'だな」
キョン「そして俺の友人、国木田だ」
キョン「ん?、まあな」
キョン「お前は'全て'だな」
キョン「そして俺の友人、国木田だ」
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 23:13:03.57 ID:5jDJfcSrO
国木田「そう、僕がこの世の'全て'」
国木田「もっとも、今では'全てだった'と言うのが正しいね」
国木田「キョンが僕を取り込む形で同期したから」
国木田「正確には今、キョンが'全て'だね」
国木田「既に僕は君の一部でしかない」
国木田「もっとも、今では'全てだった'と言うのが正しいね」
国木田「キョンが僕を取り込む形で同期したから」
国木田「正確には今、キョンが'全て'だね」
国木田「既に僕は君の一部でしかない」
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 23:17:14.28 ID:5jDJfcSrO
国木田「先に言っておくと北高の僕はあの空間へ干渉する為の端末だったんだ」
国木田「なかなか高性能な端末でしょ?」
国木田「情報統合思念体にも天蓋領域にも気付かれなかったようだし」
国木田「でもキョンは凄いなぁ」
国木田「キョンはそんなものなくてもどの空間へも干渉できるみたいだね」
国木田「やっぱり涼宮さんの影響を受けたからなのかな」
キョン「ああ、多分そうだ」
国木田「なかなか高性能な端末でしょ?」
国木田「情報統合思念体にも天蓋領域にも気付かれなかったようだし」
国木田「でもキョンは凄いなぁ」
国木田「キョンはそんなものなくてもどの空間へも干渉できるみたいだね」
国木田「やっぱり涼宮さんの影響を受けたからなのかな」
キョン「ああ、多分そうだ」
72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 23:21:35.09 ID:5jDJfcSrO
国木田「じゃあそろそろ始めようか」
キョン「そうだな」
国木田「僕が清算しえなかった世界の齟齬の改善、無駄に膨張した世界の圧縮等々…」
国木田「やることがいっぱいだね」
キョン「ああ」
キョン「でもな、国木田」
キョン「そうだな」
国木田「僕が清算しえなかった世界の齟齬の改善、無駄に膨張した世界の圧縮等々…」
国木田「やることがいっぱいだね」
キョン「ああ」
キョン「でもな、国木田」
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 23:25:25.73 ID:5jDJfcSrO
キョン「この仕事が全部終わって世界が安定したとしても」
キョン「それは'安定'しているということが永遠に固定されるだけだ」
キョン「それは本当の意味で'安定している'とは言えないんだよ」
キョン「そして俺はそれ以上のことはできない」
国木田「どうするの?」
キョン「お前もしていたことをするだけだ」
キョン「ただ第3の世界の可能性が昇華するのを待つ」
キョン「ただそれだけだ」
キョン「それは'安定'しているということが永遠に固定されるだけだ」
キョン「それは本当の意味で'安定している'とは言えないんだよ」
キョン「そして俺はそれ以上のことはできない」
国木田「どうするの?」
キョン「お前もしていたことをするだけだ」
キョン「ただ第3の世界の可能性が昇華するのを待つ」
キョン「ただそれだけだ」
77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 23:29:05.12 ID:5jDJfcSrO
キョン「だからこそ俺は'鍵'なんだ」
キョン「可能性を導き、可能性の扉を開く為の」
キョン「そして俺はお前の昇華を待ち続ける」
キョン「それは一瞬であって永遠だけどな」
キョン「それまでずっとお前を見守ってるぞ、ハルヒ」
キョン「可能性を導き、可能性の扉を開く為の」
キョン「そして俺はお前の昇華を待ち続ける」
キョン「それは一瞬であって永遠だけどな」
キョン「それまでずっとお前を見守ってるぞ、ハルヒ」
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 23:31:11.68 ID:5jDJfcSrO
ハルヒ「……」
ハルヒ「……!」
ハルヒ「……キョン?」
おわり
ハルヒ「……!」
ハルヒ「……キョン?」
おわり
82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/09/12(土) 23:35:41.04 ID:dRFg2jEfO
おわり…だ…と
まだ続きが読みたいが、まぁ お疲れさまでした
まだ続きが読みたいが、まぁ お疲れさまでした
掲載元:http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1252753666/l50
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ほむら「お祭りがやってるわね」
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/19(日) 23:44:10.27 ID:UoKcJViw0
杏子「せっかくだし遊んでこうぜ」
さやか「パーっと遊ぼー」
ほむら「そうね気分転換はいいわよね」
マミ「ふふっ暁美さんも遊びたいみたいね」
ほむら「べ、別にそういう訳じゃ」
まどか「うぇひひ、ほむらちゃんは意地っ張りさんだもんね」
マミ「息抜きは大事なんだから」
さやか「パーっと遊ぼー」
ほむら「そうね気分転換はいいわよね」
マミ「ふふっ暁美さんも遊びたいみたいね」
ほむら「べ、別にそういう訳じゃ」
まどか「うぇひひ、ほむらちゃんは意地っ張りさんだもんね」
マミ「息抜きは大事なんだから」
2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/19(日) 23:46:51.83 ID:UoKcJViw0
マミ「出店がいっぱいね」
さやか「あ、かき氷!」
まどか「たこ焼き屋さんだ」
ほむら「お腹が空いてくるわね……」
杏子「こういう場所で食べるとなぜか美味しく感じるんだよな」
マミ「ついつい食べ過ぎちゃうのよね」
さやか「本当になんでなんだろうね」
まどか「うぇひひ、お祭りの雰囲気だからじゃないかな」
杏子「まぁそれで太ったりするんだけどな」
さやか「あ、かき氷!」
まどか「たこ焼き屋さんだ」
ほむら「お腹が空いてくるわね……」
杏子「こういう場所で食べるとなぜか美味しく感じるんだよな」
マミ「ついつい食べ過ぎちゃうのよね」
さやか「本当になんでなんだろうね」
まどか「うぇひひ、お祭りの雰囲気だからじゃないかな」
杏子「まぁそれで太ったりするんだけどな」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/19(日) 23:50:21.10 ID:UoKcJViw0
マミ「佐倉さん、今何か言った?」
杏子「な、何も言ってない……」
マミ「そう、勘違いだったらいいの、ごめんなさいね」
さやか「こ、怖……」
ほむら「別に数kgぐらい増えたっていいじゃない」
ほむら「私なんて痩せすぎなんて診断されたわ……ちゃんと食べているのだけど」
マミ「それはそれでちょっとうらやましいわね……」
杏子「まぁマミの体重がちょっと増えたってそんなに気にすることはないって」
まどか「マミさんって一番スタイルがいいもんね」
マミ「そう言われると少し安心してしまうわね」
ほむら「ふふっその油断が命取りかもね」ボソ
マミ「暁美さん……」
ほむら「冗談よ」
杏子「な、何も言ってない……」
マミ「そう、勘違いだったらいいの、ごめんなさいね」
さやか「こ、怖……」
ほむら「別に数kgぐらい増えたっていいじゃない」
ほむら「私なんて痩せすぎなんて診断されたわ……ちゃんと食べているのだけど」
マミ「それはそれでちょっとうらやましいわね……」
杏子「まぁマミの体重がちょっと増えたってそんなに気にすることはないって」
まどか「マミさんって一番スタイルがいいもんね」
マミ「そう言われると少し安心してしまうわね」
ほむら「ふふっその油断が命取りかもね」ボソ
マミ「暁美さん……」
ほむら「冗談よ」
8: モバゲやってないから知らねえ 投稿日:2012/08/19(日) 23:54:31.55 ID:UoKcJViw0
ほむら「で、なにか食べるの?」
杏子「私はまずたい焼きだな」
マミ「私は……今日は我慢を……」
ほむら「そう、私はかき氷でも買って涼もうかしら」
マミ(我慢、今は我慢よ私)
杏子「体重が1キロや2キロ程度増えたって飯食って運動すりゃいいと思うんだけど」
ほむら「というか育ち盛りである中学生でマミみたいなスタイルでダイエットなんてする必要あるの?」
さやか「そうそう、体に良くないよね」
まどか「マミさんのスタイルってとっても羨ましいよね」
マミ「やめて、そうやって甘い言葉をささやいて私を惑わさないで!」
杏子「いや、別に本当に思ったことを言ってるだけなんだけど」
さやか「うんうん」
ほむら「えぇ」
杏子「私はまずたい焼きだな」
マミ「私は……今日は我慢を……」
ほむら「そう、私はかき氷でも買って涼もうかしら」
マミ(我慢、今は我慢よ私)
杏子「体重が1キロや2キロ程度増えたって飯食って運動すりゃいいと思うんだけど」
ほむら「というか育ち盛りである中学生でマミみたいなスタイルでダイエットなんてする必要あるの?」
さやか「そうそう、体に良くないよね」
まどか「マミさんのスタイルってとっても羨ましいよね」
マミ「やめて、そうやって甘い言葉をささやいて私を惑わさないで!」
杏子「いや、別に本当に思ったことを言ってるだけなんだけど」
さやか「うんうん」
ほむら「えぇ」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/19(日) 23:59:59.79 ID:UoKcJViw0
杏子「お、尻尾まであんこが入ってるじゃん、当たりだな」
ほむら「こっちはあまりシロップがかかっていなくてハズレな気分よ」
さやか「他の場所のかき氷のほうがシロップかかってるとくやしいんだよね」
まどか「でもかかりすぎてると氷がとけちゃって少なく感じちゃうよ?」
さやか「そこはかき氷の黄金比率ってものがだね」
マミ(我慢、我慢よ私……)
ほむら「こっちはあまりシロップがかかっていなくてハズレな気分よ」
さやか「他の場所のかき氷のほうがシロップかかってるとくやしいんだよね」
まどか「でもかかりすぎてると氷がとけちゃって少なく感じちゃうよ?」
さやか「そこはかき氷の黄金比率ってものがだね」
マミ(我慢、我慢よ私……)
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 00:05:45.25 ID:Ir/qq02y0
マミ「……」クゥー
さやか「あ、マミさんからおなかの虫が」
ほむら「お腹が空いているなら食べたほうがいいわよマミ」
マミ「ち、違うのよ!こ、これは!」
杏子「食わないで身体壊したらどうすんだよ、ほらよ、くうかい?」
マミ「……いただくわ」
ほむら「最初から素直に食べればいいのに」
ほむら「だいたいそんなに脂肪が消したいならその胸の脂肪をよこしなさいってのよ」ペターン
まどか「……」ペターン
まどか「うぅ……」
さやか「あ、マミさんからおなかの虫が」
ほむら「お腹が空いているなら食べたほうがいいわよマミ」
マミ「ち、違うのよ!こ、これは!」
杏子「食わないで身体壊したらどうすんだよ、ほらよ、くうかい?」
マミ「……いただくわ」
ほむら「最初から素直に食べればいいのに」
ほむら「だいたいそんなに脂肪が消したいならその胸の脂肪をよこしなさいってのよ」ペターン
まどか「……」ペターン
まどか「うぅ……」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 00:11:58.02 ID:Ir/qq02y0
マミ「あ、美味しい」
杏子「だろ?」
杏子「せっかくの祭りで我慢なんてよくねぇって」
ほむら「お金があるならの話だけどね」
まどか「すぐなくなっちゃうんだよね……」
さやか「あーわかるわかる」
ほむら「あ、あれは……」
杏子「だろ?」
杏子「せっかくの祭りで我慢なんてよくねぇって」
ほむら「お金があるならの話だけどね」
まどか「すぐなくなっちゃうんだよね……」
さやか「あーわかるわかる」
ほむら「あ、あれは……」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 00:17:42.31 ID:Ir/qq02y0
ほむら「金魚すくい……」
杏子「金魚すくいって掬った後で困るんだよな」
まどか「バケツとかで飼う事になっちゃうんだよね」
ほむら「そうよね……」
マミ「もしかして暁美さんやってみたいの?」
ほむら「え?私は別に……」
マミ「暁美さん、実は私の家に水槽があるのだけどそこで飼う金魚を一緒にとらない?」
ほむら「……いいの?」
マミ「ちゃんとお世話はするわよ」
ほむら「じゃ、じゃあお言葉に甘えさせてもらうわ」
さやか「お、頑張れほむら」
杏子「金魚すくいって掬った後で困るんだよな」
まどか「バケツとかで飼う事になっちゃうんだよね」
ほむら「そうよね……」
マミ「もしかして暁美さんやってみたいの?」
ほむら「え?私は別に……」
マミ「暁美さん、実は私の家に水槽があるのだけどそこで飼う金魚を一緒にとらない?」
ほむら「……いいの?」
マミ「ちゃんとお世話はするわよ」
ほむら「じゃ、じゃあお言葉に甘えさせてもらうわ」
さやか「お、頑張れほむら」
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 00:23:45.01 ID:Ir/qq02y0
ほむら「これですくえばいいのよね……」
杏子「あ、おいほむら、向きが逆だぞ」
ほむら「え?」
杏子「ポイは紙が貼ってある方が表だ、裏だと破れやすいからな」
さやか「へぇ……そうなんだ」
マミ「そんな事気にしたことがなかったわ、詳しいのね佐倉さん」
杏子「まぁな、少ない小遣いで妹を色々と楽しませようとしてた時におっちゃんに聞いたんだ」
まどか「杏子ちゃん……」
杏子「あ、おいほむら、向きが逆だぞ」
ほむら「え?」
杏子「ポイは紙が貼ってある方が表だ、裏だと破れやすいからな」
さやか「へぇ……そうなんだ」
マミ「そんな事気にしたことがなかったわ、詳しいのね佐倉さん」
杏子「まぁな、少ない小遣いで妹を色々と楽しませようとしてた時におっちゃんに聞いたんだ」
まどか「杏子ちゃん……」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 00:30:35.50 ID:Ir/qq02y0
杏子「そのポイが何号とかまではわからないけどな」
ほむら「号?」
杏子「紙の厚さのことだよ、お祭りだと5号か6号だけど、5号だと破れにくいんだ」
マミ「そうだったのね……」
ほむら「奥が深いのね……」
杏子「ま、もうポイは渡されてるんだしその辺はどうしようもないって」
ほむら「わかったわ……」ジィー
まどか「うぇひひ、ほむらちゃんがとっても集中してる」
さやか「マジモードだね」
ほむら「号?」
杏子「紙の厚さのことだよ、お祭りだと5号か6号だけど、5号だと破れにくいんだ」
マミ「そうだったのね……」
ほむら「奥が深いのね……」
杏子「ま、もうポイは渡されてるんだしその辺はどうしようもないって」
ほむら「わかったわ……」ジィー
まどか「うぇひひ、ほむらちゃんがとっても集中してる」
さやか「マジモードだね」
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 00:38:25.07 ID:Ir/qq02y0
ほむら「えい!」バシャ
杏子「……」
まどか「……」
さやか「……」
マミ「……」
ほむら「や、破れてしまったわ……」
杏子「そりゃそうだろ」
マミ「破れやすいんだから乱暴にしちゃだめよ暁美さん」
まどか「うぇひひ、金魚さんたちが驚いて逃げちゃってるね」
さやか「すくいかた知らなかったんだね」
杏子「……」
まどか「……」
さやか「……」
マミ「……」
ほむら「や、破れてしまったわ……」
杏子「そりゃそうだろ」
マミ「破れやすいんだから乱暴にしちゃだめよ暁美さん」
まどか「うぇひひ、金魚さんたちが驚いて逃げちゃってるね」
さやか「すくいかた知らなかったんだね」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 00:44:02.80 ID:Ir/qq02y0
ほむら「も、もう一度よ!」
杏子「まぁ落ち着けほむら、ちょっとコツを教えてやるよ」
ほむら「?」
杏子「まずそっと全面を水につけること」
杏子「あと金魚を追いかけないこと、そうだな、金魚を敵だと思って動きを予想してみろ」
さやか「金魚を敵って……」
杏子「あとは斜めに引き上げておわんに入れるだけだ」
ほむら「わかったわ、やってみる」
まどか「うぇひひ、頑張れほむらちゃん」
杏子「まぁ落ち着けほむら、ちょっとコツを教えてやるよ」
ほむら「?」
杏子「まずそっと全面を水につけること」
杏子「あと金魚を追いかけないこと、そうだな、金魚を敵だと思って動きを予想してみろ」
さやか「金魚を敵って……」
杏子「あとは斜めに引き上げておわんに入れるだけだ」
ほむら「わかったわ、やってみる」
まどか「うぇひひ、頑張れほむらちゃん」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 00:50:47.32 ID:Ir/qq02y0
ほむら「まず水につけて水中の獲物を……」
ほむら「はぁ!」ヒュン
ほむら「す、すくえたわ!」
マミ「あら、おめでとう暁美さん」
まどか「すごいよほむらちゃん」
さやか「これはまだまだとれそうだね」
ほむら「はぁ!」ヒュン
ほむら「す、すくえたわ!」
マミ「あら、おめでとう暁美さん」
まどか「すごいよほむらちゃん」
さやか「これはまだまだとれそうだね」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:01:26.16 ID:Ir/qq02y0
ほむら「……調子にのって主に挑んだのが間違いだったわ……」
杏子「ま、ああいうのは狙った客の紙を破らせるためにいるようなもんだしな」
ほむら「私は罠にはまっていたということね」
まどか「でも十分すくったんじゃないかな」
さやか「8匹もすくえれば十分だよね」
マミ「すみませーん、私も1回お願いします」
杏子「なんだよマミもやるのかよ」
マミ「ふふっ暁美さんをみていたら私もしてみたくなって」
杏子「ま、ああいうのは狙った客の紙を破らせるためにいるようなもんだしな」
ほむら「私は罠にはまっていたということね」
まどか「でも十分すくったんじゃないかな」
さやか「8匹もすくえれば十分だよね」
マミ「すみませーん、私も1回お願いします」
杏子「なんだよマミもやるのかよ」
マミ「ふふっ暁美さんをみていたら私もしてみたくなって」
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:04:01.80 ID:Ir/qq02y0
マミ「……」ジィー
ほむら「とても集中しているわね……」
さやか「プロみたいな雰囲気だよねこれ」
杏子「下手にしゃべって集中をきれさせたら殺されそうだ……」
まどか「……」ワクワク
マミ「えい!」パシャ
ほむら(金魚が宙を舞った!)
さやか(上に跳ね上げる意味ってあるの!?)
ほむら「とても集中しているわね……」
さやか「プロみたいな雰囲気だよねこれ」
杏子「下手にしゃべって集中をきれさせたら殺されそうだ……」
まどか「……」ワクワク
マミ「えい!」パシャ
ほむら(金魚が宙を舞った!)
さやか(上に跳ね上げる意味ってあるの!?)
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:10:27.38 ID:Ir/qq02y0
スルッ
マミ「え?ちょ、きゃあ!」
マミ「や、どこに入って!?」
ほむら「ちょ、ちょっと落ち着きなさいマミ」
杏子「今とってやるから動くなって」
さやか「胸の間に金魚がうまく入るってお約束だよね」
まどか「うぇひひ、そうだね」
マミ「え?ちょ、きゃあ!」
マミ「や、どこに入って!?」
ほむら「ちょ、ちょっと落ち着きなさいマミ」
杏子「今とってやるから動くなって」
さやか「胸の間に金魚がうまく入るってお約束だよね」
まどか「うぇひひ、そうだね」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:16:31.19 ID:Ir/qq02y0
マミ「ひどい目にあったわ……」
ほむら「ひどい目にあったのは金魚でしょう?」
杏子「おっちゃんもいいものを見れたみたいなこといってたしな」
さやか「マミさんもあんなふうに取り乱すんだなぁ」
マミ「まぁ何はともあれ合計金魚が10匹ね」
ほむら「これだけいれば寂しくないわよね」
まどか「うぇひひ、お友達がいっぱいだね」
ほむら「ひどい目にあったのは金魚でしょう?」
杏子「おっちゃんもいいものを見れたみたいなこといってたしな」
さやか「マミさんもあんなふうに取り乱すんだなぁ」
マミ「まぁ何はともあれ合計金魚が10匹ね」
ほむら「これだけいれば寂しくないわよね」
まどか「うぇひひ、お友達がいっぱいだね」
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:26:52.75 ID:Ir/qq02y0
ほむら「……」ジィ^
マミ「あのお店がどうかした?」
ほむら「あれは何?」
さやか「水風船ヨーヨーじゃん、懐かしいなー」
まどか「うぇひひ、あれで遊んで夢中になって転んじゃったりしたんだよね」
杏子「水風船ヨーヨー釣りだな」
ほむら「水風船ヨーヨー釣り?」
マミ「釣り針みたいなもので引っ掛けて水ヨーヨー風船を釣り上げるゲームよ」
ほむら「風船を針で?割れてしまうじゃない」
杏子「あーいや、そうじゃなくてだな」
マミ「あのお店がどうかした?」
ほむら「あれは何?」
さやか「水風船ヨーヨーじゃん、懐かしいなー」
まどか「うぇひひ、あれで遊んで夢中になって転んじゃったりしたんだよね」
杏子「水風船ヨーヨー釣りだな」
ほむら「水風船ヨーヨー釣り?」
マミ「釣り針みたいなもので引っ掛けて水ヨーヨー風船を釣り上げるゲームよ」
ほむら「風船を針で?割れてしまうじゃない」
杏子「あーいや、そうじゃなくてだな」
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:33:23.75 ID:Ir/qq02y0
杏子「まず見ての通り、風船が水の上で浮いているわけだけど」
杏子「ヨーヨーだから指にはめるための輪っかがあるんだ」
杏子「そこにおっちゃんに渡される引っ掛ける金具をつけた細長い紙をつかって引っ掛けて釣り上げるってわけだ」
ほむら「金魚すくいと同じで紙が濡れて破れたらアウトってことね」
杏子「当然これも必ず紙が濡れるように輪っかを程度沈めたり、風船に水を多く入れて重くしたりされているものがある」
杏子「狙い目は輪っかが上にあるもので、なおかつ水が少ないものだな」
さやか「金魚すくいでもそうだったけど杏子がなんか詳しいなぁ……」
ほむら「せっかくだしやってみようかしら」
まどか「頑張れほむらちゃん」
マミ「ふふっ頑張ってね」
杏子「ヨーヨーだから指にはめるための輪っかがあるんだ」
杏子「そこにおっちゃんに渡される引っ掛ける金具をつけた細長い紙をつかって引っ掛けて釣り上げるってわけだ」
ほむら「金魚すくいと同じで紙が濡れて破れたらアウトってことね」
杏子「当然これも必ず紙が濡れるように輪っかを程度沈めたり、風船に水を多く入れて重くしたりされているものがある」
杏子「狙い目は輪っかが上にあるもので、なおかつ水が少ないものだな」
さやか「金魚すくいでもそうだったけど杏子がなんか詳しいなぁ……」
ほむら「せっかくだしやってみようかしら」
まどか「頑張れほむらちゃん」
マミ「ふふっ頑張ってね」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:39:22.58 ID:Ir/qq02y0
ほむら(下手に濡れてしまったら濡れている場所と濡れていない場所でちぎれやすくなってしまう……)
ほむら(浮いている輪っかに水が紙に触れないようにうまく……難しいわね……)
まどか「……」ドキドキ
さやか「お、おぉ」ドキドキ
マミ「……」ニコニコ
ほむら(引っかかった!)
さやか「これなら!」
まどか「あ、ダメ!」
ボチャン
ほむら「あ……」
マミ「あぁ……」
杏子「残念だったな」
ほむら(浮いている輪っかに水が紙に触れないようにうまく……難しいわね……)
まどか「……」ドキドキ
さやか「お、おぉ」ドキドキ
マミ「……」ニコニコ
ほむら(引っかかった!)
さやか「これなら!」
まどか「あ、ダメ!」
ボチャン
ほむら「あ……」
マミ「あぁ……」
杏子「残念だったな」
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:44:17.81 ID:Ir/qq02y0
マミ「はい、参加賞っておじさんが1つくれたわよ」
杏子「よかったじゃねぇかほむら」
ほむら「でもなんだか負けた気分よ……」
まどか「うぇひひ、とっても惜しかったね」
さやか「初めてであれなら上出来でしょ」
マミ「今時水風船ヨーヨーなんて欲しがる子供も少ないみたいよ」
マミ「だから本気で欲しそうにしていた暁美さんをみてとても喜んでいたわ」
杏子「よかったじゃねぇかほむら」
ほむら「でもなんだか負けた気分よ……」
まどか「うぇひひ、とっても惜しかったね」
さやか「初めてであれなら上出来でしょ」
マミ「今時水風船ヨーヨーなんて欲しがる子供も少ないみたいよ」
マミ「だから本気で欲しそうにしていた暁美さんをみてとても喜んでいたわ」
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:47:10.71 ID:Ir/qq02y0
ほむら「ところでこの水風船ヨーヨーはどう遊ぶものなの?」
杏子「簡単だよ、輪っかを指につけてみろ」
ほむら「これでいいかしら?」
杏子「んであとはこう、ポヨンポヨンってするんだ」
さやか「ぷっきょ、杏子がポヨンポヨンって」
まどか「うぇひひ、とっても可愛い表現だと思うな」
マミ「ふふっ佐倉さんがポヨンポヨンっていうと可愛いわね」
杏子「う、うっせー!」
杏子「簡単だよ、輪っかを指につけてみろ」
ほむら「これでいいかしら?」
杏子「んであとはこう、ポヨンポヨンってするんだ」
さやか「ぷっきょ、杏子がポヨンポヨンって」
まどか「うぇひひ、とっても可愛い表現だと思うな」
マミ「ふふっ佐倉さんがポヨンポヨンっていうと可愛いわね」
杏子「う、うっせー!」
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 01:53:52.64 ID:Ir/qq02y0
ほむら「こんなかんじかしら……」ポヨンポヨン
ほむら「ふふっ……」ポヨンポヨン
マミ「楽しんでるみたいね」
杏子「あんなもんで楽しむのってお子様だけだと思ってたんだけどねぇ」
さやか「ほむらは病弱だったしねぇ」
まどか「うぇひひ、とっても可愛いなって」
ほむら「上がってきたときに水が風船越しにあたって冷たくていい感じね……」ポヨンポヨン
ほむら「ふふっ……」ポヨンポヨン
マミ「楽しんでるみたいね」
杏子「あんなもんで楽しむのってお子様だけだと思ってたんだけどねぇ」
さやか「ほむらは病弱だったしねぇ」
まどか「うぇひひ、とっても可愛いなって」
ほむら「上がってきたときに水が風船越しにあたって冷たくていい感じね……」ポヨンポヨン
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:04:02.77 ID:Ir/qq02y0
マミ「あ、チョコバナナ」
さやか「」
杏子「チョコバナナがどうかしたのかよ」
マミ「幼い頃、お父さんにお祭りで買ってもらって食べたきり食べてなかったわね……」
ほむら「なら買って食べたらいいじゃない」ポヨンポヨン
ほむら「そうやって悲しい思い出としてチョコバナナを思い出して欲しいなんて父親なら思ってないわよ」ポヨンポヨン
マミ「そうね、ありがとう暁美さん」
マミ「あと、そういういいことみたいなことを言う時に水風船ヨーヨーをしてると台なしよ」
ほむら「あ、えっと……手につけてたら勝手にこう……ね?」
さやか「反動で戻ってくるもんね……」
まどか「うぇひひ、よっぽど気に入ったんだね」
さやか「」
杏子「チョコバナナがどうかしたのかよ」
マミ「幼い頃、お父さんにお祭りで買ってもらって食べたきり食べてなかったわね……」
ほむら「なら買って食べたらいいじゃない」ポヨンポヨン
ほむら「そうやって悲しい思い出としてチョコバナナを思い出して欲しいなんて父親なら思ってないわよ」ポヨンポヨン
マミ「そうね、ありがとう暁美さん」
マミ「あと、そういういいことみたいなことを言う時に水風船ヨーヨーをしてると台なしよ」
ほむら「あ、えっと……手につけてたら勝手にこう……ね?」
さやか「反動で戻ってくるもんね……」
まどか「うぇひひ、よっぽど気に入ったんだね」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:11:54.10 ID:Ir/qq02y0
マミ「あむっ」ホムホム
ほむら「……」ジィー
まどか「……」ジィー
杏子「……」ジィー
さやか「……」ジィー
マミ「な、何?」
ほむら「マミがバナナを食べるとなぜか周りの視線が集まっているから何かあるのかと思って」
マミ「考えられる原因なんてあるかしら……うーん」
マミ「っ///」
杏子「どうかしたのか?」
さやか「なんだか顔が赤く……」
マミ「な、なにもないわよ///」
ほむら「……」ジィー
まどか「……」ジィー
杏子「……」ジィー
さやか「……」ジィー
マミ「な、何?」
ほむら「マミがバナナを食べるとなぜか周りの視線が集まっているから何かあるのかと思って」
マミ「考えられる原因なんてあるかしら……うーん」
マミ「っ///」
杏子「どうかしたのか?」
さやか「なんだか顔が赤く……」
マミ「な、なにもないわよ///」
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:17:38.83 ID:Ir/qq02y0
マミ「あれは射的ね」
ほむら「みたいね」ポヨンポヨン
杏子「マミならいい線いくんじゃないかい?」
さやか「マミさんなら武器もマスケット銃だしね」
まどか「それならほむらちゃんだって負けてないよ」
ほむら「あんなおもちゃの銃じゃ簡単にはいかないわよ」ポヨンポヨン
マミ「そうね、でもやってみましょう暁美さん」
ほむら「別にいいけど」ポヨンポヨン
杏子(水風船ヨーヨーどれだけ気に入ったんだよほむら……)
ほむら「みたいね」ポヨンポヨン
杏子「マミならいい線いくんじゃないかい?」
さやか「マミさんなら武器もマスケット銃だしね」
まどか「それならほむらちゃんだって負けてないよ」
ほむら「あんなおもちゃの銃じゃ簡単にはいかないわよ」ポヨンポヨン
マミ「そうね、でもやってみましょう暁美さん」
ほむら「別にいいけど」ポヨンポヨン
杏子(水風船ヨーヨーどれだけ気に入ったんだよほむら……)
57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:23:23.40 ID:Ir/qq02y0
マミ「弾は6発……」
ほむら「威力も弱そうだし真っ直ぐ飛ぶかも怪しいものね」
マミ(まずはどれぐらいの威力でどれだけずれるかを測ってみましょう)
パン
さやか「おっしー、後ちょっとで当たってたのに」
マミ(本当によくずれるのね……)
ほむら(私も測ってみましょう……)
ほむら「威力も弱そうだし真っ直ぐ飛ぶかも怪しいものね」
マミ(まずはどれぐらいの威力でどれだけずれるかを測ってみましょう)
パン
さやか「おっしー、後ちょっとで当たってたのに」
マミ(本当によくずれるのね……)
ほむら(私も測ってみましょう……)
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:29:01.61 ID:Ir/qq02y0
マミ(これぐらいの調整でどうかしら)
パン
さやか「おお!命中!」
まどか「やっぱりマミさんすごいや!」
杏子「落とさないと商品はとれないんだよなぁ、射的って」
ほむら「そうだったの?」
杏子「あぁ、というかそうじゃないとゲームソフトとかなんて当てやすいじゃねぇか」
ほむら「言われてみるとそうね……」
パン
さやか「おお!命中!」
まどか「やっぱりマミさんすごいや!」
杏子「落とさないと商品はとれないんだよなぁ、射的って」
ほむら「そうだったの?」
杏子「あぁ、というかそうじゃないとゲームソフトとかなんて当てやすいじゃねぇか」
ほむら「言われてみるとそうね……」
60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:34:40.70 ID:Ir/qq02y0
杏子「お前らひっでぇな……」
まどか「戦利品がゲームソフトとかばっかりだね……」
さやか「おじさん最後涙目だったよ……」
マミ「そう言われてもねぇ?」
ほむら「絶対に取れないだろうって感じだったから逆に取りたくなって」ポヨンポヨン
マミ「ちょっと暁美さんとテレパシーで相談はしたけど銃はちゃんと実力よ?」
ほむら「えぇ、マミの言うとおり銃は魔法も何も使っていないわ」
杏子「息ぴったりにたてつづけに弾あてて落とすってお前らなぁ……」
さやか「すごかったね」
まどか「うん、射的ってこんなに商品が取れるんだっておもっちゃったもん」
まどか「戦利品がゲームソフトとかばっかりだね……」
さやか「おじさん最後涙目だったよ……」
マミ「そう言われてもねぇ?」
ほむら「絶対に取れないだろうって感じだったから逆に取りたくなって」ポヨンポヨン
マミ「ちょっと暁美さんとテレパシーで相談はしたけど銃はちゃんと実力よ?」
ほむら「えぇ、マミの言うとおり銃は魔法も何も使っていないわ」
杏子「息ぴったりにたてつづけに弾あてて落とすってお前らなぁ……」
さやか「すごかったね」
まどか「うん、射的ってこんなに商品が取れるんだっておもっちゃったもん」
62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:46:36.85 ID:Ir/qq02y0
杏子「お、もうちょっとしたら花火大会やるみたいだぞ」
ほむら「花火……テレビでしか見たことがなかったわね」
杏子「私は打ち上げ花火なら見たことあるよ、見るのはタダだしな」
マミ「そういえば魔法少女になってから花火なんて余裕なかったっけ……」
さやか「……」
まどか「……」
ほむら「ふふっ楽しい花火の思い出があなた達のおかげでできそうね」
杏子「ま、お前らと見るのも悪くないな」
マミ「そうね……」
さやか「3人とも言葉が重い……」
まどか「うん、でもしょうがないよ……」
ほむら「花火……テレビでしか見たことがなかったわね」
杏子「私は打ち上げ花火なら見たことあるよ、見るのはタダだしな」
マミ「そういえば魔法少女になってから花火なんて余裕なかったっけ……」
さやか「……」
まどか「……」
ほむら「ふふっ楽しい花火の思い出があなた達のおかげでできそうね」
杏子「ま、お前らと見るのも悪くないな」
マミ「そうね……」
さやか「3人とも言葉が重い……」
まどか「うん、でもしょうがないよ……」
64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:51:40.34 ID:Ir/qq02y0
ほむら「ところであの子供が持っている白いもじゃもじゃは何?」ポヨンポヨン
ほむら「見ていて少しいらっとするのだけど」ポヨンポヨン
さやか「白いもじゃもじゃはQBを思い出すからってそんなふうに言わなくても……」
まどか「あはは、QBってふわふわしてるもんね」
マミ「あれはわたあめよ暁美さん」
ほむら「へぇ、あれが……」ポヨンポヨン
杏子「あれがアメなのか……」
マミ「ふふっ二人共食べたことがないみたいね」
ほむら「見ていて少しいらっとするのだけど」ポヨンポヨン
さやか「白いもじゃもじゃはQBを思い出すからってそんなふうに言わなくても……」
まどか「あはは、QBってふわふわしてるもんね」
マミ「あれはわたあめよ暁美さん」
ほむら「へぇ、あれが……」ポヨンポヨン
杏子「あれがアメなのか……」
マミ「ふふっ二人共食べたことがないみたいね」
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 02:56:22.82 ID:Ir/qq02y0
マミ「はい、食べてみなさい」
ほむら「食べるって……どこから?」
杏子「ってか本当に綿みたいだけど食べれるんだよな?」
マミ「手でちぎって食べる人やかぶりつく人が多いわね」
マミ「と言っても二人共かぶりつくしかなさそうね」クスクス
まどか「杏子ちゃんもほむらちゃんも片腕で他のものをもってるもんね」
さやか「まぁほむらは水風船ヨーヨーはずしたら使えるけどね」
ほむら「食べるって……どこから?」
杏子「ってか本当に綿みたいだけど食べれるんだよな?」
マミ「手でちぎって食べる人やかぶりつく人が多いわね」
マミ「と言っても二人共かぶりつくしかなさそうね」クスクス
まどか「杏子ちゃんもほむらちゃんも片腕で他のものをもってるもんね」
さやか「まぁほむらは水風船ヨーヨーはずしたら使えるけどね」
72: 夜店って何があったっけなぁ 投稿日:2012/08/20(月) 03:02:23.01 ID:Ir/qq02y0
ほむら「あむ……」
杏子「あむ……」
ほむら「あ、とても甘い……」
杏子「舌で溶けるんだなこれ……」
マミ「ふふっ二人共子供みたいな表情ね」
まどか「うぇひひ、二人共可愛いなって」
さやか「食べてる時はいいけどわたあめって食べ終わるとベタベタしちゃうのが問題だよね」
杏子「あむ……」
ほむら「あ、とても甘い……」
杏子「舌で溶けるんだなこれ……」
マミ「ふふっ二人共子供みたいな表情ね」
まどか「うぇひひ、二人共可愛いなって」
さやか「食べてる時はいいけどわたあめって食べ終わるとベタベタしちゃうのが問題だよね」
73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 03:07:42.90 ID:Ir/qq02y0
杏子「お、お面屋か」
さやか「小さい頃つけて恭介と走り回ってたっけ……」
ほむら「へぇ、お面って戦隊とかキャラ物ばかりなのね」ポヨンポヨン
マミ「どういうものがあると思ったの?」
ほむら「天狗とか生ハゲとかオカメとか」ポヨンポヨン
杏子「ガキが泣くぞ……」
まどか「私もそれはちょっと怖いかなぁ……」
ほむら「そうかしら、私はああいうお面きらいじゃないんだけど……」ポヨンポヨン
さやか「小さい頃つけて恭介と走り回ってたっけ……」
ほむら「へぇ、お面って戦隊とかキャラ物ばかりなのね」ポヨンポヨン
マミ「どういうものがあると思ったの?」
ほむら「天狗とか生ハゲとかオカメとか」ポヨンポヨン
杏子「ガキが泣くぞ……」
まどか「私もそれはちょっと怖いかなぁ……」
ほむら「そうかしら、私はああいうお面きらいじゃないんだけど……」ポヨンポヨン
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 03:19:41.50 ID:Ir/qq02y0
マミ「あ、りんご飴……佐倉さん食べる?」
杏子「ん?なんでだよ」
ほむら「なんでってりんご飴よ杏子」
さやか「杏子ってりんご飴似合いそうだもんね」
まどか「うん、なんだか持ってないとおかしいってぐらい似合いそうだよね」
杏子「まぁくれるならもらうけど……」
杏子「ん?なんでだよ」
ほむら「なんでってりんご飴よ杏子」
さやか「杏子ってりんご飴似合いそうだもんね」
まどか「うん、なんだか持ってないとおかしいってぐらい似合いそうだよね」
杏子「まぁくれるならもらうけど……」
77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 03:24:15.82 ID:Ir/qq02y0
杏子「あ、うめぇ……」ペロペロ
まどか「あはは、とっても似合ってる」
さやか「ってか似合い過ぎでしょ」
マミ「ふふっいつもそれぐらい可愛ければいいのに」
ほむら「まったくね」ポヨンポヨン
杏子「あーもううっせーうっせーてか水風船ヨーヨーに夢中なほむらに言われたくねぇよ」
まどか「あはは、とっても似合ってる」
さやか「ってか似合い過ぎでしょ」
マミ「ふふっいつもそれぐらい可愛ければいいのに」
ほむら「まったくね」ポヨンポヨン
杏子「あーもううっせーうっせーてか水風船ヨーヨーに夢中なほむらに言われたくねぇよ」
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 03:33:37.32 ID:Ir/qq02y0
ほむら「これは何?」
マミ「型抜きね、成功するとお金がもらえたりするわよ」
ほむら「へぇ、針で削ってその形をつくるのね」
杏子「こんなんあったんだな……これを極めてれば儲けれたのに……」
さやか「お祭りで店を出さずに儲けって……どっかずれてない?」
まどか「でも杏子ちゃんらしいと思うな」
マミ「型抜きね、成功するとお金がもらえたりするわよ」
ほむら「へぇ、針で削ってその形をつくるのね」
杏子「こんなんあったんだな……これを極めてれば儲けれたのに……」
さやか「お祭りで店を出さずに儲けって……どっかずれてない?」
まどか「でも杏子ちゃんらしいと思うな」
80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 03:37:13.57 ID:Ir/qq02y0
ほむら「……」カリカリ
杏子「……」カリカリ
さやか「できるのかな……」ワクワク
まどか「どうだろうね」ワクワク
マミ「……」ワクワク
パキャ
杏子「あーこんなのできねえええええ」
杏子「……」カリカリ
さやか「できるのかな……」ワクワク
まどか「どうだろうね」ワクワク
マミ「……」ワクワク
パキャ
杏子「あーこんなのできねえええええ」
82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 03:42:43.89 ID:Ir/qq02y0
ほむら「できたわ」
まどか「ほむらちゃんすごいね」
さやか「私は机に向かってカリカリしてるだけで疲れそう」
杏子「こんなのよくできるな……」
マミ「すごいわね……」
まどか「ほむらちゃんすごいね」
さやか「私は机に向かってカリカリしてるだけで疲れそう」
杏子「こんなのよくできるな……」
マミ「すごいわね……」
84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 03:54:15.30 ID:Ir/qq02y0
マミ「あ、型抜きをしている間に花火の時間が近いわね」
ほむら「そうね、どこで見る?」
杏子「あっちの方だとちょうど工事中の場所があるからそこに入り込むか」
マミ「そういうことしちゃダメよ?」
さやか「そうそう、確かに簡単に忍び込めるけど」
まどか「普通は簡単じゃないとおもうなぁ……」
杏子「ま、いいじゃん今日ぐらいさ、いい眺めで見たいし」
マミ「もう、今日だけよ?」
ほむら「そう言っておいてマミも高いところで見たいんでしょう?」
さやか「高いほうが見応えあるんだよねぇ……」
マミ「も、もう、そういうことは言わなくていいの」
ほむら「そうね、どこで見る?」
杏子「あっちの方だとちょうど工事中の場所があるからそこに入り込むか」
マミ「そういうことしちゃダメよ?」
さやか「そうそう、確かに簡単に忍び込めるけど」
まどか「普通は簡単じゃないとおもうなぁ……」
杏子「ま、いいじゃん今日ぐらいさ、いい眺めで見たいし」
マミ「もう、今日だけよ?」
ほむら「そう言っておいてマミも高いところで見たいんでしょう?」
さやか「高いほうが見応えあるんだよねぇ……」
マミ「も、もう、そういうことは言わなくていいの」
85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 04:01:49.64 ID:Ir/qq02y0
マミ「ちょっと何かを買って戻ってくるぐらいの時間はありそうね……」
マミ「そうだわ、花火を見終わったら一緒に花火をしましょう」
杏子「手持ち花火か、いいんじゃないか」
ほむら「そっちの花火もしたことはないわね……」
ほむら「テレビだと打ち上げのものばかりだからソッチのほうが楽しみかもしれないわ」
さやか「15連発とかっていいよねー」
まどか「うぇひひ、私は線香花火が好きかなぁ」
マミ「じゃあ決まりね」
マミ「そうだわ、花火を見終わったら一緒に花火をしましょう」
杏子「手持ち花火か、いいんじゃないか」
ほむら「そっちの花火もしたことはないわね……」
ほむら「テレビだと打ち上げのものばかりだからソッチのほうが楽しみかもしれないわ」
さやか「15連発とかっていいよねー」
まどか「うぇひひ、私は線香花火が好きかなぁ」
マミ「じゃあ決まりね」
86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 04:08:17.69 ID:Ir/qq02y0
マミ「私は手持ち花火を買ってくるから先に行っていて」
マミ「ふふっ場所取りの必要はない場所だけど」
ほむら「えぇ、わかったわ」
杏子「なんか食いながら見たいし私もちょっと店を回ってくるよ」
杏子「だから先に行っておいてくれるか?」
ほむら「それならあなたの分だけじゃなくて……」
杏子「わかってるって多めに買ってくるよ」
ほむら「えぇ、お願いね」
マミ「ふふっ場所取りの必要はない場所だけど」
ほむら「えぇ、わかったわ」
杏子「なんか食いながら見たいし私もちょっと店を回ってくるよ」
杏子「だから先に行っておいてくれるか?」
ほむら「それならあなたの分だけじゃなくて……」
杏子「わかってるって多めに買ってくるよ」
ほむら「えぇ、お願いね」
87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 04:13:58.36 ID:Ir/qq02y0
ほむら「この辺でいいわよね……」
ほむら「金魚やゲームソフトはマミに預けてあるし、水風船ヨーヨーで暇つぶしするしかないわ」ポヨンポヨン
さやか「よっぽど気に入ってるんだね」
まどか「浴衣じゃないのが残念だな」
ほむら「……」ポヨンポヨン
ほむら「金魚やゲームソフトはマミに預けてあるし、水風船ヨーヨーで暇つぶしするしかないわ」ポヨンポヨン
さやか「よっぽど気に入ってるんだね」
まどか「浴衣じゃないのが残念だな」
ほむら「……」ポヨンポヨン
88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 04:24:23.40 ID:Ir/qq02y0
ヒューパァン
ほむら「あ、これがテレビなんかじゃない本当の花火なんだ……綺麗……」
ほむら「ってマミも杏子も間に合ってないじゃない……」
ほむら「初めての花火って言っても一人で見ていたら寂しいだけじゃない……」ポヨンポヨン
まどか「ほむらちゃん……」
さやか「ほむら……」
ほむら「あ、これがテレビなんかじゃない本当の花火なんだ……綺麗……」
ほむら「ってマミも杏子も間に合ってないじゃない……」
ほむら「初めての花火って言っても一人で見ていたら寂しいだけじゃない……」ポヨンポヨン
まどか「ほむらちゃん……」
さやか「ほむら……」
91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 04:36:03.43 ID:Ir/qq02y0
ほむら「まどかはそばにいるのかな……」
ほむら「さやかも一緒にいたりして……」
パァン
ほむら「まどかだけじゃなくて皆を助けて……」
ほむら「5人で花火とか海とか行きたいって夢見た事もあったっけ……」
まどか「ほむらちゃん……」
さやか「お盆ってことで見えるように化けて出られたらいいんだけどね……」
ほむら「さやかも一緒にいたりして……」
パァン
ほむら「まどかだけじゃなくて皆を助けて……」
ほむら「5人で花火とか海とか行きたいって夢見た事もあったっけ……」
まどか「ほむらちゃん……」
さやか「お盆ってことで見えるように化けて出られたらいいんだけどね……」
93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 04:40:04.39 ID:Ir/qq02y0
マミ「ごめんなさい、遅くなったわ」
杏子「何しょぼくれてるんだお前」
ほむら「別に、二人が遅いから退屈していただけよ」
パァン
マミ「綺麗ね」
杏子「だな」
ほむら「えぇ……」
杏子「何しょぼくれてるんだお前」
ほむら「別に、二人が遅いから退屈していただけよ」
パァン
マミ「綺麗ね」
杏子「だな」
ほむら「えぇ……」
95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 04:43:00.94 ID:Ir/qq02y0
杏子「ほれ、たこ焼きくうかい」
ほむら「いただくわ」
マミ「私ももらうわね」
パァン
杏子「やっぱり外で食うたこ焼きとかお好み焼きはうめぇな」
ほむら「そうね、買い食いが何故か美味しいっていうのに似ている気がするわ」
マミ「食べ物に集中して花火を見ないのはもったいないわよ二人共」
パァン
ほむら「いただくわ」
マミ「私ももらうわね」
パァン
杏子「やっぱり外で食うたこ焼きとかお好み焼きはうめぇな」
ほむら「そうね、買い食いが何故か美味しいっていうのに似ている気がするわ」
マミ「食べ物に集中して花火を見ないのはもったいないわよ二人共」
パァン
99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 04:46:44.66 ID:Ir/qq02y0
さやか「ちゃんと5人揃ってるんだけどね」
まどか「うん……」
さやか「よーしさやかちゃんパワーで心霊写真として映るように念を……」
まどか「あはは、今誰も写真とろうとしてないよ?」
さやか「次に撮った時にほむらの肩にさやかちゃんが映り込む念だから問題ないって」
まどか「なんだかさやかちゃんがほむらちゃんを呪ってるみたいになりそう……」
さやか「その場合お祓いされたらどうなるんだろう私」
まどか「うん……」
さやか「よーしさやかちゃんパワーで心霊写真として映るように念を……」
まどか「あはは、今誰も写真とろうとしてないよ?」
さやか「次に撮った時にほむらの肩にさやかちゃんが映り込む念だから問題ないって」
まどか「なんだかさやかちゃんがほむらちゃんを呪ってるみたいになりそう……」
さやか「その場合お祓いされたらどうなるんだろう私」
101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 04:49:46.67 ID:Ir/qq02y0
パァン
ほむら「それにしてもたくさん買ってきたわね、お金は?」
杏子「有り金はたいて買ったんだよ」
杏子「あ、言っとくけど金は割り勘だからな」
パァンパァン
マミ「あ、だから一人でパクパク食べてたのね佐倉さん」
ほむら「そうと聞いたら黙ってはいられないわね、そこのお好み焼きをよこしなさい」
杏子「おいおい、花火を見なくていいのかよお前ら」
ほむら「それにしてもたくさん買ってきたわね、お金は?」
杏子「有り金はたいて買ったんだよ」
杏子「あ、言っとくけど金は割り勘だからな」
パァンパァン
マミ「あ、だから一人でパクパク食べてたのね佐倉さん」
ほむら「そうと聞いたら黙ってはいられないわね、そこのお好み焼きをよこしなさい」
杏子「おいおい、花火を見なくていいのかよお前ら」
102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 04:54:44.07 ID:Ir/qq02y0
ほむら「夜店の唐揚げって案外いけるわね」ホムホム
杏子「だろ?その場で食べてうまかったもんだから追加でさぁ」
マミ「って佐倉さん、割り勘なのにその場で食べた分のお金はどうするのよ」
杏子「ケチケチするなよマミ」
マミ「はぁ……一人暮らしってそこまで余裕はないのよ……特にまだアルバイトもできないから減っていく一方だし」
ほむら「私も仕送りがあるっていってもそこまで余裕はないわよ」
杏子「ま、いいじゃんか」
マミ「もう……」
杏子「だろ?その場で食べてうまかったもんだから追加でさぁ」
マミ「って佐倉さん、割り勘なのにその場で食べた分のお金はどうするのよ」
杏子「ケチケチするなよマミ」
マミ「はぁ……一人暮らしってそこまで余裕はないのよ……特にまだアルバイトもできないから減っていく一方だし」
ほむら「私も仕送りがあるっていってもそこまで余裕はないわよ」
杏子「ま、いいじゃんか」
マミ「もう……」
103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 04:56:49.20 ID:Ir/qq02y0
パァン
マミ「たまやー」
ほむら「そういえばそのたまやーってどういう意味なの?」
杏子「そういえば花火があるとだいたいそう叫ぶやつがいるよな」
マミ「え?えっと……ごめんなさい、わからないわ」
ほむら「つまりフリースタイルでもいいってことね」
マミ「?」
マミ「たまやー」
ほむら「そういえばそのたまやーってどういう意味なの?」
杏子「そういえば花火があるとだいたいそう叫ぶやつがいるよな」
マミ「え?えっと……ごめんなさい、わからないわ」
ほむら「つまりフリースタイルでもいいってことね」
マミ「?」
104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 05:01:52.75 ID:Ir/qq02y0
パァン
ほむら「まどかー!」
まどか「え!?」
マミ「まどか?」
杏子「前に言ってたお前の友達だっけ?」
ほむら「えぇ、無性にあの子の名前を叫びたくて」
杏子「ふーん」
ほむら「まどかー!」
まどか「え!?」
マミ「まどか?」
杏子「前に言ってたお前の友達だっけ?」
ほむら「えぇ、無性にあの子の名前を叫びたくて」
杏子「ふーん」
107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 05:02:54.24 ID:Ir/qq02y0
パァン
杏子「さやかー!」
さやか「うお!?」
ほむら「まどかー!」
まどか「うぇひひ」
マミ「って二人共あんまり騒いだらダメでしょ、ここは入っちゃダメな場所なんだから」
ほむら「そういえばそうだったわね」
杏子「忘れてた……」
杏子「さやかー!」
さやか「うお!?」
ほむら「まどかー!」
まどか「うぇひひ」
マミ「って二人共あんまり騒いだらダメでしょ、ここは入っちゃダメな場所なんだから」
ほむら「そういえばそうだったわね」
杏子「忘れてた……」
109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 05:10:44.38 ID:Ir/qq02y0
パァンパァンパァンパァンパァン
マミ「そろそろ終わりみたいね」
ほむら「連続なのはそういうことだったのね」
杏子「まぁ最後がしょぼかったら変だしな」
ほむら「それにしても」
マミ「どうかしたの?」
ほむら「花火の火薬の量を考えてしまうわね」
杏子「いや、普通考えねぇよ」
マミ「そろそろ終わりみたいね」
ほむら「連続なのはそういうことだったのね」
杏子「まぁ最後がしょぼかったら変だしな」
ほむら「それにしても」
マミ「どうかしたの?」
ほむら「花火の火薬の量を考えてしまうわね」
杏子「いや、普通考えねぇよ」
110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 05:16:13.29 ID:Ir/qq02y0
マミ「さて、公園で花火をしましょう」
ほむら「そうね、お腹もいっぱいだし」
杏子「いやー腹は膨れたなあ」
マミ「やめて、膨れるとか言わないで……」
ほむら「諦めなさいマミ、杏子の買ってきた量を考えればそれはどうしようもないことよ」
マミ「あなた達は二人共太りにくい体質みたいだからそう言えるのよ!」
まどか「ほむらちゃんと杏子ちゃんは太るっていうイメージもわかないよね」
さやか「うん、これはマミさんが正しいね、ほむらと杏子がずるい」
ほむら「そうね、お腹もいっぱいだし」
杏子「いやー腹は膨れたなあ」
マミ「やめて、膨れるとか言わないで……」
ほむら「諦めなさいマミ、杏子の買ってきた量を考えればそれはどうしようもないことよ」
マミ「あなた達は二人共太りにくい体質みたいだからそう言えるのよ!」
まどか「ほむらちゃんと杏子ちゃんは太るっていうイメージもわかないよね」
さやか「うん、これはマミさんが正しいね、ほむらと杏子がずるい」
111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 05:26:08.42 ID:Ir/qq02y0
杏子「へぇ、手持ち花火ってこんなもんなんだな」パチパチパチ
ほむら「こうして持っていると風情があるわね」パチパチパチ
マミ「そうね……」
まどか「うぇひひ、とっても綺麗」
さやか「そだね」
まどか「うぇひひ、せめてほむらちゃんの隣で花火を見ていようかな」
さやか「んじゃ私は杏子の方から見ようかな」
ほむら「こうして持っていると風情があるわね」パチパチパチ
マミ「そうね……」
まどか「うぇひひ、とっても綺麗」
さやか「そだね」
まどか「うぇひひ、せめてほむらちゃんの隣で花火を見ていようかな」
さやか「んじゃ私は杏子の方から見ようかな」
113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 05:26:54.97 ID:Ir/qq02y0
―――――
―――
ほむら「それじゃあね」
マミ「またね暁美さん」
杏子「んじゃな」
ほむら「えぇ、今日は楽しかったわ」
―――
ほむら「それじゃあね」
マミ「またね暁美さん」
杏子「んじゃな」
ほむら「えぇ、今日は楽しかったわ」
115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 05:29:36.41 ID:Ir/qq02y0
ほむら「……」ポヨンポヨン
まどか「花火、とっても綺麗だったねほむらちゃん」
ほむら「え?今……もしかしてまどか?」
まどか「え?もしかして聞こえるのほむらちゃん!」
ほむら「……気のせいかしら……」
まどか「あ……うぅ……」
ほむら「ううん、きっとまどかは私と一緒にお祭りで楽しんでくれてたのよね……」
ほむら「聞こえているかわからないけど……」
ほむら「楽しかったねまどか」
まどか「うん!」
まどか「花火、とっても綺麗だったねほむらちゃん」
ほむら「え?今……もしかしてまどか?」
まどか「え?もしかして聞こえるのほむらちゃん!」
ほむら「……気のせいかしら……」
まどか「あ……うぅ……」
ほむら「ううん、きっとまどかは私と一緒にお祭りで楽しんでくれてたのよね……」
ほむら「聞こえているかわからないけど……」
ほむら「楽しかったねまどか」
まどか「うん!」
116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 05:41:20.57 ID:Ir/qq02y0
―翌日―
杏子「で、突然呼び出してなんだよマミ」
ほむら「なにか急ぎの用があるみたいだけど」
マミ「コホン、実は昨日あなた達が手持ち花火をしているときに写真をとったのよ」
ほむら「え?いつの間に」
杏子「よくシャッターなしで撮れたな」
マミ「公園って夜でも明るいし案外撮れるものよってそれはいいのだけどこれを見て……」
杏子「で、突然呼び出してなんだよマミ」
ほむら「なにか急ぎの用があるみたいだけど」
マミ「コホン、実は昨日あなた達が手持ち花火をしているときに写真をとったのよ」
ほむら「え?いつの間に」
杏子「よくシャッターなしで撮れたな」
マミ「公園って夜でも明るいし案外撮れるものよってそれはいいのだけどこれを見て……」
117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 05:42:12.08 ID:Ir/qq02y0
杏子「……なんだこれ、さやかか?」
ほむら「あ……」
マミ「み、美樹さんを知っているだけに心霊写真として出たのが怖くなって……」
マミ「それに暁美さんの方も……その……ね?」
ほむら「大丈夫よ、この子もさやかも人を呪ったりしない、むしろ守ってくれるわ」
マミ「……そうね、ちょっと心霊写真ってことで驚いて取り乱してしまったわ」
マミ「美樹さんがそんなことをするわけないし、そっちの子もそんな感じにはみえないものね」
杏子「ま、盆だしこんなのもいいんじゃねぇの、魔法少女が消滅した後も元気でやれるってことじゃん」
ほむら「あ……」
マミ「み、美樹さんを知っているだけに心霊写真として出たのが怖くなって……」
マミ「それに暁美さんの方も……その……ね?」
ほむら「大丈夫よ、この子もさやかも人を呪ったりしない、むしろ守ってくれるわ」
マミ「……そうね、ちょっと心霊写真ってことで驚いて取り乱してしまったわ」
マミ「美樹さんがそんなことをするわけないし、そっちの子もそんな感じにはみえないものね」
杏子「ま、盆だしこんなのもいいんじゃねぇの、魔法少女が消滅した後も元気でやれるってことじゃん」
119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 05:42:46.39 ID:Ir/qq02y0
まどか「私は幽霊とかじゃないしどこにでもいるんだけどなぁ……どうして写ったんだろう」
さやか「どこにでも居るって言ってもほむらの周りに濃度みたいなものが集中してるからじゃない?」
ほむら「やっぱり一緒にいてくれたんだねまどか」
まどか「うぇひひ、ほむらちゃんがうれしそう」
さやか「そういうまどかも嬉しそうじゃん、にくいねーこのこの」
まどか「わわ、からかわないでよさやかちゃん」
マミ「あ、そうそう新しく駅前にオープンしたお店のケーキを買ったのだけどどうかしら?」
杏子「お、ウマそうじゃん」
ほむら「是非いただくわ」
まどか「美味しそう……」
さやか「こういう時は霊体の自分が憎い」
終わり
さやか「どこにでも居るって言ってもほむらの周りに濃度みたいなものが集中してるからじゃない?」
ほむら「やっぱり一緒にいてくれたんだねまどか」
まどか「うぇひひ、ほむらちゃんがうれしそう」
さやか「そういうまどかも嬉しそうじゃん、にくいねーこのこの」
まどか「わわ、からかわないでよさやかちゃん」
マミ「あ、そうそう新しく駅前にオープンしたお店のケーキを買ったのだけどどうかしら?」
杏子「お、ウマそうじゃん」
ほむら「是非いただくわ」
まどか「美味しそう……」
さやか「こういう時は霊体の自分が憎い」
終わり
124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 05:48:26.83 ID:Ir/qq02y0
>>52のさやか「」はなかったことにして欲しい
まどさやが普通にいるようで実はいない的なのやってみようと思い立ったものの俺には難しいわ
まずまどっちとほむほむに仲良くお喋りさせられないとかきついまどほむ大好きっ子の俺には軽い苦痛
さやさやとあんあんの仲良し喧嘩をマミさんにストップさせるとかできないのもきつい
何はともあれ付き合ってくれた人ありがとう、暇つぶしにでもなってれば幸い
まどさやが普通にいるようで実はいない的なのやってみようと思い立ったものの俺には難しいわ
まずまどっちとほむほむに仲良くお喋りさせられないとかきついまどほむ大好きっ子の俺には軽い苦痛
さやさやとあんあんの仲良し喧嘩をマミさんにストップさせるとかできないのもきつい
何はともあれ付き合ってくれた人ありがとう、暇つぶしにでもなってれば幸い
123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 05:48:01.83 ID:AbO68yWA0
乙乙
こういうの嫌いじゃないわ
こういうの嫌いじゃないわ
125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2012/08/20(月) 05:51:50.76 ID:LhCaBpNJ0
乙
次はまどほむイチャイチャさせるべき
次はまどほむイチャイチャさせるべき
掲載元:http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1345387450/
Entry ⇒ 2015.01.31 | Category ⇒ 魔法少女まどか☆マギカ | Comments (0)
モバP「二人でつくるもの」
1: ◆aWAgy8FINC2x 2015/01/28(水) 20:01:15.60 ID:3g2Djr0g0
モバマスSSです
書き溜めあります
過去いくつか書いてますが、関連は全くありません
よろしくお願いします
書き溜めあります
過去いくつか書いてますが、関連は全くありません
よろしくお願いします
3: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:03:43.76 ID:3g2Djr0g0
藤原肇「Pさん!」
モバP「お、肇! まだ時間に早くないか?」
肇「Pさんならきっと約束の時間より早く来ると思って…」
モバP「約束の時間は守らないとな」グゥー
肇「あ、おなかの音」
モバP「…早めに来て肇が来るまでに軽く飯でもって思ってたんだ」
肇「ふふっ なら早く来ておいてよかったです。
今日は長丁場ですから、朝からしっかり食べましょう」
モバP「お、肇! まだ時間に早くないか?」
肇「Pさんならきっと約束の時間より早く来ると思って…」
モバP「約束の時間は守らないとな」グゥー
肇「あ、おなかの音」
モバP「…早めに来て肇が来るまでに軽く飯でもって思ってたんだ」
肇「ふふっ なら早く来ておいてよかったです。
今日は長丁場ですから、朝からしっかり食べましょう」
4: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:04:13.26 ID:3g2Djr0g0
モバP「肇の実家にお邪魔するもの久しぶりだな」
肇「そうですね。私も実家には滅多に帰りませんし」
モバP「なかなか休ませてやれなくてごめんな」
肇「いえっ、そういう意味じゃ…アイドルは輝けるときが勝負です。
今がそういう時だってわかってます」
モバP「そういってもらえるとありがたい」
肇「ふふっ でもなんだかんだ定期的にお休みくださいますよね、Pさんは」
モバP「休みも含めてプロデュースするのがお仕事です」
肇「いつも頼りにしてます」
モバP「おう」
肇「そうですね。私も実家には滅多に帰りませんし」
モバP「なかなか休ませてやれなくてごめんな」
肇「いえっ、そういう意味じゃ…アイドルは輝けるときが勝負です。
今がそういう時だってわかってます」
モバP「そういってもらえるとありがたい」
肇「ふふっ でもなんだかんだ定期的にお休みくださいますよね、Pさんは」
モバP「休みも含めてプロデュースするのがお仕事です」
肇「いつも頼りにしてます」
モバP「おう」
5: 元ネタは肇ちゃんSR ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:06:28.35 ID:3g2Djr0g0
肇「今朝は何時ごろに出られたんですか」
モバP「東京駅を6時ちょい過ぎかな」
肇「それは…ずいぶん早起きをさせてしまいましたね。すみません」
モバP「おかげで富士山見逃したよ」
肇「ふふっ 寝過ごさなくて何よりです」
モバP「寝れるときに寝る。そしてすぐ起きる。プロデューサーの職業病」
肇「それ、うらやましいかもしれません。私、穏やかなお昼にとっても弱くて。夢見るまで寝てしまいます」
モバP「変な寝言は勘弁してくれよ」
肇「あー…それは思い出させないでください///」
モバP「東京駅を6時ちょい過ぎかな」
肇「それは…ずいぶん早起きをさせてしまいましたね。すみません」
モバP「おかげで富士山見逃したよ」
肇「ふふっ 寝過ごさなくて何よりです」
モバP「寝れるときに寝る。そしてすぐ起きる。プロデューサーの職業病」
肇「それ、うらやましいかもしれません。私、穏やかなお昼にとっても弱くて。夢見るまで寝てしまいます」
モバP「変な寝言は勘弁してくれよ」
肇「あー…それは思い出させないでください///」
6: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:09:21.34 ID:3g2Djr0g0
肇「ただいまー」
モバP「お邪魔します」
肇「と、言っても今は誰もいないんです」
モバP「おじいさんも?」
肇「はい。両親は仕事、祖父は今朝は朝早くから外出してます」
モバP「そっか…ごあいさつしたかったな」
肇「焼き上がりの時間にもよりますが、多分どこかで会えると思いますよ」
モバP「お、そっか」
肇「さて、朝食にしましょう。私は食べてしまいましたが。苦手な食べ物はありますか?」
モバP「何か悪いな。うーん、梅干しは苦手」
肇「ふふっ」
モバP「今、子どもっぽいって思っただろ」
肇「あ、自覚はあったんですね」
モバP「好き嫌いの1つや2つくらい、誰だってあるだろ」
肇「はい。だから、私は気にしませんよ。ふふっ」
モバP「なんか負けた気持ち」
モバP「お邪魔します」
肇「と、言っても今は誰もいないんです」
モバP「おじいさんも?」
肇「はい。両親は仕事、祖父は今朝は朝早くから外出してます」
モバP「そっか…ごあいさつしたかったな」
肇「焼き上がりの時間にもよりますが、多分どこかで会えると思いますよ」
モバP「お、そっか」
肇「さて、朝食にしましょう。私は食べてしまいましたが。苦手な食べ物はありますか?」
モバP「何か悪いな。うーん、梅干しは苦手」
肇「ふふっ」
モバP「今、子どもっぽいって思っただろ」
肇「あ、自覚はあったんですね」
モバP「好き嫌いの1つや2つくらい、誰だってあるだろ」
肇「はい。だから、私は気にしませんよ。ふふっ」
モバP「なんか負けた気持ち」
7: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:11:57.34 ID:3g2Djr0g0
肇「できましたよ~ って、どうしたんですか? 何かついてますか?」
モバP「いや、ずいぶん大人っぽくなったなぁって思って」
肇「そうですか?」
モバP「もともと大人っぽくはあったけどな。
エプロン姿とか、食事作ってるとことか、出会ったころにはなかった大人っぽさがある」
肇「ふふっ ありがとうございます。Pさん」
モバP「ん?」
肇「私も今年で二十歳になるんですよ」
モバP「そっかぁ…そりゃ大人にもなるよな」
肇「そういうことです。さ、どうぞ。昨日釣ってきたヤマメと卵焼き、お漬物に味噌汁です」
モバP「うまそう! いただきます」
モバP「いや、ずいぶん大人っぽくなったなぁって思って」
肇「そうですか?」
モバP「もともと大人っぽくはあったけどな。
エプロン姿とか、食事作ってるとことか、出会ったころにはなかった大人っぽさがある」
肇「ふふっ ありがとうございます。Pさん」
モバP「ん?」
肇「私も今年で二十歳になるんですよ」
モバP「そっかぁ…そりゃ大人にもなるよな」
肇「そういうことです。さ、どうぞ。昨日釣ってきたヤマメと卵焼き、お漬物に味噌汁です」
モバP「うまそう! いただきます」
8: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:14:09.21 ID:3g2Djr0g0
肇「いかがでしたか」
モバP「むちゃくちゃうまかった」
肇「それは、よかったです」
モバP「片付けは俺がやるよ」
肇「いえ、大丈夫ですよ。ついでにお茶も入れてきますね」
モバP「何から何まで悪いな」
肇「お気になさらないでください。 褒められて、ごきげんなんです♪」
モバP「むちゃくちゃうまかった」
肇「それは、よかったです」
モバP「片付けは俺がやるよ」
肇「いえ、大丈夫ですよ。ついでにお茶も入れてきますね」
モバP「何から何まで悪いな」
肇「お気になさらないでください。 褒められて、ごきげんなんです♪」
9: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:15:46.02 ID:3g2Djr0g0
ズズズ
モバP「はぁーうまい」
肇「リンゴ、向きますね」
モバP「いたせりつくせりだな、本当」
肇「ふふっ 大事なお客様ですから」スルスル
モバP「…肇の指って細くてキレーだな」
肇「もう、いきなり何言ってるんですか」
モバP「いや、あんまり意識したことなかったからさ」
肇「陶芸やってるからでしょうか。手先は結構器用なんですよ」
モバP「なるほどなあ…納得。それで思い出した。今日は何で呼び出されたんだ、俺」
肇「そういえば、ちょっと実家にいらしていただけませんか、であっさりお越しいただいちゃいましたね」
モバP「誘い主が肇だからな」
肇「それ、喜ぶところですか、照れるところですか」
モバP「好きに」
肇「ちょっと、照れます」
モバP「かわいいやつめ。さっきから気になってたんだけどさ、長丁場とか、焼き上がりとか」
肇「はい。今日、Pさんには私と一緒に窯焚きをやっていただこうと思いまして」
モバP「はぁーうまい」
肇「リンゴ、向きますね」
モバP「いたせりつくせりだな、本当」
肇「ふふっ 大事なお客様ですから」スルスル
モバP「…肇の指って細くてキレーだな」
肇「もう、いきなり何言ってるんですか」
モバP「いや、あんまり意識したことなかったからさ」
肇「陶芸やってるからでしょうか。手先は結構器用なんですよ」
モバP「なるほどなあ…納得。それで思い出した。今日は何で呼び出されたんだ、俺」
肇「そういえば、ちょっと実家にいらしていただけませんか、であっさりお越しいただいちゃいましたね」
モバP「誘い主が肇だからな」
肇「それ、喜ぶところですか、照れるところですか」
モバP「好きに」
肇「ちょっと、照れます」
モバP「かわいいやつめ。さっきから気になってたんだけどさ、長丁場とか、焼き上がりとか」
肇「はい。今日、Pさんには私と一緒に窯焚きをやっていただこうと思いまして」
10: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:22:45.62 ID:3g2Djr0g0
モバP「これは…すごいな」
肇「登り窯って言うんです。3つの部屋があって、同時にたくさんの器を焼けます」
モバP「へぇぇ」
肇「毎年、翌年への思いを込めて作品を作って、年末に窯に入れて、新年に焼くんです」
モバP「藤原家の恒例行事ってことか」
肇「はい。普段は私と祖父で。でも今年は特別です」
モバP「それは、なぜ?」
肇「私が、今年二十歳になるからです」
モバP「! なるほど、な。そういう節目だよな」
肇「はい。Pさんにはどうしてもいらしてほしくて…すみません、お付き合いいただいてしまって」
モバP「いや、むしろありがとう。そんな大事な節目に一緒にいさせてくれて」
肇「っ/// ズルいです、目を見てそんなこと言うなんて」
モバP「顔真っ赤」
肇「も、もうっ/// 説明! 説明しますよ!」
モバP「はい」
肇「これから手前の扉から薪をくべていきます。そして、じっくり火を強めていきます」
モバP「ふむ」
肇「上がるスピードにもよりますが、今から始めますと、たぶん夜中の3時ぐらいに終わると思います」
モバP「3時な。えっ」
肇「目標は1250度です。長丁場ですけど、大丈夫です。お弁当も持ってきました」
モバP「わお」
肇「さ、動揺してないで、始めますよ」
肇「登り窯って言うんです。3つの部屋があって、同時にたくさんの器を焼けます」
モバP「へぇぇ」
肇「毎年、翌年への思いを込めて作品を作って、年末に窯に入れて、新年に焼くんです」
モバP「藤原家の恒例行事ってことか」
肇「はい。普段は私と祖父で。でも今年は特別です」
モバP「それは、なぜ?」
肇「私が、今年二十歳になるからです」
モバP「! なるほど、な。そういう節目だよな」
肇「はい。Pさんにはどうしてもいらしてほしくて…すみません、お付き合いいただいてしまって」
モバP「いや、むしろありがとう。そんな大事な節目に一緒にいさせてくれて」
肇「っ/// ズルいです、目を見てそんなこと言うなんて」
モバP「顔真っ赤」
肇「も、もうっ/// 説明! 説明しますよ!」
モバP「はい」
肇「これから手前の扉から薪をくべていきます。そして、じっくり火を強めていきます」
モバP「ふむ」
肇「上がるスピードにもよりますが、今から始めますと、たぶん夜中の3時ぐらいに終わると思います」
モバP「3時な。えっ」
肇「目標は1250度です。長丁場ですけど、大丈夫です。お弁当も持ってきました」
モバP「わお」
肇「さ、動揺してないで、始めますよ」
11: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:25:19.78 ID:3g2Djr0g0
――――――――――――――――――――
モバP「これ、きついなんてもんじゃないな」
肇「ええ、本当に」
モバP「3部屋あるみたいだけど、今回は何部屋焼いてるんだ?」
肇「今回は私と祖父と、祖父の陶芸教室の生徒さんのものだけですので、1部屋だけです」
モバP「なんだか、もったいないな。これだけたくさん薪を使うと」
肇「そうなんです。本当は3部屋すべてに作品をつめて、何日も燃やすものなんです。
でも、最近はなかなかそうもいかないみたいで」
モバP「それはなぜ?」
肇「昔は祖父の陶芸仲間が各地から集まってきて、作品持ち寄って一緒に焚いたんです。
でも、そんな方々もお歳を召されたり、引退されたりして、年々減っていってしまって」
モバP「そっか…」
肇「ちょっと、しんみりしてしまいましたね。1部屋だけでも、たくさん作品は入ってるんですよ。
がんばって燃やしましょう!」
モバP「そうだな!」
モバP「これ、きついなんてもんじゃないな」
肇「ええ、本当に」
モバP「3部屋あるみたいだけど、今回は何部屋焼いてるんだ?」
肇「今回は私と祖父と、祖父の陶芸教室の生徒さんのものだけですので、1部屋だけです」
モバP「なんだか、もったいないな。これだけたくさん薪を使うと」
肇「そうなんです。本当は3部屋すべてに作品をつめて、何日も燃やすものなんです。
でも、最近はなかなかそうもいかないみたいで」
モバP「それはなぜ?」
肇「昔は祖父の陶芸仲間が各地から集まってきて、作品持ち寄って一緒に焚いたんです。
でも、そんな方々もお歳を召されたり、引退されたりして、年々減っていってしまって」
モバP「そっか…」
肇「ちょっと、しんみりしてしまいましたね。1部屋だけでも、たくさん作品は入ってるんですよ。
がんばって燃やしましょう!」
モバP「そうだな!」
12: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:27:48.02 ID:3g2Djr0g0
――――――――――――――――――――
肇「祖父は、この窯焚きで祖母にプロポーズしたそうですね」
モバP「マジかよ」
肇「びっくりしちゃいますよね」
モバP「こんなきついとこに呼び出されて、結婚しよう?」
肇「この人、私じゃなきゃ面倒見きれない。祖母はそう思ったそうです」
モバP「偉大なおばあさまだ…肇はどっち似かな?」
肇「ふふっ 祖父かもしれません。こんなことに何も言わずにPさんを連れ込んでしまいました」
モバP「俺も俺で、俺じゃなきゃ務まらないなって思ってたとこ」
肇「ふふっ」
モバP「さ、あと200度がんばろう」
肇「はい」
13: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:28:28.80 ID:3g2Djr0g0
モバP「1250度!」
肇「やっと、到達ですね」
モバP「疲れた……」
肇「お疲れ様でした。あとは部屋を仕切って遮断するだけです。これは私にお任せください」
モバP「頼んだ…」
肇「本当、ありがとうございました。近くに秘密の温泉があります。煙と、汗を流しましょう」
モバP「それ、最高だな」
肇「ふふっ 今、ご案内しますね」
14: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:29:26.36 ID:3g2Djr0g0
モバP「こんなところに温泉があるなんてな」
肇「山の中にひっそりあるので、儲けでやってるってところじゃないみたいです。
地元の名士の方が持っていて、仲間が使いたいときにお願いして支度してあけておいてもらうようなところです」
モバP「なんかすごい話だな」
肇「その方、祖父の作品のファンなんです。話が早いでしょ」
モバP「なるほど…」
肇「お願いと、支度で朝から祖父は出かけてたんだと思います」
モバP「それはお礼言わなきゃな」
肇「はい、そうですね」スルスル
モバP「え、肇?」
肇「ほら、Pさんも早く脱いでください。私だけだと恥ずかしいじゃないですか」
モバP「いやいやいや」
肇「こういう場所なんで、混浴です。今日は、裸のお付き合いですよ、Pさん」
モバP「お、おう」
肇「これも毎年恒例です」
モバP「と、言われてもな」
肇「煮え切らないのはいけません。はい、すぐ脱ぐ!」
モバP「はっ、はい」
15: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:30:47.85 ID:3g2Djr0g0
モバP「湯気すごいし、夜中だし、まるで見えん」
肇「そうでなければ恥ずかしくて私だって…///」
モバP「恥ずかしいなら無理しなければいいのに…」
肇「それはそうですが、でも、お互いに窯焚きの疲れを流すのにはこれが一番なんです」
モバP「それは間違いない……極楽極楽」
肇「ね、Pさん」
モバP「背中は流さなくて大丈夫だぞ」
肇「むっ」
モバP「そんなことされたら、大変なことになる」
肇「大変な…って///」
モバP「湯気の先からでも赤いのがわかるぞ」
肇「もう! そういうのはダメです!」
16: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:32:11.78 ID:3g2Djr0g0
モバP「あったまってきたら、眠くなってきたな」
肇「そろそろ上がりましょうか」
モバP「そうだな」
肇「では上がる前に」ソロソロ
モバP「肇、と、となりに来て、ど、どうした」
肇「Pさん。私はあの日のこと、忘れていませんよ」
チャポン
肇「じゃあ、私は先に上がりますね」
モバP「お、おう」
17: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:34:04.48 ID:3g2Djr0g0
モバP「……ちゃんと覚えててくれたのか」
18: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:35:23.52 ID:3g2Djr0g0
―――――――――――――――
モバP「起きろ、肇」
肇「むにゃ…だめ、法子ちゃん、もう食べられない」
モバP「はーじーめー」ユサユサ
肇「…はっ! Pさん!? え、今何時ですか!?」
モバP「3時。15時の方の」
肇「見事に寝すぎてしまいましたね…私たち」
モバP「そういうこと。ご両親やおじいさん、おばあさんにご挨拶しそこねちゃったな」
肇「それは、また、いずれですね。急いで支度します」
モバP「そうしよう。そうすれば、今日のうちに東京に帰れる」
肇「はい。お互い明日からまた慌ただしい日々に戻るんですね」
モバP「それを考えるとブルーになるな。あ、作品はどうするんだ?」
肇「しばらく窯の中です。今度祖父に送ってもらう予定です」
モバP「じゃあ、安心だ」
肇「はい」
19: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:35:56.27 ID:3g2Djr0g0
――――――――――――――――――――
モバP「ここに来るのも久しぶりだな」
肇「防犯性の話にはガッカリしましたけど」
モバP「あー…あれは忘れてくれ」
肇「あなたが私に見せてくれた夜景。それを忘れたことは一度もありません」
モバP「なんか、照れるな」
肇「そして、あなたが私に言ってくれたことも」
20: ↑元ネタはSR九天の玄女劇場 ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:36:59.91 ID:3g2Djr0g0
モバP『今は肇と俺はアイドルとプロデューサーって関係だ
でも、俺はその関係を超えたいと思ってしまった』
肇『プロデューサー』
モバP『肇が大人になったとき、その時に答えを聞かせてほしい。俺は肇が好きだ』
肇『今、答えちゃダメなんですか』
モバP『今はまだ』
肇『……わかりました』
21: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:37:48.24 ID:3g2Djr0g0
モバP「フェスの後だったな」
肇「私は今年、二十歳になります。大人になりました」
モバP「……」
肇「先日、焼いた作品が届きました。これが、私の答えです」
モバP「開けても?」
肇「はい」
肇「私は今年、二十歳になります。大人になりました」
モバP「……」
肇「先日、焼いた作品が届きました。これが、私の答えです」
モバP「開けても?」
肇「はい」
22: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:38:33.00 ID:3g2Djr0g0
モバP「これ…夫婦茶碗。湯呑も、ぐい飲みも」
肇「あなたと、ずっと一緒にいたい。あなたと二人で未来を作りたい。
そう思って、これをあなたにも一緒に作ってもらいました。とても良い出来上がりです」
モバP「肇、それじゃあ」
肇「あのころから、結局ずっと気持ちが変わることはありませんでしたよ。
Pさん、これからも、ずっとずっとよろしくお願いします」
モバP「こちらこそ、末永くよろしく、肇」
肇「はい!」
終わり
24: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:51:57.61 ID:3g2Djr0g0
ありがとうございました。
肇ちゃんフェスでは爆死してしまったのが情けない!
肇ちゃんがアニメで活躍しますように
そして、新規にゲーム始めた方が肇ちゃんに目覚めますように!
肇ちゃんフェスでは爆死してしまったのが情けない!
肇ちゃんがアニメで活躍しますように
そして、新規にゲーム始めた方が肇ちゃんに目覚めますように!
25: ◆w72AKbkgD2 2015/01/28(水) 20:54:02.93 ID:3g2Djr0g0
お言葉に甘えて過去作まとめ
ありがとうございました!
最近
【モバマスSS】フリルドスクエアと年の瀬
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1419955624/
地の文
新田美波 藤原肇 「Happy Wedding」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1409492273/
美波もの
新田美波「一人じゃできないこと」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1408532198/
ユッキ・美波・比奈シリーズ
姫川友紀「ある日のキャッチボール」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1395487637/
新田美波「大人になります」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1406452325/
姫川友紀「鍋したい!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407649237/
安価系
椎名法子「穴があったら…指つっこむ?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1395827357/
モバP「好きな人ができた」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407149332/
肇ちゃんもの(それぞれの関連性はなしです)
藤原肇「お久しぶりです」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1397222217/
北条加蓮「夏休みの宿題と、和菓子」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1406639399/
モバP「九天の玄女」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407068747/
ありがとうございました!
最近
【モバマスSS】フリルドスクエアと年の瀬
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1419955624/
地の文
新田美波 藤原肇 「Happy Wedding」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1409492273/
美波もの
新田美波「一人じゃできないこと」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1408532198/
ユッキ・美波・比奈シリーズ
姫川友紀「ある日のキャッチボール」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1395487637/
新田美波「大人になります」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1406452325/
姫川友紀「鍋したい!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407649237/
安価系
椎名法子「穴があったら…指つっこむ?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1395827357/
モバP「好きな人ができた」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407149332/
肇ちゃんもの(それぞれの関連性はなしです)
藤原肇「お久しぶりです」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1397222217/
北条加蓮「夏休みの宿題と、和菓子」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1406639399/
モバP「九天の玄女」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407068747/
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1422442875/
Entry ⇒ 2015.01.31 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
メガネ「委員長と間接キッスがしたい!」
1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 21:40:27 ID:lXKxJCfw
~教室~
女級友「ねぇ委員長、数学で分からないところがあるんだけど……」
委員長「見せてみて! どれどれ……」
委員長「コラ不良! 教室内で騒がない!」
不良「ちぇっ……」
メガネ(ああ、委員長……今日もステキだ)ドクン…
メガネ(美人で、凛々しくて、頭がよくて、スポーツも万能、人望も厚い……)
メガネ(ボクは彼女が好きだ。大好きだ)
メガネ(だけど、ボクは一生この想いを封じ込めたままだろう)
メガネ(だって、ボクみたいな地味なガリ勉が、彼女と釣り合うわけないんだから……)
女級友「ねぇ委員長、数学で分からないところがあるんだけど……」
委員長「見せてみて! どれどれ……」
委員長「コラ不良! 教室内で騒がない!」
不良「ちぇっ……」
メガネ(ああ、委員長……今日もステキだ)ドクン…
メガネ(美人で、凛々しくて、頭がよくて、スポーツも万能、人望も厚い……)
メガネ(ボクは彼女が好きだ。大好きだ)
メガネ(だけど、ボクは一生この想いを封じ込めたままだろう)
メガネ(だって、ボクみたいな地味なガリ勉が、彼女と釣り合うわけないんだから……)
2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 21:43:15 ID:lXKxJCfw
昼休み──
委員長「…………」ゴクゴク…
委員長「ふうっ」
メガネ(委員長がペットボトルのお茶を飲んでる!)
メガネ(ああっ、なんて優雅な仕草! なんて美しい唇!)ドクン…
メガネ(できることなら、ボクもあの唇に吸いつきたい……!)
メガネ(だけど、ボクが委員長にキスを迫ったところで……拒絶されるに決まってる)
メガネ(だからせめて……間接キッスをしよう!)
委員長「…………」ゴクゴク…
委員長「ふうっ」
メガネ(委員長がペットボトルのお茶を飲んでる!)
メガネ(ああっ、なんて優雅な仕草! なんて美しい唇!)ドクン…
メガネ(できることなら、ボクもあの唇に吸いつきたい……!)
メガネ(だけど、ボクが委員長にキスを迫ったところで……拒絶されるに決まってる)
メガネ(だからせめて……間接キッスをしよう!)
3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 21:44:46 ID:lXKxJCfw
放課後──
委員長(さてと、そろそろ帰ろうっと)ガタッ
メガネ(結局、放課後までペットボトルを捨てなかったなぁ)
メガネ(捨てたら、すぐにゴミ箱から回収しようと思ってたのに……)
メガネ(だけど帰り道に、どこかに捨てる可能性がある!)
メガネ(そうと決まれば、委員長を尾行だ!)ササッ
委員長(さてと、そろそろ帰ろうっと)ガタッ
メガネ(結局、放課後までペットボトルを捨てなかったなぁ)
メガネ(捨てたら、すぐにゴミ箱から回収しようと思ってたのに……)
メガネ(だけど帰り道に、どこかに捨てる可能性がある!)
メガネ(そうと決まれば、委員長を尾行だ!)ササッ
4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 21:47:04 ID:lXKxJCfw
~住宅街~
委員長「あ、お茶が残ってたの忘れてた」
委員長「…………」ゴクゴク…
委員長「ふうっ」
メガネ(お、飲み終わったみたいだ!)
メガネ(さぁ、あとは委員長があのペットボトルを捨てるのを待つだけ……)
メガネ(だけど、このあたりにゴミ箱はなさそうだなぁ……)
委員長「あ、お茶が残ってたの忘れてた」
委員長「…………」ゴクゴク…
委員長「ふうっ」
メガネ(お、飲み終わったみたいだ!)
メガネ(さぁ、あとは委員長があのペットボトルを捨てるのを待つだけ……)
メガネ(だけど、このあたりにゴミ箱はなさそうだなぁ……)
6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 21:50:50 ID:lXKxJCfw
委員長「…………」キョロキョロ
メガネ(委員長も捨てる場所がなくて、困ってるみたいだ)
メガネ(ゴミ箱がある場所といったら、コンビニか自販機だけど、どっちもない)
メガネ(ってことは持ち帰るのかな?)
メガネ(そしたらペットボトルの回収がかなり困難に──)
委員長「えいっ!」シュッ
メガネ(えぇえぇええぇ~~~~~っ!?)
メガネ(人の家に投げ入れた! これは意外な展開だ!)
メガネ(委員長も捨てる場所がなくて、困ってるみたいだ)
メガネ(ゴミ箱がある場所といったら、コンビニか自販機だけど、どっちもない)
メガネ(ってことは持ち帰るのかな?)
メガネ(そしたらペットボトルの回収がかなり困難に──)
委員長「えいっ!」シュッ
メガネ(えぇえぇええぇ~~~~~っ!?)
メガネ(人の家に投げ入れた! これは意外な展開だ!)
7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 21:52:27 ID:lXKxJCfw
委員長「…………」
委員長「…………」スタタタタッ
メガネ(しかも一目散に逃げていっちゃった……)
メガネ(だけど……黒い委員長もまたステキだ)ドクン…
メガネ(さて、ボクはどうしよう)
メガネ(この家を訪ねて、ペットボトルを回収させてもらうしかないか)
委員長「…………」スタタタタッ
メガネ(しかも一目散に逃げていっちゃった……)
メガネ(だけど……黒い委員長もまたステキだ)ドクン…
メガネ(さて、ボクはどうしよう)
メガネ(この家を訪ねて、ペットボトルを回収させてもらうしかないか)
8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 21:55:18 ID:lXKxJCfw
~古い一軒家~
メガネ(理由はペットボトルを持って走ってたらすっぽ抜けて……とかでいいかな?)
メガネ「すみま──」
老人「誰だッ! ウチの庭にペットボトルなんぞ投げ入れやがったのはッ!」
老婆「ひいっひっひっひ! ひどいことする輩もいたもんだねえぇ……」
老人「どんな理由があろうと許せんッ!」
老人「もし犯人が現れたら、この日本刀で斬り殺してくれるッ!」ジャキッ
老婆「ひいっひっひっひ! そりゃいいねぇ!」
老婆「首は塩漬けにして、門に晒してやろうねぇぇ……」
メガネ(ひ、ひえええ……!)
メガネ(理由はペットボトルを持って走ってたらすっぽ抜けて……とかでいいかな?)
メガネ「すみま──」
老人「誰だッ! ウチの庭にペットボトルなんぞ投げ入れやがったのはッ!」
老婆「ひいっひっひっひ! ひどいことする輩もいたもんだねえぇ……」
老人「どんな理由があろうと許せんッ!」
老人「もし犯人が現れたら、この日本刀で斬り殺してくれるッ!」ジャキッ
老婆「ひいっひっひっひ! そりゃいいねぇ!」
老婆「首は塩漬けにして、門に晒してやろうねぇぇ……」
メガネ(ひ、ひえええ……!)
9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 21:57:02 ID:lXKxJCfw
メガネ(どうしよう……。これじゃペットボトルは回収できない……!)
メガネ(いや待てよ! 明日はペットボトルのゴミの日だったはず!)
メガネ(だとしたらきっと、あのおじいさんおばあさんもゴミ捨て場に捨てるはず!)
メガネ(だけど、あのおじいさんならまた外に放り出す可能性もあるし……)
メガネ(今日は寝ずにこの家を見張るしかないな)
メガネ(いや待てよ! 明日はペットボトルのゴミの日だったはず!)
メガネ(だとしたらきっと、あのおじいさんおばあさんもゴミ捨て場に捨てるはず!)
メガネ(だけど、あのおじいさんならまた外に放り出す可能性もあるし……)
メガネ(今日は寝ずにこの家を見張るしかないな)
10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:00:17 ID:lXKxJCfw
翌朝──
メガネ(お、出てきた!)
老人「さてと、ゴミを捨てに行くとするか」スタスタ…
メガネ(あのゴミ袋の中にあるお茶のペットボトル……まちがいない!)
メガネ(委員長が飲んだペットボトルだ!)
メガネ(あのおじいさんがゴミ捨て場に袋を捨てたら、回収してしまおう!)
メガネ(お、出てきた!)
老人「さてと、ゴミを捨てに行くとするか」スタスタ…
メガネ(あのゴミ袋の中にあるお茶のペットボトル……まちがいない!)
メガネ(委員長が飲んだペットボトルだ!)
メガネ(あのおじいさんがゴミ捨て場に袋を捨てたら、回収してしまおう!)
11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:03:11 ID:lXKxJCfw
~ゴミ捨て場~
老人「どっこいせっと」ドサッ
老人「さて、帰るか」スタスタ…
メガネ(捨てた!)
メガネ(さっそく、あのゴミ袋をあさって──)ダッ
バサッバサッ!
メガネ(鳥の羽音! もしかしてカラスか!?)
メガネ(だけど、なんで生ゴミじゃないのにカラスが──)クルッ
メガネ「!?」
老人「どっこいせっと」ドサッ
老人「さて、帰るか」スタスタ…
メガネ(捨てた!)
メガネ(さっそく、あのゴミ袋をあさって──)ダッ
バサッバサッ!
メガネ(鳥の羽音! もしかしてカラスか!?)
メガネ(だけど、なんで生ゴミじゃないのにカラスが──)クルッ
メガネ「!?」
12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:06:40 ID:lXKxJCfw
グリフォン「我、グリフォン也」
メガネ「なっ!?」
グリフォン「我、最高の力と知能を持つ生命体也」
メガネ「あ……あ……」ガタガタ…
グリフォン「我、ペットボトルを欲する。故に汝、すみやかに移動せよ」
メガネ「バカをいうな! ボクは絶対に間接キッスをしてみせる!」
グリフォン「ならば我、汝を全力で排除する」
メガネ「やれるもんならやってみろ! ボクは負けない!」
メガネ「うおおおおおおおおおっ!!!」
メガネ「なっ!?」
グリフォン「我、最高の力と知能を持つ生命体也」
メガネ「あ……あ……」ガタガタ…
グリフォン「我、ペットボトルを欲する。故に汝、すみやかに移動せよ」
メガネ「バカをいうな! ボクは絶対に間接キッスをしてみせる!」
グリフォン「ならば我、汝を全力で排除する」
メガネ「やれるもんならやってみろ! ボクは負けない!」
メガネ「うおおおおおおおおおっ!!!」
13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:08:54 ID:lXKxJCfw
メガネ「ぐ、はぁ……! つ、強い……」
グリフォン「我の勝利、故にペットボトルの所有権、我にあり」
メガネ「なぜだ……! なぜ、グリフォンがペットボトルを欲する!?」
グリフォン「我、ネットゲーマー兼ボトラー也。故にペットボトルを欲する」
メガネ(な、なんてダメなグリフォンだ……!)
メガネ(だけど、こいつをどうにかしなくちゃ間接キッスはできない……!)
メガネ(戦ってダメなら、なんとか説得しなきゃ……!)
グリフォン「我の勝利、故にペットボトルの所有権、我にあり」
メガネ「なぜだ……! なぜ、グリフォンがペットボトルを欲する!?」
グリフォン「我、ネットゲーマー兼ボトラー也。故にペットボトルを欲する」
メガネ(な、なんてダメなグリフォンだ……!)
メガネ(だけど、こいつをどうにかしなくちゃ間接キッスはできない……!)
メガネ(戦ってダメなら、なんとか説得しなきゃ……!)
14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:11:30 ID:lXKxJCfw
メガネ「ボトラーって……おしっこをペットボトルにする人のことだよね」
メガネ「そんなにネットゲームにハマってるの?」
グリフォン「無論。我、ネットゲームに夢中也。一日一時間」
メガネ「短いな!」
メガネ「それならトイレに行くヒマぐらいいくらでもあるだろう!」
グリフォン「我、ネットゲーマーはペットボトルに尿を出さねばならぬと教わった也」
メガネ「どこで!?」
グリフォン「掲示板のネットゲーマー初心者スレッド也」
メガネ「だまされてるんだよそれ! どこが最高の知能だ!」
グリフォン「不覚也」
メガネ「そんなにネットゲームにハマってるの?」
グリフォン「無論。我、ネットゲームに夢中也。一日一時間」
メガネ「短いな!」
メガネ「それならトイレに行くヒマぐらいいくらでもあるだろう!」
グリフォン「我、ネットゲーマーはペットボトルに尿を出さねばならぬと教わった也」
メガネ「どこで!?」
グリフォン「掲示板のネットゲーマー初心者スレッド也」
メガネ「だまされてるんだよそれ! どこが最高の知能だ!」
グリフォン「不覚也」
15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:13:57 ID:lXKxJCfw
メガネ「じゃあ……ペットボトルはボクがもらうね」
グリフォン「了解した」
メガネ「最後に、キミは普段なにしてるの?」
グリフォン「公認会計士也」
メガネ「人間相手の商売だったら、もっと柔らかい喋り方をした方がいいかもね」
メガネ「お客さんも怖がるだろうしさ」
グリフォン「我、汝の提案、検討の余地ありと判断する」
グリフォン「さらば」
バッサバッサ……
メガネ(ふう、どうにか追い払えた……)
メガネ(これでやっと間接キッスができる!)クルッ
グリフォン「了解した」
メガネ「最後に、キミは普段なにしてるの?」
グリフォン「公認会計士也」
メガネ「人間相手の商売だったら、もっと柔らかい喋り方をした方がいいかもね」
メガネ「お客さんも怖がるだろうしさ」
グリフォン「我、汝の提案、検討の余地ありと判断する」
グリフォン「さらば」
バッサバッサ……
メガネ(ふう、どうにか追い払えた……)
メガネ(これでやっと間接キッスができる!)クルッ
16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:16:29 ID:lXKxJCfw
ブロロロロロ……!
メガネ「ウソォ!? もうゴミ収集車が来てたのか!?」
メガネ「まだ朝の8時なのに、いくらなんでも早すぎないか!?」
メガネ(ペットボトルを持っていかれたし、どうにかして追いかけなきゃ!)キョロキョロ
メガネ(おっ、ちょうどいいところにバイクがあった!)
メガネ(これに乗って──)ドッドッドッドッド…
委員長「あら、メガネ君じゃない。なにやってるの?」
メガネ「い、委員長……!」
メガネ「ウソォ!? もうゴミ収集車が来てたのか!?」
メガネ「まだ朝の8時なのに、いくらなんでも早すぎないか!?」
メガネ(ペットボトルを持っていかれたし、どうにかして追いかけなきゃ!)キョロキョロ
メガネ(おっ、ちょうどいいところにバイクがあった!)
メガネ(これに乗って──)ドッドッドッドッド…
委員長「あら、メガネ君じゃない。なにやってるの?」
メガネ「い、委員長……!」
17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:19:06 ID:lXKxJCfw
委員長「これから学校の時間なのに、バイクにまたがってどこに行くつもり?」
委員長「それにバイク通学が禁止なの、知ってるはずよね?」
委員長「返答次第では、しかるべき措置を取らせてもらうわ」キッ
メガネ(さすが委員長、規律にうるさい! だけどモタモタしてるヒマはない!)
メガネ「うるさい!」
委員長「!」ビクッ
メガネ「文句があるなら後ろに乗れ! 黙ってボクについてこい!」ビッ
委員長(ウソ……メガネ君ってこんなにワイルドだったの……?)ドクン…
委員長「それにバイク通学が禁止なの、知ってるはずよね?」
委員長「返答次第では、しかるべき措置を取らせてもらうわ」キッ
メガネ(さすが委員長、規律にうるさい! だけどモタモタしてるヒマはない!)
メガネ「うるさい!」
委員長「!」ビクッ
メガネ「文句があるなら後ろに乗れ! 黙ってボクについてこい!」ビッ
委員長(ウソ……メガネ君ってこんなにワイルドだったの……?)ドクン…
18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:22:13 ID:lXKxJCfw
メガネ「ボクにしっかりつかまっててね!」ドッドッドッドッド…
委員長「うん!」ガシッ
メガネ「うおおおおっ!」グンッ
ブロロロロロロロロロロロロロ……!
委員長「メガネ君がバイクの免許を持ってるなんて意外だったわ」
メガネ「持ってるわけないだろ」
委員長(やだ……ワイルド……)ドクン…
委員長「うん!」ガシッ
メガネ「うおおおおっ!」グンッ
ブロロロロロロロロロロロロロ……!
委員長「メガネ君がバイクの免許を持ってるなんて意外だったわ」
メガネ「持ってるわけないだろ」
委員長(やだ……ワイルド……)ドクン…
19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:24:37 ID:lXKxJCfw
~高速道路~
メガネ(ぶっ飛ばしたおかげで、だいぶ追いついてきた!)
メガネ(だけどあのゴミ収集車、いったいどこまで向かうつもりなんだ!?)
委員長「ね、ねぇ、メガネ君」
メガネ「なに?」
委員長「ちょっとスピード落とさない? 私、怖くって……」
メガネ「ダメだ! あのゴミ収集車を見失うわけにはいかないんだ!」
メガネ「どうしても降りたいんなら、キミだけバイクから飛び降りてくれ!」
委員長(やだ……ワイルド……)ドクン…
メガネ(ぶっ飛ばしたおかげで、だいぶ追いついてきた!)
メガネ(だけどあのゴミ収集車、いったいどこまで向かうつもりなんだ!?)
委員長「ね、ねぇ、メガネ君」
メガネ「なに?」
委員長「ちょっとスピード落とさない? 私、怖くって……」
メガネ「ダメだ! あのゴミ収集車を見失うわけにはいかないんだ!」
メガネ「どうしても降りたいんなら、キミだけバイクから飛び降りてくれ!」
委員長(やだ……ワイルド……)ドクン…
20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:27:52 ID:lXKxJCfw
~山奥~
メガネ(ここでゴミ収集車は止まっている……運転手もゴミもない……)
メガネ(ここからは歩いていくしかない、か)
メガネ(ボクはなんとしても委員長のペットボトルを見つけ出してみせる!)
委員長「あ、あの……メガネ君」
メガネ「なんだい?」
委員長「……キスしてくれない?」
メガネ「悪いけど、今それどころじゃないから」
委員長(やだ……ワイルド……)ドクン…
メガネ(ここでゴミ収集車は止まっている……運転手もゴミもない……)
メガネ(ここからは歩いていくしかない、か)
メガネ(ボクはなんとしても委員長のペットボトルを見つけ出してみせる!)
委員長「あ、あの……メガネ君」
メガネ「なんだい?」
委員長「……キスしてくれない?」
メガネ「悪いけど、今それどころじゃないから」
委員長(やだ……ワイルド……)ドクン…
21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:30:37 ID:lXKxJCfw
~山奥のアジト~
手下「ボス、ニセゴミ収集車で走り回ってペットボトルを集めてきましたぜ」
ボス「ご苦労だった」
ボス「これだけのペットボトルがありゃ、オレたちの計画は達成される」
ボス「『ペットボトルロケット日本壊滅計画』がな!」
メガネ(な、なんだって!?)
委員長(メガネ君ったら、テロリストを追ってたのね!)
委員長(だけどこんな危険な相手、一度引き返して警察に知らせた方が──)
手下「ボス、ニセゴミ収集車で走り回ってペットボトルを集めてきましたぜ」
ボス「ご苦労だった」
ボス「これだけのペットボトルがありゃ、オレたちの計画は達成される」
ボス「『ペットボトルロケット日本壊滅計画』がな!」
メガネ(な、なんだって!?)
委員長(メガネ君ったら、テロリストを追ってたのね!)
委員長(だけどこんな危険な相手、一度引き返して警察に知らせた方が──)
22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:33:12 ID:lXKxJCfw
ボス「オレが発明したペットボトル射出装置なら」
ボス「日本全土に高性能爆薬を積んだペットボトルロケットをばら撒くことができる!」
ボス「そうなりゃ日本はオシマイだ! ガハハハハハハッ!」
手下「さっすがボス! 天才と紙一重!」
メガネ(委員長が口をつけたペットボトルをそんなことに使うなんて……許せない!)
メガネ「そんなことさせるかぁっ!」ダッ
委員長(やだ……ワイルド……)ドクン…
ボス「日本全土に高性能爆薬を積んだペットボトルロケットをばら撒くことができる!」
ボス「そうなりゃ日本はオシマイだ! ガハハハハハハッ!」
手下「さっすがボス! 天才と紙一重!」
メガネ(委員長が口をつけたペットボトルをそんなことに使うなんて……許せない!)
メガネ「そんなことさせるかぁっ!」ダッ
委員長(やだ……ワイルド……)ドクン…
23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:36:09 ID:lXKxJCfw
ボス「なんだぁ、てめぇらは?」
メガネ「メガネです」
委員長「委員長と申します」
ボス「公安やサツじゃあなさそうだな……」
ボス「だが、オレたちの計画を知ったからには死んでもらうぜ! 殺るぞ!」
手下「へいっ!」
手下「哀れなる少年少女よ……」
手下「力なき勇気は無謀でしかないことを、存分に味わわせてくれようぞ!」
メガネ「行くよ、委員長! ボクに呼吸を合わせて!」
委員長「分かったわ!」
メガネ「メガネです」
委員長「委員長と申します」
ボス「公安やサツじゃあなさそうだな……」
ボス「だが、オレたちの計画を知ったからには死んでもらうぜ! 殺るぞ!」
手下「へいっ!」
手下「哀れなる少年少女よ……」
手下「力なき勇気は無謀でしかないことを、存分に味わわせてくれようぞ!」
メガネ「行くよ、委員長! ボクに呼吸を合わせて!」
委員長「分かったわ!」
24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:38:33 ID:lXKxJCfw
ボス「ぐぎゃっ……!」ドサッ
手下「なんという強さ……これが“希望”というわけか……」ドサッ
メガネ「ハァ、ハァ、ハァ……やったぁ!」
委員長「やるじゃない、メガネ君!」
メガネ「委員長こそ!」
メガネ「あそこで委員長がボクの迅雷冥王脚に技を合わせてくれなかったら危なかった!」
手下「なんという強さ……これが“希望”というわけか……」ドサッ
メガネ「ハァ、ハァ、ハァ……やったぁ!」
委員長「やるじゃない、メガネ君!」
メガネ「委員長こそ!」
メガネ「あそこで委員長がボクの迅雷冥王脚に技を合わせてくれなかったら危なかった!」
25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:42:19 ID:lXKxJCfw
ボス「まさか……こんなガキどもに計画をジャマされるとはな……」
ボス「だけどよ、まだ終わってねえぜ……」グッ…
ボス「こ、このペットボトルに爆薬を……!」ガシッ
メガネ(あ、あれは! ──まちがいない! 委員長が口をつけたペットボトル!)
ボス「装置にセットして、射出!」カチッ
シュボッ!
ボス「ガハハハハハッ! これで……あのペットボトルは国会を爆破する……!」
メガネ「なんだってぇ!?」
ボス「だけどよ、まだ終わってねえぜ……」グッ…
ボス「こ、このペットボトルに爆薬を……!」ガシッ
メガネ(あ、あれは! ──まちがいない! 委員長が口をつけたペットボトル!)
ボス「装置にセットして、射出!」カチッ
シュボッ!
ボス「ガハハハハハッ! これで……あのペットボトルは国会を爆破する……!」
メガネ「なんだってぇ!?」
26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:45:13 ID:lXKxJCfw
メガネ「そんなことさせるかぁ!」ピョンピョン
ボス「ガハハハハッ! ジャンプしたって届くわけねえだろ!」
ボス「もはやだれも、国会爆破を食い止めることはできねえんだよ!」
委員長「そんな……! メガネ君がここまでがんばったのに……!」
メガネ(あのペットボトルが爆発したら、当然間接キッスはできない……!)
メガネ「くそぉぉぉぉぉっ!!!」
「諦めるなグリ!」
ボス「ガハハハハッ! ジャンプしたって届くわけねえだろ!」
ボス「もはやだれも、国会爆破を食い止めることはできねえんだよ!」
委員長「そんな……! メガネ君がここまでがんばったのに……!」
メガネ(あのペットボトルが爆発したら、当然間接キッスはできない……!)
メガネ「くそぉぉぉぉぉっ!!!」
「諦めるなグリ!」
27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:48:06 ID:lXKxJCfw
グリフォン「オイラがいるフォン!」バサッ…
メガネ「グリフォン!? 来てくれたのか!」
グリフォン「オイラならペットボトルに追いつけるグリ! さ、背中に乗るフォン!」
メガネ「ありがとう!」
バッサバッサ……!
委員長(最高の力と最高の知能を持つグリフォンを手なずけてるなんて……)
委員長(ワイルドにも程があるわ……!)ドクン…
メガネ「グリフォン!? 来てくれたのか!」
グリフォン「オイラならペットボトルに追いつけるグリ! さ、背中に乗るフォン!」
メガネ「ありがとう!」
バッサバッサ……!
委員長(最高の力と最高の知能を持つグリフォンを手なずけてるなんて……)
委員長(ワイルドにも程があるわ……!)ドクン…
28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:51:35 ID:lXKxJCfw
~上空~
グリフォン「ペットボトルに追いついたグリ! どうするフォン!?」
メガネ「あのペットボトルの口を、ボクの口でふさいでペットボトルを止める!」
メガネ「爆発の危険があるから、ボクがジャンプしたらグリフォンはすぐに離れてくれ!」
グリフォン「分かったグリ! 気をつけろよフォン!」
メガネ「うおおおおおおおおっ!」ピョンッ
メガネ「…………」ハムッ
メガネ(や、やった……!)
メガネ(これで委員長と……間接キス……!)
ズガァァァァァンッ!!!!!
グリフォン「ペットボトルに追いついたグリ! どうするフォン!?」
メガネ「あのペットボトルの口を、ボクの口でふさいでペットボトルを止める!」
メガネ「爆発の危険があるから、ボクがジャンプしたらグリフォンはすぐに離れてくれ!」
グリフォン「分かったグリ! 気をつけろよフォン!」
メガネ「うおおおおおおおおっ!」ピョンッ
メガネ「…………」ハムッ
メガネ(や、やった……!)
メガネ(これで委員長と……間接キス……!)
ズガァァァァァンッ!!!!!
29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:54:58 ID:lXKxJCfw
~地上~
委員長「メガネ君……メガネくぅぅぅぅぅぅぅん!」
ポトッ……
委員長「こ、これは、メガネ君がかけていたメガネ……」
委員長「メガネ君は日本を守るため、星になってしまったのね……」シクシク…
委員長「なら、今すぐ私も彼を追いかけなきゃ……」
「そんなことする必要はないよ、委員長!」
委員長「メガネ君……メガネくぅぅぅぅぅぅぅん!」
ポトッ……
委員長「こ、これは、メガネ君がかけていたメガネ……」
委員長「メガネ君は日本を守るため、星になってしまったのね……」シクシク…
委員長「なら、今すぐ私も彼を追いかけなきゃ……」
「そんなことする必要はないよ、委員長!」
30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 22:57:12 ID:lXKxJCfw
ムクムク……
メガネ「やぁ」
委員長「メガネ君!? あ、あれ!? 生きてたの!?」
メガネ「ボクの本体はメガネなんだよ」
メガネ「だからメガネさえ無事なら、いくらでも再生・復元できるのさ!」
委員長「メガネ君って……とことんワイルドなのね!」ドクン…
メガネ「委員長、結婚しよう」
メガネ「ボクはキミと間接キッスをした。つまりボクこそが君の相手に相応しい」
委員長「私、一生ついていきます……!」
メガネ「やぁ」
委員長「メガネ君!? あ、あれ!? 生きてたの!?」
メガネ「ボクの本体はメガネなんだよ」
メガネ「だからメガネさえ無事なら、いくらでも再生・復元できるのさ!」
委員長「メガネ君って……とことんワイルドなのね!」ドクン…
メガネ「委員長、結婚しよう」
メガネ「ボクはキミと間接キッスをした。つまりボクこそが君の相手に相応しい」
委員長「私、一生ついていきます……!」
31: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 23:02:00 ID:lXKxJCfw
グリフォン「だったら、オイラがハネムーンに連れてってやるグリ!」
グリフォン「二人とも背中に乗れフォン!」
メガネ「ありがとう、グリフォン!」スタッ
委員長「お言葉に甘えるわ」スタッ
メガネ「さて委員長、どこに行く?」
委員長「これから寒くなるから、暖かい南国にでも行かない?」
メガネ「さすが委員長、ナイスアイディア! それじゃしゅっぱーつ!」
バッサバッサ……
~ HAPPY END ~
グリフォン「二人とも背中に乗れフォン!」
メガネ「ありがとう、グリフォン!」スタッ
委員長「お言葉に甘えるわ」スタッ
メガネ「さて委員長、どこに行く?」
委員長「これから寒くなるから、暖かい南国にでも行かない?」
メガネ「さすが委員長、ナイスアイディア! それじゃしゅっぱーつ!」
バッサバッサ……
~ HAPPY END ~
32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 23:14:57 ID:ClQnKmsw
乙
ストーカーSSか→なんだこれ→おめでとう(素直な感想)
ストーカーSSか→なんだこれ→おめでとう(素直な感想)
35: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 23:46:52 ID:QfN12eY.
アホだけど笑った
なんかあいまいみーみたいなノリだ
なんかあいまいみーみたいなノリだ
36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/20(木) 07:33:44 ID:lQDOxSUc
地味なガリ勉(迅雷冥王脚)
掲載元:http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1416400827/
Entry ⇒ 2015.01.31 | Category ⇒ オリジナル | Comments (0)
渋谷凛「ふーん、アンタが私のプロデューサー?」医者「違うよ」
1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 17:36:20.66 ID:ArF4Tnay0.net
凛「じゃあ、誰?というか、ここはどこ?」
医者「君はライブの途中に倒れてここの病院に搬送されたんだよ」
凛「ライブ?記憶が…混乱して…」
医者「少し無理をし過ぎて混乱してるようだね。しっかり休息をとりなさい」
>>3「凛!」
医者「ほら、この人のことを思い出せるかい?」
医者「君はライブの途中に倒れてここの病院に搬送されたんだよ」
凛「ライブ?記憶が…混乱して…」
医者「少し無理をし過ぎて混乱してるようだね。しっかり休息をとりなさい」
>>3「凛!」
医者「ほら、この人のことを思い出せるかい?」
3: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 17:38:49.67 ID:7g9CJxpeM.net
ドズル・ザビ
5: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 17:47:45.17 ID:ArF4Tnay0.net
ドズル・ザビ中将「凛!オレのことが分かるか!?」
凛「え?だ、誰…!?」
凛(すごくイカつい顔…)
医者「この子はまだ記憶が混乱しています。回復を待ちましょう」
ザビ中将「くっ…!」
凛(多分、初対面の人だと思う…)
凛「とりあえず、>>6させてください」
凛「え?だ、誰…!?」
凛(すごくイカつい顔…)
医者「この子はまだ記憶が混乱しています。回復を待ちましょう」
ザビ中将「くっ…!」
凛(多分、初対面の人だと思う…)
凛「とりあえず、>>6させてください」
6: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 17:49:03.57 ID:f95EGlEgp.net
腹筋
9: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 17:54:27.34 ID:ArF4Tnay0.net
凛「とりあえず腹筋させてください」
医者「ダメですよ!しばらく安静にしていなくては…」
凛「お願いです!こうしていないと落ち着かないんです!」
ザビ中将「ジオンの栄光のためだ!凛の好きなようにさせろ!」
医者「許可できません。それとあなたは駐車場に停めてあるやたら大きいロボットを片づけてください」
凛(腹筋したい…!!)
医者「ダメですよ!しばらく安静にしていなくては…」
凛「お願いです!こうしていないと落ち着かないんです!」
ザビ中将「ジオンの栄光のためだ!凛の好きなようにさせろ!」
医者「許可できません。それとあなたは駐車場に停めてあるやたら大きいロボットを片づけてください」
凛(腹筋したい…!!)
10: >>7はい 2014/11/15(土) 17:59:41.91 ID:ArF4Tnay0.net
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
病室
凛(1…2…3…!!)フッキン
凛(こんなところで…4…休んでる場合じゃないっ…5…!)フッキン
凛(こうしてる間にも…他のみんなは…トップアイドルの道を…!)
>>11「凛!お見舞いに来たよ!」ガラッ
凛「!」
病室
凛(1…2…3…!!)フッキン
凛(こんなところで…4…休んでる場合じゃないっ…5…!)フッキン
凛(こうしてる間にも…他のみんなは…トップアイドルの道を…!)
>>11「凛!お見舞いに来たよ!」ガラッ
凛「!」
11: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:00:13.68 ID:/vJr07yBK.net
幸子
12: >>7はい 2014/11/15(土) 18:03:57.46 ID:ArF4Tnay0.net
幸子「凛さん!このカワイイボクがお見舞いに来ましたよ!」
凛「え…?」
幸子「な、なんだか反応が薄いですね…ボクですよ!」
凛「ごめん、私ちょっと記憶が混乱してて…」
幸子「記憶が混乱…!?じゃあ、ボクが凛さんの>>13だということもお忘れですか!?」
凛「うん」
凛「え…?」
幸子「な、なんだか反応が薄いですね…ボクですよ!」
凛「ごめん、私ちょっと記憶が混乱してて…」
幸子「記憶が混乱…!?じゃあ、ボクが凛さんの>>13だということもお忘れですか!?」
凛「うん」
13: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:04:48.17 ID:esoIrKfP0.net
友達
15: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:12:17.44 ID:ArF4Tnay0.net
幸子「ボクは…その…凛さんの友達の!輿水幸子ですよ!フフーン」
凛「友達…!」
凛(なんだかあまりいい思い出がないような…)
幸子「まぁそれはそのうち思い出してくれればいいです。それより凛さん」
凛「何?」
幸子「自分のことも覚えてますか?凛さんはEランクのアイドルで…」
凛「………」
幸子「あ、ちなみにボクは>>16ランクですけど!」
凛「友達…!」
凛(なんだかあまりいい思い出がないような…)
幸子「まぁそれはそのうち思い出してくれればいいです。それより凛さん」
凛「何?」
幸子「自分のことも覚えてますか?凛さんはEランクのアイドルで…」
凛「………」
幸子「あ、ちなみにボクは>>16ランクですけど!」
16: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:12:40.69 ID:esoIrKfP0.net
D
19: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:19:10.89 ID:ArF4Tnay0.net
幸子「ちなみにボクはDランクですよ!フフーン」
凛「へ、へぇ…そうなんだ」
幸子「雑誌なんかでは次期トップアイドル!と呼ばれたり呼ばれなかったり…」
凛(トップアイドル…この言葉だけは覚えてる…)
幸子「…というわけで、忙しい中ですがお見舞いに来たというわけです!」
凛「そうなんだ」
幸子「話は変わりますが、お見舞いの品ということで>>20を持ってきましたよ!」
凛「へ、へぇ…そうなんだ」
幸子「雑誌なんかでは次期トップアイドル!と呼ばれたり呼ばれなかったり…」
凛(トップアイドル…この言葉だけは覚えてる…)
幸子「…というわけで、忙しい中ですがお見舞いに来たというわけです!」
凛「そうなんだ」
幸子「話は変わりますが、お見舞いの品ということで>>20を持ってきましたよ!」
20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:19:52.67 ID:esoIrKfP0.net
りんご
22: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:23:36.79 ID:ArF4Tnay0.net
幸子「リンゴを持ってきましたよ!」
凛「幸子…ありがとう!」
幸子「と、友達ですから当然です…当然ですよ!」
凛「じゃあ、私が剥くね」
幸子「ま、まぁ凛さんが自分で剥くと言うのなら…」スッ
凛「ふふっ」
凛「幸子…ありがとう!」
幸子「と、友達ですから当然です…当然ですよ!」
凛「じゃあ、私が剥くね」
幸子「ま、まぁ凛さんが自分で剥くと言うのなら…」スッ
凛「ふふっ」
23: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:28:50.26 ID:ArF4Tnay0.net
凛「もぐもぐ…甘くておいしい」
幸子「もぐもぐ…ボクは果物の質を見ぬく目もありますね!…もぐもぐ」
凛「………」
幸子「…?どうしました?何か思いつめた顔をしていますけど」
凛「ちょっと、思い出しちゃって…」
幸子「何をですか!?」ガタッ
凛「昔のことだけどね。あれは…>>25年前…」
幸子「もぐもぐ…ボクは果物の質を見ぬく目もありますね!…もぐもぐ」
凛「………」
幸子「…?どうしました?何か思いつめた顔をしていますけど」
凛「ちょっと、思い出しちゃって…」
幸子「何をですか!?」ガタッ
凛「昔のことだけどね。あれは…>>25年前…」
25: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:30:11.10 ID:QHQjfu7e0.net
1億2000
32: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:36:44.99 ID:ArF4Tnay0.net
凛「あれは…1億2000年前。恐竜が地上の支配者だったころ…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1憶2000年前(白亜紀) 地球
火山「ドカーン!」
ティラノサウルス「グワアアォオオウ!!」
トリケラトプス「キュェェェイイ」
プテラノドン「クワェーッ!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1憶2000年前(白亜紀) 地球
火山「ドカーン!」
ティラノサウルス「グワアアォオオウ!!」
トリケラトプス「キュェェェイイ」
プテラノドン「クワェーッ!!」
36: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:46:48.14 ID:ArF4Tnay0.net
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
白亜紀 南太平洋
エラスモサウルス(凛の遠い祖先)「ふーん、あんたが私のプロデューサー?」
モササウルス(P)「ああ、よろしくな!一緒に魚竜界のトップアイドルを目指そう!」
エラスモ凛「アイドル…!」
モサP「ああ、君なら歴史に名を残すようなアイドルになれる!」
エラスモ凛「や、やってみようかな」
モサP「デビューするときの名前も考えてあるんだ!芸名は…『ネッシー』なんてどうかな」
エラスモ凛「ネッシー…?」
白亜紀 南太平洋
エラスモサウルス(凛の遠い祖先)「ふーん、あんたが私のプロデューサー?」
モササウルス(P)「ああ、よろしくな!一緒に魚竜界のトップアイドルを目指そう!」
エラスモ凛「アイドル…!」
モサP「ああ、君なら歴史に名を残すようなアイドルになれる!」
エラスモ凛「や、やってみようかな」
モサP「デビューするときの名前も考えてあるんだ!芸名は…『ネッシー』なんてどうかな」
エラスモ凛「ネッシー…?」
37: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:51:08.01 ID:ArF4Tnay0.net
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
現在 病室
凛「と、いうわけでネッシーはUMAの代表として歴史に名を…」
幸子「…思ったより重症みたいですね」
凛「はっ!」
幸子「また、何か思い出したんですかっ!?」
凛「あれは…>>39年前のこと…!」
幸子「唐突ですね…!」ゴクリ
現在 病室
凛「と、いうわけでネッシーはUMAの代表として歴史に名を…」
幸子「…思ったより重症みたいですね」
凛「はっ!」
幸子「また、何か思い出したんですかっ!?」
凛「あれは…>>39年前のこと…!」
幸子「唐突ですね…!」ゴクリ
39: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:52:09.55 ID:hsJvXGZDa.net
10
41: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 18:57:35.03 ID:ArF4Tnay0.net
凛「10年前…!そこにあった気がするんだ。私の原点が」
幸子「………!」ゴクリ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
10年前 公園
凛(5歳)「ふーん、あんたがわたしのぷろでゅーさー?」
>>43「はい」
凛「まぁわるくないかな。わたしはしぶやりん、きょうからよろしくね」
幸子「………!」ゴクリ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
10年前 公園
凛(5歳)「ふーん、あんたがわたしのぷろでゅーさー?」
>>43「はい」
凛「まぁわるくないかな。わたしはしぶやりん、きょうからよろしくね」
45: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:07:25.97 ID:ArF4Tnay0.net
日高舞(19)「うーん、ちょっと無愛想かしらね」
凛「むずかしいよ…あいどるって」
舞「ほーら、元気に明るく!大きな声で!」
凛「り、りんでーす!」
舞「なんか芸人みたいね。芸人目指してみてもいいんじゃない?」
凛「わたしはあいどるになりたいのっ!」
凛「むずかしいよ…あいどるって」
舞「ほーら、元気に明るく!大きな声で!」
凛「り、りんでーす!」
舞「なんか芸人みたいね。芸人目指してみてもいいんじゃない?」
凛「わたしはあいどるになりたいのっ!」
46: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:20:18.73 ID:ArF4Tnay0.net
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
舞「はい、今日はこのくらいにしておくわ」
凛「はぁ…ぜぇ…おねえちゃんさぁ…」
舞「なぁに?」
凛「なんでまいにちこのこうえんにくるの…?」
舞「それはね…金のタマゴを見つけたからよ」
凛「たまご?……たまごやき?」
舞「そうね。今日は卵焼きにしようかしら♪」
凛「???」
舞「はい、今日はこのくらいにしておくわ」
凛「はぁ…ぜぇ…おねえちゃんさぁ…」
舞「なぁに?」
凛「なんでまいにちこのこうえんにくるの…?」
舞「それはね…金のタマゴを見つけたからよ」
凛「たまご?……たまごやき?」
舞「そうね。今日は卵焼きにしようかしら♪」
凛「???」
47: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:29:12.23 ID:ArF4Tnay0.net
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
舞「はい、唐突ですが今日で『あいどるのれっすん』を終了しまーす♪」
凛「えーっ!っていうかさいしょはわたしひとりでやってたのにっ!」
舞「いいじゃない、これで凛ちゃんも立派なアイドルよ。愛のいいライバルになれるわね」
凛「そんなかってに…じゆうすぎるよ!」
舞「トップアイドルは自由なものなのよ。覚えておきなさい」
凛「…おねえちゃん」
舞「うん、私もさびしいわ。でもね、別れを乗り越えて…」
凛「>>48」
舞「はい、唐突ですが今日で『あいどるのれっすん』を終了しまーす♪」
凛「えーっ!っていうかさいしょはわたしひとりでやってたのにっ!」
舞「いいじゃない、これで凛ちゃんも立派なアイドルよ。愛のいいライバルになれるわね」
凛「そんなかってに…じゆうすぎるよ!」
舞「トップアイドルは自由なものなのよ。覚えておきなさい」
凛「…おねえちゃん」
舞「うん、私もさびしいわ。でもね、別れを乗り越えて…」
凛「>>48」
48: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:30:31.46 ID:/vJr07yBK.net
別れは必然仕方のないことさ
51: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:41:21.67 ID:ArF4Tnay0.net
凛「別れは必然。仕方のないことさ」
舞「……そうなんだけど、いきなり大人になられても困るわ」
凛「ふっ」
舞「じゃ、じゃあね」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
現在 病室
凛「そこで初めてあの人から主導権を握ったんだ」
幸子「なんだか変な別れ方をしましたね」
凛「引退したアイドルらしいから、もう会うこともないかもしれないけどね」
幸子「そうですか。とりあえずボクはこれで帰りますね」
凛「うん、今日はいろいろありがとう幸子」
幸子「ボクに感謝ですね」
凛「自分で言うのそれ」
舞「……そうなんだけど、いきなり大人になられても困るわ」
凛「ふっ」
舞「じゃ、じゃあね」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
現在 病室
凛「そこで初めてあの人から主導権を握ったんだ」
幸子「なんだか変な別れ方をしましたね」
凛「引退したアイドルらしいから、もう会うこともないかもしれないけどね」
幸子「そうですか。とりあえずボクはこれで帰りますね」
凛「うん、今日はいろいろありがとう幸子」
幸子「ボクに感謝ですね」
凛「自分で言うのそれ」
52: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:45:43.62 ID:ArF4Tnay0.net
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
病院のとある一室
医者「渋谷凛…」ペラッ
医者「………!」
医者「本人に伝えるべきか…」
>>53「こんばんは」ガチャ
医者「!」
医者「…お待ちしていました。さぁ、こちらへ」
病院のとある一室
医者「渋谷凛…」ペラッ
医者「………!」
医者「本人に伝えるべきか…」
>>53「こんばんは」ガチャ
医者「!」
医者「…お待ちしていました。さぁ、こちらへ」
53: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:47:20.16 ID:esoIrKfP0.net
P
54: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:52:14.89 ID:ArF4Tnay0.net
P「凛の具合はどうですか?」
医者「いい傾向です。明日、明後日には退院できますよ」
P「そうですか、よかった」ホッ
医者「今回は軽い疲れから来るものなので、退院後もしっかり休ませてあげてください」
P「はい。彼女は…焦ってるのかもしれません」
医者「ところで、その姿はなんですか?まるで>>55のようですが」
医者「いい傾向です。明日、明後日には退院できますよ」
P「そうですか、よかった」ホッ
医者「今回は軽い疲れから来るものなので、退院後もしっかり休ませてあげてください」
P「はい。彼女は…焦ってるのかもしれません」
医者「ところで、その姿はなんですか?まるで>>55のようですが」
55: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 19:53:29.69 ID:/vJr07yBK.net
バーサークフューラー
56: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 20:00:27.92 ID:ArF4Tnay0.net
バーサークフューラーP「いやあ、これは目が覚めたらこうなってまして」
医者「まるで機械の恐竜…!あなたの身体も興味深いですね」
バーサークP「荷電粒子砲もついてますよ。ジェノザウラーみたいでしょ?」
医者「ジェノ…?まぁ今は置いておきましょう」
バーサークP「そうですね。凛のことが心配だ」アームグイーン
医者「本当に心配してます?」
バーサークP「もちろん!プロデューサーですから!」アームグイーン
医者「まるで機械の恐竜…!あなたの身体も興味深いですね」
バーサークP「荷電粒子砲もついてますよ。ジェノザウラーみたいでしょ?」
医者「ジェノ…?まぁ今は置いておきましょう」
バーサークP「そうですね。凛のことが心配だ」アームグイーン
医者「本当に心配してます?」
バーサークP「もちろん!プロデューサーですから!」アームグイーン
57: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 20:07:18.45 ID:ArF4Tnay0.net
医者「えーっと、渋谷凛さんですが」
バーサークP「はい。俺の担当アイドルです」
医者「レントゲン写真を見てください」スッ
バーサークP(おお、凛の肋骨…!変な趣向に目覚めそうだ)
医者「これが血液検査の結果。そしてこちらが胃、腸、肝臓」
バーサークP「もっと身体の下の方の器官もありますか?」
医者「単刀直入に言います。>>59!」
バーサークP「はい。俺の担当アイドルです」
医者「レントゲン写真を見てください」スッ
バーサークP(おお、凛の肋骨…!変な趣向に目覚めそうだ)
医者「これが血液検査の結果。そしてこちらが胃、腸、肝臓」
バーサークP「もっと身体の下の方の器官もありますか?」
医者「単刀直入に言います。>>59!」
59: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 20:09:38.80 ID:esoIrKfP0.net
健康そのもの
60: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 20:14:39.44 ID:ArF4Tnay0.net
医者「まさに健康そのものです!素晴らしい!」
バーサークP「でしょう?うちのアイドルはみんな人一倍元気なんですよ」
医者「素晴らしいので学会に提出しようと思います。よろしいですか?」
バーサークP「ええ、俺もこれから『健康アイドル』として売り出していきます」
医者「では、お話は以上です。明日お迎えに来てください」
バーサークP「分かりました。でもこの体で車運転できるかな…」
バーサークP「でしょう?うちのアイドルはみんな人一倍元気なんですよ」
医者「素晴らしいので学会に提出しようと思います。よろしいですか?」
バーサークP「ええ、俺もこれから『健康アイドル』として売り出していきます」
医者「では、お話は以上です。明日お迎えに来てください」
バーサークP「分かりました。でもこの体で車運転できるかな…」
63: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 20:24:25.90 ID:ArF4Tnay0.net
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次の日 事務所
バーサークP「凛が退院したぞ!」
凛「みんな、心配してくれてありがとう。すっかり元気になったよ」
蘭子「永遠の闇に飲まれよ!」
幸子「フフーン、ボクの癒しの力で
未央「じゃあ、退院祝いにカラオケでも行く?みんな!」
バーサークP「はは、悪いな。凛はしばらく安静だ。それと…凛!」
凛「うん?何?」
バーサークP「手紙もいっぱい来てるぞ。隣の部屋にあるから目を通しておけよ」
凛(ファンのみんな…!)
次の日 事務所
バーサークP「凛が退院したぞ!」
凛「みんな、心配してくれてありがとう。すっかり元気になったよ」
蘭子「永遠の闇に飲まれよ!」
幸子「フフーン、ボクの癒しの力で
未央「じゃあ、退院祝いにカラオケでも行く?みんな!」
バーサークP「はは、悪いな。凛はしばらく安静だ。それと…凛!」
凛「うん?何?」
バーサークP「手紙もいっぱい来てるぞ。隣の部屋にあるから目を通しておけよ」
凛(ファンのみんな…!)
64: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 20:29:34.55 ID:ArF4Tnay0.net
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
隣の部屋
凛「『渋谷さん、早く元気になってください』かぁ…ふふっ」
凛「『りんちゃんがんばれ』…あっ、似顔絵も!」
凛「『古紙回収のお知らせ』…これは違う」
ピラッ
凛「『>>65』…これはっ!?」
隣の部屋
凛「『渋谷さん、早く元気になってください』かぁ…ふふっ」
凛「『りんちゃんがんばれ』…あっ、似顔絵も!」
凛「『古紙回収のお知らせ』…これは違う」
ピラッ
凛「『>>65』…これはっ!?」
65: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 20:29:52.57 ID:esoIrKfP0.net
果たし状
66: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 20:35:59.57 ID:ArF4Tnay0.net
凛「『果たし状』…!?」
凛「決闘を申し込む、ってこと!?」
凛「だ、誰からかな…」
凛(心当たりは…正直たくさんある…!)
凛「ふむふむ…『拝啓、渋谷凛様。突然ですが決闘を申し込みます』」
凛「『もちろん、ライブバトルなんて生ぬるいものではありません』」
凛「『では、場所と時間は二枚目に記載しておきます。敬具 >>67より』」
凛「決闘を申し込む、ってこと!?」
凛「だ、誰からかな…」
凛(心当たりは…正直たくさんある…!)
凛「ふむふむ…『拝啓、渋谷凛様。突然ですが決闘を申し込みます』」
凛「『もちろん、ライブバトルなんて生ぬるいものではありません』」
凛「『では、場所と時間は二枚目に記載しておきます。敬具 >>67より』」
67: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 20:36:26.41 ID:/vJr07yBK.net
熱気バサラ
69: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 20:45:00.60 ID:ArF4Tnay0.net
凛「『熱気バサラより』…誰!?」
凛「マクロスの…俺の歌を聞けえ!の人じゃないよね。まさかね」
凛「えーっと時間と場所は…」ガサゴソ
凛「あれ…一枚しか入ってない」
凛(入れ忘れたんだきっと…!)
凛「でも、私と決闘するって書いてあるし…どうしようかな」
バーサークP「どうだ?凛。調子は」ガチャ
凛「>>70」
凛「マクロスの…俺の歌を聞けえ!の人じゃないよね。まさかね」
凛「えーっと時間と場所は…」ガサゴソ
凛「あれ…一枚しか入ってない」
凛(入れ忘れたんだきっと…!)
凛「でも、私と決闘するって書いてあるし…どうしようかな」
バーサークP「どうだ?凛。調子は」ガチャ
凛「>>70」
70: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 20:46:24.78 ID:QHQjfu7e0.net
背後に立つな
72: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 20:53:58.82 ID:ArF4Tnay0.net
凛「背後に立つな」パンチ!
バーサークP「」
凛(私の中の戦いの血が流れているのが分かる…)ドクンドクン
凛「このまま…戦いに行こう…」
幸子「調子はどうですか?凛さん!」ガチャ
凛「>>73」
バーサークP「」
凛(私の中の戦いの血が流れているのが分かる…)ドクンドクン
凛「このまま…戦いに行こう…」
幸子「調子はどうですか?凛さん!」ガチャ
凛「>>73」
73: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 20:54:56.99 ID:JSp3TGqgd.net
報酬を確認次第仕事にかかろう
75: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 21:00:34.76 ID:ArF4Tnay0.net
凛「報酬を確認次第仕事にかかろう」
幸子「え?ちょっと…どうしたんですか」
凛「………」キュッキュッ
幸子「あの…眉毛とほうれい線をペンで描いてどうするんですか?」
凛「お前の仕事は当分黙っていることだ」ギロッ
幸子「ひっ」
凛「さて、私の顧客は…」
>>76「はい」
幸子「え?ちょっと…どうしたんですか」
凛「………」キュッキュッ
幸子「あの…眉毛とほうれい線をペンで描いてどうするんですか?」
凛「お前の仕事は当分黙っていることだ」ギロッ
幸子「ひっ」
凛「さて、私の顧客は…」
>>76「はい」
76: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 21:00:54.06 ID:/vJr07yBK.net
こずえ
77: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 21:09:51.63 ID:ArF4Tnay0.net
遊佐こずえ「ふわぁ…いらい…」
凛「用件を聞こうか」
こずえ「いらい…よりも…おやすみ…」
凛「………」
こずえ「いっしょに…ねるー…?」
凛「私は女と寝るときは自分から選ぶようにしている」
こずえ「そうなのー…?ふわぁ…」
幸子「>>78」
凛「用件を聞こうか」
こずえ「いらい…よりも…おやすみ…」
凛「………」
こずえ「いっしょに…ねるー…?」
凛「私は女と寝るときは自分から選ぶようにしている」
こずえ「そうなのー…?ふわぁ…」
幸子「>>78」
78: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 21:10:49.52 ID:v+wfpfqW0.net
他の人を呼びましょう
79: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 21:18:57.99 ID:ArF4Tnay0.net
幸子「他の人を呼びましょう」
こずえ「おひざー…おやすみー…」
凛「ふふふ…女は信用しないことだ」ナデナデ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
事務所 TVのある部屋
幸子「ふぅ、ボクまで眉毛が太くなりそうな空間でした…」
幸子「しばらくは放っておきましょうか」
>>80「お、幸子!」
こずえ「おひざー…おやすみー…」
凛「ふふふ…女は信用しないことだ」ナデナデ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
事務所 TVのある部屋
幸子「ふぅ、ボクまで眉毛が太くなりそうな空間でした…」
幸子「しばらくは放っておきましょうか」
>>80「お、幸子!」
80: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 21:20:13.15 ID:esoIrKfP0.net
エスパーユッコ
82: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 21:28:30.70 ID:ArF4Tnay0.net
堀裕子「あ、幸子ちゃん!」
幸子「裕子さんですか」
堀裕子「いえ、私は…エスパーユッコ!」
幸子「…ユッコさんでいいですね?」
ユッコ「はい!ユッコです!!」
幸子「ところで…ここで何やってるんですか?」
ユッコ「今から、何やらおもしろい番組が始まるそうなんですよ!幸子ちゃんも見ましょう!」
TV「バババーン」
ユッコ「ほら、始まりましたよ!」
幸子「番組のタイトルは…『>>83』?」
幸子「裕子さんですか」
堀裕子「いえ、私は…エスパーユッコ!」
幸子「…ユッコさんでいいですね?」
ユッコ「はい!ユッコです!!」
幸子「ところで…ここで何やってるんですか?」
ユッコ「今から、何やらおもしろい番組が始まるそうなんですよ!幸子ちゃんも見ましょう!」
TV「バババーン」
ユッコ「ほら、始まりましたよ!」
幸子「番組のタイトルは…『>>83』?」
83: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 21:28:39.41 ID:zKW2a67T0.net
脇山珠美ちゃんかわいい
84: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 21:36:09.04 ID:ArF4Tnay0.net
TV「脇山珠美ちゃんかわいい!」
ユッコ「わくわく!」
幸子「ボクだってカワイイですよ!」
TV「この番組では脇山珠美さんのかわいいところを紹介していきます」
ユッコ「30分番組みたいですね」
幸子「ボクなら24時間でもできますよ!フフーン」
TV「今日のテーマは寝起きドッキリ!それではVTRをどうぞ」
ユッコ「わくわく!」
幸子「ボクだってカワイイですよ!」
TV「この番組では脇山珠美さんのかわいいところを紹介していきます」
ユッコ「30分番組みたいですね」
幸子「ボクなら24時間でもできますよ!フフーン」
TV「今日のテーマは寝起きドッキリ!それではVTRをどうぞ」
85: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 21:41:39.19 ID:ArF4Tnay0.net
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
VTR
珠美「zzz」
ナレーション「何も知らずにぐっすり眠っている珠美ちゃん」
珠美「zzz」
ナレーション「カバンの中には…竹刀と防具!」
珠美「zzz」
ナレーション「どうやら、剣道の強豪校の取材だと聞かされてるようですね」
珠美「zzz」
>>86「おはようございまーす」ヒソヒソ
ナレーション「ここで>>86さん登場!」
VTR
珠美「zzz」
ナレーション「何も知らずにぐっすり眠っている珠美ちゃん」
珠美「zzz」
ナレーション「カバンの中には…竹刀と防具!」
珠美「zzz」
ナレーション「どうやら、剣道の強豪校の取材だと聞かされてるようですね」
珠美「zzz」
>>86「おはようございまーす」ヒソヒソ
ナレーション「ここで>>86さん登場!」
86: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 21:42:13.29 ID:wrPkz/Eya.net
律子
89: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 21:53:50.51 ID:ArF4Tnay0.net
ナレーション「ここで今回の仕掛け人、律子さん登場!」
秋月律子「どーも、765プロのメガネアイドルパイオニアプロデューサー事務員こと秋月律子です」ヒソヒソ
ナレーション「まずは質問ですが、珠美さんの可愛いところはどこですか?」
律子「そうねぇ…私の分析だと、努力家で根は真面目それでいて愛嬌のあるルックス…が可愛いさの要因だと思うわ」
ナレーション「さすが、律子さんの冷静な分析!説得力ありますねぇ」
律子「私がプロデュースするなら…そうね、赤いランドセルを…」
ナレーション「あ、もうけっこうですよ。では、さっそくお願いします」
律子「あら、もういいんですか!?…まぁ、とりあえず珠美に>>90してみようかしら」
秋月律子「どーも、765プロのメガネアイドルパイオニアプロデューサー事務員こと秋月律子です」ヒソヒソ
ナレーション「まずは質問ですが、珠美さんの可愛いところはどこですか?」
律子「そうねぇ…私の分析だと、努力家で根は真面目それでいて愛嬌のあるルックス…が可愛いさの要因だと思うわ」
ナレーション「さすが、律子さんの冷静な分析!説得力ありますねぇ」
律子「私がプロデュースするなら…そうね、赤いランドセルを…」
ナレーション「あ、もうけっこうですよ。では、さっそくお願いします」
律子「あら、もういいんですか!?…まぁ、とりあえず珠美に>>90してみようかしら」
90: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 21:55:10.90 ID:YHEF7n9x0.net
コロニー落とし
92: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 22:04:48.16 ID:ArF4Tnay0.net
律子「コロニー落としでもして目覚めてもらいましょうか」
ナレーション「コロニー落としですか!?律子さんは機動戦士ではないですよね!?」
律子「まぁガンダムとかは無理にしても、巨大ロボットならいくつか手配できますけど…」
ナレーション「うん?やめてくださいよそれは」
律子「私は通称765プロの常識人なんだから、そのへんは大丈夫よ」
ナレーション「では、コロニーの代わりに何を珠美さんにぶつけましょうか」
律子「>>93にしましょう」
ナレーション「コロニー落としですか!?律子さんは機動戦士ではないですよね!?」
律子「まぁガンダムとかは無理にしても、巨大ロボットならいくつか手配できますけど…」
ナレーション「うん?やめてくださいよそれは」
律子「私は通称765プロの常識人なんだから、そのへんは大丈夫よ」
ナレーション「では、コロニーの代わりに何を珠美さんにぶつけましょうか」
律子「>>93にしましょう」
93: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 22:05:22.48 ID:FSYqO/O20.net
こんにゃく
95: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 22:10:43.20 ID:ArF4Tnay0.net
ナレーション「では、こんにゃくでお願いします」
律子「やぁ!」ポイッ
ぺちん
珠美「…ふぇっ!」
律子「………」
珠美「zzz」
律子「ダメね。…群馬のいいこんにゃくなんだけど」
ナレーション「こんにゃく落としは失敗!」
珠美「zzz」
律子「こ、こうなったら…>>96よ!」
律子「やぁ!」ポイッ
ぺちん
珠美「…ふぇっ!」
律子「………」
珠美「zzz」
律子「ダメね。…群馬のいいこんにゃくなんだけど」
ナレーション「こんにゃく落としは失敗!」
珠美「zzz」
律子「こ、こうなったら…>>96よ!」
96: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 22:12:36.87 ID:lzEatDlOM.net
無尽合体キサラギ
99: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 22:25:08.47 ID:ArF4Tnay0.net
律子「こういう時は無人合体キサラギよ!オーバーマスターしかない!」
BGM「あるかでぃ~あ~♪」
律子「というわけで無人合体キサラギ近日公開!リッチェーンもよろしくお願いします!」
ナレーション「最後は珠美さんの寝顔でお別れしましょう」
珠美「zzz」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
事務所 TVのある部屋
幸子「なんなんですかこれ」
ユッコ「さぁ」
BGM「あるかでぃ~あ~♪」
律子「というわけで無人合体キサラギ近日公開!リッチェーンもよろしくお願いします!」
ナレーション「最後は珠美さんの寝顔でお別れしましょう」
珠美「zzz」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
事務所 TVのある部屋
幸子「なんなんですかこれ」
ユッコ「さぁ」
100: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 22:32:39.16 ID:ArF4Tnay0.net
TV「引き続き『ちえり一人で田舎へポイ』をお送りします」
幸子「さて、そろそろ行きますね。ボクは忙しいので!」
ユッコ「ちょっと待ってください!TVのリモコン知りませんか?」キョロキョロ
幸子「もう、しょうがないですね。えーっとリモコンリモコン…」キョロキョロ
TV「ここで臨時ニュースです」
幸子&ユッコ「?」
TV「>>101」
幸子「さて、そろそろ行きますね。ボクは忙しいので!」
ユッコ「ちょっと待ってください!TVのリモコン知りませんか?」キョロキョロ
幸子「もう、しょうがないですね。えーっとリモコンリモコン…」キョロキョロ
TV「ここで臨時ニュースです」
幸子&ユッコ「?」
TV「>>101」
101: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 22:33:48.05 ID:otOH+rCEp.net
龍崎薫ちゃんが総理大臣になりました
102: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 22:41:58.24 ID:ArF4Tnay0.net
TV「新たな内閣総理大臣に龍崎薫さん(9)が就任しました」
幸子&ユッコ「うぇっ!?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
記者会見
薫「かおる、一生懸命がんばりまー!!」
与党議員「龍崎総理!」
薫「えへへ…えっへん!」
司会「では、今から質問の時間に移りたいと思います」
薫「なんでもこたえるよ!」
記者「では質問です。>>103?」
幸子&ユッコ「うぇっ!?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
記者会見
薫「かおる、一生懸命がんばりまー!!」
与党議員「龍崎総理!」
薫「えへへ…えっへん!」
司会「では、今から質問の時間に移りたいと思います」
薫「なんでもこたえるよ!」
記者「では質問です。>>103?」
103: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 22:43:09.04 ID:WIb+qg0i0.net
きのこ派ですかたけのこ派ですか
105: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 22:49:59.69 ID:ArF4Tnay0.net
記者「龍崎総理はきのこ派ですか?たけのこ派ですか?」
薫「はい!かおるはきのこ派です!つくえの下のおねえちゃんにいっぱいもらいました!」
記者たち「どよどよ」
薫「あれ?かおる、何か変なこといったかなぁ」
与党議員「これではたけのこ派を敵にまわします…!訂正を」ヒソヒソ
薫「あっ!えーっと、たけのこも好きです!」
記者「具体的には?」
薫「ぐ、ぐたいてき?え、えーっと…うーんと…」
与党議員「司会!!」
司会「つ、次の質問に移りましょう!」
記者「では、>>106?」
薫「はい!かおるはきのこ派です!つくえの下のおねえちゃんにいっぱいもらいました!」
記者たち「どよどよ」
薫「あれ?かおる、何か変なこといったかなぁ」
与党議員「これではたけのこ派を敵にまわします…!訂正を」ヒソヒソ
薫「あっ!えーっと、たけのこも好きです!」
記者「具体的には?」
薫「ぐ、ぐたいてき?え、えーっと…うーんと…」
与党議員「司会!!」
司会「つ、次の質問に移りましょう!」
記者「では、>>106?」
106: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 22:51:16.36 ID:QHQjfu7e0.net
賛美歌13番を斉唱して欲しい
109: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 23:05:17.69 ID:ArF4Tnay0.net
記者「賛美歌十三番を斉唱してください」
薫「さんびかじゅうさんばん?かおる、おうたは得意だよ!」
与党議員「いけません龍崎総理!最強のスナイパーが現れます!」ヒソヒソ
薫「?」
与党議員「とにかく、拒否をしてください!」ヒソヒソ
薫「拒否します!」
記者「なんでもこたえると言ったじゃないか!」ブーブー
薫「あの、えっと…ダメな質問もあって…その」
司会「最後に、総理から一言!」
薫「>>110!」
薫「さんびかじゅうさんばん?かおる、おうたは得意だよ!」
与党議員「いけません龍崎総理!最強のスナイパーが現れます!」ヒソヒソ
薫「?」
与党議員「とにかく、拒否をしてください!」ヒソヒソ
薫「拒否します!」
記者「なんでもこたえると言ったじゃないか!」ブーブー
薫「あの、えっと…ダメな質問もあって…その」
司会「最後に、総理から一言!」
薫「>>110!」
110: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 23:05:52.18 ID:FFoC/Msk0.net
消費税撤廃します
112: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 23:12:16.39 ID:ArF4Tnay0.net
薫「しょーひぜーをてっぱいします!」
記者「」
議員「」
司会「」
薫「おかいものをする時、けいさんがたいへんだからです!」
与党議員「いけません!訂正してください!」ヒソヒソ
薫「えっ?でも、薫の『まにふぇすと』ってこれだし…」
記者「今のは本当ですか!?」
薫「はい!日本のみんなとのおやくそくです!」
会場の人「わいわいがやがや」
薫「あと、日本のおやつはぜんぶ10円に…」
記者「」
議員「」
司会「」
薫「おかいものをする時、けいさんがたいへんだからです!」
与党議員「いけません!訂正してください!」ヒソヒソ
薫「えっ?でも、薫の『まにふぇすと』ってこれだし…」
記者「今のは本当ですか!?」
薫「はい!日本のみんなとのおやくそくです!」
会場の人「わいわいがやがや」
薫「あと、日本のおやつはぜんぶ10円に…」
113: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 23:18:55.66 ID:ArF4Tnay0.net
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
事務所 TVのある部屋
ユッコ「確かに消費税は計算が大変…」
幸子「そういう問題じゃありませんよっ!」
TV「では、次のニュースです」
ユッコ「とにかく今はリモコンを探しましょう!」
幸子「ソファの下…デスクの上…」
TV「>>114」
事務所 TVのある部屋
ユッコ「確かに消費税は計算が大変…」
幸子「そういう問題じゃありませんよっ!」
TV「では、次のニュースです」
ユッコ「とにかく今はリモコンを探しましょう!」
幸子「ソファの下…デスクの上…」
TV「>>114」
114: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 23:20:41.11 ID:6fJM/Wkv0.net
前川みく、紅白出場決定
117: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 23:26:40.54 ID:ArF4Tnay0.net
TV「前川みくさん紅白出場決定」
幸子「棚の上にありませんか?」
ユッコ「う、うーん…高すぎて見えません…!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
対面取材
みく「みくだにゃあ!」
三流記者「はい、お願いします」
みく(なんか、嫌な感じの記者さんにゃ…)
三流記者「えっとー、みくさん?ってか、みくにゃんでよくね?」
みく「うん!みくにゃんでもいいよ!」
みく(イライラ)
三流記者「質問いっすか?>>118?」
幸子「棚の上にありませんか?」
ユッコ「う、うーん…高すぎて見えません…!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
対面取材
みく「みくだにゃあ!」
三流記者「はい、お願いします」
みく(なんか、嫌な感じの記者さんにゃ…)
三流記者「えっとー、みくさん?ってか、みくにゃんでよくね?」
みく「うん!みくにゃんでもいいよ!」
みく(イライラ)
三流記者「質問いっすか?>>118?」
118: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 23:28:21.33 ID:/vJr07yBK.net
おっぱいさわっていい
121: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 23:36:00.53 ID:ArF4Tnay0.net
三流記者「おっぱい触っていい?」
みく「にゃっ!?」
三流記者「ははは、マジでやるわけねーじゃん。おもしれー反応」
みく(我慢…我慢…!)
三流記者「お?なんかその衣装の胸の飾りいいね」
みく「こ、これ?これはネコチャンブローチ!かわいいっしょ~?」
三流記者「ああ、ちょっと見せてね」
みく(って本当に胸触ろうとしてるし!許せないっ!)
みく「>>122」
みく「にゃっ!?」
三流記者「ははは、マジでやるわけねーじゃん。おもしれー反応」
みく(我慢…我慢…!)
三流記者「お?なんかその衣装の胸の飾りいいね」
みく「こ、これ?これはネコチャンブローチ!かわいいっしょ~?」
三流記者「ああ、ちょっと見せてね」
みく(って本当に胸触ろうとしてるし!許せないっ!)
みく「>>122」
122: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 23:36:33.57 ID:+kcnzJxCa.net
110番ん
125: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 23:44:20.10 ID:ArF4Tnay0.net
みく「け、警察に…」スマホッ
三流記者「お、おい!マジになってんじゃねえよ!三流アイドルが!」
みく「で、でもさっきからセクハラっぽい発言してるし…」
三流記者「は?こんなんアイドルなら普通じゃボケ。ネタとして言ってんのによ」
みく「うぅ…で、でも」
三流記者「『警察沙汰アイドル!』とでも書いてやろうか?紅白も消えるなぁ」
みく(紅白のお仕事…Pチャンがとってきてくれた…でも…)
三流記者「なんか萎えるわ。ほら、脱げや三流アイドル」
みく「>>126」
三流記者「お、おい!マジになってんじゃねえよ!三流アイドルが!」
みく「で、でもさっきからセクハラっぽい発言してるし…」
三流記者「は?こんなんアイドルなら普通じゃボケ。ネタとして言ってんのによ」
みく「うぅ…で、でも」
三流記者「『警察沙汰アイドル!』とでも書いてやろうか?紅白も消えるなぁ」
みく(紅白のお仕事…Pチャンがとってきてくれた…でも…)
三流記者「なんか萎えるわ。ほら、脱げや三流アイドル」
みく「>>126」
126: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 23:45:01.91 ID:KdD9oFZT0.net
アングリィ!
129: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 23:50:57.13 ID:ArF4Tnay0.net
みく「アングリィ!」
三流記者「う、うわっ!分かりやすく怒った!」
みく「アングリィにゃあ!」
三流記者「な、なんだよ!だからどうしたよ。警察でも呼ぶか?」
みく「アングリィみくにゃあ!」
三流記者「お、お前が怒ったところで別になんとも…」
みく「うっにゃあああああああああ!!!」
三流記者「こいつッ…>>130する気か!?やめろおおおお!!」
三流記者「う、うわっ!分かりやすく怒った!」
みく「アングリィにゃあ!」
三流記者「な、なんだよ!だからどうしたよ。警察でも呼ぶか?」
みく「アングリィみくにゃあ!」
三流記者「お、お前が怒ったところで別になんとも…」
みく「うっにゃあああああああああ!!!」
三流記者「こいつッ…>>130する気か!?やめろおおおお!!」
130: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 23:52:19.06 ID:7oxAr00K0.net
アームロック
132: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 23:56:13.12 ID:ArF4Tnay0.net
三流記者「くそっ!腕を…」
みく「許さないにゃあ!」ロック
三流記者「バカ、放せよ!てめーは自分の状況が分かってねーみたいだな」
みく「じょ、状況!?」
三流記者「ああ、俺は実は>>133の息子なんだよ!」
みく「な、なんやて!?」
みく「許さないにゃあ!」ロック
三流記者「バカ、放せよ!てめーは自分の状況が分かってねーみたいだな」
みく「じょ、状況!?」
三流記者「ああ、俺は実は>>133の息子なんだよ!」
みく「な、なんやて!?」
133: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/15(土) 23:57:01.54 ID:v+wfpfqW0.net
総理大臣
135: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 00:04:55.87 ID:HGCnzCtm0.net
みく「総理大臣の息子っ!?」
三流記者「ああ、そうだ!思い知ったかバカめ」
みく「証拠はあるのかにゃあ!?」
三流記者「は?しょ、証拠は…電話だ!」スマホッ
みく「えっ?」
三流記者「あ、もしもし編集長ですか?あの龍崎薫とかいうガキ…女の子に繋いでください」
三流記者「おい!龍崎薫か?俺だよ、こないだ取材した記者だよ!」
三流記者「なぁ、俺はお前の息子だよな?息子になったんだよな?」
電話の向こうの薫「>>136」
三流記者「ああ、そうだ!思い知ったかバカめ」
みく「証拠はあるのかにゃあ!?」
三流記者「は?しょ、証拠は…電話だ!」スマホッ
みく「えっ?」
三流記者「あ、もしもし編集長ですか?あの龍崎薫とかいうガキ…女の子に繋いでください」
三流記者「おい!龍崎薫か?俺だよ、こないだ取材した記者だよ!」
三流記者「なぁ、俺はお前の息子だよな?息子になったんだよな?」
電話の向こうの薫「>>136」
136: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 00:05:39.95 ID:7UkUAN9RK.net
110番
139: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 00:15:26.68 ID:HGCnzCtm0.net
三流記者「あっ!馬鹿野郎!警察を呼ぶな!」
みく「もう記者さんの負けにゃ!」
三流記者「く、くそ…いつか絶対仕返しを…」
みく「はいはい、みくの紅白での活躍は刑務所で見てね♪」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
事務所 TVのある部屋
ユッコ「ありました!リモコンありましたよっ!」
幸子「はぁ…ぜぇ…どこにあったんですか…?」
ユッコ「ポッケの中に!」
幸子「」
ユッコ「はっ!これは私の秘めたるサイキック能力では…!?」
幸子「ユッコさん」
みく「もう記者さんの負けにゃ!」
三流記者「く、くそ…いつか絶対仕返しを…」
みく「はいはい、みくの紅白での活躍は刑務所で見てね♪」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
事務所 TVのある部屋
ユッコ「ありました!リモコンありましたよっ!」
幸子「はぁ…ぜぇ…どこにあったんですか…?」
ユッコ「ポッケの中に!」
幸子「」
ユッコ「はっ!これは私の秘めたるサイキック能力では…!?」
幸子「ユッコさん」
142: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 00:27:52.37 ID:HGCnzCtm0.net
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その日の深夜 都内超高層ビル100階 VIPルーム
高垣楓「『トップランクアイドルの集い』、ですか」
バーサークP「ええ、ここに呼ばれるのはA~Sランクのアイドルのみ」
楓「それはそうと…プロデューサー、なんですかその姿」
バーサークP「ああ、これは説明するとながくなるので」
楓(背中に乗る時はアームの部分を掴めばいいのかしら…)
バーサークP「じゃあ、またお迎えに来ます」
その日の深夜 都内超高層ビル100階 VIPルーム
高垣楓「『トップランクアイドルの集い』、ですか」
バーサークP「ええ、ここに呼ばれるのはA~Sランクのアイドルのみ」
楓「それはそうと…プロデューサー、なんですかその姿」
バーサークP「ああ、これは説明するとながくなるので」
楓(背中に乗る時はアームの部分を掴めばいいのかしら…)
バーサークP「じゃあ、またお迎えに来ます」
143: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 00:34:44.62 ID:HGCnzCtm0.net
黒服の男「Aランクアイドルの高垣楓様、ですね?」
楓「ええ…」
黒服の男「どうぞこちらへ」
楓(………この人、鼻毛出てる)
黒服の男「こちらでお待ちください。間もなく開始します」
>>145(Aランクアイドル)「楓さん!」
楓「!」
楓「ええ…」
黒服の男「どうぞこちらへ」
楓(………この人、鼻毛出てる)
黒服の男「こちらでお待ちください。間もなく開始します」
>>145(Aランクアイドル)「楓さん!」
楓「!」
145: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 00:35:47.74 ID:zBL8/FvM0.net
南光太郎
148: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 00:51:56.24 ID:HGCnzCtm0.net
南光太郎「楓さん!」
楓「あなたは仮面ライダーの…」
南光太郎「変…身っ!」
楓「えっと仮面ライダー…クライシス?」
仮面ライダーBLACK「楓さんが勘違いを…ゴルゴムの仕業か!」
楓「?」
>>150(Aランクアイドル)「楓さんとは珍しいね」
楓「!」
楓「あなたは仮面ライダーの…」
南光太郎「変…身っ!」
楓「えっと仮面ライダー…クライシス?」
仮面ライダーBLACK「楓さんが勘違いを…ゴルゴムの仕業か!」
楓「?」
>>150(Aランクアイドル)「楓さんとは珍しいね」
楓「!」
150: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 00:55:25.16 ID:zBL8/FvM0.net
橋本環奈
152: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 01:04:43.38 ID:HGCnzCtm0.net
橋本環奈「楓さんとは珍しいですね」
楓「あなたは…」
橋本環奈「そう、『天使すぎるアイドル』ですよ。『世紀末歌姫』さん♪」
楓(確かモバゲーニュースで…)
モバゲーニュース「あのAKB48がもっとも恐れたアイドル!」
楓(だったような…)
橋本環奈「次は現場で会いましょう。負けませんよ」
>>153(Aランクアイドル)「あっ、楓さん!」
楓「!」
楓「あなたは…」
橋本環奈「そう、『天使すぎるアイドル』ですよ。『世紀末歌姫』さん♪」
楓(確かモバゲーニュースで…)
モバゲーニュース「あのAKB48がもっとも恐れたアイドル!」
楓(だったような…)
橋本環奈「次は現場で会いましょう。負けませんよ」
>>153(Aランクアイドル)「あっ、楓さん!」
楓「!」
153: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 01:05:53.73 ID:7UkUAN9RK.net
井村雪菜
154: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 01:15:39.88 ID:HGCnzCtm0.net
井村雪菜「楓さんっ!」
楓「あら、雪菜ちゃん?」
雪菜「楓さんがこの集いに来るのって珍しいですね♪」
楓「ええ、あんまりこういうの馴れてなくて…」
雪菜「分からないことがあったらなんでも聞いてくださぁい」
楓「ふふっ…じゃあ、あそこにいるのは誰かしら?」
雪菜「あれは…>>156さん、その隣に>>157さんと>>158さん。みんなAランクですよ♪」
楓「あら、雪菜ちゃん?」
雪菜「楓さんがこの集いに来るのって珍しいですね♪」
楓「ええ、あんまりこういうの馴れてなくて…」
雪菜「分からないことがあったらなんでも聞いてくださぁい」
楓「ふふっ…じゃあ、あそこにいるのは誰かしら?」
雪菜「あれは…>>156さん、その隣に>>157さんと>>158さん。みんなAランクですよ♪」
156: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 01:18:57.72 ID:XIjp+l9m0.net
跡部景吾
157: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 01:19:00.95 ID:TXT3Hw+x0.net
鬼ヶ島羅刹
158: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 01:19:15.55 ID:7UkUAN9RK.net
速水もこみち
161: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 01:28:31.04 ID:HGCnzCtm0.net
跡部景吾「俺様の美技に…酔いな」
雪菜「バレンタインチョコを積み上げて登山ができる!俺様系テニスプレーヤーさんです」
鬼ヶ島羅刹「天ヶ瀬冬馬だって言ってんだろ!おい!」
雪菜「気分は315!俺様系アイドルさんです」
速水もこみち「やっぱり僕はサラダ油」
雪菜「ドラマ界のヒットメーカー!実力派俳優さんです」
楓「すごい顔ぶれ…これがAランクアイドルなのね…!」
雪菜「バレンタインチョコを積み上げて登山ができる!俺様系テニスプレーヤーさんです」
鬼ヶ島羅刹「天ヶ瀬冬馬だって言ってんだろ!おい!」
雪菜「気分は315!俺様系アイドルさんです」
速水もこみち「やっぱり僕はサラダ油」
雪菜「ドラマ界のヒットメーカー!実力派俳優さんです」
楓「すごい顔ぶれ…これがAランクアイドルなのね…!」
164: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 01:42:35.29 ID:HGCnzCtm0.net
雪菜「他にも765プロから何人か…と」
楓(あっちのテーブルのから揚げ食べたい…)
一流記者「すいません、ちょっといいですか?」
雪菜「あ、はいっ!」
楓「………?」
一流記者「ズバリお聞きします!Bランク以下のアイドルで、これからAランクになりそうなアイドルを紹介してください」
雪菜「そうですねぇ…『藤井朋&杉坂海』!この二人は要チェックですよ♪」
一流記者「楓さんはどうでしょうか?」
楓「>>165」
楓(あっちのテーブルのから揚げ食べたい…)
一流記者「すいません、ちょっといいですか?」
雪菜「あ、はいっ!」
楓「………?」
一流記者「ズバリお聞きします!Bランク以下のアイドルで、これからAランクになりそうなアイドルを紹介してください」
雪菜「そうですねぇ…『藤井朋&杉坂海』!この二人は要チェックですよ♪」
一流記者「楓さんはどうでしょうか?」
楓「>>165」
165: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 01:43:26.87 ID:c1g6tgbN0.net
しぶりん
166: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 01:49:17.57 ID:HGCnzCtm0.net
一流記者「雪菜さんは『藤居朋&杉坂海』…と、楓さんはどうでしょうか」
楓「渋谷凛…」
一流記者「!」
楓「知ってますか?渋谷系アイドルの」
一流記者「もちろん。しかし…いい噂は聞きませんね」
雪菜(渋谷系アイドルってなんだろう…)
楓「渋谷凛…」
一流記者「!」
楓「知ってますか?渋谷系アイドルの」
一流記者「もちろん。しかし…いい噂は聞きませんね」
雪菜(渋谷系アイドルってなんだろう…)
167: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 02:00:01.36 ID:HGCnzCtm0.net
楓「彼女は…トップアイドルになります」
雪菜「!」
一流記者「凛さん…がトップアイドルに?」
楓「ええ。そんな気がします」
一流記者(あの高垣楓がここまで…!)
雪菜「何ランクのアイドルさんなんですか?」
楓「今はEランクだけど…いつかきっと」
一流記者「Eランク?それはちょっと情報が古いですね。彼女は今>>168ランクです」
雪菜「!」
一流記者「凛さん…がトップアイドルに?」
楓「ええ。そんな気がします」
一流記者(あの高垣楓がここまで…!)
雪菜「何ランクのアイドルさんなんですか?」
楓「今はEランクだけど…いつかきっと」
一流記者「Eランク?それはちょっと情報が古いですね。彼女は今>>168ランクです」
168: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 02:00:56.51 ID:7UkUAN9RK.net
フ
170: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 02:07:17.17 ID:HGCnzCtm0.net
一流記者「彼女は今フランクです」
雪菜「フランクッ!?…ってなんですかぁ?」
楓「親しげに話しかけてくるってこと…かしら」
一流記者「ええ、私も話しかけられました。初対面なのに会話が弾みましたよ」
楓(しばらく雪は降らんく…ふふっ)
記者(うわまたどうでもいいこと考えてるなこの人)
雪菜「フランクッ!?…ってなんですかぁ?」
楓「親しげに話しかけてくるってこと…かしら」
一流記者「ええ、私も話しかけられました。初対面なのに会話が弾みましたよ」
楓(しばらく雪は降らんく…ふふっ)
記者(うわまたどうでもいいこと考えてるなこの人)
171: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 02:19:23.38 ID:HGCnzCtm0.net
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
VIPルーム 奥の超VIPルーム
???(Sランク)「フランクっ!?そんなのあったのね」
大物っぽい老人A「高垣楓ちゃんと言えばAランク内でもトップクラスの『歌姫』」
大物っぽい老人B「最もSランクに近いアイドルの一人」
大物っぽい老人C「その高垣楓がそこまで評価しているとなると…」
大物っぽい老人D「どんなアイドルか一度見てみたいですな」
大物っぽい老人E「では、近いうちにSランクアイドルを全員集めましょうぞ。そこで判断すればいい」
大物っぽい老人F「しかし数人といえど自由な連中…!全員集まるかどうか…」
???「渋谷凛…楽しみね!」
とりあえず完
VIPルーム 奥の超VIPルーム
???(Sランク)「フランクっ!?そんなのあったのね」
大物っぽい老人A「高垣楓ちゃんと言えばAランク内でもトップクラスの『歌姫』」
大物っぽい老人B「最もSランクに近いアイドルの一人」
大物っぽい老人C「その高垣楓がそこまで評価しているとなると…」
大物っぽい老人D「どんなアイドルか一度見てみたいですな」
大物っぽい老人E「では、近いうちにSランクアイドルを全員集めましょうぞ。そこで判断すればいい」
大物っぽい老人F「しかし数人といえど自由な連中…!全員集まるかどうか…」
???「渋谷凛…楽しみね!」
とりあえず完
172: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 02:20:31.92 ID:X+ajj3PN0.net
乙
174: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 02:20:59.93 ID:7UkUAN9RK.net
おつ
175: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 02:26:30.22 ID:1crWhR4c0.net
乙 凛空気だなww
176: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 02:28:03.64 ID:2/mcsCI80.net
綺麗に終わった割に話が完全に迷子だったなw
177: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/16(日) 02:48:11.98 ID:LxIg0dvT0.net
乙
結局、凛は腹筋くらいしかまともな事してないな
結局、凛は腹筋くらいしかまともな事してないな
掲載元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1416040580/
Entry ⇒ 2015.01.31 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
神崎蘭子「蘭子お姉ちゃん!」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:14:47.92 ID:L5nCUDGh0
ライブ会場
蘭子「下僕達よ、その血は猛っているかしら?(みんな盛り上がってるー?)」
観客「ウオオォォォーーーー!!!!」
ステージ裏
卯月「蘭子ちゃん、すごい人気ですね!」
モバP「さすがは2代目シンデレラガールってところだな」
モバP「しかし、まだ完璧とは言えない」
卯月「どういうことですか?」
蘭子「下僕達よ、その血は猛っているかしら?(みんな盛り上がってるー?)」
観客「ウオオォォォーーーー!!!!」
ステージ裏
卯月「蘭子ちゃん、すごい人気ですね!」
モバP「さすがは2代目シンデレラガールってところだな」
モバP「しかし、まだ完璧とは言えない」
卯月「どういうことですか?」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:15:41.77 ID:L5nCUDGh0
蘭子「次なる闇の旋律を奏でるわ!(それじゃ、次の曲いくよーー!)」
観客「イエェェェーーーーイ!!!!!」
シャーーーーーーーーー!
蘭子・観客「?」
シャーーーーーーーーー!
観客「イエェェェーーーーイ!!!!!」
シャーーーーーーーーー!
蘭子・観客「?」
シャーーーーーーーーー!
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:16:31.44 ID:L5nCUDGh0
卯月「プ、プロデューサーさん、このシャーって何の音ですか!?」
モバP「確かに蘭子のパフォーマンスは素晴らしい」
卯月「え?」
モバP「だが、14歳と若いのもあって、ハプニングへの対応力はまだまだだ」
卯月「それで……?」
モバP「だから今回、俺は蘭子にすら内緒のシークレットゲストを呼んでおいた!」
卯月「な、なんて迷惑な……」
モバP「確かに蘭子のパフォーマンスは素晴らしい」
卯月「え?」
モバP「だが、14歳と若いのもあって、ハプニングへの対応力はまだまだだ」
卯月「それで……?」
モバP「だから今回、俺は蘭子にすら内緒のシークレットゲストを呼んでおいた!」
卯月「な、なんて迷惑な……」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:17:18.29 ID:L5nCUDGh0
蘭子「深淵の響きが聞こえる(な、何の音ですか?)」
シャァァァァァーーーーーーー!
桜 庭 乱 入 !!
シャァァァァァーーーーーーー!
桜 庭 乱 入 !!
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:18:10.90 ID:L5nCUDGh0
卯月「あれって確か315プロの人ですよね?」
モバP「あぁ。最近むこうのプロデューサーと知り合ってな。乱入に定評のある人がいるって聞いてオファーしたんだ」
卯月「どういう評判ですか」
モバP「さぁ蘭子! このハプニングこそお前のアピールチャンスなんだ!」
モバP「どう乗り越えるのか……、お前の本気を見せてみろ!!」
卯月「プロデューサーさん絶対楽しんでますよね」
モバP「あぁ。最近むこうのプロデューサーと知り合ってな。乱入に定評のある人がいるって聞いてオファーしたんだ」
卯月「どういう評判ですか」
モバP「さぁ蘭子! このハプニングこそお前のアピールチャンスなんだ!」
モバP「どう乗り越えるのか……、お前の本気を見せてみろ!!」
卯月「プロデューサーさん絶対楽しんでますよね」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:18:56.27 ID:L5nCUDGh0
蘭子(イスに乗って人が……!?)
蘭子「な、汝を包みしベールを剥がん(あ、あなたは誰ですか……?)」
桜庭「桜庭薫、26歳。 315プロのアイドルだ」
蘭子・卯月・モバP「!」
卯月「あの人、蘭子ちゃんの言葉が通じてます!」
モバP「2人は初対面のはずだが……」
蘭子「な、汝を包みしベールを剥がん(あ、あなたは誰ですか……?)」
桜庭「桜庭薫、26歳。 315プロのアイドルだ」
蘭子・卯月・モバP「!」
卯月「あの人、蘭子ちゃんの言葉が通じてます!」
モバP「2人は初対面のはずだが……」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:19:49.51 ID:L5nCUDGh0
蘭子(この人、私の言葉が通じるんだ! それなら……!)
蘭子「数多の夜を超えし眼鏡の君よ。その身に力は満ちているかしら?(久しぶりですね、桜庭さん。お元気でしたか?)」
桜庭「君とは初め……、いや、久しぶりだな蘭子くん」
蘭子「我が下僕たちよ、刮目しなさい!(みんなに紹介します!)」
蘭子「この者は我と血を分けし我が眷族!(この人は私の仲間で、家族ともいえる人です!)」
モバP「ん?」
蘭子「我が師と言い表そうか……(つまり、お兄ちゃんかな?)」
桜庭「いや、僕は君の後輩にあたるから……」
蘭子「使い魔よ!(弟です!)」
モバP「……そうきたか」
蘭子「数多の夜を超えし眼鏡の君よ。その身に力は満ちているかしら?(久しぶりですね、桜庭さん。お元気でしたか?)」
桜庭「君とは初め……、いや、久しぶりだな蘭子くん」
蘭子「我が下僕たちよ、刮目しなさい!(みんなに紹介します!)」
蘭子「この者は我と血を分けし我が眷族!(この人は私の仲間で、家族ともいえる人です!)」
モバP「ん?」
蘭子「我が師と言い表そうか……(つまり、お兄ちゃんかな?)」
桜庭「いや、僕は君の後輩にあたるから……」
蘭子「使い魔よ!(弟です!)」
モバP「……そうきたか」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:20:42.08 ID:L5nCUDGh0
ライブ終了後 ステージ裏
蘭子「預言書にも記されていないわ、わが友!(あんなの聞いてないですよ、プロデューサー!)」
モバP「ハハハ、すまんすまん。でも良いアドリブだったぞ、蘭子!」
蘭子「もぅ……」
モバP「桜庭くんもありがとうな!」
桜庭「いや、喋っていたのはほとんど蘭子くんだからな。大したことじゃない」
モバP「不思議なんだが、どうして初対面なのに蘭子の言葉がわかったんだ?」
桜庭「僕は元・医者だから、様々な人間の相手をしてきた。これくらいは当然だ」
卯月「医者ってすごい」
蘭子「預言書にも記されていないわ、わが友!(あんなの聞いてないですよ、プロデューサー!)」
モバP「ハハハ、すまんすまん。でも良いアドリブだったぞ、蘭子!」
蘭子「もぅ……」
モバP「桜庭くんもありがとうな!」
桜庭「いや、喋っていたのはほとんど蘭子くんだからな。大したことじゃない」
モバP「不思議なんだが、どうして初対面なのに蘭子の言葉がわかったんだ?」
桜庭「僕は元・医者だから、様々な人間の相手をしてきた。これくらいは当然だ」
卯月「医者ってすごい」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:21:31.15 ID:L5nCUDGh0
卯月「でも、いいんですか? 蘭子ちゃんの弟ってキャラになっても」
桜庭「僕は構わない。 蘭子くんとそちらのプロデューサー次第だな」
卯月「意外とノリが良いんですね、桜庭さん……」
蘭子「使い魔よ、歓迎するわ!(私はオッケーです!)」
モバP「俺もいいと思う!」
卯月「いいのかなぁ?」
桜庭「僕は構わない。 蘭子くんとそちらのプロデューサー次第だな」
卯月「意外とノリが良いんですね、桜庭さん……」
蘭子「使い魔よ、歓迎するわ!(私はオッケーです!)」
モバP「俺もいいと思う!」
卯月「いいのかなぁ?」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:22:27.50 ID:L5nCUDGh0
桜庭「そういうことなら、これからよろしく頼む、蘭子くん」
蘭子「主人には相応しき呼び名があるでしょう?(もぅ、蘭子くんじゃなくてお姉ちゃんでしょ?)」
桜庭「それもそうか。なら、よろしく姉さん」
蘭子「えへへ」
モバP「嬉しそうだな」
卯月「1人っ子なんですかね」
蘭子「主人には相応しき呼び名があるでしょう?(もぅ、蘭子くんじゃなくてお姉ちゃんでしょ?)」
桜庭「それもそうか。なら、よろしく姉さん」
蘭子「えへへ」
モバP「嬉しそうだな」
卯月「1人っ子なんですかね」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:23:11.58 ID:L5nCUDGh0
モバP「それから時々蘭子と桜庭くんは共演するようになった」
モバP「その場のノリで出来たネタとはいえ、2人とも姉弟キャラを楽しんでいるようだった」
モバP「桜庭くんはメディアへの露出が多くなったし」
モバP「蘭子も桜庭くんの乱入ネタを取り入れて、バラエティでも活躍するようになった」
モバP「俺も流れに乗って事務所に来た卯月に向かって事務イスで乱入してみたが」
モバP「呆れた顔で『何やってるんですか』と言われてしまった」
モバP「その場のノリで出来たネタとはいえ、2人とも姉弟キャラを楽しんでいるようだった」
モバP「桜庭くんはメディアへの露出が多くなったし」
モバP「蘭子も桜庭くんの乱入ネタを取り入れて、バラエティでも活躍するようになった」
モバP「俺も流れに乗って事務所に来た卯月に向かって事務イスで乱入してみたが」
モバP「呆れた顔で『何やってるんですか』と言われてしまった」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:24:01.62 ID:L5nCUDGh0
ライブ会場 ステージ裏
モバP「今日のライブも絶対成功させような!」
卯月「うぅ……、さすがにこんなに大きな会場は緊張しちゃいます……」
モバP「なぁに、だいじょうぶだいじょうぶ!」
卯月「プロデューサーさんが言うと安心するような、しないような」
モバP「おぅ、辛辣」
ガチャ!
スタッフ「大変です!神崎さんが!」
モバP「今日のライブも絶対成功させような!」
卯月「うぅ……、さすがにこんなに大きな会場は緊張しちゃいます……」
モバP「なぁに、だいじょうぶだいじょうぶ!」
卯月「プロデューサーさんが言うと安心するような、しないような」
モバP「おぅ、辛辣」
ガチャ!
スタッフ「大変です!神崎さんが!」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:24:51.11 ID:L5nCUDGh0
蘭子「いたた……」
モバP「足の怪我か……」
スタッフ「リハーサル中に痛めてしまったみたいで……」
卯月「大丈夫?蘭子ちゃん」
蘭子「我が力は満ちているわ、中道を行きし者……クゥッ!(うん、大丈夫。心配しないで卯月ちゃ……痛ッ!)」
モバP「これは厳しいかな……。今回はやめておくか?蘭子」
蘭子「其の行いは禁忌!降り立たせよ!(それはダメです!出させてください!)」
モバP「しかし、病院に連れて行く時間も無い……」
卯月「どうしましょう……」
シャーーーーーーーーー!
一同「!」
モバP「足の怪我か……」
スタッフ「リハーサル中に痛めてしまったみたいで……」
卯月「大丈夫?蘭子ちゃん」
蘭子「我が力は満ちているわ、中道を行きし者……クゥッ!(うん、大丈夫。心配しないで卯月ちゃ……痛ッ!)」
モバP「これは厳しいかな……。今回はやめておくか?蘭子」
蘭子「其の行いは禁忌!降り立たせよ!(それはダメです!出させてください!)」
モバP「しかし、病院に連れて行く時間も無い……」
卯月「どうしましょう……」
シャーーーーーーーーー!
一同「!」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:25:43.41 ID:L5nCUDGh0
蘭子「闇夜を切り裂く響き!(この音は!)」
シャァァァァァーーーーーーー!
桜 庭 乱 入 !!
シャァァァァァーーーーーーー!
桜 庭 乱 入 !!
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:26:31.45 ID:L5nCUDGh0
蘭子「蒼き癒し手、召喚はしていないはず!?(薫くん、どうしてここに!?)」
桜庭「姉が困っていたら駆けつける。当然だ、弟だからな」
卯月「弟ってすごい」
桜庭「どうしてもライブに出たいんだな、姉さん?」
蘭子「うん……」
桜庭「任せてくれ」
シュバババババ!!
卯月「あんな速度のテーピング見たことありません……!」
モバP「しかも正確だ……!」
桜庭「姉が困っていたら駆けつける。当然だ、弟だからな」
卯月「弟ってすごい」
桜庭「どうしてもライブに出たいんだな、姉さん?」
蘭子「うん……」
桜庭「任せてくれ」
シュバババババ!!
卯月「あんな速度のテーピング見たことありません……!」
モバP「しかも正確だ……!」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:27:19.69 ID:L5nCUDGh0
桜庭「これでとりあえずは動けるだろう」
蘭子「闇の祝福を受けよ、蒼き癒し手よ(ありがとう、薫くん)」
桜庭「だが、あまり無理はするなよ?」
蘭子「うん!」
桜庭「それじゃあ、僕はこれで……」
モバP「待ってくれ、桜庭くん!」
モバP「お礼と言ってはなんだが、ライブを観ていかないか?」
桜庭「勝手に観てもいいのか?」
モバP「あぁ。関係者席に空きがあるらしいから、俺と一緒なら入れるだろう」
桜庭「……そういうことなら」
蘭子「闇の祝福を受けよ、蒼き癒し手よ(ありがとう、薫くん)」
桜庭「だが、あまり無理はするなよ?」
蘭子「うん!」
桜庭「それじゃあ、僕はこれで……」
モバP「待ってくれ、桜庭くん!」
モバP「お礼と言ってはなんだが、ライブを観ていかないか?」
桜庭「勝手に観てもいいのか?」
モバP「あぁ。関係者席に空きがあるらしいから、俺と一緒なら入れるだろう」
桜庭「……そういうことなら」
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:28:09.85 ID:L5nCUDGh0
ライブ会場
観客「蘭子おおぉぉぉーーー!!!」
蘭子「下僕たちよ!静寂を破る旋律に心を震わせなさい(みんな!最初の曲はどうだった?)」
観客「最高おおおぉぉぉぉぉーーーー!!!!!」
モバP「どうだ、改めて見たうちの蘭子は?」
桜庭「凄い……な」
モバP「だろぉ?うちの自慢のアイドルだからな!」
桜庭「……」
モバP「……桜庭くん、泣いてるのか?」
桜庭「……そんな訳は無い。気のせいだ」
モバP「そう、か」
観客「蘭子おおぉぉぉーーー!!!」
蘭子「下僕たちよ!静寂を破る旋律に心を震わせなさい(みんな!最初の曲はどうだった?)」
観客「最高おおおぉぉぉぉぉーーーー!!!!!」
モバP「どうだ、改めて見たうちの蘭子は?」
桜庭「凄い……な」
モバP「だろぉ?うちの自慢のアイドルだからな!」
桜庭「……」
モバP「……桜庭くん、泣いてるのか?」
桜庭「……そんな訳は無い。気のせいだ」
モバP「そう、か」
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:28:56.24 ID:L5nCUDGh0
ライブ終了後
蘭子「我が祝宴、愉しめたか?蒼き癒し手(ライブ、どうだった?薫くん)」
桜庭「あぁ、素晴らしかったよ、姉さん」
蘭子「えへへ」
卯月「いい弟だね蘭子ちゃん!」
蘭子「極上の魂を持ちし使い魔ね!(自慢の弟です!)」
モバP「羨ましいなら俺が弟になるぞ、卯月」
卯月「あ、いや、普通の弟がいいです。普通の」
蘭子「我が祝宴、愉しめたか?蒼き癒し手(ライブ、どうだった?薫くん)」
桜庭「あぁ、素晴らしかったよ、姉さん」
蘭子「えへへ」
卯月「いい弟だね蘭子ちゃん!」
蘭子「極上の魂を持ちし使い魔ね!(自慢の弟です!)」
モバP「羨ましいなら俺が弟になるぞ、卯月」
卯月「あ、いや、普通の弟がいいです。普通の」
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:29:51.11 ID:L5nCUDGh0
桜庭「では、そろそろ失礼しよう」
モバP「もう行くのか?」
桜庭「あぁ。元・医者としてはもう少し経過を見ていたいが、僕には助けなければいけない仲間がいる」
桜庭「アイドルとしてな」
蘭子「蒼き癒し手(薫くん)」
桜庭「どうした?」
蘭子「私は祝宴の舞台であなたとまみえるのを望んでいるわ(私、今度はあなたとライバルとしてライブで競い合いたい)」
蘭子「だから、がんばってね」
桜庭「わかった。力を尽くそう」
桜庭「では、また会おう」
卯月「あれ、どうやって帰るんですか?車もないみたいですけど」
桜庭「心配には及ばん」
シャァァァァァーーーーーーー!
卯月「イスかぁ」
完
モバP「もう行くのか?」
桜庭「あぁ。元・医者としてはもう少し経過を見ていたいが、僕には助けなければいけない仲間がいる」
桜庭「アイドルとしてな」
蘭子「蒼き癒し手(薫くん)」
桜庭「どうした?」
蘭子「私は祝宴の舞台であなたとまみえるのを望んでいるわ(私、今度はあなたとライバルとしてライブで競い合いたい)」
蘭子「だから、がんばってね」
桜庭「わかった。力を尽くそう」
桜庭「では、また会おう」
卯月「あれ、どうやって帰るんですか?車もないみたいですけど」
桜庭「心配には及ばん」
シャァァァァァーーーーーーー!
卯月「イスかぁ」
完
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:32:07.80 ID:L5nCUDGh0
まれいたそ~ゆうまたそ~
SideMのCD発売おめでとうございます。
読んでくれた方ありがとうございました。html化依頼してきます。
SideMのCD発売おめでとうございます。
読んでくれた方ありがとうございました。html化依頼してきます。
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:37:00.12 ID:Hh6mKlkVo
くそこん
おもしろかった乙!
おもしろかった乙!
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:47:04.28 ID:iegq5GVPo
おっつん
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/20(火) 01:25:38.93 ID:RI46ghDh0
コロコロ付いてるイスってすごい
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1421673287/
Entry ⇒ 2015.01.31 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)