りーちゃん「年は関係ねぇ!です!」【SHIROBAKO】
平岡(第三飛行少女隊が無事終了した後、ムサニは早くも次のプロジェクトで動いていた)
平岡(大人気山賊漫画ツーピース、オリジナルアニメ限界集落過疎娘のまさかの2ライン体制だ)
平岡(弱小企業がなんて無謀なことを……と思ったが、おかげで俺はデスクに昇進することができた)
平岡「デスク……か 手当てはおいしいがサボりにくくなっかなぁ」
平岡「……休憩すっか」ガタッ
りーちゃん「あっ お疲れ様っす…です! 平岡さん」
平岡「!! ……どうも」
りーちゃん「お茶どうぞ、です」
平岡「サンキュー」ゴクゴク
平岡「……あー ところでお前なんでまだいんの」
りーちゃん「えぇ!? そんな酷い、です! また設定制作やらせてもらえるってことになったじゃないですか!」
平岡「そうだっけか…… ツーピース?」
りーちゃん「過疎娘です! 平岡さんデスクですよね…… なんで知らないんですか……」
平岡「いやさすがにスタッフくらい把握してんだがな…… (こいつの名前あったっけ? つかこいつの名前知らん)」
りーちゃん「木下監督が今回はがっつりこだわってみたいから、って言ってましたよ」
平岡「ああそう…… (監督俺にも言ってくれよ…… いやこれは俺が悪いのか……? コミュニケーションコミュニケーション)」
りーちゃん「それに今回は、本格的に脚本の補佐的なことをやらせてもらう予定だったり……」
平岡「ふーん」
りーちゃん「……」
平岡「……?」
りーちゃん「そ、そういえばおいちゃ…宮森、さんはラインPになったんですよね」
平岡「そうだけど」
りーちゃん「えーと あの若さでラインPってすっごい珍しいんじゃないですか?」
平岡「まーな って後輩に先を越された俺を皮肉ってんのか?」
りーちゃん「!! やっ! 決してそんなつもりじゃあないっす! です!」
平岡「冗談だよ まーあいつ渡辺さんにすげー気に入られてっからな」
りーちゃん「で、でもでも おいちゃん先輩すごく頑張ってたし……」
平岡「分かってる あいつはすげー奴だよ 俺も三女の時はかなり世話になったし……」
平岡「まっ今回の昇進も妥当なんじゃねーの」
りーちゃん「で、ですよね! いやーすごいっす!」
平岡「……」
りーちゃん「……」
平岡「さってそろそろ仕事に戻りますかね んじゃコンゴトモヨロシク」
りーちゃん「! は、はいっす! です! よろしくお願いします!」
りーちゃん(ふぅ…… なんか緊張したっす……)
平岡「一応あいつの名前確認しとかないとな 確か監督にもらったメモがあったはず……」
平岡(にしてもあいつなんかガチガチだったな)
平岡(そういや前に八つ当たりしたんだっけか…… いやでも打ち上げでは普通だったような)
平岡「……」
平岡「っとあったあった えー…… 設定制作:ディーゼルさん!」
平岡「…… 宮森に聞いとくか」
脚本会議
みゃーもり「それじゃ、限界集落過疎娘のテーマや流れについて、監督お願いします!」
木下「うん まずね、"過疎娘"は過疎化が進み、誰もが希望を失った限界集落に突如現れた過疎娘を中心にしたギャグ・コメディなわけだけど……」
木下「見る人にはキャラクターの魅力を全面的にアピールしていきたいと考えてます!」
舞茸「また萌えですか 監督好きですね、萌え」
木下「ちっがーう!! いや萌えは好きだし大事だけど…… そうじゃなくて!」
木下「単なる萌えギャグじゃなくてね、例えばこう、偏屈な老人との心温まるふれあい
を通して云々……」
――
―――
りーちゃん「なるほど お話自体の内容どうこうと言うよりキャラを魅せるお話を、ってことですかね」
木下「そう! 暗く淀んだ集落の中でキャラクターの魅力が光る! みたいな?」
舞茸「となると実際キャラ設定には相当こだわらないとですね 背景やら相関図やら」
木下「そうだね その辺のディテールはディーゼルさん協力よろしく!」
りーちゃん「了解っす!」
平岡(生き生きしてんなぁ)
舞茸「……んで3、4話の脚本だけど、とりあえずプロットをディーゼルさん、書いてみてよ」
みゃーもり(!!)
りーちゃん「え!? 丸々自分が考えていいんですか!?」
舞茸「そのつもりだったろ、どうせ まぁゴリゴリ修正してやるから それと完成までの手伝いもな」
木下「おぉー ディーゼルさん本格参戦だね!」
舞茸「オリジナル作品だし、あまり気負わず、気楽に書いてくればいいから」
木下「そのセリフは僕に言わせてよ……」
りーちゃん「はいっす! 皆さんの足を引っ張らないよう全力で取り組むっす!」
みゃーもり(りーちゃん、脚本家デビューへの大きな一歩、だね!)
平岡「……」
廊下
りーちゃん「ふんふんふふ~んっす♪」
平岡「今井、さん」
りーちゃん「!! へっ? じ、自分っすか?」
平岡「んあ? お前の名前、今井みどりって聞いたんだけど、違ったか?」
りーちゃん「はい! 今井みどりっす、です! 合ってます!」
平岡「んだよびっくりさせんなよ……」
りーちゃん「すみません、急だったので…… (びっくりしたのはこっちっす!)」
平岡「あー さっきの会議だけど、お前設定制作にプロットって……」
りーちゃん「」ビクッ
平岡「さすがにキツイんじゃねーか? 脚本の手伝いもあんだろーし無茶振りなんじゃ」
りーちゃん「だ、大丈夫、です 自分がやりたかったことなので……」
平岡「つってもお前、大学があんだろ」
りーちゃん「分かってます! ちゃんと考えてるし…… 最悪留年も辞さないです!」
平岡「いや気張りすぎだろ……」
りーちゃん「絶対迷惑かけないので! どうかやらせて下さい! お願いします!」
平岡「いややらせるやらせないとかの話じゃなくて…… 大学通いながら一人で全部やんのはキツイだろって話で」
りーちゃん「へ……?」
平岡「脚本関連は無理だけど、設定制作の調べ物とかは言ってくれりゃ手伝うよ そもそも俺の領分でもあるしな」
りーちゃん「えっあっはい…… でも自分が受けた仕事だし……」
平岡「だからそれにこだわって作業が遅れんのを危惧してんだよ」
平岡「とにかくヤバそうだったら早めに相談してくれ 学校も犠牲にしなくていいから」
りーちゃん「は、はぁ……」
平岡「一応言っとくけど学生だから甘やかしてるとかじゃなくて、デスクとしてスケジュール管理に過敏なだけなんで」
りーちゃん「はい! 分かってます」
平岡「んじゃそーいうことで」
りーちゃん「……あの」
平岡「?」
りーちゃん「お気遣い、ありがとうございます」
平岡「……おう」
りーちゃん(また説教されるかと思ったっすけど…… 純粋に心配してくれてたんすね)
りーちゃん(……なんか 変な感じっす……)
みゃーもり部屋
みゃーもり「みんな!! ドーナツとった? いくよ!! 私たちは!!」
「「「「かんぱ~~~い」」」」カッ!!
みゃーもり「」
ずかちゃん「いやー こうして5人で集まるのも久々だねー」
みーちゃん「三女の打ち上げ以来ですかね」
絵麻「みんな仕事で忙しかったもんね 特においちゃん、すごいよ ……おいちゃん?」
ミムジー「っぷっぷ~ ガン無視だったわね! あんなダッサイ掛け声みんなもううんざりなのよ!」
ロロ「違うよ! いつもは締めに使ってたから戸惑っただけだよ! きっと」
ずかちゃん「ちょっとおいちゃん いつまでへこんでんのよ」
ワイワイガヤガヤ
みゃーもり「んー! みんな夢に向かって着実に歩んでってるみたいだね! 順調順調!」ゴクゴク
CG「おいちゃん先輩はまた出世したらしいですね ラインPでしたっけ? さすがです!」
みゃーもり「いやー出世っていったらアレだけど…… 正直分不相応すぎていっぱいいっぱいだよ」ゴクゴクゴク
絵麻「そんなことないよ みんなおいちゃんのことすっごく褒めてるよ」
みゃーもり「絵麻だってあちこちから引っ張りだこでしょ もう作監も任されるんじゃない?」
絵麻「まだ作監は早いよ でも機会があるならやってみたい……かな」
ずかちゃん「ふっふふ 今回は私も景気いいわよ 名有りの役もゲットしたしね!」
みゃーもり「わーー! おめでとうーー!! アニメ絶対見るよ!」
タイヤ「私は大きな変化はないですけど、少しずつ大事な仕事も任されるようになってきた感じです」
タイヤ「三女の時の仕事が、少しは評価されたのかなって」
絵麻「みーちゃんは昔から職人の風格あったもんね」
ずかちゃん「いぶし銀だね~」
みゃーもり「そしてそしてりーちゃんはなんと! ……りーちゃん?」
りーちゃん「……」ポケー
絵麻「りーちゃんどうしたの なんか元気ない……」
りーちゃん「へっ あっ ごめんなさい ちょっとボーっとしてたっす!」
ずかちゃん「大丈夫? 体調悪かった?」
りーちゃん「いやいや! 超元気っす!」
みゃーもり「りーちゃんは脚本のプロットとかを任されたんだけど…… ひょっとしてそれで何か困ってたり?」
りーちゃん「いーや問題ないです! かなり自由にやらせてもらえるし…… やりがいもあるっす」
みーちゃん「りーちゃんいつもは一番元気なのに…… 心配だなぁ」
みゃーもり「もしかして……」
みゃーもり「監督達にエッチなことされた!?」
りーちゃん「え゛」
ずかちゃん「ちょっとそれどういうこと」
みゃーもり「りーちゃんはね、3人のおじさんと同じ部屋で仕事してるの」
みゃーもり「りーちゃん若くてスタイルいいし…… ごめんね配慮が足りなかった」
りーちゃん「いやいやいやいや そんなのあるわけないじゃないですか おいちゃん先輩もう酔ってるんっすか」
絵麻「それじゃなんで落ち込んでるの」
りーちゃん「いや別に落ち込んではないっす ちょっと悩んでるというか……」
みーちゃん「悩みって? 私たちでよければいくらでも聞くし、なんだってしてあげるよ」
ずかちゃん「りーは私たちみんなの妹みたいなもんだしね 悩みがあるならほっとけないよ」
りーちゃん「みーちゃん先輩…… ずか先輩……」
りーちゃん「その…… ちょっと恥ずかしいんですけど……」
みゃーもり「やっぱり! エッチなことされたんだ! スペシャルな!!」
ずかちゃん「おいちゃん 黙って」
りーちゃん「実は少し気になってる人がいるっす///」
「「「「……」」」」
「「「「ええええぇぇぇええええ!!!!」」」」
みーちゃん「誰? どこの人? 大学の人?」
りーちゃん「職場の人っす」
絵麻「は?」
みゃーもり「りーちゃんに近い人と言うと…… やっぱ舞茸さん? 師弟を超えた禁断の愛……なの?」
りーちゃん「いや違うっす! 師匠のことは尊敬してますけど男として見てないです」
絵麻「じゃあ誰なの」
りーちゃん「…… 平岡さんっす……」
みゃーもり・絵麻「「…… え゛」」
ずかちゃん「何々? その人どんな人なの? 三女の打ち上げにいた?」
絵麻「私はそこまで話したことないんだけど、仕事が雑な困った人……らしいよ」
みゃーもり「絵麻、情報が古いよ 平岡さん昔はやさぐれてたけど、今はすっかり丸くなって頼れるデスク様だよ」
みーちゃん「それで、なんでりーちゃんはその人のことが好きになったの?」
りーちゃん「や、好きなのかどうか自分でもよく分からないっすけど……」
りーちゃん「前に理不尽に怒られたことがあったんで、正直最初は苦手だったんっす」
りーちゃん「でもそれで見返してやろうって気になって仕事頑張れたし、それからもなんだかずっと意識しちゃってて……」
りーちゃん「そんで、今の仕事を受けた時、呼び止められて、また小言でも言われるのかなってビクビクしてたんですけど……」
りーちゃん「そしたらキツかったらすぐ相談しろ、って言ってくれて 自分のこと心配してくれたんだなぁって」
りーちゃん「そう思ったら変な気持ちになって、なんだか頭がモヤモヤしてるっす///」
ずかちゃん「おおう…… 恋だね…… 中高生みたいな甘いやつ……」
絵麻「……それはどうだろう まだ決め付けるには早いんじゃ」
みゃーもり「絵麻?」
絵麻「みんなも経験あるでしょ 普段すっごく厳しい人にちょっと褒められたら、涙が出そうになる……みたいな」
みーちゃん「アメと鞭、ですか?」
みゃーもり「それわたしが得意なやつ」
ずかちゃん「人間のクズでも猫に優しいとなんだか許しちゃう……的な?」
絵麻「うん、ちょっと違うけどそれに近いかも これって893の人の常套手段なんだよ 一種の洗脳だよ」
りーちゃん「自分、洗脳されてるっすか……」
絵麻「……かもしれない 急に優しくしてくるなんて、なんだか怪しい」
みゃーもり「いやいや絵麻ってば考えすぎでしょ 平岡さん良い人だし、さすがにそんなちみくさいことは……」
絵麻「わたしはただ、りーちゃんが悪い男の人に騙されて傷付くのが心配で……」
ずかちゃん「わたしは絵麻のことが心配になってきたよ……」
絵麻「とにかく、ちゃんと平岡さんの人となりを見定めた方がいいよ たくさんお話しないと本性は分からないからね」
CG(絵麻先輩は割りと決め付けてかかってましたけどね……)
CG「まぁ確かにそれは一理あるかと まずは仲良くなることを考えたらいいんじゃないかな?」
りーちゃん「そうっすね…… あまり話したことないし…… まず平岡さんについて知ることから始めるっす!」
みゃーもり「よっし! 恋も仕事もわたしは全力で応援するよ! みんな! ドーナツとった!? 行くよ!! ドン……」
ずかちゃん「ところで他のみんなはいい人いないの~?」
みゃーもり「」
ムサニ 屋上 夜
平岡「弁当もそろそろ飽きたな……」モグモグ
ガチャッ
りーちゃん「あっお疲れ様です 平岡さんも晩御飯ですか」
平岡「ああ見ての通り お前も今頃飯かよ」
りーちゃん「はいっす!…です! ちょっと熱中しちゃって…… 隣いいですか」
平岡「どーぞ」
りーちゃん「よっと 平岡さんいつもここで食べてるんですか?」
平岡「いやいつもってわけじゃねーよ 外で食ったりもするし、まぁ適当だな」
りーちゃん「そうですか…… あっから揚げ好きなんですか?」
平岡「いや、最近飽きてきたところだ」
りーちゃん「そうですか……」
平岡・りーちゃん「……」
平岡(話題が……)
平岡「……あー お前と宮森って高校の先輩後輩なんだっけ?」
りーちゃん「え? そうですよ 2こ上の先輩です」
平岡「あいつって昔からあんな感じなの?」
りーちゃん「えーっと 高校の時はもっと楽観的な感じだった、です 思いついたら即行動、みたいな」
平岡「ふーん」
りーちゃん「あでも、昔から自分達のリーダーでしたよ なんというか人を引きつける不思議な魅力があるんですよね……」
平岡「あーそれは分かるかもな あいつ無駄に前向きだし、人を立てんのも上手いし、クリエイターは気分いいだろうな」
りーちゃん「そうなんす!あ、です! 宮森先輩がいるとみんな楽しそうに作業してたです」
平岡「へー」
りーちゃん「……あの なんで急に宮森先輩の話、したんですか」
平岡「あぁ? 別に意味はねーけど…… (共通の話題がそれしかねーし)」
りーちゃん「そ、そうですか」
平岡(あ、こいつ変な勘違いしてそうだな……)
平岡「あのな」
りーちゃん「おいちゃん先輩はすごいです 自分の力でどんどん前に進むことができて」
平岡「んあ?」
りーちゃん「それに比べて自分は、おいちゃん先輩に引っ張ってもらわなければ舞台に上がることすらできなかったです」
りーちゃん「今の仕事だって、舞茸さんの力がなければ自分なんかに任されないです……」
平岡(こいつ……)
りーちゃん「自分は、他人に頼ってばかりで……」
平岡「何言ってんだよ お前」
りーちゃん「あ、ごめんなさい つい……」
平岡「コネだろうと媚びだろうと、それ込みでお前の実力だろ」
平岡「それにお前に今の仕事があんのは、掴んだチャンスを生かしてお前が努力してきたからだろうし」
平岡「卑屈になる必要ねぇだろ、別に」
りーちゃん「…… 前と言ってる事が違うっす……」
平岡「だぁああああ!! やっぱお前あの時のことまだ根に持ってんのか! しつけーやつだな……」
りーちゃん「!! ね、根に持ってるとかじゃあ……」
平岡「……悪かったよ あん時はまだ色々上手くいってなくてつい八つ当たりしちまった」
平岡「女がどうこうとか言った気もするけど、とんだ言いがかりだったな 反省してる」
りーちゃん「あわわ…… 別に謝罪の言葉が欲しくて言ったわけじゃあ……」
平岡「んだよ 土下座でもしろってか?」
りーちゃん「やっ!! いいっす! しなくていいっす! です!」
平岡「んじゃまぁ 水に流してくれ」
りーちゃん「はいっす! あ、です!」
平岡「……」
平岡「お前そのしゃべり方だけど……」
りーちゃん「うっ……」
平岡「変にデスデス言ってんのは遠まわしに俺に死ねって呪いでもかけてたりすんのか?」
りーちゃん「へ? まさか! そんなわけないじゃないですか!!」
平岡「んなら普段通りにしゃべってくれ 俺のこと嫌いなのは構わねーけど、露骨に他と差つけられっとやりづれーんだよ」
りーちゃん「なっ!! 嫌いじゃないっす!! 全然嫌いじゃないですよ~!!」
平岡「そうそう それでいい あとお前やたら宮森を神格化してるみたいだけどあいつも――」クドクド
制作室
タロー「おーーーっす大ちゃん! 調子はどう? ちなみに俺は今日も絶好調!!」
平岡「ぼちぼちだよ ったくいつも無駄にテンション高いなお前は……」
タロー「当然! なんたって三女を成功させた俺の未来は輝いてるからね! そろそろ高梨監督のオファーが来ちゃうんじゃないかと」
平岡「来るわけねーだろ その根拠のない自信はどっからくるんだか」
タロー「つーわけで今度飲みに行こーぜい! 仕事の悩み、あるっしょ!?」
平岡「何がつーわけでだよ 仮に悩みがあってもお前には相談しねーよ」
安藤「飲み会、いいですね! たまにはわたしたちも連れてってくださいよ~」
佐藤「確かに、仕事以外でご一緒することはあまりありませんでしたしね」
みゃーもり「それじゃみんな週末にでも飲みに行かない? 矢野さんどうですか?」
矢野「いーんじゃない? 修羅場になる前に羽根伸ばしときたいしね」
タロー「え、矢野さんも来ちゃう流れ……?」
矢野「なーに? タロー?」
タロー「いえ、なんでもありません! まーお子ちゃま達の面倒を見るのも大人の務めだしね、大ちゃん」
平岡「勝手に話進めんなよ…… 俺は忙しいんだけど?」
矢野「ならそこの暇そうなバディに手伝ってもらったら? 飲み会の時間くらい空くでしょ」
平岡「……」
安藤「矢野さんつえー……」
みゃーもり「じゃあお店予約しときますね!!」
佐藤「私が電話します」
タロー「しゃぁーーー!! お仕事頑張っちゃうぜーーー!!」
松亭
\カンパーーーイ!!/カッ
タロー「みんなお疲れー!! かぁーービールがうまい!!」
矢野「タロー あんま騒ぐなよ?」
タロー「わぁかってますよ! ほらディーゼルさんも飲もう飲もう!」
りーちゃん「はいっす! なんかすみません自分まで混ぜてもらっちゃって……」
安藤「いえいえ! 今井さんとも飲んでみたいと思ってたんですよ~」ワイワイ
平岡「……」ゴクゴク
ずかちゃん「おいちゃんお疲れ」
みゃーもり「あ、ずかちゃん ごめんねー大勢で」
ずかちゃん「いえいえ いつもありがとうございます」
ずかちゃん「で、平岡さんってどっち? まさかあのモヒカンの……」
みゃーもり「いやモヒカンじゃないムスっとした方だよ」
ずかちゃん「ふ~ん 見た目はまあまあ……」
タロー「なになに今俺の話してた? あれ? 店員さんどっかで……」
ずかちゃん「えっと…… ごゆっくり~」ニコッ
タロー「ふむ…… ん? ちょっと大ちゃ~ん全然飲んでないじゃないの~」
平岡「うるせーな…… まだ始まったばかりじゃねーか」
タロー「だめだよそんなんじゃあ 今日は潰れるまで飲む約束でしょ、大ちゃん!」
平岡「んな約束してねーよ!」
りーちゃん(タローさんと平岡さん、ホント仲良しっすね……)
りーちゃん(大ちゃん、かぁ……)
矢野「平岡くんあまり強くないんだから無理しちゃだめよ」
平岡「分かってるっつの」
安藤「……そーいえば矢野さんと平岡さんって、専門学校の同期なんですよね?」
矢野「そうだけど?」
安藤「実はお二人は昔、恋人同士だったり……?」ニヤニヤ
りーちゃん(!!)
平岡「はああぁぁ!?」
矢野「ないない全然ない あり得ないから」
みゃーもり「ですよねー……」チラッ
りーちゃん(ふぅ……)
佐藤「では専門学校時代の平岡さんはどういった方だったのでしょうか」
平岡「はぁ?」
タロー「なになに佐藤さん 大ちゃんに興味深々?」
りーちゃん(!!)
佐藤「いえ、平岡さんは専門時代ブイブイ言わせていた、と高梨さんから聞いていたので」
平岡「……タロー?」
タロー「あれー…… そんなこと言ったけなぁ……」
矢野「ふふっ 専門時代の平岡くんはねぇ……」
平岡「おいっ!」
矢野「やる気のかたまりで、行動力も人一倍あって、いっつもみんなの中心にいたっけなぁ」
矢野「こんな作品が作りたいんだって目をキラキラさせて語ってたね」
安藤「キラキラ……」
佐藤「まるで想像できませんね」
みゃーもり「ちょっ、佐藤さん!」ブフッ
平岡「……」プルプル
りーちゃん「そ、それじゃあその…… 学校では結構人気だったり……?」
矢野「そうだねぇ モテモテだったね」
安藤「!! 男にですか!? 女にですか!?」
矢野「どっちも」
安藤「ふおおおおおお!!」
佐藤「なるほど 異性だけでなく同性からも慕われる人徳がおありだったのですね」
りーちゃん(むむむ……)
みゃーもり(りーちゃんかわいい……)
矢野「それが今じゃ見る影もなくなっちゃって…… 月日とは残酷なものだね」
平岡「おまっ……」
タロー「そんなことはぁない!」
りーちゃん「そうっす!! 大ちゃんは今でもキラキラしてるっす!」
「「「「「「!?」」」」」」
安藤「今井さん、今大ちゃんって……」
りーちゃん「はっ!! いやっあのっ 違くて……」
タロー「おいおい大ちゃん! まさかディーゼルさんといい仲だったの!?」
平岡「バッ…… んなわけねーだろうが!」
矢野「平岡くん…… こんな若い子に手を出してたなんて……」
平岡「ちげーつってるだろ!!」
りーちゃん「そうっす! ノリでつい言っちゃっただけで…… 平岡さんすみません!」
平岡「いや謝ることじゃねーけど……」
タロー「まっ大ちゃん呼びしていいのはバディである俺だけだわな しかし大ちゃん満更でもなさそう」
平岡「ねーよ!!」
みゃーもり「まぁまぁ…… ところで私、矢野さんの専門時代のことも知りたいなぁ~なんて」
矢野「私!?」
平岡「あぁ…… 俺のこと散々茶化しやがったが、こいつも相当なサブカル好きでな……」
矢野「ちょっと 余計なことは言わないでよね」
安藤「何ですか何ですか!? もしかしてBL? まさかのコスプレ?」
佐藤「コスプレ…… 仮装して楽しむというあれですか」
りーちゃん(ふぅっ~~~! 焦ったっす!!)
ムサニ
興津「……それで、新人制作への指導要項については今月中にまとめておいてください」
平岡「……」
興津「平岡君、聞いていますか」
平岡「あ すんません 大丈夫です」
興津「……では分担はお二人にお任せしますので お先に失礼します」
平岡・矢野「お疲れ様です」
矢野「ちょっと まさかまだお酒残ってんの?」
平岡「ちげーよ 少しボーっとしてただけだろ」
矢野「もう年なんだから気をつけなね」
平岡「年寄り扱いしてんじゃねー!!」
平岡「……ん」
りーちゃん「あっ 平岡さんこんばんは こないだはお疲れ様でした」
平岡「おう お疲れさん」
平岡・りーちゃん「……」
りーちゃん「えっと……それじゃ仕事頑張ります!」
平岡「ああ」
平岡(なんか調子狂うな……)
りーちゃん(うぅ~こないだの飲み会は失敗したっす…… せっかく普通に話せてたのに……)
りーちゃん(急に馴れ馴れしい奴だって思われたかなぁ……)
木下「ふんふふ~ん あ、ディーゼルさん、から揚げ食べる?」
りーちゃん「……」
木下「……ディーゼルさん?」
りーちゃん「!! あっすみません! いただくっす!///」
木下「う、うん」
木下「ディーゼルさん、なんだかメスの顔してた……」
山田「えぇ!?」
木下「から揚げ好きなのかな?」
円「それメシの顔ですよ、監督」
みゃーもり部屋
みーちゃん「へー ずかちゃん先輩のとこで飲んだんですか」
絵麻「わたしも行きたかったな……」
みゃーもり「ごめん 絵麻忙しそうだったし……」
ずかちゃん「で、例のあの人、ばっちり見てきたよ」
りーちゃん「例のあの人て……」
みーちゃん「ずかちゃん先輩的にはどう評価しましたか」
ずかちゃん「んー 顔はまあまあ 悪い人でもなさそう 後は終始いじられてたなぁ」
みゃーもり「打ち解けてからは結構いじられキャラかも」
ずかちゃん「それよりそわそわしてるりーちゃんがかわいかった」
りーちゃん「ちょっ 何言ってるんですか!」
絵麻「りーちゃん 平岡さんとお話してみた?」
りーちゃん「あっはい ちょくちょく話してるっすよ」
3DCG「どんなこと話してるの?」
りーちゃん「えーと…… 仕事以外だと……基本おいちゃん先輩の話っすね」
みゃーもり「へ??」
りーちゃん「おいちゃん先輩がいかに有能か、実例をあげながら語り合ってるっす」
みゃーもり「ちょっ やめてよー///」
絵麻「……それって平岡さんがおいちゃんに気があるってことなんじゃ」
りーちゃん「え」
絵麻「だって何もないのにわざわざおいちゃんの話なんかしないでしょ」
みゃーもり「なんかって何!?」
りーちゃん「うっ そういえばやけにおいちゃん先輩に詳しい気がするっす……」
絵麻「平岡さん小心者だから、後輩を利用して遠まわしにアピールしてるのかも……」
ずかちゃん「絵麻 毒が出てるよ」
みゃーもり「そんな! 困る困る! 平岡さん根はいい人だけどわたしの好みとは違うし……」
みゃーもり「それに年も離れてるし!」
りーちゃん「それ言ったら自分のが離れてるっすよ……」
高野麻美?「ま、まぁまぁ 話しやすい共通の話題ってだけなんじゃないかな」
ずかちゃん「そうそう それにわたしの見立てじゃあの手の男の人はね~」
ずかちゃん「絵麻みたいな根く……大人しくて黒髪の子がタイプだと思うよ!」
りーちゃん「え」
タイヤ職人(ずかちゃん先輩今根暗って言おうとしたな……)
絵麻「そんなことないと思うけど…… あ、でも平岡さん、わたしには結構優しい……」
みゃーもり「それは制作と作画だし…… まぁ清楚な子が好きって男の人は多いかも」
りーちゃん「わたし、清楚っすかね……」
タイヤ職人「りーちゃんは無邪気な末っ子タイプ、かな でも知的なとこもあるよね」
絵麻「うん りーちゃんにはりーちゃんの魅力があるよ 話しててすごく楽しいとか」
ずかちゃん「それにりーちゃん、こないだの飲み会で大胆アピールしてたしね!」
りーちゃん「へ?」
みゃーもり「りーちゃん何かしてたっけ……」
ずかちゃん「ほら 唐突に平岡さんをあだ名?で呼んだでしょ」
みゃーもり「ああー いつの間に距離縮めてたの!?ってびっくりしちゃったよー」
ずかちゃん「本人も驚いてたし、あれからりーちゃんのことを意識せざるをえなくなってるはず! 高等テクね」
りーちゃん「そ、そうなんですかね…… 普段通りに見えましたけど」
ずかちゃん「内心ドキドキよ~」
みゃーもり「りーちゃんすごい! どこでそんなテク習ったの~」
りーちゃん「やっ 自分はただ平岡さんのこと考えてただけで……」
絵麻「///」
みーちゃん「ずかちゃん先輩もなんでそんな男心分かるんですか?」
ずかちゃん「そりゃ声優だからね」
みーちゃん「それ、関係ありますか?」
ずかちゃん「とにかく! 意識させてしまえばこっちのもの! 後は攻めあるのみだよ!」
りーちゃん「攻め……すか」
ずかちゃん「デートに誘ってみたり? あとりーちゃんなら胸をこう……」
りーちゃん「なっ 無理っす無理っす!!」
みゃーもり「でもでも年下のかわいい女の子に言い寄られたら誰でも悪い気しないよ!」
絵麻「おいちゃんはざっくりしすぎ……」
絵麻「でも、そろそろ勇気を出してみるべきかもね 何事も、一歩踏み出さないと結果は得られないんだし……」
りーちゃん「絵麻先輩……」
藤堂美沙「応援してるよ! 上手くいったら話聞かせてね!」
りーちゃん「……うっす! 頑張るっす!!」
ムサニ
平岡「失礼しまーす っと……」
山田「お、平岡 どうした」
平岡「いえ、今井さんってまだ来てないですかね」
山田「ああディーゼルさんならさっき、おしっこもれちゃう~って」
円「セクハラで訴えられますよー」
山田「で、何か用事か?」
平岡「いや設定制作の資料の件で…… また出直します」
制作室
りーちゃん「あ、平岡さん 山田さんから探してたって……」
平岡「ああ これ こないだ頼まれた資料まとめといたよ」
りーちゃん「あ! ありがとうございます! すみません、お忙しいのに……」
平岡「このくらい訳ねーよ んじゃ確かに渡したから」
りーちゃん「はいっす! ……あのー」
平岡「んー?」
りーちゃん「平岡さん、もうご飯食べました?」
平岡「ちょうど今行こうと思ってたとこだけど」
りーちゃん「今日もお弁当ですかね」
平岡「いや、今日は外に食いにいくつもり」
りーちゃん「じゃ、じゃあわたしもご一緒していいですかっ?」
平岡「は?」
平岡(な、なんだこいつ急に…… 金欠なのか? そうなのか?)
りーちゃん「や、やっぱ駄目っすかね……?」
平岡「いや…… 別に……」
りーちゃん「ホントですか! ありがとうございます!」
平岡「つってもただのファミレスだぞ? うまいもん食いにいくわけじゃ……」
りーちゃん「はい! ファミレス上等っす!」
平岡(何がそんなに嬉しいんだか……)
タロー「うーーっす 大ちゃんお疲れー」
りーちゃん(うっ……)
タロー「大ちゃん今からメシ?」
平岡「お、おう こいつ連れてファミレスにな あ、そうだお前も行くか?」
タロー「お! いいねーいいねー! どうせならちょっといい店に……」
りーちゃん(……)
タロー「! ……っと思ったけど悪い! 大ちゃん! 実は急ぎの仕事が残ってたわー」
りーちゃん(!!)
平岡「あ? そうなのか? 珍しいなお前が仕事優先とか」
タロー「何を言う! わたくし高梨太郎は常に仕事人間ですよ んじゃそゆことでごゆっくり~」ニヤニヤ
平岡「何だあいつ…… じゃあ行くとしますか」
りーちゃん「は、はいっす! よろしくお願いします!」
ファミレス
平岡・りーちゃん「……」モグモグ
平岡「……あーお前最近ほぼ毎日ムサニに来てるみたいだけどちゃんと休んでんのか?」
りーちゃん「へ? も、もちろんです 全然無茶とかはしてないっすよ!」
平岡「そうか 別に家でやっても誰もサボってるなんて思わねーぞ?」
りーちゃん「いやー自分、家では作業捗らないタイプなんで……」
りーちゃん(本当は大ちゃんに会いたいからっすけど)
平岡「ふーん それはちょっと分かるかもな」
平岡「それにまぁお前が会社に来てくれたほうがこっちも助かるわ」
りーちゃん「え!? それってどういう……」
平岡「なんたって監督達の仕事の進みが段違いだからなー 若い女と仕事できてモチベーション上がってんだよ」
りーちゃん「い、いやー さすがにそんなこと……」
平岡「あんだよ 露骨にテンション違って見てておもしれーくらいだよ」フフッ
りーちゃん(あ、ちょっと笑ったっす)
平岡「脚本の方はどうなんだ? もう仕上がってんだろ?」
りーちゃん「あ、はい でも結構直されちゃって…… 自分が考えた、とは言いづらいですね……」
平岡「ふーん そういうもんか」
りーちゃん「舞茸さんああ見えてスパルタですから…… でもすっごく勉強になるっす!」
平岡「タフなんだな、お前」
りーちゃん「脚本家はずっと自分の夢でしたからね 簡単にはへこたれないっす」
平岡「夢か……」
りーちゃん「あ! 平岡さんの夢はなんなんですか? どんなアニメが作りたいんですか?」
平岡「…… 俺は夢なんてとっくに捨てたよ」
りーちゃん「え……」
平岡「俺はお前みたいにタフじゃなかったからな…… ちょっと現実見えただけで諦めて、やさぐれて……」
平岡「後は知っての通り、無駄に年食っちまったよ」
りーちゃん「そ、そんなこと……」
平岡「あー悪い…… 愚痴るつもりはなかったんだけどな それに今はそんなに卑屈にゃなってねーよ」
りーちゃん「……でも、作りたい作品はあったんですよね? 夢はちゃんとあったんですよね?」
平岡「それはそうだけど…… 素面で語るもんでもねーから」
りーちゃん「あっじゃあお酒飲みますか!?」
平岡「飲まねーよ! それに飲んでも語らねーから!」
りーちゃん「そんなぁー…… 知りたいっすよー……」
平岡「いやだからそんな面白い話じゃねーっての」
りーちゃん「だ、だったら……」
りーちゃん「今度のお休みの日に、わたしと二人で出かけませんか!!」
平岡「」
平岡「……は、はぁ?? 何でそういう話になんだよ……」
りーちゃん「い、いや二人なら存分に語れると思うし……」
りーちゃん「それに自分、男の人と二人で出かけたことってなくて……社会勉強っていうか……」
りーちゃん「そう!! 今後の脚本のためにも必要なんです!! ど、どうっすか!?」
平岡「お前……脚本のためとは言え10近く上のおっさん連れて出かけるとか体張りすぎだろ……」
りーちゃん「ひ、平岡さんはおっさんじゃあないですよ!」
平岡「と、とにかくそういうのは大学の友人にでも頼めよ ほら、そろそろ仕事戻るぞ 奢ってやるから」
りーちゃん「あうう……」
平岡(相手は女子大生…… さすがに年の差ありすぎるしな……)
平岡(そもそも俺なんかと出かけても楽しくねーだろ……)
平岡(……)
ムサニ 昼
平岡「――それじゃ監督、次の打ち合わせ、お願いしますね」
木下「うん、わかった」
平岡「じゃ、失礼します」
山田「あ、あー平岡?」
平岡「? なんですか?」
山田「タローが言いふらしてたんだが、お前昨日ディーゼルさんと飯行ったんだって?」
平岡「!!(あの野郎……)」
木下「なになに? 何の話?」
平岡「い、行きましたけど、それが何か?」
山田「いやな、昨日帰ってきたディーゼルさん、えっらいへこんでたから何かあったんじゃないかと思ってな……」
円「目に見えて落ち込んでましたもんねー」
平岡「さぁ…… ただ普通に飯食っただけですよ」
山田「ホントかぁ? お前またブチ切れたんじゃ……」
平岡「しませんよそんなこと!」
木下「ふむ…… なら痴情のもつれ……か 平岡にまさかの六股疑惑発生 私は遊びだったのねー!!」
平岡「!?」
円「平岡、お前というやつは……」
平岡「なっんなわけないでしょーが! 俺はただ、あいつが二人で出かけようって言ってきたから、断っただけで……」
木下・山田・円「「「は?」」」
木下「何それ? どーいうことっ?」
円「嘘だろ…… 俺達のディーゼルさんが平岡なんかに……」
平岡「俺だってわけがわかりませんよ…… 急に言ってきたし」
山田「つーかお前なんで断ってんだよ! 俺なら喜んで行くね! そしてなんでも買ってあげる」
平岡「いやいや年の差的に問題あるでしょ……」
円「年は関係ねぇ! ましてディーゼルさんは大学生なわけだし何も問題ないだろー」
山田「円は今度女子中学生ものの監督やるんだよな」
円「それ今関係ないでしょ」
平岡「円さん、ロリコンだったんですか」
円「人聞きの悪いこと言うんじゃねぇ!」
木下「ま、何にせよディーゼルさんが落ち込んでたと言うのならそれだけ真剣だったってことだよね」
木下「平岡はまじめに話を聞いてあげたの?」
平岡「!! ……いや まともに取り合わなかった、ですね……」
木下「うん、ならね、例え平岡にその気がなかったとしても真剣に向き合ってあげないとね」
木下「円の言うとおり、そもそも恋に年の差は関係ない! それも考えた上で答えを出してあげればディーゼルさんも納得してくれるよ、きっと」
山田「…… 監督が真面目なことを言ってる……」
円「さすが結婚してたことのある人は言うことが違うなー」
木下「俺はいつでも真面目だって言ってるだろ! それに結婚してたって言い方、気になるんだけどっ!」
平岡(年の差は関係なく、俺があいつをどう思ってるのか……か)
平岡(いやだいたいあいつがなんのつもりで誘ってきたのかもはっきりしてないけど……)
山田「俺はたとえ平岡がロリコンでも何も言わねーよ?」
平岡「……俺はロリコンじゃないっすよ」
円「ディーゼルさんは合法だからお前がロリコンでも犯罪にはならないぞー」
平岡「違いますって……」
久乃木「ロ…ロリ…?」
平岡「だから俺はロリコンじゃねぇって言ってるだろ!!」
久乃木「ひっ……!!」
平岡「あっ……」
やまだ・マドカ「「久乃木さんをいじめるんじゃねぇ!!」」
夜
ガチャッ
平岡「失礼します」
りーちゃん「……」ビクッ
平岡「今井さん、ちょっと時間いいですか」
りーちゃん「へ!? え? だだだ大丈夫っす!です!」
平岡「んじゃちょっと屋上に」
りーちゃん「は、はい! すぐに!」
屋上
りーちゃん「……」
平岡「あー昨日言ってたことなんだけど……」
りーちゃん「」ビクッ
平岡「もう別のやつに頼んだりしたか?」
りーちゃん「え!? いや全然!!」
平岡「そっか んじゃ今度の日曜とか空いてねーか? 見たい映画あんだけど、一人で行くのもなんだし……」
りーちゃん「」
平岡「無理にってわけじゃねーから その、よく考えたら俺も暇でな……」
りーちゃん「い、行きます!! 日曜! 大丈夫です!」
平岡「お、おう んじゃ詳細はまた連絡するから 時間とらせて悪かったな」
りーちゃん(や、やった! デートっす! 大ちゃん、気をつかってくれただけかもだけど……)
りーちゃん(でも大きなチャンス、だよね うー今からドキドキするっす……)
日曜
りーちゃん(ついにこの日がやってきたっす……)
りーちゃん(服、これでよかったかな…… 絵麻先輩に清楚なのを借りとくべきだったかも)
りーちゃん(いやでもサイズが合わないかもだし…… それに自分には自分の魅力がある……っす!)
りーちゃん「ってあぁ!! 時間マズイっす~!!」
映画館
タッタッタッ
平岡「……ん 来たか」
りーちゃん「すっすみません~ 自分いっつもギリギリ体質で……」ハァハァ
平岡「いやまだ時間あるし 別に急いでこなくても」
りーちゃん「そういうわけには…… あっそういえば映画、何見るんですか?」
平岡「あー一応ペロ○ェラ4ってアニメ映画を考えてたけど、別になんでもいーよ」
りーちゃん「P4Mっすか!! 自分も見たかったです! それにしましょう!」
平岡「ん じゃあそーすっか」
りーちゃん「~♪」
平岡(休日だからか、ちょっと気合入ってんな…… まぁ、かわいいよな……)
上映中
「うおおおおおお ペロクマァアアアア!! そいや!!」
「お前は俺で、俺はお前だったんだな…… なるほどなー」
「そうだ…… 俺はひとりなんかじゃない!! いくぜ! 相棒!」
りーちゃん(ほほ~ いい話っす 原作を上手いこと再構成してるっすねぇ)
りーちゃん(大ちゃんはどんなこと考えながら見てるんだろ……)チラッ
平岡「……」ウルッ
りーちゃん(真剣そのものっすね…… って涙ぐんでる? なんで?)
喫茶店
りーちゃん「いやー 面白かったですねー!」
平岡「ああ…… 原作が良すぎるから正直期待してなかったが予想以上だったな」
りーちゃん「脚本、すごく良かったっす! 内容知ってても感動できましたし」
平岡「やっぱおまえは話に注目して見てたんだな」
りーちゃん「はいっす 平岡さんもやっぱりカット数とか気にしちゃいます?」
平岡「いや俺はなるだけそういうのは考えないようにしてるな 話に集中してーから」
平岡「でも演出すげーよかったな…… 曲のタイミングとか鳥肌もんだったし」
りーちゃん「なるほど! 前においちゃん先輩達と映画を見たときは、みんな職業病みたくなって――」ワイワイ
居酒屋
りーちゃん「乾杯です! やー遊んだっすね~」
平岡「乾杯 ああ、もうクタクタだ しかし居酒屋で飯食わなくても……」
りーちゃん「すみません…… お酒いっぱい飲みたい気分だったんで」
平岡「別にいーけど」
りーちゃん「今日はすっごく楽しかったです あの、平岡さんはどうでした……?」
平岡「俺も楽しかったよ 誰かとこんな風に遊んだのって何年ぶりだったか」
りーちゃん「それはよかったっす!」
平岡「……」
りーちゃん「……」
りーちゃん「それで、その、平岡さんの夢の話ですけど……」
平岡「……ったく何を期待してんのか知らねーけど、マジで面白い話でもなんでもねーぞ」
りーちゃん「それでも、わたしは知りたいです 平岡さんのやりたかったこと」
平岡「……」
平岡「俺はな、昔からアニメが大好きで、色んなアニメを見てきた」
平岡「そのうち見るだけじゃ物足りなくなって、自分で作りたくなって、その道に進むことに決めた」
平岡「んで実際に学んでみたらすげー奥が深くて、アニメはホントに世界に誇れる文化だなって思ったよ」
平岡「専門時代は同期にも恵まれててな、みんなやる気があって、アイディアもあって、毎日刺激的だった」
平岡「気の合う仲間と作品を作るのはすごく楽しくて、それにそこでは手間をかけた分良い評価がもらえて……」
平岡「その時から俺の夢は、信頼できる仲間と一緒に、世界中に認めて貰える作品を作り上げること、だった」
平岡「カンヌで『ある視点』部門の作品賞、国際批評家連盟賞を取るんだ、なんつって一部からは意識だけは高いなって笑われたりもしたけど」
平岡「あの時のバカな俺は本気で夢は叶うって思ってたよ……」
平岡「実際現実を見てみると、俺には何にもなくて……ってこれは余計だな」
りーちゃん「いえ…… できれば全部話して欲しいです」
平岡「……まぁ後は前にも少し話した通りだよ」
平岡「制作進行として働き始めたら、周りのクリエイターはどいつもこいつも自分のことばかり考えてて」
平岡「そのくせ責任だけは俺になすりつけてきやがって、上司は当てにならねーし……」
平岡「現実にすっかり絶望しちまった俺は、雑な仕事して虚勢だけ張って、ただなんとなく働いてたってわけだ」
平岡「ムサニに来て、宮森やタローのやつに救われなかったら、今も腐ったままだったろうな……」
平岡「そもそも俺に、宮森やタローやお前みたいなへこたれないだけの強さがあれば、誰にも迷惑かけずに済んだんだが」
りーちゃん「そんな…… 平岡さんは弱くなんてないです……」
平岡「…… どうだ? 脚本のいいネタになりそーか?」
りーちゃん「……」
りーちゃん「わたしは、悲しいだけのお話は好みじゃないです」
平岡「……」
りーちゃん「だから、例え途中で挫けても、仲間に支えられて再び立ち上がる……」
りーちゃん「そんな希望のあるお話が書きたいです」
平岡「…… そーかい まっ頑張れよ」
りーちゃん「脚本家になることが夢だ、ってわたし言いましたけど、その後の夢ももちろんあるっす」
平岡「?」
りーちゃん「高校のアニメーション同好会のみんなと、当時作った作品をまた一緒に作り直そう、って夢です」
りーちゃん「でもわたし、欲張りなので…… 新しい夢ができました」
平岡「……新しい夢?」
りーちゃん「はい! わたし、平岡さんの夢のお手伝いがしたいです!!」
平岡「!!」
平岡「俺の夢って…… だからもう俺は自分の身の丈にあった仕事をやってくつもりだし……」
りーちゃん「身の丈ってなんすか! 自分に見切りを付けるのはまだ早いと思うっす!」
平岡「……」
りーちゃん「まだ脚本家見習い……の卵みたいな自分が何言ってるんだって感じっすけど……」
りーちゃん「でも絶対脚本家になって、それで…… 平岡さんの信頼できる仲間の一人になってみせます!」
りーちゃん「だから…… 平岡さんも……」
平岡「……」
平岡「……ったく くせーな」
りーちゃん「なっ!! わたし臭います!? 酒臭いですか!?」
平岡「セリフがだよ…… 聞いてて痒くなるっつーの」
りーちゃん「うっ」
平岡「でも、ありがとな」
りーちゃん「!!」
平岡「俺だって実際はなかなか割り切れなくて、ずっとウジウジしてたんだ」
りーちゃん「平岡さん……」
平岡「……そうだな、このままいってPを目指すか……」
りーちゃん「おっ天から全てを操っていくっすね!?」
平岡「それとも山田さんあたりに頼み込んで演出の勉強でもすっか……」
りーちゃん「それもいいっすね! その時は自分も一緒にお願いするっす!」
平岡「……ふっ ったくお前ってホントお人好しなのな」
りーちゃん「へ?」
平岡「普通、こんないい年した大人がウジウジしてんのなんて見たら、こうはなりたくねーって呆れるもんだけど……」
平岡「それをお手伝いしたい! だもんな…… 変わってるよ、お前」
りーちゃん「……自分はお人好しなんかじゃないし、変わってもないです」
りーちゃん「ただ…… 平岡さんのことが好きだから……」
平岡「!!」
りーちゃん「あっもちろん恋愛的な意味で、です……」
平岡「わかってるよ…… でも俺、お前に酷いこと言った記憶しかねーんだけど……」
りーちゃん「そんなことないっす! 最初は、その、ちょっとびっくりしたっすけど……」
りーちゃん「でもそれからずっと平岡さんのこと見てたし、認めてもらうために頑張れたし」
りーちゃん「優しいところとか、大人の余裕みたいな頼もしいところもあるんだなって分かって……」
りーちゃん「そのどれもが自分にとってすごい魅力的だったっす!!」
平岡「か、痒くなるからやめろって……」
りーちゃん「あっそのちょっと照れ屋さんなところも好きっす!」
平岡「」
りーちゃん「平岡さんは…… わたしのこと、どう思ってますか……?」
平岡「……」
平岡「お前はいつも元気で、一生懸命で……したたかなところもあって……」
平岡「正直すげー魅力的だと思ってた」
りーちゃん「!!」
平岡「でも俺はこんなだし…… お前よりずっと年上のおっさんだから正直眩しくて……」
りーちゃん「年は関係ねぇ!です!」
りーちゃん「それにわたし、おっさんも好きですよ!」
平岡「微妙に矛盾してんぞ……」
平岡「まぁそうだな…… 年の差は関係ないってか……」
平岡「……俺も、お前のこと好きだよ」
りーちゃん「!!」
りーちゃん「それじゃあ…… わたしたち……」
平岡「ああ その、なんつーか、付き合うみたいな……」
りーちゃん「恋人同士っすね!! う、嬉しいっす!! 勇気出してよかったです……」
平岡「ただな、年は関係ねぇって言っても俺はいい年だし…… 今更遊びで付き合うなんて時間はねーからな」
りーちゃん「もちろんっす! 絶対幸せにしてみせるっす!!」
平岡「おい、なんかセリフが逆じゃねーか? 俺が行き遅れた女みてーなことに……」
りーちゃん「ふふん 今時の女は頼もしいんすよ」ニッ
平岡「……そーかい じゃあ俺も負けねーように頑張らないとな 男として」
平岡(こうして、俺達は付き合うことになった)
平岡(年の差なんてつまらないことにこだわって、意地を張ってたが、俺はとっくにあいつのことが好きだったんだと思う)
平岡(俺なんかのことを好きになって支えてくれるやつもいることだし、俺もちゃんと夢に向き合わないとな……)
りーちゃん「あっそうだ わたしたち恋人同士になったんだから、その、大ちゃんって呼んでもいいですか?」
平岡「はぁ?」
りーちゃん「まぁ心の中ではずっと大ちゃんて呼んでたんですけど」
平岡「……好きにしろよ」
りーちゃん「それから大ちゃんにも、わたしのことちゃんと名前で呼んで欲しいっす」
平岡「あぁー…… まぁそうだな」
りーちゃん「……というか わたしの名前ちゃんと覚えてますよね?」
平岡「あ、当たり前だろ みどり……だよな?」
りーちゃん「はいっす! みどりでも、りーちゃんでも、ディーゼルでも…… あーでも特別な呼び名が欲しいところっすね……」
平岡「みーちゃん……とか?」
りーちゃん「それ、同好会の先輩と被ってるんです…… だからわたしりーちゃんってことに」
平岡「なるほどな…… まぁ呼び方は考えとくよ」
りーちゃん「はい! お願いします!」
平岡「それじゃあ…… コンゴトモヨロシク」
おわり
SHIROBAKOの旬はとっくに過ぎちゃってるけど、今期アニメが本格化する前にでも平岡とりーちゃんの話を書きたかったので……
ここまで読んでくれた人ありがとうございます
えがった
やっぱりディーゼルさんが一番可愛いね
いつかやってみたかった平りーの夢ネタ
しっかり書き上げられるのはさすがっす
りーちゃん女子力たかいな
やっぱSHIROBAKOはええわー
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428856643/
Entry ⇒ 2016.03.23 | Category ⇒ SHIROBAKO | Comments (0)
ずか「ラジオの仕事、ですか?」【SHIROBAKO SS】
マネージャー「はい。来月からなんですけどお願いできますか?」
マネージャー「とりあえず1クール、12回」
マネージャー「評判良かったらもう少しやろうかなって感じなんですが」
ずか「やります! やらせてください!」
ずか(遂に、遂にわたしにもラジオの仕事が……)
ずか(声優と言えばラジオ。ラジオと言えば声優)
ずか(声優とラジオは切っても切れない関係)
ずか(ここでこのチャンスをものにすれば)
ずか(ラジオがおもしろい声優として固定ファンをゲット!)
ずか(アクセス数一桁のブログにも人が来るようになって)
ずか(一気に人気声優への道が開けるかも)
ずか「…………」
ずか(このチャンス。なんとしてでもものにせねば)
ずか(相手は鈴木京子さん)
ずか(三女で主役だった人だよね)
ずか(あんまり話したことはないんだけど)
ずか(主役やるくらいだから、きっとラジオの仕事もばんばんやってるだろうし)
ずか(相方としては最高のカードを引いた!)
ずか(あとはわたしさえしっかりすれば)
ずか(人気番組も夢ではないはず)
ずか(きてる……、流れがきてる)
ずか(ここから坂木しずか伝説が始まるのよ!)
ずか(わたしは聞ける限りたくさんの声優ラジオを聞き)
ずか(リサーチにリサーチを重ね)
ずか(万全の準備を整えて本番に臨んだ)
鈴木「みなさん、初めまして! テレビアニメ、リップグラスで深見透華役の鈴木京子です」
ずか「みなさん、初めまして! 鷹山さなぎ役の坂木しずかです」
鈴木「この番組は四月から放送を開始するテレビアニメ、リップグラスのラジオ番組です」
ずか(さあ、今こそ身につけた声優ラジオスキルを使うとき――)
ずか「わたしたち、実はあんまり話したことないんですよねー」
ずか(親しくない間柄二人でラジオをする場合)
ずか(98パーセント(ずか調べ)の確率で使われる常套句)
ずか(鈴木さんなら勿論のってくれるはず)
鈴木「そ、そうですね……」
ずか(あれ?)
ずか「三女の撮影で一度。オーディションで一度。あと、三女の打ち上げでもお会いしましたよね」
鈴木「そうですね」
ずか「じゃあ、まずお互いの呼び名とか決めましょうか」
鈴木「呼び名……はい、そうですね」
ずか「鈴木さんは普段どんな風に呼ばれてます?」
鈴木「呼ばれるのは、鈴木さん、とかですかね」
ずか「…………」
ずか(この子、まさか――)
ずか(口下手、だと……!)
ずか(そうですねばっかじゃダメだよ)
ずか(マネージャーさんがブースの外であわあわしてるし)
ずか(なんとか、なんとかわたしが喋って場をつながないと!)
ずか「いや-、リップグラスの魅力はですね」
ずか「なんといっても風景が綺麗なところだと思うんですよね」
鈴木「あ、綺麗ですよね。風景。わたしもそう思います」
ずか「あと、思春期の心の微妙なところをすごく繊細に描いてるんです」
鈴木「すごくいいですよね。わたしもそう思います」
ずか「あ、あと他には――」
ずか「……つかれた」
ずか(まさか、鈴木さんが口下手だったなんて)
ずか(ラジオも一度しか出たことないらしいし)
ずか(あ、番組ニコニコ動画にあがってる)
「坂木しゃべりすぎ」
「でしゃばんな」
「鈴木さんの声が聞きたいのに」
ずか(……叩かれてる)
「つまんね」
「来週は見ないわ」
「全然面白くないんだけど」
ずか「…………」
ずか(まずい……)
ずか(これでは人気声優になれない)
ずか(どうにかして、ラジオを面白くしないと)
ずか(どうすればいい。考えろ、考えるのよ、しずか)
ずか(そうだ、あの手を使えば……!)
ずか「わたし、実は鈴木さんのこと、かわいいってずっと思ってたんですよ」
鈴木「え?」
ずか「抱きしめたいというか、そのまま持ち帰りたいというか」
鈴木「そ、そうなんですか」
ずか「今日マスクしてきてたじゃないですか。あれ、使い終わったらくれません?」
鈴木「い、いいですけど、何に使うんですか?」
ずか「それは、その、ね……ぐふ、ぐふふふ」
鈴木「…………」
ずか「……つかれた」
ずか(必殺、百合営業でちょっとはおもしろいものにしたつもりだけど)
ずか(ニコ動の反応は、と)
「また百合営業かよ」
「気持ち悪い」
「死ね」
ずか(……叩かれてる)
「キマシタワー」
「2828してる俺きめー」
「これはひどいww」
ずか(全体的には好評みたい)
ずか(再生数も伸びてるし)
ずか(よし、これなら人気声優も夢では……)
「ずかちゃんはおもしろいけど、鈴木ちゃんはちょっと」
「鈴木ちゃんが足を引っ張ってるな」
「鈴木ちゃん変えた方がいいんじゃない?」
ずか「…………」
収録後
鈴木「どうしたんですか?」
ずか「少し、話があるんです」
鈴木「話、ですか?」
鈴木「…………」
鈴木(きっと、わたしが足を引っ張ってるから)
鈴木「す、すいません、いつもご迷惑を――」
ずか「わたし、鈴木さんともっと距離を縮めたいんです!」
鈴木「…………」
鈴木「え、えっと、あの……」
鈴木「わたし、男性が好きなのでそういうのはちょっと」
ずか「あー、いやいや、そうじゃなくてですね」
ずか「わたしたち、収録以外であんまり話さないじゃないですか」
ずか「なんか勿体ないな、って思うんですよ」
ずか「鈴木さんしっかりしてていい人ですし、できたら友達になりたいなぁって」
ずか「ダメ、ですか?」
鈴木「…………」
鈴木「ダメじゃないです! 全然ダメじゃないです!」
ずか(よし、計画通り……!)
ずか(仲良くなればラジオはもっとおもしろくなって)
ずか(人気声優待ったなし!)
ずか「わたし、ちょっとだけ先輩だけど、そんなの全然気にしないでいいし」
ずか「なんでもずばずば言ってくれればいいからね」
鈴木「い、いやそんな……」
ずか「わたしが気持ち悪いこと言ったら、ありあみたいな声で」
ずか「気持ち悪い」
ずか「これでいいから」
ずか(その方がおもしろいし)
ずか「じゃあ、また収録でね」
鈴木「はい、お疲れ様でした!」
ずか「いやいや、敬語じゃなくていいからさ」
鈴木「……はい!」
鈴木「お疲れ、ずかちゃん」
ずか「うん。お疲れ、京子」
ずか(なんかすごくうれしそうだったけど)
ずか(どうしてだろ?)
ずか(コーヒーがおいしかったのかな)
ずか「ねえねえ、アキレス腱さわらせて」
鈴木「気持ち悪い」
ずか「……つかれた」
ずか(京子のキャラを立てることでより面白くしたつもりだけど)
ずか(ニコ動の反応は、と)
「こいつ頭おかしい」
「俺の京子に近寄らないで欲しい」
「営業が露骨すぎて不快」
ずか(……叩かれてる)
「鈴木ちゃんツッコミうまいな」
「鈴木ちゃんに罵られたい」
「鈴木ちゃんは警察を呼ぶべき」
ずか(よかった。なかなか好評みたい)
ずか(再生数も伸びてるし)
ずか(よし、これなら人気声優もすぐそこ……)
「やっぱりまだ鈴木ちゃんが弱いな」
「鈴木ちゃんが話すとこっちまで緊張する」
「鈴木ちゃんがもうちょっと話せたらなぁ」
ずか「…………」
収録後
鈴木「森野は怪我したけど福田が調子よくて」
鈴木「亀澤も振れてるみたいで」
鈴木「三連敗はしたけどこれからがすごく楽しみなの」
ずか「…………」
ずか(京子をもっと面白くするにはどうすれば)
鈴木「…………」
鈴木「あの、さ……」
鈴木「わたし、実は声優の友達ってできたの初めてで」
鈴木「だから、すごくうれしいっていうか」
ずか「…………」
ずか(こ、これは――)
ずか(ぼっち営業、だと……!)
ずか(友達がいないことをアピールして)
ずか(友達作りが苦手な声優ファンの心を掴む)
ずか(オーソドックスだが効果的な営業手法)
ずか(こんなに自然に使ってくるなんて)
ずか(さすが京子。三女で主役だっただけのことはある)
ずか「わ、わたしも声優の友達って初めてなんだよね」
鈴木「そうなんだ」
鈴木「ずかちゃんもなんだ」
鈴木「うれしいな」
ずか(……待てよ)
ずか(そうだ、これだ!)
ずか「わたしたち、お互い声優の友達っていなくて」
鈴木「初めての友達、なんだよね」
ずか「……つかれた」
ずか(ぼっち営業でもっともっとおもしろいものにしたつもりだけど)
ずか(ニコ動の反応は、と)
「またぼっち営業かよ」
「坂木うそくせー」
「あざとすぎて受け付けないわ」
ずか(……叩かれてる)
「ぼっちww」
「かわいそすぎるw」
「鈴木ちゃんはガチっぽい」
ずか(全体的には好評みたい)
ずか(再生数も伸びてるし)
ずか(よし、これならもう人気声優はもう目の前だ)
マネージャー「番組打ち切りの話が出てまして」
ずか「…………」
マネージャー「ただ、これは坂木さんがよかったらなんですけど」
マネージャー「ちょっとてこ入れをして続けようって話もありまして」
ずか「ほんとですか!」
ずか「やります、やらせてください!」
マネージャー「で、そのてこ入れの内容なんですけど」
マネージャー「鈴木京子さんを外して別の人に――」
ずか「…………」
ずか「折角人気でてきたのに打ちきりとか」
ずか「ほんとみんな見る目ないよね」
ずか「はぁ、仕事こないかなぁ」
鈴木「…………」
鈴木「あの、ずかちゃん」
鈴木「ちょっと噂で聞いたんだけど」
鈴木「わたしだけ交代して続行の話があったって本当?」
ずか「うん。あったけど」
鈴木「それ、断ったの?」
ずか「うん」
鈴木「どうして?」
ずか「そんなの決まってるでしょ」
ずか「京子とじゃないと意味ないし」
鈴木「…………」
ずか(京子とじゃないと折角磨いたコンビ芸が使えないからなぁ)
鈴木「ずかちゃん」
鈴木「わたし、ずかちゃんのこと大好き」
ずか「うん、わたしも好きだけど」
ずか(急にどうしたんだろ)
ずか(まあ、いいや)
ずか「あーあ。仕事、こないかなぁ」
おわり
感想もらえるとうれしい。
しかしオチが弱い
ずかちゃんは男前
こういう手探り感はハラハラするな
片方が留年とかしてなければ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1427802188/
Entry ⇒ 2016.03.08 | Category ⇒ SHIROBAKO | Comments (0)
宮森「どんどんドーナツ!どんと行こう!」
宮森「ん?」
絵麻「どうしたの?」
りー「どうしたんスか?」
しずか「何が、どんどんドーナツ!どんと行こう!だよ」
しずか「5人でアニメ作る話だと思ってたのに私の出番なんて殆ど無いじゃないの!」
みー「しずか先輩?」
しずか「公式にだって『この物語は、5人の夢追う女の子を中心に』って書いてあるのに」
しずか「5人?私1人だけハブなんですけど?」
しずか「さすがに、えくそだすで出番貰えるのは虫が良すぎるって思ってて」
しずか「次の第三飛行少女隊なら、もしかしてメインキャラに抜擢なんて夢見てたけど」
しずか「それも駄目」
しずか「木下監督が推してくれたから脇役くらいなんて思ってたけど」
しずか「それすらありゃしない」
しずか「あるのはガヤの声とか着ぐるみとか」
しずか「TARI TARIだってメイン全員に見せ場あった」
しずか「花咲くいろはだって」
しずか「グラスリップは2話で切ったから分からない」
絵麻「グラスリップは私も分からない」
宮森「私も」
みー「私も」
りー「私も分かんないッス」
しずか「このままじゃグラスリップと共にP.A.WORKSの黒歴史だよ」
しずか「おいちゃんは良いよね」
宮森「え?」
しずか「上手く取り行って制作進行からデスクにスピード出世」
宮森「スピード出世って、私だって頑張って」
絵麻「そうだよ。おいちゃんは夜遅くまで仕事したりして」
しずか「私だって居酒屋で夜遅くまで仕事してるんだよぉっ」
宮森「うっ」
絵麻「居酒屋で夜遅くまで仕事しても……」
しずか「声優の仕事が無いんだからしょうがないだろうがあぁあっ!!」
しずか「こっちだって、過酷なスケジュールこなして」
しずか「睡眠時間3時間とかやってみたいわ」
しずか「毎日グッスリだよ」
しずか「これはSHIROBAKOキャラ人気トップの絵麻様」
絵麻「キャラ人気トップだなんて///」
しずか「イラッ」
しずか「どこかの雑誌のアニメキャラ人気投票じゃ金剛に次ぐ2位」
しずか「渋谷凛に勝ったらしいね」
絵麻「えへへ///」
絵麻「おいちゃんも8位だったんだよ」
宮森「シッ!」
しずか「私なんてかすりもしなかったよ」
絵麻「……」
しずか「メインキャラのはずなのに」
しずか「ワンピースの骨やロボの人気投票見て」
しずか「メインキャラなのに(笑)って笑ってたら自分がそうなった」
絵麻「そ、それはずかちゃんの出番が少ないから……あっ!」
りー「さっきから一言多いッス」
しずか「……そうよ。少ないわよ」
しずか「メインキャラのはずなのに小笠原さんや矢野さんより出番少ない」
しずか「2クール目から新キャラ増えて、こっちはどんどん出番が減って」
しずか「終いにはOPとEDだけ出てくる謎のモブ扱い」
絵麻「そうだよ。削れないシーンとかあったんじゃない?」
しずか「他のシーン削れば良いじゃない!」
しずか「平岡の出番とか平岡の出番とか平岡の出番とか」
しずか「平岡の出番とか」
しずか「新キャラなのに私より出番多いってどういう事?」
みー(平岡さんここでも嫌われて……)
しずか「これからって後2回で終わりなんだけど」
絵麻「あっ」
しずか「絵麻ちゃんは良いよね」
しずか「人気のお陰で毎回出番あって」
しずか「エンゼル体操なんて披露してまで媚び売って」
絵麻「媚び売ってなんて」
しずか「ジェットコースター乗ったり……私も乗ったけど」
しずか「風邪ひいたり、梅干し食べたり」
しずか「最近では、コミュ症の面倒見て母性本能アピールですか」
しずか「作監補佐になって多分給料も上がって」
しずか「そろそろ引っ越しでも目論んでるんでしょ?」
絵麻「うっ」
しずか「こっちなんか居酒屋バイトの給料で安いビール飲んでるのに」
しずか「私だってもっと良いの飲みたいよ」
ロロ「仕方ないよ。4人の中で自分だけアニメに関われないんだもん」
しずか「おいちゃん?」
宮森「何?」
しずか「前から言おうと思ってたけど」
しずか「そのぬいぐるみの声、おいちゃんだよね」
宮森「!」
宮森「ち、違///……」
しずか「バレてるから」
しずか「何がミムジー&ロロだよ」フフッ
みー(皆気付いてたけど言わずにいたのに)
りー(酷いッス)
しずか「りーちゃんは大学生なのにムサニでバイト始めて」
しずか「ディーゼルさんなんてアダ名付けられて」
しずか「ちゃっかり会議にまで出席して」
しずか「出世街道まっしぐらですな」
りー「そんな事」
しずか「やっぱりおっぱいの大きい娘は違いますな」
しずか「私だってBDジャケで水着でアピールしたのに」
しずか「何も無いよ!」
しずか「でも第三飛行少女隊に関われたじゃない」
しずか「今まで出番が少なくて影の薄い二人だったのに」
しずか「出番少なくてもみーちゃんよりマシとか目くそ鼻くその戦いしてたのに」
しずか「みーちゃんは私を裏切った」
みー「裏切ったって」
しずか「仕事もしっかりしてるし」
しずか「私なんて声優の卵じゃなくて居酒屋バイト扱いだよ?」
しずか「それどころか枕やって仕事取れだの」
しずか「エロゲーに出ろだの風俗に堕ちろだのAVに行けだの」
しずか「うわぁああああああああっ!!」
しずか「何よ?」
宮森「実は水島監督に『なんでしずかは第三飛行少女隊のオーディションに受からなかったんですか!
せっかくいい所まで行ったのに!』って聞いちゃいました 」
宮森「監督は『簡単に受かったらつまらないじゃないですか』
という答えでしたが。だって」
しずか「つまるつまんねーじゃねーよおおおぉお!!!」
しずか「こっちは死活問題なんだよボケがああっ」
みー(その話は逆効果だったんじゃ……)
りー(火に油を注いだッス)
しずか「マネージャーからTELだ」
絵麻「仕事入ったんじゃない?」
宮森「きっとそうだよ」
しずか「う、うん。そうかも」ドキドキ
しずか「も、もしもし?」
マネ「もしもし。仕事入ったよ」
しずか「仕事?本当ですか?」
マネ「第三飛行少女隊の」
しずか「第三飛行少女隊?」
宮森「おおっ?」
絵麻「もしかして?」
しずか「ウリボー?」
みー「ウリボー?」
りー「来たッスか?」
マネ「着ぐるみ着て宣伝」
しずか「また着ぐるみかよぉおおおっ!!」
宮森絵麻みーりー「ど、どんどんドーナツ!どんと行こう!」
しずか「何が、どんどんドーナツ!どんと行こう!だよ……」
終わり
監督レベルの出番すらないなんて……
ずかちゃんに出番を
みゃーもりの涙にもらい泣きした
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1426422027/
Entry ⇒ 2016.01.24 | Category ⇒ SHIROBAKO | Comments (0)
ずか(24)「ひま……」
ずか「声優一本で勝負しようって一念発起して居酒屋をやめたけど」
ずか「途端、増え始めていた仕事が無くなるなんて」
ずか「ひま……」
ずか「なんJでも見よう」
ずか「ちーん(笑)と」
ずか「阪神ファンを煽るのは楽しいなぁ」
ずか「早くシーズンが始まればいいのに」
ずか「でも、今年のうちは監督が変わって」
ずか「発する言動が私のポリシーに合わないし、生理的にも趣味的にも芸術的にも政治的にも物理的にも苦手な人だからなぁ」
ずか「はぁ……」
ずか「200盗塁とか言ってるけど」
ずか「そもそもセイバーから見れば盗塁なんて大して価値無いし」
ずか「高須さんみたいな勝負強い選手、また出てこないかなぁ」
ずか「はぁ……」
ずか「まとめサイトでも見よう」
ずか「エレファント速報はおもしろいなぁ」
ずか「もうこんな時間」
ずか「でも一日中ネットしてたから眠れそうにないし」
ずか「今日は夜更かししよう」
ずか「どうせ明日も予定無いし」
ずか「明後日も、明明後日も」
ずか「……ぐす」
ずか「でも、みーちゃんやりーちゃんも本格的にアニメの仕事始めたみたいだし」
ずか「わたしだってがんばってる。きっと神様は見ててくれるよね」
ずか「一年後、二年後……いや、三年後には」
ずか「きっと売れっ子声優になってる」
ずか「ここが正念場よ! がんばれ、あたし!」
ずか(27)「ひま……」
ずか(27)「今度こそ声優一本でやってやるってまた居酒屋辞めたけど」
ずか「そう簡単に仕事なんて取れない、か……」
ずか「ひま……」
ずか「なんJでも見よ」
ずか「33-4(笑)、と」
ずか「阪神ファンを煽るのは楽しいなぁ」
ずか「早くシーズンが始まればいいのに」
ずか「あ、山田さんまた打ったんだ」
ずか「FAでうちにこないかなぁ」
ずか「はぁ……」
ずか「まとめサイトでも見よ」
ずか「ひますぎてSSを書いてしまった」
ずか「タイトル決めなきゃ。『キョン「ハルヒのうんこで地球がやばい?」』と」
ずか「ちょっと気持ちが楽になったかな」
ずか「おいちゃんはプロデューサー、絵麻は作画監督」
ずか「みーちゃんはボーンに転職してアニメの仕事バリバリやってるみたいだし」
ずか「りーちゃんも脚本家デビューが決まったんだよね」
ずか「……あたしは何も無し」
ずか「あーあ。人生まちがえたかなぁ」
ずか「あ、昨日のスレSSまとめ速報に載ってる」
ずか「やったー。うれしいなぁ」
ずか「……なにやってるんだろ、あたし」
ずか「今頃、みんなアニメの仕事してるんだろうなぁ」
ずか「…………」
ずか「あたしも、がんばろう」
ずか「今はダメでも、四年後……いや、五年後には」
ずか「きっと声優として食べていけてるはず」
ずか「がんばるのよ、しずか! ここが正念場!」
ずか(32)「ひま……」
ずか(32)「今度こそ、今度こそ声優一本でってまたまた居酒屋やめたけど」
ずか「仕事、ないなぁ……」
ずか「貯金もあと少し」
ずか「はぁ……」
ずか「なんJでも見るか」
ずか「メッセ川ンジャー児wwwwwwwwwwww、と」
ずか「阪神ファンを煽るのは楽しいなぁ」
ずか「早くシーズン始まればいいのに」
ずか「へえ、トラウトさん300号か。うちにこないかなぁ」
ずか「はぁ……」
ずか「まとめサイトでも見よう」
ずか「ひますぎてSSを書いてしまった」
ずか「タイトル決めなきゃ。『宮森「声優連続殺人事件?」』と」
ずか「ちょっと気持ちが楽になったかな」
ずか「みんな、すごいよなぁ」
ずか「それに比べてあたしは……」
ずか「……ぐす」
ずか「あ、LINEだ」
ずか「……そっか。あの子、結婚するんだ」
ずか「いいなぁ」
ずか「いつの間にか三十路過ぎだし」
ずか「相手なんているわけないし」
ずか「なのに友達はどんどん結婚するし」
ずか「はぁ……」
ずか「こんな状況じゃ結婚式なんて行けないし」
ずか「どんどん友達が減ってってる気がするなぁ」
ずか「人生、まちがえたか」
ずか「…………」
ずか「しょうがないよね。自分で決めたことだし」
ずか「でも、ずっとこうしているわけにもいかないしなぁ」
ずか「……よし、あと一年」
ずか「あと一年がんばって無理ならあきらめよ」
ずか「精一杯がんばって、お仕事もらうぞ!」
ずか「さあ、練習、練習、と」
ずか(34)「はぁ……」
ずか(34)「あきらめきれないんだよなぁ」
ずか「アニメなんて一年以上出てないし」
ずか「エロゲの仕事ももらえてないけど」
ずか「やっぱり声優で食べていきたいなぁ」
テレビ「今日は今をときめく売れっ子声優のお二人にきてもらいました」
テレビ「ゆいちゃんは現役女子高生。レギュラー3本と学業を両立してるんですよね」
ずか「すごいなぁ」
ずか「あたしなんてベストバリュのチューハイも買えないのに」
ずか「はぁ……」
ずか(35)「うん、決めた」
ずか「やっぱり無理だったんだよね」
ずか「あたし、才能ないからさ」
ずか「なんで声優なんて目指しちゃったのかな」
ずか「おかげで人生めちゃくちゃだよ」
ずか「……でも、後悔はしてないよ」
ずか「友達は減っちゃったし、お金はないし、結婚もできそうにないけど」
ずか「でも、ちゃんとがんばって挫折することができたから」
ずか「これでよかったんだって思うんだ」
ずか「これからはなかなか会えなくなるけど」
ずか「おいちゃんもプロデューサーの仕事、がんばってね」
ずか「うん。また、山形に帰ってきたら飲も」
ずか「じゃあね」
ずか「ふぅ……」
ずか「これでよかった。よかったのよ」
ずか「今日はよろしくお願いします」
引越業者「よろしくお願いします」
引越業者「まず段ボールから先に出しますね」
ずか「はい、お願いします」
引越業者「よっこらせ、と」
ずか「これで東京ともお別れか」
ずか「……あれ、電話だ。電気代ちゃんと振り込んだはずなんだけど」
ずか「もしもし」
ずか「えーっと、あ、はい、お世話になります」
ずか「え……」
ずか「主役、ですか?」
ずか「あの、誰かと間違えてますよね」
ずか「あたし、もう35ですし。女子高生の役なんて」
ずか「え、坂木さんで間違いない?」
ずか「…………」
ずか「……ゆめ?」
ずか「……痛い。夢じゃない」
ずか「…………」
ずか「夢じゃない!」
ずか「あ、あの、すいません。引越キャンセルでお願いします」
ずか「ご迷惑かけてほんとすいません。お金は払いますから、だから」
ずか「はい。ありがとうございます」
ずか「…………」
ずか「……主役、か」
ずか「あ、台本新しくもらわないと」
ずか「……ぐす」
ずか「長かった。長かったよぉ……」
ずか(70)「ひま……」
ずか「旦那はゴルフに行ったし、孫は昨日帰っちゃったし」
ずか「なんJでも見るか」
ずか「昌来年もやるんだ。すごいなぁ」
ずか「はぁ……」
ずか「まとめサイトでも見よ」
ずか「森きのこはおもしろいなぁ」
ずか「おっと、もうこんな時間」
ずか「夕飯の準備しないと」
ずか「あ、電話」
ずか「もしもし」
ずか「仕事ですか。ええ。大丈夫ですよ」
ずか「はい、よろしくお願いします」
ずか「いやいや、女子高生役だってできますよ」
ずか「ほんとですって」
ずか「あたしは死ぬまで現役ですから」
おわり
感想くれたらうれしい。
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1426247299/
Entry ⇒ 2016.01.21 | Category ⇒ SHIROBAKO | Comments (0)
宮森「声優連続殺人事件?」
矢野「うん。昨日ので三人目。夜道でいきなり背後から刺されたみたいだって。怖いよね」
宮森「大事件じゃないですか。わたし、知りませんでした。そんなことが起きてたなんて」
矢野「宮森最近大変だもんね。昨日も家帰れてないんでしょ」
宮森「ですね。プロデューサーの仕事って知らないことがいっぱいで」
矢野「一本目だもんね。仕方ないよ」
宮森「でも、ほんと怖いですよね。わたし、声優の友達いるんで気をつけるように言っておきます」
矢野「坂木さんだっけ。最近調子はどうなの?」
宮森「がんばってるみたいです。結果は……まだついてきてないですけど」
宮森「でも、あんなにがんばってるのに報われないわけないです」
矢野「そっか。でも、心配だね」
宮森「ですね」
宮森「ってことがあったんだけど」
ずか「…………」
宮森「夜は人通りが少ない道通っちゃダメだよ」
宮森「少しの距離でもタクシー使ってさ」
宮森「ずかちゃんはそんなお金もったいないって思ってるかもしれないけどさ」
宮森「でも、命の方が大事でしょ。厳しいならタクシーのお金わたしが出すから」
ずか「…………」
宮森「確かにずかちゃんはまだレギュラー一本ももらったことのない無名声優だけどさ」
宮森「でも、声優ってことには変わりはないし」
ずか「…………」
宮森「わたしは今プロデューサーの仕事してる」
宮森「企画を立ててお金を集めてって、制作とは全然違う仕事だけど」
宮森「でも、作品を一から作っていけるのってすごく楽しい」
ずか「…………」
宮森「絶対成功させて次はアンデスチャッキーのリメイクやるんだ」
宮森「そのときはずかちゃんにも出て欲しい」
宮森「勿論、オーディションで受かったらだけど」
ずか「…………」
絵麻「え、ほんとなの……」
絵麻「おいちゃんが刺されたって……」
絵麻「うん、うん……。そう。例の連続殺人事件と手口が一緒なんだ」
絵麻「わたしも気をつけるね」
絵麻「……あれ、また電話」
絵麻「ずかちゃん、久しぶり」
絵麻「おいちゃんのこと聞いた?」
絵麻「心配だよね。ずかちゃんも気をつけないとダメだよ」
絵麻「タクシー代出せないならわたし出すし」
絵麻「大丈夫。最近、作監の仕事がいっぱいくるようになってちょっと余裕あるんだ」
ずか「…………」
絵麻「わたしは今、作監の仕事がメインかな。今度監督もするよう言われてる」
絵麻「ずっと夢見てたことだったのに」
絵麻「こんなにうまくいくなんて自分でも信じられないくらい」
ずか「…………」
絵麻「毎日がすごく楽しくてあっという間」
絵麻「好きなことで食べていけるってほんと幸せ」
絵麻「ずかちゃんもそうなれたらいいね」
ずか「…………」
美沙「そんな、ありえないよ……」
美沙「絵麻先輩が刺されたって……」
美沙「例の連続殺人事件と同じ手口なんだ」
美沙「お葬式は明日なんだ。わかった、ありがとう」
美沙「絵麻先輩……」
美沙「……また電話だ」
美沙「ずかちゃん先輩、お久しぶりです」
美沙「聞きました? おいちゃん先輩と絵麻先輩のこと」
美沙「おいちゃん先輩は意識不明。絵麻先輩は……」
美沙「絶対許せないです」
ずか「…………」
美沙「ずかちゃん先輩も気をつけないとダメですよ。タクシー代出せないならわたしが出しますし」
美沙「大丈夫です。最近わたしの会社軌道に乗ってきまして。タクシー代くらい余裕で出せるので」
ずか「…………」
美沙「最近は社長としての仕事がメインですね」
美沙「一応アニメ関係ではトップの業績をあげてるみたいで」
美沙「今度オフィスを六本木ヒルズに移すんです」
ずか「…………」
美沙「なかなかCGの仕事ができないのはちょっと残念ですけど」
美沙「でも、指名して頼まれることもあるんでそのときはやってます」
美沙「一応業界一のクリエイターって言われてるので。そうだ。今度情熱大陸出るんです。見てくださいね」
ずか「…………」
みどり「え、ほんとっすか……」
みどり「みーちゃん先輩まで……」
みどり「お葬式は明日なんすね……」
みどり「でも、よかったっす。おいちゃん先輩の目が覚めて。本当ならもっと素直によろこべたんすけど」
みどり「わたし? わたしは大丈夫っすよ。最近アニメの仕事あんまりしてないですし」
みどり「わかりました。一応気をつけるっす。心配してくれてありがとうございます。それでは」
みどり「なんか全然実感わかないっすね……」
みどり「あれ、また電話」
みどり「ずかちゃん先輩、お久しぶりっす」
みどり「絵麻先輩もみーちゃん先輩も」
みどり「もう会うことはできないんすね」
みどり「信じられないっす。またいつでもお話しできるような気がして」
ずか「…………」
みどり「ずかちゃん先輩も気をつけないとダメっすよ。タクシー代出せないならわたしが出すっすから」
みどり「大丈夫っす。わたし、億万長者っすから」
ずか「…………」
みどり「最近はハリウッドでの仕事がメインっすね」
みどり「いい加減、日本に帰りたいんすけど、今度の仕事はわたしの長編が原作だからって泣きつかれちゃって」
みどり「ほんと。イーストウッド先輩も困ったもんす」
ずか「…………」
みどり「アニメの仕事が恋しいっすよ」
みどり「でも、集英社から新作の長編お願いしますって言われてるんでそれが終わってからっすね」
みどり「売れっ子になっても幸せってわけじゃないんすよね。ノーベル文学賞も正直いらなかったんすけど」
ずか「…………」
みどり「しかし、この犯人もわかんないっすよね」
みどり「初めは声優で、次は制作ってのはわかるんす。でも、みーちゃん先輩ってCGの人じゃないっすか」
みどり「もっとその前に狙う人いるような気がするんすよ」
みどり「これじゃまるでアニメ同好会の人が狙われてるみたいっすよね」
ずか「…………」
みどり「あれ? もしかして」
みどり「ずかちゃん先輩、まさか……」
ずか「…………」
みどり「ダメっすよ。早く家に帰らないと」
みどり「ずかちゃん先輩声優でアニメ同好会ってダブルリーチじゃないっすか」
みどり「無名とかそんなの関係ないっす。。死んだら終わりっすよ。生きてたらどうにでもなるじゃないっすか」
ずか「…………」
みどり「早く、家に帰りましょう。わたし、家まで送りますから」
みどり「タクシー代? そんなのいいっすから」
ずか「…………」
宮森「そう、りーちゃんも」
宮森「うん、わかった。今日退院だから。お葬式も行けると思う」
宮森「…………」
宮森「…………」
宮森「……電話だ」
宮森「……ずかちゃん」
宮森「絵麻もみーちゃんもりーちゃんも」
宮森「みんな死んじゃった」
宮森「みんな、いっぱい挫折して、それでもあきらめずにがんばって」
宮森「やっとうまくいきはじめたところだったのに」
ずか「…………」
宮森「こんなの、あんまり、あんまりだよ」
宮森「わたし、犯人のこと絶対に許せない」
ずか「…………」
宮森「でも、さ。こうも思うんだ」
宮森「もしかしたら犯人にもなにか事情があったんじゃないかって」
宮森「絶対に許せないことだよ。でも、そうするしかないところまで追い詰められていたのかなって」
ずか「…………」
宮森「わたしさ。実は刺された夜、犯人の顔見えたんだ」
ずか「…………」
宮森「わたしたちさ。仕事上での立場が変わって、なかなか会えなくなって、金銭感覚もあわなくなって」
宮森「それでも、がんばって会う時間を作ってたけどさ」
宮森「それが、ずかちゃんの負担になってたのかな」
ずか「…………」
宮森「他の人なら絶対に許せない」
宮森「でも、ずかちゃんなら、わたし、許せるよ」
宮森「ねえ、ずかちゃん。本当のこと、教えて」
ずか「…………」
宮森「そっか」
宮森「そうだったんだね」
宮森「ごめんね、ずかちゃん」
ずか「…………」
宮森「ねえ、いいよ、わたし。ずかちゃんなら」
宮森「ずかちゃんは大切な友達だから」
宮森「……うん」
宮森「天国から応援してるから。じゃあね」
ずか「…………」
ずか「…………」
ずか「…………」
ずか「…………」
ずか「…………」
ずか「…………」
ずか「…………」
ずか「……電話」
ずか「え、主役ですか? わたしが?」
ずか「おいちゃんが推薦してくれてたんですか」
ずか「はい、はい……わかりました」
ずか「…………」
ずか「…………」
ずか「…………」
ずか「…………」
ずか「…………」
おわり
感想くれるとうれしい。
シリアスギャグやりたかったので笑ったってコメうれしかった。
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1426247299/
よかったらこっちもよろしく。
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1426240211/
Entry ⇒ 2016.01.20 | Category ⇒ SHIROBAKO | Comments (0)
みゃーもり「ミムジー「レ○プってなに?」ロロ「無理矢理セックスをすることだよ」」
みゃーもり「ミムジー「なによそれ!最低!」ロロ「仕方ないよ...世の中にはモテない男がたくさんいるんだ」」
平岡「おい、タローこいつなんかブツブツ言ってんぞ」
みゃーもり「ミムジー「許せない!警察に突き出しちゃいましょ!」ロロ「ダメだよ...そんことしたは画像や動画が流出しちゃう...」」
タロー「ほっといても大丈夫でしょwwwそれよりだいちゃんこの後飲みにいこうぜwwww」
平岡「そうだな...なんか腹減ったし...そんじゃまあ、今回のことは他言無用で頼みますよ、宮森デスク」
みゃーもり「....」
宮森「服着て…木佐さんの家へ原画回収に行かなくちゃ…」
宮森「もう…嫌だよぉ…なんでこんなことにぃ…」
みゃーもり「これ…中出しって言うんだよね…赤ちゃんできちゃうのかな…」
本田「ただいまー。宮森さんいるのー?」
みゃーもり「本田さん!早く服を着なくちゃ!!」
みゃーもり「い、いえ!ちょ、ちょっとスケジュールの確認をしてたんですけど、なかなか押してるみたいで…」
本田「そっかー、KUROBAKO最終回の進行、大変だと思うけど頑張ってね?」
みゃーもり「は、はい!高梨さんみたいなのが2人いたら大変ですもんね!」
本田「そんなことになったらムサニ潰れちゃうからねー。ん?宮森さん、ヨーグルトでも食べてたの?床に白いものが垂れてるみたいだけど。」
本田「ははは。宮森さんはドーナツが本当に好きだねー。だけど原画はくれぐれも汚さないでね?最終回で万策尽きるようなことになったら原作レイプより酷いことになっちゃうから」
宮森ビクビクッ「そ、そうですね…わ、私木佐さんのところへ原画回収に行ってきます…」
本田「おっ、気をつけてねー」
平岡「あぁ。上の口はやかましいくせに下の口はきつきつだんまりだったな。これであいつも今後出しゃばることはないだろうな」
タロー「それにしてもあいつ陰毛生えてなかったなwwwwww手入れしてるみたいだったぜwwwwwかなり上物だったけどなwwww」
平岡「まぁこれからも楽しませてもらうとするか。今からドンキ行っておもちゃ買ってくか」
みゃーもり「ありがとうございます。今回は早かったですn…キャッ!」
風が吹いて宮森のスカートがめくり上がる
木佐「…」
宮森「…」
宮森「み、見ました…?」
木佐「うん」
木佐「……俺さ、DTなんだ。女の子にモテようと思って自転車始めたんだけど、ダメだったんだ」
宮森「えっ…?」
木佐「宮森さんのこと、前からかわいいって思ってたんだよね。今回、原画を早く上げたよね、だからご褒美の一つや二つ貰っても罰は当たらないと思うんだよね」
宮森「えっ、その……それは本当に助かりました…でもっ、あの、私にできることなんて木佐「あるじゃん」
宮森「…えっ?」
宮森「ちょっ、や、やめてください!何してるか分かってるんですか!?」
木佐「いいじゃん、減るものじゃないんだし。それとも…この原画…いらない?宮森さんがいらないっていうんなら今ここで破り捨ててもいいんだよ?」
宮森「えっ!?やめてくだ木佐「じゃあヤらせてよ」
宮森「!?」
木佐「どーする?早く仕上げたとはいえ、今から書き直したら納品には絶対間に合わないよ?」
宮森「……」
宮森「……よ…」
木佐「ん?」
宮森「…だよぉ……でこんなことになるのぉ…いやだよぉ…えまちゃん…ずかちゃん…りーちゃん…助けてよぉ…もう痛いこといやだよ…」
木佐「おーおーおー」
グイッ
みゃーもり「!いやだ!やめて!やめてください木佐さん!お願いします!他にできることなら何でもしますからいやだいやだよ助けてねいちゃん!!!」
木佐「だったら中に入れよおらっ!!」
木佐「誰も助けなんてこねーよ!おら、暴れんなこら!今社長が可愛がってやるからなー」
みゃーもり「いやっ!!!助けて!!!木佐「わめくな!!」ドゴッ あぐ!!」
木佐「おらっ!!」ゴスッ
みゃーもり「かはっ…もう…やめ…てください…」
木佐「言うこと聞くか?」
みゃーもり「……」
木佐「もう一発やんぞ?」
みゃーもり「やめて…やめてぇ…」
木佐「おし、今可愛がってやるからな、み ゃ ー も り」
楽しかったよ
よくやったよお疲れ
掲載元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1447102878/
Entry ⇒ 2015.11.14 | Category ⇒ SHIROBAKO | Comments (0)
【SHIROBAKO】タロー「あ、平岡さんちーっす!俺に何か用ッスか?」
タロー「ああー!礼なんていらないッスよ!浮いてる奴がいたら接してやるってのが俺の流儀ですし!!」
平岡「あぁそうかい」イライラ
タロー「つーか、話ってそれだけッスか?」
平岡「……」ビキビキ
平岡「お前ちょっと無能すぎるから指導してやるよ」
タロー「いや、指導とかいらないッス、俺って自己流しかできない男なんで!」
平岡「いいからこいアホ!」
タロー「あぁー!ちょっと!引っ張らないで下さいよ!」
平岡「お前いつもいつもチビ女とかイデポン女に説教されて恥ずかしくないのか?」
タロー「いやー!女の子からの説教とか俺的にはご褒美?っていうか」
タロー「んじゃ、俺忙しいんで」
平岡「おい!」ドンッ
タロー「なんなんスかもう!?俺何で男に壁ドンされなきゃなんないんスか!?」
タロー「壁ドンは俺が女の子落とすときに……」
チュウウ
タロー「!?」
平岡「何言っても通じないみたいだから身体で指導してやるよ」
タロー「はぁ!?ちょちょっ!BLとかマジNGなんで!!ホモとかほんとお断りなんで!!」
平岡「……」クイッ
タロー「ちょーっ!!ほんと勘弁して下さいよ!!」
チュウウ
タロー「んぐーっ!!んぐぐーっ!!」
平岡「どうだ?」
タロー「マジ吐きそうッス……なんでこんなことするんスか……」
平岡「そうかキスはダメか」
タロー「いや、キスとかじゃなくてもう近寄んないで欲しいッス、BLとかほんと勘弁なんで……」
カチャカチャ
タロー「ちょ!何ベルト外してんスか!?」
タロー「う、うるさいッスね!」
平岡「ほらよ」シコシコ
タロー「ちょ!何触ってんスか!おほっ……」
平岡「枕営業でこの地位まで上がってきたんだ、テクには自信あるぜ」
タロー「枕営業してもその地位ッスか……ショボいッスね」
平岡「……」イラッ
ギュッ
タロー「あ痛ー!!!!うわあああ!!!」
平岡「不能にするぞ」
タロー「す、すんません……」
タロー「うぅぅ……すげーッス……んほぉ……」ハァハァ
平岡「ふふ……」
タロー「ち、ちくしょー!悔しいッス!だけど持続力のタローと呼ばれた俺を……」
タロー「あふっ」
ドピュッ
平岡「おいおい5分かかってねーじゃねーか持続力のタローよ」
タロー「た、たまたまッスよ!たまたまだけに!」
ギュッ
タロー「っぁあ痛ー!!!!すんませんしたー!!」
タロー「いやこちら側ってなんスか……まるでたくさんいるみたいな言い方じゃないッスか」
平岡「……」
タロー「え?ちょ、冗談ッスよね?」
平岡「……明日もここに来い、来なかったら社長に今日の動画を見せる」
タロー「え……?動画撮ってたんスか?」キョロキョロ
平岡「社長はハードだからな、枕営業してた俺でも2週間は尻が痛かった」
タロー「げ……」ゾク…
平岡「俺が少しずつ慣らしてやるよ」
タロー「いや、いらねーッスよそんなの!女の子と一緒とかじゃないと!」
平岡「社長は女装趣味があるぞ」
タロー「おえええええ!!!」
その頃……
パンッパンッ
本田「監督っ!また太りましたねぇっ!?」ハァッハァッ
本田「また一段と柔らかくなって最高です!!」ハァッハァッ
木下「もっと!もっと腹の肉つまんで!もっと強く!」プルンプルン
本田「監督のお腹っ!プルンプルン天国ですよ!」
木下「それ言っちゃらめぇぇぇっ!」ドビュルルル
本田「トラウマ刺激するとすぐイっちゃいますね監督っ!」
本田「ああっ!僕も!」ドビッドビュルル
木下「ハァッハァッ」
本田「久しぶりの監督最高でした……」
木下「僕も……いいコンテが浮かんできたよ!」
本田「頑張ってくださいね!」
木下「うん!がんばるよ!」
翌年、木下誠一はボーイズアナルファッカーで賞を受賞した
完
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Entry ⇒ 2015.11.08 | Category ⇒ SHIROBAKO | Comments (0)
宮森「私は矢野さんになら抱かれてもいいんですよ!」矢野「えっ」
佐藤「宮森さん、具合悪そうですけど大丈夫ですか?」
宮森「昨日ちょっと飲み過ぎちゃってね」
宮森「普段はそんなに飲まないんだけどね」
佐藤「それがまた何故? 何か嫌なことでも……」
宮森「違う違う。昨日は久々に矢野さんと飲んだからさ。ついテンション上がっちゃって」
佐藤「はあ、それでですか」
宮森「佐藤さんは前の仕事ではそう言うのなかったの?」
佐藤「全然なかったです。飲み会はありましたけど、付き合いで出席させられるのばっかりで」
宮森「あー」
佐藤「私も宮森さんとお酒飲みに行きたいです」
宮森「ああ、じゃあ今度行っちゃう? 安藤さんも誘って」
佐藤「え、いいんですか?」
佐藤「ありがとうございます、楽しみです」
矢野「おはよー……」
宮森「あっ、矢野さんおはようございます」
矢野「あっ……みゃーもり」
矢野「…………」プイッ
宮森「あ、あれ、矢野さん?」
佐藤「どうしたんでしょうか」
宮森「わかんない……なにか怒ってるのかな」
佐藤「……もしかして、昨日飲んだときに何か」
宮森「怒らせるようなことしちゃったのかな」
宮森「なんにも覚えてないんだよね」
佐藤「相当飲んでたんですね……」
宮森「2杯め飲んだとこまでは記憶あるんだけど」
佐藤「相当弱いですね!」
宮森「どうしよう」
佐藤「とりあえず謝ったほうがいいんじゃないですか」
宮森「そうだね……」
矢野「ん?」
宮森「ゆ、昨夜はすみませんでした……つい飲み過ぎてしまって……」
矢野「い、いや、いいよ、別に……」ドギマギ
宮森「あの、酔っ払ってのことなので、ゆうべ言ったりやったりしたことは本心じゃないですから!
なにか矢野さんに対して変なことしてたら申し訳なく……」
矢野「本心じゃない?」
宮森「え、はい」
矢野「……ああ、そうなんだ、そう、ふうん」
宮森「や、矢野さん?」
宮森「え?」
矢野「みゃーもりとは話す気になれないよ」ガタッ
宮森「や、矢野さん!」
佐藤「完全に怒ってますね」
宮森「ど、どうしよう……」
佐藤「今日は、って言ってましたから……明日になったら許してくれてると思います」
宮森「だといいけど」
佐藤「こういう日こそ飲んで忘れましょう」
宮森「そうだね……」
佐藤「すみません遅れました」
宮森「安藤さんは?」
佐藤「今日は残らないと間に合わないからって」
宮森「そっか。安藤さんだけで大丈夫かな」
佐藤「矢野さんも残られてましたから大丈夫でしょう」
宮森「ウッ……矢野さん……」
佐藤「心の傷は深そうですね」
宮森「なんで怒らせたのか解らないから怖い……」
宮森「佐藤さんの歓迎会のつもりだったのに私の慰め会みたいになってごめんね」
佐藤「いえ、上司を支えるのも部下の役目ですから。ところでどこのお店に」
宮森「松亭ってとこだよ。私の友達がバイトしててね」
佐藤「へえ、宮森さんのお友達ですか。お会いするの楽しみです」
しずか「いらっしゃいませ……あっ、おいちゃん」
宮森「や、ずかちゃん」
佐藤「はじめまして、武蔵野アニメーションで制作進行を務めさせて頂いております佐藤と申します」
宮森「こちらこないだ新しく入った佐藤さん」
しずか「おいちゃん……や、宮森さんの高校の時の同級生だった坂木しずかです」
宮森「おいちゃんでいいよ。ずかちゃんは声優もやってるんだよ」
佐藤「へえ、そうなんですか。私リアルの声優さんって初めてお会いしました」
しずか「いやそんな声優ってほどじゃ」
佐藤「坂木さんはどんなアニメに出られてるんですか?」
しずか「カウンター席でいい?」
宮森「うんいいよ」
佐藤「あの」
佐藤「ありがとうございます」
宮森「よーし今日も飲むぞー」グビグビ
しずか「あんまり飲み過ぎちゃダメだよ、おいちゃん。弱いんだから」
宮森「わたしゃあよわくなんからいっ」
佐藤「もう呂律が怪しい!」
しずか「はあ、おいちゃんったらこれだから」
佐藤「いつもこうなんですか」
しずか「そうなんです。すぐ酔っ払って、いろいろと変なことを口走って」
佐藤「あー……」
しずか「それでいて本人は何も覚えてないっていう」
佐藤「なるほど」
しずか「すみません、おいちゃんがご迷惑おかけするかも」
佐藤「いえいえ、いつも私が宮森さんにご迷惑かけっぱなしなので、今日くらいは」
佐藤「宮森さんもう4杯目ですよ」
宮森「まだまだらよ! 佐藤さんものんでのんで」
佐藤「はあ」
宮森「チューハイなんかじゃなくて焼酎ぐいっと行っちゃお、ほらずかちゃんも」
しずか「私は仕事中だから」
宮森「たのしく飲んれるのに仕事の話なんかしないれよ」ダンッ
しずか「ごめん……」
宮森「仕事……あああー……」クタァ
佐藤「どうしました宮森さん」
宮森「ああー私はもうだめだよお……もうやってけないよお」グスッ
佐藤「泣き上戸だったんですか」
しずか「こうなると長いですよ」
佐藤「そんなことないですよ、みんな宮森さんのこと頼りにしてますよ」
宮森「頼られるのがプレッシャーなんだよ」グスグス
佐藤「でもそれに応えられるだけの能力はあるじゃないですか」
宮森「ないよぉー全然ないよぉー」フルフル
佐藤「宮森さんの今までの仕事ぶりが評価されて、デスクを任されたんだと思いますよ」
宮森「そうかなあ……」
佐藤「そうですよ。宮森さんなら出来るって、みなさん思ってるんですよ」
宮森「うう……ありがとう佐藤さん、わたしのことそんなに褒めてくれるの佐藤さんだけだよ」
佐藤「いやそんな」
宮森「実はね」
佐藤「はい」
宮森「私は佐藤さんになら抱かれてもいいと思ってたんだよ」
佐藤「えっ!?」
佐藤「え、ちょ、ちょっと……」
しずか「はあ……またこれかあ」
佐藤「え?」
しずか「おいちゃん、酔うとこうなっちゃうんです。誰かれ構わず抱いて抱いてって」
佐藤「そ、そうだったんですか」
しずか「まあ女の子相手にしか言わないのが唯一の救いなんですけどね」
佐藤「なるほど、じゃあ矢野さんはこれを真に受けて」
しずか「まさか何かトラブルが?」
佐藤「いえ、大丈夫です。今日はもう飲ませないほうがいいですね」
しずか「そうですね……おいちゃん、しっかりして。もう帰ったほうがいいよ」
宮森「私のこと心配してくれるんだね。私ずかちゃんになら抱かれても」
しずか「はいはい」
宮森「枕営業ってやつやってみない?」
しずか「おいちゃんがもっと偉くなったらね!」
宮森「あー頭いた……」
佐藤「宮森さん、具合悪そうですけど大丈夫ですか?」
宮森「昨日ちょっと飲み過ぎちゃった。ごめんね佐藤さん」
佐藤「4杯しか飲んでなかったですけどね」
佐藤「いえ、お気になさらず。近かったので大丈夫ですよ」
宮森「もしかしてゆうべ、佐藤さんに変なこと言ったりしなかった?」
佐藤「いえ……………………それはないですけど」
宮森「何今の長い間は」
佐藤「でもお酒は控えたほうがいいと思いますよ。また矢野さんの時みたいになったらアレですから」
宮森「そうだね……解った、もうお酒は飲まない。禁酒するよ」
佐藤「それが一番いいと思います」
矢野「おはようみゃーもり」
宮森「お、おはようございます矢野さん」
矢野「みゃーもり、○話の××のことなんだけどさ」
宮森「は、はいっ!」
佐藤(矢野さん、ちゃんと切り替えられてる……)
佐藤「はい?」
矢野「昨日みゃーもりと二人で飲んだんだって?」
佐藤「は、はい」
矢野「何もなかった?」
佐藤「…………」
矢野「…………」
佐藤「……なかったですよ」
矢野「そう、ならいいんだけど」
安藤「佐藤さんいいなー、私も宮森さんと飲み行きたいです」
佐藤「宮森さん禁酒されるそうですから、しばらく無理でしょうね」
安藤「えー、そんな~」
――――
佐藤「宮森さん、あれからお酒飲みました?」
宮森「いや、一滴も飲んでないよ。代わりにドーナツ食べてる」
佐藤「どういうことですか?」
宮森「仕事でも飲み会とかないし、正直飲む機会もないんだよね」
佐藤「一人で飲んだりもされないんですね」
宮森「前はよくやってたけど。今は代わりにドーナツで」
佐藤「だからどういうことなんですか」
タロー「おーい、宮森」
宮森「どしたんですかタロさん」
タロー「三女の打ち上げ、今日やるってさ。大丈夫だよなー」
宮森「今日ですか、急ですね」
タロー「みんなの都合つくのが今日だけって。よっし、今日は飲むぞー」
宮森「打ち上げか~」
佐藤「…………」
宮森「いやあでも最初の一杯くらいは付き合わないと」
佐藤「一杯だけですよ、本当に一杯だけにしてくださいね」
宮森「? うん……」
佐藤(打ち上げの席……重役やよそのスタッフも大勢やってくる)
佐藤(そんな場で宮森さんを酔わせてしまったら取り返しの付かないことに)
佐藤(ここは私が……私が宮森さんを守りぬかないと!)
宮森「あー頭いた……」
安藤「…………」
タロー「…………」
平岡「…………」
宮森「ん?」
平岡「いや……」
タロー「あっそうだー、自転車にカギかけるの忘れてたわー」
安藤「…………」
宮森「あれ? 佐藤さんと矢野さんは?」
平岡「…………」
安藤「あっ、ちょ、朝礼始まりますよ」
宮森「え、あ、うん……」
一同「おはようございます」
興津「まずお知らせがあります。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、矢野さんと佐藤さんが辞められました」
宮森「えっ!?」
平岡「…………」
タロー「あー……やっぱり?」
安藤「…………」
興津「制作スタッフの調整については後ほど。それから宮森さん」
宮森「は、はいっ!?」
興津「朝礼が終わったら会議室の方に」
宮森「は、はい……」
興津「なぜ呼び出されたかは解りますね」
宮森「……もしかして、昨日の打ち上げのことでしょうか」
興津「そのとおりです」
宮森「やっぱり……」
興津「やっぱり、とは何です。あなたのせいで矢野さんと佐藤さんは……」
宮森「あの、実は私……何も覚えていないんです」
興津「宮森さん。あんなことをしでかしておいて覚えていないで済ませるつもりですか?」
宮森「ち、違うんです、私お酒飲むと記憶がなくなるみたいで……
だから昨夜何があったのか私何も知らないんです、本当です」
興津「……わかりました。では説明します。昨夜の打ち上げのことを」
宮森「すみません……」
―――
三女打ち上げ
木下「えーでは、三女の最終話が無事に納品されましたことを祝しましてえ、乾杯!」
一同「かんぱーい!」
宮森「かんぱーい」グビグビ
佐藤(宮森さんが飲み過ぎないように私が見張ってないと……)
宮森「あー、仕事が終わった後のビールは格別だねっ」
佐藤「宮森さん、あんまり飲んじゃダメですよ。またこないだみたいに……」
宮森「いやいやちょっとくらいなら大丈夫だから」
佐藤「いやそのちょっとが危ないんですって」
渡辺「やあ宮森、おつかれさん」
宮森「あっ、渡辺さん」
渡辺「初デスクだったけどよくやってくれた。三女の完成は宮森の力あってこそだ」
宮森「いやあそんな、私なんてご迷惑おかけしてばかりで」
でも今日はそんなこと関係なしに労をねぎらわせてくれ。ほらまあ一杯」
宮森「はい、ありがとうございます」ゴク
佐藤「あっ」
渡辺「次のプロジェクトでも期待してるからな」
宮森「はいい、ありやとやす」
佐藤「もうヤバい!」
木下「やー宮森さん、デスクお疲れ様!」
宮森「あー監督ゥ」
木下「いろいろとありがとうね。ほらグラス貸して」
宮森「いやあ監督についでいただくなんて」
木下「せめてもの感謝だよ」トクトク
宮森「ありやとやす、じゃあいただきまぁす」ゴクゴク
佐藤「あああ……」
宮森「はいい」
佐藤「あー喉乾いたなー! あっこんなところにお酒がっ」バッ
木下「佐藤さん!?」
佐藤「グビグビ! うまい!」
宮森「佐藤さぁん、私のお酒ですよぉ」
佐藤「すみません、我慢できなくて!」
井口「うぇーい飲んでるー?」
宮森「あっ井口しゃん」
井口「なにー、宮森さんグラスからじゃん。どんどん飲まなきゃー」
宮森「あーわざわざ注いでいただいてありがとうございやす」
佐藤「あービールだー!」バッ ゴクゴク
井口「うおっ!?」
宮森「あっ、また佐藤さんに取られたぁ」
井口「こらこらー、人のお酒とっちゃダメっしょー」
佐藤「今日はもうとにかく飲みたいんです! もう瓶ごとください!」バッ
井口「うわっ」
佐藤「ゴクゴクゴクゴク!」
井口「すごい! 瓶ごとラッパ飲みしてる!」
木下「すさまじい飲みっぷりだなあ、佐藤さん意外と酒呑み?」
佐藤「ぶは! はい、実はそうなんです!!」
宮森「へえー、私もこう見えてお酒ちゅよいんですよお」
佐藤(正直きつい……けどこうして宮森さんに渡されるお酒は全部私が処理すれば)
佐藤(宮森さんがこれ以上酔っ払うことはなくなる……)
佐藤(私が頑張らないと!)
宮森「あっ、きたきた」
佐藤「それ私です!!」
宮森「えっ」
佐藤「ゴクゴクゴク!」
宮森「あーまた佐藤さんに……すみましぇん、同じのもう一つお願いします」
店員「はいかしこまりましたー」
佐藤(うう、これで何杯目だっけ……頭クラクラしてきた)
安藤「佐藤さん、顔色悪いですよ? 大丈夫ですか?」
佐藤「だ、だいじょうぶ……」
店員「芋焼酎のお湯割り……」
佐藤「私です!」ゴクゴク
宮森「あっまた……そうか、二つ頼めばいいんだ」
佐藤「えっ」
宮森「すみません同じの二つ」
佐藤「2つとももらいます!」
宮森「ええ!?」
佐藤「グビグビ! ゴクゴク! ブハ!」
安藤「おお、すっごい飲みますねえ。よかったらこれも」
佐藤「え?」
安藤「美味しそうだなって思って注文したんですけど口に合わなかったんであげますチョコバナナサワー」
佐藤「う、もうこれ以上は……」
宮森「あっ、じゃあ私がもらうね!」
佐藤「なら私が飲みます!!」ゴクゴク
安藤「おおー」
佐藤「はあ、はあ……」フラフラ
安藤「あっ、佐藤さん酔い潰れちゃった」
宮森「これでやっと落ち着いて飲めるよー。お姉さん、生ビール」
安藤「いえーい、どんどこ飲みましょう宮森さん!」
宮森「どんどこ飲もう! どんどこどーなつどーんと飲もう!」
安藤「なんすかそれ! あっはっは!」
店員「お待たせしました~ビールです~」
宮森「はいこっちですー!」
安藤「じゃあ改めて乾杯ー!」
宮森「かんぱーい!」グビグビ
安藤「あっはっは!」グビグビ
――――
佐藤「う……」
佐藤「いけない、寝ちゃってた」
佐藤「ここは……はっ、打ち上げの席」
佐藤「宮森さん!」
宮森「ああー私はもうだめだよお……もうやってけないよお」グスッ
宮森「もう無理だよ……デスクなんて私には荷が重いよ」ベソベソ
宮森「頼られるのもプレッシャーなんだよ」グスグス
宮森「わかる? 安藤さん!」
安藤「さっぱりわかりません! あっはっは!」
佐藤「ああっもうすっかり出来上がってる!」
佐藤「安藤さんもだいぶアレな感じに!」
安藤「今までと同じノリでやってればいいんですよお!」
安藤「適当にやってりゃ何とかなりますってえ、人生そういうもんなんですよお!」
安藤「私も今までだいぶ適当に生きてきたから分かるんですっ!」
安藤「あっはっは!」
宮森「うう、安藤さんすごいね、強いねえ! なんだか今日は眩しく見えるよ!」
安藤「どんどこ眩しがっちゃってください!」
宮森「安藤さん、私は、私は……!」
佐藤「あっ、み、宮森さ……」
宮森「私は安藤さんになら抱かれてもいいと思ってたんですよおお!!」
佐藤「あああ!」
一同「今の宮森か?」
一同「抱かれたいって聞こえたけど……」ザワザワ
佐藤「あ、ああ……取り返しの付かないことに」
宮森「そうれす、私は安藤さんに抱かれたいんれす!」
佐藤「宮森さん!」
一同「安藤に抱かれたいって」
一同「え? レズ? そっちの趣味?」
一同「男っ気がないと思ったら……」
宮森「ねえ安藤さん! 私を! 私を女にしてくりゃさい!」
安藤「えっ無理です……」
宮森「え」
安藤「私そういうのほんっと無理です……すみません……」
宮森「えええっ!」
安藤「いやマジ無理なんです」
宮森「安藤さん! 私のこと好きじゃないんですかあ!」
安藤「女同士とかマジないですよ男同士なら大歓迎ですけど」
宮森「安藤さん! 一回だけ! 一回だから!」
安藤「一回も二回もないですよ」
宮森「一回やらしてくれたらもーそれ以上しつこくしないからあ!」
矢野「みゃーもりぃ!」
佐藤「矢野さん!?」
矢野「あんた安藤さんに乗り換えるなんて絶対許さないからね!」
矢野「私の初めてあんたに捧げたの忘れたなんて言わせないよ!!」
佐藤「ヤっちゃってたんですか!?」
一同「えっ、レズの三角関係!?」
一同「矢野と宮森に肉体関係!?」
一同「まさかこんなカミングアウトが」ザワザワ
佐藤「あああ、もう……もう……」
佐藤「はっ、興津さん!」
興津「お酒の席だからって言って良いことと悪いことがあります!」
宮森「安藤さん! 思い出に一回だけ!」
安藤「いやムリっす」
矢野「みゃーもりぃ! 私の純潔を返せ!」
興津「3人共、いいかげんに!」
佐藤「ち、違うんです興津さん」
興津「何がです」
佐藤「宮森さんは酔っ払ってるだけで、宮森さんは酔うと……」
興津「酔うと?」
佐藤「…………」
興津「?」
佐藤「うっ」
タロー「うわあ佐藤さんが吐いた!」
遠藤「興津女史にぶっかけ!?」
みどり「マジでゲロまみれっすね!」
絵麻「おいちゃんやっぱりレズだったんだ……」
円「うっ、もらいゲロ……」
山田「ひいい、こっちくんな!」
木下「みんな謝ろ? 興津さんに謝ろ? ね?」
矢野「みゃーもりぃ!」
宮森「安藤さん!」
安藤「ムリっす」
興津「…………」
佐藤「万策、尽きました……」バタリ
――――
興津「以上が昨夜の顛末です」
宮森「…………」
興津「本当に全く覚えていないんですか」
宮森「まったく記憶にありません……」
興津「矢野さんと肉体関係を持ったことも?」
宮森「はい、覚えていません……けど」
興津「けど?」
宮森「矢野さんと飲んだ日の次の朝、なぜか朝ごはんが用意してありました」
興津「間違いなく矢野さんですね」
興津「なんですか」
宮森「矢野さんと佐藤さんが辞めたって本当ですか」
興津「本当です。二人とも今朝早くに退職届を持ってきました」
宮森「矢野さんは何で」
興津「人間関係に耐えられないからと」
宮森「佐藤さんは……」
興津「上司に大変な失礼を働いてしまったことと、そして」
宮森「そして?」
興津「上司を救えなかったことの責任を取ると」
宮森「…………」
興津「そう言っていました」
宮森「全部、全部私の酒癖の悪さが原因なのに」
宮森「どうして佐藤さんがそこまで……」
興津「それは、佐藤さんがあなたを大切に思っていたこと言うことです」
興津「上司として以上に、一人の人として」
興津「宮森あおいという人間を、尊敬していたということです」
宮森「…………」
興津「おそらくあの場で宮森さんの酒癖を知っていたのは彼女だけ」
興津「みなの前で宮森さんに恥をかかせてはいけない」
興津「宮森さんを、これからもムサニのエースでいつづけさせるために」
興津「宮森さんを守らなければならない」
興津「彼女はそのために体を張って……」
宮森「佐藤さん……」
興津「なんですか」
宮森「私は佐藤さんになら抱かれてもいいです」グスッ
興津「待って」
お わ り
宮森とのカップリングは誰がベストか寝ずに考えた結果葛城さんに落ち着きました
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Entry ⇒ 2015.06.16 | Category ⇒ SHIROBAKO | Comments (0)
宮森「最近、平岡さんの様子がおかしいんです」
平岡「うぃーす」
瀬川「いらっしゃい、平岡くん」プルン
平岡「あがり持ってきました」
瀬川「そう、ご苦労様。入って」
平岡「ここで良いですよ、もう夜も遅いんで」
瀬川「良いから入りなさい」
平岡「はあ……じゃあ、お邪魔します」
瀬川「……」バタン
瀬川「平岡くん、私は怒ってるのよ」
平岡「は?」
瀬川「私の宮森さんに迷惑かけて困らせて」
瀬川「あのときは宮森さんの顔を立てて許すと言ったけど、本当にあなたを許したわけじゃないの」
平岡「でもあれから原画マンはちゃんと瀬川さんに選んでもらってますよね」
瀬川「そんなのはどうでもいいの」
瀬川「宮森さんを困らせたのが問題なのよ」
瀬川「最低のクズだわ。許せない」
平岡(こわい)
瀬川「そうね、まず脱いで」
平岡「はあ?」
瀬川「早くして」
平岡「ハア……何言ってんすか?俺はもう帰ります」
平岡「今のは聞かなかったことにするんで、瀬川さんもちゃんと頭冷やしてくださいよ」
瀬川「そう、帰るの。なら今後ムサニの仕事は一切受けないし、私の身内のアニメーターにもそう指示します」
瀬川「そうなったら会社はどうなると思う?」
平岡「……あんた、何言ってんだ」
瀬川「良いのよ帰っても」
平岡「……チッ」
瀬川「脱ぎなさい」
瀬川「全部よ」
平岡「クソッ」ヌギヌギ
瀬川「よし、カメラもちゃんと回ってるわね」
平岡「は、カメラ!?なんで」
瀬川「FC2にあげるからよ」
平岡「なんだよそれ!ふざけんな!」
瀬川「会社潰れても良いの?」
平岡「……」
平岡「こ、これは」ムクッ
瀬川「なんで何もしてないのにそんなに大きくしてるのよ」
平岡「……チッ」
瀬川「最低ね」
瀬川「真剣な話をしてる人の胸をジロジロ見て、こんなに大きくするなんて」
瀬川「とんだ変態野郎だわ。目も当てられない」
瀬川「短小だし、生きてる価値ないんじゃないの?」
平岡「クウゥッ」ビンビン
瀬川「ホントに変態なのね」
平岡「アッ!」ビクンビクン
瀬川「あんたみたいなどクズの汚いのを踏んであげるんだから、ありがたく思いなさい」ギュムギュム
平岡「ウッ!アウッ!」ダラダラ
瀬川「うわ……気持ち悪」グイイッ
平岡「オフォォォッ!」ドピュ
瀬川「はあ汚かった。ちょっと早すぎるんじゃないの?」
平岡「……」
瀬川「何泣いてんの?」
平岡「グスン」
瀬川「今日はこんなところで勘弁してあげる」
瀬川「明日もあがり届けに来るよね?覚悟してきなさいよ」
平岡「うぅ……」
瀬川「いつまで泣いてるのよ、キモい」
平岡「……今の動画、ほんとにアップするんですか」
瀬川「大丈夫よ。有料会員限定だから」
平岡「ホッ」
平岡「うぃーす……」
宮森「……」
宮森「……平岡さん、最近どうしちゃったんですか?」
平岡「は?」
宮森「朝礼もあんまり出てくれなくなったし……。何か事情があるなら相談してください」
平岡「別にねえよ事情とか」
宮森「じゃあどうして」
平岡「……」チッ
宮森「平岡さん!」
平岡「はいはいわかりましたよデスク様。すみませんでした。明日は出ますよ」ガチャ
宮森「待って下さい!まだ話は」
平岡「回収あるんで。失礼します」バタン
宮森「ちょっ……」
宮森「……はあ」
宮森(平岡さん、ここ一ヶ月なんか変だな)
宮森(なんとなくやつれてきたような気がするし、顔色も良くないし、いつも上の空だし)
宮森(前はちゃんと朝礼にも出てくれてたのに、最近はまた遅刻気味だし)
宮森(回収に言ったきりなかなか帰って来ないこともあるし……)
宮森(せっかく団結してきたと思ったのに)
宮森(はあ……)
瀬川「はいはい」ガチャプルン
平岡「あがりです」
瀬川「どうも。あがって」
平岡「もう勘弁してください……」
瀬川「良いの?そんなこと言って」
瀬川「ムサニなくなっちゃうよ」
平岡「……」
瀬川「早くしなさい」
平岡「クッ……」
瀬川「あなたのシリーズ評判良いのよ」
瀬川「中身はクズだけど、見た目は結構受けが良いのね」
瀬川「なかなか良い値段が振り込まれてて助かるわ」
瀬川「今日もたっぷり撮り溜めするからね」
瀬川「いつものセリフ言いなさい」
平岡「……ぼ……」
平岡「……僕は皆にオナ○ーを見られるのが大好きな変態アラサーマゾヒストの平岡大輔です……」
瀬川「はいよくできました、脱いで」
平岡(今すぐ死にたい)
瀬川「平岡くん、あなた赤ちゃんプレイが好きなんだって?」
平岡「は?誰からそんな」
瀬川「本当なんだ」
平岡「うっ」
瀬川「はあ……とんだ変態ね」
平岡「関係ないだろ……」
瀬川「吸いたい?」プルン
平岡「えっ」ドキン
瀬川「顔を赤らめないで、非常に気持ちが悪い」
平岡「ふぇぇん」ビンビン
瀬川「でもそうね、平岡くんは今まで頑張ってくれたし」
瀬川「少しくらいなら、許しても良いわよ」
平岡「べ、別に……」
瀬川「たってるよ」
平岡「」ムクムク
瀬川「ほら」プリン
平岡「……」
平岡「うぅ……」チュ
瀬川「はあ……」
瀬川「ねえ、あなたテクニックもないのね。何か良いとこあるの?」
瀬川「みっともなくジュルジュルおっぱい吸って興奮しちゃって」
瀬川「こんな姿男として屈辱だと思わないわけ?」
瀬川「ほんと気持ち悪い」
平岡「グスン……」モミモミチュパチュパビンビン
瀬川「うーん、なかなか良い動画が撮れたわ」
瀬川「朝まで頑張った甲斐があったわね」
平岡「もう帰ってもいいっすか……」
瀬川「だめよ。まだ撮るから」
平岡「お願いします……今日は……」
瀬川「どうして?」
平岡「……」
平岡「デスクに朝礼出るって約束したんです……」
瀬川「……」
瀬川「喋ったの?」
平岡「は?」
瀬川「宮森さんと喋ったのね?」
平岡「」
瀬川「許せない」
平岡「なんでだよ」
瀬川「いやらしい。宮森さんに気に入られて何するつもり?」
瀬川「そういう事情なら尚更帰せないわ。朝礼には出しません」
平岡「勘弁してください……お願いします……」
瀬川「どうして?朝礼なんてどうでもいいって言ってたじゃないの」
平岡「……」
平岡「……チッ」
平岡「……これ以上あいつを裏切りたくないんで……」
瀬川「……」
瀬川「ふうん。そういうこと」
平岡「……」
瀬川「良いよ」
瀬川「もうムサニの仕事は受けないけどね」
平岡「ッ!」
平岡「おい、大人しくきいてりゃ汚えぞ!」
瀬川「ふーん、良いのね?」
平岡「いい加減にしろ……!」
瀬川「元々はあなたの態度がことの発端だったんだけど」
平岡「……」
瀬川「もう一度ききます。ムサニの仕事は受けないけど良いのね?」
平岡「くっ……!」
瀬川「そうそう、大人しくきいてりゃいいのよ」
平岡「クソぉ……」
瀬川「あーあ、朝礼始まっちゃったね」
瀬川「上司との約束を破って最低な男ね」
平岡「うるせえ……うるせえ……」グッ
携帯「プルプルプル」
瀬川「宮森さんね?」
平岡「フン」
瀬川「うーん、そうね」
瀬川「良いよ。出なさい」
携帯「ピッ」
宮森『平岡さん!!どうしたんですか?今日は朝礼出てくれるって言ったじゃないですか!!』
平岡「うっせえな……声でけえよ……」
宮森『どういうことなんですか!?ちゃんと説明してください!』
平岡「はいはい、すみませんでしたね……」
宮森『説明してくださいよ!』
平岡「別になんでもねえようっせえな……」
瀬川「……」カキカキ
平岡「?」
瀬川『赤ちゃんパブに行ってました』ピラッ
平岡「はあっ!?」
宮森『平岡さん?どうしました!?』
瀬川(早く言いなさい!)
平岡「くっ……」
平岡「クソがぁ……」プルプル
平岡「あっ……赤ちゃんパブに……行ってました……」
宮森『え!?あかちゃ……?』
平岡「くそ!」ブツッ
平岡「くそぉ……くそぉ……」
瀬川「あーあ。仕事サボって風俗行くとかほんと最低男ね」
瀬川「完璧に嫌われちゃったね、宮森さんに」
瀬川「私だったら屈辱で生きていけないわ。赤ちゃんパブ通いで仕事すっぽかす変態だなんて知られたら」
平岡「てめえおぼえとけよ……」
瀬川「あら、そんなクチのききかたして良いの?」
平岡「チクショー……」
宮森「平岡さん!平岡さん!?」ツーツー
宮森「切れちゃった……」
宮森「赤ちゃんパブ……って、風俗……?」
宮森「平岡さん、そんな人じゃなかったのに……」
平岡「…………」ガチャ
宮森「平岡さん!今日の電話どういうことですか?」
平岡「別に……」
宮森「別にじゃわかりません」
平岡「うるせえなデスク様は。別になんでもねえよ」
宮森「ちゃんと出社するって、約束したのに……」
平岡「……」
宮森「風俗に行ってたんですか?」
平岡「……行ってねえよ」
宮森「じゃあ、あの電話は……?」
平岡「冗談。それくらいわかれよ堅物だな」
宮森「じゃあなんで!!」
平岡「別に。ダルかっただけだよ。あんまりでけえ声出すな、頭痛い」
宮森「明日からはちゃんと出てくれますか?」
平岡「……チッ」
宮森「平岡さん?」
平岡「へいへいすみませんね。なるべく気を付けますよ。ちょっと出てきます」ガチャ
宮森「平岡さん!約束ですからね!」
平岡「チッうるせえな」バタン
宮森「……」
宮森「平岡さん、なんとなく辛そうだった気がする」
宮森「顔色もどんどん悪くなって」
宮森「私、どうすれば良いんだろう……」
平岡「……」
瀬川「……」
瀬川(最近、平岡くんの反応が薄くなってきたわね)
瀬川(なんだか目も虚ろだし)
瀬川(まあ当たり前か、制作進行のただでさえ少ない時間を奪ってるんだしね)
瀬川(あんまり寝かせてないしなあ)
瀬川(はあ、宮森さんのおっぱいもみたいなあ)
平岡「……」
平岡「はあ」
瀬川「最近ボーッとしてるわね」
平岡「そうっすか」
瀬川「無抵抗なのは良いけど、それじゃあ私もつまらないのよね」
平岡「知らねえよ……」
瀬川「……」
瀬川「平岡くん」
瀬川「アナタのいやらしいエロ動画、宮森さんに見せるわね」
瀬川「最近の平岡くんの態度に私もウンザリしてるのよ」
瀬川「だから罰として、宮森さんにあなたの屈辱的な変態エロビデオを観てもらいます」
瀬川「平岡くんは宮森さんとの約束を破って、仕事せずにこんなことしてましたってね」
瀬川「これが最後のお仕置きよ」
平岡「てめえ……ふざけるのも大概にしろよ……?」ガタッ
瀬川「ふざけてません。もしそれを拒否するなら、私の身内のアニメーターにはムサニの仕事を受けないように言います。私もムサニからの仕事は受けません」
平岡「だからなんでなんだよ!俺が何したって言うんだ!」
瀬川「二択よ平岡くん」
平岡「うるせえ!うるせえよ!黙れ黙れ!」バンッ
瀬川「選んで」
平岡「黙れっつってんだろ!」ダンダン
瀬川「ムサニを守る?見捨てる?」
平岡「くそがああああああああああああああ!!!」ドカッ
平岡「……ハアハア」ゼエゼエ
瀬川(ご近所、大丈夫かな)
平岡「……」
瀬川「まだ返事をきいてないんだけど」
平岡「……クソぉ……」
瀬川「平岡くん」
平岡「もう、勘弁してくれ……頼むから……」
瀬川「質問に答えなさい」
平岡「……お願いします……俺が悪かったなら謝ります……」
平岡「会社も辞めます……もうデスクには近づきませんから……」
瀬川「早くどっちか選んで」
平岡「……」
平岡「……好きにしろよ……」
瀬川「それはどっちの意味?」
平岡「……なんでも好きに見せれば良いだろ……」
瀬川「わかった。そうする」
瀬川(意外、彼がこの選択をするなんて)
平岡「くそっ……くそっ……くそぉ……」
瀬川「ちょっと、汚いから泣かないで」
瀬川(はあ、宮森さんのおっぱい食べたい)
瀬川「はーい」ガチャ
宮森「お世話になってます。武蔵野アニメーションの宮森です」
瀬川「久しぶりね宮森さん。どうぞ上がって」
宮森「お邪魔します」
瀬川「今、お茶淹れるから」
宮森「そんな、どうぞお構いなく! それより、話ってなんですか?」
瀬川「私の担当の平岡くんのことなんだけど」コトッ
宮森「あの、平岡がまた何か……?」
瀬川「ええ……」
瀬川「ちょっと、見て欲しいものがあるの」カタカタ
瀬川「……」
瀬川「宮森さん、平岡くんのことどう思ってるの?」
宮森「うーん……確かに以前の平岡の勤務態度には問題がありましたけど、最近は本人も努力していると思います」
瀬川「でも、ここのところはまた態度が悪いんじゃない?」
宮森「……そうですね……きっと何か事情があるんだと思うんですけど……」
瀬川「彼、元々粗暴でしょ?また素が出ただけかもしれないよ」
宮森「そうかもしれません」
宮森「でも、あんな人でも仲間ですから」
宮森「それに、なんとなく感じるんですけど」
宮森「平岡さんは不器用なだけで、本当は優しい人だと思うんです」
宮森「だから、信じてあげたいなって」
瀬川「……」
瀬川「そうね」
瀬川「私もそう思う」
瀬川「……」カタカタ
瀬川「宮森さん。今から何を見せても、驚かないでくれる?」
平岡「はあ……」
平岡「……」
平岡(久々に家に帰って来た気がする)
ケメコ「ミャオン」スリスリ
平岡「ケメコ……」
平岡「あんまり俺に触らないほうが良いよ」
平岡「俺、汚い変態野郎だから」
携帯「ブルブルブル」
平岡「!あいつか……」
携帯「ブルブルブル」
平岡(出たくねえな……)
携帯「ブルブルブル」
平岡「……」
携帯「ブルブルブル」
平岡「……チッ」ピッ
平岡「はい」
平岡「いきなりだな」
宮森『瀬川さんにききました』
宮森『仕事をサボって、その……エッチなビデオに出てたんですね』
平岡「……ああ、見たのか……」
宮森『瀬川さんすごく悲しそうでした。最近は頑張ってると思ってたのにって……』
宮森『私もすごく残念です』
平岡「……あーはいはい、すみませんでしたね汚い変態野郎で……」
宮森『きっと何か、何か特別な事情があるんだって、思ってたのに……」
宮森『本当に残念です』
平岡「……」
宮森『お金が必要だったんですか?』
平岡「……そ、そういうわけじゃ」
宮森『とにかく、すぐに会社に来てください』
平岡「……ああ、もういいです。責任とって会社は辞めますよ。これで良いでしょ」
宮森『よくありません!瀬川さんや他の皆にもちゃんと謝ってください!迷惑かけたんですから』
平岡(そうなるのか)
平岡「あーもう、うっぜえな」
平岡「わかりました、わかりましたよ。迷惑かけた皆さんに誠心誠意謝ります。もういいっすか」
宮森『……』
宮森『最後までそんな態度なんですね……』
平岡「え……」
宮森『瀬川さんの言う通り、ただの最低な人だったんですね』
宮森『さようなら、平岡さん』ブツン
平岡「あっ……」ツーツー
平岡「……」
平岡「……チッ、疲れたな」
平岡「これでもう、あの会社に行くこともない」
平岡「……」
平岡「『残念です』か……」
平岡「……」
平岡「……」
平岡「……」ポロポロ
ケメコ「……」スリスリ
矢野「おつかれみゃーもり。元気ないね」
宮森「矢野さん……お疲れさまです」
矢野「何かあったの?」
宮森「実は平岡さんのことで……」
矢野「平岡くん?」
宮森「平岡さん、仕事サボってアダルトビデオに出てたみたいなんです」
矢野「まさか。あの平岡くんが?」
宮森「はい。瀬川さんに、動画も見せてもらいました」
矢野「……」
矢野「みゃーもり、それ、今見れる?」
宮森「え?はい。ええと、たしか……」カタカタ
平岡『……僕は皆にオナ○ーを見られるのが大好きな変態アラサーマゾヒストの平岡大輔です……
』グスン
矢野「……」
矢野「酷い」
宮森「はい」
矢野「おかしいな」
宮森「え?」
矢野「あのね、確かに平岡くんは昔からドMで赤ちゃんプレイが大好きなど変態だよ」
宮森「そのようですね」
矢野「でもね……」
矢野「たとえ何億積まれたって、こんなところにこんなビデオ載せるのなんて屈辱的なこと、プライドが許さない男だと思うの」
宮森「あっ……言われてみれば確かに……」
矢野「瀬川さんがこれを?」
宮森「はい、見せてくれました。偶然見つけたって……」
矢野「……」
矢野「!」
宮森「矢野さん?」
矢野「みゃーもりこれ、よく見て」
矢野「布で隠してあるけど、よく見たらこの部屋……」
宮森「!」
矢野「瀬川さんの部屋ね……」
矢野「それはわからないけど平岡くんの表情を見るに、大体の事情はわかる」
矢野「何らかの理由で無理矢理ビデオを撮られている。そして、堅く口止めされている」
宮森「……!」
矢野「みゃーもり、今平岡くんは?」
宮森「え、えっと、ニ時間くらい前に、電話で……もう会社は辞めるって……」
宮森「どうしよう……」
宮森「私、結構酷いこと言っちゃいました……」
矢野「そう……。連絡してみよう」プルプルプル
矢野「……」プルプルプル
矢野「出ない」
矢野「これは急いだほうが良いね」
矢野「私は瀬川さんに事情を聞きに行くから、みゃーもりは平岡くんのところに行ってあげて」
宮森「は、はい」
矢野「平岡くんもあれで結構繊細だから、今の状態だと何するかわからない」
宮森「何するかって……もしかして、そんな」
矢野「大丈夫落ち着いて、慎重にね」
矢野「これ食べてちゃんと頭まわしな。じゃあ、行ってくるから」
宮森「あ、ありがとうございますっ」
宮森「平岡さん……!」
宮森「平岡さん!いますか!?」ピンポンピンポン
宮森「……」
宮森「返事がない……」
宮森「まさか本当に」
宮森「平岡さん!入りますよ!」ガチャ
平岡「……」
宮森「平岡さん!」ダッ
ケメコ「ミャア」ソワソワ
平岡「……」ダラン
宮森「そんな……遅かったんだ……」ガクッ
宮森「ごめんなさい平岡さん……私のせいで……」グスングスン
宮森「平岡さんのことホントは大好きでしたぁ」ガバッ
平岡「痛い」
宮森「平岡さん!生きてたんですね!うぅ、良かった……」ポロポロ
平岡「はあ?何言ってんだコイツ……クソっメガネどこだよ……」
宮森「平岡さぁん……ふえええん」ギュウ
平岡「おい、離れろって!……チッ面倒くせえな」
宮森「だって……」エグエグ
平岡「なんでお前がここにいるんだよ」
宮森「だって電話しても出ないし……もしかしたらその、自殺してるかもって矢野さんが……」
平岡「はあ?なんだそれ」
平岡「……」
平岡「っつーか、してても関係ないでしょ」
平岡「俺もう辞めたんですけど。何かご用ですか?」
宮森「だ、ダメです辞めちゃ!」
平岡「なんでだよ」
宮森「矢野さんがさっき電話で教えてくれたんです」
宮森「平岡さんはムサニを守るために、無理矢理あんな酷いことをさせられて」
宮森「たった一人で耐えてたって」
平岡「……アイツもアレを見たのか」
宮森「かなりじっくり」
平岡(死ねば良かったかな)
平岡「なんで」
宮森「それはえっと、私達仲間じゃないですか!」
平岡「はあ?なに青臭えこと言ってんだよ」チッ
宮森「お願いします……私、平岡さんがいなくなったら……」ヒックヒック
平岡「おい、やめろって」
宮森「酷いこと言ってごめんなさい……」
宮森「もう言わないからぁ……」グスングスン
平岡「はあ……」
平岡「わかったからもう泣くな」
平岡「鼻水が床に落ちんだろうが」
宮森「うわああああん!あいやとうざいやすううう」ギュム
平岡「おわっ」ガタタッ
平岡「……汚い変態野郎に抱きつかないほうが良いんじゃないの」
宮森「そんなことかんけいありばせん」
宮森「平岡さんがどんなにハードな性癖を持ってて赤ちゃんパブでどMで変態でも」
宮森「私達は仲間じゃないですがあ……」ヒックヒック
平岡「……」
平岡「……そうかい」
宮森「そうでずよお……」グスングスン
平岡「ったく……泣くなっつってんのに」ポンポン
ケメコ「ミャ~オ」
瀬川「何あれ。許せない」
矢野「」ダラン
以上。
どうも
せっかくスレ残ってたし暇なので暇つぶしネタ書いていきます
>>35までとの関連は特になし
完全な暇つぶしネタなので本編との整合性は勘弁
ずか「お待たせしました。生2つです」ゴト
高梨「あいがとお姉さん!ホラ久しぶりに乾杯しようだいちゃん」
高梨「かんぱああああい!」
平岡「ハイハイ乾杯」コン
高梨「だいちゃんさあ、気になる女の子いないのぉ?」
平岡「あ?なんだよ急に」
高梨「急じゃない!男子たるもの可愛い女の子を励みに日々を生きるってもんでしょ」
平岡「俺は別に」
高梨「うっそだぁ~!いるんでしょいるんでしょ!誰にも言わないから教えてよ」
平岡「チッうっぜえな。お前はどうなんだよ」
高梨「オレはなぁ~、う~ん」
高梨「……」
高梨「やっぱダメ!考えらんない!」
高梨「オレ将来は可愛い声優を嫁にするって決めてるから!」
ずか「」ガタッ
高梨「佐藤さんとアンドゥも最近ツッコミが宮森に似てキツくなってきたし」
高梨「受け継がれていくお局のDNA」
高梨「オレの心は荒れ果てたサバンナ……」
平岡「仕事に集中しろよ」
高梨「あっでもね、ここだけの話、前々から良いなって思ってたコはいるのよ」
平岡「誰だよ。声優なんてウチに来たことあったか?」
高梨「ちゃうちゃう!もうこれ秘密よ!あのね、原画の安原さん」
ずか「」ガタタッ
高梨「ちょっとだいちゃん無口とは失礼ね~。安原さんは清楚可憐な乙女なんだよ」
高梨「粛々と机に向かう姿はまさに現代の長門有希」
平岡「割と現代だな」
高梨「まず何よりお顔が非情に美しい」
平岡「お前そんなこと気にして仕事してたのかよ」
高梨「それにねえ、あのねえ、挨拶すると、鈴を転がしたようなか細い声で」
高梨「『オハヨウゴザイマス』って返してくれるんだよ!」
高梨「『オハヨウゴザイマス』『オハヨウゴザイマス』」
平岡「気持ち悪いからやめてくれ」
高梨「わかる?だいちゃん。この小さな幸せ!」
高梨「安原さんは荒れたサバンナで見つけた美しいラクダ」
平岡「お前はほんと人生楽しんでるな」
高梨「安原さんとお近づきになりたいが、残念なことに彼女は」
平岡「なんだよ」
高梨「宮森が好きらしい」
平岡「マジか」
ずか「」パリーン
ずか(絵麻がライバル……)プルプル
平岡「まあ、色んな人がいるし」
高梨「それでだいちゃんはどうなの?」
平岡「だから別に俺はそういうのないから」
高梨「うっそだぁあるでしょ!」
高梨「前から思ってたんだけどさぁ、矢野さんとはどういう関係なの」
平岡「特になにも」
高梨「ホントにい?」
平岡「しつけえようっぜえな」
平岡「ただ昔ちょっと知り合いだっただけで」
高梨「なぁんだそっか~。じゃあ良かった」
平岡「良かった?まさかお前」
高梨「いやあ実は」
高梨「矢野さんも宮森のこと好きらしいから」
平岡「」ブシュー
ずか「」スッテンコロリン
高梨「いやあ噂よ噂」
平岡「……」
高梨「ちょっとだいちゃん、なに黙っちゃったのよ」
平岡「べ、べつに」
高梨「はあ~、悲しいねえ」
高梨「キツいとこあるけど、割と見所のあるオンナだったのに」
平岡「……そうだったのか……」
高梨「ああ、でもね、まだ可愛いコはいるの」
平岡「あ?もういいよ」
高梨「まあまあきいてよ、ホラ舞茸さんの助手の女子大生」
平岡「あ~……」
高梨「だいちゃんも興奮するでしょ!ナマ女子大生よ!」
高梨「オレはあんまり話したことないんだけど」
高梨「名前はなんていったっけな~、ハイブリッドちゃんみたいな」
平岡(外国人だったのか)
平岡「……俺はああいうタイプちょっと」
高梨「そうなのぉ?イイじゃないの」
高梨「あの笑顔!あのおっぱい!あの脚!」
高梨「彼女が部屋に入るとたちまち良い香りと新鮮な空気が広がる」
高梨「例えるならそう、サバンナに佇む……消臭力」
平岡「無理すんな」
高梨「ただ残念なことに」
平岡「まさか」
高梨「宮森に告白したらしい」
ずか「」ドッカーン
高梨「玉砕したらしいけどね」
高梨「世の中っていうのは非情よ」
平岡「……」グビグビ
平岡「知らねえよそんなこと」
平岡「惚れた腫れただの馬鹿らしい」
平岡「そんなもんなあ、仕事のなあ、邪魔になるだけあんだよ!」
高梨「だいちゃんノってきたねぇ!」ヒック
平岡「おねえさん生追加!」
ずか「は、はい」
高梨「まあさぁ、やっぱさぁ、こうなっちゃうんだよね」
平岡「あんだよ」
高梨「さいしゅーてきにはさあ、戻ってきちゃうってこと」
高梨「みやもりに」
平岡「……はあ?」
高梨「いろんなおんながいるけどさあ……」
高梨「さいしゅうてきにはみやもりなんだよね……」
平岡「……」
ずか「な、生です」ゴトッ
平岡「どうも」
ずか「……」ドキドキ
平岡「うっさい」グビグビ
高梨「またまたそんな~」
高梨「みやもりはねえ、こわいし、すぐおこるし、エラそうだし、おっぱいないし、酔っぱらいだけどねぇ」
高梨「オレが徹夜のときはナンもいわずにレッドブル買ってきてつくえにおいてくれるんだよぉ……」
平岡「……」
高梨「ああいうのみてるとさあ……」
高梨「イイオンナってなんだろうなってかんがえちゃうわけよ……」
高梨「そうおもわない?だいちゃん……」
ずか「……」ジーン
平岡「俺はそういうことには興味ねえ」
高梨「テレないでいいよぉ」
高梨「だいちゃんみやもりがいないとき、ぜったいオレに今日デスクいないのかってきくじゃないのぉ」
平岡「はあ?ただの確認だよ!」
高梨「そうなのぉ?」
平岡「……」
平岡「まあ、あいつは悪い奴じゃないんじゃねえの」
高梨「やっぱりぃ?だいちゃんみやもりのこときになっちゃってるでしょ!」
平岡「馬鹿言ってんじゃねえ!」
平岡「別に嫌いじゃないってだけだよ」
高梨「だよねえ」
高梨「さすがのだいちゃんもおもうところがあるよねえ」
平岡「あーもう!っせえな!気分わりいしもう帰る!」
高梨「でも、惜しいことしたな」
平岡「え」
高梨「実は宮森」
高梨「ヒモを養ってるらしい」
ずか「」ドンガラガッシャーン
高梨「三人ね」
平岡「」ドンガラガッシャーン
高梨「そのうちの一人はオレ」
平岡・ずか「」
高梨「地球にうまれてよかった!」
以上
おやすみ
掲載元:http://hayabusa3.2ch.sc/test/read.cgi/news4viptasu/1427735616/
Entry ⇒ 2015.05.05 | Category ⇒ SHIROBAKO | Comments (0)
絵麻「おいちゃん、私ちょっとお手洗い行ってくるね」宮森「はーい」
しずか「前から思ってたけど絵麻っておいちゃんばっか話しかけるよね」
みどり「あたしら友達だと思われてないんじゃないっすか?」
美沙 「おいちゃん先輩の事好きなんですよきっとw」
宮森 「うわーそれは勘弁w」
しずか「私らもう何年付き合ってると思ってんのよ、人見知りもたいがいにしてほしいよねー」
みどり「そうそう、いっつもボソボソ喋って聞き取れないっす」
美沙 「先輩なのに根暗でウジウジして使えないなーって思ってましたよw」
しずか「保護者かw」
みどり「おいちゃん先輩いなかったらあの人絶対ぼっちですよw」
しずか「うわー女としてそれはどうなのって感じ」
美沙 「ひくわー」
宮森 「それでほぼ毎回残り物のカレーとか出してくんの」
みどり「ちょっと勘弁してほしいっすねーw」
4人 「おかえりー(もっと声張れよコミュ障)」
・・・・・・・・・・・・・・・
みどり「ちょっと師匠から電話来たんで話してきまっす」
宮森 「はーい」
4人 「・・・・・・・・・・・」
絵麻 「舞茸しめじさんっていう結構有名な脚本家の人だよ」
宮森 「いっつも師匠師匠って親しげに媚び売ってんのw」
絵麻 「監督とか他のベテランの年上の人とかにもやたら取入ってるんだよね」
美沙 「あの子ホント媚びてオヤジ落とすの上手いですよねー」
しずか「引くわ―」
宮森 「っす!w」
4人 「wwwwww」
美沙 「自分のこと私らの中で一番かわいいと思ってるんじゃないですか?」
宮森 「あーそうかも(モテないオタクとかオヤジくらいだろ)」
しずか「だよねー(あたしが一番美人っしょ、スタイルも良いし)」
絵麻 「この前なんて制作進行の平岡さんって人に図星突かれて怒られてたよ」
美沙 「ざまあみろって感じ?」
宮森 「よりによって平岡さんにとかウケるw」
4人 「おかえりー(店員相手にもぶりっ子キャラかよ)」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
宮森 「ちょっと会社から電話だから話ししてくる」
「まだお会計しちゃダメだからねー」
4人 「・・・・・・・・・」
みどり「特に技術や知識があるわけでもないただのアニメ好っすよね」
しずか「ほんと何もできないのに出しゃばりだよねー」
美沙 「先輩気取りで上から目線でアドバイスしてきたり時々ウザいですよ」
絵麻 「私も無責任に「絵麻ならできるよ!」なんてよく言われるよ」
みどり「自分はなんのスキルもないのに偉そうっすねw」
しずか「自分でしないやつほど無神経にそういう事言うよねー」
しずか「いきなりとか迷惑すぎじゃない?」
みどり「ずっと一人でテンション高くてすっげー疲れたっす」
美沙 「空気の読めなさはさすが姉妹だわー」
絵麻 「もうちょっと周りのこと考えてほしいよね」
しずか「ホントホント、空回りしてるよね」
4人 「おかえりー(地獄のミサワかよ)」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
しずか「私もちょっとお手洗い行ってくるね」
宮森 「はーい」
4人 「・・・・・・・・・・」
みどり「フリーターの前で将来の事とか語れないっすw」
宮森 「仕事の話とかもしにくいもんねー」
絵麻 「毎回「そのうち大丈夫だよ」みたいな応援するの疲れるよね」
「私が紹介してあげようとしたら拒否すんの」
美沙 「えーマジですかもったいない」
みどり「そういうのまで拒否したらもう枕営業でもしなきゃ仕事ないっすよ」
3人 「(オヤジに媚びまくりのお前が言うな)」
絵麻 「ホント意地っていうかプライドだけは高いよね」
美沙 「今流行りの意識高い系ってやつじゃないですかw」
(しずか「あなたたちとアニメ作ってるより演劇部にいたほうが有意義」キリッ)
宮森 「とか言ってたんだよねw」
みどり「うわっ、チョーウケルっすw」
美沙 「それが今や」
4人 「フリーターww」
4人 「おかえりー(意識高い系バイトリーダーw)」
・・・・・・・・・・
美沙 「じゃあ私もついでに行ってきます」
宮森 「はーい」
4人 「・・・・・・・・・・」
絵麻 「なんか後輩なのに態度大きいよね」
しずか「ちょっと浮いてるっていうか影薄いっていうかー」
みどり「正直私とポジションかぶってるしあだ名も紛らわしいっす」
しずか「社会をなめてるよね」
みどり「ホントああいうのがいるから「今時の若者はー」って言われるんですよいい迷惑っす」
絵麻 「私達の中じゃ一番アニメ制作には程遠いし正直この集まりにいなくてもいいよね?」
しずか「だよねー。もうちょっと会社員頑張れよって感じ?」
宮森 「(お前ももっと頑張れよバイトリーダー)」
4人 「おかえりー(来たなミスタータイヤマン)」
美沙 「先輩に頼まれてたドーナツ取りに行ってきましたよ」
宮森 「ありがとー!さあさあ皆ドーナツ持っていつものやるよ!」
しずか「これからも精一杯(だからリーダー面するなよ)」
絵麻 「アニメを作り続ける事を(ずかちゃんはまだ何もしてないよね)」
美沙 「誓いま(根暗でセリフ使いすぎ)」
みどり「す!(私が一番可愛いのに一文字とか先輩方嫉妬おつっす)」
おわり
SHIROBAKOは近年まれにみる良いアニメだったな
乙おもしろかった
掲載元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1427693763/
Entry ⇒ 2015.05.04 | Category ⇒ SHIROBAKO | Comments (0)
さようなら坂木しずか【SHIROBAKO SS】
みゃーもり「どうもみなさんこんばんわ」
みゃーもり「今日はみなさんに悲しいお知らせがあります」
みゃーもり「SHIROBAKOが始まって1話目から一緒にがんばってきた坂木しずかさんが」
みゃーもり「今日のこの放送を持ちまして卒業すると言うことになりました」
絵麻「遂にこのときが来てしまったんだな、という感じですね」
絵麻「本業ではまるで活躍せず出番は遊園地ではしゃぐシーンのみだったあの頃に」
絵麻「そういう話もあるにはあったんですが」
絵麻「折角23話で盛り返したと思っていたところだったのに」
絵麻「残念です」
みゃーもり「辞める理由というのもわたしたちはちょっとわからないので」
みゃーもり「本人に聞くのが一番だと思いますので」
みゃーもり「登場していただきましょう」
みゃーもり「坂木しずかさんです」
みゃーもり「どうぞ」
ずか「…………」
みゃーもり「テレビを見ているですね。視聴者の皆さんに」
みゃーもり「説明してもらえるでしょうか」
ずか「あの、やっぱりいくつかあるんですけど」
ずか「わたし、1話目からSHIROBAKO出てるんです」
ずか「わたしか、主人公のおいちゃんかってくらい長い間SHIROBAKO出てるんですけど」
ずか「最近杉江さんと人間関係がぎくしゃくしてるんです」
絵麻「杉江さんというと、ムサニの原画マンとして今なお活躍されている方ですが」
ずか「こないだもですね」
ずか「ずかちゃん、重ね着が似合ってないねって言われて」
ずか「わたし、かちーんときて」
ずか「杉江さんも似合ってないですねって言ったんです」
絵麻「…………」
ずか「そういうことなんです」
みゃーもり「坂木さんとの思い出を振り返るためにも」
みゃーもり「坂木さん本人が選んだずかちゃん名場面集がありますから」
みゃーもり「ちょっとそれを見ていきましょう」
坂木しずか、22歳
今まで数々の名場面を生み出してきた坂木さんが番組を卒業することになりました。
そこで彼女が残してくれた偉大なる軌跡をもう一度振り返ります。
第五位。
『負けたら承知しないからあああ(裏声)』
9話、野球のプリンス様でのガヤの収録における名場面。
ガヤという難易度の低い演技でさえ満足にこなせない彼女の無能さが描かれている。
続く場面で後輩二人に気を使わせている点もポイントが高い名シーンである。
第四位
『うめーいたいよー起こしてうめー』
17話、ウメブーの中の人となったしずかの名場面。
無能であることに定評があるしずかには珍しく、機転を利かして窮地を脱している。
数少ない活躍シーンだが、所詮バイト先の話であることがポイント。
また、続くダンスシーンでは本職にまったく劣らない切れのあるダンスを見せている。
ダンサーへ転向した方がいいのではないかと思わせる名シーンである。
第三位
『私ゃしっぱいこいちまってさ』
しずか唯一のタイトルともなった名場面。
現代のアニメにおいてつかみとされる三話の後に放送されたあたり、
彼女の今後を表しているとも言える。
しかし、この頃は後輩二人よりも出番に恵まれていたことを忘れてはならない。
坂木しずかが主演五人の中で上位三人にいた数少ない瞬間である。
第二位
『じゃあ、代わったげようか』
22話、一人飲んだくれる名場面。
平岡とタローの感動的なシーン、みーちゃんが転職時におけるアニメの仕事をするという希望を正に叶えているそのシーンと平行して描かれたことでよりその悲惨さが際立つ結果となった。
ベストバリュのロゴが何とも言えない哀愁を漂わせる名シーンである。
第一位
『少しだけ夢に近づきました』
高まる坂木しずか不要論の中で、編集茶沢のスーパープレーにより実現した最大の見せ場。
キャサリン妹のセリフにマッチし非情に印象深いシーンとなった。
一方で、それを見ていた宮森あおいに全て持って行かれた感があることに触れてはならない。
みゃーもり「なるほど。さすが1話目からですから」
みゃーもり「VTRも豊富に残ってますね」
みゃーもり「では、ずかちゃんにみんなから花束を贈りましょう」
みゃーもり「まずはSHIROBAKOの監督を務められました水島さんから」
みゃーもり「お別れの言葉です」
水島「ずかちゃんどうもお疲れ様でした」
水島「えー今年に入りまして毎日放送の株価はものすごい上昇してますね」
水島「一万六千円だったものが一万九千円になり、一時期は高値で二万円と言うときがあった」
水島「なぜなんだ、と原因を調べたところ」
水島「どうやらずかちゃんがSHIROBAKOを辞めるっていうのが市場に出回った頃から」
水島「ぐっと株価が上がったんですね」
水島「で、多分TOKYO MXもテレビ愛知もこれに気づいて」
水島「ずかちゃんを出さない方向で株価を上げていくってことになるとは思いますけど」
水島「それは経済の発展のためですから。ここできっぱり辞めていただきたい、と思っております」
ずか「…………」
水島「ほんとご苦労様でした」
ずか「ありがとうございました」
みゃーもり「では、脇役を代表しまして久乃木さんからもお別れの言葉をお願いします」
ずか「久乃木さん」
ずか「いつもありがとう!」
久乃木「あんた口臭いんだよ!」
ずか「…………」
みゃーもり「では、わたしたちも一言ずつ声をかけていきましょう」
みゃーもり「まずは後輩の二人から」
りーちゃん「本当にお疲れ様でした」
りーちゃん「坂木さんはりーちゃん、りーちゃんってわたしを呼ぶんすけど」
りーちゃん「何でこいつタメ口なんかな、とはずっと思ってたんすね」
りーちゃん「まあ、でも今回SHIROBAKOを辞めると言うことで」
りーちゃん「ファンの方からりーちゃんって呼ばれてもそんなにムカつかないんで」
りーちゃん「これからは坂木もりーちゃんって呼んでくれてもいいと思う」
りーちゃん「ありがとうございました」
ずか「…………」
みーちゃん「えー」
みーちゃん「戦争とあなたが嫌いです」
ずか「…………」
みゃーもり「お疲れ様」
みゃーもり「うちの番組で言えば安藤さん、佐藤さんも良い具合に育ってきてますし」
みゃーもり「良い時期かな、と思います」
ずか「…………」
みゃーもり「本当にお疲れ様でした」
絵麻「ずかちゃんが辞めた後も人数は五人がいいってことで」
絵麻「急にがらっと変わるのもあれなのでってことで」
絵麻「艦これの朧を入れる方向で今交渉しています」
ずか「…………」
絵麻「お疲れ様でした」
みゃーもり「では最後に坂木さんの方からお別れのご挨拶です。お願いします」
ずか「二十四話やってきて」
ずか「誰がこんないっぱいの花束に囲まれると思いまっか」
ずか「二十四話SHIROBAKOをやってきて」
ずか「初めて悲しいと思ったです」
ずか「ああああああああああああああああああああああああああ!!」
ずか「辞めたくなああああああああいい!!!!!」
ずか「絶対に辞めたくなあああああああああああああいいい!!!!!!!!」
みゃーもり「でも、しょうがないですね」
絵麻「本人の気持ちが変わらないようなので」
みーちゃん「来週からがんばるしかないですね」
りーちゃん「そうっすね」
ずか「待てえええええええええええええええええええええええ!!」
ずか「ずかちゃんはSHIROBAKO辞めへんでええええええええええええええええ!!!!!」
みゃーもり「…………」
絵麻「…………」
みーちゃん「…………」
りーちゃん「…………」
ずか「…………」
おわり
以上。
元ネタは勿論さようなら山崎邦生。また、
未央「さようなら本田未央」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1424350152/
のSSも参考にした。というか二番煎じ。
元ネタが今夜放送なのでやりたくなってしまった。
感想もらえるとうれしい。
ダメよ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1427627081/
Entry ⇒ 2015.04.17 | Category ⇒ SHIROBAKO | Comments (0)
宮森(矢野さんって好きな人いるのかな……)
宮森(誰にも言えないことなのだけど)
宮森(最近、わたしは矢野さんのことばかり見ている)
宮森(斜め向かいの席を盗み見たり)
宮森(トイレに立つ背中を目で追って)
宮森(ようかんを食べる姿を見て)
宮森(あのようかんになれたらいいのになんて思ったりする)
宮森(自分でももう末期だと思う)
矢野「宮森、久々にお昼行かない?」
宮森「あ、はい、行きます」
宮森(矢野さんは素敵な先輩で)
宮森(わたしはただの後輩の一人)
宮森(会社では話したりもするけれど)
宮森(休みの日に一緒に出かけたりはしない)
矢野「見たい映画あるんだけどさ。なかなか行く時間がないんだよね」
宮森「そうなんですか」
宮森「……あの、矢野さん」
矢野「ん? なに?」
宮森「…………」
宮森「なんでもないです」
宮森(近づきたいと思ってるのに)
宮森(その勇気のない臆病なわたしだ)
宮森(それに、どうせ報われないのなら)
宮森(近づいたってしょうがないじゃないかなんて)
宮森(消極的なことを考えてしまう)
宮森(だってそうじゃないか)
宮森(わたしは女なんだから)
宮森(こんな気持ち、矢野さんにしてみたら)
宮森(気持ち悪いに違いなくて)
宮森(知られたら、きっと後輩の一人でもいられなくなるから)
宮森(絶対に知られるわけにはいかないのだ)
宮森(だから、この恋は決して報われることはない)
宮森(そう、ちゃんとわかってるのに)
平岡「この前偶然磯川に会ったんだよ」
矢野「へえ、珍しいね。磯川くんの家ってたしか調布の方だったでしょ」
平岡「それが最近引っ越したらしくて」
宮森「…………」
宮森(胸がざわざわする)
宮森(何を話してるんだろう)
宮森(気になって気になって仕方ない)
宮森(決して報われないならば)
宮森(せめて誰のものにもならないで欲しい)
宮森(そんな最低なことを思っている)
タロー「あれ、だいちゃん。もう帰んの?」
平岡「ああ。やることは全部やったからな」
タロー「じゃあ、俺の仕事の手伝いを」
平岡「自分でやれ」
タロー「だいちゃんのけちー」
平岡「言ってろよ」
平岡「なぁ、矢野。明日のことなんだけど」
宮森「!?」
宮森(明日? 明日って)
宮森(休みの日だよね……)
平岡「待ち合わせはいつものとこでいいか?」
矢野「うん。いいよ、それで」
平岡「了解。詳細はまたLINE送る。じゃあな」
矢野「うん、お疲れ」
宮森「…………」
宮森(もしかして)
宮森(デートだったりするのだろうか)
矢野「じゃ、わたし帰るね」
宮森「あの、ややや矢野さん」
矢野「どうしたの? そんなにテンパって」
宮森「わ、わたしも仕事終わったんですけど」
矢野「じゃあ一緒に帰ろうか」
宮森「!?」
宮森「はい! お願いします!」
矢野「そしたら池谷さんがさ」
矢野「雨樋つたって逃げようとしてるの」
矢野「三階の窓からだよ?」
矢野「あれはさすがにびっくりしたよ」
宮森(矢野さんの隣を歩く)
宮森(ひらひらと揺れる左手を)
宮森(つかまえられたらな、なんて)
宮森(絶対できないのに思っている)
宮森「あ、あの、矢野さん!」
宮森「明日、平岡さんとどこか行くんですか?」
矢野「そうだけど」
矢野「それがどうかした?」
宮森「…………」
宮森(ほとんどわかってはいたけれど)
宮森(それでも、実際に言われるとなかなかきついものがある)
宮森「あ、あの!」
宮森「あのですね!」
矢野「ん?」
宮森「わ、わわわわわわわわわわわ」
矢野「わ?」
宮森「わたしも行っていいですか?」
平岡「……なんでこいつがいるんだよ」
矢野「来たいって言うからさ」
平岡「だからって連れてくるか、普通」
平岡「磯川だってくるんだぞ?」
宮森「え?」
宮森(デートというのはわたしの勘違いで)
宮森(専門学校で同期だった三人で飲もうという話だったらしい)
磯川「なんで宮森さんがいんの?」
平岡「矢野が連れてきたんだよ」
矢野「いいじゃない。花は多いに越したことないでしょ」
宮森「…………」
宮森(磯川さんもいることだし)
宮森(節度を持って飲んで矢野さんに迷惑をかけないようにしないと)
二時間後
宮森「矢野さぁん。わたし、矢野さんのこと大好きですぅ」
矢野「宮森! わたし、お手洗い行くから離れて」
宮森「やーです! 離しません!」
平岡「完全に酔ってんな……」
平岡「タクシー代は磯川が出すから矢野が連れて帰れよ」
磯川「なぜ俺よ。まあ、いいけど」
矢野「と言っても、わたし宮森の家知らないし」
矢野「うちで泊める、か」
矢野宅
矢野「とりあえず、ベッドに寝かせて、と」
矢野「水飲む?」
宮森「飲みます……」
矢野「りょうかい」
矢野「ほら、宮森。水」
矢野「って寝ゲロしてるし……」
矢野「もう、しょうがないなぁ」
宮森「……ん?」
宮森「あれ、ここはどこ?」
宮森(ワンルームの部屋)
宮森(ソファーで矢野さんが寝てる)
宮森(多分矢野さんの部屋、だよね)
宮森(そうだ。わたし、ついつい飲み過ぎちゃって……)
宮森(や、矢野さんにご迷惑を!)
宮森(変なこととかしてないよね……)
宮森(全然まったく何一つとして覚えてないけど)
宮森「…………」
宮森(矢野さん、わたしにベッドつかわせてくれたんだ)
宮森「やっぱり、矢野さんのこと好きだなぁ」
矢野「あれ? 宮森、起きたんだ」
宮森「や、ややややや矢野さん!」
宮森「……もしかして、聞いてました?」
矢野「何を?」
宮森「いや、なんでもないです」
宮森(ほっとしたような、がっかりしたような)
矢野「しかし昨日は大変だったんだよ」
矢野「宮森、寝ゲロしちゃうしさ」
宮森「え……」
宮森「それ、ほんとですか?」
矢野「うん」
宮森「すいません! 本当にすいません!」
矢野「いやいや、そんな気にしなくていいから」
宮森「でも、矢野さんにご迷惑を」
矢野「先輩なんだから連れてった以上、これくらいは当たり前でしょ」
宮森「クリーニング代払いますから」
矢野「だからいいって」
宮森「何かお詫びをさせてください。じゃないと、わたしの気が済まないです」
矢野「お詫び、か。じゃあさ」
矢野「今日これから時間ある?」
宮森「花咲くいろはの劇場版ですか」
矢野「うん。ずっと見たかったんだよね」
矢野「けど宮森がいろは見ててよかったよ」
矢野「さすがに見てない人とは行けないからさ」
宮森(見ててよかったぁ)
宮森(ありがとう、花咲くいろは!)
宮森(ありがとう、P.A.WORKS!)
宮森(矢野さんと二人で映画なんて)
宮森(なんだか、デートしてるみたい!)
矢野「いい映画だったね」
宮森「作画すごく綺麗でしたね」
矢野「うん。冒頭のプールのシーンとかほんと綺麗だった」
宮森「それ思いました! 髪の濡れてる感じとかすごいなぁって」
矢野「わたしもあんな絵描けたらな」
宮森「矢野さんって同人活動されてるんですよね」
矢野「うん、専門学校時代の友達とね」
宮森「すごいです」
矢野「いやいや、へたくそだから」
矢野「そうだ、画材屋寄っていい?」
矢野「ちょっと買っときたいものあってさ」
宮森「いいですよ」
矢野「宮森もどこか行きたいとこあるなら言ってよ」
矢野「わたしでよかったら付き合うから」
宮森「いいんですか?」
矢野「うん。どこでも行くけど」
宮森「じゃ、じゃあお言葉に甘えて」
矢野「それで来るのが原画展って」
矢野「宮森は本当にアニメ好きだね」
矢野「原画なんて毎日いやになるくらいに見てるだろうに」
宮森「……いやでした?」
矢野「ううん。わたしもアニメ好きだから」
矢野「この原画、構図のバランスすごいなぁ」
宮森(矢野さんと二人……)
宮森(ほんとにデートみたいだ)
宮森(ずっとこのときが続けばいいのに)
矢野「そうだ。もう一カ所だけ行っていい?」
宮森「バッティングセンター、ですか」
矢野「うん。時々くるんだよね。ストレス解消になるというか」
宮森「ここ、小笠原さんと来たことあります」
矢野「あれ、来たことあるんだ」
矢野「小笠原さん、すごいよね」
矢野「フォームめちゃくちゃ綺麗だし」
宮森「わたし、全然打てませんでした」
矢野「まあまあ、やってみなって」
矢野「わたしが教えてあげるからさ」
宮森「当たりません……」
矢野「ボールちゃんと見て」
矢野「身体がぶれてる。しっかり両足で立つ」
矢野「バットを離さない。両手でちゃんと握って」
宮森「はい……」
宮森(そんなこと言われても、こんなの当たるわけ……)
かきん!
宮森「…………」
宮森「矢野さん、当たりました! 当たりましたよ!」
矢野「バカ、何よそ見してんの!」
矢野「次来るって!」
宮森「え?」
矢野「あぶな――」
宮森「ひっ」
宮森(ボールが身体に向けてとんでくる)
宮森(当たりたくない一心で)
宮森(目を瞑ってバットを振った)
かきいいいいいいいいいいいいいん!!!!
宮森「へ?」
「大きい、大きい、大きい。入ったああああ! 入りました! ホームランです!」
矢野「すごい! ホームランだよ宮森!」
宮森「や、矢野さん! やりました!」
矢野「いいスイングだったよ。2004年のイチローを彷彿とさせるというか」
宮森「ほ、ほんとですか」
宮森(矢野さんに褒められてる)
宮森(わたし、もう死んでもいいかも)
矢野「み、宮森! なにぼうっとしてんの!」
矢野「次くるって!」
宮森「へ?」
ドゴォ!
宮森「痛かったです……」
矢野「大丈夫?」
宮森「はい。なんとか」
宮森(すごく痛いけど)
店員「あの、ホームランなのでこれ、無料券です」
矢野「十回まで無料だって。やったね」
宮森「…………」
宮森「これ、矢野さんにあげます」
矢野「え? いいの?」
宮森「はい。わたし、あんまり来ないですし」
宮森「それに、昨日のお詫びと言うことで」
矢野「だからさ。昨日のことはいいんだって」
矢野「今度言ったら怒るよ」
宮森「す、すいません」
矢野「だからこれはお詫びとしては受け取れない」
宮森「はい」
宮森(怒らせちゃった)
矢野「でも、プレゼントしてくれるのならよろこんでもらうけど」
宮森「!」
宮森「はい! 矢野さんどうぞ!」
矢野「うん。ありがと、宮森」
矢野「今日は楽しかったね」
宮森「はい、幸せでした!」
矢野「宮森は大げさだね」
宮森(本心なんだけど)
矢野「それにしても、びっくりしたなぁ」
矢野「宮森がまさか」
矢野「平岡くんのこと好きだったなんて」
宮森「え?」
宮森「なんのことですか?」
矢野「照れちゃって。ちゃんとわかってるんだから」
矢野「平岡くんが気になるから、昨日の飲み会来たいって言ったんでしょ?」
宮森「いやいや、違いますって」
宮森「平岡さんのことは別に」
矢野「じゃあ、磯川くん?」
矢野「もしかしてわたしとか?」
宮森「…………」
矢野「なんてね、冗談冗談」
矢野「ほら、正直なとこ言ってみ?」
矢野「わたし、応援するからさ」
宮森「いや、でも、本当に違うんです」
矢野「でも、それじゃあさ」
矢野「昨日どうして来たかったの?」
宮森「それは……」
宮森「仕事の関係上、磯川さんと交流を深めたかったというか」
矢野「嘘だね」
矢野「だって、宮森は磯川くん来るの知らなかったでしょ」
矢野「ほらほら、悪いようにはしないからさ」
宮森(……このままじゃ矢野さんが好きだってことがばれてしまうかも)
宮森「…………」
宮森「実は、平岡さんのことが少し気になってて」
矢野「やっぱり! だと思った」
矢野「宮森見る目あるよ」
矢野「平岡くんいいやつだよ。ぶっきらぼうで不器用で誤解されやすいけどさ」
矢野「実は猫好きで猫カフェ行ったりするんだから」
宮森「そうなんですか」
矢野「わたし、応援するからさ!」
宮森(矢野さんがにっこり笑って言うものだから)
宮森(わたしは泣きそうになってしまった)
宮森(矢野さんは平岡さんのことをいろいろ教えてくれた)
宮森(好きなアニメ、好きな食べ物、好きな音楽、好きな本)
宮森(わたしの家まで来て、平岡さんが好きそうな服を見繕ってくれたりもした)
宮森(LINEでやりとりをすることも増えて)
宮森(休みの日に電話したりもするようになって)
宮森(それ自体はすごくうれしかった)
宮森(けれど)
宮森(どうしても、後ろ向きなことを考えずにはいられなかった)
宮森(この人はわたしを恋愛の対象とは見てないんだな、と)
宮森(ふとしたときに思い知って、突然泣きだしてしまったりもした)
宮森(矢野さんはわたしをそっと抱き寄せて)
宮森(そうだよね、不安だよね、と言ってくれた)
宮森(わたしはもっとかなしくなって)
宮森(矢野さんの鎖骨に頬を押しつけて泣いた)
宮森(矢野さんに呼び出されたのはそんなある日のことだった)
宮森(その日は休日で)
宮森(わたしは夜眠れなかった分、たっぷり朝寝坊して待ち合わせ場所に行った)
宮森(二十分前に待ち合わせ場所に着くと)
宮森(平岡さんが不景気そうな顔をして立っていた)
宮森「平岡さん」
平岡「…………」
平岡「もしかして、矢野に呼び出されたのか」
宮森「はい」
平岡「ったく。あいつはほんと余計なことを」
平岡「呼んでやる。ちょっと待ってろ」
平岡「電話でねえし」
宮森「…………」
宮森(がんばってね! とLINEが届いていた)
宮森(わたしはため息をつく)
平岡「…………」
平岡「とりあえず、どっか入るか」
平岡「昼飯まだだろ?」
宮森「はい」
平岡「適当に、入るぞ」
宮森(平岡さんはわたしをパスタのお店に連れて行ってくれた)
宮森(料理を待つ間、わたしたちはほとんど話さなかった)
宮森(きっとわたしが話す気になれなくて、スマホをいじっていたからだと思う)
宮森(わたしが食べ終わるのを待って、平岡さんは言った)
平岡「お前、俺のこと好きじゃねえだろ」
宮森「え?」
宮森「い、いや、そんなことは」
平岡「嘘つけ。つまんなそうな顔しやがって」
平岡「どう見たって好きなやつといるときの態度じゃねえだろうが」
平岡「好きなやつといるときはな」
平岡「お前が矢野といるときみたいな顔するもんなんだよ」
宮森「気づいてたんですか?」
平岡「まあ、薄々な」
宮森「もしかしてみんな気づいてたりします?」
平岡「いや、それはないんじゃないか」
平岡「俺は前の飲み会でお前が矢野さん好きーって抱きついてるの見てたから」
平岡「そうかなって思っただけで」
宮森「……わたし、そんなことしてたんですか」
平岡「めちゃくちゃ幸せそうだった」
平岡「俺が口を挟むことじゃないと思うが」
平岡「好きなら好きで言ってしまってもいいんじゃないか?」
宮森「それは……」
宮森「できないです」
平岡「ダメならダメで玉砕した方がまだマシだと思うけどな」
平岡「この先矢野は誰かを好きになるだろうし、付き合うだろうし、結婚だってするだろう」
平岡「それでも、お前はずっと矢野のことを思い続けるのか」
宮森「ほっといてください!」
宮森「平岡さんにはわからないです!」
平岡「それはそうかもしれないが」
宮森「これ、わたしの分のお金です」
宮森「また会社で」
平岡「…………」
「この先矢野は誰かを好きになるだろうし、付き合うだろうし、結婚だってするだろう」
「それでも、お前はずっと矢野のことを思い続けるのか」
平岡さんに言われたことが頭の中をぐるぐる回っていた。
わたしは未来のことを想像した。
別の誰かに微笑みかける矢野さんを、近くで見ている自分を想像した。
それはすごく簡単なことだった。
ほとんど必然と言っていい未来であるように思えた。
同時に、すごく悲しい未来だった。
考えただけで胸が張り裂けそうになった。
わたしは……。
わたしは、どうすればいいのだろう。
不意に、大好きな声がした。
矢野「宮森? こんなところでなにしてるの?」
矢野「平岡くんは?」
矢野「まさか、何かされたとか?」
宮森「矢野さん……」
涙が溢れて止まらなくなった。
矢野さんはわたしを抱きしめてくれた。
矢野「ごめん。ごめんね、宮森」
矢野「これはわたしの責任だ」
矢野「平岡くんはわたしが責任を持ってボコボコにするから」
矢野「ごめん。ほんとにごめんね」
宮森「ちがうんです、そうじゃないんです」
わたしは言った。
宮森「わたしが好きなのは平岡さんじゃなくて――」
宮森「矢野さん、なんです」
矢野「えっと……」
矢野「ごめん、宮森」
矢野「ちょっと事情が呑みこめないんだけど」
宮森「どうしてわからないんですか」
宮森「わたしは、矢野さんのことが好きで」
宮森「好きで好きで仕方なくて」
宮森「だから――」
そこまで言って、ようやく自分がとんでもないことを口走ってることに気づいた。
矢野「ちょっと! 宮森!」
わたしは矢野さんを振りはらって人の行き交う街の中を走った。
駅のトイレに逃げ込んだ。
狭い個室の中で鍵をかけて、
声を上げずにバカみたいに泣いた。
すべて終わってしまったんだ、と思った。
どのくらい泣いていたのかはわからない。
わからないけれど、わからなくなるくらい長い間泣いていたのは確かだった。
シャツの袖で涙をぬぐって個室から出ると、
矢野さんが腕を組んで、洗面台の脇に立っていた。
「ひどい顔」
鏡に映ったわたしの顔はたしかにひどくて、
見ないでください、とわたしは顔を覆った。
矢野「ダメ。ちゃんと見せて」
矢野「それで――」
矢野「ちゃんと言って」
宮森「言ってって」
何をですか、と続けようとしたわたしを制して、
矢野さんは言う。
矢野「さっき言ってくれたこと」
矢野「ちゃんと、最後まで聞きたい」
逃げようとしたけれど、
矢野さんの手はわたしの腕をしっかり掴んでいた。
わたしは観念した。
半ばやけになって言った。
「本当は、矢野さんのことが好きでした」
「いつも気づいたら目で追っていて」
「仲良くなれたらなぁって思ってて」
「だから仲良くなれてすごくうれしくて」
「一緒にいられたらもうそれだけでよかったんです」
「でも、知られたらきっと嫌われてしまう」
「今みたいに近くにいることもできなくなってしまう」
「こわくて」
「だから、嘘をつきました」
「すいません、気持ち悪いですよね。ひきますよね」
早口で言ったわたしに、矢野さんはやさしい声で、
大丈夫だからちゃんと聞かせて、
と言ってくれた。
「何度もあきらめようとしました」
「忘れようとしました」
「でも――」
わたしは言った。
「矢野さんのことが」
「もうどうしようもなく好きなんです」
「ありがとう」
「ちゃんと言ってくれて」
「気持ち悪くなんかないよ」
「うれしかった」
「でも、わたしは宮森のことをそういう風には見えないんだ」
「だからさ。少し時間をちょうだい」
「今はまだ突然のことで心の整理ができてないけど」
「宮森のことを好きになれるか、ちょっと試してみるからさ」
「だから、少しだけ待ってて」
何を言われたのかわからなかった。
わかっていたけれど、信じられなかった。
矢野さんがそんなこと言うわけないと思った。
きっと自分に都合のいい妄想を聞こえたみたいに錯覚したのだ。
でも、気づいたらわたしは矢野さんに抱きしめられていた。
柚子の香りがした。
背中に回された両腕はどこまでもどこまでもやさしくて、
それで、たしかに矢野さんの言葉だったんだってわかった。
わたしはまた涙が止まらなくなってしまって。
何も言葉にできなくなってしまって。
そんなわたしを矢野さんは、
ずっと抱きしめていてくれた。
いつまでも、いつまでも、抱きしめていてくれた。
三週間後――
矢野「宮森。仕事、終わりそう?」
宮森「あとちょっとですね」
矢野「ちょっとなら待ってるよ。一緒に帰ろう」
平岡「…………」
平岡「お先っす」
宮森「お疲れ様です」
矢野「お疲れ」
宮森(平岡さん、気を使ってくれたのかな)
矢野「そしたら池谷さんがさ」
矢野「スプーンで壁に穴空けて逃げようとしてたの」
矢野「ポスター貼って穴を隠してたんだね」
矢野「あれはさすがにびっくりしたよ」
宮森(矢野さんと並んで夜の道を歩いた)
宮森(矢野さんの左手がひらひらと、視界の端で揺れている)
宮森(つかまえたいな、と思うけれど)
宮森(やっぱりそんな勇気なんてないわたしだ)
宮森(わたしの気持ちはばれたけれど)
宮森(矢野さんとの関係はほとんど変わらなかった)
宮森(少し電話の頻度が増えたくらいだ)
宮森(休日に遊びに出かけることはあっても)
宮森(互いの家に遊びに行くことはない)
宮森(そこに矢野さんはまちがいなく一線を引いていて)
宮森(だから、ふられるかもしれないな、と思っている)
宮森(今度は取り乱さないように)
宮森(ちゃんと大人の対応ができるように、と思っているけれど)
宮森(きっと矢野さんにふられたら)
宮森(また子供みたいに泣いちゃうんだろうな、と思う)
矢野「ねえ、宮森」
宮森(矢野さんが数歩前に出て)
宮森(わたしに向き合って立ち止まる)
宮森「なんですか、矢野さん」
宮森(足を止めたわたしに、矢野さんは言った)
矢野「キスしていい?」
「え?」
わたしはきっと間抜けな顔をしていたと思う。
気づいたら、矢野さんがすぐ近くにいて、
唇に何かが触れていた。
柚子の香りがした。
大好きな、大好きな匂い。
鼓膜に触れてるんじゃないかってくらい近くで、
矢野さんは言った。
「好きだよ、宮森」
わたしはわけがわからなくなって、
やっぱり、やっぱり、泣いてしまった。
おわり
感想もらえたらうれしい。
今度は同棲の話からだな
最高すぎ
左手の上下運動が止まらない
まともな白箱SSって初めて見た
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1427972735/
Entry ⇒ 2015.04.13 | Category ⇒ SHIROBAKO | Comments (0)
佐藤「仕事、辞めたいです……」【SHIROBAKO SS】
佐藤(アニメの会社に転職して一ヶ月)
佐藤(少しは仕事にも慣れてきましたが)
木佐「大丈夫、大丈夫。俺本気出すとすごいから」
佐藤「……わかりました」
佐藤「ってことだったのですが」
山田「はぁ? 信用できねえよ」
佐藤「すいません……」
佐藤(胃が痛いです)
佐藤(仕事量は多いですし、残業代は出ないですし)
佐藤(まあ、それは調べてましたから覚悟してましたけど)
安藤「え? 円さんのデビュー作ってtree tearsだったんですか?」
安藤「わたし、あれすごく好きなんです」
安藤「絵乃ちゃんが切ないですよね!」
佐藤「…………」
佐藤(アニメの話もよくわかりません)
「今年の新人の子どう思う?」
佐藤(あれ、わたしたちの話でしょうか)
「安藤さんはいいよね。アニメ好きなのわかるし、なんていうかこっち側の人間っていうか」
「素直だし、人当たりもいいしね」
佐藤(よかった。安藤さんは好印象みたいです)
「それに比べてもう一人の子はね。名前、なんだっけ?」
「あー、敬語がすごい子ね。名前覚えてないな」
「あの子はちょっとやりづらいよね。堅すぎだし、何考えてんのかわからないっていうか」
「あー、わかるわかる。アニメも全然知らないしね」
「真面目なのはいいけど、真面目すぎるのもちょっとね」
佐藤「…………」
佐藤(真面目でなにがわるいんですか)
佐藤(真面目なのはいいことじゃないですか)
佐藤(敬語だってできてて責められるのはおかしいです)
佐藤(他の業界だったらこれくらい普通なのに)
佐藤(アニメだって普通大人は見ないものですし)
佐藤(私、この仕事向いてないのかも知れません)
佐藤(それに――)
佐藤「はぁ……」
佐藤(やっぱりわたしは人とうまく関われない人間みたいです)
佐藤(真面目すぎ、お堅い、一緒にいて疲れる)
佐藤(いつもそんな風に言われてしまいます)
佐藤(学生時代はそんなことなくて)
佐藤(真面目でえらい、しっかりしてる、うちの子も佐藤さんみたいな子だったらよかったのに)
佐藤(なんていっぱい褒めてもらえたのですが)
佐藤(同じことをしてるのにどうしてうまくやれないのでしょう)
佐藤「…………」
佐藤「仕事、辞めたいです」
佐藤(やっと仕事が終わりました)
佐藤「お疲れ様です。お先に失礼します」
宮森「うん、遅くまでお疲れさま」
佐藤(宮森さんはまだ残られるんですね)
佐藤(もう十一時を過ぎてるのに)
佐藤(家に帰ったら十二時過ぎ)
佐藤(お風呂入ってすぐに寝て)
佐藤(起きたらまた仕事)
佐藤(自分の時間なんてありません)
佐藤(土曜日も勿論仕事ですし)
佐藤(日曜日も行かないといけないかも)
佐藤(こんなにつらい思いをして)
佐藤(私、何のために働いているんでしょうか)
佐藤(なんだか、わからなくなってきてしまいます)
佐藤「……あ」
佐藤(いい匂いです)
佐藤(焼き鳥の屋台ですか)
佐藤(そういえば、最近お酒も全然飲めていません)
佐藤(夜食べるのはよくないことですが)
佐藤(でも、少しくらいいいですよね)
佐藤「すいません、一人です」
店主「いらっしゃい。そこ、かけて」
佐藤「はい」
佐藤(もう一人お客さんがいますね)
みーちゃん「ねえ! 聞いてます? わたし、ぜえったいCGで天下取りますから!」
佐藤(完全にできあがってます)
みーちゃん「あれ、お姉さんも一人ですか?」
佐藤「はい、そうですけど」
みーちゃん「じゃあ一緒に飲みましょうよ」
佐藤「でも、私明日仕事がありますから」
みーちゃん「そんなのわたしも一緒ですよ」
みーちゃん「楽しめるときに楽しめばいいんですって」
佐藤「いえ、職場で迷惑をかけてはいけないので」
佐藤「今日は一杯だけと決めてますから」
三十分後――
佐藤「生追加! 早く持って来なさいよ!」
みーちゃん「いい飲みっぷりですよ、佐藤さん!」
佐藤「だいたいみんな自分勝手すぎるんですよ」
佐藤「自分が楽したいからって適当なことして」
佐藤「そのせいで私がどれだけ頭を下げないといけないか!」
みーちゃん「大変なんですね」
みーちゃん「でも、わかります。わたしも最近転職したんですけど」
みーちゃん「すぐ辞めた適当なやつって思われてるみたいで」
みーちゃん「みんな新卒の子を露骨に贔屓するんですよ」
みーちゃん「わたしのほうが仕事できるのに」
みーちゃん「やってられないです!」
佐藤「藤堂さんも大変なんですね」
みーちゃん「それですよ、それ」
みーちゃん「藤堂さんってなんか堅いです」
佐藤「あ……」
「あの子はちょっとやりづらいよね。堅すぎだし、何考えてんのかわからないっていうか」
佐藤「すいません……」
みーちゃん「いや、謝らないでくださいよ。わたしは佐藤さんと仲良くなりたいから言ってるんですから」
佐藤「え?」
みーちゃん「佐藤さんって年下のわたしにも丁寧な口調で話してくれて」
みーちゃん「すごいいい人だなぁって思ってですね」
みーちゃん「もっと仲良くなりたいなぁって」
みーちゃん「ダメですか?」
佐藤「い、いや、ダメじゃないですけど」
佐藤「じゃあ、美沙さん、とかですか?」
みーちゃん「もう一声」
佐藤「じゃあ、みーちゃんさんで」
みーちゃん「うーん」
みーちゃん「もう一声、と言いたいところですけど」
みーちゃん「今日のところはそれで満足してあげます」
翌朝
佐藤「……もう朝?」
佐藤(頭痛い)
佐藤(仕事行かないと)
佐藤「…………」
佐藤(藤堂美沙、みーちゃんさん)
佐藤(なんか仲良くなってしまいました)
佐藤(お酒の席でのことですし)
佐藤(きっと連絡を取ることはないんでしょうけど)
「佐藤さんって年下のわたしにも丁寧な口調で話してくれて」
佐藤(うれしかった、ですね)
その夜
佐藤「お疲れ様です。お先に失礼します」
宮森「うん、遅くまでお疲れさま」
佐藤(宮森さんはまだ残られるんですね)
佐藤(もう十二時を過ぎてるのに)
佐藤(今日はさすがに遅いですし)
佐藤(まっすぐ家に帰らないと)
「もっと仲良くなりたいなぁって」
佐藤「…………」
佐藤「覗くだけ。覗くだけしてみましょう」
佐藤「すいません、一人です」
店主「いらっしゃい。そこ、かけて」
佐藤「はい」
佐藤(もう一人お客さんがいます)
木佐「ねえ、聞いてる? 俺、ぜえったいヒルクライムでてっぺん取るから!」
佐藤(完全にできあがってます)
佐藤「って木佐さんじゃないですか」
木佐「あれ、ムサニの新人の人」
佐藤「私、今木佐さんに明日の午前までって原画お願いしてますよね」
木佐「…………」
木佐「まあまあ、仕事のことは忘れて一緒に飲もうよ」
佐藤「忘れられないです!」
木佐「大丈夫大丈夫。もうほとんどできてるし」
佐藤「……なら、いいですけど」
佐藤「でも、私明日仕事がありますから」
佐藤「今日は一杯だけと決めてますので」
三十分後――
佐藤「生追加! 早く持って来なさいよ!」
木佐「いい飲みっぷりだよ、佐藤さん!」
翌朝
佐藤「……もう朝?」
佐藤(頭痛い)
佐藤(仕事行かないと)
佐藤「…………」
佐藤(木佐さん)
佐藤(なんか仲良くなってしまいました)
佐藤(お酒の席でのことですし)
佐藤(きっともうあんな機会はないんでしょうけど)
佐藤(悪くはない、ですね)
その夜
佐藤「お疲れ様です。お先に失礼します」
宮森「うん、遅くまでお疲れさま」
佐藤(宮森さんはまだ残られるんですね)
佐藤(もう深夜一時を過ぎてるのに)
佐藤(今日は本当に遅いですし)
佐藤(まっすぐ家に帰らないと)
「もっと仲良くなりたいなぁって」
佐藤「…………」
佐藤「覗くだけ。覗くだけしてみましょう」
佐藤「すいません、一人です」
店主「いらっしゃい。そこ、かけて」
佐藤「はい」
佐藤(もう一人お客さんがいます)
池谷「もう働かない! もう働かないぞ! 働いてたまるか!」
佐藤(完全にできあがってます)
池谷「君も一人?」
佐藤「はい、そうですけど」
池谷「一緒に飲む?」
佐藤「いえ、私明日仕事がありますから」
池谷「そうか」
佐藤「はい。今日は一杯だけと決めているので」
三十分後――
佐藤「生追加! 早く持って来なさいよ!」
池谷「仕事なんかクソくらえだ!」
翌朝
佐藤「……もう朝?」
佐藤(頭痛い)
佐藤(仕事行かないと)
佐藤「…………」
佐藤(池谷さん)
佐藤(なんか仲良くなってしまいました)
佐藤(すごくダメな人でしたね)
佐藤(木佐さんよりもひどいかも)
佐藤(上には上がいるんですね)
佐藤(お酒の席でのことですし)
佐藤(きっともうあんな機会はないんでしょうけど)
佐藤(悪くはない、ですね)
佐藤(それにしても)
佐藤(連絡、ないですね)
佐藤(みーちゃんさん……)
佐藤(きっと、社交辞令だったんですよね)
佐藤(大丈夫、大丈夫)
佐藤(わかってたことじゃないですか)
その夜
佐藤「お疲れ様です。お先に失礼します」
宮森「うん、遅くまでお疲れさま」
佐藤(宮森さんはまだ残られるんですね)
佐藤(もう深夜三時を過ぎてるのに)
佐藤(今日は本当に本当に遅いですし)
佐藤(まっすぐ家に帰らないと)
「もっと仲良くなりたいなぁって」
佐藤「…………」
佐藤「もう一度だけ」
佐藤「最後にもう一度だけ行ってみましょう」
佐藤「すいません、一人です」
店主「いらっしゃい。そこ、かけて」
佐藤「はい」
佐藤(もう一人お客さんがいます)
ずか「ねえ、聞いてます? わたし、ぜえったい声優で世界取りますから!」
佐藤(完全にできあがってます)
ずか「あれ、お姉さんも一人ですか?」
佐藤「はい、そうですけど」
ずか「じゃあ一緒に飲みましょうよ」
佐藤「でも、私明日仕事がありますから」
ずか「どうせわたしは仕事のないちくわぶみたいな声優ですよ」
佐藤「私はちくわぶ好きですけど」
ずか「ですよね!」
ずか「ちくわぶだっていいですよね!」
ずか「わたしたちがいるからこそ大根や牛すじが引き立つんです!」
ずか「はぁ……」
ずか「でも、牛すじになりたいなぁ」
佐藤(これは付き合ってるとめんどくさそうです)
佐藤「今日は一杯だけと決めてますから」
三十分後――
佐藤「生追加! 早く持って来なさいよ!」
ずか「誰か! 誰か仕事をください!」
翌朝
佐藤「……もう朝?」
佐藤(頭痛い)
佐藤(仕事行かないと)
佐藤「…………」
佐藤(坂木さん)
佐藤(なんか仲良くなってしまいました)
佐藤(愚痴を聞かされているうちに朝になってましたね)
佐藤(疲れました)
佐藤(もう勘弁して欲しいです)
佐藤「…………」
佐藤(でも、たまにはこういうのもいいかもしれません)
その夜
佐藤「お疲れ様です。お先に失礼します」
宮森「うん、遅くまでお疲れさま」
佐藤(宮森さんはまだ残られるんですね)
佐藤(もう明け方の五時を過ぎてるのに)
佐藤(ちゃんと家に帰ってるんでしょうか)
佐藤(心配になってきました)
佐藤(今日は遅いというかもう朝ですし)
佐藤(まっすぐ家に帰りましょう)
佐藤「…………」
佐藤(屋台は見ないようにして通りすぎました)
佐藤(そうです。これが普段の私です)
佐藤(今週の私はおかしかったのです)
佐藤(なんでもない社交辞令に期待して)
「佐藤さんって年下のわたしにも丁寧な口調で話してくれて」
「すごいいい人だなぁって思ってですね」
「もっと仲良くなりたいなぁって」
佐藤(疲れてますね)
佐藤(なんか涙が出てきちゃいました)
佐藤「…………」
佐藤(わたし、真面目なんですから)
佐藤(そんなこと言われると)
佐藤(期待、しちゃうじゃないですか)
佐藤(私なんかと仲良くなりたいなんて)
佐藤(そんなこと)
佐藤(あるわけないのに)
みーちゃん「――佐藤さん!」
みーちゃん「佐藤さん、探しましたよ」
みーちゃん「ひどいじゃないですか」
みーちゃん「全然返信くれないなんて!」
佐藤「え、でも、LINEには何も」
みーちゃん「これ、アップデートしてないでしょ」
みーちゃん「だから通知がこないんです」
みーちゃん「ほら、ちゃんと起動すると」
みーちゃん「いっぱいきてるじゃないですか」
佐藤「……そうだったんですね」
佐藤「みーちゃんさん」
佐藤「その……」
佐藤「私と、友達になってもらえませんか?」
佐藤(声が震えてしまいました)
佐藤(顔を見るのが怖くて)
佐藤(目を閉じて顔を俯けました)
佐藤(少しして)
佐藤(みーちゃんさんは言いました)
みーちゃん「何言ってるんですか」
みーちゃん「わたしたち、もう友達じゃないですか」
佐藤(仕事は相変わらず大変です)
木佐「大丈夫、大丈夫。俺本気出すとすごいから」
木佐「それよりまた今度飲みに行こうよ」
佐藤「木佐さんが今日中にあげてくれたら行ってもいいです」
木佐「えー、明日じゃダメ? いいでしょ?」
佐藤「ダメです」
木佐「しょうがないなぁ」
木佐「わかった。今日中にあげる」
佐藤「お願いします」
佐藤(仕事量は多いですし、残業代は出ないです)
佐藤(アニメの話もよくわかりません)
佐藤(陰口を言われることもあります)
佐藤(でも、もうちょっとがんばってみようと思います)
佐藤(あ、LINEですね)
みーちゃん『今夜、飲みにいきませんか?』
佐藤「……ふふ」
佐藤(いけないいけない。顔を引き締めないと)
佐藤(いきます、と)
佐藤(またLINEだ)
木佐『今日あげるんで今夜行きましょうよ』
池谷『今夜飲みに行きませんか?」
ずか『今夜時間ありませんか?』
佐藤(うーん。わるいけど)
佐藤(今日はみーちゃんさん優先で)
佐藤(真面目すぎ、お堅い、一緒にいて疲れる)
佐藤(やっぱり、私は人とうまく関われない人なんだと思います)
佐藤(でも、そんな私を好いてくれてる人もいるみたいで)
佐藤(私が思っているよりも)
佐藤(私は悪くないのかもしれません)
みーちゃん「佐藤さん、こっち!」
佐藤「はい、みーちゃんさん」
みーちゃん「もう、みーちゃんさんじゃないですって」
佐藤「……そうですね」
佐藤「みーちゃん」
おわり
感想もらえるとうれしい。
特に佐藤とタイヤが転職つながりってのは、はっとした。
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1427540813/
Entry ⇒ 2015.04.04 | Category ⇒ SHIROBAKO | Comments (0)
みゃーもり「わたし、引越しすることにしました!」
みゃーもり「はい。1LDKで3万ですよ。安くないですか?」
安藤「随分安いですね」
佐藤「築年数が古いんですか?」
みゃーもり「まだ5年だよ」
エリカ「それで3万?」
みゃーもり「はい!」
みゃーもり「」ニコニコ
エリカ(この笑顔見せられたら言えないよね)
みゃーもり「3月で契約が切れるので更新するか迷ってたんですけど」
安藤「引越しを選んだんですね」
みゃーもり「うん。会社からは少し遠くなるけどね」
エリカ「わたしよりは近いでしょ」
みゃーもり「それはもちろん」
みゃーもり「今日はありがとう。みんなのおかげで思ったより早く済んだよー」
絵麻「ううん。今日は暇だったし」
りーちゃん「自分もです」
みーちゃん「綺麗なマンションですね」
ずかちゃん「いいなー」
みーちゃん「ずかちゃんも引越しすればいいのに。ハ○キュー2期のレギュラー決定したんだし」
りーちゃん「新マネージャーの子っすよね!」
ずかちゃん「うん。でもまだ公式発表されてないから内緒にしておいてね」
みゃーもり「そういえばりーちゃん、小説を応募するんだっけ?」
りーちゃん「っす。ダメもとっすけど頑張りマスタング!」
絵麻「みーちゃんは秋から始まるヘヴィーオ○ジェクトの仕事するんでしょ」
みーちゃん「はい。SHアクションなので凄い楽しみです!」
絵麻「わたしもSF描いてみたいな」
みゃーもり「みんな、目標に向かって着実に進んでるね……」
みゃーもり「え」
りーちゃん「おいちゃん先輩がプロデューサーになって七福神の企画を立ち上げてほしいです!」
みゃーもり「……う、うん。それよりお腹減らない? そばでも頼もっか」
みーちゃん「そばいいですね」
絵麻「引越し蕎麦だね」
みゃーもり「よし。片付けもオッケー!」
みゃーもり(皆がいなくなったせいか凄い広く感じるなー)
みゃーもり「……あ、そうだ。お風呂入る前に隣の部屋の人に引越しの挨拶しないと」
みゃーもり(さっきはいなかったけどこの時間ならいるかな)
みゃーもり(騒音おばさんみたいな人じゃなければいいけど)
みゃーもり「あ、挨拶品忘れるところだった!」
みゃーもり「」ピンポーン
『はい?』
みゃーもり「あ、夜分遅くすみません。わたし、隣の部屋に引越してきた者ですけど」
『え? 隣の部屋?』
みゃーもり「はい。その挨拶に……」
『』ギー
みゃーもり「……え?」
みゃーもり「……」
平岡「……」
みゃーもり「平岡さんっ!?」
平岡「デスク!?」
みゃーもり「な、なんで平岡さんがここに?」
平岡「なんだってこの部屋に住んでるからに決まってだろ」
みゃーもり「で、ですよね」
みゃーもり「わたしもびっくりしました。これつまらないものですけど」
平岡「どうも。……それより隣の部屋に引っ越してくるとは勇気あるな」
みゃーもり「え? 勇気?」
平岡「」コクリ
みゃーもり「どういうことですか?」
平岡「…………知らないのか?」
みゃーもり「何がですか?」
みゃーもり「だからなんですか。早く教えてください!」
平岡「……隣の部屋、前住んでた奴が自殺してるんだけど……」
みゃーもり「」
平岡「……」
みゃーもり「……………………ぇ?」
平岡「それ以来ずっと空き部屋」
みゃーもり「じ、自殺っ!?」
みゃーもり「わたし、聞いてないですよ!!」ガシッ
平岡「不動産屋が説明を怠ったんだろ」
みゃーもり「そんなぁ……」ヘナヘナ
平岡「……」
みゃーもり「……だから格安だったんだ。どおりで安いと思った……」
平岡「ちなみに家賃は?」
みゃーもり「3万です」
みゃーもり「うぅぅ。どうしましょう……」
平岡「……とりあえず事故物件は説明義務があるから不動産屋に相談すれば契約解除は出来ると思うけど」
みゃーもり「ほ、本当ですか!?」
平岡「恐らく。明日にでも問い合わせすれば」
みゃーもり「そうします」
平岡「んじゃまた会社で」
みゃーもり(あの部屋に戻りたくないな。りーちゃんのお部屋に泊まらせてもらおうかな)
ピンポーン
平岡「はい」ギー
みゃーもり「平岡さん……」
平岡「今度はなんですかー」
みゃーもり「あの、無理を承知でお願いなんですけど……」
平岡「お願い?」
みゃーもり「今晩、泊めてもらえませんか」
平岡「」
みゃーもり「お願いします!!」
みゃーもり「全員駄目だったんです」
平岡「全員?」
みゃーもり「はい」
平岡「安原さんやバイトの女も?」
みゃーもり「はい。りーちゃんは帰郷で、絵麻は四畳半なので流石に泊めてもらうわけには……」
平岡(四畳半って……)
みゃーもり「お願いします!」
みゃーもり「そんな怖いこと言わないで下さい。わたし、そういうの苦手なんです……」
平岡「……」
みゃーもり「」ウルウル
平岡「……はぁ。わかりましたわかりましたよ」
みゃーもり「本当ですか!」ニパァ
平岡「今日だけだから」
みゃーもり「はい!」
みゃーもり「へー、けっこう片付いてるんですね」
平岡「あまりジロジロ見るな」
みゃーもり「……あの……」
平岡「今度はなんですかー」
みゃーもり「お風呂借りてもいいですか?」
平岡「湯船はってないけど」
みゃーもり「シャワーだけで構いません」
平岡「どうぞ」
平岡「……」
みゃーもり「着替えや荷物を取りに行きたいんですけど……」
平岡「いってらっしゃい」
みゃーもり「怖くて一人で行けません」
平岡「……」
みゃーもり「お願いします」
平岡(何でだ。嫌なのに面倒なのになぜか断れない)
平岡(この女には人にお願い事する才能があるのかも)
みゃーもり「えっと、着替えにタオルに歯ブラシも持ってかないと……」
平岡「……髪結んでるのか」
みゃーもり「え」
平岡(声に出ちまった……)
みゃーもり「はい。家では結構結んでますよ」
平岡「あ、そう……」
ドォォォォォン!!
みゃーもり「きゃっ!」ビクッ
平岡(落雷か。ライチュウが降臨したか)
バチン
みゃーもり「え? え?」
平岡「今度は停電か」
平岡「ひゃっ」ビクッ
みゃーもり「うぅぅぅ」ブルブル
平岡「ちょっとデスクなにして……」
みゃーもり「すみません。わたし、雷が苦手で。それにこんな部屋で停電して……」
平岡(そりゃ怖いよな)
みゃーもり「すみません……」
平岡「はぁ」
みゃーもり「お騒がせしました///」
平岡「どういたしまして?」
みゃーもり「それじゃ部屋に戻りましょうか」
平岡「はいはい」
みゃーもり「……平岡さんは雷とか暗いところ平気なんですね」
平岡「まー」
みゃーもり「それに自殺があった部屋なのに。その幽霊とか……」
平岡「だから幽霊なんていないって。それにいても怖くない」
平岡「幽霊よりアニメーターの方が怖いだろ。特に瀬川さんとか瀬川さんとか瀬川さんとか」
みゃーもり「瀬川さんは優しいですよー」
平岡「だからあの人は女には甘いんだって」
みゃーもり「そうですかー?」
平岡「レズって噂もあるしな」
みゃーもり「え」
平岡「気をつけろよ」
みゃーもり「……ま、その、わたしはデスクなので、誰かさんが問題起こさない限りは行くこともないかと……」
平岡「……すみませんでした」
平岡(まさかデスクと一晩過ごす羽目になるとは)
平岡「……」
平岡(ちっ。高翌梨が泊まりに来た時は何も思わなかったのによ。なに緊張してんだ俺は)
平岡「……酒でも飲んで気を間際らすか」
平岡「」グビグブ
平岡「ぷはっ」
平岡「……んだよ。イッテQ!終わってんじゃねーか」
平岡「」ゴクゴク
みゃーもり「平岡さん、シャワーありがとうございました」
平岡「うーす」
みゃーもり「あっ」
平岡「んだよ」
みゃーもり「飲むのはいいですけど、仕事に支障出ない程度にして下さいね」
平岡「うっせーな。デスクも飲めばいいだろ」
みゃーもり「いいんですか?」
みゃーもり「それじゃ遠慮なく。あとデスクはやめて下さい。名前で呼んで欲しいです」
平岡「はいはい」ゴクゴク
みゃーもり「それじゃいただきます」グビグビ
みゃーもり「ぷはぁ。美味しいです」
平岡「BESTVAL○とは違うんだよ。BESTVAL○とは!」
みゃーもり「そういえば平岡さんって高梨さんと仲良いですよね」
平岡「そりゃ制作進行で男二人しかいないからな」
みゃーもり「でも三女始まるまではそんな話す方じゃなかったですよね」
平岡「……」
みゃーもり「何かきっかけでもあったんですか?」
平岡「……」
みゃーもり「平岡さん?」
平岡「……褒めてくれたんだ」
みゃーもり「え」
みゃーもり「……」
平岡「高梨には感謝してるよ。こんな俺を相棒とか言ってくれるんだから」
みゃーもり「……高梨さんだけじゃないですよ」
平岡「……」
みゃーもり「矢野さんも、磯川さんも。平岡さんを思ってくれている人はいます。それにわたしだって……」
平岡「……どうも」
みゃーもり「なんか辛気臭くなっちゃいましたね。飲みましょう!」
平岡「お、おう……」
みゃーもり「……んん……」
みゃーもり(はれ? いつのまに寝ちゃったんだろう)
平岡「」スースー
みゃーもり「…………あれ?」
平岡「」スースー
みゃーもり「な、な、なっ///」
みゃーもり(なんで平岡さんと一緒に寝てるの!?)
みゃーもり(嘘、まさか酔っぱらってそのまま!?)
平岡「」スヤスヤ
みゃーもり「……よし。泊めてくれたお礼に朝食でも作ろう!」
30分後
みゃーもり「平岡さん、朝ですよ。起きてください」ユサユサ
平岡「……あと5分……」
みゃーもり「駄目です。遅刻しちゃいますよ」
みゃーもり「デスクじゃなくて名前で呼んで下さいって言ったじゃないですか」
平岡「……そうか。昨日泊めたんだった」
みゃーもり「はい。本当に助かりました。それでお礼に朝食を作ったんですけど」
平岡「どうも」
みゃーもり「一緒に食べましょ」
みゃーもり「はい」
平岡「」モグモグ
みゃーもり「どうですか?」
平岡「……食べれないことはない」
みゃーもり「そこは普通に美味しいって言ってくださいよー」
平岡「……美味い」
みゃーもり「ありがとうございます♪」
みゃーもり「昼休みに不動産屋に連絡します」
平岡「ま、早く連絡した方がいいな」
みゃーもり「ですよね。それとまた部屋についてきて欲しいんですけど……」
平岡「明るいから大丈夫だろ」
みゃーもり「それでも怖いんです」
平岡「はぁ」
みゃーもり「すみません。すぐに着替えるので。あと化粧もするので洗面所使っていいですか?」
平岡「どうぞ」
みゃーもり「それじゃ風呂場で着替えてくるのでここで待ってて下さいね。部屋から出ちゃ駄目ですよ?」
平岡「出ないけど、自殺した場所が風呂場なんだけど」
みゃーもり「早く言ってください! トイレで着替えてきます」
平岡「……」
みゃーもり「本当に部屋から出ないで下さいね?」
平岡「早く着替えろよ……」
みゃーもり「それじゃそろそろ行きましょうか」
平岡「はいはい」
みゃーもり「平岡さんはバス通勤ですか?」
平岡「そうだけど」
みゃーもり「それじゃ定期も買わないとですね」
平岡「いや、部屋が決まるまでは違うところから通うんだろ」
みゃーもり「あ、そうでした」
平岡「これでよくデスクが務まってるもんだ」
平岡「……えっと」
みゃーもり「はい?」
平岡「昨日のことは高梨には内緒な」
みゃーもり「昨日のこと? あー、高梨さんに感謝してることですか」
平岡「」コクリ
みゃーもり「わかりました。平岡さんってツンデレだったんですね」
平岡「違ぇよ」
ムサニ
みゃーもり「おはようございます」
平岡「うーっす」
エリカ「おはよ。平岡くん、今日は早いじゃん」
平岡「まーな」
エリカ「ふふ。みゃーもり、新しい部屋どうだった?」
みゃーもり「」ギクッ
平岡「」ギクッ
エリカ「やっぱり広い?」
みゃーもり「そ、そうですね。凄い刺激があるお部屋でした。はい……」
エリカ「なにそれ」クスッ
平岡(刺激たっぷりすぎるだろ)
不動産屋『変な話、自殺があったこと言ってませんでしたっけ?』
みゃーもり「言ってません!」
不動産屋『あれーおかしいなー』
みゃーもり「説明義務を怠ったんですから契約解除して下さい」
不動産屋『変な話、自分では決められないので上司から折り返しまーす!』
みゃーもり「あ、ちょっと!」
みゃーもり「なんなのこの人!!」
平岡「どうだった?」
みゃーもり「はい。上司の人から連絡が来て契約は解除してくれるそうです」
平岡「よかったな」
みゃーもり「はい。あと新しい部屋が決まるまでは使ってもいいそうです」
平岡「口止め料か」
みゃーもり「ですかね」
平岡「それしかないだろ。それで今晩はどうすんだ」
みゃーもり「今、友達に連絡して返事待ちです」
平岡「そうか」
みゃーもり「心配かけてすみません」
平岡「別に」
みゃーもり「お腹空きましたね」
平岡「何か適当に作るか」
みゃーもり「ですね。わたしが作ります」
平岡「頼む」
みゃーもり「はい」
平岡「……」
平岡「どうぞ。……ってなんで普通にいるんだよ!」
みゃーもり「今日も寝床が見つからなかったので」
平岡「今日も泊るつもりかよ……」
みゃーもり「……駄目ですか」
平岡「……どうぞ」
みゃーもり「ありがとうございます!」
みゃーもり「あ、氷菓のBD-BOXじゃないですか。買ったんですね」
平岡「ああ」
みゃーもり「見てもいいですか?」
平岡「別に」
みゃーもり「一緒に見ましょう」
平岡「ああ」
みゃーもり「これ前から見たいと思ってたんですよねー」
みゃーもり「だって山形放送してませんでしたし」
平岡「あー、そうか。山形出身だったな」
みゃーもり「平岡さんはどこ出身なんですか?」
平岡「千葉だと思う」
みゃーもり「近いですね」
平岡「そりゃ山形よりは」
みゃーもり「凄い映像が綺麗ですね」
平岡「天下の浪速アニメーションだからな」
みゃーもり「演出も凄いです」
平岡「そうだな」
みゃーもり「うちもこれに負けないような作品作りたいですね」
平岡「……だな」
みゃーもり(神山高校か。漢字違うけどわたしの高校と名前が似てるなー)
平岡(2期は原作ストックないから無理か)
平岡「そろそろ寝るか」
みゃーもり「ですね」
平岡「リビングに布団敷くから」
みゃーもり「それじゃわたしがリビングで寝ますね」
平岡「いや、宮森はベッド使っていい」
みゃーもり「さすがに悪いですよ」
平岡「昨日みたいに潜り込まれるの困るし」
平岡「そりゃ」
みゃーもり「す、すみません。実は記憶がなくて……」
平岡「そうか」
みゃーもり「なんでわたし、平岡さんと一緒に寝てたんですかね?」
平岡「リビングで寝かしつけたんだが、深夜に俺の布団に潜り込んできた」
みゃーもり「そうだったんですか……」
みゃーもり「すみません……」
平岡「だから今日は俺がリビングで寝る」
みゃーもり「……わかりました。それと他に変なことしませんでした?」
平岡「……ない」
みゃーもり「よかった」ホッ
平岡(本当は色々やばかったが内緒にしておくか)
みゃーもり「ぐすっ。かをりちゃん、死んじゃいました」ポロポロ
平岡「チッ」
みゃーもり「やっぱりヒロインが死んじゃうと悲しいですね。面白かったですけど」
平岡「そうだな。作画も凄かったし演出もよかった」
みゃーもり「ですね。ピアノも凄かったですよ」
平岡「……いい作品だったな」
みゃーもり「はい。終わっちゃうのは寂しいですね」
平岡「だな」
みゃーもり「そろそろ寝ましょうか」
平岡「ああ」
みゃーもり「なかなかいい部屋が見つかりません……」ゴクゴク
平岡「まあ、焦らなくてもいいんじゃねぇの」グビグビ
みゃーもり「でも……」
平岡「……俺として飯作ってくれるから助かってるし」
みゃーもり「え」
平岡「裸見られるのは勘弁して欲しいけど」
みゃーもり「本当にごめんなさい」
みゃーもり「はい。……平岡さんってお酒飲むと本音言ってくれますよね」
平岡「ちげぇよ!」
みゃーもり「わたしも平岡さんと一緒に通勤したり、ご飯食べたり、アニメ見るの楽しいですよ」ニコッ
平岡「」ドキッ
みゃーもり「もう少しここにいてもいいですかね」
平岡「……いいんじゃないの」
みゃーもり「はい!」
りーちゃん「おいちゃん先輩、久しぶりっす」
みゃーもり「りーちゃん、お久しぶり。地元どうだった?」
りーちゃん「相変わらず寒かったっす」
みゃーもり「あはは」
りーちゃん「そういえば大変だったっすね」
みゃーもり「引越し先?」
りーちゃん「っす。よかったら決まるまでわたしんち来ます?」
みゃーもり「……ありがとう。でも大丈夫」
みゃーもり「あ、そっか。りーちゃんちゃんには言ってなかったっけ」
りーちゃん「何がです?」
みゃーもり「わたし、平岡さんの部屋に泊まらせてもらってるの」
りーちゃん「」
みゃーもり「絵麻達には言ってあるんだけど」
りーちゃん「平岡さんっすか!?」
みゃーもり「うん」
みゃーもり「違うよ。実は引越し先が平岡さんの隣の部屋だったの」
りーちゃん「マジっすか」
みゃーもり「マジ。それでそのまま泊まらせてもらってるんだ」
りーちゃん「そうだったんすか。なら尚更わたしんちに泊まった方が。さすがに恋人じゃない男の人の家に寝泊りするのはどうかと思います、です」
みゃーもり「普通はそう思うよね。でも平岡さんと一緒にいると楽しいよ」
りーちゃん「……その、襲われたりしないんすか?」
りーちゃん「逆ラッキースケベっすか」
みゃーもり「そうなるのかな。慌てた平岡さん可愛かったなー」
りーちゃん「……」
みゃーもり「わたしの作ったご飯も美味しく食べてくれるし」
りーちゃん「おいちゃん先輩、料理してるんすか?」
みゃーもり「うん。一人暮らしの時はコンビニ弁当ばっかりだったけどね」
みゃーもり「なんかわたしって自分より人の為に何かする方が好きみたい」
りーちゃん「……ですか」
みゃーもり「だからごめんね」
りーちゃん「気にしなくていいっすよ。楽しそうでよかったっす!」
りーちゃん(これは恋の予感っす)
磯川「よー大輔!」
平岡「また来たのかよ」
磯川「そんな言い方しなくていいだろ。ビジネスパートナーなんだからよ」
平岡「俺とお前じゃなくてムサニとお前の会社がだろ」
磯川「つれねーな。それよりなんか良いことあったのか?」
平岡「……は?」
磯川「いや、顔つきがな。随分優しくなったっていうか」
平岡「馬鹿なこと言ってないで仕事しろよ」
平岡「宮森なら会議中だよ。あと5分くらいで終わると思うけど」
磯川「そうか。あの子も凄いよな。22でデスクなんだから」
平岡「……そうだな。凄いな」
磯川「」
平岡「んだよ」
磯川「いや、大輔が素直に人を褒めるなんて。明日は大雨か」
平岡「もう帰れ!」
タロー「大ちゃん、お昼いこー!」
平岡「あいよ」
エリカ「相変わらず仲良いね」
タロー「そりゃ俺と大ちゃんはバディですから!」
みゃーもり「……」
安藤「ぐ腐腐~」
平岡「」ゾクッ
みゃーもり「あ、あの、わたしもご一緒していいですか?」
タロー「んだよー。今から男二人だけの時間だっつーの」
平岡「気持ち悪いこと言うなよ。別にいいよ」
みゃーもり「いいんですか?」
タロー「ちょっと大ちゃーん」
平岡「たまにはな。こうやって親交を深めるのも大事だろ」
「」ガタッ
エリカ「ひ、平岡くん、どうしたの?」
興津「具合が悪いようなら早退しても構いませんが」
平岡「」イラッ
佐藤「あの皮肉ではなく本当に心配されているようです」
平岡「知ってるよ!」
タロー「大ちゃん、成長したね。大ちゃんがそんなこと言ってくれるなんて」グスッ
平岡「あっ!?」
平岡「あいつら、俺のことなんだと思ってんだ!」
みゃーもり「問題児じゃないですか」
平岡「」グサッ
みゃーもり「冗談です」
平岡「チッ」
みゃーもり「それよりお昼はお邪魔してすみませんでした」
平岡「別に。でも珍しいな」
みゃーもり「はい。わたしも一緒に行きたくなっちゃって」
みゃーもり「違います!」
平岡「それより今日は帰れるの深夜になりそうだ」
みゃーもり「ですね。三か月後には放送ですもんね」
平岡「『斉木○雄のψ難』。ジャンプ漫画のアニメ化に携われることになるとはな」
みゃーもり「あれ面白いですよね」
平岡「昨日ずっと読んでよな」
みゃーもり「止まらなくなっちゃって」
平岡「超能力があったら制作進行楽になるだろうな」
みゃーもり「馬鹿なこと言ってないで仕事に戻りますよ」
平岡「安原さん、お疲れ様です」
絵麻「お疲れ様です」
平岡「残り何カットです?」
絵麻「8カットです。明後日には全カット仕上がる予定です」
平岡「わかりました。よろしくお願いします」
みゃーもり「絵麻、お疲れ―」
絵麻「あ、おいちゃん」
絵麻「ううん、大丈夫だよ」
平岡「本当だよ。一つで十分だっつーの」
みゃーもり「だって集○社の人が言うんだから仕方ないじゃないですかー」
平岡「まあ、天下の集○社だからな」
みゃーもり「作監も4話分あって大変だろうけど平岡さんがしっかりサポートするからね!」
絵麻「うん」
平岡「なんで俺だけなんだよ……」
平岡「それは知ってるけど」
みゃーもり「それじゃまたね」
絵麻「うん、またね」
平岡「失礼します」
絵麻「はい」
絵麻(仲良いなー)
みゃーもり「ここのパスタは絶品ですねー」
平岡「当然だろ。店長がクッキングパ○のモデルだからな」
みゃーもり「本当ですか!?」
平岡「嘘」
みゃーもり「むー!」
落合「あれ、宮森じゃないか」
みゃーもり「落合さん」
落合「久しぶりだな。ランチか」
落合「ああ。こっちに用事があってな。そちらは?」
みゃーもり「落合さんが退社した後に入った制作進行の平岡さんです」
平岡「……どうも」
落合「初めまして。元ムサニの制作進行の落合です」
平岡「うっす」
みゃーもり「落合さん、今はカノンのデスクしてるんですよ」
平岡「……カノン?」
みゃーもり「そうですけど。わたしの場合は人がいなかっただけなので……」
落合「タイミングが早くなっただけだろ。俺は宮森は制作進行に向いてると思ってたからな」
みゃーもり「前にも言ってくれましたよね」
落合「ああ。矢野やタローも元気か?」
みゃーもり「はい。今度遊びに来てくださいよ」
落合「暇が出来たらな。それじゃまたな」
みゃーもり「はい!」
平岡「……」
みゃーもり「それで色々教えてもらったんです」
平岡「ふーん」
みゃーもり「落合さん、冷めてる感じですけど、みんなから信頼されていて」
平岡「……」
みゃーもり「ムサニで結果を出してカノンにスカウトされるなんて。本当に凄いですよね。憧れます」
平岡「……そうかよ。俺、先に行くわ」
みゃーもり「え」
平岡「お金ここ置いておくから」
みゃーもり「ちょ、待って下さい。一緒に行きましょ」
平岡「先に行くって言ってるだろ!」
みゃーもり「」ビクッ
平岡「……っ。悪い……」スタスタ
みゃーもり「……」
みゃーもり「あの、平岡さん……」
平岡「原画回収してきます」ガタッ
みゃーもり「あっ」
みゃーもり「」シュン
エリカ「……」
タロー「いってらっしゃーい。大ちゃん、安全運転でね!」
みゃーもり「……」
エリカ(やれやれ)
みゃーもり「はぁ」
エリカ「みゃーもり」
みゃーもり「矢野さん」
エリカ「平岡くんと何かあった?」
みゃーもり「なんでわかるんですか?」
エリカ「そりゃわかるよ。二人のこと見てるし」
みゃーもり「……矢野さん……」
エリカ「話してみな」
みゃーもり「はい。それから平岡さんの機嫌が悪くなって……」
エリカ「久しぶりに怒鳴られたと」
みゃーもり「」コクリ
エリカ「……」
みゃーもり「わたし、何か怒らせるようなことしたんでしょうか……」
エリカ「そうだね」
みゃーもり「え」
みゃーもり「……はい」
エリカ「そっか。みゃーもりって自分のことには鈍感なのかなー」
みゃーもり「わたしがですか?」
エリカ「うん。みゃーもりは好きな人が自分がいるのに違う女の子を褒めたらどう思う?」
みゃーもり「それは……ムカつきます」
エリカ「そういうこと」
みゃーもり「……え? ……はい?」
みゃーもり「……それって平岡さんがわたしのこと……」
エリカ「多分ね」
みゃーもり「な、ないですよ。わたしと平岡さんがっ!」
エリカ「でも同棲してるんでしょ」
みゃーもり「」
エリカ「傍から見たら恋人にしか見えないけどね」
みゃーもり「な、なんで知ってるんですか?」
みゃーもり「」
エリカ「前に二人がバスで一緒に通勤してるところを目撃してね」
みゃーもり「そ、そうだったんですか……」
エリカ「それで平岡くんが怒った理由はわかったわけだけど、どうする?」
みゃーもり「でも毎日一緒にいますけど手を出してこないですよ」
エリカ「それは平岡くんがヘタレなだけ。女と同棲して手を出さない男ってラノベの主人公だけだと思ってたよ」
エリカ「平岡くんは何とも思ってない子を毎日泊めたりしないよ。誰にでも優しい人じゃないし」
みゃーもり「……」
エリカ「とりあえず二人がぎくしゃくしてると仕事に悪影響出るからしっかり話しな」
みゃーもり「……はい」
エリカ(その前に)
平岡(つい怒鳴っちまった……)
平岡(三十路前にもなってなにやってんだか)
エリカ「おかえり」
平岡「……おう」
エリカ「ちょっといい?」
平岡「あ?」
エリカ「屋上」
平岡「…………はい」
平岡「んだよ話って」
エリカ「」ゲシッ
平岡「いたっ。なにすんだよ!」
エリカ「みゃーもりを悲しませた罰」
平岡「うっ。……聞いたのか」
エリカ「まぁね。……ガキ」
平岡「……悪かったよ」
エリカ「それはわたしじゃなくてみゃーもりに言いな」
エリカ「まったく、成長したと思ったらこれなんだもん」
平岡「チッ、うっせーな。反省してまーす」
エリカ「次はムカデを耳の中に入れてほしい?」ニコッ
平岡「冗談です」
エリカ「ちゃんとみゃーもりに言うんだよ。僕は好きな女が自分以外の男を褒めてたのでむかついて怒鳴りましたって」
平岡「」プルプル
みゃーもり「平岡さん……」
平岡「……」
みゃーもり「……」
平岡「悪かった」ペコリ
みゃーもり「……いえ。わたしも無神経なことを言ってすみませんでした」
平岡「いや、俺が悪いから。宮森は悪くない」
みゃーもり「でも。……矢野さんから平岡さんが怒った理由を聞いてっ///」
平岡「え」
平岡「」
みゃーもり「矢野さんが好きな女が自分以外の男を褒めたから平岡さんが怒ったって聞いて。だからその///」
平岡(あの女……)
みゃーもり「どうなんですか?」チラッ
平岡「そ、それはその……っ」
みゃーもり「」ジー
平岡「……嫌いじゃないと言うか、好きか嫌いかと言われば若干好きというか……」
みゃーもり「はっきり言ってください!」
みゃーもり「そうですか。やっぱりわたしのこと好きなんですね!」
平岡(もういっそ殺せよ)
みゃーもり「ありがとうございます! 嬉しいです!」
平岡「……」
みゃーもり「それじゃ仕事に戻りましょうか」
平岡「……ちょっと待った」
みゃーもり「はい?」
みゃーもり「…………言わないと駄目ですか?」
平岡「……出来れば……」
みゃーもり「ですよね。えっと……」
平岡(やっぱりあの男のことが。そりゃそうだよな)
みゃーもり「……多分、好きです」
平岡「」
みゃーもり「っ///」
平岡「……多分?」
平岡「それはどういう意味なんだ?」
みゃーもり「あの、わたし、彼氏がいたことも男の人を好きになったことがないので。よくわからないんです」
平岡「」
みゃーもり「でも一緒にいると楽しいし、高梨さんと仲良くしてるのを見ると少し嫉妬したりするので、多分好きなんだと思うんですけど」
平岡「……だから多分?」
みゃーもり「はい」
平岡「本当にいたことないのか?」
平岡「いや、可愛いからてっきりいるのかと。……はっ」
みゃーもり「か、可愛いってっ///」
平岡「あ、ちがっ!」
みゃーもり「は、恥ずかしいじゃないですかっ///」
平岡「俺の方がもっと恥ずかしい思いしてるんだけど……」
みゃーもり「とりあえず、こんな返事で申し訳ないんですけど」
平岡「わかった。それでいいよ」
平岡「いいよ」
みゃーもり「ありがとうございます。一応、これでわたし達は恋人ってことになるんですかね?」
平岡「多分」
みゃーもり「初彼氏かー。あまり実感がないです」
平岡「あんだけ辱めさせたくせに酷い女だ」
みゃーもり「す、すみません……」
平岡「……とりあえず仕事に戻るか」
みゃーもり「ですね.。頑張りましょう!」
また続き書くかも
楽しかったよ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1426863645/
Entry ⇒ 2015.04.01 | Category ⇒ SHIROBAKO | Comments (0)
みゃーもり「わたし、気になります!」
みゃーもり「平岡さんのことです」
エリカ「デスクとして? 最近は真面目になってきたと思うけど」
みゃーもり「一人の男性としてです!」
エリカ「ぶふぅぅぅぅぅぅ!」ブシャー
みゃーもり「きゃっ。矢野さん、汚いですよ」
エリカ「ご、ごめん。みゃーもりが急に変なこと言うから……」
みゃーもり「すみません」
みゃーもり「そうかもしれないです」
エリカ「そうかもしれない?」
みゃーもり「わたし、異性を好きになったことがないのでよくわからないんですよね……」
エリカ「」
みゃーもり「矢野さん?」
エリカ「え? みゃーもり、彼氏いたことないの?」
みゃーもり「ないですよ」
エリカ「あんた、いくつだっけ?」
エリカ「学生時代、彼氏出来いなかったの?」
みゃーもり「はい。高校、短大と女子しかいなかったので」
エリカ「……そっか」
みゃーもり「中学の時は恋愛に興味ありませんでしたし」
エリカ「高校の時はあったの?」
みゃーもり「少しは。友達にも彼氏出来た子が結構いましたし」
エリカ「へー、意外」
みゃーもり「矢野さんは彼氏いたんですか?」
みゃーもり「やっぱり平岡さんか磯川さんと付き合ってたんですか?」
エリカ「ないない。あの二人はただの同級生だって」
みゃーもり「そうですか」
エリカ「ていうかなんで平岡くん? もっと他にいい男いるでしょ」
みゃーもり「……三女のとき、平岡さんってけっこう荒れてたじゃないですか」
エリカ「だね。みゃーもりも大変だったでしょ」
みゃーもり「はい。円さんと喧嘩したり、瀬川さんからクレーム入ったり……」
エリカ「よく見捨てないで頑張ったね」
エリカ「」
みゃーもり「この気持ちは好きということなんですかね?」
エリカ(あー、保護欲を掻き立てられたパターンね)
エリカ「みゃーもり」
みゃーもり「はい」
エリカ「自分の気持ちは自分にしかわからないよ」
みゃーもり「え」
エリカ「わたしがその気持ちは好きと言ったら認めるの?」
みゃーもり「あ、いえ……」
みゃーもり「はい!」
エリカ「ていうかなんでわたしに相談したの? 安原さんとかいたでしょ」
みゃーもり「絵麻もりーちゃんもみーちゃんもずかちゃんもわたしと一緒で経験ないので」
エリカ「」
みゃーもり「だから矢野さんに相談しようかと」
エリカ「あ、そうなんだ。へー」
エリカ(東北の子は純情な子が多いのかな)
エリカ「とりあえずわたしも色々協力するから」
みゃーもり「ありがとうございます!」
平岡「」ズズー
タロー「大ちゃん、また砂糖沢山いれてんの?」
平岡「別にいいだろ。甘い方が好きなんだよ」
タロー「いやいや、やっぱコーヒーはブラックっしょ」
平岡「うっせーな。人生苦いことだらけだからな。コーヒーくらい甘くていいだろう」
タロー「ぶはっ。大ちゃん、面白すぎ!」
平岡「それよりまた社会の窓開いてんぞ」
タロー「おわっ!」
みゃーもり(今度MAXコーヒー買ってあげようかな)
みゃーもり(苦いの苦手って可愛いかも)
社長「三女が終わってひと段落したけど次は東京○種:reが始まります。みんな力合わせて頑張ろうね」
「はい」
社長「ダブルエックス、起動!!」
みゃーもり「今度は分割2クールなので今までより大変ですね」
佐藤「分割って何です?」
安藤「半年連続で放送するんじゃなくて1クール置いて2クール分放送するってことですよ」
エリカ「最近は分割多いよね。制作側は助かるからいいんだけど」
平岡「……」
タロー「大ちゃん、どうしたの?」
平岡「いや。まさかreもアニメ化するとは思わなかったからな」
平岡「まぁな」
安藤「わたしも見てました! 月山の人気も凄いですけどやっぱりカネキ×ヒデが一番ですよね!」
佐藤「カネキ×ヒデ? どういう意味ですか?」
エリカ「佐藤さんは知らなくていいよ」
タロー「とりあえずこの高梨太郎の手にかかれば大ヒット間違いなしでしょ!」
エリカ「タロー、うるさい」
みゃーもり「それでみなさん、明日の夜って都合空いてますか?」
安藤「空いてます」
佐藤「右に同じく」
エリカ「わたしも。二人は?」
タロー「俺も空いてるぞー」
みゃーもり「」チラッ
エリカ「」コクリ
みゃーもり「それじゃ明日、制作進行組で飲みにいきませんか? 忙しくなる前に皆で親睦を深めたいと思うんですけど」
エリカ「いいんじゃない」
安藤「いいですね」
佐藤「終電まででしたら」
タロー「おっしゃー、飲むぞー! 宮森の奢りで」
みゃーもり「奢りません!」
エリカ「平岡くんも来るでしょ? 来るよね? 来い」
平岡「…………行きます」
「カンパーイ!」
タロー「うんめー! やっぱ仕事終わりのビールは格別っしょ!」
安藤「ですねー」
佐藤「つまみも美味しいです」
平岡「」ゴクゴク
エリカ(こんなお店あったんだ)
みゃーもり「ごめんね、ずかちゃん。急に予約しちゃって」
ずかちゃん「ううん。気にしないで」
タロー「はいはーい! お姉さん、宮森の知り合いっすか!?」
みゃーもり「高校の同級生です」
ずかちゃん「あ、あははは。ありがとうございます」
エリカ「タロー、やめろって。困ってるでしょ」
タロー「サーセン!」
ずかちゃん「ごゆっくり」
平岡「」ゴクゴク
みゃーもり「平岡さん、けっこう飲む人ですか?」
平岡「外ではな。家では飲まねーよ」
エリカ「家では飲まないんだ?」
ずかちゃん「」グサッ
みゃーもり(家で飲むのやめようっと)
タロー「大ちゃん、大ちゃん」
平岡「んだよ。もう酔っぱらってるのかよ。暑苦しいから離れろ」
タロー「もうバディに冷たいんじゃないのー」
平岡「だからバディじゃないって」
タロー「コネクティブ大ちゃぁぁぁぁぁぁん!」
平岡「アクセプション!」
安藤「ナイスカップリングです!」
平岡「やらせんじゃねー!」
平岡「少し夜風に当たってくる」
みゃーもり「大丈夫ですか?」
平岡「別に問題ない」
みゃーもり「そうですか」
平岡「」スタスタ
みゃーもり「……」
安藤「そういえば高梨さんって平岡さんと仲良いですよね」
タロー「そりゃ俺と大ちゃんはバディだからな。バディー!」
佐藤「何かきっかけでもあったんですか?」
タロー「きっかけ? うーん、前に大ちゃんの昔話を聞いたことかなー」
みゃーもり「昔話?」
タロー「そう。前の会社の制作進行の話」
みゃーもり「詳しく教えてください!」ガタッ
タロー「おわっ!」ビクッ
エリカ「……」
みゃーもり「高梨さん、お願いします!」
タロー「お、おう(なんか顔が怖い)」
平岡「……今日は風が騒がしいな」
エリカ「でもこの風、少し泣いています」
平岡「」ビクッ
エリカ「おっす」
平岡「んだよ。聞いてたのかよ……」
エリカ「相変わらず独り言多いね」
平岡「俺の勝手だろ」
エリカ「最近どう?」
平岡「なにが?」
エリカ「仕事。ムサニ、悪くないっしょ」
平岡(俺はなんであんな無駄な時間を……)
エリカ「今からでも遅くないでしょ」
平岡「……」
エリカ「前にもお願いしたけど、みゃーもりのことよろしくね」
平岡「はいはい」
エリカ「仕事以外でも」
平岡「…………は?」
エリカ「それじゃそろそろ戻ろっか」
タロー「大ちゃんは頑張った。頑張ったよー!」ナデナデ
安藤「平岡さんは偉いです。いい子です!」ナデナデ
佐藤「宮森さん、代金置いておきます」
平岡「……」
みゃーもり「平岡さん、辛かったですよね。一人でよく頑張りましたよね!」ポロポロ
平岡「おい、話したな?」
タロー「だって俺たち仲間でしょ。ねー!」
安藤「そうです。仲間です!」
佐藤「終電の時間なので帰ります」
みゃーもり「これからはわたし達がいます! わたしが支えてあげますから!」ギュー
平岡「っ///」
エリカ「ふふっ」
平岡「んじゃお昼いってきます」
エリカ「いってらっしゃい」
安藤「そういえば平岡さんっていつも外ですよね」
佐藤「毎日外食だとお金がかかるのでは」
みゃーもり「わたしもお昼いってきまーす」
エリカ「みゃーもり」
みゃーもり「はい」
エリカ「頑張れ」
平岡「いただきます」
みゃーもり「平岡さん!」
平岡「」ビクッ
みゃーもり「奇遇ですね。平岡さんもここでお昼ですか。わたしもご一緒していいですか?」
平岡「……どうぞ」
みゃーもり「それじゃお隣失礼しまーす」
平岡「」モグモグ
みゃーもり「へー、手作り弁当なんですね」
平岡「ああ」
みゃーもり「も、もしかして、彼女の手作り弁当ですか……?」
みゃーもり「そ、そうですか」ホッ
平岡「……お昼それだけ?」
みゃーもり「はい。何か問題あります?」
平岡「ドーナツだけってどうなんだよ」
みゃーもり「うっ」
平岡「女子力低すぎだろ」
みゃーもり「や、やっぱり、女は料理出来たほうがいいですか?」
平岡「そりゃ」
みゃーもり(今日からなるべく自炊再開しよう)
みゃーもり(あ、猫だ。絵麻が前言ってた猫かな)
平岡「……」
猫「にゃー」
平岡「よしよし」ナデナデ
みゃーもり「っ!?」
平岡「なんだ、お前、一人なのか?」
猫「にゃおす」
平岡「そっか」
みゃーもり(こんな優しい顔もするんだ……)
みゃーもり「そうなんですよ。物凄い優しい顔して猫を撫でてて!」
エリカ「そっか」
みゃーもり「なんか可愛かったです」
エリカ「……うん」
みゃーもり「……多分、わたし、平岡さんのことが好きです」
エリカ「だろーね」
みゃーもり「やっとわかりました」
エリカ「んで告白するの?」
みゃーもり「こ、告白ってそんなまだっ///」
エリカ「するなら今のうちだと思うよ。忙しくなったらそんな暇ないでしょ」
みゃーもり「……ですよね」
平岡「なんでまたいんだよ……」
りーちゃん「制作設定として呼ばれたっす!」
平岡「またかよ」
りーちゃん「やる気はあります! それに東京○種は小説版も読破してるし、問題ないっす!」
平岡「……カネキがアヤトを半殺しにしたときに最後に折った骨は?」
りーちゃん「蝶形骨っす」
平岡「正解。やるじゃねーか」
りーちゃん「当然です」
平岡「せいぜい足を引っ張らないようにな」
りーちゃん「平岡さんも円さんと喧嘩しちゃ駄目っすよ」
平岡「」ズコッ
平岡「んで話って?」
みゃーもり「えっと、今週の日曜って暇ですか?」
平岡「また飲み会かよ」
みゃーもり「違います!」
平岡「それじゃなんですかー」
みゃーもり「わたしと二人で出かけませんか?」
平岡「」
みゃーもり「映画とかどうですか?」
平岡「……なんで俺を?」
みゃーもり「平岡さんと一緒に行きたいからです」
みゃーもり「駄目ですか?」
平岡「…………わかった」
みゃーもり「」ニパァ
平岡「ちなみに映画って?」
みゃーもり「サイコ○スです!」
みゃーもり(平岡さんがサイコパス好きなのは矢野さんにリサーチ済!)
平岡「あー、もう映画やってるのか」
みゃーもり「詳細はおって連絡しますので!」
絵麻(おいちゃんと平岡さんがデートなんて)
絵麻(おいちゃん、いつのまに……)
りーちゃん「おい先輩、完全にメスの顔してるっすね」
絵麻「はひゃー!」ビクッ
りーちゃん「絵麻先輩、驚きすぎですよ」
絵麻「りーちゃん、いつのまにいたの?」
りーちゃん「ついさっきっす。なんかあやしい匂いがぷんぷんしたので」
絵麻「そ、そうなんだ」
りーちゃん「とりあえずずかちゃん先輩とみー先輩に連絡っすね」
絵麻「え?」
りーちゃん「あと、絵麻先輩、少し臭うっす」
絵麻「」ガーン
平岡「」ソワソワ
りーちゃん(平岡さん、もう1時間半もいるっす。どんだけ早く来たんですか)
絵麻「ねえ、やっぱりまずいよ。帰ろうよ」
りーちゃん「いやいや。わたしは後輩としておい先輩の恋を見届ける義務があるので」
絵麻「そんな義務ないよ」
絵麻(ずかちゃんはオーディション、みーちゃんはプリキュアで来れないって言うし……)
みゃーもり「平岡さん、すみません。遅れました!」
平岡「あ、俺も今来たところだから……」
りーちゃん「今来たところって。ぶふっ!」
絵麻「りーちゃん!」
みゃーもり「それじゃさっそく中に入りましょうか」
平岡「ああ」
りーちゃん「絵麻先輩?」クルリ
エリカ「何してんの?」ニコニコ
りーちゃん「」
エリカ「今井さん、何してんの?」
りーちゃん「あ、いや、これはその……」ダラダラ
絵麻「ごめんね。矢野さんにも相談したんだ」
りーちゃん「うぇ?」
エリカ「二人の邪魔しないの。帰るよ」
りーちゃん「そんなぁ……」ズルズル
絵麻(おいちゃん、ファイト!)
平岡「サイコパス見てたんだな」
みゃーもり「はい。……一期だけですけど」
みゃーもり(しかもレンタルで一気に。一期だけに。なんちゃって)
平岡「まあ、二期は見なくても内容はわかるから問題ないんじゃね」
みゃーもり「そうなんですか?」
平岡「ネットのレビューに書いてあった」
みゃーもり「なるほど。あ、始まりますね」
平岡(ここまでグロくしなくていいだろうが)
平岡(あれ書いてる原画マンは絶対病気だろ)
みゃーもり(凄い綺麗に肉体が破裂してる)
みゃーもり(朱ちゃん、かっこいいな。一話目の初々しかった朱ちゃんはどこに……)
平岡(やべ。眠気が……)
平岡(ここで寝たらお金が勿体ない……)
みゃーもり「面白かったですね。グロかったですけど」
平岡「序盤はな……」
みゃーもり「具合悪いんですか?」
平岡「別に……」
みゃーもり「顔色悪いですよ」
平岡「元からだよ」
平岡(言えない。緊張して前日寝れなかったなんて言えるわけがねぇ!)
みゃーもり「そこらで休みましょう」
平岡「だから大丈夫だって」
みゃーもり「駄目です!」
平岡「…………はい」
みゃーもり「近くに公園があってよかったですね。はい、どうぞ」
平岡「なにが?」
みゃーもり「なにって膝枕ですよ」
平岡「は? はぁぁぁぁ!?」
みゃーもり「ほら、早くしてください」
平岡「いや、しなくていい!」
みゃーもり「駄目です。デスク命令です」
平岡「今はプライベートなんですけど」
みゃーもり「……そんなにわたしに膝枕されるの嫌ですか……?」ウルッ
みゃーもり「」ジー
平岡「……それじゃ少しだけ……」
みゃーもり「はい!」
平岡(くそ。なんで俺は逆らえないんだ!)
みゃーもり「どうですか?」
平岡「……普通」
みゃーもり「そうですか」
平岡(太ももが柔らかい……)
みゃーもり「平岡さん」
みゃーもり「好きです。付き合ってください」
平岡「」
みゃーもり「……」
平岡「…………え?」
みゃーもり「あ、今の好きは男として好きって意味ですよ?」
平岡「いや、言われなくてもわかる! 俺のこと好き? はっ!?」
みゃーもり「はい」
平岡「……なんで……」
みゃーもり「それは返事してくれたら教えてあげます」
みゃーもり「……」
平岡「俺、7つも年上なんだけど」
みゃーもり「知ってます」
平岡「役職、下なんだけど」
みゃーもり「知ってますよ」
平岡「性格悪いけど」
みゃーもり「本当は優しい人です」
平岡「……自分で言うのもあれだが面倒くさい人間だけど……」
みゃーもり「それも知ってます」
みゃーもり「夢ならセーフです」
平岡「……お願い……します……」
みゃーもり「はいっ!!」
平岡「はぁ。デスクも相当変わった人間だな」
みゃーもり「デスクはやめてください。ちゃんと名前で呼んで下さい」
平岡「……宮森」
みゃーもり「」プクー
平岡「……あおい」
みゃーもり「はい! 大ちゃん!」
平岡「大ちゃんはやめろ」
エリカ「そっか。付き合うことになったんだ。おめでと宮森」
みゃーもり「ありがとうございます///」
エリカ「んで恋人が出来た気分はどう?」
みゃーもり「そうですね。わたしと大ちゃんって席が真正面じゃないですか」
エリカ「だね」
みゃーもり「なんだか照れちゃいます///」
エリカ「初々しいねー」
みゃーもり「それで矢野さん、またご相談なんですけど」
エリカ「次はなに?」
みゃーもり「胸ってどうすれば大きくなるんですか?」
エリカ「喧嘩売ってんのか」
SHIROBAKOのSなかなか増えないな
みゃーもり「ずかちゃん、本当に声優やめちゃうの?」
書いた奴です
掲載元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1426348310/
Entry ⇒ 2015.04.01 | Category ⇒ SHIROBAKO | Comments (0)