ユキ「弟の目」
1: ◆/BueNLs5lw 2015/02/02(月) 01:12:34.12 ID:TnuISCjd0
前作↓
伊奈帆「姉の腕」
伊奈帆「姉の腕」2
姉弟 たぶんエロ 16話までのネタバレ
「何が、しばらくよ……しばらくにも程がある」
とユキは思うものの、もちろん弟のせいではない。
「あなたが怒ってるのって、だいたい伊奈帆のことでよね」
隣を歩いていたライエが言った。
久々に会った彼女は、以前よりも落ち着いていた。
成長したのか。
感慨深いものをユキは感じつつ、頬を膨らませる。
「怒ってないわ、別に」
「素っ気ない挨拶に腹が立っているんでしょ」
ライエを見る。
穏やかな瞳で、口の端を少し斜めに上げていた。
「ライエちゃん……」
「あははッ……変わらないわね」
「大人をからかうものじゃないわ」
「ごめんなさい」
嫌味のない笑みを浮かべる。自らの意思でこの船に残った彼ら。
自分ができるのは補給の間だけの護衛くらいで。
何を言っても聞かない彼らに、心中穏やかではない。
「あの子、何考えてるのかな」
「本心は墓場まで持っていきそうよね」
「小さい頃はだいたい顔を見たら何を考えてるのか分かったのに……」
「それっていつくらい?」
「身長がこのくらいだった時かな?」
手のひらをライエのお腹辺りの位置に止める。
「可愛かった頃?」
「そう、可愛かった頃」
足音。
ユキは振り向いた。
「今は可愛くないってこと?」
伊奈帆が立っていた。
伊奈帆「姉の腕」
伊奈帆「姉の腕」2
姉弟 たぶんエロ 16話までのネタバレ
「何が、しばらくよ……しばらくにも程がある」
とユキは思うものの、もちろん弟のせいではない。
「あなたが怒ってるのって、だいたい伊奈帆のことでよね」
隣を歩いていたライエが言った。
久々に会った彼女は、以前よりも落ち着いていた。
成長したのか。
感慨深いものをユキは感じつつ、頬を膨らませる。
「怒ってないわ、別に」
「素っ気ない挨拶に腹が立っているんでしょ」
ライエを見る。
穏やかな瞳で、口の端を少し斜めに上げていた。
「ライエちゃん……」
「あははッ……変わらないわね」
「大人をからかうものじゃないわ」
「ごめんなさい」
嫌味のない笑みを浮かべる。自らの意思でこの船に残った彼ら。
自分ができるのは補給の間だけの護衛くらいで。
何を言っても聞かない彼らに、心中穏やかではない。
「あの子、何考えてるのかな」
「本心は墓場まで持っていきそうよね」
「小さい頃はだいたい顔を見たら何を考えてるのか分かったのに……」
「それっていつくらい?」
「身長がこのくらいだった時かな?」
手のひらをライエのお腹辺りの位置に止める。
「可愛かった頃?」
「そう、可愛かった頃」
足音。
ユキは振り向いた。
「今は可愛くないってこと?」
伊奈帆が立っていた。
2: ◆/BueNLs5lw 2015/02/02(月) 01:32:01.27 ID:TnuISCjd0
急に用事を思い出したと言ってライエは去っていった。
ユキはやや居心地の悪さを覚えていたが、久しぶりの弟に感極まって無意識の内に抱擁していた。
「ユキ姉、苦しい」
「ちょっとだけいいじゃない」
先程まで、文句を言ってやろうかと思っていたのに、会ってしまうとやはり自分は弟には甘いようだった。
されるがままなのは、嬉しく感じていると取っていいのだろうか。
「ここでの生活は慣れた?」
身体を離す。
「それは私の台詞。私は鞠戸大尉もいるしね。体の方はどう?」
伊奈帆の瞳が動く。
「生活には支障ないね。戦闘では問題がないわけではいけど、調整していく予定かな」
ユキは弟の瞼の上に触れる。
自分の右手が震え始めたのに気がつき、さっと後ろ手に回した。
「ユキ姉? 大丈夫?」
「ええ……」
代われるものなら、自分がと何度思ったか。
そんな姉の心配を他所に、意識が戻った途端、すぐ自分の義眼の微調整に取り掛かるのだから、我が弟は本当に人間なのかと時たま疑ってしまう。
ユキはやや居心地の悪さを覚えていたが、久しぶりの弟に感極まって無意識の内に抱擁していた。
「ユキ姉、苦しい」
「ちょっとだけいいじゃない」
先程まで、文句を言ってやろうかと思っていたのに、会ってしまうとやはり自分は弟には甘いようだった。
されるがままなのは、嬉しく感じていると取っていいのだろうか。
「ここでの生活は慣れた?」
身体を離す。
「それは私の台詞。私は鞠戸大尉もいるしね。体の方はどう?」
伊奈帆の瞳が動く。
「生活には支障ないね。戦闘では問題がないわけではいけど、調整していく予定かな」
ユキは弟の瞼の上に触れる。
自分の右手が震え始めたのに気がつき、さっと後ろ手に回した。
「ユキ姉? 大丈夫?」
「ええ……」
代われるものなら、自分がと何度思ったか。
そんな姉の心配を他所に、意識が戻った途端、すぐ自分の義眼の微調整に取り掛かるのだから、我が弟は本当に人間なのかと時たま疑ってしまう。
3: ◆/BueNLs5lw 2015/02/02(月) 01:55:14.21 ID:TnuISCjd0
「なお君は疲れとか溜まってない?」
「まあ、多少はね」
「お休みとか取れないの?」
「それ、冗談?」
「む、なお君ちゃんと休んでるの?」
「休んでるよ。ちなみに、ユキ姉」
「なに?」
伊奈帆はユキの腕を掴む。
「少し痩せた?」
「あ、わかる? そうなの、そうなの」
「それに、ちょっと貧血気味」
「そこまで分かるの?」
「数値的にはね。それと、血圧・血糖値が少し上昇してる。β-エンドルフィンの分泌が活性化してきてるね」
ユキは咄嗟に、伊奈帆の目に手のひらを押し当てた。
「こらッ、勝手に覗かないの!」
「ユキ姉」
「な、なに?」
「ボクに会えて、嬉しかった?」
「……そんなの言わなくても、なお君は分かるんでしょ」
彼は、ユキの手を掴み、自分の唇に押し当てる。
「まあ、多少はね」
「お休みとか取れないの?」
「それ、冗談?」
「む、なお君ちゃんと休んでるの?」
「休んでるよ。ちなみに、ユキ姉」
「なに?」
伊奈帆はユキの腕を掴む。
「少し痩せた?」
「あ、わかる? そうなの、そうなの」
「それに、ちょっと貧血気味」
「そこまで分かるの?」
「数値的にはね。それと、血圧・血糖値が少し上昇してる。β-エンドルフィンの分泌が活性化してきてるね」
ユキは咄嗟に、伊奈帆の目に手のひらを押し当てた。
「こらッ、勝手に覗かないの!」
「ユキ姉」
「な、なに?」
「ボクに会えて、嬉しかった?」
「……そんなの言わなくても、なお君は分かるんでしょ」
彼は、ユキの手を掴み、自分の唇に押し当てる。
4: ◆/BueNLs5lw 2015/02/02(月) 02:13:24.60 ID:TnuISCjd0
ユキは羞恥から、手をさっと引いた。
「言わなきゃ、分からないよ」
「う、嬉しいもん、すごく嬉しいもん! 言わされなくても、嬉しいんだから!」
彼は多少分かりやすく微笑んだ。
「そう」
「なお君は、心配性なんだから」
「それは、ユキ姉の方。ずいぶん、走り回ったみたいだね」
「げ……知ってたの」
「情報はどこからでも入ってくるからね」
「鞠戸大尉かなあ?」
ユキは首を捻る。
「彼とは上手くやってる?」
「そりゃもう腐れ縁ですから。そうそう、この間の戦闘では世話になったなって伝えてって」
「ああ。あれは、ユキ姉を助けようとしたら、偶然鞠戸大尉がいた、と言った方が正しいかな」
「……そんなこと言わないの」
「冗談だよ」
「今ではけっこう戦闘とかもこなされてるんだから」
「彼は、船に乗ると思っていたんだけどね。まさか、ユキ姉と同じ所に配属になるなんて」
「言わなきゃ、分からないよ」
「う、嬉しいもん、すごく嬉しいもん! 言わされなくても、嬉しいんだから!」
彼は多少分かりやすく微笑んだ。
「そう」
「なお君は、心配性なんだから」
「それは、ユキ姉の方。ずいぶん、走り回ったみたいだね」
「げ……知ってたの」
「情報はどこからでも入ってくるからね」
「鞠戸大尉かなあ?」
ユキは首を捻る。
「彼とは上手くやってる?」
「そりゃもう腐れ縁ですから。そうそう、この間の戦闘では世話になったなって伝えてって」
「ああ。あれは、ユキ姉を助けようとしたら、偶然鞠戸大尉がいた、と言った方が正しいかな」
「……そんなこと言わないの」
「冗談だよ」
「今ではけっこう戦闘とかもこなされてるんだから」
「彼は、船に乗ると思っていたんだけどね。まさか、ユキ姉と同じ所に配属になるなんて」
5: ◆/BueNLs5lw 2015/02/02(月) 02:22:54.10 ID:TnuISCjd0
「大尉がいた方が、なお君も安心でしょ?」
間。
「……うん、そうだね」
「なお君?」
と、彼は足を止めた。
「どうしたの?」
「ボクの部屋に着いた」
「え? あ」
「どうするの?」
「他にも挨拶したい人がいるから……これで」
踵を返そうとして、ユキは伊奈帆に腕を掴まれていた。
間。
「……うん、そうだね」
「なお君?」
と、彼は足を止めた。
「どうしたの?」
「ボクの部屋に着いた」
「え? あ」
「どうするの?」
「他にも挨拶したい人がいるから……これで」
踵を返そうとして、ユキは伊奈帆に腕を掴まれていた。
8: ◆/BueNLs5lw 2015/02/02(月) 21:48:20.15 ID:TnuISCjd0
「そうじゃない。わかるよね」
「なお君……ダメなの」
「ユキ姉は諦めてるかもしれないけど、僕は違う」
彼は、自分勝手で、傲慢な少年らしい眼差しを向ける。
ユキは目を伏せた。
俯いたまま、言うべき言葉を言った。
「聞いて、私……大尉と付き合うことに」
二人闇に落ちるよりも、この方がきっと幸せだろう。
「……」
沈黙。
耳を澄ますと、微かに、本当に微かに電子音が聞こえた。
キュイン―
「嘘はついてないんだ」
「あなたに嘘なんて言う訳ないじゃない」
もしかしたら、あの目でそんなことまで分かるのか。
「もう、寝たの?」
「寝たって……か、関係ないでしょ。なお君にはっ」
「寝たんだ」
「なおく……っ!?」
伊奈帆が両腕を拘束しながら、ユキを部屋の扉に押し付ける。
ユキは壁際に背中を打ち付け、顔を歪ませた。
「なお君……ダメなの」
「ユキ姉は諦めてるかもしれないけど、僕は違う」
彼は、自分勝手で、傲慢な少年らしい眼差しを向ける。
ユキは目を伏せた。
俯いたまま、言うべき言葉を言った。
「聞いて、私……大尉と付き合うことに」
二人闇に落ちるよりも、この方がきっと幸せだろう。
「……」
沈黙。
耳を澄ますと、微かに、本当に微かに電子音が聞こえた。
キュイン―
「嘘はついてないんだ」
「あなたに嘘なんて言う訳ないじゃない」
もしかしたら、あの目でそんなことまで分かるのか。
「もう、寝たの?」
「寝たって……か、関係ないでしょ。なお君にはっ」
「寝たんだ」
「なおく……っ!?」
伊奈帆が両腕を拘束しながら、ユキを部屋の扉に押し付ける。
ユキは壁際に背中を打ち付け、顔を歪ませた。
9: ◆/BueNLs5lw 2015/02/02(月) 22:02:36.76 ID:TnuISCjd0
「それだけは聞きたくなかった」
耳の傍でロック解除音が聞こえた。
気が付くと、ユキは彼の部屋に倒れ込んでいた。
「っ……いたっ」
背中をさすりながら見上げると、ゆっくりと扉が閉まっていくのが見えた。
「な、なお君!!」
締まり切る前に見えた彼の横顔。
ほんの一瞬で、見えなくなってしまう。
ユキはすぐに、扉を叩いた。
「何するの!?」
声はない。
内側からは開かない。
このアームで無理やりこじ開けるべきか。
「……っ」
しかし、扉を開けて弟になんと言えばいい。
自分のことは諦めて、と伝えればいいのか。
賢い彼が、こんなにも感情をむき出しているのに。
「……私は逃げてるだけなのかな」
耳の傍でロック解除音が聞こえた。
気が付くと、ユキは彼の部屋に倒れ込んでいた。
「っ……いたっ」
背中をさすりながら見上げると、ゆっくりと扉が閉まっていくのが見えた。
「な、なお君!!」
締まり切る前に見えた彼の横顔。
ほんの一瞬で、見えなくなってしまう。
ユキはすぐに、扉を叩いた。
「何するの!?」
声はない。
内側からは開かない。
このアームで無理やりこじ開けるべきか。
「……っ」
しかし、扉を開けて弟になんと言えばいい。
自分のことは諦めて、と伝えればいいのか。
賢い彼が、こんなにも感情をむき出しているのに。
「……私は逃げてるだけなのかな」
10: ◆/BueNLs5lw 2015/02/02(月) 22:17:07.00 ID:TnuISCjd0
彼とそういった行為をしたのは、ごく最近のことだった。
本当は、そんなつもりはなかったのだ。
付き合うことに決めただけで、返事はまだしていない。
ただ、酔った彼の弱々しさに哀れを誘われて。
彼の体はとても逞しかった。
ただ、心は余りにも繊細で。
気持ちが良かったのか、と問われるとそうではない。
話に聞いていたよりも随分と痛みが伴った。
興奮する彼の下で、ただ唇を噛み締めて、シーツを握りしめていた。
とさり、とユキは地べたに横座りになった。
見ようによっては都合のいい関係だ。
傷を慰め合う。
大尉は違うのかもしれないが。
けれど、不純だ。
どこを切り取っても、伊奈帆――弟にとっては。
身勝手な姉に、愛想を尽かしてくれれば、それでもいい。
どうしたって、愛し合えないのだから。
どうしたらいいのかなんて、考えなくてもわかるではないか。
本当は、そんなつもりはなかったのだ。
付き合うことに決めただけで、返事はまだしていない。
ただ、酔った彼の弱々しさに哀れを誘われて。
彼の体はとても逞しかった。
ただ、心は余りにも繊細で。
気持ちが良かったのか、と問われるとそうではない。
話に聞いていたよりも随分と痛みが伴った。
興奮する彼の下で、ただ唇を噛み締めて、シーツを握りしめていた。
とさり、とユキは地べたに横座りになった。
見ようによっては都合のいい関係だ。
傷を慰め合う。
大尉は違うのかもしれないが。
けれど、不純だ。
どこを切り取っても、伊奈帆――弟にとっては。
身勝手な姉に、愛想を尽かしてくれれば、それでもいい。
どうしたって、愛し合えないのだから。
どうしたらいいのかなんて、考えなくてもわかるではないか。
11: ◆/BueNLs5lw 2015/02/02(月) 22:59:38.12 ID:TnuISCjd0
「……バカみたい」
どうして、自分の守りたい人間は、
みな渦中に飛び込もうとするのだろう。
伊奈帆が怪我をせず、平穏に暮らせる。
そんな世界は今やどこを探しても存在しない。
ならば、せめて前線から身を引いて欲しい。
ため息。
彼にだって、ここ最近で沢山の出会いがあった。
それが彼を戦場へと向かわせているのか。
ユキは立ち上がる。
見回すと、様々な計算式が書かれたメモが何枚も散らばっていた。
用紙の罫線を無視してもなお、一つの証明が美しく成り立っている。
弟の頭の中はたぶんこんな感じなのだ。
ベッドへと視線を転じる。
姉弟で、半サイボーグの仲間入り。
ユキはベッドへ寝転がった。
ふて寝してやろう。
閉じ込めるなら、逆にテコでも動かない。
いずれ、誰かが見つけるだろうし。
カサリと、頭の下で何かが擦れた。
「?」
ピンク色の付箋。
半分以上血糊がついている。
ユキはそれをつまみ上げる。
映像がフラッシュバックする。
身体が震えた。
両腕で自分を抱きしめた。
どうして、自分の守りたい人間は、
みな渦中に飛び込もうとするのだろう。
伊奈帆が怪我をせず、平穏に暮らせる。
そんな世界は今やどこを探しても存在しない。
ならば、せめて前線から身を引いて欲しい。
ため息。
彼にだって、ここ最近で沢山の出会いがあった。
それが彼を戦場へと向かわせているのか。
ユキは立ち上がる。
見回すと、様々な計算式が書かれたメモが何枚も散らばっていた。
用紙の罫線を無視してもなお、一つの証明が美しく成り立っている。
弟の頭の中はたぶんこんな感じなのだ。
ベッドへと視線を転じる。
姉弟で、半サイボーグの仲間入り。
ユキはベッドへ寝転がった。
ふて寝してやろう。
閉じ込めるなら、逆にテコでも動かない。
いずれ、誰かが見つけるだろうし。
カサリと、頭の下で何かが擦れた。
「?」
ピンク色の付箋。
半分以上血糊がついている。
ユキはそれをつまみ上げる。
映像がフラッシュバックする。
身体が震えた。
両腕で自分を抱きしめた。
14: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 14:33:16.10 ID:Cf4TFCOi0
『なお君、ガンバだよ!』
頑張り過ぎなくて良かったのに。こんな結末誰も望んでいなかった。
自宅の朝食の風景がさっと脳裏をかすめる。寝坊する姉の代わりに、いつも温かいご飯を用意してくれた。
戦争が急激な変化をもたらした。彼はもう姉のために朝食を用意することはない。
伊奈帆が血を流して倒れている映像に引き戻される。
目を閉じて、ユキはベッドに身を委ねる。
伊奈帆の匂いが、やたら落ち着く。
大尉とは違う。
家の匂い。
好き。
「……やだなあ」
自己嫌悪。
初めから、分かっていたのに。
不誠実なことを想ってしまう。
最初から大好きなのは分かっていた。
諦められるわけがないのに。
諦めさせて欲しいのに。
どうして、彼は離してくれないのか。
あの日、両親が亡くなり、
あの子を守らなくてはと思った。
二人で生きていこうと思った。
それが、間違いだった。
頑張り過ぎなくて良かったのに。こんな結末誰も望んでいなかった。
自宅の朝食の風景がさっと脳裏をかすめる。寝坊する姉の代わりに、いつも温かいご飯を用意してくれた。
戦争が急激な変化をもたらした。彼はもう姉のために朝食を用意することはない。
伊奈帆が血を流して倒れている映像に引き戻される。
目を閉じて、ユキはベッドに身を委ねる。
伊奈帆の匂いが、やたら落ち着く。
大尉とは違う。
家の匂い。
好き。
「……やだなあ」
自己嫌悪。
初めから、分かっていたのに。
不誠実なことを想ってしまう。
最初から大好きなのは分かっていた。
諦められるわけがないのに。
諦めさせて欲しいのに。
どうして、彼は離してくれないのか。
あの日、両親が亡くなり、
あの子を守らなくてはと思った。
二人で生きていこうと思った。
それが、間違いだった。
15: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 14:46:00.28 ID:Cf4TFCOi0
彼の好意に浸っていた。
まだ大丈夫と。
その先へと、近づきながら。
プルル――
「……鞠戸大尉」
ピッ
「なんでしょうか?」
『どこにいるんだ?』
「艦内にいます。弟の部屋です」
『買い出し行くから、頭数揃えてたんだが……姉弟水入らずのとこ邪魔したな』
「いえ、いつ出られますか?」
『30分後。来れそうなら、南ゲートへ集合してくれ』
「了解です」
『じゃ』
ピッ
ユキは立ち上がり、もう一度部屋の扉を叩いた。
「なお君? いないの?」
返事がない代わりに、扉が開いた。
まだ大丈夫と。
その先へと、近づきながら。
プルル――
「……鞠戸大尉」
ピッ
「なんでしょうか?」
『どこにいるんだ?』
「艦内にいます。弟の部屋です」
『買い出し行くから、頭数揃えてたんだが……姉弟水入らずのとこ邪魔したな』
「いえ、いつ出られますか?」
『30分後。来れそうなら、南ゲートへ集合してくれ』
「了解です」
『じゃ』
ピッ
ユキは立ち上がり、もう一度部屋の扉を叩いた。
「なお君? いないの?」
返事がない代わりに、扉が開いた。
16: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 15:31:01.29 ID:Cf4TFCOi0
そこにいたのは、耶賀頼先生だった。
「耶賀頼先生……どうされたんですか?」
「弟くんに用があったんですが……いや、今は界塚少尉でしたか」
「弟は今、外出中でして……」
「そうですか。目のことで少しお話があったのですが。准尉も腕の調子はどうですか?」
「え、ええ大丈夫です」
「何かあれば教えてください」
「ありがとうございます」
「でも、おかしいな……」
「どうされたんです?」
「今朝……調整について話があるから昼頃に医務室に伺うと聞いていたのですが……」
「あ……」
たぶん、私のせいかもしれない。
「私、ちょっと探してきますね」
「あ、かまいませんよ」
「いえ、弟の不手際です。ごめんなさい」
ユキは一礼して、その場を走り去った。
「耶賀頼先生……どうされたんですか?」
「弟くんに用があったんですが……いや、今は界塚少尉でしたか」
「弟は今、外出中でして……」
「そうですか。目のことで少しお話があったのですが。准尉も腕の調子はどうですか?」
「え、ええ大丈夫です」
「何かあれば教えてください」
「ありがとうございます」
「でも、おかしいな……」
「どうされたんです?」
「今朝……調整について話があるから昼頃に医務室に伺うと聞いていたのですが……」
「あ……」
たぶん、私のせいかもしれない。
「私、ちょっと探してきますね」
「あ、かまいませんよ」
「いえ、弟の不手際です。ごめんなさい」
ユキは一礼して、その場を走り去った。
17: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 15:58:08.87 ID:Cf4TFCOi0
途中、カームに会った。
彼は格納庫で伊奈帆を見かけたと教えてくれた。
他にも何人かの整備士達がいて、
専門用語を用いて、たぶんデューカリオンのエンジンについて話ながら歩き去っていった。
休憩時間だろうか。
ユキは足早に向かう。
格納庫は静まり返っていた。
数名の整備士がちょこまかと動き回っている。
だだ広い空間に、やや途方に暮れつつ、ユキは弟の名前を呼んだ。
「なおくーん……?」
遠くにいた男性が振り返ってこちらを見ていたが、
すぐに作業に戻った。
「どこにいるの……」
ゴウン―と音が鳴った。
見上げると、オレンジの機体――KG-6 スレイプニール――の傍のリフトが作動していた。
人が2人程乗れるくらいの小さなリフトの上に、伊奈帆が立っていた。
「なお君!」
彼は格納庫で伊奈帆を見かけたと教えてくれた。
他にも何人かの整備士達がいて、
専門用語を用いて、たぶんデューカリオンのエンジンについて話ながら歩き去っていった。
休憩時間だろうか。
ユキは足早に向かう。
格納庫は静まり返っていた。
数名の整備士がちょこまかと動き回っている。
だだ広い空間に、やや途方に暮れつつ、ユキは弟の名前を呼んだ。
「なおくーん……?」
遠くにいた男性が振り返ってこちらを見ていたが、
すぐに作業に戻った。
「どこにいるの……」
ゴウン―と音が鳴った。
見上げると、オレンジの機体――KG-6 スレイプニール――の傍のリフトが作動していた。
人が2人程乗れるくらいの小さなリフトの上に、伊奈帆が立っていた。
「なお君!」
18: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 16:16:29.10 ID:Cf4TFCOi0
声が格納庫に響く。
彼に届いていないはずはないが、伊奈帆はそのままコクピットへ搭乗していった。
「なによお……ッ」
その態度に少し腹立ち、彼女は地団駄を踏む。
ユキは反対側のリフトに乗り込み、彼の後を追った。
コクピットの位置で止めて、機体を左手で叩いた。
「もしもし? 開けてもらえるかしら?」
重厚な音を立てて、入口が開かれる。
弟が、いつもの怒っているのか真顔なのかよくわからない表情でこちらを見ていた。
「出られたんだ」
「耶賀頼先生が開けてくれましたけど!」
「……あ」
「忘れてたでしょッ。私のことは困らせてもいいけど、他の人に迷惑をかけるのはダメだからね」
「ごめん。後で謝っておくよ」
それから、すぐに備え付けられたインジケーターの一つに視線を移した。
機体とエンジンの冷却システムに異常が見られたのがユキにも分かった。
大気圏突入の時に何かトラブルでもあったのか。
また、無理をしたのか。それも、計算上の。
「ユキ姉、何か用?」
こちらを見ずに伊奈帆。
「用があったのは、なお君じゃなかったの」
「いいよ、もう」
彼に届いていないはずはないが、伊奈帆はそのままコクピットへ搭乗していった。
「なによお……ッ」
その態度に少し腹立ち、彼女は地団駄を踏む。
ユキは反対側のリフトに乗り込み、彼の後を追った。
コクピットの位置で止めて、機体を左手で叩いた。
「もしもし? 開けてもらえるかしら?」
重厚な音を立てて、入口が開かれる。
弟が、いつもの怒っているのか真顔なのかよくわからない表情でこちらを見ていた。
「出られたんだ」
「耶賀頼先生が開けてくれましたけど!」
「……あ」
「忘れてたでしょッ。私のことは困らせてもいいけど、他の人に迷惑をかけるのはダメだからね」
「ごめん。後で謝っておくよ」
それから、すぐに備え付けられたインジケーターの一つに視線を移した。
機体とエンジンの冷却システムに異常が見られたのがユキにも分かった。
大気圏突入の時に何かトラブルでもあったのか。
また、無理をしたのか。それも、計算上の。
「ユキ姉、何か用?」
こちらを見ずに伊奈帆。
「用があったのは、なお君じゃなかったの」
「いいよ、もう」
19: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 16:29:17.30 ID:Cf4TFCOi0
「私が良くないの」
「ユキ姉が言ったんじゃない。関係ないって」
「そ、そうだけど」
拍子抜けて、ユキは言葉に詰まる。
「なら、もう、仕方がないよ」
「なお君……」
「僕が、ユキ姉の未来を奪う訳にはいかないしね」
彼は手を休めて、ユキに向かい合う。
「さっきは突き飛ばしてごめん」
――おお、鞠戸大尉!
下でそんな声が聞こえた。
ユキは咄嗟に、
「ユキ姉?」
コクピットに転がり込んでいた。
「ユキ姉が言ったんじゃない。関係ないって」
「そ、そうだけど」
拍子抜けて、ユキは言葉に詰まる。
「なら、もう、仕方がないよ」
「なお君……」
「僕が、ユキ姉の未来を奪う訳にはいかないしね」
彼は手を休めて、ユキに向かい合う。
「さっきは突き飛ばしてごめん」
――おお、鞠戸大尉!
下でそんな声が聞こえた。
ユキは咄嗟に、
「ユキ姉?」
コクピットに転がり込んでいた。
20: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 16:37:35.60 ID:Cf4TFCOi0
「いた……」
「ご、ごめんなお君ッ」
弟の顔を胸の辺りで押しつぶしていた。
「……」
ピッ
「え?」
コクピットが閉まっていく。
完全に密室になり、外の光が消えた。
計器類のランプが爛々と点っていた。
薄暗い。
弟の顔がぼんやりと映し出されている。
「閉めなくても……」
「同じだよ」
「?」
「ユキ姉、大尉に会いたくなかったんでしょ? 僕も同じだった。ユキ姉の理由はよく分からないけど。それより、少し退いてくれる?」
下で身動きの取れない様子の伊奈帆が言った。
「それが、けっこういっぱいいっぱいで……」
「顔の前に胸が合って、困る」
「ちょっとッ」
「だから退いてと言ってるのに」
「ご、ごめんなお君ッ」
弟の顔を胸の辺りで押しつぶしていた。
「……」
ピッ
「え?」
コクピットが閉まっていく。
完全に密室になり、外の光が消えた。
計器類のランプが爛々と点っていた。
薄暗い。
弟の顔がぼんやりと映し出されている。
「閉めなくても……」
「同じだよ」
「?」
「ユキ姉、大尉に会いたくなかったんでしょ? 僕も同じだった。ユキ姉の理由はよく分からないけど。それより、少し退いてくれる?」
下で身動きの取れない様子の伊奈帆が言った。
「それが、けっこういっぱいいっぱいで……」
「顔の前に胸が合って、困る」
「ちょっとッ」
「だから退いてと言ってるのに」
22: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 16:53:47.25 ID:Cf4TFCOi0
分かっている。
さっさと扉を開けてしまえばいいのだ。
同じじゃない、と言ってしまえ。
スイッチの場所は知っているから。
ユキは計器類を左手で破壊してしまわないように、そっと身体を捩る。
空調をやや暖かく設定しているのか、手のひらがじわっと汗ばんでいた。
伊奈帆が重くないように、体重を預けないよう足と腰で踏ん張っていたが、
それも限界に近い。
「なお君、ここちょっと熱くない?」
「そう?」
それとも自分の体が火照っているだけなのだろうか。
弟の微かな息遣いが、耳をくすぐった。
心なしか荒い。
荒いのは、自分の鼓動もだ。
「それとも、出る?」
二転三転するユキの心を見透かすように、伊奈帆は言った。
ユキはそこで頷くつもりだった。
「私は……」
なのに、彼は最後の最後に言い残していた言葉のように、
「行かないで」
ユキを抱きしめながら言った。
さっさと扉を開けてしまえばいいのだ。
同じじゃない、と言ってしまえ。
スイッチの場所は知っているから。
ユキは計器類を左手で破壊してしまわないように、そっと身体を捩る。
空調をやや暖かく設定しているのか、手のひらがじわっと汗ばんでいた。
伊奈帆が重くないように、体重を預けないよう足と腰で踏ん張っていたが、
それも限界に近い。
「なお君、ここちょっと熱くない?」
「そう?」
それとも自分の体が火照っているだけなのだろうか。
弟の微かな息遣いが、耳をくすぐった。
心なしか荒い。
荒いのは、自分の鼓動もだ。
「それとも、出る?」
二転三転するユキの心を見透かすように、伊奈帆は言った。
ユキはそこで頷くつもりだった。
「私は……」
なのに、彼は最後の最後に言い残していた言葉のように、
「行かないで」
ユキを抱きしめながら言った。
23: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 17:02:30.85 ID:Cf4TFCOi0
「そんなこと……」
動けなかった。
嬉しくて。
あまりにも、愛おしすぎて。
身動きがとれなかった。
弟を守れなかったと泣いたあの日。
失ったと思ったあの日。
病室のベッドで、
伊奈帆が目覚めるのを、
待ち焦がれていた日々。
覚醒したあの日。
ユキは思った。
弟を守りたいと。
離れたくないと。
この手を離したくないと。
動けなかった。
嬉しくて。
あまりにも、愛おしすぎて。
身動きがとれなかった。
弟を守れなかったと泣いたあの日。
失ったと思ったあの日。
病室のベッドで、
伊奈帆が目覚めるのを、
待ち焦がれていた日々。
覚醒したあの日。
ユキは思った。
弟を守りたいと。
離れたくないと。
この手を離したくないと。
24: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 17:21:38.62 ID:Cf4TFCOi0
「いつか、他の誰かの所へ、鞠戸大尉の所へ行ってしまうのかもしれない。でも、今はそうじゃない」
ユキは唾を飲み込んだ。諦めたいと思ったのに。
認めたくない。本当に、諦めたくなかったのは自分だったことを。
「だから……おっと」
伊奈帆を抱きしめ返す。
「ユキ姉?」
「こんな酷いお姉ちゃんの……どこがいいの」
「こんな酷い弟をずっと守ってくれた所かな」
ユキは顔を上げた。
強さと優しさが彼の瞳の中にあった。
吸い込まれるように、唇を寄せた。
「んッ……」
水音が跳ねた。
「……ぅむッ」
柔らかな感触が、背筋を戦慄かせる。
ユキは唾を飲み込んだ。諦めたいと思ったのに。
認めたくない。本当に、諦めたくなかったのは自分だったことを。
「だから……おっと」
伊奈帆を抱きしめ返す。
「ユキ姉?」
「こんな酷いお姉ちゃんの……どこがいいの」
「こんな酷い弟をずっと守ってくれた所かな」
ユキは顔を上げた。
強さと優しさが彼の瞳の中にあった。
吸い込まれるように、唇を寄せた。
「んッ……」
水音が跳ねた。
「……ぅむッ」
柔らかな感触が、背筋を戦慄かせる。
25: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 17:40:21.84 ID:Cf4TFCOi0
いつの間にか、唾液を吸い取るように、口内を蹂躙されていた。
満足そうに、伊奈帆が口を離す。
ユキは腰に甘美な刺激を受け、へなへなと弟の足に跨っていた。
「はッ……ぁ」
息をつく暇もなく、何度もキスをされた。
しだいに、シャツの上から身体を弄られ、
丁寧に乳房を揉みしだかれた。
「んぅ……ッ」
その刺激に耐えながら、
ユキはキスを繰り返す。
伊奈帆の舌に、自分のを絡ませる。
先程より、さらに熱い。
むわっとした火照りを嗅ぐように、
伊奈帆か顔をずらし、ユキの脇に鼻頭をぐりぐりと押し付けた。
「やだやだッ……ちょっとなお君ッ」
「却下」
右手でブラのホックを外される。
一瞬の手際で、ユキは弟に悪態を吐こうとした。
が、
「なお君……手際良くな……んあッ?!」
ぷっくりとした二つの突起部分をシャツの下から摘まれた。
切なさに、口元が弛緩しいやらしく声が出た。
「硬いね……。もしかして、胸弄ったりしてるの?」
「そんなわけ……ぁ」
「ボタン、外してもらっていい?」
伊奈帆が触りにくそうにしていたので、
ユキはシャツのボタンを取り外していく。
その間も、彼は乳房の形が変わるのを楽しむように、たゆませていた。
ブラを外し、シャツの袖を腕から抜き取った所で、
彼が動きを止めてこちらを眺めているのに気がついた。
「やらしいね」
ユキは咄嗟に胸を隠す。
肉感的な肌は自覚していたが、羞恥が込み上げる。
「何度か見てるのに、興奮する」
満足そうに、伊奈帆が口を離す。
ユキは腰に甘美な刺激を受け、へなへなと弟の足に跨っていた。
「はッ……ぁ」
息をつく暇もなく、何度もキスをされた。
しだいに、シャツの上から身体を弄られ、
丁寧に乳房を揉みしだかれた。
「んぅ……ッ」
その刺激に耐えながら、
ユキはキスを繰り返す。
伊奈帆の舌に、自分のを絡ませる。
先程より、さらに熱い。
むわっとした火照りを嗅ぐように、
伊奈帆か顔をずらし、ユキの脇に鼻頭をぐりぐりと押し付けた。
「やだやだッ……ちょっとなお君ッ」
「却下」
右手でブラのホックを外される。
一瞬の手際で、ユキは弟に悪態を吐こうとした。
が、
「なお君……手際良くな……んあッ?!」
ぷっくりとした二つの突起部分をシャツの下から摘まれた。
切なさに、口元が弛緩しいやらしく声が出た。
「硬いね……。もしかして、胸弄ったりしてるの?」
「そんなわけ……ぁ」
「ボタン、外してもらっていい?」
伊奈帆が触りにくそうにしていたので、
ユキはシャツのボタンを取り外していく。
その間も、彼は乳房の形が変わるのを楽しむように、たゆませていた。
ブラを外し、シャツの袖を腕から抜き取った所で、
彼が動きを止めてこちらを眺めているのに気がついた。
「やらしいね」
ユキは咄嗟に胸を隠す。
肉感的な肌は自覚していたが、羞恥が込み上げる。
「何度か見てるのに、興奮する」
26: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 17:53:37.22 ID:Cf4TFCOi0
言いながら、両手の親指をぺろりと舐めた。
ユキの腕をどかせ、唾液を塗りこむように、両乳首をぐりぐりとこねる。
「ッひん………ぁ」
さきほどより滑らかな攻めに、ユキは腰をびくつかせた。
「ユキ姉の顔、すごくクる……」
耳元で囁き、
「そういうこと言わないで……ッんむ」
キス。
このまま食べられてしまうんじゃないかと思うくらい、
彼は執拗に入念に唇や肩口や、胸に唇を落としていった。
触れ合うたび、快感が増して。
ユキは鞠戸大尉との違いに驚いていた。
「……ユキ姉」
「な……に」
「下、触るよ」
「え」
くちゅり、と聞こえたような気がした。
「……ッふあ」
「もう、濡れてるね。タイツ越しなのに、すごい」
スカートを腰までずり上げて、タイツとパンツ越しに擦られている。
なんとなく自分でも湿っているのは分かっていたが、
言われると余計な恥ずかしさがこみ上げた。
ユキの腕をどかせ、唾液を塗りこむように、両乳首をぐりぐりとこねる。
「ッひん………ぁ」
さきほどより滑らかな攻めに、ユキは腰をびくつかせた。
「ユキ姉の顔、すごくクる……」
耳元で囁き、
「そういうこと言わないで……ッんむ」
キス。
このまま食べられてしまうんじゃないかと思うくらい、
彼は執拗に入念に唇や肩口や、胸に唇を落としていった。
触れ合うたび、快感が増して。
ユキは鞠戸大尉との違いに驚いていた。
「……ユキ姉」
「な……に」
「下、触るよ」
「え」
くちゅり、と聞こえたような気がした。
「……ッふあ」
「もう、濡れてるね。タイツ越しなのに、すごい」
スカートを腰までずり上げて、タイツとパンツ越しに擦られている。
なんとなく自分でも湿っているのは分かっていたが、
言われると余計な恥ずかしさがこみ上げた。
27: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 18:03:55.51 ID:Cf4TFCOi0
伊奈帆はユキの手を取って、興奮気味に、
「こっちもお願い」
ズボンの膨らみをまさぐらせた。
恐る恐るチャックをひいて、トランクスをかき分けると、勢いよく男性器が姿を現す。
暗がりで詳細に分からないため、性欲の塊のような強烈な匂いが意識される。
「ッ……」
ぬるっとして生暖かいそれを握りこむと、伊奈帆が小さく呻いた。
「気持い?」
「うん」
余裕のない表情。
可愛らしい。
上下に擦りながら、刺激を与えるうちに、
先程より硬さが増していった。
「うあ……」
突起の先端を人差し指で引っ掻くようにこすると、
伊奈帆は腰を浮き上がらせた。
少し楽しくてもっと続けようとしたら、腕を掴まれる。
「待って」
「あ、ごめんね……痛かった?」
「違うよ。大丈夫」
「こっちもお願い」
ズボンの膨らみをまさぐらせた。
恐る恐るチャックをひいて、トランクスをかき分けると、勢いよく男性器が姿を現す。
暗がりで詳細に分からないため、性欲の塊のような強烈な匂いが意識される。
「ッ……」
ぬるっとして生暖かいそれを握りこむと、伊奈帆が小さく呻いた。
「気持い?」
「うん」
余裕のない表情。
可愛らしい。
上下に擦りながら、刺激を与えるうちに、
先程より硬さが増していった。
「うあ……」
突起の先端を人差し指で引っ掻くようにこすると、
伊奈帆は腰を浮き上がらせた。
少し楽しくてもっと続けようとしたら、腕を掴まれる。
「待って」
「あ、ごめんね……痛かった?」
「違うよ。大丈夫」
28: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 18:13:03.32 ID:Cf4TFCOi0
彼の吐息がやけに艶っぽくて、ユキは喉が震えた。
興奮しているのが分かり、情けないような切ないような。
前に、弟が自分で慰めているのを見たことがあったが、
その時とはまた違うエロスがあった。
「今度は舐めて欲しい」
端的に言われ、一瞬ユキは意味がわからなかった。
数秒ほどで、
「え、舐めるの……」
と、惚けた。
「嫌なら、僕が舐める」
「自分で?」
彼はそれには返事をせず、ユキの下腹部のスパッツを引き伸ばして、無理やり引き裂いた。
下着を手元にあったハサミで切り裂く。
はらはらと、布切れが落ちていった。
「こっち」
「きゃッ!? ひ、ひど……いよぉ」
「だって、脱ぐの大変でしょ」
「そうだけど……」
ユキは涙を我慢して、伊奈帆に抗議の視線を送った。
「どっちが舐める?」
興奮しているのが分かり、情けないような切ないような。
前に、弟が自分で慰めているのを見たことがあったが、
その時とはまた違うエロスがあった。
「今度は舐めて欲しい」
端的に言われ、一瞬ユキは意味がわからなかった。
数秒ほどで、
「え、舐めるの……」
と、惚けた。
「嫌なら、僕が舐める」
「自分で?」
彼はそれには返事をせず、ユキの下腹部のスパッツを引き伸ばして、無理やり引き裂いた。
下着を手元にあったハサミで切り裂く。
はらはらと、布切れが落ちていった。
「こっち」
「きゃッ!? ひ、ひど……いよぉ」
「だって、脱ぐの大変でしょ」
「そうだけど……」
ユキは涙を我慢して、伊奈帆に抗議の視線を送った。
「どっちが舐める?」
29: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 18:20:51.96 ID:Cf4TFCOi0
弟にこんな所を舐められるわけには。
しかし、こんな所を舐めるのも。
「わ、私が……する」
「OK」
位置をずらして、ユキはそそり立つ男根の前まで顔を移動させた。
両手で彼のズボンを握り締める。
伊奈帆が頭を撫でる。目線だけを上に向けると、少し笑っていた。
それがなんだか癪だった。負けたような気がする。
それでも、ユキはゆっくりゆっくり口をそれに近づけていく。
匂いに慣れたのか、あまり気にしなくなっていた。
「噛まないでね」
言われて、頷く。
とにかく舌の先を出してみた。
ちろちろと先端部分を舐め上げる。
「ッ……」
伊奈帆の足が動く。
「わッ」
ユキもびっくりして、口を離した。
「続けて」
「う、うん……」
しかし、こんな所を舐めるのも。
「わ、私が……する」
「OK」
位置をずらして、ユキはそそり立つ男根の前まで顔を移動させた。
両手で彼のズボンを握り締める。
伊奈帆が頭を撫でる。目線だけを上に向けると、少し笑っていた。
それがなんだか癪だった。負けたような気がする。
それでも、ユキはゆっくりゆっくり口をそれに近づけていく。
匂いに慣れたのか、あまり気にしなくなっていた。
「噛まないでね」
言われて、頷く。
とにかく舌の先を出してみた。
ちろちろと先端部分を舐め上げる。
「ッ……」
伊奈帆の足が動く。
「わッ」
ユキもびっくりして、口を離した。
「続けて」
「う、うん……」
30: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 18:26:11.19 ID:Cf4TFCOi0
「唾液、絡ませて」
言われるがままに、ユキは唾液を含ませながら、
ねっとりとしかし小さく舐め続ける。
「こ、こんな感じ……かな?」
邪魔な髪の毛を横耳にかけながら、伊奈帆に確認する。
「うん……」
拙いながらに、良かったのだろうか。
こんなことをどこで覚えてきたのか。
後で、問いただしたい所である。
「ユキ姉、もういいよ。ちょっと腰上げて」
「こう?」
「うん……」
伊奈帆が見ている先を確認する。
破れた下着。
ぱっと手で隠す。
「エロすぎ」
「なお君のエッチ!!」
言われるがままに、ユキは唾液を含ませながら、
ねっとりとしかし小さく舐め続ける。
「こ、こんな感じ……かな?」
邪魔な髪の毛を横耳にかけながら、伊奈帆に確認する。
「うん……」
拙いながらに、良かったのだろうか。
こんなことをどこで覚えてきたのか。
後で、問いただしたい所である。
「ユキ姉、もういいよ。ちょっと腰上げて」
「こう?」
「うん……」
伊奈帆が見ている先を確認する。
破れた下着。
ぱっと手で隠す。
「エロすぎ」
「なお君のエッチ!!」
31: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 18:32:04.54 ID:Cf4TFCOi0
両足を閉じようとすると、こじ開けられる。
陰核をなぞられ、腰が落ちそうになった。
「きゅ、急に触らないでよ……」
「ごめん」
つぷりと、人差し指を差し込んでくる。
「んッ……」
「こんなんじゃ、もう満足できないよね」
「え……」
寂しく口元を緩めた。
何を言っているのだろう。
まさか、大尉のことだろうか。
「な、なお君あのあッひィ!?」
クリトリスをつまみ上げられ、ユキは言葉が出なかった。
「ぐちょぐちょだね」
粘膜をほじくるように、指を増やしつつ刺激を増やしていく。
「あ……あッ……まって」
指から逃れるように腰を振るが、
伊奈帆の指がさらに絡みつくだけだった。
陰核をなぞられ、腰が落ちそうになった。
「きゅ、急に触らないでよ……」
「ごめん」
つぷりと、人差し指を差し込んでくる。
「んッ……」
「こんなんじゃ、もう満足できないよね」
「え……」
寂しく口元を緩めた。
何を言っているのだろう。
まさか、大尉のことだろうか。
「な、なお君あのあッひィ!?」
クリトリスをつまみ上げられ、ユキは言葉が出なかった。
「ぐちょぐちょだね」
粘膜をほじくるように、指を増やしつつ刺激を増やしていく。
「あ……あッ……まって」
指から逃れるように腰を振るが、
伊奈帆の指がさらに絡みつくだけだった。
32: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 18:49:49.26 ID:Cf4TFCOi0
じゅぷじゅぷ、と蜜が掻き出される。
熱い。
腫れぼったい熱が下腹に集中していた。
意識がぼやっとして、呼吸が乱れる。
伊奈帆が指を引き抜いた。
刺激に敏感になった秘所が、ヒクヒクと蠢いているのを感じた。
彼はユキのお尻を両側から掴み、自分の方へ寄せる。
「ユキ姉、入れて欲しい」
思ったより力強く、後方に仰け反る所だった身体が引き戻される。
「……ユキ姉」
ユキは彼が到底我慢ができるような状態ではないとわかっていた。
この前とは違う。
自分から誘った。
受け入れた。
怖さは、あった。
それは、
痛みにであり、
これからのことにであり、
そして――変わってしまうことにであり。
「一緒に……生きていこう」
伊奈帆が言った。
真っ直ぐに。
コクピットの中には、
伊奈帆と自分だけ。
二人の小さな世界すら、
ぐらぐらと揺れる。
なのに、彼は言うのだ。
一緒に、と。
「誰にも渡さないよ」
それだけで、
こんなにも満たされて。
おかしいのは、自分なのか。
彼なのか。
世界の方か。
一度死んで、生き返った彼が、
忘れなかった気持ちが、
諦めなかった想いが
こんなにも嬉しくて愛おしい。
熱い。
腫れぼったい熱が下腹に集中していた。
意識がぼやっとして、呼吸が乱れる。
伊奈帆が指を引き抜いた。
刺激に敏感になった秘所が、ヒクヒクと蠢いているのを感じた。
彼はユキのお尻を両側から掴み、自分の方へ寄せる。
「ユキ姉、入れて欲しい」
思ったより力強く、後方に仰け反る所だった身体が引き戻される。
「……ユキ姉」
ユキは彼が到底我慢ができるような状態ではないとわかっていた。
この前とは違う。
自分から誘った。
受け入れた。
怖さは、あった。
それは、
痛みにであり、
これからのことにであり、
そして――変わってしまうことにであり。
「一緒に……生きていこう」
伊奈帆が言った。
真っ直ぐに。
コクピットの中には、
伊奈帆と自分だけ。
二人の小さな世界すら、
ぐらぐらと揺れる。
なのに、彼は言うのだ。
一緒に、と。
「誰にも渡さないよ」
それだけで、
こんなにも満たされて。
おかしいのは、自分なのか。
彼なのか。
世界の方か。
一度死んで、生き返った彼が、
忘れなかった気持ちが、
諦めなかった想いが
こんなにも嬉しくて愛おしい。
33: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 18:55:11.76 ID:Cf4TFCOi0
「なお君……」
「なに」
「クサイ……」
「言うことはそれだけ?」
「……」
ユキは涙を隠すように、キスをした。
「愛してる……」
「僕も」
彼の下半身の中心部を、ゆっくりと女の入口へ誘っていく。
ぐちぐちと、膣を押し広げて挿入されていく。
柔らかな肉が、避けることなく彼を包み込んでいった。
「……ッんあ」
温かい。
大尉の時とは違う。
興奮も、快感も。
伊奈帆が言った。
「動くよ」
「あ、あんまり激しくしないで」
「むり」
「なに」
「クサイ……」
「言うことはそれだけ?」
「……」
ユキは涙を隠すように、キスをした。
「愛してる……」
「僕も」
彼の下半身の中心部を、ゆっくりと女の入口へ誘っていく。
ぐちぐちと、膣を押し広げて挿入されていく。
柔らかな肉が、避けることなく彼を包み込んでいった。
「……ッんあ」
温かい。
大尉の時とは違う。
興奮も、快感も。
伊奈帆が言った。
「動くよ」
「あ、あんまり激しくしないで」
「むり」
34: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 19:06:47.37 ID:Cf4TFCOi0
大きさや形がさほど変わるわけではないのに、
剛直が肉腔を巻きつけながらピストンを繰り返すたび、
下腹が持っていかれそうになった。
自分の思うように腰が動かず、
伊奈帆に体を預ける。
彼の肩に腕を伸ばして、抱きしめる。
「あッ……ん……もうちょっと、ゆっくり」
「……ッふ」
「……やだッ……はやい……ッ」
「ごめん、止まらないッ……」
ガタガタと座席が揺れて、
外に音が漏れてしまうのではとさえ思った。
「ユキ姉こそ……締めつけ過ぎ」
「ちが……私はッ」
彼の先端が最も刺激を受けやすい所を何度も擦る。
「やだッ……あッ……むり……ッ……だめッ……」
「ダメじゃッ……ないでしょッ……」
お互いの嬌声が絡み合う。
野太い亀頭が膣道を何度も擦りあげて通っていく。
伊奈帆が乳首にむしゃぶりつく。
ユキはたまらず、彼の背中を引っ掻いた。
それでも、彼は動きをやめない。
むしろ、一段とスピードを上げた。
子宮まで届いてしまうのではと思うくらい、奥を責め立てられる。
「そこだめええッ……壊れる……なお君ッ……こわれちゃ……あッ」
「いいよッ。壊れてよ」
剛直が肉腔を巻きつけながらピストンを繰り返すたび、
下腹が持っていかれそうになった。
自分の思うように腰が動かず、
伊奈帆に体を預ける。
彼の肩に腕を伸ばして、抱きしめる。
「あッ……ん……もうちょっと、ゆっくり」
「……ッふ」
「……やだッ……はやい……ッ」
「ごめん、止まらないッ……」
ガタガタと座席が揺れて、
外に音が漏れてしまうのではとさえ思った。
「ユキ姉こそ……締めつけ過ぎ」
「ちが……私はッ」
彼の先端が最も刺激を受けやすい所を何度も擦る。
「やだッ……あッ……むり……ッ……だめッ……」
「ダメじゃッ……ないでしょッ……」
お互いの嬌声が絡み合う。
野太い亀頭が膣道を何度も擦りあげて通っていく。
伊奈帆が乳首にむしゃぶりつく。
ユキはたまらず、彼の背中を引っ掻いた。
それでも、彼は動きをやめない。
むしろ、一段とスピードを上げた。
子宮まで届いてしまうのではと思うくらい、奥を責め立てられる。
「そこだめええッ……壊れる……なお君ッ……こわれちゃ……あッ」
「いいよッ。壊れてよ」
35: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 19:17:57.21 ID:Cf4TFCOi0
もう、自分を保っていられない。
ユキは頭をふりしだいて、快感の熱の昂ぶりを感じていた。
自ら腰をくねらせる。淫らな自分に、より興奮を高め、伊奈帆に口づけた。
唇を交わらせたまま、上下に揺れ動いていく。
もっと、奥へ。
胎内へと。
伊奈帆が欲しくてたまらない。
彼の男根がさらにむくむくと膨張している。
イきたいのだろう。
イかせてあげたい。
「なお君……ッあ……もうッ」
自らも果てたい欲求に駆られ、
絡みつくように腰を振る。
伊奈帆が痙攣するように、
小刻みに動いた。
ユキは小さな波のようによがった。
「あッ……くるッ……うんん……ッあ」
「出るよッ……」
「やッ……んああああッ!」
はしたない声を上げて、ユキは至った。
ユキは頭をふりしだいて、快感の熱の昂ぶりを感じていた。
自ら腰をくねらせる。淫らな自分に、より興奮を高め、伊奈帆に口づけた。
唇を交わらせたまま、上下に揺れ動いていく。
もっと、奥へ。
胎内へと。
伊奈帆が欲しくてたまらない。
彼の男根がさらにむくむくと膨張している。
イきたいのだろう。
イかせてあげたい。
「なお君……ッあ……もうッ」
自らも果てたい欲求に駆られ、
絡みつくように腰を振る。
伊奈帆が痙攣するように、
小刻みに動いた。
ユキは小さな波のようによがった。
「あッ……くるッ……うんん……ッあ」
「出るよッ……」
「やッ……んああああッ!」
はしたない声を上げて、ユキは至った。
37: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 22:18:38.99 ID:Cf4TFCOi0
伊奈帆の怒張が身を潜めていくのが、下腹の刺激で分かった。
ユキは喘ぐように息を吸った。
身体を動かすには、気だるすぎる。
弟もまだ動けないのか、体内に挿入したまま肩で息をしていた。
初めて絶頂を味わった。
体は重たいのに、陰核の周辺部分は未だに敏感だった。
計器類のガラス面が曇っていて、
コクピット内の熱の高まりを実感した。
いつまでも繋がったままではおれず、
ユキはゆっくりと引き抜こうと腰を上げる。
ぬるぬるとした粘膜が剥がれ落ちるようだ。
身体を仰け反らせながら、彼から身を離す。
伊奈帆の腕がユキの腕を掴む。
「どこへ行くの」
「……」
「ユキ姉」
伊奈帆の目を見た。
「僕は、本当は、心のどこかで思っているんだ。これは全て演技で、ただ僕を傷つけまいとして辻褄を合わせるために、身体を許したんじゃないのかって」
「そんなことないわ……」
「昨日から目の調子が良くないんだ。だから、嘘発見機はホントは使えない」
「じゃあ……朝のは引っ掛けだったの」
それについて何か言及しようと思ったが、止めた。
彼の目はあまりにも綺麗だった。
「……なお君」
ユキは彼を抱きしめる。
「ごめんなさい……。大尉とは付き合ってないの。そういう雰囲気になって……それで。でも、今は後悔してる。本当に、ごめんなさい……馬鹿なことした」
「いいんだ。それが聞けて。僕は……ありのままの全てが欲しいから。それで、いいんだよ、ユキ姉」
懺悔の後に、伊奈帆からキスをされた。
もう戻れない日常に思いを馳せながら、
せめて彼だけは守ると、
そう、心に誓った。
終わり
ユキは喘ぐように息を吸った。
身体を動かすには、気だるすぎる。
弟もまだ動けないのか、体内に挿入したまま肩で息をしていた。
初めて絶頂を味わった。
体は重たいのに、陰核の周辺部分は未だに敏感だった。
計器類のガラス面が曇っていて、
コクピット内の熱の高まりを実感した。
いつまでも繋がったままではおれず、
ユキはゆっくりと引き抜こうと腰を上げる。
ぬるぬるとした粘膜が剥がれ落ちるようだ。
身体を仰け反らせながら、彼から身を離す。
伊奈帆の腕がユキの腕を掴む。
「どこへ行くの」
「……」
「ユキ姉」
伊奈帆の目を見た。
「僕は、本当は、心のどこかで思っているんだ。これは全て演技で、ただ僕を傷つけまいとして辻褄を合わせるために、身体を許したんじゃないのかって」
「そんなことないわ……」
「昨日から目の調子が良くないんだ。だから、嘘発見機はホントは使えない」
「じゃあ……朝のは引っ掛けだったの」
それについて何か言及しようと思ったが、止めた。
彼の目はあまりにも綺麗だった。
「……なお君」
ユキは彼を抱きしめる。
「ごめんなさい……。大尉とは付き合ってないの。そういう雰囲気になって……それで。でも、今は後悔してる。本当に、ごめんなさい……馬鹿なことした」
「いいんだ。それが聞けて。僕は……ありのままの全てが欲しいから。それで、いいんだよ、ユキ姉」
懺悔の後に、伊奈帆からキスをされた。
もう戻れない日常に思いを馳せながら、
せめて彼だけは守ると、
そう、心に誓った。
終わり
38: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 22:19:58.74 ID:Cf4TFCOi0
突貫ssでしたが、ありがとうございました。
ユキ姉が生き残れますように。
ユキ姉が生き残れますように。
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/04(水) 22:45:27.44 ID:9Gx+U5th0
乙!とってもよかった
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/04(水) 22:54:06.54 ID:sPZNfRkO0
乙です。
次回作があったら全力で支援します。
次回作があったら全力で支援します。
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/04(水) 23:24:17.17 ID:pWPLxbP20
乙です
大尉は一人で爆発しろコンチクショー!
大尉は一人で爆発しろコンチクショー!
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1422807153/
Entry ⇒ 2015.10.26 | Category ⇒ アルドノア・ゼロ | Comments (0)
イナホ「違う。空が青いのは海の青さがうつったからだ」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/09(水) 20:55:19.48 ID:Ra/Z58tA0
姫「大気中で光が屈折するからではないのですか?」
エデルリッツォ「知りませんでした」
イナホ「わかればいい」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/09(水) 20:57:47.55 ID:Ra/Z58tA0
ひゅーひゅるる
エデルリッツォ「姫様! 夜中に口笛を吹いてはなりません!」
姫「え? なぜですか?」ひゅーひゅるる
エデルリッツォ「それは……船には寝静まっている方もいるからです!」
イナホ「違う。夜中に口笛を吹くとヘビさんが来るからだ」
エデルリッツォ「そうなのですか?」
姫「知りませんでした」
エデルリッツォ「へびさんは怖いです・・・」
姫「では夜中に口笛に吹くのはやめましょう」
イナホ「わかればいい」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/09(水) 20:59:12.25 ID:Ra/Z58tA0
エデルリッツォ「大変です姫様! 地球には『船に女を乗せるな』という言葉があるようです!」
姫「そんな……でもこの船のアルドノアドライブを起動させられるのは私だけで……」
エデルリッツォ「どうしましょう……」
姫「そもそもなぜそんな言葉があるのですか?」
エデルリッツォ「あ、若い男性の船員同士で人間関係のトラブルが起こるのを防ぐためかもしれませんね!」
イナホ「違う。船に女を乗せてはいけないのは……」
イナホ「……?」
姫「?」
エデルリッツォ「?」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/09(水) 20:59:51.20 ID:Ra/Z58tA0
イナホ「……」
イナホ「とにかく縁起が悪いからだ」
姫「!?」
エデルリッツォ「!?」
モテない女「艦長大変です! 船に女を乗せると……とにかく縁起が悪いそうです!」
女艦長「ああそうですか」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/09(水) 21:00:30.39 ID:Ra/Z58tA0
モテない女「なぜ私は正座させられているのでしょうか……」
イナホ「あなたがモテない理由を教えてあげましょうか?」
モテない女「縁起が悪いからですか?」
イナホ「違う。あなたがモテないのは偉いひとたちの陰謀だ」
モテない女「なんと!」
イナホ「ネットde真実を学ぶといい」
モテない女「早速そうします!」
イナホ「Welcome to Underground...」
おわり
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1441799719/
Entry ⇒ 2015.09.11 | Category ⇒ アルドノア・ゼロ | Comments (0)
妹「兄、大好き」
1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 20:01:26.662 ID:zSlQR3q80.net
ゴトン ゴトン
妹「兄、お菓子もうないの?」
兄「もう無い。我慢しろ」
妹「あと何分くらい?」
兄「一時間ちょっとだ」
妹「・・・買ってきてよ」
兄「電車の中なのにどうやって買うんだよ」
妹「いいから早く買ってきてよ」
兄「はぁ・・・」
妹「兄、お菓子もうないの?」
兄「もう無い。我慢しろ」
妹「あと何分くらい?」
兄「一時間ちょっとだ」
妹「・・・買ってきてよ」
兄「電車の中なのにどうやって買うんだよ」
妹「いいから早く買ってきてよ」
兄「はぁ・・・」
17: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 20:10:57.360 ID:zSlQR3q80.net
母子家庭だった我が家は母が必死に働いてなんとか食い繋いできたが、働きすぎてその母もとうとう倒れてしまった。
兄「じゃあ、弁当食べろ。ほら」
妹「・・・」
兄「いらないのか?」
妹「いらないわよ」フンッ
兄「・・・そうか」
兄「じゃあ、弁当食べろ。ほら」
妹「・・・」
兄「いらないのか?」
妹「いらないわよ」フンッ
兄「・・・そうか」
19: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 20:19:54.374 ID:zSlQR3q80.net
兄「ほら、降りるぞ」
妹「わかってるわよ」
電車「ドアが閉まるで」プルルル
妹「ここから何分歩くの?」
兄「30分くらいかな」
妹「やだ、そんなに歩けない」
兄「はぁ?歩けよ」
妹「もう疲れた」
兄「じゃあ休むか?」
妹「いい。その代わりお菓子買ってきて」
兄「・・・・・・わかった」
妹「わかってるわよ」
電車「ドアが閉まるで」プルルル
妹「ここから何分歩くの?」
兄「30分くらいかな」
妹「やだ、そんなに歩けない」
兄「はぁ?歩けよ」
妹「もう疲れた」
兄「じゃあ休むか?」
妹「いい。その代わりお菓子買ってきて」
兄「・・・・・・わかった」
20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 20:23:18.910 ID:zSlQR3q80.net
兄「ほら、買ってきたぞ」
妹「・・・なんでチョコ味なの?」
兄「知るかよ」
妹「イチゴ味がいい」
兄「はぁ、日が暮れる。早く行くぞ」スタスタ
妹「・・・・・・ふんっ」
妹「・・・なんでチョコ味なの?」
兄「知るかよ」
妹「イチゴ味がいい」
兄「はぁ、日が暮れる。早く行くぞ」スタスタ
妹「・・・・・・ふんっ」
21: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 20:25:39.505 ID:zSlQR3q80.net
兄「・・・・・・」スタスタ
妹「・・・・・・ねぇ」スタスタ
兄「・・・・・・」スタスタ
妹「ねぇ、ねぇってば!」グイッ
兄「ちょ、袖つかむな」
妹「ねぇ、歩くの早い」
兄「・・・・・・ごめん」
妹「・・・・・・ねぇ」スタスタ
兄「・・・・・・」スタスタ
妹「ねぇ、ねぇってば!」グイッ
兄「ちょ、袖つかむな」
妹「ねぇ、歩くの早い」
兄「・・・・・・ごめん」
25: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 20:30:03.241 ID:zSlQR3q80.net
兄「着いたぞ」
妹「・・・・・・意外と小さい」
兄「ワガママ言うなよ」
兄「ごめんくださーい」ピンポーン
ハーイ
叔母「あら、兄君!早かったわね」ガララッ
兄「今日からお世話になります」
兄「本当にありがとうございます」ペコッ
叔母「いいのよ!そんな堅くならないで」
叔母「それより大きくなったわね~」
兄「ほら、挨拶しろ妹」
妹「・・・・・・」ペコッ
妹「・・・・・・意外と小さい」
兄「ワガママ言うなよ」
兄「ごめんくださーい」ピンポーン
ハーイ
叔母「あら、兄君!早かったわね」ガララッ
兄「今日からお世話になります」
兄「本当にありがとうございます」ペコッ
叔母「いいのよ!そんな堅くならないで」
叔母「それより大きくなったわね~」
兄「ほら、挨拶しろ妹」
妹「・・・・・・」ペコッ
26: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 20:33:25.583 ID:zSlQR3q80.net
叔母「妹ちゃん!可愛くなったね~」
兄「すいません、こいつまだ元気なくて」
叔母「いいのよ!本当に残念だったわね」
叔母「姉さんが死んでしまって私も悲しいわ・・・」
兄「はい・・・」
叔母「あら、ごめんなさい。暗い話してしまって」
叔母「ささ、入って!今日からここがあなたたちの家よ!」
叔母「従妹も待ってるわ!」
妹「・・・・・・」
兄「すいません、こいつまだ元気なくて」
叔母「いいのよ!本当に残念だったわね」
叔母「姉さんが死んでしまって私も悲しいわ・・・」
兄「はい・・・」
叔母「あら、ごめんなさい。暗い話してしまって」
叔母「ささ、入って!今日からここがあなたたちの家よ!」
叔母「従妹も待ってるわ!」
妹「・・・・・・」
28: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 20:36:17.056 ID:zSlQR3q80.net
兄「お邪魔します」
妹「・・・・・・」
叔母「従妹~!兄君が来たわよ~」
シーン...
叔母「・・・・・・あらごめんなさい」
叔母「久しぶりだから恥ずかしいのかもしれないわ」
兄「いえいえ、大丈夫ですよ」ハハッ
妹「・・・・・・」
兄「妹、お前も俺の後ろに隠れてないでさ・・・」
妹「・・・・・・」
叔母「従妹~!兄君が来たわよ~」
シーン...
叔母「・・・・・・あらごめんなさい」
叔母「久しぶりだから恥ずかしいのかもしれないわ」
兄「いえいえ、大丈夫ですよ」ハハッ
妹「・・・・・・」
兄「妹、お前も俺の後ろに隠れてないでさ・・・」
30: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 20:38:40.866 ID:zSlQR3q80.net
叔母「ここが兄君の部屋で」
叔母「こっちが妹ちゃんの部屋!」
叔母「これでいいかな?」
兄「本当にありがとうございます」
兄「助かります」
叔母「だから、堅くしないでって言ったでしょ!」
叔母「今日から家族なんだから・・・ね?」
兄「・・・そうですね」
叔母「ほら、まだ堅いわよ」
兄「あ、あはは・・・」
叔母「こっちが妹ちゃんの部屋!」
叔母「これでいいかな?」
兄「本当にありがとうございます」
兄「助かります」
叔母「だから、堅くしないでって言ったでしょ!」
叔母「今日から家族なんだから・・・ね?」
兄「・・・そうですね」
叔母「ほら、まだ堅いわよ」
兄「あ、あはは・・・」
32: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 20:41:00.964 ID:zSlQR3q80.net
叔母「ごめんね、部屋が狭くて」
叔母「で、こっちが従妹の部屋ね」
兄「(心配させないためにも明るくやるか)」
兄「はい、ありがとうございます!」
叔母「お、そうそうその調子!」
叔母「それじゃ、なんかあったら呼んでね!」
叔母「遠慮はいらないから!ね?」スタスタ
兄「(本当にありがたい)」
叔母「で、こっちが従妹の部屋ね」
兄「(心配させないためにも明るくやるか)」
兄「はい、ありがとうございます!」
叔母「お、そうそうその調子!」
叔母「それじゃ、なんかあったら呼んでね!」
叔母「遠慮はいらないから!ね?」スタスタ
兄「(本当にありがたい)」
34: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 20:44:06.840 ID:zSlQR3q80.net
妹「・・・・・・兄」
兄「ん、どうした?」
妹「・・・・・・従妹と隣の部屋になれて嬉しいの?」
兄「え、どうして?」
妹「・・・・・・だってお礼してたじゃん」
兄「・・・・・・お礼?」
叔母『こっちが従妹の部屋ね』
兄『はい、ありがとうございます!』
兄「あ・・・・・・」
兄「そ、そういうわけじゃないから!」
兄「ほら、明るくしないと駄目だろ?」
兄「ん、どうした?」
妹「・・・・・・従妹と隣の部屋になれて嬉しいの?」
兄「え、どうして?」
妹「・・・・・・だってお礼してたじゃん」
兄「・・・・・・お礼?」
叔母『こっちが従妹の部屋ね』
兄『はい、ありがとうございます!』
兄「あ・・・・・・」
兄「そ、そういうわけじゃないから!」
兄「ほら、明るくしないと駄目だろ?」
35: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 20:45:56.890 ID:zSlQR3q80.net
妹「・・・・・・?」
兄「まあいい、別に嬉しくも嫌でもないから」
妹「・・・・・・あっそ」スタスタ
兄「部屋行くのか?」
妹「悪い?」
兄「いや、そうじゃないけど」
??「あ、あのー」
兄「ん?」
妹「!」
兄「まあいい、別に嬉しくも嫌でもないから」
妹「・・・・・・あっそ」スタスタ
兄「部屋行くのか?」
妹「悪い?」
兄「いや、そうじゃないけど」
??「あ、あのー」
兄「ん?」
妹「!」
36: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 20:48:53.864 ID:zSlQR3q80.net
??「お、お久しぶりです!」
兄「えーと・・・?」キョトン
??「もう、お兄さん私を忘れたんですか?」
従妹「私、従妹ですよ!」
兄「え!?嘘!?」
従妹「もう・・・酷いです!」
従妹「妹さんもお久しぶりです!」
妹「・・・・・・お久しぶり」
兄「従妹ちゃん変わったなー・・・」
兄「えーと・・・?」キョトン
??「もう、お兄さん私を忘れたんですか?」
従妹「私、従妹ですよ!」
兄「え!?嘘!?」
従妹「もう・・・酷いです!」
従妹「妹さんもお久しぶりです!」
妹「・・・・・・お久しぶり」
兄「従妹ちゃん変わったなー・・・」
38: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 20:54:08.401 ID:zSlQR3q80.net
従妹「私変わりましたか?」
兄「(あんなに幼かった従妹ちゃんが数年でここまで大人に!?)」
兄「う、うん、大人っぽくなったていうか、可愛くなったっていうか・・・」
従妹「え///か、可愛い・・・///」カアア
兄「い、従妹ちゃん顔赤いよ?」
従妹「き、気のせいです!///」
兄「そ、そうか」
妹「・・・・・・」ゲシッ
兄「痛っ!なにすんだよ!」
妹「・・・・・・鼻の下伸ばしてた」ムスッ
兄「は、はぁ!?」
兄「(あんなに幼かった従妹ちゃんが数年でここまで大人に!?)」
兄「う、うん、大人っぽくなったていうか、可愛くなったっていうか・・・」
従妹「え///か、可愛い・・・///」カアア
兄「い、従妹ちゃん顔赤いよ?」
従妹「き、気のせいです!///」
兄「そ、そうか」
妹「・・・・・・」ゲシッ
兄「痛っ!なにすんだよ!」
妹「・・・・・・鼻の下伸ばしてた」ムスッ
兄「は、はぁ!?」
39: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 20:57:27.369 ID:zSlQR3q80.net
妹「もう知らない」スタスタ
兄「おい!妹!せっかくの再会なのに!」
従妹「い、いいんですよ!兄さん!」
兄「で、でもなぁ」
従妹「兄さんも妹さんもここ最近ほんと忙しかったから疲れてるんですよ」
従妹「そ、それに、お兄さんとまた会えて嬉しいです///」
兄「俺も嬉しいよ」
従妹「ほ、ホントですか?」
兄「嘘ついてどうするよ」
従妹「えへへ・・・兄さん、久しぶりたわからお話しませんか?」
兄「おい!妹!せっかくの再会なのに!」
従妹「い、いいんですよ!兄さん!」
兄「で、でもなぁ」
従妹「兄さんも妹さんもここ最近ほんと忙しかったから疲れてるんですよ」
従妹「そ、それに、お兄さんとまた会えて嬉しいです///」
兄「俺も嬉しいよ」
従妹「ほ、ホントですか?」
兄「嘘ついてどうするよ」
従妹「えへへ・・・兄さん、久しぶりたわからお話しませんか?」
40: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 21:00:49.138 ID:zSlQR3q80.net
従妹「あ、疲れてるのにごめんなさい!」
従妹「今日はゆっくり休んでください!」アタフタ
兄「え、俺は話してもいいんだけど」
従妹「いいんです!休んでください!」
兄「・・・俺従妹ちゃんと話したいな」
従妹「お兄さん・・・///相変わらず優しいですね///」
兄「え、何が?俺はホントに従妹ちゃんと話したいんだけど」
従妹「わかりました!私の部屋に来てください!」
兄「おう!」
妹「・・・・・・」ギリッ
従妹「今日はゆっくり休んでください!」アタフタ
兄「え、俺は話してもいいんだけど」
従妹「いいんです!休んでください!」
兄「・・・俺従妹ちゃんと話したいな」
従妹「お兄さん・・・///相変わらず優しいですね///」
兄「え、何が?俺はホントに従妹ちゃんと話したいんだけど」
従妹「わかりました!私の部屋に来てください!」
兄「おう!」
妹「・・・・・・」ギリッ
42: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 21:04:57.238 ID:zSlQR3q80.net
ミンナー,ゴハンヨー‼
兄「従妹ちゃん行こうか」
従妹「は、はい!」
従妹「(もっとお話したかったなー・・・)」
兄「そうだ、従妹ちゃん」
従妹「はい、なんですか?」
兄「よければさ・・・いや、ほんと嫌ならいいんだけど、俺たちにこの街案内してくれないか?」
従妹「!!」
兄「い、嫌ならいいんだよ?」
従妹「な、嫌じゃありませんよ!むしろ案内させてください!」
兄「うん、よろしく」
従妹「(これはまさか・・・デート!?///)」
兄「従妹ちゃん行こうか」
従妹「は、はい!」
従妹「(もっとお話したかったなー・・・)」
兄「そうだ、従妹ちゃん」
従妹「はい、なんですか?」
兄「よければさ・・・いや、ほんと嫌ならいいんだけど、俺たちにこの街案内してくれないか?」
従妹「!!」
兄「い、嫌ならいいんだよ?」
従妹「な、嫌じゃありませんよ!むしろ案内させてください!」
兄「うん、よろしく」
従妹「(これはまさか・・・デート!?///)」
43: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 21:09:50.284 ID:zSlQR3q80.net
ありがとうございます
ほんと慣れてないんで
叔母「あれ、妹ちゃんは?」
兄「あ、そう言えば」
兄「今すぐ呼んできます」スタスタ
叔母「お願いね」
兄「(何やってるんだ、あいつは)」スタスタ
兄「おい、妹」コンコン
兄「おい、おい、おーい」コンコン
妹「・・・・・・何?」
兄「晩御飯だぞ、来いよ」
妹「・・・・・・後で行くから」
ほんと慣れてないんで
叔母「あれ、妹ちゃんは?」
兄「あ、そう言えば」
兄「今すぐ呼んできます」スタスタ
叔母「お願いね」
兄「(何やってるんだ、あいつは)」スタスタ
兄「おい、妹」コンコン
兄「おい、おい、おーい」コンコン
妹「・・・・・・何?」
兄「晩御飯だぞ、来いよ」
妹「・・・・・・後で行くから」
46: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 21:16:57.080 ID:zSlQR3q80.net
兄「後で?何言ってんだお前」
兄「入るぞ?」ガチャ
妹「あ・・・」
妹「な、なによ!変態!」
妹「出てって!」
兄「はぁ?何言ってんだが・・・」
兄「お前な、親父に言われただろ!」
兄「家族は一緒に飯を食えって」
妹「だ、だったら何よ!」
兄「ほら、早く来い」グイッ
妹「あ・・・」カアア
兄「入るぞ?」ガチャ
妹「あ・・・」
妹「な、なによ!変態!」
妹「出てって!」
兄「はぁ?何言ってんだが・・・」
兄「お前な、親父に言われただろ!」
兄「家族は一緒に飯を食えって」
妹「だ、だったら何よ!」
兄「ほら、早く来い」グイッ
妹「あ・・・」カアア
47: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 21:19:09.352 ID:zSlQR3q80.net
兄「すいません、遅れました」
叔母「全然待ってないわよ」
叔母「それより、ほら!美味しく出来たから暖かいうちに食べて!」
兄「ありがとうございます」
兄「いただきます」
兄「ほら、お前も」
妹「い、いただきます」
叔母「は~い」
叔母「全然待ってないわよ」
叔母「それより、ほら!美味しく出来たから暖かいうちに食べて!」
兄「ありがとうございます」
兄「いただきます」
兄「ほら、お前も」
妹「い、いただきます」
叔母「は~い」
48: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 21:23:55.769 ID:zSlQR3q80.net
叔母「従妹、兄君といっぱい話せた?」
従妹「うん!」
叔母「そっか~良かったわね~」
叔母「ほら兄君覚えてる?」
妹「・・・・・・!」ピタッ
叔母「従妹ったら小さい頃は兄君、兄君ってくっついてて」
叔母「お別れのときは大泣きしてたわよね~」アハハ
叔母「いつまでも泣くから兄君が困っちゃって」
従妹「お、お母さん!!!///」
叔母「あらあら、ごめんなさい」
従妹「もう・・・///」
兄「あはは」
妹「・・・・・・」
兄「ん、お前食べないの?」
従妹「うん!」
叔母「そっか~良かったわね~」
叔母「ほら兄君覚えてる?」
妹「・・・・・・!」ピタッ
叔母「従妹ったら小さい頃は兄君、兄君ってくっついてて」
叔母「お別れのときは大泣きしてたわよね~」アハハ
叔母「いつまでも泣くから兄君が困っちゃって」
従妹「お、お母さん!!!///」
叔母「あらあら、ごめんなさい」
従妹「もう・・・///」
兄「あはは」
妹「・・・・・・」
兄「ん、お前食べないの?」
49: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 21:27:52.832 ID:zSlQR3q80.net
兄「食べろよ」
妹「・・・・・・食欲ない」
兄「はぁ?お前なあ」
叔母「い、いいのよ!妹ちゃんには多かったかな?」
妹「ご馳走さまでした」スタスタ
兄「あいつ・・・」
従妹「妹さん、どうしたんでしょうね?」
兄「うん」
兄「(一回怒った方がいいよな)」
妹「・・・・・・食欲ない」
兄「はぁ?お前なあ」
叔母「い、いいのよ!妹ちゃんには多かったかな?」
妹「ご馳走さまでした」スタスタ
兄「あいつ・・・」
従妹「妹さん、どうしたんでしょうね?」
兄「うん」
兄「(一回怒った方がいいよな)」
50: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 21:29:45.256 ID:zSlQR3q80.net
兄「ご馳走さまでした!」
従妹「わ、私も!」モグモグ
叔母「は~い、お粗末様でした」
兄「それでは部屋に戻ります」
叔母「ゆっくりしてね!」
兄「はい、ありがとうございます」
従妹「お兄さん!」
兄「ん?」
従妹「は、話の続きしませんか?」
兄「うん、いいよ」
従妹「わ、私も!」モグモグ
叔母「は~い、お粗末様でした」
兄「それでは部屋に戻ります」
叔母「ゆっくりしてね!」
兄「はい、ありがとうございます」
従妹「お兄さん!」
兄「ん?」
従妹「は、話の続きしませんか?」
兄「うん、いいよ」
53: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 21:31:39.334 ID:zSlQR3q80.net
従妹「お兄さん、こっちですよ?」
兄「あぁ、悪い。先言っといてくれ」
従妹「妹さん?」
兄「あぁ、ちょっと話があるから」
従妹「わかりました!待っときます!」
兄「すまない」
従妹「ちゃんと来てくださいね・・・?」
兄「おう」
兄「あぁ、悪い。先言っといてくれ」
従妹「妹さん?」
兄「あぁ、ちょっと話があるから」
従妹「わかりました!待っときます!」
兄「すまない」
従妹「ちゃんと来てくださいね・・・?」
兄「おう」
54: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 21:37:56.622 ID:zSlQR3q80.net
ありがとうございます
兄「さて」
兄「おい、妹」コンコン
妹「・・・・・・何」
兄「ドア越しに話すぞ」
兄「お前さ、折角叔母さんが晩飯作ってくれたのにあれは失礼だろ?」
妹「・・・・・・食欲ないんだもん」
兄「と言ってもなぁ」
妹「何よ」
兄「明日からは食べろよちゃんと」
妹「なんでそんなこと言われないとダメなのよ」
妹「あんたが先に産まれただけで私たちは双子なの」
妹「妹扱いしないでくれる?」
兄「・・・・・・」イライラ
兄「さて」
兄「おい、妹」コンコン
妹「・・・・・・何」
兄「ドア越しに話すぞ」
兄「お前さ、折角叔母さんが晩飯作ってくれたのにあれは失礼だろ?」
妹「・・・・・・食欲ないんだもん」
兄「と言ってもなぁ」
妹「何よ」
兄「明日からは食べろよちゃんと」
妹「なんでそんなこと言われないとダメなのよ」
妹「あんたが先に産まれただけで私たちは双子なの」
妹「妹扱いしないでくれる?」
兄「・・・・・・」イライラ
55: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 21:40:51.618 ID:zSlQR3q80.net
兄「なんだあいつの態度は」イライラ
兄「双子でも実際妹じゃないか」イライラ
兄「あー、腹立つ」ガチャ
兄「こういうときは寝て忘れよう」ゴロン
兄「・・・・・・なんか忘れてるような」
従妹「お兄さん?」コンコン
兄「お、おう、従妹ちゃん、どうした?」
兄「(そうだ、従妹ちゃんの部屋に行く約束だった)」
兄「双子でも実際妹じゃないか」イライラ
兄「あー、腹立つ」ガチャ
兄「こういうときは寝て忘れよう」ゴロン
兄「・・・・・・なんか忘れてるような」
従妹「お兄さん?」コンコン
兄「お、おう、従妹ちゃん、どうした?」
兄「(そうだ、従妹ちゃんの部屋に行く約束だった)」
56: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 21:43:55.875 ID:zSlQR3q80.net
従妹「いえ、お兄さんが独り言言いながら部屋に入ってくのが聞こえたんで」
従妹「まさかとは思いますが・・・・・・」
兄「ちょ」
従妹「ちょ?」
兄「いや、あれだよ!すぐ行くつもりだったから!」アセアセ
従妹「・・・・・・」
従妹「本当ですか?」
兄「うん、今行くから待ってて!ね?」アセアセ
従妹「わかりました♪」スタスタ
兄「・・・・・・ふぅ」
従妹「まさかとは思いますが・・・・・・」
兄「ちょ」
従妹「ちょ?」
兄「いや、あれだよ!すぐ行くつもりだったから!」アセアセ
従妹「・・・・・・」
従妹「本当ですか?」
兄「うん、今行くから待ってて!ね?」アセアセ
従妹「わかりました♪」スタスタ
兄「・・・・・・ふぅ」
58: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 21:46:43.685 ID:zSlQR3q80.net
兄「従妹ちゃん」コンコン
従妹「どうぞ!」
兄「お邪魔します」ガチャ
従妹「待ってました、お兄さん」
兄「おぉ・・・」
兄「(当たり前だが、女の子らしい部屋だ!小物がいっぱい置いてある)」
兄「(それに、すげえいい匂いがする!)」
従妹「どうしました?」
兄「い、いやなんでもないよ」
従妹「どうぞ!」
兄「お邪魔します」ガチャ
従妹「待ってました、お兄さん」
兄「おぉ・・・」
兄「(当たり前だが、女の子らしい部屋だ!小物がいっぱい置いてある)」
兄「(それに、すげえいい匂いがする!)」
従妹「どうしました?」
兄「い、いやなんでもないよ」
59: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 21:48:55.418 ID:zSlQR3q80.net
従妹「お兄さん、どうでしょうか?」
兄「え?何が?」
従妹「わ、私のお部屋///」
兄「うん、すごい可愛いよ」
従妹「本当ですか?」パアア
兄「当たり前だのクラッカー」
従妹「じゃ、じゃあ!妹さんとどっちが可愛いですか!?」
兄「え、妹・・・?」キョトン
従妹「は、はい」ワクワク
兄「え?何が?」
従妹「わ、私のお部屋///」
兄「うん、すごい可愛いよ」
従妹「本当ですか?」パアア
兄「当たり前だのクラッカー」
従妹「じゃ、じゃあ!妹さんとどっちが可愛いですか!?」
兄「え、妹・・・?」キョトン
従妹「は、はい」ワクワク
60: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 21:52:05.754 ID:zSlQR3q80.net
ありがとうございます
兄「妹って、妹のお部屋とどっちが可愛いか?」
従妹「は、はい、そうです///」モジモジ
兄「妹って・・・」
兄「(あいつの部屋なんて最近入った記憶ないぞ)」
兄「(結構前だが入ったときの記憶は・・・あんまり覚えてないわ)」
兄「(まあどうせあいつのことだから大したことないだろ)」
兄「従妹ちゃんのお部屋のが可愛いよ」
従妹「ほ、ホントですか!?」パアア
兄「嘘ついてどうすんのよ」
従妹「う、嬉しいです///」
兄「妹って、妹のお部屋とどっちが可愛いか?」
従妹「は、はい、そうです///」モジモジ
兄「妹って・・・」
兄「(あいつの部屋なんて最近入った記憶ないぞ)」
兄「(結構前だが入ったときの記憶は・・・あんまり覚えてないわ)」
兄「(まあどうせあいつのことだから大したことないだろ)」
兄「従妹ちゃんのお部屋のが可愛いよ」
従妹「ほ、ホントですか!?」パアア
兄「嘘ついてどうすんのよ」
従妹「う、嬉しいです///」
61: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 21:54:43.920 ID:zSlQR3q80.net
従妹「お兄さん、ここに座ってください」
兄「ありがとう」
従妹「お兄さん」
兄「ん?」
従妹「・・・大きくなりましたね」
兄「え、寂しいか?」
従妹「い、いえ!そんなわけじゃ!驚いてるんです!」アタフタ
従妹「身長はおいくつですか」
兄「えー・・・180かな」
従妹「すごい大きいですね・・・!」
兄「(あれ?俺180あったっけ?)」
兄「ありがとう」
従妹「お兄さん」
兄「ん?」
従妹「・・・大きくなりましたね」
兄「え、寂しいか?」
従妹「い、いえ!そんなわけじゃ!驚いてるんです!」アタフタ
従妹「身長はおいくつですか」
兄「えー・・・180かな」
従妹「すごい大きいですね・・・!」
兄「(あれ?俺180あったっけ?)」
62: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 21:57:35.280 ID:zSlQR3q80.net
兄「従妹ちゃんはさ今高校一年生?」
従妹「はい、そうですよ」
兄「そっか」
従妹「お兄さんたちは二年生ですよね?」
従妹「高校はどうするんですか?」
兄「G高校に編入するんだ」
従妹「えぇぇ!?」
従妹「はい、そうですよ」
兄「そっか」
従妹「お兄さんたちは二年生ですよね?」
従妹「高校はどうするんですか?」
兄「G高校に編入するんだ」
従妹「えぇぇ!?」
64: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 22:00:13.892 ID:zSlQR3q80.net
従妹「わ、私と同じ高校なんですか!?」
兄「なに、聞いてなかったの?」
従妹「はい、全然!」
兄「叔母さんに言ったつもりなんだけどな・・・」
従妹「(お母さん!話してくれてもよかったのに!)」
従妹「じ、じゃあ来週から学校なんですか?」
兄「まぁ、そういうことだな」
すいません少し落ちます
兄「なに、聞いてなかったの?」
従妹「はい、全然!」
兄「叔母さんに言ったつもりなんだけどな・・・」
従妹「(お母さん!話してくれてもよかったのに!)」
従妹「じ、じゃあ来週から学校なんですか?」
兄「まぁ、そういうことだな」
すいません少し落ちます
68: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 22:10:36.964 ID:zSlQR3q80.net
今戻りました
従妹「そうですか・・・!」
従妹「・・・・・・あ!」
兄「ん?どした?」
従妹「い、いや、なんでもないんです!」アセアセ
兄「え?隠さなくてもいいのに」
従妹「あ、あのですね」ドキドキ
兄「うん」
従妹「い、一緒にと、登校しませんか・・・?///」ドキドキ
兄「登校?」
従妹「は、はい///(言っちゃった・・・///)」モジモジ
従妹「そうですか・・・!」
従妹「・・・・・・あ!」
兄「ん?どした?」
従妹「い、いや、なんでもないんです!」アセアセ
兄「え?隠さなくてもいいのに」
従妹「あ、あのですね」ドキドキ
兄「うん」
従妹「い、一緒にと、登校しませんか・・・?///」ドキドキ
兄「登校?」
従妹「は、はい///(言っちゃった・・・///)」モジモジ
70: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 22:14:01.641 ID:zSlQR3q80.net
兄「うん、いいよ」
従妹「ほ、ホントですか!?」パアア
兄「俺も妹もそっちのが心強いだろうし」
従妹「い、妹さん?」
兄「あー、妹も同じ高校だよ」
従妹「そ、そうなんですか・・・(二人きりの登校かと思ったのに・・・)」ガクン
兄「ていうか従妹ちゃんは俺たちと同じでいいの?」
従妹「え、なんでですか?」
兄「一緒に行く子とかはいないの?」
従妹「ほ、ホントですか!?」パアア
兄「俺も妹もそっちのが心強いだろうし」
従妹「い、妹さん?」
兄「あー、妹も同じ高校だよ」
従妹「そ、そうなんですか・・・(二人きりの登校かと思ったのに・・・)」ガクン
兄「ていうか従妹ちゃんは俺たちと同じでいいの?」
従妹「え、なんでですか?」
兄「一緒に行く子とかはいないの?」
71: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 22:16:53.113 ID:zSlQR3q80.net
従妹「あ、はい!大丈夫ですよ!」
兄「そうなの?」
従妹「こっち方面の人はあまりいないんで!」
兄「そうなんだ」
従妹「だから誰も邪魔できません!」
兄「ん、邪魔?」
従妹「あ、ち、違います!///」カアア
兄「?」
兄「まあ、いいや。妹のことなんだけどさ」
従妹「あ、は、はい///」
兄「そうなの?」
従妹「こっち方面の人はあまりいないんで!」
兄「そうなんだ」
従妹「だから誰も邪魔できません!」
兄「ん、邪魔?」
従妹「あ、ち、違います!///」カアア
兄「?」
兄「まあ、いいや。妹のことなんだけどさ」
従妹「あ、は、はい///」
72: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 22:20:08.893 ID:zSlQR3q80.net
兄「あいつ、ああいう性格だからさ、友達できるか心配なんだよね」
兄「俺も兄として心配というか・・・」
兄「だからさ、学年は違うけれど、なるべく仲良くしてあげてくれないか?」
従妹「任せてください!そんなこと言われなくとも仲良くしますから!」
兄「ありがとう、従妹ちゃん!」
兄「なんて優しいんだ」
従妹「や、優しいだなんてそんな///」
従妹「そ、そうだ、妹さんはいつから変わってしまったんですか?///」
兄「俺も兄として心配というか・・・」
兄「だからさ、学年は違うけれど、なるべく仲良くしてあげてくれないか?」
従妹「任せてください!そんなこと言われなくとも仲良くしますから!」
兄「ありがとう、従妹ちゃん!」
兄「なんて優しいんだ」
従妹「や、優しいだなんてそんな///」
従妹「そ、そうだ、妹さんはいつから変わってしまったんですか?///」
73: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 22:22:32.519 ID:zSlQR3q80.net
兄「・・・・・・」
従妹「(しまった!聞いちゃいけないことだったかな?)」
従妹「ご、ごめんなさい!話したくなければ」
兄「親父が離婚したときからだよ」
従妹「・・・・・・え?」
兄「俺の家って母子家庭だっただろ?」
従妹「あ、はい・・・」
従妹「(しまった!聞いちゃいけないことだったかな?)」
従妹「ご、ごめんなさい!話したくなければ」
兄「親父が離婚したときからだよ」
従妹「・・・・・・え?」
兄「俺の家って母子家庭だっただろ?」
従妹「あ、はい・・・」
75: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 22:29:06.186 ID:zSlQR3q80.net
兄「妹は元々活発的なやつでも無かったけど」
兄「小学生5年生くらいのときから、お母さんと親父は仲悪くてさ」
兄「家でも毎日のように喧嘩してたな」
兄「んで、妹のやつは親父のことも母さんのことも好きだったから、相当精神的にキツかったらしくてさ」
兄「俺らが中学生のとき結局二人は離婚して、なんだか塞ぎこむようになったな」
従妹「・・・・・・そうなんですか」
兄「離婚したあと、本当は俺は親父の所に行く予定だったんだよ」
従妹「え?」
兄「小学生5年生くらいのときから、お母さんと親父は仲悪くてさ」
兄「家でも毎日のように喧嘩してたな」
兄「んで、妹のやつは親父のことも母さんのことも好きだったから、相当精神的にキツかったらしくてさ」
兄「俺らが中学生のとき結局二人は離婚して、なんだか塞ぎこむようになったな」
従妹「・・・・・・そうなんですか」
兄「離婚したあと、本当は俺は親父の所に行く予定だったんだよ」
従妹「え?」
76: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 22:34:38.698 ID:zSlQR3q80.net
あざます!
兄「そりゃまあ母さん一人で二人育てるのは大変だろうから」
兄「俺もそれは納得してたんだけど」
兄「母さんが金の心配はいらないから、どうしてもこっちに来てくれって言うんだ」
従妹「え、どうしてですか?」
兄「お前はたった一人の兄なんだから妹を守ってやれってさ」
兄「あいつ普段は冷静を装ってても夜な夜な部屋で泣いてたらしいんだ。精神的に不安定で」
従妹「妹さん・・・・・・」
兄「親父にはどう説明しようか迷ったけど、既に親父にも話が通ってて、そういうことなら早く行けって言うんだ」
兄「んで、今に至るわけだよ」
従妹「い、妹さんは・・・」
兄「ん?」
従妹「兄さんが戻ってきてからどうでしたか?」
兄「そりゃまあ母さん一人で二人育てるのは大変だろうから」
兄「俺もそれは納得してたんだけど」
兄「母さんが金の心配はいらないから、どうしてもこっちに来てくれって言うんだ」
従妹「え、どうしてですか?」
兄「お前はたった一人の兄なんだから妹を守ってやれってさ」
兄「あいつ普段は冷静を装ってても夜な夜な部屋で泣いてたらしいんだ。精神的に不安定で」
従妹「妹さん・・・・・・」
兄「親父にはどう説明しようか迷ったけど、既に親父にも話が通ってて、そういうことなら早く行けって言うんだ」
兄「んで、今に至るわけだよ」
従妹「い、妹さんは・・・」
兄「ん?」
従妹「兄さんが戻ってきてからどうでしたか?」
77: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 22:37:17.819 ID:zSlQR3q80.net
兄「んー、どうなんだろうな」
兄「母さんはあんたが戻ってきてくれたおかげで妹もだいぶマシになったとか言ってたけど」
兄「母さんなりのお世辞だろうな、実際妹は冷たいままだったしな」アハハ
従妹「そ、そんなこと」
兄「ん?」
従妹「そんなことないですよ!」
従妹「妹さんはお兄さんが戻ってきてくれて嬉しかったはずです!」
兄「え?どうしてそう思うの?」
兄「母さんはあんたが戻ってきてくれたおかげで妹もだいぶマシになったとか言ってたけど」
兄「母さんなりのお世辞だろうな、実際妹は冷たいままだったしな」アハハ
従妹「そ、そんなこと」
兄「ん?」
従妹「そんなことないですよ!」
従妹「妹さんはお兄さんが戻ってきてくれて嬉しかったはずです!」
兄「え?どうしてそう思うの?」
78: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 22:40:46.013 ID:zSlQR3q80.net
従妹「あの時期、よくこの家に遊びに来てたじゃないですか」
兄「はは、多忙な時期だったからほんと助かったよ母さん夜も惜しまず働くから俺たちにはどうしようもなくてさ」
従妹「その事はいいんです、私もお兄さんといつも会えて嬉しかったんですから!」
兄「・・・お、おお?」
従妹「む、昔の話です///」
兄「はは、ありがとう」
兄「んで、どうしてそう思うの?」
兄「はは、多忙な時期だったからほんと助かったよ母さん夜も惜しまず働くから俺たちにはどうしようもなくてさ」
従妹「その事はいいんです、私もお兄さんといつも会えて嬉しかったんですから!」
兄「・・・お、おお?」
従妹「む、昔の話です///」
兄「はは、ありがとう」
兄「んで、どうしてそう思うの?」
79: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 22:47:11.530 ID:zSlQR3q80.net
従妹「私あのときお兄さんたちの家の事情のことは知りませんでしたが」
従妹「最初の方は妹ちゃん1人だけで来てて、私とは話してくれるんですが」
従妹「すごい塞ぎこんでるのがよくわかりました」
従妹「私もいろいろ妹さんのためにしたんですが、なかなか明るくならなくて・・・困ってたんです」
従妹「でも、お兄さんも途中から家に来るようになったじゃないですか」
兄「俺が戻ったならな」
従妹「あの日から妹さんはどこか明るくなってたんですよ」
兄「俺には普通に冷たかったじゃん」
従妹「表面的には変わってないかもしれませんが、私にはわかります」
従妹「それで私、気付いたのです」
従妹「なにがあったからは知らないけど、妹さんが明るくなったのはお兄さんのおかげだって」
兄「はは、そりゃたまたまでしょ」
従妹「最初の方は妹ちゃん1人だけで来てて、私とは話してくれるんですが」
従妹「すごい塞ぎこんでるのがよくわかりました」
従妹「私もいろいろ妹さんのためにしたんですが、なかなか明るくならなくて・・・困ってたんです」
従妹「でも、お兄さんも途中から家に来るようになったじゃないですか」
兄「俺が戻ったならな」
従妹「あの日から妹さんはどこか明るくなってたんですよ」
兄「俺には普通に冷たかったじゃん」
従妹「表面的には変わってないかもしれませんが、私にはわかります」
従妹「それで私、気付いたのです」
従妹「なにがあったからは知らないけど、妹さんが明るくなったのはお兄さんのおかげだって」
兄「はは、そりゃたまたまでしょ」
80: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 22:51:10.191 ID:zSlQR3q80.net
従妹「いえ、きっとお兄さんのおかげです!」
兄「いや・・・え?いや・・・」
従妹「お母さんも兄君が来てから妹ちゃん変わったねって言ってました」
兄「むむ、俺にはわからんな・・・」
従妹「妹さん、キツく当たるときもあるかもしれませんが」
兄「いつもだよ」
従妹「それでも!お兄さんがいるだけで安心できたんだと思います!」
兄「そうかなー?」
従妹「私にはわかるんです!」
兄「従妹ちゃんは優しいなぁ、気遣ってくれてありがとう」
従妹「もう///嘘じゃないのに///」
兄「いや・・・え?いや・・・」
従妹「お母さんも兄君が来てから妹ちゃん変わったねって言ってました」
兄「むむ、俺にはわからんな・・・」
従妹「妹さん、キツく当たるときもあるかもしれませんが」
兄「いつもだよ」
従妹「それでも!お兄さんがいるだけで安心できたんだと思います!」
兄「そうかなー?」
従妹「私にはわかるんです!」
兄「従妹ちゃんは優しいなぁ、気遣ってくれてありがとう」
従妹「もう///嘘じゃないのに///」
81: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 22:54:34.482 ID:zSlQR3q80.net
従妹「お兄さん、今日はもう寝ますか?」
兄「お風呂入って叔父さん帰ってきたら寝るよ」
兄「明日は荷物が届くし、従妹ちゃんに案内してもらわないと駄目だからね」
従妹「あ、そうでした!」
従妹「なら私もいろいろ手伝います!」
兄「いやいや、いいよ」
従妹「いいんです!私が手伝えば早く終わりますし、そしたらいっぱい案内できます!」
兄「いいの?」
従妹「いいんです!」
兄「それじゃ、頼む!ありがとう!」
従妹「はい!」
兄「お風呂入って叔父さん帰ってきたら寝るよ」
兄「明日は荷物が届くし、従妹ちゃんに案内してもらわないと駄目だからね」
従妹「あ、そうでした!」
従妹「なら私もいろいろ手伝います!」
兄「いやいや、いいよ」
従妹「いいんです!私が手伝えば早く終わりますし、そしたらいっぱい案内できます!」
兄「いいの?」
従妹「いいんです!」
兄「それじゃ、頼む!ありがとう!」
従妹「はい!」
83: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 22:59:01.480 ID:zSlQR3q80.net
兄「(はぁ、お風呂気持ちよかった)」
兄「(今日はほんと長く感じたな)」
兄「(叔母さん、叔父さんや従妹ちゃんには感謝してもしきれない)」
兄「(・・・・・・)」
兄「(なあ、母さん。俺らはほんとに大丈夫か?凄く不安なんだ)」
母『あんたはね!妹のたった一人の兄なのよ!あんたが妹を守らないでどうするのよ!』
母『あんたが戻ってきてくれたら、夜に妹が部屋でなくことも無くなったみたいだよ。ありがとう』
母『しっかりしなさいよ、兄』
『しっかりしなさいよ、兄』
兄「(・・・・・・)」
兄「(今日はほんと長く感じたな)」
兄「(叔母さん、叔父さんや従妹ちゃんには感謝してもしきれない)」
兄「(・・・・・・)」
兄「(なあ、母さん。俺らはほんとに大丈夫か?凄く不安なんだ)」
母『あんたはね!妹のたった一人の兄なのよ!あんたが妹を守らないでどうするのよ!』
母『あんたが戻ってきてくれたら、夜に妹が部屋でなくことも無くなったみたいだよ。ありがとう』
母『しっかりしなさいよ、兄』
『しっかりしなさいよ、兄』
兄「(・・・・・・)」
85: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 23:02:47.666 ID:zSlQR3q80.net
兄「(すまない、母さん)」
兄「(俺がしっかりしないとダメだよな)」
兄「(俺らきっと上手くやっていくから)」
兄「(心配しないでくれ、母さん)」
「・・・・・・兄」
兄「うわ!」ビクッ
妹「何よその反応」
兄「いや、なんでもないよ」
妹「廊下にボーッとつったって気色悪い」
兄「すまん」
妹「そこどいて?」
兄「・・・・・・うん」サッ
妹「・・・・・・」スタスタ
兄「・・・・・・」
兄「・・・・・・なぁ、妹」
兄「(俺がしっかりしないとダメだよな)」
兄「(俺らきっと上手くやっていくから)」
兄「(心配しないでくれ、母さん)」
「・・・・・・兄」
兄「うわ!」ビクッ
妹「何よその反応」
兄「いや、なんでもないよ」
妹「廊下にボーッとつったって気色悪い」
兄「すまん」
妹「そこどいて?」
兄「・・・・・・うん」サッ
妹「・・・・・・」スタスタ
兄「・・・・・・」
兄「・・・・・・なぁ、妹」
86: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 23:07:26.615 ID:zSlQR3q80.net
妹「・・・・・・何?」
兄「あのさ」
兄「この家に住ませてくれたのは本当に感謝しないといけないけどさ」
妹「また説教なの?」
兄「ちげーよ」
兄「あのな、俺たちはいつまでもここに住めるわけじゃないのはわかるだろ?」
妹「・・・・・・それが何よ」
兄「だから、いつかは俺たち2人きりで、そしていつかは1人きりで旅立たないとダメなんだ」
兄「だからさ、それまで何が待ってるかわかんないけど、これからも苦しいことだらけだろうけど、一緒に頑張ろう?」
妹「・・・・・・うん」
兄「じゃ、じゃあな」スタスタ
妹「・・・・・・変な兄」ボソッ
兄「あのさ」
兄「この家に住ませてくれたのは本当に感謝しないといけないけどさ」
妹「また説教なの?」
兄「ちげーよ」
兄「あのな、俺たちはいつまでもここに住めるわけじゃないのはわかるだろ?」
妹「・・・・・・それが何よ」
兄「だから、いつかは俺たち2人きりで、そしていつかは1人きりで旅立たないとダメなんだ」
兄「だからさ、それまで何が待ってるかわかんないけど、これからも苦しいことだらけだろうけど、一緒に頑張ろう?」
妹「・・・・・・うん」
兄「じゃ、じゃあな」スタスタ
妹「・・・・・・変な兄」ボソッ
89: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 23:11:18.841 ID:zSlQR3q80.net
>>87(禁句)
叔母「そんなことしなくてもいいのに」
兄「いえ、叔父さんにも挨拶しないといけません」
叔母「いつ帰ってくるかわからないのよ?」
兄「それもそうですが、叔父さんとお話だけでもしたいんです」
叔母「・・・そっか」
ガチャ
タダイマ
叔母「あら、帰ってきたようね」スタスタ
ガチャ
オカエリ!アナタ!
叔母「そんなことしなくてもいいのに」
兄「いえ、叔父さんにも挨拶しないといけません」
叔母「いつ帰ってくるかわからないのよ?」
兄「それもそうですが、叔父さんとお話だけでもしたいんです」
叔母「・・・そっか」
ガチャ
タダイマ
叔母「あら、帰ってきたようね」スタスタ
ガチャ
オカエリ!アナタ!
90: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 23:14:02.238 ID:zSlQR3q80.net
叔母「あなた、兄君よ」
兄「久しぶりです」
叔父「おお!おおお!兄君か!!」
兄「はい、兄です」
兄「この度はありがとうございます!」
叔父「いいんだよそんなこと!それよりもこんなに若いのに苦労して・・・」ジワッ
叔父「今日は飲もう!そして語ろう!兄君よ!」
叔母「ちょっとあなた!」
兄「あはは」
兄「(よかった、叔父さんも変わってないな)」
兄「久しぶりです」
叔父「おお!おおお!兄君か!!」
兄「はい、兄です」
兄「この度はありがとうございます!」
叔父「いいんだよそんなこと!それよりもこんなに若いのに苦労して・・・」ジワッ
叔父「今日は飲もう!そして語ろう!兄君よ!」
叔母「ちょっとあなた!」
兄「あはは」
兄「(よかった、叔父さんも変わってないな)」
92: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 23:16:43.149 ID:zSlQR3q80.net
叔父「あれ、愛しの妹ちゃんは?」
兄「妹ですか?疲れて寝てしまったと思います」
兄「ほんとはここに連れてくるべきなのに、すいません」
叔父「いいのいいの!それよりあの可愛い可愛い妹ちゃんのことだからなぁ!絶対美人さんになってるに違いないね!」
叔母「あなたロリコンの気があるの?」
叔父「!!」ゴホン
兄「それで、いきなりなんですが、これからのことでお話が」
兄「妹ですか?疲れて寝てしまったと思います」
兄「ほんとはここに連れてくるべきなのに、すいません」
叔父「いいのいいの!それよりあの可愛い可愛い妹ちゃんのことだからなぁ!絶対美人さんになってるに違いないね!」
叔母「あなたロリコンの気があるの?」
叔父「!!」ゴホン
兄「それで、いきなりなんですが、これからのことでお話が」
93: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 23:21:18.055 ID:zSlQR3q80.net
叔父「これから?」
兄「はい、僕が、妹が卒業してからの話です」
叔父「そんな先の話を?」
兄「はい、僕ももう決めていたことなんで」
兄「ほんとに叔母さん、叔父さんには感謝しています。」
兄「でもいつまでも厄介になるわけには行きません。僕たちもいつかは自立しなければなりません」
叔父「え?そんな遠慮しなくていいんだぞ?いつまでもここにいなさい」
叔母「そうよ」
兄「いえ、そういうわけにもいきません」
兄「それで、僕は高校を出たら就職しようと思います」
叔父「・・・・・・」
叔母「・・・・・・」
兄「はい、僕が、妹が卒業してからの話です」
叔父「そんな先の話を?」
兄「はい、僕ももう決めていたことなんで」
兄「ほんとに叔母さん、叔父さんには感謝しています。」
兄「でもいつまでも厄介になるわけには行きません。僕たちもいつかは自立しなければなりません」
叔父「え?そんな遠慮しなくていいんだぞ?いつまでもここにいなさい」
叔母「そうよ」
兄「いえ、そういうわけにもいきません」
兄「それで、僕は高校を出たら就職しようと思います」
叔父「・・・・・・」
叔母「・・・・・・」
94: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 23:26:42.795 ID:zSlQR3q80.net
叔父「大学は行かないのか?」
兄「はい、1人で働けるようになって、それで妹を少しでも楽にさせたいです」
叔父「まさか、高校を出たらこの家も出ていくのかい!?」
兄「はい、そのつもりです」
叔父「君たち2人にはまだ早すぎる!ここにいなさい!」
叔母「・・・・・・」
兄「・・・・・・いえ、これはもう決めたことなんで」
兄「どうにか妹だけは自分の力で苦労させずに1人立ちさせてあけだいんです」
叔父「妹ちゃんのためなのか?」
兄「まあ、これも理由のひとつです。お母さんから妹を守れと言われてるので。」
兄「母の口癖であって、遺言なんです。妹を守れと言うのは。僕に対して冷たいし、あまり可愛いやつではないですが、死んだ母さんとの約束なんで、僕が妹を支えてやりたいです」
叔父「兄君・・・」ジワッ
兄「はい、1人で働けるようになって、それで妹を少しでも楽にさせたいです」
叔父「まさか、高校を出たらこの家も出ていくのかい!?」
兄「はい、そのつもりです」
叔父「君たち2人にはまだ早すぎる!ここにいなさい!」
叔母「・・・・・・」
兄「・・・・・・いえ、これはもう決めたことなんで」
兄「どうにか妹だけは自分の力で苦労させずに1人立ちさせてあけだいんです」
叔父「妹ちゃんのためなのか?」
兄「まあ、これも理由のひとつです。お母さんから妹を守れと言われてるので。」
兄「母の口癖であって、遺言なんです。妹を守れと言うのは。僕に対して冷たいし、あまり可愛いやつではないですが、死んだ母さんとの約束なんで、僕が妹を支えてやりたいです」
叔父「兄君・・・」ジワッ
95: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 23:29:36.513 ID:zSlQR3q80.net
叔父「どうにかできないのか?」
兄「はい、強がりですが、僕が途中までは妹を守りたいと思ってます」
叔父「なんて出来た人間なんだ・・・」ジワッ
叔母「あの、1ついいかな兄君」
兄「はい、どうぞ」
叔母「これは提案なんだけど」
叔母「うちの娘とどう?」
兄「」
叔父「お前は何をいってるんだ!」
兄「はい、強がりですが、僕が途中までは妹を守りたいと思ってます」
叔父「なんて出来た人間なんだ・・・」ジワッ
叔母「あの、1ついいかな兄君」
兄「はい、どうぞ」
叔母「これは提案なんだけど」
叔母「うちの娘とどう?」
兄「」
叔父「お前は何をいってるんだ!」
97: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 23:33:47.487 ID:zSlQR3q80.net
兄「そ、そうですよ叔母さん」
叔父「どういうことだ?」
叔母「兄君の強い意思はわかった」
叔母「でもね、どうしても不安なの」
叔母「そこで私考えたの」
叔母「うちの娘と付き合って・・・結婚したら、私たちも兄君を陰ながら支えれるんじゃないかって」
叔父「な、なるほど!それは名案だ!」
兄「い、従妹同士ですよ!?」
叔母「ちょっと危ないけれど結婚できないわけじゃないわ」
兄「で、でも悪いですって!」
叔母「そうでもしないとあなた本当に妹ちゃんと一緒に消えてしまいそうですもの」
叔父「その通り」
叔父「どういうことだ?」
叔母「兄君の強い意思はわかった」
叔母「でもね、どうしても不安なの」
叔母「そこで私考えたの」
叔母「うちの娘と付き合って・・・結婚したら、私たちも兄君を陰ながら支えれるんじゃないかって」
叔父「な、なるほど!それは名案だ!」
兄「い、従妹同士ですよ!?」
叔母「ちょっと危ないけれど結婚できないわけじゃないわ」
兄「で、でも悪いですって!」
叔母「そうでもしないとあなた本当に妹ちゃんと一緒に消えてしまいそうですもの」
叔父「その通り」
98: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 23:38:06.406 ID:zSlQR3q80.net
兄「でも、従妹ちゃんの意思は」
叔母「あら、悪い男ね、兄君も。」
叔母「あのこ、兄君のことがとっても大好きなのよ」
叔父「うむ」
兄「本当かな・・・」
叔母「覚えているでしょう?昔のこと。兄君にベッタリだったこと」
兄「で、でも」
叔母「それとも何かしら?私の娘に不満あるのかしら?」
兄「い、いや・・・可愛くて素敵な女の子ですが」
叔母「ならいいじゃん!強制とはいかないけれど、これが最善だと思うわ」
叔父「俺も兄君だったら信頼できるよ!頼むよ、兄君!」
兄「えぇ・・・(しまった、地雷を踏んでしまった)」
叔母「あら、悪い男ね、兄君も。」
叔母「あのこ、兄君のことがとっても大好きなのよ」
叔父「うむ」
兄「本当かな・・・」
叔母「覚えているでしょう?昔のこと。兄君にベッタリだったこと」
兄「で、でも」
叔母「それとも何かしら?私の娘に不満あるのかしら?」
兄「い、いや・・・可愛くて素敵な女の子ですが」
叔母「ならいいじゃん!強制とはいかないけれど、これが最善だと思うわ」
叔父「俺も兄君だったら信頼できるよ!頼むよ、兄君!」
兄「えぇ・・・(しまった、地雷を踏んでしまった)」
100: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 23:43:01.260 ID:zSlQR3q80.net
兄「それでは、おやすみなさい」
叔父「おやすみ、兄君」
叔母「考えといてね、あの話」
兄「はい、考えさせていただきます」
兄「おやすみなさい、叔母さん」ガチャ
叔母「おやすみなさい、兄君」
兄「従妹ちゃんか・・・」スタスタ
兄「悪くないな・・・」スタスタ
妹「・・・・・・兄」
兄「へへ・・・・・」スタスタ
妹「兄!」
兄「うひゃあ!?何でもないよ!?」ビクッ
妹「何が何でもないのよ」
兄「なんだ、妹か・・・」
妹「私で悪かったわね」
叔父「おやすみ、兄君」
叔母「考えといてね、あの話」
兄「はい、考えさせていただきます」
兄「おやすみなさい、叔母さん」ガチャ
叔母「おやすみなさい、兄君」
兄「従妹ちゃんか・・・」スタスタ
兄「悪くないな・・・」スタスタ
妹「・・・・・・兄」
兄「へへ・・・・・」スタスタ
妹「兄!」
兄「うひゃあ!?何でもないよ!?」ビクッ
妹「何が何でもないのよ」
兄「なんだ、妹か・・・」
妹「私で悪かったわね」
101: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 23:45:54.347 ID:zSlQR3q80.net
兄「んで、廊下でなにしてんだお前」
妹「・・・・・・兄」
兄「ん?なんだ?」
妹「従妹ちゃんとつき合うってほんとなの?」
兄「え」
妹「ねぇ」
兄「・・・・・・お前聞いてたのか?」
妹「悪い?」
兄「いや、悪くはないが」
兄「最初から聞いてたのか?」
妹「そうよ」
妹「・・・で、どうなの?」
妹「・・・・・・兄」
兄「ん?なんだ?」
妹「従妹ちゃんとつき合うってほんとなの?」
兄「え」
妹「ねぇ」
兄「・・・・・・お前聞いてたのか?」
妹「悪い?」
兄「いや、悪くはないが」
兄「最初から聞いてたのか?」
妹「そうよ」
妹「・・・で、どうなの?」
102: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 23:48:53.547 ID:zSlQR3q80.net
兄「いや、まぁ・・・・・・どうだろうなぁ」
妹「答えてよ!」グイッ
兄「!?」
兄「悪い悪い(何怒ってんだこいつ)」
兄「まだ確定してないけど、叔父さんや叔母さんにはそう勧められたよ」
兄「理由は聞いてただろ?」
妹「・・・・・・・私は反対だから」
兄「は?反対?なんでお前にされなきゃダメなんだよ」
妹「私だって妹だから、反対する権利はある」
兄「こんなときに妹面か、おい」
妹「答えてよ!」グイッ
兄「!?」
兄「悪い悪い(何怒ってんだこいつ)」
兄「まだ確定してないけど、叔父さんや叔母さんにはそう勧められたよ」
兄「理由は聞いてただろ?」
妹「・・・・・・・私は反対だから」
兄「は?反対?なんでお前にされなきゃダメなんだよ」
妹「私だって妹だから、反対する権利はある」
兄「こんなときに妹面か、おい」
103: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/09(木) 23:54:09.626 ID:zSlQR3q80.net
兄「なんで反対なんだよ」
妹「それじゃ結局叔父さんたちに甘えたきりじゃない」
兄「それもそうだけど、お前のためだよ」
兄「理由聞いてただろ?妹に聞かれちゃ恥ずかしいけど、俺だってあまり叔父さんたちに迷惑かけたくないんだ。ないけれど、きっと限界があるから。」
兄「叔父さんたちなりの優しさだよ。無理になって俺たちが本当に二人きりで消えてしまいそうだから監視の意味もあるだろうな」
妹「・・・・・・兄はさ、私のために働いてくれるの?」
兄「いや、そういうわけでもないけど」
妹「・・・・・・嘘つき」
兄「え?・・・でも、お前のために働くっていうのは理由の1つだよ。言っとくけど母さんの遺言だからな?」
妹「じゃあさ、兄のちからで私を守ってよ」
兄「は?」
妹「それじゃ結局叔父さんたちに甘えたきりじゃない」
兄「それもそうだけど、お前のためだよ」
兄「理由聞いてただろ?妹に聞かれちゃ恥ずかしいけど、俺だってあまり叔父さんたちに迷惑かけたくないんだ。ないけれど、きっと限界があるから。」
兄「叔父さんたちなりの優しさだよ。無理になって俺たちが本当に二人きりで消えてしまいそうだから監視の意味もあるだろうな」
妹「・・・・・・兄はさ、私のために働いてくれるの?」
兄「いや、そういうわけでもないけど」
妹「・・・・・・嘘つき」
兄「え?・・・でも、お前のために働くっていうのは理由の1つだよ。言っとくけど母さんの遺言だからな?」
妹「じゃあさ、兄のちからで私を守ってよ」
兄「は?」
105: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 00:00:11.571 ID:+9kkduQR0.net
兄「俺もそうしたいけれど、善意であそこまで言ってくれてるんだからさ」
妹「・・・じゃあ兄は嘘つきだね」
兄「はぁ?」
妹「私を守ってくれるって言ったじゃん!」
兄「でも、限界があるだろ!俺1人でお前を支えるなんてさ!」
妹「でもそんな理由で従妹ちゃんと付き合ってほしくない!」
兄「・・・っ!」
妹「それに・・・・・・兄はさ、私が1人立ちするまでって言ったよね?」
兄「・・・・・・あぁ」
妹「・・・・・・ずっと守ってくれるんじゃなかったの?」
兄「はぁ?」
兄「あ・・・・・・」
『母さん!俺妹のこと一生守るから!』
兄「確かにそういったけど・・・・・・」
妹「・・・とにかく反対だから」スタスタ
妹「・・・じゃあ兄は嘘つきだね」
兄「はぁ?」
妹「私を守ってくれるって言ったじゃん!」
兄「でも、限界があるだろ!俺1人でお前を支えるなんてさ!」
妹「でもそんな理由で従妹ちゃんと付き合ってほしくない!」
兄「・・・っ!」
妹「それに・・・・・・兄はさ、私が1人立ちするまでって言ったよね?」
兄「・・・・・・あぁ」
妹「・・・・・・ずっと守ってくれるんじゃなかったの?」
兄「はぁ?」
兄「あ・・・・・・」
『母さん!俺妹のこと一生守るから!』
兄「確かにそういったけど・・・・・・」
妹「・・・とにかく反対だから」スタスタ
106: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 00:02:22.741 ID:+9kkduQR0.net
兄「どうしたんだ、アイツ?」
兄「でも確かに言ったは言ったな」
兄「まあ、いいや」
兄「今日は寝よう」
兄「おやすみ!妹!」
兄「・・・・・・」
兄「はぁ」ガチャ
兄「(明日は荷物が来るし、案内もしてもらわなければ)」
兄「でも確かに言ったは言ったな」
兄「まあ、いいや」
兄「今日は寝よう」
兄「おやすみ!妹!」
兄「・・・・・・」
兄「はぁ」ガチャ
兄「(明日は荷物が来るし、案内もしてもらわなければ)」
107: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 00:04:15.663 ID:+9kkduQR0.net
叔母「あら、兄君早いわね」
兄「おはようございます・・・」
叔母「もう少しで出来るから待っててね」
兄「わかりました・・・」
兄「(眠い)」
兄「おはようございます・・・」
叔母「もう少しで出来るから待っててね」
兄「わかりました・・・」
兄「(眠い)」
110: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 00:07:03.581 ID:+9kkduQR0.net
兄「叔父さんは仕事ですか?」
叔母「そうよ」
兄「休日出勤大変そうですな」
叔母「ホントそうよ」
従妹「おはようございます」ガチャ
叔母「おはよう!」
兄「おはよう」
従妹「お兄さん、隣いいですか?」
兄「ん、いいけど」
従妹「えへへ、ありがとうございます」
叔母「うふふ」
叔母「そうよ」
兄「休日出勤大変そうですな」
叔母「ホントそうよ」
従妹「おはようございます」ガチャ
叔母「おはよう!」
兄「おはよう」
従妹「お兄さん、隣いいですか?」
兄「ん、いいけど」
従妹「えへへ、ありがとうございます」
叔母「うふふ」
112: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 00:10:56.952 ID:+9kkduQR0.net
妹「・・・・・・」ガチャ
叔母「あら、おはよう妹ちゃん」
妹「・・・・・・おはようございます」ボソッ
妹「・・・・・・・・・」
兄「それでさー」
従妹「えへへ、そうなんですか?」
妹「・・・・・・」ドンッ
兄「あ、妹おはよう」
従妹「妹さん、おはようございます!」
妹「従妹ちゃんおはよう」
兄「・・・・・・俺は?」
妹「知らない」
叔母「あら、おはよう妹ちゃん」
妹「・・・・・・おはようございます」ボソッ
妹「・・・・・・・・・」
兄「それでさー」
従妹「えへへ、そうなんですか?」
妹「・・・・・・」ドンッ
兄「あ、妹おはよう」
従妹「妹さん、おはようございます!」
妹「従妹ちゃんおはよう」
兄「・・・・・・俺は?」
妹「知らない」
114: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 00:15:45.559 ID:+9kkduQR0.net
兄「ご馳走さまでした!」
従妹「ご馳走さまでした!」
妹「・・・ごちそうさまでした」
叔母「はい、お粗末様でした!」
叔母「兄君、今日の料理どうだった?」
兄「とても美味しかったです」
叔母「ふふ、ありがとう」
叔母「兄君は料理できる子の方が好きなの?」
兄「え、まあ、はい」
叔母「(ということだそうだ我が娘よ)」
従妹「(そっか・・・私も頑張ろう)」
従妹「ご馳走さまでした!」
妹「・・・ごちそうさまでした」
叔母「はい、お粗末様でした!」
叔母「兄君、今日の料理どうだった?」
兄「とても美味しかったです」
叔母「ふふ、ありがとう」
叔母「兄君は料理できる子の方が好きなの?」
兄「え、まあ、はい」
叔母「(ということだそうだ我が娘よ)」
従妹「(そっか・・・私も頑張ろう)」
115: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 00:20:46.728 ID:+9kkduQR0.net
ピンポーン ピンポーン
兄「あ、来たか」
叔母「はーい、今行きまーす」
従妹「荷物ですか?」
兄「そうだと思うよ」
叔母「案外少ないわね」
兄「そうですかね?」
従妹「これはすぐ終わりそうですね」
兄「あ、妹の荷物届けてきます」
叔母「いいよ、渡が行くわ」スタスタ
兄「ありがとうございます」
従妹「じゃあ早速荷物整理しましょう!」
兄「おう!」
兄「あ、来たか」
叔母「はーい、今行きまーす」
従妹「荷物ですか?」
兄「そうだと思うよ」
叔母「案外少ないわね」
兄「そうですかね?」
従妹「これはすぐ終わりそうですね」
兄「あ、妹の荷物届けてきます」
叔母「いいよ、渡が行くわ」スタスタ
兄「ありがとうございます」
従妹「じゃあ早速荷物整理しましょう!」
兄「おう!」
118: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 00:24:14.638 ID:+9kkduQR0.net
兄「ありがとう、従妹ちゃん!すぐ終ったよ!」
従妹「いえいえ!」
従妹「お兄さん、それにしても気になることがあります」
兄「ん?」
従妹「こ、こ、こ、これなんですか?///」モジモジ
つ『貧乳パラダイス』
兄「(^-^)」
兄「(完全に忘れてた)」ブルブル
兄「(どうしよう、どうごまかそう)」ブルブル
従妹「いえいえ!」
従妹「お兄さん、それにしても気になることがあります」
兄「ん?」
従妹「こ、こ、こ、これなんですか?///」モジモジ
つ『貧乳パラダイス』
兄「(^-^)」
兄「(完全に忘れてた)」ブルブル
兄「(どうしよう、どうごまかそう)」ブルブル
120: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 00:27:19.990 ID:+9kkduQR0.net
従妹「男の人なんでエ、エッチな本があることは理解できます///」
兄「はい・・・」
兄「(限りなく恥ずかしい)」
従妹「でもよりによって」
従妹「なんでひ、貧乳なんですか!?!?///」
兄「は!?」
従妹「はい!?言い訳あるならどうぞ!!」
兄「え!?」
兄「はい・・・」
兄「(限りなく恥ずかしい)」
従妹「でもよりによって」
従妹「なんでひ、貧乳なんですか!?!?///」
兄「は!?」
従妹「はい!?言い訳あるならどうぞ!!」
兄「え!?」
124: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 00:31:26.701 ID:+9kkduQR0.net
渡て誰
私に変更
兄「その後延々と説教されたが」
兄「恥ずかしすぎて覚えているはずもない」
従妹「お兄さん、今日はお出かけですよ!」
兄「・・・・・・そうだな」
兄「あ、妹も連れてこないと」
従妹「そうですね」
兄「あいつ終わったのかな?」
妹「私が何?」
兄「うわっ!?」
私に変更
兄「その後延々と説教されたが」
兄「恥ずかしすぎて覚えているはずもない」
従妹「お兄さん、今日はお出かけですよ!」
兄「・・・・・・そうだな」
兄「あ、妹も連れてこないと」
従妹「そうですね」
兄「あいつ終わったのかな?」
妹「私が何?」
兄「うわっ!?」
126: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 00:34:22.920 ID:+9kkduQR0.net
巨乳と自覚あるから怒ったそうです
妹「なによその反応」
兄「なんでもないけど」
従妹「妹さん!今日は町を案内しますよ」
兄「行こうよ」
妹「・・・パス」
兄「はぁ?」
妹「疲れるから」
兄「なんじゃそりゃ」
従妹「・・・じゃ、行きますか?」
兄「そうだな、二人きりだけどいいか?」
従妹「ふ、二人きり!?///」
妹「・・・・・・」ピクッ
妹「なによその反応」
兄「なんでもないけど」
従妹「妹さん!今日は町を案内しますよ」
兄「行こうよ」
妹「・・・パス」
兄「はぁ?」
妹「疲れるから」
兄「なんじゃそりゃ」
従妹「・・・じゃ、行きますか?」
兄「そうだな、二人きりだけどいいか?」
従妹「ふ、二人きり!?///」
妹「・・・・・・」ピクッ
127: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 00:38:07.011 ID:+9kkduQR0.net
兄「で、お前も来たのな?」
妹「・・・・・・悪い?」
兄「悪くはないけどさ」
妹「ふんっ」
従妹「ほら、見てください!ここが地元の味方!ショッピングセンターです!」
兄「大きいし、徒歩10分ってのがいいね」
従妹「でしょ?じゃ、次行きましょう」
妹「・・・・・・悪い?」
兄「悪くはないけどさ」
妹「ふんっ」
従妹「ほら、見てください!ここが地元の味方!ショッピングセンターです!」
兄「大きいし、徒歩10分ってのがいいね」
従妹「でしょ?じゃ、次行きましょう」
128: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 00:40:59.755 ID:+9kkduQR0.net
従妹「ここは街でも大きい方の公園です」
兄「なに、黄泉公園?」
従妹「はい!通学路の途中なんですよ」
兄「不気味な名前だな」
従妹「じゃ、このまま高校行きましょう」
妹「・・・・・・・・」グイッ
兄「ん?なんだお前」
妹「・・・・・・疲れた」
兄「はぁ」
従妹「いいですよ、休憩しましょう」
兄「ごめんな」
兄「なに、黄泉公園?」
従妹「はい!通学路の途中なんですよ」
兄「不気味な名前だな」
従妹「じゃ、このまま高校行きましょう」
妹「・・・・・・・・」グイッ
兄「ん?なんだお前」
妹「・・・・・・疲れた」
兄「はぁ」
従妹「いいですよ、休憩しましょう」
兄「ごめんな」
129: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 00:44:16.806 ID:+9kkduQR0.net
兄「しかしこの公園大きいな」
兄「前の街にもこんな大きいのなかったよ」
従妹「都会に住んでたんですよね?」
兄「そうだよ」
従妹「都会に憧れます!」
兄「何もないよ、都会なんて」
従妹「ありすぎるじゃないですか!」
兄「俺は都会よりもこっちの街のが好きだな」
従妹「お兄さんの街もいい街でしたよ」
兄「・・・俺の街か・・・」
兄「(特に思い出ないよな)」
兄「前の街にもこんな大きいのなかったよ」
従妹「都会に住んでたんですよね?」
兄「そうだよ」
従妹「都会に憧れます!」
兄「何もないよ、都会なんて」
従妹「ありすぎるじゃないですか!」
兄「俺は都会よりもこっちの街のが好きだな」
従妹「お兄さんの街もいい街でしたよ」
兄「・・・俺の街か・・・」
兄「(特に思い出ないよな)」
130: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 00:46:27.457 ID:+9kkduQR0.net
妹「ねぇ、行こ」
兄「わかった」
従妹「じゃあ行きましょう!」
兄「おう」
兄「学校の帰りはここよろっかな」
従妹「いいですね、それ」
兄「わかった」
従妹「じゃあ行きましょう!」
兄「おう」
兄「学校の帰りはここよろっかな」
従妹「いいですね、それ」
132: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 00:50:37.902 ID:+9kkduQR0.net
従妹「ここが私たちの通う高校です!」
兄「なるほど」
兄「なかなか大きいんだな」
従妹「でしょ?」
兄「・・・・・・」
兄「俺うまくやってけるかな」
従妹「お兄さんなら大丈夫ですよ」
兄「友達はいらんが、せめていじめられたくないな」
従妹「何いってるんですか!」
兄「なるほど」
兄「なかなか大きいんだな」
従妹「でしょ?」
兄「・・・・・・」
兄「俺うまくやってけるかな」
従妹「お兄さんなら大丈夫ですよ」
兄「友達はいらんが、せめていじめられたくないな」
従妹「何いってるんですか!」
133: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 00:53:06.340 ID:+9kkduQR0.net
兄「しかし徒歩30分か」
従妹「自転車だと10分ですよ!」
兄「そりゃいいね、近い」
従妹「3人で通学しましょうね!」
兄「ああ」
妹「・・・・・・兄」
兄「ん?」
妹「私自転車乗れない」
兄「あ、そうだったな」
従妹「自転車だと10分ですよ!」
兄「そりゃいいね、近い」
従妹「3人で通学しましょうね!」
兄「ああ」
妹「・・・・・・兄」
兄「ん?」
妹「私自転車乗れない」
兄「あ、そうだったな」
134: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 00:55:36.792 ID:+9kkduQR0.net
兄「じゃあ歩けばいいじゃないか?」
妹「・・・・・・」ムスッ
従妹「何いってるんですか!私たちも歩きますよ!」
兄「え」
妹「・・・・・・・」
兄「あー、わかったよ、歩いてやるよ」
妹「・・・・・・・」
兄「なんだよ、なんか言えよ」
妹「・・・後ろ乗せてよ」
兄「は?」
従妹「え?」
妹「・・・・・・」ムスッ
従妹「何いってるんですか!私たちも歩きますよ!」
兄「え」
妹「・・・・・・・」
兄「あー、わかったよ、歩いてやるよ」
妹「・・・・・・・」
兄「なんだよ、なんか言えよ」
妹「・・・後ろ乗せてよ」
兄「は?」
従妹「え?」
135: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 00:58:51.518 ID:+9kkduQR0.net
妹「そのためにあんたは自転車買ったんでしょ」
兄「買わされた、な!」
兄「2人のりは犯罪だ、いいか?」
兄「それに危ない」
妹「そんなの知らない」
兄「知らない??」
従妹「(お兄さんと2人のりって羨ましい///)」
兄「とにかく、無理」
妹「いや、歩きたくない」
兄「無理だって」
妹「乗せて」
兄「無理!」
妹「・・・・・・」
兄「・・・・・・わかったよ。行きだけな」
兄「買わされた、な!」
兄「2人のりは犯罪だ、いいか?」
兄「それに危ない」
妹「そんなの知らない」
兄「知らない??」
従妹「(お兄さんと2人のりって羨ましい///)」
兄「とにかく、無理」
妹「いや、歩きたくない」
兄「無理だって」
妹「乗せて」
兄「無理!」
妹「・・・・・・」
兄「・・・・・・わかったよ。行きだけな」
136: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:02:50.632 ID:+9kkduQR0.net
妹「・・・帰りは?」
兄「は、帰り?」
妹「帰りはどうすんの?」
兄「歩いて帰れ」
妹「・・・」イラッ
妹「帰りもね」
兄「はぁ?お前なぁ、行きでも恥ずかしいのに帰り待ち合わせて一緒に帰る兄妹なんて怖いぞ」
妹「そんなの知らない」
兄「だからさ、お前か俺かが友達できるかも知れないだろ。んで一緒に帰るかもしれないだろ!」
妹「・・・」
兄「は、帰り?」
妹「帰りはどうすんの?」
兄「歩いて帰れ」
妹「・・・」イラッ
妹「帰りもね」
兄「はぁ?お前なぁ、行きでも恥ずかしいのに帰り待ち合わせて一緒に帰る兄妹なんて怖いぞ」
妹「そんなの知らない」
兄「だからさ、お前か俺かが友達できるかも知れないだろ。んで一緒に帰るかもしれないだろ!」
妹「・・・」
137: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:06:01.855 ID:+9kkduQR0.net
妹「でも従妹ちゃんはこっち方面の人は少ないって言った」
兄「いるかもしれないだろ」
妹「うるさい!乗せろ!」
兄「マジで恥ずかしいだろ!兄妹で一緒に帰るとか」
妹「私はあんたを兄妹として見てない」
兄「それヒドクネ!?」
従妹「わ、私が乗せますよ!」
兄「いやいや、危ないよ」
兄「それに部活あるでしょ、従妹ちゃん」
妹「だから兄しかいないの」
兄「黙れ」
兄「いるかもしれないだろ」
妹「うるさい!乗せろ!」
兄「マジで恥ずかしいだろ!兄妹で一緒に帰るとか」
妹「私はあんたを兄妹として見てない」
兄「それヒドクネ!?」
従妹「わ、私が乗せますよ!」
兄「いやいや、危ないよ」
兄「それに部活あるでしょ、従妹ちゃん」
妹「だから兄しかいないの」
兄「黙れ」
138: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:09:47.921 ID:+9kkduQR0.net
従妹「これも通学路ですが」
従妹「ここが、鏡川です」
兄「綺麗な川だな」
従妹「そして大きいでしょ?」
兄「そうかな?」
従妹「大きいのです!」
兄「そうだな」
従妹「ここは幻想的な川なんです」
兄「え?」
従妹「とにかく、色んな伝説があるんですよ!」
兄「へえ」
妹「・・・・・・」
従妹「ここが、鏡川です」
兄「綺麗な川だな」
従妹「そして大きいでしょ?」
兄「そうかな?」
従妹「大きいのです!」
兄「そうだな」
従妹「ここは幻想的な川なんです」
兄「え?」
従妹「とにかく、色んな伝説があるんですよ!」
兄「へえ」
妹「・・・・・・」
139: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:13:11.482 ID:+9kkduQR0.net
従妹「水面を覗いて下さい」
兄「うん」ヒョコ
兄「俺やで」
兄「ん?川のなかに俺がいる」
従妹「どうみても反射してるだけですが」
従妹「ここは自分の顔が水面にきれいに反射するんです」
兄「へえ」ヒョコ
兄「俺やで」
従妹「あまり深く除かないで下さいよ!」
従妹「ここの川は流れが強くて、とても深いんです!」
兄「そりゃ怖い」
従妹「ただ、夜はロマンチックですよ」
兄「そうなんだ」
兄「うん」ヒョコ
兄「俺やで」
兄「ん?川のなかに俺がいる」
従妹「どうみても反射してるだけですが」
従妹「ここは自分の顔が水面にきれいに反射するんです」
兄「へえ」ヒョコ
兄「俺やで」
従妹「あまり深く除かないで下さいよ!」
従妹「ここの川は流れが強くて、とても深いんです!」
兄「そりゃ怖い」
従妹「ただ、夜はロマンチックですよ」
兄「そうなんだ」
140: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:16:12.606 ID:+9kkduQR0.net
従妹「お昼はどこで食べますか?」
兄「どこでもいいよ」
兄「あ」
兄「イタリア料理がいいね」
従妹「・・・妹さんの好みですか?」
兄「」ギクッ
従妹「わかりますよ、妹さんほんとイタリア料理好きでしたから」
妹「ねえ、さっきから何話してるの?」
兄「どこでもいいよ」
兄「あ」
兄「イタリア料理がいいね」
従妹「・・・妹さんの好みですか?」
兄「」ギクッ
従妹「わかりますよ、妹さんほんとイタリア料理好きでしたから」
妹「ねえ、さっきから何話してるの?」
141: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:19:13.236 ID:+9kkduQR0.net
イラッシャイマセー
兄「イタリア料理か、あまり食べないな」
妹「兄が行きたいって言ったんでしょ」
兄「こ、こいつ」
従妹「私はスパゲッティで!」
兄「俺も」
妹「・・・・・・」グイッ
兄「あ、あと1つスパゲッティ」
従妹「合計3つお願いします!」
カシコマリマシター
兄「イタリア料理か、あまり食べないな」
妹「兄が行きたいって言ったんでしょ」
兄「こ、こいつ」
従妹「私はスパゲッティで!」
兄「俺も」
妹「・・・・・・」グイッ
兄「あ、あと1つスパゲッティ」
従妹「合計3つお願いします!」
カシコマリマシター
142: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:21:40.561 ID:+9kkduQR0.net
兄「美味しかったな」
従妹「お兄さんはスパゲッティ好きですか?」
兄「いや、嫌いじゃないけど」
従妹「何が好きなんですか?」
兄「んー、オムライスかな」
従妹「オムライス・・・ですか」
従妹「わかりました!オムライス、練習します!」
兄「マジ!?」
従妹「はい!だから期待して待っといて下さい!」
従妹「お兄さんはスパゲッティ好きですか?」
兄「いや、嫌いじゃないけど」
従妹「何が好きなんですか?」
兄「んー、オムライスかな」
従妹「オムライス・・・ですか」
従妹「わかりました!オムライス、練習します!」
兄「マジ!?」
従妹「はい!だから期待して待っといて下さい!」
143: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:25:46.026 ID:+9kkduQR0.net
兄「夕方まで案内してもらった」
従妹「ただいま!」
兄「ただいま!」
妹「・・・・・・」
叔母「あら、お帰り」
叔母「従妹、楽しかった?」
従妹「うん!」
叔母「兄君、妹ちゃん、街のことわかった?」
兄「はい」
妹「・・・・・・うん」
叔母「それはよかった!」
叔母「二人ともすぐにすきになるわよ、この街のこと」
兄「そうですかね?」
従妹「好きって言ったじゃないですか!」
兄「そうですかね?」
従妹「ただいま!」
兄「ただいま!」
妹「・・・・・・」
叔母「あら、お帰り」
叔母「従妹、楽しかった?」
従妹「うん!」
叔母「兄君、妹ちゃん、街のことわかった?」
兄「はい」
妹「・・・・・・うん」
叔母「それはよかった!」
叔母「二人ともすぐにすきになるわよ、この街のこと」
兄「そうですかね?」
従妹「好きって言ったじゃないですか!」
兄「そうですかね?」
144: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:27:27.618 ID:+9kkduQR0.net
兄「そして夜」
従妹「もう寝ますか?」
兄「眠いな」
従妹「お兄さん、今日は楽しかったですか?」
兄「楽しかったよ」
従妹「それはよかった」
従妹「それじゃあお休みなさい」
兄「お休みなさい」
従妹「もう寝ますか?」
兄「眠いな」
従妹「お兄さん、今日は楽しかったですか?」
兄「楽しかったよ」
従妹「それはよかった」
従妹「それじゃあお休みなさい」
兄「お休みなさい」
145: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:29:46.385 ID:+9kkduQR0.net
ガチャ
兄「ん?お前何してるんだ?」
妹「別に」
兄「エリカ様?じゃなくて」
兄「早く寝ろよ」ガチャ
妹「・・・・・・兄」
兄「ん?」
妹「・・・・・・おやすみなさい」
兄「!」
兄「おやすみ」バタンッ
兄「ん?お前何してるんだ?」
妹「別に」
兄「エリカ様?じゃなくて」
兄「早く寝ろよ」ガチャ
妹「・・・・・・兄」
兄「ん?」
妹「・・・・・・おやすみなさい」
兄「!」
兄「おやすみ」バタンッ
146: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:32:57.875 ID:+9kkduQR0.net
兄「おはようございます」
叔母「ご飯置いといたよ!」アタフタ
兄「なんかあるんですか?」
叔母「今日は町内会なの!」アタフタ
兄「日曜日なのに?」
叔母「ほんと忙しいわよ」アタフタ
兄「そうですか・・・」
叔母「それじゃあ行ってくるわ!」ガチャ
兄「行ってらっしゃい、叔母さん」
兄「じゃ、いただきます」
妹「兄」
兄「!?」
叔母「ご飯置いといたよ!」アタフタ
兄「なんかあるんですか?」
叔母「今日は町内会なの!」アタフタ
兄「日曜日なのに?」
叔母「ほんと忙しいわよ」アタフタ
兄「そうですか・・・」
叔母「それじゃあ行ってくるわ!」ガチャ
兄「行ってらっしゃい、叔母さん」
兄「じゃ、いただきます」
妹「兄」
兄「!?」
147: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:35:18.332 ID:+9kkduQR0.net
兄「お前起きてたのか」
妹「起きてちゃ悪いの?」
兄「悪くはないけどさ」
妹「それより、自分で言って忘れるの?」
兄「何を?」
妹「家族で飯は食べるんでしょ?」
兄「あ・・・」
妹「忘れてたんだ、最低」
兄「すまん」
妹「起きてちゃ悪いの?」
兄「悪くはないけどさ」
妹「それより、自分で言って忘れるの?」
兄「何を?」
妹「家族で飯は食べるんでしょ?」
兄「あ・・・」
妹「忘れてたんだ、最低」
兄「すまん」
148: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:37:36.257 ID:+9kkduQR0.net
兄「今日は従妹ちゃんも叔父さんも叔母さんもいない」
妹「そう」
兄「二人で留守番だよ」
妹「・・・そう」
兄「なぁ、今日自転車の練習しないか?」
妹「・・・・・・いや」
兄「いいだろ、乗れたら」
妹「いやなの」
妹「そう」
兄「二人で留守番だよ」
妹「・・・そう」
兄「なぁ、今日自転車の練習しないか?」
妹「・・・・・・いや」
兄「いいだろ、乗れたら」
妹「いやなの」
149: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:40:53.884 ID:+9kkduQR0.net
兄「はぁ、ワガママな野郎だ」
妹「・・・・・・」
兄「なんか言えよ」
妹「あんたにしかワガママ言わないからいいの」
兄「それもそれでやだな」
兄「ていうかさ、お前明日から学校だぞ」
妹「・・・・・・」
兄「準備できてるの?」
妹「・・・・・・別に」
兄「じゃあ今日はショッピングセンター行こう」
兄「わかった?」
妹「・・・・・・」
兄「無視ですか?」
妹「・・・・・・」
兄「なんか言えよ」
妹「あんたにしかワガママ言わないからいいの」
兄「それもそれでやだな」
兄「ていうかさ、お前明日から学校だぞ」
妹「・・・・・・」
兄「準備できてるの?」
妹「・・・・・・別に」
兄「じゃあ今日はショッピングセンター行こう」
兄「わかった?」
妹「・・・・・・」
兄「無視ですか?」
151: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:42:51.248 ID:+9kkduQR0.net
ショッピングセンター
兄「文房具買ってくる」
兄「お前どうすんの?」
妹「ここにいる」
兄「わかった」
兄「お前の分も買ってこようか?」
妹「・・・消しゴム」
兄「はいはい」スタスタ
兄「文房具買ってくる」
兄「お前どうすんの?」
妹「ここにいる」
兄「わかった」
兄「お前の分も買ってこようか?」
妹「・・・消しゴム」
兄「はいはい」スタスタ
153: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:46:52.582 ID:+9kkduQR0.net
兄「買ってきたぞー」
兄「あれ、妹は?」
DQN「ほら、早くこっち来てよ」グイッ
妹「やだ、ヤメテ!」ブルブル
DQN「聞き分けの悪い女だな!」グイッ
妹「いや!兄!兄!」ブルブル
兄「やめろ」
DQN「あ?」
兄「手を出すな」
DQN「ああ?お前はこの女のなんだよ?」
兄「・・・あn「彼氏」」
兄「あれ、妹は?」
DQN「ほら、早くこっち来てよ」グイッ
妹「やだ、ヤメテ!」ブルブル
DQN「聞き分けの悪い女だな!」グイッ
妹「いや!兄!兄!」ブルブル
兄「やめろ」
DQN「あ?」
兄「手を出すな」
DQN「ああ?お前はこの女のなんだよ?」
兄「・・・あn「彼氏」」
154: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:49:43.304 ID:+9kkduQR0.net
兄「は?」
DQN「は?」
妹「私の彼氏なの!」グイッ
兄「(う、腕組むなよ!)」
妹「早く、どっか、行きなさいよ」ブルブル
DQN「・・・・・・」スタスタ
兄「・・・だいじょ」
妹「どこ行ってたのよ!」ウルウル
兄「ちょ、おい」
妹「どこに行ってたのよ!」ウルウル
DQN「は?」
妹「私の彼氏なの!」グイッ
兄「(う、腕組むなよ!)」
妹「早く、どっか、行きなさいよ」ブルブル
DQN「・・・・・・」スタスタ
兄「・・・だいじょ」
妹「どこ行ってたのよ!」ウルウル
兄「ちょ、おい」
妹「どこに行ってたのよ!」ウルウル
156: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:52:51.628 ID:+9kkduQR0.net
兄「落ちつけって!」
妹「落ち着けですって!?妹がナンパされてたのよ!」ウルウル
兄「だから!俺は文房具買いにいってただろ!」
妹「そんなの知らない!私怖い思いしたんだから!」
兄「なんなんだよ!」
妹「私を一人にしないでよ!」
兄「ついてこればよかっただろ!」
妹「そんなの知らない!」
妹「落ち着けですって!?妹がナンパされてたのよ!」ウルウル
兄「だから!俺は文房具買いにいってただろ!」
妹「そんなの知らない!私怖い思いしたんだから!」
兄「なんなんだよ!」
妹「私を一人にしないでよ!」
兄「ついてこればよかっただろ!」
妹「そんなの知らない!」
158: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:55:17.593 ID:+9kkduQR0.net
兄「ワガママもいい加減にしろ!」
妹「ワガママ!?私怖い思いしたんだけど?」
兄「それは悪かった!だけどな!どうしようもできないだろ!」
妹「もう知らない!」タタタッ
兄「はぁ!?こっちが知らねえよ!」
妹「ワガママ!?私怖い思いしたんだけど?」
兄「それは悪かった!だけどな!どうしようもできないだろ!」
妹「もう知らない!」タタタッ
兄「はぁ!?こっちが知らねえよ!」
160: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 01:58:39.776 ID:+9kkduQR0.net
兄「はぁ、なんでこうなった・・・」
兄「理不尽だが」
兄「俺も怒りすぎたかもしれん」
兄「・・・謝りに行こうかな」
兄「いや、どうせ謝ってもキレられるだけだ」
兄「とりあえず連れて帰るか」
兄「おーい、妹」スタスタ
兄「理不尽だが」
兄「俺も怒りすぎたかもしれん」
兄「・・・謝りに行こうかな」
兄「いや、どうせ謝ってもキレられるだけだ」
兄「とりあえず連れて帰るか」
兄「おーい、妹」スタスタ
162: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 02:02:22.037 ID:+9kkduQR0.net
兄「ここにいたか」
兄「探したぞ」
妹「・・・ヒッグ・・・グスッ」ポロポロ
兄「んで、泣いてやがる」
妹「・・・ヒッグ、な、泣いてないもん」ポロポロ
兄「泣いてるじゃん」
妹「泣いてないもんグスッ」ポロポロ
兄「ほら、泣き止め」スリスリ
兄「(背中さすったら昔はよく泣き止んだ)」スリスリ
妹「ヒッグ・・・」
兄「探したぞ」
妹「・・・ヒッグ・・・グスッ」ポロポロ
兄「んで、泣いてやがる」
妹「・・・ヒッグ、な、泣いてないもん」ポロポロ
兄「泣いてるじゃん」
妹「泣いてないもんグスッ」ポロポロ
兄「ほら、泣き止め」スリスリ
兄「(背中さすったら昔はよく泣き止んだ)」スリスリ
妹「ヒッグ・・・」
163: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 02:05:23.559 ID:+9kkduQR0.net
兄「泣き止んだか」
妹「兄、ごめんなさい」
兄「あ?珍しい」
妹「私・・・めんどくさい妹だよね」
兄「確かにめんどくさいな」
妹「・・・」ウルウル
兄「ああ泣くな!(こんな打たれ弱い妹久し振りに見たぞ)」
妹「ごめんなさい、めんどくさい妹で」
妹「ねぇ、私邪魔?」
兄「?」
妹「兄、ごめんなさい」
兄「あ?珍しい」
妹「私・・・めんどくさい妹だよね」
兄「確かにめんどくさいな」
妹「・・・」ウルウル
兄「ああ泣くな!(こんな打たれ弱い妹久し振りに見たぞ)」
妹「ごめんなさい、めんどくさい妹で」
妹「ねぇ、私邪魔?」
兄「?」
164: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 02:08:29.611 ID:+9kkduQR0.net
妹「私いつも兄に頼ってて、兄のじゃまして」
妹「私なんていない方が良かったって思うときあるでしょ?」
兄「たまにな」
兄「確かにお前はワガママで、乱暴で、おれにつめたいけど、でも心より邪魔と思ったことはないよ」
妹「・・・一度も?」
兄「一度も」
妹「グスッ・・・そっか」
妹「私なんていない方が良かったって思うときあるでしょ?」
兄「たまにな」
兄「確かにお前はワガママで、乱暴で、おれにつめたいけど、でも心より邪魔と思ったことはないよ」
妹「・・・一度も?」
兄「一度も」
妹「グスッ・・・そっか」
166: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 02:10:58.826 ID:+9kkduQR0.net
兄「また泣いてやがる」
妹「私ね」
妹「兄が戻ってきてくれたときは嬉しかった」
兄「そうか」
妹「やっぱり私も怖い」
兄「・・・なにがだ?」
妹「兄が遠くに行ってしまいそうで怖いの」
兄「遠くに?」
妹「私ね」
妹「兄が戻ってきてくれたときは嬉しかった」
兄「そうか」
妹「やっぱり私も怖い」
兄「・・・なにがだ?」
妹「兄が遠くに行ってしまいそうで怖いの」
兄「遠くに?」
167: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 02:13:21.039 ID:+9kkduQR0.net
妹「私を一人にしないで」
兄「は?」
妹「私を一人立ちさせるとか言わないで」
妹「私、友達も少なくて、でも家族が大好きだったのに、その唯一の家族の兄と離ればなれになったら」
妹「私おかしくなりそう・・・」ポロポロ
兄「・・・」
兄「は?」
妹「私を一人立ちさせるとか言わないで」
妹「私、友達も少なくて、でも家族が大好きだったのに、その唯一の家族の兄と離ればなれになったら」
妹「私おかしくなりそう・・・」ポロポロ
兄「・・・」
168: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 02:18:19.687 ID:+9kkduQR0.net
妹「どうせ離れ離れになることないと思ってたから」
妹「兄に冷たくして、強く当たってた」
妹「でも兄の話聞いてから怖いの」
妹「私、頑張るから!兄に嫌われないように口調も態度も変えるから!だから、だから!」
妹「一人にしないで・・・」ポロポロ
兄「・・・・・・」
兄「俺たちは確かに唯一の家族だな」
兄「俺はそんなことも考えずに妹を一人立ちさせるとか言ってたよ」
兄「ごめんな」
妹「うん・・・」ポロポロ
ということでとりあえず完。
というのも僕寝ますんで。もし明日のゆうがたまで残ってたら続き書きますが、残ってなかったら新しくスレ立てます。
では
妹「兄に冷たくして、強く当たってた」
妹「でも兄の話聞いてから怖いの」
妹「私、頑張るから!兄に嫌われないように口調も態度も変えるから!だから、だから!」
妹「一人にしないで・・・」ポロポロ
兄「・・・・・・」
兄「俺たちは確かに唯一の家族だな」
兄「俺はそんなことも考えずに妹を一人立ちさせるとか言ってたよ」
兄「ごめんな」
妹「うん・・・」ポロポロ
ということでとりあえず完。
というのも僕寝ますんで。もし明日のゆうがたまで残ってたら続き書きますが、残ってなかったら新しくスレ立てます。
では
169: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 02:20:50.454 ID:mGsLyE3j.net
乙なんだよ
170: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/04/10(金) 02:21:10.921 ID:+9kkduQR0.net
タイトルは続編と付け足すんで
掲載元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1428577286/
Entry ⇒ 2015.05.01 | Category ⇒ アルドノア・ゼロ | Comments (1)
【アルドノア・ゼロ】伊奈帆「君の番だ」スレイン「……」
1: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:15:41.26 ID:LgK313gfo
――拘置所 戦後、アルドノアが地球で始動してから数ヶ月後
伊奈帆「チェスのルール位は知っているだろう」
スレイン「…………指す気にはならないな」
伊奈帆「そうかい」
スレイン「ましてや相手が界塚伊奈帆、君じゃあね」
伊奈帆「ふむ」
スレイン「…………」
伊奈帆「悪態をつく元気はあるようで良かった」
スレイン「…………」
伊奈帆「最近は、食事もきちんととっていると刑務官から聞いた。心境の変化でも?」
スレイン「…………君に言うのも癪なことではあるけど……」
伊奈帆「無理に言うことはない」
スレイン「………… ……僕が生きているのは、アセイラム姫の願いなんだろう」
伊奈帆「……ああ」
スレイン「多くの者を死に追いやり、誰も彼も騙して、その果てに…… ……死に場所まで失った」
伊奈帆「…………」
スレイン「姫のことを……正直恨みさえしそうになった。全部、身から出た錆だというのに」
伊奈帆「そう感じるのは間違いじゃないと思う。僕も君の立場なら、そう感じただろう」
スレイン「…………同情のつもりか」
伊奈帆「つもりじゃない、同情だ」
スレイン「死ぬより惨めだな」
伊奈帆「…………」
2: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:16:31.72 ID:LgK313gfo
スレイン「殺してはくれないんだろう」
伊奈帆「もちろんだ」
スレイン「…………」
伊奈帆「…………」
スレイン「姫は……どうされている?」
伊奈帆「今はだいぶ忙しそうに、公務をこなしているようだ。アセイラム、女王陛下は」
スレイン「そうか、そうだったな…… クランカイン伯爵と婚姻して」
伊奈帆「地球に降下した火星騎士の残党の説得にも、良く取り組んで頂いている。おかげで、無用な争いもできるだけ起こらずにすんでいる」
スレイン「そうか…… ……姫には会ったのか」
伊奈帆「いや。面識があったと言っても、イレギュラーな事態で会えただけのことだから」
スレイン「…………」
伊奈帆「いまでは軍の一士官でしかない僕が、会える立場じゃない」
スレイン「……姫は、そんな会って確かめることもできないような君に、僕のことを頼んだのか」
伊奈帆「そうなる。あれは月基地で、彼女に最後に会った時のことだ。ろくに会話することもできなかったけど」
スレイン「そうか、あの時………… 君も基地に来ていたんだな」
伊奈帆「本当はデューカリオンに逃がすつもりだった。クランカイン伯爵が自分の船に誘導できたのは、いまとなっては最善の策だった」
スレイン「…………そうだな」
伊奈帆「…………」
スレイン「姫…… ……界塚伊奈帆、レムリナ姫のことは、知っているか」
伊奈帆「レムリナ…… レムリナ・ヴァース・エンヴァース?」
スレイン「ああ。……当時から酷いことをしていると思っていた。僕に残された、アルドノアドライブの起動因子を持つ姫」
伊奈帆「確か、連合軍に保護されている。火星と地球が和平を結んでからは、ヴァース帝国に戻っている。安全は保障されているだろう」
スレイン「……そうか。謝る機会も、もうないんだろうな」
3: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:17:01.54 ID:LgK313gfo
伊奈帆「アセイラム姫の変わり身をしていたのは彼女か」
スレイン「……気づいていたのか」
伊奈帆「ん…… わずかな違いを僕のアナリティカルエンジンが捉えた。最初に確信を持っていたのは、僕しかいなかったかもしれない」
スレイン「最初に?」
伊奈帆「デューカリオンでセラムさんと一緒に過ごした人には、アセイラム姫が地球侵攻をするようには思えなかった」
スレイン「…………どうやら、そっちの人たちの方が、姫を正しく理解していたようだ」
伊奈帆「そんなことはない」
スレイン「え?」
伊奈帆「君がいた」
スレイン「…………」
伊奈帆「正しくは君と、エデルリッゾさんが」
スレイン「…………いや。僕は、姫のことを少しも分かっていなかった」
伊奈帆「…………」
スレイン「分かっていたら、いま、こんな所で君と話なんかしていなかっただろう」
伊奈帆「理解していなかったと?」
スレイン「そうだろう。戦争を拡大させるなんて、望んでいなかったんだから」
伊奈帆「その地球侵攻に対する僕の見解なんだけど」
スレイン「うん?」
伊奈帆「戦争のない世界にするというのを、実現しようとしていたんじゃないか」
スレイン「…………」
伊奈帆「どんな小さな紛争すら起きないように、新王国をつくろうとした」
4: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:17:45.74 ID:LgK313gfo
スレイン「それも、その左目で解析したのか」
伊奈帆「いや。戦争が終わって、アナリティカルエンジンをはずしてからだ。考察したのは」
スレイン「なんでそんなことを」
伊奈帆「理解しなければならなかったから」
スレイン「理解?」
伊奈帆「君のことを」
スレイン「……本当に鼻につく」
伊奈帆「…………」
スレイン「……ハークライトのことなんかは分かるのか」
伊奈帆「ハークライト…… 戦後の報告で見た覚えがある。月面での最終戦闘で、僕の姉が交戦した」
スレイン「脱出の命令を聞かずに引き返した」
伊奈帆「……バルークルス伯爵と共に、デューカリオンに特攻した」
スレイン「…………そうか」
伊奈帆「…………」
スレイン「生きていれば…… いや、僕の側近だったからな。戦争犯罪人として極刑になるよりは、良かっただろうか」
伊奈帆「…………面会時間の制限が近い。今日はこれで失礼するよ」
スレイン「…………」
伊奈帆「じゃあ」
スレイン「また来る気か」
伊奈帆「そうだね」
5: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:18:16.32 ID:LgK313gfo
スレイン「なぜ僕に会いに来る」
伊奈帆「言ったはずだけど」
スレイン「覚えがないな」
伊奈帆「セラムさんが言った。君を救ってくれと」
スレイン「ああ、こうして死ぬこともできず生きている」
伊奈帆「だから、まだだ」
スレイン「え?」
伊奈帆「君を救うまで。それまでを見届けなければ、彼女との約束を守れていない」
スレイン「…………は」
伊奈帆「?」
スレイン「界塚伊奈帆、君」
伊奈帆「なんだい」
スレイン「君さ、馬鹿だろ」
伊奈帆「…………」
スレイン「…………」
伊奈帆「友人にもよく言われるよ。なんでだろう」
スレイン「それがわからないからさ」
伊奈帆「意外と、僕のことは君の方が理解しているのかも」
スレイン「それはないな」
伊奈帆「ないか」
スレイン「ああ」
伊奈帆「じゃあ」
スレイン「…………」
スレイン「…………ポーンを前へ」
6: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:18:44.07 ID:LgK313gfo
――拘置所 数ヶ月後
伊奈帆「ポーンが動いている」
スレイン「動かした」
伊奈帆「うん。じゃあこっちのポーンを前へ」
スレイン「…………」
伊奈帆「なにか?」
スレイン「その階級章。昇進したのか」
伊奈帆「ああ…… もともと、前の戦争で功績はあったんだ。戦後処理の一環みたいなものだ」
スレイン「処理は進んでいるのか」
伊奈帆「そうだね。復興支援とか、急務で即物的に終わる簡単なことなら、あと5年くらいで目処がつくだろう」
スレイン「5年? ……早いんだな、廃墟になっている土地も多いはずなのに」
伊奈帆「アルドノアドライブの恩恵によるところが大きいね。賠償問題になってくると、何十年かかるか分からない」
スレイン「戦争の裁判も長くなるな」
伊奈帆「君もまだしばらくは出られない」
スレイン「出る? アセイラム姫の暗殺計画から、戦争の原因までつくったことになっているんだろう」
伊奈帆「そう。本来なら極刑だし、公式発表はそうなっている」
スレイン「姫の温情で生きてはいるけど、そんな僕の拘留が解かれるわけがない」
伊奈帆「もちろん軍にはそんな予定はない」
スレイン「そうだろう」
7: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:19:16.70 ID:LgK313gfo
伊奈帆「だけど、僕の予定では違う」
スレイン「なに?」
伊奈帆「5年では済まないだろうけど、君はいつかこの拘置所を出るようにするつもりだ」
スレイン「まさか、無理だろう」
伊奈帆「君が作ろうとした王国よりは難しくないだろう」
スレイン「…………」
伊奈帆「まず君は死亡していることになっている。スレイン・トロイヤードとしてではなく、別人としてなら出所できる可能性がある」
スレイン「そんなことを」
伊奈帆「もしくは軍務についてもらうという手段。戦争の後だからどこでも人員不足だ」
スレイン「僕に何をしろと」
伊奈帆「アルドノアの起動権を普遍化する研究が進んではいるけど、簡単な話じゃない。アルドノアドライブを利用していたような人材はいくらでも欲しいところだろう」
スレイン「加えて監視もしやすい、か」
伊奈帆「その面も間違ってはいないね。別人になるにしても軍の監視はつくはずだけど」
スレイン「…………」
伊奈帆「なに?」
スレイン「…………界塚伊奈帆、君は…… ……君は、未来を見ているのか」
伊奈帆「見ている? 見ようとしているじゃなく? 未来を見たことがあるような言い方だ」
スレイン「……ああ。未来を見ていた。タルシスの力で」
伊奈帆「あの機体か」
スレイン「タルシスで見たほとんどの未来は、その通りだった。外れたものもある。そして、見えていなかったものも」
伊奈帆「…………」
スレイン「見えてないものが多すぎた。その結果がこのざまだ」
8: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:19:53.38 ID:LgK313gfo
伊奈帆「僕は未来を見ようとはしていない」
スレイン「じゃあどうして、僕がいつかここを出られるなどと言うんだ」
伊奈帆「そうなるようにと、できることをしている。いつも修正を繰り返している」
スレイン「…………ふ」
伊奈帆「何故笑う」
スレイン「僕があの時勝てなかった理由が、少しわかった気がするよ」
伊奈帆「僕にはよくわからないが」
スレイン「分かってたまるか。……ナイトを前に」
伊奈帆「ビショップを出そう」
スレイン「ポーンで取る」
伊奈帆「君とチェスができるとは、最初は思っていなかった」
スレイン「じゃあ何のために用意したんだ」
伊奈帆「気が紛れるかと思って。話すより楽だろう」
スレイン「そういうのが、鼻につくと言っているんだ」
伊奈帆「進んで良かった。終わらないかと思っていた」
スレイン「何年かけるつもりだったんだ」
伊奈帆「別に何年かかってもいいかなと」
スレイン「気の長い話だ」
伊奈帆「意外と、僕だけの話じゃない」
スレイン「うん?」
伊奈帆「手紙のやり取りで駒を指していくという人もいる」
9: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:20:24.02 ID:LgK313gfo
スレイン「手紙? 手紙だって? オンラインですらなく」
伊奈帆「そう、同じ国の中ですら二日三日かけて一手を指していく」
スレイン「…………随分と」
伊奈帆「随分と?」
スレイン「いいものかもしれないな」
伊奈帆「気が長いのもいいと思う」
スレイン「……アセイラム女王は、どうされてる」
伊奈帆「火星は少しずつ落ち着きを取り戻し始めた。アルドノア炉の始動式典には、できるだけ参列されている。映像で見る限りは、元気そうかな」
スレイン「なによりだ。……界塚伊奈帆。いずれ、謁見するつもりなんだろう」
伊奈帆「…………言った覚えはないんだけど」
スレイン「『考察』したんだよ。いずれ僕のことを伝えるつもりなんじゃないか」
伊奈帆「その通りだ。あの約束の後、彼女に何かを伝える手段が無いから、彼女は君の生死も知らない」
スレイン「公式では死亡した発表があるだろう」
伊奈帆「セラムさんが信じるかな」
スレイン「……君に託した約束の方を信じているだろう」
伊奈帆「それは僕への評価かな」
スレイン「アセイラム女王への理解だ」
伊奈帆「ふむ。……無理に女王と呼ばなくてもいいんじゃないか」
スレイン「君に見抜かれると本当に腹が立つ」
伊奈帆「僕としては、姫とも呼びづらいんだ」
スレイン「セラム、さんか」
伊奈帆「偽名を使わざるを得なかっただけだけどね」
10: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:21:16.83 ID:LgK313gfo
スレイン「まるでローマの休日だな」
伊奈帆「古い映画だね」
スレイン「火星に行く前に、父が観ていたのを覚えている」
伊奈帆「休日というには、死と隣り合わせの最前線だったけど」
スレイン「……姫も戦ったのか」
伊奈帆「火星のカタフラクトの前に立ちはだかりまでした」
スレイン「…………姫ならやるか」
伊奈帆「戦いの中で君のことを頼まれた。姫にそれを伝えるまでが、約束だと思っている」
スレイン「どうやって謁見するつもりだ」
伊奈帆「軍の高官になって申し込む」
スレイン「…………まさか。何年じゃない、下手すれば何十年もかかるじゃないか」
伊奈帆「彼女との約束だから。もちろん自分の能力を考慮して、最善の道を探ってはみるけど」
スレイン「…………」
伊奈帆「誰にも知られずに、君のことを伝えるのは、割といい手段だと思うんだけど」
スレイン「……とんだお人よしだ」
伊奈帆「セラムさんのこと?」
スレイン「どう考えても君のことだ」
伊奈帆「そうか……チェック」
スレイン「ん……む……」
伊奈帆「面会終了までは少し時間があるけど、今日はここらへんにしておくよ」
スレイン「…………ああ」
伊奈帆「じゃあ」
11: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:22:05.89 ID:LgK313gfo
――拘置所 数年後
伊奈帆「面会時間の中では、一局指すのが精一杯だ」
スレイン「一局で十分だろう。時には勝負がつかない時だってあるじゃないか」
伊奈帆「それでも次に会う時には、前回の続きから始めてくれるだろう」
スレイン「……暇を持て余しているだけだ」
伊奈帆「本をよく読むようになったと聞いた」
スレイン「そうだな。許可されている資料や本をみている」
伊奈帆「火星でも」
スレイン「うん?」
伊奈帆「火星でアセイラム姫に教えたのも、本の知識かい」
スレイン「……そうだ。地球のこと。鳥という存在すら火星では資料の中にしかない」
伊奈帆「うん。少し前ではそうだった」
スレイン「うん?」
伊奈帆「地球から火星に、いろいろな動物の入植をすすめる研究が始まっている」
スレイン「……鳥が、火星の空を飛ぶようになるのか」
伊奈帆「火星への入植がはじまってから、50年と経っていないんだ。テラフォーミングは始まったばかりだよ」
スレイン「火星でも、青い空や海が見られるようになるのか」
伊奈帆「アセイラム姫は」
スレイン「…………」
伊奈帆「空が青いのは海の青を反射しているからと、教わったと言っていた」
スレイン「僕が教えた」
伊奈帆「テラフォーミングが進んで、火星の大気成分が地球と同じようになってくれば、レイリー散乱で空が青くなってくるだろう」
スレイン「ああ……そうだな」
伊奈帆「間違っているのに気付いたのか」
スレイン「ここで資料を読んで。間違っていたんだと、いまさらになって思い知らされた」
12: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:22:41.47 ID:LgK313gfo
伊奈帆「…………」
スレイン「初めて空を見た気がした」
伊奈帆「初めて?」
スレイン「僕は北欧の出身だ。小さい時にはいくらでも地球の空を見上げていたはずだった」
伊奈帆「…………」
スレイン「ここに入って、君が初めてここに来て、帰った後。廊下で鉄格子の隙間から、空が見えた」
伊奈帆「……ああ」
スレイン「足を止めてみていた」
伊奈帆「…………」
スレイン「初めて、空を青いと思った」
伊奈帆「そうか」
スレイン「…………ふ…… また昇級したようじゃないか」
伊奈帆「ああ。僕の歳で佐官は最年少記録だそうだ」
スレイン「まったく、嫌な奴だ。着々と出世して、本当に僕をここから出すつもりなのか」
伊奈帆「いずれ」
スレイン「…………」
伊奈帆「でも、ここを出たいという感じじゃないな」
スレイン「いまさらどこへ行けと言うんだ」
伊奈帆「さあ」
スレイン「無責任だな」
伊奈帆「それは、スレイン・トロイヤード、君が決めなければいけないことだ」
スレイン「…………」
伊奈帆「もちろん軍にくるなら、最低限の生活は保障できる」
スレイン「現実的かもしれないな」
13: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:23:11.30 ID:LgK313gfo
伊奈帆「ここから出て、そのまま放り出すこともできなくはない。いろいろと条件は付くけど」
スレイン「例えば」
伊奈帆「火星への渡航禁止、ヴァース帝国関係者への接触禁止、連合軍の監視……精神鑑定もたぶんある」
スレイン「どちらも楽じゃないな。ルークでクイーンを取る」
伊奈帆「うん。…………まずいな。前と攻めの定石が違う」
スレイン「言っただろう。本を読む時間はいくらでもあった」
伊奈帆「なるほどね。ポーンを進める」
スレイン「チェスですら負けが込んでいるんだ、多少はむきになる」
伊奈帆「なかなか先が読めない」
スレイン「何回も考えた。何回も、考えた未来を排除して考え直した」
伊奈帆「いまも」
スレイン「…………」
伊奈帆「いまも、未来を捨てているかい」
スレイン「……望むことはない」
伊奈帆「そうか」
スレイン「だけど、死にたいとは思わない」
伊奈帆「うん」
スレイン「こんな状態で、何ができるわけでもないだろう」
伊奈帆「いまのところは、僕のチェスの相手でも十分だよ」
スレイン「……ふん」
14: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:23:40.36 ID:LgK313gfo
伊奈帆「やり甲斐はある。本当だ。たまに妻に相手してもらうが、分かりやすすぎていけない」
スレイン「つ……? 結婚していたのか」
伊奈帆「先々月くらいに。昇進に合わせた形になる」
スレイン「…………」
伊奈帆「なにか?」
スレイン「……物好きな人がいるものだ」
伊奈帆「我ながらそう思う」
スレイン「…………」
伊奈帆「うん、ナイトをこっちだ」
スレイン「……その人は、知っているのか」
伊奈帆「うん?」
スレイン「君と、姫のことを」
伊奈帆「知っている。当時、僕がセラムさんのためにといろいろやっていたのを、間近で見ていた」
スレイン「…………強い女性だな」
伊奈帆「元連合軍のエースパイロット」
スレイン「……驚嘆に値するけど、そういう意味じゃない」
伊奈帆「そうか」
スレイン「…………みんな、それぞれの人生を歩んでいる」
伊奈帆「そうだ」
スレイン「僕にも歩めと言うのか」
伊奈帆「強制はしない」
スレイン「あくまで自分で立てと」
伊奈帆「それが、セラムさんの願いだと思っている」
スレイン「…………」
15: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:24:09.90 ID:LgK313gfo
伊奈帆「君の番だ」
スレイン「…………悪いが」
伊奈帆「うん」
スレイン「今日はもう帰ってくれないか」
伊奈帆「……分かった。続きは次にしよう」
スレイン「続きはない」
伊奈帆「うん?」
スレイン「…………4手後にチェックメイトだ」
伊奈帆「…………確かに」
スレイン「ようやくの一勝だ。今日ぐらい、勝利に浸らせてもらおう」
伊奈帆「ああ」
スレイン「…………」
伊奈帆「じゃあ」
スレイン「…………ああ」
スレイン「…………姫」
スレイン「……僕は」
スレイン「自分は」
スレイン「…………」
16: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:24:39.47 ID:LgK313gfo
――拘置所 さらに数年後
スレイン「保釈が決まりそう、だって?」
伊奈帆「ほぼ決定かな。保釈条件は簡単ではないし、実際の手続きまでには、まだ年単位はかかる」
スレイン「……あと10年20年はかかるだろうと思っていた」
伊奈帆「そうだね。普通の高官ならそれぐらいはかかるだろう」
スレイン「自分は普通でないと?」
伊奈帆「割と普通ではないと自覚するよう、いろんな人から言われる」
スレイン「まあ、仕方もないだろう」
伊奈帆「君もそう思うのか?」
スレイン「普通とは何か、という話からするのは御免だからパスさせてもらう」
伊奈帆「……だいぶ僕の扱いになれたようだ」
スレイン「生憎で残念なことに、君としかほとんど話さないからな」
伊奈帆「ふむ…… それで、保釈の条件だけど」
スレイン「ここから出たいとも言ってないが」
伊奈帆「それも可能だ。むしろ軍上層部はそれを望んでいるだろう」
スレイン「そうだろうな」
伊奈帆「もちろん軍務についてくれるなら、それでもかまわないと考えている人も多い。人材不足は今もなお解消されていないしね」
スレイン「軍務、ね」
伊奈帆「決して表に出ることはない仕事だ。汚いことではないが、非合法なことはするかも」
スレイン「そんなこと、先に言っていいのか」
伊奈帆「望むなら、質問には答えるさ。ただ君の意思を尊重するだけだ」
17: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:25:10.16 ID:LgK313gfo
スレイン「……それで、他には」
伊奈帆「ここを出て自由になる場合の条件の詳細が決まり始めた」
スレイン「また面倒なことばかりだろう」
伊奈帆「まあ、だいたいは」
スレイン「以前から聞かされてばかりだ」
伊奈帆「そうだね。ああ、でもこれはいい情報かもしれない」
スレイン「なにがだ」
伊奈帆「軍からの監視役、兼、君の身元引受人として推薦したい人物がいる」
スレイン「推薦? 君がしたのか」
伊奈帆「そう。恐らく審査を通るはずだ」
スレイン「その口ぶりだと、僕の知っている人物のようだな」
伊奈帆「そうだ。元火星騎士の、マズゥールカさん」
スレイン「マズゥールカ卿……!?」
伊奈帆「うん」
スレイン「うん、って…… 元、といったな。37家門から抜けたのか」
伊奈帆「ああ。彼はもともと地球への憧れがあった。戦後は中東やアフリカを旅している。先月にはアジアから葉書が届いた」
スレイン「あの伯爵が…… いや、とはいえ元火星人が、そんな監視役になれるなど」
伊奈帆「火星から地球へと移り住んで、彼はいま地球で国籍を取っている」
スレイン「…………」
伊奈帆「スレイン・トロイヤードの身元引受ができて、信頼できる人物となるとこれ以上の適役が見つからなかった」
18: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:25:51.67 ID:LgK313gfo
スレイン「……彼が引き受けると思うか?」
伊奈帆「引き受ける」
スレイン「もう話したのか」
伊奈帆「いや。特秘事項を話すわけにはいかない」
スレイン「じゃあ、何故そう言い切れる」
伊奈帆「彼は、アセイラム姫への忠誠を真に守っていた」
スレイン「…………」
伊奈帆「あの戦争の時、姫が別人になっていることを説得し、捕虜になっていた彼を脱走させた」
スレイン「なっ……!」
伊奈帆「…………」
スレイン「いや、そうか、そうなっていたのか…… とんだおお間抜けだ、僕は」
伊奈帆「僕を恨んで構わない。だが彼は」
スレイン「どちらも恨んだりはしない」
伊奈帆「…………」
スレイン「自分の間抜けさには腹が立つけどな。君も彼も、アセイラム姫の心のままにと、願って行動したんだろう」
伊奈帆「少なくとも、僕はそう思っている」
スレイン「君が言うなら、マズゥールカ卿も監視役としての役目を受けるだろう」
伊奈帆「心は決まりそうかい」
スレイン「……さあ、どうだろうな。……でも、もし僕が自由を望んだとしても、ひとまずは知った顔がいるのなら、幾分気は楽になるかもしれないな」
伊奈帆「それならいい。……と、意外と時間が経っていたな。今日はチェスを指せそうもない」
スレイン「そうだな」
伊奈帆「それから、ここに来る回数も減るだろう」
スレイン「そうか」
19: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:26:19.29 ID:LgK313gfo
伊奈帆「地球各地で抵抗を続けていた、すべての火星騎士の鎮圧が完了した」
スレイン「…………」
伊奈帆「多くは無血開城を受け入れてくれた。アセイラム女王の呼びかけの賜物だ」
スレイン「いくらかの騎士は、抵抗を続けていたのか」
伊奈帆「武力での鎮圧もやむを得なかった。僕も戦地に赴いた」
スレイン「最前線で?」
伊奈帆「もしかしたら、その方が敵味方共に被害を減らせたかもしれないと、思う時がある」
スレイン「佐官ともなれば、前線に出ることもできないか」
伊奈帆「ただでさえ僕は、デューカリオンの起動因子だからね。あの船は今でも、連合軍の中核をなしている」
スレイン「…………仕方もない。どうせなら、また君があのオレンジ色の機体に乗っているのを、見たかったものだ」
伊奈帆「目の前で闘ったというのに?」
スレイン「あれから何年経ったと思ってる。……闘ったからこそだ」
伊奈帆「……そうか」
スレイン「…………時間だろう。行けよ」
伊奈帆「ああ」
スレイン「…………」
伊奈帆「しばらく先になるけど、次に来たときは君の希望を聞かせてくれ。軍に行くか、それとも」
スレイン「いや。先に伝えておく」
伊奈帆「……そうか。じゃあ、聞いておこう」
スレイン「…………」
伊奈帆「…………」
スレイン「僕は――」
20: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:26:53.38 ID:LgK313gfo
――拘置所 正門 19ヶ月後
スレイン「こんな夜明けに出発になるとは、思っていなかったな」
伊奈帆「人目が少ない方がいいからね。少ししたら、マズゥールカさんも到着する」
スレイン「車で迎えに来てもらうことになるとはね」
伊奈帆「服はこちらで誂えたものだ。着心地はどうだい」
スレイン「なかなか悪くない」
伊奈帆「ならよかった。パスポートと、新しい戸籍はそちらのバッグに入っている。まったく多くはないけど、少しばかりの路銀も」
スレイン「十分だ」
伊奈帆「軍属になれば、まだ安定した暮らしもできたとは思うけど」
スレイン「そうだな。そうやって人に尽くして罪滅ぼしをしていくのもいいかと思った。だけど……」
伊奈帆「……けど?」
スレイン「…………この世界を見てみたいと思ったんだ」
伊奈帆「世界を」
スレイン「マズゥールカ卿がやっているように、とでもいうのか」
伊奈帆「…………」
スレイン「それとも、アセイラム姫のようにかな」
伊奈帆「そうだね。僕もおそらく、同じ選択をしたと思う」
スレイン「ああ。そうだろう」
伊奈帆「癪じゃなかったのかい」
スレイン「癪さ。……君とは分かり合いたくないほどに」
伊奈帆「そうか」
21: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:27:21.99 ID:LgK313gfo
スレイン「…………。はじめてみようと思う」
伊奈帆「うん?」
スレイン「ゼロから」
伊奈帆「ああ」
スレイン「…………」
伊奈帆「…………ああ、車の音が」
スレイン「来たのか」
伊奈帆「来たようだ」
スレイン「姫への謁見は、まだ叶ってないのか」
伊奈帆「うん。アルドノアドライブの普遍化研究によって、アクセス権が固定されたからは、謁見装置すら簡単に使えなくなってしまった」
スレイン「アクセス権?」
伊奈帆「どこで誰がどのように、アルドノア因子を起動させたか分かるようになる。主に犯罪防止目的だが、普遍化には必要なことだ」
スレイン「そっちの研究も、順調なようだ」
伊奈帆「課題は多い。でも、実現に向かってしっかりと歩みを進めている」
スレイン「…………」
伊奈帆「ゼロからはじめことだ」
スレイン「ああ」
22: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:27:52.91 ID:LgK313gfo
伊奈帆「到着したな。やっぱり、マズゥールカさんだ」
スレイン「……面影が当時のままだ。変わらないな」
伊奈帆「確かに」
スレイン「はは」
伊奈帆「…………」
スレイン「はははは……」
伊奈帆「ふ……」
スレイン「…………」
伊奈帆「…………」
スレイン「もう、会うこともないだろう」
伊奈帆「そうかもしれないな」
スレイン「結局、負け越したな」
伊奈帆「うん? ああ。5回ほど負けたな」
スレイン「こっちは、その3倍は負けたよ」
伊奈帆「…………」
スレイン「…………」
23: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:28:27.78 ID:LgK313gfo
伊奈帆「アセイラム姫に」
スレイン「…………」
伊奈帆「彼女に、伝えたいことはあるか」
スレイン「…………」
伊奈帆「…………」
スレイン「…………ありがとう、と……」
伊奈帆「わかった」
スレイン「…………」
伊奈帆「…………」
スレイン「界塚伊奈帆」
伊奈帆「なにか」
スレイン「手紙を出せば、届くか」
伊奈帆「うん?」
スレイン「軍に、君宛てに手紙を出せば、届くだろうか」
伊奈帆「…………ああ。届く。僕のデスクに、間違いなく」
スレイン「そうか……いつになるか分からないが」
伊奈帆「うん」
スレイン「落ち着いたら、手紙を出すよ」
伊奈帆「……うん」
スレイン「雪辱を晴らさないといけないからな」
伊奈帆「ああ」
スレイン「…………」
伊奈帆「待っていよう」
スレイン「…………それじゃあ」
伊奈帆「ああ」
伊奈帆「ああ、待っているよ。スレイン・トロイヤード」
伊奈帆「次は、君の番だ」
24: ◆WO7BVrJPw2 2015/04/04(土) 22:30:11.08 ID:LgK313gfo
以上です
最終回のスレインがあまりにも可哀そうなんで書いた
彼は、いずれ救われるといいな
最終回のスレインがあまりにも可哀そうなんで書いた
彼は、いずれ救われるといいな
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 22:32:23.00 ID:ttSQw4oAO
乙
ユキ姉と幸せにな、イナホ。インコは俺が
ユキ姉と幸せにな、イナホ。インコは俺が
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 22:32:35.81 ID:u3+xTVlmo
乙
素晴らしい
素晴らしい
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/04(土) 22:49:26.61 ID:cdLVoB2Y0
乙
良かった
良かった
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/05(日) 00:16:02.79 ID:S9T2mFEjO
最終回で全部ぶっこわされた
スレイン本当にかわいそうで泣いた
スレイン本当にかわいそうで泣いた
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/05(日) 00:25:12.05 ID:bMa0DIRN0
乙!
さんざん言われていたけど、スレインの事は嫌いじゃ無かった
正直、アセイラム姫の無事と同じくらいスレインの幸せを願った
さんざん言われていたけど、スレインの事は嫌いじゃ無かった
正直、アセイラム姫の無事と同じくらいスレインの幸せを願った
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428153340/
Entry ⇒ 2015.04.25 | Category ⇒ アルドノア・ゼロ | Comments (0)
クルーテオjr「スレイン卿www今どんな気持ちかなwwww」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/05(日) 23:37:35.78 ID:aU+fHQfN0
地球に新バース帝国をきずいて以来、クルーテオjrことクランカイン伯爵とアセイラム女王は今
だ夫婦の交わりを遂げられずにいた。
正式な成婚を控えたある日のこと。
スレイン卿が収容されている収容所からイナホの乗る車が去る。
車「ブロロロ…」
それを高台から見ながらアセイラムと交わしていた会話からぽつりと一言。
アセイラム「(略)地球での美しい思い出です」
クルーテオjr(何コイツあの車の男が好きだったけど地球と火星人の平和のために
仕方なくお前と結婚してやったんだよって言いたいのか)
誇り高きクルーテオの血筋。自身が知らず女を寝取ったなどと認められようハズがない。
jrは密かに新女王に対する復讐を企てたのであった。
ーーー初夜ーーー
エデルリッゾ「姫さ…女王さま、そろそろお休みの時間です」
エデルリッゾはjrのはからいで女王の侍従として再び召し使われていた。
jr「ではそろそろ寝ますか」
アセイラム「は、はい」
いくら理知に富むとはいえアセイラムは少女である。
男性を、しかも互いに愛も芽生えようはずのない相手を受け入れようというのである。
怖気づかぬはずがない。
しきたりに従いアセイラムは身を清め、裸身に寝間着をまとい夫より先に寝床に身を横たえた
はずなのでのであったが、そこにはすでにjrが熟睡していた。
アセイラム「……」
これが結婚以来今に至るまで数か月ずっと続いたのである。
そう、一指ともアセイラムに触れようとはしなかったのである。
まだまだ、復讐の始まりにすぎなかった。
それは侍従たるエデルリッゾをもまた巻き込まれることになる復讐であった。
だ夫婦の交わりを遂げられずにいた。
正式な成婚を控えたある日のこと。
スレイン卿が収容されている収容所からイナホの乗る車が去る。
車「ブロロロ…」
それを高台から見ながらアセイラムと交わしていた会話からぽつりと一言。
アセイラム「(略)地球での美しい思い出です」
クルーテオjr(何コイツあの車の男が好きだったけど地球と火星人の平和のために
仕方なくお前と結婚してやったんだよって言いたいのか)
誇り高きクルーテオの血筋。自身が知らず女を寝取ったなどと認められようハズがない。
jrは密かに新女王に対する復讐を企てたのであった。
ーーー初夜ーーー
エデルリッゾ「姫さ…女王さま、そろそろお休みの時間です」
エデルリッゾはjrのはからいで女王の侍従として再び召し使われていた。
jr「ではそろそろ寝ますか」
アセイラム「は、はい」
いくら理知に富むとはいえアセイラムは少女である。
男性を、しかも互いに愛も芽生えようはずのない相手を受け入れようというのである。
怖気づかぬはずがない。
しきたりに従いアセイラムは身を清め、裸身に寝間着をまとい夫より先に寝床に身を横たえた
はずなのでのであったが、そこにはすでにjrが熟睡していた。
アセイラム「……」
これが結婚以来今に至るまで数か月ずっと続いたのである。
そう、一指ともアセイラムに触れようとはしなかったのである。
まだまだ、復讐の始まりにすぎなかった。
それは侍従たるエデルリッゾをもまた巻き込まれることになる復讐であった。
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/05(日) 23:38:17.37 ID:aU+fHQfN0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
jr「なるほど……スレイン卿までもが実はアセイラム女王を慕っていたと……」
ひたすら姫の安寧を願い、貝塚伊奈帆およびスレイン・トロイヤードとアセイラムの知られざる
数奇な縁について、口を堅く閉ざしていたエデルリッゾであったが数か月(2クール以上、結構
長い)に及ぶjrの根気強い説得に折れた。
エデルリッゾ「本当は姫さまは…あの地球の少年のかたと、スレイン様とお二人ともが、
大好きであられるのです……」
jr(ハーレム志望とはますます許せん)
jr「わかりました、このことは内密に」
エデルリッゾ「あ、あの……」
jr「約束どうり、悪いようにはいたしません。あなたも、アセイラム女王のことも」
にこやかに一瞥し、去るjr
ーーー収容所ーーーーー
jr「スレイン卿、元気そうではありませんか」
伊奈帆との面会以来、自身が生き抜く責任にスレインは自問自答の日々を過ごしていた。
少なくともただ後悔に圧されるだけでいてはいけないという姿勢になっていた。
jr「どうだね、たまには収容所の外を散策してみないか」
護衛も距離を置かせ、二人は歩きながら会話をしていたが、
jr「もうあと数か月で女王と結婚して1年になるんだ」
スレイン「……」
jr「スレイン卿、今どんな気持ちかな?」
jr「なるほど……スレイン卿までもが実はアセイラム女王を慕っていたと……」
ひたすら姫の安寧を願い、貝塚伊奈帆およびスレイン・トロイヤードとアセイラムの知られざる
数奇な縁について、口を堅く閉ざしていたエデルリッゾであったが数か月(2クール以上、結構
長い)に及ぶjrの根気強い説得に折れた。
エデルリッゾ「本当は姫さまは…あの地球の少年のかたと、スレイン様とお二人ともが、
大好きであられるのです……」
jr(ハーレム志望とはますます許せん)
jr「わかりました、このことは内密に」
エデルリッゾ「あ、あの……」
jr「約束どうり、悪いようにはいたしません。あなたも、アセイラム女王のことも」
にこやかに一瞥し、去るjr
ーーー収容所ーーーーー
jr「スレイン卿、元気そうではありませんか」
伊奈帆との面会以来、自身が生き抜く責任にスレインは自問自答の日々を過ごしていた。
少なくともただ後悔に圧されるだけでいてはいけないという姿勢になっていた。
jr「どうだね、たまには収容所の外を散策してみないか」
護衛も距離を置かせ、二人は歩きながら会話をしていたが、
jr「もうあと数か月で女王と結婚して1年になるんだ」
スレイン「……」
jr「スレイン卿、今どんな気持ちかな?」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/05(日) 23:39:06.05 ID:aU+fHQfN0
狂喜めいた目で問いかけるjr。
スレイン「……あなたは私をはずかしめたいのか」
jr「はずかしめられているのは私のほうですよスレイン卿。
いまだ女王の心にはあなたと界塚伊奈帆がいる」
スレイン「いいえ、姫様はそんな未練がましい方では……」
jr「これでも現夫として日々そばにいるのですよそれぐらいはわかる」
スレイン「それで、僕にそれを伝えてどうなさるおつもりか」
jr「姫に消えてもらおうと思いましてね、目障りですから」
この男、厳格すぎるほどに厳格な父の息子であった。
スレインはその徹底ぶりを身をもって知っている。戦慄とともにスレインはひざまずき懇願した
。
スレイン「お願いです、何でもしますから姫様の命だけは助けてください」
ハークライトをはじめ多くの義士がアセイラム姫のために散った。
そこにスレイン自身が組んだ策略も絡んだ償いはとても完遂できるものではないが、その姫が無
為に命を消されることは、
自身の慕心やアセイラムの言葉ゆえに伊奈帆がとどめを刺さなかったことを省いたとしても、そ
れだけはあってはならなかった。
jr「ほう、何でもすると。スレイン・トロイヤード。
あなたは確かアルドノア研究の権威の息子だったかな」
突如、冷酷な笑みがふと一瞬、いつもの澄んだ瞳に戻ったように見えたのは気のせいか。
jr「ここでもそれなりに世の中の情報は得ているだろうが、
知ってのとおりアルドノア起動権に汎用性をもたせる研究が行き詰っている。
わたしとしてはあのような汚れた女とは1年も一緒には過ごしたくはないのでね。
この技術が記念すべき我々の成婚一周年までに完成されなければアセイラムを始末しよう。
代わりにレムリナ姫を改めて迎えれば収拾はつくだろう。
まあ強制はしないができたならここに連絡したまえ」
固まるスレインを尻目に紙切れを握らせ、
jr「想像するだけに愉快になれたよ。よし、君に恩赦を与えよう。
このことを人に話すなよ、まあ逆賊の君の話を信じる者などいはしまいが」
高らかに笑い声をあげ去るjrであった。
スレイン「……あなたは私をはずかしめたいのか」
jr「はずかしめられているのは私のほうですよスレイン卿。
いまだ女王の心にはあなたと界塚伊奈帆がいる」
スレイン「いいえ、姫様はそんな未練がましい方では……」
jr「これでも現夫として日々そばにいるのですよそれぐらいはわかる」
スレイン「それで、僕にそれを伝えてどうなさるおつもりか」
jr「姫に消えてもらおうと思いましてね、目障りですから」
この男、厳格すぎるほどに厳格な父の息子であった。
スレインはその徹底ぶりを身をもって知っている。戦慄とともにスレインはひざまずき懇願した
。
スレイン「お願いです、何でもしますから姫様の命だけは助けてください」
ハークライトをはじめ多くの義士がアセイラム姫のために散った。
そこにスレイン自身が組んだ策略も絡んだ償いはとても完遂できるものではないが、その姫が無
為に命を消されることは、
自身の慕心やアセイラムの言葉ゆえに伊奈帆がとどめを刺さなかったことを省いたとしても、そ
れだけはあってはならなかった。
jr「ほう、何でもすると。スレイン・トロイヤード。
あなたは確かアルドノア研究の権威の息子だったかな」
突如、冷酷な笑みがふと一瞬、いつもの澄んだ瞳に戻ったように見えたのは気のせいか。
jr「ここでもそれなりに世の中の情報は得ているだろうが、
知ってのとおりアルドノア起動権に汎用性をもたせる研究が行き詰っている。
わたしとしてはあのような汚れた女とは1年も一緒には過ごしたくはないのでね。
この技術が記念すべき我々の成婚一周年までに完成されなければアセイラムを始末しよう。
代わりにレムリナ姫を改めて迎えれば収拾はつくだろう。
まあ強制はしないができたならここに連絡したまえ」
固まるスレインを尻目に紙切れを握らせ、
jr「想像するだけに愉快になれたよ。よし、君に恩赦を与えよう。
このことを人に話すなよ、まあ逆賊の君の話を信じる者などいはしまいが」
高らかに笑い声をあげ去るjrであった。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/05(日) 23:40:00.65 ID:aU+fHQfN0
そして、二日後。
ーーーーーーー伊奈帆とユキ姉の部屋ーーーーーーーー
の前に、スレインは立っていた。インターホンへの応答に名を告げるとややあって扉が開いた。
伊奈帆「……スレイン・トロイヤード。どうしたんだ」
ちょっとびっくりした顔で尋ねる伊奈帆。
スレイン「話がある。姫の身に一大事だ。君の頭脳の力を貸してほしい」
内容を聞けば二人が協力するのに、もはや何の躊躇もなかった。
ーーーーーーーーーそして数か月後、成婚一周年を目前に控えたある日ーーーーーーー
ユキ姉「お願い、うまくいって」
伊奈帆「このプログラムを仮想アルドノアドライブにつなぐぞ」
スレイン「よし、起動!」
成功した。
ーーーーーーー伊奈帆とユキ姉の部屋ーーーーーーーー
の前に、スレインは立っていた。インターホンへの応答に名を告げるとややあって扉が開いた。
伊奈帆「……スレイン・トロイヤード。どうしたんだ」
ちょっとびっくりした顔で尋ねる伊奈帆。
スレイン「話がある。姫の身に一大事だ。君の頭脳の力を貸してほしい」
内容を聞けば二人が協力するのに、もはや何の躊躇もなかった。
ーーーーーーーーーそして数か月後、成婚一周年を目前に控えたある日ーーーーーーー
ユキ姉「お願い、うまくいって」
伊奈帆「このプログラムを仮想アルドノアドライブにつなぐぞ」
スレイン「よし、起動!」
成功した。
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/05(日) 23:41:55.89 ID:aU+fHQfN0
韻子「これ画面が光ってるって成功したってこと!」
スレイン「やったぞ、伊奈帆!」
伊奈帆「すぐに、クランカインに知らせよう!」
腕を組む間もあらばこそ、二人はjrに報告した。
ユキ姉「やったねナオくん! スレインもお疲れ様…」
スレインは頭を丁寧に下げ、答えた。
スレイン「界塚さん、お世話になりました。収容所に戻ってからもご恩は忘れません」
悲壮な表情に界塚ユキは掛ける言葉が見つからない。替わりに弟が声を掛ける。
伊奈帆「逃げるのか。君は出られたのなら人生を全うすべきだ」
スレイン「僕のこれからの人生に意味などあってはならない。
それが、そうやって生ききることが、それで初めて僕は……」
スレインの背負う罪の重さに、今やそのもっとも心中を推し量ることのできる友でさえ。
いや、友になれたからこそ。
……場に漂う重い沈黙を再び破ったのはスレインのほうであった。
スレイン「君こそ、寿命を削ったんじゃないのか。あのアナリティカルエンジンとかいう代物を
わざわざまたこのために頼んで……」
伊奈帆「納期が短いから必要だった、それだけさ。今度こそ本当にもう要らない」
とりなす言葉も互いに多くは必要としなかった。ただ、
スレイン「君の友達のこと」
韻子「オコジョ…のこと?」
伊奈帆「……」
スレイン「本当にすまなかった。殺したくなかった」
スレイン「やったぞ、伊奈帆!」
伊奈帆「すぐに、クランカインに知らせよう!」
腕を組む間もあらばこそ、二人はjrに報告した。
ユキ姉「やったねナオくん! スレインもお疲れ様…」
スレインは頭を丁寧に下げ、答えた。
スレイン「界塚さん、お世話になりました。収容所に戻ってからもご恩は忘れません」
悲壮な表情に界塚ユキは掛ける言葉が見つからない。替わりに弟が声を掛ける。
伊奈帆「逃げるのか。君は出られたのなら人生を全うすべきだ」
スレイン「僕のこれからの人生に意味などあってはならない。
それが、そうやって生ききることが、それで初めて僕は……」
スレインの背負う罪の重さに、今やそのもっとも心中を推し量ることのできる友でさえ。
いや、友になれたからこそ。
……場に漂う重い沈黙を再び破ったのはスレインのほうであった。
スレイン「君こそ、寿命を削ったんじゃないのか。あのアナリティカルエンジンとかいう代物を
わざわざまたこのために頼んで……」
伊奈帆「納期が短いから必要だった、それだけさ。今度こそ本当にもう要らない」
とりなす言葉も互いに多くは必要としなかった。ただ、
スレイン「君の友達のこと」
韻子「オコジョ…のこと?」
伊奈帆「……」
スレイン「本当にすまなかった。殺したくなかった」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/05(日) 23:42:29.55 ID:aU+fHQfN0
どのような罵倒も軽蔑も甘受する心持ちで待つスレインに返答は静かだった。
伊奈帆「箕国起助。この名前を一生覚えていろ。僕から言えるのはそれだけだ、スレイン」
スレイン「……わかった」
伊奈帆「それから、彼を殺したのは君じゃない。手を離してしまった僕だ」
ユキ姉「ナオくん……」
韻子「伊奈帆……」
伊奈帆「僕もたくさん殺した。君を非難などする資格はない。それは独りで考えるべき問題だ」
スレイン「その通りだったな。ありがとう、塀の中から、君たちと姫の幸せを祈ろう」
言いながら、腰を浮かすスレインに
伊奈帆「もう行くのか」
スレイン「ああ、世話になった」
伊奈帆「スレイン」
スレイン「何だ」
伊奈帆「独りで背負いきれなくなったと思う日は電話しろ。君は僕の友達だ」
相変わらず微表情な友にふっとスレインは笑みを返す。
スレイン「そうだな。そうするよ、伊奈帆」
ユキ姉「どうか、健やかにね」
スレイン「ありがとうございます。どうか、お元気で」
片手を上げ去るスレインを一同は見送った。
そっけない割に友思いな男は幼馴染でもその心中は測れないことも多々あるのだが、
韻子「ねえ、伊奈帆。あんたも背負いきれないときはあたしに…打ち明けたっていいんだよ?」
伊奈帆「え。何か言った、韻子」
どうやら相当スレインのことを案じているようだった弟に姉は肘鉄を食らわした。
伊奈帆「箕国起助。この名前を一生覚えていろ。僕から言えるのはそれだけだ、スレイン」
スレイン「……わかった」
伊奈帆「それから、彼を殺したのは君じゃない。手を離してしまった僕だ」
ユキ姉「ナオくん……」
韻子「伊奈帆……」
伊奈帆「僕もたくさん殺した。君を非難などする資格はない。それは独りで考えるべき問題だ」
スレイン「その通りだったな。ありがとう、塀の中から、君たちと姫の幸せを祈ろう」
言いながら、腰を浮かすスレインに
伊奈帆「もう行くのか」
スレイン「ああ、世話になった」
伊奈帆「スレイン」
スレイン「何だ」
伊奈帆「独りで背負いきれなくなったと思う日は電話しろ。君は僕の友達だ」
相変わらず微表情な友にふっとスレインは笑みを返す。
スレイン「そうだな。そうするよ、伊奈帆」
ユキ姉「どうか、健やかにね」
スレイン「ありがとうございます。どうか、お元気で」
片手を上げ去るスレインを一同は見送った。
そっけない割に友思いな男は幼馴染でもその心中は測れないことも多々あるのだが、
韻子「ねえ、伊奈帆。あんたも背負いきれないときはあたしに…打ち明けたっていいんだよ?」
伊奈帆「え。何か言った、韻子」
どうやら相当スレインのことを案じているようだった弟に姉は肘鉄を食らわした。
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/05(日) 23:43:15.00 ID:aU+fHQfN0
後日、盛大な成婚一周年とアルドノア汎用起動技術の確立を祝う式典には、
大勢の火星人と地球人の見物客が押し寄せた。
その中にはもちろん伊奈帆たちもいたのだが、彼らが見ている前でとんでもないことが起こった
。
jr「わたしクランカインは妻アセイラムを婚前不貞のかどにより離縁と罪の追及をいたします」
アセイラム「……!!」
あっと驚く大衆に王室特務の調査結果が続々と報じられる。
スレインとのこと、伊奈帆とのこと。
なかでもスレインの歩んだ道程は、
エデルリッゾから聞き及んでいたことからは想像も及ばない凄絶なもので、
人知れずアセイラムの心を揺さぶっていた。
韻子「伊奈帆、これってマジ……!」
伊奈帆「ああ。現にデューカリオンのアルドノアドライブも再起動したのが証拠だ。
僕は逃げも隠れもしないけど、セラムさんをこんな形で弾劾するなんて……!」
珍しく頬を紅潮させ拳を握りしめる伊奈帆に韻子は複雑なまなざしを向けるが、
同じ女性として、またともに日々を過ごした友人としてもアセイラムをおもんばかって胸が締め
付けられた。
それはエデルリッゾも倍の苦しみである。
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/05(日) 23:44:09.85 ID:aU+fHQfN0
エデルリッゾ「クランカインさま、姫さまにあんまりでございます!
これまで短い間とはいえ、あなたの妻として姫さまは……!」
アセイラム「エデルリッゾ」
この喧噪たる場においてもあたかも静かな卓を囲むように穏やかにたしなめるアセイラムに、
エデルリッゾはこらえきれず涙ながらに告げる。
エデルリッゾ「姫さま、このことはわたくしがクランカインさまにお伝えしたのです……!」
アセイラム「いいのです。気づいていましたよ、あなたは昔から隠し事ができないのですから。
事実そうなのですから、汎用起動技術が確立された今、公表をためらう理由のない
ことでもあります」
なんとか侍女の心痛を取り払いたいという慈しみが柔らかなからかいと共に染み入ってきて、
エデルリッゾはその場にくずおれた。
そっと肩を寄せ、クランカインを見上げ朗々と渡る声で呼びかけるアセイラム。
アセイラム「クランカイン卿。すべてあなたのおっしゃる通りです。
どのような仕置きもお受けいたしましょう」
jr「では、アセイラム。その潔さと王家の血筋に免じて命までは取りません。
しかしそれではわたしも面目が立ちませんから、
一つの見せしめに立ち会うことにします」
アセイラム「見せしめ……?」
怪訝な目を、クランカインが合図した先に向けるとそこにはスレインが連行されていた。
アセイラム「スレイン……!」
スレインは忸怩たる面持ちで姫と目をあわせ、その怒りをクランカインにぶつける。
スレイン「どういうことだ、スランカイン。姫をこんな目に遭わせて……!」
jr「どういうことも何も、命は助けただけで十分じゃないか。
わたしがこの集まった人々の笑いものにされていることに比べれば。
さあ、界塚伊奈帆、いるんだろう! 出てきなさい」
ユキ姉「ナオくん」
伊奈帆「大丈夫、行ってくるよ」
これまで短い間とはいえ、あなたの妻として姫さまは……!」
アセイラム「エデルリッゾ」
この喧噪たる場においてもあたかも静かな卓を囲むように穏やかにたしなめるアセイラムに、
エデルリッゾはこらえきれず涙ながらに告げる。
エデルリッゾ「姫さま、このことはわたくしがクランカインさまにお伝えしたのです……!」
アセイラム「いいのです。気づいていましたよ、あなたは昔から隠し事ができないのですから。
事実そうなのですから、汎用起動技術が確立された今、公表をためらう理由のない
ことでもあります」
なんとか侍女の心痛を取り払いたいという慈しみが柔らかなからかいと共に染み入ってきて、
エデルリッゾはその場にくずおれた。
そっと肩を寄せ、クランカインを見上げ朗々と渡る声で呼びかけるアセイラム。
アセイラム「クランカイン卿。すべてあなたのおっしゃる通りです。
どのような仕置きもお受けいたしましょう」
jr「では、アセイラム。その潔さと王家の血筋に免じて命までは取りません。
しかしそれではわたしも面目が立ちませんから、
一つの見せしめに立ち会うことにします」
アセイラム「見せしめ……?」
怪訝な目を、クランカインが合図した先に向けるとそこにはスレインが連行されていた。
アセイラム「スレイン……!」
スレインは忸怩たる面持ちで姫と目をあわせ、その怒りをクランカインにぶつける。
スレイン「どういうことだ、スランカイン。姫をこんな目に遭わせて……!」
jr「どういうことも何も、命は助けただけで十分じゃないか。
わたしがこの集まった人々の笑いものにされていることに比べれば。
さあ、界塚伊奈帆、いるんだろう! 出てきなさい」
ユキ姉「ナオくん」
伊奈帆「大丈夫、行ってくるよ」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/05(日) 23:44:54.53 ID:aU+fHQfN0
アセイラムと、スレインと、伊奈帆。
運命の舞台はこの三名を役者としてまだ解放してはくれなかった。
jr「今から伊奈帆とスレインでアセイラムを賭けて決闘してもらおう。
アセイラムはこの場で決着がつくまで立ち会うこと。
これでどうでしょうか、お集まりのみなさん」
堂々たる演技かかった呼びかけに困惑に興奮が押し勝った叫びがこだまする。
クランカイン「両名、前へ」
再び面と向かい合う二人。
クランカイン「武器の使用は認めない。決着はどちらかが降参するか意識或は命を失うまで。
手加減等の示し合わせが見受けられた場合は神聖を犯したものとして、
両名を拘束、恩赦なしのバースの旧法によって裁かれることとする」
アセイラム「……!」
アセイラムが言葉を失い立ち尽くすなか、身じろぎもせず、互いの目で全てを二人は確認した。
jr「始め!」
知略も防御もない殴り合いがそこにあった。
数刻を待たずスレインは伊奈帆に打ちのめされ昏倒した。
jr「勝負あり!」
アセイラム「スレイン!」
駆け寄って抱き起こすも朦朧とするスレインをアセイラムは涙ながらに抱き締める。
運命の舞台はこの三名を役者としてまだ解放してはくれなかった。
jr「今から伊奈帆とスレインでアセイラムを賭けて決闘してもらおう。
アセイラムはこの場で決着がつくまで立ち会うこと。
これでどうでしょうか、お集まりのみなさん」
堂々たる演技かかった呼びかけに困惑に興奮が押し勝った叫びがこだまする。
クランカイン「両名、前へ」
再び面と向かい合う二人。
クランカイン「武器の使用は認めない。決着はどちらかが降参するか意識或は命を失うまで。
手加減等の示し合わせが見受けられた場合は神聖を犯したものとして、
両名を拘束、恩赦なしのバースの旧法によって裁かれることとする」
アセイラム「……!」
アセイラムが言葉を失い立ち尽くすなか、身じろぎもせず、互いの目で全てを二人は確認した。
jr「始め!」
知略も防御もない殴り合いがそこにあった。
数刻を待たずスレインは伊奈帆に打ちのめされ昏倒した。
jr「勝負あり!」
アセイラム「スレイン!」
駆け寄って抱き起こすも朦朧とするスレインをアセイラムは涙ながらに抱き締める。
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/05(日) 23:45:31.33 ID:aU+fHQfN0
歓声と悲鳴が混じり合うなか、jrはアセイラムに静かに問うた。
jr「して、アセイラム、どちらを選ぶのだね」
窺うようなアセイラムの目に、まだ荒い息をつく伊奈帆が微笑みと頷きを返した。
もはやためらうことのない自分の気持ちをそのままにアセイラムは言葉を紡いだ。
アセイラム「……スレインです。スレイン・トロイヤード。
わたしは願わくばこの人と添い遂げたい」
エデルリッゾ「姫さま……っ!」
祝福の怒号が広場を揺るがすなか、伊奈帆は静かに背を向け歩みだした。韻子が迎える。
韻子「伊奈帆。ひどい顔」
クスリと笑い、返す伊奈帆。
伊奈帆「ああ、あいつ本当に手加減しなかった」
口腔の裂傷に後半もごりながらもその目は晴れ晴れとしていた。
韻子「あんたもでしょ」
伊奈帆「ああ。本当に手加減しなかったよ」
ユキ姉「惜しかったなあ。ナオくんが負けてたらアセイラム姫はナオくんを選んでたのに」
伊奈帆「いや。出来レースだったよ、決着以外は」
億劫そうに答える伊奈帆に容赦なく問いかけ続けるユキ姉。
ユキ姉「出来レース?」
伊奈帆「調査報告の内容さ。
スレインがあんな困難を越えてきたことを僕は知らなかった。
今度会うときは僕のほうから詫びねばならないほどにね。それは恐らく――、
セラムさんへの想いを持ち続けてきたからそういう目に遭って越えてきたのだろうし、
きっとセラムさんにもやっと届いたのだと思う」
静かに、自らを確かめるように説明する弟に、
ユキ姉「そっか」
静かに微笑む姉であったが、背後でひときわ大きな歓声が上がったのにちらりと振り向く。
韻子「何かしら…」
ユキ姉「さあ…」
どうやら悪いニュースでもなさそうだと一同はその場を後にしたのだが。
jr「して、アセイラム、どちらを選ぶのだね」
窺うようなアセイラムの目に、まだ荒い息をつく伊奈帆が微笑みと頷きを返した。
もはやためらうことのない自分の気持ちをそのままにアセイラムは言葉を紡いだ。
アセイラム「……スレインです。スレイン・トロイヤード。
わたしは願わくばこの人と添い遂げたい」
エデルリッゾ「姫さま……っ!」
祝福の怒号が広場を揺るがすなか、伊奈帆は静かに背を向け歩みだした。韻子が迎える。
韻子「伊奈帆。ひどい顔」
クスリと笑い、返す伊奈帆。
伊奈帆「ああ、あいつ本当に手加減しなかった」
口腔の裂傷に後半もごりながらもその目は晴れ晴れとしていた。
韻子「あんたもでしょ」
伊奈帆「ああ。本当に手加減しなかったよ」
ユキ姉「惜しかったなあ。ナオくんが負けてたらアセイラム姫はナオくんを選んでたのに」
伊奈帆「いや。出来レースだったよ、決着以外は」
億劫そうに答える伊奈帆に容赦なく問いかけ続けるユキ姉。
ユキ姉「出来レース?」
伊奈帆「調査報告の内容さ。
スレインがあんな困難を越えてきたことを僕は知らなかった。
今度会うときは僕のほうから詫びねばならないほどにね。それは恐らく――、
セラムさんへの想いを持ち続けてきたからそういう目に遭って越えてきたのだろうし、
きっとセラムさんにもやっと届いたのだと思う」
静かに、自らを確かめるように説明する弟に、
ユキ姉「そっか」
静かに微笑む姉であったが、背後でひときわ大きな歓声が上がったのにちらりと振り向く。
韻子「何かしら…」
ユキ姉「さあ…」
どうやら悪いニュースでもなさそうだと一同はその場を後にしたのだが。
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/05(日) 23:46:06.47 ID:aU+fHQfN0
翌日の新聞各社の一面はアセイラムに付き添われながら搬送されるスレインと、
韻子とハイタッチを交わす伊奈帆の写真と、
もう一つの目玉があった。
エデルリッゾ「姫さま……っ!」
アセイラム「エデルリッゾ。わたしはもう姫でも何者でもないのです。
スランカイン卿、どうかエデルリッゾのことは――」
大きく頷くjrはこう静かに続けた。
jr「あなたの言う通りです、アセイラム。
これからあなたはただの女として自分の幸せのために生きてください」
アセイラム「ありがとう。そしてごめんなさい」
謝罪を受け取り、ゆるりとエデルリッゾに向きなおる。
jr「エデルリッゾ」
エデルリッゾ「は、はい」
jr「どうか、このわたしと結婚してください」
エデルリッゾ「え、え…?」
アセイラム「まあ…」
一同が驚くなか、大柄が男がひざまずき、自分と同じ目線で求愛している。
jr「一目見たときからあなたに惹かれていました。
特務の調査報告であなたのことを耳にするたび、
姫への忠義に心打たれ、敬愛の念が堪えぬ次第です」
韻子とハイタッチを交わす伊奈帆の写真と、
もう一つの目玉があった。
エデルリッゾ「姫さま……っ!」
アセイラム「エデルリッゾ。わたしはもう姫でも何者でもないのです。
スランカイン卿、どうかエデルリッゾのことは――」
大きく頷くjrはこう静かに続けた。
jr「あなたの言う通りです、アセイラム。
これからあなたはただの女として自分の幸せのために生きてください」
アセイラム「ありがとう。そしてごめんなさい」
謝罪を受け取り、ゆるりとエデルリッゾに向きなおる。
jr「エデルリッゾ」
エデルリッゾ「は、はい」
jr「どうか、このわたしと結婚してください」
エデルリッゾ「え、え…?」
アセイラム「まあ…」
一同が驚くなか、大柄が男がひざまずき、自分と同じ目線で求愛している。
jr「一目見たときからあなたに惹かれていました。
特務の調査報告であなたのことを耳にするたび、
姫への忠義に心打たれ、敬愛の念が堪えぬ次第です」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/05(日) 23:46:52.46 ID:aU+fHQfN0
エデルリッゾ「あ、あのそんな、わたくしはまだ…血筋も…」
jr「年の差など法律を変えてどうとでもいたします。
アルドノアの起動権が王家の血に限らぬものとなった今、
それを適切に管理する機関をわたしは立ち上げ、
バースの象徴としての王家を新たにレムリナ姫殿下が継がれる手はずになっています。
あなたのアセイラム姫にささげた忠愛に負けぬほどにあなたを大切にいたします。
わたしがお嫌いですか?」
助けを求める目をアセイラムに向けるエデルリッゾであったが、
アセイラム「エデルリッゾ。応であれ否であれ、ただ正直な気持ちを答えるのです」
エデルリッゾ「えっと好きとか嫌いかなんてわたくしはまだ…」
jr「嗚呼、今日は我が最期の日か! よもや二人の女性に踵を返されるとは!」
両腕を天に掲げ悲痛に吠える男に観衆がどよめきと笑い声と野次を飛ばす。
エデルリッゾ「ああもう、わかりました! 不束者ですが、よろしくお願いいたします!!」
ついに引っ込みのつかなくなったエデルリッゾがそう応えるや否やその小さな体は、
片腕に掲げ上げられ肩にのせられる。
jr「ここなる皆様が証人。わたしクランカインはエデルリッゾを妻といたし、
レムリナ姫殿下の御威光のもと、
今後ますますアルドノアの輝きを皆様に届けため力を尽くすことをここに誓います!」
掛け値なしに歓喜の名乗り声に本日最大の群集の万歳唱和にスレインの意識が呼び戻される。
その眼に最初に飛び込んだものは、
アセイラム「スレイン! よかった……」
懐かしい笑顔と自らの頬に落ちてくる大粒の涙。
伊奈帆との勝負の結果はどうあれ確かにスレインに永年得ることのなかった安堵をもたらした。
いたわるようなアセイラムの腕に優しく包まれ頭を上げると、
jr「タルシスのアルドノアドライブをここへ」
jr「年の差など法律を変えてどうとでもいたします。
アルドノアの起動権が王家の血に限らぬものとなった今、
それを適切に管理する機関をわたしは立ち上げ、
バースの象徴としての王家を新たにレムリナ姫殿下が継がれる手はずになっています。
あなたのアセイラム姫にささげた忠愛に負けぬほどにあなたを大切にいたします。
わたしがお嫌いですか?」
助けを求める目をアセイラムに向けるエデルリッゾであったが、
アセイラム「エデルリッゾ。応であれ否であれ、ただ正直な気持ちを答えるのです」
エデルリッゾ「えっと好きとか嫌いかなんてわたくしはまだ…」
jr「嗚呼、今日は我が最期の日か! よもや二人の女性に踵を返されるとは!」
両腕を天に掲げ悲痛に吠える男に観衆がどよめきと笑い声と野次を飛ばす。
エデルリッゾ「ああもう、わかりました! 不束者ですが、よろしくお願いいたします!!」
ついに引っ込みのつかなくなったエデルリッゾがそう応えるや否やその小さな体は、
片腕に掲げ上げられ肩にのせられる。
jr「ここなる皆様が証人。わたしクランカインはエデルリッゾを妻といたし、
レムリナ姫殿下の御威光のもと、
今後ますますアルドノアの輝きを皆様に届けため力を尽くすことをここに誓います!」
掛け値なしに歓喜の名乗り声に本日最大の群集の万歳唱和にスレインの意識が呼び戻される。
その眼に最初に飛び込んだものは、
アセイラム「スレイン! よかった……」
懐かしい笑顔と自らの頬に落ちてくる大粒の涙。
伊奈帆との勝負の結果はどうあれ確かにスレインに永年得ることのなかった安堵をもたらした。
いたわるようなアセイラムの腕に優しく包まれ頭を上げると、
jr「タルシスのアルドノアドライブをここへ」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/05(日) 23:47:22.88 ID:aU+fHQfN0
運ばれてきた物体にjrは掌を当てながら説明する。
jr「スレイン。
君が地球に落ちてきたあと回収されたタルシスは損傷が激しかったが、
アルドノアドライブだけは無事だったのでね」
何を言いたいのかわからぬアセイラムとスレインに続けるjr。
jr「まだこのアルドノアドライブには君が開発した汎用技術を適用していない。
つまり――アルドノアドライブ、起動!」
何の変化も起こらない。
jr「このとおり、わたしには起動させることができないんだ」
悪戯っぽくウインクするjrにようやく二人はこの男の真意を見た気がした。
エデルリッゾにはわからなかった。
クルーテオが息子、クランカイン。
愛に生き、誇り高き男であった。
なお韻子と伊奈帆のあいだに生まれた娘と、アセイラムとスレインのあいだに生まれた息子が、
また一騒動起こすことになるのだが、それは話外のことである。
終わり
jr「スレイン。
君が地球に落ちてきたあと回収されたタルシスは損傷が激しかったが、
アルドノアドライブだけは無事だったのでね」
何を言いたいのかわからぬアセイラムとスレインに続けるjr。
jr「まだこのアルドノアドライブには君が開発した汎用技術を適用していない。
つまり――アルドノアドライブ、起動!」
何の変化も起こらない。
jr「このとおり、わたしには起動させることができないんだ」
悪戯っぽくウインクするjrにようやく二人はこの男の真意を見た気がした。
エデルリッゾにはわからなかった。
クルーテオが息子、クランカイン。
愛に生き、誇り高き男であった。
なお韻子と伊奈帆のあいだに生まれた娘と、アセイラムとスレインのあいだに生まれた息子が、
また一騒動起こすことになるのだが、それは話外のことである。
終わり
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/06(月) 02:09:18.16 ID:ncujyQWNO
おつ
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/06(月) 10:15:17.40 ID:PxrERFR2O
タルシスは旧型のアルドノアドライブ扱いなのか
ジェネシックタルシスとか出てきそう
ジェネシックタルシスとか出てきそう
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/06(月) 22:04:49.87 ID:QQp0ScrnO
起動できない
つまりヤってないよ!ってこと?
つまりヤってないよ!ってこと?
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428244655/
Entry ⇒ 2015.04.14 | Category ⇒ アルドノア・ゼロ | Comments (0)
ユキ「弟の目」
1: ◆/BueNLs5lw 2015/02/02(月) 01:12:34.12 ID:TnuISCjd0
前作↓
伊奈帆「姉の腕」
伊奈帆「姉の腕」2
姉弟 たぶんエロ 16話までのネタバレ
「何が、しばらくよ……しばらくにも程がある」
とユキは思うものの、もちろん弟のせいではない。
「あなたが怒ってるのって、だいたい伊奈帆のことでよね」
隣を歩いていたライエが言った。
久々に会った彼女は、以前よりも落ち着いていた。
成長したのか。
感慨深いものをユキは感じつつ、頬を膨らませる。
「怒ってないわ、別に」
「素っ気ない挨拶に腹が立っているんでしょ」
ライエを見る。
穏やかな瞳で、口の端を少し斜めに上げていた。
「ライエちゃん……」
「あははッ……変わらないわね」
「大人をからかうものじゃないわ」
「ごめんなさい」
嫌味のない笑みを浮かべる。自らの意思でこの船に残った彼ら。
自分ができるのは補給の間だけの護衛くらいで。
何を言っても聞かない彼らに、心中穏やかではない。
「あの子、何考えてるのかな」
「本心は墓場まで持っていきそうよね」
「小さい頃はだいたい顔を見たら何を考えてるのか分かったのに……」
「それっていつくらい?」
「身長がこのくらいだった時かな?」
手のひらをライエのお腹辺りの位置に止める。
「可愛かった頃?」
「そう、可愛かった頃」
足音。
ユキは振り向いた。
「今は可愛くないってこと?」
伊奈帆が立っていた。
伊奈帆「姉の腕」
伊奈帆「姉の腕」2
姉弟 たぶんエロ 16話までのネタバレ
「何が、しばらくよ……しばらくにも程がある」
とユキは思うものの、もちろん弟のせいではない。
「あなたが怒ってるのって、だいたい伊奈帆のことでよね」
隣を歩いていたライエが言った。
久々に会った彼女は、以前よりも落ち着いていた。
成長したのか。
感慨深いものをユキは感じつつ、頬を膨らませる。
「怒ってないわ、別に」
「素っ気ない挨拶に腹が立っているんでしょ」
ライエを見る。
穏やかな瞳で、口の端を少し斜めに上げていた。
「ライエちゃん……」
「あははッ……変わらないわね」
「大人をからかうものじゃないわ」
「ごめんなさい」
嫌味のない笑みを浮かべる。自らの意思でこの船に残った彼ら。
自分ができるのは補給の間だけの護衛くらいで。
何を言っても聞かない彼らに、心中穏やかではない。
「あの子、何考えてるのかな」
「本心は墓場まで持っていきそうよね」
「小さい頃はだいたい顔を見たら何を考えてるのか分かったのに……」
「それっていつくらい?」
「身長がこのくらいだった時かな?」
手のひらをライエのお腹辺りの位置に止める。
「可愛かった頃?」
「そう、可愛かった頃」
足音。
ユキは振り向いた。
「今は可愛くないってこと?」
伊奈帆が立っていた。
2: ◆/BueNLs5lw 2015/02/02(月) 01:32:01.27 ID:TnuISCjd0
急に用事を思い出したと言ってライエは去っていった。
ユキはやや居心地の悪さを覚えていたが、久しぶりの弟に感極まって無意識の内に抱擁していた。
「ユキ姉、苦しい」
「ちょっとだけいいじゃない」
先程まで、文句を言ってやろうかと思っていたのに、会ってしまうとやはり自分は弟には甘いようだった。
されるがままなのは、嬉しく感じていると取っていいのだろうか。
「ここでの生活は慣れた?」
身体を離す。
「それは私の台詞。私は鞠戸大尉もいるしね。体の方はどう?」
伊奈帆の瞳が動く。
「生活には支障ないね。戦闘では問題がないわけではいけど、調整していく予定かな」
ユキは弟の瞼の上に触れる。
自分の右手が震え始めたのに気がつき、さっと後ろ手に回した。
「ユキ姉? 大丈夫?」
「ええ……」
代われるものなら、自分がと何度思ったか。
そんな姉の心配を他所に、意識が戻った途端、すぐ自分の義眼の微調整に取り掛かるのだから、我が弟は本当に人間なのかと時たま疑ってしまう。
ユキはやや居心地の悪さを覚えていたが、久しぶりの弟に感極まって無意識の内に抱擁していた。
「ユキ姉、苦しい」
「ちょっとだけいいじゃない」
先程まで、文句を言ってやろうかと思っていたのに、会ってしまうとやはり自分は弟には甘いようだった。
されるがままなのは、嬉しく感じていると取っていいのだろうか。
「ここでの生活は慣れた?」
身体を離す。
「それは私の台詞。私は鞠戸大尉もいるしね。体の方はどう?」
伊奈帆の瞳が動く。
「生活には支障ないね。戦闘では問題がないわけではいけど、調整していく予定かな」
ユキは弟の瞼の上に触れる。
自分の右手が震え始めたのに気がつき、さっと後ろ手に回した。
「ユキ姉? 大丈夫?」
「ええ……」
代われるものなら、自分がと何度思ったか。
そんな姉の心配を他所に、意識が戻った途端、すぐ自分の義眼の微調整に取り掛かるのだから、我が弟は本当に人間なのかと時たま疑ってしまう。
3: ◆/BueNLs5lw 2015/02/02(月) 01:55:14.21 ID:TnuISCjd0
「なお君は疲れとか溜まってない?」
「まあ、多少はね」
「お休みとか取れないの?」
「それ、冗談?」
「む、なお君ちゃんと休んでるの?」
「休んでるよ。ちなみに、ユキ姉」
「なに?」
伊奈帆はユキの腕を掴む。
「少し痩せた?」
「あ、わかる? そうなの、そうなの」
「それに、ちょっと貧血気味」
「そこまで分かるの?」
「数値的にはね。それと、血圧・血糖値が少し上昇してる。β-エンドルフィンの分泌が活性化してきてるね」
ユキは咄嗟に、伊奈帆の目に手のひらを押し当てた。
「こらッ、勝手に覗かないの!」
「ユキ姉」
「な、なに?」
「ボクに会えて、嬉しかった?」
「……そんなの言わなくても、なお君は分かるんでしょ」
彼は、ユキの手を掴み、自分の唇に押し当てる。
「まあ、多少はね」
「お休みとか取れないの?」
「それ、冗談?」
「む、なお君ちゃんと休んでるの?」
「休んでるよ。ちなみに、ユキ姉」
「なに?」
伊奈帆はユキの腕を掴む。
「少し痩せた?」
「あ、わかる? そうなの、そうなの」
「それに、ちょっと貧血気味」
「そこまで分かるの?」
「数値的にはね。それと、血圧・血糖値が少し上昇してる。β-エンドルフィンの分泌が活性化してきてるね」
ユキは咄嗟に、伊奈帆の目に手のひらを押し当てた。
「こらッ、勝手に覗かないの!」
「ユキ姉」
「な、なに?」
「ボクに会えて、嬉しかった?」
「……そんなの言わなくても、なお君は分かるんでしょ」
彼は、ユキの手を掴み、自分の唇に押し当てる。
4: ◆/BueNLs5lw 2015/02/02(月) 02:13:24.60 ID:TnuISCjd0
ユキは羞恥から、手をさっと引いた。
「言わなきゃ、分からないよ」
「う、嬉しいもん、すごく嬉しいもん! 言わされなくても、嬉しいんだから!」
彼は多少分かりやすく微笑んだ。
「そう」
「なお君は、心配性なんだから」
「それは、ユキ姉の方。ずいぶん、走り回ったみたいだね」
「げ……知ってたの」
「情報はどこからでも入ってくるからね」
「鞠戸大尉かなあ?」
ユキは首を捻る。
「彼とは上手くやってる?」
「そりゃもう腐れ縁ですから。そうそう、この間の戦闘では世話になったなって伝えてって」
「ああ。あれは、ユキ姉を助けようとしたら、偶然鞠戸大尉がいた、と言った方が正しいかな」
「……そんなこと言わないの」
「冗談だよ」
「今ではけっこう戦闘とかもこなされてるんだから」
「彼は、船に乗ると思っていたんだけどね。まさか、ユキ姉と同じ所に配属になるなんて」
「言わなきゃ、分からないよ」
「う、嬉しいもん、すごく嬉しいもん! 言わされなくても、嬉しいんだから!」
彼は多少分かりやすく微笑んだ。
「そう」
「なお君は、心配性なんだから」
「それは、ユキ姉の方。ずいぶん、走り回ったみたいだね」
「げ……知ってたの」
「情報はどこからでも入ってくるからね」
「鞠戸大尉かなあ?」
ユキは首を捻る。
「彼とは上手くやってる?」
「そりゃもう腐れ縁ですから。そうそう、この間の戦闘では世話になったなって伝えてって」
「ああ。あれは、ユキ姉を助けようとしたら、偶然鞠戸大尉がいた、と言った方が正しいかな」
「……そんなこと言わないの」
「冗談だよ」
「今ではけっこう戦闘とかもこなされてるんだから」
「彼は、船に乗ると思っていたんだけどね。まさか、ユキ姉と同じ所に配属になるなんて」
5: ◆/BueNLs5lw 2015/02/02(月) 02:22:54.10 ID:TnuISCjd0
「大尉がいた方が、なお君も安心でしょ?」
間。
「……うん、そうだね」
「なお君?」
と、彼は足を止めた。
「どうしたの?」
「ボクの部屋に着いた」
「え? あ」
「どうするの?」
「他にも挨拶したい人がいるから……これで」
踵を返そうとして、ユキは伊奈帆に腕を掴まれていた。
間。
「……うん、そうだね」
「なお君?」
と、彼は足を止めた。
「どうしたの?」
「ボクの部屋に着いた」
「え? あ」
「どうするの?」
「他にも挨拶したい人がいるから……これで」
踵を返そうとして、ユキは伊奈帆に腕を掴まれていた。
6: ◆/BueNLs5lw 2015/02/02(月) 02:23:41.67 ID:TnuISCjd0
眠いのでここまで
明後日くらいまでには終わります
明後日くらいまでには終わります
8: ◆/BueNLs5lw 2015/02/02(月) 21:48:20.15 ID:TnuISCjd0
「そうじゃない。わかるよね」
「なお君……ダメなの」
「ユキ姉は諦めてるかもしれないけど、僕は違う」
彼は、自分勝手で、傲慢な少年らしい眼差しを向ける。
ユキは目を伏せた。
俯いたまま、言うべき言葉を言った。
「聞いて、私……大尉と付き合うことに」
二人闇に落ちるよりも、この方がきっと幸せだろう。
「……」
沈黙。
耳を澄ますと、微かに、本当に微かに電子音が聞こえた。
キュイン―
「嘘はついてないんだ」
「あなたに嘘なんて言う訳ないじゃない」
もしかしたら、あの目でそんなことまで分かるのか。
「もう、寝たの?」
「寝たって……か、関係ないでしょ。なお君にはっ」
「寝たんだ」
「なおく……っ!?」
伊奈帆が両腕を拘束しながら、ユキを部屋の扉に押し付ける。
ユキは壁際に背中を打ち付け、顔を歪ませた。
「なお君……ダメなの」
「ユキ姉は諦めてるかもしれないけど、僕は違う」
彼は、自分勝手で、傲慢な少年らしい眼差しを向ける。
ユキは目を伏せた。
俯いたまま、言うべき言葉を言った。
「聞いて、私……大尉と付き合うことに」
二人闇に落ちるよりも、この方がきっと幸せだろう。
「……」
沈黙。
耳を澄ますと、微かに、本当に微かに電子音が聞こえた。
キュイン―
「嘘はついてないんだ」
「あなたに嘘なんて言う訳ないじゃない」
もしかしたら、あの目でそんなことまで分かるのか。
「もう、寝たの?」
「寝たって……か、関係ないでしょ。なお君にはっ」
「寝たんだ」
「なおく……っ!?」
伊奈帆が両腕を拘束しながら、ユキを部屋の扉に押し付ける。
ユキは壁際に背中を打ち付け、顔を歪ませた。
9: ◆/BueNLs5lw 2015/02/02(月) 22:02:36.76 ID:TnuISCjd0
「それだけは聞きたくなかった」
耳の傍でロック解除音が聞こえた。
気が付くと、ユキは彼の部屋に倒れ込んでいた。
「っ……いたっ」
背中をさすりながら見上げると、ゆっくりと扉が閉まっていくのが見えた。
「な、なお君!!」
締まり切る前に見えた彼の横顔。
ほんの一瞬で、見えなくなってしまう。
ユキはすぐに、扉を叩いた。
「何するの!?」
声はない。
内側からは開かない。
このアームで無理やりこじ開けるべきか。
「……っ」
しかし、扉を開けて弟になんと言えばいい。
自分のことは諦めて、と伝えればいいのか。
賢い彼が、こんなにも感情をむき出しているのに。
「……私は逃げてるだけなのかな」
耳の傍でロック解除音が聞こえた。
気が付くと、ユキは彼の部屋に倒れ込んでいた。
「っ……いたっ」
背中をさすりながら見上げると、ゆっくりと扉が閉まっていくのが見えた。
「な、なお君!!」
締まり切る前に見えた彼の横顔。
ほんの一瞬で、見えなくなってしまう。
ユキはすぐに、扉を叩いた。
「何するの!?」
声はない。
内側からは開かない。
このアームで無理やりこじ開けるべきか。
「……っ」
しかし、扉を開けて弟になんと言えばいい。
自分のことは諦めて、と伝えればいいのか。
賢い彼が、こんなにも感情をむき出しているのに。
「……私は逃げてるだけなのかな」
10: ◆/BueNLs5lw 2015/02/02(月) 22:17:07.00 ID:TnuISCjd0
彼とそういった行為をしたのは、ごく最近のことだった。
本当は、そんなつもりはなかったのだ。
付き合うことに決めただけで、返事はまだしていない。
ただ、酔った彼の弱々しさに哀れを誘われて。
彼の体はとても逞しかった。
ただ、心は余りにも繊細で。
気持ちが良かったのか、と問われるとそうではない。
話に聞いていたよりも随分と痛みが伴った。
興奮する彼の下で、ただ唇を噛み締めて、シーツを握りしめていた。
とさり、とユキは地べたに横座りになった。
見ようによっては都合のいい関係だ。
傷を慰め合う。
大尉は違うのかもしれないが。
けれど、不純だ。
どこを切り取っても、伊奈帆――弟にとっては。
身勝手な姉に、愛想を尽かしてくれれば、それでもいい。
どうしたって、愛し合えないのだから。
どうしたらいいのかなんて、考えなくてもわかるではないか。
本当は、そんなつもりはなかったのだ。
付き合うことに決めただけで、返事はまだしていない。
ただ、酔った彼の弱々しさに哀れを誘われて。
彼の体はとても逞しかった。
ただ、心は余りにも繊細で。
気持ちが良かったのか、と問われるとそうではない。
話に聞いていたよりも随分と痛みが伴った。
興奮する彼の下で、ただ唇を噛み締めて、シーツを握りしめていた。
とさり、とユキは地べたに横座りになった。
見ようによっては都合のいい関係だ。
傷を慰め合う。
大尉は違うのかもしれないが。
けれど、不純だ。
どこを切り取っても、伊奈帆――弟にとっては。
身勝手な姉に、愛想を尽かしてくれれば、それでもいい。
どうしたって、愛し合えないのだから。
どうしたらいいのかなんて、考えなくてもわかるではないか。
11: ◆/BueNLs5lw 2015/02/02(月) 22:59:38.12 ID:TnuISCjd0
「……バカみたい」
どうして、自分の守りたい人間は、
みな渦中に飛び込もうとするのだろう。
伊奈帆が怪我をせず、平穏に暮らせる。
そんな世界は今やどこを探しても存在しない。
ならば、せめて前線から身を引いて欲しい。
ため息。
彼にだって、ここ最近で沢山の出会いがあった。
それが彼を戦場へと向かわせているのか。
ユキは立ち上がる。
見回すと、様々な計算式が書かれたメモが何枚も散らばっていた。
用紙の罫線を無視してもなお、一つの証明が美しく成り立っている。
弟の頭の中はたぶんこんな感じなのだ。
ベッドへと視線を転じる。
姉弟で、半サイボーグの仲間入り。
ユキはベッドへ寝転がった。
ふて寝してやろう。
閉じ込めるなら、逆にテコでも動かない。
いずれ、誰かが見つけるだろうし。
カサリと、頭の下で何かが擦れた。
「?」
ピンク色の付箋。
半分以上血糊がついている。
ユキはそれをつまみ上げる。
映像がフラッシュバックする。
身体が震えた。
両腕で自分を抱きしめた。
どうして、自分の守りたい人間は、
みな渦中に飛び込もうとするのだろう。
伊奈帆が怪我をせず、平穏に暮らせる。
そんな世界は今やどこを探しても存在しない。
ならば、せめて前線から身を引いて欲しい。
ため息。
彼にだって、ここ最近で沢山の出会いがあった。
それが彼を戦場へと向かわせているのか。
ユキは立ち上がる。
見回すと、様々な計算式が書かれたメモが何枚も散らばっていた。
用紙の罫線を無視してもなお、一つの証明が美しく成り立っている。
弟の頭の中はたぶんこんな感じなのだ。
ベッドへと視線を転じる。
姉弟で、半サイボーグの仲間入り。
ユキはベッドへ寝転がった。
ふて寝してやろう。
閉じ込めるなら、逆にテコでも動かない。
いずれ、誰かが見つけるだろうし。
カサリと、頭の下で何かが擦れた。
「?」
ピンク色の付箋。
半分以上血糊がついている。
ユキはそれをつまみ上げる。
映像がフラッシュバックする。
身体が震えた。
両腕で自分を抱きしめた。
14: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 14:33:16.10 ID:Cf4TFCOi0
『なお君、ガンバだよ!』
頑張り過ぎなくて良かったのに。こんな結末誰も望んでいなかった。
自宅の朝食の風景がさっと脳裏をかすめる。寝坊する姉の代わりに、いつも温かいご飯を用意してくれた。
戦争が急激な変化をもたらした。彼はもう姉のために朝食を用意することはない。
伊奈帆が血を流して倒れている映像に引き戻される。
目を閉じて、ユキはベッドに身を委ねる。
伊奈帆の匂いが、やたら落ち着く。
大尉とは違う。
家の匂い。
好き。
「……やだなあ」
自己嫌悪。
初めから、分かっていたのに。
不誠実なことを想ってしまう。
最初から大好きなのは分かっていた。
諦められるわけがないのに。
諦めさせて欲しいのに。
どうして、彼は離してくれないのか。
あの日、両親が亡くなり、
あの子を守らなくてはと思った。
二人で生きていこうと思った。
それが、間違いだった。
頑張り過ぎなくて良かったのに。こんな結末誰も望んでいなかった。
自宅の朝食の風景がさっと脳裏をかすめる。寝坊する姉の代わりに、いつも温かいご飯を用意してくれた。
戦争が急激な変化をもたらした。彼はもう姉のために朝食を用意することはない。
伊奈帆が血を流して倒れている映像に引き戻される。
目を閉じて、ユキはベッドに身を委ねる。
伊奈帆の匂いが、やたら落ち着く。
大尉とは違う。
家の匂い。
好き。
「……やだなあ」
自己嫌悪。
初めから、分かっていたのに。
不誠実なことを想ってしまう。
最初から大好きなのは分かっていた。
諦められるわけがないのに。
諦めさせて欲しいのに。
どうして、彼は離してくれないのか。
あの日、両親が亡くなり、
あの子を守らなくてはと思った。
二人で生きていこうと思った。
それが、間違いだった。
15: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 14:46:00.28 ID:Cf4TFCOi0
彼の好意に浸っていた。
まだ大丈夫と。
その先へと、近づきながら。
プルル――
「……鞠戸大尉」
ピッ
「なんでしょうか?」
『どこにいるんだ?』
「艦内にいます。弟の部屋です」
『買い出し行くから、頭数揃えてたんだが……姉弟水入らずのとこ邪魔したな』
「いえ、いつ出られますか?」
『30分後。来れそうなら、南ゲートへ集合してくれ』
「了解です」
『じゃ』
ピッ
ユキは立ち上がり、もう一度部屋の扉を叩いた。
「なお君? いないの?」
返事がない代わりに、扉が開いた。
まだ大丈夫と。
その先へと、近づきながら。
プルル――
「……鞠戸大尉」
ピッ
「なんでしょうか?」
『どこにいるんだ?』
「艦内にいます。弟の部屋です」
『買い出し行くから、頭数揃えてたんだが……姉弟水入らずのとこ邪魔したな』
「いえ、いつ出られますか?」
『30分後。来れそうなら、南ゲートへ集合してくれ』
「了解です」
『じゃ』
ピッ
ユキは立ち上がり、もう一度部屋の扉を叩いた。
「なお君? いないの?」
返事がない代わりに、扉が開いた。
16: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 15:31:01.29 ID:Cf4TFCOi0
そこにいたのは、耶賀頼先生だった。
「耶賀頼先生……どうされたんですか?」
「弟くんに用があったんですが……いや、今は界塚少尉でしたか」
「弟は今、外出中でして……」
「そうですか。目のことで少しお話があったのですが。准尉も腕の調子はどうですか?」
「え、ええ大丈夫です」
「何かあれば教えてください」
「ありがとうございます」
「でも、おかしいな……」
「どうされたんです?」
「今朝……調整について話があるから昼頃に医務室に伺うと聞いていたのですが……」
「あ……」
たぶん、私のせいかもしれない。
「私、ちょっと探してきますね」
「あ、かまいませんよ」
「いえ、弟の不手際です。ごめんなさい」
ユキは一礼して、その場を走り去った。
「耶賀頼先生……どうされたんですか?」
「弟くんに用があったんですが……いや、今は界塚少尉でしたか」
「弟は今、外出中でして……」
「そうですか。目のことで少しお話があったのですが。准尉も腕の調子はどうですか?」
「え、ええ大丈夫です」
「何かあれば教えてください」
「ありがとうございます」
「でも、おかしいな……」
「どうされたんです?」
「今朝……調整について話があるから昼頃に医務室に伺うと聞いていたのですが……」
「あ……」
たぶん、私のせいかもしれない。
「私、ちょっと探してきますね」
「あ、かまいませんよ」
「いえ、弟の不手際です。ごめんなさい」
ユキは一礼して、その場を走り去った。
17: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 15:58:08.87 ID:Cf4TFCOi0
途中、カームに会った。
彼は格納庫で伊奈帆を見かけたと教えてくれた。
他にも何人かの整備士達がいて、
専門用語を用いて、たぶんデューカリオンのエンジンについて話ながら歩き去っていった。
休憩時間だろうか。
ユキは足早に向かう。
格納庫は静まり返っていた。
数名の整備士がちょこまかと動き回っている。
だだ広い空間に、やや途方に暮れつつ、ユキは弟の名前を呼んだ。
「なおくーん……?」
遠くにいた男性が振り返ってこちらを見ていたが、
すぐに作業に戻った。
「どこにいるの……」
ゴウン―と音が鳴った。
見上げると、オレンジの機体――KG-6 スレイプニール――の傍のリフトが作動していた。
人が2人程乗れるくらいの小さなリフトの上に、伊奈帆が立っていた。
「なお君!」
彼は格納庫で伊奈帆を見かけたと教えてくれた。
他にも何人かの整備士達がいて、
専門用語を用いて、たぶんデューカリオンのエンジンについて話ながら歩き去っていった。
休憩時間だろうか。
ユキは足早に向かう。
格納庫は静まり返っていた。
数名の整備士がちょこまかと動き回っている。
だだ広い空間に、やや途方に暮れつつ、ユキは弟の名前を呼んだ。
「なおくーん……?」
遠くにいた男性が振り返ってこちらを見ていたが、
すぐに作業に戻った。
「どこにいるの……」
ゴウン―と音が鳴った。
見上げると、オレンジの機体――KG-6 スレイプニール――の傍のリフトが作動していた。
人が2人程乗れるくらいの小さなリフトの上に、伊奈帆が立っていた。
「なお君!」
18: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 16:16:29.10 ID:Cf4TFCOi0
声が格納庫に響く。
彼に届いていないはずはないが、伊奈帆はそのままコクピットへ搭乗していった。
「なによお……ッ」
その態度に少し腹立ち、彼女は地団駄を踏む。
ユキは反対側のリフトに乗り込み、彼の後を追った。
コクピットの位置で止めて、機体を左手で叩いた。
「もしもし? 開けてもらえるかしら?」
重厚な音を立てて、入口が開かれる。
弟が、いつもの怒っているのか真顔なのかよくわからない表情でこちらを見ていた。
「出られたんだ」
「耶賀頼先生が開けてくれましたけど!」
「……あ」
「忘れてたでしょッ。私のことは困らせてもいいけど、他の人に迷惑をかけるのはダメだからね」
「ごめん。後で謝っておくよ」
それから、すぐに備え付けられたインジケーターの一つに視線を移した。
機体とエンジンの冷却システムに異常が見られたのがユキにも分かった。
大気圏突入の時に何かトラブルでもあったのか。
また、無理をしたのか。それも、計算上の。
「ユキ姉、何か用?」
こちらを見ずに伊奈帆。
「用があったのは、なお君じゃなかったの」
「いいよ、もう」
彼に届いていないはずはないが、伊奈帆はそのままコクピットへ搭乗していった。
「なによお……ッ」
その態度に少し腹立ち、彼女は地団駄を踏む。
ユキは反対側のリフトに乗り込み、彼の後を追った。
コクピットの位置で止めて、機体を左手で叩いた。
「もしもし? 開けてもらえるかしら?」
重厚な音を立てて、入口が開かれる。
弟が、いつもの怒っているのか真顔なのかよくわからない表情でこちらを見ていた。
「出られたんだ」
「耶賀頼先生が開けてくれましたけど!」
「……あ」
「忘れてたでしょッ。私のことは困らせてもいいけど、他の人に迷惑をかけるのはダメだからね」
「ごめん。後で謝っておくよ」
それから、すぐに備え付けられたインジケーターの一つに視線を移した。
機体とエンジンの冷却システムに異常が見られたのがユキにも分かった。
大気圏突入の時に何かトラブルでもあったのか。
また、無理をしたのか。それも、計算上の。
「ユキ姉、何か用?」
こちらを見ずに伊奈帆。
「用があったのは、なお君じゃなかったの」
「いいよ、もう」
19: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 16:29:17.30 ID:Cf4TFCOi0
「私が良くないの」
「ユキ姉が言ったんじゃない。関係ないって」
「そ、そうだけど」
拍子抜けて、ユキは言葉に詰まる。
「なら、もう、仕方がないよ」
「なお君……」
「僕が、ユキ姉の未来を奪う訳にはいかないしね」
彼は手を休めて、ユキに向かい合う。
「さっきは突き飛ばしてごめん」
――おお、鞠戸大尉!
下でそんな声が聞こえた。
ユキは咄嗟に、
「ユキ姉?」
コクピットに転がり込んでいた。
「ユキ姉が言ったんじゃない。関係ないって」
「そ、そうだけど」
拍子抜けて、ユキは言葉に詰まる。
「なら、もう、仕方がないよ」
「なお君……」
「僕が、ユキ姉の未来を奪う訳にはいかないしね」
彼は手を休めて、ユキに向かい合う。
「さっきは突き飛ばしてごめん」
――おお、鞠戸大尉!
下でそんな声が聞こえた。
ユキは咄嗟に、
「ユキ姉?」
コクピットに転がり込んでいた。
20: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 16:37:35.60 ID:Cf4TFCOi0
「いた……」
「ご、ごめんなお君ッ」
弟の顔を胸の辺りで押しつぶしていた。
「……」
ピッ
「え?」
コクピットが閉まっていく。
完全に密室になり、外の光が消えた。
計器類のランプが爛々と点っていた。
薄暗い。
弟の顔がぼんやりと映し出されている。
「閉めなくても……」
「同じだよ」
「?」
「ユキ姉、大尉に会いたくなかったんでしょ? 僕も同じだった。ユキ姉の理由はよく分からないけど。それより、少し退いてくれる?」
下で身動きの取れない様子の伊奈帆が言った。
「それが、けっこういっぱいいっぱいで……」
「顔の前に胸が合って、困る」
「ちょっとッ」
「だから退いてと言ってるのに」
「ご、ごめんなお君ッ」
弟の顔を胸の辺りで押しつぶしていた。
「……」
ピッ
「え?」
コクピットが閉まっていく。
完全に密室になり、外の光が消えた。
計器類のランプが爛々と点っていた。
薄暗い。
弟の顔がぼんやりと映し出されている。
「閉めなくても……」
「同じだよ」
「?」
「ユキ姉、大尉に会いたくなかったんでしょ? 僕も同じだった。ユキ姉の理由はよく分からないけど。それより、少し退いてくれる?」
下で身動きの取れない様子の伊奈帆が言った。
「それが、けっこういっぱいいっぱいで……」
「顔の前に胸が合って、困る」
「ちょっとッ」
「だから退いてと言ってるのに」
22: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 16:53:47.25 ID:Cf4TFCOi0
分かっている。
さっさと扉を開けてしまえばいいのだ。
同じじゃない、と言ってしまえ。
スイッチの場所は知っているから。
ユキは計器類を左手で破壊してしまわないように、そっと身体を捩る。
空調をやや暖かく設定しているのか、手のひらがじわっと汗ばんでいた。
伊奈帆が重くないように、体重を預けないよう足と腰で踏ん張っていたが、
それも限界に近い。
「なお君、ここちょっと熱くない?」
「そう?」
それとも自分の体が火照っているだけなのだろうか。
弟の微かな息遣いが、耳をくすぐった。
心なしか荒い。
荒いのは、自分の鼓動もだ。
「それとも、出る?」
二転三転するユキの心を見透かすように、伊奈帆は言った。
ユキはそこで頷くつもりだった。
「私は……」
なのに、彼は最後の最後に言い残していた言葉のように、
「行かないで」
ユキを抱きしめながら言った。
さっさと扉を開けてしまえばいいのだ。
同じじゃない、と言ってしまえ。
スイッチの場所は知っているから。
ユキは計器類を左手で破壊してしまわないように、そっと身体を捩る。
空調をやや暖かく設定しているのか、手のひらがじわっと汗ばんでいた。
伊奈帆が重くないように、体重を預けないよう足と腰で踏ん張っていたが、
それも限界に近い。
「なお君、ここちょっと熱くない?」
「そう?」
それとも自分の体が火照っているだけなのだろうか。
弟の微かな息遣いが、耳をくすぐった。
心なしか荒い。
荒いのは、自分の鼓動もだ。
「それとも、出る?」
二転三転するユキの心を見透かすように、伊奈帆は言った。
ユキはそこで頷くつもりだった。
「私は……」
なのに、彼は最後の最後に言い残していた言葉のように、
「行かないで」
ユキを抱きしめながら言った。
23: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 17:02:30.85 ID:Cf4TFCOi0
「そんなこと……」
動けなかった。
嬉しくて。
あまりにも、愛おしすぎて。
身動きがとれなかった。
弟を守れなかったと泣いたあの日。
失ったと思ったあの日。
病室のベッドで、
伊奈帆が目覚めるのを、
待ち焦がれていた日々。
覚醒したあの日。
ユキは思った。
弟を守りたいと。
離れたくないと。
この手を離したくないと。
動けなかった。
嬉しくて。
あまりにも、愛おしすぎて。
身動きがとれなかった。
弟を守れなかったと泣いたあの日。
失ったと思ったあの日。
病室のベッドで、
伊奈帆が目覚めるのを、
待ち焦がれていた日々。
覚醒したあの日。
ユキは思った。
弟を守りたいと。
離れたくないと。
この手を離したくないと。
24: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 17:21:38.62 ID:Cf4TFCOi0
「いつか、他の誰かの所へ、鞠戸大尉の所へ行ってしまうのかもしれない。でも、今はそうじゃない」
ユキは唾を飲み込んだ。諦めたいと思ったのに。
認めたくない。本当に、諦めたくなかったのは自分だったことを。
「だから……おっと」
伊奈帆を抱きしめ返す。
「ユキ姉?」
「こんな酷いお姉ちゃんの……どこがいいの」
「こんな酷い弟をずっと守ってくれた所かな」
ユキは顔を上げた。
強さと優しさが彼の瞳の中にあった。
吸い込まれるように、唇を寄せた。
「んッ……」
水音が跳ねた。
「……ぅむッ」
柔らかな感触が、背筋を戦慄かせる。
ユキは唾を飲み込んだ。諦めたいと思ったのに。
認めたくない。本当に、諦めたくなかったのは自分だったことを。
「だから……おっと」
伊奈帆を抱きしめ返す。
「ユキ姉?」
「こんな酷いお姉ちゃんの……どこがいいの」
「こんな酷い弟をずっと守ってくれた所かな」
ユキは顔を上げた。
強さと優しさが彼の瞳の中にあった。
吸い込まれるように、唇を寄せた。
「んッ……」
水音が跳ねた。
「……ぅむッ」
柔らかな感触が、背筋を戦慄かせる。
25: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 17:40:21.84 ID:Cf4TFCOi0
いつの間にか、唾液を吸い取るように、口内を蹂躙されていた。
満足そうに、伊奈帆が口を離す。
ユキは腰に甘美な刺激を受け、へなへなと弟の足に跨っていた。
「はッ……ぁ」
息をつく暇もなく、何度もキスをされた。
しだいに、シャツの上から身体を弄られ、
丁寧に乳房を揉みしだかれた。
「んぅ……ッ」
その刺激に耐えながら、
ユキはキスを繰り返す。
伊奈帆の舌に、自分のを絡ませる。
先程より、さらに熱い。
むわっとした火照りを嗅ぐように、
伊奈帆か顔をずらし、ユキの脇に鼻頭をぐりぐりと押し付けた。
「やだやだッ……ちょっとなお君ッ」
「却下」
右手でブラのホックを外される。
一瞬の手際で、ユキは弟に悪態を吐こうとした。
が、
「なお君……手際良くな……んあッ?!」
ぷっくりとした二つの突起部分をシャツの下から摘まれた。
切なさに、口元が弛緩しいやらしく声が出た。
「硬いね……。もしかして、胸弄ったりしてるの?」
「そんなわけ……ぁ」
「ボタン、外してもらっていい?」
伊奈帆が触りにくそうにしていたので、
ユキはシャツのボタンを取り外していく。
その間も、彼は乳房の形が変わるのを楽しむように、たゆませていた。
ブラを外し、シャツの袖を腕から抜き取った所で、
彼が動きを止めてこちらを眺めているのに気がついた。
「やらしいね」
ユキは咄嗟に胸を隠す。
肉感的な肌は自覚していたが、羞恥が込み上げる。
「何度か見てるのに、興奮する」
満足そうに、伊奈帆が口を離す。
ユキは腰に甘美な刺激を受け、へなへなと弟の足に跨っていた。
「はッ……ぁ」
息をつく暇もなく、何度もキスをされた。
しだいに、シャツの上から身体を弄られ、
丁寧に乳房を揉みしだかれた。
「んぅ……ッ」
その刺激に耐えながら、
ユキはキスを繰り返す。
伊奈帆の舌に、自分のを絡ませる。
先程より、さらに熱い。
むわっとした火照りを嗅ぐように、
伊奈帆か顔をずらし、ユキの脇に鼻頭をぐりぐりと押し付けた。
「やだやだッ……ちょっとなお君ッ」
「却下」
右手でブラのホックを外される。
一瞬の手際で、ユキは弟に悪態を吐こうとした。
が、
「なお君……手際良くな……んあッ?!」
ぷっくりとした二つの突起部分をシャツの下から摘まれた。
切なさに、口元が弛緩しいやらしく声が出た。
「硬いね……。もしかして、胸弄ったりしてるの?」
「そんなわけ……ぁ」
「ボタン、外してもらっていい?」
伊奈帆が触りにくそうにしていたので、
ユキはシャツのボタンを取り外していく。
その間も、彼は乳房の形が変わるのを楽しむように、たゆませていた。
ブラを外し、シャツの袖を腕から抜き取った所で、
彼が動きを止めてこちらを眺めているのに気がついた。
「やらしいね」
ユキは咄嗟に胸を隠す。
肉感的な肌は自覚していたが、羞恥が込み上げる。
「何度か見てるのに、興奮する」
26: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 17:53:37.22 ID:Cf4TFCOi0
言いながら、両手の親指をぺろりと舐めた。
ユキの腕をどかせ、唾液を塗りこむように、両乳首をぐりぐりとこねる。
「ッひん………ぁ」
さきほどより滑らかな攻めに、ユキは腰をびくつかせた。
「ユキ姉の顔、すごくクる……」
耳元で囁き、
「そういうこと言わないで……ッんむ」
キス。
このまま食べられてしまうんじゃないかと思うくらい、
彼は執拗に入念に唇や肩口や、胸に唇を落としていった。
触れ合うたび、快感が増して。
ユキは鞠戸大尉との違いに驚いていた。
「……ユキ姉」
「な……に」
「下、触るよ」
「え」
くちゅり、と聞こえたような気がした。
「……ッふあ」
「もう、濡れてるね。タイツ越しなのに、すごい」
スカートを腰までずり上げて、タイツとパンツ越しに擦られている。
なんとなく自分でも湿っているのは分かっていたが、
言われると余計な恥ずかしさがこみ上げた。
ユキの腕をどかせ、唾液を塗りこむように、両乳首をぐりぐりとこねる。
「ッひん………ぁ」
さきほどより滑らかな攻めに、ユキは腰をびくつかせた。
「ユキ姉の顔、すごくクる……」
耳元で囁き、
「そういうこと言わないで……ッんむ」
キス。
このまま食べられてしまうんじゃないかと思うくらい、
彼は執拗に入念に唇や肩口や、胸に唇を落としていった。
触れ合うたび、快感が増して。
ユキは鞠戸大尉との違いに驚いていた。
「……ユキ姉」
「な……に」
「下、触るよ」
「え」
くちゅり、と聞こえたような気がした。
「……ッふあ」
「もう、濡れてるね。タイツ越しなのに、すごい」
スカートを腰までずり上げて、タイツとパンツ越しに擦られている。
なんとなく自分でも湿っているのは分かっていたが、
言われると余計な恥ずかしさがこみ上げた。
27: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 18:03:55.51 ID:Cf4TFCOi0
伊奈帆はユキの手を取って、興奮気味に、
「こっちもお願い」
ズボンの膨らみをまさぐらせた。
恐る恐るチャックをひいて、トランクスをかき分けると、勢いよく男性器が姿を現す。
暗がりで詳細に分からないため、性欲の塊のような強烈な匂いが意識される。
「ッ……」
ぬるっとして生暖かいそれを握りこむと、伊奈帆が小さく呻いた。
「気持い?」
「うん」
余裕のない表情。
可愛らしい。
上下に擦りながら、刺激を与えるうちに、
先程より硬さが増していった。
「うあ……」
突起の先端を人差し指で引っ掻くようにこすると、
伊奈帆は腰を浮き上がらせた。
少し楽しくてもっと続けようとしたら、腕を掴まれる。
「待って」
「あ、ごめんね……痛かった?」
「違うよ。大丈夫」
「こっちもお願い」
ズボンの膨らみをまさぐらせた。
恐る恐るチャックをひいて、トランクスをかき分けると、勢いよく男性器が姿を現す。
暗がりで詳細に分からないため、性欲の塊のような強烈な匂いが意識される。
「ッ……」
ぬるっとして生暖かいそれを握りこむと、伊奈帆が小さく呻いた。
「気持い?」
「うん」
余裕のない表情。
可愛らしい。
上下に擦りながら、刺激を与えるうちに、
先程より硬さが増していった。
「うあ……」
突起の先端を人差し指で引っ掻くようにこすると、
伊奈帆は腰を浮き上がらせた。
少し楽しくてもっと続けようとしたら、腕を掴まれる。
「待って」
「あ、ごめんね……痛かった?」
「違うよ。大丈夫」
28: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 18:13:03.32 ID:Cf4TFCOi0
彼の吐息がやけに艶っぽくて、ユキは喉が震えた。
興奮しているのが分かり、情けないような切ないような。
前に、弟が自分で慰めているのを見たことがあったが、
その時とはまた違うエロスがあった。
「今度は舐めて欲しい」
端的に言われ、一瞬ユキは意味がわからなかった。
数秒ほどで、
「え、舐めるの……」
と、惚けた。
「嫌なら、僕が舐める」
「自分で?」
彼はそれには返事をせず、ユキの下腹部のスパッツを引き伸ばして、無理やり引き裂いた。
下着を手元にあったハサミで切り裂く。
はらはらと、布切れが落ちていった。
「こっち」
「きゃッ!? ひ、ひど……いよぉ」
「だって、脱ぐの大変でしょ」
「そうだけど……」
ユキは涙を我慢して、伊奈帆に抗議の視線を送った。
「どっちが舐める?」
興奮しているのが分かり、情けないような切ないような。
前に、弟が自分で慰めているのを見たことがあったが、
その時とはまた違うエロスがあった。
「今度は舐めて欲しい」
端的に言われ、一瞬ユキは意味がわからなかった。
数秒ほどで、
「え、舐めるの……」
と、惚けた。
「嫌なら、僕が舐める」
「自分で?」
彼はそれには返事をせず、ユキの下腹部のスパッツを引き伸ばして、無理やり引き裂いた。
下着を手元にあったハサミで切り裂く。
はらはらと、布切れが落ちていった。
「こっち」
「きゃッ!? ひ、ひど……いよぉ」
「だって、脱ぐの大変でしょ」
「そうだけど……」
ユキは涙を我慢して、伊奈帆に抗議の視線を送った。
「どっちが舐める?」
29: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 18:20:51.96 ID:Cf4TFCOi0
弟にこんな所を舐められるわけには。
しかし、こんな所を舐めるのも。
「わ、私が……する」
「OK」
位置をずらして、ユキはそそり立つ男根の前まで顔を移動させた。
両手で彼のズボンを握り締める。
伊奈帆が頭を撫でる。目線だけを上に向けると、少し笑っていた。
それがなんだか癪だった。負けたような気がする。
それでも、ユキはゆっくりゆっくり口をそれに近づけていく。
匂いに慣れたのか、あまり気にしなくなっていた。
「噛まないでね」
言われて、頷く。
とにかく舌の先を出してみた。
ちろちろと先端部分を舐め上げる。
「ッ……」
伊奈帆の足が動く。
「わッ」
ユキもびっくりして、口を離した。
「続けて」
「う、うん……」
しかし、こんな所を舐めるのも。
「わ、私が……する」
「OK」
位置をずらして、ユキはそそり立つ男根の前まで顔を移動させた。
両手で彼のズボンを握り締める。
伊奈帆が頭を撫でる。目線だけを上に向けると、少し笑っていた。
それがなんだか癪だった。負けたような気がする。
それでも、ユキはゆっくりゆっくり口をそれに近づけていく。
匂いに慣れたのか、あまり気にしなくなっていた。
「噛まないでね」
言われて、頷く。
とにかく舌の先を出してみた。
ちろちろと先端部分を舐め上げる。
「ッ……」
伊奈帆の足が動く。
「わッ」
ユキもびっくりして、口を離した。
「続けて」
「う、うん……」
30: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 18:26:11.19 ID:Cf4TFCOi0
「唾液、絡ませて」
言われるがままに、ユキは唾液を含ませながら、
ねっとりとしかし小さく舐め続ける。
「こ、こんな感じ……かな?」
邪魔な髪の毛を横耳にかけながら、伊奈帆に確認する。
「うん……」
拙いながらに、良かったのだろうか。
こんなことをどこで覚えてきたのか。
後で、問いただしたい所である。
「ユキ姉、もういいよ。ちょっと腰上げて」
「こう?」
「うん……」
伊奈帆が見ている先を確認する。
破れた下着。
ぱっと手で隠す。
「エロすぎ」
「なお君のエッチ!!」
言われるがままに、ユキは唾液を含ませながら、
ねっとりとしかし小さく舐め続ける。
「こ、こんな感じ……かな?」
邪魔な髪の毛を横耳にかけながら、伊奈帆に確認する。
「うん……」
拙いながらに、良かったのだろうか。
こんなことをどこで覚えてきたのか。
後で、問いただしたい所である。
「ユキ姉、もういいよ。ちょっと腰上げて」
「こう?」
「うん……」
伊奈帆が見ている先を確認する。
破れた下着。
ぱっと手で隠す。
「エロすぎ」
「なお君のエッチ!!」
31: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 18:32:04.54 ID:Cf4TFCOi0
両足を閉じようとすると、こじ開けられる。
陰核をなぞられ、腰が落ちそうになった。
「きゅ、急に触らないでよ……」
「ごめん」
つぷりと、人差し指を差し込んでくる。
「んッ……」
「こんなんじゃ、もう満足できないよね」
「え……」
寂しく口元を緩めた。
何を言っているのだろう。
まさか、大尉のことだろうか。
「な、なお君あのあッひィ!?」
クリトリスをつまみ上げられ、ユキは言葉が出なかった。
「ぐちょぐちょだね」
粘膜をほじくるように、指を増やしつつ刺激を増やしていく。
「あ……あッ……まって」
指から逃れるように腰を振るが、
伊奈帆の指がさらに絡みつくだけだった。
陰核をなぞられ、腰が落ちそうになった。
「きゅ、急に触らないでよ……」
「ごめん」
つぷりと、人差し指を差し込んでくる。
「んッ……」
「こんなんじゃ、もう満足できないよね」
「え……」
寂しく口元を緩めた。
何を言っているのだろう。
まさか、大尉のことだろうか。
「な、なお君あのあッひィ!?」
クリトリスをつまみ上げられ、ユキは言葉が出なかった。
「ぐちょぐちょだね」
粘膜をほじくるように、指を増やしつつ刺激を増やしていく。
「あ……あッ……まって」
指から逃れるように腰を振るが、
伊奈帆の指がさらに絡みつくだけだった。
32: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 18:49:49.26 ID:Cf4TFCOi0
じゅぷじゅぷ、と蜜が掻き出される。
熱い。
腫れぼったい熱が下腹に集中していた。
意識がぼやっとして、呼吸が乱れる。
伊奈帆が指を引き抜いた。
刺激に敏感になった秘所が、ヒクヒクと蠢いているのを感じた。
彼はユキのお尻を両側から掴み、自分の方へ寄せる。
「ユキ姉、入れて欲しい」
思ったより力強く、後方に仰け反る所だった身体が引き戻される。
「……ユキ姉」
ユキは彼が到底我慢ができるような状態ではないとわかっていた。
この前とは違う。
自分から誘った。
受け入れた。
怖さは、あった。
それは、
痛みにであり、
これからのことにであり、
そして――変わってしまうことにであり。
「一緒に……生きていこう」
伊奈帆が言った。
真っ直ぐに。
コクピットの中には、
伊奈帆と自分だけ。
二人の小さな世界すら、
ぐらぐらと揺れる。
なのに、彼は言うのだ。
一緒に、と。
「誰にも渡さないよ」
それだけで、
こんなにも満たされて。
おかしいのは、自分なのか。
彼なのか。
世界の方か。
一度死んで、生き返った彼が、
忘れなかった気持ちが、
諦めなかった想いが
こんなにも嬉しくて愛おしい。
熱い。
腫れぼったい熱が下腹に集中していた。
意識がぼやっとして、呼吸が乱れる。
伊奈帆が指を引き抜いた。
刺激に敏感になった秘所が、ヒクヒクと蠢いているのを感じた。
彼はユキのお尻を両側から掴み、自分の方へ寄せる。
「ユキ姉、入れて欲しい」
思ったより力強く、後方に仰け反る所だった身体が引き戻される。
「……ユキ姉」
ユキは彼が到底我慢ができるような状態ではないとわかっていた。
この前とは違う。
自分から誘った。
受け入れた。
怖さは、あった。
それは、
痛みにであり、
これからのことにであり、
そして――変わってしまうことにであり。
「一緒に……生きていこう」
伊奈帆が言った。
真っ直ぐに。
コクピットの中には、
伊奈帆と自分だけ。
二人の小さな世界すら、
ぐらぐらと揺れる。
なのに、彼は言うのだ。
一緒に、と。
「誰にも渡さないよ」
それだけで、
こんなにも満たされて。
おかしいのは、自分なのか。
彼なのか。
世界の方か。
一度死んで、生き返った彼が、
忘れなかった気持ちが、
諦めなかった想いが
こんなにも嬉しくて愛おしい。
33: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 18:55:11.76 ID:Cf4TFCOi0
「なお君……」
「なに」
「クサイ……」
「言うことはそれだけ?」
「……」
ユキは涙を隠すように、キスをした。
「愛してる……」
「僕も」
彼の下半身の中心部を、ゆっくりと女の入口へ誘っていく。
ぐちぐちと、膣を押し広げて挿入されていく。
柔らかな肉が、避けることなく彼を包み込んでいった。
「……ッんあ」
温かい。
大尉の時とは違う。
興奮も、快感も。
伊奈帆が言った。
「動くよ」
「あ、あんまり激しくしないで」
「むり」
「なに」
「クサイ……」
「言うことはそれだけ?」
「……」
ユキは涙を隠すように、キスをした。
「愛してる……」
「僕も」
彼の下半身の中心部を、ゆっくりと女の入口へ誘っていく。
ぐちぐちと、膣を押し広げて挿入されていく。
柔らかな肉が、避けることなく彼を包み込んでいった。
「……ッんあ」
温かい。
大尉の時とは違う。
興奮も、快感も。
伊奈帆が言った。
「動くよ」
「あ、あんまり激しくしないで」
「むり」
34: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 19:06:47.37 ID:Cf4TFCOi0
大きさや形がさほど変わるわけではないのに、
剛直が肉腔を巻きつけながらピストンを繰り返すたび、
下腹が持っていかれそうになった。
自分の思うように腰が動かず、
伊奈帆に体を預ける。
彼の肩に腕を伸ばして、抱きしめる。
「あッ……ん……もうちょっと、ゆっくり」
「……ッふ」
「……やだッ……はやい……ッ」
「ごめん、止まらないッ……」
ガタガタと座席が揺れて、
外に音が漏れてしまうのではとさえ思った。
「ユキ姉こそ……締めつけ過ぎ」
「ちが……私はッ」
彼の先端が最も刺激を受けやすい所を何度も擦る。
「やだッ……あッ……むり……ッ……だめッ……」
「ダメじゃッ……ないでしょッ……」
お互いの嬌声が絡み合う。
野太い亀頭が膣道を何度も擦りあげて通っていく。
伊奈帆が乳首にむしゃぶりつく。
ユキはたまらず、彼の背中を引っ掻いた。
それでも、彼は動きをやめない。
むしろ、一段とスピードを上げた。
子宮まで届いてしまうのではと思うくらい、奥を責め立てられる。
「そこだめええッ……壊れる……なお君ッ……こわれちゃ……あッ」
「いいよッ。壊れてよ」
剛直が肉腔を巻きつけながらピストンを繰り返すたび、
下腹が持っていかれそうになった。
自分の思うように腰が動かず、
伊奈帆に体を預ける。
彼の肩に腕を伸ばして、抱きしめる。
「あッ……ん……もうちょっと、ゆっくり」
「……ッふ」
「……やだッ……はやい……ッ」
「ごめん、止まらないッ……」
ガタガタと座席が揺れて、
外に音が漏れてしまうのではとさえ思った。
「ユキ姉こそ……締めつけ過ぎ」
「ちが……私はッ」
彼の先端が最も刺激を受けやすい所を何度も擦る。
「やだッ……あッ……むり……ッ……だめッ……」
「ダメじゃッ……ないでしょッ……」
お互いの嬌声が絡み合う。
野太い亀頭が膣道を何度も擦りあげて通っていく。
伊奈帆が乳首にむしゃぶりつく。
ユキはたまらず、彼の背中を引っ掻いた。
それでも、彼は動きをやめない。
むしろ、一段とスピードを上げた。
子宮まで届いてしまうのではと思うくらい、奥を責め立てられる。
「そこだめええッ……壊れる……なお君ッ……こわれちゃ……あッ」
「いいよッ。壊れてよ」
35: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 19:17:57.21 ID:Cf4TFCOi0
もう、自分を保っていられない。
ユキは頭をふりしだいて、快感の熱の昂ぶりを感じていた。
自ら腰をくねらせる。淫らな自分に、より興奮を高め、伊奈帆に口づけた。
唇を交わらせたまま、上下に揺れ動いていく。
もっと、奥へ。
胎内へと。
伊奈帆が欲しくてたまらない。
彼の男根がさらにむくむくと膨張している。
イきたいのだろう。
イかせてあげたい。
「なお君……ッあ……もうッ」
自らも果てたい欲求に駆られ、
絡みつくように腰を振る。
伊奈帆が痙攣するように、
小刻みに動いた。
ユキは小さな波のようによがった。
「あッ……くるッ……うんん……ッあ」
「出るよッ……」
「やッ……んああああッ!」
はしたない声を上げて、ユキは至った。
ユキは頭をふりしだいて、快感の熱の昂ぶりを感じていた。
自ら腰をくねらせる。淫らな自分に、より興奮を高め、伊奈帆に口づけた。
唇を交わらせたまま、上下に揺れ動いていく。
もっと、奥へ。
胎内へと。
伊奈帆が欲しくてたまらない。
彼の男根がさらにむくむくと膨張している。
イきたいのだろう。
イかせてあげたい。
「なお君……ッあ……もうッ」
自らも果てたい欲求に駆られ、
絡みつくように腰を振る。
伊奈帆が痙攣するように、
小刻みに動いた。
ユキは小さな波のようによがった。
「あッ……くるッ……うんん……ッあ」
「出るよッ……」
「やッ……んああああッ!」
はしたない声を上げて、ユキは至った。
37: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 22:18:38.99 ID:Cf4TFCOi0
伊奈帆の怒張が身を潜めていくのが、下腹の刺激で分かった。
ユキは喘ぐように息を吸った。
身体を動かすには、気だるすぎる。
弟もまだ動けないのか、体内に挿入したまま肩で息をしていた。
初めて絶頂を味わった。
体は重たいのに、陰核の周辺部分は未だに敏感だった。
計器類のガラス面が曇っていて、
コクピット内の熱の高まりを実感した。
いつまでも繋がったままではおれず、
ユキはゆっくりと引き抜こうと腰を上げる。
ぬるぬるとした粘膜が剥がれ落ちるようだ。
身体を仰け反らせながら、彼から身を離す。
伊奈帆の腕がユキの腕を掴む。
「どこへ行くの」
「……」
「ユキ姉」
伊奈帆の目を見た。
「僕は、本当は、心のどこかで思っているんだ。これは全て演技で、ただ僕を傷つけまいとして辻褄を合わせるために、身体を許したんじゃないのかって」
「そんなことないわ……」
「昨日から目の調子が良くないんだ。だから、嘘発見機はホントは使えない」
「じゃあ……朝のは引っ掛けだったの」
それについて何か言及しようと思ったが、止めた。
彼の目はあまりにも綺麗だった。
「……なお君」
ユキは彼を抱きしめる。
「ごめんなさい……。大尉とは付き合ってないの。そういう雰囲気になって……それで。でも、今は後悔してる。本当に、ごめんなさい……馬鹿なことした」
「いいんだ。それが聞けて。僕は……ありのままの全てが欲しいから。それで、いいんだよ、ユキ姉」
懺悔の後に、伊奈帆からキスをされた。
もう戻れない日常に思いを馳せながら、
せめて彼だけは守ると、
そう、心に誓った。
終わり
ユキは喘ぐように息を吸った。
身体を動かすには、気だるすぎる。
弟もまだ動けないのか、体内に挿入したまま肩で息をしていた。
初めて絶頂を味わった。
体は重たいのに、陰核の周辺部分は未だに敏感だった。
計器類のガラス面が曇っていて、
コクピット内の熱の高まりを実感した。
いつまでも繋がったままではおれず、
ユキはゆっくりと引き抜こうと腰を上げる。
ぬるぬるとした粘膜が剥がれ落ちるようだ。
身体を仰け反らせながら、彼から身を離す。
伊奈帆の腕がユキの腕を掴む。
「どこへ行くの」
「……」
「ユキ姉」
伊奈帆の目を見た。
「僕は、本当は、心のどこかで思っているんだ。これは全て演技で、ただ僕を傷つけまいとして辻褄を合わせるために、身体を許したんじゃないのかって」
「そんなことないわ……」
「昨日から目の調子が良くないんだ。だから、嘘発見機はホントは使えない」
「じゃあ……朝のは引っ掛けだったの」
それについて何か言及しようと思ったが、止めた。
彼の目はあまりにも綺麗だった。
「……なお君」
ユキは彼を抱きしめる。
「ごめんなさい……。大尉とは付き合ってないの。そういう雰囲気になって……それで。でも、今は後悔してる。本当に、ごめんなさい……馬鹿なことした」
「いいんだ。それが聞けて。僕は……ありのままの全てが欲しいから。それで、いいんだよ、ユキ姉」
懺悔の後に、伊奈帆からキスをされた。
もう戻れない日常に思いを馳せながら、
せめて彼だけは守ると、
そう、心に誓った。
終わり
38: ◆/BueNLs5lw 2015/02/04(水) 22:19:58.74 ID:Cf4TFCOi0
突貫ssでしたが、ありがとうございました。
ユキ姉が生き残れますように。
ユキ姉が生き残れますように。
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/04(水) 22:45:27.44 ID:9Gx+U5th0
乙!とってもよかった
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/04(水) 22:54:06.54 ID:sPZNfRkO0
乙です。
次回作があったら全力で支援します。
次回作があったら全力で支援します。
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/04(水) 23:24:17.17 ID:pWPLxbP20
乙です
大尉は一人で爆発しろコンチクショー!
大尉は一人で爆発しろコンチクショー!
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1422807153/
Entry ⇒ 2015.02.11 | Category ⇒ アルドノア・ゼロ | Comments (0)
スレイン「レムリナ姫の頭って何かに似てる…」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:21:34.83 ID:QNcFMh1A0
レムリナ「…わかりましたかスレイン?」
スレイン「…はい」
スレイン(やっぱり何かに似てる…でも、何かが思いだせない)
レムリナ「どうしましたか?」
スレイン「いえ、何でもありません」
スレイン(何だろう…)じーっ
レムリナ(スレインったら、ずーっと私の方を見つめてどうしたのかしら?)
レムリナ(はっ!?まさかお姉さまから私に鞍替え!?)
スレイン「…はい」
スレイン(やっぱり何かに似てる…でも、何かが思いだせない)
レムリナ「どうしましたか?」
スレイン「いえ、何でもありません」
スレイン(何だろう…)じーっ
レムリナ(スレインったら、ずーっと私の方を見つめてどうしたのかしら?)
レムリナ(はっ!?まさかお姉さまから私に鞍替え!?)
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:24:54.93 ID:QNcFMh1A0
スレイン(もうすぐ思い出せそうなんだけどな…)じーっ
レムリナ(まだ私を見つめてる…これは確定だわ!私が美しいからってお姉さまから乗り換えるなんて下賤な地球人ね///)
レムリナ(私ったら、何ドキドキしてるのかしら…アセイラムお姉さまのものは全て奪うって決めたでしょ?だから、これも計画どおりじゃない)
レムリナ(でも、いざそうなると心の準備が…)ドキドキ
スレイン(うーん…)じーっ
レムリナ(やだスレインったら///まだ私の事を見てる…もしかしてまたキスして欲しいのかしら///)
スレイン(あー!そうだ!ニンニクだ!)
レムリナ(まだ私を見つめてる…これは確定だわ!私が美しいからってお姉さまから乗り換えるなんて下賤な地球人ね///)
レムリナ(私ったら、何ドキドキしてるのかしら…アセイラムお姉さまのものは全て奪うって決めたでしょ?だから、これも計画どおりじゃない)
レムリナ(でも、いざそうなると心の準備が…)ドキドキ
スレイン(うーん…)じーっ
レムリナ(やだスレインったら///まだ私の事を見てる…もしかしてまたキスして欲しいのかしら///)
スレイン(あー!そうだ!ニンニクだ!)
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:27:35.58 ID:QNcFMh1A0
アセイラム(レムリナ)「ヴァース帝国の栄光のために戦いましょう!」
「おー!!!」
「姫様ばんざーい!!」
ザーツバルム「お疲れ様です姫殿下」
スレイン「お疲れ様です」
アセイラム(レムリナ)「単純なものね民衆って…」
レムリナはホログラムを解除した
レムリナ「それにしても別の人間のふりをするなんてやっぱり慣れないわ」
スレイン(アセイラム姫からニンニク姫に!!)ブフーっ!!
「おー!!!」
「姫様ばんざーい!!」
ザーツバルム「お疲れ様です姫殿下」
スレイン「お疲れ様です」
アセイラム(レムリナ)「単純なものね民衆って…」
レムリナはホログラムを解除した
レムリナ「それにしても別の人間のふりをするなんてやっぱり慣れないわ」
スレイン(アセイラム姫からニンニク姫に!!)ブフーっ!!
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:29:25.31 ID:QNcFMh1A0
レムリナ「むっ。何かしらスレイン?」
スレイン「い、いえ、何でもありません」
スレイン(駄目だ、あれからレムリナ姫の頭がニンニクにしか見えない)
ザーツバルム「どうしたスレイン?」
スレイン「た、たいした事ではありません!」
スレイン(駄目だ!レムリナ姫の頭を見ると笑いそうになってしまう)ぷるぷるぷる
スレイン「い、いえ、何でもありません」
スレイン(駄目だ、あれからレムリナ姫の頭がニンニクにしか見えない)
ザーツバルム「どうしたスレイン?」
スレイン「た、たいした事ではありません!」
スレイン(駄目だ!レムリナ姫の頭を見ると笑いそうになってしまう)ぷるぷるぷる
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:30:49.59 ID:QNcFMh1A0
ザーツバルム「スレインは何を笑っていたんだろうか?もしかして私!?」
ザーツバルム「まさか、髪型のセットに失敗していたのかな?それともご飯粒でも顔についていたとか?」アタフタ
ザーツバルム「鏡を見たが、特に変なとこは何もない」
ザーツバルム(こうなると気になって仕方がないぞ)
ザーツバルム「まさか私自身の顔が笑えるとか!?」
ザーツバルム(どうしよう?これからスレインを養子にしようと思っていたのに、顔の事でお断りされたらシャレにならないぞ!たとえ、承諾してくれても顔を会わすたびに笑われでもしたら父の威厳が…)
ザーツバルム「まさか、髪型のセットに失敗していたのかな?それともご飯粒でも顔についていたとか?」アタフタ
ザーツバルム「鏡を見たが、特に変なとこは何もない」
ザーツバルム(こうなると気になって仕方がないぞ)
ザーツバルム「まさか私自身の顔が笑えるとか!?」
ザーツバルム(どうしよう?これからスレインを養子にしようと思っていたのに、顔の事でお断りされたらシャレにならないぞ!たとえ、承諾してくれても顔を会わすたびに笑われでもしたら父の威厳が…)
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:33:01.18 ID:QNcFMh1A0
スレイン「ザーツバルム伯爵、次の戦いの事で相談が」
ザーツバルム「ス、スレイン!」
スレイン「どうかしましたか?」
ザーツバルム「いや、何もない。相談とは何だ?」
スレイン「この作戦についてなんですが…」
ザーツバルム「ふむふむ…」
ザーツバルム(今は笑っておらぬ。私の事ではないのか?)
スレイン「なるほど、ありがとうございました!」
ザーツバルム「何かあったら我にいつでも聞くが良い。あっ、そういえば今日の夕ご飯はギョーザらしいぞ」
スレイン(ギョーザ→ニンニク→レムリナ姫…)
スレイン「ぶっ!!!」
ザーツバルム(吹き出した!今、私の顔を見て吹きよった!やっぱり私が原因なんだ!!)
ザーツバルム「ス、スレイン!」
スレイン「どうかしましたか?」
ザーツバルム「いや、何もない。相談とは何だ?」
スレイン「この作戦についてなんですが…」
ザーツバルム「ふむふむ…」
ザーツバルム(今は笑っておらぬ。私の事ではないのか?)
スレイン「なるほど、ありがとうございました!」
ザーツバルム「何かあったら我にいつでも聞くが良い。あっ、そういえば今日の夕ご飯はギョーザらしいぞ」
スレイン(ギョーザ→ニンニク→レムリナ姫…)
スレイン「ぶっ!!!」
ザーツバルム(吹き出した!今、私の顔を見て吹きよった!やっぱり私が原因なんだ!!)
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:34:08.52 ID:QNcFMh1A0
ザーツバルム「今のは何んだスレイン?」
スレイン「…す、すみません。思い出し笑いをしてしまって」
ザーツバルム(私の事で思い出し笑いか!?)
ザーツバルム「何か我の顔でおかしなところとかあるのか?」
スレイン「え?」
ザーツバルム「スレインが言うなら、直す努力はする」
スレイン「そんな滅相もございません。それじゃあ、失礼します。今日のギョーザ楽しみですね…ぶふっww」
ザーツバルム「待たれよスレイン!!!!」
スレイン「…す、すみません。思い出し笑いをしてしまって」
ザーツバルム(私の事で思い出し笑いか!?)
ザーツバルム「何か我の顔でおかしなところとかあるのか?」
スレイン「え?」
ザーツバルム「スレインが言うなら、直す努力はする」
スレイン「そんな滅相もございません。それじゃあ、失礼します。今日のギョーザ楽しみですね…ぶふっww」
ザーツバルム「待たれよスレイン!!!!」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:35:19.19 ID:QNcFMh1A0
ザーツバルム「何―!?レムリナ姫の頭がニンニクに似ているせいで笑っておったのか?」
スレイン「…はい。王族に対して大変失礼な事をしてしまいました」
ザーツバルム「…まあ、良かろう。これからは気をつけるがいい(私の事じゃなくて良かったー!)」
スレイン「はい!」
ザーツバルム(レムリナ姫の頭がニンニクか…言われてみるとそうかもしれないな)
スレイン「…はい。王族に対して大変失礼な事をしてしまいました」
ザーツバルム「…まあ、良かろう。これからは気をつけるがいい(私の事じゃなくて良かったー!)」
スレイン「はい!」
ザーツバルム(レムリナ姫の頭がニンニクか…言われてみるとそうかもしれないな)
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:37:40.91 ID:QNcFMh1A0
エデルリッゾ「手を合わせて…」
レムリナ・ザーツバルム・スレイン・ハークライト「いただきます!!!!」
レムリナ「今日のディナーはとても良い匂いがしますね」
ザーツバルム(こうして見ると本当にニンニク頭だな…)ぷぷっ
スレイン(止めて下さいよ伯爵w僕も我慢してるんですから…)プルプル
ザーツバルム(すまない、ついな…)
レムリナ・ザーツバルム・スレイン・ハークライト「いただきます!!!!」
レムリナ「今日のディナーはとても良い匂いがしますね」
ザーツバルム(こうして見ると本当にニンニク頭だな…)ぷぷっ
スレイン(止めて下さいよ伯爵w僕も我慢してるんですから…)プルプル
ザーツバルム(すまない、ついな…)
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:38:47.99 ID:QNcFMh1A0
レムリナ「このギョーザという地球のお料理は美味しいですわね」
エデルリッゾ「本当ですね!」
ザーツバルム(ニンニクがニンニクを食べておるぞww)ヒソヒソ
スレイン「くっwwwwwww」
エデルリッゾ「本当ですね!」
ザーツバルム(ニンニクがニンニクを食べておるぞww)ヒソヒソ
スレイン「くっwwwwwww」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:40:23.91 ID:QNcFMh1A0
レムリナ「むっ!何か言いたい事があるのですか、ザーツバルム伯爵にスレイン?」
ザーツバルム「い、いえ。何でもありません!スレインもそうであろう?」
スレイン「は、はい!姫様を笑う何てことは一切ありえません!」
レムリナ「…ならいいのです」
レムリナ「ところでエデルリッゾ、このギョーザという料理にはどんな食物が使われているのですか?」
エデルリッゾ「えーとですね…」
ザーツバルム(姫様の頭についてるものが入っておりますw)ヒソヒソ
スレイン「ぶほっ!」
ザーツバルム「い、いえ。何でもありません!スレインもそうであろう?」
スレイン「は、はい!姫様を笑う何てことは一切ありえません!」
レムリナ「…ならいいのです」
レムリナ「ところでエデルリッゾ、このギョーザという料理にはどんな食物が使われているのですか?」
エデルリッゾ「えーとですね…」
ザーツバルム(姫様の頭についてるものが入っておりますw)ヒソヒソ
スレイン「ぶほっ!」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:41:10.84 ID:QNcFMh1A0
レムリナ「…やはり私に何か言いたい事があるのですか二人とも?」
ザーツバルム・スレイン「い、いえ!何でもありません!」
レムリナ「さっき私を見て笑っていたでしょ?」
ザーツバルム・スレイン「た、ただの思い出し笑いです!!」
レムリナ「嘘おっしゃい!本当の事を言いなさい!」
ザーツバルム・スレイン「何でもありません!(本当の事なんて言えるわけないよな…)」
レムリナ「…」
ザーツバルム・スレイン「い、いえ!何でもありません!」
レムリナ「さっき私を見て笑っていたでしょ?」
ザーツバルム・スレイン「た、ただの思い出し笑いです!!」
レムリナ「嘘おっしゃい!本当の事を言いなさい!」
ザーツバルム・スレイン「何でもありません!(本当の事なんて言えるわけないよな…)」
レムリナ「…」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:42:16.66 ID:QNcFMh1A0
次の日
エデルリッゾ「大変です!」
スレイン「どうしたんですかエデルリッゾさん?」
エデルリッゾ「レムリナ姫様が部屋に引きこもって、出てきてくれないのです!」
スレイン「何だって!?」
エデルリッゾ「大変です!」
スレイン「どうしたんですかエデルリッゾさん?」
エデルリッゾ「レムリナ姫様が部屋に引きこもって、出てきてくれないのです!」
スレイン「何だって!?」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:44:12.00 ID:QNcFMh1A0
ザーツバルム「レムリナ姫殿下!どうかお部屋から出てきて下さい!」ドンドン
レムリナ「嫌です!もうあんな屈辱はコリゴリだわ!!」
スレイン「どうしたんですかレムリナ姫様!?」
レムリナ「スレインもザーツバルムも私を嘲笑っていたんでしょう!私に下賤な血が流れているから?それとも私とお姉さまを比べて笑っていたの?」
ザーツバルム・スレイン(あなたの頭がニンニクに似ているからです)
レムリナ「嫌です!もうあんな屈辱はコリゴリだわ!!」
スレイン「どうしたんですかレムリナ姫様!?」
レムリナ「スレインもザーツバルムも私を嘲笑っていたんでしょう!私に下賤な血が流れているから?それとも私とお姉さまを比べて笑っていたの?」
ザーツバルム・スレイン(あなたの頭がニンニクに似ているからです)
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:45:13.06 ID:QNcFMh1A0
レムリナ「みんな大っ嫌い!!火星の事もアルドノアの事もお姉さまの身代りの事も何もかも、もう知らない!!」
ザーツバルム「どうしようかスレイン?」
スレイン「こうなったら正直に話すしかありません」
ザーツバルム「え!?」
スレイン「開けて下さいレムリナ姫様。全て、正直にお話しします」
ザーツバルム「どうしようかスレイン?」
スレイン「こうなったら正直に話すしかありません」
ザーツバルム「え!?」
スレイン「開けて下さいレムリナ姫様。全て、正直にお話しします」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:47:25.55 ID:QNcFMh1A0
ガチャッ
レムリナ「…」
スレイン(泣いていたのか…この人も色んなしがらみに縛られ、たくさんの事に傷ついていたんだ…)
スレイン(たとえニンニクに似てるからといって笑っていいわけではなかった…)
スレイン「この図鑑のこのページを見て下さい、レムリナ姫」
レムリナ「え?」
ザーツバルム(おいおい大丈夫なんだろうな、スレイン)
レムリナ「…」
スレイン(泣いていたのか…この人も色んなしがらみに縛られ、たくさんの事に傷ついていたんだ…)
スレイン(たとえニンニクに似てるからといって笑っていいわけではなかった…)
スレイン「この図鑑のこのページを見て下さい、レムリナ姫」
レムリナ「え?」
ザーツバルム(おいおい大丈夫なんだろうな、スレイン)
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:49:41.50 ID:QNcFMh1A0
スレイン「このニンニクという野菜、何かに似てるとは思いませんか?」
レムリナ「…まさか!私の髪型!?」
スレイン「そうです」
レムリナ「まさか、私とこの野菜を比較して笑っていたの!?」
スレイン「…はい、そのとおりです」
レムリナ(良かった…私とお姉さまを比べたり、母の出自の事で笑ってたんじゃなくて…)
レムリナ「いえ、待って!たとえ、そうでも野菜と私を比べて笑うとは何たる無礼!」
ザーツバルム(やばい!やばいぞスレイン!)
レムリナ「…まさか!私の髪型!?」
スレイン「そうです」
レムリナ「まさか、私とこの野菜を比較して笑っていたの!?」
スレイン「…はい、そのとおりです」
レムリナ(良かった…私とお姉さまを比べたり、母の出自の事で笑ってたんじゃなくて…)
レムリナ「いえ、待って!たとえ、そうでも野菜と私を比べて笑うとは何たる無礼!」
ザーツバルム(やばい!やばいぞスレイン!)
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:53:02.38 ID:QNcFMh1A0
スレイン「確かにあなたの言うとおりです。申し訳ございませんでした!しかし、僕達はレムリナ姫を嘲笑っていたのではありません」
ザーツバルム・レムリナ「え!?」
スレイン「このニンニクは地球では食べると力の湧く食べ物として知られています。つまり生命の象徴!そして、レムリナ姫殿下!」
レムリナ「は、はい!」
スレイン「あなたがニンニクと似ているという事はあなたも生命の象徴であるという事!火星を背負うあなたが生命の象徴であるという事はなんと喜ばしい事だろうと、僕とザーツバルム伯爵は微笑んでいたのです!」
スレイン「ですよね、ザーツバルム伯爵?」
ザーツバルム「え!?…は、はい!スレインの言うとおりであられます」
レムリナ「…」
ザーツバルム(こんなので納得するわけないだろ…)
レムリナ「まあ、そうだったの!」ニッコリ
ザーツバルム(ちょろ!!)
ザーツバルム・レムリナ「え!?」
スレイン「このニンニクは地球では食べると力の湧く食べ物として知られています。つまり生命の象徴!そして、レムリナ姫殿下!」
レムリナ「は、はい!」
スレイン「あなたがニンニクと似ているという事はあなたも生命の象徴であるという事!火星を背負うあなたが生命の象徴であるという事はなんと喜ばしい事だろうと、僕とザーツバルム伯爵は微笑んでいたのです!」
スレイン「ですよね、ザーツバルム伯爵?」
ザーツバルム「え!?…は、はい!スレインの言うとおりであられます」
レムリナ「…」
ザーツバルム(こんなので納得するわけないだろ…)
レムリナ「まあ、そうだったの!」ニッコリ
ザーツバルム(ちょろ!!)
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:54:56.82 ID:QNcFMh1A0
レムリナ「私が生命の象徴ですか…わかりました。私もこの頭に負けないよう一層努力に励む事にします!」
スレイン「はい!僕達も生命の象徴たるあなた様を支えるしもべとして身を粉にして働く所存です」
レムリナ(私が生命の象徴か…つまりゆくゆくは私とスレインが結ばれて生命が…いやん///)
ザーツバルム(こんなふうにさせといて、本命は姉の方なのだから罪な男よのスレイン…)
ハークライト「流石ですスレイン様。感服いたしました」
スレイン「はい!僕達も生命の象徴たるあなた様を支えるしもべとして身を粉にして働く所存です」
レムリナ(私が生命の象徴か…つまりゆくゆくは私とスレインが結ばれて生命が…いやん///)
ザーツバルム(こんなふうにさせといて、本命は姉の方なのだから罪な男よのスレイン…)
ハークライト「流石ですスレイン様。感服いたしました」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 03:04:00.02 ID:QNcFMh1A0
スレイン「ふー、なんとか場を収める事ができた」
エデルリッゾ「お疲れ様です」
スレイン「エデルリッゾさんもお疲れ様です」
エデルリッゾ「結局、何が原因でレムリナ姫様は部屋に閉じこもっていたのですか?」
スレイン「レムリナ姫の頭があるものに似ているせいで笑ってしまい、それで怒らせてしまって…」
エデルリッゾ「確かにあの人の頭はあれに似ていますね」
スレイン「エデルリッゾさんも気づいていましたか。やっぱりニンニクに似ていますよね!」
エデルリッゾ「え?ニンニクに似ていると思ってたのですか?」
スレイン「え?」
エデルリッゾ「私はてっきり殿方の玉袋に似ていると…」
スレイン「え」
終わり
エデルリッゾ「お疲れ様です」
スレイン「エデルリッゾさんもお疲れ様です」
エデルリッゾ「結局、何が原因でレムリナ姫様は部屋に閉じこもっていたのですか?」
スレイン「レムリナ姫の頭があるものに似ているせいで笑ってしまい、それで怒らせてしまって…」
エデルリッゾ「確かにあの人の頭はあれに似ていますね」
スレイン「エデルリッゾさんも気づいていましたか。やっぱりニンニクに似ていますよね!」
エデルリッゾ「え?ニンニクに似ていると思ってたのですか?」
スレイン「え?」
エデルリッゾ「私はてっきり殿方の玉袋に似ていると…」
スレイン「え」
終わり
24: 暇潰し 2015/02/07(土) 03:11:51.52 ID:/fJMH7CM0
くっそわろたwwwwwwww
なんていうアニメか知らないけど声出して笑ってしまったわwwwwwwww
なんていうアニメか知らないけど声出して笑ってしまったわwwwwwwww
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 03:12:33.30 ID:K2H44ZccO
乙
エデルリッゾはなんでそんな物を知ってるんですかねぇ…(ゲス顏)
エデルリッゾはなんでそんな物を知ってるんですかねぇ…(ゲス顏)
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 03:14:50.81 ID:QNcFMh1A0
短いけどこれで終了です。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
SS書いててあらためて、ザーツバルム伯爵はもう少し生きてて欲しかったなと思った。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
SS書いててあらためて、ザーツバルム伯爵はもう少し生きてて欲しかったなと思った。
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1423243294/
Entry ⇒ 2015.02.09 | Category ⇒ アルドノア・ゼロ | Comments (0)
イナホ「ラッスン…ゴレライ…」ユキねぇ「…な、お……くん?」
1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/02/04(水) 04:38:40 ID:GcP.j5Wk
うちゅーくーかん…
インコ「イナホ!撤退命令だよ!」
イナホ「…」
ユキねぇ「戻りなさい!界塚少尉!」
イナホ「…ごめん、インコ。先に戻って…」
インコ「イナホー!」
イナホ「…すぐ戻るから…」キュリッ…バシュウゥー!
スレイン(…あのオレンジの機体は…!)
スレイン「カイヅカ…イナホオォー!」ズドドドド!
イナホ「…ラッスン…ゴレライ…」キュイ…キュイキュイ…
ユキねぇ「…な、お……くん?」
インコ「イナホ!撤退命令だよ!」
イナホ「…」
ユキねぇ「戻りなさい!界塚少尉!」
イナホ「…ごめん、インコ。先に戻って…」
インコ「イナホー!」
イナホ「…すぐ戻るから…」キュリッ…バシュウゥー!
スレイン(…あのオレンジの機体は…!)
スレイン「カイヅカ…イナホオォー!」ズドドドド!
イナホ「…ラッスン…ゴレライ…」キュイ…キュイキュイ…
ユキねぇ「…な、お……くん?」
2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/02/04(水) 04:58:13 ID:GcP.j5Wk
♪テッテッテッテ、テッテッテッテレ…
…オシリヲーササゲヨー♪【イナホ無双BGM 】
スレイン「オレンジ色オォー!」ズドドドド…
イナホ「ラッスンゴーレライッ…ラッスンゴーレライッ」
スレイン「…!…こちらの攻撃が当たらない!…何より向こうの動きが予測できない…!?」
…ラッスンゴーレライ…ラッスンゴーレライ…
スレイン「それより…さっきから聞こえてくる“ラッスンゴーレライ”とはなんなんだ!?」
イナホ「え?…え?」ピタッ!
スレイン「…ヤツの動きが…止まった…?」
スレイプニール「…今なんて?」ピタッ…
スレイン「ラッスンゴレライとは何なんだ?」
…オシリヲーササゲヨー♪【イナホ無双BGM 】
スレイン「オレンジ色オォー!」ズドドドド…
イナホ「ラッスンゴーレライッ…ラッスンゴーレライッ」
スレイン「…!…こちらの攻撃が当たらない!…何より向こうの動きが予測できない…!?」
…ラッスンゴーレライ…ラッスンゴーレライ…
スレイン「それより…さっきから聞こえてくる“ラッスンゴーレライ”とはなんなんだ!?」
イナホ「え?…え?」ピタッ!
スレイン「…ヤツの動きが…止まった…?」
スレイプニール「…今なんて?」ピタッ…
スレイン「ラッスンゴレライとは何なんだ?」
3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/02/04(水) 05:12:54 ID:GcP.j5Wk
イナホ「いや、ちょっとまって、ちょっと待ってスレインさん!」クワッ!【左目開眼】
スレイプニール「ラッスンゴレライ言われても…意味わからんし、知りませぇん!」ヴゥン…【アイライト点灯】
イナホ「ラッスンゴーレライッ
…ラッスンゴレーライッ」
スレイン「くっ…」キュリッ…!
イナホ「トリュフ!」ズドンズドン!
スレイン「…!…当てて来た!」チュイン!
スレイプニール「フォアグラッ」ズドドドド…!
スレイン「…また…!」チュイーン…チュイーン…!
イナホ「トリュフッ」バシュウゥー!
スレイン「左腕に直撃!?…今のはロケットランチャーか!?」バチバチ…
スレイン「機体が…動かな……!」ガチャガチャ…
スレイプニール「ラッスンゴレライ言われても…意味わからんし、知りませぇん!」ヴゥン…【アイライト点灯】
イナホ「ラッスンゴーレライッ
…ラッスンゴレーライッ」
スレイン「くっ…」キュリッ…!
イナホ「トリュフ!」ズドンズドン!
スレイン「…!…当てて来た!」チュイン!
スレイプニール「フォアグラッ」ズドドドド…!
スレイン「…また…!」チュイーン…チュイーン…!
イナホ「トリュフッ」バシュウゥー!
スレイン「左腕に直撃!?…今のはロケットランチャーか!?」バチバチ…
スレイン「機体が…動かな……!」ガチャガチャ…
4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/02/04(水) 05:22:16 ID:GcP.j5Wk
スレイン「ま…待て!カイヅカイナホ!僕を見逃してくれたら姫様の居場所を教えてやる!」
ユキねぇ「…!」
インコ「どうするの?イナホ…」
イナホ「…そんなの…決まってるじゃないか…」
インコ(…やっぱりイナホは…姫様のこと…)プクー…
スレイン「交渉…成立、かな?」
スレイン「では…姫様の居場所だが…」
イナホ「スパイダーフラッシュローリングサンダー!」ボッ……!
インコ「ですよねえぇー!!」【歓喜】
スレイン「うおぉぉぁー!」
…ドゴーン!…
ユキねぇ「…!」
インコ「どうするの?イナホ…」
イナホ「…そんなの…決まってるじゃないか…」
インコ(…やっぱりイナホは…姫様のこと…)プクー…
スレイン「交渉…成立、かな?」
スレイン「では…姫様の居場所だが…」
イナホ「スパイダーフラッシュローリングサンダー!」ボッ……!
インコ「ですよねえぇー!!」【歓喜】
スレイン「うおぉぉぁー!」
…ドゴーン!…
5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/02/04(水) 05:34:17 ID:GcP.j5Wk
インコ「終わった…んだよね?」
イナホ「あぁ…」
イナホ「…帰ろう。僕らの艦に…ユキねぇも待ってる」
インコ「そうだよね!」
イナホ「ただいま…ユキねぇ」
ユキねぇ「おかえりなさい。なおくん」
ユキねぇ「ところで…なおくん」
イナホ「ん?」
ユキねぇ「…ラッスンゴレライって…何なの?」
イナホ「え…え?」ゴゴ
…
インコ「…今、なんて?」ユラリ…
ユキねぇ「ちょ…ちょっと…ふ、二人とも?目が…目が……怖いわよ
…?」タジッ…
…ラッスンゴーレライッ…ラッスンゴーレッ……いぃやあぁぁぁ!!…
-完!-
イナホ「あぁ…」
イナホ「…帰ろう。僕らの艦に…ユキねぇも待ってる」
インコ「そうだよね!」
イナホ「ただいま…ユキねぇ」
ユキねぇ「おかえりなさい。なおくん」
ユキねぇ「ところで…なおくん」
イナホ「ん?」
ユキねぇ「…ラッスンゴレライって…何なの?」
イナホ「え…え?」ゴゴ
…
インコ「…今、なんて?」ユラリ…
ユキねぇ「ちょ…ちょっと…ふ、二人とも?目が…目が……怖いわよ
…?」タジッ…
…ラッスンゴーレライッ…ラッスンゴーレッ……いぃやあぁぁぁ!!…
-完!-
掲載元:http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1422992320/
Entry ⇒ 2015.02.08 | Category ⇒ アルドノア・ゼロ | Comments (0)
伊奈帆「姉の腕」2
1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/15(月) 21:02:33.63 ID:6lDm+evV0
伊奈帆「姉の腕」の続き
伊奈帆 ユキ エロ 近親 書きためなし
「よお、界塚准尉」
「はい」
彼の声に、朝食の最中だったユキは立ちあがった。隣で食事していた伊奈帆も視線だけをその人物に向ける。
彼――毬戸大尉は相変わらずだらしなくネクタイを緩めて、気だるそうな顔で続けた。
「座って構わんから。今晩、連合本部の奴らと懇親会があるんだが、時間空いてるか?」
「え、そうなんですか? 聞いてませんよ」
「バカ、声がでけえ」
毬戸はユキの口を手で覆った。
「上の連中は知らねえよ。息抜きがてらどうだ」
懇親会。伊奈帆は口の中で呟く。
つまり、口実をつけての飲酒。
「こんな時に何を言って」
「分かってねえな。こんな時だからだよ。21時に迎えにいくから、部屋にいろよ」
小声で言って、彼はそそくさとその場を去って行った。
「もお、勝手なんだから」
彼の少し寄れたシャツを伊奈帆は見つめていた。
伊奈帆 ユキ エロ 近親 書きためなし
「よお、界塚准尉」
「はい」
彼の声に、朝食の最中だったユキは立ちあがった。隣で食事していた伊奈帆も視線だけをその人物に向ける。
彼――毬戸大尉は相変わらずだらしなくネクタイを緩めて、気だるそうな顔で続けた。
「座って構わんから。今晩、連合本部の奴らと懇親会があるんだが、時間空いてるか?」
「え、そうなんですか? 聞いてませんよ」
「バカ、声がでけえ」
毬戸はユキの口を手で覆った。
「上の連中は知らねえよ。息抜きがてらどうだ」
懇親会。伊奈帆は口の中で呟く。
つまり、口実をつけての飲酒。
「こんな時に何を言って」
「分かってねえな。こんな時だからだよ。21時に迎えにいくから、部屋にいろよ」
小声で言って、彼はそそくさとその場を去って行った。
「もお、勝手なんだから」
彼の少し寄れたシャツを伊奈帆は見つめていた。
2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/15(月) 21:17:49.11 ID:6lDm+evV0
「界塚さん、どう? 呑めてる?」
お酒臭い息がユキの顔に吹きかかった。
連合本部の人間は揃いも揃ってお酒に弱い人間が多いのか、開始から30分も経ってないうちに、そこらかしこで寝始める始末だった。
「え、ええ」
かく言うユキもそこまで強い方ではない。
たぶん赤くなっているであろう頬を隠すように、話しかけてきた本部の人間とグラスを交わす。
「それは良かった。俺たちも、実は久しぶりでね。酔いの周りも早いのはそのせいさ。まあ、付き合いも仕事のうちだよ。女性の軍人で、そういうのも分かってくれてるんなら喜ばしい限りさ」
そう言って、彼は強引にユキの隣に座りこんで、体を密着させる。
「ど、どうも」
必要以上にユキの身体に触れつつ、机の上の瓶を開けて、ユキのグラスに注ぎ足した。
こちらが眉根を寄せるのも構わずに、彼はまた『乾杯』の音頭をとった。
(……こういう時って、どうすればいいの……)
それから撮みをとる仕草をしながら、わざとらしくこちらの胸に肘を当ててきた。
向い側に座る毬戸大尉に助けを求める。
彼は、本部の人間としっかりと抱き合って、嗚咽を漏らしていた。
全くこちらの様子に気付く気配もない。
(払いのけた方がいいのかしら……いや、でも心象を悪くするわけにも……。相手は酔っ払いだし)
お酒臭い息がユキの顔に吹きかかった。
連合本部の人間は揃いも揃ってお酒に弱い人間が多いのか、開始から30分も経ってないうちに、そこらかしこで寝始める始末だった。
「え、ええ」
かく言うユキもそこまで強い方ではない。
たぶん赤くなっているであろう頬を隠すように、話しかけてきた本部の人間とグラスを交わす。
「それは良かった。俺たちも、実は久しぶりでね。酔いの周りも早いのはそのせいさ。まあ、付き合いも仕事のうちだよ。女性の軍人で、そういうのも分かってくれてるんなら喜ばしい限りさ」
そう言って、彼は強引にユキの隣に座りこんで、体を密着させる。
「ど、どうも」
必要以上にユキの身体に触れつつ、机の上の瓶を開けて、ユキのグラスに注ぎ足した。
こちらが眉根を寄せるのも構わずに、彼はまた『乾杯』の音頭をとった。
(……こういう時って、どうすればいいの……)
それから撮みをとる仕草をしながら、わざとらしくこちらの胸に肘を当ててきた。
向い側に座る毬戸大尉に助けを求める。
彼は、本部の人間としっかりと抱き合って、嗚咽を漏らしていた。
全くこちらの様子に気付く気配もない。
(払いのけた方がいいのかしら……いや、でも心象を悪くするわけにも……。相手は酔っ払いだし)
3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/15(月) 21:31:30.54 ID:6lDm+evV0
場に慣れていないユキは、対応が分からずなされるがままだ。
相手はこちらが抵抗しないのをいいことに、先ほどよりもぐいぐいと肘を押し付けてくる。
「あ、あの私もお注ぎしますね」
ユキはとっさに机のボトルを掴み、距離をとった。
感触が消え、ほっと息をつく。
「すまないね」
彼は上機嫌でグラスを差し出した。
もし、自分が好意を寄せている等と勘違いされていたら嫌だな、とユキは思う。
そんなことはおくびにも出さず、清楚な笑顔を顔に貼り付けた。
そして、内心で毬戸大尉に思い切り毒づいていた。
「ユキさんは、弟さんがいるんだって?」
呼称がいきなり変わって、ユキはワンテンポ遅れて返事をする。
「は、はい」
「大変だろう、学生さん? 怖がってはいないかい? もし、俺にできることがあれば言ってくれ」
相変わらず、身体を押し付けてくるので、ユキは口の端を少し歪めた。
「そ、そうですね。でも、しっかり者なので……」
彼女はそこで、この間の夜のことを思い出して、鼓動が一瞬早くなった。
やや下を向いて、
「私の方が、その、世話を焼いてもらってます……あはは」
「へえ、頼もしい限りだね。今度、俺にも紹介してくれよ」
少なくともあなたよりはかなり頼りになる、とユキは頭の片隅で思った。
相手はこちらが抵抗しないのをいいことに、先ほどよりもぐいぐいと肘を押し付けてくる。
「あ、あの私もお注ぎしますね」
ユキはとっさに机のボトルを掴み、距離をとった。
感触が消え、ほっと息をつく。
「すまないね」
彼は上機嫌でグラスを差し出した。
もし、自分が好意を寄せている等と勘違いされていたら嫌だな、とユキは思う。
そんなことはおくびにも出さず、清楚な笑顔を顔に貼り付けた。
そして、内心で毬戸大尉に思い切り毒づいていた。
「ユキさんは、弟さんがいるんだって?」
呼称がいきなり変わって、ユキはワンテンポ遅れて返事をする。
「は、はい」
「大変だろう、学生さん? 怖がってはいないかい? もし、俺にできることがあれば言ってくれ」
相変わらず、身体を押し付けてくるので、ユキは口の端を少し歪めた。
「そ、そうですね。でも、しっかり者なので……」
彼女はそこで、この間の夜のことを思い出して、鼓動が一瞬早くなった。
やや下を向いて、
「私の方が、その、世話を焼いてもらってます……あはは」
「へえ、頼もしい限りだね。今度、俺にも紹介してくれよ」
少なくともあなたよりはかなり頼りになる、とユキは頭の片隅で思った。
4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/15(月) 21:42:10.21 ID:6lDm+evV0
「おい、准尉、何いちゃついてんだこの野郎ッ」
向いの毬戸が漸くこちらの存在に気が付いた。
遅いです、とユキは若干目を細める。
「毬戸大尉、彼女のような素敵な女性に、俺が手を出せるとでも?」
「素敵だあ?」
毬戸がニヤニヤしながら言った。
が、すぐにユキの視線に気が付いて、顎をぽりぽりと掻く。
どうして男はこうもお酒を飲むと野蛮なのか。
ふと、彼女の脳裏に伊奈帆ののっぺりとしたヒラメ顔が過る。
彼は酔うとどんな感じになるのだろうか。
否、自分は何を考えているのだろう。
ダメダメ。未成年、未成年。
「どうしたぁ、准尉?」
呂律の怪しい大尉がこちらを覗き込む。
顔が近い。
「なんでもないですッ」
大尉の酔っ払いはいつものことだった。ただ、これ程緩み切った彼も珍しい。
よほど胸の内に溜まっていたのかもしれない。
彼が、PTSDに悩んでいることは知っていた。
それから、デューカリオンで一時的にマグバレッジ艦長の元に着いていたことも、詳しくは知らないが荒れの原因だったようだ。
向いの毬戸が漸くこちらの存在に気が付いた。
遅いです、とユキは若干目を細める。
「毬戸大尉、彼女のような素敵な女性に、俺が手を出せるとでも?」
「素敵だあ?」
毬戸がニヤニヤしながら言った。
が、すぐにユキの視線に気が付いて、顎をぽりぽりと掻く。
どうして男はこうもお酒を飲むと野蛮なのか。
ふと、彼女の脳裏に伊奈帆ののっぺりとしたヒラメ顔が過る。
彼は酔うとどんな感じになるのだろうか。
否、自分は何を考えているのだろう。
ダメダメ。未成年、未成年。
「どうしたぁ、准尉?」
呂律の怪しい大尉がこちらを覗き込む。
顔が近い。
「なんでもないですッ」
大尉の酔っ払いはいつものことだった。ただ、これ程緩み切った彼も珍しい。
よほど胸の内に溜まっていたのかもしれない。
彼が、PTSDに悩んでいることは知っていた。
それから、デューカリオンで一時的にマグバレッジ艦長の元に着いていたことも、詳しくは知らないが荒れの原因だったようだ。
5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/15(月) 21:55:29.13 ID:6lDm+evV0
艦長が女生というのも珍しい。ハードな役職をああも毅然とこなす、艦長は女性の目から見ても惚れ惚れする。
ユキは先日、そんな彼女からデューカリオンを降りる際に耳打ちされたことを思い出す。
内容は、弟のことだった。あれほど、即戦力になる学生はそうはいないとか。
冷静な判断力には舌を巻いたとか。最初、そんな風に彼を褒めちぎっていたので、姉としてはこそばゆかった。
けれど、艦長は最後にこう付け加えた。
『彼に気を付けなさい』
その忠告に、ユキは内心大きく頷いていた。
(まさか……あんなことするなんて)
男として、姉に興味を持ってしまう。艦長が忠告したかったことは何なのかわからない。
ただし、伊奈帆の中の性を目覚めさせてしまったのは他ならない自分なのだ。
二人だけの環境が良くなかったのかもしれない
ユキはこの先の関係に、漠とした不安を隠しきれないでいた。
ユキは先日、そんな彼女からデューカリオンを降りる際に耳打ちされたことを思い出す。
内容は、弟のことだった。あれほど、即戦力になる学生はそうはいないとか。
冷静な判断力には舌を巻いたとか。最初、そんな風に彼を褒めちぎっていたので、姉としてはこそばゆかった。
けれど、艦長は最後にこう付け加えた。
『彼に気を付けなさい』
その忠告に、ユキは内心大きく頷いていた。
(まさか……あんなことするなんて)
男として、姉に興味を持ってしまう。艦長が忠告したかったことは何なのかわからない。
ただし、伊奈帆の中の性を目覚めさせてしまったのは他ならない自分なのだ。
二人だけの環境が良くなかったのかもしれない
ユキはこの先の関係に、漠とした不安を隠しきれないでいた。
6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/15(月) 22:02:56.71 ID:6lDm+evV0
「さーて、イチャラブ准尉はお前が送って行けよ」
「毬戸大尉?!」
終始、本部の男性職員に纏わりつかれていたユキは声を上げた。
「ああ、確か君の部屋は……」
毬戸がこちらにウインクする。
(な……違います!)
そう怒鳴り返すことも、酔った頭ではまともにできなかった。
一人でも帰れる所をアピールしようと立ち上がると、足元がふらついて、本部職員に抱きかかえられてしまう。
「あ、す、すいません」
恥ずかしくなって、ユキはよたよたと身体を離す。
「いやいや。送っていくから、安心して」
彼はこちらをチラチラと見ながら
「毬戸大尉?!」
終始、本部の男性職員に纏わりつかれていたユキは声を上げた。
「ああ、確か君の部屋は……」
毬戸がこちらにウインクする。
(な……違います!)
そう怒鳴り返すことも、酔った頭ではまともにできなかった。
一人でも帰れる所をアピールしようと立ち上がると、足元がふらついて、本部職員に抱きかかえられてしまう。
「あ、す、すいません」
恥ずかしくなって、ユキはよたよたと身体を離す。
「いやいや。送っていくから、安心して」
彼はこちらをチラチラと見ながら
8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/15(月) 22:18:32.10 ID:6lDm+evV0
彼はこちらをチラチラと見ながら、ユキの身体を抱え直した。
骨ばった太くて逞しい指に、彼女は肩を震わせる。
身体に触れられると、どうしても、伊奈帆のことを思い出してしまう。
忘れたい記憶だというのに。
「おいおい、セクハラすんじゃねえぞ」
「ひどいなあ」
毬戸大尉は笑いながら、彼の肩を叩いていた。
「准尉もまんざらじゃねえってか?」
毬戸のアホ面に、ビール瓶を埋め込んでやりたくなった。
「い、いえ」
ユキは弱弱しくそれだけを述べる。これ以上、勘違いさせないで欲しい。
いや、でもよく考えたらあの子が自分のことを諦める良いチャンスなのでは。
たぶん、彼は私の部屋にいるはずだ。
ユキはわざとらしく、職員にすがりつく。
「ただ、良ければ肩を支えてもらっても構いませんか?」
「喜んで!」
「あらあら、大胆」
毬戸大尉が言った。頬が紅潮していくのがわかった。思わず下を向く。
慣れないことはするものではない。
「弟離れにはいいんじゃねえの」
「え?」
冗談めかして言った毬戸大尉の言葉に、ユキは顔を上げる。
毬戸はすでに背を向けて身支度を始めていた。
気のせいだろうか。
ユキは、自分の中のわだかまりを見透かされたような、そんな後ろめたさを感じていた。
骨ばった太くて逞しい指に、彼女は肩を震わせる。
身体に触れられると、どうしても、伊奈帆のことを思い出してしまう。
忘れたい記憶だというのに。
「おいおい、セクハラすんじゃねえぞ」
「ひどいなあ」
毬戸大尉は笑いながら、彼の肩を叩いていた。
「准尉もまんざらじゃねえってか?」
毬戸のアホ面に、ビール瓶を埋め込んでやりたくなった。
「い、いえ」
ユキは弱弱しくそれだけを述べる。これ以上、勘違いさせないで欲しい。
いや、でもよく考えたらあの子が自分のことを諦める良いチャンスなのでは。
たぶん、彼は私の部屋にいるはずだ。
ユキはわざとらしく、職員にすがりつく。
「ただ、良ければ肩を支えてもらっても構いませんか?」
「喜んで!」
「あらあら、大胆」
毬戸大尉が言った。頬が紅潮していくのがわかった。思わず下を向く。
慣れないことはするものではない。
「弟離れにはいいんじゃねえの」
「え?」
冗談めかして言った毬戸大尉の言葉に、ユキは顔を上げる。
毬戸はすでに背を向けて身支度を始めていた。
気のせいだろうか。
ユキは、自分の中のわだかまりを見透かされたような、そんな後ろめたさを感じていた。
9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/15(月) 22:33:18.08 ID:6lDm+evV0
両親が亡くなってからもう随分経つ。
ヘブンズ・フォールによる天変地異が世界を一変させた。
漸く二人だけの暮らしに落ち着いてきた所だった。
泣き続けていたユキに対して、伊奈帆は何を考えているのかわからなかった。彼なりに哀しみに耐えていたのかもしれない。それとも、幼心に姉を守らなければいけないと、秘かに熱い想いを抱いていたのか。
最初の方は、自分が面倒を見ていた。けれど、物覚えの良い弟はしだいに何もかもをこなすようになって。
自分が軍に入ってからも、互いに忙しいという時も、姉の世話を焼く、そんな子だった。
少し無口で不愛想なりにも心配してくれて。
そんな弟を、自分も守らないといけないと、何度も強く思った。
時折、彼の見せる微々たる喜怒哀楽がたまらなく好きだった。
けれど、それはあくまでも家族の中でのことで。
彼の中に渦巻いている感情を受け入れる器が、ユキにあるわけではなかった。
「ユキさん、部屋の前に誰かいますよ」
その声に、はっとする。
「あれが、弟です」
彼女は意を決して、職員の身体に腕を回した。
思わず眉間に皺が寄った。
10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/15(月) 22:46:51.36 ID:6lDm+evV0
まだ、遠すぎて伊奈帆は気づいていない。
「……ユキさん」
「え?」
彼は、伊奈帆が気付く前に、横の通路へ転がるように移動した。
ユキは咄嗟のことで、つんのめる。
「な、なんですか?」
「今夜のこと覚えておいて欲しいんだ」
ユキの動悸が増す。
彼はユキを壁に押し付けて、顎を掴んだ。
その力が思いのほか強くて、彼女は顔を歪めた。
すごく痛い。
押し付けられた背中がぎりりとしなる。
「誰か来たらッ」
抵抗するも、力が上手く入らない。
「大丈夫、この時間はこないさ。それに、あんたも欲しかったんだろ」
言って、彼はユキの頬っぺたをヤモリのように舐めた。
ざらついた舌が気味悪く、背中を這うものがあった
「ひ……ッ」
今にも獣に襲い掛かられるかのような恐怖を感じ、ユキは思わず身を竦めた。
「……ユキさん」
「え?」
彼は、伊奈帆が気付く前に、横の通路へ転がるように移動した。
ユキは咄嗟のことで、つんのめる。
「な、なんですか?」
「今夜のこと覚えておいて欲しいんだ」
ユキの動悸が増す。
彼はユキを壁に押し付けて、顎を掴んだ。
その力が思いのほか強くて、彼女は顔を歪めた。
すごく痛い。
押し付けられた背中がぎりりとしなる。
「誰か来たらッ」
抵抗するも、力が上手く入らない。
「大丈夫、この時間はこないさ。それに、あんたも欲しかったんだろ」
言って、彼はユキの頬っぺたをヤモリのように舐めた。
ざらついた舌が気味悪く、背中を這うものがあった
「ひ……ッ」
今にも獣に襲い掛かられるかのような恐怖を感じ、ユキは思わず身を竦めた。
11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/15(月) 23:09:44.43 ID:6lDm+evV0
彼は自分のズボンのチャックに手をかけた。
素早く、自分の勃起したいち物を取り出して、ユキの太ももに打ち付ける。
ユキの全身から、血の気が引いていった。
彼の様子から、理性があまり感じられないのは分かっていたのに。
「や、やめてッ」
弟に感じた時以上の恐怖と嫌悪がユキの心をかき乱した。
大声で助けを呼ぶような判断もできず、彼女は壁伝いにそこから逃れようと身をよじる。
職員が空いた手で、力強く胸を揉んだ。
ただただ、不快だった。痛みを伴っていた。
目じりに涙がたまる。
「ッ……いぁ」
下半身に手がかけられる。両脚がガタガタと震えだした。
「唇、震えてるよ? 初めてかい?」
彼はまるで、自分が紳士的な振る舞いをしているかのように頬を擦る。
これが、普通の男女の営みなのか。
彼の顔が近づいてくる。
「やッ……!?」
バンッ――!
一瞬、壁が振動した。
まるで、壁に鉛玉をぶつけような音に、職員も慌てて周囲を見回した。
それから、廊下にやけに響く甲高い足音。
「だ、誰か来ますッ」
ユキはチャンスとばかりに彼の腕を掻い潜る。
「ユキさんッ」
彼は急いでチャックを引き上げて、彼女の腕を掴もうと腕を伸ばした。
カツン――、足音が止んだ。
それは、ちょうど彼らのすぐ目の前で。
「ユキ姉、そろそろ鎮痛剤飲んだ方がいいよ」
伊奈帆が真顔でそう告げた。
素早く、自分の勃起したいち物を取り出して、ユキの太ももに打ち付ける。
ユキの全身から、血の気が引いていった。
彼の様子から、理性があまり感じられないのは分かっていたのに。
「や、やめてッ」
弟に感じた時以上の恐怖と嫌悪がユキの心をかき乱した。
大声で助けを呼ぶような判断もできず、彼女は壁伝いにそこから逃れようと身をよじる。
職員が空いた手で、力強く胸を揉んだ。
ただただ、不快だった。痛みを伴っていた。
目じりに涙がたまる。
「ッ……いぁ」
下半身に手がかけられる。両脚がガタガタと震えだした。
「唇、震えてるよ? 初めてかい?」
彼はまるで、自分が紳士的な振る舞いをしているかのように頬を擦る。
これが、普通の男女の営みなのか。
彼の顔が近づいてくる。
「やッ……!?」
バンッ――!
一瞬、壁が振動した。
まるで、壁に鉛玉をぶつけような音に、職員も慌てて周囲を見回した。
それから、廊下にやけに響く甲高い足音。
「だ、誰か来ますッ」
ユキはチャンスとばかりに彼の腕を掻い潜る。
「ユキさんッ」
彼は急いでチャックを引き上げて、彼女の腕を掴もうと腕を伸ばした。
カツン――、足音が止んだ。
それは、ちょうど彼らのすぐ目の前で。
「ユキ姉、そろそろ鎮痛剤飲んだ方がいいよ」
伊奈帆が真顔でそう告げた。
12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/15(月) 23:19:06.02 ID:6lDm+evV0
いつの間に、そこにいたのか。
職員の顔はありありとそう書かれている。
ユキも驚いていたが、すぐに伊奈帆の背中に回り、彼の両肩を掴んだ。
「ご、ごめんねなお君。遅いから心配してくれたんだよね」
「まあ、それもあるけれど」
職員とややこしい悶着を起こすのも後々面倒だ。
ユキは気転を利かせつつ、言葉を慎重に選んだ。
「申し訳ありません、せっかく送っていただいたのに。酔いが回ってしまっていたみたいです」
「あ、いえ」
彼も興が冷めたのか、短く言葉を返した。
「今日はありがとうございました」
「こちらこそ」
「弟が失礼しました。それでは、おやすみなさい」
ユキは深く一礼する。
伊奈帆が直立不動だったため、彼の頭も遅れて下げさせた。
そして、内心かなり胸を撫で下ろしてその場を後にした。
職員の顔はありありとそう書かれている。
ユキも驚いていたが、すぐに伊奈帆の背中に回り、彼の両肩を掴んだ。
「ご、ごめんねなお君。遅いから心配してくれたんだよね」
「まあ、それもあるけれど」
職員とややこしい悶着を起こすのも後々面倒だ。
ユキは気転を利かせつつ、言葉を慎重に選んだ。
「申し訳ありません、せっかく送っていただいたのに。酔いが回ってしまっていたみたいです」
「あ、いえ」
彼も興が冷めたのか、短く言葉を返した。
「今日はありがとうございました」
「こちらこそ」
「弟が失礼しました。それでは、おやすみなさい」
ユキは深く一礼する。
伊奈帆が直立不動だったため、彼の頭も遅れて下げさせた。
そして、内心かなり胸を撫で下ろしてその場を後にした。
13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/15(月) 23:27:04.22 ID:6lDm+evV0
「はあー……」
部屋に戻ると、急に左腕が痛みだした。
「あいったたた」
「お酒を飲んだせいじゃない」
ベッドに寄りかかりユキは安堵の息を漏らす。
いつもの弟の軽口が平和だ。
「って、ちょっとなお君!?」
そして、気が付いて室内を見回すと昼間と打って変わって部屋はすっかり片付いていた。
「ああ、洗濯もしておいたけど」
「おいたけど、じゃないわよッ」
「いつも、家でやっているから、つい」
「ついって」
「ごめん、見てられなくて」
「仕事場ですら、弟に面倒見られてる姉の立場にもなってよぉ……ううッ」
「ごめん、それより、今日は飲む? 塗る?」
先ほどまでの緊張感が嘘のようだった。
ユキは伊奈帆の傍にいることがこんなにも安心するとは思ってもみなかった。
なにより、彼の体に触れることが全く嫌ではないのには自分でも驚いていた。
部屋に戻ると、急に左腕が痛みだした。
「あいったたた」
「お酒を飲んだせいじゃない」
ベッドに寄りかかりユキは安堵の息を漏らす。
いつもの弟の軽口が平和だ。
「って、ちょっとなお君!?」
そして、気が付いて室内を見回すと昼間と打って変わって部屋はすっかり片付いていた。
「ああ、洗濯もしておいたけど」
「おいたけど、じゃないわよッ」
「いつも、家でやっているから、つい」
「ついって」
「ごめん、見てられなくて」
「仕事場ですら、弟に面倒見られてる姉の立場にもなってよぉ……ううッ」
「ごめん、それより、今日は飲む? 塗る?」
先ほどまでの緊張感が嘘のようだった。
ユキは伊奈帆の傍にいることがこんなにも安心するとは思ってもみなかった。
なにより、彼の体に触れることが全く嫌ではないのには自分でも驚いていた。
14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/15(月) 23:35:05.84 ID:6lDm+evV0
「塗るッ、飲んでられるかっての!」
「何を言っているの?」
伊奈帆が多少困惑顔を見せる。酔っ払いを見る目。
弟のそんな顔は珍しいのでユキは少し満足した。
安心したら、さっきまでのことが俄然腹立たしく思えてきた。
「飲んでたから混ざると怖いし……」
「じゃあ、アーマチュア外して、腕出して」
「うん……ねえ」
「なに?」
「助けてくれてありがとう」
「……いいよ。大丈夫?」
彼は薬瓶の蓋をきゅぽんと空けた。そして、指で一すくいする。
その顔はいつもの彼のものだったけれど、彼なりに優しい眼差しでユキはちょっとだけ泣けてしまった。
「何を言っているの?」
伊奈帆が多少困惑顔を見せる。酔っ払いを見る目。
弟のそんな顔は珍しいのでユキは少し満足した。
安心したら、さっきまでのことが俄然腹立たしく思えてきた。
「飲んでたから混ざると怖いし……」
「じゃあ、アーマチュア外して、腕出して」
「うん……ねえ」
「なに?」
「助けてくれてありがとう」
「……いいよ。大丈夫?」
彼は薬瓶の蓋をきゅぽんと空けた。そして、指で一すくいする。
その顔はいつもの彼のものだったけれど、彼なりに優しい眼差しでユキはちょっとだけ泣けてしまった。
15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/15(月) 23:53:58.17 ID:6lDm+evV0
服を脱いで、下着だけになろうかという所で、ユキははたと固まった。
また、この間のようなことになるのではないだろうか。
昔友人に、無防備過ぎる、と言われたのを思い出した。
はたと伊奈帆を見ると、興味なさそうにしていた。
(え……拍子抜け)
「どうしたの?」
「あ、いや」
それとも演技なのだろうか。
ユキはこの間、完全に主導権を握られていたことを思い出して、気を引き締め直す。
あんなに迫ってきたのだ。
彼女は肌を極力見せないように制服で隠しながら、腕を突き出した。
伊奈帆は人差し指でむらのないように引き伸ばしていく。
この間のようないやらしさはどこにもない。
(なんだぁ……って)
これではまるで、自分が期待していたみたいではないか。
ユキは首を振った。
「できたよ」
「ありがと、なお君」
「速乾性だから、服はもう着て大丈夫」
「え、うん」
ユキは残念に思う自分を心底殴ってやりたいと思った。
何を考えているのだろう。
弟に何を求めている。
「あ、すごーいッ……痛みが引いてく」
「良かった」
また、この間のようなことになるのではないだろうか。
昔友人に、無防備過ぎる、と言われたのを思い出した。
はたと伊奈帆を見ると、興味なさそうにしていた。
(え……拍子抜け)
「どうしたの?」
「あ、いや」
それとも演技なのだろうか。
ユキはこの間、完全に主導権を握られていたことを思い出して、気を引き締め直す。
あんなに迫ってきたのだ。
彼女は肌を極力見せないように制服で隠しながら、腕を突き出した。
伊奈帆は人差し指でむらのないように引き伸ばしていく。
この間のようないやらしさはどこにもない。
(なんだぁ……って)
これではまるで、自分が期待していたみたいではないか。
ユキは首を振った。
「できたよ」
「ありがと、なお君」
「速乾性だから、服はもう着て大丈夫」
「え、うん」
ユキは残念に思う自分を心底殴ってやりたいと思った。
何を考えているのだろう。
弟に何を求めている。
「あ、すごーいッ……痛みが引いてく」
「良かった」
16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/16(火) 00:07:55.19 ID:CIJ05V1D0
伊奈帆が誰にも分からないくらい小さく口元を綻ばせた。
それは、もしかしたら電灯の生み出す陰影がそう見せただけだったのかもしれない。
「ユキ姉、あまり心配させないで」
彼はそう言って、すくっと立ち上がった。
伊奈帆は先ほどの廊下のことを全く口に出さなかった。
彼なりの優しさだったのだ。
馬鹿な姉を気遣ってくれていたのではないのか。
「じゃあ、行くね」
彼はしおらしかった。
ユキは急に寂しさを覚えた。
去っていこうとする彼に、行って欲しくなかった。
そうして、まだ本当は恐怖を感じている自分のことを慰めていて欲しかった。
それらは言葉にはできず、ユキは伊奈帆の体を思わず後ろから抱きしめていた。
「ユキ姉? どうしたの」
怯えて怯んでいるのに気が付いて欲しい。心を抑えきれずに、ユキは自己嫌悪にも苛まれていた。
全てお酒のせいにしてしまえる程、彼女は楽天的にもなれず、抱きしめたまま次の行動に移れない。
それは、もしかしたら電灯の生み出す陰影がそう見せただけだったのかもしれない。
「ユキ姉、あまり心配させないで」
彼はそう言って、すくっと立ち上がった。
伊奈帆は先ほどの廊下のことを全く口に出さなかった。
彼なりの優しさだったのだ。
馬鹿な姉を気遣ってくれていたのではないのか。
「じゃあ、行くね」
彼はしおらしかった。
ユキは急に寂しさを覚えた。
去っていこうとする彼に、行って欲しくなかった。
そうして、まだ本当は恐怖を感じている自分のことを慰めていて欲しかった。
それらは言葉にはできず、ユキは伊奈帆の体を思わず後ろから抱きしめていた。
「ユキ姉? どうしたの」
怯えて怯んでいるのに気が付いて欲しい。心を抑えきれずに、ユキは自己嫌悪にも苛まれていた。
全てお酒のせいにしてしまえる程、彼女は楽天的にもなれず、抱きしめたまま次の行動に移れない。
17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/16(火) 00:18:39.90 ID:CIJ05V1D0
伊奈帆はユキの腕をゆっくりと解いた。
そして、真っ直ぐに彼女を見つめてくる。
それがジワジワと熱を孕み、ユキの内側を否応なく引き付ける。
「もう、ああいうことはしないで」
伏せられた睫。
「あ……」
それは命令ではなく、彼の望みでもなく、ただ姉のことを気遣う心優しい彼の本音だった。
ユキは自分が昂ぶっているのが分かった。
伊奈帆は右手をユキの頬へ這わす。彼女はくすぐったくて、目を瞑った。
「ごめん」
伊奈帆が謝った。
目を開くと、視界いっぱいに伊奈帆の端正な顔が広がっていた。
「んむッ…」
呼吸が止まる。
すぐに鼻で息を吹き返す。
そして、真っ直ぐに彼女を見つめてくる。
それがジワジワと熱を孕み、ユキの内側を否応なく引き付ける。
「もう、ああいうことはしないで」
伏せられた睫。
「あ……」
それは命令ではなく、彼の望みでもなく、ただ姉のことを気遣う心優しい彼の本音だった。
ユキは自分が昂ぶっているのが分かった。
伊奈帆は右手をユキの頬へ這わす。彼女はくすぐったくて、目を瞑った。
「ごめん」
伊奈帆が謝った。
目を開くと、視界いっぱいに伊奈帆の端正な顔が広がっていた。
「んむッ…」
呼吸が止まる。
すぐに鼻で息を吹き返す。
18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/16(火) 00:37:09.49 ID:CIJ05V1D0
伊奈帆は口内に無理やり舌をねじこむことはしなかった。
ユキの呼吸に合わせる様に、唇を離した。
「ドキドキしてるの……」
ユキは言った。
伊奈帆は驚いていた。
予想外の返事だと言わないばかりに。
「なお君が触れた所が熱いや……えへへ」
「てっきり、嫌われたと思ってた」
「嫌いになって欲しかったの?」
「……いや」
彼は優しくユキの腕に触れた。
彼女は軽く身悶えた。
伊奈帆が触れると、ども身動きする力が抜けてしまう。
「私にどうしてほしいの?」
ユキの呼吸に合わせる様に、唇を離した。
「ドキドキしてるの……」
ユキは言った。
伊奈帆は驚いていた。
予想外の返事だと言わないばかりに。
「なお君が触れた所が熱いや……えへへ」
「てっきり、嫌われたと思ってた」
「嫌いになって欲しかったの?」
「……いや」
彼は優しくユキの腕に触れた。
彼女は軽く身悶えた。
伊奈帆が触れると、ども身動きする力が抜けてしまう。
「私にどうしてほしいの?」
25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/16(火) 23:14:32.25 ID:CIJ05V1D0
ユキは言ったものの、伊奈帆の願いを受け入れるような準備はできていない。
それを見透かしているのか、彼は言葉を選んでいるようだった。
あの夜の野獣が、まるで飼いならされた犬のようで、ユキは落ち着かない。
「欲を言えば、僕よりも一日でも長く生きていて欲しいし、傍にいたい」
さっきまでの酔いがすこんと醒めた。ふわっとした気分が吹き飛ぶ。
まるでプロポーズのような台詞に、ユキは弟をまともに見れなくなる。
「それだけだよ」
弟の顔をもう一度見ると、曇ったガラスのようになっていた。
自分の目に浮かんだ涙だと悟るのに、数秒かかった。
「やだ……なお君のバカッ。答えになってないし……それに」
「……」
「何、おじいちゃんみたいなこと言ってるのよ……だいたい、それ、絶対私が言ったほうがしっくりするし……」
「いや、先に死ぬのは許さないから」
ユキはぎくりとする。
その言葉に感情を感じ取れる人間が、この世の中に何人くらいいるだろうか。
恐らく、私だけではないか。
そう思ってしまうほどに、我が弟の感情の起伏のなさに呆れてしまう。
だからこそ、彼が放つ一言に真実味があり過ぎている。
「怒ることないでしょ……」
「怒ってなんていないよ」
「うそだもん。今、眉毛、ぴくってなった」
「なってないけど」
こうやって解きほぐして、真意を探らないといけないややこしい彼。
彼は焦っていたのだろうか。目の前の現実、戦場に。いつ死ぬかも分からないから。
伊奈穂が小さく息を吐いた。喋りすぎた、とでも言いたげだ。
ユキは漸く弟のことが少し理解できたような気がした。
これが、姉に見せた彼の初めての弱さだった。
ユキは無言で、しかし気恥ずかしさを伴いながらも彼を優しく抱きしめた。
それを見透かしているのか、彼は言葉を選んでいるようだった。
あの夜の野獣が、まるで飼いならされた犬のようで、ユキは落ち着かない。
「欲を言えば、僕よりも一日でも長く生きていて欲しいし、傍にいたい」
さっきまでの酔いがすこんと醒めた。ふわっとした気分が吹き飛ぶ。
まるでプロポーズのような台詞に、ユキは弟をまともに見れなくなる。
「それだけだよ」
弟の顔をもう一度見ると、曇ったガラスのようになっていた。
自分の目に浮かんだ涙だと悟るのに、数秒かかった。
「やだ……なお君のバカッ。答えになってないし……それに」
「……」
「何、おじいちゃんみたいなこと言ってるのよ……だいたい、それ、絶対私が言ったほうがしっくりするし……」
「いや、先に死ぬのは許さないから」
ユキはぎくりとする。
その言葉に感情を感じ取れる人間が、この世の中に何人くらいいるだろうか。
恐らく、私だけではないか。
そう思ってしまうほどに、我が弟の感情の起伏のなさに呆れてしまう。
だからこそ、彼が放つ一言に真実味があり過ぎている。
「怒ることないでしょ……」
「怒ってなんていないよ」
「うそだもん。今、眉毛、ぴくってなった」
「なってないけど」
こうやって解きほぐして、真意を探らないといけないややこしい彼。
彼は焦っていたのだろうか。目の前の現実、戦場に。いつ死ぬかも分からないから。
伊奈穂が小さく息を吐いた。喋りすぎた、とでも言いたげだ。
ユキは漸く弟のことが少し理解できたような気がした。
これが、姉に見せた彼の初めての弱さだった。
ユキは無言で、しかし気恥ずかしさを伴いながらも彼を優しく抱きしめた。
26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/16(火) 23:36:57.64 ID:CIJ05V1D0
彼を体育座りさせて、後ろから包み込むようにユキは抱きしめていた。
壁にもたれかかり、そうする仕草は、猿の親子のようにも思えた。
黙って言いなりになる伊奈穂が可愛くて、彼女は見ていない間に何回か口元をにやつかせた。
これは姉の特権かも知れない。
時折、彼の耳に息を吹きかけるとびくりとして跳ねた。
けれど、そこを離れることはしなかった。
「大人しいね」
「そうかな」
「だって……」
言いかけて、ユキは口を噤む。
わざわざ思い出すことではない。
もしかしたら、あの夜のことは夢だったのではないか。
「あの夜、僕はユキ姉に酷いことをしたと思う」
彼は、こちらの考えていることを読み取ったのか。
「あ……えっと」
伊奈帆が少し頭を垂れた。
「記憶はあるんだけれど、僕には実感がない」
「それは……どういう」
壁にもたれかかり、そうする仕草は、猿の親子のようにも思えた。
黙って言いなりになる伊奈穂が可愛くて、彼女は見ていない間に何回か口元をにやつかせた。
これは姉の特権かも知れない。
時折、彼の耳に息を吹きかけるとびくりとして跳ねた。
けれど、そこを離れることはしなかった。
「大人しいね」
「そうかな」
「だって……」
言いかけて、ユキは口を噤む。
わざわざ思い出すことではない。
もしかしたら、あの夜のことは夢だったのではないか。
「あの夜、僕はユキ姉に酷いことをしたと思う」
彼は、こちらの考えていることを読み取ったのか。
「あ……えっと」
伊奈帆が少し頭を垂れた。
「記憶はあるんだけれど、僕には実感がない」
「それは……どういう」
27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 00:07:13.64 ID:m6j2R7OT0
「確かに、僕はユキ姉の身体に触れて、僕自身が抱いていた欲望を吐き出した。けれど、まるで罪悪感もなければ満足感もない。ユキ姉には言い訳のようにしか聞こえないと思う。本来であれば、僕を罰してくれてもいい所だ」
伊奈帆は彼の前に回していたユキの手を掴む。
冷えた手に、ユキはびくりとした。
「ユキ姉、御託や言い訳しか言えないけれど、僕は僕自身を止められない。だから、次は左腕を使って」
伊奈帆は、ユキの膝頭に手を伸ばした。
振り向くと、互の息が当たる程に近い。
「僕に気をつけて」
彼は言って、ユキの唇を強く吸い立てた。
あまりに強く、ユキはそれをもぐことができずに、驚きに任せて彼の胸板を軽く叩いた。
そして、気が付くと薄いストッキングがくるくるとまき取られて、ひざ下までずり下がっていた。
「や、やめッ……なお君!?」
伊奈帆は、ユキの履いているスカートの下から手探りで、パンティを掴んだ。
掴まれたユキは、スカートの上から彼の手を押さえつける。
「いきなりッ、こんなの……ダメよッ!」
伊奈帆は彼の前に回していたユキの手を掴む。
冷えた手に、ユキはびくりとした。
「ユキ姉、御託や言い訳しか言えないけれど、僕は僕自身を止められない。だから、次は左腕を使って」
伊奈帆は、ユキの膝頭に手を伸ばした。
振り向くと、互の息が当たる程に近い。
「僕に気をつけて」
彼は言って、ユキの唇を強く吸い立てた。
あまりに強く、ユキはそれをもぐことができずに、驚きに任せて彼の胸板を軽く叩いた。
そして、気が付くと薄いストッキングがくるくるとまき取られて、ひざ下までずり下がっていた。
「や、やめッ……なお君!?」
伊奈帆は、ユキの履いているスカートの下から手探りで、パンティを掴んだ。
掴まれたユキは、スカートの上から彼の手を押さえつける。
「いきなりッ、こんなの……ダメよッ!」
28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 00:29:07.47 ID:m6j2R7OT0
下着に気を取られている間に、伊奈帆はスカートのホックを外し終えていた。
眩い下腹部があらわになる。
ユキはスカートを奪われまいとして抵抗しているうちに、パンティをするりと剥ぎ取られた。
片手に持ったパンティを興味ありげに、彼は嗅ぐ。
羞恥でユキは吠えた。
「止めてッ、そんなことしないでッ!」
「触るよ、ユキ姉」
全く動じずに、彼はスカートをずり下ろして、むしり取った
下半身に何も身につけていない状態にさせられたユキは、シャツを思いっきり引張って青々と茂るそこを隠そうとする。そして、時折鼻に漂う女の匂いに眉根を寄せる。
伊奈帆の指が、ユキの太ももを掠めた。
それだけで、彼女は敏感過ぎるほどに、消え入るような声を上げた。
「なお君ッ、乱暴は止めてッ、お願い!」
口ではそう言うものの、ユキは拒むに拒めない。
ユキの脳裏に、心優しい弟と自分を猛り来るって求める弟とが交錯する。
どの道、彼が自分を愛しているという事実だけが、残される。
ユキもまた寂しさを埋めたかった。
眩い下腹部があらわになる。
ユキはスカートを奪われまいとして抵抗しているうちに、パンティをするりと剥ぎ取られた。
片手に持ったパンティを興味ありげに、彼は嗅ぐ。
羞恥でユキは吠えた。
「止めてッ、そんなことしないでッ!」
「触るよ、ユキ姉」
全く動じずに、彼はスカートをずり下ろして、むしり取った
下半身に何も身につけていない状態にさせられたユキは、シャツを思いっきり引張って青々と茂るそこを隠そうとする。そして、時折鼻に漂う女の匂いに眉根を寄せる。
伊奈帆の指が、ユキの太ももを掠めた。
それだけで、彼女は敏感過ぎるほどに、消え入るような声を上げた。
「なお君ッ、乱暴は止めてッ、お願い!」
口ではそう言うものの、ユキは拒むに拒めない。
ユキの脳裏に、心優しい弟と自分を猛り来るって求める弟とが交錯する。
どの道、彼が自分を愛しているという事実だけが、残される。
ユキもまた寂しさを埋めたかった。
29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 00:55:59.86 ID:m6j2R7OT0
「大きな声は出さないで。他の部屋の人間に気づかれる」
耳を舐めながら、伊奈帆が言った。
彼が耳元で囁くと、力が抜けてしまう。
伊奈帆はユキの膨らんだ陰唇をつまみ上げて、ヒクヒクと蠢く膣口に指を挿入した。
ユキは弟の指が、ずっぽりと自分の中を突き進んでいくのが分かった。
「ま、待ってそれ以上はッ……ッんあくぅ!?」
「もう感じてるの?」
そんなはずがない。
「ユキ姉は、感度いいよね」
「違うの……ッ。そんなつもり……ッ」
彼は、ユキのクリトリスを指で弾き、押しつぶす。
「ひッ……グッ」
「やっぱり、こうやって無理やりされるの好きなの?」
下腹部全体が熱くなって、その言葉を否定したいのに上手く言葉が出ない。
実の弟に、淫乱扱いされて彼女は少なからずショックを受けた。
伊奈帆はユキの股間から指を抜き取った。
「はッ……う」
彼はそれを今度は自分の口へと運ぶ。蜂蜜でも舐めるかのように、彼は舌を出した。
「や、そんなの舐めないで!?」
その仕草が妙に色っぽい。
そして、あまりにも耐え難い恥ずかしさが波のように押し上げて。彼女は髪を振りしだく。
伊奈帆は全て舐めとった後、もう一度姉の股間に刺激を与えようとして、指を下腹に這わせたその時だった。
耳を舐めながら、伊奈帆が言った。
彼が耳元で囁くと、力が抜けてしまう。
伊奈帆はユキの膨らんだ陰唇をつまみ上げて、ヒクヒクと蠢く膣口に指を挿入した。
ユキは弟の指が、ずっぽりと自分の中を突き進んでいくのが分かった。
「ま、待ってそれ以上はッ……ッんあくぅ!?」
「もう感じてるの?」
そんなはずがない。
「ユキ姉は、感度いいよね」
「違うの……ッ。そんなつもり……ッ」
彼は、ユキのクリトリスを指で弾き、押しつぶす。
「ひッ……グッ」
「やっぱり、こうやって無理やりされるの好きなの?」
下腹部全体が熱くなって、その言葉を否定したいのに上手く言葉が出ない。
実の弟に、淫乱扱いされて彼女は少なからずショックを受けた。
伊奈帆はユキの股間から指を抜き取った。
「はッ……う」
彼はそれを今度は自分の口へと運ぶ。蜂蜜でも舐めるかのように、彼は舌を出した。
「や、そんなの舐めないで!?」
その仕草が妙に色っぽい。
そして、あまりにも耐え難い恥ずかしさが波のように押し上げて。彼女は髪を振りしだく。
伊奈帆は全て舐めとった後、もう一度姉の股間に刺激を与えようとして、指を下腹に這わせたその時だった。
30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 01:08:42.60 ID:m6j2R7OT0
ベッドの枕の下から、くぐもったバイブ音。
ユキの携帯だった。
「……」
伊奈帆は彼女よりも先に、携帯のディスプレイを覗き込む。
「鞠戸大尉……」
「えッ」
「ユキ姉、出なよ」
「ッ……あンぅ?!」
彼の指の形が分かるくらいに、引き締まった膣が再稼働させられていた。
ユキからは見えないものの、弟がぐじゅぐじゅにそこをかき乱し始めたので、咄嗟に返事ができなかった。
その間にも、携帯のバイブレーションは止まらない。
ユキは下腹の刺激に、無意識に腰を振っていた。
伊奈帆が、携帯の通話ボタンを押した。
(そんな……今ッ、出れるわけッがぁ……はぁんッ)
ひどく濡れた膣に脳が弾け飛びそうになりなる。
ユキは首を振ったが、伊奈帆は、
「鞠戸大尉? 伊奈帆です。ユキ姉と代わります」
「む、むりッ……なお君ッ」
「待たせてるから、出て」
彼の言葉少ないながらの圧力に、ユキは弱かった。
彼女は腰を震えさせて、必死の思いで携帯を受け取った。
ユキの携帯だった。
「……」
伊奈帆は彼女よりも先に、携帯のディスプレイを覗き込む。
「鞠戸大尉……」
「えッ」
「ユキ姉、出なよ」
「ッ……あンぅ?!」
彼の指の形が分かるくらいに、引き締まった膣が再稼働させられていた。
ユキからは見えないものの、弟がぐじゅぐじゅにそこをかき乱し始めたので、咄嗟に返事ができなかった。
その間にも、携帯のバイブレーションは止まらない。
ユキは下腹の刺激に、無意識に腰を振っていた。
伊奈帆が、携帯の通話ボタンを押した。
(そんな……今ッ、出れるわけッがぁ……はぁんッ)
ひどく濡れた膣に脳が弾け飛びそうになりなる。
ユキは首を振ったが、伊奈帆は、
「鞠戸大尉? 伊奈帆です。ユキ姉と代わります」
「む、むりッ……なお君ッ」
「待たせてるから、出て」
彼の言葉少ないながらの圧力に、ユキは弱かった。
彼女は腰を震えさせて、必死の思いで携帯を受け取った。
34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 22:34:19.81 ID:m6j2R7OT0
先ほどの酔いが覚めてないことを祈りつつ、嫌々ながらユキは携帯を右手で受け取った。
「ま、鞠戸大尉? どうされましたか……?」
『いや、さっきの件でさ、冷静になってみたら焚きつけて悪かったなって』
「あ……そんな、構いません。こちらこそ……気を遣って頂き恐縮です……ッあン」
彼女は携帯を握りつぶしそうになる。
顔を歪めて、奥歯を噛み締めた。
『おい、どうしたッ……? まさか、傷が痛むのか』
「な、なんでもありません」
伊奈帆が、その間にも陰核を潰しながら指をかき混ぜる。
快感の波が押し寄せてきた。
「ッあ……それ、だめッ……そこ混ぜちゃだめぇ!」
淫らな音が、室内に木霊した。
鞠戸大尉に聞こえてしまうのではと、ユキは気がおかしくなりそうだった。
『掃除でもしてるのか?』
「そ……そうなんです……ッ……書類整理を……なお君に少し、手伝って……もらって……」
『おいおい、夜中にしなくても……。疲れてるんだろ? 少し、休め』
「ありがとう……ございます。もう、すぐ寝ますので……だから、鞠戸大尉も、もう、心配なさらずに……先にッ……お休みにッ……」
伊奈帆の腕が胸に伸びてきて、乳首を優しくこねくられた。
上と下からの刺激に、ユキは満足に言葉を紡げない。
弟を睨みつける。無表情の彼の視線が、電気を当てたように下腹部を刺激する。
ユキは涙が出た。
(もお……むりッ……いッ……ッ)
携帯を持っていられない。
股関節から膝までの筋肉が痙攣したかのように脈打ち続けている。
『ああ、でも悪かったな……最近、元気ないからよ』
「ごめんなさいッ……鞠戸大尉ッ……ありがとうございますッ! ……ごめんなさいッ! 切りますねッ!」
下半身が耐え切れなくなった。
左手ならば確実に携帯を握り潰していたに違いない。
みしりと音が鳴る。
(きちゃう……くるッ……抜いてッ……なお君ッ……イッ……)
『あ? ああ、おやすみ』
ユキは大尉が切ったのを確認するより前に、ボタンを押して部屋の隅へと放り投げた。
伊奈帆が壊れんばかりに、激しくピストンを繰り返す。
そして、男の起立をそそる甲高い声を発しながら、背中をぐっと反らせた。
「あッ……ンアァァアッ――――!」
目の前で光りが弾けた。
呼吸が一瞬止まる。
伊奈帆の指を食いちぎらんばかりに、膣道の締めつけが続いた。
「んッ……はアッ……!」
伊奈帆の身体にどさりと全体重を預け、ユキは視界が反転していくのをぼんやりと感じた。
「ユキ姉?」
弟の声。
それに答えるのも気だるく、ユキは瞼を閉じた。
「ま、鞠戸大尉? どうされましたか……?」
『いや、さっきの件でさ、冷静になってみたら焚きつけて悪かったなって』
「あ……そんな、構いません。こちらこそ……気を遣って頂き恐縮です……ッあン」
彼女は携帯を握りつぶしそうになる。
顔を歪めて、奥歯を噛み締めた。
『おい、どうしたッ……? まさか、傷が痛むのか』
「な、なんでもありません」
伊奈帆が、その間にも陰核を潰しながら指をかき混ぜる。
快感の波が押し寄せてきた。
「ッあ……それ、だめッ……そこ混ぜちゃだめぇ!」
淫らな音が、室内に木霊した。
鞠戸大尉に聞こえてしまうのではと、ユキは気がおかしくなりそうだった。
『掃除でもしてるのか?』
「そ……そうなんです……ッ……書類整理を……なお君に少し、手伝って……もらって……」
『おいおい、夜中にしなくても……。疲れてるんだろ? 少し、休め』
「ありがとう……ございます。もう、すぐ寝ますので……だから、鞠戸大尉も、もう、心配なさらずに……先にッ……お休みにッ……」
伊奈帆の腕が胸に伸びてきて、乳首を優しくこねくられた。
上と下からの刺激に、ユキは満足に言葉を紡げない。
弟を睨みつける。無表情の彼の視線が、電気を当てたように下腹部を刺激する。
ユキは涙が出た。
(もお……むりッ……いッ……ッ)
携帯を持っていられない。
股関節から膝までの筋肉が痙攣したかのように脈打ち続けている。
『ああ、でも悪かったな……最近、元気ないからよ』
「ごめんなさいッ……鞠戸大尉ッ……ありがとうございますッ! ……ごめんなさいッ! 切りますねッ!」
下半身が耐え切れなくなった。
左手ならば確実に携帯を握り潰していたに違いない。
みしりと音が鳴る。
(きちゃう……くるッ……抜いてッ……なお君ッ……イッ……)
『あ? ああ、おやすみ』
ユキは大尉が切ったのを確認するより前に、ボタンを押して部屋の隅へと放り投げた。
伊奈帆が壊れんばかりに、激しくピストンを繰り返す。
そして、男の起立をそそる甲高い声を発しながら、背中をぐっと反らせた。
「あッ……ンアァァアッ――――!」
目の前で光りが弾けた。
呼吸が一瞬止まる。
伊奈帆の指を食いちぎらんばかりに、膣道の締めつけが続いた。
「んッ……はアッ……!」
伊奈帆の身体にどさりと全体重を預け、ユキは視界が反転していくのをぼんやりと感じた。
「ユキ姉?」
弟の声。
それに答えるのも気だるく、ユキは瞼を閉じた。
36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 23:36:15.38 ID:m6j2R7OT0
伊奈帆「姉の腕」3
「伊奈帆さん、落とされましたよ」
「どうも」
麗しい容姿と独特の雰囲気で周囲を圧倒する、火星の姫。
ポケットにしまっていた鎮痛剤を拾ったのは、アセイラム姫だった。
伊奈帆は一礼して、それを受け取った。
「お姉さんにですか? お優しいのですね」
柔和な表情を浮かべる。
その彼女の横からは、刺のような視線を従者が送っていた。
彼はそれに気づきつつ、知らぬふりをする。
「いえ。では」
踵を返すと、アセイラム姫に呼び止められた。
「あの」
「なんですか?」
「良ければ、あなた方ご姉弟と、お話をさせて頂きたいのですが」
「姫様ッ!?」
小柄で、人形のような少女が飛び跳ねる。
従者――エデルリッゾはずいとアセイラム姫と伊奈帆の前に躍り出た。
「いけませんッ!」
「伊奈帆さん、落とされましたよ」
「どうも」
麗しい容姿と独特の雰囲気で周囲を圧倒する、火星の姫。
ポケットにしまっていた鎮痛剤を拾ったのは、アセイラム姫だった。
伊奈帆は一礼して、それを受け取った。
「お姉さんにですか? お優しいのですね」
柔和な表情を浮かべる。
その彼女の横からは、刺のような視線を従者が送っていた。
彼はそれに気づきつつ、知らぬふりをする。
「いえ。では」
踵を返すと、アセイラム姫に呼び止められた。
「あの」
「なんですか?」
「良ければ、あなた方ご姉弟と、お話をさせて頂きたいのですが」
「姫様ッ!?」
小柄で、人形のような少女が飛び跳ねる。
従者――エデルリッゾはずいとアセイラム姫と伊奈帆の前に躍り出た。
「いけませんッ!」
37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/17(水) 23:46:54.90 ID:m6j2R7OT0
「話、ですか?」
「ええ、これといって特別なことではなくて、こちらの生活についてご教授頂きたいと思っていたので。何分、不慣れな点が多々あり、お恥ずかしながら皆さんへご迷惑をおかけしてしまうことも少なくありませんから」
火星との生活習慣の違いに、むしろよく耐えた方だと伊奈帆は思った。
「そういうことであれば、姉に聞くのが望ましいかと。僕は、男ですし」
「伊奈帆さんのお話もぜひ聞いてみたいのです」
従者が地団駄を踏んだ。
アセイラム姫もそれには苦笑する。
「許して、エデルリッゾ。心配してくれてありがとう」
「今、姉は部屋にいませんので、また夜にご案内します。食堂の前でお待ちください。迎えに行きますから」
「本当ですかッ」
姫は目を輝かせる。
時折、彼女は年相応の幼さを見せた。
「ええ」
今にも暴れだしそうな従者を優しく抱きながら、アセイラム姫は嬉しそうに微笑んでいた。
「ええ、これといって特別なことではなくて、こちらの生活についてご教授頂きたいと思っていたので。何分、不慣れな点が多々あり、お恥ずかしながら皆さんへご迷惑をおかけしてしまうことも少なくありませんから」
火星との生活習慣の違いに、むしろよく耐えた方だと伊奈帆は思った。
「そういうことであれば、姉に聞くのが望ましいかと。僕は、男ですし」
「伊奈帆さんのお話もぜひ聞いてみたいのです」
従者が地団駄を踏んだ。
アセイラム姫もそれには苦笑する。
「許して、エデルリッゾ。心配してくれてありがとう」
「今、姉は部屋にいませんので、また夜にご案内します。食堂の前でお待ちください。迎えに行きますから」
「本当ですかッ」
姫は目を輝かせる。
時折、彼女は年相応の幼さを見せた。
「ええ」
今にも暴れだしそうな従者を優しく抱きながら、アセイラム姫は嬉しそうに微笑んでいた。
45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/02(木) 22:38:52.09 ID:C+xK9B9g0
夜になり、伊奈帆は時計を見て、姉に部屋で待つように告げてアセイラム姫を迎えに行った。
「アセイラム姫」
食堂の入口横に佇む少女にそう声をかけた。
彼女が振り返ってこちらへ駆け寄ってくる。
「お待ちしておりました」
「ご案内します」
従者はいなようだった。
あの小さな少女の小言が増えることは間違いない。
それを気にする素振りを全く見せず、アセイラム姫は伊奈帆の後に続く。
「姉は先に部屋で待っています」
「お疲れの所、お集まり頂いて恐縮です」
「いいえ。姉もあなたと話がしたいと言っていましたよ」
「アセイラム姫」
食堂の入口横に佇む少女にそう声をかけた。
彼女が振り返ってこちらへ駆け寄ってくる。
「お待ちしておりました」
「ご案内します」
従者はいなようだった。
あの小さな少女の小言が増えることは間違いない。
それを気にする素振りを全く見せず、アセイラム姫は伊奈帆の後に続く。
「姉は先に部屋で待っています」
「お疲れの所、お集まり頂いて恐縮です」
「いいえ。姉もあなたと話がしたいと言っていましたよ」
47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/04(土) 23:58:12.13 ID:FRoJXD3P0
「そうですか……。嬉しいです」
アセイラム姫がほっと息を漏らす。緊張していたのだろうか。
実際、彼女は敵の真っ只中にいるため、そうであっても無理はなかった。
部屋に入ると、伊奈帆とゆきに対して、信頼と敬意を表すように一礼した。
「そ、そんなに畏まらなくて大丈夫ですよ……? お忍びというか、プライベートというかそんな感じですし」
くつろいでいたユキが慌てて立ち上がる。
「いえ、せっかく習うのですから」
「どうぞ、適当に座ってください」
「はい」
「なお君、お菓子どこやったの?」
「棚の一番下に入れたよ」
「あの、お二人共同じ部屋なのですか」
二人のやり取りを見て、アセイラム姫がぽつりと漏らす。
「は? あ、い、いえ違いますよ」
ユキは大きく首を振った。
伊奈帆は姉を一瞥して、アセイラム姫に言った。
「姉は片付けが下手で、僕はいつも代わりにしていたんです」
「なお君! そういうことバらさないでよッ」
「本当のことを言っただけだけど」
「姉の印象を落とす気……?」
アセイラム姫がほっと息を漏らす。緊張していたのだろうか。
実際、彼女は敵の真っ只中にいるため、そうであっても無理はなかった。
部屋に入ると、伊奈帆とゆきに対して、信頼と敬意を表すように一礼した。
「そ、そんなに畏まらなくて大丈夫ですよ……? お忍びというか、プライベートというかそんな感じですし」
くつろいでいたユキが慌てて立ち上がる。
「いえ、せっかく習うのですから」
「どうぞ、適当に座ってください」
「はい」
「なお君、お菓子どこやったの?」
「棚の一番下に入れたよ」
「あの、お二人共同じ部屋なのですか」
二人のやり取りを見て、アセイラム姫がぽつりと漏らす。
「は? あ、い、いえ違いますよ」
ユキは大きく首を振った。
伊奈帆は姉を一瞥して、アセイラム姫に言った。
「姉は片付けが下手で、僕はいつも代わりにしていたんです」
「なお君! そういうことバらさないでよッ」
「本当のことを言っただけだけど」
「姉の印象を落とす気……?」
48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/05(日) 00:21:12.41 ID:t4gX8QUH0
薄い絹の擦れるような笑い声。
「アセイラム姫笑わないでください……」
ユキは項垂れる。
「ああッ……ごめんなさい。笑うつもりはなかったのですが」
言いながら、彼女は口元を押さえた。
年相応の柔らかな表情を見て、ユキもまた安堵しているように伊奈帆には見えた。
「ユキ姉とアセイラム姫は座ってて」
伊奈帆はお茶と、お菓子を無駄なく準備し始める。
「ってことなので、改めてアセイラム姫、今日は夜分にお越しいただきありがとございます」
「私が押しかけた形ですから、お気になさらずに」
「お姫様は、けっこうお転婆ですよね」
「よく、言われます」
「あの、小さな子にですか?」
「ええ」
「そうなんですか……くすくす」
ユキが嫌味なく笑うので、アセイラム姫も釣られて微笑む。
「どこへ行くにも彼女が一緒でした。地球に来てからも面倒ばかりかけてしまいました」
「アセイラム姫笑わないでください……」
ユキは項垂れる。
「ああッ……ごめんなさい。笑うつもりはなかったのですが」
言いながら、彼女は口元を押さえた。
年相応の柔らかな表情を見て、ユキもまた安堵しているように伊奈帆には見えた。
「ユキ姉とアセイラム姫は座ってて」
伊奈帆はお茶と、お菓子を無駄なく準備し始める。
「ってことなので、改めてアセイラム姫、今日は夜分にお越しいただきありがとございます」
「私が押しかけた形ですから、お気になさらずに」
「お姫様は、けっこうお転婆ですよね」
「よく、言われます」
「あの、小さな子にですか?」
「ええ」
「そうなんですか……くすくす」
ユキが嫌味なく笑うので、アセイラム姫も釣られて微笑む。
「どこへ行くにも彼女が一緒でした。地球に来てからも面倒ばかりかけてしまいました」
50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/05(日) 14:25:57.06 ID:t4gX8QUH0
「そうですか……私も、なお君にだいたい助けてもらってばかりだから、同じですね」
視線を落としかけた少女は、ぱっと顔を上げる。
「ええッ。伊奈帆さんには助けて頂いてばかりで、とても親切にしてもらっています。先の戦闘でも、彼がいなければどうなっていたか」
アセイラム姫は伊奈帆を見た。
「私、こんな風に同年代の異性と接触する機会がなかったものですから……それも地球の方だと一人くらいしかいなくて。だから、こうやっていることがすごく不思議。でも、不思議と心地よいのです」
「そう言って下さると、姉としては鼻が高いです。でも、ああやって無茶ばかりするので、たまには叱ってあげてくださいね」
「ふふ……わかりました。ねえ、伊奈帆さん?」
「なに?」
振り向きながら、ティーカップを揺らさないよう静かにお盆を持ち上げ、ゆっくりと移動する。
伊奈帆は少女にカップを手渡す。
「熱いのでお気をつけて」
「ありがとうございます」
「僕が助けたのは、状況的にその選択が最良だと感じたからです。無茶をしたつもりはありませんよ」
「この子はまた……」
視線を落としかけた少女は、ぱっと顔を上げる。
「ええッ。伊奈帆さんには助けて頂いてばかりで、とても親切にしてもらっています。先の戦闘でも、彼がいなければどうなっていたか」
アセイラム姫は伊奈帆を見た。
「私、こんな風に同年代の異性と接触する機会がなかったものですから……それも地球の方だと一人くらいしかいなくて。だから、こうやっていることがすごく不思議。でも、不思議と心地よいのです」
「そう言って下さると、姉としては鼻が高いです。でも、ああやって無茶ばかりするので、たまには叱ってあげてくださいね」
「ふふ……わかりました。ねえ、伊奈帆さん?」
「なに?」
振り向きながら、ティーカップを揺らさないよう静かにお盆を持ち上げ、ゆっくりと移動する。
伊奈帆は少女にカップを手渡す。
「熱いのでお気をつけて」
「ありがとうございます」
「僕が助けたのは、状況的にその選択が最良だと感じたからです。無茶をしたつもりはありませんよ」
「この子はまた……」
51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/05(日) 14:39:04.60 ID:t4gX8QUH0
ユキは伊奈帆を諭そうと口を開く。が、
「いえ、本当にありがとうございました。実は、地球のことを教えて欲しいというのは口実でして、一度改めてお二人にお礼をしなければと……」
そう言って、彼女は深々と頭を下げた。
ユキはお茶を溢しそうになる。
「もし、あなた方と出会わず地球の他の兵士の方と会ってしまっていたら……なんてことを考えておりました。もしかすると、このような待遇を受けられなかったかもしれないのです。極端な話し、もう死んでいたのではとさえ思います」
「そんな、大げさな」
「そうですね。しかし、一度・二度は死んだ身と考えております。それを思うと、やはり感謝せずにはいられないのです。あなた方が、私という人間を助けてくださったことに」
少女の目にはうっすらと涙さえ浮かんでいた。
そして、伊奈帆の手を握って、
「ありがとう」
震える声で微笑んだ。
「いえ、本当にありがとうございました。実は、地球のことを教えて欲しいというのは口実でして、一度改めてお二人にお礼をしなければと……」
そう言って、彼女は深々と頭を下げた。
ユキはお茶を溢しそうになる。
「もし、あなた方と出会わず地球の他の兵士の方と会ってしまっていたら……なんてことを考えておりました。もしかすると、このような待遇を受けられなかったかもしれないのです。極端な話し、もう死んでいたのではとさえ思います」
「そんな、大げさな」
「そうですね。しかし、一度・二度は死んだ身と考えております。それを思うと、やはり感謝せずにはいられないのです。あなた方が、私という人間を助けてくださったことに」
少女の目にはうっすらと涙さえ浮かんでいた。
そして、伊奈帆の手を握って、
「ありがとう」
震える声で微笑んだ。
52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/05(日) 14:53:57.20 ID:t4gX8QUH0
「アセイラム姫……」
伊奈帆は黙って、その手を小さく握り返す。
「だから、お礼をさせて欲しいのです」
「え、いいですって、そんな恐れ多いこと……ねえ、なお君?」
「まあ、こちらが勝手にやったことですし」
「今は身分のことはお忘れください、それに今や肩書きなど飾りに過ぎません。私は一介の少女」
「アセイラム姫……」
「界塚少尉、姫ではありません……セラムと呼んでください」
ユキが困ったように、苦笑いする。
「セラムさん」
伊奈帆は特に気にした風もない。
「ちょ、ちょっとなお君」
「いいんじゃない、本人がそうしてと言ってるんだから」
「柔軟過ぎるわよ……」
不敬な弟に、ユキはため息を吐く。
「あの、界塚少尉……不服でしたら」
「いーえ、とんでもないですよ……」
伊奈帆は黙って、その手を小さく握り返す。
「だから、お礼をさせて欲しいのです」
「え、いいですって、そんな恐れ多いこと……ねえ、なお君?」
「まあ、こちらが勝手にやったことですし」
「今は身分のことはお忘れください、それに今や肩書きなど飾りに過ぎません。私は一介の少女」
「アセイラム姫……」
「界塚少尉、姫ではありません……セラムと呼んでください」
ユキが困ったように、苦笑いする。
「セラムさん」
伊奈帆は特に気にした風もない。
「ちょ、ちょっとなお君」
「いいんじゃない、本人がそうしてと言ってるんだから」
「柔軟過ぎるわよ……」
不敬な弟に、ユキはため息を吐く。
「あの、界塚少尉……不服でしたら」
「いーえ、とんでもないですよ……」
53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/05(日) 15:13:21.75 ID:t4gX8QUH0
「そうですか、では……」
最後まで言い切らず、セラムは着ていた上着を脱ぎ始める。
「……あ、あのセラムさん」
「なんですか、界塚少尉」
「どうして脱ぐんですか」
ユキが伊奈帆の方にぎこちなく視線を送る。
伊奈帆も、多少驚いていた。
「お礼をさせて頂きたくて」
と、伊奈帆が口を開く。
「ちなみに、何をするんですか?」
「御奉仕ですが」
「奉仕?」
ユキはますます頭上に疑問符を浮かべていた。
「セラムさん、もう少し具体的に」
「えっと、お二人の心身を癒そうと思いまして。少しでも気持ちよくなって頂けるように、頑張りますね」
姉弟は顔を見合わせた。
少女は一体、何を。
「お二人は、じっとしておいてくださいね。火星では、これが主流なんですが、地球はまた違ったお礼の仕方があるのですか?」
最後まで言い切らず、セラムは着ていた上着を脱ぎ始める。
「……あ、あのセラムさん」
「なんですか、界塚少尉」
「どうして脱ぐんですか」
ユキが伊奈帆の方にぎこちなく視線を送る。
伊奈帆も、多少驚いていた。
「お礼をさせて頂きたくて」
と、伊奈帆が口を開く。
「ちなみに、何をするんですか?」
「御奉仕ですが」
「奉仕?」
ユキはますます頭上に疑問符を浮かべていた。
「セラムさん、もう少し具体的に」
「えっと、お二人の心身を癒そうと思いまして。少しでも気持ちよくなって頂けるように、頑張りますね」
姉弟は顔を見合わせた。
少女は一体、何を。
「お二人は、じっとしておいてくださいね。火星では、これが主流なんですが、地球はまた違ったお礼の仕方があるのですか?」
54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/05(日) 15:26:05.36 ID:t4gX8QUH0
多少恥じらいを残しつつ、セラムは上半身一糸纏わぬ姿となっていた。
伊奈帆は以前に見たシャワールームでの彼女の裸体を思い出していた。
と、いきなり視界が真っ暗になる。
「な、なお君は見ちゃダメ!」
「ユキ姉、でもどうするの」
「ど、どうするって」
セラムからすれば、これが普通なのだろう。
姉の動揺する様子は、少し笑えた。
伊奈帆は姉以外に興味はない。
「あ、あの……やはりご迷惑だったのでしょうか」
ユキは伊奈帆を反対側へ向かせる。
「あ、違うのよ。価値観の相違というか……ちょ、ちょっと待ってもらっていいですか?」
「?」
ユキは伊奈帆に耳打ちする。
「な、なお君……ど、どうしよう」
「どうするのって、聞いたじゃない」
「分からないよぉ……」
「臨機応変に対応して」
「うわーん……ッ」
「されてみないと、実際何をどうするのか不明だよ。僕がまず受けてみるからだめそうなら止めて」
伊奈帆は振り向く。
伊奈帆は以前に見たシャワールームでの彼女の裸体を思い出していた。
と、いきなり視界が真っ暗になる。
「な、なお君は見ちゃダメ!」
「ユキ姉、でもどうするの」
「ど、どうするって」
セラムからすれば、これが普通なのだろう。
姉の動揺する様子は、少し笑えた。
伊奈帆は姉以外に興味はない。
「あ、あの……やはりご迷惑だったのでしょうか」
ユキは伊奈帆を反対側へ向かせる。
「あ、違うのよ。価値観の相違というか……ちょ、ちょっと待ってもらっていいですか?」
「?」
ユキは伊奈帆に耳打ちする。
「な、なお君……ど、どうしよう」
「どうするのって、聞いたじゃない」
「分からないよぉ……」
「臨機応変に対応して」
「うわーん……ッ」
「されてみないと、実際何をどうするのか不明だよ。僕がまず受けてみるからだめそうなら止めて」
伊奈帆は振り向く。
55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/05(日) 15:38:49.53 ID:t4gX8QUH0
「え、ちょッ……あ」
「セラムさん、僕からお願いします」
「はい、喜んで」
セラムは胸を隠していた両腕を離す。容姿の割に、盛り上がった乳房だった。
西洋人に近いのか、捲れたスカートから覗く長い手足や、むっちりとした太ももが彼女の女性を演出していた。
「とても綺麗ですね」
お世辞ではなく、伊奈帆は心からそう思った。
ユキが隣で息を飲む音が聞こえた。
「ありがとう。では、失礼いたします」
セラムは慣れた手つきで、伊奈帆の下半身に手を伸ばして、チャックを一気に引き下げる。
「ま、待って、それは」
ユキが止めるまもなく、伊奈帆のぐてりと頭を垂れた男根を少女は口に含んだ。
「セラムさん、僕からお願いします」
「はい、喜んで」
セラムは胸を隠していた両腕を離す。容姿の割に、盛り上がった乳房だった。
西洋人に近いのか、捲れたスカートから覗く長い手足や、むっちりとした太ももが彼女の女性を演出していた。
「とても綺麗ですね」
お世辞ではなく、伊奈帆は心からそう思った。
ユキが隣で息を飲む音が聞こえた。
「ありがとう。では、失礼いたします」
セラムは慣れた手つきで、伊奈帆の下半身に手を伸ばして、チャックを一気に引き下げる。
「ま、待って、それは」
ユキが止めるまもなく、伊奈帆のぐてりと頭を垂れた男根を少女は口に含んだ。
58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/05(日) 21:35:03.13 ID:t4gX8QUH0
かに思えたが、ユキが伊奈帆の身体を両手で押し倒した。
「……」
少年は声も上げずに沈黙する。
「か、界塚少尉?」
セラムは何事かと目を丸くしている。
「はッ、ご、ごめんなさい」
伊奈帆は首だけを上げる。
「ユキ姉、痛い」
「ごめんねッ、なお君、つい……セラムさん」
「は、はい」
ぎこちなく、セラムの身体に上着を被せる。
ユキの方を見上げながら少女は肩をびくつかせる。
「その、なんて言ったらいいのか……地球ではそういうことは愛し合ってる者同士で行う……風潮……?……がありまして」
「あ、そうなのですか……」
少女は意を得たと頷く。
「あなた方は愛し合っているのですね」
そして、慈愛に満ちた視線を彼らへ交互に送った。
「……」
少年は声も上げずに沈黙する。
「か、界塚少尉?」
セラムは何事かと目を丸くしている。
「はッ、ご、ごめんなさい」
伊奈帆は首だけを上げる。
「ユキ姉、痛い」
「ごめんねッ、なお君、つい……セラムさん」
「は、はい」
ぎこちなく、セラムの身体に上着を被せる。
ユキの方を見上げながら少女は肩をびくつかせる。
「その、なんて言ったらいいのか……地球ではそういうことは愛し合ってる者同士で行う……風潮……?……がありまして」
「あ、そうなのですか……」
少女は意を得たと頷く。
「あなた方は愛し合っているのですね」
そして、慈愛に満ちた視線を彼らへ交互に送った。
59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/05(日) 21:42:04.80 ID:t4gX8QUH0
「ち、違います違います! 私たちは別にそういうのでは」
「そうです」
「なお君?!」
必死に首を振るユキに横で、伊奈帆は簡潔に伝えた。
「それは、申し訳ないことをしてしまいました」
「ちょ、違うんですって」
「ユキ姉、ちょっとうるさい」
「仲の良い兄妹がいなかったもので、羨ましいです」
セラムは上着を着始める。
「では、また別の形でお礼をさせて頂きますね」
嫌な顔一つ見せず、彼女はそう言って部屋を後にした。
「そうです」
「なお君?!」
必死に首を振るユキに横で、伊奈帆は簡潔に伝えた。
「それは、申し訳ないことをしてしまいました」
「ちょ、違うんですって」
「ユキ姉、ちょっとうるさい」
「仲の良い兄妹がいなかったもので、羨ましいです」
セラムは上着を着始める。
「では、また別の形でお礼をさせて頂きますね」
嫌な顔一つ見せず、彼女はそう言って部屋を後にした。
60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/05(日) 21:54:30.62 ID:t4gX8QUH0
セラムが去ってから、ユキはこめかみを抑えて、肺から絞り出すようなため息を吐いた。
「どうするのよ……変な誤解されちゃったじゃない」
「どうして? 何か間違ったことを言った?」
伊奈帆はきょとんと姉を見た。
彼女は弟の真っ直ぐすぎる視線に思わず赤面する。
彼の顔を曇らせなくて、ユキはとっさに、
「言ってない…けど、言ってない……とかそういうことではなくて」
「じゃあ、いいじゃない。セラムさんは人に話したりしない。まあ、できないと思うけど」
「なお君……私、これ以上引き返せない所に行く前に、はっきりさせとかないといけないと思うの」
「何を?」
「私たちの関係に決まってるでしょ」
ユキは向き直って伊奈帆の両肩に手を置いた。
ふと、下を見ると彼の怒張が目に入る。
「……ひゃっ?!」
彼女はそれを見て力が抜けたように軽い尻餅をつく。
「どうするのよ……変な誤解されちゃったじゃない」
「どうして? 何か間違ったことを言った?」
伊奈帆はきょとんと姉を見た。
彼女は弟の真っ直ぐすぎる視線に思わず赤面する。
彼の顔を曇らせなくて、ユキはとっさに、
「言ってない…けど、言ってない……とかそういうことではなくて」
「じゃあ、いいじゃない。セラムさんは人に話したりしない。まあ、できないと思うけど」
「なお君……私、これ以上引き返せない所に行く前に、はっきりさせとかないといけないと思うの」
「何を?」
「私たちの関係に決まってるでしょ」
ユキは向き直って伊奈帆の両肩に手を置いた。
ふと、下を見ると彼の怒張が目に入る。
「……ひゃっ?!」
彼女はそれを見て力が抜けたように軽い尻餅をつく。
61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/05(日) 22:10:29.53 ID:t4gX8QUH0
ユキははっとしてすぐに顔を背けた。
「な、なんでそうなっちゃうの……っ……もうっ……もう!」
「今さっき、ユキ姉が、間違っていないって言ってくれた時に。嬉しかったのかもね」
「ばかっばかっ! 恥ずかしいから、しまってよ!」
「僕らの関係をはっきりさせるんじゃないの?」
「そんなもの出さなくてもいいでしょ!?」
恥ずかしげもなく勃起させたそれを、ユキは指差す。
「初めて見るわけでもないのに。セラムさんの方が、よっぽど大人だね」
「火星とは違うんだからっ……」
「ねえ、なぜセラムさんの行動を止めたの? まず、それを説明して欲しい」
「それは……」
「分からないの?」
「わ、分かるわよ……分かってるけど……」
「ユキ姉、僕は何度か忠告したはずだよ」
ユキは手のひらがじんわりと汗ばんでくるのを感じていた。
「な、なんでそうなっちゃうの……っ……もうっ……もう!」
「今さっき、ユキ姉が、間違っていないって言ってくれた時に。嬉しかったのかもね」
「ばかっばかっ! 恥ずかしいから、しまってよ!」
「僕らの関係をはっきりさせるんじゃないの?」
「そんなもの出さなくてもいいでしょ!?」
恥ずかしげもなく勃起させたそれを、ユキは指差す。
「初めて見るわけでもないのに。セラムさんの方が、よっぽど大人だね」
「火星とは違うんだからっ……」
「ねえ、なぜセラムさんの行動を止めたの? まず、それを説明して欲しい」
「それは……」
「分からないの?」
「わ、分かるわよ……分かってるけど……」
「ユキ姉、僕は何度か忠告したはずだよ」
ユキは手のひらがじんわりと汗ばんでくるのを感じていた。
62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/05(日) 22:21:19.68 ID:t4gX8QUH0
「おかしいなら、おかしいと言ってくれないと」
伊奈帆の指が、ユキの頬を撫でる。
「っ……」
息が漏れる。
「僕はいつか、その綺麗な身体を汚してしまうんじゃないかな」
緩慢な動作で伊奈帆は顔を近づけて、ユキの首筋に鼻頭を押し付ける。
「か、嗅がないでよっ……」
刺激に耐えるように、ユキは目を細めた。
犬のようだ。
「止めてみなよ」
その言葉は、ユキの気持ちを掻き乱す。
ささくれ立つように、下腹部の肉がざわつく。
伊奈帆の指が、ユキの頬を撫でる。
「っ……」
息が漏れる。
「僕はいつか、その綺麗な身体を汚してしまうんじゃないかな」
緩慢な動作で伊奈帆は顔を近づけて、ユキの首筋に鼻頭を押し付ける。
「か、嗅がないでよっ……」
刺激に耐えるように、ユキは目を細めた。
犬のようだ。
「止めてみなよ」
その言葉は、ユキの気持ちを掻き乱す。
ささくれ立つように、下腹部の肉がざわつく。
63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/05(日) 22:40:23.27 ID:t4gX8QUH0
伊奈帆は服の上から、乳房にむしゃぶりついた。
「やだっ……やっ!?」
ユキの両腕を、床に押し付ける。
天井を背にする伊奈帆を見ると、息が荒い。
興奮していた。
この間の夜のように、また頭が真っ白になるようなことをされるのか。
獣のように吠えさせられて、淫らに身体を揺さぶられるあの夜のような。
「怯えているのも可愛い」
「そ、そんなこと……」
頬がかっと火照る。
「そういう反応が僕の興奮を掻き立てていることに気がついた方がいいよ」
言い終わるが早いか、ユキの唇の先に自分の唇をすり当てる。
ちろちろと舐めて、舌先で歯列をなぞった。
「んっはぁ……」
呼吸を忘れたように貪られて、どちらともつかない涎が、ユキの顎を滴り落ちた。
ユキの滑らかな太ももをぱっくりと「ハ」の字にしつつ、彼の指が熱気を放つ女性器をこする。
絶頂への階段を登り始め、ユキははたと弟の手を掴んだ。
「やだっ……やっ!?」
ユキの両腕を、床に押し付ける。
天井を背にする伊奈帆を見ると、息が荒い。
興奮していた。
この間の夜のように、また頭が真っ白になるようなことをされるのか。
獣のように吠えさせられて、淫らに身体を揺さぶられるあの夜のような。
「怯えているのも可愛い」
「そ、そんなこと……」
頬がかっと火照る。
「そういう反応が僕の興奮を掻き立てていることに気がついた方がいいよ」
言い終わるが早いか、ユキの唇の先に自分の唇をすり当てる。
ちろちろと舐めて、舌先で歯列をなぞった。
「んっはぁ……」
呼吸を忘れたように貪られて、どちらともつかない涎が、ユキの顎を滴り落ちた。
ユキの滑らかな太ももをぱっくりと「ハ」の字にしつつ、彼の指が熱気を放つ女性器をこする。
絶頂への階段を登り始め、ユキははたと弟の手を掴んだ。
64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/05(日) 22:56:21.88 ID:t4gX8QUH0
左手だった。
伊奈帆は、ぴたりと動きを止める。
「なに?」
その質問に、ユキは返答を言いあぐねる。
このまま快楽に従っていいのか。
薄々、自分が敏感で快感に弱いのはわかっていた。
だから、今度こそ流されれば最後まで行き着いてしまう。
自らの変化にユキは漸く気づく。
弟に弄られるのが、好きになってきてしまっている。
彼から与えられる気持ちよさにいつかきっと溺れてしまう。
だから、
「や、やっぱりだめ……ごめんね、ごめんね、なお君」
下半身にとろりと蜜が溢れた。
彼女は太ももを擦り合わせる。
「……」
彼女は伊奈帆の状態を見て、自分が酷なことを言っているのは分かっていた。
一度も経験のない自分からしても、彼のいきり勃つモノが、納る場所を求めているのが分かった。
ユキもまたキュウキュウと締め付ける自身の昂ぶりを感じていた。
伊奈帆は、ぴたりと動きを止める。
「なに?」
その質問に、ユキは返答を言いあぐねる。
このまま快楽に従っていいのか。
薄々、自分が敏感で快感に弱いのはわかっていた。
だから、今度こそ流されれば最後まで行き着いてしまう。
自らの変化にユキは漸く気づく。
弟に弄られるのが、好きになってきてしまっている。
彼から与えられる気持ちよさにいつかきっと溺れてしまう。
だから、
「や、やっぱりだめ……ごめんね、ごめんね、なお君」
下半身にとろりと蜜が溢れた。
彼女は太ももを擦り合わせる。
「……」
彼女は伊奈帆の状態を見て、自分が酷なことを言っているのは分かっていた。
一度も経験のない自分からしても、彼のいきり勃つモノが、納る場所を求めているのが分かった。
ユキもまたキュウキュウと締め付ける自身の昂ぶりを感じていた。
65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/05(日) 23:01:59.16 ID:t4gX8QUH0
彼は身体を離して、無言で勃起した男根を収めた。
そして、耐えるように息を吐き、呼吸を整える。
「抱きしめたい」
と、ぽつりと言った。
「うん……いいよ」
ユキは目を瞑った。
鼻の奥がつんと痛む。
「ありがとう」
これが彼の初恋だったのだろうか。
ユキは怖くて聞けなかった。
彼は時間を忘れたように、いつまでもいつまでもユキを抱きしめ続けていた。
終わり
そして、耐えるように息を吐き、呼吸を整える。
「抱きしめたい」
と、ぽつりと言った。
「うん……いいよ」
ユキは目を瞑った。
鼻の奥がつんと痛む。
「ありがとう」
これが彼の初恋だったのだろうか。
ユキは怖くて聞けなかった。
彼は時間を忘れたように、いつまでもいつまでもユキを抱きしめ続けていた。
終わり
66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/05(日) 23:12:29.65 ID:t4gX8QUH0
読んでくれてありがとう。
67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/05(日) 23:37:46.03 ID:az4ih+qp0
ユキ姉かわいい
68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/06(月) 00:16:13.94 ID:8BSrQ1gfo
この設定で最終回後のユキ姉お願いします
69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/06(月) 13:57:42.33 ID:wi4l6kXKO
乙
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1410782543/
Entry ⇒ 2015.01.23 | Category ⇒ アルドノア・ゼロ | Comments (0)
伊奈帆「姉の腕」
1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/14(日) 02:36:17.20 ID:ieJleyK90
アルドノア・ゼロ 伊奈帆×ユキ 姉妹 エロ 短い
少年は足を止めた。抱えていたものを持ち直す。
ロックのかかった部屋の前で、中の主をインターホンで呼び出した。
「ユキ姉、いる?」
返事はない。
が、ドアはすぐにスライドした。
「なお君? どうしたのって、何持ってきたの?」
「痛み止め」
「え、なんで」
「塗るタイプと飲むタイプがあるんだけど、ユキ姉はどっちにするの?」
ユキは困惑したように、笑った。
「やーね、もしかし折れた腕のこと気にしてくれたの? 大丈夫よ、これくらい」
彼女は腕をスイングさせる。
同時に、アームから機械的な音が伊奈帆の耳を掠めた。
「ありがとう」
そう言って、ユキは弟を抱きしめようと腕を伸ばした。
「……」
彼は素早くそれを避ける。
「もお、なんで逃げるの」
「その左腕だと、精密な動作は難しいと思うから」
少年は足を止めた。抱えていたものを持ち直す。
ロックのかかった部屋の前で、中の主をインターホンで呼び出した。
「ユキ姉、いる?」
返事はない。
が、ドアはすぐにスライドした。
「なお君? どうしたのって、何持ってきたの?」
「痛み止め」
「え、なんで」
「塗るタイプと飲むタイプがあるんだけど、ユキ姉はどっちにするの?」
ユキは困惑したように、笑った。
「やーね、もしかし折れた腕のこと気にしてくれたの? 大丈夫よ、これくらい」
彼女は腕をスイングさせる。
同時に、アームから機械的な音が伊奈帆の耳を掠めた。
「ありがとう」
そう言って、ユキは弟を抱きしめようと腕を伸ばした。
「……」
彼は素早くそれを避ける。
「もお、なんで逃げるの」
「その左腕だと、精密な動作は難しいと思うから」
2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 02:43:06.21 ID:ieJleyK90
「大丈夫、ほら」
彼女は伊奈帆の持っていたペットボトルを摘み上げて、
ベコッ――
ペットボトルの蓋がはじけ飛んだ。
蓋は天井に当たって、少年の頭へと落下してから、コロコロと床に転がっていく。
「……」
「あ……ご、ごめん」
伊奈帆は水浸しの前髪を軽く手で払った。
「いいよ」
「明日はちゃんと訓練して、マスターしておきます……」
「うん」
「って、それよりなお君そのままだと風邪引いちゃう!」
ユキは伊奈帆の腕を引っ張り、部屋へと招き入れた。
彼女は伊奈帆の持っていたペットボトルを摘み上げて、
ベコッ――
ペットボトルの蓋がはじけ飛んだ。
蓋は天井に当たって、少年の頭へと落下してから、コロコロと床に転がっていく。
「……」
「あ……ご、ごめん」
伊奈帆は水浸しの前髪を軽く手で払った。
「いいよ」
「明日はちゃんと訓練して、マスターしておきます……」
「うん」
「って、それよりなお君そのままだと風邪引いちゃう!」
ユキは伊奈帆の腕を引っ張り、部屋へと招き入れた。
3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 02:55:42.77 ID:ieJleyK90
艦内の姉の部屋に入ったのはそれが始めてだった。
伊奈帆はいつも通り怠惰な部屋を見て、やや息を漏らす。
「タオル、あった」
伊奈帆の頭にタオルをかけて、ユキはこねる様に拭いた。
「ユキ姉こそ、濡れてるけど」
姉の着ていたシャツにも水はかかっており、下着が透けている。
「ええ? あ、やだホント」
薄いピンク色。
何度か、家で干した事があった。
「水、まだ半分はあるから。塗る? 飲む?」
「……あの、ねえ、なんでそれ持ってきてくれたの?」
「夜に、腕が痛むんでしょ? 医療品の補給が難しい今、ユキ姉ならもっと酷い負傷者に鎮痛剤を譲るだろうなって思って」
「そこまで分かってるなら、どうして持ってきたのよ。ううん、どうやって持ってきたの」
「こっそり」
「ちょっとッ、なお君」
「っていうのは嘘で、僕が元々携帯してたものだよ。こういう事態に備えて」
「普通、こんな事態想定する?」
「ユキ姉なら、可能性は高い」
「……今、お姉ちゃんをバカにしたでしょ」
「いや、確率の話をしただけで……あ」
伊奈帆は姉の右手で顎をつままれた。
「この口は、本当に達者なんだから!」
伊奈帆はいつも通り怠惰な部屋を見て、やや息を漏らす。
「タオル、あった」
伊奈帆の頭にタオルをかけて、ユキはこねる様に拭いた。
「ユキ姉こそ、濡れてるけど」
姉の着ていたシャツにも水はかかっており、下着が透けている。
「ええ? あ、やだホント」
薄いピンク色。
何度か、家で干した事があった。
「水、まだ半分はあるから。塗る? 飲む?」
「……あの、ねえ、なんでそれ持ってきてくれたの?」
「夜に、腕が痛むんでしょ? 医療品の補給が難しい今、ユキ姉ならもっと酷い負傷者に鎮痛剤を譲るだろうなって思って」
「そこまで分かってるなら、どうして持ってきたのよ。ううん、どうやって持ってきたの」
「こっそり」
「ちょっとッ、なお君」
「っていうのは嘘で、僕が元々携帯してたものだよ。こういう事態に備えて」
「普通、こんな事態想定する?」
「ユキ姉なら、可能性は高い」
「……今、お姉ちゃんをバカにしたでしょ」
「いや、確率の話をしただけで……あ」
伊奈帆は姉の右手で顎をつままれた。
「この口は、本当に達者なんだから!」
4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 03:07:14.77 ID:ieJleyK90
剛腕な左腕も伸びんばかりだったため、彼は体を捻って姉の攻撃から逃れた。
「こらッ……でも、まあせっかく持ってきてくれたんだし、頂くわ。飲み薬」
「副作用でぼーっとなるから、気を付けて」
「もう寝る所だったし、大丈夫よ。あ、そこにドライヤーあるからなお君髪乾かしていきなさい」
「わかった」
伊奈帆はコンセントが繋がれたままのドライヤーのスイッチを入れる。
旧式のドライヤーなのか、少し焦げ臭い。
姉を横目で見やる。
シャツがぴったりと張り付いている。
ボディラインがくっきりと浮かび上がっていた。
彼女は手に薬を取り、口へと運ぶ。
ペットボトルから絞る様に水を飲んでいた。
喉でも渇いていたのかも知れない。
「にっがーい……けぷッ」
「……」
「変な味……こんなのどこで売ってたの?」
「普通にお店で」
「ふーん」
「こらッ……でも、まあせっかく持ってきてくれたんだし、頂くわ。飲み薬」
「副作用でぼーっとなるから、気を付けて」
「もう寝る所だったし、大丈夫よ。あ、そこにドライヤーあるからなお君髪乾かしていきなさい」
「わかった」
伊奈帆はコンセントが繋がれたままのドライヤーのスイッチを入れる。
旧式のドライヤーなのか、少し焦げ臭い。
姉を横目で見やる。
シャツがぴったりと張り付いている。
ボディラインがくっきりと浮かび上がっていた。
彼女は手に薬を取り、口へと運ぶ。
ペットボトルから絞る様に水を飲んでいた。
喉でも渇いていたのかも知れない。
「にっがーい……けぷッ」
「……」
「変な味……こんなのどこで売ってたの?」
「普通にお店で」
「ふーん」
5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 03:24:25.54 ID:ieJleyK90
興味なさそうに、そう返事してから、彼女はベッドにとさりと座った。
「ユキ姉、僕はもう乾いたから、ユキ姉もそのシャツ乾かしなよ」
「へ? あ、ちょっと、もう透けちゃってるッ……うわーんッ」
「それか、着替えた方がいいんじゃない」
「そうだね、たぶん着替えた方が早いかな……」
彼女はベッド脇にかけてあった別のシャツをハンガーから外した。
と、伊奈帆の方を見やる。
「なに?」
「う……あの、なんでもない」
「もしかして、ボタン外せない?」
「……」
「図星なんだ」
「ユキ姉、僕はもう乾いたから、ユキ姉もそのシャツ乾かしなよ」
「へ? あ、ちょっと、もう透けちゃってるッ……うわーんッ」
「それか、着替えた方がいいんじゃない」
「そうだね、たぶん着替えた方が早いかな……」
彼女はベッド脇にかけてあった別のシャツをハンガーから外した。
と、伊奈帆の方を見やる。
「なに?」
「う……あの、なんでもない」
「もしかして、ボタン外せない?」
「……」
「図星なんだ」
12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 08:26:28.04 ID:ieJleyK90
ユキが頭を垂れて、伊奈帆へシャツを差し出した。
動作補助器具「アーマチュア」。
訓練次第では、箸で米粒も持てるようになる。
不器用な姉には縁遠いかもしれないが。
「右手で外せない?」
伊奈帆は聞いた。
「それが、このシャツ洗いすぎて小さくなっちゃったのかボタンをかける所がきつくて……」
「分かった。そこに立ってじっとしてて」
「うん、ありがとう」
ふにゃりと笑う。
戦場では決して見せることのない、彼女の緩んだ顔。
伊奈帆は血の流れが速くなるのを感じた。
ふと、姉の部屋にいるのだという意識が蘇る。
隣にいるのは、21歳の若い女性で。
地球連合の軍人で。
階級は准尉で。
アレイオンの操縦士。
そして、実の姉。
けれど、この部屋にいるのは男と女で。
伊奈帆は嗅ぎ慣れた心安らぐ匂いに目を細めた。
動作補助器具「アーマチュア」。
訓練次第では、箸で米粒も持てるようになる。
不器用な姉には縁遠いかもしれないが。
「右手で外せない?」
伊奈帆は聞いた。
「それが、このシャツ洗いすぎて小さくなっちゃったのかボタンをかける所がきつくて……」
「分かった。そこに立ってじっとしてて」
「うん、ありがとう」
ふにゃりと笑う。
戦場では決して見せることのない、彼女の緩んだ顔。
伊奈帆は血の流れが速くなるのを感じた。
ふと、姉の部屋にいるのだという意識が蘇る。
隣にいるのは、21歳の若い女性で。
地球連合の軍人で。
階級は准尉で。
アレイオンの操縦士。
そして、実の姉。
けれど、この部屋にいるのは男と女で。
伊奈帆は嗅ぎ慣れた心安らぐ匂いに目を細めた。
13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 08:47:07.32 ID:ieJleyK90
「できたよ」
「ありがとう、なお君」
「構わないよ」
伊奈帆は彼女の胸の辺りを彷徨っていた視線をずらす。
「コーヒー飲む?」
「いや、僕はもう帰るよ」
伊奈帆はコーヒーメーカーに視線を送る。
「ユキ姉も早く寝なよ」
この部屋から出ることに後ろ髪引かれつつ、少年は姉から身を離す。
「なお君」
「なに?」
肩越しに振り返る。
「大丈夫?」
「何が?」
「……何年お姉ちゃんやっていると思ってるの」
「ありがとう、なお君」
「構わないよ」
伊奈帆は彼女の胸の辺りを彷徨っていた視線をずらす。
「コーヒー飲む?」
「いや、僕はもう帰るよ」
伊奈帆はコーヒーメーカーに視線を送る。
「ユキ姉も早く寝なよ」
この部屋から出ることに後ろ髪引かれつつ、少年は姉から身を離す。
「なお君」
「なに?」
肩越しに振り返る。
「大丈夫?」
「何が?」
「……何年お姉ちゃんやっていると思ってるの」
14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 09:05:18.27 ID:ieJleyK90
「ああ、うん。少し、疲れてる。でも、心配ないよ」
姉の目を見ながら、伊奈帆は淡々と述べた。
「……」
彼女の目は昔、学校で見たことがある。
誰だったか、そう道徳教育の教師。
戦争を想定しての道徳。
戦時中の死は誇るべきと他の教師が述べる中、彼女だけが異質だった。
死んだ人間のことを考えろと。
敵のことを考えろと。
そんな余裕が戦時中にあるのか疑問だった。
そして、そんな余裕はなかった。
判断の誤りが自分を殺す。
瞬間の判断が、相手を殺す。
伊奈帆は右手を握る。
離す。
「なお君?」
トリガーの感触が未だに残っている。
安全装置を外した時の高揚感が静まらない。
けれど、それは結果が良ければどうでもいい話。
姉を救えれば。
味方を助ければいい話。
「戦争だからね。何かしら、精神的な異常が起こってもおかしくはない」
「あなた、やっぱりどこか」
伊奈帆は方向転換する。
ユキへと向き直る。
「毬戸大尉は、一度この部屋に来たことがあるの?」
「え、まあ、一度だけ」
「そう。それで、コーヒーを飲んで帰った?」
「そうよ? あ、彼とは別に何もないからね?」
その言葉はなんの慰めにもならない。
この部屋で男と女が二人。
理由はそれだけでいい。
飲みかけのコップが二つ。
理由は十分だ。
姉の目を見ながら、伊奈帆は淡々と述べた。
「……」
彼女の目は昔、学校で見たことがある。
誰だったか、そう道徳教育の教師。
戦争を想定しての道徳。
戦時中の死は誇るべきと他の教師が述べる中、彼女だけが異質だった。
死んだ人間のことを考えろと。
敵のことを考えろと。
そんな余裕が戦時中にあるのか疑問だった。
そして、そんな余裕はなかった。
判断の誤りが自分を殺す。
瞬間の判断が、相手を殺す。
伊奈帆は右手を握る。
離す。
「なお君?」
トリガーの感触が未だに残っている。
安全装置を外した時の高揚感が静まらない。
けれど、それは結果が良ければどうでもいい話。
姉を救えれば。
味方を助ければいい話。
「戦争だからね。何かしら、精神的な異常が起こってもおかしくはない」
「あなた、やっぱりどこか」
伊奈帆は方向転換する。
ユキへと向き直る。
「毬戸大尉は、一度この部屋に来たことがあるの?」
「え、まあ、一度だけ」
「そう。それで、コーヒーを飲んで帰った?」
「そうよ? あ、彼とは別に何もないからね?」
その言葉はなんの慰めにもならない。
この部屋で男と女が二人。
理由はそれだけでいい。
飲みかけのコップが二つ。
理由は十分だ。
15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 09:17:39.65 ID:ieJleyK90
「もー、変なこと考えてる顔してる」
「してないよ」
「お姉ちゃんには分かるんだからね」
「何も」
「もしかして、大尉に嫉妬してたの? ばかね、もう」
「まだ何も言ってないけれど」
ユキは右腕で伊奈帆の頭を撫でた。
「分かってる分かってる」
「……」
伊奈帆は彼女の腕を掴んだ。
華奢で、力を入れたら折れてしまうんだろう。
伊奈帆は自分の右手を姉の頬に滑らせた。
ユキはくすぐったそうに目を細めた。
彼は指を横にずらして、耳を擦り上げる。
「ッひゃ……ちょ、なお君。くすぐったい」
「うん」
指をそのまま頬、顎のラインをなぞるように下げる。
彼女がびくりと震えた。
構わずに、胸の膨らみから腹部、太ももへとずらしていく。
「そ、その触り方……」
そこで、彼女は漸く気が付いたようだ。
弟が自分の体に欲情していることに。
「してないよ」
「お姉ちゃんには分かるんだからね」
「何も」
「もしかして、大尉に嫉妬してたの? ばかね、もう」
「まだ何も言ってないけれど」
ユキは右腕で伊奈帆の頭を撫でた。
「分かってる分かってる」
「……」
伊奈帆は彼女の腕を掴んだ。
華奢で、力を入れたら折れてしまうんだろう。
伊奈帆は自分の右手を姉の頬に滑らせた。
ユキはくすぐったそうに目を細めた。
彼は指を横にずらして、耳を擦り上げる。
「ッひゃ……ちょ、なお君。くすぐったい」
「うん」
指をそのまま頬、顎のラインをなぞるように下げる。
彼女がびくりと震えた。
構わずに、胸の膨らみから腹部、太ももへとずらしていく。
「そ、その触り方……」
そこで、彼女は漸く気が付いたようだ。
弟が自分の体に欲情していることに。
16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 09:30:11.24 ID:ieJleyK90
彼女は右手で、伊奈帆の肩を押し返した。
伊奈帆はあまり後ずさらず、逆にユキの方が反動で後ろに後ずさった。
ちょうど膝の所でベッドの脇があたり、崩れるように座り込む。
薬が効いてきたのか、少し気だるそうだ。
「……」
無言。
伊奈帆は姉の無防備な姿に、熱が体の中心へと集中してくるのが分かった。
彼女も呆然と弟の顔を見ていたが、ふと視線をずらす。
「な、なお君……それ」
股間の膨らみに気が付いて、小さな悲鳴を上げた。
「生理的な現象に過ぎないよ」
「だ、ダメよ……私たち姉弟なのに」
「じゃあ、他の子を見つけるだけだ」
「それ、本気で言ってるの」
「冗談だよ。ユキ姉以外、考えられない」
ユキはたじろいでいた。
伊奈帆は分かっていた。
これが、初めて彼女に見せる弱みだった。
彼女は優しい。
伊奈帆は彼女の唇に人差し指を当てる。
ユキは動けないようだった。
ぷるんとした唇を押しのけて、口の中に指をねじ込んだ。
「んッ…?!」
伊奈帆はあまり後ずさらず、逆にユキの方が反動で後ろに後ずさった。
ちょうど膝の所でベッドの脇があたり、崩れるように座り込む。
薬が効いてきたのか、少し気だるそうだ。
「……」
無言。
伊奈帆は姉の無防備な姿に、熱が体の中心へと集中してくるのが分かった。
彼女も呆然と弟の顔を見ていたが、ふと視線をずらす。
「な、なお君……それ」
股間の膨らみに気が付いて、小さな悲鳴を上げた。
「生理的な現象に過ぎないよ」
「だ、ダメよ……私たち姉弟なのに」
「じゃあ、他の子を見つけるだけだ」
「それ、本気で言ってるの」
「冗談だよ。ユキ姉以外、考えられない」
ユキはたじろいでいた。
伊奈帆は分かっていた。
これが、初めて彼女に見せる弱みだった。
彼女は優しい。
伊奈帆は彼女の唇に人差し指を当てる。
ユキは動けないようだった。
ぷるんとした唇を押しのけて、口の中に指をねじ込んだ。
「んッ…?!」
17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 09:36:47.78 ID:ieJleyK90
嫌がる声に、鼓動が早くなった。
左手で耳を触る。
姉は身をよじった。
指が糸を引いていた。
「やめて……なお君」
ユキは右手で伊奈帆を押しのける。
左手は使わない。
伊奈帆はそれを気に留めることはなかった。
逆に彼女を白いシーツへと張り付けた。
長い黒髪が扇情的に広がる。
彼は姉の首筋に顔を埋めた。
首筋を舐め上げる。
耳を甘噛みする。
「はッ……やッ」
「甘い」
ぽつりと呟いた。
ユキは鋭く息を飲んだ。
左手で耳を触る。
姉は身をよじった。
指が糸を引いていた。
「やめて……なお君」
ユキは右手で伊奈帆を押しのける。
左手は使わない。
伊奈帆はそれを気に留めることはなかった。
逆に彼女を白いシーツへと張り付けた。
長い黒髪が扇情的に広がる。
彼は姉の首筋に顔を埋めた。
首筋を舐め上げる。
耳を甘噛みする。
「はッ……やッ」
「甘い」
ぽつりと呟いた。
ユキは鋭く息を飲んだ。
19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 09:50:59.89 ID:ieJleyK90
股間の膨らみを太ももへ押し付ける。
張り過ぎて、痛みすら覚えた。
「怖い?」
姉に問いかける。
「なおッ君……だめ」
「それなら、僕をその左腕で殴って止めればいい」
「そんなこと、できないよ……」
「それができないなら、僕は止まらない」
シャツの上からでも形の良さが分かる彼女の胸に貪りついた。
せっかく乾かしたが、唾液でまた透けていく。
柔らかい。
何よりも。
突起のあたりを服の上から何度も吸った。
「ふッ……ぁ」
ユキは声を出しつつ、壁際まで後ずさる。
もう、後ろへはいけない。
伊奈帆も追いかかける。
ベッドのスプリングがぎしりと鳴った。
彼女を壁側に向かせた。
「な、なお君何をッ」
抵抗したので、彼女の脇腹を掴んで少々乱暴に移動させた。
後ろから抱き留める。
「ユキ姉」
「あッ」
首の後ろを何度も舐める。
シャツをめくり上げて、背中も何度も何度も猫の様に舐めた。
白い肌。
甘ったるい匂い。
伊奈帆は酔った。
ユキの身体は温かかった。
張り過ぎて、痛みすら覚えた。
「怖い?」
姉に問いかける。
「なおッ君……だめ」
「それなら、僕をその左腕で殴って止めればいい」
「そんなこと、できないよ……」
「それができないなら、僕は止まらない」
シャツの上からでも形の良さが分かる彼女の胸に貪りついた。
せっかく乾かしたが、唾液でまた透けていく。
柔らかい。
何よりも。
突起のあたりを服の上から何度も吸った。
「ふッ……ぁ」
ユキは声を出しつつ、壁際まで後ずさる。
もう、後ろへはいけない。
伊奈帆も追いかかける。
ベッドのスプリングがぎしりと鳴った。
彼女を壁側に向かせた。
「な、なお君何をッ」
抵抗したので、彼女の脇腹を掴んで少々乱暴に移動させた。
後ろから抱き留める。
「ユキ姉」
「あッ」
首の後ろを何度も舐める。
シャツをめくり上げて、背中も何度も何度も猫の様に舐めた。
白い肌。
甘ったるい匂い。
伊奈帆は酔った。
ユキの身体は温かかった。
20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 10:04:54.13 ID:ieJleyK90
どちらともなく荒い息遣いが聞こえて。
しばし、彼は抱擁に浸った。
改めて、姉の柔らかさを知った。
細くて、小さくて、ごつごつしていない。
彼女の指に自分の指を絡めて、しゃぶる。
丹念に吸い付く。
「なお君の……変態ッ」
小声で彼女が言った。
「そうだね。でも、ユキ姉だからだよ」
「そんなッ……」
後ろから彼女のジーパンのチャックに手をかけた。
気が付いた彼女の右腕に邪魔されないように素早くお尻まで引きずりおろす。
「や、やだ、ダメだってば!」
姉の声を無視して、自分の体重をかけながら彼女の身体に覆いかぶさる。
その間に、膝まで一気にずり降ろした。
ブラと同じ、薄ピンクのショーツ。
彼は自分のズボンのチャックを下げた。
トランクスにはすでに先走り汁が染みを作っていた。
それを擦り付ける様に、彼女のショーツにあてがった。
しばし、彼は抱擁に浸った。
改めて、姉の柔らかさを知った。
細くて、小さくて、ごつごつしていない。
彼女の指に自分の指を絡めて、しゃぶる。
丹念に吸い付く。
「なお君の……変態ッ」
小声で彼女が言った。
「そうだね。でも、ユキ姉だからだよ」
「そんなッ……」
後ろから彼女のジーパンのチャックに手をかけた。
気が付いた彼女の右腕に邪魔されないように素早くお尻まで引きずりおろす。
「や、やだ、ダメだってば!」
姉の声を無視して、自分の体重をかけながら彼女の身体に覆いかぶさる。
その間に、膝まで一気にずり降ろした。
ブラと同じ、薄ピンクのショーツ。
彼は自分のズボンのチャックを下げた。
トランクスにはすでに先走り汁が染みを作っていた。
それを擦り付ける様に、彼女のショーツにあてがった。
22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 10:40:47.52 ID:ieJleyK90
彼女は身体を強張らせた。
「ユキ姉、こっち向いて」
あえて優しく言い聞かせた。
恐る恐る、彼女は伊奈帆の方を振り返る。
艶のある唇に自分のを重ねた。
「んッ…‥む」
キスをしつつ、彼女のブラをずらして、乳首の先端を指で転がした。
「ッン……やめッ」
撮みながら弾くと、ユキは背中をそらせた。
硬く勃起した乳首は汗ばんでいて、伊奈帆の指を湿らせる。
「お願い、これ以上は……なお君ッ……」
力無く、彼女は言った。
伊奈帆は彼女のショーツをずらして、お尻を啄む。
姉を自分の方へ向かせる。
顔を真っ赤にして、涙目の姉。
彼女の乳首に吸い付いた。
「ッ……ぅンッ舐めないでぇ」
胸をわし掴み、優しく揉み解す。
「ユキ姉、こっち向いて」
あえて優しく言い聞かせた。
恐る恐る、彼女は伊奈帆の方を振り返る。
艶のある唇に自分のを重ねた。
「んッ…‥む」
キスをしつつ、彼女のブラをずらして、乳首の先端を指で転がした。
「ッン……やめッ」
撮みながら弾くと、ユキは背中をそらせた。
硬く勃起した乳首は汗ばんでいて、伊奈帆の指を湿らせる。
「お願い、これ以上は……なお君ッ……」
力無く、彼女は言った。
伊奈帆は彼女のショーツをずらして、お尻を啄む。
姉を自分の方へ向かせる。
顔を真っ赤にして、涙目の姉。
彼女の乳首に吸い付いた。
「ッ……ぅンッ舐めないでぇ」
胸をわし掴み、優しく揉み解す。
23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 10:50:35.48 ID:ieJleyK90
彼女の唇は頑なに閉じていた。
時折、苦しそうに開くので、ここぞとばかりに舌をねじ込んだ。
互いの唾液が混ざり合う。
一体どちらのものか。
「んぁッ……ねえ、なお君。お姉ちゃん……じゃ、ダメだよ」
「僕はユキ姉じゃなければダメだよ。ユキ姉は、嫌?」
あえて、答えにくいように質問する。
「嫌とか……そういう」
答えははなから期待はしていない。
伊奈帆は彼女の返答を待たずに、太ももを開脚させた。
ショーツにうっすら染みができていた。
「見ないで、なお君!」
腕で顔を隠して、ユキは叫んだ。
太ももを閉じようとするので、彼は強引に開き、染みを指でこする。
下着の上にも関わらず、粘液で指がぬめっとした。
「見ないでッ……」
「これは?」
彼女の顔に指のてかりを近づける。
「感じていたの?」
「違うわッ……そんなことあるわけ」
時折、苦しそうに開くので、ここぞとばかりに舌をねじ込んだ。
互いの唾液が混ざり合う。
一体どちらのものか。
「んぁッ……ねえ、なお君。お姉ちゃん……じゃ、ダメだよ」
「僕はユキ姉じゃなければダメだよ。ユキ姉は、嫌?」
あえて、答えにくいように質問する。
「嫌とか……そういう」
答えははなから期待はしていない。
伊奈帆は彼女の返答を待たずに、太ももを開脚させた。
ショーツにうっすら染みができていた。
「見ないで、なお君!」
腕で顔を隠して、ユキは叫んだ。
太ももを閉じようとするので、彼は強引に開き、染みを指でこする。
下着の上にも関わらず、粘液で指がぬめっとした。
「見ないでッ……」
「これは?」
彼女の顔に指のてかりを近づける。
「感じていたの?」
「違うわッ……そんなことあるわけ」
24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 11:00:26.41 ID:ieJleyK90
「性感帯をいじったから、無理もないよ」
伊奈帆は短く告げると、ショーツに顔を近づけた。
「何するッ……ひッ」
布地の滑り気を吸い取る様に食らいつく。
ユキの匂いが鼻孔を犯す。
狂いそうだ。
彼女の甘ったるい声が、もっと聴きたい。
善がる声が。
嫌がりながらも、優しすぎる彼女が自分を拒絶できない声が聴きたい。
それだけでいい。
「ユキ姉、どんどん、濡れてきてる」
「やめてッ……言わないで」
涙声。
彼女は自分の秘所に貪りつく弟を見下ろした。
伊奈帆も顔を上げた。
「キスしたい」
伊奈帆は言った。
「……ッ」
ユキは何も言わなかった。
伊奈帆は短く告げると、ショーツに顔を近づけた。
「何するッ……ひッ」
布地の滑り気を吸い取る様に食らいつく。
ユキの匂いが鼻孔を犯す。
狂いそうだ。
彼女の甘ったるい声が、もっと聴きたい。
善がる声が。
嫌がりながらも、優しすぎる彼女が自分を拒絶できない声が聴きたい。
それだけでいい。
「ユキ姉、どんどん、濡れてきてる」
「やめてッ……言わないで」
涙声。
彼女は自分の秘所に貪りつく弟を見下ろした。
伊奈帆も顔を上げた。
「キスしたい」
伊奈帆は言った。
「……ッ」
ユキは何も言わなかった。
25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 11:13:55.84 ID:ieJleyK90
伊奈帆は彼女の秘所を弄りながら、唇にかぶりついた。
「んッ……はッ」
吐息が耳をくすぐる。
舌をねじ込むと、今度は弱弱しく絡めてきた。
それに合わせるように、伊奈帆もゆっくりと彼女の口内を舐めとる。
「はぁ……ッン……」
ショーツの隙間から直接指をもぐりこませる。
クリトリスの辺りを触ると、ぷちゅりと音が弾けた。
滞っていた粘液が溢れ出して、伊奈帆の指に絡みつく。
「なおッくッ……ん」
「感じているの?」
「バカッ……」
「知りたい。教えて」
彼女の耳を優しく触る。
舌で唇を舐め上げる。
「ねえ」
「そんなことないッ……から」
それでも、先ほどの抵抗が見られない。
気を遣っているわけではないようだ。
彼女の濡れそぼった膣の感触を確かめたくて、伊奈帆は指を埋めていく。
ユキの身体が跳ねる。
彼女は身を起して、伊奈帆にしがみついた。
耳元で、名前を呼ばれる。
「だめ?」
伊奈帆は言った。
「んッ……はッ」
吐息が耳をくすぐる。
舌をねじ込むと、今度は弱弱しく絡めてきた。
それに合わせるように、伊奈帆もゆっくりと彼女の口内を舐めとる。
「はぁ……ッン……」
ショーツの隙間から直接指をもぐりこませる。
クリトリスの辺りを触ると、ぷちゅりと音が弾けた。
滞っていた粘液が溢れ出して、伊奈帆の指に絡みつく。
「なおッくッ……ん」
「感じているの?」
「バカッ……」
「知りたい。教えて」
彼女の耳を優しく触る。
舌で唇を舐め上げる。
「ねえ」
「そんなことないッ……から」
それでも、先ほどの抵抗が見られない。
気を遣っているわけではないようだ。
彼女の濡れそぼった膣の感触を確かめたくて、伊奈帆は指を埋めていく。
ユキの身体が跳ねる。
彼女は身を起して、伊奈帆にしがみついた。
耳元で、名前を呼ばれる。
「だめ?」
伊奈帆は言った。
26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 11:38:23.71 ID:ieJleyK90
「あッ……だから」
伊奈帆はユキの髪を梳いてやる。
「ダメならダメって言って」
二本目が挿入される。
「ぁ……」
きつい。しかし、確実に指を飲み込んでいく。
指を横に広げると、ひだが押広がっていった。
ぬるっとして気持ちが良い。
指の腹で中の腫れぼったい所をなぞる。
「ふッ……んぁ」
「ここがいいの?」
伊奈帆はその部分を執拗に擦った。
「やッ……そんなに擦ったらッ……ひッ」
ゆっくりと指の摩擦の速度を上げていく。
鼻から抑え込むような息を漏らすユキ。
「あッ……ぁ……そ……こッ……ンッ…」
動きを止めて、指を引っこ抜く。
「な、おッ……君?」
「温かい。ほら、ユキ姉。分泌液で手がビショビショだよ」
「そ、そんなの見せなくてもいッ……んぐッ?!」
伊奈帆は彼女の口にそれを突っ込んだ。
嫌がる彼女の口にそれを擦り付ける。
「ほら、わかる?」
伊奈帆は自分のパンツをずり降ろした。
赤黒く勃起した男性器にユキは小さく悲鳴を上げた。
それを彼女の秘所に擦り付ける。
「ダメ、それだけは……」
伊奈帆は思考の全てが、性器に持っていかれそうになりながらも、彼女の声に頷いた。
「これはダメなんだね。今は、止めておくよ」
「……ッあ」
代わりに指を入れ直した。
中を掻き出すように、ほじくる。
抜いたり入れたりを繰り返す。
「ひぐッ……ンアッ!?」
「いきそう?」
彼女は無意識に左腕で伊奈帆の体を抱きしめる。
伊奈帆の背中をすがる様に掴む。
彼の背に鋭い痛みが走った。
姉は気づいていない。
伊奈帆はそれに構わず、彼女の膣内にもう一本指を増やした。
伊奈帆はユキの髪を梳いてやる。
「ダメならダメって言って」
二本目が挿入される。
「ぁ……」
きつい。しかし、確実に指を飲み込んでいく。
指を横に広げると、ひだが押広がっていった。
ぬるっとして気持ちが良い。
指の腹で中の腫れぼったい所をなぞる。
「ふッ……んぁ」
「ここがいいの?」
伊奈帆はその部分を執拗に擦った。
「やッ……そんなに擦ったらッ……ひッ」
ゆっくりと指の摩擦の速度を上げていく。
鼻から抑え込むような息を漏らすユキ。
「あッ……ぁ……そ……こッ……ンッ…」
動きを止めて、指を引っこ抜く。
「な、おッ……君?」
「温かい。ほら、ユキ姉。分泌液で手がビショビショだよ」
「そ、そんなの見せなくてもいッ……んぐッ?!」
伊奈帆は彼女の口にそれを突っ込んだ。
嫌がる彼女の口にそれを擦り付ける。
「ほら、わかる?」
伊奈帆は自分のパンツをずり降ろした。
赤黒く勃起した男性器にユキは小さく悲鳴を上げた。
それを彼女の秘所に擦り付ける。
「ダメ、それだけは……」
伊奈帆は思考の全てが、性器に持っていかれそうになりながらも、彼女の声に頷いた。
「これはダメなんだね。今は、止めておくよ」
「……ッあ」
代わりに指を入れ直した。
中を掻き出すように、ほじくる。
抜いたり入れたりを繰り返す。
「ひぐッ……ンアッ!?」
「いきそう?」
彼女は無意識に左腕で伊奈帆の体を抱きしめる。
伊奈帆の背中をすがる様に掴む。
彼の背に鋭い痛みが走った。
姉は気づいていない。
伊奈帆はそれに構わず、彼女の膣内にもう一本指を増やした。
27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 11:44:56.58 ID:ieJleyK90
「ンッ……ンッ……いィ…ぁ」
彼女の身体を揺さぶるくらい激しくかき混ぜると、彼女は軽く絶頂を迎えた。
指を抜き取ると、ぶるりと身体を震わせていた。
「はぁッ……ハ……ンッ」
「可愛い声だね」
「……そんなこと」
伊奈帆は、露わになったペニスを右手でこすり始めた。
「なお君……」
いつでも射精してしまえるほどには、張りつめていた。
それを我慢して、彼は乱れた姉の姿態を存分に堪能してイきたかった。
「ハアッ……う」
「なんか、可愛い……」
姉の天然な発言を最後に、伊奈帆は果てた。
彼女の身体を揺さぶるくらい激しくかき混ぜると、彼女は軽く絶頂を迎えた。
指を抜き取ると、ぶるりと身体を震わせていた。
「はぁッ……ハ……ンッ」
「可愛い声だね」
「……そんなこと」
伊奈帆は、露わになったペニスを右手でこすり始めた。
「なお君……」
いつでも射精してしまえるほどには、張りつめていた。
それを我慢して、彼は乱れた姉の姿態を存分に堪能してイきたかった。
「ハアッ……う」
「なんか、可愛い……」
姉の天然な発言を最後に、伊奈帆は果てた。
28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 11:49:32.62 ID:ieJleyK90
終わり。
読んでくれてありがと
最新話はシスコンだったのでつい
読んでくれてありがと
最新話はシスコンだったのでつい
10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 03:47:13.95 ID:OJFkJEl40
乙です!
最新話もおもしろかったよね
最新話もおもしろかったよね
29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/09/14(日) 12:32:16.78 ID:64C6P8sn0
乙です。
個人的にユキさんドストライクなので楽しく読ませていただきました。
個人的にユキさんドストライクなので楽しく読ませていただきました。
30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/14(日) 15:17:54.87 ID:Wk3FThQv0
ユキ姉最高でした
乙
乙
31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/14(日) 15:21:58.22 ID:wGF7EY32O
おつおつ
32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/14(日) 19:14:20.36 ID:V3B3MoKPO
まだやれる、まだやれるんだ!
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1410629767/
Entry ⇒ 2015.01.23 | Category ⇒ アルドノア・ゼロ | Comments (0)
アセイラム「オナホさん、あっ!?」
1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/16(金) 18:16:18 ID:7lNHfd0c
アセイラム「ご、ごめんなさい間違えてしまいました///」
イナホ「・・・・いえ、慣れてますから」
こういうの絶対誰かネタにしようと思ったろ。だから書けよください。
イナホ「・・・・いえ、慣れてますから」
こういうの絶対誰かネタにしようと思ったろ。だから書けよください。
2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/16(金) 19:05:52 ID:MONy3WSw
インコ「災難だったね、イナホ」
イナホ「気にしてないよ」
アセイラム「あ、こんにちは淫行さん」
インコ「!?」
アセイラム「どうかなさいました?」
イナホ「……わざとやってるんですか? お姫様?」
アセイラム「?」
イナホ「……淫行じゃなくて『インコ』ですよ」
アセイラム「チ○コ?」
インコ「……私のこと嫌いなんですか?」
3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/16(金) 19:14:38 ID:MONy3WSw
アセイラム「い、いいえ! そんな!」
イナホ「では難聴なんですか?」
アセイラム「それも違います」
イナホ「……彼女の名前は『インコ』です。 分かりましたね?」
アセイラム「分かりました、イナホさん」
アセイラム「イ○ポさんですね」
インコ「真面目に怒りますよ!?」
アセイラム「え?」
イナホ(……頭が痛くなってきた)
4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/16(金) 19:25:22 ID:MONy3WSw
イナホ「ともかく、一度医療室に行きましょう」
イナホ「正直、聞き違いとかいうレベルを超えています」
アセイラム「そんな……私はどこも悪くないと思いますが」
インコ「人を放送禁止用語呼びしてる時点で、相当頭が悪いと思われますよ……」
アセイラム「それは地球の風習ですか? イ○ポさん」
インコ「断じて違います! あと名前もね!」
アセイラム「はあ……」
イナホ「ともかく医療室へ行こう」
5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/16(金) 19:36:26 ID:MONy3WSw
―――――――――――
医療室
ソウマ「……はあ?」
イナホ「あきれると思いますが、本気で言ってますから」
ソウマ「……ふむ」
ソウマ「とりあえず……インコさんの名前を呼んでみてくれ」
アセイラム「はい。 ……イ○ポさん」
ソウマ「!?」
イナホ「信じてもらえましたか?」
6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/16(金) 20:35:14 ID:MONy3WSw
ソウマ「……冗談でやっているんじゃないんですね?」
アセイラム「私は普通に呼んでいるつもりなのですが……」
ソウマ「ふむ……」
ソウマ「では、私の名前を言ってもらえますか?」
ソウマ「ああ、私の名前は耶賀頼 蒼真(やがらい そうま)と言います」
アセイラム「ヤガライソウマさん」
ソウマ「では、イナホくん」
アセイラム「イナホさん」
ソウマ「じゃあ、インコさん」
アセイラム「チ○コさん」
ソウマ「…………」
イナホ「…………」
インコ「…………」 イライラ
7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/16(金) 20:45:11 ID:MONy3WSw
ソウマ「……よくわからないが、重症かもしれないな」
アセイラム「そ、そんな!」
イナホ「先生。 クランケの前で不用意な発言ですよ」
ソウマ「すまないが、こんな妙ちきりんな症例に出会った事がなくてね……」
ソウマ「姫様。 火星で病気に心当たりはありませんか?」
アセイラム「さあ……というか、私自身に自覚がないので良くわかりません」
ソウマ「……困ったな」
インコ「そう言わずに何とか治療してやってください」
インコ「いつまでも放送禁止用語呼びされるのは……ちょっと」
アセイラム「すみません……チ○コさん」
インコ「もう呼ばないで!!」///
8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/16(金) 20:53:13 ID:MONy3WSw
テク テク テク…
ライエ「すみません、先生」
ライエ「湿布薬を……って」
アセイラム「あ……淫乱さん」
ライエ「っ!?」
ソウマ「」
イナホ「」
インコ「」
ライエ「どういう意味なの……?」
ライエ「ああ……殺しかけた事、まだ根に持ってるんだ?」
アセイラム「え? え?」
イナホ「ライエ、とりあえず落ち着いてくれ……」
イナホ「姫にそういう感情はない。 バカバカしく思えるだろうが事情を聞いてくれ」
ライエ「……いいわ」
9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/16(金) 21:01:17 ID:MONy3WSw
―――――――――――
ライエ「……信じられないわ、そんな話」
インコ「あんたもチ○コ呼ばわりされれば、嫌でも信じるわよ」
ライエ「…………」
ライエ「私はライエよ?」
アセイラム「はい。 乱交さん」
ライエ「『ラ』しか合ってないわよ……」
イナホ「不愉快だろうが、少し我慢してやってくれ」
ライエ「ええ。 質の悪い病気みたいね」
ライエ「じゃ……」
テク テク テク…
アセイラム「私……ちゃんと乱交さんとお呼びしたのに……」
インコ「重症ね……」
12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 07:40:23 ID:oxQMw/JU
ソウマ「イナホくん。 何か気がつかなかったかい?」
ソウマ「どんな些細な事でもいい」
イナホ「そうですね……」
イナホ「……そういえば、一度だけですが僕の事も『オ○ホ』って呼んでました」
ソウマ「ぶっ!?」
アセイラム「イ、イナホさんっ!?」///
アセイラム「あ、あれは、本当にただの言い間違いでっ……」///
インコ(……っていうか、赤くなるって事は『オ○ホ』の意味を知ってるって事よね)
インコ(どこでそんな単語を覚えたんだろう?)
スレイン「……っえくしっ!!」
13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 07:54:43 ID:oxQMw/JU
ソウマ「……オホンっ!」
ソウマ「ともかくだ。 しばらく様子を見てみないと何とも言えない」
ソウマ「心理的要因か脳の機能障害のたぐいかすら分からないからな」
イナホ「そうですか……」
ソウマ「とは言うものの……私はここを離れる訳にもいかないし」
ソウマ「イナホくん。 彼女にしばらくの間、付き添ってやってくれないか?」
イナホ「……え?」
インコ「ちょ!? なんでイナホが!?」
インコ「お付きの次女が居るんですから、その娘に任せるべきじゃないんですか!?」
ソウマ「まあ確かにそうなんだが……あの娘は上手く説明できるかどうか微妙だし」
ソウマ「それに『地球に来たからこうなった』と思われても厄介だ」
インコ「ぐっ……」
ソウマ「もちろん姫様がお嫌なら誰か他の人物を……」
アセイラム「わ、私に反対意見はありません」///
14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 08:01:40 ID:oxQMw/JU
ソウマ「では……後はイナホくんの意思次第だけど」
イナホ「……分かりました。 僕でいいのなら」
アセイラム「す、すみません……イナホさん」///
インコ「ぐぎぎ……」
ソウマ「それじゃあ、簡単な検査をしてもらうね」
ソウマ「すぐ済む」
アセイラム「分かりました」
イナホ(……えらい事になったな)
インコ(二人っきりになんてさせないんだからっ!)
15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 08:12:14 ID:oxQMw/JU
―――――――――――
イナホ「検査結果は異常なし……か」
インコ「機能障害とかじゃないって事?」
イナホ「詳しくは分析結果待ちだけど、たぶん心理的な原因だろうって」
アセイラム「心理的……ですか」
イナホ「最近何かストレスを感じているとか、そういうものに心当たりは?」
アセイラム「う~ん……」
アセイラム「特に……思い当たりません」
イナホ「そうですか」
インコ「変な物でも食べたんじゃない?」
16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 08:25:42 ID:oxQMw/JU
アセイラム「その様な真似はしませんよ、チ○コさん」
インコ「……フツーに嫌味と悪口に聞こえるわ」
イナホ「その可能性は低い」
イナホ「姫はほぼ、こちらが提供した物しか食べていない」
イナホ「食料が原因なら、他にも症状を訴える者が居ないとおかしい」
インコ「イナホは変わらないねー」
テク テク テク…
ニーナ「あれー? イナホにインコ……それにお姫様?」
ニーナ「珍しい取り合わせだね?」
インコ「あ、ニーナ。 えと、今ね……」
アセイラム「こんにちは、○ンニさん」 ニコッ
ニーナ「!?」///
イナホ「」
インコ「」
17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 08:33:33 ID:oxQMw/JU
―――――――――――
イナホ「……という訳なんだ」
ニーナ「……そ、そうなんだ。 大変だね」
アセイラム「すみません、ク○ニさん……」
ニーナ「とりあえず、名前を言わないでください!」///
インコ「一文字しか合ってないわね……ライエの時と同じく」
イナホ「……よし」
イナホ「こうなったら出来るだけサンプルを集めてみよう」
インコ「はあ? サンプル?」
イナホ「名前を言い間違えるのはどんな奴なのか、共通点を探ってみるんだ」
ニーナ「ああ、なるほど……って!?」
18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 08:46:48 ID:oxQMw/JU
ニーナ「それって……姫様にストレスを与えている人の特定にならない?」
イナホ「……致し方ないだろう」
イナホ「このまま姫に卑猥な言葉を言われ続ける事の方が、よっぽど始末が悪い」
イナホ「多少の軋轢は俺たちでカバーしよう」
インコ「簡単に言ってくれるわね……」
ニーナ「…………」
ニーナ「……ねえ」
インコ「ん?」
ニーナ「その……今までの傾向からすると……」
ニーナ「マグバレッジ艦長の名前って、やばくない?」
インコ「…………」
イナホ「……僕には良くわからないが、なるべく会わせたくないのは良く分かる」
19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 09:06:53 ID:oxQMw/JU
マグバレッジ「……私がどうかしましたか?」
インコ「!!」
ニーナ「か、艦長!!」
アセイラム「あ、こんにちは、マグバレッジ艦長」
イナホ「!」
マグバレッジ「はい。 アセイラム姫殿下」
不美咲「どうかしたんですか?」
アセイラム「いえ、特に何も……」
20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 09:23:30 ID:oxQMw/JU
ユキ「イナホ? どうしたの? こんなところで」
アセイラム「ああ、フェ○チオさん」
マグバレッジ「」
不見咲「」
ユキ「」
ニーナ「」
インコ「……とうとう一文字も合わなくなったわね」
イナホ「……事情を説明します」
21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 09:30:38 ID:oxQMw/JU
―――――――――――
マグバレッジ「……にわかには信じ難いが」
マグバレッジ「事情は分かった」
不見咲「私は理解に苦しみます」
マグバレッジ「……あなたは、相変わらずモテていない様ですね」
不見咲「…………」
ユキ「っていうか……私、姫様に何かしたのかしら……」
ユキ「ショックだわ……」
アセイラム「フェ○チオさん、そんな事は決してありませんよ!」
インコ「姫様、ちょっと黙りましょう」
22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 09:45:31 ID:oxQMw/JU
イナホ「……ともかく」
イナホ「今までの傾向で無かったパターンが出てきた」
インコ「というと?」
イナホ「共通点として、姫が名前を言い間違えるのは女性ばかりだったが」
イナホ「艦長と副長という例外が現れた」
ニーナ「なるほど……」
イナホ「だが、もっとサンプルが欲しいな……」
イナホ「すみません、艦長、副長、ユキ姉。 俺たちは行きます」
マグバレッジ「分かりました」
不見咲「どうぞ」
ユキ「早く治してあげてね……」
23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 09:53:29 ID:oxQMw/JU
―――――――――――
医療室
ソウマ「…………」
イナホ「……というわけで、年齢や接触の有無、性別の違いなど」
イナホ「様々な視点でサンプルを集めたんですが……」
イナホ「姫が名前を言い間違えたのはインコ、ニーナ、ライエにユキ姉の4人だけでした」
ソウマ「ふむ……」
イナホ「完全にお手上げです……先生の方はどうですか?」
ソウマ「ん? ああ、やはり詳しい分析結果でも特に異常は見受けられなかったよ」
イナホ「そうですか……」
24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 10:12:41 ID:oxQMw/JU
ソウマ「ただ……ね」
イナホ「え?」
ソウマ「少し……思い当たる事が出てきた」
イナホ「どんな事ですか?」
ソウマ「んー……とりあえず、イナホくん、インコさん、ニーナさん」
ソウマ「席を外してくれるかな?」
イナホ「え?」
ソウマ「姫様と話したい事がある」
イナホ「……分かりました」
イナホ「何かあったら呼んでください」
ゾロ ゾロ ゾロ…
25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 10:19:19 ID:oxQMw/JU
ソウマ「…………」
ソウマ「……では、姫様」
アセイラム「はい」
ソウマ「単刀直入に聞きます」
ソウマ「イナホくんの事を恋愛対象として見ていらっしゃいますか?」
アセイラム「!!!」///
アセイラム「そ、そんな、事、は……」///
ソウマ(若いって、いいねー) クスッ
ソウマ「すみません。 だいたい分かりました」
ソウマ「ちゃんと守秘義務は守りますから、ご安心を」
アセイラム「~~~っ」///
26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 10:25:38 ID:oxQMw/JU
ソウマ「これは私の推測に過ぎませんが……」
ソウマ「あなたは、イナホくんに親しくしている年頃の女性に」
ソウマ「何らかの敵愾心、というか嫉妬、というか……」
ソウマ「対抗意識があるのではありませんか?」
アセイラム「!!」
ソウマ「そういったものが蓄積され、ストレスになり、今回の症状となって現れた……」
ソウマ「とまあ、単純な分析ですけどね」
アセイラム「…………」
アセイラム「……どうすれば」
アセイラム「どうすれば、治りますか?」
27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 10:31:51 ID:oxQMw/JU
ソウマ「精神的なものならストレスを発散、もしくは」
ソウマ「原因を取り除くのが一番です」
アセイラム「発散や取り除く……」
アセイラム「どうすればいいのですか?」
ソウマ「ふむ……そうですね」
ソウマ「…………」
ソウマ「よし、ここはまた、イナホくんに頑張ってもらおうかな」
アセイラム「イナホさんに?」
28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 10:35:41 ID:oxQMw/JU
イナホ「……話は終わったんですか?」
ソウマ「ああ、すっかりね」
ソウマ「で、だ」
ソウマ「姫様のストレスの原因は君にあると思う」
ニーナ「え!?」
インコ「イナホが!?」
イナホ「……僕が何かしたんでしょうか?」
ソウマ「そういう事じゃないよ」 クスッ
29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 10:40:50 ID:oxQMw/JU
ソウマ「まず……姫様は立場、というものがある」
ソウマ「けど、やはり同じ人間で一人の女の子なんだ、という事だよ」
イナホ「……すみません。 具体的に何をすればいいのか言ってください」
ソウマ「まあ単純に言うなら……姫様を名前で呼んでみて欲しい」
インコ「」
ニーナ「」
アセイラム「」
イナホ「……説明してください」
30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 10:49:30 ID:oxQMw/JU
ソウマ「簡単に言えば、君は『姫』か『姫様』としか、彼女を呼んでいないだろう?」
ソウマ「でも、君の周りの自分と同じくらいの女の子には名前で呼んでいる」
ソウマ「それが、深層心理でストレスになっていると僕は思うんだ」
インコ「……要するに『普通の女の子扱いして欲しい』という事ですか?」
ソウマ「そういう事かな」 クスッ
ニーナ(……でも、それって、もしかして)
ソウマ「まあ、これは推測から導き出された答えに過ぎないから」
ソウマ「姫様の症状が改善されるかどうかは分からないよ?」
ソウマ「あくまで処方箋の一つ、対処療法でしかない」
イナホ「…………」
31: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 10:53:37 ID:oxQMw/JU
イナホ「……わかりました」
イナホ「そういう事なら、呼びましょう」
ソウマ「ああ、頼むよ」
ソウマ「姫様もいいかい?」
アセイラム「は、はいっ」///
インコ「…………」
ニーナ(インコ……顔がちょっと怖いよー)
イナホ「…………」
イナホ「……アセイラム」
アセイラム「っ!」/// ドキッ
32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 10:58:05 ID:oxQMw/JU
ソウマ「……続けて」
イナホ「アセイラム」
アセイラム「は、はい」///
イナホ「アセイラム」
アセイラム「はいっ」///
インコ「ぐぎぎぎぎ……」
ニーナ(姫様わかりやすーい)
スレイン(……何故かわからないがムカつく)
33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 11:02:57 ID:oxQMw/JU
ソウマ「よし」
ソウマ「それじゃ姫様。 インコさんを呼んでみてくれ」
アセイラム「あ、はい」
アセイラム「インコさん」
一同「!!」
インコ「うそ……ホントに治っちゃった」
ニーナ「じゃあ、私は? ニーナだよ?」
アセイラム「ニーナさん」
イナホ「……どうやら、僕がストレスの原因だったみたいですね」
ソウマ「ふふふ。 ま、お役に立ててよかったよ」 クスッ
34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 11:11:07 ID:oxQMw/JU
―――――――――――
イナホ「何かすみませんでした」
アセイラム「いえ」 クスッ
アセイラム「むしろ私の方が、ご迷惑をおかけしました……」
イナホ「それじゃ……僕はこれで」
アセイラム「あ……」
アセイラム「…………」
アセイラム「あの、イナホさん!」
イナホ「え?」
アセイラム「…………」
アセイラム「これからも……これからも、名前で呼んで欲しいです……」///
イナホ「…………」
35: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 11:14:26 ID:oxQMw/JU
イナホ「わかったよ、アセイラム」
イナホ「よろしくな」
アセイラム「!」
アセイラム「はいっ! イナホさんっ!」///
おしまい
36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 11:15:30 ID:oxQMw/JU
オチ……なんも思いつかんかった……許せ……
37: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/01/17(土) 23:38:44 ID:ufSlavsM
お前はよくやったよ うん
掲載元:http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1421399778/
Entry ⇒ 2015.01.20 | Category ⇒ アルドノア・ゼロ | Comments (2)
| HOME |