【ガルパン】優花里「同性愛をカミングアウトします!」
華「言われた通りみほさんには声をかけませんでしたけど……。」
麻子「何か悩みでもあるのか?」
優花里「はい、実は皆さんに折り入ってお願いがあるんです……!」
沙織「水くさいなぁ、なんでも言ってよ!」
華「私たちにできることなら力になりますよ。」
沙織「え?」
華「レズビアンとは、その……。」
優花里「あ!その!大丈夫です!皆さんのことは好きですが、それは友達としてですから!私が好きなのは西住殿なんです!」
麻子「なんとなくわかってたけどな。」
沙織「なるほどなるほど、そうとわかれば私の出番ね!恋愛なら私に任せて!」
華「恋人、いたことないですよね?」
優花里「やっぱりいきなり告白してもさっきみたいに引かれるだけなんで、西住殿が同性愛についてどう思ってるか調査してもらいたいんです!」
沙織「ご、ごめん。」
華「申し訳ございません。」
沙織「ゆかりん……。」
麻子「女だったら誰でもいいってわけじゃないんだから当たり前だろ。」
優花里「ありがとうございます!それよりも西住殿の調査、お願いしますね!」
華「任せてください!」
沙織「バッチリ調べてくるからね!ゆかりんはこの無線で会話を聞いてて!」
沙織「みぽり~ん!」
みほ「あ、沙織さん。みんなも、探したよ~。」
華「申し訳ございません。少し用事がありまして。」
みほ「え?急にどうしたの?」
麻子「沙織が少女マンガに影響されたようでな。すまんが少し話を聞いてやってくれ。」
みほ「そうなんだ。最近の少女マンガにはそういうのもあるんだね。」
みほ「うーん、戦車道の選手には少なくないし、私も女の人に対して格好いいって思うこともあるから、抵抗はない、かな。」
華「戦車道ってそうなんですか?」
沙織「エリカさんってあの嫌味ばっか言う人だよね?モテるなんて意外~。」
みほ「エリカさんは凄いんだよ!私と違って運動も勉強も凄くできるし、クラスの友達も多いし、嫌味だって私が悪いだけで普段はそんなことないよ!」
沙織「なんだ、みぽりんもそっちの気があるんじゃん!」
みほ「そうなのかな……?でももう昔のことだよ。私が転校したとき、エリカさんには嫌われちゃったし、それからはそういうこともないから。」
みほ「うーん、周りの評価に流されないところとか?」
沙織「あー、そういうところありそう。」
華「その気持ち、わかります。私も五十鈴流家元の娘として育てられてきましたから……。私も沙織さんと初めて会ったとき、本当に嬉しかったんです。」
沙織「なんだか照れちゃうな。」
麻子「それで、他は?」
沙織「へー、隊長の言うことは絶対みたいなイメージだったよ。」
みほ「基本的にお姉ちゃんは間違ったこと言わないからそう見えるかもね。」
華「ではどんなときに?」
沙織「うわ、私絶対そんなこと言えないよ~。」
華「肝が据わってますね。」
麻子「というか西住さんは実力で選ばれたんじゃないのか?」
沙織「それでどうなったの?」
みほ「お姉ちゃんと元々副隊長だった先輩が個別にちゃんと説明したみたい。その後正式に私が任命されたときに何もなかったから。」
麻子「優勝校の隊長より上なんていないと思ってたな。」
みほ「隊長と車長は役割が違うから。それに私なんてまだまだだよ。西住流が基本戦術の黒森峰だったら優勝できなかったと思う。」
沙織「そっか、転校してこなければみぽりんは黒森峰の隊長になってたはずだもんね。」
麻子「伊達に副隊長やってないと言ったところか。」
みほ「そうだね。後はなんでもスマートにこなせちゃうとことか格好いいよね。」
沙織「うーん、スマートにこなそうとして失敗してるイメージしかできないけど……。」
麻子「短気だからな。」
沙織「みぽりんがドジしてエリカさんに怒られてる姿しか想像できないよ。」
みほ「うん、よく怒られたよ。でも怒ってくれる人なんて家族以外にいなかったから……。でもフォローは本当にしてくれてたよ。『仕方ないわね!』って。」
華「ツンデレというやつですね。」
沙織「みぽりん、思い出しちゃった?ごめんね。」
華「ハンカチ、使ってください。」
みほ「ごめんね。ありがとう華さん。」
みほ「……うん。」
沙織「行ってきなよ。」
みほ「え?」
みほ「え、えぇ!?そんなの無理だよ!私、エリカさんに嫌われてるし!」
沙織「そんなことないよ!」
麻子「前から言おうか迷ってたが、あの人普通に西住さんのこと好きだぞ。」
華「表面上はそうかもしれないですけど心の中ではみほさんのことを悪く思っていないはずですよ。」
みほ「でも、勇気でないよ。拒絶されたら、どうしていいかわからないよ。」
麻子「知波単みたいだな。」
華「怖い気持ちはわかりますけど、前に進んでみましょう?私たちがついてますから。」
沙織「ゆかりん……!みぽりん!行ってあげて!ゆかりんの頑張りをムダにしちゃダメだよ!」
華「私たちはそばにいれませんが、心はずっと一緒ですからね。」
麻子「頑張れ、西住さん。」
みほ「……うん!わかった!行ってくるね!」
華「そうですね。」
沙織「……ゆかりんのこと、忘れてたね。」
華「……そうですね。」
華「本当に申し訳ございませんでした!」
麻子「西住さんの話につい盛り上がってしまって……本当にすまない。」
優花里「い、いえ!いいんですよ!もうフラレたようなもんでしたから!」
優花里「本当に大丈夫ですから!逆に諦めがつきました!」
麻子「でもなんでヘリなんか用意したんだ?西住さんは諦めようとしてたのに。」
沙織「ゆ、ゆかりん……!」
華「優花里さん……!なんて見事な……!」
麻子「大した漢だ……!」
優花里「ちょ、なんで皆さん泣いてるんですか!」
華「私も優花里さんでしたら大歓迎です!」
麻子「私はいつまでも友達でいるぞ!」
優花里「あ、ありがとうございます?」
優花里(失恋の悲しみがないと言えば嘘になりますが、今は西住殿の幸せそうで私も嬉しいです!)
優花里(私もその内素敵な人と……!その時は西住殿にもちゃんと報告しますからね!)
エルヴィン「グデーリアン、今日も大いに語り合おうじゃないか!」
沙織「ゆかりん!」
華「優花里さん!」
優花里「この世界のどこかにいる私のパートナーを探しだしてみせますからね!西住殿!」
当初はエリみほにするつもりなかったんですが気がついたらエリみほになっていました。
もう脳に刻み込まれてるレベルですわ。
ゆかりんにはひどいことしちゃったんで最後にハーレム化させておきました。
実際ケイとエルヴィンはゆかりんのことめっちゃ気に入ってそう。
次回はギャグに寄せようと思ってます。
では、ここまで読んでいただきありがとうございました。
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1496895587/
Entry ⇒ 2018.07.05 | Category ⇒ ガールズ&パンツァー | Comments (0)
【ガルパン】ダージリン「青いバラ」
トゲのついたバラの枝が送られてきた。花は付いていない。
えーっと花言葉は…確か「不幸中の幸い」。
嫌がらせなのか、励ましなのか分からない。
※相当に短いです
みほ「うーん……」
ケガをしないように枝を持ってくるくると回してみる。
みほ「誰からだろ?」
送り主はどこにも書いていない。
少しもやもやするけど、今は気にしている場合じゃない。
作戦ノートを開く。
8vs30の殲滅戦。少しも気は抜けない。
………
…
ヴィオロンの ためいきの
身にしみて ひたぶるに
うら悲し
北の地にて
飲み交わすべし
………
…
【大学選抜チーム戦 当日】
分散させて、各個撃破できればなんとか……。
でも練度の違い、戦力の違い。
今回ばかりは……。
愛里寿「…………」
蝶野「それでは試合を始めます」
蝶野「礼!」
みほ「よろ――」
「待ったぁーーーー!」
………
…
「大洗女子学園の勝利!」
勝った……。
あの大学選抜チームに勝った!
嬉しい。何よりもみんなとまだ居られることが嬉しかった。
そうだ、皆にお礼を言いにいかなきゃ。
みほ「ダージリンさーん」
みほ「今日はありがとうございました」
ダージリン「ふふ。こんな言葉を知ってる?」
ダージリン「友情は瞬間が咲かせる花であり、そして時間が実らせる果実である」
ダージリンさんは1本の青いバラを取り出す。
ダージリン「おめでとう」
もしかして、あのバラの枝の送り主って……。
ああ、そっか。ずっと応援していてくれたんだ。
嬉しいと同時に、遠回りなメッセージがなんだか酷く可愛らしく思えた。
どうにも耐えられずクスクスと笑ってしまう。
みほ「ダージリンさんて結構ロマンチストですよね」
ダージリンさんは照れくさそうに笑った。
完
ダージリンはずっと大洗応援してくれてるのが良いですよね。
ダーみほ好き。
エクレール「大洗のピンチに他校の仲間(ライバル)が大集結……?」
ガレット「エクレール。この新聞記事をご覧になりまして?」
エクレール「いえ?見せてくださるかしら」
ガレット「どうぞ」
エクレール「大洗のピンチに他校の仲間(ライバル)が大集結……?」
ガレット「エクレールは知っていまして?」
エクレール「い、いえ……」
ガレット「おっと次の講義が……失礼いたしますわ」
エクレール「…………」
エクレール「(力に……なれなかった)」
ガレット「(ふふふ、しょんぼりしてる)」ダイマンゾク
ガレット「!?」
エクレール「はっ……はっ……」ゼーゼー
ガレット「だ、大丈夫ですか!?」
エクレール「き、今日は胃薬飲んでなかった…から」ハアハア
………
…
杏「っていうことがあったくらい、マジノは後悔してるらしい」
みほ「気持ちは嬉しいですけど……心配です。エクレールさんが気に病む必要なんてないのに……」
華「そういえばあの方、練習試合の時もゲロくさ
沙織「ちょっと華!」
優花里「と、とにかく!一度会ってみた方が良いかもしれませんね!」
みほ「そ、そうだねっ!」
エクレール「わ、私は一体どう謝罪すれば……」オロオロ
ガレット「いっそ開き直るのが良いと思いますわ」
エクレール「開き直る……?」
ガレット「『随分と苦戦なさったそうですわね。ふふん、あの程度、自力で切り抜けられずに大丈夫ですの?』的な」
エクレール「ええ……?」
エクレール「大学選抜チームとの試合のこと聞きましたわ」
みほ「あ、はい。そのことなんですけど」
エクレール「随分と苦戦なさったそうですわね?」
みほ「!?」
ガレット「(あっ、ホントにあの案で行くんだ……)」ダラダラ
杏「は?」
エクレール「ら、らいばるとして情けないですわ」ヤケクソ
華「…………」
ガレット「(ごめんなさい!謝るから、もうやめて下さい!)」
エクレール「ふ、ふん!どんな卑怯な手を使いまして?」
麻子「おい、流石に挑発が過ぎるぞ」
エクレール「(もう限界ですわ。演技だとしても辛すぎる……)」ウプッ
エクレール「おろろろろろろ……」ゲロゲロ
みほ「わぁ!だ、大丈夫ですか?」
みほ「いえ、そんな」
エクレール「そろそろお暇させていただきますわね……」
エクレール「…………」スッ
みほ「あ、すみません、ビズはちょっと」
エクレール「……すみません」
みほ「いえ……」
完
みほ「それで土砂崩れを意図的に発生させーーー」
まほ「確かにハマれば効果は大きいだろうが、そんなに上手くーーー」
エクレール「(なんて顔触れですの……!き、緊張する!)」
ダージリン「それで作戦名はどうするの?」
みほ「そうですね……。皆さん何かありますか?」
アンチョビ「う~ん……」
カチューシャ「エクレール、あんた何かないの?さっきからだんまりだけど」
エクレール「えっ?いえ、その……
エクレール「(何か、何か答えなきゃ!ダメ……何も浮かばない!うう……)」キリキリ
エクレール「うぇっ、おぇえ」ゲロゲロ
………
…
一同「ふう……」
まほ「さて、先ほどの続きだが、何か良い案はあるか?」
エリカ「土砂を利用……、そうだ!アンタの趣味的にも、ゲロゲロ作せ
みほ「却下です!!!ぐしゃぐしゃ作戦で行きましょう!」
一同「お~!」
エリカ「チッ、何よ」プイッ
大洗連合勝利後、エクレールはビズして回ろうと思ったが誰も受けてくれなかったという。
完
……無理か。
ガルパンの世界観ディスになりそうで没にしました
以上で終わりです
読んでくれた方、ありがとう。
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526909001/
Entry ⇒ 2018.05.30 | Category ⇒ ガールズ&パンツァー | Comments (0)
【ガルパン】みほ「男の人になっちゃった……」
経緯はこちらをお読みください。
【ガルパン】沙織「みんなが男の人になっちゃった」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525261307/
深夜、西住みほは寝苦しさから目を覚ます。
何かに体を締め付けられているような、そんな感覚を味わいながら目が覚めていく。
そして気付く、違和感、その正体。
みほ「な、なに?これ……?」
みほの体は大きくなり、かわいらしいパジャマからその身を自由にさせようと生地を伸ばした。
そう、みほは男になったのだ。
鏡で自分の姿を確認したみほは当然驚き混乱していた。
その体は180センチあるかないかの長身で、細身ではあるが筋肉がしっかりついていることが見てとれた。
みほは悩み考えたが、結局どうすることもできず、藁にもすがる思いで姉である西住まほに電話をかけて助けを求めることにしたのだった。
みほ『お姉ちゃん……私、私……。』
まほ『みほ?いや、誰だ?』
みほ『私だよ、みほだよ。助けてお姉ちゃん!』
まほ『ど、どういうことだ?その声は一体……?』
みほ『わからないけど目が覚めたら男になってて……。私どうしたらいいか!』
まほ『お、男?わ、わかった。とりあえずそちらに向かう。待っていてくれ。』
ドアスコープで外を確認すると、そこにはまほと逸見エリカの姿が見える。
みほはドアを開け、 待ち望んでいた救いの手を招き入れた。
みほ「どうぞ。」
まほ「みほ、なのか?」
エリカ「驚いたわね……。」
みほ「とりあえず上がって。」
2人は始め半信半疑だったが、部屋の中には当然2人が普段知っているみほの姿はなかった。
まほが改めて見ると、確かにその姿はどこかみほの面影が残っており、やはりこの男性がみほなのだと信じざるを得なかった。
エリカ「隊長!隊長しっかりしてください!」
まほが絶望に膝を折ると、みほは悲しそうに顔を背けた。
1人まだ冷静さを保っていたエリカはこの状況をどうにかするべく立ち上がる。
エリカ「あんたどうしてこうなったのか検討つかないの?なんにもなしにこんなこと起こるわけないわ。」
みほ「わかんない。昨日はみんなと初詣に行って……あとは特別なにもしてない。変なものも食べてないし……。」
エリカ「それなら今できることはないわね。とりあえず明日様子を見て、戻らなければ原因を探しましょう。」
みほ「……うん。」
エリカ「隊長!大丈夫ですか?」
まほ「あぁ、もう大丈夫だ。すまなかったな、みほ。」
みほ「ううん、仕方ないことだよ。」
エリカ「隊長、私が行ってきますよ。」
まほ「いや、ここまで運転してきて疲れているだろう。ここは私に任せてくれ。」
エリカ「……わかりました。みほを1人にするわけにもいきませんし、お願いします。」
まほ「ああ、では行ってくる。」
まほが買い物に出かけると、気まずい空気が流れる。
エリカがなにか会話ができないか話題を探していると、みほがそわそわとしているように見えた。
みほ「あ、その……えーとね……。」
エリカ「なによ、ハッキリ言いなさいよ。」
みほ「エリカさん、お化粧とかしてるの?」
エリカ「はぁ?してないけどそれがどうかしたの?」
みほ「そうなんだ……。なんだか前よりキレイに見えたから……。」
みほ「ご、ごめん。でも本当にキレイだったから……。」
エリカが照れて言葉に詰まったタイミングでみほの電話が鳴る。
みほがいつも通りに通話ボタンを押す直前にエリカはそれを奪いとった。
エリカ「あんたその声で電話するつもり?私が話すわ。いいでしょ?」
みほ「あ、そっか。じゃあお願い。」
???『あ、あれ?どちら様ですか?』
エリカ『私はみほさんの友人の逸見エリカです。みほさんは今やむを得ない理由で電話に出られませんので、私が代わりに用件を伺います。』
その言葉にみほの顔は綻んだ。エリカから何度もキツい言葉をぶつけられてきたみほにとって、彼女がまだ友達と思ってくれていたことが嬉しかったのだ。
エリカ「あんたのとこの武部さんが他にも男になった人がいるって。なにかわかったら連絡くれるみたいよ。……なに笑ってるわけ?」
エリカ「あんたね……性別と一緒にその女々しさも変わってれば良かったのに。」
みほ「ご、ごめんなさい。」
エリカ「そんなことより、他の男になったって人に会いに行った方が良さそうね。共通点から原因がわかるかもしれないわ。」
みほ「そうだね。明日、沙織さんに連絡して会ってみようかな。」
途中で何度もみほがチラチラと見てきたのは気になったが、それ以外は特になにごともなく、普段の2人からすれば穏やかな時間だっただろう。
その後も3人で夕食をとり、落ち着いた時間が流れた。
しかしその平穏な時間は唐突に終わりを迎える。それに気がついたのはまほだった。
まほ「みほ、どうした?震えているようだが、気分でも悪いのか?」
みほ「あ、その……えーとね……。」
エリカ「なによ、ハッキリ言いなさいよ。」
エリカ「行けばいいじゃない。」
みほ「えっと、その、あれが、あるから。」
エリカ「……!」
まほ「そ、そうか……。」
みほは顔が真っ赤になってうつむき、トイレにいけない理由を説明すると、やっと察することができた2人も顔を赤らめた。
涙目で尿意を訴えかけるみほを見て、エリカは覚悟を決めた。
エリカ「わかったわよ!私がその、させてあげるからあんたは目を閉じてなさい!」
まほ「いや、エリカ待て。流石にそれは私がやった方がいいんじゃないか?」
エリカ「いえ、隊長にそんなことさせられません。私に任せてください。」
みほ「ありがとう、エリカさん!じゃあ早く行こう!」
よっぽど我慢していたのかみほはエリカの手を引っ張ってトイレに向かい、そして便器の前に立ち目を閉じた。
エリカはその姿に怒りを通り越してもはや呆れたが、自分が同じ立場ならやはり不安だろうと同情し、パンツを下ろした。
初めて間近で見る男性の証、その大きさにエリカは言葉を失った。
みほ「エリカさん、座るよ?」
エリカ「え?えぇ、大丈夫よ。……あ!まだ出さないでよ?」
エリカはみほが便座に座った後もそれから目を離せずにいたため、気づくことができた。
それの先にある、尿が出てくるであろう穴、それが前を向いていたのだ。
このままでは便器に尿が当たり、周りに被害が出てきてしまうかもしれない。まほに任せてと言ってしまった以上、完璧にこなさなければ。エリカはそう考えた。
しかしこの穴を下に向けるにはどうすれば良いのかエリカにはさっぱりわからなかった。意識すれば動かせるのか、それとも触って下に向けさせなければならないのか。
みほの懇願するような声に急かされたエリカは考えることを止め、後者の方法をとることに決めた。
まほのために、みほのために、エリカは初めて男性のその部分に触れる。
その感触は今まで触れてきた何とも違い、エリカに「今、男性器に触っているのだ。」と意識させた。
エリカ「いいわよ。出しなさい。」
みほ「……んっ!……ふぅ。」
エリカの声と共に大量の液体がみほから溢れ出す。
出し終わったみほはまるで喜びを表現するかのように小刻みに体を震わせ終わりの合図を送った。
それからエリカはまだ落ちていない雫を自身がそうするように拭いてやり、みほを立たせた。
みほ「ありがとうエリカさん。」
エリカが手を洗って戻るとまほが申し訳なさそうに出迎えた。
まほ「すまないな。大変だっただろう?宿をとっておいたから、そこで休んでくれ。」
エリカ「ありがとうございます。隊長も行きますよね?」
まほ「いや、みほを1人にはしておけない。私はここに泊まる。」
エリカ「そう……ですか。わかりました。」
エリカは残念でもあり、心配でもあり、ここに残った方がいいのではないかとも思ったが、敬愛するまほがせっかく気を回してくれたのだ、それを無下にすることもできずに後ろ髪を引かれる思いで宿に向かった。
エリカ「おはようございます、隊長。」
まほ「おはよう。朝食は食べた?一応エリカの分も作ってあるけど。」
エリカ「いただきます!」
エリカはここにきて良かったと心の底から思った。まほが作る味噌汁を飲める幸せ、それは昨日の嫌なことを全て吹き飛ばすのに十分なものであった。
エリカ「はい、隊長!」
エリカは「まだ寝てるのか。隊長と違ってだらしのないやつだ。」と思いつつベッドに近づき、布団をみほから引き剥がした。
エリカ「ちょっと!いつまで寝てるつもり?……!」
みほの下半身には円柱のシルエットがくっきりと浮き出ており、その正体を知っているエリカは固まった。
次の瞬間、エリカの脳はなぜか「隊長に見せるわけにはいかない!なんとかしなきゃ!」と判断した。
そのためにまずみほを叩き起こす。
ねぼけたみほはまだ自分がどういう状態なのか判断できていなかった。
そんなみほにエリカが小声で怒る。
みほ「んえぇ?……!」
異変に気付いたみほは赤くなり、完全に目を覚ます。
それを察したエリカは次の一手を打つ。
エリカ「気がついた?隊長に見せないようにトイレかどっかでなんとかしてきて。」
みほ「えぇ……、ムリだよぉ、こんなの……。」
エリカ「つべこべ言わず行きなさい!ごまかしといてあげるからそれはあんたがなんとかして!」
みほは涙目になりながらトイレに立てこもった。
まほはなかなか戻ってこないみほを心配していたが、トイレの中まで入るわけにもいかず事なきを得た。
結局みほが戻ってきたのはまほが作った味噌汁が冷めたころだった。
まほ「今日は私の着替えを買ってこようと思っているんだが、エリカは大丈夫?」
エリカ「私はホテルにコインランドリーがあったので、そこで洗濯すれば着替えはいらないかなと思ってます。」
まほ「そうか、では私はまず自分の買い物を済ませてこよう。その後は調査だな。昨夜みほに聞いた話から当たりをつけようと思っている。」
エリカ「わかりました。私もみほに付き添う形で調査をしようと思ってます。それでいいわよね?」
みほ「うん、大丈夫だよ。」
まほ「よろしく頼む。では一度解散だな。行ってくる。」
まほが出かけると、すぐにみほがエリカの隣に座り込む。
何事かと思ったエリカが怪訝な表情を見せると、みほが切り出した。
エリカ「なによ?」
みほ「実は、昨日の夜からその、せ、性欲が凄くて……。」
エリカ「は?」
みほ「だからその、お姉ちゃんやエリカさんが凄く美人だから、したくなっちゃって。今も頑張って我慢してるんだけど……もう限界なの。」
エリカ「ちょ、ま、待って。お願いだから我慢して。」
身の危険を感じたエリカは両手を前に出し、拒絶の意思を示すが、みほはお構い無しに近づいていき、ついにはその両手を掴んだ。荒い息づかいが顔にかかる。
紅潮したみほとは反対に、エリカは恐怖で青ざめていた。
エリカ「そ、そんなこと言われてむっ!」
エリカが言い終わる前にキスをする。
抑えていたものが解き放たれたかのように、みほはエリカの唇を味わった。
みほ「ごめんね、エリカさん。もう止められないの。」
無理やり脱がしたシャツからボタンが弾け、そこから美しい流線形を描いた白い肌が現れた。
最後の砦であるフロントフックのブラは魔の手からその身を守るには力不足で、みほがエリカの首筋にキスをするころにはすでにその役目を終えていた。
片手でその膨らみを確かめながら、唇は首筋から鎖骨、鎖骨から胸の付け根へと下がっていく。
エリカはすでに場の雰囲気に飲まれており、もう力で対抗することはできずにいた。なんとか与えられた快感に屈しないよう堪えるだけで精一杯だった。
しかし唇が胸の頂きに達すると、ついにエリカは歓喜の声を上げてしまう。
みほはそれに応えようと舌を動かす。輪郭を確かめるように、転がすように、押しつけるように奉仕した。
エリカの震えが恐怖から快感のものに変わったころ、みほはついに下半身に手を伸ばした。
そして難なくエリカの蕾を見つけ出し、下着の上から優しく擦る。
今度は穴をほぐすために全体を揉むように手を動かすと物足りなさそうに腰が動く。無意識のこの行動に気づいてしまったエリカは、もう抵抗できないのだと思い知った。
指を入れられ感じてしまう自分、それを受け入れてしまうともう戻れないことはわかっていたが、これ以上堪えることもできないとエリカは本能的にわかっていた。
だからその前に、自分がまだ自分でいるうちに、みほに懇願した。
みほ「エリカさん……ごめんなさい、私、なんてことを……。」
エリカ「いいの。それより、私に恥をかかせた責任を早く取って。」
今度はエリカがみほの上に乗り、キスをした。
みほ「エリカさん、愛してます。」
本心からの言葉か、性欲からきた言葉なのか、それはわからなかったがエリカはその言葉を信じた。
エリカ「うん。その言葉に免じて、今のが初めてのキスってことにしておいてあげるわ。」
2人は2度目のファーストキスを終わらせると、エリカを下にする形で横になった。
先ほどとは違う大切なものを愛でるような愛撫。エリカはこの快感を抗うことなく受け入れる。
じっくりと愛を受けたエリカの秘部は熱く濡れそぼり、その愛を返そうと口を開く。
準備ができたと感じたみほは、今からこれを入れるのだ、とエリカに宣言するかのように自分を見せつけ、誇張させる。
ビクビクと動くそれにエリカは唾を飲み、女になる覚悟を決めた。
みほが深く愛するたびにエリカは堪えるようにくぐもった声を出した。
みほ「エリカさん、大丈夫?」
エリカ「平気に決まってるでしょ!」
みほはエリカが無理をしているのはわかっていたが、ここで止めるわけにはいかないと思い、更に近づいていく。
やがて2人の距離が0になり、みほは安堵の表情を浮かべた。
エリカ「みほ、動いてもいいわよ。」
みほ「で、でも……。」
エリカ「私なら大丈夫よ。みほに気持ち良くなってもらいたいの。」
みほ「エリカさん……ありがとう!動くね。」
痛みはあるはずだが、本能的なものなのか、エリカの膣はまるでみほを離したくないかのように吸い付き、刺激した。
みほが一定のリズムを刻んでいると、ついにその時がやってくる。
みほ「エリカさん!イくよ!あっ、イく!」
エリカ「出して!みほ!」
そして今、みほの欲望がエリカの中に注ぎ込まれた。
エリカ「もういいって言ってるじゃない。しつこいわね。」
後始末を終えたみほは何度もエリカに謝った。
無理やり襲い、その後許可を得たと言っても避妊具をつけず中に出したのだ。当然である。
しかしエリカは「1回出したくらいでできるわけない。できてもそれはそれでいい。」とこれを流した。
そうしているうちにまほが帰ってくる。
2人はどこか気恥ずかしそうにしていることは気づいていたが、まさか妹と後輩が男女の仲になっているとは思いもせず、またトイレが云々で揉めたのだろうと気にも止めなかった。
時にはまほをホテルに送り出して一晩中欲望を満たしたり、まほの目を盗んで風呂場やトイレでも愛を紡いだ。
最初は痛みや違和感が残っていたエリカだったが、最後には快楽の波に溺れるように自らみほを求めて腰を振るようになった。
もうお互いにお互いなしでは生きてはいけないだろう、少なくとも当人たちはそう思っていた。
だが、運命の時は来た。
沙織がみんなを元に戻すと決心したのだ。
この言葉にみほは頭が真っ白になった。
上の空のまま通話を終えると、みほは涙を流してエリカに甘えた。もうこの関係は終わってしまうのだとみほは絶望した。
しかしエリカは冷静だった。
みほ「でも、せっかくエリカさんと結ばれたのに……。」
エリカ「バカね。私が好きなのはみほなの。男でも女でも、そんなのはどっちでもいいことよ。」
みほ「でも、もうエッチもできなくなっちゃうし……子ども、欲しかったな……。」
エリカ「あのね、いい機会だから言うけど、あんた見た目が男でその女々しさは正直気持ち悪いわよ?私は元に戻るのが嬉しいくらいね。」
みほ「そ、そんなぁ……。」
エリカ「おとなしく元に戻りなさい。大丈夫よ、この気持ちは変わらないから。約束する。」
みほ「……わかった。大好きだよ、エリカさん。」
少しキツく抱き締められたみほは、不安を打ち消すように愛の言葉を囁いた。
その瞬間、みほの視界は真っ白になり、意識が遠のいていった。
鏡を見ると見慣れた自分の姿、下半身に違和感もない。
時計で日付を確認すると、そこには12月31日の文字。あれは夢だったのだろうか、エリカとの甘い関係はなくなってしまったのだろうか、考えがまとまらないままみほはただ自分の姿を見つめていた。
どのくらいそうしていただろうか、1瞬だったかもしれないし、1時間は経っていたかもしれない、不意に電話の着信音が鳴り響き、みほを現実に引き戻した。
みほが慌てて電話に出ると、エリカの声が聞こえてくる。
みほ『もしもし?』
エリカ『もしもしみほ?あんた体おかしくなってない?』
みほ『え?それって……。』
エリカ『夢で見たのよ!あんたが男になって、その……そういう夢!変にリアルだったからわざわざ電話してあげたの!ありがたく思いなさいよね!』
みほ『ありがとう、エリカさん。私も見たんだ、その夢。』
エリカ『あなたも?じゃああれはやっぱり……。』
みほ『うん。だからエリカさん、会いたいな。年が明けたら迎えにきてくれる?』
エリカ『ええ、迎えに行くわ。王子様。』
最初はエリカハードを書いてたんですがこれじゃない感が出てきて結局ソフトな感じになりました。本当はハードを書きたかった……。
絵が描ければ行為シーンをガッツリ描いてたんですけどね……。首しめセックスとかアナルレイプとかまほに見せつけセックスとかいいよね。みほはそういうの好きそう。(偏見)
いい表現方法を思いついたらまたハード版も書くかもしれません。
次回は次期隊長候補の梓が頑張る話になると思います。
では、ここまで読んでいただきありがとうございました。
ドギツイハードなの期待してる
最高にいいじゃあないか
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1525694393/
Entry ⇒ 2018.05.09 | Category ⇒ ガールズ&パンツァー | Comments (0)
【ガルパン】ダージリン「おねしょをしてしまったようね」
ダージリン「おまたに張り付くバタフライ」
ダージリン「そして布団に描かれたグレートブリテン」
ダージリン「どうやら、おねしょをしてしまったようね」
ダージリン「もっとも偉大な発明家は誰か。それは『偶然』である。とは、よく言ったものね」
ダージリン「・・・いえ、これはどちらかというと北アイルランドかしら」
ダージリン「さながら、過ぎたるは及ばざるがごとし、といったところかしら」
ダージリン「大洗の元生徒会の方々にお呼ばれした合宿とはいえ、はしゃぎすぎたのかもしれないわね」
ダージリン「期待はあらゆる苦悩のもと、ということよ」
ダージリン「・・・」
ダージリン「さて、いつものようにペコを起こすとしましょうか」
ダージリン「起きなさい。起きなさい。わたくしの可愛いペコや」
オレンジペコ「んん・・・。ダージリン様、その起こし方やめてくださいっていつも言ってるじゃないですか」
ダージリン「あら、名言とともに起きられるのは幸せなことだと思うわよ?」
オレンジペコ「はあ・・・。それで、一体どうしたんですか? って」
布団『おいら濡れてるぜ!』ジュワー
オレンジペコ「またやったんですか・・・」
ダージリン「虹を見たければ、ちょっとやそっとの雨は我慢するものなのよ」
オレンジペコ「ドリー・パートンですね。・・・って、そうじゃなくって。どうするんですか、これ!」
ダージリン「これをどうにかするためにあなたを起こしたのよ、ペコ」
オレンジペコ「はあ・・・。いつもならどうとでもなりますけど、今日は難しいです」
ダージリン「あら、どうして?」
オレンジペコ「今日はいろんな学校のみなさんとお泊りなんですよ? 万が一にもこのことが知れたら・・・」
ダージリン「知れたら・・・?」
~~~~~~
カチューシャ『あぁぁら、やだ。ダージリン、あなたおねしょしちゃったの? これだから西側はだめねえ。カチューシャよりずっとおこちゃまじゃないの!』
アンチョビ『おいおい、ダージリン。いくらなんでもそりゃないんじゃないか? 試合中とかならまだしも』
ケイ『あっはっは! ダージリン、いくらなんでもお布団に紅茶注ぐのはNGよ!』
ミカ『水の流れは気まぐれだけど、布団にこぼすのはよくないね』ポロロン
西『ダージリンさん! 気を落とさないでください! 寝小便ぐらいどうってことありません! 寝小便ぐらい!!』
まほ『西住流におねしょの文字はない。・・・残念だが、黒森峰は今後一切交流を絶たせてもらう』
みほ『ダージリンさん・・・』
~~~~~~
ダージリン「ぐはっ」
オレンジペコ「ダージリン様!? しっかりしてください! ダージリン様!!」
ダージリン「お、おやりになるわね・・・」
オレンジペコ「今の状況、ご理解されましたか?」
ダージリン「ええ・・・。みほさんの蔑みのまなざしは心に来るものがあったわ」
オレンジペコ「そんなことまで想像してたんですか・・・」
ダージリン「あと、西さんは大声で寝小便言い過ぎよ」
オレンジペコ「ダージリン様、下品です」
ダージリン「あら、これは失礼」
オレンジペコ「とりあえず、誰にも見つからないようにこっそりとリネン室に行くしかありませんね・・・」
ダージリン「あら、リネン室に行ってどうするの?」
オレンジペコ「それは行ってから考えましょう。なんとかなりますよ、きっと」
ダージリン「誰かの布団とすり替えちゃ駄目かしら?」
オレンジペコ「ダメです」
ダージリン「・・・けち」
オレンジペコ「いや、普通に考えて駄目です! それにすぐバレますよ! 協力者がいっぱいいるならともかく・・・」
ダージリン「でもほら、今アッサムはとてもよく眠ってるし・・・」
アッサム「すやすや・・・」
オレンジペコ「ダメです。バレた時にどうなるか・・・」
ダージリン「・・・」
オレンジペコ「・・・」
アッサム「むにゅう・・・くー・・・」
ダージリン「そうね、アッサムだけはやめておきましょう。怖いし」
オレンジペコ「そうしましょう。いや、他の人でもダメですけどね?」
~廊下~
ダージリン「それじゃあ、さっさとリネン室へ行きましょう」
オレンジペコ「ええ。・・・誰にも会わないといいんですけど」
ダージリン「逆境は実力のある人間の味方よ、ペコ」
オレンジペコ「実力のある人間はおねしょしません」
ダージリン「あら、そうとも限らないわよ? 天才とは、努力する凡才のこと・・・。すごい人だって、おねしょはするのよ」
オレンジペコ「アインシュタインですね。・・・というか、もはや意味が分かりません。・・・おや?」
アリサ「うう・・・。タカシ、タカシぃ・・・」テクテク
オレンジペコ「あれは・・・」
アリサ「タカシ・・・、って。あんた、グロリアーナの・・・」
オレンジペコ「サンダースのアリサさん。こんばんは」
アリサ「こんばんは・・・、じゃなくて。こんな時間に何してんのよ。もう1時よ?」
ダージリン「あなたこそ、こんな時間にどうしたのかしら?」
アリサ「わたし? わたしは、トイレに起きてきたのよ」
オレンジペコ「コーラでも飲みすぎたんですか?」
アリサ「違うわよ! た、タカシのことを考えてたら、その・・・」モジモジ
オレンジペコ「?」
ダージリン「・・・」
アリサ「ほ、ほら、その・・・。わ、わかるでしょ! とにかく! わたしはトイレに行くから。あんたたちも早く寝たら?」
オレンジペコ「? え、ええ・・・」
アリサ「・・・ん? そういえば、あんたたちなに持って・・・」
ダージリン「ふんっ」ドスッ
アリサ「あふん」ドサッ
アリサ「・・・」
ダージリン「ペコ、この子をサンダースの部屋の前に置いてきてちょうだい」
オレンジペコ「わ、わかりました。・・・でも、どうしてアリサさんはトイレに行こうとしてたんでしょうか?」
ダージリン「ペコはまだ知らなくてもいいのよ」
オレンジペコ「はい?」
オレンジペコ「置いてきました」
ダージリン「さすがは装填手ね。仕事が早いわ」
オレンジペコ「ありがとうございます。さあ、先を急ぎましょう」
ダージリン「そうね。・・・って、あれは」
優花里「どーおせいーきてはかーえらぬつもりー♪ ・・・おや、ダージリン殿、オレンジペコ殿!」
ダージリン「大洗の、秋山優花里さんだったかしら?」
優花里「はい! ダージリン殿に覚えていただけるなんて、光栄であります!」
オレンジペコ「秋山さんの装填は、全国でも有数ですから」
優花里「おおっ! ありがとうございます! オレンジペコ殿の装填も、お見事ですよね! 6ポンド砲とはいえ、あの速度での装填は一朝一夕ではできません!」
オレンジペコ「ありがとうございます、秋山さん」
ダージリン「それで、あなたはどうしてこんな時間に歩いているのかしら?」
優花里「夜間行軍の訓練であります!」
オレンジペコ「・・・はい?」
優花里「この廊下、結構暗いと思いませんか?」
オレンジペコ「言われてみれば、確かに・・・」
ダージリン「宿泊施設の廊下にしては、暗い方に入るわね」
優花里「ですから、訓練としてここを行軍しながら、様々な偵察を行っているのであります! さっき、ミカ殿がつまみ食いをしていました!」
オレンジペコ「なるほど・・・」
ダージリン「ミカさんは相変わらずなのね」
優花里「それで、ダージリン殿たちはどうしてこんな時間に? って、その手に持っているのは・・・」
オレンジペコ「あーーー!!!! あんなところにゴリアテが!!」
優花里「え!? どこですか?」クルッ
オレンジペコ「えいっ」トスッ
優花里「くぅん」パタッ
ダージリン「・・・」
オレンジペコ「・・・」
ダージリン「この子は危険人物ね、ペコ」
オレンジペコ「そうですね」
ダージリン「念のため、今夜の記憶がなくなるうえに朝までぐっすり眠ってしまう、疲労がポンと飛ぶ薬を飲ませておきましょう」
オレンジペコ「・・・大丈夫なやつなんですか? それ」
ダージリン「特殊なカーボンでコーティングされてるから大丈夫よ」
オレンジペコ「特殊なカーボンで何でもまかり通ると思ったら大間違いです」
ダージリン「いいからこの子を置いてきなさい、ペコ」
オレンジペコ「・・・はーい」タタタッ
オレンジペコ「置いてきました。・・・それにしても、みんなこんな時間なのに結構うろうろしてますね」
ダージリン「そうね。さっきもあっちの廊下をアンツィオのカルパッチョさんが歩いて行ってたし」
オレンジペコ「何の用なんでしょう?」
ダージリン「さあ?」
ダージリン(ベビードールを着てたのは黙っておきましょう)
オレンジペコ「・・・ダージリン様?」
ダージリン「・・・ペコの教育に悪いわ」ボソッ
オレンジペコ「え?」
ダージリン「なんでもないわ。変革せよ、変革を迫られる前に。・・・先を急ぎましょう」
オレンジペコ「ジャック・ウェルチですね。・・・って、待ってください!」タタタ
ダージリン(ペコに着せたら・・・)モンモン
オレンジペコ(何考えてるんだろう・・・)タタタタ
~~~~
ダージリン「ようやく着いたわね」
オレンジペコ「はい。・・・途中、いろんな人に会っちゃいましたけど」
ダージリン「継続のミッコさん、黒森峰の逸見エリカさん。それから、大洗の河嶋さんなんかもいたわね」
オレンジペコ「みんなに布団を見られちゃいましたが、大丈夫でしょうか・・・」
ダージリン「みんなちゃんと処理したから大丈夫。夢でも見たと思うはずよ」
オレンジペコ「・・・だといいんですけど」
ダージリン「さ、入るわよ、ペコ」
オレンジペコ「あ、はい」
~リネン室~
ガチャリ
オレンジペコ「長い道のりでしたね」
ダージリン「ふぅ。これでやっと証拠隠滅が・・・・・・!」
オレンジペコ「え・・・?」
カチューシャ「ノンナ! できるだけこのシーツに似たやつを選びなさいよ!」
ノンナ「はい。ですがカチューシャ、そのシーツはカチューシャ用でクマの絵がついています。それに似たものとなると・・・」
カチューシャ「うう・・・。でも、探さないとカチューシャがおねしょしたことがバレちゃうじゃない」
ノンナ「だからジュースはほどほどにとあれほど言ったのですよ」
ダージリン「・・・」
オレンジペコ「・・・」
ノンナ「どうしたのです、カチューシャ・・・あ」
オレンジペコ「・・・」
ダージリン「・・・」
カチューシャ「・・・」
ノンナ「・・・」
ダージリン「・・・」
オレンジペコ「・・・」
ガチャ
ナオミ「次からコーラは飲みすぎないようにしましょう、マム」
ケイ「オーケーオーケー! まあ、たどり着いたんだから細かいことは問題ナッシング!」
オレンジペコ「あ」
ケイ・ナオミ「「あ」」
ガチャ
アンチョビ「おい、わかってるんだろうなペパロニ・・・」
ペパロニ「わーかってるっすよー。このことは誰にも言わないっす!」
アンチョビ「うう・・・エスプレッソを調子に乗って飲みすぎるんじゃなかった・・・」
ペパロニ「姐さんはしょうがないっすねー」
カチューシャ「あ」
ぺパチョビ「「あ」」
ガチャ
ミカ「おねしょ・・・、それはそんなに深刻なことなのかな?」ポロロン
アキ「深刻だよ! もー! せっかくお布団を三つ持って帰れると思ったのにー!」
ダージリン「あ」
ミカ・アキ「「あ」」
ガチャ
みほ「もう、ダメじゃないですか。わたしの服もびちょびちょですよ?」
杏「に、西住ちゃんがあんなことするから悪いんじゃんかあ・・・っ」
みほ「あれ? そんなこと言っていいんですか?」
杏「そ、それはっ」
ダジペコカチュノン「・・・」
みほ杏「「あ」」
ダージリン「・・・」
オレンジペコ「・・・」
カチューシャ「・・・」
ノンナ「・・・」
ケイ「・・・」
ナオミ「・・・」
アンチョビ「・・・」
ペパロニ「・・・」
ミカ「・・・」
アキ「・・・」
まほ「・・・」
杏「・・・」
みほ「・・・」
ダージリン「・・・」
ダージリン「・・・ふふふ」
オレンジペコ「・・・うふふふ」
カチューシャ「ふふっ」
ノンナ「・・・ふふふ」
「「「ふふふ・・・、ははは・・・、はっはっはっはっはっは!!」」」
~~~~~~~
~翌朝~
ルクリリ「馬鹿な・・・、なぜわたしが・・・。だまされるか・・・っ!」ポロポロ
ローズヒップ「ルクリリ様、おねしょしちゃったんですわね! わっかりましたわ! わたくしが片づけておさしあげでございますわ!!」バサバサ
ダージリン「わたしは決して失望などしない。なぜなら、どんな失敗も新たな一歩となるからだ・・・。気にしないでいいのよ、ルクリリ」
オレンジペコ「トーマス・エジソンですね」
アッサム「・・・はあ」
ニーナ「ヴえええええっ!? おねしょしぢまっただあ!」
カチューシャ「あぁぁら、ニーナ。やっちゃったわねえ。いいわ、カチューシャは心が広いから、今日のところは見逃してあげる」
ノンナ「カチューシャに感謝するのですよ、同志ニーナ」
ニーナ「うう・・・、カヂューシャ隊長、ありがとうござえますだあ」
アリーナ(ニーナの布団、あんな柄だっだか?)
アリサ「なんで・・・。ち、違うのよ。タカシ、これは・・・」
ナオミ「いや、ここにタカシいないから」
ケイ「ドンマイ、ドンマイ! 昔はみんなやってたことなんだから気にしないでね、アリサ!」
アリサ「いやぁ・・・タカシぃ・・・」
カルパッチョ「たかちゃん、見てほら! たかちゃんのおしっこで泳ぐ夢を見たら、こんなことに!」
カエサル「すごいや、ひなちゃん! ゆ、昨夜もすごかったけど、その、朝にまでこんなことになるなんて!」
おりょう「た、たかちゃん・・・」
エルヴィン「か、カエサルの知られざる一面、発見・・・」
左衛門佐「ひ、ひゅー、ひゅー・・・」
ペパロニ「? ドゥーチェ、カルパッチョのやつ何言ってんすか?」
アンチョビ「見るな。考えるな・・・」
ミッコ「あっちゃー・・・、おねしょしちゃったよー。何年もやってなかったんだけどなー」
ミカ「人は失敗する生き物だからね」ポロロン
アキ「ま、まあまあミッコ! 気にしなくていいよ! ほら、持って帰って洗おう?」
ミッコ「そうだな! よーっし、持って帰るぞー!!」
ミカ「・・・ふふ」ポロロン
福田「不肖福田、一生の不覚であります・・・」
西「はっはっは! 見事な日本地図だ! 福田、気にするな!」
玉田「傷は浅いぞ、福田!」
細見「気を落とすなよ、福田!」
福田「西隊長、先輩殿・・・! 福田! この経験を次回に活かすであります!」
西「うん! その意気だ福田!!」
エリカ「うう、ううう・・・。なんで、なんでわたしが・・・」
まほ「エリカ。気にするな。・・・いや、ほんとに。気にしないでくれ」
小梅「うわぁ・・・」
エリカ「そ、そんな目で見るんじゃないわよ!!」
小梅「うわぁ・・・」
エリカ「うう・・・」
優花里「う、うう、ううううう・・・・。西住殿、申し訳ありません・・・」
みほ「ま、まあまあ優花里さん。泣かないで、ね?」
杏「おー、やっちったねー。ま、ドンマイ」
優花里「うう・・・、はい・・・」
桃「全く、恥ずかしいやつだな」
柚子「桃ちゃんだって、去年の修学旅行でやっちゃったじゃない」
桃「ゆ、柚子ちゃぁん!?」
あゆみ「うわぁ・・・」
優希「桃ちゃん先輩、修学旅行でやっちゃったんだー」
あや「それってやばくなーい?」
桂利奈「アニメでもめったにいないよ!」
梓「み、みんな静かに・・・。勉強だけじゃなくて、ちょっとトイレも苦手なだけだよ」
桃「うぐっ・・・、聞こえたぞ、澤ー!!!」
梓「ひいっ! わ、わたしだけー?! ごめんなさーーい!!」
華「こんなにたくさん・・・。皆さん、大丈夫なのでしょうか?」
沙織「まあ、はしゃぎすぎちゃったんじゃない? ・・・って麻子、どうしたの?」
麻子「・・・いや、なんでもない」
麻子(西住さんと角谷会長、それからダージリンさんとカチューシャ、ケイさん、アンチョビさん、ミカさん。そして西住さんのお姉さんの服が昨夜と替わってるのは・・・、言わない方がいいんだろうな)
完
~おまけ~
愛里寿「・・・ん」ブルッ
メグミ・アズミ・ルミ「!!!!」
メグミ「集まりましょうか」
アズミ「いつも通りの」
ルミ「バミューダアタック!!」
愛里寿「んん・・・」ブルルッ
ミミミ「「「ズゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ」」」
チュンチュン…
愛里寿「・・・ん」モゾモゾ
愛里寿「よかった・・・、今日もおもらししてない」
愛里寿「・・・でも、なんで毎晩布団がはだけてるんだろう・・・?」
おわり
以上になります。
最近地の文の真面目な感じのしか書いてなかったので、こんな感じにしてみました。
わざわざ>>1に【注意】とか書かなくても、そもそもこのスレを開いている皆さんなら大丈夫だろうと信頼させていただいています。
それでは、また
あ、乙です
OVAでのセリフ
カエサル「バイバイ!」
おりょう「たーかちゃん」
エルヴィン「カエサルの知られざる一面発見」
左衛門佐「ひゅーひゅー」
カエサル「な・・・なんだ!なにがおかしい!」
それだけです。
蛇足失礼しました。
それでは、また
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525168299/
Entry ⇒ 2018.05.07 | Category ⇒ ガールズ&パンツァー | Comments (0)
【ガルパン】沙織「みんなが男の人になっちゃった」
華「行列に巻き込まれる前にお願いをかけておきましょうか。」
優花里「そうですね。じゃあお賽銭を入れて……。」チャリンチャリン
沙織(モテモテになりたい!)
沙織「ハッ!何今の声!?」
麻子「沙織、どうした?」
沙織「……ううん、気のせいだったみたい。」
沙織「うーん、今日もいい天気☆」
沙織「あれ?華からメールが来てる。なんだろ……。」
華『私、男性になってしまいました。どうしたらいいでしょう?』
沙織「え?どういうこと?とにかく電話してみよう……。」ポパピプペー
沙織『うわ!声低っ!もしかして華?』
華『はい、朝起きたらこうなってしまっていて……。私、どうしたらいいか……。』
華『着れる服がないので、それくらいでしょうか……。』
沙織『わかった!何か買って行くね!』
沙織「さて、準備しないと!」
沙織「華、大丈夫?って凄い格好!」
華「着るものがないので……お恥ずかしいところをお見せして申し訳ございません。」
沙織「まさか華の家で男の人に半裸で出迎えられる日がくるとは思わなかったよ。」
華「とにかく上がってください。」
華「ありがとうございます。着替えてきますね。」
沙織「それにしてもなんで急に……あ!昨日のお願い!あれのせい!?」
華「どうかしたんですか?」
華「一度電話してみたほうがいいかもしれませんね。」
沙織「じゃあとりあえずみぽりんに……。」ポパピプペー
沙織『あ、あれ?どちら様ですか?』
エリカ『私はみほさんの友人の逸見エリカです。みほさんは今やむを得ない理由で電話に出られませんので、私が代わりに用件を伺います。』
沙織『逸見エリカ……さんって黒森峰の!?なんで!?』
エリカ『そんなことよりも用件はなんでしょう?こちらも忙しいので手短にお願いします。』
エリカ『……何か事情を知っているようね。』
沙織『他にも同じようになってる人がいて……。でも逸見さんがいるならみほは大丈夫そうですね!』
エリカ『ええ、こちらは任せてくれていいわ。また何かわかったら教えてちょうだい。この番号でいいわ。』
沙織『わかりました。じゃあ。』
沙織「そうみたい。他のみんなにもかけてみるね。」
沙織『ゆかりんも男の人になっちゃったんだね。』
麻子『……もしもし。ふわぁ。』
沙織『麻子もか……。』
杏『もしもし、武部ちゃん?どったのー?』
エルヴィン『もしもし?こんな朝に珍しいな。』
典子『おはよう!今バレーやってるんだけどーー』
梓『おはよーございます……。どうしたんですかぁ?』
沙織「やっと全員に連絡取れた……。」
華「お疲れさまでした。結局こうなっているのはあんこうチームだけでしたね。」
沙織「そうみたいだね。とりあえずみぽりんは逸見さんがいるから大丈夫として、麻子とゆかりんをなんとかしないと。」
華「そうですね。一度集合したほうが良さそうです。」
沙織「ゆかりん、私、入るよ。」
優花里「どうぞ。鍵を開けましたので。」
沙織「なんで布団にくるまってるの?」
優花里「今裸ですから……。それに親が見たらどうなるか……。」
沙織「あ、そうか。じゃあ服だけ置いとくから、準備できたら麻子の家まで来てもらえる?」
優花里「わかりました。なんとか抜け出していきます。」
沙織「やっぱりまだ寝てる……。」
華「でも、今は寝ていた方が良かったんじゃないですか?」
沙織「まぁそうなんだけど。麻子が驚いちゃうだろうから華は玄関で待ってて。」
華「わかりました。」
麻子「うーん、さおりぃ。」ダキツキー
沙織「ひゃっ!」
沙織(わ、私今男の人に抱きつかれてるー!!)
麻子「んー?なんか寝苦しい……。あれ?沙織?」
沙織「麻子、落ち着いて自分の姿を見て。落ち着いてね?」
麻子「……?なんか、違うのはわかる。」
麻子「……なんだ、夢か。」バタリ
沙織「麻子!夢じゃない!起きて~!」
麻子「本当にみんな男になってるな……。」
華「そうですね……。」
優花里「これからどうしましょう……。」
沙織「だ、大丈夫!明日になったら治ってるかもよ?」
華「まぁ確かにそうかもしれませんが……。」
沙織「とりあえず今は楽しもうよ!せっかく男の人になったんだから!」
沙織(華は高身長の犬系男子!私の見立てでは190センチはある!バンドでベースやってるタイプ!正統派イケメン!)
沙織(ゆかりんは背は高くないけど細マッチョ!腕の筋肉と血管がたまらない!フットサルやってそう!)
沙織(麻子は身長の低い猫系男子!ショタ!身長変わらないなんてあり!?いやなし!これはもう犯罪でーす!)
沙織「そ、そんなことないよ!まず服買いに行こ!」
優花里「まぁ確かに下着もない状態ですし、明日戻らないことを考えたら服は必要ですからね。」
華「とりあえず来ましたけど、男性ものの服って何を買えばいいかわかりませんね。」
麻子「私ジャージでいい。」
沙織「ダメだよ!ちゃんと私が仕立ててあげるから、安心して!」
優花里「武部殿、テンション高いですね。」
麻子「戦車みてる秋山さんみたいだな。」
沙織「ゆかりんは薄い色合いの7分丈のシャツと短パン!ラフな感じでワイルド感アップ!」
沙織「麻子はあえてのオーバーサイズのパーカーで生意気男子に!合わせるのはもちろんスキニー!」
麻子「気合い入りすぎだろ。」
優花里「まぁこちらとしても助かりますしいいじゃないですか。私のは寒そうですが……。」
沙織「待った!」
華「沙織さん?」
優花里「どうしたんですか?」
沙織「やっぱり華にはキレイ系かも!これちょっとあてさせて!」
麻子「全然届いてないぞ。」
優花里「華さん、背高いですからね。」
沙織「い、いや、腕に通した感じとかが……っきゃ!」
華「危ない!」ガシッ
沙織「……?」
華「大丈夫ですか?沙織さん。」
華「沙織さん?」
沙織「だ、大丈夫大丈夫!ごめんね華。」
麻子「無理するからだぞ。秋山さんにやってもらえば良かったのに。」
優花里「あ!そういえば私も背が伸びてたんでした!気が回らなくてすみません……。」
沙織「気にしないでゆかりん。おかげで……じゃなかった、私が調子に乗っちゃっただけだから。」
麻子「そんなことより早く買って出よう。私はお腹がすいた。」
華「そういえば朝から何も食べてませんでしたね。ファミレスでも行きましょうか。」
店員「ご注文お伺いします。」
沙織「私はカルボナーラにする!麻子は?」
麻子「私はカレー。」
華「私は包み焼きハンバーグと大ライスで。後、カリカリポテトもお願いします。」
優花里「華さん食べますねー!私も包み焼きハンバーグとライスにします。ご飯は普通で。」
店員「かしこまりました。」
麻子「そりゃどう見ても男なのに女の名前で呼ばれてれば何事かとも思うだろ。」
沙織「そっか、そんなこと考えてもみなかったよ。」
優花里「どうしますか?今から他の呼び方に直しますか?」
麻子「いや、いいだろ。ジェンダーフリーが叫ばれているこのご時勢に、疑問に思っても口に出すやつはいないだろうし。」
優花里「それもそうですね。」
麻子「バレたか。」
店員「おまたせしました~。」
沙織「きたきた。さ、食べよ。」
麻子「カルボナーラ、美味そうだな。」
沙織「美味しいよ。1口食べる?」
麻子「いいのか?じゃあ、あー。」
沙織(あれ?これってもしかして『あーん』しろってこと!?そんなのズルいよ!)
麻子「どうしたんだ?沙織。」
麻子「あー……ん、美味い。」
沙織(口元にソースが!可愛すぎる!)
麻子「お返しにカレーをやろう。」
沙織「ありがと。あー……うん、美味しい!」
沙織(こんなの実質カップルじゃん!ってダメダメ!相手は麻子なんだから!)
沙織「ヘッ!?」
優花里「男性になって食べるスピードも上がってますね。私もちょっと物足りないかもしれません。」
華「体が大きい分、エネルギーが必要なんでしょうね。」
沙織(そ、そっちね!わかってたよ!わかってた!)
優花里 「そうですね……。」
沙織「それなら元に戻るまで麻子の家にお泊りしようよ。みんな近くにいたほうがなにかと便利だと思うし。」
麻子「私もそれが良いと思う。1番広いのは私の家だし、布団ならある。」
優花里「ではお言葉に甘えて……。親にはメールで泊まるって連絡しておきます。」
沙織「いやー、今日は疲れたねー。」
華「お疲れさまでした。」
優花里「明日からは原因調査でしょうか?」
麻子「そんなに焦らなくてもいいんじゃないか?学校はしばらく休みだし、明日くらいのんびり過ごしたい。」
華「何が原因かもわかりませんしね。まずは落ち着くのも悪くないと思います。」
優花里「そうでしょうか……。」
沙織「なにも連絡がないってことは特に問題ないってことじゃないかな?逸見さんが任せてって言ってたし、こっちからは連絡もしてないよ。」
優花里「逸見殿も1人では大変でしょうからこちらに呼んではどうでしょう?」
沙織「うーん、そうだね。明日聞いてみるよ。」
華「どうしたんですか?あまり乗り気でないみたいですけど……。」
華「確かにそんなイメージはありますね。」
麻子「それにしても沙織がそんなこと言うなんて珍しいな。」
沙織「あはは、私も苦手な人くらいいるよ~。」
優花里「では明日は西住殿と合流できたら合流して、明後日から本格的に調査ですね。」
麻子「そうだな。さて、そろそろ風呂に入るか。」
沙織「うん、行ってらっしゃい。」
優花里「私はもう開き直りましたよ。自分の体からは逃げられませんからね。」
沙織「そうだよね。お風呂もお手洗いもあるし、慣れるまでは大変そう。」
華「外のお手洗いですと間違えて女性用に入りそうになりますし、その、立ってしなければならないときもありますし、もうなんというか挫けそうです。」
沙織「頑張って華!私が言うのもなんだけど……。」
華「沙織さん、ありがとうございます。」
沙織「な、なんでだろうね~。」
沙織(わ、私のせいかもなんて言えない……!)
麻子「お風呂空いたぞ。」
沙織「ふぅ……。」
沙織(どうしてこんなことに……。私はただモテたかっただけで華たちを大変な目にあわせるつもりはなかったんだけどなぁ……。)
沙織(そりゃみんなイケメンだし、それなりに美味しいおもいもさせてもらってるけどさ、……でもここままじゃやっぱりいけないよね。)
沙織(あーでももう少しイケメンとデートしたい!相手が女と知っていてもトキメくものはトキメくもん!……でもなぁ。)
沙織「ハッ!え?あれ?ゆかりん?」
華「良かった!沙織さん!」
麻子「……心配したぞ。ほら、水だ。」
沙織「え?なに?どうしたの?」
華「優花里さんが気づいてここまで運んでくれたんです。」
優花里「こんなときは男の体が役に立ちますね。普段だったら1人で倒れた人を運ぶなんて無理ですから。」
沙織「そうだったんだ……。って私裸じゃん!やだもー!」
麻子「それはそうだろ。服なんて着せる余裕ないんだし。」
優花里「……。」モジモジ
沙織「と、とりあえず着替えてくるね!」
沙織(さ、さっきの2人明らかに私を意識してた……!というかゆかりんに至っては裸のまま抱き抱えられてたってことだし……!ど、どんな顔して戻ればいいかわかんないよ~!)
沙織(あれから1週間、やっぱりみんなは元の姿に戻ってない。手がかりもないままだ。……やっぱりあの神社に行ってお願いするしかない。でも今さらこんなこと……。)
華「もうこのまま戻れないのでしょうか……。」
優花里「そんな……これからどうすれば……。」
麻子「……沙織、話がある。ちょっと来てくれ。」
沙織「え?あ、うん。」
麻子「単刀直入に聞く。こうなった原因を知っているな?」
沙織「え?な、なんで……。」
麻子「やっぱりな。沙織だけが変わっていないことや最近の態度でそうなんじゃないかと思ってたんだ。」
沙織「ご、ごめんなさい!私、すぐ言うべきだったのに、調子に乗っちゃって……。」
麻子「責めるつもりはないんだ。私は別にこのままで構わないしな。でも2人はもう限界だろう。せめてあいつらだけでも戻してやってくれないか?」
沙織「ううん、このままじゃダメだってわかってたんだ。みんな元に戻るようにお願いしてみるよ。またみんなと戦車に乗りたいもん!」
麻子「……そうか、沙織がそう言うならそれでいい。」
華「沙織さん、ここでお願いすれば元に戻れるんですか?」
優花里「にわかには信じられませんが、信じるほかないですよね……。」
沙織「ごめんねみんな、私のワガママに付き合わせちゃって……。」
麻子「それはもういいって言ってるだろ。そんなことより、頼んだぞ。」
沙織「うん、頑張るよ!」
沙織(神様、この前のお願いは取り消します!みんなを元に戻してください!)
???(……そなたの願い、聞き入れたぞ。)
沙織「やった!みんな!元に戻れるよ!……あれ?目の前が……。」
沙織「ハッ!こ、ここは……?」
沙織「今日は、大晦日……?じゃあ今までのは……夢?」
沙織「はは、そうだよね。あんなこと起こるわけないもんね!」
沙織「あ!そんなことより早く支度しないと!約束に遅れちゃう!」
急に「男体化したら面白いんじゃね?」と思ったので書いてみました。
途中1週間時間を進めたのと、夢オチループものにしたのは安価スレで同じ設定を使い回したかったからです。
そのうちこの1週間を埋めてカップル成立させるために安価スレ立てると思います。
というかなんだったら誰かにやってもらいたい。誰かこの設定使ってくれ。
元に戻って百合展開でも沙織腐女子化展開でもいいから!
次回はR18の方でみほサイドを書きます。
では、ここまで読んでいただきありがとうございました。
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525261307/
Entry ⇒ 2018.05.03 | Category ⇒ ガールズ&パンツァー | Comments (0)
【ガルパン】エリカ「ビデオ通話で画面を飛び越えて移動できる能力を身に着けたわ」
小梅「えっ」
エリカ「だからちょっと実験相手になってもらえる?」
小梅「どういうことなのかさっぱりわからないんだけど」
エリカ「だから、スカイプとかでビデオ通話してる相手のところに移動できるってことよ」
小梅「貞子みたいにってこと?」
エリカ「まあビジュアル的にはそんな感じね」
小梅「一ミリも信じられないんだけど、なんでそんな能力をいきなり……」
エリカ「ドイツに行った隊長と通話してたら寂しくなって、会いたくなったから鍛えたのよ」
小梅「いや、そんな気持ちだけで鍛えられる能力じゃないでしょ!?」
エリカ「とにかく、いきなりドイツはたぶんしんどいから小梅の部屋に移動してみるわね」
小梅「この状況がしんどいんだけど」
エリカ「いいから部屋でスカイプ開いて待ってなさい!」
小梅の部屋
エリカ『通話が繋がったわね。行くわよ』
小梅「はい。じゃあ満足したらとっとと寝てね」
エリカ『まだ信じてないの?ほら』
ウニョーン
小梅「うあぁーーー!!!??!?私のPCの画面からエリカさんの頭が!?!?」
エリカ「ううん、よいしょっ」
ギュッギュ
エリカ「くっ、やっぱり15インチのノートだと狭いわね……よいしょっと」
スポン スタッ
エリカ「はい、到着。成功ね」
小梅「あわ、あわ、あわ」ガタガタ
エリカ「いつまで驚いてるの?」
小梅「驚くに決まってるでしょ!?物理の法則とか常識とか全部無視してるし!」
エリカ「隊長への尊敬がなせる技ね」
小梅「もうどうでもいいわ……」
エリカ「さて、同じ寮内なら移動は余裕として、次でいきなりドイツに行くのも違うかなって気はする」
小梅「距離とか関係あるの?なんかもうそういう次元を超越してない?」
エリカ「うーん、回線の問題なのか、やっぱり遠いほうがキツさが高いのよ。最初は熊本の実家に移動してみたんだけど今よりもしんどかったし」
小梅「じゃあ大洗のみほさんあたりはどうかな?他にエリカさんが他校で親しい人いないでしょうし」
エリカ「失礼ね!それに親しくなんか……ま、いいわ。それで試してみましょう」
小梅「みほさんショック死しないと良いけど」
エリカの部屋
エリカ「もう小梅は休んでていいのよ?」
小梅「ううん。あまりにもみほさんが心配だから私もいる」
エリカ「そう?あ、繋がったわね」
みほ『エリカさん?いきなりどうしたの?ビデオ通話で話したいなんて』
エリカ「ちょっと今からそっちに行くから」
みほ『……へ?』
エリカ「さっきは頭から行って体勢がキツかったから今度は手から行ってみるわ。よっ」
ウニョーン
みほ『!!!!!!』
エリカ「まずは右手っと」
みほ『いやぁーー!??!?!』
ブツッ
フッ
小梅「あっ画面が」
エリカ「あっ」
みほの部屋
みほ「はあ、はあ、何今の……?」
みほ「一瞬モニターから腕が飛び出してきた気がしてびっくりして消しちゃったけど」
みほ「き、気のせいだよね……」
ゴトッ
みほ「?」
エリカの右腕「」バタバタバタバタ
みほ「ーーーーーーーーっ」
エリカの部屋
エリカ「うぎゃあああ!!!腕があああああ!」
小梅「エリカさん落ち着いて!!!」
エリカ「ぎゃあああ!!!痛いいいいい!!……あれ?痛くないわ」
小梅「右腕が持ってかれたのに全然出血してない!」
エリカ「そういえば消えてるのに感覚もあるわ。動かしてる感じがする」
小梅「……右腕はみほさんの部屋にあって遠距離でもエリカさん本体とのリンク?みたいなのは切れてないってことなのかな」
エリカ「小梅、ちょっと電話してみてよ」
小梅「うん」
プルルルル
小梅「だめ、出ない。気絶してるんだと思う」
エリカ「どうすんのよ!私の右手!」
小梅「この上なく自業自得じゃないかな……とにかくみほさんを起こしてみよう。手の近くにいるはずだから」
エリカ「手の感覚だけで探すのは結構大変よ……今も動かしまくってるけど」
小梅「そうだ!ちょっと動かすのやめて静かにしてみて。手がどの場所にあるのかわかる?」
エリカ「たぶん床ね」
小梅「じゃあ床に手のひらをピタッとつけてみればわずかな振動とかでみほさんの居場所がわかるかも!」
エリカ「なるほど!冴えてるじゃない!」
エリカ「……!」
小梅「わかった?」
エリカ「何か小刻みな振動がちょっとずつ大きくなって……遠くから人が近づいてくる感じがするわ!」
小梅「みほさんが起きた!?」
エリカ「どうかしらこれ……なんかもっと遠く、部屋の外から歩いてくるような振動なんだけど」
みほの部屋
ピンポーン
ガチャ
沙織「みぽりーん、呼んでも出ないから入っちゃったけど、いるー?」
優花里「お邪魔します!」
華「久々の鍋パーティ、楽しみです!」
麻子「チャイムに無反応なのは妙だな」
沙織「みぽりーん?」
みほ「……」シーン
優花里「西住殿!?大丈夫ですか!?」
みほ「うーん……みんな、いらっしゃい。あれ……私、何してたっけ」
華「床で倒れてましたけど……何かありましたか?」
みほ「えっと、確かエリカさんと通話してて……どうしたんだっけ」
麻子「うわぁっ!!!」
沙織「麻子どうしたの!?大きな声だし……きゃぁ!?」
エリカの右腕「」シーン
みほ「あ、思い出した……エリカさんの手が取れちゃったんだった」
華「バラバラ殺人でしょうか」
沙織「なんで冷静なの!?」
エリカの部屋
エリカ「なんかすごい床揺れてる感じがするわ!これ絶対何人かに囲まれてる!」
小梅「ええっ!じゃあもう騒ぎになってるよエリカさん絶対手を動かさないでね」
エリカ「わかってるわよ。動かしたら大変なことになるものね」
小梅「すでに極限まで大変なことにはなってるけどそうだね!少しでも目撃者の衝撃は抑えよう!」
みほの部屋
優花里「確かに、これは黒森峰の制服の袖ですよね」
ヒョイッ
沙織「ゆかりん!?持っちゃまずいって!」
優花里「大丈夫ですよ武部殿。おそらく映画などに使われる腕のレプリカです」
ツンツン
エリカの右腕「」ビクンビクンッ!
優花里「うわぁあああ動いたぁああ!?」
ポイッ
エリカの部屋
エリカ「あひゃっ!?くすぐったいっ!」
小梅「え、くすぐられてるの!?」
エリカ「わからないけど浮遊感があって誰かに触られた!痛いっ!あ、今投げ捨てられたわ!」
小梅「誰だかわからないけどパニックになってるんだろうな……でもみほさんの部屋に来たってことはみほさんの友達の可能性が濃厚ね。きっと気絶したみほさんも助かったはず」
エリカ「あとはなんとか意志を伝達して、通話を再開させないと」
小梅「再開しても腕が戻るかっていう疑問は残るけどね」
エリカ「画面を通して頑張ってくっつければなんとかなるわ!」
みほの部屋
エリカの右腕「」モゾモゾ
優花里「ど、どうしましょうこれ」
華「本物みたいですね。微かな香りが逸見さんと同じです」クンクン
みほ「さすが華さん」
沙織「そういえば麻子は」
優花里「冷泉殿なら『お化けだ!』って叫びながら外に飛び出して行きました……」
華「あら、また動き始めましたよ」
エリカの右腕「」グッ パッ ピッ
沙織「気持ち悪っ!手を閉じたり開いたり指を動かしたりしてるけど……」
優花里「しかし先程と違って動きに法則性があるように見えます……は!西住殿これはもしや」
みほ「うん。これ、黒森峰が試合で使う指揮官のハンドサインだね」
エリカの右腕「」グッ パッ ピッ
みほ「このサインの意味は『通信開始』……!わかりました!」
エリカの部屋
ピロリン♪
エリカ「来た!」
小梅「やっぱりみほさんは洞察力が違うなぁ」
みほ『エリカさん?』
エリカ「私の腕はそっちにあるのよね!?」
みほ『うん、やっぱりこれエリカさんの腕なんだ……どういうことになってるの?』
エリカ「とにかく腕をこっちに返して!」
小梅「ちょっと待った!画面が消えて腕が切れたんだから、同じように画面を境目にちょうどピッタリ腕の断面を合わせるようにしないとくっつかないんじゃ?」
エリカ「た、確かに……!よし、上手いこと合わせるわよ!」
みほ『要求される難易度がやたらと上がってきたけどやってみます』
ググググ
みほ『……』
エリカ「……よーし、そのまま、そのままゆっくり近づけて」
みほ『うん……』
華『もう少し上では?』
優花里『速度は少し下げないとちょうど画面の境目に断面が行かないですよ!』
沙織『みんなで口出ししたら集中できないんじゃないの?』
エリカ「もう3cmくらい右!」
みほ『えっと、こっち?』オロオロ
エリカ「っ違う逆!私から見て右!」
みほ『ご、ごめんなさ』
優花里『西住殿!もう少し上です!』
みほ『優花里さんから見て上?』
優花里『西住殿から見て上です!』
エリカ「あなた達は同じ側にいるんだから関係ないでしょ!」
華『そもそも上は上です』
ワーワー ギャーギャー!
小梅「ちょっとストップ!一旦ストップ!」
エリカ「何よ」ハアハア
小梅「こんな状態でくっつけようとしたら変にずれて悲惨なことになるから。
やっぱり手をこっちに持ってきてくっつくかどうか試そうよ。それでくっつけばOKだし、駄目なら改めて方法を考えれば良いんだから」
エリカ「それもそうね。聞こえた?」
みほ『うん。じゃあそっちに投げるね』
エリカ「慎重に投げてよ」
みほ『ちょっと自信ないな』
優花里『でしたら私が投げます!肩の力には自身があります!』
みほ『ありがとう優花里さん。お願いします』
優花里『行きますよ!とりゃっ!』
ブンッ
ピロロン♪
みほ(あ、お姉ちゃんから着信だ)
カチッ
フッ
エリカ「えっ??」
小梅「いきなり画面が消えた!?」
まほの部屋
まほ「久々にみほに電話してみよう。そうだ、この前エリカにスカイプのやり方を教わったからやってみるか」
ピロロン♪
フッ
まほ「ものすごい速さで出たな。みほ、ひさしぶっ!!?」
ベキッイッ!!
みほ『お姉ちゃん!大丈夫!?』
優花里『西住殿!いきなり別のビデオ通話を開いてしまっては……』
みほ『ごめんなさい。つい反射的に応答しちゃって』
まほ「なっ?顔に何か当たった……?」
エリカの右腕「」ゴロン
まほ「うーん」ドサッ
華『やはり気絶しましたね』
みほ『お姉ちゃーん!!』
エリカの部屋
小梅「もしもし、みほさん?うん、うん、わかった」
小梅「カクカクシカジカで、エリカさんの右腕は西住元隊長のところに行っちゃったって」
エリカ「なんでそうなっちゃうの!?会いたいとは思ったけど腕だけは駄目!」
小梅「で、西住元隊長も気絶しちゃってどうにもならないみたい」
エリカ「隊長!隊長起きてください!うーん」
小梅「何してるの?」
エリカ「腕をすごくジタバタさせてるんだけど手応えが無いわね……ん!?」
エリカ「なっあっ……ひゃっ!?なにこれっ!?」
小梅「変な声出してどうしたの!?」
エリカ「まさかこれっ!?なめられてるっ!?///舌でなめられてる感じがするっ!」
小梅「ええー!?まさかそんな」
エリカ「でもこの感覚間違いないっ!しばらく会ってないからって大胆ですね隊長///」
小梅「もしもしみほさん、そっちの画面から西住元隊長の部屋の様子見えてるよね?状況どうなってますか?」
みほの部屋
犬『ハッハッハッハ』ペロペロペロ
みほ「お姉ちゃんが一緒にドイツに連れて行った犬がエリカさんの腕をなめてる」
小梅「あ、はい」
みほ「お姉ちゃんを起こして、エリカさんの体を復元しないと。その為にはエリカさんにこっちに来てもらわなきゃいけません」
小梅『でもみほさんのパソコン画面は元隊長との通話に使ってるから……』
みほ「優花里さん、お家にパソコンあったよね?借りて良いかな?」
優花里「はい!もちろんです!」
みほ「まずエリカさんは優花里さんの実家に移動して、そこから私の部屋に来てお姉ちゃんのところに移動してもらいます」
小梅『了解!』
30分後
優花里の部屋
優花里「さあ準備万端であります!いつでも来てください!」
エリカ『実家なのに悪いわね。行くわよ』
優花里「はい!」
エリカ『よいしょっと』
ニューン
ガチャッ
好子「優花里~?お友達来てるの~?」
優花里「あっ!ううん!電話!」カチカチッ
好子「あら、そうだったのね」
バタン
エリカの上半身「……何が起こったの」
優花里「……すいません、親が入ってきていつもの癖で画面消しちゃいました」
エリカの部屋
エリカの下半身「」ピクッピクッ
小梅「どうすんだこれ」
みほの部屋
ガチャッ
優花里「西住殿!逸見殿を連れてきました!よいしょっ」
エリカの上半身「隊長は無事!?」
みほ「まずエリカさんが無事なの!?」
エリカの上半身「ここまで背負ってきてもらったわ!」
沙織「もう絵面が完全にホラーだね」
華「元に戻すのが大変そうです」
エリカの上半身「そんなことは後で考えるから今はとにかく隊長のところに送って!」
みほ「うん。じゃあ私はこっち持つから画面に押し込みましょう」
エリカの上半身「頭から頼むわ」
まほの部屋
犬「ハッハッハッハ」
まほ「ん?なんだ……寝てたのか私は」
エリカ『隊長ーー!!』
まほ「エリカ!?」
エリカ『今行きます!待っててください隊長!』
ニョキッ
まほ「うわぁ!!!!」
バキィッ!!
まほ「お、驚いてとっさにPCを破壊してしまったが、今のは幻覚かな?」
ゴロン
まほ「?」
エリカの頭「こ、こんにちは」
まほ「うーん」バタン
その後、まほのPC修理に時間がかかり1ヶ月間エリカの頭とまほは一緒に行動した。
現地では西住まほがデュラハンなのではないかと噂になり、とんでもない大学デビューを飾った。
エリカはまほと過ごし美味しいドイツ料理も味わえて大満足だったが、下半身の世話をする小梅は本当に大変な目にあった。
おわり
読んでくれてありがとうございました
ミート君みたいになっちまったなエリカ
おつ
乙です
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1514301547/
Entry ⇒ 2018.04.24 | Category ⇒ ガールズ&パンツァー | Comments (0)
【ガルパン】エリカ「西住流段位認定試験、始まるわよ」
沙織「ちょっと待ってください!」
華「私たち、何も知らされてないんですが……。」
優花里「西住殿はどこにいるんですか?」
麻子「説明を要求する。」
エリカ「そこで代役としてあんたたちが選ばれたのよ。光栄に思いなさい。」
沙織「なんで私たちがこの人の手助けなんかしなきゃいけないの!?」
麻子「極上生徒会なんて誰も覚えてないぞ。」
優花里「しかも中の人ネタなんて誰も気づかないですよ。」
華「青春砲、撃ってみたいですね。」
沙織「うーん、まぁまほさんが言うなら……。」
優花里「西住流のことも気になりますしね!」
まほ「ありがとう、ではこちらに。」
華「広いお家ですね。」
沙織「華の家とどっちが大きいかな?」
優花里「そうですよ!こんなにかわいいのに!」
みほ?「うんうん、そうだよね。わかってくれて嬉しいよ。」
エリカ「ちょっと!今の『は?』の顔見なさいよ!めちゃくちゃ凶悪だったわよ!」
エリカ「無駄に呼びにくい!」
麻子「それでナビィぽりん、私たちはこれからどうしたらいいんだ?」
華「ナビィぽりんさん、どうか教えてください。」
エリカ「なんでそんなに順応性高いの?怖。」
エリカ「すみませんでした、ナビィぽりんさん。教えてください。」
ナビィ「わかればいいんだよ。さ、こっちだよ。」
沙織「みんな!川が見えたよ!」
ナビィ「ヘーイ」
麻子「ナビィぽりんが何か知っているみたいだ。」
華「教えてください!ナビィぽりんさん!」
沙織「なんでそんな縁起でもない通称にしたの!?」
ナビィ「太陽を英語にしてみたんだ。今風でしょ?」
ナビィ「ほとんどの人が生きて帰ってこないからだよ。」
優花里「やっぱり三途の川由来じゃないですか!」
華「戦車道の衰退って西住流が原因なんじゃ……。」
華「なんて恐ろしい……。」
優花里「もうだめだぁ……おしまいだぁ……。」
エリカ「ふっ、私に任せなさい。」
沙織「逸見さん?」
麻子「やめとけ、食われるのがオチだぞ。」
ワニ「はい!エリカさん!」
優花里「凄い!ワニたちが橋みたいに……これが西住流……!」
麻子「おい今ワニが喋ったぞ。」
沙織「流石逸見さん!ワニの中のワニ!」
麻子「それただのワニだろ。というかワニ喋ったって。」
麻子「まぁいいか……。」
華「まるで因幡の白兎ですね。」
エリカ「また川ね。今度は橋がかかってるけど。」
ナビィ「ヘーイ」
麻子「ナビィぽりん、ここはなんだ?」
ナビィ「ここは恥ずか死橋だよ。恥ずかしい過去や秘密を言ってから渡らないと8.8cm砲で撃ち抜かれるよ。」
優花里「死んじゃいますよ!」
華「どのくらい恥ずかしいことを言わないといけないんですか?」
【成功例】
・全国に自分の留年が知れわたる
・自分で立てた作戦に「姑息な作戦」と文句を言う
・SSのあとがきに自分を登場させて茶番劇
【失敗例】
・先生をママと呼んでしまった
・授業中、テロリストに学校を占拠される妄想をする
・クール便の箱を無理やり開けようとして顔面強打
エリカ「ありがちな失敗や妄想じゃダメってことね。」
麻子「クール便の件は全然ありがちじゃないだろ。」
沙織「成功例ってどこかで見たような……?」
優花里(テロリストに占拠される妄想って私だけじゃなかったんだ……。)
沙織「私が行くよ!」
華「沙織さん!頑張ってください!」
ナビィ「じゃあ沙織さん、恥ずかしいことを叫んで!」
エリカ「なんで!?気が早いってレベルじゃないわよ!」
ナビィ「判定は~……ダメでーす!」ブブー
沙織「やだもー!」ドカーン
優花里「武部殿ー!」
麻子「そんな……沙織……。」
エリカ「今のでダメなの?」
華「沙織さんの仇は私が……!」
ナビィ「じゃあ早速叫んでね。」
エリカ「どんだけ食べるのよ!普通に窃盗じゃない!」
華「この償いはお供え物でさせていただきます。」
ナビィ「判定は~ダメでーす!」ブブー
華「あ~れ~!」ドカーン
麻子「こうなったら次は私だ!」
ナビィ「どうぞー。」
ナビィ「ダメー。」ブブー
麻子「なんでだー!」ドカーン
優花里「冷泉殿がおばあ好きなのは周知の事実、周りから見て恥ずかしくないと判断されるのは当然でしたね。」
エリカ「なんであの子にだけそんな冷静な解説!?」
エリカ「そういうのいいから。」
優花里「では次は私です!大洗最後の刺客、不肖秋山優花里、行きます!」
ナビィ「優花里さん、どうぞー。」
エリカ「普通ー!あんた絶対もっと恥ずかしいことしてるでしょ!」
ナビィ「はいダメー。」ブブー
優花里「これみんなやってるんですかー!?」ドカーン
エリカ「仕方ない、言いたくなかったけど……言うわ!」
ナビィ「どうぞー。」
ナビィ「へ?」
エリカ「毎日みほの写真見て癒されてるし昔のインタビューの映像とか永久保存してるわ!死ぬ前に1度西住サンドをやってもらいたい!というかそれで死にたい!」
ナビィ「うわぁ……。」
ナビィ「うん、なんか……いいよ。」
エリカ「よっしゃぁぁぁ!」
華「やりましたね!」
麻子「お前ならできると思ってた。」
優花里「同志よ!おめでとうございます!」
麻子「トリックだよ。」
沙織「私の特性『あついしぼう』だから炎タイプは通らないんだ。」
華「グッとやったら弾道が変わって当たりませんでした。」
優花里「状況判断です!」
ナビィ「なかなかやるね。ゴールはすぐそこだよ。」
エリカ「行きましょう!」
沙織「後ろから岩が!」
エリカ「前は崖よ!」
優花里「イン◯ィージョーンズですか!?」
優花里「うぼあ~!」
沙織「ゆかりんが死んだ!」
麻子「この人でなし!」
沙織「エリカさん!華!それはハンバーグじゃない!騙されないで!」
エリカ「でもこんなに美味しそうなのに……。」
華「が、我慢できません……!」
優花里「わかりました!私が野営で鍛えたこの腕でハンバーグ作りますから!」
沙織「私も手伝うよ!」
ナビィ「この森を抜けたら最終試験だよ!」
沙織「ようやくだね!みんな、行こう!」
エリカ「抜けたわよ!さぁ!最終試験は何?」
エリカ「隊長!?それに家元も!」
沙織「ていうか何ここ……急に会議室だけど……。」
華「なかなかアクティブで楽しかったですね。」
優花里「私は戦車が関係なくてガッカリでした。」
麻子「というかなんの試験だったんだ?」
エリカ「生きて帰れたんだからいいじゃない。」
エリカ「何よ急に。」
ナビィ「驚くかもしれないけど、私実は……みほなの!黙っててごめんなさい!」
エリカ「めちゃくちゃ今更ね。」
麻子「この学年主席の私でも見破れなかった……!」
優花里「まさかナビィぽりんが西住ぽりん殿だったなんて……。」
華「道理でぽりんが似合うと思ってました……。」
沙織「うわ、エリカさんノリ悪。」
優花里「ホントツマンナイよねー。」
華「ぽりんぽりん。」
エリカ「急にリアルな女子高生になるのやめて!というか華はぽりん気に入ったの!?」
エリカ「元に戻るの早!なんか変身シーンとかあるでしょ!」
優花里「おお!それは見たいです!」
エリカ「え?な、何?」
みほ「西住サンドって何?」
みほ「そういうのいいから。」
エリカ「えーと、あの、みほ……さん?」
エリカ「わーい、楽しみね!」
みほ「エリカさん?」
エリカ「……はい。」
華「痴情のもつれですね?触らぬ神に祟りなしです。」
麻子「疲れた。沙織、おんぶ。」
優花里「同志逸見殿!御武運を!」
みほ「エリカさん、お望み通り死なせてあげるね。」
エリカ「イヤだー!死にたくなーい!死にたくなーい!」
この後めちゃくちゃ西住サンドした。
ギャグ方向で作ろうと思うとなかなか作れないもんですね。
とっさのひらめきから生まれたギャグが1番面白いんやなって。
ちなみに後日談的には西住サンド楽園編と西住サンド地獄編がありますが脳内にしかないのでお見せできません。
気分が乗ったらR18のほうに書くかも。
ガルパンのSSを書いて約1ヶ月、これとR18のSM道を含めて8つ書いてますがまだまだ書き足りないですね。
今書いているものが3つあるんでどれかが完成したらまた投稿します。
では、ここまで読んでいただきありがとうございました。
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1524237402/
Entry ⇒ 2018.04.21 | Category ⇒ ガールズ&パンツァー | Comments (0)
【ガルパン】エリカ「弱くて強いあなたに」
小梅「あーみほさんはやっぱり強いなぁ。練習試合とはいえまた負けちゃうなんて。」
大洗女子学園と黒森峰女学園の何度目かの練習試合、
車数を大洗に合わせていることもあってかここ最近は大洗が連戦連勝。
黒森峰の新隊長である逸見エリカはこの結果に表情を暗くさせていた。
小梅「あ、隊長!わかりました。」
小梅には隊長用に設営されたテントに向かっていくエリカの背中がいつもとは違い、どこか弱弱しく見えた。
小梅「エリカさん大丈夫かなぁ。」
小梅は不安になり、誰かに相談することを決めた。
しかし、黒森峰は序列がはっきりしている分バランスが難しい。
下手に動くとエリカの立場がなくなり、隊としての秩序が乱れてしまうということを小梅はわかっていた。
悩んだ末に、小梅は自身が最も信頼している人物のもとを訪れた。
小梅「私心配で……どうしたらいいか…… 。」
大洗の隊長でもある西住みほは元々黒森峰の副隊長でもあり、エリカや小梅の友人だ。
みほに救われた過去がある小梅にとって、これ以上の適任者はいないだろう。
小梅「隊長になったエリカさんはきっと誰にも頼ることができずに苦しんでる。でもみほさんにならエリカさんも相談できると思うんです。」
みほ「でも私……逸見さんに嫌われてるし……。」
小梅「そんなことないですよ!エリカさんはみほさんのこと尊敬してます!確かにちょっとキツいところはあるかもですが……。」
みほ「そ、そうかな?」
小梅「お願いします!みほさんしか頼れないんです!」
みほ「……わかった。ちょっと自信ないけど、やってみるよ!」
こうしてみほは小梅に連れられて 黒森峰の待機場所にやってきた。
小梅が人がいない場所を選んで通っているため周りの目は気にしなくても良かったが、それでもみほは気まずさを感じていた。
過去に黒森峰から逃げたこと、エリカと向き合う不安、そういったものが混ざりあい、みほの胸を締め付けた。
みほ「わかった。ここで大丈夫。行ってくるね。」
小梅「はい、エリカさんをお願いします。」
不安は大きかったがみほは1人でいくことにした。
小梅が一緒だとエリカは本音で話せない、そんなような気がしたのだ。
テントの向こうに人の気配はあるものの返事はない。
みほは覚悟を決めた。
みほ「……入るね。」
エリカ「何しにきたのよ。」
みほがテントに入るとエリカは背中を向け、拒絶するように言い放った。
エリカ「あんたになにがわかるっていうの!?」
エリカが怒鳴って振り返る。
そこには涙を流すみほがいた。
エリカ「な、何で泣いてるのよ。」
みほ「ごめんね。なんだか昔を思い出しちゃって。」
そう言うとみほはエリカに歩み寄っていった。
みほ「辛いよね。周りから比べられるのも、自分で比べちゃうのも。……勝てるわけないのにね。」
みほは無視して近づくと、両手でエリカの頬を包む。
エリカ「触るな……!」
なぜかエリカは動けなかった。
その言葉を言うのが精一杯だった。
しかし、やはりみほはその言葉を無視して続ける。
今度はエリカを抱きしめる。
その体が震えていることに気がつくと、みほは目を細めて優しく頭をなでた。
みほの言葉を皮切りにエリカは声を押し殺して泣いた。
くやしさ、恥ずかしさ、情けなさ、それを悟られないように泣いた。
ただみほだけがその胸で全てを受け止めていた。
しばらく泣いて落ち着いたエリカが礼の言葉を口にする。
みほ「もう大丈夫?」
エリカ「ええ、でももう少し、このままでいさせて。」
みほ「いいよ。気が済むまで一緒にいるから。」
泣き終えたエリカが甘えるようにみほの胸を顔を埋める。
みほにはそれがたまらなく愛しく感じた。
みほ「……私はね、乗り越えられなかった。お姉ちゃんが庇ってくれてたから戦車道はやめなかったけど、それでも色んなことから逃げたよ。」
エリカはまだみほの胸を借りていたが、それでもその表情が曇ったことがわかった。
なぜならまだみほが黒森峰にいたころ、自分もみほを責めた1人だったからだ。
あのときみほがどれだけ辛い思いをしたか、今のエリカには容易く想像がついた。
みほ「ううん、エリカさんには嫌われて当然のことをしたと思ってる。私こそ逃げ出して、ごめんなさい。」
エリカ「確かに嫌いだったわ。西住を名乗っておいて西住流とはほど遠いあなたが。それでも隊長に認められて副隊長になったあなたが。」
みほ「うん、そうだね……。」
みほ「エリカさん……。」
エリカは顔を上げるとみほを見つめた。
みほの目は潤み、今にも涙がこぼれそうだったが、それでもまっすぐにエリカを見つめ返していた。
みほ「うん。……嬉しいな。私もね、エリカさんのこと、好きだよ。強くてまっすぐで……憧れてた。」
エリカ「幻滅した?」
冗談めいてエリカが言うと慌ててみほが否定する。
みほ「そんなわけないよ!でも、一緒にいたいって、支えてあげたいって思うようになった。」
みほ「エリカさん……。」
見つめ合う2人、どちらからともなく唇が近づき、目を閉じる。
突然の小梅の声に2人は驚き、パッと離れる。
真っ赤になって慌てるみほを見て冷静さを多少取り戻したエリカが上ずった声で答える。
エリカ「ど、どうしたの?」
小梅「は、はい!もうそろそろ撤収の時間なのでお声かけしました!」
エリカから思いのほか間抜けな声が返ってきたことで小梅は作戦が成功したことを悟った。
小梅「お願いします!みほさん、人が来る前に行きましょう。」
みほ「は、はいぃ!」
まだ小動物のように慌てているみほをエリカが抱きしめ囁いた。
エリカ「みほ、また今度ね。」
みほ「う、うん。」
エリカ「みほ。」
呼び掛けに振り向いたみほへ、エリカはキスをした。
その得意気な顔に、みほは笑った。
先々週くらいからガルパンおじさんになったものでキャラがつかめていない部分があったかと思いますが、
私なりのエリみほを書いてみました。
後日談も書こうか悩んだのですが、それはまた別で考えることにします。
拙い文を読んでくださり、ありがとうございました。
ちょっとテンポが良すぎる気がする。
もっと丁寧に(ただし、冗長にではなく)描写してもええんやで?
乙あり
戦いたいって言ってたけどそこが正に今回のような話に繋がってくるファクターになるんじゃないかなと期待してる。
>>24
乙あり
違和感の正体がわかった。ありがとう。
もう少し周りの状態を表現してあげれば良かったかなぁ。
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1521376418/
Entry ⇒ 2018.04.14 | Category ⇒ ガールズ&パンツァー | Comments (0)
【ガルパン】エリカ「第64回戦車道全国高校生大会」
ゆっくり更新していきます
すべてのキャラを出すことは出来ないので予めご了承ください
エリカ「流石に一人は心細いわね、小梅にも来てもらえば良かったわ」
エリカ「とりあえず席に座って待ちましょうか」
華「確か黒森峰の…」
麻子「感じ悪い人」
優花里「逸見エリカ殿でありますよ!」
みほ「エリ、逸見さん…」
エリカ「あら、こんにちは。皆さんお揃いで」
沙織「ちょっと麻子!」
エリカ「いいのよ、それじゃあまた。決勝で待ってるから」
みほ「うん、頑張るね」
華「何も嫌味言われませんでしたね」
みほ「エリカさん、根はいい人だから」
優花里「黒森峰の隊長ですよ!ぜひお話してみたいであります!」
エリカ「ちょ…!えぇ…」
ザワザワ…
店員「いらっしゃいませー」
エリカ「あ、一人で」
店員「空いてるお席へどうぞー」
エリカ「はぁーー…」
優花里「あっ!逸見殿!」
エリカ「あれ?大洗、あなたたちも来てたのね…」
麻子「おい」
沙織「いいじゃん麻子、華もいいよね?」
華「はい、構いませんよ」
エリカ「じゃあそうさせてもらうわ」
エリカ「言わなくてもわかるでしょ、組み合わせよ…」
沙織「あっちのブロックってどんな感じだったっけ?」
優花里「四強が全部固まっています」
麻子「継続高校もそっちだったな」
華「私たちの方はアンツィオと知波単ぐらいですね」
エリカ「最悪よ、初戦でプラウダ、二回戦でサンダースか聖グロと当たるんだもの」
みほ「あはは…」
みほ「はい!」
優花里「って、もう行くんですか?」ガーン
エリカ「いつまでもゆっくりしてると帰りたくなくなるじゃない…。絶対隊員から責められるわ…」
華「あら、意外と仲良しなんですね」
エリカ「そりゃ、同じ学校だからね」
エリカ「その、ごめん」
小梅「気にしないでエリカさん」
直下「はー…」ボソッ
エリカ「あからさまに溜め息をつかないでよ」
小梅「まあまあ二人とも…」
直下「で、これからどうするの?何もせずに勝てる相手じゃないけど…」
エリカ「確かに、今の私たちじゃ10やって9勝てるとは限らないわね」
エリカ「無理な話ね」
直下「なんで?」
エリカ「私に人脈が無いわ」
小梅「…」
直下「…」
エリカ「仕方ない。とにかくあと一か月、訓練あるのみよ」
小梅「えっと…、どうぞ」
エリカ「ふぅん…狭いわね...」
小梅「1回戦は参加車両が少ないので」
エリカ「四方は森で囲まれ北の少しあがったところに集落、南は田畑か…」
エリカ「編成や作戦はこれから考えるわ、いつも通り練習させて」
小梅「はーい」
エリカ「よし、じゃあ今回の編成と作戦を発表するわ」
エリカ「じゃあまず編成から。ティーガーⅡ1両、パンター4両、ラング2両、エレファント、ヤークトパンター、ルクス各1両でいくわ」
エリカ「フラッグ車は直下のパンター、頼めるわね?」
直下「はい!」
エリカ「で、作戦は...」
「...」
エリカ「無いみたいね」
小梅「あのー」
エリカ「赤星」
小梅「作戦名は…?」
エリカ「ああ…忘れてたわ」
エリカ「作戦名は『第十二篇作戦』よ!」
エリカ「じゃあ解散!試合に向けていっそう励みなさい!」
エリカ(風が強い、風向は南、ここ数日は雨が降ってないから乾燥してる…。良し)
エリカ「整備の方はどう?順調?」
小梅「うん、問題なくやってるよ」
エリカ「そう、ならよかったけど」
小梅「向こうに挨拶に行かなくていいの?」
エリカ「いや、ほら、こっちから行くと私が下みたいで嫌じゃない?」
小梅「はぁ…。そういうとこ直した方がいいよ」
エリカ「態度と身長が対照的なあの人や色々とでかいあの人とならあったのだけど」
アリーナ「挨拶に行かねでええんだべか?」
ニーナ「向こうの隊長がおっがねえ」
審判「一同、礼!」
「「「よろしくお願いします!」」」
直下「ねー隊長、なんかありがたい言葉とかないの?」
エリカ「はぁ?何言ってんの?集中しなさい」
直下「いやぁこうさー、気が引き締まるようなさー」
エリカ「わかったわよ…」
エリカ「えー、聞きなさい」
エリカ「相手は一昨年の優勝校。黒森峰の10連覇を阻止した存在よ」
エリカ「車両は高性能、練度も並み以上」
エリカ「目指すは優勝!それを阻む奴は全員蹴散らすのみ!」
エリカ「各員全霊を尽くしなさい!!以上!」
「「「ヤヴォール!!」」」
直下「おおー」パチパチ
エリカ「よし、じゃあ乗って」
エリカ車砲手「任せて」
エリカ車装填手「はーい」
エリカ車操縦手「ん」
エリカ車通信手「はい!」
黒森峰女学園
ティーガーⅡ 1(エリカ)、パンター 4(小梅、直下(フラッグ))、エレファント 1、ヤークトパンター 1、ラング 2、ルクス 1
プラウダ高校
T-34-75 4、T-34-85 4(ニーナ、アリーナ、フラッグ)、IS2 1、KV-2 1
ルクス車長『いってきまーす』
エリカ『頼んだわよ』
エリカ(この作戦は最初が肝心…、あの子達にかかってるわ)
エリカ『私たちも行くわよ!本隊、パンツァーフォー!』
エリカ「陽動ね」
エリカ『撃破しない程度に反撃!後退しても追撃はするな!』
ルクス通信手『こちらルクス、A5地点に着きました』
ルクス通信手『隊長の予想通り本隊は廃村に居ますよ』
エリカ車通信手『了解、じゃあ始めてください。気を付けてね』
エリカ車装填手「ねえエリカちゃん、陽動に乗らないのは解るけどなんで撃破しちゃダメなの?」
エリカ「ああ、それはね…」
ルクス操縦手「確かに振り返ればすぐに見つかるね」
ルクス砲手「まあその時はその時でしょ」
ルクス車長「いいから手を動かす!まだ数やらないとなんだから」ドパァ
エリカ「そんな状態なら後ろの警戒が疎かになりがちじゃない?」
エリカ車装填手「なるほど…」
ルクス通信手『撒き終わりました!いきます!』
ルクス砲手「ファイヤー!!」
エリカ車通信手『お疲れ様です。ありがとう!』
エリカ『本隊、陽動を突破し集落に乗り込め!』
エリカ「で、作戦は」
エリカ「プラウダは隊長は変わったけど、ドクトリンも車両も変わらないはず」
エリカ「新しい隊長が誰かわからないけど、新戦術を考える能力がある人材が居るとは考えにくいのよね…」
エリカ「となると前隊長カチューシャが採っていた包囲戦術になる」
エリカ「今回のマップで包囲をするとなれば、集落かそこがある高地の崖に追い込むか」
エリカ「相手の開始位置は集落に近い。だから多分そこで包囲してくるわ」
エリカ「その包囲を封じるためにここ、後ろにある森。これを燃やすわ」
エリカ「試合開始と同時にルクスはそこに走る」
エリカ「ガソリンを撒いて、点火」
エリカ「相手がパニックになってる間に、本隊でこれを撃滅する」
エリカ「これが今回の作戦よ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アリーナ『ニーナ!うすろ!森が燃えてるベ!』
ドォォォン!
T-34-75車長『すみませぇん!撃破されました!』
ニーナ「ええっ!」
ニーナ車装填手「どうすっだ?」
IS2車長『前方から敵本隊!突入してきたベ!』
ニーナ『後退後退!森に入るべ!でぇじょうぶだ!戦車は燃えねぇ!』
エリカ車砲手「混乱してるんじゃないか?」
エリカ「そうだろうけど、ちょっと想定外ね…」
ドォォォン!
ルクス通信手『こちらルクス!やられましたー』
エリカ車通信手『お疲れさまです。危ないから外には出ないでください』
ルクス通信手『はーい』
エリカ「彼我ともに9両…」
エリカ(相手はこれより後ろはエリア外、後退は出来ない)
エリカ(かといってじっとしててもどうにもならない)
エリカ(どこかで出てくるはず、そして集落から田畑に通じる道は2本)
エリカ(なら…)
エリカ『隔岸観火!全車、予定通り集落を包囲!出てきたところを叩くわよ!』
『『『ヤヴォール!』』』
エリカ車砲手「まだ一発も撃ってないんだけど」ウズウズ
エリカ車通信手「あはは…」
エリカ(それにしても遅い…炎に入ってもう数分も経ってる)
エリカ車操縦手「…」
ラング二号車車長『敵、出てきました!』
エリカ『砲撃開始!!』
シュポッ
ヤークトパンター車長『T-34-861両を撃破!』
エリカ「よし!このまま…」
エリカ(っ!)
エリカ『全車砲撃やめ!』
エリカ車砲手「どうしたんだ逸見!」
エリカ車通信手「チャンスですよ隊長!」
エリカ「いや…」
直下『隊長!なんかおかしいよ!』
エリカ『ええ、煙で視界が悪いけど…』
直下『8両しかいない!』エリカ『フラッグ車がいない…』
小梅『エリカさん!T-34-853両のどれにもフラッグが無いよ!』
エリカ『確かフラッグ車はT-34-85だったはずよね…』
小梅『きっと燃やしたんだ…』
エリカ『…小梅!居ない車両は分かる!?』
小梅『よく見えないけど、たぶんKV-2!』
エリカ「全速でフラッグ車の方に走って!!」
エリカ車操縦手「ん」
ドォォォォォォォォォン!!!
ガッッ!!シュホ!
エリカ「いいからアイツを仕留めろ!!」
直下「っ!撃て!」
ドォォォン!!
ガッ!
シュポッ
KV-2車長『すみませぇん!フラッグ車仕留められんかっただ…あとやられちまっただ~。でも隊長者はやっつけたべ!』
ニーナ『でかしただ!向こうは指揮官が居ない、この試合もらったべ!』
また夜に更新します
エリカ車通信手「そうみたいですね…」
エリカ車砲手「一両も撃破してないんだけど!!」
エリカ車操縦手「試合に負けるよりはいいでしょ?」
エリカ車砲手「てかどうすんの!?勝てるの?」
エリカ「大丈夫よ」
エリカ「代が変わった時からずっと、私が車長全員に戦術と指揮を教えてきたからよ」
エリカ車装填手「役割ごとの練習の時にねー」
エリカ車操縦手「あなたは自分の練習しか興味なかったんでしょうけど」
エリカ車通信手「ふふ…」クス
エリカ「指揮を執るのは数人でいいが、指揮を執る能力があるのは多い方がいいでしょ?」
エリカ「ま、ここで負けるようじゃそれまでのチームってことよ」
小梅『任せてエリカさん!』
小梅『みんな落ち着いて!私が指揮を執ります!』
小梅(といったものの、自信ないなあ…)
小梅(まず状況を整理しよう)
小梅(田畑に降りる道は2つ、後ろからは火が迫り煙で視界も悪い)
小梅(相手は7両、遮蔽物のない田畑の方へ逃げた)
小梅(フラッグ車の識別は不可能、か…)
小梅『ラング1号車!そこから相手の位置は見えますか?』
ラング一号車車長『見えた!全車両田畑に展開しています!』
ラング一号車車長『撃ってきた!』
小梅『応戦します!直下さんは下がって!』
直下『ヤヴォール!』
ルクス車長「皆さん!お疲れ様です!」
エリカ「そっちこそ、いい働きだったわよ」
エリカ車通信手「みんなケガはなさそうだね!よかった…」
エリカ車砲手「よくないよ~私一両もやっつけてないよ~」
エリカ車装填手「まあまあ」
エリカ車操縦手「よくないね、回収車さんにすごい迷惑かけたし」
エリカ「…」
エリカ車操縦手「距離があるし、視界も悪いから」
ルクス車長「それに相手はどの車両がフラッグか分かりません」
エリカ「まるで王様ドッチボールね」
エリカ車砲手「」ブフッ!
エリカ車装填手「エリカちゃん…」
エリカ車通信手「あはは…」
エリカ車操縦手「…」クス…
ニーナ(田畑に下りる道は1両ずつしか通れねぇ、そこで集中砲火すっべ)
ニーナ『攻撃の手を休めんな!攻めまぐれぇ!』
ニーナ『フラッグも他の車両と同じように振る舞ってけろ!』
直下『赤星さん!火がもう後ろまで来てる!』
小梅(このままじゃ埒が明かない…)
小梅『ヤークトパンター!エレファント!』
小梅『我はこれより突撃を敢行する!相手の動きをよく見て、フラッグ車を撃ってください!』
『『ヤヴォール!』』
小梅『第八計作戦です!』
小梅車操縦手「無茶言うなぁ…」
小梅「前進!」
アリーナ『ニーナ!一両突っ込んでくっべ!』
ニーナ『撃でぇ!あのパンターの撃破を優先するべ!』
パンター3号車車長『指定された2両以外は自由砲撃!赤星さんを援護します!』
アリーナ『奥の車両も撃っで来た!』
ニーナ『撃でぇ!撃ぢまぐれぇ!!』
ゴォォン!
小梅「左に!」
小梅「停止!」
小梅「前進!」
ヤークトティーガー車長「フラッグ車はどいつだ…」
T-34-85(フラッグ車)車長「どんどん近づいて来るべ…逃げね゛ぇと…」
ドゥルルル…
ヤークトパンター車長『向かって右から二番目の車両!あいつがフラッグ車だ!撃て!』
ドゴォォオオンッ!!バァァァン!!
カッ
カッ
シュポ!
シュポ!
T-34-85(フラッグ車)車長「なっ…」
審判『黒森峰女学園の勝利!!』
ワァァァァァァァ!!
小梅車砲手「お疲れ、小梅」
小梅「いやぁ、走りが良かったよ」
小梅車操縦手「まあねぇ~」
小梅車通信手「最後はやられたけどねー」
小梅車操縦手「なにおう!」
小梅「ははは…」
エリカ車通信手エリカ車装填手「「いぇーい!!」」パァン!
エリカ車砲手「やった!」グッ!
エリカ車操縦手「…」ホッ
ルクス車長「やりましたね、隊長!」
エリカ「私は何もやってないわよ」
エリカ「でも、ええ…やってくれたわね」
エリカ「小梅、よくやったわね!」
小梅「そうかな…?」テレテレ
エリカ「ええ、あなたのパンターが文句なしのMVPよ」
直下「隊長、隊長が小梅の立場だったらどうしてたの?」
エリカ「教えないわ。私が解を与えたら、新しい解が生まれなくなる」
直下「思い浮かばないんだぁ~」ニヤニヤ
エリカ「あ゛ぁん!?」
エリカ「あら、プラウダの。挨拶ならあの赤毛のところに行きなさい」
赤星「あはは…」
ニーナ「お手合わせ、ありがどうございました!」
赤星「いえいえ、こちらこそ!勉強になりました!」
審判「一同礼!」
「「「ありがとうございました!!!」」」
エリカ「全員揃ったわね!撤収!」
「「「ヤヴォール!!」」」
エリカ(次の相手はサンダースか…)
エリカ(まあ聖グロとじゃどっちが上がってきても驚かないけど...)
エリカ(大洗も勝ったみたいね)ホッ
ブルルルル
エリカ「電話?誰から…て、まほさん!?」
まほ『私だ』
エリカ『まほさん、お久しぶりです!』
エリカ『ありがとうございます!』
まほ『みほから聞いたが面白いことをやったそうだな、自分の戦車道は見つかったか?』
エリカ『いえ、まだまだ手探りです』
まほ『そうか、まあゆっくり探せばいいさ』
エリカ『…はい!』
まほ『そうだ、決勝は観に行くから。じゃ』
エリカ「え?って、切れた…」
まほ(今のはプレッシャーになったかな…失敗した)
小梅「二回戦のマップ来ましたー」
エリカ「どれどれ…」
エリカ「荒野、か。北は林が、中央西寄りには岩場。東は平地…と」
エリカ「ん、ありがとう」
小梅「はーい」
エリカ(サンダースかぁ…)
エリカ(隊員の練度は私たちと大して変わらないけど、戦車の質はそれどころかプラウダにも劣る)
エリカ(大会後半ならまだしも、十両しか投入できない二回戦ではよっぽどの事が無い限り…)
エリカ「えー、これより二回戦の編成と作戦を発表する」
エリカ「ティーガーⅡ1、パンター4、ラング2、ヤークトティーガー1、ヤークトパンター1、レオパルト1でいくわ」
エリカ「それで、作戦はこう」
エリカ「偵察のレオパルト以外の全車両はF5地点の岩場に展開、布陣。攻勢に出ることを前提とした陣地防御を以て敵戦力を撃滅する」
エリカ「何のひねりもない、単純なものね。何か質問は?」
エリカ「どうぞ」
モブ「なんで最初から攻勢に出ないんですか?相手がサンダースなら、真正面からぶつかっても特に苦戦することもなく勝てるのでは?」
エリカ「うーん確かにそうなんだけど、なるべく損害を出さずに勝ちたいのよ。そりゃあ殴り合っても負けないだろうけどね。でも相手の車両は私たちのそれよりも機動力で優れているから、側面なんかに回られると損害がでるでしょ」
エリカ「その点、陣地防御ならばそれを抑えられる。相対戦闘力の話したでしょ?」
エリカ「その通りよ。でも戦車道では投入できる戦力には限りがある。だからこそよ」
エリカ「他には?」
「...」
エリカ「無いみたいね。あー忘れてた、作戦名...」
エリカ「思いつかないから小梅、決めて」
小梅「えー...じゃあ、ロールキャベツ作戦で!」
エリカ「...は?」
ダッダッダッダッ
エリカ「誰よ廊下走ってるの…」
小梅「大変だよエリカさん!」バァン!
エリカ「ノックしなさいよ」
小梅「それどころじゃないって!これ見て!」
エリカ「サンダースの編成…って、カール!?」
小梅「どうしよっか…」
エリカ(正直、信用できない…)
エリカ(あの学校は聖グロほどじゃないけどシャーマン系の戦車で戦う事への拘りがある)
エリカ(それに扱いやすいシャーマンばっかのあの学校にカールを整備する技術がある?)
エリカ(一回戦では出してなかったし…、導入したという話も耳に入ってない)
エリカ(事前に登録されてない戦車が試合に出るのはルール違反だけど、登録した戦車が出ないというのはその限りではない)
エリカ(カールに一網打尽にされるのを恐れて小隊行動したところを局地的に数的有利の状況を作って各個撃破する作戦?)
小梅「エリカさん…?」
エリカ「ああごめん、えっと…これはみんなには言わないで。混乱を招くから」
小梅「はーい」
エリカ「私挨拶行ってくるから、こっち任せるわよ」
小梅「うん、行ってらっしゃい」
エリカ車通信手「隊長が挨拶行くなんて珍しいねー」
エリカ車装填手「うん…しかもこんなに早く」
エリカ車砲手「悪いモノでも食べたんじゃね?」
エリカ車操縦手「挨拶が目的じゃないと思うけど」
エリカ「…え?」
アリサ「何よその驚いた顔は」
エリカ「いや、そっちから来るとは思わなかったし…しかもこんなに早く」
アリサ「そりゃあウチの方が実力も実績も劣ってるわけだし、こっちから行くのが筋でしょ」
エリカ「どうでしょうね…」ジトー
アリサ「そんな怖い顔しないでよ、フェアプレーでやりましょう」スッ
エリカ「ふん…」ガシッ
エリカ車装填手「あれー?お帰りも早いね?」
エリカ車砲手「途中で引き返したとかー?」
エリカ「そんなんじゃないわよ。向こうから来た」
エリカ車通信手「へー」
エリカ「たぶん、見られたくないものがあるんだと思う」
審判「一同、礼!」
「「「よろしくお願いします!」」」
エリカ「よし…全員搭乗!」
「「「ヤヴォール!」」」
エリカ「あなたたちにだけ言っておくわ…。サンダースは、カールを導入しているかもしれない」
「「…は?」」
黒森峰女学園
ティーガーⅡ 1(エリカ)、パンター 4(小梅、直下(フラッグ))、ラング 2、ヤークトティーガー 1、ヤークトパンター 1、レオパルト 1
サンダース大付属高校
Ⅿ4シャーマン75㎜ 4(アリサ(フラッグ))、Ⅿ4A1シャーマン76㎜ 4、ファイヤフライ 1、カール自走臼砲 1(?)
エリカ『パンツァーフォー!』
レオパルト通信手『てか、新砲塔4に旧砲塔2にファイヤフライ1の7両しかいないんですけどー』
エリカ車通信手『ありがとう。そのまま続けてください』
レオパルト通信手『はーい』
エリカ車通信手「だそうです」
エリカ車装填手「残り3両のうち1両はフラッグ車だとして、護衛に2両もつけるかな?」
エリカ「別に2両編成の小隊がいるのかも…」
エリカ(ん?それマズいんじゃ…)
レオパルト通信手『あー、敵本隊西に進路を変えました。そのうち接敵しますね』
エリカ車通信手『了解です』
エリカ車通信手「隊長、敵来ます!」
エリカ『総員、戦闘準備!』
『『『ヤヴォール!』』』
アリサ『了解!ただ、ほどほどにね』
Ⅿ4A1一号車通信手『イェスマム!』
ドォン!
エリカ『落ち着きなさい。側面に回られない限り大丈夫よ』
エリカ車通信手「にしても相手は障害物のない所で撃ってるけど、いい的になるだけですよね?」
エリカ「それなのよねえ…」
ドォォォォォォォンンン!!!
小梅「この音…」
エリカ「あっちゃあ…」
エリカ『回避運動!って、もう遅いか…』
バァァァァァァァン!!!
シュポ
パンター四号車車長『こちらパンター四号車!走行不能です』
エリカ『ん、お疲れ』
レオパルト通信手『なんかすごい爆発見えたんですけどー』
ラング二号車車長『説明してください!』
エリカ『あー。お察しの通り、敵はカールを擁している!上方からの砲撃にも気を付けなさい!』
『『『ヤヴォール!』』』
エリカ「なるべく岩に張り付いて」
エリカ車操縦手「ほい」
エリカ『…もう一発見る』
直下『は?』
小梅『もう一度見て、砲弾の飛んでくる方向や弾着までの時間からカールの大まかな位置を把握する、ですね』
エリカ『その通りよ』
エリカ『装填まで時間がある、シャーマン隊に応戦しなさい!』
『『『ヤヴォール!』』』
アリサ「よし…まず一両」
アリサ『相手はカールの砲撃も意識しながら戦うことになるわ!こっちに利がある!攻めるのよ!!』
『『『イェスマム!!』』』
エリカ「撃ってくるわね…」
エリカ車装填手「撃ちたいだけ撃たせて弾切れ狙うってのは?」
エリカ「果てしなさすぎる」
エリカ車砲手「私も撃ちたーい!」
エリカ「私がカール見るから今は我慢なさい」
エリカ車砲手「ぶー」
エリカ車操縦手「エリカ」
エリカ「なに?」
エリカ車操縦手「私も暇」
エリカ「うるさい」
カール車長『装填完了!撃ちます!』
アリサ『よっしゃあ!ぶちかましなさい!』
カール車長「撃てえ!」
ドォォォォォォォンンン!!!
エリカ(1…2…)
エリカ「...」
バァァァァァァァン!!!
エリカ車通信手『大丈夫ですか!?』
『『『大丈夫です!』』』
エリカ車通信手「隊長、今の砲撃での被害は無しです!」
エリカ車通信手「方向、時間、カールの大きさから考えると…多分A0地点!」
エリカ「ん、ありがとう」
エリカ車通信手「あと、カールがそこという事はフラッグ車はA1とかA2地点かなって」
エリカ「わかった。レオパルトに伝えて」
エリカ『カールはA0地点に居ると思われる!小梅、浸透で叩けるわね?』
小梅『やってみる』
エリカ『直下、小梅に付いていきなさい。その方が安全だわ』
直下『直下りょうかーい』
ヤークトティーガー車長『私がやります!』
エリカ『わかった。ヤークトティーガー、前へ!』
ヤークトティーガー車長「パンツァーフォー!」
ヤークトティーガー操縦手「いよっしゃぁ!!」
M4A1一号車通信手『二発目、撃破無し!』
アリサ『ちっ...。』
ヤークトティーガー車長「前進!!」
ブロロロロロロ
「うわぁぁぁ128mmが突っ込んで来たぁ!!」
「足を狙え!」
「いや砲身だ!」
「側面を撃て!」
「カール撃ってくれええ!」
「バカ!巻き込まれるわ!」
カァンッ!
小梅『よし、行こう直下さん!』
直下『うん!』
ヤークトティーガー操縦手「250㎜の装甲なめんな!」
ヤークトティーガー砲手「くらえ!128㎜!」
ドォォォンンッ!
シュポッ!
エリカ『離脱成功よ、でかしたわ』
ヤークトティーガー車長『後でアイスね~』
エリカ『はいはい。てか集中なさい』
ファイヤフライ車長「...撃て!」
シュポッ
ヤークトティーガー車長『あー、やられちゃった』
エリカ『ほら言わんこっちゃない』
小梅『うーん、バレないように迂回するからだいぶかかるかな...』
直下『私たちがやっつける前に本隊全滅、なんてことにならなきゃいいけど』
小梅『口は災いの元だよ?』
直下『はいはい、気を付けまーす』
M4三号車車長『なんか相手の砲撃の手、緩んでないですか?』
M4A1二号車車長『ヤークトティーガーやっつけたからそう感じるだけだろ』
M4三号車車長『そうですかねぇ?』
ファイヤフライ車長『いや...明らかに少なくなってる。離脱されたか?』
M4A1二号車車長『ならきっと恐れをなして逃げたんだよ!一気に攻めよう!』
ラング二号車車長『隊長!敵の砲撃、激しくなりましたよ!』
エリカ『小梅達がカールを倒すまでの辛抱よ!耐えなさい!』
エリカ車通信手「離脱バレましたかね...」
エリカ「でも成功はした。御の字よ」
ドォォォォォォォンンン!!!
エリカ「あっ、3発目...」
バァァァァァァァン!!!
シュポッ
エリカ『ん、お疲れ』
エリカ車操縦手「どうする?単純戦力では4対6、集中されれば16対36よ」
エリカ「ランチェスターの交戦理論二次法則を持ち出したいんだろうけど、あれは装備や練度が定数の場合でしょ?」
エリカ車操縦手「何か策でも?」
エリカ「いい?私たちは強いの。4両でも充分よ!」
小梅「...居た!」ヒョコ
直下「あー、護衛に75ミリも居る」ヒョコ
小梅「見つかると厄介だね」
直下「どうやって撃破する?」
小梅「カールは装填するとき砲弾が剝き出しだからそこを狙おう。私が盾になるから」
直下「ん、わかった」
小梅「よし、戻ろう。カールが撃ったら突撃します」
エリカ(まずい...強がったはいいけど、車両が少ない上に掩蔽しながらだと相手がどこに居るのか把握し辛い!)
ドォォン!
シュポッ
ラング一号車車長『すみませんやられました!』
エリカ『側面に回られた!?挟撃!?』
ラング一号車車長『後ろからやられました!』
エリカ「迂回か...」
エリカ「あんたたち、気持ち入れなさい」
エリカ車装填手「え?」
エリカ「突っ込め!」
エリカ車砲手「よしきた!」
M4A1二号車車長「左!左!ティーガーⅡだよ!」
ドォォン!
カァンッ!
M4A1二号車砲手「弾かれた!」
エリカ「王虎舐めんな!撃て」
ドォォォン!
ガッ!シュポッ!
エリカ車砲手「今大会初撃破!!」
エリカ「次!」
ドォォォォォォォンンン!!!
エリカ車装填手「またカールだ!!」
バァァァァァァァン!!!
シュポッ!
ラング二号車車長『すみません!』
Ⅿ4三号車車長「やった...!あと2両!」
エリカ「油断は禁物、ね」
ドォォォン!!
シュポッ!
Ⅿ4三号車車長「ああっ!」
小梅『パンツァーフォー!』
直下『フォー!』
ブロロロロロロ!
M4二号車車長「うわ!2両突っ込んで来た!ってフラッグ車!?撃て撃て!」
ドォン!
直下「停止!」
小梅「右に!」
ガッ!シュポッ
直下「装填まで時間はある!よーく狙って...」
直下車砲手「照準良し!」
直下「撃て!」
ドォォォン!
ガッ!
シュポッ
直下車装填手「よいっしょ」
直下「よし、じゃああのでかい砲弾狙って...」
直下「撃て!」
ドォォォン!
バァァァァン!!!
シュポッ
小梅「お見事~」パチパチ
M4二号車通信手『すみません!カール、護衛共にやられました!』
アリサ『なんですって!?』
M4二号車通信手『相手のフラッグ車、私たちのところに居ます!単独です!』
直下車通信手『こちら小梅小隊、カールと護衛の撃破に成功!しかし小梅車は撃破されました!指示を求めます!』
エリカ車通信手『わかりました!』
エリカ車通信手「隊長!」
エリカ車通信手(って、今はそれどころじゃなさそう...よし!)
エリカ車通信手『直下車はフラッグ車の撃破に向かってください!』
直下車通信手『ヤヴォール!』
M4二号車通信手『相手フラッグ車が単騎で隊長の方に向かいました!』
アリサ『わかった。ファイヤフライ!フラッグ車頼むわよ!』
ファイヤフライ通信手『イェスマム!』
エリカ「ファイヤフライが後退してる!追うわよ!」
カァン!!
エリカ「横…76㎜か」
エリカ車装填手「そう簡単に追わせてくれないかー」
エリカ「砲塔旋回!」
パンター三号車車長「撃て」
ドォォン!
シュポッ
エリカ『助かったわ』
パンター三号車車長『どういたしまして』
エリカ「そういやカールはどうなったの?」
エリカ車通信手「護衛含めてやっつけたけど赤星さんがやられたって。いま単騎でフラッグ車の方に行ってる」
エリカ「じゃあファイヤフライは直下を狙ってるのね…」
直下車操縦手「速く速く速く...」
直下車通信手『...はい、はい。わかりました!』
直下車通信手「直下さん!ファイヤフライがこっち来るって!」
直下「ええー...フラッグ車もうちょいで見えそうなのに...」
直下「来るなら八時とか九時の方向かな」キョロキョロ
ドロロロロロ
直下「居た!フラッグ車にファイヤフライ!」
直下車操縦手「どうすんの!?」
直下(この距離ならファイヤフライの発砲から弾着まではタイムラグがある…ナオミ選手ならともかく、精度もそこまで高くない…)
直下(相手フラッグ車は車体も砲もこちらに向いてない…なら!)
直下「ファイヤフライが撃ったらすぐに停止、躱したらまたすぐに前進。フラッグ車を叩く!」
「「「ヤヴォール!」」」
ファイヤフライ車長「停止!砲塔旋回...」
ファイヤフライ砲手「照準良し!」
ファイヤフライ車長「撃て!」
ドォォォンン!
直下「停止!」
ギギィィ!
バシュッ!
ファイヤフライ砲手「躱された!」
ファイヤフラ通信手『隊長!そっちに向かってます!』
アリサ『見えた!私がやっつけてやるわ!』
アリサ「これでタカシに…」
アリサ「車体、砲塔旋回!」
直下車砲手「こっち向いてるこっち向いてる!!」
直下車通信手「ファイヤフライの二発目も来るよ!速く速く!」
直下車操縦手「やってるよ!」
直下(あー、これマズいかも)
アリサ「照準早めに!」
ファイヤフライ砲手「照準良し!」
パンター三号車車長「撃て」
ドォォォン!
ガッッ!
シュポッ
ファイヤフライ車長「なっ!!」
レオパルト車長「くらえ!!」
ドォン!
レオパルト装填手「外すなよっ!!」
レオパルト車長「ええい突っ込めえええ!!!!!」
レオパルト操縦手「とりゃああああああ!!!!」
ブォォオオンン
アリサ車砲手「照準良し!」
アリサ「うt」
ガァンン!!
アリサ「なっ!体当たり!?」
直下「停止!狙って...撃て!」
直下車砲手「フォイヤ!!」
ドォォォン!
ガッ!
シュポッ
審判『サンダース大付属高校フラッグ車、走行不能!』
審判『黒森峰女学園の勝利!!』
ワァァァァァァァ!!!
直下「あぶなかったー...」
レオパルト車長「頭ぶつけた...」
エリカ「ふぅ...なんとかやってくれたみたいね」
エリカ車砲手「撃て撃て!!」
エリカ「もう終わったから。やめなさい」
エリカ車操縦手「にしても、私たち今日はずーっと相手を引き付けるようなのばっかね」
エリカ車装填手「小梅ちゃん小隊だったり、パンター三号車のファイヤフライ追撃間のシャーマン2両だったりね」
エリカ「楽でいいじゃない。ほら、整列するわよ」
アリサ「...やってくれたわね...」
直下「いやー、そうでもしないとウチの隊長に怒られるんで」
レオパルト車長「私も撃破出来そうだったんだけどなー...」ブツブツ
直下「こら!そういう事言うな!」ベシッ!
レオパルト車長「痛っ!」
アリサ「ふふっ、なかなかいいチームね。前までのお堅い黒森峰はどこに行ったのやら」
直下「それは、隊長の人柄ですよ。戦車の実力は申し分なし。人望も厚い上に、親しみやすさも備えてる」
アリサ「へぇ...」
直下「私、今戦車道がすごく楽しいんです!今までで一番!」
レオパルト車長「私も!私も!」
審判「一同、礼!」
「「「ありがとうございました!!!」」」
エリカ(次の相手は継続高校か…。戦車の質は低いけど、油断ならない相手だわ)
エリカ(大洗も勝ち進んだみたい)
エリカ(…)
みほ「あつ、あの!」
エリカ「えっと…あなたは確か」
みほ「同じ一年生の西住みほ…です」
エリカ「ふぅん…あなたが隊長の妹さんね。で、何か用?」
みほ「いや、新入生の中で車長でメンバー入りしてるの、私と逸見さんだけだったので挨拶しようって」
みほ「教えてもらわなくても判りますよ!逸見エリカさん、誕生日は3月6日!」
エリカ「…あなたちょっとヘンよ?」
みほ「…え?」
エリカ「…」ソワソワ
「エリカー、お昼一緒に食べよー」
エリカ「えっ、ええそうね…」チラッ
みほ「…」モジモジ
「そっかー。じゃ、また今度ね」
エリカ「ごめんなさいね」
ツカツカ
エリカ「ちょっとあなた!」
みほ「ひゃいっ!」
みほ「えっと…その…」
エリカ「なに?言いにくい事なの?」
みほ「いや…お姉ちゃんに友人は居るのかーって聞かれて…」
エリカ「それで?」
エリカ「話が見えてこないんだけど」
みほ「逸見さん…一緒にお昼、食べてくれませんか!?」
エリカ「そんな事…?別に、いいけど」
みほ「本当ですか!?」パァァ
エリカ「よかったわね、副隊長に選ばれるなんて」
みほ「そうなんだけど…」
エリカ「…不満なの?」
みほ「私なんかでいいのかな、って…」
エリカ「一年生での紅白戦を見る限り誰も文句は言わないでしょ」
エリカ「私はいいと思うけど。確かに先輩の方が経験もあるかもしれないけど、姉妹で隊長副隊長の方がやりやすいんじゃない?」
みほ「他の人たちは付いてきてくれるかな?」
エリカ「付いてこさせるのよ」
みほ「逸見さんは付いてきてくれる?」
みほ「そうじゃなくって…」
エリカ「あなた、そういうナヨナヨしてる態度治した方がいいわよ!それでも隊長の妹!?」
みほ「なりたくてなったんじゃないよ!」
エリカ「…」
みほ「…」
みほ「私も、ごめん」
エリカ「成っていく…」
みほ「え?」
エリカ「やりながら、それに相応しい人間に成っていくのもアリなんじゃない?幸いあなたには支えてくれる人が近くに居るんだし」
みほ「それって逸見さんのこと?」ニコニコ
エリカ「違うわよ!隊長!隊長のことよ!」
『黒森峰女学園の勝利!』
みほ『すごいよ逸見さん!初めての対外試合で2両も撃破するなんて!』
エリカ『練習試合だし、ティーガーⅡに乗ってるし、当然よ』
みほ『それでもすごいよ!』
エリカ『あなただって、副隊長しっかりできてるじゃない』
みほ『逸見さんが居てくれるからだよ~』
エリカ『何かした覚えはないけど?』
みほ『も~またそうやって逸見さんは~』
みほ「それでねー、ボコがねー」
エリカ「ああ…うんうん」
みほ「ちょっと!逸見さんちゃんと聞いてますか!?」
エリカ「聞いてないわよ。興味ないし…」
みほ「ええ…逸見さんひどい!」
小梅「あの~、すみません」
みほ「ああ、もしかして新しくメンバー入りすることになった一年生の子って」
小梅「はい!Ⅲ号の車長になります、赤星小梅です。よろしくお願いします」ペコ
みほ「ティーガーⅠ車長、副隊長もやってます。西住みほです。よろしくね、赤星さん」ペコリ
エリカ「あなたの事は誰でも知ってるでしょ…。ティーガーⅡ車長、逸見エリカよ。よろしく」
みほ「そんな大した事ないよ…」アワアワ
エリカ「あなたも加わるんだけどね」
小梅「そ、そうですね…」
みほ「も~、逸見さん!緊張させるようなこと言っちゃだめだよ!楽しんでいこう、ね」
エリカ「ま、頑張りましょう」
小梅「はい!」
エリカ「遂に始まるのね…全国大会」
みほ「緊張してますか?」
エリカ「そりゃあ、ね。あなたはしないの?」
みほ「しますよ…。でも、逸見さんが付いていてくれるから!」
エリカ「全く…」
『試合開始!』
みほ『撃て!』
ドォォォン!
シュポッ
『黒森峰女学園の勝利!』
エリカ「やったわね!」
みほ「はい!初戦突破です!」
エリカ「ほら」スッ
みほ「…えっと」
エリカ「ハイタッチよ、ハイタッチ」
みほ「…はい!」
パァン!
みほ「逸見さん…ですか?」
小梅「はい!みほさんにとって、逸見さんはどういう存在なのかなって」
みほ「うーん、あんまり深く考えたことは無いけど…大事な友達です!」
小梅「なるほど~」ニヤニヤ
みほ「あっ、恥ずかしいので逸見さんには内緒で」
小梅「もちろん!わかってますよ~」
エリカ「副隊長?」
小梅「はい!ほら、お二人って特別に仲良いじゃないですか~」
エリカ「べっ、別にそんなこと無いわよ」
小梅「またまた~」
エリカ「あの子はどう言ってたの?」
小梅「秘密です」
小梅「そう言われたんです」
エリカ「ふーん。そうねぇ…」
エリカ(友達ってのはなんか違うし、かといってただのチームメイトってわけでもないし…)
エリカ「相棒…かしらね」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
エリカ(夢…か)
小梅「3回戦のマップだよー」
エリカ「ありがとう。って、ええ…」
小梅「どうかした?」
エリカ「住宅地よ。すごい入り組んでるし、道幅も狭い」
小梅「あっちゃあ…」
小梅「練習は?」
エリカ「いつも通り」
小梅「はーい」
エリカ「揃ってるわね。編成と作戦を言うわよ」
エリカ「ティーガーⅡ2両、パンター6両、Ⅳ号2両、ラング2両、エレファント、ヤークトパンター、Ⅲ号の15両」
エリカ「えー、作戦は」
エリカ「4両、4両、4両、3両の4中隊でそれぞれ行軍」
エリカ「敵に遭遇し次第これを撃破、これの繰り返しね」
エリカ「今回は私がフラッグ車を務めるわ」
エリカ「相手のBT-42、Ⅳ号、T-34系、KV-1はウチの装甲を抜いてくるから注意する事」
エリカ「以上。質問は?」
直下「作戦名」
エリカ「思いつかなかったわ。考えるの面倒なのよあれ…」
3回戦当日、試合会場
エリカ「挨拶行ってくるわね」
小梅「いってらっしゃーい」
エリカ「あなたたち、小梅に迷惑かけちゃダメよ?」
エリカ車操縦手「子ども扱いしないで」
エリカ車装填手「エリカちゃん、最近どうしたの?前まで挨拶行くとか考えられなかったのに」
エリカ車通信手「心配です…」
エリカ車砲手「へー、考えてるんだねー」
エリカ「あなたねえ…」
エリカ(隊長はどこだろ…)
エリカ「あ、ちょっといいかしら?」
継続生徒A「ひっ!」ビクッ
エリカ「いや、そんなに驚かなくても…」
継続生徒A「す、すみません…」シュバッ
エリカ「逃げられた…」
継続生徒A「…」ジー
エリカ「あの、私黒森峰の隊長です!あなたたちの隊長はどこにいるか教えて欲しいのだけれど?」
継続生徒A「…」ビッビッ
エリカ(指さしてる…。あっちに居るってことね)
エリカ「ありがとう。助かったわ」
継続生徒A「…」ペコッ
エリカ(人見知りが過ぎるでしょ…)
エリカ「すみません、こっちに隊長さんが居るって聞いたんですけど」
アキ「あっ、黒森峰の隊長さん!隊長は私ですよー」
エリカ「あ、どうも。逸見エリカっていいます」
アキ「アキです。今日はよろしくおねがいします!」
エリカ「いえ、こちらこそよろしくおねがいします。ところでそちらの方は…」
エリカ(さっきからアキさんの後ろでめっちゃ睨んでくる…)
アキ「ほらミッコ、挨拶しないと」
ミッコ「気を付けろアキ!この人、すっごい目つき悪い...」ヒソヒソ
アキ「今のミッコも人の事言えないでしょ。あ、こっちはミッコ。私の乗るBTの操縦手です」
エリカ「はぁ…。どうぞよろしく」
エリカ「ただいま」
小梅「おかえりー。継続さんどんな感じだった?」
エリカ「変人」
小梅「いや、そうじゃなくて…」
審判「整列!これより黒森峰女学園対継続高校の試合を始めます!」
審判「一同礼!」
「「「よろしくお願いします!」」」
エリカ「よし、全員搭乗!」
エリカ『いい?継続は強いわよ。でも、決勝に行くのは私たち』
エリカ『この試合が今大会初めての出場になるチームもあるけど、私は何も心配してないわ。自信もってやりなさい』
アキ『えー、相手は黒森峰。とっても強いです』
アキ『継続としてはベスト4になっただけでも充分すごいけど、まあよっぽどのことが無いと勝てないと思うけど…』
アキ『悔いのないように、頑張りましょう!』
エリカ『じゃあ…』
アキ『では…』
『試合開始!!』
『『パンツァーフォー!』』
黒森峰女学園
ティーガーⅡ 2(エリカ(フラッグ))、パンターG 6(小梅、直下)、Ⅳ号H 2、ラング 2、エレファント 1、ヤークトパンター 1、Ⅲ号J 1
継続高校
BT-42 1(アキ(フラッグ))、KV-1 1、T-34‐75 1、T-34-85 1、Ⅳ号J 1、BT-5 1、BT-7 1、Ⅲ突G 1、T-26 1
エリカ(思った以上に道幅が狭い。スピードが出せない…)
エリカ(継続は車体幅が小さい車両が多いし操縦手の腕もいいから向こうに大きなアドバンテージね…)
エリカ(整備能力と運転技術が高いってことしか知らないから、相手がどんな手を使ってくるか見当がつかない)
エリカ(加えて偵察車両は出してないから配置もわからない。出しても容易く撃破されるだろうし…)
エリカ(この路地を曲がったら居るかもしれない。袋小路で待ち伏せしているかも。もしかしたらもう後ろにいる?)
エリカ(気が抜けない…)
小梅(3両の小隊の小隊長か…緊張するなぁ…)
パンター四号車車長『副隊長、アレを見てください!』
小梅『カーブミラーが割れてる…?』
パンター四号車車長『さっきまで見たものは割られていませんでした』
小梅『継続が通ったのかな…?』
小梅『みなさん、いっそう警戒を強めてください。会敵する可能性があります』
『ヤヴォール!』
小梅(ミラーを割って回ってるのかな?それともここだけ?)
小梅(周りにいる…?)キョロキョロ
小梅(ダメだ、四方八方家に囲まれててさっぱりわからない)
小梅『…速度を落としましょう』
ドォォン!
パンター四号車車長「なっ!」
パンター四号車操縦手「誘導輪が壊れた!身動きが取れない!」
パンター四号車車長『攻撃を受けました!撃破判定は出てないけど走行不能です!』
小梅『そこから敵車両は見えますか!?』
パンター四号車車長『見えません!車体がちょっと出たところを撃たれました!反撃も不可能です!』
小梅『…わかりました。後退!回り道します』
ドォォォン!
シュポッ
小梅「うそ…」
Ⅳ号H二号車車長『こちらⅣ号…側面から砲撃を受け、撃破されました…!』
小梅『わかりました!』
小梅(どうして!?左右には家しか…)
小梅「…生垣…」
小梅「くっ…」
小梅車通信手『こちら第四小隊!敵の術中にはまりました!行動不能!』
小梅車装填手「後方にT-34が2両!」
小梅車砲手「無理だよ!砲身は前向いてるし、旋回できない!」
小梅(蜘蛛の巣にかかった獲物、か…)
ドォォン!ドォォォン!
シュポッ
エリカ車通信手「隊長!第四中隊、壊滅しました!」
エリカ「は?どういうこと?」
エリカ車通信手「それが、ほとんど姿を晒さないままやられたそうで…」
エリカ車砲手「ひえー…暗殺だよ暗殺」
エリカ(姿を晒さずに待ち伏せで撃破…?どうやって?)
アキ「3両もやっつけたよ!すごいすごい!」
ミッコ「でもフラッグ車じゃなかったかぁ…。いつバレるかねぇ…」
直下「小梅ちゃんのところがやられた…」
直下『並びを変えよう!』
直下(前と後ろに固定砲のヤークトパンターとラングを配置。パンターは背中合わせで)
直下「名付けて、戦艦の陣」ドヤッ
直下車砲手「頭悪そう…」
直下「んなっ!」ガーン
ヤークトパンター車長「っ!右に敵Ⅳ号!左にもKV-1!」
ヤークトパンター砲手「せめて一両でも仕留めてやる!旋回!」
ヤークトパンター操縦手「ダメだ!十字路の真ん中まで来てる!旋回できない!」
ヤークトパンター砲手「クソっ!」
ドォォン!ドォォォン!
シュポッ
直下『後退!ラング、早く走って!』
ラング一号車車長『ヤヴォール!』
ドォォン!
シュポッ
ラング一号車車長「なっ!」
ラング一号車車長『Ⅲ突にやられました!』
直下『五号車!三突をやって!』
パンター五号車車長『ヤヴォール!』
パンター五号車車長「ラングは押して!相手が装填してる間に撃て!」
ドォォォン!
シュポッ
パンター五号車車長「よし!離脱しよう!」
ドォォォン!
シュポッ
パンター五号車操縦手「そりゃ、待ち伏せしてるわな…」
直下「私たちも行こう!」
直下車砲手「いや…無理でしょ。前はヤークトパンター、後ろはラング、右はパンター、左は三突と道塞がれてるんだぞ」
直下「じゃあ私たち、身動き取れないじゃん!」
直下車砲手「まあ…そうなるね」
直下「も~!あけてくれ!道を!空けてくれ!」
アキ「6両撃破!1両は拘束されてる!いいね~」
ミッコ「びっくりするほど上手くいってるなぁ、『電光石火作戦』」
エリカ車通信手「第二中隊、3両がやられ、直下車は行動不能なそうです」
エリカ「…」チッ
エリカ車砲手「なんで行く先々で待ち伏せ攻撃に遭うんだ?
エリカ車操縦手「私たちの行動が掌握されてる…」
エリカ車装填手「どうやって!?まさか…盗聴?」
エリカ「それはないでしょ」
エリカ「盗聴する道具、継続が持ってるとは思えないわ…」
エリカ車通信手「じゃあ…」
エリカ「スパイ…かもしれないわね」
「「「え?」」」
エリカ車操縦手「…根拠は?」
エリカ「無いわ。勘よ、勘」
エリカ車操縦手「…」
エリカ車装填手「ひどいよエリカちゃん!仲間を疑うなんて!」
エリカ車砲手「しかも真っ先にだからな…」
エリカ車操縦手「考えられるでしょ…観客が流してるとか」
エリカ車通信手「私たち、みんな同じ気持ちですよ。優勝したいって。このメンバーだけじゃない、他の選手や二軍の子達も、整備の生徒も」
エリカ「…」
エリカ車操縦手「そういうことだから」
エリカ車装填手「そうだよ!」
エリカ車砲手「おうとも!」
エリカ「…わるかったわ」
エリカ車操縦手「で、全く状況は改善してないわよ。この姿なき挑戦者をどう攻略するの?」
エリカ「…継続がやりそうなこと…。あなたたち、継続ってどんなイメージ?」
エリカ車砲手「貧乏!」
エリカ車装填手「盗っ人」
エリカ車通信手「人見知り…?」
エリカ車操縦手「運転技術」
エリカ車装填手「エリカちゃん、また怖い顔してる。リラックスリラックス!」
エリカ「そんな事ないわよ」イラッ
エリカ車装填手「えー、自分で見てみなよ!ほら」
エリカ「なんで戦車に手鏡なんか持ち込んでるのよ…って、ん?」
継続生徒B「あっ」
エリカ「ちょっと待ってて!」シュバッ
継続生徒B「まずいっ」ダッ
パリーン!
エリカ車装填手「ガラス割って入ってったー!!??」
エリカ「まさか家の中に入って偵察してたなんて…」
エリカ「いた!」
継続生徒B「どけえええ!!」ダッダッ
エリカ「逃がさないわよ」ガシッ
継続生徒B「うわっ!」
エリカ「これでどう…?」ググググ
継続生徒B「痛い痛い!折れるって!!」ジタバタ
エリカ「誰か!ロープ!ロープ持ってきて!!」
エリカ車通信手「隊長の声だ…」
エリカ車装填手「私行ってくる!」ダッ
エリカ車砲手「いってら~」
エリカ車装填手「エリカちゃん!?何やってんの!!」
継続生徒B「助けて~!!」
エリカ「ちょ、縛って!早く!」
エリカ車装填手「う、うん…!」
エリカ「さて…、これがあなたたちのマイクね」
継続生徒B「む゛~!!む゛む゛~!」ジタバタ
エリカ『えー、こちら黒森峰隊長逸見エリカ』
エリカ『あなたたちの戦術のタネは分かったわ!これから潜んでいると思われる家に砲撃していく』
エリカ『仲間の命が惜しくば、今すぐ止めるように!以上!』
エリカ車装填手「…エリカちゃん、本気?」
エリカ「まさか、ただの脅しよ」
ミッコ「あー、バレちゃったねえ。で、どうすんの?やめる?」
アキ「いや…続けるよ。逸見さんはそんなことしないと思うなぁ」
ミッコ「なんでそう言えるのさ?」
アキ「なんとなく、優しそうな人だったもん」
エリカ「よし、戦車に戻るわよ」
エリカ車装填手「ねえ、この子どうするの?」
継続生徒B「ん゛ー!ん゛ー!」モゾモゾ
エリカ「うーん、ここに放っておいても危ないし、戦車に連れ込みましょうか」
エリカ車装填手「ただいまー」
エリカ車通信手「えっと…そちらの方は?」
継続生徒B「…」
エリカ「新しい友達よ」
エリカ車操縦手「説明して」
エリカ車装填手「えっと…かくかくしかじかで…」
エリカ車操縦手「なるほど」
エリカ「このままだとかわいそうだし、口と足はほどいてあげるわね」シュルッ
継続生徒B「鬼め、逸見エリカ」
エリカ「なに?砲身から吊るされたいですって?」
エリカ車通信手「まあまあ…」
エリカ車砲手「狭い所でごめんねー。あ、おやつ食べる?」
継続生徒B「…食べる」
直下「いやぁー、意外と早く回収車来てくれて助かったなー」
直下「早く他の小隊と合流しないと…」
ドォォォン!
シュポッ
直下「あっ…」
直下車通信手『こちら直下車!T-34-85の伏撃を受け撃破されました!』
エリカ車通信手『わかりました。お疲れ様です』
エリカ車通信手「…直下さんがやられました」
エリカ「あくまで続けるのね…」
エリカ車装填手「どうするの?」
エリカ「こっちにも策があるわ。ちょっとマイク貸して」
エリカ『全車両、独立行動!全体を俯瞰・洞察しながら各個に状況判断して勝利に寄与しなさい』
エリカ『ただし、通信を密に互いの行動を把握すること!いいわね!?』
エリカ『ランドランド・バトル作戦よ!』
『『『ヤヴォール!』』』
エリカ「さあ、見たけりゃ見せてやるわよ」
継続生徒C『たいちょー!敵車両、バラバラに行動し始めたんですけどー』
アキ『変わらず偵察を続けてください』
継続生徒C『えっと…Ⅲ号がいて…ラングと…パンター…』
ミッコ「バラバラに行動されてる感じかな?」
アキ「うーん、いまいち相手の状況を把握できてないね…」
継続生徒C「あっ、そっちはダメ!そっちには…」
Ⅲ号車長『T-26発見!偵察かな…』
ラング二号車車長『私も行こうか?』
Ⅲ号車長『気づかれてない、大丈夫!』
継続生徒C『みんな!Ⅲ号来てるよ!』
T-26車長『ええっ!マズい、完全に油断しt』
Ⅲ号車長「遅い!」
ドォォン!
シュポッ
T-26車長「やられた…」
継続生徒C『すみません隊長!やられました!』
アキ「あちゃ~」
ミッコ「偵察要因減っちゃった」
ラング二号車車長『こっちも発見!BT-5 !私たちだけで大丈夫です!』
パンター六号車車長『ん、がんばって』
BT-5車長「撃て撃て!!」
ラング二号車車長「そんな砲じゃラングの正面は抜けんわ!撃て!」
ドォォン!
シュポッ
ラング二号車車長「どうや!」
BT-5『すみません!こっちもやられました!』
アキ「また1両…」
ミッコ「ねえアキ、そろそろ」
アキ「うん、そうだね」
エリカ「どうやら上手くやってるみたいね」
エリカ車砲手「私もやっつけたい!ドカーンと!」ウズウズ
エリカ「今回は私たちがフラッグ車なんだから慎重にいかないとでしょ」
エリカ車砲手「さっきから逃げてるだけじゃん!」
エリカ車操縦手「そりゃ、偵察に見つかったんだから移動しないとでしょ」
継続生徒B「そいつって何?ウチにはちゃんと名前が」
エリカ車砲手「君可愛いね?いくつ?どこ住み?てかL〇NEやってる?」
エリカ車操縦手「おい」
パンター三号車車長「っ!停止」
パンター三号車装填手「っとと、なに!?」
パンター三号車車長「今Ⅳ号が居た。下がって」
パンター三号車操縦手「ほい」
Ⅳ号J車長「後ろにパンターだ!旋回旋回!」
パンター三号車車長(Ⅳ号とパンターの旋回速度は同じ…)
パンター三号車車長(私は90度、あなたは180度)
パンター三号車車長「逃げれば良かったのにねぇ。撃て」
ドォォォン!
シュポッ
パンター三号車車長「…!下がって!」
ドォォン!
T-34-85車長「かわされた!装填急いで!」
パンター三号車車長「3時方向、T-34。砲塔旋回、装填急げ」
パンター三号車装填手「…完了!」
パンター三号車車長「撃て」T-34-85車長「撃て!!」
ドォォォン!ドォォン!
ガッ!ガッ!
シュポッ
シュポッ
パンター三号車車長「…」チッ
T-34-85車長「相打ちか…」
パンター三号車車長『悪い隊長。やられた』
エリカ『ん、よくやったわ』
パンター三号車車長『健闘を祈る』
T-34-85車長『ごめんアキちゃん!やられちゃった!あとⅣ号も!』
ミッコ「火力要因もやられてきたかぁ」
アキ「行くよミッコ!」
ミッコ「あいよー。ミュージックスタート!」ポチッ
~🎵
アキ「前進!!」
ラング二号車操縦手「あいよ!」
ラング二号車車長「私たちがMVPだー!」
ラング二号車砲手「おうとも!」
ミッコ「来てる!?」
アキ「来てる来てる~。じゃ、頼んだよ!」
ラング二号車車長「って、影からKV-1!?」
ドォォォン!
シュポッ
ラング二号車車長『ごめんなさい隊長!やられました!』
エリカ『そう…。わかったわ』
ラング二号車車長『あと、相手フラッグ車が動きはじめました!』
エリカ『ん、ありがとう』
エリカ(今まで潜んでいたのに動き出した…?どういう事?)
エリカ車砲手「えっ、なに?」
継続生徒B「アキさんミッコさんが動き出した!これであなたたちの負けよ!」
エリカ「何言ってんだか」
継続生徒B「あの人たち、すごいんだから!!」
継続生徒B「人呼んで、『継続の蒼い弾丸』!!」
~🎵
ミッコ「次は?」
アキ「二つ目の交差点を右。そこにⅢ号が居るって」
ミッコ「あいよー」
アキ「あっ、いた!トュータ!」
ドォォォン!!
シュポッ
ミッコ「いっつも思うけど、よく行進間で当てるよね」
アキ「練習したからね~。次左」
ミッコ「あーい」
~🎵
Ⅳ号一号車車長「正面!T-34!」
T-34-76車長「撃て!」
Ⅳ号一号車車長「右に!」
ドォォン!
ガキィン!
Ⅳ号一号車車長「かすめただけだよ!反撃!」
シュポッ
T-34-76車長「やられちゃったかー。お、来た来た」
Ⅳ号一号車車長「すぐ後退!この場を離れます!って嘘!?」
ミッコ「もう遅いんだよねえ」
ドォォォン!
シュポッ
エリカ「Ⅲ号とⅣ号も…」
エリカ車操縦手「エリカ、どうするの?」
エリカ「6対3とはいえ、すごい勢いでやられてるし少しずつこっちに向かってる…」
エリカ「ええ…」
エリカ「ねえ、BT-42とウチの他の車両の場所は分かる?」
エリカ車通信手「えっと…」
~🎵
ミッコ「録音したやつだといまいち調子でないな~」
アキ「ミカ居ないんだから仕方ないでしょ。あ、3つ先にパンターが居るみたい。横滑りでいこう」
ミッコ「ん~」
ギギギギギギギ
ドォォォン!
シュポッ
パンター六号車装填手「って、一瞬でやられたよ!?」
パンター六号車車長『ごめんなさい隊長、やられました!』
エリカ『ん、お疲れ。気にしないでいいわ』
パンター六号車車長『はい…!』
エリカ「さて、頼むわよ…!」
~🎵
アキ「あっ!今ティーガーⅡが見えた!!」
ミッコ「まじ!?フラッグ車かな?」
アキ「わからないけど追おう!」
ミッコ「わかった!」
アキ「もしかしたら…」
ミッコ「うん…。決勝、行けるかも」
アキ「いた!」
ミッコ「くそ!また曲がる!」
アキ「速く速く!逃がさないでよ!」
ミッコ「わかってるって!アキこそ外すなよ!」
アキ「任せてよ!」
エレファント車長「てー!」
ドォォォォン!!
アキ・ミッコ「あ…」
ガッッ!
シュポッ!
『継続高校フラッグ車、走行不能!』
『黒森峰女学園の勝利!!』
ワァァァァァァァ!!!
ティーガーⅡ二号車車長「いやぁー、釣れた釣れた!」
ティーガーⅡ二号車操縦手「疲れた…」
エレファント砲手「3年間で一番緊張する一発だったわ…」
エレファント車長「お疲れ~」
ミッコ「伏撃とは、あたしたちがやってた事そのままやられたね…」
アキ「ティーガーⅡに夢中になってたよ…」
ミッコ「そのティーガーもフラッグ車じゃなかったし…」
エリカ「兵法第七計、『無中生有』よ」
エリカ車砲手「かっこいい」
継続生徒B「あの、終わったならほどいてほしいんですけど」
エリカ「この子、預かってたわ」
継続生徒B「ミッコさあああん!!」ダキッ
ミッコ「うわっ!どうしたの?」
継続生徒B「怖かったですうう!!」
ミッコ「おー、よしよし」ナデナデ
継続生徒B「ミッコさん達と、優勝したかったです…」グス
アキ「ごめんね、負けちゃった」
ミッコ「また来年、自分たちで頑張りな」ニコッ
アキ「いえいえそんな!こちらこそ、楽しかったです!」
ミッコ「機会があったらまたやろうよ!」
エリカ「ええ、そうね」
ミッコ「あと、こいつがお世話になりました。ほら、お礼言いな」
継続生徒B「…ありがとうございました」ボソッ
エリカ「ん、どういたしまして。じゃ」
エリカ車砲手「ばいばーい!」
エリカ車装填手「あの子、どの車両に乗ってたのかな?見つけた家の周囲に敵車両いなかったよね?」
エリカ「BT-42でしょ」
エリカ車通信手「だとするとすごい距離を徒歩で移動してることになりますよ!?」
エリカ装填手「「恐ろしい体力…」
エリカ車操縦手「車長も砲撃、装填、通信と兼任してることになるね」
エリカ車装填手「ひえ~、バケモノ揃いだ…」
エリカ車砲手「あの子可愛かったな~ウチに来ないかな~」
エリカ車操縦手「通報」
審判「一同、礼!」
「「「ありがとうございました!!」」」
『続いて、戦車道です』
『本日行われた全国高校生大会準決勝で、黒森峰女学園、大洗女子学園が、継続高校、BC自由学園を破り、決勝進出を決めました!』
『昨年と同じカードですが、今年はどんな戦いを見せてくれるのか楽しみですね!』
エリカ(きた……)
エリカ(大洗…)
『黒森峰女学園の勝利!』
みほ「逸見さん、お疲れ様」
エリカ「あなたこそ、今回も大活躍ね」
みほ「いや、そんなことないよ!逸見さんだって良かったよ」
エリカ「まあね」
みほ「決勝戦、進出だね…」
エリカ「ええ…」
エリカ「もちろん。優勝しましょう。って、さっきから覗いてるの気づいてるわよ」
小梅「あちゃ…バレてました?」
エリカ「バレバレよ」
みほ「赤星さん!見てないで入ってもよかったのに」
小梅「いやぁ、お邪魔かなって」
エリカ「どういう意味よ!」
エリカ(いよいよ決勝戦…)
みほ『頑張りましょう!エリカさん、小梅さん!』
エリカ『エ、エリ!?えっ、ちょ、副隊長!?』
小梅『はい!みほさん!』
エリカ『みっ、み、み…』
みほ『み?エリカさん、どうかしましたか?』
エリカ『みんなで!みんなで勝ちましょう!』
みほ『はい!』
『試合開始!!』
エリカ(勝ったら。勝ったら呼ぼう。“みほ”って)
エリカ(天気が荒れてるわね…。川の流れもあんなに速い…)
エリカ(本来なら中止になってもおかしくない。連盟は何やってんのよ!)
エリカ(でも、本隊が相手フラッグ車を撃破するまでの辛抱よ)
エリカ(こっちには私が乗るティーガーⅡに、みほのティーガーⅠも居るんだから!)
ドォォォン!
小梅「うわぁ!!」
ザッパァァン!
エリカ「敵!?交戦はやむなしね、やるわよ!」
エリカ『副隊長、何やってんの!?』
みほ『エリカさん!小梅さんが、Ⅲ号が落ちた!!』
エリカ『なっ!隊長に連絡を!審判に中止の要請もしないと!』
みほ『私、助けにいく!』
エリカ『待ちなさい!一人は危ない!私も行くわ!』
みほ『危険です!エリカさんは来ないで!私一人で大丈夫だから!』
エリカ「なっ…」
エリカ(何よ…)
エリカ(支えてくれだとか、あなたが居るとか言いながら…)
エリカ(そうやって、いざという時に頼ろうとしないで…)
エリカ車装填手「どうしたエリカ!?」
エリカ(一人でやろうとして…)
エリカ車砲手「しっかりしろ車長!」
エリカ(私の事、信じてないじゃない…)
エリカ車砲手「フラッグ車を守るんだよ!私たちで!!」
エリカ「バカ…」
ドォォォン!
シュポッ
みほ「エリカさん、私、間違った事したかな?」
エリカ「人としては何も間違ってないわ。むしろ讃えられることよ。ただ、“西住”からは外れてるわね」
みほ「名字が“西住”だと、人の道に背かないといけないの?」
エリカ「それは…」
みほ「怖いよ…。三年生がすっごい見てくるの。誰も何も言わないけど、きっとみんな私を責めてる」
エリカ「そんなこと無いわよ!私だって、フラッグ車を守れなかった…」
エリカ「そうやって!」
みほ「っ!?」
エリカ「そうやって…、一人で抱え込む…」
みほ「それは…」
エリカ「仲間じゃ…友達じゃなかったの…?」グスッ
小梅「隊長、今日は保護者さんの所だそうです」
エリカ「この前は後援会、その前はOG会」
小梅「大変ですね…」
エリカ「ええ…副隊長もあれから顔を出さないし」
小梅「二年生が練習を仕切ってるけど、上手くいってませんね」
エリカ「経験不足もあるだろうけど、あんな負け方したんですもの。みんな切り替えなんて出来ないわよ」
小梅「これから、どうなるんですかね…?」
エリカ「さあね」
プルルルルル プルルルルル
エリカ「くそっ!電話くらい出なさいよ!」
エリカ「はぁ…」
エリカ(十連覇は逃した。三年生は引退)
エリカ(でも、私たちは一年生)
エリカ(まだやり直せる)
エリカ(また一から常勝黒森峰を創れる)
エリカ(なのにどうして…)
エリカ(どうしてその隊長の妹が…、名誉ある黒森峰の副隊長が…)
エリカ(西住流は、どんな時も逃げずに前に進むんじゃなかったの!?)
トントントン ガチャ
エリカ「話とはなんでしょう、隊長」
まほ「みほが学校に来なくなってから、約一か月が経ったな」
エリカ「はあ…」
まほ「この学校に問題を起こすような輩は居ないが、やはり私一人で仕切るのは厳しい。そこで、だ…」
エリカ「…」
まほ「逸見、お前を副隊長に任命する。やってくれるな?」
エリカ「………お断りします」
エリカ「私よりも、相応しい人物が居るからです」
まほ「ほう…。誰だ?」
エリカ「言わなくても解るはずです。あなたなら」
まほ「すまないが解らないな」
エリカ「あの子は優柔不断だし、頼りないし、直ぐに一人で抱え込みます」
まほ「…」
エリカ「加えて戦術立案能力、戦術変更能力、戦力分析力、更に大胆さも兼ね備えています」
エリカ「そんな人間がすぐそばに居るのに、それを差し置いて私が副隊長なんて考えられません」
まほ「そうか」
エリカ「あなたは、うやむやにしたいだけではないんですか?あの子に辞めさせることで」
まほ「何のことだ?」
エリカ「あなたも隊長なら…あの子の姉なら!あの子を立ち直らせるべきです!あの子が戻ってきて、再び副隊長をやる事が、黒森峰再建の第一歩じゃないんですか!?」
エリカ「…え?」
まほ「私はみほの姉だ。妹を想っての事だ」
エリカ「そんな…」
まほ「それともお前は、嫌がるみほを無理矢理戦車に乗せるのか?」
エリカ「…失礼します」
まほ「いい返事を期待している。期間は来週までだ」
エリカ「…私はあなたを尊敬しています。しかし、心酔も崇拝もしていません。恭順もしません」
バタンッ
まほ「…ほざけ」
エリカ(あの子は…、戦車道をしないという道に進んだ)
エリカ(どういう方向であれ、あの子は一歩踏み出した)
エリカ(西住流は如何なる時も前に進む流派)
エリカ(私も…前に進まなきゃ)
エリカ(それに、時間が経てば戻ってきてくれるかもしれない)
エリカ「…引き受けます」
まほ「そう言うと信じていた」ニコッ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
エリカ(……また夢か)
小梅「決勝戦の場所、決まりました」
エリカ「教えて?」
小梅「去年と同じ、東富士演習場です」
エリカ「…随分と粋ね」
小梅「ですね…!」
小梅「全員揃いました」
エリカ「ん、ありがとう」
エリカ「じゃあ、決勝戦の編成・作戦を言うわ」
エリカ「編成はティーガーⅡ2両、パンター6両、Ⅳ号4両、ラング3両、ヤークトパンター、ヤークトティーガー、エレファント、ルクス、レオパルト各1両よ」
エリカ「ここまで質問は?」
小梅「ねえ、ずっと気になってたんだけど」
エリカ「何かしら?」
エリカ「いや…そりゃああなた、誰も乗りたくないでしょ?」
エリカ「あの子のなんて言うまでもないし、まほさんのも恐れ多くない?」
小梅「まあ、確かにそうだね…」
直下「その理屈なら、来年は隊長のティーガーⅡも誰も乗らないよ?」
エリカ「え?うそ?なんで?」
直下「恐れ多いからだよ。ね、二年生!」
「「」」コクコク
ルクス車長「あっ、でも隊長のティーガーなら逆に乗りたいって子も多いかもしれません」
直下「あー、確かに今年は隊長車に乗りたいって人多かったね~」
直下「まほさんの時は誰もやりたがらなくて直々に指名されてたのに」
小梅「エリカさんが人気者だからだね~」
エリカ「べっ、別にそんなこと無いわよ。からかわないで全く」
エリカ「話を戻すわよ。で、作戦なんだけど…」
エリカ「…」
エリカ「…ごめん、思いつかなかった」ペコッ
「「「…」」」
エリカ「私、作戦考えるの苦手なのよ。頭固いから」
エリカ「私がどんなに頭を捻って作戦を立てようが、それはあの子の想像を超えることはない」
エリカ「それに、あの子がどんな作戦を立ててくるか、ある程度は予想はつくけれど戦術レベルに留まる程度でそれ以上はさっぱりだわ」
「「「…」」」
エリカ「もちろん主導権を無条件で相手に渡すんだから、相当不利ってのは解ってる。自分でも本当に、ばかげているとも思う」
エリカ「でも、私たちならそれを跳ね除けて勝つことが出来ると考えているんだけど」
エリカ「異論反論非難質問、なんでも受け付けるわ」
直下「私たち、何があろうと隊長に付いていくよ」
ヤークトティーガー車長「そうだぞ~」
ヤークトパンター車長「その通りです」
パンター三号車車長「だな」
ルクス車長「何があろうと従います!」
ラング一号車車長「そうです!」
レオパルト車長「わたしも!」
エリカ「あなたたち…」ウルッ
エリカ「ありがとう…。作戦名は『不動心』!さあ、練習よ!」
「「「ヤヴォール!!!」」」
決勝戦当日、東富士演習場
エリカ「…」ボー
エリカ車通信手「エリカちゃん、眠いの?」
エリカ「あまり眠れなかったのよ」
エリカ車砲手「子供みたいだな~いつみ~」バシバシ
エリカ「痛いから…」
エリカ車操縦手「英気を養えとか早めに寝ろとか言った本人がそれとはね」
エリカ車装填手「まんざらでもないくせに~」ツンツン
エリカ「やめなさい」
エリカ車通信手「隊長は慕われてますからね~」
エリカ「あなたたちは緊張感が無いというか、リラックスしてるというか…。全く、頼もしいわね」
エリカ車砲手「だろ~」エッヘン
エリカ車操縦手「まあね」
エリカ車通信手「いや~そんなこと」
エリカ車装填手「えへへ~」
エリカ「半分は嫌味のつもりだったんだけど…」
エリカ「どんな感じ?」
小梅「みんなバッチリです」
エリカ「そう、よかった」
小梅「挨拶はいいんですか?」
エリカ「ええ、いいのよ」
沙織「みぽり~ん、みんな問題ないってさ~」
みほ「それはなによりです」ニコッ
沙織「ねえ、逸見さんには挨拶行かなくていいの?」
みほ「いいんです」
沙織「へぇ~、なんで?」
みほ「逸見さんは、戦車で語る人です」
エリカ「ちょっと席を外すわね」
小梅「…。いってらっしゃい」
エリカ「…ありがとう」
エリカ「ふぅ…」
エリカ(…)
エリカ(思えば、高校生活はあなたに振り回されっぱなしね)
まほ『どうした逸見!もう終わりか!?』
まほ『黒森峰を立て直すとか言ったのは誰だ!?』
まほ『どうしてこの程度のことも解らないんだ!!』
エリカ(まほさんは厳しいし…)
『なんであの人が新しい副隊長なのよ…』
『隊長に必死で尻尾振ってたからよ。そうに決まってるわ』
『みほさんの方がよかったなあ…』
エリカ(三年生には陰で色々言われるし…)
エリカ『待っていてください隊長!!今行きます!!!』
ドォォォン!ドォォォン!
シュポッ
エリカ(二度も優勝を阻まれるし…)
エリカ『同じく!逸見エリカ!』
エリカ(大学選抜戦で助っ人させられるし…)
エリカ(…)
エリカ(でも、あなたがいたから今の私がある)
まほ『よくやったな、エリカ』
まほ『エリカに任せてよかったよ』
まほ『ありがとう、エリカ』
エリカ(いい事もあったし…)ニヘラァ
エリカ(って、そうじゃなくて…)ブンブン
エリカ(とにかく私は今日、ここで…)
エリカ(全てを見せつける!)
みほ(逸見さん…)
みほ(高校に入って、初めての友達)
みほ(ちょっと変わってるけど、でもとっても優しくて…)
みほ(戦車道もすっごい強くて頼りになって…)
みほ(…)
みほ(黙って出て行って、酷い事しちゃったな…)
みほ(戦車から離れるって転校した学校なのにまた始めてて…)
みほ(怒ってるよね…)
みほ(…)
みほ(勝ちたい)
みほ(勝って言うんだ。ごめんなさい、ありがとうって)
みほ(全力で行くよ、逸見さん)
まほ「…」
「隣、失礼してもいいかしら」
まほ「どうぞ、…って、ダージリンじゃないか」
ダージリン「お久しぶり、まほさん」
まほ「観に来てたのか」
まほ「そうか」
ダージリン「まほさんは、やっぱり心配だから?」
まほ「何を言うか。心配することなんてないさ」
まほ「みほは言わずもがな。エリカは、元々強いしそれに仲間がいる」
まほ「かわいい教え子とかわいい妹の成長を観に来たのさ」
蝶野「両校、隊長・副隊長前へ!」
エリカ・小梅「…」スタスタ
みほ・梓「…」スタスタ
ザッ
みほ「…」
エリカ「この場所でまたあなたとやれること、嬉しく思うわ」
みほ「…私もです」
エリカ「いい試合にしましょう」スッ
みほ「受けて立ちます」ガシッ
エリカ「…」ニヤッ
みほ「…」ニヤッ
蝶野「礼!」
「「「よろしくお願いします!」」」
エリカ「行くわよ小梅」
小梅「はいっ!」
みほ「行きましょう梓さん」
梓「はい!」
エリカ『あーあー、聞こえる?』
エリカ『今ここにいるメンバーに、優勝経験者はいない』
エリカ『勝ちたいわよね?当り前よ』
エリカ『OGとか後輩に、暗黒時代なんて言われちゃたまったもんじゃないわ』
エリカ『それに、てっぺんからの景色、見たいでしょ?』
エリカ『相手は強い。昨年ウチを破ったうえに大学選抜にも勝ったチームよ』
エリカ『私たちも強い』
エリカ『乗ってる戦車を信じなさい』
エリカ『隣の仲間を信じなさい』
エリカ『そして、自分を信じなさい』
エリカ『私はあなたを信じてる』
みほ『皆さん』
みほ『今大会は優勝しなくても廃校にはならないし誰かを立てないといけないといったようなことはありません』
みほ『ですがやっぱり勝ちたいですよね!私は勝ちたいです!』
みほ『やる事は変わりません。みんなで勝ちましょう!』
『『『おー!!!』』』
優花里「はい!」
華「もちろんです」
麻子「おうとも」
蝶野『試合開始!!』
エリカ・みほ『パンツァーフォー!!』
黒森峰女学園
ティーガーⅡ 2(エリカ車(フラッグ))、パンター 6(小梅、直下)、Ⅳ号H 4、ラング 3、ヤークトパンター 1、ヤークトティーガー 1、エレファント 1、ルクス 1、レオパルト 1
大洗女子学園
Ⅳ号H(フラッグ)、ヘッツァー、三突、八九式、M3リー、ルノーB1、ポルシェティーガー、三式
エリカ(と言っても、最初はじっとしてるんだけど…)
ルクス車長『行ってきます!』
レオパルト車長『行ってきまーす!』
エリカ『頼んだわよ、気を付けて』
優花里「順調に山の方に進めてますね」
みほ「うん、この調子なら抑えられそう」
沙織「そうすれば大分有利になるね~」
華「でも、少しあっさりしすぎていませんか?」
麻子「確かに、去年は森を抜けて奇襲してきたからな」
優花里「まさか、大学選抜戦の時のように自走砲が!?」
華「後ろに回り込んで挟撃かもしれません」
沙織「どうするみぽりん!?」
みほ「周囲の警戒は怠らずやっるけれど敵影はないし、多分大丈夫かな」
ダージリン「黒森峰、偵察を出しただけで後は何もしないまま山を明け渡したけれど」
まほ「そうだな」フフッ
ダージリン「嬉しそうね。あまり賢い行動とは思えないけれど」
まほ「ああ。私はこんなことしないからな。裏切ってくれて嬉しいよ」
ダージリン「でも主導権を譲ることになるわ?」
まほ「エリカは何も考えずに行動しない。何か企んでるのか?」
ルクス通信手『こちらルクス、敵発見。大洗全車両山に登っていきます』
エリカ車通信手『わかりました。偵察を続けてください』
エリカ「やはり要地を抑えてきたわね」
エリカ車操縦手「どうするの?」
エリカ「二手に分かれて挟撃をするには森を抜けないといけない」
エリカ「出来ない事も無いけど、道が悪い所走るのは足に悪い」
エリカ「全車両で前から突っ込むわよ」
典子『12時方向に敵車両発見!』
沙織「数は18、本隊だね」
みほ『迎え撃ちます、砲撃準備!』
ダージリン「結局力押しだけれど…」
まほ「…」ムスッ
エリカ車操縦手「砲口思いっきりこっち向てるけど」
エリカ「いいのよ」
みほ『全車、砲撃開始!!』
ドォォン!ドォォン!
ラング三号車車長『撃ってきた!!』
エリカ『怯むな!!足を止めるな!!そうそう当たるもんじゃないわ!!』
エリカ『このまま突っ込んで相手を脅かすわよ!』
みほ『ある程度の距離までは装甲の薄い車両を狙ってください!』
華「…今です!」
ドォォォン!
ガッ!
シュポッ
ラング二号車車長『やられました!』
エリカ『構うな!進みなさい!!』
優花里「お見事です五十鈴殿!」
華「ありがとうございます」
麻子「まず一両、だな」
沙織「ねえ!全然減速しないよ!」
エルヴィン「まるで特攻隊だな…」
あゆみ「どんどん近づいてくるよ!」
桂利奈「こわいこわい!」
典子「スパイク止めるな!根性!」
妙子(意味ないと思うんだけどなぁ…)
優花里「西住殿!山頂からでは俯角が足りなくなってきました!」
みほ「うん、わかった」
みほ『全車前進!砲撃を継続してください!』
みほ『ある程度まで近づいてきたら上部装甲を狙って!』
『『『はい!』』』
ドォォン!ドォォン!
シュポッ
シュポッ
沙織「レオポンとカバさんが1両ずつやったって!すごい!」
みほ「いい調子ですね!」
エリカ車通信手「Ⅳ号三号車、ラング三号車もやられました!」
エリカ「でも麓まで来れたわ」
エリカ『陣形変更!V字隊形!』
『『『ヤヴォール!』』』
左衛門座「鶴翼の陣だ!」
カエサル「登って来てる…」
ねこにゃー「このままだと包囲の危険があるにゃー」
エリカ『反撃の時間よ!砲撃開始!!』
ドォォォン!ドォォォン!
麻子「そろそろ潮時じゃないか?」
みほ「うん、そうだね」
優花里「被害ゼロで3両撃破出来ました、大戦果です!」
みほ「よし、行こう」
みほ『この場を離れます!もくもく用意!』
『『『もくもく用意!』』』
沙織「用意完了!いつでも行けるよ!」
みほ『もくもく開始!もくもく作戦リターンズです!』
『『『もくもく開始!』』』ポチッ
エリカ車砲手「煙幕張ってきた!」
エリカ車通信手「縦隊でウチの間を通って降りていきます」
エリカ「撤退するみたいね」
エリカ『味方に当たる危険がある!砲撃中止!』
ブロロロロロ
華「撃ってきませんね」
麻子「ありがたいな」
ツチヤ「やっちゃって!」
ドォォォォン!
シュポッ
ヤークトパンター車長「ええ…」
エリカ車通信手「ヤークトパンター、やられました…」
エリカ「小賢しい事してくれるわね…」
エリカ車装填手「どこに行くのかな?」
エリカ「まあ市街地でしょうね。そこで仕掛けてくるわ」
エリカ「ルクスに追わせて、あとレオパルトにも連絡」
エリカ車通信手「はい!」
みほ『猫田さん、すみません。お願いします』
ねこにゃー『任せてにゃー』
エリカ(…あの子の事だし、もしかしたら)
エリカ「旋回して、あと砲撃準備」
エリカ車砲手「え、なんで?」
エリカ「いいから」
エリカ車操縦手「ん」
小梅『煙幕晴れます!』
エリカ「さあ…来なさい!」
ねこにゃー「今にゃ!」
ドォォン!
シュポッ
パンター五号車車長「うぇっ!?」
ねこにゃー「すぐ逃げるにゃ!」
ももがー「わかったナリ!」
エリカ「やっぱり!撃て!」
ドォォォォン!
シュポッ
ねこにゃー「あー、もうゲームオーバーか」
ももがー「もっと活躍したかったモモ…」
沙織「アリクイさんチームやられちゃったって」
みほ「1両撃破出来たし、十分だよ!」
優花里「これで7対15ですね」
麻子「まだまだ戦力差があるな」
華「ですが作戦通りいってますね」
みほ「うん、この調子なら…」
エリカ『損傷を確認しなさい。態勢を整えてから追うわよ』
『『『ヤヴォール!』』』
まほ「…」
ダージリン「運命は浮気者、よ」
まほ「ああ、まだ先は判らない」
ルクス車長「本隊が来るまで、しっかり偵察しなきゃ…」
ルクス車長「見つからないように気を付けてね」
ルクス操縦手「うん、わかってる」
麻子「さて、例の川だ」
みほ『追手は来ていません、慎重にいきましょう』
『『『はい!』』』
ザパァァン
ルクス通信手『こちらルクス。大洗、川を渡り終えました。直にそちらに行きます』
レオパルト通信手『りょうかーい』
レオパルト車長「来た来た!」
レオパルト操縦手「ひえー、こっわ」
レオパルト装填手「木陰に隠れてるだけじゃねえ…」
レオパルト車長「下手に動くなよ…」
ブロロロロロロ
カエサル「…あそこ、見ろ」
エルヴィン「草が不自然に倒れてるな」
カエサル「相手の車両が通ったのか?」
おりょう「左衛門座、撃つぜよ」
エルヴィン「“怪しいところは、弾丸をぶちこめ”だ」
左衛門座「了解」
レオパルト装填手「なんかこっち向いてない?」
レオパルト車長「さあ、気のせいでしょ」
ドォォォン!
シュポッ
レオパルト車長「あ」
おりょう「ビンゴぜよ!」
エルヴィン「お手柄だな、カエサル」
カエサル「だろう?」
みほ「カバさんすごい!」
優花里「やりますねぇ!」
レオパルト通信手「なんでバレたんだろう…?」
レオパルト操縦手「車体も緑に塗装してるのにね…」
みほ『では、お願いします』
『『『はい』』』
みほ『ご武運を』
沙織「うまくいくといいね」
華「大丈夫ですよ、皆さんはお強いんですから」
麻子「だな。頼りになる仲間だ」
優花里「ですね~」
みほ「ここが…第二のターニングポイントです」
優季「緊張するねぇ…」
あや「うん…」
梓(黒森峰の本隊が来るのはまだ先だろうけど、でも一応…)キョロキョロ
ルクス車長「えっ!?」
梓「あっ!桂利奈ちゃん、旋回!5時に相手ルクス!」
桂利奈「あーい!」
ギュルルルル
ルクス操縦手「わかった」
ブロロロロロロ
梓「あやちゃんお願い!」
あや「任せて!」
キュルキュル
ルクス車長「撃破されることは無いから大丈夫!」
あや「そりゃあ!」
ドォン!
ゴォンッ
ルクス操縦手「履帯が…!」
優季「あやちゃんお見事~」
あゆみ「よし!こっちも照準完了!」
梓「撃て!」
ドォォン!
シュポッ
ルクス装填手「あちゃ~」
ルクス通信手「やられた…」
ルクス車長(隠れてたレオパルトがあっさり見つかった…。近づかないようにしていた私たちもリーにやられたし…)
ルクス車長(もしかして…!)
エリカ車通信手「ルクス、レオパルト共にやられたそうです」
エリカ「…場所と状況は?」
エリカ車通信手「橋付近、見つかって撃破されたと」
エリカ(出しゃばったとかじゃなくて向こうからか…)
エリカ(…間違いない、橋で仕掛けてくるわね)
エリカ(迂回する方が安全だろうけど、足回りへのダメージがね…)
エリカ「…受けて立つわよ」ニヤッ
エリカ『全車停止』
直下『着いたね』
小梅『ここで、ルクスとレオパルトがやられた…』
エリカ『一列で通るわよ。小梅・直下、前よろしく』
小梅『はい』
エリカ『気を付けて』
直下『隊長もね~』
ゴロロロロロロ
エリカ「よし、私たちも行くわよ」
エリカ車操縦手「ん」
ブロロ
エリカ「…!」ゾクッ
エリカ「停止!全速後退!!」
ドォォォン!
ゴォォォン!!!ガラッシャァァァ!!!
小梅「橋が!!」
直下「脇にヘッツアー!撃て!」
ドォォォン!
シュポッ
沙織「フラッグ車じゃないティーガーⅡとパンター、ラングをやっつけたって!カメさんもやられちゃったけど…」
優花里「十分ですよ!」
みほ「はい!すってん作戦大成功です!」
麻子「フラッグ車を撃破出来れば最高だったがな」
みほ「さすが逸見さん、だね」
華「こちらも急ぎましょう」
エリカ『あなたたち、大丈夫!?』
ティーガーⅡ二号車車長『平気平気!!安心して!』
Ⅳ号一号車車長『こっちも大丈夫です!』
パンター四号車車長『みんな無事です!』
エリカ『そう、よかったわ…』ホッ
ティーガーⅡ二号車車長『何も出来なくてごめん!』
Ⅳ号一号車車長『頑張ってください、隊長!』
パンター四号車車車長『あとお願いします!』
エリカ『任せなさい。あっ、一応医者に診てもらう事。いいわね?』
Ⅳ号一号車車長『お気遣いありがとうございます!』
ティーガーⅡ二号車車長『心配し過ぎだよ~』
エリカ車装填手「みんな無事で良かったね!」
エリカ車操縦手「被害が3両だけなのもね」
エリカ車通信手「車間空けていて正解でしたね
エリカ「ええ…」
エリカ(あのまま進んでたらと思うと…)
エリカ車砲手「で、どうするの?」
まほ「フラッグ車は撃破し損ねたけれど、分断に成功した」
ダージリン「これで時間を稼げたわね」
まほ「ああ、市街地で仕掛ける準備ができるな」
直下『ヘッツアー以外には居ないみたい!』
小梅『わかりました。ありがとうございます』
小梅(こっちはパンターが4両、Ⅳ号、ラング、ヤークトティーガー、エレファントの8両。向こうはエリカさんとⅣ号が1両だけ…)
小梅(大洗は6両、でも市街地での戦いは得意とだし時間を与えるのはマズい)
直下『小梅ちゃん』
小梅『エリカさん!後で会いましょう』
エリカ『わかったわ。頼んだわよ!』
小梅『はい!』
小梅『付いてきてください!市街地に先行します!』
ダージリン「合流はしないみたいね。意外ですわ」
まほ「だな」
ダージリン「大洗にとっては厳しいわね」
まほ「いや、上手くいけば数を残したままエリカに挑める」
ダージリン「そうね」
エリカ『さて、私たちも行きましょうか』
Ⅳ号二号車車長『はい!』
パゾ美「撃て!」
ドォォン!
シュポッ
エリカ「なっ!?」
パゾ美「後退!」
ゴモヲ「はい!」
ギュルルル
エリカ「茂みの中!撃て!」
エリカ車砲手「そりゃあ!」
ドォォォン!
シュポッ
Ⅳ号二号車車長『すみません隊長…』
エリカ『いや、油断してた私が悪かったわ』
Ⅳ号二号車車長『いや、そんなこと…!』
エリカ車装填手「単独になっちゃったよ…」
エリカ車操縦手「急いで合流しよう」
エリカ「ええ、そうね。行きm」
エリカ「!?」バッ
カァンッ!コォンッ!
エリカ「五時方向!M3!」
エリカ車操縦手「距離がある。やられることはない。合流すべきよ」
エリカ「そ、そうね…」
あや「ティーガーⅡ固~い!」
あゆみ「ごめん、やっつけられなかった!」
梓「大丈夫、撃破が目的じゃないから。メインはここからだよ」
優季「頑張ってね桂利奈ちゃん」
あゆみ「紗季も頑張ってだって!」
桂利奈「あいあーい!」
梓(本当に乗ってくるかわからないけど…)
ガチャンッ
スッ
梓「…」
エリカ「…」
エリカ「M3の車長」
エリカ車装填手「車長が?」
エリカ「キューポラから体を出してる」
エリカ車通信手「それがどうかしました?」
エリカ(みほが育てたチーム…)
エリカ(面白い…)ニヤッ
エリカ「車体旋回。ウサギ狩りの時間よ」
エリカ車操縦手「はぁ…、ほんとバカ」
梓「きた!」
あや「やった!」
優季「こわ~い」
あゆみ「でもやらないと!」
桂利奈「よーし!」
紗希「…」
沙織「ひとりぼっち作戦、上手くいったって!」
優花里「カモさんチームも頑張ってくれましたね」
麻子「よく乗ってきたな」
みほ「逸見さんはまっすぐな人だから」
ダージリン「早く合流するほうが良いのではなくて?」
まほ「エリカをその気にさせるような事をしたんだろう。あいつは単純だからな」
ダージリン「厳しいわね」
まほ「そんなことはない。むしろ私は好きだぞ、エリカのああいうところ」
エリカ「前進!」
ブロロロロロロ
梓「後退!まず広い所に出るよ!」
梓(2分…は難しいかな、せめて100秒は稼ぎたい)
ブロロロロロ
梓「ここなら!旋回!」
桂利奈「あい!」
ギュルルル
エリカ(75ミリ砲は回らないし37ミリは装甲を抜けない)
エリカ(なのに起伏のない広場で向かってくる)
エリカ(足止めが目的ね、まあ当然だけど)
エリカ「撃て!」
ズドォォンッッ!
梓「回避!」
バシュッ!
エリカ車砲手「躱された!」
エリカ「行進間だしそんなもんよ」
梓「撃て!」
あゆみ「そりゃあ!」
あや「とりゃ!」
ドォォン!ドォン!
エリカ「砲塔旋回!右十度!」
ギュルル
ガァン!ゴォンッ!
あゆみ「やっぱり弾かれる!」
梓「すれ違ったらすぐに旋回!真っすぐ走らないように心がけて!」
ブロロロロロロ
エリカ「停止射撃に切り替えるわ。弾の消費を抑えたい」
エリカ車操縦手「了解」
エリカ「停止!」
ギギィ
エリカ「撃て!」
ドォォォン!
梓「停止!」
ギギギッ
バァァン!
優季「梓ちゃんすご~い」
梓(相手の砲手は相当腕がいい。でも裏返せば回避運動をしっかりすれば当たることはない…はず)
エリカ車砲手「ああもう!」イラッ
エリカ車装填手「気にしないでいいよ!」
エリカ車操縦手「イラつけば精度が落ちる、やめときな」
エリカ車通信手「そうだよ、回避されなきゃ当たってるよ」
エリカ車砲手「解ってる!」
エリカ「…あんた、どんな的が得意?」
エリカ車砲手「は?制止、向かってくるの、横移動、斜めの順だけど」
エリカ「分かった。なら次、絶対当てなさい」
あや「そりゃ!」
ドォン!
あゆみ「意味無いから…」
エリカ「砲塔旋回!照準!」
エリカ車砲手「照準良し!」
梓「来る!停止!」
ギギギィッ!
パラララララ
梓「なっ!?」
あゆみ「機銃!?」
エリカ車砲手「そこだ!!」
ドドォォォオンッ!
ガァンッ!
シュポッ
エリカ車砲手「いや~やっぱりド真ん中にブチ込むのは気持ちいいなあ~」
エリカ車通信手「お見事!」
エリカ車装填手「ナイスゥ!」
エリカ車操縦手「さすが」
エリカ「ま、それぐらいはやってくれないとね」
桂利奈「やられたー!」
優季「やっぱりすごいね…」
あゆみ「うん…」
紗季「」コクコク
梓「みんな大丈夫!?」
あや「大丈夫!メガネ割れちゃったけど」
エリカ(まだまだね…。でも悪くなかったわ)
エリカ(これからが楽しみな子達ね)フフッ
エリカ車装填手「なんで笑ってるの?」
エリカ「なんでもない。さあ、市街地に行くわよ!」
沙織『うん、お疲れ様。頑張ったね』
優花里「ウサギさんチーム、大活躍ですね」
麻子「魅せてくれたな」
みほ「はい!」
華「おかげで迎え撃つ準備が整いました」
みほ(逸見さんがここに来る前に相手を撃滅…)
みほ(数の利を生かして逸見さんを…)
みほ(4両で8両の相手をするのは厳しいけど、このチームなら…)
直下『間もなく、だね』
小梅『はい。市街地に入ったら2両ずつで行動してください』
小梅『くれぐれも気を付けて』
典子『黒森峰来ました!直に第三セット開始です!』
みほ『わかりました、アヒルさんチームもこちらに合流してください』
典子『了解です!』
エリカ車通信手「小梅さん達、市街地に入ったそうです」
エリカ「私たちも急ぎましょう」
パンター六号車車長(ここは道幅が狭いし入り組んでる。慎重にいかなきゃ)
ラング一号車車長『…っ!後退!』
パンター六号車車長『なに!?どうかしたの!?』
ラング一号車車長『脇に三突です!』
ブロロロ
パンター六号車車長『撃ってこないじゃない』
ラング一号車車長『あれ…おかしいなあ』
パンター六号車車長『緊張でおかしくなってるんじゃない?』
ラング一号車車長『うーん…微速前進』
ブルル
ラング一号車車長『やっぱりいる!後退!』
パンター六号車車長『固定砲じゃ反撃できないでしょ、私がやる!』
ラング一号車車長『お願いします!』
パンター六号車車長『前進!』
ブロロロロロロ
パンター六号車車長『撃て!』
ドォォォン!
バキイィ!
パンター六号車車長「…ハリボテね」
ラング一号車車長(デコイを置く目的…)
ラング一号車車長(敵を足止めする、戦力を見誤らせる、あとは…)
ラング一号車車長(突破させない為!そう隊長に教わった!)
ラング一号車車長『突破しましょう!前進!』
パンター六号車車長『え、ちょ、なにやって』
パンター六号車車長「ああもう、ついていって!」
ドォォン!
シュポッ
ラング一号車車長「え?」
左衛門座「やった!」
おりょう「作戦成功ぜよ」
カエサル「もう1両いるぞ!」
エルヴィン「すぐにこの場を離れる!」
おりょう「了解ぜよ!」
パンター六号車車長「追うわよ!って、もういない」
パンター六号車車長「逃げ足の速い奴め…」
パンター六号車車長『全く、逸るんじゃないわよ』
ラング一号車車長『あはは…ごめんなさい』
沙織「カバさんチーム、ラング撃破だって!」
みほ「さすがカバさんチームです!」
麻子「まさか成功するとはな」
優花里「作戦が良かったですね~」
華「マカロニ作戦ドライ、でしたっけ?」
みほ「うん。逸見さんなら、そういう風に教えると思ったから」
Ⅳ号四号車車長『前方に八九式!』
パンター三号車車長『放っておいていい。それよりも火力のある車両を優先的に』
Ⅳ号四号車車長『了解です!』
妙子「相手されてないですよー?」
あけび「やっぱり火力がないから…」
典子「そっちの方が都合がいい」
典子『こちらアヒル!レオポン、用意はいいですか?』
ツチヤ『オッケー!いつでもいいよ!』
典子「やるぞ!メラメラ作戦!」
忍「痛い目にあわせてやりましょう!」
Ⅳ号四号車車長『八九式が脇に回り込んできた!』
パンター三号車車長『どうしても構って欲しいらしい。撃破しろ』
Ⅳ号四号車車長『了解!砲塔旋回!』
典子「させるか!とりゃ!」
シュッ カァンッ
カランッ!コロコロ
プシュゥゥゥゥゥ
Ⅳ号四号車車長「うわっ!?なに!?」
Ⅳ号四号車砲手「発煙筒だ!」
Ⅳ号四号車装填手「キューポラから入れてきたの!?」
Ⅳ号四号車通信手「投げ捨てて!」
Ⅳ号四号車操縦手「見えないよ!」
妙子「お見事ですキャプテン!」
典子『レオポンさん、あとよろしく!』
ツチヤ『はいはーい』
典子「よし、後退!」
忍「はい!」
ブロロロロロロ
パンター三号車車長『正面からポルシェティーガー!後退しろⅣ号!』
パンター三号車車長(まずい、それどころじゃないか)
パンター三号車車長『撃て』
ドォォォン!
ゴォンッ!
パンター三号車車長(やはり抜けないか…)
パンター三号車車長「後退、Ⅳ号は諦める」
ツチヤ『撃て!』
ドォォォォンッッ!
ガァンッ!!
シュポッ
Ⅳ号四号車車長「やられたー!」
パンター三号車車長『ご苦労。後は任せな』
Ⅳ号四号車車長『はい!』
パンター三号車車長(あの八九式は倒しておかないと後々厄介になるかもな)
パンター三号車車長(でも今から追うには向こうの足が速すぎる)
パンター三号車車長「残りの車両をさがす」
パンター三号車操縦手「はーい」
パンター六号車車長(三突はどこに逃げた…?)
ドォン!
カァンッ
パンター六号車操縦手「軽戦車が目の前を横切ってった!」
パンター六号車車長「八九式にも気を付けろと三号車が言ってたわ!追うわよ!」
パンター六号車車長「了解!」
あけび「やっぱり57ミリのスパイクじゃ効果無いかぁ…」
典子「ついてきたぞ!」
妙子「作戦通り…」
沙織「最後のⅣ号を撃破、今アヒルさんがパンターに追われてる!」
みほ(やっぱり。逸見さんなら危険因子は優先的に処理するようにさせるよね)
みほ『カバさんチーム、準備はいいですか!?』
エルヴィン『大丈夫だ!』
パンター六号車車長「撃ち続けなさい!」
ドォォォン!
忍「リベロ並みのフットワークで…」
妙子「頑張って!あと少し!」
典子『カバさん!すぐです!』
エルヴィン『いつでも来い!』
おりょう「行くぜよ!」
カエサル「今度は失敗しない!」
左衛門座「必ず仕留める!」
エルヴィン「前進!」
ブロロロロロロ
パンター六号車操縦手「くっそ~速いな~」イライラ
パンター六号車車長(このままだと開けた道に出る。そこを撃たれるかも…)
妙子「そこ!右折!」
忍「そりゃ!」
ギュルル
パンター六号車操縦手「待てーい!」
パンター六号車車長「ダメ!停止!」
パンター六号車操縦手「うぇっ!?」
ギギィィ
パンター六号車車長「曲がったところで止まってどうするのよ!」
パンター六号車車長(良かった…待ち伏せはされてなかった)ホッ
パンター六号車砲手「前から三突が!」
パンター六号車車長「なっ」
パンター六号車砲手「八九式とどっちを狙えば!?」
パンター六号車車長「狙いやすい方!」
パンター六号車砲手「そんなアバウトな…」
パンター六号車砲手(三突の火力でもパンターの正面は厳しい、なら!)
ドォォォン!
典子「回避!」
忍「はい!」
バシュッ!
パンター六号車砲手「躱された!」
パンター六号車車長(それより三突、このままだとすれ違うけど何もしないの?どういうつもり?)
カエサル「今だ!ナポリターン!」
ギュルッ
ギギギギギィィィィィィ
エルヴィン「ぶち込め!!」
ドォォォン!
シュポッ
おりょう「成功ぜよ!」
左衛門座「やったなおりょう!」
典子「よし!」
みほ(こちらは4両、相手は逸見さん合わせて6両…)
みほ(いける…!)
小梅「撃て!」
直下「撃て!」
パンター三号車車長「撃て」
みほ「っ!回避!」
ドォォォン!ドォォォン!ドォォォン!
ガァ シュポッ
ガァ シュポッ
典子「うわぁ!」
エルヴィン「うぉっ!」
麻子「間一髪だったな」
みほ「見つかった…。逃げます!」
麻子「ほーい」
沙織「アヒルさん、カバさんやられたって!」
みほ「残り2両…」
みほ『レオポンさん、今どこですか!?』
小梅「エリカちゃんが任せてくれたんだ…」
直下「そう簡単にやられるわけにはいかないんだよね」
パンター三号車車長『こちら三号車。相手フラッグ車を発見、追撃する』
小梅『わかりました。私もそちらに向かいます』
直下『私はポルシェティーガーを探すよ!エレファント、ヤークトティーガーもついてきて!』
『『ヤヴォール!』』
エリカ『こちらエリカ、直につくわ』
エリカ「って、聞いてる?」
沙織「なんか追手が増えたよ!!」
みほ「…」
ツチヤ『こちらレオポン、見つかっちゃった』
ツチヤ『パンターと駆逐戦車2両に追われてるよ』
みほ『予定通りお願いします!』
ツチヤ『それじゃ私たち、たぶんやられちゃうけど』
みほ『大丈夫です、後は任せてください』
ツチヤ『はいよー』
みほ「麻子さん、そこ左折!」
麻子「ほーい」
沙織「みぽりん!このままだとタイミングが合わない!私たち早すぎるよ!」
ツチヤ「EPS使って!」
ブオオオオオオオオ!!
みほ「きた!」
パンター三号車車長「っ」
ガァンッ!
ドォォォォン!
シュポッ
パンター三号車車長「…」チッ
ヤークトティーガー車長「止まった!撃て!」
ドォォォォォンッ!
シュポッ!
ツチヤ「いや~、まあよくやったよ」
みほ『ありがとうございました』
ツチヤ『後は頼んだよ~』
直下「十字路で交差させてきたか~」
直下『迂回してフラッグ車を追うよ!』
『『ヤヴォール!』』
小梅『私もすぐ行きます!』
沙織「私たちだけになっちゃったね…」
華「相手はまだ5両…」
優花里「その5両も強力です…」
麻子「…」
みほ「大丈夫、まだチャンスはあります…!」
みほ(とは言ったけど…)
みほ(ここまでかな…)
エリカ「お待たせ」
直下「遅いぞたいちょー!」
小梅「あとはフラッグ車だけだよ」
エリカ「ええ、そうみたいね。よくやったわ」
エリカ(…)
エリカ(これで終わりか…)
ダージリン「さすが黒森峰、隊長以外もよく鍛えられてるわね」
まほ「当然だ」
ダージリン「5対1、みほさんにとっては厳しいわね」
まほ「ああ…」
まほ(なんなんだろう…)
まほ(この物足りなさは…)
みほ「回り込まれるのが怖い。広い所に行きましょう。そこで相手をします」
麻子「ん」
エリカ「いたわね」
小梅「ええ…」
みほ「逸見さん、来たんだ…」
みほ「では…」
エリカ「ほうげk」みほ「パンt」
小梅「待って下さい!」
エリカ「っ!」バッ!
みほ「っ!停止!」
沙織「どうしたのみぽりん!?」
みほ「逸見さん、手を突き出してる…」
華「待て…、ですかね?」
エリカ「なによいきなり」
小梅「エリカさん…私たち、ここで降りるね」
エリカ「は?何言ってんの?」
小梅「したいんでしょ、みほさんと一騎討ち」
エリカ「そんなことないわよ。相手に無礼だわ、やめなさい」
華「何か話していますね」
麻子「そのようだな」
小梅「最後ぐらい、わがまま言っていいんだよ。エリカさんは今までずっと、私たちの為に頑張ってきたんだから」
エリカ「だからそんなことは」
小梅「嘘。だってエリカさん、すごい曇った顔してるもん」
エリカ「…もともとこういう顔よ」
小梅「優勝しても、エリカさんが心から笑ってくれないのは嫌だな…」
エリカ「…」
直下「私も信じてるぞ!」
ヤークトティーガー車長「うんうん」
エレファント車長「そういうこと」
エリカ「あなたたち…」
エリカ「…好きにしなさい」プイッ
シュポッ
シュポッ
シュポッ
シュポッ
沙織「ええっ!?白旗上がったよ!?」
優花里「投降ですね…」
華「ナメられてるってことですか?」ムッ
麻子「腹立たしいな」
優花里「ですが一騎討ちなら我々にもチャンスが!ね、西住殿!西住殿…?」
みほ(逸見さん…)ニヤッ
まほ「自分自身を信じてみるだけでいい。きっと、生きる道が見えてくる」
ダージリン「…ゲーテね」
まほ「エリカは私を目標にしていた。その結果自分を認めることが出来なかった」
まほ「私から離れ、新しい道を志向すれば、エリカはもっと強くなる」
ダージリン「守破離、ですわね」
まほ「さあ、見せてくれ…お前の戦車道を!」
エリカ(ありがとう小梅、ありがとうみんな…)
みほ「場所は学校から、回収車が居なくなってから3回秒針が12を刺したらスタート…」
沙織「この距離で向かい合ってるんだし、開始と同時に撃たれたらすぐやられちゃうよ」
みほ「そんなつまらないことはしないはずです」
優花里「そうですね!じゃないと一騎討ちなんてしませんよ!」
麻子「で、作戦はどうする?」
みほ「…最初の一撃で優位に立ちます」
エリカ車通信手「伝えてきました」
エリカ「ん、ありがとう」
エリカ車砲手「いや~燃えるな~!」
エリカ車装填手「私は緊張しっぱなしだよ~」
エリカ車操縦手「何か作戦は?」
エリカ「Ⅳ号の主砲なら側面か背面じゃないと抜けない。そこだけ晒さないように注意して」
エリカ「逆に私たちはどこでも抜ける。確実に一発、ぶち込むわよ」
エリカ「じゃ、後は時間まで汗拭いたり水飲んだりしなさい。気持ちは切らさないで」
みほ(あと30秒…)
みほ「みんな集中して…」
みほ「エリカさんは強いよ」
エリカ「あんたたち、気引き締めなさい」
エリカ「みほはバケモノよ」
みほ(3…)
エリカ(2…)
エリカ「右方向に前進!!」
ブロロロロロロ
みほ「後退!!」
ブオオオオオ
エリカ「追うわよ!」
みほ(よし…ついてきてる)
みほ「曲がって!すぐ停止!」
麻子「ん」
みほ「衝撃に備えてください!」
エリカ「曲がった!砲撃準備!」
エリカ「って、な!!」
ガァァンッ!!
エリカ車操縦手「うわっ」
エリカ車通信手「きゃっ!」
エリカ車砲手「うおっ!」
エリカ車装填手「ひゃっ!」
エリカ「っ!」
みほ「撃て!!」
ドォォォン!
ギィンッ!
みほ「すぐ発進!」
華「すみません、ターレットリングに当てられれば撃破出来たかもしれないのに…」
みほ「そんな、当てただけでもすごいよ!」
みほ「それに、狙いは上手くいったし」
エリカ車装填手「いたた…」
エリカ車通信手「慣れたつもりだったけど、不意にはキツイですね…」
エリカ「…」
エリカ車砲手「どうした逸見?」
エリカ「砲身の先が曲がってる。おそらく今の砲撃でやられたわ」
エリカ車装填手「あっちゃ~」
エリカ車操縦手「精密射撃は不可能、肉薄しないとだな」
エリカ車砲手「曲がってても当ててやるよ!」
エリカ「心意気は買うけど弾には限りがある。慎重にね」
ブロロロロロロ
沙織「回り込んできた!」
エリカ「撃て!」
ドォォォォン!
エリカ車砲手「当たらない!」
みほ「よし、これでいい」
みほ「すれ違ったらすぐにターン、出来ますか?」
麻子「道幅が狭すぎる」
みほ「ならこのまま進んで。広場で迎え撃ちます」
麻子「ほーい」
エリカ(来ない…待ち伏せか)
エリカ「広場に出るときに一旦停止するわよ!」
エリカ車操縦手「了解」
エリカ「今!」
みほ「撃て!」
ギギギィィィィィィ
ドォォォン!
エリカ「やっぱり…」
みほ「離脱!」
エリカ「撃て!」
ドォォォォォン!
エリカ「ちっ!」
みほ「ここで撃ち合います!回り込むチャンスを常に窺って!」
みほ「撃て!」
エリカ「車体旋回!11時方向!」
キキッ
ドォォォン!
ガァン!
エリカ「撃て!」
みほ「停止!」
ギキィ!
ズドォンッ!
エリカ「発進!」
ブオオオオオオオオ
みほ(よし、側面!)
みほ「撃て!」
エリカ「旋回!」
ギュルルル
ドォォォン!
ゴォンッ!
みほ「優花里さん装填!」
優花里「はい!」
エリカ「照準!」
みほ「距離を取って!」
ブロロ
みほ「相手が撃ってきた瞬間を狙ってください!」
みほ「撃て!」
ズバァァンッ!ドォォォンッ!
ギィンッ!
沙織「全部弾かれるよ!」
華「くっ…」
みほ「大丈夫、行進間で当ててるだけですごいから!」
ダージリン「ティーガーⅡの装甲が厚いというのもあるけれど」
まほ「ああ、撃ってくるタイミングに合わせて角度をつけているな」
まほ「スポーツ、特に球技の選手なんかは正確性を向上させるために一定のリズムでプレーする事がある」
ダージリン「バスケットのシュートとかですわね」
まほ「戦車道ではあまり聞いたことがないし砲手を務めたことが無いが、砲撃も無意識に自分のタイミングがあるのだろう。呼吸の様にな」
ダージリン「でもそれを読んで車体を傾けるとは…」
まほ「エリカもその操縦手も相当やるな」
みほ「華さん、今度はあえてワンテンポ遅らせて撃って」
華「やってみます」
みほ「停止!撃て!」
エリカ「停止!」
ギギィィ!
エリカ「っ!」
ドォォォンッ!
エリカ「外した…」ホッ
華「ごめんなさい!」
みほ「気にしないで!」
まほ「やはり、自分のタイミングが外れると照準も狂うな」
小梅「すごい…あそこだけでもう40秒近く撃ち合ってる…」
直下「やっぱり隊長には敵わないなぁ…」
華「足を撃ちましょうか」
みほ「…ダメ」
優花里「ですが、このままでは埒が明きません!」
みほ「そんなの…つまらない」
沙織「みぽりん…」
みほ「いったん後退。態勢を立て直します!」
ブロロ
エリカ「あなた最高よ」
エリカ車操縦手「なんてことないさ」フンッ
エリカ「追撃、といきたいけど回り込むわよ」
エリカ車操縦手「ん」
エリカ(鳥肌が立つ)
エリカ(身の毛がよだつ)
エリカ(私今、興奮してる…)
エリカ(久しぶりだ、この感じ…)
エリカ(いつからか私は、誰かに認められるために、誰かに褒めてもらうために戦車に乗ってた)
エリカ(目の前のライバルとの勝負を…純粋に…楽しんでる!)
エリカ(戦車に乗り始めた時もこうだったな…)
エリカ(みほ…あなた最高よ!)
みほ(体が熱い)
みほ(胸が高鳴る)
みほ(鼓動が速くなる)
みほ(エリカさん…)
みほ(私が副隊長になった時も、あの事件の後も)
みほ(転校してからも)
みほ(そして今も!)
みほ(私は…エリカさんに応えたい!!)
エリカ「居た!」
みほ「撃て!」
ズドォンッ!
ゴォンッ!
みほ「全速離脱!」
エリカ「逃がすな!」
ギュルルル
みほ「撃て!」
ズガァンッ!
エリカ「右に回避!砲塔旋回!」
エリカ「機銃掃射!」
ズガガガガガガ
みほ「ダメです。ここで退いたらやられます」
みほ(それにエリカさんだって体を出してるんだ…)
エリカ(引っ込んでくれればと思ったけど…)
エリカ(流石みほ、肝が座ってるわね…)
みほ「後退!」
エリカ「後退…!」
エリカ車砲手(普段なら当てられるのに…当てたら勝ちなのに…)イライラ
エリカ車装填手(弾が少なくなってきた…)
エリカ車操縦手(…疲れた)
エリカ車通信手(私だけやることなくて…煩わしい…)
エリカ(みんな消耗してる…)
エリカ(かくいう私も限界が近い…)
優花里「徹甲弾、残り僅かです!」
みほ(そろそろ決着をつけなきゃ…)
みほ「次で決めましょう」
みほ「アレ、お願いします!」
麻子「アレか」
沙織「アレだね!」
華「アレですか」
優花里「アレですね!」
エリカ「たぶんみほはアレをやってくるわ」
エリカ「だから私たちもアレ、やるわよ」
エリカ車操縦手「ん」
エリカ車通信手「わかりました!」
エリカ車砲手「よしきた!」
エリカ車装填手「よーし!」
まほ「次が最後の撃ち合いだな」
ダージリン「ええ…」
小梅「エリカさん…」
直下「隊長…」
エリカ・みほ「前進!」
ブオオオオオオオオ
ブロロロロロロロロ
みほ「撃て!」
ドォォォン!
エリカ「撃つな!」
ギィンッ!
ギギギィィィィィィィィィ!!!
エリカ(きた…ドリフト!これを待ってたのよ!)
エリカ「二時方向に前進!」
ブロロロロロロ
みほ「向かってきた!?」
ドォォォン!
エリカ(焦って撃ったわね!)
エリカ「やれ!!」
ガァァァンッッ!!
みほ「っ」
みほ(体当たり…!)
ギュルルルルル
みほ(車体の半面をぶつけて、そこを支点に旋回…)
エリカ「捉えたわよ…!!」
みほ「回避!!」
エリカ「無駄よ!こいつからは逃れられない!!」
ズバァァァァンッッ!!
シュゥゥゥゥ
カッ
シュポッ
エリカ「…」
みほ「…」
『大洗女子学園フラッグ車、走行不能!』
『優勝は…黒森峰女学園!!』
ワァァァァァァァーーーー!!!
エリカ「ふぅ…」
エリカ車砲手「はぁ…」
エリカ車装填手「疲れた…」
エリカ車通信手「ですね…」
エリカ車操縦手「…」
小梅「やったあ!やったよ!!」
直下「優勝だーーー!!!」
小梅「エリカさん…」ウルウル
沙織「いや~負けちゃったね…!」
麻子「だな」
優花里「はい…」
華「ですね…」
麻子「でも、やれるだけのことはやったさ」
華「黒森峰女学園、お見事でした」
優花里「また頑張りましょう!ね、西住殿!…西住殿?」
ガチャンッ
エリカ「じゃ、私行ってくるから」
ガチャンッ
みほ「エリカさんっ!」タッタッタッ
エリカ「みほ…」
みほ「エリカさん!」ダキッ
エリカ「うわっ!ちょ、いきなりなによ…」
エリカ「ええ…ありがとう」サスサス
みほ「私、変なの…」グスッ
みほ「負けて…悔しいし、悲しいし、腹立たしい…」
みほ「でも…よくわからないけど…嬉しいし…」
エリカ「なにも言わなくていいわよ…」
みほ「エリカさんと出会えて、勝負が出来て、本当によかった!」
みほ「ありがとう!!」
エリカ「とても…楽しい勝負だった」
エリカ「ありがとう」
みほ「えへへ…どういたしまして」ニコッ
みほ「あっ、あともう一つ…」
エリカ「なに?」
みほ「えっと…その…また、お友達になってくれますか?」
エリカ「いや…無理でしょ…」
みほ「ふぇっ!?」
エリカ「ライバル…。そういうのだったら…いいけど」
みほ「…はい!!」
ダージリン「最後の一撃、まるで獲物の喉仏に食らいつく虎ね」
まほ「やったな…エリカ」
ダージリン「悔しさが男を作る、惨めさが男を作る、悲しさが男を作る」
ダージリン「そして強大な敵こそが、真にお前を偉大な男にしてくれる」
まほ「リヒトホーフェンか」
ダージリン「ええ。エリカさんにぴったりだと思わない?」
まほ「エリカは女だし、乗るのは戦車だがな」
夜
エリカ(疲れた…)
エリカ(試合もそうだけど、そのあとにみんなにもみくちゃにされたのが効いた…)
エリカ(メールやら電話やらもたくさん来るし…)
エリカ(これから忙しくなるんだろうなあ…)
エリカ(寝よう…)
ブルルルル
エリカ(またか…全く誰よ…)
まほ『私だ』
エリカ『西住さん!?』
まほ『優勝おめでとう、エリカ』
エリカ『ありがとうございます!』
まほ『現地で観ていたぞ。よく頑張ったな』
エリカ『いや、そんな…』
エリカ『いや、そんな…』
まほ『本当は終わった直後に顔を出せれば良かったんだが、他の隊員との時間に水を差すのも良くないと思ってな』
エリカ『いえ、こうしてお電話を頂けただけで充分です』
まほ『そうか、なら良かった』
エリカ『はい』
エリカ『はい、“相手に合わせて適切な手を打ち跳ね返す、柔軟な戦術”かと…』
まほ『それは戦術だろう?信条は、心はどうなんだ?』
エリカ『心…』
エリカ(みほの戦車道はみんなで勝つ…)
エリカ(私は…)
エリカ『強敵との勝負を楽しむ…』
エリカ『これが…』
エリカ『これが私の戦車道です!』
最後まで見ていただいた方、ありがとうございました
目の離せない展開が続いて
そしてちゃんと完結して
楽しませて頂きました
同じ内容の物を支部の方にも「逸見エリカ、三年生」というシリーズで載せます
第三者による転載ではないのでほっといてもらって大丈夫です
ではHTML化依頼をしてきます
ありがとうございました
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1520839609/
Entry ⇒ 2018.03.29 | Category ⇒ ガールズ&パンツァー | Comments (0)
【ガルパン】奇妙な夢
ひまつぶしにどうぞ
1 愛するが故に
ケイ「アリサ、ボーイフレンドができたってホント?」
アリサ「え、ええまあ…」
ケイ「例のタカシって人?」
アリサ「…そうです」
ケイ「へぇ~良かったじゃない!どっちからアタックしたの?」
アリサ「私からです、この前の寄港日一緒に出かけた後に」
ケイ「アリサも見かけによらず大胆ね~」
アリサ「隊長には私がどう見えてるんですか…」
ケイ「ゴメンゴメン、ジョークよジョーク」
ケイ「それにしてもアリサに彼氏ねぇ…」
ケイ「盗聴するほど好きになるなんてさぞイケメンなんでしょうね」
アリサ「盗聴は大洗の子たちが勝手に言っただけですよ…」
アリサ「でも見た目も中身もカッコいいです、恋人補正を抜きにしても」
ケイ「もう、ノロケちゃって~」
アリサ「…会ってみます?」
ケイ「盗っちゃうかもよ?」
アリサ「隊長はそんな人ではないですし…」
アリサ「それにそんなこと、私がさせませんから」
ケイ「ふふ…」
アリサ「これから私の部屋でタカシとご飯を食べる予定なんですけど、一緒にどうです?」
ケイ「いいの?ああ、でも…」
ケイ「そんな長居はしないから安心して!二人のラブタイムを邪魔する気はないわ!」
アリサ「まだそこまでの関係じゃないですよ…」
ガチャ
アリサ「どうぞ」
ケイ「お邪魔しま~す」
アリサ「適当に座っててください、私はちょっとトイレに」
ケイ「ええ」
ケイ(いつ来てもよく片付いてるわね)
ケイ(私は片付けが苦手でいつも部屋がグチャグチャだから羨ましいわ)
ケイ(それにしても例のタカシはいつ来るんだろう?)
ケイ(どこかで待ち合わせるのかと思ったけどそんなことなかったし…)
ケイ(かといってここにいたわけでもない)
ケイ(まさかどこかに隠れているかしら?)
ケイ(ベランダかクローゼットか、それともベッドか…)
ケイ(ベランダにもクローゼットにも誰もいない)
ケイ(クローゼットは収納ボックスとまとめた古雑誌が置いてあったから隠れられそうになかったし…)
ケイ(となるとこのベッド?)
ケイ(でも特別ふくらんでいるようにも見えないけど…)
ケイ(ちょっと布団をめくってみよう)
ケイ「…え………」
首無しタカシ「」
ケイ(ジーザス!何これ?リアルな人体模型?そんなバカな!)
ケイ(ちょっと触った感じとか何よりこの首の断面…)
ケイ(ゴムとかシリコンとかそんな人工物じゃ…)
アリサ「……見ましたね」
ケイ「ひっ…ア、アリサ…」
アリサ「気付かなきゃタカシが来ないのを適当にごまかそうと思ってたのに」
アリサ「“好奇心は猫を殺す”ってこういうことですかね」
ケイ「アリサ…こ、これは何…?」
アリサ「隊長のお察しの通りですよ」
ケイ「じゃああなた、殺したの?…タカシを」
アリサ「そうです」
ケイ「ど、どうして…そんなこと…」
アリサ「…私に振り向いてくれなかったからですよ」
アリサ「私が告白した時、タカシは誰が好きだと言ったか分かります?」
ケイ「えっ…?」
アリサ「あなたですよ、隊長」
アリサ「“今はケイさんが好きだから、君とは付き合えない”って、そう言ったんですよ」
ケイ「……」
アリサ「だから殺したんです」
アリサ「“一緒にいる”ことを諦めきれなかったから」
ケイ「でも…こんなことしてタダで済むと思ってるの…?」
アリサ「思ってませんよ」
アリサ「タカシが…“人間として生きてる”タカシが消えてもう二週間ぐらいですからね」
アリサ「そろそろ警察とかも動き出す頃でしょう」
アリサ「どうしても追い詰められたら“タカシ”と海に飛び込みます」
ケイ「そんな…!」
アリサ「でもその前にあなたも消さなきゃならない」
ケイ「…えっ」
アリサ「こんなの見られた以上生かして帰すわけがないでしょう?」
ケイ「ま、待って落ち着いてアリサ」
ケイ「私はここで何も見なかった、そういうことにするから…ね?」
アリサ「…今までお世話になりました、隊長」ドッ
ケイ「うぐっっ!!…いつの間に…包丁なんて……」
アリサ「…あなたが憎い」
アリサ「私には無いモノを全部持ってて、それを鼻にもかけず明るく振る舞う」
アリサ「それにタカシの心まで奪い去っていった」
アリサ「そんなあなたが!私はどうしようもなく憎い!!」ゴリッ
ケイ「がっっ…」バタ
アリサ「大丈夫、ですよ、私は、あなたのこと、尊敬してますから」グサッグサッ
ケイ「うっ、ぐっ、がっ、ごぉっ、あ゙っ」
アリサ「あなたの死体を、魚のエサになんか、しませんから」グサッグサッ
ケイ「っ、っ、っ……」
アリサ「あなたも“ずっと一緒に”いてもらいます、隊長」
ケイ「ごふっ……」
アリサ「安心してください」
ケイ「…うわあああああ!!!」
ナオミ「わっ、どうしたのいきなり」
ケイ「はぁはぁはぁ…ゆ、夢…?」
ナオミ「ああずいぶんうなされていたよ」
ケイ「はぁ、なんだ…」
ナオミ「寝るのは結構だけど」
ナオミ「自分からテスト勉強に付き合ってといったのに、開始10分で居眠りし始めて…」
ナオミ「その上図書館で叫びながら目覚めるのはどうかと思うな」
ケイ「ゴ、ゴメンナオミ」
ナオミ「まあいいけど…どんな夢を見てたの、そんなに汗かいて」
ケイ「アリサに刺されて殺される夢を…」
ナオミ「それはまた…変わった夢ね」
ナオミ「殺される夢は実は吉夢だというし良かったじゃない」
ナオミ「今度のテストもうまくいくかもね、寝てても」
ケイ「うっ…ゴメンってナオミ、今度バーガーおごるから」
ナオミ「ふっ、ちょっとからかってみただけだよ」
ナオミ「それにしてもアリサか…」
ケイ「?」
ナオミ「ケイは聞いてない?アリサのボーイフレンドの噂」
ケイ「えっ」
ナオミ「この前の寄港日に告白して付き合い始めたらしいよ」
ナオミ「あの例のタカシってのと」
ケイ「…えっ」
終
2 ボイスジャック
「…子……麻子!」
「ほら、起きて!」
麻子「んぁ…」
沙織(cv:ささきいさお)「昼寝の時間は終わりだよ!もう授業始まるんだから!」
麻子「!!!???」
麻子(沙織がどこかで聞いたことのある物凄いダンディーな声で喋っている…)
麻子(寝ぼけているのか?それとも耳か頭がおかしくなったのか?)
優花里(cv:大塚明夫)「冷泉殿に起きていただかないとⅣ号は動きませんからね」
華(cv:山路和弘)「また私が運転しましょうか?」
みほ(cv:玄田哲章)「麻子さんがどうしても起きないならお願いしようかな」
麻子(なんだこれは…どういうことだ)
麻子(あんこうチーム全員が顔に似合わぬ重厚な声になっている)
麻子(いくら低血圧とはいえ、ここまで盛大に寝ぼけたことは今まで無かったんだが…)
麻子(とりあえず起きよう)
沙織(cv:ささきいさお)「あっ、やっと起きた」
麻子「な、なあ沙織」
沙織(cv:ささきいさお)「ん、何?」
麻子「体の調子はどうだ?風邪ひいて喉がイカレたりしてないよな?」
沙織(cv:ささきいさお)「うん大丈夫だけど…どうしたの?まだ寝ぼけてるの?」
麻子「いやなんでもない、気にしないでくれ…」
麻子(さすがに頭が冴えてきたから寝ぼけてるわけじゃない)
麻子(音は普通に聞こえてるし、別に頭がおかしくなった気もしない)
麻子(となると…)
麻子(…いや何が起きているか分からん、とりあえず授業だ)
みほ(cv:玄田哲章)「麻子さん、右に回避!」
麻子「あ、ああ…」
>典子(cv:池田秀一)「隊長、我々はどうすれば?」
みほ(cv:玄田哲章)「引き付けている二両をC地点までそのまま誘導してください」
>典子(cv:池田秀一)「了解しました!」
麻子(…この異常な状況にも慣れつつある)
麻子(人間の適応力ってすごいな)
麻子(どうやら他のチームの人たちもあんこうチームの面々のようになっているようだ)
麻子(でも私の声が変わっていないことを指摘してくる人はいなかったし)
麻子(逆に自分や周りが渋い声で話していることに違和感を感じているような人もいなかった)
麻子(…やっぱり意味が分からん、なんだこの状況は)
沙織(cv:ささきいさお)「いや~戦車の後のお風呂はいいね~」
華(cv:山路和弘)「そうですね」
麻子(結局よく分からないまま戦車道の授業は終わった)
麻子(…頭が痛い、それに眠くなってきた)
沙織(cv:ささきいさお)「麻子、こんなところで寝たら溺れちゃうよ!」
麻子(そんなことは分かってる、でもどうしようもなく眠いんだ…)
華(cv:山路和弘)「麻子さん、お気を確かに!」
優花里(cv:大塚明夫)「冷泉殿!」
みほ(cv:玄田哲章)「麻子さん!」
麻子(うるさい、もう話しかけないでくれ…)
麻子(私までダンディーボイスで話しだしそうになるじゃないか…)
ゴボボボ…
麻子「…もがっ……」
麻子「……」
麻子(…おかしな夢だった)
麻子(この前沙織が見たいって言って、見に行った映画のせいか?)
麻子(銃声やら爆発やらでロクに寝られなかった記憶しかないが…)
麻子(まあいい、目が冴えてしまっているから学校行く準備でもするか)
麻子(…本当に夢から覚めたよな?私まで謎の声変わりしてないよな?)
麻子(cv:中田譲治)「あー、あー……」
麻子(cv:中田譲治)「…な…」
麻子(cv:中田譲治)「なんじゃこりゃああああ!!!」
終
3 一人にしないで
「きゃー!忍様ー!」
「カッコいいですー!」
典子(今日は文化祭だ)
典子(河西がバンドの助っ人としてステージに上がっている)
典子(制服の上着を腰に巻いて、腕まくりをして…)
典子(確かにカッコいい、騒がれるのも分かる気がする)
典子(でも、どうしてだろう)
典子(胸がモヤモヤするというかなんというか…)
典子「……」
典子(そういえば佐々木と近藤はどこにいるんだろう)
典子(ちょっと探してみよう)
典子(…佐々木は演劇部の助っ人として体育館にいた)
あけび「ヨカナーンの首を!」
典子(“サロメ”という劇らしい)
典子(佐々木は主役のサロメを演じている)
典子(普段の佐々木から想像できないオーラ…)
典子(知らなかった、こんな演技力があったなんて)
典子(…そういえば一年生の三人のことはよく知らないな)
典子(私だけ学年が違うというのもあるだろうけど…)
典子「……」
典子(…近藤はどこだろう)
典子(さっきからメッセージを送っても既読にならないし…)
妙子「キャプテン!」
典子「おお!近藤!」
妙子「メッセージに気づかなくてすみません、ちょっと忙しくて…」
典子「忙しい?」
妙子「はい、私のクラス模擬店やってるんです」
妙子「かき氷なんですけど予想外に売れて」
典子「ああ…9月も終わりに近いのに今日は暑いからな~」
「妙子ちゃーん!」
妙子「あっすいませんキャプテン、休憩は終わりみたいです」
妙子「また後で!」
典子「……」
典子(行ってしまった…)
典子(…部活の時とはまた違う楽しそうな顔)
典子「はぁ…」
典子(昨日は三人とも私が見たことのない表情をしていた)
典子(まさかバレーやめたりとかは…)
典子(…ないない!部を復活させるまで私についてきてくれるはずだ)
典子(はずだ…)
典子(それにしてもあの三人遅いな)
典子「……」
典子(あっ、来た!)
典子(あれ?なんで三人とも制服のままなんだ…?)
典子「遅いぞ!早く着替えて…」
忍「…すみません、キャプテン」
妙子「私たちバレーをやめることにしたんです」
典子「え…な、何言って…」
典子「部を復活させるまで一緒に頑張るって言ってくれたじゃないか…!」
あけび「でもなかなか人は集まらないし…」
忍「チームとして対外試合もできてないじゃないですか」
典子「それは…まあそうだけど、でもどうして!」
あけび「演劇部から正式に部員になってほしいと言われたので…」
忍「私は軽音楽部からスカウトを受けました」
妙子「もっと放課後に同じクラスの友達と遊びたくなったからです」
典子「そんな…」
忍「短い間ですけどお世話になりました」
妙子「私たちはやめちゃいますけど…」
あけび「応援してますよ、キャプテンのこと」
典子「ちょ、ちょっと待って…」
典子(ダメだ、三人を引き留められない)
典子(元々私が無理に引き込んだんだ…)
典子(…嫌だ……)
典子(私はまた一人になるの…?)
典子「待って!」
典子(聞こえていない…三人の背中がどんどん遠くなっていく…)
典子(お願いだから待って、私を一人にしないで…)
典子(寂しいよ…)
典子(近藤、河西、佐々木…)
典子「……」
典子「…まって……!」
典子(…なんだ、夢か)
典子(もう朝練の時間だ、早く学校に行かないと)
典子(あれは本当に夢?体育館に行っても誰もいないとか…)
典子(…とりあえず行ってみよう)
典子(…あっ!)
あけび「おはようございます!」
妙子「珍しいですね、キャプテンが最後なんて」
忍「早く四人で練習しましょう!」
典子(“四人で”…)
典子「ひっく…うう……」
妙子「わっ、どうしたんですか急に泣き出して!?」
典子「三人は…ずっと私についてきてくれるよね…?」
あけび「当たり前じゃないですか」
忍「卒業するまで、いや…」
妙子「卒業してもついていきますよ、キャプテン!」
典子(ああ良かった、やっぱりあれは悪い夢だったんだ…)
典子(よし!キャプテンとしてこの三人のためにも頑張らないと!)
終
4 泥水
「それでまたあの子が…」
「ふふ、いつもしょうがないわね」
「まったく笑い事では…!」
オレンジペコ「……」
オレンジペコ(なにかおかしい)
オレンジペコ(普段と特に変わりないはずなのにどこか違和感を感じる)
オレンジペコ(気のせいだろうか…)
「あらどうしたのスプレモ、そんなに黙りこくって」
オレンジペコ「はいぃ?スプレモ?」
「あなた自分の名前を忘れてしまったの?」
スプレモ「あの一応確認ですけど、お二人の名前は…?」
ブルーマウンテン「私はブルーマウンテンで、彼女はマンデリンよ」
マンデリン「先輩の名を忘れるなんて感心しないわね」
スプレモ「す、すみません」
スプレモ(どういうことなの…)
スプレモ(ダージリン様がブルーマウンテンで、アッサム様がマンデリン?)
スプレモ(イギリスがモデルの学校でコーヒー由来のニックネームなんて)
スプレモ(って、あ!)
スプレモ(よく見たら今飲んでいるのはコーヒー!)
スプレモ(クラブハウスの名前に真っ向からケンカを売るチョイス…)
スプレモ(一体どうなっているの?)
ブルーマウンテン「今日も良い香りね」
マンデリン「ええ」
スプレモ(良い香りもなにも、目の前にあるのはネスカフェバリスタ!)
スプレモ(うちの財力なら本式のエスプレッソマシンだって導入できるだろうに)
スプレモ(ダージリン様、もといブルーマウンテン様はいつからそんな貧乏嗅覚に…)
スプレモ(というかブルーマウ…ああ、めんどくさい!)
スプレモ(ダージリン様はコーヒーが苦手なはず)
スプレモ(砂糖とミルクを大量投入しないと飲めないから、それを隠すために紅茶を常飲しているぐらいだし)
スプレモ(大体この二人とも“コーヒーは泥水”とか公言していたはずなのに…)
スプレモ「あのブ、ブルーマウンテン様…」
ブルーマウンテン「何かしら?」
スプレモ「紅茶は召し上がられないのですか?」
マンデリン「……」
ブルーマウンテン「…ついに正体を現したわね」
スプレモ「え?」
マンデリン「ケニア、ピーベリー、やっておしまい!」
ケニア「はい、ただいま!」
ピーベリー「ついにボロを出しやがりましたですわー!」
スプレモ「え?…うわっ!」
スプレモ(ルクリリ様とローズヒップ、もといケニア様とピーベリーに取り押さえられた!)
ブルーマウンテン「前々からあなたのことは怪しいと思っていたのよスプレモ」
ブルーマウンテン「もとい、オレンジペコ」
オレンジペコ「!」
マンデリン「私たちコーヒー党の中枢にまでスパイを送り込むとは…」
ブルーマウンテン「ティーレジスタンス共も侮れませんわね」
ケニア「こいつどうしますか、ブルーマウンテン様」
ブルーマウンテン「ただ帰すのも惜しいし“お仕置き”でもしましょうか?ねぇ、マンデリン」
マンデリン「準備は完了しております、ブルーマウンテン」
ブルーマウンテン「さすがね、さて…」
ブルーマウンテン「紅茶なんて泥水を信奉する輩には神聖なるコーヒーの洗礼を施さないとね」
オレンジペコ「意、意味が…もがが…」
ピーベリー「ブルーマウンテン様、やっちゃってくださいですわ!」
オレンジペコ(え、まさかコーヒーを飲まされるの?)
オレンジペコ(私もダージリン様ほどじゃないけどコーヒーはちょっと…)
オレンジペコ(ちょっとどころじゃない!本当に苦いのダメだから!)
オレンジペコ(お願い、やめて…)
オレンジペコ「いやあああああっ!!!」
オレンジペコ「がっ……」
オレンジペコ(…夢?)
オレンジペコ(…疲れてるのかな、私)
オレンジペコ(あっもうすぐ朝のティータイム!)
オレンジペコ(早くクラブハウスに行かないと!)
オレンジペコ(あれ?)
ケイ「グッモーニン、ペコ!今日もよく晴れてるわね!」
オレンジペコ「おはようございます…」
オレンジペコ(そうだ昨日ケイ様がダージリン様を訪ねてきてそのまま泊まったんだった)
オレンジペコ(ん?だとすると…)
オレンジペコ「あの、ダージリン様はどちらに?」
ケイ「あ~ちょっと身支度に手間取ってね、そろそろ来るはずだけど」
ダージリン「…遅くなって申し訳ありません」
ケイ「もう~遅いよダーリ~ン」
ダージリン「誇りある名前を勝手に略さないでくださる?」
ケイ「いいじゃない、お堅いこと言わないでよ」
ダージリン「はぁ…あ、そうだわペコ」
オレンジペコ「はい?」
ダージリン「今朝はお茶を淹れなくてもいいわ」
ケイ「私がコーヒー淹れてあげるから、楽しみにしといて!」
オレンジペコ「!?」
ダージリン「私はコーヒーが苦手だと何度も言っているでしょうに」
ケイ「え~私の淹れたコーヒーでもダメ?」
ダージリン「それは…まあやぶさかではありませんが…」
オレンジペコ「!!??」
オレンジペコ(そ、そんな…)
オレンジペコ(“朝は日の出でも朝食でもなく、一杯の紅茶から始まるのよ”と常々言っているダージリン様が…)
オレンジペコ(それに、一瞬だけ見せた“雌”の顔…)
オレンジペコ(私はまだ夢を見ているのだろうか…?)
終
5 ペコ愛ずる女王
オレンジペコ「……」
ダージリン「……」
ダージリン(ああ、たまらない…)
ダージリン(前を歩くペコから漂ってくる甘い香り)
ダージリン(鉄と油の匂いに混ざって私の鼻腔をくすぐってくる)
ダージリン(なんて、すばらしいのかしら!)
ダージリン(体の奥の方がきゅっと熱くなる)
ダージリン(汗ではないナニカが滴り落ちるのを感じる…)
ダージリン(…はっ!)
ダージリン(私は何を考えているのかしら、はしたない)
ダージリン(ペコは可愛いけれどただの後輩、それに同じ女の子)
ダージリン(それなのに…)
オレンジペコ「…どうされました、ダージリン様?」
ダージリン「え、えっ何がかしらペコ?」
オレンジペコ「どこか上の空といったご様子だったので…」
ダージリン「あぁ…そう!ちょっと戦術について考え事をね、おほほ…」
オレンジペコ「?…それならいいですけど…」
ダージリン(…ほっ、なんとかごまかせたようね)
ダージリン(それにしても私を見上げてくるペコの目…)
ダージリン(私に邪な思いを抱かれているとは露ほども考えていない純真な瞳…)
ダージリン(あぁっ、ぞくぞくするわ!)
ダージリン(私のこの想いをぶつけたらペコはどんな顔をするかしら?)
ダージリン(ペコの目はどんな風に曇るのかしら?)
ダージリン(それとも…)
ダージリン(私がペコを愛しているように、ペコも私を愛してくれるかしら?)
ダージリン「……」
ダージリン(…制服に着替えてから不快な匂いが消えてペコそのものの香りが強くなった)
ダージリン(頭がクラクラする)
ダージリン(私の邪心を食らって肥え太った魔物が、今にも私を乗っ取ろうとしている)
ダージリン(ペコの淹れてくれた紅茶も、ケーキも、サンドウィッチも)
ダージリン(ただの水や粘土のようでまるで味を感じない)
ダージリン(このままでは自分でも理解できない行動に走りかねない…)
ダージリン(…そうだわ)
ダージリン(ペコの香りをこんな焦らされるような形で嗅がされるのがいけないのよ)
ダージリン(きっとそうよ!)
ダージリン(いっそのこと思う存分、この乾いた心が潤うまで堪能できれば…)
オレンジペコ・アッサム「……」
オレンジペコ「(アッサム様…)」
アッサム「(何かしら?)」
オレンジペコ「(今日のダージリン様、ご様子がおかしくないですか?)」
アッサム「(ええ、やけに静かで心ここにあらずというか)」
オレンジペコ「(どうされたんでしょうか?)」
アッサム「(さぁ…でもダージリンだって色々と思う事があるのでしょう)」
アッサム「(いつも悠然としているけど、完璧超人というわけではないはずだから)」
オレンジペコ「(それならいいのですが…)」
ダージリン「…二人とも」
オレンジペコ・アッサム「「!」」
ダージリン「忘れ物を思い出したから少しロッカールームに行ってくるわ」
アッサム「え、えぇ…」
ダージリン「……」
ダージリン(私が声をかけた時やたら驚いていたわね…)
ダージリン(大きな声を出したつもりはなかったのだけれど)
ダージリン(そんなことよりペコのジャケットよ)
ダージリン(…きっと素晴らしいはずだわ)
ダージリン(歩く時に起こるわずかな気流にのってくる香りだけであれだけ昂るのだから…)
ダージリン(きっと…)
ダージリン(確かペコのロッカーは…ああ、これね)
ダージリン(さっきまでペコが身につけていたジャケットは…)
ダージリン(…あった)
ダージリン(はぁ…手に持っただけなのに胸が高鳴る、頭が煮え立つ!)
ダージリン(……)
ダージリン(ん~~~!!!♪)
ダージリン(ペコの香りが体全体に染み渡っていく)
ダージリン(心が満たされていく)
ダージリン(でもどうしてかしら…)
ダージリン(どうしてまた渇きを感じ始めているのかしら…)
「…ダ、ダージリン様……」
ダージリン「!」
オレンジペコ「それ私の…」
ダージリン「これは、その…」
オレンジペコ「忘れ物なんて嘘だったんですか…?」
ダージリン「……」
オレンジペコ「今日様子がおかしいと思っていたらこんなことを考えていたんですね」
ダージリン「……」
オレンジペコ「なんとか言ってくださいよ!」
オレンジペコ「この、変態っ!」
ダージリン「っ、ペコ…!」
オレンジペコ「きゃあああっ!」
オレンジペコ「ど、どいてください!何するんですか!」
ダージリン「…あなたが悪いのよ」
オレンジペコ「え…?」
ダージリン「あなたの目、あなたの唇、あなたの声、あなたの香り…」
ダージリン「あなたの全てが私を狂わせたのよ」
オレンジペコ「ひっ…!」
ダージリン「可愛らしい悲鳴ね、ペコ…」
ダージリン「食べちゃいたくなるくらい」
オレンジペコ「どうして…私の知るダージリン様はこんなこと…」
ダージリン「“心には魔物が棲む、その魔物は闇を食らって肥え太りやがて全てを飲み込む”のよ」
オレンジペコ「それは…誰の格言ですか…?」
ダージリン「私よ、それに…私自身のことでもあるわ」
オレンジペコ「くっ…ううっ……!」
ダージリン「ああ、私のかわいいペコ」
ダージリン「泣かないでちょうだい、私にすべてを委ねてちょうだい」
ダージリン「私の“愛”を受け止めてちょうだい、ペコ…」
ダージリン(怯えた目、少しずつ流れる涙、力なく抵抗する細腕…)
ダージリン(今私はペコを支配しつつある)
ダージリン(…この制服邪魔ね)
ダージリン(どうせ今の時間ここには誰も来ない)
ダージリン(それなら…)
ダージリン(肌と肌を直接触れ合わせて“愛して”あげても誰にも見られないわよね…)
「……ジリン…!…オレ…ペコ……!」
ダージリン(!、アッサムが来たのかしら…)
オレンジペコ「っ!」
ドンッ!
ダージリン「きゃあ!」
ダージリン(そんな…組み敷かれた体勢からこんなに突き飛ばせるなんて…)
ゴンッ!
ダージリン「…はっ……!」
ダージリン(夢…?)
ダージリン(なんて奇妙な夢…)
ダージリン(ペコ相手にあんな…)
ダージリン「……」
ダージリン(あぁ…ティータイムの途中でイスに座ったまま寝てしまっていたのね)
ダージリン(…外が随分暗くなっている)
ダージリン(ペコもアッサムも私を置いて帰るなんて薄情ね)
ダージリン(さて私も帰らないと…)
ガキン!
ダージリン(両手両足が手錠でイスにつながれている!誰がこんなこと…)
「目を覚まされたんですね、ダージリン様」
ダージリン「ペコ…」
オレンジペコ「ずいぶん長くお眠りになっていたので分量を間違えたかと思いましたよ」
ダージリン「分量?どういうこと?それよりペコ、これを外してちょうだい!」
オレンジペコ「嫌です、ダージリン様には“教育”が必要ですから」
ダージリン「“教育”…?」
オレンジペコ「…どうして、気づいてくれないんですか?」
ダージリン「な、何に?」
オレンジペコ「私の気持ちに、ですよ」
オレンジペコ「アッサム様よりも、ルクリリ様よりも、聖グロリアーナ、いえ世界のだれよりも…」
オレンジペコ「ダージリン様の近くにいてダージリン様を愛しているのに」
ダージリン「ひぃっ…!」
オレンジペコ「可愛らしい悲鳴ですね、ダージリン様」
オレンジペコ「でも…すぐに別の悲鳴をあげることになりますよ」
オレンジペコ「ああ、そんなに怯えないでください」
オレンジペコ「痛めつけたりはしませんから」
オレンジペコ「だから私にすべてを委ねてください」
オレンジペコ「“私のダージリン様”」
ダージリン(何なのよこれは…)
ダージリン(お願い、夢なら覚めて…!)
終
ちょっと危ない表現あって注意書きするの忘れたけど
許してくださいなんでもしますから
html化依頼してきます
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510070110/
Entry ⇒ 2018.03.24 | Category ⇒ ガールズ&パンツァー | Comments (0)
まほ「お見合い作戦だ」
エリカ「はい!」
まほ「…………」
まほ「…………」スッ
エリカ「ッ!?」ビクッ
まほ「…………」
エリカ(な、なに……?隊長が私に向けて腕を開いてる……)
エリカ「た、隊長?」
まほ「………………」ゴゴゴゴゴゴ
エリカ(こ、恐っ!えっ、怒ってる?怒ってるんですか隊長!)
エリカ(……ひょっとしてこれ、胸に飛び込んで来い的な感じなんじゃないの?ハグだなんて隊長がサンダースみたいなことをやるとは思えないけど……)
エリカ(ええい、行くのよエリカ!隊長に抱きしめてもらえる機会なんてもう無いかも知れないんだから!)
まほ「エリカ……!」
エリカ「隊長……!」
まほ「…………」グッ
エリカ「……ん?」
まほ「…………」ギュゥゥゥゥゥゥゥゥ
エリカ(ぐ、ぐあぁぁぁぁぁぁ!!!!折れる潰れる!色々やばいですっ隊長!)
エリカ「た、隊長っ……!ま、待っ……!折れ、るぅ……」
まほ「…………」スンスン
エリカ(弱まるどころかさらに強く……!このままじゃ確実に死ぬ……!)
エリカ(私何かしましたか!?あれですか、着替えのとき隊長のことチラチラ見てたのバレちゃいましたか!?)
エリカ(……あ、隊長、いい匂い)
エリカ「かは……っ……」
エリカ「」
まほ「……ん?え、エリカ!?しっかりしろ!エリカ!」
エリカ「あ、はい!」
まほ「エリカに作ってきたんだが、よかったら食べてもらえると嬉しい……」
エリカ「!」
エリカ(こ、これは……!隊長の手作りカレー!夢みたいだわ!)
エリカ「いいんですか!」
まほ「ああ。初めてだから、あまり自信はないんだが」
エリカ「いえ!それじゃあ、早速……いただきます!」
エリカ「――――!」
エリカ(野菜もお肉もいい具合で見た目も綺麗なのに、なんでこんなに味が尖ってるんですか!!!!)
まほ「……どう?」
エリカ「お、おいひいです……!」
まほ「そうか!実はお母様にも美味しいと言ってもらえたんだが、翌日まで顔を合わせてくれなくてな……本当は美味しくないんじゃないかと心配してたんだ」
エリカ(隊長、多分それ唇が腫れたせいだと思います)
まほ「おかわりも用意してあるから、お腹いっぱい食べてくれ」
エリカ「」
隊員A「ぶふっ!逸見……その唇……あははっ!」
隊員B「そ、そんな笑っちゃだめですよ……!くふっ」
エリカ「うるっさいわね!いいでしょ、唇のことは!」
隊員C「……ぷっ」
エリカ「わかった。唇見て笑ったやつ全員ティーガーの履帯担いで学園艦10周ね」
「「「すみませんでした!!!!!」」」
エリカ「隊長……?」
まほ「あばよ涙、よろしく勇気!」
エリカ「えっと……」
まほ「…………」
エリカ「……すみません、分からないです」
まほ「…………」
まほ「こんな格言を知っているか?」
エリカ「あ、あの……」
まほ「絶対にゆ゛る゛さ゛ん゛ッ!!!!」
エリカ「っ!?」ビクッ
エリカ「すっ、すみませんでしたァ!調べて出直しますっ!!!!」
まほ「あっ、エリカ……」
小梅「宇宙刑事ギャバンがコンバットスーツを蒸着するタイムはわずか0.05秒にすぎない!」
小梅「では、蒸着プロセスをもう一度見てみよう!」
小梅「……って、なんですかコレ」
エリカ「あばよ涙、よろしく勇気よ!」
小梅「いや、だからなんですかコレ」
まほ「ありがとう、エリカもお疲れ」
まほ「聞きたいことがあるんだが、いいか?」
エリカ「はい!なんでも聞いてください!」
まほ「……エリカはお見合いの経験はある?」
エリカ「へっ……?いや、ないですけど」
まほ「そうか」
エリカ「ど、どうかされたんですか?」
まほ「実は明日、お見合いをすることになった」
エリカ「」
エリカ「」
まほ「もしかしたら私は明日、顔も知らない相手と婚約することになるのかもしれない……」
エリカ「」
まほ「時間を取らせてすまなかった。準備があるから私はもう帰るよ」
エリカ「」
小梅「あれっ?エリカさん、こんなところでどうしたんですか?エリカさん?」
小梅「……し、死んでる……」
まほ「はい。……お母様」
しほ「なにも言わないでいいわ。あなたは先に待ってなさい」
しほ「こんなことしたくはないけど、仕方ないわね」
まほ「……すみません」
しほ「行きなさい」
まほ「……はい」
まほ「…………」
小梅<さすがですね。ブランクがあるとは思えません>
エリカ「前にも潜入したことがあるみたいな言い方やめてくれるかしら」
小梅<してないんですか?>
エリカ「してないわよ!……はぁ、まだお見合いは始まってないみたいね」
小梅<あの、ところでエリカさんは潜入してどうするつもりなんですか?>
エリカ「それはもちろんこのお見合いを破壊……じゃなくて隊長にふさわしい相手かどうか見極めるのよ」
小梅<今、破壊って……>
エリカ「仕方ないでしょ!毎晩隊長とイチャイチャラブラブする妄想して安眠を得ているのに、昨日は胃が張り裂けそうで一睡もできなかったんだから!」
エリカ「もしも隊長にふさわしくないやつだったらカリブ海に沈めてやるから覚悟しなさい!」
小梅<とっとと告白しちゃえばいいのに……>
エリカ「……今さらそんなことしたら隊長に迷惑じゃない。それに私なんかが……」
小梅<あっ、そろそろ始まるみたいですよ、ヘターレ>
エリカ「誰がヘタレよ!まずあんたから沈めるわよ!」
エリカ「……さて、どんなやつなのかしら?」チラッ
エリカ(……えっ、ええええええええ!?隊長のお見合い相手ってダージリンだったの!?)
エリカ(少なくとも顔も知らない相手との婚約は避けられそう……なんて言ってる場合じゃないわ)
ダージリン『お見合い、受けてくださって嬉しいわ』
まほ『今日はよろしく頼む』
ダージリン『これ、お土産のうなぎのゼリー寄せよ』
エリカ(初っ端から嫌がらせかしら)
まほ『ありがとう』
ダージリン『マカロンを持って来ようと思ったのだけれど、マカロンを好きなのはみほさんでしたものね』
ダージリン『今後のためにまほさんの好物を教えてくださる?』
まほ『好物か。私はカ――――』
ダージリン『まさかカレーやハンバーグなんていう子供っぽいものではないわよね?』
エリカ(子供っぽくて悪かったわね!)
エリカ(ウソついた!隊長とっさにウソついた!そんなもの食べたことないってこの前言ってたじゃないですか!)
ダージリン『そう、アイスバイン。おいしいですわよね』
まほ『!』
エリカ(えっ食べたことあるの?まずい、このままアイスバインで話が広がったら隊長のボロが出るのも時間の問題……)
ダージリン『あの、こう、サクサクしてて……』
エリカ(してないわよ!あんたも食べたことないんじゃないの!)
まほ『あ、あぁ!そうそう、サクサクしてるんだ」
エリカ(サクサクしてないですから!ダージリンが適当なこと言ってるだけですから!)
ダージリン『趣味のほうは?』
まほ『チェスだな。ダージリンはどうだ?』
ダージリン『私は紅ty――――』
まほ『まさか聖グロの隊長の趣味が、紅茶なんてありきたりな答えではないと思うが』
ダージリン『趣味は修行ですの』
エリカ(あんたもウソついてんじゃないわよ!修行が趣味なんて聞いたことないわよ!)
ダージリン『当然ですわ』
まほ『どんな修行をしてるんだ?よかったら教えてくれ、今後の参考にしたい』
ダージリン『え……亀の甲羅を背負って牛乳配達したり、100倍の重力下で紅茶を飲んだり時間の流れが違う部屋に缶詰めにされたり、ですわね……』
エリカ(紅茶以外丸々ドラゴンボールじゃないの!)
まほ『なら、もうかめはめ波くらいは撃てるようになったんじゃないか?ちょっとやってみてくれ』
エリカ(謝っちゃいなさい!恥をかく前に謝っちゃいなさい!今なら冗談で済むんだから!)
ダージリン『え゛……いえ、ここで撃ってしまったらこの部屋が壊れてしまうのではなくて?』
まほ『大丈夫、この家は特殊なカーボンで守られている』
ダージリン『い、いや……』
まほ『さぁ早く』
ダージリン『う……』
ダージリン『……波ァッーーーーー!!!!!!』
まほ『…………』
ダージリン『……あ、あの』
まほ『……ふっ』
ダージリン『~~~~っ///』
エリカ「泣きながら帰っていったわ。私じゃあどうしようもできなかったのよ……」
エリカ「まぁ、この様子じゃあ破談ね。安心したらお腹すいたわ。帰りにハンバーグでも食べていこうかしら」
小梅<待ってください!また誰か来ますよ!>
エリカ「えっ!?ちょっと、お見合いって連続でするものなの!?」
小梅<今度はサンダースのケイさんですね>
エリカ「知り合いばかりじゃない!どうなってるのよ!」
小梅<西住流としては優秀な遺伝子が欲しいんでしょうね。だから今日は戦車道が盛んな各校の隊長が呼ばれてるみたいです>
小梅<隊長たちも西住流宗家に嫁入りして隊長をモノにできるんですから悪い話じゃないでしょうし>
エリカ「なによそれ、ちょっと家元のところに行ってくるわ!」
小梅<あー!待って、待ってください!いま家元のところに直談判なんてしたらアレですよ!それこそ隊長の立場が危うくなって顔も知らない人と婚約させられることになっちゃいますよ!>
小梅<ここぞというときにしましょう!ねっ?そのほうがいいですって!>
エリカ「……そ、そうね。ちょっと頭に血が上っちゃったわ」
小梅<あ、ほら、ケイさんが入ってきましたよ>
まほ『わざわざすまない』
ケイ『いいわよ、気にしないで。まほの将来のためなんだから!』
ケイ『これお土産のレインボーケーキよ』
まほ『七色のケーキか』
エリカ(なんであんたら初っ端から嫌がらせかましてくんのよ!)
ケイ『ところで、まほってどんな人がタイプなの?』
エリカ(!)
エリカ(も、ものすっごく気になる……!)
まほ『タイプか。あまり気にしたことはないが、あえて言うなら芯の強い人がいい』
まほ『それと普段はしっかりしてる分、ふと気を抜いた時の可愛らしさがあるといいな』
まほ『例えばパジャマがフリフリだったり』
エリカ(気にしたことないって言ってた割に結構がっつり言うんですね……)
エリカ(世の中丸ごとひっくり返してもさせてもそんな運命出てこないわよ!)
ケイ『そうと決まればさっそく式を挙げましょ!』
エリカ(なぁに隊長に抱き着いてんのよぉ!嫌がってるじゃないの!)
まほ『ちょ、ちょっと近いぞ……』
エリカ(でも照れてる顔も可愛いです、隊長!)
ケイ『まほ、んー』
エリカ(ちょっ、ちょっと!!キスなんてしたらバミューダトライアングルのど真ん中に沈めてやるわよ!!!!)
まほ『ま、待て、それはダメだ……』
エリカ(そうよ、ダメですよね隊長!)
ケイ『……あ、そうそう!結婚する前に聞いておきたいことがあるんだけど』
エリカ(結婚させないから聞かなくていいわよ、さっさと帰ってちょうだい)
ケイ『まほって目玉焼きには何をかけるの?』
エリカ(はぁ?なによそのくだらない質問は……)
まほ『醤油だ』
ケイ『はぁ、オーマイゴッド……』
ケイ『普通、目玉焼きにはケチャップでしょ!?』
エリカ(どうでもいい!死ぬほどどうでもいいわ!)
まほ『ケチャップだと!?そんな、あり得るはずがない!ふざけているのか!』
エリカ(すみません隊長、二人ともふざけてるようにしか見えません)
ケイ『残念だけど、あなたとは結婚できないわ』
まほ『あぁ、私も同じことを思っていた』
ケイ『でも、戦車道は別よ!また今度やりましょ、バーイ』
エリカ(えっ…………)
エリカ(えぇぇぇぇぇぇ!?目玉焼き一つでお見合いって破談になるものなの!?そういうものなの!?)
エリカ(で、でもまぁいいわ。これでサンダースも潰れて残るは4校……)
エリカ(まとめて叩きつぶしてやるから覚悟しなさい!)
小梅<は、はぁ……>
エリカ「それで次はどこの学校なのかしら?」
小梅<次はアンツィオ高校みたいですね>
エリカ「ということはアンチョビね。いいわ、あのウィッグを引きちぎって耳かじられたドラえもんみたいにしてやろうじゃない!」
エリカ「というか小梅、あんたどこにいるの?」
小梅<えっ、どうしたんですか急に>
エリカ「どうして相手が部屋に入ってくる前から誰が来るのか知ってるのよ。近くで見てるんでしょ?」
小梅<…………>
エリカ「ちょっと」
小梅<ただいま電話に出ることができません>
エリカ「おいコラ」
まほ『安斎、よく来てくれた』
アンチョビ『ア・ン・チョ・ビ!安斎と呼ぶな!』
アンチョビ『あとこれはお土産のティラミス』
エリカ(へぇ、まともな物を持ってくるやつもいるのね)
アンチョビ『のレシピだ』
エリカ(せめて完成品を持ってきなさいよ!!!!)
まほ『ありがとう』
アンチョビ『……いやぁ、緊張するな~。お見合いなんて小説でしか見たことないぞ』
まほ『恋愛小説が趣味だったな。実際にそういった経験はあるのか?』
アンチョビ『あ、あるわけないだろ!そういうお前はどうなんだ、初恋とか!』
まほ『い、いや私のことはいいじゃないか……』
エリカ(え、この反応なんですか?あるんですか、あるんですか!?)
まほ『ダメだ』
アンチョビ『言~え~よ~西住~!』
エリカ(なにいつの間に布団並べて寝転んでるのよ!修学旅行じゃないのよ!)
アンチョビ『西住が言ってくれたら私の初恋も教えるから。なっ?』
まほ『本当か?ウソじゃないだろうな?』
アンチョビ『ほ、本当だとも、うん……』
エリカ(隊長、そいつウソついてます!目が泳ぎまくってます!)
まほ『…………あれは、子供のころにみほと戦車に乗って散歩していたときだ』
エリカ(えっ話しちゃうんですか?いや、でも隊長の初恋話は確かに気になる……)
まほ『いきなり声をかけられてな。戦車から乗り出すと、そこには銀髪で可愛い服を着た女の子がいたんだ』
まほ『私とみほはその子に、子供だけで戦車に乗るのは危ないと怒られてしまったんだが』
まほ『あのときは何を思ったのか、二人がかりで無理やりその子を戦車に乗せて走り出したんだ』
まほ『最初は降ろしてくれと泣きじゃくっていたものの、いつの間にか泣き止んでとびきりの笑顔を浮かべていたよ』
まほ『……私はその笑顔にすっかり見惚れてしまっていた。別れ際にまた会う約束をしたんだが、結局それ以来会うことはなかったな』
まほ『いや……』
アンチョビ『おぉ……甘酸っぱい良い思い出だな。ちょっと胸が締め付けられたぞ』
エリカ(た、隊長にあんな初恋物語があったなんて……)
エリカ(羨ましいぃぃぃ~~~~!隊長の思い出の女の子になりたい!フリフリの服買ってこようかしら……)
まほ『さて、私は話したぞ。次は安斎の番だ』
アンチョビ『おぉっと!もうこんな時間じゃないか!このままではパスタがデロンデロンになってしまう!』
アンチョビ『それじゃあ西住、私は帰らせてもらうぞ!』
まほ『あ、おい待て!話が違うぞ!』
まほ『まったく……』
小梅<どうしたんですか?ため息なんてついて>
エリカ「ため息くらい出るわよ。はぁぁぁぁぁ~、過去に戻って小さい隊長の思い出の人になりたい……」
エリカ「タイムマシンとかどこかにないかしら。あっ、あのドゥーチえもん連れ戻して来れば……」
小梅<ドゥーチえもんって誰ですか!あの人、秘密道具とか持ってないですからね!持ってたとしてもオリーブオイルとかチーズとかそんな感じですよ!>
小梅<ほら、過去ばかり見てたら進めませんよ?そうだ、こうなったら隊長の未来のお嫁さんになっちゃいましょうよ!>
エリカ「お嫁さんになりたい……隊長に抱きしめられたい……でも旦那さんになって抱きしめるのもいいわね……」
エリカ「後ろから抱きしめて恥ずかしさで真っ赤になった耳に息を吹きかけて反応を見たい……」
小梅<あーはいはい。あっ、次は継続からミカさんが来たみたいですよ>
エリカ「ん~……」
まほ『意味があるかどうかは陽が沈むころには分かるだろう』
ミカ『そうだね。おとなしく風が答えを運んでくれるのを待つとしよう』
ミカ『これはお土産だよ』
まほ『これは……?』
ミカ『継続高校の学園艦で太陽の光を浴びて伸び伸びと育った――――』
ミカ『どんぐりの帽子さ』
エリカ(もはやただのゴミじゃないの!)
ミカ『…………』グゥー
まほ『腹が減っているのか。自由に取って食べてくれ』
ミカ『お言葉に甘えさせてもらうよ』
まほ『どうだ?』
ミカ『おいしい』
ミカ『いただきます』
ミカ『これはなんていう食べ物かな?』
まほ『いきなり団子だ、うまいぞ』
ミカ『うん、おいしいね』
まほ『どんどん食べてくれ、おかわりもあるからな』
ミカ『…………』モグモグ
ミカ『……西住さん』
まほ『なんだ?』
ミカ『お持ち帰りしてもいいかな?』
まほ『構わない。なんならそれ用に作ってもらおう』
ミカ『ありがとう。こうして食事にもありつけたし、やっぱり戦車道には人生の大切なことが詰まっているね』
まほ『人生の大切なこと、か。同感だ』
ミカ『ふぅ、ごちそうさま。それじゃあ私は戻るよ』
まほ『あぁ、小腹が空いたら菊代さんに頼んでみんなと菓子でも食べていてくれ』
ミカ『…………』ポロロン
エリカ(…………)
エリカ「タダ飯たかりに来ただけじゃないの!一体何しに来たのよ!?」
小梅<お、落ち着いて!落ち着いてくださいエリカさん!>
小梅<向こうに隊長と婚約する意思も感じられなかったですし、よかったじゃないですか!>
エリカ「ま、まぁ、それもそうね」
エリカ「府抜けた頭が一気に冴えたわ、あんなのただのお食事会じゃない。それにしてもあいつ、涼しい顔して意外と食べるのね……」
小梅<残るは知波単とプラウダの二校ですね>
エリカ「何事もなく終わればいいわね。でもまぁ、西とカチューシャとのお見合いが成立するとは思えないけど」
小梅<油断はしないほうが……>
エリカ「そうね、万が一のことがあれば私もろともこの家ごと吹き飛ばすわ』
小梅<その物騒な考え捨てません?>
エリカ「それで?次はどっちが相手なのかしら?叩きのめしてやる」
小梅<え~っと、あっ、次はプラウダ高校みたいですね>
エリカ「ふんっ、大学選抜戦では連携したけど容赦はしないんだから」
エリカ(……お)
エリカ(思わぬ相手出てきたあああ!)
まほ『あぁ。カチューシャはどうしたんだ?』
エリカ(そ、そうよ、なんであんたが出てくるのよ!流れ的にカチューシャでしょ!?)
ノンナ『はい、カチューシャは待ちくたびれてお昼寝中です。なので代わりに私が来ました』
まほ『なるほど』
ノンナ『ちなみにカチューシャは同志クラーラに任せていますのでご安心を』
エリカ(誰も聞いてないわよ)
ノンナ『初めに言っておかなくてはならないことが一つ。まずあなたにカチューシャは渡しません。さらに言うと私も西住に嫁ごうとは思いませんので』
エリカ(いったい何しに来たのよ!)
まほ『早速破談とはな』
エリカ(……え゛っ!?)
まほ『……そうだな。私なりに攻めていたんだが、まったく気付いてもらえなかった』
エリカ(ムキーッ!どこのどいつよ!その朴念仁の唐変木は!この手でぶん殴ってやるわッ!あ゛ぁぁぁぁぁぁ!羨ましすぎて胸が張り裂けそう……)
エリカ(はぁ……たくさんアピールしても振り向いてもらえなかったのはそういうことだったのかしら……)
ノンナ『それは苦労されましたね』
まほ『あいつと顔を合わせて自分なりに近づいたり、みほや君たち戦車道の友人から受けた助言を実行するたび心臓が高鳴って仕方なかったよ』
まほ『心臓が過労で止まるんじゃないかと毎日ヒヤヒヤだったが、確かに楽しかった』
エリカ(知らなかった、隊長にそんな相手がいたなんて……ほんと、誰なのかしら)
ノンナ『そんな相手がいながらお見合いを決めたのはどうしてですか?』
まほ『私は長女として西住流を継ぐ必要がある。叶わぬ恋より、見合いで相手を決めたほうが確実だからな』
まほ『…………まぁ、というのは建前だ。本当はあいつに来てほしい』
まほ『なんなら攫ってもらってもいいかもな』
エリカ(……攫っちゃおうかしら)
まほ『まぁ、この見合いも絶対ではない。私と相手が良しとしなければ縁談が結ばれることはない』
まほ『今日がダメでも、また次がある』
ノンナ『来てくれるといいですね』
まほ『そうだな』
ノンナ『遅くなりましたがこれはお土産です。プラウダ名物のリンゴ――――』
ノンナ『を食べているカチューシャの写真です』
エリカ(だからいらないわよ!あんたが持っておきなさいよ!)
ノンナ『それでは私はもう失礼します』
まほ『ああ』
小梅<疲れてるみたいですね>
エリカ「隊長ね、好きな人がいるそうなのよ」
小梅<へ、へぇ~、そうだったんですかー初耳ですー>
エリカ「それなのに家のためにお見合いで相手を決めるなんてあんまりじゃない。隊長だって好きになった人と結ばれたいはずよ」
小梅<そうですね、すっごく結ばれたいと思ってますよ、えぇ>
エリカ「……はぁ」
エリカ「…………もう決めたわ!次の西が万が一ほんのちょっとでもいい感じになったら必ずぶち壊してやる!」
エリカ「そのあとで隊長とどこの誰だか知らない幸せ者をくっつけるサポートをするわ!」
小梅<あーはいはい頑張ってくださいね。あっ、西さん来ましたよ>
まほ『落ち着け。気楽にしてくれて大丈夫だ』
絹代『す、すみません!西住さんの着物姿がお美しく、つい緊張してしまいまして……!』
まほ『ふふっ、そうか』
エリカ(な~にちゃっかり口説いてんよぉ!服装までバッチリ決めっちゃって……)
絹代『あっ!これつまらないものですが……』
まほ『これは……?』
絹代『とらやのお菓子です!』
エリカ(…………なんでかしら、まともすぎて涙が出て来たわ)
絹代『愛車のウラヌスを走らせてまいりました!』
まほ『ウラヌス?ああ、あのバイクは西の物だったのか。しっかり手入れされているのがよくわかるよ』
絹代『恐縮です!』
絹代『もしよろしければ西住さんも後ろに乗ってひとっ走りいかがでしょう?』
エリカ(はぁ!?カーボンでコーティングされてるわけでもあるまいし、隊長にそんな危ないことさせられないわよ!)
まほ『いいのか?ならお願いしようか』
エリカ(へっ!?)
絹代『それでは、お手をどうぞ』
エリカ(ちょっ……!)
まほ『あぁ』
エリカ『西絹代!南東に突撃ーッ!』
絹代『――――はっ!突撃ーッ!』
まほ『あ、待て、どこに……』
まほ『行ってしまった……』
エリカ「でもこれで今回のお見合いは終了。すぐに隊長の好きな人を探さないと……」
エリカ「あなた、何か知らない?……小梅?」
エリカ「おかしいわね、つながらないわ」
エリカ「…………ん?誰か来た?」
エリカ(家元……?)
まほ『はい……』
しほ『いい?あなたは西住流の後継者。六人とお見合いをしてその全てが破談という体たらくではどうしようもありません』
まほ『で、ですが……』
しほ『ですがもゴジラもないわ。あなたにはこちらで用意した相手と今日、婚約してもらいます』
エリカ(なっ……!?)
しほ『相手方も是非にと、言っています。さぁ、早く準備をしなさい』
まほ『お母様……』
しほ『まだ想い人が来てくれると思っているの?好意に気付いてもらえない、好かれているかも分からない相手がここに来るはずがありません」
しほ『あなたは時期に西住流を継ぐことになる身。そんな甘い考えはこの機に捨ててしまいなさい』
まほ『…………』
エリカ(い、いいえ、落ち着きなさい逸見エリカ!)
エリカ(どうにかして家元を説得……できるのかしら……)
エリカ(何してるのよ、世界一の幸せ者は!こんなときに一体全体どこで呆けているのよ!)
エリカ(隊長にあんな悲しい顔させて……)
エリカ(隊長に想われてるあんたが羨ましくて仕方ないわ!)
エリカ(私だってずっと……)
エリカ(初めて会った時から、ずっと想っていたのに……)
エリカ(……もっと早くに伝えておけば何か違ったのかしら)
エリカ「…………」
エリカ(隊長、好きです。大好きですっ……)
エリカ(本当に、大好きなんです!ぐすっ……他のやつなんかに取られたくない……!本当にっ、心から!愛してます、隊長!!)
エリカ(ぅ…………)グスッ
エリカ(………………っ)
エリカ(…………ふ、ふふっ。らしくないわよ、逸見エリカ。隊長に好きな奴がいようと関係ない!そうよ、こんなに大好きなんだもの……私のこの想い、告げずに終わっていいわけないわ!)
まほ「…………はい」
エリカ「待ってくださいッ!」
まほ「!」
しほ「……逸見さんね。何の用かしら?」
エリカ「そのお見合い、取り止めてもらえませんか」
しほ「あなたには関係のないことです。そこをどきなさい」
エリカ「嫌です」
しほ「……どういうつもりか知りませんが、この縁談は西住流の未来のために必要なこと」
しほ「それを邪魔するというのであれば……」
エリカ「……っ」
エリカ「…………やってやるわよ」
しほ「はい?」
エリカ「上等じゃない!大いに邪魔してやるわよッ!この私をどうにかできるものならやってみなさい!」
エリカ「娘の気持ちを一番に想ってやれないなんて、西住流もたかが知れるわ!」
エリカ「人の恋路を邪魔する親は、虎に殴られて地獄に落ちればいいのよ!」
しほ「…………」
エリカ「隊長!!!!」
まほ「――っ!?え、エリカ!?」
エリカ「はぁ……はぁ……はぁ……」
まほ「それでエリカ、これはどういうつもりなんだ?」
エリカ「……隊長、すみません。私、今日のお見合い全部見てました」
エリカ「隊長がお見合いをするって聞いて、いてもたってもいられなかったんです」
まほ「……それは同情で?」
エリカ「そうじゃありません!……隊長に好きな人がいるのも知ってます。今日その人を待っていたのも知ってます……!」
エリカ「隊長が西住流を継がなくちゃいけないことも、その覚悟があるのも知ってるんです……!」
エリカ「ずっとそばで見ていましたから……ずっとあなたの背中を追いかけてたからっ……」
まほ「エリカ……」
エリカ「それでも、それでもっ!私は……隊長のことが好きなんです!ずっと一緒にいたいんです!!」
まほ「――――!」
エリカ「だから……だから!私と一緒に来てください、まほさん!!!!」
まほ「…………」
まほ「……ありがとう、エリカ。……っ、くっ……」
エリカ「た、隊長!?い、嫌でしたか!?泣くほど嫌ですか!?」
まほ「ふっ、イヤなわけあるか。それに、待っていた人なら来てくれた」
まほ「――――私も好きだよ、エリカ」
エリカ「――――!」
エリカ「ぐず、ひぐっ……隊長ぉ゛……!」
まほ「ほら泣くな。さっきまでの威勢が台無しだぞ」
エリカ「はい゛……」
まほ「それじゃあ、名残惜しいが戻るとしよう」
エリカ「……えっ?戻る?」
まほ「ああ、私の家にな」
エリカ「へっ……?」
ミカ「どうやら風はいい答えを運んできたみたいだね」
ケイ「ホントよかったわ!今日はお祝いよ!」
アンチョビ「あんな駆け落ちみたいなことを実際に見られるとは思わなかったぞ」
ダージリン「事実は小説より奇なり、ですわね」
カチューシャ「一時はどうなるかと思ったわ。エリカったら心配させないでよね!」
ノンナ「心配も何も、たった今起きたばかりじゃないですか」
絹代「逸見殿!実に大胆な恋愛的突撃でありましたな!」
エリカ「……え?あ、あの隊長、これは?」
まほ「実はな」
まほ「あぁ、すまない」
ダージリン「何度もまほさんから相談を受けた私たちも、まったく進展のない関係に嫌気がさしてしまいまして」
ダージリン「鈍感でヘタレなあなたに発破をかけるために集まったんですの」
エリカ「だ、誰がヘタレよ!っていうかあんたが相手の時は発破もなにもかめはめ波撃ってただけでしょ!」
ミカ「二人のことは、そのうち時間が解決してくれたかもしれない」
ケイ「それじゃあダメよ。何年かかるか分かったもんじゃないわ」
カチューシャ「こうでもしないと鈍感ヘタレエリカは動かないでしょ」
絹代「奥ゆかしいのもまた良いことかと」
アンチョビ「確かに私らのお見合いを全部見といて、何にも気づかない辺りは鈍感としか言えないな」
エリカ「な、なによそれ」
エリカ「は、はぁ?」
ケイ「はぁ~。じゃあまほ、私の質問に答えてね!」
ケイ「芯が強くてしっかりしてるのは?」
まほ「エリカだ」
エリカ「え?」
ケイ「気を抜いた時の可愛らしいギャップが魅力的なのは?」
まほ「エリカだ」
エリカ「えっ?」
ケイ「パジャマがフリフリで意外と可愛い物好きなのは?」
まほ「エリカだ」
エリカ「ええっ!?」
ケイ「というわけなんだけど、ちょっとでも自覚はあったのかしら?」
エリカ「…………な、なかったわ」
まほ「後輩の教育も叱るだけではなく、そこからどうするべきか教え導くことができている。エリカならば黒森峰の次期隊長として活躍してくれるだろう」
絹代「おぉ!さすが逸見殿!」
まほ「そんなエリカだが、もちろん可愛いところもあるんだ」
まほ「例えば倉庫に迷い込んできた野良猫に話しかけたりな」
エリカ「ちょっ……!なんで知ってるんですか!?」
まほ「私も倉庫にいたんだが話しかけづらくてな。まぁ、じっくり観察させてもらったよ」
カチューシャ「あはは!それ本当にエリカ?」
ノンナ「ちなみにですが、カチューシャはたまにぬいぐるみに話しかけています」
カチューシャ「何で知ってるのよ!」
まほ「まだあるぞ。あれはケイのアドバイス通りにボディタッチを実行したときだ。不意にエリカの腰を触ったら可愛らしい声をあげてな、思わず撫でまわしたくなった」
ケイ「ワオ!あなたいきなり腰に行ったの?大胆ね~!」
エリカ「た、隊長っ!分かりました!分かりましたからもうやめましょう!」
エリカ「余計なこと言わなくていいのよ!」
まほ「合宿でエリカと同じ部屋になったときに初めてエリカのパジャマ姿を見ることができたんだが、すごく可愛かったぞ。あのフリフリの付いた白いワンピースパジャマ」
エリカ「くぅぅ……隊長ぉ、もう勘弁してください……」
ダージリン「全く想像できませんわね」
エリカ「悪かったわねっ!」
アンチョビ「なあ、それじゃあ西住が私に話してくれた初恋の相手って誰だかわかるか?」
エリカ「へ?そんなの知るわけ……って、まさか……」
まほ「そう、エリカだ」
エリカ「えええぇぇぇぇぇっ!?」
まほ「黒森峰で初めて顔を合わせたとき、同じ銀髪にひょっとしたらと思ったんだ。それからしばらくしてエリカの部屋に上がったとき、机の上にウサギのぬいぐるみが置いてあってな、それで確信した」
まほ「私とみほが出会ったあの子も、エリカの部屋にあるものと同じぬいぐるみを抱いてたんだ」
ノンナ「偶然同じものを持っていたとは考えなかったのですか?」
エリカ「あ、あれはお母さんの……」
まほ「手作り、なんだろう?」
エリカ「は、はい」
まほ「あの時もそう言っていたよ」
ダージリン「何度アドバイスを送っても、いい返事は帰ってきませんものね」
エリカ「わ、私だってアピールしてたわよ!」
ケイ「例えば?」
エリカ「一緒にお昼ご飯食べたり、練習が終わったらスポーツドリンクとタオルを持って行ったり、目が合ったら笑顔で返すようにしたり……」
ケイ「ちょっとやってみてよ」
エリカ「えっ、こ、こうよ……?」ニタァ
ダージリン「これは……」
カチューシャ「ノンナの作り笑顔のほうがよっぽどマシよ」
ノンナ「どういう意味ですか」
エリカ「あとは……」
ミカ「携帯の待ち受けを西住さんにしたり」
エリカ「そうそう……って、なに勝手に見てんのよ!その弦、引き千切るわよ!」
まほ「すまない……自分がどう攻め込むかでいっぱいいっぱいだったせいで、エリカの作戦に気付くことが出来なかった……」
エリカ「い、いえっ!大丈夫です、全然気にしてませんから!」
ミカ「自分も小さい頃のことを忘れていたからね」
エリカ「うるっさいわよ!」
ダージリン「こんな格言を知っている?終わりよければ全てよし」ドヤァ
ケイ「さーて、私たちはパーティーの準備でもしましょうか!」
アンチョビ「料理なら任せろ!今日は腕によりをかけて作るぞ!」
ミカ「お持ち帰りは出来るかな?」
絹代「食器の準備はお任せください!」
カチューシャ「オレンジジュースがいいわ!」
ノンナ「歯磨きは忘れないようにしてくださいね」
ダージリン「……ペコが恋しいですわね」
エリカ「あ、あの隊長……」
まほ「うん?」
エリカ「家元はどちらに……?」
エリカ「すみませんでしたァッ!!!!」
しほ「顔を上げて」
エリカ「はい……」
しほ「二人がお互いをどう想っているのかは、ある方から教えてもらっていました」
しほ「二人してグズグズしていたことも知っています」
エリカ「う……」
しほ「こんな小細工への協力など本意ではありませんでしたが、西住流のため……いえ、ただ娘のために」
エリカ「…………」
しほ「本来、この作戦は西さんとのお見合いが終わった時点で幕を閉じるはずでした」
しほ「それなのにいつまでたってもあなたが出てこなかったので、仕方なく……本当に仕方なく飛び入りで参加したのです」
しほ「そこで出てこなければあなたはそれまで。まほには諦めてもらうつもりでしたが、あなたはようやく出てきてくれましたね」
しほ「不器用で頭が固いのは自覚しています。私も一人の親。娘のことを大事に思わないわけありません」
しほ「それなのに、虎に殴られて地獄に落ちろとはなんですか」
エリカ「私、とんだ無礼を……!ほっ、本当に申し訳ありませんでした!!!!」
しほ「戦車乗りとして頭に血が上ってしまうのは理解できます。ですが西住の長女と交際することになったのであれば、口の悪さは慎む必要があるわね」
エリカ「それは、はい……気を付けます」
エリカ「――――はいっ!よろしくお願いします、家元!」
しほ「エリカさん」
エリカ「な、なんでしょう……?」
しほ「これからはお義母さんと呼ぶように」
エリカ「え、あっ、は、はいっ!」
しほ「今日は疲れたでしょう、泊まっていきなさい」
エリカ「はい!失礼します!」
しほ「……赤星さん。もういいわ、出てきなさい」
小梅「はい。今日はありがとうございました」
しほ「お礼を言うべきは私です。放っておいたら本当に見合い婚になるところだったわ」
しほ「あの子たちにもきちんと恋愛をしてほしかったの。あなたのおかげよ、赤星さん」
小梅「いえ、私も見ていてもどかしかったですし、なによりいい加減に早くくっついてほしかったので」
しほ「あなたも言うわね」
しほ「これからもあの子たちをよろしくお願いするわ」
小梅「はい、もちろんです!」
しほ「はぁ、みほはこうならなければいいわね」
エリカ「そうよ、隊長は凛々しくもあるけど何より可愛いんだから」
ケイ「他にはどんなエピソードがあるの?」
エリカ「練習中の無線連絡を噛んじゃったんだけど、それが何度言い直しても直らないからって無理矢理終わらせたり」
まほ「え、エリカ……」
エリカ「喫茶店に行ったときメニューを見て少し考え込んだと思ったら、クリームソーダを頼んでたり」
カチューシャ「ぷふっ、マホーシャがクリームソーダですって!」
ノンナ「カチューシャもよく頼んでいるでしょう」
カチューシャ「言わないでよ!」
まほ「お、おい……」
エリカ「隊長が犬を飼ってるの知ってるでしょ?」
ケイ「エリカのこと?」
エリカ「違うわよ!」
ケイ「AHAHA!ジョークよ、ジョーク」
アンチョビ「ああ、今日来たときにみんなで触らせてもらったけどモフモフで可愛かったな」
エリカ「そう、モフモフなのよ。この前偶然、あの犬に抱き着いてモフモフしている隊長を見ちゃったときは可愛すぎてどうにかなりそうだったわ」
絹代「西住殿にもモフモフしたい欲求があったのですね!」
まほ「エリカっ……もうその辺に……」
エリカ「そうそう、一昨日の学食でピーマンが出たとき――――」
まほ「エリカッ!////」
エリカ「はい」
まほ「今日はすまなかった」
エリカ「ふふっ、気にしてませんよ」
まほ「エリカと気持ちが通じるなんて、まるで夢のようだ」
エリカ「私もです、隊長」
まほ「それ」
エリカ「……?」
まほ「……その、エリカも……名前で呼んでほしい///」
エリカ(かわいい)
エリカ「はい、まほさん」
まほ「ん……」
まほ「……エリカ」
エリカ「なんですか?」
エリカ「はい、将来的には夫婦ですけど」
まほ「そう、夫婦か……///」
まほ「本で読んだんだが、あっ、いや、テレビだったかな……」
まほ「こ、恋人同士は、ほら、あれを……き、きす……キスをするんだろう?」
エリカ「――――ッ!////」
まほ「……私たちは、しないの……?////」
エリカ「~~~~ッ!」
エリカ「……まほさん。目、つむってください」
まほ「あ、あぁ……」
エリカ「………………」
まほ「………………」
エリカ「…………っ」
まほ「…………んぅ」
エリカ「…………しちゃいましたね」
まほ「……な、なんてことはない」
まほ「~~~~!///」
エリカ「もう、こっち向いてください」
まほ「し、知らんっ」
エリカ「…………まほ」ボソッ
まほ「っ!?////」
エリカ「……すみません、まほさん」
まほ「……?」
エリカ「我慢できそうにないです」
まほ「――――っ!?こ、こらっ!エリカっ……////」
まほ「ちょっ、待っ……////」
エリカ「すみませんでしたァッ!」
まほ「……待ってくれと言ったはずだ」
エリカ「はい……」
まほ「やめてとも言ったはずだ」
エリカ「はぃ……」
まほ「はぁ…………ま、まぁ」
エリカ「……?」
まほ「……うれしかったよ///」
エリカ「~~~~!まほさんっ!」
まほ「だが、調子に乗るなッ」
エリカ「は、はいぃ……!」
まほ「……ふっ。今度は負けはしないぞ」
まほ「――――末永くよろしく、エリカ」
エリカ「はいっ!よろしくお願いします、まほさん!」
ありがとうございました
エリまほ流行れ
いいまほエリだった
不憫なエリカさんはいなかった
最高なエリまほだった
もっと流行らせないと…
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1474908241/
Entry ⇒ 2018.03.08 | Category ⇒ ガールズ&パンツァー | Comments (0)
【ガルパン】みほ「いどばた作戦3です!」優花里「なんか久々ですね」
そんな長くない話ばかりを全五話となります
よろしければどうぞ
優花里「きっっっっっついですよ!」
麻子「どした開口一番」
沙織「やだ…もー…」フラフラ
みほ「うわぁ、婚活ゾンビだ」
華「本日は生徒会の職務が少々ハードでしたから、お二人ともお疲れのようで」
みほ「華さんは元気だね…会長っていう一番ハードそうな仕事なのに」
麻子「前任者は椅子にふんぞり返っているイメージがどうしてもついてるけどな。裏でいろいろ動いてくれていたが」
沙織「華はすごいよ…みぽりんといいさぁ、なんかの家元の家系に生まれると初期ステータスが増えるの?」
みほ「その分気苦労も増えるよ沙織さん」
優花里「発言が重いであります」
沙織「なんかごめん」
麻子「その心は?」
沙織「だって生徒会の仕事量尋常じゃないんだもの!書類が天井まで届くの初めて見たよ!」
みほ「なんでそんなのを高校生にやらせるんだろう…」
沙織「これを一年やり通せたら社会人として十分やっていけると思うよ。エリートサラリーマンも辞表を考えるレベルだよ」
優花里「むしろあの量の仕事をこなしつつ大学に進学できる程度の学力をキープしてたあの二人が化け物なんですよ」
華「わたくしはなんとかなりそうですが…沙織さんたちはその…」
沙織「あー、うん」
優花里「まあ、私はもともと戦車道で進学するって決めているので」
みほ「あ、そうなんだ」
優花里「西住殿、お忘れかもしれませんが私は勉強があまり得意ではないので…」
優花里「!?」
麻子「あ、耳と尻尾が見える」
華「千切れんばかりに振ってます」
沙織「戦車道かー。やっぱり大学でも続けたいよねぇ」
華「わたくしもです。砲撃の振動とぶち当たるときの爆音、火薬の香り、こればかりは戦車以外では得られませんし…」
麻子「五十鈴さん、その発言は危ない」
沙織「華ってあれだよね、笑顔で銃を乱射するタイプのキャラだよね」
優花里「殺人シスターですね」
みほ『小便は済ませたか?神様へお祈りは?』
華「それを言うキャラは教会と対立しているのでは」
沙織「知ってるんだ華。あとみぽりんも」
みほ「お母さんが門下生の子から没収した本とかをこっそり読んでるんだ。それを私がこっそり読むの」
華「わたくしもそんな感じでして」
麻子「回りくどいな」
麻子「新歓」
華「合コン」
優花里「お持ち帰り」
みほ「体だけの関係」
沙織「おい」
麻子「冗談だ。彼氏ができるとは思っていない」
沙織「おい」
みほ「でも今までずっと女子校だった人が、急に共学に行ったらそういうことがありそうだし。私も」
華「カルーアミルクは飲みやすさに反して度数が非常に高いのでご注意を」
優花里「よくわかんないですけど、本当に先っぽだけで済ませる人間は砂漠の中の一粒の砂金より少ないそうですよ」
沙織「やだもー!みんなして!絶対優しくてイケメンで背が高くてユーモアもある石油王の男の人と幸せになってやるー!」
麻子「うわっ」
優花里「厚かましすぎて逆に笑えますね」
優花里「え”」
みほ「ああいや、今すぐとかそういうのじゃなくて、家が家だからそういう話も結構出てて」
沙織「あれ!?もしかして許嫁とかいるの!」
みほ「ううん。前も話した気がするけど、お母さん自体恋愛結婚だから、そういうのは一切ないかな」
華「わたくしも、特にそういったものは」
麻子「へえ、そうなのか」
みほ「いい人はいないのみほ?って。お姉ちゃんが期待できないからって」
優花里「…………」
沙織「いや、でも、お姉さん魅力的な女性だと思うよ…?」
みほ「お姉ちゃんが分家の分家の分家くらいのおじさんにお尻触られたとたん豹変して骨を四本ほどお釈迦にしたけどお金で黙らせた話する?」
沙織「結構です勘弁してください」
麻子「保証はない」
沙織「保証してよ」
麻子「でも大学は魅力的だな。いつまで寝ててもいい」
優花里「冷泉殿の中の大学生像は少々歪んでいる気がします」
麻子「理系より文系だな。大っぴらにサボれる」
華「間違いなく歪んでますね」
みほ「学園艦っていう環境だと、なかなか大学生とか他の年代の人と接する機会がないし…」
優花里「戦車道だと、あのバミューダ三姉妹くらいですかね、大学生のモデルケースは」
沙織「あー……あ、ほら!愛里寿ちゃんも大学生!」
麻子「成程、大学生とはボコを見るものなのか」
みほ「あ、じゃあ私も大学生?」
華「大学生もお手軽になりましたね…」
沙織「うーん、どこでも変わりなさそう」
優花里「五十鈴殿はどこでも五十鈴殿のイメージですね」
麻子「小学生の頃からそんな感じっぽい」
華「そんなことは…ない、ですよ?学校の帰り道に花の蜜を吸ってたり」
みほ「なにしてんですか」
華「いや、本当にそうやっておやつ代わりに食べることがあるんですよ。そしたらうっかりアシナガバチに刺されちゃいまして」
優花里「えっ」
華「つむじのところですかね。そこを刺されて腫れが引かなくなって、そこだけ不自然に髪の毛が伸びて、いつの間にかこうなったんです」
沙織「嘘、そのアホ毛にそんなバックストーリーがあったの!?」
華「えぇ、嘘です」
みほ「ちょっと」
沙織「…やっぱり華、大学行っても変わらないよ」
優花里「いつまでも変わることなく咲き続ける花…」
麻子「…………サボテン?」
華「」
沙織「やーいサボテン」
みほ「まあまあ…サボテンの花は綺麗ですから」
優花里「そのフォローは違うのでは」
麻子「西住さんも、なんだかんだで変わらないだろうな。というかこのメンバー全員変わりそうもない」
優花里「めでたしめでたし」
みほ「めでたいかな」
【新生徒会と大学です!】 終わり
ムラカミ「オーラーイ!オーラーイ!」
フリント「まったく、陸ガメは世話をやかすわね」
ラム「あーあ、次の燻製釜探さないと」
カトラス(…バーの天井に穴空けられた。あれ塞いでくれるの?)
お銀「ずっと船底にいたからなぁ、学園艦の大きさを忘れてたよ。井の中の蛙大海を知らずって奴だな。井戸に住む蛙を見たことはないけどね」
みほ「…………」
優花里「…………」
優花里「……どうします?西住殿。菱形戦車を引き上げるための作業がすごい大がかりなんですが。甲板開けるわでかい重機がどこからか出てくるわ、正直この大移動にかかる費用でタンケッテの一両も買った方がよっぽど」
みほ「言わないで」
優花里「すいません」
フリント「まあでも、陸ガメにしては海賊の流儀を分かってるみたいね」
ラム「砲が二門ついてやす!」
お銀「いいね、アタシたちなりの戦いができそうだ。海賊船で戦ったことがあるわけじゃないけどね」
みほ「その鼻につくジョークいちいち言わないと気がすまんのかこのへそ出し女」
優花里「落ち着いてください西住殿」
みほ「だって…あんな歩兵のマシンガンで容易く抜ける装甲とチャリンコより遅い機動力を誇るかわいいかわいいダンゴムシをどうやって扱えばいいんですか!?」
優花里「そこは戦術と腕ですよ!」
みほ「うるさいよ」
優花里「はい」
みほ「はぁ…どんな戦車でも扱えると豪語するお母さんすら苦笑いした戦車だよこれ…より厳密には戦車と定義するべきかすら怪しいよ…遊戯王でいうラーバモスだよ見た目も虫っぽいし」
優花里(落ち込んでる西住殿もかわいいであります)
みほ「…………」
優花里(あ、口いっぱいの苦虫を思い切り噛んだみたいな顔してます)
ラム「あんだけ大きいし、きっと強いはず!」
優花里「大きな体のムラカミさんは西住殿に首のバネだけで吹っ飛ばされていたような」
フリント「ん?なんか言ったかい?」
優花里「いや、なにも」
ラム「おお!」
みほ「世界で一番最初に戦車戦を行った戦車としても有名で…」
フリント「へぇ、シブいじゃない」
みほ「今でも世界中で根強いファンがいる戦車ですよ」
お銀「いいじゃないか!アタシたちにピッタリだ!」
優花里(嘘は言ってないですね)
みほ(戦闘力の話を逸らせてよかったよ…)
優花里「どうしました?」
みほ「そんな風に扱っちゃ可哀想だよね。きっと、きっと役立てる局面があるはずだし、強みもあるはずだよね」
優花里「西住殿…」
みほ「ごめんね優花里さん、ちょっとびっくりしちゃって、つい変なこと言ったみたい。一緒に作戦、考えようか!」
優花里「はいっ!」
蝶野「えーと、マークⅣって言った?」
みほ「マークⅣって言いました」
蝶野「……」
みほ「……」
理事長「……うん、いいよ。エンジン強化しても」
みほ「ありがとうございます」
ツチヤ「西住隊長に『好きにいじれ』って言われたけど、どうしようか」
ホシノ「レオポン式のモーターエンジン付けてみようか?」
ナカジマ「それ言ってみた。空中分解するからやめろってきつく言われたよ」
スズキ「んー、じゃあ普通のエンジンにしようか」
カトラス「ちょっと、確かにノンアルコールのはずなのになんで顔が赤いの…」
みほ「私は未熟者です…あの子を輝かせる方法がまあいくつか思い付きはしたんですが初心者にもできる作戦が一つもないし…うえぇ…」ヒック
カトラス「…よくわかんないけど、アンタは頑張ってるよ。お酒はね、ただ酔っ払うためにあるわけじゃないからさ、好きなだけ吐き出しても恥ずかしくならないためにお酒はあるんだから」
みほ「ありがとう…えっと」
カトラス「カトラス。生しらす丼のカトラス」
みほ「…サルガッソーとか爆弾低気圧とかなのに、生しらす丼?」
カトラス「好物。私の」
みほ「あ、そうなんだ。美味しいよね、ご飯の上に乗せて……」
カトラス「…どうかした?」
みほ「上に……乗せる……いや、まさかね。一応覚えておこうかな…」ヒック
カトラス(こういうのってだいたい酔いが覚めたら忘れるのよね…。まあ幸せそうだしいいか)
【どん底引き上げ作戦です!】 終わり
麻子「いや、無理」
典子「な、なんでっ!?」
優花里「ただでさえ戦車道の練習とか生徒会の職務で忙しいですし…バレーの練習も一緒にってのはちょっとキツイですよ」
典子「そこをなんとかっ!一日…いや一週間、なんなら一か月でもいいから!」
麻子「普通逆だろ。なんでどんどん厚かましくなるんだ」
典子「お願い~っ!」
麻子「やだなぁ…」
優花里「うーん…まあ、ちょっと出るくらいなら」
典子「ほんと!?」
麻子「しょうがないな…」
典子「おお、似合ってますよ二人とも!」
麻子「着てみて再確認したが、このユニフォームエッチぃな……」
優花里「なんでパンツの裾がこんなにローライズなんでしょうかね」
典子「卓球よりはマシだって。男子とかちん〇んが試合中にはみ出るって話を聞くし」
麻子「世界一知りたくなかったそんなこと」
典子「だから女子ならはみ出るものが無いから安心!」
優花里「あれ、磯辺殿ってそういうキャラなんですか?」
典子「レスリングとかは最初っから乳首出てるしね。アハハ!」
麻子「おい、壊れたぞ。もしくはもともと壊れてたぞ」
優花里「カレリン殿とか、肌の面積のが布の面積より広いですからねぇ」
麻子(レスリング好きなのか?秋山さんは)
麻子「ほーい」
典子「適当に20キロくらい走っといて」
優花里「は?」
典子「え」
麻子「……私の歩んできた人生がまともだったら、20キロは適当とは言わないと思うぞ」
典子「フルマラソンのたった半分じゃん」
麻子「致死量の半分だから大丈夫といって、喜んで毒を飲む奴がいるか?」
優花里「なんですかその例え。どんだけ嫌なんですか」
典子「毒なんて、適度な運動は健康のもとだよ!?」
麻子「安心してくれ、適度じゃない」
典子「レクリエーションかぁ……例えば、どんな?」
優花里「そうですね、バレーボールを的にして練習をするとか」
典子「練習?スパイクの?」
優花里「いえ、スパイクではなく、砲弾を当てるんです」
麻子「…それ戦車道だな」
優花里「バレーも戦車道も一緒ですよ、どっちもたまを扱いますし」
麻子「弾と球で全然違うよ。カレーと鰈くらい違う」
優花里「駄目ですか」
典子「駄目。それに球を的にするとかちょっと…」
優花里「ボールは友達ってことですね!」
典子「いや、部費を削減されたからあんまりボールを無駄にしたくなくて」
優花里「あ、はい」
麻子「思いの外現実的な理由だった」
典子「うん、あのクソッタレ芋チビ女…じゃなかった角谷会長に削減されたのが中々解除されず今まで…」
麻子(すごい恨み節…)
優花里「あぁ、そのことですか」
典子「……あ!今秋山さん副会長じゃん!なんとかしてよ!」グイグイ
優花里「なんとかって言われてもぉ」ガクガク
優花里「正直、実績がない部にあんまり予算を回せないというか…回避したとはいえやはり廃校になりかけるくらいなのでそんなにお金も…」
麻子「また世知辛い話が出た」
優花里「いや、それも十分すぎるくらいすごいですけど、普通に大会とかでの実績を…」
典子「いや、人数足りないから…」
麻子「…………」
典子「だから予算を増やしてください!そうすれば設備を充実して人が来て大会に参加できてバッチリ優勝して実績を残せます!!」
麻子「風が吹いて喜ぶ桶屋並みの皮算用…」
優花里「いやだからそれには実績がないと」
麻子「堂々巡りだこれ」
優花里(熊殺しバレーウーマンを大会なんかに出したら殺人沙汰になります…ここは心を鬼にして…)
優花里「その件については生徒会の方で前向きに検討させていただきます」
典子「偉い人がよく使う逃げ口上じゃないですか!!」
優花里「そのご指摘に関しましては生徒会に持ち帰り誠心誠意勉強させていただきます」
典子「うっせー!」
麻子「やれやれ…生徒会に入らなくてよかった…」
【バレー部復活計画です!】 終わり
沙織「やっぱりインビジブルかなー。透明人間テーマな時点で察しはつくけど」
華「わかります。わたくしはカリギュラでやらかしました」
沙織「それボストンで公開禁止になったやつじゃない…」
そど子「ちょっとあなた達!待ちなさい!」
華「あ、そど子先輩、こんにちは」
そど子「み、ど、り、こ!みんなそど子って呼ぶのなんなのよ!」
沙織「そど子のが語感良いですし」
華「こち亀のことをこちら葛飾区亀有公園前派出所といちいち呼ばないのと同じです」
そど子「そど子と緑子ではたいして変わらないじゃない!」バンバン
そど子「はぁ……そんなことより!ちょっと話したいことがあるんだけどいい?」
沙織「話したいこと?」
そど子「そう。とにかく生徒指導室に来なさい」
そど子「そんなことしてるの!?」
沙織「そうなんすよぉそど子先輩。この子一限目っから早弁するんすよぉ。マジありえないっすよねぇ」
華「あ、ズルいです」
そど子「最早朝ご飯じゃない!ダメよちゃんと朝食は摂らないと」
華「朝ご飯は毎日しっかり食べてますよ」
そど子「いよいよもってわからないわよ…その話じゃないし」
華「え、じゃあ沙織さんが女性向けアダルトビデオにハマって買いあさってる話ですか?」
そど子「なにしてんのよ!///」
沙織「なに知ってんのよ!///」
華「あ、違いました?」ウフフ
沙織「華って意外といい性格してるよね…」
そど子「……いろいろ言いたいことはあるけど、とりあえず今は冷泉さんの話よ」
沙織「へ?麻子の話?」
沙織「まあ、ほぼ毎日起こしてますし…」
そど子「だからダメなのよ!」バン!
そど子「誰かに起こされない限り起きないような有様じゃ、将来が心配なの!仕事とか何もできなくなっちゃうじゃない!」
華「そういわれましても…」
そど子「だから今日は一緒に考えるわよ!」
沙織「え、なにをです?」
そど子「冷泉さんの遅刻癖改善作戦会議よ!ついてきなさい!」グイグイ
沙織「えぇ~…」
そど子「さぁ、教えなさい!冷泉さんを起こす方法について!卒業するまでは毎日私が起こしてあげるの!」
沙織「なんかプロポーズみたい」
そど子「そういうんじゃない!いいから教えなさいよ!」
沙織「勘弁してくださいよ先輩…マジ私ちょっとアレなんで…」
華「そうですわ。こんな誰もいない教室に連れ込んで…」
そど子「私がカツアゲとかしてるみたいな感じに話すのやめてよ」
沙織「いやでも、ほんとなんもないんですって。起きるまで頑張って起こすのが基本ですし」
華「聖グロのときは街中で空砲かまして起こしましたね」
そど子「町の人に迷惑かけるのは却下」
そど子「それに、付き合い長いんだし秘訣の一つくらいあるでしょ?」
沙織「そりゃまあ…おばあさんの声を流すとか私のおっp」
華「武部」
沙織「おっといけないいけない」
華「すいませんちょっとお待ちを…」
そど子「?」
華「沙織さん、乳吸わせてる(いどばた2参照)ってのは大っぴらに言うことじゃないでしょ」ゴニョゴニョ
沙織「ごめん、うっかり…」ゴニョゴニョ
華「なんとか誤魔化してください」
沙織「オッケー」
沙織「はいはいはい。えーと、麻子のおまんこを軽くひと撫でして…」
そど子「えっ」
華「武部」
沙織「はい」
華「おかしいのはわたくしの耳でしょうか沙織さんの脳味噌でしょうか」ゴニョゴニョ
沙織「後者です。いや…同性愛的なそういうのじゃないんですよ」ゴニョゴニョ
華「はぁ?」
沙織「いや、おしっこしたあとアソコ拭くでしょ?なんか麻子に母性本能働いちゃって」
華「安易なレズは害悪だって新三郎がパソコンで議論していました。そういうの駄目だとわたくしも思います」
沙織「なんか新三郎さんを見る目が変わったんだけど…」
そど子「……とりあえず聞いちゃいけない類の話ってことは理解したわ」
華「物わかりがよろしくてありがたいです」
そど子「んじゃあ、私も使うから頂戴。そのおばあさんの声っていうの」
沙織「いや、それは流石に…ねえ?」
華「なんていうんでしょうか、肖像権?プライバシー保護?」
そど子「変なところで常識人ぶるのやめなさいよ!すでにメッキはボロボロでしょうが!」
沙織「まあまあ…」
そど子「んがー!」
華「もう一つありましたよ!秘訣」
そど子「え、なに!教えて!」
沙織「?」
華「はい、あんこう踊りです!」
そど子「は?」
沙織「??」
華「そど子先輩はまだ参加していなかったので存知ないとは思いますが、麻子さんにはあんこう踊りにトラウマがあるんです!枕元で踊ると効果抜群ですよ!」
沙織「…!」ティン
沙織「いや、ほんとにそれで起きますよ?何度もやったことあるし、ねえ?」
華「はい。皆さんやってることですし、安心安全ですよ?」
そど子「なんか危ない響きね…あんなピッチピチの恥ずかしい服着せられるのがトラウマなのは確かにわかるけど…」
沙織「あ、ついでに普通の格好じゃダメなんです。暴れん坊将軍の扮装をしていないと」
そど子「なんでそこで暴れん坊将軍が出てくるのよ!」
沙織「おばあ様がお好きらしいですよ。だからおばあ様を思い出しちゃうそうです」
華「領収書の『上様』ですら怖がってますしね」
沙織「ちなみにBGMも暴れん坊将軍のOPテーマですよ。大音量で」
華「その曲に合わせてあんこう踊りを踊れば一発ですよね」
そど子「いやいやいや!騙そうったってそうはいかないわよ!?」
沙織「そど子先輩、ウチらの方がずっと付き合い長いんで。マジマブダチなんで」
華「そうっすよ。適当なこと言うのやめていただけません?」
そど子「緑子だっつの!!!口調からして私をハメようとしてるじゃないの!」
そど子「な、なによ…」
華「……ひどいです」ウルウル
そど子「へ?」
華「わたくし、緑子先輩のことだけじゃなく、麻子さんのためを思ってお伝えしておりますのに…そんな、信用していただけないなんて…」シクシク
そど子「…うぅ」
沙織(悪女だなあ…)
そど子「……本当なのよね」
華沙織「「本当」」
そど子「そ、そう…じゃあ信じるわ。明日やってみる」
華沙織「「ファイト」」
そど子「…………」
麻子「……お早う」
みほ「あ、珍しい。麻子さんが朝早く学校に来た」
優花里「今日は大雨ですねえ」
麻子「いやほんと…ろくでもない目に遭ったんだよ…」
みほ「え、なに?」
麻子「そど子が狂った」
優花里「へ?」
ゴモ代「……なにその恰好」
パゾ美「ハロウィン?」
ゴモ代「いくらただのコスプレ祭りと化した日本ハロウィンでも、その恰好は流石に違うと思うよ」
そど子「そうね。ところでクソアバズレ婚活女とアホ毛アホ華道女はいらっしゃらなかった?即刻切り捨てないといけなくて」
ゴモ代「さ、さぁ…(なにがあったんだろう…)」
パゾ美「……(あ、LINE来てる)」ポチポチ
そど子「ちょっと、興味ないからってスマホいじるのやめなさいよ」
パゾ美「……!」ブフーッ!
そど子「ん?」
パゾ美「あっははははははははは!!!」
そど子「おい、スマホ見せろ」
パゾ美「はははははは!!!」ダダダダダ
そど子「逃げるなああああ!!!」
ゴモ代「?」スマホポチポチ
ゴモ代「……あはははははは!!!!」
そど子「んあああああああ!!!!」
【そど子さんと作戦会議です!終わり】
オレンジペコ「立川談志師匠ですね」
ダージリン「ところでペコ、ここらで一杯紅茶が怖いわ」トントン
オレンジペコ「あはは…ただいまお淹れしますね」
【西住島田の飲み会】
千代「かんぱ~い♪」チン
しほ「乾杯」チン
千代「んー!やっぱり久々のお酒はおいしいわぁ♪」ゴクゴク
しほ「……苦手なのかもしれないけどさぁ…」ゴクゴク
千代「?」
しほ「一杯目よ?モヒートなんか頼むんじゃないわよ」
しほ「出てくるの遅いから私のビールほら、泡がほっとんど無いじゃない…」
千代「一緒に持ってくる知能のない店員が悪いわよそんなの。それに私ビール嫌いなの」
しほ「あんた大学時代ビールぐいぐい飲んでたじゃない」
千代「あんなのオトコが酔わせようと飲ませにくるから、仕方なく乗ってあげただけよ」
千代「んな苦ったるいだけの麦汁なんて、エレガントな私には似合わないわ」ゴクッ
しほ「…大学時代趣味で男落としまくってしてサークル潰して遊んでた女がエレガントって悪い冗談ね」ゴクッ
千代「その話はやめて。黒歴史だから」
しほ「え、なにそれ初耳なんだけど」
千代「あら、言ってなかったかしら?遊んでたらマジでキレた女の子に刺されちゃって」アハハ
しほ「え、それも初耳なんだけど」
千代「ほら、二回生の秋ごろ私学校来なかった時期なかった?手術とかいって」
しほ「それ刺されたからだったんだ…というかなんで教えなかったのよ」
千代「んー、なんとなく?」
しほ「そのとき死んじゃえばよかったのに」
千代「ひどぉい。…それでね、私のお見舞いに来てくれたのが今の旦那だけだったのよねぇ」
千代「殆どの男は、私がちょっとイタズラ好きな小悪魔ってだけで諦めるヘタレだったのによ?そこから恋が芽生えて~」
しほ「なにが小悪魔よ。あんた裏で『アバズレクイーン』とか呼ばれてたわよ」
千代「え、初耳なんだけど」
しほ「そりゃ言ってないし」
千代「なんで教えないのよ!友達でしょ?!」
しほ「ちよきち、鏡っていう便利な道具を知ってるかしら?」
千代「ま、それはいいわ。というか知ってたし」
しほ「ロクな死に方しないわよ女狐」
千代「こんこーん♪」
しほ「え、高校生の頃だけど」
千代「へぇ」
千代「…………」
しほ「何黙ってるのちよきち」
千代「ぶっちゃけた話するわよ?」
しほ「なによ」
千代「処女っていつ捨てた?」
しほ「」
千代「ねーねー、いつ捨てたのー?」
しほ「あんた酔ってるの?それとも素面なの?なんでいい年こいてサカリのついた女子高生みたいな会話しなきゃなんないのよ!」
千代「まあまあ。ちなみに私はあの後病院で初体験シちゃった。勢いで」
しほ「病院に迷惑かけるんじゃないわよ…」
千代「私は教えましたわよ?次はしぽりんさんの番です」
しほ「…………高校二年生の夏」
千代「あら、青春」
しほ「おっかないこと言わないで。まだあの子たちには早いわよ」
千代「さっきの御言葉を返すわね。鏡って知ってるかしら?」
しほ「あんたの愛里寿ちゃんもそのうち誰かに抱かれるのよ?」
千代「」
千代「……………………」ポロポロ
しほ「無言で泣くのはやめなさいよ…」
千代「…店員さん!お酒!おかわり!」ゴクゴクゴク
しほ「はぁ……」
しほ「娘の立場にもなりなさいよ…自分の親が膝枕されに来てそのまんま死んだらどう思う?」
千代「愛里寿ちゃんは天使だから昇天してもそのまま祝福してくれるはずよ!」ゴクゴクゴク
しほ「ちよきち飲みすぎ。あんた変な幻覚見えてるんじゃないの」グビ
しほ「でも、まあ…天使ねぇ…」
千代「愛里寿ちゃんは天使のようにかわいい娘よー。思いやりがあるし」
しほ「…親としては先輩だから助言してあげるけど、反抗期って急に来るわよ?」
千代「愛里寿ちゃんに反抗期なんて来ないわよ」
しほ「私も娘たちが小さい頃はそう思ってたけど」グビグビ
千代「下のみほちゃんは現在進行形で大絶賛反抗期真っ盛りですもんね」
しほ「……その話はやめて」
千代「しぽりんが素直じゃないからでしょうが」
千代「まあでも、まほちゃんは反抗期なかったっぽいわよね」
しほ「いや、まほにも反抗期来たわよ。あれはショックだった」
千代「あら、その話ぜひともお聞かせ願えます?」
しほ「まほはね、いつもは寝る前に『お母さまおやすみなさい』って言ってくれたのに…」
千代「うんうん」
しほ「……急に言ってくれなくなったのよ」
千代「うんうん、それで?」
しほ「え、終わりだけど」
千代「……は?それだけ?それが反抗期?」
しほ「私にとっては大ショックよ…お姉ちゃんの真似してか、みほもおやすみなさいって言ってくれなくなったし…」
しほ「…ショックだった」
千代「まあ、気持ちはわかりますわ。実の娘のことですし」
千代「私も『お母様、そろそろ別のお部屋で寝たいです』とか言われたらそのまま気絶して漏らす自信があるし…」
しほ「さっきから娘にトラウマ植え付けるようとするのやめなさい」
千代「しぽりんもたいがいじゃない。みほちゃんのこととか」
しほ「その話はよしてっての!ああもう!ビールもう一杯!」
しほ「ほんとはみほのこと抱きしめて撫でてあげたかったのよぉ!スポーツマンシップ溢れた行動だったしぃ!」ウアアアアン
千代(忘れてた…しぽりんって泣き上戸なのよねぇ。酔いが覚めちゃったわ)
しほ「この前だって…みほのところに派遣させてるうちの傘下の探偵がね、熊本にみほが向かってるって…」
千代「そんなことしてたの。素直に電話するなり会うなりすればいいじゃない」
しほ「だのにうちのまほが友達だって嘘ついて私に合わせてくれなかったし…なんかハンコも持ち出されたし…」
しほ「みほおおおおおおおお…」グスグス
千代(め、めんどくせぇ~…)
千代(みほちゃんたちに恨みはないけど…他人の子供の話って聞くにはちょいと辛いものがあるのよね…)
しほ「ボコのぬ”いぐるみのでっか”いのだって買った”のに”!みほおおぉぉぉぉ……」
千代「…そろそろお開きにしましょうか」
しほ「みほおおぉぉぉぉ…」
千代「はいはい。今日は奢るわよ。あ、カードで」
しほ「…いいの?」グスッ
千代「いいわよ。私の親友だもの」
しほ「ちよきちぃ」
千代「ふふっ」ニヤリ
………………
千代「と、いうわけで、お宅の所有しているマウスを一両お借りしたいのだけれど、いかが?」
しほ「…あんたの持ち込んだこの書類を穴が開くほど見たんだけど、どう考えても借りたまま返さないっていうジャイアンスタイルなんだけど」
千代「貸してくれる?」
しほ「ンなわけないでしょ。寝ぼけたこと言ってないで帰りなさい」
千代「これなーんだ」ヒョイッ
しほ「……ボイスレコーダー?」
千代「ポチッとな」
しほ『ボコのぬ”いぐるみのでっか”いのだって買った”のに”!みほおおぉぉぉぉ……』
しほ「」
千代「で、マウスは貸してくれるかしら?」
しほ「ちよきちいいいいいいいい!!!」
千代「こんこーん♪」
【西住島田の飲み会 終わり】
気が向いたらまたこんな感じのを書くと思います
最終章の押安はいいですね。BC自由の演技がどこからどこまで演技なのか、第二話が待ち遠しい
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【ガルパン】マリー「バレンタインデー」
* 短めあんおし(おしあん)
マリー「…」モグモグ
押田「…」ペラッ
安藤「…」カリカリ
マリー「…あら。ねぇ押田」
押田「はい、マリー様」
マリー「今日は何日だったかしら?」
押田「えっと…今日は2月の5日ですね」
マリー「ふーん…」モグモグ
押田「どうされました?練習試合は月末の予定ですが」
安藤「…」カリカリ
マリー「…バレンタイン」
押田「マリー様?」
マリー「…もうすぐバレンタインじゃない!」
押田「え?」
マリー「私、2人からチョコレートが欲しいわ!」
押田「…」
安藤「…ふーっ、終わったー…」
安藤「隊長。例の書類、ここに置いとくぞ」
マリー「えぇ。あとで確認するわ」
押田「…あの、マリー様?」
マリー「何かしら?」
押田「お言葉ですが、その…バレンタインのチョコレートは、そもそも男性に贈るもので…」
マリー「?」
安藤「ん?なんの話だ?」
押田「キミには関係…いや、あるか…」
安藤「…フーン、そういえばもうすぐバレンタインだな」
押田「キミからも説明してくれ。バレンタインのチョコレートは、そもそも女性が想いを寄せる男性に…」
マリー「そうなのかしら?」
安藤「…あぁ、温室育ちのお嬢様は、教科書に書いてあることしか知らないか」
押田「な、なんだと!?」
安藤「今どき、バレンタインをそんな考え方してるヤツの方が少ないっての」
安藤「女同士で贈りあったり、自分へのご褒美って用意するヤツもいるぞ」
押田「…そ、そうなのか?」
マリー「あら?そうなの?」
押田「マリー様!?知らずに話していたんですか!?」
マリー「バレンタインだし、チョコレートが欲しかっただけよ」
押田「えぇ…」
マリー「チョコレートー。ちょーこーれーいーとー」扇子ブンブン
押田「わ、わかりました!わかりましたから!」
安藤「(っつーか隊長、ケーキ食べながら平気でチョコレートの話できるのかよ…)」
マリー「…あ、そうだ。貴女達もチョコレートを交換したらどうかしら?」
安藤「…え?」
押田「わ、私が安藤と、ですか?」
マリー「そうよ。いつまでもいがみあっていないで、こんな日くらいはお互いを思いやってもいいんじゃないかしら?」
押田「…」チラッ
安藤「…」←不満気
押田「ちょっ、何だその顔は!」
マリー「ほら、すぐそうやって…」
押田「そ、それは安藤が…」
安藤「ほら、お前の大好きな隊長の命令だぞ?」
押田「ぐぬぬ…!」
マリー「うふふ、そうね。命令ね」
押田「…わ、わかった!そこまで言うのなら仕方がない!」
押田「14日を楽しみに待っていろ!腰を抜かすほど美味しいチョコレートを用意してやる!」
安藤「あー、ハイハイ」
・・・バレンタイン当日です!
安藤「…」トコトコ
安藤「ふぁぁ…」
安藤「(…うー、昨日はちょっと夜更かししすぎたか…)」
安藤「(さて、隊長は…おっと)」
押田「…ん、安藤」
安藤「よぅ、隊長見なかったか?」
押田「いや、見てないな。キミこそ見ていないのか」
押田「…あぁ、ちょうどいいからキミには今渡しておくか」ゴソゴソ
安藤「ん?」
押田「ほら、チョコレートだ」サッ
安藤「…え?」
押田「今日はバレンタインだろう?マリー様も言っていたじゃないか」
安藤「お前、コレ…」
押田「か、勘違いするな。マリー様が言うから、キミにも渡しているだけだ!」
押田「キミのような下賤な受験組が、私からチョコレートをもらえるだけありがたいと思え!」
安藤「お、おぅ…」
安藤「…なぁ押田。コレ…」
押田「あぁ、わざわざ学園艦の外から取り寄せたんだ」
押田「キミのような庶民には一生縁がないような高級品だぞ。しっかり味わえ」
安藤「…店で買ったヤツそのままだよな?」
押田「? どういう意味だ?」
安藤「あ、いや…」
安藤「…」
押田「? 安藤?」
安藤「(…どうしよ)」
安藤「(…私の、手作りなんだけど…)」
安藤「(…うわっ、凄い出しづらい…)」
安藤「(コレどっちだ?私が気合入れ過ぎたか?)」
安藤「(それともコイツが手を抜いてるっていうか、軽く見てるって考えるべきか?)」
安藤「…」
安藤「(いやいやいやそうじゃないだろ!)」
安藤「(私が手作り、コイツが店買いってのはもう事実なんだから、それはもうどうしようもないじゃないか!)」
安藤「…」
安藤「(…いや、でもこの温度差はマジで出しにくい…)」
安藤「(でも、わざわざ用意したわけだし、渡さないわけにも…)」
安藤「(…)」
安藤「(え…ここで手作りのコレ渡したらどうなるんだ)」
押田(妄想)『何だこれは!?こんなお粗末なチョコレートを渡すとは、私をバカにしているのか!?』
安藤「」イラッ
押田「」ビクッ
安藤「(だークソ!考えただけでイライラしてくる!!)」
安藤「(わざわざ手作りのチョコレートまで用意して、なんで私がイライラしなきゃならないんだ!)」
押田「あ、安藤?」
安藤「何だ!」
押田「ま、まだ何も言っていないだろう!」
安藤「あ、いや…」
押田「全く野蛮な…!」
安藤「で、何だ?」
押田「自分だけ受け取るというのは、アンフェアだとは思わないのか?」
安藤「(…ハァ、仕方ないか…)」
安藤「ハイハイ、分かってますよ…っと。ほら」サッ
押田「…あ、あぁ」
押田「(正直、安藤のことだから用意していないんじゃないかとも思っていたけど…)」
安藤「何だよ?」
押田「い、いや。なんでもない」
安藤「また何か失礼な事考えてないか?」
押田「な、何でもないと言っているだろう!」
押田「…ん?」
安藤「?」
押田「見たことのない包装だな…どこで買ったんだ?」
安藤「あぁ、ソレ。私が作ったんだ」
押田「…えっ?」
押田「…き、キミが作ったのか?コレを?」
安藤「何か文句でもあるのか?」
押田「あ、いや…」
押田「…」
押田「(…どうしよ)」
押田「(私…何でこんな手を抜いたことを…)」
押田「(安藤はわざわざ作ってきたのに、私はこれだけ…?)」
押田「(普通は、バレンタインのチョコレートは手作りするものなのか…?)」
押田「(でも、チョコレートなんて作ったことないし…)」
押田「(…いや、安藤はこうして作ってきてくれたんだし、言い訳は良くないな…)」
押田「(…)」
押田「(私は…私はせいぜい、学園艦の外からチョコレートを取り寄せる手続きをしたくらいで…)」
押田「(…)」
押田「(え…私、これをマリー様に渡そうとしてたのか…?)」
押田「(安藤は手作りで、私はほんのちょっと高級なだけのチョコレートを…)」
押田「(というか、この程度ならマリー様も食べた事ありそうだし…)」
押田「…」
安藤「さっきから何を考え込んでるんだ?」
押田「あ…」
押田「ありが、とう…」
安藤「…お、おぅ」
安藤「(なんだ今日のコイツは…また突っかかってくるかと思ったが…)」
押田「…これ、キミが作ったんだろう?」
安藤「そうだけど」
押田「…」モジモジ
安藤「(何か調子狂うな…)」
押田「…これ、私にも作れるかな?」
安藤「え?」
押田「…頼む。チョコレートの作り方、私にも教えてくれないか?」
安藤「はぁ?」
押田「私が間違っていた…私は、何でこんなつまらないものを…」
安藤「いや、つまらないってことは…」
押田「私は、こんな心の通っていないモノをプレゼントしたくない」
押田「頼む。キミと同じものでいいから、チョコレートの作り方を教えてくれ」
安藤「(な、何だコイツ今日…ずいぶんグイグイ来るな…)」
押田「えっ?」
安藤「チョコレートを用意して、溶かして固めて…とにかく時間がかかるんだ」
安藤「今から取り掛かっても、完成するのは明日とか…」
押田「それは…」
押田「いや、でも…私は…」
安藤「何だ、手作りじゃないのを気にしてるのか?」
押田「と、当然だろう!キミはこれほど手間をかけてくれたのに、私はこんな浅ましいことを…」
安藤「…あのな、私はこれでも十分だと思うぞ」
押田「え?」
安藤「わざわざ隊長のためにチョコレートを選んで、学園艦に取り寄せたんだろ?」
押田「…それは、そうだが…」
安藤「そうやって自分のために何かしてくれたってだけで、気持ちは十分伝わってるさ」
安藤「…現に私も、お前からこうしてチョコレートを受け取って悪い気はしてないしな」
押田「そ、そうか…?そうかな…」
安藤「(…ちえっ、私もなんでこんな恥ずかしい事言ってるんだか…)」
押田「…あの…安藤、私は…」
「…あ、安藤様、押田様」
安藤「ん?」
「マリー様からお呼びが。戦車道の執務室でお待ちです」
安藤「…あぁ、チョコレートの催促か?」
押田「執務室か…よしっ」
安藤「おいおい、チョコレート渡すだけでそんなに気合を入れることか?」
押田「キミと違って緊張するんだ!ガサツな受験組と一緒にするな!」
安藤「いつもの調子が戻ってきたな。じゃあ行くか」
押田「…ちょ、ちょっと待て!まだキミからはハッキリ聞いてなかったぞ!」
安藤「ん?」
押田「…あるだろう、言う事…!」
安藤「…!」
安藤「あぁ…チョコレート、ありがとうな」
押田「…え、えへへぇ…」
安藤「うわっ、気持ち悪っ。言うんじゃなかった」
押田「何だと!?キミはそうやっていつもいつも…!」
安藤「あーわかったわかった。さっさと行くぞ」
押田「あ、おい!まだ話は終わってないぞ!!」
おしまい
こういう「なかよくケンカしな」なキャラクターが狂おしいほど好きなんですが、
まだまだ会話シーンが少なくてキャラが掴めず、書きづらくってしょうがないです。
あんおしSSもっと増えて…
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Entry ⇒ 2018.02.18 | Category ⇒ ガールズ&パンツァー | Comments (0)
【ガルパン】バレンタイン?
左衛門佐「そうだが特別な日か?何の日だっけ?」
おりょう「バレンタインデーぜよ」
エルヴィン「ああそうだった。どうも流行り事には疎くてな、すっかり忘れていた」
おりょう「今日は帰りにチョコ買ってみんなで食べるぜよ」
エルヴィン「よしチョコパーティだな。乗った!」
左衛門佐「うむ、節分には豆、バレンタインにはチョコレート、季節を感じられる風習はいいものだな」
カエサル「すまないが今日は用事があるから参加できないんだ」
エルヴィン「せっかくのチョコパーティなのに参加しないのか?」
おりょう「遅くなったらチョコ残ってないかもしれんぜよ」
カエサル「わたしの事は気にせず楽しんでくれ」
左衛門佐「みんなチョコレートは用意したな?」
おりょう「準備万端ぜよ!」
エルヴィン「最初はわたしから行こう。これがわたしの用意したチョコだ!」
おりょう「おおっ!これは!」
左衛門佐「奮発したな」
エルヴィン「ドイツが誇るチョコレートケーキ、ザッハトルテだ!」
おりょう「ちょっとお高いだけあっていつ食べても美味いぜよ」
左衛門佐「美味い美味い。だが以前も言ったがこれはオーストリアのケーキであろう?」
エルヴィン「大ドイツと言うくくりで見れば同じだ!」
左衛門佐「可愛いではないか」
エルヴィン「もちろんこれは坂本龍馬だな?」
おりょう「そうぜよ。これは通販で買った龍馬さんチョコぜよ」
エルヴィン「通販?今日注文しても間に合わないだろ?既に用意していたのか」
おりょう「みんなで食べようと思って頼んでおいたぜよ」
左衛門佐「流石はおりょう。伊達に女の名を名乗ってないな」
エルヴィン「味の方はどうだろう?うん、普通のチョコだ」
おりょう「この形に意味があるぜよ」
左衛門佐「龍馬の顔を見ながら食べるのも乙なものがあるな」
エルヴィン「これはおはぎかな?」
おりょう「よく見るとあんこではなくチョコの色ぜよ」
左衛門佐「これが拙者手作りのチョコこねつけ餅だ!」
エルヴィン「チョコとごはん、大丈夫か?」
左衛門佐「意外な組み合わせが美味しいと言う事もあるかもしれんだろ!」
おりょう「和魂洋才を表した素晴らしいものぜよ」
左衛門佐「おりょうはわかってくれたな」
エルヴィン「なら食べてみてくれよ」
おりょう「試してみるぜよ」
左衛門佐「どうだ?美味いか?」
おりょう「チョコレートと米のごはんの組み合わせが意外、ではなく予想通り合わないぜよ」
エルヴィン「やはりそうなるよな」
左衛門佐「甘い小豆の餡なら美味いんだからチョコでもいけると思ったんだが、ダメだったか」
おりょう「お茶飲んで龍馬さんチョコで口直しぜよ」
エルヴィン「余ったチョコ?と言う事は別に作ったものがあるのか?」
おりょう「本命チョコぜよ?もしかして意中の人に?」
エルヴィン「もんざが?こいつ隅に置けないな」
左衛門佐「確かに本命チョコではあるな」
おりょう「誰ぜよ?誰ぜよ?」
おりょう「本命チョコを渡していない?えっ?ダメぜよ、わしには未来の龍馬が待ってるぜよ」
左衛門佐「そうではない。上手く出来すぎて食べるのが惜しくなっただけだ。ほらこれだ」
エルヴィン「ほう、これは見事な幸村像だ」
おりょう「型に流し込んで作ったぜよ?」
左衛門佐「それならば簡単なのだが、これは塊から削り出して作った一品物だ」
エルヴィン「食べるのが惜しくなるのもわかる気がする」
おりょう「これはしばらく飾っておくぜよ」
エルヴィン「ああ、カエサルにも見てもらおう」
エルヴィン「バレンタイン、イギリスの歩兵戦車の日だ」
おりょう「今日、何があったぜよ?」
エルヴィン「制式化された記念日だろう」
おりょう「チョコレートはどうしてぜよ?」
エルヴィン「えっと、みんなでチョコを食べて制式採用を祝ったのではないかな?」
おりょう「いくらなんでもそんな訳ないぜよ」
エルヴィン「やはり無理があったか」
おりょう「戦車ではなくてキリスト教に関係するものだったはずぜよ」
エルヴィン「カエサルなら詳しそうなんだがな。帰ってきたら聞いてみるか」
左衛門佐「おぬしらそんな事も知らんのか」
エルヴィン「もんざは知ってるのか?」
左衛門佐「もちろんでござる」
おりょう「教えて欲しいぜよ」
エルヴィン「それならばフロイスデーになるんじゃないのか?」
左衛門佐「今ではなまってバレンタインだが、昔は伴天連の日と呼ばれていたのだ」
エルヴィン「そうか伴天連がバレンタインになったのか」
おりょう「チョコレートはどうしてぜよ?」
左衛門佐「謁見の際に信長に献上したのがチョコレートだったと言われている」
おりょう「なるほど、辻褄が合ってるぜよ」
エルヴィン「納得だ」
おりょう「そうだ、決めゼリフを忘れていたぜよ」
左衛門佐「バレンタインデーは伴天連デー」
「それだ!」
西「ば、ば、ばてれんでい?」
玉田「なんだそれは?福田!」
福田「ばれんたいんでーとは尊敬する人にちよこれいとの贈り物をする日であると聞いております!」
玉田「福田!と言う事は私は尊敬されてないと言う事か!」
福田「勿論尊敬しております!先輩方の分もありますがまずは西隊長にと!」
西「よくわからないが尊敬している人への贈り物か、ありがとう福田」
福田「先輩方もどうぞ!」
玉田「よし!貰おう!」
細見「バレンタインの贈り物、元々は愛する人へ贈るらしいですな」
玉田「流石は細見、このようなハイカラな事も知っているのだな」
細見「隊長!その通りです!キリスト教の教えで愛の言葉と共に贈り物をするらしいと聞いております!」
西「なんということだ!」
玉田「な、なんと破廉恥な!福田!そこへ直れ!」
福田「はい!」
玉田「これは受け取れぬ!」
西「私もこのようなもの受け取れないな」
玉田「第一、一人だけならまだしも複数の者へと愛の贈り物をするとは不届き千万!恥を知れ!」
福田「本命ちよこれいとにはその様な意味があるらしいですが」
玉田「やはりわかってやっているではないか!」
福田「先輩方に差し上げたのは尊敬する人への義理と人情ちよこれいとであります!天地神明に誓って邪な思いなどいささかもありません!」
西「そうか、それならば」
玉田「邪な考えがないにしてもだ!これは耶蘇の教えではないか!亜米利加や英吉利の宗教など受け入れられるか!」
西「うっ、そうだ!鬼畜米英許すまじ!」
福田「米英もそうですが友邦独逸と伊太利亜も基督教の国であります!」
西「福田、やはり駄目だ。友邦国が信じていようと基督教の風習などわたしには受け入れられぬ」
細見「キリスト教の祭ぐらい良いではないですか。チョコレート美味しいですぞ」
西「基督教の祭を祝って日本の神仏を裏切る訳にはいかぬのだ」
福田「畏れながら申し上げます!」
西「なんだ福田、ちよこれいとなら受け取れぬぞ」
福田「今まで話したばれんたいんでーと言うのはすべて俗説で間違ったものなのであります!」
玉田「なんだと!福田!」
細見「そうなのか?」
西「ならば正しいば、ば、ばれたでいと言うものがあるのか?」
福田「はい!」
西「ぱれんばん?何処かで聞いた事がある様な?」
福田「今日二月十四日は栄ある皇軍の落下傘部隊がぱれんばん油田を無血占領した日なのであります!」
玉田「おお!空の神兵か!」
福田「一兵も損なわず勝利した事を祝って国民にちよこれいとの特別配給があったそうです!」
西「そうか!ぱれんばんの戦勝記念日なのだな!それならば大いに祝おうではないか!」
福田「はい!ちよこれいとであります!」
西「うむ!美味い!」
玉田「では不肖玉田一曲歌わせてもらいます!藍より青き~♪」
「ぱれんばんでー万歳!」
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Entry ⇒ 2018.02.16 | Category ⇒ ガールズ&パンツァー | Comments (0)
【ガルパン】みほ「ミホロボ作戦です!」
* キャラ崩壊注意
* 最終章はまだ見てません
大洗女子学園・視聴覚室
優花里「おはようございます!西住殿、武部殿!」
みほ「う、うん。おはよう、優花里さん」
沙織「えっと…こんな朝早くから視聴覚室に何か用事?」
優花里「ええ。急にお二人を呼び出して、申し訳ありません」
みほ「私たちに関係あることなの?」
優花里「それじゃあ…まず、このモニターを見てください」パッ
みほ「…んー…? あれ、これってもしかして…私の部屋の天井?」
沙織「え?どういうこと?」
優花里「そうです。このモニターは『ミホロボ』のメインカメラ、ライブ映像です」
みほ「」
沙織「」
みほ「…えっ?」
優花里「ミホロボです」
みほ「あの…えっ?」
沙織「ゆ、ゆかりん?順番に話して?」
優花里「…えっとですね…実は、大学選抜戦が終わった後のことなんですが」
優花里「とある黒森峰の生徒から、私にお願いがあったんですよ」
みほ「え? エリカさんとか、小梅さんとか?」
優花里「いえ。西住殿は知らないと思うと仰っていました」
優花里「…それで、そのお願いというのが」
黒森峰女生徒『少しだけでいいから、みほちゃんともう一度、黒森峰で戦車道をやりたい』
優花里「というものでした」
みほ「(あー、なんとなく話がわかったかも…)」
優花里「が、西住殿は私の…ゲフンゲフン、大洗のみんなの隊長です。そう簡単には渡せません」
優花里「ですので、西住殿そっくりのロボットを提供することにしたんです」
沙織「え?それであっちは納得するの?」
優花里「いえ、あちらの人たちは、このミホロボを本物の西住殿だと思っていますから」
沙織「それはそれで黒森峰の人たちの頭が心配なんだけど」
優花里「おっとそうだ。これがミホロボの写真です」スッ
みほ「えっと、どれどれ…!?」
沙織「えっ、みぽりんどうし…え゛っ!!?」
優花里「…小型化は試みたんですが、どうしてもこの辺が限度で」
沙織「いやいやいや!!これはないでしょ!!」
みほ「せめてペッパー君みたいな感じかと思ってたんだけど…」
優花里「…ドラム缶?」
沙織「maimaiとか?」
みほ「メカ沢くんかな?」
沙織・優花里「それだぁ!」
沙織「…というかみぽりん、当事者なのにえらく冷静だね」
みほ「何かもう受け入れちゃった方が気が楽かなぁって」
沙織「(どうしよう、すでに一話のあの顔みたいになってるんだけど)」
優花里「えっと…あとは設定なんですが」
優花里「『西住殿が新学期から黒森峰に短期転校して、実家に住んでいる』ことになってます」
優花里「で、今朝の6時55分…まだ西住殿は寝ている時間なので、ベッドであおむけになっていますね」
優花里「なので、カメラには西住殿の部屋の天井が映っているわけです」
沙織「えっと…状況はわかったけど、私たちは何をすればいいの?」
優花里「本日はですね、モニターをお願いしたいんです」
みほ「モニターって?」
優花里「今日一日、プログラムされたとおりにミホロボが動きますので」
優花里「それを本人や親友の武部殿の視線から評価して、ここは西住殿らしくないとか、そういう感想を聞かせてください」
みほ「(動く前からもう何もかも違うんだけど)」
沙織「それはいいけど…あれ?このロボットはゆかりんが作ったの?」
優花里「いえ、これは自動車部のナカジマ殿が一晩で」
沙織「一晩!?」
みほ「自動車部って何だろうね…」
優花里「企画や仕様を作ったのは私ですけどね」
優花里「…おっと、まほさんが起こしに来ました」
優花里「そろそろ本格的に起動しますよ」
まほ「…みほ、そろそろ起きる時間だよ」
沙織「みぽりん、何時頃起きてるの?」
みほ「朝練がない時は7時ぐらいかな」
優花里「なので、7時に起きるようにセッティングしてありますよ」
沙織「今の時間は?」
優花里「6時59分ですね」
みほ「あ、本当に7時きっかりじゃないと起きないんだ」
沙織「(というか私らはこんな時間から何やってんだろ)」
まほ「ほらみほ、起き…」
カチッ
AM7:00
ミホロボ「!!」ガバッ
まほ「うわぁ!?」
みほ「どうしよう、早速人間やめてる動きだよぉ…」
ミホロボ「オハヨウ、オネエチャン」
ミホロボ「今日モキレイダネ」
まほ「あ、ああ、おはよう」
みほ「お姉ちゃんにこんなこと言わないよ…」
優花里「もうあとはミホロボのAIに任せるしかないんですよね」
優花里「あ、簡単な指令ならこのPCからも出せますよ」
沙織「まぁ、いざとなったら命令するしかないよね…」
まほ「朝ごはんできてるよ。顔を洗っておいで」
ミホロボ「ウン」
みほ「一応、受け答えはちゃんとできてるね」
沙織「(みぽりん冷静すぎ…)」
ミホロボ「オハヨウ、オ母サン」
しほ「おはよう、みほ」
菊代「おはようございます。朝食の用意ができております」
ミホロボ「ジャア、イタダキマス」モグモグ
みほ「…あ、ちゃんとご飯は食べるんだね」
沙織「ホントに誰も気づいてないんだけど…何?私たちがおかしいのかな…?」
しほ「…みほ…大洗に行って、一回り成長したようね」
沙織「文字通りね」
しほ「ずっと一人にしてしまって、ごめんなさい」
しほ「今日から、普通の家族として過ごしましょうね」
みほ「…良い事言ってるんだろうけど、何だろう、この…何?」
優花里「私たちはミホロボのカメラ越しでしか見えませんが、現場見たら絶対笑いますよコレ」
沙織「企画主が言わないでよ…」
ミホロボ「…ア、チョットオテアライ」
みほ「トイレまで行くんだね…」
優花里「起床後と180分ごとにトイレ判定で、確率でトイレに行くようになってますよ」
沙織「妙にリアルだなぁ…」
ミホロボ「」ガチャ バタン
ミホロボ「ピピッ」
みほ「ん?」
ブシャアアアアアアアアアアア!!!
沙織「」ブーッ!!
優花里「あ、あれ?水勢が強すぎますね…?」
みほ「」
沙織「みぽりん!みぽりんしっかり!」ユサユサ
ブシャアアアアア
沙織「まだ出てるよ!?」
優花里「食べたものとかをすべて液状にして出すので、量が多くなるんですよ」
みほ「冷静に言わないでよぉ…」
ガチャッ
ミホロボ「フー」
みほ「おじさん臭いなぁ…」
まほ「み、みほ?大丈夫か?凄い音がしたけど…」
ミホロボ「ダイジョウブ、ダイジョウブ」
まほ「で、でも…」
ミホロボ「3リットルクライデタヨ」
まほ「3リットル!?」
沙織「いちいち言わなくていいよ!」
まほ「ははは、みほも面白い冗談を言うなぁ」
ミホロボ「アハハ」
まほ「ふふふ」
みほ「えぇー…」
ミホロボ「ジャア、イッテキマス」
まほ「行ってきます」
ガチャッ
みほ「…ねぇ、今からでも私が行った方が…」
優花里「え?どうしました、西住殿?」
みほ「これ以上あのロボットに任せてたら、私の認識がおかしくなるんじゃないかなぁ」
優花里「大丈夫ですよ」
沙織「既に大丈夫じゃないんだけど」
ミホロボ「」ガシャンガシャン
みほ「歩く音大きすぎない?」
優花里「どうもこれが限界みたいで」
沙織「というかなんで誰も気づかないの…?」
優花里「黒森峰の人たちって基本ポンコツじゃないですか」
沙織「ちょっと」
みほ「…あ」
沙織「ん?」
みほ「あれ、エリカさんかな?」
エリカ「…あ、隊長。おはようございます」
まほ「あぁ、おはよう」
エリカ「…あら、みほ。貴女は今日から短期転校だったかしらね」
ミホロボ「ウン。オハヨウ、クソレズハンバーグサン」
エリカ「」
まほ「えっ」
沙織「ちょっとー!!」
優花里「別にぃー。逸見殿はこんな扱いでいいんじゃないですか?」
沙織「何!?ゆかりんエリカさんのこと嫌いなの!?」
みほ「」
優花里「じゃあ訂正しますか…」カタカタ
ミホロボ「オハヨウ、エリカサン」
エリカ「あ、えぇ、おはよう」
まほ「(気のせいかな…)」
エリカ「(気のせいかしら…)」
ミホロボ「今日ノ授業ハ、体育、数学、英語、世界史、戦車道ダネ」
沙織「…ねぇ」
みほ「ん?」
沙織「こういう学園で入れ替わりモノって、必ずと言っていいほど体育か健康診断があるよね」
優花里「武部殿、それは言わないお約束ですよ」
沙織「ところで体育って大丈夫なの?」
優花里「どういう意味ですか?」
沙織「いや、シャトルランで何千回往復したり、ハンドボール投げでウン百メートル投げたりしないよね?」
優花里「あぁ、その辺は大丈夫ですよ。必ず平均点が出るようになっていますから」
みほ「必ずっていうのもちょっと不自然だなぁ…」
エリカ「今日の体育はバスケですって」
みほ「それなら大丈夫かな」
ミホロボ「…エリカサン、柔軟付キ合ッテモラエル?」
エリカ「…し、仕方ないわね」
沙織「(エリカさん嬉しそうだなぁ…)」
エリカ「」←ミホロボの背中押してる
ミホロボ「ンー」グイグイ
エリカ「…みほ、あんたこんなに体固かった?」
ミホロボ「エ?」
エリカ「いや、さっきから全然体が曲がらないじゃない」
みほ「そろそろ気づいて…」
ミホロボ「キ、気ノセイダヨ」
エリカ「じゃあ、もうちょっと強く押すわよ」グイッ
ギギギギギギギ!!!
ミホロボ「ンー」
沙織「ちょ、今すごい音したよ!?」
優花里「ナカジマ殿は、ところどころ関節が甘いと言っていましたね」
みほ「甘いっていうか、全然曲がってないんだけど…」
エリカ「…ま、無理にやる必要もないわね。次は私の方をお願い」
みほ「(というか手触りで気づこうよ、エリカさん)」
ミホロボ「ジャアエリカサン、押スヨ?」
エリカ「ええ」
ミホロボ「エイッ」グイッ
ポキッ
エリカ「あ゛あ゛あ゛あ゛!!痛゛っ゛た゛あ゛あ゛あ゛あ゛い゛!!」バタバタ
ミホロボ「アッ」
みほ「エリカさーん!!」
沙織「ちょっとゆかりん!?何か折れる音したよ!?」
優花里「逸見殿も軟弱ですねぇ」
沙織「何なの!?なんでそんな当たりキツいの!?」
ミホロボ「ピピッ。腰椎損傷、軽微」
みほ「突然ロボっぽい事言い出したよ!?」
エリカ「ちょっとぉ…やりすぎじゃない…」
ミホロボ「ゴ、ゴメンネ」
沙織「いい加減気づいて―!!」
●試合中
エリカ「はぁ、はぁ」←ドリブルしてる
ミホロボ「エリカサン!コッチ!!」ドスンドスン
沙織「ミホロボが走るだけで体育館揺れてるんだけど…」
みほ「どうしよう…私すごい太ってると思われちゃう…」
エリカ「みほっ!」シュッ
ミホロボ「ハイッ!」パシッ
パアァン!!(ボールが破裂する音)
みほ「えっ」
沙織「あの…キャッチしただけでボール割れたけど…」
ミホロボ「ア、ゴメン。割ッチャッタ」
みほ「割っちゃった」
みほ「じゃないよっ!!」ダンッ
沙織「み、みぽりん…」
エリカ「もう、しょうがないわねぇ。代わりのボール持ってくるわ」
沙織「ねぇみぽりん…おかしいのは私たちなのかな…」
●戦車道
まほ「全員整列」
ザッ
まほ「みんなもう知っていると思うが、今日からしばらくの間、みほが練習に加わることになる」
まほ「…とはいえ、これは短期転校という措置だ。次期隊長がエリカであることに変わりはない」
まほ「だが、あの大洗を1年で優勝に導いた立役者だ。学ぶことも多いだろう」
まほ「では、今日の練習を開始する。戦車を準備してくれ」
ざわざわ・・
「西住さん、戦車道やめてなかったんだ…良かった…」
「またみほちゃんと戦車道ができるんだ…!」
沙織「(もうツッコむの疲れたなぁ)」
小梅「…みほさん!」
ミホロボ「小梅サン」
小梅「…その…あの時、私が…」
ミホロボ「…イインダヨ、小梅サン」ギュッ
小梅「あ…」
ミホロボ「…ゴメンネ」
小梅「うっ…!う…うわぁぁぁん…!」ボロボロ
ミホロボ「…」ナデナデ
優花里「感動的ですね、いい話です」
みほ「(この際私のイメージがおかしくならなければなんでもいいや、もう)」
沙織「(あれはみぽりん本人…みぽりん本人…)」ブツブツ
優花里「(二人とも、もう何かを悟ったような顔ですね…)」
●演習試合
ミホロボ「…エリカサン、3時ノ方向に敵2輌デス」
エリカ「了解」
エリカ「…ちょっとあんた、またそんなキューポラから乗り出して…」
ミホロボ「エ?」
エリカ「危ないから下がってなさいよ」
優花里「逸見殿って、結構優しいところありますよね…」
沙織「っていうか同性ツンデレのお手本みたいなところあるでしょ」
ミホロボ「大丈夫ダヨ。滅多ニ当タルモノジャ…」
ドンッ
ミホロボ「ン?」
小梅「ああっ!!みほさん!危ない!!」
ミホロボ「エッ…」
ドーン!!
沙織「当たっちゃったーー!!」
みほ「ちょっと優花里さん!?大丈夫なのこれ!?」
優花里「あ、大丈夫ですよ。あのくらいなら壊れませんから」
みほ「そうじゃなくて!そうじゃなくてぇ!!」
エリカ「ちょ、ちょっとみほ!?大丈夫!?」
みほ「(普通に考えて大丈夫じゃない)」
ミホロボ「ダイジョウブダイジョウブ」
エリカ「で、でも…」
ミホロボ「コレモ西住流ダカラ」
エリカ「そ、そう…」
みほ「(ああ、これお姉ちゃんまで誤解されちゃうヤツだ…)」
優花里「…あ、戦車道の時間もそろそろ終わりですね」
沙織「授業はこれで終わりだし、あとは帰るだけだね」
みほ「長かった…長かったよぉ…」
沙織「よしよし」ナデナデ
~~~~
まほ「…」スタスタ
ミホロボ「」ガシャンガシャン
みほ「(もう歩行音にツッコむのやめよう…)」
まほ「…みほ」
ミホロボ「オネエチャン?」
まほ「…楽しかったな」
ミホロボ「…ウン」
まほ「こうして…また、みほと黒森峰に通えるなんて、思ってなかったから」
ミホロボ「…」スコスコ
沙織「(油さしてる…)」
まほ「…あっ…」ボロッ
まほ「…っ…な、なんで涙が…」ボロボロ
ミホロボ「…オネエチャン」←ハンカチ渡してる
まほ「…ごめんね」グスッ
みほ「ねぇ、あのハンカチ大丈夫?」
優花里「オイルとかついてますねたぶん」
沙織「台無しだよ」
まほ「…みほ…」
ミホロボ「オネエチャン…」
まほ「…ありがとう、みほ」
まほ「また、こうして一緒に…」
ミホロボ「ピピッ」
まほ「ん?」
ミホロボ「オネエチャン」
まほ「みほ?」
ミホロボ「チョットトイレ」
まほ「えっ」
沙織「ちょっ、ここでぇ!?」
優花里「あっ、気づけば前の判定から180分経ってますね…」
みほ「ちょっとー!空気!空気読んでよ私ぃー!!」
沙織「み、みぽりん落ち着いて…」
ミホロボ「先ニカエッテテ」ガチャンガチャン
まほ「あっ、ちょ…みほ!?」
沙織「…凄い勢いで走り去っていったけど…」
優花里「自動的にその時一番近いトイレに向かいますから。たぶん学校ですね」
みほ「今、どう見ても30キロくらい出てたけど…」
優花里「あのくらいが最高速度です」
みほ「もっと人間らしい速度で走って…」
ミホロボ「フー」ガチャン
エリカ「…みほ」
ミホロボ「ア、エリカサン」
エリカ「…ちょっといいかしら」
ミホロボ「ナニ?」
エリカ「単刀直入に聞くけど」
エリカ「…あなた、本当に西住みほ?」
ミホロボ「エ?」
優花里「…あれ、逸見殿に感づかれましたか…」
みほ「(なんでほかのみんなは不思議に思わないんだろう)」
エリカ「…あなた、さっきから様子がおかしいわ」
エリカ「戦車道の授業中、砲弾が直撃したのを見て何かおかしいと思っていたの」
沙織「遅くない!?」
エリカ「何ともなさそうだったし…とにかく、今日のあなた変よ」
エリカ「…貴女、だれ?」
ミホロボ「…」
みほ「…ねぇ、これどうするの?」
みほ「(正直バレちゃったほうが都合がいい気がするけど)」
優花里「…仕方ありませんね」
みほ「え?」
優花里「…えっと…マイクと…よし」
沙織「ちょ、ちょっとゆかりん?」
ミホロボ「…ガガッ」
ミホロボ「…逸見殿、聞こえますか?」
エリカ「え…?この声、秋山?」
ミホロボ「逸見殿…逸見殿が悪いんですよ」
エリカ「ちょ、どこにいるの?」
ミホロボ「…少しだけ、忘れてもらいますから」
ウィイイン
エリカ「なっ」
みほ「何あれ!?ロボットから何か出てる!?」
優花里「マジックアームです。あれで対象を捕獲するんですよ」
沙織「何!?何が起きてるの!?」
エリカ「ちょ、何よこれ!!離しなさい!!」
ミホロボ「暴れると危ないですよ」
エリカ「えっ、ちょっ」
沙織「何アレ!?注射!?」
みほ「逃げて―!!エリカさん逃げてー!!」
プスッ
エリカ「あっ」
チュウウウ
エリカ「あっ…?えっ?あっ?あっ??」ガクガク
沙織「ヤバいって!!あの注射なに!?」
優花里「ここ2、3日の記憶を消すお薬です」
優花里「大丈夫ですよ。私も打たれたことがありますけど、特に後遺症とかはないですから」
沙織「なんで持ってるの!?なんで撃たれたことあるの!?」
優花里「いや、それはこの際どうでもいいじゃないですか」
エリカ「…あひっ」ガクッ
優花里「…あ、気絶しましたね。部屋まで運びますか」
みほ「優花里さん…しばらく近寄らないでくれるかな…」
優花里「え?」
・・・その後、短期転校期間の間、ミホロボが私の代わりを務めました
その間のことは、怖いので確認していません
そして短期転校期間が終わり、ミホロボはしばらく倉庫に眠ることになりました
・・・今日は12月30日
私は帰省のため、熊本に向かっています
ミホロボ事件の後、お母さんやお姉ちゃんと会うのは初めてです
・・・何事もなければいいんですが
ガララッ
みほ「ただいまぁ」
菊代「おかえりなさいませ、みほお嬢様」
しほ「…おかえりなさい。みほ」
みほ「ただいま、お母さん。菊代さん」
しほ「…んっ」スッ
みほ「ん?」
しほ「…」
みほ「…?」
しほ「…みほ?」
みほ「なに?」
しほ「ほら、いつもの」
みほ「え?」
しほ「ただいまのチューは?」
みほ「」
みほ「」
みほ「」
みほ「…えっ?」
パタパタ
まほ「みほ、おかえり」
みほ「あ、お姉ちゃん。ただいま」
まほ「腰は大丈夫か?」
みほ「え?」
まほ「…うん、何ともなさそうだな、よかった」
みほ「何かあったっけ?」
まほ「ほら、前にみほの腰がちぎれたことがあったじゃないか」
みほ「」
まほ「その時は大騒ぎしたが…大丈夫そうだな」
みほ「」
みほ「…えっ?」
・・・その後
ピンポーン
ケイ「はーい」バタバタ
ガチャッ
ケイ「あら?ミホじゃない。どうしたの?実家に帰るって言ってなかった?」
みほ「あの…ケイさん…しばらく泊めてもらえませんか…?」
ケイ「え?」
-おしまい-
これだからリアルサテライト民は
乙
最終章はだいたいこんな感じだったよ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1513086034/
Entry ⇒ 2018.01.15 | Category ⇒ ガールズ&パンツァー | Comments (0)