優花里「同人誌を買いにイベント参戦であります!」
優花里「意図せぬところで自分の趣味にマッチした本に出会えるのも、オールジャンル系イベントの醍醐味ですからねぇ……むむっ!」ピクッ
優花里「あのポスターに描かれている凛々しいお顔は……紛れもなく西住殿ではありませんか!」
優花里「西住殿本は何を置いても全て買いです! いざ突撃!」
優花里「こんにちは~、ちょっと見させていただいても――」
エリカ「あ、はい、どうぞ――」
優花里「…………」
エリカ「…………」ダラダラ
―――――――――――――――――――――
※一部、前回のSSの設定を踏襲しています。
エリカ「私のみほまほエロ同人誌が無い!?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1454853305/
※今回は前回よりもちょいちょい18禁です。
※キャラ崩壊上等
エリカ「ひひっ人違いですけどぉ!? 私はサークル『シュバルツバルト』の三ツ井かりヱですけどぉ!!」クワッ
優花里「わ、分かりました……三ツ井、殿……?」
優花里(メガネで変装していますが、どう見ても逸見エリカ殿ですよねぇ……まあ、このような場です。無粋な詮索はよしましょう)
エリカ「ほほほら! 本見たいんでしょ!? さっさとしなさいよ!」
優花里「は、はい!」
優花里(黒森峰の同級生だった逸見殿が描く西住殿本……これは興味がそそられますねぇ。タイトルは――)
『メスイヌさんチーム、訓練中!~みほ教官のイ・ケ・ナ・イ個人特訓~』
優花里「」
優花里「」ペラッ
BAGOOON
みほ『……また外れです。やる気あるんですか?』スリスリ
エリカ『あっ……ふっ……そ、そんなころ言われたってぇ……♡』ガクガク
エリカ『こ、こんなことされにゃがら当てられるわけぇ……んっ……♡』ビクン
エリカ(こんな……みほの指でおしりの穴の周りばっかり弄られて……平静でいられるわけっ――)
みほ『あの距離の静止目標くらい、いついかなる状況でも百発百中でなければ困ります。次外したら、お仕置きですからね』クニクニ
エリカ『おおおしおきぃ……♡』ブルッ
みほ『……まさか、お仕置きされたくてわざと外してなんかいませんよね?』ツンツン
エリカ『そっ、そんなわけへぇっ……ないじゃないのっ……!』トロトロ
みほ『では――発射!』カリッ
エリカ『んひぃぅっ!?♡』ビビクン
BAGOOON
みほ『話になりませんね』
エリカ『そんな! ずるいわよ! 撃つ瞬間に入り口引っ掻くなんて――』
みほ『言い訳無用です。では、お仕置きを開始します』
ツプン ツププププ…
エリカ『んほぉ!?♡ は、入ってくるぅ……っ♡』
優花里「」パタン
優花里「……率直に言わせていただきます」
エリカ「…………」ドキドキ
優花里「――最高だぜぇ……!」bグッ
エリカ「そ、そう!?」パァァァ
優花里「はいぃ! 普段のほんわかした西住殿も素晴らしいですが、冷徹な西住殿も味があって捗りますねぇ! 1冊いただきます!」
エリカ「500マルクよ!」
優花里「はい500円ちょうどです」チャリン
エリカ「ありがとう! それと、その、このことはお願いだから内密に……」
優花里「……はて? 三ツ井かりヱ殿とは初対面だとお見受けしますが、このこととはどのことでしょう?」
エリカ「……恩に着るわ」
優花里「ふふふ、次も新刊期待しております」
エリカ「ええ、任せてちょうだい」
優花里「『シュバルツバルト』は今後要チェックですね。……おや? 何やらまた見覚えのある方が……」
アリサ「……げっ」ガタッ
優花里「……あなたはサンダースの――」
アリサ「わ、私はアーヤ! サークル名は『空飛ぶ戦車隊』! サンダースって何? イーブイ進化させるならニンフィア一択でしょ!?」
優花里「は、はぁ……私的にはエーフィーも捨てがたいですが……」
優花里(ニット帽被って変装のつもりですかね……)
アリサ「な、何見てんのよ! ほら、邪魔だから読まないならどっか行きなさいよ!」
優花里「え、ああ、でしたら読ませていただきます……」
優花里(このエリア、ジャンル的に多分私の趣味ではないとは思うのですが、このまま立ち去るのもアレですし……さてアリサ殿はどんな本を――)
『ファイアフライに堕ちる』
優花里「うーん……」ペラッ
ナオミ『君が悪いんだよ。君が、アリサを裏切るような真似をするから』パシーン!
タカシ『オアアアアアアアッ!!』ビクビクッ
ナオミ『こうやって、私の17ポンド砲で掘られることになるのさ』ガポガポガポ
タカシ『ウオオオオオオオっ! オッ! オッ!』ピクッ ピクッ
ナオミ『イくのかい? さあイけよ。惨めに女にケツマンガン掘りされながら、トコロテン垂れ流してイきなよ』ガスガスガスガス
タカシ『ガッ、ガアアアアア!!』ビクーン デロデロデロ…
アリサ『タカシぃ……タカシぃ……♡』ハァハァ
優花里「うわぁ……」パタン
アリサ「何よその反応!」
アリサ「……な、なんか言いなさいよ!」
優花里「その……頑張ってください」
アリサ「ちなみに1冊400ドルよ」
優花里「あ、結構です」
優花里「それにしても戦車道の知り合いが2人も参加しているとは、世間は狭いですねぇ……」
優花里「2度あることは3度あると言いますし、もしかしたらまたどこかに知り合いが――」
オレンジペコ「あら、あなたは大洗の」
優花里「本当にいました! 聖グロリアーナのオレンジペコ殿ではないですか!」
オレンジペコ「こんなところで奇遇ですね」
優花里「まったくです! オレンジペコ殿は、特段自分を偽ったりはしないのでありますか?」
オレンジペコ「はい、別に隠すことでもありませんし。そのままサークル『あなたを密かに慕う会』のオレンジペコとして活動しています」
優花里「なるほど! この自信と清廉潔白さ! これは期待が持てそうです! では新刊を拝見いたしますね」
オレンジペコ「喜んで」スッ
『ダージ輪姦』
優花里「えっ」ペラッ
男A『へっへっへ! その高飛車な顔が歪むのが最高だなァ!』パンパン
ダージリン『よ、くも……ぐぅっ……!』ガボッ
男B『へっへ、口が空いてんじゃん。こっちも相手してくれよ』グポグポ
ダージリン『ぉぶっ……ぉぇっ……!』
男C『まだかよー。お前のデカチンで穴広がっちまうよ。あーダー様のおっぱい気持良いっすよー』ヘコヘコ
ダージリン(くっ……それでも……どんな状況だろうと――)
ダージリン(絶対に、一滴たりとも紅茶は溢しませんわ……!)カタカタ
優花里「えぇ……」パタン
オレンジペコ「いかがでした? 1冊700ポンドですよ?」ニッコリ
優花里「え、ああ……とても良かったと思いますが、いかんせんこのようなジャンルは私の射程範囲外でして……」
オレンジペコ「そうですか……残念です」
優花里(平然とこんなものを出すオレンジペコ殿に闇を感じます……)
オレンジペコ「ダージリン様は褒めてくださったのに……」
優花里「!!!???」
優花里「しかし続けてエグい内容のものを読んで、些か気分が……」フラフラ
ノンナ「どうしました? そのようにふらついていては危ないですよ」スッ
優花里「ああっプラウダ高校のノンナ殿! これはこれは、ありがとうございます」
ノンナ「いえ。おや、あなたは大洗の……まさかこんな場所で知り合いに会うとは思いませんでした」
優花里「ははは、そうですねぇ……」
優花里(私はもう驚かなくなってきましたが)
ノンナ「ええ。『革命的カチューシャ主義者同盟』という個人サークルで。いかがです? 立ち読みなど。趣味に合うかどうかは分かりませんが」
優花里「それでは失礼して――」
『さようならノンナえもん』
優花里「これは……」ペラッ
ノンナえもん『……かちゅ太くん、あなたに伝えなければならないことがあります……』
かちゅ太『そんなの後でいいからボルシチー!』
ノンナえもん『……私は、かちゅ太くんとお別れして、網走に帰らなければならなくなったのです』
かちゅ太『えっ……!?』
――――――――――――――――
ノンナえもん『ついに明日ですね……』
かちゅ太『……ホントに行っちゃうの?』
ノンナえもん『……仕方ないことなんです』
かちゅ太『……ねぇノンナえもん、今夜は一緒に寝ましょ?』
ノンナえもん『はい』
ミホァイアン『いででででで!』
かちゅ太『あたしだけの力で、あなたに勝たないと――』
ミホァイアン『ぐぎぎぎぎ!』
かちゅ太『ノンナえもんが安心して……網走へ帰れないのよ……!』
ミホァイアン『いてて! やめろってば! 悪かった! おれの負けだ! ゆるせ!』スタタタ
ノンナえもん『かちゅ太くぅん!』
かちゅ太『勝ったよ、あたし。見たでしょ……ノンナえもん』ボロボロ
ノンナえもん『はい……!』
かちゅ太『勝ったのよ、あたしひとりで――もう安心して帰れるでしょ……ノンナえもん……』
ノンナえもん『はい……はい……っ!』
――――――――――――――――
かちゅ太『ノンナえもん、あなたが帰ったら、戦車ががらんとしちゃったわ。でも……すぐに慣れると思う。だから……心配しないで、ノンナえもん――』
優花里「ううっ……!」ウルウル
ノンナ「ありがとうございます」
優花里「1冊下さい!」
ノンナ「400ルーブルです」
優花里「どうぞ!」チャリン
ノンナ「確かに。ちなみにノンナえもんとかちゅ太くんの同衾シーンに大幅加筆修正を加えた18禁版が800ルーブルで」
優花里「そっちはいいです」
ノンナ「そうですか」
優花里「おお、コスプレイヤーの売り子まで! 大手サークルは華がありますねぇ……ってあれは――」
アンチョビ「ありがとうございましたー!」
ペパロニ「はい! 既刊1冊ずつっスね! まいど!」
カルパッチョ「すみません、新刊は1人1冊となっておりまして……はい、800リラです」
優花里「アンツィオの方々じゃないですか!」
ペパロニ「ん? おお! ……誰だっけ?」
優花里「大洗女子学園の秋山優花里であります!」
ペパロニ「ああ大洗の! 久しぶりっスね!」
ペパロニ「ほれ、読んでみ」
優花里「え、しかし、こんなに並んでいるのに……」
ペパロニ「構わないっスよ! もう身内みたいなもんじゃないっスか!」
優花里「はぁ……ではお言葉に甘えて――」
『鹿島と訓練しましょ♡』
優花里「えー……」ペラッ
鹿島『て・い・と・く・さん♡』
提督『か、鹿島! なにを――』
鹿島『もう、そんなに緊張しなくても大丈夫です! さ、鹿島と夜戦の訓練――』
優花里「ここまで読んだだけで展開がもうあらかた分かっちゃうような……去年の冬コミで似たような本が何十冊もありそうな艦これ鹿島本……」
ペパロニ「やっぱこれが一番売れるんスよ~。この前はヘスティア本で、今はファントムなんとかの舞先輩本を制作中っス」
優花里(こ、このラインナップ……まさに典型的な同人ゴロ……!)
優花里「お邪魔しております! 鹿島コスお似合いです!」
アンチョビ「お、そうか? よく分からないんだけどカルパッチョに着せられてな……っと悪い! 今日はちょっと歓迎する暇が無いんだ! 1冊でも多く売って、戦車の修理代の足しにしないといけなくて……」
優花里「ああなるほど……」
アンチョビ「そういうわけだから、また遊びに来たときに盛大にご馳走してやるからな! ほらペパロニ、さっさと在庫出してこい!」
ペパロニ「はいっス姐さん!」
優花里「それでは、お邪魔いたしました!」
ポロロン…
優花里「む、この音色は……」
ミカ「やあ」
優花里「継続高校のミカ殿まで同人誌を……もうこの際驚きませんが」
ミカ「同人サークル運営には、人生で大切なものがたくさんつまっているのさ」ポロロン…
優花里「ミカ殿がどんな人生を送りたいのかたまに分からなくなります……」
ミカ「それは誰にも分からないことさ。私にもね」ポロン…
優花里「はあ……本を見ても?」
ミカ「君がそれに意味があると思うのなら」
優花里「では――」
『本能に従って歩く』
優花里「これは詩集ですかね」ペラッ
シャンプーの出口のところに
シャンプーが固まってこびりついて
そのせいでシャンプーが
変な方向に飛び出してしまったんだなあ
みかを
ノートに睫毛が落ちたと思って
何度もはらったのに動かないから
よく見たら毛じゃなくて
鉛筆の線だったんだなあ
みかを
ふとスマホを見た瞬間にメールが来たから
多分私には電波を感じる超能力があると
思っちゃったんだなあ
みかを
いざ使おうと思った時には
アロンアルファは
固まってしまっているんだなあ
みかを
ターミネーター2は面白いなあ
みかを
優花里(なんですかこの糞みたいな詩は……)パタン
ミカ「どうかな、私達『楽しいミカ一家』の新刊は。1冊1000マルッカだよ」ポロロン…
優花里「高っ……えーと、私にはどうやら詩の良し悪しは分からないようで……はは……」
ミカ「そうかい。どうやらもっと君にふさわしいサークルは他にあるようだね」ポロン…
ミカ「向こうに行ってごらん。君の求めるものが見つかるかもしれないよ」
優花里「あっちですか? はあ、よく分かりませんが、行ってみます。では、またどこかで」
ミカ「ああ。……それが君にとって、本当に意味のあるものかは分からないけれど」ポロロン…
みほ「あれ? 優花里さん! 奇遇だね!」
優花里「にににに西住殿!? なぜここに!」
みほ「私達もサークル参加してるの! 良かったら見ていきません?」
優花里「是非とも読ませていただき――いえ、買わせていただきます!」
みほ「えっ、いいの? 試し読みもしないで……500円だけど」
優花里「はい! 西住殿が描かれたマンガとは、それだけでお宝ですぅ!」チャリン
優花里「え? ではどなたが……」
愛里寿「私」
優花里「あっ……」(察し)
愛里寿「私がこの『アリス・イン・ボコランド』代表、アリス」
優花里「ということは、この新刊は……」
みほ「うん! ボコ総受けのリョナ本だよ!」ニッコリ
優花里「oh…」
優花里「えーっとですね、昔からチェックしている戦車マニアサークルの出している考察本と……あっ――」パサッ
『メスイヌさんチーム、訓練中!~みほ教官のイ・ケ・ナ・イ個人特訓~』
みほ「…………」
優花里「あっ、こっ、これはですね……!」アセアセ
みほ「……まーた三ツ井かりヱ先生か……ちょっと調教が足りなかったかな……?」ボソッ
優花里「……!」ゾッ…
エリカ「…………っ♡」ゾゾッ…
♡おしまい♡
三ツ井かりヱ先生以外だと誰がどんな本描くかなーと妄想した結果出来てしまった続編でした。
聖グロの闇は深い。
乙
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455100050/
Entry ⇒ 2016.02.12 | Category ⇒ ガールフレンド(仮) | Comments (0)
【GF(仮)】真琴「先輩っ、何してるんですか?」 その4
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1414788967/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1415391632/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1416634730/
ガールフレンド(仮)より柊真琴と俺氏の小ネタ集です。
前スレで指摘を頂きましたので、今回からは個数目標等は設定せずに投下します。
ひと月以上書き溜めをする等のことが無い限りゆっくりと投下していきます。
小ネタで書き溜め?と思われるやもしれませんが、暖かく見てやってください。
思いついたことを淡々と書き連ねていきます。
トラブル回避、嫌な思いをすることを回避する為に以下のことにご留意ください。
誤字脱字、キャラに違和感等あると思います。
俺の真琴はこんな子じゃない、台詞が気持ち悪い等の考えに至りましたらブラウザバックを。
もしよろしければネタを頂けるとありがたいです。
全てを回収できるかわかりませんが、未熟ながらも精一杯書かせていただきます。
それでは、よろしくお願いします。
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「ん? 手袋探してるんだ。 確かポケットに入れたと思ったんだけどな」
真琴「手袋、ですか」
俺「もう冬も本番、毎日のように今年最強の寒波がって言われるとそりゃ準備もしますよっと……」
俺「あった。 ……何故か鞄の隅でぐしゃぐしゃになってた」
真琴「ポケットじゃなくて鞄でしたね~」
俺「全く記憶にないけど、入れたんだろうな」
真琴「無意識に何処かにしまうってこと、ありますもんね」
俺「焦ってるときとか急いでる時とかは特にな」
俺「あーあー、ゴミや埃まみれ。 鞄の中ってなんでこう変なゴミがあるかなぁ」
真琴「はいっ! 冬の時期のありきたりな質問です」
俺「いきなりだな……なに?」
真琴「先輩は夏と冬、どちらが好きですか?」
俺「うーん、夏かな?」
真琴「そうなんですか?」
俺「そうだけど、意外?」
真琴「私が今まで聞いた時は冬って答える人が多かったんですよ」
真琴「先輩は夏なんですね~。 ちなみに、理由を伺っても?」
俺「俺、寒いのダメなんだわ。 暑いのはまだ耐えられる。 虫や蚊の鬱陶しさも、蒸し暑さも冬の寒さに比べるとどうってことない」
俺「寒さはダメだ。 なんか、いろいろと痛い。 あと手が悴んだりするのが地味に辛い」
真琴「でも、手が悴むのってカイロとかを使えば大丈夫じゃないですか?」
俺「俺、カイロとか使わないんだ」
真琴「? どうしてですか?」
俺「……特に理由もない」
真琴「?」
俺「親とかに使うかって聞かれる度に要らないって答え続けてたらいつの間にか使わないのが当たり前になってた」
真琴「……なら今からでも使えば良いんじゃないですか?」
俺「長年使ってこなかったんだからもうこうなりゃ意地でも使わない」
真琴「……」
俺「今、口に出さずに軽くバカにした?」
真琴「えっ!? いや~、その……別に使えばいいのにな~とは思いました」
俺「いいんだよ。 男子には何かしらそういうポリシーがあるの」
俺「冬はなー、寒いし痛いしどうにも合わないんだよなー」
真琴「でも先輩? 冬には炬燵やストーブがありますよ?」
俺「夏にだって扇風機やクーラーがありますし」
真琴「寒い時に飲むホットコーヒー、先輩好きですよね?」
俺「コーヒーにはホットとは別にアイスコーヒーがあるよ?」
真琴「炬燵に入って食べる蜜柑、最高ですよ?」
俺「クーラーの効いた部屋で飲む炭酸飲料が夏にはあります」
真琴「おでんやお鍋、美味しいものがありますよ?」
俺「冷やし中華やそうめんで涼をとる良さがあります」
真琴「アイス! あったかい部屋で食べるのは最高です!」
俺「それさ、夏に暑さを凌ぐために食べるのを冬に無理やり再現してるだけじゃない?」
真琴「……。 うーん。 ……まいりました」
俺「いつの間に勝負になってた。 夏も冬も良いところがあるで良いじゃん」
真琴「ですね~」
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「バタバタして鞄に突っ込んでたイヤホンが絡みまくっててさ、ほどいてる」
真琴「先輩ってイヤホン派でしたっけ?」
俺「いや、ヘッドホン。 今は手元にモニターのゴツいのしかなかったからイヤホンにしたけど、どーなってんだこれ?」
真琴「あー、見事に絡みまくってますね~」
俺「これは断線も覚悟しないとなー。 安物だからそこまで気にしないけど」
真琴「先輩はなんでヘッドホン派なんですか?」
俺「ん?」
真琴「ほら、ヘッドホンって何かとかさばりますしイヤホンを使ってる人の方が多いですから」
俺「きっかけは、なんだったかなー。 ……と、あぁ、こうなってるのか。 あー、そうだ。 俺の使い方が悪いんだと思うんだけど、イヤホンはよく断線してたんだ」
真琴「どのくらいの頻度でですか?」
俺「2ヶ月とか3ヶ月に1回のペースで。 ほら、高校生の懐事情からしたら5千円のイヤホンとかになると厳しくなってくるじゃん?」
真琴「そうですね」
俺「それを買って1週間で断線させた時は本当に辛かった」
真琴「1週間で、ですか?」
俺「そう、立ち上がる時に膝に引っ掛けてブチっと」
俺「それで新しいイヤホンを見に行った時にヘッドホンが安く売っててさ、物は試しだと思って買ったらこれが一向に断線しなくて。 それがきっかけかな?」
真琴「でもヘッドホンって夏場は大変じゃないですか?」
俺「確かに夏場は蒸すよ。 でも冬場は耳当てみたいな感じで重宝するよ」
真琴「あ~、確かに冬場は暖かそうですね」
俺「後はティッシュ配りとかキャッチとかも声をかけてこなくなるし」
真琴「いや、それは……」
俺「とにかく俺にはヘッドホンの方が合ってたみたい……と。 やっと解けた。 どうやったらあんなに絡むんだ?」
真琴「はぁー」
俺「? 何してんの?」
真琴「あ、先輩! ほらほら見てください。 はぁー」
俺「だから、何してんの?」
真琴「ほら、吐く息が白くなりますよ。 先月まではそうでもなかったんですけどね~」
俺「ここ最近の冷え込みは凄まじいからなー。 もう手袋とかマフラーが手放せないよ」
真琴「ですよね、みんなモコモコしてきますもんね」
俺「モコモコ……まあ、そうね」
真琴「街ももうクリスマスの雰囲気ですよね」
俺「早い店はハロウィンが終わるとすぐにクリスマス仕様になってたもんな」
真琴「そうなんですよ、もうびっくりしました。 まだ11月なのに小さなツリーとかが飾ってて」
俺「商売的な意味では早い方が良いのかね? よく分からんけど」
真琴「早い方が良いんじゃないですか? ほら、クリスマスケーキの予約とかも長い期間受け付けられますし」
俺「他には?」
真琴「他!? えーっと……」
真琴「お客さんにクリスマスの雰囲気を味わってもらうことによって……」
真琴「お買い物したくなるような気分にさせる効果があるんですよ! ……多分」
俺「おお、すごいな。 無茶振りだったからたぶん返せないと思ったのに」
真琴「クリスマスと言えば、先輩?」
俺「ん?」
真琴「先輩はクリスマスに何かご予定はありますか?」
俺「いや、特にはないよ。 部屋でゴロゴロしてるんじゃない?」
真琴「本当ですか!?」
俺「本当」
真琴「なら、クリスマスは私と過ごしませんか? 私、頑張ってケーキ作るんで!」
俺「おー、ケーキか。 ……え? というか、ケーキも作れるの?」
真琴「私の趣味はお菓子作りですよ? 当然です!」
俺「そうなんだ、凄いな」
真琴「ふふっ、ありがとうございます。 で、いかがですか? クリスマス、私と一緒に過ごしてもらえますか?」
俺「こっちからお願いさせてください。 部屋を提供しますので簡単なパーティーでもしませんか?」
真琴「……2人でですか?」
俺「そのつもりだけど?」
真琴「……絶対。 絶対ですからね?」
真琴「パーティーですか~。 何を作ろうかな~?」
真琴「先輩は何が食べたいですか?」
俺「ん? 肉料理だったら嬉しいけど」
真琴「嬉しいけど?」
俺「その前に期末テストがあることを忘れるなよ?」
真琴「……」
俺「あれ? もしかして、本当に忘れてた?」
真琴「……はい。 そっかー、期末テストがあったんですね……」
俺「なにもそんなに落ち込まなくても」
俺「……おっ」タッタッタッタ
俺「おはよう、柊。 調子はどう?」
真琴「……現在私は省エネモードで起動しています」
俺「……はい?」
真琴「その……つ、通常起動する為にはパスワードを発声してください……///」
俺「……」
俺「……あー、あんみつ大好きフォーエバー?」
真琴「……なんでよりによってそれなんです?」
俺「いきなりパスワードとか言われてぱっと思いついたのを言ってしまった」
俺「反省はしていない」
俺「恥ずかしいならやらなきゃいいのに」
真琴「だって、いつも先輩にやり込められてるんでたまには反撃したかったんですもん!」
俺「なら恥ずかしがらずに毅然とやらなきゃ。 まだ顔赤いぞ?」
真琴「えっ、本当ですか? うわ~、教室に着くまでに引くかな?」
俺「にしても、なんで急に省エネモード?」
真琴「昨日テスト勉強をしてたのでちょっと寝不足で」
俺「それで省エネ?」
真琴「です」
俺「テストと言えば、俺が去年各教科のテスト対策とかをまとめたノートがあるけど使う?」
真琴「え? そんなのがあるんですか?」
俺「教科を担当してる人が俺の時と違うから完璧な対策は無理だろうけど」
俺「それでも、範囲はだいたい被ってるだろうから全く使えないってこともないと思う」
真琴「先輩、お力をお貸しください!」
俺「承りました。 今日の帰りにでも持って帰ればいいよ」
真琴「助かります!」
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「期末も近づいてきたし、そろそろ本腰入れて勉強しようと思って」
真琴「テスト勉強でもするんですか?」
俺「そう。 最初は図書室でやろうかとも思ったんだけど飲食禁止だからさ。 帰って珈琲でも飲みながらやるとするよ」
真琴「そうですか。 図書室でするならご一緒させてもらおうと思ってたんですが」
俺「そっちがいいなら来る?」
真琴「どこにです?」
俺「部屋。 狭くてもいいなら。 テーブルを引っ張り出せば2人でも大丈夫だと思う」
真琴「いいんですか?」
俺「別にかまわないけど? どうする?」
真琴「是非ご一緒させてください」ペコリ
俺「そんな頭下げなくても。 じゃ、行こっか」
俺「そっちはもうテストの日程発表されたの?」
真琴「はい、昨日先生が日程表を黒板に貼ってました。 みんな写メってましたよ」
俺「で、苦手な教科が固まってるとかそんなことはなかった?」
真琴「はい、見事に私が苦手な科目は分散されてました。 助かりましたよ~」
俺「それは良かった」
真琴「先輩はどうだったんですか?」
俺「今回はまだマシかな。 鬼門の数学も土日を挟んでるから対策に時間が使えるし」
真琴「苦手な科目が土日を挟むと助かりますよね?」
俺「確かに」
俺「少し散らかってるけど我慢してね」
真琴「お邪魔しまーす」
俺「珈琲用意するけど、砂糖とミルクは?」
真琴「砂糖もミルクも少しで大丈夫です」
俺「お? 少し慣れてきた?」
真琴「毎日ちょっとずつ量を減らしてきてますよ。 苦くても一緒に甘いお菓子とかを食べると意外と中和されるんですよ」
俺「中和って……。 っと、お菓子と言えば」
真琴「?」
俺「これもどうぞ、つまみながらやって?」
真琴「クッキーですか?」
俺「そう。 先週末の俺が手慰みに作ったの」
真琴「先輩が作ったんですか!?」
俺「そんなに意外?」
真琴「全くイメージがなかったので」
俺「最近のツイッターは情報の宝庫だよ。 それもフライパンで作ったやつだし」
真琴「じゃあ、いただきます」
俺「いただいてください」
真琴「……」モグモグ
俺「……」
真琴「美味しいです。 これは珈琲ですか?」
俺「そう、インスタントコーヒーとメープルシロップを生地に練りこんでるの」
真琴「フライパンで焼いたからか硬さにムラがありますけど、おいしいです」
俺「やっぱりお菓子作りを趣味にしてるだけあって、言うことが違うなぁ。 ありがとう、今度作る時は意識してみるよ」
真琴「またよかったら食べさせてくださいね」
俺「あいよ。 んじゃ、そろそろ始めますか」
真琴「はい!」
真琴「……」カリカリ
俺「……」カリカリ
真琴「……」カリカリ...チラッ
俺「どうしたー? 何かわかんないところでもあったー?」
真琴「あぅ……見えてたんですか?」
俺「そりゃ、向かい合ってカリカリやってたら視界には入るよ」
真琴「先輩は今どんな感じでテスト勉強をしてるんですか?」
俺「授業中に特に重点的に時間を割いてた場所の確認。 そう言う柊は?」
真琴「課題です。 今こうしてテスト勉強してるのは予定外なので勉強道具がなくて」
俺「数学の課題かー。 やっぱり量が多い?」
真琴「です。 こうやって少しずつでもやっておかないと大変なので」
真琴「今日はありがとうございます。 誘っていただいて」
俺「いえいえ」カリカリ
真琴「……あ、先輩? この問題ってどう解けばいいんですか?」カリ...カ
俺「えーっと? ああ、そうだ。 ちょっと待ってて」
真琴「?」
俺「確かここに……お、あった」
俺「これのここ」
真琴「どこです?」
俺「ここ。 ここの部分がこのパターンの問題の解き方をまとめたとこ」
真琴「このノートはなんです?」
俺「今朝言ってた対策ノート。 ほら、この公式。 問題文からこれとこれ、それからこの数値を拾って代入」
真琴「ありがとうございます」
俺「大体のパターンは網羅できると思う。 これはあげるからご自由にご活用ください」
真琴「えっ? このノート、頂けるんですか?」
俺「俺はもう使わないしね。 部屋の片隅で捨てられるのを待つだけよりは使われた方がいいでしょ」
真琴「ありがとうございます、これを使って今回のテストも頑張ります!」
真琴「……よしっ! 終わりました~」
俺「お疲れさん。 うしっ、少し休憩をいれようか」
真琴「はい~。 疲れました」
俺「ちょっと待ってて何か適当に飲み物持ってくる」
真琴「わかりました」
真琴「……」
真琴「?」
俺「お待たせ、ジュースとお菓子がまだ残ってたからどうぞ」
真琴「あ、ありがとうございます」
俺「? どうした、ちらちらとあっち見て」
真琴「先輩? パソコンにヘッドホンが繋がってますけど普段家ではパソコンで何してるんですか?」
俺「何してるも何も、サイトを回りながら曲を聴くくらいだけど?」
真琴「どんな曲を聴いてるんです?」
俺「その時の気分によって変わるかな。 だいたい何かのアニメやゲームのサントラ曲が多いよ」
俺「最近は歌詞が英語の奴も多いから何かしら作業してる時に聴いてるんだ」
真琴「歌詞が英語って、解るんですか?」
俺「解からないよ。 意味が解らないから歌詞があっても特に問題なく作業できるんだ」
真琴「ヘッドホンは外さないんですか?」
俺「一応アパートだからさ、多少は音にも気を使ってるんだ」
俺「ほら、あれはカールコードの奴だから多少なら移動も出来て便利なんだ」
真琴「カールコード?」
俺「あの電話線みたいなやつ」
真琴「そういえば、クリスマスパーティーは本当にここで大丈夫ですか?」
俺「というと?」
真琴「いえ、気を付けるつもりではいますけどうるさくなっちゃわないかなーと」
俺「ああ、それは大丈夫。 普段我慢してるのはこっちだから」
真琴「?」
俺「ほら、いきなり喧しいって壁ドンされたらへこむでしょ。 やった方も罪悪感感じるし」
俺「だからここの住人でルールを決めたの」
真琴「ルール?」
俺「そう。 お互い1日のこの時間帯はこういう理由でうるさくなるかもしれませんって申告してるんだ」
俺「で、多少の騒音や振動は相互に黙認する。 どうしても我慢できないときはソフトに壁をノック」
真琴「そんなルールがあるんですか?」
俺「意外とこれが機能するんだ。 人を呼ぶだったり、この時間帯は家スロしますとか事前申請があると助かるし」
真琴「……家スロ?」
俺「やる人がいるんだってさ。 なんでも振動が凄いらしい」
俺「お? もうだいぶ暗くなってきたな。 今日はこの辺にしとこうか」
真琴「もう少し待ってください、今解いてる問題で終わりますから」
俺「あいよ。 ……さて、ひとまずコップとかを片しますか」
真琴「……終わりました!」
俺「お疲れさん」
真琴「先輩、今日は誘ってくれてありがとうございました!!」
俺「進んだ?」
真琴「はい、課題は全部終わりました。 後はゆっくり先輩の対策ノートを見ながら進めます」
俺「そいつは良かった」
真琴「これで期末はいつもよりだいぶ余裕を持って臨めそうです」
俺「直前で徹夜はしんどいもんなー」
真琴「ですね~。 私は徹夜とかしたことないですけど」
俺「……よし、送っていくよ」
真琴「ありがとうございます。 それじゃ、行きましょう!」
俺「鍵持った、コタツとストーブは消した、窓は鍵かけた。 よし、んじゃ行こう」
真琴「うぅ……寒いです……」
俺「寒いというか、むしろ痛いんだけど」
真琴「風があるぶん余計に寒いですね。 体感でどれくらい違うんでしょうか?」
俺「分からん。 ……ああ、本当に寒い。 やっぱり冬は嫌いだ」
真琴「まぁまぁ、そう言わずに。 冬は冬で楽しめばいいじゃないですか」
俺「冬嫌いの人はなかなかそう考えられないもんよ」
俺「もう少し着込んでくれば良かったかな」
真琴「先輩、基本的にコートと手袋だけですもんね」
俺「マフラーとかはイヤホンやヘッドホンをしてるとモコモコして邪魔になるのよ」
真琴「カイロも使わないんですから防寒対策を徹底すればいいんじゃないですか?」
俺「その結果がそのモコモコなんだろ?」
真琴「そんなにモコモコしてますか?」
俺「コート着てマフラーして耳当てして手袋して。 いや、それくらいが普通なのはわかってるんだけどさ」
真琴「先輩もせめてマフラーくらいしましょうよ」
俺「考えておくよ」
俺「最近だとマスクをしてる人が増えたと思わない?」
真琴「駅の近くとかによくいますね。 風邪の予防だったりなんじゃないんですか?」
俺「俺思ったんだけどさ、マスクって防寒対策にならないかな?」
真琴「……はい?」
俺「いや、マスクで顔の大部分を覆うと前から風が吹いても寒くないんじゃないかなって思ったんだけど」
真琴「それならもう素直にマフラーしましょうよ」
真琴「もしかしたらいるのかもしれませんけど、普通は風邪の予防とかですからね。 マスクの用途は」
真琴「送ってくれてありがとうございました」
俺「気にしなくていいって、バイト先にシフト表も出さないといけなかったから」
真琴「それでもです。 遠回りもさせてしまいましたし」
俺「そこまで律儀にならなくてもいいのに。 とりあえず、どういたしまして?」
真琴「ふふっ。 ……あ、そうだ。 先輩、少し待っててくださいね」
俺「? あいよ」
真琴「お待たせしました。 これ、まだ日持ちすると思うので夕飯の足しにしてください」
俺「いつも本当にありがとう。 親御さんはいらっしゃる? お礼を言っておきたいんだけど」
真琴「買い忘れたものを買いに出かけてるみたいです。 書置きがありました」
俺「そっか。 いつもありがとうございますって伝えておいてくれる?」
真琴「分かりました、伝えておきます。 ほら、シフト表を出しに行くんでしょ? 行ってください」
俺「……それじゃ、また明日な?」
真琴「はい、また明日です!」
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「テストが終わった解放感を全身で感じてるの」
真琴「手ごたえはどうです?」
俺「やけに嬉しそうに聞いてくるな。 その調子だと、良い感じだった?」
真琴「はい! 先輩から頂いた対策ノートの成果か、今回のテストは私的にはかなりいい感じです!」
俺「そいつはなにより。 さてと、もう後は半日授業ばかりだし気分的にはもうクリスマスか」
真琴「あっ、そうだ先輩! クリスマスパーティーのこと、打ち合わせしましょうよ」
真琴「料理のリクエストとか、何時に始めるとか」
俺「そうね、んじゃ今日決めちゃいますか」
真琴「テスト期間中は考えないようにしてましたからね~。 楽しみです!」
真琴「……」ピンポーン
真琴「……」
俺「はいはーい、予定より大分早かったなー」ガチャ
真琴「メリークリスマスです、先輩」
俺「おう。 メリークリスマス。 とりあえずお上がりください」
真琴「お邪魔します」
真琴「先輩、お台所お借りしてもいいですか?」
俺「? ……ああ、持ってきてくれた料理をあっためるのか。 どうぞー、勝手に使っちゃって」
真琴「ありがとうございます。 その間に先輩はテーブルとか準備していてもらえますか?」
俺「はいよー」
真琴「よしっ、準備するぞ~」
真琴「先輩~、この唐揚げも持って行っちゃってください~」
俺「よしきた、これで最後?」
真琴「そうです」
俺「んじゃ柊も座って」
真琴「はい」
俺「それじゃ、グラスを持って~」
真琴「はい!」
俺「メリークリスマス!」チン!
真琴「メリークリスマスです、先輩!」チン!
俺「あ~、美味かった。 本当に、冗談抜きで美味しかった」
真琴「良かったです~」
俺「あのケーキ、もう店とかで出せるんじゃない? 本当に美味しかったんだけど?」
真琴「そんな、大げさですよ~。 でも、ありがとうございます」
俺「あ、そうだ。 ちょっと待ってて?」
真琴「はい」
俺「……よっと。 はい、これ。 クリスマスプレゼントです」
真琴「あ! 私からも……。 先輩、クリスマスプレゼントです!」
俺「お、ありがとう。 開けてもいい?」
真琴「どうぞ~。 私も開けて良いですか?」
俺「どうぞどうぞ」
俺「銅製のコーヒースプーン」
真琴「挽いた豆の計量に使うそうです。 すり切りで10g計れるそうです」
俺「いやー、ありがとう! 前まで使ってたやつはプラスチック製だったから粉がくっついてさ」
真琴「是非使ってくださいね」
俺「さ、そっちも開けちゃって」
真琴「……。 本ですか?」
俺「そうそう。 俺が本当に好きな本の初版本。 ブックカバーもあるからそれを付けて読んでみて?」
真琴「ありがとうございます!」
俺「俺も繰り返し繰り返し何度も読んでる作品でさ。 読み終わったら感想とか語りあおう」
真琴「珈琲を飲みながらですか?」
俺「おっ、それ最高だ。 楽しみにしてるよ」
真琴「ですね~。 先輩、今日はありがとうございました。 おかげで最高のクリスマスが過ごせました!」
俺「こちらこそありがとう。 本当に楽しかったよ」
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「ん? ほら、これ」
真琴「やわらかビーフのクーポンプレゼント?」
俺「そう。 ファミレスのクーポンメール」
真琴「先輩ファミレス行くんですか?」
俺「終業式も終わったし、どうするか悩んでた」
真琴「……あの、良かったら一緒に行きませんか? 今ちょうどそのファミレスでデザートのフェアをやってて」
俺「デザートフェア、本当に好きだなぁ」
真琴「女の子は、私はそういうものなんです」
俺「……よし、行ってみようか」
真琴「はい!」
真琴「それでですね先輩、……先輩?」
俺「ん? ああ、ごめんごめん」
真琴「何を見てたんですか?」
俺「ほら、あれ」
真琴「近所の小学校の児童さんですね」
俺「あの子たち、だいたい半ズボンにスカートじゃん」
真琴「みんな元気ですね~」
俺「見てるこっちが寒くなってくる、あれ寒くないのかな」
真琴「子供は風の子っていいますし、寒いことは寒いけどあまり気にしないんじゃないですか?」
俺「絶対寒いと思う、俺には無理だ」
真琴「先輩はあのくらいの時半ズボン穿いてました?」
俺「あのくらいの時は多分穿いてた。 小学校の中学年あたりからGパンを穿きだして、そこから戻れなくなったな」
真琴「その時は寒くなかったんですか?」
俺「寒かったよ、滅茶苦茶寒かった。 でもみんながみんな子どもは風の子って言うし、友達はだいたい半ズボンだったからさ」
俺「俺も張り合って半ズボン穿いて。 知らなかったんだよなー、Gパンがあんなにあったかいって」
真琴「戻れなくなっちゃったんですね~」
俺「一度Gパン派になったらもう半ズボンには戻れないって」
真琴「そんなこんなで到着しました、ファミレス!」
俺「結構高校生が多いなぁ」
真琴「みんな考えることは同じなんですよ。 解放感とかすごいですし」
店員「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
俺「二人です、禁煙席でおねがいします」
店員「こちらへどうぞ。 ご注文がお決まりになりましたらそちらのボタンでお知らせください」
俺「はい、ありがとうございます」
俺「さて、ほとんど勢いで来たけど来たからには楽しもう。 2学期のお疲れ様会ですな」
真琴「はい、お供します。 さてと、何を食べようかな~?」
俺「俺は……もうこれでいっか。 やわらかビーフとやら、どれくらい柔らかいんだろうか」
真琴「先輩早いですね、もう決まったんですか?」
俺「クーポンメールに惹かれて来たわけだし、食べておこうかなと。 そっちは決まった?」
真琴「ちょっと待ってください。 このパフェとクレープとパンケーキで悩んでまして」
俺「大した量でもなさそうだし、2つくらいならいけそうじゃない?」
真琴「甘いです先輩、もうとんでもなく甘いです!」
真琴「この時期にスイーツの誘惑に負けるってことは、それすなわち体重が増えるってことなんです!」
俺「そんな大げさな」
真琴「全然大げさじゃありません。 油断してたらすぐに増えるんですから」
俺「……全然太ってるようには見えないけど、45くらい?」
真琴「失礼な! そんなにありませんよ!! 42でs……」
俺「……」
真琴「謀りましたね?」
俺「いや、今のは自爆じゃん」
俺「そんなに気になるなら2つ頼んで半分ずつ食べるとかすれば?」
真琴「えっ? ……いいんですか?」
俺「何が?」
真琴「先輩ってスイーツ食べるんですか?」
俺「好んで食べることはないけど、たまにはいいんじゃないかなって」
真琴「じゃあ、半分お願いしてもいいですか?」
俺「あいよ。 んじゃ、ポチッとな」ピンポーン
店員「ご注文をお伺いします」
俺「ドリンクバーを?」
真琴「2つで」
店員「ドリンクバーがお2つ」ピッピピ
俺「それからこのやわらかビーフ、クーポンって使えますよね?」
店員「はい、お会計時にご提示ください」
俺「じゃあそれで」
真琴「私はこの季節のフルーツデラックスパフェとリンゴのパンケーキを」
店員「かしこまりました。 ドリンクバーのグラスはあちらになります」
俺「んじゃ、ひとまず飲み物を調達しに行きますか」
真琴「はい」
俺「……リンゴジュース?」
真琴「前に来た時はなかったと思うんでつい」
真琴「そういう先輩は珈琲にコーラですか?」
俺「珈琲は入れるだけ入れておいてある程度冷ますんだ。 その間はコーラでも飲んでおこうと思って」
真琴「先輩って猫舌なんですか?」
俺「どうなんだろ? そんなことはないと思うんだけど」
俺「コーラ、やけにのどに絡むな」
真琴「やっぱり普通に買える市販のものが1番なんですか?」
俺「そりゃそうじゃない? こういうのって原価とか知ったら頼まなくなるのかな?」
真琴「でも一定料金で飲み放題っていうのは強いと思いますよ?」
俺「それもそうか。 っと、コーラ終わり」
真琴「お代わりですか?」
俺「いや、次は烏龍茶にする」
真琴「烏龍茶ですか?」
俺「なんでかいつも最終的には烏龍茶に行きつくんだ。 安定感が違うんだよなー」
俺「にしても、本当に高校生が多いなぁ」
真琴「ファストフード店とファミレスは学生の味方ですからね~」
俺「後は午後のひと時をお茶とおしゃべりに費やすマダム……と。 いつもの客層だなぁ」
真琴「いつものって、先輩はそんなにこの店を利用してるんですか?」
俺「気が向いた時に来る程度? ここで夕飯とかも食べてたし」
真琴「……今はそんなことしてないですよね?」
俺「柊真琴さん、並びに柊家の皆様のご厚意でお裾分けを頂いてからは一切外食をしておりません」
真琴「ならいいんです」
俺「本当に、まさか俺の食生活がここまで劇的に改善するとは思わなかったよ」
真琴「皆思い思いに過ごしてますね」
俺「ここは分煙のための衝立が上手い具合に壁みたいになっててさ、個室みたいな感じがしてかなり落ち着くんだ」
真琴「先輩はここに来てた時は何をしてたんですか?」
俺「そうだなぁ」
真琴「……」
俺「溜まりに溜まってやばくなった課題を一気に片すために使ったり」
真琴「……先輩」
俺「部屋だと誘惑が多すぎるからさ」
俺「ふと視界に入った漫画に手が伸びて全巻読破したり、急に掃除がしたくなったり、模様替えしたり」
俺「そんな経験、ない?」
俺「後は、暇で暇で仕方ないときに携帯ゲーム機や本を持ち込んだりもしたな」
真琴「ゲームに本ですか?」
俺「そうそう、ドリンクバーを頼んで飲みながらゲームしたり本を読んだり」
俺「ドリンクバーだから飲み物の値段の心配はいらないし。 部屋で過ごすのとはまた違った感じでいいんだ」
真琴「そういうもんなんですか?」
俺「正直、ドリンクバーだけで粘る訳だから店側からしたら迷惑な客だとは思うよ」
俺「でもコンセントから電気を頂戴しながらゲームしたりPCしたりする訳じゃないから、ちょっと大目に見てほしいかな」
店員「ご注文のお品はすべてお揃いでしょうか?」
俺「はい」
店員「ではごゆっくりどうぞ」
真琴「……写真と、少し違いますね」
俺「そこはほら、そういうもんだと思って開き直らないと」
真琴「……ですね! ではいただきます」
俺「いただきます」
真琴「ん~、このパフェ! 甘さが控えめでおいしいです」
俺「やわらかビーフ、想像よりは多少硬いけどそれでも確かに柔らかい方だわ」
真琴「パンケーキもしっとりしてそうで、期待が持てますよこれは!」
俺「あー、ライス付きで頼んだ方がよかったかもなー」
真琴「あ、先輩先輩!」
俺「ん?」
真琴「ほら、タバスコありますよ? かけないんですか?」
俺「絶対かけない」
真琴「あれ? 男の人ってタバスコをかけて食べるのが好きなんじゃないんですか?」
俺「それは人によりけりだろ。 というか、何? そのイメージ?」
真琴「いえ、私が読んできた漫画とかにそういうシーンが良くあったので」
俺「……それさ、誰かがイタズラでドバドバかけて悶絶するとかそういうのじゃなくて?」
真琴「ああ~……。 そういうシーンもありましたね」
俺「完全にイメージが先行しちゃってるじゃん」
俺「そもそも俺は辛いのダメなんだ」
真琴「そうなんですか?」
俺「辛いっていうのは言っちゃえば刺激だからね? そんなのを好き好んで口にする神経が理解できない」
俺「そういう柊は? 辛いの、大丈夫なの?」
真琴「人並みだと思いますよ~?」
俺「そうなんだ。 じゃ、カレーとかは辛口で食べたr「ダメです」……」
真琴「絶対無理です」
俺「……そっか」
真琴「そうです」
俺「それは、辛いのはダメって言うんじゃなんじゃないの?」
俺「ごちそうさまでした」
真琴「先輩、食べるの早いですね~」
俺「そんなことないって。 普通普通」
真琴「あ、じゃあパンケーキお願いしてもいいですか?」
俺「ああ、そっか。 半分食べるって話だっけ」
真琴「はい、1枚お願いできます?」
俺「はいよ」
俺「んじゃ、いただきます」
真琴「いただいちゃってください」
俺「ん。 あ、普通に美味い」
真琴「ですよね! 美味しいですよね!」
俺「これは凄い、普通に美味しい。 家で作るのと何が違うのか」
真琴「だからスイーツめぐりはやめられないんですよ」
俺「美味しゅうございました。 ごちそうさまでした」
真琴「……本当に早いですって」
俺「だからそんなことないって。 男子はこんなもんよ」
真琴「早いと思いますけど」
俺「ま、それはいいんだけどさ」
真琴「?」
俺「いや、パフェは全部食べちゃって良かったの?」
真琴「……あれ?」
俺「半分どころか全部食べてるけど」
真琴「」
店員「空いてるお皿をお下げしてもよろしいでしょうか」
俺「はい、お願いします」
店員「ごゆっくりお過ごしください」
俺「……大丈夫?」
真琴「……ダイジョウブデス」
俺「ほら、飲み物入れてくるけどなんかいる?」
真琴「……カロリー」
俺「大丈夫?」
真琴「はい、ご迷惑をお掛けして。 すみません」
俺「ほら、珈琲淹れてきたからどうぞ」
真琴「ありがとうございます、頂きます」
真琴「あ、そうだ。 話は変わりますが、先輩はお正月はどうするんですか?」
俺「正月?」
真琴「はい。 ご実家に帰るのかな~って思って」
俺「いや、特に何も考えてないな」
真琴「そうなんですか?」
俺「寒いし、帰るのも面倒だし」
真琴「今年もあと数日ですね~」
俺「そうね~」
真琴「大掃除とか、します?」
俺「簡単に掃除するくらいかな?」
真琴「どんな感じにやるんです?」
俺「掃除機かけたり……雑巾がけしたり…………風呂掃除したり」
真琴「したり?」
俺「……靴箱掃除したり?」
真琴「大晦日とかはどうするんです?」
俺「普通に部屋でごろごろしてるんじゃない?」
真琴「テレビでも見てですか?」
俺「罰ゲームでも見ながら鍋でもつつこうかな」
真琴「先輩は罰ゲーム派なんですね」
俺「大晦日なんてそんなもんよ。 テレビ何にもやってないし」
真琴「紅白とかは見ないんですか?」
俺「あんまし興味はないかな」
俺「ただ、最近のは本当に面白くないんだよなぁ」
真琴「そうなんですか?」
俺「ワンパターンすぎる。 芸人が集まって暴露大会やられても面白くないし、派閥で汚い競い合いやられても」
店員「お会計は1,860円になります。 ご一緒ですか?」
俺「一緒で」
真琴「え?」
店員「ではお会計1,860円になります。 Tカードはお持ちでしょうか?」
俺「いえ、ないです」ジャラジャラ
店員「ちょうどになりますね。 ありがとうございました」
俺「ごちそうさまでした」
真琴「ごちそうさまでした」
真琴「先輩? よかったんですか?」
俺「何が?」
真琴「会計です。 別々にしなくて良かったんですか?」
俺「パンケーキも半分もらったし、誘ったのはこっちみたいなもんだし気にしない」
真琴「……ありがとうございます、ごちそうさまです」
俺「いえいえ。 さてと、俺は晩飯の買い出しにでも行きますか」
真琴「今日は何にするんですか?」
俺「……水炊きにでもしようかな。 さっき話したら無性に食べたくなってきた」
真琴「大晦日、ですけど、先輩は、今何をしてるんですか……と」ソウシン♪
真琴「テレビでも見てるのかな? でも特に先輩が好きそうな番組はなさそうだけd」チャクシン♪
真琴「あっ! 先輩だ!」
真琴「って……え? 電話?」
真琴「先輩? どうしたんですか?」
俺『いや、メールで返しても良かったんだけどさ。 今ちょっと洗い物の最中で』
真琴「別に後でも良かったんですよ?」
俺『イヤホンマイクとか使えばいちいち手元を気にしなくても喋れるから気にしなくていいよ』
真琴「先輩が構わないならいいんですが」
俺『実際特にすることもなくて退屈してたから、むしろありがたいよ』
真琴「することもないって、先輩は課題しないんですか?」
俺『課題? もう終わったけど?』
真琴「……冗談ですよね?」
俺『意外? 俺って長期休暇の時の課題はすぐに終わらせておきたい派なんだ』
真琴「正直、びっくりしました」
俺『ま、普段の様子からじゃ想像できないかな。 課題終わったかの確認、俺のところにはまだ誰からも来てないし』
俺『そういう柊は? まだ終わってないの?』
真琴「はい。 毎日少しずつやってはいるんですけど……」
俺『継続してやってるならそれだけでも十分凄いって。 俺が知ってる菌糸類は連日ゲームしてるみたいだし』
真琴「菌糸類?」
俺『頼んでもないのにスコアとかのスクショがバンバン届くし』
真琴「……スクショ?」
俺『俺はまぁそんな感じで過ごしてたけど、そっちはどう?』
真琴「私も同じです。 少し早めにご飯を済ませて今は部屋でボーっとしてます」
俺『やっぱり大晦日はどこもやることは同じか』
真琴「もう1年が過ぎるんですよね。 早いですね~」
俺『毎回毎回ケイドロだの筋トレだのイベントばかりで、ゆっくりする暇もなかったしな』
真琴「もうあと2時間もしたら新年なんですよね」
俺『ま、新年になったからって特に何かが変わる訳でもないけどさ』
真琴「そういえば、先輩は除夜の鐘とか初詣には行くんですか?」
俺『除夜の鐘は11時半とかには出ておかないと間に合わないから行かないよ。 ……寒いし』
真琴「じゃあ初詣には行くんですね?」
俺『日が昇ってからになるけど、行こうとは思ってるよ? ……寒いけど』
真琴「よかったら一緒に行きませんか?」
俺『一緒に?』
真琴「はいっ! 私も初詣には行こうと思ってたので。 芽以ちゃんの神社に行こうかなって」
俺『そっか、森園の実家は神社だったっけ』
真琴「新年のご挨拶も兼ねて初詣もって思ったんですけど、どうですか?」
俺『いいね、行こうか。 どうする、迎えに行こうか?』
真琴「おねがいしてもいいですか?」
俺『あいよ。 それじゃ、明日の朝10時くらいにはそっちに行くようにするよ』
真琴「分かりました、待ってますね」
俺『それじゃ、良いお年を』
真琴「先輩も、良いお年を!」
俺「……お?」
真琴「……」ソワソワ
俺「うぃーっす、明けましておめでとう」
真琴「あ、先輩! 明けましておめでとうございます!」
俺「こりゃまた凄いな、晴れ着じゃん」
真琴「あ、そうなんですよ~。 お母さんが出してきてくれて」
俺「着付けも出来るんだ」
真琴「お母さんが全部やってくれました。 お父さんは転ぶから止めておけって言ってましたけど」
俺「うん、凄く似合ってる。 綺麗だ。 語彙が無くてそんな感想しか言えなくて申し訳ないけど」
真琴「いっ、いえいえとんでもない! ありがとうございます!」
俺「お、おぉ……」
真琴(お母さん、ありがとー!)
俺「にしても、わざわざ外で待ってなくてもよかったのに」
真琴「さっき家から出たばかりですから気にしないでください」
俺「……お手を拝借」
真琴「はい?」
俺「ほら、手。 ちょっと貸してみ?」
真琴「……はい」
俺「冷たっ! 10分とかそこらじゃないな?」
真琴「あぅ、ごめんなさい」
俺「こういうのは立場が逆だろうに……。 ま、いいや。 それじゃ行こうか?」
真琴「はい。 ……え? このままでですか?」
俺「嘘をついた罰ってことで。 暫くは握られてなさい」
真琴「……はい!」
俺「神社に近づくにつれて人通りが多くなってきたなぁ」
真琴「すごい人ですね~」
俺「こりゃ、手を繋いでて正解だったな。 ここではぐれたら、合流するのが大変だ」
真琴「で、ですね///」
俺「何回か転びそうになってもすぐに支えられたし」
真琴「……ですね」
俺「……なんでそんなに辛気臭い顔をしてるんだか」
真琴「あっ! 先輩先輩! ほら、参拝の作法が書いてますよ?」
俺「最近の神社にはそんな看板もあるのか」
真琴「手を清めるのにも、きちんとした作法や手順があるんですね~」
俺「当たり前って言えば当たり前だけど、中途半端な知識の俺からしたらこれはありがたい」
真琴「え~っと? まずは左手からなんですね、あまり気にしてませんでしたけど」
俺「正しいやり方を知ってる方が少数派だと思うけど」
真琴「……これって、利き腕とかに関係なく左手からなんでしょうか?」
俺「そりゃ……左手からやらないとダメなんじゃない?」
俺「……」ガランガラン
真琴「……っ!」ブンブン......ガラン...ラン
俺「……」パンッパンッ
真琴「……」パンッパンッ
俺「……」
真琴「……」
………
……
…
俺「……ククッ、鐘っ……鳴らすのってそんなに難しいか?」
真琴「だって! ……なかなかうまく鳴らないんですもん!」
俺「……」
真琴「……」
俺「……ブフッ!」
真琴「もー! 笑わないでください!」
真琴「先輩? おみくじはどうします?」
俺「引く機会なんてそうそうないし……やってみようかな?」
真琴「じゃあ、私もやってみよっと」
俺「すみません、おみくじを1回ずつ」
………
……
…
<第五五番 小吉>
俺「ま、こんなもんか」
真琴「先輩はどうでした?」
俺「小吉だったよ、結果的には良くもなく悪くもなくかな?」
真琴「私は中吉でした!」
俺「……なんか嬉しそうじゃん?」
真琴「ほら、愛情と縁談と恋愛のところを見てください!」
俺「……次の段階に進むとき、相手は意外と近くにいる?」
真琴「だ、そうです!」
俺「良かったじゃんか」
真琴「はい!」ニコニコ
俺「吉なればさらに幸を増し」
俺「たとえ凶なりとも日々努力することにより、その身に吉が訪れます……か」
真琴「先輩?」
俺「ほら、おみくじの一番最初のところ」
真琴「あ、本当だ」
俺「なんか、身が引き締まる気がする。 ……気のせいかもしれないけど」
真琴「やっぱり、こういうものに書いてある言葉は不思議ですね~」
俺「そうだな。 おみくじは結んでいく?」
真琴「あ、あそこにちゃんと結ぶように場所があるんですね」
俺「木に結ぶと枝が痛むとかで、最近は場所を設置するところが多いって聞いた覚えがあるわ」
真琴「私は持って帰ろうと思います」
俺「いい結果だったし、俺も持って帰るかな?」
真琴「私は財布にでも入れて持っておきます」
俺「お、それは良いかもな。 常に持っておくっていうのも」
真琴「なら先輩も一緒に財布に入れませんか?」
俺「そうするか。 一緒に、さらに幸を増すように努力しようか!」
真琴「はい!」
俺「おーおー、どんどん人が来るなぁ」
真琴「……」キョロキョロ
俺「?」
真琴「あっ」
真琴「芽以ちゃ~ん!」タッタッタ
芽以「あっ、真琴ちゃーん!」フリフリ
キャッキャ
俺「……あそこだけ一気に華やかになったな」シミジミ
真琴「元気にしてた~?」
芽以「元気って、昨日もメールしたでしょ?」フフッ
真琴「ふふ、そうだったね。 あ、明けましておめでとうございます!」
芽以「明けましておめでとうございます」
芽以「先輩も、今年もよろしくお願いしますね」
俺「おう、今年もよろしくな」
芽以「はい!」
真琴「それにしても、すごい人だね?」
芽以「元日はだいたいいつもこのぐらいの人が来るよ?」
俺「その間はずっと手伝いを?」
芽以「はい、社務所に入ったり案内をしたり」
真琴「大変だね~」
芽以「もう慣れちゃったよ」
俺「この状況じゃこう言っても仕方ないけど、あまり無理しないようにな?」
芽以「はい、ありがとうございます」
俺「さて、お参りも済んだし。 そろそろ帰ろうか?」
真琴「そうですね、あんまり邪魔しちゃ悪いですし」
芽以「邪魔だなんてそんな、来てくれてありがとうございました」
俺「いえいえ、それじゃまた」
真琴「またメールするね?」
芽以「うん、待ってるね」
俺「大変だなぁ」
真琴「芽以ちゃんですか?」
俺「暫くは凄い人出だろうし。 そうじゃなくてもかなりの頻度で掃除したりしてるんだろう?」
真琴「学校でも率先してお掃除してますもんね」
俺「凄いな」
真琴「そうですね」
俺「……さって、帰ったら何をするか」
真琴「課題は……もう終わったんですもんね」
俺「そう、だから意外と暇でさ」
真琴「私も帰ったらやらないと」
俺「あとどのくらい残ってる?」
真琴「苦手な教科の分があと少し」
俺「早めに済ませちまえよ~?」
真琴「分かってますよ~。 新学期が始まってすぐにテストもありますし」
俺「テストな~。 ……毎回毎回面倒だ」
真琴「そうですね~」
俺「毎回思うけど、テスト問題が事前に分かってたらどれだけ楽か」
真琴「事前にですか?」
俺「そう、そしたらそこだけを勉強すればいいし効率的だし」
俺「何より楽だし!」
真琴「ですね~」
俺「テスト勉強する度にそう思うよ」
俺「はい、なんだかんだで柊さん家の前です」
真琴「お喋りしてたらあっという間でしたね」
俺「俺は帰って何かしらを、柊は帰ってお勉強です」
真琴「もう後少しですし片付けちゃいたいと思います」
俺「んじゃ、またな?」
真琴「はい! 次に会うときは新学期ですかね?」
俺「特に何もなければそうなるかな?」
真琴「それじゃ先輩、新学期もまたよろしくお願いしますね?」
俺「あいよ、こちらもいろいろとお世話になります」
真琴「ふふ、はい!」
俺「それじゃ、またな~」
真琴「気を付けて帰ってくださいね~」フリフリ
俺「……」テクテク
真琴「せ~んぱい!」ドンッ
俺「おっと! ……柊?」
真琴「はい! 私です。 おはようございます、先輩!」
俺「はいよ、おはよ」クアー
真琴「先輩、眠そうですね」
俺「冬休みなんて短いから割と規則正しく出来てたと思ってたんだけど……」
真琴「意外と眠かった?」
俺「そう。 ま、そのうち元に戻るだろ」
真琴「先輩は今日のご予定はありますか?」
俺「ん? 特にはないよ。 明日からいきなりテストだから多少テスト勉強をするくらい?」
真琴「なら今日は一緒に下校しませんか?」
俺「あいよ、分かった。 下駄箱? 校門?」
真琴「校門でお願いします」
俺「了解。 今日は始業式だけだしまだ暖かいうちに下校できるか」
真琴「その代わり、明日からはもう1日授業ですけどね~」
俺「柊さん、それは言わないお約束です」
俺「そう言えば、3年はもう自由登校期間に入ったのかな?」
真琴「自由登校期間、ですか?」
俺「そう。 確か去年も今頃だったと思うけど」
真琴「なんですか? それ」
俺「ほら、3年生はもう大学の一般入試が近いから。 だから学校に来るも来ないも自由って期間があるのよ」
真琴「大学の一般入試ですか?」
俺「?」
真琴「先輩は来年3年生になるんですか?」
俺「……そりゃ、よっぽど成績が悪いとか、出席日数が足りないとかじゃない限り進級するよ」
真琴「私、来年は2年生になるんですか?」
俺「そりゃ、そうなるんじゃないの? 進級ラインに引っかかるほど成績悪くないじゃん」
真琴「私、去年もこんなこと言ってたような気がします」
俺「去年?」
真琴「はい、去年ももうすぐ2年生に……って」
俺「……」
真琴「……」
俺「この話はやめよう、ほら、もう学校にもついたし」
真琴「……そうですね!」
俺「触れちゃダメなんだって、うん」
真琴「……先輩は?」キョロキョロ
真琴「まだ……かな?」
<……ら、予定があるって言ってるだろーが!
<……たしとお前の仲じゃないか
<……島さん、また日を改めれば
真琴「?」
俺「だから、今日は予定があるんだって!」
木乃子「ゲームの発売日にショップにダッシュ、これ以上の予定が何処にあると言うかー!」
園美「……そこらじゅうにあると思いますけど」
俺「今日はもう一緒に下校する予定があるんだ、この埋め合わせはまた別でするから今日は本当に勘弁してくれって」
木乃子「ならいったい誰があたしをおんぶすると言うんだ!」
俺「そこは自分で歩けよ!」
真琴「姫島先輩に掛井先輩?」
木乃子「ん? どうしたー1年、何か用か?」
園美「……あ、姫島さん」チョイチョイ
木乃子「ん?」
園美「ほら、少し前に廊下でご迷惑をお掛けした」
木乃子「……あ、あ~。 あの時の1年か」
俺「柊、悪いな。 こいつらに捉まってなかなか移動出来なくて」
真琴「いえ、私も今来たところです」
俺「今度は嘘ついてないだろうな?」
真琴「ついてませんよ~」
木乃子「……」
園美「……」
【校門にて その3】
木乃子「リア充だ、リア充がいる」
園美「は~、リア充って言うのは意外と身近なところにいるものなんですね~」
真琴「リア充?」
俺「柊は気にしなくていい。 ほら、今日は後輩と一緒に帰ることになってるから。 悪いな姫島!」ギュッ タッタッタッタ
真琴「えっ、ちょ、先輩? わわ、転ぶ!」ヨロヨロ
木乃子「」
園美「行っちゃいましたね」
木乃子「あいつ、手を取って走って行ったぞ」
園美「ああいうのは創作の中だけに存在するものだと思ってましたよ」
木乃子「全く、後輩との色恋沙汰に現を抜かす暇があるならコントローラーを握って○ボタンを押せばいいものを」
園美「姫島さんはすぐにそれですね~。 そんなことよりも、ショップに行かなくていいんですか?」
木乃子「ぬおっ、もうこんな時間じゃないか! こうなったら仕方ない、行くぞ掛井!」
園美「分かりました」
木乃子「あいつめ~覚えてろよ~。 明日以降、必ずアドホックフルボッコの刑に処してやるからな~」タッタッタ
園美「あ、待ってくださいよ姫島さ~ん!」
俺「……」タッタッタッタ
真琴「ちょっ、せんぱっ……止まって……」ヨロヨロ
俺「あ、悪い悪い」パッ
真琴「ハァ……いったいどうしたんです?」
俺「本当に悪かった。 あのままだったらなし崩しにショップに行くことになりそうだったからさ」
真琴「駅向こうまでですか?」
俺「多分そうだと思う。 強引に手を引く形になって、本当に悪かった」
真琴「や、そこは別にかまいません。 むしろ、ありがとうございました」ペコリ
俺「?」
真琴「それじゃ、ちょっと想定とは違いましたけど。 今から下校ということでいいですか?」
俺「……」キョロキョロ
真琴「先輩?」
俺「よし、スネークされてないな?」
真琴「スネークってなんです?」
俺「尾行されてないかの確認。 じゃ、帰ろう」
真琴「はい!」
俺「想定外とはいえ迷惑をかけたから、また今度なんか奢らせてくれ」
真琴「いいんですか?」
俺「年末のバイト代もまだまだ残ってるから大丈夫。 また喫茶店でも行く?」
真琴「その時は是非に!」
俺「新学期最初の日ですが、如何でしたか柊さん?」
真琴「! ……そうですね、課題提出もつつがなく終わり、例年通り淡々と進行しておりました」
俺「……特に困ることなく返されると面白くないな」
真琴「どうしろって言うんですか!」
真琴「先輩はどうだったんですか?」
俺「こっちもいつもと変わらなかったな」
真琴「ですよね、やっぱり」
俺「だから、始業式とかHRとかで誰かがしゃべる度に合間合間にえ~って何回言うかカウントしたりしてた」
真琴「壇上でしゃべる時のですか?」
俺「そうそう、はい、え~新学期最初の日が……え~、みたいな」
真琴「何してるんですか……」
俺「そうでもしてないと寝そうでさ」
真琴「残り少ない冬ですけど、次は何のイベントが始まるんですかね?」
俺「ウィンタースポーツがらみのイベントが今回は少なかったしなぁ」
真琴「スキーとかスケートとかですか?」
俺「そうそう、去年はなんだかんだで色々とウィンタースポーツやったんだよ」
真琴「先輩、もしその手のイベントが始まったら色々と教えてくださいね?」
俺「俺もそこまで詳しいわけじゃないんだけど、承りました」
真琴「ふふっ、スポーツ系のイベントでも頑張ります!」
俺「とりあえず立てるように?」
真琴「……スケートはともかく、スキーは大丈夫だと思うんですけど」
俺「……う~ん」
真琴「多分……きっと」
俺「でもさ、バレンタインデーも近いしお菓子作りとかはないかな?」
真琴「お菓子作りですか?」
俺「調理実習室を解放して、チョコだったりケーキだったりを」
真琴「あるかもしれませんね」
俺「柊なら講師役を務めることになるんだろうな」
真琴「かもしれませんね~。 そうなったら失敗しないようにしないと!」
俺「砂糖と塩を間違えたり?」
真琴「そんな初歩的な失敗! ……たまにしかしませんよ」
俺「やることはやるんだ……」
真琴「塩と砂糖の取り間違いとかよりももっと気をつけないといけないことがあるんですよ」
俺「ん? それはドジ的な意味で?」
真琴「……まぁ、そうですね」
俺「う~ん、調理器具を取り落して洗い直したりとか?」
真琴「もっと大変です。 それは割と日常茶飯事です」
俺「もっとか……。 ……日常茶飯事?」
真琴「分かりませんか?」
俺「降参。 なんだったの?」
真琴「味見です」
俺「……はい?」
真琴「味見です」
俺「聞き間違いじゃなかった。 どういう意味?」
真琴「こんな感じなんですけどどうですか?って味見を求められたりするじゃないですか」
俺「そりゃ講師役なら、生徒役のお菓子を味見して確かめたりする……かな?」
真琴「するんです」
俺「するんですか」
真琴「その時には講師役を精一杯務めようって味見するんですよ」
俺「はい」
真琴「お家に帰り、ご飯を食べてお風呂に入ります」
俺「はい」
真琴「お風呂から上がって体重計に乗ります」
俺「はい」
真琴「真琴は目の前が真っ暗になった!」
俺「はい?」
真琴「そこからお菓子を断つ生活が始まる訳です」
俺「……つまり、味見をし過ぎてお肉もついたりするのが怖いと?」
真琴「先輩……。 軽いです! 女の子にとって体重が増えることほど怖いことはないんですからね!」
俺「ごめんなさい」
真琴「分かればよろしい」スタスタ
俺「……あれ? なんで俺が謝ってるんだ?」
真琴「せんぱ~い、置いていきますよ~?」
俺「歩くの早っ! 今いく」タッタッタ
俺「……あ、ポケモンか!」
真琴「はい?」
俺「そういえば」
真琴「?」
俺「柊はテスト対策は万全?」
真琴「先輩から頂いたテスト対策ノートもありますし、テスト範囲も宿題の範囲なので多分大丈夫です」
俺「おー、優等生だ」
真琴「そんなことないですよ~」
俺「なら勝負でもする?」
真琴「勝負……ですか?」
俺「そう、5教科の総点数で勝負。 順位だと学年ごとに人数が違うから」
真琴「いいですよ?」
俺「勝ったら1つだけ何か命令する権利。 もちろんお互いが実行可能な範囲で、どう?」
真琴「受けて立ちます」ニコッ
俺「あー、こりゃ相当自信あるな?」
真琴「ありますよ~、先輩、大丈夫ですか~?」
俺「言ったな? よし、今日はガチでテスト対策しないと」
真琴「負けませんからね?」
俺「なら、お互いに何をさせるか考えとかないとな」
真琴「私はもう決めてますよ?」
俺「マジで!? 早くない?」
真琴「乙女は色々と願望があるんですよ~」
俺「さいでっか」
真琴「大丈夫、変なことじゃないですから!」
俺「そうであることを願ってるよ」
真琴「先輩、今日は送ってもらわなくても大丈夫です」
俺「そう?」
真琴「はい、なので早く対策に乗り出した方が良いですよ~」
俺「……その絶大な自信の根拠が知りたい」
真琴「秘密、ですっ」ニコッ
俺「ちくしょう、なんか悔しい」
真琴「ふふっ」
俺「絶対負けない、たまにしか解放しない本気モードで勉強しよう」
真琴「頑張ってくださいね~、それじゃ先輩、また明日です」
俺「あいよ~」バタン
<……さて、とりあえず晩飯までに一通り目を通しますか~!
真琴「ふふっ」
―試験期間―
―2年教室―
俺(対策は完璧、走り出したペンは止まらない!)カリカリ
俺(あっ、ここ冬休みの課題で出たところだ! 進研ゼミなんかより課題やればいいのさ!)カリカリ
俺(バッチリだ!)ガリガリ
―同時刻、1年教室―
真琴(え~っと、ここがこうなって……)
真琴(あ、先生が言ってたのはここだ)カリカリ
真琴(ここがこうなって、だから……」ブツブツ
監督教諭「あー、柊? 声には出すな?」
真琴「!? す、すみません」
監督教諭「静かに続けなさい」
真琴「はぃ」///
真琴「先輩っ、お待たせしました!」
俺「そっちも結果出た?」
真琴「はい、もうバッチリでしたよ」ニコッ
俺「んじゃ、勝負な? 5計得点の多い方が勝ち」
真琴「はい!」
俺「んじゃ、ご開帳!」バンッ
真琴「んっ!」バッ
俺「……」
真琴「……これって?」
俺「俺が5計413点、柊は5計422点」
真琴「私の……勝ちですね?」
俺「……マジかー!? 課題やりこんだから自信はあったんだけどなー!!」
真琴「や……やったー!!」ガンッ!
真琴「あぅ」
俺「うっわ……思いっ切りぶつけたよ」
真琴「~~ッ!」
俺「色々と、落ち着いた?」
真琴「はい……。 痛みと共にテンションも引いていきました」
俺「いやはや、参りました。 本当に。 これは凄いな」
真琴「ッ! ありがとうございます!」
俺「全教科まんべんなく点数が良いんだ。 数学も…80点越えてるし」
真琴「実は、数学は先生がこの問題に似たのを出すみたいなことをいくつか言っていたので……」
俺「……つまり、一部教科は出題例が分かっていたと?」
真琴「はい」
俺「……やられた」
俺「んで、勝者である柊さんは俺に何をさせようと言うのかね?」
真琴「あの、良いんですか?」
俺「? 何が?」
真琴「だって、私は事前にどんな問題が出るか知ってたんですよ?」
俺「別にズルってわけでもなし、俺が負けた事実には変わりないし。 だからそんなこと気にしないで勝者の特権を行使してくださいな」
真琴「じゃあ……」
真琴「今日、お買い物に付き合ってください!」
俺「……そんなことでいいの?」
真琴「試験対策にかかりきりで甘い物とかお菓子とかも全然食べてなかったので、少しだけご褒美を……」
俺「いや、そんなことでいいならいくらでも付き合うけどさ」
真琴「じゃあ、お願いします」
俺「あいよ、とりあえず駅前まで出ようか?」
真琴「はい!」
俺「駅前にやってまいりました」
真琴「先輩は何か用事はないんですか?」
俺「?」
真琴「ほら、せっかく駅前まで来たのに私のお願いだけで帰るのも悪いですし」
俺「……じゃ、ちょっとだけ買い物して行こうかな?」
真琴「お買い物ですか?」
俺「そうそう。 テスト対策で結構カップめんとかを消費したから」
真琴「また先輩はそんなのを食べて」ムッ
俺「いやいや、夜食ってなったらラーメンかうどんだって」
真琴「そんな感じで油断してると太りますよ?」
俺「去年の今頃とかならともかく、ここ最近は本当に食生活は改善されてるよ」
真琴「本当ですか~?」
俺「本当本当。 柊家の皆様のご厚意でおかずとかを分けてもらって、本当に助かってるよ」
真琴「それなら良かったです。 ほら、あの後冷静に考えるとちょっと強引過ぎたかな~って」
俺「……ばーか」ワシワシ
真琴「わわっ……先輩?」
俺「本当に感謝してるんだって。 あれがなかったら俺は未だに連日カップめんの食生活だぞ?」ワシワシ
真琴「うぅ、それは威張って言うようなことじゃないです」
俺「ははっ、確かにな」ワシワシ
真琴「というかですね、先輩? 頭をワシワシするのはやめてください」
俺「悪い悪い。 おぉ、髪がぐしゃぐしゃだ」ハハハ
真琴「もう……ふふっ」
俺「どうしよう。 箱買いは……荷物になるから今日は無理だし」
真琴「……」キョロキョロ
俺「函館一番……いや、出前特急も」
真琴「……」ジー
俺「ラーメンチキンは……お徳用か」
真琴「……」
俺「……」
俺「お菓子コーナー、気になる?」
真琴「そそそんなことないんですか!?」
俺「いや、俺に聞かれても」
俺「お菓子コーナー、見てきなよ?」
真琴「いえいえ、別にそんな……」
俺「ここ、輸入菓子も含めてかなりの品揃えだから見てるだけでも面白いと思うけど?」
真琴「……」
俺「甘い物とかお菓子を買いに来たんだろ? ここでとりあえずあたりをつけておけば?」
真琴「そうですね……」
俺「ほら、先に行ってるよ?」スタスタ
真琴「あっ、待ってくださいよ~」タッタッタ
俺「うっわ、すごいなこのチョコレート」ホレ
真琴「パーティーバック……ですか?」
俺「アメリカのかな? パッケージ英語だし」
真琴「……1kgですか」
俺「これ全部一気に食べたらどれくらい体重が増えるんだろうか」
真琴「や、やめてくださいよ」
俺「鼻血が出たりニキビになったりするのかな?」
真琴「あ、ニキビはデマらしいですよ?」
俺「へー、そうなの?」
真琴「どこかの研究機関だったか……」
真琴「とにかく偉い人が言ってたって誰かから聞いた記憶があります」
俺「偉い人が……」
真琴「……鼻血は、チョコレートを食べることで興奮して一気に血が流れるからとかなんとか」
俺「ああ、細い血管が切れるって?」
真琴「みたいなことを言ってたって聞いた記憶があります」
俺「偉い人が?」
真琴「偉い人が」
俺「にしてもよく知ってたな?」
真琴「誰かから聞いたってだけですよ?」
俺「にしてもだって。 ほら、チョコを食べると鼻血が出るとかニキビができるとかよく言うじゃん?」
真琴「まあ、聞きますね」
俺「話半分で聞いてたけど、それでもそうなのかなーって思ってたもん、俺」
俺「だから、よく知ってたなーって」
真琴「別になんでもないですよ」
真琴「チョコを食べるときにいちいちそういうマイナスなことを思い出したくないだけで」
俺「そうならない確証が欲しくて調べただけって?」
真琴「そうですね」
俺「女の子って、大変だなぁ」シミジミ
真琴「! そうなんです、大変なんですよ!」
俺「でも、こういう量が凄まじいのはあまりお勧めしないけどなー」
真琴「どうしてですか?」
俺「俺の経験則なんだけどさ、この手の量が多いやつって味が濃いのが多いんだ」
真琴「味、ですか」
俺「スナック菓子は味が濃い、チョコレートはものすごく甘い」
俺「もう、これでもかってくらい自己主張してくるのが多い」
真琴「うぅ……絶対に買いませんよ、そんなの」
俺「外国人はこういうのが好みなのかね? ジュースはあんなにおいしいのに……」
真琴「先輩って甘いものって嫌いでしたっけ?」
俺「何事にも限度っていうものがあるって話」
真琴「じゃあ、日本のチョコレートは食べるんですか?」
俺「好んで買い求めて食べるほどじゃないけどな。 ほら、珈琲のお供にチョコレートなんて最適じゃない?」
真琴「なるほど」
俺「他にもクッキーとかさ。 あまりにも甘すぎるのはどうかと思うけど、それでも甘いものは嫌いじゃないかな?」
真琴「先輩って普段どんなお菓子を食べるんですか?」
俺「ん? 別に普通のやつじゃない? 受け狙いの奴とか、辛いのとかは一切食べないけど」
真琴「こういうのはどうです?」スッ
俺「ヨンヨンのつけボー、また懐かしいものを」
真琴「どうです?」
俺「小学校にあがる前の頃ならともかく、今はそういうのは買わないなぁ」
俺「基本的にお菓子は何かの作業の合間につまんだりだから、そういう遊びの要素はいらないし」
真琴「なるほど」
俺「って、なんで俺の好みの話になってんだ?」
真琴「私は、いろいろと先輩の好みを知ることが出来て有意義でしたよ?」
俺「んなことはどうでもいいんだって。 本来の目的を果たさないと」
真琴「目的?」
俺「……お買い物に付き合うのが本来の目的だったはずでは?」
真琴「……あぁ」
俺「何? その、あっ今思い出しましたよ……みたいな表情と声は」
真琴「別に忘れてたわけじゃないですよ?」
俺「そういうことにしておきましょう」
真琴「じゃあ、これにします」
俺「……え? ここで買うの?」
真琴「はい。 ……え? いけませんか?」
俺「いや、この後にどこぞの喫茶店とかに行くのかと思ってたから」
真琴「だから、お菓子を一緒に買いに来たじゃないですか」
俺「……えぇ~」
真琴「私がいいんだって言ってるんですから、いいじゃないですか」
俺「ま、そっちが構わないならいいんだけどさ」
真琴「じゃ、お会計を済ませて帰りましょう?」
俺「じゃあほら、かごに入れちゃって」
真琴「これぐらい自分で払いますよ?」
俺「賭けの敗者としての権利を行使させていただきます」スッ
真琴「あっ!」
俺「んじゃ、会計済ませてくるからちょっと待っててなー」
真琴「……は~い!」
【エンカウント】
俺「さて、予想より早く用事が済んでしまいました」
真琴「私は割と想定通りなんですけどね~」
俺「喧しい。 で、今日はもうこのまま帰るの?」
真琴「そうですね。 他には特に予定もないですし、帰りましょうか」
俺「んじゃ、我が家に向けて移動をかいs」
???「おっ、先輩じゃないっスか!」タッタッタ
俺「竜ヶ崎?」
真琴「あ、珠里椏ちゃんだ~」
珠里椏「あ? おぉ、柊も。 こんなところでどうしたんスか?」
俺「賭けの勝者とその従者だよ」
真琴「そんな卑屈な言い方しなくてもいいじゃないですか」
珠里椏「……はい?」
―――
――
―
珠里椏「なるほど、テストの点で賭けをしていたと」
俺「そういや、竜ヶ崎は試験の出来はどうだった?」
珠里椏「あー……。 聞かないでください」
俺「……あんま橘先生に迷惑かけるなよ?」ククッ
珠里椏「……ッス」
俺「んで、竜ヶ崎はこんなとこで何を?」
珠里椏「アタシはラーメンでも食べに行こうかと。 少し歩いたところに美味い店があるんっスよ」
俺「ほぉー、ラーメンか」
珠里椏「良かったら一緒にどうです? 柊も」
俺「……久しぶりに店で食べるのもいいかもな?」
珠里椏「よっし、決まりだ! 柊はどうする?」
真琴「ラーメンか~……。 どうしようかな?」
珠里椏「ラーメン、嫌いだったか?」
真琴「そんなことないよ? ただ……その……」ゴニョゴニョ
珠里椏「あん? 言いたいことがあるならハッキリ言えよ」
真琴「その、体重が心配……」
珠里椏「んなの気にしてたら食えるもんも食えねぇじゃねぇか、食った後に運動でもすりゃ大丈夫だって」
真琴「そっか……そうだね! 私も行きます!」
珠里椏「うっし、そうこなくっちゃな! あ、先輩! ご案内しますよ! ほら、柊もこっちだ!」ガシッ
真琴「わわっ! あ、私晩御飯要らないって電話しちゃいますね!」ヨロヨロ
【ラーメン】
店員「らっしゃいませ! こちらのお席へどうぞ!!」
店員「ご注文お決まりになりましたらお呼びください!!」
<3バンテーブルサン,オーダーマチデス!!
俺「えらく威勢の良い店だな」
珠里椏「そっスか? こんなもんでしょ」
真琴「ラーメン屋さんなんて久しぶりだな~、珠里椏ちゃんは何を食べるの?」
珠里椏「味噌ラーメンだよ。 つーか、ラーメン食うなら味噌に決まってんだろ!」
俺「塩や醤油も美味いと思うんだけどな。 っし、今日は塩にすっか!」
珠里椏「いくら先輩でもこれだけは譲れねぇっス! そもそも味噌には(ry」
俺「まーた始まったよ。 そこは確かに認めるけどさ、塩や醤油にも(ry」
真琴「すみません、これカロリー表とかってありますか?」
店員「へっ? カロリー表……ですか?」
店員「味噌ラーメンのお客様!」
珠里椏「アタシだ」ノ
店員「それと塩ラーメンがお2つです! 熱いうちにどうぞ!」
<アツイウチニドウゾ!!
俺「……やっぱり威勢良すぎだろ。 ほれ、割りばし」スッ
珠里椏「ありがとうございます、んじゃいただきますっと」
真琴「うわぁ、おいしそう~」
俺「んでは、いただきます」
真琴「いただきます」
俺「!? これはっ! 細い麺とスープが程よk」
珠里椏「だから、そのネタはもういいっスよ。 シンプルに美味いでいいじゃないですか!」
俺「竜ヶ崎とラーメン食う時はもうこれやらないと始まらないんだって」ズルズル
真琴「おいし~い!」
珠里椏「だろ!? いやー、アタシも今まで色んな店に行ったけどここのラーメンは圧倒的なんだわ!!」
真琴「本当に美味しいよ! 珠里椏ちゃん、教えてくれてありがとうね!!」
俺「……」
俺「マジで美味いな」ボソッ
珠里椏「そこまで喜んでもらえると連れてきた甲斐があるってもんよ。 あと先輩? 聞こえてますからね?」
俺「ちくしょう、マジでうめぇ」
珠里椏「ははっ」
真琴「珠里椏ちゃんはあの辺りのお店に詳しいの? どこかスイーツの美味しい店知らない?」
珠里椏「スイーツだぁ? あんなハンパなもん食って何が楽しいんだ?」
真琴「むっ、スイーツをバカにするのは許さないよ? そうだ、今度一緒に食べに行こうよ! 学校の近くで美味しいあんみつのお店があるんだ~」
珠里椏「いや、あんみつって。 そもそも、良いのか? アタシと一緒で」
真琴「ん? どういうこと?」
珠里椏「ほら、あれだ。 森園とかと一緒に行きゃぁいいじゃねーか」
真琴「あ、そうだね~。 じゃあ今度3人で行こっか! ふふっ」タッタッタ
珠里椏「あ、おい! 3人って……」
俺「なんともまぁ、仲のいいことで」
珠里椏「ばっ、何言ってんスか先輩!?」
俺「いーじゃん、3人で行ってくれば。 案外ハマるかもよ?」
珠里椏「いや、だから」
真琴「2人とも何してるんですか~? 置いてっちゃいますよ~?」ブンブン
俺「テンション上がって1人で先に行ったくせに何言ってんだか。 はいはい、ちょいっとお待ちくださいよ~」タッタッタ
珠里椏「ちょ、先輩も柊も! まだ話は終わってないっスよ!?」タッタッタ
俺「……なんか今日は口数が少なくない?」
真琴「そっ、そうですか?」
俺「……今もどもったし。 体調でも悪い?」
真琴「体調は大丈夫です、全然! 問題なしです!」
俺「そう? なら良いんだけどさ」
真琴「はい! 大丈夫です!」
俺「?」
真琴(大丈夫、大丈夫。 落ち着いて~シミュレーション通りに~)
俺「本当に大丈夫か?」
真琴「だだだから大丈夫ですって、ほら、もう校門ですよ~」
俺「なんかあったらすぐ保健室行けよ?」
真琴(あああああ~シミュレーション通りにいかない~)
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「何してるように見える?」
真琴「お昼ご飯食べてるように見えます、焼きそばパンですか?」
俺「最後の1つが運良く残っててな。 遠くから上条が来てるのも見えたし、ダッシュで買ってここに」
真琴「わざわざ屋上で、ですか?」
俺「ほら、今日はバレンタインじゃん?」
真琴「!? は、はい」
俺「教室でイチャイチャしてるカップル組から逃げて来た結果、この寒空の下ってわけ。 あいつら、なにもあんなオープンにイチャつかなくても良いのにな」
真琴「せっ、先輩はどうです? チョコレート、貰えました?」
俺「……」
真琴「先輩?」
俺「貰うにはもらったけどさ……」
真琴「けど?」
俺「なにもあんなにお礼お礼って言わなくても良いじゃん、義理だからってさぁ。 終いにゃ泣くぞちくせう!」
真琴「鞄の中、あるっ」
真琴「……先輩、まだかなぁ」
真琴「本当に全部義理……じゃないよね、どれくらい貰ったんだろう?」
真琴「……」
真琴「……鞄の中、あr」
俺「何してんの?」
真琴「るっ!?」
俺「るっ?」
真琴「なんでもないです! なんでも」
真琴「先輩はお帰りですか?」
俺「そうだけど、待ってたとか?」
真琴「はい、構いませんか?」
俺「そりゃ構わないけど、もし誰か連れてたらとかは考えなかった?」
真琴「……シミュレーションに忙しくてそれどころじゃなかったです」
俺「シミュレーション?」
真琴「なんでもないです」
ーーー
ーー
ー
俺「つい俺んちまで来たけど、今日はシフト入ってなかった?」
真琴「ちょっと先輩に用事がありまして」
俺「用事?」
真琴「これ。 バレンタインのチョコレートです。 先輩の好みに合わせて甘さ控えめにしてますから、よかったら食べてください」
俺「あ、ありがとう。 でも、何で今?」
真琴「……色々と慌ててたんです!」ダッ
俺「あ、おい!」
真琴「少なくとも私のは義理ではないですから~!」タッタッタ
俺「……走ると転ぶぞー!」
真琴「そこまでドジじゃないです~って、わわっ!」
俺「ははは……。 ありがとうな」ボソッ
俺「これ、お返しどうしよう……」
俺「……」
俺「え? そもそもホワイトデーって何を渡せば良いわけ? クッキー? マシュマロ?」
俺「」
真琴「先輩、ここ最近ずっとバイトしてませんか?」
俺「色々とあってお金がいるのよ」
真琴「何か欲しい物でも?」
俺「近々出費が嵩みそうだから、あー、それ対策?」
真琴「なんか大変ですね、私に出来ることがあったらいつでも言ってくださいね? 先輩の為ならすぐに駆けつけますから!」
俺「走ったら転ぶだろうから、その時は歩いてでお願いします」
真琴「……競歩で! こころなし駆け足気味で駆けつけます」
俺「あいよ、ありがとな」
真琴「はい! ……ところで先輩? こんど一緒にスイーツフェアに行きませんか?」
俺「……えっ? 話、聞いてた?」
俺「一通りのお返しの用意……良し」
俺「当日のおおまかな動き……良し」
俺「あとは……柊の分だけかな?」
俺「さて、何をするか」
俺「……」
俺「……」ウーン
真琴「あ、せんぱ――」
俺「姫島ぁ、何処に行きやがった? あああ、この後の予定が!」タッタッタ
真琴「……先輩?」
―――
――
―
真琴「……メール?」ブーブー
真琴「待っていればいいのかな?」
―――
――
―
真琴「……」ソワソワ
真琴「……!」ピクッ
俺「遅れて悪い!」ガラッ
真琴「先輩、そんなに急いでどうしたんです?」
俺「色々と想定外のことがあって、予定通りに行かなくてな。 遅れて本当に悪かった」
真琴「なんだか今日はいろんなところで先輩を見ましたよ?」
俺「ああ、今日は本当に忙しくてな」
真琴「ふふっ、見てたから知ってますよ。 それで、ご用はなんですか?」
俺「……あー」
真琴「?」
俺「……これ、バレンタインのお返し」スッ
真琴「……良かった~」
俺「はい?」
真琴「今日、ずっと気になってたんです。 先輩はお返しくれるのかな? 忘れてないかなって」
真琴「忙しそうに走り回ってたみたいですし、忘れちゃったんじゃないかって」
俺「……忘れてないよ。 ここ最近はずっと何を渡そうか考えてた」
真琴「開けてみてもいいですか?」
俺「いやいや、目の前で開けられるのは……帰ってからにしてくれ」
真琴「ふふっ、わかりました。 先輩?」
俺「何?」
真琴「ありがとうございます、とっても嬉しいです!」
真琴「丁寧なラッピング、性格が出てるな~」フフッ
真琴「……?」カサッ
真琴「メッセージカード?」
『バレンタインのチョコレートは当日に美味しくいただきました。
とても美味しく、嬉しかったです。
ありがとうございました。
お返しはクッキーです。
何を返そうかずっと考えて考えた結果、手作りのクッキーに行きつきレシピを調べて作りました。
何度か失敗を繰り返した結果、ようやく満足いくものが出来たのでこれを贈ります。
よろしければお食べください』
真琴「先輩……」
真琴「ありがとうございます」ギュッ
真琴「……」テクテク
<……なんて、どーいうことだ!
<……な中古屋みたいなことを言うなっての!
真琴「?」
木乃子「ゲームディスクに入ってる傷だぞ? そりゃ小言の一つも言いたくなるわー!」
俺「だから、読み込みに問題はないっての! わざわざPCエンジン引っ張り出して起動確認したんだから!」
<ギャーギャー
真琴「先輩?」
木乃子「全く、ディスクゲームの扱いはもっと丁寧にだねー」
俺「お前がお返しは俺の秘蔵ゲームって指定したんだろうが……」
木乃子「彼女の中の百のケダモノ……ね」
俺「俺の宝物でありトラウマだよ、プレイしたことはあんだろ?」
木乃子「『これを貴女にお譲りs「なんで持ってきてんだよ!」おっと~」
木乃子「わっはっはっは、あたしにこんなアイテムを授けたことが間違いだったのさ~」
<ギャーギャー
真琴「……もう」
真琴「先輩方! 何してるんですか?」タッタッタ
真琴「……」ピンポーン
真琴「……?」
真琴「……」ピンポーン
真琴「……せんぱーい?」コンコン
真琴「お裾分け持ってきましたよ~」
真琴「……」
真琴「……突撃!隣の「ごめんごめん、トイレに……行ってたんだけど……」……」
真琴「……お裾分けですよー」カァー///
真琴「先輩っ、何してるんですか?」ノゾキコミ
俺「うぉ! びっくりした!!」
真琴「え? なんでそこまで驚くんです?」
俺「声をかけられるまで接近に気付かなかった。 肩越しに覗き込まれるまで気付かないとは、不覚!!」
真琴「どうしたんです? そのテンション」
俺「いや、さっきの突撃!隣のb」
真琴「あーあーあー、その話はやめましょう」///
俺「あいよ」ニヤニヤ
真琴「で、先輩は何してるんですか?」
俺「ほれ、整理してんの」
真琴「写真……ですか?」
俺「そう。 ほら、俺よくスマホで写真撮ってるじゃん?」
真琴「ああ、あれを整理してるんですか」
俺「時間があるときにやっとこうと思ってさ。 そのまま取り込んだから回転させないといけないのがあったりさ」カチカチ
俺「ほら、これなんか上下が逆だ」カチカチ
真琴「これは、先輩の教室ですか?」
俺「そそそ。 夕日が窓から差し込んだ教室が撮りたくてさ、一人教室でずっと待ってたんだ」
真琴「これは?」ユビサシ
俺「あ? あー、土手だここ。 ドクぺの空き缶がうまい具合にキラキラしてたから思わず」
真琴「あ、ワンちゃん!」
俺「これは、帰り際に会ったことあるよな? よく散歩してる」
真琴「あのワンちゃん、ふわふわしてて可愛いですよね~。 あ、またワンちゃん」
俺「上手く欠伸したタイミングでシャッターを押せてさ」
真琴「またワンちゃん」
俺「……」カチカチ
真琴「……」ウーン
俺「どした?」
真琴「先輩って、犬が好きだったりします?」
俺「そんなこと、初めて言われたけど。 なんで?」
真琴「いや、だってほら。 これも、これも。 あと、これも」ユビサシ
真琴「み~んな、ワンちゃんじゃないですか。」
俺「そりゃ、目に留まったし」
真琴「日付も場所も違いますし、ワンちゃんがいたら思わず撮っちゃうくらい好きなんじゃないかな~って」
俺「……そっか、俺って犬好きだったんだ」
真琴「あと、前から気になってたんですけど」
俺「今度は何?」
真琴「先輩って、白色が好きですよね?」
俺「これまたどうして」
真琴「携帯も白、パソコンも白、この部屋の家具も白ばかりですし」
俺「……」
真琴「先輩?」
俺「マジだ……白ばっかじゃん!」
真琴「気付いて無かったんですか?」
俺「これは本当に気付かなかった! うっわ、本当だ全部白だよ」ゴソゴソ
真琴「?」
俺「財布も白、ヘッドホンも白、音楽プレイヤーも……白っぽい」
俺「俺って、白が好きだったんだ……」シミジミ
真琴「先輩って、たまに本当に想定外のことしますよね」
俺「……」カチカチ
真琴「~♪」カリカリ
俺「……? 何してんの?」
真琴「春休みの課題ですよ~。 家を出るときに持った鞄の中に課題一式が入ってたんで」
俺「はぁ~、真面目だねぇ。 というか、家でやればいいのに」
真琴「いいじゃないですか、ここでやっても。 なんでか分かりませんけど、落ち着くんですよね~」
俺「ならいいんだけどさ。 珈琲いる?」
真琴「あ、お願いします! 砂糖とミルクは」
俺「少しでいいんだろ? 待ってな、この前買った豆がまだ残ってた筈だから」スタスタ
真琴「お願いしま~す」カリカリ
俺「……」カチカチ...カチ
真琴「……」カリカリ...ウーン?
俺「……ふぃ~、お~わったぁぁぁ!」
真琴「あ、整理が済んだんですか?」
俺「ようやっとね。 やっぱりため込むと後々しんどいな~」ググー
真琴「そんなにたくさん撮ってたんですね~。 今回整理したのは何枚くらいなんですか?」
俺「柊君」
真琴「! なんですか、先生?」
俺「写真の単位は枚数ではなくギガバイトって誰かが言ってたような気がするんだ」
真琴「……ギガバイト」
俺「そそ、誰が言ってたんだっけな~?」
俺「あ、思い出した。 望月先輩だ」
真琴「何がです?」
俺「ほら、さっきのギガバイト発言」
真琴「ああ~」
俺「スッキリした! ずっと思い出せそうで思い出せなかったから」
真琴「そういえば先輩はたまに望月先輩と一緒に居ますもんね」
俺「一緒に居るって言っても、完全にアシスタント扱いだけどな」
真琴「先輩って顔が広いですもんね」
俺「そんなことないと思うけど。 あの人については周囲からも色々言われてさ」
真琴「周囲?」
俺「やれストッパーになれだとか、暴走したら頭叩けだとか」
真琴「ああ……」
俺「ぐふふって笑い出したら要注意なんだ。 カメラの位置が下がりだして、追いかけられて、んで逃げて」
俺「ま、その話は後でもいいや。 昼飯にしよう」
真琴「あ、もうそんな時間ですか。 お裾分けを持ってきただけだったのに長居しちゃいましたね」
俺「チャーハンでよかったら作るけど、食べてく?」
真琴「……先輩、料理するようになったんですか!?」
俺「何をそんなに驚いているのやら。 チャーハンなんて米と野菜と卵を炒めるだけだし」
真琴「ご馳走になります」
俺「あいよ、んじゃちょっと待ってな~」
真琴「先輩の手作り料理……」フフ...
真琴「良い……」ニコッ
真琴「……お母さんにお昼いらないってメールしておかないと!」メルメル
俺「テレテッテーテテテー」
真琴「……」ハラハラ
俺「テレテッテーテテテー」
真琴「……」アワワ...
俺「とりあえず卵を割って~」ゴンゴン!
真琴「あああ、そんなに力を入れたら」
俺「んで……冷凍飯はあったっけ?」
真琴「あ、菜箸が落ちる!」
俺「それから~」
真琴「……」ハラハラ
俺「出来た!」
真琴「」グッタリ
俺「……? なんでそんなにぐったりしてるわけ?」
真琴「見ててハラハラしました……」
俺「普段から料理してるやつから見たら、無駄が多かったとかそういうので?」
真琴「なんていうんでしょう……」ウーン
真琴「ほら、あれです。 初めて包丁を握ったわが子を見つめる……母の……目線?」
俺「……え?」
俺「味はなかなかどうして悪くないわけでして」
真琴「美味しいですよ?」ムグムグ
俺「調味料でごまかしてるだけなんだけどな~」
真琴「そんなことないですって」
俺「どうしたらパラパラになるのか……」
真琴「……」ウーン
俺「……」
真琴「火力?」
俺「そればっかりはどうしようもないや。 ここ、火力弱いし」
俺「もう春だな~」
真琴「だいぶ暖かくなりましたもんね~」
俺「あ、皿は置いといて。 後で洗うから」
真琴「ご馳走になりましたし、それくらいやりますよ?」
俺「そう?」
真琴「お任せください!」
………
……
…
俺「もう花見の時期か……」
真琴「何か言いました~?」ガチャガチャ
俺「もう花見の時期だな~って!」
真琴「あ、さっきも言おうとしたんですけど。 今度二人でお花見しませんか?」
俺「花見?」
真琴「はい~。 ちょうど桜が見ごろですし、先輩も桜の写真、撮れますよ?」
俺「……いいな」
真琴「どうです~?」
俺「よし、やろうか!」
真琴「私、サンドイッチとか作りますよ。 それを食べた後、一緒に撮影会しましょうね~」ガチャガチャ
俺「おぉ!」
真琴「綺麗ですね~」
俺「少し時期的に遅かったかと思ってたけど、散り始めなのかな?」
真琴「先輩先輩! ほら、見てください! 木の根元なんて散った桜が絨毯みたいですよ!」
俺「人も少ないし、平日の昼間を狙って正解だったかな?」
真琴「先輩の言う通りでしたね」
俺「まあ、いいや。 はい、柊さーん、とりあえず最初の1枚をパシャリコ」カメラカマエ
真琴「ふぁ? わわっ! えと、えーっと、ぴーす」カシャッ
俺「ほう、柊は咄嗟にとるポーズはピースサインか」
真琴「撮るなら撮るって先に言ってくださいよ~」
俺「それじゃ面白くないじゃん」
真琴「……まあ、いいです。 それより、咄嗟にとるポーズってなんです?」
俺「ん? ほら、両手を万歳させたり、何かしらポーズをとったり、人によって写真を撮られる時のポーズがあるみたいでさ」
俺「変顔かましたり、なんだっけ? 小顔のポーズ? なんかそんなのしたりさ」
俺「お、あそこなんか良いかも」タッタッタ
真琴「ですね~。 桜も良く見られそうですし、地面もデコボコしてませんし」
俺「テテテテッテテー、ミニレジャーシートー」バサッ
真琴「……」
俺「おっ、そこにちょうどいいサイズの石もあるじゃん」
真琴「先輩って唐突にそういったこと言いますよね」
俺「ん?」
真琴「テテテテッテテーって」
俺「難しい顔してあれこれするよりずっと良いじゃない?」
真琴「まあ、そうなんですけど」
俺「うっし、これでシートは飛ばないな」
俺「は~、座ってみると意外と地面がボコッてるな」
真琴「いろんな座り方を試さないとですね」モゾモゾ
俺「ベスポジ探しね、やるやる」
真琴「……」モゾモゾ
俺「……お、意外とジャストフィット」
真琴「あれ?」
俺「あん?」
真琴「意外と疲れてたんですかね? 足がじんわりします」
俺「ま、結構歩いたからな~」
真琴「晴れてよかったですね」
俺「人も少ないし、本当に運が良かったな」
真琴「さてさて、お昼にしましょうか」スッ
俺「お、言ってたサンドイッチか?」
真琴「です。 いろんな具材で作りましたよ~」
俺「ん、んまい」
真琴「先輩はどれがお好みです?」
俺「んー、これかな?」
真琴「ハムと卵ですか?」
俺「そうそう、俺ハム好きなんだわ」
真琴「そうなんですか?」
俺「たまに買ったりもするんだけどさ、使い道がいまいち分からなくて単体で食べたり」
真琴「……食パンにのせたりとかはどうです?」
俺「あー。 ……その発想はなかったな」
真琴「割と一般的な発想だと思うんですけど」
俺「ふぃー、食った食った。 ご馳走様でした、大変美味しかったです」
真琴「お粗末さまでした~」
俺「いや、謙遜することないって。 本当に美味かったです」
真琴「ふふっ、ありがとうございます」
俺「はー、気分いいわー」ゴロン
真琴「せんぱ~い? お行儀悪いですよ~」ツンツン
俺「ごめん無理。 美味い物を食べて、気分も良い。 寝ころぶしかないでしょう」
真琴「なんなんですか、その理屈」フフッ
俺「……」モゾモゾ
真琴「? どうしました?」
俺「座った時がベスポジ過ぎてさ、寝転がったら違和感が」モゾモゾ
真琴「……」
俺「……」モゾモゾ
真琴「あの……先輩?」
俺「何さね?」
真琴「枕とか、いりませんか?」
俺「枕? そりゃあった方がいいけど、んなもんどこに……」
真琴「///」ポンポン
俺「」
真琴「///」ポンポン
俺「あの……え? マジで?」
真琴「マジです。 良かったらどうぞ」ポンポン
俺「……」
真琴「……あの?」
俺「お願いします」ポスッ
真琴「あっ……。 ふふっ、お願いされます」
俺「膝枕なんか、初めてされるよ」
真琴「私もです」
俺「……」
真琴「……///」
俺「……」
真琴「……あの、先輩?」
俺「……んぁ?」
真琴「あの、何か感想が欲しいです」
俺「……」
真琴「先輩?」
俺「……素晴らしいの一言です。 あらゆる恋愛関連の創作に登場する理由が理解できました」
真琴「どんな理由なんです?」
俺「とにかく気持ちいい。 後、相手との距離が精神的にも身体的にも近いのも良い」
俺「ごめん、そろそろ本当に落ちそうだわ……」ウトウト
真琴「ふふっ。 寝ちゃってもいいですよ~」ナデナデ
真琴「……」ナデナデ
俺「……」
真琴「……せんぱ~い?」ボソボソ
俺「……」
真琴「ふふっ。 かわいい」ツンツン
俺「……んん」
真琴「ふふっ」ナデナデ
俺「……」
真琴「……」ナデ...ツンツン
俺「んん……」
真琴「あっ。 先輩、起きました?」
俺「」ムクッ
俺「あー、ごめん。 ガッツリ寝たみたいだ」ガシガシ
真琴「私の膝枕、先輩に合ったみたいで良かったです」
俺「うっわ、2時間も経ってる。 ごめんな、せっかくの花見だったのに」
真琴「いえいえ、私も堪能させていただきましたし~」
俺「……堪能?」
真琴「こっちの話です」
俺(あまり気にしないことにしよう、俺の精神衛生的な意味で)
真琴「あっ」ビクッ
俺「ん? どした?」
真琴「あの、足が痺れちゃったみたいです」
俺「あー、すまん」
真琴「これは、しばらくは動けそうにないですね~」
俺「時間は大丈夫か?」
真琴「はい、そっちは大丈夫なので少しお話しませんか?」
俺「あいよ。 そうだ、魔法瓶で珈琲持ってきたんだ。 それ飲みながらでもいい?」
真琴「もちろんです」ニコニコ
俺「ほい、珈琲。 今回はモカでございます」
真琴「あ、ありがとうございます」
俺「砂糖とミルクはこっちな。 ファストフードので悪いけど」スッ
真琴「こんなの持ってたんですか?」
俺「注文するときにブラックって注文をつけ忘れた時とかにもらってたやつが残ってたから」
真琴「あれ、捨てるのもったいないですもんね~」
俺「……」ズズッ
真琴「……」フーッ...フーッ
俺「……」...ズズッ
真琴「……あつっ」
俺「あれ? 猫舌だったっけ?」
真琴「そんなことないと思いますよ?」
俺「なんか前にもこんな会話したような気がする」
真琴「あれ? そうでしたっけ?」
俺「……」ズズッ
真琴「……あちっ」
真琴「あ、おいしい」
俺「もうだいぶ日が長くなってきたな~」
真琴「言われてみればそうですね~。 先月まではこのくらいの時間で暗くなってたのに」
俺「もうあっという間にGWだなぁ」
真琴「先輩は何か予定とかあるんですか?」
俺「ん? 特にはないかな~。 ……っと」
<ビュオォォォォ...
真琴「……風が出てきましたね」
俺「おっ、ほら見てみ?」ユビサシ
真琴「うわぁ! 桜が舞ってすごく綺麗ですね~!」
俺「良いもんが見れたなー」
真琴「ですね~」
俺「足はもう大丈夫?」
真琴「はい、お手数をおかけしました!」
俺「いやいや、それを言うなら俺も。 お手数をおかけしました」
真琴「いえいえ……」
俺「いやいや……」
………
……
…
俺「んじゃ、そろそろ帰りますか。 あ、紙コップとかはこれに。 ゴミは纏めて捨てておくからさ」
真琴「あ、お願いします~」
俺「ん、忘れ物は……ないな」
真琴「それじゃ、行きましょうか?」
俺「あいよ、行こう」
俺「はー、明日以降も登校、授業の繰り返しかー」
真琴「私たちはそれが仕事といえば仕事ですからね~」
俺「……しんどい」
真琴「もう少しでGWじゃないですか~!」
俺「……それまで、ちょっと出力を落として乗り切るかなぁ」
真琴「GWにはまた何か学園主催で何かイベントがあるんですかね?」
俺「そりゃあるだろうよ。 あのお祭り好き共がこんな恰好の期間を放置するはずがないし」
真琴「何をするんでしょうね~」
俺「何をするんだろうなー」
真琴「何をするにしても、先輩と一緒なら怖いものなしですよ!」
俺「個人競技かもしれないぞ?」
真琴「……そういうことを言わないでくださいよ」
俺「ははは、スマンスマン。 ま、頑張っていきましょう」
真琴「はいっ!」タッタッタ
真琴「……」ピンポーン
真琴「……?」
真琴「……」ピンポーン
真琴「……あれ?」
<ギャーギャー!
<サイショハグー! ジャーンケーン...
真琴「……」
<タッタッタッタ...
木乃子「はいはい、どちら様~?」ガチャ
木乃子「新聞、勧誘、セールスはお断りだかんな~?」
真琴「……」
木乃子「あり? どちらさん?」
真琴「姫島先輩?」
木乃子「……お? お~お~、何時ぞやのリア充その2か! 旦那は借りてるぞ~」
真琴「だっ!?」
木乃子「お~い、お前の嫁が来たぞ~」ドタドタ
<ハァ? ヨメダ?
真琴「……」
真琴「……ふふっ、嫁」テレテレ
木乃子「まま、あがれよ。 あたしは何のおかまいもせんがな!」フンス
真琴「はぁ……」
<イバッテイウナッツーノ!
真琴「あの、先輩は何を?」
木乃子「ん? ああ、見た方が早い。 とにかくあがるならさっさとあがれ~」テクテク
真琴「あの、先輩~? お邪魔しますね~」
<オー
俺「おー、柊。 いらっしゃい」タンジョウビトケツエキガタ...
真琴「お邪魔しました」
俺「お邪魔されました」カチカチ
木乃子「……この部屋にはきのこの森はないのか? お客様だぞ~」
俺「あれ? いつものとこになかったか?」
木乃子「あったらもう開封してる」
俺「なら後で買いに行くから大人しくしてろ」カチカチ
木乃子「……ま、いいか。 でー、柊とやら? あんたはここに何しに?」
真琴「え? ああ、私はこの前先輩にお裾分けした時のタッパーを回収しに」
俺「ああ、もう洗ってあるから後で渡すよ。 いつもありがとうな」コレデイイ?
俺「これでいいですよっと」
真琴「いえいえ~」
真琴「そういう先輩方は今日は何を?」
俺 木乃子「「ゲーム」」
真琴「……なるほど」
俺「俺、こういった恋愛シミュレーションやったことなくてさ」
木乃子「ゲームをやるって言うから来た」
真琴「私も見てもいいですか?」
俺「おー、時間が大丈夫ならどうぞー」プロローグ、オレノナマエハ...
木乃子「好きにするがいいさ~ってぇ!」
木乃子「何故本名プレイをしない!! 誰だ、茂木杉田って!」
俺「え~、別にいいじゃん名前くらい。 茂木杉田、略してモテスギ」
真琴「あはは……」
俺「ほい、ひとまずセーブ。 後は適当にコマンド実行すりゃいいの?」
木乃子「各種パラメータを上げて自分を磨いて」
木乃子「んで、ヒロインをデートに誘いイチャコラして卒業式の日に告白されることを目指す」
木乃子「大ざっぱに説明するとそんな感じだな」
真琴「お、女の子から告白するんですね」
木乃子「他のハードのだと男からできるのもあったんだけどな、これはヒロインからされるだけ」
俺「で、姫島が言ってたラスボスってこの赤い髪のやつ? なんか、クラシックがどうのって言ってた」
木乃子「そう。 とりあえずそいつを攻略してみー?」
俺「ま、適当にやってみますか」
真琴「……」ジー
俺「ひとまず体育祭まで進めてみたけど」
真琴「なんだか、あまりパッとしませんね~」
木乃子「そりゃ、全体的にバランスよく上げてたらそうなるだろ」
俺「やっぱそうか。 部活にも入ってることだし、一極集中で進めた方がいいか」
木乃子「おっ、脳筋か? 脳筋プレイか!?」
俺「平日は部活で良いんじゃないか? 見たところ日曜日とかの方がパラメの伸びも良いし、部活以外はそっちでやっても」
真琴「平日は部活、お休みはそれ以外でやるんですか?」
俺「ひとまず1年目はそのやり方で様子見かな?」
木乃子「効率プレイをしながらも的確にラスボス攻略に進むとは。 やるね~、お前も」
俺「あ? このやり方で合ってんの?」
TV<キーンコーンカーンコーン...
俺「おっ?」
真琴「あれ?」
木乃子「お、下校イベントか?」
TV<あ、今帰りなの?
真琴「……選択肢ですね」
俺「ラスボス攻略が目的なんだから、一緒に帰ろうでいいんじゃないの?」カチ
木乃子「……ッ」
TV<一緒に帰って、友達に噂とかされると恥ずかしいし
俺「……は?」
真琴「……え?」
木乃子「……ブハッ!」
俺「……」
真琴「……えっと」
木乃子「アッハハハハハハハ! ヒー、ヒー」バンバン
俺「……恋愛シミュレーションゲームで、なんでこんなこと言われないといけないんだ」
真琴「て、照れ隠しかもしれませんよ?」
木乃子「アハハハハ」
俺「というか、家も隣なんじゃないの? こんな空気のまま後ろついてかなきゃいけないとか地獄だろ」
真琴「あ、あはは」
木乃子「はー、笑った笑った。 良いもん見せてもらったー」ポンポン
俺「憐れむかのように肩をたたくな! というか、こうなるの分かってたろ!」
木乃子「分かってましたがそれが何か~?」ニヤニヤ
俺「こいつ、開き直りやがった……」
真琴「……一緒に帰って、友d」
俺「頼むから、柊はそんなこと言うような奴になるなよ」
真琴「わ、私は絶対にこんなこと言いませんよ!」
木乃子「どこまで行った~?」
真琴「え~っと?」
俺「期末テスト前。 運動部にしたのは間違いだったかな、どんどん脳筋に向かってる」カチカチ
木乃子「ま、運動部選択して平日は部活コマンドならそうなるだろうよ」
真琴「運動パラメータだけ、飛びぬけてますもんね」
俺「試合には負けてないからいいんだけどさ」
俺「……」
俺「あれ? 試合には勝ってるけど、これ好感度上がってるの?」
TV<今日から期末試験だ
俺「知ってる」カチ
木乃子「知ってる」
TV<~♪ ドゥルドゥドゥドゥン ドゥルドゥドゥドゥン ドゥン↑
真琴「……」ハラハラ
俺「……」ジー
木乃子「……」ボー
TV<~♪ ブー …ちょっと、ダメだな。 ×5
俺「知ってた」カチ
木乃子「このパラじゃ順当」
真琴「」
TV<~♪ チャン チャンチャン チャンチャチャーン
TV<今日は、成績発表の日だ。
TV<~♪ チャラチャー チャラチャチャッチャラーン
TV<こうして試験は終了した。
俺「こうして、じゃねーっての」カチ
木乃子「他人事だもんな~」
真琴「168位って……」
木乃子「……腹が減ったな」
俺「あん? あ、もうそんな時間か」
真琴「気づきませんでしたね~」
木乃子「んで、どうなったよ? あたしが漫画読んでる間に進展はあったか~」ズリズリ
俺「這ってくるんじゃない。 ああ、漫画はちゃんと閉じろよバカ」
真琴「茂木さんの今のパラメータはこんな感じですよ?」
木乃子「……何でこんなに高いわけ?」
俺「1年目は捨てた!」
真琴「悪い噂が流れた時だけデートして、後はひたすら自己研鑽してました」
俺「春休み明けから本気出す。 パラメータは大丈夫でも好感度は微妙だろうしな」
俺「ほい、これでひとまず春休みも終わりっと」
真琴「相変わらず運動が突出してますね~」
俺「平日部活、休日その他で進めたからな。 なんでかキャラクターが全く出ないけど、ひたすら自己研鑽できたし良しとしよう」
俺「んじゃ、ひとまずセーブしてっと」
真琴「お昼ご飯にしましょうか」
木乃子「あたしはカップめんでいいぞ~、それよりこれの続きはどこだ?」
俺「ああ、押し入れにあるから後で出す。 それよりほら、姫島も立て。 買い出しだ」
木乃子「あたしはパス~、適当にまかせた」
俺「ふざけんな、働かざる者なんとやらだ。 きのこの森も買うから、ほら、行くぞ~」ズリズリ
木乃子「ひきずんな、は~な~せ~」ズリズリ
俺「柊~、窓の鍵だけ確認してくれ~」
真琴「ふふっ、は~い!」タタタ
木乃子「あづい~~」ブツブツ
俺「もう5月だからな」ズリズリ
真琴「梅雨が明けたらあっという間に夏ですよ」
テクテクテクテクテクテクテクテク...
木乃子「何故あたしは休みの真っ昼間から外にいるんだ?」ブツブツ
俺「昼飯がないからだよ」ズリズリ
真琴「早く買って帰りましょう! ねっ?」
テクテクテクテクズリズリズリズリ...
木乃子「おんぶする許可をやるから寄生させろ~」ズリズリ
俺「ただでさえ手を引いて暑いのにふざけんな菌糸類」ズリズリ
真琴「あは、あはは」
木乃子「むおぉぉ、涼しい……!」
俺「かごかご」キョロキョロ
真琴「先輩、どうぞ」スッ
俺「お、サンクス」スッ
木乃子「きのこの森を確保してくる!」タタタ
俺「急に復活しやがって……。 ラーメン売場なー!」
<オー
俺「さて、行くか」
真琴「はい!」
俺「さて、柊はどれにする?」
真琴「ちょっと待ってください? どれにしようかな~」
俺「……ふむ」
木乃子「きのこの森取ってきた! ついでにたけのこの林を棚の端っこに追いやってきた!!」
俺「後で戻しに行くぞ」
木乃子「なぬー!? あ、あたしこれがいい」スッ
俺「切り替え早いなー。 俺は今日はこれにするかな。 柊は決まったかー?」
真琴「はい、決めましたけど……」
俺「けど?」
真琴「先輩、昨日はラーメン食べました?」
俺「食べたけど?」
真琴「一昨日は?」
俺「……食べました」
真琴「それで今日も食べるんですか?」
俺「……ほら、一昨日は醤油。 昨日は味噌。 んで今日はとんこつだからさ!」
真琴「だから……なんです?」
俺「……」
真琴「……」
俺「ごめんなさい」
真琴「素直でよろしい」ニコッ
真琴「先輩はもっと食生活に気を……」
俺「はい、はい。 ごめんなさい、以後気を付け……」
木乃子「……」
木乃子「お前ら、あたしを忘れてラブコメに興じるのもほどほどにしとけよ?」
俺「あ?」
真琴「ラブッ!?」
木乃子「いきなり固有結界展開しやがってからにー! 見ろ! ラブコメ野郎が近くにいるから鳥肌が立ったじゃないか!」
俺「知るかよ。 だいたいお前はだなー」
<ギャーギャー
真琴「……」
真琴「……ラブコメ」ニヘラ
木乃子「バカップルの固有結界のせいで時間がかかったじゃないか~」ブツブツ
俺「きのこ信者の戯言が聞こえる、そうだ、たけのこ信者に鞍替えしたとないことないこと言いふらそう」
真琴「おじゃましま~す」クツソロエ
木乃子「貴様ー!! なにさらっととんでもないことを言っとるかー!!」
俺「妥当な扱いだバーカ。 バ――カ」
真琴「せんぱ~い? お湯沸かしますんでお台所お借りしますよ~」
木乃子「バカとはなんだバカとは!! あ、柊~これ冷蔵庫な~」
俺「バカにバカっつって何が悪いんだよバ――カ。 あ、鍋はいつものところだから~」
真琴「ふふっ、は~い」
木乃子「ふぃ~、食った食った」
俺「……しばらくラーメンともお別れかな」チラッ
真琴「先輩、何かいいましたか?」チラッ
俺「……なにも」
木乃子「あ~、はいはいごちそうさま。 そういうのい~から~」グデーン
俺「さて、片しますか」スッ
真琴「あ、私やりますよ?」
俺「いーって。 俺がやるから座ってな?」
木乃子「食後のお茶を持ってこい旦那様~」フリフリ
俺「はっ倒すぞ」スタスタ
真琴「……」ゴソゴソ
木乃子「なんか、扱い違くね?」
真琴「そうですか~? 先輩たち、すごく仲が良いじゃないですか」カチャカチャ
木乃子「そうかね~。 んで、あんたは何してんの? エロ本探し?」
真琴「エロッ!? ……ゲームの準備ですよ」ゴソゴソ
俺「冷たいのウーロン茶しかなかったわ」
真琴「珈琲以外があるのは珍しいですね?」
俺「昨日なんとなく買ったんだ」
木乃子「お~、ウーロン茶なんて久しぶりだな」ズリズリ
俺「東雲がいたらなんて言うかな」
木乃子「ペパロニピザどこだ~っつって台所物色に100ペリカ」
俺「ペパロニピザをきのこの里に変えたらお前じゃね?」
俺「さて、大体分かった」カチカチ
木乃子「は?」
真琴「何がです?」
俺「このゲームには、必勝法がある」バーン
木乃子「あ、秋y」
真琴「本当ですか?」
俺「……」...カチカチ
木乃子「分かってる、あたしは分かってるからな。 素でネタをスルーされると辛いな」ポンポン
真琴「?」
俺「このゲームはヒロインを出せば出すほど難易度が上がっていくんだよ」カチカチ
木乃子「理由は?」
真琴「……」ウンウン
俺「適当プレイしてる時にヒロインが出たのは対応するパラメを実行した時。 ロードなんかはしてないけど多分一定値を超えたら確率で判定が入るんじゃないかな?」
木乃子「続けて」
俺「このゲームの要素の一つ、悪い噂。 見たところ全く相手にしなかったヒロインに集中してんのよ。 傷付いた~って噂流して、女って怖ぇ」
木乃子「茶番はいいよ。 んで、結論は?」
俺「メインに据えたヒロイン一筋。 日曜をデートで埋めるのは勿体無いので月一。 もう既に出現済みのヒロインに対応する科目は平日実行可。 他キャラは噂が流れた時のみ。 これで勝てる」
真琴「先輩、凄いです!」キラキラ
木乃子「縛らない場合の定番プレイスタイルだけど、ま、いんでね?」
俺「うーっし! んじゃ、進めますかー!」カチカチ
TV<~♪ チャンチャンチャンチャンチャンチャンチャ-ン
TV<好きです、世界中の誰よりも~
俺「よく言うよな、この女。 最初なんか見向きもしなかったくせに」モグモグ
木乃子「そりゃ後半からは運動も出来て勉強も出来て容姿も良いときたもんだ」モグモグ
木乃子「そこに一流大学合格の一方が入りゃ本気になるさ。 長年幼馴染っつー関係でもあったわけだし」
俺「何? 女ってみんなこんなに打算的なの?」モグモグ
木乃子「どっかには本当に純粋に好きですだのなんだのしてるのもいるんじゃないか? どっかには」モグモグ
木乃子「つーか、お前食いすぎ。 あたしのきのこの里だかんな? これ」
真琴「お二人とも、もっと純粋にゲームを楽しみましょうよ……」
真琴「中盤あたりから二人ともいい雰囲気だったじゃないですか」
真琴「二人で一緒に誕生日を祝ったりして」
木乃子「で~? どうだったよ、恋愛シミュレーションゲームは」
俺「……」
真琴「? 先輩?」
俺「……悪くない、むしろ良い」
木乃子「ほ~。 どの辺が?」
俺「いや~、最近の恋愛ゲームって読み進めるだけとかポチポチするだけだと思ってたけどさ」
俺「これは良い! プレイヤーが介入してパラメータを上げるのも楽しいし」
木乃子「最近はそういったゲーム、少ないんだけどな。 ほとんどが紙芝居ゲーだし」
俺「もっと広がればいいのに、こういうスタイル。 ひとまずこれは全キャラクリアする」
真琴「あっ、じゃあ私も見てて良いですか? あの、当たり屋さんが少し気になるんですけど」
俺「おー来い来い。 一緒にやろうぜ」
木乃子「……」
俺「姫島はどうする? 予定がないなら来るか?」
木乃子「あたし、邪魔じゃね?」
真琴「何言ってるんですか先輩! 一緒にやりましょうよ!」
木乃子「……きのこの里が追加で出るなら考えても良い」
俺「おー、じゃあ次は先に買い出ししてからやろう」
真琴「ふふっ、はい!」
俺「明るいとは言えもう夜なんだから送って行くって」
木乃子「お前もマメだなー。 そこまで細かいとそのうちハゲるぞ?」
俺「黙ってろ菌糸類。 つーかお前、課題はもうやった訳?」
木乃子「あたしがやってるとでも?」フンス
俺「……いや、俺が悪かった」
真琴「……やってないんですね」
木乃子「当たり前だろう。 いいかー後輩」
真琴「なんです?」
木乃子「課題は、ただ無心に、写すものなんだ」ドヤァ
俺「柊ー、お前はこんな感じのダメな奴になんなよー」ゴン
木乃子「アテッ、何するかー!!」
真琴「ふふっ、やっぱりお二人って仲が良いですよね」
俺 木乃子「「はは、こやつめっ」」コツン
真琴「あいたっ! ……ふふっ」
俺「バッカお前、あれは見捨てたんじゃなくて戦略的な撤退だろうが」
真琴「えー、そんなことがあったんですか? ……!?」ピタッ
木乃子「お前も気をつけろよ柊~。 こいつ善良なふりしてって……あり?」クルッ
俺「どした柊ー?」フリムキ
真琴「……」ジー
木乃子「UFOキャッチャーか?」
俺「このゲーセン、相変わらず景品は麦わら一味が独占してるな」
木乃子「人気なんだろー、あたしはいらんが」
俺「同意見」
真琴「……かわいい」
俺「……あ?」
木乃子「かわいい?」
真琴「先輩方! これ、すっごく可愛くないですか!?」ビシッ
俺「……この気だるげな顔したクマが?」
木乃子「乙女の嗜好はよくわからんな」
俺「……お前も一応女だろうが」
真琴「可愛いな~。 とれるかな~?」
【必勝法】
真琴「先輩先輩、これって取れますかね?」ユビサシ
俺「あー。 ……これ重心は頭か? 多分取れると思うけど」
真琴「姫島先輩はどう思います?」
木乃子「ん~?」
木乃子「この手のやつはアームの力が弱いんだよ」
木乃子「だから完全に持ち上げて移動させて穴に落とすっていうのは無理」
木乃子「これは多分、頭を持ち上げて落とすを繰り返せばいい」
真琴「持ち上げて落とす、ですか?」
木乃子「そう。 詳しい説明は任せた~」ポン
俺「任されたー。 えっと、これだと頭がこっち側にあるだろ?」ポン
真琴「はい」
俺「だから、頭の真ん中辺りにアームを持って行って持ち上げる」
俺「足を起点として頭が持ち上がって斜めになるの」
俺「ほら、ジャクソンのPVみたいに」
真琴「はい」
俺「場合によっちゃそのまま足が滑って奥に行くこともあるけど、これは頭もデカいし多分大丈夫」
俺「で、たいていアームの力が弱くて途中で落ちる」
真琴「はい」
俺「これの場合は、落ちた時に反動がついて手前に少しずつ移動すると思う」
俺「そうやって穴に少しずつ近づけて落とせばいいよ」
真琴「なんだか難しそうですね~」
木乃子「お前手本を見せてやればいいじゃん」
俺「俺もそこまで慣れてるわけじゃないんだけどさ」
木乃子「それでも柊よか上手いだろ? ほれ、かっこいいとこ見せてみ?」
俺「……まあ、やってみますか。 柊はそれ見て判断すればいいよ」
真琴「良いんですか?」
木乃子「良いんだって。 ほら、見せ場を奪うもんじゃないぞ」
俺「いきまーす」チャリン
<デッデッ↑デッデッ↓デーデーデデー
俺「……」ヨコカラミル
真琴「先輩は何してるんですか?」
木乃子「ああやって横から見て奥行きを確認してんの」
木乃子「つーか、金入れる前に見ときゃいいのに」
俺「外野ー、うるさいぞー」
木乃子「へいへい」
真琴「……」ワクワク
俺「うっし、いきまーす」カチ
―アーム、横移動中―
俺「……あ」カチ
真琴「え?」
木乃子「ブハッ!!」
俺「指、離してしまった」
真琴「これ、早すぎましたよね?」
俺「あーあ、やっちゃった」カチ
木乃子「……ッ!!」
―アーム、縦移動中―
俺「こっちは完璧」
―アーム、降下中―
俺「……」ジー
真琴「……」ジー
俺「駄目か、押し込みじゃ無理みたいだ」
真琴「頭の真ん中を刺しちゃいましたね~」
木乃子「……ブハッ!!」
俺「いつまで笑ってやがんだ姫島ぁ!!」
木乃子「み、ミスった時のポカンとした顔……ふはっ!」
俺「もうちょいもうちょい、そこだ」
真琴「はい!」
木乃子「悪くないんでね?」
俺「後は縦移動な? 手前だと奥に滑るから気をつけて」
真琴「や、やってみます!」フンスッ
ーアーム、縦移動中ー
真琴「……」ドキドキ
俺「……」ジー
木乃子「……」ジー
真琴「……あっ」
俺「ちょっと押し過ぎたかな」
木乃子「上手くやらないと貯金箱コースだぞ?」
真琴「……もう少し、頑張ってみます」
木乃子「よーし、よく言った」
俺「無理だと思ったらスッパリやめろよ?」
真琴「はい!」
木乃子「店員アピールもしとくか?」
俺「それは最終手段だろ」
真琴「……」ジー
俺(動かなくなってきたな)
木乃子(UFOキャッチャーはどれも最後が1番しんどいからな~)
真琴「あ~、もう少しなのに……」ショボン
俺「……」
木乃子「……」
俺(ちょっと札を崩して来てくれ。 500円玉作って6回アタックで決めるぞ)
木乃子(店員アピールはするか?)
俺(いらねーよ。 その代わり袋貰ってこい)
木乃子(あいよ~)テケテケ
俺「……柊、残りでやっても駄目ならアームで押し込んでみ?」
真琴「押し込むんですか?」
俺「そう。 俺が最初にやったみたいに」
真琴「わかりました~。 ひとまず残り、頑張ってみます」
木乃子「袋、貰ってきたぞ~」
真琴「袋ですか? どうしてまた?」
俺「あともう少しで取れるだろ」
真琴「でも、まだ取れるかどうかわかりませんよ?」
俺「そこでほれ」スッ
真琴「500円玉?」
俺「これで後6回プレイ出来るから」チャリンッ
木乃子「最後はぶっ刺しで落とせって訳だ」
俺「狙う場所は顔の真ん中辺り」
木乃子「突き落としてしまえ~」
真琴「わ、わかりました。 やってみます」
真琴「横はこんな感じですか?」
俺「そうそう」
木乃子「後は縦な。 横よりはやりやすいだろ」
真琴「行きます!」
俺「……」ジー
木乃子「そこだ!」
真琴「はいっ!」
俺「おっし、位置はドンピシャ!」
真琴「ですよねっ! 取れますかね?」
木乃子「お? おぉ!!」
俺「これは行ったか?」
真琴「……取れた。 取れましたよ!!」
俺「おめでとさん」
木乃子「初めてにしては上々だろ」
真琴「やたー、私、初めてUFOキャッチャーで商品取れましたー!!」
真琴「ふふっ、可愛いっ」ギュー
俺(袋、結局使ってないんですけど)
木乃子(よっぽど嬉しかったんだろうさ)
真琴「名前は何にしようかな? 先輩方はどんなのがいいと思います?」キャッキャ
俺「名前? あー……」
木乃子「詩織とかにしとけばいいんじゃね?」
俺「おい、やめろ。 やめろ」
木乃子「んじゃ、帰ってゆっくり考えるといい」
真琴「それもそうですね~。 そうしますっ」
真琴「……あー、可愛いな~」
俺(やっぱ、何度見てもあれのどこが可愛いのかわからん)
木乃子(安心しろ、あたしもわからん)
真琴「ふふっ」~♪
真琴「先輩っ、何してるんですか?」 バッ
俺「うおっ!? び、びっくりした~。 あれ? 扉閉まってなかったっけ」
真琴「えへへ、大成功です」ブイ
俺「岸田みたいなことしてからに」コツン
真琴「イタズラ、成功です!」
真琴「それよりも先輩、さっきは何処に行ってたんですか?」
俺「あれ? もしかしてさっきも教室来た?」
真琴「はい、一緒に帰ろうかと思って来たんですけど見当たらなくて」
俺「日誌届けに職員室に行ってた時かな」
真琴「すれ違ってたんですね~。 靴がまだあったので戻ってきて正解でしたっ」
真琴「で、何してたんです?」
俺「いや、結構降ってんな~って思って窓の外見てた」
真琴「そう言えば、雨は嫌いじゃないって先輩言ってましたもんね」
俺「……そんなこと言ったっけ?」
真琴「あれ? 言ってませんでしたっけ?」
俺「まぁ、嫌いじゃないけどさ」
俺「こう、週に1日か2日程度でいいのよ。 雨は」
真琴「ここの所ずっと雨ですもんね~」
俺「雨音を聞きながら本読んだりゲームしたりも良いよ?」
俺「何か無駄に気分が良くてさ」
真琴「あ、分かります分かります! 窓の外をそっと見てフッと笑って……みたいなやつですね!?」
俺「お前さんも好きだね~。 でもさ、こう連日ジャンジャラ降られるともう良いよってならない?」
真琴「濡れるのは嫌ですしね~」
俺「洗濯物とかもなかなか乾かないし。 一人暮らしだと全部自分でやらないとだから面倒でさ」
真琴「一人暮らしも大変ですね、私も出来ることはお手伝いさせていただきますからね?」
俺「主に食生活を中心にもう既に助けられてるよ、ありがとうな」
俺「あ~、濡れるといえばさ」
真琴「はい」
俺「この前の雨の日、帰り際にクロエ先輩とユーリヤと一緒になったことがあってさ」
真琴「いつです?」
俺「ほら、この前柊が放課後すぐにシフトが入ってた日。 何気なく連日雨で濡れてしんどいですねって話振ったらさ」
俺「雨が降ってるんだから濡れても仕方ないですよーって言いながら喫茶店に誘われたよ」
真琴「……どうして喫茶店に?」
俺「雨宿りがてらだってさ。 二人とも日本に来てみんながみんな傘を使っててびっくりしたって言ってた」
真琴「外国の人は濡れるの嫌じゃないんでしょうか?」
俺「人それぞれだとは思うけどさ。 雨宿りしながら行ったりする人が多いんだってさ」
真琴「日本とは違いますね~」
俺「だぁね」
真琴「先輩はどっちがいいですか?」
俺「どっちとは?」
真琴「雨が降っても傘を使う日本の文化と、雨宿りする外国の文化だと」
俺「ん~、個人的には雨宿りの方が良いかな。 人と待ち合わせしてるとかだとそりゃ傘使うけどさ」
真琴「私は雨宿りの方が良いかもですね~。 雨が降ってる中で転ぶともう本当に大変なので」
俺「経験済みでしたか」
真琴「物心ついてからもう何度も」エヘヘ
俺「雨の日は柊にとっては大変な1日って訳だ」
真琴「家を出るときに気合を入れるんですよ、気をつけるぞ~って」
俺「じゃ、台風の日とかは更に気合を入れるのか?」
真琴「……台風の日は、なるべく外に出ないようにしてます」
俺「どうしても出ないといけないってのは今までなかった?」
真琴「……傘がひっくり返ったり、風に煽られて飛ばされそうになったり転びそうになったり、あと……」
俺「もういい、俺が悪かった」
真琴「台風なんて、嫌いですよ」ムスッ
俺「来週は台風来るかもしれないから、外に出ないようにしないとな」
真琴「絶対に出ません」キッパリ
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「さっき短冊もらってさ、何書こうか迷ってるところ」
俺「柊はなんて書いた?」
真琴「私はもちろん、先輩との距離がもっと縮まるようにって書きました!」
俺「……」
真琴「……?」
俺「ありがとう」
真琴「よくわかりませんけど、どういたしまして!」
真琴「今日は残念ながら曇り空ですね~」
俺「織姫も彦星も雲の上でイチャコラしてるさ」
真琴「イチャコラって、先輩……」
俺「むしろ雲で隠れた方が一目も気にしなくていいから良いんじゃない?」
真琴「も~、そういう夢を壊すようなこと言わないでくださいよ」
俺「ごめんごめん、ふと思っちゃってさ。 でも今日が雨でも来月にもう1回チャンスはあるし」
真琴「来月ですか?」
俺「あれ? 七夕って旧暦の7月7日にやってたんじゃなかったっけ?」
真琴「そうなんですか?」
俺「いや、俺も聞いたような気がするな~程度の知識だけどさ」
俺「そんなことよりもさっさと短冊書いちゃおう。 またせっつかれる」
俺「黄色の短冊は……人間関係の願い事だっけ?」
真琴「そう難しく考えなくてもいいんじゃないですか?」
俺「柊はもう吊るして来た?」
真琴「はい、いっぱいありましたよ~」
俺「どんなのがあった?」
真琴「色々です。 学業成就とか~、世界平和とか」
真琴「あ、あと恋愛関係のも多かったです!」
俺「ほー、高校生らしいというかなんというか」カキカキ
真琴「あ、書いたんですか。 見せてください」
俺「ほれ」
真琴「人との縁が更に深くなりますように……ですか」
俺「4文字熟語みたいにしようかとも思ったけど、思い浮かばなかったよ」
真琴「なんですか、その縛り」
俺「いや、なんとなく? ……それじゃ、吊るしに行きますか。」
真琴「ですね、行きましょ~!」
真琴「そう言えば先輩?」ノゾキコミ
俺「ん?」
真琴「苗ちゃんのお手伝いはもう良いんですか? 人形教室でしたっけ」
俺「今回のは教室が始まるまでが大変だったからさ。 始まってしまえばもう手伝うこともないよ」
真琴「そうですか?」
俺「さっき少し覗いたら大盛況みたいだったから、今頃ヒーヒー言いながら教えてるんじゃないか?」
真琴「ふふっ。 後で私たちも行きますか?」
俺「俺は練習でもやったしもういいかな。 後で差し入れを持って行こうかと思ってたけど、来る?」
真琴「お供します!」
料理部員「天の川を再現! そうめんを振舞って……あ、おーい! 食べて行かない?」
俺「後で寄らせてもらいます~」
真琴「……」トコトコ
………
……
…
美術部員「短冊を吊るす時に一緒に笹飾りはどうでしょ~。 折り紙で……あ、先輩~! 寄って行きませんか~?」
俺「後で差し入れ持ってくから~」
真琴「……」テクテク
………
……
…
真琴「先輩って顔広いですよね」
俺「いきなり何さ?」
真琴「色んな部の人からお声がかかってますし」
俺「色んなところにちょくちょく顔出してたからな~」
真琴「先輩、苗ちゃんのところ以外にもお手伝いしました?」
俺「いや……うーん。 ほんの少し?」
俺「目の前で困ってるのをスルーするのもどうかなって思うしさ」
俺「おかげで知り合いは増えたかな」
真琴「先輩、お人好しって言われません?」
俺「いや、ないけど」
真琴「あ、あの辺とかどうです?」ユビサシ
俺「少し高いからか、全然吊られてないな」
真琴「私だと届きませんもん」ピョン
俺「よっと、柊、すこし先を持っててくれ」
真琴「はい、これでいいですか?」
俺「結ぶから、少しそのままでお願い」
真琴「分かりました~」
俺「……うっし、これでいいかな。 柊、離してもいいぞ~」
真琴「はい」パッ
俺「おー、揺れてら」
真琴「短冊も一緒に揺れて綺麗ですね~」
俺「……さて、んじゃ差し入れを買いに行くとしますか」パンパン
真琴「も~、拝まないでくださいよ。 ……購買ですか?」
俺「祭りだってことで大量入荷したって水野さんも言ってたから。 売り上げに貢献しに行きましょー」スタスタ
真琴「おー!」トコトコ
真琴「先輩っ、何してるん……ですか?」
俺「……」グデー
真琴「あの、先輩?」ツンツン
俺「駄目だ、机ももうぬるくなった」
真琴「何で机に頬を押しつけてるのかと思ったら、涼をとってたんですか?」
俺「そう。 でももう駄目だ……ぬるい」
真琴「もう、顔に跡がついちゃいますよ?」
俺「……」グデーン
真琴「先輩って夏が好きだって言ってませんでした?」
俺「……柊に1つ教えてあげよう」
真琴「なんです?」
俺「夏が好きだってのと夏の暑さに耐性を持つことは等式で結ぶことは出来ないのだよ」フフンッ
真琴「……」
真琴「……」ピシッ
俺「あてっ。 ……何で俺のデコを叩いた?」
真琴「いや、なんとなく。 ごめんなさい」
俺「いいよー」グデーン
真琴「あ~、もうまた……。 ほら、シャキッとしてください」
俺「今日はなんかすごいジメジメしてるな~」スッ
真琴「やっとちゃんと座ってもらえた。 なんでも台風の湿った空気が一気に流れ込んでるみたいですよ?」
俺「今日は曇り時々雨なんじゃなかったのかっての。 多少涼しいかと思ってたのにな~」
真琴「……今がその曇りなんじゃないですか?」
俺「……なるほど」ハッ
真琴「……」
俺「……にしても暑いな~」
真琴「ですね~」
俺「もう少し経ったら多分暑さにも慣れてくると思うんだけど」
真琴「慣れるって、どうやるんです?」
俺「俺の部屋っっていうか、あのアパートってさ」
真琴「はい」
俺「なんでか知らないけど2階部分は昼間全然風が吹かなくてさ」
真琴「え? でもこの前は結構吹いてませんでした?」
俺「なんでか知らないけど夜には風が吹くの。 だから夜は割と過ごしやすいんだけど、昼間は地獄で……」
真琴「あ~、確か先輩のお部屋って日当たり良かったですもんね」
俺「電気代もバカにならないから極力エアコンは使わないようにしてるから、そのうち慣れるかな~って」
真琴「熱中症とかには気を付けてくださいよ?」
俺「毎年似たようなことやってたから、身に沁みてわかってるよ」
真琴「……もしかして、熱中症で倒れたことあります?」
俺「いや、それはさすがにないけどさ」
真琴「ないけど?」
俺「昼寝から目覚めたら室温が40°だったことが何度か……」
真琴「よくそんな部屋で寝られますね……」
<ジージージージジジー
俺「うっわ、ただでさえ暑いのに蝉まで鳴きだしたよ」ゲンナリ
真琴「わっ、今年初めてじゃないですか?」
俺「そうだっけ? この前一緒に公園のそば歩いてた時鳴いてなかったっけ?」
真琴「あれ? そうでしたっけ?」
俺「俺の気のせいかな……って、ジージージージーうるさいな。 これだから蝉は嫌いなんだ」
真琴「私もちょっと苦手です~。 小学校の頃、みんなで遊んでるとなぜか私だけおしっこをひっかけられて」
俺「それはなんて言うか……ご愁傷様?」
真琴「う~、ありがとうございます」
俺「……ほら、こう暑いとテンションも下がるって! 購買にでも行ってジュースでも飲んで、気分変えよう。 奢るからさ」
真琴「購買ですか?」
俺「そ、付き合ってくれない?」
真琴「えへへ、分かりました!」
俺「そうと決まれば早い方が良い。 行くぞ~柊ぃ~」スタスタ
真琴「わわっ、待ってください~」パタパタ
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「……」
真琴「……先輩?」
俺「ん? おぉ、柊か。 どした?」
真琴「どした?じゃないですよ。 何見てるんです?」
俺「都市伝説のまとめサイトだよ。 ほら、これ」
真琴「都市伝説って、怖い話ですか!?」
俺「まあ、そういう話もあるけど。 あれ? 苦手だった?」
真琴「人並みだとは思うんですけど、少し苦手ですかね」
真琴「集中して見てたみたいですけど、先輩はこういうのお好きなんですか?」
俺「うん、好きなんだわ。 特にさ、異次元とかの話が好き」
真琴「異次元?」
俺「ふとした拍子に迷い込むみたいな話? 帰って来られるかどうかは半々なんだけどさ」
真琴「どんなのがあるんですか?」
俺「ちょっと待ってよ、確かさっきのページに……」
俺「あったあった。 ほら、このページ読んでみ? ほら、存在しないはずの駅に迷い込んだ話」スッ
真琴「……怖くないですか?」
俺「大丈夫大丈夫。 それは本当に迷い込むだけだから」
真琴「拝見します」スッ
俺「どう?」
真琴「なんか、不思議な感じですね~」
俺「分かる? やっぱそうだよな。 どことなく普通と違う感じがするところに惹かれるのかな?」
真琴「私は特にこのお話なんか好きですね」ユビサシ
俺「俺とおんなじだ! だよな~、他の駅の話がなんかちょっと終末的な感じがするのに対してさ」
真琴「幻想的な感じがする?」
俺「それ! いや~、話が合うとテンション上がるな~」
真琴「先輩はこういった体験をしてみたいと思うんですか?」
俺「いや、別にいいや。 今を生きるので精一杯。 こういうのは体験談を読むだけで十分だわ」
真琴「帰れなくなったら嫌ですもんね~」
俺「そうそう」
真琴「ちょっと今日は大丈夫かもしれません!」
俺「はい? 何が?」
真琴「いつもはこういったお話は苦手なんですけど、今日は大丈夫かな~って。 ちょっと怖めのお話はないですか?」
俺「ん~……。 じゃ、こんなのはどう?」スッ
真琴「……八尺様……ですか?」
俺「そう、八尺様。 さっきまでの話とはまたちょっと違った感じの話だよ」
真琴「うぅ、この絵が八尺様ですか? すごく怖いんですけど……」ブルッ
俺「いや、出せって言うから……」
真琴「……よしっ、読んでみます!」
俺「そんな気合入れなくても」
真琴「……」
真琴「めちゃくちゃ怖いじゃないですかぁ!!」
俺「怖い話をって言ったのはそっちじゃん」
真琴「私は少しって言ったんですよぅ!! あ~、今日お風呂で髪洗えるかなぁ……」
俺「髪? なんでさ」
真琴「目を閉じるのが怖いです」
俺「あ、なるほど。 でもさ、この八尺様って成人前の男とか子供を狙うんだから、柊が狙われることはないじゃん」
真琴「……先輩?」
俺「ん?」
真琴「怖がりにそういった気休めは効かないんですよ?」ガクガク
俺「いや、それを言われたら……」
真琴「決めました!」
俺「今度は何を?」
真琴「今年はもう駄目です。 怖い話の番組とか映画は観ないことにします!」
俺「……そうですか、まあ、いんじゃない?」
真琴「そうします! ……って、なんの話からこうなったんでしたっけ?」
俺「え? え~っと……なんだっけ?」
真琴「……」メルメル
『先輩っ、今なにしてます?』
真琴「……」~♪
真琴「……!」
『目覚めの珈琲飲んでます』コーヒーシャメ
真琴「……ふふっ」メルメル
『また珈琲ですか? たまには他のを飲んでも良いんじゃないですか?』
『珈琲以上の飲み物がこの世にあるだろうか……。 いや、ない(`・ω・´)キリッ』
真琴「……」メルメル
『雨、凄いですね~』
『夜通し起きてたけど、雨の音も風の音も尋常じゃなかったよ』
真琴「……」ムッ
『夜更かしも程ほどにしてくださいよ?』
『台風もバッチリ直撃コースだったし、今日は確実に休みだろうって思ったらつい……な』
『もしお休みにならなかったらどうするつもりだったんです?』
『その時はその時、フラフラになりながらでも登校したんじゃない?』
真琴「……」
真琴「……///」メルメル
『そこでサボるって言わない先輩、私は好きですよ』
真琴「……」ジーッ
真琴「……っ!」~♪
『そりゃ、ありがとよ』
真琴「……流されちゃった」ズーン
真琴「……」~♪
真琴「……?」
『にしてもさ、ここまでガンガン降ったり吹いたりされると暇で仕方なくない?』
真琴「……」ウーン
『なら普段は出来ないようなことをしてみたらいいんじゃないですか?』
『掃除もしたし、溜まってた洗い物も片付けたし。 あ、この前もらった肉じゃがはメチャクチャ美味かったです』
真琴「///」テレテレ
『お口にあったなら何よりです。 あれ、お母さんじゃなくて私が作ったんですよ?』
真琴「……」
『本当に美味かった。 あれはやばい。 俺の好みドンピシャの味だった』
真琴「……やた!」
真琴「……」
俺『あー、本当になにしよう。 洗濯以外の家事は全部終わらせたし。 柊は何してる?』
真琴『この前先輩にお借りした本読んでます。 身分違いの恋、切ないですね』
俺『今どの辺まで読んだ?』
真琴『丁度真ん中辺り、群島に一時的に身を隠した辺りです』
俺『ドンピシャでお互いの心境を吐露して、進むべきか逃避行に走るか悩むところか』
真琴『そう、今まさにそこです! どうしましょう先輩、泣きそうです (TωT)ウルウル』
俺『ヽ(´Д` )ナデナテ』
真琴「ふふっ、もう」
真琴「……」
俺『俺はゲームでもするかな、暇で仕方ない』
真琴『あ、この前やっていたゲームを進めるんですか?』
俺『そう、素材集めにちょっと行ってこようかと思う』
真琴『この前は夜に無理やり進もうとしてゲームオーバーになっちゃいましたもんね~』
俺『もうあんな失敗はしない。 ……その場でひたすら朝が来るのを待つさ』
真琴『ストーリーは出来れば進めないでください。 私、分からなくなっちゃいますから』
俺『分かってるよっと、誰か来た』
真琴『?』
俺『インターホンが鳴った、こんな日に誰だ?』
俺『ごめん、ちょっと応対してくるからまた』
真琴『はい、分かりましたよ。 またメールしますね~』
真琴「……」
真琴「……ふふっ、こんな日でも先輩とお話し出来た」
真琴「……」
真琴「メールっていいな~」ゴロゴロ
真琴「ふふっ……あたっ!」ゴロ......ドシン!
真琴「う~、落ちちゃった。 あ、今度この話話題に出来そう!」
真琴「……明日は、晴れるといいな~」ソトヲミナガラ
真琴「……あ~した、天気にしておくれっ」
真琴「~♪」テクテク
真琴「……あっ!」タッタッタ
真琴「先輩っ、ご一緒してもいいですか?」
俺「お? おー、もうすぐそこだけど、それでもよければー」カチャカチャ
真琴「何してるんです?」
俺「知恵の輪。 これがなかなか難しくてさー」カチャカチャ
俺「……あれ? 通過したはずなのに、戻ってる?」
真琴「先輩って知恵の輪好きでしたっけ? やってるの初めて見ましたけど」
俺「いやー、別に好きでは……ない……よっと」
俺「お、通った。 ……で、こっからどうすんのか」
真琴「歩きながらよく出来ますね~、私なら絶対無理です」
俺「俺も何度か躓いたりしたけどさ。 ……続きは後にするか」スッ
真琴「……それにしても、今日は本当に良い天気ですね~」
俺「近畿とかはもう梅雨明けしたみたいだしな。 また台風がくるみたいだけどさ」
真琴「もう夏休みも近いですもんね~」
真琴「先輩は何かご予定とかありますか?」
俺「いや、特にはないよ。 課題やってバイトやっての繰り返しじゃないかな」
俺「……姫島とかが泊まり込みでゲームやるとか言ってたけど、あれは冗談だよな」
真琴「あ、あはは」
俺「冗談ってことにしとこう」
俺「夏休みのことに思いを馳せるのもいいけどさ」
真琴「なんです?」
俺「その前に成績発表があるの、忘れてないよな?」
真琴「大丈夫、今回は私、自信ありますよ~」
俺「あれ、そんなに手ごたえあったんだ」
真琴「言いませんでしたっけ? 以前先輩に教えてもらったヤマ、見事に的中してましたよ!」
真琴「も~、試験中ずっと笑いが抑えられませんでしたよ~」
俺「そりゃ良かった。 同じ教材だから、やっぱり出題パターンは似通ったものになるのかね」
真琴「だから、私は安心して夏休みに思いを馳せることが出来るのです」
真琴「というわけで、先輩!」
俺「ん?」
真琴「夏休みもよろしくお願いしますね!」
俺「というと?」
真琴「お話したり、いろんなところに遊びに行ったりしましょう!」
俺「柊はどこか行きたいところとかある?」
真琴「私は、先輩と一緒でしたらどこでもいいです」
俺「じゃあ、何か考えてみようか」
真琴「どこに行きましょうか~。 楽しくなってきました!」
真琴「……あれ?」
俺「……っ!」カチャカチャ
真琴「せんぱ~い、何してるんですか?」
俺「ん、あれ? あ、階を間違えたか?」
真琴「ビックリしましたよ。 何か用事でもあるのかとも思いましたけど、一心に知恵の輪を弄ってるんですもん」
俺「いやー、助かった。 全然気づいてなかったわ」
真琴「それで、知恵の輪は今朝から進んだんですか?」
俺「それが全然。 知恵の輪ってこんなに難しかったっけ? って再認識してるとこ」
真琴「そう言えば先輩は聞きました? スタンプラリーのお話」
俺「あー、なんかそんな話をしてたような気がする」
真琴「……先輩、朝のHR中も知恵の輪してました?」
俺「……はい。 こっそり机の下で」
真琴「もー、見つからないようにしてくださいよ?」
俺「それは大丈夫、もうバレてるから。 罰として至る所の大掃除に随行だってよ。 俺を売ったやつら、絶対に許さん!」
真琴「程々にしてくださいね」
俺「善処する」
真琴「で、先輩は参加するんですか? スタンプラリー」
俺「んー、今回はパスかな。 そんなに興味もないし」
真琴「あれ? 先輩はなんだかんだ参加するんだと思ってました」
俺「興味もないのに参加しても楽しめないばかりか、場の空気も悪くしそうだしさ」
真琴「そうですか。 じゃあ、今回は私も参加を見送ります」
俺「あれ、いいの? 結構女子の参加率は良かったと思うけど」
真琴「今回のイベントは先輩と参加出来たらと思ってたんで」
俺「あー、じゃあ次に俺が参加するやつは一緒に行こうか」
真琴「いいんですか? ありがとうございます! 約束ですよ?」
拙作ではありますが楽しんでいただけたら嬉しい限りです。
今安価で進行しているSSの方でしょうか?
もっとガルフレSSが増えれば嬉しいんですけどね。
【亀と亀擬きと】
俺「あ」
レイ「あ?」フリムキ
真琴「?」
俺「東雲じゃん、なんで居るんだ?」
レイ「いきなりご挨拶だな~お前も。 成績表は直接取りに来いって言われたから来ただけだよ。 そんなのネット開示にでもすりゃいいと思わねぇ? なんならシステム構築手伝うよ?」
俺「俺は別に学校に来るの、苦じゃないし」
レイ「かー、真面目ちゃんめ。 お前も姫島も、普段は引き籠ってるくせになんで学校には行くんだか。 ボクには理解できない」
俺「ひどい言われようだ。 別に引き籠ってるつもりはないんだけど」
レイ「あ? だってお前、この前の連休はずっと引き籠ってたじゃん。 新しいゲームがどうのこうのって」
俺「あー、あれな。 あれはなかなかに良かった。 寝食を忘れて没頭したな」
レイ「ボクが連絡しても気付きもしないで放置しやがって。 あの恨み、まだ忘れてないからな」
俺「はぁ? あれの埋め合わせはやったじゃねーか。 ピザ奢ってやったろ?」
レイ「誰がファミレスのピザを奢れっつったよ? あれは埋め合わせには入りません~」
俺「おまっ、マジふざけんなよ? なんだかんだ言いながらパクパク食ってたじゃねーか!」
レイ「そりゃそうだろ。 ピザに罪はない」
俺「こいつ……」
レイ「でー、こいつ誰よ。 彼女か?」ユビサシ
真琴「かのっ! ~ッ!!」ガリッ
俺「あ~あ~、もう。 そんな過剰反応しなくてもいいのに。 舌、大丈夫か?」
真琴「だ、だいりょうぶれふ」ナミダメ
レイ「……今のって、ボクが悪いの?」
俺「多分違うだろうけど、一応謝っとけ」
レイ「あ~、なんか知らないけど悪かった。 そりゃ、こんなゲームマニアの彼女にされたら同様するわな」
俺「おい、ちょっと待て。 お前、ほんと待てコラ」
真琴「そんなことないんですが。 えと、柊真琴って言います。 1年生です」ペコリ
レイ「ご丁寧にどうも。 東雲レイ、もう会うこともないだろうから覚えなくてもいいから~」ヒラヒラ
真琴「え?」
俺「気にしなくていい。 誰にでもこんな感じだから」
レイ「そういや聞いたか?」
俺「何がよ」
レイ「姫島の奴、懲りずにまた格ゲー買うらしいぞ?」
俺「ああ、聞いた聞いた。 新作がどうのこうのってこの前騒いでたし」
真琴「姫島先輩、楽しそうでしたね~」
レイ「あれ? 姫島知ってんの?」
真琴「はいっ! 時々ゲームを教えてもらったりしてます」
レイ「……いたいけな後輩をどこに連れてく気なんだ? あいつは……」
俺「……見た限りでは悪巧みとかではなさそうだったけど?」
真琴「何のお話です?」
レイ「んで、どっちでやんの? ボクの部屋は今凄い有様だから遠慮したいところなんだけど」
俺「は? この前片付け手伝ってやったばっかじゃねーか」
レイ「……いつの話してんだ? お前」
俺「2週間前の話だよ! いや、良い。 良くはないけど一旦置いとく。 で、どっちでやんのって何?」
レイ「あれ? 話が行ってない? あいつ、その格ゲー買ったらお前の部屋かボクの部屋に持ち込んでやり込むつもりみたいだぞ? 合宿だーとかなんとか言ってたし」
俺「はぁ!?」
真琴「あ、私も聞きましたよ? ゲームするから来いって」
俺「え? ちょっと待って。 あの話ってガチでやんの?」
レイ「何を今更。 前も似たようなことやったじゃん」
俺「えー、完全に冗談だと思ってた……」
レイ「でもなんだかんだ言いながら参加するだろ?」
俺「まぁ、多分」
レイ「よし、んじゃ会場はそっちの部屋で頼む。 今は本当にボクの部屋は無理だから。 んじゃ、よろしく~」スタスタ
俺「はぁ? ちょ、待てコラ! おい!」
真琴「……自由な方でしたね?」
俺「あんにゃろ……言うだけ言って撤退しやがった。 この貸しは高くつくぞ……」
俺「というか、柊の方には話が行ってたんだ」
真琴「はい、先日姫島先輩から直接お話しを聞きました」
真琴「なんでも見てるだけでも楽しめる個性的なゲームだとか」
俺「まあ、ド派手な演出だしな」
真琴「で、今度そのゲームをひたすらやり込むけど来るか? って」
俺「あの時の泊まり込みの話はこれだったのか」
俺「でも、大丈夫か? 多分ひたすらゲームやってるだけだと思うけど」
真琴「先輩は私が行くと迷惑ですか?」
俺「いや全然? やることはGWの時とおんなじだろうし」
真琴「なら、私も参加して良いですか?」
俺「何にもお構いできませんが、それでも良かったら」
真琴「やたっ、ありがとうございます先輩! 夏休みの予定、まず1つ目が出来ました!」
俺「飲み物とか食い物とかなんか考えないとな~」
真琴「ついたっ、つきましたー!」ノビー
俺「うぉっ! ……さっきまで涼しかったから暑さがー」
真琴「なんにもありませんね~」キョロキョロ
俺「……慣れた」
真琴「あ、虫だ。 あれはなんでしょう?」
俺「……昆虫か? 田舎はよく分からん虫が多いからなー」
真琴「あ、先輩先輩! 道路の隅っこ、苔が生えてますよ! ほら!」
俺「……楽しんでるな~」
俺「さて、今回の課外活動は参加さえすれば何しても良いんだっけ?」
真琴「その筈ですよ? 夜は怪談話をするみたいですが、それ以外は特に決まってなかったと思います」
俺「ふ~ん」
真琴「とりあえず、歩いてみます?」
俺「そだね、何処に何があるか把握してる方がいっか」
真琴「それじゃ、あっちに行ってみませんか?」ユビサシ
俺「あっち? なんかあった?」
真琴「勘です!」フンス
俺「……然様ですか」
俺「川だ」
真琴「川ですね~」
俺「これ、だいぶ深いな」
真琴「うわっ、青いですね!」
俺「それでも底が見えるんだから、恐ろしく綺麗なんだろうなー」
真琴「……」ウズウズ
俺「降りてみる?」
真琴「良いんですか?」
俺「川辺に降りちゃダメとは言われてないし。 ほら、あそこから降りられるみたいだ」
真琴「じゃ、行ってみませんか?」
俺「ちょい待ち、その前に飲み物でも買っていこう」
真琴「自販機、ありましたっけ?」
俺「あそこ、個人商店みたい。 多分まだやってるんじゃないかな?」スタスタ
真琴「あ、待ってください~」タッタッタ
真琴「良かったですね~先輩、冷えた飲み物があって」
俺「あれ、完全に個人用の冷蔵庫だろうに」
真琴「私、ああいう個人商店って初めてでした!」
俺「あ、そうなん? なら品揃え面白かったろ」
真琴「カレールーの隣にネズミ取りとかが置いてありましたよ?」
俺「こういうところだとお客さんが少ないからさ、日持ちしないのは置いてないのよ」
真琴「そうなんですね。 ……そういえば、先輩は何を買ったんですか?」
俺「よっと。 ま、気にしないでいいよ。 それより……ほら、お手を拝借」
真琴「手ですか?」
俺「意外と段差が急だわ。 転倒防止にどうぞ」
真琴「ふふっ、お願いします!」ギュッ
真琴「ふわ~、涼しいですね~」
俺「うっわ、めちゃくちゃ水綺麗じゃん」ザバザバ
真琴「あ、先輩ズルい! ……とうっ!」バシャッ
真琴「って、あわわ!」ズルッ
俺「っとぉお! あっぶな、せっかく降りてくるときは転ばなかったんだからさぁ……」バッ
真琴「ありがとうございます。 意外と滑るんですね~」
俺「気をつけろよ~って言う前に入ってくるんだもんな~」
真琴「えへへ、ごめんなさ……魚! 魚ですよ先輩っ!」ザバザバ
俺「転ぶなy」
真琴「きゃあ!」ステーン
俺「……よ~」
真琴「なかなか乾きませんね~」
俺「乾きだしたらあっという間だって」ゴクゴク
真琴「う~ん、まぁいいです」ケロッ
俺「切り替えが早いね~」
真琴「慣れてますから。 それに、せっかくのスローライフなんですから。 いつまでも気にしてたら損ですし」
俺「素敵な考え方だこと」
真琴「ありがとうございます」ゴクッ
俺「陽が陰ってきたな」
真琴「そうですね、まだそんなに遅くないんですけど」
俺「山に囲まれてるから、ちょっとでも陰りだしたらすぐなんかね?」
真琴「先輩、ジュースは飲み終わりました?」
俺「うん」
真琴「じゃ、そろそろ戻りましょうか」
俺「あいよ」
俺「……」スタスタ
真琴「……あれ?」タッタッタ
俺「……」スタスタ
真琴「せんぱ~い!」
俺「ん?」
真琴「先輩、こんな時間にどこに行くんですか?」
俺「少し散歩に行こうかと、一緒に行く?」
真琴「行きます」
俺「んじゃ、行こっか」
真琴「はい!」
真琴「怪談、意外と怖かったですね~」テクテク
俺「あれは完全に雰囲気にやられただけだろー。 ろうそくが効いたな」スタスタ
真琴「涙目になってる先輩もいましたよ?」
俺「あぁ、我慢してたんだろうな」
真琴「……それにしても、夜になると涼しいですね~」
俺「虫の鳴き声が凄いな。 あっちとは大違いだ」
真琴「見てくださいよ先輩、ほらっ!」ユビサシ
俺「うっわ、すっげーな」
真琴「これ、星屑を散りばめたような空って言うんですかね?」
俺「そうなんじゃないかな。 ……本当にすごいな、スマホカメラでは……撮れないわな」
真琴「あっ、流れ星!」
俺「そろそろ戻るか」
真琴「ですね~」
俺「明日にはもう戻ってるんだよな」
真琴「残念ですね、もう少し期間が長くても良いのに」
俺「ま、体験だからこそ楽しいんだろうけどな。 住むとなるとまた違うんだろうなー」
真琴「コンビニもありませんしね」
俺「一番近い店で片道5km、日曜は休みとかだしな」
真琴「……それにしても凄い虫ですね~」ザッ
俺「あんまり奥に行くなよー」
真琴「大丈夫ですって~」
俺「夜は野生の猪とかが出るって話だぞ」
真琴「さ、早く戻りましょう。 さあっ!」クル,スタスタ
俺「あ、置いてくなよ」タッタッタ
真琴「……」
俺「……」
真琴「……」
俺「……あの?」
真琴「っ、な、なんですか?」
俺「あのさ、手でもつなぐ? シャツをつかまれると歩きにくい」
真琴「うぅ、お願いします」ギュッ
俺「……」
真琴「……」
俺「やっぱり怖い?」
真琴「怖い……です」
真琴「何で夜の学校ってこんなに怖いんですかぁ」ナミダメ
俺「想像しすぎなんだって。 昼間と同じ」
真琴「廊下ってこんなに長かったですか?」
俺「何も変わってないって」
真琴「そんなことないd……!?」ギュー
俺「イタイイタイイタイ! 急にどした!?」
真琴「い……今そこに人影がぁ」グスッ
俺「どこ?」
真琴「そこの角ですぅ」ユビサシ
俺「……人型に切り抜いた紙の裏に懐中電灯があるわ」
真琴「うぅ、もう……帰りたいです」
俺「スローライフの時の怪談は大丈夫だったじゃん」
真琴「話を聞くのと実際に体験するのは全然違いますよぅ」
俺「え~?」
真琴「うぅ、怖いぃ」ガタガタ
俺「ちょ、大丈夫か?」
真琴「あまり大丈夫じゃないです」
俺「そろそろ行かないといけないんだけどさ、手は繋いだまま?」
真琴「繋いだままでお願いします。 もう、泣いちゃいそうでして」
俺「はいはい」
真琴「……よし。 早く終わらせて帰りましょう」
俺「まず最初はどこに行くんだっけか?」
真琴「……」ソー
俺「失礼しまーす」ガラッ
真琴「!? 先輩、急に開けないでくださいよ~」
俺「え? ああ、ごめんごめん」
真琴「先輩は怖くないんですか?」
俺「正直なところ、かなりワクワクしてる」
真琴「もしかしてこういうの、好きだったりします?」
俺「……大好物なんだわ」wktk
真琴「凄いですね、私なんかもう、さっきから震えが止まらなくて」ガタガタ
俺「ずっと手を繋いだままだったんだし、分かってるよ」
真琴「先輩だけが頼りですからね? 置いてっちゃ嫌ですよ?」
俺「ここの7不思議はなんだったか」
真琴「私はひとりでに鳴り出すピアノって聞きましたけど……」
俺「ピアノって、あれか」スタスタ
真琴「ちちち、近づくんです? 近づいちゃうんです!?」
俺「だって、検証とかできないしっ。 ん?」
真琴「どどどど、どう、ど、どうしたん……ですか?」ナミダメ
俺「なんにも仕掛けがされてない」
真琴「……」
俺「あっれー? 絶対なんかしら仕掛けてると思ったんだけどな」
真琴「……せんぱ~い」ハンナキ
俺「……本当にごめんって。 お願いだからそんな涙目でこっち見ないで」
俺「おー」キラキラ
真琴「先輩……どうしてそんなに楽しそうなんです?」
俺「俺からしたら、どうしてそんなに腰が引けてるのか分からんよ」スタスタ
真琴「ちょっと、待ってくださいよ~」タッタッタ
………
……
…
俺「夜のプールってだけで楽しいな」ワクワク
真琴「あの、懐中電灯をあちこちに向けないでください」
俺「なんでさ?」
真琴「怖いんですよ! 一瞬だけ照らされたところに何かいそうな気がして!」
俺「今度は理科室かー」
真琴「お邪魔しまーす」ソー
俺「まあ、定番だよな?」
真琴「人体模型とかです?」
俺「そうそう、夜になると動き出すとか走るとか」
真琴「あ、あれですかね?」
俺「うちの人体模型は動き出すそぶりも、走るそぶりも見受けられませんっと」
真琴「あの、なら早く出ませんか?」
俺「んじゃ、次に行こうか」
真琴「理科室の独特のにおい、私ダメみたいです」
俺「……」
真琴「先輩?」
俺「女子トイレって、俺入って良いわけ?」
真琴「あ~……」
俺「……」
真琴「……え? 嘘ですよね?」
俺「入って確かめてきてもらえます?」
真琴「……はぃ」グスッ
真琴「お邪魔しま~す」
真琴「……」キョロキョロ
真琴「……怖い」グスッ
<ピチョーン
真琴「ッ!?」ビクッ!
真琴「……水?」
<大丈夫か~?
真琴「だ、大丈夫です~」
<一番奥の個室だそうだー
真琴「わ、分かりました~」
真琴「……一番奥」
真琴「誰かいますか~?」コンコン
真琴「……」
真琴「戻りました~」
俺「おー、お疲れ。 どうだった?」
真琴「特に何もありませんでした」
俺「ま、そうだわな。 んじゃ、戻りますか」
真琴「はい~」
俺「……疲れた?」
真琴「はい……あっ、別に疲れてませにょッ!?」ギュッ
俺「うおっ! どうした?」
真琴「あ、あれ……」ユビサシ
俺「ん? ……ああー」
真琴「あれって、7不思議の……」ガタガタ
俺「よく、見てみ?」
真琴「……甘利さん?」
俺「もうあんなに遠くだよ、何にそんなに怯えてるのか」ハハッ
真琴「……」グテー
俺「ひどくお疲れのようだなー」
真琴「ずっと緊張していたので、疲れました……」
俺「ははっ、んじゃ早く帰ろう」
真琴「……先輩は楽しそうでしたね」ジトー
俺「だから言ったろ? こういうのは大好物だって」
真琴「言ってましたけど~」
俺「ま、今日のことはあまり思い出さないようにしてゆっくり休んでくれ」
真琴「う~、頑張ります」
俺「怖い夢とか見ないように気を付けてくれ」
真琴「他人事だと思ってます?」
俺「まあ、他人事っちゃあ他人事だわな」
俺「なんかあったら電話してこい、気のすむまで付き合うから」
真琴「え? いいんですか?」
俺「いいよ。 俺が起きてたらだけどさ」
真琴「ありがとうございます~。 もしかしたらお世話になるかもしれません」
真琴「む~、先輩……どこ行ったんだろ?」テクテク
真琴「教室にはいなかったけど、靴はあったから校舎内だと思うんだけどな~」
真琴「……」ウーン
真琴「……屋上?」
………
……
…
真琴「え~っと?」キョロキョロ
<ほれ! ほれ見ろ! 解いてやったぞこんにゃろー!
<ちょっ、ちょっと! 大きな声出さないでよ! 恥ずかしいじゃない!
<ギャーギャー
真琴「先輩?」ソーッ
俺「な? 見てみ? 綺麗に2つに分かれたこの知恵の輪を!」
るい「だから、大きな声を出さないで!」
俺「るいが言ったんだぞ? 俺にゃこれは解けないって」
るい「確かに言ったけど……」
俺「あの言葉が俺を強くしたねっ。 もー、絶対に解いてやるって」ンフー
るい「あー、もう! 分かった、分かったわよ。私が悪かったわ」
俺「分かりゃいいんだよ、分かりゃ。 俺、やればできる子だから」
るい(人が下手に出たら調子にのってぇ~)
………
……
…
真琴「……」ジー
俺「で、これの難易度ってどんなもんなの?」
るい「それの? う~ん、もう少しで上級ってとこ?」
俺「ほー、じゃああと少しで俺も上級知恵の輪師って名乗れる訳だ」
るい「……何? その上級知恵の輪師って」
俺「今考えた。 それより、るいが今解いてる知恵の輪は?」
るい「これ?」スッ
俺「そう。 それの難易度はどんな?」
るい「う~ん、そうねぇ……」
俺「上級? 俺も次はそれに挑戦すっかなー」
るい「……デビル?」
俺「……はい?」
るい「だから、デビル」
俺「……それは、上級の上?」
るい「上級の上の上の上」
俺「……上の上の?」
るい「……上」
<キーンコーンカーンコーン
俺「……あれ?」スタスタ
真琴「……」トボトボ
俺「おぃっす柊、調子はどうだー?」
真琴「あ、先輩。 こんにちは~」
俺「こんにちは~って、どした?」
真琴「何がです?」
俺「なんか、テンション低い?」
真琴「そんなこと……あるかもしれません」
俺「……本当にどうした?」
俺「なにさ、登校日だからテンション低いの?」
真琴「いや、そんなことはないと思うんですけど」
俺「いいよ、特に予定とかないならどっか行くか? ちょっとデビルに気力折られたけど、いよいよ上級だしな。 気合入れてかないと。」
真琴「知恵の輪の話ですか?」
俺「そうそう、今度こそーって。 よく分かったな、デビルとか言われても知恵の輪に繋がらないと思ったけど」
真琴「今日、屋上で見かけたので」
俺「そう言うことね。 というか、声かけてくれればよかったのに」
真琴「……良かったんです?」
俺「何がです?」
真琴「随分と楽しそうにしてたので、邪魔しちゃ悪いかと思いまして」
俺「んなの気にしないで良いのに」
真琴「そういう訳にもいきませんよ」
俺「そんなもんかねぇ」
真琴「そうですよ、もう。 彼女さんは大切にしないと」
俺「……」
真琴「……」
俺「……はい?」
真琴「?」
俺「……ふふふ」プルプル
真琴「もう、いつまで笑ってるんですかぁ
!」ブンブン
俺「いや、だってさ。 あんな深刻そうな顔して……ぶはっ!」
真琴「もう、知りません!」
俺「いや、悪かった悪かった。 それにしても、るいが彼女か」
真琴「だって、名前で読んでたんですもん。 先輩は基本的に苗字呼びなのに」
俺「ああ、それでか。 るいとは幼馴染だからな。 今更苗字呼びなんかしたら、余計にむず痒くなるよ」
真琴「そんなもんなんですか」
俺「そんなもんなんですよ。 さて、どうする? どっか行く?」
真琴「……100均、良いですか?」
俺「100均? なんでまた?」
真琴「私も知恵の輪、やってみようと思って」
俺「あいよー、んじゃ行くか。 あ、俺が挑んだやつから厳選しようか?」
真琴「はい! よろしくお願いします!」
俺「あっついね~」
真琴「……」カリカリ
俺「うっわ、甲子園もう試合やってるんだ」
真琴「……」ペラ...カリカリ
俺「しんどくないのかね、おー飛び付いた!」
真琴「……」
俺「あ、なんか飲み物いる?」
真琴「すみません、お願いしてもいいですか?」カリカリ
俺「いいよー、ちょっと待ってなー」スタスタ
俺「ほい、アイスコーヒーで良かったかな」
真琴「ありがとうございます、いただきます~」ゴクゴク
俺「……」ジー
真琴「……? どうかしました?」
俺「いや、今日はタッパーの回収に来たんだよな?」
真琴「ええ、そうですよ? あっ、あのきんぴらごぼう、私が作ったんですけどお味はどうでしたか?」
俺「うん、すごく美味しかったです。 ごちそうさまでした」ペコリ
真琴「やたっ、良かったです~」
俺「うん。 それは良いんだけどさ?」
真琴「?」ゴク
俺「なんで今課題してるの?」
真琴「……なんででしょう?」
俺「いや、俺に聞かれても。 タッパーを持って来たらもう課題広げてたし」
真琴「あっ、そうです! ちょっと待ってる間にでも課題を進めようと思ったんでした!」
俺「それは、なんと言うか……真面目だねぇ」
真琴「えへへ。 最近はどこに行くにも課題を持ち歩いてるんですよ。 おかげでだいぶ進みましたよ」
俺「ほーん」
真琴「先輩はどうです? どのくらい進みました?」
俺「俺はもう終わったよ」
真琴「うそっ!? まだ休みが始まって1週間ですよ?」
俺「俺、昔からこういう面倒なのは早々に終わらせる派なんだ」
真琴「凄いですね~、かなりの量があるって聞いてますけど」
俺「だから早めに終わらせたかったんだ。 あ、姫島とかには内緒な?」
真琴「ふふっ、はい」
俺「……」
真琴「……」カリカリ
俺「あー、柊さんや?」
真琴「……え、なんですか先輩?」
俺「申し訳ないんだけど、そろそろお昼なんだわ」
真琴「……え? わわっ、もうこんな時間!?」
俺「集中してたみたいだから、なかなか声をかけられなくてさ」
真琴「ご、こめんなさい先輩! ご迷惑をおかけして……」
俺「いや、別に構わないんだけど。 ほら、今日って俺ら昼からシフト入ってたから」
真琴「……そうでしたっ! すみません先輩、すぐ片付けますから!」バタバタ
俺「あー、まだ時間に余裕はあるからゆっくりで……」
真琴「きゃー!」ドンガラガッシャーン
俺「良かったんだけどなー。 大丈夫かー?」
真琴「だ、大丈夫です。 ごめんなさい~」
俺「もう俺も慣れてきたよ。 ほら、はやく片付けて一緒にバイト行こう」
真琴「はい~」
<ミーンミンミンミンミーン
俺「あっついなー今日も」
真琴「夏も本番ですからね~、でももう少しすると涼しくなるそうですよ?」
俺「扇風機じゃもうどうしようもないな。 温風を撒き散らすだけだわ」
真琴「元の部屋が熱いと、もうクーラーを使うしかないですよね。 ……あっ!」
俺「どしたよー?」
真琴「先輩! 一緒にプールに行きませんか?」
俺「プール?」
真琴「お母さんにプールのチケットを貰ったんですよ~。 確か月末まで有効だったと思うんですけど、どうですか?」
俺「……来ない」
俺「おっかしいなー。 待ち合わせ場所はここであってるよな?」
俺「……」
俺「……後30分待ってみよう」
………
……
…
俺「……お?」
真琴「ハッ……ハッ……ハァー。 ご、ごめんなさい、先輩。 待ちましたよね」
俺「……ここで、今来た所だって言っても……まぁ嘘だって分かるわなぁ」
真琴「本当に、すみません……」
俺「まあ、気にしなくていいよ。 とは言っても、気にするよなぁ」
真琴「……」
俺「んじゃあ、今度一緒に喫茶店にでも付き合ってよ」
真琴「そんな事で良いんですか?」
俺「いやいや、結構重要な事よ? 1人で喫茶店よりも2人の方が楽しいしさ」
俺「そろそろ行こう、終わったことより先のことってね」
真琴「あの……聞かないんですか? 私が遅刻した理由」
俺「別に良いよ、何かしらの理由があったんだろうけど、柊がわざとしたわけじゃないだろうしな」
真琴「先輩……」
俺「多分あれだろ? 準備してた荷物が見当たらなかったとか」
真琴「どうして分かるんですか!?」
俺「……当たりかいな」
真琴「昨日の夜に水着を入れたはずだったんですが、出る前に確認したら入ってなくて」
俺「いつもの感じか」
真琴「携帯で連絡しようとしたんですけど、その……バッテリーが……」
俺「もう慣れたよ。 ……と、あっちだっけ?」
真琴「あ、はい。 そこを曲がって真っ直ぐです」
俺「……」
俺「……まだかねぇ」
俺「……」
………
……
…
真琴「先輩っ、お待たせしました~」
俺「お、来たきた。 どうする? 適当に遊ぶ?」
真琴「あっ、なら私、流れるプールに行きたいです! 浮き輪持ってきたので」
俺「んじゃ、そっちから行こうか。 あ、それと……あー」
真琴「どうしました?」
俺「月並みな言葉だけど……その、とても良く似合ってるよ」ポンポン
真琴「あ、ありがとうございます///」
真琴「~~ッ!!」
俺「あー、柊さんや?」
真琴「は、はい?」
俺「空気入れは持って来なかったわけ?」
真琴「大丈夫だと、思ったんですけど……」
俺「んー、ちょっと貸して?」
真琴「はい」スッ
俺「まだ全然入ってないな……。 俺が膨らませようか?」
真琴「え!? ……あ~、お願いします///」
俺「照れるな、こう、むず痒くなる。 んじゃ、失礼します」スッ
真琴「あの、意識しちゃうんでそういうこと言わないでください」
真琴「あ~、気持ちいいですね~」プカプカ
俺「確かに、これは最高だわー」ツカマリ
真琴「先輩? 浮き輪使いますか? 交代しますよ、私」
俺「いや、いいよいいよ。 柊を押しのけて浮き輪で漂うって構図は……」
真琴「そうですか? 私は構わないんですけど」
俺「まぁまぁ、今は何も考えずに楽しんどけ。 ほーら、力抜けー。 ひっくり返したりしないから」
真琴「……それ、フリじゃないですよね?」
俺「……柊が俺のことをどう思っているのか、ちょっとゆっくり話す機会を設けた方がいいかもしれないな」
真琴「や、やだな~。 冗談ですよ、冗談」
俺「……」ジー
真琴「本当ですって!」
俺「あー、満喫したわー」ザバー
真琴「ま、待ってください先輩。 あ、浮き輪が!」フラッ
俺「おっと! また落ちそうになってるし。 取ってくるからここで待ってな」ガシッ
真琴「すみません、お願いします」
………
……
…
俺「はいよ、意外と流れていくもんなのな」
真琴「先輩、スイスイ人を避けていくんですもん。 水泳、得意なんですか?」
俺「別に普通だと思うけど? 明らかに浮き輪を追いかけてる感じだったからみんなが避けてくれたんだろうさ」
真琴「先輩先輩、次は何をしますか?」
俺「うーん、柊はスライダーとかは大丈夫?」
真琴「スライダーですか? 凄すぎるのはちょっと怖いですけど、あっ。あれなんかは大丈夫そうです」ユビサシ
俺「んー、あれ?」ユビサシ
真琴「違いますよ、なんですかあの角度。 そっちじゃなくてこっちです」
俺「あの浮き輪みたいなのにのるやつ?」
真琴「それです!」
俺「おー、下から見るとそうでもなかったけど上から見るとなかなか高いな」
真琴「……」
俺「なにやら絶句されているご様子。 どした?」
真琴「……たっ」
俺「た?」
真琴「……高くないです?」
俺「あっちと比べればまだマシじゃない?」ユビサシ
真琴「あれはもう、スライダーじゃないです。 なんであんなに高いところから急角度を滑り落ちるんですか……」
俺「ああいうのが楽しいって人も居るのよ」
真琴「私には絶対に無理そうです。 足が竦んじゃって……」
俺「俺は意外と好きだけどな、ああいうの」
監視員「はい、こちらをお持ちになって先にお進みください」スッ
俺「あ、ありがとうございます」
俺「この浮き輪みたいなやつ、なんて名前なんだろうな?」
真琴「なんなんでしょう? 8の字ですもんね」
俺「2人乗りの浮き輪……わからん」
真琴「そんなことより先輩、後3組くらいですよ?」
俺「意外と早かったな」
真琴「うぅ~、緊張してきましたっ」
俺「ま、滑り始めたら一瞬だって」
真琴「そうでしょうか……」
監視員「こちらにお座りください、どちらが前に座られます?」
真琴「……」
俺「あ、彼女でお願いします。 ほら、ここに座って……はい大丈夫です」
真琴「……」スッ
監視員「滑っている最中は横の持ち手をしっかりと握ってくださいね」
俺「分かりました、柊、大丈夫か?」
真琴「……」コクリ
監視員「いってらっしゃーい」フリフリ
俺「よっ、ほっ、意外と進まないもんだな。 すみません、手伝ってもらえます?」
監視員「分かりました」グッ
俺「おっ、おぉ!!」ススー
真琴「……きっ」ススー
真琴「きゃぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!!!」ザァァァァ
俺「あっはははははは!! 意外と速ぇぇぇぇえええええ!!!!」ザァァァァ
俺「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"」ゴポゴポ
真琴「……」
俺「こりゃ良いわー、マジ最高」
真琴「もう、おじさんみたいですよ先輩?」
俺「だってさ、これってこんなに気持ちよかったっけ? 次は腰回りをオ"オ"オ"オ"」
真琴「そんなに気持ちいいですか? これ」
俺「おっかしいなァ"ァ"ァ"、俺も小さいころはこれ苦手だったんだけどぉぉぉぉ」
俺「今はこれが気持ち良くて仕方ないぃぃ、マッサージチェアいらねぇなこれだと」
真琴「私、これ苦手なんですよね~」
俺「ぁぁぁぁ……。 うっし、満足。 んじゃ、次行こうか」
真琴「あれ? もう良いんです?」
俺「1人で満たされても仕方ないさ。 そだ、あっちに行ってみないか?」
真琴「何かあるんですか?」
俺「あっちはお湯みたいなんだ、さっき看板で見た」wktk
真琴「分かりました、そんな顔されたら行かないわけにはいかないじゃないですか」フフッ
俺「なんか言ったかぁー?」
真琴「何でもありませんよ~、それで、どっちなんですか~?」
俺「ふはぁぁぁぁぁぁ」
真琴「これは……気持ちいいですね~」
俺「さっきまで水の中だったからなぁ、じんわりと広がっていく感じがまた……」
真琴「はぁぁぁ……」
俺「……なんか、良いなぁ」
真琴「ですね~」
俺「あー、なんか温泉行きたくなってきた」
真琴「いいですね~、おっきなお風呂は楽しいですもんね」
俺「分かる? やっぱいいよな、温泉。 こう、テンションが上がるのよ。 日本人はこうでないと」
真琴「温泉、最後に行ったのいつだったかなぁ」
俺「あー、俺も思い出せないな。 思い出すのは泳いでる光景ばかりだから、だいぶ前なんだとは思うけど」
真琴「……」ジトー
俺「……なんだー? その目は」
真琴「本当にだいぶ前なんですか~?」
俺「どういう意味だコラ」クチモトムニー
真琴「あ~、わふぁっふぇふふぁふぁふぃふぇふふぁ」アー
俺「ふはぁぁあ~、程よい倦怠感」
真琴「水泳はダイエットに良いかも……。 屋内だし、月一なら……」ブツブツ
俺(こういう時は突っ込まない方が良いって、確かばっちゃが言ってた)
真琴「……あ、ごめんなさい先輩。 ちょっと考え事してました」
俺「柊がよく道で転んだりするのってさ、考え事したりして歩くことに意識がいってないからなんじゃ?」
真琴「うぅ~、そうかもしれません」
俺「程ほどにしときなよ、転ぶのは痛いからなー」
真琴「気を付けます、はい」
俺「最近はどうも、この時間は涼しくなってきたなぁ」
真琴「ツクツクボウシとかが元気に鳴いてますしね、もう夏も終わりですね~」
俺「柊は思い残しはない?」
真琴「う~ん、特には思いつかないですね」
俺「夏休みの課題はもう終わってんの?」
真琴「そちらはもうバッチリ! と、言いたいところなんですが……」
俺「あれ? まだ終わってなかったり?」
真琴「いや、終わったことは終わったんです。 でも、昨日ちょっとドジをやっちゃいまして」
俺「……なにした?」
真琴「終わらせたプリントをまとめておいてたんですが、珈琲を……ちょっと」
俺「あー、倒した?」
真琴「はい……」
俺「それ、どうすんの?」
真琴「今度の補習の時に先生に事情を話します。 出来ればその時に予備のプリントを頂けると良いんですけど」
俺「補習って、何か赤点取ってたっけ?」
真琴「いえいえ、赤点は取ってないです。 自主的に受けておこうかなって思って……」
俺「おー、真面目だねぇ。 俺とは大違いだ」
真琴「先輩は受けないんですか?」
俺「引っかかってはいないし、申請も出さなかったなぁ」
真琴「そうですか、自主的に受ける場合は出された課題さえやればいいみたいですから、先輩とご一緒出来るかと思ってたんですけど……」
俺「……」
真琴「……残念ですけど、頑張ってきます!」
俺「あれって、当日直接行っても確か大丈夫だったよな」
真琴「? はい、担任の先生に言えば受けられた筈ですよ?」
俺「……たまには、真面目に勉強してみますか」
真琴「え? 先輩、受けるんです?」
俺「この夏最後にちょっと優等生になってみるよ。 よかったら一緒に勉強する?」
真琴「是非! やった!」
俺「そ、そんなに喜ぶことか?」
真琴「喜ぶことなんです! あ、私は当日少し早めに行ってプリントのことを相談しますので。 それが終わったら一緒にお勉強しましょう!」
俺「あいよ」
真琴「約束、ですよ!」
俺「……」
真琴「……」カリカリ
<ミーンミンミンミンミー...ミーンミンミンミン
俺「……暑っつぅー」グデーン
真琴「もう、先輩? 暑い暑いって言わないでくださいよぉ」
俺「だってさ、この暑さはないべ。 うん、ない」ゴローン
真琴「あーあー、もう。 机が温くなったからって、冷たいとこを探してゴロゴロしないでください」
俺「あー、うちわ……うちわ。 あれ? どこ行った?」ゴソゴソ
真琴「暑いのには慣れてるとか言ってたじゃないですか」
俺「キャパを超えるとダメだわ。 あー、熱暴走するぅー」
真琴「もう」
真琴「そもそもなんでエアコンが使えないんでしょうか?」
俺「んー? なんか、電気設備の点検だってー。 月白先生が言ってた」
真琴「故障でもしたんですかね~?」
俺「そんなこと言ってたような気がする」ゴソゴソ
真琴「気がするって……何してるんですか?」
俺「休憩時間にでもみんなに振舞おうと思ってたんだけどさっと」ゴソゴソ
俺「ん、柊にもおひとつ」
真琴「ジュースですか?」
俺「ちゃんとクーラーボックス使ったから冷えてるだろ?」
真琴「大きな荷物だなーとは思ってましたけど、ジュースでしたか。 ありがとうございます~」
俺「さって、喉を潤したところでそろそろ集中するとしますか」
真琴「先輩って、切り替え早いですよね~」チュー
俺「昼を挟んで午後にもまた課題があるって話じゃん? なら、ちゃっちゃと片付けて涼しい場所でも考えた方がまだ有益だわ」
俺「あ、飲み終わった? 捨ててくるからゴミを寄越しな?」ハイ
真琴「あ、すみません。 お願いします」スッ
俺「先に始めてな~、何かわからないところがあれば聞いてくれればいいから」
真琴「わっかりました!」カリカリ
俺「答えられるか、確約は出来んけどなー」スタスタ
俺「……」ガリガリ
真琴「……」カリカリ...ウーン
俺「……ぉおーわったぁぁぁあ!」バンザーイ
真琴「ッ!」ビクッ
俺「あ、悪い悪い。 つい……」
真琴「……私が居ること完全に忘れてませんでした?」ジトー
俺「申し訳ない。 この教室を使ってるのが2人だけで助かったよ」
真琴「もう……。 あっ、先輩先輩! ここ、この問題なんですけど、分かりますか?」
俺「んー? ああ、これはこの公式だわ。 これに代入したら後はもう芋づる式よ」
真琴「分かりました、やってみます」カリカリ
俺「もう昼か、早いなー。昼休みは携帯使っても良かったよなっと」
真琴「……」ウーン
俺「……ま、この暑さじゃなぁ」
真琴「どうしました?」
俺「あれ? ひょっとして口に出してた?」
真琴「はい、ばっちりと」
俺「受信してたメールを読んでたのよ。 内容はー、愚痴……かな?」
真琴「愚痴……ですか? ……よし、課題おーわりっと」
俺「そう。 ほれ」スッ
真琴「……ふふっ」
俺「な?」
真琴「確かにこれは、愚痴ですね」
俺「暑中見舞い的なことでもしに行きますかねー。 ご一緒します?」
真琴「ご一緒します!」
俺「ウィーッス、調子はどうさねー?」
真琴「珠里椏ちゃーん、ジュース持ってきたよー」
珠里椏「うっす、もうやってられないくらいの暑さですねー」
俺「電気設備の点検だとどうにもならんよなー。 でもま、ちゃんと受けるんだな?」
珠里椏「……先輩の後ろにいる奴とかに言われたんですよ。留年したら、私寂しいよ~とかなんとか」ユビサシ
俺「ん?」フリムキ
真琴「だって、せっかく仲良くなったんだもん……」
俺「……ええ子や」
珠里椏「……」ジーン
俺「こりゃ、真面目に受けないと後が怖いぞー」ボソボソ
珠里椏「あー、分かりましたよっ」ガシガシ
真琴「?」
俺「でー? 課題はどんくらい進んでんの?」
珠里椏「あー……それなんですが」シドロモドロ
真琴「あー!!」
珠里椏「あっ、こら柊!」
真琴「ちょっと珠里椏ちゃん! 課題全然進んでないよ?」
珠里椏「いや……だから。 な?」
真琴「な? じゃないよー、もう!」クドクド
珠里椏「はい……はい。 すみませんでした」
真琴「私に謝っても仕方ないよー。 一緒に頑張ろ?」
珠里椏「……おう」
俺「珍しい光景だ……」
真琴「先輩も手伝ってくれますよね?」
珠里椏「いや! 先輩の手を煩わせる訳には!」イヤイヤ
俺「ん? 最初からそのつもりだったけど?」ゴソゴソ
真琴「ですよね!」
俺「あくまでもヒントを教えるだけだけどな?」
真琴「ほら、珠里椏ちゃん。 早く終わらせちゃお?」
珠里椏「先輩、柊、よろしくお願いします」
真琴「えへへ、お願いされちゃいます!」パァ
俺「おうっ! でもその前に、差し入れタイムですよ」スッ
俺「おらっ、奮発した方をここで進呈だこらぁ」
珠里椏「なんなんスか、そのテンションは」ハハハ
俺「いや、なんか特別感を出そうかと」
珠里椏「先輩って、たまにおかしなことをやってスベリますよね?」
俺「そんなに駄目だったか?」
珠里椏「アタシ、嘘はつけないんで」
俺「こいつ……!」
真琴「あれ? さっきのジュースとパッケージが違う?」
俺「ッ! そう! さっきの安いのとは違うのよ! いやー、柊は違いが分かるねぇー」
珠里椏「あっ、話を逸らした!」
俺「逸らしてませんー」
真琴「贅沢、フレッシュジュース……」
俺「他の奴には内緒な? そんなに数がないんだわ」
珠里椏「毎度毎度、どこでこんなの買ってくるんスか?」
俺「一人暮らしなめんなよ? 他店より1円でも安いものをひたすら足を使って探す」
俺「そんなことを繰り返してたら、いつの間にかどこでどんなのが売っているか把握してたわ」
珠里椏「その情報を駆使して毎回用意してると?」
俺「ちょっとした差し入れ気分で始めたけどさ。 いつの間にかミスター差し入れマンの地位に居た訳よ」
珠里椏「なんというか、ご愁傷様です」
俺「皆が喜んでくれているなら別に良いんだけどさ」
珠里椏「本当にお人好しですね」
真琴「! なら、お菓子の材料とかの安いお店も知ってますか!?」
俺「ん? あー、多分教えられると思うけど?」
真琴「なら今度お買い物に付き合ってください」
俺「別にいいけど?」
真琴「やった! あ、珠里椏ちゃんは何が食べたい?」
珠里椏「あん? あー、あまり甘くないやつ?」
真琴「分かった! 頑張ってみるね」
珠里椏「あー? 筆者の心情なんざ読者に分かるわけねーだろうが」ガシガシ
真琴「珠里椏ちゃん! 想像だよ、想像! 筆者の立場に立って考えるんだよ!」
珠里椏「んだよ、そのフワッとしたアドバイス」ハハハ
俺「柊はあれか? 考えるな! 感じろ!派か?」
真琴「なんですか、それ?」
珠里椏「またこの人はよく分からないことを……」チュー
俺「お前もお前でジュースばっか飲んでんじゃねーよ」
珠里椏「だって分かんないんですもん。 先輩はこんな問題どう答えます?」
俺「しゃーねーなー。 ほれ、問題文の該当箇所にとりあえず線引いて」スッ
珠里椏「こうっスか?」スー
真琴「……」ジー
俺「こんなのは問題考えてるやつの想像だからな。 作成者がそう判断した理由がどっかにあるわけよ」
俺「大体がその線を引いたところの前の部分にある。 ほれ、選択肢と合致しそうなところを探してみると?」
珠里椏「……あ、これっスか? こことここの記述が同じですし」
真琴「あっ! 本当だ~」
俺「答え知らないから確約は出来んけど、多分そうだと思うぞ?」
珠里椏「ですよね? この選択肢はここの部分と一致しないですし……」
俺「何だ、分かってるじゃん」
真琴「珠里椏ちゃん、凄~い!!」
珠里椏「……」カリカリ...カリ
真琴「……」チュー...ズズッ
俺「……」メルメル
珠里椏「……ッ!!」バンッ!!
真琴「ッ!?」ビクッ!!
珠里椏「おーわったあぁぁぁ!!」
俺「おー、お疲れさん」メルメル
真琴「お疲れさま~」
珠里椏「や、やっと終わった。 ……もう無理」
俺「普通の方のジュースは残ってるけど、いる?」
珠里椏「あー、今はいいです。 何もしたくない……」
俺「あー、竜ヶ崎さんに柊さんや?」
真琴「はい?」
珠里椏「なんスか?」グデーン
俺「お疲れのところ悪いんだけどさ、移動です」スッ
珠里椏「移動って……」
真琴「どこに行くんですか?」
俺「教室連中からメールが着てたのよ。 涼みに行こうぜ?」
珠里椏・真琴「?」
俺「ぃいいやっほぉぉおお!!」ドッボーン
真琴「ちょっ、先輩!?」
珠里椏「あーあ、飛び込んじゃったよ。 あの人、この後どうすんだ?」
俺「あっはははは! ほらー、柊も竜ヶ崎も来いよー!」
珠里椏「行くわけないでしょうがー!」
真琴「あはは……」
俺「はー、涼しくなった」ザバー
珠里椏「ちょ、上がるなら上がるでもう少しゆっくり上がってきてくださいよ」
真琴「ずぶ濡れですけど、大丈夫ですか?」
俺「こんだけ暑いんだ、すぐに乾くだろ」
真琴「なら良いんですけど」
珠里椏「ツクツクボウシが鳴いてら」
真琴「大合唱だね~」
俺「立秋はもう過ぎてるからなー。 もうすぐ涼しくなるさ」
真琴「夕方とかも日が暮れるのが少し早くなってきましたもんね」
俺「扇風機とか片付けるのが面倒なんだけどな」
珠里椏「あぁ、そっか。 先輩、一人暮らしでしたもんね」
俺「おうよ」
真琴「……もうすぐ新学期か~」
俺「課題ももう終わってんだろ? 余裕をもって迎えられるじゃん」
珠里椏「……」ダラダラ
俺「……お前、まさか」
真琴「やってないの!?」
珠里椏「いや、やってないってことはねーよ!」
俺「どれくらい残ってんだ?」
真琴「珠里椏ちゃん?」
珠里椏「……後2科目分」
俺「残りの期間から考えると、ギリギリだな」
真琴「……」
珠里椏「ま、まあ何とかなりますよ! ……多分」
真琴「……珠里椏ちゃん」
珠里椏「あん?」
真琴「明日! 補習の課題が終わったら一緒にやろう! あ、私は終わってるから教えられるよ!」
珠里椏「ちょ、柊!?」
俺「あーあ、火が付いた」
真琴「明日と明後日! それで2科目終わらせよう。 残りの期間はテスト勉強にでも充てれば良いよ」
俺「ははは、ご愁傷さま」
珠里椏「ちょっと先輩!? 助けてくださいよ!!」
俺「諦めろ、こうなったらもう無理だっとぉ」
俺「ほら、そろそろプール閉めるってよ。 帰ろうや」
真琴「明日から頑張ろうね、珠里椏ちゃん!」
珠里椏「……はい」
中途半端ではありますがこのスレでの投下は以上を持って終了とさせていただきます。
続けようと思えばまだまだ続けられるので、落ち着いたらまたスレ立てするかもしれません。
これの続きか、また別で思いついたネタかは分かりませんが。
またお目にかかる機会がありましたら、その時はよろしくお願い致します。
長い間お付き合いいただき、本当にありがとうございました。
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1418577580/
Entry ⇒ 2015.09.14 | Category ⇒ ガールフレンド(仮) | Comments (0)
【GF(仮)】真琴「先輩っ、何してるんですか?」 その3
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1414788967/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1415391632/
ガールフレンド(仮)より柊真琴と俺氏の小ネタ集です。
誕生日、報酬Sレア化おめでとうございます。
思いついたことを淡々と書き連ねていきます。
トラブル回避、嫌な思いをすることを回避する為に以下のことにご留意ください。
誤字脱字、キャラに違和感等あると思います。
俺の真琴はこんな子じゃない、台詞が気持ち悪い等の考えに至りましたらブラウザバックを。
ゆっくりひっそりと進行します。
それでは、よろしくお願いします。
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「!? なんでもないよ」バッ!
真琴「? 先輩? 今、鞄に何か隠しました?」
俺「いやいやいやいや、別に何も隠してないけど?」
真琴「そうですか?」
俺「そうです。 それよりさ、この後何も用事がないならちょっと付き合ってくれない?」
真琴「どこかに寄って行くんですか?」
俺「そう。 時間がないなら良いんだけどさ」
真琴「先輩からのお誘いが最優先です! お供させてください」
俺「俺から頼んでるんだけどな。 じゃあこっち、行こうか」
真琴「はい!」
真琴「先輩、ここって?」
俺「俺がよく来る喫茶店。 ほら、珈琲をブラックで飲みたいって言ってたから。 いろんなところの珈琲を飲んでみたらどうかなって思って。 ここのは本当に美味しいんだ」
真琴「そうなんですか?」
俺「好みの問題だから合わないかもしれないけど。 あっ、もちろん誘ったんだからここのお代は俺が払うよ」
真琴「そんな、悪いですよ!」
俺「いいんだって、付き合わせちゃってるんだから。 本当に、今日はスパーンと全部出すから好きなの頼んで。 すみません、ひとまずキリマンジャロ。 彼女は後でお願い出来ますか?」
真琴「わ、わ、えーっと、私はこのエスプレッソで!」
俺「ちょ!?」
店員「? キリマンジャロとエスプレッソでよろしいですか?」
真琴「はい、お願いします!」
俺「何故にエスプレッソ?」
真琴「前はカフェオレだったじゃないですか? いろんなのを飲んでみたいと思ったので名前だけ知ってたエスプレッソを頼んでみました!」
俺「……飲むの?」
真琴「もちろんです! 何事も挑戦! 先輩がご馳走してくださるんですから、絶対に飲みます」
店員「お待たせいたしました。 キリマンジャロとエスプレッソです。 では、ごゆっくりお過ごしください」
真琴「……」
俺「……」
真琴「小さい……ですね?」
俺「それがちゃんとしたサイズだから」
真琴「そうなんですか? 珈琲にもいろいろとあるんですね~」
俺「まあ、そうね」
真琴「では先輩、いただきます」
俺「いきなり!? 少しずつゆっくり飲む方が……」
真琴「」
俺「あーあ」
真琴「うぇぇぇぇ」
俺「ほら、ミルク入れな」スッ
真琴「なんですか、あの苦さ!」
俺「あれはああいうものなの。 そのままいくもよし、ミルクを入れたり砂糖を溶け残るくらい入れて飲んだりするもよし。 いろんな飲み方があるんだって」
真琴「びっくりしました、本当に」
俺「慣れると美味しいんだけどな」
真琴「私にはまだ早いです」
俺「そっか」
真琴「……」
俺「……」
真琴「あの……聞いてもいいですか?」
俺「どうぞ?」
真琴「どうして今日は急に奢りだーなんて言ったんですか? いつもは半々だったり別々で払うのに」
俺「……」
真琴「先輩、もしかして私のーー」
俺「はい、これ」スッ
真琴「? これは?」
俺「プレゼント。 今日は誕生日だろ?」
真琴「えっ!?」
俺「色々とシミュレーションしてたんだけど、奢りにこだわってばれたかー。 なかなか上手くいかないな」
真琴「……開けても、良いですか?」
俺「ここで? かさばっても良いならどうぞ」
ガサガサ
真琴「あっ、エプロン……」
俺「面白みもなくてごめんな。 調理器具とかも考えたんだけど、素人には何が良くて何がダメかわからなくて。 どうしようか困ってる時に機能性エプロンってPOPを見てさ」
俺「エプロンならいくらあっても困らないなと思って。 本当に捻りもなくて申し訳ない」
真琴「そんな! 私、すごく嬉しいです。 これからはこれを使わせていただきます」
俺「そうしてくれると嬉しい。 柊、誕生日おめでとう」
真琴「ありがとうございます、先輩!!」
真琴「先輩が私の誕生日を覚えててくれて、喫茶店デートもして。 プレゼントも貰えるなんて……夢みたいです」
真琴「本当に、ありがとうございます」グスッ
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「新しく携帯の着信音を用意したからさ、設定変更を」
真琴「先輩って登録してる人それぞれに着信音を設定してるんですか?」
俺「よくメールするやつだけな。 ある程度その人のイメージに合わせて設定してみたりしてさ」
真琴「先輩、マメですね~」
俺「自分でもそう思うけどさ、性分だから仕方ないと思うことにしたよ」
真琴「でも、外出時はマナーモードですよね? なかなか聴く機会がないんじゃないですか?」
俺「そうなんだけどさ、そこは気分で変えてるよ。 家ではマナーモードも解除してるし」
真琴「じゃあ先輩? 私からの着信の時の設定ってどうなってるんですか?」
俺「うぇ!?」
真琴「……うえ?」
俺「なんでもないなんでもない、気にしないで」
真琴「はい、気にしません。 ですが、私の着信音設定は何が何でも聞きたくなりました」
俺「」
真琴「先輩、設定画面を見せてください」
俺「……どうぞ」
真琴「えーっと? ……3分クッキングのテーマ?」
俺「そうです」
真琴「どうしてまたこれなんですか?」
俺「柊のイメージとしてドジっ子とお菓子作りってのがあったからそこから選んで、笑点のテーマと3分クッキングのテーマの2択に」
真琴「笑点……」
俺「流石に笑点はないなって思って3分クッキングを。 どっちもネタで携帯に入れたけど使い出したら意外としっくりきてさ……」
真琴「先輩……」
俺「何これ? 何で着信音の話題から柊のイメージの暴露になってんの? なんか凄く恥ずかしいんですが!」
真琴「着信音と言えばですよ先輩?」
俺「その話題まだ続くの?」
真琴「大丈夫ですよ、今度は私の失敗談ですから」
俺「……続けて?」
真琴「私、最近スマホに機種変更したじゃないですか?」
俺「うん」
真琴「とりあえずアドレス移行を済ませて、先輩みたいに何人かに個別着信音を設定してたんですよ。 マックで」
俺「うん」
真琴「イヤホンをつけて、とりあえずデフォルトで入ってる分を設定画面で聴いてたんですよ。 どんなのがあるのかなーって」
俺「デフォルトって言ったら、ガチャガチャガチャ……チーン! とか、犬の鳴き声とかの?」
真琴「そう、それです。 マナーモードにしてたしイヤホンもしてたしで、上から順番に全部聴いて設定したんですよ」
俺「うん」
真琴「で、イヤホンを外したら皆がこっちを見てるんですね? なんでかな~って思ってたら友達が『全部聴こえてたよ?』って笑いながら言うんですよ!」
俺「あー、そっか。 確かに設定画面で着信音再生するとマナーモードでイヤホンつけてても普通にスピーカーから鳴ってたな」
真琴「私もう恥ずかしくて! 店内でイヤホンしながらもスピーカーからグワッグワッ! とかピョコピョコとかコミカルな音を鳴らしてたと思うと!」
俺「いや、あれはドジとかじゃなくて誰もが通る登竜門だって」
真琴「それを皆が見てる前でやっちゃったのが恥ずかしいんですよ! しばらく同じお店に行けませんでしたもん!」
真琴「先輩っ、何してるん……ですか?」
俺「これ? なんか次の行事で使うとかで大量発注かけたみたい。 ひとまず倉庫に運ぶんだってよ?」
真琴「バランスボールですか?」
俺「そう。 何処の誰が決めたかは知らないけど、来週はトレーニング週間なんだって。 トレーニングルームを解放して、体育館ではバランスボールやヨガ、縄跳びなんかをするらしい」
真琴「紅葉狩りの次はトレーニングですか」
俺「プールまで開放して結構本格的にするらしい。 つくづくよく分からない学校だなとか思った?」
真琴「……少しだけ」
俺「ほい、運び屋はおしまい」
真琴「お疲れ様です、先輩」
俺「未開封のバランスボールだからそこまで大変じゃなかったけどな。 そうだ!」
真琴「どうしました?」
俺「ちょっと体育館行かない? もうだいぶ準備も済んでるらしいし」
真琴「入っちゃっても良いんですか?」
俺「ひと仕事したし、文句も言われないと思う」
真琴「わかりました」
俺「よっしゃ、行ってみよう」
………
……
…
真琴「うわ~、縄跳びにマットにバランスボール。 あっ、ダンベルなんかもありますね!」
俺「とにかく片っ端から集めたんだろうな。 未だにいまいちこの企画の目的がわからないけど」
俺「何かやってみる?」
真琴「でも、流石にそれは怒られませんか?」
俺「ネタバラシをすると、運んだお礼は皆より一足先にトレーニングしてもいいって話だったんだ。 あ、もちろん体育館のやつ限定で」
真琴「そうなんですか?」
俺「なんでもトレーニングルームの器具に関しては監督者の有無がどーのこーのって話でだめだった」
真琴「じゃあ、バランスボールを」
俺「はいよ。 補助はいる?」
真琴「補助?」
俺「ボールが動かないように抑えてたり」
真琴「大丈夫ですよ~。 じゃあ、やってみます」
真琴「まずはボールに座って、手を広げて……」
俺「見てて危なっかしすぎる」
真琴「だ、大丈夫です。 で、足を床から離してバランスをって、わわ!」
俺「おっと」ガシッ!
真琴「あっ、ありがとうございます。 危うく転ぶところでしたよ」
俺「どういたしまして」
真琴「もう大丈夫ですよ、先輩?」
俺「おっと、スマン」
真琴「なんで先輩が謝るんですか?」フフッ
俺「いや、なんとなく?」
真琴「なんですか、それー。 ……それにしても、バランスボールって難しいですね」
俺「そうみたいね、パッと見た限り」
真琴「でもサッと先輩が助けてくれて……」
俺「そりゃずっと見てたからさ」
真琴「……」
俺「どした?」
真琴「バランスボールって、良いものですね!」
俺「お気に召したなら良かったよ」
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「今日は省エネモードです」
真琴「はい?」
俺「ようするに、特に何もすることなくぼーっと空でも眺めてようかと」
真琴「それで屋上に?」
俺「屋上のベンチで手元にはホットの缶コーヒー、誰もいないから人目も気にせず横になって。 こんな至福の時間他にはないね」
真琴「もうだいぶ寒いですからね。 お昼休みとかでも屋上には誰も来ませんし」
俺「寒さの代償に屋上独り占めかー。 そう考えると冬もいいなぁ」
真琴「先輩の通っていた中学校って、屋上は開放されてました?」
俺「いや、鍵で施錠されてた」
真琴「私の所もそうでしたよ。 屋上での語らいとかは漫画やドラマの中でしか見たことがなかったですね」
俺「まぁ、危ないっちゃあ危ないからなー」
真琴「ですよね」
俺「中学の頃と言えば、大掃除か何かの都合で一度だけ教師同伴で施錠されてた屋上に上がったことがあるのよ」
真琴「大掃除で、ですか?」
俺「いや、掃除だったかどうかははっきりしないけど。 とにかく屋上に上がれるってことだからさ、ワクワクしてついて行ったのよ」
真琴「やっぱり先輩も憧れがあったんですか?」
俺「男子中学生なんて物珍しいものや武勇伝に飢えてる生き物なの。 誰も行ったことない屋上なんて恰好のネタだったわけ」
俺「なんの話だっけ? ああ、屋上だ。 ワクワクしながらついて行ったのにさ、いざ鍵を開けて見えたのはびっしり生えた苔みたいな何かと埃とゴミ」
真琴「あー……」
俺「あれほど残念な気分になったのは、あの時が最強クラスだわ。 思い描いていた幻想やトキメキを丸ごと持ってかれた」
真琴「それはなんて言うか、ご愁傷様です?」
真琴「先輩の屋上のイメージってどんな感じだったんですか?」
俺「サボり場所、昼飯、フェンスにもたれての語らい」
真琴「創作のイメージそのままですね。 叶ったものはあるんですか?」
俺「1人でここでサボったことは何度か」
真琴「やっぱり、理想と現実は違いますね」
俺「そんなもんだと思うことでまた大人になったよ。 っと、柊」
真琴「なんです?」
俺「少しこっちに」
真琴「? 何か面白いものでもありました?」
俺「ジャン!」
真琴「缶コーヒーですか?」
俺「ブラックと微糖を追加で買ってたんだ。 これを飲みながらフェンス越しにぼーっとしてようかと思って。 微糖は間違えただけなんだけど。 ん、微糖の方をどうぞ」
真琴「ありがとうございます」
俺「んで、語らうと。 はい、これでまた一つ理想が叶った」
真琴「相手が私で良いんですか?」
俺「柊だから良いのよ」
真琴「!? ゴホッ、ケホッケホ! 先輩!? どういう意味です今の?」
俺「あー、珈琲が美味いなー」
真琴「先輩!!」
真琴「先輩は漫画やゲームのキャラクターに影響されたことってあります?」
俺「というと?」
真琴「ほら、最近CMでもやってるじゃないですか? 『日本は漫画の国です、理想の人が漫画の登場人物...』って」
俺「あー、ダチョウトリオが熱湯風呂やってたあのカップ麺の」
真琴「先輩にとってあのCMで印象に残るのは壁ドンじゃなくてダチョウトリオさんなんですね」
俺「俺、あのCMの壁ドンの解釈嫌いなんだ。 俺の中での壁ドンってアパートとかで隣人から注意される時のやつだから」
真琴「解釈って、他の意味があるんですか?」
俺「知らない? アパートとかの集合住宅でうるさくしてると隣人から注意として壁とかを叩かれるあれ。 先に定着したのはそっちなの」
真琴「そうなんですか、知りませんでした」
俺「流行するのも良いんだけどさ、なんか釈然としないんだよなー」
俺「壁ドン論争はひとまず置いといて、影響って?」
真琴「あっ、はい。 この前友達と話してた時の話題で出たんですが、創作キャラに憧れたり影響されたりして口癖を真似たり同じ趣味を初めたりしたって子がいまして」
俺「ほー、そいつはまた筋金入りのファンだな」
真琴「ですよね。 で、今ふと先輩はどうなのかなーって思っちゃいまして」
俺「俺はそこまでがっつり服装や口癖を真似たり、趣味やスポーツを初めたりってのはない……かな?」
真琴「先輩はそういうのないんですね~」
俺「……いや、あるわ」
真琴「えっ、あるんですか?」
俺「俺の珈琲好き、あれがそうだわ」
真琴「そうなんですか?」
俺「とあるゲームのキャラクターでさ、俺が苦手とするキャラクターがいたのよ」
真琴「あっ、そのキャラクターが珈琲嫌いだったとかですか?」
俺「逆、珈琲好きの設定だった」
真琴「? なのに珈琲を飲んだんですか?」
俺「俺の嫌いなこいつが飲める珈琲を俺が飲めないってことは、俺がこいつに負けたことになるって考えたのよ」
真琴「なんですか? その理屈」
俺「そう思うよな、俺もそう思うし。 でも中学生時分の俺はその理屈で物事を考えて勝手に負けた気になったんだ。 だから、苦いって思ってた珈琲を飲み続けたんだ」
真琴「で、いつの間にか好きになっていたと?」
俺「そう」
真琴「でもそれって、結論として嫌いなキャラクターと好みがお揃いになったってことですよね?」
俺「前にも言ったと思うけど、男子中学生なんて格好いい物に目がないアホの集まりだからね。 正直に言って、俺もそこまで考えが及ばなくて飲めるようになってから気づいた」
真琴「先輩って……」
俺「言うな、自覚はしてる」
俺「そう言う柊は何かあんの?」
真琴「影響されたことですか? 私はですね、影響はされるんですがそれが長く続かないパターンですね」
俺「? というと?」
真琴「例えばですよ? とある漫画のキャラクターがサッカーを始めてそれに私が影響されました」
俺「はい」
真琴「ボールを買うか借りるか、体育の時間でもいいですね。 サッカーをやってみます」
俺「はい」
真琴「ボールが来たので蹴ります。 で、空振ります。 場合によってはそのままくるっと回って転びます」
俺「」
真琴「とあるゲームのキャラクターが喫茶店なんかでウェイトレスとして働いています」
俺「……はい」
真琴「制服が可愛いな、こういう場所に好きな人とかが唐突に来店して、ドキドキしながら注文を聞いて、そのまま徐々に進展して……みたいな感じで影響されました」
俺「はい」
真琴「実際に働いてせんp……好きな人が来店したとします」
俺「? はい」
真琴「多分注文を聞く時にドジをやらかします。 で、やっとの事で聞いた注文の品を運ぶ時に転びます。 で、相手にかけたり自分がかぶったりするでしょう」
俺「」
真琴「こんな感じで影響はされますが、実際に行動を起こす前のシミュレーションの段階で冷めます」
俺「なるほど、としか言えない」
真琴「でも、これで良かったんですよ。 ありのままの私で先輩と交流しないと意味ないですし」
俺「どうしてさ?」
真琴「そこは先輩が考えてください」
俺「……俺に都合良く勘違いするかもよ?」
真琴「多分それは都合の良い勘違いじゃないと思うのでかまいません」
俺「」
真琴「先輩? どうしました? 少し顔が赤いですよ?」
俺「まさか、柊にやり込められるとは思わなかった」
真琴「ふふっ」ニコ
俺「トレーニング週間の次はケイドロ。 もう少し期間を開けても良いと思うんだけどな」
真琴「ですよね、私もここ最近走ってばかりの気がします」
俺「実際走り回ってばかりだしなぁ」
真琴「私も痩せることが出来ましたし、結果だけ見れば良いんですけどね」
俺「……」
真琴「……」
俺「いつからいたの!?」
真琴「最初からいましたよぅ!!」
俺「ケイサツじゃないよな?」
真琴「私もドロボウです。 というか、この格好を見ればわかるじゃないですか」
俺「ほら、そこは……様式美?」
真琴「でも、ここで先輩に残念なお知らせがあります」
俺「なんでしょう?」
真琴「さっき枝の間から見えましたけど、ケイサツさんが来てます」
俺「校舎裏なんて恰好の隠れ場所ってことか」
真琴「どうします?」
俺「柊、今携帯持ってる?」
真琴「持ってますけど、それが?」
俺「俺の携帯に電話かけてくれない?」
真琴「わかりました」
真琴「えーっと、はい。 かけました」
ー離れた木陰ー
?「ウワッミツカッタ!!」
?「ヒトマズグラウンドニ!! ハヤク!!」
ケイサツ「あっちから聞こえてきたぞ!」
ケイサツ「行くぞ、急げ!」
タッタッタッタ...
俺「……もう切っちゃって良いよ」
真琴「先輩、何したんですか?」
俺「昨日のうちに電話着信音をさっきのに変えて、さっき木陰に仕込んだんだ」
真琴「携帯をですか? なんというか、楽しんでますね~」
俺「どうせやるなら楽しまないと、さてと、携帯を回収してこないと」
俺「右側、ケイサツの気配なし」
真琴「左側、ケイサツさんの気配、ありません」
俺「なんだかんだでここまで逃げ切れてたけど、そろそろここもケイサツの捜索エリアに引っかかる」
真琴「苗ちゃんの情報にすごく助けられましたね」
俺「本当に。 さて、ケイドロ終了まであと少し。 これは俺からの差し入れです。 どっちが良い?」
真琴「クッキーと、……チョコバットですか?」
俺「ひとくちクッキーとスペシャル満足バーです」
真琴「……スペシャル満足バー、いただけますか?」
俺「カロリーとか、普段気にしてるのに。 良いの?」
真琴「これだけ走り回ったんですから大丈夫ですよ、多分」
俺「まぁ、俺はどっちでも良いんだけど。 はい」
真琴「ありがとうございます。 いただきます」
俺「俺はひとくちクッキー、いただきます」
真琴「凄く美味しいです、これでまだ頑張れます!」
スーパー急接近!
俺「さあ、後少し頑張ろう」
真琴「はい」
俺「右側、ケイサツの気配なし」
真琴「左側、ケイサツさんの気配、ありません」
俺「さて、じゃあ飛び出すと同時に校舎の影を通って体勢を低く走る」
真琴「はい」
俺「柊は足元の確認。 さっきみたいに転ばないように」
真琴「こ、転んでません。 ちょっと躓いただけです」
俺「とにかく、注意するように」
真琴「……はい」
俺「よし、行くぞ!」
真琴「はい、行きます!」
ダダダダダ!
ケイサツ「いたぞ、こっちにドロボウだ!」
ケイサツ「応援を呼んだ、追いかけるぞ!」
真琴「!? 先輩、あっちでドロボウの子が!」
俺「……柊はそのままα地点に」
真琴「え、ちょっと先輩? 行っちゃった」
真琴「……α地点って、どこですか?」
………
……
…
俺「こっちにケイサツがいるぞ! ドロボウは来るなよ!!」
ケイサツ「!? こっちにもいたぞ」
ケイサツ「どこに隠れてたんだよ!?」
俺「ほら、そこのドロボウは逃げろ!」
ドロボウ「!」
タッタッタッタッ
ケイサツ「ああ、クソっ。 ひとまずあいつを確保だ!」
ケイサツ「おう!」
俺「あーあ、やっちゃった。 あいつら運動部じゃん。 ……撒けるかな?」
真琴「結局捕まっちゃいましたね~」
俺「そうね」
真琴「あれから先輩はどうなったんですか?」
俺「ケイサツの気をひいてドロボウを逃がしたまでは良かったけど、運動部相手に走り負けして確保。 なんとか校舎と反対まで逃げたから目標は達成かな?」
真琴「……ならどうしてそんなにボロボロなんです?」
俺「捕まると同時に『良いカッコしやがって! アピールか?』ってな感じでフルボッコに」
真琴「……ご愁傷様です」
俺「そういう柊は?」
真琴「……木陰に隠れる寸前で転んだところを戸村先輩に確保されました」
俺「あいつ、なんて言ってた?」
真琴「御用だーって出て来たんですが、それに驚いて転んだ私を凄く心配してくれました」
俺「……だから足元の確認をしろって言ったのに」
真琴「確認したつもりだったんですけどね~」
俺「さて、あとどれくらいで終わり?」
真琴「あと……30秒ですね」
俺「あー、疲れた。 しばらく運動はいいや」
真琴「ですねー、あっ、終わったみたいです」
俺「お疲れ様」
真琴「はい、お疲れ様でした」
………
……
…
元ドロボウ「あの!」
真琴「?」
俺「ああ、あの時の。 どうだった? 逃げ切れた?」
元ドロボウ「はい! あの後ずっと隠れてたのでなんとか」
俺「そりゃ良かったよ、やった甲斐があった」
元ドロボウ「あの、本当にありがとうございました! ///」
タッタッタッタッ
俺「行っちゃった、大袈裟だなあ」
真琴「」
ドウダッタ?
スゴクキンチョウシターマダドキドキシテル!
俺「どした?」
真琴「……私ももっと頑張らないと」
俺「?」
真琴「この間やってたドラマ、私感動して泣いちゃいましたよ~」
俺「あー、なんか週末にやってたみたいね」
真琴「やってたみたいねって、先輩は見なかったんですか?」
俺「俺はあまりテレビを見ないから」
真琴「じゃあ、先輩が最後に見たドラマってなんですか?」
俺「ドラマ、ドラマ」
真琴「……」
俺「えーっと。 ……て、鉄板?」
真琴「連続テレビ小説のですか?」
俺「そう」
真琴「何年前の作品でしたっけ?」
俺「4年か5年前じゃなかったかな?」
真琴「ちなみにその前だと何を見た記憶があります?」
俺「その前だと……あ、金曜ナイトドラマ枠だった時のトリックとか」
真琴「わかりました。 先輩、本当にドラマ見てないんですね~」
俺「ドラマとか映像で見るより原作本とかノベライズ版とかで活字で追う方が合ってるんだ。 こう、キャラの容姿から舞台の情景までを想像して自分の頭の中で話を展開させたい」
真琴「じゃあ、先輩は本とかいっぱい持ってるんですか?」
俺「ジャンルが偏ってるけど、それでも人並みには持ってるよ。 なんなら今度持ってこようか?」
真琴「なら今度先輩のお勧めを持って来ていただけますか?」
俺「あいよー、適当に何冊か見繕っとくよ」
真琴「そういえば、先輩は1人暮らしですよね?」
俺「ん? そうだけど?」
真琴「先輩はどこにお住まいなんですか?」
俺「近いよ? 学校から歩いて10分くらい。 ほら、あのスーパーの近く」
真琴「そうなんですか」
俺「あれ、来たことなかったっけ?」
真琴「ええ、知りませんでした」
俺「そっか、なら良かったらまたおいで。 珈琲くらいなら出せるから」
真琴「そこはお茶じゃないんですね。 わかりました、また誘ってください」
俺「あいよ」
真琴「お邪魔しまーす」
俺「狭いし何もないとこでほんと申し訳ない。 あ、上着はクローゼットのところにハンガーがあるからそれに」
真琴「……」
俺「物珍しい?」
真琴「あ、ごめんなさい。 ここが先輩の部屋かと思うとちょっと感慨深くて」
俺「そんなたいそうな物じゃなかろうに。 ま、いいや。 暖房暖房」
真琴「……」
俺「珈琲で良いの? ああ言ったけどお茶も紅茶も出せるよ? インスタントと安物だけど」
真琴「ありがとうございます、珈琲をいただけますか?」
俺「あいよ、ちょっと待っててねー」
真琴「……ここが先輩の部屋。 ふふっ」
真琴「せんぱ~い?」
俺「んー?」
真琴「炬燵に珈琲って合ってるんですかね~?」
俺「人によっては違和感を感じるかもしれないけど、俺はいつもこのスタイルだから気にしないなー」
真琴「せんぱ~い?」
俺「なにさー」
真琴「さっき赤外線ヒーターを引っ張り出してましたけど、普段使ってないんですか~?」
俺「普段は炬燵だけー。 背中はいつものコートに守ってもらう。 意外とあったかいんだなーこれが」
真琴「……」
俺「あー、やべ。 ここ最近の疲れが一気にー」
真琴「炬燵は偉大ですね~」
俺「その通りだわー」
真琴「そういえば、本をお借りするって話でしたね」
俺「部屋もあったまったし、動きますか」
真琴「ですね」
俺「……」
真琴「先輩?」
俺「炬燵の魔力に抗ってる最中。 よし、出よう。 えーっと、本はこっちにまとめてある分ね」
真琴「いっぱいありますね~」
俺「この塊が主にドラマとか映画とかで映像化された分。 こっちは海外作家の。 で、こっちの塊は恐らく柊には合わないであろう分」
真琴「ド? ドグラ・マg」
俺「そっちは良いよ」
真琴「はい。 先輩のお勧めってどれですか?」
俺「好みのジャンルは?」
真琴「れ、恋愛とか」
俺「恋愛……あったかなー。 ……ああ、これは恋愛……か? あ、これがあったか。 じゃあ、これを読んでみ?」
真琴「ありがとうございます」
俺「合わなかったら言ってくれればまた見繕うから」
真琴「すみません先輩。 本を貸してくれたうえに送っていただいて」
俺「冬は日が暮れるのも早いしな、買い物ついでだから気にしなくて良いよ」
真琴「何か買うんですか?」
俺「今日の夕飯」
真琴「……」
俺「ん? どした?」
真琴「先輩、晩御飯の材料を買うんですよね?」
俺「スーパーで売れ残った惣菜だけど? 美味しくはないけど安いしな」
真琴「……そんな食生活を続けてると倒れちゃいますよ?」
俺「大丈夫だって、多分」
真琴「またそんなことを。 よし、決めました!」
俺「何を?」
真琴「明日から毎日は無理ですがおかずとかをお裾分けします」
俺「そんな、悪いって」
真琴「この状況を放置して先輩が倒れる方が悪いです。 お父さんもお母さんも絶対反対しませんし。 良いですね!」
俺「……じゃあ、そちらの親御さんが良いって言うならお願いするよ」
真琴「はい、楽しみにしててくださいね? 私も手伝って先輩に届けますので」
俺「もう確定してるみたいな言い方だし……。 あー、柊?」
真琴「はい?」
俺「ありがとうな」
真琴「ふふっ。 はい!」
最後までお付き合いして頂きありがとうございました。
またどこかで何処かでお見かけしましたら、その時はよろしくお願いします。
それでは、依頼を出してきます。
書き溜め期間が1ヶ月以上とかでないなら同じスレで続けてもいいと思うんだがなあ
乙、ありがとうございます。
自分でもここまで頻繁にスレ立てすると思ってなかったのでこんな形となってます。
次回スレ立てするならそのような形とさせていただけます。
ご意見、ありがとうございました。
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1416634730/
Entry ⇒ 2014.12.05 | Category ⇒ ガールフレンド(仮) | Comments (0)
クロエ「ココミさーん、デュエルシマショー」椎名心実「遊戯王ですか?」
心実「デュエリスト達が!」
心実「モンスターともに地を蹴り、宙を舞いフィールドを駆け巡る!」
クロエ「見よ、これぞ!デュエルの最終進化系!」
心実「アクション!」
クロエ・心実「「デュエル!」」
心実「クロエさん?これは?」
クロエ「ただやってみたかっただけデース」
心実LP8000→9000
心実「え?アナザーネオス通常召喚、バトルフェイズダイレクトアタックです」
クロエ「クリフォトン」
クロエLP8000→LP6000
心実「ターンエンドです!ってちっともアクションしてないじゃないですか!」
クロエ「そう言えばそうデース」
ゼロガードナー召喚 三伏せエンドデース」
心実「私のターン!シャドーミスト召喚!アナザーネオスでゼロガードナーを攻撃!」
クロエ「ゼロガードナーをリリースシマース」
心実「2枚伏せてエンド」
心実(なにこれ?楽しくない・・・)
クロエ「そうデース!エグゾパーツ集めるの楽しいデース」
心実「そうですか」イラッ
心実「マスクチェンジ、ダークロウ」
クロエ「ちょっと、ココミさん酷いデース!」
心実「サティスファクションですよ?クロエさん?」イライラ
心実「ダークロウの効果でランダムに1枚捨てさせる」
クロエ「おー、和睦が・・・」
クロエ「エンド時威嚇する咆哮」
心実「私のターン!オーシャン召喚アナザーネオスと融合アブソルートZERO!ターンエンド」
クロエ「エグゾディア召喚デース!」
心実「きゃあああああ」LP0ビーッ
クロエwin
クロエ「ココミさん、まだまだですね」
心実「あの時激流葬使われると思いませんでした・・・」
クロエ「やっぱり、デュエルは最高デース」
心美「あなたは、デュエルキングの……」
クロエ「デュエルキーング? デュエルの王summerデスカー?」
遊戯「それはエグゾディアのカード!! それをどこで!」
クロエ「河原を散歩してたら流れてきましたー、猿の川流れです」
心美「それを言うならかっぱの川流れですよ、クロエさん」
遊戯「それは僕の大事なカードだ。返してくれないか?」
クロエ「ノンノン! これはクロエのカードデース!!」
遊戯「参ったなあ……」
心美「クロエさん、返してあげましょう?」
クロエ「うー……」
遊戯「まかせたよ、もう一人の僕」
ピカーン
遊戯「なら、デュエルで決着をつけるぜ!」
クロエ「わかりました! 心美が相手デース!!」
心美「え、ええ!?」
遊戯「いくぜ、心美! デュエル!!」
LP4000
遊戯「そのカードは……」
心実「カードガンナーの効果! デッキから3枚カードを墓地に送り、攻撃力を1500ポイントアップします」
カードガンナー ATK 1900
心実(墓地へ行ったカードは ネクロダークマン、フレア・スカラベ、フェザーマン……)
心実「お願いします、ネオス!」
遊戯「君のデュエルは、十代を思い出す」
心実「ターンエンドです」
遊戯「いくぜ、俺のターン!」
遊戯「こい、ブラックマジシャン!」
クロエ「いきなりエースデース!!」
心実(カードガンナーを攻撃される……?)
遊戯「俺は魔術の呪文書をブラック・マジシャンに装備!」
遊戯「ブラック・マジシャンでネオスに攻撃! 黒・魔・導!!」
心実「きゃあああ!」
心実LP 4000→3300
遊戯「俺はカードを1枚伏せてターンエンド」
遊戯 手札1
心実「行きます、ドロー!」
心実「!」
心実「私は再びカードガンナーの効果発動! カードを3枚墓地へ送り、攻撃力1500アップ!」
カードガンナー ATK1500
心実「ワイルドマン、死者蘇生、スカイスクレイパー……いいカードが落ちてしまいました」
遊戯「さあ、どうする!」
心実「私はマジックカード、O-オーバーソウルを発動!」
クロエ「墓地の通常E・HEROを復活させるカードです!」
遊戯「ネオスを復活させても勝てないぞ!」
心実「私は墓地のフェザーマンを選択!」
遊戯「!?」
遊戯(なにかを狙っているな……)
心実「手札から、速攻魔法マスク・チェンジ発動! HEROを墓地へ送り、そのカードと同属性のM・HEROを特殊召喚します」
心実「フェザーマンを墓地へ、そしてM・HERO カミカゼを変身召喚!」
遊戯「新たなHERO!」
心実「まだです! H-ヒートハート発動! カミカゼの攻撃力を500アップ!」
カミカゼ 2700→3200
遊戯「だがこれでも互角……攻撃してこないだろう」
心実「いえ、行きます、カミカゼでブラック・マジシャンに攻撃!」
遊戯「相打ち狙いか!」
遊戯「なにッ! マハード!」
心実「さらにカミカゼの効果、戦闘で相手モンスターを破壊した時、カードを1枚ドローします」
遊戯「魔術の呪文書の効果で、ライフが回復するぜ」
遊戯LP 4000→5000
心実「私にはカードガンナーの攻撃が残っています!ダイレクトアタック!」
遊戯「そうはさせない、罠発動! 魔法の筒」
クロエ「強すぎでーす!」
遊戯「カードガンナーの攻撃は無効、1900のダメージを受けてもらうぜ!」
心実「きゃあああ!」
心実LP 3300→1400
心実「私はこれでターンエンドです」
心実 手札2
遊戯「俺のターン! 俺はモンスターを伏せてターンエンド」
遊戯 手札1
心実「私は手札から、フェイク・ヒーローを発動! 手札のE・HERO シャドーミストを特殊召喚します」
心実「シャドーミストの効果発動! 特殊召喚に成功した時、デッキから、チェンジと名のつく側溝魔法を手札に加えます」
クロエ「心実のデッキには、もう一枚のチェンジカード!」
心実「私は効果により、マスクチェンジ・セカンドを手札に!」
心実「さらに私はカードガンナーとシャドーミストを生贄に、エッジマンを特殊召喚します」
遊戯「伏せモンスターはビッグ・シールド・ガードナー! 互角なため破壊されない」
クロエ「でも攻撃をうけたことにより攻撃表示になりまーす!」
ビッグ・シールド・ガードナー
DEF 2600→ ATK 100
心実「続いて、カミカゼでビッグ・シールド・ガードナーを攻撃!」
遊戯「うわあああ」
遊戯LP 5000→1400
クロエ「ライフがどんぐりの背比べデース!」
心実「意味がすこし違いますよ、クロエさん……」
心実「メイン2にマスクチェンジセカンドを使います」
心実「手札のR-ライトジャスティスを捨て、エッジマンを墓地へ、地属性のM・HEROを特殊召喚!」
クロエ「ダイアンデース!」
遊戯(守備表示か、壁にしようという気だな)
心実「私はこれでターンエンドです」
心実 手札0
心実(このデュエル、もらいました!)
遊戯(ここまでとはな、驚いたよ)
遊戯(だが、俺は負けない!)
遊戯(俺のターン!)ビッ
心実「!」
クロエ「ドローしたカードが通常モンスターの場合、続けてドローできるカード!」
心実(そうなれば運次第……そのまえに私のカミカゼで倒せる!)
遊戯「モンスターを伏せてターンエンド」
クロエ「伏せモンスターを突破すれば勝てまーす!」
心実「モンスターを伏せます」
遊戯(心実の手札は1枚のみだった……クレイマンを伏せたか)
心実「行きます、カミカゼで伏せモンスターを攻撃!」
遊戯「伏せモンスターは超電磁タートルだ」
心実「効果でドロー!勝ちました!」
心実「ダイアンを攻撃表示に変更! ダイレクトアタック!」
遊戯「それはどうかな?」
心実「え?」
心実「そんな……」
遊戯「俺のターン!」
遊戯「おれの引いたカードは、クイーンズナイト! 凡骨の意地の効果でさらにドロー」
遊戯「2枚目、ジャックスナイト! 3枚目、ルイーズ! 4枚目、岩石の巨兵! 5枚目、シルバーファング!」
心実「こんなことが……」
遊戯「11枚目は、手札抹殺だ」
遊戯「手札抹殺を発動! お互いのプレイヤーはカードを捨てて、同じ枚数ドローする」
遊戯「おれは10枚捨てて、10枚ドロー」
心実「私は1枚捨て、1枚ドローします!」
心実(さよなら、ハネクリボー……)
遊戯「きたぜ、俺の逆転のカード!」
遊戯LP1400→700
遊戯「さらに、師弟の絆を発動! ブラックマジシャンがいるとき、手札のブラックマジシャン・ガールを特殊召喚!」
遊戯「まだだ、死者蘇生を発動! 蘇れ、デーモンの召喚!」
心実「フィールドに3体のモンスター!」
クロエ「オーマイゴッド!」
心実「これが、神!」
遊戯「オシリスの攻撃力は手札の枚数×1000ポイントとなる」
心実「きゃあああ!」
心実LP 1400→0
遊戯「君は強い。あそこでオシリスを引けなければ負けていた。ほら、君の手札」
心実「え?」
遊戯「君の手札はHEROフラッシュ。4種類のHEROカードを墓地から除外して発動し、HEROを呼び出してダイレクトアタックするカードだ」
心実「次のターンが来れば……惜しかったですね。あの、また決闘してもらえますか」
遊戯「ああ、もちろんさ!」
クロエ「まさに切磋琢磨! たくまくんでーす!」
クロエ「しょうがないですね、はい」
遊戯「でもどうして君が……」
クロエ「それはまたどこかのお話しで、ですよ?」
END
見てくれた人ありがとう
掲載元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1416799522/
Entry ⇒ 2014.12.01 | Category ⇒ ガールフレンド(仮) | Comments (0)
【GF(仮)】真琴「先輩っ、何してるんですか?」 その2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1414788967/
ガールフレンド(仮)より柊真琴と俺氏の小ネタ集です。
期間限定Sレア化おめでとうございます。
また書きたくなったので立てました。
思いついたことを淡々と書き連ねていきます。
トラブル回避、嫌な思いをすることを回避する為に以下のことにご留意ください。
誤字脱字、キャラに違和感等あると思います。
俺の真琴はこんな子じゃない、台詞が気持ち悪い等の考えに至りましたらブラウザバックを。
前スレ以上にゆっくりひっそりと進行します。
それでは、よろしくお願いします。
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「……暇つぶしに……ダウンロードした、テトリス」ピコピコッ
真琴「テトリスですか~」
俺「この手のゲームは暇つぶしには最適だからさ……っと、時間を忘れてやっちゃうんだわ」ピコピコッ
真琴「わっ! 凄い! ブロックがビュンビュン落ちてきます!」
俺「テトリミノ……ね」ピコピコッ テトリスッ!
真琴「それに、長い棒のブロックで毎回消してるし!」
俺「……っぶね、……シングルやダブルで消すよりはテトリスで消した方が……っ、……得点が高いからって……」テテーテテテテテテーテテー
俺「あ”あ”ーー!? 今の判定キツくね!? まだ遊び時間の範疇だったって!!」テテテーテテテテテテー♪
俺「最高レベルだとワンミスでもリカバリーが難しいなぁ」
真琴「お疲れ様です、先輩っ」
俺「テトリスやってただけなんだけどさ」
真琴「でも凄いですね、あんなに指が速く動くなんて」
真琴「私には絶対無理です」
俺「慣れると意外と簡単に出来ると思うけど?」
真琴「慣れるとって……先輩はいつからテトリスをやってるんですか?」
俺「幼稚園位の時に誰かが買ってきた1,000円位のテトリスのキーホルダーゲームが最初かな?」
俺「テトリスJrだったっけ? あれが原点だと思う」
真琴「テトリスJr?」
俺「そう、スーパーとかで売ってたんだ。 ボタン電池の、知らない?」
真琴「先輩はパズルゲームが好きなんですか?」
俺「パズルゲームというか、落ちゲーが好きなのかな?」
俺「誰でもわかる単純なルール。 皆で競うもよし、個人で楽しむもよしの幅広いプレイスタイル」
真琴「じゃあ先輩? テトリスとぷよぷよだとどっちが好きですか?」
俺「テトリス。 ぷよぷよの連鎖システム、あれにどうしても対応出来ないんだよ」
俺「プレイ動画とか見てると17連鎖とかやってるけどさ、アレすごいよな~」
俺「未だに簡単な階段積みしか出来ないよ」
真琴「そうなんですか~、私はぷよぷよかなぁ? キャラクターが可愛くて」
真琴「あれ、良いですよね~」
俺「……連鎖が得意だから好きとかじゃなくて?」
真琴「私、2連鎖とか3連鎖とかしか出来ないんですよ」
真琴「フィーバータイムに入っても慌てちゃってよく失敗しますし」
俺「じゃあさ、ぷよぷよとぷよぷよフィーバーならやっぱりぷよぷよフィーバーの方が良い?」
真琴「……はい?」
俺「……あれ?」
真琴「先輩、ぷよぷよフィーバーじゃないぷよぷよがあるんですか?」
俺「」
真琴「先輩?」
俺「まさか、コンパイル時代のぷよぷよを知らない?」
真琴「コン……何ですか?」
俺「……嘘ぉ? この歳でジェネレーションギャップを体験することになろうとは」
真琴「ジェネレーションギャップってあれですよね?」
真琴「ほら、世代や年代で価値観や文化や思想が異なるっていう……」
俺「……その国語辞典の文言そのものみたいな解答は何よ?」
真琴「ジャジャーン! Wikipediaです! 先輩、私はもう巧みにスマートホンが使えるのですよ!」
俺「ほら、今の会話で言うところの国語辞典とWikipediaみたいなやつがジェネレーションギャップ」
真琴「……あれ?」
真琴「じゃあじゃあ、他のジェネレーションギャップの例ってどんなのがありますか?」
俺「……例えば、最近めっきり見なくなった電話ボックスだったり、ビデオテープやカセットテープ、iPodとウォークマンに駆逐されたポータブルMDプレイヤー、パソコンとかならフロッピーとかもそうじゃない?」
真琴「な、なるほど~」
俺「日本銀行券、お札の肖像で千円札と五千円札は肖像の人物が変わっただろ? 二千円札なんてそれこそ意図的に持ち続けてる人しか持ってないし。 そういうのもそのうち忘れられてジェネレーションギャップになるんじゃない?」
真琴「先輩って、いっぱい知ってるんですね!」
俺「つい最近、話題になったからさ」
俺「……言いたいことも言えないこんな世の中じゃ?」
真琴「はい?」
俺「ドラマのGTOの鬼塚の役者って誰だっけ?って質問を色んな人にしたら良いよ」
真琴「? どうしてですか?」
俺「そこでAKIRAって答えるやつにはさっきの俺の問いの答えはわからない」
俺「反町って答える奴はさっきの問いを投げかけると直ぐに毒ってカッコ良く英語で言ってくれるよ」
真琴「ジェネレーションギャップって、奥が深いですね」
俺「……内山田教頭はねじねじさんだろ」
真琴「ジェネレーションギャップ、私もそのうち感じる方になるんですね」
俺「そりゃそうさ、ジェネレーションギャップは絶対になくならないよ」
俺「それに合わせて言葉も新しく作られたり消えたりしてさ」
真琴「消えた言葉?」
俺「ビデオ録画の時に入力してたGコード、もうテレビ欄には掲載されてないだろ?」
真琴「あぁ、あったあった、ありましたね! 私、小学生の時よく入力失敗してました」
俺「ビデオ関係なら後は、早送りはともかく今は巻戻しは使われなくなって来てるし」
真琴「そうなんですか?」
俺「今のデッキのリモコンだと巻戻しじゃなくて早戻しになってる。 ビデオじゃなくてDVDやBlu-rayが主流になってきたから言葉が変わったんじゃない?」
真琴「知りませんでした、今でも私、巻戻しって言ってました」
俺「そのうち早送りも消えたりするのかな。 スキップボタンと30秒送りでなんとか出来ないこともないし」
真琴「凄く盛り上がりましたね!」
俺「お互いにネタがあって共感出来たしなぁ」
真琴「ですね~」
俺「……」
真琴「……」
俺「そういえばさ、Gコード入力を失敗したって言ってたけど」
真琴「はい、数字を一つ飛ばしたりしちゃって」
俺「ビデオテープの爪が折れてるのに気づかなかったってのはあった?」
真琴「ビデオテープの爪? ああ! あの録画が出来なくなるやつ!」
俺「おぉ、まだ通じたや」
真琴「ありましたね~、私のお父さん、ドラマの録画とかをした後は必ず折ってました」
真琴「で、セロテープを貼り忘れて次の話の録画に失敗するんですよ」
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「いや、あれ見てみ?」
小学生集団 キャッキャッ!
真琴「近所の小学校の児童さんですね」
俺「ほら、あいつら歩行者用信号の押しボタン滅茶苦茶連打してるじゃん?」
真琴「ですね」
俺「あれ、俺も良くやったけどさ。 何が楽しくてあんなに連打してたんだろうな?」
真琴「なんででしょうね~」
俺「あれ、結構な人数がやってると思うんだわ。 また他の奴にも聞いてみよう」
真琴「日が落ちるのも早くなって来ましたね~」
俺「17時でもうこれだもんな」
真琴「先輩は小学生の時とか暗くなっても遊んでた方ですか?」
俺「だいたい門限18時だったかな? 一緒に遊んでる友達と同じ時間が門限ってなってたよ」
真琴「私は割としっかり門限が決まってましたよ~」
真琴「ほら、暗くなったら転ぶから明るいうちに帰って来なさいって」
俺「いや、それは……」
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「今日の授業のノートの清書」
真琴「先輩、毎日ノートの清書をしてるんですか!?」
俺「俺がそんな真面目な優等生に見えるか?」
真琴「……薄目にして凝視をしたなら」
俺「アホか。 単純に昼を挟んだ授業だったからさ、うつらうつらとしてたみたいで書き写した板書が汚くてな」
真琴「それで清書を?」
俺「面倒だしかったるいけど、ある程度内容を記憶してるうちにやっとかないとテスト前に泣きを見るのはこっちだから」
俺「いない? テスト前になってノートの字が汚過ぎて読めないって慌てて借りてるバカ」
真琴「ノートチェックとかもありますし、なかなか居ませんよそんな人……」
真琴「先輩のノートは文字だけの真っ黒ノートなんですね」
俺「板書に合わせて色を変えるのも最初はやろうかと思ったけどいちいちペンを持ち替えるのも面倒だし、そのうちそうやって色を替えたことで内容が理解出来た、覚えたって勘違いしそうでやめたよ」
俺「女子は色を変えるだけじゃなくコメントやポイントを描き加えたりイラストで余白に解説を作ったりして凄いな、俺には真似出来ん」
真琴「イラストで解説を描き加えるなんて余程絵の上手い人しかやりませんよ~」
俺「でもやっぱ男女で見比べたら女子のノートの方がスッキリしてるし見やすい気がする」
真琴「……先輩はやらないだけで、やれば出来ると思うんですけど」
俺「一回物は試しだって解説イラストを描こうと試みたことがあるのよ」
真琴「そうなんですか?」
俺「結果、解説イラストに留まらずにどんどん描き進めて超大作が出来た」
真琴「描いてるうちに夢中になっちゃうパターンですね!」
俺「姫島含むサブカルグループには受けが良かった、八束・上条の優等生グループには怒られるわ呆れられるわ散々だった」
俺「やっぱり1年でも授業中の内職とかってやってる?」
真琴「限国とかは基本先生は黒板前から動きませんからやってる人はやってますね~」
真琴「先輩は内職とかやるんですか?」
俺「切羽詰まったらやるけど、今は教卓前の席だから難しいな」
真琴「教卓前の席なのに寝そうになったんですか?」
俺「昼食べた後は眠くなるって」
真琴「私も内職とかやってみたいんですけどね~」
俺「? やればいいじゃん」
真琴「もしやったら、私だと授業そっちのけでやると思うんですよ」
俺「あー……」
真琴「それに、もし内職中に先生が席に近づいたり指名されたりしたらすっごく慌てて大惨事になりそうで……」
俺「やらない方がよさそうだ」
真琴「ですよね~」
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「特に予定もなかったから図書室にでも行こうかと」
真琴「図書室? 珍しいですね」
俺「ほんの気まぐれだよ。 ちょうど今の季節は秋、のんびり珈琲でも飲みながら読書の秋を満喫してみようかなって」
俺「誰かに喋ってからやるなんて益々『本を読む俺』に酔ってる感じもするけど、たまにはいいか」
真琴「きっかけは何であれ、良いんじゃないでしょうか?」
俺「ありがとう」
真琴「どういたしまして!」
真琴「で、先輩は何か読む本を決めてるんですか?」
俺「本棚を練り歩きながら決めるか、はたまた委員の推薦本にするか、どうしようか考えてる」
真琴「……先輩って、本を読む人なんですか?」
俺「どうだろう? 活字に抵抗はない方だと思うけど、自信を持って読みます!とは言えないかな?」
真琴「じゃあ、最近読んだ小説のタイトルはなんですか?」
俺「……芥川龍之介の『羅生門』、夏目漱石の『夢十夜』……」
真琴「……」
俺「それから……太宰治の『富嶽百景』とか」
真琴「ものの見事に国語の教科書にあるやつですね」
俺「授業以外で教科書見るなんてあり得ないけど、授業中なら対して興味がなくても読んでしまう不思議」
真琴「分かる気がします」
俺「あ、それと池井戸潤の『オレたちバブル入行組』」
真琴「ドラマからですか?」
俺「ドラマから」
真琴「あれ、凄く人気でしたもんね~」
真琴「私はやっぱり食欲の秋ですね~」
俺「だろうとは思ってた」
俺「今の時期、お菓子は期間限定ものが出回るし、ファミレスだとフェアとかで客を呼び込もうと凄いしな」
真琴「そうなんですよ、もう食べたいものがいっぱいあって!」
真琴「皆で情報を持ちあってチェックしてるんですよ! 市内のコンビニ、ファミレスの情報は網羅してるんじゃないでしょうか?」
俺「女子のお菓子やスイーツにかける情熱は凄いな、男の俺には心底理解出来ない世界だ」
真琴「男子はカロリーとか体型とか気にしなさすぎなんです!」
真琴「限られたお小遣いと食べていい上限、その制限の中で如何に美味しいものを食べられるか!」
真琴「この時期、女子にとってお菓子・スイーツは戦争と同義なんです!」
真琴「……」
俺「……」
真琴「なんか、読書と食欲の話題で盛り上がっちゃいましたね?」
俺「そうだな」
真琴「ちなみに先輩、芸術なんかは?」
俺「フェルメールのこの作品は緻密で濃密な描写とあっさりとした描写の対比に特徴がーとか言われて、理解出来るか?」
真琴「フェルメールさんの名前は聞いた覚えがあるんですが、作品が浮かんできません……」
真琴「見たら、見たことある!ってなると思うんですけど」
俺「そんなもんだよな?」
真琴「そんなもんですよね?」
真琴「先輩は朝食はご飯派ですか?パン派ですか?」
俺「パンかな?」
俺「パンパンパンパンパンなしなし、みたいな」
真琴「はい?」
俺「ほら、月曜パン、火曜もパン、水曜もパンみたいな」
真琴「あぁ……」
俺「わかってくれた?」
真琴「先輩がパン派だっていうことはわかりましたけど、最後のなしなしっていうのはなんですか?」
俺「土曜抜き、日曜抜き。 もしくは朝昼兼用みたいな感じ?」
真琴「先輩……」
俺「休日はな~、なかなか起きられないんだよな」
真琴「先輩ってそんなにパン好きでしたっけ?」
俺「結構食べる機会は多いかな」
真琴「なんでまた?」
俺「ほら、料理部の一年にさ……」
???「あっいた! 先輩!」
真琴「?」
俺「ほら、来た」
果歩「先輩、柊さんも! また新作を作ってみたので是非食べてみてください」
俺「よ、三科。 今日もいつも通り感想を?」
果歩「はい、皆さんに食べて頂いて感想をもらってるので先輩もよろしかったら」
真琴「私も良いんですか?」
果歩「柊さん、お菓子作りが趣味でしたよね? 何か改良点とか気づいたことがあったら是非教えてください!」
真琴「わ、わかりました!」
俺「……」モグモグ
真琴「……」モグモグ
俺「……」ウマー
真琴「……」ウマー
果歩「それじゃ私、頂いた感想をまとめますので~」
俺「毎日あのモチベは凄いなぁ」
真琴「毎日ですか? 凄いですね~」
俺「とても真似出来ないわ。 俺の中でパン好きのイメージは三科だからさ、とてもじゃないけど自分がパン好きとは思えなくてな」
真琴「そうですね~。 ……ん? でもそれじゃ先輩はどうして毎朝パンを?」
俺「買い物に行った時にスーパーの中のパン屋のおっちゃんがちょっと安く売ってくれるんだ」
俺「ほら、バイト先のパン屋の」
真琴「あのパン屋さんのおじさんですか?」
俺「家計的にも助かるし、朝は時間ギリギリまで寝てることがほとんどだからさ。 手軽に食べられる菓子パンとか、本当に助かってるよ」
真琴「なんか、贔屓のパン屋さんがあるっていいですね~」
俺「ん? なんなら今度帰りとかバイトの時に一緒に行く? 買い物ついでで悪いけどさ」
真琴「!? せせせ、先輩!? それってまるで新婚さんの買い物風景みたいというか、なんというか……」ゴニョゴニョ
俺「?」
真琴「なんでもありません! でも、パン屋さんは今度是非ご一緒させてください」
俺「はいよ」
真琴「~♪」
真琴「先輩? 今日も珈琲ですか?」
俺「……この無糖という漢字のフォルムをみよ。 砂糖一粒たりとも入っていない、カロリーを一切排し、ミルクなども許さないその純粋な黒さ」
俺「あぁ、たまらない」ゴクッ
真琴「……」
真琴「先輩?」
俺「うん?」
真琴「私も、珈琲一口頂いてもいいですか?」
俺「これ、ブラックだけどいいの?」
真琴「はい! 私もブラックコーヒーが飲めるようになりたいんです!」
真琴「先輩と一緒に飲みたいんです!」
俺「……」
真琴「先輩?」
俺「あぁ、いや、なんでもないよ。 気にしないならいいか」
真琴「?」
真琴「では!」
俺「どうぞ」
真琴「……」コクッ
俺「どう?」
真琴「……」フルフル
俺「………そんな涙目で首を振るな、いたたまれなくなる」
真琴「……うぇぇ、苦いです。 とんでもなく苦いです」
俺「キリマンジャロのストレートの缶コーヒーだからなぁ。 この酸味は慣れてなかったらキツイだろうな」
真琴「先輩はよくこれ飲めますね。 信じられません!」
俺「慣れたらこれが美味しく感じるって」
真琴「本当ですか~?」
俺「だから飲んでるの。 ほら、缶返して?」
真琴「はい、ありがとうござ……」スッ
俺「?」
真琴「…………///」ボンッ
俺「……おーい、缶を返してくれ?」
真琴「…………す」
俺「?」
真琴「駄目です、私、飲んじゃいましたもん!!」
俺「飲んだな」
真琴「先輩は気にしないんですか? 先輩の後に私が飲んじゃったのに!!」
俺「そりゃ多少は小っ恥ずかしいけどさ、そこまで過剰に反応しなくても……」
真琴「駄目です、駄目じゃないけどやっぱり駄目です」
真琴「こんなことでカウントはしません! ちょっと惜しい気もしますがこれは私が飲みます!」グイッ
俺「あっ」
真琴「……」ゴクッゴクッゴクッゴクッ
真琴「うぇぇぇ」
俺「……まだかなり残ってたのによく飲み切れたな」
真琴「が、頑張りましたから」
俺「お疲れ様」
真琴「はい……? はっ、私また間接……///」
俺「珈琲飲む飲まないからどうしてこうなった……」
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「バイトのシフトの確認」
真琴「今月はどこでやるんですか? コンビニですか?」
俺「コンビニは先月、今月は引越し業者と迷ったけどスーパーにしておいた。 ほら」
真琴「今月は結構入ってますね~」
俺「先月色々と使ったからさ、今月はその分多めに」
真琴「多めって、何に使ったんですか?」
俺「漫画だったり買い食いだったり、思ってたより使ってたみたいでビックリした」
真琴「使ってる時はあまり気にしませんからね、後からお財布を見てビックリするって、私も経験がありますよ~」
真琴「お金といえば先輩?」
俺「何?」
真琴「先輩はお会計が908円とかになるとどう払いますか?」
俺「どうって?」
真琴「ほら、端数を気にせず1,000円を払うのか。 それとも端数を気にして1,008円とかで払うのか」
俺「俺は端数を気にして払うかな~。 意外と1円玉が溜まってることがあるから全部それで端数を払ったり」
真琴「やっぱりそういう人、多いですね~」
俺「前ほど5円玉に需要を感じなくなったあたり、8%になったんだなーって実感したよ」
真琴「先輩、昨日バイトでした?」
俺「よく分かったな。 あれ? 昨日来てたっけ?」
真琴「お母さんがお醤油を買い忘れてたので私が夕方買いに行ったんですよ。 先輩は見かけませんでしたよ」
俺「ん? じゃあなんで俺がシフト入ってたって分かったの?」
真琴「なんとなくですよ、なんとなく。 乙女のカンというやつです!」
俺「なんじゃそりゃ」
真琴「意外と馬鹿にできないんですからね~?」
真琴(先輩の陳列の仕方は変にキチッとしてるから見てたら直ぐに分かるんでけど、本人に自覚はないみたいだし言わなくてもいっか!)
俺「何? なんか面白いことでもあった?」
真琴「なんでもありませ~ん」
俺「?」
真琴「せんぱ……あ、間違えちゃった。 え~、先輩っ、今何処に居ますか?っと」
真琴「出来た! 送信!」
真琴「先輩、何処に居るのかな? 屋上に居ると思ってt……先輩だ!」ブーブー
真琴「映画研究会の部室?」
………
……
…
真琴「先輩~、来ましたよ~」コンコン
燈「どうぞー、空いてますので勝手に入っちゃってくださいー」
真琴「? 失礼します」ガラッ
俺「おう、来たかー」
スクリーン<ローレンス...ナニヲヤッテルンダ!?
俺「甘利? 俺ずっと疑問に思ってたんだけどさ、糸鋸で足首切断って出来るもんかね?」
燈「そこはほら、この人が家族を想って……あぁ、血だぁ」
俺「良いこと言ってたのに台無しだよ」
スクリーン<シンデクレアダム...カゾクノタメニ!
真琴「」
燈「柊さん?」
真琴「」バタリコ
俺「気絶した!?」
真琴「ということは、先輩は映画研究会の部室をお借りして」
俺「はい」
真琴「オカルト研究会の甘利さんと一緒に映画を見ていたと、そういうわけですか?」
俺「いやー、甘利が見たことないって言うもんだからさ」
燈「低予算でここまでやるとはなかなかですー。 お腹から出てきた腸はどう見ても動物のものみたいでしたが」
真琴「学校でなんて映画を見てるんですかー!」
俺「いやいやいやいや、あれは15禁指定作品だし!」
燈「あれはなんの腸だったんだろう? 豚かな? 牛かな?」
真琴「学校で視聴制限がかかるような映画をー」
燈「中華街とかなら買えるのかな。 とするとあの血は鶏かなにかのー」
俺「桐山、助けてくれ」
優月「部室をお貸ししたんですから自分で切り抜けてください!」
俺「酷い目にあった」
優月「自業自得です」
真琴「そうです、反省してください!」
俺「理不尽だ」
燈「先輩?」
俺「んぁ?」
燈「あの映画の続きって、先輩持ってますか?」
俺「ああ、ファイナルまでで全七作。 全部持ってるけど?」
燈「貸してもらえますか?」
俺「あいよ、明日持ってくる。 Blu-rayとDVD、どっちが良い?」
燈「もちろんBlu-rayで! ああ、画面いっぱいに血肉が♪」
真琴「む……」
真琴「先輩!」
俺「ん?」
真琴「その映画、私も貸してもらえますか?」
俺「別に構わないけど、だいぶ厳しいと思うよ?」
真琴「どうしてですか?」
優月「その映画、作品が進行すればするほど仕掛けが大掛かりに、グロテスクになるって有名でしたもんね」
俺「桐山も見たことあるの?」
優月「SFばかり見てても噂が聞こえてくるほどの映画ですもん」
俺「後半は特にそんな感じだったからなぁ」
燈「先輩! 具体的には何処の部位がー」
真琴「むむ……」
真琴「………」
俺「いい加減機嫌直してくれてもいいんじゃない?」
真琴「………私別に怒ってません」
俺「あれはちょっと表現が厳しいやつだっただけだって」
真琴「そっちじゃありません」
俺「そっちって……やっぱり怒ってるんj」
真琴「怒ってません」
俺「………はぁ」
真琴「………」ツーン
…………
………
…
俺「ほい」
真琴「? カフェオレ?」
俺「寒い時に冷たいの~って思うなら帰ってからどうぞ」
真琴「………ありがとうございます。 先輩は何を?」
俺「ブラック、キリマン、ストレート」
真琴「またそれですか、本当に好きですね」
俺「これがないと生きていけない」グビッ
真琴「そんな大袈裟な」
俺「……」
真琴「……」コクッ
真琴「美味しい……」
俺「そうかい」
真琴「………あの、先輩?」
俺「何さ?」
真琴「今度、私とも映画、見てくれませんか?」
俺「俺と?」
真琴「はい………出来ることなら二人で。 先輩の好きな映画を、一緒に」
俺「……ならさ」
真琴「はい」
俺「今度の休み、映画を見に行かない? ちょうど気になるやつが始まるんだ」
真琴「映画館にですか?」
俺「そう、一緒に。 ああ、大丈夫。 グロくないから」
真琴「そんなこと気にしてませんよぅ!」
俺「ははっ。 いや、そういうのじゃないよって言っとかないと不安かと思ってさ」
真琴「もう。 ………あの、ありがとうございます。 それじゃ、今度のお休みに映画館。 ………約束ですよ?」
俺「ああ、約束だ」
真琴「~♪」コクッ
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
また何処かでお会い出来たなら、その時はよろしくお願いします。
それでは、依頼を出してきます。
次があるようならまた読むよ
また懲りずに立てると思いますので、お見かけしたらよろしくお願いします。
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1415391632/
Entry ⇒ 2014.11.16 | Category ⇒ ガールフレンド(仮) | Comments (0)
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
誤字脱字、キャラに違和感等あると思います。
俺の真琴はこんな子じゃない、台詞が気持ち悪い等の考えに至りましたらブラウザバックを推奨します。
基本ゆっくりひっそりと進行します。
それでは、よろしくお願いします。
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「別に? ただぼーっと雲を見てた」
真琴「雲を?」
俺「そう。 あー、あれは犬だなー。 あっちはわたあめかなーって」
真琴「私も隣でお供してもいいですか?」
俺「どうぞー」
真琴「……」
俺「……」
真琴「……」ボー
俺「……」ボー
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「ちょっと考え事を」
真琴「何か悩みでもあるんですか?」
俺「いやいや、そんな大したことじゃないよ」
真琴「私で良かったら相談に乗りますよ?」
俺「本当に悩みでもなんでもない考え事だよ?」
真琴「人に話すと整理出来るって言いますし、遠慮しないでどうぞ!」
俺「別に隠すことでもないからいいんだけどさ。あのさ……」
真琴「はい」
俺「数Bの数列って大人になって必要な知識かな?」
真琴「……はい?」
俺「数学的帰納法とかさ、現実の世界で必要とされるときってテストと受験以外でどんな時よって考えてた」
真琴「何でしたっけ?数学的……」
俺「帰納法」
真琴「帰納法とかはよく解りませんが、テストと受験を禁止されたら他にそれを使う場面はあまり想像出来ませんねー」
俺「そう思うよな? 受験ぐらいでしか使わない知識だよなー」
真琴「……そういえば私の周りでも数学が解らないって友達、多いんですよ?」
俺「数学は苦手意識を持つと授業も嫌になるからな」
真琴「そうなんですよー、私も授業についていくのが大変で……そうだ!」
真琴「先輩! 今度数学の解らない所教えてください!」
俺「無理」
真琴「何でですかー?」
俺「俺、数学大っ嫌いなんだわ」
真琴「えっそうなんですか? 勉強、出来るイメージだったんですけど」
俺「本当に嫌いなんだよ。 なんだよ、sinθにcosθにtanθって」
真琴「嫌いとまではいきませんが、私は体育の授業が……」
俺「運動苦手だっけ?」
真琴「運動がというよりは……ほら、私ってドジですから」
真琴「どうしたら体育、もっと好きになれるんでしょうか?」
俺「別に無理して好きにならなくてもいいんじゃない?」
真琴「え?」
俺「ドジをしないように、好きになれるようにって気負ってたらどんどん深みにはまっていくと思うけど」
真琴「……」
俺「何事もほどほどに、今は出来る限りでいいんだって」
真琴「先輩……」
俺「……かっこよく決まった?」
真琴「……そういうのは口に出さない方が良いと思います」
真琴「でも、運動が苦手だとか言ってられないじゃないですか」
俺「ん? なんで?」
真琴「だって料理コンテストも終わっちゃいましたし、そろそろまた変な人が出るじゃないですか」
真琴「ほら、今も『俺様の女になりたいのは~』って天狗のお面をつけた人が出てるって」
俺「……もうそんな時期だっけ?」
真琴「そうですよー、いつも逃げてもすぐ捕まっちゃって、先輩にご迷惑をお掛けして……」
俺「いやいや、迷惑じゃないよ。 またすぐ助けに行くから」
真琴「……先輩、ありがとうございます!」
俺「そっかー、もうそんな時期かー」
俺「……昨日まで料理コンテストで調味料配り歩いてなかったっけ?」
俺「……スパンが短すぎるんだよな」
俺「こんどはハロウィン仕様かと思ってたのに」
真琴「先輩?」
俺「いや、なんでもないよ」
俺「……超レア悪ランタンとかかと思ってたのに」
一応私はソシャゲはプレイしておりますがアニメはノータッチです。
また、現時点での柊真琴の名簿リストをコンプリートしている訳でもありません。
なので、間違った設定を使っていることがあるかもしれません。
そこについては申し訳ありませんがこのSSでのオリジナル設定ということにしてください。
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「喉乾いたから缶コーヒー飲んでる」
真琴「……無糖? 先輩はブラックコーヒーが飲めるんですね」
真琴「私にはまだ無理な大人の味ですっ」
俺「中学の頃に無理して飲んでたらいつの間にか慣れたよ」
真琴「……あっ! 先輩先輩、それって中二病ってやつですか?」
俺「」
真琴「……あれ? 私、何か変なこと言っちゃいました?」
俺「……その言葉、誰から聞いた?」
真琴「えーっと、さっき2年の掛井先輩と姫島先輩が話してたのが聞こえてきて」
真琴「中二病だとか邪王真眼がどーだとか」
俺「」
真琴「あっ、あとダークフレイm」
俺「分かった、もういい。 その言葉はなるべく気にしない方向で。 出来ることなら忘れてしまえ」
真琴「……? はい、先輩がそう言うなら」
俺「……あいつらにゃ暫くゲームは貸さんしBLネタも無視だ」
俺「そうだ、強引にハイキングにでも連れて行こう」
俺「運動不足だろうし、そこらの山でも登ろうそうしよう」
真琴「そういえば私、さっき缶ジュースを貰ったんですよ」
俺「……ドクターペッパー」
真琴「私が掛井先輩たちのそばを通るときに呼び止められて」
真琴「『うるさくしてしまい申し訳ないです、ところで先ほどの我々の会話内容、理解できてしまいましたか?』って」
俺「それで?」
真琴「よく解りませんでしたって言ったら、『そうですか!わざわざお呼び止めして申し訳ない。これはお詫びにどうぞ』って」
俺「で、ドクターペッパー?」
真琴「姫島先輩はルートビアっていうのを推してたんですがそっちはまだ冷えてないとかで」
俺「……ルートビア」
真琴「薬とサロンパスどっちが好きですかとも聞かれたんですが、あれはどういう意味だったんでしょうか?」
真琴「……謎です」
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「この前ここでぼーっとしてたら約束の時間過ぎててさ」
俺「慌てて走って行ったから疲れたし、相手は『遅いー待ちくたびれたー寄生させろー』だとか言って絡んでくるし」
真琴「それで携帯のアラームを?」
俺「この後少し予定があるからさ、時間を忘れてぼーっとしないように」
真琴「その時間までお供しても良いですか?」
俺「別に構わんけど、退屈じゃない?」
真琴「私は先輩とご一緒出来るならそれだけで楽しいんです!」
俺「それなら別に良いんだけど、まぁ、どうぞご自由に」
真琴「はい! ご自由にしちゃいます!」
真琴「……」
俺「……」
真琴「……せんぱ~い?」
俺「ん~?」
真琴「アラームと言えばですね~、スヌーズ機能ってあるじゃないですか~」
俺「ん~」
真琴「私いっつも朝起きる時にスヌーズもセットしてるんですけど全部止めて寝ちゃうんですよ~」
俺「ん」
真琴「わざわざ解除までして寝てる時もあるんですよ~、そこまでするならもう起きちゃえばいいのにって思うんですけどね~」
俺「ん~」
真琴「先輩はどうですか~、スヌーズ無しでも起きられますか~?」
俺「ん」
真琴「そうなんですか~、先輩はやっぱり凄いですね~」
俺「ん~?」
真琴「……」
俺「……」
真琴「……」フ...ファ...
俺「眠い?」
真琴「はい~、秋でも意外と眠くなるもんですね~」
俺「眠いと言えばさ」
真琴「はい?」
俺「寝る時の体勢で仰向けとかうつ伏せとかあるじゃん?」
真琴「ありますね」
俺「どんな感じで寝てる?」
真琴「私は普通に仰向けで寝てます、特に寝相が悪いとかいう話は聞いたことがないですね」
俺「そっか」
真琴「先輩はどうなんですか?」
俺「身体を横にして、下になった腕はL字に」
真琴「はい」
俺「んで、足もこれまた下になった方を若干曲げて反対は後方に伸ばす」
真琴「なんだかジャンプしてるみたいですね!」
俺「……それ姫島にも言われた」
真琴「え?」
俺「『マリオジャンプじゃないか!』って爆笑された」
俺「なんなんだろうな、このやるせない気持ち」
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「ちょっと小腹が空いてさ、コンビニにでも行こうかと思って」
真琴「この近くでコンビニだったら……」
真琴「セブンがあっちにありましたよね?」
俺「セブイレが向こうにあったはず」
真琴「……」
俺「……」
真琴「セブイレ?」
俺「セブン?」
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「部屋を片付けてたらなくしたと思ってたゲームが出てきてさ」
真琴「あ~FFですか、私そのシリーズやったことないんですよ~」
俺「……」
真琴「先輩? どうかしました? 手が止まってますけど」
俺「そっかー、そっち派かー」
俺「何? ファイファン派って俺だけ?」
真琴「?」
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「少し小腹が空いてさ、何か食べようかと考えてた」
真琴「私もご一緒しても良いですか?」
俺「構わないよ」
真琴「ありがとうございます!」
真琴「もうどこに行くかは決めたんですか?」
俺「特には決めてないなー」
真琴「でしたらマックはどうですか? 新作バーガーに興味があるんですけど」
俺「……」
真琴「先輩?」
俺「あぁ、ごめんごめん。 良いよ、行こうか」
真琴「はい!」
俺(そっか、こっちはマックって言うんだっけ)
俺(そっか、マクドって言わないのか……)
真琴「~♪」
真琴「~♪」
俺「……美味そうに飲むなぁ」
真琴「はい! 私、マックの炭酸好きなんですよ」
真琴「元から薄いのに氷で更に薄くなってて」
俺「……普通のコーラとかは?」
真琴「嫌いではないんですけど、炭酸がキツくて」
真琴「チビチビとしか飲めないんですよ」
真琴「むせちゃう時もありますし」
真琴「新作バーガー、普通ですね~」
俺「そうか? 俺は意外と好きだな。 当たりだわ」
真琴「そうですか? あ、だからって毎日こういうのばかり食べてちゃダメですよ?」
真琴「身体にも悪いですし、太っちゃいますよ」
俺「別に大丈夫だって、俺は食っても太らない体質みたいだし」
真琴「」
俺「……え?」
真琴「」
俺「……え、何? 俺なんか地雷踏んだ?」
真琴「先輩は一人暮らしでしたっけ?」
俺「悠々自適な一人暮らしですが?」
真琴「もしかして、ジャンクフードとかコンビニ弁当ばかり食べてるなんてことないですよね?」
俺「……」
真琴「先輩?」
俺「だって楽だし」
真琴「そういう食生活だと栄養バランスが偏っちゃいますよ?」
俺「そうは言ってもな~」
真琴「でしたら今度私が作ってきましょうか?」
真琴「お弁当を作るなら、一人分でも二人分でも対して違いはないですし!」
真琴「ほらっ、ねっ?」
俺「おっ、おぅ。 じゃあ機会があったら頼むよ」
真琴「はい!」
真琴「先輩っ、何してるんですか?」
俺「……メールのやり取りだけど?」
真琴「メールですか。……あっ! 先輩先輩っ、携帯と言えばですよ!」
俺「……何? そのテンション?」
真琴「私ついに携帯をスマホにしたんですよ!」
俺「おー、そっか」
真琴「これで私もLINEとかゲームとかが出来ます!」
俺「そういう面はガラケーじゃ確かに難しいわな」
真琴「ですっ!」
俺「……」
真琴「でも……」
俺「何さ?」
真琴「バッテリーの減りが早いんですよ、ガラケーと同じくらいだと思ってましたよぉ」
俺「バッテリー残量のパーセンテージ程あてにならないものはないからな、機内モードをうまく使え」
真琴「……機内?」
俺「で? 実際に使ってみた感想はどんな感じ?」
真琴「まだ慣れてませんね~」
俺「でもやっぱりガラケーとは違う?」
真琴「そうですね、写真も大きく綺麗に撮れますし……」
真琴「アプリとか色々ありますし……」
真琴「確かにバッテリーの減りは早いですけど、それでも前の携帯とは全く違いますね~」
俺「じゃあ慣れないといけないなって思うことは?」
真琴「文字入力の時とかですかね……指を……シュッシュッって……」
俺「……フリック?」
真琴「たぶんそれです。 今までずっとボタンを押して文字入力してたので、ダメダメです」
真琴「この前もフリッ……ク? を練習していたんですけど、全然思い通りの文字が打てなくて」
真琴「慌てて文字を消そうとしたら何故か文章全部が選択されてたみたいで」
真琴「ちゃんと打ててた部分も消えちゃったことがありました」
俺「……ドジ?」
真琴「ドッ!? ドジじゃないです! ちょっと慌てちゃっただけです!」
真琴「……スマホを落としてもないですし、蹴っ飛ばしちゃったりもしてないですし」
真琴「それに、まだこのスマホはなくしたことないですし!」
俺「いや、それは……」
俺「スマホは小さなパソコンとか言われてるけどさ」
真琴「そうなんですか?」
俺「そうなんです。 そうなんだけどさ」
真琴「はい」
俺「フリック入力は苦手みたいだけどさ、パソコンの方はどうなの?」
真琴「パソコン……ですか?」
俺「ほら、キーボード入力をするとき手元をいちいち見ないでも入力が出来ます!とか」
真琴「……」
俺「……」
真琴「逆に先輩に聞きますが、出来ると思いますか?」
俺「……なんかその、ごめん」
真琴「謝らないでくださいよぉ!」
俺「いや、本当にごめん、これは俺が悪かった!」
真琴「先輩っ、何をしてるんですか?」
俺「見ての通り、テストの後に出す課題を片してるんだけど?」
真琴「課題ですかぁ。 ……私もやらないと」
真琴「ご一緒しても良いですか?」
俺「そこ使えば良いよ。 ……数学?」
真琴「です。 問題集からたくさん出てます」
俺「あの先生、とにかく問題演習をってボコすか出すからなぁ」
真琴「そうなんですよ。 テスト問題は課題から似たようなのを出すとかだからやらないわけにはいかないですし」
真琴「でも一番の問題は……」
俺「解答集に途中式がない?」
真琴「そう、それです!」
真琴「皆言ってますよ、辛過ぎるって!」
真琴「解き方が解らない問題はどうしようもないって」
俺「友達の中に先輩とかから去年のノートもらったりしてる奴とかいないの?」
真琴「何人かいるみたいですね~」
真琴「どこから手に入れてのか、途中式ありの解答集を持ってる人もいましたよ」
俺「毎年なんだかんだでいるもんだなぁ。 テスト前とかそいつら英雄だろ?」
真琴「皆ノートを貸してもらったり解答集を貸してもらったりしてますね」
俺「何処かで見た光景」
真琴「やっぱり毎年そういうことになるんですね~」
俺「……」
真琴「……」
俺「早くやらないと」
真琴「そうですね」
俺「テスト前の徹夜で答え丸写しだけは避けたい」
俺「数学の課題で思い出したんだけどさ」
真琴「はい?」
俺「ノートの書き方ってどんな感じ?」
真琴「えっと……私のはこんな感じです」
俺「ノート1ページを四分割……」
真琴「はい。 一ページで問題四つ解答できるようにしてます」
俺「俺の時もこのやり方が主流だったなぁ」
俺「後は真ん中に線を引いて二分割とかもあったっけ」
真琴「それやってる人私の学年にもいますよ」
俺「ノートの書き方も案外変わらないもんだなぁ」
真琴「……」
俺「……」
真琴「無駄話に夢中になっちゃって課題が全然進んでません!」
俺「本気でテスト前夜の徹夜コースが見えてきたんだけど!」
真琴「これは本当にまずいです」
俺「とにかくここで片づけられる分はやっておかないと……」
………
……
…
未涼(ちゃんと小声で話してるから注意し辛いけど……)
文緒(視界の隅っこで小声で話されるとそれはそれで気になっちゃいます……)
俺「九月から始まった二学期ももう終わりか」
真琴「早いものですね~」
俺「冬休みとは言っても気が付けばすぐに三学期で進級ってなるんだろうなぁ」
真琴「進級したら私は一年ですね」
俺「俺は二年か」
真琴「……」
俺「……」
真琴「先輩、今年って2014年でしたよね?」
俺「そうだな」
真琴「来年って何年でしたっけ?」
俺「そりゃ……2014年だろうさ」
真琴「先輩っ、何をしてるんですか?」
俺「風邪をひいたって休んでる友達から暇だってメールが着てたから相手を」
真琴「最近急に寒くなりましたもんね。 あっ、先輩先輩!」
俺「何さ?」
真琴「貴方の風邪はどこから?」
俺「……はい?」
真琴「貴方の、風邪は、どこから?」
俺「……あー、俺は喉から」
真琴「それなら……先輩、喉からなら何色のベンザでしたっけ?」
俺「分からないならネタ振りなんてするなよ」
俺「喉の痛みといえば」
真琴「はい?」
俺「いや、いつも風邪をひいた時は喉が痛くなるもんだからさ」
真琴「はい」
俺「よくのど飴を買ってくるのよ。 ほら、あのカリンエキス配合って書いてるやつ」
真琴「……ああ、あれですか!」
俺「何でかよく分からないけど、のど飴はいっつもあれなんだよな」
俺「何でだろ?」
真琴「先輩っ、何をしてるんですか?」
俺「携帯で台風の予想進路を見てた」
真琴「え? また台風が来るんですか?」
俺「今回のはちょっと日本の南側を通過するみたい」
俺「西日本とかは直撃しないみたいだけど、小笠原諸島とかはあぶないみたいね」
真琴「今年は台風、多いですねぇ」
俺「全国の高校生までは台風の予想進路と速度に一喜一憂するだけで住むけど、農家の人やリーマンの方々はそうも言ってられないからな」
真琴「そういえば、台風の時って大学とかはどうなるんでしょうか? 高校とかと同じで休みになるんでしょうか?」
俺「各大学毎に決まりがあるって誰かが言ってるのを聞いた気がする」
真琴「へぇ、そうなんですか~」
俺「知り合いの大学生は台風とかで警報が出ても大雨警報とかだったら普通に講義があるって言ってた」
真琴「警報が出てるのに休みにならないんですねぇ」
俺「講義が休講になるか否かも何時まで暴風警報が発令されていた場合は二限まで休講、見たいな感じになるんだってよ」
俺「それにしてもさ」
真琴「何ですか?」
俺「この台風の予想進路の時にでる円ってさ」
真琴「はい」
俺「先に進むにつれてどんどん大きくなってるよな」
真琴「それはそういうものなんじゃないんですか?」
俺「それはそうなんだけどさ、ある程度この辺りを進む可能性が高いですよみたいな配慮があってもいい気がするんだよなぁ」
俺「小さいころとか、予報円の中に自分の住む地域が入ってたのに台風が逸れて、なんか裏切られた気がしてたよ」
真琴「それは……」
真琴「先輩っ、何をしてるんですか?」
俺「特に何も」
真琴「ボーっとしてるだけですか?」
俺「テストも終わったし、特にすることもないし」
真琴「そうなんですか」
俺「そう」
真琴「……」
俺「……」
真琴「先輩って……」
俺「ん?」
真琴「先輩って腕を組んだとき右が上に来るんですね」
俺「ん~? ああ、特に意識したことないから分からないけど、そうなんじゃない?」
真琴「私は左が上に来ます!」
俺「ふ~ん」
真琴「……」
俺「……」
真琴「……」
俺「……」
真琴「……」
俺「そういえばさぁ」
真琴「はい?」
俺「腕を組んだときは左が上に来るみたいだけど、足を組んだときはどっちが上に来る?」
真琴「足ですか? う~ん、私は右ですかね?」
俺「あ~、俺は左だわ」
真琴「腕と足、私たち見事に逆が上に来るんですね」
俺「そうみたいだねぇ」
真琴「はい」
俺「……」
真琴「……」
俺「……特にすることもないし、今日は帰ろうか?」
真琴「そうですね、帰りましょう!」
アクセスしていただいた方、読んでくださった皆様、ありがとうございました。
またお目にかかる機会がありましたら、その時はよろしくお願いいたします。
それでは、依頼を出してきます。
真琴SSとか俺得すぎるからもっと書くんだよあくしろよ
乙ありがとうございます。
今回は目標としていた分に到達したので完結としましたが、書いたけど投下しなかった分もあるのでまた書き溜めてスレ立てするかもしれません。
その時はよろしくお願いします。
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1414788967/
Entry ⇒ 2014.11.15 | Category ⇒ ガールフレンド(仮) | Comments (0)
クロエ「タケシー、煎餅おかわりー」俺「まだ食うの?太るぞ
?俺の部屋?
俺「もうすっかり秋だなぁ」
クロエ「デスネ~」
折り折り、折り折り
俺「なんか秋っぽいもの食いたいな」
クロエ「秋っぽいモノ…銀杏とか」
俺「おー。渋いとこいったなー」
クロエ「美味しいデスヨ?銀杏」
俺「いや、なんかマズそうだからいい」
クロエ「えー…美味しいノニ…」
折り折り…
クロエ「じゃあサンマとかどデスカ?」
俺「サンマって秋が旬なのか?」
クロエ「秋刀魚、というからには秋だと思いマス」
俺「秋刀魚…あ、なるほど」
俺「じゃあサンマにしようか」
クロエ「じゃあ、後で買いに行きましょうネ」
折り折り、折り折り
俺「うむ」
折り折り
俺「………」
俺「なぁ」
クロエ「ハイ?」
俺「クロエはさっきから何をやってるの?」
クロエ「えっ。見ての通りデスヨ」
クロエ「折り鶴作ってるデス」
ぐちゃ?…
俺「これが、鶴…」
鶴(?)『ぐちゃー…』
俺「鶴というか、鶴だった物というか…。
これが鶴なら、ある意味ちょっとしたショッキング映像だな」
クロエ「タケシ、折り鶴作れマスカ?」
俺「できるぞ。どれ貸してみろ」
クロエ「どぞどぞ」
……
…
俺「ほれ」
クロエ「………」
俺「どうした?」
クロエ「下からなんか生えてるんデスケド…」
俺「脚、生やしてみた」
クロエ「きもちわるっ!」
俺「二足歩行型のツルだ。
そして、こうすると…」
スタッ!
クロエ「立った!」
俺「かっこよくね?」
クロエ「不気味すぎマスヨ!」
普通の折り鶴の作り方も教えてホシーデス!」
俺「いいぞ。じゃあもう一枚紙取ってくれ」
クロエ「ありがとデス、タケシ!何色がイイですか?
俺「金色」
クロエ「金色……」
ガサゴソ、ガサゴソ
クロエ「ハイ、どぞデス」
俺「おう。ありが…っ、
って、これ金色じゃなくてただの黄色なんだけど」
クロエ「それではタケシ~、折り鶴作り始めまショ~」
クロエ、普通の鶴作りたいデス。
普通の折り鶴の作り方も教えてホシーデス!
いいぞ。じゃあもう一枚紙取ってくれ
クロエ「ありがとデス、タケシ!何色がイイですか?
金色
クロエ「金色…
ガサゴソ、ガサゴソ
クロエ「ハイ、どぞデス
おう。ありが…っ、
って、これ金色じゃなくて黄色なんだけど
クロエ「それではタケシ。折り鶴作り始めまショ~
俺「おい話聞け。色間違えてるぞ。金をよこせ金を」
クロエ「最初は四角に折るでしたヨネ?」
折り折り
俺「まるで話を聞いていな…は?いや待て!最初は三角だ!」
クロエ「了解デース。その次は四角に折るでしたネ」
俺「違う!つーかそっからどうやって四角に折るんだ。
ちょっと待て。一緒に折ろう」
クロエ「ハーイ」
俺「あと、金色の折り紙よこせ」
クロエ「………」
俺「おい無視すんな」
……
…
俺「っと…こんなかんじだな」
鶴(キリッ!)
クロエ「オー!鶴できマシター!」
俺「結構綺麗に仕上がったなー」
クロエ「ぐしゃーってなってナイ!ちゃんと綺麗!
生まれて初めて折り鶴一人で完成させマシタ!」
俺(ふふ、喜んでる喜んでる)
クロエ「えへへ、写メっとこー」パシャッ、パシャ
俺「でもまだ完成じゃないぞ」
クロエ「えっ。そうナンデスカ?」
俺「最後の仕上げに、
ここをこうして、こうしたら…」
折り鶴(スタッ!)
俺「完成だ」
クロエ「ま、また立ってるーッ!
俺「今度のは四足歩行だぜ!」
クロエ「………」
俺「見た目どっちかというと鶴というより犬だな」
俺「折り鶴ならぬ折り犬」
クロエ「………」
クロエ「でもよく見ると
これはこれで可愛いデスネ」
俺「あらそう?」
パシャッ、パシャ ←シャッター音
四足鶴(キリッ)
俺(二匹並べると余計鶴に見えないなこいつら)
クロエ「この鶴たち…」
俺「ん?」
四足鶴(キリッ!)
二足鶴(キリッ!)
クロエ「こうして並んでると仲の良いカップルみたいデス!」
俺「………」
四足鶴(キリッ///)
二足鶴(キリッ///)
俺「いや…流石にそれは無理あるだろ」
クロエ「えー、そんなコトないデスヨ」
二足鶴(キリッ)
クロエ「だんだん可愛く見えてきマシタ」
クロエ「ふふっ」
ツンツン
クロエ「にそくづる~」
二足鶴(キリッ///)
俺「………」
俺「まぁいいけど」
俺「そうなると、異種族同士の恋愛ってやつになるな。
同人誌的には激アツな展開」
クロエ「ナニ言ってるですかタケシ」
俺「?」
クロエ「この子たち異種族ちがうデス。
どっちも同じ鶴デスヨ?」
俺「脚の数が違うのにか?」
クロエ「見た目はちがくても鶴は鶴デス」
クロエ「脚の数なんて関係ナイデスヨ」
俺「そうかなぁ」
クロエ「そうデスヨ」
クロエ「もちろん作りマス!」
俺「クロエは他に作りたいものなんかある?」
クロエ「そデスネ。強いて言えバー」
俺「うん」
クロエ「折り鶴」
俺「…さっき作ったじゃないのよ」
クロエ「折り鶴、997匹作りたいデス「」
俺「多いな」
クロエ「ハイ。だから大変デース」
折り折り
折り折り
俺「………」
俺「えっ。ほんとに作るの??」
クロエ「作りますよ?」
俺「それは…どれくらいガチのやつ?」
ドスン←紙の束
クロエ「これくらいガチなやつデス!」
俺「Oh…」
クロエ、千羽鶴つくりたいデスヨ」
俺「…身内に入院してる人でもいるのか?」
クロエ「?いないデスケド」
俺「そうか」
クロエ「フランスのワタシの両親におくるデス」
俺「ふむ…。いいかもな
千羽鶴は見た目も派手で受けが良さそう」
クロエ「まぁ、それもあるデスケドネ」
俺「他にもなんかあるの?」
クロエ「お父サンお母サン、
ワタシが、ニポンで上手くやってるかすごく心配してるみたいデ、」
俺「うん」
クロエ「だから、千羽鶴おくるのデス!」
俺「??千羽鶴でその不安を解消できるのか?」
クロエ「できますヨ?」
俺「ふーん…?まぁいいけど」
ガバッ!
クロエ「残り997匹!がんばるデス!」(フンスカ
俺「完成するかどうかかなり怪しいラインだか…
とにかく、やってみないことには始まらんか。
よし、頑張ろうぜ」
クロエ「……タケシ、手伝ってくれるデスカ?」
俺「え。そのつもりじゃなかったの?」
クロエ「まぁ、そのつもりデシタケド」
俺「ならいいじゃん。時間が惜しいし早くやろうぜ」
クロエ「………」
俺「俺の分の紙取ってくれ」
俺「あと、金色の折り紙、今度こそよろしく」
クロエ「タケシ」
俺「どうした」
クロエ「手伝ってくれて、ありがとデス」
俺「ん?まぁ、うむ。感謝しなさい。」
クロエ「タケシはやっぱりいい人デスネ」
俺「大袈裟だな。この流れなら誰だって手伝うよ」
クロエ「それでも、イイ人」
俺「そうすか」
ガサゴソ
クロエ「ハイ。折り紙どぞデス、タケシ」
俺「おう、ありがとう」
俺「………」
俺「おい!また金色入ってないんだけど!?」
クロエ「金色だけは譲れません。金髪の誇りにかけて…!」
俺「なにそのこだわり」
クロエ「明日送りマス」
俺「はやっ!無理ゲーにもほどがあるだろ!
寝ないで作るの手伝うほど俺は善人じゃないぞ!」
クロエ「ダイジョブダイジョブー。
クロエも1000作るのは諦めてるデス。」
クロエ「頑張ったけどダメでしたー
的なアピールができればそれでオッケーデス」
俺「なんてゆとりな発想…」
クロエ「最悪そこの二匹だけ送りマスから、
気負い過ぎず気楽にやりマショウ」
四足鶴(ビクッ!)
二足鶴(ビクッ!)
俺「二匹だけじゃ頑張ったアピールにならんだろ
せめて100匹は作りたいな」
クロエ「100匹?
あはは、タケシそれはムリですよ。ワタシ達2人だけなんデスから
俺「今から千羽鶴作ろうっていうのに、
たかが1000の10分の1でそれ言っちゃいかんだろ」
クロエ「よし、二作目完成~!」
俺「おー(パチパチ」
二足鶴(キリッ)
俺「………」
俺「やっぱり脚は生えるんだな」
クロエ「ワタシ、生えてるのしか作れませんし」
二足鶴(キリッ)
二足鶴(キリッ)
俺「こいつらが千匹か…。千羽鶴というよりも、
さながらスターウォーズの二足歩行型ドロイドの軍勢だな」
二足鶴(シュゴー…)
二足鶴(シュゴー…)
俺「鶴の顔もどことなくバトルドロイドに似てきた気がする」
クロエ「……なんだかさっきから不満を言いたげデスネ、タケシ」
俺「渡す相手は外国人だし、
やっぱりその辺気になっちゃうよね」
クロエ「だったら普通の鶴の作り方教えてくだサイヨ!
俺「無理。脚生えた鶴しか作れない」
クロエ「どんな人生送ったら
脚生えた鶴だけ作れるようになるデスカ…」
~始まりのGONG~
俺「………」
折り折り
クロエ「………」
折り折り
俺「………」
折り折り
俺「………」
折り折り
クロエ「………」
折り折り
俺「………」
折り折り
クロエ「………」
折り折り…ピタッ
クロエ「タケシ」
俺「どうした」
クロエ「やっぱり千羽鶴はやめまショウ。
もう無理デス」
俺「………」
俺「ま、まだ10分も経ってないですけど…」
ばたーん←床にばたーんする音
クロエ「折り鶴もー飽きマシター」
俺「さっきのさっきでこの体たらく…。」
クロエ「だってー」
俺「ついさっきまで、
イイ顔して俺にありがとうって言ってたクロエは
どこにいっちゃったんだよ。」
クロエ「あれクロエの生き霊。たまにはみ出マス
ワタシと違いマス」
俺「めちゃくちゃ言ってやがるし…」
ぐでーん
クロエ「タケシー、折り鶴もーいいデスヨー。
それより指相撲しまショー、指相撲ー
俺「指相撲してなんになるんだよ」
クロエ「あれデスヨあれ。
指先鍛えて折り鶴上手に折れるようナレマス」
俺「ならん」
俺「とりあえずさ」
ゴロン、ゴロン
クロエ「ハイー?」
俺「床転がるのだけはやめよ?だらしなさすぎる」
クロエ「これにはデスネー、」
クロエ「深い訳がデスネー…」
ゴロゴロー
クロエ「あるデスヨー」
ゴロン、ゴロン
俺「ウソつけ」
クロエ「ほんとにアリマスヨ?」
俺「なら言ってみろ」
クロエ「クロエのフランスのお家の中、いつも土足デシタ。
ダカラ、ニポンの裸足の文化とても新鮮」
ゴロゴロー
クロエ「クロエ、こうやって転がることで、
ニポンの文化を全身で体感してるデス。
これ、クロエにとっては文化交流。だらしないと違いマス」
俺「それっぽいことを言いよる」
俺「でもいいのか?」
クロエ「なにがデスか」
ゴロンゴロン
俺「俺の角度から見ると、
クロエのパンツ丸見えになっちゃってるぞ」
ガバッ!
クロエ「!?」
俺「クロエはいいパンツ履いてるんだな。
ハハッ、ナイスパーンツ!」
クロエ「………」
俺「そりゃもうバッチリ」
クロエ「………」
クロエ「タケシ…ECTという技術を知テマスカ?」
俺「え?」
クロエ「ECT」
俺「あ、あぁ、高速道路にあるやつな」
クロエ「それはETC」
俺「はい」
クロエ「ECT…Electroconvulsive Therapy、
こめかみに電極をつけて脳に直接電流を流し込み、
人為的にけいれんを起こして治療に役立てる方法デス。
重い躁病やうつ病のな治療の最終手段の一つとして用いられる治療法デスネ。
この治療法は過去実際に多くの実績を上げているのですが、
実は科学的に解明できていない要素が多分に含まれてマス。
その一つとしてあげられるのが、記憶障害の副作用。
ECT治療を受けた患者はECT前後の記憶が曖昧になり、消えてしまうそうデス」
………
クロエ「これを使えば、タケシからパンツの記憶消せます。
でも病気じゃないタケシがこの治療を受けるのはムリですね。
なので、家にあるもので代わりの機械を作りましょう。
まずは、抵抗熱で解けないような導線とワニクリップを準備します。
あとは、コンセントの穴と導線を繋ぎとめ、
クリップをこめかみに付けるだけ。とっても簡単。
だいじょうぶ。一般家庭の電流で死んだりしないデス。スタンガンを喰らうようなものです。
ではタケシ。ホーマックで道具を買ってくるのでその間、
すみませんほんとすみませんパンツなんて見えてませんでしたすみません
クロエ「なんデスカ」
俺「気持ちはわかるけど流石に早くないですか?まだ10分っすよ10分。
せめてもうちょっと頑張りましょうよ」
クロエ「えー」
ばたーんっ
クロエ「ムリー」
ゴロン、ゴロン
俺(また転がっとるし…)
俺「つーか発案者のお前が誰よりもやる気ないってどういうことよ」
クロエ「いやー、ワタシとしても予想外デシタ。
折り鶴作り、思いの外、作業デス」
俺「そりゃ作業だからな」
ゴロン、ゴロン
俺「………」
俺「あ、またパンツ見えた」
クロエ「タケシは懲りないヒトデスネ…。
でもクロエもう知ってマース。
その位置から覗くの、絶対ムリデース」
俺「おぉ、気付いたか」
折り折り…
クロエ「死角ゼロの計算され尽くした完璧なゴロゴロ…!
何ピトたりとも、クロエのゴロゴロは止められまセンヨー!」
ゴロゴロー
俺「そうか」
折り折り…
クロエ「ゴロゴロー!ゴロゴローデース!」
俺「………」
折り折り…
クロエ「ゴロゴロー!」
俺「………」
折り折り…
クロエ「………」
クロエ「タケシ」
俺「どうした」
クロエ「かまって?」
俺「千羽鶴できたらな」
クロエ「うぅ…」
俺「ほれ頑張れ。残り997個だ」
クロエ「先が見えナイ…」
俺「ん?」
扉『トントン』
俺「誰だろ」
クロエ「ヤマさんじゃないデスカ?
俺「そんな刑事みたいなあだ名の知り合い、俺にはいない」
クロエ「ヤマモト。
タケシの部屋のルームメイト、ヤマモト ノブヒコ」
俺「あぁ、ヤマモト先輩のことか…
でもヤマモト先輩ならノックなんてしないだろ。自分の部屋なんだし」
クロエ「あ、それもそデスネ」
扉『トントン』
クロエ「とりあえず、早く行ったほうがヨイのでは?」
俺「そうだな」
ガチャ
俺「はいはい、どちらさんで…」
???「あ、あの…」
俺「!?」
ガタガタ!
???「!だいじょぶですか?」
お、お、お、
???「あ、あのー…?」
女の子や!!
女の子「もしもーし。あ、あれ?
ワタシの声聞こえてますかー?」
女の子「あ、あの…」
俺(しかもむっちゃ可愛い!)
俺「コホン…」
俺「ごめんごめん。驚かせちゃったね。
ボクの部屋に何か用かな?」
女の子「え?えっと…」
俺「うん?(キリッ」
女の子「………///」
俺(おいおい…なんか頬が赤く染まってないか?
明らか染まってるぜおい!これ完全に恋する瞳や!)
女の子「そ、その……」
俺(この顔…なんとなく見覚えがある気もするが…
でも話をしたことは確実にない。
ということは、学園で偶然見かけた俺に一目惚れしちゃったパティーンか)
女の子「あ、あの!」
俺「うんうん。落ち着いて?僕はいくらでも待つから」ニコニコ
俺(まいったぜ。今は恋人を作るつもりはないんだけどなぁ)
女の子「クロエさん、こちらにいらっしゃいませんか?」
俺「うん?」
俺「………」
俺「…いるけど」
女の子「あー、よかった!いらっしゃるんですね!
すみません、実はクロエさんに用事があって…。
ご迷惑だとは思いますが、クロエさんを呼んでいただけないでしょうか」
俺「………」
俺「うん」
俺「そうか」
俺「わかった。少し待っててもらえるかな?」
女の子「は、はい。よろしくお願いします」
クロエ「あ、タケシ。お客さん誰でした?」
俺「女の子…」
クロエ「女の子?
タケシにワタシ以外の女の子の知り合いイマシタっけ」
俺「いない。お前だけだ…」
クロエ「えっ。じゃあ」
俺「クロエ、お前に来客だ」
クロエ「ワタシに??
どうしてワタシがここにいるの知ってるデスカネ」
俺「とりあえず、はやく行っておやり…」
クロエ「行きますケド…
たけしなんでそんなに落ち込んでるデスカ
俺「別に…」
女の子「ーーー」
かわいい娘だったなぁ
うちの学園にあんな可愛い子がいたとは…
それにしても…
じーっ←自分の姿を見る
Goddammm!
寝巻きのまんまで出てしまった!
もっとちゃんとした服着てればよかった!くそっ!
クロエ「タケシー?」
俺「ん!?ど、どしたー?」
クロエ「ココミさん、ちょっと中入れてもヨイデスカー?」
俺「おー?いいぞー」
俺「………」
俺「い、いや!ちょっと待て!少しだけ待ってもらえ!」
クロエ「?ハーイ」
俺「なんだよその目は」
クロエ「タケシ、なんですかその髪。
なんかピンピンしてますケド」
俺「寝癖だ」
クロエ「タケシなんで服着替えたデスカ?」
俺「なんとなくさ」
クロエ「フーン…」じとーっ
俺「そ、それよりクロエ。
彼女のこと紹介してくれないか?」
クロエ「むー…いいデスケド…」
クロエ「こちらはココミさん。
ワタシの友達。私たちの学年ひとつ下。
新体操部の期待の星!とにかく可愛くて何にしても可愛い!
見た目も中身も、そのまんまキュートな女の子デス!」
心実「……うっ…えっと…」ペコリ///
俺(めっちゃ赤面しとる…
なんだかいけないことしてる気分だぜ)
クロエ「そしてこれはタケシ。
まぁ、見たまんまの人デスネ。
みたまんまタケシデス。以上」
俺(適当にもほどがあるだろ…)
心実「こ、こんにちは」ペコリ
俺「こんにちは」ぺこり
俺(あーそれで見覚えがあったのか…)
俺「クロエのクラスメイトのサトウタケシです。よろしく」
心実「椎名心実です。
…さきほどは、大変失礼な態度をとってしまい申し訳ありませんでした」
俺「椎名さんは全然悪くないよ。
俺こそさっきはごめんね。
なんだか恥ずかしいところを見せてしてしまって…」
クロエ「タケシ、またスケベしたデスカ…」じとーっ
俺「し、してないよ」
俺「あらまぁ…それはそれは…
というか、よく俺の部屋にクロエがいるって分かったね」
心実「女子寮の寮長さんにクロエさんの場所をきいたら、
もしかしたらと、タケシさんの部屋のことを教えてくださって、それで…」
俺「あーなるほど、それでか。」
心実「すみません…お休みの日に急にお邪魔しちゃって…」
俺「いやいや!お礼を言うのはこっちだよ!
休日にわざわざ届けてくれてありがとね」
クロエ「ココミさん、ほんとにありがとデシタ!
ワタシ、ほんとにほんっ…とに困ってマシタ!
ありがとデース!」
心実「お役に立てて良かったです」ニコニコ
心実「それは…」
クロエ「財布と携帯デス!」
俺「おまっ…一番なくしちゃいけないやつじゃん!」
クロエ「ヤー、うっかりうっかり」
俺「そうか。だからお前、
今朝いきなり俺の部屋に来て、朝飯ねだってきたのか」
クロエ「食べ物買えず腹ペコだたデスヨー」
俺「それにしたって時間帯を考えようよ。
お前が来たの朝の5時だぞ5時。いくらなんでも早すぎるだろ。」
クロエ「ニポンの言葉で、『早起きは三文の得』とユーのありマスネ。
財布ないワタシ、タケシにご馳走になっても払えるお金ナイ。
だから代わりに、タケシを早起きさせて三文を支払おうとしたデス」
クロエ「お金のないクロエなりの気配りだったデスヨ!」
ドンッ!
俺「なんだその屁みたいな理屈は…。
つーか早起きしたって三文の得なんて何にも…」
クロエ「でもタケシ、
おかげでニチアサ観れたじゃないですか」
俺「ぐっ…た、たしかに」
俺はクロエのおかげで60円の得があったと認めたとする」
俺「しかしだ。
三文って今の価格でいくらか知ってるか?
60円だぞ60円!60円で飯が食えるかよ!」
クロエ「…タケシはまだ気づいていないようデスネ」
俺「なに?」
クロエ「まず、タケシが早起きして手に入れた60円」
クロエ「そして…」
クロエ「ワタシが早起きした分も合わせて合計120円!!」
俺「っ!クロエの…早起き三文分か…だと…!」
クロエ「完全に見落としていたようデスネ」
俺「ぐっ…」
クロエ「今朝の料理はなんだったデスカ?
そう、ご飯、シャケ、卵、味噌汁デス。
これらの単価を合計金額は…120円で十分足りるデスヨ!!」
俺「っずがぁっ!」(BGM:逆転裁判のテーマ)
クロエ「『60円で飯を食えるかよ!』デシタっけ?
答えはノー、デスヨ。タケシ」
俺「くそ!くそ!くそおおおおお!!」
心実「………」
心実「お二人は本当に、仲良しさんなんですね」
俺「あっ…!
す、すまん!2人で話し込んじゃって…」
クロエ「ス、スミマセン、つい悪ノリが….」
心実「…財布を拾ったとき、
『クロエさん、頼れるもののない異国で、
財布も携帯もなくて大丈夫かな…』って
すごく心配していたのですけれど…」
心実「その必要は…なかったみたいですね」ニコニコ
俺「ん?」
クロエ「んん?」
これ、お礼といっちゃなんだけど」
ドサッ
心実「ミカンをこんなにっ!?
そんな、受け取れませんよ!」
俺「クロエのこと探して男子寮と女子寮を歩き回ってくれたんだろ?
しかもこんな休日に…これでもお礼し足りないくらいだよ。」
心実「で、でも!
この量、結構なお値段するんじゃありませんか?」
俺「ルームメイトの先輩の実家がミカン作っててさ、
仕送りで毎週のように送られてくるんだ。
ミカンだけは腐る程あるんだよ」
クロエ「実際あまって腐ってマスしね」
俺「余計なことは言わんでいい」
心実「………」
俺「このミカンは3日前届いたばかりで新鮮だ。問題なく食べられる。
だから遠慮なくもらっていってくれ。」
心実「そうですか…。
それでは、遠慮なくいただきます」
俺「うむ」
心実「……実は、わたしミカン大好きなんです」
心実「こちらこそ、
こんなに美味しそうなミカンをありがとうございました」
俺「そうか。ならよかった」
クロエ「………」
クロエ(今更デスケド、
なんでタケシがこんなに気をつかってるデスカネ)
俺(今更だけど、
なんで部外者の俺がここまで気を使ってるんだろう…)
心実(今更ですが、
なぜ私はタケシ先輩にお礼を言われているのでしょうか…)
机を見つめる心実
心実「これは…折り紙、ですか?」
俺「うん。クロエと折り紙で遊んでてさ」
心実「折り紙…なんだか随分久しぶりに見た気がします。
懐かしい…」
俺「歳とると触る機会減っちゃうからねー。
どう? せっかくだし一枚折ってく?」
いいんですか?
クロエ「もちロンデスヨ!ささっ、どぞどぞ!」
心実「ありがとうございます」ぺこり
………
……
…
…
折り折り、折り折り
心実「できましたー」
俺「お?どれどれー」
クロエ「見せてくだサーイ!」
心実「孔雀鶴です」
孔雀鶴(ゴゴゴゴ……!)
俺「くじゃく…づる…これが…?」
クロエ「しっぽのところが…バーッて広がって…」
心実「お、お二人とも?どうかしましたか?」
俺「………」
クロエ「………」
俺「く、孔雀鶴SUGEEEEEE!!かっけええええ!!」
クロエ「尻尾のとこトカすごすぎます!オシャレかっこEEEEEEE!!
これココミサン1人で作タデスカ!?」
心実「は、はい」
俺「椎名さんSUGEEEEE!!!」
クロエ「ココミさんはさらっと人の平均を飛び越える!
さすがココミサンンンンン!!!
心実「お、大袈裟ですよ!
そんなに褒められると…照れてしまいます…っ」///
心実「はい?」
クロエ「この孔雀鶴、この子たちと一緒に並べてもヨイデスカ?
心実「あ、ハイ!是非! 」
クロエ「よっ、と」
俺「……」
四足鶴(キリッ)
二足鶴(キリッ)
孔雀鶴(ズドンっ…!!)
四足鶴(!?)
二足鶴(!?)
俺(あいつ一人だけ聖闘士星矢の世界観を背負ってるな…)
クロエ「また一歩、千羽鶴に近づきマシタねタケシ!」
俺「一歩というと聞こえはいいけど、
実際のところ数字にして0.001%でしかないけどな…」
心実「千羽鶴?千羽鶴作ってるんですか?」
クロエ「そデスヨー」
心実「それは…あの…」
俺「たぶん椎名さんが考えてる理由ではないみたいよ」
心実「そうなんですか?」
クロエ「千羽鶴、ワタシのお父さんお母さんに送るデス!
ちなみに、ワタシの家族、みんな元気一杯デス!」
心実「なるほど。そうでしたか」ホッ…
心実「ちなみに、今は何羽まで作ったんですか?」
クロエ「………」
俺「………」
クロエ「じゅ、じゅっぴき」
心実「まだ10羽…ですか」
心実「久々に折り鶴を作ったら、折り紙熱が再燃しちゃいました。
もしお二人の邪魔にならないようであれば、
私も折り鶴作りに参加してもいいですか?」
クロエ「よ、よいのデスカ?
心実「もちろん。むしろやらせて欲しいです!」ニコニコ
俺「……いや、やっぱり悪いよ。
忘れ物を届けてもらった上に手伝ってもらうなんて。
ぶっちゃけ、千匹まで作るのは俺たち鼻から諦めてるんだ。
100匹くらいで辞めるつもり。
それくらいなら俺たち2人でなんとかなるからさ」
心実「なんとかなるんですか?」
俺「…たぶんなる」
クロエ「ならる!」
心実「タケシ先輩、
そんなに気を遣わなくても大丈夫ですよ?」
心実「私は単純に折り紙をもっと作りたいだけなんですから。
満足したらすぐ帰ります」
俺(とかなんとか言いつつ、
この娘は完成するまで付き合ってくれるタイプの娘や。絶対)
心実「それでも…ダメですか?」
俺「………」
俺「椎名さん」
心実「はい」
俺「それじゃあ悪いんだけど、お願いしてもいいかな」
心実「はい、もちろんです!」
クロエ「ココミサン!ありがとデース!
心実「いえいえ」ニコニコ
俺(ええ娘や…)
俺「あれ?もしかして作り方知らない?」
クロエ「それなら孔雀鶴でおっけーデスヨ。むしろ孔雀鶴で!」
心実「い、いえ、普通の折り鶴なら作り方を知っているのですが…」
心実「ワタシの知ってる千羽鶴とは…少し違うみたいで…」
チラッ
四足鶴(キリッ!)
二足鶴(キリッ!)
俺「あー」
クロエ「あー」
俺「普通ので構わないですよ」
心実「いいんですか?」
俺「全然オッケーです。
バリエーションが増えてむしろオッケー」
クロエ「タケシ、なんでさっきから仕切ってるデスカ
プロジェクトリーダーはワタシデスヨ」
ゴロンゴロン
俺「リーダー、転がってないで働いてください」
心実「それじゃー…えっと」
折り折り、折り折り
心実「こんな感じで、いいんでしょうか?」
俺「おぉ、そうそうそんな感じ
心実ちゃんやっぱ折り紙うまいねー」
心実「そ、そんなそんな…」///
心実「はい。わかりました」
ストンっ
俺(……うむ)
四足鶴(どん!)
二足鶴(どとん!)
普通の鶴(ファサァッ…!)
俺(これで、ついに鶴の進化の過程が完成したな)
俺(初めは地にはいつくばるだけの獣が、長い歴史の中で人型へと進化し、
そして、ついに、空という自由を手に入れた…)
俺「俺もいつかはきっと翼が生えて空を自由に…っ」
クロエ「タケシ?なに遠い目してるデスカ?
俺「生命の神秘に思いを馳せていたぜ…」
クロエ「?はぁ。そですか」
……
…
折り折り
クロエ「………」
折り折り
俺「………」
折り折り
心実「………」
クロエ「………」
クロエ「ココミサン」
心実「はい?なんでしょう」
クロエ「サンマ、食べたくアリませんカ?」
心実「サンマですか…いいですねー。
今の時期は脂がのってとっても美味しそうです。」
クロエ「わかりマシタ!」
スタッ←立ち上がる音
クロエ「じゃ!」
心実「へ?」
俺「待て。どこへ行く」
クロエ「心実さん、労うために、
スーパー行ってサンマ買って来マス」
俺「鶴はどうする鶴は」
クロエ「………」
俺「目を逸らすんじゃない」
俺「単純作業はわりと好き。
そういうクロエは熱意か足りてないんじゃないか?」
クロエ「うぅ…だってー…
予想以上にこの作業つらいんデスよぅ…うぅ…」
俺「クロエはこういう大人しくちまちまする作業苦手そうだもんなー」
クロエ「うぅ…発案者なのにグチグチいってスミマセン…」
心実「…でもクロエさん、
文句を言いながらも作業量は私たちの中でダントツじゃないですか。
クロエさん流石です。すごいです!」
クロエ「おぉっ」
クロエ「タケシ、タケシ。ワタシすごいって!」
俺(この流れは…よし。)
俺「確かにクロエはすごい。
作業量も多いし、一つ一つのクオリティも高い。
さすがクロエだな」
クロエ「そ、そデスカ?えへへ。
なんかもっと頑張れる気がしてキマシタ!」
俺(よし、このまま…)
心実「でも…だんだん雑になってきているのがもったいないですね…。
クロエさんの作った四足鶴、みんな綺麗なのにちょっぴりもったいないです。」
クロエ「そ、そデスネ…もっと丁寧に頑張ります」ショボン
俺(す、素で上げて落としとる…ナチュラル鬼畜さんや!)
俺「今までぶっ続けだったしな。そろそろ休もうか」
クロエ「オォ!やったー!
タケシ!なんかおやつ食べたい!
俺「おやつ?よし、ちょっとまってろ」
……
…
俺「煎餅だ。ほれ」
ガサッ
クロエ「オー!タケシありがとー!
センベー!いただきマース!」
バリバリ!
バリバリ!
心実「おせんべー…おいしそー…」じーっ
クロエ「?心実も食べマショ?美味しいデスヨ!」
バリバリ!バリバリ!
心実「………」
クロエ「おいシ~」
心実「…じゃ、じゃあワタシも」
そ~っ
バリッ!バリバリッ!
心実「うっ…///」
クロエ「ココミサン?どしマシタ?口合わないですか?」
心実「へ?!い、いえ!そんなことは…っ」
クロエ「ならどんどん食べるデス!ササッ!遠慮せず!」
心実「えーっと…はは…」
俺「………」
俺「ほかにも、こんな煎餅があるぞ」
俺「ソフトサラダ。これは比較的やわらかい煎餅だ
クロエ、食べてみろ」
クロエ「?ハーイ」
もふ…もふ…
クロエ「おいしーです!」
心実「あ…」
俺「あとはふっくらおこげ、しっとり煎餅.、ふっくら穂波…
堅焼きからしっとり系まで色々あるぜ」
クロエ「タケシはなんで煎餅そんなにもってるデスカ」
俺「煎餅は妥協しない派なんでね(キリッ」
クロエ「でたー!タケシさんの謎のこだわりヤー!」
………
カプっ
もふ、もふ
心実「あっ…おいしい…」
俺「そうか。よかった」
心実「タ、タケシ先輩。わざわざありがとうございました」///
俺「うむ」
……
…
俺「鶴もだいぶたまってきたなー」
ズーン
クロエ「山もいつのまにかでっかくなりマシタ」
クロエ「そうですね。これなら100匹に到達してるんじゃないですか?」
俺「数えてみようか」
クロエ「ハーイ」
心実「はい」
………
……
…
心実「合計…93、ですね」
クロエ「えーこんなに時間かけてるのにこれだけデスカ~」
バタンっ←床に倒れる音
俺「四足鶴と二足鶴は時間かかるからなー…」
心実「むしろどうして今まで普通の鶴を作らなかったのか不思議です…」
俺(まぁでも…もうこれで十分なんじゃないか?見た目結構量あるし…
そろそろ…)
クロエ「90…あ!」
俺「どうしたクロエ」
クロエ「9って、ニポン語で、九(ここの)つって数えますよね?」
俺「うん」
心実「えげ」
クロエ「だから9は『ここ』
そして3を音読みして『み』!」
クロエ「93!」
クロエ「続けて読むと『ここみ』!」
心実「あっ。私の名前ですね」
どこかで私たちのことを見ている神様が
ワタシたちに93まで作れと言ってるデス!」
クロエ「むしろ、それ以上は作っちゃダメと言ってるようなもの!
だから、千羽鶴は93匹までで終わりにして、
サンマ食べマショウ!」
俺「まぁ…100まで行ってないけど、
それはそれできりもいいし、それでいいんじゃないか?」
心実「このままワタシの名前で語呂合わせですか?!
ワタシの名前を急に出されても、クロエさんのご両親は困惑するのでは…」
クロエ「ココミサン。ダイジョブデス。
送る時は1000匹いるってことにして送りマス。
きっと誰にもバレない、誰も数えナイ!ダイジョブ!」
心実「う、うそはダメですよ!
そもそもそれじゃ、私の名前で語呂合わせした意味が…」
クロエ「ぶっちゃけ、
ワタシ、語呂合わせに意味求めてナイ。
体のヨイ辞める理由探してたダケ」
心実「ええっ」
俺「ぶっちゃけたなぁ…」
クロエ「ささっ!
千羽鶴…というかココミ鶴?も完成したことデスシっ、
サンマ買い行きましょー!サンマ!
クロエもーお腹ペコペコデス!」
心実「う、うーん」
クロエ「ほら!行きますよココミサン!」
心実「えっ。私も行くんですか?」
クロエ「当たり前デス。ささっ、タケシも立って立って」
俺「ほいほい…どっこいしょっ、と…」
クロエ「それじゃー、サンマを買いにれっつご~」
~サンマへの道のり~
クロエ「サンマ~サンマ~♪」
俺「そういえば醤油切らしてたな。買っておかないと」
クロエ「お醤油ならこの前買い足して置きましたヨ?」
俺「あらそう?なら必要ないか」
クロエ「はいデース」
心実(ジーーーッ…)
クロエ「ココミサン?どしました?
さっきから何も喋ってませんけど…」
俺「もしかして…
そんなに語呂合わせの件嫌だった?それなら…」
心実「へ?い、いえ!違うんです!
そういうことじゃなくて…」
クロエ「?」俺「?」
心実「あの…ずっと気になっていたのですけれど…」
心実「お二人は、いつもこうやってタケシ先輩の部屋で過ごしてるんですよね?」
俺「まぁ、わりと」
クロエ「休日はだいたいタケシの部屋来てマスね」
心実「ということはやはり、お二人は…そ、その…」///
俺「うん」
クロエ「ハイ」
心実「お、お、おお付き合い…してるんですよね???」カ~ッ///
……
……
俺「いや、付き合ってないけど」
クロエ「いや、付き合ってないデス」
心実「えっ!そうなんですか…??」
俺「うん」
心実「はぁー…最近の男女ってそういうものなんですねー…」
俺(それはどうだろう…)
クロエ「ハイ?なんデスカ?」
俺「なんで千羽鶴を作ろうと思ったんだ?」
心実「あ、それ私も気になります」
クロエ「あー。」
心実「身内の方に病人がいるわけではないのですよね。
なのにどうして千羽鶴を…?」
クロエ「それはデスネ」
俺「うん」
クロエ「千羽鶴って、たぶんワタシ一人じゃ絶対作れないじゃないデスカ」
俺「うん。作れないな絶対」
心実「はい。絶対作れませんね」
クロエ「…そう断言されると無性に反論したくなりますガ…
まぁいいデス」
ニポンで一人きりのワタシのこと、いつも心配してマシタ」
クロエ「特にお父さんは、
ワタシの携帯に毎日のように電話してキマス。
…正直ユーと。あれはちょっピリうっとーしいデスケド」
心実「ふふっ。可愛らしいお父さんですね」
クロエ「そデスネ。かわいいお父さんデス。
2人とも、本当にワタシのこと溺愛してくれてマス。
もちろん、そんな2人のことワタシも大好きデス」
クロエ「ワタシ、お父さんとお母さん、なんとかして安心させたカッタ。
ワタシはニポンでもだいじょぶだよ、って教えてあげたかっタ」
クロエ「だからワタシ、千羽鶴作ろう思いマシタ。
ワタシ一人じゃ、千羽なんて絶対ムリ。
作ろうと思ったら誰かに手伝ってもらわないとできマセン」
クロエ「トモダチと折った千羽鶴を送れば、
ワタシはニポンでも一人じゃないよってコト、2人に伝えられる。
そうしたらきっと、安心してくれる思テ、
千羽鶴作りたい思いマシタ….」
………
クロエ「……すみませんデシタ。
2人にはロクな説明もないままこんなことに付き合わさせてしまって…」
ペコリ
クロエ「な、なんだかその、
説明するのが恥ずかしくて…ごめんなさいデス……」
心実「そんな…!頭を下げる必要ないですよ!
むしろクロエさんのお役に立てて本当に良かったです!」
ギュッ←手をギュッ
クロエ「ココミサン…」
クロエ「…お二人のおかげで千羽鶴を完成させることできマシタ。
これでお父さんとお母さん、きっと安心してくれマス!
改めて!今日はほんとにほんとに、
ありがとございマシタ!」
心実「うふふ。どういたしまして」ニコニコ
クロエ「タケシも!ありがとデース」
俺「う、うむ」
千羽鶴じゃなくてココミ鶴だけどな」
クロエ「そデシタネ。ふふっ」
心実「うぅ…そのココミ鶴っていうのやめませんか?
なんだか恥ずかしいですよ」
俺「俺は好きだけどな、ココミ鶴」
クロエ「音の響きがカワイイ!私も好きデース!ココミサン!」
心実「も、もー…」
………
……
…
クロエ「そういえば」
心実「?」
クロエ「ココミサンはサンマには何かける派デスカ?」
心実「そうですねー。お醤油、でしょうか。
大根下ろしがあるとなお嬉しいです」
俺「大根か…あったかな」
クロエ「ナイですよ。買いマショウ!」
俺「うむ」
心実「え?」
俺「ん?」
クロエ「ン?」
心実「私もサンマ食べていいんですか?」
俺「えっ」
クロエ「エッ!!食べない気だたデスカ!」
心実「え?だ、だって…」
俺「椎名さんには悪いが意地でも食べてもらうぞ。
とことんお礼をつくさせてもらわねば俺の気が済まねぇ…」
心実「で、でも…」
俺「そんなわけないでしょう」
クロエ「さっきも言いましたガ、
ワタシ達付き合ってまセン。
ココミサンは、そんなこと気にしなくてイイですヨ!」
心実「そう…ですか?
でも…私邪魔者のような気がして…」
俺「というか、俺たち意外にももう一人いるしね」
心実「え?」
クロエ「ヤマモト、います」
心実「ヤマモト…?」
俺「ルームメイトの先輩だ。
クロエと飯食うときはいつも三人で飯囲ってる」
心実「な、なんだかそのヤマモト先輩って方、
その空間だとものすごく浮きそうですね…」
俺「いや、割と普通に馴染んでると思うよ」
心実「ヤマモト先輩…あったことの無い方ですね」
クロエ「ヤマモト、いい人デスヨ?」
クロエ「唐翌揚げの日は、いつもヤマモト、
クロエに唐翌揚げ分けてくれるし」
俺「いや、あれは分けてもらってるというより強奪してるに近い」
クロエ「そんなコトないデスっ」
心実「……ふふっ、なんだか楽しそうですね」
俺「楽しいぞ。だから妙なこと心配しないで食べに来てくれ」
クロエ「ココミサンには来てホシーです!
ここでお別れするのはさみしーデース!」
心実「それじゃあ…今日だけ、お世話になってもいいですか?」
クロエ「もちろん!」
俺「もちろん!」
クロエ「一緒にサンマ食べまショウ!大根も乗せますよ!」
俺「あと三つ葉なんかもさりげなく添えちゃう!あとレモンも!」
心実「そ、そこまではしなくていいですよっ」
(完)
タケシについに女の子の知り合いができたのか
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1414153238/
Entry ⇒ 2014.11.01 | Category ⇒ ガールフレンド(仮) | Comments (0)
クロエ・ルメール「タケシと会えるのも今日で最後デスネ…」俺「え、マジ?」
In 学校
?教室?
クロエ「おっ」
クロエ「タケシタケシ!」
ちょんちょん
俺「どした」
クロエ「外!」
俺「そと?……うわー」
雪『よう…』
クロエ「雪!降ってマース!」
俺「ついに降ったか…」
椅子←ガタガタ
俺「元気だねクロエ。今度はどうしたの?」
クロエ「bonhomme de neige!つくりマショー!」
俺「ボノムドネージュ?なにそのカッコいい響き」
クロエ「あれ?知りマセンカ?」
俺「知らない」
クロエ「エト…。
onhomme de neige。人のカタチした人形のこと。
雪をかためて作ったモノデス」
俺「あぁ、雪だるまのことか」
クロエ「オー良かタ~。
ニホンにも似たようなモノあったデスネ」
俺「フランスにもあるんだな、雪だるま。
人間どこにいてもやることはだいたい一緒だなー」
クロエ「デスネー」
クロエ「ワタシ、雪だるま!作りタイ!」
俺「この雪の中を雪だるまか?…きついぞーきっと」
クロエ「でもきっとたのしいヨ?」
俺「でもなぁ…」
クロエ「ちょっとだけ!ちょっとだけでいいデスからー!」
俺「今日のクロエは無駄に元気ね」
クロエ「当然デス!
だって初雪デスヨ?今年サイショの雪はデスヨ!
テンション上がるの当然とゆーモノデス!」
俺「初雪言うても、これから毎週のように見ることになるんだぜ?
それに毎年見てるわけなんだし、別に盛り上がるほどのことでも…」
クロエ「は~。タケシは風情がないデスネ~」
クロエ「今降ってる雪は、今この時この瞬間にしか見れないんデスヨ?
せっかく四季のある国に生まれたのに、
1年にたった1回の季節を楽しもうとしないのはもったいないデス!」
俺「……まぁ、そうね」
クロエ「下におりてナニカ作りマショ?
きっと楽しいヨ?遊んでたら楽しくなるヨ?」
俺「………」
クロエ「……ダメ?」
俺「………」
俺「…ちょっとだけだからな」
クロエ「!(ぴょこんっ)
ありがとタケシ!それデハッ!」
スタッ!
俺「待て待て。今降ったばっかりだぞ。
さすがにまだ積もってないよ」
クロエ「あ。それもそカ」
俺「帰りに作ろうな」
クロエ「ハーイ!」
クロエ「タケシ、学校オワタ!」
俺「うむ」
クロエ「約束、覚えてル??」
俺「雪だるまな。ちゃんと覚えてるよ」
クロエ「さすがタケシ!
じゃ!はやく行きマショ!」
俺「ほいほい」
……
…
~昇降口~
俺「うわ、廊下ビショビショじゃん」
クロエ「昇降口の開いたドアから雪が吹き込んだみたいデスネー」
廊下『ツルツル』
俺「クロエ、滑りやすいから気をつけろよ」
クロエ「了解デス!」
スッテンコロリーン
ばたっ…
俺「………」
俺「フラグ回収早えぇ…」
クロエ「タ、タケシだいじょぶ!?」
俺「しかも転んだの俺だし…」
クロエ「た、立てマスカ?」
俺「ムリだ…」
クロエ「ええっ!打ち所悪カタデスカ!?」
俺「注意しておきながらその直後に自分で転ぶなんて…
しかもこんな公衆の面前…
俺にはもう立ち上がる気力なんて残ってねぇ…」
俺「自分が情けなくて…
立ち上がれねぇ…立ち上がれねぇよ…」
クロエ「せ、せんせー呼んできます!
タ、タケシはそこから動かないでっ!」
俺「え」
クロエ「せんせー!タケシが転んで怪我シマシター!
きゅ、きゅーきゅう車呼んでくだサーイっ!!」
俺「ま、まて!大事にするな!
立てる!立てるからほら!」
…
俺「お尻痛い…」
クロエ「タケシお尻だいじょぶ?マキロン使う?」
俺「マキロンはたぶんあんまり意味ないからいらない…」
クロエ「マキロンでも治せない怪我があるトハ…」
俺「マキロンは万能じゃないよ、クロエ」
俺「はぁー…それにしても…」
雪『…ようよう』
俺「降ってるねぇ…」
クロエ「デスネ!」
うきうき!うきうき!
クロエ「タケシ!雪たくさん積もってマス!」
俺「そうだねぇ」
うずうず!うずうず!
クロエ「タケシ!雪もほどよく水っぽい!
これなら雪かためやすいデスヨ!」
俺「そうだなぁ」
わくわく!わくわく!
クロエ「タケシ!タケシ!」
俺「よーしよしー、分かったから落ち着こうね」
クロエ(ぴたっ!)
俺「じゃあ作ろうか、雪だるま」
クロエ「ハイ!」
ざくざく、ざくざく…
クロエ「ユキダルマ~ユキダルマ~♪」
ざくざく、ざくざく
俺「ふむ」
俺「クロエの言ってた雪だるまって、小さいやつのことだったのね」
ざくざく、ざくざく
俺「この大きさなら簡単だし楽でいいな」
クロエ「ハイ。あ、でも後で大きいのも作りますヨ?」
俺「あぁ、そっちの大変なやつも作るのね…」
ざくざく、ざくざく…
クロエ「あとアレも作りタイデスネ~。かま…ナントカ?」
俺「かまくら?」
クロエ「ソレソレ」
俺「雪だるまにかまくら…重労働やないか……」
……
…
クロエ「できた~」
俺「どれどれ」
クロエ「雪だるま!」
雪だるま(ちょこん)
俺「おぉ」
俺「小さくて可愛い」
クロエ「かわいい!」
俺「…よしっと、俺のも完成だ」
クロエ「オー!見せて見せて~」
俺「真打登場だぜ」
俺ダルマ(ドーン)
クロエ「オー……」
俺「どうどう?かわいい?」
クロエ「ハイ!」
クロエ「ドンマイですヨ!タケシ!」
俺「何が言いたいんだコラァ」
クロエ「いいデスネ~」
俺「どんな顔にするかなー」
じーーっ
俺「オードソックスに
ニッコリ笑顔なやつでいくか…ん?」
クロエ「………」
じーーっ
俺「さっきから、なんで俺の顔見つめてるの?」
クロエ「ワタシの雪だるま、タケシの顔にしてマス」
俺「……ほう。俺の顔、ね」
ざくざく、ざくざく
俺「枝だけで俺の精緻な顔が表現できるとは到底思えんがね。
まぁ、好きにするといいさ」
クロエ「できマシタ!」
俺「早いな」
クロエ「うーんこれは似てますネ~」
俺「どれどれ……って、おい!
枝三本しか使ってないじゃねーか!」
クロエ「目のところなんて特にクオリティ高いデスヨ」
俺「枝を横にピタッとくっつけただけじゃん!目細っ!
…くそ!俺もクロエの顔作ってやる!」
クロエ「望むところデース!」
俺「作るのは二十年後のクロエの姿。
いい感じに湾曲したこの枝を使って、細かいシワをリアルに表現する…」
クロエ「ええっ!それはなんかイヤ!やめてくだサイ!」
クロエ「いいデスネ~」
俺「どんな顔にするかなー」
じーーっ
俺「オードソックスに
ニッコリ笑顔なやつでいくか…ん?」
クロエ「………」
じーーっ
俺「さっきから、なんで俺の顔見つめてるの?」
クロエ「ワタシの雪だるま、タケシの顔にしてマス」
俺「……ほう。俺の顔、ね」
ざくざく、ざくざく
俺「枝だけで俺の精緻な顔が表現できるとは到底思えんがね。
まぁ、好きにするといいさ」
クロエ「できマシタ!」
俺「早いな」
クロエ「うーんこれは似てますネ~」
俺「どれどれ……って、おい!
枝三本しか使ってないじゃねーか!」
クロエ「目のところなんて特にクオリティ高いデスヨ」
俺「枝を横にピタッとくっつけただけじゃん!目細っ!
…くそ!俺もクロエの顔作ってやる!」
クロエ「望むところデース!」
俺「作るのは二十年後のクロエの姿。
いい感じに湾曲したこの枝を使って、細かいシワをリアルに表現する…」
クロエ「ええっ!それはなんかイヤ!やめてくだサイ!」
俺「ほう」
クロエ「ここの通りの両側、ぜーんぶこの子達で埋めつくしマショウ!
そしたらきっとスゴク可愛くなると思いマス!」
俺「たしかに。可愛くなりそうだな」
クロエ「おお!それなら…」
俺「だが断る!」
クロエ「エー!なんでデスカー」
俺「めんどくさいから。疲れるから。寒いから」
クロエ「うぅ…できたらキットみんな喜ぶのに…」
俺「まぁ、それを見た時のみんなのリアクションというのは、
ちょっと見てみたいよね」
クロエ「おおっ!!それならっ」
俺「……だが断る!」
クロエ「もー!何回やるデスカそれ!」
俺「ごめんごめん。もうやらないよ」
クロエ「クロエ、大きい雪だるま作りたいのデスケド…」
俺「あぁ…さっきもそんなこと言ってたな…」
クロエ「……これもダメですか?」
じーっ
俺「…手伝うからそんな目で俺を見ないでくれ」
クロエ「オー!タケシありがと~っ!」
俺「公園行こうぜ。
この辺の雪は溶けた水と泥で汚くなってるし」
クロエ「ハーイ」
…
俺「うぅ…さぶさぶ…」
手をスリスリ
クロエ「?タケシ手どうかしたデスカ?」
俺「いやー…さっきので手がかじかんじゃってな」
クロエ「そういえばタケシ手袋も何もしないで雪さわってマシタネ…
手、ちょっと見せてくだサイ」
俺「ほれ」
クロエ「うわータケシの手真っ赤…痛そー…」
俺「見た目ほどは痛くはないよ。大丈夫」
ぎゅっ
クロエ「ワタシの手袋で包んだら、
少しは暖かくなりマセンカ?」
俺「気持ちはありがたいが、
クロエの手袋もさっきので濡れちゃってるしなぁ…」
クロエ「そデスカ…」
俺「モフモフしてて気持ち良くはあるんだけどな」
クロエ「それじゃ意味ないデスネー…んー」
俺「どうだろ」
ナデナデ
クロエ「なった?」
俺「なってない」
クロエ「まだ摩擦が足りないデスネ」
ナデナデナデナデナデナデッッ!
クロエ「おりゃー!」
俺「痛い痛い!やめたげてっ!」
クロエ「あれ?ごめんなさいデース」
ナデナデ
クロエ「クロエの手は、あったかいんデスケドネー…」
俺「中と外じゃ材質違うからなぁ」
ナデナデ
ぎゅっ
俺「………」
クロエ「撫でてもあんまり意味ないデスカー…うーん」
ぎゅーっ
クロエ「うーん…どうしたものデスカネ」
俺「………」
俺「あのクロエ。そろそろ手を離そうか」
クロエ「あ!いいコト思いつきマシタ」
クロエ「タケシ!右腕借りマスネ?」
俺「え、うん」
ぐいっ
ぎゅっ
俺「むふんっ!?」
クロエ「クロエのコートのポッケ、貸してあげマス!」
俺「………」
クロエ「どうデスカ?」
ぎゅーっ
クロエ(ニコニコ)
俺(顔ちけぇっ!)
クロエ「どうどう?あったかい??」ニコニコ
俺(顔ちけぇっっ!!!!(二度目))
俺「あ、あったかい…で、ござる」ボソボソ
クロエ「えへへー!そうでしょー!
このコートモフモフしててあったかいデショ~!」
俺「う、うん」
クロエ「実はこのコートはフランスにいた頃から使ってるデス!
モフモフであったかいから、ニホンくる時一緒に持ってキマシタ!
ちょーお気に入りなのデス!」
俺「へ、へ~そうなんだー…」
クロエ(ニコニコ)
俺(ちけぇ!)
いいコートなんだけどさ…もうちょっと距離をだな…」
ススッ…
クロエ「あっ。タケシ、
そんなに離れたら手がはみでちゃいマス」
グイッ
ぎゅっ
俺「ひゃん///」
俺(このままじゃいかんっ。はっきり言わないと)
クロエ「でもこの体勢じゃ2人で雪だるま作れマセンネ」
クロエ「素手で大きい雪ダルマ作るの大変デスシ…
やっぱりどこかでタケシの手袋を…」
俺「ク、クロエ!」
クロエ「はい?」
俺「こ、この距離はさすがにまずいと思わないか?」
クロエ「へ?キョリが不味い??何が美味しくないデスカ?」
俺「と、とりあえず一旦腕を離れよう」
クロエ「……???タケシがそう言うなら、離れますケド」
ススッ
クロエ「これでいいデスカ?」
俺「う、うん」
俺(自分で言っておいてなんだけど)
俺(離れられたら離れられたでなんかさみしいな)
俺「………」
クロエ「???」
俺「すんません」
クロエ「あ」
俺「ん?遠くを見つめてどうした?」
クロエ「タケシ、ちょっと待っててもらえマス?」
俺「えっ、うん。別にいいけど」
タッタッタッ…
俺「どこ行く気だろ」
自動販売機『ガチャコン!』
タッタッタッ…
俺(なんか買ってきたみたいだな…)
クロエ「タケシ!はいこれ」
俺「うん。ありがとう」
俺「………」
俺「で、これなに?」
クロエ「見た通りデス。おしるこデスヨ」
俺「なぜお汁粉…」
クロエ「おしるこ、あったかい!
これ持ってタラ、タケシあったかくナル思って」
俺「あぁ、なるほど」
クロエ「どうデスカ?」
ぬくぬく…
俺「うむ…存外あたたまるな。丁度いい暖かさだ」
クロエ「オー!良かタ~」
ぬくぬく…
俺「……ホントにあったかいな」
俺「ありがとな。色々気を使ってくれ」
クロエ「いえいえ。だいじょぶデスヨ~」
俺「ちょっと待ってろ。今お汁粉のお金を…」
クロエ「あ。そのお汁粉あとでクロエ飲みマスカラ、
ちゃんと返してくださいネ」
俺「あ…俺の手は飲むついでなのね」
クロエ「タケシは手袋もマフラーも、コートもしないんデスネー」
俺「しない」
クロエ「寒くないデスカ?」
俺「寒いよ。超寒い」
クロエ「えっ。だったら何か着ればいいノニ」
俺「………だ、だって」モジモジ
クロエ「?」
俺「コ、コートって私服みたいじゃん。
クラスの女子にそういうとこ観られるのなんか恥ずかしいし…」
クロエ「…タケシ、思春期中学生みたいデス」
俺「う、うるせぇ」
クロエ「アレ?」
俺「どうした?」
クロエ「タケシは女子に私服を見られるの恥ずかしいデスヨネ?」
俺「うん」
クロエ「でも…」
クロエ「ワタシがタケシの部屋に行く時、
タケシいつも私服デス。それは恥ずかしくならナイデスカ?」
俺「……ん?」
クロエ「ワタシ、女の子デスケド」
俺「……まぁ」
俺「クロエが相手なら……別に気にならないし?」
ピタッ
クロエ「それは、どユ意味デスカ」
俺「いや、深い意味はないんだ。深い意味は」
クロエ「そうデスカ」
俺「う、うん」
クロエ「………」
俺「………」
クロエ「………」
俺「………」
俺「…これは俺なりのツンデレリズムというか、なんというかだな。
とにかく違うんだ、クロエ」
クロエ「いきなりなんで言い訳してるデスカ、タケシ」
俺「俺が私服を見られても恥ずかしくならないのは
クロエは俺にとって空気のような存在というかだな、えっと」
クロエ「空気…デスカ」
俺「いや!空気というか酸素というか!
もはや生命維持においては必要不可欠な酸素のような存在というか…」
クロエ「…タケシの言ってるコト、よくわかりマセン。
クロエにもわかるように言ってホシーデス」
俺「それは……」
俺「………」
クロエ「……言わないデスカ?」
俺「えっと…」
クロエ「はぁ…もうイイデス。
タケシはそうやって一生ふざけていればイイデス」
スタスタ…
俺「あっ。ちょ、ちょっとっ」
クロエ「………」
タケシ「………」
クロエ「タケシ」
俺「は、はい」
クロエ「コンビニ寄ってイイですか?」
俺「うっす。どうぞっす」
クロエ「その喋り方、やめてくだサイ」
俺「はい」
クロエ「敬語もダメ」
俺「……わかった」
店員「いらっしゃーあせぇー」
俺「………」
クロエ「………」
店員「いらっしゃーあせぇー」
俺「………」
俺(さっきまでは和気藹々としてたのに…)
俺(いきなり空気が重くなってしまった…)
俺「はぁ…」
俺(俺のせいだ…)
クロエ「………」
俺(そういえばクロエ、コンビ二で何買うつもりなんだろ)
ひょこっ←覗き込む音
俺(人参…雪だるまの鼻につかうのかな)
俺(他にも雪だるまの装飾を色々と買ってるみたいだな…)
俺(………)
俺(この空気のまま雪だるま作りするのは…嫌だな…)
俺(せっかく遊んでるのにもったいない…)
俺(どげんかせんといかんな…)
俺(そして何もできないまま公園に…)
ざくざく…ざくざく…
クロエ「………」
俺(なんとか謝るきっかけを作らないと…)
俺「……雪玉作ってるんだよな?俺も手伝うよ」
クロエ「ダメです」
俺(ガハァッ…!)
俺「…そうか、すまん」
ざくざく、ざくざく
俺「………」
クロエ「………」
俺(ど、どうしよう…どうやって仲直りしよう…)
クロエ「その手じゃ手伝わせまセン」
袋(がさごそ)
クロエ「これ着けてから、手伝ってくだサイ」
俺「これは…軍手?」
俺「これ雪だるまの装飾に使うんじゃなかったのか?」
クロエ「え?違いマスヨ」
クロエ「タケシのために買ったデス」
俺「そうだったのか」
クロエ「一枚じゃ薄いデス。
二枚買ってあるので重ねて使ってくだサイ」
俺「う、うん」
俺「……おぉ。意外とあったかい…」
クロエ「だいじょぶソウ?」
俺「大丈夫だ」
クロエ「よかったデス」
俺「………」
クロエ「さっきは…ごめんなさいデシタ」
俺「いや、悪いのは」
クロエ「いいえ。ワタシが悪いデス。」
俺「でも」
クロエ「…最近ワタシ、タケシの気持ちがよくわからないコトがよくあって…」
クロエ「それがワタシ、たまらなく嫌で…」
俺「………」
クロエ「さっきもタケシが何考えてるかよくわからナクテ、
すごくイライラしました。
だから、一人で勝手に怒ってしまいマシタ。」
クロエ「ごめんなサイ」
俺「………」
俺「さっきのはどう考えても俺が悪かった」
俺「すまん」
クロエ「そんな…」
俺「はっきり気持ちを言葉にするのが恥ずかしくてさ、
クロエが察してくれることを強要してた」
俺「ごめん」
クロエ「………」
ざくざく、ざくざく
俺「私服を見られてもクロエ相手だと恥ずかしくならないのはさ、」
俺「クロエなら俺がどんなに恥ずかしいことをしても、
どんだけ恥ずかしい格好してても、
笑って受け止めてくれるって俺が勝手に信頼してるから、勝手に期待してるからなんだ」
俺「その…クロエがどうでもいいとか、女として見てないからだとか、
そういうことでは絶対にないよ」
クロエ「………」
俺「………」
クロエ「………」
俺(あ、あれ?)
俺「……と、という感じなんだけど…ど、どうですかね」
クロエ「………」
クロエ「タケシは…」
俺「うん」
クロエ「………」
クロエ「あ」
俺「?」
クロエ「危ない」
俺「へ?」
どすんっ
俺「ごぶふっ!」
……
…
クロエ「雪だるま作ってるデスカ?大きいデスネ~」
ショタ「へへっ、学校から2人で転がしてきたんだぜー!」
女の子(コクン、コクン)
クロエ「二人ともスゴいですね!」
ショタ「へへっ」
女の子「////」
クロエ「これがニホンの雪だるまデスカ~。
頭は一つだけですけどお腹はどの辺りになるデスカ?」
ショタ「まだ完成じゃないよ!
これの上にもう一つ大きいやつを乗っけて完成だよ!」
女の子(コクン、コクン)
クロエ「なるほどー。
ワタシの知ってるのはもっと細長い感じなんですけど、
ニホンのとはちょっと違うデスネ~」
俺「………」
クロエ「あれ?それじゃあもう一つの雪玉はどこにあるデスカ?」
ショタ「これから作る!」
女の子「ま、まだつくってないの」
クロエ「オー!それならワタシ達の雪玉使いマショー!」
ショタ「お姉ちゃんの雪玉?
てなもまだ全然ちっちゃいじゃん。もっと大きくしないと!」
クロエ「それテハ、みんなで大きくしマショウ!」
ショタ「仕方ないなー。手伝ってやるよー」
女の子(コクンコクン!)
クロエ「タケシもそれでイイですよネ?」
俺「ん?あぁ、うん。いいんじゃないか?」
クロエ「ハイ!」ニコニコ
俺「………」
俺(どうして、こうなった…)
クロエ「あ。危ない」
俺「へ?ぶふぉっ!?」
ドーンっ
ショタ「うおっ!!」
女の子「キャッ…」
俺「ぎゃー!首から雪入って冷めてええええ!
だれだこんなことしたのはァっ!」
ショタ「ご、ごめんなさい!雪玉転がしてて前が見えなくて…」
女の子「……ぶ、ぶつかってごめんなさい」ブルブル
俺「おや…」
クロエ「オー!もしかしてソレ、雪玉作ってるデスカ?」
………
……
…
俺「そして現在にいたる…」
ショタ「タケシ?なに独り言言ってんだ?」
俺「なんでもないよ。癖なんだ」
ショタ「ふーん。変なの」
俺「そして向こうの方では…」
……
…
クロエ「へぇ~あの男の子とは幼馴染なんデスカ~。いいデスネ~」
女の子「学校も、いつも一緒に行ってるの」
クロエ「仲良しさんナンデスネ!素晴らシイ!」
女の子(////)
…
……
俺「そして何故か俺はショタっ子とペア組んでるなう…」
ショタ「タケシ?さっきからちょっと変だぞ?
打ち所おかしかったか?」
俺「うるせーなんでもねーよー」
ショタ「?変なの」
ゴロゴロ…
俺「あ!待てショタっ子!」
ショタ「?」
俺「その先は泥だ!すたあああっぷううう!!」
ショタ「うわっ!やべっ!」
俺「ふんぬううつうっ!!」
キキキキーッ
ショタ「うお……ギリギリ…タケシGJ!」
俺「うーむ、この辺は泥で危ないな。
Uターンするぞ!」
ショタ「わかったー!」
俺「あれ?少年ももしかして手袋つけない派?」
ショタ「いや、忘れただけ」
俺「なら俺の軍手を貸してやろう」
ショタ「いいの?」
俺「背に腹はかえられん。
二枚重ねだから安心して使ってくれ。ほれ」
ショタ「おぉ、ありがと」
俺「大事な軍手だから大切に扱えよ」
ショタ「………」
俺「どうした」
ショタ「外側の軍手じゃ濡れてるじゃん。
内側のちょうだいよー」
俺「これだからゆとりは…最近のゆとりは礼儀がなってないぜ」
ショタ「タケシだってゆとりじゃん。」
俺「あ、そういえばそうなるのか。」
ショタ「ていうかオレは一年間しかゆとり教育受けてないけど、
タケシは小中ずっとゆとり教育でしょ?
オレよりよっぽどゆとりになるんじゃない?」
俺「ぐぬぬ……正論…」
(お兄さん…小学生にいい負けてる…)
(見ちゃダメデス。ゆとりが移りマスヨ)
(ハーイ)
俺「どこかで酷いディスを受けてる気がするけど
多分気のせい…気のせい…」
女の子(コクンコクン!)
クロエ「タケシー!そろそろ…あれ?」
ショタ「タケシー、
さっき言ってた不意打ちゴローニャくれよー」
俺「やらん。
俺の猫耳ゴロニャンは俺だけのものだ。自分で育てな」
ショタ「ヘドロウェーブゲンガーあげるからさー」
俺「この前配布されたやつだろ?あれはすでにもってるしな。
コツ教えてあげるから自分で頑張りなさい」
ショタ「えーケチー」
クロエ「なんかメチャクチャ馴染んでますね…」
俺「ん?どうしたクロエ」
クロエ「そろそろそっちの雪玉と合体させマセンカ?」
俺「うむ。そうだな」
ふんっ!
ゴゴゴ…
ゴゴゴ…
ズドン!
よし!
オー!
わお!
クロエ「完成~デース!」
パチパチ!
俺「コンビニで買った装飾のおかげで見栄えかなりいいなー」
クロエ「デスネ~」
ショタ「すげー!いつも作ってるやつより全然かっけー!」
女の子(コクンコクン!)
クロエ「ふふっ、あの子たちも喜んでるみたいで良かっタデス」
俺「そうだな」
ショタ「ツイッターにあげとこ」パシャッ
女の子「わ、わたしも」パシャッ
俺「おぉ…現代っ子…」
女の子「ソウタくんっ、ソウタくんっ」
ショタ「ん?どうした?」
ゴニョゴニョ
ショタ「は?時間過ぎてるって?」
ショタ「…うわ!もうこんな時間かよ!」
女の子「はやく帰らないと…ママに怒られる…」
ショタ「門限オーバーしてんじゃん!母ちゃんカンカンだよ!
サキ!はやくウチに帰るぞ!」
女の子「う、うん」
俺「おー帰るのか?」
ショタ「うん!急にごめんな!」
クロエ「サキちゃん、気をつけて帰るデスヨ~」ナデナデ
女の子「うん。クロエお姉ちゃん、また遊んでね」ニコニコ
クロエ「………」
クロエ「もちろんデス!また遊びマショウ!」
ショタ「それじゃー、タケシ!お姉ちゃん!またなー!」
女の子「またね」(小さく手を振り振り
俺「おーまたなー」
クロエ「またねデース!」
………
………
俺「あっという間に過ぎ去って行ったなぁ…あの二人」
クロエ「そうデスネー…」
俺「………」
クロエ「………」
俺「なんかいきなり淋しくなっちゃったな」
クロエ「あはは、たしカニ」
俺「そういや、あの二人って兄妹だったんだね。
てっきり幼なじみかなんかだと思ってたわ」
クロエ「え?サキちゃんは幼馴染って言ってましたヨ?」
俺「そうなの?
でも、さっきの会話聞いた感じだと兄妹っぽくなかった?」
クロエ「たしカニ言われてみれば…どっちなんデスカネ」
俺「きっとギャルゲーみたいな複雑な背景があるに違いない」
俺「今度本人に聞いてみようぜ」
クロエ「今度…会えますかね。
住所も電話番号もわかりマセンガ…」
俺「………」
俺「またねって言われちゃったからな。
多分あれ、また会えることを疑いもせず完全に信じ切ってる目だぜ」
クロエ「……そうでしょうネ」
俺「そんなこと言われたらさ、やっぱ年上としては
約束を守らない訳にはいかないよ」
クロエ「ふふっ、デスネ!
なんとしても再会しなくテハ!」
俺「うむ。
まぁ、明日夕方公園うろついてればそのうち来るだろ
不意打ちゴローニャ育てるの手伝ってやらないとな」
俺「ん?何作ってるの?」
クロエ「雪だるま一人じゃさみしいと思って子供作ってるデス」
俺「ふむ」
ざくざく、ざくざく
俺「俺も手伝おう。」
クロエ「オ~ありがとデース」
ざくざく
親だるま(どーん)
子だるま(ちょこん)
俺「子供はいるのに嫁さんはいないんだな、こいつ」
クロエ「この小さい雪だるまをお嫁さんにしまスカ?」
俺「それただのロリコンや」
クロエ「あ、そうなっちゃいマスネ」
俺「だがそれもまた良し!!」
クロエ「いや、ダメですよ。犯罪デス」
俺「はい」
クロエ「………」
ざくざく、ざくざく…
夕暮れ『よーう……』
俺(暮れてきたなー…そろそろ帰るかー)
クロエ「タケシは……」
俺「え?うん。なんだ」
クロエ「タケシは高校卒業したら進学でしたヨネ」
俺「うん。都内の大学にな。
クロエも都内の大学に進学だったよな?」
ざくざく、ざくざく
クロエ「………」
俺「……あれ?違ったっけ?」
クロエ「い、いえ、ニホンの大学も受験しますヨ。」
俺「だよな。良かったー」
クロエ「でも…」
クロエ「第一志望は違いマス」
俺「えっ」
クロエ「第一志望はワタシの国の大学デス」
俺「………それは」
クロエ「………」
俺「…その話は、聞いてなかったな」
クロエ「言ってませんでしたから」
俺「………」
ざくざく、ざくざく
俺「まぁ、考えてみれば、
クロエは留学生なわけだし当然フランスの大学も射程範囲になるわなそりゃ」
俺「そうか。フランスかー。
ちなみに片道どれくらいかかるの?」
クロエ「12時間デス」
俺「………」
俺「遠いな…」
………
……
…
クロエ「このままずーっと、冬が続いたらいいのにナー」
俺「ずっと冬はちょっとやだな。寒いし」
クロエ「そデスカ?ワタシはそっちの方がいいデスケドネ」
俺「ふーん」
クロエ「………」
クロエ「ワタシはずーっとこのままがイイデス」
クロエ「変わらずにいられるなら、ずっとこのままがイイデス」
俺「………」
ざくざく、ざくざく
クロエ「あはは…すみません、
ちょっと感傷的になってマスネ、ワタシ」
クロエ「ワタシがニホンで見られる雪は、
今年が最後かもしれないと思ったら、」
クロエ「なんだかデスネ」
クロエ「なんだか……」
クロエ「………」
俺「………」
クロエ「…デスネー」
俺「でも冬は毎年くるぞ。雪だって毎年鬱陶しいくらい降る。」
クロエ「はぁ」
俺「五年十年経っても、きっとそれは変わらない。
こんな風にさ、変わるものはあっても、
変わらないものって案外あるもんだと思うんだよね」
クロエ「………」
俺「これから俺たちの周りは色んなコトが変わっていくと思う。
それでも、変わらないものも必ずあるはずだ」
クロエ「変わらないもの、デスカ。
たしかに雪は毎年変わらずに降り続けマス。
…でも、雪と人の心は違いマスヨ。」
クロエ「人の気持ちなんてきっと簡単に変わってしまう。
会えない時間が続けば、人なんて
どんな思い出でもあっさり忘れてしまうものデス」
クロエ「タケシにとってのワタシが…
いつか、昔仲の良かった人になってしまうのは
スゴク、悲しい」
クロエ「………」
そうならないように会い続ければいいだけだよ」
クロエ「でも…」
俺「フランスなんて飛行機でたった12時間でいける場所だろ?
そんなもんどうとでもなるよ。」
俺「また一緒に雪ダルマ作ろうぜ。
今度はフランスで三段腹の雪だるまだ」
クロエ「………」
クロエ「でも問題はたくさんあります。
お金とか時間とか…」
俺「まぁ、色々問題が起こるかもしれないけどさ。」
俺「その時は俺が留学生になってそっちに行くし、
フランスの支店に出向させてもらえるような会社に就職してフランスに住んでもいい
いくらでも手はあるよ」
クロエ「…タケシ、それもしかしてプロポーズ?」
俺「は?どこが?」
クロエ「………」
俺「これから先、
何があるかなんてさっぱりわからないけど、
クロエに会いたいっていう気持ちだけは、
十年二十年経っても変わらない自信がある。
俺はただ、この気持ちに素直に従って行動するだけだよ」
クロエ「………」
クロエ「タケシって」
俺「うん?」
クロエ「ワタシのこと、好きなんデスカ?」
俺「いまそれを聞くのか…」
クロエ「どうなんデスカ?」
俺「………」
俺「………」
俺「………」
俺「……べ、別に。フツーだし…」
クロエ「………」じとーっ
俺「ま、まぁー。強いていうなら、
親友以上好きな人以下くらいかな」
クロエ「未満じゃなくて以下なんデスネ」
俺「え?なんだって?」
クロエ「以下の定義だと好きな人の可能性も
」
俺「え?なんだって?」
クロエ「………」
クロエ「………まぁ、今日のところはそれでデス」
クロエ「タケシ、ありがと」
俺「…おう」
早く帰ろうぜ」
クロエ「あ!待ってくだサイ」
俺「うん?」
クロエ「………」じー…
俺「なにしてんの」
クロエ「…この雪景色を、頭の中に焼き付けておきたいデス」
俺「今週一杯は雪振るらしいぞ?明日やればよくね?」
クロエ(イラっ!)
クロエ「モー!タケシは黙っててくだサイ!気が散りマス!」
俺「ええっ、そんな怒ることないじゃんか」
クロエ「………」
クロエ「もしかしたら来年は、
この雪を見れないかもしれマセンカラ。
見れる時にしっかり見ておきたいんデス」
俺「あ、でもクロエがフランスの大学落ちたら来年も見れるぞ」
クロエ「冬の受験生に言う言葉デスカソレ…」
俺「ぶっちゃけ落ちてくれると超嬉しい。
つーかむしろ落ちろ。
多分俺今年は浪人するから一緒に浪人しようぜ」
クロエ「むちゃくちゃ言ってマスネ…」
俺「それでさ、
もし俺もクロエも浪人したら、
どっか部屋借りて一緒に浪人ルームシェアしようよ」
クロエ「タケシと2人で?」
俺「うん」
クロエ「それは…魅力的な提案デスネ」
俺「部屋でさ、コタツに入ってダラダラ2人で勉強しようよ」
クロエ「勉強できマスカネそれ」
俺「たぶん無理だろうな」
クロエ「コタツでミカンばっかり食べてそうデス」
俺「たしかに」
クロエ「ふふっ」
………
……
…
そして2人はなんやかんやで浪人。
その後、浪人生・予備校生向けの寮に入寮。
そこでタケシ達は予備校の先輩、ヤマモトと運命的な出会いを果たしたのであった…
おしまい
時系列順に並べると、
【高校編】
「ニッポンの夕焼けキレイですネ~」
↓
「クロエってレズなの?」
↓
今作
【浪人生編】
「お煎餅おかわりー」
↓
「遊びキマシター」
タケシ年表
【高校編】
高校二年
タケシとクロエが初めて出会う
↓
高校三年
大学落ちて浪人
【浪人編】
タケシ、クロエは同じ予備校に入る。
タケシは一人の時間を作りたいからと言って駄々をこね、
予備校の寮に入寮。
経済的に負担をかけ過ぎてるのを気にして、週1、2でバイトを入れるタケシ。
典型的な二浪三浪パターン突入。
クロエは近所の別の女子寮に入る。
タケシの部屋に入り浸る
その後、
クロエは現役生向けの予備校の夏期講習で心実ちゃんと再会、
以後、心実とはそれをきっかけにまた交友が始まる
【大学生編】
結局、フランスの大学を蹴って
日本の大学に入学するクロエ。
タケシもなんとか大学に合格。
なんとなーくな関係のまま、同棲を始める二人。
タケシとクロエのただれた生活が始まる
それは頭の中だけに留めておくことにしました。
深夜で誰もいませんが、
タケシリーズ~クロエといっしょ!~は人知れず終わります。
ありがとうございました
クロエもタケシも可愛かったし、楽しかったわww
おつかれさま
しかし大学生編も見たかった
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1414517868/
Entry ⇒ 2014.11.01 | Category ⇒ ガールフレンド(仮) | Comments (0)
椎名心実「調子乗らないでよ池沼っ!」クロエ「……ッ」
心実「うるさい! なんであんたが一番人気なのよ馬鹿ぁ!」タッタッタ
あかね「心実ちゃん待って……行っちゃった」
クロエ「……」
なお「……気にしない」
いちご「そうですよ、クロエちゃんは池沼なんかじゃないですよ」
クロエ「……ウン」
文緒「こんなとこにいたのね、心実ちゃん」
心実「……文緒ちゃん」
心実「私……クロエちゃんにひどいこと言っちゃった」
文緒「……」
小瑠璃「ほら、アメあげる」
あかね「大丈夫大丈夫っ、心実ちゃんも本心であんなこと言ったんじゃないってっ」
なお「……元気出す」
クロエ「……ゴメンナサイ。ワタシカエリマス」
いちご「あ……」
クロエ「ソウデスヨネ、クロエ、ニホンゴオカシイ」
クロエ「……」
あかね「いた! クロエちゃんっ」
クロエ「アカネ……」
あかね「やっぱりねーっ、公園にいると思ったよっ」
あかね「はじめてみんなで遊んだ場所だもんねっ」
クロエ「……デモ、ココミ、ワタシノコトキライ」
あかね「違うよっ、絶対違うっ! 明日みんなで集まろ?」
あかね「友達なんだからっ」
クロエ「……」
文緒「一応聞くけど、本当にクロエちゃんが池沼だと思っているの?」
心実「思ってない!」
心実「私の人気が不調だから……当たっちゃっただけ……」
文緒「だったら謝ればいいのよ。心から謝るの」
心実「そんなことで……」
文緒「そんなことじゃないわ。ちゃんと向き合うことが大事なのよ」
文緒「友達同士なんだから」
心実「……うん」
心実「あの」クロエ「アノ……」
心実「あ」クロエ「ア」
心実「わっ私、ごめんなさい!」
心実「クロエちゃんにひどいこと言っちゃった、敵だと思ってた、友達なのに!」
クロエ「……!」
心実「……ごめんなさい」
クロエ「……イインデスヨ」
心実「……っ」
心実「クロエちゃああああん」抱きっ
クロエ「ココミ、クルシイ」
クロエ「……フフッ」
全員(よかった……)
ディレクター「3、2……カット!」
(^_^)「椎名心実ですっ」
(^q^)-☆「ああえっwwwwwwww」
(^q^)「あお……wwwwwww」
(^q^)「いいおえうwwwwwwwwww」
(^q^)「おいあいおういっwwwwwww」
(^q^)「ういおえうwwwwwwwww」
(^q^)「くおえうえーーーるえうおおおwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
(^_^)「」
(^_^)「あ……あなたは?」
全員(-心実)「ああううえんおあっおあいッwwwwwwwww」
(^_^)「Amebaで……検索……検、索……」
ボーイフレンドも遂に出た!
(^_^)「……もういやぁぁぁあああ!」
bad end...
掲載元:http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1391618534/l50
Entry ⇒ 2014.10.22 | Category ⇒ ガールフレンド(仮) | Comments (0)
クロエ・ルメール「ここが学園都市デスか♪」
クロエ「やはりニホンに留学したからにはここにこないと話にな~りまセンネ♪」
クロエ「どんな出会いが待っているんでショウ!」グゥ
クロエ「アレ!?いきなり迷子になってしまったみたいですヨ~。困りましたネ…」キョロキョロ
クロエ「あの人に道を聞いてみまショウ!あの、すいませんヨ~♪」
上条「うん?」
インデックス「うわ~綺麗な子だね~。」
上条「んで、どこに行きたいんだ?」
クロエ「あの、お腹が空いたのデ、お寿司を食べたいのデス♪」
上条「あ~寿司屋ね。ちょっと道が複雑だから案内しようか?」
クロエ「ホントにデスか!?とてもうれしいですヨ~♪」
インデックス「相変わらずとうまは女の子に甘過ぎるかも」ムッ
上条「そういや、まだ名前をきいてなかったな。名前は?」
クロエ「 くおえうえーーーるえうおおおwwww」
上条「え!?も、もっかい言ってくれないか?」
クロエ「 くおえうえーーーるえうおおおwwww」
上条「インデックス、分かるか?」コソッ
インデックス「クロエ・ルメールですよって言ってるんだよ!とうまは外国語をもっと勉強した方がいいかも」
上条「へいへい…。えっと、クロエでいいんだよな?」
クロエ「はい!お好きなように呼んで下さいネ♪」
上条「よし、ここだ!ついたぞクロエ」
クロエ「ありがとうございますデスヨ~♪」
インデックス「とうま!」
上条 ギクッ
インデックス「お寿司のシャリのいい匂いがするんだよ!」
上条「今月もピンチなんだよ!お寿司なんて贅沢なもの食べてる余裕はウチにはないの!」
インデックス「とうまはクロエを1人でお寿司屋さんに入らせる気!?せっかくだから一緒に食べた方が絶対おいしいんだよ!」
上条「ハイハイ!わかりましたよ!そのかわり向こう一週間はそーめんだけと覚悟しろ!」
クロエ「Oh!これが学園都市の回転寿司デスか!」
クロエ「全部、機械で動いてますヨ~!」
上条「寿司は全部、機械で握るんだ。だからと言ってまずくなるわけじゃないぞ」
クロエ「ホントですネ~!むしろ外の回転寿司よりおいしいですヨ~♪」
インデックス バクバクバクバク!!!
上条「インデックスさんや!」
インデックス「なんだい、とうまさんや!」
上条「三皿ごとにガリを全部食って、消費を抑えるって約束したろ?」
インデックス ガリガリガリガリ!!!!!
クロエ「すみまセーン!ガリの補充お願いしますヨ~♪」
クロエ「お腹いっぱいですヨ~♪」
上条「クロエもけっこう食う方なんだな」
インデックス「私はまだまだ食べられるかも!」
上条「オレもホントはもっと食いたかったつーの!!」
能力者「お前がクロエ・ルメールだな?」
クロエ「こんに~ちは!アナタは誰デスか?」
能力者「ついてきてもらうぜ!」ガッ
クロエ「きゃっ!ですヨ~!」
能力者「チィ、邪魔すんなら容赦はしねーぞ!」ボウ
上条「火?発火能力者か!」
上条「インデックスはクロエを連れて安全な場所へ!」
インデックス「わかったんだよ!」コクッ
クロエ「なにがどうなってんですヨ~!?」
上条「はいはい、そこでイマジンブレイカ~」キュイン
能力者「な!?」
上条「隙だらけだぜ?」
ゴッ!! キュイン!!!
能力者「ごぁ!?」バタン
上条「殴った瞬間にイマジンブレイカーが発動しやがった?──ってこは」
能力者「う…ん?」
上条「なんでクロエを狙いやがった?」
能力者「クロエ?なんのことだよ?つかオレは一体何を…」
上条「やっぱり操られていたか」
上条「クロエ!?」ダッ
上条「インデックス!クロエは!?」
インデックス「とうま…。クロエがまた別の能力者に…」
上条「お前は無事か!?インデックス!」
インデックス「突き飛ばされだけだから大丈夫なんだよ…。それよりクロエを…」
上条「クソ!誰が何ためにこんなことを!」
洗脳能力者「フフッ…ようこそクロエ君」
クロエ「何が目的でこんなことをするんデスか!?」
クロエ「イタぁズラはいけませんヨ?」
洗脳男「君のボイスにはある中毒性がある」
洗脳男「そのサンプルを取り、このオレの洗脳能力にうまく取り入れてやる」
洗脳男「フフッ…これでオレはレベル5の高みに」
洗脳男「5位の劣化と蔑まれたこのオレの屈辱を晴らす時がついにきた!!」
洗脳男「さぁ実験を始めよう」
クロエ「やめるですヨ~!!」
能力者たち ズララ!!
上条「なんだよ、お前ら?」
能力者たち「洗脳未完了者発見。直ちに排除する」キュイイイン
上条「くそ!この数の相手じゃ…」
???「あら~、困ってみたいねぇ」
能力者たち「我らは食蜂様のために!」目キラキラ☆
食蜂「私の洗脳力を使えばざっとこんなもんかしらねぇ」
上条「食蜂…操祈!?」
上条「お前は洗脳は大丈夫なのか!?」
食蜂「私の能力をなんだと思ってるのかしらぁ。」
食蜂「ま、私じゃなくてもレベル5の連中は化物揃いだしぃ。広範囲の洗脳なんか効きゃしないわよ」
食蜂「やっかいねぇ…。」ピッ
上条「ん?この位置情報は?」
食蜂「私の能力を使ってさらわれた女の子の位置を特定しといたわぁ」
食蜂「こことこのシスターは私に任せて。女の子をあんまり待たせるもんじゃないぞ☆」
上条「恩に切る!」ダッ!
食蜂「(フフッ、あなたはやっぱりこんじゃなくちゃねぇ)」
上条「くっ!こっちもか!一体どれだけの洗脳を!」
一方通行「困ってみたいじゃねェか。ヒーロー」
上条「一方通行!?」
一方通行「事情は大体わかってる。行け、ヒーロー」
上条「任せていいのか?」
一方通行「雑魚散らしなんざヒーローのすることじゃねェだろ。お前を待ってやつがいるんだろ?」
上条「すまない!あとで缶コーヒーでもおごるよ」ダッ
一方通行「さァて、こっから先は一方通行だ。」電極スイッチ ポチ
ゴォォォォオ!!!!
一方通行「無様にも元いた場所に引返しやがれ!!」
麦野「私のシャケ弁落とさせやがって…。ブ・チ・コ・ロ・シ・確定だ!ゴラァ!!!」ビィイイイ!!!
上条「あっちこっちでレベル5が暴れてやがる!流石だな」
上条「っと、ここか!!待ってろよ。クロエ!」
洗脳能力者「すばらしい!すばらしい能力だ!」
洗脳男「これで学園都市はオレのもの!オレの天下だぁ!!!」
扉バァン!!
クロエ「カミジョーさん?」
上条「待たせたなクロエ」
洗脳男「貴様、どうやってここへ…」
洗脳男「まぁいい。洗脳してそれで終わりだ」パチン
洗脳能力者「おい!止まれ!」パチン
上条 スタスタ
洗脳能力者「止まれっつてんだろぉがぁ!!!」パチン
上条 スタスタ
洗脳能力者「こいつ洗脳が効かねぇ!!」
上条「覚悟はできたか?日本が大好きなクロエに日本でこんな目にあわせやがって」
洗脳能力者「グッ!」パチンパチン!
上条「歯ぁ食いしばれ!!」
洗脳能力者「フッ、甘い!」銃ジャキィ
上条「な!?」
ビリリ!!
洗脳能力者「ぐああ!?」銃ポロッ
上条「!!」
上条「今だ!」
上条「お前のふざけたみじめな幻想(野望)をぶち殺してやる!」
ガンゴンドガンバキーン!!!!!!!!!!
~影の方~
御坂「(相変わらずアンタは!でもそんなアンタだから私は──)」
クロエ「カミジョーさん、なんとか無事ですヨ~♪」
上条「そうか。でも一応病院は行くぞ!オレの行きつけの病院があるんだ」
クロエ「わかりまシタ。ってキャ!」
上条「よっと」
クロエ「あわわ!お姫様だっこですヨ~///」
上条「よし、急いで行くぞ!」
クロエ「カミジョーさん、さっきはカッコよかったですヨ?」ボソッ
上条「ん?」
クロエ「な、なんでもないですヨ!」
クロエ「お世話になりまシタ!」
上条「おう、気をつけて帰るんだぞ!」
インデックス「クロエ、また一緒にお寿司食べに行きたいかも!」
クロエ「また絶対きますヨ~♪」
クロエ「カミジョーさん、ちょっといいですカ?」
上条「うん?ああ、インデックスはちょっとここで待っててくれ」
上条「えぇ!?それってつまり?あれ?そのアレ!?」
クロエ「助けてもらった時、とてもカッコよかったですヨ?」
上条「あれはオレ1人の力じゃないというかなんというか…」
インデックス「クロエー!時間がきたよー!」
クロエ「アレ?もう時間デスか?」
上条「あ、あれはオレは、そのアレで!その!」
クロエ「フフッ、返事は急ぎませんヨ?」
クロエ「なら今は────」
上条「そ、そうだな」
インデックス「あれ?なんかとうま顔が赤いかも!」
上条「んたことねーよ!帰るぞ」ダッ
インデックス「待ってよー!とうまー!」
─────クロエ「なら今は──ガールフレンド(仮)というコトで!」
完(仮)
クロエは2つ目だな
公式Twitterのアイコンまでもがクロエ・ルメールに侵食されたわ
掲載元:http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1391181776/
Entry ⇒ 2014.10.22 | Category ⇒ ガールフレンド(仮) | Comments (0)
ハンター「いたぞ!野生のクロエ・ルメールだ!」(^q^)「くおww」
ハンターA「ちっ……逃げ回るなこいつッ!!」
ドドドドドドドッ!
(^q^)「くおえうえーーーるえうおおおwww」
ハンターB「追い込んだぞ!麻酔銃を撃ちこめ!」
ズバンッ!! ズバンッ!!
(^q^)「くおおwwwwくお……」
リーダー「よし!いいぞ!このまま捕縛だ!!」
ハンターズ「応!!!」
ハンターC「……」
ハンターB「ぐわああああああああ!!」
リーダー「何!?どうした!?」
ハンターA「リーダー!!急に対象が暴れだしました!」
リーダー「どういうことだ!対象は疲弊しているのではなかったか!」
ハンターA「そのはずですが……」
ハンターC「くそっ……!!」
ドズッ!!
(^q^)「くおおおおwっうえwwwww」
リーダー「ナイスだ!今だ!続け!!」
ハンターA「応!」
ハンターB「任せてください……!!」
ハンターD「麻痺ガスを散布します!離れてください!!」
ブシュウウウウウウウウウウ
リーダー「……よし!やめ!!!」
ハンターA「リーダー!対象は完全に沈黙しました!」
リーダー「よし!今度こそ捕縛用意!!」
ハンターズ「応!!!」
ザザッ
バッバッ! ガチィンッ!
ハンターA「対象!完全に捕縛完了しました!」
リーダー「よし!本部に連絡だ!今回の任務は終了!!」
ハンターC「……」
ハンターC「……ああ」
リーダー「どうした、何か問題でもあったか?」
ハンターC「いえ、大したことではないんですが……先ほどの個体、あまりに凶暴性が高かったような……」
ハンターB「確かに……やはり近年の大量繁殖が影響しているのか?」
ハンターD「増えすぎたクロエ・ルメールを減らして、適正量に戻すというのも、我々の重要な職務ですしね……」
リーダー「……確かに気になる部分ではあるな。よし、装備と人員の増強を頼んでおく」
ハンターC「ありがとうございます」
リーダー「おい!帰還用のジープがきたぞ!」
ハンターズ「応!」
リーダー「慎重に運搬するんだ、もし何かあったらすぐに離れろ、装備の準備も怠るなよ!」
ハンターズ「応!!」
ガチッ…… ガタンッ
――――――――――――
本部
見習いA「お疲れ様です!」
見習いB「お疲れ様です!!」
リーダー「はは、お疲れ」
本隊長「お疲れ諸君、君らの働きは、我々総本部にもよく届いている」
リーダー「は!ありがたき幸せ!!」
本隊長「で、先ほどの伝令……近年の個体が『狂暴化』しているというのはどういったことかね?』」
いきなり暴れだし、隊員が不意打ちを受けました」
本隊長「なんと!君らほどの部隊がかね!」
リーダー「はっ」
本隊長「それは問題だ、すぐさま議会で部隊状況にこれを反映するよう進言しておく」
リーダー「お心遣い感謝します」
本隊長「いや構わん。君たちほどの優秀な部隊だ。これくらいの処置はあってしかるべきだ。
傷を受けた隊員は、しばらく治療室に寝かせておけ。たとえ軽い傷であってもだ」
リーダー「は!」
見習いB「おいおい、いくらなんでも気が早すぎじゃないのか」
見習いC「でも、近年じゃ野生のクロエ・ルメールが人を襲ってるらしいし……」
見習いA「ああ、確かにな……どうやら増えすぎて餌がなくなって、人間の所に来てるらしい」
見習いC「ひっ……怖いな。やっぱりじゃあ、訓練は休めないな!」
見習いA「ああ!!一刻も早く、俺たちも部隊に入れるように、強くなろうぜ!」
ザッザッザッザ
ハンターA「……」
ハンターB「……」
宿舎
ハンターA「……嫌な世の中になっちまったな」
ハンターB「それを言うなよ……イテッ」
ハンターD「大丈夫ですか?」
ハンターB「ははは、かすり傷だよ」
ガタッ
ハンターA「……どこへ行く?」
ハンターC「トイレだ」
ハンターA「さっき行ったばかりじゃないか」
ハンターC「……装備の点検だ」
ハンターA「ここですればいい」
ハンターC「……」
ハンターA「戻る気か」
ハンターC「!」
ハンターC「……!」
ハンターA「まるでこの後、何かがあるみたいじゃないか」
ハンターC「……すまない」
ハンターA「いや、別に叱責するつもりはない。お前は確実に役割を果たしてくれた。
ただ、な?」
ハンターB「俺たちは『チーム』じゃないか。一人で行くのはバカのすることだぞ」
ハンターC「お前たち……!」
ハンターD「怖いですけど……仲間が死ぬのはもっと嫌ですよ!」
リーダー「……」
リーダー「若いな」
深夜 荒野
ハンターA「ここに、まだ野生のクロエ・ルメールがいるというのか?」
ハンターC「いや、『クロエ・ルメール』かどうかさえわからない」
ハンターB「どういうことだ?」
ハンターC「もっと別の……何かかもしれない」
ガタンッ
(^q^)「くおえうえーーーるえうおおおwww!!」
ハンターA「出たぞ!!」
ハンターB「マジか……すごいな!!」
ハンターC「……!?」
ハンターD「皆さん!!その場を離れて!!」
ドガァァァッ!!!
(^q^)「くおえうえーーーるえうおおおwww!!」
ハンターB「何……!?二体……だと!?」
ハンターA「どういう事だ!!二体なんて、今まであったか!?」
ハンターC「……やはりか!!」
ハンターD「やはり……!?」
ハンターC「すまない!皆今すぐ撤退してくれ!この数相手には勝てない!!」
ハンターA「言われなくてもそうするつもりだ!それより君は!!」
ハンターC「俺は調べなければならない事がある!」
ハンターA「なら俺も行く!!」
ハンターC「馬鹿か!?死ぬかもしれないんだぞ!?」
ハンターA「そんなこと……ここに入ってからずっとだろう!!」
ハンターD「皆さん離れて!!かく乱弾を撃ちます!!」
(^q^)「くおえうえーーー!!!!!」
(^q^)「くおえうえーーーるえうおおおwww!!」
ハンターD「効いてます!今のうちに!!」
ハンターA「各自散れ!!目標に見つかったらすぐさま信号を発して逃げろ!!」
ハンターズ「応!!」
ババッ!!
―――――――――――――
横穴
ハンターC「……ハァ、ハァ」
ハンターC「いくらなんでも、おかしい……」
ハンターC「もともと凶暴性が薄いクロエ・ルメールがこれほどまでに凶暴であり」
ハンターC「ここまでの規模で群棲していることなど過去に無かった……!」
ガサガサ
ウォェ……
ハンターC「!!!」
ぉぇ……めーる……
ハンターC「……(この声は、間違いない……!クロエ・ルメール……!!)」
ハンターC「(しかしどこに……!?こんなスペースにどうやって!?)」
ハンターC「(いやいつ……くそ!!そんなことはどうでもいい!どうやって戦う!?どうやって……!)」
アノ……
ハンターC「くそっ!!」 バッ
クロエ「あの……すみマセン」
ハンターC「……は?」
ハンターC「(こんなところに幼い少女が……なんて危険なんだ。
ここまで来ていてよかった)」
クロエ「ワタシ……ワタシですか?」
ハンターC「ああ、よければ所属と、名前を教えてくれないか。今非常に危険な状況なんだ」
クロエ「クロエ・ルメールですよぉ……?」
ハンターC「……!?」ジャキンッ!
クロエ「ヒッ!ど、どうしたんデスカ!?」
ハンターC「(ま、まさか……)」
ハンターC「(これはクロエ・ルメールの、『幼生』!?」
クロエ「あ、アノ……」
ハンターC「……落ち着いて聞いてくれ」
クロエ「は、ハイ……」
クロエ「……」
ハンターC「命の危機に瀕している」
クロエ「エッ!?」
ハンターC「シッ!騒がないでくれ、見つかってしまう」
クロエ「……それって、ハンターさんデスカ?」
ハンターC「……え?」
クロエ「ワタシ……お母サンたちから、ききマシタ。
食べ物を探しに行くと、人間の、ハンターたちに殺されるッテ……」
ハンターC「……」
クロエ「ま、マァ……ワタシはその、ハンターさんをみたコトがないノデ、
実際にあってモ、わかりマセンけど……」
ハンターC「……(そうか)」
ハンターC「(彼女らからすれば、恐れるべき恐怖は……)」
ハンターC「(我々の方だったのか)」
クロエ「はイ?」
ハンターC「私は……君たちの言うところの『ハンター』だ」
クロエ「ヒッ……!?」ガタンッ
ハンターC「すまなかった!!」
バッ!
クロエ「え……?」
ハンターC「……我々は、君たちの事を良く知らなかった」
ハンターC「勝手に敵と決めつけ、勝手に攻撃し、勝手に恐怖していた……」
ハンターC「しかし……本当に恐ろしかったのは……本当の悪は……我々だった!!」
クロエ「……」
ハンターC「もちろん殺さないようにしてきた。しかし、捕縛の際、何度傷つけたかわからない!
中には殺してしまったものもいた!!」
ハンターC「もはや言い訳はすまい……私たちは、ただの殺人鬼に他ならない……
いくらでも憎んでくれ」
ハンターC「何だ」
クロエ「私が、なんて言ってるか、解りマス?」
ハンターC「……ああ」
クロエ「なら、大丈夫デス」
ハンターC「……?」
クロエ「お母さんタチも、私と同じように、普通に喋れマス」
ハンターC「何?」
クロエ「ただ、ちょっとこのコトバは、ニガテですケド……」
ハンターC「……」
クロエ「貴方が、貴方たちが、ちゃんと聞いてくれるのなら……
私タチも、ちゃんと話しマス」
ハンターC「……」
クロエ「ちゃんと聞いてくださいネ。私の名前」
ハンターC「……ああ」
ドカンッ……!!
ハンターB「大丈夫か!!」
ハンターA「見事に当たったな。対象は完全に沈黙した」
ハンターD「もー!!心配したんですよ!?」
クロエ「……」 ピク……ピク
ハンターC「……お」
ハンターB「おう?どうした」
ハンターC「おまえらアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
ハンターC「今……何をした!!」
ハンターA「お前はわかってないかもしれないが……今のはクロエ・ルメールの幼生だ!
いずれ成体になり、我々の脅威になるんだぞ!!」
ハンターC「そんなことはどうでもいい!!」
ハンターD「どうでもいい、って……!!」
ハンターA「……もしお前があのままだったら……」
ハンターD「……ッ!!皆さん!!」
バギィッ!!!
ハンターB「ウグッ……、なんだ!?」
ハンターD「や、野生のクロエ・ルメールです……」
ハンターC「……」ゴフッ
(^q^)「くおえうえーーーるえうおおおwww!!」
(^q^)「くおえうえーーーるえうおおおwww!!」
(^q^)「くおえうえーーーるえうおおおwww!!」
ハンターA「……しかも、三体かよ」
ハンターB「おい、どうやって逃げる?」
ハンターD「すみません、ここじゃあんまり派手なのは使えないんですけど……」
ハンターC「(絶対絶命、か……)」
(^q^)「くおえうえーーー!!!!!」
「まってクダサイ!!!」
ピタッ……
ハンターA「幼生が、彼女らを止めたというのか……!?」
ハンターC「……おい」
クロエ「……ゴホッ! だめ、デス……この人達は、敵じゃ、ありマセン……」
(^q^)「くおえうえ……」
クロエ「が……ガハッ!」
ドシャッ!!
ハンターC「クロエ!!」
スッ……
ハンターD「応急治療薬です。……最後の一つですので、大切に使ってください」
ハンターC「……!!」
バッ
ゴクゴク……
クロエ「……ゴホ、ケホ」
ハンターC「なんとか……助かったか」
(^q^)「くおえうえーーーるえうおおおwww!!」
(^q^)「くおえうえーーーるえうおおおwww!!」
ハンターA「しまった!!幼生が動かなくなったから!怒り出したぞ!!」
ハンターB「やべぇな、このままじゃどっちみち……」
『網を発射しろ!!!』
バシュ!! ババシュッ!!
ハンターA「!?」
ハンターB「あ、あれは……!!」
リーダー「お前ら、作戦以外の行動をするとはな……
減給3か月は覚悟しておけよ!」
ハンターD「リーダー!!!」
ザッ
(^q^)「くおえうえーーー……!!」
リーダー「こいつを持ってくるのには骨がいったぞ。
本部の兵力をどれだけ借りたか……ようお前ら」
ハンターB「リーダー……すみません、俺たちが勝手に」
リーダー「ああ、作戦外の行動なんて最低だな。我々にあるまじき行いだ。それに……」
クロエ「……ゴホッ」
ハンターC「……」
リーダー「あそこのは」
ハンターD「あ、あれは倒れていた少女で!」
リーダー「幼生のクロエ・ルメールだな」
ハンターA「!!」
ハンターC「!!」
我々は死んでいた可能性があります!」
ハンターA「そうです!我々が一方的に危害を加え、結果野生のクロエ・ルメールを挑発する結果となりました!
よって、あの幼生には、寛大な処置をお願いしたいと存じております!!」
ハンターD「お、おねがいします!!」
リーダー「……幼生であってもクロエ・ルメール、我々の脅威となる可能性がある」
ハンターC「……リーダー!しかし!」
リーダー「しかし!!」
ハンターA「……ん?」
リーダー「まずこの作戦外行動を計画した、この部隊を解雇処分とする!!」
ハンターA「!?」
ハンターB「ええっ!?」
ハンターD「えー!?」
ハンターC「……まさか」
ハンターA「……ひ、ひどい」
ハンターB「リーダー!そんな!!」
リーダー「そして……」ニヤ
ハンターD「リーダー?」
リーダー「もしこの場で『部隊に関係のないものが』『勝手にクロエ・ルメールの幼生を持ちかえっても』
我々は部隊としてなんら法務違反は犯していないことになるな……?」
ハンターC「……リーダー!!」
リーダー「さっさと失せろ!!そして!私は今日!この野生のクロエ・ルメール三体を捕縛しにきただけだ!
あす宿舎に金髪の少女がいても!それは全く関係の無い事だ!!」
ハンターC「リーダー……ありがとうございます!!!」
数日後
(^q^)「……」
本隊長「……」ゴホン
(^q^)「くおえうえーーーるえうおおおwww!!」
本隊長「!」ビクッ
クロエ「お母さん!おどかさなイデ!」
(^q^)「くお……ごめんねぇ」
本隊長「(喋った!!)」
20XX年 初めてクロエ・ルメール族と人間との講和条約が結ばれた。
これがのちの『くおえー条約』である
そして……
リンゴーン リンゴーン
「ありがとう、皆、ありがとう」
「へへっ!新隊長どのもあっという間に結婚ですか」
「恥ずかしいな」
「そんな可愛らしいお嫁さんをもらって……何を恥ずかしがることが!」
「ははっ……そうだな、なあ、クロエ」
「うふ……そうデスネ!」
あるハンターの男性が、金髪の美しい女性と結婚したという
この後、クロエ・ルメール族と人間の結婚が盛んになるのだが……それはまた別の話だ
Fin
掲載元:http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1391013729/
Entry ⇒ 2014.10.22 | Category ⇒ ガールフレンド(仮) | Comments (0)
俺「クロエってレズなの?」クロエ・ルメール「ナニ言ってるデスかタケシ」
~朝の登校~
スタスタ…
俺「ふわぁ」
俺「眠いぜ…」
クロエ「あ!タケシー!」
タッタッタッ
俺「む?」
クロエ「ターケシっ」
ぴょーん
トスッ
俺「………」
ぽにょん、ぽにょん←背中に胸があたる音
俺「がはァっ…」
クロエ「おはよーデス、タケシ~」
俺「………」
ぽにょん、ぽにょん←背中にあたる音
俺「ぶしゃァッ!(吐血)」
クロエ「?タケシ?どしたマシタ?」
俺「………」
クロエ「タケシー?おーい」
俺「とりあえず…背中から降りよっか…」
ぽにょん、ぽにょん←背中にあたる音
クロエ「オー?了解デース」
ぴょーん
スタッ
クロエ「タケシ、おはよーデス」
俺「うん。おはよう」
クロエ(ニコニコ)
俺「………」
俺(常々、疑問に思っていたことがある)
クロエ「ささっ、学校いきマショ」
俺「おう」
クロエ「~~~♪」
俺「………」
俺(こいつもしかして…)
俺(俺を男として認識していなんじゃないか…?)
俺(男というより、ぬいぐるみ扱い)
俺(あるいは抱き枕、ふなっしー、ペットの犬…etc…)
俺「………」
俺(最近の俺たちは、どうにも距離感が気軽すぎる気がするなぁ…)
俺(なんつーか…緊張感が足りない)
クロエ「タケシ」
俺「…ん。どうした」
クロエ「タケシ飲んでるそのジュース、クロエ初めて見マシタ。
それなんてジュースデスカ?」
俺「………」
俺「おっ!?
今そこツッコむ?ツッコミいれちゃう??」
クロエ「あ。めんどくさそうなのデ、やっぱりイイデス」
俺「よしわかった説明しよう」
俺「この乳酸菌飲料の名前はセノビー。
2000年代初期、「セノビ~♪」という耳に残るキャッチコピーで人気を博し、
一時期はアクエリアスと並ぶほどの売り上げを誇った飲料水だ。
しかし、2014年となった今では、どのコンビニにも見当たらず、
小さなスーパーにたまーに売ってるくらいの超レアな飲み物なのである」
クロエ「な、なんか始まりマシタデス」
俺「ちなみに、俺の手持ちもこれが最後の一本」
クロエ「へぇ。なんだかおいしそーなジュースデスネ」
俺「なんだなんだ?
もしかして飲みたいのか?」
クロエ「飲みタイ!」
俺(ふむ…)
俺「…よしわかった。
"俺の飲みかけ"でよければ、どうぞ飲んでくれ」
俺(そう、これは言わば試金石。
俺を男として見てるか否か試すためのリトマス紙…。
もしこれでクロエが少しでも恥ずかしがる素振りを見せれば…)
クロエ「ヨイのデスカ?ありがとデース!」
俺(見せれば……)
グビグビ!グビグビ!
俺「………」
俺「良い飲みっぷりだ」
俺(ノータイム!躊躇いゼロ!)
クロエ「!?これオイシー!」
俺(俺って男として意識されてないんだなぁ…)しみじみ
ゴクゴク
プハァ!
クロエ「セノビーめっちゃ美味しいデス!」
俺(まぁ…いいか。喜んでるみたいだし…)
俺「そうか…。良かったな」
クロエ「ハイデス。
タケシ、オイシイもの教えてくれてありがとデース!」
俺「うむ。じゃ、返してくれ」
クロエ「え?何をデス?」
俺「?何ってその手にもってるセノビーを」
クロエ「ん!?」
クロエ「……え?」
俺「『え?』じゃないよ。
セノ・ビー返してくれよ。俺も飲みたいし」
クロエ「タ、タケシも…これ飲むデスカ?」
俺「当たり前でしょう。
それ見つけるのにどんだけ苦労したと思ってる」
クロエ「こ、このペットボトル?」
俺「そりゃ、その一本しかないしねぇ…」
クロエ「で、でもこれ…クロエ、くちを…唇を…」ボソボソ
俺「ん?なんて?」
クロエ「…うっ……うぅ…ウウッ!///」
ガバッ!
俺「は?ちょっ」
グビグビ!
俺「な、何いきなり一気飲みしてんの!?」
グビグビ!
グビグビ!
プハァ!
クロエ「ウ、ウマイ!もうイッポン!」
俺「俺のセノ・ビイイイイイイ!!」
クロエ「す、すみマセン。その、つい…」
俺「ついじゃないよついじゃあアアアアアア!!」
俺「はぁ…」
俺「空が青いなぁ…」
トントン←後ろから人差し指で肩をトントンする音
俺「ん?」
クロエ「タケシ…」
俺「おや…貴女はもしかして、クロエ・ルメールさんですか?」
クロエ「ハ、ハイ」
俺「アァ…一瞬誰だかわかりませんでした」
俺「いつもより背が伸びていたので、気づきませんでしたよ」
クロエ「………」
俺「背が伸びたのはもしかして…セノビーを一気飲みしたおかげかな?」
俺「セノビーを飲んで背伸びー(セノビー)た。
つってね。ハハッ」
クロエ「………えと、あの…」
タケシ、そんなにセノビー好きとは思わなくて…」
ショボン…
クロエ「ごめんなさいデース…」
俺「………」
俺「ちょっといじわる言い過ぎた。ごめん」
クロエ「あの…これ、代わりにナルかわかりませんガ…」
トン←机にペットボトルが置かれる音
俺(乳酸菌飲料のぐんぐんグルト、か)
俺(見た目は似てる。
でも…これじゃ…これじゃダメなんだよ、クロエ)
クロエ「代わりに…なりマセンカ…?」
俺(貰ったからには礼儀としてもちろん飲む)
俺(でもな、クロエ…
セノビーの代わりなんてもの、この世には…存在しないんだ…)
グビッ
俺「………」
俺「ぐんぐんグルトうめぇええええ!」
俺「うめえええええ!!ぐんぐんしてきたああああ!!!」
クロエ「タケシ、まだ怒テル…?」
俺「いや!全然!」
クロエ「ほんとデスカ…?」
俺「自分の単純さにビックリするくらいに、
セノビーのことなんてどうでもよくなっちゃったぜ」
クロエ「ホントごめんナサイ!
全部飲むつもり、ホントに無くて、その、アノ、エト……」
俺「いい、いい。もういいんだ。もう謝らなくていい。
ジュースの一本、二本、どうとでもなるさ」
クロエ「タケシ…」
俺「俺こそさっきはごめんな。大人気なかったよ」
クロエ「…ありがとデス。タケシ」
俺「うむ」
クロエ「デモ…」
俺「?」
クロエ「こんな数時間で背は伸びないと思いマス…」
俺「そりゃそうだ」
クラスメイト「クロエおはよ~」
クロエ「あ。おはよーデス」
クラスの女子「隣の君はー…えーっと
デントくん…いや、シトロンくんだったかな?
シトロンくんもおはよー」
俺「異次元な間違い方をするんじゃないよ。俺の名前はタk」
クラスの女子「(無視)あ!そうそう!聞いてよクロエ!」
俺「………」
クロエ「へ?あ、ハイ!
えっと、それじゃあタケシ」
俺「おう。いってらっしゃい」
クラス女子「!!~~~。」
俺(友達と話すクロエはなんか新鮮だな)
俺(いつもより気持ち大人しい気がする)
俺「………」じーっ
隣の男子A「なぁ、タケシ」
俺「うおっ!?び、びっくりした…いたのか」
隣の男子A「いたよ。……ずーっとね。
君達がじゃれあってる時もずっと隣にいた」
俺「あぁ…そうか。それはなんかすまん」
男子A「タケシ、さっきからずーっとクロエちゃんのこと見てるね…」
俺「わ、悪いかよ」
男子A「最近やたら仲良いよね君達。
今年に入ってからは特にそうだ」
俺「色々あったからな」
男子A「ふーん…」
俺「なんだよその意味ありげなフーンは」
男子A「タケシってやっぱりクロエちゃんのこと好きなの?」
俺「はぁ!?お、お前には関係ないだろっ」
男子A「そうだね。…その通りだ。
キミが誰を好きになろうと
僕にはこれっぽっちも…関係が、ない…」シュン
俺(シュンってなんだシュンって)
かわいいもんねクロエちゃん」
俺「う、うん。
それよりどうした?今日のお前なんか怖いぞ?」
男子A「………」
男子A「なぁ」
俺「?」
男子A「キミ達ってさ、実際のとこどうなの?」
俺「えっ。なんの話だよ」
男子A「…だからさ、」
男子B「だからァ!」
男子C「実際のとこォ!」
男子D「お前らってェ!」
男子一同「「「付き合ってるのォォオ!?」」」
俺(ぞ、続々と湧いて来た)
男子一同「「お前ら最近随分仲良しじゃねーかよおおおお!!」」
クラス女子一同(ジトーっ…)
男子A「落ち着け。朝の教室で大声でする話じゃない」
男子B「そ、そうだな。すまん」
男子C「怒りで我を忘れてな…」
男子D「ここがダメならトイレで話そうぜ」
男子E「男子トイレか。いいね」
男子A「男子トイレ…ふふっ、なんだかドキドキする響きだ」
男子H「男子トイレで男子会じゃぁ!」
俺「………」
男子A「ほら、タケシも行くぞ」
俺「十数人でトイレ行く気か?
そんな男パラダイスな空間に行くのはちょっと…」
男子一同「いいから行くんだよォォオ!!!」
俺「は、はい」
In廊下
~自動販売機の前~
俺「ふぅ…」
俺(なんかドッと疲れた…)
俺(悪いやつらじゃないんだけどな…)
俺「はぁ…」
クロエ「ふぅ…」
俺「お?」
クロエ「オ?」
俺「あら、こんにちは」
クロエ「あらあら、こんにちワ~」
俺「溜息か?随分とお疲れのようだな」
クロエ「アハハ。お話聞きすぎてちょっピリ疲れただけデスヨ」
俺「そうか」
クロエ「タケシこそ、少し疲れてマス?」
俺「少しだけな」
クロエ「そデスカ」
クロエ「んー…どれしましょうカー…」
俺「午後ティーはどうだ午後ティー。なんかフランスっぽいし」
クロエ「あれ、ダメデス。無駄に甘ったるいし香りもイマイチ。
フランスなら、あれのこと、ミルクティーとは絶対呼びマセン」
俺「お、おぉ…さすがフランス人。
言ってることがなんかそれっぽい」
俺「…と、かっこいいことを言いつつ、
ボタンを押す指が午後ティーに向かってるのは何故?」
クロエ「ん?」
俺「あなたついさっき午後ティー批判してなかったっけ」
クロエ「これミルクティーじゃナイ。
でも、これはこれでオイシーからオッケー!」
俺「意外とテキトーだ…」
クロエ「カンヨーと言ってホシーデス」
クロエ「テキトーでいいんですよテキトーで」
俺「そうか」
クロエ「ハイ」
俺「………」
俺(クロエが隣いると、なんでこんなにくつろげるんだろう…)
俺(謎だ)
クロエ「あ、そうダ」
俺「ん?」
クロエ「今度機会あったラ、
本場のミルクティーというモノ、タケシにも飲ませてあげマース!」
俺「クロエ紅茶入れられるの?」
クロエ「できマスヨ~。クロエ紅茶大好きデス」
俺「へぇ~そうなんだ」
俺「…でも悪いな。俺に紅茶は必要ない。
なぜなら俺にはこいつがいるからな」
自販機販売機(ガチャコン!)
俺「ぐんぐんグルトだ!」
クロエ「……タケシ、ほんとに気に入っタデスネ、それ」
俺「俺のソウルメイトさ」
クロエ「じゃークロエもそれにしヨー」
自販機販売機(ガチャコン!)
クロエ「エヘヘっ。これでタケシとおんなじデス」
俺「いや同じじゃない。
クロエのは小さいペットボトルだけど、俺のは大きいやつ。
俺の方が信者力は上だ」
クロエ「タケシのその飲み物に対する無駄なこだわり…謎すぎマース」
俺「あっという間のお昼だぜ」
クロエ「タケシ、タケシ」
俺「おう」
クロエ「お昼デスヨ?」
俺「知ってる」
クロエ「タケシ、今日お昼何食べル?」
俺「購買部でパン」
クロエ「クロエも今日はパンデス!」
俺「そうか」
クロエ「タケシ」
俺「なんだ?」
クロエ「お昼、一緒に食べマセンカ?」
教室【ざわ…ざわ…】
クロエの一言を皮切りに、
クラスメイト(主に男子)に緊張が走る…!
男子B(タケシのやつ…最近毎日のようにお昼誘われてね…?)
男子C(どうなってんだよおい!これで何度目のお誘いだよ!!)
男子E(もしかしてあの二人できてるのか!?)
男子A(あの二人…やっぱりそうなんだな。…それでも俺はお前が…っ)
男子D(また誘われてるまた誘われてるまた誘われてる
また誘われてるまた誘われてるウソだウソだウソだウソだ…)
お昼休みの開放感は消え去り、代わりに訪れたのは圧倒的な緊迫感…!!
固唾を飲んだまま一斉に二人に注目する男子一同…!!
男子一同の視線を一身に受け止めながら、
ついにタケシが言葉を発する…!!
タケシ「おっけー」
クロエ「?クロエよくわかりまセン」
俺「じゃあ気のせいかな」
クロエ「パンも買ったし屋上で食べマショー」
俺「外寒くね?」
クロエ「今日は天気いいからダイジョブデスヨ」
俺「そっか。じゃあ行こっか」
クロエ「ハイ!」
………
……
…
クロエ「ごちそー様でした!」
俺「食った食ったー」
クロエ「タケシ、お口汚れてマスヨ?」
俺「え?どこよ」
クロエ「動かないでくだサイネー(フキフキ
ハイ、きれいきれいデース」
俺「お、おう。ありがとう…」
俺(男扱いどころか子供扱いだなこれ)
俺「………」
俺(友達同士、仲良しなのはいいことだけど
このままでいいんだろうか…)
俺(この先もずーっと、こんな感じでダラダラやってくのかなぁ、俺達)
クロエ「今日は珍しく天気イイですね~」
俺「そうだな」
クロエ「ハイです」
俺(現状のこのダルーっとした日常に不満はない。
つーかむしろ楽しいくらいだけど…)
俺(でも…なんだろう、この漠然とした不安は)
俺「………」じーっ
クロエ「?」
俺(クロエって…結構モテるんだよなぁ)
俺(クラスの男子はみんなクロエに惚れてるみたいだし…)
クロエ「?な、なんでじっと見てるデスカ?」
俺「………」じーっ
俺(もし、クロエに彼氏ができたりしたら
今までみたいにダラダラ過ごすこともできなくなるんだろうな…)
クロエ「ワ、ワタシの顔、なんかついてマス?」
俺「……いや、なんでもない」
クロエ「???」
俺「ふむ…」
俺(とりあえず、男扱いされてないのはなんか嫌だな。
とにかくなんか嫌だ。なんか悔しい)
俺(男扱いされてないのは、
ある意味、俺の種としての尊厳そのものを否定されているようなもんだしな)
俺(俺の中の男の部分、そう、俺のダンディズムが泣いている…!!)
俺(今日は、
クロエに俺の男らしさを見せつけてやらねばなるまい…)
俺(別に、クロエに惚れて欲しいから
男らしく振る舞うとかそういうことではなく、
俺の男としてのプライドを守るために…!)
俺「ふっ…」
クロエ「タケシ?空じっと見つめてどしたデスか?UFOイタ?」
俺「屋上で、風に吹かれながら空を見上げる俺…男らしくね?
クロエ「男らしい!」
俺「ふふ…そうだろうそうだろう…
(いい手応えだ)
俺「もし今の俺にタバコなんてふかせたりしたら、さらにさらにカッコよくなると思わね?
クロエ「思う!思う!」
俺「そうだろうそうだろう
そうだろうと思って…
スッ…
用意しておいたのさ!」
クロエ「それタバコ!?未成年喫煙ダメデスヨ!?」
俺「安心しろ。こいつは…ココアシガレットさ」
俺「こいつぁ…ココア味ののお菓子なのさ」
クロエ「お菓子…タバコみたいで面白いデスネー。
クロエもそれ食べてみたいデス!」
俺「ほれ」
クロエ「わーい!」
ポキポキ、ポキポキ
俺「ふぅ…それにしても今日は風が騒がしいな…
何かよくないものを運んできてる味だ…」
ポキポキ、ポキポキ
クロエ「そイエバ、台風またきてるらしいデスヨ?」
ポキポキ、ポキポキ
俺「やれやれ…また奴らが来たのか…。
困ったもんだぜ。まったくよ…キリッ」
ポキポキ、ポキポキ
クロエ「ほんとデス。
電車止まるし洗濯干せないしクロエも困りマース」
ポキポキ、ポキポキ
俺「うーん…いまいち雰囲気でないな」
クロエ「?」
クロエ「わかりマシタ」ペロペロ
俺「…絵面的によろしくないからやっぱりいい。今まで通りで」
クロエ「?おっけー」
ポキポキ、ポキポキ
俺「おいしいか?」
クロエ「おいしい!」
俺「そうか」
俺「なぁなぁ」
クロエ「?」
俺「さっきの俺、男らしかった?」
クロエ「男らしかったデスヨ~」
俺「なんか適当だな…」
クロエ「んー?
タケシ、さっきからちょっと変デス。どうかシマシタカ?」
俺「どうもしないさ。
ただ、俺は己のダンディズムを…男らしさを証明したいだけなんだ」
クロエ「???
えーっと…つまりタケシは男らしくなりたいデスカ」
俺「ちがう。男らしさを見せたいの」
クロエ「ソレ意味ちがいマスカ…?」
俺「全然違う。スタート地点がまず違う」
クロエ「ハァ、そですカ」
クロエ「ソですね…。じゃあタケシ」
俺「おう」
クロエ「膝枕、してください」
俺「よしわかった。」
コテン
………
俺「ん?どうした?」
クロエ「な、なんでタケシが横なってるデスカっ」
俺「えっ。違うの?」
クロエ「タケシの膝に、ワタシが寝るデスっ」
俺「あぁそういう意味か」
クロエ「あ、あんまりびっくりさせないで欲しいデス」
俺「ごめんごめん」
クロエ「包容力ある感じして男らしいデスヨ?」
俺「そうかなぁ」
クロエ「そデスヨ」
俺「う、うーん…」
クロエ「ホーラー、はやくしてくだサーイ」バタバタ
俺「…わかったよ。ほれ(ポンポン」
クロエ「ふふふっ。それじゃあ、失礼しマース…」
コテンっ
俺「普通」
クロエ「ヨカタ~」
俺(軽っ。ララちゃんランドセルだ!)
………
……
…
クロエ「これがタケシの膝枕…略してタケマクラ…」
俺「心地はどうだ」
クロエ「ヨイ感じですヨー」
俺「マジかよ。
俺の大腿直筋、筋肉ムキムキしてて寝辛くない?」
クロエ「いえ、プニプニデス」
俺「マジかよ…」
クロエ「長年使い続けた低反発マクラみたいな感じデスネ」
俺「ちなみに、値段つけるならいくらつける?」
クロエ「75円」
俺「……安いな」
クロエ「百均に売ってそうな感じのマクラデス。
そして、買った後にセイユーで、
75円で売られてるタケマクラ見て、泣きを見るパターンデス」
俺「無駄に具体的だけどさっぱりわからん例えだ…」
俺「どした?」
クロエ「タケシ鼻毛ててマース」
俺「………」
俺「キャッ///恥ずかしっ///見ないでよねエッチ///ポッ!」
クロエ「………」
俺「………」
クロエ「………」
俺「…あの、なんでもいいので
せめてリアクションください」
クロエ「タケシ。何があってもワタシはタケシの味方。
安心してくだサイ」
俺「真顔でそんなこと言わないでっ」
クロエ「あ、飛行機雲!」
俺「ながい雲だなぁ」
クロエ「あの飛行機雲、きっとフランス行きデース!」
俺「いや、方角的には調布空港だな」
クロエ「トーフクーコー?
トーフ…トーフ空港…豆腐空港!?」
俺「トーフじゃなくて、チョーフ」
クロエ「そデスカー」
クロエ「あー?」
俺「いや。空綺麗だなーって」
クロエ「オー。デスネー。お空真っ青デース」
俺「おっ。あの雲の形なんとなく蟹っぽくね?」
クロエ「たしカニ」
俺「脚のところなんて特に蟹っぽい」
クロエ「蟹だけに、たし"カニ"!」
俺「え?」
クロエ「え?」
俺「………」
クロエ「………」
俺「おや?向こうの雲はお馬さんに見えないかい?」ニコニコ
クロエ「ホントデース、あれは立派なお馬さんデース」ニコニコ
俺「その隣にあるのはクマさんみたいダネー」
クロエ「エッ。どちらかというとネコぽくないデスカ?」
俺「ネコっちゃネコだけど、
先っぽがチョロンっとなってるあたり、クマ寄りじゃね?」
クロエ「ナルホド。そう言われてみればたしカニ、クマデス」
俺「うむ」
クロエ「あ!あの奥の雲っ!」
俺「あのデカイやつか」
クロエ「あの雲の中、絶対ラピュタありマス!」
俺「流れを読め流れを」
俺「平和だ…」
俺「あの雲の形は…」
俺「どことなくオッパイの形に似ているな…」
俺「ロケット型だ…」
俺「………」
俺「………」
俺「ん?」
クロエ「ぐー……」
俺「人の膝の上でガチ寝とは…
いい度胸をしている」
クロエ「ぐー…」
俺「脚しびれてきたし、そろそろ起きてくれないかな…」
クロエ「フニャフニャ…
エヘヘ…キャビア…おいしーデース…ムニャムニャ…」
俺「夢の中でも日本語…だと…?」
クロエ「ムニャムニャ…エヘヘ…
味のitカクメーデース…」
クロエ「次はメインディッシュ…まだカナー…」
俺「…デザートまで待ってやるか」
俺「おはよう」
クロエ「!?太ももが喋ッタ!」
俺「まだ寝ぼけてんのかお前」
クロエ「…オロロ?ワタシ…眠ってたデスカ」
俺「爆睡だったぞ」
クロエ「むむむ…不覚…。恐るべし、タケマクラ」
俺「で?」
クロエ「で?とは」
俺「俺、男らしかった?」
クロエ「寝てたからわからんデス」
俺「だよね」
クロエ「タケ…」
俺「クロエ!今日は一緒に帰ろうぜ?(キリッ」
クロエ「お、おぉ?ハイ。帰りマショウ!」
・
・
・
俺「クロエ、道を歩く時は俺が車道側を歩くよ(キリッ」
クロエ「え?あ。ありがとデス」
・
・
・
俺「クロエ、カバンは重くないかい?
俺は男だから力持ちだ。持ってあげよう(キリッ」
クロエ「えっ。そんなワルイデスヨ」
俺「そ、そうか…」
クロエ「???」
・
・
・
俺「今日はなんだか風が強いな。
よし、俺が前を歩いてクロエの防風林になる(キリッ」
クロエ「………」
クロエ「今日のタケシ、変デス。チョー変」
俺「そんなことはない。いつも通りさ(キリッ」
クロエ「そのキリッ!ってやつ、やめたほーがイイデス。
その時の顔、ちょい変顔入ってマス」
俺「Oh…変顔て…」
俺「何もないよ」
クロエ「ウソですね」
俺「ウ、ウソじゃないし」
クロエ「タケシ嘘つく時、右頬ピクピクする癖ありマス」
俺「え!?そうなの?!」
クロエ「ほらまた。
タケシ、ほっぺたピクピクしてマース」
俺「ウソっ!マジかよ!し、知らなかった…」
クロエ「ウソです。今の、全部ウソデース」
俺「…あ、そう」
俺「相談か。まぁ、強いて言うなら」
クロエ「ハイ」
俺「なんか最近の俺達って、緊張感が足りてないきがして」
クロエ「キンチョー感…」
俺「ダラダラお喋りしてるだけでいいのかなー、と思ってさ。
日常にスパイスを盛り込もうと色々頑張ってみた」
クロエ「ハァ、スパイス、デスカ」
俺「うん」
クロエ「タケシは」
俺「うん?」
クロエ「タケシは、なんにもナイ日常、キライデスカ?」
俺「何気ない日常もそれはそれで大事だと思うけどさ
ずーっとそれじゃきっといつか飽きちゃうよ」
クロエ「そうなんデスカ?」
俺「たぶん」
クロエ「そう…かも、しれないデスネ」
俺「そんなわけないだろ。全然飽きてない。むしろ楽しいぜ」
クロエ「ヨカタデス」
俺「うん」
クロエ「何気ナイ日常…ワタシ大好きデスヨ。
タケシと毎日、しょーもない話するの、超たのしいデス」
俺「……そうか。
クロエ「タケシと一緒だと、毎日新しい。毎日ドキドキデス」
クロエ「同じ毎日なんてワタシにはありまセン」
クロエ「それでもモシ、同じ日常に飽きてしまタラ…」
俺「しまったら?」
クロエ「うーン…」
クロエ「その時はその時で、また考えればイイだけデス!」
クロエ「今たのしーなら、クロエそれでいい。
先のこと考えて、今楽しめないのはもったい無いデスヨ?」
俺「…そうか。そうかもな」
クロエ「ハイ!」
クロエ「ヨカタです。
ワタシも、タケシとお話するの、トテモ好きデス」
俺「そうか」
クロエ「ハイ」
俺(まぁ…それでも、
もしクロエに彼氏できたら今の関係も終わりなんだけどな…)
クロエ「日常にスパイス、でしたっけ?」
俺「え?うん」
クロエ「ワタシ、スパイス持ってマスヨ」
俺「ほう。どんなの」
クロエ「ワタシ、最近好きな人できました」
心象風景【ガタガタッ
どどーん!ばりばり!
ピシャッ!ガラガラ!】
俺「へぇーソウナンダー」
クロエ「ハイ!」ニコニコ
それで?
相手は誰?ねこ?いぬ?さる?とり?」
クロエ「うちの学園の生徒デース」
心象風景【ズトーん!ばぎばき!
ピーガラガラ、ピーガラガラ!
ボキボキ、メキッ】
俺「ヘー。ソウナンダー」
クロエ「写真みたいデスカ?」
俺「ん!?み、見たいカナっ」
クロエ「この子です」
俺「こ、これは…!?」
クロエ「椎名心実サンデース」
俺「女の子じゃねーか!」
俺「あ、あぁ…そうなの…」
クロエ「ココミさん、とても良い娘。
ワタシの大好きな人デース!」
俺「…そっか。
また新しい友達できて良かったな、クロエ」
クロエ「ハイです!」ニコニコ
男「………」
俺(男じゃなくてほんとに良かった…)
クロエ「ふふーっ…」
俺「な、なんだよ」
クロエ「どでした?スパイス効いてましたカ?」
俺「うん?ま、まぁ、そこそこ、けっこう、わりかし」
クロエ「そデスカ。
今のはけっこー緊張感ありましたネー」
俺「そうね…」
クロエ「ねえねえ、タケシ、タケシ」
俺「なんだ」
クロエ「クロエの隣、ずーっといてくだサイネ?」
俺「……善処します」
クロエ「なんか曖昧な言い回しデスネ…」
俺「頑張ります」
クロエ「ヨシ」
(完)
こういうのすき
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1413724636/
Entry ⇒ 2014.10.20 | Category ⇒ ガールフレンド(仮) | Comments (0)
クロエ・ルメール「タケシー、遊びキマシター」俺「またきた」
冬休み
学生寮
In 俺の部屋
俺「こたつあったけぇ…」
クロエ「ポカポカデース…」
クロエ(ぐだぐたー)
俺(ぐだぐたーー)
クロエ「あ。タケシ、タケシー」
俺「どしたー」
クロエ「みかん取ってくだサーイ」
俺「ちょっと待ってろー」
俺「どっこいしょ、っと…」スクッ
クロエ「………」
クロエ「タケシー」
俺「なんだ」
クロエ「ソレ、やめた方がイイデスヨ?」
俺「それってどれだよ」
俺「俺なにか言ってたか?」
クロエ「ドッコイショって、いつも言ってマス」
クロエ「あれ、ちょっピリださい」
俺「はぁ?そんなこと言ってないだろ」
クロエ「えっ。でもさっき…」
俺「どっこいしょっと…(ドスッ)
ほれ、ミカン持ってきたぞ」
クロエ「ホラ!また言いマシタ!」
俺「は?言ってないって」
クロエ「……???」
俺「食べないなら俺が貰うぞ」
クロエ「た、食べマース!」
俺「ほれ」
クロエ「ありがとデース!」
クロエ「…むー…ニポン語むつかしー
ミカンの皮(剥き剥き)
スッ
クロエ「フフフーン~♩」
ミカンの皮(剥き剥き)
スッ
スッ
スッ
俺「…なんだこれ」
クロエ「?ミカンの白い筋デスヨ?」
俺「それは知ってる。
そうじゃなく、俺の手の甲の上にそれを着々と重ねている理由を聞いているの」
クロエ「ミカンの白いの、なんか気持ちワルい。
クロエそれキライ。だからタケシにあげマース」
俺「白いのだけ?」
クロエ「白いのダケ」
俺「実は?」
クロエ「実はクロエのデス。あげられナイのデス」
俺「んな理不尽な」
クロエ「………」フッ…
クロエ「ミカンの実だけはどうしてモ…
どうしてモ、あげられないのデス…」
俺「え…?」
俺(もしかして何か深い理由でもあるのか?)
クロエ「なぜならバ…」
俺「なぜならば…?」
クロエ「ミカンはクロエの…
大大大だーい好物だからデース!」パァッ!
クロエ「では、いただきマース!」
モグモグ
クロエ「んー!ミカンおいシ~デース!」ニコニコ
俺「………」
パク、モグモグ。パク、モグモグ。
俺「白い筋…一応食べてみるか…」
モグモグ…モグ…モグ…
俺(マズい…)モグモグ
クロエ「んふふ~っ。ミカンは幸せな味デスネ~。
ニポンのミカン、美味しスギスギデース~」ニコニコ
俺(何度噛み締めてみても…やはりマズイ…)モグモグ
クロエ「ふふふ~」ニコニコ
俺(幸せそうな笑顔だなぁ…)モグモグ
クロエ「コタツとミカン!
サイキョーの組み合わせデース!」ニコニコ
俺(いい笑顔…)
俺(でもどうしてだろう。あの笑顔をみてるとなんだか…)
クロエ(ニコニコ)
(あの笑顔…)
(無性に…)
(歪ませたい!)
俺「う、うわー!なんだこれー!(棒)」
クロエ「?タケシいきなり声あげてドシマシタ?」
俺「この白いの…白いの超うめぇ!めちゃくちゃうめぇえええ!」
クロエ「オロロ?」
俺「うめええええ!
白いのだけ分けて食べると超うめえええ!味の産業革命やああああ!」
クロエ「ソンナに…おいしい、デスカ?」
俺「おいしいいいい!ミカンの実の部分なんて目じゃないくらい美味しいいい!!」
クロエ「………」ジーーっ
クロエ「ワ、ワタシにもちょっピリくださいっ」
俺「やらん!絶対にやらん!」
クロエ「エー!ワタシも食べたいデース!」
俺「知ったことか!お前は一生ツルツルなミカンだけ食ってな!」
クロエ「むむむっ!!」
俺「やらん!」
クロエ「ホシーデース!!」
俺「や・ら・ん!!」
クロエ「むーっ!タケシのケチー!」
俺「自業自得だあほー!」
クロエ「もういいデス!」
スクッ
クロエ「もひとつミカン、取ってきマース!」
俺「おうおう。いってこい、いってこい」
クロエ「いてきマース!」
俺「あ、ついでに俺の半纏も持ってきてくれないか?台所にあるから」
クロエ「ハンテンッ!?了解デース!!」
トットットッ
俺(あれっ!?怒ってた割に素直っ)
……
…
シーン…
俺「いきなり、静かだ」
俺「………」
俺「テ、テレビでも見るか」
ポチッ←テレビをつける音
テレビ『ぎゃーぎゃー』
俺「………」
俺「…つまはん」
カチッ←テレビを消す音
俺「クロエのやつ…遅いな…」
俺「クロエー、クロエー」
クロエ「「ハイー?なんデスカー?」」
俺「ミカン見つかったかー?」
クロエ「「見つかりまセーン!!」」
俺「よし。ならば俺が直々に…」
クロエ「「でも、なんとか一人で見つけて見せマース!」」
クロエ「「タケシこなくていいデース!」」
俺「………」
俺「お、おっけー!」
俺「おー?なんだーー」
クロエ「「ミカンないヨー?」」
俺「えー?戸棚の下にあるはずだぞーー」
クロエ「「あ!ありましたデース!」」
俺「はよ戻ってこーい」
クロエ「「わかりま……オォオオ!!」」
俺「今度はどうしたー」
クロエ「「どん兵衛!どん兵衛デース!!ドンベエエエエ!」」
俺(なんだそのテンション)
クロエ「「どん兵衛ソッチ持って行っていいデスカー!?」」
俺「い、いいよー」
クロエ「「オー!タケシ大好きー!
めちゃめちゃ好きデース!愛してマース!」」
俺(108円で買える愛…)
俺「ご苦労さん」
クロエ「そしてーッ!」
クロエ「どん兵衛も!持てキマシタ!」
俺「よ、よかったね」
クロエ「あ。ハンテン、どぞデス」トスッ
俺「おーこれこれ。
クロエ、半纏なんてよく知ってたね」
クロエ「コタツ、ミカン、ハンテンはニポンの三種の神器。常識デース!」
俺「そうか」(そうか…?)
クロエ「あ!」
俺「今度はどうした。どん兵衛はもうないぞ」
クロエ「ミカン持ってくるの忘れてマシタデス」
俺「…いってらっしゃい」
クロエ「いってきマース!」
トットットッ
俺「………」
シーン…
俺「ま、待って。念のため俺も一緒に行く」
クロエ「?ハイ」
クロエ「どん兵衛~どん兵衛~♩」ナデナデ
俺「………」
俺「なぉ」
クロエ「ハイ?」
俺「どん兵衛食べないの?お湯なら出せるけど…」
クロエ「食べませんヨ?」
クロエ「どん兵衛は…机に置いて…そっと、愛でるモノ…」
ナデナデ
俺「………」
クロエ「どん兵衛は、見て楽しむものナノデス!」
俺「斬新な楽しみ方だ」
モグモグ
俺「良かったな」
クロエ「はいデース」モグモグ
俺「………」
クロエ「ウマウマ~」
俺「あの、ところでさ」
クロエ「ん?」モグモグ
俺「さっきからずーーーーっと気になってることがあるんだけど」
クロエ「ん」モグモグ
俺「えーっと」
クロエ「ん」モグモグ
俺「あのー」 クロエ「ん」モグモグ
俺「そのー」 クロエ「ん」モグモグ
ゴクンっ
クロエ「早く言ってくだサイ。
3つ目のミカンいっちゃいマース」
俺「ご、ごめん」
俺「あのさ、今更こんなコト言うのも変なんだけどさ」
クロエ「ハイ」
俺「クロエ…どうして俺の部屋にいるの…?」
モグモグ
ゴクンっ
クロエ「随分、イマサラーな質問デスネ」
俺「まぁ、そうねぇ…」
クロエ「順番に説明しマスとデスネ」
クロエ「まずワタシ、タケシに会うためにここ来マシタ」
クロエ「でも、タケシいない」
俺「はい。バイトに行ってました」
クロエ「代わりにヤマモト、部屋にいマシタ」
俺「えっ、ヤマモト?山本先輩いたの?!あちゃー…」
クロエ「ワタシ、ビックリしましタ。
『タケシが部屋に男連れ込んでるデース!』と」
俺「は」
クロエ「タケシが自分の部屋でオスを飼ってル!しかも学校の寮の部屋で!」
俺「はぁ!?」
クロエ「タケシがホモセクシャルの調教趣味の変態だったことに、ワタシ、驚愕!」
俺「いやいや!山本さんはただの寮のルームメイトだから!
同室だからこの部屋にいただけだから!なんだその飛躍の仕方!」
クロエ「『俺はただの同居人だよー』と」
俺「誤解が解けてよかった…」
クロエ「ヤマモト、とっても気さくで優しい」
クロエ「部屋で待っててイイヨって、
ワタシ、部屋に入れてくれて、お茶まで出してくれマシタ」
俺「そうか…。あとでお礼せななぁ…」
クロエ「ヤマモト親切。とっても、いい人デース」
俺「なんでも相談に乗ってくれるし、ほんといい先輩だよ」
クロエ「………」じーーっ
俺「なんだその目は」
クロエ「ベツに…」
俺「?」
クロエずーっとコタツにくるまって待ってマシタ」
クロエ「タケシ、帰ってきて
コタツにくるまるワタシいきなり見たら、
きっと、
『な、なんでクロエが俺の部屋にいるのォ!?』
って、すぐツッコんでくれると信じてマシタ。
クロエずーーーっと信じてマシタ」
俺「………」
クロエ「でもタケシ、お家帰って来てから、かれこれ数時間は経ってマス」
クロエ「ツッコミ遅過ぎデス」
俺「す、すみませんでした」
トン、トン、トン←机のミカンを人差し指でトントンする音
俺「………」
俺(なんで俺怒られてるんだろう)
クロエ「どゆコトデスカっ」
ドン!
俺「っ!す、すみません」
クロエ「クロエ、謝ってホシーワケちがうです」
俺「はい」
クロエ「説明してホシーだけナノデス」
俺「はい」
クロエ「でも」
クロエ「遅くナタけど、ちゃんとツッコミくれたから、許しマース」
俺「あ、ありがとうございます」ホッ
俺「帰ってきた時に、
すぐ尋ねるべきだったんだろうけどさ」
クロエ「ハイ」
俺「なんていうかな…」俺「えーっと」
クロエ「…言い辛いコトなら、
クロエ、無理に理由聞かないヨ?」
俺「いや、そういうのじゃないから大丈夫」
クロエ「ソカ。よカタ」
俺「なんつーかさ、
クロエが俺の部屋にいる光景があまりに馴染みすぎていて、
『なんで俺の部屋にいるの?』って言い出せなかったんだよ」
クロエ「………?」
クロエ「よくワカラン、デス」
俺「クロエが俺の部屋のコタツでグータラしてる姿がすごく自然でさ」
俺「そんな光景を壊したくなくいなーって思って…えーっと」
俺「あー」
俺「ごめん、俺もよくわからん」
クロエ「?そデスカ」
クロエ「まぁ、それでヨシとしましょウ」
俺「うっす」
クロエ「まだナニカ聞きたいデスカ?」
俺「ヤマモトさんはどこにいったの?」
クロエ「………」
俺「迷惑かけたみたいだし山本先輩にお詫びをしないと…
って、なんだよそのジトっとした目は」
クロエ「タケシ、ヤマモトの行方、そんなに気になル?」
俺「そりゃあ、色々迷惑かけちゃったみたいだし気にもなるでしょうよ」
クロエ「………」
クロエ「そんなにヤマモト、恋しいデスカ」ボソッ
俺「は!?」
クロエ「ヤマモト恋しい…やっぱりタケシはゲイの鬼畜変態…」ボソッ
俺「違うわ!」
俺「あー、そういやあの人も帰省組だったなぁ」
クロエ「キセイ?それどゆイミ?」
俺「実家に…あ、えーっと、
帰省組ってのは、自分の家族のいる家に一旦戻る人達のことだ」
クロエ「ナルほど」
俺「そういえば、クロエは冬休みいつ実家に帰るの?」
クロエ「クロエ、ジッカ帰らナイヨ?」
俺「えっ」
俺「冬休みの間ずっと?」
クロエ「ニポンにいマス」
俺「正月は?」
クロエ「ずーっと、ニポンデース!」
俺(フランスでは年越しに家族で過ごす風習とかないのだろうか…)
俺「軽くカルチャーギャップだぜ…」
クロエ「だからー」
クロエ「今年の正月、タケシと一緒に過ごしマース!」
俺「えっ」
クロエ「お正月、タケシとフジ山登って、ご来光一緒に見たいデース!」
俺「さらっととんでもないことを言ったけど、それよりも…」
俺「と、年越し?俺と?」
クロエ「ハイデス!タケシと年越し、したいデース!」
俺「う、うーん…と、年越しかぁ…」
クロエ「……タケシ、もしかしてフジ山嫌い?
やっぱりネショーガツする?」
俺「いやそうじゃなくてね」
クロエ「ハイ」
俺「俺…正月は実家に帰省するつもりなんだけど…」
クロエ「えっ」
クロエ「……エエエエ!!」
俺「まさかクロエ、
俺と過ごすためにフランス帰らなかったの?」
クロエ「………」コクン
俺「Oh……」
クロエ「そ、そ、そ、そデシタカ。
タケシ、キセーするのデスカ」
クロエ「事前に、チャント、確認すべきデシタ、ネ」
クロエ「アハハハー…」
俺「うーん…」
クロエ「アッ!き、気にしなくてイイデスヨ?」
クロエ「タケシは予定通り、ジッカ、帰テくだサイ!」
俺「…あ。」
クロエ「クロエ、一人になっちゃうけど、
一人慣れっこだカラ、問題ナシデス!」
クロエ「今年は部屋でグータラ、年越しデース!」
クロエ「アハハハ、楽しみデース!ハハハ…」
鞄をガサゴソ
財布をチェックする
俺「あー」
クロエ「だからー…って、タケシ?
ワタシの話、チャント聞いてマス?」
俺「しまった」
クロエ「ドシマシタ?」
俺「飛行機乗り遅れた」
クロエ「?ヒコーキ??ナンの話??」
俺「地元行きの飛行機に乗り遅れてしまいました」
クロエ「そう…ナノデスカ?」
俺「うん」
クロエ「タケシ、ヒコーキ乗って帰省する予定ダタデスカ」
俺「うん」
俺「でもクロエとグータラしてたら飛行機の搭乗時間過ぎちゃった」
クロエ「どやって実家帰るデスカ?」
俺「お金もないし当日券なんて買えない。
どうしようもない」
クロエ「オー」
クロエ「これはアレデスネ。
こんな時使うコトバ、クロエ知ってマス」
俺「ほう」
クロエ「他人の不幸デ、飯がウマイ!」
俺「………」
クロエ「と、ゆーコトは!」
クロエ「タケシと年越し、デキマスネ!」
俺「そうなるね」
クロエ「ヤッター!」
俺「全力で喜んでやがる…」
クロエ「そりゃ喜びマス!タケシといられるデスカラ!」
俺「……俺のうっかりに感謝しなさい」
クロエ「タケシがうっかりどん兵衛で助かりマシタ~」
俺「うっかり"八兵衛"な。
いや、それもそれで何か間違えてる気がするけど…」
クロエ「うっかりどん兵衛!どん兵衛!」
俺「まるで話を聞いていない…。
あー。ちょっと実家に電話して知らせてくるわ」
クロエ「ハーイ」
俺「どっこいしょっと…(スクッ
ジャンバー、ジャンバー」
クロエ「えっ。わざわざ、お外で電話するデスカ?」
俺「俺は母親と電話する時、甘えるような猫撫で声になるから
人には聞かれたくないんだよね」
クロエ「なんデスカそれ。
タケシ、マザコーン」
俺「うるさい。
外国人が和製英語使うんじゃないよ。
じゃ、ちょっと行ってくる」
クロエ「ハーイ、イテラ~」
俺「……さみぃ」
ピッ、ピッ、ピッ
俺「…母さん?オレオレ、俺だけど」
俺「俺だって」
俺「はぁ?
『うちの息子ならプリキュア37人全員言えるはずだ』だって?」
俺「言えるわけないだろ!」
俺「………」
俺「き、切れた!?」プー、プーッ
俺「………」ピッ、ピッ
俺「もしもし、タケシだけど。
うん。サトウタケシ。あなたの息子。好きな食べ物は唐翌揚げ」
俺「いい加減俺の番号登録してくれよ、母さん…」
俺「あー…そうそう。そんな感じ。」
俺「雪のせいで都内の電車が
ほとんど止まっちゃってそっち行けないんだよね」
俺「うん…うん。…え?」
俺「電車乗れないなら自転車で来いって?
やだよ。この雪の中自転車でいったら一時間はかかるじゃん」
俺「車で迎えに行くって?う、うーん…」
俺「………」
俺「…実はさ、
実家に帰れなくなった友達が一人でいて、
一人で年越しはさみしいだろうから、
今日明日は一緒にいることにしたんだよ」
俺「うん」
俺「うん…。うん?は、はぁ?」
俺「彼女じゃねーよ。ただの友達だよ」
俺「とにかく!三が日には必ず帰るから」
俺「ん。よろしくー」
プツン
俺「ただいマンドリル」
クロエ「ハ?」
俺「ただいマンドリル」
クロエ「……」
クロエ「タケシ、ついにニポン語も喋れなくなりましたカ」
俺「『も』ってなんだ、『も』って」
クロエ「『ただいま』が正解デス。間違えてマスヨ、タケシ」
俺「……うん。ごめんなさい」
俺「改めて、ただいま」
クロエ「ハイ。おかえリン酸塩デース」
俺「なんだその体に悪そうな挨拶は」
クロエ「ジョークジョーク」
クロエ「フフフ~」(ニコニコ)
俺「…んん?」
クロエ「ん~?」ニコニコ
俺「あ、あの…クロエさん」
クロエ「どしマシタ?」ニコニコ
俺「なんすか、この白い山は…」
クロエ「ミカンの白い筋デース!
タケシお電話の間、たくさん剥いておきマシタ!」
俺「Oh…」
クロエ「タケシ、これ好き言ってたカラ
クロエ頑張って剥きマシタヨ?」チラッ、チラッ
俺「お、おう」
クロエ「頑張って剥きマシタ!タケシ喜ぶ思テ!
クロエ頑張りマシタ!!」チラッ、チラッ
俺「お、お~。
ク、クロエはいい子だな~。あ、ありがとな~」
クロエ「エヘヘ~っ///」
俺(食いたくねええええ!!)
俺「な、なぁクロエ?」
クロエ「?」
俺「こんなにたくさんは貰えないよ。
二人で半分こしよう?」
クロエ「ええッ!ダメですよそんなノ!」
俺「クロエ、さっき白いの食べるの楽しみにしてたんだろ?」
クロエ「……ハイ。デ、デモ…」
俺「それならさ、仲良く半分こしようぜ?」
クロエ「で、でも!
タケシ、この白いの大好きなハズ!
ワタシ、タケシに喜んでもらいたくて頑張ってムキムキしマシタ」
クロエ「もらえナイデス!」
俺「クロエとはさ、いつだって幸せを共有したいんだ」
俺「つらいのも、幸せなのも、
二人で分け合って、二人で感じていたいんだ俺」
クロエ「タケシ…」
俺「俺一人だけが幸せな思いするなんて…俺にはできないよ」
俺「クロエとはいつも半分こでいたいんだ!」
クロエ「タケシ…!」
クロエ「わかりマシタ!ワタシも、タケシと一緒がイイ!
ワタシも、白いないただきマース!」
俺「うむうむ」
クロエ「アリガトデス!タケシー!」
俺「………」
俺「あ、余った実のほうは全部俺が処理しちゃっていいか?」
クロエ「もちろんデス!
タケシさっき、実の方食べられマセンデシタ!
クロエの幸せ、タケシと半分こデース!」
俺「うむ」
俺「………」モグモグ
クロエ「………」モグモグ
クロエ「ねー、タケシー…」
俺「なんだ」
クロエ「白いの、ほんとに美味シイ?」
俺「………」モグモグ
俺「少なくとも、実の方はめっちゃ美味しいぞ」
クロエ「………」
クロエ「タケシ」
俺「なんだ」
クロエ「ミカンの実、ワタシにもください」
俺「やだ」
クロエ「ください」
俺「やだ」
クロエ「………」
クロエ「ズルイ!タケシウソついた!
やっぱり白いのマズイ!マズイヨ!」
俺「うるせぇ!
幸せ半分こって、さっき自分でゆーたやろがァ!!
さっきの俺と同じわびしい思いをして、
ようやく初めて対等じゃァアア!」
クロエ「ウゥゥ…白いの美味しくない…
美味しくないデース…」
俺「黙って食べな!」
クロエ「ウゥゥ…」
俺「さて、小腹も膨らませたところで…」
クロエ「ウゥゥ…もうミカンは見たくありまセーン…」
俺「年越しの準備、始めるか」
クロエ「!!」
クロエ「年越し!デス!」
俺「うむ」
クロエ「フジ山!フジ山ご来光!」
俺「それは今からじゃ無理」
クロエ「ソカー。じゃーフジ山は来年デスネー…」
俺(来年……?き、聞き流さしておこう)
俺「と、とりあえずスーパー行って食い物買おうか」
クロエ「ハイ!」
クロエ「ドッコイショ、っと…(スクッ
コート、コートーっと」スクッ
俺「………」
俺「クロエ」
クロエ「?どしマシタ?」
俺「たしかにその台詞は日本っぽいが…
それはやめた方がいいと思うぞ?」
クロエ「ソレ?ソレってなんのコト?」
~スーパーへの通り道~
俺「くそさみぃ…」
クロエ「タケシ、防寒具足りてナイ?」
俺「足りてない…」
クロエ「ハンテン持てクル?」
俺「半纏は部屋用だからダメ…」
クロエ「……あ!そうだ!」
俺「どうした。
もしかして、その首に巻いてるマフラーを凍える俺に貸してk…」
クロエ「クロエ、タケシと同じハンテンほしーデス!
お店でハンテン買いマショウ!」
俺「……そうね」
クロエ「ついでにタケシの防寒具買いマショウ!」
俺「ついでか…」
クロエ「アト、クロエのマフラー貸してあげマース!」
俺「おぉ…ありがとう…」
クロエ「まだ、寒いデスカ」
俺「少しだけな」
俺「でもマフラーのおかげで大分あったかい」
俺「ありがとな、クロエ」
クロエ「あっ」
クロエ「……///」
クロエ「さ、さ、さ…」
クロエ「さ、寒いナラ、クロエと手を繋げば…」ボソボソ
俺「あ、そうだ」
クロエ「ハ、ハイ!?」
俺「コンビニで肉まん買おうぜ」
クロエ「………」
俺「そうずれば多少は体もあったまる…
って、どしたクロエ。すごい顔してるぞ」
クロエ「……なんでもナイデス!
モー!タケシのアホ!」
俺「俺が何したって言うんだ」
クロエ「モー、イイから早くファミ○行きマショ!」
トットットッ
俺「ちょ、走るなって。おーい」
クロエ「どん兵衛買ってもらいマスカラネー!」
俺「なぜ俺が奢らなきゃいかんのだ」
クロエ「好きだからデース!どん兵衛大好きだからデース!」
俺「なんだそりゃ…理由の説明になってない…」
クロ「もー、いいじゃナイデスカー。
ほら早くイキマスヨ!」
俺「ほいほい」
完
乙
タケシのss嫌いじゃないよ
また期待してる
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1413462660/
Entry ⇒ 2014.10.20 | Category ⇒ ガールフレンド(仮) | Comments (0)
クロエ・ルメール「タケシー!ニッポンの夕焼けキレイですネ?」
俺(帰るかー…)
俺「ん」
クロエ・ルメール「???」
俺(ルメール…あいつ一人で何やってんだ?)
クロエ「あ!タケシ!」
俺「よう」
クロエ「ヨウ!」
俺「一人でなにやってんの?」
クロエ(ニコッ)
クロエ「なにもしてないデス!」
俺「そうか」
クロエ「タケシは、こんな遅くまてナニしてたデスカ?」
俺「補習」
クロエ「ホシュー?なにソレ?」
俺「……」
俺「…放課後に、特別に選ばれた生徒だけが受けられる授業のこと」
クロエ「オー!ホシュー!タケシ、ソレ、選ばれた?」
俺「うむ」
クロエ「ソレ、スゴイこと?」
俺「うむ。すごいことだぞ」
クロエ「スゴイ!タケシ、スゴイ!」
俺「ざっつらいと」
俺「ルメールって部活とかやってたっけ?」
クロエ「やってないデスヨ~?」
俺「えっ。じゃあ、授業終わってからずっとここにいたの?」
クロエ「そのとーり!デス!」
俺(二時間も昇降口に座ってたのか…)
俺(変わってるなぁ)
クロエ「………」
俺(微妙な沈黙がちょっとつらい)
俺(………帰るか)
クロエ「………」
クロエ「タケシ、タケシ」
俺「ん…なんだ」
クロエ「タケシ、部活は?」
俺「帰宅部です」
クロエ「……ソカ。タケシこれから部活で忙しいカー……」
俺「え?あー」
俺「帰宅部っていうのはだな」
クロエ「?」
俺「あれだ。えーっと…」
俺「部活には入ってないんだ、俺」
クロエ「そう……ナノ?」
俺「うん」
俺「うん」
クロエ「………」
俺「………」
クロエ「………」
俺「………」(なんだこの沈黙は…っ)
俺「じゃ、じゃあ俺は帰るね」
クロエ「え?」
クロエ「あっ、ハイ!」
俺「また明日」
クロエ「マタマタ明日デス!」
俺「おうおう」
クロエ「………」
クロエ「行っちゃった、デス」
俺(妙にモジモジしてたような……)
俺「ハッ!!」
俺(もしかして…おしっこを我慢してたのでは?!)
俺(きっとそうに違いない!!)
俺(妙に喋らなかったのはそのせいだったか…!!)
俺「うーん。悪いことしちゃったかなぁ…」
俺(俺がグダグダ喋ったせいで行きづらくなっちゃったんだな…)
俺(すぐに会話を切り上げるべきだったか…)
俺「次からは気をつけよう…」
俺(ふわぁ…今日も眠いぜ…)
扉(ガラガラ)
俺「おはよう」
クロエ「あ!タケシ!!おはようデス!」
俺「あれ?君だれ?転校生?」
クロエ「違いマス!私はクロエ・ルメールですよォ!」
俺「知ってる知ってる」
クロエ「もー!」
クロエ「昨日も、昨日の昨日もこのやりとりやってマシタ!
タケシ、いい加減飽きるベキデス!」
俺「ゴメンゴメン」
クロエ「むー」
俺「おはよう、ルメール」
クロエ「!」
クロエ「おはようデス!タケシ!」
俺「あ、やべぇ」
クロエ「ドシタカ?」
俺「宿題わすれた」
クロエ「タケシ、アホアホ~」
俺「アホじゃないし!」
クロエ「クロエの宿題、見ル?」
俺「いや…ルメールのならいらない…」
クロエ「なっ?!」
クロエ「クロエのならいらない、ってドユコトですカ!」
俺「いやだってさぁ」
クロエのノート見テくだサーイ!」
俺「痛い痛い!顔にノート押し付けないでっ」
クロエ「むむ……」
俺「だってクロエの英語の答え、間違いだらけなんだもん」
クロエ「むっ」
俺「……外人のくせに、俺より英語の成績悪いし」
クロエ「むむむっ!」
クロエ「クロエは、フランス人!英語できない仕方ナイ!」
俺「でも俺よりは英語に触れる機会は多いはず」
クロエ「フランス人、ほとんどみんなフランス語!」
俺「使えてますー水金地火木土天海冥~」
クロエ「タケシこの前の国語のテスト、クロエより悪カタヨ?」
俺「いやいや…クロエよりは流石に…」
クロエ「何点ダタ?」
俺「………」
カキカキ…←筆談する音
クロエ「………」
カキカキ←筆談する音
俺「っ!!!!」
クロエ「フッ」
クロエ「タケシ、アホの子デス」
俺「ぐっ…ちょ、まて!なら前々回のテストを…」
クロエ「望むところデス」
扉(ガラガラ!)
先生「席つけー授業始めるぞー」
俺「あっ…宿題…」
俺(なんやかんやでお昼休み…)
俺(ルメールと喧嘩しちゃったな…)
俺(…まだ怒ってるのかな)
クロエ「タケシ、タケシー」
チョン、チョン←背中ツンツンする音
俺「んひょっっ」
クロエ「?ドシタカ?」
俺「な、なんでもない」
クロエ「お昼休めダヨ?」
俺「知ってる」
クロエ「一緒に、お昼、食べヨ?」
俺「………」
俺「よし。食べようか」
クロエ「うん!」
俺(朝のことはもういいのか)
俺(ルメールはいつも楽しそうだなぁ)
クロエ「タケシ、今日のお昼どうスル?」
俺「いつも通り購買部でパン買う」
クロエ「……フッフッフッ!」
俺「ど、どうした急に」
クロエ「タケシ!今日購買部行く必要ナイ!」
俺「何故に」
クロエ「クロエ今日、お弁当ふたつ作ってキタカラ!!」
俺「おぉぉぉ!!」
俺「…おぉ?」
クロエ「タケシ、クロエのお弁当ひとつアゲマスネ」
俺「い、いいのか?」
クロエ「イイヨー」
俺「あ、ありがとう」
クロエ「えへへー」
クロエ「ジャーン!」
俺「おー」
クロエ「キャラ弁、つくてみマシタ!」
俺「おー」
クロエ「ドウドウ?クロエのキャラ弁ドウデスカ??」
俺「すごく美味しそうだ。ルメールは器用だなー」
クロエ「えへへ」
俺「………」
俺「あ、あの。ところでこれ、何のキャラ弁なの?」
クロエ「チョンマゲデース!」
俺「そうか」
俺(なんだそのチョイス)
クロエ「?ドシタカ?タケシ?」
俺「ううん。どうもしないよ。食べていい?」
クロエ「どうゾどうゾ」
俺「いただきます」
クロエ「いただかれマース」
クロエ(ドキドキ…)
俺「………うっ」
俺「うまっ!メチャうまあああいいい!!」
クロエ「ホ、ホントですカ!?」
俺「おいしい!味のIT革命や!」
クロエ「ソ、ソレどゆ意味??」
俺「食べ物に対する究極の褒め言葉だ」
クロエ「ホ、ホントに?ホントにホントにおいしい?」
俺「おいしい!味のIT革命や!」
クロエ「よ、よかっター…どんどん食べて食べテ!」
俺「おう!では遠慮なくいただくぜ!」
俺「うおォン 俺はまるで人間火力発電所だ!」
クロエ「カ、カリョク…?」
俺「これもまた、食べ物に対する至高の褒め言葉だ」
クロエ「よ、よくわかんないケド…
タケシ、喜んでくれて、クロエうれしいデス!」
…
俺「ごちそうさまでした」
クロエ「おそ松くんデシタ」
俺「それを言うならお粗末…って俺の言うことじゃないなコレ」
クロエ「?」
俺「クロエありがとな。すごく美味しかったよ」
クロエ「そ、そう何度も言われると少し照れマスヨ」
俺「クロエはお世辞抜きで料理上手だね」
クロエ「そ、そんなコトないデスッ」
俺「いやいや、あのだし巻き卵は
そんじょそこらの主婦には出せない味わいだったぜ」
クロエ「そ、そデスカ」
俺「ルメールはきっと良いお嫁さんになるなー」
クロエ「!!なれマスカ!?」
俺「えっ。うん」
クロエ「ホントに!?ホントにホントになれル!?」
俺「う、うん。なれるんじゃないかな」
クロエ「う、うぅ……///」
俺「いやーそれにしても美味かったなぁ
クロエには何かお礼しなきゃだなー」
クロエ「え?オレイ?」
俺「うん。しなきゃ、というか是非お礼したい。させてくれ」
クロエ「お礼…」
俺「おう。今ならなんでも言うこときくぜ」
クロエ「なんでも?ホントになんでも聞いてくれるデスカ??」
俺「おうおう」
クロエ「なんでも……いいんデスネ?
後悔しても知りマセンカラネ??」
俺「お、おう」
クロエ「な、なんでも…なんでもなんでもなんでも……」
俺「が、学生の俺にできる範囲でお願いします」
クロエ「けっ…」
俺「うん」
クロエ「………け、け、けっ…」
俺「け?けけけ?」
クロエ「……」
クロエ「………」
クロエ「うぅ……////」
俺「お、おい。顔真っ赤だぞ?だいじょぶか??」
クロエ「ちょ、ちょっとタンマ!タンマお願いシマス!」
俺「お、おう」
俺「け?」
クロエ「………っ」
クロエ「や、やっぱナシ!」
俺「えっ」
クロエ「さっきのはナシ!べつのお願いにシマス!シマスカラ!」
俺「わ、わかった。わかったから一旦落ち着け」
クロエ「ハ、ハイ!」
クロエ「スー…ハー…スゥ…はぁー…」(深呼吸)
俺(ル、ルメールがなんか変だ)
クロエ「ふぅー……」
俺(昨日からどうも様子がおかしい。何かあったんだろうか)
俺「………」 じーっ
クロエ「………」
クロエ「……」
クロエ「…うぅ////」
俺「……?ど、どうした?」
クロエ「無言で見つめられると照れてしまいマース……」
俺「……じゃあ見ないように俯いてるから」
クロエ「ゴメンナサイ…お願いしマース」
俺「………」(なんだこの緊張感はっ)
クロエ「キョ…」
クロエ「キョキョキョキョキョキョキョ……」
俺(鳴き声…?)
クロエ「………」
クロエ「きょうワタシと一緒に、帰ってくれマセンカ…?」
俺「………」
俺「えっ」
………
……
…
クロエ「学校オワタデスー!」
俺「おわたー」
クロエ「タケシ!タケシ!」
俺「おう」
クロエ「イェーイ!」
俺「いえーい」
パチンッ!←二人で手を合わせる音
クロエ「オー!これがニポンの古き良き文化、カシワデ!デスネ!」
俺「違う」
クロエ「アララー?」
俺「………」
俺(いつものルメール、だよな)
クロエ「むむむ…やぱり、ニポン語難しいデスね」
俺(お昼のルメールはなんだったんだろうか…)
俺(やたら顔赤かったけど…風邪か?風邪なのか?)
俺(うむ。風邪だな。風邪に違いない。相違あるまい)
クロエ「?タケシ、どした?」
俺「なんでもない」
クロエ「あ。タケシ、タケシ」
俺「おう」
クロエ「今日、帰宅部、アル日デスカ?」
俺「今日は無い日だから大丈夫」
クロエ「ソカ。良かタデス」
俺「うん」
クロエ「ハイ」
俺「えーっと」
俺「じゃあ、帰ろうか」
クロエ「ハイ!」
……
…
俺「下校なう」
クロエ「ナウ?」
俺「なう」
クロエ「ナウ!」
クロエ「ナウ~♫ナウ~ナウ~♫」
俺「………」
俺(ルメールやたら上機嫌だな)
クロエ「ナウナウ~♫ナナナウ~♫」(演歌風)
俺(不自然に上機嫌すぎる気も…?)
クロエ「ナウナウ~ナウ~♫」
俺(…いや、いつもこんなんだな)
クロエ「タケシ」
俺「おう。なんだ」
クロエ「ナウ、ってどゆ意味?」
俺「ナウマン象の略称だ」
クロエ「ナウマンゾー!」
俺「ナウマンぞー」
クロエ「あ!タケシタケシ!」
俺「ん?」
クロエ「夕暮れ!夕暮れ!」
俺「あー、キレイだなー」
クロエ「キレイダナー」
俺「うむ」
クロエ「あの夕暮れ!味のIT革命ヤ!」
俺「それはちょっと違うかな」
クロエ「ソデスカー」
俺(まぁ…どうでもいいか。今はそんなこと)
クロエ「?ドシマシタ??」
俺「なんでもないよー」
クロエ「ヨー?」
クロエ「デスね~」
俺「いつもは流して見てたから全然気づかなかったよ」
クロエ「ニッポンの夕焼け!とてもキレイ!」
俺「そうだったんだな。教えてくれてありがとな、ルメール」
クロエ「フッフッフー。
タケシ日本人のくせにニッポンのこと全然知らないデスネ!」
俺「ほんとだなぁ」
クロエ「フフ」
外の国のヒトだからこそ、気づけること、たくさんありマス」
クロエ「もし、タケシがフランス行ったら、
私の知らないフランスのヨイとこ、いっぱい見つけるハズデス」
俺「そうかな」
クロエ「そうデスヨ」
クロエ「そしたら、フランスのヨイとこ、
ワタシにもヨイとこ教えて欲しいデース!」
俺「…フランスかー…」
クロエ「ハイ!」
俺「フランス…遠くね?」
クロエ「12ジカンで行けますヨ?」
俺「そうか」
俺「……そうだな」
クロエ「ハイ!」
クロエ「今日はヨイことたくさんありマシタ」
俺「よかったな」
クロエ「ハイ!
早起きして、オベントー作ったカイありマシタデス!」
俺「………」
クロエ「タケシ、今日はありがとうデス」
俺「………」
俺「…なぁ」
クロエ「?どしマシタ?」
俺「お礼、ほんとにこれだけでいいのか?」
俺「一緒に帰るだけでいいのか?
言ってくれれば高級パフェでもなんでも奢るぞ?」
クロエ「んー。十分ですヨー」
俺「そうか…」
俺「命令?…まぁ、そうだな。
今のままじゃ、俺のサンクスフルなソウルが
申し訳なさのあまり暴発しちまいそうだ」
クロエ「……?タケシの言葉たまによくわかランデス」
俺「すみません」
クロエ「………」
クロエ「わかりマシタ。タケシに命令しマス」
俺「おぉ!ヨシこい!なんでもするぜ」
クロエ「えーっと、まず一つ目はデスね…」
俺(一つ目!?二つ目もあるの!?)
俺(ゴクリ…っ)
クロエ「……これからは毎日ワタシと一緒に帰りマショウ」
俺「……毎日?」
クロエ「毎日デス」
俺「おっけー了解了解」
クロエ「な、なんだか随分とアッサリしてマスね」
俺「一緒に帰るだけだろ?それくらい別に普通じゃん」
クロエ「むむむっ…」
俺「?どうした」
クロエ「いえ、ソノ…昨日のワタシが急に滑稽に見えて来てデスネ…」
俺「?」
クロエ「ま、まぁそれはヨイのです!次のお願いはー」
俺(二つ目…ッ)
俺「はよ」
クロエ「二つ目は、デスね」
クロエ「………」
クロエ「や、やっぱりいいデス!」
俺「えっ。今更?」
クロエ「お願いは一つ目だけでオッケーデス!」
俺「ちょ、おい」
クロエ「それじゃ!私はコッチなんで!タケシまた明日デス!!」
俺「まてまて!なんかあるんだろ?お願いしたいことが!」
クロエ「そ、それはぁ……」
俺「言えって。今言わないなら明日もしつこく聞くぞ俺は」
クロエ「うぅ…」
俺「さぁさぁ!さぁさぁ!」
俺「おう」
クロエ「………」
クロエ「ワタシのこと、ちゃんと、名前で呼んで欲しいデス」
俺「………」
俺「Uh-huh?」
クロエ「ワ、ワタシのこと!クロエって名前で呼んで欲しいデース!」
俺「名前…名前かー…」
クロエ「ハイ。ワタシ、クロエ・ルメール。
クロエって名前で呼んで欲シイ」
俺「で、でも今まではずっとルメールだったわけだし…別にこのままでも…」
クロエ「いやデス!タケシには名前で呼んでもらいたいのデス!」
俺「hmmm...」
クロエ「ルメールて呼ばれるの、ちょっぴりさみしい。
キョリ感じてさみしいデス」
俺「………」
俺「そんなにこだわることじゃあ…」
クロエ「タケシには名前で呼んでもらいたいのです!」
俺「いきなり名前で呼ぶのは、ふ、ふつうに照れるんだが」
クロエ「うぅ…クロエって呼んでもらいたいのデース…デース…デース…」
俺「………」
クロエ「ダメ……デス、か?」
俺「………はぁ。わかったよ」
クロエ「!」
俺「ク、ク、クロエっ」
クロエ「!」
俺「ほら!これでいいんだろ!」
クロエ「ハイ!……ハイッ!オッケーデス!
アリガト!タケシ!」
俺「まったく…」
クロエ「それデハ、私も対等にタケシのこと名前で呼ばせていただきマスネ!」
俺「えっ」
クロエ「サトウ!これからもよろしくデス!サトウ!」
俺「いやタケシの方が名前だからっ!サトウは苗字だから!」
クロエ「?」
俺「日本の人名は姓、名前の順で並ぶんだよ」
クロエ「???ニポン語難しいデースネー」
完
しかも性の対象としての価値しか見出だしていないデザイン・システム
男性社会の闇を見た
安倍政権のもとますますマチズモが氾濫している気がする
話がそれました
中々良いSS立ったと思う、クロエさんとタケシさんが生き生きとしていましたよ
ガールフレンドのアニメは百合豚にしか受けないだろうクソオブクソだったけどキャラはやっぱりかわいいよね
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1413274334/
Entry ⇒ 2014.10.20 | Category ⇒ ガールフレンド(仮) | Comments (0)
| HOME |