本田未央「まっはふみふみ」
本田未央「おっはよー! あ、ふみふみおはよー!」
鷺沢文香「未央さん、おはようございます……いつも、お元気ですね」
未央「えっへへー、未央ちゃんの半分以上は元気でできてるからねー」
未央「ん? 何読んでんの?」ヒョコッ
文香「これは……自己啓発本、といえば良いでしょうか」
ふみふみってもっと小説とかそっち系かなって思ってたからさ。ジュース飲む?」ガチャッ
文香「思うところが、少し、あったもので……あ、私は、お構いなく……」
未央「ふーん、そっかそっか。でもさ、そういうのでやる気出すってのも良いよね!」
未央「私もさ、ちょっと違うかもしんないけど、音楽とか聞いてよっしゃ未央ちゃん今日もいっちょや…!」
パタンッ
未央「?」クルッ
未央「……あれ、ふみふみ?」
しーん…
未央「ふ……ふ………」
未央「ふみふみが、消えた……!?」
向井拓海「それをアタシ達に話してどうしろってんだよ」
未央「一緒にふみふみの行方を探そう!」
高森藍子「トイレとかじゃないの?」
未央「だとしたら、すんごい速さだよ!?
何せ「パタンッ」って本が閉じる音が聞こえた時には、もういなかったんだもん」
荒木比奈「DIOを背後から暗殺しようと皇帝を構えたホル・ホースが、気づくと逆に背後に回られてたみたいなヤツっスか」
拓海「何を言っているのかわからねーが……ちなみによ」
拓海「文香はどんな本を読んでたんだ?」
未央「えぇと、なになに……」ヒョイッ
・346プロの元気印、日野茜入魂の一書!
・とりあえず燃やしましょう! 何事もホンキが一番です!
・何か色々喋ってたら事務所が本にしてくれましたっ! 】
藍子「茜ちゃん、本出してたんだ」
拓海「でっけぇ文字で一言ずつしか書かれてねぇ……」ペラッ
比奈「半分のページが茜ちゃんの写真だから、自己啓発本ってより写真集っスね」
未央「……あっ!」
藍子「どうしたの、未央ちゃん?」
未央「こ、このページは……!」
未央「……ペロッ」
拓海「おい、なんでこの本舐めた」
未央「これは、ふみふみの手汗! そして」
未央「このページ以降、ふみふみの手汗は着いていない。つまり……」
未央「ふみふみは、このページを見たが最後、どうにかなっちゃったんだよ!」
比奈「肝心なトコがフワッとしてるっスねー!」
藍子「と、とにかく、文香さんを探してみよう!」
未央「ふみふみー! あ、あーちゃん比奈先生、そっちは!?」
藍子「ダメだよ、見つからなかった」
比奈「トイレも一応舐めてみたんスけど、ちょびっとしか文香ちゃんの痕跡は無かったっスね」
拓海「なんで舐めんだよ」
未央「ウーム、遠くに行ったとは考えにくい……」
未央「……!」ティン!
未央「そうだ、良いこと考えた!」
 ̄\
本 \___ つ 未央の手
未央「これで良しっ!」
藍子「えっ、なにこれ(真顔)」
未央「ふみふみをおびき寄せるための罠だよ。
あの本に釣られてやってきた所に、私がこの紐を引っ張れば篭がガサーッと」
拓海「絶対捕まんないだろ」
比奈「ていうか絶対伝わらないっスよね」
<アッーー!!
未央「掛かった!」
拓海「すごいな! 誰だこんなのに引っかかる馬鹿は!」
藍子「あっ、文香さんのプロデューサーだよ!」
文香P「ペロッ……あれっ? 文香かと思ったらこれ文香の本だっ!」ハッ!
拓海「舐めるまで人と本の区別もつかねぇのかよ」
文香P「君達、文香を知らないか!? さっきからどこにも見当たらないんだ!」
比奈「アタシ達も探してるトコなんスよ」
文香P「ああぁぁぁどうしよう! これから『マッスルキャッスル』の収録なのにぃ!」
未央「えっ!? ふみふみあの番組に出るの!?」
文香P「そうなんだよぉ、あぁぁまさか文香はあまり運動得意じゃないから逃げてしまったとか…!」オロオロ…
拓海「もう収録現場にいるんじゃねぇのか?」
未央「ふみふみはマジメだから、きっとそうだよっ! 行ってみよう!」
川島瑞樹「さぁ、続いての競技は『マッスル綱引き』でーす」
十時愛梨「今日は特別に、文香さんの代打で向井拓海ちゃんに来ていただきました~♪」
拓海「おい」
藍子「ここにもいなかったかぁ」
未央「ウムム、いよいよもって迷宮入りの体を成してきたね」
拓海「おい」
三村かな子「拓海さんが相手かぁ……ううぅぅ手強そう、だけどっ」
拓海「いやアタシはやんねぇよっ! 何で出させられてんだよ!」
拓海「お前が出ろや!」グイ-ッ!
文香P「うお、ちょちょっ!! 俺が出てどうすんの絵面汚いじゃん!!」グググ…!
拓海「アタシだってさっさと文香探しにケリつけて流しに行きてぇんだよっ!!」ググ…!
かな子「へぇ……ひょっとして、文香さんを探しているのかな?」ニヤァ…
一同「えっ?」
未央「ま、まさかかな子ちん、ふみふみの居場所を……!?」
かな子「タダで教える訳には行かないよ!」
瑞樹「成長したわね、かな子ちゃん……!」
比奈「なるほど、「聞きたくばお前のその拳で聞くが良い」みたいなヤツっスね!」
拓海「面白ぇ、そういう事なら受けて立ってやろうじゃねぇか」グイッ
双葉杏「あーあ、いいのかなあんな事言っちゃって、拓海さん絶対強いじゃん」
緒方智絵里「で、でもかな子ちゃんも346プロが誇る横綱だから…!」
杏「ユニットメンバーをダイレクトにディスるんじゃないよ」
文香P「がんばえー!!」
愛梨「それじゃあ位置について…」
愛梨「よーい……ドンッ!」ササッ
拓海「うおらあぁぁっ!!!」グイーッ! ←放送できない顔
かな子「ラーイザップ!! ラーイザップ!!」グイーッ グイーッ
拓海「らああああぁぁっ!!!」グイィーッ! ←放送できない顔
かな子「あぁっ!」ドテー!
藍子「やった、勝ったよ!」
かな子「ふ、文香さんの居場所は私にも分からないの……!」
拓海「藤堂竜白かよてめーは!!」
未央「一体何を聞けというのか!」
かな子「ご、ごめんなさい! 思わせぶりな事を言っとけば付き合ってくれると思って…!」
藍子「……あれ?」スッ
つ 飴
杏「あ、それ杏の舐めかけだよ」
杏P「おっマジか」ニュッ
拓海「おいなんで舐めた」
未央「いや、飴を舐めるのはおかしくないよたくみん」
拓海「そうじゃなくて、何ていうか舐め方がエロい」
藍子「こ、これはっ! 文香さんの唾液っ!?」
文香P「!!」ガタッ!
藍子「そして、この痕跡が……行こうっ!」ダッ!
比奈「おおぉぉ、ちょっとモンハンっぽくなってきたっスね!」ダッ!
未央「あーちゃん……こ、ここ?」
藍子「う、うん……ここで痕跡は途絶えてるよ」
比奈「あれ、そういや文香Pはどこ行ったっスか?」キョロキョロ
文香P「すまない、杏Pから飴玉をもらってた」コロコロ
拓海「暢気なヤツだぜ。ここに文香がいるらしいから、お前がナシ付けてこいよ」
文香P「今日の仕事は片付いたから、ぶっちゃけ俺はもうどうでも良いんだけどね」
比奈「この中で文香ちゃんが大変な事になってたらどうすんスか」
文香P「た、大変だぁ、助けに行かなくちゃっ!」(のび太の声マネ)
拓海「殴るぞお前」
美城常務「? どうぞ」
ガチャッ
文香P「失礼致します」バタン
常務「キミか。呼んだ覚えは無いはずだが?」
文香P「いえ、すぐ終わります」
文香P「ペロッ」
常務「!?」
文香P「ふむ、なるほど……失礼致しました」ガチャッ
バタン
常務「? ……!?!?」!?!?!?
比奈「文香ちゃんはLiPPSの事務室にいるかもってコトっスね」
未央「よし、じゃあさっそく行ってみよう!」ガッツ!
文香P「俺ちょっと嫌だなぁ。あの人達怖いんだもん、なんか」
藍子「文香さんが、LiPPSの人達に怖い目に遭わされてたらどうしますか?」
文香P「とりあえず部屋に電話してみるね」ポパピプペ♪
拓海「本当に行きたくねぇんだなコレ」
文香P「あ、どうもお世話になっております~私、鷺沢文香のプロデューサーの」
文香P「ぐっほ!!?」ビヨーン
未央「えっ何!? どうしたの文香P、ブッフォン!?」
文香P「み、耳がー!! 耳がぁー!!」ジタバタ!
文香P「耳が幸せ☆」パァー♪
拓海「……もしもし。おぉフレデリカか、そっち文香いるか?……」
拓海「お、そうか、今からそっち行くぜ……あぁ、じゃあな」ピッ
比奈「どうやらゴールが見えてきたカンジっスかね」
拓海「回り道ばっかした気がすっけどな」
文香P「フレちゃんはすごく好きなんだけど、特にPが怖ぇんだよなー嫌だなー」
未央「えっ、そう? 美嘉ねぇは優しいし、しゅーこはんもしきにゃんも楽しいじゃん」
藍子「奏さんもスタイル良くて綺麗だよねー」
拓海「アタシは正直、フレデリカも苦手なんだけどな。里奈と組まれたら手に負えねぇ」
比奈「おっ、着いたっスよ」コンコン
ガチャッ
文香P「あぁぁ比奈ちゃん、一応先輩の部屋だからもっと丁寧かつ慎重に…!」
塩見周子「お、来た来た。文香ちゃーん来たよー」
未央「しゅーこはん、おいっすー! ってあれ、ふみふみいるの?」
一ノ瀬志希「鷺沢文香ですっ♪」ニャン
城ヶ崎美嘉「さ、鷺沢文香ですっ★」キメッ
速水奏「速水奏よ」
周子「やらんのかーい」ビシィッ
比奈「ていうか全体的に似せる気無いっスよね」
拓海「おい、フレデリカ、文香いるんだろ? どこだよ」キョロキョロ
フレ「タクミちゃんが落としたのは、金のフミカちゃん? それともフレちゃんですか?」
拓海「何でもいいからさっさと出せや」ズイッ
美嘉「ごめん拓海さん! 悪気は無いと思うからどうか穏便にっ!」
一同「えっ?」
キョロキョロ…
藍子「……どこに?」
文香P「怖い話?」
周子「あーじゃあこっから先はウチのギフテッドが説明するわ」
志希「説明ってほどのコトでもないけどねー」ニャハハー
志希「まず定義づけしよっか。文香ちゃんとは何ぞやってのをさ」
拓海「はぁ? 文香は文香だろ」
志希「つまり」
ガチャッ
LiPPSP「ンマッ! アンタ達もうすぐレッスンなのにこんなトコで油売って!」ムホッ
文香P「げっ、LiPPSPだ!」
LiPPSP「! アラァ~、文香Pチャン良く来たワネェ~、一緒にお茶しましょお茶っ」ドドド
文香P「お茶するオノマトペじゃないよそれ怖い怖い、こっち来んな!!」ダダ-ッ
志希「……というワケ。どう、分かった?」
藍子「つまり、文香ちゃんは概念であり、誰でも文香ちゃんになれる」
比奈「誰しもの心の中に文香ちゃんはいる、みたいなコトっスか?」
志希「せーかい♪」アホ毛ピコン!
未央「あーなるほどね。って違うでしょ!」
美嘉「あ、アタシが説明するねっ!? えぇと文香さんは…」
文香P「美嘉さぁん!! 助けてくれ、あの人に襲われるっ!」ガバァッ
美嘉「え、うえぇぇぇっ!? ちょ、うわわ…!」
LiPPSP「良いオンナに囲まれてると良いオトコに飢えちゃうのヨォ、美嘉チャンそこをお退きヨ」
美嘉「ご、ごゆっくり!」ドンッ
文香P「おうふっ」
LiPPSP「捕まえた(はぁと)」ガシィッ
奏「……という訳なのよ」
拓海「つまり、目に見えないほどすげー速さで動いてるから見えないってか?」ビキビキ
未央「あーなるほどね。って違…!」
奏「あら、私のは本当よ?」
周子「まーまー拓海ちゃん、奏ちゃんの言ってる事が本当かどうか」
周子「ここは一つ、美嘉ちゃんと綱引きで対決して決めるってのはどう?」
拓海「上等じゃねぇか、こちとら既に綱引きで体あっためてんだ」ボキボキ
美嘉「な、何でアタシが!? っていうか対決して決めるコトじゃなくない!?」
フレ「綱が無かったからスズランテープ持ってきたよー!」
未央「30cmくらいでいいかな?」チョキッ
美嘉「長さ絶対足んないし、スズランテープじゃ千切れるし!」
藍子「拓海さん頑張って-!」
志希「美嘉ちゃーん! 呼んだだけー」ニャハハー
美嘉「ふ、ふんぎぎ……!」ググ…! ←美嘉的に許せるライン
美嘉「……ってだから対決意味無いっつーの!!!」ガバーッ ←無理なライン
周子「おーこわ。すんごい顔だったよ美嘉ちゃん」
美嘉「あのねっ! 文香さんなら本当に奏ちゃんの言う通りなのっ」
未央「本当なの、美嘉ねぇ!?」
奏「嘘だと思うなら、これを」スッ
比奈「ふむ、どれどれ……ペロッ」
拓海「いやだからなんで舐めんだよ」
比奈「こ、これは! ………ペロペロ」
美嘉「何回舐めてんの!?」
拓海「舐めんじゃねぇよ!!」
拓海「……良かった。アタシだけマトモじゃないのかと内心不安だったぜ」ガシッ
美嘉「伊達にLiPPSの良心やってないから」ガシッ
比奈「これは文香ちゃんのストールっスね」
周子「見りゃ分かるのに舐めた意味ー♪」
フッ
未央「!? き……!」
拓海「ストールが、消えたっ!?」
志希「文香ちゃんにとって大事な物であればあるほどすぐに消えマース♪」
フレ「フミカちゃんはフミカちゃんたらしだからねー♪」
周子「それ言うなら、文香ちゃんたらしめるものやない?」
藍子「文香さんを、文香さんたらしめるもの……!」ティン!
藍子「そうか……そうだったんだ」
比奈「えっ、藍子ちゃん何が分かったんスか!?」
藍子「文香さんのストールが消えるのも……」
藍子「全ては、文香さんにとって大切な、優先度の高いもので……!」
藍子「つまり、文香さんは…!」
文香P「くぁwせdrftgyふじこlp!!!」 ←放送できない顔
LiPPSP「ホラホラ頑張ってぇ(はぁと)」ムホッ ←放送できない行為
文香P「ふじこっ!!!」 ←放送できない顔
藍子「……という訳だったんだよ!」
文香「はい……その通りです」スッ
未央「うわっ、ふみふみ!」
文香「私も、出来ることから始めようと……ですが、混乱させてしまい、すみません」ペコリ
未央「ううん、いいのいいの! こうしてふみふみが無事だったら何よりだよ!」
拓海「やれやれ、一件落着だな」
藍子「帰ろう、私達の事務室に」
比奈「まぁ、皆担当は別々っスけどね」
未央「皆もありがとう! あ、文香Pはそのまま置いてくね?」
周子「んー、えぇよー」ジィーッ REC
奏「何撮ってるの?」
周子「いや、そのテの人達に売れるかなーって」ジィーッ
<フジコーー!!
藍子「ん、何、比奈さん?」
比奈「気持ち次第で、そんな目に見えないほど速く動けるんだとしたら…」
比奈「文香ちゃん、今まで猫被ってたって事っスか?」
文香「いえ……そのようなつもりは、ありません」
文香「ただ、茜さんの書は、愚鈍な私を、それだけ勇気づけるものでした」ギュッ
拓海「マジかよ。アタシもちょっと読んでみようかな」
日野茜「ただしっ!! 効果には個人差がありますよっ!!!」ニュッ
未央「個人差で言い尽くせるレベルじゃないと思うよ、茜ちん」
茜「そうですっ!!! だからっ!!」
茜「個人差は、熱い血燃やして埋めましょうっ!!!!」
藍子「茜ちゃんっ……!」
未央「一応、私達も目に見えないほど速く動けるようになったけどさ……」
未央「あんま使いどころ無いね」
藍子「基本的に、見せるのが仕事だからね、私達」
比奈「目に見えなかったら意味ないっスね」
未央「喜んだのたくみんだけだったね。光速で流せるって」
文香「その点も含めて、個人差があるという事なのでしょう」
LiPPSP「アァン、文香Pチャン待ってぇ~」ヒュゴォォォ!
文香P「うおおおぉぉこっち来んなぁぁっ!!」シュバババッ!
常務「あの二人まだやってるのか」
周子「ハイハイ安いよ安いよー、アホにしか見えない追いかけっこだよー♪」パンパン
~おしまい~
くにおくんの時代劇は良ゲー。じゃあの。
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526809276/
Entry ⇒ 2018.08.09 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
ミリP「おお!おお!昴うううううううううう!!!」
ピコーン
そら「みんなのいい表情取れました!」
P「うっしゃあああああああ!」
金の蝶『すまんな』
P「エ゛ン゛ッッッッ!!!!!」
P「うおおおお!昴うううううううううう!!!」
そら「最高の一枚ですよ!」
P「おおおおおおおおおお!!!!!」
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira150651.png
環「おーやぶん!やっと遊びに来れたぞ!」
P「うわああああああああい!!!たまきちだああああああ!!!!」
P「とりあえず飴ちゃんあげるから、おじちゃんが用事終わるまで待ってような」
環「うん、わかった!」
美咲「あ、あの…プロデューサーさん…そろそろジュエル消えちゃいますよ…」
美咲「今回は恒常ですし、次に向けたほうが」
P「何勘違いしてるんですか美咲さん」
美咲「えっ」
P「まだ俺の給料袋は終了してないぜ!」
環「グレープ味美味しいぞ!」
そら「最高の一」
P「よっしゃああああああああ!」
環「みさき…おやぶん怖いぞ」
美咲「今はそっとしといてあげましょう」
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira150652.png
P「やった!これで初期SSR5枚揃ったぞ!」
歌織「お、おめでとうございます」
P「すみません歌織さん、お迎え遅くなりまして」
P「とりあえず俺は仕事があるので環の相手してあげてください(キリッ」
歌織「あ、あのプロデューサーさんどうしたんですか」
美咲「それが副業上がりからずっとあれで…」
P「おおおおおおお!!」
美咲「近所迷惑なんでそろそろやめてほしいんですが」
環「おやぶん、怖い顔して近づけないぞ」
そら『最高の一枚がとれました!』
P「!」
美咲「!」
環「?」
歌織「!」
・
・
・
昴「ごめんごめんプロデューサー!ちょっと着付けに手間取っちゃってさ!」
昴「時間かかったけど、一番最初に見てもらいたかったからな!」
昴「へへっ、どうだ?似合ってる?」
P「昴…」
P「ああ…世界中のどの野球選手よりも輝いてるし」
P「どのアイドルよりも一番綺麗だぜ…」
昴「うわっ!環すげーかわいいじゃん!いい服だな!」
環「くふふ!いまからこれでかおりといっしょにレッスンするんだ!」
歌織「よかったら昴ちゃんも一緒にやりましょう」
昴「うん、行く行く!早速この衣装にも慣れないとな!」
P「何言ってるんだ昴。これからはその衣装でどんどんファンのみんなの前で踊るんだぞ」
P「いっぱい踊ってこい、汚れ落しなんてオレや美咲さんの仕事だ!」
昴「プロデューサー…うん、わかったよ!」
昴「へへっ!目指せトップアイドル!だもんな!いってくる!」
以上です。無事お迎えできました。
月末限定は瑞希か先輩か
たまきもすばるんもかわいかったおつおつ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1517007682/
Entry ⇒ 2018.06.11 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
モバP「まゆにごめんなさいと言いたい」
P「ごめんなさい」
まゆ「い、いえ……その、突然謝られても、一体何がどうなのか……」
P「実はさ、シンデレラガール総選挙ってやってるじゃん。アレ、まゆに投票してないんだよね……」
まゆ「……なんでですか?」
P「オッケー。落ち着こう。とりあえず、座ろう。俺は地面に座るから、まゆは椅子に座ってほしい」
まゆ「……」
P「座らないのか……」
P「……うん」
まゆ「まゆとPさんは、互いにアイドルとプロデューサーさんですよね?」
P「うん」
まゆ「まゆとPさんは、今まで沢山の苦難や過酷を二人で乗り越えてきましたよね?」
P「うん!!」
まゆ「まゆとPさんは、お互いに将来を誓い合った仲ですよね?」
P「うん!!!!!!」
まゆ「指輪とか、もう買ってるんですよね?」
P「ゼクシィまで買ってある」
まゆ「うふ♡」
まゆ「そこまでの執念があって……でもまゆには入れてくれないんですか。なら……」
P「……」
まゆ「Pさんなりに、何かしらの考えがあるんですよね。だって……そうじゃないと、わざわざまゆを呼び出して、二人っきりでお話しようなんて考えませんよね」
P「うん。まゆは大切だし、好きだから、伝えないといけないなって思ったんだ」
まゆ「うふふ。それで、まゆに入れないということはほかの誰かに入れてるってわけですよね。誰に?」
P「安部菜々」
まゆ「あー……」
まゆ「菜々さん?」
P「……ウサミン」
まゆ「ウサミン?」
P「……安部さん」
まゆ「はい、菜々さんがどうしたんですか?」
P「卑怯」
まゆ「……かも、しれませんね」
P「……」
まゆ「菜々さんのファンからの熱い声援は過去トップレベルです。中間発表も見事一位をたたき出し、そしてその勢いは一向に耐えることがない」
P「でも、きっと来年はもうこんな勢いが出ない。何より、今まで辛酸を舐め、泥水だってすすりながら、泥を掴みながら前に進んできたんだ。絶対にシンデレラガールにしたい」
まゆ「ずいぶん肩を持つんですね」
P「うん。だって……菜々さ」
まゆ「菜々さん?」
P「……安部さんは、俺がデレマスに手を出して、二人目に好きになった人だったんだ」
まゆ「……うふ」
まゆ「シンデレラガールに?」
P「うん。あと、これを言うとまゆは怒るかもなぁって思うんだけど、折角なので正直に言う。でも、多分、酷いことを言うよ」
まゆ「……はい。Pさんが思うのでしたら、きっとそれは事実です」
P「まゆなら……」
まゆ「……」
P「まゆなら次だって、シンデレラガールになれると思ったんだよ」
まゆ「……っ」
P「いつだってなれると思う。自信がある。次だって、何なら二連続でシンデレラガールになるような偉業だって、目指せないアイドルじゃないんだ」
まゆ「それ、褒めてるんですか?」
P「最上級にね」
P「うん。殴られる覚悟で言った。というか、殴ってくれた方が気が楽かも……」
まゆ「そんなことしませんよ。あ、でも……Pさんが望んでいるというのなら、話は別ですが」
P「なんかその言い方、どうでもいいみたいな感じじゃないか」
まゆ「だって、事実大したことのないお話ですからね。それを大袈裟に言われただけで」
P「……」
まゆ「一応、次の持ち越すという意見が出てきたときは、胸がちくりと痛みましたが」
P「……ごめん」
まゆ「謝っちゃ嫌ですよ」
P「……」
まゆ「Pさんが熱意を以て望み、そして何かを成そうとしている。その後ろ姿はとても格好良いですから」
P「まゆ……」
P「……そっか」
まゆ「むしろ、今からまゆに入れちゃったりする方が怒ります」
P「お、怒る?」
まゆ「ぷんぷんです。ぷんぷんまゆになります」
P「語感からして伝わる可愛さ」
まゆ「……とまあ、大した話じゃありません。まゆは、気にしていませんから」
まゆ「そうですね。未来のお話でもしましょうか。白い家に、大きなわんちゃんを買いましょう」
P「表紙が美優さんだ……」
まゆ「なんでうどん食べてるんですかね……」
P「あの人、丸亀製麺好きだからな……」
まゆ「結婚情報誌なのに、食レポまで載ってる……」
P「というか、ウエディングドレスって、結婚する前に着たら婚期を逃すとか」
まゆ「まあ、ウエディングドレス着てうどん食ってる女性に婚期も何もないとは思いますけど」
まゆ「なんですか?」
P「俺、まゆってもっと近いものだと思ってた」
まゆ「……?」
P「後ろから歩いてくるの、止めてもらっていいかな?」
まゆ「……隣、ですか?」
P「うん。俺が菜々さんに票ぶち込んだ理由、もしかしてそうかもしれないし……」
まゆ「そうっていうと……」
P「近すぎて気付かなかった」
まゆ「……き、今日は、気障なことを言う日、なんですか?」
P「やい照れるなこっちまで照れるわ」
まゆ「うぅ……」
まゆ「?」
P「結婚したらアイドル続けられるのかな……」
まゆ「まゆは、Pさんがプロデュースしてくれる限り、いつまでもアイドルですよ」
P「いや、結婚したら流石に多少なりともファン減るだろうしなぁ。シンデレラガールにしたいし、やっぱ今年も結婚は無理かぁ」
まゆ「うふ、残念ですね」
P「なんだ、嬉しそうな言い方するなぁ」
まゆ「この関係性、まゆ嫌いじゃないんですよ」
P「……そっか。じゃあ、結婚指輪はまた今度な」
まゆ「はい」
P「あ、今日のお弁当は?」
まゆ「ここですよぉ」
ちひろ「なんでうどん食いながらゼクシィ撮ったんですか?」
美優「だ、だって、最近の好みのモノを持ってこいと仰られたので……」
ちひろ「それで器ごと持ってくるような図太い精神してたんですね、美優さん。というか、存外に庶民派アイドル……」
美優「この前10万円もらってしまいまして」
ちひろ「トップアイドルが10万円の臨時収入で浮かれたんですね?」
美優「やっぱり手元にあると、重みが違うなぁって……」
ちひろ「それでゼクシィ撮ったんですね?」
美優「ごめんなさい……」
美優「埋め立てます?」
ちひろ「初手殺処分はアイドルが思っていい考えじゃないと思います」
美優「だって、事務所で結婚の話なんて……」
ちひろ「ま、最初は結構シリアスな話をしていたようですが……」
美優「Pさんには、まだ結婚してもらうわけにはいきませんからね」
ちひろ「ええ。寿退社など以ての外。恐縮ですが、来年来る可能性のある結婚も……」
美優「ごめんなさいって感じですね」
読んでくれた方、ありがとうございました。そうです、私が一億円の人です。
佐久間まゆダイマと見せかけた、安部菜々ダイマと見せかけた三船美優ダイマです。
皆さん、是非ともクラリスさんに清き一票を。
これもう誰に投票したらいいのかわかんねぇな
つまりわた未央ちゃんに投票すればいいってことだよ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1524998084/
Entry ⇒ 2018.06.04 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
【モバマス】加蓮「お腹奈緒」
奈緒「・・・え?何?」
加蓮「おなかなお。逆から読んでも?」
奈緒「・・・おなかなお?」
加蓮「お腹奈緒ーっ!」ガバァッ
奈緒「うわああああ」
加蓮「なーおーっ!」ムギューッ
奈緒「なっ、何やってんだよ!」アタフタ
加蓮「奈緒のお腹暖かい!奈緒のお腹いい匂い!奈緒のお腹癒される!奈緒のお腹可愛い!奈緒のお腹好き!」スリスリ
奈緒「おい、加蓮・・・」グイッ
加蓮「いや?」
奈緒「え?」
加蓮「私にお腹ギュッてされるの・・・嫌だった?」シュン
奈緒「・・・その聞き方は・・・ズルい」ギュッ
加蓮「えへへー、なおかあさん大好き」スリスリ
奈緒「・・・変な呼び方するな」キュンキュン
加蓮「なでなでもしてー?」
奈緒「・・・ん。これでいいか?」ナデナデ
加蓮「えへへぇ・・・」ニヘラ
奈緒(加蓮の奴め・・・急にお腹に顔埋められるの本当にビックリするんだぞ)
奈緒(今度は私がやり返してやる・・・)ワクワク
奈緒「おなかれんーっ!」ガバッ
加蓮「わっ」
奈緒「どーだ!ビックリしたろ!」
加蓮「甘えん坊奈緒可愛い!」ムギューッ
奈緒「わぷっ」
加蓮「ふふっ」ナデナデ
奈緒(あ・・・加蓮のお腹、何かめっちゃ落ち着く・・・)ホワホワ
奈緒「加蓮ー・・・」ムギューッ
加蓮「よしよし」ナデナデ
凛(卯月、島村、しまむー、うづうづ・・・)
凛(尻、お尻、けつ、臀部・・・)
凛「中々上手く繋がらないなぁ・・・」ウーン
未央「しぶりん。何悩んでんの?」
凛「みおっぱいは黙ってて」
未央「何かすごいイラッと来た」
-終わ凛-
おなかれんはオナ加蓮。お尻奈緒は逆から読むとオナり潮。
つまりはそういうこと。
ありがとうございました。
百合好き もっと書こーぜ
乙
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1524972798/
Entry ⇒ 2018.06.03 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
【モバマス】もしも、明日晴れたなら
扇風機がね、落ちてきたんです。
あっ、違いますよ? お部屋に置いて夏に使う小さいのじゃなくて、天井についていて、照明と一緒になっていて、いつものんびりくるくるまわっている、あの……そう、それです! へえ、あれってシーリングファンという名前なんですね。
あの冬の日、それが私たち二人の上に落っこちて来たんです。
ふふ、びっくりですよね? 実は私も、あのときはとてもびっくりしました。
でも、それが私―――高森藍子が白菊さんのことを知りたいと思ったきっかけだったのは、間違いないことです。
実のところ、それまで私は白菊さんに何か、特別の興味を持っていたわけではありませんでした。
私の所属しているプロダクションは大きくて、白菊さんとは担当プロデューサーさんも違います。 その上、あのころ白菊さんはスカウトされてから間もなくて、ほとんど接点なかったんです。
だから、これはおそらくですけれど、あの日シーリングファンが落ちてこなかったら私と白菊さんは『あまり親しくない同僚』のままだったんじゃないでしょうか。 そう考えると、人の縁って不思議ですね。
私達のプロダクションが入っている建物は大きなビルディングで、毎日いろいろな人が出入りしています。 私がお世話になってるPさんの事務所は10階なんですが、エレベーターはいつもめまぐるしく動いていて、一階に降りようとしてもけっこう待つって感じでなんです。
あの日、レッスンを終えた夕暮れ時もそんな感じ。 一度20階まで上がったエレベーターが19、18、17……って、各駅停車でゆっくりゆっくり降りてきて。
ようやく乗り込んだ帰りのエレベーターで、私は白菊さんと一緒になったんです。
何の偶然か、乗っていたのは白菊さんただひとり。 とはいえさっきお話しした通り、まだお互い顔を知っているかどうか―――というぐらいでほとんど面識はありません。
二人で『おつれさまです』とか挨拶して二言、三言やりとりしたら、それで会話がもう続かなくて黙りこくっちゃって。
珍しく10階から1階までどこにも止まらなかったので、黙ったままあっという間に1階に到着です。
そのまま二人並んでエレベーターから吹き抜けになっている玄関ホールに出て、別々に歩きだそうとして―――そしたら、ふっと頭上が暗くなったんです。
あれっと思う暇も、見上げる暇もありませんでした。
だって次の瞬間、白菊さんが私を思い切り突き飛ばしたんです。
突き飛ばされたことにも気付かないほど、突然のことでした。私は驚きでまんまるになった目で白菊さんを見ながらたたらをふんで、エレベーター前からすこし離れたところでぺたん、と尻餅を付いてしまいました。
ついさっきまで自分が居たあたりに物凄い音を立てて『何か』が落ちて来たのは、そうして私が尻餅を付くのとほぼ同時ぐらいだったと思います。
―――私はその一瞬、自分を突き飛ばした姿勢のままでその場に立つ白菊さんにすっかり目を奪われていました。
白菊さんは、先ほど私たちが立っていたところから、一歩も動いていませんでした。
いえ、正確には動かなかったんじゃなくて―――たぶん、私を突き飛ばしたあと、白菊さんはそこから逃げる時間がなかったのだと思います。 つまり、動けなかった。逃げ遅れたんです。
幸い『何か』……シーリングファンはすんでのところで白菊さんを逸れました。彼女は無事です。
だけど、それは『運良く』の話です。
なにが落ちてきたのか、どこに落ちるのか―――正確に見る余裕は、たぶん白菊さんにもありませんでした。
ただ、私たちの上に何かが落ちてくる、と漠然と察しただけでしょう。
それなのに白菊さんはためらい無く私を突き飛ばして、自分は逃げ遅れました。
そして、たった今自分の側で起きた出来事が、すこしも恐ろしくないみたいでした。
ぐしゃぐしゃになった残骸の側にたたずむ彼女はその瞬間、とても静かで、落ち着いるように見えて。
その彼女の表情が、私の中に焼き付いて離れなくなりました。
その表情の、なにかが変だと思ったのです。 似つかわしくないと思ったのです。 だって白菊さんはあのとき、とても、とても―――
―――寂しそうだったのです。
だけど、その表情はほんの一瞬でかき消えます。
はっ、と我に返るように、白菊さんの表情に生気が戻って、戸惑い、驚き、恐れ―――そんなごく当たり前のものに変わります。
その変化にもまた、目を奪われて。私は白菊さんに目を凝らそうとしたのですが、それ以上白菊さんを見ていることは出来ませんでした。
だってあわや大けがの落下事故です。
派手な音もしました。
すぐにまわりは大騒ぎになって、騒ぎを聞きつけた私のPさんも、白菊さんのPさんもすぐ駆けつけてくれて……私たちの周りはあっという間にすごい人だかり。
白菊さんの表情はすぐに人混みの影に隠れて、すっかり見えなくなってしまったのです。
だけど、たった一瞬でかき消えたあの寂しげな表情は私の脳裏に焼き付いていて―――知りたい、と思ったんです。
あの表情の理由を。
そして、白菊さんがどういう人なのか、ということを。
●あの子について、思うこと
白菊さんがどういう子なのか、知りたい。
そう思った私は、まずそれまで自主的に行なってきたダンスの自主レッスンの時間を変えることにしました。
もちろんそれは白菊さんと一緒にレッスンを受けるため。
まずとにかくあの子に近づいて、親しくなりたいとそう思ったのです。
最初はなかなか会話をする機会もありませんでした。
今思えばあの事故の後ということもあって、白菊さんは私を避けようとしていたのです。
ただ、幸い―――というわけでもないのですが、きっかけがありました。
当時の白菊さんは、あるステップを物にできず、苦しんでいました。
何度も挑戦して、だけど、うまく行かなくて。 何故うまくいかないのかも良くわからない―――そんな感じ。
そして私は、どうすればそのステップを物に出来るのか、知っていました。
だって―――実は私もかつてそのステップが物にできなくて、とっても苦労したんです。
私と白菊さんは似通ったところがありました。
余り運動神経がいいほうとはいえないこと。
直感よりは、地道に積み重ねていくことで何かを物にしていくタイプであること。
先日スカウトされたばかりの白菊さんのダンスは、以前の私に良く似ていました。
だからつまづくところ、克服できないところがよく似ていたりして。
今彼女が何を克服できないでいるのか、解ることがあって……
やがて私の小さなアドバイスがきっかけで、白菊さんはそのステップを物にしました。
白菊さんと私が一緒にレッスンする機会が増えてきたのは、それからです。
「高森さん、少し、ステップを見てもらっていいですか」
「高森さん、この課題についてなのですが……」
一度そうなれば、白菊さんは熱心でした。
折につけそんな風に声をかけてくれるようになって、嬉しくないわけがありません。
ちょっと目立たなくて内気だけど、素直で熱心。可愛い後輩―――最初のうち、私の感じた白菊さんの印象はそんなところ。
だけど、すぐに彼女の美点がそれだけではないと気が付きます。
「高森さん。あの……」
ある時レッスンを始める前、白菊さんは不意にわたしを呼び止めました。
靴ひもが切れ掛かっている、というのです。
私はそれに気が付いてもいませんでした。
いえ、履く時にもちろん一度チェックしていましたから、その後確認しようとも思っていなかったのです。
私が気づいた白菊さんの美点そのいちは、周囲にとても気を配っていること。
彼女はトラブルにとても敏感で、ともすれば当人よりもよく注意しています。
ある時なんか、固定金具が壊れて倒れ掛かってきた資料棚に誰より早く気付き、同期の子を助けたりしていました。
もしかしたら、私が助けてもらったような事は日常茶飯事なのかもしれません。
そして、私が気づいた白菊さんの美点、そのに。
「もう一度―――もう一度お願いします!」
皆がへたばりかかって、本人も汗びっしょりで、くたくたで。
それでもトレーナーさんの指導に喰らいついて行く白菊さん。
しばらくレッスンを共にしてすぐに気がつく彼女の美点は、その熱心さ、真剣さ。
白菊さんはとりたてて運動神経が良いわけでなく、飲み込みがいいというわけでもありません。だけどとても練習熱心で、何かにつまづいてもそこで挫ける、ということが無いのです。
練習熱心ということにかけてはきっと茜ちゃんといい勝負。
大人しく物静かなタイプなので見誤りがちですが、むしろ人一倍強く情熱を持っている子なのです。
トレーナーさんの言葉も一言も聞き漏らすまいとし、何度も何度も出来ないことに挑戦し、克服する。
その姿勢は、すこしのんびり屋の私自身、見習いたいと思うほどでした。
気配りができて、素直で、とても熱心。
あの一瞬の寂しそうな表情とは、結びつかないと思えるぐらいです。
だけど長くレッスンを共にするうちに、気がかりはむしろ増えていったのです。
◇
「白菊さん。今日はもう、このぐらいにしておいたほうがいいよ……?」
「いいえ、もう少し。もうすこしだけ、やってしまいたいんです」
消灯の近づいた、誰もいないレッスンスタジオ。すっかり暗くなった窓のそばで、白菊さんがもう少し、もう少しとレッスンを続けようとする。
「もう、消灯が近いから―――ずっと残っているとスタッフの人のご迷惑になっちゃうよ?」
ようやく時間に気付いた白菊さんが、荒い息をついて、ようやくレッスンを中止することに応じる―――
白菊さんはデビュー前。
だんだんとレッスンは難易度が上がっていきます。
そんな中、私と白菊さんの間で、こんなやり取りをすることは増えて行きました。
彼女は与えられた課題を絶対にあきらません。
自主的に居残りをして、『できない』をそのままにせず、必ず克服しようとします。
その姿勢自体は、とても素晴らしいことでした。
だけど、白菊さんのその姿勢は徐々に行き過ぎとなっていきます。
与えられた課題がどうしてもできないとき。
自分の中で満足がいかないとき。
そんなとき、白菊さんは何かに突き動かされるように、鬼気迫る様子でレッスンに打ち込みます。
どんなに時間がかかっても、どんなに疲れても、『できない』を克服しない限り絶対にレッスンをやめようとはしない。
そんなことがだんだんと増えてきたのです。
もしも誰かが止めなければ、彼女は文字通り倒れるまでレッスンを続けるでしょう。
今はまだ、私達の制止を聞いてくれます。
だけど、いつか私達が制止しても、ひそかにレッスンを続けるようなことになってしまうのではないか?
私はそれが心配で、白菊さんを目で追うことが増えていきました。
最初はただ『熱心で真剣』と見えた表情に、いまは焦燥が混じっているように思えます。
そう、私には白菊さんが何かを急いでいるように見えます。
いつか、白菊さんはそのせいで取り返しの付かない怪我でもしてしまうのではないでしょうか―――私はそれが、心配です。
でも何故?
白菊さんは、何を急いでいるというのでしょう。
アイドルとしてスカウトされ、デビューの機会を掴んだ13歳の女の子がそれほどに焦る理由を、私は想像もできずに居ました。
二つ目と三つ目の気がかりは、同じ根を持っています。
そのひとつは、彼女が一本線を引いて他人と接している、と感じたことです。
私と白菊さんの関係は、決して悪くないと思います。
二人でレッスンすることも言葉を交わすことも増えて、正直あの時間一緒にダンスレッスンをしているメンパーの中では、私はもっとも白菊さんと会話する機会が多いと思います。
だけど、白菊さんは決して私的な話はしませんし、レッスンの後を私や誰かと過ごそうとすることはありません。
自主的にレッスンに打ち込む日が増えるにつれ、その傾向はより強まってきたようです。
決して誰かと協力することを拒むわけではありません。
ただ、まるである一点を超えて誰かと親しくなってはいけない、と自分に課しているように思えるのです。
―――もちろん、私達は友達になるためにここにいるのではありません。
私達は同期であるとともに競い合うライバルであり、場合によっては一つの座を争う敵ともなります。
決して誰かと慣れ合わない―――という姿勢は考えようによっては、正しいこと。
それが彼女の選んだ道であれば、全体の和を乱さない限りにおいて口出しするべきではないのかも知れません。
だけど、それなら。
彼女はあの時、どうしてあんなに寂しげだったのでしょう。
そして、最後の気がかり。
それは、私が参加する以前から白菊さんとレッスンを共にしていた子たちの多くが白菊さんを避けはじめている事でした。
その中には白菊さんと同期の子、同年代の子、白菊さんの気づきによって怪我を免れた子までが、含まれていました。
本人が線を引いているのですから、むしろそうなっていくことは当然とも思えます。
だけど、白菊さんを遠巻きにする子たちの表情を見るうちに、私は違和感を覚えます。
そこにあるのは不満でも、無視でも、敵意でもありません。
それは、恐れ。
そう、まるで彼女たちは、白菊さんを恐れているように見えたのです。
◇
「高森さんも、白菊さんにはあまり近寄らないほうがいいと思います」
白菊さんを避ける子の一人―――仮にA子さんとしておきます―――は、白菊さんと同時期にスカウトされた子です。
たしか以前、白菊さんの気づきによって資料棚から助けられたのも、この子です。
そのA子さんに面と向かってそう告げられたのは、更衣室で偶然その子と二人きりになった時の事でした。
多分、私と二人きりになれるときを、待っていたのでしょう。
誰かと親しくしない方が良い―――などと勧めるのは、正直関心しないことです。
だけど私は、それをたしなめようと思う前に、まず驚いて―――あっけに取られてしまいました。
彼女は、決してこういうことをするタイプの子では無かったからです。
とてもまっすぐで、頑固すぎるところがあるけれど、優しくて気遣いの出来る、そんな女の子―――
決して短くない期間レッスンを共にする中で、私はA子さんにそういう印象を抱いていました。
それに―――そう告げる彼女の顔はあまりにも深刻で、苦しげに見えました。
何が、彼女をそれほど苦しめているのでしょう。
簡単に否定したり、たしなめたりしてしまって良い話ではない。
その時私には、そう思えました。
「―――どうして?」
だから私はできるだけ穏やかに、静かな調子でそう問います。
「……高森さんは『不幸の子』の話を聞いたことがありますか」
そして、彼女から帰ってきたのは、そんな奇妙な言葉でした。
聞いたことはありました。
それは『芸能界の怪談』とでも言うような、不思議な噂です。
いわく、次から次に事務所を潰す、不幸の申し子がいる。
申し子は抜けるように色が白くて、少し紫がかった瞳をしていて。
もし自分の事務所にその子が来たら、様々な不幸な事が起きるようになって、事務所はつぶれ―――おしまいになってしまうんだ、って。
知ってはいましたが、無論本気で信じていたわけでもありません。
芸能界というのは、噂や伝説の多いところです。
そして噂には、すぐに面白おかしい尾ひれがつくものです。
私は『不幸の子』の噂も、小さな何かに尾ひれのついた、ただの噂に過ぎないと思っていました。
そんな噂は、信じていませんでした。
「でも、あれはただの噂―――だよね?」
私は出来るだけ穏やかに言葉を継ぎました。
だけど、A子さんの表情は深刻そのもの。
「あたしもずっと、そう思っていたんです。 最初は白菊さんと、仲良くしていたし。 だけど―――ただの噂じゃないんじゃないか、って」
私から目をそらして言葉を続けるA子さん。
「高森さんも、事故にあったって聞きました。私も、です―――だれでもわかるじゃないですか。あんな事故、本当は滅多に起きないって」
A子さんの言うことは、解ります。
自分めがけて照明が落ちてきた―――なんて、私には初めての体験でした。
このプロダクションに所属して、短くない期間を活動してきて、あんな事故に遭ったのは初めてのこと。
靴紐が切れたりすることも、なかなかあることではありません。
だけど。
「だけど、貴女を事故から助けてくれたのも、白菊さんだよね? 私も、白菊さんが助けてくれなかったら、きっと大怪我をしていたと思う」
「もし、その事故が、白菊さんが居なければ起きなかったとしたら?」
A子さんは、真剣です。
「白菊さんと一緒に居るようになってから、いろんなことが起きるんです。 物が落ちてきたり、停電したり、すぐそばで交通事故が起こったり―――そして、そんな事が起きるたび、白菊さんは謝るんです。謝って、言うんです」
だんだん、A子さんの言葉が早口になっていきます。
私から顔をそむけて、硬い、震えるような言葉で、続けます。
「『私が不幸を呼んだから』―――って」
自分が不幸を呼ぶ。
誰かを不幸にする。
それが私なのだと―――白菊さんは言ったというのです。
「だから、避けたほうがいいんです。あの子のそばにいると、きっと高森さんもまた危ない目に遭います」
A子さんの言葉は、続きます。
口を開いたら止まらなくなってしまった、そんなふうです。
「事務所でなにか良くないことが起きると、まっさきに『それは自分のせいだ』と言うのはほたるちゃん。 人が不幸に巻き込まれそうになったら、自分の身も省みず助けに入るけど自分はいつも無事で……巻き込んでごめんなさい、と謝る。 まるで―――まるで、不幸を呼んでいるのが自分だと確信してるみたいに」
そんなことが、沢山あったのでしょうか。
もしかしたら私の時も、白菊さんは自分の周りで何か悪いことが起きるに違いないと思っていて―――だから頭上に異変を感じたとき迷わず私を突き飛ばしたのでしょうか。
「だから、離れるのがいいんです。きっとそうなんです。白菊さん自身が私達から離れようとしているんだし、それが一番いいじゃないですか。 お互いのためじゃないですか!」
最後のほうは、叫ぶみたいでした。
俯いたままぜいぜいと息をついて沈黙するA子さんの肩に、私はそっと手をおきました。
彼女の身体がびくっとすくんだのが、解ります。
「私のためを思って、言ってくれたんだね―――でも、そんなことは言わないほうがいいと思う」
私の言葉に、A子さんの身体がこわばります。
「どうしてですか。 不幸なんて、偶然に違いないからですか。 同じ事務所の仲間同士、仲良くしなくちゃいけないからですか」
「ううん、違うよ?」
「じゃあ、どうしてそんな事を言うんですか」
「貴女が、とっても苦しそうな顔をしているから」
「―――!」
彼女は私に白菊さんの話をしている間、ずっと苦しそうでした。 言いたくないことを無理に口にしている、そんな顔を、していたのです。
「こんなことを言いたくない、って顔をしていた。ずっと辛そうだった。 だから―――言わないほうがいいって思う。貴女が傷つくから」
「私は、白菊さんのことで傷ついたりしません。苦しんだりしません」
「さっき、白菊さんの事を『ほたるちゃん』って呼んだでしょう?」
「―――!」
無意識の事だったのでしょうか。 A子さんは目を丸くして、さっと口元を隠しました。
「白菊さんの事、本当はそう呼びたいんだなあ、って思ったの。離れたくないんじゃないかって―――違った?」
だって、本当に恐がって、嫌いなら。 苦しむ必要はありません。
苦しむのは気になっているから。
苦しむのは、嫌いになりたくないからではないでしょうか。
「私だって―――」
A子さんはぶるぶる震えて、小さく、小さく声を絞り出します。
「私だって、私だって、私だって! こんなこと言いたくない! 信じたくない!」
彼女の瞳から、ぼろぼろと涙がこぼれます。
「だけど、だけど―――もう今は、恐いんだもの―――」
A子さんは人目を気にせず、わんわんと泣き出しました―――
◇
「―――私とほたるちゃんは、同じ日に事務所に入ったんです」
事務所にほど近い喫茶店のボックス席。
更衣室から場所を移してしばらく時間がたって。
ようやく落ち着いたA子さんは、ぽつぽつと思い出を語ってくれました。
「ほたるちゃんは、誰かを幸せにできるアイドルになりたいんだって言っていて―――歳も近いし、一緒に頑張って夢を叶えようねって約束したんです」
私は、聞き役に徹します。 A子さんの鼻がくすんと鳴りました。
「一緒にレッスンして、色々な話をして。楽しかったな……だけど、ある時、変わったんです」
「……変わった?」
「私達のすぐ近くで、交通事故があったんです。 二人とも無事だったし、私はびっくりしただけだったんだけど―――ほたるちゃんの顔は真っ青でした。 ごめんなさいって言って、駆け出して……それからほたるちゃんは、みんなと距離を取るようになったんです」
ごめんなさい。
私はふと、ぐしゃぐしゃに潰れたシーリングファンの傍らに、ひどく静かに佇む彼女の横顔を思い出しました。
「仲良くなってた子たちとも距離を取るようになって―――どうしたのか聞く私達に、不幸の子の話を、自分の身の上の話をしてくれたのは、他ならぬほたるちゃんでした。 だから、近づかないほうがいいんだって―――私たちは、『そんなこと気にしない、きっと偶然だ』って言ったんです。 そしたら、ほたるちゃんが……」
「―――どう、したんですか?」
「……笑ったんです。とっても、とっても寂しそうな顔で―――そしてそれ以来、ほたるちゃんとの距離は、離れる一方になりました」
無力感や苦しみが混じったような深いため息が、A子さんの口から吐き出されました。
「私達は、ほたるちゃんのことがだんだん解らなくなっていきました。 いつでも線を引かれていて―――何かトラブルがあると、いつもほたるちゃんが助けてくれて……だけど、それが恐かったんです」
助けて貰ったのに、何が恐かったのか。
私がそれを問う前に、A子さんは言葉を継ぎました。
「どんな危険なときも、迷わず助けてくれて―――でも、いつも平気な顔なんです。 まるで、『不幸』を少しも恐れていないみたいに。 その不幸で自分が死ぬことはないとでも思っているようで―――恐かったんです」
彼女たちが感じたという『怖さ』を、私は否定できませんでした。 あの時私を助けてくれたように、白菊さんはきっと不運な事故があったとき、誰かを助けようとして来たのでしょう。
そして、いつもあの時のように静かな顔をしていたのかもしれません。 今目の前で起きたことに微塵の恐怖も覚えていないような、あの顔を。
「ほたるちゃんが、解らないんです」
物理的な痛みを堪えるような顔で、A子さんは言います。
「焦っているみたいに、おかしいぐらいレッスンに打ち込んで。 何も恐くないみたいで。 夢が叶うって喜んでいた、あのときの笑顔がまるでウソみたいで。 どうしていいかわからなくて―――でも、『不幸』は確かに起きていて、ほたるちゃんはそれが自分のせいだと確信してるみたいで―――」
だから、彼女たちは白菊さんを恐れるようになった。
だけど、ただ白菊さんが不幸の子だから恐がっているのでは、ありません。
白菊さんが理解できなくて、恐がっているのです。
気にしないというのに自分たちからどんどん離れていく白菊さんが、不幸をまるで恐れないように見える白菊さんが、度を越してレッスンに打ち込む白菊さんが、決して理解されようとしなくなった白菊さんが、理解できなくて―――恐れるしかなくなったのではないでしょうか。
私に、できることは無いのでしょうか。
目の前で冷めていくカフェオレを眺めて、私はそんなことを考えます。
喜んで、皆と仲良くしていた白菊さんはかつて確かに居て。
白菊さんを恐れて、でも、そうはしたくないと心を痛めている子が確かにいる。
誰も望んでいないのに、皆が苦しい―――なんていうのは、おかしいのではないでしょうか。
「白菊さんと、話したいな」
私は心の底からそう思いました―――。
●あの子と話せたときのこと
色々考えていたんです、色々。
一生懸命考えたんです、本当です。
白菊さんたちのために何かしたい。
そのために、白菊さんときちんと話をしたい。
そう思っても、それはとっても難しい。
だってこれは心の話なのです。
おせっかいに踏み込んでいっても、おおきなお世話どころか問題をこじらせるだけかも知れません。
私がこうしてねって言ってどうなる話ではないのです。
年長の先輩に間に立ってもらって、じっくり話す機会を持つべきでしょうか。
プロデューサーさんたちの知恵を、お借りするべきでしょうか。
白菊さんたちの仲を取り持つために、何かの催し物に誘うとかどうでしょう。
それとも下手なことは考えず、どーんと体当たりをするべきなのでしょうか―――
煮つまり気味ではありましたが、本当にいろいろ考えていたんです。
だけど、それらの思案はたった今、全部無駄になってしまいました。
年末も近づいた土曜の昼下がり。
ここはプロダクションのエレベーターの中。
「―――業者さんが来るまで二時間ぐらい、かかるみたいです」
なんだか手馴れた様子で通報装置を使って管理会社に連絡して、状況を知らせてくれるのは白菊ほたるさん。
そう、私達は今、二人きりでエレベーターに閉じ込められているのです!!
いつものようにエレベーターを待っていたらそのエレベーターに白菊さんが乗っていて。
ぎこちなく挨拶を交わして乗り込んだら、そのエレベーターが止まってしまって、これから二時間ふたりきり。
「あの、使い捨てカイロも携帯トイレもありますから……」
そう、やたら準備万端な白菊さんと二人きりなのです!!
これは、覚悟を決めるしかないのではないでしょうか。
とはいえ、何を話せばいいのでしょう……?
「い、今のところ大丈夫かな―――白菊さん、準備いいんだね」
「時々あることですから―――」
手馴れたものです、と言うように小さく笑って、白菊さんは壁にもたれてちょこんと座り込みました。
私もその隣に座らせてもらいます。
二人ならんで、エレベーターの窓の外が見える位置。
見えるのはあいにくの重苦しい曇り空でしたが、開かないドアや壁を見ているよりは、いくらか息が詰まりません。
エレベーターの中とは言え空は曇りで季節は冬。 壁や床にじんわり体温を取られるみたいに、しみじみと寒いです。
少し黙ったまま、白菊さんの横顔を見詰めます。
白菊さんは十分に着込んでいましたが、何故か不思議に寒そうに見えます。
どこか思い詰めた表情やか細い首。 あのときの酷く寂しげな表情が重なって、そういう風に思わせるのでしょうか。
二人とも口を開けず、エレベーターの中はしんと静まりかえっています。
話しかけたいことは、聞きたいことは、いくらでもありました。
だけどなかなか、きっかけがつかめなくて。
結局。
「―――ごめんなさい。 私のせいでエレベーター止まってしまって……」
曇り空を見詰めたまま、視線を合わせないまま口を開いたのは、白菊さんの方。
聞き様によってはちょっと冗談のような謝罪です。
私は一瞬、そんなことないよと笑おうとして―――すんでのところで踏みとどまりました。
だって、白菊さんの表情があまりにも真剣だったから。
そう、本当に、真剣で―――
「……あっ」
私は、呟きました。
白菊さんの表情を見るうちに、唐突に。
何かがぱちん、とまはった音が聞こえたような気がしたのです。
誰かを幸せにしたいと願う彼女。
迷わず自分の身を投げ出す彼女。
自分の噂を決して否定しない彼女。
―――明日が無いかのように、レッスンに打ち込む彼女。
今まで私が見聞きした色々な『白菊ほたる』が、私の中で渦巻いていた色々な疑問が、唐突にその一言でぴたりと纏まった気がしました。
どっ、と背中に汗をかきました。
そうです、私はとても当たり前の事を、忘れていたと気付いたのです。
「た……高森さん?」
不意にわけのわからない嘆息を吐き出す私に、白菊さんは戸惑いを隠せないようでした。
そうですよね、わけが解らないですよね……!
「ごめんなさい白菊さん。 私いま自分の鈍さにちょっとあきれているところなんです……!」
「は、はあ……」
どう反応していいかわからない、という顔の白菊さんを尻目に、私は覚悟を決めました。
ぶっつけ本番。言葉がうまくまとまっていません。
でも、行ってしまおうと決めたんです。
「白菊さん―――私ね、A子さんと話したの」
びくっ、と白菊さんが身を硬くしました。
それはそうでしょう。
いかにも唐突ですし、私がA子さんから聞いた様々なことは、白菊さんにとってあまり触れられたくないところだったに違いありません。
だけど、言わなくてはいけませんでした。
「心配、してたよ」
「―――知ってます」
ひどく硬い言葉とともに、白菊さんの視線が揺らぎます。
そうです。知らないはずはありません。 感じてないはずがありません。
人を幸せにしたいと言う子が、自分かに向けられる心に気付かないはずはありません。
その上で彼女は、人から離れる道を選んだのです。
その理由は多分―――
「私も、心配なことがあるの」
「……私は、一人でいるべきなんです。皆と話したのなら、噂のことも、わかっていますよね……」
私の言葉を遮って、白菊さんが言います。
「ううん。聞きたいことはそれじゃないの。その上で、聞きたいの……白菊さんは何故、あれほどレッスンに打ち込むの? まるで―――明日が無いみたいに」
何か、白菊さんが言おうとしました。
私は、白菊さんかの瞳から目をそらしませんでした。
白菊さんは一度目を伏せて、沈黙して、再び瞳を上げて―――
「高森さんは―――今、自分が死んだと思ったことは、ありますか?」
とても静かな声で、そういいます。
白菊さんの、長い告白が始まりました。
◇
高森さんは、『今、自分が死んだ』と思ったことは、ありますか?
物心ついてからずっと、私の周りではいろいろな事故が起きていました。
小さいこと、大きなこと、本当に色々で―――どれも私や、私の周りの人を傷つけるものでした。
私はそれがつらくて、辛くて―――
いつしか人と、距離をとるようになりました。
そうすれば、傷つくのは私だけです。 それでいい、と思ったのです。
―――ある日、学校からの帰り道。
私のすぐ前に、植木鉢が落ちてきました。
真っ赤なポインセチアが植わった、私の頭の倍ぐらいある鉢でした。
その鉢が、私の鼻先を掠めて落ちてきて、私の目の前でぐしゃりと潰れました。
今までも、何かが落ちてくることはありました。
だから私は、そういう事故にすこし、鈍感になっていたんだと思います。
ただ、その時は、真っ赤に散らばるポインセチアの葉を見て―――思ったんです。
ああ、あの鉢が当たっていたら、私は今死んでいたんだな、って。
あまりに鉢がすぐそばに落ちたので、その想像は強い実感を伴っていて―――突然、身体が震えました。
私は家に帰って、布団にもぐりこんで、震えながら泣きました。
私は、『不幸』が原因で死ぬかもしれない。
そんなことはずっと前から知っていました。
では、何故震えているんだろう。
私は考えて―――気がつきました。
私はずっと、不幸を呼ぶものだと言われてきました。
それが辛くて。
だから、人を避けて。
どこか世界の果てでたった一人になって、消えてしまいたい。
そしたら誰にも迷惑をかけないのに―――
そんなことを考えていました。
だけど今死んだら、私はただの、人を不幸にするだけのものでしかなかったことになって。
二度とそれを覆せなくなって―――
その時私は、ひどく後悔するだろうと、気付いたんです。
誰かのために、何かがしたい。
誰かを幸せにしたい。
私が居て良かった、といわれることをたった一つでも作りたい。
そうできないのなら、私は何のために産まれてきたんだろう。 強く強く、そう思ったんです。
それから私は、たびたび『明日の夜、自分が死ぬとしたらどうするか』と考えるようになりました。
テレビを見ていて、あるアイドルを知ったのも、そのころです。
画面の向こうで輝いてるアイドルを見て、心が温かくなって、幸せな気持ちになって―――
私もあんなふうになりたい。
誰かを幸せにできる、そんなアイドルになりたい。
そう強く思ったんです。
それまでの私なら、多分そう思ったところで止まっていたでしょう。
だって、できるわけがありません。
息を潜めるようにして暮らしても、結局誰かを苦しめるのに―――って。
でも、明日の夜死ぬのだとしたら、どうでしょう。
私はやってみようと決めました。
反対もされましたけど、きっとアイドルを諦めたまま死んだ『明日の夜の私』はとても後悔していると思ったんです。
挑戦はもちろん簡単じゃなくて、何度も何度も失敗して挫けそうになって―――だけど、挫けて諦めたその夜の自分が後悔すると知っていたから、挑戦を続けました。
……そして私は、このプロダクションに拾ってもらいました。
同期の友達もいて、夢を語り合って。
とてもとても楽しくて、夢みたいで―――
私はあのとき、もしかしたら不幸は自分から去ったのかも知れない、って思いました。
これからは幸せにやっていけるんじゃないかって―――
私たちのすぐそばで事故が起きたのは、そんな時でした。
それは、何かの宣言のように見えました。
お前の『不幸』は消えてなんていないんだぞ、と言う宣言です。
私は、みんなから距離をとることにしました。
同じゆめを見て、競い合う仲間を、もし巻き込んでしまったら、どれほど後悔するか知れないのです。
みんなは気にしないって、偶然だって言ってくれたけど―――そうじゃないって、私が一番知っていました。
だから、後悔しないようにしよう、と思ったんです。
私の不幸でに巻き込まれそうな人は、絶対に助けようって決めました。
明日やればいい、とは思えなくなりました。
今日やりきったんだって。
明日死ぬんだとしたら―――今日の私は全力でやったんだって、満足を抱いて今夜の眠りにつきたいって、そう思ったからです。
私が急ぐのは、だからです。
「高森さん、今度は高森さんが教えてください」
長い告白の後、白菊さんはまっすぐに私の目を見て、問いました。
「明日の夜高森さんが死ぬとしたら、高森さんは今日と明日をどう過ごしますか?」
―――結局私は、皆は、知らず勘違いをしていたのだと思います。
長い告白を終えて俯く白菊さんを見詰めて、私は自分の気付きが正しかったことを知りました。
不幸。
白菊さんにまつわる不幸を他の誰よりも深刻に受け止めているのは、白菊さんなのです。
自分が誰かを不幸にするという体験をし、それを誰より信じているのは、白菊さんなのです。
だけど、私達にとって、それはただの『噂』だった。
だから無意識のうちに、白菊さんが自分の不幸をどう思っているか、軽く見積もっていたのではないでしょうか。
『偶然だ、私達は気にしない』というのは、白菊さんにとって慰めではなく、目の前に迫る嵐を『見えない』と言われているのに等しかったのではないでしょうか。
白菊さんは、自分の不幸を誰より真剣に受け止めている。
自分の不幸で自分が傷つかないなんて思って居なくて―――むしろ逆だったから誰かを助けに飛び込もうとした。
明日が無いかのように―――ではありません。
明日がないなら今日どうするか、と考えていたのです。
だから、人を巻き込みたくない。
だから、今日に悔いを残したくない。
今日に思い残しを無く生きて、今夜の眠りにつきたい―――
明日死ぬとしたら、どうするか。
私、高森藍子が明日の夜死ぬとしたら、どうするのか?
どうしたら思い残しの無い明日を迎えられるのか?
恥ずかしい話、13歳の白菊さんが何度も考えたというその問いを、今まで私は真剣に考えたことがありませんでした。
16歳の私にとって、死はまだとても遠い、姿も見えないものだと思われたのです。
明日が無いなら決して人を自分の不幸に巻き込むまい、決して思い残しを作るまい。
白菊さんの決意は、苦しんだ果てに下したものでしょう。
白菊さんがどういう人生を送ってきたかを知れない以上、本当の意味で私がその判断の軽重を図ることはできません。
では、私が明日死ぬとしたら。
悔いの無い今日は、どういうものなのか。
私は多分、このとき初めて真剣にそれを考えました。
―――そのとき、ふと。 ぐしゃぐしゃに潰れたシーリングファンの傍らに佇む白菊さんの表情が、私の脳裏に再び浮かびました。
あの、寂しげな表情を。
私は、そのとき自分がどうしたいか、解った気がしました。
私は、ゆっくりと微笑んで、口を開きます。
「私は白菊さんと散歩に行きたいかな」
「え……」
ぽかん。
まさにそんな擬音が浮かびそうな顔をする、白菊さん。
「白菊さんといろんな話がしたいし、私のことも知って欲しい。あのね、西の路地裏にとても可愛いカフェがあって、その近くにいつも猫が―――」
「いいんですか、それで」
咎めるというよりは面食らったような顔で、白菊さんが私を問い詰めます。
「明日―――死ぬんですよ。それでいいんですか。 もっと大事な友達と過ごしたり、遣り残した大事なことをしたり―――せずに。 私と散歩とか、猫とか―――本当に、それでいいんですか」
「うーん、どうなのかな」
「ど、どうなのかなって―――!」
私の答えがあんまりおかしく聞こえたのでしょうか。
白菊さんは困り果てているようでした。
けど、しょうがありません。
その答えは、私の本心だったんですから。
「私ね、明日の夜私が死ぬなら―――なんて、いま初めて考えたの。 だから、白菊さんは凄いなって思う」
曇った窓の外を見ながら、私は告白します。
年下の白菊さんの方が真剣にこういうことを考えているなんて、年上としてちょっと恥ずかしいですね。
「だから、いっぱい考えました。悔いの無い今日ってどういうことか。何を選んだらいいのか―――って」
本当です。 とてもいっぱい、考えたんです。
「でもね、困っちゃったんです。 大事なものは本当にいっぱいあるから……どんなふうに過ごしても、どれだけものを片付けても、何を選んでも、私はやっぱり最後は心残りでいっぱいなんだろうなあって」
白菊さんの瞳を、見詰めます。
「だから、いま気になってる白菊さんをお散歩に誘いたい。 そんな普段通りを、大事にしたい。そして失うものを惜しみたい―――それが、私の答えだったの」
白菊さんが、口を噤みます。
ほんの一瞬、その表情に痛みが見えたような、そんな気がしました。
どんなに準備をしたとしても、心残りはきっと消えません。
「白菊さんが選んだ道は、立派なんだと思う―――だけど、思うの。 白菊さんもきっと、同じなんじゃないかって」
「同じ―――?」
「だって、私を助けた後の白菊さんの顔は、とても寂しそうだったもの」
「……」
白菊さんは俯いて自分の膝に顔をうずめました。
細い肩が、震えています。
―――あのとき白菊さんは、寂しそうでした。
人を助けられたという安堵でもなく、思い残しはないという満足ではなく。
ただ、寂しそうに見えたのです。
白菊さんにも、思い残しがあった。
「でも、それはきっと、当たり前の事なの」
そっと、そっと、思ったままを紡ぎます。
「どんなふうに過ごしても、どんな人でも、きっと悔いは消せないんだと思う。だから適当に生きていいってことじゃなくて―――いつもどおりの自分を好きでいることも、とっても大事なんだって、思うよ」
悔いが残らないように過ごすには、どうしたらいいんだろう。
今日を大事にするって、どういうことなんだろう。
そういうことにおいて、私が思ったことと白菊さんが思った事は、同じことだったと思います。
それはきっと、カップの内側と外側のように同じ事柄の2つの面なのです。
「だから、自分が笑顔になれること。 心が温かくなることを今日選んだっていいって、私は思ったの―――ね、明日、一緒に散歩に行きませんか?」
「―――でも、きっと明日は雨です。 窓の外はあんなに曇っているんですもの―――」
顔を伏せたまま、震える声で言う白菊さん。
私はそっと手を伸ばして、おそるおそるその手を握りました。
「そしたら白菊さんの部屋にお邪魔したいな。 私のおうちにご招待して、一緒にお夕飯するのも素敵―――もし、白菊さんが『うん』って言ってくれたら、私は明日がとっても楽しみ」
「―――」
白菊さんは小さく肩を震わせながら、頷いてくれました。
「―――ねえ、今日から貴女のことを『ほたるちゃん』って、呼んでいい?」
白菊さんは小さくしゃくりあげていて、頷いてはくれませんでした。
そのかわり、きゅっと私の手を握り返してくれたのです。
ありがとう、と小さく言って、私は窓の外の曇り空を見ました。
窓の外、遠い空には触れることが出来ません。
人の心もきっと同じです。
本当に誰かの心を理解して、それを導いてあげるなんてことは、私にはきっと出来ないのでしょう。
もしかしたら、誰にもできない事なのかもしれません。
だけど、せめて少しだけその心を暖かくすることができたら。
そう思わずにはいられませんでした。
私とほたるちゃんは、ドアが開くまでの間、ずっと手を握り合っていました。
握り合った手がとても暖かかったことを、私は今でも覚えています―――。
●おしまい
―――それでどうなったのか、ですか?
何かがすごく変わったわけじゃありません。
ただ、私は彼女を『ほたるちゃん』と呼ぶように。
ほたるちゃんは私を『藍子さん』と呼んでくれるようになりました。
一度頑なになってしまったいろいろなことはそう簡単には変わらなくて、ほたるちゃんと同期の子の関係だって、そうそう元には戻りません。
ただ、ほたるちゃんの普段には、少し笑顔が増えていて。
ほたるちゃんが変わって全てが変わったように、もういちどほたるちゃんが変わっていけば、少しづつでも物事は良く変わっていくのだと思います。
私は、そんなほたるちゃんを応援したいって。
少しづつ物事が良くなっていくお手伝いができたらいいなって思っているんです。
だから―――ねえ、貴方も手伝ってくれませんか?
いつか機会があったら、ほたるちゃんの手を取ってあげてください。
あの子が笑顔になったら、きっと貴方や、私や、色々な人の今日も輝くって思うんです―――
(おしまい)
面白かった
というのとは少し違うか
死生学がこんな感じだったな
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515058751/
Entry ⇒ 2018.05.29 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
二宮飛鳥「キミとボク」
暗く、深い水面を見ていた
広すぎて何も見えない夜の海
ふわふわとした空間に、見知った顔が目まぐるしく流れていく
向けられる多様な表情
語りかけてくる言葉
ただ、見つめている
気付けば水の中にいた
まるで引きずり込まれるかのように
はたまた自らの意志で深海を目指すかのように
深く深く光を求めて彷徨うように
前も後ろも分からずに
自由に泳げず
もがきながら闇を彷徨う
息ができない
「…」
何も見えない
「…」
此処はどこだ
「…か」
呼びかける声は何だ
「… …」
なぜボクは此処にいる
「…すか」
ボクは一体何者だ
二宮飛鳥「……んぅ」
ようやく見えた光が、開いた瞼から差し込むそれと気付くのは。次に瞬く合間のことだった。
――
飛鳥「…おはよう、プロデューサー」
P「おはやくねっつーの。また遅くまで起きてたな?」
飛鳥「…課題があったんだよ」
P「お前の場合課題と並行した夜更かしがメインだろ」
飛鳥「良いじゃないか少しくらい。時間を自由に使えるのは若者の特権さ」
P「へーへー。学生満喫してて羨ましいなオイ」
目を覚ましたのはプロデューサーの運転する車の中。助手席で軽い伸びをすると、小さな欠伸が零れ出る。
どうやら、スタジオまでの移動中につい微睡んでしまったようだ。
近頃の自動車は、本当に静かで感心するね。走行中とは思えないほどの静寂も、今のボクにとっては子守唄。眠りへと誘った犯人はきっとコイツに違いないだろう。
つまるところ彼を運転するプロデューサーにも責任があり、故にこれは仕方のないことなのだ。
…なんて。寝起きの頭で抗議してみたところで、支離滅裂すぎて何の弁護にもなりやしない。
P「ところで、何の課題やってたんだ?」
飛鳥「ああ…『カエデ・タカガキのオールナイトニッポン講座』が脳にもたらす影響についてレポートを…」
P「やっぱり夜更かしじゃねえか!」
おや、バレてしまったようだね。失言だったかな
飛鳥「…ム、それは聞き捨てならないな。ボクは昔から夜更かししていたんだ。そんじょそこらの不良学生とは一緒にしないでくれ、年季が違う」
P「威張れることじゃないぞ」
飛鳥「徹夜の結果文武に支障をきたす学生だなんて、ボクに言わせれば2流さ。例えば授業中に寝るだなんて時間のムダ、それこそ若さに甘えた怠慢だ」
P「…今、徹夜って言わなかった?」
飛鳥「…メリハリをつけて、きっちり自己管理をして"夜更かし"に挑んでこそ、真に時間に余裕のある学生と呼べるのではないかとボクは思うんだよ」
P「強調しやがった」
飛鳥「その上で、学業も仕事もボクなりに両立させてこなしてきた。公私の住み分けはしているつもりさ」
P「…まあ良いや。そこに関しては前から信用してる…というか、やってもらわなきゃ困るけど」
飛鳥「という訳で。徹夜はしていないけれど、移動時間にうたた寝をしてしまうのも良いパフォーマンスを維持するためには必要なことなんだよ。それと徹夜はしていない」
P「はいはい、そういうことにしとくか」
飛鳥「へぇ?」
P「夜遅くまで起きてて、朝イチの授業に寝坊とかしょっちゅうだった気がする」
飛鳥「…フフッ。では、キミの言う怠惰な学生生活とやらは、プロデューサーのせいということにしておけば良いかな」
P「ここで俺のせいにするか」
飛鳥「あとは、そうだな…。かつての事務所のエースだった、ねぼすけアイドルの影響もあるかもしれないね」
P「あー…確かに、あいつもよく夜更かししてたっけ」
飛鳥「ダメな大人に囲まれてこれだけ品行方正に成長したんだ。むしろ褒めてもらいたいぐらいさ」
P「口の減らなさも相変わらずだよな…っと、そろそろ着くぞ。降りる準備しとけよ」
飛鳥「了解。…寝覚めから覚醒まで、今日もタイミングバッチリだ。いつも感謝しているよ」
P「…車で居眠りしないような努力もしてくれると嬉しいんだけど」
車で寝てしまった時は到着の10分程前に起こされた後、少しの軽口を交わして目を覚ます。
この一連がボクらの恒例となったのは、果たしていつからだったろうか。あまりにも心地よく日常に溶け込んでいるせいか、始めからずっとこうしていたかのような錯覚に陥る。
実際のところ、レポートやら課題の発表等が立て込んで夜に活動する機会も増えた。…ラジオや読書、漫画に興じる時間も今まで以上に、それなりに。
その辺りは察してくれていて、車の中ぐらいならと大目に見てくれているのかな、キミは。
もしかしたらボクの勝手な思い込みで、単に静かに運転したいだけかもしれないけれど。真意はどうであれ、今のボクたちにとってベストな関係。
P「あんまり夜更かしが過ぎるんなら…罰として昼寝1回につき1枚ずつ、寝顔バラまいてやろうかな。事務所に」
飛鳥「ブラフにしてもおもしろくない冗談だね、それ。…まさか、本当に撮ってるのか?」
P「さあ、どうだろ。シュレディンガーの飛鳥だ」
飛鳥「…盗撮で訴えてやる」
P「アイドルの写真撮るのも仕事だからセーフでーす」
…今後の関係性について考え直すきっかけとなる案件かもしれない。そのうちキミのフォルダをチェックさせてもらおう。
飛鳥「『今日は迎えに来れないから帰りは1人で戻ってくれ』、だろう?」
P「おう。そんで…」
飛鳥「『事務所に着く前に連絡を入れてくれ』…かな」
P「…正解。よく分かってんじゃん」
飛鳥「まあ、お決まりだから。気の早い子からは既にメールも届いているよ」
P「ですよねー、流石にその年でサプライズなんかそうそう上手くいかんわな」
飛鳥「毎年だからね…」
P「ま、そういうことだから。今日は晩飯代浮くぞ、良かったな」
飛鳥「フフッ。期待しておこうかな」
飛鳥「?」
P「…。いや、何でもない。収録、頑張ってきてな」
飛鳥「何か言いたげだね」
P「そりゃ言いたいことの1つや2つもあるさ。…なんたって、誕生日だし」
飛鳥「…」
P「でもほら、もう着いちゃったから。続きは事務所で、ってことで」
そう彼が言うのと同時か、車はピタリと動きを止める。キミが何を言いかけたのかは理解らないけれど、残念ながらタイムリミットのようだね。
ここからしばらくは、ボクだけのセカイ。
世間にとっては何てことのない、しかしどこかの誰かにとっては特別かもしれない、そんな2月3日の幕が開く。
P「飛鳥」
飛鳥「なんだい、プロデューサー」
P「誕生日、おめでとう」
飛鳥「…うん。ありがとう」
P「ホラ、行って来い」
飛鳥「ああ、往ってくる」
実際に開いたのは鉄の扉だったけれど。そんなことは些細な違い。
1人分軽くなった車は軽快に走り去る。残されたボクはまるで名残惜しいかのようにナンバープレートを見つめるが、しかし見えなくなると踵を返し入口へ向かい歩き出す。
意図せず浮かんだ僅かな笑みは、首元のついでにマフラーで隠してしまおう。
ボクは二宮飛鳥。職業、アイドル。同時に学生でもある。今は、大学生だ。
今日はボクの、20回目の誕生日。
「…次のお便りは、ラジオネーム『モグラホッパー』さんから頂きました。『始めましてみなさん、こんにちは。』こんにちは!『私は最近、悩んでいることがあります。どうやら寝つきが悪いようで、夜中に何度か目を覚ましてしまったり…」
所変わって、ここはラジオの収録スタジオ。今日はとある2人のラジオに、ゲストとして呼ばれている。1リスナーとしては少々鼻が高い。
以前お呼ばれされて以来数年振りの出演だったけど、ここの空気も相変わらずだ。
メールテーマは夜。このメールは『安眠のために何かしていることは』という旨の内容のようだね。
「寝る前かぁ。私何かしてたかな」ポリポリ
「音楽聴くとか?」ポリポリ
「それ普段からだしなー。あっ、でも普段通りの…なんだっけ、ルーチン?みたいになってリラックスしてるのかも」ポリ
「おー」ポリリ
「ちょっと体動かすとよく寝れる気がするんだ」ポポリポリ
…これは余談だが。先程よりひたすら豆を食べながらラジオが進行されている。2月3日の豆パーティだから、らしい。
色々な意味で相変わらずだよ、この番組は。
「さっすがぁ、舞台女優さんは違うね」
「でしょー。もっと褒めてもいいのだよ?」
「飛鳥ちゃんは何かある?」
「ちょいちょーい。褒めてってばー」
2人のコンビネーションも相変わらずだ。番組が長く続いている理由も理解できる気がする。
飛鳥「そうだな…ボクも特別、意識してやっていることはないけれど。寝る前に本を読むぐらいかな」
「あー。あすあす難しい本いっぱい読んでそう」
「読んでると眠くなるんだ?」
飛鳥「そういう時もあるけど…どちらかというと、読んだ後かな。内容を反芻したり、登場人物の感情の変化だったり。書に想いを馳せて、思考を巡らせている内に眠りについてることが多いね」
「布団の中で?」
「じゃあ面白すぎると眠れないね!」
飛鳥「そう、そうなんだよ李衣菜さん。内容が気になりすぎるとつい没頭しすぎてしまう。時間を忘れて夜更けまで読んでしまう時もよくあるんだ」
飛鳥「だからこそ、寝る前に読む本はよく選ばなくてはね」
そう、あまりに面白すぎる小説はむしろ安眠の天敵なのだ。寝る前のちょっとした読書のつもりが気づけば深夜、なんてことになりかねないからね。例えば、先日のように…
ラジオで話す内容ではないかな、これは。ここは口を噤んでおこう。
「早く読める分、漫画とかも良いかも」
「だね。では次のメールでーす。ラジオネーム『なまずくん』さんから。『本田さん、多田さん、ゲストの二宮さん、こんにちは。』はいこんにちは!『ゲストの二宮さんは、今日が誕生日だそうですね。おめでとうございます!』…だってさ、あすあす。おめでと!」
「おめでとー。イエーイ!」
飛鳥「ああ。ありがとう」
飛鳥「今年で20だね」
「若い!」
「ピチピチだ!」
飛鳥「…2人もそんなに変わらないだろう。特に未央さんは」
「いやいやー、違うんだなこれが」
「10代のハリがね、まだ残ってるんだよ。20歳には!」
飛鳥「そんなものかな…」
「そうなの!」
「何かさ、一言ある?」
飛鳥「そうだな、では改めて…。今日はボク、二宮飛鳥の誕生日なんだ。今年でハタチを迎える。一応節目ということで、今までよりも少しだけ意識してしまうかな。だからと言って、これからもボクの在り方に揺らぎはないけどね」
「ほえー…なんか、あすあすも変わんないね」
飛鳥「フフ、そう簡単には変わらないさ。ずっと痛いままだよ」
…そう、ヒトは急には変われない。
容姿が変わったからといって中身までもは変わらないし、成人したからといって急に大人になれるものではないのだ。
時が過ぎたからと、年を重ねたからといって。昔は見えなかったものが見えるようになるだなんて。
そんなものはまやかしで、子ども騙しで、嘘っぱちだ。ボクはまだずっと、6年前のあの時と同じ気持ちのまま。
「ではでは、そんな飛鳥ちゃんにプレゼントがありまーす!じゃーん」
「おおっ、ケーキだ。すごーい!」
「3人分だしあんまり大きくないけどね。どうかな?」
飛鳥「フフ…嬉しいな。ありがとう」
「やったね!じゃあ切るよ!」
「2人がケーキ食べてる間にメールの続き読むね。えー、『テーマは夜ということですが、皆さんは良く見る夢はありますか?僕は最近歯が抜ける夢を見ます…」
思い出すのは、幼き日からずっと見続けている夢。つい先ほども車の中で見ていた、あの夜の海。
見通しも立たず、言い様もない不安に包まて。
それでも何かが変わらないかと願い、不器用に溺れている。そんな夢を。
「…だってさ。夢かあ」
「私、ファンタジーで冒険する夢はたまに見るかなぁ。剣とか盾持って!」
「あすあすは、よく見る夢ってある?」
…ボクはあれから、オトナになれたのだろうか。もちろん身体だけでなく。
何か変わったと、探していた何かは見つけられたと、果たして胸を張れるだろうか。
飛鳥「夢か…。海で泳ぐ夢は、よく見るね」
少し嘘をついた。正確には、溺れないように藻掻いている夢。
「海。地元?あっ、ハワイとか?」
飛鳥「そこまでは分からないな、曖昧で。見たことのある景色のような、初めてみるような…不明瞭で、よく覚えていない」
「でもさ、深層心理?だっけ。自分の欲求とかは夢に出るっていうよね」
飛鳥「…」
「海で泳ぎたいのかな」
飛鳥「…フフッ。案外、そんなところかもしれないな。海より生まれた原初の記憶のままに、無意識に誘われているのかもね」
「じゃあさ、今年の夏にみんなで海行かない?…っとと。はい、というわけで、夢のお話でした。時間なので次のコーナーに移りたいと思いまーす!りーな、よろしく!」
「はーい。では次のコーナーは…」
もしも、深層心理が夢として現れるのだというのなら。あの夢が、ボクのココロを映している鏡なのだとしたら。
それはあまりにも的を射すぎていて。考えるまでもなく、否定のしようがなく。
ボクはあの時のまま、まだ答えを見つけられていないらしい。
本田未央「いやー、2人ともお疲れ!」
飛鳥「お疲れ様。未央さん、李衣奈さん。今日は楽しかったよ」
多田李衣菜「こちらこそだよ。久しぶりだったけど、飛鳥ちゃんとのラジオはやっぱり楽しいね!」
未央「流石は我らが名誉リスナー!褒めてつかわす!」
飛鳥「お褒めにあずかり光栄、かな」
収録が終わり、今は楽屋で一段落中。全部食べるわけにもいかなかったケーキを頂きながらのトークは、さながらカフェでの女子会の一幕のよう。
未央「次もまた来てくれるかな?」
飛鳥「フフ、もちろんさ。いつでも呼んでくれ」
未央「…もー、あすあすったら!そこは『いいとも!』って返すところー!」
李衣菜「まあまあ、良いじゃん!来てくれるんならさ」
飛鳥「ボクも勉強になることは多いし、何だったら準レギュラーにしてくれても…」
李衣菜「あはは、それ良いかもね!」
――
未央「じゃーね、あすあす!バイバーイ!」
飛鳥「ああ。またの機会に」
李衣菜「誕生日おめでとー!」
背中で声を受けながら楽屋を後にする。
さて、後事務所に戻ろう。連絡は移動しながら入れるとしようかな。
タクシーを拾い行先を伝えると、車はゆっくりと動き出す。
灰色の空に、灰色のビル。移り往く景色を漠然と見つめていると、思考が泡のように雑多に浮かんでは消えていく。
…1日にケーキを2度も食べる機会などそうないだろうな。食べるからにはしっかり消費しなければ。
…領収証を受け取りそびれないようにしないとね。昔一度だけ受け取り損ねたら、回りまわってプロデューサーに交通費として払わせてしまったことがあった。「アイドルに払わせる訳にはいかない」なんて言ってたっけ。
アイドルが相手だろうと、ちひろは容赦してくれない。優秀な事務員サンだよ、全く。
…そういえば海に行くと言っていたが、日程は合うだろうか。夏になる前に、プロデューサーに相談してみるとしよう。
「お客さん、何か言いました?」
飛鳥「っ。あぁ、いえ。何でも」
つい思い出しそうになる暗い光景を振り払うかのように、メール画面を開いた端末に目を落とすのだった。
「「「おめでとう!」」」
扉を開けると共に鳴り響く、快音と祝福の声。入る前の心構えがなければ、恐らく飛び上がるほどのサプライズとなっていたであろう衝撃が、雨となってボクに降りかかる。
飛鳥「ただいま。…なんだか、クラッカー隊が多いような気がするな」
市原仁奈「飛鳥お姉さんおかえりなせー!」
龍崎薫「おかえり!もっとビックリするかと思ったのになー」
そう言ってパタパタと走り寄ってきたのは、事務所の中でも1・2を争う花丸元気の一等賞。薫と仁奈の2人だった。
飛鳥「フフ、驚いたさ。普段は2人ぐらいで鳴らすだろう?」
薫「うん!でもね、今日の誕生日は特別だから、みんなでやりたいなって思ったんだ!」
仁奈「なんたってハタチでやがりますからね!仁奈もハタチの気持ちになりたいな!」
結城晴「せっかくだからな。あんまりはしゃぎすぎるとまたちひろに怒られっけど」
飛鳥「晴、比奈さん」
晴「おっす」
比奈「お疲れ様っス、飛鳥ちゃん。調子はどうだったっスたか?」
飛鳥「ああ。楽しい収録だったよ」
比奈「それは何よりっス」
薫「ねーねー!未央ちゃん元気だった?李衣菜ちゃんは?」
飛鳥「2人とも元気だったよ。元気すぎて、ボクはトークを追いかけるので精一杯さ」
晴「オレも久しぶりに会ってみてーな、あの2人」
仁奈「みんなで食べるんだー!」
飛鳥「そうなのか、楽しみだね。…祝われる立場のボクが言うのも何だが、キミ達だけではないんだろう?」
晴「何人か買い出しに行ったんだ。飛鳥の帰りが以外と早くて、今頃大慌てだぜ?あいつら」
比奈「レッスンあがりの子達も、もうすぐ戻ってくると思うっス。それまではちょっとのんびりしてるっスかね…」
仁奈「比奈お姉さんはいつものんびりしてるような気がするですよ?」
比奈「うぐ」
見慣れた顔に出迎えられると、やはり心が安らぐものだ。
もう6年も通ったこの事務所が、いつもの顔ぶれのいるこの場所が。すっかり居心地の良い場所となった証だろうか。
そのうち皆が戻ってくれば、また少なからずもみくちゃにされるのだろう。どうやら今日はいつもの誕生祝いよりも、少々規模が大きいようだから。それまでは比奈さんの言う様に、束の間の休息とさせてほしいね。
全く、成人したぐらいで大袈裟だ…。なんて、皆の好意を無下にする無粋なことは言わないけれど。例年通りささやかに済ませて欲しかった気分が半分、それでも滲み出る嬉しさは半分、といったところだ。
…そうしている間に、ほら聞こえてきた。アイドル達の陽気な足音が。
飛鳥「…騒がしくなるな。ここも」
晴「なんか言ったか?」
飛鳥「いいや、何でもないよ」
――――
飛鳥「…ふぅ」
陽が落ちてから大分経過した。小宴は既に幕を降ろし、事務所も静かに夜を迎え入れようとしている、そんな頃。
ボクは今、事務所の屋上から闇を見下ろしていた。数えきれない明かりが、点を結び線となり、夜の街を照らし続ける。
静謐な暗闇にポツリポツリと光が生まれては消える光景を、静かに見守っている。
気付けば口笛を吹いていた。口笛を吹くのは昔からの癖。1人の時こそ響き渡る、寂寥とした音色。
いつもの歌のフレーズからオリジナルのメロディまで。ボクが演奏できる、唯一得意な自慢の楽器。
無意識に吹いていたのは、もう何度も何度も繰り返し歌ってきたあのメロディ。
"明滅する町は ボクらによく似てる" …なんて。
2月の夜は冷えるが、少々火照った身体を冷ますにはむしろ心地よいぐらいだった。
飛鳥「…ッ」
そこに一陣、強い風が出し抜けに吹き付ける。ぼんやりと考えごとをしていた頭を覚ますには、強すぎる刺激。
飛鳥「そろそろ帰ろうか…。いや、でも…」
もう少し此処にいたくて。此処にいれば、自分の中の何かが変わるような気がして。変わって欲しいと願って。
そんな下手な言い訳をしながら。もう随分前から、いたずらに時間を潰していた。
これ以上はいても無益だ。酔いなら既に醒めている。必要以上に体を冷やすだけ。
そんなことは百も承知の上なのに。
飛鳥「~、~~♪ ~~♪」
これきりだと自分に言い聞かせ、言葉にならない想いを乗せて。
オーディエンスのいない最後の独奏に臨んだ、その時。
背中から声がする。開くハズのない、誰も開けないだろうと踏んでいた扉が、不意に音を立てて開かれる。
飛鳥「…プロデューサー」
それはまるで、いつぞやの焼き直しのようで。時を巻き戻し、あの日のボクらをビデオテープで再生しているような。
3度目となるボクらの邂逅が、今ここに果たされる。
そう言ってボクの横に並び立つ。いつだってキミは、こうして隣に来てくれたね。
飛鳥「…そう言うキミは、どうして此処に?」
P「コーヒーでも飲もうと思ってさ」
ポケットより取り出した手の中から、缶コーヒーが2本顔を覗かせた。
…何が『まだいたの』だ、全く。お見透しじゃあないか。
飛鳥「アルコールとカフェインの組み合わせって、どうなんだろうか」
P「時間経ってるだろ?一緒に飲むんでもないし、大丈夫じゃないか」
飛鳥「そう。…ではいただこうかな」
プルタブを開ける小気味良い音が2つ。ゆらりと湯気が立ち昇る。
くぴりと一口、熱と甘味が口内を覆う。
飛鳥「…正直、何とも言えないかな。少し身体が火照ったぐらいで、あまり変化は感じない」
P「おっ、さてはいけるクチだな」
飛鳥「比奈さんや智香さんが隣で目に見えてゴキゲンになっていくものだから、逆に冷静でいられただけかもしれないけどね」
P「あー…あの2人、あんま強くないから。智香は自制できてるからまだ安心なんだけど」
飛鳥「比奈さんは?」
P「アレはどんどん気分良くなって、気付いたら勝手に寝てるタイプだ。さっき仮眠室で寝てんの確認した」
飛鳥「フフッ。ボクは呑まれないようにしないと」
P「そうだな。今度良い店紹介してやるよ」
飛鳥「フフ。久し振りにあの空気に直に触れてきたよ。楽しい時間だった」
P「常連感ハンパねーんだもん、お前」
飛鳥「準レギュラーにどうかとパーソナリティの2人に売り込んでおいた。キミからもよろしく」
P「んー…まぁそういう話がもしあったら、その時に追い追いしていこうな」
…夢の話も、聞いていたことになるのだろうか。訊いてみる勇気は、芽生えなかった。
飛鳥「…」
しばしの沈黙。一口、また一口と手元は少しずつ軽くなっていく。
P「…『口笛』」
飛鳥「?」
P「『さっき吹いてた口笛。もっかい聞かせてよ』」
飛鳥「…!」
知ってか知らずか。6年前の台詞そのままに、キミは平然と言い放つ。
途端に鼓動は早くなる。記憶のリフレインは止まることを忘れ、熱が身体中を駆け巡る。
あの日キミとボクが出会った、夜の海辺の物語。
まるで台本を読み合わせるかのように。
P「『いや、悪い。こんなところで1人で口笛吹いてるなんて、面白い奴だなと思って』」
飛鳥「『スーツで海に来るヤツに言われたくない』」
思い出のアルバムを、1つ1つ丁寧に捲るかのように。
P「『仕事帰りだからなぁ』」
今も色褪せることなく鮮明に思い浮かぶ光景を、噛みしめるように再現していく。
飛鳥「『…何が』」
P「『こんな時間にこんな場所にいるのは、なんでさ』」
飛鳥「『キミには関係ないだろ』」
P「『何か悩み?』」
飛鳥「『…は?』」
P「『若者が1人で海にいるのは、悩みか失恋ってだいたい相場が決まってんの。違う?』」
飛鳥「『…キミに何が理解るんだ』」
P「『分からないから聞いたんだけど』」
飛鳥「『…』」
飛鳥「…フ、ククッ。ハハハハ!」
P「あっははは!」
耐えきれず、ついにはお互い笑い合う。こんなことに必死で取り組む姿が、もうどうしようもなくおかしくって。
P「はっは…あー笑った。…この後どうしたんだっけ?」
飛鳥「フッ、フフ。ボクが撤退して、この日はお終いさ。『意味不明だ、気持ち悪い』って」
P「そうだそうだ。俺は真面目に訊いたつもりだったんだけどな」
飛鳥「突然後ろに現れたヤツに悩みだなんて言われても、真面目さなんて伝わらないよ」
飛鳥「…それは、そうだけど。結果的には」
しばらく思い出を語り合うボクたち。まるで昨日の出来事を話すかのようだ。
P「そんで2回目に立ち寄ったら、またお前いるんだもん。ほんとびっくりした」
飛鳥「ボクだって同じさ。偶然にしては出来すぎていた」
P「あの時のストーカー呼ばわりは忘れねえぞ、俺」
飛鳥「警戒していたんだよ」
P「結局まともに会話したの、4回目くらいからだったよな」
飛鳥「2度目は『ストーカー』。3度目の『いい加減通報するぞ』でようやくキミが正体を明かしたんだ」
P「名刺渡したぐらいだけど」
P「いやいや。会社帰りにたまたま寄った海辺で、あれだけオシャレして、エクステまで着けて、海で1人口笛吹いてる女子中学生、なんていう数え役満状態だぞ?興味湧かない訳ないって」
飛鳥「…なるほどね」
どれもボクなりの抵抗のつもりだったけれど。そのおかげでこの奇妙な出会いがあったというならば、悪い気はしない。
P「あの時も今も。同じように口笛吹いてるんだなって思ったら、なんか懐かしくなってきてさ」
飛鳥「…」
P「だからさ、改めて聞かせてくれない?」
飛鳥「…やれやれ、仕方ないな。今日は特別だよ」
わずか1人の観客を追加して、今宵最後のリサイタルが開かれる。
ステージも、伴奏も、ちゃんとした衣装もないけれど、これくらいが丁度良い。
自然と口から溢れ出たのは、記憶の片隅で生き続ける、どこかで聴いた名前も知らないあのメロディ。
キミに声を掛けられたあの時も吹いていたフレーズを、もう一度。
――
P「…うん、良かったよ。上手いもんだな」
終演の余韻を後に、そうキミは言う。
飛鳥「これくらい、なんてことないさ。人並み程度だよ」
P「でも俺、口笛吹けないからさ」
そう言って、スーフーと音にならない吐息を漏らし始める。…これはこれで、案外見ていて楽しい。
飛鳥「フフッ。吹けたところで、別に威張れるようなものではないさ」
P「そうは言ってもなー」
飛鳥「~♪」
P「おのれ、これ見よがしに…」
口笛が吹けるヤツはかっこいい、なんて思って真似し始めたのはいつからだったか。
最初にぴいと音が出て、たまらなく嬉しかったのはいつだったか。
飛鳥「…ずっと」
P「?」
飛鳥「ずっと吹いてきた」
自分でも思わない訳じゃない。ハタチにもなって口笛なんて、と。
意味もなく、何の付加価値もないままに、奏でた年月だけは積み重なった。
P「そっか」
飛鳥「キミと出会ったあの日から6年…流れゆくセカイの中で口笛を吹いている間に、いつの間にか6年経っていたような感覚さ」
P「…」
飛鳥「いや。もっと言えば、20年すら足早に過ぎて行った気がするな。今となってはね」
P「…早いよなぁ、ホント」
光陰矢の如しとはよく言ったモノだと思う。気付けば20歳だ。
飛鳥「何だい」
P「…飛鳥はさ、」
飛鳥「?」
P「あの時言ってた奴の答え、見つけられた?」
飛鳥「…」
不意に核心を突かれ、思わず沈黙してしまう。…ああ、キミってヤツは、本当に。
P「あの頃、夜に家を抜け出してまで掴みたがっていた何かを。飛鳥は、あれから見つけられたのかなと思ってさ」
飛鳥「…お見透しというワケか。敵わないな、キミには」
飛鳥「…。ボクには、何も見えていなかった」
一呼吸置いて、独白を始める。
飛鳥「理解らなかったんだ。何を為すべきか。ボクが其処にいた理由。…ボクは何者なのだろう。ってね」
妙に刺々した何かに取り憑かれていて。
家と学校をただ往復するだけのつまらない日常に嫌気が差していて。
ボクという存在の価値がどれほどのものか、当時のボクには知る由もなくって。
逃れようのない濁流のような日常に流されながら、諦念に近い状態で退屈を過ごしていた。
どこかに飛び出したい。何かを変えたい。
何かって何だ。自分を?それとも、こんな気持ちにさせる世の中を?あるいは、両方。
揺れていた心にとって、セカイはまるで広すぎて何も見えてこない海。
飛鳥「とうとう抑えきれなくなって…夜まで待って家を抜け出したのがあの日さ」
普段とは違う自分になりたくて、ボクなりの最高のオシャレをキメて。
学校では許されない、エクステも装着して。
そうすれば、何か変わると信じて。
飛鳥「そこから先は知っての通りだよ」
最初は不審者だと思った。突然話しかけてくるスーツの男なんて怪しい。怪しすぎる。しかも、そんなヤツに口笛を聞かれたというのがちょっぴり恥ずかしくて。
逃げるように帰る道すがら、知らない男に話しかけられたのがだんだん怖くなったっけ。
…でも。どういうワケか口笛を褒めてもらって。悩みがあることも言い当てられて。
それまで会ったこともないような変なオトナと出会ってしまった事実に、どういう訳かワクワクし始めている自分もいて。
そんな自分に、ボク自身が一番驚いていた。
流石にしばらくは反省した。なんて愚かで、危険な行為だったろうと。
でも、高揚を知ってしまった衝動はもう止められなくて。10日ほど期間を空けた後、もう一度家を抜け出したのだ。
…まさか再びキ彼と巡り会うとも知らずに。
曰く帰りに立ち寄っただけで、本当に偶然だったとキミは言う。
何の因果か、その後も何度か同じ場所で会うこととなる。
彼がアイドル事務所のプロデューサー…の、まだまだ新米であることを知ったのは、1枚の名刺から。これが3回目の遭遇。
名刺に書かれた住所が、実際にアイドルを排出している清廉潔白な会社であると調べ、少なくともいかがわしい存在ではないと判明したのが、4回目。
そうして遭遇と会話を何度か重ねる内に、学校のことや世間話、いつしか悩みですら話してしまう不思議な関係になったのは…我ながら油断しきっていた、と言うべきなのだろうか。
それだけキミとの時間は魅力的で、刺激的だった。
飛鳥「キミなら、何でも聞いてくれるような気がしてね」
P「相手の話を聞くのも仕事の内だし、慣れてただけだよ。多分」
飛鳥「それでもだよ」
P「当たり前のことだと思うけどな」
飛鳥「キミはボクの知らない答えを。鍵を。何でも持っているような気がして」
P「生きてる年の違いだ、きっと」
飛鳥「…キミには見えてることでも、まだボクには分からなくて」
P「…」
飛鳥「それが嬉しくて。でも、少し悔しくて。羨ましくて」
吐く息が、目に見えて白さを増していく。
飛鳥「…もし、キミと一緒だったら。そう、キミと旅に出られるのなら」
言葉に熱がこもっていくのが、自分でも理解る。
飛鳥「遠くまでいける。きっと、ボクは飛び立てる。…そう、思えたんだ」
P「…そうだったな」
かつて彼に言われた言葉を、そっくりそのまま復唱する。
飛鳥「『俺が中学生の時はそんな風に考えたこともなかったよ。…すごいな、君は』
『自分が生きてる証だなんて立派なもの、誰も教えちゃくれないし、すぐに分かるようなものでもない』
『その内大なり小なり選択しなくちゃいけない時が必ずやってくる。具体的には…そうだな、受験とか』
『自分で選んだその道を歩いたり走ったりしてる内、自然に見えてくるものなんじゃないかと思うんだ』
『それでも見えてこない時もある。色んな要素が絡んで、見えない人だっている。大人にも、たくさん』
『必死になって光を探して、がむしゃらだろうと行動してる君は…何て言うか、カッコいいな。すごく』」
ボクをわずかながらでも変えた、目の前の霧を払ってくれたその言葉を。
飛鳥「フフッ、当然さ。ボクにとっては殺し文句だよ?」
あれから随分、時間が過ぎた。
選んだことも、変わったことも、あの頃と比べてずっと増えた。しかし、変わらないものも確かにある。
考え方も、ものの見方も。少しは大人になれたと思っていたけど。
あの時のままの気持ちで、ここへやっと辿りついているだけに過ぎない。
飛鳥「アイドルの道だってそう。考えて、悩んだ上で。ボクが自分で選んで進んできた、第一の道さ」
あの時キミに示された、最初の分岐点。その選択は偶然か、あるいは必然か。
飛鳥「たくさん、本当にたくさんのものを見つけたよ」
過去の自分を思い浮かべては指折り数える。両の手で足りなくなる頃には、その姿はまるで祈りを捧げるようで。
飛鳥「出会いも、別れもあった。その数だけ、皆がボクに力をくれた」
ファンが、仲間が、そしてキミが。ボクに光を見せてくれる。
飛鳥「ああ、そうそう。衣装もたくさん着たね。どれも素晴らしい体験だったよ」
P「…このお洒落さんが」
飛鳥「フフッ。歩いてきただけというのに、こんなにも得るものがあったんだ。キミのおかげでね」
――答えは見つかったのか
飛鳥「まだ、足りない」
――掴みたかったものは手に入れられたのか。
飛鳥「ボクはただ、ここまで…遥か遠くまで、歩いてきただけに過ぎない」
キミが投げ掛ける問に。今、誠心誠意をもって答えよう。
アイドルとしての日々は、ボクに数多の煌めきを与えてくれた。これまでも、そしてきっとこれからも。
飛鳥「果たしてボクは何者で、何をするために生まれたのか」
一方で。それが人生の全てだなんてボクは思わない。何かを選ぶ瞬間は、いつかまた必ずやって来る。
飛鳥「ボクがボクで在る証とは一体何なのか」
アイドルというフィルターに頼らない、純なる二宮飛鳥が求めた自身の存在の理由を。ボク自身、未だ探している途中なのだ。
飛鳥「まだ全てを理解するには至っていない」
全てを知らずには、いられない。よって、故に、だからこそ。自信を持って放てる言葉がある。
飛鳥「ボクの存在証明は、まだ終わってなんかいないんだ!」
P「…そうか」
飛鳥「ああ」
P「やっぱカッコいいよ、お前」
飛鳥「そうかな」
P「二宮飛鳥は。まだ、アイドルでいて良いんだな?」
飛鳥「フフッ。楽しいからね、今が」
P「…良かった」
飛鳥「こちらこそ。…キミで良かった」
缶に残った最後の一口を、一気に飲み干す。…残った温もりは僅かだけれど、心はこんなにも温かい。
飛鳥「コーヒー、ありがとう。ご馳走様」
P「…おう。っと、もうこんな時間か」
飛鳥「長居しすぎてしまったかな。…時間は、大丈夫なのかい」
P「?」
左手にちらりと視線を送る。
P「ああ…平気平気。今日は多分遅くなるって伝えてるし、ビールでも飲んで今頃夢の中だろうさ」
飛鳥「なら、良いけど」
P「飛鳥の誕生日に駄々こねるほどガキじゃないだろ。あいつも」
飛鳥「…では、お言葉に甘えようかな」
そうして、2人で屋上を後にする。
扉に手をかけて、刹那。言い様もない感情に覆われて。誰かがいたような気がして。つい振り返る。
歌を口ずさみながら、まるで誰かを、あるいは何かを待っている。
幼気で、痛い気な少女の後ろ姿が。幻影のように目に映った気がした。
飛鳥「…」
P「どうしたー?」
飛鳥「…何でもないよ」
…彼女は一体、誰とどんな出会いを果たすのだろうね。
1人の男と共に、夜の砂浜にいた
ふわふわとした、ほの暗い空間で
しかし2人の周りだけは、スポットが当てられたように明るくて
交わす言葉も、やけにはっきりとしていた
――例えばさ。アイドルには、興味ない?
『…え?』
――君となら、何か面白いことができそうだって。実は前から思ってたんだ
『話が、見えてこないな』
――…俺には、君の悩みの直接の答えは分からないけど
『うん』
――君が望むなら。答えを探して、見つけ出すまでの手伝いならできる
『…つまり、ボクにアイドルになれと』
――なれ、だなんては言わない。でも…色々と目新しいものは、きっと見つかる。保障する
『…キミは、一体』
――
飛鳥「……ん」
朝は誰にでも平等にやってくる。もちろんボクにも。
同じ海でも、いつもとテイストの違った海の夢を見た。
飛鳥「… …」
あの日を夢に見るなんて。昨夜のやり取りは、よほど記憶の回路を刺激してくれたようだ。
なかなかやるじゃないか、ボクの夢。
それは、アイドルへの招待状。開幕に先立つ、2人きりでのプロローグ。
言葉にならずに、笑った。そんな朝だった。
…さて、ウェイクアップ。目覚めようか。
ベッドから跳ね起き、手帳を開く。なんだか身体の調子も、普段より良いように感じるね。
飛鳥「午前は講義、昼からはレッスンだから…」
なあ、聞いてるかい。14歳のボク。
ボクは今、ボクなりにアイドルを楽しんでいるよ。
新しい出会いも経験も、数えきれないぐらいできたんだ。
だから安心して、ソイツと旅に出れば良い。
まだまだ寒い2月の朝。キミは今頃、事務所に向かっている頃だろうか。
それとも、行ってきますを言っているところかな。
並んで仕事に向かうなんてことはすっかり減ってしまったけれど。
どうか、これからも一緒に歩んではくれないだろうか。
例え足元の道は違っていても。進む方向が同じなら、きっとボクらは共に往ける。
片や事務所に、片や学校に。キミはプロデューサーで、ボクはアイドルで。
それぞれの道を歩いてた、キミとボク。
6年後という設定を良いことに妄想のオンパレードでしたが、ご容赦ください
原曲にした(つもりの)曲が一応あります。途中吹いてる口笛も、そのメロディをイメージしてました
飛鳥の口笛に関する記述を最初に見た時からずーっと頭には浮かんでいたものの、アウトプットする機会がなかなか見つからないまま脳内で捏ねてたお話です。
20年という歳月をお話に組み込むには誕生日のイベントが良いかな、ならついでに誕生日に投稿できればベストかな、などと思いながら書いたつもりです。間に合って良かった
拙い文でしたが、ようやく形にすることができて良かったかなと思っています
タイトルもお借りしているので、もし興味が湧いた方がいれば聴いてみてください
誕生日おめでとう、飛鳥。これからもよろしくね
誕生日なだけあって飛鳥SS多くて嬉しい
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1486120993/
Entry ⇒ 2018.05.17 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
比奈「CHUNITHM っスか?」
3作目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1504698271/
↑1作目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1504873907/
↑2作目
読まなくても大丈夫ですが、読んでおいたほうがいろいろつかみやすいかと思います。
キャラ崩壊、呼び方違い等あるかもしれません。
まったり初めて行きます
モバP(以下P表記)「~♪」トトトトトト
比奈(プロデューサーが机でなんかしてるっスね)
比奈(歌いながらってか曲聴きながら机を叩いてる…?)
P「~~♪」バンッ!バンッ!トトトトト…
比奈(今度は両手で机叩いたと思ったら片手でリズムとってる?)
比奈(本当に何してるンスかねえ…)
比奈(聞いてみようかな)
比奈「プロデューサー。プロデューサー!」
P「~~~♪」タタタタッ。タタタタッ
比奈(聞こえていない。ただのしかばねのようだ)
比奈(ってしかばねじゃないっス)
比奈「プロデューサー」トントン
P「~~♪ っておう。比奈か。どうした?」
比奈「何回もよんでたんスけど聞こえてなかったようで」
P「あー。ごめんごめん。気付かなかったや。」
P「なんかあったかな?」
比奈「いや、何してるのかなーって思っただけっス」
P「あーこれか。見られたか。」
比奈「バッチリ」
比奈「んで、なにしてたんスか?」
P「これか?んー…練習?」
比奈「練習…まさかプロデューサーもアイドルに…!?」
P「俺も歌って踊れるアイドルに!ってんなわけあるか。」
比奈「…そうっスよね」
P「当たり前よ。さっきやってたのは俺のやってる音ゲーの練習ってか癖みたいなもんだよ」
比奈「そうっスか。あんまり詳しくないもんで」
P「チュウニズムって音ゲーなんだけどね」
比奈「ちゅうにずむ…?こんなんスか?」シュバッ
比奈(中二病独特のポーズを取る)
P「俺も最初そう思ったけど、違うね。」
P「それだと後輩Pくんが担当してる蘭子ちゃんと飛鳥ちゃんみたくなるね」
比奈「ハハ。そうっスよね…」テレテレ
P「そうそう。実際の表記はこうやって書くんだけどね」カキカキ
"CHUNITHM"
比奈「ふむふむ。結構やってるんスか?」
P「そこそこやってる気がするなあ。」
比奈「一人でやるんスか?」
P「まあ音ゲーだから基本一人だね」
比奈「他にやってる人とかいるっスか?」
P「鰐P、梨P、後輩P、それに美穂P、文香P、奏P、アナスタシアP」
P「この辺はやってるね。」
P「後輩Pくんとは同じくらいだけど、鰐Pが一番アレやな。」
比奈「アレとは?」
P「ん?人間やめてる。」
比奈「・・・は?」
P「人間やめてる。まあ鰐だからな」
比奈「鰐なら仕方ないっスね。…ん?」
P「まあ冗談だけどね。」
-------------------
鰐P「ハーーーーックシュン!!」
美優「鰐Pさん大丈夫ですか?」
薫「せんせぇ、だいじょうぶ?」
楓「酒は百薬の長と言います。今夜飲みに行きましょう」
------------------
比奈「ですよねー。」
P「流石にね。でもあいつが一番うまいんじゃない?多分」
比奈「そうなんスか。ちょっと気になるっスね。」
P「まあ比奈がいいならだけどね」
比奈「お、行きたいっスー。」
P「じゃあ行くか。」
比奈「楽しみにしておきますねー」
比奈(これは実質プロデューサーとデートなのでは…?)カァ
ちひろ「仕事ちゃんと片付けてくださいね?」
P「あ、ちひろさんいたんですか。大丈夫です。そのへんはぬかりありません。」
ちひろ「なっ!!最初からいましたよ!!」
P「HAHAHA!スミマセン」
ちひろ「もう!!」プクー
P「すみませんって。じゃあ比奈後でな。」
比奈「はいっスー。」
------------
P「んー!終わった!比奈行くぞ!!!」
比奈「私も準備ばっちしっス!」グッ
P「じゃあちひろさんあとはよろしく頼みます!お疲れ様でした!!」
ちひろ「はいはーい。お疲れ様でした。」
比奈「ちひろさん、お疲れ様っス。」
ちひろ「はい。比奈ちゃんもお疲れ様です」
P「さて、着いたわけだけど。最初は両替機とトイレだな。」
比奈「私のいること忘れてないっスよね?」
P「・・・・・・忘れてないよ」
比奈「今の間はなんスか。」
P「つい…普段一人だから…」
比奈「・・・スイマセン」
P「やめろ。哀れむ目で見るのはやめろ。ってことでちょっと待ってて」
比奈「はいっス。」
-------------
P「おまたせ」
比奈「いえいえ。大丈夫っス」
P「じゃあ向かうか。」テクテク
比奈 パタパタ
P「これがそれなんだけど」
CHUNITHM STAR
比奈「へーこれがそうなんすね。あれ?ボタンが見当たらないっスけど」
P「ボタンはなくて、このスライダー?があるのと、横にエアーの感知するセンサーがあるんだよね」
比奈「なんか不思議っスねー」
P「俺も最初は戸惑ったわ。とりあえず1プレイやるわ。」
比奈「じゃあ私は見てるっス」
デーン!
~~~~♪
モードヲセンタクシテネ!マップヲセンタクシテネ!
チケットヲセンタクシテネ!
P「ここから曲を選ぶんだが」
比奈「いろんな曲があるんスね。」
比奈「あ、これは今問題になってるアニメのOPじゃないっスか」
P「そうなんだよ。早いとこいい方向に向かってって欲しいけどね」
P「じゃあ最初はこの曲にしようか」
welcome to ようこそジャーパリパー…
---------------
P「やっぱり楽しい譜面だわ。」
比奈「なんかすごかったっス。譜面が譜面っぽくなかったっス」
P「そこがCHUNITHMのいいところだと思うんだよね。」
P「さて、次は…この前10周年迎えたし」
比奈「電子の歌姫っスね!」
P「そうそう。その中でも好きなこれで」
ボクハウマレソシテキヅク…
-------------
P「ハァ…ハァ…やっぱり後半ゲーだわ…」
比奈「なんかすごかったっス…にしても汗やばいっスよ?」
P「もともと汗っかきだから…」
P「最後は簡単な曲にする…」
比奈「私もこれ見て泣いたっス…」
P「俺も泣いた。というわけで」
キミノゼンゼンゼンセカラボクハ…
-------
P「基本100円で3曲プレイできると」
コンテニュースル?
SEE YOU NEXT PLAY
P「これが1連の流れだよ。さあ比奈もやろう!」
比奈「とりあえずやってみるっス…」
P「チュートリアルはちゃんと見ておいたほうがいいよ。」
比奈「おっけーっス」グッ
-----------
ね?簡単でしょ?
比奈「確かにこんだけだと簡単っスね」
P「そのペンギンには気をつけたほうがいいぞ…」
比奈「そうなんスか?」
P「うん…まあとりあえず曲数多いからしってる曲からやって行けばいいと思うよ」
比奈「おっけーっス。にしてもいろいろありますねえ。」
P「本当だよね。俺は隣の筐体でやってるから、終わったら声かけて。」
P「俺もある程度したら声かけるから」
比奈「はいっス。」
P「うわ、もうこんな時間だ。明日もあるからそろそろでないと」
P「比奈呼ぶか。おーい比n…ってまだやってる。ん?」
インドジンヲミギニ!インドジンヲミギニ!
P「インド人の赤譜面やってる」
P「まあ、最初はこんなもんだよなあ。俺も最初はこんなんだったな…懐かしい…」
比奈「ふぅ~。あ、プロデューサーさん終わったんですか?」
P「うん。結構な時間になってるしね。そろそろご飯でも食べて帰ろうかと」
P「比奈も一緒に行くか?この先まだやるなら軽く教えておこうかと。」
P「いつでも一緒に来れるわけでもないしね」
比奈「私もお腹すいたんで一緒にいくっス。その時に色々と教えてくださいっス。」
P「はいよー。じゃあ行こうか」
比奈「はいっスー」
店員「いらっしゃいませー。何名様ですか?」
P「あ、二人です」
店員「お煙草はお吸いになられますか?」
P「吸わないです」
店員「かしこまりました。それではこちらの席どうぞ」
P「分かりました。」
店員「お決まりになられましたら、そちらのボタンでお呼び下さい」
P「分かりました。」
P「俺はこれでいいや。比奈はどうする?」
比奈「じゃあ私はこれで」
P「おっけ」 ピンポーン
店員「ご注文はお決まりになられましたでしょうか?」
P「これのAセットとこれのBセットを」
店員「かしこまりました。少々お待ちください」
P
比奈「とりあえず、なんかいろいろマップあったんでスけど、どれ進めればいいんでス?」
P「んーこれといって進めなきゃいけない!みたいなのはないんだよね。」
P「コラボしてるキャラが欲しかったりすればそのイベント進めればいいし」
P「他に気に入ったキャラがいたらそれ進めればいいしね。」
比奈「そうなんスねー。」
P「後はスキルがあるんだけど、それ求めてやるでもいいかなあ。」
比奈「スキル?ってなんです?」
P「あーまだつけてなかったか。そうかペンギンのままか」
比奈「わからなくて変えてもないんですよね…」
P「説明してなかったね。ごめん。」
P「プレイしたところの画面の上のところになんかマスみたいなのがあるんだけど」
P「スキルつけるとそれに応じて何マス埋まるかみたいなのがあるんよ」
比奈「ふむふむ」
P「キャラのレベルを上げるとスキルのレベルも上がっていってって感じ」
P「すごいざっくりしてるけど…」
比奈「まあなんとなくは、わかったような?」ケラケラ
P「説明下手で悪かったな」
P「こっちを見て言え、こっちを」
P「コッチヲミロー」
比奈「プッ・・・アハハハハ!」
P「笑いすぎだわ」
比奈「だって!いきなり…プッッッ」ケタケタ
店員「お待たせしました。こちらAセットとBセットですね」
P「あ、ありがとうございます。」
店員「ごゆっくりどうぞー」ペコー
P「比奈笑ってないで、食べるよ。いただきます」
比奈「あーお腹痛い。いただきます」
-------------------------
比奈「そういやこの"NEW COMER"ってなんです?」
P「ん?あーこれは称号だね」
比奈「称号・・・何のためにあるんスか?」
P「特にないんじゃない?つけたいのつければいいよ」
比奈「プロデューサーはなにつけてるんでス?」
P「俺?俺は"3000円払えば無料で10連まわせる"だよ」
比奈「なんスか。そのガチャみたいな称号は」
P「まあまんまガチャだよね。」
P「ガチャガチャきゅ~と・ふぃぎゅ@メイトって曲30回やればもらえるよ。」
比奈「あ、それ知ってるっス!これっスよね?」
比奈「がちゃがちゃきゅ~と。ふぃぎゅ@~♪」
(歌いながら手を回して前に広げる動作)
P「かわいい。」
P「かわいい」
比奈「ちょっ聞こえてるんで大丈夫っスよ!」テレテレ
P「ごめん、あまりに可愛すぎて…」
比奈「あぅ…」
P「にしてもよく知ってるな」
比奈「前に耳にしたことあって某動画サイトで見つけて見たのを覚えてただけっス」
P「俺も見てたからわかるよ。そうそう、これからやるならAimeカードあったほうがいいよ」
比奈「もう買ってあるっス」ドヤァ
P「流石です荒木先生。仕事が早い」
比奈「試しに買ってみただけっスよ。」
P「それならこれからもやっていけるね。音ゲー仲間が増えてしまった。」
比奈「フフン」ドヤドヤ
比奈「そういえば、プロデューサー、スコアとか出る画面の右下にあるあの数字はなんでス?」
P「あーあれは"レーティング"って言うのよ」
比奈「れーてぃんぐっスか」
P「まあ簡単に言えばそのプレイヤーの腕前の指標ってやつだね。」
比奈「私は緑だったな…プロデューサーは何色なんでス?」
P「俺?俺はプラチナ…」
比奈「どこなんスかそれ…」
P「青→緑→橙→赤→紫→銅→銀→金→プラチナ→虹」
比奈「上から2番目じゃないっスか!!ひええ…」
P「たいしたもんじゃないよ…」
P「まあ確かにね」ハハハ
P「まあとりあえずはこんなもんかな?」
比奈「そうっスね。後はやりながら覚えていきますよ。」
P「それが一番だよ。とりあえず最初は紫よりも赤譜面より下をやることをおすすめするよ」
比奈「紫?赤譜面?」
P「あーごめんごめん。紫はmasterで赤はexpertだよ!」
比奈「あー難易度の事っスか」
P「そうそう。最初から難しい譜面やってもいいけど、とりあえず赤譜面とかやっていって」
P「取り方だったり、譜面に慣れていった方がいいかも」
P「あとAIRは片手でも取れるし、スライドは持ち替え可能だし、AIRはあげる指示出てても下げても取れるから」
P「この辺頭に置いておくと楽になるかも」
比奈「わかったっス。またやるときに試してみるっスよ」
P「そうしてみて。さてそろそろでよっか。送っていくよ」
比奈「ありがとっす。あっお金…」
P「いいっていいって。先に出てて。」
比奈「ありがとうでス…ごちそうさまでしたー」
P「いえいえー」
---------------------
P
比奈「あ、大丈夫っス。いろいろありがとうございました」
P「いいって事よ。それじゃまた明日ね」
比奈「はいっス!おやすみなさいでス」
P「夜更かしするなよー?おやすみ」ヒラヒラ
比奈「善処するッス」ニコッ ヒラヒラ
P「比奈すぐうまくなりそうだなあ。」
prrrrrrrr
P「あっ鰐P。比奈にCHUNITHMらせたら思いのほか高評価でカードまで作ってたわ」
鰐P『はぁ!?お前とうとうやらかしたんか』
P「俺が手を出したみたいに言うのやめろや!」
P「少し休憩してる時にトリルの練習してたら見られてた」
鰐P『それで気になって聞いてきたからやらせたら見事にはまったと』
P「そんな感じだな。」
鰐P「いいぞ」
P「また増やしてしまった…そういや比奈に鰐Pは人間じゃないって言っておいたから」
鰐P「はぁ!?ふざけんな!!」
P「まあ冗談って言ったから大丈夫大丈夫」
鰐P「人間やめてないから…」
P「HAHAHA。まあまたマッチングやりに行こ。後輩Pくんも誘ってさ」
鰐P「はいよ。んじゃあまたな」
P「へーい。おやすみー。」
ピッ
P「明日も仕事頑張ろ。」
比奈「プロデューサー!見てくださいっス!」
P「んー?っては?なんでこんなにいってるん?」
比奈「楽しくて…つい…」(レート13.65)
P「やりすぎでしょ」
比奈「へへへ」
比奈「最近プロデューサー忙しそうだったから誘えなかったんですけど」
比奈「そろそろまた一緒にゲーセン行きたいって思って…」
P「そうだねえ。ここ最近は結構忙しいからね…いいことなんだけどね」ハハハ
P「今日はちょっと無理そうだから明日でもいいかな?」
比奈「私は明日は…レッスンだけだから大丈夫っスね。」
P「じゃあ明日な。明日の分も今日中に終わらせちゃうね」
比奈「無理しすぎないくださいっスよ…」
P「大丈夫!俺には心強い仲間であるちひろさんがいるから!」
ちひろ「え!?前にないがしろにしたくせに、よくそんな口が叩けますね!!」
P「謝ったじゃないですか。でもちひろさんの事本当に頼りにしてるんですよ。」
ちひろ「え、あ、本当ですか?ま、まあ少しくらいなら手伝って上げてもいいですよ!」
P(ちょっろ。大丈夫なのかこの人)
比奈(ちょろすぎって逆に心配になるっス)
P「ちひろ様!女神!天使!さて、残り頑張りましょ!」
ちひろ「も、もうそんなおだてても何も出ませんよ!」
ちひろ「しょうがないので、スタドリ差し上げます!」
P「あ、本当ですか?お代は…」
ちひろ「今回だけ特別ですよ?」
P「ありがてぇ…ありがてぇ…」
比奈「それじゃ私は帰ります。お疲れ様でス」
ちひろ「比奈ちゃんお疲れ様です」ニコッ
P「ング…ング…プハッ。おー比奈お疲れ様ーまたあしたなー。夜更かししすぎないようにねー」
比奈「わかってるっス。それじゃあ」ペコッ
P「んひー終わった終わった。」
比奈「Zzz…」
P「ありゃ寝てる。レッスン疲れたんかな?あ、今日マストレさんか。仕方ない」
ちひろ「じゃあPさん私はお先に失礼しますね。」
P「ちひろさんお疲れ様です。昨日は本当にありがとうございます。」
ちひろ「いいんですよ。困ったときはお互い様ですし。」
P「ありがとうございます。帰ってゆっくりして疲れを癒してください」
ちひろ「お気遣いありがとうございます。それじゃあ」ニコッ
P「はーい」
P「んーさてどうしたものか。とりあえず、なでておくか」ナデナデ
P「いやーもうレートなんか上がらなくなったなあ…」ナデナデ
P「前よりできてる気はするんだけどな」ナデナデ
比奈「んぅ……」
P「お、比奈起きたか」
比奈「ん…!?」ガバッ
比奈「プロデューサー!終わったなら起こしてくださいっスよ…」
P「ごめん、ごめん。あまりに気持ちよさそうに寝てたから。つい。な」
比奈「あぅ…」ゲシゲシ
P「地味に痛いから。疲れたなら帰るか?」
比奈「いや、このために今日頑張ったので行くっスよ!」
P「そうか。じゃあ行こっか」ハハハ
比奈「はいっス。」
P「さて着いたわけだが」
比奈「両替とトイレっスよね」
P「よく覚えてるね。その通り。行ってくるね」
比奈「はいっスー。」
P「ただいま。お、やっぱりすいてるなここは」
比奈「いいっスよね。やっぱり人が多いとそれだけで…」
P「そうなんだよね。っじゃあ早速」
比奈「おけっス」
P「称号が"クラナドは人生"になってる」
比奈「その通りっすから…」
P「適当にやっていくか。」
比奈「じゃあ最初プロデューサーさん選んでいいっスよ。」
P「あ、本当?んーとじゃあ…」
オーモイハヤサシイきしめえええええええええん!
比奈「きしめんのところやっぱり笑うっス」
P「この曲の一番の難所は間違いなく一番最後だと思う」
比奈「下手するとスライドすっぽ抜けるっスもんね…」
P「なんど苦しめられたことか…じゃあ次は比奈選んでいいよ。」
比奈「うーん…どれにしようかなあ…」
オーカミーガキータゾ、ホントウナンダヨ
P「前はお世話になったなあ…」
比奈「曲も好きですし、譜面も楽しいから好きっス」
P「最初はサビのところびっくりしたけどね。」
比奈「確かにあれはびっくりしたっス」
P「じゃあ3曲目は…」
セガノゲームハウチュウイチー!
P「ハァ…ハァ…安易に選ぶものじゃなかった…」
比奈「ンハァ…やっぱり13はきついっす…」
P「確かに…じゃああと何クレかして帰るか」
比奈「そうっスね…」
--------------------
P「いやーやったやった。気づいたら結構やってたな」
比奈「もうこんなに…やっぱり時間経つの早いっスねえ…」
P「じゃあ今日はこのまま帰ろう。送っていくよ」
比奈「ありがとっス。」
比奈「そうっスねえ。」
P「体調崩さないようにしてね?」
比奈「わかってるっスよ。プロデューサーに心配かけさせたくないですし。」
P「そうしてもらうと助かるよ。他の子達にも気をつけるように言わないとな」
比奈「私からも言っておくっス。一応お姉さんですからね」キリッ
P「頼りにしてるよ。比奈お姉さん」
比奈「あー今馬鹿にしたっスね。」プクー
P「してないしてない。」ハハ
比奈「本当っスか?」
P「ああ。もちろんだとも。」
比奈「それならいいっスけど。」
P「んし、着いた。じゃあね比奈。またあした」
比奈「ありがとうございます。また明日っス。」
P「はーい。夜更かししすぎるなよ?」
比奈「わかってるっスよ。お姉さんですから!」ドヤ
P「そうだっけな」ハハ
比奈「ヘヘ」テレテレ
P「じゃあおやすみなー」ヒラヒラ
比奈「おやすみっス。あ、プロデューサー!」
P「ん?どした?」
比奈「また一緒にゲーセン行ってやってくれますか?」
P「おー全然いいぞー。行きたい時は前もって行ってくれ。仕事その分やらんとだから」
比奈「わかったっス。それじゃあ改めておやすみっス」
P「はーい。おやすみ」
-----比奈自室-------
比奈「よくよく考えたらデートみたいっスよねこれ…」
比奈「そう考えたら緊張してきたっス…!」ジタバタ
比奈「でもプロデューサーのあんな顔滅多に見られないからこれは誰にも内緒っス」ヘヘヘ
少しおまけ
P「~~~♪」トトトトトト
ちひろ(またPさんが口ずさみながら片手でリズム取ってる。)
ちひろ(妙に頭に残るんですよね。この音)
トトトトトト
ちひろ(ん?別にどこからか聞こえてくる)
比奈「~~~♪」トトトトトトト
ちひろ(うえええええええ!?比奈ちゃんまでやり始めてる!?)
ちひろ(一体この二人に何が起きたって言うんですかね…)
ちひろ(なんか異様な光景してるんですけど…)
ちひろ(聞いてみましょうか)
ちひろ「あのPさん!」
女の子と一緒に音ゲーがしたいだけだった…
色々と足りないところあるかもですがすみません。
html化依頼してきます。
いいなそれ
ちなみにボルテ派
シンクロニカをカップルでやってる人を見ると若干の殺意が湧く
おつ
指勢は居ませんか?(小声)
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Entry ⇒ 2018.05.13 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
モバP「美波ィ!現実逃避するぞォ!」
「美波、現実逃避しよう!」
誘うなら今日しかない。
今期の節目となるライブを終えてすぐの休日。
緊張から解放された今日こそが好機と見て前々から計画していたプランを実行に移すことにした。
結果、うれしいことに二つ返事で快諾をいただいた。
「それでラーメン屋さん、ですか?」
隣にいる美波が興味深そうに店内を見渡す。
L次方のカウンターに4人掛けのテーブルが2つのこぢんまりとした中華料理屋、ここが今日の昼食会場だ。
ところどころ塗装の剥げた赤いカウンターをなでる美波はどこか落ち着かない様子で、
さきほどからメニューを手に取ったりガタガタいう丸椅子の脚を調整したりしている。
「こういうところ、あまり来たことがなさそうだったからな」
わかっている。これが悪手だということは。
女性を連れ込んでラーメン屋もないものだといいたいのだろう、でもそれでは意味がない。
今回の狙いはずばり美波の化けの皮をはがすことにある。
清純ぶった振る舞いの、優等生面した表情の裏に隠された彼女本来の姿。
そいつを暴いてやるために今日までプランを練ってきたのだ。
だからこそ普段と違う場所に連れ出して、非日常の中に彼女をぶち込んでやる必要があったというわけだ。
とはいえラーメン食っただけでそんなんなるか?
たぶんなんない。
まあ行きつけの店に連れてきたかったっていうのもあるよね。
「醤油二つね」
どんぶりが置かれる。
時代を逆行したような透き通ったスープ、やたらと薄く味気のないチャーシュー、最近はあまり見られなくなったナルト、あと海苔。そしてちぢれ麺。
完璧な布陣だ。
俺はすべての麺をいったん高く持ち上げてから(天地返しではない)、おもむろに麺をすすりはじめた。うん、うまい。
その様子を見て美波もおそるおそるスープに口をつける。
「あっ」
目が合う。今の「あっ」は完全に感嘆符だ。どうやら気に入ってもらえたらしい。
それからは彼女もはばかることなく音を立てて食べはじめた。いい兆候だ。
しかし依然として麺をふーふーしたり、すするときに髪をかきあげたりと上品な所作が目立つ。これではいけない、これでは。
もっと大胆な新田美波が見たいのだ。
俺は味がしみてへにゃへにゃになった海苔を口に運んだ。
「すごくおいしかったです。また来たいですね」
と美波は満面の笑顔を見せてくれる。お手本のような台詞だすばらしい。
しかしどうにも気にくわない。
だいたい彼女は真面目すぎるのだ。真面目という言葉は昔ならいざ知らず現代において良い意味でとられることはほとんどない。
正直者が馬鹿を見るこの時代で真面目であることは何のメリットもないのだ。少しズルいくらいがちょうどいい。
加えて彼女は完璧主義者でもある。ダンスでも演技でも自分の納得したレベルに達するまでいっさい妥協を許さないし、
もちろんレッスン自体をさぼることもない。学業を理由に仕事をあけたこともない。
さらに付け加えるならば彼女にはリーダー気質があって、周囲からの信頼も厚い。
年少組のみならず年長組からも何かと頼られることが多く、よくよく飲み会などにも呼ばれているらしい。
年長組はもう少ししっかりしてほしい。
それはともかく、そういう性格が彼女にどう災いするのか。
決まってる。ストレスだ。
つまり、彼女は溜め込まなくていいことまで溜め込んでしまう癖があるのだ。
「次はどうしますか?」
「ふつうのデートなら、映画館や水族館としゃれこみたいところだが……」
「今日は違う、というわけですよね?」
勝手が分かってきたらしい。飲み込みの早さは相変わらずだ。
察しがよすぎるのも問題だと思うけれども。
「現実逃避、させてくれるんですよね。ふふっ、楽しみにしてます」
ん?
今の顔はちょっとよかった気がする。いや、気のせいか。
腹ごなしに少し歩いてから、俺たちは場所を変えることにした。
「ここは……」
ラケットを二つにボールをいくつか、それにシューズも二人分借りることにした。
スポッチャ、都市部を中心に店舗数を増やしつつある複合型アミューズメント施設だ。
ボウリングをはじめとして、ダーツやビリヤード、場所によってはフットサルやバッティング練習もできるという割となんでもありの施設である。
俺たちはその一角、四方を壁に囲まれたまっさらな部屋の中にいた。
ぶんぶんとラケットを試し振りしてみる。
年のせいか以前ほどスピードが出なくなったように感じる。加齢はいやだな、本当。
「やったことある? スカッシュ」
たぶんやったことないだろうけど、一応聞いておいた。
「名前だけは知っていましたけど……」
さすが。ともすれば話は早い。
一応説明しておくと、スカッシュとは簡単に言えば屋内でやるテニスである。
テニスと違うところは、コートが半面しかないところと、四方の壁の跳ね返りを利用できるというところだ。
コートが半面しかないので、自然と二人とも同じ場所でプレーする事になる。
テニスでいうダブルスの相手が敵になったようなものだ。前に出たり後ろに下がったりで相手を攪乱することもできる。
そして最大の特徴が左右もしくは後ろの壁の跳ね返りを利用できるという点だ。
プレーヤーは必ずしも正面だけに球を返さなくてもよく、あたかもビリヤードのように左右の壁を利用してラリーを続けることもできるのである。
この点がテニスとの大きな違いであり、またスカッシュというスポーツを戦略的に奥深いものとしている。
だいたいの概要はこんなところで、美波もこの辺りのルールは知っていたようだ。何でも知ってんね。
で、なぜスカッシュか?
理由は簡単で、近場にテニスコートが無かったからだ。
俺の見たところ、テニスに興じている美波はアイドルとしてステージに立つときとはまた違った顔をしているように思う。
いきいきしているというか、勝負師の顔をしているというか……。
べつだんアイドルをしているときの彼女を貶めているわけではない。
女神と称されるような麗しく慈愛に満ちた美波もそれはまた素晴らしいものだ。
しかし今回の目的に沿っているのは明らかに前者だろう。
スポーツを通じて彼女のストレス解消を図るとともに、内面のどろりとした部分を覗き見てやろうというわけだ。
美波は入念に準備体操をしている、まめなことだ。
しかしスカートで来させたのはまずかったかもしれない。動きやすい格好でと一言付け加えておけばよかった。
ジャンプの度にひらひらするスカートが気になってしょうがない。俺は頭をぶんぶんと振った。
まずは壁当てをして感じをつかむ。
壁の跳ね返りを利用するのは結構なテクニックが必要で、ねらったところに当てるのはかなり難しい。
素人は大抵いきあたりばったりで壁に当てるので戦略もクソもなくなってしまうことが多々ある。
本来は相手と自分の位置を把握した上でもっとも効果的な球を打つのがセオリーだ。
といってもその辺はテニスも似たようなものなので、飲み込みの早い美波なら問題ないだろう。
実際何回か壁当てしただけでコツをつかんできたようである。
左の壁に当てて正面の壁を介して右に持っていく。右側にいる俺の足下にうまくボールが落ちてくる。天才か?
今度はラリーを続けてみた。かなり動きがよい。スピードも速い。ラリーも途切れない。
これが19歳の力か……若さ、若さとは。
「そろそろ始めましょうか!」
声色からだいぶテンションがあがっていることが窺える。
ここまで期待してもらえると俺もうれしい。
サーブは美波からだ。
サーブだけは例外的に左右の壁に当ててはならず、正面の壁に当てて相手のコートに入れる必要がある。
言い忘れていたがコートは左右に分割されている。テニスと同様に床にT字のラインが引かれているのだ。
いうてもこれはサービスの時だけに使われる便宜上のものと思ってよく、サービス後は二人ともコートに関係なく自由に動きまわることができる。
いよいよ試合開始だ。左側に美波、右側に俺が陣取った。
美波のサーブが正面に当たり俺のコートに落ちてくる。
素直な球だ、素直すぎる。
俺は角度をつけてレシーブして、正面の壁から左の壁に跳ね返るように返球した。
右から打ったボールが再び右に戻ってくる。こういうことはテニスではないだろう。
美波が俺の後ろ側に回り込んで打ち返す。また正面をねらった素直な球だ。
それではこのゲーム勝てないぞ――。
やや酷だが、洗礼と思ってここらでひとつお見舞いしてやるか。
俺は再び角度をつけて今度は右の壁めがけて全力で打ち込んだ。
ボールは右の壁から正面をつたい左の壁に当たって戻ってくる。計三回の跳ね返りを利用した高度なテクニックだ。
美波はめまぐるしく動くボールについていくことができず、かろうじて振ったラケットもむなしく空を切った。
てんてんと転がっていくボールを彼女は眺める。
「俺のポイントだな」
やや挑発的にいうのもポイントだ。
「……」
俺にサーブ権が移る。美波は無言で構え直す。
サーブは一度正面の壁に当てさえすれば、後は相手コートに落ちるまでどの壁に当ててもよいというルールがある。
つまり正面→左の壁→相手コートでも、正面→後ろの壁→相手コートでもどちらでもいいのだ。
もちろん律儀に正面から直接相手コートに落としてもよい。
ここでは後ろの壁に当てるショットを選択した。
うまく術中にはまってくれた。
下から上に打ち上げるようなサーブは腰を落として低く構えている美波の頭上を通り越し、後ろの壁に当たって一回、二回とバウンドし戻ってきた。
彼女はボールの行方を目で追っただけで、全く動くことができない。
「2ポイント先取だな」
美波が俺を見つめる。そんなに見られちゃ照れるな。
俺はそこから続けざまに2ポイント奪取した。これでスコアは0-4。
大人げないと思うだろうか。
しかし美波が相手の場合、かえって手を抜くほうが失礼にあたる。
彼女はいつも真剣に生きてるし、一瞬一瞬に本気で取り組んでいる。
アイドルだって資格取得だって一度も手を抜いたことはないだろう。
そんな彼女の前に出て「手加減する」などと言えるだろうか。彼女の目を見て本当に言うことができるか。
本気で戦うのが新田美波に対する敬意だ。俺は負けるつもりはない。
美波はガットの張りを確かめた後、再びレシーブの構えを取った。
口を半開きにしてくるくるとラケットを回している。その眼光は鋭い。
俺は再び下から上にサーブを打った。ふわりと飛んだボールが後ろの壁に跳ね返る。
駄目だぜ、ここはボレーが最善だ――。
しかし俺の予想を越えて彼女の反応は速かった。
構えを解くことなく大股に2、3歩バックステップするとワンバウンドして戻ってくるボールに強烈なフォアハンドを打ち込んだ。
正面の壁に当たったボールは左の壁沿いに落ちてくる。まずい、これは。
スカッシュにおいて壁があることはメリットだけではない。壁沿いに落ちてくるボールはその一例といえる。
壁があるためにプレーヤーはラケットを満足に振り回すことができなくなるし、ラケットの中心でボールをとらえることもできなくなる。
結果として力ない中途半端な返球になってしまうことが多く、その隙をつかれて一気に崩されてしまうのである。
今回も例外ではなかった。
かろうじて打ち返しはしたものの、体勢が崩され左側に寄りすぎてしまった。これでは。
俺の予想通り美波は右側めがけてクロスを放ってきた。とても追いつけない。
それでも必死になって食らいつく、腕を目いっぱいにのばす。
それこそが彼女に対する礼儀だと思うからだ。
「1-4、ですね!」
畜生、いい顔してやがる。
ぺりぺりと一枚一枚はがれていく感触があった。
何かといえば新田美波の化けの皮である。
サーブを放つ度に、なめらかなステップを踏む度に、額から汗を滴らせる度に彼女の本性が露わになっていく気がした。
本性というとおかしいかもしれない、きっと別の一面と言った方がいいのだろう。
表に対する裏ではなく、寄り添うような二つの顔、ちょうどスカッシュに興じる俺たちのような関係性なのだろう。
ここでは彼女はまるで体育会系だった。はじめはささやかだったガッツポーズは徐々に大きくなっていった。
もう不意をつかれて黙っている彼女ではない。俺にポイントを取られると大げさに天を仰いだのち「次はとります!」と叫んでみせた。
これだ、俺が見たかった新田美波は。
普段のいい子ちゃんの顔はどこへやら、思うままに激情のまま感情をぶつけてくる。
そんな彼女の姿は例えようも無く美しい。流れる汗も素晴らしい。ガッツポーズがまずかわいい。
できることならファンのみんなにもこの新田美波を見てほしい。
今の彼女を知らしめることこそが俺のプロデューサーとして使命なのだろう。
よっしゃ、この勝負絶対勝ってみせるぞ。
いや、甘かった。
新田美波さんを甘く見てました。
本番に強いとか試合の中で強くなるとかってよく言われるけれども本当にそんな人がいるなんて思ってもみなかった。
スコアは9-8、なんと俺が負けてる。
美波がドロップショットを放つ。
完全に虚を突かれた俺はうおおと叫びながらダッシュするが、時すでに遅く飛びついたときには明後日の方向にボールが転がっていた。
前のめりにつまづいた挙句、したたかに頭を打ち付けた俺を見て彼女は言う、
「ふふふ、プロデューサーさん、大丈夫ですか?」
――あれ?
今一瞬とんでもない美波の顔が見えた気がしたけど、気のせいだろうか。
なんか、嗜虐的というかストレートに言ってサディスティックな表情を垣間見た気がするのだけど……。
目をこすってもう一度彼女の顔を見る。
その表情は嘘偽り無く俺の身を案じている風で、さっきまでの印象は1ミリたりとも残っていなかった。
気のせいだよな。
何か変な扉開けちゃったんじゃないよな。
10-8で美波のマッチポイント。せめてタイブレークには持ち込まないと。
俺にもメンツというものがある。この一点を逃すわけにはいかない。
美波がサーブをしてくる。もはや跳ね返りにも慣れたもので正面から右の壁を伝ってボールが落ちてくる。
レシーブの後、何度かラリーを交わす。ここまでくると自分の動きはほとんど意識しなくなる。代わりに意識するのは相手の動きだ。
格闘ゲームのプロは自キャラはまったく見ていなく、敵キャラのみを注視しているという話を聞いたことがある。
これに限らず一対一の対戦では自分ではなく相手をよく観察することが何よりも重要になる。
美波は打ったあと必ずコートの真ん中に戻る癖がある。
テニスでもスカッシュでもこの動きは当然のセオリーだが、あまりに何度も続けていればそこに隙が生まれてくる。
俺はクロスを放ち美波を左側に寄せる。彼女はバックハンドで左の壁の跳弾を利用して返球してくる。
ここで美波はまた真ん中に戻ってくるはずだ。今だ。俺は得意の三回跳ね返りショットを放ち、再び左側のそれも前方ぎりぎりのところを狙い打ちした。
俺はビリヤードだってできるんだぜ。
とことん俺は甘かった。
俺が美波を見ていたなら、美波も俺を見ていたのだ。
彼女は真ん中に戻ってなどいなかった。左側に陣取って俺の動きを予測し前方に走り出していたのだ。
まるで吸い寄せられるように彼女の手元に向かってボールが落ちてくる。しまった。痛烈なバックハンドが炸裂する。どこにくる?
ボールの行方を見て俺は負けを確信した。うそだろ。
ニックショットという技がある。これもスカッシュの特性を利用した必殺技だ。
壁の跳ね返りがあるスカッシュにおいて、もっとも相手が嫌がるボールとはどんなものだろうと考えてみると、一つの答えが導き出せる。
それは正面の壁に当たって弾まずに転がっていくボールである。弾まないのでドロップショットよりも始末が悪く、打ち返すことはほとんど不可能に近い。
そんなショットが打てるのか? 結論から言えば打てる。
床と壁の境目、ちょうど角となる部分を狙って打ち込めばいいのだ。
彼女が放ったのは紛れもなくそのニックショットだった。
勢いを失ってビー玉のように転がっていくボールを唖然としながら見送った俺は、そのまま膝から崩れ落ちた。
こんなんどうしようもないじゃん。
「私の勝ち、ですねっ、ふふふふ」
今、確信した。笑っている彼女の顔を見ればわかる。
あれは美波ではない。
美波様、だ。
化けの皮をはぐとは言ったが、ここまでするつもりは無かった。ほんとに。
その後も3ゲーム続けてやって、3ゲームとも負けた。
最後の方は右に左といいように振り回されたあげく、ニックショットでフィニッシュを決められて完全に心を折られてしまった。
『美波様』はすごい笑顔だった。
いや、最後まで力を尽くすことが彼女に対する礼儀のはずだ。
でもこんなのあんまりじゃないですか。もう足がぼろぼろで一歩も動けないんですけど。
小一時間後、俺は傷心のままスポッチャを後にすることになった。
隣で爽やかに微笑む美波はすでに『美波様』ではなくなっていた。あれはすごいレアキャラなんだなあ。
そういえば前にメイド服を着せたときもそんな感じだったような……。
一人うんうんと得心していると美波が物足りなそうに聞いてきた。
「次はどこに行きます?」
次? どうしよう、次は考えていなかった。
もう夜遅いし、見たいものも見れたし、そろそろ解散でも――。
「……」
すごい。
この顔されて、堕ちない男がいるのか。
とはいえ俺も良識ある大人である。やっていいことと悪いことの区別は付いている。
最終的には行きつけのバーで軽い食事を取ることで話がまとまった。反社会的な行為はいけない。
バーとはいうが、そんなにお堅いものじゃない。どちらかというとカジュアル寄りなところだ。
美波自身、高垣楓さんや川島瑞樹さんに誘われて何回か来たことがあるらしい。
未成年を連れ回すのはやめろと注意したいところだが、今は人のことを言える立場ではないので黙っておいた。
そうこうしているうちに店に着く。
木製の重いドアを開けると、からんというベルの音がした。
サングラスをした渋いマスターに連れられてカウンター席に案内される。
「ビールと……何飲む?」
「えっと、じゃあシンデレラでお願いします」
シンデレラ? 俺は知らなかったがそういうノンアルコールカクテルがあるらしい。
よくよく楓さんや川島さんに薦められて飲んでいるのだそうな。
曰く、ほろ酔いの年長組に「美波ちゃんはまさにシンデレラだもんねー」とおだてられるので飲みにくくてしょうがないらしい。
シンデレラね。
俺はビールをぐいっとあおった。あ、乾杯忘れた。
「お疲れさまです」
ちん、という音とともに改めて乾杯をする。
この楽しい時間もこれで終わりかと思うと胸の奥から寂しさがこみ上げてくる。
「どうでしたか?」
なにが。
「現実逃避、できました?」
ん?
美波を見る。その目は優しさに満ちていた。いやいや、おかしいでしょ。
俺自身が現実逃避したかったんじゃなくて、美波を現実逃避させたかったんだ。
澄まし顔でお姉さんやってるような毎日のくびきから少しでも解放させてあげたくて、ちょっとでも気分が楽になれたらいいなと思って今日は誘ったんだ。
そのついでで美波の内面を覗くことができればプロデューサーとしてこれ以上の幸せはねえよなと思ってそれで勇気を振り絞って頑張って――。
そういうことを言おうとして、ふと手が止まった。
スカッシュをやっていたときのことを思い出す。
『俺が美波を見ていたなら、美波も俺を見ていたのだ』
なんだ。これは深淵のコピペ(元)だ。
『深淵を覗くとき、深淵もまたお前を覗いているのだ』そのまんまだ。
「誘われて二つ返事で受けちゃいましたけど、私、これはチャンスだなって思ったんです」
後に続く言葉は何となくわかった。
「プロデューサーさんがずっと気を張ってて疲れているのをわかってましたから。
プロデューサーさんていつも、その、自分で溜め込んじゃうというか、そういうところがありますよね。だから気分転換にもいいんじゃないかなって」
「それに、前々からプロデューサーさんのこともっと知りたいって思ってたんです。
今日はだからいいものが見れたなって、ふふっ、ちょっとはしゃぎすぎちゃいましたけど」
美波は俺とまったく同じことを考えていたのだ。
こんなの、独り相撲もいいところだ。
俺は上から目線で美波のストレス解消だの裏の顔を暴くだのと偉そうに啖呵を切っていたのだが、そんなことはすべて彼女は承知の上だったというわけだ。
俺が自らの境遇をそのまま美波に重ねているということまで、彼女はわかっていたのだろう。
全部わかったうえで俺の誘いを受けてくれたのだ。
要するに俺は美波を接待していたつもりだったが、実際接待されていたのは俺だったというオチだ。
現実逃避していたのは彼女ではなく、俺自身だったのだ。
『深淵を覗くとき、深淵もまたお前を覗いているのだ』ほんとだよ。
俺は頭を抱えた。そんなことも気付かないでなにが「現実逃避しようぜ!」だ。
恥ずかしくて顔が焼けるわ。自分のエゴでアイドルを一日中連れ回しておいて悦に浸ろうだなんてこんなふてえ野郎がいるか?
「気を使わせたな。すまん」
自分の愚鈍さに呆れつつ、彼女の聡明さに感心しつつ、どうにかひり出した言葉はあまりに弱々しくて彼女に届いているか不安になった。
「なんで謝るんですか? 私、すごく楽しかったですよ?」
それが嘘でないことは声色ですぐにわかった。ささやかな救いだ。
「私の意外な一面に気付けましたし、何より――」
「スカッシュ、本気で闘ってくれましたよね? それが本当にうれしかったです」
そう、本気で闘った。これだけは嘘じゃない。
俺は彼女に手加減しなかった。真摯に彼女と向き合おうとしたからだ。
深淵のコピペが本当なら、それはすなわち自分自身と向き合うことと同義なはずだ。
ラリーを続けることはキャッチボールとは意味合いが違う。でも会話をするという点では変わらない。
壁に跳ね返るボールを追いながら、幾度と無く美波とポジションを交換しながら、俺は彼女と会話するとともに自分自身とも会話していたのだ。
一つのコートに敵味方両方が入り交じるスカッシュという競技の特殊性がそれを可能としていた。
そして何より、俺と同じくらい真剣に挑んできてくれた美波がいたから、だから――。
だからつまり、これは大団円なんだ。
普段は見れない美波の一面を垣間見て、彼女のストレス解消にも一役買うことができ、
そして俺は、彼女を通じて自分の弱さを知ることができた。これが大団円でなくて何か。
その事実に気付いたとたん、心がふっと軽くなっていくのを感じた。
ボールを打つ感触がまだ手に残っている、あくせく走り回った両足はすっかり固くなってしまった。きっと明日は筋肉痛だ。
俺はそれら全ての屈託をビールとともに流し込むことに決めた。炭酸の刺激が心地よく喉に響く。
うまい、こんなうまいビールいつぶりだろう。
胸中をさわやかなものが吹き抜けていく。
心の奥底に巣くっていたわだかまりが消えていく。
なるほど、俺は心底疲れていたのだな。
手遅れになってしまう前に気付けて本当によかった。
隣で微笑む美波を見る。全て包みこむような慈愛に満ちた瞳。
そこには間違いなく俺が映っていた。
何となく、何となくでしかないが、
俺は明日からもやっていけそうな気がする。
今まで以上にプロデューサー業を頑張れそうな気がする。
全ては美波のおかげだ。彼女に感謝しなくては。
「ありがとう、美波。俺も美波が真剣になってくれてうれしかった。ただ……」
後に続く言葉を彼女は待っている。
「ただもうニックショットは、勘弁してほしいかな」
二人して笑った。
二杯目をどうするかと聞かれたので、俺は迷い無くシンデレラを頼んだ。
――――
――
あれから気分は上々で、仕事もいつになくはかどっている。
こんな気持ちで毎日を過ごすことができるなんて以前は考えられなかった。
新田美波さまさまだ。決して『美波様』ではない、ここは重要だ。
噂をすると何とやら、美波とアナスタシアさんがやってきた。
「プロデューサーさん! 聞いてください、この間ですね」
なにやらハイテンションで美波が話してくる。
聞くと、先日またスポッチャに行ってスカッシュをしてきたらしい。
相手はアナスタシアさんで、一からルールを教えて二人で特訓してきたのだそうだ。
そんなにハマるとは思っていなかったので意外そうに聞いていると、
会員カードも作って専用のラケットまで用意してもらったという。それはまた、ずいぶんご執心ですな。
「それで、あの、もしよければなんですけど……」
この展開は正直予想できた。
予想できたがそのときの俺の喜びようといったら、
まあ、内心飛び上がらんばかりだったとだけ言っておこう。
新田美波の笑顔は相変わらず優しさにあふれている。しかし俺は彼女の違う一面も知っている。
きっとこれからも折に触れて見せてくれることだろう。俺はそのときを楽しみに待っている。
「プロデューサーさん、現実逃避、しませんか?」
しかしまいったな、次までにニックショットの攻略法を考えてこなくては。
おわり
スカッシュやったことないです。
html依頼してきます。
面白かった
これは良い美波
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1506675205/
Entry ⇒ 2018.05.13 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
白菊ほたる「もう雨あがりに虹が掛かることもないんでしょうか」
・藍ほた
・百合
・独自設定、独自解釈
・世界滅亡
以上の要素を含有します
「ええ? ちがうよお父さん。おもちゃはぜんまいが巻いてあるから動くんだよ」
「じゃあどうやってぜんまいは巻かれたんだい?」
「わたしが巻いたんだよ」
「それで、どうしてほたるは動けるんだい?」
「うーん……。ご飯を食べたから?」
「その食べ物は太陽が照っているから育つんじゃないか。つまり、すべてのものは太陽が照っているから動けるんだよ」
小さいころ、お父さんとこんな会話をした覚えがあります。
その時の私は、お父さんの言っていることを半分も理解していなかったけど、とにかくお日さまが大事なものなんだということはわかりました。
同時に、不安な空想が湧いてきました。
もし私の『不幸』が夜の闇になって溢れ出して、この青い空をすっぽりおおってしまったら……?
そうして太陽もおおい隠してしまい、この地球の全てがピタリと停止してしまったら……?
そんな子供じみた、恐ろしい空想。
バカバカしいとは思うけど、一度生まれてしまった考えはなかなか消えてくれず、最後には泣き出してしまいました。
お父さんは必死に慰めてくれました。
でも、どうして泣き出したのかと訊かれても、この恐ろしい空想のことは結局言葉にできませんでした。
「もしお日さまがなくなって朝が来なくなっちゃっても、昼間は見えなかったきれいな星空が見えるはずです。だから、きっと寂しくないんだよ」
なんて。
藍子さんはきっと、どんなときでも幸せを見つけられる天才なんです。
そんな彼女に、私はずっと憧れていました。
藍子さんこそ、私の太陽でした。
「高森藍子のゆるふわタイム。お相手は、パーソナリティの高森藍子と」
「ゲストの、白菊ほたるでした」
「それではまた明日お会いしましょう。ばいば~い♪」
「ばいばーい……!」
高森藍子のゆるふわタイム。
お昼のひとときをちょっと素敵に彩る、短いラジオ番組です。
今日もゲストは私でした。
一通り片付けて、放送機材の電源を切ります。
今日のお仕事はこれでおしまい。
「それにしても、天気良くならないですねー」
藍子さんが、いつもどおりのニコニコした顔で話しかけてきました。
この笑顔を見るだけで、だいたいのことが大丈夫な気がしてきます。
「は、はい……。ええと、これって、天気がどうという問題なんでしょうか?」
「さあ?」
天気が悪いといっても、曇り空とか嵐とか季節外れの吹雪とかそういうことではなく。
一週間くらい前からもう全然お日さまが昇ってきていません。
ずっと夜のままです。
お日さまだって毎日昇っていたら疲れちゃうでしょうし、一日や二日くらい休んでもいいかもしれません。
でもさすがに、なんにも言わずに一週間もおやすみしちゃうのはどうかと思います。
すると、えへへと照れくさそうに笑って、私に抱きついてきました。
「今日は、寒いですからね。もうちょっとこのまま……」
「あ、はい……。えっと、よろしくおねがいします……?」
お日さまが昇らなくなってから、ずっと寒くなっていく一方です。
日付の上では四月ですが、もう真冬のようです。
だからこうやってお互いに暖を取っています。
最初は恥ずかしかったけど、もう慣れっこです。
あったかくて、気持ちいい。
寒さも、不安も、絶望も、全てが曖昧になって溶けていきました。
東京ではもう桜は散ってしまったけど、この町では今が見頃のようです。
私たちは番組の企画としてこの町の桜をPRすることになっていました。
ちょうどその収録の日こそ、昼がなくなったあの日だったんです。
それから一週間、いろいろなことがあった気がします。
事務所の皆やプロデューサーとも連絡が取れなくなりました。
車も電車も使えなくなって、東京にはもう帰れません。
都会のほうでは社会が混乱して暴動とか略奪とかも起こったみたいですけど、よくわからないまま情報が途絶えてしまいました。
生きるのに必死で、水や食料を求めて藍子さんと二人で歩き回っていたら、いつからか私たち以外には誰も見かけなくなりました。
そうしているうちに見つけたこの高校を拠点にして、暮らすことにしたんです。
「それにしても、ほたるちゃんにこんな特技があったなんて思いませんでした」
藍子さんは、窓の外を見て感心したように言います。
視線の先には、校舎の反対側の屋上にある、大きな塔が見えました。
月明かりに照らされて、不気味に輝いて見えます。
あれは、藍子さんと二人で組み上げたアンテナでした。
「おかげで、また『ゆるふわタイム』が無事にオンエアできます。ありがとう、ほたるちゃん♪」
「いえ……。藍子さんが手伝ってくれたおかげです」
それから数回、「ほたるちゃんのおかげです」と「藍子さんのおかげです」の押し問答を繰り返して、最後にはおかしくなって笑ってしまいました。
「お父さんが、こういうのが好きだったんです。危ないからって私はただ見てただけでしたけど、こう……記憶をたよりに」
「わあ、すごいです!」
「それに、前までやっていた『ゆるふわタイム』の規模には全然及びません。この機材だと、多分……この町全体に届くか届かないかくらいです」
「へえ、そんなに届くんですか」
私たちが今居るこの高校には、どうやら放送部があったみたいです。
一通りの放送機材はもちろん、電波の送信機やアンテナの部品もたくさん置いてありました。私はこれを組み立てただけに過ぎません。
それにこの送信機、見てみるとどうも変な改造がされているみたいで、出力がやけに高いんです。
普通ならこのくらいの装置だったら頑張ってもせいぜい100mくらいしか届かなくて、町全体を覆うほどにはならないはずなんですが……。
私は法律には詳しくないからよくわかりませんが、多分「でんぱほう?」とかに引っかかる違法改造だと思います。
藍子さんにその話をしたら、「なんだかあうとろーですねー」とちょっと笑っていました。
そのあと、午後は図書室でお勉強です。
と言ってもただ二人で本を読むだけです。
それから、歌やダンスの自主レッスンです。
私たちの新曲の発売も迫っていることですし、最後の追い込み時期ですね。
こうなってしまった以上、無期限延期ですが……。
レッスンが終わったあとは、シャワーを浴びます。
今はまだ水道が使えるので大丈夫ですが、これからどんどん寒くなっていくと、いつ使えなくなるかわかりません。
なので今の段階から、ちょっとづつ慣らしていくために節水を心がけてます。
シャワーの後は、晩ごはんです。
日持ちする食材も少なくなってきたので、保存食や缶詰ばかりです。
ちょっぴり味気ないですが、藍子さんと一緒なのでとってもおいしいです。
何を食べるかじゃなくて、誰と食べるかが重要なんだって、どこかで聞いたことがあります。
そして、眠りにつきます。
明日もいい日になりますように。
できれば、日が昇りますように……。
目を覚まして窓の外を見ると、東の空にはひときわ目を引くオリオンの三ツ星がありました。
「藍子さん、藍子さん。起きてください……。朝ですよ。朝、なんでしょうか……? ……起きる時間ですよ」
「うーん……後五分……」
ゆさゆさ、と。
藍子さんを揺すって起こします。
どうも寒いのが苦手みたいで、このところずっとこうです。
「おはようございます、藍子さん。もう朝ごはん出来てますよ」
「んん……ぉはよう……」
目を覚ました藍子さんと、朝ごはんを食べます。
今日も栄養満点の冷凍食品を食べられることに感謝です。
それにしても、そろそろ食料の備蓄も無くなってきた気がします。
「そろそろ、『買い出し』に行ったほうがいいでしょうか……?」
「そうですね。あんまり気は進みませんけど、仕方ないです。でもその前に、まずはラジオですね♪」
「は、はい……!」
話す内容の確認と機材のチェックが主です。
スタッフさんもいないので、全部私たち二人だけでやらなきゃいけません。
ちょっと大変ですけど、慣れてくると楽しいものです。
「ほたるちゃん、そっちは大丈夫ですか?」
「はい。校庭のスピーカーも、電波の送信機も特に不調も無いみたいで……」
「よかった。じゃあ、はじめよっか」
「はい、いきまーす。さん、にー、いち……」
カチッとボタンを押し、放送がスタートします。
学校の中と外に取り付けられているスピーカーと、私たち二人で取り付けたアンテナから、この町中に私たちの声を届けます。
まだ誰か、聴いている人が居ると信じて。
今日も、メッセージを届けます。
「高森藍子のゆるふわタイム。今日のゲストも、白菊ほたるちゃんです♪」
「はい、白菊ほたるです……。よろしくおねがいします」
ラジオが終わり、お昼ごはんを食べたあとは、今日は藍子さんと『買い出し』に行きます。
昨日と同じ満月が、煌々と輝いています。
あの月が、怖い。
もうこの惑星は死んでしまったんでしょうか。
学校の外は張り詰めたように寒く、時が止まったみたいでした。
それはまるで、幼い頃に想像した世界の終わりのようで。
ふとした瞬間に、叫びだしたくなるような不安が――
「ううう、今日はいちだんと冷えますね」
「あ……、はい。そうですよね。寒いです……」
藍子さんの声で、我に返りました。
寒さをちょっとでもやわらげるために、藍子さんにぴったりくっついて歩きます。
でもお互いに冬物の上着で完全に守られているので、少しも体温も感じません。ちょっとさみしいかもです。
「もう、ほたるちゃん。歩きにくいって」
「あ、ごめんなさい……。ダメでしたか?」
「ううん」
日が昇らない以上、気温は下がる一方です。
昨日よりも今日は、今日よりも明日は、もっと寒いでしょう。
緊急事態とはいえ、私も藍子さんもあまりいい気分はしません。
なので当面のルールとして、お金をちゃんと払って出ていくということに決めました。
なんの意味もない自己満足ですが、私たちの心を守るためには大事なことだと思います。
「夜のスーパーって、なんだかちょっとわくわくしませんか?」
「えっと、そうでしょうか……?」
「うん。スーパーっていつでも明るいから、こうやって中の電気が消えているのが珍しくって」
そんなことを話しながら、店内を回っていきます。
時おり、前に来たときよりもちょっとだけ商品が減っているような気がすることがあります。
気のせいかも知れませんが、もしも本当に減っていたとしたら、私たち以外にもまだ生きている人がいるかもしれない。
そんな願望を話したりもしました。
「今回はこれくらいかな?」
「そうですね、あんまりたくさん買っても荷物が重くなって大変なので……」
電卓を取り出して、すばやく計算していきます。
本当はレジスターを使えたらいいんですけど、よく使い方がわからなくって……。
藍子さんと私で計算結果をチェックしあって、ぴったり一致するまで検算します。
見落としてたり、桁を一個間違えてたり、そういうおっちょこちょいもあるから、念入りに。
もう社会も成り立っていないんだから、ただの紙切れに過ぎないんじゃないでしょうか。
ただの紙切れよりも、新鮮な野菜や果物、お肉とかの方がよっぽど価値があるんじゃないでしょうか。
お金を前にすると、今となってはそんなことを考えてしまいます。
お金っていうのは、国がその価値を保証して、人々がその価値を信用することではじめて価値を持つんだって聞いたことがあります。
これって、まるでアイドルのようです。
だってアイドルも、その輝きを認めてくれる人がいてはじめてアイドルになれるから。
だったら、保証してくれる人も輝きを認めてくれる人もいなくなったアイドルは、一体何になるんでしょうか。
「ほたるちゃん、どうかしました?」
「いえ、大丈夫です……。大丈夫」
そう、大丈夫。
藍子さんがいるから、頑張れます。
不安なことは一旦全部忘れて、ふたり寄り添って歩きます。
ただ気温が低いだけで、冷たい風が吹いているわけではないというのが不幸中の幸いでしょうか。
「ほたるちゃん。明日、ちょっと行きたいところがあるんです。付き合ってくれますか?」
「はい、かまいませんけど……。どこに行くんですか?」
「ふふっ、内緒です」
藍子さんは、一体どこに連れて行ってくれるんでしょう。
楽しみです。
窓の外には、相変わらず満天の星空が広がっていました。
建物の隙間からわずかに見えるあの星座は、はくちょう座でしょうか。
日の光が無い以上、いつ空を見ても美しい星空が見えます。
一日中空を見ていれば、春、夏、冬の大三角を一日のうちに見ることもできるかもしれませんね。
ベッドの中に入った後に気が付きました。
星が回っている以上、地球は問題なく自転しつづけています。
だから私たちは、丸一日かけて宇宙のほとんどの方向を目で見て確認しているということです。
じゃあ、太陽はどこへ行ったんでしょうか。
そして、あの月は、何の光を反射しているんでしょうか。
……。
もう寝ます。
おやすみなさい。
ラジオの生放送を終えた私は、藍子さんに連れられて歩いていました。
どこに向かっているかはやっぱり秘密だそうです。
「ここは……?」
「私は知らなかったんですけど、この町は知る人ぞ知る温泉地だそうです。ずっと学校のシャワーだけっていうのも落ち着かないですし、ゆっくり湯船に浸かって温まりましょう?」
「それは、そうですけど……」
内緒ですって言っても、「着替えやタオルを持っていくといいかもしれませんね」なんて言われたら、なんとなくお風呂にでも行くのかなって想像はついちゃいます。
でも、まさか本当にそうだとは……。
「えっと、藍子さん。これだけ寒いと、温泉にも入れないんじゃないですか?」
「さあ、それはどうでしょう。とりあえず入ってみましょうか」
藍子さんに手を引かれて、建物に入っていきます。
なんだか自信満々ですけど、本当に大丈夫なんでしょうか……?
中に入ってみると、温泉はもくもくと湯気をあげて湧いていました。
もうずっと寒いままなのに、どうして……?
「ほたるちゃん、前に言ってましたよね。『全てのものは太陽があるから動く』って」
藍子さんは、そう前置きしてから話し始めました。
「ずっと、違和感があったんです。本当にそうなのかなって。太陽がなくても……地球の中だけで起こることだって、あるんじゃないかなって。それが、温泉です」
温泉……。
つまり、火山活動。
確かに、火山の活動は地球の内部……つまり太陽とは関係のないところで起きることです。
たとえ太陽が無くなって、全部が凍ってしまったとしても、温泉だけは湧き続ける、ということでしょうか。
なんだか想像しにくい話です。
「ほたるちゃん、背中流しますよ♪」
「ええっ、恥ずかしいですよ」
「いいからいいから」
源泉かけ流しで、夜景と星空を堪能できる贅沢な露天風呂です。
「これは図書室で読んだ話なんですけど、何億年も前に地球全部が凍りついてしまったことがあるそうです」
なんの話だろう、と思いましたけど、黙って続きを聞きます。
「その時にほとんどの生き物は絶滅しちゃったみたいですけど、その頃の生物たちは、海の底の温泉で生き延びたみたいです。彼らの遠い遠い子孫が、私たちなんですよ。これからもっと寒くなっていったら、ご先祖さまにならってこっちに引っ越しちゃうのもいいかもしれませんね」
「……そのときは、ラジオの機材もお引越ししちゃいましょう」
「ええっ、そんなことできるんですか?」
「はい。多分……。大丈夫です、鍛えてるんで」
ぐっと、力こぶを作る仕草をします。
これでも私はアイドルなので、体力はあると思います。
アイドルなので、あんまり筋肉をつけすぎても良くないんですが……。
「おおっ、ほたるちゃんのうで、もちもちですべすべですね。うらやましい……」
「ひゃっ、あ、藍子さん」
明日のこともわからないこんな状況でも、ただ未来のことだけ見ています。
だから、私も未来のことだけ話します。
藍子さんに置いていかれないように。
すべてのものは太陽が照っているから動けるそうです。
だとしたら。
あなたが私を照らすから、前に進めるんです、藍子さん。
私もつられて見上げると、やっぱり月が輝いていました。
日が昇らなくなってからは、この月こそが空で一番明るい星です。
立ち込める湯気に遮られていてもなお、目がくらむほど眩しい光です。
「きれいですね」
藍子さんはそう言うけど、私は何の返事も出来ませんでした。
日が昇らなくなって以降あの月はずっと満月で、南の空から張り付いたように動きません。
まるで、地上にいる私たちが慌てふためくのを見て楽しんでいる、意地悪な神のようです。
古来、月は狂気をもたらすものだったそうです。
ならこの狂ってしまった世界では、あの月が支配者なのでしょう。
あるいは、狂ってしまったのは私なのでしょうか。
あの月は私にとって、ずっと続くこの夜の象徴です。
心の底から綺麗だと言うことは、きっと出来ないでしょう。
「……? どうしました、ほたるちゃん」
「いえ、ええと……」
藍子さんが綺麗というものを、私は綺麗と言えない。
そんなことがとても悲しくていたたまれなくて、ついはぐらかしてしまいました。
かわりに、ずっと気になっていたことを言いました。
「藍子さんは、あの月はどうやって光っていると思いますか?」
「太陽の光を反射して……じゃないんですか?」
「もしあの月が、太陽の光を反射しているんだとしたら、太陽はまだ地球の裏側にあるはずです。でも、太陽が昇らなくなってからも、この地球はちゃんと自転しているんです。それなのに、太陽はどこにもありません」
「自転しているって、わかるものなんですか?」
「はい。この間、確認しました。どの星も、東から昇って西に沈んでいました」
「そうなんですか……。じゃあ、やっぱり太陽はもう無くなっちゃったんですね」
藍子さんは、ちょっとだけ寂しそうに言いました。
文字通り暗い話をしてしまったので、急いでごめんなさいと言うつもりでした。
でも、それよりも早く藍子さんはこう続けました。
「だったら、あの月を照らしている星はひとつしかありませんね」
「決まってるじゃないですか。地球ですよ」
まるで、なんてこともない常識かのような口ぶりでした。
地球が、月を照らしている……?
「地球は、恒星じゃなくて惑星です。ただの岩ですよ。地球が月を照らしているっていうのは……どういうことですか?」
「そのままの意味です。だってほら、地球って明るいでしょう? たくさんの星があるから」
「星……?」
星があるのは、空であって地上じゃないはずです。
そう思って思わずまた夜空を見上げましたが、すぐに気が付きました。
星……。そう、星(スター)です。
「藍子さん、それって……」
「はい、私たちアイドルのことです」
こともなげに、あまりにもいつもどおりの笑顔で言ったので、なにか私のほうが勘違いをしているのかと錯覚してしまいました。
なにか、私の知らない物理法則があるんじゃないかって。
もちろん、ただのジョークだってことはわかっているつもりですけど。
「なーんて♪」
「ふふふっ……。あはははは!」
なんだかおかしくて、笑ってしまいました。
月が『どうやって』輝いているかなんて、もはやあんまり関係ないのかもしれません。
だってこの宇宙はもう、太陽が突然無くなっちゃうくらいにはめちゃくちゃなんですから。
大事なのは、月が『なぜ』輝いているかだけ。
そしてそれは、見上げる私たちが好きに解釈すればいいんです。
大胆にも藍子さんは、地球が……ひいては私たちが月を照らしていると解釈しました。
だったら、それもまた真実です。
藍子さんは、なにかとびっきりのいたずらを思いついたように言いました。
提案されたその『証明』の方法は、今となってはあまりに荒唐無稽で、もしかしたら無意味なことのようにも思えました。
でも、同時にこれ以上無いほどおもしろい提案だとも思ったんです。
こうしちゃいられない、と温泉から出て学校に戻りました。
明日以降やらなきゃならないことをリストアップして作戦会議です。
楽しくなってきました。
今日は眠れないかもしれないですね。
そして、次の日――
「はい……。明日はこのラジオはお休みとなります。そのかわり、明日のこの時間、私たちのミニライブを行います。場所は、県立南高校の校庭です。明日も冷えるので、しっかりと暖かくしてお越しください」
「なんと、今回は新曲のお披露目ですっ。ぜひ来てくださいね」
「よろしくおねがいします」
「今日からは、ほたるちゃんを二人目のパーソナリティとしてお迎えして、番組をちょっとリニューアルしてお送りしました。それではお相手は、高森藍子と」
「白菊ほたるでした」
「ばいばーい♪」「ばいばーい!」
校庭で、新曲お披露目のライブをする。
それも、とびっきり素晴らしい最高に輝くライブを。
ただそれだけです。
あの月が地球の光で輝いているのなら、私たちが最高に輝けば月の光もより輝きを増すだろう、という論法です。
もしかしたら、夜の闇を吹き散らして青空が戻ってくるかもしれない。
そんな話すらしていました。
非現実的な夢物語だってことは、もちろん私も藍子さんもわかっています。
でもこの宇宙は太陽が無くなっちゃうくらいにはいい加減なんだから、なにが起こってもおかしくはないんです。
そうは言ったものの、現実的には多くの障壁が待っていることは確かです。
私たちの武器は、発売間近だったCDの音源と日々のレッスンで積み上げてきた技術だけ。
衣装とか、照明とか、舞台の設営とか……そういった一切を私たちの手でやらなきゃいけません。
そもそもこの町にまだ人がいるんでしょうか、とすら思いますが、そこに関しては藍子さんには勝算があるみたいです。
まずひとつに、お店の品物が確かに減っているということ。
私はただの希望的観測だと思っていたんですが、藍子さんはちゃんと確認して言っていたみたいです。
ふたつ目に、電気やガス、水道がまだ使えているということ。
専門的なことはよくわかりませんが、何日も放置していて無事に済むということはないでしょう。
誰かがまだ、保守をしているはずなんです。
そういう理由で、「この町にはまだ人がいるんです」と藍子さんは断言しました。
日に日に寒くなっていきます。
冬の北海道でもここまで寒くはないでしょう。
なので、ライブをやるなら早いほうが望ましいです。
善は急げということで、早速ライブの告知をしました。
期限は明日まで。
私たちが今持っているものだけで、どこまでできるでしょうか。
スーパーの衣料品売り場にあった冬物の上着をリボンやフリルで装飾し、いろんな小物を散りばめた作品です。
暗めの色の生地にスパンコールがきらめいていて、まるで星空のようです。
藍子さんは手先が器用なので、仕上がりはプロ級にも思えます。
いつものスーパーに寄ったついでにライブの告知ポスターを貼ってきました。
もし誰かがここに通っているのなら、このポスターが目に留まることもあるかもしれません。
舞台照明は校庭にある投光器を使うことにしました。
夜でも運動部の皆さんが練習できるように取り付けられているものなので、光量は申し分ありません。
でもその分小回りがきかないので、タイマー機能を使って曲に合わせてタイミングよく切り替えることにしました。
この調整は何回も何十回もテストをして、何とか形になりました。
着々と、舞台が出来上がっていきます。
二人だとけっこう重たいので気合を入れて運ばなきゃいけません。
「こうやって、普段はなんでもないような場所が、なにか特別な場所に変わっていくのって、ちょっと不思議じゃないですか?」
「そうですね……。文化祭とか体育祭とか、非日常って感じがして好きでした」
「そう、非日常! こういう非日常から、日常の新たな良さに気がつくっていうのが好きなんです。なんだかこれって、アイドルに似てませんか?」
「ええと、どういうことでしょう」
「そうですね……。アイドルをはじめるまで、こうやって歌やダンスで誰かを笑顔にできるなんて思ってませんでした。アイドルになることで、私は私の新しい価値に気づけたんです。それに、私だけじゃなくって……プロデューサーさんや、事務所の仲間の皆や、ファンの皆さんたちが、私が知らない私の価値を見つけてくれるから、ただの普通の女の子だった私がアイドルになれるんです」
藍子さんは、きらきらとした笑顔で言いました。
「うーん……なんだかよくわかんなくなっちゃいました。えへへ♪」
きっと、これはアイドルに限った話ではありません。
例えば、歌。
本来ならただの音と言葉のつながりでしかないはずなのに、人の心はそこに『歌』という価値を見つけます。
例えば、青い空。
本来ならただ空気の粒が青い光を反射しているだけの物理現象なのに、なぜか青空を見ると幸せな気持ちになれます。
例えば……思い出。
何気ない日常や、幸せな日々。あるいは辛かったことなんかも、振り返ってみれば全部、私を形作る大事なピースです。
そもそもこの宇宙さえ、ただの真空のなかに岩と火の玉が浮いているだけなんです。
それを価値あるものにできるのは、人の心。
私たちが世界に価値を見出したから、この世界は宝物なんです。
全てのものに価値は無く、そして全てのものが宝物。
価値は全部、私たちの中にあったんです。
気づけば私は、藍子さんに抱きついていました。
「わっ、ほたるちゃん、どうしたの?」
「いえ、ちょっと……」
「もう、甘えんぼさんですね」
私には、この宇宙の全てが愛おしいものに思えてしかたなかったんです。
そして今私の目の前にいるこの女性もまた、この上なく愛しい人に思えました。
「藍子さん。藍子さんは……幸せですか?」
藍子さんは、ちょっとだけ考えて、すぐに言いました。
「うん、ほたるちゃんといっしょだから。私は幸せだよ」
「なら、私も幸せです」
「ふふっ、ほたるちゃんらしいね」
ステージは完成しました。
あとは開演時刻を待つだけです。
その上、準備時間は一日半ほどの突貫工事です。
いろいろ頑張って準備はしましたが、お世辞にもいい出来だとは思えませんでした。
これでライブが成立するんでしょうか。
そもそも、誰か見に来てくれるんでしょうか……。
ちょっと不安になってしまいます。
「大丈夫だよ、ほたるちゃん。私たちは、歌とダンスに関しては、プロなんだから」
藍子さんが、平然と言います。
いつもの声色だけど、だからこそ力強く思えました。
できる範囲でやったけど、どうせ素人の仕事なんだから、深く考えずに私たちができることでカバーすればいいんです。
だってそれしか出来なんだから。
私たちは、アイドルです。
だから今から、アイドルしに行きます。
それだけです。
「ありがとうございます。大丈夫です、藍子さん」
「と言っても、ほんとは私も不安なんですよ。やっぱり私はほたるちゃんよりお姉さんですから、しっかりしたところを見せたいだけなんです」
「じゃあ、おそろいですね」
「はい♪」
結局、私が人であるかぎり、不安なんて消えないんだと思います。
不安を飼いならして、いっしょに生きる。
そのためにレッスンをしてきました。
だから、大丈夫。
やると決めたからには、不安くらいで私たちのパフォーマンスは落ちません。
「はい。藍子さん」
舞台の幕が上がる。
多分これは、地球最後のライブです。
今までの私たちとは雰囲気が違う、激しい曲調です。
それと同時に校舎から飛び出して、校庭にあるステージへと走り出します。
藍子さんと相談した結果、こういった演出になりました。
校舎からステージまでは、走って向かえばちょうど歌い出しの数小節前にたどり着く距離です。
これは、昨日から何回も確認してきた段取りでした。
その、はずでした。
でも本番にトラブルは付き物のようです。
私の場合は、特に。
これがトラブルと言わずになんというのでしょうか。
だって、おかしいでしょう。
校舎を出た先が校庭じゃなくて、数万人規模のライブ会場だったなんて。
まさに、満天の星空でした。
あれは全部、私たちのために振られているサイリウムです。
ステージも照明も全部、スタッフさんたちが用意してくれたもの。
着ているものも藍子さんのてづくりではなく、薄手で動きやすく、それでいてかわいらしいデザインのアイドル衣装。
驚きと困惑で一瞬動作が止まりますが、レッスンによって最適化された私たちの体はすぐに再起動し、音楽に合わせて半ば無意識に動きます。
考えるだけ無駄なのかもしれません。
だってこの宇宙は、太陽が無くなっちゃうくらいにはいい加減なんだから。
状況がどう変わっても、アイドルとしてやることは変わりません。
あの星一つ一つに、私たちの想いを届けるんです。
曲を用意してくれたプロデューサーさんはそんな事を言っていました。
確かにこの曲はテンポも速く、曲調も激しく、今まで歌ったことのないジャンルです。
こういうのをロックというのでしょうか。
この曲は、挫折している人、苦悩している人、絶望している人……そんな全ての人への応援歌です。
夜の闇の中でも、空を見上げたら月の光があるかもしれない。
冷たい雨にさらされても、雨あがりには虹が掛かるかもしれない。
それが太陽の光じゃなく弱い月の光だったとしても、それでも祝福の虹はかかるはず。
どんなときでも、小さな幸せはいつも人に寄り添うようにそこにある。
そんな祈りを、叩きつけるように叫ぶ歌です。
もちろん、現実はこの曲のようにうまく行きません。
本当に辛い時には、夜空を見上げることすらままならないから。
だから、私が道しるべになりたいんです。
幸せはここにあるって、皆が気づけるように。
いつかテレビで見た、あのアイドルみたいに……。
この夢のような舞台は、きっと何事もなくお日さまが昇っていれば実現したものなんだって。
日が昇らなくなったあの世界と、何事もなく当たり前の日常を送っているこの世界。
本当にちょっとした選択肢の違いで分岐していっただけの、同じものなんじゃないでしょうか。
例えば右か左のどっちの足から歩き出すか、だとか、今日のお昼は何を食べよう、だとか。
あるいは、丸いものの上にビー玉を置いて、どっちに転がっていくか、とか。
そのくらい些細な違い。
ただちょっと運が悪くて、この『私』がいる世界の方がおかしくなってしまった。
それだけのことなんじゃないでしょうか。
なら、こっちの正しい世界に戻ってこれたことを喜ぶべきなんでしょう。
でも私にはそれは出来ません。
だって、私たちは『あの町』でライブをするために一生懸命準備したんだから。
それに、ここに用意されている舞台は『私』のためのものじゃありません。
きっとこの世界にもともといた、こっちの『私』が立つべき舞台なんです。
戻らなきゃ。
私はそう思いました。
うん。
――誰も来てないかもしれないのに?
それは、まだ確認してないからわかりません。
――あんなに寒いのに?
ひとりぼっちじゃないから、寒くてもへっちゃらです。
――ふうん。じゃあ、いってらっしゃい。
その声は、私の心の中の声なのか、あるいは神や悪魔のような超常的な声なのかはよくわかりませんでした。
どうもその声の主からすると、私はおろかな選択をしているようです。
振り付けとして、思いっきりジャンプするところがあります。
どうやらそのタイミングで戻ってこれたみたいです。
気づけばそこは、夜の校庭の即席ステージでした。
衣装も藍子さんお手製のアレンジ冬服です。
強烈な寒さに顔をしかめそうになるけど、我慢します。
スピーカーから流れてくる曲も、少し音割れしていて聴きづらいかもしれません。
何もかもあっちの世界とは大違いで、なんだかおかしくなってきます。
月の光が眩しくて、夜空の星はあまり見えませんでした。
かわりに、夜空よりもっと低いところに、変光星が見えました。
およそ十個か、二十個くらい。
やっぱり、藍子さんの予想は間違ってなかった。
この街にもまだ人がいるんだって。
私たちが、幸せを届けられる人がいるんだって。
うれしくて涙が溢れそうになるけど、意志の力でせき止めます。
だってこの曲は、悲しい曲じゃなくて幸せを叫ぶ歌。
涙は、似合わないんです。
曲のラスト。藍子さんと二人で、最後の決めポーズです。
拍手と歓声が響いて、私たちのステージは終わりました。
「「ありがとうございました!」」
見に来てくれたお客さんは、十三人でした。
数万人を動員したあっちの世界とは比べものにならないけど。
それでも私たちは、この人たちのためにアイドルとして輝きました。
「ほたるちゃんもですか?」
大きなライブ会場の夢を見たことを話しました。
やっぱり、藍子さんもどうやら同じものを見たそうです。
「ああいう大きい会場も憧れですけど……。やっぱり私は、こっちのほうが好きです。ファンの皆さんとの距離が近いから」
きっと藍子さんも、わざわざこっちを選んだんです。
寒くて厳しい、こっちの世界を。
「行きましょうか、ほたるちゃん。ファンの皆さんが待ってます!」
「はい!」
集まってくれた皆さんに、ごあいさつしに行きます。
ここからの段取りは、なんにも決まっていません。
握手会っていうのもありかもしれませんね。
寒いから手袋越しの握手になっちゃいますけど、それでもいいでしょうか。
「わあ……!」
地球は、まだ生きていました。
きっとこの雪は祝福なんでしょう。
いいライブができたご褒美のようなものでしょうか。
少なくとも私は、そう解釈しました。
誰もが、空を見上げていました。
星も、月も、舞い落ちる雪たちも、今まで見たこと無いくらい綺麗でした。
でも、月の虹が掛かることはあるかもしれない。
虹が掛からなくても、月の光が雪の粒を照らして、きらきら光る星になるかもしれない。
結局、そこに大きな違いは無かったんです。
大事なのは、どんな美しいものを見るかじゃなく、誰と一緒に見るか。
月は、ただ月があるからきれいなんじゃないってことだったんです。
その証拠に、ほら――
「藍子さん。月が、きれいです……!」
「……うんっ♪」
今日の月は、とってもとってもきれいだと思えました。
だってあの月は、私たち二人の輝きで光っているんだから。
「藍子さん、明日は何をしましょうか」
「そうですね、まず――」
こうしてまた、私たちの一日が終わります。
明日もきっと今日よりも寒いけど、今日よりいい日になるでしょう。
…………
……
今このラジオを聴いている人は、どれだけいるでしょうか。
もしかしたら、もういないのかもしれません。
でももしかしたらまだいるのかもしれないので、このラジオはまだまだ続きます。
幸せって、とっても難しいものだと思うんです。
もしも幸せな状況にあったとしても、きっとその時は一生懸命だから、幸せであることに気が付かない。
過ぎ去ってしまってから、初めて幸福だったと気付くんです。
それって、とっても不幸なことだと思います。
私はずっと、不幸な人生を送ってきました。
だから大きな幸せを望むよりも、小さな、ほんの小さな幸せたちを集めて、噛みしめるように生きてきました。
それでも、全てが終わってしまった今振り返ってみると、見落としていた幸せも多かったように思うんです。
独りでいると特にそうです。
私は皆さんに不幸をうつしてしまうのが怖くて、人からちょっと距離を置いて生きていたことがあります。
独りは、だめです。
だって、独りなら小さな幸せにも気が付かないから。
幸せであるためには、せめて幸せを認め合うために他の誰かが必要なんです。
今の私なら、そう思います。
もし、このラジオを聴いている誰かがいるのなら。
幸せを諦めないで下さい。
希望がなくても、絶望の真っ只中でも、小さな幸せは絶対どこかにあります。
たった独りで、寂しくて、寒くて、幸せなんて見つからないっていう人がいるのなら、そのときは、私が何度でも言います。
小さな幸せは、絶対にあるって。
私が保証します。
私が、認めます。
だって私はアイドルですから。
夢と希望を与えて、皆を幸せにするアイドルですから。
これは私からのお願いです。
どうか、幸せを諦めないで下さい。
これを聴いているあなたが、小さな幸せを見つけられたなら、私も幸せです。
私の幸せは、ほかの誰かが幸せでいられることだから。
それが私の最初の願い。
アイドルになりたいと思ったときからの、願いだったんです。
もしこれを聴いているあなたが小さな幸せを見つけられたなら……。
私たちはその願いで繋がって、ひとりぼっちじゃない。
そう思うんです。
今日も特に大きなトラブルもなく放送を終えられて、一安心です。
藍子とほたるのゆるふわタイム。
パーソナリティの、白菊ほたるでした。
それではまた明日、お会いしましょう。
ばいばーい!
R・P・ファインマン,大貫昌子訳(2000)『ご冗談でしょう、ファインマンさん』(岩波現代文庫)
田中ロミオ(2003)『CROSS†CHANNEL』(FlyingShine)
田近栄一(2009)『凍った地球 スノーボールアースと生命進化の物語』(新潮選書)
串田アキラ(1981)『太陽戦士サンバルカン』
BITE_THE_LUNG(2006)『太陽』
高森藍子(2016)『青空リレーション』
https://www.youtube.com/watch?v=stU33SK9vKE
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525154072/
Entry ⇒ 2018.05.06 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
【モバマス】由愛「KISS、危険なラブモーション」
紗枝「いややわぁ……急に雨なんて降って」
紗枝「制服なのにずぶ濡れ……」
紗枝「これはどないもできへんか……」
サエー
紗枝「ん?」
紗枝P(以下P)「紗枝ー!」
紗枝「……あれは?」
P「よかった……ここにいたのか」
紗枝「どないしたん?うちなんかに用事でも?」
P「雨が降って来たからな……間に合わなかったみたいだが、傘とタオルをなっ」
スルスル
P(うわ……制服が透けてブラジャーが……ピンクか)
紗枝「~♪」
P(意外にフリフリなのをつけてるな……小さいけど美乳かな?)ゴクリ
紗枝「……」
P「……紗枝?」
紗枝「……助平な人には何も教えまへん」プイッ
P「す、すまんっ!」
紗枝「……で、うちの下着、似合っております?」
P「それはもう!……ハッ」
紗枝「」ニコニコ
P「……紗枝さん?許していただけませんか?」
紗枝「知らんです」プイッ
紗枝「いややわぁ……この雨の中。人通りも少ないとはいえ、大の大人が女子高生に土下座なんて……」
P「そこを何とか」
紗枝「~♪」
紗枝「なら」
P「お、おう」
ピラッ
スルスル
P「さ、紗枝!?スカートをたくし上げて……」
紗枝「ふふっ……」
紗枝「この奥の……」
紗枝「あんこがいっぱーい詰まった、生八橋は如何がどすか?」
P(し、下着が透けて……まるで生八橋が透けて餡が見えるように、紗枝の秘部が……)
紗枝「据え膳食わぬは男の恥やろ?」
P「さ……紗枝ーっ!」
あ、紗枝の出番は以上になりますのでご安心を
こちら、独自の設定がありますので、よろしくお願いいたします
……
むつみ「という話なんですが」
まゆ「」ガタッ
響子「」ガタッ
ゆかり「」ガタッ
卯月「」ガタッ
凛「」ガタッ
由里子「わわっ、みんなどうしたんだじぇ?」
杏「決まってるじゃん。週末が雨だからプロデューサーを誘って、ずぶ濡れになった後に襲ってもらう計画だよ」
比奈「その為に下着を新調っスか?……いやぁ最近の女の子はよくわからんっスねぇ」
奈緒「いやいや、比奈さんが枯れ過ぎなだけだって。とりあえずむつみはこれをどうする気だ?紗枝に見つかったら、怒られるだけじゃすまないぞ」
むつみ「以前考えてたプロットを完成させただけですので、特には……」
比奈「なら私が……」
奈緒「また菜々さんに怒られても知らないからな」
由愛(きゅぴーん)
由愛「Pさぁぁぁん!」ダキッ
由愛P(以下P)「ははは、由愛は甘えん坊だなぁ」
由愛「えへへっ」ニコッ
P「何この笑顔。嫁にしないと」
「あ、あと、事務所じゃその呼び方と距離感はまずい」
由愛「はぁい」
P「お、素直だな」ヨシヨシ
由愛「えへへ」
P「それでどうした?何か用事か?」
由愛「あ……えっと…その」
P「ん……何か言いにくいのなら場所を変えるが」
由愛「いえ……その……わ、私と」
由愛「一緒に新しい下着を選んでください!」
P「」
由愛「Pさん……」ムスー
P「……」
由愛「……」ムスー
P「……」
由愛「……」ムスー
P「……」
由愛「……」ムスー
「あのさぁ……」
美嘉「二人とも、こんな所でいちゃいちゃされてるとみんなの邪魔になるだけだからね」
美嘉「あ、美嘉か…ってヒドイなぁ」
由愛「美嘉さん、おはようございます」
美嘉「うーん、由愛ちゃんは今日も可愛いねぇ……」
(最近は、みりあちゃんに千枝ちゃんやこずえちゃんが冷たいし、これはこれでいいかも……ふひ★」
由愛「」ビクッ
P「……お前に俺の由愛はやらんぞ」ギラリ
美嘉「ジョーダン、冗談だって。で、二人はどうして問答なんかしてたのかな?」
由愛「実は……」
美嘉「なるほどね……私にも時間があれば付き合えれたんだけどなぁ」
P「気持ちだけ受け取っておくよ。お前に任せたら、俺の由愛が汚される!」シッカ
美嘉「どっかの愛海ちゃんか!!」
愛海「くしゅん!くしゅん!」
菜帆「あら?風邪ですか?」
愛海「うー、違うと思うけど……」
雫「最近、寒かったり暑くなったり寒暖の差が激しかったですからね」
拓海「明日はたしか30度まであがるんだろ?……愛梨のヤツがいたら、事務所内で脱ぎ始めかねないからなぁ」
愛海「そんときは……ぐひひ」
礼「もう……なら、智絵里ちゃんが噂しているかもね」
智絵里(違うよー)
雫「違いましたか」
礼「あら、残念ね」
愛海「しょうがないなぁ。風邪だからみんなのお山で温ま」ガシッ
愛海「……え?」
早苗「うふふ」
愛海「……早く帰るね」
拓海「で、智絵里はどこから何を見ていたんだ?……相変わらずだけどな」
菜帆「悪いことをしないように、みーんなを見張っているんでしょうね」
P「あいにくだが、女性向け下着に縁のない人生だ」
由愛「ママがいつも買ってきたのはデパートとかの下着売り場だったから……」
美嘉「由愛ちゃんはともかく、プロデューサーは情けないなぁ」
P「なんだと」
美嘉「それぐらいの情報は知らないと……ねっ。ま、由愛ちゃんならまだ大きくなるし、莉嘉も使っているここのお店がお勧めかな」スマホトリダシ
美嘉「たしか、ありすちゃんや桃華ちゃんも使ってるわよ」
P「その情報はどこから……意外に近いな」
美嘉「でしょ」
由愛「えっと……その」
美嘉「ん?どうしたの?」
由愛「その……もっと大人っぽいのが欲しいんです……」
P「大人っぽいって、由愛はまだ成長期だから、サイズが変わったりしてキツくなるとダメだからちょっとな」
美嘉「うんうん、莉嘉も文句ばかり言ってるけど、下手にワイヤーが入っているのだとサイズが変わったときつけると痛いからねぇ」
「まだまだこれからおっきくなるんだから、ソフトブラとかの方が」
由愛「えっと……違うんです」
「あぅ…その……うぅっ」
「P、Pさんに、いつ見られてもいいようなのが欲しいんです!」
美嘉「」
P「えっ……えっと」
美嘉「プロデューサー?こないだ、由愛ちゃんのをうっかり着替え中を見た時に下着に文句いったんじゃないの?」
P「いやいや!お前も知っているはずだが、そんな余裕はなかったぞ!」
美嘉「つまり、余裕があったら?」
由愛「あ、あの……」
由愛「その時は私も……余裕が……」
美嘉「ご、ごめんねっ!」
P「すまない……配慮が足りなかったな」
由愛「い、いえっ……その」
美嘉「なら、事務所の子達と一緒に着替えた時にうらやましかったのかな?」
P「そうなのか?」
美嘉「例えば蘭子ちゃん。あの子、けっこう大きいし、下着が黒のレースにガーターベルトなんだよ」
P「な、なにぃ!」ガタッ
由愛「……」
美嘉「それから由愛ちゃんと同い年の聖ちゃん。あの子、既に80オーバーで下着もピンクの色っぽいのをつけていたんだから」
P「それでそれでっ!」
由愛「……」ムスー
ギュッ
P「痛ーーーっ!!」
P「痛い痛い痛い!許してっ!」
由愛「私がっ!私のっ!下着を選んで欲しい話なのにっ!」ギュッギュッギュュュュッ
P「わかった!ギブっ!降参っ!下着でもなんでも付き合うからっ!」
由愛「……なんでも?」
P「……俺ができる範囲でオネガイシマス」
美嘉「怒っちゃったね……しょーがないから、普段私も使っているお店も教えるわ」
P「すまんな」
美嘉「それと、男なんだから甲斐性のあるトコ見せてあげなさいよ」
P「あ、あぁ」
美嘉「それと……由愛ちゃん」
由愛「はい……?」
美嘉「頑張りなさいよ」グッ
由愛「はいっ!」
……
P(というわけで由愛の下着選びに付き合うことになった)
P(最初の一軒目はいわゆるジュニア向けの下着の店)
P(子ども用だからと甘く見ていたがいやはや)
P(結構、普通にかわいい下着だらけじゃないか)
P(……店員にはジロジロ見られているのが一番の問題だが……さて)
シャーッ
由愛「Pさんっ!こんなのどうですか?」
P「うむ、いわゆる普通のフルカップブラだな」
由愛「はいっ!まずは機能性重視ということで」
P「もっと可愛いのでもいいんだぞ。予算は任せろ!」
由愛「……はい。でも……」
由愛「まだまだおっきくなると思うので……」
P()
P(さて問題は……)
由愛「わぁ……すごい……おしゃれです」
P(二軒目……いわゆる、いかにもな下着屋だったということだ)
P(しかも一般客として普通にうちのアイドルとかも来るらしい……)
P(見つからないうちに)
志保「え……?プロデューサー?Cool担当の?」
P(どうやらゲームセットらしい……確率なんてくそくらえ!だなんて言ったのはどこのどいつだ!)
P「念のためいうが、自分で着用する趣味はないぞ」
志保「アイドル達を脅して……着せ替えて楽しむと!?」
P「その発想はなかったなぁ……」
泰葉『……プロデューサーまで……そんな……私……』
P『さぁ、俺の目の前で着替えてもらおうか』
P『もちろん、断らないよなぁ……』
泰葉『わかり……わかりました。だから……』
ポチッ
シュル
ストン
P『どうした?その下のもだよ……くっくっくっ』
泰葉『…………はい』
スッ
P『いい眺めだ……さぁその手は腰の横……そうだ……』
泰葉『どうして……』ポロポロ
P『さぁ、今日からお前は、俺専属の……奴隷さ。下専門のなぁ』
泰葉『あ……あぁ……』
……
志保「なんてことを……じゅるり」
P「なんでやねん!」
パコッ
志保「あいたっ!……もう、アイドルなんですから優しくしてくださいよぉ」
P「日菜子じゃあるまいに、同僚をそんな風に想像するヤツに容赦なぞいらん!」
志保「えー、泰葉ちゃん。喜んでやってくれそうなのに?」
P「お前の泰葉に対するイメージはどうなってるんだ……」
志保「ふふふ……ひ・み・つ・ですよっ!」
P「あぁ、それなら……」
P(まずいな……どうにかしてごまかさないと、明日から表を歩けなくなる)
シャーッ
由愛「Pさぁん!こんなのどうですかぁ?」←殆ど紐の下着
志保「」
P「」
P(ぐっぱい、優しき日々よ。もう戻れない)
由愛「えっ……志保さん?……え……そんな……」
志保「ゆ、由愛ちゃん?」
由愛「」ジワァ
志保「っ!?」
由愛「Pさんの浮気ものぉ!」シャーッ
P・志保「まってちがう」
……
志保「そうだったのね。由愛ちゃんは新しい下着を買いに来ただけだったのね」
由愛「まさか、志保さんに会うなんて……すみませんでした」
P「トリアエズハヤクカエリタイナー」
志保「でも、さすがにその紐のは……解けやすいから、成長期には不向きよ」
由愛「そうなんですか?」
志保「だから……このハーフカップブラぐらいにしておいた方がいいわよ」
P「なるほど、ほどけやすいのか」
志保「えぇ、私たちみたいに運動量が普通より上で、さらに全身でパフォーマンスするから特に」
志保「……本当なら見せパンとかの下に履くラインが見えないのを奨めたいけど」
P「まだ成長期だから、体の変化に追い付かない恐れがあると?」
志保「見せる系は、下着としては大抵何かの欠陥を抱えているからね」
志保「伸縮性や保湿保温だったり色々ね」
由愛「え?わ、私もですか……?」
志保「うぅんと……例えば、事務所の中でスカートを履いている子とか沢山いるでしょ?」
由愛「は、はい」
志保「女ばかりって油断しているから、割と見えちゃうのよねぇ」
由愛「え?そうなんですか?」
P「たしかに。菜々さんはガードが固いが、卯月やみりあ。あと杏なんて腹を見せる時なんて確実に……まぁ、わざと見せているヤツもいるがな」
志保「まゆちゃんやみくちゃん、あと愛梨ちゃんね?」
P「最後のは自爆芸だろう……あとは普段スパッツだったり、着物のヤツがスカートを履いたりすると油断しまくるからなぁ」
P「芳乃なんか、割烹着の裾からチラチラ見えてこっちが気が気でなかったよ」
志保「こないだの未央ちゃんと茜ちゃんもね。二人して転んじゃって、オレンジと白のコントラストが目立ったわぁ」
由愛(ひ、ひょっとして私も……?)
P「あぁ、由愛は大丈夫だ。殆どロングスカートだし、動くときはスパッツなりに着替えるからな」ナデナデ
由愛「えへへー」
志保「ふーん」
志保(そういう関係なんだぁ)
P「まぁ、なんだ。その志保のチョイスを信じて会計を済ませてきなさい」
由愛「あ、はい……」
由愛(でも……これも……)
志保「由愛ちゃん」コソコソ
由愛「はい?」
志保「冒険するのもいいからね。Pさんにもちゃんと見せつけてあげなさいよ」グッ
由愛「(//////)……は、はい」
アリガトーゴザイマシター
バクハツシロ、リアジューメ
ドンヨリ
響子(いよいよですっ!)
ゆかり(下着よしっ!シチュエーションよしっ!あとは既成事実だけ……)
まゆ(待っててくださいねぇ……まゆはPさんに大人にしてもらいますよぉ)
卯月(今日は危険日……種付け頑張ります!)
凛(さぁ、歩んでいこうか……私達のウェディングロードを)
比奈「い、異常な雰囲気っスね」
奈緒「本当に決行する気かよ……」
由里子「男女間のそれは興味がないじぇ」
由愛(い、いよいよです)ドキドキ
……
P『買物に付き合ってほしいなんてどうしたんだ?こないだ下着を見にいったばかりだろうに』
由愛『それはそれ。これはこれです!』
由愛『あっちのケーキ屋さんがおいしいって評判なんですよ』
P『よりによってホテル街のど真ん中とはな……おや?』
ポツポツ
ドザー
P『ヤバいっ!走るぞ!』
由愛『えっ……Pさぁぁん!』
P『結局入ってしまったか……まぁ、間違いがなければ』
由愛『もう……びしょびしょです……』
スルスル
P(っ!由愛の服が透けて……下着が……)
P(落ち着け。こういう時はジム系のモビルスーツを……ジム、ジムキャノン、ジムスナイパー、陸戦型…)
由愛『Pさん……』
サワッ
P『お、おわっ……ゆ、由愛…ど、どうした?』
由愛『……襲ってくれないんですか?』
スルスル
パサリ
P(由愛がパンツから脱いで……雨に濡れたスリットが……キャミソールの外からわかるぐらいに……)
由愛『……女の子に恥をかかさせないでください』
チュッ
由愛『えへへ……キスしちゃいました』
バタン
由愛『え……Pさん……私に覆いかぶさって……』
P『由愛っ!由愛ーっ!』
由愛『きゃっ……嘘……今日のPさん……いつもの……』
P『由愛が悪いんだから!由愛が誘ってこなければっ!』
ビリビリ
由愛(え……下着を引き裂いて……やだ……こ、怖いよ……)
バタン
杏「あー、みんな?空気を読まずにごめんだけど……今日、プロデューサー達全員、緊急会議で夜遅くまで帰れないってさ」
奈緒「会議か……いつも通りなら終わるのは早くて夜の9時か」
比奈「天気予報を見ると、降り始めはそろそろっスけど」
由里子「止むのは7時ぐらいだじぇ……」
由愛(そ、そんなぁ……)
由愛(はー)
由愛(残念です)
由愛(下着も頑張ったんだけどなぁ)
マモナクー
由愛(そういえば、バスから電車に替えて、ずっと痴漢さんには会わなくなったんだよね)
由愛(もう帰ろうっと)
プワーン
サワサワ
由愛(ん?)
由愛(お尻に何か……)
由愛(ち、違うよね……)
スススーッ
ゾワァッ
由愛(ーっ!)
ゾゾッ
フニフニ
サスーッ
由愛(こ、これって……)
痴漢A「よぉ、久しぶりだな」
コスコス
痴漢B「連れないなぁ。新学期から電車通学かい?」
チュバッチュバッ
痴漢A「ほう、ずいぶんえっちな下着だなぁ」
ニュルニュル
痴漢B「しばらくこっちの扉は開かないし……じゃあ、楽しもうか」
由愛(う……嘘……誰か……)
由愛(助けて!!)
「ほー?」
「どうしたのですか?」
「どなたかー、助けを呼ぶ声がー」
「えっ、近くっ?」
「はいー」
「さっき帰ったのだと、卯月ちゃんに凛ちゃん、まゆちゃんに響子ちゃんにゆかりちゃん」
「あとは由愛さんですね」
「あれ?たしか由愛ちゃんって最近電車通学に代えたんだよね」
「急ぎましてー」
(o・▽・o)&(●・▽・●)続きはRだよー
ではありがとうございました
Rで待ってるぞ
【モバマス】由愛「KISS、危険なラブモーションR」【BadName】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1525342290/
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Entry ⇒ 2018.05.03 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
渋谷凛「甘い時間と夢現」
一足早いのですが、渋谷凛さんと武内PのバレンタインSSです
私の手にはプロデューサーに渡すためのチョコレートがある
私に、夢中になれることを教えてくれた感謝のきもちと、そして、それよりも大きな気持ちを込めて作ったチョコレートが
我ながら上手に出来た…とは思うけど
あとはこれをどう渡すかって事が問題なんだよね
ストレートに?それともちょっと違った感じで?
…ダメだ、答えが出ない
こうなったらもうぶっつけ本番の方が良い気がしてきた
その方が私の本音も出せる気がするし
よし、そうしよう
プロデューサーの仕事部屋の前に立つと、どくんどくんと鼓動が早くなっていくのを感じる
ぶっつけで本音なんて出せるんだろうか
でも、渡さないと
渡して、先に進まないと
「……よしっ」
覚悟を決めて、ドアを開ける
そこで私の目に飛び込んできたのは――...
武内P「ちょっと!急に私の部屋に来て何をしているんです!?」
とても動揺した様子の我らがプロデューサーと
モバP「ギブミーーーー!!ギブミープリーズチョコレートミスターーーー!!!」
何かを叫び散らしている他のところのプロデューサーと
今西部長「HAHAHAHAHAHA!」
床にベビーチョコをばらまいている今西部長と
マルメターノ「オーウマイノォー!」
外人らしいどこかの陽気そうなおじさん
凛「…何これ」
武内P「なにをしているんですか!?狂ったように床にチョコとガムとチョコとガムとばらまいて!それを拾って口に入れて!!おまけに部外者まで入ってきてる!!」
モバP「ガハハうまいのう!アメリカの飴はウマイのう!」
マルメターノ「ソージャァノォアン=チャン!」
今西「HAHAHAオーケーオーケー」バラバラ
武内P「ああもう言ったそばからばらまいて!いったい何なんですか!何が目的なんですか!?」
モバP「はだしのゲンごっこ」
武内P「余計わけがわかりませんよ!」
モバP「バレンタインっていったらやっぱりはだしのゲンごっこだろ!」
マルメターノ「ノビルノォあめりかノアメハコンナニノビルンジャノォ!」
武内P「訳がわかりませんよ!」
今西「私だって…好き好んでこんな事をしたくはないさ」
武内P「部長…いや部長も!何でこんな事を!」
今西「断れなかったんだッ…!彼に人質を取られてしまってッ…!」
武内P「な、なんてことを…」
今西「彼は人生の中で全くといっていいほどモテた例しがない…当然、バレンタインデーにチョコレートをもらったことなどただの一度も無い」
マルメターノ「ミテミィコンナニノビルンジャ」
今西「だがアイドルのプロデューサーになった今なら、今までとは少しは変わるのではないか、そう、『今年はバレンタインデーにチョコレートをもらえるんじゃあないか?』という思いが彼の中にあった」
マルメターノ「コノクロイノガあめりかノアメナンカノォ」
今西「しかし人間は続けてきた思考をそうすんなりと変えることが出来ない…今までの彼の中ではバレンタインデーとは憎むべき対象である…」
マルメターノ「クヤシイノウクヤシイノウ」
今西「去年までの彼と今年からの彼の思考の差異…それが彼の中でぶつかり合った結果…」
武内P「このような奇行に走った…というわけですか」
マルメターノ「アン=チャンコリャアホッペガオチソウジャ!」
武内P「部長…」
武内P「いや全く理解しきれないのですが」
今西「私だって自分で自分が何を言っているのか把握し切れてないんだ」
武内P「そんな…」
マルメターノ「アン=チャンワシノブンモオクレヨウ!」
武内P「あのすいません、マルメターノさん?ですよね、少し静かにしていただけませんか?」
マルメターノ「御意に」
武内P「!?」
モバP「麦じゃ!ワシは麦のように生きるんじゃ」ベロリベロリ
凛(床を這いながら散らばったチョコを一心不乱になめあげてる…)
今西「とりあえずは彼が満足するまでこれを続けるしかあるまい」
マルメターノ「私も微力ながら手伝いましょう」
武内P「…わかりました、私もやれる限りのことをします」
凛(何かこの世の闇を垣間見た気がする…)
今西「私とマルくんがここで彼の気を引こう、その間にチョコとガムの補充を頼む」
武内P「わかりました、ここはお願いしま…渋谷さん?いつからここに!?」
凛「!」
モバP「シブヤ…サン?」
凛「!?」
今西「まずい!今の彼に女性の名前を聞かせてはダメだ!!」
マルメターノ「怪人(フリークス)と化してしまうぞ!」
武内P「渋谷さん!私が守りながら避難させます!とにかくこちらへ!!」
凛「えっ!う、う「嬉しいなぁ…」
モバP「本当に本当に嬉しいなぁ…この日に女子と会うことが出来るなんて」
今西「くそっ!」バラバラ
マルメターノ「だめだ!こっちの中年男性が投げたチョコには見向きもしていない!」
モバP「その手にあるのってもしかして…チョコだよねえ????」
凛「ひっ…」
武内P「渋谷さん!早く!早く逃げましょう!!」
凛「こ、腰が…腰が抜けて…」
武内P「なら私が抱えて逃げます!」ヒョイ
凛「え!?えっえっ!?」
モバP「へぇお姫様だっこか…さすがイケメンはやることが違う…俺みたいな非モテじゃ出来ないことを平然とやってのける…その手のチョコもどうせ後で貰えるんだろうなぁ…」
モバP「でもさぁ…キミが貰えるって事はボクが貰ってもかまわないって事だよねぇ…?」
武内P「い、一体…」
マルメターノ「何を言っているんだこいつは!?」
モバP「どうせ食べたらなくなっちゃうんだし…なら誰が食べても変わらないよねぇ」
モバP「私が食べようと消えてしまうことにはかわりないよねぇ」
モバP「だったら俺が食べてもいいよねぇ!?」
モバP「さあ早くその手の中にあるチョコを」
千川ちひろ「サスマタァ!」ドゴォ!
モバP「ぐああああぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!!」
ちひろ「観念してください!」
今西「はぁ、はぁ…間に合った~…」
武内P「部長!千川さん!」
今西「彼に気づかれないように外へ出て…千川君に助けを求めたんだ」
ちひろ「まさかこんなところで早苗さんに貰ったさすまたが役に立つとは思いませんでしたよ」
マルメターノ「そ、そうだったのか…」
武内P「ありがとうございます、おかげで助かりました」
モバP「放せぇぇ!!チョコを!!俺はチョコを食べるんだぁぁぁぁーーー!!!」
ちひろ「まだ言いますか!!」グイッ
モバP「ぐああああああああああ!!オロッ、オロロロロロロロロロロ!!」ベチャベチャ
マルメターノ「戻しやがったぞこいつ!!」
今西「く、くさい!!」
ちひろ「汚ッ…しょうがないですねぇ、ここの掃除と事後処理は私がやっておくので…」
凛「」ポカーン
ちひろ「とりあえず凛ちゃんをお願いできますか?」
武内P「はい、わかりました」
休憩室―
武内P「…さて、大丈夫でしたか?」
凛「う、うん」
凛(結局ここまでずっとお姫様だっこで運ばれちゃった…)
武内P「…顔が赤いようですが」
凛「だ、大丈夫!気にしないで!」
武内P「そうですか…」
武内P「渋谷さん」ズイッ
凛「!な、何?」
武内P「いえ、今回は…大変な目に遭わせてしまって、ほんとうに申し訳ありませんでした」
凛「いや…プロデューサーの落ち度はゼロだと思うけど…」
武内P「ですが…」
凛「むしろプロデューサーの方が被害を被っている気がするんだけど...」
武内P「ですがこのままでは私の気が済みません」スルスル
凛「!な、なんで服を脱いで」
武内P「今この休憩室の近くには誰も居ません」
武内P「そして私が渋谷さんに出来ることも限られています」
武内P「なので、諸々を鑑みて…私は今回の件のお詫びを…体で払います」
凛「いやどうしてそうなるの!?」ガバッ
凛「・・・」ハー…ハー…
2月13日、午前2時―
凛「ゆ…夢?だったの?」
凛「だとしても…何であんな悪夢を…」
凛(それに最後の方は…)
凛「……もう一回寝よう…」
これにて夢編は終わりです、これから現編にはいります
2月13日、午前8時45分―
事務所にて―
凛(あの後、ろくに眠れ無かったな…)
凛(それになんか、プロデューサーと顔を合わせづらいって言うか…)
未央「しぶりん!しぶりん!!大丈夫!?」バタバタ!
凛「未央?どうしたの?そんなに慌ててきて…それに『大丈夫?』って…」
未央「その様子だと知らないみたいだね…とにかくこっち来て!」
凛(この慌てよう…なにか、ただ事じゃない何かがあったのかもしれない)
凛「わかった、案内して」
会議室―
未央「でも、しぶりんが無事で良かった…」
凛「未央、何があったのか教えて…全く話が見えないから」
未央「ごめん気が動転しちゃってて…これをみて!」ピッ
凛(そう言うと未央は会議室に備え付けてあるテレビの電源をつけた)
凛(そのモニター映っていたのは…)
凛「これ…事務所の近くのコンビニ?」
未央「うん…実は今これが…」
TV『えーいま占拠されたこのコンビニに警察官が駆けつけました』
凛「占…拠…?」
未央「うん、占拠、事務所近くのこのコンビニが占拠されてるの」
凛(何これ?生放送なの?質の悪いドッキリとかじゃなくて?)
未央「しまむーとは連絡が取れて…今家で家族と居るって」
未央「でもしぶりんとは連絡が取れなくて…心配しちゃって…」
凛「…ごめん、気づかなかった」
凛(他のことを考えていたせいで…心配かけちゃったな)
凛「ごめんね、未央」
未央「ううん、無事ってわかったんだし、良かったよ」
凛「このコンビニは家とは逆方向だから気づけなかったみたい」
未央「そう…他の子は自宅や寮で待機するように言われてるの、私は今日たまたま早く来ちゃって事務所にいるんだけど」
凛(ん?だとしたら…?)
凛「プロデューサーは?事務所には居ないの?」
凛(プロデューサーはどんなときであれ、この時間には必ず事務所に来ているはずだし)
凛(姿が見えないのはおかしい)
凛(まさか…)
未央「……」
凛「未央?」
未央「わからない…」
未央「ちひろさんはいまいろんな人と連絡を取っててここには居ないんだけど…」
未央「プロデューサーが何で居ないのか、どこに居るのか…わからない」
凛「そんな…」
凛(いつもだったら珍しいこともあるんだなって感じで終わるけど)
凛(今日は事情が違う)
凛(この事務所の近くで大きな事件が発生している)
凛(もし仮にこの事件にプロデューサーが巻き込まれていたら?もし仮にプロデューサーが危険な目に遭っていたら?)
凛(ネガティブな連想が止まらなかった)
未央「しぶりん…いまちひろさんがどうにかしてくれようとしているから…」
未央「信じて待とう、ね?」
凛(未央にハンカチを差し出されて、初めて自分が涙を流していることに気づいた)
凛「…ごめん、ありがとう」
TV『あ、今犯人が初めて姿を見せました!あれは…人質です!犯人は人質を取っている模様です!!』
凛(テレビの向こうのニュースキャスターの言葉に反応して私たちはテレビ画面を見た)
凛「え…」
未央「これ…」
凛(同時に言葉を失った…だって)
凛(だって、そこには)
モバP「明日なんて来させねぇ!!俺が14日を壊してやる!!」
マルメターノ「」グッタリ
凛(気絶しているマルメターノおじさんを人質に取っている他のところのプロデューサーの姿があったから)
未央「これ…ウチの事務所の…」
凛「他の担当のプロデューサー…だね」
アナウンサー『犯人は今もなお、意味不明な言動を繰り返しています!』
モバP『明日におびえて生きるより!今を壊して前に進んでやる!!』
アナウンサー『犯人は現在水鉄砲のようなものを振り回し、周りを威嚇しています!』
モバP『あの赤色の陰謀を砕くのは俺だ!!』
アナウンサー『警察も人質が取られている以上、確保を強行できないようです』
未央「これ…どういうこと?」
凛「明日が…バレンタインデーだからじゃない?」
未央「えぇ…」
コンビニ前―
警察官A「あの水鉄砲の中身…化学薬品の可能性もありますよね?」
警察官B「ああ…十分に危険だ」
武内P「遅くなりました!」
早苗「状況は?」
警察官C「早苗さん…それにあなたは?」
武内P「彼の同僚です、説得に協力して欲しいと」
早苗「私が呼んだの」
警察官C「そうですか!ご協力、感謝します!」
警察官A「あのー…先輩、早苗さんって誰ですか?」
警察官B「ウチに元々つとめてた婦警さんだ…アイドルに転身したが、たまにこうやって事件に協力してくれている」
警察官A「アイドル!?へえー…道理で…」
武内P「片桐さん、まずは自分が説得を試みます」
早苗「ええ、まかせたわ、その間にこっちも出来る準備を済ませておくから」
早苗(彼が説得に成功すると良いけど…出来る手は打っておかないと)
C「拡声器です、犯人はかなり取り乱しているので気をつけてください」
武内P「ありがとうございます…さて」
武内P(私の言葉がどれだけ彼に届くのかわからない…が)
武内P(尽力せねば…!)
武内P『あーあー…聞こえますか?』
モバP「!…この声は…」
武内P『この声が聞こえているなら、表に出てきてください』
モバP「」ノソッ…
A「犯人が出てきました!」
B「だが…まだ人質と水鉄砲を放す気はさらさらないみたいだな…」
武内P『私のお話を聞いていただけませんか?』
モバP「これはこれは…超高校級の昆虫学者さんじゃあありませんか」
武内P『私を誰と間違えているんですか!?』
モバP「で?何であんたがここに居るんだ?」
武内P『あなたを説得するためです』
モバP「説得…ねぇ…」
武内P『なぜこんな事をしているんですか?どうしてあなたはこんな行為をしてしまったんですか!?』
モバP「なぜ…?どうして…?そんなの、イケメンイケボでモテモテエリートのおまえには一生わかんねえよ」
モバP「俺はな、バレンタインが憎い」
モバP「この上なく憎いんだ」
モバP「貰ったチョコレートの数でこれまでの人生を決定づけられ、優劣がつけられるバレンタインが憎いんだよ」
モバP「だから俺はバレンタインを壊すべくここに居るのさ」
武内P「そんな…そんなこと…!」
B(犯人馬鹿なんじゃねえの?)
C(意味わかんねえよ)
A「あいつ馬鹿っすね、非モテこじらせるとこんななっちゃうんすね」
モバP「アアァンゴラァ!?」
B「馬鹿!刺激すんな!」
武内P『ですが…ですがあなたは!これまで片桐さんと二人三脚でやってきたでしょう!?』
モバP「!!」
武内P『あなたが片桐さんと歩んできたこれまでの日々は…あなたにとって何よりも輝いているものではなかったのですか?』
モバP「……」
武内P『いつかあなたが語ってくれたことを私はまだ覚えています…あなたと片桐さんがつみあげてきたものを!語っているときのあなたの笑顔を!!』
武内P『片桐さんと居るときのあなたは…あなたと居るときの片桐さんは…!まるで夜空に輝く星のような、だれかを照らし、導いていくような、光あふれるほどの笑顔なんです!』
モバP「…」
A(これ…ちょっとポエミーだけど)
B(犯人は耳を傾けている…のか?)
武内P『今ならまだ、戻ることが出来ます、どうかぜひ考え直して
モバP「モテ男に説得されても響かねえんだよおぉぉぉぉーーーーー!!!」ブシャー!!
C「水鉄砲打ってきやがった!!」
事務所、会議室―
アナウンサー『犯人が!大男と警察官に向けて水鉄砲を撃っています!!』
凛「プロデューサー!!」
未央「ちょっとまって何を打ち出してるのこれ!?」
アナウンサー『ああ水鉄砲から白い!汚ッ!白いナニかが打ち出されてます!汚い!』
A『クッサ!なんだコレ!!』
モバP『葛』
C『いやこれなんか冷蔵庫で腐ったらっきょうみたいな臭いがするんだけど!!』
モバP『ブレンド』
B『クズだ、すごいクズだ』
武内P『ウゥッ…これは…!』
モバP『食らいやがいやこれ自分でも臭い!』
アナウンサー『説得を試みようとしていた大男がどんどんと白く汚されて行ってます!!』
凛(プロデューサーが、どんどん、白くてとろっとして臭いものに汚されて行ってる…)
凛「・・・・・・」
凛「///」ポー
未央「しぶりん!?何そのだらけきった顔!?」
アナウンサー『ですが犯人自身もまたダメージを受けている模様ですクッサ!!』
B『武内さん!早くこっちに!!』
武内P『は、はい!』
アナウンサー『大男が犯人の前から避難しています!』
凛(フェードアウトしちゃった…)ショボーン
未央「しぶりん?なんでちょっと悲しそうなの?」
モバP『俺もう限界…オロロロロロロロロロロロ!!』ベシャベシャベシャ
C『戻しやがったぞあいつ!!』
A『二重に臭い!!』
モバP『あーでも弾切れしそうだったしちょうど良いか』ビチョビチョ
A『アイツ自分のゲロすくって水鉄砲に注いでやがる!!』
C『人間のやる事じゃねえだろ!!』
未央「ウップ…ちょっとごめん、トイレに..」
凛「うん、わかった…白くて…」ポー
未央(妄想?もしかしてなんかの妄想してるの?この状況で!?)
地獄のコンビニ前―
B「こっちです早苗さん!」
早苗「臭い!何この臭い!!」
B「クズのにおいです!」
A「先輩俺もう近づきたく無いっすよ…」
C「俺もだよ…なんだアイツ人間としての尊厳とか無いのか…!」
モバP「さぁてと新しくなったにおいはどうだ…?」クンクン
モバP「」ベシャベシャベシャベシャベシャ!!
C「また吐きやがった!」
モバP「」ビチョチョチョチョ
A「ああまた水鉄砲に注いでやがる!!」
早苗「何ここ地獄?」
武内P「片桐さん...私には無理でした...ですが、彼の担当アイドルであるあなたの言葉なら...!」
早苗「ええ、わかったわ...あと何で上裸なの?」
武内P「いろいろありまして...」
モバP「食らいやがれ!!」ピュン!ピュン!
B「くっそあの野郎!これ見よがしにクズ汁を飛ばしてきやがる!!」
早苗「どうしてここまで壊れてしまったの…これが拡声器ね、よし…」
早苗『Pくーーーん!』
モバP「!…早苗さん?」
早苗『こんな事止めてさっさとこっちに来なさーーい!』
モバP「いくら早苗さんのお願いでも無理です!!」
早苗『こんな事をしてもバレンタインは無くならないわよ!!』
モバP「ええそうでしょうね!!ですが!!けして無駄だとわかっていても!!けして成し遂げることが出来ないとしても!!男にはやらねばならないことがあるんです!!!」
早苗『無理ってわかってるなら投降しなさいよ!!』
B(犯人の無差別攻撃がやんだ?)
C(早苗さんの説得が効いているのか?)
A「ただ女性に攻撃できないチキンってだけなんじゃないっすか?」
モバP「」ピチュンピチュン!
C「こっちに集中して撃ってきやがった!!」
A「この世のものとは思えないほど臭い!!」
B「オウェエエエエエエエエエエエ!!!!」
早苗『止めなさい!!』
モバP「嫌だ!俺が始めた戦争は俺が死ぬまで終わらせん!!」
C「いちいちかっこいい言葉を言おうとしてるの腹立つなぁ」
モバP「」ピチュン!
C「くっさ!」
早苗『止めないと…明日のために作ってたこのチョコレートあげないわよ!!』
モバP「!!??」
早苗『見える?この手にあるチョコレートが!Pくんに渡すために作ったチョコレートが!!』
モバP「…う…嘘だ…嘘だッ!!そんなの嘘に決まってる!!」
モバP「この世に生きとし生ける女性が俺のためにチョコレートを作ってくれるわけがない!!」
モバP「罠だッ!これは罠だッ!!」
モバP「きっと魔神ブウに食わせたやつと同じタイプのチョコレートだ!!」
B(こんな人間にだけは絶対になりたくねえなぁ…)
A「童貞こじらせすぎだろ」
早苗『嘘なんかじゃないわ!このチョコレートはあなたに渡すために作ったの!!それだけは絶対に嘘じゃないと誓える!!』
モバP「………」
モバP「本当に…本当に俺のために作ってくれたんですか…?」
早苗『ええ、その通りよ』
モバP「…ハハハッ、初めてだ、女の子にチョコレートを作ってもらえるなんて初めてだ…」
モバP「嬉しい…これまでの人生でここまで嬉しいことがあっただろうか…?」
モバP「…アレおかしいな?目からゲロがあふれてオロロロロロロロ!!」ビチャビチャ
A「泣きながらゲロ吐いてる…」
C「世界で一番汚い泣き顔だよアレ…」
早苗『私はね、こんな私をスカウトしてくれたP君に感謝しているのよ』
モバP「早苗さん…」
早苗『もういい歳なのに夢を見させてもらって…そしてその夢も叶えさせてもらって…』
早苗『本当に本当に、感謝しているんだから』
モバP「ウッ…ウウウウ…」
早苗『だからね?このチョコレートをもらって欲しい!』
モバP「ハイッ…ハイッッ…!!」
早苗『こんな大きなチョコ、片手じゃ受け取れないでしょ?その武器を置いて、両手できっちりと受け取って、ね?』
モバP「グスン…わかりました…!」
アナウンサー「い、今犯人が!武器を捨て人質から離れました!」
モバP「ありがとうございます…ありがとうございます早苗さん」ボソボソ
早苗「…」
アナウンサー「どんどんと彼女に近づいて行ってます!!」
モバP「本当に…本当に…『ありがとうございます』…それしか言う言葉が見つかりません…」ボソボソ
アナウンサー「何かボソボソ言っています!不気味!!」
モバP「早苗さん…」
早苗「P君…」ニッコリ
早苗「確保ォォォォーーーーー!!」
C「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」ドゴォ!!
A「さすまたあああああああああああああああああああああ!!!」ドゴォ!!
モバP「謀りやがったなああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
アナウンサー「犯人が警官二人のさすまたに押さえつけられています!!」
B「人質、救出しました!ですが口に犯人の靴下のようなものが詰め込まれています!!めちゃくちゃ臭い!」
A「気絶してた理由それなんすか!?」
アナウンサー「人質もたった今救出された模様です!」
モバP「放せ!!放せコラこの!!ペッペッ!!」
C「うわゲロ混じりのつばを飛ばしてくる!!」
A「どこまで汚くなれば気が済むんだこの人は!!」
モバP「早苗さん!!嘘だったんですか!?俺をだましてたんですか!!?」
早苗「いや...P君のために作ったのも、普段から感謝していることも嘘じゃないよ…このチョコレートも貰って欲しかったし」
モバP「な、ならなんで!?」
早苗「別に『今』渡すとは言ってないでしょ」
モバP「そ…そんな…」
事務所、会議室―
アナウンサー『えー今犯人が拘束されてい』
モバP『撮ってんじゃねえ!』ペッペッ
B『だから唾を飛ばすな!!』
C『なんかもう赤いのが混じってるじゃないか!!』
A『血!?』
未央「うぅー…気分悪い…また戻しそう…」
凛「大丈夫?」
未央「うん…なんとか…」
未央「なんて言うかこの世の闇をみた気がする…」
凛「うん…」
凛(でもなんか…夜にみた夢とリンクする部分が多かったような…正夢?ってやつなの?)
凛(…こんな正夢なんか無かった方が良いのに…というか夢よりもひどかった気がするし)
凛「はぁー…」
武内P(上半身裸)「お二人とも!大丈夫でしたか!?」
凛「!?!?」
未央「プロデューサー!?大丈夫だったの!?」
武内P(上半身裸)「ええなんとか…その映像、みていたんですね…」
未央「そうそう!プロデューサーもかなりひどい目に遭ってたみたいだけど…」
武内P(上半身裸)「あのあと千川さんと連絡を取って、二人が事務所にいると聞き急いで駆けつけたのですが…」
未央「私たちには何もなかったよ!安心して!!」
武内P(上半身裸)「そうでしたか…何事もなく、一安心しました」
未央「…私たちの心配をするよりも先に服を着なよ」
武内P(上半身裸)「!!、す、すいません!すぐに着てきま…渋谷さん?」
凛「上裸…胸板…腹筋…」ブツブツ
武内P(上半身裸)「ど、どうしたんですか?何かつぶやいているようですが?」
未央「し、しぶりん?」
凛「…まあ正夢も、悪くないかな」バターン
未央「鼻血を吹いてぶっ倒れた!?」
武内P(上半身裸)「し、渋谷さん!!渋谷さん!!!」
もう一度夢の世界に入る凛であった
~完~
自分の力不足のせいで至らないところも多く、不快な気分になってしまった人も多く居るのではないのでしょうか
謹んでお詫び申し上げます。
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1486037224/
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【モバマス】P「彼女欲しいなぁ」藍子「!?」
P「え、何で」
藍子「えーっと、それは・・・」
藍子「それは!彼女を作っても、Pさんにはきっと耐えられないからです!」
P「耐えられない?どういうこと?」
藍子「女の子は、皆わがままなんです!Pさんにはきっと耐えられません!」
P「えー?そんな感じしないけどなぁ」
藍子「つ、付き合い始めたらわがままになるんですっ!」
P「いや、多分大丈夫だよ。俺そういうのに理解ある方だと思うしさ」
藍子「い、いいえ!Pさんは・・・」
藍子「!」ピキュリリリーン
藍子「そ、そこまで言うなら私で試してみますか?」ソワソワ
藍子「私のわがままに耐えられるか、試してみませんか?」
P「なるほど。いいぞ。じゃあこれから俺と藍子は恋人って事で」
藍子「は、はい・・・」カァァ
藍子「では早速、わがままをしますが・・・いいですか?今からするのはただの『わがままな女の子』の演技ですからね」
P「分かってるよ」
藍子「いくら嫌でも、私のこと嫌いにならないでくださいね・・・?」
P「もちろんだよ」
藍子「・・・では!」ムギュッ
P「わっ」
藍子「えへへぇ・・・Pさん・・・♪」
P「・・・藍子?」
藍子「・・・はっ!」ムギューッ
藍子「ど、どうですか!脈絡なく抱きつかれて嫌でしょう!女の子はこんなわがままをしたいとばかり考えてるんですよ!」ムギュギューッ
藍子「彼女作りたくなくなりましたか!?」ムギュギュギューッ
P「そんな事ないけど」ギュッ
藍子「はうっ」
P「むしろこんなわがままなら大歓迎だよ」
藍子「そんなぁ・・・けど、良かったです・・・♪」ムギューッ
P「抱きしめるだけでいいの?」
藍子「なでなでも追加でやらなきゃダメですよ。絶対です・・・♪」
P「あい分かった」ナデナデ
藍子「御伴します♪」ヒョッコリ
P「何だと」
藍子「どうです?急にお家に泊まりに来る女の子なんて嫌でしょう?」ドキドキ
P「別に?」
藍子「えっ」
P「嫌な訳ないだろ、彼女なんだから。ほら、おいで?」スタスタ
藍子「そんなぁ・・・けど、やったぁ・・・♪」ワクワクテクテク
家
P「さてお風呂だ」
藍子「じゃあ、Pさんがお風呂に入ってる間、私が晩御飯を作りますね♪」
P「え?」
藍子「え?」
P「一緒に入るんじゃないの・・・?恋人だろ・・・?」
藍子「ええっ!?は、恥ずかしくて無理ですよっ!胸もまだ大きくないし・・・」
P「そ、そんなの気にしないって!」
藍子「ダメです!恥ずかしいですっ!」
P「くっ・・・このわがままが一番きついかもしれん・・・」
藍子「これはわがままじゃありませんっ!」
藍子「お邪魔しますっ♪」モゾモゾ
P「何だと」
藍子「どうです?一日の終わり、体最も疲れ切った瞬間でも、彼女が甘えてきたら構ってあげないといけないんですよ?」ムギューッ
藍子「ほら、早くぎゅってしてなでなでしてあげないと、拗ねちゃいますよ?」ドキドキ
P「むしろ癒されるぅ・・・」ギュッナデナデ
藍子「えへへぇ・・・」ニヘラ
朝
藍子「んぅ・・・」パチクリ
P「ぐぅ」
藍子(朝起きたら、隣からPさんの寝息が聞こえる・・・素敵だなぁ。幸せだなぁ)ニッコリ
P「あぁ・・・藍子、おはよう」
藍子「おはようございます♪」
P「よし、これで一日わがままを耐えた訳だから、彼女作っても良いよな?」
藍子「あっ」
藍子(すっかり忘れていました!)
P「よし、明日から頑張るぞ」
藍子「だ、ダメです!一日だけじゃとても耐えきったとは言えません!」
P「えー?じゃ一週間?」
藍子「まだダメです!」
P「一か月」
藍子「ダメです!」
P「一年」
藍子「ダメです!」
P「十年」
藍子「ダメです!」
P「百年」
藍子「ダメで・・・まぁ、それくらい我慢出来たら、いいですよ?」
P「よし、これから百年。頑張るぞ」
藍子「それまではずっと恋人ですからね、Pさん♪」
P「あれ、ちょっと待って。人間の寿命って・・・」
藍子「えいっ♪」ムギュッ
P「あっ、ぎゅってしてなでなでしないと」ギュッナデナデ
藍子「えへへぇ・・・」ニヘラ
あ い こ だ い し ょ う り !!
僕がモバマスSSを書くのはアイドル達の魅力の可愛さを描くためなのですが、
そうなるとアイドル達の乙女心を描く必要があり、ひいては竿役のPを描かなければなりません。
ですが、このPが何とも気持ち悪くなりがち。(自己投影しているから当たり前なのですが)
今回はアイドル達の魅力が邪魔なく伝わるよう、不快感のないPを意識して書いたのですが、いかがだったでしょうか。
よろしければ感想等、お寄せください。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
乙
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525012846/
Entry ⇒ 2018.05.01 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
【モバマス】速水奏「ねぇ、どうしてあなたは泣いてるの?」
しばらく現れなくなるといったな。あれは嘘だ。
創作意欲が止まらなくて、一週間で4作目です。
この短期間で4作出してしまったわけですが、ここの勝手などがわからないので、大丈夫なのかなと心配になっております。
相変わらずのにわか知識です。キャラ崩壊している可能性がございます。不快な点などはご指摘くださいませ。
めずらしく地の文少なめです。よろしくお願いいたします。
モバP(以下P)「だって、お、お前がキスしないとアイドルにならないって…ヒック、でも、女子高生にキスしたら社会的に終わるかもって…ヒック、でも、アイドルになってほしかったし…ヒック、だから勇気だしてしようと思ったのに…」ブワァ
速水奏(以下奏)「うふふ、そんなの冗談に決まってるでしょ?」
P「大人をからかうんじゃない!」ドバァ
奏「うふふ、ごめんなさい。でも、想像以上に反応がいいもんだから、クセになりそうね。」
奏「これからもよろしくね?プロデューサーさん?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
モバP「どうしてって、奏はこういうの平気なのか…?」ブルブル
奏「そうね、こんなのただの作り物だし。」
奏「それにあなたから誘ったんでしょう?」
P「だ、だって、このお化け屋敷の宣伝するのに、当の本人が内容をしらないのも問題だろ…?」ブルブル
奏「それはそうだけど、私一人でよかったじゃない。苦手ならわざわざ…。」
P「女の子一人だと心細いとおもったから!!まさかこんなに怖いとは思ってなかったし…。」ブルブル
奏「その女の子よりダメな人が一緒に来てちゃ本末転倒でしょう?まったくもう…」
P「うぅ、だってぇ…。」
奏「ほら、手を繋ぎましょう?」ギュ
P「うぅ、奏ぇ…。」
奏「なぁに?もしかしてキスが良かったかしら?…」
バンッ!!
P「」
P「ごめん奏!!もう無理だっ!!!」バッ
ダダダダダダダダダーー!!
奏「あ、ちょっと!」
奏「ハァ、まったくもう!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
P「ん、あぁ、ちょっと玉ねぎが目にしみてな。」
奏「質問を変えるわね。何故あなたは玉ねぎを切ってるの?」
P「なぜって、風邪を引いた奏のために料理を作ってあげてるんだろ?」
奏「えぇ、その好意はとても嬉しいわ。でも、あくまで私の憶測に過ぎないけど、あなたカレーを作ってないかしら?」
P「は?あたりまえだろ?風邪を引いたときはあったかいカレーを食べてたっぷり寝る!これに限るよな!」
奏「えぇ、何でそんな自信満々なの…。もしかして私がおかしいのかしら…。」ブツブツ
P「ほら、できるまでちゃんと横になってろ。」
奏「そうさせてもらうわね…」クラクラ
奏(以外だったけど、思ったより料理できるのね…。)
―しばらくして。
P「奏ー、できたぞー。」
奏「ん、んー?あら、ありがとう…。」
P「ほれ、アーン」
奏「えぇ?別に一人で食べれるわよ。」
P「ほら、いいから。」
奏「あ、あーん」
ヒョイパクッ
P「いやー!!そういえば味見してなかったと思ってな!わひゃひゃひゃ!アーンだって!!いつもからかってくるから仕返しだ!」ブフッ!
奏「」ムカッ
奏「あっそ。食べ終わったら流しにいれといて。カレーはいらないから全部捨てといてね。おやすみ。」
P「うーそーだーよぉお!ごめんってばー!!奏起きてよー!」ブワァ!!
以外→意外
奏「本当に大人気ないわね。」
P「面目ない。」
奏「ほら、あーん」
P「え?でも、いいのか?」
奏「いいからはやく。」
P「あ、でもこのスプーン取り替えないと」
奏「いいからっ!」
P「は、はい!」アーン
奏「ぱくっ。もぐもぐ」
P「どう?」
奏「…フフッ、まぁ、及第点かしら?」
P「ったく、素直じゃないなぁ。ほれ。」
モグモグ…
奏「ごちそうさま。」
P「驚きのスピードで食べ終えたな。」
奏「しらない。」
P「ほら、もう横になれ。あとは寝てればなおるさ。」
奏「えぇ、ありがとう。」
P「それじゃ、洗い物したら帰るから。」
P「ん、どうした?」
奏「…寝付くまで側にいてほしいわ…。なんて…。」
P「あんれれぇえ?奏さんあまえんぼになっちゃったんでちゅかー?しょうがないでちゅねー?」ゲラゲラ
奏「もう帰って!!///」グイグイ
P「冗談だよ。」
P「さーてと、俺の面白トークで爆笑の渦におとしてやるか。」
奏「どちらかというと深い眠りにおとしてほしいのだけれど。」
P「それもそうだな」
奏「…」スッ
P「ん?あぁ…」
ギュ
P「…って言うことがあって…」
奏「うふふ…」
「…だったんだ」
奏「…そう」
………
奏「……」
―次の日
奏「ふぁあぁ…。」
奏「本当に治ってるんだから不思議よね。」
奏「はぁ、いつも泣き虫のくせに、こう言うときだけ一丁前なんだから。」
奏「ふふっ」
P「ぐぅ…」スヤスヤ
奏「え?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
P「あたりまえだろ…!ずっと二人で頑張ってきたアイドルがついに最高の舞台にあがれたんだ…!」ブワァ
奏「そう…、そうよね…!夢じゃないわよね…!」
P「あぁ…、奏!」
奏「Pさんっ!」
ダキッ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
P「泣いて…なんか…ないぞ!トップアイドル速水奏の最後の舞台なんだ…!笑顔で送り出すぞ!」ダバダバー
奏「もう!鼻水だらだらじゃないの!」
P「グジュジュ、かなでぇ…。」
奏「ほら、もう時間だからいくわね!」
P「あぁ…!」
P「最後のステージ、最高に盛り上げよう!」ダバァ!
奏「えぇ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
P「どうした?」
-どうして私は泣いているの?
P「さあな。俺には奏の考えは難しすぎてわかんないよ。」
奏「そっか。」
奏「ねぇ」
P「どうした?」
奏「その指輪、とっても綺麗ね。」
P「そうか?」
奏「えぇ。とても気に入ったわ。」
P「よかった。」
P「なぁ。」
奏「なぁに?」
P「そろそろ答えを聞いてもいいかな?」
奏「そうね。」
奏「これからもよろしくお願いします。」
あなたは安堵したのか、いつもみたいになきはじめた。
私があなたからのプロポーズを断るわけないじゃない。
奏「ほんとうに、泣き虫さんね。」
【モバマス】速水奏「本当にお馬鹿さん」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510243104/
【モバマス】堀裕子「素直になれないから」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510402542/
【モバマス】相葉夕美「ヤンデレ?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510494377/
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510668116/
Entry ⇒ 2018.04.29 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
周子「一日だけの友達。名前も知らないあの子」
一日だけの友達。名前も知らないあの子。でも、ずっとずっと記憶に残っている大切な思い出。
周子「そう言えばフレちゃんの金髪を見て思い出したんだけどね」
フレデリカ「ふんふん?」
周子「あたし、小さい頃に一回だけおフランスに行ったことがあるんよー」
フレデリカ「ワーオ♪ 地元じゃーん!」
周子「そーそー。あれ? でも、フレちゃん昔フランスに住んでたんだよね?」
フレデリカ「フレちゃんも住んでたよー☆ その時の物語を話してたもーれ?」
周子「どうせ時間あるし、じゃあちょっと昔話ね」
フレデリカ「パチパチパチパチ~♪」
あれはあたしがまだ五歳になるかならないぐらいかのお話。
親父がフランスのなんとかっていうイベントで、自家製の和菓子を売ることになったんだよね。
塩見ファミリー初めての海外ってことで、あたしすっごく浮かれてたんだ。
だって人生で初めての海外だったからもうわくわくだよね。
飛行機だってなんだって見る物全部がキラキラして見えたんだ。
でも、いざフランスに着くと、途端にみんなばたばたし始めちゃってさ。
最初こそは全部が初めての場所だったから楽しかったよ?
何もかもが違うんだもん。楽しくないわけがないよね。
だけどそんな時間はすぐ終わっちゃってさ。
おでかけは誰かが一緒じゃないとダメ。
だからといって、お手伝いもさせてくれない。
ずーっとホテルで何言ってるのか分かんないテレビを見るだけ。
だからあたし、ホテルを飛び出すことにしたんだよね。
ロリシューコちゃんの大冒険、みたいな?
ホテルを出ると、すぐにおっきな通りがあってね。
車もたくさん、人もたくさん。
みんななんでかニコニコしてたんだよねー。
だからあたしもなんだか楽しくなっちゃってさ。
スキップなんてしながら、フランスの街をルンルン気分で歩き回ったんだ。
ウィンドウショッピングしながらあっちへふらふら~、こっちへふらふら~。
そんなことをしているとあら大変。
幼いシューコちゃんはなんと迷子になってしまったのです!
それでも三つ子の魂なんとやらって感じで、その時はなんとかなるーって思ってたんだよねー。
帰り道はどこだろーってフランスの街を歩いていたら、おっきな公園が見えたんだ。
本当に大きな公園で、ここまで大きなのは京都でもお目にかかれないぞーなんて。
でも、こんな場所は絶対に見てないから、ここに入ると帰れなくなるんだろうなーって思いながらも好奇心に負けちゃって。
あたしはよっしと気合いを入れてその公園に入ったんだ。
ジョギングしてるおじさん、犬の散歩をしてるお姉さん。他にも色んな人がそこの公園にいた。
あたしを見るとみんな不思議そうな顔をして通り過ぎて行った。
そりゃそうだよね。幼い女の子が一人で歩いてるんだもん。
そうやって公園の中を歩き回っていると、足がくたびれちゃってさ。
あたしは近くにあった木でできたベンチによっこらせって座ったんだよ。
そしたら視界の隅にきらって光るものが見えたのね。
なんだろーってそっちを見たら、金色の髪の毛を太陽の光できらきらさせた女の子が一人でベンチに座っていてね。
俯きながら膝に置いた何かに、一生懸命ペンを走らせてるの。こう、しゃっしゃーって。
あんまり一生懸命だから何してるんだろうーって観察してたら、あたしの視線に気が付いたその子が顔を上げたのね。
エメラルドグリーンの瞳が遠目からでもすっごく綺麗だった。
あたしたちはお互いじーって見つめ合ってたんだけど、どちらともなくふふって笑っちゃったんだ。
なんだか気持ちが通じ合った気がして、あたしはその子の隣まで歩いて行って、座ることにしたんだ。
「何してるの?」って聴くと、その子が「お絵かきしてるんだー」って笑いながら教えてくれた。
何を描いてるんだろって気になって覗き込むと、そこにはすっごく上手にスケッチされた絵があって。
あたしは思わず「すごーい!」って言っちゃったんだよね。
そしたら女の子がね、「ありがとう」ってお人形さんみたいに整った顔で、嬉しそうに笑ったんだ。
女の子とあたしは手を繋いでいろんな所に行ったんだ。
落書きだらけの路地裏。
綺麗なお花が咲いている秘密の花壇。
よくわからないオブジェを見て、私たちはけらけらと笑いあった。
石畳の道を、ずっとずっと歩いて行く。
大人からすればそれはたいしたことない距離だけれど、幼い二人にとっては大冒険。
楽しくて楽しくて、ずっとこの時間が続くと思ってた。
でも、空は気が付けばオレンジ色になっちゃっててさ。
急にここが自分の知ってる場所じゃないんだって分かっちゃって、さっきまで楽しかったのが嘘みたいに恐くなったんだ。
帰らなきゃって。どうしようって。
なんだか心細くなっちゃって泣きたくなったんだ。
そしたらね。うん、今思い出しても少し恥ずかしいんだけどさ。
その女の子がぎゅって私を抱きしめてくれたんだ。
「大丈夫だよー」
って、暖かい声で。
そしたらそれはそれでなんだか安心しちゃったような、まだ恐いような気分になって、あたし泣き出しちゃったんだ。わーんわーんって。
お母ちゃんとお父ちゃんを泣きながら呼んだんだよね。
その間女の子はずっとあたしを優しく抱きしめてくれてた。
あたしの顔が涙と鼻水でぐっちゃぐちゃになったとき、聞き慣れた声がしたんだ。
あっ、と思って顔を上げたら、遠くからあたしたちを見かけたお母ちゃんが安心しきった顔で走って来てさ。
そしたらあたしはもうそれだけでわんわん泣いて、お母ちゃんの元へ走って行ったの。
その時お母ちゃんがなんて言ったのか、あたしはもう覚えてないんだけどね。多分心配したよとかそんなのだったと思う。
しばらくお母ちゃんにぎゅってされてたら、女の子のことをはっと思い出してさ。
そっちを向くと金髪の女の子はにっこり笑ってこう言ったんだ。
「またね」
って。
それだけ言い残すと、女の子はあたしたちに背を向けて、そのままどこかに行っちゃったんだ。
次の日がちょうど帰る日だったから、あたしはお母ちゃんに無理言ってその女の子を探した。
結局会えなくてさ。だからあたしは初めて会った公園のベンチでずっと待ってたのね。
でも、結局飛行機の時間が来ちゃって、あたしは会いたかったなーって思いながら日本に帰ることになったんだ。
周子「名前も知らない金髪の女の子。日本に帰ってからも、たまーにその子のことを思い出しては、あの子元気にしとるかなーとかって考えちゃうんだよねぇ。でもね、あたし最近気が付いたんだ」
フレデリカ「ほうほう」
周子「あれはあたしがいつものようにその子のことを思い出していたときのこと……」
フレデリカ「ごくり……!」
周子「あれ? なんで日本語で会話してたんだろーって」
フレデリカ「わーお……世界の謎ですな塩見殿」
周子「そうなのですよ宮本殿……」
フレデリカ「うむむ……この謎を解くために必要なもの……あっ、フレちゃんモンブラン食べたーい♪」
周子「食べ物かーい! でも、あたしも色々お話してお腹すいたーん。LiPPSのみんなでケーキ食べに行こっか」
フレデリカ「いいねー☆」
フレデリカ「あっ、そうだ。アタシ思うんだけどねー。きっとその女の子が成長してその絵を見ると、苦笑いしちゃうと思うんだー。下手っぴだなーって」
周子「へ? どうして?」
フレデリカ「フレちゃんも、絵の勉強してるからねーっ。うん。でも、その絵にはきっと、幸せな想い出がたーっくさん詰まってるから、ずっとずっと大切にしまってると思うの」
周子「………………」
フレデリカ「名前の知らないあの子がすごいって褒めてくれたから、その絵を見る度にその子も元気かなーってにこにこ笑うと思うんだー」
周子「フレちゃんそれって……」
フレデリカ「名探偵フレデリカ! ここに見参! なーんて♪」
周子「さっすが名探偵フレデリカ! どんな事件もしゅばっと解決!」
フレデリカ「フフーン♪ さっ、周子ちゃん行こ行こ~!」
周子「あっ、フレちゃん待っ! もー……フレちゃんにはかなわんわー」
フレデリカ「フンフンフフーン、フレデリカー♪ フレフレフレデリカー♪」
終わり
友人に助けられてなんとか書き上げることができました。
この場をお借りして再びお礼を。
また、当SSを読んでいただき、ありがとうございました。
前作です。
卯月「周子さんと牧場体験です!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1481538147/
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1486129725/
Entry ⇒ 2018.04.24 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)
幸子「プロデューサーさん、ゆるキャン△ってなんですか?」
みく「Pチャンって、なんでロリコンなの?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1523976651/
前々作
桃華「志希さん、合法化ってなんですの?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1523806754/
幸子「ちょっとプロデューサーさん!」
P「お、幸子。お疲れ。あぁ、今日無人島から帰ってくる日だったっけ?」
幸子「あ、お疲れ様です。……ってそうじゃなくて!なんですか今回の企画は!またカワイイボクに無茶振りして!」ポカポカ
P「あたた、ゴメンって!いやぁ、あんな企画、幸子かこずえくらいしかまともに受けられそうな子いなくてさぁ」
幸子「まったくもう!まったくもう!」
P「で、カワイイ幸子さん、無人島72時間生活はどうでした?」
幸子「フフーン!まぁボクにかかれば、あんなのチョロかったですね!」
P「そっかそっか!幸子はすごいなぁ!じゃあ次は宇宙よりも遠い場所に行く企画があるんだけど」
幸子「すみません調子に乗りましたちょっと行ってみたいですけどさすがに勘弁してください」
P「ハハッ、大人の事情ダヨ」
幸子「ふーん……晶葉さん、『科学の発展に犠牲は付き物だ』って濁った目で言ってましたから、どうせまた何かやらかしたんだと思ってました」モグモグ
P「(合ってるよ)」
幸子「……これ美味しいですね」モグモグ
P「なー、通りもんうまいよなー。ロケで福岡に行った芽衣子さんからのお土産だって」
幸子「ボクもお土産が買えるような場所でロケさせてくださいよ!」
P「えー」
幸子「えーって」
晶葉『何だってこんなガチキャンプしなきゃならないんだ……せめてゆるキャン△にしてくれ……』
幸子「って」
P「うーん、お灸を据えすぎたか……」
幸子「プロデューサーさん、ゆるキャン△ってなんですか?」
P「よりもいは知っててゆるキャン△は知らんのかい。女子高生たちがゆるーくキャンプする漫画とそのアニメだよ。よりもいと同じ時期にアニメやってたぞ?」
幸子「え、ゆるくキャンプして楽しいんですか?」
P「……ごめんな。俺のせいだよな……幸子、来月ちょっと多めに休みいれとくな?」ナデナデ
幸子「きゅ、急にどうしたんですか。何かこわいんですけど……えへへ」横ハネピコピコ
P「あ、そういやアニメ録画してたわ。見る?」
幸子「じゃあせっかくだし見せてください」
幸子「……」
P「ど、どうした幸子?」
幸子「ボクだって……」
P「え?」
幸子「ボクだってあんなキャンプがしたいですよ!!」ブワッ
P「ご、ゴメンって!」
幸子「うぅ~!!!!!」ゴシゴシ
P「ご、ゴメンな?幸子がどんどんサバイバル慣れしていから、それに甘えちゃってたな……許してくれ、何でもするから!」
幸子「ん?」
幸子「今なんでもするって言いましたよね?」
P「あってめこんにゃろ嘘泣きかよ!汚ねぇぞ!」
P「まったく……まぁでもサバイバルと晶葉のお守り頑張ってくれたし、ご褒美ってわけじゃないけど、俺にできることならなんでもしてやるよ。何すりゃいいんですかね?」
幸子「じゃあ……ボクもガチキャンプじゃなくてゆるくキャンプしたいです!連れてってください!」
P「えぇ……?お前キャンプ行った後にまたキャンプ行くの……?若さってすごい」
幸子「あれはキャンプじゃなくてサバイバルでしょう!」
P「うーん、キャンプって言ってもな……俺やったことないし……道具も持ってないぞ?」
幸子「え、道具ならボクのロケで使ってるのが事務所にあるでしょう。スタッフさんが使うものもありますから、だいたい何でもありますよ」
P「詳しいなお前」
幸子「フフーン!」
P「それはそれでどうなんだって気もするけど」
幸子「フン!」
P「いてぇ!」
幸子「フフーン!」
P「まぁあれ見て俺もキャンプ興味あったし、近場でいいとこあれば週末行くかぁ。丁度俺も2ヶ月振りくらいに休みだし」
幸子「さっすがプロデューサーさん!そうこなくっちゃですよ!……っていうか働きすぎです!」
P「じゃあちょっと待って、保護者に電話するから」
幸子「うちの親は今更近場でキャンプするくらい何も言いませんけど」
P「いや俺のだけど」プルルルル
幸子「なんでいい歳したおっさんがキャンプするのに保護者の許可取らなきゃいけないんですか!?」
P「あ、もしもし?桃華?今度幸子とキャンプ行くんだけど一緒に行かない?」
幸子「保護者!?」
幸子「そ、そうですか。べ、別にぼくは2人で行っても良かったんですけど……(ゴニョゴニョ」
P「いやぁ女子中学生アイドルと2人でキャンプはさすがに色々マズいだろ。あとちゃんとお前の保護者にも連絡はしとくからな」
幸子「な、何で聞こてるんですか!ま、まぁそうですね!カワイイボクと2人きりなんてプロデューサーさんが保たないかもしれませんし!」
P「俺を何だと思ってるんですかねぇ!」
幸子「え、ロリコンでしょう?」キョトン
P「中学生はBBAだって一通さんが言ってた」
幸子「フン!」ゲシッ
P「ありがとうございます!」
幸子「2人とも今週末は仕事って言ってましたよ」
P「あーそっか。うーんじゃあ……」
P「あ、そうだ。響子連れて行くか!いつもお世話になってるし、たまには息抜きに連れてってやらないと」
幸子「とか言って、響子さんにキャンプご飯作ってもらうつもりでしょう?それで息抜きになるんです?」
P「バレたか。でも誰かのお世話してないと逆に気が休まらないみたいな事言ってたし」
幸子「えぇ……ある意味ワーカーホリックみたいなもんですね響子さんも……」
幸子「ボクは?」
P「はいはいカワイイカワイイ」
幸子「フフーン!」
P「じゃ、4人で行くか。土曜の早朝寮に集合な、俺当日レンタカー借りてくるから。くれぐれも他の連中にはバレるなよ。大変な事になるから」
幸子「わかってますって!じゃあボクは帰りますね。送らせてあげてもいいですよ?」
P「はいはい、無人島帰りだしそれくらいはしてやるって」
P「よーし、荷物全部入れたな?じゃあ他の連中にバレないうちに行くぞー」
桃華「はい!Pちゃまっ!」
P「朝なのにテンション高いなぁ、可愛いなぁもう!昨日ちゃんと寝れたか?」
桃華「ね、寝れましたわよ!もうっ、またそうやって子供扱いしてっ!」
幸子「え?でも昨日はいつもより遅くまで……」
桃華「さ、幸子さん!」
P「可愛いが過ぎる……」
響子「ぷ、プロデューサーさん。あれで荷物足りるでしょうか……?や、やっぱりもっと持って行った方が……」オロオロ
P「だ、大丈夫だって。っていうか最初荷物の量見たときどっかに夜逃げするつもりかと思ったぞ……」
響子「で、でもでも~!」
P「いざとなったら幸子流サバイバル術でなんとかなるって。なぁ幸子?」
幸子「イヤな頼られ方ですね!まぁボクがいれば大抵何とかしますけどね!」
響子(助手席)「あっ、私サンドイッチ作って来ました!」
P「え、マジ?悪いなぁ、せっかくの休みだったのに。大変だったろ?」
響子「いいえ全然!幸子ちゃん、そのバックに入ってるから取ってくれる?」
幸子「これですか?え、すごい量ですね!4人で食べ切れますか!?」
響子「つ、つい張り切り過ぎちゃって……はい、プロデューサーさんっ、あーん」
P「え、あ、あーん……うん、うまい!」テーレッテレー
響子「えへへ、良かったですっ!」
P「(嫁にしたい)」
桃華「……Pちゃま?」
P「ごめんなさい!」
P「ここをキャンプ地とする!」
幸子「一度言ってみたくなりますよねぇそれ。かくいうボクも初めてサバイバルしたときはつい言っちゃいましたよ」
桃華「(さ、サバイバルってキャンプなんですの……?)」
響子「(そっとしておきましょう……)」
響子「へぇ、炊事場もお風呂もお手洗いも近くにあっていい場所ですね!」
幸子「べ、便利すぎる……!こんな事があっていいんですか……」ゴクリ
P「(なんだろう、このリアクションの差は……)
幸子「誰のせいで手慣れたと思ってるんですか!」
桃華「Pちゃま、どうして二つもテントを立てたんですの?」
P「俺用と桃華達3人用だよ!」
桃華「あら、一緒に寝ても構いませんのよ?」
響子「か、構いませんよ?」
P「俺が構うわぁ!!!」
P「命を刈り取る形をしてるだろ?」
幸子「むっ、やりましたね!とりゃっ!」
P「おあっ!どこ投げてんだ!」
桃華「まぁ、響子さん、風邪を引きますわよ?」毛布ファサァ
響子「ありがとーももかちゃん……ちょっとおひるねするねぇ……」スヤァ
桃華「ふふっ、響子さんたら。気持ち良さそうな顔して寝てますわね……」
桃華「……」ウトウト
桃華「ふぁ…………ちょっと失礼しますわ……」モゾモゾ
桃華「……」スヤァ
P「あれ、2人とも寝ちゃったか。寄り添って寝ちゃってまぁ」
幸子「響子さん、早起きしてサンドイッチ作ってくれましたから仕方ないですね」
P「どうせ桃華も楽しみであんまり寝れなかったんだろうな」
幸子「昨日の夜、何回も台所に降りてきて響子さんにホットミルク作ってもらってましたからねぇ」
P「なにそれめっちゃかわいい」
幸子「え、出来るんですか?キャンプやったことないって言ってましたけど」
P「フフーン!今日の為に俺が何周ゆるキャン△を見てきたと思ってるんだ」
幸子「真似しないでください!……じゃあお手並み拝見といきましょうか」
P「えーと、まず松ぼっくりだろ?それから乾いた木の枝を集めて……ってスネークが言ってたっけ」
P「……よし、こんなもんか。んで松ぼっくりに火をつけてるんだっけ……」カチッカチッ
P「あれー、うまくつかんなぁ……おーい幸子、これに火ぃつけ……」
幸子(焚き火で暖を取っている)「え?」パチパチ
P「はえぇよ!!!」
P「ご、ごめん……でもさすがにプロキャンパーの方と比べられても困るっていうか……」
幸子「ボクはキャンパーじゃなくてアイドルですよ!?」
P「あれ、そういえばお前ライター持ってたっけ?」
幸子「ライターなんて無くても火起こしくらいできますよ。義務教育で習ったでしょう?」
P「うんごめん。もう何も言わねぇわ」
響子「あれ、焚き火してるんですか?」
P「おー、起きたか。ちょっと冷えてきたからな。ついでにおやつタイムにしようかと思って」
響子「何か持ってきてるんですか?」
P「うん、定番のマシュマロと、りんごと、それからバウムクーヘン作ろうかと思ってホットケーキミックスと牛乳と卵持ってきた。バウムクーヘンは今幸子が炭火作ってくれてるからもうちょい待ってて」
響子「さ、幸子ちゃん……なんかもう貫禄が……って今そんなに食べたらお夕飯入らなくなっちゃいますよ!せっかく材料いっぱい買ってきたのに!」
P「う、それもそうか……じゃあ焼きりんごはデザートにでもするか。おーい、桃華ー、マシュマロ焼くぞー」
桃華「んー……だ、だめですわPちゃま……そんな……あぁっ……」
P「なんつー夢見てんだよ!」
響子「プロデューサーさん……」
幸子「つ、通報した方が……」
P「それでも僕はやってない!!!」
P「そりゃ良かった。ん、確かにんまい」
響子「マシュマロって焼くとこんな感じになるんですねぇ」モグモグ
幸子「バウムクーヘンもそろそろ出来ますよー」
P「うわ、なんだこれ!プロかよ!俺の作り損ないとは大違いだな……」
幸子「まったくもう、作れもしないのに持ってくるんですから」
P「お前もうその道で食っていけるのでは?」
幸子「食っていきませんよ!?」
P「あー、響子のカレーとんでもなくうまかった……こんなんもう他のカレー食えねぇ……」
響子「ふふっ、お粗末様でしたっ♪」
P「やっぱキャンプはカレーだな、よつばのとーちゃんも言ってたし。キャンプ初めてだけど」
響子「食器も洗い終わりましたし、そろそろお風呂いきましょうか」
P「ありがとなー響子。俺荷物番してるから3人で行ってきていいぞー」
響子「いいんですか?じゃあお言葉に甘えてお先に頂いてきますね」
幸子「フフーン、いくらボク達がカワイイからって、覗かないでくださいよ?」
P「幸子がいうとフリにしか聞こえねぇんだよな……」
幸子「フリじゃありません!」
桃華「ふふっ、覗いてもいいんですのよ?」
P「ま、マジ!?」
響子「だ、ダメですっ!」
P「ん?幸子1人か……」
幸子「お二人はまだお風呂ですよ。ほらプロデューサーさん?ボクのカワイイパジャマ姿ですよ?」
P「あ〝ー、カワイイカワイイ……」
幸子「眠過ぎて対応が雑になってますね……」
P「んー……」
幸子「あー!もう、焚き火付けっぱなしで寝たらダメですよ!」
幸子「プロデューサーさん、起きてます?」
P「ぐー……」
幸子「(疲れてるんでしょうね……2ヶ月振りの休みって言ってましたし……)」
P「……」
幸子「……今日はボクのワガママを聞いてくれて、ありがとうございました。とても楽しかったですよ」
P「……ハッ!寝てた!いかん!桃華の風呂を覗きに行かなくては!!」
幸子「もー!!このロリコン!!!」
P「ってなわけで先週末幸子達とキャンプに行ってきたんですよ」
ちひろ「あら、いいですねぇ。でも帰ってから大変じゃなかったですか?」
P「あー、ですねぇ。どいつもこいつも自分も連れてけ連れてけうるさくて」
P「というわけで次は30人くらいまとめて連れて行くことになりました」
ちひろ「それはもうキャンプというより合宿なのでは?」
P「うるせぇ!」
幸子「フフン!元気いっぱいなほうがカワイイでしょう?」
P「えー、キャンプの夜ん時のしおらしい感じの方がかわいいと思うけど」
幸子「え?」
幸子「……………起きてたんじゃないですか!!!」
おわり
未央「え、出番なし?」
川島「わからないわ」
佐藤「ほうとうんまい」
HTML依頼出してきます
もう幸子さえいれば地球上どこでも生きていける気がする
このネタなのにこの3人の出番がないとはw
そういやなでしこの母親は莉嘉だったな
Pa幸子が一瞬Cu幸子に戻ってた
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Entry ⇒ 2018.04.22 | Category ⇒ モバマス | Comments (0)