春香「亜美真美の誕生日を盛大に祝おう!」
AS「「「「「おめでとー!」」」」」
亜美真美「「ありがとー!」
本日5月22日、765プロのムードメーカー、双海姉妹の誕生日を迎えた!
その記念すべき日を盛大に祝うため、春香たちは緑山へと集結した!
果して、2人にとってどんな誕生日になるのか!
春香「今日は力を合わせて、2人の好きなものみんなでやってあげようかと」
春香「2人の好きなものなんだったっけ?」
亜美「食べ物ってこと?」
春香「そうだね」
真美「まあハンバーグとか、唐翌揚げとか…」
春香「あと2人とも、焼きそば好きでしょ?」
亜美「え?」
真美「まあ確かに好きだけど…」
春香「だから今日は2人に焼きそばをおなか一杯食べさせてあげようかと!」
亜美真美の1番の大好物、焼きそば。
春香は、2人に焼きそばをおなか一杯食べさせたいのだ!
亜美「そうだよ」
真美「わざわざ屋外でやらなくても…」
春香「いや2人ともちょっと食うぐらいだと満足できないと思うから、豪華で巨大にいこうと思って」
豪華で巨大。春香が用意した、2人にふさわしい焼きそばとは…
春香「それではお願いします!」
春香の掛け声とともに、トラックが出現!
その荷台には…
千早「え?」
響「うわ!?」
美希「ペヤングなの!」
伊織「何盛りなのよこれ!?」
亜美真美「「なにこれ!?」」
春香「巨大ペヤングです!」
春香が用意したのは、大きな大きなペヤング焼きそば!
見たこともない光景に驚く一同!
真「ちゃんと湯切り口あるね」
春香「忠実に再現したからね」
このペヤングは、横1,0m、縦1,6m、高さ0,6m。
その大きさ、通常サイズの約1200倍!
これなら2人も大満足のはず!
春香たちがフタを外すと…
あずさ「あら?」
真「春香、中身がないけど…」
春香「さすがにこれだけぎっしりと1個もので麺っていうのはないので」
春香「と、いうことで…お願いします!」
続いてやってきたのは…
響「うわ!」
やよい「なんですかあれは!?」
美希「めちゃくちゃのっかってるの!」
春香「これが通常サイズのペヤングだね」
貴音「何人前なのですか」
春香「約1200かな?」
真美「金かけすぎでしょ…」
そして荷台をあげて、1200個のペヤングを地面へと落とした。
春香「はいじゃあ今から麺は麺、青のりは青のり、ソースはソースで分けていきます」
春香「そして麺を並べていきます」
春香「だから2人とも、もう間もなく食べられるからね」
亜美「いや間もなくじゃないっしょー!」
真美「かなり時間かかるっしょこれー!」
真「3分待ってて」
亜美真美「「3分!?」」
真「出来るまで3分かかるから」
この巨大ペヤングに使うのは、1200個のペヤング!
麺、かやく、ソース、ふりかけ、スパイスを分けて集めていく。
そして1200個分を余すことなく使って完成したものが2人のプレゼントとなるのだ!
真「まず剥こうか」
春香「でもこれだけ風が強いと思ってなかったから…」
春香「みんな小さい袋が飛んでいかないよう気を付けてね」
この日の風速は24,1m/秒。
砂埃が舞う最悪のコンディション。
そのなかで無事完成させることはできるのか!
律子「流れ作業で行きましょうか」
真「じゃあ剥く人決めようよ」
雪歩「はい」
真美「これシアターの子たち呼んだ方がよくない?」
真「剥いて、次だれがやる?」
亜美「はるるんたちだけじゃ無理っしょー」
真「ソース誰やる?」
亜美真美「「スタッフ総出でやってよ!!」」
響「2人とも待っててほしいぞ!」
真「3分ね」
遅れを取り戻すため急ピッチで進める一同。
その途中美希が素早く仕分ける方法を発見しペースアップ。
そしてようやく麺を並べ終えた。
後はここにお湯を入れて待つだけだが…
千早「これだけの量のお湯どうやって用意するのよ」
春香「安心して千早ちゃん。みんなこっち来て!」
全員春香についていくと…
春香「溶鉱炉2台用意しました!」
クレーンにつるされた2台の溶鉱炉。
これに入った水をガスバーナーで瞬時に沸かすことで、500リットルのお湯を巨大ペヤングに入れることができるのだ!
この2台の溶鉱炉の間に、巨大ペヤングを慎重に運ぶ。
春香「準備万端だよ!」
春香「それではお湯、お願いします!」
ジャー!
貴音「迫力がありますね」
春香「はいストップ!」
春香「それじゃあみんな3分待ちましょう」
響「なんだかんだで3分だったな」
亜美「だいぶまったけどね」
※現在2時間経過
真「はいじゃあシンクにお湯捨てて」
真美「いやその辺りでいいじゃん!」
春香「ボンってなるからびっくりしないでね」
亜美「それどころじゃすまないでしょ!」
今回最大の難関である湯切り。
クレーンにつるされた不安定なペヤングを湯切りすることはできるのか。
律子「麺が出ないようにしないとね」
春香「それじゃあお願いします」
…
……
まさかと思った…
目がくらんだ…
信じられなかった…
全員「「「「「…」」」」」
春香「…出ちゃったね」
亜美「どうすんのさもー!」
真美「さんざん待たせておいてさー!」
出ちゃった原因を春香はこう分析。
春香「端っこボルトで止めればよかったのかな…」
真「確かに湯切りするとき指で押さえるよね」
蓋をしっかりと閉じなかったため、隙間から麺が零れ落ちたのだ。
そこで春香が思いついたアイテムはボトル。
ボトルで四方をしっかり固定すれば隙間がなくなるはずと踏んだ。
そして…
春香「実はこんなこともあろうかと思って、もう1回分用意してあります!」
AS「「「イエーイ!」」」
亜美真美「「…」」
巨大ペヤング制作はパート2に突入!
今度は失敗は許されない!
そして運命の湯切りの場面へ。
今度は四方をしっかりとボルトで固定。
もう出ちゃったはみたくない!
アイドル達の祈りは届くのか!?
亜美「ほんと頼むよもう」
春香「それでは湯切りお願いします!」
ジャー!
真「出てないよ麺が!」
響「これはいったんじゃないか!」
最大の難関、湯切り、ついに成功!
アイドル達「「「やったー!!!」」」
湯切りを終えたペヤングにソース、ふりかけをかけながらまぜていき、ついに…
春香「巨大ペヤング完成しました!」
アイドル達「「「「イエーイ!」」」」
ついに巨大ペヤング完成!
春香「じゃあ私が2人の分よそってあげるから」つペヤング容器(通常サイズ)
春香「はいどうぞ」
亜美「いやこれだったら普通でよかったじゃん」
真「早く食べてよ」
真美「わかったよ」
ズルズル
春香「どう?」
亜美真美「「おいしいです!」」
アイドル達「「「「やったー!」」」」
その後巨大ペヤングはアイドル達、そしてスタッフ全員にいきわたり、余った分はシアター組にふるまわれたのであった。
終わり
亜美真美おめでとう!
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526959738/
Entry ⇒ 2018.06.08 | Category ⇒ アイドルマスター | Comments (0)
春香「火傷をしたら大変なことになった」
―その日、765プロに衝撃が走った!―
春香「お仕事お疲れ様です。コーヒー淹れてきますねっ」
P「ああ、頼む。ありがとな」
春香「はいっ♪」
(ボボボボッ)
(ピィーーーッ)
春香「あ、お湯が沸いたね。ええと……」
(ピトッ)
春香「あっ?! 熱っ!」ジュッ!
春香「あつつ……やっちゃった……火傷しちゃったかなぁ……」チラッ
ハム蔵「じゅっ!」
春香「……」
春香「……?!」
\きゃああああああああああああああ!!!!!!!!!!/
P「どうした、春香ァっ!?」ガラッ
春香「あ……わ……私……親指を火傷して……それで……」
P「大丈夫か!?」
春香「そ、それが……」
春香「私の、親指、が……」
P「ん?」チラッ
ハム蔵「じゅっ!」
P「……」
P「……?!」
\うわあああああああああああああああ!!!!!!!!!/
小鳥「どうしたんですか、プロデューサーさん!?」ガラッ
春香「あ……わ……私……親指を火傷して……それで……」
小鳥「大丈夫なの!?」
春香「そ、それが……」
P「春香の、親指、が……」
小鳥「ん?」チラッ
ハム蔵「じゅっ!」
小鳥「……」
小鳥「……?!」
\きゃあああああああああああああああ!!!!!!!!!/
響「どうしたんだ、ピヨ子!?」ガラッ
春香「あ……わ……私……親指を火傷して……それで……」
響「大丈夫か!?」
P「そ、それが……」
小鳥「春香ちゃんの、親指、が……」
響「ん?」チラッ
ハム蔵「じゅっ!」
響「……」
響「……?」
響「ハム蔵、何してるんだ、そんなとこで」
ハム蔵「じゅっ!」
P「どうして、どうしてこんなことに……」
春香「分かりません……ジュッと火傷をしたと思ったら、親指が……」
響「やったなぁ、ハム蔵。春香の親指だなんて一等地だぞ!」
ハム蔵「じゅいじゅいっ!」
小鳥「まずは病院、病院に行かないと!」
春香「でも、今日はこの後グラビアの撮影が――」
P「馬鹿野郎、そんなもの後回しだ! まずはお前のことが大切に決まってるだろ!」ガシッ
春香「ぷ、プロデューサーさん……」キュンッ
響「いってらっしゃーい」
ハム蔵「じゅいっ!」
双海父「こ、これは……!」
P「先生! 春香は……春香は、大丈夫なんですか!?」
春香「……」ブルブル
双海父「こんな症例は未だかつて見たことがない……」
双海父「あまり無責任なことは言えませんが、一先ず、命等に別状はないでしょう」
双海父「しかし、元に戻す方法については、調べてみないと……」
P「切除はできないんですか!?」
ハム蔵「じゅいっ!?」
双海父「できなくはありませんが……その場合、天海さんの親指はなくなってしまいます」
双海父「天海さんご自身の判断もありますが、まずは戻す方法を探るのが賢明でしょう」
春香「そうですか……」
ハム蔵「じゅっ……」
P「お医者さんでも分からないか……」ガックリ
春香「私……私、どうなっちゃうんでしょうか……」
P「大丈夫だ、春香。事務所のみんなも、俺もついてる」
春香「プロデューサーさん……」ジワッ
ハム蔵「じゅっ」
春香「どうして……どうして私の親指にっ!!」
ハム蔵「じゅっ!?」ビクッ
春香「……ひっく……ぐす……」ポタッポタッ
P「春香……」
ハム蔵「じゅ……」
春香「どうしよう……当面はこのまま活動なんて……できっこないよ……」
千早「春香……」
春香「ねぇ千早ちゃん、私、どうしたらいいのかな……」
千早「それは……ごめんなさい。私にも分からないわ」
千早「私が何を言っても、他人事にしかならないと思うから……」
春香「怖いよぉ、千早ちゃん……!」
千早「春香……」ギュッ
ハム蔵「じゅい……?」
春香「……っ」プイッ
ハム蔵「じゅ……」
【オーディション】
(ザワ...ザワ...)
審査員「……? では、次の方、お願いします」
(ザワ...ザワ...)
春香「は、はいっ! えっと、765プロダクション所属の、天海春香です!」
審査員「はい、天海さんね……ん? 随分袖が長いですね」
春香「っ!? こ、これはっ……」
ハム蔵「じゅいっ!」ビシィッ
春香「は、ハム蔵は黙っててよ!!」キッ!
ハム蔵「じゅっ?!」
審査員「……それは、腹話術ですか?」
春香「い、いえっ! その……」オロオロ
審査員「んー……今日のオーディションは、そういう一芸は求めてないんだけどねぇ……」ポリポリ
春香「い、一芸とかじゃないんです! これはっ!」
(パサッ)
春香「あっ、上着の袖が――」
<キャアアアアアアッ?!
ユ、ユビカラハムスターガ!>
春香「あ……!」
審査員「……け、結構です。袖を……」
春香「……はい」
春香「……今回も不合格かぁ」
春香「親指がこんなになってから、ずっと……」
ハム蔵「じゅいじゅい」
春香「ハム蔵のせいでしょ!?」キッ!
ハム蔵「じゅっ……」
春香「どうして……どうして私なの……!」
ハム蔵「……じゅい」
春香「ハム蔵は黙っててよ!」
ハム蔵「……」
春香「折角、いろいろお仕事貰えるようになってきたのに……私、どうしたら……!」
ハム蔵「じゅ……」
(ブロロロロロロ)
(キキィーッ!)
春香「え? 隣に車が――」
黒服「攫え!」
春香「えっ!? ちょ、ちょっといきなりな――むぐっ!?」
黒服「くそっ、暴れんな、暴れんなよ!」グイグイ
春香「むーっ! むーっ!」
(バタンッ)
黒服「よし、車を出せ!」
春香「んーーーっ!!」
(ブロロロロロロ...)
【某倉庫】
春香「わ、私をどうするつもりですか!?」
黒服「……」
ハム蔵「……」
春香「やめて……私に乱暴するつもりですよね!? エロ同人みたいに!!」
黒井「するか!」カッ!
春香「あ、あなたは……961社長!!」
黒井「くくく……天海春香、貴様のアイドル人生、ここで終わらせてくれる!」
ハム蔵「じゅっ!?」
春香「ど、どうしてこんなことを!? 響ちゃんや四条さんがしゃべくりに出演した時に黒井社長の二丁目通いを暴露したからですか!?」
黒井「黙れ! ジュピターをそういう目で見るんじゃない!!」
春香「あんたが見てるんじゃないかって話だよ!?」
黒井「ふん、コイツを見るがいい!」バッ!
メカハルカ「ドンガラガッシャン、ドンガラガッシャン」
春香「!?」
黒井「ククク……天海春香、お前はそろそろ目障りなのだ」
黒井「お前を監禁し、その隙に出演予定の番組へメカハルカちゃんを送り込む!」
メカハルカ「ア、イタタ、テヘ、コロンジャイ、マ、シタ」ウィーンガッシャン
黒井「そして番組をめちゃくちゃにし! 芸能界から追放してやろう!!」
春香「そ、そんな!!」
ハム蔵「じゅいいっ!?」
黒井「番組が終わったらその縄を解きに来てやる。まァその頃にはお前のアイドル人生は終わりだがなあ!!」
春香「うぅ……私、何もできないの……?!」
メカハルカ「プロデューサーサン、オイルデスヨ、オイル」ギギギ...
黒井「何? 仕方のない奴だ……関節部を出してみろ」
メカハルカ「ウワア」グイン
黒井「オアアアアァァァッ!? 私の指が挟まァーーーッ!?」
黒服「社長!!」
メカハルカ「マーメイ、マーメイ」ガションッ
黒井「ぬおおお……! メカハルカちゃァん、ヒトの手を挟んだら危ないじゃないか……!」
メカハルカ「ゴメンナサイ、ワタシ、オッチョコチョイデ」ウィンウィン
黒井「ふん、まったくとんだお茶目さんだ! ……まあ、間違いはつきものだ、気を付けるんだぞ」
春香「黒井社長って意外と子煩悩ですよね」
黒井「誰が鉄の塊を産むかァ!!!!!!」
(ガシャンッ!)
春香「黒井社長達、行っちゃった……」
春香「せめて、何とかしてプロデューサーさんに連絡しないと……!」グググッ
春香「……ダメ、解けないよ……」ガクッ
春香「このままじゃ、私のせいでみんなに迷惑かけちゃう……!」
春香「うぅ……」グスッ
「じゅいっ!」
春香「え?」
ハム蔵「じゅじゅいっ」ガジガジガジガジガジ
春香「……! そっか! 親指の位置からなら縄へ届くんだね!」
ハム蔵「じゅいっ!」ガジガジガジガジガジガジガジガジ
春香「お願い、ハム蔵! 縄を噛み切って!」
ハム蔵「じゅいいっ!」ガジッ
(ブチンッ!)
春香「!!」パラリ...
春香「やった……解けたあ!」
ハム蔵「じゅいいっ!」ガッツポ
春香「それじゃあプロデューサーさんに……あっ!? 電池が切れてる!」
春香「そんな……このままじゃ、間に合わない……!」
ハム蔵「じゅじゅいじゅいじゅいじゅじゅじゅじゅいっ!!!」ペシッ!
春香「いたっ!」
春香「そっか……そうだよね。私が諦めちゃ、ダメだよね!」
ハム蔵「じゅいっ!」
春香「急ごう! 何とかして、黒井社長を止めなきゃ!!」ゴソゴソ
覆面女「へい、タクシー!」ビッ!
覆面ハム「じゅじゅいっ!」ビッ!
(キキーッ)
タクシー「どちらまd」
覆面女「さっさと車を出せぇ!」バッ!
タクシー「ひっ!?」
覆面女「ブーブーエステレビまで道交法無視で最速で飛ばせ!」
覆面女「言うことを聞かないとこの『親指がハムスターになる病』を感染させるぞ!!」グイィッ!
覆面ハム「じゅじゅじゅいじゅい!!!」
タクシー「そ、それだけは!! 走ります! 走りますから!!!」
(ブロロロロロロ...)
【テレビスタジオ】
P「春香、なんだか大らかになったなぁ。成長期か?」
メカハルカ「プロデューサーサン、ロボデスヨ、ロボッ」ウィーンガッシャン
P「はっはっは、新ネタか? 出しどころを間違えるなよー」
メカハルカ「チクビミサイル!」バシュゥ-z_ン!!
黒井「ウィッウィッウィッ……奴め、メカハルカちゃんを全く疑っていない!」
黒井「あのまま番組を進行させ……」
黒井「生放送ステージの最中、この自爆スイッチでメカハルカちゃんをボン!!」
黒井「奴らを社会的に抹殺してくれるわ!!!」
黒井「……」
黒井「このボタンを押すとメカハルカちゃんは死んでしまうのだな……」
黒井「……」
黒井「そのためにこの子は生まれてきたのだ……今更何を迷うことがある、黒井崇男……!」
涼「RYOと!」
メカハルカ「ハル、カ、ノ」ウィーンガッシャン
涼・メカハルカ「「エンジョーイクッキング!!」」
涼「さあ春香さん、今日はどんな料理を作りますか?」
メカハルカ「キョウ、ハ、キョウ、ノ、リョウリ、ハ」ジジジッピーキュルルルル
メカハルカ「カブトガニ、ノ、ミシシッピーフウ、ツクダニ、ナポリタンソース!」ギュルァァァァァァアア!!!
涼「わぁ、すごいっ! 火炎放射器、チェーンソー、ドリルにプレス機と春香さんの全身が調理器具のパリコレだぁっ!」
P「すごいぞ春香! いつの間にこんな特技を……!」
メカハルカ「タカオ、ヨ、タイシヲ、イダケ」ギュルァァァァァァア!!!
黒井「め、メカハルカちゃァん……!」ウルッ
メカハルカ「キザミ、キザ、キ、キ、キキキキ」ガガッギリリッ
黒井「……? メカハルカちゃんの様子が変だな?」
メカハルカ「ユユユユユユウパパパパパパパパパパ」
黒井「しまったァ!? オイルが足りなかったァ!!」
メカハルカ「ユ、ユウ、パパパックゥーーーーーー!!!」ボボンッドンッボガァンッ!!
P「は、春香が火を噴いた! 春香ぁーーーっ!!!」
涼「ぎゃおおおおおおおおんっ!!!!」ドガァーーン!
黒井「め、メカハルカちゃんの右腕がぁーーーっ!!」
黒井「ぐぅっ! なればここまで! メカハルカちゃんよ、永遠なれ――」
~ お父さん ~
黒井「はッ!? こ、この心に語りかけてくる声は、メカハルカちゃん!」
~ 私は、この世に生を受けて、幸せでした ~
黒井「や、やめるんだメカハルカちゃん! それ以上何も言うんじゃない……!」
~ だから私は、笑って逝けます。さあ、そのボタンを押して―― ~
黒井「む、娘にそんなこと言われて……押せるわけなかろうがァーーーーっ!!」
(ガシャァンッ!!)
メカハルカ「タ、タカ、オ」ギギギッ
黒井「メカハルカちゃァん……」スッ
P「黒井社長、どうしてこんなところに!? それより今の春香に近付いちゃ危ない!」
メカハルカ「ドウ、シテ、スイッチヲ、コワシ、タノ」ギギッギギギギ
黒井「いいんだ、もういいんだ、メカハルカちゃん……」
黒井「詩花が反抗期を迎えて家を飛び出し、ショックだった私はお前を作った……」
黒井「最初は失敗だと思った! だからメカハルカとしての使命を与えた! だが……」
黒井「だがっ……お前も大切な、娘なのだっ……!」
メカハルカ「デモ、モウ、ゲンカイ」
黒井「ああ、分かっている……大丈夫だ、私も一緒に逝こう……」
~ブーブーエステレビ前~
(キキィーーーッ!)
覆面女「釣りは駄賃だ、取っておきな!」
覆面ハム「じゅじゅいっ!」
タクシー「は、はい!」ブロロロロロ
警察「あのタクシーを追え! 追えぇぇぇぇぇえ!!」ファンファンファンファン
(ファサァッ)
春香「間に合うといいけど……」
(ドガァンッ!)
春香「?! 上層階のスタジオから爆発音!?」
ハム蔵「じゅいっ!?」
(タカタカタカタカパーンパーンパーパラパパー♪パーンパーンパーパラパパー♪パーンパーンパーパラパパー♪パーンパーーン♪)
春香「まずい、もう始まっちゃってる! なんとか少しでも被害を減らさないと!」タタタタタッ!
P「もうやめろ、やめるんだ春香!」
メカハルカ「タカオ、タカ、オ、タカ」ギュリイイイイイイッ!!
黒井「メカハルカちゃァん、私は最期まで一緒にいるぞ! それが父親の責務だ!」
―誰もが絶望し、諦めかけていたその時!―
―しかして彼女は、その姿を現した!―
『忘れた頃にやってくる!!』
黒井「!? 何者だ、その声は!!」
『視聴率なんてのは単なる目安……あとはあざとさで補えばいい!』イヨォーーーッ
『ファイナルリーボン、承認!』カカンッ!
(ズァッ!!!)
ハールカッカー「人呼んで、正義の味方、ハールカッカー!」ハッ!
ハムゾー「じゅじゅいっ!」ドドンッ!
P「ハールカッカー!?」
黒井「き、貴様! どうしてここに……!」
P「じゃ、じゃあ黒井社長の横にいる春香は!?」
(デン♪デン♪デン♪デデンデデン♪デンデンデンデデンデンデデン♪)
P「この初代メカゴ○ラのテーマは……?!」
(シュィィィイイイン!)
P「なっ……春香のリボンがほどけて……!」
メカハルカ「カッカァーーー!」ガショィーーーン!!
黒井「この子こそはハールカッカーを元に造り出した究極マッシーン! メカハルカちゃんなのだァ!!」
P「ロボットだったのか!!」
ハールカッカー「黒井社長! あなたの野望は、このハールカッカーが打ち砕く!」ビシィッ!
ハールカッカー「いくよ、ハムゾー!」
ハムゾー「じゅじゅいっ!」
黒井「オ・ノーレ! メカハルカちゃァん、やってしまえ!」
メカハルカ「ドンガラ、ガッシャン、ドンガラ、ガッシャン」ゴゴゴゴゴゴ
ハールカッカー「悪・即・斬!! リボンビィーームッ!!!」
(ズビビィッ!!)
メカハルカ「カッカァーーーッ!」バチチチッ!
ハールカッカー「きゃぁっ!」バチィッ!
P「なっ!? メカハルカの装甲に弾かれた!!」
黒井「馬鹿め! メカハルカちゃんの装甲はリボニウム製だ! 貴様の技は全て反発し合い、通用しない!」
ハールカッカー「やんっ! スカートの裾が破けちゃったよおっ♪」
P「でもピンチの時でも可愛さアピールを忘れない! あざといぞ!」
ハールカッカー「くっ、リボンギロチンッ! リボンスラッシュッ!」
メカハルカ「マーメイ、マーメイ」ズビビビィッ!
ハールカッカー「ふわぁっ! ……ねね、今の表情よくありませんでした? ちょっとムラッとしちゃいませんでした?」エヘヘ
P「あざといぞ! くそっ、ダメだ、全く通用していない……!」
ハールカッカー「どうすれば……!」
ハムゾー「じゅいっ! じゅじゅいのじゅいっ!」
ハールカッカー「え? なるほどなるほど……ふんふん……」
ハールカッカー「うんっ! やってみる価値はありそうだね!」
(ダダダッ!)
P「は、ハールカッカー! そんなまっすぐ近付いたらいい的だぞ!?」
黒井「ウィウィウィッ! メカハルカちゃん、切り裂いてやれ!」
メカハルカ「メカリボンギロチン!」ギュアッァァァァアア!!
P「お、お茶の間に鮮血がぁーーーーっ!」
ハールカッカー「……そこだっ!」
ハールカッカー「のワの」ササッ
(スカッ)
黒井「何ィ!?」
P「あれは、ののワステップ! いつの間に使いこなせるようになっていたんだ!」
ハールカッカー「いつまでも私がおっちょこちょいであざとくて可愛いだけだと思ったら大間違いですよ!」ウィンクッ
ハールカッカー「懐に潜り込んだ! ハムゾー、今だよ! リボンファング!!」
ハムゾー「じゅじゅいっ!」ガリィッ!
メカハルカ「ドンガラッ!?」バシュウーーーッ!
黒井「め、メカハルカちゃんの冷却パイプが! 馬鹿な、どうしてリボニウムが破られたのだ!?」
P「そうか……親指に生えたハムゾーはハールカッカーに非ず! 牙はリボニウムと組成が違うから弾けないんだ!」
黒井「オ・ノーレ!!」
ハールカッカー「さぁハムゾー、この調子でメカハルカをバラバラにしよう!」
ハムゾー「じゅじゅいっ!」
黒井「……くっくっく……」
黒井「ククククク、ぬぁーっはっはっはっはっはァ!!!」
ハールカッカー「!?」
黒井「リボニウムを食い破られたのは少々想定外だったが……だが、メカハルカちゃんはこんなものではなァい!!」
黒井「メカハルカちゃん! モォーーーード・チェンジィッ!!!」
メカハルカ「ガッテン・ショウチノスケ」ウィーンッ
(ガショショショショガシィンッ!)
P「め、メカハルカの装甲が……」
ハールカッカー「剥がれていく……!」
黒井「装甲などではない! これは私ですら御しきれなかったメカハルカちゃんの真の力を押さえる鎧だったのだ!」
黒井「冷却パイプが壊れた今、最早纏い続けることはできん! ならばいっそ、全てを破壊しつくしてしまうのだ!」
(ギュォンッブゥンッ!)
ハールカッカー「モノアイが……鋭く光って……!」
黒井「さァ思う存分暴れるがいい! メカシュタインちゃァァァァァアん!!!!」
「オソレ」
「ヒレフシ」
メカシュタイン「アガメタテマツリウィーンガッシャァン!!」バァ---z___ン!!!!
P「うわぁっ、な、なんてオーラだ! このままじゃ危ないぞ!」
ハールカッカー「そっちがそのつもりならっ……!」
ハールカッカー「みんな、どうか私に……力を……!」ペカー
(キィィィィィイイン!)
――忘れたころにやってくる――
黒井「ぐぅっ! こ、この気配は……!」ツツゥ
『春閣下を』
『忘れるな』
(ブォッ!!!)
P「き、来たか!」
『恐れ』
『平れ伏し』
ハルシュタイン「崇め奉りなさいっっっ!!」ザンッ!!
ハムシュタイン「じゅじゅいっ!!」ザザンッ!
黒井「現れたな……正統派皇帝ハルシュタイン!!!」
P「何シュタインのバーゲンセールだな……!」
黒井「だがメカシュタインちゃんは、ハルシュタインとタカネー星人の戦闘記録を元に造られている……」
黒井「ハルシュタインを超えるべくして生まれた究極ロボなのだ! やってしまえェェエ!!!」
メカシュタイン「イザ、ジンジョウニ」
ハルシュタイン「勝負っ!!」
メカシュタイン「クッキーバルカン∞!」ズガガガガガガガガッ!!
ハルシュタイン「のワの」スタタタタタタタッ!!
P「流石は本家のののワステップだ! 敢えて目を逸らすことで心眼が開いている!」
ハルシュタイン「ツイン・リボンキャノン!」バシュシュゥッ!
(ヒュンッ!)
ハルシュタイン「いない!?」
P「違う、わざとこけてるんだ!」
メカシュタイン「テヘッ」ドンガラチラッ
黒井「転びつつもカメラ目線での可愛さアピールを忘れない……完璧だ、メカシュタインちゃァん!!」
P「くっ、小癪な……!」
ハルシュタイン「でも、偽物に負けるわけにはいかない!」
ハルシュタイン「はっ! ……やぁんっ♪」ドテッチラッ
メカシュタイン「ウィーンガッシャン! ダッ、ダメダヨオッ」グィングィンピシュゥッ
ハルシュタイン「わ、私……ほんとはプロデューサーさんのこと……」テレテレ
メカシュタイン「キョウ、オカシツクッテキタンデス……アマイアマイ、ワタシノオカシ……」カァァァッ
黒井「ええいメカシュタインちゃァん! お茶の間にそんな姿を見せるなんてパパは許さんぞ!!」
P「あざとさも抜け目なさも完全に互角……! この戦い、どうなるんだ!?」
ハルシュタイン「あっ!?」ズルッ
メカシュタイン「スキアリィッ!」バシュゥッ!!
P「ああっ!? ハルシュタインがバランスを崩した一瞬の隙を突かれた!」
(ドガァッ!)
ハルシュタイン「きゃああああああっ!」
ハルシュタイン「あっ、こ、こんなとこ見ちゃダメぇっ」テレテレ
P「服が破れた胸元押さえてあざといが気を付けろ! 飛ばされた先はビルの壁が崩れてる!!」
ハルシュタイン「へ……ひゃああああああっ!?」
(ゴウッ!)
ハルシュタイン「あ……ビルの、外に――」
P「は、春香ぁーーーーっ!!!」
ハムシュタイン「じゅじゅぃーーーーーーっ!!!」
(ガジィッ!!)
ハルシュタイン「は、ハムシュタイン!?」
ハムシュタイン「ぐぎ、ぐぎぎぎぎ……!」
ハルシュタイン「そんな! いくらハムシュタインでも、ビルのコンクリートに齧りついてたら……歯が折れちゃうよぉっ!?」
ハムシュタイン「じゅいいいいいいっ……!」ギリッ
響「は、ハム蔵!!」ダダダッ
P「響! お前、どうしてここに!?」
響「テレビを見てたらハム蔵が映って……いてもたってもいられなくて!」
P「ハム蔵はなんて言ってるんだ?!」
響「あいつ……ずっと春香に迷惑をかけてたって……辛い思いをさせてたって……」
響「だから命を懸けて、春香を助けるんだって……!」ウルッ
P「そ、そんな……!」
ハルシュタイン「もういいよハムシュタイン! 歯茎から血が出てるよぉっ!」
ハムシュタイン「じゅいいいい……!」ギリギリ
黒井「ふん……惨めな姿だな、ハルシュタイン」テク...テク...テク...
ハルシュタイン「黒井社長……!」
黒井「見るに堪えん……メカシュタインちゃん、楽にしてやれ」
メカシュタイン「ソコニヒザマヅイテ」ガシィッ!
ハルシュタイン「わ、私の手を押さえつけて何を――!?」
メカシュタイン「ミトメタイノ」ギュイイイイイイイイ!
ハルシュタイン「ちぇ、チェーンソーっ……!?」
黒井「その醜いハムスターをぶった切ってやるのだァ!!!」
メカシュタイン「アナタヲ」ギュイイイイイイ!
ハルシュタイン「や、やめ……!」
ハムシュタイン「じゅい――!」
メカシュタイン「ワタシノ、ヤリカタデエエエエエエエ!!!」ギュオオオオッ!
ハムシュタイン「……!」ギリッ
ハルシュタイン「は、ハムシュタイン! 何を――」
ハムシュタイン「じゅいいいいいいっ!!!」
ハルシュタイン「わっ!」ブワッ!
黒井「き、牙の力だけでハルシュタインの身体を持ち上げただとおっ!?」
ハムシュタイン「じゅわっ!」ヒュッ!
黒井「くっ、身体を宙に浮かせ、我々を飛び越えてビルの中へ戻った!」
メカシュタイン「マーメイ」ギュアアアアアッ
黒井「む? ぬおおおおおおおおおお!??!」バッ!
メカシュタイン「オッチョコチョイ、オッチョコチョイ」ウィーンガッシャン
黒井「私は生ハムではなァい!!! ……全く、メカシュタインちゃんは仕方のない奴だ!」
ハルシュタイン「ハムシュタイン……ハムシュタイン!!」
ハムシュタイン「じゅ……」
(パシュウッ...)
ハム蔵「じゅい……」
春香「ハム蔵! ハム蔵っ!!」
ハム蔵「じゅ……」ニコッ
春香「そんな……私を、庇って……!」
ハム蔵「じゅい、じゅいじゅい、じゅ……?」
春香「ううん、そんなことない! ハム蔵は迷惑なんかじゃなかったよ!!」
春香「上手くいかなくて八つ当たりしちゃったこともあったけど……ハム蔵は、いい親指だったよ!」
春香「タクシー止めた時だって、最高のサムズアップだったよ!!」
ハム蔵「じゅ……」
春香「黒井社長に捕まった時も、ハム蔵がいなかったら逃げられなかった……全部、ハム蔵のお陰なんだよ!?」
ハム蔵「じゅい、じゅいぃ……」フワァァァア
春香「え……? ハム蔵、身体がだんだん、透けて……」
ハム蔵「じゅ……」パァァァアッ
春香「待って! ハム蔵、行かないで、行かないでぇ!!」ウルッ
ハム蔵「――」ファサァッ...
春香「あ……」
春香「あああああああああああああああああああああああっ!!!!!!」
(ヒュォォォォォォォォォオオオオ...)
響「な、なんだ!?」
P「春香を中心に、風の渦が……!」
黒井「むむゥ……奴め、何をする気だ!?」
メカシュタイン「……」ウィイイイイイン
春香「ハム蔵……私の、せいで……」ゴゴゴゴゴ...
春香「もう、これで終わってもいい……だから……」ゴゴゴゴゴゴ
春香「ありったけ、を……」ズォォォォォオオオオ
P「だ、ダメだ春香! その先に進んでは――!」
『脳に響く警告』
黒井「こ、この私より黒い力は……!?」
『抑えきれない欲望』
P「起きてしまった……春香の、闇の人格が……!」
『禁忌の扉が開く』
響「中二心が疼くぞ!」
―覚醒めし者は……?―
「時は、満ちた」
ダーク・シュタイン「裁きを、始めよう!!」ザンッ!!
黒井「ええい、メカシュタインちゃァん! やっておしまい!!」
響「黒井社長! その口調、やっぱり二丁目通いは本当だったんだな!!」
黒井「黙れィ!!!」
メカシュタイン「クッキーバルカン∞」ドガガガガガガガガガッ!
ダーク・シュタイン「遅いよ……」ヒュヒュヒュヒュッ!
響「か、かすりもしない!」
P「あざとさの欠片もない、完全な実力主義……」
P「これが……これが、伝説の眠り姫を身に宿らせた、春香のダークサイドか……!」ツツゥ
黒井「オノレッ! もっとだ、もっと撃ちこめメカシュタインちゃん!!」
メカシュタイン「ヴァイヴァイヴァイヴァイヴァイヴァァァァアイ!」ドガガガガガガガガッ!
ダーク・シュタイン「無駄だよ」ヒュヒュッ!
ダーク・シュタイン「……わっ砲、トリプル・すたんヴぁい」ピシャシャシャァッ!
(ヴォンヴォンヴォンッ!)
P「み、三つもわっ砲が! 隠れろ、響!」ガバッ
響「で、でも黒井社長が――」
(ピカカカァッ!!!)
黒井「うぉっ、まぶしっ――」
ダーク・シュタイン「みんな消えちゃえばいいって思うな!!!」
(ヒュパパパァッ!)
(ゴバババァーーーーーーーーッ!!!)
黒井「ぬおおおおおおおおおおお!?」
メカシュタイン「ガードデスヨ、ガード!!」ガシィィイッ!
(バチィィィィィイッ!)
黒井「メカシュタインちゃん!」
メカシュタイン「カロウジ、テ、ハジイテ」バチチチチチッ
黒井「だ、だがこのままでは装甲が……!」
ダーク・シュタイン「……ぐっ!」ズキンッ!
(フォンッ)
P「わっ砲が消えた!」
響「一体何が……?」
ダーク・シュタイン「違う……違うの、私は、ハム蔵のために……!」
『じゅじゅい』
ダーク・シュタイン「やめてハム蔵、そんな目で見ないで……!」
『じゅい』
ダーク・シュタイン「違う……違う違う違う! どうして私と同じ声でそんなこと言うの!!」
黒井「な、何か分からんがメカシュタインちゃん! チャンスだ!」
メカシュタイン「ワッホウ、スタンヴァイ」ガションッ!
黒井「出力ではさっきのには勝てんが……無防備な貴様になら十分だ!!」
メカシュタイン「ウーー」
メカシュタイン「ワッホイ☆」ピカァッ!
(シュゴォォォォォォオオオ!!!)
ダーク・シュタイン「な……きゃあああああああああ!!!」ドバァァァァアア!
P響「「は、春香ぁーーーーーっ!!!」」
(ドガァッ!!!)
ダーク・シュタイン「ぅ……」ガラッ...
P「春香、春香、しっかりしろ!!」
響「春香!」
ダーク・シュタイン「プロデューサーさん……響ちゃん……私……」
P「喋るな! すぐに手当てを……」
黒井「させるとでも思ったか?」
P「くっ……」
P「春香に手出しは、させない!」
黒井「最初はライバルを追い落とすだけのつもりだったが……」
黒井「そいつは最早危険因子だ! 生かしてはおけん!!」
メカシュタイン「ウィーンガッシャン」
黒井「今ここで……確実にトドメを刺す!」
黒井「今後どんなあざとい真似をしても、お茶の間に受け入れられないようになぁ!!」
響「春香をメチャクチャにするつもりなんだな!? エロ同人みたいに!!」
黒井「誰がコミケで売るかァ!!!」
黒井「もういい! BPOで審議入りになるがいいッ!!!」
P「ここまでか――!」
(ヒュパァッ!!)
黒井「ムッ!?」
メカシュタイン「ワッホイ!?」バシィッ!
「銀髪うぃっぷ……」
貴音「ハルシュタイン様に、手出しはさせません……!」
P「貴音!」
『『『忘れた頃にやってくる!!!』』』
響「こ、この声は!」
『悪あるところにリボンあり……』イヨォーーーッ
『リボンで繋がる、絆を信じて……』カカンッ!
貴音「私が!」ハッ! ドドンッ!
小鳥「いやいや私が!」ハッ! ドドンッ!
千早「私こそが!」ハッ! ドドンッ!
律子「いいえ、私こそが!」ハッ! ドドンッ!
亜美「ううん、亜美が!」ハッ! ドドンッ!
真美「真美も真美も!」ハッ! ドドンッ!
あずさ「私ですよ~!」ハッ! ドドンッ!
雪歩「わ、私もですぅ!」ハッ! ドドンッ!
真「違う、ボクが!」ハッ! ドドンッ!
美希「ミキ達が!」ハッ! ドドンッ!
伊織「違うの! 私が!」ハッ! ドドンッ!
やよい「えっとえっと!」ハッ! ドドンッ!
響「うるさいぞ!!!!」カカッ!
P「みんな……!」
貴音「皆、てれびを見ていて、いてもたってもいられなくなったのです!」
美希「前はミキが助けてもらったの。今度は、ミキが助ける番だよ!」
ダーク・シュタイン「美希……」
美希「そんなこと、ハム蔵は望んでないよ!」
響「ハム蔵はいつだって、春香のことを心配してた!」
ダーク・シュタイン「そんなの……今更だよっ……もう私は、私は……!」
P「バカヤロウ!」
ダーク・シュタイン「っ!」
P「ハム蔵はお前の未来を願っていたんだ!」
P「ハム蔵を想うなら、どうしてお前自身が前を向こうとしない!!」
ダーク・シュタイン「私、は……」ポポポゥッ
ハルシュタイン「私、はぁっ……!」ポロッ...ポロッ...
ハルシュタイン「でも私一人じゃ、メカシュタインには勝てない……!」
伊織「一つだけ、可能性があるわ」ズイッ
ハルシュタイン「なんですって?」
伊織「かつて水瀬研究所がハールカッカーの変身リボンを開発した時、元にした石碑」
伊織「そこには伝説の正統派皇帝ハルシュタインのことについて、更なる碑文が記されていたわ」
伊織「ハルシュタインの、真の姿について――」
ハルシュタイン「っ!?」
美希「かつて世界を制したハルシュタイン――」
千早「彼女は億の愚民を従え、世界を平定したのち――」
小鳥「後進に統治を譲り、眠りについた――」
あずさ「眠り姫と呼ばれた彼女――」
貴音「歴史が大きくかわるとき――」
伊織「眠り姫は、その姿を現す――」
やよい「はじめには、漆黒の悪魔として――」
真「悪魔は、その力をもって――」
雪歩「大地に死を降り注ぎ、やがて死ぬ――」
亜美「しばしの眠りのあと――」
真美「眠り姫は再び現れる――」
P「どこかで聞いたことがあるぞ……!」
黒井「馬鹿な! それはおとぎ話のはずだ!!!」
律子「英雄として……現れる――」
ハルシュタイン「そんなのおとぎ話だよ! 私はっ、ただのっ……!」
美希「春香、涙を拭いてなの」
ハルシュタイン「美希……」
美希「ミキたちね、春香のために歌も覚えたんだよ!」
伊織「そう。石碑に刻まれた、ハルシュタインに捧げる祈りの歌」
貴音「それを歌い上げたとき――」
千早「――奇跡は、起こるのよ」
黒井「何だかこの流れとノリは不味いぞ! メカシュタインちゃん、やってしまえ!!」
メカシュタイン「ワッホウ、スタンヴァイ」ガショ...
貴音「銀髪そにっく!」ヒュパパッ!
メカシュタイン「!」ピシィッ!
貴音「邪魔はさせません!」
亜美真美「「ハルカヤ ハルカ」」
貴音響「「ドゥンガン カサクヤン インドゥムゥ」」
伊織やよい「「ルスト ウィラードァ」」
真雪歩「「ハンバ ハンバムヤン」」
美希千早「「ランダ バンウンラダン」」
律子あずさ「「トゥンジュカンラー」」
Pことり「「カサクヤーム」」
(ペカァーーーッ!)
ハルシュタイン「あ……胸に付いてるブローチが……!」
ハルシュタイン「紅く、燃え上がって……」ソォッ...
(ピトッ)
ハルシュタイン「あっ?! 熱っ!」ジュッ!
ハルシュタイン「あつつ……やっちゃった……火傷しちゃったかなぁ……」チラッ
ハム蔵「じゅっ!」
ハルシュタイン「……」
ハルシュタイン「……?!」
ハルシュタイン「ハム蔵ーーーーーっ!!!」ウルッダキッ
ハム蔵「じゅじゅぅーーっ!」
響「ハム蔵!」
P「良かった……無事だったんだな!」
美希「火傷すれば何度でも蘇るなの!!」
ハルシュタイン「良かった……本当に良かったよぉっ……!」ウルッ
ハム蔵「じゅじゅいっ……」
(ポタッ...)
(ピカァッ.......!!)
P「春香の涙が、ブローチに当たって……!」
響「紅い光が迸ったぞ!!」
黒井「ぬぉあーーーっ! 目が、目がぁぁぁぁああ!!」
メカシュタイン「メグスリ、メグスリ」ピチャァッ
黒井「ぬぐわあああああああ目にオイルがあぁあああああああ!!!!!」ガクガク
ハルシュタイン「ああ……全身が、紅い光に包まれて……暖かい……」ポウッ
暖かい炎に包まれる中で。
ハルシュタイン「私は、守りたい――」
私は、もう一人の私の影を見ました。
メカシュタイン「ワッホウ、スタンヴァイ」ガショショションッ!!!
かつて愚民たちを従え、守った勇姿。
ハルシュタイン「もう、誰も失わない――」
ただ強いだけでなく、誰かを護るための決意。
ハルシュタイン「その決意を、その姿を――忘れない」
見えたのは、黒き力をも愛で包み込む、リボンの戦士。
メカシュタイン「ウー、ワッホイ☆」
(ゴパァァァァアアア!!)
響「こ、このままでは直撃だぞ!?」
P「っ!」ダダッ!
P「春香はやらせないっ!」バッ!
小鳥「プロデューサーさん!?」
ハルシュタイン「あ……」
――私が、守る……!――
(ズルッ)
ハルシュタイン「わきゃっ!?」
――りめんヴぁーい――
(ドンガラ)
――ハールカッカー!――
(ガッシャーン)
(カッ!!!!)
(チュドォーーーンッ!!!)
美希「ハニーっ! 春香ぁーーーっ!!」
黒井「やったか!?」
メカシュタイン「……」ピクッ
美希「春香……春香ぁっ……!」グスッ
メカシュタイン「……オカシイ、デス」
黒井「……何?」
メカシュタイン「ハルシュタインノ、ハンノウ……」ピピッ
メカシュタイン「イマダ、ケンザイ……!」ピピピッ
――忘れたころにやってくる――
黒井「?!」
(ゴォォォォォォォォオ)
黒井「爆炎の……奥に……!」ツツゥ
美希「何かが、いる……!」
響「あ、あのシルエットは!」
(ブォッ!!!)
千早「火の海の中で……一か所だけ、何かが守っているように……!」
P「はる、か……」ムクッ
「プロデューサーさん。もう、大丈夫です」
――それは、最強のリボン神――
――それは、あざとさの究極の姿――
――我々が辿り着いた、大いなる遺産――
『かわいさの英知と!』イヨォーーーッ
『人気ある誓いと共に!!』カカンッ!
ハールカッカー「人呼んで、リボン王、ジェネシック・ハールカッカー!」ハッ! ドドンッ!
黒井「くっ、くくく……」
黒井「ハァーーーーッハッハッハッハァ!! 進化どころか、第一形態に戻っているじゃあないか!!」
黒井「ふふん、メカシュタインちゃんの敵ではない……な…………?」
メカシュタイン「カ、カッカー……」ガタガタ
黒井「ど、どうしたんだメカシュタインちゃぁん!?」
P「一見すると普通のハールカッカーと同じ姿に見えるが……」
美希「いつもの白とピンクじゃなくて、赤と黒が基調だぞ!」
貴音「底知れない力を感じます……!」
黒井「ええい! メカハルカちゃん、何故動かん!?」
ハールカッカー「いくよ……ハム蔵!」
ハム蔵「じゅっ!!」ビシッ!
ハールカッカー「猛り狂う奈落の咆哮に――」
メカシュタイン「ピッ!?」ガシャィンッ
黒井「な、なんだ!? 身体が、動かん……!!」
ハールカッカー「立ち向かう、光の羽根――」
黒井「いかん! 動け、動けええええええ!!」
ハールカッカー「さあ、アナタの牙打ち砕いて――」
黒井「わ、悪かった! 私の負けだ! だから……」
(ピピピピピピピピ)
(キュピィーン)
―the Fate of the World―
the Fate of the World。
ハルシュタイン級の敵を迎撃するために生まれた、ハールカッカー最後の切り札である。
ハールカッカー「私は、一人じゃない!!」
ハム蔵「じゅういいいいいい!!!」
ハールカッカー「私たちは、一つだあああああああああ!!!」
黒井「メカシュタインちゃん、お前だけでも逃げ――」
メカシュタイン「……」ガシィッ!
黒井「は、放せ! 逃げるのだ!! メカシュタインちゃァん!!」
(ヒュゴォォォォォォオオオ!!!)
貴音響「「さあ!」」
―― ゲム ――
伊織やよい「「ハールカッカー!」」
―― ギル ――
亜美真美「「この!」」
―― ガン ――
律子あずさ「「戦いに!」」
―― ゴー ――
真ゆきほ「「最後の!」」
―― グフォ ――
美希千早「「決着を!!」」
ハム蔵「じゅいいいいいいいいいい!!!!!」
ハールカッカー「ウィィィィィィィィイタァァァァァアアア!!!!」
(ズゴァァァァァァァァァァアアアアァァァァァアアア!!!!!!!)
ハールカッカー「光に……なれええええええええ!!!!!」
(ゴパアアァァァァァアアアア!!!!)
メカシュタイン「オトウサン……」ピシッ
黒井「メカ、シュタインちゃん……!」
(カッ!!!)
(チュドォォォォォォォォオン!!!!)
美希「敵は完全に沈黙したの!」
ハールカッカー「これで……全部、終わったんですね……」
P「ああ……よく頑張ったな」ナデナデ
ハールカッカー「えへへ」テレテレ
黒井「ぐ……」ガラッ
響「黒井社長!!」
貴音「無事だったのですね」
黒井「ああ……メカシュタインちゃんが……自らを省みず、守ってくれたから……!」
黒井「メカシュタインちゃん……!」ホロリ
ハールカッカー「大丈夫ですよ、黒井社長」
ハム蔵「じゅいっ!」
黒井「何だと……?」
メカハルカ「ワッホイ、ワッホイ」ガラッ
黒井「メカハルカちゃん!?」
ハールカッカー「ハールカッカーは不殺の戦士……」
ハールカッカー「打ち砕くのは、相手の敵意だけ、ですよ♪」ウィンクッ
黒井「……そうか……私の、完敗の様だな……」
メカハルカ「コンド、オカシ、ツクル」ウィーンガッシャン
ハールカッカー「うんっ! みんなの分をいっぱい作るから、手伝ってね!」ハイターッチ!
メカハルカ「イエイッ」パァンッ!
黒井「……共存、か……そんなこと、考えたこともなかった」
P「ハールカッカーは全ての人々を等しく照らすんですよ」
P「その、あざとさの光で、ね」
ハールカッカー「さて、と!」
(ポンッ)
春香「それじゃみんなで帰りましょう!」
ハム蔵「じゅじゅいっ!」
響「春香、ハム蔵はいいのか?」
春香「……もうっ、今更だよ、響ちゃん」
ハム蔵「じゅじゅいっ!」
春香「私たちは一心同体。みんなみんな、仲間だもんげ!」
「「「うんっ!!」」」
♪恋したり 夢描いたりすると
♪胸の奥に 複雑な気持ちが生まれるの
♪今大人になる道の途中
♪あふれる初体験 毎日を飾る
春香「みんなみんな、ずっと一緒だよ!」
――ハールカッカー。それは、愛と勇気と、正義の名!
春香「あっ! ビルの守衛さんたちが来ちゃったよ! 早く逃げ……わきゃっ!?」ドンガラガッシャーン!
――ハールカッカー。それは、忘れてはいけない、リボンの言葉!
春香「いたたた……って、も、もうっ! どこ見てるんですか! えへへっ」チラッチラッ
――ハールカッカー。それは、あざとさと、純真の姿!
春香「ほら、みんなで一緒に逃げますよ! あと、春香さんは可愛いですよ……さらばっ!」バサァッ!
『りめんヴぁーい! ハールカッカー!』
カッカー…
カッカー…
カッカー…
♪だけど この空がいつも私のこと見守ってる
♪もっともっと強く 励ましてる
♪だから 怖くない どこでも行きたいところに行ける
♪輝いた未来 まっすぐにね
And You!
春香「火傷をしたら大変なことになった ―春香vsメカハルカ―」
終
ガオガイガー久々に観たらすげーかっこよかった
春香さん、ずっとみんなのメインヒロインでいてね
一応前作というかなんというか、
春香「りめんヴぁーい! ハールカッカー!」
からの続きでス。いつの間にか。
ご覧いただきありがとうございました。
もうそんな昔なのね
最初のハールカッカーで特定余裕でした
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1522748275/
Entry ⇒ 2018.04.09 | Category ⇒ アイドルマスター | Comments (0)
P「伊織! 誕生日おめでとう!」伊織「合宿が始まってから3回目の誕生日ね!」
春香「みんなでつくったケーキだよ! ほら!」
あずさ「ささ、伊織ちゃん。明かりを消すから、ろうそくの火を消す準備を――」
伊織「待って…………3回目?」
P「な、なんだよ伊織。深刻な顔して」
やよい「ろうそくの火、消さないのー?」
伊織「……自分で言って、ちょっと驚いたんだけど……合宿が始まってからもう3回目なの?」
P「……なにが?」
伊織「だから、私の誕生日よ! ここへ来てからもう3回目でしょ? ってことは、合宿が始まって3年目ってことよね?」
P「ん……まあ……そう、なるかな? どうだろう」
春香「時が経つのって早いよねー。最近は特にそう感じるよ」
亜美「はるるんオヤジくさーい」
真美「いやいや~、この場合はオバハンくさいと言うべきでは~?」
春香「えっ、そ、そうかなぁ……みんなはそう思わない?」
千早「アイドルの仕事をしていると、毎日が怒涛のように過ぎていくから……そう感じやすいんだと思う」
雪歩「なんだか感慨深いねぇ」
伊織「ちょ、ちょっと! そんなのんきな……! おかしいと思わない!? もう3年よ! 3年! 長すぎよ!!!」
響「自分は普通だと思うけど」
貴音「わたくしも……合宿期間に疑問を抱いたことはありません」
春香「そんなに長くやってるかな。ね、千早ちゃん」
千早「どうかしら……『3年』と言われてみれば……ううん、でも、そんなに日数を気にしてなかったから……」
真「ボクも、特に長すぎるとか思ったことはないですね」
P「見ろ。みんなおかしいなんて思ってないぞ? 伊織だけだ、そんなこと言うのは」
伊織「だって……3年もあったら、中学生が高校生になれちゃうじゃない! 長いなんてもんじゃないわ! 長すぎなんだから!」
やよい「あれー? でもでも、伊織ちゃんってまだ中学生だよね?」
伊織「ええ、そうだけど。……そう、だけど……え?」
雪歩「えーっと……伊織ちゃんってたしか……初めて会った時、中学3年生って言ってたような……」
真「で、合宿が始まってからもう3回誕生日を祝ってもらった、と」
響「じゃあ、伊織はもう高校生になってないとおかしいぞ」
春香「あれれ? でもさっき『まだ中学生』って……」
千早「今中学生なら、合宿が始まったころ水瀬さんは小学生だったってことになるけど……」
美希「えー、それはないって思うな。ミキはデコちゃんと同学年だけど、合宿が始まったとき中3だったもん」
春香「……????? つまり、3年前に中学3年生だった伊織は、まだ中学3年生なの? あっ! 留年しちゃったとか……?」
伊織「してないわよ!」
千早「……? それじゃあ、いったい――」
P「まあ細かいことは気にするな!!!!!!!!!! さあ、ろうそくの火を消そう! 誕生日なんだからな!!!!!!!」
あずさ「は、はい~」
P「おーい! 律子ー! パーティー始めるぞー! ケーキにかけるパウダー持ってこーい!」
律子「はーい」
P「盛り上げろ盛り上げろ! 歌うからな! ほら! ハッピバースデー! トゥーユー! せいっ!!!」
「「「 ハッピバースデー! トゥーユー! ハッピバースデーディアいーおりー! ハッピバースデー! トゥーユー! 」」」
P「消せ! 伊織! 一息でな!」
伊織「わ、わかったから急きたてないでよ……。ふぅー!」
P「いよ! 拍手ー!」
ワー パチパチパチ オメデトー
亜美「ケーキケーキ! はやく食べようよ~!」
律子「ほーら、がっつかないの! 今日の主役は伊織なんだから!」
真美「いいじゃんこんなにおっきいんだしさー」
P「こらこら、ケンカするんじゃないぞ。ハッハッハ! いやー、めでたいめでたい! な! お前ら!」
「「「 …… 」」」
P「なんだなんだぁ? 黙りこんでぇ~。亜美真美を見習って盛り上がろうぜ! なっ、春香! 細かいことは言いっこなしだよな!?」
春香「えっ? あ、そ、そうですね! 何はともあれ、おめでとう! 伊織!」
伊織「あ、ありがとう……」
やよい「ケーキおいしいねー」
伊織「ええ」
美希「でさー。けっきょく、でこちゃんは何歳になったの?」
伊織「え? 何歳って、決まってるじゃない。じゅう……」
美希「……じゅう?」
伊織「じゅ、じゅうろ……r……r……」
やよい「……伊織ちゃん?」
伊織「……う、ぐぐ……ぐ……!」
やよい「伊織ちゃん、大丈夫? なんだか苦しそう……」
美希「でこちゃん……?」
伊織「r……ご……じゅうご……15歳になったわ」
美希「そっか。じゃあミキと同じだね」
伊織「当たり前でしょ。同学年なんだから」
やよい「……あれ? でもでも、そうなると――」
P「年齢の話とかやめようぜ!!!!!!!!!!!!! それよりほら! ケーキうんめーなぁ! うっほ!!!!!!」
伊織「きゃっ! もう、おどかさないでよ!」
律子「後片付けが終わったらさっさとお風呂入って寝ちゃいなさいよー。明日も通常運転なんだからねー」
亜美「うえー、りっちゃんスパルタ~」
真美「パーティーの次の日くらいお休みでいいのにー」
春香「でも、みんなの誕生日って毎月くるから……その度に休んじゃってたらスケジュールの調整が大変かも」
律子「仲間内のパーティーを理由に仕事を休めるわけないでしょう……! ほら、文句言ってないでキビキビ動く!」
亜美真美「「 あーい 」」
やよい「伊織ちゃん。私たちも、お風呂入ろ?」
伊織(何かしら……さっきから、どうにも違和感が……。頭がぼーっとして……)
やよい「伊織ちゃん? 伊織ちゃんってば」
伊織「えっ? な、なに? やよい」
やよい「お風呂っ。伊織ちゃん、ちょっと疲れてるみたいだから、お風呂に入ってゆ~っくりしたほうがいいんじゃないかなーって」
伊織「え、ええ。そうね。……その前に、ちょっとだけ外の空気を吸ってこようかしら。先に行って待っててちょうだい」
やよい「うん!」
伊織「……」
伊織(やよいの言う通り、疲れてるのよね。そのせいで神経が過敏になってるだけ。きっとそうよ)
???「―――ええ。――だから……―――はい」
伊織(……? 誰かいる……。あの声は、プロデューサー?)チラッ
P「危うく勘付かれるところでしたよ……ええ、誤魔化せたとは思いますけど」
伊織(あんなところに隠れて、誰と電話してるのかしら……)
P「心配いりませんよ。ケーキのパウダーに薬を混ぜたんです。咄嗟ですが、うまくいきました。伊織のやつ、舌巻いて固まってましたからね」
P「この段階であの秘密を知られたりでもしたら、面倒です。もっと催眠の効力を上げたほうがいいかもしれません」
伊織「……えっ」
P「……ん? 誰かいるのか?」
伊織「っ…………!」ササッ
P「…………気のせいか。ああいえ、なんでもありません。それで――」
伊織(う、嘘……! 何よ、今の……! と、とにかく、ここを離れないと……!)ダッ
伊織(薬って、風邪薬とか……そんなわけないわよね……。プロデューサーは何をしようとしてるの……?)
ゴチンッ
伊織「きゃっ」
美希「わっ! いったた……もー、ちゃんと前見て歩くの!」
伊織「そ、そっちこそ! 急に角から飛び出してこないでよねっ」
美希「え~? 飛び出してきたのはそっちの方って思うな。……そんなに急いでどうしたの?」
美希「でこちゃん、外でなにかあったの? 難しい顔して、考え事してるみたい」
伊織「してないわよっ、考え事なんて」
美希「ふ~ん、そっか。ミキはパーティーが終わってからずっと『変だなー』って考えてたんだけど」
伊織「?」
美希「さっき、でこちゃんに年齢聞いたでしょ? ミキと同じ『15歳』って言ってたよね」
伊織「……それの何が変なのよ」
美希「だって、ミキとでこちゃんは同じ中3でしょ? それなのに同い年なんて、やっぱり変なの」
伊織「だから、何がよ。同学年なんだから、年齢が同じなのは当たり前でしょ?」
美希「え~? でもミキは11月生まれなんだよ? デコちゃんのほうが誕生日が早いんだから、16歳になってないと」
伊織「ハァ? 何言ってんのよ。そんなの普通に考えれば………………あら? たしかに、言われてみれば……」
伊織(違うわ、そんなはずない。それだとやよいと同い年ってことになるもの……じゃあなんで私、15歳だなんて……)
美希「……おーい! もしもーし! ……もー。でこちゃん、また考え込んじゃったの」
伊織(やっぱりおかしい……! 中学3年生の頃に始まった合宿が3年目に突入したはずなのに、私は中学3年生のまま……)
伊織(明らかに間違ってるじゃない……! 矛盾してるわ! どうして年齢も学年も、3年前から変わってないのよ……!)
伊織(いえ、そもそも……そんな単純な間違いに、どうして私は気付けなかったの……?)
美希「でこちゃんってばー」
伊織「まさか……やっぱり……!」
美希「なぁに? なにが『やっぱり』なの?」
伊織「さっき、プロデューサーが言ってたのよ。催眠だとか、薬だとか」
美希「ハニーが? 催眠とお薬……? あっ、もしかして、寝不足で困ってるとか?」
伊織「違うわよ! きっと、プロデューサーは私たちに催眠術をかけてるんだわ……!」
伊織「それだけじゃない! 食事に危ない薬を混ぜて、身体と頭をおかしくさせてるのよ……! そうに違いないわ!」
美希「……でこちゃん、大丈夫?」
伊織「大丈夫じゃないわよ! プロデューサーの陰謀に巻き込まれてるんだから! 今すぐ警察に連絡しないと……!」
美希「ちょ、ちょっと、落ち着くの!」
美希「でこちゃん、さっきから様子が変!」
伊織「変なのは私だけじゃないわ! みんなよ! 事務所のみんながおかしくなってる!」
美希「みんな……?」
伊織「美希! ちゃんと思い出しなさい……! 合宿が始まった頃、アンタは何年生だった?」
美希「んーっと、中3だったの。でこちゃんも一緒でしょ?」
伊織「今は?」
美希「中3」
伊織「……合宿が始まってから何年目?」
美希「えー? よく覚えてないけど……」
伊織「3年よ! 3年目!」
美希「そっかそっか。もうそんなに……あれ?」
伊織「ほら、変じゃない! アンタ、自分で言ってることが無茶苦茶だって分からないの!?」
美希「あれー?」
伊織「アイツが私たちに変な薬を飲ませて、身体の成長と記憶を操作してるに違いないわ! あと催眠術!」
美希「ハ、ハニーがそんなことするわけないの!」
伊織「聞いたのよ! プロデューサーが誰かに電話してて……!」
美希「そんなの、でこちゃんの勘違いって思うな」
伊織「じゃあ学年の件はどうなるのよ! いまだに中学生ってのは変じゃない!」
美希「…………知らない間に留年しちゃってたとか?」
伊織「あり得ないわっ! ……まあ、アンタならまだしも……この伊織ちゃんが留年なんてするはずないじゃない!」
美希「むむっ……でこちゃん酷いの……! いくらミキでも、留年なんてしないもん!」
伊織「ア、アンタが言い出したことでしょ……!」
律子「ちょっとちょっと! あなたたち、こんなところでなにケンカしてるの?」
美希「あっ、律子……さん」
律子「なに? 変なこと? 伊織が?」
美希「ハニーがミキたちにお薬を飲ませてるんだってー」
律子「薬……?」
美希「あとなんだっけ? 催眠術? そんなこと、絶対あるわけないのにね」
伊織「だってそうでなきゃ、説明がつかないじゃない! 合宿が始まってから歳をとってないなんて!」
美希「それはミキも変だなーって思うけど……でもだからって、ハニーがミキたちにそんな酷いことするわけないの!」
律子「……………」
伊織「ねえ、律子もおかしいと思わない? 私たちずっと――」
律子「とりあえず、向こうの部屋で話しましょう」
伊織「そんな暇ないわ! 今すぐ警察に電話して……!」
律子「いいから、来なさい」
グイッ
伊織「やっ、ちょっと、引っ張んないでよっ」
律子「美希もついてきて」
美希「え? ミキも?」
律子「いいから」
美希「う、うん」
伊織「ちょっと律子っ。何度も言ってるでしょ? 今はのんきに話してる場合じゃ――」
律子「入りなさい」グッ
伊織「…………わ、わかったわよ」
律子「美希も、ほら」
美希「はーい」
律子「……」キョロキョロ
バタンッ カチャリ
伊織「!?」
伊織「ね、ねえ律子。なんで鍵なんか閉めて――」
律子「伊織」
伊織「ひゃいっ」ビクッ
律子「……さっきの話、他に知ってる人はいるの?」
伊織「……えっ?」
律子「歳をとってない……そんなこと言ってたわよね」
伊織「そ、そうだけど……」
律子「その話。あなたと美希以外に、知ってる人はいるのかって聞いてるの」
律子「美希は? 他の誰かに話した?」
美希「ううん」
律子「そう…………。ふたりに観てもらいたい映像があるの」
伊織「へ? な、なによ急に」
美希「映像ー? それって長かったりする? もう眠いし、はやくお布団にもぐりたい~って思うんだけど」
律子「すぐに終わるから我慢して」
美希「ふーん。ならいいよ」
伊織(映像……? いったいなんのつもりで…………)
律子「はい。じゃあこのモニターに注目して」
モニター『○×△☆♯♭●□▲★※◆!!! ♪◎×_★???』
伊織「…………」ジーーーー
美希「…………」ジーーーー
律子「どう?」
伊織「……え? どうって……」
美希「すっごく変」
美希「ミキも、ぜんっぜん分からないの。このヘンテコな映像って、どういう意味?」
律子「意味は考えなくてもいいわ。映像を『観る』という行為が重要だから」
伊織「はぁ?」
律子「そんなことよりも、伊織。警察に電話しなきゃならない理由、もう一度説明してくれる?」
伊織「もうっ! さっきから何度も言ってるじゃない! 私たちが………………………………………」
律子「私たちが、何?」
伊織「……えっと……その……、私……なんで、警察に電話なんてしようとしたのかしら……」
美希「えぇ? 忘れちゃったの? でこちゃん、さっきまでスッゴク怒ってたのに」
伊織「私が……? 何に対して怒ってたのよ」
美希「それは………あれ? なんだっけ?」
律子「忘れたならその程度の問題ってこと。無理に思い出さなくても支障は無いはず。そうよね?」
伊織「え? まあ、そう……ね。たぶん、大したことじゃないわ」
律子「よし。じゃあ解散」
美希「え? ミキたち、もう帰っていいの?」
律子「もちろん。ただし、ちゃんとお風呂へ入って身体を暖めること。美希、眠いからって横着しちゃだめだからね!」
美希「はーい。でこちゃん、行こ?」
千早「春香。そのパジャマ、前後が逆じゃない? ほら、首元からタグが出てる」
春香「えっ!? あっ、ホントだ……! えへへ……は、恥ずかしいな」
春香「なんだかお湯に浸かってたら頭がポ~ッとしちゃって」
千早「疲れてるからかしら。私も、なんだかぼんやりしてるの」
春香「千早ちゃんも? ランクがあがってからお仕事忙しいもんね~」
千早「ええ。合宿所に帰ってくると、ふとした瞬間に気が抜けちゃうような気がして」
春香「きっと安心してるんだよ。だってここに帰ってくると、事務所のみ~んながいるでしょ?」
千早「ふふ、そうね」
P「よお、ふたりとも風呂あがりか?」
春香「あっ、プロデューサーさん」
P「なんだか機嫌が良さそうじゃないか。ほんのり桃色の肌が色っぽいぞ~」
千早「プロデューサー。セクハラです」
P「ははは、冗談だよ。ほら、風呂上りといえばコーヒー牛乳だろ? みんなの分を持ってきたんだ。飲んでくれ」
春香「わ~、いいんですか?」
P「俺のおごりだ。これぐらいは、な」
春香「やった。ありがとうございますっ」
千早「じゃあ……私も、いただきます」
春香「さっきまでぼんやりしてたんだけど、冷たいコーヒー牛乳のおかげでシャキっとしました」
P「大丈夫か? 疲れがたまってるんじゃないか? 最近、ハードワークだったからな」
春香「あっ、いえ! 大丈夫ですよっ。全然、へっちゃらですから!」
千早「気遣っていただけるのはありがたいですけど、私たちは大丈夫です」
P「そうか? ならいいんだが」
春香「それに、頭がぽーっとしちゃってたのは疲れてるからじゃなくて、入浴剤のせいじゃないかなぁって思うんです」
千早「そういえば、今日は入浴剤が入っていたわね。香りがなんというか……独特で」
春香「うんうん。身体だけじゃなくて、頭の中も一緒に綺麗にしてくれるみたいな……効能って言うのかな?」
P「そっかそっか、それが効くんだよ。色々と……色々とな」
春香「あっ、やっぱりそうなんですね!」
P「アイドルの心身をケアするのが俺たちの仕事だ。みんなが触れるありとあらゆる物に気を配るさ」
春香「じゃあこのコーヒー牛乳も身体に良かったりするんですか? お店に並んでるの見たことないなぁ、コレ」
千早「たしかに……『アポトキシン』なんてメーカー、聞いたことないわ」
P「あー、それはまあ、そうだな。なんかこう、身体が若返るというか……」ゴニョゴニュ
千早「え……?」
P「いや、なんでもない。ただのコーヒー牛乳だよ。じゃあ、俺は行くから……ふたりとも早く寝るんだぞ」
春香「はーい」
千早「おやすみなさい」
雪歩「おはようございますぅ~」
真「あっ、雪歩おはよう」
春香「おはよー」
雪歩「みんなはやいねぇ。朝起きたら、美希ちゃん以外みんな起きててびっくりしちゃった」
真「なんだか今日はやけに目覚めが良くてさ。ボクなんて、起きたらまだ外が暗かったよ」
雪歩「真ちゃんも? 実は私もけっこう早い時間に目が覚めたんだけど……起きてもすることがないから、ぼんやりしてたの」
雪歩「そしたら結局二度寝しちゃって……あの時きちんと布団から出てたらなぁ」
春香「あはは。その気持ちわかるなー。私も、今日は目覚めスッキリって感じだったよ」
真「へぇー。他のみんなも同じようなこと言ってたよね。やっぱり昨日のコーヒー牛乳が良かったのか……」
雪歩「プロデューサーの?」
真「うん。たぶん漢方薬みたいな身体にいいのが入ってたんじゃないかな。よくわかんないけど」
雪歩「ああ、そうかも……だって、目が覚めたとき身体が妙に暖かくて驚いたもん」
春香「そうそう! 身体中の細胞が燃える……みたいな」
雪歩「えぇっ、それは大げさだよ。春香ちゃん」
春香「えへへ。でも、なんだかこう……若返ったような感じはしたよね」
真「うんうん。あのメーカーの商品、どこで売ってるんだろう。今度プロデューサーに聞いてみようかな」
真「ああ、昨日言ってたね。そろそろ放送時間じゃないかな」
春香「見てみようよ! テレビをつけてっと……」
雪歩「え? でも春香ちゃん。合宿所のテレビだと――」
TV「ザーーーーーーーー」
春香「あっ、そっか……ここ、電波が悪くてローカルチャンネルしか映らないんだっけ」
真「こういう時、不便だよね。まあみんなが出演した番組はプロデューサーが録画したDVDで観られるからいいんだけど」
雪歩「ネットも繋がらないし……なんだか外界から隔絶されてるみたい……」
春香「……」
真「……」
雪歩「あっ! ご、ごめんなさいっ! 私、そんなつもりじゃ……! マイナスな意味で言ったんじゃなくてね。その、えっと」
真「ははは、わかってるって。せっかくの機会なんだし、たまには現代科学から離れて存分に自然を満喫しないと」
雪歩「うんっ、そうだよね」
律子「ちょっと春香! あなたこんなところでなにのんびりしてるのっ!」
春香「え?」
律子「もー、前から言っておいたじゃない。今日は出版社で雑誌のインタビューを受けるって……まさか忘れてたんじゃないでしょうね」
春香「あ、あああっ! す、すいません! 今すぐ支度します! ふ、ふたりとも、それじゃ!」
真「う、うん」
伊織「みんなー! 今日は私の握手会に来てくれてありがとー!」
やよい「もー、伊織ちゃん。『私の』じゃなくて、『私たちの』だよっ」
伊織「あ、そ、そうね! 私たちの! ほら、これでいいでしょ!」
「「「 わははははは 」」」
スタッフ「おつかれさんでしたー」
伊織・やよい「「おつかれさまでした!」」
P「おお、ふたりとも良かったぞ。みんな喜んでたな」
伊織「そうかしら……」
P「ん? なんだよ。なにか不満そうだな」
伊織「ファンとの交流時間が短すぎない? あまりお喋りできなかったじゃない」
やよい「あー、それは私も思いましたー。ちょーっと、短かったかなーって」
P「それは仕方ないさ。あれだけの人数さばくには、秒単位で削っていかないと。余計なこと喋られても困るしな」
伊織「え? 余計なことって――」
スタッフ「移動の準備できました」
P「よし、合宿所へ帰るぞ! 車に乗ってくれ!」
伊織「あっ、ちょっと! プロデューサー! もう……」
やよい「……うぅ」
伊織「……やよい? どうしたの?」
やよい「あっ……ううん、なんでもないよ」
伊織「なんでもないことはないでしょ。顔色が悪いわ……酔ったんじゃない?」
やよい「うーん……そうかも……朝からすっごく忙しくて、疲れが出ちゃって……」
伊織「ちょっとプロデューサー。やよいが車酔いしちゃったみたいだから、窓開けて」
P「なにっ? 待ってろ、えーっと……ほら酔い止め。水無しで飲めるからな。念のためビニール袋もあるぞ」
やよい「ありがとうございます~……」
伊織「ねえっ。窓開けてってば」
P「それはダメだ」
伊織「はぁ!? なんでよ! だいたい、なんでカーテンまでつけてるのよ! 息苦しくて仕方ないわ! 酔って当然よ!」
P「……ほら、色々あるだろ。外にはゴシップ記者とかいるだろうし」
伊織「別に見られて困るものなんてないじゃない。いいから、外の空気を」
P「伊織!」
伊織「ひっ」ビクッ
P「あ。いや、すまん……怒鳴るつもりはなかったんだ。ただ、決まりだからな……」
やよい「伊織ちゃん、私は大丈夫だから。ほら! うっう~! ね?」
伊織「やよい……」
真「おつかれ!」
雪歩「お疲れさまですぅ~」
美希「あふぅ、おつかれ~」
千早「春香、雑誌の取材は大丈夫だったの?」
春香「な、なんとかね……出版社の階段で転んじゃったけど、間に合ったからセーフ……かな?」
亜美「それはアウトだよねー」
真美「アウトだねー」
春香「ええ~、そうかなぁ」
あずさ「あら? 響ちゃんはどうしたのかしら」
貴音「はて……響はわたくしと共に、ここへ帰ってきたはずですが……」
<うぎゃ~~~! ハム蔵~~~~!!!!
雪歩「い、今の声って……」
あずさ「響ちゃん……?」
貴音「なにやら、良からぬことがあったようです……! 急ぎましょう、響の元へ……!」
春香「ど、どうしたの!?」
響「みんな……! ハム蔵が、ハム蔵が……!」
伊織「なによ。ハム蔵が何かしでかしたの?」
響「息してないんだ……」
千早「えっ……」
あずさ「あ、あらあら。そ、それって、つまり……」
真「は、ハム蔵が……」
雪歩「し、死んじゃったの……?」
響「うわああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!!!」
真「ちょ、響! おちついて!」
響「ハム蔵! ハム蔵~~~~~! 誰か! 誰かAED! AEDを!!!!」
やよい「も、持ってきます~!!! えっと、えっとぉ!」
伊織「ハムスターにAEDなんて使えるわけないでしょ! それよりも獣医よ! 近場にないの!?」
千早「ないわ……! そもそも、普通のお店すらないのに……!」
亜美「わー! えらいこっちゃー!」
真美「じ、人工呼吸だよ! あとほら! えーっと、マッサージ! 心臓マッサージしないと!!!」
P「おいおい! なんだ! 何事だ!?」
響「プロデューサー! ハム蔵が! ハム蔵が息してないんだ!」
P「えっ……」
春香「し、死んじゃったんじゃないかって……」
響「有り得ないぞ! だってハム蔵は健康そのものだったし! それに、ハム蔵、元気だったし……! だって、だって!」
ハム蔵「」
P「……ふむ。今から獣医に連れて行こう」
響「びょ、病院!? 近くにあるの!? はやく行こう!!! 場所を教えてくれれば、自分全力疾走で……!」
P「いや、ハム蔵は俺に任せろ。律子と一緒に街の獣医まで運ぶから、響はここで待ってるんだ」
響「嫌だぞ!!! 自分も一緒に……!」
貴音「響。冷静に……と言っても無理でしょうが、慌てても良いことはありません」
貴音「プロデューサーが任せろとおっしゃるのであれば、それを信じましょう」
響「むう~……! わ、わかったぞ……! プロデューサー! ハム蔵を、頼んだからね……!」
P「ああ、任せろ」
春香「どうしちゃったんだろうね、ハム蔵」
貴音「病気でしょうか……はむすたーは身体が弱く、病気にかかりやすいと響から聞いたことがあります」
伊織「でも、響って動物に関してはスペシャリストでしょ? 病気になったなら、すぐに気づくんじゃない?」
あずさ「もしかしたら、寿命だったのかもしれないわね……」
やよい「ハム蔵って、おじいちゃんだったんですか~?」
千早「どうかしら。年齢を聞いたことはないけど……」
真「響の慌てぶりを見ると、まだ若かったんじゃないかな」
伊織「そもそも、ハムスターの寿命ってどれくらいよ」
亜美「あー、それ知ってるー。たしか3年くらいだよね」
真美「うんうん。学校で飼ってたハムスターも3歳くらいで死んじゃったもんね」
伊織「3年……?」
やよい「どうしたの? 伊織ちゃん」
伊織「……『3年』ってワード、どこかで聞いたような覚えが」
美希「なんだろう……ミキもなんだか…………」
春香「あっ! 帰ってきた!」
響「は、ハム蔵! ハム蔵は!?」
律子「響。安心して、ほら」
ハム蔵「ジュー」
春香「ハム蔵……! 助かったんですね!?」
P「おうよ。この通りだ」
真美「やったー! 奇跡の生還! 偉いねーハム蔵ー」
やよい「うっうー! 今日はお赤飯です~!」
雪歩「良かったぁ……私が堀った墓穴が無駄になって……!」
真「ほ、掘ってたんだ」
貴音「まこと、すばらしいことです」
あずさ「よかったわね~、響ちゃん」
響「……」
あずさ「響ちゃん……?」
響「……え? あ、うん。よ、よかった。おかえり、ハム蔵……」
ハム蔵「ヂューーーー」
貴音「……?」
貴音「響。みな、集まりました」
響「うん……ありがとう、貴音」
春香「どうしたの? 話があるって聞いたんだけど……」
千早「明日じゃ駄目なのかしら」
響「今すぐ、話しておきたいんだ……!」
やよい「でも、もうすぐ消灯時間ですし、はやく寝ないと。ね、伊織ちゃん」
伊織「…………」
やよい「伊織ちゃん?」
伊織「……え? な、なに?」
やよい「もうっ、伊織ちゃん、なんだか変っ。ハム蔵が帰ってきてからずーっと」
真「変と言えば、美希もだよね。いつもは真っ先に寝てるのに、まだ起きてるなんてさ」
美希「真君……ミキが起きてると変だなんて、ちょっと酷いの」
真「あ、ごめん! そういう意味で言ったんじゃなくて……!」
響「も~! みんな自分の話を聞いてよ~!」
春香「うん」
貴音「さあ、響」
響「話っていうのは……その……みんながハム蔵だと思ってるこいつのことなんだけど」
ハム蔵「ジュ~」
響「実は……こいつはハム蔵じゃないんだ!!!」
亜美「ほほ~…………それはつまり?」
真美「新手のなぞなぞですな?」
響「違うぞ~! 本当に、こいつはハム蔵じゃないんだってば~! 毛の模様が違うし、顔つきも違うし!」
ハム蔵「……」
春香「え? じゃあそのハムスターは……」
千早「まさか……プロデューサーと律子は別のハムスターを用意して、ハム蔵だと偽ったってこと……?」
あずさ「ふたりがそんなことを……」
真「じゃあやっぱり、ハム蔵は……」
響「残念だけど……死んじゃったんだ……。きっとそうに違いないさー……」
雪歩「そのハムスターの新しい名前を考えてほしいのかな……?」
千早「プロデューサーを糾弾したいんじゃないかしら。嘘をついていたわけだし……」
春香「でも、きっとプロデューサーさんは響を想ってそんな嘘を……悪気はないと思うんだけど」
響「違うんだ! そうじゃなくて……」
貴音「響はまだ、ハム蔵の死に疑問を残している……そういうことでしょう」
響「うん! だって、ハム蔵が簡単に死ぬはずないんだ!」
亜美「でもハムスターってアッサリ死んじゃうよね」
真美「ね」
響「ハム蔵は違うぞ! 普段から身体を鍛えてたし、自分と一緒になって健康を気遣ってたし……」
響「死んじゃうとしたら、誰かが殺した以外考えられないぞ!」
真「えっ……! つまり、響は犯人捜しをしようとして……?」
響「みんな、今から目を瞑って! そして犯人は正直に手を挙げるんだ! 自分だけ、目を開けてるからね」
真美「ひえ~! まさかアイドルになってもこれをやることになるとは……!」
亜美「亜美ね~、ああいう時、こっそり目を開けちゃうタイプ」
響「真面目にやるんだ~! これはハム蔵の弔い合戦なんだぞ!」
千早「ちょ、ちょっと我那覇さん落ち着いて。ここの誰かがハム蔵を殺したなんて……本気で思ってるの?」
響「じ、自分だって思いたくないぞ……でも、現にハム蔵は死んじゃったし……」
春香「それに、ハム蔵だって大切な事務所の仲間だもん! 殺すなんて、絶対有り得ないよ!」
やよい「私もそう思いますー!」
あずさ「やっぱり、ハム蔵ちゃんは寿命だったんじゃないかしら……」
響「そっちのほうが有り得ないぞ! だって、合宿が始まってから、まだ1年も経ってないよね!」
響「自分、ハム蔵とは合宿が始まる直前に出会ったんだ! まだ1歳にもなって…………なって……」
響「…………………………………………………………」
貴音「……響? どうしたのでしょう、まるで時間が止まったかのように固まって……」
響「あれ……? ハム蔵と自分は、まだそれだけの付き合いだったのか……? いや、でも……」ブツブツ
伊織「やっぱり……やっぱり変よ」
やよい「伊織ちゃん?」
伊織「なんだかずっとモヤモヤしてたの。本当に、合宿が始まってから1年経ってないの?」
春香「え?」
美希「ミキも、響の言ってること、おかしいって思うな」
伊織「ねえ響。どうして合宿が始まってから1年経ってないなんて思ったの?」
響「え? どうしてって……なんとなくそう思って……。む~、自分でもよくわからないぞ~」
真「でもたしかに……言われてみれば……」
雪歩「私も、なんだか頭がモヤモヤしてきたかも……」
春香「わっ、びっくりした……! 急にどうしたの伊織……!? 何かって、何……?」
伊織「それは分からないわ……でも、私はずっと前からそんな気がしてた! と思う!」
真「えー? なんだよ、それ」
伊織「とにかく! 一度探ってみるべきよ!」
雪歩「探るって……何を、どうやって……?」
伊織「プロデューサーの部屋に何か隠されてるかもしれないじゃない! 勘というか、思いつきだけど……」
真「そんな曖昧な」
伊織「曖昧でもなんでも、この伊織ちゃんが言ってるんだから間違いないわ! プロデューサーの陰謀を暴かないと……!」
美希「ミキもなんとなく、でこちゃんに賛成かなー。今のままだと、ハニーを信じられないし」
千早「水瀬さんの『陰謀』って表現はどうかと思うけど……実際にハム蔵の死を偽装したのは気になるわ」
あずさ「でも……プロデューサーさんのプライベートを荒らすだなんて……」
貴音「あの、でしたらわたくしに意見があるのですが」
亜美「おー! 意外や意外、お姫ちんが……!」
伊織「なによ、貴音」
貴音「プロデューサーが合宿所の階段付近にいるのをよく目にします」
春香「ああ、たしかに。よくあそこらへんに立ってるかも」
貴音「以前……プロデューサーが階段の踊り場の影へ隠れるように……何かをしているのを見ました」
伊織「それよ……!」
真美「よーし! じゃあさっそく調査に行こー!」
亜美「れっつらごー!」
千早「ちょっと、ふたりとも待って!」
真美「えー、千早おねえちゃん、ノリが悪いよー。今がチャンスなんだよー?」
亜美「そうそう。こっそり探るならー、やっぱ夜中じゃないと」
千早「だからこそよ。最も警戒すべき時間帯でしょ? プロデューサーだって、それは分かってるはずだわ」
春香「もしその階段付近の何かを探るにしても、ちゃんと律子さんに相談した方がいいんじゃないかな……」
伊織「いえ、律子もグルだわ」
真「えぇ!? 律子も!?」
伊織「だってそうでしょ? ハム蔵を連れて行ったとき、律子も一緒だったんだから」
伊織「それに……なんとなく、律子もグルな気がするのよ……」
真「またそんな曖昧なことを……」
伊織「うっさい! 曖昧でもなんでも、そう思うんだからしかたないでしょ!」
貴音「では決行は明日の正午が良いかと。プロデューサーの裏をかくのです」
伊織「そうね……ふたりとも、仕事で外出してるだろうし……」
真美「そうそう、イベント二日目だしー」
あずさ「私も、明日はお仕事で外出するわ」
美希「あっ、ミキも」
真「ボクと雪歩も外に出る予定だから……昼間はちょっと無理かな」
伊織「それなら、私と……春香、千早、貴音の4人で行きましょう」
春香「えっ! わ、私!?」
千早「いいけど……どうして私たちなの?」
伊織「4人とも、明日は合宿所でレッスンの予定でしょ?」
やよい「伊織ちゃん、私は?」
響「じ、自分もなにかしたいぞ~!」
伊織「やよいと響は見張り役。プロデューサーも律子も、付き添いで外に出るはずだけど」
伊織「万が一、戻ってこられたら面倒だわ。その時のための保険よ」
やよい「な、なんだか重要そう……よ~っし、がんばるぞぉ~!」
響「完璧な自分が見張りをするんだから、大船にのったつもりで存分に探すといいさー!」
ボイストレーナー「はい。じゃあ午前のレッスンはこのぐらいにしましょう」
「「「 ありがとうございました! 」」」
千早「みんな、お昼休憩に行ったようね……探るなら、今がチャンス」
伊織「いくわよっ」
春香「う、うん」
貴音「いざ……!」
――――
貴音「プロデューサーが何かをしていたのは……このあたりだったはずです」
千早「…………特に、怪しいところは無いように見えるけど……」
伊織「いいえ、きっとなにか仕掛けがあるはずだわ……! 徹底的に探すわよ!」
春香「うん……!」
貴音「……? これはいったい」
カチッ
パカッ
貴音「面妖な……! 床の出っ張りを押したら、壁の一部分が開きましたが……これはいったい……!」
伊織「は、早いわね……。もっとてこずるかと思ってたのに……」
春香「ま、まあ良かったんじゃないかな」
貴音「なんと……こ、こんぴゅぅたぁがこのような所に……!」
千早「モニターに何か表示されてるわ」
【パスワード】
春香「パスワード……だって」
伊織「な、なるほど……やってくれるじゃない。簡単にはいかないみたいね」
春香「どうしよう。想像して、適当に入れてみよっか?」
千早「想像だけでどうにかなるものじゃないわ。四条さん、何か心当たりはあるかしら」
貴音「そもそも……ぱすわーどとはいったい」
伊織「……ねえ、こういうのってヒント機能とかないの? ほら、本人が忘れちゃったときのために、用意するじゃない」
春香「あっ、これじゃないかな。【ヒント】って書いてある」
千早「選択してみましょう」
【『だって私たちみんな……○○○○○○!』 全角6文字】
千早「ここに入る6文字がパスワードになってるみたいね……」
春香「えーっと……あい……ど……る……だ、よ……っと。どうかな」
ビー
春香「違うみたい」
伊織「いくらヒントを出されても、これじゃ分からないわよっ! 手っ取り早く答えを書いちゃえばいいのに……!」
千早「それじゃパスワードの意味が無いわ」
春香「あ……ま……み……は……る……か……! どうだっ」
ビー
春香「ああ、ダメか」
伊織「当たり前でしょ! 『だって私たちみんな……あまみはるか!』って意味わかんないじゃない!」
春香「えへへ、6文字だったから、つい……」
千早「ねえ、これ……回数制限があるんじゃないかしら」
春香「えっ! そうなの!?」
千早「可能性だけど……何度も間違えられないと思う」
春香「ど、どうしよう……『あまみはるか』で1回分つかっちゃったよ……!」
伊織「アンタ……これで失敗したら恨むわよ」
貴音「やはりこれは、わたくしたちのことなのでしょうか」
春香「え?」
貴音「『わたしたち』というのは、わたくしたち……事務所の皆のことではないかと」
伊織「うーん……まあ、そうよね」
貴音「春香。わたくしたちは、何でしょう」
春香「えっ、何って……急にそう言われても……強いて言えば、仲間かな。やっぱり」
貴音「では、それが答えなはず」
伊織「そんな強引な……」
千早「こうして考えていても埒があかないわ。春香、入力してみて」
春香「う、うん……なんて繋げればいいのかな……『仲間だもんね!』とかでいいかな」
春香「えーっと……な……か……ま……だ……も……ん……ね……っと。よし」
千早「っ!? 春香っ! 『仲間だもんげ』になってるわ!」
春香「えっ……? あぁっ! う、打ち間違えちゃった!」
伊織「ちょっと! 制限があるかもしれないってのに……!」
ピンポーン
春香「あれっ! やった! 正解だって!」
春香「まあまあ、正解したんだから良かったんじゃないかな」
ゴゴゴゴゴゴ
千早「……? 何の音……?」
貴音「面妖な……!」
伊織「えっ? 今度はなによ」
貴音「地下へ通じる新たな階段が……」
春香「わっ……本当だ……!」
千早「まさか、こんな仕掛けがあったなんて……」
伊織「ほら見なさい!!! だから言ったのよ! プロデューサーは何かを隠してるって!」
千早「とにかく、中へ入って見ましょう。昼休憩も残り少ないわ」
春香「そ、そうだね。よーっし……!」
春香「ただの倉庫……ではないよね」
千早「合宿所の他の部屋とは違って、現代的というか……研究室みたい」
貴音「おや、あれは……」
春香「何か見つけたんですか?」
貴音「このこーひー牛乳には、見覚えが」
春香「あっ! それ! プロデューサーさんにもらったのと一緒!」
春香「食堂の冷蔵庫を探しても見つからないから変だなーと思ってたんだけど……。なんだ~、ここにあったんだ」
千早「『アポトキシン』の他にも色んな食品が保存されてるみたいね。……どれも店頭で見たことがないものばかりだわ」
春香「わー。見て千早ちゃん、ほら。こっちの棚にたくさんCDが……私たちの曲かなぁ」
千早「こんなにたくさん……? DVDも混ざってるみたいね」
春香「あっ、じゃあ出演した番組のライブラリーかも。……『催眠type.C.K.72』? そんな番組あったかな……」
春香「これを全部調べるのはちょっと……大変そうかな」
千早「全てを確認するのは無理だとしても、ある程度は見ておかないと」
伊織「そうね……ちょっと読んでみましょう。えーっと……とりあえず、新しいやつから……」
【水瀬伊織に突如として変質の予兆が見られる。また、伊織の発言により、アイドルたちに同様の変質を確認】
【水瀬伊織、および星井美希の変質が顕著となった。やはり2年を超えると精神面でのズレが問題となる】
【アポトキシン投与のタイミングに合わせ、催眠効果を増幅させる。結果は良好】
伊織「なによ……これ……! 催眠……!?」
春香「伊織の発言……? 何か言ってたっけ?」
千早「日付は一昨日……誕生パーティーのことじゃないかしら」
伊織「その時、私なにか言った?」
千早「……ごめんなさい。よく覚えてないの……一昨日のことなのに」
貴音「わたくしも、何故だかここ数日の記憶が曖昧で……」
【1人目は秋月律子とした。現在のプロダクションの中で、最も能力が高いと判断してのことだ】
【手探りでの加工であったが、無事安定へ持ち込むことに成功した。彼女にはサポート役としてこちら側へついてもらう】
千早「律子が……?」
伊織「やっぱり! 律子は操られて、プロデューサーの下僕になってるのよ……!」
春香「げ、下僕って……そもそも、何をしてるのかな。この資料だけじゃ、いまいち分からないんだけど……」
伊織「催眠よ催眠! そう書いてあったじゃない!」
春香「催眠で……何をするの? プロデューサーさんは何が目的で――」
伊織「そ、それは……もっと調べれば、分かるはずよ! ここの資料を片っ端から……!」
律子「あなたたち……何をしてるの?」
「「「「 !? 」」」」
美希「ごめんね、でこちゃん。……ミキ、ちょっとドジちゃったの」ヒョコ
春香「美希……!」
美希「ミキね、移動中の車の中で、計画を全部喋っちゃったんだって」
―――
美希「むにゃむにゃ……ハニー……ごめんなさい……階段に何か隠してるって……思ったから……」
美希「でこちゃんたちが……探ってるの……作戦成功って思うな……むにゃむにゃ」
律子「ちょっと美希。起きなさい。今の、どういうこと?」
―――
美希「寝言って怖いの」
伊織「アンタねぇ……! 呆れてものも言えないわよ……!」
美希「ふたりなら、必死に何かを探してたよ? ミキたちに全然気づいてなかったみたい」
―――
響「二代目ハム蔵~! どこ行ったんだ~! 出てこーい!」
やよい「響さん! あっちの草むらも探してみましょー!」
響「わ、わかった! おーい! 二代目~! 出てきてくれ~! 自分、二代目も失ったら立ち直れないんだー!」
―――
伊織「ぬぬぬっ……!」
律子「質問に答えなさい。あなたたちは、ここで、何をしているの?」
伊織「アポトキシン投与とか! 催眠とか! ハム蔵の死も偽装したんでしょ!? どういうつもりよ!!!」
律子「……そう、そこまで知ってしまったのね……」
春香「あ、あの……律子さん……?」
律子「残念だけど、あなたたちが知っていいことじゃないのよ。そこに書かれていることは、全て」
千早「そんな……勝手です! きちんと説明してください!」
律子「できないわ」
伊織「律子……!」
貴音「無駄です。律子嬢は正気を失っています……あの目、わたくしが事務所へ入った時、向き合った目とは似て非なるもの」
伊織「どうやらそのようね……正気に戻りなさいよ! 律子!!!」
律子「私は正気よ? ……正気を取り戻すべきはあなたたち……」
チャキッ
伊織「ひっ……な、なによ……その銃……!」
律子「安心して、麻酔薬を撃ちこむだけだから」
貴音「どうやら、わたくしたちを武力で抑えつけるようです……!」
春香「こ、こうなったら、歌の力だよ! 千早ちゃん!」
千早「えっ……?」
千早「わ、わかったわ……! 律子! 私たち、事務所の皆で、一緒にトップアイドルを目指すって約束したわよね……!」
千早「思い出して、その『約束』!!!」
千早「……ねえ、今ー見つめーていーるよー♪」
律子「大人しくしなさい!!!」
パシュッ
千早「きゃあ!」
ドテン
春香「千早ちゃん!」
千早「だ、ダメよ春香……! 暴力の前では歌なんて無力なんだわ……!」
律子「次は外さない……」
美希「あわわ……!」
伊織「も、もう駄目だわ……!」
スッ
律子「なっ」
ガシッ
貴音「せいっ!」
ブンッ
律子「きゃー!!!!!」
ドガッ バリーーーーンッ
春香「り、律子さん!」
伊織「顔面から壁にぶつかったわよ!?」
千早「め、眼鏡が……!」
貴音「律子嬢……! なんという……わたくし、少々、やりすぎたような……!」
律子「う、うう……あら……わ、私……いったい……」
春香「律子さん、大丈夫ですか……?」
律子「春香……千早、伊織……貴音……美希……あら、眼鏡は? 眼鏡……眼鏡」
貴音「わたくしの知っている、律子嬢の目です。狙い通り……洗脳は解けたのですね」
伊織「あーあ、眼鏡めちゃくちゃね。千早、欠片を集めても意味ないわよ。新しいのを買った方が――」
千早「これ」
伊織「え?」
千早「眼鏡の耳当ての部分に、小さな針がついてる」
伊織「あら……ほんとね」
千早「きっと、この針が洗脳の原因のひとつなのよ」
伊織「そっか、貴音が律子を投げ飛ばして眼鏡が壊れたから……!」
春香「やった! 貴音さん!」
貴音「ええ。仲間の危機にこそ、この特技を活かしたかったので、とても満足しております」
律子「はぁ……なんだか、今までのことが全て夢だったみたいな……」
春香「律子さん、大丈夫ですか?」
律子「大丈夫……だと思うわ。自信無いけど」
美希「律子……さん、どうしてあんな酷いことしたの?」
律子「ごめんなさい……今の今まで、それが正しいことなんだって思いこんでて……」
やよい「あーっ! みーつけた! 響さん! ここにいました~!」
響「二代目~! もー、自分すっごくすっごく心配したぞ~!」
ハム蔵「ヂューーー」
響「勝手にどっかいったらメッ! どこかへ行きたいときは、事前に自分へ報告すること!」
ハム蔵「ヂュー」
P「…………何してんだ? ふたりとも」
やよい「あっ、ぷ、プロデューサー!」
響「ぬわっ! あの、その、えっと……自分、ちょっと二代目を……」
P「二代目?」
響「あっ! ちがっ! 違うぞ! にだい……そう! 荷台! やよいとトラックの荷台の話をしてて……。ね! やよい!」
やよい「えっ? あ、はい! その、荷台って、本当に、荷台だなーって!」
P「へぇ……マニアックだな」
やよい「プロデューサーさんは、お仕事終わったんですかー?」
P「いや、ちょっと抜けてきたんだ。こっちに残ってるみんなはどんな様子かなーと思って」
響「へ、へぇ~、そ、そうかー、ふーん」
響「なんで!?」
P「え? なんで? って……なんで? なんか不都合でもあんのか?」
響「あ、いや……その、だって、自分たちの様子を見たから、もう安心でしょ?」
やよい「はい! もうプロデューサーさんは、真さんたちのお仕事に戻って平気かなーって!」
P「そうか……? いや、でも一応見てくるよ。皆がレッスンを受けてる間に、誰かが侵入してる可能性だってあるし」
響「じ、自分たちは、全然、侵入なんて! してないぞ!!!」
P「は?」
やよい「か、階段には、誰もいませんから!!!」
P「……」
響「だ、だから、プロデューサーは、その……安心して……」
P「……」ダッ
やよい「あう~! 突破されましたー!」
響「うぎゃー! 完璧な自分でも誤魔化しきれなかったー!」
律子「それは……」
バンッ
P「おい! これはいったい……!」
千早「ぷ、プロデューサー!」
伊織「あ、アンタ……どうしてここに……!?」
<待って~!
<プロデューサー!
響「はぁ……やっと追いついたぞ~!」
やよい「あれあれ~! 律子さん、いつのまに~!? ぜ、全然気づきませんでしたぁ!」
P「律子! お前、どういうつもりで……! っ!? 眼鏡が……そういうことか……」
律子「プロデューサー。ずっと私を利用していたいんですね……。でも、もう思い通りにはなりませんよ!」ビシッ
美希「律子……さん。ハニーはあっちなの。それは棚」
律子「あ、そう……」
伊織「観念しなさい! 伊織ちゃんを騙そうなんて、100年早いんだから!!!」
P「さすが伊織だよ。俺が見込んだアイドルなだけはある。みんなも、よくここまで辿りついたな」
春香「えへへ、褒められちゃった」
伊織「ふ、ふん! 褒めたって何も出ないんだからね!」
千早「プロデューサー……これはいったいどういうことなんですか」
春香「あっ! まさかドッキリ~……なんてことは……ないです、よね。ははは」
貴音「あなた様は……何を考えて、わたくしたちに隠し事を……?」
P「……こうなったら、さらに効力を高めた催眠を試すか……」
律子「っ! プロデューサー!」
P「冗談だよ。効力をあげればその分、危険性も高まるからな……。俺の独断でどうこうできる状態じゃない」
P「律子、他の皆も呼ぼう。全員に話す時が来たみたいだからな。あの計画のことを……」
春香「あの……計画?」
やよい「うわー! なんだかすごそうですっ! かっくいー!」
伊織「やよい! 敵の言うことよ!」
P「これだけは先に言っておくが……俺は敵じゃない。お前たちの味方なんだ」
雪歩「あの……プロデューサーのお話というのは……」
あずさ「やっぱり、伊織ちゃんの言っていたことと関係あるのかしら……?」
響「伊織ばっかりずるい……元々は、自分が初代ハム蔵の死に疑問を抱いたのが始まりで……」
亜美「まあまあ、ひびきん。抑えて抑えて」
真美「ここはいおりんに譲ってあげようよー。すーっかりドヤ顔してるし」
伊織「ど、ドヤ顔なんてしてないわよっ」
P「さて……全員集まったな」
真「集まりましたけど……」
千早「聞かせてください、プロデューサー。いったい、私たちに何を隠していたのか……何をしていたのかを」
P「そうだな……みんなは、ブライダルジュエリーにプラチナが用いられる理由、知ってるか?」
貴音「ぶらいだるじゅえりぃ……?」
あずさ「結婚指輪のことですよね? たしか、プラチナは『永遠』を象徴しているからって、聞いたことありますけど~」
P「そうです。プラチナは変質しにくい。色あせることなく、長い年月を輝き続ける……」
伊織「そ、それがなんだってのよ! 私たちが聞きたいのはそんなことじゃなくて――」
P「プラチナのように、永遠に輝き続けるアイドルを作り上げる計画……」
P「それが『プラチナスターズ・プロジェクト』だ」
伊織「えっ……?」
春香「ぷ、プラチナスターズ……?」
律子「社長……!」
真「あの、プラチナスターズって……何なんですか!?」
貴音「永遠に輝き続ける……聞こえは良いですが、その真意はどのようなものなのでしょう」
社長「話の腰を折ってしまってすまん。君、話を続けてくれ」
P「はい。……みんなに聞きたいんだが、アイドルにとって最大の敵はなんだと思う?」
やよい「敵、ですかー?」
亜美「そりゃ兄ちゃん! ライバルだよ!」
真美「好敵手と書いて、ライバル!」
千早「私たちの敵……それは、自分自身だと思います」
春香「うーん……誰が敵かなんて、考えたことないなぁ」
P「なるほどな……みんなそれぞれの考えがあるだろうが、俺と社長が考えるアイドルの敵は『時間』だ」
真「時間……?」
雪歩「あの、それってどういう……」
P「分かりにくければ、こう言い換えよう。『老い』……『老化』だよ」
千早「なっ……!」
P「お前たちはアイドルだから分からんだろうが……もし自分たちがファンの側だったらどう思う?」
P「応援していたアイドルが年を重ね、肌は荒れ、皺が増え、声のハリも無くなり……体力の衰えによってパフォーマンスは劣化する」
P「虚しいだろう。成長と言えば聞こえはいいが、枯れていく様を見ているだけなんだよ」
P「そんな悲しみを断ち切るために打ち出した一大プロジェクトが、この『プラチナスターズ・プロジェクト』だ」
P「うちだけじゃない。みんながよく世話になってるTV局や企画会社、研究所なんかも参加してるんだぞ」
春香「あ、あはは……ぷ、プロデューサーさん、なにを……」
雪歩「え……? え?」
響「な、なに言ってるの……? 自分、全然わからないぞ……! そ、そんな! そんなバカげた話……!」
P「バカげてなんかない。実現は可能だったんだよ。アイドルの記憶を操作してな、一定の期間を繰り返してもらうんだ」
P「もちろん、それだけじゃ身体の劣化は止められない。そこでアポトキシンだよ。こいつに見覚えあるだろ?」
あずさ「それって……たしか……」
千早「私たちに飲ませたコーヒー牛乳ですよね」
P「そうだ。まあコーヒー牛乳である必要性はないんだ。この粉末を混ぜりゃ、なんだっていい」
伊織「そ、それを飲むとどうなるってのよ……!」
P「身体の成長が止まる……いや、正確に言えば退行するんだ。若返りの薬だよ」
貴音「面妖な……そのようものが存在するとは……にわかには信じられませんが、それが真実なのでしょう」
P「ああ、現にこうして成長の止まったみんながいるからな」
真「ボクたちの成長が止まってるだなんて……ははは、やだなー。ホントにこれ、ドッキリじゃないですか~?」
P「真。ドッキリなんかじゃないんだ。みんな、3年前から歳をとってないんだぞ?」
真「え……えぇぇえ!?」
やよい「えっとえっと……じゃあじゃあ、私たちって……本当は何歳で……」
雪歩「で、でも……そんなの変ですぅ~! だって、3年もそのままなんて……周りの人が不審に思うじゃないですか……!」
春香「そうですよ! プロデューサーさんの話が本当なら、私3年間ずっと『天海春香、17歳!』って言ってたことになっちゃいますよ!」
P「言ってたんだよ」
春香「え~! そ、そんな……まるっきりバカみたいじゃないですか……! ファンのみんなは指摘してくれませんでしたよ!?」
P「そりゃそうだ。客もグルなんだから」
春香「ああ、そうなんですか。……………………………………………………ええぇえぇぇ!?!?!?!?」
伊織「う、嘘でしょ……? 客もグルって……!」
千早「……わたしたちのファンも……プラチナスターズ・プロジェクトの協力者……ってことですか……?」
P「そうだ。計画の概要を説明し、同意を得て、会員になってもらってる」
伊織「……っ!」
P「歳を追うごとに内面が洗練されるって言ったけど……それを嫌がるファンもいるからな」
P「いつまでも、売れ始めの成熟しきってない初々しさを楽しんでもらいたい。そう思ってたんだ」
P「大変だったんだぞ。隠し通すの。なるべく外の情報をシャットアウトして……」
P「でも、ここまで計画が知れたとなると、話は変わってくる」
社長「研究所の先生方も、これ以上の催眠は精神面に深い影響を及ぼしかねないと漏らしている。ここらが潮時と思ったんだ」
P「思い切って話せてよかったよ。いい機会だよ。これを機にさ、みんなにも計画へ参加してもらいたいんだ」
社長「もちろん、賛同してくれるな? これからも、永遠に輝き続けるプラチナのようなアイドルとして」
社長「我がプロダクションとプラチナスターズ・プロジェクトを盛り上げてくれ」
「「「 …… 」」」
社長「ん?」
P「どうしたんだ、みんな」
伊織「なにが……盛り上げてくれよ……ふざけんじゃないわよ!!!」
P「お、おいおい。伊織、何を言い出すんだ。永遠に輝き続けることができるんだぞ?」
P「みんなは、計画に乗ってくれるよな? な?」
「「「 …… 」」」
P「な……なんだよ、そんな顔するなよ……。どうしたんだ……?」
P「みんな言ってたじゃないか……! アイドルとして輝き続けたいって……! その夢を叶える計画なんだぞ!?」
春香「プロデューサーさん……たしかに、私たちは輝きたいって……ずっとずーっと、輝きたいって思ってます」
春香「でも……プラチナスターズは、なんだか……違うと思うんです」
P「は、はあぁ? なにが、違うってんだよ……?」
千早「私たちは、限られた時間だからこそ……今しかないって思えるからこそ、力の限り輝こうと思えるんです」
雪歩「永遠なんて長すぎて……私には、ちょっと付いていけません~! それに、変化が無いなんて……そんなの……!」
真「雪歩の言うとおりですよ! そんなの、絶対つまらない! 退屈すぎます!」
P「じゃ、じゃあ! 劣化していいのか!? 若さと美貌がアイドルの全てだろ!?」
亜美「兄ちゃんはさっきから劣化っていうけどー、ホントに劣化なのー?」
真美「そういうのはよく分かんないけど、真美はもっと成長したいって思うなー。あずさお姉ちゃんみたいに、ボインになりたい!」
亜美「亜美もー!」
あずさ「あ、あらあら……でも、プロデューサーさん。私も同じ気持ちです」
P「あずささん……!? 最年長のあなたまで……!」
あずさ「でも、それ以上にワクワクもするんですよ? もしかしたら、今よりもずっと素敵な私になれるんじゃないか……」
あずさ「そう思えると、どんなに辛いことがあっても、頑張ろうって思えるんです」
あずさ「成長できなくなっちゃったら……そんな思いも、無くなっちゃうんですよね。そんなの、嫌です」
高音「移り変わってこその人間……進化しようと劣化しようと、それを含めてわたくしたちです」
高音「変化を拒むということは、自分自身を捨てるも当然……そのような不埒な行為、認めていいはずがありません」
響「……自分は、頑張って育てた動物が大きくなると、すっごく嬉しいぞ!」
響「初めて会った時の可愛さが無くなっちゃうのは少しさみしいなーって思うこともあるけど……」
響「でも、歳をとった動物には、また別の良さがあるから……他人に勝手に決めてほしくないぞ!」
P「な、何言ってるんだよ……! ファンの気持ちはどうなるんだ!? お前らが劣化するのが嫌だから……」
P「こうして、多くの会員が集まったんだぞ!? ファ、ファンの気持ちを裏切るのか!?」
美希「ん~……でも、変化が無いとみんなもそのうち飽きちゃうんじゃない? ミキは退屈かな」
美希「それに、ファンのみんなは変わっていくでしょ? ミキね、ファンのみんなと一緒に変わっていきたいって思うな」
美希「ミキたちだけ置いてけぼりなんて、そんなの絶対に嫌なの」
伊織「やよいはどう? ずっと今のままがいい? もちろん、私は今のやよいも大好きだけど……」
やよい「うーん。困るかなぁ……だって、長介たちに歳を追い越されちゃうよ」
伊織「ふふ、そうよね」
P「う、ぐぐぐ……!」
伊織「いいえ、もうアンタなんてプロデューサーなんかじゃないわ! 私たちが認めないんだから!」
P「う、うう、しゃ、社長……! 予想外の展開ですよ……!」
社長「む、むむ……君たち、考えを改めるつもりはないのか?」
P「そ、そうだ! 計画が破綻したら……会員は、ファンはどうするつもりだ!? 見捨てるのか!?」
千早「いいえ。アイドルがファンを見捨てるなんて有り得ません。変化を望まない人たちがいるなら、それはそれです」
春香「私たちが変化の中でも輝こうと思えば……必死に頑張れば、きっと思いは届きます。きっとみんなは振り向いてくれます」
春香「私が憧れているトップアイドルは、そういう努力をする人たちですよ。プロデューサーさん」
社長「だが、時間は残酷だぞ!? 君たちはいずれ、かならずアイドルを続けられなくなる……! その時、耐えられるのか!?」
真「うーん……想像もできないけど……たぶん、すごく落ち込みそうだなぁ」
雪歩「そうだね……きっと穴掘って埋まりたくなるよ……うぅ、想像しただけでゾッとする……」
社長「ならば!」
千早「さっきも言いましたけど、限られているからこそ、私たちの中でかけがえのないものになるんです」
春香「永遠だなんて……そんなに欲張っちゃったら、きっと私、どれが大切なのか分からなくなっちゃいます。えへへ」
ハム蔵「ヂュー!!!」ガブッ
P「ぐあっ、こいつっ!」
響「二代目!!!」
貴音「手荒な真似はしたくありませんが……こうなっては致し方ありません」
ガシッ
P「おっ!?」
貴音「せいっ」
ブンッ
P「うわあああああああああああっ」
ドカッ
貴音「あなた様はもう……わたくしたちのプロデューサーではありません」
社長「な、なんてことだ……私の計画が……プラチナスターズが……!」
伊織「なにがプラチナスターズよ。ふざけないで」
社長「……!」
伊織「私たちがプラチナになったって何の意味も無いわ……」
伊織「ファンのみんなと一緒に成長して……一緒につくる思い出こそが、プラチナなんだから!」
社長「うう……」ガクッ
春香「はぁ……まさか合宿が始まってから3年経ってたなんて……」
千早「いまだに、信じられないわ……」
律子「でも、それが現実よ。あなたたちは間違いなく、時間の流れから取り残されてきた」
亜美「んっふっふ~」
真美「いおり~ん」
伊織「……? なによ。変な笑いを浮かべちゃって」
亜美「『思い出こそが、プラチナなんだから』」キリッ
伊織「~~~~~~っ!!!//// な、なによっ! 別にいいでしょ! そう思ったんだからっ」
雪歩「伊織ちゃんの言うとおりだよっ。私、ああそうだなぁって思ったもん」
真「たしかに。ボクたちが大切にしたいのは、ファンの皆との思い出だよね」
貴音「わたくしたちが……わたくしたちだけが輝き続けていては、意味などありません」
あずさ「ええ。この合宿を終えて、私たちはまた成長を再開することができるんだわ。アイドルとしての再スタートね」
律子「まあ……社長もプロデューサーもあんなで、事務所も駄目になっちゃうでしょうし……どうしたもんか、って状況だけど」
春香「ああ! そっか、どうしよう……!」
響「なんくるないさー! 自分たちさえいれば、なんだってできる!」
やよい「そうですよ! がんばりましょー! うっうー!」
律子「そう、ね……。よし! 新しい事務所を探さないと……!」
伊織「なんとしてもトップアイドルになってやるわよ……! のんびりしている暇はないわ! 時間は有限なんだから!」
小鳥「新しいメンバー、だいぶここに馴染んできましたねぇ」
高木社長「うむ。やはり彼女たちを我が765プロへ引き入れたのは大正解だった」
律子「社長! おはようございます!」
高木社長「いやぁ、律子くん。色々と後始末は大変だったろうが、今日から新しいスタートを切ることができる!」
高木社長「我が765プロも、本格的なアイドル事務所として活動することができると思うと、感慨深い! 是非とも、宜しく頼むよぉ!」
律子「はい! 『765』って名前にはまだ慣れませんけど……今日からは心機一転! 気合を入れていきましょう!」
律子「なんてったって、新しいプロデューサーを迎えて本格始動ですからね!」
プロデューサー「あの~……すいません」
律子「あっ、さっそく来たみたい。はーい、みんな集まって~」
春香「あっ! あの人が……!」
千早「なんだか、少し頼りなさそう……」
雪歩「うぅ……やっぱり男の人はちょっと……」
伊織「パッとしないわね。ホントに大丈夫?」
律子「ほーら、静かに。それじゃあプロデューサー。初心表明をお願いしようかしら」
プロデューサー「えっと……今日から、765プロのプロデューサーとして、その……ああー」
プロデューサー「と、とにかく! 不慣れなこともありますけど、みんなと一緒に成長していきたいと思ってます!」
プロデューサー「どうぞ、よろしくおねがいします!!!」
「「「「「 よろしくおねがいします! プロデューサー(さん)! 」」」」」
END
乙
掲載元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1486291006/
Entry ⇒ 2018.03.20 | Category ⇒ アイドルマスター | Comments (0)
律子「もうそろそろ伊織も知っておくべきかもね…」
伊織「いや、そこじゃなくて…私、福利厚生については765プロに入った時にちゃんと説明されて…」
律子「その時に説明していなかったものが、実はまだあるのよ…」
律子「ええ、あくまで『一般的な企業』にある分はね…でもね、伊織。私たちはアイドルなのよ」
伊織「だからどうしたのよ?」
伊織「確かにそういうことも多いけれど…私は別に不自由してないし…それに結局範囲が広すぎて意味がわからないわよ?」
律子「まあ、百聞は一見にしかずよ。今はちょうど…あずささんね」
伊織「な、何よ…これ…」
小鳥「あずささん、今日はお疲れみたいですしここまでにしておきましょうか?」クチュクチュ
伊織「小鳥!?」
小鳥「そうですよね、せっかく競泳水着まで着てきたんですもんね?」
あずさ「だ、だって…これ着たほうが…」
あずさ「き、気持ちいいから…」
伊織「あずさ…一体どうして…」
律子「何も不思議なことじゃないわ。人間の三大欲求の一つ『性欲』よ」
伊織「性欲…」
あずさ「はぅっ!?」ビクンッ
小鳥「ならもっと恥ずかしいポーズを取りなさい…もっと気持ちよくしてあげる…」
あずさ「は、はいぃぃ…」バッ
伊織「あずさ…」
小鳥「はい、よくできました」ズプププ...
あずさ「つぅぅぅ!?」
ウィィィィィン
あずさ「ふぁぁぁぁあ!?だ、ダメェ!えっちな声でちゃ…あぁぁ!?」
律子「だからこうして同性同士で解消する…そうする機会を無料で提供している…それが765プロの最後の福利厚生よ…」
伊織「そんな…」
あずさ「ち、乳首しゅご…おほぉ!?」
小鳥「本当にいやらしいですね~。やだ乳輪こちょこちょしてるだけなのに乳首ビンビンじゃないですか」サワサワサワ
小鳥「ふふふ…わかってるわよ、ほら!ほら!ほら!ここがいいんでしょ?ここが!」クリクリクリクリ
あずさ「ひぃぃぃぃん!?しょことろけ…ふぁぁぁぁあん!?」ビクビクビク
伊織「…小鳥の趣味じゃないの?」
律子「ま、まぁ反映される部分も多少は…」
律子『まああくまでも受けるも受けないも自由だから。これまでと変わらず生活してね』
伊織(なんて言ってたけど…)
伊織「いや、無理でしょ!?これからどんな顔してあずさと会えばいいのよ!?」
ガチャッ
伊織「!?」
伊織「あぁ…なに小鳥じゃな…」
小鳥『ふふふ…わかってるわよ、ほら!ほら!ほら!ここがいいんでしょ?ここが!』
伊織(いやいやいやいや!?違う違う違う!なんならこいつの方がヤバいわよ!」
伊織「なななな何でもないわよ!?」
伊織(あぶな!?声に出てたわ…)
伊織「そそそ、そんなことより、外に出て何をしてたの?」
小鳥「いや、それがね…」
あずささんの家の前
小鳥『あずささん、風邪ひいちゃったみたいなの。それで薬を買ってきたんだけど私は私でどうしても外せない用事があって…だから伊織ちゃん…』
伊織「薬を届けて…って言われてもねぇ…」
伊織「はぁ…」
伊織「…大丈夫、薬を届けるだけ…昨日のことは関係ない…関係ない…」
伊織「あずさー?あんた大丈夫?このスーパーアイドル伊織ちゃんが薬持ってきてあげたわよー?」キラキラ
伊織(よし、大丈夫、いつも通り…いつも通り…)
あずさ「はぁ…はぁ…伊織…ちゃん?」
伊織 ドキッ
伊織(いや、何よ!?この色気は!?いや、そもそも『ドキッ』って何よ!?)
伊織(誤魔化せるかぁぁあ!もうほとんどご主人様って言ってるじゃない!?)
あずさ「ふぅん!?はぁ…ま、まぁあがっ、て…はぁ…はぁ」
伊織(勘違いよね!?ピ-(自主規制)とかピ-(自主規制)な声に聞こえるけど勘違いよね!?)
伊織「…辛そうね」
あずさ「はぁ…はぁ…だい…じょうぶよ…それよ、り…んっ…薬を…」
伊織「ああ、そうだったわね。はいこれ」スッ
伊織「ほら、さっさと飲んじゃいなさい」
あずさ「…」
伊織「どうしたのよ?」
伊織「はぁ?何を言って…」
あずさ スッ
座薬
伊織「…」
あずさ「あ、あのぉ…」
伊織「で、出とくから!!外にいるからさっさと挿れちゃいなさいよ!」
あずさ「え、えぇ…」
伊織「じゃあね!」
バタン
アンッ
伊織「!?」
クッ...フッ...フワァ
伊織(あずさぁぁぁぁあ!?声出てるのよぉぉぉお!?)
伊織(感じてるじゃない!完全に座薬挿れる過程で気持ちよくなってるじゃない!)
フッ...フワァッ....アァァ....
伊織(イッたぁぁぁぁあ!?完全にイッたわよ!?一試合すんじゃったわよ!)
あずさ「はぁ…はぁ…い、伊織ちゃん…」
伊織「ど、どうしたのよ…?」
あずさ「その…あの…」モジモジ
伊織「だからどうしたのよ?はっきり言いなさいよ」
伊織(長めのワイシャツだけ着てモジモジするなぁぁぁぁあ!変な色気出てるからぁ!そもそもそんなワイシャツ着てなかったでしょうがぁぁぁあ!)
伊織「は?」
あずさ「だ、だから…私…1人じゃうまく挿れれないから…誰かに挿れてもらわないと…」
伊織「無理無理無理無理!!あんた何考えてんのよ!」
伊織 ドキッ
伊織(いや、何がドキッよ!?あずさは友達よ!友達にそんな…)
あずさ「お願い…私の…私のお尻に…挿れて…」
伊織「…」
あずさ「ごめんね、伊織ちゃん…」
伊織「…本当よ…」
伊織(どうしてこうなった…)
伊織(四つん這いになって…)
あずさ「お願いします…」ペロンッ
伊織(お尻を突き出した…)
伊織(風邪で苦しいのか、このシチュエーションに興奮してるのかわからないのよ!)
あずさ「早く…挿れてぇ…」
伊織「え、えぇそうね…」
伊織(涙目で顔を赤らめて言うなあぁぁぁぁあ!)
伊織「えぇっと…座薬がはいらない場合…まずは付属のオイルを塗って…」ファサ
あずさ「はひっ!?」
伊織「ちょっとぉ!?変な声出さないでよ!」
伊織「しょうがないでしょ!筆も一緒に入ってたんだから!そしたら普通筆で塗るでしょ!?」
あずさ「で、でも…」
伊織「つべこべ言わない!」
伊織(私だって必死なのよ!)
あずさ「くぅぅぅぅぅう!?」ゾクゾクゾクゾク
伊織「ちょっと!動かないでよ!それにその声…もしかして感じてる?」
伊織(あれ?私何を言って…)
伊織「ほら、中央の窄みにも塗るわよ」クリクリクリクリ
あずさ「~~~~~~~~~~~~~!?」ゾクゾクゾクゾク
伊織「そうよねぇ、歳下の、それも同性の女の子にお尻の穴を筆で撫でられて感じるなんてただの変態だもんねぇ」
伊織(いやいやいや!?私一体何を言ってるの!?)
伊織「こんなもんかしらね…それじゃあ次は…」
ズプッ
あずさ「ひぃうん!?」
伊織「…入ったみたいね」
伊織(ええ、そうね。これだけ入れば十分…)
伊織「ダメよ。しばらく押さえていないとまた出てくるわ」
伊織(さっきから私は何を言って…)
伊織「これ以上は?」
伊織(ダメ!ダメよ!止まるのよ私!)
あずさ「これ以上は…」
伊織(これ以上は…)
伊織「だから?」
あずさ「お願い…伊織ちゃん…シて…」
伊織 ブチン
あずさ「!?」
クチュクチュ
あずさ「あっ…あっ…」
クチュクチュクチュクチュ
あずさ「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!?」ビクビクビクビク
あずさ「い、言わない…れ…あん!?」ビクビク
伊織「そんなこと言って!お尻は悦んでるわよ?あんたも正直になりなさい。ほら、こう言うのよ…」ヒソヒソ
あずさ「そ、そんなの…」
あずさ「あぁ…」
伊織「こうやって、少しずつ…少しずつ…決してイケないように責めてあげる…」
あずさ「そ、そんな…」
あずさ「くぅっ!?」
伊織「あんたがいい子になるまでずっとこうしてあげる」コチョコチョ
あずさ「こちょこちょいやぁぁぁぁぁぁあ!お尻こちょこちょしないでぇ!気持ちいい…気持ちいいのにイケないぃぃい!」
あずさ「わ、私は…」
伊織「私は?」
あずさ「歳下の女の子に…筆で…アナルを…こちょこちょされて…ケツマンコをほじほじされて悦ぶ変態です…」
あずさ「だから…私の…このいやらしい…いやらしいメスの…び、敏感ケツ…ケツマンコを…トロトロに…溶かしてください…」
ズボッ
あずさ「u@8#/&jm9_!5tj'$○☆〒!?」ビクビクビクビク
伊織「はい、よくできました?」
伊織「あら?ここや…」コチョコチョ
あずさ「乳首ぃぃい!?」
伊織「ここはいいの?」ペロペロ
あずさ「脇ぃぃい!?りゃめぇぇえ!?」
あずさ「ふぉぉぉお!?」
伊織「歳下の女の子に全てを曝け出して…イケ!」
あずさ「おぉぉぉぉん!?」
伊織の部屋
伊織「…」
伊織(私はどうしてあんなことを…)
コンコン
伊織「どうしたの?」
新堂「お嬢様、事務所の方が…」
伊織「は?事務所には風邪をひいたってことで言っておいてと…」
伊織「へ?」
ガチャ
小鳥「いーおーりーちゃーん、風邪には座薬が効くわよぉ?」スッ
あずさ「オイルに筆もあるからね?」スッ
伊織「い…」
伊織「いやぁぁぁぁぁぁあ!?」
終わり
あずささんのアナルが敏感ならいいなって思っただけなんだ
許してください
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1481430596/
Entry ⇒ 2018.03.17 | Category ⇒ アイドルマスター | Comments (0)
雪歩「控え室」
気を使って分けてもらったその部屋は、一人で使うにはあまりにも広かった。
エアコンの音が、やけに耳障りに思える。
鏡に映った白と黒のモノトーンの衣装を身にまとった自分の顔は、これからオーディションを受けるアイドルとは思えないほどひどい顔だった。
オーディションの前はいつもこうだ。
勝って誰かの夢を自分が踏み潰すことが嫌で、負ければみんなの期待に応えられない自分が嫌で。
常々なんでアイドルを続けているんだろうと思うことがある。
勝っても負けても辛いことばかりなのに。未だに理由は分からない。
でも、この身体がそれで立ち止まることを許してはくれない。
その熱に浮かされるように、今までアイドル活動を続けてきた。
嬉し涙も悔し涙も見てきたし、流してきた。
デビューしたての時のように、それこそ人に涙を流させてしまったことに落ち込むということは無くなったのだが。
その「涙」の価値を、理由をよく知っているからだ。
お互い様だろうけれども。
遅くまで残ってレッスンしていたことも、仕事の合間に疲れているにも関わらず時間を見つけて修正していたことも、何もかも。
相談を受けたことだってある。したこともある。
どれだけ頑張ったか知ってるから勝たせてあげたいと強く仲間のことを想う。
そしてそれと同じ、いやそれ以上に負けたくないと思う。
そして結局のところ、単純な綱引きになる。
何度も泣かしたし、泣かされたりした。
戦ったことのない相手ではない。
けれどもこのランクアップをかけた大一番だけは避けたかった。
これだけは来ないでほしいと星空に願ったことは数え切れないほどだった。
今までのみんなと何が違うのか、と問われても上手く答えることはできない。
あぁなれたらいいな、あぁなりたいなという憧れがあるからなのかもしれない。
そんな憧れの人を自分が足踏みさせたくないというのもあるのかもしれない。
じゃあ負ければいい、手を抜けばいいとはならない。
そうもう一人の『憧れ』に教わったからだ。
最高の自分で向かい、戦う。
そう決心したはずなのに、やはり心は憂鬱であった。
勝敗がというわけではなく、対角線上に立つこと自体が原因だと思う。
やっぱり今日こうやって競い合う日はずっと、できれば永遠にあってほしくはなかった。
そう聞いたことがある。
彼女は同い年の彼女と、毎日と言っていいほど競い合っていた。
勝ったり負けたり、笑ったり泣いたりの同門対決を私たちの中で誰よりもやってきた。
『そんなこと思ったことないわね』
と彼女は答えた。
あいつもきっとそう言うわよ、と添えて。
この二人なのだが別に仲が悪いわけではない。
二人でやってるラジオは好評だし、事務所ではファッションだったり化粧品だったりと仲睦まじげに話している様子をよく見かける。
まぁその時、私は今日対角線上に立つ憧れと一緒にステージに立ち、勝ったのだけれども。
『あいつを倒すのに一番相応しいのは私だと思ってるし、私以外に負けるあいつなんて世界で一番見たくない光景よ』
私以外に勝つあいつは二番目に見たくない光景ね、とこれまたぽそっと付け足して、彼女は言った。
その問いの答えはずっと前に出ていた。
考えるまでもなかった。
どうして今まで忘れていたのか、自分でも不思議だ。
そんなのは絶対にいや。
出た答えは彼女と同じだった。
他の人にうぬぼれだと揶揄されても構わない。
私が、この萩原雪歩こそが、親友である真ちゃんを倒すには一番相応しいと思っている。
声に出して、もう一度繰り返す。
親友である真ちゃんを倒すのに相応しい私が、全力で負かしに行く。
控え室は水中のように静かだった。
一人で使うにはあまりにも広かったその部屋で良かったと思う。
もし同じ部屋ならこんな気持ちになることなんてなかっただろうから。
もしかしたら泣いてたかもしれない。
エアコンの音は、もう気にならない。
鏡に映った白と黒のモノトーンの衣装を身にまとった自分の顔は、良い顔をしていた。
プロデューサーのノックの音。時間だ。
さぁ行こう。私が勝つ。
オーディション受けるのになんで真を倒すの?
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1519902423/
Entry ⇒ 2018.03.03 | Category ⇒ アイドルマスター | Comments (0)
千早「アイシールド21?知らないわ。」
千早「読んでないわよ。知らないって言ってるじゃない」
春香「いやいや、どうせまたいつものパターンでしょ?」
千早「だから読んでないって言ってるでしょ!この糞リボンが!」
春香「ほらやっぱり、アイシールド知ってるじゃん」
千早「知らないわ。」
春香「ん、どうしたの千早ちゃん?」
千早「私も高槻さんみたいに、決め台詞をつけたいなと思うのだけど」
春香「えっ、やよいの決め台詞って、ハイ、ターッチってやつ?」
千早「えぇ、(高槻さんがやると)最高に可愛いそれよ」
春香「なんかさりげなくディスられた気がするけど、それはおいといて…何か考えてるの?」
千早「こういうのはどうかしら?」
春香「あっもう考えてるんだ」
千早「タッチ マーックス!」モミ
春香「って、なにさりげなく人の胸揉んでるの!というか千早ちゃん、絶対アイシールド知ってるでしょ?」
千早「知らないわ。」モミモミ
千早「何かしら春香?」モミモミ
春香「さっきから私の胸を揉み続けてるんだけど、いい加減やめてくれないかな?」
千早「あら、ごめんなさい」モミモミ
春香「言葉と行動があってないよ!」
千早「別に減るもんじゃないし、これくらいいいじゃない」
春香「よくないよ!というかなんで私の胸揉むの?」
千早「…おもしれえから」ドヤ
春香「うわぁ、これが言いたかっただけかぁ。聞かなきゃ良かった」
千早「春香、悩み事?珍しく真面目な顔をしているけど」
春香「珍しくは余計だよ。まぁ、本当に少し悩んでるんだ」
千早「よかったら聞かせてくれる?」
春香「うん、うちの事務所のみんなってそれぞれ色んな特徴があるのに、なんか私だけそういうの全然ないなぁって…まぁそんなの今さらなんだけどさ」
千早「春香…私たちはないものねだりしてるほど暇じゃないわよ。あるもので闘っていくしかないのよ…一生ね…」
春香「千早ちゃん…そうだよね、千早ちゃんだって72センチで頑張ってるんだもんね!私も頑張るよ!」
千早「のワの」
春香「あと千早ちゃん、アイシールド…」
千早「知らないわ。」
小鳥「何かあったんでしょうか?」
律子「もうそろそろ千早の出番なのに…」
千早「待たせたわね」
春香「いや、なんか1万3千297時間と49分遅刻してきたみたいな顔してるけど、普通に1時間半の寝坊だからね!」
春香「へぇ、それは驚きだね!」
千早「でしょ?春香にも見せてあげたかったわ」コツッコツッ
春香「ねぇ千早ちゃん…」
千早「えっ、何かしら?」コツッコツッ
春香「なんで石蹴りながら歩いてるの?」
千早「…知らないわ。」
千早「春香、私思うんだけど、高槻さんって生えてるんじゃないかしら?」
春香「」ブフー
春香「はぁ?生えてるって、、何が?」
千早「何がって、ナニよナニ」
春香「千早ちゃん72を言ってるの?暑すぎて頭おかしくなったんじゃないの?」
千早「じゃぁ春香、あなたは高槻さんのエンドゾーンをみたことがあるの?」
春香「いや、ないけど…絶対生えてないよ」
千早「シュレーディンガーの猫によれば、観測してないのなら絶対とは言えないはずよ」
春香「まぁ、そうかも知れないけど…99%生えてないよ!…って、しまった」
千早「1% 生えてるのよ」ドヤ
春香「また言わせてしまった…」
春香「えっ?観測って、そんな都合よく」
千早「春香、まんチラもといちんチラに偶然はないのよ。ラッキースケベっていうのは狙って出すものよ」
春香「さっきからカッコいいセリフが台無しだよ」
千早「簡単よ。高槻さんを銭湯に誘うわ」
伊織「なるほど、シンプルだけどそれが一番確実ね」
響「さすが千早だぞ」
春香「えっ伊織?響ちゃん?なんでここにいるの?」
伊織「決まってるでしょ。やよいの60ヤードマグナムの噂が本当かどうか確かめにきたのよ」
春香「伊織もアイシールド…」
伊織「知らないわよ!」
春香「うん、そうだね、やよい」
千早「高槻さんと銭湯…高槻さんの裸…」ハァハァ
伊織「やよいと銭湯…やよいの裸…」ハァハァ
響「やよいと銭湯…やよいの裸…」ハァハァ
春香「最低のハァハァ三姉妹だ」
千早「ちょっと私、トイレに行ってくるわ」ハァハァ
響「じ、自分も」ハァハァ
伊織「私も行くわ」ハァハァ
春香「…」
5分後
千早「あら、高槻さんは?」ツヤツヤ
響「あれ、やよいはどこいったんだ?」ツヤツヤ
伊織「あら、やよいはどうしたの?」ツヤツヤ
春香「…まさか、こんなところで…」
響「春香、カード捌きっていうのは『そんなカード出すわけない』って思い込ませたらその時点で勝ちなんだぞ」
春香「いや、もう完全にレッドカードだよ」
千早「春香、アメフトにレッドカードはないわよ」
春香「やかましいわ!」
春香「やよいなら先に入った…」
千早「」シュッ スパー
響「しまった、千早に先を越されたぞ」シュッ スパー
伊織「ちょっと待ちなさい」シンソクノハヤキガエ
響「着替えでは遅れをとったけど、やよいの60ヤードマグナムにタッチダウンするのは自分だぞ」
伊織「千早、あんたのスピードなら知っているわ。この距離ならギリギリ逃がさないわよ」
千早「ふふふ、いくらちん策まん策練ろうとも、結局最後にモノを言うのは基礎トレよ」
千早「水瀬さん、我那覇さん。あなたたちが練習サボってる間…0.1秒縮めるのに…」
千早「一年かかったわ」
タッチ ダァアアァァウン!!!
春香「最低だぁぁぁ!!」
千早「第3問」
春香「…?」
千早「この業界では知っているのに知らないふりをするアイドルは多い。○か×か?」
春香「そんなの千早ちゃんくらいでしょ。×。」
千早「ブブー、私の勝ちよ。春香、この業界はあなたが思っているよりよっぽど汚れているのよ」
春香「そういうリアルなこというの止めてよ。というか、それなら千早ちゃんはやっぱり知らないふりをしてるだけって認めたよね?」
千早「いいえ、あくまでこの業界に多いって話をしただけで私はそれにはあてまらないわ。さぁ、約束通り胸を揉ませなさい」
春香「いや、そんな約束してないから。ってやっぱりアイシールド知ってるじゃん!」
千早「知らないわ。」
終わり
小鳥「やよいちゃんが60ヤードマグナムってことは、プロデューサさんは80ヤードマグナムくらい?」
小鳥「いつでも私にブリッツ仕掛けてきてくれていいんですよ」
小鳥「あぁでもこんだけ女の子いるから、もはやオンサイドキック状態ね…」
小鳥「プロデューサさん、早く私の気が遠くなるようなタイムアウトを終わらせて…」
律子「妄想は心の中だけでお願いします」
本当に終わり
知っているとこれだけ楽しめる作品もないよな
知らないけど
おつ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1503152366/
Entry ⇒ 2018.01.18 | Category ⇒ アイドルマスター | Comments (0)
亜美「究極の偶像(アルティメットアイドル) マーミの誕生だッーーっ」
真美「まず千早お姉ちゃんの歌唱力を手に入れます」
亜美「どうしたの急に?」
真美「まあまあ聞いてよ」
亜美「うん」
真美「次はそうだね、まこちんから身体能力をもらおうかな?」
亜美「うんうん」
真美「千早お姉ちゃんの歌唱力にまこちんの身体能力……この時点でヤバイね」
亜美「う~ん真美が何を言いたいのかまだわからないな~」
真美「歌って踊れて、ここでさらに!」
亜美「さらに?」
真美「……あずさお姉ちゃんのダイナマイトなスタイル!」
亜美「おお!」
真美「奇跡の91-59-86!この神に愛された肉体が真美に!」
亜美「テンション高いなあ」
真美「想像してみて?超美声でキレッキレで踊りながら色んなとこが どたぷ~んな真美を!」
亜美「むう……」
真美「そらテンション上がるっしょ!?」
亜美「……普通に気持ちわるいんだけど?」
真美「ええ~そんなリアルな反応よくないよ~妄想なんだからさ~」
亜美「ああ、妄想なんだ……亜美はてっきり……」
真美「てっきり?」
亜美「……真美が遠くへいってしまったのかと思ったよ」
真美「そういう遠まわしな言い方もよくないよ?」
亜美「真美の頭がおかしくなったと思ったよ」
真美「直球な言い方もきついなあ……」
亜美「でも、そうだね……その3人の長所を手に入れたらサイキョーだね」
真美「んふふ~、真美の進化はこれだけじゃないよ?」
亜美「え?まだ続きがあるの?」
真美「このボーカル、ダンス、ビジュアルを極めても手に入れられないもの……それは!」
亜美「それは?」
真美「………」
亜美「………」
真美「……金!」
亜美「金?」
真美「金、お金!マネー!」
亜美「そうなの?」
真美「そうだよ!だってどんだけ仕事頑張ってもママがお小遣い増やしてくれないんだもん!」
亜美「確かに亜美たちは小遣い制だけどさ」
真美「というわけで、いおりんの財力をいただきます!」
亜美「いおりんというよりも水瀬家の力だよね?」
真美「いいのいいの、細かいことは!」
亜美「まあ同じこと……なのかな?」
真美「ついでにゆきぴょん家のアウトローな人材も手に入れるYO!」
亜美「それはいけない」
真美「しかしまだ足りない!」
亜美「え~まだ続くの?」
真美「ここで更に真美……マーミの能力の底上げをするZE!!」
亜美「わざわざ名前を言い直さないでよ」
真美「やよいっちの掃除洗濯料理といった家事ゼンパンのスキルをマーミにけいしょーするよ!」
亜美「おお~」
真美「これで家庭的な女となってヒトメボレされること間違いなしっしょ!」
亜美「柄にもなくスキップしそうだね」
真美「はあはあ……いいね!サイキョーすぎて興奮してきたよ!!」ハァハァ
亜美「呼吸荒いけど大丈夫?亜美んち病院経営してるし なんなら連れてくよ?」
真美「ありがとう亜美、でもまだまだ大丈夫だよ!」
亜美「やべぇ、ツッコミすら入れてくんなくなった」
真美「さて現時点ですでにサイキョーなマーミなんだけど……」
亜美「まあそうだね、ゲームキャラでこんなのいたらヌルゲーになるレベルだね」
真美「………特技」
亜美「ん?」
真美「特技がほちい!」
亜美「特技?具体的にどんな特技さ?」
真美「なんかね兄ちゃんが言ってたんだけど」
亜美「うん」
真美「動物と大食いって」
亜美「うんうん」
真美「視聴率(数字)とれるんだって!」
亜美「………」
真美「………」
亜美「………」
真美「なので動物としゃべれたり、超大食いだったり!なんかそういうのを追加ちます!」
亜美「うん、ひびきんとお姫ちんだね」
究極アイドル マーミ(13歳) 765プロ所属
身長168cm 体重48kg 3サイズ:91-59-86 血液型B型
趣味.メール 盆栽 特技.モノマネ 家事全般 動物と会話 大食い
Vocal.歌姫 Dance.キレッキレ Visual.美のカリスマ
真美「カンペキだよ!真美がサイキョーに究極だね!」
亜美「もはや原型がなくなってない?」
真美「んでもって、ここにミキミキの天才性を追加すると」カキカキ
亜美「すると?」
究極アイドル マーミ(13歳) 765プロ所属
身長168cm 体重48kg 3サイズ:91-59-86 血液型B型
趣味.メール 盆栽 特技.モノマネ 家事全般 動物と会話 大食い
才能.天才
Vocal.女神 Dance.マイケル Visual. ikko
真美「ステータスが大幅アップ!」
亜美「これ一部バグってない?おもにビジュアルが」
真美「いや~なんかすごいアイドルができちゃったね!」
亜美「チート級の盛り方だよね」
真美「究極だからね!これくらい必要なんだって!」ハァハァ
亜美「あ~……興奮してるとこ悪いんだけどさ?」
真美「ん?どったの?」
亜美「なんか足りなくない?」
真美「え?」
亜美「一人さ……足りないよね?」
真美「………」
亜美「………」
真美「……ふっ」
真美「わかってるよ、亜美」
亜美「あ、覚えてたんだ?」
真美「当たり前だよ!真美が忘れるわけないじゃん!」
亜美「……ちなみに言っとくけど律っちゃんじゃないよ?」
真美「オーケーオーケー理解ちてます」
亜美「それなら良かったよ、妄想とはいえこのままじゃ収まりが悪いからね」
真美「ふっふっふっ~それじゃあ最後の能力追加といこうか」
亜美「うん」
真美「最後の一人!その名は~~~」
亜美「………」
真美「~~~亜美!君だァ!」ビシッ
亜美「へ?」
真美「んっふっふ~真美が亜美のことを忘れるわけないじゃん」
亜美「いや……そうじゃなくて……はる」
真美「亜美にはなんとぉ!!」
亜美「う、うん?」
真美「究極アイドルマーミと同等の能力が授かります!」
亜美「ど、同等の能力?」
真美「そうだよ、なんてったって双子だからね!アーミ爆誕だよ!」
亜美「………」
真美「想像してみてよ、究極アイドルアーミの姿を」
亜美「想像って……」
真美「あずさお姉ちゃんのスタイルで、千早おねえちゃんの歌唱力を持ち、まこちんのダンスを踊るんだよ?」
亜美「………」
真美「料理洗濯掃除と家事がカンペキで、お金を持ってて、黒服が常にガードしてくれて」
亜美「………」
真美「動物とお話しできて、いろんな物をいっぱい食べれて、なんでもこなせる天才肌」
亜美「………」
真美「………」
亜美「………」
真美「どう?テンション上がるっしょ?」
亜美「………うん!」
亜美「ヤバイ!想像したらすっごくテンション上がってきたYO!」
真美「でしょでしょ?」
亜美「なにこれ無敵じゃん!チートじゃんチーターじゃん!いいのコレ!?」
真美「究極だからね!ちかたないね!」
亜美「そうだよね!究極アイドルアーミだからちかたないよね!」
真美「そうそう!」
亜美「あははははは~」
真美「んふふふふ~~」
亜美「そんで はるるんは?」
真美「………」
真美「え?はるる……え?」
亜美「いや、はるるんだよ。聞こえないフリは止めてね」
真美「………あ~うん………はるるん……ね。も、もちろん忘れてないよ?」
亜美「ほんとに~?」
真美「ほ、ほんとだってば!」
亜美「それならいいけど……」
真美「はるるんは……そうだね~………」
亜美「………」
真美「………」
亜美「………」
真美「………」
亜美「………」
真美「……お」
亜美「お?」
真美「お菓子……」
亜美「お菓子作りはやよいっちと被らない?」
真美「だ、だよね~」
亜美「………」
真美「………」
亜美「………」
真美「………」
亜美「………」
真美「……リボン…」
亜美「え?リボン?……装飾品だよね?」
真美「…は違うよね~……わかってるよ亜美~………」
亜美「………」
真美「………」
亜美「………」
真美「………」
亜美「………」
真美「………」
亜美「………」
真美「………」
亜美「ねえ」
真美「……………」
亜美「はよ」
真美「……い、色々と考えついてはいるんだよ……」
亜美「うん」
真美「でも、よく転ぶとか ドジっ娘とか あざといとか 天然ボケとか負のイメージばっかり思いついて……」
亜美「負のイメージって……」
真美「これをマーミに組み込んだら明らかに劣化するっしょ?」
亜美「劣化って……」
真美「仮にも究極と名乗ってるのに、それは失礼かな~って」
亜美「真美のその発言が失礼だよ!」
究極?アイドル マーミ(13歳) 765プロ所属
身長168cm 体重48kg 3サイズ:91-59-86 血液型B型
趣味.メール 盆栽 特技.モノマネ 家事全般 動物と会話 大食い
才能.天才 特性.双子
Vocal.女神 Dance.マイケル Visual.ikko
キャッチコピー. がんばり屋で一生懸命な女の子。ちょっぴりドジなお茶目さん!
おわり
ありがとうございました
おつ
美希先輩はわたしが貰いますんで
ビジュアルバグったまんまなのは何故なんだw
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515601240/
Entry ⇒ 2018.01.17 | Category ⇒ アイドルマスター | Comments (0)
千早「春香って、あれ絶対わざと転んでるわね」
千早「絶対わざとよね」
雪歩「うーん、そうかも…」
やよい「ですねー」
真美「何か、不自然なんだよねー」
千早「何かあるならまだしも、何にもない所で転ぶものね」
雪歩「あー、そうだよねー」
やよい「そうですよねー」
真美「うん。ちょっと考えられないよね」
千早「もしかして、あれって人の気を引くための手段なのかも」
雪歩「あー、あるかも」
やよい「まったく、春香さんも困った人です」
真美「転ぶのがクセになってるのかも知れないよ?みんな構うから」
千早「それにこの前、こんな事もあったし」
雪歩「え?どんな事?」
やよい「何かあったんですか?」
真美「なになに?」
春香「おはよー、千早ちゃん」
千早「ああ春香、おはよう」
春香「今日は一緒に歌の収録だね」
千早「ええ、そうね」
春香「千早ちゃんがいれば安心だよー。歌が凄く上手いからね」
千早「ふふっ、そんな褒めたって何も出ないわよ」
春香「もー、そんなんじゃないって。まぁ、今日も一緒にがんばろ…あっ、と!」グラ
千早「あっ?」
ドンガラガッシャーン
春香「ンーッ!?」チュゥ
千早「…」
春香「あ、ご、ごめんね千早ちゃん!?どっかぶつけなかった?」
千早「ええ、どこも何ともないわ」
春香「よ、良かった、何ともなくって…ふう」
千早「まったく。春香は本当におっちょこちょいね」
春香「あの…。それでさ」
千早「ん?なに?」
春香「今その…。唇がその…ごめん」
千早「ああ、たまたまくっついちゃっただけでしょ。気にしてないわよ」
春香「そ、そう、良かった…」
千早「そうそう春香、返して」
春香「ん?何を?」
千早「私のファーストキス」
春香「めっちゃ気にしてるー!?」
千早「一生、忘れてやらないから」
春香「重すぎるよ千早ちゃん!?」
千早「…て事があってね」
雪歩「あー、春香ちゃんっぽい」
やよい「目に浮かびますよー」
真美「いかにもはるるん、って感じだね」
千早「大体、転ぶだけならまだしもチューッてありえないでしょ」
雪歩「うーん、そうだよねー」
やよい「狙ってるかも知れませんね」
真美「はるるんも結構計算高いからなぁ」
千早「だから、あれってわざとよ絶対。みんなも気をつけてね?」
雪歩「あ、でも私もこの前…」
やよい「雪歩さんもですか?」
真美「なんかあったの?」
雪歩「おはようございまー…きゃあ!な、何やってるの春香ちゃん?」
春香「雪歩おはよー。あ、これ?」
春香「蛍光灯が切れてたけど、誰も居なかったから私が交換してるんだー」グラ…グラ…
雪歩「あ、危ないよ?そんな脚立のてっぺんで…」
春香「へーきへーき。…おっと」グラッ
雪歩「きゃあ!」
春香「なんちゃってー」
雪歩「は、春香ちゃん、お願いだからそういうタチの悪い冗談はやめて、全然シャレになってないから…」
春香「さーて、交換終了…っと」ストン
雪歩「ふぅ、ハラハラした…」
春香「大丈夫だって。こう見えても私バランス感覚に自信が…わわっ?」グラ
雪歩「え!?」
ドンガラガッシャーン
春香「ンーッ!?」チュゥ
雪歩「ンーッ!」
春香「あ、ご、ごめん、大丈夫雪歩?どっか打たなかった?」
雪歩「う、うん。大丈夫」
春香「バランス感覚に自信がとか言ってたのに私…恥ずかしい…」
雪歩「まぁ、脚立の上から落っこちなかっただけマシだよ」
春香「あ、あのそれでさ、ごめん今唇がその…」
雪歩「あ、全然気にしてないよー。大丈夫」
春香「そう…」
雪歩「まぁ、事故みたいなもんだし。平気平気」
春香「そう、良かった…。ところで雪歩」
雪歩「なに春香ちゃん」
春香「顔上げてこっち見て話してよ。どうしたの?」
雪歩「…」
雪歩「…」
雪歩「…///」フイッ
春香「な、何で顔そむけるの!?」
雪歩「て、事があって…」
千早「脚立から降りた所で転ぶのが春香らしいわね」
やよい「あー、そうですねー」
真美「きっと、大怪我するから上ではやんなかったんだよ」
雪歩「うん。だからわざとっぽいって言うか…」
千早「うーん、そうかも知れないわね」
やよい「そんな感じがしますねー」
真美「そうだねー」
千早「脚立から落ちたら大怪我するから自制したっぽいわね」
雪歩「そうだよねー」
やよい「あ、そうそう私もこんな事がありましたー」
真美「ん?どんな事?」
やよい「この前、廊下の向こうに春香さんがいて…」
春香「あ、やよいちゃーん」
やよい「あ、春香さーん!」
春香「わっ!?」グラ
やよい「きゃっ!は、春香さん危な…」
春香「よっ!」
春香「くのっ!」
春香「耐えるっ!」
春香「あらっ?」
春香「ととっ!」
春香「とはっ?」
やよい「えっ、え?」
ドンガラガッシャーン
春香「ンーッ!?」チュウ
やよい「ンッ、ンー!?」
春香「あたた…。あ、や、やよいちゃん大丈夫?」
春香「ごめんね?どっか怪我しなかった?」
春香「もう、私って本当にドジで…」
春香「あ、あとその今…。唇と唇が…って」
やよい「…」
春香「石像みたいに固まっちゃってるぅー!?」
春香(ど、どうしよう!?今のはちょっとやよいちゃんにはショッキングすぎた?)ワタワタ
やよい「…」
春香(な、何とか雰囲気を和らげないと…。そ、そうだ、ここは冗談っぽく)
やよい「…」
春香「…ふ、ふふっ。どうだいビックリしたかい?やよいちゃん」
やよい「…」
春香「何を隠そう、実は私は前からやよいちゃんのことを愛していたんだ」
やよい「…えっ、ええーっ!?」
春香「だから、愛しさのあまりつい…」
やよい「そ、そんな春香さん…」
春香(お、真に受けてる真に受けてる!よーし、タイミングを見て冗談だよーって…)
春香「なのでやよいちゃん、ぜひとも私とお付き合いを…ん?」
やよい「…」モジモジ…
春香「…」
やよい「…」チラッ
春香「モジモジチラッて、何その反応!?」
やよい「って、事があって…」
千早「廊下を端から端まで?」
雪歩「それは凄いね…」
真美「やー、いくら何でも途中で踏みとどまれるっしょー」
やよい「あれは、絶対わざとですよー」
千早「ええ、それっぽいわね」
雪歩「そうだねー」
真美「もー、わざとらしいのもほどがあるよねー」
千早「もう、わざと転んでるのが確定したも同然ねこれは」
雪歩「うん。そうだよね」
やよい「本当ですよー」
真美「そうだよねー」
真美「あ、そうそう真美もレッスン場でこんな事があって…」
おお勘違いしてたサンクス
真美「さーて、ダンスの練習でもしよっかなー」
ガチャ
春香「あー、真美おはよー」
真美「おっ、はるるん。何やってんの?そんな床に寝そべって」
春香「あ、これ?」
春香「全身を伸ばす運動ー」グデー
真美「それって、運動でも何でもないじゃん」
真美「ただダラけてるようにしか見えないよ?」
春香「失礼な。こうやって、床に寝そべる事で全身を伸ば…あっ!?」グラ
真美「えっ!?」
ドンガラガッシャーン
春香「ンーッ!?」チュゥ
真美「ンーッ!?」
春香「いたた…」
春香「あっ、ま、真美大丈夫?どっか痛めなかった?」
春香「ごめんね、私ってばドジ過ぎ…」
春香「そ、それと、ごめん今唇が…って」
真美「あっ…ダメだよはるるん…。そんな…強引に…」
真美「えっ…?真美がいいの…?もう…はるるんってば…」
真美「戸惑う真美を…。はるるんは優しく抱き寄せ…」
春香「小鳥さんみたくなっちゃってるぅー!?」
真美「そして…何だかんだで二人はゴールイン…」
真美「ハネムーン…二人を乗せた飛行機は一路…タンガロニア共和国へ…」
春香「タンガロニア共和国ってどこそこー!?」
真美「そこは…同姓同士の結婚が法律で認められているのだ…」
春香「理由がやけに生々しい!?」
真美「南の海、空を埋め尽くす星…真美とはるるんは、お互い見つめあい…」
春香「お、お願い真美、戻ってきて…」
真美「…って事があってさー」
千早「寝そべった状態からどうやったら転べるのよ」
雪歩「さすが春香ちゃんだね…」
やよい「その通りですねー」
真美「真美もこの目が信じられなかったよ。けど絶対わざとだねあれは」
千早「まぁそれにしても、転ぶのはいいけど人を巻き込むのは勘弁して欲しいものね」
雪歩「そうだねー」
やよい「ええ、そうですよー」
真美「そうそう」
雪歩「みんな優しいから、とっさに春香ちゃんを支えようとしちゃうのかも…」
千早「ああ、そうかもね」
やよい「そうですよねー。目の前でグラッてなられたらどうしても…」
真美「そうだよ。そしてその後のはるるんのフォローが最悪なんだから」
真美「こっちも冗談なんだから、あんなワタワタされたら余計気まずいっていうか」
千早「ええ、そうね」
雪歩「うん、そうだよね」
やよい「その通りですよー」
真美「はるるんも悪ノリで返してしてくれたら、こっちも軽く流せるのに」
千早「そうそう」
雪歩「うん、確かに」
やよい「本当ですねー」
真美「だからさ、今度はるるんが転びそうになっても助けようとしないで」
ガチャ
春香「みんなおはよー」
千早「…」ガタッ
雪歩「…」ババッ
やよい「…」ササッ
真美「…」シュタッ
春香「え?な、なに?みんなどうしたの?」
春香「…」
春香「…な、なに?千早ちゃん」
千早「…」
春香「そんな、机の脚にロープ結んで、端っこ持って…」
千早「…」
春香「も、もしかして、通ろうとしたらピンッてやって転ばすやつ?」
春香「そんなイタズラ、真美でもやらないよ?」
千早「…」
春香「そんな、『さあ、カモン!』みたいな顔されたら余計に通りづらいよ?」
春香「奥に荷物置きにいかなきゃいけないから、通るしかないんだけど」
春香「言っとくけど、丸見えだし絶対引っかからないからね?」
千早「…」
春香「じゃあ、ちょっと失礼して…よっと」
千早「…」ピンッ
千早「…」チッ
春香「ほ、ほらね?だから言ったでしょ?」
春香「今、千早ちゃんもの凄い顔してるけど」
春香「イタズラに引っかからなかったぐらいで、そんな顔するのやめようよ?」
春香「…そして」
春香「雪歩…」
雪歩「…」クッチャクッチャ
春香「な、なに?そのとっくの昔に絶滅した不良みたいな格好?」
雪歩「…」クッチャクッチャ
春香「そんなダボダボの学生服、今どきよく手に入ったね?」
春香「それにサングラスかけて、ふんぞり返ってイスに座って…」
春香「イメージが古いよ?その不良姿、昔のマンガ参考にしたっていうの丸わかりだよ?」
雪歩「…」クッチャクッチャ
春香「ま、まぁ何をしたいのか格好から想像はつくけど」
春香「引っかからないよ?それで怒らないでね?じゃあ、通るよ…よっと」
雪歩「…」足バッ
雪歩「…」クッチャクッチャイライラ…
春香「だ、だから怒らないでって言ったよね?」
春香「何のつもりかわからないけど、そんな古臭いやり方わざわざ選ぶ雪歩が悪いんだよ?」
春香「あと、ファンにその格好見られないようにね?イメージ台無しだよ?」
春香「…そして」
春香「やよい…」
やよい「~♪」ワシャワシャ
春香「床の一部を、そんな石鹸まみれにしちゃって…」
春香「それじゃあ、そこだけ他より不自然にピカピカになるよ?」
やよい「…」ワシャワシャ…フゥー
春香「やりきったって感じ出てるけど何もやりきってないからね?」
春香「むしろ、後始末をこれからやらなきゃだからね?」
春香「そして、そんな目を閉じて唇をつき出して待ち構えられても…」
春香「対処に困るよ?」
やよい「ん…」
春香「…え、えーと」
春香「ま、まぁ石鹸塗った所よけて通らせてもらうけど…」スッ
やよい「あっ」
やよい「…」ショボーン…
春香「あとで、元通りにしておかなきゃダメだよそこ?」
春香「出来ればプロデューサーさんとかに見つかる前にね?」
春香「私も手伝うからね?」
春香「…そして」
春香「真美…」
真美「…」
春香「…真美が、床に置いたんだよね?」
春香「この、バナナの皮…」
真美「…」
春香「…もしかして、これわざと踏んでズデーンとかって期待してる?」
春香「やらないよ?私、アイドルよアイドル?お笑い芸人じゃないんだからね?」
春香「ここ、一応アイドル事務所だよね?私、吉本に入ったつもりはないよ?」
真美「…」
春香「そして、床に寝そべってこっちに両手差し伸べてそれ何のポーズ?」
春香「まぁ、通らせてもらうけど…。ある意味これ、今までで一番イージーだからね?」
春香「わざわざ踏みに行かない限り、転ぶ要素はなに一つないからね?これ」スッ
真美「…」ムッ
真美「…」プン!
春香「だ、だからやらないって言ったでしょ?」
春香「そんな顔されるの、こっちが心外だよ?」
春香「真美の中で、私はどんなキャラなの?」
千早「…」チッ
雪歩「…」クッチャクッチャイライラ…
やよい「…」ショボーン…
真美「…」プン!
春香「ど、どうしたのみんな?これドッキリか何か?」
春香「まぁ、今荷物を置いたら話を聞くから…あっ、と!」グラ
ドンガラガッシャーン
千早「あ、転んだ」
雪歩「転んだね」
やよい「ですねー」
真美「何もない所でね」
春香「あ、あたた…」
春香「…もう、みんなのん気な事言いながら見てないで」
春香「少しぐらい、心配してくれたって…」
春香「…えっ?」
千早「んっ…」チュゥ
雪歩「ん…」チュゥ
やよい「んー…」チュゥ
真美「んっ」チュゥ
春香「ンンーーーッ!?」
春香「ちょ、ちょっと待って!?」
春香「何これどういう事!?」
千早「だって、春香転んだじゃない」
雪歩「そうだよね」
やよい「ええ、そうです」
真美「転んだらチューだよね」
春香「全っ然意味がわからないんだけど!?」
千早「ふぅ…。まったく春香ってば」
千早「わざとらしいんだから」
春香「ちょ、ちょっと何のこと…ンーーーーッ!?」
おわり
依頼出してきます
「初物喰らいの春香」か…(語弊のある言い方)
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1512469700/
Entry ⇒ 2017.12.24 | Category ⇒ アイドルマスター | Comments (0)
亜美「タイムマシンに飛び乗って!」真美「ラジャー!」
亜美「んっふっふっ→。これはタイムマシンだよ」
真美「マジで!?」
亜美「さあ真美隊員、タイムマシンに飛び乗って! 時間旅行へ出発するのだ!」
真美「ラジャーであります!」
真美「ここは?」
亜美「10年後だよ。兄ちゃんのお嫁さんが誰になるか探るのだ!」
真美「ええっ!?」///
亜美「ひよっとして亜美だったりして」
真美「だ、ダメだよ!!」
亜美「? どしたの真美?」
真美「ぁ……うぁ……だ、だって兄ちゃんがロリコンで捕まっちゃうよ!」
亜美「10年後だから大丈夫だって~」
真美「でもでもー!」
亜美「ひょっとしたら真美と結婚してるかもね」
真美「え……」///
亜美「さぁーて、兄ちゃんはどこに居るかなー?」
真美「うあうあー! まだ心の準備がー!」///
真美「うあー!」///
……
春香「プロデューサーさん、今日は遅いんでしたっけ?」
P「ああ。残業で遅くなるから夕飯は先に食べててくれ」
春香「寂しいなぁ」
P「悪いな。あと結婚したんだから、二人っきりのときは名前で読んでくれって」
春香「あはは、すみません。まだ慣れなくって。……○○さん」
P「春香」
春香「○○さん!」
P「春香!」
春香「○○さーん!」
P「春香ー!」
真美「」
亜美「兄ちゃんのお相手ははるるんでしたかー。王道感すごいっすな~……どったの真美?」
真美「ううん。なんでもない。大丈夫だよ」
亜美「そう?」
真美「んー次! つぎつぎ! 次はどの時代に行く?」
亜美「えっ、う~んとそうだなぁ……ピヨちゃんの若いころでも見に行きますか」
真美「あえてこの時代ではなく、過去のピヨちゃん選んであげる亜美やっさし→!」
亜美「でしょでしょ→」
真美「ここは?」
亜美「亜美たちが居た時代の10年前だよ。ピヨちゃんを探せー!」
真美「おー!」
亜美「あっ、居た!」
真美「早っ!」
亜美「二人の男の子と一緒に居るね」
真美「ひよっとして、ピヨちゃんモテモテ!?」
亜美「まっさかー」
……
小鳥「だめ! だめよ、小鳥ぃ~!」タッ
真美「今とあんま変わんないね」
亜美「あーあ、男の子たちポカーンってなってるよ」
真美「残念美人ってやつだね………………あれ?」
亜美「どしたの真美?」
真美「あ、ううん! なんでもない! ……ああ、真美ちょっとトイレ行ってくんね!」タッ
亜美「え? うん」
……
真美(兄ちゃんっぽい人が居たから、追いかけて来ちゃった)
真美(この時代でうまくやれば、未来が変わって真美が兄ちゃんのお嫁さんになれるかも!)
真美(んっふっふ→。ごめんねはるるん。勝利の女神は真美に微笑んだんだよ)
P「誰? なんで俺の名前知ってるの?」
真美(やっぱり兄ちゃんだった! 若いなぁ。真美と同じくらいかな?)
真美「私は真美。えーっとえーっと……一目惚れしました!」
P「えっ」///
真美「……」カァァ///
P(可愛い)///
真美「で、でもでも! 真美はこれから遠いところへ行ってしまうのだ!」
P「そうなんだ」
真美「だから一緒にはなれないけど、将来キミの前に真美そっくりのせくちーアイドルが現れたら、結婚してあげてね!」
P「? それはどういう――」
真美「絶対だかんね! 約束だかんね!」///
真美「じゃ!」ダッ
P「あっ――……行っちゃった」
亜美「あ、真美お帰りー。顔真っ赤だけど大丈夫?」
真美「……ダメかも」プシュー///
……
亜美「元の時代に帰ってきたよん」
真美「そろそろ事務所に行く時間だもんね」
亜美「まてよ。もはや亜美たちに時間の縛りはないから、いくらでも遊べるんじゃあ……」
真美「そんなことしてたら、周りの人より早くおばーちゃんになっちゃうYO!」
亜美「あそっか! それは嫌だから大人しく事務所に行ってやりますか」
真美「そうしてやりますか」
亜美&真美「おはよ→!」
春香「おはよう。早いね二人とも」
真美「はるるんだけ? 兄ちゃんたちは?」
春香「? 今日は私が一番乗りで、みんなはまだ来てないみたい」
春香(兄ちゃん?)
亜美「いやーはるるんも隅に置けませんなー」
春香「?」
亜美「なんでもないYO」
真美「はるるん。強く生きろ」ポン
春香「??」
真美「なんでもないYO」
真美「はー、兄ちゃんまだかなー」
春香「ねぇ真美。『兄ちゃん』って誰?」
真美「え?」
春香「二人に実はお兄さんが居て、今日事務所に来るってこと?」
亜美&真美「???」
亜美「だから兄ちゃんは兄ちゃんだYO!」
真美「真美たちのプロデューサーだYO!」
春香「えっ、プロデューサーさん!? そっかぁ。ついに私たちにもプロデューサーが……」
亜美「」
真美「」
真美「ドッキリかな?」
ガチャ
高木「おはよう諸君」
亜美「あ、社長! 社長は兄ちゃんのこと知ってるよね!」
真美「真美たちのプロデューサーだYO!」
高木「律子君ではなくてかね? 今のところ採用の予定はないなぁ。なかなかティンとくる人材がいなくてね」
高木「では、私は社長室に居るよ」
真美「……」
亜美「はるるんはともかく社長がこんな冗談言うかな?」
春香「私だって言わないよ!」
亜美「どったの真美?」
真美「歴史が変わっちゃたのかも」
春香「え?」
亜美「えーでもでも、観察しただけで干渉はしてないよ。そもそも兄ちゃんじゃなくてピヨちゃんを見に行ったんだし」
真美「……ぅ」
真美「うわぁぁぁん!」
亜美「うええっ!? どしたの真美!」
真美「ごめんなさい! ごめんなさいぃぃ……! うわぁぁぁん!」
春香「落ち着いて真美! なにがあったの!?」
真美「うぐっ……実は――」
春香「はぁ。そんなことが」
春香(どこまで信じればいいんだろう? 本当に泣いてるっぽいしなぁ)
亜美「ごめんね真美。真美の気持ちも知らないで……」
真美「亜美は悪くないよ! 真美が……真美が……うわぁぁぁん! 兄ちゃぁぁぁん!」
真美「兄ちゃんの居ない世界なんて嫌だよー!」
亜美「うぅ……!」
春香「歴史を元に戻せばいいんじゃないかな?」
亜美「え?」
真美「ふぇ……?」
春香「もう一度過去に戻って、プロデューサーさんに声をかけようとする真美を止めればいいんじゃないかな? それで元通りだと思うよ」
亜美「あそっかー! はるるんあったまいー!」
真美「よかった! よかったよぅ!」
亜美「はるるんもついて来るの?」
春香「だってタイムトラベルですよ! タイムトラベル! 春香さん興味津々ですよ」
春香「それに未来の旦那様がどんな人か気になるし」
亜美「んもーちかたないなー」
……
亜美「とうちゃーく!」
春香「ここが10年前かぁ」
春香「どうして?」
真美「だって、さっき10年前に来て兄ちゃんに話しかけたとき、未来の真美に会わなかったよ?」
亜美「そっか! ドラえもんでよくあるやつだね。未来の自分が会いに来るの」
真美「これって、過去の真美を止めようとしても失敗しちゃうってことなんじゃあ……」
春香「多分その心配はないよ」
真美「どうして?」
春香「実際、今ここに居る真美が未来を変えることに成功しているからだよ」
春香「ドラえもんみたいに未来を変えようとすること自体も歴史に組み込まれていて、どうやっても未来は変わらないんだとしたら、違う未来の記憶を持つ私たちが出会ってるのはおかしいでしょ?」
真美「うーん。よくわからないけど、未来は変えられるってことはわかったよ」
亜美「よーし! じゃあ過去の真美を止めに行こう!」
真美「おー!」
過去の真美(んっふっふ→。ごめんねはるるん。勝利の女神は真美に微笑んだんだよ)
真美「待てぇい!」
過去の真美「!?」
真美「真美は未来の真美だよ」
亜美「そして未来の亜美と未来のはるるんなのだ」
過去の真美「おおっ、なんかSFっぽい! ――んで、どちたの?」
真美「実は――」
真美「――というわけなんだ」
過去の真美「そんな……真美、なんてことを……」
過去の真美「ありがと未来の真美。真美、とんでもないことするところだったよ」
過去の真美「兄ちゃんには別の方法でアタックしよーっと。将来、最強せくちートップアイドルになれば、きっと兄ちゃんもイチコロだよね!」
春香「そうだよ」
過去の真美「そうと決まれば、帰ってビジュアルレッスンだ!」
真美「おー!」
春香「――というわけで、元の時代に帰ってきたんだけど」
亜美「どったのはるるん?」
真美「浮かない顔して」
春香「よく考えたら私ってプロデューサーさんが居ない世界の住人だから、この先どうしようかなって」
亜美「記憶が書き換わったりしてないの?」
春香「私もそう思ったけど、亜美たちが私の世界に来たときも記憶はそのままだったでしょ?」
亜美「あそっか」
春香「うまくやっていけるかなぁ」
未来「おはようございます春香さん!」
静香「おはようございます」
春香「え、あっ、おはよう……ございます」
春香「ねぇ亜美、あの子たちだれ?」コソッ
亜美「えっ……可愛い後輩を忘れるなんて、はるるんはいつからそんな冷たい人に」オヨヨ
真美「ひょっとして、はるるんの世界ではシアター組は居ない?」
春香「シアター組??」
亜美「あーこの反応はそうっぽいですなー」
真美「やっぱり兄ちゃんの存在は偉大だったってことだね」
春香「うぅ……これからどうしよう」
春香「うわぁぁぁん!」
真美「どちたのはるるん?」
春香「奈緒ちゃんが耳もとで、タロイモ……タロイモ……って囁いてくるの」
春香「私なにかしたのかなぁ。知ってる?」
真美「んーん、知らないよ」
亜美「うわぁぁぁん!」
真美「どちたの亜美?」
亜美「お姫ちんが耳もとで、便槽……便槽……って囁いてくるんだYO!」
亜美「なにそれって聞いたら、『亜美が教えてくれたのではないですか』って。亜美そんなの知らないよ!」
春香「『食い違ってる』ね」
真美「ひよっとして、歴史がちゃんと元に戻ってないのかな?」
亜美「えーでもでも、未来の真美はちゃんと止めたよ?」
春香「そう言えば、あの後そのまま帰ったかは見届けなかったね。念のためもう一回過去に行ってみる?」
真美「そうだね!」
亜美「しゅっぱーつ!」
亜美「10年前に着いたよ!」
コソッ
過去の真美1「そうと決まれば、帰ってビジュアルレッスンだ!」
過去の真美2「おー!」
……
……
……
真美「過去の真美たち、二組とも普通に帰っちゃったね」
春香「う~ん、おかしいなぁ」
亜美「なんで未来が変わっちゃってたんだろうね?」
真美「う~ん……」
春香「なにもなかったし、取りあえず帰ろっか」
亜美「そだね」
亜美「元の時代に着いたよ!」
真美「また変わってたりして」
春香「怖いこと言わないでよ」
やよい「こんばんやよやよ~!」
春香「変わりすぎでしょ!!」
春香「なんなのこの世界……」
真美「でも格好いいね、ロボット!」
亜美「アニメみたいだね!」
真美「アニメじゃない!」
亜美「アニメじゃない!」
亜美真美「本当のことさ~♪」
春香「はぁ……これからどうしよう」
真美「カレーにスルーですなー」
亜美「……また過去に戻ってみる?」
春香「う~ん……」
真美「この世界ってロボットとかあって科学が発展してるっぽいし、この世界の人に相談してみるとか」
春香「そうだね。また過去に戻ってもっと変な世界になったら困るし」
ジョセフ「なるほど。タイムマシンによる歴史改変ですか」
春香「はい」
ジョセフ「正確なところはわかりませんが、3つほど原因が考えられます」
春香「え、わかるんですか!?」
真美「さっすがー!」
ジョセフ「あくまで仮説ですよ」
ジョセフ「その1。皆さんは時間だけではなく並行世界を渡り歩いて来た説」
春香「並行世界?」
ジョセフ「世界というのは同時に複数並行して存在している……という考えがあります。皆さんが使ったタイムマシンは、時間だけでなく並行世界を横断する機能も搭載している……と考えるのはいかがでしょう」
亜美「でもタイムマシンの設定項目に世界の指定っぽいものはなかったよ」
春香「ということは、もしその説が正しいとしたら亜美のタイムマシンでは元の世界に戻れないね……一旦この説はおいておこう」
亜美「でもでも、過去の出来事には干渉してないよ」
真美「したけどしなかったことにしたよ」
春香(ややこしい)
春香「課長さんが言いたいのは、過去の出来事に干渉したかどうかは関係なくて、過去に行った時点でもう未来は変わったってことなんじゃないかな」
ジョセフ「そうです。賢いですね」
亜美「えー! なんでなんでー?」
ジョセフ「量子が観測によって変化するからです」
亜美真美「???」
亜美真美「??????」
春香「なるほどー」
亜美「えっ!? はるるんわかるの!?」
春香「なんとなくね」
春香「でも、だとしたら歴史を元に戻すには、過去に向かおうとする最初の亜美たちを止めないといけないけど、そのために過去に戻ったら結局未来は変わってしまうことに……」
ジョセフ「そもそも、最初に過去に向かおうとした歴史は既に存在していないでしょうから、歴史の修正は不可能ですね」
春香「……」ズーン
ジョセフ「まあ所詮、素人の私が考えた仮説ですから、そう気を落とさないでください」
春香「え?」
亜美「そんなー! 亜美たち寝ぼけてなんかないYO!」
真美「それに3人が同時に同じ夢を見るわけないじゃん!」
ジョセフ「そうとも限りませんよ。人は無意識の奥深くで繋がっていると言いますからね」
春香「集合的無意識というやつですか?」
ジョセフ「それです。そう考えれば、同じ夢を見ても不思議ではないでしょう?」
ジョセフ「さあ! そういうわけで、いつまでも寝ぼけてないでお仕事してください。出動です」
春香「」
春香「どうもこの世界においても時間の謎は解明されていないみたい」
亜美「というかロボットの存在以外元の世界とあんまり変わんないっぽいね」
真美「どうする?」
春香「このままこの世界に居ても解決しなさそうだし、またタイムトラベルしよっか」
亜美「でもまた変な世界になっちゃったら……」
真美「あ! 真美思いついた!」
真美「元の世界か、元と近い世界になるまで、過去へ行って戻ってを繰り返せばいいんだよ!」
亜美「おー! 真美あったまいー!」
春香「並行世界や量子の話を聞いちゃうとなぁ……もの凄く気が遠くなる作業な気がする。死ぬまでに終わるかなぁ」
亜美真美「う~ん……」
真美「みらいっちがどうかしたの?」
春香「そうじゃなくてね」
春香「遥かな未来に行けば更に科学が発展してて、この問題が解決するかもと思って」
亜美「ハルカナミライって曲名的にはみらいっち1人で完結しちゃってるよね」
春香「もう! 話の腰を折らないでよ!」
亜美真美「ごめんごめんー」
春香「とにかく、過去に行くよりは希望があると思うの。過去へ行くと未来が変わっちゃうけど、未来へ行っても過去は変わらないから、ちょっとした安心感もあるしね」
亜美「よーし! そうと決まればれっつらごー!」
真美「はるかな!」
亜美「未来へ!」
春香「うがー!」
亜美「とりあえず1万年後に来てみたよ!」
春香「なんだか荒廃した世界だね」
春香(戦争でもあったのかな?)
千早「誰!?」チャッ
春香「わぁっ!? ち、千早ちゃん?」
春香(ピストル持ってる!?)
千早「え……春香!? 亜美に真美も。どうしてここに……」
千早「――!」ハッ
千早「タイムマシンね! タイムマシンで来たのね!」
春香「うん。ついさっき着いたところだよ」
千早「そう……よかった。まだ希望はあるのね」
千早「なにがって……」
千早「……」
千早「……そう。そういうことなの」
真美「千早お姉ちゃんが達観してる」
亜美「これは我々の知らない重大な事実を知ってる感じですな~」
千早「タイムマシンによる歴史改変戦争が始まったの」
春香「……」
千早「そのせいで歴史はぐちゃぐちゃ。私が経験した過去と春香たちが経験した過去は、もはや全然違う世界なんでしょうね」
春香(ここがあの世界から続く未来なら、目の前の千早ちゃんはこうじゃないはず)
春香(理屈はさっぱりだけど、過去が改変されすぎて、宇宙は歴史の整合性が取れなくなっている? ――って、ちょっとファンタジーすぎるかな)
春香(ロボットの世界も、もう消滅してるのかな……)
千早「私は命からがら未来に――この世界に逃げて来たわ」
千早「そして私が乗ってきたタイムマシンは壊れてしまって、身動きが取れなくなってしまったの」
千早「それに、私を逃がすためにプロデューサーが……」ウッ
真美「え……」
亜美「……」
春香「……」
千早「過去よりはね。皆過去ばかり変えようとして未来には興味ないみたい」
春香「過去を変えられたら未来に影響があるんじゃないの?」
千早「……ああ、まだその段階なのね」
春香「どういうこと?」
千早「過去を変えられても未来に影響があるとは限らないわ」
春香「どうして?」
千早「厳密には、過去は未来に常に影響を与えていると言えるし、与えていないとも言える」
春香「???」
千早「理解しようとしなくていいわ。私だってちゃんと理解できていないもの」
千早「未だちゃんとは解明されていないわ。ただ時間遡行のやり方がわかっただけ。過去でどうすれば未来でどうなるとか、そういったことは誰もわかっていない」
春香「それじゃあなんのために戦争なんて……」
千早「本当に。人間って愚かよね」
千早「時間遡行の方法を見つけて、世界の真実を解き明かした気になって……神にでもなった気分だったのかしら」
千早「時間の仕組みとは人間なんかでは決して辿り着けない、真に神の領域のものなのよ。きっと」
真美「……」
亜美「……亜美のせいかな」
真美「え?」
亜美「亜美が……ひっく……タイムトラベルなんて……始めちゃったから……」グス
真美「亜美ぃ……」ウッ
春香「……」
千早「亜美のタイムトラベルが始まりとは限らないわ。と言うより、なにが始まりかなんて考えは今や意味をなさない」
春香「そうだね」
亜美「どういうこと?」グス
春香「亜美は悪くないってことだよ。だから泣き止んで」
春香「大丈夫。希望はあるよ。――そうだよね千早ちゃん」
千早「ええ。春香たちが来てくれたおかげよ」
春香「どうするの?」
千早「ここから更に未来へ行くわ。ずっと先――歴史を戻す方法が解明されるまで」
真美「あれ? でもさっき、人間には時間の仕組みは解明できないって言わなかった?」
千早「仕組みが解明できなくても、元に戻す『方法』がわかればいいのよ」
千早「さあ、早速行きましょう」
春香(みんなでタイムマシンに飛び乗って未来へ向かう。遥かな未来へ)
春香(タイムマシンの中から見える外の景色が、未来へ進むに連れて変化する)
春香(最初はパラパラ漫画を捲るようにコマ送りだった景色の変化が、加速度的に速くなる)
春香(強い光が射して眩しいと思った瞬間には闇になっていたり、青色が見えたと思ったら赤色に変わっていたりした)
春香(何度か体験したタイムトラベルの際は、ここまでの変化はなかった。一体どれほどの時を越えているのだろう)
春香(目に良くないと思い目を細めて、それでも景色を眺め続けた)
春香(人類史上最大の時の大跳躍をしているのだ。このくらいは許してほしい)
春香(景色は点滅を加速させていき、やがてただの“色”となった。景色の過ぎ去る速度が目で追える限界を超えたのだ)
春香(尚も速度が上がる)
春香(――数秒間、光に包まれた。すべてを呑み込むような強い光)
春香(光がおさまると辺りはすべて闇になり、景色は一切見えなくなった)
春香(闇、闇、闇――)
……
千早「……」
亜美「千早お姉ちゃん?」
千早「……」タラ…
春香「千早ちゃん、どうかしたの?」
千早「今の光、もしかして……」
真美「すっごい眩ちかったね!」
千早「太陽の爆発?」
真美「え?」
亜美「え?」
千早「未来に来すぎて、太陽系が消滅したのかも……」
春香「――――――え?」
亜美「怖いこと言わないでよ千早お姉ちゃん!」
真美「そーだよー! 地球どころか太陽系がなくなるなんて!」
千早「この時間速の中であんなに長時間光を保ち続けられるのは太陽の爆発ぐらいじゃないかしら」
千早「それに過程になにがあったかはともかく、一切の光がなくなったのは太陽が消滅したに他ならないと思うわ」
春香「待って!」
亜美「どちたのはるるん?」
春香「今私たち、タイムマシンの外の影響を受けてないよね」
真美「んん?」
春香「太陽爆発の熱も平気だったし、太陽が消滅したなら気温が下がってるはずだけどそれも平気」
春香「これって私たちがタイムトラベル中だからだと思うの」
春香「ということは、過去に戻るためには一旦速度を落として時間の向きを反転しないといけない」
春香「反転の瞬間、時間の速度はゼロに――正確には通常の速度になる」
千早「その瞬間外の影響を受けるかも知れないと言うことね」
春香「うん。そのときの外の環境が、人が住めないようなものだったら、私たちは死んでしまうかも知れない」
亜美「ひぃっ!」
春香「戻るにしても景色が現れてからだよ」
真美「このまま真っ暗なままだったら?」
春香「真っ暗じゃなくなるまで進むしかないね」
亜美「わかっ――」
ピカァ――‼
亜美「たぁぁぁ!!」
真美「眩しぃー!!」
千早「なにこの光!」
春香「――! 亜美、速度を落として! 止めないように!」
亜美「う、うん!」
春香「――――――あ」
春香(光が晴れる――)
……
真美「ああ! 外の景色が復活してる!」
春香「亜美、もう少し速度落として」
亜美「うん」
春香「どう思う千早ちゃん?」
千早「さっきのが本当に太陽系の終焉なら、今のは新しい銀河の誕生かしら」
春香「私たち、凄い瞬間を目撃しちゃったね」ブルッ
千早「そうね」ウズ
真美「スケールが広がりすぎてよくわかんないよー」
亜美「実は夢オチじゃないかな」
亜美「――はっ! ……夢か」
春香「夢じゃないよ。現実逃避やめよう」
春香「えっ!? 亜美、もうちょっとスピード落として!」
亜美「あーい」
春香「本当だ。人がいる」
千早「見ためは私たち人類によく似ているわね」
春香「新人類……?」
真美「ねーねー。二人とも目的忘れてない?」
亜美「もう過去に戻ろうとしても大丈夫じゃない?」
千早「……そうね。ごめんなさい」
春香「あ──れ?」
千早「どうしたの春香?」
千早「え……あ」
真美「もーはるるん。あれは法隆寺だよ。歴史の授業で習ったもん」ドヤァ
亜美「ホントだ! 本物初めてみた!」
真美「──あれ?」
亜美「──ん?」
春香「私たち、未来に進んでたよね?」
千早「え……ええ。太陽系の終わりと新銀河の誕生──と思われるもの──を通過して来たわ」
春香「なんで法隆寺があるの? しかもあれ──」
春香「私の記憶のものより、よっぽど新しいんだけど」
亜美「ちゃんと未来に設定してるよ」
真美「外見た感じも未来に進んでるっぽいし」
千早「そうよね……」
春香「ひょっとして、ループしてる……?」
千早「世界は……始まりから終わりまでを繰り返していると言うの」
春香「だとしたら、これ以上未来に進んでも解決策はなさそうだね。過去に戻ろっか」
真美「まって! 真美チョー良いコト思いついた!」
亜美「おおおおお! 真美あったまい→!」
千早「私たち皆、違う歴史の住人だけど……〈元の世界〉って私たちのうちのどの世界なのかしら。あるいは誰の歴史にも当てはまらない世界なのかもしれない」
亜美「あ、そっかー」
真美「良い案だと思ったんだけどなー」
千早「まあ……。あと歴史改変戦争がまた起きるのかとか」
亜美「あ、そうこうしてる内に亜美たちがいた時代っぽいとこまで来たよ」
春香「わぁっ、止めて止めて!」
亜美「えぇっ!?」
千早「春香、止めてどうするの?」
春香「あ、つい……。まあ大冒険して疲れたし、ちょっと休憩ってことで」
真美「確かにちょっと休憩したいね」
亜美「お腹すいたしね」
千早「もう」
春香「まあまあ千早ちゃん。事務所──もしあればの話だけど──の冷蔵庫でも漁ってみよう」
亜美「765プロの事務所にとうちゃーく!」
真美「事務所あったね」
春香「これはますます、この世界にも私たちが存在している可能性が」
千早「出会わないことを祈りましょう。きっと面倒なことになるわ」
ガチャ
春香(お邪魔しま~す)
シーン
春香「あれ、誰もいない?」
千早「不用心ね」
春香「でも良かったぁ。タイムマシンで過去から来たなんて信じてもらえるはずないもんね」
春香「ええっ、どうしたのそれ!?」
真美「冷蔵庫にあったよ」
春香「行動が早いよ! 誰か居たらどうするの!?」
真美「まあまあ。はるるんの分もちゃんとあるから」
春香「もー! ……食べるけど!」
亜美「はい。千早お姉ちゃんも」
千早「ありがとう」
ワイワイ ガヤガヤ
美希「あふ……うるさいなぁ。なにしてるの?」
春香・千早「!?」
亜美「ミキミキも食べよう! ゴージャス・セレブ・プリン!」
美希「わぁ、美味しそうなの♪ いただきまーす!」
春香「ほほほ本当に美味しいなー! ね、千早ちゃん!」
千早「そうね!」
美希「……あれ?」
春香「ど、どうしたの美希?」
美希「皆ついさっき出かけなかった? 服装もさっきまでと違うような……」
春香「そそそそんなバハマ! 寝ぼけてるんじゃないの? ね、千早ちゃん!」
千早「そうね!」
美希「うーん……まいっか」
春香・千早(ほっ)
小鳥「……」
春香・千早「あ」
小鳥(春香ちゃんたちがプリン食べてる!)
小鳥(──じゃなくって!)
小鳥「さっきタイムマシンがどうとか聞こえたんだけど」
春香(しまった)
千早「そんな話してませんけど」
春香「そうそう! そんなことより小鳥さんも食べませんか? ゴージャス・セレブ・プリン!」
小鳥「皆ついさっき出かけたところよね。服装もさっきと変わってるわ。──あ、プリンは頂くわね」
春香・千早「……」
美希「?」
亜美・真美「ワイワイ キャッキャッ」
春香「実はかくかくしかじか──」
春香「という訳なの」
美希「ふむふむ、なるほどなの」
美希「小鳥、救急車って911番だっけ?」
小鳥「119番よ」
春香「もう、やっぱり信じてない! だから言いたくなかったのに」
美希「ごめんごめん冗談なの。信じるよ」
美希「亜美と真美はともかく、春香と千早さんがこんな嘘付くはずないもんね。皆揃ってボケるってのも考えづらいし」
亜美「ちょっと美希さんや」
真美「聞き捨てなりませんな~」
小鳥「まとめると、皆それぞれの世界に帰らなきゃいけない訳ね」
千早「私は歴史改変戦争の阻止もしないといけません。阻止できないとしても、プロデューサーを助けるのはマストです」
小鳥「う~ん……タイムマシンで過去に戻っても、もはやそこは知らない世界……と。じゃあ──」
小鳥「タイムマシンを使わずに過去に戻れば上手くいくかも」
千早「へっぇ?」
亜美「千早お姉ちゃんがスットンキョーな声あげてる」
春香「千早ちゃんがあげなかったら私があげてたよ」
真美「だよねー。ピヨちゃんまじめに考えてYO」
亜美「そーそー。タイムマシンなしで時間を越えられるわけないじゃん」
小鳥「肉体ごと時間を越えるのはタイムマシンじゃないと無理でしょうね」
千早「肉体ごと……?」
春香「ひょっとして、精神だけ過去の自分に戻るってことですか!?」
小鳥「そうよ」
千早「仮にそれが可能だとしても、戻った先が元の歴史の私だとは……」
小鳥「時間に囚われないで千早ちゃん。元の歴史の自分に戻るんじゃないわ」
小鳥「自分の中の時間を過去に戻すのよ」
亜美真美「???」
小鳥「ごめんなさい。私も自分がなにを言っているのかわからなくなってきたわ。語彙力のなさが憎い!」
春香「時間という絶対的なものがあって、その中で私たちは生活しているんだと思ってましたけど──」
春香「私たちそれぞれの中に時間があって、それを巻き戻すってことですか?」
小鳥「巻き戻す……う~ん、その表現が正確なのかわからないけど、そうね」
小鳥「時間とは世界に流れている絶対的なものじゃないわ。個々人が勝手に感じているものなのよ」
春香「時間は二種類あるってことなのかな?」
小鳥「そうね」
千早「仮に私たちの時間を巻き戻して元の世界に帰れたとして、この肉体はどうなるんですか? 抜け殻? それともこの世界に来たこと自体なかったことになる?」
小鳥「その問答に意味はないわ。時間を巻き戻すと千早ちゃんの観測対象はこの世界ではなくなる。人間は自分が観測する世界でしか生きられない。と言うより、自分が観測したものが生きる世界になるのだから」
真美「亜美、ピヨちゃんが何言ってるかわかる?」
亜美「亜美は考えるのをやめた」
美希「ミキ、頭沸騰しそうだから寝るの。おやすみなさ~い」Zzz
ガチャ
高木「その辺にしてはどうかね」
小鳥「社長! いつから?」
高木「最初から聞いていたよ。すまない。盗み聞きするつもりはなかったんだがね」
高木「如月くん。世の中には自分の常識では計り知れない──考えても、答えを突き付けられても理解できないことがあるのだよ」
高木「音無くんの言うこと全てをみなに理解してもらうのは難しい。ここは一つ、『そういうものなんだと』言うことで済ませてくれないかね」
千早「……そうですね。確かに理屈を理解する必要はありません。元の世界に戻れればそれで良い話でした」
高木「ふっふっふ。私に任せたまえ。私の〈手品〉でなんとかしてみせよう」
千早「〈手品〉って……」
春香「どうして社長にそんなことが出来るんですか?」
高木「天海くん、ここは君たちが元居た世界とは違う。いわば異世界だ。先ほど言ったことに通ずるが、君たちが元居た世界の常識は通用しないのだよ。おそらく君たちが既に経験してきたようにね」
高木「それに“私は765プロを創った男だよ”。これぐらい出来ても不思議ではないだろう」
春香「専用の機械とかは使わないんですか?」
高木「ああ、必要ないよ」
亜美「イメージ……」
亜美(タイムマシンを動かす前──見つける前に戻れれば良いかな)
高木「イメージに最も近い記憶データから過去を復元し、君たちの意識を結びつけよう」
小鳥「元の世界のあたしによろしくね♪」
高木「では────」
──────────
──────
──
小鳥「え!? 社長が用意したんですか!?」
高木「あっ」
小鳥「また変なもの作って! みんな困ってたじゃないですか!」
高木「すまん~音無くん! ロマンを求めて、つい出来心で」
高木「まあ、みんな戻れたんだから良しとしようじゃないか」
小鳥「もう」
小鳥「あ、そう言えばどこに──」
亜美の声『あれ、なんだこれ』
亜美の声『ふむふむ……』ガサゴソ
亜美の声『こ、これはもしやタイムマシン!?』
真美の声『どうしたの亜美、その乗り物! ちょー面白そう!』
亜美の声『んっふっふっ→。これはタイムマシンだよ』
真美の声『マジで!?』
亜美の声『さあ真美隊員、タイムマシンに飛び乗って! 時間旅行へ出発するのだ!』
高木・小鳥「ああああああああ!!」
亜美(──あれ、亜美さっきまでなにしてたっけ?)
亜美「んー?」
亜美「まいっか」
亜美「あれ、なんだこれ」
亜美「ふむふむ……」ガサゴソ
亜美「こ、これはもしやタイムマシン!?」
おわり
意識だけが過去に戻るタイムトラベルって記憶も戻ってしまうのでは?
というオチは決めていたのですが、そこに行くまでの上手い話が思い付かなかったので、社長にデウスエクスマキナになってもらいました
タイムトラベルの度に歴史が変わるところは、バクスターの「タイム・シップ」から着想を得ました
興味があればぜひ
▼あと765系の過去作を乗っけておきますので良ければこちらもどうぞ
P「団結2015を収録するぞー」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1449419668/
それでは依頼だしてきます
無限ループって怖くね?
Pは念じるだけでタイムスリップ(コンティニュー)できるし精神だけ飛ぶくらい余裕だな
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1493264887/
Entry ⇒ 2017.12.23 | Category ⇒ アイドルマスター | Comments (0)
小鳥「アイドルの配役を考える」
美咲「どうしたんですか、音無先輩? 珍しく真剣な顔をして」
小鳥「み、美咲ちゃん!? 珍しくって、わたしはいつも真剣よ!」
美咲「そうですか。 あっ、お願いしてた書類、今日までですからね」
小鳥「(青羽ちゃんがどんどん律子さんみたいになってきてる。……ピヨちゃん、悲しい)」
美咲「あっ、それは……」
小鳥「これ?ほら以前来てた39プロジェクトに来てたお芝居のオファーの話」
美咲「映画とドラマと舞台の三つのお話ですよね。 それでなんで音無先輩が悩んでるんですか?」
美咲「あーそれでどの子にしたものかっていうことですか?」
小鳥「そういうこと、美咲ちゃん! 一応、私も自分なりに考えてみたのだがね……」
美咲「どんなのですか? 教えてください!」
小鳥「ええと、それじゃあ、まずは『超バレーボール』から」
新入生:最上静香
先輩:高坂海美
キング:島原エレナ
クイーン:宮尾美也
同級生:永吉昴
小鳥「そう。 まずは新入生は静香ちゃんね」
美咲「静香ちゃんですかー。 なんか裏ですっごい特訓とかしてそうですよね」
小鳥「でしょ? どんな話になるか知らないが、やはりスポ根といえば、友情・努力・勝利だね。 あとポニーテールも欠かせないわね」
美咲「……おじさんくさいですよ、音無先輩。 あっ、でもスポ根だとするなら紗代子ちゃんもいいんじゃないんですか?」
社長「ふっふっふっ、それはあとのお楽しみだよ、美咲ちゃん」
美咲「へぇー、楽しみです。 エレナちゃんのキングも意外ですねぇー! 伊織ちゃんとか桃子ちゃんとかならピッタリなんですけれども」
美咲「たしかに朋花ちゃんとか、前から階段から落ちそうになった時にエレナちゃんに支えてもらってた時とかもポーッとしてましたしね!」
小鳥「えっ? なにそれ! 私見てないわよ」
美咲「クイーンが美也ちゃんってのも驚きですよ。 だって勝利のためなら何でもする系じゃないですか。 美也ちゃんのイメージにはないというか」
小鳥「だからあえて、というかね。 暗黒微笑キャラを美也ちゃんに演じてみてほしいのよねぇ」
美咲「暗黒微笑? 何ですか、それ」
小鳥「あれ? もう通用しない世代? 美咲ちゃんって。 いや辞めておきましょう。 なんか傷つきそうな気がするわ」
小鳥「そうよー。 昴ちゃんは新入生と迷ったんだけれどもね。 ただこういう子が二期からチームに入ったり、みたいなねー。 そういうのが私、好きなのよねー」
美咲「音無先輩って凄いですよね!」
小鳥「そっ、そう?」
美咲「そうですよ! 私、そんな設定まで考えられませんから」
小鳥「そ、そういうサガなのよ。 次は『三姉妹カフェ』ね」
小鳥「あら? じゃあ今度琴葉ちゃんが出てる舞台、一緒に観に行きましょうか?」
美咲「はい、ぜひ! それじゃあ音無先輩、どんなキャスティングになったんですか?」
長女:桜守歌織
次女:田中琴葉
三女:中谷育
ネコ:周防桃子
お客さん:白石紬
美咲「歌織さん、琴葉ちゃん、育ちゃんの三姉妹なんですね」
小鳥「ちょっとぽわぽわしてた長女に、しっかり者の次女。 そして生意気な三女。 ふふっ、いいバランスだと思うわ」
美咲「三人って料理ってどうなんですかね?」
小鳥「歌織さんは人並みに、琴葉ちゃんと育ちゃんは……これからに期待ね」
美咲「そうなんですか……。 育ちゃんは、よく美奈子ちゃんに教わってますよ」
小鳥「それも見てないぃぃー!」
小鳥「桃子ちゃん、ネコのことをニャンコって言うのよ。 知ってた?」
美咲「えーそれは知らないです! あの桃子ちゃんが、そんな……可愛い」
小鳥「でしょー。 紬ちゃんが桃子ちゃんを拾い上げて撫でたりするの、可愛くない? 紬ちゃんもツッコミ側なのに、何にも言えない感じが、もうたまらない……」
美咲「あっ、それいい。 三姉妹の遊ばれちゃう残念な感じのイケメン……。 紬ちゃん、綺麗だけど抜けてるとこがあるから」
小鳥「舞台上ではあんなに堂々としてるのにね。 そこがファンのみんなが好きな魅力なのよね」
小鳥「育ちゃんも朝苦手だから、琴葉ちゃんが頑張らないとね」
美咲「ネコ桃子ちゃんちゃんに三人起こしてもらうとかどうです?」
小鳥「朝ごはんにパンケーキ貰って、嬉しそうな顔しちゃうのよね、ネコ桃子ちゃん」
美咲「ですです。 じゃあ最後は『劇場サスペンス』ですねー。 それはどんな感じなんですか?」
新ヒロイン:エミリー
スタア:篠宮可憐
元大女優:二階堂千鶴
支配人:徳川まつり
探偵:高山紗代子
美咲「エミリーちゃんが新ヒロインなんですねー」
小鳥「あら? 意外だった?」
美咲「そうですねー。 恵美ちゃんとかなーって勝手に思ってたので」
小鳥「あーそれもいいかもねー」
美咲「なんでエミリーちゃんなんですか?」
小鳥「こう私のイメージ、劇場ものの新しいヒロインって田舎娘というか純朴な感じがするのよ。こうたまたま興行で回った時に支配人に見初められてみたいな。大きな荷物を一つ持って出てきてほしいみたいな……。 美咲ちゃんだと『明日のナージャ』とかかしら?」
美咲「ナージャってなんですか?」
小鳥「……分かったわ。 この話はこれで終わりにしましょう。 うん。 ……でも恵美ちゃんも町娘とか踊り子で支配人にスカウトされてってのも捨てがたいわねー」
小鳥「そう。 まつりちゃんに『騒がしいのです……』って言いながら出てきてほしいわ。 杖をつきながらね!』
美咲「杖は大事なんですか?」
小鳥「……杖は欠かせないわね。 支配人はカッコいいスーツと杖なのよ、昔から」
美咲「そうなんですかー。 その支配人がいる劇場の、今のスタアが可憐ちゃんで、元大女優が千鶴さんなんですね。 これは何でなんですか?」
美咲「可憐ちゃんは?」
小鳥「こう、普段はいい人なのに、裏に行くと『何で学のない村娘がここにいるのかしら』って冷たい目で言ってほしいのよ……」
美咲「……拗らせてますね」
小鳥「そういう生き物なのよ、私は。 そしてそこに訪れる探偵の紗代子ちゃん」
美咲「ちょっと設定が怪しいですけれどもね」
小鳥「影があっても紗代子ちゃんならちゃんと演じてくれるわよ。 アイドルヒーローズでもいい演技だったしね」
小鳥「あら? どうかしたの?」
美咲「いやこれ楽しいなぁと思って。 私も考えてみようかなって」
小鳥「ようこそ、こちら側へ。 ……なーんて冗談。 そうねー、プロデューサーさんとか一緒になってワイワイやってみましょうか」
美咲「そうですねー。 それじゃあ、私! プロデューサーさんを呼んできますね!」
小鳥「ふふっ、こんなゆっくり考えるだけの時間も大切よねー」
このTHE@TER BOOST!はまだ始まったばかりですよ
スタートダッシュを決めて役を取りたい気持ちは分かるけどさ
決め打ちするにはまだ早いんじゃないんですか?
こんな色々想像して、それを喋って楽しめる贅沢な期間はそんなに無いんですよ?
トランキーロ、焦らないでみんなで妄想しましょう
今入ってる役じゃなくて、この役がいいって人もいっぱいいるでしょ
他の担当Pがどうとかさ、そんなのどうでもよくて「勝てる役」じゃなくて、「取ってきたい役」を考えようよ
お読みいただいてありがとうございます
ネコの朋花ちゃん見たいけどなー
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1513438670/
Entry ⇒ 2017.12.17 | Category ⇒ アイドルマスター | Comments (0)
春香「事務所までの道が険しい」
事務所に向かうため外に出ると
目の前で雪歩が首を吊っていた
「……」
「……………えっ」
上からロープが吊るされていた
壁には太い釘が打ち込んであり、千切れないようにぐるぐると巻きつけてある
勢いに任せてそれに首を突っ込んだのだろう、空中に浮いたままぶら下がっていた
「雪歩……」
アイドル生活が辛かったのだろうか
私はそっと横を通り過ぎた
「!!…なにこれっ」
鼻を押さえても臭うほどだ
地面には、
日に照らされた染み込んだ何かが連なっていた
そうか…
私は臭いの正体を理解した
…血痕だ…
細く繋がれたそれは路地裏に続いている
私はそれに沿って歩いていった
少しばかり歩くと、
狭い狭い路地裏に辿り着いた
そこは少し暗かった
それでも、
鼻を襲う激臭がそこに何かがあることを教えてくれた
下を見ると、赤い大きな矢印が描かれていた
その先には…
「………」
何かが壁にもたれかかっていた
「…千早ちゃん」
手足が1本ずつ無くなっていた
首には長い釘が貫通しており、壁まで突き刺さっている
足元に金槌が落ちていた
釘を力任せに打ったのだろうか
「……あっ」
近くには鋸が落ちていた
手足も放り投げられていた
道を辿った血痕はこれを使ったのだろう
手だけでは足りず、大きな矢印を描くために足を切ったのだ
「…どうして」
死んだ魚の様な目をしたそれは何の反応もしなかった
「歌うのが嫌だったのかな…私に言ってくれたら」
「……」
私はその場を後にした
何かがおかしい
道を歩きながら首を傾げる
2つの死体…変じゃなかった?
千早ちゃんは血痕を辿った先で首に釘を刺し込まれていた
自殺だと思った
……そうだろうか
殺されたんじゃないかな
「………」
前に雪歩が倒れていた
家の前で首を吊っていた筈のそれは、
私に立ちはだかるように横たわっていた
…間違いない
雪歩が家にいたのは警告だろう
千早ちゃんをダシに私を人通りの少ない所へ誘き寄せ、今目の前に雪歩がいる
私は雪歩の倒れる先に目を向けた
「……プロデューサーさん」
「……」
全身を黒く纏った何かが立っていた
包丁を手にしたまま、静かに私を見据えていた
「姿を隠してもわかります、プロデューサーさんですよね」
「……」
「……」
「もう私の言ってることも…分からなくなったんですか?」
「……」
それは無言のままじっとしている
「……」
「こうして嫌なものを無くしていって、プロデューサーさんはどう思いましたか?」
「……」
「笑っていた皆の顔を見て、どう思いましたか?」
「……」
「動かなくなった皆の顔を見て、どう思いましたか?」
「……」
何を聞いても、もう返事すらしてくれなかった
私は、最後にひとこと呟いた
「私を殺したいですか?」
「……」
しかばねの様に止まっていたそれは、
少しずつ歩き出した
「……」
ゆっくりと私に近づいてたそれは走り出した
私は精一杯の笑顔を見せた
「…信じてますから」
それはそのまま私に近づき、
持っていた包丁を思いっきり私に突きつけた
「……!…」
断末魔が響き渡った
痛かった
力の限り私はもがいた
横には、私と同じ態勢をしている雪歩が居た
包丁が何度も振り上げられ、赤い液体が私の目の前で飛び散った
痛い………痛い痛い……
叫べない
声が出ない
息が苦しい!
力が入らなくなった
「ァ………ぉいtり」
何かを呟きながら必死に包丁を振り上げるそれを、私はじっと見つめた
………………
やがてそれは手を止めた
包丁を持っていたそれは、包丁をその場に捨てると物体を見つめた
物体は大の字になって血を吐いていた
腹は穴だらけになり刺した後が数十にも残っていた
その場から立ち去るように歩き始めた
静かな空間に、
最後に小さな声が響き渡った
「……すまないね、天海君」
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1421044859/
Entry ⇒ 2017.12.05 | Category ⇒ アイドルマスター | Comments (1)
P「なっ、なに?妊娠したかも知れないだって雪歩?」
P「あっ、相手は誰なんだ?」
雪歩「…」
小鳥「黙ってちゃわからないわ、雪歩ちゃん」
雪歩「…」
P「俺たちに言えない相手か?」
小鳥「大丈夫よ、誰にも言わないから」
雪歩「…」
P「…まぁ、言い出し辛いなら今は無理に言わなくてもいいが」
小鳥「よく勇気をもって言ってくれたわね。偉いわよ」
雪歩「…」
P「それにしてもなー。雪歩は男が苦手なものだとばっかり思っていたが」
小鳥「そうね。やっぱり、恋は盲目ってt事かしら」
雪歩「…」
P「まぁ、これからファンの対応とか芸能活動とか色々大変だろうけど」
小鳥「好きな人とそうなった結果だもの、恥かしがる事ないのよ?」
P「できるかぎりのサポートはするから、変に悩むんじゃないぞ?」
雪歩「…」
ガチャ
春香「今日はー」
雪歩「あ、春香ちゃんおはよう」
春香「おはよー雪歩ー」
P(おっと、春香が来たから小声で…)
小鳥(ええ、そうですね)
春香「ん?どうしたんですかプロデュサーさんに小鳥さん?」
小鳥「あ、い、いいえ?」
P「あ、ああ。何でもない」
春香「そうですか」
春香「さーて、今日もお仕事頑張るかー」
雪歩「そうだねー。宜しくね春香ちゃん」
春香「今日も一緒だねー雪歩」
雪歩「うん。頑張ろうね」
P(…しかし雪歩の相手は誰なんだ)
小鳥(今まで、全然男の気配なんてありませんでしたものね)
春香「何だかんだ言って、息合ってるよねー私たち」
雪歩「え?」
春香「同じ時期に事務所入ってさ、結構長いじゃない?」
雪歩「うん…」
P(後で聞いてみよう。けど話してくれるかな)
小鳥(さっきの反応だと期待はできないかも知れませんけど)
春香「だから、私雪歩といるとすごくホッとするんだ」
雪歩「本当?」
春香「うん。いつも癒しを貰ってるよ?」
雪歩「ホントにー?うふふ…」
P(そうだな。それに大体相手を聞き出したところでどうにも出来ないし)
小鳥(ええ。無理に別れさせたりなんて出来るわけがありませんし)
雪歩「…じゃあ、春香ちゃんは」
春香「ん?なに?」
雪歩「私と一緒に暮らすの平気?」
春香「えー?雪歩と一緒に?もちろん、喜んで一緒に暮らしちゃうよー」
雪歩「本当に?一生ずっとでも?」
春香「うん。だって、私たち仲良しだもんねー」
雪歩「ふふっ、もー、春香ちゃんたらー」
P(とにかく、週刊誌には気をつけないとな)
小鳥(そうですね。スッパ抜かれでもしたら大変な事に…)
ガチャ
千早「おはようございます」
春香「あ、おはよう千早ちゃん」
雪歩「あ、おはよー」
P「おお千早。おはよう」
小鳥「おはよう千早ちゃん」
千早「さーて、今日は歌の収録ね…」
春香「大変だね千早ちゃん」
雪歩「千早ちゃんならきっとすぐOKが出るよ」
P(とにかく雪歩は手厚くケアしていかないといけないな)
小鳥(ええ。スケジュールとか、あとメンタル面も…)
千早「あ、そうそう春香。今度の休み一緒よね。買い物に付き合ってくれないかしら?」
春香「え?千早ちゃんの買い物に?うん、いいよ」
雪歩「え…」
P(あと、ご両親は知っているのかな?)
小鳥(さぁ…)
千早「ちょっとCDとか譜面とか、色々欲しいものがあってね」
春香「うん。なら私は音楽雑誌買おうかなー」
雪歩「…」
P(一応、後で確認しておくか)
小鳥(そうですね。それで今後どうするか相談を…)
千早「じゃあ、10時に待ち合わせね。遅刻しないでよ」
春香「大丈夫だよー」
千早「さーて、ちょっとレッスンして来ようかしら」
春香「千早ちゃんは練習熱心だねー。行ってらっしゃい」
雪歩「…」
P(しかし、大変な事になったもんだ)
小鳥(ええ、全くですね。まさか雪歩ちゃんが…)
雪歩「…春香ちゃん」
春香「ん?どうしたの雪歩」
雪歩「どうして、そんな簡単に千早ちゃんと約束なんてするの?」
春香「え?な、なにどうしたの雪歩?」
P「ん?何だ何だ」
小鳥「雪歩ちゃん?」
雪歩「もう春香ちゃんは、一人の体じゃないの」
春香「えっ、えっ?」
雪歩「…春香ちゃん」
春香「は、はい…」
雪歩「ちゃんとしてっ!」
春香「ひゃい!」
P「お、おい落ち着け雪歩」
小鳥「そ、そうよそんな大声張り上げて」
雪歩「…」
雪歩「…」ジワ…
春香「ゆ、雪歩?」
雪歩「春香ちゃんの、バカ…」シクシク
P「ま、まぁまぁ取り合えず別室で落ち着かせよう」
小鳥「え、ええ。春香ちゃん、ちょっと待っててね?」
春香「は、はひ…」
P「ま、まぁ色々神経質になるのはわかるけど」
P「仲間に当たるのは良くないぞ?」
小鳥「ええそうよ?雪歩ちゃん」
雪歩「…」
雪歩「…春香ちゃんのバカ」
P「ん?」
雪歩「春香ちゃんの…」
雪歩「春香ちゃんの子供が、できちゃったかも知れないのに…うっ…」
P「えっ、ええーっ!?」
小鳥「は、春香ちゃんの!?」
P「あ、相手ってまさか春香!?いやいやいや」
小鳥「ゆ、雪歩ちゃんと春香ちゃんってそういう関係だったの!?」
雪歩「…」
P「いや、そういう関係だったとしても子供…」
小鳥「…女の子同士が子作り…フヒッ」
P「音無さん鼻血鼻血」
雪歩「…」
P「と、とにかく春香に話を聞いてみよう」
小鳥「そ、そうですね」フキフキ
雪歩「…」
ガチャ
P「春香!」
小鳥「春香ちゃん!」
春香「な、何ですか?」
P「雪歩が、お前との子供を身ごもったかも知れないって!」
春香「ブゥーーーーッ!?」
小鳥「詳しく話を聞かせて頂戴!馴れ初めからそうなった経緯まで!」
小鳥「あ、濡れ場はとくに臨場感たっぷりに…ウヘヘ」
P「音無さんは黙っててください」
春香「な、何の事ですか!?い、言ってる意味が…」
P「いや、俺にもさっぱりわからん」
小鳥「春香ちゃんと雪歩ちゃんは付き合ってるんでしょ?」
春香「いえいえ!」
春香「ゆ、雪歩とは普通のアイドル仲間で…」
春香「た、確かに仲はいいですけど」
小鳥「一晩の過ちもないの?あったんでしょ?その時の事をできるだけ詳しく…ジュルリ」
春香「な、ないです」
P「音無さんつまみ出しますよ」
P「うーん、話が見えて来ないな…」
小鳥「そうですね。雪歩ちゃんも昨日までは普通でしたし」
小鳥「春香ちゃん、昨日雪歩ちゃんと会った時何か変わった事なかった?」
春香「え?えーと昨日ですか?そういえば、昨日…」
回想
春香「ただいまー。はー疲れた」
雪歩「あ、お帰り春香ちゃん」
春香「今日の収録、大変で…あっと!」グラ
雪歩「あっ、春香ちゃん危な…!」
ドンガラガッシャーン
春香「ンーッ!?」チュー
雪歩「ンーッ!」
春香「あ、ゆ、雪歩ごめんね?大丈夫?」
雪歩「え、う、うん」
春香「私ってば、いつもドジで転んでばっかで…」
雪歩「それより、今…」
春香「あ、う、うん」
雪歩「…」
春香「唇が、触れ合ちゃったね…」
雪歩「…」
春香「で、でも偶然だしさ、ほらノーカンだよノーカン!」
春香「忘れようよ、ね?」
雪歩「…そう、だね」
春香「…これは、みんなには内緒だね」
雪歩「うん…」
春香「て、事が…」
P「まさか、それが原因?」
小鳥「うーん、その可能性はありますね」
P「とにかく今度は雪歩に話を聞いて見よう」
小鳥「ええ、そうですね」
ガチャ
P「雪歩」
小鳥「雪歩ちゃん」
雪歩「はい?」
P「昨日なにがあったのか春香に聞かせてもらった」
雪歩「…」
P「あのな雪歩。キスしたからって子供は出来ないんだぞ?」
雪歩「え…?」
雪歩「そうなんですか?」
P「そ、そうなんですかって…」
小鳥「せ、性知識が無さすぎね」
P「学校の保険体育の授業で習わなかったのか?」
P「ほら、おしべとかめしべとか」
雪歩「わ、私そういうの苦手で」
雪歩「保健体育の授業の時はいっつも耳をふさいで、机に突っ伏して寝たフリを…」
P「あー、だからかー」
小鳥「性知識が小学校くらいで止まってちゃったんですね」
P「仕方ない、どうすっかな…」
P「そうだ。音無さんが机の中にしこたま溜め込んでるエロ同人誌」
P「あれ、何冊か雪歩に貸してあげて下さい」
小鳥「な、なぜそれを知ってるんです?」
P「事務所のみんな知ってますよ」
小鳥「でも、本当にいいんですか?」
P「ええ、俺が教えるのもそれはそれで問題がありそうなんでね」
小鳥「まぁ、いいっていうならいいんですけれど」
P「雪歩。音無さんの同人誌、ちゃんと読んで勉強してくるんだぞ?」
雪歩「は、はい」
小鳥「どうなっても知りませんよ?」
雪歩「おはようございまーす」
P「お、おはよう」
小鳥「おはよう、雪歩ちゃん」
P「ちゃんと読んで勉強してきたか?音無さんのエロ同人」
雪歩「はい。とっても勉強になりました」
P「そうかそうか、そりゃ良かった」
雪歩「キスしただけじゃ、子供って出来ないんですね」
P「そうそう」
雪歩「女の人同士で〇〇〇を」
雪歩「○○○して○○したら出来るんですねー。知りませんでした」
P「は…?なに?」
P「ちょ、ちょっと借りてった同人誌見せてみろ」
P「…うわっ、音無さんこんなの読んでんの!?」
小鳥「だから言ったんです」
P「お、女の子同士が〇〇〇して妊娠して…うわぁ…」
小鳥「そ、そんなにドン引きしなくたっていいじゃありませんか」
雪歩「あと縛ったり、色んな道具使ったりするんですねー」
春香「おっはようございまーす」
雪歩「あっ、春香ちゃん!」
春香「ん?どったの雪歩?」
雪歩「今度、一緒にホテル行こ?」
春香「へ?」
雪歩「そこで全身舐めあったり、その他にもあんな事やこんな事を…」
春香「ちょ、ちょっとー!?」
春香「ど、どうなっちゃったんですか雪歩!?」
P「…まぁとにかく、雪歩が本当に妊娠したわけじゃなくて良かった」
小鳥「そうですね」
春香「何もよくありませんよー!?ちょ、ちょっと雪歩離して…」
雪歩「うふふ…。春香ちゃん、いっぱい子供つくろうね?」
春香「ひえーーっ!ゆ、雪歩、離してーーーっ!」
終
依頼出してきます
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1511779803/
Entry ⇒ 2017.12.02 | Category ⇒ アイドルマスター | Comments (0)
【アイマス】美希「ハニーを労うの!」
星井美希(以下、美希) 「ねぇ、律子」
秋月律子(以下、律子) 「律子さん」
美希 「うぅ……律子、さん。聞きたい事があるの!」
律子 「聞きたい事?スケジュールとかかしら」
美希 「ううん、そういうのじゃないの!」
美希 「あのね?今日ってキンローカンシャの日、なんだよね?」
律子 「ええ、そうよー。残念ながら、アイドル的に休みにはならないけど」
律子 「それがどうかした?」
美希 「えっとね?キンローカンシャって働いてる人に感謝する日って聞いたの!」
律子 「……うーん、ちょっと違うかも」
美希 「えっ、そうなの!?」
律子 「元々は収穫祭とか言われてたりするから……どうなのかしらね?」
美希 「そ、そっか……それなら、仕方ないの」シュン
律子 「美希?どうかしたの?」
美希 「……えっとね?ミキ、ハニーに何かしてあげたいなって思ってて」
律子 「プロデューサーに?良いじゃない、喜ぶと思うわよ?」
美希 「でも、働いてる人に感謝する日じゃないんだよね?」
美希 「うぅ……困ったの」
律子 「……別に、きっかけとして使えばいいだけじゃない?」
美希 「でも、違う日なんだよね?」
律子 「ええ。でも、美希がプロデューサーに何かしてあげたいって思ったのに違いはないでしょ?」
律子 「それならそれで良いじゃない。きっとプロデューサー殿、喜んでくれると思うわよ?」
美希 「律子……!ありがとうなの!ミキ、頑張るね!」
律子 「……律子、さんね」
美希 「ハニー!ハニー!」トテトテ
P 「美希?どうかしたのか?何かあったなら……」ガタッ
美希 「良いから良いから!座っててなの!」
P 「……?」キョトン
美希 「んしょ、んしょ……」グニッ
美希 「どお?ハニー、気持ちいい?」
P 「肩揉んでくれるのか?うーん……」
美希 「あんまり、気持ちよくなかった?」ウルッ
P 「そうだな、揉むより叩いてくれた方がいいかも」
美希 「叩く?こう?」トントン
P 「そうそう、良い感じ」
美希 「褒められちゃったの~♪とんとん、とんとん♪」ニコニコ
音無小鳥(以下、小鳥) 「祝日に事務所に来た挙句にイチャイチャを見せられていた……なんという」フルフル
美希 「小鳥もやって欲しいの?」
小鳥 「やって欲しいわ!」クワッ
P 「音無さん……」
小鳥 「目の前で美希ちゃんに肩たたきされてるの見たら、誰だって羨ましくなりますよぅ……」
P 「それじゃ、俺の後にやってあげてくれないか?俺、これからテレビ局に行かなきゃいけないからさ」
美希 「えーっ!まだ始めたばかりなのに、そんなのってないの……」
美希 「……そうだ!ミキもついてくの!」
P 「ついてくるのか?ただの打ち合わせだぞ?」
美希 「いいの!ミキ、今日はハニーについていくからね!」
P 「?まぁ、いいけど……それじゃ、準備してくれるか?」
美希 「はいなの!それじゃ小鳥、行ってくるね!」フリフリ
小鳥 「……いってらっしゃい」フリフリ
P 「……っと、後は本命のだけかな」
P 「美希、疲れてないか?」
美希 「大丈夫なの!ハニーの方こそ、疲れてない?」
P 「いや、むしろ思った以上に捗ってくれて助かってるよ」
P 「アイドルが実際に居ると、やっぱり違うもんだなぁって実感させられたな」ハハ
美希 「ふーん……ハニーの為になったなら、良かったの!」
天海春香(以下、春香) 「あれっ?美希?」
美希 「春香?あっ、千早さんもいるの!」パァアア
如月千早(以下、千早) 「美希、プロデューサーもお疲れ様です」
P 「うん、二人ともお疲れ様」
P 「二人はラジオの収録だったっけ?」
春香 「はい!千早ちゃん、今日もリスナーからのお便りで笑っちゃって……」
千早 「面白かったんだから仕方ないでしょ……ぷ、くく」クスクス
春香 「ただのダジャレだったよね……?」
美希 「ミキには良く分からないの……」
春香 「あっ、そうだ!誕生日おめでとう、美希!」
千早 「おめでとう、美希」
美希 「あっ、今日ミキの誕生日だったの……ありがとう、二人とも」
美希 「……誕生日」
春香 「今日はとびっきりのお祝いしちゃうからね~?」ニコニコ
千早 「夕方には、事務所に帰ってきてね?」
美希 「……うん、分かったの!」
春香 「それじゃ、私達レコーディング行ってきますね!」
P 「おう、転ぶなよー」
春香 「もー、そんなお決まりな事やるわけないじゃ……ぁっ」グラッ
千早 「…………」
P 「さて、それじゃ帰るか……美希?」
美希 「……えっ、どうかしたの?」
P 「なんかさっきより沈んでないか?何かあったのか?」
美希 「……ううん、なんでもないの!」
美希 「それじゃ帰ろ、プロデューサー!」
P 「………いや、ちょっと寄り道していかないか?」
P 「今日、折角付き合ってもらったお礼をしたいし」
美希 「えっ?別にそんなの……」
P 「俺が一服したかったの!さ、行こう!」ガシッ
美希 「ぷ、プロデューサー!?」トテトテ
店員 「キャラメルマキアートといちごババロア、ブラックコーヒーお待たせしました~」
P 「ありがとうございます……はい、美希」
美希 「ハニー、ありがとうなの……」
P 「……どうしたんだ?さっき、なにか言いたそうだったけど」
美希 「えっ?そ、そんな事ないって思うな」アセリ
P 「……ひょっとして、俺に話せない事か?」
P 「俺じゃ力になれないって事なら、仕方ないんだけどさ……」
美希 「ち、違うの!ハニーは悪くなんてないの!」
美希 「……今日、キンローカンシャの日って律子から聞いたの」
P 「まぁ、な。俺も、休みにしてやりたかったんだけど……」
美希 「ううん、お休みが欲しかったんじゃないよ?」
P 「?」
美希 「……ハニー、いつもミキたちの為に頑張ってくれてるでしょ?」
美希 「だから、今日くらいはハニーに休んで欲しかったの」
P 「だから、事務所で肩揉んだりしてくれたのか……」
美希 「うん!ちょっとでも休ませてあげたいなーって思ったの!」
美希 「……でもね?今日はミキの誕生日って思いだしたら、ワガママ言いたくなっちゃって」
美希 「今日くらい、ハニーを独り占めしても良いかなって思っちゃって……」ウルウル
P 「…………」
美希 「……うぅ」
P 「まったく、そんな事に気を遣わなくても良いのに」ナデナデ
美希 「えっ?」キョトン
P 「今日は美希の誕生日だぞ?ワガママ言っても良いんだ」
美希 「……いいの?ハニーのメイワクになっちゃうよ?」
P 「朝、あれだけ助けてもらったじゃないか!それで十分だよ」
美希 「ホントにいいの?」
P 「おう、今日は午後空けてあるしな!」
P 「今日の俺は、お前だけのハニーだ!」ドン!
美希 「―――っ!やったやったやったのー!」
美希 「それじゃ、ハニーって今日は堂々と外で呼んでも良いの!?」
美希 「ハニーとイチャイチャしても良いんだよね!」パァアア
P 「おう、ほどほどに――」
美希 「それじゃ……はい!あーん」
P 「えっ、いいのか?いちごババロア、美希の好物だったろ」
美希 「それもそうだけど……うん!こうした方がいいと思ったの!」
美希 「それに、ハニーは甘い物食べて元気になれるよね?」
P 「それはそうだけど……わ、分かった。いただきます」パクリ
美希 「……美味しい?」
P 「うん、美味い……美味いが、恥ずかしい」カァ
美希 「えへ……こうしてると、本当のコイビトみたいなの」テレテレ
P (……周りから、異様な殺気を感じるような)ブルブル
美希 「じゃぁ……はい!」スッ
P 「ん?なんでスプーンこっちに向けてるんだ?残ってるの、食べていいぞ?」
美希 「そうじゃないの!もう、ハニーはドンカンなの!」プンプン
P 「?」キョトン
美希 「ミキにた・べ・さ・せ・て?」ニコッ
P 「……いやいや!めっちゃ恥ずかしいだろそれ!」ブンブン
美希 「むぅー、今日はミキだけのハニーなのにー……」
P 「うぐぅ……わ、分かった」スッ
P 「それじゃ、行くぞ……はい、あーん」プルプル
美希 「あーむ♪」パクリ
美希 「んー、美味しいのー!ハニーの愛情たっぷりってカンジ!」キラキラ
P 「そ、それは良かった……」
美希 「……ハニー、気付いた?これって間接キスなんだよ?」ジッ
P 「そ、そういう事を不意打ちで言うんじゃない!」カァア
美希 「あはは、ハニー顔真っ赤なの!」
P 「ドキドキさせるなよ……意識すると、余計に緊張してくるから」
美希 「アハッ、ゴメンなさいなの!それじゃ、ハニー?」
P 「……分かった!はい、あーん!」スッ
ギロッ
P (……心が参りませんように)
美希 「ハニー、ありがとなの!いちごババロアとキャラメルマキアート、とっても美味しかったよ!」
P 「それなら良かった……それじゃ、事務所に戻るか?」
美希 「んーとね……ミキ、一つだけ欲しいなーって思ってたのがあるの」
美希 「ハニー、買ってくれる?」
P 「ああ、誕生日だしな。それで、一体何を……」
美希 「それはね――」
美希 「ハニーと二人で選ぶ……あずさじゃなくても、トキめいちゃうの」ウットリ
P 「……で?なんで指輪なんだ?」
美希 「千早さんに買ってあげてたでしょ?だから、ミキも欲しいなーって」
P 「ぐぅ……知ってたのか」
美希 「……ダメ?」
P 「まさか、大丈夫だよ」ニコッ
P 「それじゃ、早速選ぶか……って言っても、あんまり俺詳しくないんだけどな」ハハハ
美希 「ハニーが選んでくれたのなら、なんでも似合うって思うな!」
P 「それは嬉しい……っと、アレなんてどうだ?」
美希 「……うん!ミキも好き!」
P 「それならちょっと見てみるか……すみませーん」
美希 「えへへ……ハニーに指輪をプレゼントされちゃったのー」ニヤニヤ
P 「そこまで喜んでくれるなら、こっちも嬉しいよ」
美希 「……ねぇ、ハニー?指輪、嵌めて?」
P 「それくらいなら……はい、指出してくれ」
美希 「はいなの!」
P 「……いや、薬指じゃないよな?ほら、人差し指出して」
美希 「ぶー……はい」スッ
P 「……よし、これでいいな」
美希 「でもハニー?なんで人差し指なの?」
P 「ん?いやぁ、左手の人差し指に嵌める指輪にも、ちゃんと意味があるらしくてな」
P 「ゴールに向けて取り組む事が出来るようにっていうのが、トップアイドルを目指すのに合うかなーって思って」
美希 「へー、よく考えてるんだねー……」
P 「あんまり嬉しくないか?」
美希 「……ううん、すっごく嬉しいの!でも――」
美希 「今度は、薬指に指輪嵌めてもらうからね、ハニー!」
P 「美希は元気だなぁ……ふわぁあ」
P 「っと、ごめん。つい、欠伸が」
美希 「ひょっとしてハニー、眠いの?」
P 「ああ、事務所帰って仮眠でも」
美希 「……ねぇ、ハニー?ミキ、ちょっと試したい事があるの」
P 「どうした?余程の無理じゃなきゃ付き合うよ」
美希 「うーん……今日はまだあったかいし、大丈夫って思うな?」
P 「不安になるな……それで?」
美希 「ちょっとこっち来てハニー!」ギュッ
P 「……?」
美希 「はい、ハニー。ミキの隣座って?」
P 「公園のベンチに腰掛けて、何しようっていうんだ?」
美希 「えーっとね……膝枕、なの!」
P 「足痛くなるだろ?やめておいた方が……」
美希 「……事務所に帰ったら、二人きりじゃなくなっちゃうでしょ?」
P 「まぁ、あいつらもお祝いしたいだろうしな……」
美希 「ミキ、ハニーから大事なプレゼント貰っちゃったから……そのお返しなの!」
美希 「それに、ハニーもお休みできるでしょ?」
P 「まったく、気を遣わないで良いって言ったのに……」
P 「分かった、ちょっとだけ寝てて良いか?20分くらいしたら起きるからさ」
美希 「うん、分かったの!ささ、ハニー?」ポンポン
P 「……なんか、照れくさいんだけど」ポスッ
美希 「わっ……意外と重いんだね」
P 「やっぱりやめようか?」
美希 「……ううん、やるの!」
美希 「ハニーと頭が膝に乗ってるってなんか変なカンジなの……」ジーッ
P 「……恥ずかしくて、寝るどころじゃないぞこれ」
美希 「えーっ!?そ、それは困るの……」
美希 「……そうだ!」ティン
P 「?」
美希 「ちーくーたくーとうごくーとけーいはー♪」
P 「子守歌?」
美希 「そうだよ?千早さんに一回やってもらったから、真似しようと思って」
美希 「~♪」ノリノリ
P (う……本当に眠たくなってきた……)
P 「……すー」スヤスヤ
美希 「……ハニー、おやすみなさいなの」
P 「……ん」パチリ
P 「あれ、み……!?」
P (外すっかり暗いじゃないか!?美希はどうして――)チラッ
美希 「むにゃ……えへへ」ムニャムニャ
P 「……どうしよ、起こすべきか」
P 「でも、このまま起こさないと風邪ひくかもしれないし……よし」
P 「美希、起きて」ユサユサ
美希 「……んむ、はぇ?」
美希 「あーっ、はにぃなの……えへへ」
P 「ゴメンな起こしちゃって……帰ろうか」
美希 「手、繋いでくれる?」
P 「勿論」ギュッ
美希 「嬉しいの……それじゃ、帰ろハニー!」
高木社長(以下、社長) 「それじゃ、美希君!」
全員 「誕生日、おめでとー!」 パン パパン
双海真美(以下、真美) 「おかわりDA、やってしまえ亜美隊員!」パン
双海亜美(以下、亜美) 「おうともさ真美隊員!」パン
千早 「……えっ、紐だけ!?」オロオロ
真美 「あらら……千早おねーちゃん、バッドラックだったNE」
亜美 「仕方ねえ……予備のこいつを使いな」スッ
千早 「あ、ありがとう……えいっ」パン
千早 「!や、やったわ!」キラキラ
真美 「そこまで喜ぶとは思ってなかったYO」
美希 「千早さんが楽しそうで良かったの」
律子 「美希、結局プロデューサー殿を労えたの?」
美希 「……ハニー、ミキどうだったかな?」
P 「ああ、お陰で仕事の疲れも飛んでったよ」ナデナデ
美希 「!やったの!」キラキラ
律子 「へぇー……まぁ、何をやったかを問い詰めるのは無粋ですかね」
美希 「律子、さんも、たまには休まないとダメだよ?」
美希 「はいこれ、今日行ってきたお店のいちごババロアなの!」
律子 「あ、ありがと……帰ってから食べるわね」
P 「喜んでもらえてよかったな、美希」
美希 「うん!」
春香 「はいはーい!みんな、ちゅうもーく!」
P 「どうした春香、それ……」
春香 「えへへっ……実はですね!」ガサゴソ
春香 「じゃじゃーん!どうですか!?」バーン
美希 「いちごババロアなの!どうしたの、これ?」
水瀬伊織(以下、伊織) 「春香が頑張って作ってたのよ。アンタ、これ好きだったでしょ?」
春香 「えへへ……キャラメルマキアートの用意もしてあるんだよ!」
美希 「春香……ありがとう、スッゴク嬉しいの!」キラキラ
春香 「ふっふーん、もっと褒めてくれても……」ピタッ
千早 「春香?どうかしたの?」
春香 「……あ、あれ?美希、それって」ブルブル
菊地真(以下、真) 「綺麗な指輪だけど……あれ?美希、こういうの持ってたっけ?」
美希 「ふふん、ハニーに買ってもらったの!」ドヤッ
律子 「……は?」
P ビクッ
春香 「え、あの、その……?」アワアワ
千早 「春香、落ち着いて?ね?」
亜美 「あずさお姉ちゃんとピヨちゃんが息してないYO!」
真 「た、誕生日に指輪……なるほど!」
伊織 「アンタは何を納得してるのよ!」
萩原雪歩(以下、雪歩) 「……よし」グッ
美希 「えっへへー、バレちゃったねハニー?」スリスリ
P 「……そうだな、バレちゃったな!ハハハ!」
律子 「バレちゃったじゃないですよ!アイドルに指輪送ってどうするんですか!」
真美 「あれ?でも、千早お姉ちゃんも指輪貰ってたよ?」キョトン
千早 「……何の事かしら」プイッ
三浦あずさ(以下、あずさ) 「プロデューサーさん、今度行きたいところがあるんですけど!」
P 「あずささん、落ち着いてください!」
あずさ 「お、落ち着いてなんて……」アワアワ
律子 「どういう事よ千早まで!」
千早 「……お、お祝い?」
社長 「……うちの事務所は、賑やかで笑いが絶えない事務所だねえ」
P 「……とっても楽しい事務所です、飽きませんね」ニガワライ
ブーン
P 「まったく、大変だったな……」
美希 「春香、ずっと慌ててたの……」
P 「あそこまで慌てるとは……予想してなかった」
美希 「薬指につけていったらどういう反応するかな?」
P 「余波で音無さんが倒れるからやめなさい」
美希 「それは困るの……」
P 「……よし、着いたな」
美希 「もう、着いちゃったの……」シュン
P 「まぁ、こればっかりはな」ガタ
美希 「残念なの……」ガタ
美希 「ハニー、送ってくれてありがとうなの!」
P 「おう、どういたしまして」
P 「よし……明日からも頑張ろうな、美希!」
美希 「うん!」
P 「えっ、ホントか!?どこに……」キョロキョロ
P 「え?別にどこにもついてな――」チュッ
P 「――――!?」
美希 「えへへ……最後に、美希からのお返しなの!」トテトテ
美希 「大好きだよ、ハニー!」
おしまい
労うってなんだ……?ってのと勤労感謝の日の解釈で悩みぬいた結果ぶん投げた模様
いつも通り楽しんで読んでもらえれば幸いです
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1511446829/
Entry ⇒ 2017.11.27 | Category ⇒ アイドルマスター | Comments (0)
担任教師「え? 天海春香がどうかしましたか?」
数学「いえ、特にどうかしたというわけじゃないんですが。
天海ってアイドルやってるんですよね?
今年から授業持つからちょっと気になって」
担任「ああ、なるほど。特に気にすることは無いと思いますよ。
最近は結構売れてきてるみたいで欠課は前よりは増えてますけど、
授業態度なんかはいたって真面目ですし」
数学「へー」
担任「提出物も……まぁ、ちょっと抜けてるところがあるんで
たまに忘れる時はありますけど、大体はきっちり出してきますよ」
担任「ああ、はいそうです。アイドルの」
体育(男)「なるほど、さては数学くんは天海のファンだな?」
数学「えっ! いや違いますよ、そういうことじゃなくて!」
体育(男)「いやいや、あれはしょうがない。
俺はもうあの話を聞いた瞬間から天海のファンだから。ね、先生!」
体育(女)「ああはいはい、あれね。犬かきね」
体育(女)「いや、彼女はもうすごいんですよ犬かきが。
水泳部の子のクロールと同着でしたから。いや、あれは勝ってたかも知れないな」
数学「い、犬かきでですか!?」
体育(男)「あぁもう見たかったなあー!
それ聞いてから本気で次の女子の水泳見に行ってやろうと思いましたからね!」
体育(女)「他は全然たいしたことないんですよ?
なのに犬かきだけは本当にすごかった……」
担任「あ、家庭科先生」
数学「か、家庭科もですか!」
家庭「まぁ言っても、犬かきほどのインパクトはないですけど。
お菓子作りはすごく得意なのに裁縫は……って感じですね。
いやお菓子は本当に見事なんですよ? 聞いたら本人も趣味って言ってましたし」
数学「へ~……」
担任「まあ、そんな感じです。どうですか、大体わかりましたか? 天海のこと」
アイドルなんてやってるんだからもっと変わってるのかと思ってました」
家庭「ふふっ、そうですね。普通ですあの子。まぁいい子ですけどね」
体育(男)「いや普通が一番ですよ、ほんとに!
生徒らが全員普通ならどんだけ楽か。そんないい学校はない!」
体育(女)「ほんとにね」
数学「あはは……。取り敢えず天海のことはそんなに気にしなくて良さそうですね」
担任「そうですね、気にするのは欠課時数くらいでいいと思います」
数学「はい、ありがとうございました」
理科「はぁ~……」
社会「あれ、お疲れだね。どうしたそんなため息なんかついて」
理科「あぁいえ、星井がちょっと……」
社会「星井……星井美希? ああ、また寝てたとか?」
理科「そうなんです。もう何回起こしても全然起きなくて……」
担任「ちょっ、私に振らないでくださいよ! 来そうな予感はしてましたけど!」
社会「どうなってるんだ星井の担任は! 誰だまったく!」
担任「私ですけど! いやでも、真面目な話、
そろそろちょっと保護者の方にも話した方がいいかなーとは思ってるんですよね……」
理科「保護者に、ですか。それはどんな風に……?」
担任「やっぱり家庭での様子ですよね、聞きたいのは。ちゃんと寝られてるのか、とか」
社会「本人に聞いたことは?」
担任「何回か聞きましたよ。でも何も問題ないって」
社会「俺は正直、あれなんかの病気なんじゃないかと思うけどなぁ……。
ナルコレプシーとか」
担任「こないだなんか全校集会で立ったまま寝てましたからね」
理科「え、本当ですか」
社会「ちなみに保健室の方は? 何か言ってない?」
担任「いえ、特には。健康診断とかは別に問題なしでしたし、
それにあの子、保健室には全然行かないですから」
理科「ああ、確かに確かに。体調悪いなら保健室行けって言っても、
大丈夫って言って、そんでまた寝始めるんですよね」
担任「そう……ですね。はい、成績はそれほど問題ないです。
あれだけ寝ててなんで問題ないのかが不思議ですけど」
理科「ですよねぇ……。あれでちゃんと起きててくれればなぁ……」
担任「ただ成績っていうより、
星井さんの場合はどっちかというとあっちの方が怖いんですよね」
社会「あっち?」
担任「ほら、すごいじゃないですか。男子からの人気」
理科&社会「あー……」
社会「うん、あれはすごい。あいつらもちょっとは落ち着けって感じだけど」
担任「まあ今のとこトラブルなんかにはなってないみたいですけどね」
理科「アイドルだからその辺は気をつけてるんですかね?」
担任「どうなんでしょう……。まあその辺も含めて、今度の面談で保護者に話してみますよ」
社会「大変だねぇ。お疲れ様」
担任「あはは、ありがとうございます。頑張ります」
音楽「あ、先生お疲れ様です」
担任「ああ、お疲れ様です」
音楽「どうですか最近、如月さんは。元気にしてますか?」
担任「如月ですか? はあ、まあ元気だと思いますよ」
音楽「クラスの子とはどんな感じです? 私の授業では近頃は……」
担任「あ、すみません次授業なんで。それじゃ」
音楽「えっ、あ、はい、すみません……」
国語「いやー、やっぱきついですねぇ、担任先生」
音楽「あ、国語先生……。なんででしょうね?
アイドルやってるってだけで不真面目な生徒扱いって、ちょっと極端過ぎる気がしますよ」
国語「不真面目どころか一番真面目なくらいなんですけどね。
成績はあのクラスでも上の方だし。
ノートとかすごいですよ、すごく綺麗で。課題も絶対出しますから」
音楽「ですよねぇ。まあ真面目過ぎて色々大変なとこもありますけど……」
国語「ああ、まぁ合唱部は……そうですよね。まだ辞めてはないんでしたっけ?」
音楽「そうですね、辞めてはないです。やっぱり全然来てないですけど」
国語「あ、ですよね! なんか、笑顔を見るようになった気がします」
音楽「そうそう。『隣の席で話してー』とかやった時も、
結構楽しそうに話してたりするんですよ」
国語「こっちの授業もそんな感じですね。
アイドルの方が上手くいってるおかげですかね?」
音楽「周りが変わったからっていうのもあるかも知れませんね。
最近、ウチの部にも如月さんのファンになりつつある生徒が出てきたりしてますし」
国語「へー、そうなんですか!」
音楽「はい。だから、そろそろ折を見て、話してみようかと思って」
音楽「はい。また部活の方に顔出してみないか、って」
国語「そうですね、今の感じならいけるかも知れないですね」
音楽「まあ、もう少し様子は見てみますけど。
このままいい方向にいってくれれば良いですけどね」
国語「ですね。僕もちょくちょく、様子気にかけておきます」
音楽「はい、ありがとうございます。お願いします」
学年主任「新一年生の学年担任はこのようになっております。
既にお知らせしてあるものと、変わりはないでしょうか?」
担任「ないですねぇ……やっぱりこのクラスですねぇ……」
数学「ですね。先生はそのクラスですね」
学年主任「? 何かおかしなところがありましたか?」
担任「ああ、いえ。ただちょっと、双子が……」
英語「あはは、元気でしたもんねぇ体験入学の時」
なんかすっごい元気な双子いましたよね。顔もそっくりで」
学年主任「双子、双子……。ああ、双海亜美と真美、ですね。
元気というと、何か問題を起こしたとか?」
担任「いや問題ってほどでもないんですけど……。
『こいつらの担任大変だろうなー』とか思いならが見てたんですよ僕。
そしたらまさか……まさかこうなるとは!」
数学「でも、別に問題があるとか指導計画があるとかじゃないんでしょ?
小学校の方からも特になにも聞いてないですよね?」
担任「それはまぁそうなんですけどね……」
あの感じだと、うまくやればクラスをまとめていけるタイプになるかも知れませんよ」
担任「だったらいいんですけど……。
っていうか今更ですけど、なんでこの二人同じクラスなんですか?
あれだけ元気ならバラけさせてもいいような気もするんですが」
学年主任「んー……そういう案も一応出たんですけどね。
ただやっぱり、小学校まではずっと一緒に居たわけで、
中学校っていう新しい環境に入ると同時に離してしまうのは大丈夫かな……
っていうことで、同じクラスにしたんですよね」
担任「う~ん……まぁ、そうですよねぇ」
国語「あとはアレですね。やばそうな奴らは一つに固めて、
誰か一人の担任に犠牲になってもらおう、と」
担任「オイ! やっぱそういうことか!」
数学「そうそう、いけますいけます」
担任「ちょっと! 他人事だと思って!」
国語「あはは、まぁそれは冗談ですけど、多分大丈夫でしょう。
体験入学での感じだと、普通に分別はつきそうですし。
最初にきっちり引き締めておけばそう問題にはならないと思いますよ」
担任「そりゃあきっちりやりますけど……」
学年主任「何かあれば私たちでフォローしますから。よろしくお願いしますね」
数学「お疲れ様です」
担任「あ、お疲れ様です」
数学「成績伝票です、よろしくお願いしまーす」
担任「おお、ありがとうございます。どうでしたか、ウチのクラスは」
数学「んー、まあ大体みんな頑張ってましたよ。
ただちょっと、一人怪しげなのも居ますけど」
担任「あ~……高槻ですか」
やっぱりどうしても、能力が低いですから……」
担任「ですね……。なかなか上がりませんね」
数学「他の科目はどんななんですか?」
担任「いや、似たようなものですね。頑張ってるは頑張ってるみたいなんですけど」
数学「そっか……。平常点でなんとかなってる感じですよね。
授業自体は一生懸命受けてますから」
担任「ですねぇ。まあ、ちょっと難しい説明すると顔がポカーンってなりますけど」
数学「そうそう、なりますね」
やっぱりどうしても遅れたり抜けたりすることがあるんですよね」
数学「うーん……やっぱり、家庭の方が大変なんですかね」
担任「どうなんでしょう。あとはまぁ、アイドルもやってますからね」
数学「ああそうか、それもか。
いやー……流石にちょっとキツイんじゃないですか?
家事もやって、仕事もやって、っていうんじゃ……」
担任「んー……。ただ、本人はもう元気いっぱいですからね。
勉強の方は単に能力って感じもします。
あんまり効率よく物事こなすってタイプじゃありませんから」
数学「! そうなんですか? この時期っていうと、持久走?」
担任「あー、そうですね確かに確かに。持久力はすごいんですよね」
体育「そうそう、運動神経自体は飛び抜けて良くはないんだけどね。
でもマラソンは本当に速い。陸上部にも負けてませんから」
数学「へー……。陸上部とかに入ったりはしないんですかね?」
体育「まぁねぇ。それはやっぱりホラ、家のこととかアイドルとかがあるから」
卒業したらそのままアイドルですか?」
担任「ああ、いえ。一応進学を考えてるみたいですよ。
初めはそうは言ってなかったんですけど。プロデューサーに言われたとかで」
数学「プロデューサーに、ですか。
あはは、なんかプロデューサーとか言われると本当にアイドルなんだって感じしますね」
担任「ですよね、僕も最初聞いたときそう思いました」
体育「それにしても、親じゃなくてプロデューサーに言われて進路決めるんですね。
プロデューサーとも面談しといた方がいいんじゃない?」
担任「はは、確かに。一度会ってはみたいですね。
アイドル頑張ってるかどうか、教えてもらわないと」
英語「担任先生、ちょっといいですか?」
担任「ん? はい、なんでしょう」
英語「先生のクラスに萩原雪歩って居るじゃないですか」
担任「ええ、はいはい」
英語「さっき廊下で見かけたんですけどね。
名前はちょっと分からないんですけど、男子生徒にからかわれてて」
担任「男子生徒? ウチのクラスのですか?」
それで、本人結構嫌そうっていうか、困ってるみたいだったんで……。
一応、その場で軽く男子の方は指導しておきました」
担任「うわぁ、ありがとうございます。ウチのクラスか……誰だろう。
ちなみになんて言ってからかわれてたんですか?」
英語「なんか、体育の後だったのかな?
女子が多分サッカーやってて、それで萩原がボールを蹴り損なったらしくて。
『ダッセー』とか、そんな感じで」
担任「なるほど……はぁ。なんでわざわざ女子の方とか見るかなぁ。
しかもからかうって……。周りはどうだったんです? 他の生徒は居なかったんですか?」
英語「居ましたよ。周りは笑って見てるだけでしたね」
英語「いえ、それはないです。僕がその男子を指導してる間に
萩原と一緒に去って行きましたけど、一応慰めたりとかはしてたみたいです」
担任「そうですか……。萩原さんは嫌がってる感じだったんですよね?」
英語「そうですね、だいぶ困ってるような感じでした」
担任「ん~……。まああの子、結構気が弱いところがありますからね。
からかわれて言い返せるような性格じゃないことは確かだし……。
やっぱり、学校生活アンケートみたいなのやった方がいい気がしますね」
英語「ですよねぇ。なんでこの学校やってないんですかね?」
今は授業中……ですかね? まあ、職員室に戻ってきた時にでも」
英語「ですね、そうしましょう」
担任「ところで、先生よく萩原さんの名前わかりましたね。
確かウチの授業は持ってなかったですよね?
やっぱりアレですか? アイドルやってるから?」
英語「はは、まぁ、流石に。アイドルやってる生徒なんて、珍しいですから覚えますよ」
担任「あはは、ですよね。まあ普段の様子見てたら、
全然アイドルなんてしそうにないんですけどね」
英語「あ、そうなんですか? 僕はよく知らないんですけど」
声も小さいし、歌とか踊りとか全然できそうにないんですよ。
まぁ聞いてみたら、そんな自分を変えたくて……みたいなことは言ってましたけど」
英語「へー……。ちなみにアイドルをやってるところは見たことないんですか?」
担任「ないですねぇ。私、あんまりテレビは見ないので」
英語「それじゃ、もし萩原がテレビ出てるの見たら教えてあげますね。
僕もちょっと興味あるし。ウチの生徒がアイドルやってるとこ」
担任「あはは、じゃあお願いします。楽しみにしてますね」
担任「先生、お疲れ様でした。生徒会、今終わりですか?」
生徒会担当「はい。想定したより長くかかりましたが、
なんとかこの時間で終われて良かったです」
担任「本当にお疲れ様です。そう言えば、水瀬さんは生徒会ではどうですか?
しっかりと働いてくれていますか?」
生徒会「ああ、水瀬さんは先生のクラスでしたね。
よく働いてくれますよ。とてもテキパキとしていて」
担任「そうですか。まあ、彼女ならきちんとやってくれますよね」
人をまとめてどんどん引っ張れるタイプですから、こっちも助かってますよ。
さすがは水瀬家の長女、といったところでしょうか」
担任「まあ、そう言った部分もあるかも知れませんね。
ご家庭での教育もしっかりされているでしょうし」
生徒会「良いですね、ああいった生徒がクラスに一人居ると。
あの様子だと、学業の方も優秀でしょう」
担任「んー……そうですね。特に問題はありません。
ただ特別優秀かと言われれば、実はそんなこともないんですが」
生徒会「あれ、そうなんですか? それは少し意外ですね」
なかなか点数の方が取れないみたいで。特に数学に苦手意識があるみたいです」
生徒会「なるほど……。もしかすると、アイドルが忙しいのでは?」
担任「そうかも知れませんね。アイドルの方もとにかく本気のようですし。
両立は少し大変なのかも知れません」
生徒会「水瀬さん自身、卒業後のことは考えているんですか?
進学か、それともアイドルに専念するのか」
担任「進学を希望しているようですよ。進学先も、もう決めているようです」
担任「ただそれは本人の意志というよりは、
お兄さんたちと同じ高校に進学させるという、保護者の意向が強いようですが」
生徒会「ああ、そう言えばお兄さんが二人居るんでしたか。
やはり水瀬家が通うのにふさわしい名門校なんでしょうねぇ」
担任「調べてみましたが、名門でしたね。
ただ個人的には、一般の公立に通わせてもいいんじゃないかとは思うんですが」
生徒会「そうなんですか?」
担任「はい。本人が、水瀬家ということで特別扱いされることが好きじゃないみたいですから」
そういう特別扱いはいいんでしょうか」
担任「いいんじゃないですか?
アイドルとしての人気は水瀬家とは関係ありませんから」
生徒会「ああ、なるほど。家の力ではなく自分の力で、ということですか。
そう考えると随分立派ですね。さすがは水瀬家……っと、これがいけないのか」
担任「そうですね。家柄のことはあまり気にしないであげると本人も嬉しいと思いますよ。
ただ、そう言いつつプライドは高いようですから、
その辺りはちょっと気を使ってあげる感じで」
生徒会「あはは、難しいですねぇ」
日本史「担任先生ー、ちょっといいですか?」
担任「はい、どうしました?」
日本史「菊地って先生のクラスでしたよね。
これ、先生に渡しといていいですかね?」
担任「なんですかこれ、手紙? ……ああ、ラブレターか」
日本史「はい。廊下に落ちてたんで渡してやってください」
担任「すみません、ありがとうございます」
日本史「それにしても今時ラブレターなんて珍しいと思うんですけど、
この学校に限ってはそういうこともないみたいですよね」
日本史「ですよね。ただでさえ珍しいのに女子同士って」
担任「逆に女子同士だから送りやすいのかも知れませんね。
軽く、友達とか先輩後輩の関係の延長みたいな感じで」
数学「そういうものなんですかねぇ」
担任「まあでも、確かにカッコイイですからね。
下手したらそのへんの男子よりカッコイイですよ」
日本史「ああまぁ、それは分かります。
それ考えるとアイドルっていうのも天職なのかも知れないですね」
担任「ファンも女性ファンが多いみたいですね。本人は複雑かも知れませんけど」
担任「男性ファンも欲しいみたいですよ。
そこはやっぱり女子ですからね。可愛いって思ってもらいたいみたいです」
日本史「あはは、そうなんですか。その時点で結構可愛いじゃないですか」
担任「それ本人に言ってあげてください。喜びますよ」
日本史「いやいや、流石にそれはやめときます」
担任「ただちょっと心配なのは、
保護者は娘がアイドルやってること知らないみたいなんですよね」
日本史「え!? そうなんですか!?」
日本史「だ、大丈夫なんですかそれ。
っていうかそんなの、有名になったらバレるんじゃないですか?」
担任「普通にバレるでしょうね。もちろん本人は覚悟の上みたいです」
日本史「はあ……。バレた時、やめさせられたりしなければいいですけどねぇ」
担任「そうなれば本人は徹底的に戦うつもりみたいですよ。
そのときは……場合によっては三者面談も必要かなぁと思ってます」
日本史「うわぁ、大変ですね……。お疲れ様です」
担任「まぁまだ決まったわけじゃないですけどね。
当人達の間で解決することを祈りますよ」
地理「お疲れ様です、先生。どうですか面談の方は」
担任「まあ、予定通り進んでますよ。でもアレですね。
なかなか面白い子も居たものですね」
地理「面白い子?」
担任「ほら、ウチのクラスに沖縄から来た子が居るじゃないですか。我那覇響って」
地理「ああハイハイ、我那覇。居ましたね。どんなふうに面白かったんですか?」
担任「今日の面談で初めて知ったんですけど、
彼女、アイドルになるために上京してきたらしいんですよ」
担任「でしょう? まだデビューはしてないみたいですけど、
もう事務所にも所属して、レッスンやらなんやらも受けてるみたいです。
いや、沖縄にいた頃からそういう系のスクール? には通ってたらしいですけど」
地理「へー、すごい……。どんな感じの生徒ですっけ。写真あります?」
担任「ありますよ。えーっと……ほら、こんな感じです」
地理「ほー……。なるほど、確かにアイドルとかやっててもおかしくない感じですね」
担任「性格も明るいですしね。結構すぐ人気になるかも知れませんよ」
地理「そうなんですか? どんなだったんです?」
担任「もうとにかく喋り倒して。自分のこととか、ペットのこととか」
地理「ペット?」
担任「はい。すごいですよ。犬とか猫とかだけじゃなくて、
ワニとかも飼ってるらしいですから」
地理「ワニ!? いやいや、それはないでしょ!」
担任「いや、どうも本当らしいんですよ。写真も見せてもらいました」
地理「ええ……」
他にもまだ居たと思いますけど、ちょっと忘れちゃいました」
地理「すごい……」
担任「しかも、一人で飼ってるそうです」
地理「えっ? ちょっと待ってください。家族は一緒じゃないんですか?」
担任「それが一人暮らしなんですよ。すごいですよね」
地理「ほ、本当なんですかそれ。冗談とかじゃなく?」
担任「本当ですよ。調査書にも載ってましたから」
担任「でもちょっと安心しましたよ。
調査書見たときは色々大変そうだと思いましたけど、
あれだけ明るくて元気なら、まぁうまくやっていけそうです。
もう友達もできたみたいですし」
地理「そうですねぇ。ただやっぱり困ることも多いでしょうから、
その辺はちゃんと見てあげた方がいいかも知れませんね」
担任「はい。まぁ一応、しばらくは気にかけておきます。
多分問題ないとは思いますけどね」
地理「私も一応ちょっと気にしておきますね。何かあればまたお伝えします」
担任「ありがとうございます、よろしくお願いします」
担任「すみません、お待たせしましたー。ウチのクラスの進路希望です」
進路指導「おっ、ありがとうございます。
……ほぉ~……。やっぱり秋月は就職なんですねぇ」
担任「はい、本人の意思は固いみたいです」
進路「アイドルを続けるってことですか?
プロデューサーになりたいとかも言ってるんでしたっけ」
担任「ですね。そのつもりみたいです」
あの学力なら、国立も普通に行けるでしょう」
担任「受験に関しては私も一応何度か言ったんですけど、まあ変わりませんでしたね」
進路「保護者にも?」
担任「はい、もちろん。保護者も納得してるみたいです。
もし駄目なら店を継がせればいいっていうのもあるかも知れませんけど」
進路「なるほどねぇ……。
いやしかし、やっぱり想像できないなぁ。秋月がアイドルだなんて」
担任「ですよね、わかります。普段のイメージと結構かけ離れますよね」
担任「ああ、一度だけありますよ」
進路「本当ですか! どんな感じなんです?
アイドルだから歌ったり踊ったりするんですよね?」
担任「してましたねぇ。すごかったですよ。
『ザ・アイドル!』って感じで。普通にアイドルでした」
進路「へ~……。秋月がアイドル……。録画とかしてないんですか?」
担任「いやないですないです、録画は流石に!」
進路「えっ、そうなの? 駄目ですよ、担任なんだからちゃんと応援してあげなきゃ」
進路「じゃあ今度、録画して焼いて持ってきてくださいね」
担任「えっ! 本気ですか?」
進路「あはは、冗談ですよ。ただ、一度は見てみたいと思いますけどね」
担任「はは……。そういうことなら、確か明日くらいに出演する番組がありますよ」
進路「あ、そうなんですか? なんだ、ちゃんとチェックしてるじゃないですか」
担任「チェックというか……。まあ、ちょっと気にはなりますから」
担任「えー、確か……夜の7時だったと思います」
進路「おっと、そりゃいかん。明日は早く帰らなきゃ。
今日でパパッと仕事進めておこう」
担任「あはは、そうですね。それじゃ、進路入力お願いします」
進路「はい、ありがとうございましたー。
先生も今日頑張って、明日は早く帰らないと駄目ですよ?」
担任「はは、分かりました。忘れないようにしますね」
英語「先生方、お疲れ様でした」
数学「お疲れ様でしたー。今年も無事、何事もなく全員卒業できて良かったですね」
国語「おっ……? 担任先生、それはもしかしてお手紙ですか?」
担任「ああ、はい。四条から、さっき」
数学「うわ、すごい! 筆で書かれてる! さすが四条って感じですね」
英語「量も結構ありますね……。それ、今読んじゃって大丈夫なんですか先生」
でもやっぱり……こういうの、嬉しいですよね。教師冥利に尽きるというか」
国語「本当ですよね。それにしても四条は最後までなんというか……すごい生徒でしたね」
数学「うんうん。今だから言いますけど、
なんでこんな普通の公立中に来たのかが不思議ですよね。
絶対普通の家庭じゃなかったですよね、良い意味で」
英語「話し方とか明らかに違いましたもんね。
とてもじゃないけど中学生とは思えませんでしたよ」
担任「なんていうか、話してると時々、
向こうの方が年上なんじゃないかって思うときもありましたからね」
数学「わかります。なんていうか、オーラありましたよね」
最後までクラスで今ひとつ打ち解けてなかった感じがするんですよね……」
国語「あれ、そうだったんですか?
僕が見た感じだと、普通に会話なんかはしてたと思いますけど」
担任「ええ、会話はしてました。ただ、どこか壁があるというか……。
まあ、今更言っても仕方ないですけど」
数学「なんていうか、結構不思議な雰囲気がありましたもんね。
これからはアレでしょう? アイドルになるために東京に行くんでしょう?
それもだいぶ変わってますよね」
英語「しかも、なんでしたっけ。
トップアイドルになることが使命、みたいなこと言ってたんですよね?」
国語「うーん……謎ですねぇ」
数学「でも、全然アイドルって感じはしませんよね。
どっちかというと女優って感じじゃないですか?」
国語「ああ確かに。大物女優って感じしますね」
数学「でも本人はアイドルになりたいんですよね?」
担任「はい、面談とかで何度か聞いてみましたけど、それはずっと一貫してましたね」
英語「ふーん……。やっぱり、不思議な子ですねぇ」
ただこうして手紙をくれたってことは、
まあそれなりに担任としての仕事はできてたのかなと」
国語「そりゃあそうですよ。そうじゃなきゃ手紙なんてくれませんよ」
数学「あ、よく考えたら、その手紙って結構レアなんじゃないですか?
四条がトップアイドルになったらお宝モノですよ!」
英語「確かに! こりゃあ、トップアイドルになるよう応援するしかありませんね!」
担任「あはは、そうですね。じゃあ、これは家宝にしましょう。
未来のトップアイドルの直筆ですからね」
数学「あ、先生方おかえりなさーい。修学旅行、お疲れ様でした」
担任「お疲れでした……いや本当に……本当にお疲れでした……」
数学「え、ど、どうしたんですか先生」
学年主任「いやもうね、大変だったんですよ本当……三浦さんがもう……」
地理「ほらね! 言ったでしょ! 絶対やばいって!」
担任「いやまさかあれほどとは……本当にもう……。
北海道の修学旅行引率で沖縄行ったのなんて僕くらいのもんでしょ本当……」
数学「え……?」
担任「そのまんまの意味ですよ……初日に三浦がいきなり消えて……。
ほんのちょっと! ほんのちょっとだけ目を離した隙に消えて……!」
学年主任「散々探し回った挙句、本人から友達に電話があって、
『今沖縄に向かってるそうです』……って」
数学「ええ……」
地理「あり得る。あいつなら十分あり得る」
担任「あり得るんじゃないですよ! あったんですよ実際に!」
地理「やばいですよ。地図が読めないなんてレベルじゃありませんから」
担任「方向音痴も極まるとここまでなんですね。
勉強になりましたよ、本当……」
学年主任「言っちゃ悪いけど、正直もう……
三浦さんを連れて外を歩くのだけはやりたくないですよねぇ……」
担任「本っ当に、常に見てないといけませんからね。
沖縄から連れて帰ってからも、
一瞬でも視界から外すと、フラフラと全く別の方向に行ってたりするんですよ」
数学「完全に小さな子供じゃないですか……」
まともに働ける気が全くしないんですけど」
地理「あいつは一体何になるつもりなんですか? 将来は」
担任「面談では、OLって言ってましたね。
卒業後の進路としては進学を考えてるみたいですが……
方向音痴でもOLってできるんでしょうか」
数学「どうなんでしょう。事務仕事中心なら、まあなんとかなりそうな気も……」
学年主任「営業は絶対無理でしょう。外回り中に外国とか行きますよ絶対」
担任「行きますね、絶対行くと思います」
事件とか事故になりそうで、それが本当に怖いですよね」
担任「そうなんですよね。せめて卒業までは何事もなく無事で居てほしいなぁ……。
あ、そう言えば話は変わりますけど」
学年主任「はい、なんでしょう?」
担任「沖縄までの旅費って出してもらえるんですかね?」
学年主任「ああ……。事務で聞いてみましょう」
担任「すみません、お願いします」
おしまい
でも誰か忘れてるピヨ?
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1511440406/
Entry ⇒ 2017.11.26 | Category ⇒ アイドルマスター | Comments (0)
ヴィーネ「新妻ガヴリケーション?」
はじめから
あなたの名前を入力してね♪
ヴィーネ「月乃瀬=ヴィネット=エイプリル、と」
ヴィーネ「誕生日は10月……4月20日にしようかしら」
ヴィーネ「やっぱりやめましょう。正確に入力しないとダメよね」
ヴィーネ「呼び名は当然ヴィーネで」
ヴィーネ「終わったわ……意外と疲れるものね」ポチッ
《開始》
ヴ ィ ー ネ ド ロ ッ プ ア ウ ト
ヴィーネ「え?な、なにもないわよ……?」
サターニャ「そんなわけないじゃない、ヴィネット。あんた鏡見てる?目の下のクマかなりヤバいわよ」
ラフィ「パンダみたいですよね」
ヴィーネ「……ちょっと寝不足で。あ、大丈夫だから!少し寝付けないってだけ」
ガヴ「いやそれヤバいだろ。病院で睡眠薬とか出してもらったら?」
ヴィーネ「そこまでじゃないから安心して」
サターニャ「説得力ないわね……」
ラフィ「まあまあ、本人もこうおっしゃってることですし!ガヴちゃんもサターニャさんももう少し様子を見ましょう」
ラフィ(何をしているかは千里眼で確認済みですし)プフッ
ヴィーネ「はぁ……これ以上はマズいわね。皆に心配かけてしまったわ」
ガヴ『ヴィーネ、愛してる。毎日お前の作った味噌汁が飲みたいよ』ニコッ
ヴィーネ『待ってよ……私まだ……』
ガヴ『ダメか?』
ヴィーネ『……卑怯よ』
ガヴ『私は臆病だからな。ヴィーネが断れないタイミングを狙ってプロポーズしたんだ』
ヴィーネ『……本当にズルいんだから』
ヴィーネ『私もガヴが好きよ。愛してる』
ヴィーネ「いいわよ、画面の中の私!」グッ
ガヴ『大切にするから』
ヴィーネ『浮気したら承知しないんだからね?』
ヴィーネ「ガヴぅ」ハァハァ
ガヴ「珍しいな、ヴィーネが寝坊なんて」
ヴィーネ「ガヴと初夜……いえ、遅くまで映画を観てて……」
ガヴ「なんで私の名前が出てくんだよ」フフッ
ヴィーネ「寝ぼけてたのかも」
ガヴ「辛かったら保健室行く?」
ヴィーネ「大丈夫よ、ありがとう……あなた」
ガヴ「は?」
ヴィーネ「なんでもないの。気にしないで」
ガヴ「ヴィーネ最近おかしいよ?」
ヴィーネ「ガヴは結婚式はどこで挙げたい?」
ガヴ「何の話!?」
ガヴ「ごめん意味わからない」
ヴィーネ「ガヴったら照れ屋さんなんだから///」
ガヴ「いや、ただ困惑してるだけだが」
ヴィーネ「……あれ?もしかしてここは現実?」
ガヴ「あのさヴィーネ、やっぱり病院行こう?」
ヴィーネ「ああああああああああ」ダッ
ガヴ「あっ!ちょっとヴィーネ!どこ行くの!?」
ガヴ「行っちゃった……」
ヴィーネ「どうしよう……最近現実との区別が曖昧になってきた」
ヴィーネ「ガヴは私と結婚したのよね?あれ?……わからない」
ガヴ『私たち夫婦じゃん』
ヴィーネ『ガヴ……大好き』
ヴィーネ「ああ……これが現実だったわね」ウツロナメ
ヴィーネ「ガヴ……ガヴ……」ハァハァ
サターニャ「いけないわ!胡桃沢=サタニキア=マクドウェル。ダメよ!これはSSS級悪魔的行為……」
サターニャ「フッ……我ながらなんて悪魔的発想なのかしらね」
サターニャ「好奇心は大悪魔をも殺すと……いいじゃない!やってやるわ!」
サターニャ「覚悟なさいガヴリール。ヌワーッハッハ!」
サターニャ「神足通便利すぎよね」
サターニャ「ヴィネットにバレたら厄介だし、しばらく様子を見ましょう」
ラフィ「これはたの……面白いことになりそうですね」
サターニャ「今なんで言い直したの!?」
ラフィ「あ、いえ。なんとなくです」
サターニャ「行くわよ、ラフィエル。いい?二人には絶対内緒よ?」
ラフィ「はい!わかってます、サターニャさん」
あなたの名前を入力してね♪
ガヴ「誰だよこんなのインストールしたやつ」
ガヴ「まあ暇だし。少しだけ試しにやってみるか」
ガヴ「呼び名はガヴでいっか」
ガヴ「誕生日とか血液型とか面倒だな」ポチッ
《開始》
ガ ヴ リ ー ル ド ロ ッ プ ア ウ ト
ガヴ「毎日ヴィーネの作ったお味噌汁……飲みたいかも」
ヴィーネ「ガヴ!」
ガヴ「私、ヴィーネが好きだ」
ヴィーネ「私も大好きよ、ガヴ」
ガヴ「いいや、私の方が愛してるね」ギュッ
ヴィーネ「……なら証拠見せてよ?」
ヴィーネ「……んっ」
ガヴ「……ちゅ……」
ガヴ「納得した?」
ヴィーネ「……まだ」
ガヴ「どうしたら信じてくれる?」
ヴィーネ「あと100回キスしてくれたら……」
ガヴ「ヴィーネ!」ガバッ
ヴィーネ「あっ……そこ……」
サターニャ「はあ!?」
ガヴ「いつか結婚したいと思ってる」
サターニャ「急展開すぎてついていけないんだけどぉ?」
ガヴ「お前だろ?新妻ガヴリケーションとかいうやつインストールしたの」
サターニャ「しかもバレてるし!?」
ガヴ「いや、お前しかいないだろ……」
ガヴ「ありがとな。サターニャのおかげでヴィーネへの気持ちに気付けたよ」
サターニャ「素直すぎて気持ち悪いわね……ちょっと待って」
サターニャ「……私のおかげ?」
ガヴ「ヴィーネとの新婚生活、悪くなかったよ」
サターニャ「えぇ……」
サターニャ「ん?天使と悪魔という最悪のカップルを誕生させた私……悪魔だわ」
サターニャ「やっぱり私は大悪魔ね……我ながら自分が恐ろしくなるわ」
サターニャ「ガヴリール、私に感謝なさい!」
ガヴ「だからありがとうって言ってんだろ」
サターニャ「そ、それもそうね……」
サターニャ「この大悪魔胡桃沢=サタニキア=マクドウェル様のおかげて成立したカップルなのだから、幸せにならなきゃ許さないわよ?」
ガヴ「ああ。絶対にヴィーネを幸せにしてみせるよ」
ガヴ「ヴィーネという守りたいものができて、私は変われた」
ガヴ「ネトゲもやめたんだ」
サターニャ「……ん?」
ガヴ「私が更生できたのもサターニャのおかげだから」ニコッ
ラフィ「今のサターニャさんの顔、最高に輝いています!」
サターニャ「こうなったら私もプレイするわ!」
サターニャ「魔界通販で買った、この新妻ガヴケーションを!」
ラフィ「どうしてそうなるのかわかりませんが頑張ってください!」
《開始》
サ タ ー ニ ャ ド ロ ッ プ ア ウ ト
おしまい
掲載元:http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1493389695/
Entry ⇒ 2017.11.10 | Category ⇒ アイドルマスター | Comments (0)