今日からアイドルの私たち、デビュー!【ミリマスSS】
風花「看護士を辞めてまで来たんだもの、友達や患者さん達も応援してくれてるし。子供の頃に夢見た正統派アイドル、必ずなってみせるわ…よし!」
風花「失礼します…あら、誰もいないのかしら。」
??「はーい、どなた?」
風花(わ、何この子。すっごく可愛い!さすがはアイドル事務所ね、こんな可愛い子がいるなんて。)
??「あ、プロデューサーが言ってた新人さんね、よろしく。まあ、私も似たようなもんだけど。」
風花(こんな小さな子がタメ口?芸能界ってやっぱりそういう所あるのね。)
??「どうぞ、座って待ってて。今日はあなたとあと一人来る予定なの、その子が来たら手続きを始めるから。」
風花(でも何だかすごく慣れてる感じだわ。あ、もしかして?)
莉緒「失礼します。あら、あなたオーディションで一緒だった。」
莉緒「そうそう豊川さんだったわね。私の事は莉緒でいいわ、お互い頑張りましょ。同世代の子がいてくれて嬉しいわ。」
風花「じゃあ私も風花で。私も莉緒さんがいてくれてほっとしました。」
莉緒「ふふ、やっぱりちょっと緊張するものね。」
風花「ええ、いよいよですもんね。」
??「お、もう一人も来たか。待ってて、今プロデューサー呼んでくるから。」
莉緒「…風花ちゃん、さっきの子何?」
風花「私も分からないんです。ここのアイドルの一人っぽいですが。」
莉緒「765プロにあんな子いたっけ?」
風花「見たことないですね。本人は私達と同じく新人みたいなものだって言ってましたけど。」
莉緒「そりゃ、あんな子供なら当然そうだろうけど。それにしてはやけに落ち着いてたわね。」
風花「ええ。ですから多分、あの子が例の子なんじゃないですか?ほら、私たちと一緒に入るって聞かされた。」
莉緒「ええ!?まさか。いくら何でも雰囲気違い過ぎない?」
風花「子供はすぐ成長しますから。最後にあの子を見たのって、けっこう前だったでしょう?」
莉緒「うーん、そうかなあ。そりゃ、たしかに小さくて可愛いけど…」
莉緒「ありがとう、いただくわね……」
??「な、何?どうしたの、急に人をじっと見たりして。」
莉緒(うーん。まあ、言われてみればどことなく面影があるような、ないような…)
風花(でしょう?絶対そうですよ、でなきゃこんなに落ち着いてませんって。)
??「お、なになに何の話?」
莉緒(はあ、何だかショック。あんなに小さかった子がもうこんなに大きくなってたなんてね。時の流れを感じさせられるわ。)
風花(何言ってるんです、まだまだそんな事言う年齢じゃないでしょう?)
莉緒(ふふ、そうね。これからアイドルになろうって時にそんな考えしてちゃいけないわよね。)
風花(その通りです、頑張りましょう?)
??「ちょっと、二人だけで盛り上がるなんてズルいじゃない。私も混ぜてよね。」
莉緒「ん、ああごめんなさい。そうよね、これから一緒にアイドルやろうって時に。」
風花「ごめんね、気をつけるわ。」
莉緒「ええ、いいわ。百瀬莉緒よ、よろしく。」
風花「私は豊川風花です。これからよろしくお願いね?」
??「莉緒ちゃんに風花ちゃんね、よろしく。私はね…」
莉緒「やあね、あなたの事は知ってるにきまってるじゃない。本物に会えて嬉しいわ。」
風花「私もよ、そのうち会えるかもって思ってたけど、まさか今日すぐだなんて感激。」
??「へ?何それ、私まだデビューしてないけど。」
莉緒「でも、ずいぶん雰囲気変わったのね。すっごく大人っぽくなってる。」
風花「本当。すごく大人っぽいというか。貫禄ある感じだわ。」
??「そりゃ私はオトナだけど。私、あなた達とあった事無いわよ?」
風花「もちろんよ、これから仲良くしてちょうだいね。」
莉緒「あ、でもセクシーさでは私の方が上かな?よかったら色々教えてあげる。こっちも教わる事多いでしょうけど。」
??「は、はあ。どうも…」
莉緒「だけどあなた、なんていうか素直な雰囲気ね。ごめんなさい、もっと生意気な子だと思ってたわ。」
風花「そんなわけないじゃないですか。昔観た特集番組のとおりの子ですよ?」
??「…あのねえ、あなた達。」
莉緒「ま、何にせよ頑張りましょう。これからよろしくね?」
風花「周防桃子ちゃん。」
このみ「違う!」
琴葉「今日の面談が終わればあとは契約だけ。そしたら私もアイドルの仲間入り、か。悪い印象を持たれないようきちんとやらないと。」
琴葉「ここで待ってるようにとの事だったけど…あれ。」
恵美「ん?」
琴葉「あ、初めまして。ここにいるってことは、あなたもオーディションに合格したんですか?」
恵美「うん、まあね。あ、高校生どうしでしょ、タメでいいよ。」
琴葉「あ、はい。じゃなくて。分かったわ。」
恵美「うん。アタシ所恵美。そっちは?」
琴葉「田中琴葉よ。めぐみって一文字?」
恵美「二文字。美術の美が入るほうね、よろしく。」
琴葉「うん、よろしく。」
恵美(…なんか、いかにも優等生って子っぽい。こういう生真面目な子はアタシみたいなの苦手なんだろうな。)
琴葉(軽そうな子ね、ギャルって言うのかしら。私みたいなのがいてうっとうしいと思われてそう。)
恵美(……)
琴葉(……)
恵美(ま、いっか。どうせしばらく一緒にアイドルやる事になるんだろうし。これから少しずつ仲良くなってけばいいよね。)
琴葉(大丈夫よね。同じオーディション受かったって事は、多分一緒にお仕事する機会も多いだろうし。今は難しいかもだけど、時間をかければきっと分かり合えるようになるはずだわ。)
エレナ「えっと、ココだね…あ、もうキテる人がいるヨ!」
恵美「あれ、今日三人でやるんだ?」
琴葉「そうみたいね。」
エレナ「ワタシ、島原エレナ。ヨロシク!」
琴葉「こちらこそよろしく。私は田中琴葉よ。で、こっちが。」
恵美「所恵美。よろしくね。」
恵美(名前といい見た感じといいハーフかな?こっちの子の方が、さっきの田中琴葉さんよりとっつきやすいかも。)
琴葉(この子、可愛いわね。アイドル候補生なんだから当然だけど。さっきの所さんもすっごく美人だし。今さらだけど私、場違いなんじゃ…いや、今からそんな弱気じゃ駄目よね。)
恵美(どうしよっかな。せっかくだし少し話とかしたいけど、エレナって子とばかりになりそうだしなあ。とりあえずおとなしくしておこうかな。)
琴葉(この二人がどんな子なのかも気になるけど、今はそれより自分の事よね。よし、集中。質問を頭の中で想像して…)
エレナ「お、見たことナイ機械があるよ。何かなコレ?」
エレナ「あ、曲が流れた。これなんて歌だっけ、エット。」
恵美「ん?ちょっとちょっと、何勝手にオーディオいじってるの。そんな事しちゃだめだって。」
エレナ「チョットだけなら大丈夫ダヨ。あっちの机には何があるのカナ?」
琴葉「あ、こら。いけないわ、そっちは多分事務スペースとかで…」
エレナ「わ。ねえ見て、アイドルの写真が沢山ダヨ、ホラ!」
恵美「もう何やってんの。そんな勝手な真似したら…」
恵美「あ、三浦あずさだ。うわ、セクシーだね〜。なんだろ、グラビアの没写真とかかな?」
琴葉「こ、こら!あなたまで一緒になって何してるのよ。ほら、早く写真戻して。向こうで座って待ってないと…」
琴葉「へえ。こうして見ると天海春香ちゃん、やっぱり可愛いわよね。」
恵美「お、もしかしてファン?」
琴葉「ファンって程でもないけど、765なら春香ちゃんが一番好きかな。あなたは?」
恵美「アタシはやっぱり星井美希かなー。あの子のセンス、好きなんだよね。」
エレナ「あ、写真あったヨ。ハイ。」
恵美「お、サンキュー。そうそう、星井美希のこういう衣装の着こなし方がいいんだよね。」
恵美「んー、こっちの萩原雪歩と比べたら分かりやすいかな。つまりね…」
琴葉「なるほど。同じ衣装でもちょっとした事で変化を付けられるのね。」
恵美「そーゆー事。アタシ読モやってるんだけど、星井美希の着こなし方は割りと参考になるんだよね。」
琴葉「モデルさんなんだ、すごいわね。」
エレナ「かっこいいヨ!」
恵美「や、やだな。読モなんて大したもんじゃないって。」
琴葉「そんな事無いよ、人と違う事が出来たり、自分で考えて何かをやれるのってすごいと思う。」
エレナ「ウンウン。尊敬しちゃうヨ〜」
恵美「や、やめてってば。そっちだって、アイドルやる為にここに来てるんでしょ?それだけでも充分スゴい事じゃん。」
琴葉「それはそうだけど。でも、あなたやこの写真見てたらなんだか不安になってきたわ。私なんかが挑戦するなんて、無謀だったんじゃないかしら。」
エレナ「始める前から弱気は駄目だよ、スマイルスマイル♪」
恵美「そうそう、この子の言う通り。まだ始まってもないんだからさ。これから皆で頑張ろうよ。」
琴葉「そうよね。ごめん、私つい考え込んじゃうくせがあって。」
エレナ「ワタシもよくノーテンキだって言われるヨ。あ、じゃあこの三人でちょうどいいんじゃないカナ?」
恵美「ニャハハ、そうかもね。」
琴葉「ふふっ。ありがとう、あなた達と一緒でよかった。なんだかすごく楽しみになってきたわ。」
恵美「アタシも。早くこの写真みたいなアイドルになれるように、頑張らないとね。」
エレナ「きっとなれるヨ。皆で頑張ろ?」
琴葉「ええ!」
社長「やあ。遅くなってすまない、前の打ち合わせが長引いてね…おや、その宣材写真は。」
琴葉「あ。これは、その…」
琴葉「す、すみません!私のせいなんです、私がつい、この二人に色々話を振ったり写真を見たりしてしまって。あの、この二人は悪くないですから!」
エレナ「違うヨ、最初に動いたり、勝手に写真見たりしたのはワタシでしょ?だからこれは、ゼーンブ私が悪いネ。」
琴葉「違うわ、あなただけならこんなにずっと見たりしてなかったはずよ。私が話を振ったせいで。」
恵美「何言ってんの、チョーシに乗ってベラベラ喋ってたのはアタシじゃない。絶対アタシのせいだって。」
エレナ「ううん、二人が止めてくれた時にやめなかったんだモン。やっぱりワタシが悪いヨ、間違いないネ。」
社長「ほほう?なるほど。つまり…」
社長「はっはっはっ!いいねえ、皆でしでかしたイタズラの罪を自分一人で被ろうとするか。キミ達はさしずめ、この39プロジェクトの仲良しグループ第一号というワケだな。」
琴葉「え?いやあの、どうなんでしょう?」
エレナ「うん。もうとっくに仲良しダヨ。ネ?」
恵美「ニャハハ、そうかもね。」
社長「けっこうけっこう、実に素晴らしい。仲良きことは美しきかな、だよ。だがそれはそれとして、だ。持ち出し禁止の宣材写真を勝手に見た事については、一応償いをしてもらうことにしようか?」
エレナ「エ?」
恵美「…あーあ。まだ契約もしてないのに、いきなり罰で事務所の掃除って。」
エレナ「ゴメンね、ワタシのせいで。」
琴葉「いいのよ、私達も一緒に騒いだんだから。気にしないで。」
エレナ「アリガト!」
琴葉「…ふふっ。」
恵美「ん、どうしたの。」
琴葉「私ね。今日の面談、朝からすごく気合い入れて、ずっと緊張しっぱなしだったんだけど。」
琴葉「そんな事より今は、早くこの三人でアイドルやりたいなって気分。朝から緊張してたの、すっかりどうでもよくなっちゃった。」
恵美「あ、分かる。アタシも今、この三人でアイドルやるの、すっごい楽しみだもん。」
エレナ「ワタシも!これからヨロシクね、二人とも。」
琴葉「うん、頑張ろうね。えっと…名前で呼んでも大丈夫?」
恵美「もちろん。アタシも名前で呼ぶからさ。」
エレナ「当然ダヨ、もう友達なんだカラ。」
琴葉「ありがと。じゃあ改めて。頑張ろうね、恵美、エレナ?」
恵美「三人で頑張ろう。頼りにしてるからね、琴葉もエレナも。」
エレナ「ワクワクしてきたヨ。頑張ろうネ、コトハにメグミ!」
静香(765プロに所属して数週間。とりあえず、初舞台に向けてのレッスンを消化する日々。我ながらまあ上手く行ってると思う。そして…)
千早「おはよう最上さん。あなたとは初めましてね、如月千早よ。今日はよろしくお願いね。」
静香「おはようございます。はい、初めまして!」
静香(憧れの千早さんのレッスン。頑張らなきゃ!)
千早「それじゃあ、まずはアップからね。」
静香「はい。よろしくお願いします、如月さん!」
千早「千早でいいわ。あなたの事は矢吹さんや志保から聞いたけど、とても熱心だそうね。期待してるわよ。」
静香「そうなんですか、ありがとうございます。」
静香(志保の事は名前で呼ぶのね。変な事吹き込んでないといいんだけど…。)
静香「はぁ、はぁ…。」
千早「…そこまで。お疲れ様、上がりにしましょう。」
静香「へ、平気です。まだやれます!」
千早「オーバーワークは逆効果よ。新人に無理はさせられないわ、今日はもうおしまい。いいわね?」
静香「ですが…」
千早「最上さん。あなた、聞いてた通りの人みたいね。」
静香「え?」
千早「矢吹さんと志保が言ってたわ。あなたはとても熱心ですごく真剣だけど、どこか焦ってるようにも見えるって。」
静香「それは…」
静香「……」
千早「ふふ。そんなこと言ってくれるなんて、いい友達が出来たみたいね?」
静香「なっ!?違います、志保とは同じ時期に入ったというだけです。」
千早「そう?でも、あなたの事をよく分かってるみたいじゃない。」
静香「たまたまです。」
千早「そうかしら。でも、彼女もデビューに向けて、すごく焦ってるように感じたわ。さっきみたいなアドバイスをしたら、似たような反応をしたしね。だから、同じような気持ちのあなたの事もよく分かるんだと思う。」
静香「そうですか。志保が…」
千早「無理に仲良くする必要は無いわ。でも、同時期に事務所に入ったんだもの。対立したり、意地を張ったりする必要もないんじゃない?」
静香「別に対立するつもりはありません。なんとなく合わないというか。そもそも私より向こうに問題がある事の方が多くて…」
千早「ふふっ。それ、志保も同じような事を言ってたわ。あなた達本当に似たもの同士なのね。」
静香「ええっ!?」
千早「いいじゃない。似たような性格だからかえって気が合わないのかもしれないけど、それだけ自分を分かってくれる人でもあるのよ?」
静香「…」
千早「そういう人は、大切にした方がいいわ。友達が無理でもライバルとして、競い合う存在がいた方が刺激にもなるでしょうしね。」
静香「そういう関係なら、まあ。でも志保が私の事を分かってるというのはやっぱり間違いだと思います。あの子、他人にたいして興味無いみたいですし。」
千早「どうかしら。以前は私も似たような言ってたけど、本心はそうでもなかったのよ。」
静香「そうなんですか?」
千早「ええ、まあね。あなた達を見てるとあの頃の自分を思い出すわ。私はもっと自分勝手だったけど。」
静香「千早さんが?ちょっと、信じられないです。」
千早「ふふ、ありがとう。ここにいるとどうしてもね。色々とお節介を焼いてくれる人達が大勢いたし。きっといつか、あなた達の周りにも現れると思うわよ?」
静香「……思い当たる子は、一応。」
千早「そう。なら、よかったわ。いけない、つい話し込んじゃったわね。後片付けしましょうか?」
静香「いえ、楽しかったです…あの。」
千早「何?」
静香「その。私の事も、静香と呼んでもらえないでしょうか?」
千早「え?…そうね、分かったわ。じゃあ今日はお疲れ様、静香。」
静香「はい、お疲れ様です。ご指導ありがとうございました、千早さん。」
千早「どういたしまして。そうだ、このあと何か予定はある?」
静香「いえ、特には無いですけど。」
千早「私はこのあと夜から収録があるから、早めに夕食を取るつもりなの。長くはいられないけど、よかったら一緒にどうかしら。」
静香「いいんですか?もちろんです、ご一緒させて下さい!」
千早「こんな所で悪いわね。私、あまりお店には詳しくないものだから。」
静香「いえ、大丈夫です。」
千早「そう。私はミックスドリアにするわ。静香、何にするか決めた?」
静香(あ、しまった。ここうどんが無いのよね。まあいいか、ファミレスのうどんって美味しくないのが多いし。)
静香「じゃあ、私もそれでお願いします。」
千早「………え、本当に?」
静香「どうかしましたか?」
千早「あ、いや。志保から聞いてた話と違うのに驚いちゃって。」
静香「志保から?」
千早「ええ。あなたはたとえラーメン屋でもうどんを頼むような人だって言ってたものだから。」
千早「…ごめんなさい。実を言うと、あなたがこういうお店だとどうするのかちょっと興味があったからここにしたのよ。」
静香「………やっぱり志保とは分かり合えません、絶対に!」
千早の静香呼びは公式でイベント最中に出てきたことをすっかり忘れており申し訳ございません。
うどんが置いてあるラーメン屋って遭遇したことないなあ
>>2
百瀬莉緒(23)Da/Fa
http://i.imgur.com/w74d62y.jpg
http://i.imgur.com/JbNWTZH.jpg
豊川風花(22)Vi/An
http://i.imgur.com/61iE4NY.jpg
http://i.imgur.com/zCaMwdo.jpg
>>5
馬場このみ(24)Da/An
http://i.imgur.com/MSnU0VT.jpg
http://i.imgur.com/hwLRb3H.jpg
>>10
田中琴葉(18)Vo/Pr
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http://i.imgur.com/0M8XK2b.jpg
所恵美(16)Vi/Fa
http://i.imgur.com/kzw1B6Z.jpg
http://i.imgur.com/RN3cTiy.jpg
島原エレナ(17)Da/An
http://i.imgur.com/sARL4rq.jpg
http://i.imgur.com/PlGk6kr.jpg
>>20
如月千早(16)Vo/Fa
http://i.imgur.com/RFRxkra.jpg
http://i.imgur.com/tC8qFJ0.jpg
最上静香(14)Vo/Fa
http://i.imgur.com/4aXhrb7.jpg
http://i.imgur.com/BE1XQSj.jpg
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1524295750/
Entry ⇒ 2018.04.30 | Category ⇒ ミリマス | Comments (0)
ミリP「よし、千早と初詣に行くぞ!」
P「明けましておめでとうございます、青羽さん。今年もよろしくお願いします」
美咲「はい、よろしくお願いします! それで早速なんですけど……。
じゃーんっ! 社長さんからお年玉を預かってます!」
P「本当ですか! おお、すごい! こんなにたくさん……!」
美咲「普段がんばってくれてるから、って言ってましたよ!」
P「あはは、ありがたいですね。あとで社長にお礼を言っておかないと。
青羽さんも、ありがとうございます」
P「あ、そうだ。ところで青羽さん、千早はもう事務所には来てますか?」
美咲「千早ちゃんですか? はい、少し前に来て、今はレッスンルームだと思いますよ」
P「そうですか、ありがとうございます!
それじゃ、ちょっと千早のところに行ってきますね!」
美咲「あっ、はい! いってらっしゃーい」
美咲(プロデューサーさん、千早ちゃんとお仕事の話かなぁ?
レッスンのあとは確かオフって言ってたけど……お正月から仕事熱心だなぁ。
私も頑張らなきゃ!)
・
・
劇場、廊下
P「……」
P(いよいよだ……遂にこの時がやってきたぞ! 念願の、千早と初詣に行く時が!
担当アイドルと一緒に初詣に行くのが俺の夢だったんだ!
そして千早の隣で、神様にお願いするんだ……。
『俺の願いはいいから、千早の願いを二倍叶えてください』ってな……!)
P「ふふふ……そのためにスケジュールはばっちり調節したし、
単純計算で少なくとも180回は初詣に行くチャンスがあるはず。
まぁ、180回も使わなくても普通に誘えば行けるだろうけど……」
P(っと、独り言が過ぎたな。いかんいかん。
さて、もうすぐレッスンルームに……)
P「……ん? あれは……」
星梨花「えへへっ、そうなんです!
ジュニオールは雪の中でも元気いっぱいなんですよ!」
P「エミリーと星梨花か……。この寒い中、外で何をしているんだ?」
星梨花「こーやってぎゅーって抱きついたら、とってもふかふかなんです!」
エミリー「Wow! とっても気持ちよさそうです!」
星梨花「えへへっ。もし良かったらエミリーちゃんも……」
P「おーい、二人ともそんなところで何をしてるんだ?」
星梨花「明けましておめでとうございます、プロデューサーさん!」
P「ああ、明けましておめでとう。それより、外に居たら寒くないか?
ジュニオールも一緒に中に入った方がいいと思うけど……」
星梨花「いえ、平気です! ジュニオールはとっても暖かいですから。
今から私とエミリーちゃんで、ジュニオールにぎゅーってしようとしてたんです!」
エミリー「えっ? わ、私もいいんですか?」
星梨花「もちろんです! ジュニオールはふかふかで気持ちいいって、
エミリーちゃんにも知って貰いたいですから! ジュニオールも喜んでくれます!」
エミリー「そ、そうですか? でしたら……ジュニオールさん、失礼しますね」ギュッ
P「おお……これは確かに気持ち良さそうだ……」
星梨花「良かったらプロデューサーさんもどうですか?
とっても気持ちいいですよ!」
P「え? いやでも俺は今から千早と……」
エミリー「ふかふかでしゅ……極楽でしゅぅ……」
P「……ごくり……」
・
・
P「……」
P(くっ……! なんてことだ、俺としたことが小一時間も
ジュニオールのふかふかを堪能してしまった……!)
P「千早のレッスンはもう終わってるよな……。
じゃあ今はどこに……」
奈緒「あっ、プロデューサーさんや!」
P「! 奈緒じゃないか……って、どうしたんだその格好」
せっかくのお正月やから、着物着てみたんです!」
P「わざわざか? すごいな、大変だったんじゃないか?」
奈緒「そーなんです! もうメッチャ大変で!
でも、こうしてプロデューサーさんに会えたんやったら、
大変な思いした甲斐もあったかもなぁ」
P「うん? それはどういう……」
奈緒「プロデューサーさん、今から初詣行きましょう!
そのあとは屋台の食べ歩きや!」
P「え!? い、いや俺は千早と……」
・
・
奈緒「とりゃあーっ!!」ガランガランガラン
奈緒「よっしゃ! メッチャ音鳴ったし、神様も気づいてくれたはずやんな♪」
P(結局一緒に来てしまった……)
奈緒「もっと鳴らしたいけど、今日はこのぐらいにしとこ。
今年もいいコトたくさんありますように!」
P(でもまぁ……アイドルが楽しそうな顔をしてるんだ。
それだけでもよしとしないとな)
P「……って、『今日はこのぐらいに』?」
お待たせしました、プロデューサーさん!」
P「いや、それはいいんだけど。奈緒、お前もしかして明日も……」
奈緒「さ、次は屋台や! 行くでプロデューサーさん!」
P「えっ、お、おい奈緒! そんな格好で走ったら危ないぞ!」
奈緒「ほんならプロデューサーさんが私のことエスコートしたってや♪ なーんてな!
あっ、あそこ、たこ焼きや! お好み焼きもある!」
P「こら奈緒、待てって! おーい!」
・
・
P「……」
P(なんやかんやでめちゃくちゃ楽しんでしまった……。
本当の目的は千早との初詣だったはずなのに……)
P「くそっ、とにかく千早を探さないと!
しかしレッスンはとっくに終わってるし、一度控え室に戻って……」
響「あっ、プロデューサー! はいさーい!」
P「響!?」
P「あ、あぁよろしくな」
響「それにしても、すごく良いタイミングだぞ!
自分、ちょうどプロデューサーを探してたんだ!」
P「え? お、俺をか?」
P(嫌な予感しかしない……!)
響「ねぇプロデューサー! 今から水族館に行こうよ!
お正月キャンペーンで、今行くと色々いいことがあるんだ!」
P「す、水族館!? いや、俺は千早と初詣に……!」
・
・
響「見て見て、プロデューサー! この子、人懐っこくてめちゃくちゃカワイイぞ!」
P(結局断れずに来てしまった……)
響「自分のこと、すっごく見てくるんだけど……もしかして劇場に遊びに来たいのか!?
よーしよし、いつでもおいで~、クマ作っ!」
P「いや、劇場にシロクマを呼ぶわけには……って、もう名前をつけたのか」
響「もちろんさー! 仲良くなった動物は名前で呼んであげたいしね!」
P「そうか。まぁ、響に友達ができたみたいで良かったよ」
P「あはは、ごめんごめん。それよりほら、他の水槽は回らなくていいのか?」
響「もちろん回るさー! 自分、今日は全部の生き物に名前を付けるんだ!
プロデューサーも手伝ってよね!」
P「えっ、俺もか?」
響「うん! 自分の友達はプロデューサーの友達だからね!」
P「そ、そうか。よし、じゃあがんばって名前考えないとな!」
・
・
P「……」
P(普通に楽しんでしまった……こんなことしてる場合じゃないのに……。
まずいぞ。このままじゃ日が暮れてしまう)
P「夜に参拝に行くのは良くないって言うし、
流石にそろそろ千早を見つけないと明日以降になってしまうぞ……」
P(……っていうか、千早はもう春香あたりと初詣行っちゃってる気も……)
P「い、いや、でも諦めないぞ! まだまだ……」
雪歩「ひうっ!? プ、プロデューサー……!」
P「雪歩!?」
独り言いってると思ったら、急に大声を出したから……」
P「あ、あぁ、すまない。後ろに居たなんて全然気付かなくて……。
どうしたんだ、何か俺に用事だったか?」
雪歩「あっ、はい。えっと、その……へ、変なことを言うかもしれないんですけど……。
プ、プロデューサーに、お願いがあるんです」
P「変なこと? よく分からないけど、何だ?」
雪歩「その、わ、私と、今から……ク、クリスマスパーティをしてくださいっ!」
P「え?」
雪歩「うぅ、やっぱり変ですよね……お正月にクリスマスパーティなんて……」
P「変というか……まあ普通はしないよな……。
しかし一体どうしてなんだ? 何か理由があるんだよな?」
雪歩「は、はい、あの……。今年の……あっ、もう去年ですけど……。
劇場でのクリスマスパーティの時、プロデューサーが居なかったから……」
P「ああ……あの時は事務所でずっと仕事してたんだよな確か」
P(まぁ千早のスケジュール調整のためなんだけど……)
私とプロデューサーが両方オフの時に、
ちょっとでも、クリスマス気分を味わってもらいたいなって思って……。
そ、そしたら、お正月になっちゃって……」
P「そうだったのか……」
雪歩「でも……や、やっぱり迷惑ですよね……うぅ。
私なんかがそんな、プロデューサーに楽しい気分になってもらおうだなんて、
余計なお世話っていうか、おこがましいっていうか……。
ぐすっ、私、もう、もう……穴掘って埋まってますぅ~!」
P「うわっ! ま、待て雪歩! そんなことはないぞ! すごく嬉しい!」
P「ああ本当だとも! だから劇場の床に穴を掘るのはやめよう!
そんなことより、クリスマスパーティの準備だ!」
雪歩「プロデューサー……はい!
でも実はもう準備してて……あとは私がサンタさんの格好をすれば完成なんですぅ」
P「そ、そうか。じゃあ会場まで案内してくれ。そこで雪歩の着替えを待つよ」
雪歩「えへへっ、わかりました! プロデューサー、今日は楽しんでくださいね!
クリスマスケーキと、特製のお茶でたっぷりおもてなししちゃいますぅ!」
P「ああ、ありがとうな、雪歩!」
・
・
翌日
P(クリスマスパーティは普通に楽しかった……。楽しかったけど……)
P「き、今日こそリベンジだ。大丈夫、まだ元旦が終わっただけ。
今日も千早のスケジュールに十分空きはあるし、
初詣に誘うチャンスはまだまだ残っているはず……」
P(確かこの時間も千早はレッスンだったよな。
よし、今からレッスンルームに……)
ジュリア「よっ、プロデューサー。あけましておめでとう」
P「ジュリア!?」
P「い、いや、すまん。そんなつもりはなかったんだがつい驚いて……」
ジュリア「ふーん……? ま、いいや。それより、ちょうど良かったよ。
あんたを探してたところなんだ」
P「え? お、俺を? どうしたんだ? すぐ終わる用事か?」
ジュリア「すぐ終わるかは分からないが、大事な話だよ。
今後のあたしの、アイドルとしての方向性でちょっと相談があってね」
P(めちゃくちゃ大事な話じゃないか! 絶対すぐ終わらないやつだこれ!)
・
・
ジュリア「ギターさえあれば、世界のすべてはあたしの足元にひざまずく……なんてな!」
P「……」
ジュリア「さあ、音楽の魔法で、みんなまとめてあたしの作った
最高の世界へ連れていくよ。……覚悟しな!」
P「……」
ジュリア「……どうだ、プロデューサー。こういう感じもいいんじゃないかって翼に言われてさ。
まぁひざまずくだとかそういうのはちょっとどうかと思うんだけど……」
P「なるほど……。いや、いいんじゃないか?
ジュリアのかっこいい部分が前面に押し出されて、悪くないと思うぞ」
実はあたしもさ、こういう方向性の方がいいんじゃないかって……」
P「ただ、この方向性で固定するつもりは俺にはないよ。
ジュリアは、もっと多くの可能性も持ったアイドルだと思うんだ」
ジュリア「! プロデューサー……」
P「さっきみたいなかっこいいのもジュリアだけど、
仲間のボケにツッこむコミカルな一面も持ってるだろ? それに、可愛らしさもな」
ジュリア「なっ……か、可愛いとか軽く言ってんじゃねぇよバカP!」
P「あはは、そうやって照れるところも、ジュリアの魅力の一つだよ」
ジュリアはこういう方向性で行きたいって思ってるんだよな?」
ジュリア「あ……あぁ、まぁな。これならなんていうか……結構やりやすいからさ」
P「でも、俺は、ジュリアには『やりやすさ』を理由に方向性を決めて欲しくないと思ってる。
だからさっき言ったコミカルさやキュートさも、
自分の一部分だと思って、アピールポイントに組み入れていって欲しいんだ。
どうだ、ジュリア。そういうやり方で、行ってくれるか?」
ジュリア「……ちぇっ、なんだよ。
からかってんのかと思えば、真剣な顔しちゃってさ。
そんな顔して言われたら、断れっこないだろ」
ジュリア「はッ……そうだな、あんたはそういう奴だ。
わかった、あんたがそう言うなら、そういうことにしといてやるよ。
コミカルもキュートも、あたしの一部なんだってな」
P「まぁでも、せっかく相談に来てくれたんだ。
次のライブは、今言ってくれた感じの演出にしてみよう」
ジュリア「おっ、いいねぇ!
よし、じゃあ早速その辺りを考えていこうぜプロデューサー!
あたしが信じて付いてくんだ。しっかり頼むぞ!」
P「ああ、もちろんだ!」
・
・
P「……」
P(いや今のは仕方ない……。あれ真剣に応じないのはプロデューサー失格だし……。
千早のレッスンとっくに終わってても仕方ない……)
P「しかしどうする……。また千早を見失ってしまったぞ。
もうこうなったら電話をかけるしかないか……」
ピピピーピピピピ♪
P「ってうわあっ! な、なんてタイミングでかかってくるんだ! 一体誰……え?」
歩『プ、プロデューサー! ヘルプミー! 助けてー!』
・
・
歩『プロデューサー、本当にこっちでいいの!? 道あってる!?』
P「ああ、大丈夫だ。そのまま太陽に向かって歩いてれば森を抜けるよ」
歩『! な、なんか、今動いて……わぁっ!?
プロデューサー、ヘビ! ヘビがいるっ!』
P「ヘビ? その辺りに生息してるのはかなり小さいヘビのはずだけど。怖いのか?」
歩『い、いや、違うんだって!
怖いんじゃなくて、噛んだりしたら危ないだろって……わ、わーーーっ!!?』
・
・
歩『いやー、ほんっとゴメン! 頼れるのがプロデューサーしか居なくてさ!』
P「いや、頼ってくれるのはいいんだが、まさかロケ中に迷子になるとは……」
歩『だ、だってしょうがないだろ!
あんな木が多い森の中、そりゃあ逸れるって!
いつの間にか誰も居ないし、変な鳴き声は聞こえるし、めちゃくちゃ不安だったんだよ!』
P「だからって電話で何時間も道案内をさせられるとは思いも寄らなかったよ」
歩『うぅ~、だから謝ってるじゃんかぁ!
そっちに戻ったら何か奢るからさ、ね! それで許してよ!』
P「まったく……。まぁ、何事もなくて良かったけどな」
歩『えっ? あ、あぁ、うん。それは大丈夫』
P「そうか。とにかく、今後はしっかりスタッフに付いていくこと。
今回は俺にすぐ連絡がついたけど、いつでも助けてやれるとは限らないんだから。
まあ、歩に付いていかなかった俺にも責任はあるけど……」
歩『い、いや、そんなことないって!
プロデューサーは千早のプロデューサーなんだから付いてこれなくてもしょうがない……
って、そうか、ごめん! もしかしてアタシ、仕事の邪魔しちゃってた!?』
P「いいや、俺も千早も今はオフだよ。だからそこは気にしなくていい。
それに、アイドルの安全が最優先だからな」
歩『プロデューサー……。あ、ありがとう。それじゃ、アタシもう切るね! また劇場で!』
・
・
P「……」
P(いやこれもしょうがない……。アイドルに何かあったら大変だし……)
P「し、しかしまずい、思った以上に時間を取られてしまった……。
もう日が暮れるまで時間がないぞ。
これを逃せばまた明日に持ち越しになってしまう……」
P(こうなればやっぱり千早に直接電話するしかないな。
えっと、千早の番号は……)
奈緒「あっ、プロデューサーさーん!」
P「え!?」
メッチャ探したんですよ!」
P「あ、あぁ、ちょっと歩と電話を……。
っていうか奈緒、どうして今日も着物を……?」
奈緒「えへへっ。せっかくやし、三が日はずっと着とこと思うて!
で、せっかくついでやから……プロデューサーさん!
今日も初詣行きましょう!」
P「ええっ!? 今日も初詣って、二回目じゃないか!
それはもう初詣とは……」
奈緒「細かいことはえぇからえぇから! ほな、行っくでー!」
・
・
奈緒「ふー。今日もまたたくさんお祈りしてもうたわー」
P「そ、そうか。昨日と同じことをお願いしたのか?」
奈緒「はい! その方が叶う確率高いかなー思うて!
あっ、何お願いしたかは内緒ですよ! 人に喋ってしもたら叶わへんって言いますし!」
P「はは、大丈夫、無理に聞き出したりなんかしないって」
奈緒「ところでプロデューサーさんはお参りせーへんのですか?
昨日も今日も、見てただけでしたけど」
P「あ、あぁ、俺はいいよ」
奈緒「せっかくやし、何かお願いしたらえぇのに。
ま、プロデューサーさんがえぇならえぇか。
さて、この後はまた食べ歩きやでー! 行きましょ、プロデューサーさん♪」
・
・
P「……」
P(結局また普通に楽しんでしまった……)
P「くっ……。なぜこんなことに……。
担当の千早と行かずになぜ奈緒と二回も……」
P(い、いや、まだ三が日が終わるまで一日ある。
明日行けばいいんだ、そう、明日行けば……。
明日は早起きして、レッスンが始まる前に千早に会いに行こう!)
・
・
翌朝
P(よし、今日はばっちり早起きしたぞ!
今から劇場に行けば、レッスン前に千早に会えるはずだ!)
P「誘うチャンスは今日の夕方まで……。
夕方以降からはもうずっと先までスケジュールが埋まってしまっている……。
だから夕方までには絶対に……ん?」
未来「……」
P「あれは……未来? あんなところで何をボーッと立ってるんだ……?」
未来「あっ、プロデューサーさん! あけましておめでとうございます!」
P「ああ、おめでとう。それで、何かあったのか?
そんなところで立ち止まって何を見て……」
未来「えへへっ、ちょっと懐かしい気持ちになっちゃってました」
P「これは……39プロジェクトのポスターか」
未来「はいっ! 何ヶ月か前には、アイドル募集のポスターもいっぱいあって……。
そう言えばここにも貼ってあったなって思ったら、
オーディションを受けに行くときの気持ちを思い出しちゃって」
素敵なことがたくさん起こる気がするんだ、って……。
そうやって私、わくわくしてたんです」
P「そうか……。それで、素敵なことは起こったか?」
未来「はい! 初めてステージに立った時や、初めてセンターになった時……。
そのほかにもたくさん、たーっくさん!
アイドルになってから、素敵なことばっかりです!」
P「あはは、それは良かったよ」
未来「劇場のみんなに会えたことも、それに……プロデューサーさんに会えたことも。
私にとって、素敵なことです! でへへ~♪」
P「ああ、俺もだ。アイドル達との日々は、素敵なことばっかりだ!
そう言えば未来と初めて会った時は……」
・
・
P「……」
P(いや確かに素敵なことばっかりなんだけど……。
何をしているんだ俺は。レッスン前に間に合うよう劇場に行くんじゃなかったのか……)
P「くそっ、未来につられて思い出に浸ってしまっていた……。
千早は……今はレッスン中だよな。
ま、まぁいい、居場所は分かってるんだから、今からレッスンルームに行けば……」
環「あっ、おやぶーん!」
P「環!?」
P「あ、あぁ、おめでとう。それより環、その格好は……?」
環「レースクイーンの衣装だぞ!
すっごくカッコイイでしょ? くふふ……♪
たまきも、今からお仕事するから見てて!」
P「え? お仕事? レースクイーンの仕事なんて入ってなかったと思うけど……」
環「車のレースじゃないけど、マラソン大会の応援するんだ!
この近くでやってるんだって、美咲が言ってた!」
P「マラソン大会って……まさか、駅伝か!?」
環「環、走ってるみんなのこと一生懸命応援するぞ!
ね、おやぶんも一緒に行こ! レッツゴー!」
P「い、いや、俺は今から千早に……」
・
・
環「みんなーがんばれー! フレー、フレー、みーんーなー!」
P(結局来てしまった……)
環「あっ、あの人すっごく苦しそうな顔してる!
がんばれー! がんばれー!」
P(……あはは。これじゃレースクイーンじゃなくてチアガールだな。
でも、選手達は環の応援を聞いて気合が入ってるようだ。
環も一生懸命でいい笑顔だし……これはこれでいいかもな)
環「ねぇおやぶん、応援するって楽しいね! あっ、もしかして、
たまき達のことを応援してくれてるファンのみんなもこんな気持ちなのかな?」
アイドルをすごく頑張ってる環を応援するっていうのは、同じくらい楽しいことだと思うぞ」
環「そっか……じゃあたまき、これからもいーっぱい、アイドル頑張らないとだね!」
P「ああ、そういうことだ!」
環「あっ、でも応援するのも好きだから、たまき、またレースクイーンのお仕事やりたいぞ!
おやぶん、またこのお仕事させてくれる?」
P「あはは、だったら今度はチアガールか応援団の仕事でも取ってくるよ。
そうすればレースクイーンよりもいっぱい応援できるぞ」
環「本当!? わーい、ありがとうおやぶん! おやぶん大好き!」
・
・
P「……」
P(しょうがないだろこれも……。あんな無邪気な笑顔で来られたら……)
P「しかし……くそっ! また千早のレッスン時間を逃してしまった。
まさか駅伝があんなに長いとは……せっかく早起きしたのに時間が……!」
P(い、いや、大丈夫。大丈夫だ。今からでも千早に電話すれば……)
育「あっ、プロデューサーさん!」
P「育!?」
P「い、いや、なんでもない。ちょっと考え事をしてただけだから」
育「なんでもないならいいんだけど……。
あっ、そうだ。ちゃんと挨拶しなきゃ!
プロデューサーさん、明けましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします!」
P「あ、あぁ、あけましておめでとう。今年もよろしく」
育「えへへっ……。ねぇプロデューサーさん、今お仕事じゃないよね?」
P「え? あぁ、うん、まぁ仕事ではないけど……や、やっぱり何か俺に用事か?」
育「うん! わたしね、この前おかあさんにサラダのつくり方教えてもらったの。
それで、今度は一人でつくるからプロデューサーさんに食べて欲しいんだ!」
・
・
育「見て見て、プロデューサーさん!
おかあさんが教えてくれたサラダ、じょうずにできたよ!」
P「へぇ、すごいじゃないか。野菜も上手に切れてるし、盛りつけも綺麗だ」
育「えへへっ、すっごくおいしそうでしょ? テーブルに運んでおくね♪」
P「あぁ、俺が運ぶよ。作ってもらったんだし、そのくらいは……」
育「大丈夫、ちゃんと運べるよ! だからプロデューサーさんは座ってて!」
P「そ、そうか。ありがとうな」
P「ああ、いただきます。……うん、これは美味しいぞ!
ゆで卵の火の通り具合もちょうどいい。
単純なサラダに見えて、立派な料理だ!」
育「本当!? えへへっ、良かったぁ」
P「でも、味見は俺で良かったのか?
どうせなら料理が得意な響とか美奈子に見てもらった方が良かったんじゃ……」
育「だってプロデューサーさん、普段はあんまり野菜とか食べてないって言ってたでしょ?
だから、プロデューサーさんに食べてもらいたかったの」
P「え? じゃあもしかして、味見じゃなくて元々俺のために……?」
今年もちゃんと元気にお仕事してもらわないとね!」
P「育……。そうか、ありがとう。
こんなに美味しいサラダを作ってもらったんだ。一年間、しっかり頑張らなきゃな!」
育「あ、でも無理はしちゃダメだよ?
体調管理もお仕事のうちだって、桃子ちゃんも言ってたし!」
P「ああ、もちろんだ。よし、じゃあまずはこのサラダを完食させてもらおう!
しっかり栄養を取らないとな!」
育「えへへっ……。うん! よくかんで食べてね!」
・
・
P「……」
P(美味かったけど……確かにサラダは美味かったけど……。
育の優しさも嬉しかったけど……)
P「なんだってこんなタイミングなんだ……!
くそっ、もう日暮れまで時間がないぞ!
今日の夕方から千早のスケジュールはびっしりだし、今すぐ千早に電話しなければ……!」
奈緒「あっ、おったおった! プロデューサーさーん!」
P「三回目!?」
P「ってことはやっぱり……!」
奈緒「そのとーり! さ、プロデューサーさん! 三回目の初詣、行きましょ!」
P「いやいや、流石に三回は多いだろ! しかも同じ相手とって!」
奈緒「まーまー固いこと言わんと。何回行ってもえぇもんやで♪
仕事少ないんは私も今日までやし、今年最後と思うてプロデューサーさんと……」
P「お……俺は千早と一緒に行きたいんだよ!
なんで奈緒と三回も行かないといけないんだ!」
奈緒「へっ……?」
奈緒「千早と……そ、そっか、そやんな。
プロデューサーさんは千早の担当なんやし、担当アイドルと行きたいやんな……」
P「い、いや、今のは……」
奈緒「あ……なんや、分かってしもたわ。
昨日も一昨日も、プロデューサーさん見てるだけでお願いせーへんかったのって……。
お願いは、千早と一緒に、するつもりやったんやな……」
P「っ……」
奈緒「……あははっ! すみません、プロデューサーさん!
私、一人で浮かれてしもうて……あかん、メッチャ恥ずかしいわ!
プロデューサーさんの気持ちも考えんと、わ、私一人で楽しんで……!」
自分の我侭のためにアイドルにこんな顔をさせて……!)
奈緒「ホンマ、すみません! 私、今日は家で大人しくしときます!」
P「奈緒……!」
奈緒「プ、プロデューサーさんは千早と初詣行ってください!
ほな、また明日劇場で……!」
P「待ってくれ、奈緒!」
奈緒「! プ、プロデューサーさん……?」
P「すまない……俺が悪かった。さっきの言葉は忘れてくれ。
今から一緒に、初詣に行こう!」
無理して私に付き合うてくれへんでも……」
P「無理なんかしてないよ。一緒に行こう、奈緒」
奈緒「む……無理ですよ! 私が無理なんです!
だって私もう、知ってもうたんやで!?
プロデューサーさんが楽しんでへんって……!
せやのに、そんなんで一緒に行ったってなんも…!」
P「違うんだ、奈緒。楽しかったんだ……。
奈緒との初詣、昨日も一昨日も、すごく楽しかったんだよ!」
奈緒「え……?」
P「でも、だからだろうな……。多分、怖かったんだ。
奈緒との時間が楽しすぎて、担当である千早のことを忘れてしまいそうになるのが……」
P「でも、奈緒のおかげで思い出したよ。確かに俺は千早をメインにプロデュースしてるけど、
765プロ全員のプロデューサーでもあるんだ……。
仕事の量に差はあるかも知れないけど、その他には何も、差なんてなかったんだ。
千早を理由に他のアイドル達を蔑ろにしていい理由なんて、どこにもなかったんだ!」
奈緒「ホ……ホンマに、ええんですか……?
差はない言うんやったら、それこそ私と三回も行かんと千早と行った方が……」
P「千早にはまだ初詣の話すらしてないからな。
誘ってくれた奈緒と一緒に行くのは当然だよ。だから、もう気にしないでくれ」
奈緒「っ……も、もう。ここまで言われて私が断ったら、逆にアカン感じやないですか……。
わかりました、一緒に行きましょう! 私は目一杯楽しませてもらいます!
せやからプロデューサーさんも今までで一番楽しまなアカンで!」
P「もちろんだ! 三回目の初詣、どっちが楽しむか勝負だぞ!」
・
・
P(そうして俺と奈緒はようやく本当の意味で、二人での初詣を終えた。
昨日と一昨日はただ見ていた俺だが、今日は奈緒の隣で、一緒にお願いをした。
三回目の初詣で見せた奈緒の笑顔は、一度目よりも二度目よりもずっと輝いて見えた。
奈緒には感謝しなければいけない。俺がこの笑顔を曇らせるような、
そんな駄目なプロデューサーになってしまうのを、止めてくれたのだから)
P「さて……これで連続して取れたオフも終わりだ。
また千早のプロデュース、頑張ってやっていこう!」
千早「……プロデューサー?」
P「うわっ! ち、千早、いつからそこに!」
千早「今来たところです。それより……少し、独り言が大きいかと。
気持ちは嬉しいのですが、独り言で名前を出されるのは、恥ずかしいです」
千早「そうしていただければと」
P「あ……そう言えば、メールでは言ったけど直接言うのはまだだったよな。
千早、あけましておめでとう。今年もよろしくな!」
千早「はい。明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
P「よし、新年の挨拶も終わったところで早速仕事に……って、千早? どうかしたか?」
千早「あ……いえ、その……」
P「? どうした、何か言いたいことがあるのか?」
千早「言いたいことというか……。実は少し前に、横山さんに会って……」
P「え?」
この三日間、初詣に行くためにプロデューサーが私を探してくれていたのだと」
P「ええっ! そ、そうなのか?」
千早「……すみません、プロデューサー。私、そうとも知らずに……。
その、言いにくいのですが、実はもう、春香たちと……」
P「あぁ、やっぱり……」
千早「プロデューサーにも声をおかけしようかとは思ったのですが、
せっかくのオフに私用に付き合わせるわけにはいかないと思ってしまって……。
プロデューサーも私を探していたのだと知っていれば……すみません」
P「い、いや、千早が謝ることは何もないよ。
今年はタイミングが悪かったんだ。また来年、行けばいいさ」
千早「……来年でないと、駄目でしょうか」
千早「三が日は、確かに終わってしまいましたが、
15日までに行けばいいという考えや……
そもそも初詣に期限はないという考えもあるそうなんです」
P「そ、そうなのか? それは知らなかったな……」
千早「ですから、何も来年まで先延ばしにする必要はないかと。
それに、春香たちとは行きましたが、『プロデューサーとの初詣』は、まだですから……」
P「! それじゃあ……」
千早「私は、プロデューサーに声をかけていただければ、いつでも……。
あ、あくまで、プロデューサーがまだそのつもりなら、ですが」
P「千早……」
いつになるかは分からないが、次のオフに必ず行こう!」
千早「! ええ、私も、楽しみに待ってます」
P「よし、気合も入ったところで仕事に行くか……!
改めて今年もよろしくな、千早!」
千早「ふふっ……はい。よろしくお願いします、プロデューサー」
P(そう、何も焦る必要なんてなかったんだ。
この時期に千早と初詣に行けなかったからって、
何も千早のプロデュースが終わるわけじゃない……。
初詣はいつか必ず行ける。
これからもずっと、俺は千早のプロデューサーなんだからな!)
おしまい
付き合ってくれた人ありがとう、お疲れ様でした。
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515065687/
Entry ⇒ 2018.04.26 | Category ⇒ ミリマス | Comments (1)
【ミリマスSS】桃子「あなたに歌えば」
元ネタ
『singin' in the darling(終わりのテーマ)/青木佑磨』
『嘘/学園祭学園』
『ココロがかえる場所/LTP12』
『茜ちゃんメーカー エピローグ』
『誰かが見た夢の中 それは幸せな』
こんな日が来ることはわかってた。
桃子はアイドル。アイドルって『偶像』って意味なんでしょ?
偶像って、言っちゃえば『嘘』みたいな存在。
桃子が喋るたびに流れるテキスト。画面を叩けば流れるポーズを決めたアイドル。再生ボタンを押せば流れる歌。
嘘の世界で、嘘の夢を嘘みたいに抱きしめて、でも確かに桃子はそこで生きていた。お兄ちゃんもそうだったでしょ?
でもきっと、続けてきた嘘も最後。ふっと息を吹きかけると、ロウソクの火みたいにあっさり消えちゃうんだ。
だから桃子は嘘をつき続けるよ。次もまた笑って出会えるように。
いつもの劇場。
次のライブに向けてレッスンする桃子たち。みんなの顔つきがいつもと違う。きっとわかってるんだね、このライブの意味。
レッスンルームの扉が開いて、いつもの見慣れた顔が見える。頭にはやっぱり寝癖。もぅ、桃子が何回言ってもこうなんだから。
お兄ちゃんの挨拶を聞きながら、ツカツカと近づく。
桃子「おはよう。お兄ちゃんまた寝癖ついてるよ!身だしなみはきちんとして!桃子のプロデューサーなんだから!」
お兄ちゃんはすまんすまんと苦笑いして頭をぽりぽりとかく。いつもの朝のやりとり。うん、桃子の演技はやっぱりカンペキ。
レッスンの次はドラマの撮影に行く。
シアターの駐車場までお兄ちゃんと歩く。お兄ちゃんの歩幅は桃子よりもずっと大きい。結局この歩幅の差は縮まらなかったけど、このリズムがとても心地よかった。
お兄ちゃんはライブの後の新しい予定について嬉しそうに話す。クマさんのぬいぐるみのCMのお仕事、お菓子の販促キャンペーンのお仕事、お仕事の合間にはみんなを遊園地に連れて行ってくれるみたい。
ひとつひとつの予定に耳を傾けて想像する。うん、どれもステキな予定。桃子はお仕事も遊園地も全部楽しみたいな。
ズキッと心が痛む。お兄ちゃんにはバレないように、しっかりと前を向いて歩く。
桃子が演じたドラマじゃ、こんな時にキセキが起こるんだ。最後のステージを見たお兄ちゃんは全部気がつくの。それで世界の崩壊は防がれて、ラストシーンじゃ2人遊園地の観覧車の中で嬉しそうに笑うの。
じゃあ桃子は頑張らないとね。カンペキに歌って踊って、お兄ちゃんの心に届けるの。終わって欲しくないし、続いて欲しいから。
決意を込めて歩幅は大きくなる。お兄ちゃんと歩幅を合わせて、ぴったりと隣を歩く。
そしてライブの幕は上がる。
みんなで円陣を組んで、ブーってブザーが鳴って、暗い袖からピカピカ輝くステージに飛び出してく。
目の前にライトの海が広がる。桃子がわーってあおると、その海にばーって波ができる。
お客さんの盛り上がりも最高!絶対に良いライブになるって確信する。
それぞれのソロに移って、桃子は出番をモニターの前で待つ。
トントンと肩を叩かれて振り向くと、お兄ちゃんが飲み物を持って来てくれたみたい。
ありがとうって受け取って、ゴクリと少しだけ飲む。お兄ちゃんを見ると、ひとつも緊張なんてない穏やかな顔だった。
何年か前はすっごい緊張してアタフタしてて『お兄ちゃんがそんな顔してたら、アイドルのみんなも緊張しちゃうからちゃんとして!』なんてお説教したこともあったっけ。
ずっと一緒に歩いて、桃子はすっごく成長できた。それはお兄ちゃんも一緒なんだねって、少し嬉しくなる。
きっとまだまだ、桃子もお兄ちゃんもやり残したものもやりたいこともたくさんある。これからもひとつひとつ叶えていきたい。
桃子「お兄ちゃん、桃子のステージちゃんと見ててね」
だから、これまでの桃子を全部ステージに置いてこよう。キセキが起きても起きなくても、絶対に後悔だけはしたくないから。
曲は『ココロがかえる場所』。ユニットの曲だからソロで歌うのは初めて。
ひとつひとつのフレーズに心を込める。ステージにいるはずなのに、目の前にはたくさんの風景が浮かぶ。
いちばんに浮かぶのはやっぱり最初の日。目の前のダメダメなお兄ちゃんにため息ついて、小言を言ったっけ。なんだか、今も変わってないね。
でも最初から、ほんのちょっぴりだけは信頼してたんだよ。この人は桃子のために頑張ってくれるかもって。それは全然変わったね。ありがとう。
次に浮かぶのは雪歩さんの熱い体温、ロコさんと千鶴さんの優しさ。自分のことばっかで、ダメダメだった桃子を許してくれた。
だからね、桃子は優しくなれたんだ。桃子は1人じゃないって気がついたんだ。ありがとう。
景色はレッスンルームに変わってく。のり子さんが怒ってる。奈緒さんと亜利沙さんがなだめてくれて、春香さんが手を差し伸べてくれた。
桃子ね、知らなかった。あんなに家族ってあったかいって。初めて人を頼ることは恐くないって知ったんだ。ありがとう。
まだまだいろんな景色は流れる。まだすべてが未来系だった日々。それが今じゃみんな過去形で、あったかさに切なさが混じって気持ちがぐちゃぐちゃになりそう。
桃子はそのままそれを声に乗せる。過去と未来をぐちゃぐちゃに丸めて、今に全部叩きつける。
忘れたくないよ全部の過去を。無くしたくないよ全部の未来を。お願い、キセキ、起こって。
歌いきると、たくさんの拍手が桃子を包んでくれた。それにお礼を言って袖に戻る。
袖ではお兄ちゃんが待っててくれた。『いつもの笑顔』で。
ふーっとため息をつく。少しだけ俯いて唇を噛みしめる。
そっか、そうだよね。うん。この世界はやっぱり、変わらない。
心の痛みを唇の痛みで上書きして、押し込めて、笑顔で顔を上げる。
桃子「お兄ちゃん、ありがとう」
ライブの後、お兄ちゃんに車で家まで送ってもらう。いつもの距離、いつものようになんでもない会話をする。
何千回、何万回って交わしてきた言葉。きっと下手な演技じゃバレちゃうから、桃子の役者生命を全部かけて必死に演技をする。何でもない、明日には忘れちゃうような言葉をやり取りする。
家の前で車が止まる。
また明日って、さらっと言うお兄ちゃん。
でもきっとこれが最後の会話。だから、これくらいはいいでしょ?
桃子「お兄ちゃん、もし明日世界が壊れて記憶も全部なくなっちゃっても、桃子を見つけ出してくれる?」
いきなり変な質問だって自分でも思うよ。でも、お願い、聞かせて。
お兄ちゃんは考えもせずに、にかーっと笑顔で即答した。
ミリP「当たり前だ。俺はお前のプロデューサーだからな。すぐにお前を見つけだして、すぐに記憶を取り戻して、またアイドルにするからな」
ぶわっと感情の波が押し寄せる。指先から頭の先まであったかくなって、でもこころは痛い。
泣き出してしまいそうだったけど、それを閉じ込めて最後の演技をする。お兄ちゃんが笑顔でそこに行けるように。
桃子「ふん、合格。桃子のプロデューサーだから、当たり前だよ!」
その言葉にいつものように笑顔で反応して、車のエンジンをかけるお兄ちゃん。
車が走り出す直前、開け放した窓に向かって桃子は言う。演技じゃない素顔の桃子で。
桃子「さよなら、お兄ちゃん。桃子、幸せだったよ」
その言葉はエンジンの音にかき消されて、きっとお兄ちゃんには届かなかった。
桃子の部屋まで走ってベッドの中に潜り込む。毛布を口に当てて、誰にも聞かれないように思いっきり叫ぶ。
桃子「ばか!!!!!!お兄ちゃんのばか!!!!!!何で気づいてくれないの!!!???何で何で何で!!!!!」
叫びと一緒に、抑えてた感情がわっと頭のてっぺんまで登る。叫びだけじゃそれは逃しきれなくて、目からは涙が溢れた。
桃子「やだよ、桃子、やだよ。桃子の願い事、まだ何も叶ってないよ!!幸せだったけど、まだまだ幸せになりたいよ!!!」
桃子「ずっと一緒にいるっていったじゃん!!側にいて一緒に歩いてくれるって言ったじゃん!!なのに何で!!?何で!!?」
少しだけ頭の中の冷静な部分が声を漏らす『お兄ちゃんを責めるのは卑怯だ。ここはどうしようもなく、嘘の世界なんだから』
そんなのわかってるよ。でも仕方ないじゃん。これは桃子の気持ちなんだから。卑怯でも、的外れでも、お兄ちゃんともっともっと一緒にいたかったんだもん。
わーって叫んで泣いて、一通りそれをやるといつのまにか眠ってた。朝日が眩しくて、目を擦る。
ハッとしてスマートフォンを取る。発信履歴を見ると、いちばんに出てくるはずの名前は消えていた。
覚えてる番号を押して通話をする。コール音は無くて、機械のアナウンスの声が聞こえた『おかけになった電話番号は現在使われて...』
力が抜けてスマホをガチャっと落とす。機械の声がまだ何か喋ってる。
スーッと心に隙間風が吹く。大事な部分に穴が空いちゃったことを自覚する。
シアターに行く。
見慣れたデスクの上はまっさらで、初めからそこに座ってた人なんていないみたいだった。
ペタンと椅子に座って、デスクを指でなぞる。そっか、お兄ちゃんはもうそこに行っちゃったんだね。
昨日わーって感情を吐き出したから、もう涙は出なかった。
くるっと椅子を回して、窓の方を見る。外はきれいな青空。
窓の外の空に向かって手を伸ばす。どこか遠くにある何かを掴むみたいに。
桃子は大丈夫だよ。お兄ちゃんはここにはいないけど、桃子には仲間がいるもん。平気だよ。心配しないで。
お兄ちゃんこそしっかりしてね。身だしなみをきちんと確認して、変な仕事とってくるのは控えてね。
でも、桃子心配してないよ。きっとまた、みんなとうまくやれると思う。お兄ちゃんだから。
桃子はここで歌い続けるよ。いつかこの声が、遠く遠くにいるあなたに届くことを祈って。キセキがおきることを信じて。
桃子はずっと忘れないから。嘘の世界がまた繋がったときは、笑顔で抱きしめたりなんてしちゃってもいいかもね。
だからひとまず、別の桃子によろしくね。お兄ちゃん。
END
グリーでのミリオンライブが更新を止めるというお知らせをみて、モヤモヤした衝動をなぐり書きしてしまいました。ごめんなさい。
プレイ期間が長いだけのダメダメPでしたが、4年間ずっと日々を共に過ごした世界をもう見られなくなることが寂しくてしかたありません。
自分が見られなくても彼女達の時間が流れて行くのなら、どうか幸せであることを祈ります。
読んでくださった方、ありがとうございました。
乙です
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1509456125/
Entry ⇒ 2018.04.16 | Category ⇒ ミリマス | Comments (0)
【ミリマスss】可奈「私、一人前になります!」
・ストーリー仕立て、そこまで長くはないです。
・本編は次から
志保「……」
可奈「という訳で、志保ちゃん」
可奈「一緒に聞きこみに行こう?」
志保「聞きこみ?」
可奈「うん! 色々な人に話を聞いて、参考にしようと思って」
可奈「ダメ、かなぁ?」
志保「駄目じゃないわ。私も興味あるし」
可奈「志保ちゃん、ありがとう! 一人じゃ心細くって……」
可奈「えへへ、それじゃあ、出発シンコー♪ レッツゴー♪」
志保「やっぱり最初は千早さんなのね」
可奈「たのも~! よろしくお願いします!」
千早「あら、矢吹さん、志保。どうしたの?」
可奈「ちちち、千早さん」
志保「(相変わらず、千早さんの前だと緊張するのね)」
志保「レッスンの直後で申し訳ないんですが、少しいいですか?」
千早「? いいけれど」
志保(小声)「ほら、しっかりしてよ。可奈」
可奈「あ、あの、千早さん」
可奈「千早さんにとって、一人前って何ですか!」
千早「一人前?」
可奈「は、はひ!」
可奈「私、一人前になりたくて、みんなに一人前について聞いてるんです」
可奈「千早さんの思う一人前について、教えてくれませんか?」
志保「色んな人の意見を聞いて、参考にしようと思ってるんです」
千早「……なるほど」
千早「一人前……私も偉そうに言える立場ではないのだけれど」
千早「……」
志保「! どういう意味ですか?」
千早「その、根拠はないのだけれど、ステージで堂々と歌を披露できる人は、
自分にしっかりと芯を持っている人が多いと思うの。それは言い換えれば、
自分に自信を持っているということ」
千早「そして、自分に自信を持つためには、その背景となる努力が必要ではないかしら。
しっかりとしたパフォーマンスをできるという根拠を持っている人が、私には一人前に見えるわ」
志保「そ、そうですよね!」
千早「(どうして、志保が嬉しそうにしているのかしら?)」
可奈「……う~、そうですか」
千早「矢吹さん? 私、何かまずいことでも言ったかしら?」
可奈「えっ、ち、違います!」
可奈「千早さんのせいじゃなくて、私、自分がふがいなくて……」
可奈「千早さんの話を聞いていたら、私、全然まだまだだなぁって」
千早「矢吹さん……」
可奈「千早さん、ありがとうございました! どんどんやるぞ~♪ ばんばん歌お~♪ 矢吹可奈の真骨頂~♪」
春香「ええっ! 一人前!?」
志保「ちなみに、千早さんは――」
春香「うう……千早ちゃん、そんなしっかりしたこと言ってたら、後の人が答えにくいよ~」
可奈「春香ちゃん、あの、変なこと聞いちゃったかな?」
春香「ううん! そんなことないよ」
春香「そっか、一人前かぁ……」
春香「今まで、考えたことなかったかも。可奈ちゃんは偉いね」
可奈「そ、そんなことないよ!」
志保「(照れてる)」
春香「うーん…………」
今日のところは少し待ってもらえないかな?」
可奈「はい! 矢吹可奈、待ちます」
春香「ごめんね~。この後、お仕事だから、もう行っちゃうね」
志保「忙しい所、ありがとうございました」
春香「それじゃ、可奈ちゃん、志保、頑張ってね」
可奈・志保「「はい」」
可奈「……」
志保「……」
可奈「行っちゃったね」
志保「ええ」
可奈「春香ちゃんに悪いことしたかな?」
志保「……悪い事でもないでしょ」
可奈「でも、春香ちゃんの一人前、すごく気になるね」
志保「そうね」
紗代子「一人前?」
紗代子「それはもちろん」
紗代子「何度でも諦めず、壁にぶつかっていける人だよ!」
紗代子「可奈ちゃん、一緒に一人前目指して、頑張ろうね!」
琴葉「一人前、か……」
琴葉「……」
琴葉「……」
琴葉「きっと一人前にもいろいろな一人前があると思うんだけど」
琴葉「私が思うのは、自分のことは自分でできる人、なのかな」
琴葉「ごめんね、私もまだ分からないことばっかりだから、参考にならないかもしれないけど」
百合子「一人前……!」
百合子「人に認められるためじゃない! 自分を信じてあげるために……!」
百合子「平和な村で暮らしていたカナ・ヤブキ、しかし、ある日、その平穏は
破られる。戦火に焼かれ、家を失い、故郷を離れていくカナの目には、残酷な
世界の姿が映っていた。十分な食事もとれず、街道をさまよい、街へ街へと移
動する日々の中で、カナは自分が守られるだけの存在だったことに気付く」
百合子「今のままでは誰も救えない……!」
百合子「北の果てに、どんな願いも叶えるという果実があるという話を聞き、
カナは決意する。みんなが幸せになれる世界を目指そう、と」
百合子「そして、カナは旅立つ」
百合子「仲間との熱い共闘、尊敬するあの人からの言葉」
百合子「明かされる世界の秘密と、カナに迫りくる試練!」
百合子「何かを手に入れるためには、私たちの手は小さすぎる」
百合子「苦渋の決断を迫られた時、カナが出した答えは……!」
杏奈「あとは、杏奈が引き取るね」
志保「え、ええ」
可奈「……?」
可奈「百合子さん、何の話をしてたの?」
志保「……」
志保「と、とにかく、一人前の話が聞けたし、これからどうしていくのか、考えましょう?」
志保「少し、人選が偏っていた気もするけど……」
可奈「そうだね、今日、シアターにいる人にはだいたい聞けたし」
可奈「よーし、頑張るぞ~!」
次の日
可奈「うぇ~ん、志保ちゃ~ん!」
志保「今度はどうしたの?」
可奈「何をしたらいいのか、分からなくって」
志保「とりあえず、落ち着いて?」
志保「ほら、鼻をかんで」
可奈「ちーん」
志保「涙も拭いて」
可奈「ぐすぐす」
志保「ほら、綺麗になった」
可奈「ありがと、志保ちゃん……」
可奈「うん、みんなの話を参考にしたんだけど、考えれば考えるだけ、分からなくなっちゃって」
志保「……みんな、抽象的な話ばかりだったものね」
志保「……」
志保「そういえば聞いてなかったけど、可奈の思う一人前って何?」
可奈「私の思う一人前?」
可奈「それは、もちろん! 千早さんみたいな、素敵な歌を唄える人だよ!」
志保「……歌。得意なことから始めていくのは、どう?」
可奈「!」
可奈「そっか、歌だね!」
可奈「私、行ってくるね!」
志保「え、ど、どこへ?」
可奈「プロデューサーさんに、歌の仕事、たくさん入れてもらうように相談してくる!」
志保「行っちゃった」
千早「……いま、出て行ったのは矢吹さん?」
志保「! 千早さん……」
千早「何か、急いでいたみたいだけれど」
志保「この間の、一人前の話の続きです」
志保「可奈はやっぱり、歌が一番大事みたいですよ?」
千早「……そう」
可奈「ただいま~」
可奈「志保ちゃん、プロデューサーさんOKだって!」
可奈「って、千早さん!?」
千早「……ねえ、矢吹さん」
可奈「あ、あの!」
可奈「私からいいですか?」
千早「え、ええ。どうぞ」
可奈「私、なるべく千早さんの側にいて、千早さんのこと、
たっくさん知りたいんです! 私、千早さんに迷惑かけません。
だから……私に色々なこと、教えてください……」
千早「矢吹さん……」
千早「ええ、私もそう言おうと思っていたの」
千早「一緒にレッスン頑張りましょう?」
可奈「千早さん……!」
可奈「えへへ」
志保「良かったわね、可奈」
可奈「志保ちゃん、私、きっと一人前になってみせるからね!」
千早「もしよければ、志保もどう?」
千早「一人より二人がいいのなら、三人四人と多い方がいいと思うの」
志保「いいんですか?」
可奈「志保ちゃん、一緒に頑張ろう!」
千早「矢吹さんも、賛成みたいね」
志保「……それなら、よろしくお願いします」
レッスン場
千早「矢吹さんは、声量は多いのだけれど、それを上手く扱えていないわ。
唄っている時、語尾が震えることがない?」
可奈「あ、あります!」
千早「原因はきっと、筋力不足だと思うの」
千早「これは、私が毎日こなしているメニューよ」
可奈「ふ、腹筋二百回!」
志保「(それ以外にも、非常識にも思える回数、項目が並んでいる)」
志保「これを毎日ですか?」
千早「当然、これを二人にそのまま、という訳にはいかないと思っているわ。
自分の限界を知ることも、プロには必要なことだと私は思う」
志保「メニューを考えるのも、自分で、ということですか?」
千早「ええ」
可奈「じゃあ、早速!」
志保「体力測定ね」
可奈「う~」
志保「……」
千早「矢吹さんは日に三十回を三セットずつ。志保は五十回を二セット、といったところかしら」
可奈「おなかがぷるぷる震えてるよ~」
千早「基礎体力はあれば、あるだけ損をするということはないわ」
千早「筋肉トレーニングと体力づくりは、宿題ね」
千早「週に一回、こうして集まる時間を作りましょう」
可奈「……」
志保「……」
千早「さて、休憩は止めにしましょう」
千早「それじゃあ、発声練習から」
可奈・志保「「はい!」」
事務所
志保「課題曲、か」
可奈「『shiny smile』だよね」
志保「今度、プロデューサーさんに頼んで、ライブ映像を借りましょう」
可奈「うん!」
春香「何か、相談事?」
可奈「春香ちゃん!」
可奈「えへへ、実は――」
春香「――そっかぁ、千早ちゃんとレッスン……」
春香「やっぱり、可奈ちゃんは偉いなぁ」
可奈「そ、そんなことないよ///」
春香「ううん、可奈ちゃんは偉いよ!」
春香「真っ直ぐ、自分の道を歩いていけるのって、すっごく勇気のいることだと思うんだ……」
可奈「///」
春香「……」
春香「もう少し、考えさせてくれないかな?」
可奈「?」
春香「私、もっと自分で納得したいんだ」
春香「色々、考えてはいるんだけどね、えへへ」
可奈「私、春香ちゃんの一人前、楽しみにしてるから!」
春香「うん! 可奈ちゃんも次のライブ、楽しみにしてるからね」
可奈「はい!」
春香「それじゃあ、もう行くね」
可奈「お仕事、頑張ってください」
春香「お互い、頑張ろうね」
志保「……」
可奈「……っ」
可奈「志保ちゃん、頑張ろうね」
志保「ええ」
とある幼稚園
先生「みなさ~ん、集まってください」
園児1「え~」
園児2「先生、どうしたの?」
園児3「まだ遊びたい」
先生「ふふふ、ちょっと我慢してね」
先生「今日はみんなのために、アイドルの先生が来てくれました」
先生「お歌をたくさん、教えてもらいましょうね」
先生「それじゃあ、自己紹介から」
園児1「はひ、だって」
園児2「変なの~」
可奈「矢吹可奈、14歳です。大好きなのは唄うこと。今日は、みんなと仲良くなれたらな~って思います」
可奈「唄うの大好き、矢吹可奈~♪ みんな仲良くして、くっれるかな~♪」
美奈子「佐竹美奈子、十八歳! 特技は、料理を振る舞うことです♪ みなさ~ん、
ちょっとだけ手を貸してくださいね。せーの、の合図でいきますよ~♪」
せーの
「「「「「「わっほーい!」」」」」」
朋花「天空橋朋花です~。今日は、みんなで仲良くしましょうね~。お痛、は私が許しませんよ~」
園児123「はーい」
先生「アイドルの皆さんと仲良くなれるように、簡単なゲームをやりましょう。それじゃあ、準備しましょうね」
お昼休憩
可奈「はひ~。やっとお昼ですね」
朋花「沢山動いたので、お腹が空きましたね~」
美奈子「わっほ!」
可奈「美奈子さん、落ち着いてください!」
美奈子「はっ!」
可奈「大丈夫ですか?」
美奈子「ごめんね、可奈ちゃん。ありがとう」
朋花「でも、子供って元気ですね~」
可奈「みんな疲れ知らずで、私、午後もついていけるか、不安です」
美奈子「午後は先生が、お歌を唄うって言ってたよ」
可奈「本当ですか!」
美奈子「やっと可奈ちゃんの本領発揮だね」
可奈「はい! じゃんじゃんばりばり、唄いますよ~♪」
朋花「楽しみですね~」
可奈「……」
可奈「(あの子、すごくつまらなそう)」
可奈「(どうしてかな?)」
可奈「(ずっと下を向いたまま)」
可奈(小声)「あの、美奈子さん、ちょっと行ってきていいですか?」
美奈子(小声)「あの子?」
可奈(小声)「はい」
美奈子(小声)「うん、お願いしちゃってもいいかな? 私たちも気にはなっていて……」
園児4「……」
可奈「どうしたの? 具合悪いの?」
可奈「お歌、唄わないの?」
園児4「唄わない」
可奈「! どうして……?」
園児4「唄わないったら、唄わないの!」
可奈「……ほら、一緒に唄おう? 楽しいよ?」
園児4「唄わない……楽しくないもん」
可奈「そんなことないよ。一緒に唄おうよ」
園児4「唄わないの!」
園児4「お歌なんてきらい! だいっきらい!」
可奈「え……」
先生「ちょっと、どこにいくの!?」
可奈「わ、私が追いかけます!」
可奈「ま、待って!」
園児4「付いてこないで」
可奈「つ、捕まえた!」
園児4「……」
可奈「はぁ、はぁ。ねえ、ちょっと休憩しよう?」
園児4「……い、いいよ」
可奈「は~、疲れたね」
園児4「何で、追いかけてきたのっ」
可奈「……」
園児4「ねえ!」
可奈「……歌が嫌いって言ったから」
園児4「……きらいだもん」
園児4「お歌は唄わないよ!」
可奈「うん……」
園児4「……」
可奈「……」
可奈「お歌、嫌なんでしょ?」
園児4「……うん」
園児4「で、でも、それなら、どうして付いてきたの!」
可奈「……えへへ、分かんない」
可奈「歌が嫌いって、私、よく分からなくて」
可奈「だから、つい追いかけて来ちゃったんだけど……」
可奈「……」
園児4「お姉ちゃんは、お歌、好きなの?」
可奈「うん、大好きだよ」
園児4「でも、あんまりお歌上手じゃないよ」
可奈「うぅ……」
園児4「それなのに、好きなの?」
可奈「歌が好きなのと下手なのと、一緒って変なのかな?」
園児4「?」
可奈「?」
可奈「でも、唄ってると楽しいよ。嫌なことも歌にすると元気になれるんだ」
可奈「それに、唄うと笑顔になってくれる人がいるから」
園児4「そ、そんなの変だよ!」
園児4「可奈ちゃん、笑われてるんだよ!?」
可奈「笑われてる?」
園児4「そうだよ! 可奈ちゃんのお歌が下手だから――」
可奈「……」
園児4「!」
園児4「あぅ、ごめんなさい」
可奈「あっ、だ、大丈夫だよ」
可奈「怒ってないよ?」
園児4「……ごめんなさい」
可奈「……」
園児4「あーちゃん」
可奈「あーちゃんは、お歌が嫌いなんだよね?」
園児4「うん」
可奈「それって、お歌が上手に歌えないから?」
園児4「……うん」
園児4「あのね、みんなね、あーちゃんが唄うと笑うの。
みんながね、へたくそって言うの。だから、きらいなの。へたくそだから、お歌きらい」
可奈「……」
可奈「あーちゃんは、本当にお歌が嫌いなの?」
園児4「……」
園児4「きらい、じゃない」
園児4「お家で唄うとね、お父さんもお母さんもきれいな声だって、褒めてくれるの」
可奈「お歌の下手な、矢吹可奈~♪ お歌の好きな、あーちゃんへ~♪
たくさん歌を唄うから~♪ 笑顔になってほしいかな~♪」
園児4「……!」
園児4「お、おっきい声出さないで!」
可奈「まだまだたくさん唄います~♪ あーちゃん一緒に唄いましょ~♪」
園児4「う、うぅ」
園児4「分かった! 唄う! 唄うからやめて!」
可奈「ほんと!」
園児4「うぅ……」
可奈「ねえ、あーちゃん。みんながあーちゃんのお歌が下手って言うなら、
私があーちゃんのために、お歌を作ってあげる!」
可奈「あーちゃんだけの歌だから、誰も下手なんて言わないよ」
園児4「……」
言う人がいたら、私も一緒にへたくそって言われてあげる!」
園児4「可奈ちゃんのバカ!」
可奈「!」
園児4「へたくそのままじゃ、意味ないもん!」
可奈「……」
園児4「で、でも、お歌は練習しないと上手にならないから」
園児4「だ、だからね、可奈ちゃんがへたくそって言われないように、
あ、あーちゃんも一緒に唄ってあげるっ」
可奈「ありがと~、あーちゃん!」
帰り道
美奈子「あの子、元気になってよかったね」
可奈「はい! 一番おっきな声で唄ってくれてました」
朋花「でも、どうして初めは元気がなかったんですか~?」
可奈「それが――」
朋花「――へたくそなんて人を傷付ける子には、お仕置きが必要ですね」
美奈子「と、朋花ちゃん、抑えて」
可奈「えへへ、朋花さん。ありがとうございます」
可奈「でも、あーちゃんなら大丈夫ですよ」
園児4『可奈ちゃん、今日はありがとっ』
園児4『あーちゃん、お歌、頑張って唄うね?』
園児4『あーちゃん、お歌、好きだから……///』
園児4『可奈ちゃんみたいに、元気に唄うからね』
園児4『可奈ちゃんのこと、おーえんしてるね?』
事務所
可奈「って言うことがあったんです……」
春香「そっかぁ」
可奈「だから、もしかして、歌が嫌いな人もいるのかなって」
可奈「あーちゃんみたいに、今は好きでも、嫌いになっちゃう人がいたら、
それって嫌だなぁって思ったんです」
春香「……」
春香「可奈ちゃんは、歌は好き?」
可奈「?」
可奈「大好きです」
春香「私もね、歌は好きだよ」
春香「この世界に入ろうって思ったのも、歌だったから」
春香「私より歌が好きな人なんていないって思ってたんだ」
可奈「……」
春香「だからね、今はすっごく幸せ」
春香「歌で、色んな思いを届けられる。歌で、色んな気持ちにしてあげられる。
私の歌が好きって気持ちで、みんなが幸せになれるんだよ?」
春香「それって、すごく素敵なことだよね」
可奈「やっぱり春香ちゃんは、すごいなぁ」
春香「……」
春香「可奈ちゃんの方がすごいよ……」
可奈「え? 今なんて」
春香「ううん、何でもないよ」
春香「あっ、そうだ。クッキー作って来たんだけど、食べる?」
可奈「わぁ! いいんですか?」
可奈「!」
春香「どうしたの?」
可奈「うぅ、春香ちゃん、私、いまダイエット中なんです」
春香「そうなんだ。それじゃあ一つだけ、どう?」
可奈「うぅ、ありがとうございます」
可奈「すっごく美味しいですっ」
春香「それじゃあ、私はもう行っちゃうけど、レッスン頑張ってね」
可奈「はい、春香ちゃんもお仕事頑張ってください」
会議室
千早「プロデューサー、御用でしょうか?」
P「ああ、急に呼び出して悪い」
可奈「……」
P「次のシアター公演の話なんだが……」
P「千早と可奈のライブバトルを企画している」
可奈・千早「!」
P「二人とも、引き受けてくれるか?」
千早「私は問題ありません」
可奈「ちょ、ちょっと待ってください!」
可奈「ぷ、プロデューサーさん、もう一度お願いします」
P「次のシアター公演では、千早と可奈のライブバトルを企画しているんだが、
可奈は引き受けてくれるか?」
可奈「そんなの無理ですよ~! わ、私が千早さんとば、バトルだなんて!」
千早「……」
P「でも、最近は千早と志保と一緒に自主レッスンしてるじゃないか」
可奈「で、でも……」
P「なら、何時ならいいんだ?」
千早「プロデューサー」
P「ん?」
千早「矢吹さんが出来ないというのなら、別の人に依頼してください。
私はこの機会を譲る気はありません」
可奈「!」
P「まあ、可奈が出来ないって言う以上は――」
可奈「ま、待ってください!」
可奈「そ、その……」
千早「……」
千早「矢吹さん、やるの? それとも降りるの?」
可奈「……」
千早「ねえ、矢吹さん? あなたがアイドルになって、一番良かったと思うのは、いつ?」
可奈「それは、歌を唄ってる時です」
千早「なら、迷うことはないと思うのだけど」
可奈「……」
千早「……私は」
千早「私は、ステージに立って、唄っている時が一番幸せを感じるわ。
そこから見える、ファンのみんなの楽しそうな顔、嬉しそうな顔、哀し
そうな顔、歌をしっかりと届けられたと実感する時が、私は一番、アイ
ドルになってよかったと思う瞬間」
千早「だから、中途半端な覚悟なら、降りてちょうだい」
千早「最高のステージを、ファンのみんなに届けるためにも」
可奈「やります」
P「……いいのか?」
可奈「やります! 矢吹可奈、唄います!」
可奈「千早さんには、絶対負けません!」
千早「矢吹さん……本当にいいのね?」
可奈「千早さん……?」
千早「一つだけ言っておくけれど、手加減をするつもりはないわ」
千早「私は、765プロのみんなは仲間だけれど、同時に、仕事を奪い合う
ライバルだとも思っているわ。誰よりも、みんなを信頼している。それは、
どんな時も変わらないけれど、だからといって、互いに遠慮しあう、もたれあいの関係とは違う」
千早「矢吹さん、いいライブにしましょう」
可奈「……はい!」
可奈「……」
志保「可奈、次の公演――」
可奈「――志保ぢゃ~ん、わ、わたじ~」
志保「ちょ、ちょっと鼻水が付く!」
可奈「うぅ、ぢはやざんとライブバトルなんで、むりだよ~」
志保「……」
志保「可奈、一人前になるんじゃなかったの?」
可奈「……志保ぢゃん?」
志保「可奈は、私に一人前のこと、聞かなかったわね」
志保「可奈、一人で何でも決められるようにならなきゃ駄目よ」
自分で選び取って、決められる大人にならないと」
志保「それが、私の思う一人前」
可奈「……」
志保「それじゃあ、私もレッスンがあるから」
志保「――! ああ、そうだ」
志保「千早さんからの伝言があったの」
志保「これからも合同レッスンは続けましょうって」
志保「それじゃあ、今度こそ行くわね」
志保(小声)「……可奈、応援してるから」
レッスン室
志保「(レッスンは前回、千早さんが出した課題曲をそれぞれが唄う所から始まった)」
志保「(課題曲は『shiny smile』)」
志保「(一番手は可奈。無邪気で、元気な歌い方)」
志保「(可奈らしいと言えば、可奈らしい)」
可奈「いつだって ピカピカでいたい♪」
志保「(歌詞に込められた前向きさを、そのまま押し出していく)」
志保「(一方、千早さんは歌全体の複雑な機微を、一つ一つ、丹念に拾っていこうとする。
大サビが最も盛り上がるように、抑揚を操って)」
千早「泣きそうな思いを 乗り越えたら♪」
志保「(乗り越えていく勇気を、唄う)」
志保「(同じ歌のはずなのに、こんなに見せる表情が違うなんて)」
可奈「志保ちゃん、次だよ」
志保「え、ええ」
志保「(本来、私たちは追いかける立場で)」
志保「(そんな中、千早さんがレッスンを一緒に、と誘ってくれたのは、本当に幸運なことだ)」
志保「(他の事務所なら、いくら所属が同じとはいえ、ライバルに手の内を明かすようなことは、絶対にあり得ないだろう)」
志保「(それなのに)」
志保「(追いつかなければいけないのに、この突き放されていく感覚は、何だろう)」
志保「(千早さんの技術を吸収して、一瞬でも一秒でも早く、隣に並びたいと願うのに)」
志保「(身体が気持ちについていかない……)」
志保「可奈っ!」
可奈「志保ちゃん……」
志保「このあと、少し付き合ってくれない?」
可奈「……」
可奈「いいよ、自主練でしょ?」
志保「ええ……」
志保「(このところ、可奈の元気がない)」
志保「(何か声を掛けてあげたいのに、何もしてあげられない)」
志保「(きっと、それは私の感じている焦りと、可奈の元気のなさは、同じものだから)」
志保「(だから、私たちは動き続けて、そんな気分を紛らわすしか方法がない)」
可奈「志保ちゃん、私ね、まだ実感が湧かないんだ」
志保「ライブバトルのこと?」
可奈「うん、そう。千早さんにも言われたんだ」
可奈「良いライブにしましょうって」
可奈「ライバルなのに一緒にレッスンしたり、同じ事務所の仲間なのに
競い合ったり、どうして、そんなことするんだろうって、ばっかり考えちゃう」
可奈「私、やっぱり千早さんみたいになれないのかな?」
可奈「……」
志保「……」
可奈「えへへ、ごめんね、志保ちゃん」
可奈「さ、レッスン始めよっ」
志保「……」
志保「……千早さんになれないなんて、分かりきったことでしょう?
いくら憧れたって、その人にはなれっこない」
志保「(自分の道は、自分で見つけるしかない)」
志保「だけど、可奈は……」
志保「可奈には、そんなの必要ない」
志保「……少なくとも、私はそう思うわ」
可奈「……」
志保「誘っておいて、悪いけど、可奈はもう帰ったら?」
志保「考える時間だって必要だと思うわ」
可奈「……う、うん」
志保「可奈、また明日。レッスン頑張りましょう」
可奈「……」
765シアター 屋上
可奈「はぁ……」
可奈「ライブバトルで意気消沈~♪ 溜め息ばっかり、矢吹可奈~♪」
可奈「……」
可奈「はぁ」
P「何、溜め息ばっかりついているんだか」
可奈「わっ! プ、プロデューサーさん!」
可奈「驚かさないでくださいよ~」
P「悪い、驚かす気はなかったんだけど」
P「可奈、ライブバトル、やっぱり不安か?」
可奈「不安に決まってるじゃないですか! 千早さんとですよ」
P「相手が千早じゃなかったら、不安じゃないのか?」
可奈「う、それは……」
P「誰が相手なら、不安じゃない?」
P「格下の相手とライブするときか? 何十回も何百回もレッスンしたあとなら
、不安じゃないか? ファンのみんなが友達だったら、不安じゃないのか?」
P「……違うよな」
可奈「……」
P「千早だって、ライブの前は指先が冷たくなるほど緊張するよ。春香も志保も、
みんな不安を抱えてる」
P「もちろん、それで可奈の不安が消える訳じゃないのは分かってる。だけど、
その不安はいつだって消えないんだ。誰だって、胸の内に隠したままステージに立つんだよ」
P「それでも、みんなやり遂げるんだ」
可奈「はい……」
P「初めてのライブ、覚えているか? 俺は何があっても忘れないぞ」
劇場のみんなが笑顔だったこと。今でも、昨日のことみたいに、鮮明に思い出せる」
可奈「だ、だけど! わ、笑われてただけかもしれないですよ?」
可奈「私がドジだから、みんな……笑ってたのかも」
P「!」
P「まったく誰がそんなこと言ったんだ?」
P「可奈! そんなことある訳ないだろう」
P「みんな、可奈の歌を聞いて、笑顔になったんだ。可奈が楽しそうに唄うから、
みんなも楽しくなるんだよ。可奈が本当に、本当に歌が好きだって思っているから、
みんなに伝わるんだ」
可奈「うぅ、でも」
P「信用できないか?」
可奈「……」
P「なら、俺に証明させてくれ」
P「思いっきり、楽しんで唄ってこい。そして、俺が間違ってなかった、
と証明してくれないか?」
可奈「私が……間違ってるかもしれませんよ?」
可奈「歌が好きって気持ちだけで、ステージに立つなんて、本当は違うのかも……」
可奈「千早さんだって、志保ちゃんだって、いろいろなことを考えてステージに
立ってるんですよ。それなのに、私だけ――」
P「――よし、分かった!」
P「それが正しいか、どうか、次のステージで確かめよう」
可奈「えぇっ、プロデューサーさん、でも」
P「でももだってもない! こんな話、いつまでも続けてたって結論は出ないだろ。
だったら、実地で確かめてみるしかないよな」
可奈「うぅ、どうしてそうなるんですか~?」
P「いいんだよ……可奈はステージを目一杯楽しめば」
ライブ当日
可奈「志保ちゃん」
志保「決心はついた?」
可奈「うん、でも……少しだけ不安かな」
志保「……そう」
可奈「えへへ……」
志保「……」
可奈「ねえ、志保ちゃん、やっぱり怖いよ」
志保「……そうね、私も怖い」
可奈「……」
可奈「志保ちゃんも怖いんだ……」
志保「?」
可奈「私たち、いっぱいレッスンしてきたよね?」
志保「ええ」
可奈「千早さんたちにも負けないくらい、頑張ったよね?」
志保「……ええ」
可奈「……」
志保「……私だって」
可奈「え?」
志保「誰だって、自分は一人前じゃないってもがいてる」
志保「可奈、私もまだまだ大人には程遠いけど、それでも頑張ってる。だから……」
可奈「?」
志保「可奈の歌を聞かせて?」
可奈「……」
志保「可奈の歌が、私に勇気をくれるの」
志保「だから」
志保「いってらっしゃい、可奈」
志保「応援してるわ」
~♪
可奈「歌うように♪ 歩いてゆく♪」
可奈「(まだまだ怖くて、指先ばっかり見てた)」
可奈「この先に何が待ってるの♪」
可奈「(ダンスに合わせて、上げた視線の先に、オレンジ色のサイリウムのお花畑が広がっていた)」
可奈「(はっとして、次の唄い出しが遅れる)」
可奈「失敗しても♪ 次また頑張る♪」
可奈「(頑張れ、可奈! 頑張れ!)」
可奈「(下を向いてなんかいられない! まだ唄えるんだから!)」
可奈「それっきゃない♪ 楽しいから♪」
可奈「(こんなに楽しくて、大好きなこと)
可奈「(そうだよ、こんなにキラキラして、こんなに楽しい場所で、大勢のみんなに歌を届けるんだ!)」
可奈「(私、今、すっごく幸せなんだ!)」
可奈「一生懸命♪ 今日もまた前進です♪」
可奈「(精一杯、唄うって、志保ちゃんに約束したんだ!)」
可奈「(プロデューサーさんと目一杯楽しむって約束したんだ!)
可奈「(千早さんと、良いライブにするって約束したんだ!)」
可奈「(私だけじゃない、みんなの歌なんだ!)」
可奈「もっと知りたい♪ 私へと♪」
可奈「(うん! もっと、もっと知りたい!)」
可奈「(胸の奥がうずうずして、走り出したくなる気持ち)」
可奈「(嬉しくて、悲しくて、涙が出そうになるけど、でも笑顔になっちゃう、楽しくて、切ないこの気持ち)
可奈「迷ってないで♪ 飛び込んで♪ 会いに行こう♪」
可奈「(みんなに届けたい)」
可奈「(私だけじゃないって、信じてもいいんだよね)」
可奈「やっぱり」
可奈「(良かったんだ。この気持ちのままで)」
~♪
可奈「歌が♪ 大好きっ」
志保「(ステージを下りる可奈の頬に、涙が流れていた)」
志保「(可奈は舞台袖へ戻ってくると、誰とも話さず、静かに楽屋へ入っていった)」
志保「(千早さんが準備を終える)」
志保「(客席は静まり返って、可奈の歌声の余韻が、まだ響いているようだった)」
志保「(合図が来て、千早さんがそんな空気の中を舞台中央へ歩いていく)」
志保「(初め、客席は曲が始まったことにも気付いていないみたいだった)」
志保「(だけど)」
志保「(千早さんの声を聞くと、誰もが我に返るように目を見開いて、顔を上げた)」
志保「(千早さんの歌声は、圧倒的だった)」
志保「(千早さんは歌で、ステージに一つの世界を作り上げようとしていた)」
志保「(私たちは、その世界に引き寄せられて、溺れていく)」
志保「(爪先から頭まで、千早さんの歌に浸って、別の人生を生きているような錯覚に陥る。
それは、物語を聞かせるように、ゆっくりと私たちに染み渡っていった)」
765シアター エントランス
可奈「はれっ?」
春香「あれ?」
可奈「春香さん?」
春香「可奈ちゃん?」
可奈「あの、私、千早さんに呼ばれて……」
春香「あ、なるほど」
春香「えへへ、可奈ちゃん、わたしも千早ちゃんに呼ばれたんだ」
可奈「?」
春香「ねえ、ちょっと歩こうよ」
可奈「でも、千早さんは?」
春香「大丈夫。ね、行こう」
可奈「あっ、待ってくださいよ~」
春香「はぁ、風が気持ちいいね~」
可奈「……」
春香「今日のライブ、見てたよ」
可奈「っ!」
可奈「全然、ダメダメでしたよね?」
春香「?」
春香「どうして?」
可奈「あの、私、途中まで、その、全然別のことを考えてて」
可奈「みんなに、悪いことしちゃったのかなって」
可奈「えへへ、私、歌しかないのに」
春香「……」
可奈「! ち、違います!」
可奈「ただ、私の実力が足りなかっただけで」
春香「可奈ちゃんは、全力で唄ったんだよね?」
可奈「はい! あ、でも初めの方は……」
春香「でも、思いっきり唄ったよね?」
可奈「その……はい」
春香「なら、私が許してあげる」
可奈「え?」
春香「可奈ちゃんが悪いことしたって思うなら、私が許してあげる。
でも、可奈ちゃんは許しちゃダメだよ。可奈ちゃんは今日のこと、
ずっと忘れないで、毎日毎日、思い出さないとダメだよ」
可奈「……」
春香「それで、きっといつか、今日を思い出して、もっともっと素敵な歌をファンのみんなに届けてあげて」
春香「ね?」
可奈「はい……」
春香「ねえ、可奈ちゃん、こんな話したの覚えてる?」
春香『可奈ちゃんは歌が好き?』
志保「千早さん、お疲れ様です」
千早「お疲れ様、志保」
志保「……」
千早「……何か、伝えたいことがあるのかしら?」
志保「……」
志保「あのっ! 私、諦めません」
志保「……今日は、千早さんが勝ちましたけど、いつか可奈は絶対、
千早さんに追いつきますから。私だって、絶対に追いついてみせますから……!」
千早「志保……」
志保「正直に言って、今日は負けたと思いました。悔しくて、胸が張り裂けそうなくらい、負けたんだって思います」
志保「だけど、負けません。……負けたくないんです」
千早「……」
志保「!」
千早「いつも思うの。外から見れば、小さなこのシアターが、どうして、
舞台から眺めた時、あんなに大きく見えるのか。どうして、唄うのが怖いくらい、手が震えるのかしらって」
千早「私だって、今日の勝利が明日の勝利だなんて思ってない。それに、今日の歌だって、私だけで作り上げたものじゃない」
千早「それは、志保や矢吹さん、765プロのみんなといたから作ることの出来た歌だと思ってる」
志保「私たちの?」
千早「ええ。レッスンの時、課題曲を出したでしょう?」
千早「一つの歌でも、歌い手が変われば、曲の色も変わる」
千早「そのことを強く意識させてくれたのは、いつだって矢吹さんの歌だった」
千早「私は、矢吹さんが羨ましい」
可奈「覚えてます!」
可奈「歌で色んな気持ちや思いを届けられるのが幸せだって、春香さんが言ったの、覚えてます」
春香「……わたし、誰にも負けないくらい唄うことが好きだったの。それだけは負けないって、この世界に入ったくらいに」
春香「だけどね、いたの。私より歌が好きで、私よりずっと真剣に歌のことを考えている人が」
可奈「……もしかして、千早さんのことですか?」
春香「ふふっ、半分正解」
可奈「えっ?」
春香「可奈ちゃんも、そうだよ」
可奈「かな……えぇ! 私ですか!?」
春香「私は可奈ちゃんってすごいなって思うの」
春香「歌が大好き、ただそれだけで何度だって諦めないで、挑戦していけるのは、
本当にすごいなぁって、思うんだ」
可奈「そ、そんな、私なんて……///」
春香「私も歌が好き。だけど、それだけで立ち上がれるほど、強くないんだ」
春香「今の私は、ファンのみんながいるから、765プロのみんながいるから、
プロデューサーさんがいるから、そして、可奈ちゃん、あなたがいるから、何度でも立ち上がれる」
春香「みんなの力が、今の私を支えてくれてるんだ」
春香「……」
春香「ねえ、こんなこと初めて言うんだけどね」
春香「私、可奈ちゃんに憧れてたの」
志保「可奈が羨ましいって、どういうことですか?」
千早「矢吹さんの歌に対する姿勢が、悔しくて、涙を流すくらい羨ましい」
千早「志保は今日、負けたと思ったって言ったわね?」
志保「はい」
千早「どんなところが負けたと思ったの?」
志保「それは、千早さんの歌です」
志保「歌声だけで、一つの世界を作り上げて、観客を巻き込んでいく。
その技術が素晴らしいと思いました。私は、まだその域に達していない、と」
千早「技術……」
志保「え?」
千早「技術は所詮、技術に過ぎないわ」
千早「志保が素晴らしいと思ったものだって、私にとっては、付け焼刃もいいところ」
志保「……」
千早「私には、それは矢吹さんの物真似でしかないのよ」
志保「……?」
志保「哀しく唄うに決まってます」
千早「……そう」
千早「矢吹さんならきっと、哀しい歌はそのまま唄うでしょうね」
志保「……あの、意味が分かりません」
千早「それがきっと、私たちの限界なの」
千早「哀しい歌を、哀しく唄うことでしか届けられない」
千早「本当はその哀しみの中にだって、喜びや憂いや華やかさがあるのかもしれない。
様々なグラデーションが隠れているはずなのに、私は、その全てを届けるだけの歌を唄えない」
千早「だけど、矢吹さんは唄うのが楽しいという気持ちだけで、一直線に観客へ歌を届けられる」
千早「今日の歌だって、それを真似ただけ。歌を大きな世界に見立てて、観客に感情を委ねた。ただそれだけ」
千早「私たちは賢しらに、歌に理由をつけてしまうけれど、矢吹さんは違う」
千早「理由がなくとも歌えるのは、単純に羨ましいわ」
可奈「春香……さん?」
春香「……」
春香「見て、可奈ちゃん。765シアターが見えるよ」
可奈「……!」
春香「ステージに立てば、ファンのみんなとあんなに近いのに、今はとっても大きく感じる」
春香「ライブが終わると、いっつも思うんだ」
春香「どうして、この広いシアターがライブの時だけは、あんなに狭く感じるんだろうって」
春香「多分、それって、みんながいるからなんだよね?」
春香「ファンのみんな、765プロのみんな、スタッフの人たち、みんなの熱気が集まってるから、
あんなに時が経つのが早くて、シアターが狭く感じるんだろうなって」
春香「ああ、早くライブしたいなぁ」
春香「可奈ちゃんも、そう思うでしょ?」
可奈「……」
春香「ファンのみんなに、歌を届けたいなぁって」
可奈「……」
可奈「(『一生懸命、唄ったんだよね?』)」
可奈「(『私が許してあげる』)」
可奈「(『可奈ちゃんは自分を許しちゃダメだよ』)」
可奈「……うぅ」
可奈「うわぁぁぁぁぁ~~~ん!」
春香「か、可奈ちゃん!?」
可奈「私……! 私ぃ……!」
可奈「私のバカバカバカぁ~!」
可奈「もっともっど、ちゃんど唄えたのに……!」
可奈「みんなに、もっともっと、歌を届けられだのに」
可奈「バカ~! 可奈のバカ~!」
春香「……!」
春香「うふふ、あはははは」
可奈「は、春香ざん?」
春香「ふふ、えへへ。ごめんね、可奈ちゃん」
春香「でも、笑わずにはいられないよ」
可奈「うぅ、私がドジだから笑ってるんですね?」
春香「ち、違うよ! そうじゃないの、嬉しいんだよ」
春香「やっと、可奈ちゃんが一人前になったんだなって」
可奈「一人前……?」
春香「うん、可奈ちゃんはもう一人前だよ」
春香「だから、憧れるのはもうおしまい」
可奈「?」
春香「今日から可奈ちゃんは、後輩じゃなくて」
春香「ライバルだもんね!」
可奈「千早さん、デュエットしましょう!」
千早「ええ、しましょう!」
春香「いっけー、可奈ちゃん、千早ちゃ~ん!」
志保「(まだ私が唄っているんだけど……)」
可奈「百点、狙っていきますからね!」
千早「じゃあ、低音パートは矢吹さんにお願いするわ。私は高音パートで」
可奈「はい!」
志保「(でも、楽しそうだから、いいのかな?)」
春香(小声)「志保ちゃん、次は私たちでデュエットしようか?」
志保(小声)「いいですよ、負ける気はありませんから」
おしまい
読んでくださった方、ありがとうございました。
html化、依頼してきます。
乙です
>>2
矢吹可奈(14) Vo/Pr
http://i.imgur.com/kB9imcc.png
http://i.imgur.com/qwPPZmc.png
北沢志保(14) Vi/Fa
http://i.imgur.com/VBYKOPg.jpg
http://i.imgur.com/ZNFva6G.jpg
>>3
如月千早(16) Vo/Fa
http://i.imgur.com/RFRxkra.jpg
http://i.imgur.com/wN651IY.jpg
>>7
天海春香(17) Vo/Pr
http://i.imgur.com/f6ombAr.png
http://i.imgur.com/7RYWSze.jpg
>>9
高山紗代子(17) Vo/Pr
http://i.imgur.com/G3Xvfmo.jpg
http://i.imgur.com/BtlBhJL.jpg
>>10
田中琴葉(18) Vo/Pr
http://i.imgur.com/NGhomXO.jpg
http://i.imgur.com/4b7MrKu.png
>>11
七尾百合子(15) Vi/Pr
http://i.imgur.com/MeJaqUS.jpg
http://i.imgur.com/PABrgaq.jpg
>>12
望月杏奈(14) Vo/An
http://i.imgur.com/olHxThh.jpg
http://i.imgur.com/4eHfLZQ.jpg
>>22
佐竹美奈子(18) Da/Pr
http://i.imgur.com/ZUzO9Qf.jpg
http://i.imgur.com/XDI4u1A.jpg
天空橋朋花(15) Vo/Fa
http://i.imgur.com/X5DIqbh.jpg
http://i.imgur.com/Zoo2awy.jpg
>>19
『shiny smile』
http://www.youtube.com/watch?v=YCBXQS7Wbiw
>>51
『オリジナル声になって』
http://www.youtube.com/watch?v=XGCS8UBJe8I
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1523369515/
Entry ⇒ 2018.04.13 | Category ⇒ ミリマス | Comments (0)
【ミリマス】千鶴「迷子のあずさを追いかけていたら京都に着きましたわ…」
三浦あずさ(以下あずさ)「うふふ、夜桜が綺麗ですねぇ…」
千鶴「あずさの方向音痴伝説は聞いていましたが、まさか埼玉からのロケ帰りで京都に辿り着くとは…」
あずさ「あら?あそこのお土産屋さんはまだ開いてるわね、お土産買って行かないと…」
千鶴「お、お待ちなさいあずさ!一人で歩き回るなと何度も言ったでしょうが!」
あずさ「大丈夫ですよ千鶴さん、いくら私でも見えている場所へ向かうのに迷子になるなんて事は…」
千鶴「今日だけで4回ありましたわ…」
あずさ「あ、あら?そうだったかしら…」
千鶴「京都に着いた時点ですぐ戻れたら当日中に帰れましたのに…
後、交通機関を大量に使いましたから所持金が底を尽きないか心配してください。」
あずさ「所持金、所持金…えーっと…」
千鶴「新幹線と宿代で2万円弱使う計算です、お土産を買ったら帰れなくなったなんて事が無いように…」
あずさ「あ、あのー…私の所持金、確かめたら5000円を切っちゃったんですけどどうしましょう…?」
千鶴「うえぇ!その所持金では新幹線どころか夜行バスにすら乗れないではないですか!?」
あずさ「も、もし良ければ明日返すので帰りの電車代を貸して頂ければありがたいのですが…」
千鶴「…わたくしの所持金は1万8000円、銀行カードは持ち歩いていないので引き出す事もできません…
つまり、わたくしたちはどうあがいても自力では帰れないと言う事ですわ…」
千鶴「明日の15時からテレビの収録があるのをお忘れですか?最悪でも明日の正午までには戻らないといけません。」
あずさ「えーっと、じゃあヒッチハイクで東京まで戻るとか…」
千鶴「おやめなさい!下心丸出しの下種に拾われたら帰るどころか取り返しの付かない事になりますわよ!?」
あずさ「うぅ…確かに女二人でヒッチハイクの旅はリスクが高過ぎますね…」
千鶴「まぁ、事務所に助けを求めるしかないでしょうね、うまくチケットを手配してくれれば良いのですが…」
あずさ「それなら電話も長くなりそうですし、どこかカフェでも探して…」
千鶴「だから!一人で歩くなと言ってるでしょうがーっ!」
~10分後~
千鶴「なんとかチケットを手配して貰えることになりましたわ。小鳥の苦い顔が目に浮かぶようでしたが…」
あずさ「行きの新幹線代も経費で落ちる事になって良かったですね~。」
千鶴「『迷子代』と『迷子の迎え代』で処理される領収書なんて前代未聞でしょうね…」
あずさ「まあ、経費で通るなら良いじゃないですか…それで、宿はどうします?やはり雰囲気の良い…」
千鶴「京都駅近辺の安宿です。近くでないとまた迷子になりますし、そもそもあなたお金無いでしょう?」
あずさ「えーっと、それなら折角京都に来たし何か記念品を…」
千鶴「始発の新幹線に乗って帰るので買う時間などありませんよ?今日はもう土産物屋も閉まってますし…」
あずさ「そうなると、京都観光とかをする時間は…」
千鶴「ある訳ないでしょう?それに宿泊費も3000円くらいはかかるのに残金で何をするつもりですか?」
あずさ「い、言われてみれば所持金2000円以下では何もできませんねぇ…」
千鶴「まったく、あずさは方向音痴を差し引いても抜けていますわねぇ…私と同い年でこうも天真爛漫でいられるとは…」
千鶴「友美…あずさの友人ですか?」
あずさ「ええ、私の親友です。のんびりしている私を気にかけて、いつも世話してくれていたんですよ?
去年に友美が結婚したので会う事は少なくなったけど、今でも連絡は取り合ってます。」
千鶴「それはそれは…友美さんもさぞ苦労された事でしょうね…」
あずさ「ええ、今でも『迷子になってない?』とか『起きた?』とかそんな連絡も来るくらいですから…」
千鶴「そこまでですか…完全に保護者ですわね…
まあ、振り回されても不快に思わないのは人徳ですかね、良くも悪くも放っておけないと言うか…」
千鶴「また唐突に話を変えましたね…このみさんのように晩酌の習慣でもおありでして?」
あずさ「いえ、普段はあまり飲まないですけど、千鶴さんとじっくりお話する機会ってあまり無かったですしね。」
あずさ「チューハオを何本かとちょっとしたおつまみでゆっくりとなんでもない話をする…
あっ、セレブな千鶴さんだと安いチューハイはお口に合わないですか?」
千鶴「心配するのはそこでは無いと思いますが…まあ、構いませんよ。安酒もたまにはいい物です…」
千鶴(知ってか知らずか周りも巻き込んでゆったりとしたペースに持ち込む、これが彼女の人徳の源ですかね…)
あずさ「じゃあまずは京都駅の方に向かわないといけませんね…えーっと、来た道は…」
千鶴「あずさ!そっちは来た方向ではありませんわ!今から比叡山にでも登るつもりですかあなたはっ!」
~おわり~
ちなみにあずささんの話に出てくる友美は無印のコミュで実際に登場していたキャラです。
自分の結婚式にあずさを招待して、その時にPを婚約者と偽って連れて行ったと言うコミュがあったり…
過去作
【ミリマス】真「昴と環を誘って女の子っぽい遊びをするよ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1521644576/
千鶴「そう言えば、わたくしとあずさは同い年だと思っていましたが…良く考えると違いますわね」
あずさ「えっ?同じ21歳ですよね?」
千鶴「いや、あずさは去年短大を卒業したんですよね?」
あずさ「ええ、去年から765プロのお世話になって、ようやく恩を返せるくらいに人気が出てきましたね…」
千鶴「ですから学年に換算すると大学4年生相当…学年基準だとわたくしではなく風花と同い年ですわ。」
あずさ「えっ…つまり私より千鶴さんの方が年下…?」
千鶴「そうなりますわね…
ちなみに、学年基準だと今年専門学校を卒業した美咲がわたくしと同学年になりますわ。」
あずさ「えーっと…実は千鶴さんが21歳の大学4年生って事になりません?」
千鶴「明記されていないので無いとは言いませんが…少々苦しいのではないかと…」
あずさ「待って千鶴さん!私を置いて行かないで!」
千鶴「年齢的に置いて行ったのはあずさの方なのでは…?」
~最後に話の前提を盛大に崩しておわり~
微妙に年違うのか、乙です
>>1
三浦あずさ(21)Vo/An
http://i.imgur.com/1wXMaey.jpg
http://i.imgur.com/93nPFEk.jpg
二階堂千鶴(21)Vi/Fa
http://i.imgur.com/KEFjUWi.jpg
http://i.imgur.com/Kbz0JCe.jpg
野暮な事は忘れちゃえ~
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1521892646/
Entry ⇒ 2018.03.27 | Category ⇒ ミリマス | Comments (0)
琴葉「私なりに、ワガママを」【ミリマスSS】
琴葉「美咲さん、お疲れさまです。何ですか、私に用って?」
美咲「お疲れさまです、社長さんからのお知らせですよ。」
琴葉「社長から?」
美咲「はい。なんとぉ…」
美咲「じゃーん!最近頑張っている琴葉ちゃんに、スペシャルボーナスをプレゼント、だそうです!」
琴葉「えっ?」
美咲「えへへ。正確には先日のソロツアー成功のお祝いに、ご褒美を差し上げたいんだそうです。それで何か欲しいものがないか聞いておいてくれ、と言われまして。」
恵美「おおっ、珍しく社長が太っ腹だね〜。良かったじゃん琴葉。」
琴葉「急に言われても。ライブで成功するのはアイドルとして当然の事だし。」
恵美「いいじゃん、遠慮なく貰っておけばいいんだよ。」
美咲「そうですよ、せっかくの社長さんからのお申し出なんですから。」
琴葉「うーん。でもあのツアーが成功したのは手伝ってくれた恵美やエレナ、それにプロデューサーや美咲さん、スタッフ皆さんのおかげですし。私だけがご褒美を貰えるというのはちょっと…」
恵美「気にしない気にしない。琴葉が貰えるんならさ、アタシ達にもいつかくれるかもしれないんでしょ?」
美咲「そうですね、恵美ちゃんの頑張り次第ではそういう事もあると思いますよ。」
恵美「だよね。なら、やっぱり琴葉がちゃんとしたもの貰っとかなきゃ。そうしないと後からアタシ達が貰いにくくなっちゃうでしょ。」
琴葉「そっか。でも何があるかなあ、うーん。」
美咲「今すぐじゃなくても大丈夫ですけど、なるべく早めに決めてくれとの事です。今週中くらいにはお返事して下さいね?」
琴葉「はい、分かりました。」
(控え室)
琴葉「とは言ったけど。ほんとに思いつかないわ。どうしよう、恵美?」
恵美「マジメさんだねー。そうだね、アタシならアクセとかかな?こないだいいの見つけちゃったんだよね。」
琴葉「あんまり高額なものにするわけにはいかないわよ、お給料だってきちんといただいてるわけだし。」
恵美「お堅いねー。まあ社長も琴葉ならそう言うだろうと思ってこんな事言ったんだろうけど。」
海美「じゃあさ、お休みを貰ったらいいんじゃない?それで皆で遊びに行くとかはどう?」
恵美「やっぱそのあたりが無難かな。」
海美「めぐみー達とはこの前映画観に行ったんでしょ?今度は私とも遊びに行こうよ。」
美也「いいですね〜、私も是非お願いしたいですー。」
環「たまきも!たまきもことはとあそびに行きたいぞ!」
海美「よーしけってーい!琴葉、どこがいい?このメンバーなら遊園地とかアスレチックとかかな。」
環「たまき、アスレチックがいい!思いっきりあそびたいぞ。」
美也「お弁当を持ってピクニックなんてどうでしょうか〜。」
琴葉「ち、ちょっと待ってよ。急に言われても、皆の都合がつく日を考えなきゃいけないし…」
恵美「ニャハハ、琴葉はモテモテさんだねー。みんな、まだ決めたわけじゃないんだから。琴葉にもう少し考えさせたげて?」
美也「あ、そうでした。すみませ〜ん。」
海美「いけないいけない。ごめんね琴葉、でも皆で遊ぶってのは是非候補に入れておいて欲しいな。」
琴葉「ありがとう。うん、考えておくわね。」
海美「おっと、そろそろ時間だ。二人とも、レッスン行こうか。」
美也「はい、頑張りましょう〜。琴葉さん、よろしくお願いします。」
環「行ってくるぞ。ことは、たまきもお願いするね?」
琴葉「うん、行ってらっしゃい…さてどうしよう恵美、やっぱりお休みを貰うというのが1番いいのかしら。」
恵美「妥当だとは思うよ。けどめったにない機会なんだし、もう少し何かないか考えてみたら?」
琴葉「そうね。うーん、でもなぁ。」
美咲「琴葉ちゃん、何にするか決まりましたか?」
恵美「まだお悩み中みたいだよ。」
琴葉「すみません、貰う立場なのに悩んでしまって。」
美咲「いいんですよ、ゆっくり考えて下さいね?」
恵美「でも、実際急に言われると思いつかないもんだよね。美咲だったら何がいい?」
美咲 「やっぱり、お休みが欲しいですかねえ。あ、別にお仕事がイヤとかふだん休めてないとかじゃないですよ?」
恵美「分かってるって。美咲、毎日すごく楽しそうにお仕事してるもんね。」
琴葉「いつも助かってます、本当に。」
美咲「ありがとうございます!えへへ、私も皆さんと一緒にいられてすごく楽しいですよ。」
恵美「どこか行きたい所でもあるの?海外旅行したい、みたいな。」
美咲「行きたいというより、帰省したいですね。就職してからまだ一度も実家に帰ってませんし。」
恵美「あ、美咲の実家は遠いとこだったっけ。」
美咲「はい。種子島と言って、九州にある島です、宇宙センターが有名なんですよ。」
琴葉「鹿児島でしたっけ。響ちゃんとかもそうだけど、実家が遠いと簡単に帰省は出来ませんよね。」
美咲「東京も楽しいですけど、たまには帰りたいですね。次のお盆が大丈夫だといいんですけど。それじゃ琴葉ちゃん、決まったら教えてくださいね?」
恵美「お仕事だから仕方ないけどさ、美咲も大変だよね。」
琴葉「そうね。独り暮らしって楽しそうだけど、やっぱり寂しい時もあるんだろうな。」
恵美「もし遊びに行くんならさ、美咲も誘ってあげるってのはどう?」
琴葉「あ、いいわね。じゃあやっぱりお休みで決定かな。」
恵美「琴葉がいいならそうしなよ。」
恵美「いいんじゃない?そう言い出す事ぐらい、社長も想定してるんじゃないの。」
琴葉「うーん…。」
昴「おっす、お疲れ琴葉。聞いたよ、なんか好きな物貰えるんだってな。何貰うんだ?」
琴葉「お疲れさま昴ちゃん。今考えてる所よ。」
昴「そっか。でもいいよなあ、羨ましいよ。オレもライブ成功したらなんか貰えたりすんのかな?」
恵美「昴、何か欲しい物があるの?」
昴「オレ?そうだなぁ、物よか野球関係の仕事をやってみたいな。始球式とか、キャンプ地めぐりみたいなヤツ。」
恵美「昴らしいね。」
昴「プロデューサーにずうっと頼んでるのに、いっつもそのうちにとか考えとくみたいな感じでごまかされちゃうんだもんな。あーあ、プロのブルペンで投げ込みとかしてみたいよ、腕がなまってしょうがないぜ…よっと。」
恵美「お、かっこいい。さすが、ちょっとした動作でもキマってるね〜。」
琴葉「…昴ちゃん。あなたもしかして、私がツアーに出てた時、貼り紙に書いてた事を守ってなかったんじゃないわよね?」
昴「え?や、やだな。そんな事してないって。」
昴「げ!なんだよプロデューサーのやつ、琴葉が戻ってくる前に業者呼ぶって言ってたくせに…あ。」
琴葉「昴ちゃん?」
昴「み、未来のせいなんだぞ!アイツがオレのスライダーを捕ってみたいなんて言ったくせに、全然反応出来なくて後ろに逸らすから…。」
琴葉「……」ゴゴゴゴゴ
昴「ご、ごめん!キャッチボールだから、野球じゃないから!」
琴葉「あ、こら待ちなさい!」
琴葉「『ここでボール遊びをしてはいけません』…と。恵美、画鋲あったっけ?」
恵美「はい。あんまり怒んないであげなよ?言い出しっぺは未来なんだしさ。」
琴葉「どっちが悪いとか以前の話でしょ、ここはそういう事やるスペースじゃないのに。」
恵美「まあまあ。それよりご褒美の件だけど。さっき昴が言ってたじゃない、何かやってみたいお仕事をさせてもらうってのはどう?」
琴葉「それも面白そうね。だけど、何がいいかしら。」
恵美「ツアーでたくさん歌ったんだし、琴葉お得意の演劇を劇場でやるとかは?それか、こないだみたいなミュージカルとか。
琴葉「劇場での仕事に自分の希望を言うのはちょっと悪いかな。ここは皆と一緒に立つ舞台なんだし。」
恵美「少しくらいならいいと思うけどね。じゃ、テレビ番組のロケとかリポーターとかはどう?」
琴葉「そういうお仕事はやった事ないし、いいかもね。エレナと3人でどこか行ったりみたいなのなんてどうかしら。」
恵美「お。いいね、楽しそうじゃん。海美や美也達も一緒にしてもらうようお願いすれば、さっきの遊びに行くってのに近くなるし…」
律子「お疲れさま二人とも、プロデューサー見てない?」
琴葉「お疲れさまです。今日はまだ見てませんよ。」
恵美「プロデューサーになんか用事?」
律子「ええ、あなた達にもね。エレナも含めた三人に、カフェ巡りのリポーターのお仕事のオファーが来てるのよ。」
琴葉「え?」
律子「あら何よ、嬉しくないの?」
恵美「あちゃあ、タイミング悪。実はね。」
琴葉「やっぱりそうですよね。すみません、変なワガママ言ってしまって。」
律子「まあ、今回のツアーがご褒美を貰っていいくらいの出来栄えだったのは確かだけどね。」
琴葉「そ、そうですか?」
律子「ええ。特に最終日のステージなんて、千早や伊織が危機感を覚えたぐらいだったんだから。ぼやぼやしてたらあなたに追い抜かされるって、気合いを入れ直してたわよ。もちろん私もね。」
琴葉「そ、そんな事。私なりに頑張ったのはたしかですけど。」
恵美「だよねー。志保や静香もすっごい感動してたし。」
律子「感動してたって言うなら一番はあなたでしょ、あの時泣き止ませるの大変だったわ。」
琴葉「ふふ、そうだったわね。」
恵美「も、もういいじゃんその事は!それより律子さんならどうよ、何か欲しい物とか無いの。」
律子「私?そうね、パソコンのパーツとかなら欲しいのは何個かあるけど、そういうのは自分で買いたいしね。それより。」
恵美「それより?」
律子「劇場でやってみたい演出があるのよ。琴葉のツアーを見てていくつか思いついたんだけどね。」
律子「楽しいから大丈夫よ。でも琴葉のツアー動向も終わったし、しばらくはアイドル業の方に専念しないとね。それじゃ琴葉、ご褒美もいいけど次のお仕事もよろしく頼むわよ?」
琴葉「はい、お疲れさまです…律子さんってすごいわね、何だか憧れちゃうな。」
恵美「うん、かっこいいよね。まさにデキる女って感じ。でも、その律子さんに気合い入れさせる琴葉もすごいと思うよ?」
琴葉「そんな、私なんてまだまだよ。」
恵美「またまた〜。まあいいや、それよりどう、何にするか決まりそう?」
琴葉「何にも。お休みとかお仕事とか、色々聞いてたら何がいいのか段々分からなくなってきちゃったわ。」
恵美「あんまり考えすぎない方がいいんじゃない、ぱぱっと思いついた物を貰うって事にしたら?」
琴葉「それもいいかもね。ちょっと、家で考えてみるわ。そろそろ帰る時間だし。」
恵美「そっか。じゃお疲れ、また明日ね。」
(ロビー)
琴葉「さてと。どうしよう、いっその事高級アイスクリーム食べ放題なんてのは…あ。お疲れ様です。」
プロデューサー(以下P)「琴葉、お疲れ様。今帰りか?」
P「ああ、次の劇場公演の手配やら恵美の仕事送迎やら何やらな。そういえば社長からのご褒美、何にするか決めたのか?」
琴葉「いえ、まだなんです。とりあえず家で考えてこようかなって。」
P「そうか。社長も突拍子もない事言い出すな、何でも好きな物言ってみろだなんて。」
琴葉「ほんとですね、おかげで絶賛お悩み中です。」
P「ははは。まあめったにない機会だ、思い切り変わった事をお願いしてみるのもいいかもな。もしかしたら社長もそういうのを期待してるかもしれないし。」
琴葉「そうですか?」
P「ああ。琴葉は真面目で優等生タイプだろ?おかげですごく助かってるけど、たまにはそういう子に我儘言って、こっちを困らせて欲しいって気持ちもあるんだよ。」
琴葉「はあ。私だって悪い事しちゃう時もありますよ?家で宿題やるのサボって、こっそり学校でやったりだとか。」
P「…そうか。まあ、後悔しないように、なんて考えず、思いついた物を貰うって手もあるからな。」
琴葉「はい、じゃあ失礼します…あれ。」
P「どうした?」
P「う、目ざといな。皆には内緒だぞ?昨日ちょっと家に帰れなくてな…。」
琴葉「またですか?たしか、先週もそんな事言って、劇場に何日も泊まり込んでましたよね。いや、その前の週も、それからその前も。」
P「ま、まあまあ。今は大事な時期なんだ、多少の無理は仕方ない。本当にヤバくなったらちゃんと休むよ、体調管理も仕事のうちだしな。」
琴葉「その大事な時期っていつ終わるんですか?同じ事何回も聞いた記憶がありますけど。」
P「う。いや、アイドルにそこまで心配してもらわなくても…。」
琴葉「だったら心配させるような事しないで下さい!最後にきちんとお休み取ったのっていつでしたっけ?」
P「え、えっと。たしか、年が明ける前…。」
琴葉「もう。いいですか、プロデューサーは皆にとって、かけがえのない大切な人なんです。あなたに万一の事があったら、私だって…。」
P「琴葉…すまん、アイドルにこんな心配させるだなんて。分かった、もう無理はしない。」
琴葉「本当に?」
P「ああ、約束する。今日はどうしても無理だけど、明日は必ず定時で帰って早く寝るから。」
P「そ、そうだったか?いやあ、さすがは琴葉。記憶力抜群だな、ははは…」
琴葉「……」
P「…ごめん。」
琴葉「どうしていつもそうなんです、私達の為に頑張ってくれるのは嬉しいですよ?だからって、無理ばかりしてるの見てたらこっちだって申し訳ないですし、心配になってしまうんですから。」
P「わ、悪かったよ。今度こそ、今度こそ無理しないから。約束する、俺を信じてくれ。」
琴葉「信用出来ません。」
P「ほ、本当だって…」
琴葉「いいえ。そう言って、結局またうやむやにしてしまいます。間違いありません。」
P「ソ、ソンナコトナイヨー。」
琴葉「どうするのがいいのかしら、いっそのこと強制的に休ませて…あ。」
P「どうした?」
琴葉「ありがとうございますプロデューサー。ご褒美の使い道、今決まりました。」
P「は?」
律子「…というわけで。今日から1週間プロデューサーと美咲さんはお休みです。その間、プロデューサーの業務については私が代行するわ。」
恵美「またえらく急だね、何かあったの?」
律子「琴葉が社長に直談判したのよ、『プロデューサーと美咲さんにまとまったお休みをあげてください』って。社長も驚いてたけど、例のご褒美で何でも貰えるはずだって押し切られたらしいわ。」
海美「アレをそんな事に使ったの!?もったいない…」
恵美「プロデューサーはともかく美咲にまでお休みをあげるだなんて、琴葉らしいというかなんと言うか。美咲が帰省したがってたからなんだろうけど。じゃあ律子さん、その間事務のお仕事も一人でやるの?」
小鳥「心配ご無用!美咲ちゃん不在の間は私が劇場に来ることになってるわ。皆、よろしくね。」
海美「あ、ことりんだ。久しぶり!」
小鳥「久しぶり…うう、すっかりそんな存在になっちゃったのね。」
恵美「え、誰…って。」
琴葉「よろしくお願いします。」
海美「琴葉!?」
琴葉「はい。今日から1週間小鳥さんの臨時アシスタントを務めることになりました、田中琴葉です。皆、よろしくお願いしますね?」
恵美「いや、何やってんのよ。」
琴葉「お願いを聞いてもらった条件よ、『私も手伝うから2人にお休みをあげてください』って社長に頼んだの。」
海美「そこまでするか…。」
小鳥「ぐふふ。その事務服似合ってるわよ琴葉ちゃん、発注した甲斐があったわ。あ、こっち向いてもらっていい?」
琴葉「ど、どうも…ってわざわざ発注したんですか!?」
律子「経費削減しろっていつも言ってますよね?」
小鳥「心配いりません、これは私のポケットマネーから払いましたから!」
海美「ことりんは相変わらずだね…。」
律子「さ、お話はおしまい。それじゃあ今日のスケジュール確認するわよ。琴葉、予定表持ってきてもらえる?」
琴葉「はい。まず恵美ですけど…。」
恵美「にしたって。せっかくのご褒美を使ってわざわざ事務仕事だなんて、本当にそれで良かったの?」
琴葉「ええ。とっても楽しいわよ。さすがに本格的な書類作成とか電話番とかはさせてもらえないけどね。」
海美「すっかり遊びに行く気になってたのに。」
琴葉「ごめんね?そのうち必ず皆で行こう、約束する。」
律子「まあ、あなたがいいんならかまわないけどね。普通こういうのって、自分の為に使うものよ?」
琴葉「そんな事ありません。これだって、じゅうぶん自分の為ですよ?」
小鳥「私のお仕事のお手伝いが?」
琴葉「ええ。だって、プロデューサーにもしもの事があったら私だって困るんですから。そうならないように休んでもらうんですよ、結局自分の為になる事でしょう?」
小鳥(健気ねぇ…うるうる。)
恵美「そういうものかな?だったらもっとワガママ言えば良かったのに。プロデューサーも自分も休みにしろー、とかさ。」
琴葉「これだって我儘よ。アイドルなのに事務所の仕事させろ、なんて言ってるんだもの。普段出来ない事がやれて、とっても楽しいわ。」
海美「そんなのもワガママって言うのかな?」
恵美「琴葉らしいとは思うけどね。」
琴葉「海美は歩さんと一緒に皆のレッスン指導ね、頼んだわよ?」
海美「はーい…ってあれ、琴葉はやんないの?」
琴葉「今はアイドルじゃなくて事務員だもの。レッスンは皆が帰ってからにするわ。」
海美「そこまでこだわらなくてもいいのに。」
恵美「琴葉はとことんやる方だからね。」
琴葉「というわけですから。小鳥さん、この後もお手伝い頑張りますので。」
小鳥「頼もしいわ、頼んだわよ?」
律子(…小鳥さん、本当に仕事押し付けてるんじゃないでしょうね?)
小鳥(まさか。うまくやりますよ。大丈夫です、アイドルの我儘を聞くのも仕事のうちですから。)
律子(変わった我儘ですね。やっぱりこの子もウチのアイドルというか。)
小鳥(琴葉ちゃんらしくて可愛いじゃないですか…私も休みたかったですけど。)
琴葉「さあみんな、この後もしっかり頑張りましょうね?」
これでようやく全員揃ってのスタートとなった「ミリオンライブ シアターデイズ!」を
どうぞよろしくお願い致します。
乙です
>>1
田中琴葉(18) Vo/Pr
http://i.imgur.com/NGhomXO.jpg
http://i.imgur.com/5BGhhuY.jpg
所恵美(16) Vi/Fa
http://i.imgur.com/kzw1B6Z.jpg
http://i.imgur.com/aLvhoNf.jpg
青羽美咲(20) Ex
http://i.imgur.com/DIFiKFx.jpg
>>2
高坂海美(16) Da/Pr
http://i.imgur.com/m9VYe4I.jpg
http://i.imgur.com/mUXI7vq.jpg
宮尾美也(17) Vi/An
http://i.imgur.com/ZFhzz7l.jpg
http://i.imgur.com/Q5p6Bas.jpg
大神環(12) Da/An
http://i.imgur.com/thdoEHG.jpg
http://i.imgur.com/Tqp5IaU.jpg
>>5
永吉昴(15) Da/Fa
http://i.imgur.com/bXEXM9Z.jpg
http://i.imgur.com/G6kCPRK.jpg
>>7
秋月律子(19) Vi/Fa
http://i.imgur.com/yGJqkO2.jpg
http://i.imgur.com/EJelzvy.jpg
>>13
音無小鳥(2X) Ex
http://i.imgur.com/hFRWAa5.jpg
http://i.imgur.com/3BkZKTj.jpg
あの張り紙効果あるんだろうか
http://i.imgur.com/zdGiukE.png
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Entry ⇒ 2018.02.11 | Category ⇒ ミリマス | Comments (0)
未来「私とうどん、どっちが大切なの!?」
未来「あー今間があった!ちょっと悩んだでしょ!?」
静香「いや急に言われたから戸惑っただけよ」
未来「うそだー絶対私とうどんをハカリにかけてたね。一瞬でも食べ物とドーレツの価値だと思われてたね間違いなく!」
静香「未来にしては難しい言い回しするのね」
未来「え、そう?でへへ♪最近頑張って勉強してるからかな?静香ちゃんが教えてくれるし」
静香「えらいわね、でも宿題は自力で解きなさいよ」
未来「ってそうじゃなく!なんで真っ先に未来って答えてくれなかったのさ」
静香「だから急に振られたからよ、そっちこそどうしてそんな質問を?」
静香「昔は節分の日が年越しだったからその名残らしいわ。でも私としては年越しだろうが節分だろうがうどんでも構わないわね。細く長くより太く短く、まさにアイドルの生きざまそのものじゃない。加えて単純に食べ物として非常に優秀、例えばダシに拘るなら…」
未来「って具合に10分以上語り出すんだから!ちっともこっちの話聞いてくれないし!」
静香「うどんと言えば香川県だけど…」
未来「もういいってば!このうどんバカ!」
静香「な…未来にバカ呼ばわりされたくないわよ!」
未来「だってバカはバカだもん!…せっかく大事な話もしてたのに」
静香「え、大事な話って…?」
静香「だから、大事で大切なのは未来だって言ってるじゃない!」
未来「ふーんっ、そうやってうどんなら誰彼構わず言ってるんだね」
静香「うどんにそんなこと語りかけるわけ無いでしょ!おかしな人じゃあるまいし」
未来「…」
静香「え…私、うどん作ってる最中そんなこと、言ってないわよね?ねぇ!?」
未来「もういいよ、私もう決めた」
静香「いやだから言ってたの?言ってないの!?」
未来「わたし…うどんになる!うどんになって静香ちゃんに愛を囁かれてやる!!」
静香「あぁぁ…言ってたんだ…」
静香「…どうしてうつぶせに寝そべってるの?」
未来「私はうどんだよ。正確にはうどんの生地だね」
静香「はぁ?」
未来「ほらほら、いつもうどん生地を捏ねるみたいに私を捏ねてみてよ!」
静香「この子は何を言ってるの…?」
未来「でないとうどんに語り掛ける痛い子って言いふらすから」
静香「やりましょう」
未来「それじゃ早速よろしくね」
未来「もっとこうグっと押して」
静香「…」
未来「揉みこむように…あ、もうちょっと下ね」
静香「……」
未来「あっ…そうそう。で、全体を解すようにグーッっと…」
静香「ただのマッサージじゃない!!」ゲシッ
未来「おふっ!?ちょ、足蹴はひどいよ…!?」
未来「おふ…うふぅ…っ」
静香「音楽に合わせて生地を踏むテクノうどんなんて催しもあるらしいわ。つまりあなたは立派に生地扱いされてるの」
未来「ふへぇ…っ。あ、でも結構キモチイイかも…」
静香「まったく…これに満足したら絶対言いふらさないでよね、わかった?」
未来「わかってるって、というか実はウソ……あ」チラッ
静香「?」
未来「…水玉なんだ、可愛いね」
静香「~っ!?もうっ、未来のばか、ばかぁっ!!」ゲシッゲシッ
未来「おふぇぇぇぇぇっ!?」
未来「まっ待ってっ。…そういう事なら、覚悟を決めるよ」
静香「はぁ?何言って…」
未来「よいしょっと」ゴロン
静香「何で仰向けに…?」
未来「あ、こうした方がいい?わんわん♪」
静香「ポーズの事言ってるんじゃないわよ!というか何故服従のポーズ!?」
静香「それは…でも、そんなことしたら…!」
未来「うん…静香ちゃんになら、いいよ…」
未来「……好きにして♡」(生地的な意味で)
未来「…」
静香「未来ぃぃっ!!」
未来「~っ!?」
静香「真昼間からそんなこと出来るわけないでしょぉぉもぉぉぉっ!?」
未来「あはっははははははっ!?こちょこちょやめてぇぇええぇぇぇっ!!」
百合子「ね、ねえ…ここ控え室だよね…?まさか次元の歪みが二人の周りに虚無の空間を…」
杏奈「現実、だよ。あれはただのバカップル、だから。…マジで」
静香「はぁ、はー…ところで未来、大事な話って結局なんだったの?」
未来「ん、はっ……ああ、うん。明日泊まりに来ないって。オフ一緒でしょ?」
静香「別に大丈夫だけど、それが大事な…」
未来「お父さんとお母さん、お仕事で帰ってこないんだ」ボソッ
静香「…」
未来「…」
静香「…なら、うどん作ろっか」
未来「…夕食後がいいな、でへへ♪」
サクッとみらしずでした。
乙です
>>1
最上静香(14) Vo/Fa
http://i.imgur.com/BE1XQSj.jpg
http://i.imgur.com/elElgN9.jpg
春日未来(14) Vo/Pr
http://i.imgur.com/RvIBg6R.jpg
http://i.imgur.com/o8ck3Pc.jpg
>>9
七尾百合子(15) Vi/Pr
http://i.imgur.com/MeJaqUS.jpg
http://i.imgur.com/o3k8t5t.jpg
望月杏奈(14) Vo/An
http://i.imgur.com/m6Y8Lf2.jpg
http://i.imgur.com/olHxThh.jpg
アホの子未来ちゃんかわいいよ未来ちゃん
乙
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1517765036/
Entry ⇒ 2018.02.06 | Category ⇒ ミリマス | Comments (0)
【ミリマスSS】朋花「私は・・・本当は、男なんです・・・」
エロでは無いですがタイトルでお察し下さい。
P「それじゃあ今回の演劇の配役を発表するぞ」
P「まず主人公で男装少女エドガー、恵美」
恵美「ウチにできるかなー」
P「ヴァンパイアで物語の鍵を握る女装少年クリスティーナ、朋花」
朋花「・・・」
P「主人公でヴァンパイアハンターのアレクサンドラ、千鶴」
千鶴「セレブヴァンパイアハンターですわね!」
P「アレクサンドラに吸血鬼狩りを命じる辺境伯婦人エレオノーラ、莉緒」
莉緒「悪女・・・いいわね!」
P「よし、それじゃあ劇場で稽古が始まるまで台本を読み込んでおいてくれ、解散!」
ガヤガヤ
朋花「・・・プロデューサーさん」
P「ん?どうした朋花」
朋花「少しそちらの部屋でお話しませんか~?」
P(どうしよう。やはり男の娘役なんてさせて怒っているのだろうか)
パタン
カチッ
朋花「少し扉から離れてお話しましょうか~♪」
P(あ、やばいこれガチで怒ってるやつだ・・・)
朋花「プロデューサーさん?」
P「ハイ」
朋花「どうして私をクリスティーナ役に?」
P「えっ・・・と、それはだな・・・うん、」
P「深い・・・深い理由があって・・・その、」
朋花「・・・」
朋花「バレていたんですね・・・」
P「え?」
朋花「私が、本当は男だと・・・」
P「え?」
P「・・・・・・・え?」
朋花「参りましたね~、誰にも悟られていない自信があったのですが~」
P「と、朋花さん・・・?あの、何を」
朋花「少しの間おとなしくしていてもらいますね~」ギンッ
P「か、体がっ!?」ギチッ
朋花「秘密を知ってしまったプロデューサーさんはどうしてくれましょうか~♪」
P「ま、待ってくれ!冗談、冗談だよな!?」
朋花「ふふっ♪」
朋花「私、少しだけ嬉しいんですよ~?」
P「朋花・・・?」
朋花「生まれたときから、聖母であることを求められ」
朋花「アイドルとしてデビューしてからも何もかも上手くいって」
朋花「子豚ちゃんたちはおろか、誰も私の正体を疑いもしない」
朋花「どこか寂しかったのかもしれませんね~」
P「待ってくれ、朋花!」
朋花「なんですか~?」
P「本当に、冗談じゃないんだな!?」
朋花「・・・私を、アイドル天空橋朋花を、解雇しますか?」
P「・・・」
P「・・・いや」
P「キミが誰であれ、俺は天空橋朋花にアイドルとしての可能性を感じた」
P「実際上手くいってるし、もうキミは劇場の仲間になってしまった」
P「やめられるのは・・・困る。」
朋花「・・・」
P「ただ、更衣室やシャワールームは配慮せざるを得ないが」
朋花「うふふっ♪」スッ
P「ちょ、近・・・」
朋花「プロデューサーさんは優しいんですね~♪」ナデ
P「うっ!?」
P「やめ、離れ・・・」
P(というか、改めて近くで見ても全く男には見えんぞ!?)
P(顔も、肌も、声も・・・体も)
朋花「そんなに私の体が気になりますか~♪」ナデ
P「いや、その・・・」
朋花「お見せしましょうか~?」
P「そ、それはダメだ!」
朋花「どうしてですか~?男同士恥ずかしがることはありませんよ~?」
P「そんなこと言ってもだな、ダメなものはダメだ!」
朋花「うふふ♪動けないプロデューサーさんはそこで大人しく見ていてくださいね~?」スルッ
P「あ、あぁ、あ・・・」
朋花はそう言うといつものワンピースの紐を緩め
勿体ぶるようにゆっくりと、陶器のように白い肩を晒して・・・
そこで俺の意識は途絶えた
P「ん・・・、ん!?」
P「んん!?ここは俺の、デスク!?なんで、」
朋花「業務中に居眠りなんて、結構な御身分ですね~?」
P「朋花っ!?」
朋花「自覚の足りないダメプロデューサーさんには身をもって反省してもらうしかないようですね~♪」
P「朋花!!!!」ガッ
朋花「きゃっ!」
P「朋花!お前、お前は・・・っ!!」
朋花「・・・」
P「・・・」
P「・・・いや、何でもない。寝ぼけてたみたいだ。」
朋花「・・・そのようですね~♪そこに正座して下さい~♪」
P「ハイ・・・」
環「あー!おやぶんがまたともかに怒られてるー!」
育「環ちゃん、あーいうのが『ダメなおとな』っていうんだよ!」
桃子「・・・かっこわる。何やってんのお兄ちゃん」
朋花「今日という今日はた~~っぷり反省してもらいますからね~♪」
P「ハイ、すみませんでした」
P(そうだよな、有り得ないよな。にしてもリアルな夢だったな・・・)
P(夢の中とは言えアイドルのあんな姿を思い浮かべるとは、気を引き締めないとな)
朋花「睡眠時間も確保できないダメプロデューサーさ~ん、聞いてますか~?」
P「ハイ・・・これからも朋花のプロデュース頑張ります・・・」
朋花「ふふっ♪よろしくお願いしますね~♪」
おわり
ここにきて新たな可能性を創造してくるミリオンライブ怖い。
乙です
>>2
天空橋朋花(15) Vo/Fa
http://i.imgur.com/uj6NEbq.png
http://i.imgur.com/5NtLw48.png
所恵美(16) Vi/Fa
http://i.imgur.com/J7nDiWw.jpg
http://i.imgur.com/uhxMmJv.jpg
二階堂千鶴(21) Vi/Fa
http://i.imgur.com/O8Ymtbe.png
http://i.imgur.com/rWr0wQw.png
百瀬莉緒(23) Da/Fa
http://i.imgur.com/Rw3h880.jpg
http://i.imgur.com/K6xrSvf.jpg
>>11
大神環(12) Da/An
http://i.imgur.com/jxS64Ts.jpg
http://i.imgur.com/tbXPtna.jpg
周防桃子(11) Vi/Fa
http://i.imgur.com/wE8jshv.png
http://i.imgur.com/9ljd6Vu.jpg
中谷育(10) Vi/Pr
http://i.imgur.com/mlUWkSx.png
http://i.imgur.com/8NRFxHY.jpg
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1517055392/
Entry ⇒ 2018.02.03 | Category ⇒ ミリマス | Comments (0)
【ミリマス】志保「私に、妹」
※志保の口調がぶれます。ぶれます。
===
志保「ある日の765プロ劇場にて、何気ない会話が私の興味を刺激した」
やよい「そうしたらウチの妹が」
まつり「姫の妹も同じなのです」
このみ「私の場合、『いい歳なのに似合ってるね~』とか言われちゃってぇ」
貴音「ふふっ。どの家の妹も少なからず、姉に対する憧れの気持ちがあるようですね」
志保「家族談義、ううん。"妹談義"に花を咲かせるメンバーを見て」
志保「内容はそう、『姉のアイドルとしての活動を、妹はどう見ているか?』」
志保「……気になる」
志保「でもウチは弟一人だから」
志保「アイドルをしてる私を見て『お姉ちゃんみたいなアイドルになる!』」
志保「……なんて言ってくれたりはしないのだ」
志保「そもそも私の真似をして、スカートとか履かれても困る」
志保「……似合いそう。ううん、りっくんなら絶対似合うと思うけど」
想像上の北沢陸『お、お姉ちゃん……似合う?』キュンキュン♪
志保「うっわ、ヤバ。めっちゃ似合う」
静香「……ヤバいのは急に鼻血垂らし始めたアナタよ志保」
静香「なに? 突然のぼせでもした?」
志保「……別になにも。ティッシュちょうだい」
静香「はい」
志保「ありがとう」
静香「どういたしまして、お義姉ちゃん」
志保「……は?」
静香「え?」
志保「待って、待って、少しいい?」
静香「ど、どうぞ?」
志保「ここ、私の家」
静香「ええ」
志保「アナタは最上さん家の静香ちゃん」
静香「そうね」
志保「……お義姉ちゃん?」
志保「しかもさも当然のように私の部屋に座ってるし」
静香「……それは、不本意だけど仕方が無いじゃない」
静香「この家はそもそも部屋数が少ないし」
静香「まさか父親の再婚相手がアナタのお母さんなんて思わないし」
志保「はいダウト。嘘、嘘をついた」
志保「再婚した? そんな記憶はドコにも無い――」
静香「結婚式の写真、見る?」
志保「も、最上姓になった覚えも無いし――」
静香「はいこれアナタの学生証」
志保「……仮にその話がホントだったとして」
静香「事実よ」
志保「生まれ的に、妹になるのは私じゃないの?」
静香「…………ご都合主義」
志保「なによそれ」
静香「知らなかった? 例え世界が変わる程の矛盾があったとしても」
静香「その最終的な辻褄は全て、アイマス時空によって歪められる」
静香「そう、例えば双海家の姉・妹が突然逆になったように」
静香「私たちが何度も年を越しているのに、一向に歳はとらなかったり」
静香「実は今いるこの世界は、幾度もの崩壊と創造の果てに生まれた物だったり」
志保「そ、そんなバカげた話があるワケないじゃない! 妄想もいい加減にして!」
静香「それがあるのよ。志保、落ち着いて思い出してみて」
静香「……最近古代の遺跡から、茜ちゃん人形型の土器が出土して大騒ぎになったりもしたでしょう?」
静香「それだけじゃない。世界各地では空を散歩する麗花さんの目撃例も後を絶たない――」
志保「嘘よ! そんな、話、話が……あ! ああぁっ!?」
志保「記憶が! 経験したハズの無い思いでの数々が私の頭の中に浮かんで来る!」
静香「ねっ? だからほら――大きな流れに身をゆだねて」
静香「お姉ちゃ~ん、お姉ちゃ~ん。志保は私のおねーさーん」
志保「イノセントなボイスっ! 耳元で囁くのはやめてぇっ!!」
志保「あっ!! ああ! あああぁぁぁぁ~~~~!!!?」グルグルグルグルグル…
志保「はっ!?」ガバッ!
志保「こ、ここは私のベッドの上?」
志保「……そうだ、私、今日は熱を出して……」
志保「はぁ~……嫌な夢を見た」
志保「ああいうのをとびっきりの悪夢って言うのかしら?」
志保「大体、突拍子も脈絡も無さ過ぎるわ。"あの"静香が私の妹とか……」
想像上の妹静香『こんな時期に体調を崩すなんて、志保は普段から気を張り過ぎなのよ』
妹静香『幸い陸君も私に懐いてくれてるし、家のことだって手伝うから』
妹静香『……とりあえず熱は下がったわね。うどんなら、どう? 食べられそう?』
妹静香『熱いから、ちゃんと冷まして……ふー、ふーっ……はい、あーん』
妹静香『ホント、世話が焼けるお義姉さんなんだから。……ふふっ』
志保「おうっふ、ヤバい。ヘンな笑い出る」
志保「……心底アレが夢でよかった」
志保「だいたい、私に妹なんて――」
海美「お姉ちゃん! 学校から急いで帰って来たよ!! 私が看病したげるからねっ!」バコーン!
志保「海美一人しかいないんだし」
海美「はい体温計! アイスノンね! 着替えさせてあげるから万歳してっ!!」
志保「ばんざーい」
海美「うん! 腕がピンと伸びてるナイス万歳!!」
海美「もぉ~~! 私ホントに、ホントにっ、ほんっとぉ~~~にっ!」
海美「『お姉ちゃんが家で苦しんでたらどーしよー?』とか!」
海美「『ご飯もちゃんと食べれてるかな?』とかっ!!」
海美「『お水を飲みに行った帰り、廊下で倒れてたりしたら!?』なんてぇ~……!」
海美「気が気じゃなくてっ!!」
志保「うん、ありがとう。分かったから耳元で怒鳴るのは止めよーね」
海美「はっ!? そ、そうだよね。お姉ちゃん病人だしうるさくするのはよくないよね……」
海美「分かった! 私、今から少し静かにするよー!」
海美「すぅぅ~――はむっ!」←思い切り空気を吸い込んだ
志保「それじゃ海美、悪いけど背中拭いてもらっていい?」
赤べこ海美「……!」コクコクコク!
志保「肌着は、お姉ちゃん自分で脱げるから……。んしょ」
張り切り海美「…!!」ゴシゴシゴシ!
志保「ん、力加減はちょうどいいよ」
ストップ・ザ・海美「……っ!!?」ピタッ
志保「ど、どうかした? 海美」
海美ジェスチャー「!!?、!! !!!!!!?っ!」
志保「……ごめん。喋っていいから」
海美「ホントに? いいの!? よかったー!!」プハー
海美「いやぁ~……息するのも我慢してたからさ!」
志保「だと思った」
海美「もう少しで私が倒れるトコだった! てへへ~♪」
海美「ホント、危ない危ない!」
海美「これからお姉ちゃんに美味しいお粥☆ 作ってあげるつもりだったのに~」
志保「え゛っ、あっ、海美。私、今少し食欲が――」
海美「大丈夫! お粥はお腹に優しいしっ!」
海美「食欲だって、料理を前にしたら出て来るから!」
海美「それじゃ、お姉ちゃんはゆっくり休んでてね!」
海美「すぐにまた戻って来るからねっ!!」
海美「私、今スッゴクスッゴク嬉しいんだ! いつも迷惑かけてばかりだから――」
海美「お姉ちゃんの役に立てるのがっ! えへへ!」
志保「う、海美……!」
海美「お姉ちゃん……!」
志保「それで出来上がったこのお粥、見事なまでに焦げてるわね」
海美「でもでもちゃんと味見はしたよ!?」
海美「……たまにガリッとするトコはあったけど……うぅ~」
志保「海美」
海美「ん」
志保「誰も食べないなんて言ってない。だから泣きそうな顔しないの」
海美「うぅ、ど、ドキドキするぅ~!」
志保「(アナタより私の方がよっぽど)……頂きます」パクッ…モゴモゴモゴ
海美「ど、どうかな? 美味しい? 食べ物の味する!?」
志保「……! ……!?」
志保「げっふ! ごふっ!? にゃぁぁぁぁ~~~~!!!?」グルグルグルグルグル…
海美「おっ、お姉ちゃーん!!?」
志保「大丈夫、一命はとりとめたから!! ……って、あれ?」
志保「……ソファでうたたねしちゃってた」
志保「おまけに知らない子が妹の夢を見るとか」
志保「私、仕事で疲れてるのかな……?」
志保「――なんてことがさっきあって」
風花「へぇ、疲れてるの?」
志保「うん、多分……そうかも」
風花「ならお姉ちゃんも一緒に、私とネコカフェに行ってみない?」
志保「ネコ……カフェ?」
風花「そう! カワイイ猫さんたちと触れ合ったら」
風花「日頃の些細なストレスなんて、もう空に飛ばすみたく『ポーン!』って!」
志保「カワイイ猫さん……! く、黒猫も!?」
風花「もちろん居るよ。行ってみる?」
志保「行く」
風花「来ました!」
店員「いらっしゃいませー」カランカラーン
猫さんA「にゃん、にゃん♪」
志保「にゃーっ♪」
猫さんM「にゃおにゃ~?」
風花「にゃーんっ♪」
猫さんU「う~、にゃーっ!!」
風花「元気いっぱい! にゃ~、にゃ~~♪」
志保「……待って、その猫はさっき見た気がする」
志保「って、いうか一緒に暮らしてた気さえもする」
猫さんU「うにゃん? にゃ☆」
志保「あー、でもダメ。あー、ダメ。口元が全然しまらない」
志保「……はぁ、猫さん。猫さん……♪」
風花「こぶんちゃんもおいで~、ほら、おいで~」クフフー
志保「そういえば、風花はココの常連なの?」
志保「前から通ってたみたいだけど、最近は特に頻繁だし」
志保「……もしかして仕事で嫌なことでもある?」
志保「こんな場所で突然なんだけど、お姉ちゃん相談に乗ってあげるよ?」
風花「えっ!? べ、別にそんなこと無いけど……」
志保「ホントに? お姉ちゃんの目を見て言える?」
風花「……うっ」
志保「風花」
風花「……あのね、アイドルのお仕事でね」
志保「うん」
風花「水着のお仕事ばっかり来て」
志保「あっ、この黒猫さんスッゴク男前」
風花「お姉ちゃん、その子女の子だよ……じゃなくて!」
風花「水着のお仕事ばっかりなの! 恥ずかしいカッコもさせられるの!」
風花「私の中のアイドルって、もっと清純で清楚なイメージだったのにぃ……」
風花「幻滅しちゃったって言うか、現実見ちゃったって言うか」
風花「はぁ~……多分、あのプロデューサーさんも原因なんだとは思うけど」
志保「なら早く担当を変えてもらいなさいよ」
志保「セクハラまがいのことをされてまで、黙ってる必要無いじゃない」
風花「う、うん。そうなんだけど……」
風花「でもね? あの人の言った通りにお仕事をこなしてたら」
風花「こんな私を応援してくれるファンの人たちが出来て」
風花「写真集はエッチな感じだけど、CDのジャケットは凄く綺麗な物にしてくれたり」
風花「歌も、大人っぽい上品な曲を用意してくれて」
風花「最近はそんなギャップだけじゃない、私自身の魅力……っていうのかな?」
風花「ちゃんと、そういうところも見てくれるファンの人も増えて」
風花「そんな風にお仕事を続けてたら、あんなプロデューサーさんだけど」
風花「『あっ、この人と一緒に居るのも悪くないな』……なんて、えへへ」
風花「思っちゃったり……ドキドキ、したり」
志保「ごめん風花。恋愛相談は専門外」
風花「もっ、もぉ! お姉ちゃんまでこのみさんたちと同じこと言う!」
志保「だってそれ後半のろけじゃないの! 三十路の独り身にハードパンチ!」
志保「ああ! もう! 堪らなくむしゃくしゃしちゃうじゃない……」
志保「猫さん、猫さん、癒してにゃ~ああぁ、あああぁぁぁぁ~~~~!!!?」モフモフモフモフモフモフエン…
風花「お、お姉ちゃんしっかり! それお客さんで来てる他所の子だよ!?」
志保「――もふもふしてる」ハッ!
ロコ「されてる。……もう満足した? お姉ちゃん」
ロコ「満足したら、早く頭から顔どけて」
ロコ「私、工作してるから……危ないよ」
ロコ「お姉ちゃんの服にペンキついちゃう」
志保「……まだ不満。もうちょっとだけ。路子の髪質最高なの」
志保「さっきもちょっと意識が飛んじゃったし。気持ちよくて」
ロコ「ごめん。換気は出来てるハズだけど……」
志保「……すぅぅ~~~………はぁぁぁ~~~~」
志保「なんだろうね? 路子の髪は宇宙だよね」ワシャワシャワシャ
ロコ「分かった。多分、その深呼吸が原因だよ」
志保「でもねでもね。止められないよ」
志保「お姉ちゃんはさ、仕事明けで路子の髪に顔を埋めてる時」
志保「"生きてる"ってコトをひしひし実感してるから」
ロコ「……重い」
志保「あ、ごめん。体重かけ過ぎた?」
ロコ「そういうことじゃなくてですね! ……あ、いいや」
志保「……ねぇ、今さ」
ロコ「…………」
志保「今"ロコ"出たね」
ロコ「出て無い」
志保「ロコだったじゃん」
ロコ「違うもん」
志保「恥ずかしがってる~♪」ツンツン
ロコ「もおぉ~! ペンキつけるよ? つけるよっ!?」プルルルルル…
ロコ「あっ」プルルルルル…
志保「電話鳴ってる。でーんーわ」
ロコ「…………」プルルルルル…
志保「……出ないの?」
ロコ「うっ……で、出るけど」プルルルルル…ピッ
ロコ「……はい、もしもしロコですけど」
ロコ「プロデューサー? ……えっ!? この前描いたイメージボードが――」
ロコ「社長のビジョンと? ベストマッチの? スペースシアターをロコナイズ――」
ロコ「もちろんです! やります! 任せてください!」
ロコ「その為のロコとロコアートですから!」
ロコ「それじゃあ、また、シアターで。はい、はい――」ピッ
ロコ「……えへ」
ロコ「えへへ、えへぇ~……♪」
志保「嬉しそう」
ロコ「わわっ!? お、お姉ちゃんいつからそこに――」
志保「ずっといたずっといた。路子の髪をもしゃもしゃしてた」
志保「で、何の話だったの?」
ロコ「ん……最近、劇場でロケットを作ってて」
志保「ロケット?」
志保「ロケットなら今も作ってるよね? ほら、その模型」
ロコ「これもだけど、違うの。ちゃんと宇宙に飛んでく方のロケット」
志保「……ペットボトルで?」
ロコ「これは模型で本物はアルミ!」
志保「ア、アルミホイルが宇宙を飛ぶっ!?」
ロコ「合金! アロイ! お姉ちゃん分かってて聞いてるよね!?」
志保「うん。怒ってる路子可愛いから」
ロコ「……それで、そのロケットの行き先はスペースシアターなの」
志保「宇宙劇場? ……そういえば路子のいる765プロダクションって」
志保「最近宇宙開発も始めたんだっけ。確か」
ロコ「うん。宇宙に劇場を作るのも、社長の夢の一つだって」
ロコ「それでね? そのシアターの外観イメージに」
ロコ「私の描いた絵がピッタリだって、採用する方向で話を進めるって」
ロコ「さっきの電話はそんな電話。プロデューサーが教えてくれた」
志保「へぇ……やるじゃん。凄いじゃない、それ」
ロコ「そ、そう?」
志保「うん、凄い。流石は私の妹だね」
志保「それじゃあ劇場が完成すると」
志保「みんなが見上げる空の先に、いつでもロコの作品が浮かんでることになるんだ」
ロコ「ま、まぁ……そういう風にも言えるのかな?」
志保「だけどそれ想像してみて、凄いって! 世界中の人に見られるんだよ?」
志保「人種も国境も関係なく、それこそ夜空に浮かぶ星みたいに!」
志保「ううん、太陽? 月かもしれない!」
ロコ「お姉ちゃん……。ちょっと大げさじゃない?」
ロコ「でも、まぁ、喜んでくれるのは嬉しいから」
ロコ「……もう少し、そのままのポーズでもいいよ。わしゃわしゃ……って」
志保「ホントに? じゃあ……すぅぅ~、はぁぁ~~~」
ロコ「う、ん。でもね? 深呼吸はね?」
志保「……あぁ……徹夜明けの脳に、シンナーと、ロコの匂いが」
志保「はああぁぁぁ~~~……でもさっきからホントに言いたいのは――」ロコロコロコロコロコ…
ロコ「お姉ちゃん? お姉ちゃん!? ね、寝るなら自分のベッドに行って……重い……!」
志保「――ロコさん口調が変ですよね!?」ガバッ!
志保「いや、家に居たらあれが自然なのかな? 流石に家の中じゃロコロコ言ってないだろうし」
目覚まし『なんとぉっ! なんとぉっ!』
志保「……って、なんだ、また夢? なんてリアルな夢だったの……」
目覚まし『なんとぉっ! なんとぉっ!』
志保「うるさい」カチッ
目覚まし『じゃーんっ!』
志保「ん……眠い、けど。ふ、あ……あふ。……でも朝は朝、か」
志保「それにしても、さっきから立て続けに悪夢を見る夢を見てる気がする」
志保「おまけに私のベッドがいつにも増して狭い気もする」
志保「理由の見当はつくものの、確認するのを躊躇っている自分も存在する」
志保「…………ちらっ」
翼「すー、すー」
志保「なんでこの子はココで寝てるの? 自分の部屋は隣でしょう……!」
志保「まぁ、いつもみたいに夜中に潜り込んで来たんでしょうけど」
志保「翼、ねぇ翼」ユサユサ
翼「んー」
志保「起きて。今日がいくら休日でも、お寝坊さんしちゃダメじゃない」
翼「……おねえ、ちゃん?」
志保「なあに?」
翼「もう五分ぅ……ダメぇ……?」
志保「もう、仕方ないわね。でも――」
志保「早く起きないとキスしちゃうぞ?」
翼「おきたっ!! 今バッチリわたし目が覚めたよ!!!」ガバッ!!
志保「……お姉ちゃん、ちょっぴり傷つくな」
志保「……それから、反対側にいるこっちも」チラッ
美希「くかー」
志保「美希さん、美希さん。起きてください」ユサユサユサ
美希「ん……志保?」
美希「ミキ、まだ眠いの……」
志保「むぅ、反抗的」
志保「美希さんも……早く起きないとキスしますよ?」
美希「んー?」
美希「……自分からできる? 志保」
美希「ミキの唇は……コ、コ、ねっ♪」トントン
志保「…………! で、できますとも!」
志保「…………」グググ
美希「ん~?」
志保「…………!」ググググ!
美希「ねぇ、早く」
志保「…………!!」グググ、ググッ!
翼「早く早くぅ~♪」ドキドキドキ
志保「…………!!?」ピキッ!
志保「翼!! いつまで私の部屋にいるの!!!」
翼「やだぁ! お姉ちゃん怒っちゃいや~~!!」
美希「……ちゅっ」
志保「に゛ゃ……っ!!?」
美希「隙ありなの! 志保がしないからミキからね。……あふぅ」
志保「いっ、妹の前で止めてください」
美希「あれ? ミキにキスするんじゃなかったの?」
志保「そんなの……振りですよ、振り」
志保「羞恥心とか無いんですか?」
美希「少なくとも、恋人をヘーキで家に泊めるような――」
美希「お姉さんよりはあると思うな。あはっ♪」
志保「こ、今回はそうせざるをえない理由があったからで!」
志保「別にやましい思いなんて――」
翼「お姉ちゃん、朝ご飯まだぁ~?」
翼「まだ寝てたかったのに起こしたんだから、お姉ちゃんが用意するべきだよね~?」
志保「まだいたの!? ……分かったから、まず部屋を出て待ってて翼」
翼「ん~……やっ!」
志保「えぇっ!?」
翼「だってわたしが出てったら、お姉ちゃん美希センパイとイチャイチャし始めちゃうでしょ~?」
志保「し、しないわよ!」
美希「え~、しないの?」
美希「昨日は『満足なんて無い』みたいに、あんなに激しくミキのことを……きゃっ♪」
志保「美希さん!」
翼「えっ? えっ!? お姉ちゃん美希センパイをどうしちゃったの?」
翼「聞きたい、聞きたい、わたし聞きた~い♪」
志保「翼まで! もうっ!」
翼「ひゃあ!?」
美希「いやん!」
志保「二人とも廊下に出ていって!!」ダターン!
翼「あー……えっとぉ」
翼「……追い出されちゃいましたね」
美希「ミキ、まだ下着もつけて無かったのに……くしゅん!」
美希「ん~、しょうがないや。ねぇ翼」
翼「はい?」
美希「下着貸して? サイズが合うかは知らないけど」
翼「えっ、えぇ~!?」
翼「それってそれってもしかしてぇ~……」
翼「コ・ク・ハ・ク・? &乗り換え!? キャーっ♪」
志保「それは無いっ!」
美希「きゃん! 志保、引っ張るならもう少し優しく――」
翼「ああ! 美希センパイ連れてっちゃダメぇ~!」
志保「美希さんはホント、私がいないと服の一つも着れやしないんですから!」
美希「だって、志保がお世話してくれるし」
美希「志保だってミキのことお世話したいんでしょ?」
志保「私、美希さんの母親じゃないですけど」
美希「お姉ちゃんなら?」
志保「美希さんには、もうナオさんがいるじゃないですか」
美希「ん~、そうだけどね? お姉ちゃん大阪に住みだしてから変わっちゃって」
志保「変わった?」
美希「関西弁を使うようになって、サッカーに興味持ち出したの」
志保「それは……妙ですね。野球じゃないところが」
美希「でしょ? 抜けてることも多くなったし」
美希「だから、しっかりお世話してくれる志保みたいなお姉ちゃんが欲しいな~って」
志保「……私には翼がついて来ますよ?」
美希「その時は、姉妹仲良く相手してあげちゃうの!」
志保「なるほど。今日の朝食はパンが良いと」
美希「いや~、おにぎり! 志保のおにぎり~!!」
翼「で、今日はおにぎり?」
志保「心配しなくても翼には、パンだってちゃんと焼いてあげる」
美希「あん! 志保の特別は翼はばっかり」
志保「逆です、美希さん。我が家ではおにぎりが特別なんです」
美希「……そうなの?」
翼「そうですよー」
翼「でもそれならわたし、おにぎりがいい!」
美希「ミキは鮭入り!」
志保「……卵焼きはつける?」
翼「もちろん!」
美希「なの!」
志保「まったく、二人ともワガママね。……まるで妹が二人いるみたい」
翼「えー? 嫌なの? お姉ちゃん♪」
美希「こーんな可愛い妹だよ? お・ね・い・ちゃん♪」
志保「…………ふっ」←まんざらでもない
志保「これが私の幸せな日常。退屈は無く、恋人もいて、充実した日々を過ごしてる――でも」
志保「でもなにか、違和感を感じるような気も」
志保「私にはもっと繋がりの濃い、他の家族がいたような――」グルグルグルグルグル…
――そうして私は思い出した。ベッドの上で、すべての記憶、すべての過去を。
これまで、あまりに多くの"人生"を演じて来たために、
時折、どれがホントの事だったか混乱してしまうのは職業病と言ってもいいと思う。
私の名前はシホ・キタザワ。
日本出身の女優として、ハリウッドで活躍すること早や十数年。
久しぶりに訪れた休日に、遠い日本から我が家を訪れたのはすっかり見違えた弟の陸。
陸「久しぶりだね。姉さん」
身内びいきかもしれないが、数年ぶりに顔を合わせた弟はナイスな青年に育っていた。
……それに着ているスーツと物腰は、かつて私を芸能界で支えてくれた恩人の姿と重なって、知らず、涙がこぼれる。
志保「いらっしゃい陸。わざわざ飛行機じゃないと来れないのに」
陸「うん。でも、姉さんに直接会って聞いて欲しい大切な話があったから」
志保「大切な話?」
陸「……ほら、おいでよ」
そうして私は、陸に隠れるように立っていた一人の女性と対面した。
母親では、無い。しかし知らない顔でも、無い。
志保「……まさか、アナタは」
数年ぶりに会う彼女は、それでも当時の面影を残していて。
志保「――可奈?」
可奈「えへへ……。久しぶりだね、志保ちゃん」
可奈。矢吹可奈。かつて同じアイドル事務所で支え合い、
競い合った私の青春が色鮮やかな映像となって一瞬のうちに蘇る。
旧友との再会を照れ臭そうに迎えた可奈に、「大丈夫かい?」と寄り添う陸で全て察した。
……確かに。電話やメールじゃできない話だ。
当然、玄関先の立ち話で済ませられるような話でもない。
志保「いらっしゃい。歓迎するわ、二人ともね」
積もる話は多くあった。その晩は夜中まで語り合った。
柄にもなく酒を酔うほど飲み、私は随分と浮かれていたと思う。
……思い出話の中で陸は言った。
陸「ボクはね、小さな頃から姉さんを尊敬して生きて来たんだよ」
陸「姉として、時には母の代わりとして。手のかかるガキだったボクの面倒をよく見てくれた」
陸「……感謝してる。厳しくも優しい姉さんがいたからこそ、今のボクがあるんだから」
その言葉に、私は思わず胸をうたれてしまった。
陸「それにね。当然アイドルをしてた姉さんも……憧れだった」
陸「今だから話せることだけど、本気で姉さんみたいになりたいと思ってさ」
陸「小さな頃に一度、家にあったステージ衣装を勝手に着た事があって――」
可奈「えっ!? も、もちろんズボンの衣装だよね!?」
可奈、訊くべきところはそこじゃない。
陸「いや、スカートだったよ。……似合わなかったなぁ」
陸「だけど、かえってそれが良かった。ボクは姉さんとは違うんだってことを幼心に理解できたし」
陸「あれでもしも衣装が似合ってたら、もしかすると男なのに
本気で女性アイドルを目指したボクの未来があったかもしれない」
可奈「はぁ~。人に歴史有りだねぇ」
うんうんと頷く可奈の横で、陸は苦笑いを浮かべてこう続けた。
陸「それでもボクは、別の形で姉さんみたいになりたかった」
陸「自分の間近で夢を叶え、成功していく姉さんの背中を追いかけるうちに――」
陸「ボクはアイドル事務所に就職した。姉さんみたいなアイドルを育てたいって」
陸「そして出来れば、人が夢を叶える助けがしたいって。……そう、姉さんの姿を見てて思ったから」
そうだ。だから私は陸の就職をきっかけに、活動の場を海外に移すことに決めた。
可奈「えっと……それでね、志保ちゃん」
可奈「私、アイドルを辞めた後は……歌の先生になってたの」
可奈「ちょうど志保ちゃんがこっちに来て、ドタバタしてる時期だったから」
可奈「志保ちゃんとはそのまま、長い間疎遠になってたけど」
陸「彼女とは、割と早い時期にアイドルのレッスン繋がりで再会して――ほら、桜守さんトコのスタジオで」
可奈「プロデュースの相談とかを受けてるうちに、そのぉ……」
陸「な、仲良くなって」
可奈「付き合い出して……かれこれ二年?」
陸「三年だよ。可奈」
可奈「はれっ!? そ、そうだっけりっくん――あっ!」
志保「……なぁるほど。"そんな仲"になっちゃったと」
可奈「え、えへへ……」
陸「も、もちろん真剣なお付き合いだし。お互いの親も了承済みで」
志保「なのに、私だけ蚊帳の外だった。……随分とまぁ、冷たいわね」
陸「ね、姉さん……!」
可奈「志保ちゃん~……!」
陸「しょうがないだろう? 姉さん世界中を飛び回ってて、全然捕まらないんだから」
志保「甘い。仮にもプロデューサーなのに努力が足りない」
志保「……でもまぁ、意地悪ばかり言う気も無いし」
志保「なにより"あの"可奈が私の義妹になるなんて……変な感じ」
陸「あ、ははは……。報告が遅れてホントごめん」
可奈「えへ、私からもよろしくね。志保……お義姉ちゃん」
志保「……それで陸?」
陸「えっ、な、なに?」
志保「甥の顔はいつみられるの?」
陸「ぶっふ!」
可奈「え、えへへへ……あのぉ、志保ちゃん。それだけど――」
可奈「女の子、なんだ」
志保「……はい?」
可奈「今ね、お腹の中に居るの」
志保「えっ、そのお腹太ってたワケじゃ――」
可奈「ええ!? 志保ちゃん酷い! それはむごい~♪」
志保「変わってないわね。わざわざ歌にしなくても――」
志保「でも待って。可奈、それってつまり陸とアナタ――」グルグルグルグルグル…
志保「デキ婚?」ガガーン!!
志保「はぁ!? えっ? だ、誰と誰が?」
志保「陸と可奈が!?」
志保母「な、なにいってるの志保」
志保母「陸はまだ保育園で可奈ちゃんも中学生でしょう?」
志保母「そうじゃなくて、ね。志保、お母さんが――」
志保母「できちゃったみたい。……きゃっ♪」
志保「ううん、お母さん。『きゃっ♪』じゃないから」
志保「マズい。凄い頭痛がする。頭をハンマーで殴られたみたいな――」
志保母「だ、大丈夫志保? 横になる?」
志保「横になるのはお母さんでしょ! ああ、違う! そうじゃなくて!!」
志保「陸には!? どう説明するの?」
志保「新しい父親に、えーっとぉ、新しい、新しい家族……!」
志保母「女の子よ。妹なの♪」
志保「あっ、妹なんだ。へぇ……」
志保母「嬉しい?」
志保「うん、嬉し――じゃなくてっ!!」
志保「もう! ホント、病み上がりの寝起きにこんな話――」
志保「相手は誰!? もしも相手が変なやつだったら……!」
P「……すまん、志保」
志保「…………」ピシッ
P「あの、その、俺です」
陸「お姉ちゃんただいまー」
志保母「あ、お帰りなさいプロデューサーさん」
志保母「本当に私、甘えちゃって……。志保の代わりに陸のお迎えまで」
P「そんな! このぐらいお安いご用――」
P「……というより、その、これからはもっと俺に頼って下さいって言うか」
P「頼ってもらいたいというか」
志保母「プロデューサーさん……!」
P「北沢さん……!」ラブラブラブラブ…
陸「ねぇねぇお姉ちゃん」
志保「……なぁに?」
陸「プロデューサーさんがね、あたらしいパパになるって知ってた?」
陸「サッカーで遊ぶ約束もしたんだよ! 今度からはいっしょのお家でくらすって!」
志保「そう、ね。みたい、ね」
陸「……お姉ちゃん、嬉しくないの?」
志保「ま、まさか! お姉ちゃん嬉しい! 嬉しいなぁー♪」
陸「えへへ♪ やっぱりー!」
志保「うんっ♪ うーれしー……!」
志保母「ああ、志保もあんなに喜んでくれて」
P「そ、そうですかね……?」
志保「……まぁ、うん。まぁ、プロデューサーさんなら、ね?」
志保「私もうん。納得、妥当、順当、う~ん……」
志保「…………はぁ~…………」
志保「でも、夢なら早く覚めて欲しいな」
以上おしまい。雑スレのスレタイに触発されて色んな妹の形を試してみた。
でも兄弟姉妹がいるアイドルは結構多くって、今回は「姉のいるアイドル限定」での姉志保。
しかも一発ネタのノリなので、誰が妹になってるかでだいぶ志保の言動がふわふわです。
とはいえやりたいネタは全部入れた。最後までお読みいただきありがとうございました。
北沢志保(14) Vi/Fa
http://i.imgur.com/Ce4Jg8z.png
http://i.imgur.com/Oo34IMk.jpg
高槻やよい(14) Da/An
http://i.imgur.com/zO8Mj8i.jpg
http://i.imgur.com/sQfXkxU.jpg
四条貴音(18) Vo/Fa
http://i.imgur.com/AEBvRMV.jpg
http://i.imgur.com/LY7Aqch.jpg
徳川まつり(19) Vi/Pr
http://i.imgur.com/QfN56DN.jpg
http://i.imgur.com/Nkc7hR6.jpg
馬場このみ(24) Da/Pr
http://i.imgur.com/vczu8xc.jpg
http://i.imgur.com/2IyTvgY.jpg
>>2
最上静香(14) Vo/Fa
http://i.imgur.com/7O1s1qQ.jpg
http://i.imgur.com/tRy1qP7.jpg
>>7
高坂海美(16) Da/Pr
http://i.imgur.com/mUXI7vq.jpg
http://i.imgur.com/jPfKElW.jpg
>>12
豊川風花(22) Da/An
http://i.imgur.com/bNa4NXX.jpg
http://i.imgur.com/57R5zub.jpg
>>17
ロコ(15) Vi/Fa
http://i.imgur.com/hQRzkeb.jpg
http://i.imgur.com/6vr5piz.jpg
>>23
伊吹翼(14) Vi/An
http://i.imgur.com/0Y1g0qH.jpg
http://i.imgur.com/Ro4vPdM.jpg
>>24
星井美希(15) Vi/An
http://i.imgur.com/EIm0YCz.jpg
http://i.imgur.com/x5HqSTy.jpg
>>31
矢吹可奈(14) Vo/Pr
http://i.imgur.com/1qJgUVy.jpg
http://i.imgur.com/cbeFEJP.jpg
確かに陸君イケメンになりそう
http://i.imgur.com/8nOrInU.jpg
乙です
乙
姉沢志保が色んな形で見られたのは良かったけどロコの時だけやけに愛が重かったような
乙
乙
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1516742150/
Entry ⇒ 2018.01.30 | Category ⇒ ミリマス | Comments (0)
【ミリマス】P「不思議な力でうちの風呂場とアイドル達の家の風呂場が繋がった」
P「はあ~いい湯だなあ…」カポーン
P「やはりシャワーよりも湯に浸かった方が疲れはとれるよな」チャプチャプ
P「今日は少し長風呂するか…」ボンヤリ
ガラガラッ
P「うん?」
静香「えっ?」スッポンポン
P「……」
静香「……」
キャアアアアアアアア!
ミリマスSSです。親愛高いです。よろしくお願いします。
静香「なんでプロデューサーが私の家のお風呂に入ってるんですか!」
P「いやいや!ここは俺の住んでるマンションだろ!どう見ても俺のとこの風呂だぞ!」
静香「そ、そんな」
静香「…確かにお風呂の形も大きさも置いてあるシャンプーも違うわ。どういうことなの…」
P「疑いが晴れたようだな」キリッ
静香「いいから早く前を隠してください!」
P「激しく好意を抱いている…?」
静香「……」
P「チラッ」
静香「ち、違いますから///」
P「ふむ」
静香「ああ…。どうしてこんなことに…ハクシュン!」
P「そんな格好じゃ風邪引くぞ。とりあえずお湯に浸かってきなさい。俺の入ったお湯じゃイヤかもしれんが」
静香「…別にイヤじゃないです。それでは少しお借りします…」
静香「上がりました」ホカホカ
P「ああ」
静香「だいぶ落ち着きました」
P「それはよかった」
P「……」
静香「な、なんですか?」
P「いや、風呂上がりの姿も良いもんだなと」
P「温泉番組とか出てみる?」
静香「は、恥ずかしいからこっち見ないでください!///」
静香「ありがとうございます」
静香「いかにも男物って感じのシャツですね」
P「すまないな。そういうのしか無いんだ」
静香「いえ、全然問題ないです」
静香(プロデューサーのシャツ…///)クンクン
P「ご両親には連絡しておいたよ。突然娘が風呂から消えてめちゃくちゃ心配してた」
静香「ありがとうございます」
静香「はい」
P「ここの住所がどこかっていうと、静香の家とはかなり離れてるんだ」
静香「はい」
P「俺は今からでも静香を送り届けるつもりだったんだが」
静香「はい」
P「今日は泊めてやって欲しいと言われてな」
静香「はい?」
静香「誰からですか?」
P「静香のご両親」
静香「は?」
P「つまり、今日俺と静香はこの部屋で一緒に」
静香「はぁ!?」
P「言い方」
P「いや、俺もとても不本意なんだけどご両親に言われて本当の本当に仕方なく」
静香「なんか全く興味が無いって言われてるみたいでイラッとするんですけど」
P「ふむ」
静香「父も承諾したんですか?」
P「信頼してくださっているみたいで恐縮する」
静香「お父さん!」
静香「ちょっと電話貸してください」
P「そういや何も無いのか。裸で来たんだもんな」
静香「セクハラです」
静香「なんであの厳しい父がプロデューサー相手だと快諾するんですか」
P「な?」
静香「未来や翼とお泊まりする時は大変だったのに」
P「そうかそうか」
静香「あああああ///」
P「一晩限りとはいえよろしく」
静香「はい…///」
P「一応すぐそこにコンビニはあるんだ。だから…その…」
静香「はい?」
P「もし下着とか必要なら買ってくるぞ?」
静香「~~~っ///」
静香「でも確かに無いと困ります」
P「うん」
静香「お願いしていいですか?」
P「任せとけ。じゃあ行ってくる」
静香「お願いします」
P「ただいま」
静香「お帰りなさい」
P「……」
静香「な、なんですか?」
P「いや、誰かが迎えてくれるのって良いもんだなと」
静香「はあ」
静香「……」
静香「お、」
P「お?」
静香「お帰りなさい、あ・な・た///」
P「無理しなくていいぞ」
静香「せっかく頑張ったのに!」
P「いないですねぇ」
静香「そうですか」グッ
P「よし。必要な物も買ってきたし、寝るまでのんびりしててくれ」
静香「プロデューサーはどうするんですか?」
P「俺はもう一度風呂に入り直そうかと」
P「ほら、こんなことになったからさ。俺もちゃんと温まりたくて」
静香「わかりました」
静香「……」ソワソワ
静香「携帯も無いしやることが無いわね」
静香「落ち着かない…」
静香「チラッ」
Pのベッド『なんだい?』
静香「な、なんでもありません!」
静香「……ふ、二人一緒のベッドで寝るのかしら…///」ドキドキ
静香「……///」ドキドキ
静香「……ちょ、ちょっとだけ」ポスッ
Pのベッド『いらっしゃい』
静香「……プロデューサーの匂い///」クンクン
静香「……」ゴロゴロ
静香「……」モンモン
静香「裸…見られちゃったのよね…///」モンモン
P『静香…』
静香『プロデューサー……』
静香『優しく…してくださいね…///』
静香「あああああ///」ジタバタバンバン
下の階の住人「なんか上の人が騒がしい」
静香「それにしてもプロデューサー長いわね」
キャアアアアアアアア!プ、プロデューサー!?
静香「!?まさか…」タッタッタ
紗代子「お、お邪魔します…///」
P「一人だけとは限らなかった…」
静香「ああ~」
静香「紗代子さんこんばんは」
紗代子「えっ?し、静香ちゃん?なんで?」
P「とりあえず紗代子もこれを着てくれ」
紗代子「はい」
紗代子「なるほど…。テレビ見てなかったので知りませんでした…」
P「仕方ないさ。とりあえずアレだ。ちゃんと温まっておいで」
紗代子「ありがとうございます」
紗代子「静香ちゃん静香ちゃん」
静香「はい?」
紗代子「静香ちゃんがお風呂入ろうとしてここにいるって事は、そういうことなんだよね?」
静香「違います」
紗代子「ほんとに?」
静香「はい」
紗代子「私はプロデューサーの事好きだよ?」
静香「!!」
紗代子「静香ちゃんがプロデューサーの事好きじゃないなら貰っちゃうよ?」
静香「!!!!」
紗代子「ふふっ、またね」
紗代子「上がりました」
P「おかえり」
静香「おかえりなさい」
P「さっき静香のを買ってきた時に余分に買ってあったんだ。下着はこれを」
紗代子「ありがとうございます」
P「シャツとズボンは男物しかないんだが…すまないな」
紗代子「いえ!全然平気です!」
紗代子(プロデューサーのシャツ…///)クンクン
静香(反応が私と一緒ね)
P「紗代子のご両親にも連絡しておいたから」
紗代子「ありがとうございます」
P「紗代子の家はそこまで遠くないしこれから送って行くよ」
紗代子「そうですか…」シュン
静香「紗代子さんは泊まりじゃないんですね」
P「何時間もかかるわけじゃないからな」
紗代子「……」
紗代子「プロデューサー、電話お借りしてもいいですか?」
P「?良いけど」
紗代子「もしもし、お母さん?」
紗代子「泊まっていきます」
静香「ええ~」
P「マジ?」
紗代子「静香ちゃん、今露骨に嫌そうな顔したよね」
静香「してないです」
紗代子「すいません、プロデューサーさえよろしければ泊めていただけませんか?」
紗代子「ほら、もう夜も遅いですし」
P「うーん」
紗代子「こんなことはもう無いでしょうし」
P「うーん」
紗代子「静香ちゃんとも話したい事がありますし」
P「うーん」
P「本当は良くないんだが…」
P「ご両親の許可が出てるならいいよ。今回だけだぞ」
紗代子「ふふっ、ありがとうございます♪」
静香「……」ムッスー
静香「はい」
P「二人をここで寝かせてですね」
紗代子「はい」
P「俺がカプセルホテルか何かに行った方が良いような気が」
静香「ダメです」
紗代子「却下です」
P「ダメかー」
静香「女二人を置いて出て行くなんてあり得ませんね」
紗代子「何かあったらどうするんですか?」
P「ああ、うん…」
P「じゃあベッドは二人で使ってくれ。俺は床で寝るから」
静香「ダメです」
紗代子「却下です」
P「却下かー」
紗代子「諦めてください」
P「いやいや、元々シングルベッドだし三人は無理」
静香「無理じゃないです」
P「無理やり詰め込んだとしても相当密着しなけりゃならんし」
紗代子「全力で密着します」
P「いやいやいや」
紗代子「どうするの?」
静香「プロデューサーはこの部屋の主ですから床で寝るなんて論外です」
紗代子「そうだね」
P(アイドルと一緒のベッドに入るのも論外だと思うんだがなあ)
静香「つまり、私と紗代子さんで勝負して、勝った方がプロデューサーと寝ます」
P「寝るって言わないで」
紗代子「面白い。やりましょう」
静香「本格的な事はできませんし、じゃんけん一発勝負でどうですか?」
紗代子「いいよ。それじゃあいくよ?」
静香(ふふっ。このじゃんけんには必勝法がある。以前翼から伝授された相手の目を見つめ何を出すかを瞬時に)
紗代子「ぽん!」
静香「……」
紗代子「静香ちゃん出さないから負け」
静香「しまった!」
紗代子「それじゃあ私が勝ったからプロデューサーと寝るのは私で良いよね」
静香「……」
静香「ワンモア」
紗代子「大サービスだよ?」
結局三人で寝ることになりました
静香「プロデューサー、腕枕してください」グイッ
紗代子「プロデューサー、私にもしてください」グイッ
P「お、おお…」
P「なんか静香普段と違わない?」
静香「紗代子さんのせいです」
紗代子「ちょっと煽っちゃいました」
静香「……」アタマオシツケスリスリ
P「し、静香、ちょっと」
静香「……今日ぐらい、いいじゃないですか」
紗代子「……」アタマオシツケスリスリ
P「さ、紗代子」
紗代子「私だって…プロデューサーの事、好きですから」
P(こ、これはさすがに色々抑えるのが辛い)
静香「へぇ…」
紗代子「ほぅ…」
静香「これは女としてのプライドが」
紗代子「このままじゃ終われないよね」
P「えっ」
静香「……やっぱりプロデューサー、男の人って感じですね」サワサワ
紗代子「こう…腕とか脚とか、ガッチリしてて、凄くたくましくて」サワサワ
P「こ、こら!やめなさい!」
静香「鋼の理性じゃないんですか?」
紗代子「脚絡めてもいいですか?」
P「は、早く寝ろ!お前ら!」
しずさよ「ヘタレですね」
チュンチュン…チュンチュン…
P「……俺は耐えた!」
静香「なかなかやりますね」
紗代子「これで終わりじゃないですからね」
P「次は問答無用で送り返すからな」
しずさよ「しょんぼり」
P「ほれ、準備準備」
しずさよ「はーい」
P「つ、疲れた…」
ーーその夜ーー
P「はあ~。謎の事態も落ち着いたらしいし、今日は大丈夫だろ」
P「さて、のんびり風呂でも入るか」カポーン
P「ふい~」
ガラガラッ
P「えっ」
キャアアアアアアアア!
~~おしまい~~
ありがとうございました。
乙です
>>1
最上静香(14)Vo/Fa
http://i.imgur.com/6A2WnZ8.jpg
http://i.imgur.com/5SWvO8g.jpg
>>13
高山紗代子(17)Vo/Pr
http://i.imgur.com/0imR1fe.jpg
http://i.imgur.com/tJyjnM7.jpg
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1516614328/
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北沢志保「ネコのお考え」
志保「猫?」
P「そう、猫。意外だったか?」
志保「いえ。他の人にもよく言われるので、意外ではないです」
志保「ちなみに、どういうところが猫っぽいと思うんですか」
P「毛並み」
志保「見せたことないですけど」
P「夜目が効きそうなところ」
志保「推測じゃないですか」
P「一匹狼なところ」
志保「猫じゃなくて狼じゃないですか」
P「志保は狼っぽいよな」
志保「何事もなかったかのように軌道修正するのはかっこ悪いと思います」
P「手厳しいな」
志保「プロデューサーさんが思いつきでものを言うからです」
P「それは確かに。もう少し考えてから発言しようか」
志保「それがいいと思います」
P「考えるためには頭をすっきりさせないとな。コーヒーでも飲むか」
P「志保も飲む?」
志保「いただいてもいいですか」
P「もちろん。淹れてくるからちょっと待っててくれ」
志保「ありがとうございます」
P「寒い冬にはあたたかいコーヒーだな、やっぱり」
志保「そうですね」ズズッ
志保「あつっ」
P「大丈夫か?」
志保「大丈夫です」
志保「ふーっ、ふーっ」
P「………」
志保「ふーっ、ふーっ……」
志保「………」チロ
志保「………うん」ズズッ
P(猫舌かわいい)
志保「そうですか」
P「ああ。今後も猫関連の仕事を時々とってこようと思う」
志保「仕事なら、全力でやります」
P「さすが」
志保「プロですから。それに、仕事を持ってくる人を信用しているので」
P「志保がデレた」
志保「デレてないです。信頼です」ズズッ
P「信頼はデレの内に入らないのか?」
志保「入らないと思います」
P「ということは、志保がデレたら今以上に……」
志保「なるんじゃないですか」
P「投げやりだな」
志保「未来の私がどうなるのかは私にもわからないので」
P「未来にデレることは確定してるみたいな言い方だな」
志保「………」
志保「プロデューサーさんは、動物でたとえると魚だと思います」
P「猫に食べられる!?」
志保「色とか、品種の話ですか?」
P「そうそう。色は……うーん。白のイメージもあるが黒のイメージもあるな」
志保「対照的ですね」
P「白と黒のストライプはどうだろう」
志保「シマウマみたいですね」
P「志保はシマウマっぽいよな」
志保「プロデューサーさんは草っぽいですね」
P「さっきから食べられてばかりだな、俺」
志保「食物連鎖ですね」
P「たまには俺が食べる側に回ってもいいんじゃないか」
志保「変態……」
P「なんで!?」
志保「シャムネコ……ああ、見たことあります」
P「すごい速さで画像検索したな」
志保「スマホの扱いには慣れているので」
P「現代っ子だな」
志保「猫っていろいろな種類がいるんですね。普段あまり意識しないので、こうして調べると発見があります」
P「いっぱいいるぞ? 時々ネットで動画を見たりするから結構覚えてる」
志保「へえ。自分で飼ったりはしないんですか」
P「飼うとなるといろいろ手間もかかるからなぁ。そもそもうちのアパートペット禁止だし」
志保「見ているくらいがちょうどいいというわけですね」
P「そうなるな」
志保「私も、ペットを飼える自信はないですね。お世話する時間がとれなさそうで」
P「けど、いつかは飼ってみたいな、猫。いろいろ余裕ができてからになるだろうけど」
志保「いいんじゃないですか。甲斐性がついてからなら」
志保「猫のほうは、簡単には飼いならされないかもしれませんけど」
P「猫を飼いならすくらいの男にならないとダメってことだな」
志保「そういうことです」
P「らしいな。赤血球が壊れてしまうって」
志保「身近にあるもので飼い猫が中毒になってしまうのは、少し怖いですね」
P「志保は玉ねぎ好きか?」
志保「嫌いではないです。普通ですね」
P「そうか。そこは猫と違うな」
志保「プロデューサーさんは玉ねぎ嫌いですよね」
P「よく知ってるな」
志保「一緒にご飯を食べているとき、玉ねぎを恨めし気に見ている姿を知っているので」
P「面目ない」
志保「そう考えると、プロデューサーさんも猫っぽいのかも。気まぐれで話題がコロコロ変わりますし。サカってますし」
P「猫をサカリの象徴みたいにするな。俺は猫よりもドラゴンがいいぞ」
志保「動物の枠を超えていませんか」
P「ギリギリセーフだと思う」
志保「アウトです。プロデューサーさんは、猫です」
P「やたら俺を猫にしたがるな……」
志保「はい。だって、私も猫ですから」
P「仲間にしたいのか?」
志保「それもありますけど、もうひとつ」
P「えっ………」
志保「………」
P「志保……」
志保「なんて言うと、男の人は喜ぶんですか」
P「あっ、演技か!?」
志保「おかげさまで、演技の幅も広がってきました」
P「志保~~~」
志保「いつもからかわれているので、仕返しです」
P「こうなったら、玉ねぎちゃんと食べられるようになってやるからな! 猫を脱却してドラゴンになってやる」
志保「では、明日のお弁当は玉ねぎたっぷりにします」
P「上等だ」
志保「まあ、頑張ってください」フフッ
P「よーし……ところで、ドラゴンって何食べるんだ?」
志保「さあ……」
P「やっぱり人間か?」
志保「変態……」
P「だからなんで!?」
おしまい
シリーズ前作:北沢志保「いい兄さんの日」
その他過去作
北条加蓮「大丈夫、貴方が育てたおっぱいだよ」
モバP「金持ちは異性にモテるらしい?」
などもよろしくお願いします
乙です
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【ミリマスSS】静香「小さなお客さん」
###############
シアター エントランス
###############
静香「お疲れ様です」
星梨花「お疲れ様です」
奈緒「おー、お疲れさん。2人ともこっち来てみ、面白いもんあるで」
星梨花「面白いものですか?わぁ、楽しみです!」(ぴょこぴょこ
静香「はぁ...。星梨花、どうせまた『ぷっぷかぷりんのおもしろモノマネ100連発』とかよ」
奈緒「あぁ、あれな...。結局茜しかモノマネせんかったし、30超えたあたりから見てるこっちもきつかったなぁ...」
星梨花「そうでしょうか?私は凄く楽しかったです!」
奈緒「それやねん。その無邪気な笑顔が茜を追い詰めんねん...」
静香「星梨花の可愛さは時に罪ね...」
星梨花「つみ...どういうことでしょうか?」
###############
シアター 事務室
###############
奈緒「ってちゃうちゃう、話ズレてきてる。今日はホンマにおもろいから期待してて」
静香「はぁ...わかりました」
\わー!きゃっきゃ!/
星梨花「わぁ、事務室がすっごく賑やかです」
静香「ホントね。みんなシアターは遊び場じゃないってあれだけ言ってるのに、もぅ」
奈緒「まぁまぁ、中見たら静香もそうは言ってられへんなるから」
静香「そんなことありませんよ。子供じゃないんだし...はぁ...ホントにみんなしょうがないんだから」
奈緒「それが壮大な前フリになる思うけど、まぁええか。みんなー!静香と星梨花帰ったでー!」
歌織「ほら、飴どうぞ」
風花「クッキーもあるよ」
可奈「うわー、目がくりっくりだー!くりくりー♪くりくりー♪くりまんじゅー♪」
環「くふふ、環お姉ちゃんが一緒に遊んであげるぞ!」
静香「お疲れ様です。ってどうしたんですか、みんなソファーを囲んで?犬でも拾ってきたんですか?」
歌織「静香ちゃん星梨花ちゃんお疲れ様です。犬じゃなくてお客様よ」
星梨花「わぁ、お客様ですか?ご挨拶しなきゃですね」
風花「2人ともお疲れ様です。あぁ、ごめんね私たちだけで囲んじゃって。2人とも挨拶してあげて」
静香「『してあげて』ってお客様ですよね?なんか言い方がおかしいような?」
星梨花「わぁ!こんにちは!可愛いお客様ですね!」
静香「可愛い?ちょっと環、お客様が見えないからしゃがんでもらえる?」
環「おっけーだぞ。たぶん、しずかが一番喜ぶと思うぞ。しほと仲良しだし」(しゃがみ
静香「志保に関係のあるお客様なの?...ってあら?」
お客さん「えっと...こんにちは。ぼく、きたざわりくです」
静香「......???????????」
星梨花「わぁ、ご丁寧にありがとうございます。偉いです。私は箱崎星梨花です」
静香「??????????」
奈緒「しずかー!固まってどしたん?挨拶してもらっとるのに、挨拶せな」
静香「キタザワ...オナジミョウジ?シホノ?オトウト????」
風花「うん。目元が志保ちゃんに似てるかな」
歌織「はい。とっても可愛らしいです」
静香「????????」(プシュー
環「どうしたのしずか?固まって動かないぞ?」
可奈「ほんとだ。静香ちゃーん?おーい?」
静香「いや、だって、こんな、かわいい、子が、志保の、弟?」
静香「あんな、やさぐれた、いつも、ツンケンしてる、志保と、この、天使みたいな、可愛い、子が、姉弟?」
奈緒「アカン。事実を受け止められんくて現実逃避しとる...」
歌織「陸くんえらいのよ。ねー?陸くん?今日は何しにシアターに来たんだっけ?」
陸「おねえちゃんのおむかえ」
星梨花「えらいです!お姉ちゃんもきっと喜びますよ!」
静香「マジか...こりゃやべぇな...マジもんじゃねぇか...」
奈緒「静香。驚きすぎてキャラ変わっとるでー」
環「それじゃ環たちレッスンに行ってくるからばいばーい!」
歌織「陸くん。お姉ちゃんが帰ってくるまでゆっくりしててね」
風花「大丈夫だって思うけど、何かあったら連絡してね。すぐに駆けつけるから」
可奈「りっくーん♪またー♪お話ー♪しようねー♪」
陸「ばいばい」
4人「ばいばーい」
奈緒「さて、仕切り直して静香。ほれ、ご挨拶ご挨拶」
静香「そうですね、コホン。こんにちは、私は最上静香です」
陸「...しずか?」
静香「えぇ、静香よ。ってどうしたの?何か私から距離を取ってるような...」
星梨花「あらあら、私の後ろに隠れてしまいました?どうしたんですか?」
陸「おねえちゃん、いってた。しずか、わるいひと」
奈緒「りっくん静香怖いん?」
陸「......」(コクコク
奈緒「やって、静香。どないする?」
静香「ちょっと!?怖いって言ってたってどういうこと!?」
陸「!!」(ビクッ
星梨花「静香さん。大きな声出しちゃだめです。陸くんもっと怖がっちゃいます」
星梨花「陸くん。大丈夫です。星梨花お姉ちゃんが守ってあげますからね」(フンスフンス
奈緒「なんや星梨花嬉しそうやな?お姉ちゃんになりたかったんやろか?」
静香「あぁ...星梨花まで味方じゃなくなってしまうのね...」
静香「その...陸くん。お姉ちゃん怖くないのよ。えっと、優しい、わよ」
奈緒「なんや静香たどたどしいな?子供苦手なん?」
静香「苦手というか、慣れてないだけです。一人っ子ですし」
星梨花「緊張しなくても大丈夫ですよ。優しくしてあげれば、優しくしてもらえます。ねー」
陸「ねー」
奈緒「ほら静香、もう星梨花は仲良しさんになってるで」
静香「はぁ...星梨花は可愛らしいからいいわよね。私はそうじゃないから打ち解けるのは難しそうだわ...」
星梨花「そんなことないです。にこーって笑顔でいれば大丈夫です!」
奈緒「ほらほら静香、スマイルスマイル」
静香「えっと...スマーイル」
陸「!!」(ビクッ
奈緒「静香...ドンマイ」(ポンポン
静香「...放っておいてください...」
奈緒「ところでりっくん。奈緒お姉ちゃん、聞きたいことあるんやけど」
陸「?」
奈緒「りっくんのおうちでお姉ちゃんどんな感じ?優しい?怖い?」
星梨花「私もおうちでの志保さんのこと知りたいです!(奈緒さん!あまりぷらいべーとなことは聞いちゃダメですよ」
静香「星梨花...本音と建て前が逆になってるわよ...」
静香「私も興味あるわね。志保の弱みも握れそうだし。陸くん、教えてもらえる?」
陸「おねえちゃん?んーとね、すっごくやさしいよ!」
陸「いっつもニコニコして、ごはんつくってくれるし、おせんたくもしてくれるの」
星梨花「志保さんが?」
奈緒「いっつも?」
静香「ニコニコ?」
陸「うん。でもおねえちゃんぼくのこといつもなでなでして、あかちゃんみたいにするの。それはやだ」
星梨花「なでなで?」
奈緒「可愛がる?」
静香「想像できなさすぎて目眩してきたわ...」
奈緒「マジかー。まさか志保が弟にはデレデレしとったとはな」
星梨花「想像はできませんが、すっごく陸くんのこと可愛がっているんですね。素敵です」
静香「家に監視カメラ仕込んで見てみたいわ」
奈緒「なぁ、もしかして一緒にお風呂とか入ってるん?」
陸「うん。おねえちゃんがいっしょにはいろって。だからいっしょにはいる」
奈緒「フオオオオオオオオ。志保羨ましいなぁ。こんな可愛い子と」
星梨花「私、パパとママとしか入ったことないので羨ましいです」
陸「じぶんでできるっていうのに、あたまもからだもおねえちゃんが洗うんだよ!もぅ!」
奈緒「まってまってまって、アカンアカンりっくんこれ以上はアカンて!」
静香「奈緒さん盛り上がりすぎです...」
星梨花「一緒に寝たりもするんでしょうか?」
陸「うん。えほんよんでもらうの。おねえちゃんえほんよむのじょうずなんだよ」
静香「志保、私たちに隠れて絵本コーナーによく行っているみたいだけど」
奈緒「なんや、そういうことやったんやな」
星梨花「やっぱり志保さん素敵です!」
静香「私からもいいかしら。陸くん?お姉ちゃん、シアターのこと何か言ってる?」
陸「しあたー?へんなひとがいっぱいでこまるんだって」
奈緒「まぁ、私ら個性の闇鍋みたいなもんやしなぁ」
陸「ぼくしあたーのおはなしすき。いっつもおもしろいもん」
静香「まぁ、話題には事欠かないわね。毎日そこかしらでなにかおきてるし」
静香「ところで、お姉ちゃんは静香のこと何って言ってた?」
奈緒「おっ、核心に迫るなぁ」
陸「しずかはいっつもぷりぷりおこってるっていってた。いらいらしておにさんみたいだって」
静香「鬼ってひどいわね...」
陸「でも、いっつもいっしょうけんめいなのはえらいっていってた。りっくんもすきなことができたら、いっしょうけんめいがんばってねって」
奈緒「なんやかんや言って、静香のこと認めてるんやな」
静香「何かこれ...ものすごく恥ずかしいわね...」
陸「あと、おにいちゃんのことたくさんはなすよ!」
星梨花「お兄ちゃん?」
陸「えっと、プロユーサーさん?」
なおしずかせりか「「「!?!?!?」」」
星梨花「これは聞いてもいいんでしょうか?」(ドキドキ
静香「ここまできたら聞くしかないと思うわ」(ドキドキ
奈緒「よし、準備はできたな?聞くで」(ドキドキ
奈緒「なぁ、りっくん。プロデューサーさん知ってるん?」
陸「うん。おねえちゃんとおむかえにきてくれたことあった」
星梨花「プロデューサーさんと志保さんが一緒に?家族みたいです!」
静香「家族!?!?!?」
陸「きょうもね、おねえちゃんがおそくなるからってむかえにきてくれたんだよ。きょうはしあたーでおねえちゃんをおむかえしてあげようって」
奈緒「マジかー。これもう保育士さんの中で話題なってそうやなぁ...」
奈緒「で、りっくんはプロデューサーさんのこと好き?」
陸「うん!!おにいちゃんやさしいからすき!」
静香「すっごい笑顔ね...」
星梨花「本当のお兄ちゃんみたいに慕っているんですね」
奈緒「なんか志保が外堀から埋めてるようにしか...まぁ、それは他にもやってる子いてるか...」
奈緒「じゃあ本日のメインディッシュいくで...」(ゴクリ
静香「...」(ゴクリ
星梨花「???」
奈緒「なぁ、りっくん!おねえちゃんはプロデューサーさんのことすk 陸「あっ!おねえちゃんおかえり!!」
静香「!?」
星梨花「!?」
奈緒「!?」
志保「陸、ただいま。待っててくれてありがとう。お姉ちゃんちょっとだけ帰る準備するから待っててね」
陸「うん!」
志保「プロデューサーさん、申し訳ないですけど少しだけ相手しててくれませんか?」
ミリP「おう、目と耳を塞いでおくよ」
志保「助かります」
奈緒「志保どうしたんなんか顔怖いでお疲れやろタクシー呼ぶからすぐ帰り」
静香「そうねなんだか顔色が優れないわよ陸くんも疲れてるだろうからもう帰ったほうがいいわよほら早く帰って」
星梨花「志保さんごめんなさい。私志保さんのこともっと知ったら仲良くなれるかなって思って、陸くんに志保さんのことたくさん聞いてしまいました」
志保「...奈緒さん、静香、アウト。星梨花、セーフ」
奈緒「あっ!星梨花ズルイ!!ちょやめて!アカン!アカンて!!やめてええええええ!!」
静香「志保話し合いましょう!ね?きっとわかりあえるわってちょっと!イヤアアアアアア」
星梨花「......」(ガクガクブルブル
陸「おにいちゃん!まっくらだよ!なにもきこえないよ!どうしたの!」
ミリP「あー、世の中にはしらないほうがいいことがたくさんあるんだよ」
志保「お疲れ様でした」
陸「ばいばーい!」
志保「ふぅ、りっくん。他の人にあんまりお家のことはなしちゃダメだよ」
陸「なんで?」
志保「なんでって、その、お姉ちゃん恥ずかしいから」
陸「えー、恥ずかしくないよ。お姉ちゃんかっこいいし、かわいいし、すごいもん」
志保「ふふっ、ありがとう。りっくん」(ナデナデ
陸「もー!なでなでやめてよー」
志保「ふふっ、ごめんなさい」
陸「きょうはね、かなでしょ、たまきでしょ、なおと、しずか、せりかおねーちゃん、みんなとあそべてたのしかったよ」
志保「そう。またみんなと遊びたい?」
陸「うん!かおりおねぇちゃんとふうかおねぇちゃんにまたあいたい」
志保「りっくんの好みってもしかして...ううん。気のせいよね」
志保「そうね、たまにならまたシアターに遊びに来ようか。お兄ちゃ...プロデューサーさんに相談してみるね」
陸「わーい!!たのしみ!!」
###############
翌日 シアター事務室
###############
星梨花「フーンフンフーンフフ♪」
志保「星梨花?その嬉しそうに並べてるティーセットはなに?」
星梨花「これですか?こんど陸くんが来た時にお茶会ができるように、準備をしておこうと思って」
志保「陸に扱わせるにはちょっと高すぎる食器のような...」
星梨花「そんなことありません!陸くんは可愛くて偉いですから!」
星梨花「パパに陸くんのことをお話ししたら『良い子がきちんと育つにはそれ相応のものを使うべきだ』って、このティーセットをくれたんです」
星梨花「陸くんとお茶を飲むの楽しみです!」
奈緒「って、ちゃうがな!ええ加減にせい!!」
しずかなお「「どうも、ありがとうございました!!」」
静香「奈緒さん...その...手前のボケの意味がよくわからなかったのですが」
奈緒「はぁ?『じゃまするでー』って言われたら『じゃまするんなら帰ってー』って返すんが挨拶やんか!?」
静香「いや、関西のノリを日本の常識みたいに言われても...」
志保「2人ともなにしてるんですか?」
奈緒「見てわからん?漫才の練習や」
志保「いや、それはわかりますけど。なんで静香と漫才の練習なんか」
静香「なんかとは何よ!こんど陸くんに見せるために練習してるの」
志保「陸に?」
静香「そうよ。志保が陸くんに私の悪いところだけ伝えてるみたいだから、仲良くなるために練習してるの」
奈緒「怖い人や思われてるみたいやし、笑ってもらえばその辺なんとかなるやん。やから漫才をな」
志保「えーっと、ええ、そうね...」
静香「じゃあ奈緒さんもう一度やりましょう。今度は本番を想定してパチパチパンチの灰皿は本物にします」
奈緒「おっけー!やるでー!」
志保「...あまり怪我しないようにね...」
志保「おはようございます」
ミリP「おぉ、おはよう」
志保「今日はなんだかみんな張り切ってますけど、なんなんですか?」
ミリP「あぁ、歌織さんも可奈と環と歌の練習してるし、風花と美奈子は料理してるし他にもいろいろだ」
ミリP「みんなまた陸くん来ないかって待ってるみたいだぞ」
志保「はぁ...みんな田舎の親戚みたいですね...」
ミリP「言い得て妙だな。で、いつ連れてくるんだ?」
志保「おじさんが目の前にいました」
ミリP「フォッフォッフォッ、りっくん楽しみじゃのう」
志保「まぁ、家族が増えたみたいで悪くはないです。うるさすぎる気はしますけど」
E N D
北沢志保さんお誕生日おめでとうございます。
あなたにとってこの一年が素晴らしいものになるようお祈りしております。
さて、ミリシタのTBはまだ投票期間中となっております。
北沢志保さんにネコ役で一票お祝いをいただけるととても嬉しいです(ダイマ
ほんのちょっとだけ追加エピソードがあるので続けて投下しますね。
#############
追加エピソード
シアターからの帰り際
#############
志保「そうね、たまにならまたシアターに遊びに来ようか。お兄ちゃ...プロデューサーさんに相談してみるね」
陸「わーい!!たのしみ!!」
千早「あら、志保お疲れ様」
志保「千早さん。お疲れ様です」
千早「今日は弟さんも一緒なのね」
陸「こんにちは」(ペコッ
千早「丁寧にありがとう。私は如月千早です。あなたの名前を教えてくれる?」
陸「きたざわりくです」
千早「陸くん。いい名前ね。ふふっ、やっぱり姉弟ね。そっくりだわ」
志保「ありがとうございます。なんだかくすぐったいです」
千早「陸くん。おうちに帰るまでお姉ちゃんの手を放してはダメよ。一緒に仲良く帰ってね」
陸「うん!」
千早「ふふっ、良いお返事」
志保「千早さん...」
千早「志保も手を離さないであげてね。ごめんなさい。お節介だって、自分でわかっているのだけど」
志保「いえ、ありがとうございます」
陸「ちはやおねーちゃん、ばいばい」
志保「こらっ!りっくん!ごめんなさい千早さん」
千早「いいのよ。もう乗り越えたことだから」
陸「こらって、ぼくわるいことした?」
千早「ごめんなさい、陸くん。何でもないの。ほら、寒いからもう帰りなさい。ばいばい」
陸「うん!ばいばい!!」
志保「失礼します」
千早「えぇ、気をつけて」
陸「ちはやおねーちゃんもきをつけてかえってね」
千早「ありがとう。大丈夫。私の家はすぐそこだから」
E N D
Blooming Cloverで名前判明したんだっけ?
追加エピソードの千早のかんじいいね、乙です
>>1
最上静香(14) Vo/Fa
http://i.imgur.com/Ptu8skG.jpg
http://i.imgur.com/NhOGuq5.jpg
箱崎星梨花(13) Vo/An
http://i.imgur.com/7Y5T0j9.jpg
http://i.imgur.com/YtGuOAc.jpg
横山奈緒(17) Da/Pr
http://i.imgur.com/p8MwLq9.jpg
http://i.imgur.com/uyLqr0V.jpg
>>3
桜守歌織(23) An
http://i.imgur.com/JWlIySg.png
http://i.imgur.com/tM0EkOE.png
豊川風花(22) Vi/An
http://i.imgur.com/0ujJwbl.jpg
http://i.imgur.com/bNa4NXX.jpg
矢吹可奈(14) Vo/Pr
http://i.imgur.com/cAoRjmK.jpg
http://i.imgur.com/wQ6NKrH.jpg
大神環(12) Da/An
http://i.imgur.com/6KL4MCq.jpg
http://i.imgur.com/ARburxw.jpg
>>14
北沢志保(14) Vi/Fa
http://i.imgur.com/Ce4Jg8z.png
http://i.imgur.com/8qSu9KU.jpg
>>21
如月千早(16) Vo/Fa
http://i.imgur.com/vE65YYF.jpg
http://i.imgur.com/BGsfvrt.jpg
???「それじゃあ、お姉さん家行こっか」
りっくんかわいいなぁ
乙
歌織さん営業いきますよ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1516201598/
Entry ⇒ 2018.01.22 | Category ⇒ ミリマス | Comments (0)
【ミリマス】志保「抱きしめられるって、どんな感じなんだろう」
北沢志保(以下、志保) 「…………」ゴロン
志保 (結局、プロデューサーさんから抱き枕の事聞きだせなかったな……)
志保 「…………」ムー
志保 「……あなたはどう思う?」
黒猫のぬいぐるみ 「…………」
志保 「……ごめんね、答えられるわけないよね」
志保 「……おいで?」スッ
ぬいぐるみ ダキッ
志保 「……抱きしめられるって、どんな感じなんだろう」ギュゥ
ガチャリ
志保 「おはようございます」
ミリP(以下、P) 「志保、おはよう!今日もよろしくな!」
志保 「…………」ジーッ
P 「……ど、どうかしたか志保」アセ
志保 「いえ……なんでもないです」
P 「そうか?それなら良いんだけどさ」ホッ
音無小鳥(以下、小鳥) 「きっと呆れられてるんですよ」フッ
P 「そ、そんな事ない……はず」
小鳥 「あるでしょ!?中学生を無理やりベッドに連れ込むとか……」
P 「どっちかっていうと、連れ込まれたの俺ですよね!?」
小鳥 「言い訳無用!大人の責任ですよ、責任!」ビシッ
P 「ぐっ、言い返せない……」
志保 「…………」
P 「っと、悪いな志保。置いてけぼりにしちゃって」
志保 「いえ、大丈夫です」
志保 「……それで、なんで呼ばれたんですか?」
P 「ああ、実はな……」ガサゴソ
P 「じゃーん!この前のオーディション、受かったぞ!」
志保 「!ほ、本当ですか?」パァアア
P 「ああ!ドラマだ!」
P 「……ただ、主役というほどの役ではないんだが」
志保 「大丈夫です、問題ありません……しっかりとチャンスをモノにしてみせます」
P 「そうか……それじゃ、これ台本な」
志保 「ありがとうございます」パラパラ
P 「やったの覚えてるよな?」
志保 「はい……主人公の娘の役ですよね」
P 「そうだ、中学生の女の子だな」
P 「設定上の歳はあんまり志保と変わらないから、のびのびとやってくれて構わないよ」
志保 「……分かりました」
P 「困ったことがあったら、いつでも力になるからな!」
P 「遠慮なく相談してくれて構わないぞ!」グッ
志保 「……どんなことでも、ですか?」
P 「おう!男に二言はない!」
志保 「……ありがとうございます」
小鳥 「志保ちゃん、頑張ってね!」グッ
志保 「……はい!」
志保 「……どうしよう」
所恵美(以下、恵美) 「あれ?志保じゃん!やっほー!」フリフリ
志保 「恵美さん……おはようございます」
恵美 「どったの?なんか浮かない顔してるね」
志保 「いえ……少し、悩みがあって」
恵美 「悩み?」
志保 「大丈夫です、自分で何とかしてみますから」
恵美 「もー、そーやって抱え込むの良くないよ?」
志保 「別に、抱え込んでるつもりじゃ……」
恵美 「嫌ならいいけどさ……アタシじゃ頼りにならないかな?」
志保 「そこまで言うなら……」スッ
志保 「実は、これの事について悩んでたんです」
恵美 「ん?なにこれ、本?」
志保 「台本です。ドラマのオーディション、受かったので」
恵美 「ドラマ!?志保、やったじゃん!」
志保 「そ、そんなに喜ぶような事じゃないですから……」
恵美 「志保は照れ屋さんだねぇ……よーし!アタシがナデナデしてあげよう!」ナデナデ
志保 「もう……恵美さんってば」
恵美 「褒めてもらえるような事した時はちゃーんと誰かが褒めてあげないとねー♪」
志保 「…………」ニコ
恵美 「それで?ドラマ決まったから不安になったとか?」
志保 「そういう事じゃないんですけど……役柄で、ちょっと分かりづらい所があって」
志保 「ここの指示なんですけど」スッ
恵美 「なになに……『無邪気に甘える』?」
志保 「はい……どうすればいいのか、ずっと悩んでて」
恵美 「え?志保だって人に甘えたことくらいあるでしょ?お母さんとかにさ」
志保 「……中学生になる前は、親に甘えてましたけど」
志保 「でも、中学生になって……そういう事はやらなくなりました」
恵美 「中学生も甘えたい盛りだと思うんだけどなー……?」
志保 「恵美さん、何かいいアイディアありませんか?」
恵美 「んー……甘える、かぁ」
恵美 「……よし!」
志保 「?」
恵美 「ほら、おいで!」バッ
志保 「……話が全く読めないんですけど」
恵美 「えっ?甘えるんでしょ?」
恵美 「なら、やっぱりハグは欠かせないでしょ!」
志保 「ハグって……はぁ」
志保 「……これで良いですか?」バッ
恵美 「オッケ!それじゃあ……ぎゅーっ!」ダキッ
志保 「ちょっ、恵美さん!?く、苦しいですから!」ジタバタ
恵美 「ほらほら、遠慮しないの!」
志保 「うぅ……あれ?」チラッ
恵美 「ん?」チラッ
田中琴葉(以下、琴葉) 「……何やってるの、二人とも?」
志保 「こ、琴葉さん……これには、事情があって」アワアワ
恵美 「なんなら琴葉も一緒にぎゅーってしたげるよ?」ニヤニヤ
琴葉 「なっ!べ、別にやってほしかった訳じゃないから!」
恵美 「素直じゃないなー」ニヤニヤ
琴葉 「もう……それで、何やってたの?ただハグしあってた訳じゃないんでしょ?」
志保 「ドラマの役に対して相談してたんです。『甘える』ってどういう事なのかって」
琴葉 「甘える?」
志保 「はい……琴葉さん、どう思いますか?」
琴葉 「甘える……甘える」
琴葉 「……ごめんなさい、私も上手く出来ないかも」
志保 「そうですか……琴葉さんで分からないなら、仕方ないですね」
恵美 「まぁ、琴葉は甘えるの下手だし」シレッ
琴葉 「恵美!?わ、私だって人に甘える時くらいあるわよ!」
恵美 「ホントぉ?」
琴葉 「本当だもん……多分」
恵美 「例えば?」
琴葉 「え、えっと……プロデューサーに、お姫様抱っこしてもらったりとか」
恵美 「……へ?」
志保 「詳しく聞かせてください」
琴葉 「こ、この前レッスンで足くじいた時に……その」
恵美 「…………」
志保 「…………」
琴葉 「……ちょっと用事を思い出したから帰るわね」スッ
恵美 「あっ、逃げた!」
志保 「待ってください!まだ聞くことが――!」
志保 「……結局、あの後琴葉さんから聞き出せなかった」
志保 「後でプロデューサーさんに問い詰めないと……」
ガチャリ
志保 「ただいま戻りました」
天海春香(以下、春香) 「あっ、志保ちゃん!おっはよー!」
志保 「春香さん、おはようございます」
小鳥 「おいひぃ……ひあわしぇ」モグモグ
志保 「小鳥さんは何食べてるんですか……」
小鳥 「んむ……春香ちゃんの手作りクッキーよ、さっき持ってきてくれたの」
春香 「志保ちゃんも食べる?」
志保 (どうしよう……とっても美味しそうだけど)チラ
春香 「いっぱい作ったから、遠慮しなくて良いよ?」
志保 「……それじゃあ、頂いても良いですか?」
春香 「うん!はい、どうぞ!」スッ
志保 「ありがとうございます……はむ」ポリッ
春香 「どうかな?」ドキドキ
志保 「美味しい……サクサクしてて、ほんのり甘くて」
春香 「ホント?良かったぁ」ホッ
志保 「…………♪」モグモグ
春香 「そうだ、志保ちゃん弟君の分も持って帰る?クッキー、ダメかな?」
志保 「えっ、良いんですか?」
春香 「勿論!弟君の感想、聞かせてくれると嬉しいな!」スッ
志保 「分かりました、明日のおやつにさせてもらいますね」
小鳥 「それで、志保ちゃん?台本の方はどう?」
春香 「台本?何のことですか?」σのワの
志保 「この前オーディションしたドラマの役受かったので……その」
春香 「そうなの!?志保ちゃん、おめでとう!」ニコ
志保 「あ、ありがとうございます……」
志保 「そうだ、春香さん。役の事で少し相談しても良いですか?」
春香 「演技得意な志保ちゃんが?わ、私なんかに出来るかな……?」
志保 「いえ……私、あんまり馴染みがなくて」
志保 「春香さんは、甘えるってどういう感じだと思ってますか?」
春香 「甘える、かぁ……難しいね」
小鳥 「甘える……なるほど」
志保 「何を納得してるんですか、小鳥さん」
小鳥 「んー?別にー?」ニヤニヤ
志保 「もう……」
春香 「んん……難しいなあ」ムムム
小鳥 「……春香ちゃん、自分が甘えた時の事考えてみたら?」
春香 「私が、ですか?」
小鳥 「例えば……プロデューサーさんにどうやって甘えたいのか聞いてみたいわね!」グッ
春香 「ぷ、プロデューサーさんに……ですか?そうですね……」
春香 「……まず、頭を優しく撫でて欲しいです」
小鳥 「ふむふむ」メモメモ
春香 「それで、ギュって抱きしめて欲しいし……」ポー
志保 「なるほど……」カキカキ
春香 「それでそれで、抱き寄せられながらぁ……」ニヤニヤ
志保 「……?」
春香 「『春香は可愛いな……』って囁いてくれたりー……♪」ニッコニコ
志保 「……春香さん、ただの欲望になってる気がするんですけど」
春香 「……はっ!?」パッ
春香 「で、でも!甘えるんだからこのくらいしても良いと思うよ!?」
志保 「……なんか多くないですか?」
春香 「よ、欲張っちゃダメかな……?」
志保 「欲張りすぎて、その人に迷惑かけるのは良くないと思うんですけど」
春香 「うう……それは、そうなんだけど」シュン
春香 「……でも、甘えるってそういう事じゃないかな」
志保 「え?」キョトン
小鳥 「そうねぇ……少なくとも、遠慮してたら甘えられないんじゃないかしら」
志保 「遠慮しないことが、甘える事……」
春香 「うん!これで少しは役に立ててると嬉しいな!」
志保 「……ありがとう、ございました」ペコリ
小鳥 「春香ちゃん、そろそろ出なくて良いの?」
春香 「へ?……あっ、そうですね!そろそろ行かないと!」
春香 「それじゃ、志保ちゃん!ドラマ頑張ってね!」
志保 「……はい!」
志保 「…………」モグモグ
小鳥 「それで、志保ちゃん?」
志保 「んく……はい、なんですか?」
小鳥 「甘えるってどういう事か掴めた?」
志保 「……まだ、良く分かりません」
志保 「ただ迷惑をかけるのと、甘えるってのは違うと思うんですけど……」
小鳥 「区別がつかない、って事ね?」
志保 「はい」コクリ
小鳥 「そうねぇ……これ以上となると、やっぱり実演しかないんじゃないかしら」
志保 「実演……ですか」
小鳥 「志保ちゃんが最近興味持ってたのと言えばそうねぇ……」
志保 「…………」モグモグ
小鳥 「抱き枕とか?」
志保 「んぐっ!?」グッ
小鳥 「あれ、図星だった?」
志保 「……別に、興味ないです」プイ
小鳥 「興味ないなら、あんなに激しく詰め寄らないと思うんだけどな~」ニヤニヤ
志保 「大体、甘える事と関係ないじゃないですか」
小鳥 「そうでもないわよ?小さい子が、お父さんと一緒に寝たがったりするのはよくある事だし」
小鳥 「シチュエーションとして甘えた方が、感覚も掴みやすくなるんじゃないかしら」
志保 「それは、そうかもしれませんけど……」
志保 「……甘えても、良いんでしょうか」ボソ
小鳥 「ふふっ……大丈夫よ、志保ちゃん」
小鳥 「プロデューサーさんなら、ちゃーんと受け止めてくれるから」ニコ
志保 「小鳥さん……」
ガチャリ
P 「ただいま戻りましたー……あれ、志保?」
志保 「!?」
小鳥 「お帰りなさい、プロデューサーさん!」
P 「ただいまです、小鳥さん」
小鳥 「プロデューサーさん、今日はこの後予定あります?」
P 「いえ、この後はこのまま上がる気ですけど」
P 「最近、ちょっと疲れが取れなくて……明日に響かないよう、早めに休む事にします」
小鳥 「そうなんですか……」チラッ
志保 「…………」ドキドキ
P 「志保、台本読んでて困った所とかなかったか?」
志保 「――そ、それは」
小鳥 「志保ちゃん、ファイト!」
P 「?」キョトン
志保 「……プロデューサーさん、お願いがあるんですけど」
志保 「…………」
P 「……志保、そこまで離れられると俺が困るんだが」
P 「少なくとも、甘えてるようには見えないと思うんだけど……」
志保 「わ、分かってますから。少し待ってください」
志保 (ど、どうすれば……)アワアワ
P 「…………」スッ
志保 「…………っ!」ビクッ
P ムニーッ
志保 「……なんの真似ですか」ムニムニ
P 「いや、表情硬いなと思ってさ」ニコ
志保 「…………」ハァ
P 「……甘える練習、なんだろ?」
P 「それなら、ありのままの志保で甘えてみれば良いじゃないか」
志保 「ありのままの……ですか」
P 「そうだ!俺の事、お父さんみたいに思ってくれて良いんだぞ!」バッ
志保 「……もう、何言ってるんですか」クス
P 「……た、頼りにならないか?」
志保 「……良くて兄さんくらいです」
P 「そ、そうか……」
志保 「それじゃ、もう少し近づいても良いですか?」
P 「ああ、構わないよ」
志保 「それじゃ、失礼します……」
P (傍に寄ってきた……)
志保 「…………」サワサワ
P 「く、くすぐったいな」
志保 「……しないんですか?」
P 「ん?」
志保 「抱き枕」
P 「……し、していいのか?」
志保 「…………」コクリ
P 「それじゃ……」ギュッ
P 「……どう、かな?」
志保 「なんというか……落ち着きますね」スリスリ
志保 「温かくて、ほっとします」
P 「そ、そうだな……」ドキドキ
志保 「……ひょっとして、ドキドキしてるんですか?」
P 「……そ、そりゃな」
志保 「お父さんみたいって言ってたのに?」
P 「し、仕方ないだろ……」
志保 「ふーん……ヘンタイ♪」ニコニコ
P 「ぐっ、言い返す言葉がない……」
志保 「……でも、嬉しいです」ボソッ
P 「ん?」
志保 「……なんでもないです」プイッ
志保 「そ、そういえばプロデューサーさん。聞きたい事があるんですけど」
P 「なんだ?」
志保 「琴葉さんをお姫様抱っこしたって本当ですか?」
P 「!?」ビクッ
志保 「……したんですね」ジトー
P 「琴葉歩けなさそうだったしな……無理させるのも悪いだろ?」
志保 「…………」ムー
P 「……志保もして欲しいのか?」
志保 「頼めばしてくれるんですか?」
P 「機会があれば、してもいいけど……」
P 「ただ、わざと足挫くとかはやめろよ?」
志保 「そのくらい分かってます……それじゃ、楽しみにしてますね」
P 「楽しみにされても困るんだがな……」
志保 「良いじゃないですか……兄さん?」
P 「……まったく、仕方ない妹だな」ナデナデ
志保 「……ふふ♪」ニコニコ
P 「……大分、リラックスしたな」
志保 「はい……家にいる時より、ずっと落ち着いてます」
P 「……甘える感覚、掴めたか?」
志保 「…………」コクリ
P 「そうか……役に立てて良かった」
志保 「……プロデューサーさん」
P 「うん?」
志保 「……これからも、もっと甘えても良いですか」
P 「良いよ、それが俺の仕事だ」
志保 「もう……それじゃ、遠慮なんてしませんからね」スリ
P 「……なんだ、立派に甘えられるじゃないか」ハハ
志保 「そうですね、甘えられたみたいです」クス
志保 「……最後に一つ、わがまま言っても良いですか?」
P 「俺に出来る事なら」
志保 「……あの、その」チラチラ
P 「?」
志保 「……いえ、やっぱり良いです」
P 「良いのか?折角の機会だし、なんでも聞くぞ?」
志保 「……これからも、たくさん甘える予定ですから」
P 「……そうか。それなら、また今度な」
志保 「……プロデューサーさん、そろそろ眠ったらどうですか?」
P 「良いのか?」
志保 「元々寝る予定だったんですよね?なら、問題ないじゃないですか」
志保 「……ここに、抱き枕もいますから」ダキッ
P 「……分かったよ、それじゃ早速」
P 「おやすみ、志保……」ナデナデ
志保 「おやすみなさい、プロデューサーさん……」
P スヤスヤ
志保 「……まったく、子供っぽいんだから」クス
志保 「…………♪」スヤスヤ
ガチャリ
琴葉 「おはようございます……」
志保 「琴葉さんに恵美さん……おはようございます」
小鳥 「おはよう、二人とも……元気ないの?」
恵美 「いやー、昨日志保のドラマ撮影だったでしょ?」
恵美 「それで、もし志保が失敗したらどうしようって琴葉が」
琴葉 「恵美だって、昨日からずっと電話で話してたじゃない……」
恵美 「あ、アタシは心の中で志保を信じてたからね!」ニャハハ
琴葉 「もう……志保ちゃん、どうだった?」
志保 「問題ないです、上手く表現できたと思います」
琴葉 「良かった……」
小鳥 「凄かったわよ?撮影見てた関係者の人から問い合わせが来たもの」フフ
恵美 「そんなに!?やるじゃん、志保!」
志保 「ぷ、プロデューサーさんのおかげですから……」
琴葉 「プロデューサーの?」
ガチャリ
P 「ただいま戻りましたー」
恵美 「おっ、噂をすれば!おかえり、プロデューサー!」
P 「……噂?」
琴葉 「志保ちゃんにアドバイスしたんじゃないんですか?」
P 「……お、おう!まぁな!」アセアセ
恵美 「?なーんでそんなに焦って……」
小鳥 「いいタイミングですね……」ニヤ
P 「…………」アセ
琴葉 「……プロデューサー?」
小鳥 「さぁ……そろそろ、私と添い寝してください!」
P 「嫌ですよ!冗談ですまないでしょうが!」
小鳥 「14歳の女の子を4人も抱き枕にしといて何言ってるんですか!!」
恵美 「……抱き枕?」
P 「…………」ブルブル
琴葉 「プロデューサーさん」
P 「な、なんでしょうか……」
琴葉 「誰を抱き枕にしたんですか?」ニコ
P 「……み、未来に静香に翼に」
琴葉 「……それに、志保ちゃんですか」
恵美 「へ?そなの?」
志保 「……は、はい」コクリ
P 「……こ、琴葉?落ち着いて、な?」
琴葉 「どういう事ですか、プロデューサー……!」
恵美 「プロデューサーの抱き枕……」ポー
小鳥 「さぁ、お縄につきたくなかったら私と添い寝してください!」ビシッ
琴葉 「わ、私も!」
P 「二人とも、勘弁してくれ!」
恵美 「あ、アタシはどうしようかな……」
P 「これ以上ややこしくするのはやめてくれると助かるな!?」
ワーワー
志保 「……もう」クス
P 「志保!今日はレッスンだろ、早く行くぞ!」
志保 「……はい!」タッタッ
志保 「…………♪」ギュッ
P 「志保?」
志保 (今日も沢山甘えさせてくださいね……プロデューサーさん♪)
完
ごめん……アンケ取った静香で〆は出来なかった、この埋め合わせはどこかで必ず
TBも佳境を迎えてます、しほあつめなるイベントがTwitterで開催されてるそうなので皆さま参加されてみては
新入生未来推しPですが、ちょっと誕生日祝いに入れてあげようかなと思います
では、またどこかで
4人分完走乙です
>>1
北沢志保(14) Vi/Fa
http://i.imgur.com/artGmvD.jpg
http://i.imgur.com/kD3k0ji.jpg
>>3
音無小鳥(2X) Ex
http://i.imgur.com/hFRWAa5.jpg
http://i.imgur.com/ElSKgHB.jpg
>>6
所恵美(16) Vi/Fa
http://i.imgur.com/kzw1B6Z.jpg
http://i.imgur.com/BiJOgbP.jpg
>>10
田中琴葉(18) Vo/Pr
http://i.imgur.com/8iH4EFK.jpg
http://i.imgur.com/517V6iR.jpg
>>13
天海春香(17) Vo/Pr
http://i.imgur.com/r2pANL8.jpg
http://i.imgur.com/JRjRSb7.jpg
抱枕も構っての方も続き頼むよー
はぁ好き...
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1516200955
Entry ⇒ 2018.01.21 | Category ⇒ ミリマス | Comments (0)
【ミリマス】琴葉「優等生の応援」
琴葉「ただ……何してるのかなぁって」
P「仕事」
琴葉「そ、それくらい私だって分かります!でもいつもプロデューサーが
どんな風に仕事をしているのかって気になって」
P「ふっ、知りたがりちゃんめ。そんなに教えて欲しいのか?」
琴葉「いえ、それほどでもないです」
P「がくっ……。なんだよじゃあ」
琴葉「……」
琴葉「……」そぉ~
P「なんだよぉ~」
琴葉「なんですかぁ~? ふふっ」
P「分かった。琴葉が今正直にちょっと構って欲しかっただけです!って言えたら
俺は一旦作業を中止して休憩に入る」
琴葉「べ、別に構ってほしくなんてないですよっ!? もうっ」
P「そうなの?」
琴葉「そうですよ。私、そんなに子供じゃありませんっ」
P「ケーキあるけど、ケーキ食べる?」
琴葉「食べます。えへへ」
P「本当は?」
琴葉「何がです?」
P「本当は構ってほしかった?」
琴葉「さてさて、それはどうでしょう」
P「ケーキ無し」
琴葉「……うぅ」
P「え?何なに?」
琴葉「……ちょっとだけ、です」
P「今日はケーキバイキングだ!!! もう好きなだけ食え!」
琴葉「えぇっ!?私そんなにケーキだけなんて食べれないですよ」
P「もうケーキのことが嫌いになるくらい食べて!」
琴葉「だ、だめですそんなにケーキばっかり。
ちゃんとご飯も食べないと……」
P「じゃあ琴葉の手料理ってことになるかぁ」
琴葉「私の手料理……ですかっ!?」
P「そう、未来の旦那に向けての……な!」
琴葉「そ、そうですね!私もいつか素敵な人と結婚するかもしれない未来のために
プロデューサーが私の料理の技術もプロデュースしてくれるってことですね!?」
P「……」
琴葉「……?」
P「あーうん、もう! ちくしょう! そうだよッッ!!」
琴葉「あー、でも私プロデューサーみたいにいっぱい食べてくれる人がいいかもしれないです」
P「美奈子みたいなことを言うんじゃないよ……」
琴葉「プロデューサーは、どんな女性が好きですか?」
P「俺?」
琴葉「はい」
P「琴葉……」
琴葉「えぅ!? あ、……え」
P「あ、いやいや、例えば琴葉みたいなぁ~、いや琴葉も捨てがたいよ!?
琴葉も最高だからもうほんっと嫁にしたいくらいなんだよ!?」
琴葉「あ、あ、あぁ~そっか。そうですよね!びっくりした~」
P「まあでも琴葉は、ほらもっといい人がいるかもしれないから、琴葉は
厳しいから、例えば琴葉みたいに素敵な女の子がいいなぁって思う」
琴葉「ま、まあ私もプロデューサー……うん、悪くないですけど、
というか結構嬉しいですけど、まあ、その、プロデューサーはもっといい人がね」
P「あ~、うん。どうかなぁー、そうかなぁー」
恵美「……エレナさんエレナさん」
エレナ「なんだいメグミサン、メグミサン」
恵美「見てくださいよあそこ。またですよ、また」
エレナ「はいはい。おやおや。あぁ~~、こりゃおったまげたネ」
恵美「なぁに探り合ってんだか乳繰り合ってんだか分からないですが」
エレナ「えぇ、えぇ、はい。お気持ちお察ししますネ」
恵美「とっとと結婚しろって思いますねー」
エレナ「ネー」
P「やや、時に琴葉さん……」
琴葉「は、はいっ。火葬で、プロデューサーと同じ所でお願いします」
P「んーー、誰も墓に入る時の話はしていなかったけど」
琴葉「やだ私ったら早とちり……」
P「だいぶね!!」
琴葉「えっと、なんでしょう?」
P「琴葉はさ、今楽しい?」
琴葉「えっ、プロデューサーといる今ですか?」
P「あー、うん。それ楽しいと行ってくれると嬉しいけど。
アイドルやってる時だよ。どう?」
琴葉「私、プロデューサーといるのすごく楽しいですよ。
ほんとうに。みんなと一緒でも楽しいですけど」
P「……うん」
琴葉「でもやっぱりプロデューサーがいるからこそ
私今も楽しいんです」
P「そっか。うんうん。琴葉、ケーキ食うか」
琴葉「何ケーキですか?」
P「あぁ~なんか色々入ってたなぁ」
琴葉「え、迷っちゃいますね。恵美ー? エレナー?」
P「ん?」
恵美「しっしっ!アタシらはあとで食べるから放っておいて!」
P「ん?なんかあとで食べるからいい、そうだ」
琴葉「もう、そんなこと言って。みんなで食べた方が美味しいのに」
P「まあまあ何か忙しいんだろ。じゃじゃーん。小鳥さんが買ってきたんだってさ」
琴葉「小鳥さんも今は出てしまってますし……先に食べるのも申し訳ないですね」
P「いいんだよ。先食べちゃおうぜ。どれにしようかなぁ~」
琴葉「あ、プロデューサーが食べたいの、私分かっちゃいました」
P「えっ、まじで?当てて当てて!」
琴葉「ふふ、いいんですか?」
P「来いよ~ほらほら、へいへい、琴ちゃんビビってる~」
琴葉「誰ですか琴ちゃんって!もうっ、変なあだ名で呼ばないでください!」
P「ほらほら~」
琴葉「こほん。ずばり、プロデューサーが食べたいのは、このチョコレートケーキですっ!」
P「ファイナルアンサー?」
琴葉「ファイナルアンサーです」
P「ファイナル琴ちゃん?」
琴葉「ぷっ、ふふ、ファイナル琴ちゃんです」
P「こっとちゃんです♪」(三瓶です
琴葉「ふふ、それはやりません」
P「やってやって!」
琴葉「やです。恥ずかしいからだめです」
P「あとで俺の分一口あげるから」
琴葉「こっとちゃんです♪」
P「はい、録画しましたー」
琴葉「きゃー!もうっ! プロデューサー!? 消してください!」
P「……ふぅー」
琴葉「何すました顔してるんですか!消してください!」
P「琴葉、可愛いポーズ」
琴葉「うぐぅ、すれば消してくれるんですか?」
P「うぅ~ぬぅーむ」
琴葉「今、うんっていいましたね!?」
P「ぬぅぅ~~~ん」
琴葉「プロデューサー、消さないと……めっ!」
P「はい、録画しましたー」
琴葉「策士ですね!?さては策士ですね!?」
P「策士と書いてプロデュースと読むのさ」
琴葉「もう、じゃあケーキ2口ですからね」
P「安いもんだ」
琴葉「それと、もしショートケーキを選んだら上のイチゴもです」
P「仕方ない」
琴葉「あとそれと」
P「要求多くね?」
琴葉「さっきの動画は一日1回見ること」
P「10回は見る。いやむしろ事務所のパソコン立ち上げたら再生するように
プログラム組んでおく」
琴葉「それじゃあ駄目です。プロデューサーがわざわざ、開いて見ることに意味があるんです」
P「何の?」
琴葉「こ、琴ちゃんを意識するためにです!もうっ!誰ですか琴ちゃんって!」
P「分かった。分かった分かった。それで、なんだっけ? チョコケーキだっけ?」
琴葉「正解は……!?」
P「チョコケーキです!おめでとうございます!」
琴葉「ふふふ、やりましたっ。お見通しです」
P「お見事です。田中琴葉選手。二回戦突破おめでとうございます」
琴葉「ふふ、ありがとうございます。これも日々の努力のおかげです」
P「さて、次なる対戦相手は田中選手、どなたになりますか?
まだショートケーキ、モンブラン、レモンタルトも残ってますが」
琴葉「えっと、というか私もチョコケーキが良かったんですけど」
P「なんだよ。自分の食べたいもの選んだのかよ。じゃああげるよ」
琴葉「プロデューサーの全部くれるんですか?」
P「なんでだよ、このいやしんぼちゃんめ」
琴葉「いやしんぼちゃんじゃないですっ! やめてくださいそんな……」
P「じゃあ何ちゃんなんだよぉ」
琴葉「えぇ、何ちゃんて……」
P「こ?」
琴葉「琴ちゃんだよぉ」
P「あっはははっはは!」
琴葉「そんなに笑わなくてもいいじゃないですか!言わせといてー!もうっ!」
P「そう怒るなよ。ハイハイほら琴葉チョコケーキあ~~~」
琴葉「ん。美味しい~。美味しいですよプロデューサー、
私のショートケーキもお返しであげますねっ」
P「えー?いいのー?」
琴葉「はい、あー」
P「ん。んまー甘さがいいね。甘さが」
琴葉「あ、ほんと。ショートケーキ美味しい……癒やされますねぇ」
P「んまー、まあチョコケーキの方が美味いけど」
琴葉「そんなことないですよ?私が選んだケーキの方が美味しいですよ?」
P「えぇ~?そうかなぁ~?いや、琴葉ほら、もう一回チョコ食べれば
考えが360度変わるよ?」
琴葉「一周してますよ。あー」
P「ほい」
琴葉「ん。んふふ、ふふ」
P「どやねん」
琴葉「ん~。引き分けです」
P「引き分けかぁーそれはしょうがないな」
琴葉「しょうがないですね」
P「……」ぱくっ
琴葉「……」ぱくっ
P「美味しいなぁショートケーキ」
琴葉「はふぅ、チョコケーキ美味しいですね」
……。
琴葉「あ、私洗いますから大丈夫ですよ。はい」
P「おお~ありがとう琴葉」
琴葉「プロデューサーはもうお仕事戻りますか?」
P「そうだなぁ。いっぱい休憩したしな。
琴葉のおかげでリフレッシュできたよ。ありがとう」
琴葉「いえいえ、根を詰めるのも良くないですから。
なんだか思い詰めていたように感じたので……
ちょっとおせっかいでしたか……?」
P「いや、そういう琴葉の気遣いはいつもありがだいよ」
琴葉「コーヒー入れますから、このあともがんばってくださいね」
P「ありがとー」
琴葉「ミルクは少なめ、砂糖はスプーンの先っちょ分くらい、でしたね?」
P「さすが田中師範。完璧ですねぇ~」
琴葉「そうでしょう?何でだと思います?」
P「そりゃあ琴葉が可愛いからだろ?」
琴葉「ふふっ、可愛いは禁止です。恥ずかしいですから」
P「そうだったっけ? なんで田中大明神様は完璧でございますか?」
琴葉「それは私が~……えっと」
P「考えてないんかい。……こ?」
琴葉「っ! そう、琴ちゃんだからです。ふふ、やだ恥ずかしい。もうっ」
P「琴ちゃんだからぁ~あー、琴葉可愛いなぁー。コーヒーうんめぇ」
琴葉「ふふっ、お世辞ばっかり。お仕事がんばってくださいねっ」
P「誰が世辞で言うもんか。任せろやーい」
おわり
琴ちゃんかわいい
おつ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1494250691/
Entry ⇒ 2018.01.14 | Category ⇒ ミリマス | Comments (0)
【ミリマス】七尾百合子「杏奈ちゃんは半殺しにしようかな?」
書き溜めてあるので最後まで投稿できれば満足です。
杏奈「百合子さんが...キッチンで...不穏な事を...」
杏奈「...いや、杏奈、知ってます」
杏奈「こんな時は、大抵...聞き間違い......」
杏奈「もう一回...聞いて...、確かめる」
百合子『うーん、それとも皆殺しにしようかな?』
杏奈「.........聞き間違いじゃ、なかった...!」
杏奈「プロデューサーさん、助けて...!」
P「どうした杏奈?ゲームのデータが消えたような顔をして」
杏奈「いいから、こっち来て...こっそり聞いて...!」
P「なんだ、百合子がどうかしたか?」
百合子『半殺し、皆殺し、迷うなー』
P「ファッ!?」
杏奈「...ね。なんとか、して...下さい...!」
百合子『私としては、一度杏奈ちゃんに半殺しを味わってほしいんだけど』
P「だめだった」
杏奈「半殺しを、味わうって...なんですか」ガクブル
百合子『歯ごたえがいいんだよね』
P「歯ごたえってなんだよ...半殺しにしたあと食うつもりなのか?」
杏奈「杏奈...百合子さんに、食べられるの...?」
百合子『プロデューサーさんも食べてくれるかな?』
杏奈「プロデューサーさんも...杏奈を、食べるの?」ウルウル
P「食うわけないだろ!」
百合子『よし、今回は半殺しに決定!』
杏奈「杏奈...覚悟、決めます...」
P「落ち着け!俺がちゃんと守ってやるから!」
P「むやみに俺が首を突っ込むとどうなるか分からない...こんな時第三者がいてくれたら」
紗代子「二人とも、キッチンの前で聞き耳立てながらコソコソと何を話してるんですか?」
P「紗代子!いいところに!」
杏奈「ナイスタイミング、です...!」
紗代子「あ、ありがとうございます?」
P「端的に伝えるからよく聞いてくれ」
P「キッチンの中で百合子が何をやってるか見てきてほしい」
P「ただし危ないと思ったらすぐに逃げてくれ。俺が助けに入るから」
紗代子「よく分かりませんがいいですよ。」
杏奈「紗代子さん、気をつけて…!」
紗代子『百合子ちゃん、なにやってるの?』
百合子『あっ、紗代子さん。今から半殺しを作ろうと思ってるんです』
百合子『はい。しっかりすり潰せるって評判なんですよ』
杏奈「すり、潰す...」
紗代子『でも半殺しにするんじゃあ全力で使えないね』
百合子『あっ、そうですね。だったらやっぱり皆殺しかなあ』
P「なに余計な事してんだ紗代子?」
紗代子『せっかくだから半殺しと皆殺し両方にしちゃえばどうかな?材料も沢山あるようだし』
百合子『それもいいですね!ただあんまり時間が...』
紗代子『私も手伝うよ!ちょっと食べてみたいし』
杏奈「杏奈...やっぱり、食べられる......」
P「ダークセーラ―が二人...勝てない...」
百合子『ありがとうございます!それじゃあ早速始めましょうか!』
紗代子『杏奈ちゃんとプロデューサーも絶対喜んでくれるよ』
百合子『いいいいえ別にその二人だけのためってわけじゃ///でも...おいしいって言ってくれたら嬉しいなあ』
杏奈「遺書、書いてきます...」
P「あきらめるな!俺が時間を稼ぐから杏奈は事務所のみんなにこの事を伝えてくれ!」
杏奈「...!でも、それじゃプロデューサーさん、が...」
P「アイドルを守るのも俺の仕事だ。そして道を正してやるのもな」
P「百合子と紗代子、二人を思い留まらせる事が出来ればベスト。そうでなくても時間を稼いでみんなが逃げられれば十分さ」
杏奈「......分かり、ました。でも、一つだけ、約束」
杏奈「また、一緒にゲーム、しよ?」
P「ああ!約束だ!」
紗代子『そうだ、キッチンの外に杏奈ちゃんとプロデューサーがいるんだけど』
百合子『えっ、うそ!?』
P「ちくしょう、もうきやがるのか。さあ行け、杏奈!」
杏奈「はい...!」
P「落ち着け百合子!何がおまえをそこまでさせるんだ!」
百合子「それは杏奈ちゃんやプロデューサーさんに喜んで欲しくて…って何言わせるんですか!」
P「喜ぶわけないだろ!紗代子もなんで乗り気なんだよ!」
紗代子「だっておいしいですし、拒否する理由もないじゃないですか」
P「おおおおおお前食べた事あるのか!?」
紗代子「食べた事ない人の方が少ないと思いますけど」
百合子「私も大好物ですし、週に何回か食べちゃいますね」
P「ちくしょう、いつからこんな風になってしまったんだ」
P「だが、俺は杏奈と約束したんだ。生きて帰って、また一緒にゲームをするってな!」
P「だから絶対にお前たちを止めて見せる!」
百合子「そんなにも嫌いだなんて...一度食べてみて下さい!絶対においしいって言わせてみせますから!」
紗代子「こんなに白熱する事だったかな...。それはそうと杏奈ちゃんはどこに行ったんだろう?」
杏奈「はあ、はあ...」
杏奈「とにかく、事務所にいる人に伝えて…きゃっ」ドンッ
美奈子「うわっ、どうしたの杏奈ちゃん?急いでても事務所内を走るのは危ないよ」
杏奈「美奈子さん...!今、事務所は危険。早く、逃げて...!」
美奈子「んん?ちょっと落ち着いて、ゆっくり事情を説明出来る?」
杏奈「えっと、百合子さん、と、紗代子さんが、半殺しだとか皆殺しだとか」
美奈子「どこで言ってたの?」
杏奈「キッチン...。そんな事いいから、外に...」
美奈子「百合子ちゃん、キッチン、半殺し...なるほど」
美奈子「杏奈ちゃん、おそらくだけど百合子ちゃんが何をやろうとしてるのか分かった」
杏奈「それは、杏奈も分かってます...。だから...!」
美奈子「あはは、大丈夫だって。ちょっといってくるね」
杏奈「待って…それじゃ、プロデューサーさんが残った意味が...」
美奈子「プロデューサーさんもいるの?それじゃあ私も手伝っちゃおうかな」トコトコ
杏奈「手伝う!?どっちを?......あうう、もう、杏奈も...行き、ます」トコトコ
P「…………!」
百合子「………!」
美奈子「おーい、プロデューサーさーん」
杏奈「ごめんなさい...、止められなかった...」
P「おー美奈子じゃないか。って杏奈も帰ってきたしちょうどいい」
杏奈「プロデューサーさん...無事で、よかった」
P「杏奈は皆殺しの方がいいよな?」
杏奈「もっとひどい事に、なっちゃった...」ガクゼン
百合子「プロデューサーさんが皆殺しの方がいいのは分かりましたって」
紗代子「皆殺しの方をたくさん作りましょうか」
美奈子「たくさん!量なら任せて下さいよ!」
杏奈「ああ...あ...絶体、絶命...」
百合子「じゃあこの際だし杏奈ちゃんも一緒にやろっか」ニコッ
杏奈「その笑顔...他の形で、見たかった、です」パタリ
百合子「杏奈ちゃんが倒れた!?うわあああ!」
P「あっ、勘違いさせたままだった」
杏奈「...おはぎの、話?」
百合子「もち米をつぶす時にお米の形が残っていると半殺し、完全に潰すと皆殺しっていうんだよ」
美奈子「私は元から知ってたから多分そうじゃないかって思ったんだ」
紗代子「粒あんとこしあんでも同じ呼び方をするよね」
P「つまりは、杏奈の早とちりだ」
杏奈「なんだ......よかった、です」ホッ
百合子「このためにマイすりこ木を買ったんですよ!」
杏奈「すり潰す道具っていうのは、それの事...だったんだね」
美奈子「プロデューサーさんは、勘違いした事をちゃんと二人に謝ってくださいね」
P「百合子、紗代子、すまなかった。でもダークセーラ―の演技を思い出すと結構本気で怖くて」
紗代子「私、そんなに危なげなイメージですかね...」
百合子「今回は許してあげますけど、次からは気をつけて下さいよ!」
百合子「いやー、桜も咲いてきたからお花見したいなあって思って」
美奈子「呼んでくれたらいくらでもご飯作ってあげたのに」
紗代子「いくらでも作っちゃうから呼ばないんですよ」
百合子「事務所に食材が沢山あるのは知ってるから作ってみる事にしたんだ」
P「うちは飲食店じゃないはずなんだがなあ」モグモグ
紗代子「何食べてるんですか?」
P「美奈子のチャーハン」モグモグ
紗代子「いつの間に作ったの」
美奈子「紗代子ちゃんも食べる?」スッ
紗代子「皿を出しながら聞かないでくださいよ...」モグモグ
百合子「杏奈ちゃんが気絶してる間におはぎ出来たんだけど、どうかな?」
杏奈「はむっ、んっ...とってもおいしい、です」
百合子「やった!!」
P「初めてとは思えないくらいだ。うまいぞ、百合子」
百合子「プロデューサーさんもありがとうございます!」
美奈子「お料理の準備はばっちりですよー。もちろんデザートも完備です!」
P「俺はまだ仕事があるんだが」
百合子「杏奈ちゃんの勘違いを加速させたお詫びにプロデューサーさんも来てください!」
P「うっ...しょうがないなあ」
百合子「さあさあ、早く準備してください。杏奈ちゃんも、一緒に行こ!」
杏奈「うん...百合子さん、ありがとう。杏奈もお花見...楽しみ!」
杏奈ちゃんとのんびりしながらゲームしたい
紗代子とたい焼き半分こしたい
美奈子にご飯つめこまれたい
ありがとうございました、楽しかったです
>>2
七尾百合子(15) Vi
http://i.imgur.com/A6wziMV.jpg
http://i.imgur.com/27aF5y3.jpg
望月杏奈(14) Vo
http://i.imgur.com/BuBT0ew.jpg
http://i.imgur.com/UaRFoAg.jpg
>>4
高山紗代子(17) Vo
http://i.imgur.com/JZpO6z6.jpg
http://i.imgur.com/SNBYUtE.jpg
>>8
佐竹美奈子(18) Da
http://i.imgur.com/uHlEZzv.jpg
http://i.imgur.com/ZUzO9Qf.jpg
そのパスタのネーミングがやべーやつなのは目を瞑ってやってくれ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1493653207/
Entry ⇒ 2018.01.13 | Category ⇒ ミリマス | Comments (0)