向日葵「はい?櫻子と赤座さんが入れ替わった?」
1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 09:42:05 ID:00v05w2U
向日葵「すみません、仰る意味がよくわかりませんが」
あかり「だーかーらー、朝起きたら入れ替わってたって言ってるじゃん!! なんでわかんないんだよ!!」
向日葵「えぇっと、赤座さん。そんな無理して櫻子に付き合うことないんですのよ?」
あかり「無理とかじゃなくてっ!? もう、おっぱいばかりに栄養がいって頭に回ってないんじゃないのか!!」
向日葵「なっ!? あ、赤座さん!?」
あかり「だーかーらー、朝起きたら入れ替わってたって言ってるじゃん!! なんでわかんないんだよ!!」
向日葵「えぇっと、赤座さん。そんな無理して櫻子に付き合うことないんですのよ?」
あかり「無理とかじゃなくてっ!? もう、おっぱいばかりに栄養がいって頭に回ってないんじゃないのか!!」
向日葵「なっ!? あ、赤座さん!?」
2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 09:49:10 ID:00v05w2U
櫻子「それが本当なんだよぉ、向日葵ちゃん…」
向日葵「向日葵ちゃん!? 櫻子、貴方この暑さでついに頭が沸騰しておかしくなったんじゃ!?」
あかり「なんだとー!! おかしいのは向日葵のおっぱいだけだろっ!!」
向日葵「なんですって!!…ふぅ、すみません。ちょっと落ち着かせてください」
あかり「よし、いいだろう。十分に落ち着きたまえ!!」
向日葵「なぜ偉そうに…ふぅ、深呼吸深呼吸…」
向日葵「向日葵ちゃん!? 櫻子、貴方この暑さでついに頭が沸騰しておかしくなったんじゃ!?」
あかり「なんだとー!! おかしいのは向日葵のおっぱいだけだろっ!!」
向日葵「なんですって!!…ふぅ、すみません。ちょっと落ち着かせてください」
あかり「よし、いいだろう。十分に落ち着きたまえ!!」
向日葵「なぜ偉そうに…ふぅ、深呼吸深呼吸…」
3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 10:07:06 ID:00v05w2U
向日葵「にわか信じ難いですが…本当に2人が入れ替わってしまったと…」
あかり「何度もそう言ってんじゃん。頭悪いなー」
向日葵「…ふん!!」ドガ
あかり「いったぁっ!?」アタマオサエル
櫻子「あかりの体ぁ!?」
向日葵「はっ!? も、申し訳ありません!? 普段櫻子にやる癖で」
あかり「何度もそう言ってんじゃん。頭悪いなー」
向日葵「…ふん!!」ドガ
あかり「いったぁっ!?」アタマオサエル
櫻子「あかりの体ぁ!?」
向日葵「はっ!? も、申し訳ありません!? 普段櫻子にやる癖で」
4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 11:16:06 ID:00v05w2U
あかり「私ならいいのかよっ!!」
向日葵「貴方は普段から変なことばかり言うからでしょ!!」
あかり「にゃにをー!!」ムキ-
櫻子「さ、櫻子ちゃん、落ち着いて、話が進まないよぉ!!」
向日葵(それにしても赤座さんが入ってる櫻子、あまりにも違和感まみれで蕁麻疹が…)ゾクッ
向日葵「貴方は普段から変なことばかり言うからでしょ!!」
あかり「にゃにをー!!」ムキ-
櫻子「さ、櫻子ちゃん、落ち着いて、話が進まないよぉ!!」
向日葵(それにしても赤座さんが入ってる櫻子、あまりにも違和感まみれで蕁麻疹が…)ゾクッ
5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 11:32:23 ID:00v05w2U
向日葵「コホン。話を戻しますが朝起きたらもう入れ替わってたと」
櫻子「うん、そうなんだぁ。朝起きたら櫻子ちゃんの部屋でびっくりしたよぉ。…櫻子ちゃんのお姉ちゃんと花子ちゃんに迷惑かけちゃうし…」ズ-ン
あかり「あー、大丈夫大丈夫だって。ねーちゃんや花子だって普段から私に迷惑かけてるんだし、こんんな時くらい迷惑かけてもいいって」
向日葵「いつも迷惑をかけているのは貴方でしょう」ハァ-
櫻子「うん、そうなんだぁ。朝起きたら櫻子ちゃんの部屋でびっくりしたよぉ。…櫻子ちゃんのお姉ちゃんと花子ちゃんに迷惑かけちゃうし…」ズ-ン
あかり「あー、大丈夫大丈夫だって。ねーちゃんや花子だって普段から私に迷惑かけてるんだし、こんんな時くらい迷惑かけてもいいって」
向日葵「いつも迷惑をかけているのは貴方でしょう」ハァ-
6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 14:34:11 ID:00v05w2U
向日葵「そう言う櫻子の方はどうでしたの?」
あかり「へ、私? へへーん、私はカンッペキにあかりちゃんを演じたからね!!」
櫻子「わぁ、すごい櫻子ちゃん」パチパチハクシュ
あかり「あかりちゃんの演技ならこの女優の櫻子様にお任せー。怪しまれてないと思うよっ!!」
向日葵「本当でしょうか?」
あかり「へ、私? へへーん、私はカンッペキにあかりちゃんを演じたからね!!」
櫻子「わぁ、すごい櫻子ちゃん」パチパチハクシュ
あかり「あかりちゃんの演技ならこの女優の櫻子様にお任せー。怪しまれてないと思うよっ!!」
向日葵「本当でしょうか?」
7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 14:42:49 ID:00v05w2U
一方その頃、とある大学の図書室
ともこ「よいっしょ、赤座さん、頼まれてた系統の本は集めたわ」
あかね「ありがとう、そこに置いといてくれるかしら」パラパラ
ともこ「それにしてもオカルト本から医療系の本、果てには小説まで…一体何を調べているの?」
あかね「ふふふ…ちょっと気になることがあって」パラパラ
あかね(今朝のあかりはあかりではなかったわ、いつもより天真爛漫というか元気というか落ち着きがないというか…)
あかね(それに『ねーちゃん、お団子結んでー』っていつもならありえないものね)
あかね(ただ…)
あかね「…あのあかりも可愛かったわ」ボソ
ともこ「あら、今何か言った?」
あかね「いいえ、なんでもないわ」
ともこ「よいっしょ、赤座さん、頼まれてた系統の本は集めたわ」
あかね「ありがとう、そこに置いといてくれるかしら」パラパラ
ともこ「それにしてもオカルト本から医療系の本、果てには小説まで…一体何を調べているの?」
あかね「ふふふ…ちょっと気になることがあって」パラパラ
あかね(今朝のあかりはあかりではなかったわ、いつもより天真爛漫というか元気というか落ち着きがないというか…)
あかね(それに『ねーちゃん、お団子結んでー』っていつもならありえないものね)
あかね(ただ…)
あかね「…あのあかりも可愛かったわ」ボソ
ともこ「あら、今何か言った?」
あかね「いいえ、なんでもないわ」
8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 14:48:47 ID:00v05w2U
あかり「というか、今もう放課後だぞ!! 向日葵は今まで気づかなかったのかよ」
向日葵「…そりゃ、変だと思いましたが櫻子が突拍子もなく変なことをするのはいつものことなので…」
あかり「誰が変だー!! 変なのは向日葵のおっぱいだけだろっ!!」
向日葵「それ以上赤座さんの口で下品なことを言わないでくれません?」
あかり「お前が言わせてんだろ!!」
向日葵「そうですわ、むしろ赤座さんが授業中に寝ていたことの方が驚きましたから」
櫻子「櫻子ちゃんっ!?」ガ-ン
あかり「あははは…、いやー、あかりちゃん寝ててもバレないからいいね!!」
櫻子「褒められた気がしないんだけどっ!?」
向日葵「…そりゃ、変だと思いましたが櫻子が突拍子もなく変なことをするのはいつものことなので…」
あかり「誰が変だー!! 変なのは向日葵のおっぱいだけだろっ!!」
向日葵「それ以上赤座さんの口で下品なことを言わないでくれません?」
あかり「お前が言わせてんだろ!!」
向日葵「そうですわ、むしろ赤座さんが授業中に寝ていたことの方が驚きましたから」
櫻子「櫻子ちゃんっ!?」ガ-ン
あかり「あははは…、いやー、あかりちゃん寝ててもバレないからいいね!!」
櫻子「褒められた気がしないんだけどっ!?」
9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 15:21:32 ID:00v05w2U
向日葵「申し訳ございません、赤座さん。櫻子に代わって謝っておきます」
櫻子「い、いいよぉ。こ、こうなったのは櫻子ちゃんのせいでもないんだし仕方ないよぉ」
向日葵「ですが、このままだと赤座さんの内申点が地の底まで下がっていきますわ」
あかり「おぉ!!」
向日葵「…どうしたんですの、急に?」
あかり「いやー、向日葵が私に頭下げてるみたいで良いなーって」
向日葵「貴方はこの非常時に何を考えてますの!!」
ギャギャ-
ナンダトオッパイ ナンデスッテ-
櫻子「なんだかあかりと向日葵ちゃんが喧嘩してるみたいで不気味だよぉ…」
櫻子「い、いいよぉ。こ、こうなったのは櫻子ちゃんのせいでもないんだし仕方ないよぉ」
向日葵「ですが、このままだと赤座さんの内申点が地の底まで下がっていきますわ」
あかり「おぉ!!」
向日葵「…どうしたんですの、急に?」
あかり「いやー、向日葵が私に頭下げてるみたいで良いなーって」
向日葵「貴方はこの非常時に何を考えてますの!!」
ギャギャ-
ナンダトオッパイ ナンデスッテ-
櫻子「なんだかあかりと向日葵ちゃんが喧嘩してるみたいで不気味だよぉ…」
10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 15:41:14 ID:00v05w2U
ーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
向日葵「申し訳ございません。少々取り乱しました…それで、これからどうするおつもりで?」
向日葵「戻るあてがある…とは思えませんし。だからと言ってこのままのなのは私の精神衛生上にもよろしくはないので」
あかり「なんで向日葵のせーしんえーせいじょうと関係してんだよ」
向日葵「赤座さんと喧嘩してるように見えるのもそうですし、赤座さんの櫻子もちょっと…」
あかり「はぁ? なんであかりちゃんと向日葵が喧嘩すんの?」
櫻子「ほ、ほら、今櫻子ちゃんはあかりだからだよ」
あかり「あっ、そっか」
向日葵「とにかくどうするおつもりで?」
ーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
向日葵「申し訳ございません。少々取り乱しました…それで、これからどうするおつもりで?」
向日葵「戻るあてがある…とは思えませんし。だからと言ってこのままのなのは私の精神衛生上にもよろしくはないので」
あかり「なんで向日葵のせーしんえーせいじょうと関係してんだよ」
向日葵「赤座さんと喧嘩してるように見えるのもそうですし、赤座さんの櫻子もちょっと…」
あかり「はぁ? なんであかりちゃんと向日葵が喧嘩すんの?」
櫻子「ほ、ほら、今櫻子ちゃんはあかりだからだよ」
あかり「あっ、そっか」
向日葵「とにかくどうするおつもりで?」
11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 15:58:12 ID:00v05w2U
櫻子「えぇっとね、櫻子ちゃんとも話したけどこういうのってお話の中によくあるよね」
向日葵「そうですわね」
櫻子「でも、そういうのって階段から落ちるとか雷に当たるとかそういうのばかりだから、戻る前に大怪我しちゃうよね」
あかり「前にみんなで観に行ったやつだと彗星とかもあったよね。あのすげー絵のキレイなやつ!!」
櫻子「うん、だけどそれも彗星なんてわからないし…だから、明日まで待ってみようかなって」
あかり「そうそう、朝起きたら案外夢だったかもしれないし」
向日葵「まぁ、確かに今はそれが1番かもしれませんわね…」
向日葵「そうですわね」
櫻子「でも、そういうのって階段から落ちるとか雷に当たるとかそういうのばかりだから、戻る前に大怪我しちゃうよね」
あかり「前にみんなで観に行ったやつだと彗星とかもあったよね。あのすげー絵のキレイなやつ!!」
櫻子「うん、だけどそれも彗星なんてわからないし…だから、明日まで待ってみようかなって」
あかり「そうそう、朝起きたら案外夢だったかもしれないし」
向日葵「まぁ、確かに今はそれが1番かもしれませんわね…」
12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 16:03:08 ID:00v05w2U
櫻子「だから今日のところはこのままでいようってことになったんだ」
あかり「そういうこと、わかったか、向日葵!!」
向日葵「赤座さんがそれで良いなら、良いのですが…今日はそれぞれの家に帰る予定で?」
櫻子「うっ、そ、それは…あかりじゃ櫻子ちゃんを演じる自信ないよぉ」
あかり「え、自分の家に帰らないの?」
向日葵「事情を知らない撫子さん達が赤座さんが櫻子のように振舞っていたら混乱するでしょう」
あかり「そうかなー、ねーちゃん達バカだから案外気づかなかったり!!」
向日葵「それは貴方だけですわ」
あかり「そういうこと、わかったか、向日葵!!」
向日葵「赤座さんがそれで良いなら、良いのですが…今日はそれぞれの家に帰る予定で?」
櫻子「うっ、そ、それは…あかりじゃ櫻子ちゃんを演じる自信ないよぉ」
あかり「え、自分の家に帰らないの?」
向日葵「事情を知らない撫子さん達が赤座さんが櫻子のように振舞っていたら混乱するでしょう」
あかり「そうかなー、ねーちゃん達バカだから案外気づかなかったり!!」
向日葵「それは貴方だけですわ」
13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 16:08:11 ID:00v05w2U
向日葵「思うのですが、何も隠すことはないのでは?」
櫻子「え?」
向日葵「戻ればそれで良いですし、戻らない場合に事情を知ってれば協力してくれるでしょうし」
あかり「おぉ!! 確かに!!」
向日葵「取り敢えず、撫子さんや花子ちゃん、それと赤座さんのお姉さんには事情を説明しても良いかと」
櫻子「でも、信じてくれるかなぁ?」
向日葵「赤座さんのお姉さんはなんとも言えませんが…この赤座さんや櫻子を見れば、知ってる人は信じると思いますわ」
あかり「これも私の人徳のおかげだなっ!!」
向日葵「えぇ、貴方の人徳のなさのおかげですわね」
あかり「よしよし、もっと褒めて良いぞー」
櫻子「褒められてないよっ!?」
櫻子「え?」
向日葵「戻ればそれで良いですし、戻らない場合に事情を知ってれば協力してくれるでしょうし」
あかり「おぉ!! 確かに!!」
向日葵「取り敢えず、撫子さんや花子ちゃん、それと赤座さんのお姉さんには事情を説明しても良いかと」
櫻子「でも、信じてくれるかなぁ?」
向日葵「赤座さんのお姉さんはなんとも言えませんが…この赤座さんや櫻子を見れば、知ってる人は信じると思いますわ」
あかり「これも私の人徳のおかげだなっ!!」
向日葵「えぇ、貴方の人徳のなさのおかげですわね」
あかり「よしよし、もっと褒めて良いぞー」
櫻子「褒められてないよっ!?」
14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 16:43:14 ID:00v05w2U
大室家
あかり「ただいまー!!」
櫻子「櫻子ちゃん!? 今の櫻子ちゃんはあかりだから!!」
向日葵「説明する前にそんなことしたら混乱するでしょう!?」
あかり「あっ、そうだった」
花子「えぇっと…おかえりだし? あかりお姉さん?」
向日葵「ほら、現に花子ちゃんが混乱してるじゃありませんか」
あかり「ただいまー!!」
櫻子「櫻子ちゃん!? 今の櫻子ちゃんはあかりだから!!」
向日葵「説明する前にそんなことしたら混乱するでしょう!?」
あかり「あっ、そうだった」
花子「えぇっと…おかえりだし? あかりお姉さん?」
向日葵「ほら、現に花子ちゃんが混乱してるじゃありませんか」
15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 16:51:39 ID:00v05w2U
花子(え? あかりお姉さんってこんなこんな人だっけ? なんだか櫻子みたいだし…)
花子「あ、あのいらっしゃい、ひま姉に…あかりお姉さん?」
向日葵「あのですね、花子ちゃん実を言うとですね」
あかり「はぁ、疲れた。さぁどうぞどうぞ、上がってあかりちゃん」
櫻子「え、えぇっと…でも」
花子「え、え、あかりお姉さん!?」
あかり「ほら、向日葵も早くあがれよ。花子、お茶とお菓子よろしくー…ん?」カタツカマレル
向日葵「人が一生懸命説明しようとしてる時に…櫻子ぉぉぉぉ!!!」ゴンッ
あかり「いたぁっ!?」
櫻子「あかりがぁ!?」ガ-ン
花子「…カオスだし」
花子「あ、あのいらっしゃい、ひま姉に…あかりお姉さん?」
向日葵「あのですね、花子ちゃん実を言うとですね」
あかり「はぁ、疲れた。さぁどうぞどうぞ、上がってあかりちゃん」
櫻子「え、えぇっと…でも」
花子「え、え、あかりお姉さん!?」
あかり「ほら、向日葵も早くあがれよ。花子、お茶とお菓子よろしくー…ん?」カタツカマレル
向日葵「人が一生懸命説明しようとしてる時に…櫻子ぉぉぉぉ!!!」ゴンッ
あかり「いたぁっ!?」
櫻子「あかりがぁ!?」ガ-ン
花子「…カオスだし」
16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 17:14:03 ID:00v05w2U
数分後
カクカクシカジカデスワ
撫子「…それで私が帰ってきたら玄関でひま子と赤座さんが言い争ってて、花子が櫻子に怯えてたんだ」
向日葵「お見苦しいところをおみせてして申し訳ございません…////」
花子「本当に怖かったし…櫻子が怖く思えたのは初めてだし」ガクガク
あかり「おぉ、この煎餅いいやつじゃんうめー!!」バリバリ
撫子「確かに姿は違うけど櫻子っぽいね…」
カクカクシカジカデスワ
撫子「…それで私が帰ってきたら玄関でひま子と赤座さんが言い争ってて、花子が櫻子に怯えてたんだ」
向日葵「お見苦しいところをおみせてして申し訳ございません…////」
花子「本当に怖かったし…櫻子が怖く思えたのは初めてだし」ガクガク
あかり「おぉ、この煎餅いいやつじゃんうめー!!」バリバリ
撫子「確かに姿は違うけど櫻子っぽいね…」
17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 17:14:38 ID:00v05w2U
櫻子「こんな非常識な話ですけど、し、信じてくれますか…?」
撫子「……」
櫻子「あ、あの撫子お姉さん?」
撫子「…あっ、ごめん普段なら見れない礼儀正しい櫻子に意識が飛んでたよ」
あかり「はっ、私はいつだって礼儀正しいだろ!!」バリバリ ゴックン
向日葵「だったら食べるか話すかどちらかにしなさいな」
18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 17:21:12 ID:00v05w2U
撫子「
19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 17:26:28 ID:00v05w2U
撫子(…朝の幼児退行した櫻子は別人だったのか。まぁ考えてみりゃそりゃそうだよね)
撫子(中身が変わるだけでこうも変わるものか…朝の櫻子)
撫子「…可愛かったな」ボソ
櫻子「へ、なんか言いました?」
撫子「ん、なんでもないよ。それと赤座あかりさん…」スクッ
櫻子「はい?」
撫子「うちの櫻子が迷惑をかけて申し訳ございませんでした」ドゲザ-
櫻子「えぇぇぇぇぇ!?」
撫子(中身が変わるだけでこうも変わるものか…朝の櫻子)
撫子「…可愛かったな」ボソ
櫻子「へ、なんか言いました?」
撫子「ん、なんでもないよ。それと赤座あかりさん…」スクッ
櫻子「はい?」
撫子「うちの櫻子が迷惑をかけて申し訳ございませんでした」ドゲザ-
櫻子「えぇぇぇぇぇ!?」
20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 17:40:54 ID:00v05w2U
撫子「櫻子に身体を盗られ、あの子が他の人を演じるほど器用にできてるわけありません。絶対に何か学校で迷惑かけられたでしょうから、妹に代わって私が謝罪します」ゲザ-
櫻子「あ、あの頭をあげてください。そんな、迷惑なんてことは…」
あかり「そうだよ、私が迷惑かけるわけないじゃん!!」
向日葵「他人の体で授業中寝てたくせに、寝言は寝て言いなさい」
花子「櫻子最低だし…」
撫子「本当に…誠に申し訳ございません。もはや弁解の余地もありません。踏まれようが文句は言えません」ゲゲザ-
櫻子「わわわわわっ!? わかりましたからもういいですからぁ!?」
櫻子「あ、あの頭をあげてください。そんな、迷惑なんてことは…」
あかり「そうだよ、私が迷惑かけるわけないじゃん!!」
向日葵「他人の体で授業中寝てたくせに、寝言は寝て言いなさい」
花子「櫻子最低だし…」
撫子「本当に…誠に申し訳ございません。もはや弁解の余地もありません。踏まれようが文句は言えません」ゲゲザ-
櫻子「わわわわわっ!? わかりましたからもういいですからぁ!?」
21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 18:45:02 ID:00v05w2U
撫子「ごめんね。驚かせちゃって…でも何かあったらすぐに言ってよ。遠慮なんかしないで」スタ
櫻子「はい、よろしくお願いします!!」
櫻子「それに迷惑なんて…」チラッ
あかり「なんかねーちゃん、いつもと違って優しくね?」
花子「撫子お姉ちゃんは櫻子以外には基本優しいし」
あかり「はぁ!? そんな差別だよ、さーベーつー!!」
花子「だったら撫子姉ちゃんやひま子に迷惑かけるなし!!」
撫子「あれでもそう言える?」
櫻子「あ、ははは…」
櫻子「はい、よろしくお願いします!!」
櫻子「それに迷惑なんて…」チラッ
あかり「なんかねーちゃん、いつもと違って優しくね?」
花子「撫子お姉ちゃんは櫻子以外には基本優しいし」
あかり「はぁ!? そんな差別だよ、さーベーつー!!」
花子「だったら撫子姉ちゃんやひま子に迷惑かけるなし!!」
撫子「あれでもそう言える?」
櫻子「あ、ははは…」
22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 19:42:00 ID:00v05w2U
あかり「ちぇっ、あかりちゃんばっかり。本物の大室櫻子は私なんだからね!! もっと姉を敬えー!!」
花子「むしろ偽物の方が良かったし。それに今は遺伝子レベルまで別人だから他人だし」
向日葵「まぁまぁ、落ち着いて。…この後ですが、赤座さんのお姉さんにも説明を…」
撫子「あっ、いいよ。それ私が説明しにいくよ」
向日葵「ですが…」
撫子「ひま子も家のことしないとダメでしょ? それにこれでも一応櫻子の姉だからね」
あかり「そうそう、向日葵は私の部屋でも掃除しとけ」
向日葵「それは自分でやりなさい」
撫子「とにかく、楓ちゃんも待ってるだろうし後は任せて。ここまでありがとう」
向日葵「…はい、では後はお願いします」ペコ
櫻子「向日葵ちゃん、色々とありがとう。すごい助かったよぉ」
向日葵「このくらいなんてことありませんわ。明日、戻ってるといいですね」
櫻子「うん…そうだね」
花子「むしろ偽物の方が良かったし。それに今は遺伝子レベルまで別人だから他人だし」
向日葵「まぁまぁ、落ち着いて。…この後ですが、赤座さんのお姉さんにも説明を…」
撫子「あっ、いいよ。それ私が説明しにいくよ」
向日葵「ですが…」
撫子「ひま子も家のことしないとダメでしょ? それにこれでも一応櫻子の姉だからね」
あかり「そうそう、向日葵は私の部屋でも掃除しとけ」
向日葵「それは自分でやりなさい」
撫子「とにかく、楓ちゃんも待ってるだろうし後は任せて。ここまでありがとう」
向日葵「…はい、では後はお願いします」ペコ
櫻子「向日葵ちゃん、色々とありがとう。すごい助かったよぉ」
向日葵「このくらいなんてことありませんわ。明日、戻ってるといいですね」
櫻子「うん…そうだね」
23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 20:07:26 ID:00v05w2U
ーーーー
ーーーーーー
ーーーーーーーーー
赤座家
あかり「よっし、あかりちゃんの家に到着!! インターホン押しちゃっていい?」
櫻子「うん、いいよぉ。多分お姉ちゃんは帰ってると思うから」
撫子「あかりちゃんの家、ご両親はどうしてるの? 今いるのかな?」
櫻子「あっ、そう言えば今日遅くまで出かけるって言ってました」
撫子「じゃあ、お姉さんしかいないのか。両親にはなんて説明したらいいかわからないしそっちの方が都合がいいけど」
ーーーーーー
ーーーーーーーーー
赤座家
あかり「よっし、あかりちゃんの家に到着!! インターホン押しちゃっていい?」
櫻子「うん、いいよぉ。多分お姉ちゃんは帰ってると思うから」
撫子「あかりちゃんの家、ご両親はどうしてるの? 今いるのかな?」
櫻子「あっ、そう言えば今日遅くまで出かけるって言ってました」
撫子「じゃあ、お姉さんしかいないのか。両親にはなんて説明したらいいかわからないしそっちの方が都合がいいけど」
24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 20:11:10 ID:00v05w2U
ピンボ-ンピンボ-ンピンボ-ンピンボ-ンピンボ-ンピンボ-ンピンボ-ンピンボ-ンピンボ-ンピンボ-ン
あかり「おーい、ただいまー!!」
櫻子「まさかの連打!?」
撫子「こら、迷惑でしょうし止めな」
あかり「あっごめんごめん。友達の家に来るとテンション上がるじゃん!!」
撫子「…状況わかってるの?」ハァ
あかり「おーい、ただいまー!!」
櫻子「まさかの連打!?」
撫子「こら、迷惑でしょうし止めな」
あかり「あっごめんごめん。友達の家に来るとテンション上がるじゃん!!」
撫子「…状況わかってるの?」ハァ
25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 20:14:14 ID:00v05w2U
ガチャ…
あかね「あら、お帰りなさい。あかり、今日は朝から随分と元気ね」ウフフ
あかり「いやー、朝からついつい気分が良くて」
あかね「そう、まるで別人みたいね」フフフ
あかり「そうかな。あはは」
撫子(櫻子の奴、別人だってことバレてるね。これは…)
撫子(赤座さんのお姉さんも明らかに不審がってるし)
あかね「あら、お帰りなさい。あかり、今日は朝から随分と元気ね」ウフフ
あかり「いやー、朝からついつい気分が良くて」
あかね「そう、まるで別人みたいね」フフフ
あかり「そうかな。あはは」
撫子(櫻子の奴、別人だってことバレてるね。これは…)
撫子(赤座さんのお姉さんも明らかに不審がってるし)
26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 20:54:55 ID:00v05w2U
あかね「あら、そちらの方々は?」
櫻子「えぇっと…お姉…ちゃん…」
あかね「…!?」ズキュ-ン
あかね(何かしら今のは!? 今この子からあかりの気配を感じたわ)ドキドキ
あかね(あかりの愛おしさをここまで表現してるなんて、まさか…?)ドキドキ
撫子「あの、お話があるんでいいでしょうか?」
櫻子「えぇっと…お姉…ちゃん…」
あかね「…!?」ズキュ-ン
あかね(何かしら今のは!? 今この子からあかりの気配を感じたわ)ドキドキ
あかね(あかりの愛おしさをここまで表現してるなんて、まさか…?)ドキドキ
撫子「あの、お話があるんでいいでしょうか?」
27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 21:01:43 ID:00v05w2U
カクカクシカジカフムフム
あかね「そう、つまり入れ替わってたということね」
撫子「そうみたいです…おかしいのは気づいてたみたいですが…」
あかね「えぇ、普段のあかりと違うのはすぐにわかったわ。でも、まさか入れ替わりなんて」チラ
あかり「あかりちゃん、このクッキーすごく美味しいよ!! あかりちゃんのお姉ちゃんって料理上手なんだね」
櫻子「えへへ、私も好きなんだぁ。お姉ちゃんが作ったクッキー」
あかね撫子「「はぁ…かわいいわぁ(なぁ)」」
あかねあかね撫子「「ん?」」
あかね「そう、つまり入れ替わってたということね」
撫子「そうみたいです…おかしいのは気づいてたみたいですが…」
あかね「えぇ、普段のあかりと違うのはすぐにわかったわ。でも、まさか入れ替わりなんて」チラ
あかり「あかりちゃん、このクッキーすごく美味しいよ!! あかりちゃんのお姉ちゃんって料理上手なんだね」
櫻子「えへへ、私も好きなんだぁ。お姉ちゃんが作ったクッキー」
あかね撫子「「はぁ…かわいいわぁ(なぁ)」」
あかねあかね撫子「「ん?」」
28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 21:09:11 ID:00v05w2U
撫子「そう言えば櫻子、あんたさっき煎餅食べたでしょ。あまり食べると夕飯たべれなくなるよ」
あかり「えー、いいじゃん。このくらい大丈夫だって。心配性だなー、ねーちゃんは」
撫子「それに人の体なんだし、ちょっとは気にしなさい」
櫻子「だ、大丈夫ですよ。あかりも櫻子ちゃんの体でクッキー食べてるし…」
あかり「あかりちゃん、ありがとうっ!!」ガバッ
櫻子「うわっ!? きゅ、急に抱きついたらびっくりしちゃうよぉ」
撫子「はぁ、ごめんねあかりちゃん。それと、すみません赤座さん」ペコ
あかね「うふふ、私は大丈夫よ。櫻子ちゃん…だったわね。そんなに気に入ったなら今度また作ってあげるわ」
あかり「えっ、本当ですか!! わーいわーい!!」
あかね(はぁ…こっちのあかりもいいわ…)
あかり「えー、いいじゃん。このくらい大丈夫だって。心配性だなー、ねーちゃんは」
撫子「それに人の体なんだし、ちょっとは気にしなさい」
櫻子「だ、大丈夫ですよ。あかりも櫻子ちゃんの体でクッキー食べてるし…」
あかり「あかりちゃん、ありがとうっ!!」ガバッ
櫻子「うわっ!? きゅ、急に抱きついたらびっくりしちゃうよぉ」
撫子「はぁ、ごめんねあかりちゃん。それと、すみません赤座さん」ペコ
あかね「うふふ、私は大丈夫よ。櫻子ちゃん…だったわね。そんなに気に入ったなら今度また作ってあげるわ」
あかり「えっ、本当ですか!! わーいわーい!!」
あかね(はぁ…こっちのあかりもいいわ…)
29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 21:23:26 ID:00v05w2U
あかね(あかりには悪いことはわかってる、けどもう少しこのあかりを見ていたいわ)
撫子(こっちの櫻子をもっと見ていたい…だけど、あかりちゃんに悪いし…)
あかね撫子((何か方法が…ん?))
あかね(……)メデアイズ
撫子(……)ウナズク
撫子(こっちの櫻子をもっと見ていたい…だけど、あかりちゃんに悪いし…)
あかね撫子((何か方法が…ん?))
あかね(……)メデアイズ
撫子(……)ウナズク
30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 21:30:02 ID:00v05w2U
あかね「ねぇ、あかりに櫻子ちゃん」
櫻子「なぁに、お姉ちゃん?」
あかり「はい、なんですか?」
あかね「あのね、この入れ替わりがいつまで続く変わらない。そうよね」
撫子「でも、明日には戻ってるかもしれない。そこでさっき話したんだけど」
あかり「は? 話してたっけ?」
撫子「とにかく今日はそれぞれの体の家で泊まった方がいいんじゃないかってね」
櫻子「なぁに、お姉ちゃん?」
あかり「はい、なんですか?」
あかね「あのね、この入れ替わりがいつまで続く変わらない。そうよね」
撫子「でも、明日には戻ってるかもしれない。そこでさっき話したんだけど」
あかり「は? 話してたっけ?」
撫子「とにかく今日はそれぞれの体の家で泊まった方がいいんじゃないかってね」
31: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 21:39:14 ID:00v05w2U
櫻子「それってあかりが櫻子ちゃんの家に帰るってことでぉ?」
あかり「ってことはここで泊まるのか!! 今日食事当番だったしラッキーじゃん!!」
撫子「…やらなかった分は戻った時まとめてやってもらうけどね」
あかり「えぇー、そんなー…」ガクッ
あかね「明日様子を見てこれからのことをもう一度決めましょう。その時はお互いの両親にも相談してみるのが1番だと思うの」
あかり「ってことはここで泊まるのか!! 今日食事当番だったしラッキーじゃん!!」
撫子「…やらなかった分は戻った時まとめてやってもらうけどね」
あかり「えぇー、そんなー…」ガクッ
あかね「明日様子を見てこれからのことをもう一度決めましょう。その時はお互いの両親にも相談してみるのが1番だと思うの」
32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 21:49:02 ID:00v05w2U
櫻子「うーん、櫻子ちゃんの家にあかりが行っても大丈夫かなぁ…」
撫子「大丈夫だよ。大したおもてなしもできないけど…歓迎するよ」
櫻子「ありがとうございます。撫子お姉さん!!」ニコォ
撫子「おぉ…(眩しい笑顔…これは癖になるね)」
あかね「うふふ、すっかり仲良しさんみたいね」
櫻子「あ、お姉ちゃん、あかり行ってくるね」
あかね「えぇ、いってらっしゃい。だけど、何かあったらすぐに電話していいのよ」
櫻子「心配性だよぉ、結衣ちゃんの家にだって何度も泊まってるんだからっ!!」
あかね「そうだったわね」
あかね(あかりと離れるのは辛いわ…だけど、今日だけ今日だけはこの天真爛漫な天使のための許して、あかり)
撫子「大丈夫だよ。大したおもてなしもできないけど…歓迎するよ」
櫻子「ありがとうございます。撫子お姉さん!!」ニコォ
撫子「おぉ…(眩しい笑顔…これは癖になるね)」
あかね「うふふ、すっかり仲良しさんみたいね」
櫻子「あ、お姉ちゃん、あかり行ってくるね」
あかね「えぇ、いってらっしゃい。だけど、何かあったらすぐに電話していいのよ」
櫻子「心配性だよぉ、結衣ちゃんの家にだって何度も泊まってるんだからっ!!」
あかね「そうだったわね」
あかね(あかりと離れるのは辛いわ…だけど、今日だけ今日だけはこの天真爛漫な天使のための許して、あかり)
33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/03(日) 21:53:13 ID:00v05w2U
撫子「櫻子、赤座さんに迷惑かけちゃダメだよ」
あかり「大丈夫だって、私が迷惑かけるわけないじゃん、花子じゃあるまいし」
撫子「花子の方が安心できるんだけど…」ハァ
あかね「ふふふ、大丈夫よ心配しないで、今日よろしくね櫻子ちゃん」
あかり「はい、よろしくお願いします!!」
あかり「大丈夫だって、私が迷惑かけるわけないじゃん、花子じゃあるまいし」
撫子「花子の方が安心できるんだけど…」ハァ
あかね「ふふふ、大丈夫よ心配しないで、今日よろしくね櫻子ちゃん」
あかり「はい、よろしくお願いします!!」
35: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/04(月) 19:26:14 ID:/HLHbI2A
大室家
撫子「ただいま」
櫻子「お邪魔しまーす」
花子「おかえりだし…えぇっと、櫻子とあかりお姉さんどっちですか?」
櫻子「あかりだよ、花子ちゃん」
撫子「ということで今日はあかりちゃんが櫻子の代わりに家で過ごすことになったから」
撫子「ただいま」
櫻子「お邪魔しまーす」
花子「おかえりだし…えぇっと、櫻子とあかりお姉さんどっちですか?」
櫻子「あかりだよ、花子ちゃん」
撫子「ということで今日はあかりちゃんが櫻子の代わりに家で過ごすことになったから」
36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/04(月) 19:32:39 ID:/HLHbI2A
櫻子「櫻子ちゃんじゃなくてごめんね、あかりじゃ櫻子ちゃんの代わりになれないしガッカリだと思うけど…」
花子「気にしなくていいし…むしろ櫻子が帰ってきた方ががっかりしたし」
櫻子「それは言い過ぎなんじゃ…」
花子「とにかくあかりお姉さんで良かったし。櫻子がいてもうるさいだけだし」
撫子「あかりちゃんの家にいる櫻子がちょっと心配だけどね。絶対迷惑かけてるだろうし」
櫻子(櫻子ちゃん、散々言われてるよぉ…「
花子「気にしなくていいし…むしろ櫻子が帰ってきた方ががっかりしたし」
櫻子「それは言い過ぎなんじゃ…」
花子「とにかくあかりお姉さんで良かったし。櫻子がいてもうるさいだけだし」
撫子「あかりちゃんの家にいる櫻子がちょっと心配だけどね。絶対迷惑かけてるだろうし」
櫻子(櫻子ちゃん、散々言われてるよぉ…「
37: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/04(月) 19:51:59 ID:/HLHbI2A
赤座家
あかり「へっくしゅん!!」
あかね「あら、大丈夫、櫻子ちゃん」
あかり「大丈夫大丈夫!!このくらいへっちゃらですよ!!」
あかり「きっとねーちゃんや花子が大室家を支えてた私がいないから、寂しくて噂してただけですって。きっと!!」
あかね「うふふ、そうね」
あかね(このあかりもかわいいぃわ)
あかり「へっくしゅん!!」
あかね「あら、大丈夫、櫻子ちゃん」
あかり「大丈夫大丈夫!!このくらいへっちゃらですよ!!」
あかり「きっとねーちゃんや花子が大室家を支えてた私がいないから、寂しくて噂してただけですって。きっと!!」
あかね「うふふ、そうね」
あかね(このあかりもかわいいぃわ)
38: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/04(月) 20:11:04 ID:/HLHbI2A
撫子「それじゃ、私は夕飯の準備するからあかりちゃんはゆっくりと休んでな」
櫻子「あ、あの…」
撫子「ん?」
櫻子「あかりもお手伝いしてもいいですか? あまり料理は上手じゃないですけど…」
撫子「………あっ、ごめん。まず櫻子の口からは出ない言葉だろうからちょっと意識が飛んでたよ」
櫻子「そこまでっ!?」
撫子「でもあかりちゃんはお客さんみたいなものだし、そんな遠慮しなくてもいいんだよ」
花子「そうだし、あかりお姉ちゃんは休んでてください…。撫子お姉ちゃんと2人で準備しますから」
櫻子「あ、あの…」
撫子「ん?」
櫻子「あかりもお手伝いしてもいいですか? あまり料理は上手じゃないですけど…」
撫子「………あっ、ごめん。まず櫻子の口からは出ない言葉だろうからちょっと意識が飛んでたよ」
櫻子「そこまでっ!?」
撫子「でもあかりちゃんはお客さんみたいなものだし、そんな遠慮しなくてもいいんだよ」
花子「そうだし、あかりお姉ちゃんは休んでてください…。撫子お姉ちゃんと2人で準備しますから」
39: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/05(火) 07:42:42 ID:Ry50yklE
櫻子「でもあかりは今櫻子ちゃんだから、お客さんじゃなくて姉妹ですよね? ダメ…ですか?」
撫子「…わかった。それじゃ3人で作ろうか」
櫻子「いいんですか?」
撫子「今はあかりちゃんは妹だからね、妹の頼みは断れないよ」
櫻子「ありがとうございます!! あかり、頑張ります!!」
撫子「それじゃ、急いで準備しちゃおうか」
撫子「…わかった。それじゃ3人で作ろうか」
櫻子「いいんですか?」
撫子「今はあかりちゃんは妹だからね、妹の頼みは断れないよ」
櫻子「ありがとうございます!! あかり、頑張ります!!」
撫子「それじゃ、急いで準備しちゃおうか」
41: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/05(火) 17:25:00 ID:9j9nIB.g
撫子「あかりちゃんは何か食べたいものある?」
櫻子「なんでも大丈夫です。あっ、辛いものはちょっと…」
撫子「だから遠慮しなくてもいいよ。食べたいもの言ってよ」
櫻子「それじゃ、オムライスでも…いいですか?」
撫子「うん、オムライスだね。花子もそれで大丈夫?」
花子「あかりお姉さんが食べたいならそれでいいし」
櫻子「ありがとう、花子ちゃん」ニコッ ナデナデ
花子「べ、別に大したことしてないです////」
花子(この櫻子は反則だし…///)
櫻子「なんでも大丈夫です。あっ、辛いものはちょっと…」
撫子「だから遠慮しなくてもいいよ。食べたいもの言ってよ」
櫻子「それじゃ、オムライスでも…いいですか?」
撫子「うん、オムライスだね。花子もそれで大丈夫?」
花子「あかりお姉さんが食べたいならそれでいいし」
櫻子「ありがとう、花子ちゃん」ニコッ ナデナデ
花子「べ、別に大したことしてないです////」
花子(この櫻子は反則だし…///)
42: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/05(火) 18:39:39 ID:9j9nIB.g
料理中
櫻子「ふんふふふ~ん」
花子(見た目は櫻子だけど、あかりお姉さんだから別人に感じるし…)
櫻子「うぅ…うぅ…」シクシク
花子(急に泣き出した!?)
花子「あかりお姉さん、どうしたんですか!?」
櫻子「え、あ、えぇっとね…」タマネギキッテルヨォ
花子「あっ、玉ねぎ…」
櫻子「えへへ、玉ねぎが目にしみちゃって。涙が出ちゃったよぉ」
花子「変わりましょうか?」
櫻子「え、大丈夫だよぉ!! 今はあかりが花子ちゃんのお姉ちゃんだもん。だから、あかりに任せてっ!!」
花子「そうですか…」
花子(櫻子と一緒で目が離せないのは一緒だけど…)
櫻子「ふんふふふ~ん」
花子(見た目は櫻子だけど、あかりお姉さんだから別人に感じるし…)
櫻子「うぅ…うぅ…」シクシク
花子(急に泣き出した!?)
花子「あかりお姉さん、どうしたんですか!?」
櫻子「え、あ、えぇっとね…」タマネギキッテルヨォ
花子「あっ、玉ねぎ…」
櫻子「えへへ、玉ねぎが目にしみちゃって。涙が出ちゃったよぉ」
花子「変わりましょうか?」
櫻子「え、大丈夫だよぉ!! 今はあかりが花子ちゃんのお姉ちゃんだもん。だから、あかりに任せてっ!!」
花子「そうですか…」
花子(櫻子と一緒で目が離せないのは一緒だけど…)
43: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/05(火) 18:58:55 ID:9j9nIB.g
櫻子「あっ、そうだ花子ちゃん」
花子「はい?なんですか?」
櫻子「そう喋り方だよぉ!!」
花子「え? 」
櫻子「いつも櫻子ちゃんに話すような話し方でもいいよぉ、花子ちゃんさっきから無理してるでしょ?」
花子「無理はしてないですけど、でも櫻子と同じだとあかりお姉さんに失礼ですし」
櫻子「大丈夫だよぉ。それに今はあかりが花子ちゃんのお姉ちゃんなんだからねぇ」
撫子「だってさ、あかりちゃんがこう言ってるからいいんじゃない?」
花子(そういえば撫子姉ちゃんもいつの間に赤座さんからあかりちゃんになってるし…)
花子「わかったし。それじゃこれからは櫻子に話すように喋るし」
櫻子「わぁい、ありがとうっ」ダキ
花子「うわぁっ!? 急に抱きつかないで欲しいし////」
撫子(妹たちが可愛い)
花子「はい?なんですか?」
櫻子「そう喋り方だよぉ!!」
花子「え? 」
櫻子「いつも櫻子ちゃんに話すような話し方でもいいよぉ、花子ちゃんさっきから無理してるでしょ?」
花子「無理はしてないですけど、でも櫻子と同じだとあかりお姉さんに失礼ですし」
櫻子「大丈夫だよぉ。それに今はあかりが花子ちゃんのお姉ちゃんなんだからねぇ」
撫子「だってさ、あかりちゃんがこう言ってるからいいんじゃない?」
花子(そういえば撫子姉ちゃんもいつの間に赤座さんからあかりちゃんになってるし…)
花子「わかったし。それじゃこれからは櫻子に話すように喋るし」
櫻子「わぁい、ありがとうっ」ダキ
花子「うわぁっ!? 急に抱きつかないで欲しいし////」
撫子(妹たちが可愛い)
44: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/05(火) 20:41:23 ID:Ry50yklE
赤座家 夕食中
あかね「はっ!?」
あかり「もぐもぐ…ふぇ、どうしたんですか?」パクパクモグモグ
あかね「いいえ、今あかりの波動を感じて」
あかり「あかりちゃん? え、どこかにいるの?」
あかね「いいえ、なんでもないわ。それよりも、美味しい?」
あかり「すげー美味いですっ!! 羨ましいなぁ、あかりちゃんいつもこんな美味しいの食べてるなんて」ムシャムシャ
あかね「いいえ、今日は櫻子ちゃんが来たから張り切っただけ。気に入ってくれて良かったわ」
あかね「はっ!?」
あかり「もぐもぐ…ふぇ、どうしたんですか?」パクパクモグモグ
あかね「いいえ、今あかりの波動を感じて」
あかり「あかりちゃん? え、どこかにいるの?」
あかね「いいえ、なんでもないわ。それよりも、美味しい?」
あかり「すげー美味いですっ!! 羨ましいなぁ、あかりちゃんいつもこんな美味しいの食べてるなんて」ムシャムシャ
あかね「いいえ、今日は櫻子ちゃんが来たから張り切っただけ。気に入ってくれて良かったわ」
45: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/05(火) 20:59:56 ID:Ry50yklE
あかり「ごっくん…ごちそうさまでした!!」
あかね「お粗末様。それじゃ片付けちゃうから櫻子ちゃんは休んでて」
あかり「いいんですか!! ねーちゃんなら食べたものくらい片付けろーっていつも言うんですよ」
あかり「しかも花子も一緒になって言って来ますし。あかりちゃんのおねーさんみたいな優しいねーちゃんが欲しかったな」
あかね「そんな事言われると照れちゃうわ。でもお姉さんや妹さんは櫻子ちゃんのためを思って言ってると思うわ」
あかり「そうですか?」
あかね「えぇ、大人になった時、何も出来ないんじゃ困っちゃうじゃない。だからね、それは2人の愛情よ、きっと」
あかね(ただ妹にも言われるのはちょっとどうかしら?)
あかり「うーん、そうなのかなぁ?」
あかね「お粗末様。それじゃ片付けちゃうから櫻子ちゃんは休んでて」
あかり「いいんですか!! ねーちゃんなら食べたものくらい片付けろーっていつも言うんですよ」
あかり「しかも花子も一緒になって言って来ますし。あかりちゃんのおねーさんみたいな優しいねーちゃんが欲しかったな」
あかね「そんな事言われると照れちゃうわ。でもお姉さんや妹さんは櫻子ちゃんのためを思って言ってると思うわ」
あかり「そうですか?」
あかね「えぇ、大人になった時、何も出来ないんじゃ困っちゃうじゃない。だからね、それは2人の愛情よ、きっと」
あかね(ただ妹にも言われるのはちょっとどうかしら?)
あかり「うーん、そうなのかなぁ?」
46: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/05(火) 21:16:15 ID:Ry50yklE
あかり「よしっ!! それじゃ、私が片付けします!!」
あかね「そんな、いいのよ」
あかり「大丈夫ですっ!! すごい美味しいご飯も作ってくれましたし、これくらいしないと!!」
あかり「えぇっと、これはどこに片せば…」ミギミテヒダリミテ
あかね「それじゃ2人で片しましょうか。そっちの方が早く終わるわ」
櫻子「はいっ!!」
あかね「そんな、いいのよ」
あかり「大丈夫ですっ!! すごい美味しいご飯も作ってくれましたし、これくらいしないと!!」
あかり「えぇっと、これはどこに片せば…」ミギミテヒダリミテ
あかね「それじゃ2人で片しましょうか。そっちの方が早く終わるわ」
櫻子「はいっ!!」
47: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/05(火) 21:25:48 ID:Ry50yklE
あかね「そうだ、櫻子ちゃん」
あかり「なんですか?」
あかね「あかりちゃんのおねーさんっていうのは他人行儀だし、せっかく今は姉妹なんだから…」
あかね「いつも家で呼んでるように"ねーちゃん"って呼んだ方がいいんじゃないかしら?」
あかね「ほら、話し方もそんな気を使わず、いつも通りでいいのよ」
あかり「確かにっ!! 」
あかり「それじゃ、ねーちゃん一緒に片付けちゃおうよっ!!」
あかね「ぐはっ!?」バタンッ
あかり「え、なんで!?」
あかね「…だ、大丈夫…よ…ちょ、ちょっと…目眩がした…だけ…だか、ら」
あかね(ねーちゃん呼びで砕けた話し方のあかり…ちょっと心臓に悪かったわ…がくっ)
あかり「ねーちゃああああああん!?」
あかり「なんですか?」
あかね「あかりちゃんのおねーさんっていうのは他人行儀だし、せっかく今は姉妹なんだから…」
あかね「いつも家で呼んでるように"ねーちゃん"って呼んだ方がいいんじゃないかしら?」
あかね「ほら、話し方もそんな気を使わず、いつも通りでいいのよ」
あかり「確かにっ!! 」
あかり「それじゃ、ねーちゃん一緒に片付けちゃおうよっ!!」
あかね「ぐはっ!?」バタンッ
あかり「え、なんで!?」
あかね「…だ、大丈夫…よ…ちょ、ちょっと…目眩がした…だけ…だか、ら」
あかね(ねーちゃん呼びで砕けた話し方のあかり…ちょっと心臓に悪かったわ…がくっ)
あかり「ねーちゃああああああん!?」
48: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/05(火) 21:31:48 ID:Ry50yklE
大室家
櫻子「はぁ、気持ち良かったぁ」ホカホカ
花子「いいお湯だったし」ホカホカ
撫子「おかえり、お風呂どうだった?」
櫻子「えへへ、花子ちゃんと色々とお話しできて良かったです。櫻子ちゃんのこととか」
花子「ちょ、あかりお姉さん、それは言わないでほしいし////」
櫻子「あっ、ごめん。えへへ」
花子「まったくだっし。あかりお姉さんだから話したのに////」
撫子「へー…」
撫子(何があったかわからないけど、結構距離は縮まったみたいだね)
櫻子「はぁ、気持ち良かったぁ」ホカホカ
花子「いいお湯だったし」ホカホカ
撫子「おかえり、お風呂どうだった?」
櫻子「えへへ、花子ちゃんと色々とお話しできて良かったです。櫻子ちゃんのこととか」
花子「ちょ、あかりお姉さん、それは言わないでほしいし////」
櫻子「あっ、ごめん。えへへ」
花子「まったくだっし。あかりお姉さんだから話したのに////」
撫子「へー…」
撫子(何があったかわからないけど、結構距離は縮まったみたいだね)
49: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/05(火) 21:35:50 ID:Ry50yklE
櫻子「あっ、そうだ!?」
撫子「どうしたの、急に?」
櫻子「今日宿題が出てたの忘れてたんですよぉ。やらないと櫻子ちゃんに悪いですもんね」
撫子「いや、悪くはないと…」
櫻子「今すぐやれば9時には終わるよね? よぉし、頑張らないと!!」
撫子「…あかりちゃんは櫻子の代わりに宿題してるけど…櫻子はしてると思う?」
花子「絶対に忘れてると思うし」
櫻子「仕方ない。後で電話しておこうか…」ハァ
撫子「どうしたの、急に?」
櫻子「今日宿題が出てたの忘れてたんですよぉ。やらないと櫻子ちゃんに悪いですもんね」
撫子「いや、悪くはないと…」
櫻子「今すぐやれば9時には終わるよね? よぉし、頑張らないと!!」
撫子「…あかりちゃんは櫻子の代わりに宿題してるけど…櫻子はしてると思う?」
花子「絶対に忘れてると思うし」
櫻子「仕方ない。後で電話しておこうか…」ハァ
50: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/05(火) 21:45:44 ID:Ry50yklE
赤座家 9時近く
あかり「お、終わったぁ…」グッタリ
あかね「お疲れ様、頑張ったわね」
あかり「ちくしょー、撫子ねーちゃんめぇ…まさか宿題をするように電話してくるなんて…」
あかり「そりゃ、あかりちゃんには迷惑かけられないけどさ、何も電話してこなくても…ふぁぁ…」
あかね「あら、もうこんな時間ね」
あかり「こんな時間ってまだ9時、じゃ…」ウトウト
あかね「あかりは普段から9時ごろには寝ちゃうから、きっとあかりの体が眠くなっちゃったのね」
あかり「そ、そんなぁ…見たいテレビと…あったの、にぃ…ぐぅ…」ウトウト コクン
あかね「無理しちゃダメよ。ってもう寝ちゃったみたいね」
あかね「ふふふふふふふ、仕方ないわね仕方ないことよ。あかりをベッドまで運んだらたまたま私も眠くなったたまたまあかりのベッドでたまたま一緒に寝ただけだから」ヨイショ
あかり「ぐぅーぐぅー」
あかね「今日は色々といい日だったわ珍しいあかりも見れて、言いくるめ…色々わからないことがあるからって一緒にお風呂に入れたし」
あかね「状況が状況だから楽しんじゃダメだけど、今日くらいいいわよね?」
あかね「おやすみ、櫻子ちゃん」
あかり「お、終わったぁ…」グッタリ
あかね「お疲れ様、頑張ったわね」
あかり「ちくしょー、撫子ねーちゃんめぇ…まさか宿題をするように電話してくるなんて…」
あかり「そりゃ、あかりちゃんには迷惑かけられないけどさ、何も電話してこなくても…ふぁぁ…」
あかね「あら、もうこんな時間ね」
あかり「こんな時間ってまだ9時、じゃ…」ウトウト
あかね「あかりは普段から9時ごろには寝ちゃうから、きっとあかりの体が眠くなっちゃったのね」
あかり「そ、そんなぁ…見たいテレビと…あったの、にぃ…ぐぅ…」ウトウト コクン
あかね「無理しちゃダメよ。ってもう寝ちゃったみたいね」
あかね「ふふふふふふふ、仕方ないわね仕方ないことよ。あかりをベッドまで運んだらたまたま私も眠くなったたまたまあかりのベッドでたまたま一緒に寝ただけだから」ヨイショ
あかり「ぐぅーぐぅー」
あかね「今日は色々といい日だったわ珍しいあかりも見れて、言いくるめ…色々わからないことがあるからって一緒にお風呂に入れたし」
あかね「状況が状況だから楽しんじゃダメだけど、今日くらいいいわよね?」
あかね「おやすみ、櫻子ちゃん」
51: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/05(火) 22:11:01 ID:Ry50yklE
大室家 撫子部屋
コンコン
撫子「ん、どうぞ」
櫻子「ごめんなさい、こんな時間に」
撫子「こんな時間って…まだ9時ちょっと過ぎたくらいで遅くはないよ」
櫻子「あかりはいつも9時には寝ちゃうから、それで今日は全然眠くなくて…」
撫子「今は櫻子の体だから、きっと眠くならないんだよ。あの子結構遅くまで起きてるから
その癖、朝は起きるの遅くてひま子にも迷惑かけてるけど」
櫻子「ははは…。でこんな時間まで起きないから何をすればいいかわからなくて」
撫子「花子は寝ちゃったし、それでここに来たんだ。いいよ」
櫻子「いいんですかぁ!!」
撫子「もちろん。あかりちゃんだって話したくて来たんでしょ?」
櫻子「はい。まだ撫子お姉さんときちんと話してないことを思い出して」
撫子「私もだよ。あかりちゃんのこと、色々と知りたいし、おいで」
櫻子「うんっ!!」
コンコン
撫子「ん、どうぞ」
櫻子「ごめんなさい、こんな時間に」
撫子「こんな時間って…まだ9時ちょっと過ぎたくらいで遅くはないよ」
櫻子「あかりはいつも9時には寝ちゃうから、それで今日は全然眠くなくて…」
撫子「今は櫻子の体だから、きっと眠くならないんだよ。あの子結構遅くまで起きてるから
その癖、朝は起きるの遅くてひま子にも迷惑かけてるけど」
櫻子「ははは…。でこんな時間まで起きないから何をすればいいかわからなくて」
撫子「花子は寝ちゃったし、それでここに来たんだ。いいよ」
櫻子「いいんですかぁ!!」
撫子「もちろん。あかりちゃんだって話したくて来たんでしょ?」
櫻子「はい。まだ撫子お姉さんときちんと話してないことを思い出して」
撫子「私もだよ。あかりちゃんのこと、色々と知りたいし、おいで」
櫻子「うんっ!!」
52: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/05(火) 22:15:00 ID:Ry50yklE
ーーーー
ーーーーーー
ーーーーーーーー
櫻子「すぅーすぅー…」
撫子「寝ちゃったか…。ふぅ、ごらく部とか櫻子のこととか本当に楽しそうに話して…」
撫子「なんだか、昔の櫻子を思い出して懐かしかったかな…」
撫子「部屋まで運ぶのもあれだし…ここでもいいよね」ナデナテ
櫻子「…えへへへぇ」
撫子「おやすみ、あかりちゃん」
ーーーーーー
ーーーーーーーー
櫻子「すぅーすぅー…」
撫子「寝ちゃったか…。ふぅ、ごらく部とか櫻子のこととか本当に楽しそうに話して…」
撫子「なんだか、昔の櫻子を思い出して懐かしかったかな…」
撫子「部屋まで運ぶのもあれだし…ここでもいいよね」ナデナテ
櫻子「…えへへへぇ」
撫子「おやすみ、あかりちゃん」
53: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/05(火) 22:24:18 ID:Ry50yklE
翌日
櫻子「うわっ!?」トガッ
撫子「いたっ!?」ケラレル
櫻子「へ? なんでねーちゃんがここにいるの? あれ、私昨日はあかりちゃんの家にいたよね? なんか寝てる間誰かに抱きつかれてる気がしたけど…」
撫子「その反応…櫻子だね」
櫻子「はぁ、当たり前じゃん!! どこからどう見ても…って」
櫻子「戻ってる!?」
撫子「はぁ…戻っちゃったね」
櫻子「ため息ついた!? 酷くねっ!?」
撫子「いいから、花子にも報告してきな。花子も櫻子のこと待ってたから」
櫻子「え、ははぁーん、花子のやつ、私がいなくてさみしくなったかー、可愛いいやつめ…よぉーし!!」ドタドタ
バタ-ン
ハナコ,サクラコサマガモドッタゾ-
モドッテコナクテイイシ,アカリオネエサンガヨカッタシ
ヒドツ!?
撫子「はぁ…戻った瞬間騒動しい…」
櫻子「うわっ!?」トガッ
撫子「いたっ!?」ケラレル
櫻子「へ? なんでねーちゃんがここにいるの? あれ、私昨日はあかりちゃんの家にいたよね? なんか寝てる間誰かに抱きつかれてる気がしたけど…」
撫子「その反応…櫻子だね」
櫻子「はぁ、当たり前じゃん!! どこからどう見ても…って」
櫻子「戻ってる!?」
撫子「はぁ…戻っちゃったね」
櫻子「ため息ついた!? 酷くねっ!?」
撫子「いいから、花子にも報告してきな。花子も櫻子のこと待ってたから」
櫻子「え、ははぁーん、花子のやつ、私がいなくてさみしくなったかー、可愛いいやつめ…よぉーし!!」ドタドタ
バタ-ン
ハナコ,サクラコサマガモドッタゾ-
モドッテコナクテイイシ,アカリオネエサンガヨカッタシ
ヒドツ!?
撫子「はぁ…戻った瞬間騒動しい…」
54: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/05(火) 22:27:39 ID:Ry50yklE
数ヶ月後
向日葵「楓、それではいってきますね。ってあら?」
櫻子「…おはよう」
向日葵「……櫻子がこの時間に迎えに来てるということは…赤座さんですわね」
櫻子「うん。今日はあかりだよぉ」
向日葵「楓、それではいってきますね。ってあら?」
櫻子「…おはよう」
向日葵「……櫻子がこの時間に迎えに来てるということは…赤座さんですわね」
櫻子「うん。今日はあかりだよぉ」
55: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/05(火) 22:32:23 ID:Ry50yklE
あの騒動の後戻った2人は数日後また入れ替わっておりました
それからというもの、何日かおきに入れ替わったりして
慌ただしい日々を送る2人…
向日葵「本当になんなんでしょうね? まさか彗星が落ちてくるってことはないですわよね」
櫻子「それはないと思うよぉ」
向日葵「今朝はどうでしたの?」
櫻子「今日は櫻子ちゃんだったけど撫子お姉ちゃんや花子ちゃんが協力してくれて助かったよぉ」
最も当事者たちが楽しんでいるような気がして
危機感が全く感じられない日々が続いていますが
それからというもの、何日かおきに入れ替わったりして
慌ただしい日々を送る2人…
向日葵「本当になんなんでしょうね? まさか彗星が落ちてくるってことはないですわよね」
櫻子「それはないと思うよぉ」
向日葵「今朝はどうでしたの?」
櫻子「今日は櫻子ちゃんだったけど撫子お姉ちゃんや花子ちゃんが協力してくれて助かったよぉ」
最も当事者たちが楽しんでいるような気がして
危機感が全く感じられない日々が続いていますが
56: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/05(火) 22:36:10 ID:Ry50yklE
向日葵「急ぎましょう。赤座さん、早く櫻子を迎えに行かないと」
向日葵「あかねさんは櫻子に甘いですから遅刻してしまいますわよ!!」タタタタッ
櫻子「うぇっ!? ちょ、ちょっと待ってよぉ!?」タタタッ
櫻子「向日葵ちゃああああん!?」
まぁ、日々変わる2人を観察するには面白いですし
私もこんな日々を楽しんでいますので、人のことは言えませんが。
おわり
向日葵「あかねさんは櫻子に甘いですから遅刻してしまいますわよ!!」タタタタッ
櫻子「うぇっ!? ちょ、ちょっと待ってよぉ!?」タタタッ
櫻子「向日葵ちゃああああん!?」
まぁ、日々変わる2人を観察するには面白いですし
私もこんな日々を楽しんでいますので、人のことは言えませんが。
おわり
61: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/15(金) 18:08:54 ID:nhzG65Nc
赤座家 夜
あかり「それで京子ちゃんがね…」
あかね「そう、それは楽しそうね」
あかり「うん!! あかりも驚いたけどすごく楽しかったよぉ。ふぁぁ…」アクビ
あかね「あら、もう9時すぎてたのね。あかりの話に夢中で気づかなかったわ」トケイミル
あかり「うん、あかりも。…なんだか、最近9時前にあまり眠くならなくなってるような気がするなぁ」
あかね(櫻子ちゃん、あかりの体で夜更かししようと頑張ってるものね…頑張っても9時半には寝ちゃうけれど)
あかね「それじゃ、おやすみ。あかり」
あかり「うん、お休み!! お姉ちゃん」
バタン タタタタタタッ
あかね「うふふ、今日もあかりは可愛かったわぁ。やっぱりあかりは天使ね。明日は…どっちの天使かしら。ふふふ…」
あかね「はぁ…最近色んなあかりが見れて幸せすぎて辛いわ」
あかり「それで京子ちゃんがね…」
あかね「そう、それは楽しそうね」
あかり「うん!! あかりも驚いたけどすごく楽しかったよぉ。ふぁぁ…」アクビ
あかね「あら、もう9時すぎてたのね。あかりの話に夢中で気づかなかったわ」トケイミル
あかり「うん、あかりも。…なんだか、最近9時前にあまり眠くならなくなってるような気がするなぁ」
あかね(櫻子ちゃん、あかりの体で夜更かししようと頑張ってるものね…頑張っても9時半には寝ちゃうけれど)
あかね「それじゃ、おやすみ。あかり」
あかり「うん、お休み!! お姉ちゃん」
バタン タタタタタタッ
あかね「うふふ、今日もあかりは可愛かったわぁ。やっぱりあかりは天使ね。明日は…どっちの天使かしら。ふふふ…」
あかね「はぁ…最近色んなあかりが見れて幸せすぎて辛いわ」
62: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/15(金) 18:12:34 ID:nhzG65Nc
翌日
赤座母「あら、今日はあかり起きるの遅いわね? あかね、あかりのこと起こしてきてくれない」
あかね「っ!? えぇ任せて、ちょっと見てくるわ!!」タタタタッ
赤座母「ありがとう、ってもういないわ。別にそんな急いで行かなくとも…」
赤座母「それにしてもあかりが変ねぇ。あの子がこの時間になっても起きないなんて」
赤座母「あら、今日はあかり起きるの遅いわね? あかね、あかりのこと起こしてきてくれない」
あかね「っ!? えぇ任せて、ちょっと見てくるわ!!」タタタタッ
赤座母「ありがとう、ってもういないわ。別にそんな急いで行かなくとも…」
赤座母「それにしてもあかりが変ねぇ。あの子がこの時間になっても起きないなんて」
63: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/15(金) 18:20:27 ID:nhzG65Nc
あかね「この時間になっても起きないとなると…、ただお寝坊さんなだけかもしれないけれど…」
あかね「うふふふ…あかり、入るわよ」
ガチャ
あかり「ぐー…がー…ぐー…むにゃむにゃ」バクスイチュウ
あかね「…………」ケイタイトリダス
あかね「…………」カメラキドウ
パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ
あかね「うふふふ…あかり、入るわよ」
ガチャ
あかり「ぐー…がー…ぐー…むにゃむにゃ」バクスイチュウ
あかね「…………」ケイタイトリダス
あかね「…………」カメラキドウ
パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ
64: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/15(金) 18:25:46 ID:nhzG65Nc
あかね(毛布を蹴っ飛ばし、ちょっとお腹を出して、涎を垂らしながら気持ちよさそうに寝てるあかり…)パシャパシャパシャパシャパシャパシャ
あかね(この姿を写真に収めなかったらそれこそ罪よ!!)パシャパシャパシャパシャパシャパシャ
あかね(朝からこんな可愛らしい姿を拝めるなんて!! 今日は大安だったかしら!!)パシャパシャパシャパシャパシャパシャ
あかね(あぁん、もうダメ!! 可愛らしすぎるあかりあかりいいいいいいいい!!)パシャパシャパシャパシャパシャパシャ
あかり「ぐー…へへーん…おっぱい大きくなったぞー…」ムニャムニャ
赤座母「あの子達…降りてこないわねぇ?」
あかね(この姿を写真に収めなかったらそれこそ罪よ!!)パシャパシャパシャパシャパシャパシャ
あかね(朝からこんな可愛らしい姿を拝めるなんて!! 今日は大安だったかしら!!)パシャパシャパシャパシャパシャパシャ
あかね(あぁん、もうダメ!! 可愛らしすぎるあかりあかりいいいいいいいい!!)パシャパシャパシャパシャパシャパシャ
あかり「ぐー…へへーん…おっぱい大きくなったぞー…」ムニャムニャ
赤座母「あの子達…降りてこないわねぇ?」
65: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/15(金) 18:34:58 ID:nhzG65Nc
大室家 夜
TV〈ッテナンデヤネ-ン
櫻子「あははははっ!! はー…おかしいっ!!」オナカオサエ
撫子「こら、いつまでもテレビ見てないで、早く寝な」
櫻子「はー? 別いいじゃん、ねーちゃんに迷惑かけてないし」
撫子「迷惑かけてるよ。あんた、朝起きれなくてひま子や花子にも迷惑かけてるでしょ」
櫻子「はいはい、わかったわかった。これ見たらすぐ寝るって。今いいところだからさ、あはははは」バンバン ツクエタタク
撫子「はぁ、明日起きれなくても知らないよ」
櫻子「だいじょーぶだいじょーぶっ!!」
TV〈ッテナンデヤネ-ン
櫻子「あははははっ!! はー…おかしいっ!!」オナカオサエ
撫子「こら、いつまでもテレビ見てないで、早く寝な」
櫻子「はー? 別いいじゃん、ねーちゃんに迷惑かけてないし」
撫子「迷惑かけてるよ。あんた、朝起きれなくてひま子や花子にも迷惑かけてるでしょ」
櫻子「はいはい、わかったわかった。これ見たらすぐ寝るって。今いいところだからさ、あはははは」バンバン ツクエタタク
撫子「はぁ、明日起きれなくても知らないよ」
櫻子「だいじょーぶだいじょーぶっ!!」
66: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/15(金) 18:41:31 ID:nhzG65Nc
翌日
ガチャ
撫子「おはよう、花子…と櫻子?」
櫻子「ふあぁ…おは…よ、うござい…ま…す…」ウトウト
花子「あかりお姉ちゃん、しっかりするし今にも倒れそうなほどフラフラしてるし」サクラコササエル
櫻子「だいじょう…ぶだよぉ…ふぁぁ…」ユックリトマエノメリニナル
花子「全然大丈夫に見えないし!? 椅子に座ろう、あかりお姉ちゃん」
櫻子「はぁい…」
撫子「なるほど、中身はあかりちゃんだね。そりゃ昨日あんな時間まで起きてて起きれるわけないと思ったけど」
ガチャ
撫子「おはよう、花子…と櫻子?」
櫻子「ふあぁ…おは…よ、うござい…ま…す…」ウトウト
花子「あかりお姉ちゃん、しっかりするし今にも倒れそうなほどフラフラしてるし」サクラコササエル
櫻子「だいじょう…ぶだよぉ…ふぁぁ…」ユックリトマエノメリニナル
花子「全然大丈夫に見えないし!? 椅子に座ろう、あかりお姉ちゃん」
櫻子「はぁい…」
撫子「なるほど、中身はあかりちゃんだね。そりゃ昨日あんな時間まで起きてて起きれるわけないと思ったけど」
67: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/15(金) 18:52:39 ID:nhzG65Nc
花子「はい、水。あかりお姉ちゃん、しっかり飲んで」
櫻子「ごくごく…うん、ありがとぉ…お姉ちゃん」ウトウト
花子「まだ寝ぼけてるし…」
櫻子「…でも変だなぁ…あかり昨日は9時半までには寝たはずなのに…こんな…眠い…な…ん…て…すぅ…」
花子「ちょ、寝ないで起きないと遅刻するし!!」ユサユサ
撫子「規則正しい子だから、精神は普段通りの時間には起きたんだね…櫻子の体だから睡魔には勝てないみたいだけど」
花子「こうなったのも昨日も遅くまで起きてた櫻子のせいだし!!」ユサユサ
撫子「はぁ…あかりちゃんは夜更かししてないからすごく不憫に感じるね」
花子「まったくだし。今度から櫻子夜更かし禁止だし」
撫子「そうだね、気絶させてでも寝させないと罪悪感で押しつぶされそうだよ」
あかり「ぶえっくしょん!! へ、朝?」
櫻子「ごくごく…うん、ありがとぉ…お姉ちゃん」ウトウト
花子「まだ寝ぼけてるし…」
櫻子「…でも変だなぁ…あかり昨日は9時半までには寝たはずなのに…こんな…眠い…な…ん…て…すぅ…」
花子「ちょ、寝ないで起きないと遅刻するし!!」ユサユサ
撫子「規則正しい子だから、精神は普段通りの時間には起きたんだね…櫻子の体だから睡魔には勝てないみたいだけど」
花子「こうなったのも昨日も遅くまで起きてた櫻子のせいだし!!」ユサユサ
撫子「はぁ…あかりちゃんは夜更かししてないからすごく不憫に感じるね」
花子「まったくだし。今度から櫻子夜更かし禁止だし」
撫子「そうだね、気絶させてでも寝させないと罪悪感で押しつぶされそうだよ」
あかり「ぶえっくしょん!! へ、朝?」
70: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/15(金) 21:04:24 ID:nhzG65Nc
通学路
櫻子「ふあぁ‥なんだか眠いよぉ」メコスリ
向日葵「赤座さん、大丈夫ですの?」
櫻子「う、うん。朝よりはだいぶ目が覚めたよぉ」
あかり「あかりちゃんは向日葵と同じで朝が弱いねっ!! 私なんてスッキリだよ!!」
向日葵「櫻子が夜更かししたのが原因でしょう。それに、スッキリしてるのは赤座さんの規則正しい生活のおかげですのよ!!」ガミガミ
あかり「あーもう、向日葵は朝からうるさいなー。うるさいのはおっぱいだけにしてよっ!!」
向日葵「なんですって!! 第一、おっぱいがうるさいってどういうことですの!!」
あかり「体育とかの時ボインボインうるさいだろっ!!」
櫻子「朝から喧嘩はダメだよぉ」アタフタ
櫻子「ふあぁ‥なんだか眠いよぉ」メコスリ
向日葵「赤座さん、大丈夫ですの?」
櫻子「う、うん。朝よりはだいぶ目が覚めたよぉ」
あかり「あかりちゃんは向日葵と同じで朝が弱いねっ!! 私なんてスッキリだよ!!」
向日葵「櫻子が夜更かししたのが原因でしょう。それに、スッキリしてるのは赤座さんの規則正しい生活のおかげですのよ!!」ガミガミ
あかり「あーもう、向日葵は朝からうるさいなー。うるさいのはおっぱいだけにしてよっ!!」
向日葵「なんですって!! 第一、おっぱいがうるさいってどういうことですの!!」
あかり「体育とかの時ボインボインうるさいだろっ!!」
櫻子「朝から喧嘩はダメだよぉ」アタフタ
71: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/15(金) 21:10:28 ID:nhzG65Nc
「おーっす、あかりー!!」
「おはよう、あかり」
「おはよう。って、あかりちゃんと向日葵ちゃんが喧嘩してるの慣れないなぁ」
櫻子「あっ、京子ちゃん、結衣ちゃん、ちなつちゃん」
京子「おっ、さくっちゃんが反応したってことは、おっぱいちゃんと痴話喧嘩してるあかりがさくっちゃんかー」
ちなつ「確認しなくても遠目で3人が見えてたんですしわかってたじゃないですか」
京子「わかってないなー、ちなちゅはー。こういうことを確認するのが大切なんだって」
結衣「どういうことだよ」
「おはよう、あかり」
「おはよう。って、あかりちゃんと向日葵ちゃんが喧嘩してるの慣れないなぁ」
櫻子「あっ、京子ちゃん、結衣ちゃん、ちなつちゃん」
京子「おっ、さくっちゃんが反応したってことは、おっぱいちゃんと痴話喧嘩してるあかりがさくっちゃんかー」
ちなつ「確認しなくても遠目で3人が見えてたんですしわかってたじゃないですか」
京子「わかってないなー、ちなちゅはー。こういうことを確認するのが大切なんだって」
結衣「どういうことだよ」
72: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/15(金) 21:16:32 ID:nhzG65Nc
京子「それにしても驚いたよねー。ごらく部でやたらあかりのテンションが高くて、いつもより落ち着くがなくて存在感があって」
櫻子「ねぇ、いつもより存在感があってってどういうことぉ!?」カビ-ン
京子「そんで綾乃がちっぱいちゃんがいつもと違って、プリンも食べないし、そそくさと仕事するし何か様子がおかしいって生徒会の面々がごらく部に来て、ごらく部ではあかりとおっぱいちゃんが言い争い始めるしで、問い詰めたら入れ替わってたなんて」
結衣「なんで説明口調なんだよ」
京子「細かいことは気にしない、気にしない」
櫻子「ねぇ、いつもより存在感があってってどういうことぉ!?」カビ-ン
京子「そんで綾乃がちっぱいちゃんがいつもと違って、プリンも食べないし、そそくさと仕事するし何か様子がおかしいって生徒会の面々がごらく部に来て、ごらく部ではあかりとおっぱいちゃんが言い争い始めるしで、問い詰めたら入れ替わってたなんて」
結衣「なんで説明口調なんだよ」
京子「細かいことは気にしない、気にしない」
73: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/15(金) 21:24:32 ID:nhzG65Nc
櫻子「ごめんね、みんなにも話すつもりだったんだけど…」
結衣「仕方ないよ。私だってこんなことあったら躊躇うだろうし」
ちなつ「でも何が原因なんでしょうね。方法さえわかれば私も結衣先輩と…ぐへへ」
結衣「ち、ちなつちゃん?」
京子「えー、ちなちゅは入れ替わるなら私とだろー。そんで、ミラクるんのコスプレを」
ちなつ「え、嫌ですよ」シレッ
京子「シレッと返された!? あかりー、振られた私を慰めてくれぇい」ダキ
櫻子「えぇっと、よしよし京子ちゃん」ナデナデ
京子「うーん、なんだかいつものあかりと違って胸が少し硬く感じるよぉ」
櫻子「うえぇ!?///// もぉう、京子ちゃんからかわないでよぉ!!」プンプン
結衣「仕方ないよ。私だってこんなことあったら躊躇うだろうし」
ちなつ「でも何が原因なんでしょうね。方法さえわかれば私も結衣先輩と…ぐへへ」
結衣「ち、ちなつちゃん?」
京子「えー、ちなちゅは入れ替わるなら私とだろー。そんで、ミラクるんのコスプレを」
ちなつ「え、嫌ですよ」シレッ
京子「シレッと返された!? あかりー、振られた私を慰めてくれぇい」ダキ
櫻子「えぇっと、よしよし京子ちゃん」ナデナデ
京子「うーん、なんだかいつものあかりと違って胸が少し硬く感じるよぉ」
櫻子「うえぇ!?///// もぉう、京子ちゃんからかわないでよぉ!!」プンプン
74: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/15(金) 21:39:05 ID:nhzG65Nc
コノ-オッパイマジンメ-!! コノオッパイキンシ!!
ボイ-ン!!
ナッナニシマスノッ!!
ゴスッ
ゲフッ!?
ちなつ「あっ、痴話喧嘩終わったみたい」
櫻子「ねぇ!? 今のあかりの体すごい音しなかった!?」タタタ ジブンノカラダニカケヨル
向日葵「はっ、赤座さん!? つ、つい!? で、ですがて、手加減はしましたので、えぇっと、その…」
結衣(見事な腹パンだったな…)
京子「おーす、おはよう」
向日葵「あっ、おはようございます。朝からお見苦しい場面を見せてしまい申し訳ございません」
京子「いいっていいって、結構面白いし」
結衣「いや、面白がるなよ」
ボイ-ン!!
ナッナニシマスノッ!!
ゴスッ
ゲフッ!?
ちなつ「あっ、痴話喧嘩終わったみたい」
櫻子「ねぇ!? 今のあかりの体すごい音しなかった!?」タタタ ジブンノカラダニカケヨル
向日葵「はっ、赤座さん!? つ、つい!? で、ですがて、手加減はしましたので、えぇっと、その…」
結衣(見事な腹パンだったな…)
京子「おーす、おはよう」
向日葵「あっ、おはようございます。朝からお見苦しい場面を見せてしまい申し訳ございません」
京子「いいっていいって、結構面白いし」
結衣「いや、面白がるなよ」
75: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/15(金) 21:49:43 ID:nhzG65Nc
あかり「このぉ…おっぱい魔人めぇー」タチアガリ
櫻子「櫻子ちゃん、大丈夫?」
あかり「あっ、そうだあかりちゃん!!」ヒラメイタ
櫻子「な、なに!?」
あかり「お団子バズーカの方法教えてっ!!」
櫻子「出来ないよ!?」
櫻子「櫻子ちゃん、大丈夫?」
あかり「あっ、そうだあかりちゃん!!」ヒラメイタ
櫻子「な、なに!?」
あかり「お団子バズーカの方法教えてっ!!」
櫻子「出来ないよ!?」
76: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/15(金) 21:50:19 ID:nhzG65Nc
向日葵「まったく、なにを言っておりますか」ハァ
結衣「なんだか昔のあかりを見てるみたいだね」
ちなつ「昔のあかりちゃんってこんなんだったんですか?」
結衣「うん。元気一杯って感じがそっくりだよ」
京子「そうそう、あの頃の結衣も元気一杯な悪ガキだったよねー」
結衣「なっ、そのことは今はいいだろう!?」
ちなつ「えー、私もまた結衣先輩の昔のこと聞きたいです!!」
向日葵「船見先輩、そんなに今と違うんですの?」
京子「そうそう今はクールぶってるけどあの頃は…」
結衣「や、やめろって!?////」
結衣「なんだか昔のあかりを見てるみたいだね」
ちなつ「昔のあかりちゃんってこんなんだったんですか?」
結衣「うん。元気一杯って感じがそっくりだよ」
京子「そうそう、あの頃の結衣も元気一杯な悪ガキだったよねー」
結衣「なっ、そのことは今はいいだろう!?」
ちなつ「えー、私もまた結衣先輩の昔のこと聞きたいです!!」
向日葵「船見先輩、そんなに今と違うんですの?」
京子「そうそう今はクールぶってるけどあの頃は…」
結衣「や、やめろって!?////」
77: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/15(金) 21:53:00 ID:nhzG65Nc
キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン
京子「やばっ!? 急がないと、みんないくぞー!!」
ちなつ「ちょ、待ってくださいよー!!」
結衣「ほら、あかりや古谷さんに大室さんも急がないと」
向日葵「ちょ、急ぎますわよ!!」
あかり「あっ、ちょ待てー!!」
櫻子「わぁん、みんな待ってよぉー!!」
京子「やばっ!? 急がないと、みんないくぞー!!」
ちなつ「ちょ、待ってくださいよー!!」
結衣「ほら、あかりや古谷さんに大室さんも急がないと」
向日葵「ちょ、急ぎますわよ!!」
あかり「あっ、ちょ待てー!!」
櫻子「わぁん、みんな待ってよぉー!!」
79: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/16(土) 22:34:19 ID:levRwAzg
お昼
あかり「はー、やっとお昼だー!! 午前も疲れたーっと」
向日葵「人の体でほとんど寝ていたくせになにを言いますか」
あかり「はぁ? 体育の時間は起きてたじゃん!!」
向日葵「バスケの授業でどうやって寝るというんですか!!」
ちなつ「でもよくそんなに寝れるよね。あれ? あかりちゃんはいつも寝てる櫻子ちゃんだけど授業中とか眠くならないの?」
櫻子「うーん、朝は辛かったけどぉ。でも寝ちゃったら櫻子ちゃんに迷惑かけちゃうから」
あかり「うっ!? その眼差しが辛いっ!?」
向日葵「だったら櫻子も努力なさい」
櫻子「だ、大丈夫だよぉ。櫻子ちゃんも一緒に頑張ろう!!」
あかり「おぉ、あかりちゃん優しいっ。よしっ…次入れ替わってから頑張る!!」
櫻子「今日からじゃないの!?」
あかり「はー、やっとお昼だー!! 午前も疲れたーっと」
向日葵「人の体でほとんど寝ていたくせになにを言いますか」
あかり「はぁ? 体育の時間は起きてたじゃん!!」
向日葵「バスケの授業でどうやって寝るというんですか!!」
ちなつ「でもよくそんなに寝れるよね。あれ? あかりちゃんはいつも寝てる櫻子ちゃんだけど授業中とか眠くならないの?」
櫻子「うーん、朝は辛かったけどぉ。でも寝ちゃったら櫻子ちゃんに迷惑かけちゃうから」
あかり「うっ!? その眼差しが辛いっ!?」
向日葵「だったら櫻子も努力なさい」
櫻子「だ、大丈夫だよぉ。櫻子ちゃんも一緒に頑張ろう!!」
あかり「おぉ、あかりちゃん優しいっ。よしっ…次入れ替わってから頑張る!!」
櫻子「今日からじゃないの!?」
80: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/16(土) 23:12:39 ID:levRwAzg
あかり「おっ、今日のお昼は磯辺揚げじゃん、ラッキー」
櫻子「櫻子ちゃん、磯辺揚げ大好きだもんね」
あかり「うんっ!! よーし、わーい、あかり磯辺揚げ大好きー…どう似てた? あかりちゃんの真似?」
ちなつ「え? うーん、似てたんじゃない?」
櫻子「うぇー!? あかりってこんな感じなの!?」
櫻子「櫻子ちゃん、磯辺揚げ大好きだもんね」
あかり「うんっ!! よーし、わーい、あかり磯辺揚げ大好きー…どう似てた? あかりちゃんの真似?」
ちなつ「え? うーん、似てたんじゃない?」
櫻子「うぇー!? あかりってこんな感じなの!?」
81: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/16(土) 23:20:29 ID:levRwAzg
あかり「よーし、あかりちゃんの真似も出来たことで、いっただきまーす!!」イソベアゲパク
あかり「うまいっ!!」
向日葵「ちょっとは落ち着きなさい」
櫻子「あっ!?」
あかり「ん、どうしたのあかりちゃん」
櫻子「それが箸がなくて忘れちゃったみたいなんだ…」ドヨ-ン
あかえい「ふふふふっ、そんなあかりちゃんに…はいっ、割り箸!!」
櫻子「あっ、櫻子ちゃんありがとぉ」
あかり「いいっていいって…これくらい気にしないで、いつも助けてもらってるんだしさ、恩返しできたよ」
ちなつ「誰も突っ込まないけど、あの割り箸ってそもそもあかりちゃんのじゃないの」
向日葵「割り箸を忘れたのも前日に準備しなかった櫻子のせいですし…」
ちなつ「まっ、当人達がいいなら私は別にいいけど」
あかり「うまいっ!!」
向日葵「ちょっとは落ち着きなさい」
櫻子「あっ!?」
あかり「ん、どうしたのあかりちゃん」
櫻子「それが箸がなくて忘れちゃったみたいなんだ…」ドヨ-ン
あかえい「ふふふふっ、そんなあかりちゃんに…はいっ、割り箸!!」
櫻子「あっ、櫻子ちゃんありがとぉ」
あかり「いいっていいって…これくらい気にしないで、いつも助けてもらってるんだしさ、恩返しできたよ」
ちなつ「誰も突っ込まないけど、あの割り箸ってそもそもあかりちゃんのじゃないの」
向日葵「割り箸を忘れたのも前日に準備しなかった櫻子のせいですし…」
ちなつ「まっ、当人達がいいなら私は別にいいけど」
82: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 07:55:57 ID:Q.ABtK6M
生徒会
ガラガラ
向日葵櫻子「「お疲れ様です」」
綾乃「お疲れ様、古谷さん、大室さん」
向日葵「あっ、杉浦先輩。本日の櫻子は櫻子ではなく」
櫻子「今日は赤座あかりです。よろしくお願いします」ペコリ
綾乃「あぁ、今日はそうだったのね。…でも別に赤座さんが生徒会に出る必要はないのよ? 生徒会じゃないんだし…」
櫻子「うぅ…そうですよね。あかりなんていても」ズ-ン
綾乃「そんな邪魔とかじゃなくて、その、生徒会も大変だから、無理に出る必要はないってことで」アタフタ
櫻子「大丈夫ですよぉ。今はあかりが櫻子ちゃんだからいつも櫻子ちゃんがやってることをやりたいなぁって」
ガラガラ
向日葵櫻子「「お疲れ様です」」
綾乃「お疲れ様、古谷さん、大室さん」
向日葵「あっ、杉浦先輩。本日の櫻子は櫻子ではなく」
櫻子「今日は赤座あかりです。よろしくお願いします」ペコリ
綾乃「あぁ、今日はそうだったのね。…でも別に赤座さんが生徒会に出る必要はないのよ? 生徒会じゃないんだし…」
櫻子「うぅ…そうですよね。あかりなんていても」ズ-ン
綾乃「そんな邪魔とかじゃなくて、その、生徒会も大変だから、無理に出る必要はないってことで」アタフタ
櫻子「大丈夫ですよぉ。今はあかりが櫻子ちゃんだからいつも櫻子ちゃんがやってることをやりたいなぁって」
83: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 08:06:18 ID:Q.ABtK6M
向日葵「その櫻子はごらく部に行ってしまいましたが…」
櫻子「いいんだよぉ。あかりがそういうのも交代しようってお願いしたから」
綾乃「いいのかしら? 手伝わせちゃって」
千歳「綾乃ちゃんも素直やないなぁ。ええんやない? 赤座さんもやる気みたいやし。」
向日葵「私からもお願いします。サポートはしますので」
櫻子「お、お願いします!!」
綾乃「わかった。それじゃ、こちらこそよろしくね。赤座さん」
櫻子「はい、頑張ります!!」
櫻子「いいんだよぉ。あかりがそういうのも交代しようってお願いしたから」
綾乃「いいのかしら? 手伝わせちゃって」
千歳「綾乃ちゃんも素直やないなぁ。ええんやない? 赤座さんもやる気みたいやし。」
向日葵「私からもお願いします。サポートはしますので」
櫻子「お、お願いします!!」
綾乃「わかった。それじゃ、こちらこそよろしくね。赤座さん」
櫻子「はい、頑張ります!!」
84: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 08:20:05 ID:Q.ABtK6M
ーーーーー
ーーーーーーー
櫻子「向日葵ちゃん、ここってどうやるの?」
向日葵「あぁ、ここはですね…こう」カキカキ
千歳「珍しい光景やなぁ、いつもの大室さん素直じゃないから」
綾乃「そうね。知っていても慣れないわね」
千歳「体が入れ替わるなんて不思議なこともあるんやね。はっ!?」スチャ
ーーーーーーー
櫻子「向日葵ちゃん、ここってどうやるの?」
向日葵「あぁ、ここはですね…こう」カキカキ
千歳「珍しい光景やなぁ、いつもの大室さん素直じゃないから」
綾乃「そうね。知っていても慣れないわね」
千歳「体が入れ替わるなんて不思議なこともあるんやね。はっ!?」スチャ
85: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 08:24:53 ID:Q.ABtK6M
妄想中
向日葵「赤座さん…私はもう…」
櫻子「だめだよぉ…あかりは櫻子ちゃんじゃないもん」
向日葵「わかっております。でも、もう我慢できないんです」
櫻子「ひ…向日葵ちゃん」
向日葵「普段とは違う笑い方、その眼差し…赤座さ…いいえ、櫻子ぉ…」
向日葵「赤座さん…私はもう…」
櫻子「だめだよぉ…あかりは櫻子ちゃんじゃないもん」
向日葵「わかっております。でも、もう我慢できないんです」
櫻子「ひ…向日葵ちゃん」
向日葵「普段とは違う笑い方、その眼差し…赤座さ…いいえ、櫻子ぉ…」
86: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 08:32:33 ID:Q.ABtK6M
千歳「これも、ええわぁ…」ドクドク
バタン
綾乃「ちょ、千歳っ!?」
櫻子「ティッシュテイッシュ!?」
向日葵「赤座さん落ち着いて!?」
ドタバタドタバタ
綾乃「あぁもう、みんな落ち着かないと罰金バッキンガムなんだからね!!」
バタン
綾乃「ちょ、千歳っ!?」
櫻子「ティッシュテイッシュ!?」
向日葵「赤座さん落ち着いて!?」
ドタバタドタバタ
綾乃「あぁもう、みんな落ち着かないと罰金バッキンガムなんだからね!!」
87: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 09:32:20 ID:Q.ABtK6M
ごらく部
京子「ふんふふふーん。ん、っと読み終わった、ミラクるん最新刊!!」
あかり「え、最新刊出てたんですか!!」
京子「おっ、さくっちゃんも知ってるんだ、良かったら読む?」
あかり「ありがとうございます!! いやー、結構前に花子が見てて、気にはなってたんですよね」
京子「あっ、だったら全巻今度持ってこようか?」
櫻子「いいんですかっ!!」
京子「もちのろん!! 同士が増えるのは嬉しいからね!!」スッ テサシダス
あかり「いぇい!!」ガシッ アクシュ
京子「ふんふふふーん。ん、っと読み終わった、ミラクるん最新刊!!」
あかり「え、最新刊出てたんですか!!」
京子「おっ、さくっちゃんも知ってるんだ、良かったら読む?」
あかり「ありがとうございます!! いやー、結構前に花子が見てて、気にはなってたんですよね」
京子「あっ、だったら全巻今度持ってこようか?」
櫻子「いいんですかっ!!」
京子「もちのろん!! 同士が増えるのは嬉しいからね!!」スッ テサシダス
あかり「いぇい!!」ガシッ アクシュ
88: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 09:41:31 ID:Q.ABtK6M
ワ-ワ-キャ-キャ-ミラクルンガサ-マジデ-
結衣(大室さんが入ってるあかりを見てるとやっぱり昔のあかりを思い出す
結衣(あの頃の京子はおとなしかったからともかく、今はまるで京子が2人いるみたいだ…)
ちなつ「結衣先輩どうしたんですか? 難しい顔して」
結衣「なんでもないよ。この生活が続くと気疲れしそうだなって」
ちなつ「わかりますよ、まるで京子先輩が2人いるみたいですもんね」
結衣「あ、ちなつちゃんもわかる? 実を言うと私も同じこと考えてて…」
ちなつ「え!? ってことはチーナと結衣先輩は以心伝心で一心同体!? それってそれって/////」
ちなつ「あぁぁう///// 結衣せんぱぁぁい/////」ゴロゴロゴロゴロ
結衣「あれもしかしてまともなの私だけ?」
結衣(大室さんが入ってるあかりを見てるとやっぱり昔のあかりを思い出す
結衣(あの頃の京子はおとなしかったからともかく、今はまるで京子が2人いるみたいだ…)
ちなつ「結衣先輩どうしたんですか? 難しい顔して」
結衣「なんでもないよ。この生活が続くと気疲れしそうだなって」
ちなつ「わかりますよ、まるで京子先輩が2人いるみたいですもんね」
結衣「あ、ちなつちゃんもわかる? 実を言うと私も同じこと考えてて…」
ちなつ「え!? ってことはチーナと結衣先輩は以心伝心で一心同体!? それってそれって/////」
ちなつ「あぁぁう///// 結衣せんぱぁぁい/////」ゴロゴロゴロゴロ
結衣「あれもしかしてまともなの私だけ?」
89: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 13:58:29 ID:Q.ABtK6M
とある日 大室家
花子「……」モグモグ
櫻子「……」ニコニコ
花子「……あかりお姉ちゃん、そんなに見られるとおやつ食べにくいし」
櫻子「えへへぇ、妹と一緒に食べると美味しいなって思ってたんだよぉ」
花子「別に味は変わらないし」モグモグ
櫻子「そんなことないよぉ。ほら、あかりに妹いなかったからぁ」
花子「ふーん…なんかよくわからないし」モグモグ
花子「……」モグモグ
櫻子「……」ニコニコ
花子「……あかりお姉ちゃん、そんなに見られるとおやつ食べにくいし」
櫻子「えへへぇ、妹と一緒に食べると美味しいなって思ってたんだよぉ」
花子「別に味は変わらないし」モグモグ
櫻子「そんなことないよぉ。ほら、あかりに妹いなかったからぁ」
花子「ふーん…なんかよくわからないし」モグモグ
90: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 14:02:24 ID:Q.ABtK6M
櫻子「あっ、そうだ。はい、アーン」フォ-クサシダス
花子「なっ、べ、別にいいし////」
櫻子「遠慮しなくていいよぉ。こうして貰うと美味しくなるってお姉ちゃんが言ってたんだぁ」
花子「あ、あーん…//////」
花子「……/////」モグモグ
櫻子「どぉう?」
花子「美味しいし////」
花子「なっ、べ、別にいいし////」
櫻子「遠慮しなくていいよぉ。こうして貰うと美味しくなるってお姉ちゃんが言ってたんだぁ」
花子「あ、あーん…//////」
花子「……/////」モグモグ
櫻子「どぉう?」
花子「美味しいし////」
91: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 14:03:40 ID:Q.ABtK6M
櫻子「えへへぇ、良かったぁ」
花子(もう、この櫻子反則だし////)
花子「つ、次は花子があかりお姉ちゃんにやってあげるし////」
櫻子「でも花子ちゃんのが減っちゃうよ?」
花子「お、お返しだから大丈夫だし、は、はいあ、アーンするし////」
櫻子「ありがとう、花子ちゃん」ア-ン
撫子「最近、妹たちが可愛い」
花子(もう、この櫻子反則だし////)
花子「つ、次は花子があかりお姉ちゃんにやってあげるし////」
櫻子「でも花子ちゃんのが減っちゃうよ?」
花子「お、お返しだから大丈夫だし、は、はいあ、アーンするし////」
櫻子「ありがとう、花子ちゃん」ア-ン
撫子「最近、妹たちが可愛い」
92: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 14:31:39 ID:Q.ABtK6M
とある喫茶店 姉会議
撫子「ってことが前にあったんですよね」
あかね「うふふ、頑張ってお姉ちゃんしてるあかり、ぜひ見て見たかったわぁ」
撫子「一応、写真を撮りましたけど…見ますか?」ケイタイサシダス
あかね「あら、ありがとう大室さん。…はぁ、いい写真だわ、照れてる花子ちゃんも可愛いわね」ウットリ
撫子「姿は花子と櫻子ですけどね」
あかね「いいえ、私にはわかるわ。この笑顔があかりものだって。後で送って貰ってもいいかしら?」
撫子「いいですよ。それより櫻子は迷惑かけてませんか?」
撫子「ってことが前にあったんですよね」
あかね「うふふ、頑張ってお姉ちゃんしてるあかり、ぜひ見て見たかったわぁ」
撫子「一応、写真を撮りましたけど…見ますか?」ケイタイサシダス
あかね「あら、ありがとう大室さん。…はぁ、いい写真だわ、照れてる花子ちゃんも可愛いわね」ウットリ
撫子「姿は花子と櫻子ですけどね」
あかね「いいえ、私にはわかるわ。この笑顔があかりものだって。後で送って貰ってもいいかしら?」
撫子「いいですよ。それより櫻子は迷惑かけてませんか?」
93: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 14:37:36 ID:Q.ABtK6M
あかね「迷惑なんてとんでもないわ。色々と手伝ってくれようとはしてるわよ」
撫子「人の家で手伝うだけじゃなくて、自分の家でも手伝ってくれればいいものを」ハァ
あかり「うふふ、お姉さんや妹さんの前だと素直になるのが恥ずかしいんじゃないかしらね、きっとそう思うわ」
撫子「そうですか。まぁ、迷惑かけてないみたいなら良かったです」
撫子「人の家で手伝うだけじゃなくて、自分の家でも手伝ってくれればいいものを」ハァ
あかり「うふふ、お姉さんや妹さんの前だと素直になるのが恥ずかしいんじゃないかしらね、きっとそう思うわ」
撫子「そうですか。まぁ、迷惑かけてないみたいなら良かったです」
94: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 14:43:19 ID:Q.ABtK6M
あかね「いつまでこの入れ替わりの日々が続くかわからないけど色んなあかりが見れて眼福ね」
撫子「そうですね。素直な櫻子…なんていうかすごくいいです」
あかね「そうでしょ。妹っていいわね」
撫子「そうですね」
ウフフフフフフフフ
京子(たまたま来てたらヤバイ話聞いちゃった…)ウシロセキミヲカクス
撫子「そうですね。素直な櫻子…なんていうかすごくいいです」
あかね「そうでしょ。妹っていいわね」
撫子「そうですね」
ウフフフフフフフフ
京子(たまたま来てたらヤバイ話聞いちゃった…)ウシロセキミヲカクス
95: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 14:51:30 ID:Q.ABtK6M
赤座家 お泊まり会
向日葵「お邪魔します」
あかね「いらっしゃい、向日葵ちゃん。櫻子ちゃんならあかりの部屋にいるわよ」
向日葵「ありがとうございます、あかねさん。本日はよろしくお願いします」
あかね「うふふ、自分の家だと思ってゆっくりしていってね」
バタバタバタ
あかり「あれ、もう向日葵来てたの? ふふーん、よーし、この家に入りたければ入れてください、櫻子様って言うんだな!!」
向日葵「赤座さんの家でよくそんな我が物顔で言えますわね」
あかね「それが櫻子ちゃんのいいところよ。それと、ごめんなさい。向日葵ちゃんを家に上げるのもう私が許可出しちゃったの」
あかり「そうなの? んじゃ仕方ない、上がっていいよー」
向日葵「ですからあなたの家ではないでしょ」
向日葵「お邪魔します」
あかね「いらっしゃい、向日葵ちゃん。櫻子ちゃんならあかりの部屋にいるわよ」
向日葵「ありがとうございます、あかねさん。本日はよろしくお願いします」
あかね「うふふ、自分の家だと思ってゆっくりしていってね」
バタバタバタ
あかり「あれ、もう向日葵来てたの? ふふーん、よーし、この家に入りたければ入れてください、櫻子様って言うんだな!!」
向日葵「赤座さんの家でよくそんな我が物顔で言えますわね」
あかね「それが櫻子ちゃんのいいところよ。それと、ごめんなさい。向日葵ちゃんを家に上げるのもう私が許可出しちゃったの」
あかり「そうなの? んじゃ仕方ない、上がっていいよー」
向日葵「ですからあなたの家ではないでしょ」
96: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 14:56:24 ID:Q.ABtK6M
あかりの部屋
向日葵「今更だけど本人が不在なのに、赤座さんの家でお泊まり会なんていいんのかしら?」
あかり「あかりちゃんもあかねねーちゃんも良いって言ってたじゃん、だから問題ないって」
向日葵「だと良いんですが」
あかり「第一、あかりちゃんがいないのだって花子のせいだ!!」
向日葵「あれは花子ちゃんのせいっていうのかしら?」
向日葵「今更だけど本人が不在なのに、赤座さんの家でお泊まり会なんていいんのかしら?」
あかり「あかりちゃんもあかねねーちゃんも良いって言ってたじゃん、だから問題ないって」
向日葵「だと良いんですが」
あかり「第一、あかりちゃんがいないのだって花子のせいだ!!」
向日葵「あれは花子ちゃんのせいっていうのかしら?」
97: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 15:01:24 ID:Q.ABtK6M
ーーーー
ーーーーーー
ちょっと前 放課後
あかり「んじゃ今日はあかりちゃんに集合ね」
櫻子「うん、わかったよぉ。櫻子ちゃんの姿で家に帰る楽しみだよぉ」
ちなつ「はぁ、私も行きたかったなぁ。もうちょっと早く言ってくれれば」
向日葵「家族で外食の予定なら仕方ないですわ。それに突発的すぎますの」
あかり「ごめんごめん、急に思いついて」
櫻子「ちなつちゃん、また今度ね」
花子「あっ、あかりお姉ちゃんやっと来たし」
ーーーーーー
ちょっと前 放課後
あかり「んじゃ今日はあかりちゃんに集合ね」
櫻子「うん、わかったよぉ。櫻子ちゃんの姿で家に帰る楽しみだよぉ」
ちなつ「はぁ、私も行きたかったなぁ。もうちょっと早く言ってくれれば」
向日葵「家族で外食の予定なら仕方ないですわ。それに突発的すぎますの」
あかり「ごめんごめん、急に思いついて」
櫻子「ちなつちゃん、また今度ね」
花子「あっ、あかりお姉ちゃんやっと来たし」
98: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 15:14:39 ID:Q.ABtK6M
向日葵「あら、花子ちゃん」
花子「ひま姉、こんにちは」
あかり「おっ、もしかして櫻子様の出迎え? おぉ、感心感心」
花子「あかりお姉ちゃん」タタタ
あかり「って無視かよっ!?」
櫻子「どうしたの、花子ちゃん?」
花子「どうしたのって、今日一緒に出かけに行くって約束だから、迎えに来たんだし」
櫻子「あ、あれ、そ、そうだっけぇ!?」
花子「次入れ替わったら行くって言ったたし、朝も確認したし」
櫻子「えぇっとぉ、朝ぼーっとしてて」
向日葵「あなた、また夜更かしを」
あかり「向日葵には関係ないだろ!!」
花子「ひま姉、こんにちは」
あかり「おっ、もしかして櫻子様の出迎え? おぉ、感心感心」
花子「あかりお姉ちゃん」タタタ
あかり「って無視かよっ!?」
櫻子「どうしたの、花子ちゃん?」
花子「どうしたのって、今日一緒に出かけに行くって約束だから、迎えに来たんだし」
櫻子「あ、あれ、そ、そうだっけぇ!?」
花子「次入れ替わったら行くって言ったたし、朝も確認したし」
櫻子「えぇっとぉ、朝ぼーっとしてて」
向日葵「あなた、また夜更かしを」
あかり「向日葵には関係ないだろ!!」
99: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 15:16:35 ID:Q.ABtK6M
櫻子「ごめんね、忘れてて。それじゃ行こうか」
ちなつ「あれ、それじゃあかりちゃんお泊まり会どうすんの?」
櫻子「え、あっ!? えぇっと、ごめん櫻子ちゃん。花子ちゃんとの約束が先だからあかりも今日はちょっと行けないよぉ」
あかり「えぇー、別いいじゃん花子との約束なんて」
花子「よくないし」
櫻子「だから、今日は向日葵ちゃんと櫻子ちゃんでお泊まり会でもいいかなぁ。お姉ちゃんには私からも電話しておくから」
ちなつ「あれ、それじゃあかりちゃんお泊まり会どうすんの?」
櫻子「え、あっ!? えぇっと、ごめん櫻子ちゃん。花子ちゃんとの約束が先だからあかりも今日はちょっと行けないよぉ」
あかり「えぇー、別いいじゃん花子との約束なんて」
花子「よくないし」
櫻子「だから、今日は向日葵ちゃんと櫻子ちゃんでお泊まり会でもいいかなぁ。お姉ちゃんには私からも電話しておくから」
100: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 15:20:33 ID:Q.ABtK6M
ーーーーーー
ーーーー
向日葵「ってことがありましたものね」
あかり「あーあー、まさかいつも通り向日葵と2人っきりになるなんて」
向日葵「それはこっちのセリフですわ」
あかり「よーし、こうなったら今日はとことん遊ぶぞー!!」
向日葵(この入れ替わりに日々はもうしばらく続きそうです
明日、起きたらあかりさんに戻っているのか、それとも櫻子のままなのか)
向日葵(それを楽しむのも、いいかもしれませんわね)
おまけ 完
ーーーー
向日葵「ってことがありましたものね」
あかり「あーあー、まさかいつも通り向日葵と2人っきりになるなんて」
向日葵「それはこっちのセリフですわ」
あかり「よーし、こうなったら今日はとことん遊ぶぞー!!」
向日葵(この入れ替わりに日々はもうしばらく続きそうです
明日、起きたらあかりさんに戻っているのか、それとも櫻子のままなのか)
向日葵(それを楽しむのも、いいかもしれませんわね)
おまけ 完
101: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/17(日) 15:21:20 ID:Q.ABtK6M
おまけも終わり
これ以上は書かない予定。また何か書いたらよろしくお願いします
これ以上は書かない予定。また何か書いたらよろしくお願いします
103: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/09/18(月) 20:40:05 ID:XlQD1eqg
撫子さんは何故シスコンになったのか
104: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/11/01(水) 01:21:13 ID:4OSaO0uY
乙ー
掲載元:https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1504399325/
Entry ⇒ 2018.05.07 | Category ⇒ ゆるゆり | Comments (0)
【ゆるゆり】結衣「京子ってさ、こち亀の両さんに似てるよね」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/24(土) 23:41:41.26 ID:+ViB72/T0
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/24(土) 23:42:07.38 ID:+ViB72/T0
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/24(土) 23:43:01.21 ID:+ViB72/T0
結衣「例えばね。唐突な行動でみんなを引っぱり回したりとか」
結衣「高速バスでいきなりみんなをコムケ会場に連れてったりね」
ちなつ「あー、ありましたねー」
あかり「うん、確かに・・・」
京子「ちょ、ちょっと待ってよ?みんなも楽しんでたじゃんか」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/24(土) 23:44:50.66 ID:+ViB72/T0
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/24(土) 23:45:19.01 ID:+ViB72/T0
結衣「あと、金に汚い」
京子「どこがよ!?」
結衣「だって、この前ビットコインって儲かるらしいからみんなでやろうって」
ちなつ「あ、言ってましたね」
あかり「そうそう、言ってたー」
京子「た、ただの何気ない会話じゃんかそんなのー」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/24(土) 23:46:04.06 ID:+ViB72/T0
結衣「そういうわけで京子。お前は両さんだ。今日から両子と呼ぼう」
京子「何だよ両子って・・・」
ちなつ「眉毛つなげないといけませんね、黒マジックで」
あかり「あと、自分のことわしって言わなきゃね」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/24(土) 23:47:52.66 ID:+ViB72/T0
京子「・・・じゃあ、結衣は大原部長だ」
結衣「え?私が?何で?」
京子「だって、すーぐ怒って私の頭叩いたりするしさー」
結衣「だ、だからそれはお前が・・・」
ちなつ「何言ってるんですか。結衣センパイが大原部長なんて、全然イメージと違いますよ」
あかり「結衣ちゃんはそんなに怒らないよー」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/24(土) 23:49:07.56 ID:+ViB72/T0
京子「そんで、ちなちゅは麗子!」
結衣「あからさまにえこひいきだな・・・」
ちなつ「ちなちゅ言わないで下さい」
あかり「あ、けど結構イメージあるかもー」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/24(土) 23:49:36.16 ID:+ViB72/T0
京子「そんで、あかりは・・・」
あかり「わぁ、誰誰?」
京子「ほら、誰だっけあのほら・・・。うーん、名前が出てこないけどその人」
あかり「せめて名前を思い出せる人にしようよ!?」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/24(土) 23:50:07.34 ID:+ViB72/T0
京子「これなら、私達でこち亀ごっこできるかもねー。私が両さんってのは納得できないけどさ」
結衣「私は大原部長役なんてやだぞ」
ちなつ「そうですよ。結衣センパイなら中川役ですよ」
あかり「ね、ねぇ、あかりは誰役なの?」
京子「おい麗子!お茶を持って来い!」
ちなつ「自分でいれてください」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/24(土) 23:50:37.51 ID:+ViB72/T0
京子「ちぇーっ、いいじゃんかお茶くらいいれてくれたっ・・・」
部長「そうだぞ両津。自分で飲むお茶ぐらい自分でいれんか」
京子「・・・は?」
麗子「そうよ両ちゃん。私は両ちゃんのお茶汲み係じゃないんだから」
京子「えっ・・・」
中川「そうですよ先輩。麗子さんはいま書類作成で忙しいんですから」
京子「ちょっ・・・」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/24(土) 23:51:07.23 ID:+ViB72/T0
京子「ちょ、ちょっと待って、何これどうなってるの?」
部長「どうしたんだ両津?」
麗子「様子が変よ?」
中川「何か悪い物でも食べたんですか?」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/24(土) 23:53:34.87 ID:+ViB72/T0
京子「わ、私は両津じゃなくて!あれ?ここどこ?部室にいたと思ったのに・・・」
部長「どうやら、このバカはついに自分が誰だかわからなくなったらしいな」
麗子「両ちゃん、大丈夫?」
中川「先輩、どこか具合でも悪いんですか?」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/24(土) 23:56:15.87 ID:+ViB72/T0
京子「えー・・・一体どうなってんの・・・?」
部長「ほらいつまでもふざけとらんで。巡回に行く時間だぞ両津」
麗子「ええそうよ、両ちゃん」
中川「体調が悪いなら交代しましょうか?」
京子「いや大丈夫だけどさ、えー・・・私が、両さん・・・?」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/24(土) 23:57:00.60 ID:+ViB72/T0
部長「ま、どうせお前の事だからサボッてパチンコにでも行くんだろうが」
麗子「両ちゃん、絶対にパチンコに行っちゃ駄目よ?」
中川「そうですよ先輩。絶対に絶対ですからね?」
京子「それは、パチンコに行けって言ってるようにしか聞こえませんが・・・」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/24(土) 23:57:28.82 ID:+ViB72/T0
京子「ま、まぁとにかく、巡回に行きゃいいんですね?じゃ、行ってきます・・・」
部長「サボッたら減給だからな、両津」
麗子「気をつけてね、両ちゃん」
中川「行ってらっしゃい、先輩」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/25(日) 00:07:30.67 ID:FmUmFOFP0
(路上)
京子「えー・・・これって、どういう事・・・?」
京子「私、さっきまでみんなと一緒に部室に居たよな・・・?」
京子「気がついたら、どっかで見た派出所にいて、みんな私を両津とか両ちゃんって」
京子「私のこと、こち亀の両さん扱いしてくる・・・。こういう事って、あるもんなの?」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/25(日) 00:11:24.39 ID:FmUmFOFP0
京子「・・・いや、深く考えるのはよそう!よくある事なんだ、きっと!」
京子「結衣が変な話したせいだな!うん!」
京子「・・・それにしても、巡回って退屈なもんだなー。ただ歩いてるだけだし」
京子「事件なんて、そうそう起こるもんでもないし・・・。ん?」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/25(日) 00:23:47.92 ID:FmUmFOFP0
京子「あんな所に、パチンコ屋が・・・」
京子「どうする?行っちゃう?行ったことないし。それにみんな前フリしてたし」
京子「そうだな!折角だから行ってみよう!今の私は両さんだから!」
京子「両さんは、いつもサボッてパチンコするからね!」
ガー…
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/25(日) 12:05:39.16 ID:FmUmFOFP0
(パチンコ・ビット店内)
京子「へー、パチンコ屋ってこんななんだー・・・」
客「おっ、両さん。仕事サボッてパチンコかい?」
京子「へ?い、いや、ちょっと覗きに来ただけっていうか・・・」
客「ここの隣の台、出そうだよ」
京子「マジで?じゃ、やってみる!」
京子「・・・所でこれ、どうやって遊ぶの?」
客「何だ、やり方忘れちまったのか?仕方ないな。ほらここにお金を入れて・・・」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/25(日) 12:06:36.26 ID:FmUmFOFP0
(30分後)
京子「うお、ねぇこれ当たり?当たり?」チーンジャラジャラ…
客「ああ、大当たりだよ。今日はツイてるね両さん」
京子「いやー、パチンコって楽しいな!両さんもハマるわけだわ!」
客「両さんはアンタじゃないか・・・」
京子「おっと、いけね」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/25(日) 12:07:19.87 ID:FmUmFOFP0
(2時間後)
京子「いやー、大漁大漁!景品いっぱい貰っちゃった!」
客「良かったね、両さん」
京子「・・・所で、表にBって彫ってあるコインも貰ったんだけど。これははなに?」
客「ああ、それは(パチンコ)ビット(の景品交換用)コインだよ」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/25(日) 12:08:12.54 ID:FmUmFOFP0
京子「え!?ビットコイン!?これが!?」
客「そうだよ」
京子「もしかして、これお金になんの!?」
客「あたり前じゃないか」
客「ただし、人に売ったりしたら法律違反・・・って、両さんならわかってるか」
京子「大もうけのチャンスだ、こうしちゃいられねぇ!」ダッ
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/25(日) 12:19:11.00 ID:FmUmFOFP0
(路上)
京子「さーさー皆さん、今話題のビットコイン!ビットコインですよ、そこのあなた、お一ついかが?」
通行人1「え、び、ビットコインだって?」
通行人2「これが、噂のビットコインか・・・」
通行人3「実物を見るのは、初めてだ・・・」
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/25(日) 13:47:35.88 ID:FmUmFOFP0
通行人1「ちなみに、一ついくら?」
京子「え?えーと・・・。1つ1000円でいいや」
通行人2「えっ?そ、そんな安く買えるの?ビットコインって、確か100万円くらいするんじゃ・・・」
通行人3「これは、とんでもなくお買い得だ!」
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/25(日) 13:49:54.30 ID:FmUmFOFP0
通行人1「よし買った、3つくれ!」
通行人2「俺にもくれ!」
通行人3「俺は5つ買おう!」
京子「毎度ありー!いやー、さすがはビットコイン!大もうけだ!」
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/25(日) 14:22:02.17 ID:FmUmFOFP0
京子「こんなちゃちいコインが、1000円で飛ぶように売れるなんて・・・」
京子「そうだ、こんなの材料さえあればいくらでも自作できんだろ!」
京子「よーし、稼いだお金で材料を買って、それをまた売れば大もうけ・・・」ニシシ
「両津」
京子「あ、はいまいど!今話題のビットコイン、1つ1500円で・・・」
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/25(日) 14:22:49.75 ID:FmUmFOFP0
部長「いつまでたっても帰ってこんと思ったら、一体ここで何をしておるんだ・・・?」ピクピク
京子「げっ!?大原部長!?」
麗子「みんなに何を売ってるの?」
中川「パチンコ屋の景品交換用コインに見えますが・・・」
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 18:28:27.99 ID:ocuKza760
部長「両津!路上で勝手にものを売ったらいかんのだぞ、このバカモンが!しかもパチンコ屋のコインを!」
京子「へ?い、いやこれはその・・・」
京子「道端にコインを並べてたら、みんなが勝手にお金と引き換えに持ってっちゃって」
京子「ひどいですよね?こらみんな!返せ私のコインを!」
部長「ぐぬぬ・・・」ピクピク
中川「下手な言い訳を・・・」
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 18:29:25.52 ID:ocuKza760
部長「この大ばかもの!警察官が仕事中にパチンコのコインを路上で売りさばくなぞ、言語道断!」
部長「その根性を、今からわしが剣道場で叩き直してやる!さあ来い!」グイ
京子「うえぇーーっ!?ちょ、ちょっと待って、勘弁してよ!?」
中川「これは、みっちりしごかれるね・・・」
麗子「まさに自業自得ね!」
「・・・京子、京子!」
「京子センパイ!」
「京子ちゃん!」
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 19:52:21.18 ID:ocuKza760
(公園)
京子「う、うーん、ちょっと待って、勘弁してってば・・・はっ!?」
結衣「京子!ふぅ、良かった、気がついた・・・」
ちなつ「何だかうなされてましたけど。大丈夫ですか?」
あかり「京子ちゃん、大丈夫?どっか痛くない?」
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 19:53:05.25 ID:ocuKza760
京子「あ、あれ?ここどこ?私、さっきまで確か・・・」
結衣「車に轢かれそうになったんだよ。コムケの会場に向かう途中に」
ちなつ「京子センパイ、左右の確認もしないで道路渡ろうとするんですから」
あかり「危ない所だったよねー」
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 19:54:42.60 ID:ocuKza760
結衣「それで、とっさにお巡りさんが飛び出して京子の事助けてくれて・・・」
京子「へ?そ、そうだったんだ」
ちなつ「意識を失ってましたけど。軽く頭を打っただけみたいだからしばらく様子を見なさいって」
あかり「だから、近くの公園のベンチに寝かせてたんだよー」
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 19:56:06.62 ID:ocuKza760
京子「そうなんだ・・・。そんで、そのお巡りさんは?」
結衣「え?ああ、名乗るほどの者じゃないって言って、そのまま行っちゃったよ」
ちなつ「その人に感謝しないといけませんよ?」
あかり「そうだよ京子ちゃん。本当に危ない所だったんだから」
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 20:03:49.32 ID:ocuKza760
京子「えー?でも名前もわかんないんじゃ感謝のしようがないじゃん」
結衣「だから、お前は自分の行為を反省してちょっとはそのお巡りさんに感謝の気持ちを・・・」
ちなつ「そうですよ、京子センパイ」
あかり「お巡りさんの名前、聞いておけば良かったねー」
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 20:07:03.62 ID:ocuKza760
京子「・・・よーし、じゃ、こうしよっか」
結衣「ん?どうするんだ京子?」
ちなつ「何をする気ですか?」
あかり「何かいい考えでもあるの?」
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 20:10:36.89 ID:ocuKza760
(亀有公園前派出所)
両津「おー、イテテ・・・」
麗子「どうしたの両ちゃん?腕にすり傷なんか作って」
中川「何かあったんですか?」
両津「ああ、巡回中に中学生くらいの女の子が車に轢かれそうになってな!」
両津「とっさに飛び出してかばったんだが・・・。その時にすりむいたんだ」
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 20:11:35.75 ID:ocuKza760
麗子「え?両ちゃんが?女の子にチカンしようとして引っかかれたんじゃなくて?」
中川「先輩、いくらモテないからって、まさか女子中学生に手を・・・」
両津「こ、こら!人を変質者みたく言うな!」
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 20:23:53.45 ID:ocuKza760
麗子「両ちゃん、くれぐれも新聞には載らないようにね?」
中川「ええ。最近はちょっとした不祥事もすぐ新聞に載ったりしますから」
両津「う、うーむ本当に女の子を助けたのに・・・」
部長「みんな、ちょっとテレビを見てみろ」
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 20:25:22.48 ID:ocuKza760
中川「あ、部長」
麗子「どうかしたんですか?」
部長「今からローカルニュースをやるからな、とくに両津!お前はしっかり見るように!」
両津「何なんですか一体・・・」
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 20:56:37.07 ID:ocuKza760
テレビ「・・・えー、今日の午後1時ごろ、路上で車に轢かれそうになっていた女子中学生を」
テレビ「通りがかった警察官が、危険もかえりみず車の前に飛び出して救けたとのニュースが入りました」
テレビ「その警察官は名前も告げずに去ったそうで、感謝のメッセージが警視庁に届けられ・・・」
麗子「すごいわね、車の前に飛び出して助けたの?」
中川「中々できる事じゃありませんね・・・」
部長「ああ、見上げたものだ。署のイメージアップになると署長も喜んでたぞ」
両津「おお!これはさっきの・・・」
47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 20:57:49.36 ID:ocuKza760
両津「あの子、気がついたんだな?いやー、良かった・・・」
部長「体を張って人を助け、かといって恩を着せるでもなく名も告げずに謙虚に去っていく・・・」
部長「うーん、まさに警察官の鑑だ。わしらも見習わんとな」
麗子「ええ、そうですね」
中川「本当に立派な方ですね」
両津「え?い、いやぁ、それほどでも・・・」
48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 21:31:30.26 ID:ocuKza760
両津「ね、ねぇ部長!その中学生の女の子助けたの、実はわしなんですよ!」
部長「そんなわけないだろうが・・・」
麗子「そうよ両ちゃん。人の手柄を横取りしようなんて」
部長「同じ警察官とは思えんな!」
両津「本当なんですよ!?」
49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 21:32:56.78 ID:ocuKza760
部長「それに大体な両津、お前が人助けなんかしようものならさんざん恩に着せるだろうに」
麗子「両ちゃんならお金を請求しそうね」
中川「ええ、全く」
両津「ほ、本当なんですって!うーむ参ったな、誰も信じてくれん・・・」
50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 22:31:27.59 ID:ocuKza760
(数日後、ごらく部の部室)
京子「やー、結局私を助けてくれたお巡りさんの正体はわかんなかったねー」
結衣「ああ、きっと謙虚な人なんだよ」
ちなつ「周りから尊敬されてる、立派なお巡りさんかも知れませんね」
あかり「けどメッセージは届いたよね、きっと」
51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 23:01:43.04 ID:ocuKza760
京子「それより!見てよコレ」ジャラジャラ
結衣「ん?何だそのコイン」
京子「私が材料買ってきて、自分で作ったんだー。その名も京子コイン!」
ちなつ「何するんですか、そんなもの?」
52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 23:05:30.64 ID:ocuKza760
京子「これを、インターネットとかで売る!」
結衣「売れるのかよ、そんなもん」
京子「うんたぶん。何とかコインとか流行ってるし」
あかり「適当すぎない!?」
53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 23:08:10.60 ID:ocuKza760
京子「みんなもどう?1枚1000円!」
結衣「金に、汚い・・・。やっぱり京子って」
ちなつ「こち亀の、両さんに似てますね・・・」
あかり「そうだね・・・」
終わり
54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 23:09:05.00 ID:ocuKza760
以上でした
読んでくれた方ありがとうございました
読んでくれた方ありがとうございました
55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 01:55:38.23 ID:UUaYMitDO
あかり枠は寺井かな
57: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/03/02(金) 01:30:30.00 ID:7FLy6lUKo
面白かったわ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1519483299/
Entry ⇒ 2018.03.05 | Category ⇒ ゆるゆり | Comments (0)
向日葵「杉浦先輩!櫻子の事で相談があります!」綾乃「短篇集よ!」
1: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:26:55.39 ID:rfHcYEGi0
①向日葵「櫻子がバレンタインでチョコを……」綾乃「……そう」
向日葵「その相談があるのですが……、今お時間の方よろしいでしょうか?」
綾乃「え? 大丈夫だけど、どうかしたの?」
向日葵「実は櫻子が……その……」
綾乃「大室さんが?」
向日葵「櫻子がチョコレートを作っているみたいで!」
綾乃「大室さんがチョコを?」
向日葵「はい、今朝撫子さんが 「櫻子がチョコレートを作ってるんだ。何度も失敗してさ。まったく頑張っちゃって……。一体誰の為に頑張ってるんだろうね」ニヤッ と」
綾乃「へぇー。それはバレンタインが楽しみね」
向日葵「……」
綾乃「ん? 古谷さん? どうかしたの? 私の顔をジーっと……怖い顔をして……」
向日葵「……ま、まさか、櫻子がチョコをプレゼントするのは杉浦先輩!??!?」
綾乃「へ? い、いやいや。どう考えても私じゃないでしょ!」
向日葵「その相談があるのですが……、今お時間の方よろしいでしょうか?」
綾乃「え? 大丈夫だけど、どうかしたの?」
向日葵「実は櫻子が……その……」
綾乃「大室さんが?」
向日葵「櫻子がチョコレートを作っているみたいで!」
綾乃「大室さんがチョコを?」
向日葵「はい、今朝撫子さんが 「櫻子がチョコレートを作ってるんだ。何度も失敗してさ。まったく頑張っちゃって……。一体誰の為に頑張ってるんだろうね」ニヤッ と」
綾乃「へぇー。それはバレンタインが楽しみね」
向日葵「……」
綾乃「ん? 古谷さん? どうかしたの? 私の顔をジーっと……怖い顔をして……」
向日葵「……ま、まさか、櫻子がチョコをプレゼントするのは杉浦先輩!??!?」
綾乃「へ? い、いやいや。どう考えても私じゃないでしょ!」
2: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:29:29.03 ID:rfHcYEGi0
向日葵「じゃあ、誰なんですの!? 櫻子がチョコをプレゼントする相手なんて他に……ま、まさか吉川さんに!? そういえば単行本最新刊で二人っきりでデートに!」
綾乃「はぁ……違うと思うわ。……うーん、そうね。古谷さんよく考えてみて」
向日葵「え?」
綾乃「大室さんだったら、失敗が続いたらすぐに古谷さんを頼ると思うの。でも、今回のチョコ作りは古谷さんに頼らずに作ってるんでしょ? それはなぜかしら?」
向日葵「そ、そういわれると。撫子さんは『何度も失敗して』と言ってましたわ。そういう時はいつも私を頼ってくれるのに……」
綾乃「うん、そうそう。そういう事…………って、古谷さん!? なんで泣いているの!?」
向日葵「うっ……うぅ……櫻子に頼ってもらえないなんて……私嫌われちゃったんですのね……」
綾乃「違うでしょ! 古谷さんにプレゼントしたいからでしょ!」
向日葵「------へ?」
綾乃「古谷さんにプレゼントしたいから、びっくりさせたいから、喜んで欲しいから古谷さんに頼れないんだと思うわ」
向日葵「な、なるほど……確かに。なるほど」
綾乃「ふふっ。よかったわね。楽しいバレンタインになりそうね」
向日葵「櫻子は私にバレンタインチョコをプレゼントしたい……と」
向日葵「まったく櫻子は仕方ありませんわね。バレンタインに気合いを入れた手作りなんて、まるで特別なチョコみたいですわ」
綾乃(古谷さん、すっごくうれしそう……チョコが熱で溶けたみたいに、古谷さんの表情がとろけてるわ)
向日葵「まぁ、仕方ありませんから、櫻子のチョコを受け取ってあげますわ。ええ、せっかく手作りなのを受け取らないなんてできませんし」
綾乃「相思相愛でよかったわね」
向日葵「っ~~~~~~//」カァー
綾乃「はぁ……違うと思うわ。……うーん、そうね。古谷さんよく考えてみて」
向日葵「え?」
綾乃「大室さんだったら、失敗が続いたらすぐに古谷さんを頼ると思うの。でも、今回のチョコ作りは古谷さんに頼らずに作ってるんでしょ? それはなぜかしら?」
向日葵「そ、そういわれると。撫子さんは『何度も失敗して』と言ってましたわ。そういう時はいつも私を頼ってくれるのに……」
綾乃「うん、そうそう。そういう事…………って、古谷さん!? なんで泣いているの!?」
向日葵「うっ……うぅ……櫻子に頼ってもらえないなんて……私嫌われちゃったんですのね……」
綾乃「違うでしょ! 古谷さんにプレゼントしたいからでしょ!」
向日葵「------へ?」
綾乃「古谷さんにプレゼントしたいから、びっくりさせたいから、喜んで欲しいから古谷さんに頼れないんだと思うわ」
向日葵「な、なるほど……確かに。なるほど」
綾乃「ふふっ。よかったわね。楽しいバレンタインになりそうね」
向日葵「櫻子は私にバレンタインチョコをプレゼントしたい……と」
向日葵「まったく櫻子は仕方ありませんわね。バレンタインに気合いを入れた手作りなんて、まるで特別なチョコみたいですわ」
綾乃(古谷さん、すっごくうれしそう……チョコが熱で溶けたみたいに、古谷さんの表情がとろけてるわ)
向日葵「まぁ、仕方ありませんから、櫻子のチョコを受け取ってあげますわ。ええ、せっかく手作りなのを受け取らないなんてできませんし」
綾乃「相思相愛でよかったわね」
向日葵「っ~~~~~~//」カァー
3: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:32:29.64 ID:rfHcYEGi0
綾乃(ふふっ。りんごみたいに真っ赤になって可愛いわね)
向日葵「違います! 私は別に櫻子が好きとかじゃありませんから!」
綾乃「えっ」
向日葵「勘違いされては困ります! まったく! なぜ私が櫻子のチョコで喜んだり……」
綾乃「じゃあ、いらないの?」
向日葵「いるに決まってるじゃないですか! すっごく嬉しいに決まってるじゃないですか!」
綾乃「そ、そうなの。あっ、もしかして相手が誰であれ、チョコを貰うという行為が嬉しいって事ね?」
向日葵「違います! 櫻子からのプレゼントなんて嬉しいに決まってますわ!」
綾乃「そ、そうよね」
綾乃(え、えーと、「貰って良かったわね」と言っても「じゃあ、欲しくないの?」と言っても全否定。私どうすればいいのかしら……)
向日葵「違います! 私は別に櫻子が好きとかじゃありませんから!」
綾乃「えっ」
向日葵「勘違いされては困ります! まったく! なぜ私が櫻子のチョコで喜んだり……」
綾乃「じゃあ、いらないの?」
向日葵「いるに決まってるじゃないですか! すっごく嬉しいに決まってるじゃないですか!」
綾乃「そ、そうなの。あっ、もしかして相手が誰であれ、チョコを貰うという行為が嬉しいって事ね?」
向日葵「違います! 櫻子からのプレゼントなんて嬉しいに決まってますわ!」
綾乃「そ、そうよね」
綾乃(え、えーと、「貰って良かったわね」と言っても「じゃあ、欲しくないの?」と言っても全否定。私どうすればいいのかしら……)
4: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:33:55.28 ID:rfHcYEGi0
向日葵「それにしても櫻子が手作りチョコなんて……。ふふっ楽しみですわ」
綾乃「……」
綾乃(ま、まぁ、嬉しそうだし、古谷さんが落ち着くまで話に付き合ってあげましょう)
綾乃「ねぇ、古谷さん?」
向日葵「はい?」
ガラララッ
櫻子「こんにちはーーー」
向日葵「あっ、櫻子」
綾乃「大室さん、こんにちは」
櫻子「チョコの話が聞こえました! もしかして、ここにチョコがあるんですか! 食べたいです!」
向日葵「あ、あなた……どういう聴覚しているのよ……」
綾乃「チョコ? 今日はお菓子はないと思うわ。何かの聞き間違いじゃないかしら?」
櫻子「そうですか……」シューン
綾乃「ごめんなさいね」
向日葵(シュンってしてる櫻子可愛い//)キュンキュン
綾乃「……」
綾乃(ま、まぁ、嬉しそうだし、古谷さんが落ち着くまで話に付き合ってあげましょう)
綾乃「ねぇ、古谷さん?」
向日葵「はい?」
ガラララッ
櫻子「こんにちはーーー」
向日葵「あっ、櫻子」
綾乃「大室さん、こんにちは」
櫻子「チョコの話が聞こえました! もしかして、ここにチョコがあるんですか! 食べたいです!」
向日葵「あ、あなた……どういう聴覚しているのよ……」
綾乃「チョコ? 今日はお菓子はないと思うわ。何かの聞き間違いじゃないかしら?」
櫻子「そうですか……」シューン
綾乃「ごめんなさいね」
向日葵(シュンってしてる櫻子可愛い//)キュンキュン
5: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:35:39.99 ID:rfHcYEGi0
櫻子「まっいっか。どうせ家に沢山チョコレートあるし」
綾乃「え?」
櫻子「ふふふふ、実はチョコのウエディングケーキ作ろうと頑張ってるんです!」
向日葵「!」
櫻子「そして、今流行のYURITUBEに動画投稿しようと思いまして!」
綾乃「そ、そうなの……」
櫻子「そうだ! 材料が足りないから買いに行くんでした! じゃあ、帰ります。お疲れ様でしたー」
綾乃「お、お疲れ様ー……」
綾乃「え?」
櫻子「ふふふふ、実はチョコのウエディングケーキ作ろうと頑張ってるんです!」
向日葵「!」
櫻子「そして、今流行のYURITUBEに動画投稿しようと思いまして!」
綾乃「そ、そうなの……」
櫻子「そうだ! 材料が足りないから買いに行くんでした! じゃあ、帰ります。お疲れ様でしたー」
綾乃「お、お疲れ様ー……」
6: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:36:22.46 ID:rfHcYEGi0
綾乃「え、えーと、古谷さん?」
向日葵「櫻子ったら……結婚まで考えて。もうっ、私達まだ恋人繋ぎもやっていないのに……」
向日葵「まったく常識知らずにもほどがありますわ! ここは妻がビシッと常識を!」
向日葵「って誰が妻なんですのよ!」キャー
綾乃「∵」
向日葵「それでは、さくひま、ひまさく短篇集、始まりますわー」
あかり「それあかりのセリフだよ!?」
① 終わり
向日葵「櫻子ったら……結婚まで考えて。もうっ、私達まだ恋人繋ぎもやっていないのに……」
向日葵「まったく常識知らずにもほどがありますわ! ここは妻がビシッと常識を!」
向日葵「って誰が妻なんですのよ!」キャー
綾乃「∵」
向日葵「それでは、さくひま、ひまさく短篇集、始まりますわー」
あかり「それあかりのセリフだよ!?」
① 終わり
7: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:37:18.33 ID:rfHcYEGi0
②:向日葵「そんな……人生終わり……」綾乃「古谷さん!?」
綾乃「古谷さん!? どうかしたの!? 人生が終わったみたいな顔をして!」
向日葵「もういいんですの。私なんて生きる価値もないような人間で……」
綾乃「何を言っているの! 価値がないなんて言わないで。あなたが生徒会で頑張ってくれているお陰で、どれだけ私が助かっているか」
向日葵「杉浦先輩……」
綾乃「悩みがあるならいつでも相談していいのよ。可愛い後輩からの相談、生徒会副会長 杉浦綾乃は逃げも隠れもしないわよ」
向日葵「……先輩」
綾乃「ほら、言ってごらんなさい」
向日葵「実は……実は!」
向日葵「櫻子が赤座さんのジュースを飲んだのですわ!」
綾乃「……………………………………へ?」
向日葵「赤座さんが口を付けたコップに……櫻子が!」
綾乃「え、えーと?」
向日葵「関節キス……いいえ、これは唾液の交換みたいなものですわ! なんて嫌らしい! きっと赤座さんが櫻子に自分の唾液を飲ませるために!」
向日葵「って、杉浦先輩?」
綾乃「∵」
② 終わり
綾乃「古谷さん!? どうかしたの!? 人生が終わったみたいな顔をして!」
向日葵「もういいんですの。私なんて生きる価値もないような人間で……」
綾乃「何を言っているの! 価値がないなんて言わないで。あなたが生徒会で頑張ってくれているお陰で、どれだけ私が助かっているか」
向日葵「杉浦先輩……」
綾乃「悩みがあるならいつでも相談していいのよ。可愛い後輩からの相談、生徒会副会長 杉浦綾乃は逃げも隠れもしないわよ」
向日葵「……先輩」
綾乃「ほら、言ってごらんなさい」
向日葵「実は……実は!」
向日葵「櫻子が赤座さんのジュースを飲んだのですわ!」
綾乃「……………………………………へ?」
向日葵「赤座さんが口を付けたコップに……櫻子が!」
綾乃「え、えーと?」
向日葵「関節キス……いいえ、これは唾液の交換みたいなものですわ! なんて嫌らしい! きっと赤座さんが櫻子に自分の唾液を飲ませるために!」
向日葵「って、杉浦先輩?」
綾乃「∵」
② 終わり
8: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:39:08.33 ID:rfHcYEGi0
③:向日葵「櫻子が浮気しないようにするには……」綾乃「へ?」
向日葵「まったく櫻子は! 誰にでも犬みたいに懐いて! だから友達が多すぎるんですわ! これでは心配で夜も眠れません! まぁ、そこが櫻子の良い所でもあるんですけど!」
綾乃「……」
向日葵「杉浦先輩! 櫻子が浮気しない為にはどうすれば良いと思いますか!?」
綾乃「え、えーと、まだ古谷さんと大室さんは付き合ってないのよね?」
向日葵「当り前ですわ。櫻子と結婚するなんて……考えただけで、頭が熱くなるくらい大変な事です」
綾乃「そ、そう……。じゃあ、浮気の心配とかする必要は……ないわよね? ほら、そもそも浮気って恋人関係とかになった後の事でしょ?」
向日葵「……?」
綾乃「いや、キョトンと不思議そうな顔をされても……わかったわ! 浮気をしない方法を考えましょう」
向日葵「はい!」
向日葵「まったく櫻子は! 誰にでも犬みたいに懐いて! だから友達が多すぎるんですわ! これでは心配で夜も眠れません! まぁ、そこが櫻子の良い所でもあるんですけど!」
綾乃「……」
向日葵「杉浦先輩! 櫻子が浮気しない為にはどうすれば良いと思いますか!?」
綾乃「え、えーと、まだ古谷さんと大室さんは付き合ってないのよね?」
向日葵「当り前ですわ。櫻子と結婚するなんて……考えただけで、頭が熱くなるくらい大変な事です」
綾乃「そ、そう……。じゃあ、浮気の心配とかする必要は……ないわよね? ほら、そもそも浮気って恋人関係とかになった後の事でしょ?」
向日葵「……?」
綾乃「いや、キョトンと不思議そうな顔をされても……わかったわ! 浮気をしない方法を考えましょう」
向日葵「はい!」
9: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:40:02.58 ID:rfHcYEGi0
* * *
■1.GPS
綾乃「ネットで調べてみましょう」
向日葵「えーと、浮気防止っと……」
YURIGLE先生「恋人の場所を常にGPSで確認しよう」
綾乃「えぇ!? GPS!? 常識的に考えてこれはおかしいわ!」
向日葵「そうですわよね。常識的に考えて、GPSを埋め込むのは既にやっていますわ。常識的に考えてやらないなんておかしいですわ。常識的に考えて」
綾乃「…………ぇ」ガクブル
■1.GPS
綾乃「ネットで調べてみましょう」
向日葵「えーと、浮気防止っと……」
YURIGLE先生「恋人の場所を常にGPSで確認しよう」
綾乃「えぇ!? GPS!? 常識的に考えてこれはおかしいわ!」
向日葵「そうですわよね。常識的に考えて、GPSを埋め込むのは既にやっていますわ。常識的に考えてやらないなんておかしいですわ。常識的に考えて」
綾乃「…………ぇ」ガクブル
10: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:41:02.56 ID:rfHcYEGi0
■2.おいしい料理を作る
綾乃「まぁ、これは問題ないわよね」
向日葵「ええ、朝食~夕食、夜食、おやつまで最近は全部作ってますわ! ……でも、櫻子に渡すのが恥ずかしくて……作ってるだけで……//」カァー
綾乃(怖っ)
綾乃「まぁ、これは問題ないわよね」
向日葵「ええ、朝食~夕食、夜食、おやつまで最近は全部作ってますわ! ……でも、櫻子に渡すのが恥ずかしくて……作ってるだけで……//」カァー
綾乃(怖っ)
11: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:42:02.93 ID:rfHcYEGi0
■3.束縛をあまりしない
向日葵「当り前ですわ。度が過ぎる束縛は嫌われます。常識的に考えて」
綾乃(でも、GPSは埋め込むのね……)
向日葵「当り前ですわ。度が過ぎる束縛は嫌われます。常識的に考えて」
綾乃(でも、GPSは埋め込むのね……)
12: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:42:54.75 ID:rfHcYEGi0
■4.本命の存在をアピールする
向日葵「これは問題ありませんわ。櫻子の本命は、わ・た・く・しです」
綾乃(うざっ)
向日葵「それ以外ありえませんわね」
綾乃「告白もしてないから、本当に本命かわからないのよねー」ボソッ
向日葵「え?」
綾乃「ううん、なんでもないの」
向日葵「でも確かに櫻子が告白をしないから、いまいちおかしな関係になっているのは事実ですわ」
綾乃(あっ、聞こえちゃってたわね)
向日葵「ぐぐぐぐ。これもあれも告白しない櫻子のせいですわ!」
向日葵「これは問題ありませんわ。櫻子の本命は、わ・た・く・しです」
綾乃(うざっ)
向日葵「それ以外ありえませんわね」
綾乃「告白もしてないから、本当に本命かわからないのよねー」ボソッ
向日葵「え?」
綾乃「ううん、なんでもないの」
向日葵「でも確かに櫻子が告白をしないから、いまいちおかしな関係になっているのは事実ですわ」
綾乃(あっ、聞こえちゃってたわね)
向日葵「ぐぐぐぐ。これもあれも告白しない櫻子のせいですわ!」
13: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:43:58.29 ID:rfHcYEGi0
綾乃「じゃあ、古谷さんから告白してみたら?」
向日葵「なっ! 私が告白!? そんな事をしたらまるで私が櫻子を好きみたいじゃないですか!」
綾乃「え? 好きじゃないの?」
向日葵「好きなんかじゃありません! 幼馴染だから仕方なく一緒にいてあげてるだけでして」
綾乃「じゃあ、私が大室さんに告白しちゃおうかなー……なんて」
向日葵「……ぇ」
綾乃「冗談! 冗談だから泣かないで! ごめんなさい! 謝るから!」
向日葵「ほ、本当に冗談ですの?」
綾乃「冗談よ。そもそも大室さんは可愛い後輩というか妹みたいな感じで……。そうよ、おこちゃまだから恋愛対象じゃないの!」
向日葵「……」
綾乃「え? どうしたの? 憐れんだような眼をして……?」
向日葵「はぁ……。櫻子の魅力がわからないなんて杉浦先輩もまだまだですわね」
綾乃「ねぇ、私そろそろ怒っていいかしら?」ゴゴゴゴゴ
向日葵「すみません、調子に乗りました。でも、櫻子の事は好きとかじゃないんです。わかってください」
向日葵「なっ! 私が告白!? そんな事をしたらまるで私が櫻子を好きみたいじゃないですか!」
綾乃「え? 好きじゃないの?」
向日葵「好きなんかじゃありません! 幼馴染だから仕方なく一緒にいてあげてるだけでして」
綾乃「じゃあ、私が大室さんに告白しちゃおうかなー……なんて」
向日葵「……ぇ」
綾乃「冗談! 冗談だから泣かないで! ごめんなさい! 謝るから!」
向日葵「ほ、本当に冗談ですの?」
綾乃「冗談よ。そもそも大室さんは可愛い後輩というか妹みたいな感じで……。そうよ、おこちゃまだから恋愛対象じゃないの!」
向日葵「……」
綾乃「え? どうしたの? 憐れんだような眼をして……?」
向日葵「はぁ……。櫻子の魅力がわからないなんて杉浦先輩もまだまだですわね」
綾乃「ねぇ、私そろそろ怒っていいかしら?」ゴゴゴゴゴ
向日葵「すみません、調子に乗りました。でも、櫻子の事は好きとかじゃないんです。わかってください」
14: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:45:44.24 ID:rfHcYEGi0
綾乃「ふぅ……で、なんの話だったかしら?」
向日葵「どうやったら櫻子が告白するかという話ですわ」
綾乃「そ、そんな話だったかしら?」
向日葵「というわけで次回に続きますわ」
綾乃「続かないからね!」
③ 終わり
向日葵「どうやったら櫻子が告白するかという話ですわ」
綾乃「そ、そんな話だったかしら?」
向日葵「というわけで次回に続きますわ」
綾乃「続かないからね!」
③ 終わり
15: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:47:16.29 ID:rfHcYEGi0
④:向日葵「櫻子が……櫻子が……」綾乃「はいはい」
向日葵「杉浦先輩……ご相談が……」
綾乃「暗い顔をしてどうかしたの?」
■回想シーン------------------------
向日葵「あら? 髪にゴミがついてますわよ」
櫻子「ひゃっ//」
向日葵「え?」
櫻子「か、勝手に触るなし!」
向日葵「顔真っ赤にして怒ってるのよ。ちょっとゴミを取っただけじゃない」
櫻子「っ//」
バーカ! バーカ! 真っ赤になんてなってねーし!!!!
■回想終了--------------------------
向日葵「その後、話しかけても……顔を真っ赤にさせて怒ってきて。杉浦先輩……私どうしたら?」
綾乃「∵」
④ 終わり
向日葵「杉浦先輩……ご相談が……」
綾乃「暗い顔をしてどうかしたの?」
■回想シーン------------------------
向日葵「あら? 髪にゴミがついてますわよ」
櫻子「ひゃっ//」
向日葵「え?」
櫻子「か、勝手に触るなし!」
向日葵「顔真っ赤にして怒ってるのよ。ちょっとゴミを取っただけじゃない」
櫻子「っ//」
バーカ! バーカ! 真っ赤になんてなってねーし!!!!
■回想終了--------------------------
向日葵「その後、話しかけても……顔を真っ赤にさせて怒ってきて。杉浦先輩……私どうしたら?」
綾乃「∵」
④ 終わり
16: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:48:45.26 ID:rfHcYEGi0
⑤:向日葵「私、そろそろ死ぬかもしれませんわ」綾乃「え!?」
ガララッ
綾乃「ど、どうしたの? 生徒会室の扉を勢いよく開けて……」
向日葵「杉浦先輩! 聞いてください!!」
綾乃「え? 相談なの? ちょっと待って今は……」
向日葵「昨日、櫻子がこたつの中で猫みたいに丸くなってましたの!」
向日葵「なんですのこれ! 可愛すぎるんですけど!!」
向日葵「可愛すぎて心拍数がすっごい事になってしまいましたわ!」
向日葵「私、死ぬ所だったんですのよ!」
綾乃「え?あっ……はい」
⑤ 終わり
向日葵「え!? 終わりなんですの!?」
綾乃「いや、実は……その……私、ちょっと今は……」
ガララッ
綾乃「ど、どうしたの? 生徒会室の扉を勢いよく開けて……」
向日葵「杉浦先輩! 聞いてください!!」
綾乃「え? 相談なの? ちょっと待って今は……」
向日葵「昨日、櫻子がこたつの中で猫みたいに丸くなってましたの!」
向日葵「なんですのこれ! 可愛すぎるんですけど!!」
向日葵「可愛すぎて心拍数がすっごい事になってしまいましたわ!」
向日葵「私、死ぬ所だったんですのよ!」
綾乃「え?あっ……はい」
⑤ 終わり
向日葵「え!? 終わりなんですの!?」
綾乃「いや、実は……その……私、ちょっと今は……」
17: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:49:48.65 ID:rfHcYEGi0
向日葵「杉浦先輩! ちゃんと聞いてください! 私は真面目なんです!」
綾乃「ふ、古谷さん落ち着いて」
向日葵「これが落ち着いていられますか! だって、櫻子が櫻子が可愛すぎるんです!」
綾乃「そ、そうなの?」
■回想シーン------------------------
櫻子「じゃじゃーん。新しいマフラー櫻子様ー」
向日葵「手を広げてクルクル回ったら危ないわよ」
櫻子「ふふーん。この櫻子様の可愛さがわからないなんて、向日葵もまだまだだね」
■回想終了--------------------------
向日葵「可愛すぎですわよ!! バッカじゃないの!!! 妖精みたいにクルクル回って!! 可愛すぎなんですけど! バッカじゃないの! 天使なんですけど!」バンバン
綾乃「あっ、うん。わかったから。机をたたかないでね? えーと、落ち着いて聞いて欲しい事があるんだけど……」
向日葵「ちょっと待ってください! 実はもっと聞いて欲しい事が!」
綾乃「へ?」
綾乃「ふ、古谷さん落ち着いて」
向日葵「これが落ち着いていられますか! だって、櫻子が櫻子が可愛すぎるんです!」
綾乃「そ、そうなの?」
■回想シーン------------------------
櫻子「じゃじゃーん。新しいマフラー櫻子様ー」
向日葵「手を広げてクルクル回ったら危ないわよ」
櫻子「ふふーん。この櫻子様の可愛さがわからないなんて、向日葵もまだまだだね」
■回想終了--------------------------
向日葵「可愛すぎですわよ!! バッカじゃないの!!! 妖精みたいにクルクル回って!! 可愛すぎなんですけど! バッカじゃないの! 天使なんですけど!」バンバン
綾乃「あっ、うん。わかったから。机をたたかないでね? えーと、落ち着いて聞いて欲しい事があるんだけど……」
向日葵「ちょっと待ってください! 実はもっと聞いて欲しい事が!」
綾乃「へ?」
18: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:50:42.74 ID:rfHcYEGi0
■回想シーン------------------------
櫻子「ケーキを作りすぎちゃってさ……」
向日葵「ケーキ? ああ、この前のチョコのウェディングケーキの事かしら?」
櫻子「うん」
向日葵「はぁ……。あんな大きいケーキを作って一体どうしますの? 食べるにしても一人だと体に悪いんですのよ。普段栄養に気を遣えとあれほど----」
櫻子「だ、だから、向日葵も食べろ! 一緒に!」
向日葵「へ?」
櫻子「今度の水曜日にうちに来いよ! わかったな! バーカ!」
■回想終了--------------------------
向日葵「水曜日って2月14日じゃないですのーーーー!!!!!!!」
向日葵「バレンタインにチョコのウェディングケーキとか愛が重すぎなんですけどーーーー!!!」
綾乃「で、でも、嬉しそうにみえるわよ?」
向日葵「嬉しいに決まってるじゃないですかーーーー!!!」
向日葵「もうっ! 櫻子ったら『2月14日にうちに来い』と言わない辺り、サプライズのつもりなんでしょうか? ふふっ。まぁ、櫻子が考える程度のサプライズ、驚きもしませんがね」
櫻子「ケーキを作りすぎちゃってさ……」
向日葵「ケーキ? ああ、この前のチョコのウェディングケーキの事かしら?」
櫻子「うん」
向日葵「はぁ……。あんな大きいケーキを作って一体どうしますの? 食べるにしても一人だと体に悪いんですのよ。普段栄養に気を遣えとあれほど----」
櫻子「だ、だから、向日葵も食べろ! 一緒に!」
向日葵「へ?」
櫻子「今度の水曜日にうちに来いよ! わかったな! バーカ!」
■回想終了--------------------------
向日葵「水曜日って2月14日じゃないですのーーーー!!!!!!!」
向日葵「バレンタインにチョコのウェディングケーキとか愛が重すぎなんですけどーーーー!!!」
綾乃「で、でも、嬉しそうにみえるわよ?」
向日葵「嬉しいに決まってるじゃないですかーーーー!!!」
向日葵「もうっ! 櫻子ったら『2月14日にうちに来い』と言わない辺り、サプライズのつもりなんでしょうか? ふふっ。まぁ、櫻子が考える程度のサプライズ、驚きもしませんがね」
19: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:51:54.16 ID:rfHcYEGi0
綾乃「えーと、その……実は私からもサプライズがあるんだけど……」
向日葵「え?」
綾乃「じゃ、じゃじゃーん。実はここに大室さんが隠れています」
向日葵「……………………………………………………………………………………………………………へ?」
櫻子「……」
向日葵「…………」
櫻子「…………」
向日葵「……………………いや、これはその……」
櫻子「……向日葵のバカ」ボソッ
向日葵「え?」
櫻子「向日葵のバーーーーーーーーカーーーーーーー!!!!!!!!」
向日葵「櫻子!? 全速力でどこに行きますの!? ちょっと待ってーーーーー!!!!」
向日葵「杉浦先輩! どうしましょう!? 私櫻子を怒らせて!」
向日葵「え?」
綾乃「じゃ、じゃじゃーん。実はここに大室さんが隠れています」
向日葵「……………………………………………………………………………………………………………へ?」
櫻子「……」
向日葵「…………」
櫻子「…………」
向日葵「……………………いや、これはその……」
櫻子「……向日葵のバカ」ボソッ
向日葵「え?」
櫻子「向日葵のバーーーーーーーーカーーーーーーー!!!!!!!!」
向日葵「櫻子!? 全速力でどこに行きますの!? ちょっと待ってーーーーー!!!!」
向日葵「杉浦先輩! どうしましょう!? 私櫻子を怒らせて!」
20: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:53:38.64 ID:rfHcYEGi0
向日葵「…………あれ? でもあの子なんで怒っているのかしら?」
綾乃「ほら、いいから追いかけなさい。追いかけて自分の気持ちを伝えれば大室さんも許してくれるわ」
向日葵「え? 気持ち? な、なんて言えば……」
綾乃「じゃあ、逆の立場だったらなんて言って貰えたら嬉しいのか考えなさい。追いかけながら考えれば、古谷さんなら答えを見つける事ができると思うわ」
向日葵「……逆の立場で……わかりました。頑張ってみます」
綾乃「ええ、またね」
ダダダダダダ
綾乃「行ったわね」
綾乃「……」
綾乃「ふふ」クスッ
綾乃(大室さん、顔真っ赤にしてニヤけながら走っていったわ。きっと嬉しくて嬉しくて。でも古谷さんにそんな顔を見られたくないから逃げ出したのね)
綾乃「まったく素直じゃないんだから……私はああならないように頑張らなきゃね」
綾乃「……」
綾乃「頑張ってね。古谷さん。それに大室さんも」
綾乃「ほら、いいから追いかけなさい。追いかけて自分の気持ちを伝えれば大室さんも許してくれるわ」
向日葵「え? 気持ち? な、なんて言えば……」
綾乃「じゃあ、逆の立場だったらなんて言って貰えたら嬉しいのか考えなさい。追いかけながら考えれば、古谷さんなら答えを見つける事ができると思うわ」
向日葵「……逆の立場で……わかりました。頑張ってみます」
綾乃「ええ、またね」
ダダダダダダ
綾乃「行ったわね」
綾乃「……」
綾乃「ふふ」クスッ
綾乃(大室さん、顔真っ赤にしてニヤけながら走っていったわ。きっと嬉しくて嬉しくて。でも古谷さんにそんな顔を見られたくないから逃げ出したのね)
綾乃「まったく素直じゃないんだから……私はああならないように頑張らなきゃね」
綾乃「……」
綾乃「頑張ってね。古谷さん。それに大室さんも」
21: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:54:20.79 ID:rfHcYEGi0
* * *
綾乃「で? なんで大室さんは古谷さんのパンツを被っているのかしら?」
櫻子「幸せな香りがするからです!」キリッ
向日葵「もうっ。櫻子ったら//」キャー
綾乃「極端すぎなのよーーーーー!!! あなたたちはーーーーー!!!!」
終わり
綾乃「で? なんで大室さんは古谷さんのパンツを被っているのかしら?」
櫻子「幸せな香りがするからです!」キリッ
向日葵「もうっ。櫻子ったら//」キャー
綾乃「極端すぎなのよーーーーー!!! あなたたちはーーーーー!!!!」
終わり
22: ◆xW69XHZIXl2A 2018/02/10(土) 23:54:59.94 ID:rfHcYEGi0
これにて終わりになります。
読んでくださった方ありがとうございました!
また機会があればよろしくお願いします!
読んでくださった方ありがとうございました!
また機会があればよろしくお願いします!
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/11(日) 07:12:39.50 ID:oZc4L0SA0
いつ以来の短編集だろう。
かなり久々のような。
おつ
かなり久々のような。
おつ
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/11(日) 11:36:29.58 ID:5DJrf9zao
乙
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1518272815/
Entry ⇒ 2018.02.24 | Category ⇒ ゆるゆり | Comments (0)
【ゆるゆり】あかり「キスッて、挨拶みたいなものなの・・・?」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/28(日) 10:43:57.69 ID:QHLc3B/s0
ちなつ「おはよー、あかりちゃん」
あかり「あ、おはよーちなつちゃん」
ちなつ「チュ」
あかり「んんっ!?」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/28(日) 10:44:31.65 ID:QHLc3B/s0
ちなつ「・・・それでね、昨日テレビで」
あかり「あ、あのちなつちゃん」
ちなつ「ん?どうしたのあかりちゃん」
あかり「その、毎朝毎朝会うたびにキスしてくるの、ちょっと・・・」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/28(日) 10:45:14.12 ID:QHLc3B/s0
ちなつ「え?なんで?」
あかり「な、なんでって、恥ずかしいっていうか、何ていうか・・・」
ちなつ「え・・・?だって、キスッて挨拶みたいなものでしょ?」
あかり「そ、そうなの?」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/28(日) 10:45:52.66 ID:QHLc3B/s0
ちなつ「そうよ。欧米だと普通じゃない」
あかり「ここ、日本だよねぇ?」
結衣「おはよー、二人とも」
京子「おーっす、あかりにちなつちゃん」
ちなつ「あ、おはようございます」
あかり「あ、お、おはよう」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/28(日) 10:46:31.70 ID:QHLc3B/s0
結衣「チュ」
あかり「んん!?」
京子「チュッ、と」
あかり「んーっ!?」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/28(日) 10:47:00.22 ID:QHLc3B/s0
京子「そんでさー。昨日見たー?あの番組」
結衣「あー見た見た。信じられないよな、秩父山中に原始人の生き残りがって」
ちなつ「チチブピテクスって番組じゃ呼んでましたけど。ホントですかね」
あかり「あ、あの、結衣ちゃんに京子ちゃん」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/28(日) 10:48:13.56 ID:QHLc3B/s0
結衣「ん?」
京子「どうしたのあかり?」
あかり「い、今、そのね、結衣ちゃんと京子ちゃん、あかりに・・・」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/28(日) 10:48:44.26 ID:QHLc3B/s0
結衣「うん、キスしたけどどうかしたの?」
京子「挨拶みたいなもんでしょ?」
あかり「う、うん、そのね、それって何か変じゃないかなって・・・」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/28(日) 10:49:23.68 ID:QHLc3B/s0
結衣「変・・・?えっ、どこが?」
京子「挨拶しただけでしょー?あかりこそ変なやつー」
ちなつ「あかりちゃん、今日は朝からずっとこんな感じなんですよ」
あかり「う、うんあのね、変なのはたぶんみんなの方だとあかり思うんだ・・・」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/28(日) 10:50:01.09 ID:QHLc3B/s0
京子「・・・何、もしかして、あかり」
あかり「ん?」
京子「変に意識しちゃってんの!?うわっ、キモッ!」
結衣「わ、私にそんな気はないからな?」
ちなつ「あ、あかりちゃん、近づかないで」
あかり「ちょ、ちょっとぉ!?ちなつちゃんがそれ言うーっ!?」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/28(日) 10:50:56.39 ID:QHLc3B/s0
あかり「・・・じゃあ」
京子「ん?」
あかり「どうしてあかりだけなの?挨拶なんだよね?じゃあ、結衣ちゃんと京子ちゃんも・・・」
結衣「え・・・」
京子「そ、そりゃあ・・・ねぇ」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/28(日) 10:52:08.10 ID:QHLc3B/s0
京子「あ、と、所でさ、ホントに居ると思うー?秩父山中の原始人」
結衣「あ、ああ、居ると思うよ?それっぽいの映ってたし」
ちなつ「ろ、ロマンのある話ですよねー」
あかり「もーっ、何でなのーっ!?」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/28(日) 10:54:01.03 ID:QHLc3B/s0
あかり(この前、ちなつちゃんに追いかけ回されてキスされちゃった所を)
あかり(結衣ちゃんと京子ちゃんに見られて・・・)
あかり(そしてちなつちゃんが、これは挨拶してただけって必死に言い訳したお陰で)
あかり(キスって、挨拶みたいなものって事になっちゃった)
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/28(日) 10:55:10.20 ID:QHLc3B/s0
あかり(それ以来、毎朝毎朝・・・)
あかり(おはようの挨拶みたいに、みんなあかりにチュッチュチュッチュって)
あかり(それに、結衣ちゃんと京子ちゃん、ちなつちゃんだけじゃなくて)
あかり(教室に行けば、今度は・・・)
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 14:54:04.06 ID:vChxSuC40
(教室)
ガラ
ちなつ「おはよー」
あかり「おはよう・・・」
櫻子「おっ、あかりちゃん」
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 14:54:40.66 ID:vChxSuC40
櫻子「んチュ」
あかり「んんっ!?」
櫻子「ふぅ、おっはよー」
あかり「櫻子ちゃん、順序が逆だよ逆!?」
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 14:55:16.47 ID:vChxSuC40
向日葵「櫻子。何ですかお行儀の悪い」
櫻子「何だよ、うるさいな向日葵は」
あかり「そうだよ櫻子ちゃん、前は挨拶してからだったけど最近・・・」
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 14:55:43.55 ID:vChxSuC40
向日葵「チュッ」
あかり「んっ!?」
向日葵「ふぅ、おはようございます。こうやって挨拶は丁寧に・・・」
櫻子「ちぇーっ、いい子ぶりやがって」
あかり「そっちなの向日葵ちゃん!?」
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 14:56:44.33 ID:vChxSuC40
(放課後、ごらく部)
京子「いやー、今日クラスも秩父原人の話で持ちきりだったなー」
結衣「ああ、いる派といない派で真っ二つだったよな」
ちなつ「どっちなんでしょうかねー」
あかり「ふぅ・・・」
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 14:57:12.35 ID:vChxSuC40
京子「もしかして、捕まえたら賞金とか貰えるんじゃないの?」
結衣「いや、どうやって捕まえるんだよ」
ちなつ「バナナとかでおびき寄せられませんかね?」
あかり「そんな、チンパンジーみたいに・・・」
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 14:58:13.28 ID:vChxSuC40
ガラ
綾乃「としのーきょーこー!」
千歳「お邪魔しますー」
京子「おー、綾乃。どうしたの?」
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 14:58:42.46 ID:vChxSuC40
綾乃「こんにちは」ペコリ
京子「あ?ああ今日は」
あかり「ん?」
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 14:59:13.67 ID:vChxSuC40
綾乃「船見さーん!」
結衣「は?はい」
綾乃「こんにちは」ペコリ
結衣「はい今日は・・・」
あかり「・・・」
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 15:00:02.20 ID:vChxSuC40
綾乃「吉川さーん!」
ちなつ「はい?」
綾乃「こんにちは」ペコリ
ちなつ「こ、今日は」
あかり「つ、次はあかりの番?」
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 15:01:53.06 ID:vChxSuC40
綾乃「赤座さーん!」
あかり「はい、こんにち・・・」
綾乃「ン」
あかり「な、何ですか!?杉浦先輩、自分の唇を指差して・・・」
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 15:02:52.35 ID:vChxSuC40
綾乃「何って。挨拶よ挨拶。ほらここに」
綾乃「ン」
あかり「それ挨拶じゃないですよね!?」
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 15:04:00.45 ID:vChxSuC40
綾乃「うーん、上級生に挨拶もできない子なら停学…いえ退校…」
あかり「ここ、そんな厳しい学校でしたっけ!?」
綾乃「そして、ごらく部も廃部・・・」
あかり「みんなは関係あるんですか!?」
京子「あー、ほらちゃんと挨拶しなってばあかりー」
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 15:05:13.84 ID:vChxSuC40
あかり「も、もう、仕方ないなー・・・チュ」
綾乃「んっ。そうそう、やれば出来るじゃないの」
千歳「あらあら綾乃ちゃん、あかんで?」
綾乃「え?何がよ」
千歳「挨拶はなぁ」
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 15:05:52.16 ID:vChxSuC40
千歳「チュウ」
あかり「ん!?」
千歳「・・・こうやって、自分からするもんや」
あかり「い、池田先輩、だからそれ挨拶じゃ・・・」
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 15:06:27.79 ID:vChxSuC40
綾乃「うーん、千歳のいう事も最もね。ごめんなさいね赤座さん。じゃ今度は私から」
あかり「い、いえ大丈夫です、杉浦先輩、挨拶しなくても大丈夫ですから!」
千歳「そんな、遠慮せんでええんよ?」
京子「やれやれ、あかりは挨拶の仕方がなってないからな」
結衣「ああ確かに」
ちなつ「小学生みたいですね」
ガラ
西垣「やーやー諸君」
松本「・・・・・・・・・」
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 15:07:06.99 ID:vChxSuC40
あかり「え!?西垣先生に松本先輩?な、何ですかまた変な発明品を・・・」
西垣「チュッ」
あかり「ん!?」
松本「・・・・・・・・・」チュ
あかり「んん!?」
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 15:08:18.15 ID:vChxSuC40
西垣「いやー、ちょっと赤座に挨拶したくなってな。な?松本」
松本「・・・・・・・・・」
あかり「どういう事ですか!?挨拶したくなったっておかしくないですか!?」
西垣「何だ、私の発明品を期待してたのか?じゃ今持ってくるから」
あかり「いえいいです、持ってこなくていいですから!」
ガラ
千鶴「お邪魔する」
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 15:09:07.02 ID:vChxSuC40
あかり「え?千鶴先輩?珍し・・・」
千鶴「チュ」
あかり「んっ!?」
千鶴「・・・ふぅ」
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 15:09:39.21 ID:vChxSuC40
千鶴「それじゃ」
ガラ
あかり「もう帰った!?今の一体何なの!?」
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 15:10:50.90 ID:vChxSuC40
京子「あかり、みんなが挨拶に来るなんて人気者だなー」
結衣「本当だよね」
ちなつ「影は薄いけどね」
綾乃「廊下ですれ違った時もきちんと挨拶するのよ?」
千歳「せやねぇ、挨拶は基本やからなぁ」
西垣「今度また挨拶に来ような?松本」
松本「・・・・・・・・・」
あかり「ねぇこれって挨拶じゃないよね!?」
あかり「そしてちなつちゃん、今ひどい事言ったよね!?」
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 15:11:42.81 ID:vChxSuC40
(あかりの家)
あかり「ただいま・・・」
あかね「あらお帰りあかり、お姉ちゃんにただいまのチューは?」
あかね「なーんて、冗談・・・」
あかり「・・・」
47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 15:12:13.94 ID:vChxSuC40
あかり「・・・」トントン…
あかね「・・・」
あかね「見下げ果てた目で見られた・・・」ドヨーン…
48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/03(土) 15:14:40.65 ID:vChxSuC40
(あかりの部屋)
あかり「もう、みんな挨拶挨拶って!」
あかり「あかり、恥ずかしくって仕方ないよ・・・」
あかり「・・・ん?恥ずかしい?」
あかり「じゃあ、逆にみんなを恥ずかしがらせてやれば・・・?」
あかり「・・・よーし、明日さっそく試してみよっと!」
50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:30:09.71 ID:Zmbz07me0
(次の日)
あかり「おはよー、ちなつちゃん」
ちなつ「あ、おはようあかり・・・」
あかり「チュウーッ!」
ちなつ「ンーっ!?」
51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:32:08.56 ID:Zmbz07me0
ちなつ「な、な、何を急にあかりちゃ・・・」
あかり「・・・ふぅ、ちなつちゃん。ちなつちゃんが、あまりにも魅力的過ぎて」
ちなつ「え?」
あかり「悪いのはちなつちゃんだよ。ちなつちゃんがあまりに可愛すぎるから・・・」
52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:32:37.76 ID:Zmbz07me0
ちなつ「な、何を言って・・・」
あかり「ちなつちゃん。これから、毎朝してもいいかな?」
ちなつ「え?」ドキ
53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:33:46.80 ID:Zmbz07me0
ちなつ「や、やだもー、そんな恥ずかしい、あかりちゃんってば」カァ
あかり「よーし、ちなつちゃんいい感じで恥ずかしがってるよ!」
結衣「おはよー、あかりにちなつちゃん」
京子「おーっす、二人とも」
あかり「あっ、結衣ちゃんに京子ちゃん!」
54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:34:44.26 ID:Zmbz07me0
あかり「チューッ!」
結衣「んんーっ!?」
結衣「な、な、何をするんだあかり・・・?」
あかり「・・・結衣ちゃん。結衣ちゃんと、前からこうしてみたかったんだ」
結衣「・・・え?」
あかり「だって、結衣ちゃんってすっごくかっこ良くって」
55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:36:15.57 ID:Zmbz07me0
結衣「ちょ、ちょっと待ってあかり、わ、私はそんな・・・」
あかり「昔から、かっこいい結衣ちゃんに憧れてたんだ。これから毎朝しよう?」
結衣「え?」ドキ
結衣「い、いやちょっと、こういうのはマズいっていうか、その・・・」カァ
あかり「よーし、結衣ちゃんも効いてるよ!」
56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:36:51.22 ID:Zmbz07me0
あかり「・・・京子ちゃん。京子ちゃんも」
京子「へ?わ、私・・・?い、いや、いいっていいって!」
あかり「チュウーッ!」
京子「ンーッ!」
57: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:37:36.18 ID:Zmbz07me0
あかり「・・・ふぅ、京子ちゃん。あかり、京子ちゃんが可愛くって」
京子「はへぇ・・・」
あかり「つい、しちゃった。京子ちゃん、これから毎朝しようね?」
京子「へ?」ドキ
58: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:38:13.38 ID:Zmbz07me0
京子「い、いや何ていうかさ、こーゆうのはちょっとその・・・」ドギマギ
結衣「あ、あのさほら、いくら私達仲いい幼馴染だからって・・・」ドギマギ
ちなつ「そ、そのね、人のいる道のど真ん中でチューとか・・・」ドギマギ
あかり「よーし、この調子でどんどん行くよ!」
59: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:39:22.81 ID:Zmbz07me0
(教室)
ガラ
あかり「おはよーっ!」
ちなつ「お、おはよう・・・」
櫻子「あっ、あかりちゃ」
あかり「チューッ!」
櫻子「ンムーッ!?」
60: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:40:05.68 ID:Zmbz07me0
櫻子「あ、あかりちゃん、な、何をいきなり・・・?」
あかり「・・・ふぅ。可愛くって、いつも元気な櫻子ちゃん」
あかり「あかり、そんな櫻子ちゃんの事大好きだよ?」
櫻子「へ?」ドキ
61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:40:51.41 ID:Zmbz07me0
あかり「だから、ついしちゃった。今日から毎朝しようね?」
櫻子「そ、そんなあかりちゃん、いきなり・・・」
向日葵「赤座さん、あなた櫻子に一体何を・・・!」
あかり「あ、向日葵ちゃん」
あかり「チュウーッ!」
向日葵「ンンーッ!?」
62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:41:28.74 ID:Zmbz07me0
向日葵「あ、赤座さん、な、何を・・・?」
あかり「・・・ふぅ、おしとやかで、とっても優しい向日葵ちゃん」
あかり「あかり、向日葵ちゃんとこうしたくって」
向日葵「えっ?」ドキ
63: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:42:20.57 ID:Zmbz07me0
あかり「これから毎朝しようね、向日葵ちゃん」
向日葵「赤座さんそんな、いけませんわこんな事・・・」ドギマギ
櫻子「あ、あかりちゃん、大胆すぎだって・・・」ドギマギ
あかり「さーて、まだまだ行くよ!」
64: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:42:50.97 ID:Zmbz07me0
(二年教室)
ガラ
あかり「杉浦先輩ーっ!」
綾乃「あら、赤座さん?珍しいわね、一体・・・」
あかり「チューッ!」
綾乃「ンンーッ!?」
65: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:43:27.15 ID:Zmbz07me0
綾乃「な、な、赤座さん、あなたいきなり何を・・・?」
あかり「・・・杉浦先輩。先輩は生徒会副会長で、いつもビシッとしてて」
あかり「あかり、そんな先輩に憧れてつい・・・」
綾乃「え?」ドキ
66: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:44:00.06 ID:Zmbz07me0
あかり「杉浦先輩、これから毎朝しましょうね?」
綾乃「や、やだそんな、赤座さんったらダメよこんな・・・」
千歳「あらあら、赤座さんもやるもんやなー」
あかり「あ、池田先輩」
あかり「チューッ!」
千歳「んー!?」
67: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:44:40.71 ID:Zmbz07me0
千歳「あ、赤座さん、そんないきなり何を・・・?」
あかり「・・・池田先輩、優しくって、一緒に居ると何だかほんわかして」
あかり「だからあかり、池田先輩とこうしたくって・・・」
千歳「へ?」ドキ
68: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:45:26.95 ID:Zmbz07me0
あかり「今日から、毎朝しましょうね?」
千歳「い、いや、そんな急に言われても・・・」ドギマギ
綾乃「も、もう赤座さんたら・・・」ドギマギ
あかり「さーて、次だよ!」
69: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:46:05.23 ID:Zmbz07me0
(理科室)
ガラ
あかり「西垣先生ーっ!」
西垣「ん?おお赤座か。どうした?」
あかり「チューッ!」
西垣「んっ!?」
70: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:46:32.69 ID:Zmbz07me0
西垣「な、ど、どうしたんだ赤座?こんな、いきなり・・・」
あかり「西垣先生。先生って色んな発明出来てすごいです。爆発しますけど・・・」
あかり「けど、あかりそんな先生に憧れて・・・」
西垣「な、なに?」ドキ
71: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:47:01.46 ID:Zmbz07me0
あかり「先生。これから毎朝しましょうね?」
西垣「い、いや生徒と教師がこんな事しちゃマズいっていうか、何ていうか・・・」
松本「・・・・・・・・・」
あかり「あ、松本先輩!」
72: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:47:51.04 ID:Zmbz07me0
あかり「チューッ!」
松本「・・・・・・・・・!」
あかり「・・・ふぅ、松本先輩。先輩がお人形さんみたいに可愛らしくって」
あかり「ごめんなさい。だからあかり、ついこんな事を・・・」
松本「・・・・・・・・・」ドキ
73: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:48:35.43 ID:Zmbz07me0
あかり「松本先輩、これから毎朝しましょうね?」
松本「・・・・・・・・・」ドギマギ
西垣「あ、赤座、こういう事は段階を踏んでからな、まず爆友からとか・・・」ドギマギ
あかり「さーて、次は・・・」
74: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:49:18.16 ID:Zmbz07me0
(図書室)
ガラ
あかり「千鶴先輩ーっ!」
千鶴「ん?」
あかり「チュゥーッ!」
千鶴「ンンーッ!?」
75: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:49:51.88 ID:Zmbz07me0
千鶴「何だ!?何をいきなり・・・」
あかり「千鶴先輩。・・・え、えーと普段全く絡みがないから、あの、その・・・」
あかり「と、とにかくあかり、先輩とこうしたくって・・・」
千鶴「な、なに?」ドキ
76: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 11:50:22.45 ID:Zmbz07me0
あかり「これから毎朝しましょうね?千鶴先輩」
千鶴「い、いやその、いきなりそんな事言われても・・・」ドギマギ
あかり「・・・ふぅ、これで全員終了だよ!」
あかり「これでもう、キスって恥ずかしい事ってみんなわかったよね?」
77: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 12:25:06.75 ID:Zmbz07me0
(放課後、ごらく部)
あかり「ちょっとー、何なのこれーっ?」
ちなつ「あかりちゃん・・・」
結衣「あかり・・・」
京子「あかりぃー・・・」
櫻子「あかりちゃーん・・・」
向日葵「赤座さん・・・」
綾乃「あ、赤座さん・・・」
千歳「赤座さぁーん・・・」
西垣「・・・赤座」
松本「・・・・・・・・・」
千鶴「赤座・・・」
78: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 12:25:43.53 ID:Zmbz07me0
あかり「もーっ、みんなまとわりつかないでよーっ!」
ちなつ「えー?だって、ねー」
結衣「あかり、あんな大胆に告白するんだもの」
京子「いやー、あかりそんな私の事好きだったんだなー」
79: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 12:26:50.35 ID:Zmbz07me0
あかり「だ、だからそういうのじゃなくって」
あかり「キスって恥ずかしい事って、みんなに教えるために・・・」
ちなつ「きゃ、や、やだあかりちゃん、朝からあんな大胆に」
結衣「あ、ああ驚いたよな、キスしながら告白してきて・・・。な?」
京子「うん、あかりもやる時はやるもんだねー」
櫻子「そ、そりゃちょっと恥ずかしかったけどさ・・・」
向日葵「赤座さん、私としたかったなんて・・・」
綾乃「あ、赤座さんが私の事そんな風に思ってたなんて・・・」
千歳「はぁ、ハートを掴まれてもうたわぁ」ハナジ
西垣「赤座。いきなりでびっくりしたぞ?ふふ・・・」
松本「・・・・・・・・・」
千鶴「ほとんど話した事ない私の事を、そんなに・・・」
あかり「だから、違うんだってばーっ!」
80: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 12:29:10.83 ID:Zmbz07me0
ちなつ「別に、朝だけじゃなくってもいいのよ?あかりちゃん」
結衣「あ、ああ、そうだよあかり」
京子「今ここでとかでもなー?」
櫻子「あ、いいですね!じゃ、私から!」
向日葵「櫻子、何ですのはしたない」
綾乃「あ、赤座さん、あとで校舎の裏で・・・」
千歳「はぁ、誰も居ない教室で・・・うふふ」ハナジ
西垣「しながら爆発・・・。ふふ・・・」
松本「・・・・・・・・・」
千鶴「人前だと恥ずかしいけど、な」ダバー
あかり「しないからーっ!」
81: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 12:30:08.09 ID:Zmbz07me0
ちなつ「じゃ、あかりちゃん、んー・・・」
結衣「わ、私も、んー・・・」
京子「ほらあかり、ん・・・」
櫻子「あかりちゃん、ん!」
向日葵「はい赤座さん、ん」
綾乃「あ、赤座さん、ん・・・」
千歳「赤座さん、んー・・・」
西垣「赤座・・・。ん・・・」
松本「・・・・・・・・・」
千鶴「ん・・・」
あかり「だから、しないってばー!?」
あかり「もーっ、全部ちなつちゃんのせいだーっ!」
終わり
82: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 12:31:02.25 ID:Zmbz07me0
以上になります
読んでくれた方ありがとうございました
読んでくれた方ありがとうございました
83: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 12:58:30.70 ID:6XcfO0/ko
おつおつ
あかりちゃん大勝利
あかりちゃん大勝利
84: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/04(日) 15:32:57.31 ID:0rCSCEmA0
おつ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1517103837/
Entry ⇒ 2018.02.05 | Category ⇒ ゆるゆり | Comments (0)
【ゆるゆり】京子「あかりは、天然ジゴロだ!」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/10(日) 12:04:49.89 ID:HhWQEoLA0
京子「・・・」
結衣「・・・」
ちなつ「・・・」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/10(日) 12:05:30.22 ID:HhWQEoLA0
京子「・・・」
結衣「・・・は?」
ちなつ「・・・」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/10(日) 12:06:05.78 ID:HhWQEoLA0
京子「だから、あかりは天然ジゴロだ!」
結衣「・・・」
ちなつ「・・・」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/10(日) 12:07:31.42 ID:HhWQEoLA0
京子「・・・」
結衣「・・・で?」
ちなつ「・・・」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/10(日) 12:08:02.82 ID:HhWQEoLA0
京子「だから、あかりは天然ジゴロ」
結衣「それはもういいから」
ちなつ「天然ジゴロが何なのか説明して下さいよ」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/10(日) 12:09:25.99 ID:HhWQEoLA0
京子「私、観察してて気付いたんだけどさー」
京子「あかりって、無意識に周囲の人間をオトしまくってるっていうか」
結衣「あかりが?」
ちなつ「何をわけのわかんない事言ってるんですか」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/10(日) 12:10:40.96 ID:HhWQEoLA0
京子「だってさー、お前らあかりにメロメロだろ?気付いてないかもだけどさー」
結衣「私たちが?あかりに?」
ちなつ「何言ってるんですか京子センパイ」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/10(日) 12:12:09.03 ID:HhWQEoLA0
京子「だって、実際そうじゃん。大体・・・」
ガラ
あかり「今日はー。お掃除当番で遅くなっちゃった」
京子「おっ、噂をすれば・・・」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/10(日) 12:13:24.87 ID:HhWQEoLA0
結衣「やぁあかり」
ちなつ「お掃除お疲れ様だねあかりちゃん」
あかり「うん、今日のお掃除大変でー」
京子「一見、何気ない会話のようだけどもうあかりのジゴロっぷりはスタートしている・・・」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/10(日) 12:14:54.74 ID:HhWQEoLA0
あかり「櫻子ちゃんが水の入ったバケツひっくり返しちゃって」
ちなつ「あらま、それは大変だったね」
あかり「それで、みんなで後始末しててね」
ちなつ「櫻子ちゃんもおっちょこちょいねー」
結衣「・・・」
京子「あかりとちなつちゃんは同じクラスだから会話が弾みやすい・・・」
京子「けど、結衣が蚊帳の外だ」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/10(日) 12:15:58.44 ID:HhWQEoLA0
あかり「それで、やっと後片付けが終わったよーって時に」
ちなつ「ん?何かあったの?」
あかり「お詫びにってバケツに水を汲んできた櫻子ちゃんがまたひっくり返しちゃって」
ちなつ「に、2回も?フフッ・・・」
結衣「・・・」ペラ…
京子「仕方なく、結衣が雑誌を読み始めた・・・」
京子「けど内心、あかり、ちなつちゃんと仲いいよな・・・なんて思ってるに違いない」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/10(日) 12:18:11.97 ID:HhWQEoLA0
あかり「もう、櫻子ちゃん大パニックで」
ちなつ「フフッ・・・。それもそうよね」
あかり「私のせいだー、だから私がもう1回水汲んでくるーってダッシュで教室出てこうとして」
ちなつ「あっはっは・・・。次もどうなるか想像つくね」
結衣「・・・」
京子「結衣の考えてる事がわかるぞ?」
京子「私とあかりは幼馴染なのに何でちなつちゃんとこんなに仲いいんだろ・・・なんて考えてるな?」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/10(日) 12:21:22.50 ID:HhWQEoLA0
あかり「もう、みんな必死に櫻子ちゃん、いいから大丈夫だからーって止めて」
ちなつ「フフッ・・・。櫻子ちゃんに悪気はないんだろうけどね」
あかり「それで、今日けっこう遅くなっちゃって」
ちなつ「それじゃあしょうがないよ、フフッ、櫻子ちゃん・・・」
結衣「・・・」
京子「あかりって、昔あんな私と京子にどこでもくっついて来たのになー・・・」
京子「なんて色々懐かしい思い出が結衣の頭を駆け巡る。けど、今は・・・」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/10(日) 12:22:57.72 ID:HhWQEoLA0
あかり「もう、櫻子ちゃんにも困ったものだよー」
ちなつ「フフッ・・・。本当、櫻子ちゃんおっちょこちょいね」
あかり「まぁ、そこが櫻子ちゃんらしいんだけどね」
ちなつ「そうだよねー」
結衣「・・・」ウウ…グスッ…
京子「ほらほら、結衣が目に涙を浮かべ始めたぞー?」
京子「あかり、今は私よりちなつちゃんと話してる方が楽しいんだ・・・って結衣の心の声が聞こえるようだ」
京子「けど、まるで測ったかのようにこのタイミングで」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/10(日) 12:24:12.42 ID:HhWQEoLA0
あかり「結衣ちゃん。結衣ちゃんはお掃除してる時に何か困った事とかはない?」
結衣「え?な、なになに?私?」パッ
あかり「うん」
京子「おーおー結衣、あんなに嬉しそうな顔しちゃって」
京子「ほっとかれてた分、余計嬉しいよな?良かったな結衣」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/10(日) 12:26:35.69 ID:HhWQEoLA0
結衣「う、うん、掃除ね・・・。うん、私って一人暮らしだからさ」
結衣「部屋の掃除、どこでも自分でやらなくちゃいけなくて大変でさ・・・」
あかり「あー。うん、そうだよねー」
ちなつ「・・・」
京子「結衣とあかりが話しを始めた」
京子「けど結果、今度はちなつちゃんが蚊帳の外だ」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/10(日) 12:28:49.29 ID:HhWQEoLA0
結衣「だから、お風呂場とか台所とかも自分でやんなくちゃいけなくて」
結衣「これが、普通の掃除と勝手が違ってね・・・」
あかり「あー、あかり台所のお掃除なんてした事ないなー」
ちなつ「・・・」イジ…イジ…
京子「ちなつちゃんが、髪をいじり始めた・・・」
京子「あれって、確か構って欲しいのサインとかって聞いたことがあるぞ?」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/10(日) 12:33:51.13 ID:HhWQEoLA0
結衣「油汚れとか、なかなか落ちないんだよねー」
結衣「何か、細かい隙間にも溜まっていってこびりついちゃって」
あかり「あ、それ何となくわかるかもー」
ちなつ「・・・」チラ…チラ…
京子「ちなつちゃんがチラチラとあかりの方を見始めた」
京子「そりゃあ、結衣とあかりは幼馴染だから仲いいよね・・・って思ってるな?」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:28:17.91 ID:eMSPbAEA0
結衣「だから、たまに意地になって」
結衣「絶対全部汚れ取ってやるぞー!って2時間ぐらい掃除してる事あるなー」
あかり「に、二時間も?そんなに?」
結衣「うん。それで気がついたら夕御飯の時間で、また油汚れが・・・って思いながらご飯作ったりね」
あかり「フフッ・・・」
ちなつ「・・・」
京子「結衣、あかりと話してばっかで私の事ほっといて・・・って思ってるな?」
京子「けどその気持ち、本当に結衣にほっとかれたからか?実は違うんじゃないか?」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:35:17.72 ID:eMSPbAEA0
あかり「それじゃあ、あかり今度結衣ちゃんちにお掃除手伝いに行くよー」
結衣「え?本当に?いやー、悪いよ」
あかり「ううん、あかりもお掃除の練習になるし」
結衣「あー、そうかもね。じゃあ、台所一緒に掃除しようか」
あかり「うん!」
ちなつ「・・・」ウルウル…プーッ
京子「ちなつちゃん、目に涙浮かべてほっぺまで膨らまして・・・」
京子「あかりちゃんのバカ!とか思ってるなあれ絶対。それ結衣を独占されたからじゃないよ多分」
京子「・・・けど、またもやこのタイミングで」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:36:26.16 ID:eMSPbAEA0
あかり「ちなつちゃん、ちなつちゃんも一緒に行かない?」
ちなつ「え?わ、私も?」パッ
あかり「うん!結衣ちゃん家のお掃除のお手伝いに」
ちなつ「う、うん、いいんですか結衣センパイ?」
結衣「うん。もちろんだよ」
ちなつ「じゃ、じゃあお邪魔すますね?ねーあかりちゃん?」
あかり「うん!」
京子「あーあ、ちなつちゃんあんなに嬉しそうにしちゃって」
京子「さっきまで目に涙溜めてたのが嘘のようだ」
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:38:02.87 ID:eMSPbAEA0
結衣「じゃ、ついでにみんなで一緒にホットケーキでも作ろっか」
あかり「あー、賛成ー」
ちなつ「きゃー、楽しみですねー」
京子「最初はちなつちゃん、次は結衣と個別に話しを振り、それぞれの不安を煽る・・・」
京子「けど結局、こうやってみんなで和気藹々と遊ぶ話をまとめてしまった」
京子「自身はどっちにも傾きすぎない。天性のバランス感覚・・・。やはり、あかりは天然ジゴロ・・・」
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:39:37.97 ID:eMSPbAEA0
結衣「京子、さっきから何一人でブツブツ呟いてるんだ」
ちなつ「そうですよ」
あかり「一緒にお話しようよ?」
京子「ん?あいや、お前らの様子を観察してるだけでそれで十分楽しいっていうか・・・」
ガラ
綾乃「としのーきょーこー!」
千歳「お邪魔しますー」
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:41:13.33 ID:eMSPbAEA0
京子「ん?おお、綾乃。どうしたの?」
綾乃「どうしたの?じゃないわよ歳納京子」
綾乃「すっかりなかった事になっちゃってるけど」
綾乃「部室の無断使用は、バッキンバッキンガムよ!」
綾乃「今日という今日こそは、出てってもらうわよー!」
京子「綾乃って、時々思い出したように言い出すよなそれ」
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:42:18.64 ID:eMSPbAEA0
京子「ま、まぁさ、もうこんな馴染んじゃってるからさ、今さら出てけって言われても・・・」
綾乃「馴染むとか馴染まないとかの問題じゃなくて」
綾乃「あなた達に好き勝手されたら、他の生徒たちに示しがつかないのよ」
結衣「杉浦さん、私からもお願いするからさ・・・。見逃してもらえない?」
綾乃「いくら船見さんのお願いだからって、ちょっとそれは聞けないわね」
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:43:28.67 ID:eMSPbAEA0
ちなつ「杉浦センパイ、私たち出てかなくちゃいけないんですか?」
綾乃「ええ。可愛そうだとは思うけど規則は規則だから」
あかり「そんな・・・。ごらく部がなくなっちゃったら、あかり、悲しいです・・・」
綾乃「・・・うーん」
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:44:12.16 ID:eMSPbAEA0
綾乃「まぁ、じゃ仕方ないわね・・・。別に出てかなくていいわよ」
あかり「本当ですか?杉浦先輩、ありがとうございます!」
ちなつ「さすが杉浦センパイ。優しいんですね」
結衣「杉浦さんも話がわかるね」
京子「今、あかりに対してだけ明らかに態度が違ったよな?」
京子「私が言うのも何だけど、そんなにあっさり認めていいのか?他の生徒への示しは?」
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:45:26.25 ID:eMSPbAEA0
千歳「みんな、ごめんな?」
千歳「ウチらも生徒会やから、一応言わなあかん立場なんやけど」
千歳「本当は、綾乃ちゃんごらく部無くなって欲しいなんて、これっぽっちも・・・」
綾乃「ちょ、ちょっと千歳ー!?」
結衣「ふふっ・・・」
ちなつ「杉浦センパイ、素直じゃないんですから」
あかり「あかり、それを聞いて安心しました」
京子「まぁな?恐らく綾乃的にもあかりと接する機会なくなっちゃうからな?」
京子「綾乃、何だかんだであかりに会いに来てるフシがあるし」
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:46:38.86 ID:eMSPbAEA0
あかり「あ、池田先輩!」
千歳「ん?どうしたん赤座さん?」
京子「お?」
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:47:50.82 ID:eMSPbAEA0
あかり「この前、漬物の事色々と教えてくれてありがとうございました」
あかり「漬物って奥が深いんですね。それで、あかりもちょっと興味が出てきて・・・」
千歳「ああ、それはええ事やねぇ」
京子「相手の趣味を褒め、自分もそれに感化された事を示す・・・」
京子「うん、王道中の王道だ。意識してやってるかどうかはわからんけど」
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:48:32.46 ID:eMSPbAEA0
あかり「だから、あかりも今漬物作ってる最中なんです」
千歳「え?赤座さんが?いやぁ、それはええ事やなぁ」
綾乃「・・・」
結衣「・・・」
ちなつ「・・・」゙
京子「あかりが千歳と漬物の話で盛り上がる中、他は退屈そうだ・・・」
京子「別にお前らはお前らで喋ってていいんだぞ?」
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:49:36.70 ID:eMSPbAEA0
あかり「出来上がったら、食べてもらってもいいですか?」
千歳「まぁ、それは嬉しいなぁ」ドバァ
京子「自分の趣味を認めてもらって、さらに仲間が増えるのは確かに嬉しい」
京子「そして、何で鼻血が出るんだ千歳?」
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:50:57.21 ID:eMSPbAEA0
あかり「あ、みんなも漬物出来たら持って来るね?」
結衣「本当?あかりが作った漬物くれるの?私、漬物大好物なんだ」
ちなつ「嬉しいー、私、漬物がないとご飯が進まない体質で」
千歳「漬物の道は奥が深いでー」ドバドバ
綾乃「ち、千歳。私にも漬物の作り方教えなさいよ」
京子「一瞬にして、漬物が大ブームだ・・・」
京子「お前らって、そんな漬物好きだったっけ?」
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:52:08.92 ID:eMSPbAEA0
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:53:02.08 ID:eMSPbAEA0
櫻子「お前みたいなおっぱいお化けに負けてたまるか!」
向日葵「おっぱいお化けって誰の事なんですの!」
櫻子「お前だー、このおっぱいが本体!あとはオマケ!」
向日葵「ぐぬぬ、言わせておけば・・・」
京子「ま、まぁまぁ二人とも・・・」
京子「ま、ケンカするほど仲がいいって言うし」
京子「この二人はお互いがいるから、さすがにあかりのジゴロっぷりが入り込む余地は・・・」
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:53:55.88 ID:eMSPbAEA0
櫻子「ぜーったいに、あかりちゃん私の方が好きだもんね!」
向日葵「そんな事ありませんわよ。私の方に決まってますわ。そうですわね赤座さん?」
あかり「えっ、えっ?」
京子「あかりのジゴロっぷり自体がケンカの原因だった・・・」
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:54:58.32 ID:eMSPbAEA0
櫻子「だから、あかりちゃんに今日は私と向日葵のどっちが好きか決めてもらう!」
向日葵「そうですわ。赤座さん、私の方が好きですよね?」
あかり「えっ、えっ、そ、そんな・・・」
京子「まぁ、これはあかりとしても困るわな」
京子「どっちか片方選べばもう片方が立たない」
京子「でもどっちも好きー、じゃお互い納得しそうにないなこりゃ」
京子「さー、どうするあかり?」
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:56:03.84 ID:eMSPbAEA0
あかり「・・うーん、櫻子ちゃん」
櫻子「やっ・・・!」
あかり「・・・は、とっても明るくて元気で、一緒に居ると楽しいよね」
櫻子「そうでしょ?そうでしょ?私の方が好きだよねあかりちゃん?」
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:56:57.48 ID:eMSPbAEA0
あかり「それで、向日葵ちゃん・・・」
向日葵「やっ・・・!」
あかり「・・・は、優しくって、一緒にいると何だか安心しちゃうんだ」
向日葵「ですよね?ですよね?私の方が好きに決まってますよね赤座さん?」
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:57:28.65 ID:eMSPbAEA0
櫻子「どっち?どっち?どっちが好き?」
向日葵「私、私ですわよね?」
あかり「うーん・・・」
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:58:17.32 ID:eMSPbAEA0
あかり「やっぱり、決められないよー」
あかり「あかり、櫻子ちゃんも向日葵ちゃんもどっちも好き!」
櫻子「・・・」
向日葵「・・・」
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 15:59:38.43 ID:eMSPbAEA0
櫻子「く・・・」
向日葵「くく・・・」
櫻子「くのーっ、あかりちゃんってばーっ!」ダキ
向日葵「本っ当に、可愛らしいですわね!」ダキ
あかり「きゃあ!ちょ、ちょっと櫻子ちゃんに向日葵ちゃん苦し・・・」
京子「最初にお互いの長所をそれぞれ褒める事で」
京子「本来なら成立しないはずの「どっちも好き」を成立させた・・・」
京子「見事な手腕だ。・・・けど、ここまでは並のジゴロ。あかりの本領は・・・」
47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 16:11:42.99 ID:eMSPbAEA0
あかり「じゃあね櫻子ちゃんに向日葵ちゃん、仲直りの握手しようよ?」
櫻子「う、うん・・・仕方ないな。仲直りしてやる向日葵」ギュ
向日葵「恩着せがましいですわね・・・まぁ仕方ありませんわ」ギュ
櫻子「今日の勝負は引き分けだけど、次は私が勝つからな!」
向日葵「それはこっちのセリフですわ」
京子「自分のせいでこじれた二人の関係を修復しにかかる・・・」
京子「あくまで自身は和を取り持つ存在として動き、けっして出しゃばらない」
京子「引き際が鮮やかだ。それがあかりの天然ジゴロぶりをますます加速させる・・・そして」
48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 16:13:23.09 ID:eMSPbAEA0
綾乃「・・・」
千歳「・・・」
結衣「・・・」
ちなつ「・・・」チッ
京子「みんな何だか、ものすごくつまらない映画でも見させられたような顔してるぞ?」
京子「ちなつちゃん、今舌打ちしなかった?」
49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 16:25:46.25 ID:eMSPbAEA0
あかり「もう、櫻子ちゃんも向日葵ちゃんも、どっちが好きかなんて困るよー」
櫻子「けどさ、あえて言うとどっち?どっち?」
向日葵「私?私ですわよね?」
あかり「えー、だって」
50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 16:31:41.12 ID:eMSPbAEA0
あかり「あかり、みんなの事好きだもーん」
櫻子「けど、向日葵より私の方が好きだよね?」
向日葵「そんな事ありませんわよね?私ですわよね?」
綾乃「・・・」テレッ
千歳「・・・」ドバ
結衣「・・・」サッ
ちなつ「・・・」ニィッ
京子「これだ。この一言だ。ひまっちゃんとさくっちゃんに傾きすぎたバランスを」
京子「一瞬にしてニュートラルに戻すこの一言。意識してやってはいないんだろうけど」
京子「天性のバランス感覚・・・。これがあるかないかが並みのジゴロとあかりの違いだろう」
51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 17:03:20.61 ID:eMSPbAEA0
ガラ
西垣「やーやー、みんな」
松本「・・・・・・・・・」
京子「ん?西垣ちゃんに会長?どうしたんですか?」
52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 17:03:59.88 ID:eMSPbAEA0
西垣「面白い発明品が出来たから、赤座で試そうと思ってな」
松本「・・・・・・・・・」
京子「そんで、どうせ爆発しますよねそれ?」
京子「この人も、何だかんだ言ってあかりを爆発に巻き込みたがるよな」
京子「これも、一種の歪んだ愛情表現なのかも知れない・・・」
53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 17:05:31.62 ID:eMSPbAEA0
松本「・・・・・・・・・」
西垣「はっはっは、松本ダメじゃないか赤座に向かってそんな卑猥な事言っちゃ」
西垣「どこでそんな言葉覚えたんだ?ゆるゆりじゃなくなってしまうじゃないか」
京子「そんで会長は会長であかりに向かって淫語を連発してるのか?」
京子「どうやら相当な事を言ってるようだ」
54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 17:23:42.48 ID:eMSPbAEA0
あかり「えっ、えっ、発明品ですか?あかりで試すんですか?」
ちなつ「西垣先生、また変な発明品持ってきたんですか?」
結衣「そうですよ。いつも最後に爆発ばっかして」
綾乃「赤座さんが怯えちゃってるじゃないですか」
千歳「そんな危ないもの、赤座さんで試したらあきまへんて」
櫻子「そうですよ!試すなら自分でやって下さい!」
向日葵「あら珍しいですわね櫻子、私と意見が一致するなんて」
京子「まぁ、そうなるわな」
京子「こんだけあかりのガードがいるなら、流石に西垣ちゃんも無理やりには・・・」
55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 17:24:47.88 ID:eMSPbAEA0
西垣「おや、残念だな」
西垣「折角、何を考えてるかわかるぞヘルメットを発明したというのに」
ちなつ「え・・・?」
結衣「何を考えてるのかわかるぞヘルメット?」
京子「・・・何だか嫌な予感がして来たぞー?」
56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 17:26:29.46 ID:eMSPbAEA0
西垣「ああそうだ。これを被せれば、何を考えてるのかが空中に表示される」
西垣「だから、赤座に被せれば赤座が何を考えてるのかがわかる」
西垣「それで、私の事が1番好き・・・とか・・・フフ、よせ照れるじゃないか赤座・・・」
松本「・・・・・・・・・」
ちなつ「・・・」
結衣「・・・」
綾乃「・・・」
千歳「・・・」
櫻子「・・・」
向日葵「・・・」
あかり「えっ、えっ?」
京子「みんなの目の色が変わったぞー?」
京子「本当にいいのかお前ら?それあかりに被せても。それ結局最後に爆発するんだぞー?」
57: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 18:13:18.01 ID:eMSPbAEA0
ちなつ「・・・」ジリ…
結衣「・・・」
綾乃「・・・」
千歳「・・・」
櫻子「・・・」
向日葵「・・・」
あかり「えっえっ、み、みんな?どうしたの?」
京子「もはや、みんな自分の事しか頭にない様子だ」
京子「これも、あかりの天然ジゴロっぷりが自ら招いた災厄なのかも知れない・・・」
58: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 18:13:57.77 ID:eMSPbAEA0
ちなつ「ね?ね?ちょっとだけ被ってみよ?ね?あかりちゃん」
結衣「あ、ああ!別に何ってわけじゃないけど!」
綾乃「そ、そうよね?先生の実験に協力しなきゃだからね?」
千歳「そうや?いつもお世話になってるからな?」
櫻子「私が1番好きだよね?」
向日葵「私ですわよね?」
あかり「きゃあーっ!?ちょ、ちょっとみんなーっ!?」
ドタンバタン
西垣「よーし、いいぞ。そのまま押さえていてくれ」
松本「・・・・・・・・・」
京子「まさに、地獄絵図だなこりゃ」
京子「欲は、人をここまであさましくするのか・・・」
59: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 18:15:24.28 ID:eMSPbAEA0
西垣「さーて、これで準備完了だ。それじゃスイッチ入れるぞー」
あかり「いやーっ!?み、みんな何でーっ!?」
ちなつ「ちょっとだけ、ちょっとだけだってば!」
結衣「あ、ああ、すぐ済むって!」
綾乃「せ、先生の実験のためなんだから!」
千歳「ああ、そうや?別に何でもないからな?」
櫻子「あかりちゃん、絶対私の方が好きだからなー!」
向日葵「いいえ私ですわ!」
松本「・・・・・・・・・」
京子「本当に、先生まで混じって何やってんだか・・・」
京子「でもなー、こんな状況で考える事と言ったら」
60: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 18:17:12.71 ID:eMSPbAEA0
『みんな、ひどい!』パッ
あかり「もうっ・・・」
ちなつ「あ・・・」
結衣「あかり・・・」
綾乃「赤座さん・・・」
シーン…
京子「まー、そうなるわな」
京子「寄ってたかってしまいにゃ爆発するヘルメット被せられちゃ」
京子「誰だってこうなるわな」
61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 20:20:59.67 ID:eMSPbAEA0
ちなつ「・・・ごめんね、あかりちゃん」
結衣「私、ちょっとどうかしてたよ」
あかり「ちなつちゃん・・・結衣ちゃん・・・」
綾乃「わ、悪かったわ赤座さん。無理やり変なヘルメット被せちゃって・・・」
千歳「堪忍してな・・・?」
あかり「杉浦先輩・・・池田先輩・・・」
京子「流石に、みんな冷静さを取り戻したようだ」
京子「あかりに嫌がられたのがよほどこたえたようだな」
62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 20:21:49.74 ID:eMSPbAEA0
櫻子「あかりちゃん、ごめん!」
向日葵「許して下さいます・・・?」
あかり「櫻子ちゃん・・・向日葵ちゃん・・・」
西垣「そ、その何だ、別に赤座が憎くてやったわけじゃなくてな・・・」
松本「・・・・・・・・・」
あかり「西垣先生・・・会長・・・」
京子「みんな、自らの行いを反省しあかりに許しを求めている」
京子「感動的な場面だ。・・・けどな。それをやっちゃうとな」
63: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 20:22:38.13 ID:eMSPbAEA0
『みんな、大好きだよ』パッ
あかり「えへへ・・・」
ちなつ「!?」ドキーン
結衣「!?」ドキーン
綾乃「!?」ドキーン
千歳「!?」ドキーン、ブッ
櫻子「!?」ドキーン
向日葵「!?」ドキーン
西垣「!?」ドキーン
松本「・・・・・・・・・!?」ドキーン
京子「ほらなー、こうなるんだよなー」
京子「全員の心臓が打ち抜かれた音が聞こえたような気がしたよ、今」
64: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 20:23:59.89 ID:eMSPbAEA0
ちなつ「・・・もーっ、あかりちゃんってば!」ダキッ
結衣「あかりーっ!」ダキッ
綾乃「赤座さんったら、もう!」ダキッ
千歳「もう、赤座さん!」ダキッ
あかり「きゃあーっ!?ちょ、ちょっとなにー!?」ダキッ
櫻子「あかりちゃーん!」ダキッ
向日葵「赤座さんっ!」ダキッ
西垣「赤座!」ダキッ
松本「・・・・・・・・・!」ダキッ
京子「はいはい、そんで全員まとめてドカーンね」
京子「わかりやすいったらありゃしないよ、全く」
65: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 20:26:41.53 ID:eMSPbAEA0
結衣「京子、ほらお前も来いよ!」
京子「え、えー?私もー・・・?」
京子「そんな記念撮影みたいなノリで誘われても・・・」
66: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 20:28:11.78 ID:eMSPbAEA0
京子「・・・まぁ、しょうがないか。じゃあ」ピト
ちなつ「いい?じゃ、みんなでせーの!」
あかり「ちょ、ちょっとー!?煙出てる!煙出てるよこのヘルメット!?」シューシュー…
67: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 20:29:11.33 ID:eMSPbAEA0
全員「「「「私たちも!」」」」
全員「「「だーい好き!」」」
ピカッ
68: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 20:29:58.12 ID:eMSPbAEA0
ドッゴーーーーー…ン…
69: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 20:33:39.78 ID:eMSPbAEA0
西垣「いやー、なかなかいい爆発だったな松本」
松本「・・・・・・」
西垣「ん?何で赤座があんなにモテるのかって?さあな・・・」
西垣「・・・けどな。赤座を見てると思い出すな。昔よく似た生徒がいたんだ」
松本「・・・・・・」
70: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 20:34:37.07 ID:eMSPbAEA0
西垣「どんな生徒かって?ああ、赤座とはタイプが違って・・・」
西垣「クールで、人を寄せ付けない雰囲気だったがな」
松本「・・・・・・」
西垣「ああ。それでみんな遠巻きに眺めながら憧れる感じで」
西垣「そいつが校内を移動するたびに、ゾロゾロと集団がついていくって有様だったな」
松本「・・・・・・」
71: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 20:35:59.94 ID:eMSPbAEA0
西垣「名前?ああ、ちょっとド忘れしたな・・・確か、あか・・・あか・・・ね?だったかな確か」
西垣「赤座とどっちがモテたかって?さぁ、それは何とも言えんな・・・」
72: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 20:38:38.21 ID:eMSPbAEA0
(京子の家)
京子「いやー、それにしても参ったな、あかりの天然ジゴロっぷりには」
京子「みんな、あんなにあかりにメロメロでさ・・・・・」
京子「・・・まぁ、そういう私も」
73: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 20:39:53.73 ID:eMSPbAEA0
京子「こんなにあかりの事ばっか考えちゃってるんだから」
京子「もしかして、私もあかりの天然ジゴロっぷりにやられちゃってるのかもね・・・」タハハ…
京子「・・・まぁ、それにしても」
京子「一番、あかりのジゴロっぷりにやられちゃってるのは」
京子「あの人かも知れないなぁ・・・」
74: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 20:42:01.89 ID:eMSPbAEA0
(あかねの部屋)
あかね「へっくし!」
あかね「うう、風邪かしら?」
あかね「うー、寒い季節だし・・・。冷えないように・・・」
あかね「あかりのパンツ、重ね被りして暖かくしなきゃね♪」
終わり
75: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 20:43:22.17 ID:eMSPbAEA0
以上になります
呼んでくれた方、コメくれた方ありがとうございました
呼んでくれた方、コメくれた方ありがとうございました
76: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 20:56:23.54 ID:rcXTeYZqo
( ´∀`)b
77: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/18(月) 00:31:44.73 ID:gPWziDx50
乙よかったですわゾ~
ただ細かいこというと、結衣は綾乃のことは綾乃と呼ぶぞ
ただ細かいこというと、結衣は綾乃のことは綾乃と呼ぶぞ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1512875089/
Entry ⇒ 2017.12.20 | Category ⇒ ゆるゆり | Comments (0)
【ゆるゆり】西垣「笑ゥ理科教師」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 14:04:17.30 ID:i+rPC6Xy0
私の名前は西垣奈々
人呼んで七森中のアルカイダ
ただの理科教師じゃございません
私の発明品は爆発
ことごとく爆発するのでございます
この世は老いも若きも男も女も心の寂しい人ばかり
そんな皆さんの心のスキマをお埋めいたします
いいえお金は1銭も頂きません
皆さんが爆発に巻き込まれたらそれが何よりの報酬でございます
さて、本日の犠牲者は・・・
赤座あかり 13歳学生
ホーッホッホッホッホ…
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 14:05:36.06 ID:i+rPC6Xy0
(ごらく部部室)
京子「・・・でさー、飼うならやっぱ猫っしょー」
結衣「私は犬派だな」
ちなつ「私も犬がいいです。結衣センパイと一緒ですねー」
あかり「・・・」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 14:07:40.97 ID:i+rPC6Xy0
京子「でもさ、誰も飼ってない動物とかも飼ってみたいよねー」
結衣「ん?例えば?」
京子「例えばマンドリルとかさー」
結衣「どこで捕まえてくる気だそんなの」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 14:08:57.93 ID:i+rPC6Xy0
京子「さぁ、アフリカとか?よし、みんなでマンドリル捕まえにアフリカに行こう!」
結衣「行くわけないだろ」
ちなつ「京子センパイ一人で行ってください」
あかり「やっぱり、飼うなら普通に犬とか猫だよね」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 14:10:17.11 ID:i+rPC6Xy0
京子「ん?あれ?」
結衣「ああ、あかり」
ちなつ「あ、あかりちゃん」
あかり「ん?どうしたの?」
京子・結衣・ちなつ「居たんだ」
あかり「もーっ!」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 14:12:22.01 ID:i+rPC6Xy0
(帰り道)
あかり「はぁ・・・。なんであかりってこう存在感ないのかな」
あかり「何か、簡単に存在感が出せる方法ってないかなぁ」
あかり「なーんて、そんな都合のいい方法ってないよね・・・」
西垣「おや、どうした赤座?」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 14:14:04.04 ID:i+rPC6Xy0
あかり「あ、西垣先生こんにちは」
西垣「ため息なんかついて。何か悩み事でもあるのか?」
あかり「はい。あかり、ちょっと存在感がなくて悩んでて・・・」
西垣「何だ、そんな事か」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 15:45:44.23 ID:i+rPC6Xy0
西垣「それなら、私のこの発明品をお前にやろう」
あかり「え?何ですかこれ?」
西垣「『とっても目立てるモヒカンカツラ』だ」
あかり「派手なカツラだよー!?」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 15:46:49.81 ID:i+rPC6Xy0
西垣「これを被れば、誰よりも目立つこと間違いない」
あかり「そ、それもそうですけど・・・」
西垣「ただし、使っていいのは1日だけだ。明後日までには外しておかないと駄目だぞ」
あかり「え・・・?明後日も使っちゃったらどうなるんですか?」
西垣「大爆発する」
あかり「なんでそうなっちゃうんですか!?」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 15:48:17.76 ID:i+rPC6Xy0
西垣「とにかく、これを被れば存在感がないという悩みは解決だ」
西垣「良かったな、赤座」
あかり「え、ええ・・・」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 15:49:43.93 ID:i+rPC6Xy0
(次の日の教室)
ガラ
あかり「み、みんなおはよう・・・」
櫻子「でさー・・・え、ええっ?」
向日葵「あ、赤座さん?」
ちなつ「何その頭!?」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 15:53:13.54 ID:i+rPC6Xy0
あかり「う、ううん、ちょっとイメチェンしようかなって」
櫻子「あはは、あかりちゃんスッゲー頭!面白ーい!」
向日葵「あ、赤座さんちょっとどころじゃありませんわ」
ちなつ「す、すっごく目立つねその頭」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 15:56:28.01 ID:i+rPC6Xy0
櫻子「よーし、私もあかりちゃんに負けないようにアフロにしよー!」
向日葵「およしなさいな」
ちなつ「ホント、見れば見るほどすごい頭だね・・・」
あかり「えへへ・・・。あかりが話題を独占だよぉ」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 16:01:38.35 ID:i+rPC6Xy0
(ごらく部)
ガラ
あかり「今日はー」
京子「よーっす・・・。うおっ!?な、何だあかりその頭!?」
結衣「もっ、モヒカン!?」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 16:03:55.00 ID:i+rPC6Xy0
ちなつ「ええ、あかりちゃんイメチェンしたそうなんです」
ちなつ「それで今日、教室でもずっとあかりちゃんの話で持ち切りしたよ」
京子「へー、そうだったのかー」
結衣「そりゃそうだろうね」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 16:05:34.04 ID:i+rPC6Xy0
京子「まったく、あかりも大胆だなー」
結衣「そんな頭じゃ、誰だって突っ込みたくなるよ」
あかり「えへへ・・・」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 16:07:22.54 ID:i+rPC6Xy0
京子「ちょっと触っていい?」
あかり「うん、いいよ」
結衣「私も触ってみたい」
ちなつ「もう、あかりちゃんばっかりズルイ!」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 16:11:44.70 ID:i+rPC6Xy0
(夜、あかりの部屋)
あかり「はぁ、今日は1日中あかりの話で持ちきりだったよぉ」
あかり「これも、西垣先生の発明品のお陰だね」
あかり「あとで先生にお礼言わなきゃ」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 16:16:10.12 ID:i+rPC6Xy0
あかり「・・・でも、明日になったら爆発しちゃうんだよねこれ」
あかり「西垣先生も、使っていいのは1日だけって言ってたし」
あかり「けど、使わなかったらまたあかり存在感がなくなっちゃう・・・」
あかり「・・・」
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 16:22:05.79 ID:i+rPC6Xy0
(次の日の教室)
ガラ
あかり「みんな、おはよー」
櫻子「おっ、来た来たモヒカンあかりちゃん!」
向日葵「本当、何回見てもすごい頭ですわね」
ちなつ「今日も目立ってるね、あかりちゃん」
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 16:33:43.96 ID:i+rPC6Xy0
櫻子「何かこう、バイクとか火炎放射器とか似合いそうな頭だよねー」
向日葵「何のイメージですのそれ」
ちなつ「もー、今日もあかりちゃんの話ばっかりになっちゃいそう」
あかり「うふふ・・・」
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 16:37:28.21 ID:i+rPC6Xy0
(ごらく部)
ガラ
あかり「今日はー」
京子「よーっす・・・。うおっ、あ、あかり!?びっくりした」
結衣「昨日も見ただろ」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 16:40:14.27 ID:i+rPC6Xy0
京子「いやー、何回見てもインパクトある頭だなー」
ちなつ「ええ、今日もみんなずっとあかりちゃんの話でしたよ」
結衣「そうだろうなー。こんな頭、話題にせずにはいられん」
あかり「えへへ・・・」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 16:50:01.70 ID:i+rPC6Xy0
(帰り道)
あかり「はぁ、今日もあかりが話題を独占だったよぉ」
あかり「存在感があるって、最高だね・・・」ウルウル
あかり「よーし、明日もあかり思いっきり目立っちゃうよ!」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 16:55:09.17 ID:i+rPC6Xy0
あかり「そして、その内学校じゅうあかりの話題で持ちきりになって・・・」
西垣「・・・赤座」
あかり「ひっ!?に、西垣先生?」
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 16:57:44.98 ID:i+rPC6Xy0
西垣「お前は、私との約束を破ったな?」
あかり「え?ち、違うんです、これは・・・」
西垣「そのカツラは、使っていいのは1日だけだと言ったはずだ」
あかり「い、いえ、その・・・」
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 17:15:06.05 ID:i+rPC6Xy0
西垣「約束を破ったお前には、罰を受けてもらう」ビシッ
あかり「そんなーっ!?」
西垣「さぁ、私の発明品もろとも、爆発するのだ!」
あかり「い、いやーーーーーーっ!?」
ピカッ
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 17:16:52.90 ID:i+rPC6Xy0
ドーーーーーーーーーーーン・・・
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 17:19:07.36 ID:i+rPC6Xy0
私の名前は西垣奈々
人呼んで七森中のアルカイダ
ただの理科教師じゃございません
私の発明品は爆発
ことごとく爆発するのでございます
この世は老いも若きも男も女も心の寂しい人ばかり
そんな皆さんの心のスキマをお埋めいたします
いいえお金は1銭も頂きません
皆さんが爆発に巻き込まれたらそれが何よりの報酬でございます
さて、本日の犠牲者は・・・
吉川ちなつ 13歳学生
ホーッホッホッホッホ…
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 17:24:26.86 ID:i+rPC6Xy0
(ごらく部)
ちなつ「結衣センパイ、今度のお休みどっか行きません?」
結衣「あ、いやごめんね、ちょっと予定が入っててさ・・・」
ちなつ「それじゃ、来週のお休みはどうですか?」
結衣「あ、来週もちょっと都合が悪くって・・・」
ちなつ「もう、つれないんですから結衣センパイは」
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 19:54:51.07 ID:i+rPC6Xy0
(帰り道)
ちなつ「・・・はぁ、結衣センパイと知り合ってはや3ヶ月」
ちなつ「その間、ちっとも仲が進展してかない」
ちなつ「私、こんなにも結衣センパイの事を想ってるのに」
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 19:56:03.71 ID:i+rPC6Xy0
ちなつ「はぁ、何かもっと結衣センパイとラブラブになれる方法ってないかなー」
西垣「どうしたんだ吉川。浮かない顔をして」
ちなつ「あ、西垣先生」
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 19:57:57.20 ID:i+rPC6Xy0
ちなつ「実は私、結衣センパイの事が大好きで・・・」
ちなつ「けど、結衣センパイが中々振り向いてくれなくって・・・はぁ」
西垣「何だ、そんな事か」
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 19:59:30.57 ID:i+rPC6Xy0
西垣「それなら、私のこの発明品をお前にやろう」
ちなつ「え?これは?」
西垣「『爆弾つきペンダント』だ」
ちなつ「何ですかそれ!?」
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 20:03:04.15 ID:i+rPC6Xy0
西垣「これを身に着けて、吉川の想い人をデートにでも誘ってみろ」
西垣「必ず、いい返事が貰えるはずだ」
ちなつ「本当ですか?信じられないんですけど」
西垣「ただし、明日の夕方6時までだ」
ちなつ「え・・・?それを過ぎるとどうなっちゃうんですか?」
西垣「大爆発を起こす」
ちなつ「そりゃ爆弾ですからね!?」
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 20:04:26.87 ID:i+rPC6Xy0
西垣「とにかく、このペンダントを身に着ければ悩みは解決だ」
西垣「いい返事が貰えるといいな、吉川」
ちなつ「はぁ・・・」
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 20:05:39.16 ID:i+rPC6Xy0
(次の日、ごらく部)
ちなつ「ねぇねぇ結衣センパイ、今日の放課後デートしませんか?」
結衣「え、今日?今日はちょっと・・・」
ちなつ「もう、たまにはデートしてくれたっていいじゃありませんか」
結衣「いやぁ、本当にごめんね・・・ん?」
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 20:11:40.31 ID:i+rPC6Xy0
結衣「ちなつちゃん、今日はかわいいペンダントしてるね」
ちなつ「え?あ、これですか?」
ちなつ「これ、爆弾なんです」
結衣「ばっ!?」
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 20:20:04.18 ID:i+rPC6Xy0
ちなつ「そんな事より、今日デートしましょうよ結衣センパイ」
結衣「そ、そんな事よりって、早くどっかに放り投げようよそれ!?」
ちなつ「・・・結衣センパイ、私とデートするのが嫌なんですか?」イジ…
ちなつ「私、思いあまってとんでもない事になっちゃうかも・・・」イジイジ…
結衣「う・・・」
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 20:22:53.73 ID:i+rPC6Xy0
結衣「わ、わかったからそのペンダントいじるのやめようよ?ね?」
ちなつ「え?じゃあ今日デートしてくれるんですね?」
結衣「う、うん」
ちなつ「やったぁ!このペンダントのお陰ね!」
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 20:57:59.54 ID:i+rPC6Xy0
(ワック店内)
ちなつ「うふふ・・・。おいしいですねー、結衣センパイ」
結衣「あ、う、うん」
ちなつ「やっぱり、デートと言えばワックですよねー」
結衣「そ、そうだね・・・」
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 20:58:52.47 ID:i+rPC6Xy0
結衣「と・・・。所でさ」
ちなつ「はい、何ですか?」
結衣「そのペンダント、いつまで付けてるの・・・?」
ちなつ「え?気になります?」
結衣「そ、そりゃあね・・・」
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 21:00:14.64 ID:i+rPC6Xy0
ちなつ「うーん、そうですねー」
ちなつ「今日の6時までデートしてくれたら、外してどっかその辺に放り投げますねー」
結衣「そ、そう。ずっと付けてるじゃないんだね、安心したよ」
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 21:04:46.66 ID:i+rPC6Xy0
ちなつ「・・・結衣センパイ、もしかして」
結衣「ん?」
ちなつ「今、私爆弾持ってるから嫌々付き合ってるんですか・・・?」
結衣「え!?いやいやそんな事ないって!」
ちなつ「ううっ、チーナ悲しい・・・」イジイジ…
結衣「ち、違うって!だからそのペンダントいじるのやめて!?」
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 21:32:39.83 ID:i+rPC6Xy0
(帰り道)
ちなつ「今日は楽しかったですねー結衣センパイ」ウデクミ
結衣「そ、そうだね」
ちなつ「今度また、デートして下さいねー」
結衣「あ、う、うん」
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 21:33:51.94 ID:i+rPC6Xy0
ちなつ(ふふふ、このペンダントさえあれば結衣センパイは私の思うがまま・・・)
ちなつ(こんなチャンス、逃してなるものか!)
ちなつ(ここは、目いっぱいペンダントの力を利用して・・・)
47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 21:36:08.68 ID:i+rPC6Xy0
ちなつ「結衣センパイ、今日結衣センパイの家に泊まっていいですか?」
結衣「え!?私の家に?これから?」
ちなつ「ええ、ご迷惑ですか?」
結衣「いやぁ、何も準備できてないし、今すぐはちょっと・・・」
48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 21:39:51.57 ID:i+rPC6Xy0
ちなつ「・・・そうですか。そうですよね」
ちなつ「急に押しかけたら、迷惑ですもんね・・・」イジイジ
結衣「あ、ち、違うよ?迷惑だなんてとんでもない!」
ちなつ「本当ですか?じゃあ、泊まりに行ってもいいんですね?」
結衣「う・・・」
49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 21:41:31.77 ID:i+rPC6Xy0
結衣「うん・・・」
ちなつ「やったぁ!ありがとうございます、結衣センパイ!」
ちなつ(うふふ、これで今夜は結衣センパイと二人きり)
ちなつ(そして、そのままなし崩し的に・・・。うふふ)
50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 22:07:32.34 ID:i+rPC6Xy0
ちなつ「それじゃ、行きましょっか結衣センパイ」
結衣「あ、う、うん」
西垣「・・・吉川」
51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 22:08:45.22 ID:i+rPC6Xy0
結衣「うわっ!?に、西垣先生?」
ちなつ「あ、西垣先生。ありがとうございます、先生のお陰で・・・」
西垣「お前は、私との約束を破ったな?」
結衣「え?約束?」
52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 22:09:58.94 ID:i+rPC6Xy0
西垣「そのペンダントを使うのは、今日の6時までにしておけと言ったはずだ」
西垣「さもないと、爆発すると」
結衣「うえーっ!?」
ちなつ「あ、そう言えばそうでしたね。すっかり忘れてました」
53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 22:11:47.93 ID:i+rPC6Xy0
ちなつ「でも、いいんです。私、結衣センパイと一緒ならどうなっても構いません!」シガミツキ
結衣「ちょ、ちょっとちなつちゃん!?」
西垣「ほう。見上げた根性だ」
54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 22:13:44.11 ID:i+rPC6Xy0
西垣「ならば、お望み通り爆発するがいい!」
結衣「ひぃーーーーーーっ!」ダッ
ちなつ「あれ?ちょっとどこ行くんですか?結衣センパイ?結衣センパ・・・」
ピカッ
55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 22:14:57.34 ID:i+rPC6Xy0
ドーーーーーーーーーーーン・・・
56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 23:25:59.01 ID:i+rPC6Xy0
私の名前は西垣奈々
人呼んで七森中のアルカイダ
ただの理科教師じゃございません
私の発明品は爆発
ことごとく爆発するのでございます
この世は老いも若きも男も女も心の寂しい人ばかり
そんな皆さんの心のスキマをお埋めいたします
いいえお金は1銭も頂きません
皆さんが爆発に巻き込まれたらそれが何よりの報酬でございます
さて、本日の犠牲者は・・・
大室櫻子 13歳学生
ホーッホッホッホッホ…
57: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 23:26:53.91 ID:i+rPC6Xy0
(教室)
あかり「向日葵ちゃん、また胸がおっきくなったねー」
ちなつ「ほんっと、羨ましいよねー」
向日葵「い、いやですわ二人とも」
櫻子「・・・」
58: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 23:28:46.64 ID:i+rPC6Xy0
あかり「あかりも、せめて向日葵ちゃんの半分くらいは・・・」
ちなつ「そうだよね・・・」
向日葵「ふ、二人とも気にし過ぎですわ?成長期ですから、これからきっと」
櫻子「・・・ふん!」
59: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 23:30:20.04 ID:i+rPC6Xy0
向日葵「何ですの櫻子」
櫻子「ちょーっと胸が大きいからって、自慢かー!このイヤミっぱい!」
あかり「ま、まぁまぁ櫻子ちゃん」
ちなつ「しょうがないよ、こればっかりは」
60: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 23:32:51.60 ID:i+rPC6Xy0
向日葵「まったく、櫻子は・・・。胸が大きくたって、何もいい事ありませんわよ」
向日葵「肩は凝るし、体重だって気になりますし・・・」フゥ
櫻子「だから、それがイヤミだっつーの!」
あかり「ぜいたくな悩みだよね・・・」
ちなつ「私たちには、無縁の悩みね・・・」
61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 23:44:48.78 ID:i+rPC6Xy0
向日葵「いえ、私は私で櫻子が羨ましいんですのよ?本当に」
櫻子「むっ、ムキーッ!それは私がペチャパイだからって事かーっ!」
あかり「あ、ううん?違うと思うよ櫻子ちゃん?」
ちなつ「今の櫻子ちゃんに、何を言っても無駄ね・・・」
62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/23(木) 23:46:04.67 ID:i+rPC6Xy0
櫻子「もー、アッタマきた!」
櫻子「見てろよ向日葵、すぐにお前よりボインボインになって、吠え面かかせてやる!」
向日葵「むっ・・・。ええ、やれるものならやって見なさい」
あかり「そんな、すぐになんて無理だよー」
ちなつ「一体、どうする積もりなんだろね?」
63: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/24(金) 00:22:38.37 ID:zG4CN2vs0
(帰り道)
櫻子「ちっくしょー、向日葵のやつ」
櫻子「何が、肩が凝るだイヤミッたらしい!」
櫻子「こうなったら、絶対向日葵よりボインになって見返してやる・・・」
64: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/24(金) 00:23:11.79 ID:zG4CN2vs0
櫻子「とは言ったものの、どうしよう」
櫻子「そんな簡単にボインになる方法なんて、何も思いつかないし・・・」
西垣「おや?どうした大室。そんなにしょげ返って」
65: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/24(金) 00:23:55.87 ID:zG4CN2vs0
櫻子「あ、西垣先生。実は、向日葵のやつが・・・」
櫻子「ちょっと胸がおっきいからって、イヤミッたらしく自慢してくるんです」
西垣「ほう?」
櫻子「ぐぬぬ、思い出したらムカムカしてきた・・・!」
西垣「そうかそうか。なら、大室にこの私の発明品をあげよう」
櫻子「え?何ですかこれ?」
66: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/24(金) 00:26:55.02 ID:zG4CN2vs0
西垣「うむ、『胸に塗ったら大きくなる薬』だ」
櫻子「へー?この薬で本当に胸がおっきくなるんですか?」チャポ
西垣「おっと、瓶をうっかり落として割ったりするなよ?」
櫻子「へ?何でですか?」
西垣「胸以外の場所に使ったら、大爆発を起こすからな」
櫻子「どんな仕組みでそうなるんですか!?」
67: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/24(金) 00:28:06.99 ID:zG4CN2vs0
櫻子「・・・けど、これを使えば向日葵よりボインボインになれるんですね?」
西垣「ああ、もちろんだ」
櫻子「やったー!先生、ありがとう!」
西垣「ああ、くれぐれも扱いには注意しろよ?」
68: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/24(金) 00:29:06.68 ID:zG4CN2vs0
(櫻子の部屋)
櫻子「よーし、見てろよ向日葵のやつ・・・」
櫻子「この薬で、お前の2倍ボインボインになってやる!」ポン
櫻子「んぐ、んぐ・・・」ゴクゴク
69: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/24(金) 00:29:32.13 ID:zG4CN2vs0
櫻子「・・・ぷはー」
櫻子「さーてどんくらい大っきくなるかなー、私の胸」
櫻子「たっのしみー、フンフン・・・」
櫻子「・・・」
70: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/24(金) 00:30:09.04 ID:zG4CN2vs0
櫻子「あっ、しまった!」
櫻子「つける薬なのに、飲んじゃった!」
ピカッ
71: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/24(金) 00:30:35.09 ID:zG4CN2vs0
ドーーーーーーーーーーーン・・・
終わり
72: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/24(金) 00:31:01.96 ID:zG4CN2vs0
オチは特にないです
読んでくれた方ありがとうございました
読んでくれた方ありがとうございました
73: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/24(金) 00:45:07.80 ID:YVFGw3nRO
なかなか面白い
74: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/24(金) 20:45:15.86 ID:3zWVFX+6o
ドーン違い
乙
乙
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1511413456/
Entry ⇒ 2017.11.26 | Category ⇒ ゆるゆり | Comments (0)
京子「結衣ー、そこの高級ステーキとって」結衣「ねーよ」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 22:48:01.36 ID:MTS/Tacb0
京子「結衣ー」
結衣「……今度はなに?」
京子「ミラクるん公式ファンブック 胸がドキドキっ☆それゆけミラクるんっ! とってー」
結衣「言ってて恥ずかしくないのか」
京子「めちゃくちゃ恥ずかしい」
結衣「じゃあすんなよ……ほら」ヒョイ
京子「こんぐらっちゅれーしょん!」パシッ
結衣「意味分かってんのか?」
京子「知らん!」
結衣「でしょうね」
結衣「……今度はなに?」
京子「ミラクるん公式ファンブック 胸がドキドキっ☆それゆけミラクるんっ! とってー」
結衣「言ってて恥ずかしくないのか」
京子「めちゃくちゃ恥ずかしい」
結衣「じゃあすんなよ……ほら」ヒョイ
京子「こんぐらっちゅれーしょん!」パシッ
結衣「意味分かってんのか?」
京子「知らん!」
結衣「でしょうね」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 22:49:36.57 ID:MTS/Tacb0
京子「にしてもあかりとちなつちゃん遅いなー……1年の先生は何をしてるのかね全く!」
結衣「今日は用事があるから来ないって」
京子「ええぇぇ!?じゃあもう意味ないじゃん!?」
結衣「え、意味ないって……去年はずっとこんな感じだったけどいつもやってただろ、ごらく部」
京子「それはそうなんだけどー……」
結衣「まあでもやることないしな……帰る?」
京子「ん……んー……?いや、やっぱいる」
結衣「そう? じゃあ無駄な時間を過ごしますか……」ペラ
京子「え、嫌なら帰っていいよ?」
結衣「そういう意味じゃないけど……」ペラ
京子「……結衣、何読んでるの?」
結衣「ドアノブ500個殺人事件」
京子「面白い?」
結衣「全く面白くない……」
結衣「今日は用事があるから来ないって」
京子「ええぇぇ!?じゃあもう意味ないじゃん!?」
結衣「え、意味ないって……去年はずっとこんな感じだったけどいつもやってただろ、ごらく部」
京子「それはそうなんだけどー……」
結衣「まあでもやることないしな……帰る?」
京子「ん……んー……?いや、やっぱいる」
結衣「そう? じゃあ無駄な時間を過ごしますか……」ペラ
京子「え、嫌なら帰っていいよ?」
結衣「そういう意味じゃないけど……」ペラ
京子「……結衣、何読んでるの?」
結衣「ドアノブ500個殺人事件」
京子「面白い?」
結衣「全く面白くない……」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 22:53:07.70 ID:MTS/Tacb0
京子「よし、トランプしようぜ」
結衣「唐突だな……二人しかしないのに?」
京子「こういう時こそアレよ!アレ!」
結衣「アレ?」
京子「あのー……アレ!」
結衣(本気でド忘れしてるなこれ…)
京子「……すっ、スピード!」
京子「スピード……!」ドヤァ
結衣「なんなんだよそのドヤ顔は」
京子「思い出したぜ!という…」
結衣「私にアピールされても…」
結衣「ってちょっと待て、このトランプ40枚くらいしかないぞ……なくなりすぎだろ」
京子「あ!それ多分私が池の近くでかっこいい切り方練習しててぶちまけたやつだ!」ドヤ
結衣「明らかにドヤ顔するところじゃないよな?」
結衣「唐突だな……二人しかしないのに?」
京子「こういう時こそアレよ!アレ!」
結衣「アレ?」
京子「あのー……アレ!」
結衣(本気でド忘れしてるなこれ…)
京子「……すっ、スピード!」
京子「スピード……!」ドヤァ
結衣「なんなんだよそのドヤ顔は」
京子「思い出したぜ!という…」
結衣「私にアピールされても…」
結衣「ってちょっと待て、このトランプ40枚くらいしかないぞ……なくなりすぎだろ」
京子「あ!それ多分私が池の近くでかっこいい切り方練習しててぶちまけたやつだ!」ドヤ
結衣「明らかにドヤ顔するところじゃないよな?」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 22:54:38.45 ID:MTS/Tacb0
結衣「なんで池の近くでやったんだよ」
京子「追い込まれるほどパワーが引き出されるタイプだからさ!」
結衣「結果失敗してるけどな」
結衣「やっぱもう帰ろうか、することないし」スクッ
京子「えー……」ジー
結衣「……なんだよ」
京子「別に? スカートの奥にある結衣のパンツ何色かなーって想像してるだけ」
結衣「やめろ!」ゲシッ
京子「ぉうっ!」
京子「追い込まれるほどパワーが引き出されるタイプだからさ!」
結衣「結果失敗してるけどな」
結衣「やっぱもう帰ろうか、することないし」スクッ
京子「えー……」ジー
結衣「……なんだよ」
京子「別に? スカートの奥にある結衣のパンツ何色かなーって想像してるだけ」
結衣「やめろ!」ゲシッ
京子「ぉうっ!」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 22:56:35.64 ID:MTS/Tacb0
結衣「もう帰るからな」スタスタ
京子「ちょっ待ってよ!」ガシッ
結衣「うわっあぶな!?」
京子「結衣にゃん~かまって~」
結衣「はぁ……?」
京子「よし!40枚しかないトランプでもできる遊びをするぞ!」
結衣「例えば?」
京子「神経衰弱」
結衣「一生終わらないだろ」
京子「ちょっ待ってよ!」ガシッ
結衣「うわっあぶな!?」
京子「結衣にゃん~かまって~」
結衣「はぁ……?」
京子「よし!40枚しかないトランプでもできる遊びをするぞ!」
結衣「例えば?」
京子「神経衰弱」
結衣「一生終わらないだろ」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 23:00:13.21 ID:MTS/Tacb0
京子「ババ抜き!」
結衣「無理だろ」
京子「七並べ!」
結衣「無理だろ」
京子「王様ゲーム!」
結衣「そもそもトランプでやることじゃねえ」
結衣「無理だろ」
京子「七並べ!」
結衣「無理だろ」
京子「王様ゲーム!」
結衣「そもそもトランプでやることじゃねえ」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 23:04:24.50 ID:MTS/Tacb0
京子「ふふっ……こんな時のための話題BOXよ!」
結衣「遊ぶのは諦めたのか?」
京子「えー…じゃあ黒ひげでもして遊ぶか…」ガサガサ
結衣「黒ひげって……学校になんてもん持ってきてんだ」
京子「じゃーん!」
結衣「なんか解体されてる!?」
結衣「遊ぶのは諦めたのか?」
京子「えー…じゃあ黒ひげでもして遊ぶか…」ガサガサ
結衣「黒ひげって……学校になんてもん持ってきてんだ」
京子「じゃーん!」
結衣「なんか解体されてる!?」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 23:07:37.39 ID:MTS/Tacb0
京子「まず樽を横向きに置きます」
結衣「え、横向きに?」
京子「そして紙コップにナイフを入れて……」
京子「ほいっ!」バンッ
結衣「……で、それが何なの?」
京子「これでちゃんと刺さったら勝ち、逆向きに刺さったら負けね」
結衣「逆向きには刺さらないだろ…」
結衣「え、横向きに?」
京子「そして紙コップにナイフを入れて……」
京子「ほいっ!」バンッ
結衣「……で、それが何なの?」
京子「これでちゃんと刺さったら勝ち、逆向きに刺さったら負けね」
結衣「逆向きには刺さらないだろ…」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 23:09:55.51 ID:MTS/Tacb0
京子「なんかそういうので賭けをするんだよ」
結衣「賭け?」
京子「うん、なんかのアニメでやってた」
結衣「また影響されて……しかも曖昧だな色々と」
京子「あれを再現するにはこう、もっと口がリアルじゃないと」
結衣「リアルって…」
京子「そうだ! 結衣の口がリアルかどうかこの唇で確かめ――」
結衣「やめろ」
結衣「賭け?」
京子「うん、なんかのアニメでやってた」
結衣「また影響されて……しかも曖昧だな色々と」
京子「あれを再現するにはこう、もっと口がリアルじゃないと」
結衣「リアルって…」
京子「そうだ! 結衣の口がリアルかどうかこの唇で確かめ――」
結衣「やめろ」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 23:15:03.51 ID:MTS/Tacb0
結衣「やっぱもう帰ろうよ」
京子「えぇー…」
結衣「え?でも……明日いつも以上に楽しめばいいだろ」
京子「ダ、ダメだ! あかり達がいないからって帰ったら……!」
京子「帰ったら……!」
京子「負けた気がする!!」
結衣「…………」
結衣「何にだよ……」
京子「えぇー…」
結衣「え?でも……明日いつも以上に楽しめばいいだろ」
京子「ダ、ダメだ! あかり達がいないからって帰ったら……!」
京子「帰ったら……!」
京子「負けた気がする!!」
結衣「…………」
結衣「何にだよ……」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 23:19:22.59 ID:MTS/Tacb0
京子「仕方ないから帰ってやるとするか…」
結衣「別にずっと一人でここに居てもいいんだぞ」
京子「わしゃ自縛霊か!」
結衣「……そういうこともあるかもしれない」
京子「……は?」
結衣「じゃ、また明日~」ガラガラ
京子「待て待て待て待て!!」
結衣「なんだよ」
京子「いやあの……なんなんですか?」
結衣「なんなんですかって言われても」
結衣「別にずっと一人でここに居てもいいんだぞ」
京子「わしゃ自縛霊か!」
結衣「……そういうこともあるかもしれない」
京子「……は?」
結衣「じゃ、また明日~」ガラガラ
京子「待て待て待て待て!!」
結衣「なんだよ」
京子「いやあの……なんなんですか?」
結衣「なんなんですかって言われても」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 23:23:39.17 ID:MTS/Tacb0
結衣「お前そういうの苦手だっけ?」
京子「いや苦手っていうか……自分が霊だったら苦手とかそういうの関係ないだろもう!」
結衣「怖がらせようとしただけで深い意味はない」
京子「分かってるけどさー…あ、毛虫」
結衣「」ビュンッ
京子「はやっ!? 瞬間移動!?」
京子「いや苦手っていうか……自分が霊だったら苦手とかそういうの関係ないだろもう!」
結衣「怖がらせようとしただけで深い意味はない」
京子「分かってるけどさー…あ、毛虫」
結衣「」ビュンッ
京子「はやっ!? 瞬間移動!?」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 23:27:33.55 ID:MTS/Tacb0
結衣「騙したな…」
京子「そっちが先にやってきたんじゃん!」
結衣「はぁ…もういいや、とりあえず本当に帰ろうか」
京子「このまま結衣ん家行っていい?」
結衣「えっ? まあいいけど……たまには帰らないと親御さん心配しない?」
京子「しない!」
結衣「いや、本当にしてなかったらそれはそれで悲しいぞ」
京子「いいから行くの!」
結衣「はいはい……」
京子「結衣ん家行ったら何しよっかなー…まず……」
結衣(…………)
結衣「……なぁ、京子」
京子「ん?……なになに?いつもありがとうって?」ニヤニヤ
結衣「いや、かばん忘れてるぞ」
京子「うわっマジだ!?」
おわり
京子「そっちが先にやってきたんじゃん!」
結衣「はぁ…もういいや、とりあえず本当に帰ろうか」
京子「このまま結衣ん家行っていい?」
結衣「えっ? まあいいけど……たまには帰らないと親御さん心配しない?」
京子「しない!」
結衣「いや、本当にしてなかったらそれはそれで悲しいぞ」
京子「いいから行くの!」
結衣「はいはい……」
京子「結衣ん家行ったら何しよっかなー…まず……」
結衣(…………)
結衣「……なぁ、京子」
京子「ん?……なになに?いつもありがとうって?」ニヤニヤ
結衣「いや、かばん忘れてるぞ」
京子「うわっマジだ!?」
おわり
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 23:30:20.04 ID:MTS/Tacb0
見てくれた方いたらありがとうございました
一応ギャグです
一応ギャグです
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/08(火) 01:28:23.21 ID:BvNdrl5A0
おつ!
ゆるゆりSS久々に読んだかも
ゆるゆりSS久々に読んだかも
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1502113680/
Entry ⇒ 2017.11.24 | Category ⇒ ゆるゆり | Comments (0)
楓「おねえちゃんスイッチなの!」
1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/09(火) 22:08:06.18 ID:UwVXGigV0
楓「できたのー!」
櫻子「おー上手じゃん!」ぱちぱち
楓「あとはひらがな書くだけなの!」
櫻子「何にする?」
楓「んー……とりあえず “あいうえお” にしておくの。後で書き変えられるようになってるの!」
櫻子「器用だなー楓は。よし、じゃあ向日葵に使ってみるか」
楓「了解なの!」
櫻子「おー上手じゃん!」ぱちぱち
楓「あとはひらがな書くだけなの!」
櫻子「何にする?」
楓「んー……とりあえず “あいうえお” にしておくの。後で書き変えられるようになってるの!」
櫻子「器用だなー楓は。よし、じゃあ向日葵に使ってみるか」
楓「了解なの!」
2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/09(火) 22:12:00.31 ID:UwVXGigV0
向日葵「櫻子、入りますわよ~」
櫻子「おっ、ちょうどいいところに来たじゃん」
向日葵「あら楓、櫻子に遊んでもらっていたんですの?」
楓「そうなの!」
櫻子「見て見て向日葵、これ楓が作ったんだよ」
楓「おねえちゃんスイッチなの!」じゃーん
向日葵「おねえちゃんスイッチ……?」きょとん
櫻子「ちょ、ちょっ、来て!」ひそひそ
向日葵「な、なんですの?」
楓(……?)
櫻子「おっ、ちょうどいいところに来たじゃん」
向日葵「あら楓、櫻子に遊んでもらっていたんですの?」
楓「そうなの!」
櫻子「見て見て向日葵、これ楓が作ったんだよ」
楓「おねえちゃんスイッチなの!」じゃーん
向日葵「おねえちゃんスイッチ……?」きょとん
櫻子「ちょ、ちょっ、来て!」ひそひそ
向日葵「な、なんですの?」
楓(……?)
3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/09(火) 22:17:08.66 ID:UwVXGigV0
櫻子「向日葵知らないの? 私たちの時からNHKでやってるじゃん……ピタゴラスイッチ」ひそひそ
向日葵「ああ、あれ」
櫻子「あれに “おとうさんスイッチ” が出てくるでしょ? あれのお姉ちゃんバージョンを作ったんだよ楓は」
向日葵「なるほど……!」ぽん
櫻子「今から楓がおねえちゃんスイッチで遊ぶから、相手してやってよ。喜ぶから」
向日葵「ん、ん~……ちょっと恥ずかしいですけど……まあいいですわ///」
櫻子「じゃあ楓、そのスイッチ向日葵に使ってみようか!」
楓「はいなの!」
櫻子「おねえちゃんスイッチ、いきますよ~♪」
向日葵「ああ、あれ」
櫻子「あれに “おとうさんスイッチ” が出てくるでしょ? あれのお姉ちゃんバージョンを作ったんだよ楓は」
向日葵「なるほど……!」ぽん
櫻子「今から楓がおねえちゃんスイッチで遊ぶから、相手してやってよ。喜ぶから」
向日葵「ん、ん~……ちょっと恥ずかしいですけど……まあいいですわ///」
櫻子「じゃあ楓、そのスイッチ向日葵に使ってみようか!」
楓「はいなの!」
櫻子「おねえちゃんスイッチ、いきますよ~♪」
4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/09(火) 22:21:13.13 ID:UwVXGigV0
楓「おねえちゃんスイッチ、 “あ” !」ぽちっ
向日葵「あっ、愛してますわ!! 櫻子!!!」
向日葵(えっ)
櫻子「はっ……はああああ!?///」
向日葵「あっ、あああ! え!? なんで……口が勝手に……!!」
櫻子「ちょっと! そういうのじゃないでしょ! “歩く” とかでいいんだよ!///」
向日葵「違いますのよ!! 私そんなつもりじゃ……!///」
向日葵「あっ、愛してますわ!! 櫻子!!!」
向日葵(えっ)
櫻子「はっ……はああああ!?///」
向日葵「あっ、あああ! え!? なんで……口が勝手に……!!」
櫻子「ちょっと! そういうのじゃないでしょ! “歩く” とかでいいんだよ!///」
向日葵「違いますのよ!! 私そんなつもりじゃ……!///」
5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/09(火) 22:26:36.15 ID:UwVXGigV0
楓「おねえちゃんスイッチ、 “い” !」
向日葵「い……イチャイチャしたいですわ!! 櫻子と!!!」
櫻子「ねえ何言ってんの!? 何言ってんの!?///」
向日葵「ちょっ、なんで!? スイッチ押されると身体が勝手にぃーー!」
櫻子「ひ、向日葵意外とノリがいいんだなー! でもそういうのじゃないから……そういうのいいからさ……あはは」
向日葵「ほっ、本当に違うんですのよ! 私は……!」
向日葵「い……イチャイチャしたいですわ!! 櫻子と!!!」
櫻子「ねえ何言ってんの!? 何言ってんの!?///」
向日葵「ちょっ、なんで!? スイッチ押されると身体が勝手にぃーー!」
櫻子「ひ、向日葵意外とノリがいいんだなー! でもそういうのじゃないから……そういうのいいからさ……あはは」
向日葵「ほっ、本当に違うんですのよ! 私は……!」
6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/09(火) 22:36:28.56 ID:UwVXGigV0
楓「おねえちゃんスイッチ、 “う” !」
向日葵「うっ、運命の赤い糸で、私と櫻子は結ばれているんですの!!///」
櫻子「向日葵ちゃんとしろー! 楓が可哀想だろ!!」
向日葵「私だってやめたいですわよ!! やりたくてやってるんじゃ……!」
櫻子「なんだよ今の、運命の赤い糸って! だせーよ!///」
向日葵「ださいことないじゃない!!///」
向日葵「うっ、運命の赤い糸で、私と櫻子は結ばれているんですの!!///」
櫻子「向日葵ちゃんとしろー! 楓が可哀想だろ!!」
向日葵「私だってやめたいですわよ!! やりたくてやってるんじゃ……!」
櫻子「なんだよ今の、運命の赤い糸って! だせーよ!///」
向日葵「ださいことないじゃない!!///」
8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/09(火) 22:50:35.18 ID:UwVXGigV0
楓「おねえちゃんスイッチ、 “え” !」
向日葵「えっちしたいですわ!! 櫻子!!」ばーん
櫻子「ばかーーー!バカかーー!!///」ぽかぽか
向日葵「やだ、怖い!! 怖いですわ!」
櫻子「妹の前で何言ってんだよ!! 楓まだ6歳だぞ! つーか年齢関係ねー!」
向日葵「楓、もうやめて! もうスイッチ押さないでっ……!」
楓「おねえちゃん楽しそうなの♪」ニコニコ
櫻子「本心か! それが本心なのか! 向日葵変態だったんだな!///」
向日葵「こんなセリフ、楓の前で言うわけないじゃない! 言うなら誰にも邪魔されない完全に二人っきりの時ですわよ!」
櫻子「本心であることを否定しろよ!!」
向日葵「えっちしたいですわ!! 櫻子!!」ばーん
櫻子「ばかーーー!バカかーー!!///」ぽかぽか
向日葵「やだ、怖い!! 怖いですわ!」
櫻子「妹の前で何言ってんだよ!! 楓まだ6歳だぞ! つーか年齢関係ねー!」
向日葵「楓、もうやめて! もうスイッチ押さないでっ……!」
楓「おねえちゃん楽しそうなの♪」ニコニコ
櫻子「本心か! それが本心なのか! 向日葵変態だったんだな!///」
向日葵「こんなセリフ、楓の前で言うわけないじゃない! 言うなら誰にも邪魔されない完全に二人っきりの時ですわよ!」
櫻子「本心であることを否定しろよ!!」
9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/09(火) 22:59:57.90 ID:UwVXGigV0
楓「おねえちゃんスイッチ、 “お” !」ぽちっ
向日葵「お……大人の世界を教えてさしあげますわ……///」ちゅっ
櫻子「ん!? ん~~~!!///」ばたばた
向日葵(か、身体が勝手にっ……!///)
櫻子「んっ、やっ! そんなとこ触るなぁ……!!///」びくっ
向日葵(とっ、止まらない……!)
楓「お、おねえちゃんっ? 大丈夫!?」
向日葵「かっ、楓! ちょっとお外で遊んできてくださる!?」
櫻子「そうだ、花子! 花子が今家にいるからさ、楓ちょっと花子のとこ行ってきて!」
楓「花子おねえちゃんのところ……わかったの!」たたたっ
向日葵「お……大人の世界を教えてさしあげますわ……///」ちゅっ
櫻子「ん!? ん~~~!!///」ばたばた
向日葵(か、身体が勝手にっ……!///)
櫻子「んっ、やっ! そんなとこ触るなぁ……!!///」びくっ
向日葵(とっ、止まらない……!)
楓「お、おねえちゃんっ? 大丈夫!?」
向日葵「かっ、楓! ちょっとお外で遊んできてくださる!?」
櫻子「そうだ、花子! 花子が今家にいるからさ、楓ちょっと花子のとこ行ってきて!」
楓「花子おねえちゃんのところ……わかったの!」たたたっ
10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/09(火) 23:09:25.26 ID:UwVXGigV0
向日葵「あっ、身体が軽くなった……! 自由に動けますわ!」
櫻子「な、なんなんだよ……楓の前でさ……///」
向日葵「だから言ってるでしょう! あのスイッチ押されると身体が勝手に動いたり、勝手に喋ったりしちゃうんですのよ!」
櫻子「ほんとに!? ほんとのほんとに!?」
向日葵「ほんとのほんとですわ!!」
櫻子「私のこと愛してるの!? イチャイチャしたいの!?」
向日葵「あっ、愛してなくは……ないですけど……///」
櫻子「やっぱり本心じゃねえか!!///」
向日葵「本心ですけど、それとこれとは話が違くて……!」
櫻子「な、なんなんだよ……楓の前でさ……///」
向日葵「だから言ってるでしょう! あのスイッチ押されると身体が勝手に動いたり、勝手に喋ったりしちゃうんですのよ!」
櫻子「ほんとに!? ほんとのほんとに!?」
向日葵「ほんとのほんとですわ!!」
櫻子「私のこと愛してるの!? イチャイチャしたいの!?」
向日葵「あっ、愛してなくは……ないですけど……///」
櫻子「やっぱり本心じゃねえか!!///」
向日葵「本心ですけど、それとこれとは話が違くて……!」
11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/09(火) 23:12:31.71 ID:UwVXGigV0
~
コンコン
楓「花子おねえちゃん?」ガチャ
花子「あれっ、楓! 遊びに来たのかし?」
楓「櫻子おねえちゃんが、花子おねえちゃんの所に行ってって言ってたの」
花子「なんで……? まあよくわからないけど、ちょうど暇だったから別に構わないし。何かして遊ぼうか」
楓「花子おねえちゃん、楓これ作ったの!」じゃーん
花子「これは?」
楓「おねえちゃんスイッチなの!」
コンコン
楓「花子おねえちゃん?」ガチャ
花子「あれっ、楓! 遊びに来たのかし?」
楓「櫻子おねえちゃんが、花子おねえちゃんの所に行ってって言ってたの」
花子「なんで……? まあよくわからないけど、ちょうど暇だったから別に構わないし。何かして遊ぼうか」
楓「花子おねえちゃん、楓これ作ったの!」じゃーん
花子「これは?」
楓「おねえちゃんスイッチなの!」
13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/09(火) 23:25:20.13 ID:UwVXGigV0
花子「おー、よくできてるし」
楓「ひらがなのとこも変えられるようになってるの。花子おねえちゃんに貸してあげるの!」
花子「いいの? じゃあちょっと使ってみようかな」
楓「ひらがな変える?」
花子「んー……じゃあ撫子お姉ちゃんに使うから “なにぬねの” にしようか」
~
花子「撫子お姉ちゃん?」ガチャ
撫子「ん、どしたの花子?」
藍「あ、花子ちゃんこんにちは~」
花子「あれ? 藍お姉ちゃん来てたのかし」
楓「こんにちは~♪」
楓「ひらがなのとこも変えられるようになってるの。花子おねえちゃんに貸してあげるの!」
花子「いいの? じゃあちょっと使ってみようかな」
楓「ひらがな変える?」
花子「んー……じゃあ撫子お姉ちゃんに使うから “なにぬねの” にしようか」
~
花子「撫子お姉ちゃん?」ガチャ
撫子「ん、どしたの花子?」
藍「あ、花子ちゃんこんにちは~」
花子「あれ? 藍お姉ちゃん来てたのかし」
楓「こんにちは~♪」
14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/09(火) 23:28:34.62 ID:UwVXGigV0
花子「見てこれ、楓が作ったんだって。おねえちゃんスイッチ」
楓「えへへへ……///」
藍「あら、楓ちゃん上手ね♪」
楓「ありがとうなの!」
花子「撫子お姉ちゃんに使ってみていい?」
撫子「えっ……恥ずかしいな……」
藍「ほら撫子、せっかくだから遊んであげましょうよ」
撫子「んー……まあいいか」
楓「えへへへ……///」
藍「あら、楓ちゃん上手ね♪」
楓「ありがとうなの!」
花子「撫子お姉ちゃんに使ってみていい?」
撫子「えっ……恥ずかしいな……」
藍「ほら撫子、せっかくだから遊んであげましょうよ」
撫子「んー……まあいいか」
15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/09(火) 23:38:18.20 ID:UwVXGigV0
花子「おねえちゃんスイッチ、 “な” 」ぽちっ
撫子「なでしーって呼んでくれなきゃ、イヤ……♪」
撫子(えっ)
花子「えっ」
藍「え…………」
撫子「えぇーーーーーー!!!///」
撫子「なでしーって呼んでくれなきゃ、イヤ……♪」
撫子(えっ)
花子「えっ」
藍「え…………」
撫子「えぇーーーーーー!!!///」
17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/09(火) 23:42:44.74 ID:UwVXGigV0
藍「さ、さすが撫子……妹ちゃんたちと遊ぶ時も全力で取り組んであげるのね……///」ぷるぷる
撫子「い、いや違っ……! こんなこと言うつもりは……!///」
花子「お、面白い! このスイッチ面白すぎるし!」
楓「撫子おねえちゃん可愛いの!」
撫子(嘘でしょ……なに今の……!)
撫子「い、いや違っ……! こんなこと言うつもりは……!///」
花子「お、面白い! このスイッチ面白すぎるし!」
楓「撫子おねえちゃん可愛いの!」
撫子(嘘でしょ……なに今の……!)
18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/09(火) 23:47:02.57 ID:UwVXGigV0
花子「おねえちゃんスイッチ、 “に” !」
撫子「にゃあお♪」きゅん
藍「」
花子「」
楓「あっ、猫さんになっちゃったの!」
撫子(嘘でしょ……! か、身体が……口が勝手に……っ!!)
撫子「んにゃあ……///」ごろごろ
花子「こ、こんな撫子おねえちゃん初めて見るし!///」
藍「…………」カシャカシャ
撫子「藍っ!? ちょっと、撮らないで! やめて!?」
撫子「にゃあお♪」きゅん
藍「」
花子「」
楓「あっ、猫さんになっちゃったの!」
撫子(嘘でしょ……! か、身体が……口が勝手に……っ!!)
撫子「んにゃあ……///」ごろごろ
花子「こ、こんな撫子おねえちゃん初めて見るし!///」
藍「…………」カシャカシャ
撫子「藍っ!? ちょっと、撮らないで! やめて!?」
19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/09(火) 23:55:55.41 ID:UwVXGigV0
花子「も、もっと見たい! おねえちゃんスイッチ “に” !」
撫子「にゃ~ご……ごろにゃぁ~……///」
花子「きゃーー!!///」
藍「」ぴこーん
撫子「あっ、ちょ! 今ビデオモードにしたでしょ! 動画はやめて!///」
藍「や、やめないっ! 絶対やめない!///」
花子「に! に!」ぽちぽち
撫子「にゃーん? にゃでしーだにゃーん☆」
花子「あははははははは!!!///」げらげら
藍「撫子すごいわ!! 凄いのがどんどん撮れてるわ!!」
撫子「や、やめてにゃ~……!///」
撫子(やめろおおおおおおおおお!!!!)
撫子「にゃ~ご……ごろにゃぁ~……///」
花子「きゃーー!!///」
藍「」ぴこーん
撫子「あっ、ちょ! 今ビデオモードにしたでしょ! 動画はやめて!///」
藍「や、やめないっ! 絶対やめない!///」
花子「に! に!」ぽちぽち
撫子「にゃーん? にゃでしーだにゃーん☆」
花子「あははははははは!!!///」げらげら
藍「撫子すごいわ!! 凄いのがどんどん撮れてるわ!!」
撫子「や、やめてにゃ~……!///」
撫子(やめろおおおおおおおおお!!!!)
20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 00:01:20.77 ID:+aD1LxQr0
花子「あー面白かった……楓、そろそろいこっか。ねーちゃんたちお勉強してたみたいだし」
楓「わかったの!」
花子「にゃでしこお姉ちゃん、お邪魔したし」
楓「ばいばーい♪」
ぱたん
撫子「…………」
藍「…………」
撫子「…………」
藍「…………」
撫子「誰にも言わないで……」ゲザァ
藍「も、もちろんよ……///」
楓「わかったの!」
花子「にゃでしこお姉ちゃん、お邪魔したし」
楓「ばいばーい♪」
ぱたん
撫子「…………」
藍「…………」
撫子「…………」
藍「…………」
撫子「誰にも言わないで……」ゲザァ
藍「も、もちろんよ……///」
21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 08:05:17.36 ID:IjvpHnVvO
花子「さすが楓の作ったスイッチだし。撫子おねえちゃんが猫になっちゃうとは思わなかった」
楓「楓もびっくりしたの」
花子「他にも使ってみたいけど、あとは櫻子しかお姉ちゃんいないなあ……ひま姉には使った?」
楓「やったの! すごく楽しかったの♪」
花子(さすがひま姉。遊ぶときにも手を抜かないし)
ピンポーン
花子「あっ、誰か来た……はーい!」たたたっ
めぐみ「こんにちはー……あ、花子ちゃん。楓ちゃんもいるー」ガチャ
花子「めぐみお姉ちゃん。撫子お姉ちゃんに呼ばれたの?」
めぐみ「そうそう、バイト終わってから急いで来たんだ。撫子は部屋にいる?」
撫子「あっめぐみ、上がって上がって」
めぐみ「やっほー♪ 藍来てるんだっけ?」
撫子「今課題やっててさ……美穂まだでしょ?」
楓「楓もびっくりしたの」
花子「他にも使ってみたいけど、あとは櫻子しかお姉ちゃんいないなあ……ひま姉には使った?」
楓「やったの! すごく楽しかったの♪」
花子(さすがひま姉。遊ぶときにも手を抜かないし)
ピンポーン
花子「あっ、誰か来た……はーい!」たたたっ
めぐみ「こんにちはー……あ、花子ちゃん。楓ちゃんもいるー」ガチャ
花子「めぐみお姉ちゃん。撫子お姉ちゃんに呼ばれたの?」
めぐみ「そうそう、バイト終わってから急いで来たんだ。撫子は部屋にいる?」
撫子「あっめぐみ、上がって上がって」
めぐみ「やっほー♪ 藍来てるんだっけ?」
撫子「今課題やっててさ……美穂まだでしょ?」
22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 08:10:42.95 ID:IjvpHnVvO
花子(そうだ!)ぴーん
花子「楓、めぐみお姉ちゃんにこのスイッチ使ってみよう!」
楓「めぐみお姉ちゃんに?」
花子「めぐみお姉ちゃんだって花子たちのお姉ちゃんみたいなものだし。きっとやってくれるはず!」
楓「わかったの!」
~
藍「めぐみったら、来るのがちょっとだけ遅かったわね」
めぐみ「仕方ないでしょ、これでもバイト終わって超ダッシュ決め込んだんだからー」
藍「もう少し早ければ良いものが見れたのに……」
撫子「あ、藍……!!///」
藍「言わない、言わないけどね♪」
めぐみ「えーなに気になるー!」
花子「楓、めぐみお姉ちゃんにこのスイッチ使ってみよう!」
楓「めぐみお姉ちゃんに?」
花子「めぐみお姉ちゃんだって花子たちのお姉ちゃんみたいなものだし。きっとやってくれるはず!」
楓「わかったの!」
~
藍「めぐみったら、来るのがちょっとだけ遅かったわね」
めぐみ「仕方ないでしょ、これでもバイト終わって超ダッシュ決め込んだんだからー」
藍「もう少し早ければ良いものが見れたのに……」
撫子「あ、藍……!!///」
藍「言わない、言わないけどね♪」
めぐみ「えーなに気になるー!」
23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 08:15:33.82 ID:IjvpHnVvO
花子「たのもー!」ばん
楓「たのもー♪」
撫子(うわっ! 来たー!///)
めぐみ「あれっ? どしたの花子ちゃん。なにかあった?」
花子「ふふふ……めぐみお姉ちゃん、これを見るし!」じゃーん
めぐみ「これ…………なに? あ! “おねえちゃんスイッチ” って書いてある!」
花子「そう、おねえちゃんスイッチ! 楓が作ったんだし」
めぐみ「わ~上手~! 私もよく見てたなぁ、ピタゴラスイッチ」
楓「たのもー♪」
撫子(うわっ! 来たー!///)
めぐみ「あれっ? どしたの花子ちゃん。なにかあった?」
花子「ふふふ……めぐみお姉ちゃん、これを見るし!」じゃーん
めぐみ「これ…………なに? あ! “おねえちゃんスイッチ” って書いてある!」
花子「そう、おねえちゃんスイッチ! 楓が作ったんだし」
めぐみ「わ~上手~! 私もよく見てたなぁ、ピタゴラスイッチ」
24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 08:19:16.57 ID:IjvpHnVvO
花子「めぐみお姉ちゃんも花子たちのお姉ちゃんみたいなものだから、きっとやってくれると思ったし!」
楓「おもったの!」
めぐみ「なるほどそういうこと……!」
藍(こ、今度はめぐみバージョンが見れるのね……///)
撫子「めぐみ、気をつけて! このスイッチは……!」
めぐみ「よーし、やってあげようか」すくっ
楓「おねえちゃんスイッチ、いきますよ~なの♪」
楓「おもったの!」
めぐみ「なるほどそういうこと……!」
藍(こ、今度はめぐみバージョンが見れるのね……///)
撫子「めぐみ、気をつけて! このスイッチは……!」
めぐみ「よーし、やってあげようか」すくっ
楓「おねえちゃんスイッチ、いきますよ~なの♪」
25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 08:22:44.72 ID:IjvpHnVvO
花子「おねえちゃんスイッチ、 “な” !」ぽちっ
めぐみ「な? なかぁ~……うーん……」
めぐみ「うっ、ううっ……課題が終わらないよぉ……」しくしく
楓「泣いちゃったの!」
花子「…………」
めぐみ「ど、どうかな? おねえちゃん “な” は、 “泣く” !」
藍「…………」
撫子「…………」
めぐみ「な? なかぁ~……うーん……」
めぐみ「うっ、ううっ……課題が終わらないよぉ……」しくしく
楓「泣いちゃったの!」
花子「…………」
めぐみ「ど、どうかな? おねえちゃん “な” は、 “泣く” !」
藍「…………」
撫子「…………」
26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 08:26:43.05 ID:IjvpHnVvO
花子「ふ、普通だし……」
藍「普通ね……」
撫子「普通だ……!」
めぐみ「えっ、普通じゃだめなの!?///」
花子「も、もういっちょ! おねえちゃんスイッチ “に” !」ぽちっ
めぐみ「 “に” !? には……えーっと……」
めぐみ「わ、わぁーもう勉強したくなーい!///」だっ
楓「あっ、どこか行っちゃったの!」
花子「逃げた……?」
藍「普通ね……」
撫子「普通だ……!」
めぐみ「えっ、普通じゃだめなの!?///」
花子「も、もういっちょ! おねえちゃんスイッチ “に” !」ぽちっ
めぐみ「 “に” !? には……えーっと……」
めぐみ「わ、わぁーもう勉強したくなーい!///」だっ
楓「あっ、どこか行っちゃったの!」
花子「逃げた……?」
27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 08:30:08.66 ID:IjvpHnVvO
めぐみ「……ど、どうかな? おねえちゃんスイッチ “に” は、 “逃げる” でしたー!」
花子「つ、つっ……つまんない!」
めぐみ「えー!?///」びくっ
花子「つまんない! 普通すぎるし! つまんないよねえ藍お姉ちゃん!?」
藍「確かに普通すぎて……撫子と比べたらすごいつまらないわね……」
めぐみ「そ、そんなぁ……」がっくり
花子「つ、つっ……つまんない!」
めぐみ「えー!?///」びくっ
花子「つまんない! 普通すぎるし! つまんないよねえ藍お姉ちゃん!?」
藍「確かに普通すぎて……撫子と比べたらすごいつまらないわね……」
めぐみ「そ、そんなぁ……」がっくり
28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 08:37:15.46 ID:IjvpHnVvO
花子「はぁ……ちょっと撫子お姉ちゃんのお手本見て勉強して欲しいし」
撫子「うわっ!! だめーー!///」
花子「見ててね? おねえちゃんスイッチ “に” !」ぽちっ
撫子「にゃあお♪ んにゃあ~ん……」ごろごろ
めぐみ「」
藍「」
楓「撫子おねえちゃんスイッチ “に” は、 “にゃんにゃんする” なの!」
めぐみ「に……にゃんにゃんって何だーーー!!!///」
撫子「うわっ!! だめーー!///」
花子「見ててね? おねえちゃんスイッチ “に” !」ぽちっ
撫子「にゃあお♪ んにゃあ~ん……」ごろごろ
めぐみ「」
藍「」
楓「撫子おねえちゃんスイッチ “に” は、 “にゃんにゃんする” なの!」
めぐみ「に……にゃんにゃんって何だーーー!!!///」
29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 08:46:10.65 ID:IjvpHnVvO
撫子「助けて……助けて……!///」ぷるぷる
めぐみ「撫子! にゃんにゃんするって何!? どういう意味の動詞なの!?///」
藍「にゃんにゃんするって言うか……にゃでしーモードに突入するのよ」
めぐみ「だからなんなのにゃでしーモードって!! 面白すぎるんだけど!!///」
撫子「こんなのやりたくてやってるわけじゃ……!」
めぐみ「他はっ!? 他のやつ押してみて花子ちゃん!」
花子「いいよ。おねえちゃんスイッチ “ね” !」ぽちっ
撫子「みゃ~お♪」
めぐみ「」
藍「」
楓「また猫さんになっちゃったの!」
花子「 “ね” は “猫になる” だし」
めぐみ「同じじゃねーかーー!!///」
めぐみ「撫子! にゃんにゃんするって何!? どういう意味の動詞なの!?///」
藍「にゃんにゃんするって言うか……にゃでしーモードに突入するのよ」
めぐみ「だからなんなのにゃでしーモードって!! 面白すぎるんだけど!!///」
撫子「こんなのやりたくてやってるわけじゃ……!」
めぐみ「他はっ!? 他のやつ押してみて花子ちゃん!」
花子「いいよ。おねえちゃんスイッチ “ね” !」ぽちっ
撫子「みゃ~お♪」
めぐみ「」
藍「」
楓「また猫さんになっちゃったの!」
花子「 “ね” は “猫になる” だし」
めぐみ「同じじゃねーかーー!!///」
30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 08:52:13.65 ID:IjvpHnVvO
撫子「花子っ、もうやめっ! もうそのスイッチ禁止ー!」
花子「えー? しょうがないなぁ……」
藍「撫子……本当に妹ちゃん想いの良いお姉ちゃんよねえ。こんなことまでしてくれるんだもの」
めぐみ「確かにすごいけど! こんな撫子初めて見たけど! にゃでしーモード突入と猫になるの違いが全然わかんないよ!?」
花子「また今度遊びに来た時に使うから、それまでにめぐみお姉ちゃんには練習してきて欲しいし」
めぐみ「宿題出された……でもあそこまで思い切ったこと、私にもちょっと……///」
楓「ほかのひらがなもあるから、いっぱい考えておいて欲しいの!」
撫子(他のひらがなも!?///)どきっ
花子「えー? しょうがないなぁ……」
藍「撫子……本当に妹ちゃん想いの良いお姉ちゃんよねえ。こんなことまでしてくれるんだもの」
めぐみ「確かにすごいけど! こんな撫子初めて見たけど! にゃでしーモード突入と猫になるの違いが全然わかんないよ!?」
花子「また今度遊びに来た時に使うから、それまでにめぐみお姉ちゃんには練習してきて欲しいし」
めぐみ「宿題出された……でもあそこまで思い切ったこと、私にもちょっと……///」
楓「ほかのひらがなもあるから、いっぱい考えておいて欲しいの!」
撫子(他のひらがなも!?///)どきっ
31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 09:10:55.88 ID:IjvpHnVvO
花子「せっかくだから櫻子にも使いたいし」
楓「楓のおうちに戻るの!」
花子「ひらがなも変えてみるね」
~
花子「櫻子~」ガチャ
櫻子「わっ! わっ!///」ばっ
向日葵「きゃーーっ!///」ばばっ
花子「……え? 今二人なにしてたし?」
楓「あのね、おねえちゃんスイッチ “い” が “イチャイチャする” で、それを押してからずっとイチャイチャしてるの」
花子「はぁ……!?///」
櫻子「わ、私じゃないよ! 向日葵が言ったの!」
向日葵「だから自分から言ったわけじゃ……!///」
楓「楓のおうちに戻るの!」
花子「ひらがなも変えてみるね」
~
花子「櫻子~」ガチャ
櫻子「わっ! わっ!///」ばっ
向日葵「きゃーーっ!///」ばばっ
花子「……え? 今二人なにしてたし?」
楓「あのね、おねえちゃんスイッチ “い” が “イチャイチャする” で、それを押してからずっとイチャイチャしてるの」
花子「はぁ……!?///」
櫻子「わ、私じゃないよ! 向日葵が言ったの!」
向日葵「だから自分から言ったわけじゃ……!///」
33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 10:22:29.85 ID:IjvpHnVvO
楓「今度は櫻子おねえちゃんにやってみるの!」
花子「ひらがなは “さ・く・ら・こ” にしたし」
櫻子「えっ! 私がやるの!?」
楓「きっと撫子おねえちゃんより面白いことしてくれるの♪」
花子「いくよー。おねえちゃんスイッチ “さ” !」ぽちっ
櫻子「さ、さっ……」
櫻子「ひまちゃん、あそぼーー♪」ぎゅっ
向日葵「きゃーーーー!!///」
花子「ひらがなは “さ・く・ら・こ” にしたし」
櫻子「えっ! 私がやるの!?」
楓「きっと撫子おねえちゃんより面白いことしてくれるの♪」
花子「いくよー。おねえちゃんスイッチ “さ” !」ぽちっ
櫻子「さ、さっ……」
櫻子「ひまちゃん、あそぼーー♪」ぎゅっ
向日葵「きゃーーーー!!///」
34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 10:26:01.28 ID:IjvpHnVvO
櫻子「ひまちゃんあのね、お菓子持ってきたから一緒に食べよ? ひまちゃんどっちがいい?」
向日葵「きゃーーっ! きゃーーっ!!///」
花子「これはどういうことだし……?」
楓「たぶん、 “さーちゃんモードになる” なの!」
櫻子(身体が言うこと聞かない! こんな、花子たちの前でっ……!///)
向日葵「さーちゃんですわ! あの頃のさーちゃんですわー!!///」
花子「ひま姉が大喜びしてるし」
楓「面白いの!」
向日葵「きゃーーっ! きゃーーっ!!///」
花子「これはどういうことだし……?」
楓「たぶん、 “さーちゃんモードになる” なの!」
櫻子(身体が言うこと聞かない! こんな、花子たちの前でっ……!///)
向日葵「さーちゃんですわ! あの頃のさーちゃんですわー!!///」
花子「ひま姉が大喜びしてるし」
楓「面白いの!」
37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 11:10:05.90 ID:IjvpHnVvO
花子「どんどんいくし! おねえちゃんスイッチ “く” !」
櫻子「ひまちゃ~ん」ちゅっちゅっ
向日葵(んーーーーっ!!///)ばたっ
楓「ちゅーしてるの!」
花子「 “く” は “口付けをする” だ!」
櫻子(止まらない~~!///)ちゅっちゅっ
向日葵(こ、この機に乗じて楽しんでおきましょう……!///)ぎゅっ
花子「ひま姉も何故かノリノリだし」
櫻子「やりおるの」
櫻子「ひまちゃ~ん」ちゅっちゅっ
向日葵(んーーーーっ!!///)ばたっ
楓「ちゅーしてるの!」
花子「 “く” は “口付けをする” だ!」
櫻子(止まらない~~!///)ちゅっちゅっ
向日葵(こ、この機に乗じて楽しんでおきましょう……!///)ぎゅっ
花子「ひま姉も何故かノリノリだし」
櫻子「やりおるの」
38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 11:26:56.47 ID:IjvpHnVvO
花子「おねえちゃんスイッチ “ら” !」
櫻子「向日葵……」ひょいっ
向日葵「えっ! えっ!?///」
櫻子「楓、向日葵は貰っていくよ!」だっ
向日葵「ど、どこにいくんですの!? 降ろして~!///」
楓「どこか行っちゃったの!」
花子「 “ら” は “拉致する” だ!」
櫻子「向日葵……」ひょいっ
向日葵「えっ! えっ!?///」
櫻子「楓、向日葵は貰っていくよ!」だっ
向日葵「ど、どこにいくんですの!? 降ろして~!///」
楓「どこか行っちゃったの!」
花子「 “ら” は “拉致する” だ!」
39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 11:38:11.99 ID:IjvpHnVvO
花子「追いかけよう! 最後のスイッチが残ってるし!」
楓「うん!」
~
櫻子「はぁ、はぁ……やっと身体が戻ってきた……」
向日葵「だ、大丈夫ですの?」
櫻子「向日葵の言う通りだ……あのスイッチを押されると勝手に身体が動いちゃう……!」
向日葵「止めないと……大変なことになりますわ」
撫子「櫻子、大丈夫!?」ばん
櫻子「あっ、ねーちゃん!」
撫子「どうやらあんたらもやられたみたいだね……あのスイッチに!」
向日葵「な、撫子さんも被害を!?」
楓「うん!」
~
櫻子「はぁ、はぁ……やっと身体が戻ってきた……」
向日葵「だ、大丈夫ですの?」
櫻子「向日葵の言う通りだ……あのスイッチを押されると勝手に身体が動いちゃう……!」
向日葵「止めないと……大変なことになりますわ」
撫子「櫻子、大丈夫!?」ばん
櫻子「あっ、ねーちゃん!」
撫子「どうやらあんたらもやられたみたいだね……あのスイッチに!」
向日葵「な、撫子さんも被害を!?」
40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 11:43:10.26 ID:IjvpHnVvO
美穂「こんにちは~♪」ガチャ
撫子「うわっ、美穂!?」
美穂「ごめんね撫子、遅れちゃって~」
花子「あ、いたいた」
櫻子(げっ!)
楓「美穂おねえちゃん、やってあげてほしいの!」
美穂「見てこれ~楓ちゃんが作ったんですって、おねえちゃんスイッチ。私にもやらせてくれるらしいわ♪」
花子「まだ最後の “こ” のスイッチが残ってるし」
撫子・櫻子・向日葵(チャンス!!!)
撫子「うわっ、美穂!?」
美穂「ごめんね撫子、遅れちゃって~」
花子「あ、いたいた」
櫻子(げっ!)
楓「美穂おねえちゃん、やってあげてほしいの!」
美穂「見てこれ~楓ちゃんが作ったんですって、おねえちゃんスイッチ。私にもやらせてくれるらしいわ♪」
花子「まだ最後の “こ” のスイッチが残ってるし」
撫子・櫻子・向日葵(チャンス!!!)
41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 11:55:15.57 ID:IjvpHnVvO
美穂「じゃあいくわよ~、おねえちゃんスイッチ “こ” ♪」ぽちっ
撫子「うおおおおおお!!」
櫻子「っらぁあああああ!!!」
美穂「えっ……きゃあああああ!!///」
ばきっ
花子「あーーっ!」
楓「わああああっ!」
撫子「おねえちゃんスイッチ、 “こ” は……」
櫻子「 “このスイッチを壊す” 、でしたーー!」
向日葵「…………」
撫子「うおおおおおお!!」
櫻子「っらぁあああああ!!!」
美穂「えっ……きゃあああああ!!///」
ばきっ
花子「あーーっ!」
楓「わああああっ!」
撫子「おねえちゃんスイッチ、 “こ” は……」
櫻子「 “このスイッチを壊す” 、でしたーー!」
向日葵「…………」
42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 12:02:09.96 ID:IjvpHnVvO
美穂「ひっ……ひっどーーい!! なんてことするの!?」
撫子「違うんだよ美穂! これにはわけがあって……!」
櫻子「美穂ねーちゃんありがとう! 美穂ねーちゃんは世界を救った!」
向日葵「楓っ、泣かないで? またみんなで新しいやつを作りましょう、ねっ?」
楓「ふぇぇん……」ぽろぽろ
花子「二人ともひどすぎだし! 楓を泣かせるなんて最低!」
撫子「もうごめん! ほんとごめん!どんなことでもするから許して!」
櫻子「楓、欲しいものあるか!? なんでもあげるよ!」
楓「す、スイッチ……欲しいの……」ぐすぐす
撫子「…………」
櫻子「…………」
撫子「違うんだよ美穂! これにはわけがあって……!」
櫻子「美穂ねーちゃんありがとう! 美穂ねーちゃんは世界を救った!」
向日葵「楓っ、泣かないで? またみんなで新しいやつを作りましょう、ねっ?」
楓「ふぇぇん……」ぽろぽろ
花子「二人ともひどすぎだし! 楓を泣かせるなんて最低!」
撫子「もうごめん! ほんとごめん!どんなことでもするから許して!」
櫻子「楓、欲しいものあるか!? なんでもあげるよ!」
楓「す、スイッチ……欲しいの……」ぐすぐす
撫子「…………」
櫻子「…………」
43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 12:09:43.68 ID:IjvpHnVvO
~
撫子「めぐみ、ハサミとって」
めぐみ「ちょっと待って……あれっ? ハサミどこいった?」
藍「あ、ここにあるわよ。はい」
櫻子「綺麗に書いてあげて、綺麗に……」
向日葵「了解ですわ……よし」
美穂「なんで高校生と中学生が集まって工作することになってるのかしら……」はぁ
花子「楓待っててね? 今すぐにさっきよりいいやつを作らせるし」
楓「うん!///」
櫻子「向日葵……今後も楓の作るおもちゃには気をつけてね……」
撫子「私からもお願いするよ……」
向日葵「ええ……もちろんですわ」
~fin~
撫子「めぐみ、ハサミとって」
めぐみ「ちょっと待って……あれっ? ハサミどこいった?」
藍「あ、ここにあるわよ。はい」
櫻子「綺麗に書いてあげて、綺麗に……」
向日葵「了解ですわ……よし」
美穂「なんで高校生と中学生が集まって工作することになってるのかしら……」はぁ
花子「楓待っててね? 今すぐにさっきよりいいやつを作らせるし」
楓「うん!///」
櫻子「向日葵……今後も楓の作るおもちゃには気をつけてね……」
撫子「私からもお願いするよ……」
向日葵「ええ……もちろんですわ」
~fin~
44: 孤独の人 2014/12/10(水) 12:11:16.48 ID:IjvpHnVvO
おねえちゃんスイッチ “あ” !
ありがとうございました。
ありがとうございました。
45: VIPに変わりましてNIPPERがお迭りします 2014/12/10(水) 12:49:35.79 ID:znlawobRO
おねえちゃんスイッチ “い” !
いいもの読ませてもらいました!
いいもの読ませてもらいました!
46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 13:05:19.14 ID:8Gp1tQ/SO
おねえちゃんスイッチ “う” !
うむ、最高だった
うむ、最高だった
47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 13:23:19.35 ID:gruc2Sh1o
おねえちゃんスイッチ"え"!
ええやん!最高やわ~
ええやん!最高やわ~
48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 13:59:23.97 ID:3PyI7/KDO
おねえちゃんスイッチ “お” !
おつでした!おもしろかったよ!
おつでした!おもしろかったよ!
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1418130476/
Entry ⇒ 2017.11.10 | Category ⇒ ゆるゆり | Comments (0)
櫻子「これからも一緒に」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 16:55:03.10 ID:+EtVRVLso
このお話は
・向日葵「ずっと一緒に」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1441552207/
(修正版→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5770271 )
・櫻子「みんなで作る光のパズル」/向日葵「葉桜の季節」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1442140558/
(修正版→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5773979 )
(修正版→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5787825 )
の続きです。
・向日葵「ずっと一緒に」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1441552207/
(修正版→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5770271 )
・櫻子「みんなで作る光のパズル」/向日葵「葉桜の季節」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1442140558/
(修正版→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5773979 )
(修正版→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5787825 )
の続きです。
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 16:56:46.35 ID:+EtVRVLso
真夜中だった。
どこからか、声が聞こえる。
はっきりとしたものではなく、耳元でもぞもぞと、こぼれる吐息に乗せたようなくぐもった声。
熱く優しく私の脳に染み渡っていく、聞き慣れた声。
“ひまわり” って。
向日葵「んぇ……?」
「あっ」
向日葵「……え……っ」
「…………」
向日葵「……なに、してるんですの?」
「……いや、えっと……その……///」
声の主は、まさか私が起きるとは思っていなかったらしい。
残念ながら今夜の私の眠りはいつもより浅かった。季節はすっかり夏。日中の暑さには心の底から参るが、夜だって決して過ごしやすいものではない。
とにかく今年は暑いのだ。暑いので寝つきが悪い。ついさっきまで起きていたという意識がまだ残っている。
きっと時刻はまだ午前1時ほど。明日は何も用事がないので寝不足を心配する必要などはないのだが、特別にすることもないので、いつも通りの時間に身体を休めていた次第だった。
布団が恋しくなる寒い季節とは……あの頃とはもう違うということを、声の主はわかっていなかった。
いくら低血圧で、一旦スイッチが切れてしまえば再起動に時間がかかる私とはいえ、こうも暑い夜に至近距離で人のぬくもりを感じるとなれば暑苦しいことこの上ない。
向日葵「……鍵はどうしたんですのよ……かかっていたはずでしょう……」
「いや……それは向日葵が悪いんだよ? 今日夕方うちに来たとき落としてったんだよ、ほら」
そういうと、私が普段使っている自宅用の鍵をちゃりっとポケットから取り出した。
視界はおぼつかないが、わずかな月明かりを反射する鉄の光がきらきらと目に入った。どうやら本当に私が忘れてしまったものらしい。
向日葵「……だからって、こんな時間に返しに来ることないじゃない……」
「……ぃぃじゃんかぁ」
声の主……櫻子は暗闇の中で、口をちょこんと尖らせて小声で文句を言った。
そういう子供っぽいところ、本当に昔から変わってませんわね。
どこからか、声が聞こえる。
はっきりとしたものではなく、耳元でもぞもぞと、こぼれる吐息に乗せたようなくぐもった声。
熱く優しく私の脳に染み渡っていく、聞き慣れた声。
“ひまわり” って。
向日葵「んぇ……?」
「あっ」
向日葵「……え……っ」
「…………」
向日葵「……なに、してるんですの?」
「……いや、えっと……その……///」
声の主は、まさか私が起きるとは思っていなかったらしい。
残念ながら今夜の私の眠りはいつもより浅かった。季節はすっかり夏。日中の暑さには心の底から参るが、夜だって決して過ごしやすいものではない。
とにかく今年は暑いのだ。暑いので寝つきが悪い。ついさっきまで起きていたという意識がまだ残っている。
きっと時刻はまだ午前1時ほど。明日は何も用事がないので寝不足を心配する必要などはないのだが、特別にすることもないので、いつも通りの時間に身体を休めていた次第だった。
布団が恋しくなる寒い季節とは……あの頃とはもう違うということを、声の主はわかっていなかった。
いくら低血圧で、一旦スイッチが切れてしまえば再起動に時間がかかる私とはいえ、こうも暑い夜に至近距離で人のぬくもりを感じるとなれば暑苦しいことこの上ない。
向日葵「……鍵はどうしたんですのよ……かかっていたはずでしょう……」
「いや……それは向日葵が悪いんだよ? 今日夕方うちに来たとき落としてったんだよ、ほら」
そういうと、私が普段使っている自宅用の鍵をちゃりっとポケットから取り出した。
視界はおぼつかないが、わずかな月明かりを反射する鉄の光がきらきらと目に入った。どうやら本当に私が忘れてしまったものらしい。
向日葵「……だからって、こんな時間に返しに来ることないじゃない……」
「……ぃぃじゃんかぁ」
声の主……櫻子は暗闇の中で、口をちょこんと尖らせて小声で文句を言った。
そういう子供っぽいところ、本当に昔から変わってませんわね。
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 16:57:27.72 ID:+EtVRVLso
櫻子「明日から夏休みって考えたら、わくわくしちゃって眠れなくてさ」
向日葵「だとしても、家で大人しくしてなさいな……なんで私のところに来るんですのよ……半年前は言いそびれましたけど、軽く住居侵入罪ですわよ?」
櫻子「ちぇー……」
向日葵「……それとも、あのときみたいに……寝ている私を抱きしめて、寂しさを紛らわせたかった?」
櫻子「は、はぁ!?」どきっ
向日葵「ほんとあなたって、大胆なんだか奥手なんだか……」
櫻子「ち、ちがうもん! そんなんじゃないもん!///」
向日葵「しーっ! 静かにしなさい……! みんな寝てますのよ……」
櫻子「あ……ご、ごめん」
つい反論で大きな声を出してしまった櫻子は、慌てて口を押さえて壁の方へ目を向けた。
壁の向こう側では、小学生にあがって自分の部屋を持たせてもらえるようになった楓が寝ているのだ。
櫻子「…………」
向日葵「…………」
真夜中の静寂の中、言葉を続けることができなくなった櫻子は、ふたたび私の方へ向き直り、ふわりと穏やかな表情になった。
私も仰向けになったまま頭を枕に乗せ直し、ほんのりとした月光を背に映す櫻子を、薄目で静かに眺める。
櫻子「……向日葵」
向日葵「……なあに?」
櫻子「……私、うそついた。ごめんね」
向日葵「うそ?」
櫻子「うん。今の『ちがうもん』って、嘘だった……」
そういうと櫻子は、やんわりと倒れ込むように私の横に身体をうずめて……首元に顔をすり寄せた。
櫻子「懐かしいなあって思ってさ……こうして向日葵のところに来るの……///」
向日葵「……ほら、やっぱりそうだったんじゃないの」
……子供っぽいところは小さい頃と同じだが、そんな櫻子も高校生になって、変わったことがある。
こうして私に、素直に好意を向けてくれるようになった。
ついつい反射的に反発してしまうことはあっても……その後で本当の想いを伝えてきてくれるようになったのだ。
向日葵「だとしても、家で大人しくしてなさいな……なんで私のところに来るんですのよ……半年前は言いそびれましたけど、軽く住居侵入罪ですわよ?」
櫻子「ちぇー……」
向日葵「……それとも、あのときみたいに……寝ている私を抱きしめて、寂しさを紛らわせたかった?」
櫻子「は、はぁ!?」どきっ
向日葵「ほんとあなたって、大胆なんだか奥手なんだか……」
櫻子「ち、ちがうもん! そんなんじゃないもん!///」
向日葵「しーっ! 静かにしなさい……! みんな寝てますのよ……」
櫻子「あ……ご、ごめん」
つい反論で大きな声を出してしまった櫻子は、慌てて口を押さえて壁の方へ目を向けた。
壁の向こう側では、小学生にあがって自分の部屋を持たせてもらえるようになった楓が寝ているのだ。
櫻子「…………」
向日葵「…………」
真夜中の静寂の中、言葉を続けることができなくなった櫻子は、ふたたび私の方へ向き直り、ふわりと穏やかな表情になった。
私も仰向けになったまま頭を枕に乗せ直し、ほんのりとした月光を背に映す櫻子を、薄目で静かに眺める。
櫻子「……向日葵」
向日葵「……なあに?」
櫻子「……私、うそついた。ごめんね」
向日葵「うそ?」
櫻子「うん。今の『ちがうもん』って、嘘だった……」
そういうと櫻子は、やんわりと倒れ込むように私の横に身体をうずめて……首元に顔をすり寄せた。
櫻子「懐かしいなあって思ってさ……こうして向日葵のところに来るの……///」
向日葵「……ほら、やっぱりそうだったんじゃないの」
……子供っぽいところは小さい頃と同じだが、そんな櫻子も高校生になって、変わったことがある。
こうして私に、素直に好意を向けてくれるようになった。
ついつい反射的に反発してしまうことはあっても……その後で本当の想いを伝えてきてくれるようになったのだ。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 16:57:55.76 ID:+EtVRVLso
櫻子「どれくらいぶりだろ……たぶん、あの冬の日以来……かな」もぞもぞ
向日葵「……ほんとあなたって、夜になるとまた一段と素直になりますわよね……」
櫻子「……うるさいっ」
向日葵「まったく……少しだけこうしててあげますから……満足したら、帰りなさいね……?」
櫻子「うん……///」
向日葵「…………」すぅ
櫻子「……ひまわり……」
向日葵「……ん…?」
櫻子「明日から……夏休みだよ」
向日葵「……ん」
櫻子「……なにしよっか?」
向日葵「…………」
櫻子「……ねえ、聞いてる……?」
向日葵「…………」すぅ
櫻子「……ばか……///」もぞもぞ
向日葵(ふふ……)
櫻子の体温、櫻子の重み、櫻子の匂い、櫻子の髪のくすぐったさ。
夏の夜にとろけていく意識の中……とても心地いい櫻子の存在を全身で感じながら、眠りに落ちていく。
私の名前は古谷向日葵。
大室櫻子と同じ高校に通い……大室櫻子と付き合っている、高校二年生。
向日葵「……ほんとあなたって、夜になるとまた一段と素直になりますわよね……」
櫻子「……うるさいっ」
向日葵「まったく……少しだけこうしててあげますから……満足したら、帰りなさいね……?」
櫻子「うん……///」
向日葵「…………」すぅ
櫻子「……ひまわり……」
向日葵「……ん…?」
櫻子「明日から……夏休みだよ」
向日葵「……ん」
櫻子「……なにしよっか?」
向日葵「…………」
櫻子「……ねえ、聞いてる……?」
向日葵「…………」すぅ
櫻子「……ばか……///」もぞもぞ
向日葵(ふふ……)
櫻子の体温、櫻子の重み、櫻子の匂い、櫻子の髪のくすぐったさ。
夏の夜にとろけていく意識の中……とても心地いい櫻子の存在を全身で感じながら、眠りに落ちていく。
私の名前は古谷向日葵。
大室櫻子と同じ高校に通い……大室櫻子と付き合っている、高校二年生。
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 16:58:31.84 ID:+EtVRVLso
~
「……ちゃん、おねえちゃん……」
最初に意識に飛び込んできたのは、妹の声。
そして次に伝わってきたのは、柔らかな人肌が私の身体に密着している温かい感触だった。
楓「おねえちゃん、櫻子おねえちゃん、もう朝なの」
向日葵「ん……」
楓「ふふ、起きた?」
向日葵「あ……楓……」
お気に入りの麦わら帽子を胸に抱いた楓が、にこにことこちらを見て佇んでいる。
そういえば楓はお出かけするんでしたっけ……と寝ぼけた頭で思い返していると、私の頬に誰かの熱い寝息がかかる感触がした。
向日葵「……っ……!?」はっ
櫻子「…………」すぅ
楓がやけに笑顔を浮かべている意味がわかった。
いつものように可愛らしく微笑みかけてくれているのではない……単純に、笑われているのだ。
視線を向けると……すぐ真横に、安らかな可愛い寝顔があった。
櫻子「んん……」むにゃ
向日葵「あ……あぁぁああぁああ!///」がばっ
櫻子「んにゃ……っ」
向日葵「ちょ、バカ! 起きなさい! 櫻子っ!」ぺちぺち
櫻子「んぁ! なにっ!?」びくう
昨日まではただ隣に横になっていただけなのに、いつの間にか抱き枕のように私にへばりついて、気持ちよさそうに寝ていた櫻子を叩き起こす。
楓「お、おねえちゃん、あんまり叩いちゃだめなの」
向日葵「なっ、なんでもないんですのよ楓っ! これはただ、あの、その……ほらあなたも何とか言いなさい!」
櫻子「あ~、えっと、これは違くて! べつに一緒に寝るのが気持ちよかったから寝落ちしちゃったとか、そういうことじゃなくて~……」
向日葵「下手か!!///」ぼふっ
櫻子「痛ぁ!」
楓「ふふっ、二人ともお寝坊さんなの。楓はもうお母さんとお出かけしてくるからっ。行ってきまーす」たたっ
櫻子&向日葵「「い、行ってらっしゃ~い……」」
「……ちゃん、おねえちゃん……」
最初に意識に飛び込んできたのは、妹の声。
そして次に伝わってきたのは、柔らかな人肌が私の身体に密着している温かい感触だった。
楓「おねえちゃん、櫻子おねえちゃん、もう朝なの」
向日葵「ん……」
楓「ふふ、起きた?」
向日葵「あ……楓……」
お気に入りの麦わら帽子を胸に抱いた楓が、にこにことこちらを見て佇んでいる。
そういえば楓はお出かけするんでしたっけ……と寝ぼけた頭で思い返していると、私の頬に誰かの熱い寝息がかかる感触がした。
向日葵「……っ……!?」はっ
櫻子「…………」すぅ
楓がやけに笑顔を浮かべている意味がわかった。
いつものように可愛らしく微笑みかけてくれているのではない……単純に、笑われているのだ。
視線を向けると……すぐ真横に、安らかな可愛い寝顔があった。
櫻子「んん……」むにゃ
向日葵「あ……あぁぁああぁああ!///」がばっ
櫻子「んにゃ……っ」
向日葵「ちょ、バカ! 起きなさい! 櫻子っ!」ぺちぺち
櫻子「んぁ! なにっ!?」びくう
昨日まではただ隣に横になっていただけなのに、いつの間にか抱き枕のように私にへばりついて、気持ちよさそうに寝ていた櫻子を叩き起こす。
楓「お、おねえちゃん、あんまり叩いちゃだめなの」
向日葵「なっ、なんでもないんですのよ楓っ! これはただ、あの、その……ほらあなたも何とか言いなさい!」
櫻子「あ~、えっと、これは違くて! べつに一緒に寝るのが気持ちよかったから寝落ちしちゃったとか、そういうことじゃなくて~……」
向日葵「下手か!!///」ぼふっ
櫻子「痛ぁ!」
楓「ふふっ、二人ともお寝坊さんなの。楓はもうお母さんとお出かけしてくるからっ。行ってきまーす」たたっ
櫻子&向日葵「「い、行ってらっしゃ~い……」」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 16:59:00.10 ID:+EtVRVLso
楓は小さく手を振りながら、そそくさと私の部屋を出て行った。
ぼさぼさの髪と、よだれのあとが付いた櫻子のだらしない顔を見る。
向日葵「……あなた、何やってるんですの……」
櫻子「……うん」
向日葵「うんじゃないですわよ! なんで家に帰ってませんの!? 一緒に寝てるところ楓にばっちり見られちゃったじゃない!」
櫻子「しょうがないじゃん! 帰ろうと思ったけどそのまま寝ちゃったんだもん!」
向日葵「だからなんで寝ちゃうんですのよ! っていうか何で昨日来たんですのよ!」
櫻子「それはだから……!」
ぴりりりりり……
櫻子「…………」
向日葵「……電話鳴ってますけど」
櫻子「誰だぁ……?」
唐突に鳴りだした携帯の着信音が私たちの喧嘩を遮った。櫻子がポケットからスマートフォンを取り出し、発信者を確認する。
櫻子「げっ!///」
向日葵「?」
さっきまでのだらしない顔から一瞬で険しい表情になると、慌てて画面をスワイプして通話に出た。
櫻子「も、もしもし!?」
『……どこにいるんだし、今』
櫻子「え、えっと……あの、向日葵の家に……」
『……いつから』
櫻子「き、昨日の夜から……」
『ばかー! まだそんなことやってんのかし!!』
櫻子「ひー!///」びくぅ
私たちしかいない静かな部屋では、当然電話口の相手の声もよく聞こえる。部屋が静かなだけじゃない、電話口の相手が声を張り上げて怒っているせいだ。
いつものごとく100%自分に非がある櫻子はただただ謝ることしかできず、電話先の相手には見えないのにぺこぺこと頭を下げて謝った。
櫻子は以前にもこうして夜中に私に会いにくることがあったが、そのまま夜を明かしたことは今までになかった。
『せめて行くなら行くって言ってからにしてほしいし! 朝起きたら急にいなくなってたから、お母さんも心配してたんだよ!?』
櫻子「あ、あ~ごめ~ん……」
ぼさぼさの髪と、よだれのあとが付いた櫻子のだらしない顔を見る。
向日葵「……あなた、何やってるんですの……」
櫻子「……うん」
向日葵「うんじゃないですわよ! なんで家に帰ってませんの!? 一緒に寝てるところ楓にばっちり見られちゃったじゃない!」
櫻子「しょうがないじゃん! 帰ろうと思ったけどそのまま寝ちゃったんだもん!」
向日葵「だからなんで寝ちゃうんですのよ! っていうか何で昨日来たんですのよ!」
櫻子「それはだから……!」
ぴりりりりり……
櫻子「…………」
向日葵「……電話鳴ってますけど」
櫻子「誰だぁ……?」
唐突に鳴りだした携帯の着信音が私たちの喧嘩を遮った。櫻子がポケットからスマートフォンを取り出し、発信者を確認する。
櫻子「げっ!///」
向日葵「?」
さっきまでのだらしない顔から一瞬で険しい表情になると、慌てて画面をスワイプして通話に出た。
櫻子「も、もしもし!?」
『……どこにいるんだし、今』
櫻子「え、えっと……あの、向日葵の家に……」
『……いつから』
櫻子「き、昨日の夜から……」
『ばかー! まだそんなことやってんのかし!!』
櫻子「ひー!///」びくぅ
私たちしかいない静かな部屋では、当然電話口の相手の声もよく聞こえる。部屋が静かなだけじゃない、電話口の相手が声を張り上げて怒っているせいだ。
いつものごとく100%自分に非がある櫻子はただただ謝ることしかできず、電話先の相手には見えないのにぺこぺこと頭を下げて謝った。
櫻子は以前にもこうして夜中に私に会いにくることがあったが、そのまま夜を明かしたことは今までになかった。
『せめて行くなら行くって言ってからにしてほしいし! 朝起きたら急にいなくなってたから、お母さんも心配してたんだよ!?』
櫻子「あ、あ~ごめ~ん……」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 16:59:29.02 ID:+EtVRVLso
私は平謝りする櫻子の手から携帯をすっと抜き取り、寝起きであることを感じさせないように、少々はっきりめの声で語りかける。
向日葵「もしもし、花子ちゃんですか?」
花子『あっ、ひま姉?』
向日葵「ごめんなさいね、私は何度も帰れって言ったんですけど……櫻子が勝手に寝落ちしちゃったんですの」
櫻子「帰れなんて言ってな」ぼふっ
向日葵「ええ……ええ。二度とこういうことがないように、私からもよく言っておきますわ。とりあえずすぐに帰らせますから……はい、お母さんにもよろしくお願いしますわね」
櫻子「むぐ……む!? こらー! 勝手に切るな!」
櫻子に枕を押しつけて黙らせながら、花子ちゃんにささっと話をつけて電話をきった。
携帯を返し、ベッドから降りて背伸びをする。
向日葵「ん……はぁ、そういうわけだから、ひとまず帰りなさいよ。花子ちゃんに直接謝ってきなさい」
櫻子「今謝ったじゃんか」
向日葵「ちょ・く・せ・つ。お母さんも心配してるって言ってたでしょう」
櫻子「お母さん、もうそろそろ仕事に行っちゃったと思うんだけどな……」
櫻子はベッドに腰掛け、くしゃくしゃになった髪を手櫛で整えた。その隣に座り、かきあげられた髪からのぞいた耳に話しかける。
向日葵「あなた、今日の用事は?」
櫻子「べつに、なーんもないよ……ってぇ! それ昨日私が聞こうと思ってたのにー!」
向日葵「何もないんだったら、私も後であなたの家に行っても構いません?」
櫻子「えっ! 遊ぶの!?」ぱあっ
子供のようにぱっと目を輝かせ、笑顔でこちらに振り向く櫻子。私も同じくらいの笑顔で、しかし櫻子が嫌がる言葉をかけてあげる。
向日葵「一緒に宿題しましょっか」
櫻子「……え~~~」ぶー
向日葵「……嫌なら、私はうちで一人でやりますけど」
櫻子「わかったよ! やるよ、協力しようよ……!」
高校二年生になっても、相変わらず学校からは宿題が出る。むしろ中学生の時よりも大変なくらいに。
中学生までは、夏休み最終日になるまで宿題という存在から現実逃避していた櫻子だが、さすがに今では、できるうちにやってしまいたいという思考になってくれたようだ。
向日葵「あとで道具持って行きますから」
櫻子「ん、待ってる。じゃね」
ポケットに手をつっこんで部屋から出ていく櫻子の後ろ姿を見送って、反対側の部屋の窓から外を眺めた。
向日葵(いい天気……)
すっかり暑くなった眩しい日差しが差し込んでいる。元気な蝉の声が、遠くの方からじーわじーわと聞こえる。
突き抜けるような高く青い空が、これから始まる長いようで短い、短いようで長い夏休みの、無限の未来を感じさせた。
今日から、夏休み。
向日葵「もしもし、花子ちゃんですか?」
花子『あっ、ひま姉?』
向日葵「ごめんなさいね、私は何度も帰れって言ったんですけど……櫻子が勝手に寝落ちしちゃったんですの」
櫻子「帰れなんて言ってな」ぼふっ
向日葵「ええ……ええ。二度とこういうことがないように、私からもよく言っておきますわ。とりあえずすぐに帰らせますから……はい、お母さんにもよろしくお願いしますわね」
櫻子「むぐ……む!? こらー! 勝手に切るな!」
櫻子に枕を押しつけて黙らせながら、花子ちゃんにささっと話をつけて電話をきった。
携帯を返し、ベッドから降りて背伸びをする。
向日葵「ん……はぁ、そういうわけだから、ひとまず帰りなさいよ。花子ちゃんに直接謝ってきなさい」
櫻子「今謝ったじゃんか」
向日葵「ちょ・く・せ・つ。お母さんも心配してるって言ってたでしょう」
櫻子「お母さん、もうそろそろ仕事に行っちゃったと思うんだけどな……」
櫻子はベッドに腰掛け、くしゃくしゃになった髪を手櫛で整えた。その隣に座り、かきあげられた髪からのぞいた耳に話しかける。
向日葵「あなた、今日の用事は?」
櫻子「べつに、なーんもないよ……ってぇ! それ昨日私が聞こうと思ってたのにー!」
向日葵「何もないんだったら、私も後であなたの家に行っても構いません?」
櫻子「えっ! 遊ぶの!?」ぱあっ
子供のようにぱっと目を輝かせ、笑顔でこちらに振り向く櫻子。私も同じくらいの笑顔で、しかし櫻子が嫌がる言葉をかけてあげる。
向日葵「一緒に宿題しましょっか」
櫻子「……え~~~」ぶー
向日葵「……嫌なら、私はうちで一人でやりますけど」
櫻子「わかったよ! やるよ、協力しようよ……!」
高校二年生になっても、相変わらず学校からは宿題が出る。むしろ中学生の時よりも大変なくらいに。
中学生までは、夏休み最終日になるまで宿題という存在から現実逃避していた櫻子だが、さすがに今では、できるうちにやってしまいたいという思考になってくれたようだ。
向日葵「あとで道具持って行きますから」
櫻子「ん、待ってる。じゃね」
ポケットに手をつっこんで部屋から出ていく櫻子の後ろ姿を見送って、反対側の部屋の窓から外を眺めた。
向日葵(いい天気……)
すっかり暑くなった眩しい日差しが差し込んでいる。元気な蝉の声が、遠くの方からじーわじーわと聞こえる。
突き抜けるような高く青い空が、これから始まる長いようで短い、短いようで長い夏休みの、無限の未来を感じさせた。
今日から、夏休み。
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 16:59:59.16 ID:+EtVRVLso
~
向日葵「…………」さらさら
櫻子「…………」もくもく
クーラーの効いた大室家のリビングで、同じ問題集を、同じくらいの速度で進める。
中学生の頃の櫻子は……いつだって集中が続かなくて、すぐにソファに横たわって休憩していたっけ。
櫻子「向日葵、チャートある?」
向日葵「ありますわよ。はい」
櫻子「えーと……ここかな」ぺらぺら
私と櫻子は、七森中学校を卒業して……別々の高校へ進んだ。
二人とも、その時の学力相応の高校へと進んだ。私は撫子さんも通っていた高校へ。櫻子は自宅から近い、普通の公立校へ。
けれど櫻子は……入学後の一年間をひたすら勉学に励み、凄まじい努力を重ねた結果、なんと私のいる学校へ転校してきた。
今でも少し信じられない。あの櫻子が、あの勉強が大嫌いで図画工作や体育くらいにしか関心を示さなかったあの櫻子が、そんなに勉強を頑張るなんて。
けれどこうして問題集の難問とにらめっこする姿を……転校してきてからの学校生活の中でずっと見させてもらった。
試験前も一緒に勉強していた。私には及ばないにせよ、櫻子は私の高校でもそこまで悪くない成績を叩き出してみせた。
「どうだ!」といばられた。私はとても純粋な気持ちで、櫻子の努力を褒めた。勉強のことで櫻子を褒めるなんて今までほとんどしてこなかったから、褒めた後でなぜか無性にむずがゆくなったりもした。
櫻子「はーん……なるほどね。わかったかも」ぱたん
向日葵「ふふ……」
櫻子「ん、なに?」
向日葵「いえいえ。櫻子が勉強してるなぁと思って」
櫻子「は……?」
向日葵「うふふ……やっぱりまだちょっと見慣れない部分がありますわね。ああ似合わないこと」くすっ
櫻子「ひっど! 私だってやるときはやるんだぞ!?」
「ひま姉仕方ないし。それくらい今までの櫻子は、確かに勉強してこなかったんだから」かちゃ
向日葵「あら、花子ちゃん」
櫻子がむかし着ていたおさがりのTシャツをラフに着た花子ちゃんが、私たちのいるリビングへとやってきた。
向日葵「…………」さらさら
櫻子「…………」もくもく
クーラーの効いた大室家のリビングで、同じ問題集を、同じくらいの速度で進める。
中学生の頃の櫻子は……いつだって集中が続かなくて、すぐにソファに横たわって休憩していたっけ。
櫻子「向日葵、チャートある?」
向日葵「ありますわよ。はい」
櫻子「えーと……ここかな」ぺらぺら
私と櫻子は、七森中学校を卒業して……別々の高校へ進んだ。
二人とも、その時の学力相応の高校へと進んだ。私は撫子さんも通っていた高校へ。櫻子は自宅から近い、普通の公立校へ。
けれど櫻子は……入学後の一年間をひたすら勉学に励み、凄まじい努力を重ねた結果、なんと私のいる学校へ転校してきた。
今でも少し信じられない。あの櫻子が、あの勉強が大嫌いで図画工作や体育くらいにしか関心を示さなかったあの櫻子が、そんなに勉強を頑張るなんて。
けれどこうして問題集の難問とにらめっこする姿を……転校してきてからの学校生活の中でずっと見させてもらった。
試験前も一緒に勉強していた。私には及ばないにせよ、櫻子は私の高校でもそこまで悪くない成績を叩き出してみせた。
「どうだ!」といばられた。私はとても純粋な気持ちで、櫻子の努力を褒めた。勉強のことで櫻子を褒めるなんて今までほとんどしてこなかったから、褒めた後でなぜか無性にむずがゆくなったりもした。
櫻子「はーん……なるほどね。わかったかも」ぱたん
向日葵「ふふ……」
櫻子「ん、なに?」
向日葵「いえいえ。櫻子が勉強してるなぁと思って」
櫻子「は……?」
向日葵「うふふ……やっぱりまだちょっと見慣れない部分がありますわね。ああ似合わないこと」くすっ
櫻子「ひっど! 私だってやるときはやるんだぞ!?」
「ひま姉仕方ないし。それくらい今までの櫻子は、確かに勉強してこなかったんだから」かちゃ
向日葵「あら、花子ちゃん」
櫻子がむかし着ていたおさがりのTシャツをラフに着た花子ちゃんが、私たちのいるリビングへとやってきた。
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:00:26.24 ID:+EtVRVLso
向日葵「今朝はごめんなさいね」
花子「いいしいいし。悪いのは全部櫻子なんだから」
櫻子「なんだとー!」
花子「ほんと、勉強は昔よりできるようになったかもしれないけど、中身は昔とそんなに変わってないし」
櫻子「小学生に言われた!」がーん
向日葵「まったくですわね。花子ちゃんが頼もしくなっていくスピードに、櫻子はついていけてませんわ」
花子「ふふっ……♪」
花子ちゃんは、今年で小学六年生。すっかり背も大きくなってきて、なんだかどんどん撫子さんに似てきたような気がする。
私と櫻子が離れた一年間、撫子さんのいなくなったこの家で、ずっと櫻子を支えてくれていたのが彼女だ。
目的を達成するまでこの私にも自分にも決して甘えないと誓った櫻子のそばに寄り添い、努力を褒め、道を違えそうになれば誰よりも厳しく叱っていたそうだ。気づけば撫子さんよりも櫻子をたしなめ慣れている。
冷たい麦茶の入ったポットとグラスを持ち、櫻子の後ろのソファにぽすっと腰掛けた。
花子「去年の夏休みも櫻子、よくここで勉強してたね」ちゃぽぽぽ
向日葵「あら、部屋じゃなくてここで?」
櫻子「ずっと部屋に閉じこもりっきりもよくないでしょ。宿題する花子と一緒にここでやってたの」
花子「櫻子にわからないところを教えてもらえるようになる時が来るなんて、信じられなかったし……」
櫻子「わははは! もうなんでもこーい!」
花子ちゃんの櫻子に対する目線が、いつの間にか変わっているような気がする。
それはまるで尊敬する撫子さんに向ける “憧れの目” のようで、しかしそれよりもどこか柔らかく、昔の櫻子を知るがゆえに成長を見守ってきた、親のような目。
花子ちゃんにとっての櫻子は、他に例を見ない不思議な立ち位置の “お姉さん” なのだろう。
昔からやたらと花子ちゃんに対してお姉さんぶりたい櫻子が「今年も宿題見てあげよっか~?」と鼻を高くしていると、花子ちゃんは思い出したように言った。
花子「あ……そういえば、去年一回だけお友達を連れてきたんだっけ」
櫻子「えっ!?」どきっ
櫻子は突然目をぱちくりさせて驚いた。素っ頓狂な声がリビングに響く。
花子「来たでしょ? 花子、お茶を出した覚えがあるし」
向日葵「お友達?」
櫻子「ま、前の学校の子だよ! 女の子!」
向日葵「……そりゃ女子高に行ったんだから、女の子でしょうね」
櫻子「わ、私のクラスメイトだった子で……たまたま一緒にいるときにうちの前まで来たから、寄ってもらったんだよっ。花子よく覚えてたなー!」
花子「うん。今ひま姉が座ってるとこに座ってたの、思い出したから」
櫻子「っ……」
櫻子はシャープペンシルを片手に固まってしまった。問題集にまっすぐ視線を向けてはいるが、その目は焦点が合っていない。
どうやらその友達とやらの話を、私の前でされるのが困るらしい。
花子「いいしいいし。悪いのは全部櫻子なんだから」
櫻子「なんだとー!」
花子「ほんと、勉強は昔よりできるようになったかもしれないけど、中身は昔とそんなに変わってないし」
櫻子「小学生に言われた!」がーん
向日葵「まったくですわね。花子ちゃんが頼もしくなっていくスピードに、櫻子はついていけてませんわ」
花子「ふふっ……♪」
花子ちゃんは、今年で小学六年生。すっかり背も大きくなってきて、なんだかどんどん撫子さんに似てきたような気がする。
私と櫻子が離れた一年間、撫子さんのいなくなったこの家で、ずっと櫻子を支えてくれていたのが彼女だ。
目的を達成するまでこの私にも自分にも決して甘えないと誓った櫻子のそばに寄り添い、努力を褒め、道を違えそうになれば誰よりも厳しく叱っていたそうだ。気づけば撫子さんよりも櫻子をたしなめ慣れている。
冷たい麦茶の入ったポットとグラスを持ち、櫻子の後ろのソファにぽすっと腰掛けた。
花子「去年の夏休みも櫻子、よくここで勉強してたね」ちゃぽぽぽ
向日葵「あら、部屋じゃなくてここで?」
櫻子「ずっと部屋に閉じこもりっきりもよくないでしょ。宿題する花子と一緒にここでやってたの」
花子「櫻子にわからないところを教えてもらえるようになる時が来るなんて、信じられなかったし……」
櫻子「わははは! もうなんでもこーい!」
花子ちゃんの櫻子に対する目線が、いつの間にか変わっているような気がする。
それはまるで尊敬する撫子さんに向ける “憧れの目” のようで、しかしそれよりもどこか柔らかく、昔の櫻子を知るがゆえに成長を見守ってきた、親のような目。
花子ちゃんにとっての櫻子は、他に例を見ない不思議な立ち位置の “お姉さん” なのだろう。
昔からやたらと花子ちゃんに対してお姉さんぶりたい櫻子が「今年も宿題見てあげよっか~?」と鼻を高くしていると、花子ちゃんは思い出したように言った。
花子「あ……そういえば、去年一回だけお友達を連れてきたんだっけ」
櫻子「えっ!?」どきっ
櫻子は突然目をぱちくりさせて驚いた。素っ頓狂な声がリビングに響く。
花子「来たでしょ? 花子、お茶を出した覚えがあるし」
向日葵「お友達?」
櫻子「ま、前の学校の子だよ! 女の子!」
向日葵「……そりゃ女子高に行ったんだから、女の子でしょうね」
櫻子「わ、私のクラスメイトだった子で……たまたま一緒にいるときにうちの前まで来たから、寄ってもらったんだよっ。花子よく覚えてたなー!」
花子「うん。今ひま姉が座ってるとこに座ってたの、思い出したから」
櫻子「っ……」
櫻子はシャープペンシルを片手に固まってしまった。問題集にまっすぐ視線を向けてはいるが、その目は焦点が合っていない。
どうやらその友達とやらの話を、私の前でされるのが困るらしい。
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:00:55.07 ID:+EtVRVLso
向日葵「……櫻子?」
櫻子「…………」
向日葵「……ちょっと、聞いてます?」つんつん
櫻子「へっ!? な、なに!?」
向日葵「どうしたんですのさっきから。その子の話になったら急にそわそわしちゃって……喧嘩別れでもしちゃったんですの?」
櫻子「」ぎくっ
自分で適当に言った言葉だったが、櫻子の反応からして図星をついてしまったようだった。
そして同時に思い出す。
去年の冬……まだ櫻子が転校してくる前、バレンタインデーの前日に、偶然目にしてしまった櫻子の向こうでのお友達のこと。
花子「……ちなみにその人、結構可愛かったし」ごくっ
櫻子「そ、それ関係ある!?」
花子「関係って、何に?」
櫻子「いや、だから……それ今言わなくたってよくない!?」
花子「何を動揺してるんだし。ひま姉はこんなことくらいで櫻子なんかに焼きもち焼かないし」
櫻子「ちょっ! だからそういうことを言うなー!!///」
はっきりと顔まで見たわけではなかったが、あのときに見た光景は、そのインパクトの強さで未だに妙に忘れられなかった。
駅前のオブジェのすぐそばで、櫻子にもたれかかって泣いていたサイドテールの女の子。偶然通りかかった私は、それを見て思わず硬直してしまったっけ。
おそらく今言っている “友達” とやらは、その子のことを指しているのだろう。喧嘩別れという言葉もなんとなくしっくりくる。
向日葵(櫻子の……友達)
あのとき櫻子は「付き合ってください」と言われていたのだと、後から教えてもらった。すでに私の高校への編入試験を目前に控えていたので、その告白は断ることとなってしまったようだ。
夏休みに家に遊びに来たということは、やはりその子と櫻子は、一年を通して近い関係の友人同士だったんだろう。
私が高校で新しく作った友人たちと櫻子は、転校してきてからの数日であっという間に友達になっていたが……私は中学卒業以降の櫻子の友好関係をまだよくわかっていない。
櫻子「…………」
向日葵「……ちょっと、聞いてます?」つんつん
櫻子「へっ!? な、なに!?」
向日葵「どうしたんですのさっきから。その子の話になったら急にそわそわしちゃって……喧嘩別れでもしちゃったんですの?」
櫻子「」ぎくっ
自分で適当に言った言葉だったが、櫻子の反応からして図星をついてしまったようだった。
そして同時に思い出す。
去年の冬……まだ櫻子が転校してくる前、バレンタインデーの前日に、偶然目にしてしまった櫻子の向こうでのお友達のこと。
花子「……ちなみにその人、結構可愛かったし」ごくっ
櫻子「そ、それ関係ある!?」
花子「関係って、何に?」
櫻子「いや、だから……それ今言わなくたってよくない!?」
花子「何を動揺してるんだし。ひま姉はこんなことくらいで櫻子なんかに焼きもち焼かないし」
櫻子「ちょっ! だからそういうことを言うなー!!///」
はっきりと顔まで見たわけではなかったが、あのときに見た光景は、そのインパクトの強さで未だに妙に忘れられなかった。
駅前のオブジェのすぐそばで、櫻子にもたれかかって泣いていたサイドテールの女の子。偶然通りかかった私は、それを見て思わず硬直してしまったっけ。
おそらく今言っている “友達” とやらは、その子のことを指しているのだろう。喧嘩別れという言葉もなんとなくしっくりくる。
向日葵(櫻子の……友達)
あのとき櫻子は「付き合ってください」と言われていたのだと、後から教えてもらった。すでに私の高校への編入試験を目前に控えていたので、その告白は断ることとなってしまったようだ。
夏休みに家に遊びに来たということは、やはりその子と櫻子は、一年を通して近い関係の友人同士だったんだろう。
私が高校で新しく作った友人たちと櫻子は、転校してきてからの数日であっという間に友達になっていたが……私は中学卒業以降の櫻子の友好関係をまだよくわかっていない。
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:02:48.67 ID:+EtVRVLso
向日葵(友達ねえ……)
櫻子「ひ、向日葵……?」
向日葵「えっ?」
櫻子「あ、あの……私のこと、おこ」
てこてこっ♪
向日葵「あら、LINEですわ」
櫻子「びっくりしたぁ! 」
花子「そんなびっくりするもんでもないし……」
何か言おうとした櫻子をよそに、私は携帯を取り出して通知を確認する。
向日葵「あっ!」
櫻子「ん?」
向日葵「ふふ……お友達の話をしてたら、ちょうど来ましたわよ。お友達からの連絡が」
櫻子「ええええ!? 向日葵っ、あの子と連絡先交換してたの!?」
向日葵「そっちじゃないですわよ。ほら見てごらんなさい」
櫻子「え……あー! ちなつちゃんだぁ!」
突然LINEでコンタクトをとってきたのは、中学時代のクラスメイトの吉川さんだった。
櫻子は急に目を輝かせ、私の携帯なのに勝手に奪い取って返信を打ち始めた。
櫻子「なつかしいな~ちなつちゃん! 最近会ってないんだよ~」
向日葵「私も……高校に入ってすぐの頃はたまに会ってましたけど、頻度はだんだんと減っていってしまいましたわね」
花子「ちなつって……?」
櫻子「ほらほら、中学生の頃うちに来たことあるでしょ。髪がもふもふの」
花子「あー……!」
吉川さんへのメッセージを打っていたと思ったら、櫻子はいきなり電話をかけはじめた。文字でのやり取りがわずらわしかったのか、それとも久しぶりに吉川さんの声が聴きたかったのか。両方だろう。
櫻子「あっ、もしもしちなつちゃんー?」
ちなつ『あれっ? 向日葵ちゃんじゃない……? どなたですか?』
櫻子「ちょっと~! わたしわたし! わたしー!」
ちなつ『え……わたしわたし詐欺ですか? そういうの困るんですけど』
櫻子「何言ってんの!? わたし! 櫻子だよ!」
ちなつ『わかってるよ。今向日葵ちゃんと一緒にいるんだ?』
櫻子「そうそう! えへへ、久しぶりだね~♪」
気兼ねなく楽しそうに話す櫻子を見ていると、私までどこか嬉しくなってきた。
久しぶりのお友達からの連絡。なんだか夏休みらしいというか、特別な気分だ。
櫻子「ひ、向日葵……?」
向日葵「えっ?」
櫻子「あ、あの……私のこと、おこ」
てこてこっ♪
向日葵「あら、LINEですわ」
櫻子「びっくりしたぁ! 」
花子「そんなびっくりするもんでもないし……」
何か言おうとした櫻子をよそに、私は携帯を取り出して通知を確認する。
向日葵「あっ!」
櫻子「ん?」
向日葵「ふふ……お友達の話をしてたら、ちょうど来ましたわよ。お友達からの連絡が」
櫻子「ええええ!? 向日葵っ、あの子と連絡先交換してたの!?」
向日葵「そっちじゃないですわよ。ほら見てごらんなさい」
櫻子「え……あー! ちなつちゃんだぁ!」
突然LINEでコンタクトをとってきたのは、中学時代のクラスメイトの吉川さんだった。
櫻子は急に目を輝かせ、私の携帯なのに勝手に奪い取って返信を打ち始めた。
櫻子「なつかしいな~ちなつちゃん! 最近会ってないんだよ~」
向日葵「私も……高校に入ってすぐの頃はたまに会ってましたけど、頻度はだんだんと減っていってしまいましたわね」
花子「ちなつって……?」
櫻子「ほらほら、中学生の頃うちに来たことあるでしょ。髪がもふもふの」
花子「あー……!」
吉川さんへのメッセージを打っていたと思ったら、櫻子はいきなり電話をかけはじめた。文字でのやり取りがわずらわしかったのか、それとも久しぶりに吉川さんの声が聴きたかったのか。両方だろう。
櫻子「あっ、もしもしちなつちゃんー?」
ちなつ『あれっ? 向日葵ちゃんじゃない……? どなたですか?』
櫻子「ちょっと~! わたしわたし! わたしー!」
ちなつ『え……わたしわたし詐欺ですか? そういうの困るんですけど』
櫻子「何言ってんの!? わたし! 櫻子だよ!」
ちなつ『わかってるよ。今向日葵ちゃんと一緒にいるんだ?』
櫻子「そうそう! えへへ、久しぶりだね~♪」
気兼ねなく楽しそうに話す櫻子を見ていると、私までどこか嬉しくなってきた。
久しぶりのお友達からの連絡。なんだか夏休みらしいというか、特別な気分だ。
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:03:19.95 ID:+EtVRVLso
櫻子「で、いきなりどしたの?」
ちなつ『それなんだけど……あ、ちょっと替わるね?』
櫻子「?」
『……あ、もしもしー? あかりだよ~』
櫻子「あかりちゃーん! うわあ久しぶり~!///」
吉川さんは赤座さんに電話を替わったようだ。櫻子は一層明るい表情になって、うきうきしながら通話していた。
赤座さんと吉川さんの二人は同じ高校に進んだから、きっと今もよく一緒にいるのだろう。一年生の時に、同じクラスになれていると聞いたことがある。
櫻子「そっちも一緒にいるんだね!」
あかり『うん! 今は二人でカフェに来てるんだよ~』
櫻子「いいね~」
あかり『それで……櫻子ちゃんたちも、もう夏休み入ったよね?』
櫻子「うん今日から。あ、もしかして……?」
あかり『よかったら、みんなで集まって一緒に遊ばない? って思って』
櫻子「うわー! やったーー!」ぴょんこ
あかり『えへへ、向日葵ちゃんにも聞いてみてくれる?』
櫻子「向日葵! あかりちゃんたちが遊ぼうだって! いいよね!?」ばっ
向日葵「ふふ、もちろん構いませんわ」
櫻子「もしもしー? 向日葵も大丈夫だってよ!」
突然の連絡は、どうやら遊びの約束のようだった。
櫻子が喋ってはいるが、お二人は私の携帯に連絡を寄越してくれたんだなぁ……と思うと、吉川さんと赤座さんへの感謝の気持ちがじわじわと胸にこみあげてきた。
こういう友人からの気兼ねない連絡というのは、本当にありがたい。
櫻子「うん……うん! じゃあ明日ね、はーい!」ぴっ
向日葵「……なんですって?」
櫻子「明日あそぼーだって! 二人がうちに来てくれるよ!」
花子「ここに?」
櫻子「よかったね花子、あかりちゃんもちなつちゃんも花子に会いたいって言ってたよ」
花子「え……あ、でも花子、明日は未来のおうちに行かなきゃだから……///」
櫻子「なーんだ、それじゃしょうがない」
ちなつ『それなんだけど……あ、ちょっと替わるね?』
櫻子「?」
『……あ、もしもしー? あかりだよ~』
櫻子「あかりちゃーん! うわあ久しぶり~!///」
吉川さんは赤座さんに電話を替わったようだ。櫻子は一層明るい表情になって、うきうきしながら通話していた。
赤座さんと吉川さんの二人は同じ高校に進んだから、きっと今もよく一緒にいるのだろう。一年生の時に、同じクラスになれていると聞いたことがある。
櫻子「そっちも一緒にいるんだね!」
あかり『うん! 今は二人でカフェに来てるんだよ~』
櫻子「いいね~」
あかり『それで……櫻子ちゃんたちも、もう夏休み入ったよね?』
櫻子「うん今日から。あ、もしかして……?」
あかり『よかったら、みんなで集まって一緒に遊ばない? って思って』
櫻子「うわー! やったーー!」ぴょんこ
あかり『えへへ、向日葵ちゃんにも聞いてみてくれる?』
櫻子「向日葵! あかりちゃんたちが遊ぼうだって! いいよね!?」ばっ
向日葵「ふふ、もちろん構いませんわ」
櫻子「もしもしー? 向日葵も大丈夫だってよ!」
突然の連絡は、どうやら遊びの約束のようだった。
櫻子が喋ってはいるが、お二人は私の携帯に連絡を寄越してくれたんだなぁ……と思うと、吉川さんと赤座さんへの感謝の気持ちがじわじわと胸にこみあげてきた。
こういう友人からの気兼ねない連絡というのは、本当にありがたい。
櫻子「うん……うん! じゃあ明日ね、はーい!」ぴっ
向日葵「……なんですって?」
櫻子「明日あそぼーだって! 二人がうちに来てくれるよ!」
花子「ここに?」
櫻子「よかったね花子、あかりちゃんもちなつちゃんも花子に会いたいって言ってたよ」
花子「え……あ、でも花子、明日は未来のおうちに行かなきゃだから……///」
櫻子「なーんだ、それじゃしょうがない」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:03:53.47 ID:+EtVRVLso
向日葵「明日ですか。楽しみですわね」
櫻子「ね~……あ、写真送られてきたよ?」てこてこっ
吉川さんから送られてきたのは、どうやら今赤座さんと一緒に撮ったらしい自撮り写真だった。
楽しそうに身を寄せ合って、顔をくっつけあわせて撮られている。吉川さんは昔から自撮りが上手だ。
櫻子「わ~みてみて、あかりちゃん昔より髪伸ばしてるよ」
向日葵「お二人とも、なんだか大人っぽくなったような気がしますわね」
櫻子「そうだ! 私たちも写真撮って送ろうよ!」
向日葵「ええっ?///」
櫻子「ちなつちゃんたちに送ってあげよ? ほら花子も入って!」
花子「な、なんで花子も入らなきゃいけないんだし!///」
櫻子「せっかくだから! ほら一緒に!」
恥ずかしがる花子ちゃんをなぜか真ん中にして、3人で一緒に身を寄せ合って写真を撮る。
思えばこの3人だけで一緒に写真を撮るのは……はじめてかもしれない。
櫻子「とるよー!」
ぱしゃり!
櫻子「ね~……あ、写真送られてきたよ?」てこてこっ
吉川さんから送られてきたのは、どうやら今赤座さんと一緒に撮ったらしい自撮り写真だった。
楽しそうに身を寄せ合って、顔をくっつけあわせて撮られている。吉川さんは昔から自撮りが上手だ。
櫻子「わ~みてみて、あかりちゃん昔より髪伸ばしてるよ」
向日葵「お二人とも、なんだか大人っぽくなったような気がしますわね」
櫻子「そうだ! 私たちも写真撮って送ろうよ!」
向日葵「ええっ?///」
櫻子「ちなつちゃんたちに送ってあげよ? ほら花子も入って!」
花子「な、なんで花子も入らなきゃいけないんだし!///」
櫻子「せっかくだから! ほら一緒に!」
恥ずかしがる花子ちゃんをなぜか真ん中にして、3人で一緒に身を寄せ合って写真を撮る。
思えばこの3人だけで一緒に写真を撮るのは……はじめてかもしれない。
櫻子「とるよー!」
ぱしゃり!
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:04:39.88 ID:+EtVRVLso
~
ぴんぽーん♪
あかり「こんにちは~」
櫻子「来たー! 入って入って!」
ちなつ「二人とも久しぶり~♪」きゃっきゃっ
翌日。
昨日と同じように朝から櫻子の家にいて待っていると、涼しそうな夏らしい私服を着た赤座さんと吉川さんがやってきた。
赤座さんはお団子頭をそのままに後ろ髪を少し伸ばし、背も私と同じか私以上に大きくなっていて、昔よりも吉川さんとの身長差が開いているような気がした。吉川さんもすらっとした体躯がだいぶ大人っぽい。
櫻子「あー! ちなつちゃんメイクしてるでしょ!?」
ちなつ「ちょっとだけだよ? 日焼け止めの上からほんの少し」
櫻子「ほらー! みんなの目はごまかせても私の目はごまかせないんだからね!」
向日葵「べつに吉川さんはごまかそうと思ってやってるわけじゃないでしょう……」
あかり「お邪魔しま~す♪」
四人で一緒に櫻子の部屋に入る。
この四人が一緒にここに集まるのは……いや、四人がこうしてあつまること自体、なかなか久しぶりのことだった。もしかしたら中学生以来かもしれない。
あかり「櫻子ちゃん大きくなったねぇ~。少し髪も伸びたかな?」
櫻子「あかりちゃんこそー」
向日葵「お二人ともお綺麗ですわ」
ちなつ「向日葵ちゃんが一番綺麗だよ~。昔からね♪」
向日葵「そ、そんな……///」
あかり「ふたりとも元気そうでよかった~」
ちなつ「ほんとほんと。みんなもっと連絡ちょうだいよ~、いつだって遊びに来るんだから!」
櫻子「あー……ちょっと忙しくて、去年はあんまり遊べなかったね。ごめんごめん」
あかり「学校大変なの? 櫻子ちゃん」
櫻子「いや、学校っていうか……」
ちなつ「じゃあバイト? そうだ、私もバイトしてるんだけど櫻子ちゃんのところの制服の子がよく来るよ~」
向日葵「あ……」
吉川さんたちの話を聞くうち、私は重大なことに気づいてしまった。
どうやら櫻子は転校のことについて……この二人に、まだ報告をしていなかったらしい。
ぴんぽーん♪
あかり「こんにちは~」
櫻子「来たー! 入って入って!」
ちなつ「二人とも久しぶり~♪」きゃっきゃっ
翌日。
昨日と同じように朝から櫻子の家にいて待っていると、涼しそうな夏らしい私服を着た赤座さんと吉川さんがやってきた。
赤座さんはお団子頭をそのままに後ろ髪を少し伸ばし、背も私と同じか私以上に大きくなっていて、昔よりも吉川さんとの身長差が開いているような気がした。吉川さんもすらっとした体躯がだいぶ大人っぽい。
櫻子「あー! ちなつちゃんメイクしてるでしょ!?」
ちなつ「ちょっとだけだよ? 日焼け止めの上からほんの少し」
櫻子「ほらー! みんなの目はごまかせても私の目はごまかせないんだからね!」
向日葵「べつに吉川さんはごまかそうと思ってやってるわけじゃないでしょう……」
あかり「お邪魔しま~す♪」
四人で一緒に櫻子の部屋に入る。
この四人が一緒にここに集まるのは……いや、四人がこうしてあつまること自体、なかなか久しぶりのことだった。もしかしたら中学生以来かもしれない。
あかり「櫻子ちゃん大きくなったねぇ~。少し髪も伸びたかな?」
櫻子「あかりちゃんこそー」
向日葵「お二人ともお綺麗ですわ」
ちなつ「向日葵ちゃんが一番綺麗だよ~。昔からね♪」
向日葵「そ、そんな……///」
あかり「ふたりとも元気そうでよかった~」
ちなつ「ほんとほんと。みんなもっと連絡ちょうだいよ~、いつだって遊びに来るんだから!」
櫻子「あー……ちょっと忙しくて、去年はあんまり遊べなかったね。ごめんごめん」
あかり「学校大変なの? 櫻子ちゃん」
櫻子「いや、学校っていうか……」
ちなつ「じゃあバイト? そうだ、私もバイトしてるんだけど櫻子ちゃんのところの制服の子がよく来るよ~」
向日葵「あ……」
吉川さんたちの話を聞くうち、私は重大なことに気づいてしまった。
どうやら櫻子は転校のことについて……この二人に、まだ報告をしていなかったらしい。
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:05:27.55 ID:+EtVRVLso
一体どうするのだろうと櫻子の方を確認すると、頭の後ろに手を当ててなんだか恥ずかしそうな笑顔を浮かべていた。ああ、どうやら言っちゃうみたい。
櫻子「それなんだけどさー……えっと、二人に報告しなくちゃいけないことがあるんだよね」
あかり「えっ、なに?」
ちなつ「嘘でしょ!? 勉強出来なさすぎて中退しちゃったとか!?」
櫻子「そんなわけないでしょ! 逆!!」
あかり「逆……?」
ちなつ「中退の逆ってなに? ……在学?」
向日葵「……櫻子、こういうことはしっかりお話しておかないといけませんわ」
櫻子「わかってるって」
ちなつ「なになに!? こわいこわい!」
櫻子「こわくないよ! えっと、私さ……転校したんだよ!」
あかり「えっ……」どきっ
ちなつ「……!?」
櫻子「ち、違うよ!? そんな悲しい系のやつじゃないよ!?」ぶんぶん
ちなつ「ええーどゆことー!? 悲しい系じゃなかったら何なの!?」
櫻子「あーもー面倒くさいなぁ! 黙って聞いてよ!」
向日葵「ふふ……///」
~
櫻子「……ってなわけで、私いまは向日葵と同じ学校に行ってるんだよね」
あかり「…………」
ちなつ「…………」
櫻子「……はい! この話おしまい!」ぱんぱん
ちなつ「ちょちょちょ、おしまいにしないで! ええ!? 櫻子ちゃん!? あなたほんとに櫻子ちゃん!?」ゆさゆさ
櫻子「疑わないでよ!」
あかり「向日葵ちゃん、本当なの……!?」
向日葵「ええと……信じられないかもしれませんが、本当なんですの。そこのクローゼットに櫻子が着てるうちの高校の制服も入ってますわ。撫子さんのおさがりの」
赤座さんと吉川さんは、目を合わせてひどく驚いていた。二人は中学の頃の櫻子と三年間一緒に過ごしてきたから、正直無理もないと思う。
突然のカミングアウトにより、部屋はなんだか微妙な雰囲気になってしまって……櫻子がもじもじとやりづらそうにしている。
吉川さんがベッドに腰かける櫻子の隣に座り、その手をやさしくとった。
ちなつ「櫻子ちゃん……すごいじゃん」
櫻子「で、でしょ?」
ちなつ「すごい……そんなに向日葵ちゃんのこと好きだったんだぁ!!」がばっ
櫻子「はえっ!?」
そう言うと、おもむろに櫻子に飛びつき、ベッドに押し倒して脇腹をくすぐった。
あまりのことに櫻子は足をばたつかせながらきゃーきゃー叫ぶ。
櫻子「それなんだけどさー……えっと、二人に報告しなくちゃいけないことがあるんだよね」
あかり「えっ、なに?」
ちなつ「嘘でしょ!? 勉強出来なさすぎて中退しちゃったとか!?」
櫻子「そんなわけないでしょ! 逆!!」
あかり「逆……?」
ちなつ「中退の逆ってなに? ……在学?」
向日葵「……櫻子、こういうことはしっかりお話しておかないといけませんわ」
櫻子「わかってるって」
ちなつ「なになに!? こわいこわい!」
櫻子「こわくないよ! えっと、私さ……転校したんだよ!」
あかり「えっ……」どきっ
ちなつ「……!?」
櫻子「ち、違うよ!? そんな悲しい系のやつじゃないよ!?」ぶんぶん
ちなつ「ええーどゆことー!? 悲しい系じゃなかったら何なの!?」
櫻子「あーもー面倒くさいなぁ! 黙って聞いてよ!」
向日葵「ふふ……///」
~
櫻子「……ってなわけで、私いまは向日葵と同じ学校に行ってるんだよね」
あかり「…………」
ちなつ「…………」
櫻子「……はい! この話おしまい!」ぱんぱん
ちなつ「ちょちょちょ、おしまいにしないで! ええ!? 櫻子ちゃん!? あなたほんとに櫻子ちゃん!?」ゆさゆさ
櫻子「疑わないでよ!」
あかり「向日葵ちゃん、本当なの……!?」
向日葵「ええと……信じられないかもしれませんが、本当なんですの。そこのクローゼットに櫻子が着てるうちの高校の制服も入ってますわ。撫子さんのおさがりの」
赤座さんと吉川さんは、目を合わせてひどく驚いていた。二人は中学の頃の櫻子と三年間一緒に過ごしてきたから、正直無理もないと思う。
突然のカミングアウトにより、部屋はなんだか微妙な雰囲気になってしまって……櫻子がもじもじとやりづらそうにしている。
吉川さんがベッドに腰かける櫻子の隣に座り、その手をやさしくとった。
ちなつ「櫻子ちゃん……すごいじゃん」
櫻子「で、でしょ?」
ちなつ「すごい……そんなに向日葵ちゃんのこと好きだったんだぁ!!」がばっ
櫻子「はえっ!?」
そう言うと、おもむろに櫻子に飛びつき、ベッドに押し倒して脇腹をくすぐった。
あまりのことに櫻子は足をばたつかせながらきゃーきゃー叫ぶ。
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:05:54.19 ID:+EtVRVLso
櫻子「ちょっと! なにー!?///」
ちなつ「勉強がどうとかよりそっちの方がびっくりだよ~!! ねえあかりちゃん!?」
あかり「うんっ! 実はあかり心配してたんだよ~、櫻子ちゃんと向日葵ちゃんのこと……」
向日葵「えっ……?」
あかり「志望校のことも知ってたから、高校にあがったら二人は離ればなれになっちゃうなあって、中学の頃からずっと気にしてたの。受験期の頃から櫻子ちゃんが元気なさそうにしてたのも覚えてるよ~……」
ちなつ「でも……そこから転校までして向日葵ちゃんの元に戻ったってことはさ?」
あかり「つまり櫻子ちゃん……それだけ向日葵ちゃんのこと大好きなんだよねっ♪」
櫻子「ちょ、ちょっとやめてよ! 恥ずかしいじゃん!///」
ちなつ「このこの~!」こちょこちょ
櫻子「きゃーー!!」
吉川さんが、まるで犬をあやすみたいに櫻子のお腹を揉みしだく。昔と変わらない懐かしいやり取りだ。
やかましい二人をよそに、赤座さんが私の隣に距離を詰めてきた。
あかり「よかったねぇ、向日葵ちゃん」
向日葵「え?」
あかり「あかり、すっごく嬉しいよぉ。二人がまた一緒になれたなんて……!」
向日葵「赤座さん……///」
近くで見ると実感するが、赤座さんはやっぱり大きくなった。
身体のことだけじゃない、昔から変わらない穏やかな優しさに加えて、どこか大人の余裕のようなものを纏っているようが気がする。
あかり「それで……ひょっとして二人って、付き合ってたりとかするの?」
向日葵「え……っ!?」どきっ
しみじみと感慨にふけっていたら、ふわふわのスローモーションから予期しない剛速球がいきなり投げ込まれた。
あかり「あれ、違った?」
櫻子「ちょちょちょ、あかりちゃん!? いつの間にそういうこと聞くような子になっちゃったの!?」がばっ
あかり「いつまでもあかりを子ども扱いしちゃだめだよ~」くすくす
……なんとなく、今しがた感じた赤座さんの「大きさ」の正体がわかったような気がした。
あらゆる意味で大人になっている。
ちなつ「勉強がどうとかよりそっちの方がびっくりだよ~!! ねえあかりちゃん!?」
あかり「うんっ! 実はあかり心配してたんだよ~、櫻子ちゃんと向日葵ちゃんのこと……」
向日葵「えっ……?」
あかり「志望校のことも知ってたから、高校にあがったら二人は離ればなれになっちゃうなあって、中学の頃からずっと気にしてたの。受験期の頃から櫻子ちゃんが元気なさそうにしてたのも覚えてるよ~……」
ちなつ「でも……そこから転校までして向日葵ちゃんの元に戻ったってことはさ?」
あかり「つまり櫻子ちゃん……それだけ向日葵ちゃんのこと大好きなんだよねっ♪」
櫻子「ちょ、ちょっとやめてよ! 恥ずかしいじゃん!///」
ちなつ「このこの~!」こちょこちょ
櫻子「きゃーー!!」
吉川さんが、まるで犬をあやすみたいに櫻子のお腹を揉みしだく。昔と変わらない懐かしいやり取りだ。
やかましい二人をよそに、赤座さんが私の隣に距離を詰めてきた。
あかり「よかったねぇ、向日葵ちゃん」
向日葵「え?」
あかり「あかり、すっごく嬉しいよぉ。二人がまた一緒になれたなんて……!」
向日葵「赤座さん……///」
近くで見ると実感するが、赤座さんはやっぱり大きくなった。
身体のことだけじゃない、昔から変わらない穏やかな優しさに加えて、どこか大人の余裕のようなものを纏っているようが気がする。
あかり「それで……ひょっとして二人って、付き合ってたりとかするの?」
向日葵「え……っ!?」どきっ
しみじみと感慨にふけっていたら、ふわふわのスローモーションから予期しない剛速球がいきなり投げ込まれた。
あかり「あれ、違った?」
櫻子「ちょちょちょ、あかりちゃん!? いつの間にそういうこと聞くような子になっちゃったの!?」がばっ
あかり「いつまでもあかりを子ども扱いしちゃだめだよ~」くすくす
……なんとなく、今しがた感じた赤座さんの「大きさ」の正体がわかったような気がした。
あらゆる意味で大人になっている。
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:06:21.88 ID:+EtVRVLso
ちなつ「で、どうなの?」
向日葵「いや、それはその~……こ、こういうのは櫻子に任せますわ!」
櫻子「ええ!? えっと、だから……付き合ってないと言えば嘘になるというか、なんというか……」
向日葵「下手か!!///」べしっ
ちなつ「あははは!」
あかり「も~、それならそれでちゃんと報告して? 大事なことだから」ぎゅっ
櫻子「あ、あかりちゃん……!」
赤座さんと吉川さんに両サイドから腕を抱きしめられ、櫻子は真っ赤になってしまった。
助けを求めるような目で私の方を見てくる。「言っていいの?」と視線だけで語りかけてきた。このお二人になら構いませんわ、とうなずいてあげる。
ちなつ「付き合ってますか、付き合ってませんか。YESかNOでもいいよ」
あかり「どっち……?」
櫻子「……い……いぇす……///」かああっ
ちなつ「やったぁー!」ぱちぱち
あかり「おめでと~♪」
よくわからない二人の祝福に包まれる。女性同士という点についてはまったく気にしていないようだった。もしかして私たちのことを……中学時代からずっとそういう目で見守ってきてくれていたのだろうか。
櫻子「あぅ~……恥ずかしいなぁ……///」
あかり「櫻子ちゃんよかったねぇ、頑張ったんだねぇ」
櫻子「ま、まーね!」
ちなつ「よし、じゃあ私たちのことも言っちゃおうか」
あかり「櫻子ちゃんも言ってくれたし、ちゃんと報告し合わないとね」
櫻子「え……なにを?」
ちなつ「あのね、私たちも付き合ってるんだよ」
あかり「よろしくね~」
向日葵「……えっ」
櫻子「は……はあぁぁー!?///」
ちなつ「さて、今日は何して遊ぼっかー」
櫻子「ちょ待って待って! なに今の! さらっとすごいこと言われた気がしたよ!?」
またもナチュラルなモーションから突然ずばんと爆弾発言が投げ込まれる。
赤座さんは吉川さんと視線を合わせ、赤く染まる頬に両手をあてた。
向日葵「いや、それはその~……こ、こういうのは櫻子に任せますわ!」
櫻子「ええ!? えっと、だから……付き合ってないと言えば嘘になるというか、なんというか……」
向日葵「下手か!!///」べしっ
ちなつ「あははは!」
あかり「も~、それならそれでちゃんと報告して? 大事なことだから」ぎゅっ
櫻子「あ、あかりちゃん……!」
赤座さんと吉川さんに両サイドから腕を抱きしめられ、櫻子は真っ赤になってしまった。
助けを求めるような目で私の方を見てくる。「言っていいの?」と視線だけで語りかけてきた。このお二人になら構いませんわ、とうなずいてあげる。
ちなつ「付き合ってますか、付き合ってませんか。YESかNOでもいいよ」
あかり「どっち……?」
櫻子「……い……いぇす……///」かああっ
ちなつ「やったぁー!」ぱちぱち
あかり「おめでと~♪」
よくわからない二人の祝福に包まれる。女性同士という点についてはまったく気にしていないようだった。もしかして私たちのことを……中学時代からずっとそういう目で見守ってきてくれていたのだろうか。
櫻子「あぅ~……恥ずかしいなぁ……///」
あかり「櫻子ちゃんよかったねぇ、頑張ったんだねぇ」
櫻子「ま、まーね!」
ちなつ「よし、じゃあ私たちのことも言っちゃおうか」
あかり「櫻子ちゃんも言ってくれたし、ちゃんと報告し合わないとね」
櫻子「え……なにを?」
ちなつ「あのね、私たちも付き合ってるんだよ」
あかり「よろしくね~」
向日葵「……えっ」
櫻子「は……はあぁぁー!?///」
ちなつ「さて、今日は何して遊ぼっかー」
櫻子「ちょ待って待って! なに今の! さらっとすごいこと言われた気がしたよ!?」
またもナチュラルなモーションから突然ずばんと爆弾発言が投げ込まれる。
赤座さんは吉川さんと視線を合わせ、赤く染まる頬に両手をあてた。
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:07:22.31 ID:+EtVRVLso
あかり「えへへ……いつ報告しようか迷ってたんだけど、櫻子ちゃんたちが先に言ってくれたから勇気出せたよぉ~……///」
向日葵「お二人とも、そうだったんですのね……!」
櫻子「どおりで『付き合ってるの?』なんて簡単に聞いてくると思ったら……二人の方がラブラブだったってわけかーい!」こちょこちょ
ちなつ「やぁー! やめてよ~!」
向日葵「ちょっと詳しい話を聞いてみたいですわね」
ちなつ「もう向日葵ちゃんったら、朝っぱらからそんな話したいなんて……///」はぁん
向日葵「そ、そんな艶めかしい話なんですの!?」
櫻子「ははぁなるほど……? 二人はそっちの学校でたっぷりイチャイチャしてると見た!」
あかり「確かにそうだけど、でも付き合い始めたのは中3のときだよぉ」
櫻子「高校関係ないんかい!!///」
向日葵「ちゅ、中3って……あのときからすでに!?」
ちなつ「ちゃんと告白したのはね。でも私は、初めてあかりちゃんに出会った時からずっとあかりちゃんのこと好きだよ」
あかり「あ、あかりも……♪」
櫻子「こらこらこら! 急にイチャイチャするな! まだ私たち見慣れてないから二人のそういうやつ!///」
向日葵「こ、これは興味深いですわ……聞きたいことが多すぎて……///」
あかり「今日はお話だけで一日終わっちゃいそうだねぇ」
向日葵「お二人とも、そうだったんですのね……!」
櫻子「どおりで『付き合ってるの?』なんて簡単に聞いてくると思ったら……二人の方がラブラブだったってわけかーい!」こちょこちょ
ちなつ「やぁー! やめてよ~!」
向日葵「ちょっと詳しい話を聞いてみたいですわね」
ちなつ「もう向日葵ちゃんったら、朝っぱらからそんな話したいなんて……///」はぁん
向日葵「そ、そんな艶めかしい話なんですの!?」
櫻子「ははぁなるほど……? 二人はそっちの学校でたっぷりイチャイチャしてると見た!」
あかり「確かにそうだけど、でも付き合い始めたのは中3のときだよぉ」
櫻子「高校関係ないんかい!!///」
向日葵「ちゅ、中3って……あのときからすでに!?」
ちなつ「ちゃんと告白したのはね。でも私は、初めてあかりちゃんに出会った時からずっとあかりちゃんのこと好きだよ」
あかり「あ、あかりも……♪」
櫻子「こらこらこら! 急にイチャイチャするな! まだ私たち見慣れてないから二人のそういうやつ!///」
向日葵「こ、これは興味深いですわ……聞きたいことが多すぎて……///」
あかり「今日はお話だけで一日終わっちゃいそうだねぇ」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:07:56.82 ID:+EtVRVLso
~
櫻子「……は? 同棲?」
向日葵「え……?」
ちなつ「うん、まだ数ヶ月程度しか経ってないんだけどね」
離ればなれになった私たちが再び一緒になり、こうして付き合うことになる……
こんな出来事はそうそうないだろうと自分でも思っていたが、世間には……いや意外と近くに、同じくらい波乱にまみれた人生を送っている人たちがいるらしい。
櫻子「ちょ、ちょっと……嘘でしょ!? 本当に同棲なんてしてるの!?」
ちなつ「そりゃもう朝から晩までぴったり一緒にね~」
向日葵「えええ……!///」
あかり「ち、ちなつちゃんっ、あんまり誤魔化しすぎはよくないよ~」
櫻子「どういうこと?」
あかり「べつにあかりたち、二人っきりで一緒に住んでるわけじゃないよ? おねえちゃんたちと四人で暮らしてるの」
ちなつ「あーん言っちゃった、つまんないの」ごろん
櫻子「おねえちゃんって……あかりちゃんのおねえちゃんと、ちなつちゃんのおねえちゃん?」
ちなつ「うちのおねえちゃんたちも付き合ってるんだ。二人とも春に大学卒業して、地元で一緒に働いてるの」
あかり「でも今年から実家を離れて一緒に暮らすことになったから、そこにあかりたちもお世話になってるんだよ~」
向日葵「へぇ……!」
櫻子「そういうことかぁ……!」
ちなつ「まあお世話になってるっていうか、あかねさんがあかりちゃんと離れたくないから、なりゆきでそうなったって感じだけど……」
あかり「そんなあ。ちなつちゃんだっていつもお姉さんとべたべたしてるでしょ~」
ちなつ「あかりちゃんのとこほどじゃないよ!? 絶対!」
聞けば聞くほどすごいと思った。一緒に暮らすだなんて……そんなこと、高校生ができるわけないって思っていた。
ふたりの間になんとなく感じる “見えない繋がり” のようなものは、きっと時間を共にしていく中で芽生えた絆のようなものなのだろう。
自分たちと比べるわけではないが……そんな二人のむつまじい関係を、羨ましいと思った。
櫻子「……は? 同棲?」
向日葵「え……?」
ちなつ「うん、まだ数ヶ月程度しか経ってないんだけどね」
離ればなれになった私たちが再び一緒になり、こうして付き合うことになる……
こんな出来事はそうそうないだろうと自分でも思っていたが、世間には……いや意外と近くに、同じくらい波乱にまみれた人生を送っている人たちがいるらしい。
櫻子「ちょ、ちょっと……嘘でしょ!? 本当に同棲なんてしてるの!?」
ちなつ「そりゃもう朝から晩までぴったり一緒にね~」
向日葵「えええ……!///」
あかり「ち、ちなつちゃんっ、あんまり誤魔化しすぎはよくないよ~」
櫻子「どういうこと?」
あかり「べつにあかりたち、二人っきりで一緒に住んでるわけじゃないよ? おねえちゃんたちと四人で暮らしてるの」
ちなつ「あーん言っちゃった、つまんないの」ごろん
櫻子「おねえちゃんって……あかりちゃんのおねえちゃんと、ちなつちゃんのおねえちゃん?」
ちなつ「うちのおねえちゃんたちも付き合ってるんだ。二人とも春に大学卒業して、地元で一緒に働いてるの」
あかり「でも今年から実家を離れて一緒に暮らすことになったから、そこにあかりたちもお世話になってるんだよ~」
向日葵「へぇ……!」
櫻子「そういうことかぁ……!」
ちなつ「まあお世話になってるっていうか、あかねさんがあかりちゃんと離れたくないから、なりゆきでそうなったって感じだけど……」
あかり「そんなあ。ちなつちゃんだっていつもお姉さんとべたべたしてるでしょ~」
ちなつ「あかりちゃんのとこほどじゃないよ!? 絶対!」
聞けば聞くほどすごいと思った。一緒に暮らすだなんて……そんなこと、高校生ができるわけないって思っていた。
ふたりの間になんとなく感じる “見えない繋がり” のようなものは、きっと時間を共にしていく中で芽生えた絆のようなものなのだろう。
自分たちと比べるわけではないが……そんな二人のむつまじい関係を、羨ましいと思った。
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:08:27.55 ID:+EtVRVLso
ちなつ「……はい! てなわけで、私たちの近況報告はこんな感じかな」ぱんっ
あかり「ふたりも今度うちに遊びにきてね~」
櫻子「す、すごいなぁ……」
向日葵「そういうのもありなんですのね……」
あかり「ううん、あかりはね……櫻子ちゃんの方がすごいと思うよ」
櫻子「えっ?」
ちなつ「私たちは、ただ流されるように……周りにくっついてるだけだもん。まだまだおねえちゃんたちに甘やかされてるって、自分でも思う」
あかり「でも櫻子ちゃんは、きちんと自分で頑張って、それで向日葵ちゃんのところに戻ってあげたんでしょ?」
ちなつ「それって本当にすごいことだと思うよ! 本当に……向日葵ちゃんは、幸せ者だね」
向日葵「えっ!///」どきっ
櫻子のことを褒めていたと思ったら、急に私に話が振られてしまった。赤座さんと吉川さんに同時に笑顔を向けられる。
ちなつ「なんとなく思ったからできることじゃ決してないじゃん。本当に強い気持ちを持って、ずっとずっと向日葵ちゃんのために努力してきたんだよね?」
あかり「その時間があったからこそ、二人の距離は……今までよりもっともっと近くなったんだって思うなぁ」
櫻子「う……///」
櫻子と離れた時間。
櫻子と会わないままに過ごした日々。
今こうして私たちが一緒になれたのは、櫻子が強い気持ちで頑張り続けてくれたから。
離れている間にも……私を想って、私のことを考えて、私のために努力してくれていたから。
向日葵(確かに……)
私も櫻子と離れてしまってからの日々で……自分の本当の気持ちに、やっと静かに向き合うことができた。
櫻子がいなくなってはじめて、ぽっかりと空いた穴の大きさがよくわかった。
櫻子が好きなんだって、揺るぎなく想えるようになった。
向日葵「……おっしゃる通り、櫻子は本当によく頑張ってくれましたと思います」
櫻子「なっ……!」
向日葵「実は私……今まで言ってなかったけど、ずっとあなたに申し訳ないって気持ちがあったんですの。あなたはこうして努力して戻ってきてくれたのに……私はあなたに、何もしてあげられてないって」
櫻子「そ、そんな……!」
向日葵「だって……もし一年生の頃の私が、あなたのことを思い出さずに過ごしていたって、あなたは今と同じように転校してこれてたかもしれないじゃない……」
櫻子「それは違うよ!!」ぱっ
向日葵「えっ……?」
櫻子は突然私に詰め寄って手を取ると、普段は決して見せない真剣な表情になった。
赤座さんと吉川さんの目があるのに……と思ったけど、そんなのお構いなしに、まっすぐに私を見つめてきた。
あかり「ふたりも今度うちに遊びにきてね~」
櫻子「す、すごいなぁ……」
向日葵「そういうのもありなんですのね……」
あかり「ううん、あかりはね……櫻子ちゃんの方がすごいと思うよ」
櫻子「えっ?」
ちなつ「私たちは、ただ流されるように……周りにくっついてるだけだもん。まだまだおねえちゃんたちに甘やかされてるって、自分でも思う」
あかり「でも櫻子ちゃんは、きちんと自分で頑張って、それで向日葵ちゃんのところに戻ってあげたんでしょ?」
ちなつ「それって本当にすごいことだと思うよ! 本当に……向日葵ちゃんは、幸せ者だね」
向日葵「えっ!///」どきっ
櫻子のことを褒めていたと思ったら、急に私に話が振られてしまった。赤座さんと吉川さんに同時に笑顔を向けられる。
ちなつ「なんとなく思ったからできることじゃ決してないじゃん。本当に強い気持ちを持って、ずっとずっと向日葵ちゃんのために努力してきたんだよね?」
あかり「その時間があったからこそ、二人の距離は……今までよりもっともっと近くなったんだって思うなぁ」
櫻子「う……///」
櫻子と離れた時間。
櫻子と会わないままに過ごした日々。
今こうして私たちが一緒になれたのは、櫻子が強い気持ちで頑張り続けてくれたから。
離れている間にも……私を想って、私のことを考えて、私のために努力してくれていたから。
向日葵(確かに……)
私も櫻子と離れてしまってからの日々で……自分の本当の気持ちに、やっと静かに向き合うことができた。
櫻子がいなくなってはじめて、ぽっかりと空いた穴の大きさがよくわかった。
櫻子が好きなんだって、揺るぎなく想えるようになった。
向日葵「……おっしゃる通り、櫻子は本当によく頑張ってくれましたと思います」
櫻子「なっ……!」
向日葵「実は私……今まで言ってなかったけど、ずっとあなたに申し訳ないって気持ちがあったんですの。あなたはこうして努力して戻ってきてくれたのに……私はあなたに、何もしてあげられてないって」
櫻子「そ、そんな……!」
向日葵「だって……もし一年生の頃の私が、あなたのことを思い出さずに過ごしていたって、あなたは今と同じように転校してこれてたかもしれないじゃない……」
櫻子「それは違うよ!!」ぱっ
向日葵「えっ……?」
櫻子は突然私に詰め寄って手を取ると、普段は決して見せない真剣な表情になった。
赤座さんと吉川さんの目があるのに……と思ったけど、そんなのお構いなしに、まっすぐに私を見つめてきた。
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:09:17.83 ID:+EtVRVLso
櫻子「向日葵は……今までずっと、ずーっと私に色々してきてくれてたんだよ!」
櫻子「私はいつも向日葵に何かしてもらう側で……それが当たり前なんだって、いつしか思うようになっちゃってた……」
櫻子「だから……私は向日葵に甘えてばっかりだったから、受験の時にあんなことになっちゃって……!」ぎゅっ
向日葵「櫻子……」
櫻子「今回はね、ただ『私が頑張らなくちゃいけない番』だったんだよ……!」
向日葵「!」
櫻子「はじめからわかってたの……もし私が向日葵のいる学校に戻れたとしたって、向日葵がもう新しい道を楽しんで歩んでいたなら、必ずしも距離は戻らなかったかもしれないって。ねーちゃんにも最初に口酸っぱく言われてさ……」
櫻子「でも私……それでもよかったんだよ……っ!///」
向日葵「っ……」
想いが溢れて涙となって、櫻子の目がうるんだ。
握られた手を通して櫻子の感情が流入してくる気がして、思わずこちらまで泣きそうになってしまう。
櫻子「もしそうだったら怖いなってずっとずっと思ってたけど……それでも向日葵のところに、帰りたかったんだよ……っ」
向日葵「そう……でしたの……」
櫻子「……私ね、忘れてないよ。向日葵が……『あなたがいないときの方が、あなたのことでいっぱいですわよ』って言ってくれたときのこと……」にこっ
向日葵「あっ……///」
櫻子「あのとき……本当に、心の底から嬉しかったの。向日葵も私と同じなんだって……ここまで頑張ってきて本当によかったって、初めて思えたときだから……///」
櫻子「向日葵は何もしてなくなんかない。ずっと私を待っててくれてたんだよ。だから私はこうして……」ぎゅっ
向日葵「さ、櫻子……///」
ちなつ「……もしもしー?」とんとん
櫻子「うわあっ!?」びくっ
櫻子「私はいつも向日葵に何かしてもらう側で……それが当たり前なんだって、いつしか思うようになっちゃってた……」
櫻子「だから……私は向日葵に甘えてばっかりだったから、受験の時にあんなことになっちゃって……!」ぎゅっ
向日葵「櫻子……」
櫻子「今回はね、ただ『私が頑張らなくちゃいけない番』だったんだよ……!」
向日葵「!」
櫻子「はじめからわかってたの……もし私が向日葵のいる学校に戻れたとしたって、向日葵がもう新しい道を楽しんで歩んでいたなら、必ずしも距離は戻らなかったかもしれないって。ねーちゃんにも最初に口酸っぱく言われてさ……」
櫻子「でも私……それでもよかったんだよ……っ!///」
向日葵「っ……」
想いが溢れて涙となって、櫻子の目がうるんだ。
握られた手を通して櫻子の感情が流入してくる気がして、思わずこちらまで泣きそうになってしまう。
櫻子「もしそうだったら怖いなってずっとずっと思ってたけど……それでも向日葵のところに、帰りたかったんだよ……っ」
向日葵「そう……でしたの……」
櫻子「……私ね、忘れてないよ。向日葵が……『あなたがいないときの方が、あなたのことでいっぱいですわよ』って言ってくれたときのこと……」にこっ
向日葵「あっ……///」
櫻子「あのとき……本当に、心の底から嬉しかったの。向日葵も私と同じなんだって……ここまで頑張ってきて本当によかったって、初めて思えたときだから……///」
櫻子「向日葵は何もしてなくなんかない。ずっと私を待っててくれてたんだよ。だから私はこうして……」ぎゅっ
向日葵「さ、櫻子……///」
ちなつ「……もしもしー?」とんとん
櫻子「うわあっ!?」びくっ
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:09:46.27 ID:+EtVRVLso
ちなつ「ちょっとさ~、二人の世界に入るなら私たちのいないところでしてよ~」
あかり「ちなつちゃん止めちゃだめだよぉ。もうちょっと見てたかったのにぃ」
向日葵「赤座さん!?///」
ちなつ「なんかむしゃくしゃしたの! 二人がイチャイチャしてるところ見てたら。そういうのは人前でやらないでくださーい」
櫻子「い、イチャイチャしてたわけじゃ……」
ちなつ「それよりさ、ここで話してるのもいいけどどこか出かけない? せっかく一緒にいるんだから」
向日葵「あ、いいですわね」
あかり「久しぶりに中学校でも遊びに行ってみない? 先生たちがいるかもしれないよぉ」
櫻子「おおーいいねー!」
吉川さんの提案で、みんなで近所に出かけることになった。
櫻子のせいで大きく拍動してしまった胸を一生懸命クールダウンさせながら平静を装う。
いつも一緒にいるけれど……共に過ごす時間が経ってしまうほど、改めて何かを聞くというのが気恥ずかしくて、こうして本心を伝え合うことはなかなかできるものじゃない。
四人で一緒に散歩している最中も櫻子と目を合わせるのが恥ずかしくなってしまって、少し距離を置いて歩いてたのに、吉川さんに「手でもつないだら?」と言われ、また私たちの胸の鼓動は大きくなってしまった。
あかり「ちなつちゃん止めちゃだめだよぉ。もうちょっと見てたかったのにぃ」
向日葵「赤座さん!?///」
ちなつ「なんかむしゃくしゃしたの! 二人がイチャイチャしてるところ見てたら。そういうのは人前でやらないでくださーい」
櫻子「い、イチャイチャしてたわけじゃ……」
ちなつ「それよりさ、ここで話してるのもいいけどどこか出かけない? せっかく一緒にいるんだから」
向日葵「あ、いいですわね」
あかり「久しぶりに中学校でも遊びに行ってみない? 先生たちがいるかもしれないよぉ」
櫻子「おおーいいねー!」
吉川さんの提案で、みんなで近所に出かけることになった。
櫻子のせいで大きく拍動してしまった胸を一生懸命クールダウンさせながら平静を装う。
いつも一緒にいるけれど……共に過ごす時間が経ってしまうほど、改めて何かを聞くというのが気恥ずかしくて、こうして本心を伝え合うことはなかなかできるものじゃない。
四人で一緒に散歩している最中も櫻子と目を合わせるのが恥ずかしくなってしまって、少し距離を置いて歩いてたのに、吉川さんに「手でもつないだら?」と言われ、また私たちの胸の鼓動は大きくなってしまった。
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:10:14.51 ID:+EtVRVLso
~
櫻子「……よかったね、昨日ちなつちゃんから連絡貰えてさ」とぼとぼ
向日葵「ええ、本当に」
遠くの方で、かなかなとヒグラシが鳴く帰り道。
吉川さん赤座さんと別れて、暑さの落ち着いた夕方の道を歩く。ひとしきり話し合って疲れてしまったのか、今の櫻子はだいぶ落ち着いていた。
櫻子「私、これからももっと二人と連絡とろ。しばらく会ってないうちになんだか気まずくなっちゃって、こっちからあんまり連絡とかできなかったんだけど……二人とも変わらないままでいてくれて、嬉しかったなぁ」
向日葵「またみんなで一緒に遊びたいですわね」
櫻子「うん」
櫻子と歩幅を合わせながら、二人から聞いた色んなお話を思い返す。
二人はこの後、お姉さん方と一緒に暮らしている家へと帰るのだろう。
一緒に住むとはどんな感覚なのだろうか。私と櫻子は家が近すぎて、わざわざどっちかの家に偏るなんてことがないので、よくわからなかった。
向日葵「櫻子は、赤座さんのお姉さんと吉川さんのお姉さんに会ったことあります?」
櫻子「家に遊びに行ったときに会ったことはあるけど……まさか付き合ってるなんて思わなかったよ。すごいね、姉妹揃って同じ家の相手と繋がるなんて」
向日葵「姉妹だからってこともあるかもしれませんけど……四人はそれぞれ、本気でお互いを想い合ってるんでしょうね」
櫻子「そうじゃなかったら、一緒に暮らすなんてきっとできないもんね」
お姉さん方は今年の春に大学を卒業して、今はもう立派な社会人。
きちんと仕事をして、好きな人と支え合って一緒に暮らす……それはどんなに幸せなことだろうか、想像もつかない。
きっと最高級の幸せなのだろうということしか、今の私にはわからない。
櫻子「……向日葵」
向日葵「はい?」
櫻子「向日葵はさ……将来の夢とか、ある?」
向日葵「え……」
両手を頭の後ろに組んで、暮れゆく空を見上げながら、櫻子が突然尋ねてきた。
こんなに改まって聞かれるのは初めてだ。
櫻子「……よかったね、昨日ちなつちゃんから連絡貰えてさ」とぼとぼ
向日葵「ええ、本当に」
遠くの方で、かなかなとヒグラシが鳴く帰り道。
吉川さん赤座さんと別れて、暑さの落ち着いた夕方の道を歩く。ひとしきり話し合って疲れてしまったのか、今の櫻子はだいぶ落ち着いていた。
櫻子「私、これからももっと二人と連絡とろ。しばらく会ってないうちになんだか気まずくなっちゃって、こっちからあんまり連絡とかできなかったんだけど……二人とも変わらないままでいてくれて、嬉しかったなぁ」
向日葵「またみんなで一緒に遊びたいですわね」
櫻子「うん」
櫻子と歩幅を合わせながら、二人から聞いた色んなお話を思い返す。
二人はこの後、お姉さん方と一緒に暮らしている家へと帰るのだろう。
一緒に住むとはどんな感覚なのだろうか。私と櫻子は家が近すぎて、わざわざどっちかの家に偏るなんてことがないので、よくわからなかった。
向日葵「櫻子は、赤座さんのお姉さんと吉川さんのお姉さんに会ったことあります?」
櫻子「家に遊びに行ったときに会ったことはあるけど……まさか付き合ってるなんて思わなかったよ。すごいね、姉妹揃って同じ家の相手と繋がるなんて」
向日葵「姉妹だからってこともあるかもしれませんけど……四人はそれぞれ、本気でお互いを想い合ってるんでしょうね」
櫻子「そうじゃなかったら、一緒に暮らすなんてきっとできないもんね」
お姉さん方は今年の春に大学を卒業して、今はもう立派な社会人。
きちんと仕事をして、好きな人と支え合って一緒に暮らす……それはどんなに幸せなことだろうか、想像もつかない。
きっと最高級の幸せなのだろうということしか、今の私にはわからない。
櫻子「……向日葵」
向日葵「はい?」
櫻子「向日葵はさ……将来の夢とか、ある?」
向日葵「え……」
両手を頭の後ろに組んで、暮れゆく空を見上げながら、櫻子が突然尋ねてきた。
こんなに改まって聞かれるのは初めてだ。
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:10:43.14 ID:+EtVRVLso
向日葵「……明確にこう、っていうのは……正直ないですわ」
櫻子「……私も」
向日葵「でも……」
櫻子「?」
向日葵「今日、赤座さんたちのおうちのお話を聞いて……いいなあって、思いました……///」
櫻子「…………」
視線を下げて、素直な気持ちを言葉に出してみる。
視界の端で櫻子がこちらを見てきたのがわかった。私の顔は赤くなってしまってはいないだろうか。
櫻子「……どうなるんだろね、将来の私たちって」
向日葵「あら。あなたにしては真剣なテーマで悩んでますわね」
櫻子「当たり前じゃん」ぴたっ
向日葵(えっ……?)
櫻子が突然歩みを止める。
垂れ下がった髪で目を隠し、不安げな声で小さくつぶやいた。
櫻子「私、もう同じことは繰り返したくないんだよ……」
向日葵「!」
櫻子「怖いの……向日葵と離れちゃうのが……」
向日葵「櫻子……」
ゆっくりと顔をあげた櫻子は、いつになく弱々しい表情だった。
知らずのうちに、櫻子は何らかのスイッチが入ってしまったようだった。受験を境に私と離れてしまったことがトラウマになっているらしい。
将来に対する漠然とした不安に苛まれている。うかうかしてたら大切なものを失いかねない、今の櫻子はその気持ちを誰よりも強くわかっていた。
向日葵「げ、元気出しなさいなっ。未来は暗いことばかりじゃありませんわ」
櫻子「うん……」
向日葵「そう……仮に、私の夢がもしあったとしたら、あなたはどうしてくれるんですの?」
櫻子「そしたら……私も向日葵と同じのにする」
向日葵「……本当に? いいんですの?」
家に到着するまでもう少しという場所で、私たちは隣り合って話し合った。
もう夕方だから、家に到着したら別れてしまう。そんな気持ちもあって櫻子は立ち止まったのだろうが……奇しくもここは、桜が散る季節に私が初めて櫻子に「付き合ってください」と告白した道端だった。
あのときの櫻子のいたずらっぽい笑顔をまだはっきりと思い出せる。
不安げな私を優しく抱きしめてくれたことも、「大好き」と言ってくれたことも。
櫻子「……私も」
向日葵「でも……」
櫻子「?」
向日葵「今日、赤座さんたちのおうちのお話を聞いて……いいなあって、思いました……///」
櫻子「…………」
視線を下げて、素直な気持ちを言葉に出してみる。
視界の端で櫻子がこちらを見てきたのがわかった。私の顔は赤くなってしまってはいないだろうか。
櫻子「……どうなるんだろね、将来の私たちって」
向日葵「あら。あなたにしては真剣なテーマで悩んでますわね」
櫻子「当たり前じゃん」ぴたっ
向日葵(えっ……?)
櫻子が突然歩みを止める。
垂れ下がった髪で目を隠し、不安げな声で小さくつぶやいた。
櫻子「私、もう同じことは繰り返したくないんだよ……」
向日葵「!」
櫻子「怖いの……向日葵と離れちゃうのが……」
向日葵「櫻子……」
ゆっくりと顔をあげた櫻子は、いつになく弱々しい表情だった。
知らずのうちに、櫻子は何らかのスイッチが入ってしまったようだった。受験を境に私と離れてしまったことがトラウマになっているらしい。
将来に対する漠然とした不安に苛まれている。うかうかしてたら大切なものを失いかねない、今の櫻子はその気持ちを誰よりも強くわかっていた。
向日葵「げ、元気出しなさいなっ。未来は暗いことばかりじゃありませんわ」
櫻子「うん……」
向日葵「そう……仮に、私の夢がもしあったとしたら、あなたはどうしてくれるんですの?」
櫻子「そしたら……私も向日葵と同じのにする」
向日葵「……本当に? いいんですの?」
家に到着するまでもう少しという場所で、私たちは隣り合って話し合った。
もう夕方だから、家に到着したら別れてしまう。そんな気持ちもあって櫻子は立ち止まったのだろうが……奇しくもここは、桜が散る季節に私が初めて櫻子に「付き合ってください」と告白した道端だった。
あのときの櫻子のいたずらっぽい笑顔をまだはっきりと思い出せる。
不安げな私を優しく抱きしめてくれたことも、「大好き」と言ってくれたことも。
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:11:15.88 ID:+EtVRVLso
向日葵「じゃあ逆に、あなたは何か夢とかありませんの? こういうことはあまり聞いたことなかったですけど」
櫻子「……こ、ここで言うの?」
向日葵「あら、ここじゃ言えないようなこと?」
櫻子「いや、いいけど……夢っていうか……」
向日葵「?」
櫻子「私はただ……向日葵と、一緒にいたいんだよ……///」かあっ
向日葵(あ……)
だんだんと陽が落ちてきて、暮れゆく空が赤く染まっていく。
夕陽に照らされる櫻子の顔は、いつもより何倍も増して可愛く思えた。
櫻子「だから、向日葵が何かになりたいって言ったら……私も同じのになりたい。どこに住みたいとかがあったら……私も同じところに住みたい」
向日葵「…………」
櫻子「向日葵と……ずっと一緒がいい」
向日葵「櫻子……」
勇気を振り絞って、一生懸命に気持ちを打ち明けてくれる櫻子。少しだけ声が震えていた。
私たちはなぜ毎回、こんな道端で告白をし合っているのだろう。もうすぐ家についてしまうという感覚がそうさせるのだろうか。
思えば小学生の頃も中学生の頃もこうやって、家に着く寸前が一番会話が弾んでいたような気がする。
あの番組面白いから見てね、とか。提出物を忘れないように、とか。いつものように喧嘩になるときも、数えきれないほどあったっけ。
それが今では、一生に何度と言えるかわからない、本気の告白をするまでになっている……なんだかおかしく思えてきた。
櫻子「な、なんで笑ってんの……///」
向日葵「ふふっ……いえいえ。可愛いなあと思って」
櫻子「ちょっと! 今すごい頑張って言ったんだよ!? もっと真剣に聞いてよ!」
向日葵「わかってますわ」ぽすっ
櫻子「っ……!」
櫻子の華奢な肩に顔をつけて身体をあずける
手の指を小さく絡め合って握りながら、耳元で言ってあげた。
向日葵「私も……櫻子と、同じ気持ちですから」
櫻子「ひ、向日葵……」
向日葵「将来つきたい職業とか、そういうのはまだわからないですけど……そういうのも含めて、櫻子と一緒に探していけたらいいなって、思います」
櫻子「!」
絡めた指を、しっかりと握りしめられた。
櫻子「……こ、ここで言うの?」
向日葵「あら、ここじゃ言えないようなこと?」
櫻子「いや、いいけど……夢っていうか……」
向日葵「?」
櫻子「私はただ……向日葵と、一緒にいたいんだよ……///」かあっ
向日葵(あ……)
だんだんと陽が落ちてきて、暮れゆく空が赤く染まっていく。
夕陽に照らされる櫻子の顔は、いつもより何倍も増して可愛く思えた。
櫻子「だから、向日葵が何かになりたいって言ったら……私も同じのになりたい。どこに住みたいとかがあったら……私も同じところに住みたい」
向日葵「…………」
櫻子「向日葵と……ずっと一緒がいい」
向日葵「櫻子……」
勇気を振り絞って、一生懸命に気持ちを打ち明けてくれる櫻子。少しだけ声が震えていた。
私たちはなぜ毎回、こんな道端で告白をし合っているのだろう。もうすぐ家についてしまうという感覚がそうさせるのだろうか。
思えば小学生の頃も中学生の頃もこうやって、家に着く寸前が一番会話が弾んでいたような気がする。
あの番組面白いから見てね、とか。提出物を忘れないように、とか。いつものように喧嘩になるときも、数えきれないほどあったっけ。
それが今では、一生に何度と言えるかわからない、本気の告白をするまでになっている……なんだかおかしく思えてきた。
櫻子「な、なんで笑ってんの……///」
向日葵「ふふっ……いえいえ。可愛いなあと思って」
櫻子「ちょっと! 今すごい頑張って言ったんだよ!? もっと真剣に聞いてよ!」
向日葵「わかってますわ」ぽすっ
櫻子「っ……!」
櫻子の華奢な肩に顔をつけて身体をあずける
手の指を小さく絡め合って握りながら、耳元で言ってあげた。
向日葵「私も……櫻子と、同じ気持ちですから」
櫻子「ひ、向日葵……」
向日葵「将来つきたい職業とか、そういうのはまだわからないですけど……そういうのも含めて、櫻子と一緒に探していけたらいいなって、思います」
櫻子「!」
絡めた指を、しっかりと握りしめられた。
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:11:50.68 ID:+EtVRVLso
櫻子「……あ、あのさ!」
向日葵「はい?」
櫻子「先生から言われたでしょ? 夏休み中を使って、行きたい大学のオープンキャンパスに参加しとけって」
向日葵「ああ……」
櫻子「私、まだどこの大学に行きたいとかは考えてないんだけど……ねーちゃんが、私の大学でも試しに見に来てみればって、言ってくれてるんだよね」
向日葵「!」
櫻子「一緒に……いってみない?///」にこっ
向日葵「櫻子……」
優しい眼差しで微笑みかけられ、思わず直視できなくなり目をそらす。
櫻子って……やっぱり、すごく可愛い。
向日葵「い……いいと思いますわ。すごく……///」
櫻子「ほんと?」
向日葵「ええ。あなたそんなことまで考えてくれてたんですのね」
櫻子「いやー、実はわりと前から、いつ誘おうかなーって迷っててさ……」
向日葵「……あら」
櫻子「日程がね、確かもうすぐだったと思うから……ねーちゃんに相談してみるよ! 案内してくれるんだって」
向日葵「わかりましたわ。詳しいことが決まったら教えてくださいな」
櫻子「うん。帰ったらすぐ……」
「まーたこんなところでイチャイチャしてるの?」
櫻子「うわー!?///」びくっ
向日葵「は、花子ちゃん!?」ぱっ
振り返ると、友達の家から帰ってきたところらしい花子ちゃんが、いつの間にかすぐ後ろまで来ていた。
花子「ほらほら、近所の人に見られたら恥ずかしいからせめて家の中でやってほしいし」ぐいぐい
櫻子「ちょっと、違うから! 普通に話してただけだからね!?」
花子「明らかに普通の話の距離じゃなかったし……」
花子ちゃんに背中を押される形で、家までの道を歩く。
恥ずかしいことに、まだまだストッパーがいなければ手を離すタイミングさえもつかめないのは事実だった。
――――――
――――
――
―
向日葵「はい?」
櫻子「先生から言われたでしょ? 夏休み中を使って、行きたい大学のオープンキャンパスに参加しとけって」
向日葵「ああ……」
櫻子「私、まだどこの大学に行きたいとかは考えてないんだけど……ねーちゃんが、私の大学でも試しに見に来てみればって、言ってくれてるんだよね」
向日葵「!」
櫻子「一緒に……いってみない?///」にこっ
向日葵「櫻子……」
優しい眼差しで微笑みかけられ、思わず直視できなくなり目をそらす。
櫻子って……やっぱり、すごく可愛い。
向日葵「い……いいと思いますわ。すごく……///」
櫻子「ほんと?」
向日葵「ええ。あなたそんなことまで考えてくれてたんですのね」
櫻子「いやー、実はわりと前から、いつ誘おうかなーって迷っててさ……」
向日葵「……あら」
櫻子「日程がね、確かもうすぐだったと思うから……ねーちゃんに相談してみるよ! 案内してくれるんだって」
向日葵「わかりましたわ。詳しいことが決まったら教えてくださいな」
櫻子「うん。帰ったらすぐ……」
「まーたこんなところでイチャイチャしてるの?」
櫻子「うわー!?///」びくっ
向日葵「は、花子ちゃん!?」ぱっ
振り返ると、友達の家から帰ってきたところらしい花子ちゃんが、いつの間にかすぐ後ろまで来ていた。
花子「ほらほら、近所の人に見られたら恥ずかしいからせめて家の中でやってほしいし」ぐいぐい
櫻子「ちょっと、違うから! 普通に話してただけだからね!?」
花子「明らかに普通の話の距離じゃなかったし……」
花子ちゃんに背中を押される形で、家までの道を歩く。
恥ずかしいことに、まだまだストッパーがいなければ手を離すタイミングさえもつかめないのは事実だった。
――――――
――――
――
―
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:12:29.50 ID:+EtVRVLso
~
*
花子「うん……櫻子? もうお風呂入っちゃった。うん……伝えたいことがあったら、花子が代わりに言っておくし」
“おーぷんきゃんぱす” とやらに参加するため、櫻子とひま姉は明日、撫子おねえちゃんのいる大学に行くらしい。
花子も撫子おねえちゃんに会いにいきたかったけど、まだ大学なんて見てもしょうがないから、明日は一日お留守番することになった。
撫子おねえちゃんと明日の予定を確認していた櫻子は、要件が終わるとそのまま花子に電話を渡してお風呂に行ってしまった。「せっかくだから話せば」ということらしい。夏休みに入った近況報告や、撫子おねえちゃんの向こうでの様子をしばらく話し合っていた。
撫子『櫻子たちを案内したら、私も一緒にそっちに帰るから』
花子「えっ! 帰ってこれるの?」
撫子『ちょっとだけね。色々とそっちで用事もあるんだ』
花子「そうなんだ……///」
用事があるのは本当のことかもしれないけど、撫子お姉ちゃんはきっと、花子のために帰ってきてくれるんだと思った。
もうすぐ、花子の誕生日だから。
撫子『じゃあ、そろそろ切るね』
花子「うんっ」
撫子『何か困ってることとかない? 大丈夫?』
花子「ないない。櫻子とひま姉が毎日お熱いのが困りものなくらいで」
撫子『ふふ……そっか』
花子「撫子おねえちゃんこそ、体調に気を付けてね。忙しいと思うけど、無理しないで」
撫子『ありがとう。じゃあまた帰るときに連絡するから』
花子「はーい」
撫子お姉ちゃんは、都会の大学の教育学部に通う4年生。
花子は詳しいことはよくわからないけど、きっとこの夏は本番の試験とかがいっぱい待ち構えていて、今が一番大切な時期のはずだ。
もしかしたら……こっちにくるのは、先生になるための試験を受けるからなのかもしれない。
花子(……言ってくれればいいのに)
撫子おねえちゃんは、自分が頑張っているところをいつも隠しちゃう。
そのくせどんな大変なこともスマートにやり遂げて、成し遂げた結果だけ持って帰ってくる。
妹に対してもそうなんだから、友達に対してももちろんそうなんだろう。
撫子おねえちゃんと “お熱い” あの人にだけは、弱い部分も見せてるのかもしれないけど。
こっちに帰ってきたら、花子の誕生日なんてどうでもいいから、まずは撫子おねえちゃんをいっぱいもてなしてあげなきゃ。当番も増えてぐんぐん上達した花子の料理の腕をぞんぶんに振るうときが来た。
明日は一日かけて家のお掃除をしよう。食材の買い出しにも行って……撫子お姉ちゃんが好きな料理を作ってあげよう。
そうとなったら今日は早く寝なきゃ。明日は一日忙しい。櫻子が出たら花子もさっさとお風呂に入ってしまおう。
*
花子「うん……櫻子? もうお風呂入っちゃった。うん……伝えたいことがあったら、花子が代わりに言っておくし」
“おーぷんきゃんぱす” とやらに参加するため、櫻子とひま姉は明日、撫子おねえちゃんのいる大学に行くらしい。
花子も撫子おねえちゃんに会いにいきたかったけど、まだ大学なんて見てもしょうがないから、明日は一日お留守番することになった。
撫子おねえちゃんと明日の予定を確認していた櫻子は、要件が終わるとそのまま花子に電話を渡してお風呂に行ってしまった。「せっかくだから話せば」ということらしい。夏休みに入った近況報告や、撫子おねえちゃんの向こうでの様子をしばらく話し合っていた。
撫子『櫻子たちを案内したら、私も一緒にそっちに帰るから』
花子「えっ! 帰ってこれるの?」
撫子『ちょっとだけね。色々とそっちで用事もあるんだ』
花子「そうなんだ……///」
用事があるのは本当のことかもしれないけど、撫子お姉ちゃんはきっと、花子のために帰ってきてくれるんだと思った。
もうすぐ、花子の誕生日だから。
撫子『じゃあ、そろそろ切るね』
花子「うんっ」
撫子『何か困ってることとかない? 大丈夫?』
花子「ないない。櫻子とひま姉が毎日お熱いのが困りものなくらいで」
撫子『ふふ……そっか』
花子「撫子おねえちゃんこそ、体調に気を付けてね。忙しいと思うけど、無理しないで」
撫子『ありがとう。じゃあまた帰るときに連絡するから』
花子「はーい」
撫子お姉ちゃんは、都会の大学の教育学部に通う4年生。
花子は詳しいことはよくわからないけど、きっとこの夏は本番の試験とかがいっぱい待ち構えていて、今が一番大切な時期のはずだ。
もしかしたら……こっちにくるのは、先生になるための試験を受けるからなのかもしれない。
花子(……言ってくれればいいのに)
撫子おねえちゃんは、自分が頑張っているところをいつも隠しちゃう。
そのくせどんな大変なこともスマートにやり遂げて、成し遂げた結果だけ持って帰ってくる。
妹に対してもそうなんだから、友達に対してももちろんそうなんだろう。
撫子おねえちゃんと “お熱い” あの人にだけは、弱い部分も見せてるのかもしれないけど。
こっちに帰ってきたら、花子の誕生日なんてどうでもいいから、まずは撫子おねえちゃんをいっぱいもてなしてあげなきゃ。当番も増えてぐんぐん上達した花子の料理の腕をぞんぶんに振るうときが来た。
明日は一日かけて家のお掃除をしよう。食材の買い出しにも行って……撫子お姉ちゃんが好きな料理を作ってあげよう。
そうとなったら今日は早く寝なきゃ。明日は一日忙しい。櫻子が出たら花子もさっさとお風呂に入ってしまおう。
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:13:29.63 ID:+EtVRVLso
撫子おねえちゃんとの通話が終わった櫻子の携帯を、机の上に置こうとした。
てこてこっ♪
花子(ん……?)
ちょうどそのとき、LINE通知が来た。
べつに花子には、他人の携帯を覗き見するような趣味はない。それがたとえ櫻子の携帯であったとしたって、やっていいことと悪いことの分別はついている。
けれど偶然目に入ってしまった。一瞬何事かわからなかった。
[ごめん]
たったそれだけの文字を送ってきた、差出人。
その名前を……花子はどこかで耳にしたことがあった。
花子(こ、この人……)
前にうちに来た……櫻子の、前の学校の友達だ。
数日前の出来事を思い出す。ひま姉の前で花子がこの人の話をしたとき、櫻子はやけに慌てていた。
ひま姉に焼きもちを焼かせちゃうから焦っているんだと思ってた。たかが友達にひま姉が嫉妬なんてするわけなのに。
けれどこの「ごめん」という一文を見て、花子の考えはどこか間違っていたのかもしれないと思った。
ロック画面に現れた通知は数秒で消えてしまう。真っ暗になった液晶に、無表情な自分の顔が映る。
このたった3文字しかない不穏な文に込められた思いは、いったいどういうことなんだろう。櫻子はこの人と喧嘩でもしているのだろうか。
考えを巡らせていると……また気の抜けた通知音と共に、次のメッセージが届いてしまった。
[やっぱり、会いたいよ]
花子「……!?」どきっ
ど……どういうこと?
花子(櫻子に……会いたがってる……?)
去年櫻子の家にきたとき……櫻子とこの人は普通に仲のいい友達のような間柄に見えた。
それから約半年して、櫻子はひま姉のいる学校へ転校してしまった。
この人にしてみれば、仲のいい友達がたった一年でいなくなってしまったんだから、ひどく寂しいことだろう。
それでもこうやって連絡を寄越して、学校が離れても変わらずに会おうとしてくれているなんて、とても良い友人関係のはずだ。
なのに……この「ごめん」という言葉は……「やっぱり会いたいよ」とは、一体何を表しているのだろうか。
てこてこっ♪
花子(ん……?)
ちょうどそのとき、LINE通知が来た。
べつに花子には、他人の携帯を覗き見するような趣味はない。それがたとえ櫻子の携帯であったとしたって、やっていいことと悪いことの分別はついている。
けれど偶然目に入ってしまった。一瞬何事かわからなかった。
[ごめん]
たったそれだけの文字を送ってきた、差出人。
その名前を……花子はどこかで耳にしたことがあった。
花子(こ、この人……)
前にうちに来た……櫻子の、前の学校の友達だ。
数日前の出来事を思い出す。ひま姉の前で花子がこの人の話をしたとき、櫻子はやけに慌てていた。
ひま姉に焼きもちを焼かせちゃうから焦っているんだと思ってた。たかが友達にひま姉が嫉妬なんてするわけなのに。
けれどこの「ごめん」という一文を見て、花子の考えはどこか間違っていたのかもしれないと思った。
ロック画面に現れた通知は数秒で消えてしまう。真っ暗になった液晶に、無表情な自分の顔が映る。
このたった3文字しかない不穏な文に込められた思いは、いったいどういうことなんだろう。櫻子はこの人と喧嘩でもしているのだろうか。
考えを巡らせていると……また気の抜けた通知音と共に、次のメッセージが届いてしまった。
[やっぱり、会いたいよ]
花子「……!?」どきっ
ど……どういうこと?
花子(櫻子に……会いたがってる……?)
去年櫻子の家にきたとき……櫻子とこの人は普通に仲のいい友達のような間柄に見えた。
それから約半年して、櫻子はひま姉のいる学校へ転校してしまった。
この人にしてみれば、仲のいい友達がたった一年でいなくなってしまったんだから、ひどく寂しいことだろう。
それでもこうやって連絡を寄越して、学校が離れても変わらずに会おうとしてくれているなんて、とても良い友人関係のはずだ。
なのに……この「ごめん」という言葉は……「やっぱり会いたいよ」とは、一体何を表しているのだろうか。
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:14:07.37 ID:+EtVRVLso
胸がじんじんと痛む。不自然にゆがんだ何かを感じる。櫻子を取り巻く何らかの問題。すさんだ人間関係の片鱗。
これ以上見てはいけない。これは櫻子の問題だ。けれど花子の頭はどうしても櫻子とこの人の関係を変に邪推してしまって、とても見なかったことにはできない。
そして、また無情にも通知音が響いてしまう。
[花火大会の日、休みとれたよ]
[去年みたいに、一緒に行けないかな?]
花子「っ……」
櫻子「ふー。花子、お風呂あいたよ」がちゃ
髪にタオルを当てながら、お風呂上りの櫻子がのんきな顔をして出てきた。
櫻子の携帯を持って立ち尽くす花子は今、どんな顔をしているのだろう。
勘の鈍い櫻子の表情が一変するくらいだから、よほど不穏なオーラを出していたに違いない。
櫻子「ど……どしたの? ねーちゃんとの電話終わった?」
花子「…………」
櫻子「花子……?」
花子「櫻子……これ、なに?」すっ
櫻子「っ!!」どきっ
黙っていればよかったのかもしれないけど……我慢できなかった花子はロック画面を点け、緑色のアイコンの並ぶ通知表示を櫻子に突き出した。
この距離では細かい文字まで見えないだろうに、櫻子はそれだけで全てを察したようだった。
これ以上見てはいけない。これは櫻子の問題だ。けれど花子の頭はどうしても櫻子とこの人の関係を変に邪推してしまって、とても見なかったことにはできない。
そして、また無情にも通知音が響いてしまう。
[花火大会の日、休みとれたよ]
[去年みたいに、一緒に行けないかな?]
花子「っ……」
櫻子「ふー。花子、お風呂あいたよ」がちゃ
髪にタオルを当てながら、お風呂上りの櫻子がのんきな顔をして出てきた。
櫻子の携帯を持って立ち尽くす花子は今、どんな顔をしているのだろう。
勘の鈍い櫻子の表情が一変するくらいだから、よほど不穏なオーラを出していたに違いない。
櫻子「ど……どしたの? ねーちゃんとの電話終わった?」
花子「…………」
櫻子「花子……?」
花子「櫻子……これ、なに?」すっ
櫻子「っ!!」どきっ
黙っていればよかったのかもしれないけど……我慢できなかった花子はロック画面を点け、緑色のアイコンの並ぶ通知表示を櫻子に突き出した。
この距離では細かい文字まで見えないだろうに、櫻子はそれだけで全てを察したようだった。
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:14:41.43 ID:+EtVRVLso
~
花子「どういうこと!? 何があったの!?」
櫻子「だから花子には関係ないって言ってんじゃん! 関わらないでよ!」
花子「だっておかしかったし! 今の文見たら仲良さそうに見えなかった! 喧嘩してるの?」
櫻子「し、してないよ……」
花子「うそつき! すぐ顔に出る!」
櫻子「してないってば! 早くお風呂行きなよ!」
花子「この前ひま姉の前で、この人の話をしたときに嫌がってたのと……関係あるよね!?」
櫻子「くっ……」
花子「どうして!? こんなの櫻子らしくないし……! 喧嘩してるなら仲直りしなよ! 遊びたいって誘われてるなら、遊んであげればいいじゃん……!」
櫻子「……だめなんだよぉ」
花子「え……?」
突き出した携帯を奪い取ってずんずんと部屋に戻る櫻子のあとにつき、一体何が起こっているのかを問い詰めた。
櫻子は力なくベッドに腰かけ、俯いて携帯の画面に向き合う。
櫻子「向日葵に……見られちゃったから……」
花子「な、なにを……?」
櫻子「この子に……告白されたとこ」
花子「!」
櫻子のこんなに重い声を……花子は初めて聞いたかもしれない。今にもため息をつきそうなくらい、気落ちしている姿も。
花子「告白されたって……櫻子、この人と付き合ってるの……?」
櫻子「そ、そんなわけないでしょ! 向日葵がいるんだから……!」
花子「じゃあ……」
櫻子「……でも向日葵には、ちゃんとこの子を振ったって思われちゃってるんだよぉ……」
花子「えっ……?」
両の手で顔を覆い、蚊の鳴くような声でつぶやいた。
これが……櫻子の抱える「弱み」らしかった。
櫻子「ちゃんと振れなかったんだよ……私……! 友達のままでいいじゃんって言ったんだけど……それじゃ嫌なのって言われてさぁ……」
櫻子「そのときは私もすごく不安なときで……向日葵の元へちゃんと戻れるかもわからなかったし、戻れたとしても向日葵に好きな人がいたらどうしようとか、色々悩んでた時期で……」
櫻子「一年間ずっと一緒にいてくれた仲良しの友達を、振れるわけないじゃん……! でも、言っても聞いてもらえなくて……そのまま走って逃げられちゃって……ちゃんと話し合いができないまま、未だに続いちゃってて……」
花子「…………」
花子「どういうこと!? 何があったの!?」
櫻子「だから花子には関係ないって言ってんじゃん! 関わらないでよ!」
花子「だっておかしかったし! 今の文見たら仲良さそうに見えなかった! 喧嘩してるの?」
櫻子「し、してないよ……」
花子「うそつき! すぐ顔に出る!」
櫻子「してないってば! 早くお風呂行きなよ!」
花子「この前ひま姉の前で、この人の話をしたときに嫌がってたのと……関係あるよね!?」
櫻子「くっ……」
花子「どうして!? こんなの櫻子らしくないし……! 喧嘩してるなら仲直りしなよ! 遊びたいって誘われてるなら、遊んであげればいいじゃん……!」
櫻子「……だめなんだよぉ」
花子「え……?」
突き出した携帯を奪い取ってずんずんと部屋に戻る櫻子のあとにつき、一体何が起こっているのかを問い詰めた。
櫻子は力なくベッドに腰かけ、俯いて携帯の画面に向き合う。
櫻子「向日葵に……見られちゃったから……」
花子「な、なにを……?」
櫻子「この子に……告白されたとこ」
花子「!」
櫻子のこんなに重い声を……花子は初めて聞いたかもしれない。今にもため息をつきそうなくらい、気落ちしている姿も。
花子「告白されたって……櫻子、この人と付き合ってるの……?」
櫻子「そ、そんなわけないでしょ! 向日葵がいるんだから……!」
花子「じゃあ……」
櫻子「……でも向日葵には、ちゃんとこの子を振ったって思われちゃってるんだよぉ……」
花子「えっ……?」
両の手で顔を覆い、蚊の鳴くような声でつぶやいた。
これが……櫻子の抱える「弱み」らしかった。
櫻子「ちゃんと振れなかったんだよ……私……! 友達のままでいいじゃんって言ったんだけど……それじゃ嫌なのって言われてさぁ……」
櫻子「そのときは私もすごく不安なときで……向日葵の元へちゃんと戻れるかもわからなかったし、戻れたとしても向日葵に好きな人がいたらどうしようとか、色々悩んでた時期で……」
櫻子「一年間ずっと一緒にいてくれた仲良しの友達を、振れるわけないじゃん……! でも、言っても聞いてもらえなくて……そのまま走って逃げられちゃって……ちゃんと話し合いができないまま、未だに続いちゃってて……」
花子「…………」
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:15:43.10 ID:+EtVRVLso
……花子はまだまだ、恋愛のこととかはよくわからない。そういうのはきっと経験のある櫻子の方がよくわかってる。
でも今の櫻子が、誰に見られても恥ずかしくない恋愛をしているとはどうしても思えなかった。後ろめたい何かを感じる。
この人は櫻子のことが大好きで、告白までした。櫻子もそれをわかってる。
でも櫻子にはひま姉がいるから、この人とは恋愛関係じゃなくて、友達関係のままでいたいと望んでる。けどこの人はそれじゃ納得しなかった。
花子「会いたいって、言ってたよ……」
櫻子「うん……」
花子「……会うの?」
櫻子「…………」
花子「花火大会の日、休み取ったって……櫻子のためだよね。去年も一緒に行ってたもんね」
花子は覚えてる。去年の夏休みもずっと勉強を頑張ってた櫻子が、「今日くらいは」って浴衣を着て友達と一緒に花火を見に行ったときのこと。
きっとその日のことがすごく楽しかったから、また今年も櫻子と一緒に過ごせたらいいなって思ってるんだ。
櫻子は倒れるようにベッドに横たわると……携帯を枕元に放り置き、ため息をついた。
櫻子「花火、向日葵と行こうと思ってたのに……行けなくなっちゃったなぁ……」はぁ
花子「っ……!?」
櫻子のその言葉を聞いて……気づいたら、花子は櫻子の腕をひっ掴んでた。
櫻子「痛っ!?」
花子「ひま姉の話はしてない!! この人と櫻子だけの問題でしょ!」
櫻子「な、なんだよ……! なんで花子が怒るの!?」
驚いた櫻子が身をこわばらせている。
自分でも驚くほどの大きな声が出ていた。
花子「だって去年はあんなに仲良かったじゃん! 花子覚えてるもん! それに櫻子が転校しちゃってからも、こんなに会いたいって言ってくれてるんでしょ!? 会ってあげてよ!」
中途半端な対応を取っている櫻子に、めちゃくちゃむかついた。
この人と櫻子とひま姉の3人の中で、櫻子が一番わがままを言っているような気がした。
でも今の櫻子が、誰に見られても恥ずかしくない恋愛をしているとはどうしても思えなかった。後ろめたい何かを感じる。
この人は櫻子のことが大好きで、告白までした。櫻子もそれをわかってる。
でも櫻子にはひま姉がいるから、この人とは恋愛関係じゃなくて、友達関係のままでいたいと望んでる。けどこの人はそれじゃ納得しなかった。
花子「会いたいって、言ってたよ……」
櫻子「うん……」
花子「……会うの?」
櫻子「…………」
花子「花火大会の日、休み取ったって……櫻子のためだよね。去年も一緒に行ってたもんね」
花子は覚えてる。去年の夏休みもずっと勉強を頑張ってた櫻子が、「今日くらいは」って浴衣を着て友達と一緒に花火を見に行ったときのこと。
きっとその日のことがすごく楽しかったから、また今年も櫻子と一緒に過ごせたらいいなって思ってるんだ。
櫻子は倒れるようにベッドに横たわると……携帯を枕元に放り置き、ため息をついた。
櫻子「花火、向日葵と行こうと思ってたのに……行けなくなっちゃったなぁ……」はぁ
花子「っ……!?」
櫻子のその言葉を聞いて……気づいたら、花子は櫻子の腕をひっ掴んでた。
櫻子「痛っ!?」
花子「ひま姉の話はしてない!! この人と櫻子だけの問題でしょ!」
櫻子「な、なんだよ……! なんで花子が怒るの!?」
驚いた櫻子が身をこわばらせている。
自分でも驚くほどの大きな声が出ていた。
花子「だって去年はあんなに仲良かったじゃん! 花子覚えてるもん! それに櫻子が転校しちゃってからも、こんなに会いたいって言ってくれてるんでしょ!? 会ってあげてよ!」
中途半端な対応を取っている櫻子に、めちゃくちゃむかついた。
この人と櫻子とひま姉の3人の中で、櫻子が一番わがままを言っているような気がした。
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:16:09.70 ID:+EtVRVLso
花子「櫻子はひま姉のところに戻れるかわからなかったから、きっぱり振れなかったんでしょ!? ってことは櫻子、もしも転校できてなかったらこの人と付き合おうって思ってたんでしょ!?」
櫻子「はぁ!? 思ってないよ!」
花子「ならちゃんと断ればよかったはずだし! 結果的にひま姉のところに戻れたから、今になって冷たい対応をとって、それで諦めてもらおうとするなんて……!///」
櫻子「……!?」びくっ
抵抗する櫻子の手の力が弱まった。
花子の頬には……熱い何かが伝っていた。
花子「会いたいって……言ってくれてるんだから、会ってあげてよ……櫻子のことが好きだって言ってるんだから、冷たくしないであげてよ……っ!///」
櫻子「花子……っ」
花子「ばか櫻子っ!! そんなひどい人だなんて思わなかった!」ぶんっ
櫻子「きゃっ!?」ぼすん
花子「櫻子なんかに……ひま姉と付き合う資格ない!!!」
櫻子「!!」はっ
顔面におもいっきりクッションをぶつけ、思いの丈を大声で浴びせかけて花子は部屋を飛び出した。
階段を下りて脱衣所に入り、誰も入ってこれないようにすぐに鍵をかける。お風呂に入らなきゃいけないのもそうだったけど、今は櫻子の顔を見ていたくなかった。
グレーのシャツの生地に涙の跡がぽつりと目立ってしまっている、櫻子のおさがりTシャツを乱暴に脱ぎすて、脱衣カゴに放り投げる。
洗面所の鏡に映った自分の顔が目に入り……真っ赤で情けない泣き顔を見たら、余計にみじめに思えた。
櫻子とあの人のことなのに、なんで花子が泣いてるんだろう。
――――――
――――
――
―
櫻子「はぁ!? 思ってないよ!」
花子「ならちゃんと断ればよかったはずだし! 結果的にひま姉のところに戻れたから、今になって冷たい対応をとって、それで諦めてもらおうとするなんて……!///」
櫻子「……!?」びくっ
抵抗する櫻子の手の力が弱まった。
花子の頬には……熱い何かが伝っていた。
花子「会いたいって……言ってくれてるんだから、会ってあげてよ……櫻子のことが好きだって言ってるんだから、冷たくしないであげてよ……っ!///」
櫻子「花子……っ」
花子「ばか櫻子っ!! そんなひどい人だなんて思わなかった!」ぶんっ
櫻子「きゃっ!?」ぼすん
花子「櫻子なんかに……ひま姉と付き合う資格ない!!!」
櫻子「!!」はっ
顔面におもいっきりクッションをぶつけ、思いの丈を大声で浴びせかけて花子は部屋を飛び出した。
階段を下りて脱衣所に入り、誰も入ってこれないようにすぐに鍵をかける。お風呂に入らなきゃいけないのもそうだったけど、今は櫻子の顔を見ていたくなかった。
グレーのシャツの生地に涙の跡がぽつりと目立ってしまっている、櫻子のおさがりTシャツを乱暴に脱ぎすて、脱衣カゴに放り投げる。
洗面所の鏡に映った自分の顔が目に入り……真っ赤で情けない泣き顔を見たら、余計にみじめに思えた。
櫻子とあの人のことなのに、なんで花子が泣いてるんだろう。
――――――
――――
――
―
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:16:44.66 ID:+EtVRVLso
~
ちゅんちゅん……
花子「…………」もぞ
花子(あ……)
目が覚めると、静かな朝が来ていた。
時計を見ると、もう朝9時をすぎていた。いつもよりだいぶ長く眠ってしまった。昨晩泣き疲れたせいで、目が腫れぼったく重たい。
花子「…………」すとっ
やけに家が静かだ。そう思いながら部屋を出て階下のリビングの扉を開く。
ただただ空虚で静かな一室が、そこにはあった。
花子(誰もいない……?)
人がいた気配を感じさせないリビングのテーブルの上に、小さなメモ用紙が置かれているのを発見する。
櫻子の字だった。
[
行ってくるね。
ねーちゃんと一緒に帰ってくるから。
何かあったら電話してね。
櫻子
]
花子(……そっか……)
オープンキャンパスのことはよく知らないけど、撫子おねえちゃんの大学は遠くにあるから、行くとしたら早朝出発になるんだということに今更気づいた。
花子が寝てる間に出かけてくれたことにせいせいする。昨日櫻子にあれだけ怒鳴り散らしてしまった手前、ひま姉と一緒にいる姿を見ることさえ今は嫌だった。
顔を洗って髪をととのえ、冷蔵庫の中で冷えていた牛乳を飲む。なぜか花子は胸が緊張していてお腹が減ってなくて、ごはんを食べる気にはなれなかった。
リビングの大窓の、レースのカーテンをしゃっと開けて外を眺める。
今日も相変わらず、夏の快晴が静かに広がっていた。
花子(今日は……ひとり)
ソファに座って、特に眠くはなかったけどそのまま横たわる。
聴こえるのは外の小鳥の鳴き声と、遠くで鳴いている蝉の声だけ。
それらから意識を外せば、きーんとなりそうなくらい部屋は静かだった。
思えば……こうしてまる一日一人きりになるのは、もしかしたら初めてかもしれない。
この家にはいつも誰かがいた。去年の櫻子はほとんど家から出ることは無かったし、その前の中学生の時は、まだひま姉がうちに来てくれたりしていた。
楓もよく遊びに来たし、それより前にはまだ高校生だった撫子おねえちゃんが家にいてくれた。
花子(ひとり……ぼっち……)
ちゅんちゅん……
花子「…………」もぞ
花子(あ……)
目が覚めると、静かな朝が来ていた。
時計を見ると、もう朝9時をすぎていた。いつもよりだいぶ長く眠ってしまった。昨晩泣き疲れたせいで、目が腫れぼったく重たい。
花子「…………」すとっ
やけに家が静かだ。そう思いながら部屋を出て階下のリビングの扉を開く。
ただただ空虚で静かな一室が、そこにはあった。
花子(誰もいない……?)
人がいた気配を感じさせないリビングのテーブルの上に、小さなメモ用紙が置かれているのを発見する。
櫻子の字だった。
[
行ってくるね。
ねーちゃんと一緒に帰ってくるから。
何かあったら電話してね。
櫻子
]
花子(……そっか……)
オープンキャンパスのことはよく知らないけど、撫子おねえちゃんの大学は遠くにあるから、行くとしたら早朝出発になるんだということに今更気づいた。
花子が寝てる間に出かけてくれたことにせいせいする。昨日櫻子にあれだけ怒鳴り散らしてしまった手前、ひま姉と一緒にいる姿を見ることさえ今は嫌だった。
顔を洗って髪をととのえ、冷蔵庫の中で冷えていた牛乳を飲む。なぜか花子は胸が緊張していてお腹が減ってなくて、ごはんを食べる気にはなれなかった。
リビングの大窓の、レースのカーテンをしゃっと開けて外を眺める。
今日も相変わらず、夏の快晴が静かに広がっていた。
花子(今日は……ひとり)
ソファに座って、特に眠くはなかったけどそのまま横たわる。
聴こえるのは外の小鳥の鳴き声と、遠くで鳴いている蝉の声だけ。
それらから意識を外せば、きーんとなりそうなくらい部屋は静かだった。
思えば……こうしてまる一日一人きりになるのは、もしかしたら初めてかもしれない。
この家にはいつも誰かがいた。去年の櫻子はほとんど家から出ることは無かったし、その前の中学生の時は、まだひま姉がうちに来てくれたりしていた。
楓もよく遊びに来たし、それより前にはまだ高校生だった撫子おねえちゃんが家にいてくれた。
花子(ひとり……ぼっち……)
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:17:13.78 ID:+EtVRVLso
誰もいないテーブルを眺める。去年はここに、せっせと勉強する櫻子の姿があった。
ここで一緒に宿題をした。一緒にごはんを食べた。櫻子はもくもくと頑張っていたけど、話しかければいつだって答えてくれた。
花子の友達の話も聞いてくれた。櫻子の学校の話もしてくれた。ひま姉との昔話に花を咲かせた。撫子お姉ちゃんに一緒に電話をかけたりもした。
毎日、毎日、ここにいてくれたっけ。
花子(……あの頃は、まだ仲良かったんでしょ……?)
櫻子が去年家につれてきた女の子。
ひま姉のためとはいえ、少々張りつめすぎてはいないかと心配になっていた花子の櫻子に対する不安を、あの人の笑顔は解消してくれた。
こんなに必死に頑張ってるけど、櫻子は今の学校でも楽しくやってるんだなって初めて実感できて、花子はすごく安心した。
そしてあの人は……きっとあの夏の日からずっと、櫻子のことが好きだったんだ。
花子(櫻子って……やっぱりモテるんだ……)
櫻子が友達の多い子だっていうのはわかっていたけど、こうも人に恋い焦がれられるタイプなのかといわれると、花子はどこか納得できない。
姉妹だからか、いつも一緒に暮らしているからか、花子には櫻子の悪い部分がよく見えてしまう。なんでこんなだらしない人のことを好きになるのかわからない。正直ひま姉のことも意外に思う。櫻子のどこが好きなんだろう。
花子(モテるくせに……いい気になってるから、昨日みたいなことになるんだし……)
自分を好きだと言ってくれる人がいるのに、会いたいとまで言ってくれてるのに、その人のことを見てあげないなんて。
昨日は本当に腹が立った。友達思いが櫻子の数少ない取り柄だと思ってたのに。
花子(どうなるんだろう……これから)
あの調子だと櫻子は、花火大会の日も会ってあげないのだろう。あの人から目を背けることで、相対的にひま姉に注力できているのだと思い込んでいる。
可哀想に。遠く離れた櫻子のために予定を作ってまで会おうとしてくれてるのに。ひとたび離れてしまえばないがしろにされてしまう存在でしかなかったんだ、あの人は。
ひま姉と離れている間、元気をなくした櫻子を支えてくれていたはずなのに。
櫻子はひどい。
やっぱり櫻子はばかだ。
勉強はできるようになったかもしれないけど……中身がてんでだめ。
そんなことじゃ、きっといつかひま姉にも見放されちゃうときがくるに違いないし。
ここで一緒に宿題をした。一緒にごはんを食べた。櫻子はもくもくと頑張っていたけど、話しかければいつだって答えてくれた。
花子の友達の話も聞いてくれた。櫻子の学校の話もしてくれた。ひま姉との昔話に花を咲かせた。撫子お姉ちゃんに一緒に電話をかけたりもした。
毎日、毎日、ここにいてくれたっけ。
花子(……あの頃は、まだ仲良かったんでしょ……?)
櫻子が去年家につれてきた女の子。
ひま姉のためとはいえ、少々張りつめすぎてはいないかと心配になっていた花子の櫻子に対する不安を、あの人の笑顔は解消してくれた。
こんなに必死に頑張ってるけど、櫻子は今の学校でも楽しくやってるんだなって初めて実感できて、花子はすごく安心した。
そしてあの人は……きっとあの夏の日からずっと、櫻子のことが好きだったんだ。
花子(櫻子って……やっぱりモテるんだ……)
櫻子が友達の多い子だっていうのはわかっていたけど、こうも人に恋い焦がれられるタイプなのかといわれると、花子はどこか納得できない。
姉妹だからか、いつも一緒に暮らしているからか、花子には櫻子の悪い部分がよく見えてしまう。なんでこんなだらしない人のことを好きになるのかわからない。正直ひま姉のことも意外に思う。櫻子のどこが好きなんだろう。
花子(モテるくせに……いい気になってるから、昨日みたいなことになるんだし……)
自分を好きだと言ってくれる人がいるのに、会いたいとまで言ってくれてるのに、その人のことを見てあげないなんて。
昨日は本当に腹が立った。友達思いが櫻子の数少ない取り柄だと思ってたのに。
花子(どうなるんだろう……これから)
あの調子だと櫻子は、花火大会の日も会ってあげないのだろう。あの人から目を背けることで、相対的にひま姉に注力できているのだと思い込んでいる。
可哀想に。遠く離れた櫻子のために予定を作ってまで会おうとしてくれてるのに。ひとたび離れてしまえばないがしろにされてしまう存在でしかなかったんだ、あの人は。
ひま姉と離れている間、元気をなくした櫻子を支えてくれていたはずなのに。
櫻子はひどい。
やっぱり櫻子はばかだ。
勉強はできるようになったかもしれないけど……中身がてんでだめ。
そんなことじゃ、きっといつかひま姉にも見放されちゃうときがくるに違いないし。
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:17:46.15 ID:+EtVRVLso
花子「…………」
時計を見ると、もう起きた時からだいぶ経っていた。ぼーっとしているだけで時間はどんどん過ぎていく。
思い切って気だるい身体をむくりと起こし、深呼吸して発想を転換させる。
そうだ、今日は櫻子がいないんだ。
こんなにせいせいする日はない。今まで櫻子がいたからできなかったようなことも、今日ならばなんでもしていいんだ。
それに今夜は撫子おねえちゃんが帰ってくる日。今日はお掃除を頑張ろうって、昨日予定を立てたのを思い出した。のんびりうかうかしていられない。
花子(……よしっ!)ぱっ
花子はぱっと思い立ち、さっそくパジャマを着替えた。
何を着ようかな、と悩んでいるとき……ふといいことを考えてしまった。今日しかできない特別なことがある。
櫻子のクローゼットを勝手に開ける。ごそごそと漁って、花子の目当ての洋服を探した。
花子(あったあった……♪)
櫻子のお洋服を取り出す。もとは撫子おねえちゃんが大切に着ていた洋服で、花子から見てもすごく可愛いと思う。
最近の櫻子はほとんど着ていない様子だから「ちょうだい」とたびたび言ってるのに、「まだ私が着られるから」と言って一向に譲ってくれない。
今日くらいは勝手に着てしまおう。帰ってくる前に元に戻せばいいだけだ。
憧れの洋服を着て、姿見の前で綺麗に整えた。スカートをひろげたり、くるりと回ったりしてみる。少しサイズは大きいかもしれないけど、そこまでの問題ではなかった。
ほーら、やっぱりこの服は櫻子が着るよりも花子が着た方が似合うんだし。
花子(お、おでかけしちゃおうかな……///)
外は暑いけど、せっかくだからどこかに出かけでもしないともったいない。近くのコンビニでアイスでも買ってこようか。
ひとたび考え始めるといろいろな “したいこと” が思い浮かんできて、なんだかわくわくしてきた。
もう一度洗面所に行って髪を梳いて綺麗に整え、外出する準備をして家を出た。忘れずにちゃんと鍵もかける。
花子だってもう、六年生なんだから。
時計を見ると、もう起きた時からだいぶ経っていた。ぼーっとしているだけで時間はどんどん過ぎていく。
思い切って気だるい身体をむくりと起こし、深呼吸して発想を転換させる。
そうだ、今日は櫻子がいないんだ。
こんなにせいせいする日はない。今まで櫻子がいたからできなかったようなことも、今日ならばなんでもしていいんだ。
それに今夜は撫子おねえちゃんが帰ってくる日。今日はお掃除を頑張ろうって、昨日予定を立てたのを思い出した。のんびりうかうかしていられない。
花子(……よしっ!)ぱっ
花子はぱっと思い立ち、さっそくパジャマを着替えた。
何を着ようかな、と悩んでいるとき……ふといいことを考えてしまった。今日しかできない特別なことがある。
櫻子のクローゼットを勝手に開ける。ごそごそと漁って、花子の目当ての洋服を探した。
花子(あったあった……♪)
櫻子のお洋服を取り出す。もとは撫子おねえちゃんが大切に着ていた洋服で、花子から見てもすごく可愛いと思う。
最近の櫻子はほとんど着ていない様子だから「ちょうだい」とたびたび言ってるのに、「まだ私が着られるから」と言って一向に譲ってくれない。
今日くらいは勝手に着てしまおう。帰ってくる前に元に戻せばいいだけだ。
憧れの洋服を着て、姿見の前で綺麗に整えた。スカートをひろげたり、くるりと回ったりしてみる。少しサイズは大きいかもしれないけど、そこまでの問題ではなかった。
ほーら、やっぱりこの服は櫻子が着るよりも花子が着た方が似合うんだし。
花子(お、おでかけしちゃおうかな……///)
外は暑いけど、せっかくだからどこかに出かけでもしないともったいない。近くのコンビニでアイスでも買ってこようか。
ひとたび考え始めるといろいろな “したいこと” が思い浮かんできて、なんだかわくわくしてきた。
もう一度洗面所に行って髪を梳いて綺麗に整え、外出する準備をして家を出た。忘れずにちゃんと鍵もかける。
花子だってもう、六年生なんだから。
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:18:46.52 ID:+EtVRVLso
~
*
櫻子とどこか遠くに出かけるのはどれくらいぶりだろう。
早朝から出発して電車に揺られ、外の景色もだんだんと都会に近づいてきた気がする。
読んでいた本から目を外し、隣に座る櫻子を横目で見た。
櫻子「…………」
今日はあまりにも大人しいので、早起きがたたって寝ているのかと思ったが……ここまで一回も寝ていない。
目はきちんとあけたまま、ぼんやりと外をながめている。
向日葵(……何か、あったかしら)
今回の旅は櫻子の方から誘ってきたくせに、どうにも一抹の不安のようなものを抱えているような気がした。
この子は普段が普段なだけに、大人しくしている方が不自然だ。
向日葵「……櫻子」
櫻子「…………」
向日葵「ねえ」つんつん
櫻子「ん……何?」
向日葵「……どこで降りるんでしたっけ、駅」
櫻子「えっとね……あれ、今どこだっけ?」
向日葵「…………」
ずっと外を眺めていたと思っていたのに、櫻子は窓の外に注意をこらしてここがどこなのかを確かめようとした。
同時に車内アナウンスで次の到着駅が知らされ、携帯電話で表示した時刻表と照らし合わせて確認する。
櫻子「ああ、えーと……あと5駅だね。もうすぐ乗り換えなきゃ」
向日葵「…………」じっ
櫻子「……な、なに?」
向日葵「……こっちのセリフですわよ。今日はずっと何を悩んでるんですの?」
櫻子「な、悩んでないよ!? 何も!」ぶんぶん
向日葵「ほんと嘘が下手ですわね……」
櫻子「うぅ……」
*
櫻子とどこか遠くに出かけるのはどれくらいぶりだろう。
早朝から出発して電車に揺られ、外の景色もだんだんと都会に近づいてきた気がする。
読んでいた本から目を外し、隣に座る櫻子を横目で見た。
櫻子「…………」
今日はあまりにも大人しいので、早起きがたたって寝ているのかと思ったが……ここまで一回も寝ていない。
目はきちんとあけたまま、ぼんやりと外をながめている。
向日葵(……何か、あったかしら)
今回の旅は櫻子の方から誘ってきたくせに、どうにも一抹の不安のようなものを抱えているような気がした。
この子は普段が普段なだけに、大人しくしている方が不自然だ。
向日葵「……櫻子」
櫻子「…………」
向日葵「ねえ」つんつん
櫻子「ん……何?」
向日葵「……どこで降りるんでしたっけ、駅」
櫻子「えっとね……あれ、今どこだっけ?」
向日葵「…………」
ずっと外を眺めていたと思っていたのに、櫻子は窓の外に注意をこらしてここがどこなのかを確かめようとした。
同時に車内アナウンスで次の到着駅が知らされ、携帯電話で表示した時刻表と照らし合わせて確認する。
櫻子「ああ、えーと……あと5駅だね。もうすぐ乗り換えなきゃ」
向日葵「…………」じっ
櫻子「……な、なに?」
向日葵「……こっちのセリフですわよ。今日はずっと何を悩んでるんですの?」
櫻子「な、悩んでないよ!? 何も!」ぶんぶん
向日葵「ほんと嘘が下手ですわね……」
櫻子「うぅ……」
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:19:16.88 ID:+EtVRVLso
向日葵「何でも相談しなさいな。大学でもそんな感じで説明聞いてたら、せっかくこうして来てるのにほとんど頭に入らないですわよ?」
櫻子「…………」
向日葵「……どうしたの? 大学のことで不安があるとか?」
櫻子「ううん……」
向日葵「じゃあ何? ちゃんと自分の口から教えて」
櫻子「…………」はぁ
……やっぱり今日の櫻子はおかしい。
朝は私もぼんやりしていて気が回せなかったが、この様子だと昨日のうちぐらいから何かあったのではないだろうか。
考えても思い当たる節があまりない。最近は櫻子とほぼ毎日一緒にいるから、何かあるとすればなんとなくでも気づけるはずだ。
そしてここまで思いつめているとなると、軽い悩みではないことが伺える。
向日葵(……もしかして、私に言えないような悩み?)
向日葵「……櫻子」すっ
櫻子「え……」
元気のない櫻子に少し詰め寄り、前後の席の人には聞こえない程度のボリュームで囁く。
向日葵「私、あなたの彼女ですわ」
櫻子「っ!」どきっ
向日葵「ですから、その……あなたが悩んでるところを見るの、嫌なんですけど」
櫻子「な、何言いだすの急に……///」
向日葵「これでも真剣に言ってますわ。些細なことなら相談してほしいし……私が解決できることだってあるかもしれないじゃない」
櫻子「うん……わかったよ、言うよ」
櫻子は観念して、花子ちゃんのことで悩みがあるのだと打ち明けた。
櫻子「昨日の夜に喧嘩しちゃってさ……仲直りできないまま、今朝出てきちゃったんだよね」
向日葵「もう何やってるんですのよ……ちゃんと謝りなさい。どうせあなたが悪いんでしょ?」
櫻子「き、決めつけないでよっ」
向日葵「じゃあ花子ちゃんが悪いんですの?」
櫻子「っ……」
櫻子と花子ちゃんは昔から喧嘩の多い姉妹だが、そういう時はたいてい……いやほぼ100%、櫻子の方が悪い。なぜなら花子ちゃんは自分が悪いときにはきちんと謝れる子だからだ。
櫻子もだいぶかしこくなって物事の判別がつくようになってきたと思ったのに、まだそんな子供っぽい一面を持っているのだろうか。
こんなに思いつめるほど悩むんだったら、さっさと謝ってしまうのが得策だとは思えないのか。
櫻子「…………」
向日葵「……どうしたの? 大学のことで不安があるとか?」
櫻子「ううん……」
向日葵「じゃあ何? ちゃんと自分の口から教えて」
櫻子「…………」はぁ
……やっぱり今日の櫻子はおかしい。
朝は私もぼんやりしていて気が回せなかったが、この様子だと昨日のうちぐらいから何かあったのではないだろうか。
考えても思い当たる節があまりない。最近は櫻子とほぼ毎日一緒にいるから、何かあるとすればなんとなくでも気づけるはずだ。
そしてここまで思いつめているとなると、軽い悩みではないことが伺える。
向日葵(……もしかして、私に言えないような悩み?)
向日葵「……櫻子」すっ
櫻子「え……」
元気のない櫻子に少し詰め寄り、前後の席の人には聞こえない程度のボリュームで囁く。
向日葵「私、あなたの彼女ですわ」
櫻子「っ!」どきっ
向日葵「ですから、その……あなたが悩んでるところを見るの、嫌なんですけど」
櫻子「な、何言いだすの急に……///」
向日葵「これでも真剣に言ってますわ。些細なことなら相談してほしいし……私が解決できることだってあるかもしれないじゃない」
櫻子「うん……わかったよ、言うよ」
櫻子は観念して、花子ちゃんのことで悩みがあるのだと打ち明けた。
櫻子「昨日の夜に喧嘩しちゃってさ……仲直りできないまま、今朝出てきちゃったんだよね」
向日葵「もう何やってるんですのよ……ちゃんと謝りなさい。どうせあなたが悪いんでしょ?」
櫻子「き、決めつけないでよっ」
向日葵「じゃあ花子ちゃんが悪いんですの?」
櫻子「っ……」
櫻子と花子ちゃんは昔から喧嘩の多い姉妹だが、そういう時はたいてい……いやほぼ100%、櫻子の方が悪い。なぜなら花子ちゃんは自分が悪いときにはきちんと謝れる子だからだ。
櫻子もだいぶかしこくなって物事の判別がつくようになってきたと思ったのに、まだそんな子供っぽい一面を持っているのだろうか。
こんなに思いつめるほど悩むんだったら、さっさと謝ってしまうのが得策だとは思えないのか。
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:19:44.52 ID:+EtVRVLso
櫻子「花子、ってさ……」
向日葵「?」
櫻子「ほんと……いい子だよね」
向日葵「は、はぁ……? どうしたんですの急に、あなたがそんなこと言うなんて」
櫻子「ううん……そう思っただけ。私の妹とは思えないくらい、いい子」
向日葵「……それはつまり、あなたは花子ちゃんよりも悪い子ってことですの?」
櫻子「…………」
電車が刻一刻と目的地に近づく中、櫻子はまた黙り込んでしまった。
なんだか今回は、今までの些細な姉妹喧嘩とは違う気がした。ついこの前まで仲良かったはずだから突発的に起こったことには違いないだろうが、花子ちゃんのことでここまで思いつめる櫻子は今まで見たことが無かった。
向日葵「もうすぐ乗り換えですわね。荷物まとめましょ」
櫻子「うん……」
向日葵「次に乗るのは何線でしたっけ。えーっと……」
櫻子「花子って……もしかして、向日葵のことが好きだったのかな……」
向日葵「…………え?」
肘掛けに頬杖をついたまま、櫻子は急にそんなことを言ってきた。
櫻子がここで言う「好き」は……人間的に好きという類のものではないのだろう、きっと。
向日葵「?」
櫻子「ほんと……いい子だよね」
向日葵「は、はぁ……? どうしたんですの急に、あなたがそんなこと言うなんて」
櫻子「ううん……そう思っただけ。私の妹とは思えないくらい、いい子」
向日葵「……それはつまり、あなたは花子ちゃんよりも悪い子ってことですの?」
櫻子「…………」
電車が刻一刻と目的地に近づく中、櫻子はまた黙り込んでしまった。
なんだか今回は、今までの些細な姉妹喧嘩とは違う気がした。ついこの前まで仲良かったはずだから突発的に起こったことには違いないだろうが、花子ちゃんのことでここまで思いつめる櫻子は今まで見たことが無かった。
向日葵「もうすぐ乗り換えですわね。荷物まとめましょ」
櫻子「うん……」
向日葵「次に乗るのは何線でしたっけ。えーっと……」
櫻子「花子って……もしかして、向日葵のことが好きだったのかな……」
向日葵「…………え?」
肘掛けに頬杖をついたまま、櫻子は急にそんなことを言ってきた。
櫻子がここで言う「好き」は……人間的に好きという類のものではないのだろう、きっと。
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:20:56.47 ID:+EtVRVLso
~
*
花子「……?」
先にアイスを買ってしまうとこの暑さの中では溶けてしまうので、いろいろと散歩してから最後にアイスを買って家に帰った。
そうして家の前まで来ると……花子の家の玄関付近に立ち止まって、女の人が二階の窓を眺めていた。
花子(あ……っ!)
「あ……」
そこにいたのは……
「あれ……花子ちゃん、だよね?」
花子「はっ、はい」
「えへへ、あー……私のこと覚えてるかな? 前にあったことあるんだけど~……」
花子「お、覚えてます……」
昨日櫻子にLINEでメッセージを送ってきた、あの女の人だった。
花子(なんでここに……!?)
「あ、その服……櫻子も前に着てた気がする」
花子「あ……そうなんです。これ櫻子の服だから……」
「やっぱり! 懐かしいなぁ」
花子「……えっと、どうかしたんですか? うちに何か用でも……」
勇気を出して花子が尋ねてみると、そのお姉さんは恥ずかしそうにサイドテールをくるくるといじりながら答えた。
「んーん、たまたま通りかかっただけなの。櫻子いるかなあって思ったから、立ち止まっちゃった♪」
花子「…………」
……花子でもわかるくらいの嘘。昨日のメッセージを見てしまっている花子に、そんなのは通用しなかった。
このお姉さんは、櫻子に会いたいから、来たんだ。
「それであの、櫻子は……?」
花子「あのっ、ごめんなさい! 櫻子は朝早くから、電車で出かけてて……」
「ああそっか。そうなんだ……」
花子「き、聞いてないんですか? 櫻子から」
「うん、櫻子は何も……っじゃなかった! えっと、その……今日はたまたま来ただけだからさ! あはは……///」
花子「…………」
「あはは……ぁ……」
*
花子「……?」
先にアイスを買ってしまうとこの暑さの中では溶けてしまうので、いろいろと散歩してから最後にアイスを買って家に帰った。
そうして家の前まで来ると……花子の家の玄関付近に立ち止まって、女の人が二階の窓を眺めていた。
花子(あ……っ!)
「あ……」
そこにいたのは……
「あれ……花子ちゃん、だよね?」
花子「はっ、はい」
「えへへ、あー……私のこと覚えてるかな? 前にあったことあるんだけど~……」
花子「お、覚えてます……」
昨日櫻子にLINEでメッセージを送ってきた、あの女の人だった。
花子(なんでここに……!?)
「あ、その服……櫻子も前に着てた気がする」
花子「あ……そうなんです。これ櫻子の服だから……」
「やっぱり! 懐かしいなぁ」
花子「……えっと、どうかしたんですか? うちに何か用でも……」
勇気を出して花子が尋ねてみると、そのお姉さんは恥ずかしそうにサイドテールをくるくるといじりながら答えた。
「んーん、たまたま通りかかっただけなの。櫻子いるかなあって思ったから、立ち止まっちゃった♪」
花子「…………」
……花子でもわかるくらいの嘘。昨日のメッセージを見てしまっている花子に、そんなのは通用しなかった。
このお姉さんは、櫻子に会いたいから、来たんだ。
「それであの、櫻子は……?」
花子「あのっ、ごめんなさい! 櫻子は朝早くから、電車で出かけてて……」
「ああそっか。そうなんだ……」
花子「き、聞いてないんですか? 櫻子から」
「うん、櫻子は何も……っじゃなかった! えっと、その……今日はたまたま来ただけだからさ! あはは……///」
花子「…………」
「あはは……ぁ……」
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:21:24.36 ID:+EtVRVLso
じりじりと暑い空の下、お姉さんはみるみる元気をなくしていった。
ごまかすことはできないと何となくわかったのか、急にさびしそうな顔になった。
「……ごめんね、ありがとう……また来ます」とぼとぼ
花子(あっ……)
作り笑顔でそういうと、くるりと踵を返して行ってしまった。
寂しそうな小さい背中を見送る。
あのお姉さんはどんな気持ちでここまで来たんだろう。櫻子とお姉さんは、今どんな状況にあるんだろう。
家に入って、かるく溶けかけたアイスを冷凍庫にぱたんとしまい、先ほどの寂しそうな笑顔を想い浮かべる。
[ごめん]
[やっぱり、会いたいよ]
[花火大会の日、休みとれたよ]
[去年みたいに、一緒に行けないかな?]
切ない笑顔と一緒に、昨日のLINEメッセージまで脳裏をよぎった。
こうして会えるかもわからないのに訪ねてきてしまうくらいだ。やっぱりそのくらい……櫻子に会いたいんだ。それくらい二人は会えてないんだ。
花子(今日出かけちゃうことくらい……教えておいてあげなよ……っ!)
会いたいなら、予定を合わせて会えばいいだけ。あのお姉さんはそれすらもできていないんだろう。だからこうして強硬手段に出てしまったんだ。
「櫻子は何も……」と言ったときの、悲しげな笑顔がフラッシュバックする。
花子「っ……!」だっ
気づけば花子は、つっかけを履いて外に走り出していた。
お姉さんが歩いて行った方向へと走る。まだ遠くまでは行ってないはず。まだ追いつけるはず。
なんとなくこっち側だろうという感覚を頼りにひた走る。
角を曲がって視界が開けると、遠くの方にあの寂しげな小さい背中があった。急いで追いかける。
花子「あ、あのっ!」たたたっ
「っ!」びくっ
花子「あの……ちょっと、いいですか……!」はぁはぁ
「は、花子ちゃん……!?///」
ごまかすことはできないと何となくわかったのか、急にさびしそうな顔になった。
「……ごめんね、ありがとう……また来ます」とぼとぼ
花子(あっ……)
作り笑顔でそういうと、くるりと踵を返して行ってしまった。
寂しそうな小さい背中を見送る。
あのお姉さんはどんな気持ちでここまで来たんだろう。櫻子とお姉さんは、今どんな状況にあるんだろう。
家に入って、かるく溶けかけたアイスを冷凍庫にぱたんとしまい、先ほどの寂しそうな笑顔を想い浮かべる。
[ごめん]
[やっぱり、会いたいよ]
[花火大会の日、休みとれたよ]
[去年みたいに、一緒に行けないかな?]
切ない笑顔と一緒に、昨日のLINEメッセージまで脳裏をよぎった。
こうして会えるかもわからないのに訪ねてきてしまうくらいだ。やっぱりそのくらい……櫻子に会いたいんだ。それくらい二人は会えてないんだ。
花子(今日出かけちゃうことくらい……教えておいてあげなよ……っ!)
会いたいなら、予定を合わせて会えばいいだけ。あのお姉さんはそれすらもできていないんだろう。だからこうして強硬手段に出てしまったんだ。
「櫻子は何も……」と言ったときの、悲しげな笑顔がフラッシュバックする。
花子「っ……!」だっ
気づけば花子は、つっかけを履いて外に走り出していた。
お姉さんが歩いて行った方向へと走る。まだ遠くまでは行ってないはず。まだ追いつけるはず。
なんとなくこっち側だろうという感覚を頼りにひた走る。
角を曲がって視界が開けると、遠くの方にあの寂しげな小さい背中があった。急いで追いかける。
花子「あ、あのっ!」たたたっ
「っ!」びくっ
花子「あの……ちょっと、いいですか……!」はぁはぁ
「は、花子ちゃん……!?///」
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:22:12.20 ID:+EtVRVLso
~
近くにあった公園の日陰のベンチで、お姉さんと花子は並んで座った。
「ちょっと待っててね」と言うと、自販機でつめたいお茶を買ってきてくれた。走った後でものすごく喉が渇いていたので、ありがたく受け取ってすぐに飲む。
花子「…………」ふぅ
「ふふ、まさか花子ちゃんが来てくれるなんて思わなかった」
花子「えっ……?」
「やっぱり櫻子の妹なんだねぇ。そういうところ、すごく似てると思う」
花子「…………」
この人と一対一で話すのはもちろん初めてだ。
櫻子があんな調子だから、この人のことはよく知らされていない。どんな人なのかも正直よくわかってない。
ただ、あんな櫻子のことでも好きでいてくれている人。それだけは間違いなかった。
花子「櫻子と……何があったんですか?」
「えっ……」
花子「ご、ごめんなさい。でも……気になって」
「…………」
花子「昨日、お姉さんが櫻子に送ったLINEを……偶然、見ちゃったんです……」
「!」
お姉さんはあからさまにぎくっと反応した。でもここで怖がっちゃいけない。本当のことをきちんと話さなくちゃ。
花子「それで花子も昨日……櫻子と喧嘩しちゃって。なんで櫻子がちゃんとお姉さんに向き合ってあげないのかが、わからなくて……」
「……そうだったんだ。知ってたんだね」
花子「ごめんなさい……!」
「あ、謝らないで? ほんと……うん、悪いのは私だからさ」
お姉さんは小さく手を振って自重すると、うつむきがちに話してくれた。
「櫻子は……今日どこに?」
花子「えっと、大学のおーぷんきゃんぱすってやつに朝から行ってて……」
「ああそっか……! 櫻子頭いいもんね。大学行くんだ……そっかぁ」
「櫻子頭いいもんね」というひどく聞き慣れない言葉がひっかかる。
けれどこのお姉さんの学校で、櫻子はトップの成績にまでのぼりつめたのだから、この人の中ではそういう印象なのだろう。
近くにあった公園の日陰のベンチで、お姉さんと花子は並んで座った。
「ちょっと待っててね」と言うと、自販機でつめたいお茶を買ってきてくれた。走った後でものすごく喉が渇いていたので、ありがたく受け取ってすぐに飲む。
花子「…………」ふぅ
「ふふ、まさか花子ちゃんが来てくれるなんて思わなかった」
花子「えっ……?」
「やっぱり櫻子の妹なんだねぇ。そういうところ、すごく似てると思う」
花子「…………」
この人と一対一で話すのはもちろん初めてだ。
櫻子があんな調子だから、この人のことはよく知らされていない。どんな人なのかも正直よくわかってない。
ただ、あんな櫻子のことでも好きでいてくれている人。それだけは間違いなかった。
花子「櫻子と……何があったんですか?」
「えっ……」
花子「ご、ごめんなさい。でも……気になって」
「…………」
花子「昨日、お姉さんが櫻子に送ったLINEを……偶然、見ちゃったんです……」
「!」
お姉さんはあからさまにぎくっと反応した。でもここで怖がっちゃいけない。本当のことをきちんと話さなくちゃ。
花子「それで花子も昨日……櫻子と喧嘩しちゃって。なんで櫻子がちゃんとお姉さんに向き合ってあげないのかが、わからなくて……」
「……そうだったんだ。知ってたんだね」
花子「ごめんなさい……!」
「あ、謝らないで? ほんと……うん、悪いのは私だからさ」
お姉さんは小さく手を振って自重すると、うつむきがちに話してくれた。
「櫻子は……今日どこに?」
花子「えっと、大学のおーぷんきゃんぱすってやつに朝から行ってて……」
「ああそっか……! 櫻子頭いいもんね。大学行くんだ……そっかぁ」
「櫻子頭いいもんね」というひどく聞き慣れない言葉がひっかかる。
けれどこのお姉さんの学校で、櫻子はトップの成績にまでのぼりつめたのだから、この人の中ではそういう印象なのだろう。
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:22:40.48 ID:+EtVRVLso
「やっぱりすごいね、櫻子って……そんなに大学に行きたかったんだぁ」
花子「え?」
「だって、そのために転校しちゃったんだもんね? うちの学校じゃレベルの高いところは目指せないから……だから転校したんだよね、きっと」
花子(ち、違う気がするし……)
お姉さんの言うことに違和感を覚えた。櫻子は大学への執着はそこまでないはずだ。そんなのあまり聞いたことが無い。
転校したのは、ただひま姉のところに帰りたいからで……
花子(あっ……!!)はっ
もしかして櫻子は……ひま姉の存在自体、この人に教えていないのだろうか。
「どこの大学目指してるんだろ? もしも遠くに行くんだとしたら、私もその近くでお仕事探そうかなー、なんちゃって……」
花子「っ……」
「花子ちゃん、わかる?」
花子「いや、櫻子は……そこまで詳しいことは……」
「ふふ、そっかぁ」
お姉さんの物憂げな笑顔が見ていられない。
この人は、櫻子のことを知らなすぎる。
知らないのに、教えてもらえないのに……こんなに櫻子のことが好きなんだ。
「……櫻子からはね、あんまり連絡ないんだ」
花子「!」
「昔は些細なことでもLINEで話し合ったり、お休みの日はたまーに遊んだりしたんだけど……転校してからはもうめっきり。向こうから話しかけてくれたことは全然ない。たまに『元気?』って聞くと、『元気だよ』って返してくれるくらいで」
花子「…………」
「なんでだろう……やっぱり私が、詰め寄りすぎたからかな……気持ち悪いって、思われちゃったのかな……」はぁ
花子「そ、そんなことないし!」
「えっ?」
思わず大きな声を出してしまった。お姉さんが悲しむ顔をするのが嫌で、なんとかいい表情になってほしかった。
花子「昨日、櫻子はお姉さんのことを話してたし。一年間ずっと一緒にいてくれた、仲良しの友達だって」
「さ、櫻子が!?」
花子「はい……っ」
花子がそう言ってあげると、お姉さんは顔をぱあっと輝かせて驚いた。
ああ、この楽しそうな顔……去年うちに遊びに来た時に見た、この人の元気なときの笑顔だ。
花子「え?」
「だって、そのために転校しちゃったんだもんね? うちの学校じゃレベルの高いところは目指せないから……だから転校したんだよね、きっと」
花子(ち、違う気がするし……)
お姉さんの言うことに違和感を覚えた。櫻子は大学への執着はそこまでないはずだ。そんなのあまり聞いたことが無い。
転校したのは、ただひま姉のところに帰りたいからで……
花子(あっ……!!)はっ
もしかして櫻子は……ひま姉の存在自体、この人に教えていないのだろうか。
「どこの大学目指してるんだろ? もしも遠くに行くんだとしたら、私もその近くでお仕事探そうかなー、なんちゃって……」
花子「っ……」
「花子ちゃん、わかる?」
花子「いや、櫻子は……そこまで詳しいことは……」
「ふふ、そっかぁ」
お姉さんの物憂げな笑顔が見ていられない。
この人は、櫻子のことを知らなすぎる。
知らないのに、教えてもらえないのに……こんなに櫻子のことが好きなんだ。
「……櫻子からはね、あんまり連絡ないんだ」
花子「!」
「昔は些細なことでもLINEで話し合ったり、お休みの日はたまーに遊んだりしたんだけど……転校してからはもうめっきり。向こうから話しかけてくれたことは全然ない。たまに『元気?』って聞くと、『元気だよ』って返してくれるくらいで」
花子「…………」
「なんでだろう……やっぱり私が、詰め寄りすぎたからかな……気持ち悪いって、思われちゃったのかな……」はぁ
花子「そ、そんなことないし!」
「えっ?」
思わず大きな声を出してしまった。お姉さんが悲しむ顔をするのが嫌で、なんとかいい表情になってほしかった。
花子「昨日、櫻子はお姉さんのことを話してたし。一年間ずっと一緒にいてくれた、仲良しの友達だって」
「さ、櫻子が!?」
花子「はい……っ」
花子がそう言ってあげると、お姉さんは顔をぱあっと輝かせて驚いた。
ああ、この楽しそうな顔……去年うちに遊びに来た時に見た、この人の元気なときの笑顔だ。
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:23:18.67 ID:+EtVRVLso
花子「お姉さんのこと……櫻子もきっと大切に思ってます。櫻子は友達のことを大切にする人だから……」
「そうなんだ……でも、じゃあなんで……なんで櫻子はいなくなっちゃったのかなぁ……」
私は櫻子と違ってばかだからよくわからなくてさ、と自虐的に笑う。
花子「…………」
ひとつだけ……たったひとつだけ櫻子のことを知らないだけで、この人は櫻子に縛られているんだ。
櫻子には、ひま姉がいるという……そのことだけ。
花子(……教えて、あげなきゃ)ごくっ
昨日の調子では、櫻子はこのお姉さんに会うことすら避けたいような感じだった。
楽しみにしていたひま姉との花火大会を取りやめるくらい、この人にひま姉のことを知られたくないんだ。
櫻子のことを「好き」って言ってくれてるから。
この人に……残酷な真実を打ち明けるのが、怖いんだ。
花子「……お姉さん」
「ん、なあに?」
花子「櫻子は……どうして転校するのか、言ってなかったんですか?」
「うん……そもそも転校するってちゃんと教えてくれたのも、ほんとギリギリになってからだったんだよ。生徒の間でなんとなく『櫻子が転校するかもしれない』って噂だけが独り歩きして、そうしてる間に……学年が変わったら、もう櫻子はいなくなっちゃった」
――思い出した。
去年の春休み、櫻子が撫子お姉ちゃんと泣きながら電話していたこと。
まだ入学すらしていないのに……「転校したい」と言っていたときのことを。
花子「……お、お姉さん……実は……」
「ん?」
花子「櫻子は……そっちの学校に入学した最初の時から……ずっと転校したがってたんです……」ぐっ
「え……っ?」
握りしめた拳に力をこめて、なんとか喉の奥から声を出した。
お姉さんの顔が怖くて見られない。でもこれは、きちんと知っておくべきだ。
櫻子はどうせ言わないのだから。花子が言ってあげるしかない。
花子「櫻子には……大好きな、幼馴染みの女の子がいるんです」
「……!」
「そうなんだ……でも、じゃあなんで……なんで櫻子はいなくなっちゃったのかなぁ……」
私は櫻子と違ってばかだからよくわからなくてさ、と自虐的に笑う。
花子「…………」
ひとつだけ……たったひとつだけ櫻子のことを知らないだけで、この人は櫻子に縛られているんだ。
櫻子には、ひま姉がいるという……そのことだけ。
花子(……教えて、あげなきゃ)ごくっ
昨日の調子では、櫻子はこのお姉さんに会うことすら避けたいような感じだった。
楽しみにしていたひま姉との花火大会を取りやめるくらい、この人にひま姉のことを知られたくないんだ。
櫻子のことを「好き」って言ってくれてるから。
この人に……残酷な真実を打ち明けるのが、怖いんだ。
花子「……お姉さん」
「ん、なあに?」
花子「櫻子は……どうして転校するのか、言ってなかったんですか?」
「うん……そもそも転校するってちゃんと教えてくれたのも、ほんとギリギリになってからだったんだよ。生徒の間でなんとなく『櫻子が転校するかもしれない』って噂だけが独り歩きして、そうしてる間に……学年が変わったら、もう櫻子はいなくなっちゃった」
――思い出した。
去年の春休み、櫻子が撫子お姉ちゃんと泣きながら電話していたこと。
まだ入学すらしていないのに……「転校したい」と言っていたときのことを。
花子「……お、お姉さん……実は……」
「ん?」
花子「櫻子は……そっちの学校に入学した最初の時から……ずっと転校したがってたんです……」ぐっ
「え……っ?」
握りしめた拳に力をこめて、なんとか喉の奥から声を出した。
お姉さんの顔が怖くて見られない。でもこれは、きちんと知っておくべきだ。
櫻子はどうせ言わないのだから。花子が言ってあげるしかない。
花子「櫻子には……大好きな、幼馴染みの女の子がいるんです」
「……!」
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:24:10.93 ID:+EtVRVLso
小さい時からずっと一緒で……家も隣同士。
小学校も中学校も、毎日毎日一緒に通い続けた。
でもそれまでの櫻子はバカだったから……高校受験を境にして、その幼馴染みとは別れることになった。
初めてそこで、二人が離ればなれになった。
櫻子は自分の成績の悪さを自覚したときから、一緒の高校には行けないという事実を痛感していた。
もしかしたら幼馴染みの方が、櫻子の行く高校に合わせてくれるかもしれなかったけど……
ちゃんと自分の身の丈にあったところに行った方がいいよって、送り出した。
送り出したくせに、櫻子はぜんぜん納得いってなくて……受験期は、家に帰ってきてよく泣いてた。
自分が勉強してこなかったのが悪いのに。ずっとずっとその人に勉強の面倒まで見てもらってたのに……
差し伸べてもらっていた手に素直に向き合えなかったこと、死ぬほど後悔してた。
失って初めて、その大切さに気付いた。
花子「お姉さん……櫻子が転校したのは、その幼馴染みがいる学校なんです」
「!!」
一年間死ぬほど努力して。
暑い日も寒い日も、せっせと勉強して。
その子のことを考えながら、その子に会いたいって思いながら、毎日毎日がんばって。
花子「それくらい好きな人が……櫻子には、いるんです……」
「っ……」
そよ風がさわさわと小枝を縫う。蝉の鳴き声が、花子たちの無言の間を包んだ。
お姉さんはずっと高い空を見つめていた。青く澄み渡る空、夏の入道雲。
「そっか……そうだったんだ」
花子「…………」
「ありがとう……どおりでわかったよ! 櫻子があんなに眩しく、輝いて見えてたわけ……///」
花子「え……?」
「好きな人のために……ずっと頑張ってたんだよね、最初から。私はそんな櫻子を見てきたんだ……」
「学校終わったらすぐに帰るわけも……お休みの日も忙しいからってあんまり遊べないわけも……」
「私の告白が叶わなかったわけも……全部、その子のためだったんだよね。きっと……///」
空を見上げていたお姉さんの目の端から、涙がひとしずくこぼれおちた。
花子「あ……っ」
「知らなかった……そんな大きなことさえ、知らなかったんだなぁ……私……///」
花子「な、泣かないで……!」
「うん……うん。でも……なんとなくわかってた。わかってたよ……」
小学校も中学校も、毎日毎日一緒に通い続けた。
でもそれまでの櫻子はバカだったから……高校受験を境にして、その幼馴染みとは別れることになった。
初めてそこで、二人が離ればなれになった。
櫻子は自分の成績の悪さを自覚したときから、一緒の高校には行けないという事実を痛感していた。
もしかしたら幼馴染みの方が、櫻子の行く高校に合わせてくれるかもしれなかったけど……
ちゃんと自分の身の丈にあったところに行った方がいいよって、送り出した。
送り出したくせに、櫻子はぜんぜん納得いってなくて……受験期は、家に帰ってきてよく泣いてた。
自分が勉強してこなかったのが悪いのに。ずっとずっとその人に勉強の面倒まで見てもらってたのに……
差し伸べてもらっていた手に素直に向き合えなかったこと、死ぬほど後悔してた。
失って初めて、その大切さに気付いた。
花子「お姉さん……櫻子が転校したのは、その幼馴染みがいる学校なんです」
「!!」
一年間死ぬほど努力して。
暑い日も寒い日も、せっせと勉強して。
その子のことを考えながら、その子に会いたいって思いながら、毎日毎日がんばって。
花子「それくらい好きな人が……櫻子には、いるんです……」
「っ……」
そよ風がさわさわと小枝を縫う。蝉の鳴き声が、花子たちの無言の間を包んだ。
お姉さんはずっと高い空を見つめていた。青く澄み渡る空、夏の入道雲。
「そっか……そうだったんだ」
花子「…………」
「ありがとう……どおりでわかったよ! 櫻子があんなに眩しく、輝いて見えてたわけ……///」
花子「え……?」
「好きな人のために……ずっと頑張ってたんだよね、最初から。私はそんな櫻子を見てきたんだ……」
「学校終わったらすぐに帰るわけも……お休みの日も忙しいからってあんまり遊べないわけも……」
「私の告白が叶わなかったわけも……全部、その子のためだったんだよね。きっと……///」
空を見上げていたお姉さんの目の端から、涙がひとしずくこぼれおちた。
花子「あ……っ」
「知らなかった……そんな大きなことさえ、知らなかったんだなぁ……私……///」
花子「な、泣かないで……!」
「うん……うん。でも……なんとなくわかってた。わかってたよ……」
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:24:51.91 ID:+EtVRVLso
指でつっと目を拭うと、安らかな微笑みを浮かべて、はっと小さく息をついた。
傍に置いていたお茶をのむ。ひとくち飲むだけかと思ったら……そのままごくごくと、ペットボトルの半分以上を飲んでしまった。
「……っふぅ!」ぷはっ
花子「あ……」
「ふふ……櫻子ってね、いっつも謝ってばっかりなの!」
花子「え……?」
「ほんと、よく謝ってたなぁ。予定が合わなくて一緒に遊べないとき、放課後の寄り道を一緒にできないとき、クラス活動で居残りができないとき、私の告白を振った時もそう! “ごめんね” って、ずっと言ってたっけ……」
純粋にびっくりした。あの櫻子が謝ってばかりなんて……そんなの初めて聞いたことだった。
「でもね、それでもみんなからは好かれてた。秘密の多いところがなんかミステリアスで、やるときはやるって感じで、話してみれば楽しくて! みんなに勉強も教えてくれたし、それに……可愛いしさ」
花子「……///」
「今思えば……櫻子は、ずっと申し訳ないって思ってたのかな……私たちに」
「最初から転校したいって気持ちで、私たちのクラスの一員でいたことを……ずっと心の奥底で、悩んでたのかな」
花子は、櫻子の転校前の学校でのことは知らない。もちろんひま姉も知らないだろう。
一年間。ひま姉と離れた一年間の櫻子は、本当に頑張り屋さんだったけど、たまに弱々しくなっていた。
努力がすぐに形に実らなくて、調子の悪いときは、本当にこんなことでひま姉のところに帰れるのかなって不安になって……突然泣き出すこともあった。
そんな櫻子を支えてくれていたのが、お姉さんたちだったんだ。お姉さんたちに元気をもらえたからこそ、櫻子はここまで頑張ってこられた。
櫻子にとっての大切な人が……そこでも新しく生まれてしまっていた。
花子(でも……それなら……)
花子「お姉さん……櫻子はお姉さんたちに、本当はすっごく感謝していると思うし」
「えっ……」
花子「こんな私なんかと一緒に居てくれてありがとうって、思ってたはずだし。もしも櫻子がお姉さんの学校で、人付き合いが悪すぎていじめられてたとしたら……こうして成績を伸ばして転校できてたかもわからない。もともと行きたくないって言ってたくらいだし、学校ごとやめちゃってたかもしれない……」
「…………」
花子「お姉さんたちが櫻子の友達でい続けてくれたから……今の櫻子がある。だから櫻子は、お姉さんたちのこと……大切な存在だって思ってるし。きっと」
このお姉さんは、花子と一緒だ。
ひま姉と離れた一年間の櫻子を支えてくれた、影の立役者だ。
花子「櫻子がお姉さんたちに、その幼馴染みのことを秘密にしたのは……それだけ櫻子にとって、お姉さんたちが大切な存在になっちゃったってことの裏返しかもしれないし」
花子「もしもお姉さんたちのことを何とも思ってなかったら……私には先約があるんだって、きっぱり言えたはずだから。LINEとかだけで振ろうとしなかったのも……話をつけるときは、直接会って話したいって思ってたからじゃないかな……」
「…………」
花子「真実を伝えることで、お姉さんたちを傷つけちゃうのが……怖かったんだと思うし。櫻子は」
「……そういうことかぁ」
お姉さんはほっと溜め息をついた。花子の予想に妙に納得がいったらしい。きっとこの人もこの人なりに、櫻子の人柄というものをよくわかっているのだろう。
櫻子はあまり器用じゃないから、うまいこと振る舞うことができないんだって。
傍に置いていたお茶をのむ。ひとくち飲むだけかと思ったら……そのままごくごくと、ペットボトルの半分以上を飲んでしまった。
「……っふぅ!」ぷはっ
花子「あ……」
「ふふ……櫻子ってね、いっつも謝ってばっかりなの!」
花子「え……?」
「ほんと、よく謝ってたなぁ。予定が合わなくて一緒に遊べないとき、放課後の寄り道を一緒にできないとき、クラス活動で居残りができないとき、私の告白を振った時もそう! “ごめんね” って、ずっと言ってたっけ……」
純粋にびっくりした。あの櫻子が謝ってばかりなんて……そんなの初めて聞いたことだった。
「でもね、それでもみんなからは好かれてた。秘密の多いところがなんかミステリアスで、やるときはやるって感じで、話してみれば楽しくて! みんなに勉強も教えてくれたし、それに……可愛いしさ」
花子「……///」
「今思えば……櫻子は、ずっと申し訳ないって思ってたのかな……私たちに」
「最初から転校したいって気持ちで、私たちのクラスの一員でいたことを……ずっと心の奥底で、悩んでたのかな」
花子は、櫻子の転校前の学校でのことは知らない。もちろんひま姉も知らないだろう。
一年間。ひま姉と離れた一年間の櫻子は、本当に頑張り屋さんだったけど、たまに弱々しくなっていた。
努力がすぐに形に実らなくて、調子の悪いときは、本当にこんなことでひま姉のところに帰れるのかなって不安になって……突然泣き出すこともあった。
そんな櫻子を支えてくれていたのが、お姉さんたちだったんだ。お姉さんたちに元気をもらえたからこそ、櫻子はここまで頑張ってこられた。
櫻子にとっての大切な人が……そこでも新しく生まれてしまっていた。
花子(でも……それなら……)
花子「お姉さん……櫻子はお姉さんたちに、本当はすっごく感謝していると思うし」
「えっ……」
花子「こんな私なんかと一緒に居てくれてありがとうって、思ってたはずだし。もしも櫻子がお姉さんの学校で、人付き合いが悪すぎていじめられてたとしたら……こうして成績を伸ばして転校できてたかもわからない。もともと行きたくないって言ってたくらいだし、学校ごとやめちゃってたかもしれない……」
「…………」
花子「お姉さんたちが櫻子の友達でい続けてくれたから……今の櫻子がある。だから櫻子は、お姉さんたちのこと……大切な存在だって思ってるし。きっと」
このお姉さんは、花子と一緒だ。
ひま姉と離れた一年間の櫻子を支えてくれた、影の立役者だ。
花子「櫻子がお姉さんたちに、その幼馴染みのことを秘密にしたのは……それだけ櫻子にとって、お姉さんたちが大切な存在になっちゃったってことの裏返しかもしれないし」
花子「もしもお姉さんたちのことを何とも思ってなかったら……私には先約があるんだって、きっぱり言えたはずだから。LINEとかだけで振ろうとしなかったのも……話をつけるときは、直接会って話したいって思ってたからじゃないかな……」
「…………」
花子「真実を伝えることで、お姉さんたちを傷つけちゃうのが……怖かったんだと思うし。櫻子は」
「……そういうことかぁ」
お姉さんはほっと溜め息をついた。花子の予想に妙に納得がいったらしい。きっとこの人もこの人なりに、櫻子の人柄というものをよくわかっているのだろう。
櫻子はあまり器用じゃないから、うまいこと振る舞うことができないんだって。
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:25:59.72 ID:+EtVRVLso
花子「櫻子が帰ってきたら、花子が思いっきり引っ叩いておくし!」
「えっ!?」
花子「……櫻子は、やっぱりバカだった。きっぱりと真実を伝えないで何も言わないことが、お姉さんを一番苦しめてたのにまだ気づいてない……」
「…………」
櫻子への片想いが、どれだけ辛いものか。
それは、花子が一番よくわかってるから。
花子「……お姉さんは、何か櫻子に伝えたいこと……ありますか?」
「……あるよ、いっぱい……花子ちゃんが覚えきれないくらいある」にこっ
お姉さんはふんわり微笑むと、ベンチから立ち上がって、花子に勢いよく頭を下げた。
「花子ちゃん……一生のお願い」ぺこっ
「私と櫻子を……あと一回でいいから、合わせてくれないかなぁ……!」
花子「!」はっ
「その一回で……私の想いも全部伝える! もうあの時みたいに逃げない! だから……櫻子の口から、本当のことを全部聞きたいの……!」ぎゅっ
花子「……!」
「そうしたら……もう私、前に進めるようになると思うから……///」
お姉さんの目は、もう晴れやかだった。
この人の笑顔を……花子はちゃんと櫻子に伝える義務がある。
櫻子に恋をした者同士として。
櫻子のことを、嫌いになってほしくないから。
花子「……では、そろそろ花子は行きます」
「あっ、うん。気を付け……」
花子「きゃっ!?」
そろそろ家に帰ろうと思ってベンチをたったとき、洋服のフリルがベンチのどこかにひっかかってしまったのか、ぴーっと糸が伸びてしまった。
「だ、大丈夫っ?」
花子「あ~……だ、大丈夫です! このくらい直せます。もう六年生だし」
「あはは、そっか……えらいね」
花子「じゃあ、きっと櫻子をお姉さんのところへ向かわせますから。待っててください!」たたっ
「あ……ありがとー!」
すっかり話し込んでしまった昼下がりの夏空の下、花子は小走りで家へと帰った。
今朝から牛乳しか飲んでいないからか……少しふらふらする。
でもごはんを食べようという気にはなれなかった。
そんなことより、櫻子とお姉さんのことに夢中だった。
「えっ!?」
花子「……櫻子は、やっぱりバカだった。きっぱりと真実を伝えないで何も言わないことが、お姉さんを一番苦しめてたのにまだ気づいてない……」
「…………」
櫻子への片想いが、どれだけ辛いものか。
それは、花子が一番よくわかってるから。
花子「……お姉さんは、何か櫻子に伝えたいこと……ありますか?」
「……あるよ、いっぱい……花子ちゃんが覚えきれないくらいある」にこっ
お姉さんはふんわり微笑むと、ベンチから立ち上がって、花子に勢いよく頭を下げた。
「花子ちゃん……一生のお願い」ぺこっ
「私と櫻子を……あと一回でいいから、合わせてくれないかなぁ……!」
花子「!」はっ
「その一回で……私の想いも全部伝える! もうあの時みたいに逃げない! だから……櫻子の口から、本当のことを全部聞きたいの……!」ぎゅっ
花子「……!」
「そうしたら……もう私、前に進めるようになると思うから……///」
お姉さんの目は、もう晴れやかだった。
この人の笑顔を……花子はちゃんと櫻子に伝える義務がある。
櫻子に恋をした者同士として。
櫻子のことを、嫌いになってほしくないから。
花子「……では、そろそろ花子は行きます」
「あっ、うん。気を付け……」
花子「きゃっ!?」
そろそろ家に帰ろうと思ってベンチをたったとき、洋服のフリルがベンチのどこかにひっかかってしまったのか、ぴーっと糸が伸びてしまった。
「だ、大丈夫っ?」
花子「あ~……だ、大丈夫です! このくらい直せます。もう六年生だし」
「あはは、そっか……えらいね」
花子「じゃあ、きっと櫻子をお姉さんのところへ向かわせますから。待っててください!」たたっ
「あ……ありがとー!」
すっかり話し込んでしまった昼下がりの夏空の下、花子は小走りで家へと帰った。
今朝から牛乳しか飲んでいないからか……少しふらふらする。
でもごはんを食べようという気にはなれなかった。
そんなことより、櫻子とお姉さんのことに夢中だった。
47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:26:40.63 ID:+EtVRVLso
~
家に戻ると、相変わらず怖いほどの無音に包まれていた。
花子「た、ただいま……」ぱたん
櫻子たちが帰ってくるのは夜のはず。やっぱりまだまだ誰もいない。
しーんとした家に耳を澄ませていると……ちょっとだけ怖くなった。なんだか胸がばくばくする。
花子(いけないいけない……そんなことより、撫子おねえちゃんたちが帰ってくるんだから、その準備をしなきゃ)
すっかり忘れてた。今日は本当は遊んでる場合じゃなかった。
掃除機をごとごと引っ張り出し、大きなリビングからかけていく。普段はちょっとうるさいと思う掃除機君の音も、静かすぎて怖い一人きりの家では寂しさを紛らわせてくれた。
お部屋を掃除して、お夕飯のお買いものに行って、撫子おねえちゃんたちを迎える。ああ、間に合うだろうか。
撫子おねえちゃんが帰ってくるのは春休み以来だった気がする。何かお土産をくれるかな。いつも向こうから帰ってくるときに買ってきてくれる、甘いお菓子がまたもらえるかもしれない。
櫻子が帰ってきたら、今日は気合いをいれてお説教しなきゃ。お姉さんと話したことをちゃんと伝えなきゃいけない。子供みたいな意地を張ってないで、ちゃんとお姉さんと仲直りしてからじゃなきゃ、やっぱり櫻子にひま姉と付き合う資格はないと思う。
色んなごたごたを片付けてから、花子の誕生日をめでたく迎えたい。こんなの本当は花子じゃなくて櫻子が自分から率先してやることなのに。本当にしょうがないんだから。
お姉さんは櫻子と会って、何を一番話したいんだろう。別れ話をちゃんとつけたいのか。それともまだほんの少しの望みをかけて、櫻子にアタックしたいのか。櫻子に謝ってほしいのか。櫻子をビンタしたいのか。櫻子と一緒に、花火大会に行きたいのか。
お姉さんの流した涙を思い出す。水色の空を閉じ込めた涙。櫻子は幸せ者だ。自分のことであんなに綺麗な涙を流してくれる人がいるんだから。
お姉さんは櫻子のどこが好きだったんだろう。だって櫻子は向こうの学校で、人付き合いがよさそうな感じではなかったのに。
ミステリアスだとかなんとか言ってた。櫻子がミステリアス? そんなのおかしくて笑っちゃう。でもやるときはやるところとか、話せば楽しいところとか、そういうのはなんとなくわかる。花子も……櫻子のそういうところは、尊敬してるから。
二人はどのくらいの友達だったんだろう。きっとあのお姉さんが、櫻子の前の学校で一番仲の良かった子のはずだ。
花火大会以外にも、たくさんの思い出を作ったのかもしれない。席が前後同士なんだって、櫻子が昔言ってた気がする。櫻子がすぐ傍の席にいるって、どんな感じなんだろう。授業中でもいっぱいちょっかいを出してきそう。居眠りとかもしちゃいそう。でもそれはきっと中学までの話だ。高校での櫻子は……たぶん、かっこよかったろうから。
掃除機を切ってリビングを眺めた。あのテーブルで勉強していた去年の櫻子を思い出す。テレビも何もつけずに、静かな部屋で、櫻子のシャープペンがさらさらとんとんと紙の上を走る心地よい音だけがする空間。そこで花子もお昼寝をしたっけ。陽が落ちて夕方になっても櫻子のペンのペースは変わらなくて、本当に櫻子は頑張ってるなあって、毎日思ってた。
大学のオープンキャンパスってなんなんだろう。そこが気に入ったら、櫻子もひま姉もその大学に言っちゃうのかな……撫子おねえちゃんみたいに。
花子「…………」
掃除機の音はやっぱりけたたましくて、たまらずにスイッチを切った。突然ものすごい身体から力が抜けていった。
家に戻ると、相変わらず怖いほどの無音に包まれていた。
花子「た、ただいま……」ぱたん
櫻子たちが帰ってくるのは夜のはず。やっぱりまだまだ誰もいない。
しーんとした家に耳を澄ませていると……ちょっとだけ怖くなった。なんだか胸がばくばくする。
花子(いけないいけない……そんなことより、撫子おねえちゃんたちが帰ってくるんだから、その準備をしなきゃ)
すっかり忘れてた。今日は本当は遊んでる場合じゃなかった。
掃除機をごとごと引っ張り出し、大きなリビングからかけていく。普段はちょっとうるさいと思う掃除機君の音も、静かすぎて怖い一人きりの家では寂しさを紛らわせてくれた。
お部屋を掃除して、お夕飯のお買いものに行って、撫子おねえちゃんたちを迎える。ああ、間に合うだろうか。
撫子おねえちゃんが帰ってくるのは春休み以来だった気がする。何かお土産をくれるかな。いつも向こうから帰ってくるときに買ってきてくれる、甘いお菓子がまたもらえるかもしれない。
櫻子が帰ってきたら、今日は気合いをいれてお説教しなきゃ。お姉さんと話したことをちゃんと伝えなきゃいけない。子供みたいな意地を張ってないで、ちゃんとお姉さんと仲直りしてからじゃなきゃ、やっぱり櫻子にひま姉と付き合う資格はないと思う。
色んなごたごたを片付けてから、花子の誕生日をめでたく迎えたい。こんなの本当は花子じゃなくて櫻子が自分から率先してやることなのに。本当にしょうがないんだから。
お姉さんは櫻子と会って、何を一番話したいんだろう。別れ話をちゃんとつけたいのか。それともまだほんの少しの望みをかけて、櫻子にアタックしたいのか。櫻子に謝ってほしいのか。櫻子をビンタしたいのか。櫻子と一緒に、花火大会に行きたいのか。
お姉さんの流した涙を思い出す。水色の空を閉じ込めた涙。櫻子は幸せ者だ。自分のことであんなに綺麗な涙を流してくれる人がいるんだから。
お姉さんは櫻子のどこが好きだったんだろう。だって櫻子は向こうの学校で、人付き合いがよさそうな感じではなかったのに。
ミステリアスだとかなんとか言ってた。櫻子がミステリアス? そんなのおかしくて笑っちゃう。でもやるときはやるところとか、話せば楽しいところとか、そういうのはなんとなくわかる。花子も……櫻子のそういうところは、尊敬してるから。
二人はどのくらいの友達だったんだろう。きっとあのお姉さんが、櫻子の前の学校で一番仲の良かった子のはずだ。
花火大会以外にも、たくさんの思い出を作ったのかもしれない。席が前後同士なんだって、櫻子が昔言ってた気がする。櫻子がすぐ傍の席にいるって、どんな感じなんだろう。授業中でもいっぱいちょっかいを出してきそう。居眠りとかもしちゃいそう。でもそれはきっと中学までの話だ。高校での櫻子は……たぶん、かっこよかったろうから。
掃除機を切ってリビングを眺めた。あのテーブルで勉強していた去年の櫻子を思い出す。テレビも何もつけずに、静かな部屋で、櫻子のシャープペンがさらさらとんとんと紙の上を走る心地よい音だけがする空間。そこで花子もお昼寝をしたっけ。陽が落ちて夕方になっても櫻子のペンのペースは変わらなくて、本当に櫻子は頑張ってるなあって、毎日思ってた。
大学のオープンキャンパスってなんなんだろう。そこが気に入ったら、櫻子もひま姉もその大学に言っちゃうのかな……撫子おねえちゃんみたいに。
花子「…………」
掃除機の音はやっぱりけたたましくて、たまらずにスイッチを切った。突然ものすごい身体から力が抜けていった。
48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:28:05.50 ID:+EtVRVLso
部屋の端っこから、リビング全体を見渡す。なんだかいつもより、とっても広く見えてしまう。
再来年、櫻子が都会の大学に行くことになったら。
櫻子は、この家を出ていくことになる。
きっとひま姉も、櫻子と一緒に行っちゃうんだ。
撫子おねえちゃんは大人になって、お仕事をするようになって。
楓はそのときまだ小学生だから、中学生の花子とは離れちゃう。
あ、花子は一人になるんだ。
中学生になったら、もう誰もこの家にはいないんだ。
学校が終わって夕方家に帰ってきても、一緒に宿題をしてくれるお姉ちゃんはもういない。撫子おねえちゃんも櫻子も、もういない。
お母さんたちが帰ってくるまで、花子は一人。そう、今みたいに。
こんな静かな家に、一人っきりなんだ。
花子は一人でごはんを作らなきゃ。夕飯の当番をやってくれる櫻子はもういない。
簡単なごはんを作ってきて、こんなのしか作れなくてごめんねって、情けない顔で笑う櫻子はもういない。
たまにはいいもの食べなきゃって、レシピを調べて一生懸命作っても、おいしいおいしいと食べてくれる櫻子はもういない。
お夕飯の後のデザートを買ってきたから、それまで勉強頑張るぞって、このリビングで気合いをいれて勉強する櫻子はもういない。
こがらし吹く寒い日に家に帰ってきても、先に帰宅してリビングの暖房をつけておいてくれる櫻子はもういない。
今テレビでこうしてる子が映ったから! って、抱き付いてぎゅーしてくる櫻子はもういない。
花子がお風呂に入ってるときに、時間節約とかいって、勝手に乱入してくる櫻子はもういない。
背中を流してくれて、花子の髪を褒めながら優しい手つきでシャンプーしてくれて、ドライヤーをかけながら髪を梳いてくれる櫻子はもういない。
再来年、櫻子が都会の大学に行くことになったら。
櫻子は、この家を出ていくことになる。
きっとひま姉も、櫻子と一緒に行っちゃうんだ。
撫子おねえちゃんは大人になって、お仕事をするようになって。
楓はそのときまだ小学生だから、中学生の花子とは離れちゃう。
あ、花子は一人になるんだ。
中学生になったら、もう誰もこの家にはいないんだ。
学校が終わって夕方家に帰ってきても、一緒に宿題をしてくれるお姉ちゃんはもういない。撫子おねえちゃんも櫻子も、もういない。
お母さんたちが帰ってくるまで、花子は一人。そう、今みたいに。
こんな静かな家に、一人っきりなんだ。
花子は一人でごはんを作らなきゃ。夕飯の当番をやってくれる櫻子はもういない。
簡単なごはんを作ってきて、こんなのしか作れなくてごめんねって、情けない顔で笑う櫻子はもういない。
たまにはいいもの食べなきゃって、レシピを調べて一生懸命作っても、おいしいおいしいと食べてくれる櫻子はもういない。
お夕飯の後のデザートを買ってきたから、それまで勉強頑張るぞって、このリビングで気合いをいれて勉強する櫻子はもういない。
こがらし吹く寒い日に家に帰ってきても、先に帰宅してリビングの暖房をつけておいてくれる櫻子はもういない。
今テレビでこうしてる子が映ったから! って、抱き付いてぎゅーしてくる櫻子はもういない。
花子がお風呂に入ってるときに、時間節約とかいって、勝手に乱入してくる櫻子はもういない。
背中を流してくれて、花子の髪を褒めながら優しい手つきでシャンプーしてくれて、ドライヤーをかけながら髪を梳いてくれる櫻子はもういない。
49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:28:51.53 ID:+EtVRVLso
せっかく勉強ができるようになった櫻子に、これから先の難しい中学の範囲を教えて欲しかったのに、花子の勉強を見てくれる櫻子はもういない。
そろそろ疲れたでしょって、缶に入ったクッキーと紅茶を差し入れてあげることもない。新調したティーセットを使ってくれる櫻子はもういない。
みてみてすごいでしょ、私また一番になったんだよって、テストの成績を見せてくれる櫻子はもういない。
ざあざあの雨が降っても、お化けの声みたいな強風が吹いても、けたたましい雷が鳴っても、「大丈夫だよ」って頭を撫でてくれる櫻子はもういない。
学校であったこと、お勉強して気づいたこと、友だちと話したこと、いっぱい遊んだこと、それを聞いてくれる櫻子はもういない。
靴下を履いたまま眠りたいくらい寒い夜に、こっちの方があったかいじゃんって、ベッドに入ってきてくれた櫻子はもういない。
並んでベッドに入って寝たふりをしているときに、花子を抱きしめて「いつもいつもありがとう」って言ってくれる櫻子はもういない。
早く起きなきゃ遅刻しちゃうのに、あと5分、あと5分と、むにゃむにゃ人のベッドにしがみつく可愛い櫻子はもういない。
雪かきしなきゃ家から出られないからって、二人で一生懸命雪をかくうち、雪合戦をしかけてきて花子に怒られる櫻子はもういない。
この服はいいよ、この服はまだだめ、この服はこうしたら似合うんじゃない? と、花子に洋服をゆずってくれる櫻子はもういない。
今日は久しぶりに向日葵に会えたんだよって、楽しそうに話してきたあとに、突然感情が決壊して泣き出す櫻子はもういない。
おなかいたい、おなかいたいってうなりながら、花子がそばについてお腹をさすってあげなきゃいけない櫻子はもういない。
勉強で疲れてソファでお昼寝しちゃって、花子が揺り起こしたら「今ね、花子が夢に出てきたよ」って笑いかけてくれる櫻子はもういない。
この広い静かな家に、
花子はひとりになる。
もう、櫻子はいない。
花子(……やだ)
そんなの、やだ。
花子「やだ……やだ、やだぁ!」だんっ
そろそろ疲れたでしょって、缶に入ったクッキーと紅茶を差し入れてあげることもない。新調したティーセットを使ってくれる櫻子はもういない。
みてみてすごいでしょ、私また一番になったんだよって、テストの成績を見せてくれる櫻子はもういない。
ざあざあの雨が降っても、お化けの声みたいな強風が吹いても、けたたましい雷が鳴っても、「大丈夫だよ」って頭を撫でてくれる櫻子はもういない。
学校であったこと、お勉強して気づいたこと、友だちと話したこと、いっぱい遊んだこと、それを聞いてくれる櫻子はもういない。
靴下を履いたまま眠りたいくらい寒い夜に、こっちの方があったかいじゃんって、ベッドに入ってきてくれた櫻子はもういない。
並んでベッドに入って寝たふりをしているときに、花子を抱きしめて「いつもいつもありがとう」って言ってくれる櫻子はもういない。
早く起きなきゃ遅刻しちゃうのに、あと5分、あと5分と、むにゃむにゃ人のベッドにしがみつく可愛い櫻子はもういない。
雪かきしなきゃ家から出られないからって、二人で一生懸命雪をかくうち、雪合戦をしかけてきて花子に怒られる櫻子はもういない。
この服はいいよ、この服はまだだめ、この服はこうしたら似合うんじゃない? と、花子に洋服をゆずってくれる櫻子はもういない。
今日は久しぶりに向日葵に会えたんだよって、楽しそうに話してきたあとに、突然感情が決壊して泣き出す櫻子はもういない。
おなかいたい、おなかいたいってうなりながら、花子がそばについてお腹をさすってあげなきゃいけない櫻子はもういない。
勉強で疲れてソファでお昼寝しちゃって、花子が揺り起こしたら「今ね、花子が夢に出てきたよ」って笑いかけてくれる櫻子はもういない。
この広い静かな家に、
花子はひとりになる。
もう、櫻子はいない。
花子(……やだ)
そんなの、やだ。
花子「やだ……やだ、やだぁ!」だんっ
50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:29:18.78 ID:+EtVRVLso
頭がガンガンと痛む。
全身に力が入らなくなり、ひざから崩れ落ちる。
ものすごいめまいがして、乗り物に酔ったみたいに気持ち悪くなる。
花子は倒れた。ものすごい疲労感に襲われた。
視界の端に、ほつれた白いレースがひらついた。さっきベンチでひっかけたときに、着ている服のレースリボンがとれてしまったのだ。
急いで直さなきゃ。櫻子が帰ってくるまでにこの服を元に戻さないと、怒られちゃう。
そうだ、櫻子はまだこの家にいてくれる。花子と一緒にいてくれる。今日このあと帰ってきてくれる。
またあとでこの服を譲ってもらえないかお願いしてみよう。花子が可愛く着こなせているのを見たら、櫻子もこころよく譲ってくれるかもしれない。
ソーイングセットはどこだっけ……ふらふらする頭で必死に考えて、よろけながら探した。このくらいのほつれ、花子だって頑張れば直せるんだから。
櫻子の大切な服。櫻子の大切なもの。これを着て、また櫻子と一緒にどこかへ出かけたい。
花子と、櫻子と、ひま姉と、楓と、撫子おねえちゃんで。みんなで一緒に、遊びに行きたい。
櫻子、櫻子、櫻子。小さく名前を呼びながら、戸棚を漁ってソーイングセットを探す。
生地のはしくれをどかし、ミシンをどかし、確かここにあったはずなのにと、薄れた記憶を頼りに目的のものを探す。
ふと、戸棚の奥に、何か紙が落ちているのを発見した。
少々古ぼけた、折りたたまれた謎の紙。
こんなところ滅多に開けないから、今まで気づかなかった。
誰かの落とし物だろうか。
開いてみると、それは……
花子(え……)
子供の字で、落書きがされている……婚姻届だった。
全身に力が入らなくなり、ひざから崩れ落ちる。
ものすごいめまいがして、乗り物に酔ったみたいに気持ち悪くなる。
花子は倒れた。ものすごい疲労感に襲われた。
視界の端に、ほつれた白いレースがひらついた。さっきベンチでひっかけたときに、着ている服のレースリボンがとれてしまったのだ。
急いで直さなきゃ。櫻子が帰ってくるまでにこの服を元に戻さないと、怒られちゃう。
そうだ、櫻子はまだこの家にいてくれる。花子と一緒にいてくれる。今日このあと帰ってきてくれる。
またあとでこの服を譲ってもらえないかお願いしてみよう。花子が可愛く着こなせているのを見たら、櫻子もこころよく譲ってくれるかもしれない。
ソーイングセットはどこだっけ……ふらふらする頭で必死に考えて、よろけながら探した。このくらいのほつれ、花子だって頑張れば直せるんだから。
櫻子の大切な服。櫻子の大切なもの。これを着て、また櫻子と一緒にどこかへ出かけたい。
花子と、櫻子と、ひま姉と、楓と、撫子おねえちゃんで。みんなで一緒に、遊びに行きたい。
櫻子、櫻子、櫻子。小さく名前を呼びながら、戸棚を漁ってソーイングセットを探す。
生地のはしくれをどかし、ミシンをどかし、確かここにあったはずなのにと、薄れた記憶を頼りに目的のものを探す。
ふと、戸棚の奥に、何か紙が落ちているのを発見した。
少々古ぼけた、折りたたまれた謎の紙。
こんなところ滅多に開けないから、今まで気づかなかった。
誰かの落とし物だろうか。
開いてみると、それは……
花子(え……)
子供の字で、落書きがされている……婚姻届だった。
51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:29:53.97 ID:+EtVRVLso
花子(なに……これ……)ぱさっ
婚姻届の記入枠なんてほとんど無視した、普通の落書き用紙と何ら変わりない一枚の紙切れ。
つまになる人、おおむろさくらこ。
妻になる人、ふるたにひまわり。
ご丁寧に、撫子お姉ちゃんが証人の欄にサインしている。
そして大きく、二人の可愛い女の子が並んで描かれていた。
ヒマワリのカチューシャ。桜のヘアピン。
幼いころの、ひま姉と、櫻子だった。
花子(こんなこと……してたんだ……///)
花子が生まれて間もない頃か、はたまた生まれてもいない頃か。
二人は……こんなにも、仲が良かったんだ。
花子(っ……)
やっぱり、最初からそうだったんだ。
櫻子はひま姉のことが大好きで。
ひま姉も櫻子のことが大好きで。
もう、誰の入り込む余地も無くて。
どれだけ努力しても、
どれだけ可愛く着飾っても、
どれだけ同じ屋根の下で過ごしても。
櫻子は……ひま姉を選ぶんだ。
花子「…………」
わかってる。
生まれた時から、ずっと見てきたから。
去年の一年間だって、結局はひま姉のために頑張り続ける櫻子だったんだから。
どれだけ花子が櫻子のことを想っても、どれだけお姉さんが学校で親しくしていても。
櫻子は、ひま姉を選ぶんだ。
婚姻届の記入枠なんてほとんど無視した、普通の落書き用紙と何ら変わりない一枚の紙切れ。
つまになる人、おおむろさくらこ。
妻になる人、ふるたにひまわり。
ご丁寧に、撫子お姉ちゃんが証人の欄にサインしている。
そして大きく、二人の可愛い女の子が並んで描かれていた。
ヒマワリのカチューシャ。桜のヘアピン。
幼いころの、ひま姉と、櫻子だった。
花子(こんなこと……してたんだ……///)
花子が生まれて間もない頃か、はたまた生まれてもいない頃か。
二人は……こんなにも、仲が良かったんだ。
花子(っ……)
やっぱり、最初からそうだったんだ。
櫻子はひま姉のことが大好きで。
ひま姉も櫻子のことが大好きで。
もう、誰の入り込む余地も無くて。
どれだけ努力しても、
どれだけ可愛く着飾っても、
どれだけ同じ屋根の下で過ごしても。
櫻子は……ひま姉を選ぶんだ。
花子「…………」
わかってる。
生まれた時から、ずっと見てきたから。
去年の一年間だって、結局はひま姉のために頑張り続ける櫻子だったんだから。
どれだけ花子が櫻子のことを想っても、どれだけお姉さんが学校で親しくしていても。
櫻子は、ひま姉を選ぶんだ。
52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:30:26.44 ID:+EtVRVLso
いいなあ。
ひま姉は、いいなあ。
櫻子にこんなに想ってもらって。
こんなに櫻子に大切にされて。
どれほど幸せなことなんだろう。
想像もつかない。櫻子と両想いになれる幸せ。
櫻子に好きと言ってもらえる幸せ。
櫻子に恋をし、恋される幸せ。
血が繋がっちゃってる花子には、一生わからないほどの、幸せ……
花子「……ぁ……」
花子「あ……あぁぁ……」
花子「っ……あぁ……ああぁぁあああぁあああ……っ!!///」ぽろぽろ
櫻子。
櫻子。
大好きな櫻子。
まだ一緒にいたいのに。
まだまだ離れたくないのに。
櫻子は、どんどん大きくなってゆく。
花子「櫻子ぉ……さくらこぉぉお……っ……!」
誰もいない家には、花子の小さい泣き声しか響かない。
誰も慰めてくれない。
誰も助けに来てくれない。
洋服を直さなきゃいけないのに。
フローリングに落ちた涙も拭かなきゃいけないのに。
この婚姻届を見なかったことにして、元の場所に戻さなきゃいけないのに。
頭が割れるようにいたくて、吐きそうなくらい気持ち悪くて、花子は倒れてしまった。
恐ろしいほどの気だるさにつつまれる身体をなんとか動かして、ポケットから携帯を取り出す。
じんじんと熱を発しているのがわかる頭を押さえながら、必死に櫻子への通話ボタンをタップした。
櫻子。櫻子。はやく助けに来て。
どうやら花子は、さびしすぎると、死んじゃう生き物みたいだよ。
花子「さくらこ……ぉ……っ……///」
ひま姉は、いいなあ。
櫻子にこんなに想ってもらって。
こんなに櫻子に大切にされて。
どれほど幸せなことなんだろう。
想像もつかない。櫻子と両想いになれる幸せ。
櫻子に好きと言ってもらえる幸せ。
櫻子に恋をし、恋される幸せ。
血が繋がっちゃってる花子には、一生わからないほどの、幸せ……
花子「……ぁ……」
花子「あ……あぁぁ……」
花子「っ……あぁ……ああぁぁあああぁあああ……っ!!///」ぽろぽろ
櫻子。
櫻子。
大好きな櫻子。
まだ一緒にいたいのに。
まだまだ離れたくないのに。
櫻子は、どんどん大きくなってゆく。
花子「櫻子ぉ……さくらこぉぉお……っ……!」
誰もいない家には、花子の小さい泣き声しか響かない。
誰も慰めてくれない。
誰も助けに来てくれない。
洋服を直さなきゃいけないのに。
フローリングに落ちた涙も拭かなきゃいけないのに。
この婚姻届を見なかったことにして、元の場所に戻さなきゃいけないのに。
頭が割れるようにいたくて、吐きそうなくらい気持ち悪くて、花子は倒れてしまった。
恐ろしいほどの気だるさにつつまれる身体をなんとか動かして、ポケットから携帯を取り出す。
じんじんと熱を発しているのがわかる頭を押さえながら、必死に櫻子への通話ボタンをタップした。
櫻子。櫻子。はやく助けに来て。
どうやら花子は、さびしすぎると、死んじゃう生き物みたいだよ。
花子「さくらこ……ぉ……っ……///」
53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:31:09.13 ID:+EtVRVLso
~
*
向日葵「大学って本当に、中学や高校とは全然違うんですのね」
櫻子「もうびっくりだよ~……何もかもが全然違う! 教室とか図書館だけじゃなくて食堂も何あれ! レストランじゃん!」
撫子「ま、大学によって色はぜんぜん違うから。ここよりももっと変わったすごいところもあれば、高校の延長みたいな大学だってあるかもしれない」
向日葵「でも一番驚くのは……人の多さかもしれませんわね」
櫻子「これだけのライバルと、争わなきゃいけないってことだもんね……」
撫子「そっか。櫻子にとっては事実上の初受験になるのか」
櫻子「ちょっとー!///」
学校が主催するオープンキャンパスのプログラムが一通り終わり、私と向日葵はねーちゃんと合流して、団体行動で見られなかった細かいところまでを個人的に案内してもらった。
自分が大学にいくかもしれないというビジョンさえ持っていなかった私だから、今日は来てみて本当によかった。漠然とした将来の不安に、なんとなくの色と形がついてくる。
撫子「……さて、まだ見たいところはある?」
櫻子「もうだいぶ見たよね! 見てないところが思いつかないもん。よくわかってないだけだけど」
向日葵「でもだいぶいい見学になりましたわ。撫子さんのおかげです」
撫子「そういうお礼は、実際に合格して入学できてからにしてね」
櫻子「あっそうだ! ねーちゃんの下宿先は? この近くにあるんでしょ?」
向日葵「ああ。ちょっとそっちも気になりますわね」
撫子「えぇ? いいよそれは……関係ないでしょ」
櫻子「関係ないことはないでしょー! 一人暮らしがどんなもんか見ておくのも大事だって!」
向日葵「確かに櫻子がいきなり一人暮らしなんか始めたら命の危険につながりますから、ここは撫子さんのお手本を見せていただきたいところですわ」
櫻子「命って!」
撫子「だめだめ。私の家めっちゃ散らかってるから。ゴミ屋敷だから」
向日葵「撫子さんに限ってそんなことあるわけないじゃないですか……」
櫻子「あー! さては見られたら困るものでもあるんだな~?」うりうり
撫子「……よし、それじゃそろそろ富山に帰ろうか。ちゃんと荷物も持ってきたから、このまま帰れるよ」
櫻子「ちょっと!」
向日葵「撫子さん、まさか本当に……///」
撫子「ふふ……大学生は結構自由なもんだよ。あんたたちも頑張れば……」
ぴりりりり……
撫子「……電話鳴ってるよ? 櫻子でしょ」
櫻子「誰だろ? あ、花子だ……もしもしー?」
向日葵「そうだ、うちにおみやげ買っていかないと」
撫子「それならいいお店知ってるから、このあと行こうよ。おいしいお菓子とか……」
櫻子「え……花子……!? 花子!? ちょっと、どうしたの!?」
向日葵「っ……?」
*
向日葵「大学って本当に、中学や高校とは全然違うんですのね」
櫻子「もうびっくりだよ~……何もかもが全然違う! 教室とか図書館だけじゃなくて食堂も何あれ! レストランじゃん!」
撫子「ま、大学によって色はぜんぜん違うから。ここよりももっと変わったすごいところもあれば、高校の延長みたいな大学だってあるかもしれない」
向日葵「でも一番驚くのは……人の多さかもしれませんわね」
櫻子「これだけのライバルと、争わなきゃいけないってことだもんね……」
撫子「そっか。櫻子にとっては事実上の初受験になるのか」
櫻子「ちょっとー!///」
学校が主催するオープンキャンパスのプログラムが一通り終わり、私と向日葵はねーちゃんと合流して、団体行動で見られなかった細かいところまでを個人的に案内してもらった。
自分が大学にいくかもしれないというビジョンさえ持っていなかった私だから、今日は来てみて本当によかった。漠然とした将来の不安に、なんとなくの色と形がついてくる。
撫子「……さて、まだ見たいところはある?」
櫻子「もうだいぶ見たよね! 見てないところが思いつかないもん。よくわかってないだけだけど」
向日葵「でもだいぶいい見学になりましたわ。撫子さんのおかげです」
撫子「そういうお礼は、実際に合格して入学できてからにしてね」
櫻子「あっそうだ! ねーちゃんの下宿先は? この近くにあるんでしょ?」
向日葵「ああ。ちょっとそっちも気になりますわね」
撫子「えぇ? いいよそれは……関係ないでしょ」
櫻子「関係ないことはないでしょー! 一人暮らしがどんなもんか見ておくのも大事だって!」
向日葵「確かに櫻子がいきなり一人暮らしなんか始めたら命の危険につながりますから、ここは撫子さんのお手本を見せていただきたいところですわ」
櫻子「命って!」
撫子「だめだめ。私の家めっちゃ散らかってるから。ゴミ屋敷だから」
向日葵「撫子さんに限ってそんなことあるわけないじゃないですか……」
櫻子「あー! さては見られたら困るものでもあるんだな~?」うりうり
撫子「……よし、それじゃそろそろ富山に帰ろうか。ちゃんと荷物も持ってきたから、このまま帰れるよ」
櫻子「ちょっと!」
向日葵「撫子さん、まさか本当に……///」
撫子「ふふ……大学生は結構自由なもんだよ。あんたたちも頑張れば……」
ぴりりりり……
撫子「……電話鳴ってるよ? 櫻子でしょ」
櫻子「誰だろ? あ、花子だ……もしもしー?」
向日葵「そうだ、うちにおみやげ買っていかないと」
撫子「それならいいお店知ってるから、このあと行こうよ。おいしいお菓子とか……」
櫻子「え……花子……!? 花子!? ちょっと、どうしたの!?」
向日葵「っ……?」
54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:31:36.88 ID:+EtVRVLso
花子からの突然の電話。
べつに大したことのない、向日葵の言うようにお土産の催促をしてくる電話だとでも思ってた。
けれどそこで思い出す。私は昨晩花子と喧嘩してから、まだ仲直りできてないこと。
それでも万が一何かあったら困るからと、朝は机の上に書き置きをして出て行ったこと。
そんな花子が電話してくるということは……よっぽどの緊急事態ということなのだ。
そしてその異常は……電話口の苦しそうな息づかいだけで存分に伝わった。
櫻子「大丈夫!? 今どこにいるの!?」
『櫻子……さくらこぉ……っ』はぁはぁ
櫻子「はなこぉ! なんかおかしいよ……!? 具合でも悪いの!?」
撫子「か、貸して!」ぱっ
非常事態を察したねーちゃんが電話を奪い取る。
撫子「もしもし、花子? 今どこ!?」
『あぁ……撫子おねえちゃん……』
撫子「嘘でしょ……やだ、何があったのっ!?///」
『はやく……帰って、きて……』はぁはぁ
撫子「花子ぉっ!!!」
向日葵「ど、どうしたんですの!? 花子ちゃん何ですって!?」
櫻子「わかんないよ……でも様子がおかしいの! なんか具合悪そうで……!」
撫子「は、花子! すぐに助けを呼ぶから! 大人しくしてるんだよ! お姉ちゃんたちもすぐに帰るからね!」ぴっ
櫻子「ね、ねーちゃん……花子は!?」
撫子「ひま子携帯出して! 櫻子はすぐにお母さんに電話! ひま子も自分の家に電話して! 私は家に救急車を呼ぶから! 早く誰かを花子のそばに向かわせてあげて! 家にいるみたいだから!」
向日葵「ええっ!?」
撫子「ああもう、何でこんなことになってんの……っ!!///」
私は、まさか花子がこんなに急に弱るなんて想像もしていなかった。
花子が私に助けを呼ぶなんて……よっぽどのことだ。
――――――
――――
――
―
べつに大したことのない、向日葵の言うようにお土産の催促をしてくる電話だとでも思ってた。
けれどそこで思い出す。私は昨晩花子と喧嘩してから、まだ仲直りできてないこと。
それでも万が一何かあったら困るからと、朝は机の上に書き置きをして出て行ったこと。
そんな花子が電話してくるということは……よっぽどの緊急事態ということなのだ。
そしてその異常は……電話口の苦しそうな息づかいだけで存分に伝わった。
櫻子「大丈夫!? 今どこにいるの!?」
『櫻子……さくらこぉ……っ』はぁはぁ
櫻子「はなこぉ! なんかおかしいよ……!? 具合でも悪いの!?」
撫子「か、貸して!」ぱっ
非常事態を察したねーちゃんが電話を奪い取る。
撫子「もしもし、花子? 今どこ!?」
『あぁ……撫子おねえちゃん……』
撫子「嘘でしょ……やだ、何があったのっ!?///」
『はやく……帰って、きて……』はぁはぁ
撫子「花子ぉっ!!!」
向日葵「ど、どうしたんですの!? 花子ちゃん何ですって!?」
櫻子「わかんないよ……でも様子がおかしいの! なんか具合悪そうで……!」
撫子「は、花子! すぐに助けを呼ぶから! 大人しくしてるんだよ! お姉ちゃんたちもすぐに帰るからね!」ぴっ
櫻子「ね、ねーちゃん……花子は!?」
撫子「ひま子携帯出して! 櫻子はすぐにお母さんに電話! ひま子も自分の家に電話して! 私は家に救急車を呼ぶから! 早く誰かを花子のそばに向かわせてあげて! 家にいるみたいだから!」
向日葵「ええっ!?」
撫子「ああもう、何でこんなことになってんの……っ!!///」
私は、まさか花子がこんなに急に弱るなんて想像もしていなかった。
花子が私に助けを呼ぶなんて……よっぽどのことだ。
――――――
――――
――
―
55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:32:25.17 ID:+EtVRVLso
~
熱中症。
花子が倒れた理由は、簡単に言えばそういうことらしかった。
撫子「たかが熱中症って思うかもしれないけどね……場合によっては後遺症が残ったり、障害が残ったり、最悪の場合死んじゃうことだってあるんだよ……」
櫻子「っ……」
向日葵「…………」
帰りの新幹線の中で、ねーちゃんは目を赤くさせながら、こまめにお母さんたちと連絡を取り合って状況を確認していた。
ねーちゃんの素早い機転によって、一番最初に花子のもとへ向かってあげられたのは向日葵のお母さんと楓だった。すぐに介抱してくれたそうだ。
すぐにうちのお母さんも帰ってきて、救急車までくる大騒ぎに。花子は意識がなくなるほどじゃなかったから、専門の応急処置を受けた後、家で安静に寝かせられることとなったらしい。
向日葵「……櫻子、あなた今朝出てくる前、花子ちゃんが体調悪そうにしてたとかはありませんの?」
櫻子「今朝はすごく早かったから、花子はまだ寝てて……」
撫子「昨日の夜は? その前は?」
櫻子「昨日の……夜……」はっ
向日葵「あ……あなたそういえば、今朝……!」
撫子「なに!?」
うそ。
それのせいなの?
私と喧嘩になっちゃって、そのせいで花子は弱っちゃって、倒れちゃったの?
撫子「櫻子……?」
櫻子「……ごめん……」
撫子「ごめんって……ごめんって何!? なにがあったの!」
櫻子「っ……」
撫子「ちょっと、ちゃんと教えておいてよ……! 私は何もわからないんだからさぁ……!///」ぎゅっ
私とあの子のことで、なぜか怒っていた花子。
腕をひっつかんできて、クッションで顔をひっぱたいてきて、そのまま泣きながら逃げてしまった花子。
「櫻子なんかに、ひま姉と付き合う資格ない」
そういわれた時の、あの真っ赤な泣き顔を最後に……私は、花子を見ていない。
あのとき、もうすでに体調が悪かったんじゃ。
熱いお風呂からあがってすぐ、冷房もつけずに、熱帯夜の中で倒れるように寝ちゃったんじゃ。
熱中症。
花子が倒れた理由は、簡単に言えばそういうことらしかった。
撫子「たかが熱中症って思うかもしれないけどね……場合によっては後遺症が残ったり、障害が残ったり、最悪の場合死んじゃうことだってあるんだよ……」
櫻子「っ……」
向日葵「…………」
帰りの新幹線の中で、ねーちゃんは目を赤くさせながら、こまめにお母さんたちと連絡を取り合って状況を確認していた。
ねーちゃんの素早い機転によって、一番最初に花子のもとへ向かってあげられたのは向日葵のお母さんと楓だった。すぐに介抱してくれたそうだ。
すぐにうちのお母さんも帰ってきて、救急車までくる大騒ぎに。花子は意識がなくなるほどじゃなかったから、専門の応急処置を受けた後、家で安静に寝かせられることとなったらしい。
向日葵「……櫻子、あなた今朝出てくる前、花子ちゃんが体調悪そうにしてたとかはありませんの?」
櫻子「今朝はすごく早かったから、花子はまだ寝てて……」
撫子「昨日の夜は? その前は?」
櫻子「昨日の……夜……」はっ
向日葵「あ……あなたそういえば、今朝……!」
撫子「なに!?」
うそ。
それのせいなの?
私と喧嘩になっちゃって、そのせいで花子は弱っちゃって、倒れちゃったの?
撫子「櫻子……?」
櫻子「……ごめん……」
撫子「ごめんって……ごめんって何!? なにがあったの!」
櫻子「っ……」
撫子「ちょっと、ちゃんと教えておいてよ……! 私は何もわからないんだからさぁ……!///」ぎゅっ
私とあの子のことで、なぜか怒っていた花子。
腕をひっつかんできて、クッションで顔をひっぱたいてきて、そのまま泣きながら逃げてしまった花子。
「櫻子なんかに、ひま姉と付き合う資格ない」
そういわれた時の、あの真っ赤な泣き顔を最後に……私は、花子を見ていない。
あのとき、もうすでに体調が悪かったんじゃ。
熱いお風呂からあがってすぐ、冷房もつけずに、熱帯夜の中で倒れるように寝ちゃったんじゃ。
56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:33:04.70 ID:+EtVRVLso
撫子「櫻子!」ぐっ
向日葵「な、撫子さん……!」
櫻子「け、喧嘩……したの……」
撫子「……喧嘩……?」
櫻子「喧嘩しちゃって……仲直りできないまま、今日出てきちゃったの……」
さっきの電話で聞いた、弱々しい花子の声が頭から離れない。
いつの間に、あんなことになっちゃってたの。
こんなことなら、今日ここに来るんじゃなかった。
ちゃんと謝って、体調悪そうにしてる花子のそばに、ずっとついていてあげればよかった。
撫子「なんで喧嘩なんかしちゃったの……あんたももう高校生なんだからさ、子供っぽいことしてないでよ……!」
向日葵「そういえば私も、どうして喧嘩したのかは教えてもらってませんでしたわ……櫻子、いい加減教えてちょうだい」
……言えないよ。
言ったら向日葵、怒るもん。
私がまだあの子と繋がってたなんて知ったら。
まだあの子からのメッセージが、たびたび届いてることを知ったら。
なんとか転校してきて、向日葵と一緒にいられるようになってからも、
授業中とか、一緒に勉強してるときとか、遊んでるときとか、
あの子への返信を考えながら過ごすときもあったなんて知ったら、怒るでしょ……向日葵。
そんなことを思っているとき……バッグの奥の携帯が、てこてこっと小さく鳴った。
まさか、と思った。全然関係ない人から急に来たメッセージだとは、とても思えなかった。
おそるおそる携帯を取り出してみる。
櫻子「!!」
向日葵「な、撫子さん……!」
櫻子「け、喧嘩……したの……」
撫子「……喧嘩……?」
櫻子「喧嘩しちゃって……仲直りできないまま、今日出てきちゃったの……」
さっきの電話で聞いた、弱々しい花子の声が頭から離れない。
いつの間に、あんなことになっちゃってたの。
こんなことなら、今日ここに来るんじゃなかった。
ちゃんと謝って、体調悪そうにしてる花子のそばに、ずっとついていてあげればよかった。
撫子「なんで喧嘩なんかしちゃったの……あんたももう高校生なんだからさ、子供っぽいことしてないでよ……!」
向日葵「そういえば私も、どうして喧嘩したのかは教えてもらってませんでしたわ……櫻子、いい加減教えてちょうだい」
……言えないよ。
言ったら向日葵、怒るもん。
私がまだあの子と繋がってたなんて知ったら。
まだあの子からのメッセージが、たびたび届いてることを知ったら。
なんとか転校してきて、向日葵と一緒にいられるようになってからも、
授業中とか、一緒に勉強してるときとか、遊んでるときとか、
あの子への返信を考えながら過ごすときもあったなんて知ったら、怒るでしょ……向日葵。
そんなことを思っているとき……バッグの奥の携帯が、てこてこっと小さく鳴った。
まさか、と思った。全然関係ない人から急に来たメッセージだとは、とても思えなかった。
おそるおそる携帯を取り出してみる。
櫻子「!!」
57: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:33:48.23 ID:+EtVRVLso
表示されたLINE通知は、たった今来たものだけではなかった。
何件も羅列されている、あの子からのメッセージ。
「花子」というワードが……ところどころに書いてある。
それは、私が富山にいない間に起こった出来事が……なんとなく読み取れるものだった。
向日葵「だ、誰から?」
櫻子「…………」はぁ
撫子「櫻子……?」
櫻子「ごめん……向日葵、ごめんねぇ……///」ぽろぽろ
向日葵「え……!?」どきっ
……終わった。
全部、終わっちゃった。
あの子に、向日葵のことがばれちゃった。
花子が、言っちゃったみたい。
告白までしてもらえたのに、受け入れてあげられなかった理由がばれちゃった。
転校することになった理由もばれちゃった。
最初からそんな半端な気持ちで友達になったこと……全部全部、ばれちゃった。
櫻子「もうやだ……こんなことになるんだったら、最初から隠さなきゃよかったのになぁ……///」
向日葵「さ、櫻子……」
撫子「…………」
自分が正しくないことをしているって、なんとなくわかってた。
だって正しくて真っ当なことができてたら、胸が苦しくなるはずがないんだから。ごめん、ごめんって、謝ることもないはずなんだから。
それでも、自分は間違ってないんだって思っちゃって、素直になれなかった。
嘘ついて、かっこつけて、結果的にみんなを悲しませた。
向日葵と付き合う資格のある人になれないのは、私が隠し事をしてたからなんだよね。
花子が怒ってたのは……私のそういうところだったんだよね。
向日葵のハンカチを受け取って、涙を拭きながら打ち明けた。
櫻子「今……前の学校の友達から、連絡が来たの……今日花子と会ったんだって……」
向日葵「ま、前の学校の子……? お友達?」
櫻子「半年前……駅前の」
向日葵「!」はっ
それだけ聞くと、向日葵の目の色がかわった。
きっと向日葵もあの子のことを忘れていなくて、まだ何か思うところがあったんだ。
私はこれまでにあった全てのことを、あらいざらい向日葵とねーちゃんに話した。
揺れる新幹線の中、向日葵とねーちゃんに、懺悔するかのように告白した。
向日葵にも、あの子にも、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
何件も羅列されている、あの子からのメッセージ。
「花子」というワードが……ところどころに書いてある。
それは、私が富山にいない間に起こった出来事が……なんとなく読み取れるものだった。
向日葵「だ、誰から?」
櫻子「…………」はぁ
撫子「櫻子……?」
櫻子「ごめん……向日葵、ごめんねぇ……///」ぽろぽろ
向日葵「え……!?」どきっ
……終わった。
全部、終わっちゃった。
あの子に、向日葵のことがばれちゃった。
花子が、言っちゃったみたい。
告白までしてもらえたのに、受け入れてあげられなかった理由がばれちゃった。
転校することになった理由もばれちゃった。
最初からそんな半端な気持ちで友達になったこと……全部全部、ばれちゃった。
櫻子「もうやだ……こんなことになるんだったら、最初から隠さなきゃよかったのになぁ……///」
向日葵「さ、櫻子……」
撫子「…………」
自分が正しくないことをしているって、なんとなくわかってた。
だって正しくて真っ当なことができてたら、胸が苦しくなるはずがないんだから。ごめん、ごめんって、謝ることもないはずなんだから。
それでも、自分は間違ってないんだって思っちゃって、素直になれなかった。
嘘ついて、かっこつけて、結果的にみんなを悲しませた。
向日葵と付き合う資格のある人になれないのは、私が隠し事をしてたからなんだよね。
花子が怒ってたのは……私のそういうところだったんだよね。
向日葵のハンカチを受け取って、涙を拭きながら打ち明けた。
櫻子「今……前の学校の友達から、連絡が来たの……今日花子と会ったんだって……」
向日葵「ま、前の学校の子……? お友達?」
櫻子「半年前……駅前の」
向日葵「!」はっ
それだけ聞くと、向日葵の目の色がかわった。
きっと向日葵もあの子のことを忘れていなくて、まだ何か思うところがあったんだ。
私はこれまでにあった全てのことを、あらいざらい向日葵とねーちゃんに話した。
揺れる新幹線の中、向日葵とねーちゃんに、懺悔するかのように告白した。
向日葵にも、あの子にも、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
58: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:34:16.09 ID:+EtVRVLso
――あの子とは、入学後すぐに仲良くなった。
向日葵と離れてしまった過去を後悔しながらぼーっとしているときに、向こうから話しかけてきてくれたんだっけ。
本当はそこまで外交的でもないくせに、一生懸命フレンドリーにふるまって、私を友達グル―プのひとつに誘ってくれた。
その子のおかげで、私は向こうの学校での生活も面白いと思えるようになった。
向日葵がいない間の寂しさは、その子たちが解消してくれた。もしもこの友達グループの中に向日葵がいてくれたらなあ、なんて思いながら楽しく過ごせた。
授業中、休み時間、放課後、休日、学校行事のときも、私は友達や花子のおかげで元気にすごすことができた。
向日葵のことはずっと秘密にしてた。一回もその名を出したことはない。みんなは仲良くしてくれてるのに、本当は転校したいんだなんて誰にも言えなくて、テストもないのに勉強漬けだった私のことを、みんなはよく怪しんでたっけ。
夏休みには、花火大会に誘ってくれた。綺麗な綺麗な花火をみんなで見た。夜空の火花に見とれてたら、突然あの子がほっぺにキスしてきた。「いまどき友キスくらい珍しくないよね」って笑う真っ赤な顔を見た時、私の心は確かに揺れ動いた。
――向日葵、覚えてる? バレンタインデーの前日。
私、あの子から誘われてたんだよ。バレンタインデーに会えないかって。でも向日葵が先に予定をつけてたから、その前日でも構わないかってお願いした。
普通さ、だめじゃんそんなの。バレンタインデー当日に会うことに意味があるのにさ。でもあの子は……私と一緒に過ごせるのならそれでも構わないって、承諾してくれた。
隠しごとができない子なんだよ、私なんかより全然。もっと私にわがままとか言ってくれていいのに、いつもわたしのことを一番に優先してくれちゃうの。
私は一言も口を割らなかったのに、いつの間にか学校では、私が転校するっていう噂がどこかから漏れちゃったらしくて、噂話がちょこちょこ耳に届いてきた。
その子もそれを知ったから、会おうと決めた日に勝負をかけたんだと思う。私はすっごく悩んだ。どうすればいいのかわからなくて、前日も勉強しなきゃいけないのに頭が働かなくなっちゃって、逃げるように眠りの世界に逃げ込んだ。
でもやっぱり、付き合うわけにはいかなかった。そんな中途半端な気持ちで編入試験を受けたら落っこちちゃうって。
向日葵があれくらいの時期になって、急にお菓子を届けにきてくれるようになったから、私は強く向日葵のもとに戻るんだって決意し直せるようになったんだよ。
この一年間やってきたことを無駄にしないように、私は必ず向日葵のもとへ戻る。だから……あの子とは、友だちのままでいようねって言った。
「それじゃ嫌なの」って、言われちゃった……はじめてあの子が自分の意見を強く言った。
はじめてだよ? はじめて。友達よりも先の関係になってほしいって誰かに言われたのは。
向日葵よりも先に、あの子に言われてたんだよ……私。
櫻子「ちゃんと断れなかったんだよ……あのとき、向日葵が見てたとき……」
向こうの学校と私を結びつける最後の鎖を断ち切れないまま、私は向日葵のもとへと戻った。
向日葵に転校のことを打ち明けて、向日葵にキスしてもらって、向日葵に告白されて、向日葵と一緒に手をつないでいるとき。
手首につながったあの子との鎖を見ながら、自己嫌悪してた。
櫻子「昨日、花子にあの子からのLINEを見られて……めちゃくちゃ怒られた。私なんかに、向日葵と付き合う資格はないって……」
向日葵「…………」
櫻子「私……ひどいことしてた。向日葵にも、花子にも、あの子にも……///」ぽろぽろ
許してほしかった。
誰に対しても中途半端に接してたこと。
誰も傷つけたくないなんて思いが、結果的にみんなに対して失礼な対応になってたこと。
あの子と繋がった鎖は、私を引き留めるためのものだと思ったけど……違った。
私があの子を縛りつける鎖でしか、なくなってたんだ。
櫻子「ごめん……本当に、ごめん……っ」
向日葵「櫻子……」
本当に謝る相手はここにはいないのに、私は謝り続けた。
向日葵もねーちゃんも、そこからは何も言ってくれなかった。
向日葵と離れてしまった過去を後悔しながらぼーっとしているときに、向こうから話しかけてきてくれたんだっけ。
本当はそこまで外交的でもないくせに、一生懸命フレンドリーにふるまって、私を友達グル―プのひとつに誘ってくれた。
その子のおかげで、私は向こうの学校での生活も面白いと思えるようになった。
向日葵がいない間の寂しさは、その子たちが解消してくれた。もしもこの友達グループの中に向日葵がいてくれたらなあ、なんて思いながら楽しく過ごせた。
授業中、休み時間、放課後、休日、学校行事のときも、私は友達や花子のおかげで元気にすごすことができた。
向日葵のことはずっと秘密にしてた。一回もその名を出したことはない。みんなは仲良くしてくれてるのに、本当は転校したいんだなんて誰にも言えなくて、テストもないのに勉強漬けだった私のことを、みんなはよく怪しんでたっけ。
夏休みには、花火大会に誘ってくれた。綺麗な綺麗な花火をみんなで見た。夜空の火花に見とれてたら、突然あの子がほっぺにキスしてきた。「いまどき友キスくらい珍しくないよね」って笑う真っ赤な顔を見た時、私の心は確かに揺れ動いた。
――向日葵、覚えてる? バレンタインデーの前日。
私、あの子から誘われてたんだよ。バレンタインデーに会えないかって。でも向日葵が先に予定をつけてたから、その前日でも構わないかってお願いした。
普通さ、だめじゃんそんなの。バレンタインデー当日に会うことに意味があるのにさ。でもあの子は……私と一緒に過ごせるのならそれでも構わないって、承諾してくれた。
隠しごとができない子なんだよ、私なんかより全然。もっと私にわがままとか言ってくれていいのに、いつもわたしのことを一番に優先してくれちゃうの。
私は一言も口を割らなかったのに、いつの間にか学校では、私が転校するっていう噂がどこかから漏れちゃったらしくて、噂話がちょこちょこ耳に届いてきた。
その子もそれを知ったから、会おうと決めた日に勝負をかけたんだと思う。私はすっごく悩んだ。どうすればいいのかわからなくて、前日も勉強しなきゃいけないのに頭が働かなくなっちゃって、逃げるように眠りの世界に逃げ込んだ。
でもやっぱり、付き合うわけにはいかなかった。そんな中途半端な気持ちで編入試験を受けたら落っこちちゃうって。
向日葵があれくらいの時期になって、急にお菓子を届けにきてくれるようになったから、私は強く向日葵のもとに戻るんだって決意し直せるようになったんだよ。
この一年間やってきたことを無駄にしないように、私は必ず向日葵のもとへ戻る。だから……あの子とは、友だちのままでいようねって言った。
「それじゃ嫌なの」って、言われちゃった……はじめてあの子が自分の意見を強く言った。
はじめてだよ? はじめて。友達よりも先の関係になってほしいって誰かに言われたのは。
向日葵よりも先に、あの子に言われてたんだよ……私。
櫻子「ちゃんと断れなかったんだよ……あのとき、向日葵が見てたとき……」
向こうの学校と私を結びつける最後の鎖を断ち切れないまま、私は向日葵のもとへと戻った。
向日葵に転校のことを打ち明けて、向日葵にキスしてもらって、向日葵に告白されて、向日葵と一緒に手をつないでいるとき。
手首につながったあの子との鎖を見ながら、自己嫌悪してた。
櫻子「昨日、花子にあの子からのLINEを見られて……めちゃくちゃ怒られた。私なんかに、向日葵と付き合う資格はないって……」
向日葵「…………」
櫻子「私……ひどいことしてた。向日葵にも、花子にも、あの子にも……///」ぽろぽろ
許してほしかった。
誰に対しても中途半端に接してたこと。
誰も傷つけたくないなんて思いが、結果的にみんなに対して失礼な対応になってたこと。
あの子と繋がった鎖は、私を引き留めるためのものだと思ったけど……違った。
私があの子を縛りつける鎖でしか、なくなってたんだ。
櫻子「ごめん……本当に、ごめん……っ」
向日葵「櫻子……」
本当に謝る相手はここにはいないのに、私は謝り続けた。
向日葵もねーちゃんも、そこからは何も言ってくれなかった。
59: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:34:44.41 ID:+EtVRVLso
~
真夜中。
ベッドの中でねーちゃんたち家族が眠るのを待って、静かになってからこっそりと花子の部屋に行った。
すっかり闇に慣れた夜目に、花子の安らかな白い顔が映る。
みんなのおかげで、私たちが家に到着するころには、もうだいぶ体調も回復してきたらしい。
櫻子(花子……)
花子「…………」
冷えピタの貼られたおでこに手を当てる。
ごめんね、花子。
こんなになるまで、私のこと心配してくれてたんだね。
今までずっと、ずっと、私のことを気にかけてくれたんだね。
こんなお姉ちゃんで……ごめんね。
花子「……ん……」もぞ
櫻子(あ……)
花子「ぁ……さくらこ……?」
櫻子「花子……!」はっ
花子「帰ってきたんだ……おかえり」
櫻子「た、ただいま……」
花子はそっと目を覚ましてくれた。
ずっと寝ていたからか、声は少々かすれていたが、意外と元気そうで本当に安心した。
花子「……はぁ、すっかり心配かけちゃったし。こんな大騒ぎになるなんて……花子がいちばんびっくりしてるし……」
櫻子「た、体調は大丈夫なの? どこか痛いとかない……?」
花子「へーきへーき。ちょっと食欲がなくて、朝から飲み物くらいしか飲んでなかったから……ふらっときちゃっただけ」
櫻子「っ……」
温かい花子の手を握る。握力を感じさせない小さな手。
花子「花子ね……今日、お姉さんに会ったし」
櫻子「お姉さん……?」
花子「櫻子の前の学校のお友達の。散歩してたら偶然会って……いっぱいお話しちゃったし。櫻子が秘密にしてたひま姉のこととかも全部喋っちゃった……ごめんね」
櫻子「うん……もういいんだよ。隠してる方が悪かったんだから。LINEも来てたよ……花子と会えてよかったって言ってた」
花子「そう……ちゃんと返信してあげた?」
櫻子「うん……」
花子「よかった……お姉さんも、きっと喜ぶし……///」
花子は胸のつかえが取れたように、大きく深呼吸してリラックスした。
ふんわりと目を閉じて微笑みかけ、昨日の大喧嘩のことを許してくれた。
真夜中。
ベッドの中でねーちゃんたち家族が眠るのを待って、静かになってからこっそりと花子の部屋に行った。
すっかり闇に慣れた夜目に、花子の安らかな白い顔が映る。
みんなのおかげで、私たちが家に到着するころには、もうだいぶ体調も回復してきたらしい。
櫻子(花子……)
花子「…………」
冷えピタの貼られたおでこに手を当てる。
ごめんね、花子。
こんなになるまで、私のこと心配してくれてたんだね。
今までずっと、ずっと、私のことを気にかけてくれたんだね。
こんなお姉ちゃんで……ごめんね。
花子「……ん……」もぞ
櫻子(あ……)
花子「ぁ……さくらこ……?」
櫻子「花子……!」はっ
花子「帰ってきたんだ……おかえり」
櫻子「た、ただいま……」
花子はそっと目を覚ましてくれた。
ずっと寝ていたからか、声は少々かすれていたが、意外と元気そうで本当に安心した。
花子「……はぁ、すっかり心配かけちゃったし。こんな大騒ぎになるなんて……花子がいちばんびっくりしてるし……」
櫻子「た、体調は大丈夫なの? どこか痛いとかない……?」
花子「へーきへーき。ちょっと食欲がなくて、朝から飲み物くらいしか飲んでなかったから……ふらっときちゃっただけ」
櫻子「っ……」
温かい花子の手を握る。握力を感じさせない小さな手。
花子「花子ね……今日、お姉さんに会ったし」
櫻子「お姉さん……?」
花子「櫻子の前の学校のお友達の。散歩してたら偶然会って……いっぱいお話しちゃったし。櫻子が秘密にしてたひま姉のこととかも全部喋っちゃった……ごめんね」
櫻子「うん……もういいんだよ。隠してる方が悪かったんだから。LINEも来てたよ……花子と会えてよかったって言ってた」
花子「そう……ちゃんと返信してあげた?」
櫻子「うん……」
花子「よかった……お姉さんも、きっと喜ぶし……///」
花子は胸のつかえが取れたように、大きく深呼吸してリラックスした。
ふんわりと目を閉じて微笑みかけ、昨日の大喧嘩のことを許してくれた。
60: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:35:54.25 ID:+EtVRVLso
櫻子「ごめんね……花子……」
花子「……なんで、謝ってるの?」
櫻子「私のせいで、こんなことになっちゃって……私がもっと花子に気を回せてあげられてたらよかったのに……っ」
花子「……ふふ、お姉さんが言ってたし。櫻子はいつも謝ってばかりだったって」
櫻子「えっ……」
花子「でもやっぱり、櫻子に謝る姿は似合わないし。過ぎたことなんて気にしないで、前だけ見てる方が櫻子らしいよ」
櫻子「で、でも……」
花子の手が、ゆっくりと私の頬に添えられる。
涙の軌跡をそっと指で拭われた。
花子「それじゃあ……謝ってもらう代わりに、花子のお願い事を聞いてくれる……?」
櫻子「う……うん! 何でも聞くよ……! 言ってみて?」
花子「……櫻子、もうすぐ何の日だか覚えてる?」
櫻子「花子の誕生日、だよね」
花子「よかった。覚えててくれて」
櫻子「忘れないよ……」
花子「その日……花子と一緒に、どこか遊びにいこう?」
櫻子「遊びに……?」
花子「お誕生日デートだし。そのくらい……してくれてもいいでしょ?」
櫻子「うん……わかった」
花子「その日は……そうだ、櫻子の服を貸して? 前から欲しいって言ってたやつ」
櫻子「え……ああ、あれか」
花子「花子、あれ着ていきたい。じつは今日櫻子がいないときにこっそり着てたんだけど……花子もちょうどよく着られたから。いいでしょ?」
櫻子「……ふふ、いいよ。貸すんじゃなくてそれも花子にあげる」
花子「ありがと……それから、もうひとつ」
花子は私の手をゆっくりと取り……小指に小指を絡めて、囁いた。
花子「一緒に……お姉さんと会おう?」
櫻子「……!」はっ
花子「……なんで、謝ってるの?」
櫻子「私のせいで、こんなことになっちゃって……私がもっと花子に気を回せてあげられてたらよかったのに……っ」
花子「……ふふ、お姉さんが言ってたし。櫻子はいつも謝ってばかりだったって」
櫻子「えっ……」
花子「でもやっぱり、櫻子に謝る姿は似合わないし。過ぎたことなんて気にしないで、前だけ見てる方が櫻子らしいよ」
櫻子「で、でも……」
花子の手が、ゆっくりと私の頬に添えられる。
涙の軌跡をそっと指で拭われた。
花子「それじゃあ……謝ってもらう代わりに、花子のお願い事を聞いてくれる……?」
櫻子「う……うん! 何でも聞くよ……! 言ってみて?」
花子「……櫻子、もうすぐ何の日だか覚えてる?」
櫻子「花子の誕生日、だよね」
花子「よかった。覚えててくれて」
櫻子「忘れないよ……」
花子「その日……花子と一緒に、どこか遊びにいこう?」
櫻子「遊びに……?」
花子「お誕生日デートだし。そのくらい……してくれてもいいでしょ?」
櫻子「うん……わかった」
花子「その日は……そうだ、櫻子の服を貸して? 前から欲しいって言ってたやつ」
櫻子「え……ああ、あれか」
花子「花子、あれ着ていきたい。じつは今日櫻子がいないときにこっそり着てたんだけど……花子もちょうどよく着られたから。いいでしょ?」
櫻子「……ふふ、いいよ。貸すんじゃなくてそれも花子にあげる」
花子「ありがと……それから、もうひとつ」
花子は私の手をゆっくりと取り……小指に小指を絡めて、囁いた。
花子「一緒に……お姉さんと会おう?」
櫻子「……!」はっ
61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:36:22.71 ID:+EtVRVLso
花子「今日お姉さんに頼まれちゃったんだし。最後に一回だけ、櫻子と会わせてほしいって……花子も一緒にいってあげるから、お姉さんとお話しよう? ひま姉にも秘密にするから」
櫻子「そ、そんなこと……約束してたの……///」
花子「もう二人のことに関係ないなんて言わせないし。花子もお姉さんとお話したんだから……それじゃあ、デートの日の最後にお姉さんと会おうよ」
櫻子「……わかった。私ももう、ちゃんと話すって決めたから」
花子「そうなの?」
櫻子「うん……もう、誰にも秘密は作らない。向日葵のためにも、あの子のためにも……花子のためにも」
花子「……櫻子、ちょっとだけ大人になったし」
櫻子「まだまだ……花子の方が全然お姉さんみたいだよ。いつもいろいろ……ありがとね」
花子「……///」はぁ
櫻子「明日は私が一日中花子の看病するから。ねーちゃんは用事があるって言ってたから、私がずっとついててあげるからね」
花子「ええ……? そんなにしてもらわなくても、花子ももうほんとに体調は大丈夫だから……」
櫻子「だーめ。まだ何があるかわからないんだから……それに、特に用事もないもん」
花子「用事がないなら、ひま姉と遊べば?」
櫻子「…………」
向日葵。
帰りの新幹線であの子のことを打ち明けてから、向日葵とは特に言葉を交わせなかった。
うちに寄って安らかに眠る花子を見て安心すると、楓と一緒に自分の家へ帰っていった。
向日葵は今頃……どんなことを考えているんだろう。
花子「……まさか、ひま姉とも何かあったの?」
櫻子「い、いや……それは特にないよ? ただ……」
花子「ただ?」
櫻子「あの子とちゃんとお別れして……それからじゃないと、私には向日葵と付き合う資格、ないと思ってさ……」
花子「……花子の言ったこと、気にしてたの?」
櫻子「気にしてるっていうかね……それが正しいって私も思うから。今度こそ向日葵に……まっすぐに向き合ってあげたいの」
花子「…………」
櫻子「でも今日、今まで秘密にしてたあの子のこと、向日葵にも教えちゃったから……もしかしたら、幻滅されちゃったかな? はは……///」
花子「……櫻子」
櫻子「え……?」
花子の目がぱっちりと開かれる。
まっすぐで、大きくて、月明かりをゆらゆらと映す綺麗な目。
思わず見惚れていると……ふっと笑顔になり、私をさとすように言った。
花子「もうちょっと、自分の彼女のことをわかってあげた方がいいし」
櫻子「!」
櫻子「そ、そんなこと……約束してたの……///」
花子「もう二人のことに関係ないなんて言わせないし。花子もお姉さんとお話したんだから……それじゃあ、デートの日の最後にお姉さんと会おうよ」
櫻子「……わかった。私ももう、ちゃんと話すって決めたから」
花子「そうなの?」
櫻子「うん……もう、誰にも秘密は作らない。向日葵のためにも、あの子のためにも……花子のためにも」
花子「……櫻子、ちょっとだけ大人になったし」
櫻子「まだまだ……花子の方が全然お姉さんみたいだよ。いつもいろいろ……ありがとね」
花子「……///」はぁ
櫻子「明日は私が一日中花子の看病するから。ねーちゃんは用事があるって言ってたから、私がずっとついててあげるからね」
花子「ええ……? そんなにしてもらわなくても、花子ももうほんとに体調は大丈夫だから……」
櫻子「だーめ。まだ何があるかわからないんだから……それに、特に用事もないもん」
花子「用事がないなら、ひま姉と遊べば?」
櫻子「…………」
向日葵。
帰りの新幹線であの子のことを打ち明けてから、向日葵とは特に言葉を交わせなかった。
うちに寄って安らかに眠る花子を見て安心すると、楓と一緒に自分の家へ帰っていった。
向日葵は今頃……どんなことを考えているんだろう。
花子「……まさか、ひま姉とも何かあったの?」
櫻子「い、いや……それは特にないよ? ただ……」
花子「ただ?」
櫻子「あの子とちゃんとお別れして……それからじゃないと、私には向日葵と付き合う資格、ないと思ってさ……」
花子「……花子の言ったこと、気にしてたの?」
櫻子「気にしてるっていうかね……それが正しいって私も思うから。今度こそ向日葵に……まっすぐに向き合ってあげたいの」
花子「…………」
櫻子「でも今日、今まで秘密にしてたあの子のこと、向日葵にも教えちゃったから……もしかしたら、幻滅されちゃったかな? はは……///」
花子「……櫻子」
櫻子「え……?」
花子の目がぱっちりと開かれる。
まっすぐで、大きくて、月明かりをゆらゆらと映す綺麗な目。
思わず見惚れていると……ふっと笑顔になり、私をさとすように言った。
花子「もうちょっと、自分の彼女のことをわかってあげた方がいいし」
櫻子「!」
62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:37:13.04 ID:+EtVRVLso
花子「ひま姉が……そんなことくらいで、櫻子のことを嫌いになるわけないでしょ?」
櫻子「…………」
花子「ひま姉はね……本当に、本当に心の底から、櫻子が大好きなんだから……!」
櫻子「あ……」
花子「だから……絶対に、待っててくれるし……っ」
花子の目の端から、涙がつうっとこぼれおちた。
櫻子「な……なんで花子が泣いてるの……」
花子「ふ、ふふ……わかんないけど……///」
やっぱり……花子はすごくいい子だ。
誰かの気持ちをよく考えることができて、
その人の立場になって、物事を考えられる。
その人の気持ちになって、同じことを想ってあげられる。
花子「花子ね……今日、思ったし」
櫻子「……?」ぐすっ
花子「櫻子の妹で……よかったなあって」
櫻子「っ……!///」じわっ
花子「こんなにいいお姉ちゃんがいて……幸せだって、思ったよ……」
櫻子「う……うぅぅうっ……!」ぽろぽろ
花子「泣きすぎだし……櫻子……」
櫻子「花子……はなこぉ……っ///」
花子「ほら、もう遅いから……そろそろ戻って寝た方がいいし」
櫻子「……やだ」
花子「えっ?」
櫻子「ここにいる……ここにいたい……!」
花子「……ふふ、大きい甘えたさんだし」
櫻子「花子……ありがと……いつも……」ぎゅっ
花子「うん……」
昔に比べてすくすく大きくなってきた妹を抱きしめ、一緒に眠った。
大きいけど、まだまだ小さくて……か細くて、軽くて、温かかった。
――――――
――――
――
―
櫻子「…………」
花子「ひま姉はね……本当に、本当に心の底から、櫻子が大好きなんだから……!」
櫻子「あ……」
花子「だから……絶対に、待っててくれるし……っ」
花子の目の端から、涙がつうっとこぼれおちた。
櫻子「な……なんで花子が泣いてるの……」
花子「ふ、ふふ……わかんないけど……///」
やっぱり……花子はすごくいい子だ。
誰かの気持ちをよく考えることができて、
その人の立場になって、物事を考えられる。
その人の気持ちになって、同じことを想ってあげられる。
花子「花子ね……今日、思ったし」
櫻子「……?」ぐすっ
花子「櫻子の妹で……よかったなあって」
櫻子「っ……!///」じわっ
花子「こんなにいいお姉ちゃんがいて……幸せだって、思ったよ……」
櫻子「う……うぅぅうっ……!」ぽろぽろ
花子「泣きすぎだし……櫻子……」
櫻子「花子……はなこぉ……っ///」
花子「ほら、もう遅いから……そろそろ戻って寝た方がいいし」
櫻子「……やだ」
花子「えっ?」
櫻子「ここにいる……ここにいたい……!」
花子「……ふふ、大きい甘えたさんだし」
櫻子「花子……ありがと……いつも……」ぎゅっ
花子「うん……」
昔に比べてすくすく大きくなってきた妹を抱きしめ、一緒に眠った。
大きいけど、まだまだ小さくて……か細くて、軽くて、温かかった。
――――――
――――
――
―
63: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:38:07.88 ID:+EtVRVLso
~
*
向日葵「それじゃ、行ってきますわ」
楓「行ってらっしゃいなの♪ あっ、ちゃんと帽子はかぶって行った方がいいの」
向日葵「ああそうですわね……楓、私の部屋に麦わら帽があるんですけど」
楓「待っててね、取ってくるの」とたとた
向日葵「ふふ、ありがとう」
楓は昨日、花子ちゃんが倒れたところに真っ先に駆けつけてくれたらしい。
裏庭の植木鉢の下に大室家の鍵が隠してあることもいつの間にか知っていて、倒れた花子ちゃんを親と一緒にいち早く看病してくれたそうな。
本当に……いつの間にか、こんなに立派に大きくなって。
楓「お待たせなのっ」
向日葵「ありがとう。じゃあまた夕方ごろに帰ってきますわ」
楓「はーい、行ってらっしゃい」
家を出ると、今日も絶好調の太陽がぎらぎらと照りつけていた。
こうして身近に倒れる人が出ると、とたんに暑さというものが恐ろしく思えてくる。今日は風があって体感は涼しいのだが、甘く見てはいけない。帽子をきちんとかぶり、目的地へと歩きだした。
大室家の前を通る。櫻子や花子ちゃんは中にいるのだろうが、今日の私の行き先はここではない。櫻子の部屋のあるあたりの窓を眺めながら前を素通りする。
向日葵(…………)
昨日、櫻子に言われたこと。
あのバレンタインデーの前日に偶然見かけてしまった女の子と、未だにきっぱりとは別れられていなかったこと。
涙をこぼしながら打ち明ける櫻子に、私は正直言って圧倒されてしまった。そして、ものすごく申し訳なくなってしまった。
あの子があんなにも思いつめていたのに……私はずっと気づかずに、あの子の隣にのほほんといただけだったなんて。
櫻子はべつに二股をかけていたわけでもないだろうに、私に頭を下げて謝り続けた。
複雑な気持ちが入り乱れた。怒るでも悲しむでもなく、櫻子の謝罪をどう受け取ればいいかわからなかった。
夏休みに入ってすぐの辺りで、花子ちゃんが “その人” の話をしていたことを、昨日になって思い出した。ただの友達だろうと思っていたけど、櫻子が尋常でなく焦っていた理由がようやくわかった。今になって思えば、なんともまあわかりやすいサインを出していたのに……なぜ私は気づけなかったのだろう。
*
向日葵「それじゃ、行ってきますわ」
楓「行ってらっしゃいなの♪ あっ、ちゃんと帽子はかぶって行った方がいいの」
向日葵「ああそうですわね……楓、私の部屋に麦わら帽があるんですけど」
楓「待っててね、取ってくるの」とたとた
向日葵「ふふ、ありがとう」
楓は昨日、花子ちゃんが倒れたところに真っ先に駆けつけてくれたらしい。
裏庭の植木鉢の下に大室家の鍵が隠してあることもいつの間にか知っていて、倒れた花子ちゃんを親と一緒にいち早く看病してくれたそうな。
本当に……いつの間にか、こんなに立派に大きくなって。
楓「お待たせなのっ」
向日葵「ありがとう。じゃあまた夕方ごろに帰ってきますわ」
楓「はーい、行ってらっしゃい」
家を出ると、今日も絶好調の太陽がぎらぎらと照りつけていた。
こうして身近に倒れる人が出ると、とたんに暑さというものが恐ろしく思えてくる。今日は風があって体感は涼しいのだが、甘く見てはいけない。帽子をきちんとかぶり、目的地へと歩きだした。
大室家の前を通る。櫻子や花子ちゃんは中にいるのだろうが、今日の私の行き先はここではない。櫻子の部屋のあるあたりの窓を眺めながら前を素通りする。
向日葵(…………)
昨日、櫻子に言われたこと。
あのバレンタインデーの前日に偶然見かけてしまった女の子と、未だにきっぱりとは別れられていなかったこと。
涙をこぼしながら打ち明ける櫻子に、私は正直言って圧倒されてしまった。そして、ものすごく申し訳なくなってしまった。
あの子があんなにも思いつめていたのに……私はずっと気づかずに、あの子の隣にのほほんといただけだったなんて。
櫻子はべつに二股をかけていたわけでもないだろうに、私に頭を下げて謝り続けた。
複雑な気持ちが入り乱れた。怒るでも悲しむでもなく、櫻子の謝罪をどう受け取ればいいかわからなかった。
夏休みに入ってすぐの辺りで、花子ちゃんが “その人” の話をしていたことを、昨日になって思い出した。ただの友達だろうと思っていたけど、櫻子が尋常でなく焦っていた理由がようやくわかった。今になって思えば、なんともまあわかりやすいサインを出していたのに……なぜ私は気づけなかったのだろう。
64: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:38:36.10 ID:+EtVRVLso
向日葵(どんな人だったのかしら……)
私がいない間、向こうの学校で櫻子と一緒にいた人。
バレンタインデーの前日に見た時は、櫻子のコートに顔をうずめてもたれかかっていたので、顔まではよくわからなかった。垂れ下がったサイドテールだけは思い出せる。花子ちゃんは「結構可愛かった」って言ってたっけ。
うつむきがちに考え事をしていると、急に後ろから強い風が吹いた。髪がふわりと浮きあがるのを感じて、慌てて頭を押さえたが間に合わず、麦わら帽子が前方に飛んで行ってしまった。
向日葵「ああっ……!」
帽子はつばをタイヤのようにして、ころころと転がっていってしまう。小走りで追いかけると、ちょうど曲がり角から現れた人が見つけて素早く捕まえてくれた。
「おっと!」
向日葵「あっ……」
軽やかな動きで、転がった帽子を掬うように拾ってくれた。私と同じくらいの年ごろの女の子だった。
「えへへ……どうぞ♪」
向日葵「ああ、どうもすみません……!」
「よかったですね、車とかこなくて。あぶないあぶない」
向日葵「助かりましたわ。どうもありがとうございます」ぺこっ
「わぁ……なんかお嬢様みたい……!」
向日葵「えっ?」
「あはは、ごめんなさい……ええと、似合ってますよ! その帽子♪」
向日葵「ど、どうも……///」
女の子はそれだけ言うと、「それじゃ」と言って、私の来た道の方へと歩いていった。
向日葵(このあたりじゃ、見かけない子ですわね……)
笑顔の可愛らしい顔が垢ぬけていて、夏らしい薄着がお洒落でよく似合っている。
セミロングのサイドテールが、風に吹かれてぱたぱたとなびいていた。
向日葵「…………」
てこてこっ♪
向日葵(あら……?)
ふと携帯に通知が届く。道端によけて、帽子を押さえながらもしやと思って開いてみると、吉川さんからのメッセージがきていた。
向日葵(もうすぐ、着きます……っと)てちてち
吉川さんと赤座さんのお家にお邪魔してみようと思い、不躾だが昨日の夜に突然アポをとった。すぐにこころよい返事がもらえて、今日は久しぶりに一人でのお出かけ。
吉川さんたちのお家の様子を見たいという気持ちも大きかったが……それよりも、個人的な相談のために向かうという意味合いが大きかった。
櫻子には、内緒で。
私がいない間、向こうの学校で櫻子と一緒にいた人。
バレンタインデーの前日に見た時は、櫻子のコートに顔をうずめてもたれかかっていたので、顔まではよくわからなかった。垂れ下がったサイドテールだけは思い出せる。花子ちゃんは「結構可愛かった」って言ってたっけ。
うつむきがちに考え事をしていると、急に後ろから強い風が吹いた。髪がふわりと浮きあがるのを感じて、慌てて頭を押さえたが間に合わず、麦わら帽子が前方に飛んで行ってしまった。
向日葵「ああっ……!」
帽子はつばをタイヤのようにして、ころころと転がっていってしまう。小走りで追いかけると、ちょうど曲がり角から現れた人が見つけて素早く捕まえてくれた。
「おっと!」
向日葵「あっ……」
軽やかな動きで、転がった帽子を掬うように拾ってくれた。私と同じくらいの年ごろの女の子だった。
「えへへ……どうぞ♪」
向日葵「ああ、どうもすみません……!」
「よかったですね、車とかこなくて。あぶないあぶない」
向日葵「助かりましたわ。どうもありがとうございます」ぺこっ
「わぁ……なんかお嬢様みたい……!」
向日葵「えっ?」
「あはは、ごめんなさい……ええと、似合ってますよ! その帽子♪」
向日葵「ど、どうも……///」
女の子はそれだけ言うと、「それじゃ」と言って、私の来た道の方へと歩いていった。
向日葵(このあたりじゃ、見かけない子ですわね……)
笑顔の可愛らしい顔が垢ぬけていて、夏らしい薄着がお洒落でよく似合っている。
セミロングのサイドテールが、風に吹かれてぱたぱたとなびいていた。
向日葵「…………」
てこてこっ♪
向日葵(あら……?)
ふと携帯に通知が届く。道端によけて、帽子を押さえながらもしやと思って開いてみると、吉川さんからのメッセージがきていた。
向日葵(もうすぐ、着きます……っと)てちてち
吉川さんと赤座さんのお家にお邪魔してみようと思い、不躾だが昨日の夜に突然アポをとった。すぐにこころよい返事がもらえて、今日は久しぶりに一人でのお出かけ。
吉川さんたちのお家の様子を見たいという気持ちも大きかったが……それよりも、個人的な相談のために向かうという意味合いが大きかった。
櫻子には、内緒で。
65: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:39:06.92 ID:+EtVRVLso
~
ちなつ「……元カノ、ってこと?」
向日葵「ど、どうなんでしょう。付き合ってはいないとは思いますけど……」
あかり「櫻子ちゃんは、今日は?」
向日葵「家にいると思いますわ。花子ちゃんが昨日ちょっと具合悪くなってしまって……撫子さんも出かけてしまったようなので、その看病ということで」
あかり「あらら……」
予想していなかったわけではないが、吉川さんたちのお家は、4人で住むには少々手狭な気がした。
しかし狭さで苦労しているという様子ではなさそうで、むしろ仲の良さがうかがえる。ふたつある部屋を姉妹同士でわけあっているのかと思ったら、カップル同士で分け合っていたのには驚いたが。
ちなつ「まあ櫻子ちゃんはすごく人に好かれやすいタイプだから……そりゃ一年も離れてたら、そういう仲のいい子はできちゃうよねー普通」
向日葵「ええ……」
あかり「向日葵ちゃんは知ってるの? その子のこと」
向日葵「全く知らないんですわ。そういう子がいるってこと自体、つい昨日知らされたので……」
ちなつ「いいんじゃないの? べつにそういう子がいたって。向日葵ちゃんが負けちゃうとは思えないもん」
向日葵「か、勝ち負けを気にしてるわけではなくて……! その、なんて言うんでしょうか……」
あかり「ただのお友達なんじゃないの?」
向日葵「でも、その子は櫻子に告白をしたらしいんですわ。櫻子は友達として関係を続けようとしたかったらしいんですけど、うまく断りきれずにそのまま逃げられてしまって……それで今の今まで、ちょこちょこ連絡を取り合ったりしていたようで……」
ちなつ「ええっ、二股……?」
向日葵「二股……というわけでもなさそうなんですの。櫻子は転校してから、その子に少し冷たく接するようになってしまったって……ひどいことをしてしまったと、泣いて自己嫌悪してましたわ」
あかり「ううん……複雑だねえ」
向日葵「…………」
赤座さんのお姉さん方は今日はお仕事がお休みで、一緒にデートにいってしまったらしい。
吉川さんたちは親身になって私の相談に乗ってくれているが、もしかしたら二人も今日はどこかに出かける予定だったのかもしれない。
くらげのようなキャラクターのクッションを抱いていた吉川さんは、しばらく目を閉じてうんうんと唸っていたが……突然顔をあげて、新鮮な顔で聞いてきた。
ちなつ「……向日葵ちゃん、今日何しにきたの?」
向日葵「えっ」
あかり「ち、ちなつちゃん!?」
ちなつ「いや、なんか深刻な相談をされるのかと思ったら、そこまでの修羅場じゃなさそうだったからさぁ」
向日葵「ま、まあそうですわね……」
あかり「修羅場だったら修羅場だったで困るけど……」
ちなつ「……元カノ、ってこと?」
向日葵「ど、どうなんでしょう。付き合ってはいないとは思いますけど……」
あかり「櫻子ちゃんは、今日は?」
向日葵「家にいると思いますわ。花子ちゃんが昨日ちょっと具合悪くなってしまって……撫子さんも出かけてしまったようなので、その看病ということで」
あかり「あらら……」
予想していなかったわけではないが、吉川さんたちのお家は、4人で住むには少々手狭な気がした。
しかし狭さで苦労しているという様子ではなさそうで、むしろ仲の良さがうかがえる。ふたつある部屋を姉妹同士でわけあっているのかと思ったら、カップル同士で分け合っていたのには驚いたが。
ちなつ「まあ櫻子ちゃんはすごく人に好かれやすいタイプだから……そりゃ一年も離れてたら、そういう仲のいい子はできちゃうよねー普通」
向日葵「ええ……」
あかり「向日葵ちゃんは知ってるの? その子のこと」
向日葵「全く知らないんですわ。そういう子がいるってこと自体、つい昨日知らされたので……」
ちなつ「いいんじゃないの? べつにそういう子がいたって。向日葵ちゃんが負けちゃうとは思えないもん」
向日葵「か、勝ち負けを気にしてるわけではなくて……! その、なんて言うんでしょうか……」
あかり「ただのお友達なんじゃないの?」
向日葵「でも、その子は櫻子に告白をしたらしいんですわ。櫻子は友達として関係を続けようとしたかったらしいんですけど、うまく断りきれずにそのまま逃げられてしまって……それで今の今まで、ちょこちょこ連絡を取り合ったりしていたようで……」
ちなつ「ええっ、二股……?」
向日葵「二股……というわけでもなさそうなんですの。櫻子は転校してから、その子に少し冷たく接するようになってしまったって……ひどいことをしてしまったと、泣いて自己嫌悪してましたわ」
あかり「ううん……複雑だねえ」
向日葵「…………」
赤座さんのお姉さん方は今日はお仕事がお休みで、一緒にデートにいってしまったらしい。
吉川さんたちは親身になって私の相談に乗ってくれているが、もしかしたら二人も今日はどこかに出かける予定だったのかもしれない。
くらげのようなキャラクターのクッションを抱いていた吉川さんは、しばらく目を閉じてうんうんと唸っていたが……突然顔をあげて、新鮮な顔で聞いてきた。
ちなつ「……向日葵ちゃん、今日何しにきたの?」
向日葵「えっ」
あかり「ち、ちなつちゃん!?」
ちなつ「いや、なんか深刻な相談をされるのかと思ったら、そこまでの修羅場じゃなさそうだったからさぁ」
向日葵「ま、まあそうですわね……」
あかり「修羅場だったら修羅場だったで困るけど……」
66: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:40:01.67 ID:+EtVRVLso
ちなつ「まずそもそも、向日葵ちゃんはどうしたいわけ?」
向日葵「どうしたいって?」
ちなつ「そりゃもう、根本的な願いだよ! 櫻子ちゃんとこれからもずっと付き合っていきたいんでしょ?」
向日葵「え……ま、まぁ……その……///」
ちなつ「今更はずかしがるなー!」ぽん
向日葵「きゃっ!」
あかり「ちなつちゃーん!?」
バスケットボールみたいにクッションをパスされる。吉川さんがずっと抱きしめていたせいで温かい。
ちなつ「私ね、わかっちゃったよ? 向日葵ちゃんが悩んでる理由」
向日葵「えっ!」
ちなつ「向日葵ちゃんはね、今まで一回も櫻子ちゃんを誰かにとられたことがないんだよ。そういう恋愛経験がてんでゼロなの」
向日葵「……!」
あかり「ど、どういうこと?」
ちなつ「昔の二人はしょっちゅういがみあってたけどさ、そのころから本当は仲がいいって、私たち周りの人はよーくわかってたでしょ? あかりちゃんも」
あかり「うん……喧嘩ばっかりだったけど、お似合いの二人って感じだったよねぇ」
ちなつ「それまでずっと腐れ縁で、ずーっと一緒にいて、ずーっとつかず離れずでやってきてたから……つまり、他の誰も二人の間に割って入ることはなかったんだよ」
吉川さんは身振り手振りを使って得意気に語った。恋愛経験豊富な雰囲気が醸し出されている。
ちなつ「それがここにきて、一年間離れることになっちゃって……櫻子ちゃんにお邪魔虫がくっついちゃった。つまり向日葵ちゃんに、生まれて初めてライバルが出現したってことだよね?」
あかり「ライバル……?」
向日葵「か、顔は見たことないですけど……」
ちなつ「それだよ! それがいけないの!」びしっ
向日葵「へっ?」
ちなつ「はっきり言って、もしその櫻子ちゃんの元カノのことを向日葵ちゃんが知ってたとしたら、うちに相談なんか来てないよ」
あかり「なんで……?」
ちなつ「向日葵ちゃんがその元カノに負けるわけないから」
向日葵「!」
向日葵「どうしたいって?」
ちなつ「そりゃもう、根本的な願いだよ! 櫻子ちゃんとこれからもずっと付き合っていきたいんでしょ?」
向日葵「え……ま、まぁ……その……///」
ちなつ「今更はずかしがるなー!」ぽん
向日葵「きゃっ!」
あかり「ちなつちゃーん!?」
バスケットボールみたいにクッションをパスされる。吉川さんがずっと抱きしめていたせいで温かい。
ちなつ「私ね、わかっちゃったよ? 向日葵ちゃんが悩んでる理由」
向日葵「えっ!」
ちなつ「向日葵ちゃんはね、今まで一回も櫻子ちゃんを誰かにとられたことがないんだよ。そういう恋愛経験がてんでゼロなの」
向日葵「……!」
あかり「ど、どういうこと?」
ちなつ「昔の二人はしょっちゅういがみあってたけどさ、そのころから本当は仲がいいって、私たち周りの人はよーくわかってたでしょ? あかりちゃんも」
あかり「うん……喧嘩ばっかりだったけど、お似合いの二人って感じだったよねぇ」
ちなつ「それまでずっと腐れ縁で、ずーっと一緒にいて、ずーっとつかず離れずでやってきてたから……つまり、他の誰も二人の間に割って入ることはなかったんだよ」
吉川さんは身振り手振りを使って得意気に語った。恋愛経験豊富な雰囲気が醸し出されている。
ちなつ「それがここにきて、一年間離れることになっちゃって……櫻子ちゃんにお邪魔虫がくっついちゃった。つまり向日葵ちゃんに、生まれて初めてライバルが出現したってことだよね?」
あかり「ライバル……?」
向日葵「か、顔は見たことないですけど……」
ちなつ「それだよ! それがいけないの!」びしっ
向日葵「へっ?」
ちなつ「はっきり言って、もしその櫻子ちゃんの元カノのことを向日葵ちゃんが知ってたとしたら、うちに相談なんか来てないよ」
あかり「なんで……?」
ちなつ「向日葵ちゃんがその元カノに負けるわけないから」
向日葵「!」
67: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:40:34.39 ID:+EtVRVLso
ちなつ「いい? 向日葵ちゃんはその元カノのことをよく知らないから、なんだか強大なライバルに思えちゃって、こうして怖くなって私たちのところに相談に来ちゃってるんだよ。その子と多少でも面識があって、その子の人となりまでわかってたら、脅威だなんて思わないはずだよ。たった一年間で向日葵ちゃんから櫻子ちゃんを奪えるわけがないんだから!」
あかり「ちなつちゃん、ぶっこむねぇ……!」
ちなつ「それに二人は、この前教えてくれたとおり両想いで付き合ってるんでしょ? なんにも怖いことなんてないじゃん! 向日葵ちゃんは絶対大丈夫だよ♪」
向日葵「よ、吉川さん……///」
ずばずばと切り込む吉川さんに赤座さんも私も圧倒されてしまうが……間違ったことはなにひとつ言ってなくて、むしろ私が抱えているひとつひとつのよくわからない悩みを的確に抽出し、そして同時に解決してくれるものでもあった。
吉川さんは私の問題をあっという間に論破して満足げになると、携帯をいじりはじめた。
今度は赤座さんが、吉川さんの言葉を受けて話を続けてくれた。
あかり「でもあかり、今の話聞いて……なんだか櫻子ちゃんのこと、すごく櫻子ちゃんらしいなって思ったよっ」
向日葵「櫻子が……櫻子らしい……?」
ちなつ「あかりちゃん何言ってんの?」
あかり「ち、ちがうよぉ! そんなおバカなこと言ってるわけじゃないよぉ!///」ぷんぷん
向日葵「なっ、なんとなくわかりますわ。大丈夫です」
あかり「櫻子ちゃんって……ちょっとやんちゃだけど、すごくお友達を大切にしてくれるから。状況が複雑になっちゃって、ちょっと慌てることになっちゃったけど……そのお友達のことは今でも大切に想ってると思うよぉ」
向日葵「……ふふ、そうなんでしょうね。きっと」
ちなつ「私が思うに、向日葵ちゃんは待ってるだけでも大丈夫だと思うよ。櫻子ちゃんは自分で全部片付けて、向日葵ちゃんのところに帰ってきてくれるって」
向日葵「…………」
片手間に携帯をいじりながら、吉川さんはそう助言してくれた。
本当にそうなのだろうか。本当に櫻子は……私の元へ帰ってきてくれるのだろうか。
「その元カノのことをよく知らないから」と吉川さんは言ったけれど……だからって不安が消えることはない。
ひょっとしたらものすごく可愛い子のなのかもしれない。櫻子の好きなタイプにどんぴしゃなのかもしれない。
ちなつ「……なに? ちゃんと戻ってきてくれるのか心配なの?」
向日葵「そ、それはもちろん……」
ちなつ「だとしたら、それは櫻子ちゃんに対して失礼だよ」ぴっ
向日葵「えっ……?」
ちなつ「よーく考えてみてよ……ここまでの二人の歴史を。出会ってから今まで一緒に過ごしてきた、ぜーーーんぶの時間を!」
あかり「……!」
ちなつ「どんなときだって一緒だったじゃん……どんなに喧嘩したって、元に戻ったじゃん。受験で初めて距離が離れちゃったけど、あのおバカな櫻子ちゃんが死に物狂いで勉強して戻ってきたんだよ!? 信じられるあかりちゃん!?」がばっ
あかり「じ、実は未だにちょっと、信じられない……///」
ちなつ「向日葵ちゃん……櫻子ちゃんはね、向日葵ちゃんのことが大好きなんだよ。わかる? 大大大大好きなの!」
向日葵「っ!///」かあっ
ちなつ「もしかしたら……向日葵ちゃんが櫻子ちゃんに想ってる “好き” より、櫻子ちゃんが向日葵ちゃんに想ってる “好き” の方が大きいかもよ」
向日葵(わ、私より……?)
あかり「ちなつちゃん、ぶっこむねぇ……!」
ちなつ「それに二人は、この前教えてくれたとおり両想いで付き合ってるんでしょ? なんにも怖いことなんてないじゃん! 向日葵ちゃんは絶対大丈夫だよ♪」
向日葵「よ、吉川さん……///」
ずばずばと切り込む吉川さんに赤座さんも私も圧倒されてしまうが……間違ったことはなにひとつ言ってなくて、むしろ私が抱えているひとつひとつのよくわからない悩みを的確に抽出し、そして同時に解決してくれるものでもあった。
吉川さんは私の問題をあっという間に論破して満足げになると、携帯をいじりはじめた。
今度は赤座さんが、吉川さんの言葉を受けて話を続けてくれた。
あかり「でもあかり、今の話聞いて……なんだか櫻子ちゃんのこと、すごく櫻子ちゃんらしいなって思ったよっ」
向日葵「櫻子が……櫻子らしい……?」
ちなつ「あかりちゃん何言ってんの?」
あかり「ち、ちがうよぉ! そんなおバカなこと言ってるわけじゃないよぉ!///」ぷんぷん
向日葵「なっ、なんとなくわかりますわ。大丈夫です」
あかり「櫻子ちゃんって……ちょっとやんちゃだけど、すごくお友達を大切にしてくれるから。状況が複雑になっちゃって、ちょっと慌てることになっちゃったけど……そのお友達のことは今でも大切に想ってると思うよぉ」
向日葵「……ふふ、そうなんでしょうね。きっと」
ちなつ「私が思うに、向日葵ちゃんは待ってるだけでも大丈夫だと思うよ。櫻子ちゃんは自分で全部片付けて、向日葵ちゃんのところに帰ってきてくれるって」
向日葵「…………」
片手間に携帯をいじりながら、吉川さんはそう助言してくれた。
本当にそうなのだろうか。本当に櫻子は……私の元へ帰ってきてくれるのだろうか。
「その元カノのことをよく知らないから」と吉川さんは言ったけれど……だからって不安が消えることはない。
ひょっとしたらものすごく可愛い子のなのかもしれない。櫻子の好きなタイプにどんぴしゃなのかもしれない。
ちなつ「……なに? ちゃんと戻ってきてくれるのか心配なの?」
向日葵「そ、それはもちろん……」
ちなつ「だとしたら、それは櫻子ちゃんに対して失礼だよ」ぴっ
向日葵「えっ……?」
ちなつ「よーく考えてみてよ……ここまでの二人の歴史を。出会ってから今まで一緒に過ごしてきた、ぜーーーんぶの時間を!」
あかり「……!」
ちなつ「どんなときだって一緒だったじゃん……どんなに喧嘩したって、元に戻ったじゃん。受験で初めて距離が離れちゃったけど、あのおバカな櫻子ちゃんが死に物狂いで勉強して戻ってきたんだよ!? 信じられるあかりちゃん!?」がばっ
あかり「じ、実は未だにちょっと、信じられない……///」
ちなつ「向日葵ちゃん……櫻子ちゃんはね、向日葵ちゃんのことが大好きなんだよ。わかる? 大大大大好きなの!」
向日葵「っ!///」かあっ
ちなつ「もしかしたら……向日葵ちゃんが櫻子ちゃんに想ってる “好き” より、櫻子ちゃんが向日葵ちゃんに想ってる “好き” の方が大きいかもよ」
向日葵(わ、私より……?)
68: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:41:22.21 ID:+EtVRVLso
ちなつ「そのくらい櫻子ちゃんは向日葵ちゃんのことが好きなの! 向日葵ちゃんも櫻子ちゃんのことが好きなんだったら、櫻子ちゃんを信じて待っててあげなさい」
向日葵「はっ、はい……!」
あかり「そうだねえ、待つのも愛って言うもんねぇ」
向日葵(待つのも……愛……)
櫻子を、待つ。
あの子が私の元へ帰ってきてくれるのを……待つ。
全ての問題を片付けて……そのお友達のことも片付けて、あの子は帰ってきてくれる。
私の、ために……
あかり「吉川先生、質問です」ぴっ
ちなつ「はいっなんですか赤座さん」
あかり「向日葵ちゃんは、ただ待ってるだけでいいんですか?」
向日葵「えっ……」
ちなつ「いい質問ですねぇ!」がばっ
あかり「ああっ、ちなガミ先生だ!」
突然赤座さんが挙手してわざとらしく質問すると、待ってましたとばかりに吉川さんは、本当に先生のように語りかけてきた。
ちなつ「そう……待ってるのはもちろん大事なこと。せっかく櫻子ちゃんが自分で問題を片付けようとしてるんだから、ここで向日葵ちゃんが昔みたいに手助けをしちゃうのはよくないよね」
ちなつ「でも、だからってただ待ってればいいってわけじゃない。向日葵ちゃんは準備をしてあげなきゃ」
あかり「準備?」
ちなつ「帰ってきた櫻子ちゃんを、迎えてあげる準備♪」
向日葵「……!」はっ
ちなつ「いーい向日葵ちゃん? これで櫻子ちゃんが帰ってきたら、今度こそ本っっ当に櫻子ちゃんは、100%の気持ちで向日葵ちゃんを選んだってことなんだよ?」
向日葵「ひゃく、ぱーせんと……///」
ちなつ「もうこれは告白……ううん、プロポーズと同じレベルだよ! どんな言葉を聞かされるよりも幸せなことだと思う! だって正真正銘向日葵ちゃんだけを選んでくれたってことなんだから!」
あかり「ふふふっ……それなら向日葵ちゃんも、櫻子ちゃんの強い想いに応えてあげなきゃいけないねぇ」
向日葵「そ、そうですわねっ。どうしてあげたらいいのかしら……?」
ちなつ「そこはもう自分で考えなさいって。向日葵ちゃんが櫻子ちゃんに、『これだけあなたのことが好きなんですわよー』ってことをしてあげればいいじゃない」
向日葵「はぁぁ……///」かああっ
あかり「向日葵ちゃんが真っ赤になっちゃったよぉ……」ひそひそ
ちなつ「何する気なんだろうね」こそこそ
向日葵「そ、そんな目で見ないでください!///」
あかり「あははははっ♪」
ちなつ「まあまあそういうことだから。わかったら早くおうちに帰って、櫻子ちゃんを待っててあげたら? 私たちの家で遊んでる場合じゃないんじゃな~い?」
あかり「うんっ、向日葵ちゃんまた遊びにおいでよ。今度は櫻子ちゃんと一緒に!」
ちなつ「っていうかWデートしようよ! 夏休みなんだからさ!」
あかり「賛成ー!」
向日葵「わ、わかりましたわ。きっと近いうちにお二人に良い連絡をしてみせます」
ちなつ「うん、待ってるからね」
あかり「向日葵ちゃん……頑張ってねっ!」
向日葵「はっ、はい……!」
あかり「そうだねえ、待つのも愛って言うもんねぇ」
向日葵(待つのも……愛……)
櫻子を、待つ。
あの子が私の元へ帰ってきてくれるのを……待つ。
全ての問題を片付けて……そのお友達のことも片付けて、あの子は帰ってきてくれる。
私の、ために……
あかり「吉川先生、質問です」ぴっ
ちなつ「はいっなんですか赤座さん」
あかり「向日葵ちゃんは、ただ待ってるだけでいいんですか?」
向日葵「えっ……」
ちなつ「いい質問ですねぇ!」がばっ
あかり「ああっ、ちなガミ先生だ!」
突然赤座さんが挙手してわざとらしく質問すると、待ってましたとばかりに吉川さんは、本当に先生のように語りかけてきた。
ちなつ「そう……待ってるのはもちろん大事なこと。せっかく櫻子ちゃんが自分で問題を片付けようとしてるんだから、ここで向日葵ちゃんが昔みたいに手助けをしちゃうのはよくないよね」
ちなつ「でも、だからってただ待ってればいいってわけじゃない。向日葵ちゃんは準備をしてあげなきゃ」
あかり「準備?」
ちなつ「帰ってきた櫻子ちゃんを、迎えてあげる準備♪」
向日葵「……!」はっ
ちなつ「いーい向日葵ちゃん? これで櫻子ちゃんが帰ってきたら、今度こそ本っっ当に櫻子ちゃんは、100%の気持ちで向日葵ちゃんを選んだってことなんだよ?」
向日葵「ひゃく、ぱーせんと……///」
ちなつ「もうこれは告白……ううん、プロポーズと同じレベルだよ! どんな言葉を聞かされるよりも幸せなことだと思う! だって正真正銘向日葵ちゃんだけを選んでくれたってことなんだから!」
あかり「ふふふっ……それなら向日葵ちゃんも、櫻子ちゃんの強い想いに応えてあげなきゃいけないねぇ」
向日葵「そ、そうですわねっ。どうしてあげたらいいのかしら……?」
ちなつ「そこはもう自分で考えなさいって。向日葵ちゃんが櫻子ちゃんに、『これだけあなたのことが好きなんですわよー』ってことをしてあげればいいじゃない」
向日葵「はぁぁ……///」かああっ
あかり「向日葵ちゃんが真っ赤になっちゃったよぉ……」ひそひそ
ちなつ「何する気なんだろうね」こそこそ
向日葵「そ、そんな目で見ないでください!///」
あかり「あははははっ♪」
ちなつ「まあまあそういうことだから。わかったら早くおうちに帰って、櫻子ちゃんを待っててあげたら? 私たちの家で遊んでる場合じゃないんじゃな~い?」
あかり「うんっ、向日葵ちゃんまた遊びにおいでよ。今度は櫻子ちゃんと一緒に!」
ちなつ「っていうかWデートしようよ! 夏休みなんだからさ!」
あかり「賛成ー!」
向日葵「わ、わかりましたわ。きっと近いうちにお二人に良い連絡をしてみせます」
ちなつ「うん、待ってるからね」
あかり「向日葵ちゃん……頑張ってねっ!」
69: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:41:49.47 ID:+EtVRVLso
お二人の心強い助言を貰って……私は赤座&吉川家をあとにした。
本当にここにきてよかった。本当にお二人とお話ができてよかった。お二人が私たちのお友達で……本当によかった。
きっとまたここに来る、今度は櫻子と手をつないで。そう固く決意しながら、私は自分の家へと戻る……前に、商店街のお菓子屋さんへと向かった。
明日は花子ちゃんのお誕生日だ。とびっきりのケーキを作ってお祝いしてあげなくっちゃ。
あかり「……行っちゃった、向日葵ちゃん」
ちなつ「はーあ。ほんと手のかかる二人だよね~」
あかり「ちなつちゃん……あんなに自信満々に言っちゃって、大丈夫だったの?」
ちなつ「なにが?」
あかり「だって……もしも櫻子ちゃんが、元カノさんの問題をちゃんと片付けられなかったら……」
ちなつ「あー大丈夫大丈夫。今LINEしたら『ちゃんと全部片付けてくるよ』って。ほら」
あかり「え~!? ちなつちゃんなんで携帯いじってるんだろうと思ったら、櫻子ちゃんとLINEしてたの!?///」
ちなつ「だって面倒なんだもん! あの二人両想いってことがわかりきってるのに、細かいことで悩みすぎ!」
あかり「先生カンニングだよぉ~……」
ちなつ「いいのいいの。これでわかったでしょ? もうあの二人は放っておいても大丈夫だって」
あかり「まあ、そうだけど……」
ちなつ「それよりさ……向日葵ちゃん、どうしてあげると思う? 櫻子ちゃんに」ずいっ
あかり「えっ?」
ちなつ「向日葵ちゃんの元に帰ってきてくれたとき……櫻子ちゃんをどうやって “迎えてあげる” のかなぁ……///」のそっ
あかり「ち、ちなつちゃん……!?」
ちなつ「もしかしたら……こーんなことまでしちゃうかもよ……っ♪」ちゅっ
あかり「んーっ!?///」
本当にここにきてよかった。本当にお二人とお話ができてよかった。お二人が私たちのお友達で……本当によかった。
きっとまたここに来る、今度は櫻子と手をつないで。そう固く決意しながら、私は自分の家へと戻る……前に、商店街のお菓子屋さんへと向かった。
明日は花子ちゃんのお誕生日だ。とびっきりのケーキを作ってお祝いしてあげなくっちゃ。
あかり「……行っちゃった、向日葵ちゃん」
ちなつ「はーあ。ほんと手のかかる二人だよね~」
あかり「ちなつちゃん……あんなに自信満々に言っちゃって、大丈夫だったの?」
ちなつ「なにが?」
あかり「だって……もしも櫻子ちゃんが、元カノさんの問題をちゃんと片付けられなかったら……」
ちなつ「あー大丈夫大丈夫。今LINEしたら『ちゃんと全部片付けてくるよ』って。ほら」
あかり「え~!? ちなつちゃんなんで携帯いじってるんだろうと思ったら、櫻子ちゃんとLINEしてたの!?///」
ちなつ「だって面倒なんだもん! あの二人両想いってことがわかりきってるのに、細かいことで悩みすぎ!」
あかり「先生カンニングだよぉ~……」
ちなつ「いいのいいの。これでわかったでしょ? もうあの二人は放っておいても大丈夫だって」
あかり「まあ、そうだけど……」
ちなつ「それよりさ……向日葵ちゃん、どうしてあげると思う? 櫻子ちゃんに」ずいっ
あかり「えっ?」
ちなつ「向日葵ちゃんの元に帰ってきてくれたとき……櫻子ちゃんをどうやって “迎えてあげる” のかなぁ……///」のそっ
あかり「ち、ちなつちゃん……!?」
ちなつ「もしかしたら……こーんなことまでしちゃうかもよ……っ♪」ちゅっ
あかり「んーっ!?///」
70: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:42:38.46 ID:+EtVRVLso
~
向日葵「あっ」
撫子「あ」
ケーキの材料を買おうと街の方へ行くと、偶然にも撫子さんと出くわした。
向日葵「撫子さん、こんなところにいたんですの」
撫子「うん、今いろいろ用事がおわったから。これから帰るとこなんだ」
向日葵「ちょうどよかった、これから花子ちゃんのバースデーケーキの材料を買いに行くところなんですけど、一緒に行きませんか?」
撫子「あ……その前にちょっとそこのカフェ寄ってかない? 何か飲みたいんだけど」
向日葵「あら。じゃあそうしますか」
撫子さんは珍しくぴしっとスーツを着ていた。私にとっては見慣れないものなので、ものすごく新鮮だ。それでも初々しさを感じさせずに着こなしているあたりが、さすが撫子さんといったところ。周囲の視線を引いている。
カウンターで飲み物を受け取って席に座る。このお店で撫子さんと二人きりでお茶を飲むのは、あの冬の日以来だ。
向日葵「こっちにはいつ頃までいられそうなんですの?」
撫子「長くないよ。花子の誕生日が終わったらすぐ帰らなきゃ」ずずっ
向日葵「あらら……忙しいんですのね」
撫子「ひま子……私今日、どこに行ってたと思う?」にやっ
向日葵「えっ?///」
珍しくいたずらっぽい笑みを浮かべる撫子さんにドキッとする。
スーツを着ているあたり、とても大事なところに行ってきたのだろうが……はっきりいって全然わからない。
向日葵「ど、どこでしょうか」
撫子「……教えてあげるけど、まだ櫻子たちには言わないでね。言うときはちゃんと自分から言いたいからさ」
向日葵「はい……?」
撫子「七森中だよ」
向日葵「……ええっ!?」
撫子「今年募集してるみたいなの、教員。受けようと思ってさ……いろいろ話聞いてきたの。卒業生はこういうときにすごく有利なんだ」
向日葵「な……七森中の先生になるんですの!?」
撫子「なかなかないんだけどね、新卒で私立は……でもまあ、運が良かったら入れるかもしれない」
向日葵「そ、そうだったんですのね……!」
撫子「落ちたら恥ずかしいから内緒にしてね。特に櫻子には」
向日葵「まあ、撫子さんなら大丈夫だと思いますけど……わかりましたわ」
撫子さんの秘密計画に驚かされる。そして同時に、この話を櫻子でも花子ちゃんでもなく私に初めてしていることにも驚く。
こんな大事なこと……私なんかが最初に聞いていいのだろうか。
撫子「もしも受かったら……来年から、花子と一緒にいられる」
向日葵「ああ、花子ちゃんも来年から中学生ですもんね……って、まさかそれで受けようと思ったんですの?」
撫子「それもあるし、って感じ。七森中は先生も生徒も大切にしてくれるいい学校だからさ、行きたいってずっと思ってたんだ」
向日葵「確かに……そうですわね」
撫子「……昨日、痛感したんだよ。私はやっぱり都会じゃなくてこっちにいたいんだって」
向日葵「あ……」
向日葵「あっ」
撫子「あ」
ケーキの材料を買おうと街の方へ行くと、偶然にも撫子さんと出くわした。
向日葵「撫子さん、こんなところにいたんですの」
撫子「うん、今いろいろ用事がおわったから。これから帰るとこなんだ」
向日葵「ちょうどよかった、これから花子ちゃんのバースデーケーキの材料を買いに行くところなんですけど、一緒に行きませんか?」
撫子「あ……その前にちょっとそこのカフェ寄ってかない? 何か飲みたいんだけど」
向日葵「あら。じゃあそうしますか」
撫子さんは珍しくぴしっとスーツを着ていた。私にとっては見慣れないものなので、ものすごく新鮮だ。それでも初々しさを感じさせずに着こなしているあたりが、さすが撫子さんといったところ。周囲の視線を引いている。
カウンターで飲み物を受け取って席に座る。このお店で撫子さんと二人きりでお茶を飲むのは、あの冬の日以来だ。
向日葵「こっちにはいつ頃までいられそうなんですの?」
撫子「長くないよ。花子の誕生日が終わったらすぐ帰らなきゃ」ずずっ
向日葵「あらら……忙しいんですのね」
撫子「ひま子……私今日、どこに行ってたと思う?」にやっ
向日葵「えっ?///」
珍しくいたずらっぽい笑みを浮かべる撫子さんにドキッとする。
スーツを着ているあたり、とても大事なところに行ってきたのだろうが……はっきりいって全然わからない。
向日葵「ど、どこでしょうか」
撫子「……教えてあげるけど、まだ櫻子たちには言わないでね。言うときはちゃんと自分から言いたいからさ」
向日葵「はい……?」
撫子「七森中だよ」
向日葵「……ええっ!?」
撫子「今年募集してるみたいなの、教員。受けようと思ってさ……いろいろ話聞いてきたの。卒業生はこういうときにすごく有利なんだ」
向日葵「な……七森中の先生になるんですの!?」
撫子「なかなかないんだけどね、新卒で私立は……でもまあ、運が良かったら入れるかもしれない」
向日葵「そ、そうだったんですのね……!」
撫子「落ちたら恥ずかしいから内緒にしてね。特に櫻子には」
向日葵「まあ、撫子さんなら大丈夫だと思いますけど……わかりましたわ」
撫子さんの秘密計画に驚かされる。そして同時に、この話を櫻子でも花子ちゃんでもなく私に初めてしていることにも驚く。
こんな大事なこと……私なんかが最初に聞いていいのだろうか。
撫子「もしも受かったら……来年から、花子と一緒にいられる」
向日葵「ああ、花子ちゃんも来年から中学生ですもんね……って、まさかそれで受けようと思ったんですの?」
撫子「それもあるし、って感じ。七森中は先生も生徒も大切にしてくれるいい学校だからさ、行きたいってずっと思ってたんだ」
向日葵「確かに……そうですわね」
撫子「……昨日、痛感したんだよ。私はやっぱり都会じゃなくてこっちにいたいんだって」
向日葵「あ……」
71: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:43:59.81 ID:+EtVRVLso
撫子「言ったって花子も3年経てば高校に行っちゃうわけだけど……それでも少しでも一緒にいてあげたくてさ。昨日のせいで、余計にそう思ったの……もうあんな思いしたくない……」
向日葵「…………」
撫子「……シスコンとか思ってる?」
向日葵「お、思ってません思ってません!///」ぶんぶん
撫子「……いいけど。とにかく将来はこっちで働こうと思ってるんだ。がんばらなきゃね」
向日葵「……応援してますわ。叶うといいですわね」
撫子さんは安心したように微笑むと、残ったコーヒーを飲みほした。
撫子さんの昨日の泣き顔はまだ思い出せる。都会に出てしまった四年間で、きっと初めての出来事だったはずだ。本当に心配していたのだろう。
改めて、花子ちゃんの様態がそれほど重くなかったことに私も安心する。昨日は色んなことがありすぎた。
撫子「それより、人の心配もいいけどひま子も自分のことがあるんだからね?」かちゃり
向日葵「えっ?」
撫子「どうするの? 高校卒業したら」
まるで先生や親に尋ねられるかのように、急に緊張した。
それでも撫子さんは、未来を大切に見つめてくれるような優しい目をしていて、きっとこの人は良い先生になるだろうなと思えた。
向日葵「えっと……まだ具体的なことは、ぜんぜん決めてなくて……」
撫子「……昨日のオープンキャンパスの話ね、私から持ち出したんじゃないんだよ実は。櫻子が自分から聞いてきたの」
向日葵「え、そうだったんですの?」
撫子「あの子なりに考えてるんだよ、将来のこと……まあ本気で目指すとしたらちょっと遅れてるけどね。本当はもっと早く行動しなきゃ」
向日葵「……ちょっと前に、そういうことを話したんですわ。将来の夢とかについて……」
撫子「へえ」
向日葵「それであの、一緒に探していけたらいいですわねって……///」
撫子「何それ、ノロケ?」
向日葵「ち、ちがいます! でも……そう話しあったんですわ。初めて」
向日葵「…………」
撫子「……シスコンとか思ってる?」
向日葵「お、思ってません思ってません!///」ぶんぶん
撫子「……いいけど。とにかく将来はこっちで働こうと思ってるんだ。がんばらなきゃね」
向日葵「……応援してますわ。叶うといいですわね」
撫子さんは安心したように微笑むと、残ったコーヒーを飲みほした。
撫子さんの昨日の泣き顔はまだ思い出せる。都会に出てしまった四年間で、きっと初めての出来事だったはずだ。本当に心配していたのだろう。
改めて、花子ちゃんの様態がそれほど重くなかったことに私も安心する。昨日は色んなことがありすぎた。
撫子「それより、人の心配もいいけどひま子も自分のことがあるんだからね?」かちゃり
向日葵「えっ?」
撫子「どうするの? 高校卒業したら」
まるで先生や親に尋ねられるかのように、急に緊張した。
それでも撫子さんは、未来を大切に見つめてくれるような優しい目をしていて、きっとこの人は良い先生になるだろうなと思えた。
向日葵「えっと……まだ具体的なことは、ぜんぜん決めてなくて……」
撫子「……昨日のオープンキャンパスの話ね、私から持ち出したんじゃないんだよ実は。櫻子が自分から聞いてきたの」
向日葵「え、そうだったんですの?」
撫子「あの子なりに考えてるんだよ、将来のこと……まあ本気で目指すとしたらちょっと遅れてるけどね。本当はもっと早く行動しなきゃ」
向日葵「……ちょっと前に、そういうことを話したんですわ。将来の夢とかについて……」
撫子「へえ」
向日葵「それであの、一緒に探していけたらいいですわねって……///」
撫子「何それ、ノロケ?」
向日葵「ち、ちがいます! でも……そう話しあったんですわ。初めて」
72: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:44:42.66 ID:+EtVRVLso
撫子「……私は櫻子とひま子の未来について、ああしろこうしろって口出しするつもりはもちろんないよ。そういうことなら、二人が一緒に選んだ道を目指してほしい」
撫子「ただ、その未来の道を歩むにおいて……花子と楓のことを心残りにはさせない。もう私がこっちに帰ってくるから」
向日葵「!」はっ
撫子「遠慮しないで……安心して、二人でどこでもいっておいで。世界は広いよ」ふっ
向日葵「撫子さん……///」
撫子「もちろん富山にいてもいいけどね。そしたら私は彼女とどこかに部屋借りるけど。ノロケられたくないから」
向日葵「ちょっ……まあ、そうですわねっ。しっかり話し合って決めますわ」
彼女のことはものすごく気になるが、今は撫子さんの顔がかっこよくて直視できなかった。
そのまっすぐな目は、ここ最近でよく櫻子から向けられた真剣な眼差しに本当にそっくりで。この人のかっこよさは……規格外だ。
撫子「……ひま子」すっ
向日葵「えっ?」
突然、撫子さんがすっと手を伸ばして私の手を両手で包み込んだ。
撫子「櫻子を……よろしくね」
向日葵「!!」
撫子「あの子には……ひま子しかいないんだよ。だから……お願いね……///」ぎゅっ
向日葵(な……撫子さん……///)うるっ
かたく、かたく手を握りしめられた。
生まれてから今まで、ずっと櫻子を見守ってきた、ずっと花子ちゃんを見守ってきた撫子さん。
私たちの全てを見届け、私たちの距離を戻し、私たちの背中を押してくれる、私たちみんなのお姉さん。
撫子さんの内に秘められた本気の熱い想いが、包まれた手を通して一気に流れ込んでくるような気がして……思わず涙がこぼれてしまいそうになった。
向日葵「ありがとう……ございます……っ!///」ぺこり
撫子「……よしっ、それじゃ帰ろうか。花子のケーキの材料買いに行くんだよね」
向日葵「あ、はいっ……手伝っていただけますか?」
撫子「もちろん」
撫子「ただ、その未来の道を歩むにおいて……花子と楓のことを心残りにはさせない。もう私がこっちに帰ってくるから」
向日葵「!」はっ
撫子「遠慮しないで……安心して、二人でどこでもいっておいで。世界は広いよ」ふっ
向日葵「撫子さん……///」
撫子「もちろん富山にいてもいいけどね。そしたら私は彼女とどこかに部屋借りるけど。ノロケられたくないから」
向日葵「ちょっ……まあ、そうですわねっ。しっかり話し合って決めますわ」
彼女のことはものすごく気になるが、今は撫子さんの顔がかっこよくて直視できなかった。
そのまっすぐな目は、ここ最近でよく櫻子から向けられた真剣な眼差しに本当にそっくりで。この人のかっこよさは……規格外だ。
撫子「……ひま子」すっ
向日葵「えっ?」
突然、撫子さんがすっと手を伸ばして私の手を両手で包み込んだ。
撫子「櫻子を……よろしくね」
向日葵「!!」
撫子「あの子には……ひま子しかいないんだよ。だから……お願いね……///」ぎゅっ
向日葵(な……撫子さん……///)うるっ
かたく、かたく手を握りしめられた。
生まれてから今まで、ずっと櫻子を見守ってきた、ずっと花子ちゃんを見守ってきた撫子さん。
私たちの全てを見届け、私たちの距離を戻し、私たちの背中を押してくれる、私たちみんなのお姉さん。
撫子さんの内に秘められた本気の熱い想いが、包まれた手を通して一気に流れ込んでくるような気がして……思わず涙がこぼれてしまいそうになった。
向日葵「ありがとう……ございます……っ!///」ぺこり
撫子「……よしっ、それじゃ帰ろうか。花子のケーキの材料買いに行くんだよね」
向日葵「あ、はいっ……手伝っていただけますか?」
撫子「もちろん」
73: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:45:20.38 ID:+EtVRVLso
~
楓「おねえちゃん、冷蔵庫にお菓子の材料がいっぱいあったの!」とたとた
向日葵「ふふ、私が買ってきたんですわ。明日は一緒に花子ちゃんのケーキを作りましょっか」
楓「わーい♪」
夜。
吉川さんと赤座さんに今日のお礼をLINEでやり取りしているところに、楓がうきうきと部屋にやってきた。
向日葵「楓、今日は何か楽しいことありました?」
楓「あったの! 花子おねえちゃんと櫻子おねえちゃんと遊んだの♪」
向日葵「あら! 花子ちゃんもう大丈夫でした?」
楓「もう元気にだったの。心配かけてごめんねって言ってたの」
向日葵「ふふ……元気になったならよかったですわ。安心しました」
楓「花子おねえちゃんね、明日デートなんだって♪」
向日葵「へぇ~…………え、えっ!? デート!?」
楓「うんっ」
向日葵「だ、誰と!?」
楓「ふふっ、櫻子おねえちゃんとだって~」
突然聞き慣れない「花子ちゃんのデート」というワードが頭に入ってきて、一瞬混乱した。
小学生にして誰かお熱いお相手がいるのかと思ったら、ただの姉妹のおでかけだった。
向日葵「はぁ、デートっていう言い方するからびっくりしちゃいましたわ……」ほっ
楓「でも花子おねえちゃんがそう言ってたんだよっ」
向日葵「花子ちゃんが……? 櫻子がふざけて言ったんじゃなくて?」
楓「櫻子おねえちゃんは恥ずかしそうにしてたよ~」
いったい今日どんな会話が大室家で繰り広げられていたのか、まったく想像もつかない。
あの花子ちゃんが櫻子に “デート” を持ちかけたのだろうか。もしかしたら熱中症のせいで理性の一部が溶けちゃったのかもしれない。
向日葵「デートですか……でも、夜は花子ちゃんのお誕生会をするんですもんね?」
楓「うんっ。花子おねえちゃんと櫻子おねえちゃんがデートしてる間に、楓たちが準備をするの!」
向日葵「なるほど、そういうことですのね」
明日の大室家の予定はなんとなくわかったが、私の思い描いていたプランとは少し違った。
せっかく今日吉川さんたちにアドバイスを貰ったのに……これでは明日も、櫻子と離れたままだ。
楓「おねえちゃん、冷蔵庫にお菓子の材料がいっぱいあったの!」とたとた
向日葵「ふふ、私が買ってきたんですわ。明日は一緒に花子ちゃんのケーキを作りましょっか」
楓「わーい♪」
夜。
吉川さんと赤座さんに今日のお礼をLINEでやり取りしているところに、楓がうきうきと部屋にやってきた。
向日葵「楓、今日は何か楽しいことありました?」
楓「あったの! 花子おねえちゃんと櫻子おねえちゃんと遊んだの♪」
向日葵「あら! 花子ちゃんもう大丈夫でした?」
楓「もう元気にだったの。心配かけてごめんねって言ってたの」
向日葵「ふふ……元気になったならよかったですわ。安心しました」
楓「花子おねえちゃんね、明日デートなんだって♪」
向日葵「へぇ~…………え、えっ!? デート!?」
楓「うんっ」
向日葵「だ、誰と!?」
楓「ふふっ、櫻子おねえちゃんとだって~」
突然聞き慣れない「花子ちゃんのデート」というワードが頭に入ってきて、一瞬混乱した。
小学生にして誰かお熱いお相手がいるのかと思ったら、ただの姉妹のおでかけだった。
向日葵「はぁ、デートっていう言い方するからびっくりしちゃいましたわ……」ほっ
楓「でも花子おねえちゃんがそう言ってたんだよっ」
向日葵「花子ちゃんが……? 櫻子がふざけて言ったんじゃなくて?」
楓「櫻子おねえちゃんは恥ずかしそうにしてたよ~」
いったい今日どんな会話が大室家で繰り広げられていたのか、まったく想像もつかない。
あの花子ちゃんが櫻子に “デート” を持ちかけたのだろうか。もしかしたら熱中症のせいで理性の一部が溶けちゃったのかもしれない。
向日葵「デートですか……でも、夜は花子ちゃんのお誕生会をするんですもんね?」
楓「うんっ。花子おねえちゃんと櫻子おねえちゃんがデートしてる間に、楓たちが準備をするの!」
向日葵「なるほど、そういうことですのね」
明日の大室家の予定はなんとなくわかったが、私の思い描いていたプランとは少し違った。
せっかく今日吉川さんたちにアドバイスを貰ったのに……これでは明日も、櫻子と離れたままだ。
74: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:46:37.13 ID:+EtVRVLso
向日葵(櫻子……)
一緒にオープンキャンパスから帰ってきて、花子ちゃんの具合を確かめてから、私は櫻子の顔を見ていない。携帯にも何の連絡も入ってなくて、あれから言葉のひとつも交わしていない状態だ。
今思い返せば、私たちはものすごい気まずい別れ方をしてしまった。
櫻子はこの半年間ずっと心に秘めつづけ、悩み続けてきた隠し事を、泣きながら打ち明けた。
私はいまいち櫻子が感じている罪悪感を把握してあげられていないが、櫻子があれだけ泣くのを見たのはものすごく久しぶりだ。
もしかしたらこの問題は、一日やそこらで解決できるものではないのかもしれない。
私は明日、花子ちゃんの誕生会の前に大室家で準備をしている際に櫻子と会い、ぱぱっと話して解決できるものくらいに思っていた。
しかし櫻子は花子ちゃんとデートにいってしまうようだ。どうやら楓の説明からして花子ちゃんの方が誘ったようだが、櫻子はそんなことをしている場合なのだろうか。
『櫻子ちゃんは自分で全部片付けて、向日葵ちゃんのところに帰ってきてくれるって』
……吉川さんの言葉を思い出す。ただ待っているだけでも櫻子は帰ってきてくれるから、安心していいと言ってくれた。
でも具体的に、いつ戻ってきてくれる? いつその問題とやらを解決してくれる? そもそもその問題って、どうやって解決されるもの?
これまで秘密にされていたことに、今更私が首を突っ込んで解決に導くことはできない。あの子はやはり、その問題を一人で片付けなきゃ。
でもそれじゃあ……私はその間どうしていればいいんですのよ。
向日葵(待っててあげるって……具体的にどうすれば……)はぁ
待つのも愛、って言われたけど……こんなに大変なものだとは知らなかった。
楓「それじゃあ楓、もう寝るね~」
向日葵「ええ。おやすみなさい」
楓「……おねえちゃん、今夜は櫻子おねえちゃん来てくれるかな?」
向日葵「えっ!?///」どきっ
楓「うふふ、おやすみなさーい」ぴゅーん
おませさんになってきた楓が、からかうように笑って部屋に逃げて行ってしまった。
最近は私が携帯を見ながら大人しくしているだけで、櫻子のことで悩んでいるのだと思うようになったらしい……まあ実際そうなのだけれど。
向日葵(楓ったら……)ふぅ
でも、楓の言うとおりだった。
私は櫻子が来ることを望んでいる。
一緒にオープンキャンパスから帰ってきて、花子ちゃんの具合を確かめてから、私は櫻子の顔を見ていない。携帯にも何の連絡も入ってなくて、あれから言葉のひとつも交わしていない状態だ。
今思い返せば、私たちはものすごい気まずい別れ方をしてしまった。
櫻子はこの半年間ずっと心に秘めつづけ、悩み続けてきた隠し事を、泣きながら打ち明けた。
私はいまいち櫻子が感じている罪悪感を把握してあげられていないが、櫻子があれだけ泣くのを見たのはものすごく久しぶりだ。
もしかしたらこの問題は、一日やそこらで解決できるものではないのかもしれない。
私は明日、花子ちゃんの誕生会の前に大室家で準備をしている際に櫻子と会い、ぱぱっと話して解決できるものくらいに思っていた。
しかし櫻子は花子ちゃんとデートにいってしまうようだ。どうやら楓の説明からして花子ちゃんの方が誘ったようだが、櫻子はそんなことをしている場合なのだろうか。
『櫻子ちゃんは自分で全部片付けて、向日葵ちゃんのところに帰ってきてくれるって』
……吉川さんの言葉を思い出す。ただ待っているだけでも櫻子は帰ってきてくれるから、安心していいと言ってくれた。
でも具体的に、いつ戻ってきてくれる? いつその問題とやらを解決してくれる? そもそもその問題って、どうやって解決されるもの?
これまで秘密にされていたことに、今更私が首を突っ込んで解決に導くことはできない。あの子はやはり、その問題を一人で片付けなきゃ。
でもそれじゃあ……私はその間どうしていればいいんですのよ。
向日葵(待っててあげるって……具体的にどうすれば……)はぁ
待つのも愛、って言われたけど……こんなに大変なものだとは知らなかった。
楓「それじゃあ楓、もう寝るね~」
向日葵「ええ。おやすみなさい」
楓「……おねえちゃん、今夜は櫻子おねえちゃん来てくれるかな?」
向日葵「えっ!?///」どきっ
楓「うふふ、おやすみなさーい」ぴゅーん
おませさんになってきた楓が、からかうように笑って部屋に逃げて行ってしまった。
最近は私が携帯を見ながら大人しくしているだけで、櫻子のことで悩んでいるのだと思うようになったらしい……まあ実際そうなのだけれど。
向日葵(楓ったら……)ふぅ
でも、楓の言うとおりだった。
私は櫻子が来ることを望んでいる。
75: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:47:30.91 ID:+EtVRVLso
私はすっかり、櫻子との関係に対して受け身になってしまっている。
気持ちの問題だけじゃない、今だってそう。あの子が帰ってくるのを待つことしかできないんだから。
吉川先生に貰った助言を一生懸命思い返す。
昼間の助言を振り返りながら、何気なく吉川さんたちとのトーク画面をさかのぼっていると……あるものが目に飛び込んできた。
向日葵(あっ……)
それは、夏休みに入ってすぐに櫻子の家で撮った、花子ちゃんと櫻子と私の3ショット写真だった。
花子ちゃんが真ん中に写っている写真。
私たちの間に挟まれて、恥ずかしそうに遠慮しながら、顔を寄せる櫻子を横目で見ている。
向日葵(花子ちゃん……)
そうだ、忘れていた。
この問題には、花子ちゃんも大きく関わっているということを。
櫻子の隠していた秘密を暴いたのは、他でもない花子ちゃんだった。
それで大喧嘩して、仲直りしないままに櫻子は私と一緒にオープンキャンパスに来てしまって、花子ちゃんは家で一人で苦しんでいた。
ただの熱中症じゃないことはなんとなくわかっていた。花子ちゃんもこの問題に心を痛めていたのだ。
どうして花子ちゃんは、そうまでして櫻子のことを怒ったのか?
大学へと向かう、行きの電車の中で櫻子がふと呟いた意味深な言葉を思い出した。
『花子って……もしかして、向日葵のことが好きだったのかな……』
向日葵(……ばかですわね、櫻子……)
花子ちゃんは、もちろん誰に対しても優しくて、まがったことは許せない正しい子だ。
櫻子より五つも年下なのに、櫻子の妹なのに、櫻子を正しく叱ってあげることのできる女の子だ。
花子ちゃんがどうして櫻子に怒ったのか。その真意をあの時の櫻子はわかっていなかった。
私のことが好きだから、中途半端な態度で私と付き合っていたことに怒った……それもあるかもしれないけどそうじゃない。
向日葵(花子ちゃんは……他でもない、あなたのことが好きなんですわよ……櫻子)
写真の中の花子ちゃんを見ているだけで、それが私にはよーくわかった。
花子ちゃんは……櫻子のことが、大好きなんだ。
私はベッドに横たわりながら、花子ちゃんへ電話をかけてみた。急に花子ちゃんとお話がしたくてたまらなかった。
もしかしたら寝ているかもしれない……そう心配したが、少しだけコール音が鳴った後に、小さな声が電話口から届いた。
向日葵「あ……もしもし?」
花子『ひま姉……!』
向日葵「こんばんは。夜分遅くにごめんなさいね」
花子『ううん、平気だし』
気持ちの問題だけじゃない、今だってそう。あの子が帰ってくるのを待つことしかできないんだから。
吉川先生に貰った助言を一生懸命思い返す。
昼間の助言を振り返りながら、何気なく吉川さんたちとのトーク画面をさかのぼっていると……あるものが目に飛び込んできた。
向日葵(あっ……)
それは、夏休みに入ってすぐに櫻子の家で撮った、花子ちゃんと櫻子と私の3ショット写真だった。
花子ちゃんが真ん中に写っている写真。
私たちの間に挟まれて、恥ずかしそうに遠慮しながら、顔を寄せる櫻子を横目で見ている。
向日葵(花子ちゃん……)
そうだ、忘れていた。
この問題には、花子ちゃんも大きく関わっているということを。
櫻子の隠していた秘密を暴いたのは、他でもない花子ちゃんだった。
それで大喧嘩して、仲直りしないままに櫻子は私と一緒にオープンキャンパスに来てしまって、花子ちゃんは家で一人で苦しんでいた。
ただの熱中症じゃないことはなんとなくわかっていた。花子ちゃんもこの問題に心を痛めていたのだ。
どうして花子ちゃんは、そうまでして櫻子のことを怒ったのか?
大学へと向かう、行きの電車の中で櫻子がふと呟いた意味深な言葉を思い出した。
『花子って……もしかして、向日葵のことが好きだったのかな……』
向日葵(……ばかですわね、櫻子……)
花子ちゃんは、もちろん誰に対しても優しくて、まがったことは許せない正しい子だ。
櫻子より五つも年下なのに、櫻子の妹なのに、櫻子を正しく叱ってあげることのできる女の子だ。
花子ちゃんがどうして櫻子に怒ったのか。その真意をあの時の櫻子はわかっていなかった。
私のことが好きだから、中途半端な態度で私と付き合っていたことに怒った……それもあるかもしれないけどそうじゃない。
向日葵(花子ちゃんは……他でもない、あなたのことが好きなんですわよ……櫻子)
写真の中の花子ちゃんを見ているだけで、それが私にはよーくわかった。
花子ちゃんは……櫻子のことが、大好きなんだ。
私はベッドに横たわりながら、花子ちゃんへ電話をかけてみた。急に花子ちゃんとお話がしたくてたまらなかった。
もしかしたら寝ているかもしれない……そう心配したが、少しだけコール音が鳴った後に、小さな声が電話口から届いた。
向日葵「あ……もしもし?」
花子『ひま姉……!』
向日葵「こんばんは。夜分遅くにごめんなさいね」
花子『ううん、平気だし』
76: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:48:38.37 ID:+EtVRVLso
向日葵「楓からも色々聞いたんですけれど……体調はもう大丈夫ですか?」
花子『あはっ……もうすっかり。ひま姉もごめんね、迷惑かけて……』
向日葵「いえいえ、無事でよかったですわ本当に。明日は無事に出かけられそうですわね」
花子『え……』
向日葵「あ……えっと、ちょっと小耳に挟みまして! その……」
明日、櫻子と……デートなんですのよね。
花子『……楓が言っちゃったの?』
向日葵「も、もしかして……秘密にしたかったことでした……!?」
花子『ううん、べつに。ただ櫻子とお出かけするだけだから……誰に知られたって、恥ずかしくもなんともないし』
向日葵「そ、そうですわよね」
花子ちゃんは穏やかな声で答えてくれた。あんまり大きな声を出すと撫子さんや櫻子に話し声が聞こえてしまうのだろうか、ボリュームは少々抑えめだ。
花子『ところで……急にどうしたの?』
向日葵「えっ! えっと……ああ、明日の誕生会のことなんですけど……」
花子『あ……うん』
向日葵「ケーキ作っていきますから、楽しみにしててくださいね♪」
花子『…………』
向日葵(あ、あれ……?)
急に花子ちゃんは黙り込んでしまった。もしもし? と応答を確認する。
花子『……ごめんね、今櫻子が部屋の前を通ったから』こそっ
向日葵「あ……そういうことでしたか」
花子『でもひま姉……誕生日のことは嬉しいけど、電話してきたのはそれが理由じゃないでしょ?』
向日葵「え……?」
花子『櫻子とあの人のこと……気になってるんだよね』
向日葵「!!」
ついつい電話した理由をごまかしてしまったが、花子ちゃんは真相をずばりと言い当ててきた。
やっぱり花子ちゃんも……気にしてくれているんだ。
向日葵「……じつは私……何もわからないんですの。櫻子とその人のこと……」
花子『…………』
向日葵「私、どうすればいいかわからなくて……! 櫻子にどうしてあげればいいか、わからなくて……」
花子『……ひま姉、落ち着いて』
向日葵「え……」
花子『櫻子は、ひま姉のこと大好きだよ』
向日葵(!)
花子『だから大丈夫……ひま姉は、何も心配しなくて大丈夫』
向日葵「花子……ちゃん……///」
花子『あはっ……もうすっかり。ひま姉もごめんね、迷惑かけて……』
向日葵「いえいえ、無事でよかったですわ本当に。明日は無事に出かけられそうですわね」
花子『え……』
向日葵「あ……えっと、ちょっと小耳に挟みまして! その……」
明日、櫻子と……デートなんですのよね。
花子『……楓が言っちゃったの?』
向日葵「も、もしかして……秘密にしたかったことでした……!?」
花子『ううん、べつに。ただ櫻子とお出かけするだけだから……誰に知られたって、恥ずかしくもなんともないし』
向日葵「そ、そうですわよね」
花子ちゃんは穏やかな声で答えてくれた。あんまり大きな声を出すと撫子さんや櫻子に話し声が聞こえてしまうのだろうか、ボリュームは少々抑えめだ。
花子『ところで……急にどうしたの?』
向日葵「えっ! えっと……ああ、明日の誕生会のことなんですけど……」
花子『あ……うん』
向日葵「ケーキ作っていきますから、楽しみにしててくださいね♪」
花子『…………』
向日葵(あ、あれ……?)
急に花子ちゃんは黙り込んでしまった。もしもし? と応答を確認する。
花子『……ごめんね、今櫻子が部屋の前を通ったから』こそっ
向日葵「あ……そういうことでしたか」
花子『でもひま姉……誕生日のことは嬉しいけど、電話してきたのはそれが理由じゃないでしょ?』
向日葵「え……?」
花子『櫻子とあの人のこと……気になってるんだよね』
向日葵「!!」
ついつい電話した理由をごまかしてしまったが、花子ちゃんは真相をずばりと言い当ててきた。
やっぱり花子ちゃんも……気にしてくれているんだ。
向日葵「……じつは私……何もわからないんですの。櫻子とその人のこと……」
花子『…………』
向日葵「私、どうすればいいかわからなくて……! 櫻子にどうしてあげればいいか、わからなくて……」
花子『……ひま姉、落ち着いて』
向日葵「え……」
花子『櫻子は、ひま姉のこと大好きだよ』
向日葵(!)
花子『だから大丈夫……ひま姉は、何も心配しなくて大丈夫』
向日葵「花子……ちゃん……///」
77: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:49:10.12 ID:+EtVRVLso
花子『……怖くなっちゃったの? 櫻子のことで』
向日葵「……だって、何も言ってくれないんですもの……あの子……」
花子『ふふ……そりゃあ櫻子は、ひま姉には何が何でもばれたくなかったんだし。ひま姉の前では格好よくいたかったから』
向日葵「……!」
花子『でもきっと……いや絶対、櫻子はひま姉のところにちゃんと帰ってくるよ。花子が約束してあげる』
向日葵「……そう、ですか……」
花子『明日。明日で全部終わるんだし……本当に、すべてが』
向日葵「……?」
花子『櫻子とあの人の恋も……そして……』
『花子の……この恋も』
向日葵「!!!」はっ
花子『ごめんね、ひま姉……最後だから……最後に一日だけ、櫻子を……花子にちょうだい……?///』
向日葵「で、デートって……そういう……!」
花子『わかってる……ひま姉の気持ちもわかってる……! でも最後に一回だけ、花子も櫻子とデートがしたいの……』
向日葵「っ……!」
今にも泣きそうな切ない声が、私の心につきささった。
花子ちゃんから私への……心からの、お願いだった。
向日葵「……花子ちゃん、私はべつに、花子ちゃんの敵じゃありませんのに……っ」ぐすっ
花子『ひま姉……花子はね、ひま姉のことを一番応援してるよ……///』
向日葵「花子……ちゃん……っ……///」ぽたぽた
花子『そうだ……じゃあひま姉に、いいこと教えてあげるし』
向日葵「いいこと……?」
花子『明日……櫻子は、あの人と会うの』
向日葵「!」
向日葵「……だって、何も言ってくれないんですもの……あの子……」
花子『ふふ……そりゃあ櫻子は、ひま姉には何が何でもばれたくなかったんだし。ひま姉の前では格好よくいたかったから』
向日葵「……!」
花子『でもきっと……いや絶対、櫻子はひま姉のところにちゃんと帰ってくるよ。花子が約束してあげる』
向日葵「……そう、ですか……」
花子『明日。明日で全部終わるんだし……本当に、すべてが』
向日葵「……?」
花子『櫻子とあの人の恋も……そして……』
『花子の……この恋も』
向日葵「!!!」はっ
花子『ごめんね、ひま姉……最後だから……最後に一日だけ、櫻子を……花子にちょうだい……?///』
向日葵「で、デートって……そういう……!」
花子『わかってる……ひま姉の気持ちもわかってる……! でも最後に一回だけ、花子も櫻子とデートがしたいの……』
向日葵「っ……!」
今にも泣きそうな切ない声が、私の心につきささった。
花子ちゃんから私への……心からの、お願いだった。
向日葵「……花子ちゃん、私はべつに、花子ちゃんの敵じゃありませんのに……っ」ぐすっ
花子『ひま姉……花子はね、ひま姉のことを一番応援してるよ……///』
向日葵「花子……ちゃん……っ……///」ぽたぽた
花子『そうだ……じゃあひま姉に、いいこと教えてあげるし』
向日葵「いいこと……?」
花子『明日……櫻子は、あの人と会うの』
向日葵「!」
78: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:49:37.54 ID:+EtVRVLso
花子『たぶん夕方ごろに……二人の場所が知りたかったら花子に連絡して。すぐに教えてあげるから』
向日葵「え……そ、それは……私も行けっていうことですの……!?」
花子『来てもいいし、来なくてもいい。どっちにしたって未来は変わらないから……櫻子の結論は、もう決まってるから』
花子『ひま姉はもう、お家で待ってるだけでも大丈夫。でも……それでも櫻子のことが心配だったり、戻ってきてくれるかが不安なんだったら、櫻子が頑張るところを見守ってあげればいいと思うし。それが今ひま姉が抱えてる心配をかき消す、唯一の方法だと思う』
向日葵「……!」
花子『もう一回言うね。櫻子は、ひま姉のことが大好きなの』
きっと全てを片付けて、綺麗になってひま姉のところに帰ってくる。
明日で……全部終わる。
櫻子をただ待ってるだけなのが辛いんだったら……櫻子が頑張るところを見てあげて?
櫻子がひま姉のために頑張ってるところ……櫻子が、ひま姉を選ぶところ。
花子『それじゃ……また明日』ぷつっ
向日葵(…………)
花子ちゃんは、すがすがしいような声で電話を切った。
私の心臓が……急激に縮こまって緊張する。予期していなかった誘いで、胸が痛いほどに高鳴った。
明日で……全て終わる。
櫻子が……帰ってくる。
向日葵(さく……らこ……)
待ってる。
櫻子のことを……ずっと待ってる。
でも、ただ待ってるだけじゃだめなんですのよね。
あなたは頑張っているんだから……
私のために、頑張ってくれるんだから……
向日葵(っ……)ぎゅっ
――――――
――――
――
―
向日葵「え……そ、それは……私も行けっていうことですの……!?」
花子『来てもいいし、来なくてもいい。どっちにしたって未来は変わらないから……櫻子の結論は、もう決まってるから』
花子『ひま姉はもう、お家で待ってるだけでも大丈夫。でも……それでも櫻子のことが心配だったり、戻ってきてくれるかが不安なんだったら、櫻子が頑張るところを見守ってあげればいいと思うし。それが今ひま姉が抱えてる心配をかき消す、唯一の方法だと思う』
向日葵「……!」
花子『もう一回言うね。櫻子は、ひま姉のことが大好きなの』
きっと全てを片付けて、綺麗になってひま姉のところに帰ってくる。
明日で……全部終わる。
櫻子をただ待ってるだけなのが辛いんだったら……櫻子が頑張るところを見てあげて?
櫻子がひま姉のために頑張ってるところ……櫻子が、ひま姉を選ぶところ。
花子『それじゃ……また明日』ぷつっ
向日葵(…………)
花子ちゃんは、すがすがしいような声で電話を切った。
私の心臓が……急激に縮こまって緊張する。予期していなかった誘いで、胸が痛いほどに高鳴った。
明日で……全て終わる。
櫻子が……帰ってくる。
向日葵(さく……らこ……)
待ってる。
櫻子のことを……ずっと待ってる。
でも、ただ待ってるだけじゃだめなんですのよね。
あなたは頑張っているんだから……
私のために、頑張ってくれるんだから……
向日葵(っ……)ぎゅっ
――――――
――――
――
―
79: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:50:32.21 ID:+EtVRVLso
~
*
花子「ほら、似合うでしょ?」くるり
撫子「ほんとだ。櫻子より可愛い」
櫻子「くぅ~……しょうがない、約束通り花子にあげよう……」
8月7日。花子の誕生日。
今日は朝から、櫻子とデート。熱中症で倒れちゃったお詫びみたいなことになってるけど、他でもない……櫻子からの一番のプレゼントだって思ってる。
予想外だったけど、ひま姉にもついに打ち明けちゃったんだから。今日はもう、心から楽しまなくっちゃ。
櫻子「……花子、ちょっとこっち向いて?」
花子「?」
姿見の前でおめかししていた花子をしばらく眺めていた櫻子に呼ばれ、正面から向き合わされる。
何をされるのだろう……と思ったら、櫻子は髪につけていたふたつのヘアピンを、花子の髪に留めた。
花子「あ……///」
櫻子「ほら、こっちの方が可愛くない?」
撫子「いいじゃん、またちょっと違って見えるよ」
花子「そ、そうかなっ」
櫻子「このピン花子にあげるよ。大事にしてね」
花子「え……いいの!?」
櫻子「いいのいいの! もう今日は色んなものを花子にあげちゃうからね。ぜーんぶ誕生日プレゼント!」
撫子「いらないものあげてるだけなんじゃ……」
櫻子「そんなことないよー!///」
これは……櫻子が小さい頃からずっとつけていたヘアピンだ。
櫻子と同じようにして、左側のこめかみのあたりにつけられている。櫻子との心の距離が近くなれたような気がして、なんだかとっても……嬉しかった。
花子「あ、ありがとう……でも櫻子はヘアピンいいの?」
櫻子「んー、じゃあこの後買いにいこっかな? そろそろ私もイメチェンしなきゃ」
撫子「うわー……花子ついてってあげて。櫻子が変なの買わないように」
櫻子「ちょっと! 私だって可愛いの選べるってば!///」
花子「ふふっ、わかったし」
こうして朝から家族がいっぱいいてくれる家は、なんて幸せなんだろう。
この前は静かすぎて怖かったくらいなのに、お姉ちゃんたちがいるだけで、ものすごくあたたかい。
櫻子「よし……それじゃそろそろ行ってくるね、ねーちゃん」
撫子「気を付けてね。こっちは準備しておくから」
花子「行ってきまーす」
撫子「うん、行ってらっしゃい」
お気に入りの靴を履いて、櫻子に続いて外に出る。
今日も相変わらず、太陽がじりじりと大地を照らし続けていた。
*
花子「ほら、似合うでしょ?」くるり
撫子「ほんとだ。櫻子より可愛い」
櫻子「くぅ~……しょうがない、約束通り花子にあげよう……」
8月7日。花子の誕生日。
今日は朝から、櫻子とデート。熱中症で倒れちゃったお詫びみたいなことになってるけど、他でもない……櫻子からの一番のプレゼントだって思ってる。
予想外だったけど、ひま姉にもついに打ち明けちゃったんだから。今日はもう、心から楽しまなくっちゃ。
櫻子「……花子、ちょっとこっち向いて?」
花子「?」
姿見の前でおめかししていた花子をしばらく眺めていた櫻子に呼ばれ、正面から向き合わされる。
何をされるのだろう……と思ったら、櫻子は髪につけていたふたつのヘアピンを、花子の髪に留めた。
花子「あ……///」
櫻子「ほら、こっちの方が可愛くない?」
撫子「いいじゃん、またちょっと違って見えるよ」
花子「そ、そうかなっ」
櫻子「このピン花子にあげるよ。大事にしてね」
花子「え……いいの!?」
櫻子「いいのいいの! もう今日は色んなものを花子にあげちゃうからね。ぜーんぶ誕生日プレゼント!」
撫子「いらないものあげてるだけなんじゃ……」
櫻子「そんなことないよー!///」
これは……櫻子が小さい頃からずっとつけていたヘアピンだ。
櫻子と同じようにして、左側のこめかみのあたりにつけられている。櫻子との心の距離が近くなれたような気がして、なんだかとっても……嬉しかった。
花子「あ、ありがとう……でも櫻子はヘアピンいいの?」
櫻子「んー、じゃあこの後買いにいこっかな? そろそろ私もイメチェンしなきゃ」
撫子「うわー……花子ついてってあげて。櫻子が変なの買わないように」
櫻子「ちょっと! 私だって可愛いの選べるってば!///」
花子「ふふっ、わかったし」
こうして朝から家族がいっぱいいてくれる家は、なんて幸せなんだろう。
この前は静かすぎて怖かったくらいなのに、お姉ちゃんたちがいるだけで、ものすごくあたたかい。
櫻子「よし……それじゃそろそろ行ってくるね、ねーちゃん」
撫子「気を付けてね。こっちは準備しておくから」
花子「行ってきまーす」
撫子「うん、行ってらっしゃい」
お気に入りの靴を履いて、櫻子に続いて外に出る。
今日も相変わらず、太陽がじりじりと大地を照らし続けていた。
80: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:51:12.22 ID:+EtVRVLso
櫻子「花子、なんか体調悪かったらすぐに言ってよね! ねっちゅーしょー対策いっぱい持ってきたから!」ごそごそ
花子「わ、わかってるし……それより早く涼しい所いこ?」
櫻子「心配して言ってるのにー」
櫻子と二人きりでどこかに遊びにいくなんて、どれくらいぶりだろう。
軽快に隣を歩く櫻子は、花子がまだ見たことのない服を着ていた。
花子「その洋服、どうしたの?」
櫻子「これ? ちょっと前に今年の夏用で買ったの。なんか特別なときに着ようかなって思ってたんだけど……今日しかないなって思って。似合う?」
花子「うんっ……! ちょっとお姉さんっぽいし」
櫻子「おねーさんだからね!」
櫻子は本当に、ちょっとずつあの頃の撫子おねえちゃんに似てきている。
制服を着ているときの後ろ姿なんか、撫子おねえちゃんが帰ってきたのかと思うくらい似ているときもあって、やっぱり姉妹なんだなあって実感する。
いつか花子も……そのくらい大きくなって見せるんだから。
ちょっと背伸びがちに足を伸ばして、櫻子の隣に寄った。
ほらほら、花子は今日で12歳になったんだよ。
櫻子「ん……手でも繋ぐ?」
花子「えっ!」
櫻子「だってこれデートなんだもんね? やっぱそういうことした方がいいか」
花子「ええ~、恥ずかしいし……///」
櫻子「花子がデートって言ったんじゃん! それに大丈夫だって、他の人が見ても仲良し姉妹としか思われないよ」
花子「そ、それが恥ずかしいんじゃ……?」
櫻子「じゃあ恋人同士って思われた方がいい?」
花子「!」どきっ
櫻子「ふふ……今日は花子が主役なんだからさ、やりたいこと全部やった方がいいって!」ぎゅっ
櫻子は花子の腕に腕を絡め、そのまま手を握り合わせた。
花子「ちょーっ!? 恋人つなぎはやりすぎだし!」
櫻子「そうかなぁ……あっ! あそこにいるのみさきちじゃない?」
花子「ええっ!? みさきちいるの!?」きょろきょろ
櫻子「へへ、うっそー♪ でもお友達にこんなとこ見られたら恥ずかしいね」つん
花子「かっ……からかうなぁ~!///」ぎゅっ
櫻子「あ痛たたた! ごめんってー!」
花子「わ、わかってるし……それより早く涼しい所いこ?」
櫻子「心配して言ってるのにー」
櫻子と二人きりでどこかに遊びにいくなんて、どれくらいぶりだろう。
軽快に隣を歩く櫻子は、花子がまだ見たことのない服を着ていた。
花子「その洋服、どうしたの?」
櫻子「これ? ちょっと前に今年の夏用で買ったの。なんか特別なときに着ようかなって思ってたんだけど……今日しかないなって思って。似合う?」
花子「うんっ……! ちょっとお姉さんっぽいし」
櫻子「おねーさんだからね!」
櫻子は本当に、ちょっとずつあの頃の撫子おねえちゃんに似てきている。
制服を着ているときの後ろ姿なんか、撫子おねえちゃんが帰ってきたのかと思うくらい似ているときもあって、やっぱり姉妹なんだなあって実感する。
いつか花子も……そのくらい大きくなって見せるんだから。
ちょっと背伸びがちに足を伸ばして、櫻子の隣に寄った。
ほらほら、花子は今日で12歳になったんだよ。
櫻子「ん……手でも繋ぐ?」
花子「えっ!」
櫻子「だってこれデートなんだもんね? やっぱそういうことした方がいいか」
花子「ええ~、恥ずかしいし……///」
櫻子「花子がデートって言ったんじゃん! それに大丈夫だって、他の人が見ても仲良し姉妹としか思われないよ」
花子「そ、それが恥ずかしいんじゃ……?」
櫻子「じゃあ恋人同士って思われた方がいい?」
花子「!」どきっ
櫻子「ふふ……今日は花子が主役なんだからさ、やりたいこと全部やった方がいいって!」ぎゅっ
櫻子は花子の腕に腕を絡め、そのまま手を握り合わせた。
花子「ちょーっ!? 恋人つなぎはやりすぎだし!」
櫻子「そうかなぁ……あっ! あそこにいるのみさきちじゃない?」
花子「ええっ!? みさきちいるの!?」きょろきょろ
櫻子「へへ、うっそー♪ でもお友達にこんなとこ見られたら恥ずかしいね」つん
花子「かっ……からかうなぁ~!///」ぎゅっ
櫻子「あ痛たたた! ごめんってー!」
81: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:51:40.56 ID:+EtVRVLso
~
*
撫子「なるほどね……そういうことなんだ」とんとん
向日葵「ええ……」
撫子「まあなんとなくわかってたよ。帰りの新幹線で泣いてた時からね」
お菓子の材料を持って楓と一緒に大室家へ行くと、もう櫻子と花子ちゃんは出発した後だった。
さっそく撫子さんと一緒にキッチンで準備にとりかかる。楓はせっせと飾りつけを頑張ってくれているようだった。
撫子「……で、ひま子は行きたいの? その櫻子とお友達が会うところに」
向日葵「……まだ、迷ってて」
撫子「そう……でも迷うっていっても、完全にひま子の気持ち次第だよね。櫻子とその子はひま子が見てようがどうだろうが、話をつけちゃうんだから」
花子ちゃん指定したタイムリミットは夕方。それまでに答えを出さなければいけなかった。
撫子「……怖いの?」
向日葵「…………」
撫子「私の考え言っていい? ……絶対に行くべき」
向日葵「ど、どうしてですの?」
撫子「百聞は一見にしかず。このまま櫻子が無事に帰ってきたって、決定的なシーンを見ないことには、いずれ心のどこかで『まだ元カノを引きずってたらどうしよう』っていう疑念が出てきちゃうもんだと思うよ」
向日葵「っ……」
淡々と述べられる撫子さんの正論。頭ではわかっているのに、まだ私の恐怖心は壊れてくれない。
撫子「……恋は盲目だね。まさかひま子の心がこんなに不安定になるなんて思わなかった」
向日葵「うぅぅ……」
撫子「でもありがたいよ。それだけ櫻子のことが好きだってことなんだもんね」ふっ
てきぱきと食材の下ごしらえをしながら、撫子さんは笑った。
手が止まってるよ、とたしなめられる。ちょっと考えを巡らせるだけですぐに作業が中断されてしまう。頭の中はしっちゃかめっちゃかだった。
撫子「わかるよ。わかる……好きな人の言葉って、何でも信じられるけどさ」
撫子「好きな人が言ってくれる『私も大好きだよ』だけは……心から信じてあげられないんだよね。他に誰かいるんじゃないかとか思っちゃって」
向日葵「はい……」
撫子「当事者は悩んでるかもしれないけど、周りからすればひま子が馬鹿らしく見えるよ。どう考えたって櫻子はひま子を選んでるのに、気づかないんだから」
向日葵「……最近、櫻子と会えてないんですわ。だから余計に……」
撫子「最近ったって、たった二日くらいでしょ……?」
向日葵「私たちにとって二日は大きいですわ……」
撫子「その発言がもう、矛盾しすぎだって……櫻子は元カノと半年近く会ってないんでしょ。っていうか元カノって呼んでるけど、そもそも付き合ってすらいないんでしょ、その子と」
向日葵「そうらしいですけど……でも、もしかしたらそれも嘘で、本当は二人は付き合ってたのかも……!」
撫子「……だめだこりゃ」はぁ
*
撫子「なるほどね……そういうことなんだ」とんとん
向日葵「ええ……」
撫子「まあなんとなくわかってたよ。帰りの新幹線で泣いてた時からね」
お菓子の材料を持って楓と一緒に大室家へ行くと、もう櫻子と花子ちゃんは出発した後だった。
さっそく撫子さんと一緒にキッチンで準備にとりかかる。楓はせっせと飾りつけを頑張ってくれているようだった。
撫子「……で、ひま子は行きたいの? その櫻子とお友達が会うところに」
向日葵「……まだ、迷ってて」
撫子「そう……でも迷うっていっても、完全にひま子の気持ち次第だよね。櫻子とその子はひま子が見てようがどうだろうが、話をつけちゃうんだから」
花子ちゃん指定したタイムリミットは夕方。それまでに答えを出さなければいけなかった。
撫子「……怖いの?」
向日葵「…………」
撫子「私の考え言っていい? ……絶対に行くべき」
向日葵「ど、どうしてですの?」
撫子「百聞は一見にしかず。このまま櫻子が無事に帰ってきたって、決定的なシーンを見ないことには、いずれ心のどこかで『まだ元カノを引きずってたらどうしよう』っていう疑念が出てきちゃうもんだと思うよ」
向日葵「っ……」
淡々と述べられる撫子さんの正論。頭ではわかっているのに、まだ私の恐怖心は壊れてくれない。
撫子「……恋は盲目だね。まさかひま子の心がこんなに不安定になるなんて思わなかった」
向日葵「うぅぅ……」
撫子「でもありがたいよ。それだけ櫻子のことが好きだってことなんだもんね」ふっ
てきぱきと食材の下ごしらえをしながら、撫子さんは笑った。
手が止まってるよ、とたしなめられる。ちょっと考えを巡らせるだけですぐに作業が中断されてしまう。頭の中はしっちゃかめっちゃかだった。
撫子「わかるよ。わかる……好きな人の言葉って、何でも信じられるけどさ」
撫子「好きな人が言ってくれる『私も大好きだよ』だけは……心から信じてあげられないんだよね。他に誰かいるんじゃないかとか思っちゃって」
向日葵「はい……」
撫子「当事者は悩んでるかもしれないけど、周りからすればひま子が馬鹿らしく見えるよ。どう考えたって櫻子はひま子を選んでるのに、気づかないんだから」
向日葵「……最近、櫻子と会えてないんですわ。だから余計に……」
撫子「最近ったって、たった二日くらいでしょ……?」
向日葵「私たちにとって二日は大きいですわ……」
撫子「その発言がもう、矛盾しすぎだって……櫻子は元カノと半年近く会ってないんでしょ。っていうか元カノって呼んでるけど、そもそも付き合ってすらいないんでしょ、その子と」
向日葵「そうらしいですけど……でも、もしかしたらそれも嘘で、本当は二人は付き合ってたのかも……!」
撫子「……だめだこりゃ」はぁ
82: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:52:07.44 ID:+EtVRVLso
撫子さんは料理道具が置かれている棚からすりこぎ棒を取り出した。
なにか料理に使うのかと思ったら、まるで剣先を向けるかのように私にぴっと指してきた。
向日葵「なっ……!?」
撫子「極端に言っちゃえばさ、私が今ひま子をこれでぽこっとやって、気絶させたとする。そのまましばらく起きなくて、夜になって目が覚めたとき、櫻子は隣に帰ってきてくれてるよ」
向日葵(…………)
撫子「要はその間をどう過ごすかってことだけでしょ。贅沢な時間だと思うなぁ……私だったら、翌日に一緒に遊びに行くデート先でも下調べして待ってるけどね」
そうだ、吉川さんたちと約束したんだった。
次は必ず、櫻子と一緒にあの家に遊びに行くんだって。
撫子「マイナスなことを考えない。もっと楽しいことと明るいことに目を向ける。これも大事なことだよ」
向日葵「そう……ですわね」
撫子「行ってくればいいじゃん……櫻子の元カノに会いに。今まで櫻子を支えてきてくれてありがとうって言ってあげてもいいくらいだよ。ライバルって思わない方がいい。向こうも同じ女の子なんだから。ひま子も一緒に友達になってきちゃえば」
向日葵「わ、私がその人のところに行ったら……刺されちゃったりしないでしょうかっ」
撫子「……悪いけど、そんな病んでる子を櫻子は好きにならないと思うよ……」
撫子さんは呆れた様子で携帯をいじりだした。気づけば自分の手はぜんぜん進んでない。しゃかしゃかとボウルの中をかきまぜていると、突然耳元にぴたっと何かがあてられた。
向日葵「ひゃっ!」びくっ
撫子「ほら、話しな」
向日葵「えっ、ええっ!? ちょ、これ何ですの!?」
撫子「櫻子に電話かけたから。これが一番でしょ」
向日葵「えー!?」
勝手に耳と肩の間に携帯をはさまれてしまって、慌ててボウルを作業台の上に置き、しっかりと両手で電話を取る。コール音はいくつもしないうちに繋がってしまった。
『もしもしー? ねーちゃん?』
向日葵「あ、あ……櫻子?」
櫻子『え、向日葵っ!? な、なに……どしたの?』
向日葵「ち、違うんですのよ!? 撫子さんが勝手に携帯を渡してきたんですの!」
撫子「ひま子が早く櫻子に会いたいってよ」ぼそっ
櫻子『え……///』
向日葵「ちょっとぉ! 変なこと言わないでください!」
撫子さんが顔を近づけてきて、勝手に声を吹き込んでくる。電話口の櫻子もなんだか困惑している様子だった。
なにか料理に使うのかと思ったら、まるで剣先を向けるかのように私にぴっと指してきた。
向日葵「なっ……!?」
撫子「極端に言っちゃえばさ、私が今ひま子をこれでぽこっとやって、気絶させたとする。そのまましばらく起きなくて、夜になって目が覚めたとき、櫻子は隣に帰ってきてくれてるよ」
向日葵(…………)
撫子「要はその間をどう過ごすかってことだけでしょ。贅沢な時間だと思うなぁ……私だったら、翌日に一緒に遊びに行くデート先でも下調べして待ってるけどね」
そうだ、吉川さんたちと約束したんだった。
次は必ず、櫻子と一緒にあの家に遊びに行くんだって。
撫子「マイナスなことを考えない。もっと楽しいことと明るいことに目を向ける。これも大事なことだよ」
向日葵「そう……ですわね」
撫子「行ってくればいいじゃん……櫻子の元カノに会いに。今まで櫻子を支えてきてくれてありがとうって言ってあげてもいいくらいだよ。ライバルって思わない方がいい。向こうも同じ女の子なんだから。ひま子も一緒に友達になってきちゃえば」
向日葵「わ、私がその人のところに行ったら……刺されちゃったりしないでしょうかっ」
撫子「……悪いけど、そんな病んでる子を櫻子は好きにならないと思うよ……」
撫子さんは呆れた様子で携帯をいじりだした。気づけば自分の手はぜんぜん進んでない。しゃかしゃかとボウルの中をかきまぜていると、突然耳元にぴたっと何かがあてられた。
向日葵「ひゃっ!」びくっ
撫子「ほら、話しな」
向日葵「えっ、ええっ!? ちょ、これ何ですの!?」
撫子「櫻子に電話かけたから。これが一番でしょ」
向日葵「えー!?」
勝手に耳と肩の間に携帯をはさまれてしまって、慌ててボウルを作業台の上に置き、しっかりと両手で電話を取る。コール音はいくつもしないうちに繋がってしまった。
『もしもしー? ねーちゃん?』
向日葵「あ、あ……櫻子?」
櫻子『え、向日葵っ!? な、なに……どしたの?』
向日葵「ち、違うんですのよ!? 撫子さんが勝手に携帯を渡してきたんですの!」
撫子「ひま子が早く櫻子に会いたいってよ」ぼそっ
櫻子『え……///』
向日葵「ちょっとぉ! 変なこと言わないでください!」
撫子さんが顔を近づけてきて、勝手に声を吹き込んでくる。電話口の櫻子もなんだか困惑している様子だった。
83: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:52:52.60 ID:+EtVRVLso
向日葵「あ、あの……ちょっと久しぶりですわねっ」
櫻子『あーうん、そうだね……』
向日葵「え、えっと……楽しんでますの? 花子ちゃんと」
櫻子『うん、もうばっちり。あ、花子に替わろっか!?』
『いいしいいし、二人で話しなよ』
櫻子『ちょっと!///』
向日葵(あ……)
久しぶりに聞く櫻子の声。つい数日前まで一緒にいたのに、なんだかやっぱり懐かしく感じてしまう。
明るくて楽しげな雰囲気がうかがえる声は、私の一番好きな櫻子の声だ。
向日葵「あ、あのっ」
櫻子『ん?』
向日葵「今日は、その……何時くらいに帰ってきますの?」
櫻子『え……』
勇気を出して、一番聞きたかったことを尋ねた。視界の端で撫子さんがほほ笑む。
櫻子『ご、ごめん……何時かはまだわからないんだけど……』
向日葵「あ……そう」
櫻子『でも……待っててくれるかな』
向日葵(え……っ///)
耳に入ってくる話し声から、電話口で恥ずかしそうな表情を浮かべている櫻子が頭の中に思い描かれた。
私の不安をかき消してくれる一番の特効薬。櫻子の声。櫻子が発するメッセージ。全てがじわじわと私に染み渡っていく。
櫻子『あー……向日葵さ、この前ちなつちゃんの家行ったんでしょ?』
向日葵「えっ!? なんで知ってるんですの!?」
櫻子『え? だってちなつちゃんがLINEで教えてくれてたから』
向日葵「や、やだぁ……なんで言っちゃうんですの吉川さん……」はぁ
櫻子『えへへ、怒られちゃったんだよ……ちなつちゃんに。“彼女を不安にさせるなー!” って』
向日葵「え……」
櫻子『だから言ったの。“ちゃんと全部片付けてくるよ” って』
向日葵「!!」
櫻子の魔法の一言で、私の固まった心は解け壊れていった。
櫻子『あーうん、そうだね……』
向日葵「え、えっと……楽しんでますの? 花子ちゃんと」
櫻子『うん、もうばっちり。あ、花子に替わろっか!?』
『いいしいいし、二人で話しなよ』
櫻子『ちょっと!///』
向日葵(あ……)
久しぶりに聞く櫻子の声。つい数日前まで一緒にいたのに、なんだかやっぱり懐かしく感じてしまう。
明るくて楽しげな雰囲気がうかがえる声は、私の一番好きな櫻子の声だ。
向日葵「あ、あのっ」
櫻子『ん?』
向日葵「今日は、その……何時くらいに帰ってきますの?」
櫻子『え……』
勇気を出して、一番聞きたかったことを尋ねた。視界の端で撫子さんがほほ笑む。
櫻子『ご、ごめん……何時かはまだわからないんだけど……』
向日葵「あ……そう」
櫻子『でも……待っててくれるかな』
向日葵(え……っ///)
耳に入ってくる話し声から、電話口で恥ずかしそうな表情を浮かべている櫻子が頭の中に思い描かれた。
私の不安をかき消してくれる一番の特効薬。櫻子の声。櫻子が発するメッセージ。全てがじわじわと私に染み渡っていく。
櫻子『あー……向日葵さ、この前ちなつちゃんの家行ったんでしょ?』
向日葵「えっ!? なんで知ってるんですの!?」
櫻子『え? だってちなつちゃんがLINEで教えてくれてたから』
向日葵「や、やだぁ……なんで言っちゃうんですの吉川さん……」はぁ
櫻子『えへへ、怒られちゃったんだよ……ちなつちゃんに。“彼女を不安にさせるなー!” って』
向日葵「え……」
櫻子『だから言ったの。“ちゃんと全部片付けてくるよ” って』
向日葵「!!」
櫻子の魔法の一言で、私の固まった心は解け壊れていった。
84: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:54:40.88 ID:+EtVRVLso
向日葵(う……うぅ……///)かあっ
楓「?」とたとた
私の話し声を聞いて、楓もキッチンにやってきた。
ついつい緩んでしまう顔をなんとかひきしめようと携帯を持ちなおしたら……どうやら誤操作で、音声発信をスピーカーモードにしてしまった。
すると突然……櫻子の思い切りのいい声が、大音量で響き渡った。
≪向日葵……私は、向日葵の彼女だよ!///≫
向日葵「あっ!?///」どきっ
撫子「あ」
楓「あっ……」
≪だから私、もう向日葵を不安にはさせない! 向日葵の心配してる顔見るの、嫌だから!≫
向日葵「あーっ! あーっ! ちょっとタイム! やだこれ、どうやって戻すんですの!?///」
撫子「くくくく……///」ふるふる
楓「わぁ……♪」
櫻子の大胆な告白がやかましく携帯から発せられる。慌てて戻そうとしたが、撫子さんの携帯なのでよく勝手がわからない。
“好き” だとか “彼女” だとかの、こっ恥ずかしい告白がじゃんじゃん漏れ聞こえてしまって、たまらずに私は通話そのものを切った。
撫子さんは両手で顔を押さえてぷるぷると笑いをこらえている。楓はなぜか目をきらきらさせていた。
向日葵(は、はぁぁ……)
撫子「……よ、よかったじゃん。なんかいい感じの内容が聞こえてきた気がするよ」
向日葵「は、恥ずかしい……死んじゃいそうですわ……///」かああっ
楓「おねえちゃんが見たことないくらい真っ赤なの……!」
撫子「でもこれで、不安はなくなったでしょ? 櫻子は帰ってきてくれるよ」ぽん
撫子さんがうずくまった私の右肩に手を置く。なぜか楓も左肩に手を置いた。
撫子「楓も聞いたよね? 櫻子なんて言ってた?」
楓「わたしは、ひまわりの彼女だよーって言ってたの♪」くすっ
向日葵「か、かえでぇ!///」
撫子「ほら、もう何にも不安なことなんてないじゃん」
二人のあたたかい手の温度が、両肩から伝わって私の心にまで届く。
いつの間にか……もう何かをこわがる感情なんて、どこにもなくなっていた。
携帯を取り出し、ささっと花子ちゃんへメッセージを送る。
撫子「そう。それでいいんだよ」
向日葵「あ……ありがとうございました……」ぺこっ
撫子「あとは時間まで、ここで私たちに櫻子との面白エピソードでも聞かせててよ」
向日葵「え……えええっ!?」
撫子「楓もいろいろ聞きたいよね?」
楓「うんっ。お姉ちゃんの “こいばな” ききたいの!」
向日葵「楓……どこでそういう言葉を覚えてくるんですの……///」はぁ
楓「学校なの!」
楓「?」とたとた
私の話し声を聞いて、楓もキッチンにやってきた。
ついつい緩んでしまう顔をなんとかひきしめようと携帯を持ちなおしたら……どうやら誤操作で、音声発信をスピーカーモードにしてしまった。
すると突然……櫻子の思い切りのいい声が、大音量で響き渡った。
≪向日葵……私は、向日葵の彼女だよ!///≫
向日葵「あっ!?///」どきっ
撫子「あ」
楓「あっ……」
≪だから私、もう向日葵を不安にはさせない! 向日葵の心配してる顔見るの、嫌だから!≫
向日葵「あーっ! あーっ! ちょっとタイム! やだこれ、どうやって戻すんですの!?///」
撫子「くくくく……///」ふるふる
楓「わぁ……♪」
櫻子の大胆な告白がやかましく携帯から発せられる。慌てて戻そうとしたが、撫子さんの携帯なのでよく勝手がわからない。
“好き” だとか “彼女” だとかの、こっ恥ずかしい告白がじゃんじゃん漏れ聞こえてしまって、たまらずに私は通話そのものを切った。
撫子さんは両手で顔を押さえてぷるぷると笑いをこらえている。楓はなぜか目をきらきらさせていた。
向日葵(は、はぁぁ……)
撫子「……よ、よかったじゃん。なんかいい感じの内容が聞こえてきた気がするよ」
向日葵「は、恥ずかしい……死んじゃいそうですわ……///」かああっ
楓「おねえちゃんが見たことないくらい真っ赤なの……!」
撫子「でもこれで、不安はなくなったでしょ? 櫻子は帰ってきてくれるよ」ぽん
撫子さんがうずくまった私の右肩に手を置く。なぜか楓も左肩に手を置いた。
撫子「楓も聞いたよね? 櫻子なんて言ってた?」
楓「わたしは、ひまわりの彼女だよーって言ってたの♪」くすっ
向日葵「か、かえでぇ!///」
撫子「ほら、もう何にも不安なことなんてないじゃん」
二人のあたたかい手の温度が、両肩から伝わって私の心にまで届く。
いつの間にか……もう何かをこわがる感情なんて、どこにもなくなっていた。
携帯を取り出し、ささっと花子ちゃんへメッセージを送る。
撫子「そう。それでいいんだよ」
向日葵「あ……ありがとうございました……」ぺこっ
撫子「あとは時間まで、ここで私たちに櫻子との面白エピソードでも聞かせててよ」
向日葵「え……えええっ!?」
撫子「楓もいろいろ聞きたいよね?」
楓「うんっ。お姉ちゃんの “こいばな” ききたいの!」
向日葵「楓……どこでそういう言葉を覚えてくるんですの……///」はぁ
楓「学校なの!」
85: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:55:14.16 ID:+EtVRVLso
~
夕方になって、花子ちゃんから指定されたのは……駅前だった。
特別な荷物も持たずに急いで外に出た。少しずつ暮れゆく空の下、小走りで目的地へと向かう。
例のお友達がそこにいる……なんてことよりも私にとっては、そこには櫻子がいるんだという意識しかなかった。
目的地が見えてきて、呼吸を整えながらきょろきょろと歩き回る。いったい駅前のどこにいるんだろうと思ったが、直感的に場所がわかった。
駅前にある特徴的なオブジェ。半年前……バレンタインデーの前日に偶然見かけてしまったあの場所。
走ってきたこととは別の意味でドクドクと高鳴る胸を押さえながら……遠巻きにオブジェに近づいた。
向日葵(……!)
私たちくらいの女の子が二人、隣り合っていた。
見慣れない服を着ていたが、片方は櫻子だった。
そして、その隣にいたのは……
向日葵(あの人……)
いつしかに見た、サイドテールの女の子だった。
向日葵(やっぱり……あの人が……)
「ひま姉」とんっ
向日葵「きゃっ……!」
花子「よかったし……間に合って」
いつの間にか後ろに花子ちゃんが来ていて、私の腰に抱き着いてきた。
向日葵「さ、櫻子と一緒だったんじゃなかったんですの?」
花子「ちゃんと一人で話せるからって、花子はのけ者にされちゃったし。先に帰ってていいよって」
花子ちゃんはすがすがしい笑顔だった。
櫻子たちが並びあって言葉を交わす様子を眺める。残念ながら声までは聞こえない位置だった。
でも二人とも……悪いムードではなさそうだった。
向日葵「私……あの子をうちの近所で見かけましたわ、昨日」
花子「櫻子が全然会ってくれないから、よくこっちまで来てたんだって。偶然会えたことなんて一回もなかったみたいだけど……でも、しょっちゅう家の方に散歩にきてたって」
向日葵「…………」
花子「そのくらい……櫻子のことが好きだったんだし、あの人は」
恥ずかしそうに髪をいじったり、時折笑いあったりしながら、二人は話していた。
積もる話もあるだろうに、人通りも少なくない夕方の駅前で。
まだ雪が残っていたあの冬の日、可愛らしいコートを着ていた二人は、半年たってこの夏空の下、あのときとは違う笑顔を浮かべられるようになっている。
夕方になって、花子ちゃんから指定されたのは……駅前だった。
特別な荷物も持たずに急いで外に出た。少しずつ暮れゆく空の下、小走りで目的地へと向かう。
例のお友達がそこにいる……なんてことよりも私にとっては、そこには櫻子がいるんだという意識しかなかった。
目的地が見えてきて、呼吸を整えながらきょろきょろと歩き回る。いったい駅前のどこにいるんだろうと思ったが、直感的に場所がわかった。
駅前にある特徴的なオブジェ。半年前……バレンタインデーの前日に偶然見かけてしまったあの場所。
走ってきたこととは別の意味でドクドクと高鳴る胸を押さえながら……遠巻きにオブジェに近づいた。
向日葵(……!)
私たちくらいの女の子が二人、隣り合っていた。
見慣れない服を着ていたが、片方は櫻子だった。
そして、その隣にいたのは……
向日葵(あの人……)
いつしかに見た、サイドテールの女の子だった。
向日葵(やっぱり……あの人が……)
「ひま姉」とんっ
向日葵「きゃっ……!」
花子「よかったし……間に合って」
いつの間にか後ろに花子ちゃんが来ていて、私の腰に抱き着いてきた。
向日葵「さ、櫻子と一緒だったんじゃなかったんですの?」
花子「ちゃんと一人で話せるからって、花子はのけ者にされちゃったし。先に帰ってていいよって」
花子ちゃんはすがすがしい笑顔だった。
櫻子たちが並びあって言葉を交わす様子を眺める。残念ながら声までは聞こえない位置だった。
でも二人とも……悪いムードではなさそうだった。
向日葵「私……あの子をうちの近所で見かけましたわ、昨日」
花子「櫻子が全然会ってくれないから、よくこっちまで来てたんだって。偶然会えたことなんて一回もなかったみたいだけど……でも、しょっちゅう家の方に散歩にきてたって」
向日葵「…………」
花子「そのくらい……櫻子のことが好きだったんだし、あの人は」
恥ずかしそうに髪をいじったり、時折笑いあったりしながら、二人は話していた。
積もる話もあるだろうに、人通りも少なくない夕方の駅前で。
まだ雪が残っていたあの冬の日、可愛らしいコートを着ていた二人は、半年たってこの夏空の下、あのときとは違う笑顔を浮かべられるようになっている。
86: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:55:57.18 ID:+EtVRVLso
向日葵「……ふふっ。あの子……嬉しそうですわ」
花子「……うん」
向日葵「なんだか私……知らぬ間に申し訳ないことをしてたんですわね。あの人から櫻子を奪ってしまって……」
花子「…………」
向日葵「辛かったでしょうに……櫻子と離れて……会えないままの日々が続いて……」
花子「ひま姉……」もぞ
花子ちゃんは二人から目を外し、私の胸に顔をうずめてきた。
花子「あの人のぶんも、そして花子のぶんも……ひま姉は、櫻子を好きでいてあげなきゃ、だめなんだからね……///」ぎゅっ
向日葵「っ……!」
花子「約束だよ……///」にこっ
私を見上げる花子ちゃんは、とびきりの笑顔だった。
視線の先のあの女の子も……笑顔だった。
私だけが、涙をうかべてしまっていた。
向日葵「……守ります」ぎゅっ
花子「あ……」
向日葵「必ず……かならず……っ///」
花子「……ありがとう……」
オレンジに染まりゆく夕焼けの中、二人を目に焼き付けた私は……花子ちゃんの手を引いて、一緒に家へと帰った。
ちゃんと見てくれるかはわからないけど、途中で櫻子に携帯でメッセージを送った。
[いくら遅くなっても構いませんから、ちゃんと全部謝ってから帰ってきなさい]
花子「……よかったの? ひま姉」
向日葵「ええ。笑い合ってる二人を見たら、心に余裕が出てきましたわ……あの二人には仲良くいてほしいんですの」
花子「…………」
向日葵「だから、今日一日くらいは、あの子に櫻子を預けます。一時間やそこらのお話で解消できるものじゃないでしょう……きっと」
花子「…………」
向日葵「納得のいく話し合いができたら、自然に帰ってきてくれると思いますわ」
櫻子は、私の彼女だから。
花子「……ひま姉」ふっ
向日葵「はい?」
花子「帰ったら……花子の部屋に来てくれる? 渡したいものがあるんだし」
向日葵「渡したいもの……?」
花子「うん。花子からひま姉へのプレゼント」
向日葵「プレゼントって……そんな、今日の主役は花子ちゃんですのに」
花子「それでも! どうしても今日渡したいものがあるの。じつは撫子おねえちゃんにも協力して、用意してもらったものがあるんだし……」
向日葵「?」
いったい何なのか、さっぱりわからなかった。
花子「……うん」
向日葵「なんだか私……知らぬ間に申し訳ないことをしてたんですわね。あの人から櫻子を奪ってしまって……」
花子「…………」
向日葵「辛かったでしょうに……櫻子と離れて……会えないままの日々が続いて……」
花子「ひま姉……」もぞ
花子ちゃんは二人から目を外し、私の胸に顔をうずめてきた。
花子「あの人のぶんも、そして花子のぶんも……ひま姉は、櫻子を好きでいてあげなきゃ、だめなんだからね……///」ぎゅっ
向日葵「っ……!」
花子「約束だよ……///」にこっ
私を見上げる花子ちゃんは、とびきりの笑顔だった。
視線の先のあの女の子も……笑顔だった。
私だけが、涙をうかべてしまっていた。
向日葵「……守ります」ぎゅっ
花子「あ……」
向日葵「必ず……かならず……っ///」
花子「……ありがとう……」
オレンジに染まりゆく夕焼けの中、二人を目に焼き付けた私は……花子ちゃんの手を引いて、一緒に家へと帰った。
ちゃんと見てくれるかはわからないけど、途中で櫻子に携帯でメッセージを送った。
[いくら遅くなっても構いませんから、ちゃんと全部謝ってから帰ってきなさい]
花子「……よかったの? ひま姉」
向日葵「ええ。笑い合ってる二人を見たら、心に余裕が出てきましたわ……あの二人には仲良くいてほしいんですの」
花子「…………」
向日葵「だから、今日一日くらいは、あの子に櫻子を預けます。一時間やそこらのお話で解消できるものじゃないでしょう……きっと」
花子「…………」
向日葵「納得のいく話し合いができたら、自然に帰ってきてくれると思いますわ」
櫻子は、私の彼女だから。
花子「……ひま姉」ふっ
向日葵「はい?」
花子「帰ったら……花子の部屋に来てくれる? 渡したいものがあるんだし」
向日葵「渡したいもの……?」
花子「うん。花子からひま姉へのプレゼント」
向日葵「プレゼントって……そんな、今日の主役は花子ちゃんですのに」
花子「それでも! どうしても今日渡したいものがあるの。じつは撫子おねえちゃんにも協力して、用意してもらったものがあるんだし……」
向日葵「?」
いったい何なのか、さっぱりわからなかった。
87: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:56:27.84 ID:+EtVRVLso
~
大室家につくと、撫子さんと楓に迎えられた。櫻子はあとから来るからその前に済ませちゃいたいと花子ちゃんが言って、楓と一緒にリビングで待たされた。
すぐに撫子さんと花子ちゃんは、自室から後ろ手に何かを持って戻ってきた。
座ってとうながされ、お二人の前に向き合って正座する。
二人の改まった神妙な面持ちが少し怖い。楓も不思議そうにしながら、私の隣にちょこんと座った。
花子「…………」ふぅ
向日葵「…………」
花子「……ひま姉」
向日葵「は、はい」
花子「……花子からは、これを」すっ
向日葵「?」
花子ちゃんはそう言うと、背中の方から一枚の紙を取りだし、しずしずと差し出した。
一体何だろう……とも思いながら受け取る。
二つ折りにされている意外と大きなその紙を、覗き込む楓の前で開いた。
向日葵「えっ……!?///」
撫子「ふふ……懐かしいでしょ、それ」
花子「この前花子が家の中で見つけたんだし。戸棚の奥で……ずっと隠れてたみたい」
それは……幼い頃に私と櫻子が一緒に落書きをした、婚姻届だった。
大室家につくと、撫子さんと楓に迎えられた。櫻子はあとから来るからその前に済ませちゃいたいと花子ちゃんが言って、楓と一緒にリビングで待たされた。
すぐに撫子さんと花子ちゃんは、自室から後ろ手に何かを持って戻ってきた。
座ってとうながされ、お二人の前に向き合って正座する。
二人の改まった神妙な面持ちが少し怖い。楓も不思議そうにしながら、私の隣にちょこんと座った。
花子「…………」ふぅ
向日葵「…………」
花子「……ひま姉」
向日葵「は、はい」
花子「……花子からは、これを」すっ
向日葵「?」
花子ちゃんはそう言うと、背中の方から一枚の紙を取りだし、しずしずと差し出した。
一体何だろう……とも思いながら受け取る。
二つ折りにされている意外と大きなその紙を、覗き込む楓の前で開いた。
向日葵「えっ……!?///」
撫子「ふふ……懐かしいでしょ、それ」
花子「この前花子が家の中で見つけたんだし。戸棚の奥で……ずっと隠れてたみたい」
それは……幼い頃に私と櫻子が一緒に落書きをした、婚姻届だった。
88: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:56:59.37 ID:+EtVRVLso
楓「わぁ……///」
撫子「……私は覚えてたよ。二人が仲良くこれを書いてた時のこと……楓はこのとき生まれてたっけなぁ」
楓「そ、そんな昔っ?」
撫子「そう」
向日葵「っ……///」
花子「ひま姉と櫻子は……やっぱり、いちばん最初の最初から、結ばれてたんだし」
ヒマワリのカチューシャの女の子と、桜のヘアピンの女の子が、手をつないでいる。
つまになる人、おおむろさくらこ。
妻になる人、ふるたにひまわり。
撫子「二人はきっと……これから先も、喧嘩とかいっぱいしちゃうでしょ」
花子「でも、忘れちゃいけないことがあるし……二人はいつだって、お互いのことが大好きなんだってこと」
撫子「今まで二人で過ごしてきた、いくつものかけがえのない時間を……忘れないでね」
向日葵「ううぅ……うぅっ……///」ぽろぽろ
突然のことに耐え切れなくなって、
私は、泣き崩れた。
せっかくの思い出の品に涙が落ちてしまう。撫子さんと花子ちゃんと楓に笑顔を向けられて、何も考えらないくらい感情の器が満たされてしまって、どうしようもなかった。
花子「ま、まだ泣いちゃだめだし……ここからもうひとつあるんだから!///」
撫子「ひま子、今度は私から」
向日葵「な……なんですか……っ」ぐすっ
撫子さんが、さきほどの花子ちゃんと同じように、一枚の紙を取り出した。
まったく同じくらいのサイズの紙。けれどさっきのものと違って、真新しかった。
向日葵「!!!」
それは、何もかかれていないまっさらな婚姻届だった。
いや……何も書かれていないわけではない。
保証人の欄には、撫子さんと花子ちゃんのサインと押印があった。
撫子「……私は覚えてたよ。二人が仲良くこれを書いてた時のこと……楓はこのとき生まれてたっけなぁ」
楓「そ、そんな昔っ?」
撫子「そう」
向日葵「っ……///」
花子「ひま姉と櫻子は……やっぱり、いちばん最初の最初から、結ばれてたんだし」
ヒマワリのカチューシャの女の子と、桜のヘアピンの女の子が、手をつないでいる。
つまになる人、おおむろさくらこ。
妻になる人、ふるたにひまわり。
撫子「二人はきっと……これから先も、喧嘩とかいっぱいしちゃうでしょ」
花子「でも、忘れちゃいけないことがあるし……二人はいつだって、お互いのことが大好きなんだってこと」
撫子「今まで二人で過ごしてきた、いくつものかけがえのない時間を……忘れないでね」
向日葵「ううぅ……うぅっ……///」ぽろぽろ
突然のことに耐え切れなくなって、
私は、泣き崩れた。
せっかくの思い出の品に涙が落ちてしまう。撫子さんと花子ちゃんと楓に笑顔を向けられて、何も考えらないくらい感情の器が満たされてしまって、どうしようもなかった。
花子「ま、まだ泣いちゃだめだし……ここからもうひとつあるんだから!///」
撫子「ひま子、今度は私から」
向日葵「な……なんですか……っ」ぐすっ
撫子さんが、さきほどの花子ちゃんと同じように、一枚の紙を取り出した。
まったく同じくらいのサイズの紙。けれどさっきのものと違って、真新しかった。
向日葵「!!!」
それは、何もかかれていないまっさらな婚姻届だった。
いや……何も書かれていないわけではない。
保証人の欄には、撫子さんと花子ちゃんのサインと押印があった。
89: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:57:25.68 ID:+EtVRVLso
向日葵「こ、これ……っ」
花子「撫子おねえちゃんにとってきてもらったの。もう一度……二人にちゃんと書いてほしいから」
撫子「提出しなくてもいいけど……私たちみんなからのプレゼント。大事にしまっておいて」
花子「ペン持ってきたから、楓もサインしちゃお。開いてる所に」
楓「い、いいの?」
撫子「しっかり書いてあげて」
二人は目を見合わせると、綺麗に手をついて深々と頭を下げた。
撫子「……ひま子……」
花子「……ひま姉……」
――うちの櫻子を、よろしくお願いします。
花子「ずっと見てきたし……二人のこと」
撫子「あの子にはもう……ひま子しかいないんだよ」
花子「ひま姉のことが大好きみたい。本当に……本当に」
撫子「ふつつかな妹だけど……そんなのひま子が一番よくわかってるかもしれないけど……」
花子「櫻子を……幸せにしてあげてください……!」
撫子「もちろんひま子も……幸せになってね……///」
涙で何も見えなくなる。
嗚咽を止められないまま、私もお二人の前に頭をさげた。
向日葵「い、いっしょう……」
向日葵「……一生、櫻子を……大切に、します……っ」ぺこっ
撫子「……ありがと」
花子「おめでとう……ひま姉……///」ぎゅっ
楓「おねえちゃん……おめでとう……!」
撫子さん、花子ちゃん、楓……三人に優しく抱きしめられ、みっともなく、子供みたいにわぁわぁと泣いてしまった。
この家族が……楓が、大好きでたまらなかった。
目蓋の裏には……櫻子の優しい笑顔が見えた。
――――――
――――
――
―
花子「撫子おねえちゃんにとってきてもらったの。もう一度……二人にちゃんと書いてほしいから」
撫子「提出しなくてもいいけど……私たちみんなからのプレゼント。大事にしまっておいて」
花子「ペン持ってきたから、楓もサインしちゃお。開いてる所に」
楓「い、いいの?」
撫子「しっかり書いてあげて」
二人は目を見合わせると、綺麗に手をついて深々と頭を下げた。
撫子「……ひま子……」
花子「……ひま姉……」
――うちの櫻子を、よろしくお願いします。
花子「ずっと見てきたし……二人のこと」
撫子「あの子にはもう……ひま子しかいないんだよ」
花子「ひま姉のことが大好きみたい。本当に……本当に」
撫子「ふつつかな妹だけど……そんなのひま子が一番よくわかってるかもしれないけど……」
花子「櫻子を……幸せにしてあげてください……!」
撫子「もちろんひま子も……幸せになってね……///」
涙で何も見えなくなる。
嗚咽を止められないまま、私もお二人の前に頭をさげた。
向日葵「い、いっしょう……」
向日葵「……一生、櫻子を……大切に、します……っ」ぺこっ
撫子「……ありがと」
花子「おめでとう……ひま姉……///」ぎゅっ
楓「おねえちゃん……おめでとう……!」
撫子さん、花子ちゃん、楓……三人に優しく抱きしめられ、みっともなく、子供みたいにわぁわぁと泣いてしまった。
この家族が……楓が、大好きでたまらなかった。
目蓋の裏には……櫻子の優しい笑顔が見えた。
――――――
――――
――
―
90: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:58:12.19 ID:+EtVRVLso
~
*
駅から家まで、走り続けて家に帰った。
時刻はもう夜の9時。今日は花子の誕生日なのに、パーティーの時間をほとんどすっぽかしてしまった。
向日葵から送られていたメッセージを見て、本当に悔いなく全てのことを話し終わるまで、今日という日を使わなきゃいけない気がした。
私は正しい選択ができているだろうか。頭の中に花子の顔を思い浮かべて考えた。花子もあの子のことが好きだから……きっと、これでよかったんだよね。
熱帯夜の中を走り、汗をかいてしまいながら、なんとか家に到着した。
息を切らしながら玄関を開ける……リビングをあけると、かちゃかちゃとお皿を洗ってるねーちゃんがいた。
撫子「……お帰り」きゅっ
櫻子「あれ……も、もう終わっちゃった!?」はぁはぁ
撫子「謝ってきな。花子は上にいるから」
櫻子「うん……」
せっかくの誕生パーティーに、ついに間に合わなかった。ねーちゃんは事情を知ってくれているのかわからないが、特に怒っている様子ではなかった。
むしろ今のは……すごく優しいときの顔だったような気がする。
二階にあがって花子の部屋に行こうとする……前に、あるものが目に入ってしまった。
私の部屋の扉が、少し開いている。
そっと開けて覗いてみると……机のそばに、小さな人影があった。
櫻子「え……?」
楓「あっ……///」
真っ暗な部屋の中……誰かと思ったら、楓だった。
私の机に手を置いていたが、慌てて何かを後ろ手に隠した。真っ暗なので電気をつけてあげる。
櫻子「楓……どしたの?」
楓「あ、あわわ……///」
櫻子「私の机に何か用でもあった……?」
楓「え、えっとね、その……ああー……///」もじもじ
もじもじと返答に困る楓。悪いことをしていたわけではないと思うが、楓がこんな姿を見せるのは初めてだ。
楓「……は、花子おねえちゃん! どうしよ~……」
櫻子「えっ?」
*
駅から家まで、走り続けて家に帰った。
時刻はもう夜の9時。今日は花子の誕生日なのに、パーティーの時間をほとんどすっぽかしてしまった。
向日葵から送られていたメッセージを見て、本当に悔いなく全てのことを話し終わるまで、今日という日を使わなきゃいけない気がした。
私は正しい選択ができているだろうか。頭の中に花子の顔を思い浮かべて考えた。花子もあの子のことが好きだから……きっと、これでよかったんだよね。
熱帯夜の中を走り、汗をかいてしまいながら、なんとか家に到着した。
息を切らしながら玄関を開ける……リビングをあけると、かちゃかちゃとお皿を洗ってるねーちゃんがいた。
撫子「……お帰り」きゅっ
櫻子「あれ……も、もう終わっちゃった!?」はぁはぁ
撫子「謝ってきな。花子は上にいるから」
櫻子「うん……」
せっかくの誕生パーティーに、ついに間に合わなかった。ねーちゃんは事情を知ってくれているのかわからないが、特に怒っている様子ではなかった。
むしろ今のは……すごく優しいときの顔だったような気がする。
二階にあがって花子の部屋に行こうとする……前に、あるものが目に入ってしまった。
私の部屋の扉が、少し開いている。
そっと開けて覗いてみると……机のそばに、小さな人影があった。
櫻子「え……?」
楓「あっ……///」
真っ暗な部屋の中……誰かと思ったら、楓だった。
私の机に手を置いていたが、慌てて何かを後ろ手に隠した。真っ暗なので電気をつけてあげる。
櫻子「楓……どしたの?」
楓「あ、あわわ……///」
櫻子「私の机に何か用でもあった……?」
楓「え、えっとね、その……ああー……///」もじもじ
もじもじと返答に困る楓。悪いことをしていたわけではないと思うが、楓がこんな姿を見せるのは初めてだ。
楓「……は、花子おねえちゃん! どうしよ~……」
櫻子「えっ?」
91: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:58:48.80 ID:+EtVRVLso
楓は声をあげて助けを呼んだ。声を聞いた花子が隣の部屋から慌てて出てくる。
花子「あーあーあ! 帰ってきちゃったの!?」
櫻子「え、だめだったの?」
花子「もう! あと1分でいいから遅く帰ってこいし!」
櫻子「ひどっ! 花子の誕生日会に間に合うように走って帰ってきたんだよ!? 間に合わなかったけどさ!」
楓「ど、どうしよぉ……///」
櫻子「なんなの? 何かあるの?」
楓「うぅ~……えいっ!」ぽすっ
櫻子「うわっ」
突然楓が腰元に抱き着いてくる。私の顔を見上げて、その小さな手に持っていた何かを渡してきた。
楓「あ、あのね……おねえちゃんがこれ、櫻子おねえちゃんにって」
櫻子「え……?」
楓「ほ、本当はこっそり置いてきてねってお願いされたんだけど……えへへ、ばれちゃったの♪」てへっ
花子「まったくタイミング悪いし……」はぁ
楓に手渡されたのは……
向日葵が使っている、古谷家の鍵だった。
櫻子「!!」
楓「おねえちゃんね、待ってるって。櫻子おねえちゃんのこと」
花子「楓は今日、このまま花子の部屋に泊まることになったから」
櫻子「え……!」
楓「ふふふ……早く行ってあげてほしいの!」
花子「ほらほら、早く」ぐいぐい
櫻子「わ、わかったよ! わかったって!///」
妹たちに押され、また家の外へと追いやられてしまった。
手の中で光る鍵を握りしめ、隣の古谷家の門をそっとくぐる。
外から見た限り、古谷家に明かりはついていなかった。
櫻子「…………」がらっ
玄関にも明かりは無く、誰もいないようだった。そういえば今日は古谷家のお母さんたちがいないんだっけ。昨日楓に聞かされたような気がする。
忍び足で玄関を抜け、闇に慣れてきた目で、通い慣れた廊下を静かに歩いた。
居間をぬけ、楓の部屋の前をぬけ、向日葵の部屋の前に来る。
とんとん
櫻子「……向日葵……?」
戸をノックしてみたが、返事はなかった。
花子「あーあーあ! 帰ってきちゃったの!?」
櫻子「え、だめだったの?」
花子「もう! あと1分でいいから遅く帰ってこいし!」
櫻子「ひどっ! 花子の誕生日会に間に合うように走って帰ってきたんだよ!? 間に合わなかったけどさ!」
楓「ど、どうしよぉ……///」
櫻子「なんなの? 何かあるの?」
楓「うぅ~……えいっ!」ぽすっ
櫻子「うわっ」
突然楓が腰元に抱き着いてくる。私の顔を見上げて、その小さな手に持っていた何かを渡してきた。
楓「あ、あのね……おねえちゃんがこれ、櫻子おねえちゃんにって」
櫻子「え……?」
楓「ほ、本当はこっそり置いてきてねってお願いされたんだけど……えへへ、ばれちゃったの♪」てへっ
花子「まったくタイミング悪いし……」はぁ
楓に手渡されたのは……
向日葵が使っている、古谷家の鍵だった。
櫻子「!!」
楓「おねえちゃんね、待ってるって。櫻子おねえちゃんのこと」
花子「楓は今日、このまま花子の部屋に泊まることになったから」
櫻子「え……!」
楓「ふふふ……早く行ってあげてほしいの!」
花子「ほらほら、早く」ぐいぐい
櫻子「わ、わかったよ! わかったって!///」
妹たちに押され、また家の外へと追いやられてしまった。
手の中で光る鍵を握りしめ、隣の古谷家の門をそっとくぐる。
外から見た限り、古谷家に明かりはついていなかった。
櫻子「…………」がらっ
玄関にも明かりは無く、誰もいないようだった。そういえば今日は古谷家のお母さんたちがいないんだっけ。昨日楓に聞かされたような気がする。
忍び足で玄関を抜け、闇に慣れてきた目で、通い慣れた廊下を静かに歩いた。
居間をぬけ、楓の部屋の前をぬけ、向日葵の部屋の前に来る。
とんとん
櫻子「……向日葵……?」
戸をノックしてみたが、返事はなかった。
92: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 17:59:41.10 ID:+EtVRVLso
櫻子「あれ……入るよ?」すっ
思い切って開けてみる。
向日葵の部屋にも……やはり明かりはついていなかった。
櫻子(えぇ……!?)
室内に静かに入ってみる。
なんだ、誰もいないじゃん……そう思って振り返ろうとした矢先、
櫻子「うわっ!!///」ぎゅっ
ぼすん!
背後から、何か柔らかい物がつっこんできて……私はそのままバランスを崩し、ベッドに押し倒された。
櫻子「ちょ、ちょっと! 向日葵!?///」ばたばた
「……ふふふふっ……///」
櫻子「!」
布団の海でもがいて、つっこんできた何者かを確認しようと振り返ると、聞き慣れた笑い声が耳に入ってきた。
向日葵「…………」
櫻子「あ……」
わかっていはいたけど……向日葵が、私の上に覆いかぶさっていた。
向日葵「……お帰りなさい、櫻子」
櫻子「……た、ただいま……」はぁはぁ
向日葵「…………」
櫻子「……あ、えっと……」
向日葵「ふふ、懐かしい……もう一回言ってみて? “ただいま” って」
櫻子「え……?」
向日葵「あなたが転校してきてくれたとき……学校で初めて言ってくれたんでしたわね。みんなの前で」
櫻子「!」
向日葵「ほら、もう一度言ってみてくださいな……」もぞ
櫻子「た、ただいま……?///」
向日葵「……おかえりなさい」にこっ
櫻子「どうしたの……? なんか雰囲気おかしいよ……?///」
向日葵「そう?」ずいっ
櫻子「ち、近いって……!」
向日葵「いいじゃない、私はあなたの彼女なんですから」
櫻子「!」
窓から差し込む月明かりを映す白い肌。
向日葵は……とても優しい顔をしていた。
思い切って開けてみる。
向日葵の部屋にも……やはり明かりはついていなかった。
櫻子(えぇ……!?)
室内に静かに入ってみる。
なんだ、誰もいないじゃん……そう思って振り返ろうとした矢先、
櫻子「うわっ!!///」ぎゅっ
ぼすん!
背後から、何か柔らかい物がつっこんできて……私はそのままバランスを崩し、ベッドに押し倒された。
櫻子「ちょ、ちょっと! 向日葵!?///」ばたばた
「……ふふふふっ……///」
櫻子「!」
布団の海でもがいて、つっこんできた何者かを確認しようと振り返ると、聞き慣れた笑い声が耳に入ってきた。
向日葵「…………」
櫻子「あ……」
わかっていはいたけど……向日葵が、私の上に覆いかぶさっていた。
向日葵「……お帰りなさい、櫻子」
櫻子「……た、ただいま……」はぁはぁ
向日葵「…………」
櫻子「……あ、えっと……」
向日葵「ふふ、懐かしい……もう一回言ってみて? “ただいま” って」
櫻子「え……?」
向日葵「あなたが転校してきてくれたとき……学校で初めて言ってくれたんでしたわね。みんなの前で」
櫻子「!」
向日葵「ほら、もう一度言ってみてくださいな……」もぞ
櫻子「た、ただいま……?///」
向日葵「……おかえりなさい」にこっ
櫻子「どうしたの……? なんか雰囲気おかしいよ……?///」
向日葵「そう?」ずいっ
櫻子「ち、近いって……!」
向日葵「いいじゃない、私はあなたの彼女なんですから」
櫻子「!」
窓から差し込む月明かりを映す白い肌。
向日葵は……とても優しい顔をしていた。
93: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 18:00:14.32 ID:+EtVRVLso
のそのそと私の身体の上によじのぼってくる。すごくくすぐったくて、たまらずに後ずさりしようとするが、がっちりと抱きしめられてしまって動けない。
櫻子「ちょ、わっ! なに!?///」
向日葵「終わったんですの?」
櫻子「え……?」
向日葵「ちゃんと全部……片付けてきたんでしょうね」
櫻子「…………」
向日葵は、ほんの数センチの距離まで顔を近づけてきた。
私にはもう、向日葵しか見えない。
櫻子「ぜんぶ……話してきたよ」
向日葵「…………」
櫻子「きちんと別れようと思ったら、向こうの方から別れてって言われちゃったんだけど。もう別の人に向かって歩き出したいんだって……」
櫻子「花火大会とかも、約束してたんだけど……向日葵を誘ってあげて、って言われちゃった」
向日葵「そう……」
櫻子「ごめんね遅くなっちゃって……花子の誕生会も、間に合わなくてさ……」
向日葵「……いいんですのよ、誰も怒ってませんわ」
櫻子「……そ、そう?」
向日葵「ええ」
近い。
近すぎる。
もう向日葵の前髪が、私の肌をくすぐってる。
向日葵の柔らかい身体が、私に密着しすぎてる。
向日葵の匂いしかしない。
櫻子「ちょ、わっ! なに!?///」
向日葵「終わったんですの?」
櫻子「え……?」
向日葵「ちゃんと全部……片付けてきたんでしょうね」
櫻子「…………」
向日葵は、ほんの数センチの距離まで顔を近づけてきた。
私にはもう、向日葵しか見えない。
櫻子「ぜんぶ……話してきたよ」
向日葵「…………」
櫻子「きちんと別れようと思ったら、向こうの方から別れてって言われちゃったんだけど。もう別の人に向かって歩き出したいんだって……」
櫻子「花火大会とかも、約束してたんだけど……向日葵を誘ってあげて、って言われちゃった」
向日葵「そう……」
櫻子「ごめんね遅くなっちゃって……花子の誕生会も、間に合わなくてさ……」
向日葵「……いいんですのよ、誰も怒ってませんわ」
櫻子「……そ、そう?」
向日葵「ええ」
近い。
近すぎる。
もう向日葵の前髪が、私の肌をくすぐってる。
向日葵の柔らかい身体が、私に密着しすぎてる。
向日葵の匂いしかしない。
94: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 18:00:42.66 ID:+EtVRVLso
向日葵「……櫻子」
櫻子「は、はい……?」
向日葵「私この前……吉川さんに言われたんですわ。櫻子が今日私の元に帰ってくるということは……どんな言葉よりも意味を持った、プロポーズなんだって」
櫻子「!」
向日葵「それを待つ私は……一体どうしてあげればいいんですの? って聞いたら……“櫻子のことがこれだけ好き”っていうのを、行為で示せばいいだけだよって、教えてもらいました」
向日葵の目に吸い込まれそうになる。
かかる吐息が熱い。
今までみてきたどんな向日葵より……色っぽい。
向日葵「あなた……いつだかに言ってましたわよね。昔の私は、いつも櫻子に何かをしてあげる側で……いつしかそれが当たり前になっちゃったから、『今度は櫻子の番』ってことで、一生懸命頑張ったんだって」
櫻子「う……うん……///」
向日葵「私……ここ最近、ずっとあなたの頑張ってる所を見てきましたわ。ぜんぶぜんぶ私のために頑張ってくれてるんだって思うと、本当に嬉しかった……」
向日葵「だから……今度は、また私の番ですわよね……?」ぴとっ
櫻子「……っ!」
おでこに、おでこをくっつけられた。
向日葵「櫻子……」
櫻子「……なに……?」
向日葵「今日はね……うち、誰もいないんですわ……」
櫻子「うん……」
向日葵「親もいないですし……楓も、花子ちゃんの家に泊まっちゃいましたので」
櫻子「…………」
向日葵「だから……今日は、私たちだけなんですの……///」
櫻子「!!」
向日葵はもぞもぞと手をひっぱり出してきて、私の顎に当てた。
そして……ゆっくりと顔の角度を変えて……
向日葵「櫻子……大好きですわ」
唇を、重ねた。
櫻子「は、はい……?」
向日葵「私この前……吉川さんに言われたんですわ。櫻子が今日私の元に帰ってくるということは……どんな言葉よりも意味を持った、プロポーズなんだって」
櫻子「!」
向日葵「それを待つ私は……一体どうしてあげればいいんですの? って聞いたら……“櫻子のことがこれだけ好き”っていうのを、行為で示せばいいだけだよって、教えてもらいました」
向日葵の目に吸い込まれそうになる。
かかる吐息が熱い。
今までみてきたどんな向日葵より……色っぽい。
向日葵「あなた……いつだかに言ってましたわよね。昔の私は、いつも櫻子に何かをしてあげる側で……いつしかそれが当たり前になっちゃったから、『今度は櫻子の番』ってことで、一生懸命頑張ったんだって」
櫻子「う……うん……///」
向日葵「私……ここ最近、ずっとあなたの頑張ってる所を見てきましたわ。ぜんぶぜんぶ私のために頑張ってくれてるんだって思うと、本当に嬉しかった……」
向日葵「だから……今度は、また私の番ですわよね……?」ぴとっ
櫻子「……っ!」
おでこに、おでこをくっつけられた。
向日葵「櫻子……」
櫻子「……なに……?」
向日葵「今日はね……うち、誰もいないんですわ……」
櫻子「うん……」
向日葵「親もいないですし……楓も、花子ちゃんの家に泊まっちゃいましたので」
櫻子「…………」
向日葵「だから……今日は、私たちだけなんですの……///」
櫻子「!!」
向日葵はもぞもぞと手をひっぱり出してきて、私の顎に当てた。
そして……ゆっくりと顔の角度を変えて……
向日葵「櫻子……大好きですわ」
唇を、重ねた。
95: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 18:01:10.90 ID:+EtVRVLso
向日葵「ん……」
櫻子「っ…………」
キス、してる。
向日葵と、キスしちゃってる。
どれくらいぶりだろう。
私たち、付き合いだして半年だけど。
最後にキスしたの……転校前の、あのとき以来だよ。
両想いなのに、タイミングがつかめなくて、なかなかできなかったんだよね。
かぶりつくような、向日葵の熱いキスを受ける。
向日葵「櫻子……大好き……」
櫻子「ひま……わり……っ」はぁはぁ
私の顔を両手で覆ってきて、何度も、何度も求められる。
向日葵の体重を全身で感じる。
肺が爆発しちゃいそうなくらい緊張してる。
必死に酸素を求めようとしても、向日葵が口を塞いじゃう。
苦しさに耐え切れなくて、向日葵を腰元から抱きしめて横に倒した。
櫻子「ま、待ってぇ……!」はぁはぁ
向日葵「え……?」
櫻子「やだ……もっと、ゆっくりがいい……///」
向日葵「……ふふ、可愛い」ちゅっ
櫻子「んんっ!」どきっ
向日葵「あなた、心臓ばくばくしすぎですわ」
櫻子「しょ、しょうがないでしょ……!」
向日葵「さっきも言いましたでしょ。今日はもう、うちは誰もいませんから……」
向日葵「だから……あなたを、好きなだけ愛せますわ」
櫻子「!!」
櫻子「っ…………」
キス、してる。
向日葵と、キスしちゃってる。
どれくらいぶりだろう。
私たち、付き合いだして半年だけど。
最後にキスしたの……転校前の、あのとき以来だよ。
両想いなのに、タイミングがつかめなくて、なかなかできなかったんだよね。
かぶりつくような、向日葵の熱いキスを受ける。
向日葵「櫻子……大好き……」
櫻子「ひま……わり……っ」はぁはぁ
私の顔を両手で覆ってきて、何度も、何度も求められる。
向日葵の体重を全身で感じる。
肺が爆発しちゃいそうなくらい緊張してる。
必死に酸素を求めようとしても、向日葵が口を塞いじゃう。
苦しさに耐え切れなくて、向日葵を腰元から抱きしめて横に倒した。
櫻子「ま、待ってぇ……!」はぁはぁ
向日葵「え……?」
櫻子「やだ……もっと、ゆっくりがいい……///」
向日葵「……ふふ、可愛い」ちゅっ
櫻子「んんっ!」どきっ
向日葵「あなた、心臓ばくばくしすぎですわ」
櫻子「しょ、しょうがないでしょ……!」
向日葵「さっきも言いましたでしょ。今日はもう、うちは誰もいませんから……」
向日葵「だから……あなたを、好きなだけ愛せますわ」
櫻子「!!」
96: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 18:01:54.13 ID:+EtVRVLso
もう、頭がどうにかなっちゃいそう。
向日葵とこんなに身体を密着してるだけでもやばいのに。
こんなにかわいい向日葵の顔を……久しぶりに見る。
向日葵「大好き……櫻子」
櫻子「向日葵……」
向日葵「もう……どこにも行かないくださいね……?」ぎゅっ
櫻子「行かない……ずっと向日葵のそばにいるよ……!」がばっ
向日葵「!」
櫻子「私……向日葵の、彼女だもん……っ///」
向日葵は目を閉じて、また唇を重ねてきた。
上手にキスをしながら、なにやらもぞもぞと手を動かしている。
櫻子(……えっ)
向日葵「……櫻子、腰浮かせて?」
櫻子(ちょっ……!?///)
不器用な手つきだが、私のシャツの袖から手を突っ込んで、キャミソールごと一気に持ち上げた。
そのままするっと脱がされてしまって、私の上半身は涼しくなった。
やばい。
向日葵が、ついに、しようとしてる。
櫻子「ま、待って待って!」
向日葵「なんですの……」
櫻子「ほ、本当に……するの……?」
向日葵「……するって、何を?」
櫻子「いぃ、言わせんなぁ!///」
向日葵「あら、言ってもらえなきゃわかりませんわ」くすっ
寝ている体勢から二人とも起き上がって、座位で呼吸を整えた。
向日葵が背中の後ろに手を伸ばしてる。たぶんきっと、ホック的なものを外してる。
櫻子「だ、だめだよぉ……」
向日葵「あら、どうして?」
櫻子「だって、これ……大人がするやつだよ……?///」かあっ
向日葵「……あなた、自分のこと何歳だと思ってますの?」
櫻子「まだ16で、もうすぐ17だけど……まだまだ子供だよ!」
向日葵「でも、結婚はできますわ」
櫻子「!」
するりと何かを抜き取って、ぱさっと床に置いた。
向日葵とこんなに身体を密着してるだけでもやばいのに。
こんなにかわいい向日葵の顔を……久しぶりに見る。
向日葵「大好き……櫻子」
櫻子「向日葵……」
向日葵「もう……どこにも行かないくださいね……?」ぎゅっ
櫻子「行かない……ずっと向日葵のそばにいるよ……!」がばっ
向日葵「!」
櫻子「私……向日葵の、彼女だもん……っ///」
向日葵は目を閉じて、また唇を重ねてきた。
上手にキスをしながら、なにやらもぞもぞと手を動かしている。
櫻子(……えっ)
向日葵「……櫻子、腰浮かせて?」
櫻子(ちょっ……!?///)
不器用な手つきだが、私のシャツの袖から手を突っ込んで、キャミソールごと一気に持ち上げた。
そのままするっと脱がされてしまって、私の上半身は涼しくなった。
やばい。
向日葵が、ついに、しようとしてる。
櫻子「ま、待って待って!」
向日葵「なんですの……」
櫻子「ほ、本当に……するの……?」
向日葵「……するって、何を?」
櫻子「いぃ、言わせんなぁ!///」
向日葵「あら、言ってもらえなきゃわかりませんわ」くすっ
寝ている体勢から二人とも起き上がって、座位で呼吸を整えた。
向日葵が背中の後ろに手を伸ばしてる。たぶんきっと、ホック的なものを外してる。
櫻子「だ、だめだよぉ……」
向日葵「あら、どうして?」
櫻子「だって、これ……大人がするやつだよ……?///」かあっ
向日葵「……あなた、自分のこと何歳だと思ってますの?」
櫻子「まだ16で、もうすぐ17だけど……まだまだ子供だよ!」
向日葵「でも、結婚はできますわ」
櫻子「!」
するりと何かを抜き取って、ぱさっと床に置いた。
97: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 18:02:42.46 ID:+EtVRVLso
向日葵「お願い……櫻子」
櫻子「え……」
向日葵「今日くらいは……あなたのこと、好きにさせてもらいますからね……///」のそっ
櫻子「ひ、ひまわり……」
向日葵「私、今日はもう……あなたのことが大好きで仕方ないんですわ……///」ちゅっ
髪を耳にかけながら、向日葵はキスをした。
ついばむように、執拗に口元をねだられる。その手は裸になった私の胸を優しく包み込んでいた。
こんなはずじゃないのに。
向日葵とこうなりたかったって、ずっと思ってたけど。
本当は、私が向日葵をリードする予定だったのに。
櫻子(もう……ずるいって……!)がばっ
向日葵「あっ……///」
もぞもぞと動いて、丸め込むように向日葵を私の下に引きずり込む。
よく見えない視界の中で、その柔らかい身体を確かめた。
向日葵「お願い……櫻子」
櫻子「……?」
向日葵「もっと……私を、好きにして……?」はぁはぁ
櫻子「っ……!」
向日葵って、こんな顔するんだ。
こんなに一緒にいるのに……そんな顔、初めて見たよ。
櫻子「だいすきだよ……向日葵……!」
向日葵「んっ……///」
櫻子「え……」
向日葵「今日くらいは……あなたのこと、好きにさせてもらいますからね……///」のそっ
櫻子「ひ、ひまわり……」
向日葵「私、今日はもう……あなたのことが大好きで仕方ないんですわ……///」ちゅっ
髪を耳にかけながら、向日葵はキスをした。
ついばむように、執拗に口元をねだられる。その手は裸になった私の胸を優しく包み込んでいた。
こんなはずじゃないのに。
向日葵とこうなりたかったって、ずっと思ってたけど。
本当は、私が向日葵をリードする予定だったのに。
櫻子(もう……ずるいって……!)がばっ
向日葵「あっ……///」
もぞもぞと動いて、丸め込むように向日葵を私の下に引きずり込む。
よく見えない視界の中で、その柔らかい身体を確かめた。
向日葵「お願い……櫻子」
櫻子「……?」
向日葵「もっと……私を、好きにして……?」はぁはぁ
櫻子「っ……!」
向日葵って、こんな顔するんだ。
こんなに一緒にいるのに……そんな顔、初めて見たよ。
櫻子「だいすきだよ……向日葵……!」
向日葵「んっ……///」
98: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 18:03:40.22 ID:+EtVRVLso
好き。
好き。
大好き。
もう私は、向日葵を好きでいていいんだ。
もう、何も我慢しなくていいんだ。
全部全部、向日葵に捧げていいんだ。
櫻子「ずっとずっと……大好きだったよ……///」
向日葵「私も、ですわ……っ」
向日葵がすき。
向日葵と一緒になりたい。
向日葵をよろこばせてあげたい。
胸の内から溢れてくる想いを、全て向日葵の身体へと刻み込む。
私たちの想いが重なり合って……夏の夜に溶けていった。
――――――
――――
――
―
好き。
大好き。
もう私は、向日葵を好きでいていいんだ。
もう、何も我慢しなくていいんだ。
全部全部、向日葵に捧げていいんだ。
櫻子「ずっとずっと……大好きだったよ……///」
向日葵「私も、ですわ……っ」
向日葵がすき。
向日葵と一緒になりたい。
向日葵をよろこばせてあげたい。
胸の内から溢れてくる想いを、全て向日葵の身体へと刻み込む。
私たちの想いが重なり合って……夏の夜に溶けていった。
――――――
――――
――
―
99: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 18:04:30.21 ID:+EtVRVLso
――朝。
うっすらと目を開いて、そこにあったものは……私の大好きな人の後ろ姿。
朝弱いくせに、私よりも早起きしちゃって。
こんなときくらい、私が起きるまで待っててくれたらいいのに。
手を伸ばして、向日葵の背中をつんとつついた。
向日葵「あら……?」
櫻子「……ふふっ」
向日葵「おはよう。だいぶお寝坊ですわよ」
櫻子「……なにしてるの? 宿題?」
向日葵「ちょっと待っててくださいね……もうすぐ書き終わりますから」
丸テーブルを出して、向日葵は卓上で何かを書いていたようだった。
目をこすって起きながら、後ろから近寄ってそれを眺める。
櫻子「え……」
そこにあったのは……大きな落書きがされている婚姻届と、真新しい婚姻届だった。
向日葵「……よし、できた。あなたもほら、こっちにサインして?」
櫻子「な、なにこれ……こんなの持ってたの……!?」
向日葵「花子ちゃんたちが昨日くれたんですわ。そっち覚えてます?」
櫻子「あははは……こんなん書いたんだっけなぁ……///」
向日葵「それじゃあペン持って……ほら、こっちにあなたの名前を」
櫻子「わぁ……」
向日葵にうながされ、渡されたペンで該当箇所に名前を書く。
ちょっとだけ手が震えちゃったけど、上手にかけた。
うっすらと目を開いて、そこにあったものは……私の大好きな人の後ろ姿。
朝弱いくせに、私よりも早起きしちゃって。
こんなときくらい、私が起きるまで待っててくれたらいいのに。
手を伸ばして、向日葵の背中をつんとつついた。
向日葵「あら……?」
櫻子「……ふふっ」
向日葵「おはよう。だいぶお寝坊ですわよ」
櫻子「……なにしてるの? 宿題?」
向日葵「ちょっと待っててくださいね……もうすぐ書き終わりますから」
丸テーブルを出して、向日葵は卓上で何かを書いていたようだった。
目をこすって起きながら、後ろから近寄ってそれを眺める。
櫻子「え……」
そこにあったのは……大きな落書きがされている婚姻届と、真新しい婚姻届だった。
向日葵「……よし、できた。あなたもほら、こっちにサインして?」
櫻子「な、なにこれ……こんなの持ってたの……!?」
向日葵「花子ちゃんたちが昨日くれたんですわ。そっち覚えてます?」
櫻子「あははは……こんなん書いたんだっけなぁ……///」
向日葵「それじゃあペン持って……ほら、こっちにあなたの名前を」
櫻子「わぁ……」
向日葵にうながされ、渡されたペンで該当箇所に名前を書く。
ちょっとだけ手が震えちゃったけど、上手にかけた。
100: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 18:04:58.27 ID:+EtVRVLso
櫻子「よし……っと」
向日葵「……櫻子」
櫻子「ん?」
向日葵「あの……私、花子ちゃんやあの人のぶんまで……あなたの彼女として、立派につとめますわ」
櫻子「!」
向日葵「あなたのことを……本当に、心の底から……愛しています」ぺこっ
櫻子「向日葵……」
向日葵「け、けんかしちゃうこととかもあるかもしれませんけど……私はどんなときでも、あなたのことが大好きですから。それを絶対に忘れないでちょうだいね……///」
櫻子「わ、私だって……! 向日葵のこと、大好きだよ!」
向日葵「ふふっ……じゃあそうですわね、ゆびきりでもしましょうか?」
櫻子「ゆびきり……」
婚姻届の上で、向日葵の差し出した指に、小指をからめた。
向日葵「約束、ですわ……///」
櫻子「うん……約束」
一生忘れない、大切な約束。
大好きな向日葵との、心のこもった約束。
守るからね。
ずっとずっと……守っていくからね。
向日葵「櫻子……」
櫻子「……向日葵」
私と……
これからも……ずっと一緒にいてください。
~fin~
向日葵「……櫻子」
櫻子「ん?」
向日葵「あの……私、花子ちゃんやあの人のぶんまで……あなたの彼女として、立派につとめますわ」
櫻子「!」
向日葵「あなたのことを……本当に、心の底から……愛しています」ぺこっ
櫻子「向日葵……」
向日葵「け、けんかしちゃうこととかもあるかもしれませんけど……私はどんなときでも、あなたのことが大好きですから。それを絶対に忘れないでちょうだいね……///」
櫻子「わ、私だって……! 向日葵のこと、大好きだよ!」
向日葵「ふふっ……じゃあそうですわね、ゆびきりでもしましょうか?」
櫻子「ゆびきり……」
婚姻届の上で、向日葵の差し出した指に、小指をからめた。
向日葵「約束、ですわ……///」
櫻子「うん……約束」
一生忘れない、大切な約束。
大好きな向日葵との、心のこもった約束。
守るからね。
ずっとずっと……守っていくからね。
向日葵「櫻子……」
櫻子「……向日葵」
私と……
これからも……ずっと一緒にいてください。
~fin~
103: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 21:49:03.30 ID:Y17eAwji0
乙でした
104: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/11(月) 12:46:46.11 ID:Y/GmdGEq0
ブラボー
105: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/11(月) 19:31:37.94 ID:cDUWXuRSO
相変わらず大室家に定評があるこの人
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1504770902/
Entry ⇒ 2017.11.02 | Category ⇒ ゆるゆり | Comments (0)
【ゆるゆり】殺意のアークトゥルス
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/22(日) 15:37:16.42 ID:vLs1nBymo
――――憎い。
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/22(日) 15:40:27.74 ID:vLs1nBymo
京子「よーっす」
結衣「おっす京子」
ちなつ「今日は京子先輩」
あかり「こんにちは、京子ちゃん」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/22(日) 15:42:06.54 ID:vLs1nBymo
私は、彼女を殺したいほど憎んでいる。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/22(日) 15:43:40.32 ID:vLs1nBymo
京子「はー、さて今日は何すっかなー」
結衣「いつも通りでいいだろ」
ちなつ「ええ。お茶でも飲んでのんびりしましょうよ」
あかり「うん。お菓子もあるし」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/22(日) 15:44:51.14 ID:vLs1nBymo
京子「えー?ダラダラしすぎじゃん私らー」
結衣「お前がそれを言うか」
ちなつ「一番ダラダラしてるのは京子センパイじゃないですか」
あかり「あかりが入部した時、ダラダラする部って言ったの京子ちゃんだよー」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/22(日) 15:45:33.53 ID:vLs1nBymo
普段、何気なく会話をしている時でも、私は頭の中で
彼女の髪をつかんで引きずり廻し、床に頭を叩きつけ
血を流して命乞いをする彼女を凄惨に[ピーーー]場面を常に思い浮かべている。
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/23(月) 21:19:27.23 ID:QAeCNThjo
京子「まーいっか。じゃ、ちなつちゃんお茶ー」
結衣「ったく、偉そうに・・・。会社の上司かお前は」
ちなつ「もう。自分でいれてくださいよ」
あかり「そうだよー」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/23(月) 21:20:17.84 ID:QAeCNThjo
どれほどの憎しみが私の中を満たしているか、
みんなは知らないだろう。
私は普段、そんな事はおくびにも出さないのだから。
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/23(月) 21:25:09.93 ID:QAeCNThjo
京子「いーじゃんいーじゃん。私、社長なんだからさー」
結衣「何で社長になってるんだよ」
ちなつ「えー?京子センパイが社長ですかー?」
あかり「一体、何をする会社の社長さんなの?」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/23(月) 21:26:08.87 ID:QAeCNThjo
ああ、憎い、にくい、ニクイ!
このままでは気が変になってしまいそうだ。
彼女の顔を見るたびに湧き上がる殺意を、私は常に必死で押さえている。
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/23(月) 21:31:17.43 ID:QAeCNThjo
京子「うーん、そうだなー・・・。世の中に娯楽をお届けする、ごらく部株式会社!」
結衣「一体どんな会社だよ」
ちなつ「部活のノリそのまんまじゃありませんか」
あかり「わぁー、でも楽しそう」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/23(月) 21:32:37.04 ID:QAeCNThjo
私がこうなってしまったのも、彼女と付き合って・・・。
それから、別れてしまったからなのかも知れない。
周りには秘密だけれど。
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/23(月) 21:41:31.52 ID:QAeCNThjo
京子「結衣が部長で、ちなつちゃんが私の秘書ね。んであかりはヒラ社員」
結衣「そんなわけわからん会社の部長に任命されてもなぁ」
ちなつ「えー、私結衣センパイと一緒にお仕事したいです」
あかり「何であかりだけヒラ社員!?」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/23(月) 21:46:46.68 ID:QAeCNThjo
付き合い初めのうちは、幸せだった。
世間にも、誰にも秘密の二人だけの関係。
この事を知ったら周りのみんなは驚くだろう。
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/23(月) 22:00:01.09 ID:QAeCNThjo
ちなつ「だいたい、京子センパイが社長の会社なんてすぐに潰れちゃいますよ」
結衣「ああな」
京子「あっ、ひ、酷いぞ二人とも?」
あかり「だって、京子ちゃんグータラなんだもの」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/23(月) 22:01:25.02 ID:QAeCNThjo
しかし、幸せは長くは続かなかった。
彼女の家には莫大な借金がある事を私は知ったのだ。
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/23(月) 22:12:27.60 ID:QAeCNThjo
京子「わ、私だってなぁ、やる時はやるんだぞ?」
結衣「本当か?」
ちなつ「普段の行いを見てれば、とてもそうは見えませんけれど」
あかり「いつも、ダラダラしてるだけだもんねー」
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/23(月) 22:13:26.88 ID:QAeCNThjo
彼女を助けたい一心で、お金を得るために
私は体を売った。
だって、それ以外に大金を得る方法など思いつきもしなかったから。
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/24(火) 22:28:05.57 ID:xFP4LO82o
京子「見せてやろうか?私が本気になったらどうなるか?」
結衣「おー、ぜひ見てみたいもんだ」
ちなつ「京子センパイが何かに本気になるとこなんて初めて見るかも」
あかり「一体、どうなるの?」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/24(火) 22:34:37.56 ID:xFP4LO82o
しかし、隠しておいたのにそれを彼女に知られてしまった。
お金のために体を売った私を、汚らわしいと彼女はなじった。
私がどんな思いでそうしたのかも考えないで。
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/24(火) 22:45:47.80 ID:xFP4LO82o
京子「いいんだな?ほんと、どうなっても知らないからね?」
結衣「大体、何に本気を出すんだよ」
ちなつ「まさか、本気でダラダラするとかじゃありませんよね?」
あかり「あ、京子ちゃんならありそう」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/24(火) 22:50:22.43 ID:xFP4LO82o
そして、さらに衝撃的な事実が判明した。
ずっと女とばかり思っていた彼女は、何と、男だったのだ。
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/24(火) 22:59:22.36 ID:xFP4LO82o
京子「よーし、それじゃ今から出すぞ本気をー」
結衣「だから、何に本気を出すんだ」
ちなつ「教えてくださいよ」
あかり「京子ちゃん、本気を出したらどうなるのかなー」
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/26(木) 22:29:25.62 ID:B2hCAkBeo
そして、彼・・・いや彼女は、
さらに許せないことに浮気までしていた。
しかも、浮気相手を妊娠させたという。
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/26(木) 22:38:17.85 ID:B2hCAkBeo
京子「・・・と思ったけど、やーめた。今度にしよ」
結衣「結局それかよ」
ちなつ「きっと、本気でダラダラするってやるつもりだったんですよ」
あかり「ああ、ちなつちゃんに当てられちゃったのかもね」
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/26(木) 22:40:49.44 ID:B2hCAkBeo
浮気相手は、私もよく知る・・・。
私が気づかないのをいい事に、
二人して腹の中で笑っていたのだろうか。
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/26(木) 23:27:29.00 ID:B2hCAkBeo
京子「さーて、ダラダラすっかなー」
結衣「京子が本気で何かに取り組む姿は一生見れないような気がする」
ちなつ「何が起これば京子センパイの本気が見られるんでしょうかね」
あかり「うーん・・・。火事とかあったら本気で逃げるかなぁ」
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/26(木) 23:46:30.67 ID:B2hCAkBeo
もう我慢の限界だ。
彼女、いや彼と浮気相手を、そのお腹の子供ごと・・・。
私を弄んだ事を後悔させてやる。
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/27(金) 20:32:18.89 ID:pSMwG2yxo
京子「そうそう、忘れるとこだった。ちなつちゃん、お茶」
結衣「また話が振り出しかよ」
ちなつ「もう。だから自分でいれて下さいよ」
あかり「どーしてもちなつちゃんにお茶いれてもらいたいの?」
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/27(金) 20:33:39.00 ID:pSMwG2yxo
何度、彼女・・・。いや、彼を殺そうと試みたかわからない。
しかし、そのたびに私は思いとどまった。
ある特殊な事情から、思いとどまらざるを得なかったのだ。
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/27(金) 21:29:54.94 ID:pSMwG2yxo
京子「決めた。私、ちなつちゃんがお茶をいれてくれるまで今日はダラダラし続ける!」
結衣「何の脅迫にもなってないぞ」
ちなつ「はいはい。好きなだけダラダラしてて下さい」
あかり「いつもと何も変わらないよぉ」
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/27(金) 22:34:19.33 ID:pSMwG2yxo
実は、ここはそう広くない宇宙船の中なので
人を殺してしまっては簡単に足がついてしまうし、逃げ場もない。
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/27(金) 22:36:51.14 ID:pSMwG2yxo
京子「いいのか?私は本気だぞ?」
結衣「いや別に本気になられてもな」
ちなつ「一生見れないと思っていた京子センパイの本気が見れましたね」
あかり「ちなつちゃんがお茶いれてくれたらシャキッとなるの?」
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/27(金) 22:42:11.53 ID:pSMwG2yxo
地球は太陽の異変で生物の住めない星になり、
私たち人類は生き残りをかけて居住可能な惑星を目指し
恒星間宇宙船で宇宙を航行している最中なのだ。
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 15:35:42.66 ID:HytvsuEuo
京子「ねーねーちなつちゃん、お茶いれてよー」
結衣「お前には自分でいれるって選択肢はないのか」
ちなつ「はぁ、全く・・・。じゃあ、私がお茶いれたらちょっとはシャンとしますか?」
あかり「京子ちゃん、人に頼りっぱなしじゃダメだよぉ」
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 15:36:43.05 ID:HytvsuEuo
宇宙船内では、管理をスムーズに行うため
乗組員全員にマイクロチップが埋め込まれ、
船内での居場所などをコンピューターがいつでも記録している。
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 15:38:32.99 ID:HytvsuEuo
京子「うん、めっちゃシャキッとする!採れたてのレタスぐらい!」
結衣「どんな例えだよ」
ちなつ「そういう事いうから信用できないんですよ・・・。よっこいしょっと」
あかり「ちなつちゃん、いれてあげるの?」
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 15:39:49.99 ID:HytvsuEuo
なので、彼と二人きりになったとすると
それがコンピューター上に記録として残ってしまう。
そこで彼を殺害したりすると、私が殺したとすぐにバレてしまうのだ。
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 15:58:17.67 ID:HytvsuEuo
京子「うっひょう、やった!私のゴネ勝ちだ!」
結衣「お前って奴は、本当に・・・。ちなつちゃん、ごめんね?」
ちなつ「いえ、いいんです。腐っても部長ですから京子センパイは」
あかり「優しいんだねちなつちゃん」
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/28(土) 16:01:41.41 ID:HytvsuEuo
だから私は一計を案じた。
二人きりになった時、コンピューターに記録されないようにすればいい。
そう。管理コンピューターに細工をすればいいんだ。
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 22:53:51.65 ID:gKVIz3hfo
京子「やっぱ、ちなつちゃんがいれてくれるお茶はおいしいからねー」
結衣「お礼に何かしろよ」
ちなつ「じゃあ、あとでみんなの湯のみ洗ってくださいね」
あかり「そうだよ京子ちゃん」
47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 23:01:31.63 ID:gKVIz3hfo
管理コンピューターは普段は24時間私たちの行動をチェックしている。
しかし、一瞬スキの出来る時がある。
48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 23:09:37.03 ID:gKVIz3hfo
京子「さーて、お茶がはいったら本格的にゴロゴロしよーっと」
結衣「シャキッとするんじゃなかったのか?」
ちなつ「京子センパイがするわけがありませんよ」
あかり「もう京子ちゃんたら。結局そうなんだから」
49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 23:26:32.72 ID:gKVIz3hfo
これから、船の向かう先にあるうしかい座α星、通称アークトゥルス。
太陽の16倍もある赤色巨星だ。
船がこの星のそばを通過する時、
強力な電磁波の影響を避けるためにコンピューターの機能が
一時的にシャットダウンされる。
50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 23:43:27.69 ID:gKVIz3hfo
京子「猛獣はふだんダラダラして狩りをする時のためにエネルギーを保存しているのだー」
結衣「お前が狩りなんてする機会ないだろ」
ちなつ「じゃあ一生ダラダラしっぱなしじゃないですか」
あかり「それじゃ猛獣じゃなくてナマケモノだよぉ」
51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/29(日) 23:58:45.37 ID:gKVIz3hfo
そのスキをついて、彼とその浮気相手の殺害を決行する。
そしてコンピューターの機能がシャットダウンされている間に
データの書き換えを行い、私が二人と接触した痕跡を完全に消してしまう。
52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/30(月) 00:12:53.87 ID:niO6aA8do
京子「さーて、これで心置きなくダラけられるぞー」
結衣「少しはシャキッとしろお前は」
ちなつ「あとでみんなの湯のみちゃんと洗ってくださいよ」
あかり「約束したんだからね京子ちゃん」
53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/30(月) 00:24:19.55 ID:niO6aA8do
他に誰かがいた痕跡もなく、二人が死んでいる。
これは、痴情のもつれか何かでお互い殺し合ったようにしか見えないだろう。
完璧な計画だ。
きっと、誰にもバレやしない。
ふと窓の外を見ると、赤く、大きなアークトゥルスがぎらぎらと輝いているのが見えた・・・。
あかり「・・・ところで」
54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/30(月) 00:25:44.48 ID:niO6aA8do
あかり「櫻子ちゃん櫻子ちゃん。せっかく遊びに来たんだから一緒にお喋りしようよ」
あかり「一体、何の本読んでるの?」
櫻子「んー、これ?殺意のアークトゥルスってヤツ」
55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/30(月) 00:26:34.02 ID:niO6aA8do
あかり「それって、どんなお話なの?」
櫻子「女だと思ってた恋人が実は男で、だから宇宙船に細工して殺そうとする話」
あかり「へ、変なの・・・」
終わり
56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/30(月) 00:27:33.65 ID:niO6aA8do
以上になります
呼んでくれた方ありがとうございました
依頼出してきます
呼んでくれた方ありがとうございました
依頼出してきます
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1508654236/
Entry ⇒ 2017.11.01 | Category ⇒ ゆるゆり | Comments (0)
【ゆるゆりSS】綾乃「映画を観にいく仲」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/07(水) 23:54:49.91 ID:bixo2te4o
私は、休みの日にはたまに映画館に映画を観に行く。
そこには普段の日常とは違う、色んな世界が広がっているから。
いい映画を見終わったあとは、私はさっぱりとしたいい気分になる。
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/08(木) 00:00:42.08 ID:a/qbeV9/o
私が映画にはまったのは、ささいなきっかけからだった。
想いをなかなか伝えることのできない同級生、歳納京子と前に一度二人っきりで観てから。
それ以来何となく、特にする事のない休日に私は映画館に行くクセがついてしまった。
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/08(木) 00:04:10.45 ID:a/qbeV9/o
最初のころは一人で観に行っていたのだけれど、この頃少し事情が変わった。
成り行きでというか、一緒に映画を観る相手ができたのだ。
その相手とは……。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/08(木) 00:07:56.74 ID:a/qbeV9/o
綾乃(……)
綾乃(そろそろかしら?)
あかり「杉浦先輩」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/08(木) 00:09:50.08 ID:a/qbeV9/o
あかり「今日は」
綾乃「ああ、来たわね」
赤座あかり。
私の通う中学校の、1年下の後輩だ。
この子も、以前から休みの日にはちょくちょく一人で映画を観に来ていたらしい。
映画館で偶然会ったのがきっかけで、私達は月に1度か2度
一緒に映画を観るようになった。
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/08(木) 00:13:00.35 ID:a/qbeV9/o
あかり「もしかしてお待たせしちゃいました?」
綾乃「いいえ、そんな事ないわよ?」
やっぱり、映画は一人で観るより誰かと見た方がいい。
それが普段とくに接点のない、私にとっては何でもない子とでも。
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/08(木) 00:21:46.56 ID:a/qbeV9/o
綾乃「じゃあ行きましょうか。そろそろ始まる時間よ」
あかり「はい」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 00:36:50.33 ID:8SjgjFAqo
~映画館内
「……そうか、そういう事だったのか」
「じゃあ、この事件の真相は……!」
綾乃「……」
あかり「……」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 00:38:47.17 ID:8SjgjFAqo
綾乃(うーん……。今日の映画は悪いけど外れね)
綾乃(どっかで見たストーリーに、役者の演技もいま一つ……)
綾乃(きっと、赤座さんも退屈して……)チラ…
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 00:40:57.64 ID:8SjgjFAqo
あかり(は…。犯人はあの人だったのぉ?)ググ
綾乃(……)
私が赤座さんと一緒に映画を観る習慣が続いているのも、
多分この子はどんな映画でも楽しめるタイプだから。
色々と批評をする性格なら、きっと私は今でも一人で映画を観ていただろう。
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 00:43:59.40 ID:8SjgjFAqo
~喫茶店
あかり「はぁ、今日の映画も面白かったですね」
綾乃「そうかしら?私は、ちょっと退屈だったわね」
あかり「え?そうなんですか?」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 00:45:31.91 ID:8SjgjFAqo
綾乃「何だか、前に見た事のあるストーリーって感じだったわ」
あかり「あ、あかりもそう思いました。前に見たことあるなーって」
あかり「でも、それが何か懐かしかったって言うか……」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 00:46:49.63 ID:8SjgjFAqo
映画を観終わったあとは、近くの喫茶店でお茶をしながら
二人で今観た映画の感想を話し合う。
さっきも言った通りに、赤座さんはどんな映画でもだいたい面白かったと言う。
そう言われると、私も何だかそうだったような気がしてくるから不思議だ。
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 00:48:52.16 ID:8SjgjFAqo
綾乃「ま、ストーリーは置いといて。ヒロイン役はまぁまぁだったわね」
あかり「あ、そうでしたよねー。あかり、ああいう人って憧れちゃいます」
あかり「頼りない所もあるけど、しっかりしてるって言うか……」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 00:53:08.17 ID:8SjgjFAqo
綾乃「私は、もっとはっきりした性格の方が良かったなーって思ったけど」
あかり「そうですか?」
綾乃「ええ。ヒロインが悩む場面が多くて、話の展開が遅く感じちゃったわね」
あかり「そうなんですかー。あかりはそこが良かったと思いましたよ」
あかり「あかりも一緒に悩んで、最後に全部解決された時すごくスッキリしましたし」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 00:54:49.52 ID:8SjgjFAqo
赤座さんと私は、どうやら感性が違うらしい。
なので、同じ映画を観てもその感想はまるで違ったものになる。
けれど、赤座さんの感想を聞くとそういう観方もあるのか、と
一度で二度映画を楽しめた気分にもなる。
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:00:15.37 ID:8SjgjFAqo
綾乃「まぁ、70点って所だったかしらね。所で、赤座さん今度は何を見る?」
あかり「そうですね、今日はサスペンス物だったから……。次はアクションはどうですか?」
綾乃「アクション映画ね。いいのやってるかしら」
あかり「えーと、これとかどうですか?」
上映予定表を見ながら、ああでもないこうでもないと次に観る映画の相談をする。
そんなこんなしている内に、休日の午後が過ぎていく。
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:03:37.67 ID:8SjgjFAqo
綾乃「……それじゃ、今日は楽しかったわ。またね」
あかり「はい、また今度」
そして、次に映画を観る日の約束をして別れる。
そんな休日を私は時たま過ごしていた。
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:08:36.33 ID:8SjgjFAqo
~学校
千歳「綾乃ちゃん、昨日のお休み何してた?」
綾乃「昨日?ううん、別に何も?」
私と赤座さんで時々一緒に映画を観ているという事は、何となく周囲には言っていない。
別にやましい事があるわけじゃないけれど、普段学校でとくに接点のない私達が
映画館で時々一緒に映画を観ているという事を知られたら、何かと誤解を受けそうだったから。
赤座さんにも、なるべくならお友達には内緒にしておくようお願いしてある。
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:10:36.23 ID:8SjgjFAqo
千歳「えー?そんな勿体ない。歳納さん誘って一緒に映画でも観に行ったらええのに」
綾乃「ばっ……。千歳!」
千歳は全くお節介焼きだ。
私が歳納京子に思いを寄せている事を知っていて、何かと一緒に行動させようとする。
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:14:39.68 ID:8SjgjFAqo
千歳「そして薄暗い映画館、二人はそっと手を重ね…うふふ…(鼻血)」
綾乃「ちょ、ちょっと千歳ー!あなた何を考えてるのよ?」
京子「おっすー綾乃ー。何の話してんの?」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:16:18.25 ID:8SjgjFAqo
綾乃「あ、と、歳納京子?いえ、な、何でもないわよ?」
千歳「ああ歳納さん、今度綾乃ちゃんが一緒に映……ムググ」
綾乃「千歳は黙ってなさい」
京子「何だよー。何の話ししてたか教えてくれたっていいじゃんかさー」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:19:21.98 ID:8SjgjFAqo
綾乃「ほ、本当に何でもないから!千歳、ちょっとこっちに来なさい」ズルズル
千歳「あ、綾乃ちゃん、く、苦しい、首が……」
京子「ちぇー。綾乃のケチー」
歳納京子がそばにいるだけで意識してしまう。
こんな私に、彼女を映画に誘う勇気なんてなかった。
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:23:49.96 ID:8SjgjFAqo
~映画館
「あ、危ない!早くこっちへ……うわぁーーーっ!」
ドオーーーーン!
綾乃「……」
あかり「……」
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:24:36.07 ID:8SjgjFAqo
綾乃(うん、今日の映画はまずまずね)
綾乃(よくある展開だけど、作りが丁寧だから飽きないっていうか)
綾乃(赤座さんは……)
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:26:16.67 ID:8SjgjFAqo
あかり(い、いったいどうなっちゃうの?)ググ
綾乃(……)
あい変わらず、真剣に映画に見入っている。
本当に、どんな映画でも楽しんで観れるというのは羨ましい。
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:27:38.30 ID:8SjgjFAqo
その時ふと、千歳が言っていた事を思い出した。
「そして薄暗い映画館、二人はそっと手を重ね…うふふ…」
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:28:41.62 ID:8SjgjFAqo
なぜ、今こんな事を思い出したのかはわからない。
けれど、その時ふとひじ掛けの上に置いてある赤座さんの手が目に入った。
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:29:42.35 ID:8SjgjFAqo
小さくて、スベスベしてそうな手。
それが、きゅっと握られてひじ掛けの上に置いてある。
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 01:31:34.18 ID:8SjgjFAqo
綾乃(今、赤座さんの手に……)
綾乃(私の手を重ねたら、どんな反応するかしら?)
どうしてそんな考えが頭をよぎったのかわからない。
赤座さんに対してそんな気持ちを抱いた事なんて、今まで一度もないからだ。
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 19:35:34.06 ID:8SjgjFAqo
赤座さんに対して妙なイタズラ心が芽生えた?
それとも、単なる好奇心?
いずれにしても、今の私の目はスクリーンよりも赤座さんの手に注がれていた。
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 19:36:33.07 ID:8SjgjFAqo
綾乃(赤座さんの手って、どんな感触かしら?)
綾乃(暖かい……?それとも、冷たい?)
何だか、目が離せなくなっていた。
映画のスクリーンには爆発音と共にそろそろクライマックスのシーンが写ろうとしている。
しかし、私はその音がどこか遠くのもののように感じていた。
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 19:38:02.33 ID:8SjgjFAqo
綾乃(一体、どんな反応するかしら)
綾乃(驚くかしら?それとも……)
そんな事を考えている内に、
私の手は無意識に赤座さんの手の上に重ねられようとしていた。
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 19:39:32.53 ID:8SjgjFAqo
ドカーーーーン!
あかり「ひっ!」
綾乃「!」ビクッ
その時だった。
画面にひときわ大きな爆発音が響き、赤座さんが小さく声を上げる。
私はハッとして手を引っ込めた。
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 19:41:03.56 ID:8SjgjFAqo
あかり「あ、ご、ごめんなさい、つい声が出ちゃった……」
綾乃「い、いえいいのよ?気にしてないわ」
赤座さんが申し訳なさそうに言う。
私は慌てて首と手を振り、気にしていない事をアピールする。
そうして再びスクリーンに目をやると、さっきまでの気持ちはどこかに消えていた。
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 19:42:00.34 ID:8SjgjFAqo
~喫茶店
綾乃「今日のは、まずまずだったわね」
あかり「ええ、面白かったですね」
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 19:42:37.45 ID:8SjgjFAqo
綾乃「よくあるお話しだけど丁寧。私、こういう映画って好きよ」
あかり「あ、あかりもです」
綾乃「特に、最後のシーンは良かったわね」
あかり「はい。ええ?そうなるの?って、あかりビックリしちゃいました」
いつものように、いつもの喫茶店。
私たちは紅茶を飲みながら、気だるい休日の午後を過ごす。
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 19:44:36.51 ID:8SjgjFAqo
綾乃「まあ、やっぱり映画は変に捻らない方がいいわね」
綾乃「安心して観られるっていうか」
あかり「ええ、あかりもそう思います」
綾乃「ええ。やっぱり映画は王道が一番よ」
さっき、映画館でふと芽生えた妙な気持ち。
私はそれを考えまいとするかのように、いつもより饒舌だった。
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 19:49:10.12 ID:8SjgjFAqo
綾乃「ふぅ、それにしても映画を観終わったあとって外の空気が美味しいわよね」
あかり「あ、そうですよね」
綾乃「ふぅ……」
あかり「ねー……」
綾乃「……」
あかり「……」
ふと訪れる沈黙。
その時、赤座さんがこんな事を言い出した。
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 19:50:36.49 ID:8SjgjFAqo
あかり「杉浦先輩、いつも一緒に映画観てくれてありがとうございます」
綾乃「え?ど、どうしたの赤座さん?」
あかり「あかり、前まで一人で映画館に来てたんですけど……」
あかり「杉浦先輩と一緒に観るようになってから、もっと映画が楽しくなって」
綾乃「あ、え、ええ」
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 19:52:34.71 ID:8SjgjFAqo
あかり「だから、これからも一緒に映画観てくださいね?」
綾乃「……ふふっ、赤座さん、そんなに改まらなくていいのよ?」
唐突にそんな事を言われ、私は思わず笑みがこぼれた。
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 19:53:58.57 ID:8SjgjFAqo
綾乃「私も……」
あかり「はい?」
綾乃「赤座さんと一緒に映画を観るの、何だかんだ言って楽しいもの」
あかり「え?本当ですか?」
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 19:55:30.32 ID:8SjgjFAqo
綾乃「ええ。だから私からも。これからも宜しくね?」
あかり「はい!」
二人顔を見合わせてほほ笑み合う。
ふとさっき、上映中に赤座さんに抱いた気持ちを思い出し何だか罪悪感を覚えた。
47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 19:56:39.97 ID:8SjgjFAqo
綾乃「それじゃ、今度は何の映画観る?」
あかり「えーと、そうですね・・・」
あかり「たまにホラー物とかどうですか?あまり怖くなければですけれど」
綾乃「うーん、ホラー、ねぇ……それより」
私は、上映予定表を眺めるうちふとある映画の所で目が止まった。
恋愛映画。
今まであまり観た事のないジャンルだ。
48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 19:58:01.03 ID:8SjgjFAqo
結構力の入った作品らしい。
聞いた事のある監督に有名な俳優。
これは面白そうだという事を、こういう映画に詳しくない私にも思わせる。
49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 19:59:05.11 ID:8SjgjFAqo
けど、これを観ようと赤座さんを誘ったらどう思われるかしら?
女の子二人で恋愛映画を見ようだなんて言ったら、変に思われない……?
50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 20:00:04.39 ID:8SjgjFAqo
いいえ、赤座さんがそんな風に思うはずがないわ。
ただ単に私が面白そうと思った作品を勧めてみるだけなんだから。
たぶん、快く返事をしてくれると……。
51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 20:01:26.53 ID:8SjgjFAqo
あかり「杉浦先輩?」
綾乃「あ、え、ええ、何?」
あかり「どうしたんですか?何か気になる映画でもありました?」
綾乃「あ、い、いえ?別に何でもないのよ」
52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/11(日) 20:02:44.08 ID:8SjgjFAqo
あかり「そうですか。それじゃ、これなんかどうですか?」
あかり「ホラーコメディですって。お化けが可愛くって、これなら怖くなさそうですよ」
綾乃「あ、え、ええ。いいわね。それじゃ、それにしましょうか」
私は何となく言い出しそびれ、次に観る映画は赤座さんの提案で
ホラーコメディを観ることに決まった。
55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/17(土) 19:34:53.88 ID:4oxPC7uho
それから数日後。
お母さんが映画のチケットを私にくれた。
知り合いから貰ったというその映画のチケットは、偶然にもあの恋愛映画。
しかも二人ぶんだった。
56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/17(土) 19:36:50.68 ID:4oxPC7uho
こんなチケットを貰った事が千歳に知られたら、
歳納京子と一緒に行ったら?と間違いなく言われるに違いない。
できるんなら私だってそうしたいわよ!と想像の中の千歳に返す。
でも、私に歳納京子にこのチケットを渡す勇気がある……?
57: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/17(土) 19:40:15.48 ID:4oxPC7uho
その場面を想像してみた。
顔を真っ赤にしてどもりながら、歳納京子の前に立ちつくす私。
震える手に握られた、クシャクシャになったチケット。
歳納京子はこっちの気も知らないで、キョトンとした顔で……。
58: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/17(土) 19:45:24.54 ID:4oxPC7uho
ダメ。
やっぱり私にはできそうにない。
考えただけで緊張してしまうもの。
しょうがない、勿体ないけどやっぱり私一人で……。
59: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/17(土) 19:51:26.00 ID:4oxPC7uho
その時、ふと赤座さんの事が思い浮かんだ。
そうだわ、赤座さんなら気兼ねなく誘える。
だいたい、いつも一緒に映画を観に行く仲だし。
そうね、折角チケットが二人ぶんあるんだから、赤座さんを誘いましょうか……。
61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/24(土) 21:52:58.72 ID:Y5c4z1qwo
~学校
綾乃「赤座さん、ちょっといい?」
あかり「あ、杉浦先輩?」
次の日、学校の休み時間。1年の赤座さんのクラス。
私は赤座さんを呼び出すと、なるべく人に見られないよう廊下の隅っこの方に移動する。
62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/24(土) 21:53:55.62 ID:Y5c4z1qwo
何だか、人に見られたら変な噂を立てられそうな気がして。
生徒会副会長の私が下級生に話しかけてる事なんて、珍しくも何とも無いのに。
63: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/24(土) 21:55:32.25 ID:Y5c4z1qwo
あかり「どうしたんですか?」
綾乃「あ、え、えーとね」
何だか、一瞬言葉が詰ってしまった。
映画のチケット貰ったから、今度一緒に観に行きましょうと言うだけなのに。
64: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/24(土) 22:03:02.24 ID:Y5c4z1qwo
あかり「杉浦先輩?」
綾乃「そ、その、お母さんから映画のチケット貰ったから、今度一緒にどうかなーって」
あかり「え、映画、ですか……」
綾乃「ん?どうかしたの赤座さん?」
65: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/24(土) 22:04:04.66 ID:Y5c4z1qwo
あかり「え、えっと、ごめんなさい杉浦先輩」
あかり「杉浦先輩と一緒に映画を見てること、うちのお姉ちゃんに話したら……」
綾乃「え?」
66: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/24(土) 22:07:08.64 ID:Y5c4z1qwo
~回想
あかね「たまに学校の先輩と一緒に映画を観てる?」
あかり「うん。杉浦先輩っていう、とってもいい先輩なんだ」
あかね「そう」
あかね「……あのね、あかり。ダメよ映画は一人で観なきゃ」
あかり「え?どうして?」
67: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/24(土) 22:15:47.55 ID:Y5c4z1qwo
あかね「本来映画はね、一人で楽しむべきものなの」
あかり「え?そうなの?」
あかね「誰かと一緒に観るのは、映画の世界に入り込むのに妨げになるわ」
あかり「え、で、でも」
68: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/24(土) 22:27:43.15 ID:Y5c4z1qwo
あかね「隣に人がいると気が散るし、映画の楽しみ方として邪道よ、邪道」
あかね「だからあかり、今度から映画は一人で観なきゃダメよ?」
あかり「……うん、わかったよ。お姉ちゃんがそう言うなら」
あかね(フゥー、良かった。あかりと暗い所で二人きりなんて、何かあったら大変よ……)
69: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/24(土) 22:42:32.86 ID:Y5c4z1qwo
あかり「……って、お姉ちゃんに言われちゃって」
綾乃「あ、あら、そうなの」
あかり「だからごめんなさい杉浦先輩、もう一緒に映画観れなくなっちゃいました……」
綾乃「い、いえいいのよ?そういう事情があるなら仕方ないわね」
70: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/24(土) 22:43:57.68 ID:Y5c4z1qwo
あかり「杉浦先輩、今までありがとうございました」
あかり「とっても残念ですけれど……」
綾乃「あ、あらそんな改まらなくってもいいのよ」
綾乃「お姉さんがそう言うなら、仕方ないわよ」
あかり「はい、本当にごめんなさい……」
71: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/24(土) 23:04:23.15 ID:Y5c4z1qwo
~映画館内
「……好きだ。君の事を愛してる!」
「嬉しい!私も……」
綾乃「……」
72: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/24(土) 23:15:47.85 ID:Y5c4z1qwo
週末、私は結局一人で映画を観ていた。
映画はしっかりとした作りで、このジャンルを初めて観る私にも面白さが伝わってくる。
73: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/24(土) 23:22:39.65 ID:Y5c4z1qwo
綾乃(……うん、悪くないわ)
綾乃(なかなかいい監督みたいね。ストーリーも面白いし、役者も……)
ふと、隣に目をやった。
いつもなら赤座さんが座っているはずの席。
今日は誰もいない。
74: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/24(土) 23:38:45.83 ID:Y5c4z1qwo
綾乃(赤座さんなら、どんな顔して観てたかしら?)
綾乃(いつもみたく、真剣な顔?)
綾乃(それとも、恥かしがったり?)
綾乃(……)
私は何となく隣の座席のひじ掛けに手をおいた。
そして、再びスクリーンに目を移す。
75: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/24(土) 23:53:39.31 ID:Y5c4z1qwo
綾乃(……)
綾乃(うん。やっぱりいい映画ね)
綾乃(観に来て正解だった)
綾乃(……けど)
76: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/24(土) 23:54:26.85 ID:Y5c4z1qwo
綾乃(けど、しばらくは)
綾乃(恋愛映画は、いいわ……)
一人きりで初めて観た恋愛映画。
それは何だか、ひどく味けなかった。
終
77: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/24(土) 23:58:16.14 ID:Y5c4z1qwo
以上です
R-18にするかとか色々考えてましたが全年齢版になりました
最後まで読んでくれてありがとうございました
依頼出して来ます
R-18にするかとか色々考えてましたが全年齢版になりました
最後まで読んでくれてありがとうございました
依頼出して来ます
78: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/25(日) 00:35:18.07 ID:QPQT8EXBo
なも発民じゃねーか
面白かった乙
面白かった乙
82: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/25(日) 22:59:37.84 ID:fpR6F1GLo
おつ
映画じゃなくて隣の人にのめり込めば2人で見てもええんやで
映画じゃなくて隣の人にのめり込めば2人で見てもええんやで
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1496847289/
Entry ⇒ 2017.10.26 | Category ⇒ ゆるゆり | Comments (0)
櫻子「今日は1日花子になりきるだし」
1: sage 2017/09/18(月) 23:36:34.06 ID:wYH4uHcU0
花子「は?」
櫻子「だから花子になりきるだし」
花子「ごめん、言ってる意味がわからないし」
櫻子「だーかーらー花子の、語尾を真似るし」
花子真似するなし!」
櫻子「真似するなし!」
櫻子「だから花子になりきるだし」
花子「ごめん、言ってる意味がわからないし」
櫻子「だーかーらー花子の、語尾を真似るし」
花子真似するなし!」
櫻子「真似するなし!」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/18(月) 23:54:46.62 ID:wYH4uHcU0
櫻子「さぁーー大室櫻子様の語尾真似開始だし」
花子「あーー勝手にしろし!」
櫻子「ひまわりのとこいってくるし」
花子「勝手にいってこいだし」
ひまわり家
櫻子「ひーーまーーわーーりーー」
向日葵「なんですの?朝からうるさいですわね」
櫻子「遊びに来てやったし、感謝するし」
向日葵「はいはい(あら?櫻子花子ちゃんの真似してるのかしら、かわいい)
櫻子「なんだし、」
向日葵「え!?いえなんでもありませんわ」
花子「あーー勝手にしろし!」
櫻子「ひまわりのとこいってくるし」
花子「勝手にいってこいだし」
ひまわり家
櫻子「ひーーまーーわーーりーー」
向日葵「なんですの?朝からうるさいですわね」
櫻子「遊びに来てやったし、感謝するし」
向日葵「はいはい(あら?櫻子花子ちゃんの真似してるのかしら、かわいい)
櫻子「なんだし、」
向日葵「え!?いえなんでもありませんわ」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/19(火) 00:00:14.15 ID:SObujiDy0
向日葵「てゆうか,なんで花子ちゃんの物真似してるのかしら?」
櫻子さすがおっはい魔人気づくの早いし」
櫻子「そういやなんでだし?」
向日葵「ちょっと、自分で真似しといてわからないって、、」
櫻子「まぁ気分だし」
向日葵「まぁかわいいからそのままでも、」ボソッ
櫻子「なんかいったかし?」
向日葵「な、なんでもありませんわ」
櫻子「へんなのーーし」
櫻子さすがおっはい魔人気づくの早いし」
櫻子「そういやなんでだし?」
向日葵「ちょっと、自分で真似しといてわからないって、、」
櫻子「まぁ気分だし」
向日葵「まぁかわいいからそのままでも、」ボソッ
櫻子「なんかいったかし?」
向日葵「な、なんでもありませんわ」
櫻子「へんなのーーし」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/19(火) 00:11:35.66 ID:SObujiDy0
櫻子「待てよし、声真似もしてみるし」
向日葵「え?そんなことできるのかしら?」
櫻子「あーーー、あーーーーあーー、花子の声真似中だし」
向日葵「え?すごいですわ!!少し花子ちゃんの声に似てますわ!」
櫻子「完璧なコピーするまでここで練習するし、そして花子をおどろかしてやるし!」
向日葵「え?そんなことできるのかしら?」
櫻子「あーーー、あーーーーあーー、花子の声真似中だし」
向日葵「え?すごいですわ!!少し花子ちゃんの声に似てますわ!」
櫻子「完璧なコピーするまでここで練習するし、そして花子をおどろかしてやるし!」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/19(火) 00:15:13.26 ID:SObujiDy0
向日葵「それにしてもすごいですわ、段々近づいてきてますわ」
櫻子「おっしこんぐらいでいいだろうし」
櫻子「んじゃいってくるし」
向日葵「え?ちょ、
櫻子宅
櫻子「花子だし!」
花子「え!?いま花子の声が聞こえたし!?」
櫻子「おっしこんぐらいでいいだろうし」
櫻子「んじゃいってくるし」
向日葵「え?ちょ、
櫻子宅
櫻子「花子だし!」
花子「え!?いま花子の声が聞こえたし!?」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/19(火) 00:21:57.41 ID:SObujiDy0
櫻子「どうだ、櫻子様の花子の声真似はすごいだし」
花子「えーーーー!?すごいし!?私の声そっくりだし」
櫻子「まぁーなだし」
花子「ほんとすごいし」
終わり
花子「えーーーー!?すごいし!?私の声そっくりだし」
櫻子「まぁーなだし」
花子「ほんとすごいし」
終わり
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/19(火) 02:43:11.86 ID:kSh6Xs3h0
ええやん
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/19(火) 14:22:42.68 ID:WX7feQPpO
ワンパターン
もっと色んなキャラの前でやれよ
もっと色んなキャラの前でやれよ
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1505745393/
Entry ⇒ 2017.10.13 | Category ⇒ ゆるゆり | Comments (0)
【ゆるゆり】櫻子「告白予告」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:21:54.96 ID:+EtVRVLso
夏本番を控え、ピークはこれからだというのに連日猛暑が続き、蒸し暑くてなかなか寝付けない、とある夜。
目を閉じて身体を休ませ、まどろみの中に溶けていこうとする私の耳に、LINEの通知音が入ってきた。
鳴った瞬間は、確認する気はなかった。
時刻は夜11時を過ぎている。一般的には遅い時間だ。何が送られてきたのかはわからないが、送ってくる相手も「もしかしたらもう寝てるかもしれない」ということくらい考えているはず。それなら今は通知を聞かなかったことにして、明日の朝に確認すればいい。
じわり汗ばむ熱帯夜、やっと体温も下がり始めて睡眠に適した環境が整いつつあるのに、わざわざ身体を覚醒させることはない。まだギリギリ夏休みではないため、明日も学校があるのだ。早く寝ないと、ただでさえ低い寝起きのテンションが底値に達し、朝から櫻子に煙たがられてしまう。私にとって、この寝付くまでの時間というのは意外と大切な意味を持っていた。
……でも。
向日葵(…………)
なんとなく感じる、胸騒ぎ。
もしかして、あの子から? という直感。
私が寝ているかどうかなんてお構いなしな、あの子が送ってきたんじゃないかという予感。
目を閉じている私の胸の中で、いくつもの思考がぐるぐると渦巻く。考えれば考えるほど、あの子かも、たぶんあの子だ、あの子くらいなものだ、あの子で決まりでしょうと、予想が強く固まっていく。
一息ついて、閉じていた目を薄く開ける。身体はもう少しで眠ろうとしていたけど、心はどんどん物事を考えてしまって落ち着かなくなっていた。
せっかく寝付くところだったのに。つまらない用事だったら明日怒ってやる。楓を起こさないように静かにベッドを降りて、机の上のスマホを確認した。
向日葵「……?」
画面に表示されたのは私の予想通り、櫻子からのLINE通知。けれど私が思い浮かべていたような、明日の学校に持っていく荷物の確認などではなく、通知ダイアログからは内容がわからないよう改行が重ねられたメッセージだった。
トークルームを開かないと主要部分が読めないようになっている。通知だけで内容を知られてスルーされたら困るのだろう。もともと私はあまりメッセージを無視しない方なので、櫻子は私に対して滅多にこういうことをしない。
こうまでして私に見てほしい何かが、ここには書かれている?
一瞬の間を置いて、私は櫻子から送られてきたメッセージの全文を表示した。
目を閉じて身体を休ませ、まどろみの中に溶けていこうとする私の耳に、LINEの通知音が入ってきた。
鳴った瞬間は、確認する気はなかった。
時刻は夜11時を過ぎている。一般的には遅い時間だ。何が送られてきたのかはわからないが、送ってくる相手も「もしかしたらもう寝てるかもしれない」ということくらい考えているはず。それなら今は通知を聞かなかったことにして、明日の朝に確認すればいい。
じわり汗ばむ熱帯夜、やっと体温も下がり始めて睡眠に適した環境が整いつつあるのに、わざわざ身体を覚醒させることはない。まだギリギリ夏休みではないため、明日も学校があるのだ。早く寝ないと、ただでさえ低い寝起きのテンションが底値に達し、朝から櫻子に煙たがられてしまう。私にとって、この寝付くまでの時間というのは意外と大切な意味を持っていた。
……でも。
向日葵(…………)
なんとなく感じる、胸騒ぎ。
もしかして、あの子から? という直感。
私が寝ているかどうかなんてお構いなしな、あの子が送ってきたんじゃないかという予感。
目を閉じている私の胸の中で、いくつもの思考がぐるぐると渦巻く。考えれば考えるほど、あの子かも、たぶんあの子だ、あの子くらいなものだ、あの子で決まりでしょうと、予想が強く固まっていく。
一息ついて、閉じていた目を薄く開ける。身体はもう少しで眠ろうとしていたけど、心はどんどん物事を考えてしまって落ち着かなくなっていた。
せっかく寝付くところだったのに。つまらない用事だったら明日怒ってやる。楓を起こさないように静かにベッドを降りて、机の上のスマホを確認した。
向日葵「……?」
画面に表示されたのは私の予想通り、櫻子からのLINE通知。けれど私が思い浮かべていたような、明日の学校に持っていく荷物の確認などではなく、通知ダイアログからは内容がわからないよう改行が重ねられたメッセージだった。
トークルームを開かないと主要部分が読めないようになっている。通知だけで内容を知られてスルーされたら困るのだろう。もともと私はあまりメッセージを無視しない方なので、櫻子は私に対して滅多にこういうことをしない。
こうまでして私に見てほしい何かが、ここには書かれている?
一瞬の間を置いて、私は櫻子から送られてきたメッセージの全文を表示した。
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:23:41.61 ID:+EtVRVLso
「
。
。
。
。
。
向日葵へ。
このメッセージには、絶対に返信しないで。
読んでも、何もせずに、そのままにしておいて。
このメッセージについて思ったことがあっても、何も言わないで。
私と顔を合わせても、絶対に話さないで。
ただ見るだけ、ただ心に留めておくだけにして。
この下に、書くからね。
あさっての、7月21日。夕方の6時に、向日葵の部屋に行く。
私から、向日葵に、話さなきゃいけないことがあるから、絶対この時間は部屋にいてね。
絶対だからね。
それだけ。
上にも書いたけど、このメッセージに返信はしないで。
明日、学校に行くときにも、このメッセージはどういう意味なのとか、絶対聞かないで。
いつもどおりにしてて。
おやすみ。」
向日葵(は……はぁ……???)
なにこれ。
いや、なにこれ。
なんですのこれ。
思いがけない長文、思いがけない内容、把握しきれないメッセージ。
最後に書かれた「おやすみ」に少しだけ心がとくんとなったけど、それよりもこのメッセージ全体が何を意味しているのかがまったくわからなくて、もう一度最初から読み直した。
一文字一文字、誤字や脱字にもきちんと気をつけながら読み返した結果、やっぱり全然わからなかった。
まずそもそも、これは本当に櫻子が打ち込んだメッセージなのだろうか。そこからして私の頭には疑問符が浮かんでいた。あの子からはいつも、「宿題の答えおしえて」とか「明日なに持ってくんだっけ」とか「ごめん遅れる」とか、味気ない短文がぽんと届くだけだった。こんな長文は初めてだし、こんな意味不明な内容が来たのも初めてだ。
誰かに送り間違えた?……と思ったが、ご丁寧に最初に「向日葵へ」と書いてある。私たち二人しかいないグループなのだから、わざわざこんなこと書かなくていいはずなのに、きちんと書いてある。
らしくない。本当に櫻子らしくないメッセージだった。
明後日の? 21日? 夕方に櫻子が来る? 私の部屋に?
そこで私に? 話したいことがある?
向日葵(……このメッセージで言うわけには、いかないんですの?)
辛うじて察せるのはそこまでだ。直接顔を合わせて話さないといけないことなのだろう。それが一体なんなのか? 質問することは許されない。最初に丁重に断りを入れられてしまっている。私はこのメッセージに対して何も聞くことはできないようだ。その、当日まで。
。
。
。
。
。
向日葵へ。
このメッセージには、絶対に返信しないで。
読んでも、何もせずに、そのままにしておいて。
このメッセージについて思ったことがあっても、何も言わないで。
私と顔を合わせても、絶対に話さないで。
ただ見るだけ、ただ心に留めておくだけにして。
この下に、書くからね。
あさっての、7月21日。夕方の6時に、向日葵の部屋に行く。
私から、向日葵に、話さなきゃいけないことがあるから、絶対この時間は部屋にいてね。
絶対だからね。
それだけ。
上にも書いたけど、このメッセージに返信はしないで。
明日、学校に行くときにも、このメッセージはどういう意味なのとか、絶対聞かないで。
いつもどおりにしてて。
おやすみ。」
向日葵(は……はぁ……???)
なにこれ。
いや、なにこれ。
なんですのこれ。
思いがけない長文、思いがけない内容、把握しきれないメッセージ。
最後に書かれた「おやすみ」に少しだけ心がとくんとなったけど、それよりもこのメッセージ全体が何を意味しているのかがまったくわからなくて、もう一度最初から読み直した。
一文字一文字、誤字や脱字にもきちんと気をつけながら読み返した結果、やっぱり全然わからなかった。
まずそもそも、これは本当に櫻子が打ち込んだメッセージなのだろうか。そこからして私の頭には疑問符が浮かんでいた。あの子からはいつも、「宿題の答えおしえて」とか「明日なに持ってくんだっけ」とか「ごめん遅れる」とか、味気ない短文がぽんと届くだけだった。こんな長文は初めてだし、こんな意味不明な内容が来たのも初めてだ。
誰かに送り間違えた?……と思ったが、ご丁寧に最初に「向日葵へ」と書いてある。私たち二人しかいないグループなのだから、わざわざこんなこと書かなくていいはずなのに、きちんと書いてある。
らしくない。本当に櫻子らしくないメッセージだった。
明後日の? 21日? 夕方に櫻子が来る? 私の部屋に?
そこで私に? 話したいことがある?
向日葵(……このメッセージで言うわけには、いかないんですの?)
辛うじて察せるのはそこまでだ。直接顔を合わせて話さないといけないことなのだろう。それが一体なんなのか? 質問することは許されない。最初に丁重に断りを入れられてしまっている。私はこのメッセージに対して何も聞くことはできないようだ。その、当日まで。
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:24:27.17 ID:+EtVRVLso
向日葵(なんなんですのよ……話したいことって……)
こんなことを言われたら嫌でも気になってしまうのに、何も聞いちゃいけないなんてずるい話がありますか。私は心の中で櫻子に文句を言った。
せめて話の概要だけでも教えなさいよ。いい話なのか、悪い話なのか、それだけでも教えなさいよ。直接聞くことくらい許しなさいよ。ヒントくらい寄越しなさいよ。
さっきまであったはずの眠気は、とうにどこかへ吹き飛んでいた。もう一度メッセージをよく読んで、最後の「おやすみ」をつっと撫でてアプリを閉じた。
「おやすみ」なんて書かれたメッセージをあの子からもらったのは初めてかもしれない。きっと櫻子はこれを送りつけてすぐ寝たのだろう。返信することは許されないが、約束を破って何かを送ったとしても、すぐに既読はつかない気がする。
画面をロックしようとして、その前に……とカレンダーのアプリを開いた。
明後日って、何の日?
私たち二人にとって、何か重要な日だったかしら。
確かめてみても、特に重要な日ではなさそうだった。強いて言うなら赤座さんの誕生日が近いくらい。でもそれとは関係ない気がする。
私はもぞもぞとベッドに戻って、櫻子が言う「話さなきゃいけないこと」に思いを馳せた。
赤座さんの誕生日パーティをサプライズで開くことになったとか、プレゼントを買うのに悩んでいるとか、そんなことかもしれない。
でもそんなこと……わざわざ明後日まで待たずに、今言えばいいだけのはず。
「話さなきゃいけない」って……そんなに思いつめたようなこと、あなたの胸の中にあるんですの?
一体なんなんですの? それ。
どれだけ気になっても、今回ばかりは何も聞いちゃだめだなんて。
当日まで何も考えないようにするのが一番だと思うけれど、寝ようと思って目を閉じると、逆に色々なことがぐるぐると思い浮かんでしまう。
このままじゃ私、不眠になっちゃいますわよ。
今夜眠れなくて、明日の朝はすごくだるい身体を引きずって、学校に行くの?
その最中も、あなたに何も聞いちゃだめなんですの?
私は明後日まで、一体どう過ごせばいいんですの?
櫻子の顔を思い浮かべて、考えついたことをたくさんぶつける。
こんなことを言われたら嫌でも気になってしまうのに、何も聞いちゃいけないなんてずるい話がありますか。私は心の中で櫻子に文句を言った。
せめて話の概要だけでも教えなさいよ。いい話なのか、悪い話なのか、それだけでも教えなさいよ。直接聞くことくらい許しなさいよ。ヒントくらい寄越しなさいよ。
さっきまであったはずの眠気は、とうにどこかへ吹き飛んでいた。もう一度メッセージをよく読んで、最後の「おやすみ」をつっと撫でてアプリを閉じた。
「おやすみ」なんて書かれたメッセージをあの子からもらったのは初めてかもしれない。きっと櫻子はこれを送りつけてすぐ寝たのだろう。返信することは許されないが、約束を破って何かを送ったとしても、すぐに既読はつかない気がする。
画面をロックしようとして、その前に……とカレンダーのアプリを開いた。
明後日って、何の日?
私たち二人にとって、何か重要な日だったかしら。
確かめてみても、特に重要な日ではなさそうだった。強いて言うなら赤座さんの誕生日が近いくらい。でもそれとは関係ない気がする。
私はもぞもぞとベッドに戻って、櫻子が言う「話さなきゃいけないこと」に思いを馳せた。
赤座さんの誕生日パーティをサプライズで開くことになったとか、プレゼントを買うのに悩んでいるとか、そんなことかもしれない。
でもそんなこと……わざわざ明後日まで待たずに、今言えばいいだけのはず。
「話さなきゃいけない」って……そんなに思いつめたようなこと、あなたの胸の中にあるんですの?
一体なんなんですの? それ。
どれだけ気になっても、今回ばかりは何も聞いちゃだめだなんて。
当日まで何も考えないようにするのが一番だと思うけれど、寝ようと思って目を閉じると、逆に色々なことがぐるぐると思い浮かんでしまう。
このままじゃ私、不眠になっちゃいますわよ。
今夜眠れなくて、明日の朝はすごくだるい身体を引きずって、学校に行くの?
その最中も、あなたに何も聞いちゃだめなんですの?
私は明後日まで、一体どう過ごせばいいんですの?
櫻子の顔を思い浮かべて、考えついたことをたくさんぶつける。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:24:57.38 ID:+EtVRVLso
もしかして。
もしかしたら……私にとって、嫌な話かもしれない。
たとえば……そう、
大室家が遠くに引っ越してしまうとか。
だってそれくらいのことじゃなかったら、こんなに回りくどいことをしてくるはずがない。
櫻子は確かにいたずら好きだけど、こんな不可解なことはしてこない。
そういえば最近のあの子は、どこか思いつめたような顔をしていることがあった。
ぼーっとしていて、どこを見てるのかわからなくて、体調でも悪いのかと気にかけても、私には「大丈夫」としか言ってくれない。
思い返せば、わがままや文句を言う頻度も減ってきたような気がする。
ふとしたときに、私に優しくしてくれることが増えた気がする。
私の話で、楽しそうに笑ってくれることも多くなった。
なんとなくあの子に目を配ったとき、たまたま視線が合ってしまって、気まずそうにしていることもよくある。
1ヶ月ほど前の私の誕生日……あの子はやけに素直にしていて、すごく一生懸命お祝いしてくれたっけ……
向日葵(あれは……何のため?)
向日葵(もしかして……本当に、遠くに行っちゃうんですの?)
向日葵(最後くらいは、って気持ちで、優しくしてくれてたんですの……?)
考えれば考えるほど、そうとしか思えなくなってしまった。
手の甲を額に乗せて、くらくらと痛みだす頭を抑える。
そんなことあるわけない。
私と櫻子が離ればなれになるなんて、そんな……
さっきまで頭の中の櫻子に文句をぶつけていたのに、今はただ、あの子の優しい顔を思い浮かべることしかできなかった。
でもまだわからない。ひょっとしたら何かいい報告をされるのかもしれない……必死にそう思い込もうとしたけど、どうしたって頭は最悪のケースを想像してしまう。
私は静かに目尻から溢れる涙を、枕に染み込ませた。
神様、どうかそんなひどいことはしないで。
私は……あの子がいないと……
毛布をぎゅっと握りしめながら、強く強く祈った。それだけを一心に祈った。
力尽きて眠ってしまうまで、ずっと。
もしかしたら……私にとって、嫌な話かもしれない。
たとえば……そう、
大室家が遠くに引っ越してしまうとか。
だってそれくらいのことじゃなかったら、こんなに回りくどいことをしてくるはずがない。
櫻子は確かにいたずら好きだけど、こんな不可解なことはしてこない。
そういえば最近のあの子は、どこか思いつめたような顔をしていることがあった。
ぼーっとしていて、どこを見てるのかわからなくて、体調でも悪いのかと気にかけても、私には「大丈夫」としか言ってくれない。
思い返せば、わがままや文句を言う頻度も減ってきたような気がする。
ふとしたときに、私に優しくしてくれることが増えた気がする。
私の話で、楽しそうに笑ってくれることも多くなった。
なんとなくあの子に目を配ったとき、たまたま視線が合ってしまって、気まずそうにしていることもよくある。
1ヶ月ほど前の私の誕生日……あの子はやけに素直にしていて、すごく一生懸命お祝いしてくれたっけ……
向日葵(あれは……何のため?)
向日葵(もしかして……本当に、遠くに行っちゃうんですの?)
向日葵(最後くらいは、って気持ちで、優しくしてくれてたんですの……?)
考えれば考えるほど、そうとしか思えなくなってしまった。
手の甲を額に乗せて、くらくらと痛みだす頭を抑える。
そんなことあるわけない。
私と櫻子が離ればなれになるなんて、そんな……
さっきまで頭の中の櫻子に文句をぶつけていたのに、今はただ、あの子の優しい顔を思い浮かべることしかできなかった。
でもまだわからない。ひょっとしたら何かいい報告をされるのかもしれない……必死にそう思い込もうとしたけど、どうしたって頭は最悪のケースを想像してしまう。
私は静かに目尻から溢れる涙を、枕に染み込ませた。
神様、どうかそんなひどいことはしないで。
私は……あの子がいないと……
毛布をぎゅっと握りしめながら、強く強く祈った。それだけを一心に祈った。
力尽きて眠ってしまうまで、ずっと。
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:25:33.87 ID:+EtVRVLso
~
強い考えごとをしながら眠ると、身体は眠っていても脳は起きたままになってしまう。
いつもならあまり効果を発揮してくれない、第一陣の目覚まし時計で今朝は目覚めた。むくりと起き上がった瞬間に感じる倦怠感が、昨晩に抱えていた重苦しい不安を思い起こさせる。いつになくスムーズに起きたが、まったく眠れた気がしなかった。
カレンダーの日付は7月20日。木曜日。
空は気持ちのいい快晴だった。きっと今日はとても暑くなるだろう。そういえば今日は朝から外での体育があった気がする。憂鬱だ。どうも今朝は朝ごはんを食べる気が起きない。水以外何も喉を通らない。低血圧の私が朝ごはんを食べないと、本当にお昼近くまでエンジンがかからない。憂鬱だ。澄み渡る空とは対照的に、私の心はどんより曇っていた。
櫻子はどんな顔をして出てくるだろう。私はどんな顔で接すればいいのだろう。明日の夕方に何を言われるかはわからないけれど、それまで櫻子と微妙な距離感が続いてしまうことがもうすでに嫌だった。なんで明日にしたんだろう。そんなに持たせなくたっていいのに。
のろのろと靴を履いて外に出る。朝日で熱された空気が私の身体をむわっと包み込んだ。まだ早い時間なのにすっかり外は暑かった。晴れ渡る眩しささえも、私の重いまぶたには堪える。
手で目の上にひさしを作って門をくぐる。すぐ横に見慣れた制服姿が見えた。どんな言葉をかけようか迷ったが、ここはやっぱり、いつもどおりにするしかない。
ごめんなさい、待たせちゃいました?……そう言おうとすると、向こうから先に、せきを切ったように話しかけてきた。
櫻子「おっ、おはよう!!///」
向日葵「…………」
……家の中にいる楓にまで聞こえそうなほど、大きな声で。
かばんを持つ手を、ぷるぷると力ませて。
背伸びをするように、足のつま先をぴーんと立たせて。
櫻子は、真っ赤な顔で、挨拶をしてきた。
強い考えごとをしながら眠ると、身体は眠っていても脳は起きたままになってしまう。
いつもならあまり効果を発揮してくれない、第一陣の目覚まし時計で今朝は目覚めた。むくりと起き上がった瞬間に感じる倦怠感が、昨晩に抱えていた重苦しい不安を思い起こさせる。いつになくスムーズに起きたが、まったく眠れた気がしなかった。
カレンダーの日付は7月20日。木曜日。
空は気持ちのいい快晴だった。きっと今日はとても暑くなるだろう。そういえば今日は朝から外での体育があった気がする。憂鬱だ。どうも今朝は朝ごはんを食べる気が起きない。水以外何も喉を通らない。低血圧の私が朝ごはんを食べないと、本当にお昼近くまでエンジンがかからない。憂鬱だ。澄み渡る空とは対照的に、私の心はどんより曇っていた。
櫻子はどんな顔をして出てくるだろう。私はどんな顔で接すればいいのだろう。明日の夕方に何を言われるかはわからないけれど、それまで櫻子と微妙な距離感が続いてしまうことがもうすでに嫌だった。なんで明日にしたんだろう。そんなに持たせなくたっていいのに。
のろのろと靴を履いて外に出る。朝日で熱された空気が私の身体をむわっと包み込んだ。まだ早い時間なのにすっかり外は暑かった。晴れ渡る眩しささえも、私の重いまぶたには堪える。
手で目の上にひさしを作って門をくぐる。すぐ横に見慣れた制服姿が見えた。どんな言葉をかけようか迷ったが、ここはやっぱり、いつもどおりにするしかない。
ごめんなさい、待たせちゃいました?……そう言おうとすると、向こうから先に、せきを切ったように話しかけてきた。
櫻子「おっ、おはよう!!///」
向日葵「…………」
……家の中にいる楓にまで聞こえそうなほど、大きな声で。
かばんを持つ手を、ぷるぷると力ませて。
背伸びをするように、足のつま先をぴーんと立たせて。
櫻子は、真っ赤な顔で、挨拶をしてきた。
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:26:17.23 ID:+EtVRVLso
向日葵「…………」
櫻子「おっ、おはようっつってんじゃん! なんか言えよ!!」
向日葵「お…………はよ、ございます」
櫻子「はいっ! おはよっ!」ふんっ
櫻子はくるりと身体ごと翻してそっぽを向いた。
まるで、紅潮した顔を私から隠すかのように。
重かった私のまぶたが、自然とぐぐっと持ち上がった。
どんより曇っていた私の心に、澄み渡る晴れ空と同じくらい眩しい光が差しこんだ。
気怠かった身体に、急激に生命力が満ち溢れてきた。
向日葵「えっ、ど、どうしたんですの!?」がばっ
櫻子「はぁ!?」
向日葵「なんか変ですわよあなた! その、なんか……なんか変ですわよ!」
櫻子「へっ、変じゃないだろ別に! 櫻子様はいつもこのくらい爽やかだろ!」
向日葵「いやいやいや、絶対変ですって! やっぱり昨日のLINEが……」
櫻子「ああ~~~~~っっ!!? おい! それダメって言ったよな!? 昨日のLINEについて何も質問しちゃダメって言ったよな!?///」
向日葵「いや、だっておかしいんですもの! 絶対、あなた変ですもの!!」
櫻子「変でもなんでもダメーっ!! その話は絶対にしちゃダメ! 約束守れよ!」
向日葵「約束ったって、あなたが勝手に送りつけてきたくせに……」
櫻子「だぁぁーーーっ!! うるさいうるさいうるさーい!!」
「うるさいのはあんただよ」ぽこっ
櫻子「あだっ」
近所迷惑も考えずにわめきちらす櫻子の後ろからやってきたのは、制服姿の撫子さんだった。
櫻子「おっ、おはようっつってんじゃん! なんか言えよ!!」
向日葵「お…………はよ、ございます」
櫻子「はいっ! おはよっ!」ふんっ
櫻子はくるりと身体ごと翻してそっぽを向いた。
まるで、紅潮した顔を私から隠すかのように。
重かった私のまぶたが、自然とぐぐっと持ち上がった。
どんより曇っていた私の心に、澄み渡る晴れ空と同じくらい眩しい光が差しこんだ。
気怠かった身体に、急激に生命力が満ち溢れてきた。
向日葵「えっ、ど、どうしたんですの!?」がばっ
櫻子「はぁ!?」
向日葵「なんか変ですわよあなた! その、なんか……なんか変ですわよ!」
櫻子「へっ、変じゃないだろ別に! 櫻子様はいつもこのくらい爽やかだろ!」
向日葵「いやいやいや、絶対変ですって! やっぱり昨日のLINEが……」
櫻子「ああ~~~~~っっ!!? おい! それダメって言ったよな!? 昨日のLINEについて何も質問しちゃダメって言ったよな!?///」
向日葵「いや、だっておかしいんですもの! 絶対、あなた変ですもの!!」
櫻子「変でもなんでもダメーっ!! その話は絶対にしちゃダメ! 約束守れよ!」
向日葵「約束ったって、あなたが勝手に送りつけてきたくせに……」
櫻子「だぁぁーーーっ!! うるさいうるさいうるさーい!!」
「うるさいのはあんただよ」ぽこっ
櫻子「あだっ」
近所迷惑も考えずにわめきちらす櫻子の後ろからやってきたのは、制服姿の撫子さんだった。
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:26:46.46 ID:+EtVRVLso
向日葵「あっ、おはようございますっ」
撫子「おはよ。こんなところでケンカしてないで、早く学校行きな」
櫻子「け、ケンカはしてないもん……!」
撫子「なんでもいいから。遅刻するよ」
向日葵「そ、そうですわね」
櫻子「ほらっ。行くぞ」くるっ
撫子「あ……櫻子」
櫻子「ん?」
撫子「あんた……もしかして、送ったの?」
向日葵「あ」
櫻子「あああぁぁ~~~ねーちゃんまで!! だからその話はしないでよ! なんの意味もなくなっちゃうじゃんっ!!///」
撫子「うっわぁ……全然隠せてないけど……ま、いっか」
向日葵「な、撫子さんも知ってるんですの?」
撫子「ん、まぁ……」
櫻子「おーい!! 変なこと話すな話すな! ねーちゃん早く学校行きなよ! 遅刻するよ!」
撫子「うるさいな……ともかく送ったんだね。じゃあ頑張んなよ」すたすた
櫻子「頑張んなとかも言わなくていいのーー!!」ぷんすか
向日葵「…………」
さっきからずっと怒り散らしている櫻子。
その怒りの正体がなんなのか、私にはまだはっきりとはわからない……わからないけど、ひとつだけ感じるものがあった。
昨日のLINEは……おそらく、マイナスなものではない。
櫻子「……ほらっ、行くぞ向日葵! 私たちも遅刻しちゃう」
向日葵「ええ」
明日の夕方に待ち受けている「それ」は、たぶんきっと、いいことだ。
いつもより数倍可愛く思える櫻子を隣から眺めながら、一緒に学校へと向かった。
撫子「おはよ。こんなところでケンカしてないで、早く学校行きな」
櫻子「け、ケンカはしてないもん……!」
撫子「なんでもいいから。遅刻するよ」
向日葵「そ、そうですわね」
櫻子「ほらっ。行くぞ」くるっ
撫子「あ……櫻子」
櫻子「ん?」
撫子「あんた……もしかして、送ったの?」
向日葵「あ」
櫻子「あああぁぁ~~~ねーちゃんまで!! だからその話はしないでよ! なんの意味もなくなっちゃうじゃんっ!!///」
撫子「うっわぁ……全然隠せてないけど……ま、いっか」
向日葵「な、撫子さんも知ってるんですの?」
撫子「ん、まぁ……」
櫻子「おーい!! 変なこと話すな話すな! ねーちゃん早く学校行きなよ! 遅刻するよ!」
撫子「うるさいな……ともかく送ったんだね。じゃあ頑張んなよ」すたすた
櫻子「頑張んなとかも言わなくていいのーー!!」ぷんすか
向日葵「…………」
さっきからずっと怒り散らしている櫻子。
その怒りの正体がなんなのか、私にはまだはっきりとはわからない……わからないけど、ひとつだけ感じるものがあった。
昨日のLINEは……おそらく、マイナスなものではない。
櫻子「……ほらっ、行くぞ向日葵! 私たちも遅刻しちゃう」
向日葵「ええ」
明日の夕方に待ち受けている「それ」は、たぶんきっと、いいことだ。
いつもより数倍可愛く思える櫻子を隣から眺めながら、一緒に学校へと向かった。
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:27:26.75 ID:+EtVRVLso
~
学校に到着するまでの間、櫻子とはほとんど何も話さなかった。
別にだんまりを決め込んでいたわけではない。私も櫻子もさりげない会話の糸口を探し続けていた。探しているうちに学校に着いてしまったのだ。
どう考えても話すべきは昨日のLINEのことなのだが……それに触れると櫻子はかんしゃくを起こしたように真っ赤になって怒る。書いてあったルールを守れということなのだろう。櫻子もずっと「そのことだけは話すな」という顔をしていた気がする。
だが私は当然そのことしか頭にない。櫻子がこんな状態になってしまうほどのものなのだ。何かとんでもないことを起こそうとしていることだけは確かだった。
しかもどうやら、昨日の内容は撫子さんも把握していたようだ。私に送るメッセージをなんで撫子さんが……最後に言った「頑張んなよ」とはどんな意味なのか……
低血圧を振り切って、私は脳内コンピュータを懸命に働かせた。櫻子の「話さなきゃいけないこと」とは何なのか。間近でその横顔を見ながら考えた。
櫻子「……な、なんなのさっきから……あんまこっち見ないでくれる?///」かあっ
向日葵(あ)
……弾き出された答えは一件。
もうこれしかない。これ以外に何もない。
正直、口に出すのもはばかられる答えだ。もし間違っていたら死ぬほど恥ずかしい。だけど絶対に間違っていないという確信が、?を赤らめる櫻子を見ているほどに固まっていく。
これを「話さなきゃいけないこと」に仮定した場合、すべてのパズルが綺麗に当てはまってしまうのだ。どうしてさっきから恥ずかしそうにしているのか。
どうしてルールに抵触すると怒るのか。どうして最近、私への態度が少しずつ優しくなっていたのか。
そういうこと?
そういうこと、ですの?
声には出さずに、櫻子の横顔に語りかける。
もちろん櫻子は何も言ってこない。言ってこないけど……私には伝わってくる。
向日葵(櫻子……)
ついに、というか。とうとう、というか。
お互いがずっと守っていた均衡が……崩されてしまうときが来たみたい。
青い空を見上げて小さく息をつく。私の胸は高鳴っていた。
学校に到着するまでの間、櫻子とはほとんど何も話さなかった。
別にだんまりを決め込んでいたわけではない。私も櫻子もさりげない会話の糸口を探し続けていた。探しているうちに学校に着いてしまったのだ。
どう考えても話すべきは昨日のLINEのことなのだが……それに触れると櫻子はかんしゃくを起こしたように真っ赤になって怒る。書いてあったルールを守れということなのだろう。櫻子もずっと「そのことだけは話すな」という顔をしていた気がする。
だが私は当然そのことしか頭にない。櫻子がこんな状態になってしまうほどのものなのだ。何かとんでもないことを起こそうとしていることだけは確かだった。
しかもどうやら、昨日の内容は撫子さんも把握していたようだ。私に送るメッセージをなんで撫子さんが……最後に言った「頑張んなよ」とはどんな意味なのか……
低血圧を振り切って、私は脳内コンピュータを懸命に働かせた。櫻子の「話さなきゃいけないこと」とは何なのか。間近でその横顔を見ながら考えた。
櫻子「……な、なんなのさっきから……あんまこっち見ないでくれる?///」かあっ
向日葵(あ)
……弾き出された答えは一件。
もうこれしかない。これ以外に何もない。
正直、口に出すのもはばかられる答えだ。もし間違っていたら死ぬほど恥ずかしい。だけど絶対に間違っていないという確信が、?を赤らめる櫻子を見ているほどに固まっていく。
これを「話さなきゃいけないこと」に仮定した場合、すべてのパズルが綺麗に当てはまってしまうのだ。どうしてさっきから恥ずかしそうにしているのか。
どうしてルールに抵触すると怒るのか。どうして最近、私への態度が少しずつ優しくなっていたのか。
そういうこと?
そういうこと、ですの?
声には出さずに、櫻子の横顔に語りかける。
もちろん櫻子は何も言ってこない。言ってこないけど……私には伝わってくる。
向日葵(櫻子……)
ついに、というか。とうとう、というか。
お互いがずっと守っていた均衡が……崩されてしまうときが来たみたい。
青い空を見上げて小さく息をつく。私の胸は高鳴っていた。
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:27:54.46 ID:+EtVRVLso
心の中では、いつかはそうなると思っていた。でも今じゃないと思い込んでいた。けど一方で、いつでもそうなってよかったと思う自分もいた。むしろ……そうなりたかった。
互いの気持ちが拮抗して、凝り固まってできた大きな壁。私はこの壁に身体を預けてもたれているときが、一番安心感を得られる時間だった。壁の向こうではきっと櫻子も、同じようにして壁に背を預けていた。
いつかはこの壁を壊すときがくる。いつかは必ず壊さなきゃいけない。
どちらが先に動き出すかはわからなかった。私は「なるようになる」と、時の流れに身を任せていた。
でも櫻子は……そんな現状に、我慢できなくなったのだろう。
動き出さなきゃ、動かない。自分から強い意志を持って行動しなければ、一生何も変わらない。そう思ったのだ。
昨日のメッセージは……きっと何日も前から書きしたためていて、何度も送ろうとしては断念してを繰り返して、誤字が無くなるほどに推敲を重ねて、撫子さんにも相談したりして、やっとのこと昨日、私に送り届けられたのだろう。
最後の「おやすみ」に込められていたのは、送ってしまえば「あとはもうどうにでもなれ」という気持ちだったのかもしれない。
思い切って送信ボタンを押して、そのままベッドに飛び込んで、何も考えないようにして眠ったのだろう。
あとのことは全部、明後日の自分にまかせると。
そうでもしなきゃ、送れなかったのだ。この子には。
教室に到着すると、まるで同じ極同士の磁石のように櫻子はすいっと私から離れ、目も合わせずにかばんを置いて、他の友達との談笑の輪に入っていった。
その華奢な背中が……今の私には、いつもよりちょっとだけ大きく見えた。
向日葵(ありがとう……櫻子)
私には出せなかった、勇気を出してくれて。
「ひーまわーりちゃん、おはよっ」
向日葵「あら、吉川さん、赤座さん」
あかり「実はあかりたち、ずっと向日葵ちゃんたちの後ろにいたんだけどねっ? なかなか話しかけられなくって」
ちなつ「二人の様子がいつもと違うような気がしたから……もしかして、また喧嘩でもしたの?」
向日葵「ふふ、そう言われると思いましたわ」
不思議そうな顔をしている友人たちに、言葉では説明できない高揚感を笑顔で返す。
なんだか今日は、いい日になりそう。
互いの気持ちが拮抗して、凝り固まってできた大きな壁。私はこの壁に身体を預けてもたれているときが、一番安心感を得られる時間だった。壁の向こうではきっと櫻子も、同じようにして壁に背を預けていた。
いつかはこの壁を壊すときがくる。いつかは必ず壊さなきゃいけない。
どちらが先に動き出すかはわからなかった。私は「なるようになる」と、時の流れに身を任せていた。
でも櫻子は……そんな現状に、我慢できなくなったのだろう。
動き出さなきゃ、動かない。自分から強い意志を持って行動しなければ、一生何も変わらない。そう思ったのだ。
昨日のメッセージは……きっと何日も前から書きしたためていて、何度も送ろうとしては断念してを繰り返して、誤字が無くなるほどに推敲を重ねて、撫子さんにも相談したりして、やっとのこと昨日、私に送り届けられたのだろう。
最後の「おやすみ」に込められていたのは、送ってしまえば「あとはもうどうにでもなれ」という気持ちだったのかもしれない。
思い切って送信ボタンを押して、そのままベッドに飛び込んで、何も考えないようにして眠ったのだろう。
あとのことは全部、明後日の自分にまかせると。
そうでもしなきゃ、送れなかったのだ。この子には。
教室に到着すると、まるで同じ極同士の磁石のように櫻子はすいっと私から離れ、目も合わせずにかばんを置いて、他の友達との談笑の輪に入っていった。
その華奢な背中が……今の私には、いつもよりちょっとだけ大きく見えた。
向日葵(ありがとう……櫻子)
私には出せなかった、勇気を出してくれて。
「ひーまわーりちゃん、おはよっ」
向日葵「あら、吉川さん、赤座さん」
あかり「実はあかりたち、ずっと向日葵ちゃんたちの後ろにいたんだけどねっ? なかなか話しかけられなくって」
ちなつ「二人の様子がいつもと違うような気がしたから……もしかして、また喧嘩でもしたの?」
向日葵「ふふ、そう言われると思いましたわ」
不思議そうな顔をしている友人たちに、言葉では説明できない高揚感を笑顔で返す。
なんだか今日は、いい日になりそう。
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:28:28.59 ID:+EtVRVLso
~
朝から控えていた体育を終え、気持ちのいい汗をかき、教室の冷房も効いてきて過ごしやすくなってきたところで迎えた理科の時間。今日の授業内容は期末テストの返却と試験内容の復習だった。
今はほとんどの授業が同じように期末テストの返却と復習、そして来学期に向けての準備のような内容になっていた。周りにはきちんと復習に耳を傾けているものもいれば、西垣先生が大量に課した夏休みの宿題に早くも手をつけている生徒もいる。
今日が20日の木曜日。明日が21日の金曜日。土日を挟み、24日の月曜日に終業式。25日からいよいよ夏休みだ。ほとんどの授業は今日と明日で一学期の最後を迎える。
向日葵(あっ……)
そこまで考えて気がついた。
そうか、通常授業は明日で終了。明日の学校が終わったところから、私たちは実質夏休みに突入するのだ。
向日葵(もしかして……それでその日を選んだんですの?)
櫻子が指定した時間は夕方6時。学校が通常通りに終われば、私は普通に家にいる。生徒会活動も明日はない。
わざわざ決行の日をそこに持ってきた理由……
向日葵(夏休みを……晴れ晴れとした気持ちで過ごしたいから?)
櫻子の方をちらっと見てみた。どうやら向こうも私の方をずっと見ていたらしい。慌てて視線を戻して勉強しているフリをした。
向日葵(……たぶん、そうなんでしょうね)くすっ
きっと櫻子は、ここ最近ずっとそんなことを考えてくれていたのだろう。
一緒に登校しているときも、学校でみんなで談笑しているときも、生徒会で二人で作業しているときも、一緒に夏休みの宿題に手を付け始めたときも。
スマホの中には書きかけのLINEメッセージがあって、いつ送ろうか、いつ決行しようかと悩んでいたのではないか。ふと話しかけた時に上の空だったことが何回もあった気がする。期末テストの結果がボロボロで血の気が引いているだけかと思ってた。よくよく考えれば、あの子がそんなことを何日も引きずるわけがない。
昨日のメッセージが送られてきた夜中のことを思い出す。嫌な報告をされるのかと思って涙まで流した自分が無性に恥ずかしくなってきた。私はあの子のことになると心配性になるフシがある。
櫻子はどこにもいったりしない。神様は私を見捨てなかった。
朝から控えていた体育を終え、気持ちのいい汗をかき、教室の冷房も効いてきて過ごしやすくなってきたところで迎えた理科の時間。今日の授業内容は期末テストの返却と試験内容の復習だった。
今はほとんどの授業が同じように期末テストの返却と復習、そして来学期に向けての準備のような内容になっていた。周りにはきちんと復習に耳を傾けているものもいれば、西垣先生が大量に課した夏休みの宿題に早くも手をつけている生徒もいる。
今日が20日の木曜日。明日が21日の金曜日。土日を挟み、24日の月曜日に終業式。25日からいよいよ夏休みだ。ほとんどの授業は今日と明日で一学期の最後を迎える。
向日葵(あっ……)
そこまで考えて気がついた。
そうか、通常授業は明日で終了。明日の学校が終わったところから、私たちは実質夏休みに突入するのだ。
向日葵(もしかして……それでその日を選んだんですの?)
櫻子が指定した時間は夕方6時。学校が通常通りに終われば、私は普通に家にいる。生徒会活動も明日はない。
わざわざ決行の日をそこに持ってきた理由……
向日葵(夏休みを……晴れ晴れとした気持ちで過ごしたいから?)
櫻子の方をちらっと見てみた。どうやら向こうも私の方をずっと見ていたらしい。慌てて視線を戻して勉強しているフリをした。
向日葵(……たぶん、そうなんでしょうね)くすっ
きっと櫻子は、ここ最近ずっとそんなことを考えてくれていたのだろう。
一緒に登校しているときも、学校でみんなで談笑しているときも、生徒会で二人で作業しているときも、一緒に夏休みの宿題に手を付け始めたときも。
スマホの中には書きかけのLINEメッセージがあって、いつ送ろうか、いつ決行しようかと悩んでいたのではないか。ふと話しかけた時に上の空だったことが何回もあった気がする。期末テストの結果がボロボロで血の気が引いているだけかと思ってた。よくよく考えれば、あの子がそんなことを何日も引きずるわけがない。
昨日のメッセージが送られてきた夜中のことを思い出す。嫌な報告をされるのかと思って涙まで流した自分が無性に恥ずかしくなってきた。私はあの子のことになると心配性になるフシがある。
櫻子はどこにもいったりしない。神様は私を見捨てなかった。
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:28:56.00 ID:+EtVRVLso
安心感がじわじわと湧きあがってきて、昨晩まったく休めなかった頭が今になってとろけてきた。ほどよい暑さもあいまって、まどろみに包まれる。私は視界の端に櫻子を入れながら目を閉じた。
問題を解説する西垣先生の声が遠のく。まったりとした時間の流れを全身で感じる。その一秒一秒が心地よかった。
こうやって時間をすごせば、授業はすぐに終わる。学校もすぐに終わる。今日が終わって明日になる。明日の学校が終わったら、櫻子が私のところに来る。どんなことを話すのだろう。どんな顔で聞いてあげればいいのだろう。今はまだ何もわからない。でも何を言われたって、私たちはきっと前に進むことになる。歩みを揃えて、一緒に一歩ずつ未来へと踏み出していく。目の前には、大きな大きな夏休みが控えている。
そうか。今年の夏は……あの子とずっと……
西垣「……ってなわけで、ここの答えはどうなるかわかるな? 古谷」
向日葵「…………」
西垣「……おや、珍しいな。まさか古谷まで、もう休み気分なのか?」
あかり「向日葵ちゃん、呼ばれてる呼ばれてる……!」ゆさゆさ
向日葵「ひあぁっ、は、はい!」びくっ
西垣「さあ、ここの答えは」
向日葵「え……わかりません」
西垣「おいおい、適当言うな。確か古谷はこの問題を正解した数少ない生徒のうちの一人だったはずだが?」
向日葵(う……)
西垣「たとえ答えがわかっていたって、寝てていいわけじゃない。授業なんだからきちんと聞くように」
向日葵「す、すみません……///」
幸せな時間から現実へと引き戻され、とんでもない赤っ恥をかいてしまった。ちらっと櫻子の方を見ると、なぜかいたずらっぽい笑みを浮かべていた。
私を寝不足にさせた張本人のくせに。まぎわらしいメッセージを送るんじゃありません。私の涙を返しなさい。
問題を解説する西垣先生の声が遠のく。まったりとした時間の流れを全身で感じる。その一秒一秒が心地よかった。
こうやって時間をすごせば、授業はすぐに終わる。学校もすぐに終わる。今日が終わって明日になる。明日の学校が終わったら、櫻子が私のところに来る。どんなことを話すのだろう。どんな顔で聞いてあげればいいのだろう。今はまだ何もわからない。でも何を言われたって、私たちはきっと前に進むことになる。歩みを揃えて、一緒に一歩ずつ未来へと踏み出していく。目の前には、大きな大きな夏休みが控えている。
そうか。今年の夏は……あの子とずっと……
西垣「……ってなわけで、ここの答えはどうなるかわかるな? 古谷」
向日葵「…………」
西垣「……おや、珍しいな。まさか古谷まで、もう休み気分なのか?」
あかり「向日葵ちゃん、呼ばれてる呼ばれてる……!」ゆさゆさ
向日葵「ひあぁっ、は、はい!」びくっ
西垣「さあ、ここの答えは」
向日葵「え……わかりません」
西垣「おいおい、適当言うな。確か古谷はこの問題を正解した数少ない生徒のうちの一人だったはずだが?」
向日葵(う……)
西垣「たとえ答えがわかっていたって、寝てていいわけじゃない。授業なんだからきちんと聞くように」
向日葵「す、すみません……///」
幸せな時間から現実へと引き戻され、とんでもない赤っ恥をかいてしまった。ちらっと櫻子の方を見ると、なぜかいたずらっぽい笑みを浮かべていた。
私を寝不足にさせた張本人のくせに。まぎわらしいメッセージを送るんじゃありません。私の涙を返しなさい。
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:29:22.16 ID:+EtVRVLso
~
放課後。今日は一学期最後の生徒会活動の日。本日の仕事はしばらく使わなくなるこの生徒会室の掃除だった。
今日に限ってはデスクワークよりもこういった身体を動かす作業のほうがいい。寝不足の影響で身体が気怠いため、おとなしくしているとまた眠ってしまう。私は小気味よくモップを動かして隅々まで掃除をした。
千歳「不要なものは処分してしまわんとなぁ。捨てていいプリント類は会長がまとめておいてくれたみたいやで」
綾乃「一回ゴミ捨て行きましょうか。私はたまった古紙を持つから、千歳はゴミ袋お願い」
千歳「りょーかい」
櫻子「あっ、私! 私行きます!」
綾乃「え?」
ゴミ捨てに向かおうとする先輩たちの背中に、椅子の上に立って窓拭きをしていた櫻子が声をかけた。
千歳「んん、ありがたいけど、こっちはうちらで大丈夫やで?」
櫻子「いやいや、それ重そうだし! 私こう見えて力あるんで! むしろ一人で全部持てますよ!」
綾乃「これを一人は無理よ……大室さんは窓の拭き掃除やっちゃって? まだ途中でしょ?」
櫻子「あぅ……」
綾乃「帰ってきたら私たちも手伝うから。それじゃ行ってくるわね」
先輩たちがゴミ捨て場へと向かう。櫻子は何か言いたげにしていたけど、またすぐに椅子の上に立ってせっせと窓を拭きはじめた。そこでやっと櫻子の意図に気づく。どうやら先輩がいなくなって、私たち二人きりになるのを避けたかったらしい。
向日葵「…………」じーっ
櫻子「…………」きゅっきゅっ
向日葵「……櫻子」
櫻子「なっ、なに」
向日葵「……なんでもない」
櫻子「な、なんでもないなら話しかけないでよ!」
向日葵「なんで怒ってるんですの?」
櫻子「怒ってないよ!」
向日葵「あ、それマジックリンじゃなくてアルコールスプレーですわよ」
櫻子「……まちがえた」
向日葵「はい、こっち」
櫻子「……うん」
明らかに気まずそうにしている櫻子。その気まずさを振り払おうとするかのように、ごしごしと窓ガラスを磨いている。
放課後。今日は一学期最後の生徒会活動の日。本日の仕事はしばらく使わなくなるこの生徒会室の掃除だった。
今日に限ってはデスクワークよりもこういった身体を動かす作業のほうがいい。寝不足の影響で身体が気怠いため、おとなしくしているとまた眠ってしまう。私は小気味よくモップを動かして隅々まで掃除をした。
千歳「不要なものは処分してしまわんとなぁ。捨てていいプリント類は会長がまとめておいてくれたみたいやで」
綾乃「一回ゴミ捨て行きましょうか。私はたまった古紙を持つから、千歳はゴミ袋お願い」
千歳「りょーかい」
櫻子「あっ、私! 私行きます!」
綾乃「え?」
ゴミ捨てに向かおうとする先輩たちの背中に、椅子の上に立って窓拭きをしていた櫻子が声をかけた。
千歳「んん、ありがたいけど、こっちはうちらで大丈夫やで?」
櫻子「いやいや、それ重そうだし! 私こう見えて力あるんで! むしろ一人で全部持てますよ!」
綾乃「これを一人は無理よ……大室さんは窓の拭き掃除やっちゃって? まだ途中でしょ?」
櫻子「あぅ……」
綾乃「帰ってきたら私たちも手伝うから。それじゃ行ってくるわね」
先輩たちがゴミ捨て場へと向かう。櫻子は何か言いたげにしていたけど、またすぐに椅子の上に立ってせっせと窓を拭きはじめた。そこでやっと櫻子の意図に気づく。どうやら先輩がいなくなって、私たち二人きりになるのを避けたかったらしい。
向日葵「…………」じーっ
櫻子「…………」きゅっきゅっ
向日葵「……櫻子」
櫻子「なっ、なに」
向日葵「……なんでもない」
櫻子「な、なんでもないなら話しかけないでよ!」
向日葵「なんで怒ってるんですの?」
櫻子「怒ってないよ!」
向日葵「あ、それマジックリンじゃなくてアルコールスプレーですわよ」
櫻子「……まちがえた」
向日葵「はい、こっち」
櫻子「……うん」
明らかに気まずそうにしている櫻子。その気まずさを振り払おうとするかのように、ごしごしと窓ガラスを磨いている。
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:30:01.33 ID:+EtVRVLso
向日葵「…………」さっさっ
櫻子「…………」しゅっ
向日葵「…………」
櫻子「…………」きゅっきゅ
向日葵「……あの、櫻子」
櫻子「なに」
向日葵「その……普通の日常会話くらいは、してくれてもいいと思いますわよ」
櫻子「ちょっ、だからそういう話は……!」
ぐらっ
櫻子「あっ!」
向日葵「きゃっ!?」
椅子の上でバランスを崩した櫻子が大きくよろける。私はとっさにもっていたモップを捨て、櫻子の身体を抱きついて支えた。間一髪で間に合った。
櫻子「ぁ…………」
向日葵「あ、危ないですわね……気を付けなさいよ」
櫻子「ごめん……っていうか、今のは向日葵が変な話するから……!」
向日葵「変な話なんかしてませんわ。そうやってなんでもかんでもそっちの方向に持って行こうとしないでほしい、って言ってるんですの」
櫻子「えっ……」
私は櫻子を抱きしめたまま、諭すように言った。
思えば、昨日から私の頭の中は櫻子のことだらけなのに、あれから櫻子とはほとんどまともに言葉を交わしていなかった。
自分から「予告」してきたくせに、櫻子は自分がやってしまったことが恥ずかしくてたまらないようだ。本当は「それ」を実行する勇気もまだ100%持てていたわけではなかったのだろう。だからこそこんな手法をとってきたのだと思われるが、いくらなんでも過剰反応しすぎだ。
私には「いつもどおり」を命じたくせに、櫻子は全然いつもどおりなんかじゃない。
こんなことじゃ、明日の6時に自分から約束を破って逃げ出してしまうのではないか。
向日葵「……周りの人たちからも、変に思われてますわよ。ケンカでもしてるのかって」
櫻子「わ、わかったから、離して……///」
向日葵「だめ。そうやって逃げないで」
櫻子「に、逃げてないよ!」
向日葵「逃げてるじゃないの。なんで私の話を聞いてくれないんですの?」
私の腕の中でもぞもぞともがきながら、どんどん紅潮していく櫻子。私はわざと離さないようにしながら、その耳元へ語りかけた。
櫻子「…………」しゅっ
向日葵「…………」
櫻子「…………」きゅっきゅ
向日葵「……あの、櫻子」
櫻子「なに」
向日葵「その……普通の日常会話くらいは、してくれてもいいと思いますわよ」
櫻子「ちょっ、だからそういう話は……!」
ぐらっ
櫻子「あっ!」
向日葵「きゃっ!?」
椅子の上でバランスを崩した櫻子が大きくよろける。私はとっさにもっていたモップを捨て、櫻子の身体を抱きついて支えた。間一髪で間に合った。
櫻子「ぁ…………」
向日葵「あ、危ないですわね……気を付けなさいよ」
櫻子「ごめん……っていうか、今のは向日葵が変な話するから……!」
向日葵「変な話なんかしてませんわ。そうやってなんでもかんでもそっちの方向に持って行こうとしないでほしい、って言ってるんですの」
櫻子「えっ……」
私は櫻子を抱きしめたまま、諭すように言った。
思えば、昨日から私の頭の中は櫻子のことだらけなのに、あれから櫻子とはほとんどまともに言葉を交わしていなかった。
自分から「予告」してきたくせに、櫻子は自分がやってしまったことが恥ずかしくてたまらないようだ。本当は「それ」を実行する勇気もまだ100%持てていたわけではなかったのだろう。だからこそこんな手法をとってきたのだと思われるが、いくらなんでも過剰反応しすぎだ。
私には「いつもどおり」を命じたくせに、櫻子は全然いつもどおりなんかじゃない。
こんなことじゃ、明日の6時に自分から約束を破って逃げ出してしまうのではないか。
向日葵「……周りの人たちからも、変に思われてますわよ。ケンカでもしてるのかって」
櫻子「わ、わかったから、離して……///」
向日葵「だめ。そうやって逃げないで」
櫻子「に、逃げてないよ!」
向日葵「逃げてるじゃないの。なんで私の話を聞いてくれないんですの?」
私の腕の中でもぞもぞともがきながら、どんどん紅潮していく櫻子。私はわざと離さないようにしながら、その耳元へ語りかけた。
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:31:31.30 ID:+EtVRVLso
向日葵「明日話すことを、今話せって言ってるわけじゃありませんわ。ただ何も話さなくなるのはおかしいですわよ。私にとっては、今のあなたにはいつも以上に喋ってほしいところなのに」
櫻子「え……?」
向日葵「せっかくあんなメッセージをくれたんですもの。恥ずかしがってほしくない。正面から向き合ってほしい。私、今まさにあなたのことが知りたくて仕方ないんですわ」
櫻子「…………」
向日葵「今こそいつも通りのさりげない会話がしたいのよ。今こそ。だって私は、あなたがここ最近どんな想いで過ごしていたか、まったく気づいてあげられなかったんですから」
向日葵「そういうところも、フェアに行きましょ?」
ずっと抱えていた自分の気持ちを、いきなり一方的に送りつけてきた櫻子。
私は櫻子にされるがままで、自分からは何もできない束縛感にもどかしさをおぼえていた。
こんなに大事なことなのに、一世一代の転換点なのに、櫻子は全部一人で済まそうとしている。主人公が自分だけだと思い込んでいる。そうじゃないはずだ。私の視点で見れば、私がこの物語の主人公なのだから。
櫻子はわざわざ事前に「予告」をしてきた。それはサプライズじゃ打ち明けられないほど大きなことで、どうしても勇気が出なかったから、自分で自分にリミットを課すことで「言わなきゃいけない状況」を作ったのだろう。
そうしてきてくれたのは、私にとってはありがたいことだった。幼いころからずっと一緒だった私たち二人の大事なシーンに、今更サプライズなんていらない。むしろそんなことはしてほしくない。
櫻子がそういう気持ちだったこと、私は本当に気づけなかった。これは私の落ち度と言ってもいい。こんなに一緒にいたのに、こんな手段に出るほど思いつめてくれていたのに、その高まる気持ちに気づいてあげられなかったのだから。
櫻子は今、ものすごく浮き足立っている。何日も何日もシミュレーションしたであろう日がもう目前に迫っている。今ならその気持ちが手に取るようにわかる。
だからこそ、私は何としても櫻子と同じステージまで上がらなければいけなかった。自分の気持ちを高めて高めて、万全の準備でその瞬間を迎えなければ。
向日葵「私は逃げませんわ。たとえどんな用事が舞い込んだとしても、明日の夕方6時に、必ずあなたを待ちます」
櫻子「…………」
向日葵「だから……どこにも行きませんから、その……いつもどおりで、いてくださいな」
櫻子「……う、うん」
櫻子を抱きしめる腕に、とくんとくんと心脈が伝わってくる。こんなに櫻子と密着したのは久しぶりだった。きっと私の胸も同じくらい高鳴ってしまっている。でも今はいい。私は櫻子と同じ気持ちになりたい。櫻子のことをもっとわかってあげたい。
櫻子「……わ、かった」
向日葵「…………」
櫻子「私も……決めたの。もう、逃げないって」
向日葵「そう……」
櫻子「だから……さ、向日葵……っ」
櫻子のうるんだ瞳が、私の目を見つめる。
胸の奥が一気にしめつけられるような気持ちになった。
櫻子のこんな顔は初めて見たかもしれない。一体何を言おうとしているのだろう。すべてがスローモーションになった気がした。私の目は櫻子の口元に釘づけだった。
櫻子「あの……その……///」
向日葵(っ……!)
櫻子「え……?」
向日葵「せっかくあんなメッセージをくれたんですもの。恥ずかしがってほしくない。正面から向き合ってほしい。私、今まさにあなたのことが知りたくて仕方ないんですわ」
櫻子「…………」
向日葵「今こそいつも通りのさりげない会話がしたいのよ。今こそ。だって私は、あなたがここ最近どんな想いで過ごしていたか、まったく気づいてあげられなかったんですから」
向日葵「そういうところも、フェアに行きましょ?」
ずっと抱えていた自分の気持ちを、いきなり一方的に送りつけてきた櫻子。
私は櫻子にされるがままで、自分からは何もできない束縛感にもどかしさをおぼえていた。
こんなに大事なことなのに、一世一代の転換点なのに、櫻子は全部一人で済まそうとしている。主人公が自分だけだと思い込んでいる。そうじゃないはずだ。私の視点で見れば、私がこの物語の主人公なのだから。
櫻子はわざわざ事前に「予告」をしてきた。それはサプライズじゃ打ち明けられないほど大きなことで、どうしても勇気が出なかったから、自分で自分にリミットを課すことで「言わなきゃいけない状況」を作ったのだろう。
そうしてきてくれたのは、私にとってはありがたいことだった。幼いころからずっと一緒だった私たち二人の大事なシーンに、今更サプライズなんていらない。むしろそんなことはしてほしくない。
櫻子がそういう気持ちだったこと、私は本当に気づけなかった。これは私の落ち度と言ってもいい。こんなに一緒にいたのに、こんな手段に出るほど思いつめてくれていたのに、その高まる気持ちに気づいてあげられなかったのだから。
櫻子は今、ものすごく浮き足立っている。何日も何日もシミュレーションしたであろう日がもう目前に迫っている。今ならその気持ちが手に取るようにわかる。
だからこそ、私は何としても櫻子と同じステージまで上がらなければいけなかった。自分の気持ちを高めて高めて、万全の準備でその瞬間を迎えなければ。
向日葵「私は逃げませんわ。たとえどんな用事が舞い込んだとしても、明日の夕方6時に、必ずあなたを待ちます」
櫻子「…………」
向日葵「だから……どこにも行きませんから、その……いつもどおりで、いてくださいな」
櫻子「……う、うん」
櫻子を抱きしめる腕に、とくんとくんと心脈が伝わってくる。こんなに櫻子と密着したのは久しぶりだった。きっと私の胸も同じくらい高鳴ってしまっている。でも今はいい。私は櫻子と同じ気持ちになりたい。櫻子のことをもっとわかってあげたい。
櫻子「……わ、かった」
向日葵「…………」
櫻子「私も……決めたの。もう、逃げないって」
向日葵「そう……」
櫻子「だから……さ、向日葵……っ」
櫻子のうるんだ瞳が、私の目を見つめる。
胸の奥が一気にしめつけられるような気持ちになった。
櫻子のこんな顔は初めて見たかもしれない。一体何を言おうとしているのだろう。すべてがスローモーションになった気がした。私の目は櫻子の口元に釘づけだった。
櫻子「あの……その……///」
向日葵(っ……!)
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:31:59.76 ID:+EtVRVLso
がららっ
千歳「帰ったで~」
戸が開かれる音が鳴った瞬間、私は櫻子を突き飛ばすように引き離して、落ちていたモップを掴み取った。櫻子はバランスを崩して倒れかけたが、なんとか持ち直してガラスをごしごしと拭きまくった。
櫻子「お、おかえりなさい!! 早かったすね!?」
綾乃「そうかしら? べつに普通だけど」
櫻子「そうですか!?」
綾乃「……大室さん、まだその窓拭いてたの? こっちの方はやった?」
櫻子「ま……まだです」
綾乃「もう、早くしないと帰れないわよ。私と千歳もこっちやるから、ちゃちゃっと済ませちゃいましょ」
櫻子「あ、ありがとうございますっ!」
なんだか申し訳ないことをした気持ちになったが、それよりも、わかったことがひとつあった。
明日、櫻子が私に話してくれることは……やっぱり、いいことみたい。
それも、とびっきりのいいこと。
朝の段階でもそれは感じられていたけど、今なら心の底から信じられる。
密着して近づいた私の心とあの子の心が、言葉では交わせない何かを交わし合った。
まだ腕の中に残っている温もりが、その正体なのかもしれない。
モップでほこりを集めながら、櫻子の方を見る。
櫻子も、ほぼ同時に振り向いた。
恥ずかしそうに、てへっと笑った。
私も自然と顔がほころんでしまう。
生徒会室の時計は、午後5時をまわるところだった。
今から24時間と少し後……あの子が、私の部屋に来る。
なんだか今すぐにでもその時間になってほしいような、心の準備期間に1年は欲しくなってしまうような、変な気持ちだった。
千歳「帰ったで~」
戸が開かれる音が鳴った瞬間、私は櫻子を突き飛ばすように引き離して、落ちていたモップを掴み取った。櫻子はバランスを崩して倒れかけたが、なんとか持ち直してガラスをごしごしと拭きまくった。
櫻子「お、おかえりなさい!! 早かったすね!?」
綾乃「そうかしら? べつに普通だけど」
櫻子「そうですか!?」
綾乃「……大室さん、まだその窓拭いてたの? こっちの方はやった?」
櫻子「ま……まだです」
綾乃「もう、早くしないと帰れないわよ。私と千歳もこっちやるから、ちゃちゃっと済ませちゃいましょ」
櫻子「あ、ありがとうございますっ!」
なんだか申し訳ないことをした気持ちになったが、それよりも、わかったことがひとつあった。
明日、櫻子が私に話してくれることは……やっぱり、いいことみたい。
それも、とびっきりのいいこと。
朝の段階でもそれは感じられていたけど、今なら心の底から信じられる。
密着して近づいた私の心とあの子の心が、言葉では交わせない何かを交わし合った。
まだ腕の中に残っている温もりが、その正体なのかもしれない。
モップでほこりを集めながら、櫻子の方を見る。
櫻子も、ほぼ同時に振り向いた。
恥ずかしそうに、てへっと笑った。
私も自然と顔がほころんでしまう。
生徒会室の時計は、午後5時をまわるところだった。
今から24時間と少し後……あの子が、私の部屋に来る。
なんだか今すぐにでもその時間になってほしいような、心の準備期間に1年は欲しくなってしまうような、変な気持ちだった。
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:32:26.50 ID:+EtVRVLso
~
いつもどおりの日常会話を望んだくせに、一緒に歩いた帰り道では、やっぱり何を話してもぎこちなくなってしまった。
何を話そうとしても思考が明日のことに行きついてしまう。明日もこうやって一緒に帰るのだろうかとか、変なことばかりが気になってしまう。
ようやく家に到着して、自分の家に到着したときの安堵感がすごかった。昨日から休まっていない身体が思い出したように疲労を訴える。今はもう、やることをさっさと済ませてゆっくり休みたかった。
しかし実際はそうもいかない。ごはんを済ませて楓をお風呂にいれて、さあ一息つこうと思ってふとスマホを手に取る。私の手は自然と昨日の櫻子のメッセージを表示してしまう。一見おかしなその文章を、櫻子がこれを打ったんだと思いながら、何度も何度も読み返す。
そうしてふと我に返れば、自分の部屋の掃除をはじめないわけにはいかなかった。明日はここが「舞台」になるのだ。一大決心した櫻子が来てくれるというのに、いつも通りの部屋でいいわけがない。もともと散らかっているわけでもなかったが、すみずみまで綺麗にしなければ気が済まなかった。生徒会室を掃除した2倍の速度で部屋をてきぱきと片付ける。あまりにもせわしなく動く私に気を遣ってくれたのか、楓も一緒に掃除を手伝ってくれた。
やっとこさ掃除を終えると、もう夜もいい時間。早めに身体を休めたかったのに、結局いつもと同じような時間になっていた。
電気を消してベッドに横たわっても、まだ心がドキドキしている。思い浮かぶのは櫻子のことばかり。
生徒会室で櫻子を抱きしめたときの感触が忘れられない。私は再現するように毛布をまるめて抱きついた。あのときのうるんだ目。紅潮した頬。ふわふわした香り。私の心には、正直、魔が差していたと思う。櫻子のことが愛しくてたまらなくて、先輩たちの帰りがもう5分遅かったら、首筋にキスのひとつもしていたかもしれない。
考えないようにするのはもはや無理なので、とにかく目をつむって身体を落ち着けた。私はこんな状態だけれど、櫻子は今頃どうしているだろう。
黙って静かに目を閉じていると、今にもスマホからLINEの通知音が聞こえてきそうだった。昨日は私がたまたま起きていたからよかったものの、あのまま朝までまったく気づかずにいたら、今日という日はどう変わっていただろうか。
櫻子はいつからあのメッセージを送ろうと考えていたのだろう。一週間前? 一ヶ月前? そういえば先月の私の誕生日のとき、なんとなくあの子の様子がおかしかったから、それよりも前なのかもしれない。Xデーを私の誕生日にするつもりだった可能性すらある。何度も何度も送ろうとしては断念して、とうとう明日に決まったのかもしれない。
櫻子は本当に大きな勇気を出してくれた。もし私が同じメッセージを櫻子に送ることになっても、気恥ずかしくて絶対に送れないだろう。だからこそ明日はちゃんと受け止めてあげなきゃ。
寝返りを打って、ふと生徒会室で自分が言った言葉を思い出す。
「そういうところも、フェアに行きましょ?」
向日葵(…………)
果たして私は、フェアに努めているだろうか。
こうやってぬくぬくと毛布を抱きしめて、幸せなことだけを考えて、櫻子が私の元へ来てくれるのをただ待っているのが「対等」なのだろうか。
私は今、櫻子を心の底から尊敬している。「なるようになる」と私が目を背けたものに立ち向かった櫻子を。私が踏み出せなかった大きな一歩を、代わりに踏み出してくれた櫻子を。
「受け止める」なんて上から目線になっていたけど、あの子の方が私よりも、私たちのことを真剣に考えてくれていたのだ。
向日葵「っ……」
閉じていた目をぱちりと開け、ゆっくりと身体を起こす。闇に慣れた目で、ぽわりと月明かりが差し込む窓の外を見た。
あの子がせっかく頑張ってくれたんだから、私も同じくらい……いや、それ以上に頑張らなきゃ。
私は楓を起こさないように静かにベッドから降り、そろそろと身支度をした。
いつもどおりの日常会話を望んだくせに、一緒に歩いた帰り道では、やっぱり何を話してもぎこちなくなってしまった。
何を話そうとしても思考が明日のことに行きついてしまう。明日もこうやって一緒に帰るのだろうかとか、変なことばかりが気になってしまう。
ようやく家に到着して、自分の家に到着したときの安堵感がすごかった。昨日から休まっていない身体が思い出したように疲労を訴える。今はもう、やることをさっさと済ませてゆっくり休みたかった。
しかし実際はそうもいかない。ごはんを済ませて楓をお風呂にいれて、さあ一息つこうと思ってふとスマホを手に取る。私の手は自然と昨日の櫻子のメッセージを表示してしまう。一見おかしなその文章を、櫻子がこれを打ったんだと思いながら、何度も何度も読み返す。
そうしてふと我に返れば、自分の部屋の掃除をはじめないわけにはいかなかった。明日はここが「舞台」になるのだ。一大決心した櫻子が来てくれるというのに、いつも通りの部屋でいいわけがない。もともと散らかっているわけでもなかったが、すみずみまで綺麗にしなければ気が済まなかった。生徒会室を掃除した2倍の速度で部屋をてきぱきと片付ける。あまりにもせわしなく動く私に気を遣ってくれたのか、楓も一緒に掃除を手伝ってくれた。
やっとこさ掃除を終えると、もう夜もいい時間。早めに身体を休めたかったのに、結局いつもと同じような時間になっていた。
電気を消してベッドに横たわっても、まだ心がドキドキしている。思い浮かぶのは櫻子のことばかり。
生徒会室で櫻子を抱きしめたときの感触が忘れられない。私は再現するように毛布をまるめて抱きついた。あのときのうるんだ目。紅潮した頬。ふわふわした香り。私の心には、正直、魔が差していたと思う。櫻子のことが愛しくてたまらなくて、先輩たちの帰りがもう5分遅かったら、首筋にキスのひとつもしていたかもしれない。
考えないようにするのはもはや無理なので、とにかく目をつむって身体を落ち着けた。私はこんな状態だけれど、櫻子は今頃どうしているだろう。
黙って静かに目を閉じていると、今にもスマホからLINEの通知音が聞こえてきそうだった。昨日は私がたまたま起きていたからよかったものの、あのまま朝までまったく気づかずにいたら、今日という日はどう変わっていただろうか。
櫻子はいつからあのメッセージを送ろうと考えていたのだろう。一週間前? 一ヶ月前? そういえば先月の私の誕生日のとき、なんとなくあの子の様子がおかしかったから、それよりも前なのかもしれない。Xデーを私の誕生日にするつもりだった可能性すらある。何度も何度も送ろうとしては断念して、とうとう明日に決まったのかもしれない。
櫻子は本当に大きな勇気を出してくれた。もし私が同じメッセージを櫻子に送ることになっても、気恥ずかしくて絶対に送れないだろう。だからこそ明日はちゃんと受け止めてあげなきゃ。
寝返りを打って、ふと生徒会室で自分が言った言葉を思い出す。
「そういうところも、フェアに行きましょ?」
向日葵(…………)
果たして私は、フェアに努めているだろうか。
こうやってぬくぬくと毛布を抱きしめて、幸せなことだけを考えて、櫻子が私の元へ来てくれるのをただ待っているのが「対等」なのだろうか。
私は今、櫻子を心の底から尊敬している。「なるようになる」と私が目を背けたものに立ち向かった櫻子を。私が踏み出せなかった大きな一歩を、代わりに踏み出してくれた櫻子を。
「受け止める」なんて上から目線になっていたけど、あの子の方が私よりも、私たちのことを真剣に考えてくれていたのだ。
向日葵「っ……」
閉じていた目をぱちりと開け、ゆっくりと身体を起こす。闇に慣れた目で、ぽわりと月明かりが差し込む窓の外を見た。
あの子がせっかく頑張ってくれたんだから、私も同じくらい……いや、それ以上に頑張らなきゃ。
私は楓を起こさないように静かにベッドから降り、そろそろと身支度をした。
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:32:54.20 ID:+EtVRVLso
~
こんこん
櫻子「なにー?」がちゃっ
向日葵「あっ」
櫻子「うわあえっ!? な、なんで!?」
向日葵「あの……来ちゃいました」
櫻子「いやいやいやいや! えぇ!? なんで!!」あわあわ
向日葵「しーっ! 花子ちゃん寝てるんですから……!」
櫻子「わかってるけど……!」
私はパジャマのままこっそり家を抜け出して大室家にやってきた。まだ起きていたであろう撫子さんに連絡して、大室家の玄関の鍵を開けてもらった。急にこんなことをお願いしても、撫子さんは特に理由も聞かずに言うことを聞いてくれる。本当に感謝してもしきれなかった。
突然の来訪に驚きまくっていた櫻子だが、寝ている家族が起きてくると困ると思ったのか、観念して静かに私を招き入れてくれた。
向日葵「よかった、まだ起きてて」
櫻子「いや、もう寝るところだったよ……眠れなかったから、適当に雑誌読んでたけど」
向日葵「そう」
櫻子「それより、なんで来たのさ……! 言っとくけど、私は明日って決めたんだから、明日にならなきゃ……」
向日葵「いや、それはわかってますわよ。私だって……今すぐに言ってほしいわけじゃありませんし」
櫻子「だったらなんで……」
向日葵「私も……その、私からも、あなたに言いたいことがあったんですわ」
櫻子「えっ?」
ベッドに腰掛ける櫻子の隣に座り、私はぽつぽつと言葉を紡いだ。思い立って櫻子の部屋まで来たはいいけど、具体的に何かプランがあったわけじゃない。
ただ、無性に櫻子に会いたかっただけだった。
向日葵「いきなりあんなLINE送りつけてきて……失礼ですわよ。私だってあなたに送り返したいメッセージのひとつもありますわ。でも返信するなって言うし……だから直接伝えに来たんですの」
櫻子「なんで直接……」
向日葵「黙って聞いて。それから……これを聞いても、なにも質問しないで。心の中に留めておいて」
櫻子「……うん」
向日葵「明日、21日の……夕方6時。私の部屋に絶対に来ること。私からもあなたに、話さなきゃいけないことがありますから」
櫻子「!」
向日葵「ちゃんとその時間は、誰にも邪魔されないように準備を整えましたわ。部屋も綺麗に掃除したし、楓は花子ちゃんと撫子さんが見てくれるそうです。だから……心置きなく、話しましょ」
改まってこんなことを言うのはとても恥ずかしくて、私は櫻子の顔が見られなくなった。それでも少しずつ言葉をしぼりだして、一語一句ちゃんと伝える。
櫻子だって、これと同じことをしてくれたのだから。
こんこん
櫻子「なにー?」がちゃっ
向日葵「あっ」
櫻子「うわあえっ!? な、なんで!?」
向日葵「あの……来ちゃいました」
櫻子「いやいやいやいや! えぇ!? なんで!!」あわあわ
向日葵「しーっ! 花子ちゃん寝てるんですから……!」
櫻子「わかってるけど……!」
私はパジャマのままこっそり家を抜け出して大室家にやってきた。まだ起きていたであろう撫子さんに連絡して、大室家の玄関の鍵を開けてもらった。急にこんなことをお願いしても、撫子さんは特に理由も聞かずに言うことを聞いてくれる。本当に感謝してもしきれなかった。
突然の来訪に驚きまくっていた櫻子だが、寝ている家族が起きてくると困ると思ったのか、観念して静かに私を招き入れてくれた。
向日葵「よかった、まだ起きてて」
櫻子「いや、もう寝るところだったよ……眠れなかったから、適当に雑誌読んでたけど」
向日葵「そう」
櫻子「それより、なんで来たのさ……! 言っとくけど、私は明日って決めたんだから、明日にならなきゃ……」
向日葵「いや、それはわかってますわよ。私だって……今すぐに言ってほしいわけじゃありませんし」
櫻子「だったらなんで……」
向日葵「私も……その、私からも、あなたに言いたいことがあったんですわ」
櫻子「えっ?」
ベッドに腰掛ける櫻子の隣に座り、私はぽつぽつと言葉を紡いだ。思い立って櫻子の部屋まで来たはいいけど、具体的に何かプランがあったわけじゃない。
ただ、無性に櫻子に会いたかっただけだった。
向日葵「いきなりあんなLINE送りつけてきて……失礼ですわよ。私だってあなたに送り返したいメッセージのひとつもありますわ。でも返信するなって言うし……だから直接伝えに来たんですの」
櫻子「なんで直接……」
向日葵「黙って聞いて。それから……これを聞いても、なにも質問しないで。心の中に留めておいて」
櫻子「……うん」
向日葵「明日、21日の……夕方6時。私の部屋に絶対に来ること。私からもあなたに、話さなきゃいけないことがありますから」
櫻子「!」
向日葵「ちゃんとその時間は、誰にも邪魔されないように準備を整えましたわ。部屋も綺麗に掃除したし、楓は花子ちゃんと撫子さんが見てくれるそうです。だから……心置きなく、話しましょ」
改まってこんなことを言うのはとても恥ずかしくて、私は櫻子の顔が見られなくなった。それでも少しずつ言葉をしぼりだして、一語一句ちゃんと伝える。
櫻子だって、これと同じことをしてくれたのだから。
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:33:46.79 ID:+EtVRVLso
向日葵「待ってますから……絶対に待ってますから。ちゃんと、来てちょうだいね」
櫻子「うん……絶対、いくよ」
向日葵「…………」
櫻子「……おわり?」
向日葵「おわりです」
櫻子「じゃあ、帰……」
向日葵「ああっ、それとあとひとつ。今日はここに泊まりますから」
櫻子「は、はぁ!? なんで急に!」
向日葵「急でもなんでもいいでしょう、せっかくこんな夜遅くに来たのに、のこのこ帰れますか!」
櫻子「だって、今のやつ伝えるのが目的で来たんじゃ……」
向日葵「それだけなわけがないじゃない。布団敷かせてもらいますからね」
櫻子「もー勘弁してよ……」ぽすん
向日葵「私と一緒にいるの、嫌なんですの?」
櫻子「そうじゃないけど……」
向日葵「こんなこと言うの恥ずかしいですけど……私は、あなたに会いたくて、仕方なかったんですのよ」
櫻子「……え?///」
向日葵「あなたの方から色々としてきてくれたのに、私からなにもしないのは……その、もどかしいんですわ。だから今日は泊まりに来ました」
櫻子「……なんか言ってることとやってることが噛みあってない気がするんだよなぁ……」
向日葵「なんとでもおっしゃい」
私は自分の家のように勝手に布団を引っ張り出してきて、櫻子のベッドの横に並べた。
櫻子は猫のように伸びをしてベッドに大の字になる。一瞬迷ったけれど、私はもう部屋の明かりを消して、敷いた布団の上に座って暗闇の中の櫻子に向き合った。
向日葵「はぁ……眠い」
櫻子「……そういえば今日、理科の時間に寝てたね」
向日葵「誰かさんのせいで、昨日の夜は全然眠れなかったんですわ」
櫻子「…………」
櫻子「うん……絶対、いくよ」
向日葵「…………」
櫻子「……おわり?」
向日葵「おわりです」
櫻子「じゃあ、帰……」
向日葵「ああっ、それとあとひとつ。今日はここに泊まりますから」
櫻子「は、はぁ!? なんで急に!」
向日葵「急でもなんでもいいでしょう、せっかくこんな夜遅くに来たのに、のこのこ帰れますか!」
櫻子「だって、今のやつ伝えるのが目的で来たんじゃ……」
向日葵「それだけなわけがないじゃない。布団敷かせてもらいますからね」
櫻子「もー勘弁してよ……」ぽすん
向日葵「私と一緒にいるの、嫌なんですの?」
櫻子「そうじゃないけど……」
向日葵「こんなこと言うの恥ずかしいですけど……私は、あなたに会いたくて、仕方なかったんですのよ」
櫻子「……え?///」
向日葵「あなたの方から色々としてきてくれたのに、私からなにもしないのは……その、もどかしいんですわ。だから今日は泊まりに来ました」
櫻子「……なんか言ってることとやってることが噛みあってない気がするんだよなぁ……」
向日葵「なんとでもおっしゃい」
私は自分の家のように勝手に布団を引っ張り出してきて、櫻子のベッドの横に並べた。
櫻子は猫のように伸びをしてベッドに大の字になる。一瞬迷ったけれど、私はもう部屋の明かりを消して、敷いた布団の上に座って暗闇の中の櫻子に向き合った。
向日葵「はぁ……眠い」
櫻子「……そういえば今日、理科の時間に寝てたね」
向日葵「誰かさんのせいで、昨日の夜は全然眠れなかったんですわ」
櫻子「…………」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:34:22.25 ID:+EtVRVLso
向日葵「確か……昨日のこのくらいの時間でしたわね。あなたが送ってきたの」
櫻子「……うん」
向日葵「私、本当に寝ちゃう寸前だったんですのよ。よかったですわね、ギリギリ間に合って」
櫻子「……べつに、いつ見てもらっても構わなかったけどね」
向日葵「でも私……あれを読んで急に眠れなくなったんですの。櫻子が何を言おうとしているのか、本当にわからなくて」
櫻子「…………」
向日葵「……もしかしたら、急に引っ越すとか言われるんじゃないかと思って……久しぶりに泣いてしまいましたわ。怖くて……悲しくて」
櫻子「ええっ……!?」
向日葵「ごめんなさい……これだけは、改めて聞かせて? あなた……どこか遠くに行ったりなんてしませんわよね?」
櫻子「しっ、しないよ! そんなの絶対にしない!」
向日葵「そう……よかった」
櫻子「ごめん……そんなこと思わせてたなんて、知らなくて……」
向日葵「いいんですのよ。それがあったから私、あなたのことを……もう一度真剣に考えることができたんですの」
櫻子「向日葵……」
向日葵「どこにも行かないで、いなくなったりしないでって、神様にお願いしながら眠りましたわ。だからこそ気づけたんですの。私、やっぱりあなたのこと、本当に……」
櫻子「え……」
向日葵「……あ」
櫻子「だ、だめだよ!? それだけは言っちゃだめだからね!? 明日にしてよ?」
向日葵「……そ、そうですわね、この言葉は今言っちゃだめですわね」
櫻子「……でも、向日葵がそんなことまで考えてくれてたなんて……嬉しい、かも」
向日葵「そう?」
櫻子「うん」
向日葵「……で、私はそんな感じだったから、今朝のあなたを見たときは、本当になんというか……ホッとしたんですわ」
櫻子「あー……今朝ね」
向日葵「あなたってば、あんな意味深なメッセージ送ってきたくせに、全然隠せてないんですもの。もう全部の内容が顔からダダ漏れって感じで」
櫻子「うるさいなぁ……私だってずっと恥ずかしかったんだよ。送っちゃったからもうどうにもならないけど、まだまだ心の準備できてなかったし」
向日葵「……そういえば、撫子さんはなんで知ってたんですの?」
櫻子「毎晩私がうんうん唸りながら送ろうか送るまいか悩んでたから、うるさいって怒られて、成り行きで話すことになっちゃって」
向日葵「……私も今、撫子さんにこの家の鍵を開けてもらって来たんですけど、『はいはいそういうことね』って感じの顔をされましたわ」
櫻子「も~……今も聞き耳立ててんじゃないの実は? あー見えて結構汚いとこあるよねーちゃんは」
向日葵「さすがにそこまではしないと、信じたいですけど」
暗闇の中、櫻子が使っている毛布のしわを指でいじくりながら、小声で話し合う。
こういう会話を、私はずっとしたかった。いつもなら何かと張り合ってしまうことが多い私たちだけど、自分の素直な気持ちを真剣に話せば、櫻子だって大人しく聞いてくれる。
心から想う言葉を伝えて、櫻子からの気持ちを受け取る。そんな優しいキャッチボールが、今までの私たちにはずっとできなかった。なんだか出会って間もない、喧嘩なんてしたこともなかった、あの頃の私たちに戻れた気がした。
櫻子「……うん」
向日葵「私、本当に寝ちゃう寸前だったんですのよ。よかったですわね、ギリギリ間に合って」
櫻子「……べつに、いつ見てもらっても構わなかったけどね」
向日葵「でも私……あれを読んで急に眠れなくなったんですの。櫻子が何を言おうとしているのか、本当にわからなくて」
櫻子「…………」
向日葵「……もしかしたら、急に引っ越すとか言われるんじゃないかと思って……久しぶりに泣いてしまいましたわ。怖くて……悲しくて」
櫻子「ええっ……!?」
向日葵「ごめんなさい……これだけは、改めて聞かせて? あなた……どこか遠くに行ったりなんてしませんわよね?」
櫻子「しっ、しないよ! そんなの絶対にしない!」
向日葵「そう……よかった」
櫻子「ごめん……そんなこと思わせてたなんて、知らなくて……」
向日葵「いいんですのよ。それがあったから私、あなたのことを……もう一度真剣に考えることができたんですの」
櫻子「向日葵……」
向日葵「どこにも行かないで、いなくなったりしないでって、神様にお願いしながら眠りましたわ。だからこそ気づけたんですの。私、やっぱりあなたのこと、本当に……」
櫻子「え……」
向日葵「……あ」
櫻子「だ、だめだよ!? それだけは言っちゃだめだからね!? 明日にしてよ?」
向日葵「……そ、そうですわね、この言葉は今言っちゃだめですわね」
櫻子「……でも、向日葵がそんなことまで考えてくれてたなんて……嬉しい、かも」
向日葵「そう?」
櫻子「うん」
向日葵「……で、私はそんな感じだったから、今朝のあなたを見たときは、本当になんというか……ホッとしたんですわ」
櫻子「あー……今朝ね」
向日葵「あなたってば、あんな意味深なメッセージ送ってきたくせに、全然隠せてないんですもの。もう全部の内容が顔からダダ漏れって感じで」
櫻子「うるさいなぁ……私だってずっと恥ずかしかったんだよ。送っちゃったからもうどうにもならないけど、まだまだ心の準備できてなかったし」
向日葵「……そういえば、撫子さんはなんで知ってたんですの?」
櫻子「毎晩私がうんうん唸りながら送ろうか送るまいか悩んでたから、うるさいって怒られて、成り行きで話すことになっちゃって」
向日葵「……私も今、撫子さんにこの家の鍵を開けてもらって来たんですけど、『はいはいそういうことね』って感じの顔をされましたわ」
櫻子「も~……今も聞き耳立ててんじゃないの実は? あー見えて結構汚いとこあるよねーちゃんは」
向日葵「さすがにそこまではしないと、信じたいですけど」
暗闇の中、櫻子が使っている毛布のしわを指でいじくりながら、小声で話し合う。
こういう会話を、私はずっとしたかった。いつもなら何かと張り合ってしまうことが多い私たちだけど、自分の素直な気持ちを真剣に話せば、櫻子だって大人しく聞いてくれる。
心から想う言葉を伝えて、櫻子からの気持ちを受け取る。そんな優しいキャッチボールが、今までの私たちにはずっとできなかった。なんだか出会って間もない、喧嘩なんてしたこともなかった、あの頃の私たちに戻れた気がした。
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:35:32.57 ID:+EtVRVLso
向日葵「……櫻子」
櫻子「……なに?」
向日葵「…………あ、また言っちゃいけないことを言いそうになりましたわ」
櫻子「……ばかなの?」
向日葵「仕方ないじゃない……本当に、今の私の中にある気持ちが、そういうことなんですから」
櫻子「……そっか」
向日葵「……明日、ですわね」
櫻子「うん、明日」
向日葵「どうして明日にしようと思ったんですの? たまたま?」
櫻子「半分は、踏ん切りがつかなくてずるずる引き延ばされちゃったって感じだけど……もう半分は、やっぱり夏休み目前だからだよ」
櫻子「今年の夏こそは……もう、小学生の頃とは違ったものにしたいなって思ったの。中学生になったんだから、一歩大人の夏にしなきゃって」
向日葵「……あら。じゃあ宿題もきちんと計画的にやりますのね?」
櫻子「うん……まあそういうところも含めて、明日いろいろ精算しておけば、夏休み序盤から宿題教えてって言いやすくなるじゃん?」
向日葵「……ある程度は協力しますけど、自分でやらなきゃ意味ないんですからね」
櫻子「わかってますわかってます」
向日葵「まったく……」
櫻子「あはは……」
向日葵「…………」くす
櫻子「……向日葵」
向日葵「なあに?」
櫻子「この夏は……いっぱい、遊ぼうね」
向日葵「……ええ」
櫻子「私ね……明日を “その日” にできて、すごくよかったと思うの」
向日葵「…………」
櫻子「学校が無くなっちゃったらさ……私たちって、一緒にいる理由があんまりなくなっちゃうじゃん。学校があるから朝は一緒に登校するし、一緒に帰ってもくるけど……それがないと、なんだか一緒に居づらいっていうか」
向日葵「私たちが毎日理由もなく遊んでたら、ちょっと変ですものね」
櫻子「夏休みはもちろん大好きなんだけど……そういう意味では、毎年毎年ちょっとつまんないなって思ってたの」
向日葵「……私も、そう思うときもありましたわ」
櫻子「私たちが……そういう関係になっちゃえばさ、一緒にいてもいいんだもんね? 夏休み初日から最後の日まで、毎日ずっと一緒でも、おかしくないんだもんね?」
向日葵「ええ。夏休みが終わっても、ずっとね」
櫻子「それってどんなに楽しいことだろうって、最近ずっと考えてたの。朝から向日葵がいて、向日葵と遊んで、ちょっと勉強もして、一緒にご飯食べて、一緒に友達とも遊んで、プール行ったり、買い物行ったり、お祭りに行ったり、花火見たり……」
向日葵「…………」
櫻子「自分でもびっくりするくらい、そんなことばっかり思い浮かんできちゃってさ。ああやっぱり私って……向日葵のこと……本当に……///」
向日葵「……え?」
櫻子「……ああ、これ言っちゃだめなんだった」
向日葵「……ばかなんですの?」
櫻子「……ばかだよ」
目を閉じて楽しげに話をしてくれる櫻子。私もその手に手を重ね、指を絡めながら相槌を打った。
肝心の “それ” だけは言わないけれど、私たちの心はひとつになっていた。
ふたりの間に凝り固まってできた大きな壁は、いつの間にか姿を消していて、私はようやく本当の櫻子に出会えた。
繋いだ手から、あたたかすぎて、幸せすぎる想いが伝わってくる。私も負けじと心を込めて、櫻子への愛しい気持ちを送り込む。櫻子がもう片方の手を伸ばして、私の頬を撫でた。私はその手にキスをした。
櫻子「……なに?」
向日葵「…………あ、また言っちゃいけないことを言いそうになりましたわ」
櫻子「……ばかなの?」
向日葵「仕方ないじゃない……本当に、今の私の中にある気持ちが、そういうことなんですから」
櫻子「……そっか」
向日葵「……明日、ですわね」
櫻子「うん、明日」
向日葵「どうして明日にしようと思ったんですの? たまたま?」
櫻子「半分は、踏ん切りがつかなくてずるずる引き延ばされちゃったって感じだけど……もう半分は、やっぱり夏休み目前だからだよ」
櫻子「今年の夏こそは……もう、小学生の頃とは違ったものにしたいなって思ったの。中学生になったんだから、一歩大人の夏にしなきゃって」
向日葵「……あら。じゃあ宿題もきちんと計画的にやりますのね?」
櫻子「うん……まあそういうところも含めて、明日いろいろ精算しておけば、夏休み序盤から宿題教えてって言いやすくなるじゃん?」
向日葵「……ある程度は協力しますけど、自分でやらなきゃ意味ないんですからね」
櫻子「わかってますわかってます」
向日葵「まったく……」
櫻子「あはは……」
向日葵「…………」くす
櫻子「……向日葵」
向日葵「なあに?」
櫻子「この夏は……いっぱい、遊ぼうね」
向日葵「……ええ」
櫻子「私ね……明日を “その日” にできて、すごくよかったと思うの」
向日葵「…………」
櫻子「学校が無くなっちゃったらさ……私たちって、一緒にいる理由があんまりなくなっちゃうじゃん。学校があるから朝は一緒に登校するし、一緒に帰ってもくるけど……それがないと、なんだか一緒に居づらいっていうか」
向日葵「私たちが毎日理由もなく遊んでたら、ちょっと変ですものね」
櫻子「夏休みはもちろん大好きなんだけど……そういう意味では、毎年毎年ちょっとつまんないなって思ってたの」
向日葵「……私も、そう思うときもありましたわ」
櫻子「私たちが……そういう関係になっちゃえばさ、一緒にいてもいいんだもんね? 夏休み初日から最後の日まで、毎日ずっと一緒でも、おかしくないんだもんね?」
向日葵「ええ。夏休みが終わっても、ずっとね」
櫻子「それってどんなに楽しいことだろうって、最近ずっと考えてたの。朝から向日葵がいて、向日葵と遊んで、ちょっと勉強もして、一緒にご飯食べて、一緒に友達とも遊んで、プール行ったり、買い物行ったり、お祭りに行ったり、花火見たり……」
向日葵「…………」
櫻子「自分でもびっくりするくらい、そんなことばっかり思い浮かんできちゃってさ。ああやっぱり私って……向日葵のこと……本当に……///」
向日葵「……え?」
櫻子「……ああ、これ言っちゃだめなんだった」
向日葵「……ばかなんですの?」
櫻子「……ばかだよ」
目を閉じて楽しげに話をしてくれる櫻子。私もその手に手を重ね、指を絡めながら相槌を打った。
肝心の “それ” だけは言わないけれど、私たちの心はひとつになっていた。
ふたりの間に凝り固まってできた大きな壁は、いつの間にか姿を消していて、私はようやく本当の櫻子に出会えた。
繋いだ手から、あたたかすぎて、幸せすぎる想いが伝わってくる。私も負けじと心を込めて、櫻子への愛しい気持ちを送り込む。櫻子がもう片方の手を伸ばして、私の頬を撫でた。私はその手にキスをした。
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:36:52.75 ID:+EtVRVLso
櫻子「……もうそろそろ寝よ。向日葵」
向日葵「…………」
櫻子「……疲れてたんでしょ? 明日も一応学校あるんだから……また授業中に寝て怒られちゃうよ」
向日葵「…………」
正論を言う櫻子。私もほとんど頭が働かなくなっていたけれど、この愛しい時間を終わらせたくなくて、櫻子の手をどうしても離せなかった。
櫻子「……向日葵」のそっ
向日葵「ぇっ……?」
櫻子が手を絡め合わせたまま、ベッドから転がり落ちるようにして、私に覆いかぶさってきた。布団の上に押し倒された私は、そのまま櫻子に抱きしめられる形になった。
向日葵「ちょ、ちょっとぉ……」
櫻子「いいじゃん……誰も見てないんだから」
向日葵(うぅ……)
櫻子「ひまわり」
向日葵「……なんですの」
櫻子「明日……あした、だよ……っ」
向日葵「!!」
闇の中、わずかに差し込む月明かりを映す雫が、櫻子の目元で光っていた。
櫻子「もう……あしたは、我慢しなくていいんだよ……」
向日葵「っ……///」
櫻子の声が震える。
私を抱きしめる腕に、ぎゅっと力が込められる。
櫻子「あしたはわたしも……全部言うからね……っ」
向日葵「……さく……らこ……」
櫻子「ひまわり……ありがと……ありがとね……」
向日葵「…………」
櫻子「……疲れてたんでしょ? 明日も一応学校あるんだから……また授業中に寝て怒られちゃうよ」
向日葵「…………」
正論を言う櫻子。私もほとんど頭が働かなくなっていたけれど、この愛しい時間を終わらせたくなくて、櫻子の手をどうしても離せなかった。
櫻子「……向日葵」のそっ
向日葵「ぇっ……?」
櫻子が手を絡め合わせたまま、ベッドから転がり落ちるようにして、私に覆いかぶさってきた。布団の上に押し倒された私は、そのまま櫻子に抱きしめられる形になった。
向日葵「ちょ、ちょっとぉ……」
櫻子「いいじゃん……誰も見てないんだから」
向日葵(うぅ……)
櫻子「ひまわり」
向日葵「……なんですの」
櫻子「明日……あした、だよ……っ」
向日葵「!!」
闇の中、わずかに差し込む月明かりを映す雫が、櫻子の目元で光っていた。
櫻子「もう……あしたは、我慢しなくていいんだよ……」
向日葵「っ……///」
櫻子の声が震える。
私を抱きしめる腕に、ぎゅっと力が込められる。
櫻子「あしたはわたしも……全部言うからね……っ」
向日葵「……さく……らこ……」
櫻子「ひまわり……ありがと……ありがとね……」
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:37:20.93 ID:+EtVRVLso
櫻子の声を聴いて、何かが決壊したように、私の目からも自然と涙が溢れた。
静かに嗚咽する私の喉に、櫻子がキスをする。
重なり合った身体全体から伝わってくる櫻子の体温が、私の中の想いを溶かしていった。
もう、我慢しなくていいんだ。
もう、本気で想いを伝えていいんだ。
あまりにも長く一緒にいすぎて、いつしか私たちは、本気で本音を交わすことを恐れるようになっていた。密接なようでいて壊れやすいこの関係に傷がつくことを恐れていた。つまらない意地の張り合いでしか、お互いの距離を守ることができなくなっていた。
最初から、想いはずっと同じだったんだ。
櫻子の情熱的な抱擁を受け、心からの愛を感じて、つうと頬を滴が伝う。泣いている子供を落ち着かせるかのように、櫻子は私の背中をさすった。私は櫻子の肩口に顔をうずめて呼吸を落ち着かせ、胸いっぱいに彼女の匂いを吸い込んで、全身で幸せを感じた。
よしよしと頭を撫でられながら、櫻子の名を小さく呼び続けていたことはなんとなく覚えている。私は彼女の優しさに包まれながら深い眠りに落ちていった。結局櫻子もベッドには戻らず、私が敷いた布団の方で、抱き合ったまま寝てしまった。
朝になって、いつまでも起きて来ない妹に痺れを切らした撫子さんが突撃してくるまで、私たちは完全に熟睡していた。飛び起きた時間はもう遅刻ギリギリ。撫子さんと花子ちゃんにシラけた目で見つめられながら、大慌てで学校の支度をした。
今日も世界はからっと暑くて、空は雲ひとつない快晴だった。
櫻子「急がなきゃ!」
向日葵「ええ」
昨日の夜からずっと絡めっぱなしだった手を改めて繋ぎ直し、私たちは一学期最後の通常授業日となる学校へと向かった。
静かに嗚咽する私の喉に、櫻子がキスをする。
重なり合った身体全体から伝わってくる櫻子の体温が、私の中の想いを溶かしていった。
もう、我慢しなくていいんだ。
もう、本気で想いを伝えていいんだ。
あまりにも長く一緒にいすぎて、いつしか私たちは、本気で本音を交わすことを恐れるようになっていた。密接なようでいて壊れやすいこの関係に傷がつくことを恐れていた。つまらない意地の張り合いでしか、お互いの距離を守ることができなくなっていた。
最初から、想いはずっと同じだったんだ。
櫻子の情熱的な抱擁を受け、心からの愛を感じて、つうと頬を滴が伝う。泣いている子供を落ち着かせるかのように、櫻子は私の背中をさすった。私は櫻子の肩口に顔をうずめて呼吸を落ち着かせ、胸いっぱいに彼女の匂いを吸い込んで、全身で幸せを感じた。
よしよしと頭を撫でられながら、櫻子の名を小さく呼び続けていたことはなんとなく覚えている。私は彼女の優しさに包まれながら深い眠りに落ちていった。結局櫻子もベッドには戻らず、私が敷いた布団の方で、抱き合ったまま寝てしまった。
朝になって、いつまでも起きて来ない妹に痺れを切らした撫子さんが突撃してくるまで、私たちは完全に熟睡していた。飛び起きた時間はもう遅刻ギリギリ。撫子さんと花子ちゃんにシラけた目で見つめられながら、大慌てで学校の支度をした。
今日も世界はからっと暑くて、空は雲ひとつない快晴だった。
櫻子「急がなきゃ!」
向日葵「ええ」
昨日の夜からずっと絡めっぱなしだった手を改めて繋ぎ直し、私たちは一学期最後の通常授業日となる学校へと向かった。
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:37:54.71 ID:+EtVRVLso
~
今日という日は、学校全体が活気に満ちていた。
いよいよ待ちに待った夏休み。テスト地獄を抜け、解放的な気持ちになった生徒たちは、みんな自然と笑顔になっている。落ち着きのない生徒たちをいさめる先生も、今日だけは仕方ないかというような気持ちで微笑ましく見ていた。
「今日で終わりじゃないからね。終業式は月曜日だから。その日休んだら夏休み中も学校に来てもらうよ」
「「えー!?」」
先生の冗談に本気で抗議する生徒たち。話を聞いているものは半分、あとの半分は夏休みの予定を立てあったり、さっそく明日から遊ぼうと計画したりしている。
しかしそんな中で、櫻子だけは机に突っ伏して寝たふりをしていた。ほとんどのクラスメイトは気に留めていなかったが、こんな時に一番騒ぎそうな女の子が静かに黙っていることに、友人たちは疑問を浮かべる。
あかり「ねえ向日葵ちゃん、櫻子ちゃん寝てるのかなぁ」
向日葵「いえ、起きてると思いますけど」
ちなつ「どうしたんだろ……体調悪いのかな」
向日葵「……そういうわけでもないかと。たぶん」
櫻子の心中を察する。昨晩はまるで母親のように大きな優しさで私を包み込んでくれたのに、きっとこの後に待ち構えることについて緊張しすぎて、何も考えられなくなっているのだろう。私も同じようにドキドキしてはいるが、それとは比べものにならないようだ。
ちなつ「向日葵ちゃんはなにか知ってるの? なんで櫻子ちゃんがあんな風になってるのか」
向日葵「ええまあ……でも、みなさんが気になさるようなことじゃありませんわ。きっと明日になったらいつも通りのあの子に戻ってますから」
あかり「そう?」
向日葵「ええ」
今日のことが全て終わったら、二人にもきちんと報告した方がいいのだろうか……私も内心迷っていた。
今日を境に、私たちは何が変わるのだろう。私たちはどこにでもいる普通の中学生で、単に小さい頃からの幼馴染で、家も隣でクラスもずっと一緒の腐れ縁で、よく一緒に遊んでいる友達同士。それは今までと何ら変わりないことで、これからもずっと変わらない。そういった意味では、これといった報告をしなくても周囲にはなんの影響もないだろう。
しかし……恐らく今日、私たちの関係は大きなステップアップを迎える。
向日葵(ステップアップ……なのかしら?)
私たちがたどり着く「そこ」は、友情の延長線上にあるものなのだろうか? 改めて考えてみると、なんだか違うような気がした。友情を突き詰めても突き詰めても、友達は親友に変わるだけだし、一緒に抱き合って眠ったりはしないと思う。
きっと、私たちが歩いてきたのは最初から「友達」の路線ではなかったのだ。友達よりももっと特別な存在だと、出会った時からなんとなく思い合っていて、恥ずかしさに押し負けてしまっていたから、「友達」と片付けることで自分を納得させていただけだ。
私にとって櫻子は、もうただの友達じゃない。
今日は、それをきちんと確認し合う日だ。
どんなに親しくても、なあなあで片付けてはいけない大事な部分。正面から向き合って、はっきりと言葉を交わして、思いを伝え合わなきゃ。
今日という日は、学校全体が活気に満ちていた。
いよいよ待ちに待った夏休み。テスト地獄を抜け、解放的な気持ちになった生徒たちは、みんな自然と笑顔になっている。落ち着きのない生徒たちをいさめる先生も、今日だけは仕方ないかというような気持ちで微笑ましく見ていた。
「今日で終わりじゃないからね。終業式は月曜日だから。その日休んだら夏休み中も学校に来てもらうよ」
「「えー!?」」
先生の冗談に本気で抗議する生徒たち。話を聞いているものは半分、あとの半分は夏休みの予定を立てあったり、さっそく明日から遊ぼうと計画したりしている。
しかしそんな中で、櫻子だけは机に突っ伏して寝たふりをしていた。ほとんどのクラスメイトは気に留めていなかったが、こんな時に一番騒ぎそうな女の子が静かに黙っていることに、友人たちは疑問を浮かべる。
あかり「ねえ向日葵ちゃん、櫻子ちゃん寝てるのかなぁ」
向日葵「いえ、起きてると思いますけど」
ちなつ「どうしたんだろ……体調悪いのかな」
向日葵「……そういうわけでもないかと。たぶん」
櫻子の心中を察する。昨晩はまるで母親のように大きな優しさで私を包み込んでくれたのに、きっとこの後に待ち構えることについて緊張しすぎて、何も考えられなくなっているのだろう。私も同じようにドキドキしてはいるが、それとは比べものにならないようだ。
ちなつ「向日葵ちゃんはなにか知ってるの? なんで櫻子ちゃんがあんな風になってるのか」
向日葵「ええまあ……でも、みなさんが気になさるようなことじゃありませんわ。きっと明日になったらいつも通りのあの子に戻ってますから」
あかり「そう?」
向日葵「ええ」
今日のことが全て終わったら、二人にもきちんと報告した方がいいのだろうか……私も内心迷っていた。
今日を境に、私たちは何が変わるのだろう。私たちはどこにでもいる普通の中学生で、単に小さい頃からの幼馴染で、家も隣でクラスもずっと一緒の腐れ縁で、よく一緒に遊んでいる友達同士。それは今までと何ら変わりないことで、これからもずっと変わらない。そういった意味では、これといった報告をしなくても周囲にはなんの影響もないだろう。
しかし……恐らく今日、私たちの関係は大きなステップアップを迎える。
向日葵(ステップアップ……なのかしら?)
私たちがたどり着く「そこ」は、友情の延長線上にあるものなのだろうか? 改めて考えてみると、なんだか違うような気がした。友情を突き詰めても突き詰めても、友達は親友に変わるだけだし、一緒に抱き合って眠ったりはしないと思う。
きっと、私たちが歩いてきたのは最初から「友達」の路線ではなかったのだ。友達よりももっと特別な存在だと、出会った時からなんとなく思い合っていて、恥ずかしさに押し負けてしまっていたから、「友達」と片付けることで自分を納得させていただけだ。
私にとって櫻子は、もうただの友達じゃない。
今日は、それをきちんと確認し合う日だ。
どんなに親しくても、なあなあで片付けてはいけない大事な部分。正面から向き合って、はっきりと言葉を交わして、思いを伝え合わなきゃ。
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:38:22.89 ID:+EtVRVLso
ホームルームが終わって、しばらくこの学校ともお別れなのねと思いながら掃除をしていると、後ろからちょんちょんと肩をつつかれた。誰かと思って振り返ったら櫻子だった。
櫻子「あ、向日葵っ」
向日葵「あら、どうしたんですの?」
櫻子「あの……その、私先帰ってるね」
向日葵「ああ……わかりましたわ」
櫻子「うん……それじゃ」
向日葵「はい……」
櫻子「ま、またね」
向日葵「ええ。また」
ぎこちなさすぎる笑顔を見せて、櫻子はぴゅーんとどこかへ行ってしまった。時計を見ると、午後4時をまわったところ。いよいよその時は目前に差し迫っている。
一緒に掃除をしていたクラスメイトから「櫻子どうしちゃったの」と驚かれたが、私もだんだん落ち着いてはいられなくなってきた。
昨晩の櫻子の優しい目が、甘い声が、温もりが急に思い起こされる。
ああ、まさか本当に、こんな日が訪れてしまうなんて。
きゅんと苦しい胸に耐えきれず、箒を握る手にぎゅっと力を込めた。
このまま目を閉じたら、ふらっと倒れてしまいそう。
私はばくばくと音を立てそうなほど脈打つ心臓を抑えながら、掃除を終えてそそくさと帰路についた。
こんなに緊張しているのは、生まれて初めてかもしれない。
櫻子「あ、向日葵っ」
向日葵「あら、どうしたんですの?」
櫻子「あの……その、私先帰ってるね」
向日葵「ああ……わかりましたわ」
櫻子「うん……それじゃ」
向日葵「はい……」
櫻子「ま、またね」
向日葵「ええ。また」
ぎこちなさすぎる笑顔を見せて、櫻子はぴゅーんとどこかへ行ってしまった。時計を見ると、午後4時をまわったところ。いよいよその時は目前に差し迫っている。
一緒に掃除をしていたクラスメイトから「櫻子どうしちゃったの」と驚かれたが、私もだんだん落ち着いてはいられなくなってきた。
昨晩の櫻子の優しい目が、甘い声が、温もりが急に思い起こされる。
ああ、まさか本当に、こんな日が訪れてしまうなんて。
きゅんと苦しい胸に耐えきれず、箒を握る手にぎゅっと力を込めた。
このまま目を閉じたら、ふらっと倒れてしまいそう。
私はばくばくと音を立てそうなほど脈打つ心臓を抑えながら、掃除を終えてそそくさと帰路についた。
こんなに緊張しているのは、生まれて初めてかもしれない。
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:38:50.48 ID:+EtVRVLso
~
かっち。かっち。
向日葵「…………」
家について、楓を花子ちゃんのところにお願いして、自分の部屋に戻った私は、何をするでもなくただ座って時計とにらめっこをしていた。
最初は5時を少し回ったくらいのところだったのに、時を刻む秒針の音を聴きながら櫻子のことを考えていると、恐ろしく早く時間がすぎていく。
ああもう少しだ。もう少しで来てしまう。私と櫻子が「友達」として過ごしてきた長い長い時間が、あと数分で終わりを告げてしまう。長いようで短かった。本当にこんな瞬間が来てしまうんだ。なんて言われるんだろう。なんて話せばいいんだろう。なるようになるしかない。あの子だって緊張しているはず。ちくたくちくたく。着実に時間が刻まれていき、もうすぐ6時というところで、家のチャイムが鳴った。
玄関を開けると、夕陽よりも真っ赤な顔になった櫻子が、もじもじと立っていた。
向日葵「……あ」
櫻子「…………あっ」
向日葵「い、いらっしゃい」
櫻子「うん……っ」
向日葵「どうぞどうぞ、中へ」
櫻子「お、おじゃまします」
ぎこちない挨拶をすませて、櫻子を中へと招き入れる。私の家に訪れた櫻子が「お邪魔します」と言ったのは何年ぶりだろう。スリッパを用意してあげたのなんて初めてかもしれない。櫻子も言われるがままにぱたぱたと私の後ろを歩き、一緒に部屋へ入った。
どんなレイアウトにするか迷いに迷ったが、私は部屋の真ん中に、二つの座布団だけを敷いておいた。その片方に私が正座する。櫻子ももう片方にすっと正座し、私たちは正面から向き合った。
向日葵「…………」
櫻子「…………」
しばしの静寂が流れる。櫻子は座りながら、少しだけ乱れた洋服をなおしていた。よく見ると髪も綺麗に整っている。私ももう少し身だしなみを整えておけばよかった。
かっち。かっち。
向日葵「…………」
家について、楓を花子ちゃんのところにお願いして、自分の部屋に戻った私は、何をするでもなくただ座って時計とにらめっこをしていた。
最初は5時を少し回ったくらいのところだったのに、時を刻む秒針の音を聴きながら櫻子のことを考えていると、恐ろしく早く時間がすぎていく。
ああもう少しだ。もう少しで来てしまう。私と櫻子が「友達」として過ごしてきた長い長い時間が、あと数分で終わりを告げてしまう。長いようで短かった。本当にこんな瞬間が来てしまうんだ。なんて言われるんだろう。なんて話せばいいんだろう。なるようになるしかない。あの子だって緊張しているはず。ちくたくちくたく。着実に時間が刻まれていき、もうすぐ6時というところで、家のチャイムが鳴った。
玄関を開けると、夕陽よりも真っ赤な顔になった櫻子が、もじもじと立っていた。
向日葵「……あ」
櫻子「…………あっ」
向日葵「い、いらっしゃい」
櫻子「うん……っ」
向日葵「どうぞどうぞ、中へ」
櫻子「お、おじゃまします」
ぎこちない挨拶をすませて、櫻子を中へと招き入れる。私の家に訪れた櫻子が「お邪魔します」と言ったのは何年ぶりだろう。スリッパを用意してあげたのなんて初めてかもしれない。櫻子も言われるがままにぱたぱたと私の後ろを歩き、一緒に部屋へ入った。
どんなレイアウトにするか迷いに迷ったが、私は部屋の真ん中に、二つの座布団だけを敷いておいた。その片方に私が正座する。櫻子ももう片方にすっと正座し、私たちは正面から向き合った。
向日葵「…………」
櫻子「…………」
しばしの静寂が流れる。櫻子は座りながら、少しだけ乱れた洋服をなおしていた。よく見ると髪も綺麗に整っている。私ももう少し身だしなみを整えておけばよかった。
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:39:40.58 ID:+EtVRVLso
向日葵「……6時、になりましたわ」
櫻子「……うんっ」
向日葵「……あなたから、どうぞ?」
櫻子「うん……」
向日葵「…………」
櫻子「…………」
私たちは互いに、正座する脚あたりを見つめていた。爆発しそうなくらい恥ずかしすぎて顔があげられなかった。
けれど櫻子が先に、思い立ったようにぱっと顔を見上げた。私もつられて顔を上げる。
櫻子「……ひ、ひまわり!」
向日葵「は、はいっ」
櫻子「……え、えっと、そのっ」
向日葵「…………」
櫻子「あの……まずは、急にこんなことになって、ごめん」
向日葵「えっ、そんな。全然急じゃなかったと思いますけど」
櫻子「いやいや、最初のLINEは急だったっしょ……びっくりしたよね?」
向日葵「まあ……そうですわね」
櫻子「最初からはっきり言えればよかったんだけどさ……何回かチャレンジしたけど、緊張しすぎちゃって全然だめで。いつも向日葵の隣で言おう言おうとして失敗して……結局こんな形にでもしないと、伝えられなくなっちゃって」
向日葵「…………」こくり
櫻子「……うんっ」
向日葵「……あなたから、どうぞ?」
櫻子「うん……」
向日葵「…………」
櫻子「…………」
私たちは互いに、正座する脚あたりを見つめていた。爆発しそうなくらい恥ずかしすぎて顔があげられなかった。
けれど櫻子が先に、思い立ったようにぱっと顔を見上げた。私もつられて顔を上げる。
櫻子「……ひ、ひまわり!」
向日葵「は、はいっ」
櫻子「……え、えっと、そのっ」
向日葵「…………」
櫻子「あの……まずは、急にこんなことになって、ごめん」
向日葵「えっ、そんな。全然急じゃなかったと思いますけど」
櫻子「いやいや、最初のLINEは急だったっしょ……びっくりしたよね?」
向日葵「まあ……そうですわね」
櫻子「最初からはっきり言えればよかったんだけどさ……何回かチャレンジしたけど、緊張しすぎちゃって全然だめで。いつも向日葵の隣で言おう言おうとして失敗して……結局こんな形にでもしないと、伝えられなくなっちゃって」
向日葵「…………」こくり
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:40:54.38 ID:+EtVRVLso
櫻子「あのね……もうぶっちゃけ、きっかけは覚えてないの。気づいたら私、こうなってた」
向日葵「……気づいたら?」
櫻子「向日葵はずっと昔から隣にいたけど……なんとなくいつからか、向日葵と話すの楽しいなってなったり、向日葵を見てたいなと思うようになったり、向日葵に会いたいなって思うようになったことが増えたりして……」
向日葵(うっ……)
櫻子「こ、こんな気持ちになったのは、はじめてだったの……///」
向日葵(か……かっわいい……)かああっ
櫻子は本来、恥ずかしいと思うようなことからはすぐに逃げてしまう子だ。
人よりも何かを恥ずかしがること自体少ないが、自分の気持ちに冷静に向き合うことがあまり得意じゃない。
その櫻子が、自分自身の心に問いかけて引き出した本音を、逃げずに打ち明けてくれている。それも笑顔で。
全部全部、私が未だ見たことのない櫻子だった。櫻子にこんな一面があったなんて、夢の中でしか知らなかった。
櫻子「それで、昨日も言ったけど……もうすぐ夏休みだったから、今年の夏こそは向日葵と一緒の時間をいっぱい作りたいなって思って、夏休みになる前に、きちんと告白しようって思って……」
向日葵(こ、告白って言った……///)どきっ
櫻子「えっと……あのね……」
向日葵「うん……」
櫻子「…………」
向日葵「…………」
櫻子「……あーだめだ! なんて言おうとしてたか忘れた!///」ぷはっ
向日葵「ええ!?」
櫻子「違うの! ちゃんと考えてたんだよ! なんて言おうか! 今日も授業中にノートにちっちゃく書いて覚えてたのに……!」
向日葵「ま、まあいいですわよ。用意した原稿を読んでほしいわけじゃありませんわ。今のあなたの心の中にある本心を言ってくれれば。それが正解なんですから」
櫻子「本心……」
向日葵「ええ」
櫻子「……そ、そうだよね。よし! じゃあもう、言う!!」ぱんっ
向日葵(!!)
櫻子は両手を思い切り膝に打ち当て、大きく息を吸い込み、背筋を伸ばして前を向いた。
真剣すぎる熱い眼差しが、私の意識を貫く。
言われる。とうとう言われる。
胸いっぱいに何かがこみあげてきて、息ができなくなった。
向日葵「……気づいたら?」
櫻子「向日葵はずっと昔から隣にいたけど……なんとなくいつからか、向日葵と話すの楽しいなってなったり、向日葵を見てたいなと思うようになったり、向日葵に会いたいなって思うようになったことが増えたりして……」
向日葵(うっ……)
櫻子「こ、こんな気持ちになったのは、はじめてだったの……///」
向日葵(か……かっわいい……)かああっ
櫻子は本来、恥ずかしいと思うようなことからはすぐに逃げてしまう子だ。
人よりも何かを恥ずかしがること自体少ないが、自分の気持ちに冷静に向き合うことがあまり得意じゃない。
その櫻子が、自分自身の心に問いかけて引き出した本音を、逃げずに打ち明けてくれている。それも笑顔で。
全部全部、私が未だ見たことのない櫻子だった。櫻子にこんな一面があったなんて、夢の中でしか知らなかった。
櫻子「それで、昨日も言ったけど……もうすぐ夏休みだったから、今年の夏こそは向日葵と一緒の時間をいっぱい作りたいなって思って、夏休みになる前に、きちんと告白しようって思って……」
向日葵(こ、告白って言った……///)どきっ
櫻子「えっと……あのね……」
向日葵「うん……」
櫻子「…………」
向日葵「…………」
櫻子「……あーだめだ! なんて言おうとしてたか忘れた!///」ぷはっ
向日葵「ええ!?」
櫻子「違うの! ちゃんと考えてたんだよ! なんて言おうか! 今日も授業中にノートにちっちゃく書いて覚えてたのに……!」
向日葵「ま、まあいいですわよ。用意した原稿を読んでほしいわけじゃありませんわ。今のあなたの心の中にある本心を言ってくれれば。それが正解なんですから」
櫻子「本心……」
向日葵「ええ」
櫻子「……そ、そうだよね。よし! じゃあもう、言う!!」ぱんっ
向日葵(!!)
櫻子は両手を思い切り膝に打ち当て、大きく息を吸い込み、背筋を伸ばして前を向いた。
真剣すぎる熱い眼差しが、私の意識を貫く。
言われる。とうとう言われる。
胸いっぱいに何かがこみあげてきて、息ができなくなった。
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:41:34.87 ID:+EtVRVLso
櫻子「ひ、向日葵……っ!」
向日葵「は、はいっ!」
櫻子「わ、私……ずっと……」
向日葵「…………っ」
うるりと目が潤む。
その瞳に釘付けになる。
櫻子「ずっとずっと……ひまわりのことっ」
向日葵(あぁぁ……っ)
「だ……ぃすき、だったの……」
大粒の涙をこぼしながら、櫻子は、言った。
私の手にも、あたたかい雫がぽたぽたと落ちる。
ずっと封印してきたその一言を言い終えた櫻子は……気が抜けたように肩をちぢこめて、大きく息を吐きながら号泣してしまった。
私は思わずすり寄って櫻子を支えた。その手にまるで命綱のようにしがみついて、櫻子は嗚咽しながら言葉を絞り出した。
櫻子「だいすき……大好き、なの……っ!」
向日葵「さ、さくらこ……っ///」
櫻子「ずっと、ずっと、大好きだったよ……っ、さいしょから、ずっと!!」
向日葵「うぅ……っ……」
櫻子「もう、向日葵がいないと、だめなの……! ずっと一緒にっ、いてほしいの! これからも、ずっと、ずっと……っ!!」
向日葵「は、はいっ!」
櫻子「わ、私……ずっと……」
向日葵「…………っ」
うるりと目が潤む。
その瞳に釘付けになる。
櫻子「ずっとずっと……ひまわりのことっ」
向日葵(あぁぁ……っ)
「だ……ぃすき、だったの……」
大粒の涙をこぼしながら、櫻子は、言った。
私の手にも、あたたかい雫がぽたぽたと落ちる。
ずっと封印してきたその一言を言い終えた櫻子は……気が抜けたように肩をちぢこめて、大きく息を吐きながら号泣してしまった。
私は思わずすり寄って櫻子を支えた。その手にまるで命綱のようにしがみついて、櫻子は嗚咽しながら言葉を絞り出した。
櫻子「だいすき……大好き、なの……っ!」
向日葵「さ、さくらこ……っ///」
櫻子「ずっと、ずっと、大好きだったよ……っ、さいしょから、ずっと!!」
向日葵「うぅ……っ……」
櫻子「もう、向日葵がいないと、だめなの……! ずっと一緒にっ、いてほしいの! これからも、ずっと、ずっと……っ!!」
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:42:20.98 ID:+EtVRVLso
赤子のようにわあわあと泣く櫻子を抱きしめ……私も想いを注ぎ込むように、ゆっくり語りかけた。
大好き。
私も櫻子のことが、大好きですわ。
出会った最初の最初から、ずーっとずっと、大好きでした。
私はあなたを、心の底から、運命の相手だと思います。
あなたと出会えたことが、きっとずっとこれからも、私の生涯で、一番幸せなことでしょう。
あなたのいない人生なんて、これっぽっちも考えられない。
私はきっと、櫻子と一緒になるために生まれてきたんですわ。
いままで、いろんなことがありましたわね。
小さい頃の私は、引っ込み思案で、人見知りで、自分に自信が持てなくて。
あなたがいなかったら、友達の一人もできなかったかもしれない。
櫻子がいたから、櫻子が私をひっぱってくれたから、私は少しずつ変われたんですわ。
あなたのそばにいたくて。あなたと釣り合う女の子になりたくて。
でも、どんなに勉強ができたって、どんなにお菓子作りがうまくなったって、
私にとって櫻子は、いつも届かないくらい、輝いて見えていましたわ。
私たちは一緒に大きくなったけど、私があなたの背を追い抜かしたくらいから、些細なケンカが増えましたわね。
向日葵に負けたくない、向日葵のくせにって、あの頃からよく言ってたっけ。
今でもそれは変わらないですけど、そんな子供っぽいところも、全部全部、私は愛しく想います。
私もついつい張り合ってしまうことがありますけど、本当はいつだって、あなたのことが大好きですわ。
きっとこれからもいっぱいケンカをしちゃうと思いますけど、これだけは忘れないで。
私は、絶対にあなたのことを嫌いになりません。
だから、どうかあなたも、
私のことを、ずっと好きでいて。
大好き。
私も櫻子のことが、大好きですわ。
出会った最初の最初から、ずーっとずっと、大好きでした。
私はあなたを、心の底から、運命の相手だと思います。
あなたと出会えたことが、きっとずっとこれからも、私の生涯で、一番幸せなことでしょう。
あなたのいない人生なんて、これっぽっちも考えられない。
私はきっと、櫻子と一緒になるために生まれてきたんですわ。
いままで、いろんなことがありましたわね。
小さい頃の私は、引っ込み思案で、人見知りで、自分に自信が持てなくて。
あなたがいなかったら、友達の一人もできなかったかもしれない。
櫻子がいたから、櫻子が私をひっぱってくれたから、私は少しずつ変われたんですわ。
あなたのそばにいたくて。あなたと釣り合う女の子になりたくて。
でも、どんなに勉強ができたって、どんなにお菓子作りがうまくなったって、
私にとって櫻子は、いつも届かないくらい、輝いて見えていましたわ。
私たちは一緒に大きくなったけど、私があなたの背を追い抜かしたくらいから、些細なケンカが増えましたわね。
向日葵に負けたくない、向日葵のくせにって、あの頃からよく言ってたっけ。
今でもそれは変わらないですけど、そんな子供っぽいところも、全部全部、私は愛しく想います。
私もついつい張り合ってしまうことがありますけど、本当はいつだって、あなたのことが大好きですわ。
きっとこれからもいっぱいケンカをしちゃうと思いますけど、これだけは忘れないで。
私は、絶対にあなたのことを嫌いになりません。
だから、どうかあなたも、
私のことを、ずっと好きでいて。
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:42:49.03 ID:+EtVRVLso
向日葵「好きよ……櫻子」
櫻子「好きだよ……向日葵」
向日葵「一生、あなたを離しませんわ……何度生まれ変わったって、必ずあなたを探し出して、あなたの隣にいますからね……っ」
櫻子「わたしだって……絶対にどこにもいかせない。絶対に向日葵を飽きさせない! 何度だって振り向かせてやる……何度だって、私を好きにさせてやるっ……!」
かぶりつくように、口づけを交わした。
ひっかき傷ができてしまうくらい、お互いをかき抱いた。
飽きるほどの「好き」を、一生分の「好き」を叫んだ。
陽が沈んでまっくらになっても、明かりもつけずに、私たちは愛を求め合った。
――――――
――――
――
―
櫻子「好きだよ……向日葵」
向日葵「一生、あなたを離しませんわ……何度生まれ変わったって、必ずあなたを探し出して、あなたの隣にいますからね……っ」
櫻子「わたしだって……絶対にどこにもいかせない。絶対に向日葵を飽きさせない! 何度だって振り向かせてやる……何度だって、私を好きにさせてやるっ……!」
かぶりつくように、口づけを交わした。
ひっかき傷ができてしまうくらい、お互いをかき抱いた。
飽きるほどの「好き」を、一生分の「好き」を叫んだ。
陽が沈んでまっくらになっても、明かりもつけずに、私たちは愛を求め合った。
――――――
――――
――
―
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:43:54.70 ID:+EtVRVLso
疲れ果てた私たちはベッドに倒れ込み、そのまま眠ってしまったようだった。
気が付いたときにはもう世界は朝になっていて、先に起きていた櫻子が私の髪を撫でていた。
こんなに幸せな朝があっていいのだろうか。まるで夢が現実になったみたい。私は櫻子の太ももに頭を乗せて、すりすりと甘えた。
櫻子「……いや、あの、起きて」
向日葵「……えっ」
櫻子「ごめん、めっちゃおなか減ったの……昨日のお昼から何も食べてないから……」ぐきゅる~
向日葵「…………」
何も食べていないのは私も同じだったが、櫻子が本気で辛そうにしていたので、私はベッドに移った愛しい温もりを手放して起きることにした。
時刻は朝6時すぎ。せっかく朝食を作るならみんなの分もと思い、私たちは顔を洗って身支度を調え、手を繋いで大室家に向かった。
気づかれないようにそっと玄関を開けようとしたが、櫻子が取っ手に手をかけようとしたところでドアが自然にがちゃっと開き、私たちは驚いて飛び上がった。土曜日なのに早起きだった撫子さんが、新聞を取るためにちょうど外へ出てきてしまったらしい。
撫子「……うわ」
向日葵「……お、おはようございます……」
撫子「……朝帰り?」
櫻子「ちゃうわ!!///」
撫子「あーあー、すっかりお熱いことで……もしかしてこれから毎日こんな感じを見せつけられるの? 勘弁してよ」
向日葵「も、申し訳ありません……」
櫻子「いやいや、謝ることじゃないでしょ!」
撫子「…………よかったね。二人とも」ぽん
櫻子「!」
撫子さんは、私たちの頭に手を乗せて笑った。
気が付いたときにはもう世界は朝になっていて、先に起きていた櫻子が私の髪を撫でていた。
こんなに幸せな朝があっていいのだろうか。まるで夢が現実になったみたい。私は櫻子の太ももに頭を乗せて、すりすりと甘えた。
櫻子「……いや、あの、起きて」
向日葵「……えっ」
櫻子「ごめん、めっちゃおなか減ったの……昨日のお昼から何も食べてないから……」ぐきゅる~
向日葵「…………」
何も食べていないのは私も同じだったが、櫻子が本気で辛そうにしていたので、私はベッドに移った愛しい温もりを手放して起きることにした。
時刻は朝6時すぎ。せっかく朝食を作るならみんなの分もと思い、私たちは顔を洗って身支度を調え、手を繋いで大室家に向かった。
気づかれないようにそっと玄関を開けようとしたが、櫻子が取っ手に手をかけようとしたところでドアが自然にがちゃっと開き、私たちは驚いて飛び上がった。土曜日なのに早起きだった撫子さんが、新聞を取るためにちょうど外へ出てきてしまったらしい。
撫子「……うわ」
向日葵「……お、おはようございます……」
撫子「……朝帰り?」
櫻子「ちゃうわ!!///」
撫子「あーあー、すっかりお熱いことで……もしかしてこれから毎日こんな感じを見せつけられるの? 勘弁してよ」
向日葵「も、申し訳ありません……」
櫻子「いやいや、謝ることじゃないでしょ!」
撫子「…………よかったね。二人とも」ぽん
櫻子「!」
撫子さんは、私たちの頭に手を乗せて笑った。
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:44:23.01 ID:+EtVRVLso
撫子「ひま子、櫻子をよろしくね。もうこれからはひま子の方が、私よりも櫻子といる時間が長いだろうから」
向日葵「は、はいっ!」
撫子「櫻子も。頑張って前に踏み出したのは偉いけど、ここからがスタートなんだからね。ひま子泣かせたらただじゃおかないよ?」
櫻子「……うん。わかってる」
撫子「よし。おかえり」
私たちは、揃って大室家へ帰宅した。
今日も空は相変わらずの晴天で、突き抜けるように高く澄み渡り、青く青く広がっていた。
きっと今日も暑くなる。私たちは朝食の用意をしながら、本日の予定を立てあった。付き合って最初の二人のデートは、赤座さんに送る誕生日プレゼントを一緒に選びに行くことに決まった。じきに花子ちゃんと楓も起きてきて、みんなでゆっくりごはんを食べた。
撫子「夏休み、今年はなにしよっか」
櫻子「あーそうだ! もう今日から実質夏休みじゃん!」
花子「え、気づいてなかったの?」
撫子「櫻子はちょっと昨日大変なことがあってね、色々忘れちゃったんだよ」
櫻子「ちげーわ!///」
楓「みんなでどこか行きたいの♪」
向日葵「いいですわね。久しぶりに」
撫子「私も忙しいけど、なるべく予定開けるようにするよ。でも計画立案は櫻子とひま子に一任するからね」
櫻子「なんで?」
撫子「もう大人になったから」
櫻子「いやだから! ちょいちょい変なこと言わなくていーの!///」
花子「さっきから何真っ赤になってるんだし」
櫻子「なってない!」
からかわれながらも、櫻子はとても嬉しそうだった。
こんな笑顔を、これからもずっと、隣で見守っていくんだ。そう思うと、私もついつい顔がほころんでしまった。
向日葵「は、はいっ!」
撫子「櫻子も。頑張って前に踏み出したのは偉いけど、ここからがスタートなんだからね。ひま子泣かせたらただじゃおかないよ?」
櫻子「……うん。わかってる」
撫子「よし。おかえり」
私たちは、揃って大室家へ帰宅した。
今日も空は相変わらずの晴天で、突き抜けるように高く澄み渡り、青く青く広がっていた。
きっと今日も暑くなる。私たちは朝食の用意をしながら、本日の予定を立てあった。付き合って最初の二人のデートは、赤座さんに送る誕生日プレゼントを一緒に選びに行くことに決まった。じきに花子ちゃんと楓も起きてきて、みんなでゆっくりごはんを食べた。
撫子「夏休み、今年はなにしよっか」
櫻子「あーそうだ! もう今日から実質夏休みじゃん!」
花子「え、気づいてなかったの?」
撫子「櫻子はちょっと昨日大変なことがあってね、色々忘れちゃったんだよ」
櫻子「ちげーわ!///」
楓「みんなでどこか行きたいの♪」
向日葵「いいですわね。久しぶりに」
撫子「私も忙しいけど、なるべく予定開けるようにするよ。でも計画立案は櫻子とひま子に一任するからね」
櫻子「なんで?」
撫子「もう大人になったから」
櫻子「いやだから! ちょいちょい変なこと言わなくていーの!///」
花子「さっきから何真っ赤になってるんだし」
櫻子「なってない!」
からかわれながらも、櫻子はとても嬉しそうだった。
こんな笑顔を、これからもずっと、隣で見守っていくんだ。そう思うと、私もついつい顔がほころんでしまった。
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 01:44:51.21 ID:+EtVRVLso
朝食を終えた私は家に戻り、初デートに向けてせいいっぱいのおしゃれをする。想定外に時間がかかってしまって、待ちくたびれた櫻子が家にやってきてしまった。
櫻子「まだー? おそーい」
向日葵「ごめんなさい、もうちょっと……ねえこの服で大丈夫かしら。こっちの方がいい?」
櫻子「いいよどっちでも~」
向日葵「いいわけないでしょう。私はあなたの彼女なんですから。妥協したらあなたに失礼ですわ」
櫻子「か、彼女……///」
向日葵「……そういうことになるんですのよ。今日から」
櫻子「彼女……彼女かぁ……♪」ぎゅっ
向日葵「きゃっ、ちょっと! 変なところ触らないで!」
櫻子「だめだ私、選べない……どの向日葵も全部可愛い。ぜんぶ」
向日葵「もう……///」
紆余曲折あったけれど、最初から両想いだった私たち。
そんな私たちにとって、「告白」しあうことに何の意味があるのだろうと、ずっと考えていた。
今更そんなことしなくても、すでに想いは通じ合っている。
でも、それでも、きちんと想いを伝え合うことには、やっぱり大きな意義があったみたい。
ふにゃけた笑顔で甘えてくる櫻子を抱きしめながら、私はそう思った。
向日葵「さて、そろそろ行きましょうか」
櫻子「うん!」
可愛い可愛い、私の櫻子。
この桜は、「好き」という想いを注ぐほど、可憐な花を咲かせてくれる。
これからも、いろんな表情のあなたを見せてくださいね。
私たちは手を繋いで、新しい一歩を同時に踏み出した。
~fin~
櫻子「まだー? おそーい」
向日葵「ごめんなさい、もうちょっと……ねえこの服で大丈夫かしら。こっちの方がいい?」
櫻子「いいよどっちでも~」
向日葵「いいわけないでしょう。私はあなたの彼女なんですから。妥協したらあなたに失礼ですわ」
櫻子「か、彼女……///」
向日葵「……そういうことになるんですのよ。今日から」
櫻子「彼女……彼女かぁ……♪」ぎゅっ
向日葵「きゃっ、ちょっと! 変なところ触らないで!」
櫻子「だめだ私、選べない……どの向日葵も全部可愛い。ぜんぶ」
向日葵「もう……///」
紆余曲折あったけれど、最初から両想いだった私たち。
そんな私たちにとって、「告白」しあうことに何の意味があるのだろうと、ずっと考えていた。
今更そんなことしなくても、すでに想いは通じ合っている。
でも、それでも、きちんと想いを伝え合うことには、やっぱり大きな意義があったみたい。
ふにゃけた笑顔で甘えてくる櫻子を抱きしめながら、私はそう思った。
向日葵「さて、そろそろ行きましょうか」
櫻子「うん!」
可愛い可愛い、私の櫻子。
この桜は、「好き」という想いを注ぐほど、可憐な花を咲かせてくれる。
これからも、いろんな表情のあなたを見せてくださいね。
私たちは手を繋いで、新しい一歩を同時に踏み出した。
~fin~
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 02:10:54.69 ID:V+E1ytFA0
おつ
櫻子、誕生日おめでとう!
櫻子、誕生日おめでとう!
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/07(木) 14:12:01.43 ID:aIQu8ooSO
素晴らしいね
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/08(金) 03:00:16.40 ID:gNSflh2s0
よきかな
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/08(金) 16:02:05.43 ID:nhlgnQ2BO
乙
ひまさくさくひま好き
ひまさくさくひま好き
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/09(土) 23:25:23.86 ID:dsOil5ogo
いいね👍
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/10(日) 00:57:35.10 ID:ytXAGREk0
素晴らしかった
おつ
(正直途中までズッコケパターンかと)
おつ
(正直途中までズッコケパターンかと)
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1504714914/
Entry ⇒ 2017.09.13 | Category ⇒ ゆるゆり | Comments (1)
京子「結衣ー、そこの高級ステーキとって」結衣「ねーよ」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 22:48:01.36 ID:MTS/Tacb0
京子「結衣ー」
結衣「……今度はなに?」
京子「ミラクるん公式ファンブック 胸がドキドキっ☆それゆけミラクるんっ! とってー」
結衣「言ってて恥ずかしくないのか」
京子「めちゃくちゃ恥ずかしい」
結衣「じゃあすんなよ……ほら」ヒョイ
京子「こんぐらっちゅれーしょん!」パシッ
結衣「意味分かってんのか?」
京子「知らん!」
結衣「でしょうね」
結衣「……今度はなに?」
京子「ミラクるん公式ファンブック 胸がドキドキっ☆それゆけミラクるんっ! とってー」
結衣「言ってて恥ずかしくないのか」
京子「めちゃくちゃ恥ずかしい」
結衣「じゃあすんなよ……ほら」ヒョイ
京子「こんぐらっちゅれーしょん!」パシッ
結衣「意味分かってんのか?」
京子「知らん!」
結衣「でしょうね」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 22:49:36.57 ID:MTS/Tacb0
京子「にしてもあかりとちなつちゃん遅いなー……1年の先生は何をしてるのかね全く!」
結衣「今日は用事があるから来ないって」
京子「ええぇぇ!?じゃあもう意味ないじゃん!?」
結衣「え、意味ないって……去年はずっとこんな感じだったけどいつもやってただろ、ごらく部」
京子「それはそうなんだけどー……」
結衣「まあでもやることないしな……帰る?」
京子「ん……んー……?いや、やっぱいる」
結衣「そう? じゃあ無駄な時間を過ごしますか……」ペラ
京子「え、嫌なら帰っていいよ?」
結衣「そういう意味じゃないけど……」ペラ
京子「……結衣、何読んでるの?」
結衣「ドアノブ500個殺人事件」
京子「面白い?」
結衣「全く面白くない……」
結衣「今日は用事があるから来ないって」
京子「ええぇぇ!?じゃあもう意味ないじゃん!?」
結衣「え、意味ないって……去年はずっとこんな感じだったけどいつもやってただろ、ごらく部」
京子「それはそうなんだけどー……」
結衣「まあでもやることないしな……帰る?」
京子「ん……んー……?いや、やっぱいる」
結衣「そう? じゃあ無駄な時間を過ごしますか……」ペラ
京子「え、嫌なら帰っていいよ?」
結衣「そういう意味じゃないけど……」ペラ
京子「……結衣、何読んでるの?」
結衣「ドアノブ500個殺人事件」
京子「面白い?」
結衣「全く面白くない……」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 22:53:07.70 ID:MTS/Tacb0
京子「よし、トランプしようぜ」
結衣「唐突だな……二人しかしないのに?」
京子「こういう時こそアレよ!アレ!」
結衣「アレ?」
京子「あのー……アレ!」
結衣(本気でド忘れしてるなこれ…)
京子「……すっ、スピード!」
京子「スピード……!」ドヤァ
結衣「なんなんだよそのドヤ顔は」
京子「思い出したぜ!という…」
結衣「私にアピールされても…」
結衣「ってちょっと待て、このトランプ40枚くらいしかないぞ……なくなりすぎだろ」
京子「あ!それ多分私が池の近くでかっこいい切り方練習しててぶちまけたやつだ!」ドヤ
結衣「明らかにドヤ顔するところじゃないよな?」
結衣「唐突だな……二人しかしないのに?」
京子「こういう時こそアレよ!アレ!」
結衣「アレ?」
京子「あのー……アレ!」
結衣(本気でド忘れしてるなこれ…)
京子「……すっ、スピード!」
京子「スピード……!」ドヤァ
結衣「なんなんだよそのドヤ顔は」
京子「思い出したぜ!という…」
結衣「私にアピールされても…」
結衣「ってちょっと待て、このトランプ40枚くらいしかないぞ……なくなりすぎだろ」
京子「あ!それ多分私が池の近くでかっこいい切り方練習しててぶちまけたやつだ!」ドヤ
結衣「明らかにドヤ顔するところじゃないよな?」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 22:54:38.45 ID:MTS/Tacb0
結衣「なんで池の近くでやったんだよ」
京子「追い込まれるほどパワーが引き出されるタイプだからさ!」
結衣「結果失敗してるけどな」
結衣「やっぱもう帰ろうか、することないし」スクッ
京子「えー……」ジー
結衣「……なんだよ」
京子「別に? スカートの奥にある結衣のパンツ何色かなーって想像してるだけ」
結衣「やめろ!」ゲシッ
京子「ぉうっ!」
京子「追い込まれるほどパワーが引き出されるタイプだからさ!」
結衣「結果失敗してるけどな」
結衣「やっぱもう帰ろうか、することないし」スクッ
京子「えー……」ジー
結衣「……なんだよ」
京子「別に? スカートの奥にある結衣のパンツ何色かなーって想像してるだけ」
結衣「やめろ!」ゲシッ
京子「ぉうっ!」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 22:56:35.64 ID:MTS/Tacb0
結衣「もう帰るからな」スタスタ
京子「ちょっ待ってよ!」ガシッ
結衣「うわっあぶな!?」
京子「結衣にゃん~かまって~」
結衣「はぁ……?」
京子「よし!40枚しかないトランプでもできる遊びをするぞ!」
結衣「例えば?」
京子「神経衰弱」
結衣「一生終わらないだろ」
京子「ちょっ待ってよ!」ガシッ
結衣「うわっあぶな!?」
京子「結衣にゃん~かまって~」
結衣「はぁ……?」
京子「よし!40枚しかないトランプでもできる遊びをするぞ!」
結衣「例えば?」
京子「神経衰弱」
結衣「一生終わらないだろ」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 23:00:13.21 ID:MTS/Tacb0
京子「ババ抜き!」
結衣「無理だろ」
京子「七並べ!」
結衣「無理だろ」
京子「王様ゲーム!」
結衣「そもそもトランプでやることじゃねえ」
結衣「無理だろ」
京子「七並べ!」
結衣「無理だろ」
京子「王様ゲーム!」
結衣「そもそもトランプでやることじゃねえ」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 23:04:24.50 ID:MTS/Tacb0
京子「ふふっ……こんな時のための話題BOXよ!」
結衣「遊ぶのは諦めたのか?」
京子「えー…じゃあ黒ひげでもして遊ぶか…」ガサガサ
結衣「黒ひげって……学校になんてもん持ってきてんだ」
京子「じゃーん!」
結衣「なんか解体されてる!?」
結衣「遊ぶのは諦めたのか?」
京子「えー…じゃあ黒ひげでもして遊ぶか…」ガサガサ
結衣「黒ひげって……学校になんてもん持ってきてんだ」
京子「じゃーん!」
結衣「なんか解体されてる!?」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 23:07:37.39 ID:MTS/Tacb0
京子「まず樽を横向きに置きます」
結衣「え、横向きに?」
京子「そして紙コップにナイフを入れて……」
京子「ほいっ!」バンッ
結衣「……で、それが何なの?」
京子「これでちゃんと刺さったら勝ち、逆向きに刺さったら負けね」
結衣「逆向きには刺さらないだろ…」
結衣「え、横向きに?」
京子「そして紙コップにナイフを入れて……」
京子「ほいっ!」バンッ
結衣「……で、それが何なの?」
京子「これでちゃんと刺さったら勝ち、逆向きに刺さったら負けね」
結衣「逆向きには刺さらないだろ…」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 23:09:55.51 ID:MTS/Tacb0
京子「なんかそういうので賭けをするんだよ」
結衣「賭け?」
京子「うん、なんかのアニメでやってた」
結衣「また影響されて……しかも曖昧だな色々と」
京子「あれを再現するにはこう、もっと口がリアルじゃないと」
結衣「リアルって…」
京子「そうだ! 結衣の口がリアルかどうかこの唇で確かめ――」
結衣「やめろ」
結衣「賭け?」
京子「うん、なんかのアニメでやってた」
結衣「また影響されて……しかも曖昧だな色々と」
京子「あれを再現するにはこう、もっと口がリアルじゃないと」
結衣「リアルって…」
京子「そうだ! 結衣の口がリアルかどうかこの唇で確かめ――」
結衣「やめろ」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 23:15:03.51 ID:MTS/Tacb0
結衣「やっぱもう帰ろうよ」
京子「えぇー…」
結衣「え?でも……明日いつも以上に楽しめばいいだろ」
京子「ダ、ダメだ! あかり達がいないからって帰ったら……!」
京子「帰ったら……!」
京子「負けた気がする!!」
結衣「…………」
結衣「何にだよ……」
京子「えぇー…」
結衣「え?でも……明日いつも以上に楽しめばいいだろ」
京子「ダ、ダメだ! あかり達がいないからって帰ったら……!」
京子「帰ったら……!」
京子「負けた気がする!!」
結衣「…………」
結衣「何にだよ……」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 23:19:22.59 ID:MTS/Tacb0
京子「仕方ないから帰ってやるとするか…」
結衣「別にずっと一人でここに居てもいいんだぞ」
京子「わしゃ自縛霊か!」
結衣「……そういうこともあるかもしれない」
京子「……は?」
結衣「じゃ、また明日~」ガラガラ
京子「待て待て待て待て!!」
結衣「なんだよ」
京子「いやあの……なんなんですか?」
結衣「なんなんですかって言われても」
結衣「別にずっと一人でここに居てもいいんだぞ」
京子「わしゃ自縛霊か!」
結衣「……そういうこともあるかもしれない」
京子「……は?」
結衣「じゃ、また明日~」ガラガラ
京子「待て待て待て待て!!」
結衣「なんだよ」
京子「いやあの……なんなんですか?」
結衣「なんなんですかって言われても」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 23:23:39.17 ID:MTS/Tacb0
結衣「お前そういうの苦手だっけ?」
京子「いや苦手っていうか……自分が霊だったら苦手とかそういうの関係ないだろもう!」
結衣「怖がらせようとしただけで深い意味はない」
京子「分かってるけどさー…あ、毛虫」
結衣「」ビュンッ
京子「はやっ!? 瞬間移動!?」
京子「いや苦手っていうか……自分が霊だったら苦手とかそういうの関係ないだろもう!」
結衣「怖がらせようとしただけで深い意味はない」
京子「分かってるけどさー…あ、毛虫」
結衣「」ビュンッ
京子「はやっ!? 瞬間移動!?」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 23:27:33.55 ID:MTS/Tacb0
結衣「騙したな…」
京子「そっちが先にやってきたんじゃん!」
結衣「はぁ…もういいや、とりあえず本当に帰ろうか」
京子「このまま結衣ん家行っていい?」
結衣「えっ? まあいいけど……たまには帰らないと親御さん心配しない?」
京子「しない!」
結衣「いや、本当にしてなかったらそれはそれで悲しいぞ」
京子「いいから行くの!」
結衣「はいはい……」
京子「結衣ん家行ったら何しよっかなー…まず……」
結衣(…………)
結衣「……なぁ、京子」
京子「ん?……なになに?いつもありがとうって?」ニヤニヤ
結衣「いや、かばん忘れてるぞ」
京子「うわっマジだ!?」
おわり
京子「そっちが先にやってきたんじゃん!」
結衣「はぁ…もういいや、とりあえず本当に帰ろうか」
京子「このまま結衣ん家行っていい?」
結衣「えっ? まあいいけど……たまには帰らないと親御さん心配しない?」
京子「しない!」
結衣「いや、本当にしてなかったらそれはそれで悲しいぞ」
京子「いいから行くの!」
結衣「はいはい……」
京子「結衣ん家行ったら何しよっかなー…まず……」
結衣(…………)
結衣「……なぁ、京子」
京子「ん?……なになに?いつもありがとうって?」ニヤニヤ
結衣「いや、かばん忘れてるぞ」
京子「うわっマジだ!?」
おわり
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/07(月) 23:30:20.04 ID:MTS/Tacb0
見てくれた方いたらありがとうございました
一応ギャグです
一応ギャグです
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/08(火) 01:28:23.21 ID:BvNdrl5A0
おつ!
ゆるゆりSS久々に読んだかも
ゆるゆりSS久々に読んだかも
掲載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1502113680/
Entry ⇒ 2017.08.12 | Category ⇒ ゆるゆり | Comments (0)
【ゆるゆり】向日葵「これは、密室殺人ですわ!」
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/31(月) 21:00:42.77 ID:t6sJph4Uo
(放課後、生徒会室)
綾乃「さーて、プリントは全部あるわね」
千歳「今日は、珍しくスムーズに揃ったなぁ」
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/31(月) 21:02:24.16 ID:t6sJph4Uo
綾乃「全部片付いたら、楽しみにしてたプリンでも食べようかしら」
千歳「ああ、綾乃ちゃん昼に冷蔵庫にしまっとったあれな」
ガラ
向日葵「今日は」
綾乃「ああ、古谷さん」
千歳「今日はー古谷さん」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/31(月) 21:04:21.88 ID:t6sJph4Uo
綾乃「ん?大室さんは?」
池田「そうや。今日は一緒やないの?」
向日葵「ああ、櫻子は今日掃除当番ですので少し遅れますわ」
綾乃「ああ、そうなの」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/31(月) 21:05:39.86 ID:t6sJph4Uo
向日葵「さて、先輩方何かお手伝い出来る事はありません?」
綾乃「あ、ええ。丁度良かったわ」
綾乃「これから、職員室にプリント持っていくの手伝って貰えないかしら?」
千歳「けっこう量あって、二人じゃ大変でなぁ」
向日葵「ええ、お安い御用ですわ」
―――
――
―
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/31(月) 21:07:49.50 ID:t6sJph4Uo
(職員室)
先生「お疲れさん、それじゃまた頼むな」
綾乃「はい。それじゃ失礼します」
千歳「お邪魔しましたぁ」
向日葵「失礼します」
ガラ
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/31(月) 21:08:36.64 ID:t6sJph4Uo
綾乃「ふー、ありがとね古谷さん」
千歳「助かったわぁ」
向日葵「いいえ、先輩方のお役に立てて良かったですわ」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/31(月) 21:10:31.80 ID:t6sJph4Uo
綾乃「さーて、今日はあと仕事らしい仕事もないし」
千歳「じゃあ、早めに終わってもいいんやない?」
向日葵「あら、そうなんですの」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/31(月) 21:12:22.57 ID:t6sJph4Uo
向日葵「櫻子が不満がりそうですわ」
綾乃「ああ、そうかも知れないわね」
千歳「せっかく来たのにーって、大室さんなら言いそうやねぇ」
向日葵「ええ。来たら来たで怠けてばっかですのに」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/31(月) 21:14:01.08 ID:t6sJph4Uo
(生徒会室前)
綾乃「さーて・・・。ん?」ガチャ
千歳「ん?どうしたん綾乃ちゃん」
向日葵「どうかしたんですの?」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/31(月) 21:14:32.62 ID:t6sJph4Uo
綾乃「変ね。鍵がかかってるわ」ガチャガチャ
千歳「え?先生か誰かが間違ってかけちゃったんやないの?」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/31(月) 21:17:55.87 ID:t6sJph4Uo
綾乃「いえ、生徒会室の鍵は今私が持ってるの1つきりよ?」
綾乃「職員室から借りて来てるやつだから、他の人は持ってないはずだし」
千歳「ああ、そうやったなぁ」
向日葵「まさか、櫻子がふざけて中からかけてるんじゃ・・・」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/31(月) 21:19:08.83 ID:t6sJph4Uo
綾乃「うーん、そうかも知れないわね・・・。大室さん、大室さん?」トントン
向日葵「まったく、櫻子は・・・。こんな子供っぽいイタズラなんかして」
千歳「まぁ、まだそうと決まったワケやないから」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/31(月) 21:21:17.02 ID:t6sJph4Uo
綾乃「まぁ、私の鍵で開けられるんだけど・・・。大室さん、入るわよ?」カチャン
向日葵「もし、櫻子のイタズラでしたらうんと叱っておきますわ」
千歳「まぁまぁ、ほどほどになぁ」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/01(火) 20:11:36.47 ID:AtwFabsho
(生徒会室)
ガラ
綾乃「大室さ・・・え?」
千歳「どうしたん、綾乃ちゃ・・・あ」
向日葵「・・・え?」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/01(火) 20:12:41.33 ID:AtwFabsho
綾乃「大室さん・・・」
綾乃「床に、うつ伏せで・・・?」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/01(火) 20:15:27.96 ID:AtwFabsho
綾乃「ちょ、ちょっと大室さん?」
千歳「ど、どうしたん?なぁ大室さ・・・」
向日葵「ん?あのゴミ箱・・・」
向日葵「・・・」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/01(火) 20:16:06.81 ID:AtwFabsho
向日葵「・・・待ってください、先輩方」
綾乃「え?」
向日葵「これは、事件・・・」
千歳「へ・・・?」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/01(火) 20:16:57.44 ID:AtwFabsho
向日葵「そう、トリックを用いた・・・」
向日葵「これは、密室殺人ですわ!」
綾乃「え、ええーっ!?」
千歳「な、何やってー?」
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/04(金) 22:50:00.39 ID:U1W2VwKgo
――人物一覧――
『杉浦綾乃』
七森中2年生、生徒会副会長。
生徒会室のカギを所持している。
外部から生徒会室のカギを開け閉めできる唯一の人物。
『池田千歳』
七森中2年生、生徒会所属。
眼鏡と関西弁がトレードマーク。
事件発生前から現在まで三人と行動を共にしていた。
『古谷向日葵』
七森中1年生。生徒会所属。
真面目で常識的な性格。大室櫻子とは幼馴染み。
カギのかかった生徒会室内で大室櫻子の倒れている現在の状況を
密室殺人と断定する。
『大室櫻子』
七森中1年生。生徒会所属。
古谷向日葵とは正反対の性格。
カギのかかった生徒会室内で、うつ伏せで倒れている所を発見される。
掃除当番で遅れたため、他の三人とは行動を別にしていた。
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/04(金) 22:51:06.07 ID:U1W2VwKgo
綾乃「い、一体どういうことなの古谷さん?」
千歳「そ、そうや?まず大室さんの様子を確かめんと・・・」
向日葵「いえ、その必要はありませんわ」
千歳「な、何でなん?」
向日葵「それは、これから説明します」
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/04(金) 22:53:06.81 ID:U1W2VwKgo
向日葵「ではまず、状況の整理をしましょう」
向日葵「私たちは、先ほどまで職員室にプリントを届けに行っていて・・・」
向日葵「10分ほど、生徒会室を空けました」
綾乃「ええ、そうね」
千歳「そうやなぁ」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/04(金) 22:55:03.41 ID:U1W2VwKgo
向日葵「櫻子は、今日は掃除当番で一人遅くなったので・・・」
向日葵「私たちのいない間に、生徒会室に来たはずです」
綾乃「え、ええ確かに」
千歳「まぁ、状況から見てそうやろなぁ」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/04(金) 22:56:25.71 ID:U1W2VwKgo
向日葵「そして、私達が職員室から戻ってくると・・・」
向日葵「生徒会室には、カギがかかっていて」
綾乃「ええ、そうね」
千歳「カギは、綾乃ちゃんしか持ってないんよなぁ。やっぱり、内側から大室さんが・・・」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/04(金) 22:59:40.82 ID:U1W2VwKgo
向日葵「そしてカギを開けて中に入ると、ご覧の通り・・・」
向日葵「こちら側に足を向けた状態で、床にうつ伏せになっている櫻子が発見されました」
綾乃「そ、そうね」
千歳「そうや、お、大室さんは一体どうなったん・・・?」
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/04(金) 23:00:52.00 ID:U1W2VwKgo
向日葵「まず、この事からわかるのは・・・」
向日葵「櫻子は、今、確実に死んでいるという事です」
綾乃「え、ええーっ!?」
千歳「な、何でそういい切れるん?」
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/04(金) 23:08:42.25 ID:U1W2VwKgo
向日葵「ええ。今の状況が、櫻子のイタズラによる物だとしたら・・・」
向日葵「おかしな点が、いくつかあるのです」
綾乃「おかしな点?」
千歳「どういう事なん?」
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/04(金) 23:38:56.77 ID:U1W2VwKgo
向日葵「ええまず、もしこれが櫻子のイタズラだとしたら」
向日葵「少しタチが悪すぎます。私たちの荷物もあるのに生徒会室に入れませんわ」
向日葵「それに、先生や他の方も何か用事があって来るかも知れませんので、
その人達にも迷惑をかける事になります」
綾乃「まぁ、考えてみればそうかも・・・」
千歳「たまたま綾乃ちゃんがカギ持っとったから良かったけどなぁ」
向日葵「櫻子が生きていたら、うんとキツイお仕置きをする所ですけど」
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/04(金) 23:40:15.33 ID:U1W2VwKgo
向日葵「そして、イタズラなら」
向日葵「櫻子は今死んだフリでもしているという事になりますけれど」
千歳「ああ、せやねぇ」
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/04(金) 23:41:37.24 ID:U1W2VwKgo
向日葵「けれど、中からカギをかけた上でなおかつ死んだフリをするというのは」
向日葵「イタズラにしては、少し変です」
綾乃「ええまぁ、確かにちょっとわけがわからないわね・・・」
向日葵「なので、現在のこの状況は櫻子のイタズラとは考えにくいわけです」
綾乃「・・・うーん、そうかも知れないわね」
千歳「そうやなぁ。確かに、状況だけは推理小説の密室殺人っぽいなぁ」
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/05(土) 09:01:11.09 ID:SmqRVbqFo
向日葵「それに、櫻子は具合が悪くて倒れてるわけでもありません」
綾乃「え?そうなの?」
千歳「どうしてわかるん?」
32: